第123回国会 内閣委員会 第6号
平成四年三月二十六日(木曜日)
    午前十時開議
出席委員
  委員長 桜井  新君
   理事 浅野 勝人君 理事 井上 喜一君
   理事 片岡 武司君 理事 御法川英文君
   理事 山口 俊一君 理事 上田 卓三君
   理事 田口 健二君 理事 山田 英介君
      鈴木 宗男君    高鳥  修君
      中尾 栄一君    葉梨 信行君
      浜田 幸一君    吹田  ナ君
      前田  正君    石井  智君
      大出  俊君    佐藤 敬治君
      佐藤 徳雄君    嶋崎  譲君
      山中 邦紀君    山元  勉君
      北側 一雄君    竹内 勝彦君
      三浦  久君    和田 一仁君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (総務庁長官) 岩崎 純三君
 出席政府委員
        人事院総裁   弥富啓之助君
        人事院事務総局
        給与局長    森園 幸男君
        人事院事務総局
        職員局長    山崎宏一郎君
        総務庁長官官房
        審議官     小山 弘彦君
        総務庁人事局長 山田 馨司君
        総務庁統計局長 井出  満君
        厚生大臣官房審
        議官      田中 健次君
 委員外の出席者
        経済企画庁総合
        計画局計画官  安原 宣和君
        法務省民事局参
        事官      岡光 民雄君
        法務省人権擁護
        局総務課長   佐竹 靖幸君
        外務省国際連合
        局人権難民課長 吉澤  裕君
        厚生省援護局援
        護課長     戸谷 好秀君
        中小企業庁計画
        部振興課長   佐藤 哲哉君
        労働大臣官房参
        事官      後藤 光義君
        労働省労働基準
        局賃金時間部労
        働時間課長   鈴木 直和君
        内閣委員会調査
        室長      富成 敏夫君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月二十六日
 辞任       補欠選任
  大野  明君   鈴木 宗男君
  渡瀬 憲明君   前田  正君
  綿貫 民輔君   浜田 幸一君
  山元  勉君   石井  智君
同日
 辞任       補欠選任
  鈴木 宗男君   大野  明君
  浜田 幸一君   綿貫 民輔君
  前田  正君   渡瀬 憲明君
  石井  智君   山元  勉君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別
 措置に関する法律の一部を改正する法律案(内
 閣提出第二一号)
 一般職の職員の給与等に関する法律及び行政機
 関の休日に関する法律の一部を改正する法律案
 (内閣提出第七六号)
     ――――◇―――――
○桜井委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上田卓三君。
○上田(卓)委員 地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案を審議するに当たりまして、若干の御質問を申し上げたいと思うわけでございます。
 部落差別からの完全解放を目指す私たちの立場からいたしますれば、まだまだ大変不満足なものでありますが、この法案の国会提出と本日の審議いただきますまでの経過につきましては、多くの与野党の議員の先生方や磯村英一会長を初めとする地対協の委員の皆さん、そして岩崎総務庁長官を初めとする関係各位の皆さん方の御労苦に私は感謝申し上げたい、このように思っておるところでございます。部落差別からの完全解放に向けた取り組みは、今後も政府、自治体、市民の共同の責任において進めなければならない重大な国民的課題ではないか、このように考えておるわけでございますし、また、差別の完全撤廃に向け、きょうを新たなスタートとして、ともに取り組むことをお誓い申し上げまして、審議に入りたいと思います。
 部落差別についての議論の最初に、国際条約に定められた人権基準から見た場合の日本の人権状況につきまして何点か論議し、問題を指摘したいと思っております。
 日本は一九七九年六月に国際人権規約を批准し、三カ月後の九月二十三日、日本政府に対して条約が発効いたしました。この結果、この条約の定める基準に基づいて国内法の整備、行政施策の見直し、裁判の進行が求められることになりました。
 国際的には、国連の人権委員会に対して国内法の整備状況などを報告することが義務づけられました。市民的、政治的権利に関する国際規約、いわゆるB規約の第四十条一項(b)に基づいて、日本政府はB規約の実施状況に関する報告書を作成し、国連人権委員会で審議されてまいりました。そこで、日本は昨年十二月十六日に第三回目の報告書を提出いたしております。
 これまで政府の報告に対して内外のNGOから多くのカウンターリポートが提出され、委員会審議の中で問題点が指摘されてまいりました。例えば第一回の報告書には部落差別に関する記載は一切なく、外国の委員から指摘され、それに対する政府の答弁がひんしゅくを買うという場面もありましたし、また、アイヌ民族、女性差別問題についても激しい論議が行われたところであります。第二回目の報告書の審議の際には、精神障害者に対する処遇問題や代用監獄制度についての批判も受けておるわけであります。
 こうした経過を踏まえた上で、昨年十二月十六日に、外務省は第三回目の報告書を国連に提出しているはずであります。この報告書の中で部落差別の実態はどのように記載されているのか、差別の解消に向けた取り組みはどのようなものか、外務省から御説明をいただきたいと思います。
○吉澤説明員 昨年の十二月十六日に、先生からもお話ありましたとおり、国際人権規約B規約の第四十条に基づきまして、第三回の報告書というものを国連に提出いたしました。
 その中で「同和問題の現状と課題」というふうに題しまして次のように報告しているところでございます。
  政府は、同和問題は日本国憲法に保障された基本的人権に係る重要な問題であるとの認識のもとに、一九六九年以来、二〇年余りの間に三度にわたる特別措置法を制定する等重要課題の一つとして関係諸施策の推進に努めてきた。その結果、生活環境の改善を始めとして、同和関係者の住む地区の生活実態の改善、向上が図られ、現在では、同和関係者の住む地区とそれ以外の地域との格差は、平均的に見れば、相当程度是正されてきている。一方、心理的差別についてもその解消が進み、その成果は、全体的には着実な進展を見せているものの、結婚、就職等についての差別事件は根絶されていない。
  したがって、人権尊重の立場で粘り強く啓発活動を展開し、差別を生み出している心理的土壌を変えていくよう、今後とも創意工夫をこらし効果的かつ積極的な啓発を展開していく必要がある。
このように報告しているところでございます。
 なお、先ほども先生から御指摘ありましたとおり、同和問題につきましては、第一回、第二回報告書では触れていなかったわけでございますけれども、第二回目の報告書の審査の際も一部の委員の方から同和問題について関心が寄せられたこともございました。そうしたことも踏まえまして、今回の報告書では同和問題についても盛り込むこととしたところでございます。
○上田(卓)委員 外務省の報告は部落差別の実態を十分に説明しておりません。また、差別解消に向けた今後の取り組みを心理的差別の解消に向けた啓発だけに矮小化しておるわけであります。現実的には、パケット通信を利用した新たな地名総鑑事件や、弁護士や行政書士による戸籍謄本不正入手事件、福岡県職員による差別ビラの大量配布事件、就職差別事件など悪質なものが続発をいたしておるわけであります。自由権規約であるB規約の観点からすれば、外務省の報告は、こうした差別の存在に対して啓発だけで済ませることはできません。どのようにして差別を根本的に解決していくのか、差別をなくするための総合的施策について説明する必要があると思うわけであります。
 また、部落問題以外にも日本国内には多くの差別や人権問題が存在をいたしております。こうした差別の存在とその解決策についても触れられなければなりません。
 以下、具体的に指摘していきたい、このように思うわけであります。
 まず、就職や結婚における部落差別との関係で、戸籍制度が重要な問題であります。本籍地を基礎に家族単位で戸籍登録をしているのは、今や世界で日本と韓国と台湾の三カ国にすぎません。たった三カ国であります。部落解放運動では、戦後の壬申戸籍糾弾闘争や戸籍閲覧阻止裁判などに取り組んでまいりました。こうした中で、一九七六年に戸籍法が改正され、戸籍謄本の一般閲覧禁止や不正入手防止が行われるようになったわけであります。しかし最近でも、弁護士やあるいは行政書士による戸籍謄本不正入手事件が起こっております。また、結婚前の釣り書の交換と戸籍謄本の交換はいまだにかなり広範に行われております。こうした中で、現行の戸籍制度自身が部落差別をするための道具となっておることは御承知のことだと思います。部落差別の解決に向けては、この戸籍制度をどうするのかということが大変重要な問題ではないかと思います。
 さらに、いわゆる非嫡出子に関する戸籍法の仕組みは明らかな問題を持っておると言わざるを得ません。正式に婚姻届を出していない男女にできた子供は原則として母親の氏を名のり、母親の戸籍に入ります。戸籍の続柄欄には男または女と記載されます。婚姻届がある場合には、続柄欄には長男、次男、または長女、次女などと記載されます。両親の婚姻届け出の有無によって明確な違いが生じているわけであります。戸籍に対するこうした記載は、就職や結婚に際して新たな非嫡出子差別を生んでいます。また、遺産相続においては、民法上非嫡出子の取り分は嫡出子の半分とされております。こうした生まれの違いによる差別は、社会的出身、財産、出生、その他の地位などによる差別を禁止した国際人権規約B規約二十六条及び児童の権利を保障した二十四条に違反していると考えられますが、外務省と法務省の見解を聞きたい、このように思います。
○吉澤説明員 相続それから戸籍法等に関しまして、嫡出子と非嫡出子について差異があることについて、これがB規約との関係でどうかという御質問でございますけれども、まずB規約の第二十六条は「すべての者は、法律の前に平等であり、いかなる差別もなしに法律による平等の保護を受ける権利を有する。このため、法律はこ「いかなる理由による差別に対しても平等のかつ効果的な保護をすべての者に保障する。」というふうに規定しているところでございます。この規定は、不合理な差異を禁ずる趣旨であって、合理的な差異を設けることまでも禁じているものではないというふうに私ども考えておりまして、民法、戸籍法との関係は、あるいは法務省からお答えするのが適当かもしれませんけれども、民法の相続分につきまして差異を設けている、あるいは戸籍法に差異があるという問題は、相続につきましては正当な婚姻関係を保護するというような合理的な理由に基づく差異であると考えられますし、戸籍法につきましても、身分関係を正確に記載に反映させるということから合理的な差異と考えられますので、この二十六条に直ちに違反するものではないのではにかというふに考えております。
 それから、B規約の第二十四条との関係につきましても御指摘がございましたけれども、B規約の第二十四条は、すべての児童は「いかなる差別もなしに、未成年者としての地位に必要とされる保護の措置であって家族、社会及び国による措置についての権利を有する。」というふうに規定されているところでございますけれども、この二十四条の規定というのは、自活力のない未熟な児童が健康に発育するために必要な保護を受けるという権利を定めたものというふうに考えられますので、相続の問題とは直接関係がないのではないかというふうに考えているところでございます。
○岡光説明員 今外務省の方から御説明がございましたこととほぼ同様な答弁になろうかと思いますが、条約の方の趣旨というのは合理的な取り扱いの違いということまで禁じているものではないというふうな解釈が行われているようでございます。
 そういう解釈を前提といたしまして、まず民法の嫡、非嫡の相続分の違いという規定を見てみますと、これは正当な婚姻秩序を維持する、そういう目的を達成するための制度だということで、一つの立法政策としてそれなりの合理性はあるのではないかというふうに考えている次第でございます。
 そして戸籍の方は、そういった民法上の嫡、非嫡の区別、そういう法律的な事実としての区別を正確に反映させる、そういう事柄として、先生御指摘のように嫡出の場合は長男、長女、それから非嫡の場合は男、女ですか、そういった書きぶりの扱い分けをしている、そういうことでございまして、条約の精神といいますか趣旨といいますか、そういうものに反するものではない、このように考えている次第でございます。
○上田(卓)委員 納得できませんね。子供の権利条約との関係では必ず問題になる、このように思うわけであります。生まれてくる子供には罪がないわけですから、戸籍上差別があってはならないし、実質的な差別も絶対許せない、このように思っておるわけでございます。また、遺産相続にかかわる民法の定めが家族制度の維持のために嫡出子と非嫡出子の差別を正当化しているという説明には全く納得できない、このように思います。
 特に、昨今では夫婦間の離婚がふえておる。アメリカあるいは旧ソビエト並みの日本でのそういう離婚率ということもちまたで報道されておるわけでございまして、この傾向はふえることはあっても減ることはなかろう。再婚のまた再婚のまた再婚というようなことも大いに起こることであります。そういう意味で、小学校に入学する、あるいは高等学校に入る、あるいは保育所とか幼稚園でさえももう入った時点で先生がそのことがわかってしまう、そしてそれが新たな差別の対象になるということは、本当にこのことについてどう考えておられるのか。これはその人たちの問題だけじゃなしに国民的課題ではないか、あるいは人類的な課題と言ってもいいのではないか、こういうように考えておるわけでありまして、こういう戸籍制度が日本と韓国と台湾と、世界じゅう広しといえども三カ国しかないというこの現実を考えてやはり抜本的な改正が必要ではないか、こういうように思うわけでございます。これは当然、国際人権規約、国連の場で大いに議論が出るところでございまして、貿易では黒字国であろうが事人権に関しては赤字国であるという厳然たる事実をやはりじっくりと考えていただきたい、このように考えておるわけであります。
 また、昨今の風潮として、いわゆる結婚はしているが籍を入れないカップルもふえているというように聞いておるわけでございまして、そういう意味で家族の形態は変化しているわけでありますから、特定の家族形態を国が押しつけるということは大変おかしいと言わざるを得ないと思うので、その点についての見解をもう一度お二方から聞かせていただきたい、このように思います。
○岡光説明員 先ほどの御説明を少し補足するような事柄も入れさせていただきたいと思いますが、生まれた子供には罪はない、生まれた子供から見れば嫡出子であろうと非嫡出子であろうと同じような扱いをしてほしいというのはごもっともな考え方でございます。他方、秩序といいますか法律婚制度を維持していくというのも、一つのそれなりに公益的な目的でございますが重要な事柄だと思っておるわけでございまして、その両方をどうバランスを図るかというのは非常に難しい政策でございまして、片方を重視すれば嫡、非嫡の取り扱いを全く同じにしなくてはいけない、片方の発想を徹底していきますと非嫡出子には相続を全然認めない、昔ヨーロッパなどではそういう法制をとっていた国が多かったと聞いておりますが、いわばそのバランスを図る中間のような政策といたしまして、今の日本の民法はフィフティーという、半分というような扱いになっておりまして、立法政策いろいろございましょうけれども、それはそれで合理的なものではないか、少なくとも不合理とはまた言えないのではないかという感じがしておるわけでございます。
 ちなみに、昭和五十五年に相続分について私どもで改正をお願いして国会で通していただいたことがございますが、そのときにこの問題を取り上げまして、嫡、非嫡の相続分を平等にしてはどうかという改正試案を公表したことがございます。それに対しまして、その前後に行われました世論調査の結果を見ますと、そういった改正には反対であるという方が四八%、賛成という方が一六%ほどございまして、そういった世論の動向などを見ますと、その時点でその改正法案に盛っていくことは無理ではないかということで断念した経緯がございます。いろいろと立法政策のあるところでございますので、先生の御指摘を踏まえましてさらに勉強してまいっていきたいと考えております。
 それから、最近の婚姻のありように大分いろいろなバリエーションが出てきたというお話で、それを踏まえてまた法制度を考えたらどうかということでございました。実は昨年、婚姻と離婚法制の見直し作業をやってはどうかということで、法務大臣の諮問機関であります法制審議会におきまして昨年一月から、婚姻、離婚制度を一通り問題点を見直してみようということで今作業をやっておるところでございますので、成果が出ましたらまたその段階で公表いたしまして、皆様方の御意見を仰いで、さらによりよいものにしていきたい、かように考えているところでございますので、何とぞよろしく御指導いただきたいと思っております。
○上田(卓)委員 要するに、法律は人のためにあるわけで、法律のために法律があるということではないわけですから、バランスをとるというような言い方はおかしい。本当に、現実に罪のない子供たちが日本の、それも国際的に通用しない家族制度、戸籍法によって不当な差別を受けているということでありますから、早急にこの問題について解決を図るための法改正をぜひともしてもらいたい。また、これは立法府の我々の責任でもあろう、このように考えておるわけでございますので、引き続きこの問題について取り組んでまいりたい、そのことを申し上げたい、このように思います。
 次に移ります。
 日本政府は一九七九年に国際人権規約を批准し、八一年に難民条約の批准をしました。この結果、内外人平等の原則に立った国内法の見直しが必要となったわけでありますが、私自身、在日韓国・朝鮮人差別の関係で、郵便外務職への職員採用、高校総体、国体への外国籍生徒の参加、公営住宅への入居差別の撤廃、国民健康保険や国民年金の適用、し尿処理などの自治体補助金への外国人人口の算入など、国籍条項の撤廃に関する取り組みを進めてまいったわけであります。
 ところが、最近、人権規約に違反する国籍条項の存在が指摘されております。それが戦傷病者戦没者遺族等援護法などの旧日本軍の軍人軍属などに係る補償法であります。援護法は、軍務中の被害に対する国家補償制度と無拠出の社会保障制度という二つの側面を持っています。現在、三人の在日韓国人が援護法の適用を求めております。私の地元の東大阪に住む鄭高根さんは、大阪地裁で裁判中であります。神奈川県の石成基さん、それから陳石一さんは、厚生省へ不服申し立てを行っております。彼らは、いずれも戦争中は海軍軍属として戦闘に参加しており、国との身分関係は明らかであります。また、戦後も日本に在住しており、税金も納めてきた在日韓国人であります。日本人と同じように戦争で負傷し、戦後の日本で障害を抱えて厳しい生活をしているにもかかわらず、国籍条項によって障害年金の適用も受けられず、援護法の対象からも排除されているのが現実であります。
 こうした現実を一体どう受けとめるのか。厚生省は、何よりもこうした人々を長年排除してきた反省の上に立って、その上で、人権規約B規約二十六条とA規約九条の内外人平等の精神を生かして、日韓協定による在日韓国人の日本政府に対する個人請求権を幅広く解釈することが必要ではないか、このように思うわけであります。当事者の年齢を考えれば早急に対応することが問われております。厚生省の前向きな見解をお聞かせいただきたい、このように思います。
○戸谷説明員 お答えいたします。
 御指摘のいわゆる国際人権B規約第二十六条でございますが、差別的取り扱いの禁止ということでございますけれども、内外人の取り扱いについては合理的な差異を設けるということまで排除したものではないというふうに承知をいたしております。
 先ほどございました朝鮮半島並びに台湾出身者の方々の財産請求権につきましては、サンフランシスコ平和条約で、帰属国との取り決めにより別途処理することが定められていたという状況にございます。こうした援護法の制定経緯というものを踏まえますと、援護法の国籍要件には合理的な理由があり、人権規約違反には当たらないというふうに考えております。
 そこで、日韓請求権協定がこの特別の取り決めに当たるわけでございますが、日韓請求権協定第二条二(a)におきましては、同協定二条の規定は、在日韓国人につき一九四七年八月十五日から同協定の署名の日までの間に我が国に居住したことがある者の財産、権利及び利益には影響を及ぼすものではないと規定されているわけでございますが、補償を求める請求というのはこのような財産、権利及び利益には該当しないというふうに承知いたしております。したがいまして、在日の方々に対する補償問題というのは昭和四十年に締結された日韓請求権協定により解決されたというふうに考えております。
 そこで、御指摘のお三人の方々の裁判なり申し立てということでございますが、私どもといたしましては、委員御承知のとおり援護法には先ほど申し上げましたような国籍条項等がございまして、こうした規定を除外して適用するということはこの法律を所管する立場から不可能であるというふうに考えておりますので、御理解を賜りたいと思います。
○上田(卓)委員 外務省のB規約に関する第三回報告書では次のように述べております。第二条三「外国人の地位、権利」「外国人の権利については、基本的人権尊重及び国際協調主義を基本理念とする憲法の精神に照らし、参政権等性質上日本国民のみを対象としている権利を除き、基本的人権の享有は保障され、内国民待遇は確保されている。」外務省の報告書と厚生省の答弁とは余りにもかけ離れているわけであります。また、外務省の報告書は在日韓国・朝鮮人の人権状況についてわざわざスペースを割いて外国人登録法や公務員採用問題などに触れていますが、訴訟が一件、行政不服申し立てが二件も起こっている援護法の戸籍、国籍条項問題については一切触れておりません。市民団体は既にこの問題に関するカウンターリポートの提出を準備していますが、国連の場をかりるまでもなく、日本人自身がきちんとけじめをつけるべき問題ではないでしょうか。
 大阪の鄭さんの場合は裁判となっていますが、裁判所の判断を待つのではなくて、国会と外務省、厚生省がともに知恵を出し合って積極的に対処することが必要であります。外務省は国連で問題提起される前に関係省庁と調整してきちんと対処することが必要であります。厚生大臣には、ぜひ一度当事者に直接会っていただいて、生の声を聞いていただくことを要請したい、このように思うわけであります。国会でも、議員立法を含め何らかの方法がないものかどうかを検討することが必要であろうと思います。いずれにせよ、外務省、厚生省の早期の政治的決断が必要ではないかということを指摘をしておきたい、このように思います。
 それでは、次に進みます。
 人権擁護委員の活動についてでございますが、外務省は、国連への第二回報告書では、日本の人権擁護委員会制度を世界に例のない優秀な制度だと報告をされておるわけであります。ところが、現実の差別事件に対しては人権擁護機関は十分な機能を果たしていません。そのことは地対協意見具申の中でも指摘され、人権擁護機関の強化が提案されているところであります。
 人権擁護委員法は、国民に保障されている基本的人権を擁護し、自由人権思想の普及を図るために昭和四十二年に制定され、最近では昭和五十二年に改正されました。しかしながら、最近の国際化の中で、人権擁護委員会の仕組みが国際的な人権条約の水準に対応したものになっているかどうか、また民族差別や人種差別など国際的な人権問題に取り組むのに十分な体制がどうか、検討が必要であります。
 飛躍的にふえた在日外国人の人権を守るには、当事者である外国人を人権擁護委員会に入れることがぜひとも必要ではないでしょうか。人権擁護委員は国家公務員法の適用を受けませんし、地方自治体の首長の推薦ということですから、選挙権を有する者という国籍条項をあえてつける必要はありません。公務員も含めて、できる限り外国人に門戸を開いていくというのが人権規約の立場ですから、人権擁護委員の国籍条項廃止は当然ではないか、このように思うわけでありますが、法務省の見解をただしたい、このように思います。
○佐竹説明員 お答え申し上げます。
 ただいま人権擁護委員それから擁護委員法の関係で御指摘があったわけでありますが、念のために、人権擁護委員法は昭和二十四年でありまして、四十二年ではございませんので、その辺だけは御了解いただきたいと思います。
 まず、人権擁護委員の使命は人権擁護委員法に規定があるわけであります。そこでは、「国民の基本的人権が侵犯されることのないように監視し、若し、これが侵犯された場合には、その救済のため、すみやかに適切な処置を採るとともに、常に自由人権思想の普及高揚に努めること」、そういう規定になっております。そしてその理念は、世界人権宣言、国際人権規約の趣旨を実現するところにあるわけであります。
 近時、社会の国際化が進展する状況を踏まえ、人権擁護委員が行う啓発活動に当たりましても、昭和六十三年から国際化に伴う人権問題を重要な問題ととらえ、また昨年からは、国際化時代にふさわしい人権意識を育てよう、これを啓発活動の重点目標といたしまして、積極的な活動を展開してきているところであります。また、在日外国人が抱える人権問題につきましても、間口を広げ、外国人のための特設相談所を設けて、外国人の人権の擁護についても努力しているところであります。
 御指摘のように、現行の人権擁護委員法六条の第三項でありますが、そこにおいて、委員については「当該市町村の議会の議員の選挙権を有する住民」ということが要件となっているわけであります。このことから、外国人の人権擁護委員はいないわけでありますが、当局といたしましては、外国人の人権問題にも的確に対処するよう、こうした人権擁護委員の活動をより一層積極的に推進していきたい、そのように考えているところであります。
○上田(卓)委員 国際人権規約、難民条約、子どもの権利条約などの国際条約を批准している状況を踏まえて、国際化した日本社会の人権を守るために、人権擁護委員会の委員の国際化がぜひとも必要である、こういうことであります。また、部落差別を初めとするさまぎまな人権侵害事件の迅速な解決や社会啓発、社会教育を推進するためにも、人権擁護体制の抜本的な改革がぜひとも必要であります。そのための法改正も含めて、新たな改革が必要であることを強く指摘しておきたい、このように思います。
 次に、国際人権規約のA規約、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約について、十六条、十七条で報告義務が設けられておるわけであります。日本は一回目の報告を一九八一年から八六年の間に三回に分けて行いました。二回目の報告提出期限がことし六月に迫っているはずでありますが、報告書の作成状況はどうなっているのか外務省の説明を求めたい、このように思います。
○吉澤説明員 国際人権規約A規約の第十六条、十七条に基づきます報告書でございますけれども、これにつきましては、今月の二十四日に国連の事務局から、六月三十日を期限としてこの報告書を提出してほしいという正式な要請があったところでございまして、現在、報告すべき事項について検討中でございまして、今後直ちに関係省庁と密接に協議しつつ、できる限り早く報告書を作成いたしたいと考えているところでございます。
○上田(卓)委員 国連から文書が来ないから作成していない、できない、こういうことじゃなしに、当然報告をしなければならない時期にもう来ておるわけでありますから、早急に作成作業に入るべきだ、このように考えるわけであります。
 A規約の場合、その第六条で労働の権利について定めておるわけでありまして、雇用差別に対する日本政府の取り組みについて労働省にお伺いをいたします。
 日本の労働関係法令で採用時における雇用差別を禁止した法律は、男女雇用機会均等法以外にありますか。部落地名総鑑や身元調査によって就職差別が行われた場合、在日韓国・朝鮮人であることを理由に就職差別を受けた際に、法的救済はどうしますか。ILOが一九五八年に採択し、既に発効している雇用及び職業における差別禁止条約、いわゆるILO第百十一号条約は、雇用時の差別を禁止しております。日本政府はこれをまだ批准しておりませんが、どうするつもりなのか労働省の見解をただしたい、このように思います。
○後藤説明員 四点についてお尋ねがございました。逐次お答えをしてまいりたいと思います。
 まず、人権規約のA規約第六条についててございますが、これにつきましては、憲法第二十七条のほか、雇用政策の総合的、計画的な推進に関して定めております雇用対策法、それから職業安定機関が行う職業紹介、職業指導に関して定めております職業安定法、それから労働者の職業に必要な能力の開発、向上に関して定めております職業能力開発促進法等に基づきまして、労働の権利を保障するための諸施策を推進しているところでございますが、特に採用・選考における差別は労働の権利を保障していく上で大きな阻害要因となっていると考えておりますので、労働省といたしましては、その差別防止のため企業等に対する啓発指導を一層充実強化してまいりたい、このように考えているところでございます。
 それから第二点目でございますけれども、我が国の労働関係法令で採用時における雇用差別を禁止した法令といたしましては、先生御指摘の男女雇用機会均等法第七条におきまして、事業主に対して労働者の採用時に女子に対して男子と均等な機会を与えるように努力義務を課しておりますが、それ以外におきましては直接採用時における雇用差別を禁止した法令というものはございません。しかしながら、我が国におきましては基本的には憲法第十四条に法のもとの平等が規定されているほか、職業安定法第三条におきましては「何人も、人種、国籍、信条、性別、社会的身分、門地、従前の職業、労働組合の組合員であること等を理由として、職業紹介、職業指導等について、差別的取扱を受けることがない。」と規定しておるところでございまして、これらに基づきまして、採用時における差別の解消に努めているところでございます。
 第三点目のお尋ねでございますけれども、労働省といたしましては、かねてから同和関係住民の就職の機会均等を確保することが同和問題解決の中心的課題であるという認識のもとに、同和関係住民の雇用の促進と職業の安定を図るため、事業主が同和問題について正しい理解、認識を深め、応募者の適性、能力によって採否を決める公正な採用・選考を行うよう啓発指導を展開してきているところでございますが、まことに遺憾ながら、現在におきましても応募者の身元調査、本籍地の把握等を行うなど、就職差別につながるおそれのある事象が依然として後を絶たない状況にございます。また、在日韓国・朝鮮人の方々につきましても、今なお不適正な事象が見られるところでございます。同和関係住民であれ在日韓国・朝鮮人の方々であれ、就職に当たっての差別を解消するためには、人権尊重の観点に立って企業における公正な採用・選考システムの確立が重要である、このように考えておりますので、今後ともこうした観点から企業に対する啓発指導を重点として積極的にかつ粘り強く実施してまいりたい、このように考えているところでございます。
 最後に、ILOの条約についてのお尋ねがございました。ILO第百十一号条約は、雇用、職業に関する差別待遇を除去することを目的とする重要な条約であると理解をしているところでございます。しかしながら、本条約は雇い入れ時等の差別を除去するための立法措置を要求しているとともに、政治的意見など広範な差別事由を対象としているところでございます。このような差別の解消につきましては、我が国といたしましても行政指導を初め種々の方法により積極的に現在努力をしておるところでございますが、本条約の求めるよう直ちに一律的な形で規制する立法措置を講ずることにつきましては、これを早急に実施することはいろいろな事情から難しく、その批准については慎重に対処する必要がある、このように考えておるところでございます。
○上田(卓)委員 現行の労働法体系だけでは悪質な雇用差別については対処できないということが明らかではないだろうか、このように思います。また、外務省はA規約に関する次回の国連報告書の作成に当たってはこうした問題を十分に踏まえたレポートを作成していただきたい、そのことを強く要望しておきます。
 次に、国際人権規約B規約の選択議定書の批准の問題でございます。
 日本政府は第三回報告書においてB規約の選択議定書の批准問題につきまして、「本議定書は、人権の国際的保障のための制度として注目すべき制度であると認識している。しかし、締結に関しては、我が国司法制度との関係や制度の濫用のおそれも否定しえないこと等の懸念もあり、検討すべき多くの問題点が残されている。関係省庁間で検討中である。」こういうことであります。日本政府が検討中という理由で十年以上も批准を引き延ばしていることは、日本人と日本に住む外国人にとって重大な権利侵害ではないか、このように思うわけであります。選択議定書の批准国は既に六十カ国を超えており、各国はそれぞれ国内調整を図って人権に関する国際的な司法救済制度に参加しておるわけであります。議定書の批准については、昨年四月の参議院予算委員会で我が党の本岡昭次先生が詳しく質疑をいたしておりまして、中山外務大臣と丹波国連局長は積極的な答弁をしておったように思います。
 報告書に記載のある「関係省庁間で検討中」の中身あるいは「我が国司法制度との関係」「制度の濫用のおそれ」について昨年四月以降どのような研究が進んでおるのか、外務省と法務省の説明を求めたい、このように思います。
○吉澤説明員 B規約の選択議定書につきましては、この制度は、国際人権B規約に掲げます権利の侵害についてB規約の選択議定書締約国の管轄のもとにある個人からの通報を当規約に基づいて設置されたB規約の人権委員会が審理するというような制度でございまして、私どもはこの個人通報制度というものが人権の国際的保障のための制度として非常に注目すべき制度であるというふうに認識しているところでございます。
 先生御指摘ございましたとおり、昨年の本岡先生の御質問に対して丹波国連局長、中山前外務大臣が答弁いたしました後、昨年一年間に私ども関係省庁との検討会というものを開催いたしまして、このB規約に加入するに当たっての具体的な問題点を詰めるということで話し合いをしているところでございまして、そうした過程におきまして、私どもといたしましては、このB規約の人権委員会が我が国の実情を踏まえたような審理が尽くされるかどうかわからないといったような漠然とした理由ではなくて、我が国の国内法制上、場合によっては憲法も含めまして我が国の国内法制上、本当にぎりぎりどこに問題があるのかということを関係省庁と詰めるということで作業をしているところでございます。そうした関係省庁との勉強会の過程で具体的な我が国の国内法制度との関係化づいて問題を指摘していただいた省庁もございますし、そうした省庁ともなお一層の詰めを行って、できるだけ早くこの問題について結論を出すように努力していきたいと考えております。
○上田(卓)委員 早急に政府部内で調整を図り、条約批准に向けた国内法整備をぜひとも行っていただきたい。今後国際化の中でさまざまな人権問題の発生が予想されておるわけでありまして、そうした中で人権救済のために日本から国連へ個人通報が行えるよう早期に批准することを要請しておきます。
 次に、人種差別撤廃条約の批准問題について御質問申し上げたいと思います。
 この問題については、さきの予算委員会分科会で我が党の仙谷由人議員の質問に対して渡辺外務大臣が積極的な答弁を行っておるわけでありまして、当然のことだろうと思いますが、今国会が終わったら法務省と話して、みたい、四分六で締結をした方がいいんじゃないかという感じになってきたのは事実だ、真剣に勉強して次の国会に結論が出るようやっていきたい、このように述べておるわけであります。また、今国会において内閣官房から議院運営委員会に提出された法案一覧表の中の国会に提出を計画中の条約の中に人種差別撤廃条約が記載されておるわけであります。これらは外務省がこの条約の批准について積極的に取り組んでいる姿勢のあらわれだと解釈をいたしておるわけてありますが、外務省の条約批准に向けた前向きの決意を改めて確認をしたい、このように思います。
    〔委員長退席、井上(喜)委員長代理着席〕
○吉澤説明員 先生の御指摘ございました渡辺外務大臣の答弁は私どももよく承知しているところでございまして、そうした答弁も踏まえて政府部内の検討を一層進めていきたいと考えております。
○上田(卓)委員 この条約の批准に当たっては、人種差別思想の流布や人種差別の扇動を処罰する規定があるわけでありまして、表現の自由との関係で問題があると長年議論されてきたわけであります。表現の自由との調整は確かに慎重に取り扱う必要があります。しかし、この条約の批准に当たって最も重要なことは、人種差別の扇動や差別思想の流布が社会的に許されない行為であることを公に宣言し、市民を啓蒙するということに力点があるのではないか、このように思っておるわけであります。
 例えば最近のある週刊誌では、上野公園に大量に集まっているイラン人について、「イラン人大増殖=vという見出しで報道されておるわけであります。上野を初め日本国内に査証免除、ビザなしで入国したイラン人が大量にいることは事実であります。また、週刊誌の報道の数日後、日本とイランとの短期滞在ビザの免除を一時留保するとの方針も出されたことは御存じのことだと思います。しかし、どのような結論を引き出すにいたしましても、いたずらに恐怖感や偏見を抱かせるような表現を使うことはどうでありましょうか。査証免除問題とは別にこの問題をとらまえ、こうした形の報道は、日本人とイラン人との友好関係に無用な偏見と差別意識を生む可能性があることは事実ではないでしょうか。また、テレビ番組などではアフリカ出身のタレントに対して肌の色を問題にしておもしろがるような企画も見られます。人種差別や民族問題についてのこうした無自覚な言動や表現が重大な差別につながることは十分に考えられる、このように思うわけであります。
 政府部内や国会内で人種差別撤廃条約の批准に向けたさまざまな研究や論議を始めることは、日本人のこうした無自覚な民族的偏見や人種的差別について国民の関心を高め、理解を深めることにつながる、このように考えておるわけであります。各政党や政府の幹部から無神経な民族や人種にかかわる発言がなされている日本の現状を考えたとき、こうした努力は早急に必要ではないか、このように考えておるわけであります。
 我が社会党は、政策審議会のもとに人種差別撤廃条約対策特別委員会を設置することに決定いたしました。部落問題のみならず、明日、集会とデモが予定されている北海道のアイヌ民族問題や、在日韓国・朝鮮人などの定住外国人その他の外国人の人権問題をとらえる上で、この人種差別撤廃条約が非常に重要な意味を持っている、このように思うわけでございまして、もう百三十の国々が既に批准をいたしておるわけでございまして、日本とアメリカとイスラエルとほんのわずかな国しかまだ批准してないという現状があるわけでございまして、本当に大変おくれておる、こういうことでありますので、早急に批准をするように最善の努力をしていただきたいし、我々もその努力を推し進めたいということを申し添えたい、このように思います。
 総務長官には大変お待たせいたしたわけでございますが、総務長官に残り時間真摯に私の意見を聞いていただきまして、正確なそして誠意ある答弁をひとつお願い申し上げたい、このように思います。
 さて、昨年十二月十一日の地対協意見具申、十二月二十日の政府大綱及び本年二月十四日の現行法五年延長の閣議決定を踏まえ、今後の同和行政に関する重要事項について総務長官の考えをお伺いをいたしたい、このように思います。
 まず最初に、同和行政の性格について答申は、「同和行政は、基本的には国の責任において当然行なうべき行政であって、過渡的な特殊行政でもなければ、行政外の行政でもない。部落差別が現存するかぎりこの行政は積極的に推進されなければならない。」としております。この認識は答申の基本的精神として今日においても、さらに今後においても重要であると思うが、大臣の所見をお伺いいたします。
○岩崎国務大臣 お答え申し上げます。
 同和対策審議会の答申で示されました「同和問題は人類普遍の原理である人間の自由と平等に関する問題であり、日本国憲法によって保障された基本的人権にかかわる課題である。」との認識のもとに、政府は昭和四十四年以来、三たびにわたる特別措置法に基づき、二十三年にわたって各般の政策の推進に努め、相当の成果を上げてきたところでございます。
 しかしながら、一部に事業の取り組みがなおおくれている地域が見られることなどにより、平成四年度以降の物的事業量が相当程度見込まれ、また就労対策、産業の振興、教育、啓発など非物的な事業の面におきましても、なお今後とも努力を続けていかなければならない状況にございます。政府といたしましては、昨年十二月の地域改善対策協議会の意見具申を尊重して取りまとめました「今後の地域改善対策に関する大綱」に則しまして、現行の地対財特法の制定の趣旨を踏まえ、真に必要な事業に限って財政上の特別措置を五年間延長することとし、地対財特法の一部改正法案を御審議いただいておるところでございます。政府といたしましては、同和問題を一日も早く解決すべきであるという同対審答申の精神を受け継ぎながら、この問題の早期解決に向けて今後とも積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
○上田(卓)委員 ところで、一九六九年の同和対策事業特別措置法制定以降、今日まで二十三年間、国、地方自治体の多くの努力によって、住環境を中心としてかなりの格差が解消されてきたことは事実であります。しかし同時に、二十三年間の取り組みにもかかわらず、今日においてもなお差別が現存していることも事実であります。この事実について大臣の認識をお伺いいたします。
○岩崎国務大臣 昭和四十四年以来、同和対策事業特別措置法、地域改善対策特別措置法、現行の地対財特法と三たびにわたる特別措置法に基づき、今日まで関係諸施策の総合的な推進に努め、その結果、昨年十二月の地域改善対策協議会の意見具申におきましても、「同対審答申で指摘された同和地区の生活環境等の劣悪な実態は大きく改善をみ、同和地区と一般地域との格差は、全般的には相当程度是正され、また、心理的差別についてもその解消が進み、その成果は全体的には着実に進展をみている。」との評価をいただいておるところでございます。
 しかしながら、同意見具申では、「心理的差別の解消は、同和関係者と一般住民との婚姻の増加がみられるなど改善の方向にあるものの、結婚や就職などに関連した差別事象が依然としてみられ、十分な状況とはいい難い。」としておるように、その解決に向けて今後とも努力をしていかなければならない課題であると認識をいたしております。今後とも心理的差別の解消に向けて、啓発活動について改めて創意工夫を凝らし、より積極的に粘り強く推進をしていく所存でございます。
○上田(卓)委員 ここで政府、とりわけ所管大臣であります岩崎総務長官に真剣に考えていただきたいのは、どうすれば部落差別が撤廃できるのかということであります。確かに、同対審答申はそのための有効な方策を総合的に提案をいたしております。その基本的な精神は今日においてなお実効力を持っていることは事実です。しかし、今日の社会の多様化、国際化という変化の中では多少間尺に合わなくなっているところもあり、問題解決の全能者とは言えない面もあるかと思います。私どもも真剣に考え、模索しているところでありますが、その結論の一つとして部落解放基本法ということで提案いたしておるわけでありますが、これとて完全無欠のものではなく、大いに議論の余地はあろうかと思います。
 いずれにいたしましても、部落差別撤廃の問題は党利党略的な見地から論じられるべき問題ではなく、国民的課題、全人類的課題として取り組み、それぞれの関係者が立場を超えて真剣に論議をし、一日も早い問題解決のための政策立案をする必要があるのです。この点について大臣の考え方をお聞かせいただきたいと思います。
○岩崎国務大臣 同和の問題を解決をし部落差別をなくすためには、我が国の社会経済の発展、国民の意識の多様化、国際化の進展等の中にございまして、この問題が国民的課題として普遍化していくことが重要であると認識をいたしております。すなわち、国民一人一人が同和問題をみずからの課題として主体的に取り組み、国及び地方公共団体やこの問題にかかわりの深い人たちだけではなく、国民の各界各層におきましても本問題解決のための方策について自由濶達な論議が行われる必要があると考えており、これらの幅広い議論を通じて同和問題の解決の筋道をつけられますよう、各般の施策の推進につきまして私といたしましても一層の努力をいたしてまいりたいと考えております。総務庁といたしましては、二十一世紀に差別を残してはならないというかたい決意を持ちまして、同和問題の一日も早い解決に向け関係省庁、地方公共団体、国民と一体となった取り組みに力を尽くしてまいる所存でございます。
○上田(卓)委員 そういう意味では、大臣にぜひともお願いしておきたいことは、我々は物的事業が特別措置として永続化することを望んでいるわけではないということであります。不必要になったものはやめればよいし、また必要なものはやればよい、このように考えております。その意味では、同和対策にかかわる事業は、物的、非物的を問わず、すべて部落差別撤廃のための条件整備事業であり、部落差別が解消すれば当然なくなるのが当たり前の性格であろう、このように思っております。したがって、物的事業がかな進捗したから一般対策へ移行云々とか最終法云々とかいうことを結論として先行させるのではなく、差別をなくするにはどうしたらよいのか、どうあるべきかという国民も関係者も納得できる論議を十分に行い、国民的コンセンサスを得ることのできる政策を打ち出すことこそ重点に置かれるべきだ、このように考えておるわけであります。
 さらにもう一点重要なことは、部落差別の問題は基本的には差別される側に問題があるのではなく、差別する人間に問題があり、そのような人間性をつくり出す社会システムに問題があるということであります。この点をしっかり押さえると同時に、差別は許すことのできない社会悪であるという観点から差別撤廃への方策を考えなければならないと思うわけでありますが、これらの点についての大臣の見解をお伺いしたい、このように思います。
○岩崎国務大臣 政府といたしましても、物的、非物的な事業の両面にわたって事業の迅速な実施を行い、地域改善対策はできる限り早期に目的を達成し一般対策に円滑に移行すべきものという認識のもとに、各般の施策の積極的な推進に努め、同和問題の解決に努めてまいったところでございます。地域改善対策のあり方を検討するに当たりまして、地域改善対策協議会におきましては幅広い議論が行われ、国民的コンセンサスを得ることができる意見具申の取りまとめに最大の努力が払われてきたものと理解をいたしております。したがって、政府といたしましては、こうした同協議会の意見具申を貴重なものとして受けとめ、これを尊重して具体的な施策を立案し推進してまいりました。このことは、昨年十二月の同協議会の意見具申を踏まえ、政府としても取りまとめた「今後の地域改善対策に関する大綱」におきましても同様でございます。今後とも同協議会におきまして残された課題について幅広く議論が行われ、今後の地域改善対策のあり方について御提言いただけるものと考えております。
 また、同意見具申が指摘をいたしておりまするように、同和問題の早期解決に向けて国民の一人一人が人権問題について一層理解を深め、みずからの意識を見詰め直すとともに、みずからを啓発していくということが求められております。このため、政府といたしましては、改めて国民的課題としての積極的な展開に向けて、地方公共団体、国民と一体となって粘り強く取り組んでまいる所存でございます。
○上田(卓)委員 そこで、「今後の地域改善対策について」とする地対協意見具申の中で触れられています「審議する機関」の問題について具体的にお尋ねいたしたいと思います。
 まず最初に、全国的な規模の調査や「今後の地域改善対策の在り方について審議する機関が引き続き必要である」との指摘は、部落差別の解消のためにさらに本格的な方策を審議する目的で審議機関が設置されるものと考えておりますが、大臣のお考えをお伺いいたしたい、このように思います。
○岩崎国務大臣 この問題につきましては、今国会でいろいろと御審議がございました。また、与野党間で熱心に御論議されてきております。私といたしましても、今後における重要な課題であるとの認識のもとに、これまでの経過を重く受けとめ、次のとおり考えておる次第でございます。
 平成三年十二月の地域改善対策協議会の意見具申を踏まえまして、同和問題の早期解決に向けて改めて国民的課題としての展開が重要であり、人権尊重の視点に立った取り組みが引き続き必要であることにかんがみ、同協議会の中に、心理的差別の解消に向けた啓発等のソフト面の推進、行政運営の適正化等基本的な課題を審議するための仕組みが設けられまするよう特段の配慮が行われることを同協議会に対してお願いいたしたいと考えております。
○上田(卓)委員 最後に、全国規模の調査の問題でありますが、地対協意見具申は「これまでの地域改善対策の効果を測定し、同和地区の実態や国民の意識等について把握することは重要である。」と指摘しています。そこで、この全国実態調査について、今日の部落問題の精密な状況を把握するため、総合的かつ本格的な全国実態調査を早期に実施していただきたいと思いますが、大臣のお考えをお聞きいたしたいと思います。
○岩崎国務大臣 政府におきましては、最近では昭和五十年、六十年に同和地区の実態の把握を行ってきており、昨年十二月の地域改善対策協議会の意見具申を尊重し、これまでの地域改善対策の効果を測定し、同和地区の実態や国民の意識等について把握するための全国的規模の調査をしかるべき時期に行うことというのが政府の方針でございます。
 調査を行うに当たりましては、同意見具申におきまして指摘をされましたように、調査結果の客観性を保証できる実施体制、方法等について慎重に検討する必要があります。したがいまして、検討に着手をしていない現段階では、いつ調査を行うか確たることは申し上げかねますけれども、その検討に早期に着手をいたし、種々の条件整備をいたした上で、できるだけ早期にしっかりした調査を実施したいと考えております。
○上田(卓)委員 質問を終わりたいと思います。本当にありがとうございました。
○井上(喜)委員長代理 これで上田君の質疑は終わりました。
 続いて、北側一雄君。
○北側委員 公明党の北側一雄でございます。
 今上田先生からも実態調査について御質問がございました。私も、まずこの実態調査の点から質問をさせていただきたいと思っております。
 昨年の十二月に地域改善対策協議会が出しました意見具申、その中にも「これまでの地域改善対策の効果を測定し、同和地区の実態や国民の意識等について把握することは重要である。」というふうに指摘がございます。これを受けまして、大綱におきましても、先ほど大臣おっしゃったように「しかるべき時期に全国的規模の調査を行う」というふうに書かれております。
 まず最初に私がお聞きしたいことは、私はこの実態調査、全国的規模の調査を早期に行うべきであるというふうに考えておりますが、その行うに当たりまして、この全国規模の調査を行う目的、これが一体何なのか、これをまず明確にすべきであるというふうに考えます。大臣、いかがですか。
○小山政府委員 目的と申しますのは、これまでの地域改善対策の効果を測定する、そして同和地区の実態、これについて計量的に明らかにする、こういうことでございます。
○北側委員 それは目的じゃなくて内容なんですね。何のために行うのかということを私は聞いておるんです。
○小山政府委員 いわゆる地域改善対策の行政に関しまして、今後どういう点に配慮し、どういう方向でやっていかなければいけないのか、その基礎資料を得るためにやるということでございます。
○北側委員 そういうことだと思うのですね。「同和地区の実態や国民の意識等について把握することは重要である。」と指摘しているわけですから、単にこれまでの地域改善対策の効果測定だけをするのじゃなくて、これは今後の同和行政のあり方に反映させよう、特にその重点課題とされているようなものについて具体的な施策に反映さしていこうというのが目的であるというふうに考えます。そういうことだと思いますが、いかがですか。
○小山政府委員 一つには、我々が今まで地方公共団体と一緒にやってきた行政がどの程度効果が出てきているかということをはかりたい、それから、それを基礎資料としまして今後の地域改善にかかわる行政の方向、内容等について吟味していく、こういうことになると思うのです。
○北側委員 この調査をどのような内容で、どのような方法で、遅くてもいつごろまでには実施しようと考えておられるのか。正確な時期については御答弁いただく必要はございませんが、大体いつごろまでにぜひ実施をしたいというふうに今総務庁がお考えなのか、御答弁をお願いします。
○小山政府委員 実態調査の実施につきましては、先生おっしゃいますように意見具申で申し述べられており、かつ、私ども政府の大綱においてもその旨を明言しているところであります。現在の段階におきましては、私どもはこの提出しております法律の成立ということに最大限の努力をしておりまして、実際には法律が通った後、年度新しくなってからしかるべく検討に入っていきたい、こういうことでございます。
 それで、一番大事なのは、調査が円滑に実施できる体制を確認すること、またその体制をつくることが大事であろうと思います。具体的には、地方公共団体の積極的な協力、それから民間運動団体の協力というようなことも大事になろうかと思います。その上で、何を調査するのか、どのような結果をまとめていくのかというようなことに入っていかなければいけないと思います。さらに、これはやはり費用がかかるものでございますから、費用についてのセットも考えなければいけない。やはり一つの調査を実施するためには、こういうもろもろのことを十分しっかりと準備した上でやらなければいけないということでございますので、早期に着手するということは確かにやりますけれども、実施の時期については、今申しましたようなことをすべてセットできた上でということになりますのでちょっと明言ができない、こういうことになろうかと思います。
 ただ、この実態調査は昭和五十年、昭和六十年と行われてきております。したがって、時系列を重視するならばいわゆる昭和七十年に相当する時期ということが一つあり得ますけれども、私はその時系列、いわゆる十年刻みということにこだわる必要はない、このように考えております。
○北側委員 私が最初に目的について聞かしていただいた趣旨は、この全国規模の調査を行う目的というのは、単に効果測定だけじゃないんだ、今後の同和行政の具体的な施策に反映をさしていくためにこういう調査を行うんである。一方では、今提出されている法案というのは時限立法五年間でございます。その実態調査の目的からすれば、今後の施策に反映するというふうな目的からするならば、私はこの全国的規模の調査をやはり早期に行っていかなければいけない。実際問題、こういう調査をしまして結果が出ましても、それからそれを分析して報告書としてまとめられるまでには一年とか相当時間がかかるんじゃないかと思うんですね。そういうことを考えましたら、早急に手続を進めていくべきであるというふうに私は思います。
 時期はともかくとして、今審議官おっしゃったような地方公共団体の協力も必要である、また民間団体の協力も必要である、さまざまな御意見も伺わなきゃいけない、それはよくわかるんです。そういうものを踏まえて、そうしていつごろにしますよというふうな大綱的なものはいつごろ決まるのか。いつ実施するのかと聞いているのじゃなくて、調査の大綱的なものはいつごろまでに決めようとなされているのか。私はその調査の目的からいって、ある程度明確になされていいんじゃないのかなというふうに思うのです。例えばことしじゅうには、ことしじゅうに実施するんじゃなくて、ことしじゅうには、今審議官がおっしゃったような内容についてしっかりと検討していって、そしてこの実態調査の大綱について決めますよというふうな御答弁もできませんか。
○小山政府委員 これから本格的に検討に入ります。それで、先ほど申しましたように、十分意を尽くして準備をしなきゃいけない。まず準備すべきものはどういうものがあるかということを調べ上げまして、それからこの時期におきましてどういう内容を調査するかということも固めまして時期を決めていく、費用の手当でもやる、こういうことでございますので、先ほど申しましたけれども、やはり早く実施をいたしたい、先ほど大臣が上田先生の御質問にお答えしましたように早く準備を仕上げたい、こういうふうに思っております。その辺はやらせていただきたい、こういうふうに思っております。
○北側委員 それでは質問を変えますけれども、御存じのように大阪府が一昨年の五月にかなり大規模な調査を実施しております。一昨年の五月に実施をいたしまして、そして昨年の三月に取りまとめられました同和対策事業対象地域住民生活実態調査、もう一つありまして、大阪府民の人権問題に関する意識調査、この二つの報告書が去年の三月にまとめられております。この大阪府の実態調査は三万世帯以上の地域住民、世帯人員にしますと約八万四千人を対象にして行っております。また、意識調査は約六千の大阪府民、有権者を対象に行っております。非常に大がかりな、かつ詳細な調査を行っていると私は思うんですね。私は、これをぜひ今後の地域改善対策のあり方に大いに参考にすべきじゃないかというふうに思っております。
 この二つの調査、大阪府が行った調査、その結果を踏まえまして、大阪府は先日、今週の月曜日だったと思うんですけれども、「大阪府における今後の同和行政のあり方について」という答申を取りまとめました。またこれは非常にホットな話ですので審議官も大臣もお読みでないかもしれませんけれども、こういう二つの実態調査、意識調査の結果を踏まえて大阪府が今回出した答申ですね、これを少し紹介さしていただきますと、前文でこのように言っているのですよ。
 これまでの同和対策事業の成果が各分野でみられる。しかしながら、不安定就労の問題、進学率の格差、学力低位の問題、成人の識字能力の問題等の課題が残されており、また、若い年齢層ほど地区外の人との結婚が進んできているものの、結婚に際しての被差別体験も多く、「同和地区の人について、とくに意識することはないが、結婚だけは別だ」という意識も根強く、さらに、部落差別事象が跡を絶たないなど、府民の差別意識の解消が十分に進んでいない実態も明らかになっている。さらに、物的事業についても、平成四年度以降もなお相当の事業量が見込まれている
 このように前文で指摘をされた上で、各論として七つの個別対策、すなわち生活環境整備対策、福祉保健対策、産業対策、就労対策、教育対策、人権啓発対策、文化対策について、それぞれ先ほどの実態調査等の結果を踏まえて現状を認識し、現状はこうである、こういう課題がある、そういう課題を指摘した上で、各施策の実施の基本的方向についてかなり具体的に詳細にこの答申では述べております。
 大阪府のこの実態調査、意識調査は昨年三月に報告をされているものでありますから、当然総務庁の方もごらんになっていると思いますし、また、これを踏まえて今述べたような「今後の同和行政のあり方について」という答申も出ているわけでございます。大阪府という一つの地域での調査また答申ではあるものの、総務庁もその内容を大いに参考にすべきであるというふうに考えますが、どうですか。
○小山政府委員 大阪府の今先生おっしゃいました調査につきましては、私も昨年の時点で知っております。
 それで、結局調査と申しますのは、先生もおっしゃいますように、私もそうなんですが、いわゆる実態を把握して、その結果をいろいろな角度から分析して行政へ反映する、こういうことでございますから、今の大阪府の審議会の答申、そのようないわゆる具体的な案が出てくるというのはむしろあるべき姿であろう、こう思います。
 それで、国全体としての調査との関連でちょっと申し上げますと、私どもはいわゆる全国的規模という観点で調査を実施するときに、ある意味では最大公約数、ある意味では最小公倍数、そういうところをどのように判断していくのかということでございます。それを検討するためにいろいろな方々の御意見もお聞きをしますし、それから、自治体で行われております、ただいまの大阪府の調査もそうでございますが、調査についても参考にさせていただこう、こう思います。それは大阪府に限らず、全国のほかの自治体でも調査がされているケースがありますから、それを広く集めて分析して、そこのところで調査に関する最大公約数あるいは最小公倍数というものを見つけていくということもございます。やはり広く場を見てやりたい、こういうふうに思っております。
 ただ、国の場合と自治体の場合の違いと申しますのは、国は全国的規模で物を考えてやっていかなければいけないという面が調査の場合もございます。自治体の場合は自治体特有の事情というのがそれにプラスされる面がございますから、自治体によっていろいろ異なるところもございましょう。だけれども、各自治体の特徴というようなことも参考にはなると思って私どもは勉強します。
○北側委員 私論ましていただきまして、この大阪府の答申、本当に非常に具体的、詳細に書かれておりまして、ぜひ参考にしていただきたいと思うのです。
 ちょっと個別の話をさせていただきますが、この大阪府の実態調査の中で、結婚に伴う被差別体験という項目があるんですね。これについて次のような調査結果を報告しております。調査対象の中には一万九千三百十八組の御夫婦がおられる。そして、その御夫婦のうちどちらか一方が同和地区生まれの夫婦というのは七千百九十九組おられるのです。この七千百九十九組から回答をもらっているわけなんですけれども、結婚の話のときに親などから同和地区出身者であることで反対された夫婦というのは、今申し上げた七千百九十九組のうち千九百八十八組あったという回答になっているのです。二七・八%。結婚式への出席を拒否した者がいた夫婦は、八百二十組の回答があるのです。一一・五%。また結婚の時期別でとってみましても、昭和六十年以降、昭和六十年といいますから今からまだ七年前の話でございますけれども、昭和六十年以降の結婚でも二三・四%が結婚に反対されたというふうな、そういう回答結果になっておるのですね。
 また、意識調査の方では次のような調査結果を報告しておりまして、これは同和問題についての意識というテーマでやっているのですが、今後とも何とかしなければならないとか問題であると考えている同和地区の問題を複数回答方式で聞いているのですね。これは一般の有権者です。複数回答方式で聞いているのです。答えは全部で十三の答えが出ているのですけれども、その中で最も回答の多かったのはやはりこういう答えてして、同和地区の人は同和地区外の人と結婚することが難しいこと、これが何と三九・一%の回答なんですね。
 これは大阪の調査なんですけれども、大阪は恐らく私の推測では、まだそれでもこういう差別意識が比較的少ないのじゃないのかなと思うのです。地方へ行ったらもっと強固な根強い差別意識というのが残っているのじゃないのか、私はそのように思います。結婚に伴う差別意識がいかに根強いか、非常にこの報告はよくあらわしているのじゃないか。結婚差別の問題については意見具申の方でも指摘されております。こうした差別意識が強固に存在しているという現実に対して総務庁はどう対処していこうとされているのか、御答弁をお願いしたいと思います。
    〔井上一喜一委員長代理退席、委員長着席〕
○小山政府委員 昨年十二月の地域改善対策協議会の意見具申におきまして、先生おっしゃいますように指摘がございます。これは申し上げますと、「心理的差別の解消は、同和関係者と一般住民との婚姻の増加がみられるなど改善の方向にあるものの、結婚や就職などに関連した差別事象が依然としてみられ、十分な状況とはいい難い。」こうされているわけでございます。私どもは、やはり啓発ということが柱になって強く息長くやらなきゃいけないというのが基本でございますが、今後とも心理的差別の解消に向けまして、啓発活動につきまして改めて創意工夫を凝らして、より積極的かつ粘り強くやっていきたい、こういうふうに思っております。
○北側委員 そのとおりで、啓発が重要であるというふうに意見具申も言っているわけですね。ちょっと意見具申を読ませていただきますと、啓発活動について今審議官が読まれた後の文章です。
  同和問題が国民的課題であるという趣旨は、
 国民の一人ひとりが本問題に主体的に取り組む
 ことによって初めてその最終的な解決が可能と
 なるということであるが、現状では、必ずしも
 国民的課題として普遍化しているとはいえな
 い。
  国際的に人権尊重思想が普及する中で、心理
 的差別の解消に向けて努力を重ねていくことが
 以前にも増して重要となっている。このため、
 改めて創意工夫を凝らして、啓発活動をより積
 極的に推進していくよう努めるべきである。というようにおっしゃっています。非常に私はここの指摘が重要であると思うのですね。「改めて創意工夫を凝らして、啓発活動をより積極的に推進していく」、具体的に総務庁としてどういう推進施策を考えられておられるのか、御答弁願えますか。
○小山政府委員 意見具申におきまして、「創意工夫を凝らしてここうあります。それにつきましては、とにかく啓発とか広報とか申しますのはなかなか効果の測定が難しい、こういうことがございます。そして、ややもすればマンネリズムに陥りやすい、こういう点もございますので、改めて私ども地域改善対策の行政にかかわる者に対して、その啓発のあり方というものについて見直しをしていろいろ考え直すべきじゃないか、こういう指摘を与えられたものだと思っております。したがいまして、私どもはこれから具体的にどういう方向で、どういうときに、どういう手段で啓発を行っていくのか、こういうことをさらにかかわりある省庁、さらにはかかわりある方々と相談しながら固めていくということになっていくわけでございます。
 政府としましてはこの意見具申を尊重いたしまして、やはり申しましたような地域や対象者の実態に応じた効果的な啓発の方法、啓発活動の効果を測定するための方法、それから地域改善啓発センターというものがございますが、そこの活性化などについて検討していくことを一つ考えております。
 総務庁といたしましては、この意見具申を尊重いたしまして、平成四年度の予算におきましても啓発事業を積極的に推進することとしておりまして、総務庁関係啓発予算については前年度の一〇・九%増ということで、七億七千三百万ほどを計上いたしております。さらにこの効果的活用ということを図っていきたいと思っています。
 具体的には、総務庁におきまして、地域改善対策の円滑な実施及び国民一般を対象とした差別意識の解消を図ることを目的として、幾つかのことを考えております。直轄事業としまして、国家公務員の研修会、それから地方公共団体職員に対します泊まり込みの合宿形式の指導者養成研修会、及び啓発地区会議の開催、啓発映画の企画、制作など、それから地方委託事業としましては、地方公共団体に対しまして講演会、研究会の開催、啓発資料の配付、テレビ、ビデオ、ラジオ、新聞等を活用した国民一般を対象とする啓発活動を委託する。それから中央委託事業としましては、中央の公益法人に対しまして啓発教材の作成配付、情報及び資料の収集、提供などを委託することとなっております。
 関係省庁、地方公共団体等とも緊密な連絡をとりながら差別解消のための啓発活動に取り組む、まあ一体化ということが大事なんだろう、こう思っております。
○北側委員 大臣、啓発というのが非常に私は重要であると思います用意見具申でもそのように述べられております。予算も平成四年度予算で少しふえておるのですけれども、創意工夫をするとともに、やはりもともとのこの予算の額が私は少ないと思うのです。もっと大幅な予算額の計上というのも必要じゃないかと思います、その啓発の重要性からいって。大臣、いかがですか。
○岩崎国務大臣 今先生の質疑応答を承っておりました。大阪での実態調査、幾つかの項目を挙げてきちっとした調査の結果が生まれておる。それを踏まえて差別問題解消に取り組んでいくならば相当の効果が生まれるのじゃないだろうか、そんな思いをしながら先生の御質問を伺っておりましたし、さらに、特に結婚、いわば心理的差別の問題について親の反対が二七・八%ある。また、式に出席することを拒否した方々が一一・五%ある。それから、六十年からの調査で、結婚に反対された、そういった方々が二三・四%ある。そして、地域全体の意識調査の中で、結婚はやはり難しい、これが三九・一%、約四割ですね。確かに、先生冒頭におっしゃったとおり、今の若い方々が一般地区の方々と結婚する、この割合は年が若くなればなるほど多くなっている。今の我々がつかんでおるデータは約六割。ですから、このデータはまさに真髄をついたデータではなかろうか、このように受けとめてまいりました。
 と同時に、今先生から、啓発、啓蒙等々について、まさにそのことにこそ力を入れなきゃならないということで、平成四年度におきましては、わずかではございますが対前年度比増額の予算を計上いたしました。そこで、少なくとも、物的事業費は相当減額されていますから、非物的事業、啓発関係についてはわずかではございますが増加をしておる。その中に、総務庁として啓発問題にまさに創意工夫をしながら取り組んでいきたいという意思を表明しておるんだ、まず今年度はそのように受けとめさせていただいて、そして実態調査ができ上がってへさて啓発問題どうしようか、こういったときには、それに必要ないわば関係予算というのはきっちり確保いたしまして、まさに差別が二十一世紀までに解消できるように精いっぱいの努力をいたしていきたい、かように考えておるところでございます。
○北側委員 以上でございます。ありがとうございました。
○桜井委員長 次に、三浦久君。
○三浦委員 まず最初に、総務庁長官にお尋ねをいたしたいと思います。
 現行の地対財特法は最終の特別法だというふうに位置づけられてまいりました。したがって、我々は現行法の期限内に着手し継続している事業を実施する経過的な措置があればよいというふうに考えていたわけであります。もしそのほかに必要な事業があれば、一般行政でやればよいからであります。
 ところが、今回の法の延長に当たって、現行法の期限が切れるというその時期に、これから行う新たな事業まで含めて残事業として見積もりがありました。こういうことを繰り返していたのでは、私はエンドレスだと思うのですね。ですから、今回の法案を最後の特別法とすること、そして期限内に事業を完了させて地域改善対策を早く一般行政に移行させるべきだというふうに我々は考えておりますが、その点についての長官の御決意を伺いたいと思います。
○岩崎国務大臣 お答え申し上げたいと思いますが、先ほども上田議員に対しまして冒頭にお答え申し上げましたとおり、同和問題はまさに我が国憲法に保障されました基本的人権にかかわる重大な問題である、こうした認識のもとに、政府といたしましては、昭和四十四年以来二十三年間にわたりまして特別措置法に基づいて今日まで鋭意関係施策について努力をいたしてまいったところでございます。その結果、昨年十二月の地域改善対策協議会の意見具申におきましても、「その成果は全体的には着実に進展をみている。」という評価をいただいているところでございます。地域改善対策は永続的に講じられるべき性格のものではない、こうした地対協の意見具申もあるところでございます。したがって、事業の迅速な実施によりまして、できる限り早期に目的を達成することが必要であろうと考えております。
 一般対策への円滑な移行のための現行法は最終法として制定されたものではございますが、残事業も残っておりまするし、ただいま北側先生から括話しのあったように、啓発等心理的な差別の問題もまだまだ残っておる、そうしたことで、真に必要な事業に限って財政上の特別措置を五年間延長するための法案を提出いたしておるところでございます。これによりまして残されました事業の円滑かつ迅速な遂行を図るため、総務庁といたしましては全力を尽くして対処してまいりたい、かように考えております。
○三浦委員 次に、同和地区の実態の調査についてお尋ねをいたしたいと思います。
 その地域が同和地区であるかどうか、こういう調査などは私は絶対にやるべきじゃないというふうに思います。今まで長い間申請がなかったというのはいろいろな理由があってのことであります。しかも、そういう同和地区の指定を受けるかどうか、これはその地域住民の合意に基づいて行わなければならないことであります。それを、行政が未解放部落を掘り起こし、ここは同和地区だというようなことで指定するというのは、減少しつつあるとはいえ、いまだに差別が厳然としてこの社会に残っている、そういう状況の中で、私はかえってこういうことをやることは行政が部落差別を助長する結果になる、そういうように思います。このようなことは断じてなすべきことではないというふうに考えておりますが、御所見を伺いたいと思います。
○小山政府委員 実態調査につきましては、政府としまして、昭和五十年、六十年とやってきておりまして、この時期におきまして私どもはさらに実態調査をすべきである、こういう認識でおります。また、昨年十二月の地対協意見具申でもそれは実態調査をやるべきだ、こう指摘されております用意見具申におきましては、「これまでの地域改善対策の効果を測定し、同和地区の実態や国民の意識等について把握する」、こういうふうに言われておりますので、私どももそれを受けまして、対象地区につきまして調査を実施する、こういうことでございます。(三浦委員「いや、質問の趣旨に答えてください」と呼ぶ)
○桜井委員長 挙手をして、許可をとってから質問してください。三浦君。
○三浦委員 時間がないので、質問の趣旨に従って答弁していただかないといけないと思うのですね。
 もう次に移ります。
 我が党は、今日まで同和行政の乱脈、不公正、それから確認・糾弾、こういうようなものを一掃して、公正で民主的な同和行政を推進するために闘ってきました。これらは意見具申でも、今日での重要な課題であるというふうに指摘をされております。
 しかし、実際見てみますと、まだまだ大変ひどいものがあるのですね。例えば、福岡県の嘉穂郡に八つの町があります。この八つの町では、同和団体助成金のほかに同和対策推進費という名目で、各町で行う同和事業費の額に応じてそれぞれ費用を分担して予算に計上して、特定団体の地域協議会に一括して交付をしています。平成三年度は三千万円にも及んでいます。おれたちの運動で同和事業を実施しているんだから、その事業総額の三%は同和団体に交付しろ、こう言って特定団体が予算に計上させているのです。これなどはまさに税金のピンはねであります。同和行政の私物化であります。こうした行政上の筋の通らない利権あさりがまだまだ行われているんですね。(発言する者あり)
○桜井委員長 静粛に、静粛に。発言者以外の方は静粛に、静粛に。
○三浦委員 それからまた、隣保館の使用などについても特定団体以外の人物には使わせないというようなことが行われている。(発言する者あり)
○桜井委員長 静粛に願います。
○三浦委員 また、住宅新築・改修資金、こういうものの貸し出しも極めてでたらめであり、架空の人物にまで貸し出しか与えられる。そのために返還金の償還率というものが非常に少なくなっている。したがって、それがゆえに赤字再建団体に転落をするという小さな自治体まで発生している。こういう不公正、乱脈な同和行政について、これをどういうように是正していくのか、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
○小山政府委員 政府におきましては、地域改善対策に係る行政運営の適正化をより確実なものとするため、昭和六十二年四月一日付の地対財特法の施行に伴い、関係各省庁の事務次官連名で、行政運営の適正化等に努めるよう地方公共団体に対して通知するとともに、事業所管省庁におきましては、個々の事業運営の適正化について機会あるごとに必要な助一言、指導を行ってまいったところでございます。また、総務庁におきましては、関係各省庁の協力を得まして、法施行後における地方公共団体の事業の実施状況等の実態把握を平成元年一月に実施いたし、その結果を踏まえまして、平成三年二月、昨年でございますが、関係省庁の局長連名で、事業の見直しと事業運営の適正化に今後とも努めるよう地方公共団体に対して通知をしております。これらの指導等によりまして、徐々にその効果はあらわれてきているものと思っております。
 今後とも、関係省庁と連絡を図りまして、地方公共団体に対し適切な指導を行ってまいりたい、このように考えております。
○三浦委員 不公正、乱脈な同和行政の是正をうたった政府の啓発推進指針、これは適正な同和行政を求める国民運動の反映だというふうに私どもは考えております。この指針を確実に実行するということが今必要になっていると思います。
 また、特定運動団体が主張する部落解放基本法の制定について、我が党は部落を法的に固定化するものであるというふうに厳しく批判をしてまいりました。
 この二点についての所見を伺って、質問を終わりたいと思います。(発言する者あり)
○桜井委員長 静粛に。
○小山政府委員 私の方から、啓発推進指針につきましてお答えさせていただきます。
 昭和五十九年の地域改善対策協議会の意見具申でその策定を行うべきと提一言されておりまして、学識経験者等の専門的意見を参考としながら、かつ、昭和六十一年の地域改善対策協議会の意見具申も踏まえまして、総務庁が取りまとめました。今後の啓発活動推進の参考となるよう関係各省、都道府県等にお送りしたものでございます。総務庁といたしましては、この指針が参考とされて、それぞれの地域の実情に応じ、適切かつ効果的に活用されるよう引き続き意識してまいりたいと思っております。(発言する者あり)
○桜井委員長 静かに、静かに。
 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
○桜井委員長 この際、本案に対し、三浦久君から修正案が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。三浦久君。
    ―――――――――――――
 地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別
  措置に関する法律の一部を改正する法律案に
  対する修正案
    〔本号末尾に掲載〕
○三浦委員 日本共産党を代表して、ただいま議題となっております地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案に対して、修正案の提案理由とその内容の概要を御説明申し上げます。
 同和対策特別措置法以来二十三年間にわたって実施されてきた財政上の特別措置によって、同和地区の環境と同和地区住民の生活は大幅に改善され、同和地区住民の自立と同和地区内外の融合と連帯を大きく前進させることが広く求められているところであります。
 こうした現状のもとで重要なことは、特別対策である同和行政を一般行政に早期、円滑に移行するとともに、一般行政のもとで同和地区住民の諸要求を広範な国民と連帯して解決することが大切であり、さらに、乱脈、不公正、利権あさりなど、同和行政にもたらされたさまざまなゆがみを是正することであります。
 政府提出法案は、最終の特別法と位置づけられた時限法として、事業の一部廃止、縮小も予定されるなど、大枠で地域改善対策事業を一般行政に移行させる方向を示しております。しかし、いわゆる残事業の定義をあいまいにしていることや、多くの地域改善対策特例事業の一般行政移行をそのまま五年間先送りしていること、また公正かつ民主的に事業を実施するという制度的保障が不十分であることなどを指摘せざるを得ません。
 我が党は、国民的融合を進め、二十一世紀まで部落差別を残さないための重要な施策として、特別対策である地域改善対策事業を一般行政へ早期、円滑に移行させ、また事業を公正かつ民主的に実施しつつ、特別対策の終結を進める立場から修正案を提出するものであります。
 次に、修正案の概要を申し上げます。
 第一は、引き続き行う地域改善対策特定事業の定義を、一九九一年度末までに認定・着手し継続している事業に限定します。
 第二は、何らかの理由でおくれているこれら事業を確実に完了させるために、法の期限を三年とします。
 第三は、不公正、乱脈な事業を一掃するために、国及び地方公共団体に対して、地域改善対策特定事業は適正にして公正かつ民主的に実施しなければならないことを義務づけます。
 以上が修正案の提案理由とその概要であります。
 委員各位の御賛同をいただき、速やかに可決されますよう要望いたしまして、修正案の趣旨説明を終わります。
○桜井委員長 これにて修正案についての趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
○桜井委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に付するのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。
 まず、三浦久君提出の修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○桜井委員長 起立少数。よって、三浦久君提出の修正案は否決されました。
 次に、原案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○桜井委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
○桜井委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、片岡武司君外三名から、四派共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。田口健二君。
○田口委員 ただいま議題となりました自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党の各派共同提案に係る附帯決議案につきまして、提案者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
    地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について適切な措置を講ずるよう努力すべきである。
 一 地域改善対策協議会の意見具申を踏まえ、同和問題の早期解決に向けて、改めて国民的課題としての展開が重要であり、人権尊重の視点に立った取組みが引き続き必要であることにかんがみ、同協議会の中に、心理的差別の解消に向けた啓発等のソフト面の推進、行政運営の適正化等、基本的な課題を審議するための仕組みが設けられるよう、特段の配慮が行われるよう留意すること。
 本案の趣旨につきましては、当委員会における質疑を通じて既に明らかになっていることと存じますので、説明は省略させていただきます。
 よろしく御賛同くださいますようお願いを申し上げます。
 以上であります。
○桜井委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○桜井委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
 この際、総務庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。岩崎総務庁長官。
○岩崎国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を踏まえて検討し、努力してまいりたいと存じます。
○桜井委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○桜井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
○桜井委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。
    正午休憩
     ――――◇―――――
    午後一時開議
○桜井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 内閣提出、一般職の職員の給与等に関する法律及び行政機関の休日に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 趣旨の説明を聴取いたします。岩崎総務庁長官。
    ―――――――――――――
 一般職の職員の給与等に関する法律及び行政機
  関の休日に関する法律の一部を改正する法律
  案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
○岩崎国務大臣 ただいま議題となりました一般職の職員の給与等に関する法律及び行政機関の休日に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 昨年八月七日、週休二日制について人事院勧告が行われました。本法律案は、この人事院勧告を踏まえ、完全週休二日制を実施するため、一般職の職員の給与等に関する法律及び行政機関の休日に関する法律について所要の改正を行おうとするものであります。
 次に法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
 第一に、一般職の職員の給与等に関する法律において、すべての土曜日は、勤務を要しない日とし、勤務時間は月曜日から金曜日までの五日間において割り振ることとしております。
 第二に、行政機関の休日に関する法律において、すべての土曜日は、行政機関の休日とし、行政機関の執務は、原則として行わないものとしております。
 以上のほか、附則において、この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとするとともに、関係法律について所要の改正を行うこととしております。
 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要でございます。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。
○桜井委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
○桜井委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田口健二君。
○田口委員 ただいま議題になりましたいわゆる公務員の完全週休二日制の法案について幾つか御質問をいたしたいと思いますが、その前に、私は、長い期間にわたって公務員の時間短縮、とりわけ週休二日の問題についてかかわってまいりました。本委員会でも何度がこのことについて意見を申し上げました経過がございます。それだけに、本日ここにこの法案の審議が始まりますことを大変うれしく思っておりますし、同時に、この問題について人事院、総務庁初め関係の皆さん方が大変な御努力をいただきましたことを心から感謝を申し上げたいと思います。
 質問の第一でありますが、岩崎大臣にお尋ねをいたします。実施時期の問題であります。
 法律案によりますと、施行期日について附則では「公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める」ということになっております。今も説明がございましたが、昨年八月の人事院勧告では「平成四年度のできるだけ早い時期」、このように明記をされています。また、昨年十二月の二十七日には、政府は閣議決定において、この人事院勧告を勧告どおり実施する旨の決定がなされています。さらに一月二十四日、百二十三通常国会の冒頭に宮澤総理はその施政方針演説において、公務員の完全週休二日については、平成四年度のできるだけ早い時期に実施をすることとして、今国会に法案を提出いたしますと明言をされておるわけであります。
 私どもは、今日までの経過から考えてみて、「平成四年度のできるだけ早い時期」というのは当然四月であるという認識を持っておりました。しかし残念ながら、法案の提出が三月に入り、本日はもう三月の二十六日でありますから、現実的に言って四月実施というのは物理的に実現不可能な時期であるというふうに認識せざるを得ないと思うのであります。しかし、今の予定で三月中にこの法案が成立をするということになれば、その周知期間などを含めても、私は五月の第一週から実施をすべきである、このように考えておるわけでありますが、大臣の御所見をいただきたいと思います。
○岩崎国務大臣 国家公務員の完全週休二日制につきましては、先生からお話がございましたとおり、職員の勤務条件を改善する、そういった観点からも、また、ゆとりある国民生活を実現する、そうした面からも極めて望ましいものである、私どももそのように認識をいたしております。
 そこで、昨年八月の人事院勧告を受けまして、その導入につきまして検討を行い、昨年十二月に、「平成四年度のできるだけ早い時期に実施する」こと等を内容といたしました閣議決定を行ったところでございます。この方針に沿いまして、完全週休二日制を速やかに実施できますよう法案を今国会に提出をいたしておるところでございます。
 実施時期につきましては、法案成立後、国会及び裁判所との協議を調えまして、国民への十分な周知期間を置いて実施することになりまするので、現在の段階におきましては確定的なことを申し上げる状況にはございません。ただ、総務庁といたしましては、平成四年度のできるだけ早い時期に実施できますよう、今後最大限の努力を尽くしてまいりたいと考えております。
○田口委員 今大臣の方から、できるだけ早い時期、最大限の努力をするという御回答をいただいたのでありますが、私があえて五月から実施をすべきだ、こう申しますのも、たしか八八年であったと思いますが、公務員の四週六休に伴った閉庁法案が当委員会に提案をされました。十一月の八日だったと思いますが、私もこの問題について委員会で質問をいたしました。当時の総務庁長官の御回答では、閣議では本年度じゅうということになっておりますが、本年度じゅうということは三月まであるわけでありますが、それではやはりだめだろう、やはり一月から実施をしたい、こういうことで、法案が成立をすれば一カ月ぐらいの準備期間があれば実施ができるという積極的な御回答もいただいて、確かに閉庁法案は八九年の一月から実施をされたと思います。
 私は、四週六休に伴う閉庁というのは、公務員制度にとってもあるいは行政機関においても初めての試みですから、このことはやはり国民にある程度の期間を持って周知をしなければならない、こういうふうにもちろん思っておりました。しかし、今回の完全週休二日については、既に四週六休に基づく閉庁法案がもう定着をしておるという状況でありますから、そういう環境から考えてみるならばあの閉庁法案のときよりも今回の方が情勢的には好転をしておるのではないか、私はこういうことも考えまして、法案が成立をするとすれば五月から実施をすべきである、このことを強く大臣にも要請をしておきたいというふうに思いますので、格段の御努力をひとつお願いをいたしたいと思います。
 次に、人事院の方にお尋ねをいたしますけれども、公務員の完全週休二日制が実施をされてまいりますと、一方、学校の方では、文部省の考え方としては二学期から学校五日制の施行というのでしょうか、それに入りたいという話を仄聞をしておるわけでありますが、もしこういう形になりますと公務員法上における公平取り扱いの原則というのが出てくるわけでありまして、一般の公務員の場合には週四十時間の完全週休二日というのが実施をされる、片一方、教職員においてはそうではないという問題が生じてくるであろうというふうに思いますが、これに対して人事院としては、公務員制度という立場から考えてみて一体どのようにお考えになっておられるか、お尋ねをいたしたいと思います。
○山崎政府委員 学校週五日制につきましては、文部省において平成四年九月から毎月の第二土曜日を休業日とするということで準備が進められておるところでございます。人事院といたしましては、国立大学附属学校の教員の週四十時間勤務制につきましては、学校週五日制を含め、夏季あるいは冬季の休業期間中における勤務を要しない日のまとめどりなどの弾力的な運用によりまして実現できるよう、文部省に対して検討を依頼しているところであります。これによりまして、教員についても勤務時間の面では他の職員と同時期に週四十時間勤務制に移行することが可能であると考えております。
○田口委員 ちょっと聞き漏らしたのですが、それは二学期からの学校五日制の施行ですか。それとは関係なく、公務員が完全週休二日制に入った時点で教職員についても横並びとして週四十時間体制がとられていくということですか。
○山崎政府委員 四週六休制の場合も同じような問題がありまして週四十二時間になったわけですけれども、教員につきましても週四十二時間を実現するということで、やはりまとめどり等の方法で同じ時期から施行するということで現実に動いております。ただ、地方の実態を見ますとそれぞれ個別の事情がございますので、組合、職員団体等との話し合いがついたものについて実施していくというケースもありますので、必ずしも全国一斉にというわけではありませんけれども、制度的には国の場合、同じ時期に週四十時間体制に入れるということになっております。
○田口委員 時間的にいうと週四十二時間、あるいは今回の場合には週四十時間ということになると思いますが、今お話がありましたようにまとめどりということになれば、それは何週でそういう週四十時間ということになるのですか。
○山崎政府委員 結果的に、非常に長いスパンで週四十時間を平均的に実現していくということになろうかと思います。
○田口委員 平均的に四十時間というのは、聞くところによれば例えば五十二週を通じて四十時間とか、こういうスパンになるんではないかという気がするのですね。そういう長い期間の中で平均して四十時間という完全週休二日に入っていった場合に、まあ交代制勤務のところは多少変則になってもそんなに長いスパンではないと思うのですね。その辺の関係というのはどうなんでしょうか。それは問題ないのでしょうか。
○山崎政府委員 いわゆる勤務条件としての四十時間制あるいは四十二時間制という面では、原則四週を単位に考えていくということでございますけれども、いろいろな交代制勤務もあり、あるいは特別な勤務の職場もあるということで、その状況に応じて若干長いスパンをとりながら四十時間制を実現していくということは過去にもございましたし、今後もあろうかと思います。
 ただ学校の場合は、御承知のように勤務条件サイドの問題だけでなくて、学校五日制といいますか、学校教育そのもののあり方と密接に関係ある部分がございますので、その部分につきましては学校五日制の進展を待ちながら対応していくという部分があるのは事実でございます。
○田口委員 次に、完全週休二日制が実施をされた以降の労働時間の短縮について、これはひとつ人事院並びに総務庁の方にもお伺いをしたいと思うのです。
 一九七〇年代の半ばからこの問題に取り組んでまいりまして、いよいよこれが実現をするというのは大変歴史的な意味合いを持っておると私は思うのです。そこで、完全週休二日が実施をされるということになると、これで一応公務員の労働時間短縮の問題は一休みといいますか、ほぼ終わったという感じを抱きやすいのですけれども、私は、必ずしもそうではない、政府も公約をしておりますように、いわゆる千八百時間体制に向けてさらにこの問題については取り組みを進めていかなければならないというふうに考えているわけです。
 千八百時間体制に取り組んでいく中には、さまざまな問題があろうかと思います。例えば超過勤務の解消というのでしょうか、あるいは年次有給休暇の完全取得だとか、さまざまな課題もあります。あるいは、特に公務員の中で強い要望があるのは夏季休暇の問題。これは実績を見ましても、非常に取得率というのはいい状況にあるわけですね。九〇%以上の取得率になっておるようです。また、この夏季休暇に前後して年休を消化するというような形で、そこにある程度、まあ長期とは言いがたいのでありますが、五日ないし六日の休暇をこの時期にとっていく、こういう問題なども現実に出てきておるわけでありますから、人事院としては、こういう夏季休暇の増加の問題、あるいは公務員の中からも今出てきております介護休暇の問題など、これらについて来年度の勧告の中で取り上げるお考えがないかどうか。そしてまた、冒頭に申し上げました完全週休二日実施以後の公務員の労働時間の短縮についてどのようなことをお考えになっておられるのか、この点について人事院並びに総務庁の方にお尋ねをいたしたいと思います。
○弥富政府委員 お答えを申し上げます。
 ただいま委員が仰せられましたように、もう既に政府は昭和六十三年、御存じのとおり経済運営五カ年計画、その中におきまして千八百時間の目標を表明されているわけでございます。我々といたしましては、それを十分に念頭に置きまして、今後も勤務時間短縮を進めるべく努力をしていかなければならないというふうに思っておりますけれども、今回のこの完全週休二日制の実現を見た暁におきましては、所定内労働時間の短縮としては制度上は一応区切りがついたものではなかろうかということを考えておりますが、その後の、ただいま言われました当面の課題といたしましては、年間の総実労働時間の短縮、これが非常に重要な問題でございまして、超過勤務時間の縮減や年次休暇の取得率の向上等に重点を置いて取り組んでいかなければならない、かように考えております。
 また、ただいま言われました諸種の休暇制度あるいは夏季休暇の日数の問題、これは夏季休暇におきましては去年、御承知のとおりに民間の実情等を勘案いたしまして三日間というのを勧告をさせていただいて実現をしているわけでございますが、その定着状況、これをまず見てまいりまして、しかも民間におきまして今後どのような趨勢にあるかということを十分に認識をいたしまして適切に対応してまいりたい。
 それから、ことしの勧告についていろいろなことを、勧告はどうだということでございますが、今の段階でことしの勧告について申し上げる段階ではございませんが、民間におきましてはやはり介護休暇を初めとしてフレックスタイム制とかいろいろな問題がこれから社会経済情勢の変化に応じて出てくるわけでございますので、それについても十分に検討をしながら適切な対処をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○山田政府委員 総務庁といたしましても、公務部門における勤務時間、総労働時間の短縮に当たりましては、完全週休二日制に合わせまして超過勤務の適正化、年次休暇の計画的取得の推進に努める必要があるというふうに考えております。
 総務庁では、各省庁の御賛同をいただきまして毎年人事管理運営方針というものを定めております。これは各省共通の人事管理上の基本方針でございますが、その中で超過勤務の縮減についても取り上げておりまして、公務能率の一層の向上を図りつつ超過勤務時間の短縮に努める、このため事務の見直し、合理化を図るとともに、定時退庁に努める日の設定、管理者の率先退庁等職場の実情に応じた工夫を行う、また代休制度の適切な運用を図る、こういったことも決めております。
 それから、超過勤務時間の短縮のための諸方策を検討するために各省庁の担当者で研究会をつくっておりまして、そこで当面実施可能な対策をいろいろ検討しております。この研究会では、一昨年、平成二年に中間報告として「当面実施可能な超過勤務対策」というものを取りまとめておりまして、各省庁で超過勤務対策を策定し、また実施する際に活用していただいておるところでございます。
 その主な内容を申し上げますと、一般的に事務の見直し、事務処理方法の合理化等によって業務量そのものを減らすように努める、また人員配置を見直して適正な人員配置を行う、年間いろいろ業務の繁閑がございますのでその辺を計画的に事務処理することによって業務量の平準化を図る必要がある。また、国会関係、予算関係、法案関係、そういったことで各省との協議とかいった面で待機する時間がかなり多いということもございまして、そういった待機の方法、連絡体制等を見直すというようなこと、それから啓発も大事だということで、特に管理職員がみずから率先して退庁するようにするというようなこと、それから一般職員につきましても定時退庁日のようなものを定めまして庁内放送でそれを放送して、できるだけ勤務時間後速やかに退庁するように促す、そういったことも各省でいろいろ実施しておるところでございます。
 また、年次休暇の使用の促進につきましても、これも同じ人事管理運営方針で方針を決めておりまして、年次休暇の計画的使用の促進に努める、特に夏季休暇の前後における年次休暇の使用、年間を通じて適切な時期における年次休暇のまとめどり等を促進し連続休暇の普及を図る、このため、職場の実情に応じ計画を作成するとともに、永年勤続表彰等の機会をとらえて年次休暇を取得することを奨励するなど、休暇を取得しやすい環境づくりを一層積極的に推進する、こういった形でこの人事管理運営方針でもできるだけ具体的に方策を定めまして、各省がこれらの方針に沿って超勤の短縮、年次休暇の使用促進に努めてもらっているところでございます。
○田口委員 今のことに関連をして一つお尋ねをしておきたいと思うのですが、この完全週休二日が実施をされますと、年間で実勤務時間というのは何時間になりますか。
 それから、今お話がありましたように、現実に超過勤務というのは、これは各省庁いろいろなところによって差はあると思うのですが、平均をすると現在の超過勤務の時間というのは年間にして、あるいは月でも結構ですが、わかっておれば教えていただきたいと思います。
○山田政府委員 完全週休二日制ができますと、いわゆる所定労働時間は、完全週休二日制になりまして、国民の祝日等の休日を全部休みまして、年次休暇も二十日間取得する、それから年末年始の休みが元日のほかに五日ございます。そういった休みの日が全部で百四十日ほどございまして、これを全部休んだといたしますと残りが約二百二十五日になると思います。これで八時間労働で千八百時間ということに計算上なります。実際には、今御指摘のように超過勤務もございますし、年次休暇のとれない分もあるということでございまして、それを超えていくわけでございますけれども。
 超過勤務につきましては、それぞれ職場によってかなり違いがありますが、中央省庁の場合、年間を通じて見ますと、月に約二十時間前後、年間で約二百五十時間前後になるのじゃないかというふうに思っております。
○田口委員 ですから、完全週休二日というのが実施をされますと、確かに国民の祝日であるとかその他の休みを引いていきますと、実労働時間というのはかなり千八百時間に近まる、あるいはちょっとそれを下回るぐらいのところに来るかもわかりません。しかし、今お話がありましたように、超過勤務だけでも年間二百五十時間、これに年休の取得率というのも非常にまだ低いわけですから、こういうものを考えていくとまだまだ公務員全体としての労働時間の短縮にはやはり課題が多いと思うのですね。ですから、今人事局長の方でお話がありましたような点についてはひとつこれからも積極的に取り組んでいただきたい、このことを申し上げておきたいと思います。
 そこで、ちょっとこれから法案には外れますが、関連をして幾つかお尋ねをしたいことがございます。
 平成二年の十月に国勢調査が実施をされました。それで、私もこの調査の前に関係団体の皆さん方と何度か総務庁に参りまして、いろいろ意見交換をいたしたことがございます。この国勢調査が終わりまして、今考えてみますと、今回の国勢調査ほどいろいろな多くの問題があり、また同時に話題を提供した国勢調査もなかったのではないか、今そんな感じを持っておるわけです。
 それで、きょうは時間も限られておりますから幾つかの点をお尋ねをして、また機会を見てこの問題についても触れさせてもらいたいと思うのですが、一番最初に、封入提出率の都道府県別の推移状況というのがわかっておったら、まあ封入という言葉は私も初めて聞いたのですが、封筒に用紙を入れて提出するというあの封入だと思いますが、これは恐らく統計局の方でも全国の都道府県の状況というのを、今回、前回あるいはその前含めて状況というのを把握しておられると思いますので、今ここはもう時間がありませんから、後ほどできれば資料としていただきたいと思います。
 そして、ここでは特に、前回に比較をして今回変わってきておる、そういう特徴的な自治体等があれば、二、三例示をして。いただきたいと思います。
○井出政府委員 お答えいたします。
 平成二年の国勢調査の場合の封入提出率でございますが、全国平均で約三%ということで、昭和六十年の一%程度に比べて約三倍ぐらいになっているということでございます。
 それから、都道府県別に見ますと、一番高い封入率でございますが、京都府でございまして、九%程度ということで、昭和六十年に比べまして六ポイントぐらい上がっておる。総じまして関西地方の府県が高いということでございます。ちなみに東京都の場合は五%程度ということで、昭和六十年に比べて三ポイントほどふえておる。一番少ないのは沖縄県でございまして、〇・二%というようなことで、大体の都道府県で昭和六十年に比べて平成二年では封入率が高くなっておるという実態でございます。
○田口委員 私も今回の国勢調査のさまざまな結果等を見て、非常にここに特色があるというふうに思っているわけですね。特に京都の場合には九%、全体的にも今お話ありましたように前回に比べてやはり三倍ぐらいになっているわけですね。これは、国勢調査が始まる前にも、私もさっき申し上げましたように何度か総務庁の方と話し合いをした中で大きな課題として取り上げられた一つの問題だと思うのですが、その原因をどのように理解をしておられるのか、お尋ねをしたいと思うのです。
○井出政府委員 封入提出率の増加についてでございますが、いろいろ地方自治体の方から事情を聴取しておりまして、その結果によりますと、主な原因というのはやはり国民のプライバシー意識の高揚ということが言えるのじゃないかというふうに思います。
 ただ、平成二年の場合、こういうようなプライバシー意識の高揚ということで、私どもで各世帯に配ります調査票の記入の仕方の中に、密封して提出てきますということを明示いたしましたので、昭和六十年に比べて平成二年はそういう意味もありまして若干ふえているというふうに思います。
○田口委員 確かに今言われたようなことも一つの原因がと思うのですが、一番基本的な問題というのが国民のプライバシー意識の高揚。そういう説明をされたとおっしゃっても、それすらまだなかなが理解をしていない方もたくさんいらっしゃると思うのですよ。本当に国民がいわゆる密封をして提出をしてもいいんだというふうに理解をすると、この率というのは物すごく増加していくだろうと私は思いますね。ですから、こういう点について、あれは調査用紙に書いてあったのですか、そういうことができますという説明が。そういうものについてさらに今後改善をしていく必要があるのではないか。もっと国民に広くそのことが理解をできるような方法というものを考えていくべきではないのかと思いますが、そういう点について何かお考えがございますか。
○井出政府委員 先生御承知のように国勢調査は約四千万世帯といいますか調査するわけでございまして、調査票を積み重ねますと富士山の二倍になるというようなことで、実際にすべてが密封されますと、その調査内容を審査して正しいかどうか、こういうのを確認するのが非常な手間になるわけで、地方自治体の方でも大変な作業になるということでございます。ただ、密封しなくちゃ調査員の方に記入内容を見られるのは嫌だ、こういう方に対しては密封という方法も続けていかなくちゃいかぬ。これは逆に余りにも多くなりますといろいろな面で、結果の正確さあるいは集計の迅速性、こういうことが損なわれますので、この辺は地方自治体の方とも十分話しながら、できるだけの改善を考えていきたい、こういうふうに思っておるわけです。
○田口委員 密封の関係は、確かにそれは量がふえてくると事務処理的にも非常にさまざまな障害が出てくるというお考えも率直に現実問題としてあろうかと思うのです。
 ただ、私ども考えますと、では、だからといってなるべく密封、封入提出を少なくするという立場でこれをやりますと、実際に国勢調査の意義がなくなってくる。というのは、これは後からちょっと見解も伺いたいと思うのですが、物すごく不正確だと言うのですよ。それは調査員が言っているわけですから、あるいは指導員が言っているわけですから、信用ができないと。これは後からもちょっと触れますが、例えば調査項目にもよるかもわかりませんね。その設定の仕方にもよるかもわかりません。より個人の、国民のプライバシーを侵害するような調査項目であれば、それに対して国民が調査拒否をする、あるいは密封以外には出さない、あるいは虚偽の申告といいますか、出す、ということになったんでは、これはもう国勢調査そのものの存在価値すら疑われるような状況になってくるわけですから、この辺はひとつ十分検討を加えていく必要があるというふうに思いますので、そのことを一つ申し上げておきたいと思います。
 次に、これまた今回の調査の状況をいろいろお聞きしましたら、調査環境というのが物すごく悪くなっていますね。これも大変心配な問題だと私は思います。その辺はどのように把握していらっしゃるのか、まずお考えを聞きたいと思います。
○井出政府委員 先生御指摘のように、国勢調査の調査環境というのは非常に厳しくなっているというふうに我々も認識しているわけでございますが、いろいろな原因があると思うのですが、私どもは主な原因として特に三つ挙げられるというふうに思っているわけです。
 一つは、単身者世帯それから共働きの世帯あるいはオートロックマンション、こういうのがふえてきているということで、調査員の世帯との面接がなかなか困難になってきているというのが一点だろうと思うのです。
 それから二点目は、先ほども申しましたように国民のプライバシー意識の高まりというようなことで、一部の調査事項について答えたくないというふうな傾向がふえてきておるということでございます。
 それから第三点は、国際化に伴いまして外国人の居住者が増加しておるということで、この調査もなかなか困難になってきておる。
 大きく分けてこの三つが要因じゃないかというふうに考えておる。もちろん、そのほかいろいろあると思いますが、その辺を踏まえまして、我々としてもこれからいろいろ平成七年あるいは平成十二年という国勢調査の企画に際して検討していきたいというふうに思っております。
○田口委員 この調査後、各自治体から実施状況報告が提出をされていますね。各都道府県単位でまとめて、それが総務庁の方に提出をされておると思うのですが、これは全国的な実施状況報告というものは総務庁の方で集約をされていますか。どうなんでしょうか。
○井出政府委員 御承知のように実施状況報告というのが地方公共団体から私どもに来ておるわけで、この内容は国勢調査の実施状況、それから実施上の問題点、意見等を取りまとめてあるわけでございます。
 この平成二年の国勢調査におきます実施状況報告における主な意見をちょっと御紹介いたしますと、調査事項についてでございますが、調査事項を簡略化して記入の軽減を図ってもらいたい、こういう意見が多かった。
 それから調査票についてでございますが、文字等をもっと大きくしてくれ、小さくて読みにくい。特に高齢化社会になっておりますので、小さい字は困る、こういうふうな意見が多かった。
 それから調査員の選考配置についてでございますが、これは二つに意見が分かれておりまして、顔見知りの調査員が望ましい、これが十九件ほどあるわけです。逆に、顔見知りでない調査員がよろしい、望ましい、こういう意見が九件ということで意見が分かれておるわけですが、ここら辺はいろいろそれぞれの地方公共団体と話し合って将来どうするかを決めていかなければいかぬというふうに思っておるわけです。
 それから世帯の協力を得るための方法についてということで、広報活動をより一層充実してもらいたい。これはお金がかかることでございますが、できるだけ広報に力を入れてくれ。
 それから不在のため対応に困った例、こういうことでやはり単身者世帯、学生、こういうところが非常に難しい。
 それから安全対策についてでございますが、現行制度といいますのは、夜間指導員あるいは相互協力、二人の調査員が一緒になって相互に協力してやる、こういう制度をやっておるわけですが、この制度は非常にいいのですが、できれば一調査区に二人の調査員を置いてもらえないか、こういうふうな意見がございます。
 それから最後でございますが、結果の利用状況についてということでの御意見では、地方自治体の長期総合計画あるいは都市計画等々に使うので結果の充実を図ってもらいたい、こういうふうなこと。
 もっといろいろございますが、集約するとこんなところが大きな意見ではないかというふうに思います。
○田口委員 その実施状況報告をちょっと部分的に見ましても、都市部の自治体、郡部と違って都市部の自治体では現在のような調査のやり方では今後継続が困難だ、こういう意見が出ているようなんですね。そういうふうに総務庁としては御理解されていますか。あるいはそれに対してどうお考えになっておられるのか、わかっておればお聞かせをいただきたいと思います。
○井出政府委員 確かに都市部ではオートロックマンションとか共働き世帯とか単身者世帯、こういう方が多いわけでございまして、そういう地域では調査は非常に困難だということは十分承知しておるわけでございます。そういうことで先ほどの封入の割合なども都市部の方で多くなっておるというふうになるのだろうと思いますが、特にそのために私ども総務庁統計局としては、こういうふうな状況を踏まえまして、地方公共団体の意見も十分お聞きして、もちろんまた結果の利用者、ユーザーの方の意見等も十分聞いて、世帯との接触を容易にする方法あるいは調査票提出の方法、こういうことについて十分検討して、次の国勢調査に向かっていろいろと検討していきたいというふうに思っておるわけでございます。
○田口委員 今のことに関連をしまして、大阪府と府下の市町村が合同の研究会を持っておりますね。そこで現行調査の見直し案をまとめておる、こういうことを聞いておるわけですが、そのことを御存じでしょうか、そして国としてはどういう考え方を持っておられるか、そのことをお尋ねいたしたいと思います。
○井出政府委員 大阪府と府下の市町村の研究会があって、その報告書が私どもの方にも提出されております。この報告書は、調査実施者の立場から、特に都市部における国勢調査の実施上の問題点、これを分析しておられるわけでございまして、今後の私どもの国勢調査の計画、実施に当たって非常に参考になるというふうに思っておるわけでございます。そういう結果を踏まえまして、次回調査等については、もちろん地方公共団体によっては意見が違いますので、十分いろいろな地方公共団体の意見を聞きながら、それと同時に、先ほど申しましたように、結果の利用者、こういう人たちの意見も十分に聞いてこれからの計画を検討していきたいというふうに思っております。
    〔委員長退席、井上(喜)委員長代理着席〕
○田口委員 同じように、十大都道府県統計主管課長会議、ここでも調査方法であるとか調査項目、調査員の安全対策なんかの問題で国に対して要望しておるというふうに聞いておるわけですが、この辺についての状況の把握並びに政府の見解というものをお聞かせいただきたいと思っております。
○井出政府委員 先生御指摘のように、十大都道府県主管課長会議というのがございまして、そちらの方から要望書も出ておるわけです。その中の要望書を簡単に取りまとめますと、一つは調査活動についてでございますが、調査方法の見直しや、それからオートロックマンションの管理者でございますね、その協力体制を整えてくれ、こういうふうな意見がございます。それから、調査項目については、先ほどもお話ししましたような調査項目の削減等について御意見が言われております。それから、安全対策についてでございますが、その早急な策定と実施とを要望しておるということでございます。
 三点ほどに絞りましたが、私どもとしては、これらの要望もやはり人口が多い大都市圏を含む地域でございますので、ここら辺の意見も十分理解しておるところでございまして、こういう実態を踏まえまして、やはり先ほどと同じ答えになるわけですが、地方公共団体それぞれのまた御意見を聞き、そして結果の利用者の御意見も聞きながら、平成七年あるいは平成十二年の国勢調査の計画の参考にさせていただきたいというふうに思っておるわけでございます。
○田口委員 それから、別の角度からなんですが、統計結果の利用ということですね。これは確かに法令上の問題は幾つかあると思うのですね。例えば議員の定数を、国勢調査の結果によって算定の基礎とするとか、いろいろ法令上で定められた問題もあるのですが、それ以外に実際に国勢調査というのはどういうふうに活用されておるのか。余りそのことは国民に知らされていないといいますかなかなかわからない。そのことはまた逆に、先ほどからもちょっと出ておりますように、やはりプライバシーの保護の問題にも関係するわけですね。この国勢調査によるさまざまな個人データというのが、公的な機関だけではなくてそのほかにも流れていっているのではないか。今問題になっているいろいろな企業といいますか業種の中で、こういう情報を利用したいろいろなことが行われて、今日プライバシー保護でいろいろな問題が出てくる、こういうまた一つの側面もあるのです。ですから、実際に国勢調査というのが法令で定められている以外に、現実的にはどのような形で利用され、活用されておるかという点についてぜひお伺いをしておきたいと思うのです。
○井出政府委員 初めにお断りしておきますが、個別のデータについては一切利用することはございませんので、統計結果ということでいろいろな利用をしていただくということでプライバシーの侵害にはなってない、こういうふうに私どもは思っておるわけですが、いずれにしてもこの調査結果の利用について、先生御承知のように法令に基づく利用のほかに、政府では各種計画あるいは白書類でいろいろこの国勢調査の結果を使っておる。もちろん地方公共団体でもいろいろな計画あるいは施策の基礎データ、こういうことで使われているわけです。
 ただ、民間を含む調査結果の利用を総合的に把握しているかというと、これは非常に難しいわけでございます。ちょっと数字を申しますと、私どもに統計相談室というものがございまして、その統計相談室でいろいろ統計の相談を、数字を聞いてきたりあるいはいろいろな仕組みを聞いてきたりということで相談をする室がございますが、そこでの平成三年の一年間の国勢調査の結果に関する問い合わせが千八百二十八件という多さでございます。それから、国勢調査の報告書は、もちろん国会図書館を初め都道府県立の図書館あるいは国公立の大学の図書館というのに配布してございますので、そこでの利用というのも、これは不特定多数で利用していますのでなかなか把握が難しい。それから、約千二百部くらい国勢調査の結果が市販されている。これは一般利用者でございます。そういうことで、一般的な民間の利用者に対してどういうふうな利用をしているか、こういう実態把握は非常に困難だ、こう御理解をいただきたいと思うのです。
 ただ、もちろん私ども統計の作成部門としても、その統計がどのように使われているかという実態をできるだけ把握して、結果表あるいは調査票の事項等についてもいろいろ検討を加えるということについては積極的に進めていきたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
○田口委員 次に、指導員と調査員の問題についてちょっと一、二お尋ねをしたいと思います。
 この調査が終わって、自治労の方で調査をいろいろやっているわけで、私のところにもその資料が来ているわけですね。その中で指導員の問題なんですが、先ほど来そういう調査環境の厳しさ、悪化ということもあってか、都市部に行くほど指導員自体が非常に仕事がきつい、こう言っておるわけですね。三〇%ぐらいがきつい、四一%ぐらいがややきついと、この国勢調査の業務に従事する大体七割ぐらいが、これはほとんど自治体職員なんですけれども、そういうことを言っている。本来の業務についても約四割近くの人がやはりこのことによって影響を受けている、こういうことも出てきているわけですね。ですから、今後この指導員の問題について総務庁としてはどう考えておられるのか。
 それからもう一つは、指導員から調査員を見た場合に、調査員としてどうも不適切しやないか、こう指摘をしている人が指導員の中で六〇%ぐらいの人がいるのですよ。なぜ不適切なのかということをまた中身を見ますと、七割ぐらいの人が記入、転記ができていない、こういうことが大きな理由になっているわけですね。あるいは調査の方法がどうもいいかげんだ、これも二三%ぐらいの人が指摘をしているわけですね。
 そこで、調査員といっても大変な仕事だろうと私は思うのですが、この調査員に対する調査業務を行うに当たっての事前の研修、このことがやはり大変大事ではないかというふうに思うのですが、一体そのことが十分に徹底をされておるのかどうか。これは一つの調査結果でも出ているのですが、研修用ビデオというのをやっていますね。ところが、指導員に聞いても、この研修用のビデオをほとんど見ていないと。中には、一七%の指導員が、そういうものが存在をしておることすら知らなかったと言うのですよ。これでは私は、調査員の皆さん方がこのような研修ビデオを見て事前の研修などというのは十分に行われておったということにはならないと思うのですね、指導員においてすらこういう数字が出ているわけですから。この辺の調査員の研修という問題について一体どのように把握をしておられるのか、お尋ねをしたいと思います。
○井出政府委員 指導員と調査員ということで区別してお話しいたしますと、指導員は御承知のように調査員を指導して、それから記入された調査票を審査する、こういうのが指導員でございますが、指導員は原則として民間の方ということになっているわけですが、民間の人を指導する民間の人というのはなかなか難しいということで、多くの場合市町村の職員が指導員になっておるということで、今先生が大変だと言われたのは、その市町村の職員の方だと思うのですが、そういうことで私どもできるだけ民間の人を活用して指導員も充ててもらいたい、こういうふうに考えておるわけですが、なかなか言うはやすく行いがたいということで、かなりの割合が市町村の職員が指導員になっておる、これが実態でございます。私どもとしてはできるだけ民間の方を活用して、指導員の場合も特に審査業務などは民間の方にやっていただければいいんじゃないか、こういうように思っておるわけですが、この辺はまた地方公共団体の方とその指導員の役割ということを十分検討して、よりよい方法を考えていきたい、こういうふうに思うわけでございます。
 それから調査員の研修の件でございますが、平成二年のとき調査員の研修をするための研修用ビデオというのをつくったわけですが、存在すら知らなかったということだと非常に困るわけですが、見て、批評を賜って、こういうことを直したらいいんじゃないか、こう指摘していただければありがたいわけですが、いずれにしろ、この存在なり、あるいはさらにわかりやすいビデオというのをつくるように心がけたいというふうに思うのです。
 ただ、調査員の方の転記でございますか、転記が余りやってないとかあるいはいいかげんだ、こういう御指摘でございますが、もちろん七十万以上の人が調査員でございますので、中にはそういう方がおられるかもしれませんが、私どもとしましては、正確あるいは円滑に調査を実施するためある資格要件を決めて、それに合う資格の人を調査員として市町村の方から推薦をしていただいて総務庁長官名でお願いする、委嘱する、こういう形になっておるわけで、そういう方をできるだけ募集なりお願いして推薦していただきたい、こういうふうになっておるわけです。
 そういう方々にもちろん研修をやるわけでございますが、研修方法についても細かく、私どもの方は市町村の事務要領ということで、こういうことに気をつけてくれとかこういうことを中心に話してもらいたい、きめ細かい指導をしておるわけでございます。市町村から調査員の方々に研修をしていただく、そのときにできればビデオなども使って、こういう仕組みになっておるわけですが、それがうまくいっていないというのは非常に残念だと思うのでありますが、それはあくまでも我々の机上の論理じゃなくて実際の実行上の問題でございますから、その辺についても市町村あるいは都道府県の方と十分打ち合わせしまして、調査員の募集あるいは調査員の研修、こういうことについてのやり方についていろいろ検討して改善を加えていきたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
○田口委員 今のお答えの中で、指導員についてはできるだけ民間の方にお願いをしたい、そういう願望を持っていらっしゃるんだろうと思いますけれども、現実にはそういうことができないから、ほとんどが市町村の職員で今やっているというのが現状なんでしょう。他に職を持っておられる民間の方々にこの指導員という、これは大変な業務ですね。特に調査環境がますます悪化をして、ワンルームマンションだとかオートロックマンションなどで、本当に夜討ち朝駆けをして、これは調査員もそうなんですが、何回も行かなければいかぬというようなことになると、これはやはりそうは簡単にはいかないと思うのですね。そして調査員自体もなかなか今募集困難だろうと思います、こういう時期で状況がますます厳しいということになれば。だからその辺は、指導員なりあるいは調査員の募集、今申し上げました研修も含めて、十分にこの点についてはこれからも配慮をしていかないと、国勢調査そのものがもう成り立たないのじゃないかというようなことになってはこれは大変なことだと思うのですね。
 そこで、手当の問題については余り意見は出ていませんか。お聞きをしたいと思うのですが。
○井出政府委員 どの調査でも手当は少ない、こう言われていますので、それは多いにこしたことはないのでございますが、やはりそれなりの予算というのがございますので、それは多いにこしたことないと私どもも思っていますが、その辺は御理解いただきたいというふうに思います。
○田口委員 それでは、今度の平成二年の国勢調査で大変不幸な出来事がございましたね。いわゆる広島市で調査員の方が殺人事件に遭ったということです。これは当然公務災害で処理をされたというふうに私どもも聞いておるわけですが、過去にこの国勢調査で公務災害の適用になったケースというのはございますか。あったら教えていただきたいと思います。
○井出政府委員 国勢調査の指導員それから調査員、民間の方でございますので、この方々の災害状況と申しますか、これが平成二年の場合だと全部で百六十八件ございました。その中で大きい割合といいますか数が多いというのは、階段から転落したとかあるいは路上で転倒したとかあるいは犬にかまれるというケース、それから交通事故ということで、こういう人たちに対しては、すべて所定の審査をやって、公務災害ということで、現在もまだやっているのもあると思いますが、措置するようにしてございます。
 いずれにしても、調査員の方はプロでございませんので、特に国勢調査の調査員の方は一時的に調査をやるということで、御承知のように、家計調査とか労働力調査、こういうふうな経常調査の調査員の方はどちらかというとプロといいますか調査員のプロということでございまして、国勢調査の場合は数が多いわけでございまして、なかなかなれてないというようなことで、突然犬が出てきてかむとかあるいは路上で滑って転ぶとか、こういうことが多いと思います。特に交通事故などはだんだんふえてくるというような傾向でございますので、この辺も踏まえまして調査員の安全対策、こういうことについては十分配慮していきたいというふうに思っておるわけでございます。
○田口委員 今の広島の事件に関連をして、広島地裁の判決ではこういう内容があるのです。「所轄行政官庁の安易かつ不十分な指導監督体制」、こういう指摘が判決の中でされているわけです。これについては、一体総務庁としてはどのようにこれを受けとめておられますか。
○井出政府委員 まず初めに、平成二年の国勢調査においていわゆる夜間指導員という新たな仕組みを入れまして、調査員の安全対策に十分配慮したわけでございますが、不幸にして今回のような事件が起きたということはまことに遺憾に思っておるわけでございます。
 この事件を踏まえまして、私ども、裁判所の方で「安易かつ不十分な指導」と言われておるわけですが、私どもとしては十分指導したつもりでございますが、別にこれを反論するわけじゃございませんで、この事件を契機にしまして安全対策ということに力を注いでいきたい。特に、経常調査もやっておりますので、いっそういう問題が起きるかわかりません。そういうことで、調査員の安全対策マニュアルという手引書をつくったり、あるいは都道府県職員に対しまして調査員の安全対策の講習会ということを行ったりして、いろいろ安全対策については今鋭意努力しているわけでございます。
 特に、今度の平成七年の国勢調査となりますと、先ほどもちょっと申しましたように、余りなれてない調査員の方がたくさん仕事につくということでございますので、できるだけ一番最前線で働いておられる調査員の安全というのが一番大事だというふうに思いますので、この調査員をいろいろ指導されております市町村の意見あるいは都道府県の意見を踏まえまして、この調査員の安全対策ということについては十二分に配慮して平成七年の国勢調査の計画を立てていきたい、こういうふうに思っております。
○田口委員 間もなく時間も参りますので、冒頭に申し上げましたように、平成二年の国勢調査に当たっては、いろいろな団体、これは行政機関、自治体ももちろんでありますけれども、さまざまな問題意識を持って、私も何回か総務庁にも参りまして意見交換もやりまして、あるいは今度の結果を見て、さまざまな調査の集約の中からいろいろな意見が出てきておるわけですね。そういったものは今後とも統計局の方では十分に受け入れて、よりよい方向に持っていくためにぜひひとつ努力をしていただきたい、こう思います。
 若干時間が残りますが、私は最後に大臣に決意をお尋ねしたいと思います。
 私は、国勢調査は我が国の人口の実態を把握し、各種行政施策の基礎資料を得ることを目的とする最も基本的な調査であるというふうに思っておりますし、特に平成二年の国勢調査は、今日の日本における人口の実態あるいは産業、職業構成の変化、人口移動、通勤通学の実態、外国人居住者の実態などを明らかにする、こういうことで国内的にも国際的にも極めて大きな意義を持っておったというふうに思っているわけです。しかし、私が今ずっと幾つか質問の中で申し上げてまいりましたように、国勢調査を取り巻く調査環境というのは年々厳しくなってきているわけですね。このままいった場合に、国勢調査本来の果たすべき役割なり機能というものが果たしてそのまま維持できるのだろうか、こういう心配も実はするわけであります。
 今も話ありましたように、平成七年には実施されるわけですから、もうあと三年半しか準備の期間もないわけですね。したがって私は、今後この二十一世紀の新しい時代に迎えられる国勢調査、こういうものになるような抜本的な見直しであるとか条件整備、こういうものを図っていく必要があるであろうというふうに考えておるわけでありますが、そのあたりについての大臣の決意といいますか御所見を承りたいと思います。
○岩崎国務大臣 今先生とのやりとりを拝聴いたしておったわけでございますが、実は私も二十代の半ばごろに国勢調査の調査員として調査をいたした経験がございます。そんなことを思い出しながらお話を伺い、とにかく調査の内容と申しますか項目にも問題があるだろう、あるいは調査客体が経済社会情勢の変化に応じまして大変多様化しておる、そういったことに対してどう対応すべきなのか、また人口の過密地域、過疎地域、ここでも調査のやり方が全く違うような今日の状況である、さらに調査員の安全対策、調査活動、調査した結果の活用等についても個人のプライバシーとのかかわり、いろいろな問題について拝聴をいたしたわけでございます。
 次の国調が平成七年でございますけれども、これからの国勢調査の実施に当たりましては、まず調査員の安全の確保、これを基盤にしながら、調査環境の変化に応じて円滑に調査が実施できまするよう調査の方法を十分工夫をすることが重要であろう、このように考えております。
 それから、そのためには、平成七年の国調実施に向けまして、今までよりは一年早く試験調査を行ってまいりたい、そして準備に万全を期しまするとともに、調査に当たる地方自治体の意見も聴取しながら十分な検討を行って、ただいま御指摘のございましたもろもろの問題を検討して平成七年の国調に臨んでまいりたい、このように考えております。
○田口委員 以上で終わります。ありがとうございました。
○井上(喜)委員長代理 次に、山田英介君。
○山田委員 まず、この法律案が提出されるまでの経過につきましてお尋ねをしたいと思います。
 昨年の八月七日に人事院から勧告がなされまして、今月の十八日、国会に提出をされた。七カ月要しているわけでありますが、その間、総務庁長官も、平成四年度のなるべく早い時期に実施をしたい、そのように決意を表明されておられた。長いといえば長い、妥当な提出までの期間といえば期間と言えるかもしれません。その間の事情について御説明を伺いたいと思います。
○山田政府委員 昨年の八月の人事院勧告を受けまして、政府としては直ちにその取り扱いの検討に着手したのでありますが、交代制等職員の週四十時間勤務制の試行の結果を見きわめる必要があったということが一点、それから国民の理解を得ながら完全週休二日制を実施していく観点から国民世論や各界の意見をお聞きする必要があった、こういうことから検討に時間がかかりまして、方針の閣議決定をするまでに約四カ月かかりまして、昨年の十二月末に方針の閣議決定をしたわけでございます。
 その後直ちに法案作成作業に取り組んだところでございますけれども、この問題はすべての省庁にまたがる作業でございまして、十分な協議、調整が必要であったこと、また国の行政機関だけでなく裁判所及び地方公共団体について調整を行いながら作業を進める必要があったことなどによりまして、法案提出までにその後約三カ月を要したということでございます。
○山田委員 実施時期につきまして私からも重ねてお尋ねをしたいと思いますが、この法案を見ますと、公布の日から起算して六月以内の政令で定める日、こうなっております。実施日が明確にされていないわけですね。前回の質疑のときの答弁から推察をいたしますと、公務員の完全週休二日制に踏み切れない、なかなか難しい、そういう理由の一つとして、交代制勤務職員の勤務体制などにつきまして問題がありなかなか踏み切れなかった、こういう御事情もあったのではないかと思うわけでございます。
 しかしその後、関係省庁の御努力がございまして、例えば国立病院・療養所の関係で見れば、全国の一割に当たる二十五の施設ですべての土曜日の外来というものを休診とする試行が行われた。さらにことしの一月からは、試行の対象施設二百五十すべての国立病院。療養所に試行が拡大をされた。しかも、今回の法案が成立し実施に移されるまでこの試行は続ける。ですから、現実に国立病院とか療養所というのはまさに完全週休二日制というものを実施しているわけでございます。
 ですから、六月を超えない期間、六カ月以内とされているわけでありますが、国民に対する周知徹底期間を考慮いたしましても、二カ月もあれば、あるいは考え方によれば、既に昭和六十四年の一月一日から始まっている行政機関の土曜閉庁、これが実施されてもう三年が経過しておるということからすれば、ある意味では国民への広報というのもかなり浸透をしているのではないか。そうすると、二カ月と言わず一カ月でもいいのではないか、こう私も考えるわけでございます。
 先ほど田口委員の質問に答えられて長官からは、国会や裁判所と協議を調えて決めなければなりませんから、現時点で何月のいつごろから、何日ごろからということは言えない、ただ御決意としては、努力をいたします、最大限努力をする、こういう御答弁だったかと思うわけですが、もうちょっと踏み込んでいただいて、長官、御答弁いただけないでしょうか。
○岩崎国務大臣 先ほどの田口委員に対するお答えの繰り返しになろうかと思いますけれども、昨年八月に人事院の勧告を受けまして、その導入について検討に入りました。その検討の内容は、先生から御指摘がございましたように、交代制等職員の勤務、この週四十時間制の試行について行ったわけでございます。その結果、問題はなかった、このようにも聞いております。そして今日も引き続き行われておる。そういうことのために、十二月に閣議決定するまで四カ月という歳月を要してしまったわけでございます。それを受けて閣議決定をし、今法案を国会で御審議をいただいておるわけでございますが、まさに、この法案が成立をいたしましてから、広報の準備期間とかあるいは国民への周知徹底とか、さらには裁判所、地方公務員との調整とかいろいろな問題等がございますので、現在の段階におきましては、確たることを残念ながら申し上げる状況にはございません。
 ただ、総務庁といたしましては、同じ繰り返しの御答弁になって恐縮でございますが、平成四年のできるだけ早い時期に実施をする、そうした方向に向かって最善の努力をいたしてまいりたい、かように考えております。
○山田委員 多くの公務員の方々が大きな関心を持ち、また大きな期待を持たれているこの完全週休二日制でございますので、ぜひ精力的な早期実施に向けての御努力を私からもお願いを申し上げておきたいと思います。
 それから次に、労働時間の短縮に関連して伺いたいのでございますが、申し上げるまでもありませんけれども、一月に行われた総理の施政方針演説を伺いましても、労働時間短縮の必要性に触れておられるわけでございますが、「内政の最重要課題として、「生活大国への前進」」、こう掲げまして、そのための具体的な方策として、労働時間、通勤時間、これらの短縮によるゆとりある生活を実現させよう、ぜひこれは達成しなければならない国民的な課題である、こう総理もおっしゃっておる。完全週休二日制の普及促進とか所定外労働時間の削減、これらを推進していくということはもう非常に結構なことでありまして、国内問題にとどまらず、欧米諸国と比べまして我が国の労働時間というのが二百時間から五百時間ほど長い、こういう状況にあるわけでございます。したがって、この労働時間の実態とか経済構造の調整問題、国際的にも調和ある経済の発展を図るという観点からも、繰り返して申し上げますが、極めて緊急の課題である。
 ところで、民間における時短につきましては法的措置がとられている。昭和六十二年九月に労働基準法が改正されておるわけでございます。明確に週の労働時間を四十時間、こうされたわけでございます。
 今度は、公務員の場合には給与法第十四条の問題があるわけでございますね。ですから、ここを今回触れておられないわけでございますが、やはり情勢適応の原則と申しますか、民間において労働基準法がそのように改正されておるわけでありますから、給与法第十四条に規定されている勤務時間もやはり四十時間、こう改正すべきではないのかなと私は考えますが、いかがでございましょうか。
○山崎政府委員 勤務時間あるいは休暇の問題につきましては、職員の勤務条件として非常に重要性が高まってきております。そういうことにかんがみまして、勤務時間の法制につきまして今後体系的に整備していく必要があると考えて、検討を進めておるところでございます。
 御提案の週四十時間制を法律上明確にするかどうかということにつきましても、その中で検討を進めていきたいと思っております。
○山田委員 近い将来に給与法第十四条の改正があり得る、こう理解してよろしいのですか。
○山崎政府委員 現在、給与法の中に勤務時間法制が二条なり三条入っておりますけれども、そういう中の問題としてとらえるのか、あるいは、いわば給与法に間借りした形になっております勤務時間が、その重要性にかんがみまして、また別の形で勤務時間法制あるいは休暇を取り込んだ形のものがあるかどうか、そういうことも含めて検討しておりまして、検討に着手したばかりですので、いつまでということは今申し上げられる段階ではございませんけれども、そういう中で検討を進めていきたいと思っております。
○山田委員 昨年、平成三年から三日間の夏季休暇制度が創設をされた。簡単で結構でございますが、この制度創設の目的につきまして、一言ちょっと御説明いただきたいと思います。
○山崎政府委員 民間におきましてもかなり高い普及率になっておりまして、盆等の諸行事や夏季の休養等のための休暇という形で定着しております。そういう状況等も総合的に勘案いたしまして、公務員につきましても、夏季における家庭手活の充実と心身のリフレッシュを図るという観点から夏季休暇を新設したものでございます。
○山田委員 三日間とされたのは、どういうことで三日間とされたんでしょうか。
○山崎政府委員 民間の場合、夏季休暇は、独自の夏季休暇としている場合と、いわゆる通称夏季休暇で、年次有給休暇を有効活用といいますか夏季に集中して使ったものを夏季休暇と称しておる場合もあります。そういう意味で、夏季休暇と年次休暇の境界線といいますか、必ずしも定かでない面があります。そういう意味で、全体的な民間における夏季休暇あるいは年次休暇の状況を一方で総合的に見まして、一方で公務におきます年次休暇の日数あるいはそういうものを総合的に見まして、三日ということにしたわけでございます。
○山田委員 そういたしますと、このいわゆる夏季休暇におけるいわば官民格差というのは、三日間昨年創設したことによって基本的にない、こういう御判断なんでしょうか。
○山崎政府委員 今申し上げましたように、年次有給休暇を含めて総合的に官民の比較考量といいますか、そういうものを見てバランスのとれた形で設定したものというふうに理解しております。
○山田委員 そうしますと、将来、収入の増加より労働時間の短縮を、特段に年代が若くなればなるほどそちらに価値観を強く置くといいますか希望されておるというような、これはまさに総務庁の世論調査等でも出ているわけでございますが、民間においても、いわゆる夏季休暇というのはさらに日数がふやされていく傾向になろうかと思います。仮にそうなった場合には、公務員の夏季休暇制度、三日間というのを例えば五日間にするとか六日間にするということは当然考えられることだと思うのですが、その辺はいかがでございましょうか。
○山崎政府委員 現時点では、昨年からスタートしたばかりですので、その定着を見守るということでございますけれども、御指摘のように、今後民間におきましてその動向について大きな変化が見られるというようなことになりますと、こちらとしても対応を検討していくということになろうかと思います。
○山田委員 ちょっと個人的なという感じもいたしますので失礼かどば思いますが、人事院総裁それから総務庁の人事局長、昨年の三日間の夏季休暇制度はみずからおとりになられましたかどうか、仮におとりになっていないとすればどんな御事情がございましたのですか、よろしかったらお聞かせをいただきたいと思いますし、もう一つは、一般職の公務員の夏季休暇の取得状況について把握をされておられましたらお示しをいただきたいと思います。
○弥富政府委員 昨年、夏季休暇についての人事院勧告を提出させていただきました当事者でございますので、私は一般職の職員に準じまして十分に夏季休暇をとらせていただいた次第でございます。
○山田政府委員 私ごとで恐縮ですが、昨年は八月十二日から十四日まで三日間夏季休暇をとらせていただきました。
 それから、一般職の公務員につきまして夏季休暇の取得状況を見ますと、三日間取得した人が約九四%、二日間取得した人が二%ということでございまして、一日もとらなかった人が三・六%ほどございます。これを平均いたしますと三日間のうち二・九日取得されておる、こういう結果になろうかと思います。
    〔井上(喜)委員長代理退席、委員長着席〕
○山田委員 かなり取得をされておられるというか、そういう数字でございますが、しかし現実にはまだ取得をされてない方も幾らかおられるようであります。この夏季休暇制度並びに年次休暇、時短を促進するという観点からもぜひひとつ御努力をいただきたい、かように存じます。
 それから、ちょっと御提案を申し上げたいわけでございますが、労働時間の短縮ということに関連して、公務員の方で、例えば二十年とか、その年限をどう区切るかは別といたしまして、長期に勤続をされた職員の方々に対して特別休暇というのを設けたらどうなのか。現在はないのだろうと思いますが、これは総務庁、あるいは人事院になりますか、長期勤続の職員に対する特別休暇の創設を御提案申し上げたいと思いますが、既に御検討されておられますのでしょうか、あるいはもし検討されてないとすればいかがでございましょうか。
○山崎政府委員 そのような休暇を民間で導入する企業がふえておるということは承知しておりますが、具体的な検討に入っているという段階ではございません。民間の導入企業、現在一五%ぐらいの企業で導入をしておるというような状況もございます。ただ、今後このような休暇がふえてくるということも予想されますので、その動向の把握に十分努めていきたいと思っております。
○山田委員 学校教育で文部省は、本年九月から第二土曜日を毎月お休みとする、そのための通達、通知を出して、いよいよ我が国においても、既にそういうシステムを導入している先進諸国並みとはいかないまでも、その制度化に踏み切るという、これは画期的な教育制度の改正ではないか、こう私は認識をいたしております。
 申し上げたいことは、教職員に対する週休二日制の問題です。現在、教職員の週休二日制というのは、一般の公務員のような土曜閉庁による四週六休という形ではなくて、いわば生徒に合わせた形で運用されておる。今回の法改正による完全週休二日制の実施後にあっても、去年の十二月二十七日の閣議決定、「国立大学附属学校については、当面、閉庁の対象とせず、学校週五日制の検討結果を踏まえて対処する。」こうされております。同じ国家公務員でありながら、教職員だけではない、交代制等勤務職員についてもこれは同様のことが言えるわけでありますけれども、職種によって法改正の恩恵を受けることができないというようなことでありましたならば職員の皆さんの士気にも大きな影響を与えるであろう。この教職員に対する完全週休二日制の実施について改めて私からもお尋ねをしておきたいと思います。どのような方法で対処されるのでしょうか。
○山田政府委員 交代制等職員につきましては、同一に休むということはできないわけでございまして、原則的にといいますか、できる限り四週間について八日の割合で勤務を要しない日を設けるという形で、極力一般の職員と均衡がとれるようにするようにしたいと思っております。
 学校の先生の場合につきましては、今お話ありましたように、来年度の二学期からは月に一度は土曜日が休みになるわけでございますけれども、現在に比べてあと土曜一回分だけ一般の職員に比べて休みが少なくなるわけでございまして、その分につきましては夏休み等にまとめどりする形で、年間を通じてみれば他の職員と均衡がとれるように文部省の方でいろいろ検討しておられるというふうに聞いております。
○山田委員 最後の質問になるかと思いますが、人事院の昨年の週休二日制の報告の中で、経済社会や生活構造などの変化に応じた勤務時間、休暇制度のあり方について引き続き検討する、こう記されてございます。特に、交代で事務を行うことが必要な官署、国立病院等の病棟部門あるいは航空管制などの官署、地方の出入国管理局、こういう職員の方々の完全週休二日制の問題につきまして、交代制職員の方々は土曜、日曜に出勤をする、その方以外の家族の方々はお休み、こういうことになるわけです。ゆとりのある生活大国というふうに考えた場合に、例えばその一家の御主人が土日勤務、その他の御家族がお休み、一緒に土日が過ごせないというようなことになるわけでございまして、人事院は、休暇制度とか勤務の体制とか引き続き検討をするということでありますので、このような土日に出勤をなさる職員の方々に対する勤務体制または処遇の見直しというのが当然今後必要になってくるというふうに考えますけれども、政府のお考えを伺いまして質問を終わりたいと思います。
○山田政府委員 交代制で勤務する職員につきましては、確かに土日に休めない場合が多いということでございまして、家族との団らんという観点からいいますと、一般の土曜、日曜が閉庁になる職場の職員に比べて、そういった点でゆとりのある生活大国と言えないのではないかという御指摘はそのとおりだと思いますけれども、現在は四週六休制ということで、四週間につき六日の割合で休みがあるわけでございまして、それに対しまして、今後は四週間につき八日の割合で休みがあるということで、それが土日と重なる確率もふえるわけでございまして、そういったわけで、いささかでもゆとりのある生活大国に向けて前進することになるのではないかというふうに思います。
 処遇の問題につきましては、これは人事院の方でいろいろ見直しかございまして、もし勧告などございましたときには、政府としても誠意を持ってそれに対応していきたいというふうに考えております。
○山田委員 終わります。ありがとうございました。
○桜井委員長 次に、三浦久君。
○三浦委員 まず、総務庁長官にお尋ねをいたします。
 国家公務員の完全週休二日制を早期に実現することは、公務労働者とその家族の切実な要求であり、我が国全体の労働時間の短縮にとって大きな前進でもあります。本法案の成立に当たっては、その一日も早い施行によって早期に実施するように改めて要求をいたしたいというふうに思います。
 さて、政府は、昨年の十二月二十七日の閣議決定の中で、「完全週休二日制の導入に当たっての留意点」として、「行政サービスを極力低下させない」、また「超過勤務時間についても短縮に努める。」と述べています。これは、労働時間の短縮という本法の趣旨からいっても、公務労働の性格からいっても、当然実行しなければならない大事な点だと私は思っております。しかし、その実行のためには予算と定員の増大が不可欠でありますが、閣議決定の中には、同時に、「現行の予算・定員の範囲内で実施する。」こういうふうに言っているわけですね。果たしてそれで、行政サービスの低下をもたらさないとか、また超過労働時間の短縮などができるのかどうか、私は大変疑問に思っております。特に交代勤務制職場では、これは非常に困難であろうというふうに考えております。そこで、総務庁長官の所見を伺いたいというふうに思います。
○山田政府委員 公務員の勤務時間の短縮に関しまして、まず一つは、行政改革に対する国民的な要請が強いということがございます。それと、民間企業におきましては、労働時間の短縮というものが非常に厳しい合理化努力の結果であるということもございまして、総務庁におきましても各界の御意見などを伺っておりますけれども、公務員の完全週休二日制には賛成であるけれども、それは定員とか予算をふやすことなく、公務能率の向上によって実現すべきであるという御意見もたくさんいただいております。
 そういったことで、従来から、四週五休制、四週六休制も含めてそうでございますけれども、事務処理方法の改善、人員配置の見直し等、事務処理体制の整備を行うというようなことによりまして公務能率を向上し、これによって、予算、定員の増を行うことなく、またあわせて行政サービスも極力低下させないような工夫をしながら勤務時間の短縮を進める、こういう方針をとってきております。また、当然のことでございますが、週休がふえることによって超過勤務がふえたのでは何にもならないということで、あわせて超過勤務の短縮にも引き続き努力するということも閣議で留意点として決めておるわけでございます。
 今仰せのように、特に交代制等職員の場合には一週間の勤務時間が減っていくわけでございますので、現在の予算、定員の範囲内でできるかどうかということが大変問題でございまして、そういったことからこれまでも週休二日制を進めるに際しまして必ず試行ということで、実際に現在の処理体制を見直して、現行の予算、定員の範囲内て行えるかどうか、その場台にどういう支障があるか、どういう対応策があるか、行政サービスを低下させないための工夫としてどういうことが可能であるか、そういうことを何カ月か何年かにわたって試しに行ってまいりました。その結果、十分やっていけるという見込みのもとに閣議決定をして実施に入ったわけでございます。
 そういったことで、今回の完全週休二日制の導入に当たりましても、従来と同じような考え方に従いまして、予算、定員の範囲内で、超過勤務の短縮にも努めながら、完全週休二日制を実施するという方針を決定しておるところでございます。
○三浦委員 方針はいいんですけれども、私はなかなか困難だということを申し上げておきたいんです。
 厚生省にちょっとお尋ねいたしますけれども、国立病院・療養所における完全週休二日制の試行を昨年の九月二十九日から二十五施設で先行実施いたしましたね。今全部、ことしの一月十九日から残りの二百二十五施設、これについての試行を実施しているわけですけれども、先行実施の結果についてもう報告があっていると思います。この中で、完全週休二日制の実施の中止、中断に至る事態はなかったというふうに報告しているようでありますけれども、現場では超過勤務がふえたとか患者へのサービスが低下したとか、そういうような事例が多々あったというふうに報告をされているのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○田中(健)政府委員 お尋ねの国立病院あるいは療養所の週四十時間制の試行についてでございますけれども、私どもはまず土曜日の外来診療を原則として休診とするということを前提といたしまして、今先生お話がございましたように、全施設の一割でございます二十五施設につきましては昨年の九月二十九日から十二月二十一日まで十二週間でございます。それから残りの二百二十五の施設につきましては、ことしの一月十九日から三月十四日までの八週間、それぞれ実施をいたしたところでございます。
 それで、このうちの試行結果を取りまとめました先行の二十五施設につきましては、結論から申しますと、今先生お話がございましたように、その試行期間中、試行の中断または打ち切りに至るような事態は生じなかったわけでございますけれども、全般の状況を申し上げますと、まず従来土曜日に行っておりました検査機器等のメンテナンスあるいは手術室の清掃でございますが、これを平日に行うこととしたために平日の業務量が増大をいたしまして、全般的に見まして業務が従前より過重の状況が見受けられるという点がございます。
 それから医療職(三)、これは看護婦さんでございますが、医療職(三)等省力化になじみにくい職種につきましては、これは実質的な要員の減になるわけでございまして、まず重症心身障害児の病棟におきます患者の食事の介助、あるいはおむつの交換に要する時間が増大をしております。
 それから、お話にございました年次休暇の取得でございますけれども、これも若干困難になっております。あるいは突発的に休暇者が出た場合、代替者の確保等が難しくなった、こういう状況、以上のような状況が間々見られております。
 いずれにいたしましても、試行期間中、試行の中断あるいは打ち切りに至るような公務に支障を来す事態は生じなかったわけでございまして、この点も踏まえまして、現在二百五十の施設につきまして当初の試行期間が全部終わったわけでございますけれども、その試行期間後も本格実施の前日まで引き続き試行を継続しているという状況でございます。
○三浦委員 私の調査でもいろいろな問題点が明らかになっています。
 超過勤務の問題について言えば、例えば福岡のある国立病院ですけれども、看護婦の八八%が現在月九日以上の夜勤をとっているのです。二・八体制がまだとられてないんです。それからまた、超過勤務も多くて、週四十時間制の試行が実施される前でも、ある病棟では一人平均で月に二十八・五時間も超過勤務があったわけです。結局看護婦さんの定員の少ないことが原因なんですけれども、そういう実態を全く変えない中で休日をふやすというその結果、夜勤勤務者は減らすわけにいかない、絶対に確保していかなきゃならない、そうすると結局日勤者、これが減少する結果になります。ですから、そのために一人当たりの業務量が増加をするとか、例えばそういうふえた事務量の処理に追われて患者の介護に手が行き届かないとか、今あなたがおっしゃったとおり。それからまた超過勤務がその分増加するとか、また今あなたがおっしゃったとおりに年休がとりにくくなるとか、こういうような事態が生まれているのです。
 また、行政サービスの問題でも非常にはっきりしています。例えば、土曜に外来を休診した、そのために家庭とか職場の事情でもって土曜日にしか外来として来れないというような人々は通院できないということで、患者さんから不満が出ているというようなことがあります。それから、リハビリの訓練で連続して受けないと効果が上がらない患者さん、これは通院の方ですけれども、そういう人々は二日以上間を置くとリハビリの効果が後戻りしてしまうというような不満も聞いております。また、当然外来は土日が休みになるわけですから、月曜日、金曜日に非常に混雑します。したがって、患者の待ち時間がこれまで以上に長くなる。そういうさまざまな数え上げたら切りがないくらいのいろいろな問題があります。もう時間が終了しましたということですから、私はその点を指摘しておきたいと思うのです。
 総務庁長官に私は要望いたしたいと思いますけれども、現場でのこういう実態、これはやはり詳細に把握していただきまして、閣議決定で言っている行政サービスの低下を来さないとか超過勤務をこれ以上やらないとか、それを実現するためには、どうしたって今の定員というものをふやさない限りは手品師じゃないからできないんですよ。この点を腹に据えてこれから週休二日制を実のあるものにしていただくように、このことを心から訴えて質問を終わりたいと思います。
○桜井委員長 御苦労さまでした。
 次に、和田一仁君。
○和田(一)委員 私も大変時間が短いので、まとめて御質問させていただきたいと思います。
 大臣、私は最近日本語というものも大変国際的になってきたなと感じております。過労死であるとか神風であるとか、こういう言葉はもうそのまま、翻訳でなくカローシ、カミカゼというような形で外国で使われている、こういうふうに聞いております。私は、日本人の仕事熱心、勤勉性というものは国際的にも大変広く認識されているんじゃないか、ただそれが働きバチであるとか働きアリであるとか、私たちにとって特性の一つだと誇っているものがそういう見方もされているな、こんなふうにも感じております。同時に、競争社会がどんどん激化していく中で、ますます忙しい毎日を忙しい忙しいと言いながら送っておるわけでございまして、会社や組織の中で生産第一であるとか会社第一であるとか、こういう中で頑張っていって、加えて最近の人手不足、こういうものの中で働きづめに働いたあげく若い人がぼっくり逝っちゃったという例がよくあるわけですね。これがいわゆる過労死、外国にもそのままの言葉で通用するような現象になってきている。まさに馬車馬のように働いて終わっちゃった、こういうことじゃないかと思うのですね。
 競馬馬というのは走るべくつくられて、非常によく走ります。が、しかし、競馬馬を追い馬場の中に入れて外で追った限りは、それは走ることは走りますけれども死ぬまでは走りません。必ず自分でやめます。しかし、上に人が乗っかってむちを入れ続けると走りながら死ぬとまで言われるくらいに、そういうことがあるようなんで、私はまさに、馬ではありませんけれども、現代日本の社会の中に過労死などという言葉が出てきているということは非常に考えるべきことだな、こんなふうに思ってきょうの質問をさせていただきたいと思っております。少なくもそういうことを私ども言われて、美徳とされていた勤勉性も少し度が過ぎてくれば外からのいろいろな声も聞こえてきますし、また国内から我々自身も反省を始めなければいけない、こういう時代ではないかと思うのです。
 そこで、労働時間の短縮について、これはまさに労働運動としても重要な課題の一つだ。今の春闘の中にもこれは一つの大きな柱として位置づけられておるわけでございまして、きょう審議されております国家公務員の完全週休二日制の実施、これが公務員の勤務条件の改善ということはもちろんでありますけれども、それだけではなくて国民全体が願っているところのゆとりある生活への第一歩になるのではないかと私は位置づけておりまして、これは政府が言う生活大国へのためにも必要なことだ、こう考えておるのです。
 こういう前提の中で二、三御質問をしてまいりたいと思いますが、時間が非常に短いのでまとめて最初にお尋ねしますので、ひとつ簡便にお答えいただきたいと思います。
 一つは、この完全週休二日制が実施をされるとなりましたら、それがもたらす波及効果、こういうものを考えていかなければいけないと思うわけですが、これが民間にどういう波及効果を及ぼしていくか、同時に経済へ、景気へどういう効果、影響があるか、この点についてお尋ねをしていきたいと思います。
 まず労働省に、民間の労働時間の短縮についてどういうような取り組みを既にしておられるかどうか、これが一つ。
 それから中小企業庁に、中小企業の業界はこの時間短縮についてどういう認識を持っており、どういうふうに対処していきたいと考えているか、それに対してどんな施策を講じているか、これについてお答えをいただきたい。
 それから三つ目には、経企庁来ていると思うのですが、完全週休二日制、さらに国全体としても時短が進んでいく、こういうことの中で経済への影響、これはどういうふうにお考えか。恐らく労働力の投入の時間が短くなる分を何とか省力化しよう、そういう努力も経済界は行われるでしょうし、生産性の向上ということについてもいろいろな工夫をされるでしょうし、同時に、時間的にゆとりのできた国民がどういう生活スタイルを求めていくか、そういうことから、これが経済へ及ぼす影響について、それぞれの省庁から順次お答えをいただきたいと思います。
○鈴木説明員 お答えを申し上げます。
 労働時間短縮の問題につきましては、政府としても非常に重要な課題ということで、従来から、完全週休二日の促進、それから年休の完全取得、所定外労働時間の削減ということを大きな柱として取り組んでまいりました。ただ、残念ながら、千八百時間程度という目標の達成につきましては、現状ではなかなか難しい面もあり、そういったことから決意を新たに対策を講じていこうというふうに考えております。
 とりわけ中小企業につきましては、経営基盤の脆弱性の問題あるいは取引関係の問題、同業他社との関係、そういったこともありまして、なかなか時短が進めにくい環境もございます。そういう観点から、労働省としては、従来から中小企業の労働時間の短縮については企業集団による取り組みが非常に効果的であるという観点から、例えば業種別の集団とか地域別の集団といったものを取り上げて、そういったところにきめ細かな指導、援助を行っているところでございます。また同時に、中小企業労働力確保法に基づきまして魅力ある職場をつくるという一環から、労働時間短縮に取り組む企業に対しまして各種の指導、援助を行っているということでございます。
 さらには、我が国の企業の実態を見ますと、横並び意識ということもありまして、業界全体で時短に取り組んでいくということが労働時間短縮に向けて非常に効果的であるという観点から、そのための環境整備を図ろうということで、業種ごとに事業主が共同して労働時間短縮に向けての自主的な努力を行うことを促進するため労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法案を今国会に提出したところでございます。さらにはまた、労働基準法につきましては、改正労働基準法の附則に基づきまして昨年四月から中央労働基準審議会において検討を行っておりまして、ここでの結論が得られれば必要な措置をとっていきたい、そのように考えております。
 以上でございます。
○桜井委員長 あと答弁要らぬのですか。
○和田(一)委員 時間内にもう少し質問しておかないと、もう三分しかない。済みません。私はいろいろ御答弁いただきたいのですが、大臣の御答弁もいただきたいので時間内にもう一問。
 今、物は非常に豊かです。そういう非常に物の豊かな中にありながら、何かむなしい思いをしている、満たされないものがある、私は当然だと思うのですね。さっき申し上げたように、ただ管理された時間の中でひたすら走っているというだけでは本当の人間ではない。人はパンのみにて生くるものにあらずという言葉のとおりで、どうしても自分の時間が欲しい、その自分の時間をどう使うか、自分を見詰めて、そして自分の人生設計をつくっていく、そういう時代だと思うのですね。ただやみくもに一生働いて終わったらいいというのではなくて、一人一人がかけがえのない人生を、仕事と同時に、自分が天賦の才を与えられている、そのタレントを何とかどこかで一回発揮したい、そのたゆには自分の時間が欲しいのだ、そういう思いの中から、時間短縮というものが今世界の大きな潮流の中にある、それに対応していくんだ。そして今政府が言う、いわゆる生活大国と言っているものの裏にこういうものがきちっと裏づけされないと本当の生活大国などない、物だけではないはずだ、私はこういう思いがあるのですが、さっき申し上げた質問の後に、一番最後に大臣の御答弁をお聞きして終わりにいたします。
○桜井委員長 大変時間短縮に協力いただきましたので、それでは、多少時間が超過するかもわかりませんが、簡潔に要領よくひとつ答弁願います。
○佐藤説明員 中小企業庁におきましても、労働時間の短縮はゆとりと豊かさのあります生活を実現するという点、それから中小企業におきます労働力を確保するという点で極めて重要だという認識を持っているということでございます。ただ、大企業との間でまだ格差がございますので、中小企業が時短を進めるためには各種の支援策が必要だという要望もございます。このため、通産省といたしましては、労働力確保法を柱といたしまして省力化投資などに対する税制、財政、金融等の措置を講ずる上、さらには中小企業の下請の方々に対しましても、労働時間短縮を促進するための措置を親企業に対して徹底していただく、さらには中小企業が行います省力化、自動化のための技術開発の促進のための支援措置などを講じておるところでございます。
○安原説明員 労働時間短縮の経済的な効果についてでございますけれども、労働時間短縮と申しますものは、先ほどもお話にございましたように、経済の供給、需要の両面にいろいろな影響があるということで、その効果について一概に申し上げることは非常に難しいわけでございますが、一義的には、まず供給面で、時間が減った公労働力投入が減るという効果がよく言われますけれども、同時に、時短に伴いまして生産性が向上してくるとか、あるいは需要面では消費がふえる、ないしは省力化投資が増加するといったことも期待できるのではないかと考えられるわけでございます。
○岩崎国務大臣 先生御指摘のとおり確かに物は豊かになりました。しかしながら、多くの日本人は心にむなしさ、うつろさを感じております。我々の人生はたった一度しかございません。そのむなしさに潤いを与える、それこそゆとりではなかろうかと私は思います。そのゆとりと安らぎを覚えるための大きな要素の一つが時短、そして今ここで御審議をいただいておる完全週休二日制の問題であろうと思います。
 我が国は他の諸外国に比べまして労働時間が大変長うございます。ドイツやフランスに比べると五百時間、アメリカ、イギリスに比較いたしますると二百時間、この差は国際協調の面においても何としても接近させていかなければなりません。そうした面で、完全週休二日制、御審議をいただいておるこの法案をお上げいただきまして、日にちは確定いたしておりませんが、総務庁といたしましてはできるだけ早い機会に実施をしていきたい、この決意で取り組む所存でございます。
○和田(一)委員 ありがとうございました。終わります。
○桜井委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
○桜井委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決いたします。
 一般職の職員の給与等に関する法律及び行政機関の休日に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○桜井委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○桜井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
○桜井委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時九分散会
     ――――◇―――――