第123回国会 本会議 第22号
平成四年五月十二日(火曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第十七号
  平成四年五月十二日
    午後一時開議
 第一 民事訴訟費用等に関する法律の一部を改
    正する法律案(内閣提出)
 第二 介護労働者の雇用管理の改善等に関する
    法律案(内閣提出)
 第三 アジア=太平洋郵便連合一般規則及びア
    ジア=太平洋郵便条約の締結について承
    認を求めるの件(参議院送付)
 第四 千九百六十八年二月二十三日の議定書に
    よって改正された千九百二十四年八月二
    十五日の船荷証券に関するある規則の統
    一のための国際条約を改正する議定書の
    締結について承認を求めるの件(参議院
    送付)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 裁判官弾劾裁判所裁判員辞職の件
 裁判官弾劾裁判所裁判員の選挙
 日程第一 民事訴訟費用等に関する法律の一部
  を改正する法律案(内閣提出)
 日程第二 介護労働者の雇用管理の改善等に関
  する法律案(内閣提出)
 日程第三 アジア=太平洋郵便連合一般規則及
  びアジア=太平洋郵便条約の締結について承
  認を求めるの件(参議院送付)
 日程第四 千九百六十八年二月二十三日の議定
  書によって改正された千九百二十四年八月二
  十五日の船荷証券に関するある規則の統一の
  ための国際条約を改正する議定書の締結につ
  いて承認を求めるの件(参議院送付)
 都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法
  律案(内閣提出)及び都市計画法及び建築基
  準法の一部を改正する法律案(木間章君外三
  名提出)の趣旨説明及び質疑
    午後一時三分開議
○議長(櫻内義雄君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 裁判官弾劾裁判所裁判員辞職の件
○議長(櫻内義雄君) お諮りいたします。
 裁判官弾劾裁判所裁判員高鳥修君から、裁判員を辞職いたしたいとの申し出があります。右申し出を許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(櫻内義雄君) 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。
     ――――◇―――――
 裁判官弾劾裁判所裁判員の選挙
○議長(櫻内義雄君) つきましては、裁判官弾劾裁判所裁判員の選挙を行います。
○木村義雄君 裁判官弾劾裁判所裁判員の選挙は、その手続を省略して、議長において指名されることを望みます。
○議長(櫻内義雄君) 木村義雄君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(櫻内義雄君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決しました。
 議長は、裁判官弾劾裁判所裁判員に左藤恵君を指名いたします。
     ――――◇―――――
 日程第一 民事訴訟費用等に関する法律の一
  部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(櫻内義雄君) 日程第一、民事訴訟費用等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。法務委員長浜田卓二郎君。
    ―――――――――――――
 民事訴訟費用等に関する法律の一部を改正する
  法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔浜田卓二郎君登壇〕
○浜田卓二郎君 ただいま議題となりました法律案について、法務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、我が国の民事訴訟において、近時の社会経済情勢を反映して、訴訟の目的の価額が高額となる事件が増加し、これに伴って訴え提起の手数料の額も高額となっている事情等にかんがみ、現行の民事訴訟費用制度を基本的に維持しつつ、民事裁判を国民にとってより利用しやすいものとするための措置を講じようとするもので、その内容は、訴え提起の手数料のうち、訴訟の目的の価額が高額にわたる部分に対応する部分の引き下げを図るため、その算出基準を改めることとし、借地非訟事件及び民事調停事件の申立手数料についても、同趣旨の改定を行おうとするものであります。
 委員会においては、四月二十四日、田原法務大臣から提案理由を聴取した後、質疑を行い、これを終了し、直ちに採決を行った結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(櫻内義雄君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(櫻内義雄君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第二 介護労働者の雇用管理の改善等に
  関する法律案(内閣提出)
○議長(櫻内義雄君) 日程第二、介護労働者の雇用管理の改善等に関する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。労働委員長川崎寛治君。
    ―――――――――――――
 介護労働者の雇用管理の改善等に関する法律案
  及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔川崎寛治君登壇〕
○川崎寛治君 ただいま議題となりました介護労働者の雇用管理の改善等に関する法律案一について、労働委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、急速な高齢化の進展に伴う介護労働力の需要の増大にかんがみ、介護労働者について、雇用管理の改善、能力の開発及び向上等に関する措置を講じることにより、介護労働力の確保に資するとともに、介護労働者の福祉の増進を図ろうとするもので、その内容は、
 第一に、介護労働者の雇用管理の改善、福祉の増進等に関する事業主、職業紹介事業者、国等の責務を定めるものとすること、
 第二に、労働大臣は、介護労働者の雇用管理の改善、能力の開発及び向上等に関し重要な事項を定めた介護雇用管理改善等計画を策定するとともに、その円滑な実施のため必要があると認めるときは、事業主、職業紹介事業者その他の関係者に対し、必要な要請をすることができるものとすること、
 第三に、事業主のうち政令で定める事業を行うものは、その雇用する介護労働者の福祉の増進を図るために実施する雇用管理の改善に関する措置についての改善計画を作成し、都道府県知事の認定を受けることができるものとすること、
 第四に、政府は、認定を受けた事業主に対し雇用保険法の雇用福祉事業として、必要な助成及び援助を行うものとすること、
 第五に、国及び都道府県は、認定を受けた事業主に対し、改善計画の的確な実施に必要な指導及び助言を行うものとすること、
 第六に、労働大臣は、介護労働者の福祉の増進を目的とする公益法人を介護労働安定センターとして指定し、介護労働者に対する研修等介護労働者の福祉の増進を図るために必要な業務を行わせるものとすること、
 第七に、雇用促進事業団は、介護労働者の福祉の増進を図るための施設や設備の設置を行う事業主、職業紹介事業者等に対する必要な資金の借り入れに係る債務の保証等の業務を行うものとすること等であります。
 本案は、去る二月十八日付託となり、四月十五日近藤労働大臣から提案理由の説明を聴取し、同月二十四日の委員会において質疑を終了し、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 なお、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(櫻内義雄君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(櫻内義雄君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第三 アジア=太平洋郵便連合一般規則及びアジア=太平洋郵便条約の締結について承認を求めるの件(参議院送付)
 日程第四 千九百六十八年二月二十三日の議定書によって改正された千九百二十四年八月二十五日の船荷証券に関するある規則の統一のための国際条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件(参議院送付)
○議長(櫻内義雄君) 日程第三、アジア=太平洋郵便連合一般規則及びアジア=太平洋郵便条約の締結について承認を求めるの件、日程第四、千九百六十八年二月二十三日の議定書によって改正された千九百二十四年八月二十五日の船荷証券に関するある規則の統一のための国際条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件、右両件を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。外務委員長麻生太郎君。
    ―――――――――――――
 アジア=太平洋郵便連合一般規則及びアジア=太平洋郵便条約の締結について承認を求めるの件及び同報告書
 千九百六十八年二月二十三日の議定書によって改正された千九百二十四年八月二十五日の船荷証券に関するある規則の統一のための国際条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔麻生太郎君登壇〕
○麻生太郎君 ただいま議題となりました両件につきまして、外務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 まず、アジア=太平洋郵便連合一般規則及び郵便条約について申し上げます。
 アジア=太平洋郵便連合は、アジア=太平洋郵便連合憲章の適用及び同連合の運営を確保するための規則を定め、また、アジア=太平洋郵便条約は、同連合の加盟国の間の国際郵便業務について規定しているものであります。
 この一般規則及び条約は、平成二年十一月二十八日からニュージーランドのロトルアで開催された第六回大会議において、若干の改正を行い、現行の一般規則及び条約にかわるものとして作成されたものであります。
 この改正点は、一般規則においては、同連合の予算支出の最高限度額を七万米ドルから十万米ドルに引き上げたこと、郵便条約においては、連合域内の陸路または海路により送付される書状及び郵便はがきについて、域外より低い料金の適用に関する規定を従来の義務規定から任意規定としたことであります。
 次に、船荷証券条約改正議定書について申し上げます。
 海上物品運送における運送人、荷送人及び船荷証券所持人の間の権利及び義務を国際的に統一することを目的とした、いわゆる千九百二十四年条約が大正十三年八月に作成されました。我が国は、昭和三十二年五月この条約を批准いたしております。その後、時代の進展に伴い、条約上、不備な点が顕在化したため、一九六八年の第十二回海事法外交会議において、海上運送人の責任限度額の引き上げ等を内容とする千九百六十八年議定書が採択されました。さらに、運送人の責任限度額の基準を国際通貨基金の特別引き出し権すなわちSDRに改めることを目的として、昭和五十四年十二月に第十三回海事法外交会議が開催され、同年十二月二十一日にこの改正議定書が作成をされました。
 その主な改正点は、運送人の責任限度額の表示単位をスターリング・ポンドからSDRに改めること、運送人の責任限度額を運送品一包につき百スターリング・ポンドから一包につき六百六十六・六七SDRまたは一キログラムにつき二SDRのうちいずれか高い額に引き上げることであります。
 なお、本議定書を締結することにより、千九百六十八年の議定書をも締結した効果が生じることになっております。
 両件は、去る四月十七日参議院から送付され、同月二十二日渡辺外務大臣から提案理由の説明を聴取し、二十四日質疑を行い、同日質疑を終了いたしました。次いで、五月六日採決を行いました結果、両件はいずれも全会一致をもって承認すべきものと議決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(櫻内義雄君) 両件を一括して採決いたします。
 両件は委員長報告のとおり承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(櫻内義雄君) 御異議なしと認めます。よって、両件とも委員長報告のとおり承認するに決しました。
     ――――◇―――――
 都市計画法及び建築基準法の一部を改正する
  法律案(内閣提出)及び都市計画法及び建築
  基準法の一部を改正する法律案(木間章君
  外三名提出)の趣旨説明
○議長(櫻内義雄君) この際、内閣提出、都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案及び木間章君外三名提出、都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を順次求めます。建設大臣山崎拓君。
    〔国務大臣山崎拓君登壇〕
○国務大臣(山崎拓君) 都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 今回の地価高騰に対応した金融、税制等の総合的な土地政策の一環として土地利用計画制度の充実を図る必要があるとともに、最近の都市化の進展に対応して、良好な市街地の環境を整備し、都市の秩序ある発展を図ることがますます必要となっております。
 この法律案は、このような状況にかんがみ、適切な住環境の保護等を図るための用途地域制度の整備、公共施設を備えた健全な市街地の整備とあわせて土地の有効利用等を図るための地区計画制度の拡充、市町村の都市計画に関する基本的な方針の創設、計画的な市街地の整備を図るための開発許可制度の改善、技術開発の進展等を踏まえた防火に関する規制の適正化を図るための木造建築物に係る制限の合理化等を行おうとするものであります。
 次に、その要旨を御説明申し上げます。
 まず、都市計画法の改正についてであります。
 第一に、現行の三種類の住居系の用途地域を七種類に細分化して、既存の商業系、工業系の五種類の用途地域と合わせて十二用途地域とするとともに、特別用途地区に中高層階住居専用地区及び商業専用地区を加えることとしております。
 第二に、公共施設の整備を伴った良好な市街地整備を図りつつ、土地の有効利用を促進するため、地区計画制度を拡充し、容積率の最高限度を当該区域の特性に応じたものと公共施設の整備の状況に応じたものとに定めることができることとするとともに、地区計画の区域内の総容積の範囲内で、当該区域を区分して容積率の特例を定めることができることとしております。また、市街化調整区域内においても地区計画を定めることができることとする等の措置を講ずることとしております。
 第三に、市町村は、住民の意見を反映させるため必要な措置を講じた上で、当該市町村の都市計画に関する基本的な方針を定めることができることとしております。
 第四に、開発許可制度について、自己の業務用の開発行為についても道路等に関する基準を適用する等の措置を講ずることとしております。
 次に、建築基準法の改正についてであります。
 第一に、今回の都市計画法の改正とあわせて、新たに設けられた用途地域における建築物の敷地、構造、建築設備及び用途に関する制限等について定めることとしております。
 第二に、都市計画区域外の一定の区域においては、地方公共団体は、条例で、建築物またはその敷地と道路との関係、容積率等に関して必要な制限を定めることができることとしております。
 第三に、防火、準防火地域以外の区域において、木造三階建て共同住宅の建築を可能とする等木造建築物等に係る規制の緩和を行うこととしております。
 第四に、文化財保護法に基づく条例その他の条例により現状変更の規制及び保存のための措置が講じられている建築物で特定行政庁が指定したもの等については、建築基準法令を適用しないこととしております。
 その他、これらに関連いたしまして関係規定の整備を行うこととしております。
 以上が、都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(櫻内義雄君) 提出者木間章君。
    〔木間章君登壇〕
○木間章君 ただいま議題となりました日本社会党・護憲共同、進歩民主連合共同提出の都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由と要旨の御説明を申し上げます。(拍手)
 近年、いわゆるバブル経済の膨張に伴って地価が暴騰し、地方ではリゾート開発に伴って環境破壊が進行し、大都市においては都心の商業地域や隣接の住宅地域を中心に事務所ビルの建設が進められ、その反面、地上げが行われ、住民が追い出されるといった事態が頻発をいたしました。
 こうした事態を引き起こした原因の一つとして、土地利用制度の不備が指摘され、都市計画法などの改正が金融、土地税制改革と並んで地価対策の三本柱となったのであります。
 また、こうした自然環境、生活環境の悪化に対して、住民、地方自治体が立ち上がり、自分たちの町は自分たちでつくるんだという強い決意で、自前の条例や開発指導要綱で乱開発を防ぎ、住みよい町づくりを目指して行動をとっております。こうした住民、自治体の動きを国の法律、制度でルール化し、支援していくことも緊急な課題であります。
 この法律案は、以上申し上げました認識に立って、地価対策として土地利用制度の改革を行うとともに、町づくりの権限をできるだけ基礎自治体である市町村に移譲することを図り、そのために所要の改正を行うものでございます。(拍手)
 次に、その要旨を申し上げます。
 第一に、近年のモータリゼーションの発達に伴い、都市計画区域の指定要件を見直し、日常生活圏の現況及び推移を勘案して指定することといたしました。
 第二に、町づくりの基本指針となるマスタープランを拡充し、都道府県のマスタープランを都市基本方針として独立した規定に位置づけたほか、市町村のマスタープランについても、個別具体的な都市計画の基本事項を定めるものと明確に位置づけました。
 第三に、市町村の計画決定権限を拡充し、都市計画決定については都道府県知事の権限を縮小し、市町村権限に改めたほか、都道府県知事の定める都市計画のうち主要なものについては、市町村議会の議決を経た原案に基づくことといたしましたほか、関係市町村との協議を義務づけるとともに、原則として都道府県知事の承認を要しないものといたしました。また、地方議会についても、その権限を拡充しました。
 第四に、住民参加手続を拡充し、土地に関する権利を有する者のうち、その三分の二の者の賛成により当該区域の地区計画を定めることを発議できることとしたほか、都市計画案に対する意見書の取り扱いに関する規定を整備することといたしました。
 第五に、現行の用途地域を細分化して十四の用途地域としたほか、特別用途地区については政令による種類の限定を廃止し、具体的に都市計画で定めることといたしました。
 第六に、開発許可制度を見直し、許可の対象となる開発行為に駐車場等を加えたことと、国等の行う開発行為についても当該地方公共団体との協議を義務づけ、技術基準について地方公共団体が条例で制限を付加できることといたしました。
 第七に、以上のような都市計画法の改正に伴い、建築基準法についても所要の改正を行うことといたしました。
 以上が、この法律案の提案理由及び要旨であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますことを心からお願いを申し上げます。(拍手)
     ――――◇―――――
 都市計画法及び建築基準法の一部を改正する
  法律案(内閣提出)及び都市計画法及び建築
  基準法の一部を改正する法律案(木間章君
  外三名提出)の趣旨説明に対する質疑
○議長(櫻内義雄君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。渋谷修君。
    〔渋谷修君登壇〕
○渋谷修君 私は、日本社会党・護憲共同を代表いたしまして、ただいま趣旨説明のありました都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案につきまして、宮澤総理大臣並びに関係各大臣に対し質問を行います。今回の都市計画法等の改正は、二十一世紀には七割の人々が都市に住むという状況を踏まえ、深刻な都市問題を解決するということが大きな目的であると考えますが、まずは総理に都市問題についての基本的な認識をお伺いしておきたいと思います。
 私は、都市問題を理解するためには、役人の書いた報告書を読むだけでは不十分であると考えます。ぜひ一度、総理以下各大臣が公用車をおりて、普通の国民と同じように、通勤時間に都内の電車に乗ってみていただきたいのであります。そうすれば、国民がいかに我慢をして今日の経済大国をつくり上げてきたか、同時に、日々いかにつらい生活を強いられているか御理解いただけるものと思います。私は、今回の都市計画法等の改正の出発点はここにあると考えるのであります。
 近年の地価の暴騰はこのような東京の混雑と地方都市、農村の過疎化の一層の悪化をもたらしました。
 二年前に東京都が発表した東京集中問題調査報告書によれば、東京は既に都市としての容量、キャパシティーの限界に達しているのであります。
 第一は、住宅問題であります。人間らしい生活のできる住宅が普通の人々の手から遠く離れてしまいました。
 第二は、道路、交通の混雑であります。
 そして最も深刻なのは、ごみの問題であります。今新たに検討されている処分場が計画どおりにつくられたといたしましても、現在のペースでは二〇〇〇年以前に使い切ってしまう計算と言われます。
 こうした問題を解決するためには、これまでの都市政策を転換し、新たな観点に立った都市政策を打ち立てなければなりません。
 すなわち、都市にはそれぞれの容量があり、それを踏まえて、容量を超えている都市は成長の抑止を図り、達していない都市については成長の促進を図るという成長管理の都市政策を取り入れるべきであります。この政策では、都市の開発の量、スピード、位置、費用などについて、都市の容量を踏まえて意識的にコントロールをするということになります。
 総理、これが約二十年ぶりの都市計画法等の改正の大きな柱でなければならないと私は考えるのでありますが、総理のこの点に関する御見解をお伺いいたします。(拍手)
 政府はこれまで、こうした観点を欠いた政策をとってまいりました。そのため都市問題をより深刻にしたという経過があります。今回の改正もその可能性が大きいのであります。
 かつて中曽根内閣で、規制緩和、民活導入という政策がとられました。都市問題についてもこの政策が適用されました。建設省は土地の高度利用を図るために一般的規制緩和を提言し、そして当時の中曽根首相は、東京の国鉄環状線の内部は五階建て以上にと発言をしております。
 つい先日、この本会議場で地方拠点都市法の採決が行われました。同法は御承知のように、過度に産業業務施設が集積している東京二十三区から地方拠点都市へその移転を促進することを大きな目的としております。同法の建設委員会での審議の際、松本代議士と私は、わずか五年前には「東京にさらに集中を図るような施策を推進し、そして今日に至っては、また企業への支援策を用意して地方へ移転させるための新しい法律をつくる、このことを一体どう理解すればよいのかと質問をいたしました。これに対して山崎建設大臣は、ごもっともな点もあると反省していると率直に答弁されたわけでありますが、総理、これはまさに絵にかいたような矛盾であります。今後の都市政策を進めていく上で、中曽根内閣の政策をこれからも継承するのか、あるいは見直すのか、明快な答弁を求めるものであります。(拍手)
 その上で、今回の改正案に盛り込まれている誘導容積制度と容積の適正な配分という施策についてお伺いをしておきます。
 この二つの施策は、基本的に土地の高度・有効利用という観点に立つものであり、特に未利用の容積の移転という施策は、一九八四年の建設省の民活検討委員会の報告で取り上げられているものであります。この二つの施策は、まさに中曽根内閣の政策の継承と言えるものであります。建設大臣、先ほどの反省の姿勢で言えば、この施策は撤回するか、あるいは東京など大都市には適用しないとするべきであると考えますが、いかがでしょうか。
 中曽根内閣の政策は、地価高騰の大きなきっかけとなりました。地価の狂乱は全国に波及し、都心部では地上げが横行いたしました。都市に長年住み、地域経済社会を支えてきた多くの中小企業や商店主や都市住民が都市を追われました。暴力的な地上げが各地で行われましたけれども、その背景をつくったのは政府の政策であります。このことについての厳しい反省がなければならないと私は考えますが、総理の見解をお伺いいたします。(拍手)
 地価問題に関連いたしまして、地価税についてお伺いをしておきます。
 地価と容積率は密接に連動しております。土地は、持っていれば確実に値上がりするという土地神話を打破するため、地価税を創設したのでありますが、容積率が拡大をするということになれば、地価税の効果は失われるのであります。このことについての御認識と、また昨今、財界等から、地価税の凍結あるいは見直しという声が上がっているとの報道があるわけでありますが、地価税については今後もこれを堅持していく、そして来年は〇・三%の税率を予定どおり実施すると確認しておいてよいかどうか、御答弁をお願いをいたします。
 さて、総理、現在の都市計画法をつくる際に、他の国と同様、都市・農村計画法といった形で都市と農山村を一体のものとして認識し、土地利用を考える法律も検討されたとのことでありますが、建設省と農林省の対立てそれは実現できなかったと聞いております。しかし、モータリゼーションの発展、あるいは近年の農山村の変貌、リゾートマンションなどの乱開発によって、景観や
環境への悪影響が深刻な問題となっております。こうしたとき、建設省と農水省の縄張り争いなどといった低次元の問題を乗り越えて、新たな法制を検討するべき時期に来ていると思いますけれども、総理以下関係各大臣の見解をお伺いいたします。
 次に、都市計画についての権限の問題についてであります。
 都市は、豊かで潤いがあり、快適でかつ美しいものでなくてはなりません。しかし、その基準は、北海道、東京、沖縄では全く異なっているのであります。つまり、先ほど申し上げた成長管理の政策を含め、都市計画は、そこに住んでいる地域住民が参加をし、議会も積極的にかかわって身近な自治体がそれを決めていくということでなくてはなりません。
 総理、あなたの諮問機関である地方制度調査会においても、何度がこのことは指摘をされております。特に、昭和六十三年の答申では、より明確であります。自社公民の衆参議員も入りました調査会のこの件に関する答申はどういうものだったか。「まちづくり」という項目の都市計画についての記述について、わずか三行の文言でありますが、明快でかつ重要な指摘であります。自治大臣、ぜひその文言をここでお読み青いただき、その上で今回の改正案に対する率直な御見解を賜りたいのであります。
 こうした経過があるにもかかわらず、市町村への権限移譲は、今回の改正案では全く行われていません。ましてや議会の関与、地域住民の参加の具体的手続などは全く欠落しているのであります。霞が関では、相も変わらずお上意識で全国画一のメニューを押しつける姿勢であるのに対し、今多くの市町村で独自に景観あるいは町づくりに関する条例などを作成し、それぞれの地域で発生している問題に対応し、そして個性ある地域づくりに取り組んでおります。こうした地域の自主性、自立性、やる気を国は尊重し、また支援しなければならないと考えますが、今回の改正案ではこの問題にどう対応しようとしているのか、お答えを願いたいと思います。(拍手)
 地方への権限移譲について、中央集権的国家であったフランスでは、それを具体化する、だれの目にもわかりやすい課題として都市計画の権限移譲を取り上げ、ちょうど十年前、与野党が合意をして市町村、県、州及び国の間の権限の配分に関する法律を成立させ、分権に取り組んでおります。総理、我が国でも分権、権限移譲は一定のコンセンサスを得ていると考えますが、霞が関の抵抗によって前進を阻まれております。
 総理、総理の諮問機関である臨時行革審議会の豊かなくらし部会の細川部会長は、最近発売された雑誌の中で、地方分権についていろいろと取り組んできたけれども、「中央官庁とこれに癒着した既成政党の壁は厚く、鈴木行革審会長をはじめとする民間人委員の理想と熱意の高さと裏腹に、国会も内閣も変革の意志と能力を完全に失っていることが明白となった。」と述べているのであります。このことについて総理はどのように考えておられるか、御見解をお伺いいたします。
 私は、もはや霞が関に任せておいてもこの問題の打開を図ることは困難と考えます。国会等の移転の問題と何様、国権の最高機関たる立法府がそのリーダーシップを発揮するべきであると考え、その観点に立って、我が党は、都市政策の専門家五十嵐敬喜氏らの協力を得て、議員立法による対案を提案しております。何とぞ議員諸氏のこの問題に対する積極的な対応をお願いする次第であります。
 二十一世紀は、もう目の前であります。今回の改正は約二十年ぶりの大改正と言われておりますが、果たして二十一世紀を見据えたものと言えますでしょうか。私がこうして指摘した点を考えましても、甚だ疑問に思わざるを得ないのであります。アメリカやヨーロッパの国々の人々から、我が国の住宅の貧困さを指摘され、また、首都東京の醜さを指摘されております。本当に生活先進国ということを標榜するのならば、美しさ、快適性、安全性、豊かさ、文化的成熟、そして潤いのある町づくりを実現をしなければなりません。
 総理、都市計画とは、企業の利益追求のための都市開発や建設事業のことを言うのではないのであります。望ましいと思われる都市像に向けて、都市住民みずからが参画し、困難な利害調整を行い、そしてみずからに定めていくルールづくりのことを言うのであります。そのための制度改革が今求められているのであります。
 このことを最後に申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕
○内閣総理大臣(宮澤喜一君) 数点にわたってお尋ねがございましたので、順次お答えをいたします。
 まず、都市問題についての基本的な認識はどういうことであるかというお尋ねでございました。
 全国的に都市人口が急速に増加をし、都市化時代を迎えておりますが、東京への人口やもろもろの機能の一極集中が一層進行しております。そして、職住の遠隔化、住宅取得難等々種々の問題が生じております一方で、地方都市においては若年層の流出等に対応して、むしろ活性化の必要性が高まっているところであります。特に、さきの地価高騰をきっかけに、大都市地域の都心部等において業務ビル等が住宅地域へ無秩序に進出をいたしました。住宅地の地価の上昇や住環境の悪化を招いたほか、地域コミュニティーの崩壊といった問題が発生していると考えております。
 このような問題に対処するため、税制面、金融面等の総合的な土地政策の一環として、土地利用計画制度を充実し、都市における土地利用を適切に規制、誘導する制度を構築していくことが重要と考えまして、今回の法案を御提出いたしたところであります。
 都市の発展は、もとより都市の容量と均衡をとりつつこれを行うことが重要でございます。現行都市計画制度においても、将来の人口規模等を踏まえ、市街化区域及び市街化調整区域の区域区分、用途地域における用途、容積率等を定めることにより、均衡のとれた都市の発展を図っておりますところであります。
 次に、規制緩和、民活導入との関連でございますが、大都市地域における土地の有効・高度利用の促進は、住宅・宅地の供給や良好な都市環境の形成の上からも、大都市地域の都市対策として、今後とも重要な課題であるには変わりがございませんと思います。一方、大都市集中を緩和するために、地方拠点都市地域の都市機能の増進と産業業務施設の再配置の促進を図ることにより、地方の自立的成長を促進することも重要と認識しております。これらの二つの施策は、同時並行して推進されることによって、各地域のそれぞれの課題に対応して、国土の均衡ある発展が図られるものと考えます。
 地価高騰に関してでございますが、今回の地価高騰が、国民の住宅取得を困難にし、資産格差の拡大による不公平感の増大をもたらすなど、我が国経済社会に深刻な影響を与えていることは十分認識をいたしております。
 このような事態に対処するため、これまでも需給両面にわたる各般の施策を実施してまいりましたが、その成果もありまして、先般の地価公示によりますと、大都市圏の地価は顕著な下落を示すとともに、地方圏においても地価上昇の鎮静化または多少の下落が見られるようになりました。
 今後ともこの基調を維持し、適正な地価水準の実現を図るとともに、二度と地価高騰を生じさせないことが、二十一世紀に向けて国民の一人一人が生活の豊かさを真に実感できる生活大国づくりを進める上で極めて重要と思います。
 次に、容積率と地価税の問題でありますが、地価税は、保有する土地の資産価値に応じて新たに毎年負担を求めるものであります。土地の保有コ
ストを増大させることなどを通じまして、地価の抑制、低下、土地の有効利用の促進等に効果を上げるものと考えております。一方、容積率は、都市における諸機能を適正に配分するため、公共施設の整備状況等に配慮しつつ、都市の将来像を踏まえて、望ましい土地の利用水準として定められるものでございますから、したがって、容積率の水準によって地価税の効果が影響を受けるという御議論にはにわかに賛成いたしかとうございます。
 地価税の税率についてでございますが、地価税法において〇・三%と定め、導入当初である平成四年については過渡的な措置として〇・二%の税率とされておることは御指摘のとおりですが、土地問題の解決は依然として我が国経済社会にとって重要課題であることに変わりはないものと考えます。土地神話を打破し、二度と地価高騰を生じさせないためにも、来年以後の税率の平年度化、〇・三%の実施を含め、地価税を着実に実施していくことが重要と考えます。
 次に、都市と農山村の調和のとれた計画的な土地利用を図ることは重要と考えます。今後とも、関係省庁の協力のもとに、都市計画、農業振興等の各制度の連携をより一層図りつつ、土地の適正かつ計画的な利用に努める所存であります。
 最後に、細川部会長の地方分権に関する考えについての見解をお尋ねでございます。
 政府は、従来から地方自治の尊重の観点に立って、住民に身近な行政は住民に身近な地方公共団体において処理できるよう、国から地方への権限移譲に努めてまいりました。国と地方の機能分担を見直し、地方への権限移譲等を推進することは、引き続き重要な課題と考えます。今後とも、多様で自立的な地域社会の実現を目指して、権限移譲等地方分権の推進に最大限努力いたしてまいる考えでございます。
 残余のお尋ねにつきましては、関係大臣からお答えを申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣山崎拓君登壇〕
○国務大臣(山崎拓君) 渋谷議員から四点の御質問をいただきました。
 まず第一点は、今後の都市政策を進めていく上で、中曽根内閣の規制緩和、民活導入の政策を継承するか、見直すかということでございます。
 大都市地域の都市問題を解決するためには、土地の有効・高度利用の促進は重要な課題と認識をいたしております。これまでも、住宅・宅地の供給や、良好な都市環境の形成に資する優良なプロジェクトについて、各種制度による土地の有効・高度利用を進めてきたところであり、それらの施策は、今後とも、大都市地域の都市対策として避けて通れない課題であると認識をいたしております。
 一方、地方拠点都市地域の整備及び産業業務施設の再配置の促進に関する法律、いわゆる地方拠点都市法でございますが、この法律は、地方拠点都市地域の都市機能の増進と産業業務施設の再配置の促進を図ることにより、地方の自立的成長の促進及び国土の均衡ある発展に資することを目的とするものでございます。いずれの施策も、大都市地域、地方都市地域のそれぞれの課題に対応した施策としてそれぞれ推進していくことが必要と認識をいたしております。
 次に第二点でございますが、誘導容積制度と容積の適正配分は、撤回するか、大都市に適用しないこととするべきではないか、こういう御質問でございます。
 誘導容積制度は、土地の有効利用が必要とされているにもかかわらず、道路などの公共施設の整備が十分になされていないため低利用にとどまっている地区について、公共施設が不十分なまま市街化が進行することを防ぎ、地区内の公共施設の整備を図りつつ、土地の有効利用を促進する制度でございます。この場合、容積の適正配分は、地区レベルで街区の環境の保護や土地の健全な高度利用を図るため、用途地域で指定された容積の総量の範囲内で、地区計画において詳細に容積の配分を行うものとするところでございます。大都市の都市対策の上で土地の有効・高度利用の促進は重要な課題であり、これらの制度は大都市においても必要な制度と認識をいたしております。
 第三の御質問は、都市地域と農山村地域を一体として認識し、土地利用を考える新たな法制を考えるべきではないか、こういう御質問でございます。
 我が国の都市計画制度は、我が国の都市の実態にかんがみ、農林漁業との健全な調和を図りつつ、適正な制限のもとに土地の合理的利用を図ることを基本理念といたしているところでございます。したがって、農山村地域についても、一体の都市として総合的に整備し、開発し、及び保全する必要のある区域につきましては、都市計画区域に定め、市街化区域及び市街化調整区域の区域区分を行い、開発許可等により、土地利用の規制、誘導を行うことを基本としているところでございます。
 最後に、地域の自主性、自立性を国としても尊重し、かっ支援していくべきではないか、こういう御質問でございます。
 地域の特性に対応した個性ある町づくりの推進は、重要な課題と認識をいたしております。このような観点から、現行の都市計画法及び建築基準法におきましても、地区計画、特別用途地区、風致地区、美観地区等の地方公共団体の条例等により、地域の特性に対応した町づくりを図るための制度が設けられており、今後とも、これらの制度の積極的活用について地方公共団体を指導してまいる所存でございます。
 地方独自の条例等による町づくりも、地域の特性に対応した個性ある町づくりのために有効な場合もあると考えられ、適切な運用が期待されるところでございます。
 今回の改正案におきましても、都市計画区域外において、リゾートマンション等の無秩序な建築により土地利用の混乱が生じている場合がある状況を踏まえ、地方公共団体が条例により必要な制限を定めることができるように措置し、地方公共団体によるきめ細かな町づくりの制度の充実を図ることといたしているところでございます。(拍手)
    〔国務大臣田名部匡省君登壇〕
○国務大臣(田名部匡省君) 御質問にお答えを申し上げます。
 農村地域における土地利用の計画は、国土資源を合理的に利用するという見地から、農業上の利用と他の利用との調整を図りながら進めていかなければならないと考えております。このため、農振地域の整備に関する法律に基づいて定める農業振興地域整備計画においては、第一に、市町村の基本構想に即しておる、第二に、都市計画筆他の土地利用計画制度との調和にも配慮して策定しなければならない、こう考えております。また、昭和六十二年に農林水産省及び建設省の共管の法律として定められた集落地域整備法においても、良好な営農条件及び居住環境の確保を図ることから大変必要だと考えておりまして、集落地域において、農業の生産条件も大事でありますが、都市環境との調和も十分とって地域の整備を計画的に推進することにいたしております。
 いずれにしても、今後とも各制度との連携をより一層図って、農村地域において土地の適正かつ計画的な利用が行われるよう努めてまいる所存であります。(拍手)
    〔国務大臣塩川正十郎君登壇〕
○国務大臣(塩川正十郎君) 私に対する御質問は二点ございました。
 一点は、地方制度調査会が六十三年五月に提案いたしましたことに関し、今回の法案とどういう関係があるかというお尋ねでございます。
 この地方制度調査会の提案は、「都市計画は市町村の事務とし、市町村が都道府県に協議して決定することとするとともに、都市計画区域、都市
計画の決定及び都市計画事業の施行に関する国の関与を廃止する。」という提言が出てきておるのでございます。都市計画については、これまでも市町村の権限拡大、国の関与の整理合理化に努めてきたところでございますが、今回の改正案におきましても、市町村の権限の拡大、すなわち、一つは、条例の適用拡大等を通じまして、その充実を図るという観点から一定の措置がなされたものと存じております。
 また、二番目の問題でございますが、いわゆる細川部会長の提案でございました地方分権の問題についてどうする、どう感じるかというお尋ねでございますが、これに関しましては、今後の新しい地方行政のあり方を示唆したものと私は認識いたしております。その方向に向かって努力をすることは当然だと思っております。そのためにも、自治省といたしましては、単独事業等を拡大強化していくとともに、地域の活性化を図り、個性豊かな地域づくりを進めるため一層の努力をし、また権限移譲についての努力もしていきたいと思っております。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(櫻内義雄君) 吉井光照君。
    〔吉井光照君登壇〕
○吉井光照君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案につきまして、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 今回の都市計画制度の見直しは、土地税制改革、土地関連融資の総量規制等に続く地価対策として改正案が提出されたことは周知の事実であります。これまでどちらかというと地価対策のわき役であった都市計画制度を主役として位置づけたことについては評価をいたします。
 しかし、用途地域の細分化を柱とする今回の改正が果たして適正な地価水準の実現にどれくらい寄与できると考えているのか。また、地価が鎮静化した一方で、大蔵省は、地価高騰の引き金となったノンバンクに対して資金調達面からの支援を検討しているという事実もあります。さらに、新経済五カ年計画の中間報告においては、平均的なサラリーマンが適正な価格で良質な住宅を取得するとありました。その実現のためには、土地対策はもちろんのこと、国民生活の基本である住宅についても、国や自治体の責務を明確にすべきであります。そういった意味では、住宅基本法の制定についても前向きに検討すべきであります。
 まず初めに、総理の土地住宅対策に取り組む決意を伺いたいと存じます。
 かつてアメリカのジョンソン大統領は、都市計画はあくまで人間を大事にするという視点が大切である、それがない都市づくりは、幾ら立派でも人間を不幸にすると述べました。私は、まさに都市計画の核心をとらえたスピーチだと思います。都市の主役は人間であり、自然環境との調和を図りつつ、一人一人の快適な生活が保障される都市づくりを目指すことが何よりも大切であります。
 そういう意味で、私は、第一に、住民の意見が十分に反映される都市計画システムの確立、第二には、オフィス等の業務系用途との混在を認めない住宅専用・優先地域の確保、第三は、自治体の独自性を尊重する都市計画制度の実現、これらを柱とする抜本的な都市計画制度を確立することが重要だと考えます。
 これらの点を踏まえた上で、今回の改正案の具体的問題点に絞って質問をいたします。
 まず初めに、今回の改正の一番の目玉である用途地域制度について伺います。
 改正案は、住居系の用途地域を現在の三区分から七区分へ細分化し、オフィスや店舗の侵入を制限する地域を設け、住宅保護地域を拡大するとしていますが、私は、地価高騰に歯どめをかける土地対策としては余りにも遅きに失したと思います。この改正案が施行され、住居地域における用途区分を幾ら細分化したといっても、事務所や店舗を認めた混合型地域、すなわち第二種住居地域が自治体レベルにおいて数多く指定されれば、これまでと全く変わらなくなってしまうという懸念があります。
 自治体のやる気次第ということになりますが、住宅専用地域を拡大するためには、自治体に対して建設省が強力な指導を行わないと、今回の改正目的の実効性は薄くなります。都市計画は自治体の自主性を重んじることが原則となっていますが、建設大臣はどのように対処されるのか、その方策について御答弁願います。
 また、土地対策としての用途地域制度の基本的な方向は、地価負担力の異なる住宅と非住宅、さらには住宅、商業施設、工場などの用途を峻別した用途区分を行う一方、より小さな単位である地区詳細計画の策定を推進する必要があります。現行の地区計画のように、メニューだけそろえてそれでよしとする建設省の対応では不十分であります。一定規模以上の都市からこの地区詳細計画の策定を義務づけ、将来的にはすべての市町村においてもその義務づけを行うべきであると考えます。建設大臣の見解をお伺いしたい。
 次は、マスタープランについてであります。
 市町村が都市計画の基本方針を策定するマスタープランが創設されたことは評価いたしますが、肝心の住民参加の具体的な仕組みについても、その方針を示すべきであります。現行の都市計画決定の仕組みにおいても公聴会や意見書等の手続がありますが、住民の意見が十分に反映されているとは言いがたい状況にあります。
 例えば、公聴会を開催するといっても、それは自治体の判断で開催するものであって、住民からの希望で公聴会を開催できる仕組みにはなっておりません。一定数以上の住民からの要望があれば直ちに公聴会を開催するなど、住民の参加保障をより明確にしていくべきでありますが、建設大臣の方針について明確な答弁をお伺いしたい。
 次の問題は、都道府県が定めるマスタープランと市町村のマスタープランとの関係についてであります。
 都道府県のマスタープランは、上位計画として位置づけられるのではなく、それらを調整するもの、あるいは都道府県固有の項目に関する計画として位置づける必要があると考えますが、建設大臣の見解をお伺いしたい。
 マスタープラン策定の権限を市町村に与えたことは結構でありますが、その策定を義務づけている欧米とは違い、あくまで、その気のある市町村は策定せよという任意規定になっております。みずからの町づくりはみずからの手でという基本理念からすれば、市町村が積極的にマスタープランを策定するように努力義務規定にすべきであります。そして、将来的には各市町村に義務づけるぐらいの強い決意が必要だと考えますが、これらについての建設大臣の見解を伺いたい。
 次に、財源措置についてであります。幾ら市町村が独自のマスタープランを策定しても、計画実施の段階で市町村への思い切った財源措置をあわせて行わないと、マスタープランは単なる計画で終わってしまう懸念があります。市町村への財源措置についての大蔵大臣の見解をお伺いしたい。
 次は、誘導容積制度についてであります。
 今回の誘導容積制度は、米国のニューヨーク等で行われているいわゆるダウンゾーニングのように、都市の成長を管理するという思想ではありません。どちらかというと、公共施設の整備を促進するという観点からの改正であって、今後は、東京を初めとする大都市の過密状態を解消する観点からの対策が必要であります。都市の成長の限界を踏まえた上で、都市の成長のスピードをコントロールするという本来のダウンゾーニング制度を導入すべきですが、建設大臣の御見解をお尋ねします。
 次に、権限移譲の問題について伺います。
 現行では、都市計画における決定権限の大部分は都道府県知事にあり、なおかつ建設大臣の認可を要することになっています。これからは、市区
町村にもっと権限を移譲し、自治体独自の都市計画を推進すべきであるとの指摘があります。しかし、規模の小さい自治体等にいきなり権限を与えられても、財政力やスタッフが不足していることから、都市計画の策定及び実施は困難であることも事実です。そこで、提案でありますが、独自で都市計画の策定及びその実施が可能な自治体に関しては、知事の都市計画決定権限の一部を移譲してはどうか。
 また、建設大臣の認可項目も大幅に削減すべきであります。建設大臣の認可を必要とするものは、国道や国際空港など、専ら国の予算で行う事業や国の利害に重大な関係があるものに限定をし、その他については大幅に知事及び市町村に移譲すべきです。総理、権限移譲は時代の趨勢です。総理の決断を期待したいと思いますが、お考えをお伺いしたいと思います。
 次に、地下利用についての提案であります。
 地下空間は、地下鉄、道路、駐車場、水路等の社会資本整備を進める上で貴重な空間資源として大きな役割が期待されています。また、近い将来には、地下に都市をつくる構想が現実になる可能性が強いと各界から指摘をされております。ところが現在、一部地域においては、地上の乱開発が進んでいるため、地盤沈下や道路に亀裂や凹凸が生じたりする等のさまざまな問題が生じております。現行法においては、地下利用に関する法整備は全くされておりません。
 そこで、大深度を含む地下利用のルールと管理体制を確立することを目的とした地下利用基本法の早期制定を提案いたします。現に建設省は、大深度地下利用四大計画の事業を進めております。中でも東京の環七地下河川においては、今後民有地の下を通らねばならず、その法整備が急務とされています。総理の前向きな御答弁をお伺いしたい。
 最後に、今こそ都市計画制度のあり方が問われているときはありません。今回の都市計画の論議が、生活者が豊かさを実感できる町づくりを推進できることを強く念願して、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕
○内閣総理大臣(宮澤喜一君) 最初に、土地対策に関してでございますが、土地問題の解決のためにこれまでも需給両面にわたる各般の施策を実施してまいりました。その成果もありまして、先般の地価公示によりますと、大都市圏の地価はかなり顕著な下落を示しております。また、地方圏においても、上昇の鎮静化または多少の下落が見られるに至りました。
 今後ともこの基調を維持し、適正な地価水準の実現を図るとともに、二度と地価高騰を生じさせないことが、二十一世紀に向けて国民の一人一人が生活の豊かさを真に実感できる生活大国づくりを進めたいと考えております。その上で極めて重要であると思います。今後とも、構造的かつ総合的な対策を着実に推進し、土地問題の解決に向けて政府一体となって取り組みを展開してまいる所存であります。
 次に、住宅対策に臨む考え方というお尋ねでございますが、住宅は国民生活の基盤をなすものであります。国民がまた我が国の経済力にふさわしい豊かさを実感できる住生活を実現することは、我が国の最も重要な課題であると思います。このため、第六期住宅建設五カ年計画に基づき、住宅金融、税制の充実、公的住宅の的確な供給等により国民の居住水準の向上に努めるとともに、いわゆる大都市法に基づく住宅・宅地供給基本方針に沿って、国、地方公共団体が一体となって総合的な住宅対策を推進し、勤労者が適正な負担で住宅を確保できるように努めてまいりたいと考えます。
 権限移譲についてでございますが、都市計画の決定権限については、昭和四十三年の現行都市計画法の制定の際に、広域的、根幹的な都市計画は知事が、その他は市町村が決定することといたしまして、また、知事の定める都市計画のうち、国の利害に重大な関係を有するものなどについては建設大臣の認可を要することとされております。従来から、権限移譲等を推進することは重要な課題と認識しておりまして、これまでも都市計画について必要な権限配分の見直しを行い、市町村への権限移譲等に努めてきたところでございます。
 次に、地下の利用について、地下利用基本法とでも言うべきものを早く制定すべきではないかというお尋ねでございました。
 御指摘のように、地下空間は大都市地域等における貴重な開発可能な空間であります。今後、技術の進歩とも相まって各種の利用の進展が想定されるところでございます。このため、秩序ある都市づくりの観点からも、地下空間の適切な利用の促進を図るため、総合的、計画的な対応が今必要になっておるというふうに認識をいたしております。したがいまして、今後とも諸般の検討を進めまして、新たな法制度の創設等を含めまして、さらに研究を進めてまいりたいと考えているところでございます。
 残余のお尋ねにつきましては、関係大臣からお答えを申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣山崎拓君登壇〕
○国務大臣(山崎拓君) 吉井議員の御質問、六点でございますが、まず第一点は、都市計画は自治体の自主性を重んじることが原則となっている中で、住宅を保護する地域の指定を地方公共団体に強力に指導する必要があるのではないかということでございます。
 今回の法改正では、適切に住環境の保護等を図るため、大規模な事務所、店舗を規制する第一種住居地域を創設することなど、用途地域を細分化するとともに、地方公共団体の条例により土地利用規制を行う特別用途地区の拡充等を図ることといたしているところでございます。これらの制度改正を受けまして、地方公共団体において、地域の実情に応じた的確な土地利用規制が行われるものと考えますが、その中で、現在、住居地域が指定されている地域については、極力、第一種住居地域を指定するよう、地方公共団体を指導してまいる所存でございます。
 次に、一定規模以上の都市かも地区詳細計画の策定を義務づけ、将来的にはすべての市町村に義務づけるべきではないかという御質問でございます。
 地区計画の策定ができるだけ促進されますよう、今回の法改正で創設することといたしております「市町村の都市計画に関する基本的な方針」におきまして、地区計画を策定すべき区域を明示するよう指導してまいる所存でございます。また、地区詳細計画の策定の義務づけにつきましては、詳細な土地利用規制に対する国民の意識、市町村の執行体制などを踏まえまして、将来的な検討課題止してまいる所存でございます。
 第三に、市町村のマスタープランにつきまして、住民参加の保障をより明確にしていくべきではないかという御質問でございますが、市町村マスタープランとして今回創設する「市町村の都市計画に関する基本的な方針」は、市町村が地域住民の協力のもとに町づくりのビジョンを明確にするものであり、その策定に当たっては、住民の参加を図っていくことが重要であると認識をいたしております。御指摘の点も含めまして、市町村が住民の意見を適切に反映させるために必要な措置を通達で具体的に示す所存でございます。
 第四に、都道府県のマスタープランと市町村のマスタープランとの関係いかんという御質問でございますが、都道府県知事の定めるマスタープランである整備、開発または保全の方針は、一の市町村を超える広域的な観点に立った都市計画の方針を定めるものでございます。市町村のマスタープランとして今回創設する「市町村の都市計画に関する基本的な方針」は、当該市町村の町づくりのビジョンを具体的に定めるものであり、市町村
の自主性が十分発揮されたマスタープランになるものと思料いたしておるのでございます。
 第五に、市町村のマスタープランを積極的に策定するよう努力義務を課すべきではないかという御質問でございます。
 「市町村の都市計画に関する基本的な方針」につきましては、御指摘のとおり、今回の法案において市町村に策定を義務づけてはおりません。しかし、市町村が主体的に町づくりを行っていくためには、町づくりのビジョンを具体的かつ明確に示すことが重要であると認識をいたしております。そのため、都市計画を定めるすべての市町村において都市計画が策定されるよう指導してまいる所存でございます。
 最後に、都市の成長のスピードをコントロールするという本来のダウンゾーニングの制度を導入すべきではないかという御質問でございますが、均衡のとれた都市の発展を図ることはもとより重要だと思料いたしております。
 このような観点から、今回の法改正により創設しようといたしております誘導容積制度は、道路等の公共施設の整備が十分になされていない地区について、公共施設の整備とあわせて、その整備水準に見合った土地利用を図るためのものでございます。
 なお、都市の成長を抑制する目的で行うダウンゾーニング制度につきましては、経済社会に与える影響の見きわめ、国民のコンセンサスの形成等の問題があるところでございまして、引き続き研究、検討すべき課題だと考えております。
 以上でございます。(拍手)
    〔国務大臣羽田孜君登壇〕
○国務大臣(羽田孜君) お答え申し上げます。
 マスタープランを策定する場合、財源措置をというお話でございます。
 都市の健全な発展と秩序ある整備を図るため、従来から、都市施設の整備及び市街地開発事業などを着実に推進してきたというふうに考えております。しかし、今後、マスタープランの策定などによりまして、各地方公共団体で計画的な町づくり、これが進められる際には、私どもは引き続き適切に対処してまいりたい、このように考えておることを申し上げたいと思います。(拍手)
○議長(櫻内義雄君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
○議長(櫻内義雄君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後二時十六分散会