第123回国会 農林水産委員会 第7号
平成四年四月十五日(水曜日)
    午前十時開議
出席委員
  委員長 高村 正彦君
   理事 金子徳之介君 理事 東   力君
   理事 簗瀬  進君 理事 石橋 大吉君
   理事 前島 秀行君 理事 藤原 房雄君
      赤城 徳彦君    上草 義輝君
      内海 英男君    大原 一三君
      金子原二郎君    亀井 久興君
      北川 正恭君    塩谷  立君
      鈴木 俊一君    西岡 武夫君
      鳩山由紀夫君    星野 行男君
      松岡 利勝君   三ッ林弥太郎君
      宮里 松正君    柳沢 伯夫君
      山口 俊一君    有川 清次君
      佐々木秀典君    志賀 一夫君
      田中 恒利君    竹内  猛君
      鉢呂 吉雄君    堀込 征雄君
      目黒吉之助君    倉田 栄喜君
      西中  清君    藤田 スミ君
      小平 忠正君    阿部 昭吾君
 出席国務大臣
        農林水産大臣  田名部匡省君
 出席政府委員
        人事院事務総局 森園 幸男君
        給与局長
        農林水産大臣官 馬場久萬男君
        房長
        農林水産大臣官 白井 英男君
        房審議官
        農林水産省経済 川合 淳二君
        局長
        農林水産省畜産 赤保谷明正君
        局長
 委員外の出席者
        文部省高等教育 若林  元君
        局専門教育課長
        参  考  人
        (東京大学農学 竹内  啓君
        部教授)
        参  考  人
        (社団法人家畜 長岡 正二君
        改良事業団理
        事)
        参  考  人
        (北海道農業共 森田  彰君
        済組合連合会参
        事)
        農林水産委員会 黒木 敏郎君
        調査室長
    ―――――――――――――
委員の異動
四月十五日
 辞任         補欠選任
  石破  茂君     山口 俊一君
  保利 耕輔君     北川 正恭君
  御法川英文君     塩谷  立君
同日
 辞任         補欠選任
  北川 正恭君     保利 耕輔君
  塩谷  立君     御法川英文君
  山口 俊一君     石破  茂岩
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 獣医師法の一部を改正する法律案(内閣提出第
 四四号)
 獣医療法案(内閣提出第四五号)
 家畜改良増殖法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第四六号)
     ――――◇―――――
○高村委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、獣医師法の一部を改正する法律案、獣医療法案及び家畜改良増殖法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題とし、審査を進めます。
 本日は、各案審査のため、参考人として東京大学農学部教授竹内啓君、社団法人家畜改良事業団理事長岡正二君、北海道農業共済組合連合会参事森田彰君、以上三名の方に御出席をいただき、御意見を承ることにいたしております。
 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお聞かせいただき、審査の参考にいたしたいと存じます。
 次に、議事の順序について申し上げます。竹内参考人、長岡参考人、森田参考人の順に、お一人十分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。
 なお、念のために申し上げますが、発言の際は委員長の許可を得ることになっておりますので、御了承願います。また、参考人は委員に対して質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきいただきたいと存じます。
 それでは、竹内参考人にお願いいたします。
○竹内参考人 おはようございます。ただいま御紹介いただきました竹内でございます。
 本日は、このような席にお呼びいただきまして、発言の機会をお与えいただきましたことをお礼申し上げます。
 獣医業と私自身のかかわり合いを最初にごく簡単にお話ししたいと思います。
 私は、本業は大学で獣医学、特に臨床獣医学の教育にタッチしておりますが、そういう現場であります家畜病院長をも兼任しております。そういうわけで臨床教育にどっぶりつかっているというところかと思います。それから、農水省に関しましては、獣医師免許審議会の委員として、例えば国家試験を実施するとかそういうことのお手伝いをしております。さらに、日本獣医師会の学術担当理事といたしまして、獣医師の学術活動あるいは卒後研修などのお手伝いもしております。このような活動を通じまして日ごろ感じております幾つかの問題点がございますが、そういうものと、今回の法改正あるいは新法の制定とかかわり合う部分について、その幾つかを取り上げて若干の私見を述べさせていただきたいと思います。
 まず、今回の獣医師法の改正の中に、獣医師の非常に多面的な職業分野というものが任務として明記されておりますが、これは獣医師の仕事の現状を考えますと、大変適切なことじゃないかと考えております。
 本来の獣医師の昔々の職業の範囲というのは、恐らくは家畜の診療ということにあったと思いますけれども、そういうものがどんどんと発達するにつれまして、それに関連して伸びてきた高度の技術あるいは知識、そういうものがいろいろなところで利用できるという社会の要望が強くなりまして、御承知のように獣医師の職域が非常に広がったわけでございます。こういう傾向が諸外国に比べますと日本ではむしろ非常に強いというのが、日本の獣医界のあるいは、獣医業界の特徴がと思います。大学の教育もやはりそれに対応したような教育をしております。そういう意味で、このようなことが「その他の獣医事をつかさどる」という記載のもとに今回明記されたということは、現在あるいはこれからの獣医業をにらんでの適切な表現といいますか、規定ではないかというふうに考えております。
 また、この同じ項目の中に、動物の保健衛生の向上ということが仕事として取り上げられておりますが、このこともいろいろな観点から大変含みのあるものではないかというふうに考えます。
 例えば、御承知のように、産業動物の分野で働く獣医師の数が大変不足しております。そちらに行く人が少ないのであります。そういう理由いろいろございますけれども、その理由の一つは、やはり技術者として産業動物獣医師が十分に満足できないという部分がかなり大きいんじゃないか。教育に携わる人間としてはそういうように考えております。
 例えば、個々の動物を診て病気を治していくということは、これはもちろん大事ではございますが、産業動物の経済性というものを考えますと、やはりその原因をはっきりと分析、解析してそれに対する対策を立てて、そして飼養管理の面からもこれを指導して未然に病気を防ぐ、あるいは軽い状態でそれを処置するということが基本ではないかと思います。そのためには、非常に高度の知識あるいは技術というものが必要でございまして、そういうものを教育で受けてそれを十分に使えるということがこういう表現で法律に盛られるということは、産業動物に働く獣医師のやる気を起こさせるといいますか、あるいはそこに魅力を感じさせるという意味でも大変効果があるのではないかというふうに考えておりますし、そういう意味で私はここに注目をしております。
 さらに、少し見方を変えますと、近年この獣医師が世の中の動物愛護にかなりかかわり合うべきだという意見が世界的に非常に強うございます。その場合に、獣医師がどういう形で動物愛護にかかわり合っていくかということを考えた場合、これについては世界獣医師会で一つの声明を出しております。その声明によりますと、結局獣医師の絡み合いとしては、動物の飢え、渇き、そういうものを救う、あるいは痛み、悩み、そういうものから動物を救う、あるいは恐怖、不安から救う、さらには病気、けがから救う、そうして動物の本来の行動様式を十分考えた飼い方をさせるようにする、こういうことであろうと言われております。そういうことを考えますと、これはまさに動物の保健衛生の向上という一言で集約される部分でもございますので、そういうふうに、生産性はもちろんのこと、そうではないような精神的な動物の効用のようなものまでこの一言というのが非常に広く含んでいるのではないかと思いまして、この点に私は大変関心を持っております。
 さて、少し話題を変えまして、獣医師の卒後研修について触れたいと思います。
 御承知のように、六年制の教育が行われるようになりまして、先ほど申しましたような社会の多様なニーズに合う獣医師を十分世の中に送り出せるようになりました。教育の現場にいる人間としては大変これはやりがいのあることでございます。しかし、この獣医業の中には大学における学生の教育だけでは必ずしも世の中にすぐ役立つ、世の中に信頼される獣医師は送り出せない分野もございます。その一つが、私は臨床獣医師であろうと思います。これは人の財産を扱うわけでございますし、失敗は許されません。そうすると、そういうような段階まで免許証を持ってない学生に大学で完全な教育をするということは無理でございますので、どうしても免許証を取った後の卒後研修というものが必要でございます。これは六年制教育あるいはそれ以上の教育を昔から実施しております諸外国におきましては、ほとんどの国で何らかの形の卒後研修があるということからもおわかりいただけると思います。
 そこで、私どもの日本の全獣医科大学の臨床関係の教官が集まる会議がございますが、そこでもできるだけ早いうちからこの卒後研修制度を大学の家畜病院でやる必要があるという討議をしておりまして、文部省にもその報告書は行っております。
 一方、動物なんだから、その免許証を取る前もそういう動物を使って教育ができるのではないかという話がございますけれども、現在の動物愛護の風潮が非常に強い段階では、実習用にたくさんの動物をあやめて教育を行うということは基本的にはできません。そういう意味でも卒後研修は非常に必要だと思いますので、今回卒後研修が努力目標とはいいながらこの獣医師法の改正の際につくられたということは大変結構なことではないか、教育がこれでまた一段と充実するのではないかと考えております。
 それから次に、外国人の獣医師の問題でございますが、近年外国の獣医科大学卒業者の留学生もふえてまいりまして、外国の獣医科大学を卒業した後で日本の国家試験を受けたいという人が出てまいります。こういう人たちに対しては、従来から獣医師免許審議会で審議いたしまして、日本の大学を卒業した人と同等以上の学力を有する方には国家試験の免許資格を与えております。しかし、近年いろいろな国からそういう獣医師がやってまいりますと、その単位の算定方法であるとか修学年限であるとか多種多彩でございまして、どうしても判定がうまくできない、ボーダーラインのところにある人が決して少なくございません。そういうところに対してどう判定するかという場合に、国際化の一つの原則でございますが、公平さというものがございます。そういう意味では、公平にそういうものを判定しようという方法を私ども獣医師免許審議会でも模索していたわけでございますけれども、これの一つの方法として予備試験というものが行われる。それも、免許審議会でそれを受ける資格があるかどうかを審議した上で資格があると認めた者には受けさせて、そのボーダーラインにある人が入るのか入らないのかということを決めさせて、その上で本試験を受けさせるということでございますから、これは現場で今まで問題に直面していた人間としては大変結構なことで、大分助かるなというのが本音でございます。
 最後に、こういう高度の医療を社会が要求しているわけでございますが、その場合の施設基準のお話をしたいと思います。
 やはり高度医療を社会に提供するためにはミニマム、施設の基準というものをはっきりさせておくことも大事かと思います。このことが今度の獣医療法の中で決められておりますが、特に私注目したいのは、この中でエックス線の診断装置の取扱基準というものが省令で定められるという部分でございます。大学におきましては、現在どこの大学でも獣医放射線学の講義、実習をやっております。これは人間とは違う部分がたくさんございまして、動物特有の部分があります。そういうものを十分教育して世の中に出しているのでございますが、御承知かと思いますけれども、診療獣医師の大半を占めます個人診療をやっている方々がエックス線を扱う場合、扱う率が非常に多いわけでございますけれども、そういう方々に対して適正な規制をする法律というものがございません。これだけ教育をして技術者として出しておきながら、その方々に対する法規制がないといことは大変おかしなことだと思っておりました。今回の新法の制定を機にそういうことがはっきりしてくるということは大変結構なことでございまして、世の中に信頼される獣医師あるいは獣医業として放射線が十分に利用され、そして我々の社会へのサービスの質、そしてそれに対する評価が上がるという意味では大変ぐあいのいい法律の改正ではないかというふうに考えております。
 以上、簡単ではございますが、私見を述べさせていただきました。ありがとうございました。(拍手)


○高村委員長 ありがとうございました。
 次に、長岡参考人にお願いいたします。




○長岡参考人 それでは、御指名いただきましたので、牛の体外受精技術につきましてお話をさせていただきたいと思います。
 まず、話の順序といたしまして三つに分けさしていただきたいと思います。一つは、牛の繁殖技術発達史上における体外受精の歴史的な位置づけについてでございます。二つ目は、牛の体外受精技術の持つ技術的特性についてでございます。三つ目は、この技術の普及上の課題とでもいうべき事柄についてお話をさせていただきます。
 まず最初に、牛の繁殖技術発達史上における体外受精技術の歴史的な位置づけについて申し上げます。
 御承知かと思いますが、昭和二十五年、国は家畜の改良増殖を促進するため、本国会で審議されます家畜改良増殖法、これを制定いたしました。このことによって、家畜人工授精技術に関する規定が整備されました。と同時に、国は人工授精の組織的な普及に入りました。液状精液で始まりました人工授精の分野ではその後大きな技術開発がございまして、その成果といたしまして凍結精液技術が利用可能な段階に達しました。そこで、国は昭和三十六年、凍結精液技術の発達に即しまして家畜改良増殖法の改正を行いましたことは、御案内のとおりでございます。その後、おおむね十年を経まして、我が国の乳牛ではほとんど液状精液から凍結精液に変わるというふうな普及をいたしました。
 他方、受精卵移植技術は、昭和三十九年、畜産試験場におきまして初の子牛が誕生するという成果がございました。以来、研究が精力的に進められましたが、なかなか実用化の兆しか見えてまいらなかったわけでございますけれども、国の種畜牧場において実用化の技術の開発がございまして、これを契機といたしまして、受精卵移植は急速に普及の兆しか出てまいりました。そこで、国は昭和五十八年、受精卵移植技術の発達に即しまして家畜改良増殖法の改正を行いました。したがいまして、現在受精卵移植技術は全国各地の農村で大変積極的な利用が行われております。
 このような状況の中で、体外受精技術が畜産試験場において開発されましたが、これは種畜牧場の協力によりまして昭和六十年、世界初の子牛が誕生するという歴史的な快挙がございました。このような家畜繁殖技術は、その発達の過程で常に重要な基本技術を取り入れながら次代技術へと引き継いでまいりました。受精卵移植技術が人工授精とは比べ物にならない重要な基本技術として取り入れましたのは、徹底した無菌操作の技術でございます。この無菌操作の技術は、さらに徹底した形で体外受精技術に引き継がれております。
 体外受精技術が人工授精や受精卵移植技術のような今までの先行技術にはない技術として、しかも重要な基本技術として取り入れましたのは細胞培養の技術でございます。我々獣医、畜産の分野におきまして、培養といいますと、細菌だとかウイルスだとかバクテリアにおおよそ限られておったと思います。それが言い過ぎでございますれば、少なくとも現地、農村、農家の段階まで届く技術としては、細胞を培養するということはかつてなかったわけでございますが、この体外受精は細胞培養の技術をベースとして実用化の域に達したものでございます。この技術は、クローンとか遺伝子組みかえのような、いわゆるニューバイオテクノロジーと呼ばれる技術の基本技術となるものでございます。
 このように見てまいりますと、体外受精技術は、先行する繁殖技術の歴史的な蓄積の上に成り立っておる。あるいは、人工授精でございますが、液状から凍結精液に進み、受精卵移植がまた出てき、それが体外受精へと発展してきた、ここまでの技術発展の経過を見ますと、一つの究極の技術といいますか、一つの大きな集大成の技術ではないかなというふうに考えるのでございます。また、将来を展望いたしますと、申し上げましたように、ニューバイオテクノロジーの基本技術にもなる技術でございます。そのような重要な技術であろうというふうに思います。
 さて、次に第二のテーマとして、体外受精技術なるものの技術的な特性と機能について申し上げます。
 まず、特徴として申し上げなければなりませんものは、何といいましても、これまで特に用途がございませんでした牛の屠体卵巣を用いまして子牛を生産するという画期的な技術であり、特徴でございます。
 次に、この技術に期待される機能について申し上げます。
 一つ目は、いわゆる肉質が明らかになった雌牛の卵巣から受精卵をつくる、ひいてはいわゆる子牛を生産するということでございます。この機能は、肉牛の肉質の改良面で極めて大きな役割を果たすだろうというふうに考えております。と申しますのは、乳牛については、少なくとも後継牛をつくる雌牛は、みずからの能力が搾乳することによってわかるわけでございますが、肉牛においてはみずからの肉質がわからないまま子牛を生産する、そう申し上げますと、そうは言ったって、血統でおよその判断はつくのだろう、名牛と言われるものがおるだろう、まさにそのとおりでございますが、少なくともみずからの肉質はわからない、死ななければわからない、死んだときには老齢牛であるから肉質の正当な評価はできないということでございますが、この技術をもってすれば、肉質の明らかな雌牛から子供をつくることができる。これは肉牛の改良上極めて画期的な技術を導入することができるということになろうかと思います。
 それから二つ目は、屠体卵巣を使いますために、いわゆる体内受精卵に比べますとかなり大量な受精卵をつくることができるだろうというふうに思います。したがいまして、肉牛資源拡大の観点に立ちますと、乳牛の腹を借り膜とします限り、かなり効果的な資源拡大の道が開けてくるのではないかというふうに思います。
 それから三つ目でございますが、肉牛だけではなくて乳牛についても、いわゆる功労牛と申しますか、呼ばれるような名牛が不幸にして事故死するというふうなケースがございますが、それらにつきましても、卵巣から体外受精卵をつくることによって貴重な子孫を残すことができるということでございます。
 四つ目は、申し上げましたように、いわゆる今後に期待されるニューバイオテクノロジーの基本技術として大きな役割を果たしていくことになるであろうというふうに思います。
 次に、第三のテーマであります技術普及上の課題について申し上げます。
 この技術のかぎを握る要素は、体外受精卵をつくる技術と移植する技術、さらに牛を飼ういわゆる牛の飼養管理技術の三つに分けることができると思います。
 体外受精卵をつくる技術についてでございますが、これは開発当初に比べますと格段の進歩をいたしました。開発された昭和六十年当初の技術は、いわゆる受精卵の細胞が二つ、四つ、八つ、十六、三十二、六十四、百二十八と分割してまいるわけでございますが、八つに分割したところで、それから先はなかなか体外では発生しないという技術的な大きな壁がございました。そこで、ウサギ卵管を使うという方法がとられておりましたが、いわゆるウサギ卵管への仮移植でございますが、それで辛うじて受精卵ができ上がる、しかし、それもわずかに三%にすぎないというふうな状況でございましたが、急速に技術の開発が進みまして、完全に体外で培養することができますし、その発生卒も辛うじて二〇%まで持ってまいることができたというのが昨今の技術的な水準ではなかろうかというふうに思っております。しかし、そうは言いながら、開発間もない技術でございますので、大変高度な厄介な技術であることには変わりはございません。しかし、そうは言いながら、また片方では大変高い成果を上げておるという機関なりケースもございます。
 それから、体外受精卵を移植する技術についてでございますが、これは先行技術であります体内受精卵、これを移植できる人工授精師あるいは獣医師の方々であれば十分に使いこなすことができる技術でございます。このように、この技術の現在の水準なり成果を見てまいりますと、体外受精卵の移植技術は十分に普及の見通しが立ったというふうに判断してよろしいかと思います。
 次に、体外受精卵を移植する牛の発情発見を含む飼養管理技術でございますが、これは体内受精卵も含めまして、生理的により良好な管理に置かなければならないということは論をまつまでもございませんので、これは、あわせて今後、農家ともども勉強しながら啓発していかなければならないテーマだろうというふうに思います。
 このように、良質な受精卵をつくる技術者、あるいは移植するすぐれた技術者、牛を飼うすぐれた飼養管理技術のこれらが三位一体となりまして、この体外受精技術は我が国の牛の改良増殖に大きく貢献するものと期待をいたしております。
 最後になりますが、受精卵移植は昭和五十八年の家畜改良増殖法の改正以来、生産者からの要望も高まりまして、全国各地で着実に普及をいたしております。これによって、乳用牛あるいは肉用牛の改良増殖に大きく貢献をしつつあります。この新しい技術であります体外受精卵移植技術につきましても、体外受精卵の生産に取り組む機関がここ一両年といいましょうか、年々増加をしておりまして、体外受精技術につきましてもかなり認識が高まってまいりまして、体外受精卵の供給を望む農家の声も次第に高まってまいっております。したがいまして、今回家畜改良増殖法が改正されまして、体外受精卵移植の方法等について一定の方向づけをしていただきますならば、農家も安心して体外受精卵を利用することができますし、また体外受精卵の流通も円滑に行われようになるでございましょう。したがいまして、この技術の普及に大きくこの法改正が貢献するだろうというふうに思います。この技術開発にかかわります獣医師、人工授精師は、実験室あるいは農家の牛小屋で日夜この技術開発の普及に取り組んでおります。どうか温かい御支援をお願いいたします。
 以上、甚だ雑駁でございますが、私の説明とさせていただきます。大変失礼いたしました。(拍手)
○高村委員長 ありがとうございました。
 次に、森田参考人にお願いいたします。
○森田参考人 ただいま御指名いただきました北海道農業共済組合連合会参事の森田彰でございます。
 このたびは、当委員会で獣医師法の改正並びに獣医療法の審議に当たりまして、参考人の一人として意見を述べさせていただく機会を与えられましたことを大変光栄に存じでございます。
 まず、北海道における産業動物診療の実態を申し上げ、産業動物獣医師の実情を御理解いただきたいと存じます。
 北海道の家畜診療は、主として私ども農業共済団体の家畜診療所が担当してございます。当然開業者の方々も活躍していらっしゃいますが、共済団体のシェアが大体九五%近くを占めておりますので、共済団体の家畜診療所を中心に述べさせていただきたいと思っでございます。
 北海道には農業共済組合が三十二組合ございます。広域合併が進みまして、一支庁一組合のところもありますし、また二支庁にまたがっている大型組合もあります。それぞれの組合が直営診療所を持っておりまして、家畜診療所の数は百三十二カ所、七百七十五名の獣医さんが所属しております。ただ、実際に診療の現場で活躍していらっしゃる方は七百名前後と思います。家畜共済加入畜百二十三万頭の診療に当たりまして日夜頑張っている次第でございます。
 診療所の業務は、家畜共済加入畜、乳牛八十七万七千頭、肉用牛二十万頭、馬三万三千頭、豚は肉豚を含め十二万頭、合計百二十三万頭の診療を中心に、そのほか、子牛など加入資格のない家畜の診療を行っております。
 そのほかの業務としましては、病気による損害を最小限にとどめるための事故拡大防止や病気の発生を未然に防止するなどの損害防止事業にも積極的に取り組み、群及び農家単位の集団予防衛生、管理指導に力を入れております。また、家畜の改良増殖、受胎率向上のための家畜人工授精業務も担当しているほか、家畜伝染病予防などの防疫事業や地域の畜産諸施策への参加協力など、広い範囲にわたりまして畜産業の中核となり、地域の畜産の振興にあるいは生産性の向上に寄与しております。その経済効果は多大なものがあり、農家経営の安定向上に大きく貢献しつつ酪農、畜産農家とともに歩んできました。
 近時、家畜の飼養規模頭数の増加、それに伴う飼養管理の省力化など飼養形態も変化してきております。家畜の病気も多様化、複雑化しております。獣医技術もこれにあわせまして、診断、診療技術の高度化と検査機械の進歩など大きく変わってきております。これに対応すべく、我々団体では獣医師に対する研修教育に力を注いでまいりました。社会的要請にこたえ得る獣医技術の向上、レベルアップが必須の課題でもあります。このたび獣医師法の改正で、免許を受けた後も診療施設で臨床研修に努めるなど臨床研修の充実をうたっておりますが、まことに時宜を得たものと歓迎している次第でございます。
 私ども団体におきましても、卒後の臨床教育に力を入れております。学卒採用獣医師に対し、採用後一定期間を私どもの江別市の連合会家畜臨床講習所で学校教育で不足していると思われる臨床実技を中心とした研修を行い、安心して現場で活躍できるよう教育しております。本年度は、組合等の新規採用獣医師四十二名に対し、六班に分け、一班は七名から八名の編成でそれぞれ八週間マン・ツー・マン体制で研修教育を行っております。また、既に現場に出ていらっしゃる獣医さんに対しましても、計画的に研修カリキュラムをつくり再教育を行いまして、好評を得てございます。
 これらの教育は、団体でなければできない面もありますが、さらに施設、教育体制の充実を図り、獣医技術のレベルアップに資していきたいと存じておりますが、現在の教育体制の確立、さらには施設、検査診療器具の充実を図っていくには、団体としても財政上の限界がございます。この機会に、先生方の御理解を得て助成等何らかの措置をお願い申し上げたいと存じます。
 次に、獣医療法に関してですが、獣医療を提供する体制の整備のため基本方針を定めることは、産業動物診療のビジョンを描くものであり、診療体制のあり方、施設の計画的な強化、獣医師の確保対策など国、都道府県、関係機関、開業者など一体となって協議、支援し合うもので、大いに期待しているところでございます。
 北海道は幸い家畜の資源に恵まれ、大方の家畜診療所の経営は安定しておりますが、診療所をより健全的に経営していくためには、獣医師の待遇改善を図り、獣医師を確保することが大きな課題です。同時に、それに対する収入財源の確保が大切だと思います。家畜の診療は、御承知のように往診が主体でございまして、宅診はほとんどございません。したがって、非常に診療効率が悪く、一日の診療頭数にも限界がございます。したがいまして、診療収入の方もおのずと限られてくるわけでございます。それに、獣医師の診療は、診療のみならず車の運転など一人何役もこなさなければならない精神的、肉体的にも大変な仕事でございます。
 もう一つ経営の要因に、家畜の資源の分布状況と地理的条件がございます。家畜の過疎希薄地帯や都市近郊などの家畜の飼養農家が分散され、往診に非常に時間がかかるなど診療効率の悪いところは診療所経営も大変でございます。やはり診療所経営には、一定の資源頭数と条件がよくなければ容易でありません。このような地域は、家畜保健衛生所、農業共済組合など獣医療に関連する施設相互の機能及び業務の連携を図ることが極めて有効でおると思います。幸い国では、無獣医地域パトロール事業や農業共済地域対応強化総合対策として、家畜移動診療所導入促進事業など予算化していただいていることは、当該地域の畜産振興にも大きく貢献するものと存じます。
 酪農経営をめぐる状況が非常に厳しくなっている今日、安易な農家負担の増加は慎まなければなりません。共済としましても、診療所経営の安定化を図るため、今までに診療所の統廃合、業務の見直し、診療行為の工夫など、企業努力で吸収してきました。そのような中で、診療所の整備、施設の充実を図り、職場環境の改善に努力し、労働の均てん化、休日の確保、待遇改善、研修教育の充実など獣医師の確保と定着に努めております。
 本日、このような機会を与えられ大変感謝しているところですが、この機会に先生方にお願いがございます。
 我が国の畜産も農業産出額十一兆円の三割近くを占め、重要な基幹部門へと成長してきました。特に北海道では、畜産のウエートが四割強を占めるに至ってございます。ここに至る間、我々獣医関係者の果たしてきた役割は大きなものがあったと自負しているところでございます。今後、産業動物臨床獣医師確保のため、また現場で活躍している我々獣医師仲間が安心して働けますよう、将来に希望の持てる農政の確立を農家ともども期待してございます。
 私ども産業動物獣医師は、農家を愛し、家畜を愛し、使命と誇りを持って日夜頑張っているところでございます。どうかよろしくお願い申し上げ、私の意見とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○高村委員長 ありがとうございました。
 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
○高村委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。簗瀬進君。
○簗瀬委員 きょうはお三人の参考人の先生方、本当に御苦労さまでございます。また、時間が大変短いために、要点をまとめるのに大変御苦労なさったのではないかなと思いますので、どうか、これから私どもが質問をさせていただきますので、その質問に答える中で今まで言い足りなかった部分について御存分に補足をお願いできればと思う次第であります。
 まず、竹内参考人にお尋ねをさせていただきたいと思うのですが、獣医師法関係でございます。
 冒頭に、今回の獣医師法の改正の第一条「獣医事をつかさどること」というふうなことが明瞭に入った。それから、「動物に関する保健衛生の向上」このような文言が入った。これについては大変評価するところでありますというお話がございました。今やまさに動物愛護は世界の常識的なマナーでございます。そして、環境保護を中心にいたしました自然とともに生きていくという、自然と共生をするという思想も大変普及をされているわけであります。そういう中で、まさに身近にあって自然を感じさせてくれるいわゆる小動物の国民生活において持っている意味というのは、大変高いものがあると思っております。
 このような小動物について、当然生き物でありますから病気になったりするわけでありますが、診療室、検査室、入院室等を備えまして、来院をする治療がどんどん増加をしていると思います。それから、獣医師の保健衛生指導に対する全体的な要請が当然高まっているわけであります。動物は言葉が言えません。その部分を飼い主として十分にコミュニケーションができていればいいのですけれども、なかなかそれもできない。そういう指導をする上においては獣医師のアドバイスというようなものが大変必要で、重要だろうと思っているわけであります。そんな見地から「動物に関する保健衛生の向上」という文言がつけ加わり、さらに「獣医事をつかさどる」という大変重要な概念がきちんと規定をされたということで、獣医師法も画期的な時代を迎えてきているのではないかなと思っておるわけであります。
 そこで、お尋ねをいたしたいと思いますのは、先ほど大変私どもの勉強になるお話がございました。例えば、これからはそれぞれ獣医にも予防医学的な見地が必要なのではなかろうかとか、あるいは動物愛護のリーダーとして一種の社会的な意味も担ってもらわなければならない、こんな御発言がございましたが、今回法律で「動物に関する保健衛生の向上」という文言をつけ加えることによって、具体的にどのような影響あるいは効果が出てくるとお感じになっているのか、この辺の評価についてお尋ねをさせていただきたいと思います。
○竹内参考人 先ほどもちょっと触れさせていただきましたけれども、それから今もおっしゃいましたけれども、動物の病気あるいは動物の健康を維持するという場合に、病気になってからこれを診断し治療するというのは一般に非常におくれます。これは私どもも仕事柄、人間のお医者さんと一緒に仕事をすることが大変多いのでございますけれども、よく同情してもらいます。こんなに手おくれな病気を見ているのじゃ、医者より獣医師の方がよっぽど難しいなという話がよく出てくるのですが、それは当然自分でおなかが痛いとかそういうことを言うわけじゃありませんので、どうしても発見がおくれがちになるということがあります。
 ですから、発見を早くするということも大事でございますけれども、基本はできるだけ病気にならないように指導してやるということの方が大事でございますし、特に産業動物では、そういうことによる方が恐らく産業動物の損耗を防止するという意味では非常に重要な部分ではないかと思います。今までも大部分の獣医師はそこに生きがいを求めてやっているわけでございますけれども、それが必ずしも明記された形で評価されてないというところがあったと思います。これがこういう形で明記されますと、むしろ胸を張ってそういうところに、現場の獣医師もあるいは教育する側も集中できるというところで、恐らく今までやってきたことがやっと日の目を見、さらにそれが一段と活性化といいますか増幅されるのではないか、そういう意味で期待をしております。
○簗瀬委員 もう一つ、先ほど大変興味あるお話がございまして、世界獣医師会の声明で精神的な綱領として、例えば動物の飢えとか渇きとか痛み、悩み、恐怖、これについて適切に対処していくというふうな声明がなされているというのですけれども、その辺もうちょっと具体的に細かくお話しいただければ大変ありがたいのですが。
○竹内参考人 世界獣医師会というのは世界の約六十カ国の獣医師会が加入しておりまして、世界最大の獣医師の組織でございます。この中に幾つかの委員会がございますが、その一つが動物の福祉・愛護の委員会でございます。
 これは実は、日本で動物福祉とか愛護とか申しますと、すぐ多くの方々が犬や猫のことを考えます。ところが、世界獣医師会で問題にしておりますのは、犬や猫についてはむしろ当然である、これから我々が直面しなければならないのは産業動物の動物福祉あるいは動物愛護であるということなのですね。
 それで獣医師の多くはそのつもりで産業動物の福祉を考えてはいるのですが、ある人たちから見ますと、どうも産業動物を最もいじめているのは獣医師ではないかというすりかえ論議があるのですね。結局、これは治療するよりは屠場に送った方がいいというふうな判断をするのは獣医師ではないかというような論議がないわけでもありませんで、そういうような論議になると、実際に動物を人間社会で利用していくということが非常に難しくなる。いわゆる菜食主義者の方は別としまして、多くの人間はたんぱく資源として動物を使っていかなければならない。しかし、そこに昔の旧約聖書にあるように、羊は神様が人間が食べるためにくだすったのだからどうしてもいいというような話は、もう現在の精神構造の複雑な人間社会では通じないのじゃないか。どうしても食べなければならないし、動物を利用させてもらわなければならないのだけれども、それまではできるだけ動物がひもじい思いをしないように、苦しい思いをしないように、そして経済効率というのをもちろん考えなければなりませんが、できるだけ経済性と両立する範囲で動物の居心地のいい状態で飼って、あと利用させてもらおうじゃないか、そういうことを科学的に説明をし実行できるのはまさに獣医師ではないか、獣医師がそういう勉強をしているわけですから。また現場にいる。したがって、そういう観点から獣医師としての動物愛護に対する考え方をきちんと世界的コンセンサスで出して、世界の獣医師がその方向に進もうではないか、そこから出たのが先ほど御紹介いたしました声明でございます。
 したがって、いたずらに感情論にとらわれることではなくて、科学的にそこを整理しながら動物福祉と動物愛護、そして地球における動物と人間の共存というものを可能にするような道を探ろうではないかというのが私たち獣医師の考えでございます。そういう意味で先ほど御披露した次第です。
○簗瀬委員 ありがとうございます。
 私も持ち時間が大変少のうございますので、次の質問に移らせていただきたいと思います。
 いわゆる卒後研修について、これは竹内参考人、森田参考人御両人からお尋ねをさせていただきたいと思うのですが、獣医師不足が大変叫ばれております。例えば全国で今、昭和六十三年の末によりますと二万六千九百四十一人の獣医の届け出があるわけでありますけれども、そのうち個人診療施設で産業動物診療をやっている者は二千三百九十六人の九%、大変少ない状況になっているわけであります。その獣医師不足をどのような形で解消していくのか、それについての大きな貢献をしてくれるのではないかということでこの卒後研修制度というようなものが期待されるのではないかなと思っております。大変技術が進歩いたします。それで、現場にいると、折々の診療活動の中で、進んでいる技術にどうしてもおくれていくのではないかな、このような不安も出てくるところがこの卒後研修によって幾分なりとも解消され、それが獣医不足に一つの歯どめをかけてくれるのではないかなと思われるわけであります。
 先ほど竹内参考人、努力目標であるということをお触れになったわけでありますけれども、努力目標ではあるんですが、現実にこれが規定されることによってどのようなプラスが期待できるのかどうか、その辺について、お尋ねをさせていただきたい。
 それから、森田さんに関しましては、やはり団体の中で卒後研修的なものを現実に今までおやりになっていた、これは大変評価すべきところだと思うのですけれども、現場でいろいろとお詳しい立場で、このいわゆる卒後研修制度がこのような形でこの法律に入ることによってどのようなプラスの効果が与えられるのかな、その辺についてのお話をちょっと聞かせていただければと思います。
 それぞれ続いてお願いいたします。
○竹内参考人 努力目標と申しましたのは、この法律を見せていただく限りそういうふうにとれますので、そう申し上げたのです。ですから、義務ではないという意味でございます。
 しかし、獣医師が社会に役立つときは獣医技術者として役立つ場合が非常に多いわけでございますし、殊に臨床獣医師はそういう立場になると思います。そうしますと、やはり技術者として誇りを持って、あるいはお医者として評価されて社会で働くということで初めてやはりやりがいを感じるんだと思うのですね。もちろん、我々がいろいろな職業を選ぶときに、待遇がいいということも非常に大事でございますけれども、同時に、やはりやりがいを感じないところには必ずしも全員がいくとは限りません。そういう意味で、卒後研修というものがそれに明記されているということによって、そういうものが必要とされるようなより高度な職域であるという印象を持つ人もあるでしょうし、あるいは、現実にそこで腕を磨いてより高度のものを社会に奉仕できる、そういうことに生きがいを感じる人もあると思います。そういう意味で、ちょっと間接的に見えるかもしれませんけれども、産業獣医師へ多くの人たちを誘導する効果も十分あり得るのではないかというふうに考えております。
○森田参考人 私どもの農業共済団体では、従来ともこういう研修、卒業しまして直ちに現場へ入るというのは非常に不安もございますし、なかなか診療行為そのものもできない、農家の方々にも不安を与えるということで、二十八年からことしで四十年になるわけでございますが、毎年そういう研修教育を私どもの臨床講習所、それを使命にしまして、卒後教育を課題にしまして、現在のところ獣医師五名がそれ専任に当たっているわけでございます。ことしは四十二人ですが、現場の組合側からも大変期待されてございます。ということは、組合で教育する場面が省けるというものもありますし、もっと高度な施設、高度な機械等によりまして最新の技術教育をしてございます。
 そういう意味で、主として、現場ではなかなかできない外科手術なども中心にやってございますので非常に期待されますし、また、受ける研修生側からいたしましても、現場に安心して行ける、それから、現場へ一回出ましてまた講習を受ける場面もあるわけですが、現場へ出ましていろいろ不安なもの、いろいろな課題を持ってきまして、それにつきましてなお一層勉強できるという利点もございまして、そういう意味では私どももさらに続けたいと思ってございます。幸いそういうのは今度の獣医師法で明確になりましたので、私どもも自信を持ってさらに積極的にやっていきたいと思いますし、私ども昨年臨床講習所を改築しまして、立派な施設にしたと思って喜んでおるわけでございますが、さらに北海道の共済団体以外の方も受け入れる。ことしは既に府県の方を三名受け入れるような形で対応してございますので、なおかつそういう意味でも社会に還元できるような形の中で協力していきたいと思ってございます。
○簗瀬委員 せっかく長岡参考人もおいででございますので、質疑時間が実質上なくなっているわけでありますけれども、この体外受精卵の移植普及上の課題について三点御指摘いただいたわけでありますが、今回の法改正がその三点のいわゆる課題についてどのようなプラスを与えるのかということについて簡単に御回答いただきまして、私の質問を終わりにさせていただきたいと思います。
○長岡参考人 それでは簡単に申し上げます。
 今回の法改正によりまして、受精卵の採取の面におきまして、受精卵の生産の面におきまして獣医師あるいは家畜人工授精師、それぞれの機能の分担といいますか役割について極めて明確に定義されるようでございますので、生産の場面におきましても極めて優良な受精卵が恐らく出てくるだろうというふうに思われますし、それから移植の分野におきましても、従来体外受精卵は開発間もない技術でございましたので、やられている機関によりましてなかなかまちまちでございましたが、これからは恐らく法の改正を契機といたしまして研修等も活発に、恐らく家畜改良センターあるいは県の試験場等を通じまして行われるでございましょうから、それらの利便もかなり上がってくるだろうと思います。それから農家の認識も非常にこれから高まっていくんだろうということから、受卵牛の飼養管理につきましても恐らく徹底していくのではないか。この法律改正を契機にいたしまして、恐らく体外受精卵の普及上の課題がそれぞれ少しずつ解決されていくだろうというふうに期待をいたしております。
○簗瀬委員 ありがとうございました。以上で質問を終わります。
○高村委員長 有川清次君。
○有川委員 参考人の御三方には丁寧な、しかもよく整理をされまして御説明をいただき、実務の面から私たちもよくわかったような気がして感謝を申し上げる次第でございます。
 時間がありませんので多くの質問はできませんが、竹内参考人の方から、動物愛護とのかかわりで世界的な状況、まあ動物を救うという立場でお話をいただきました。犬猫と違いまして、産業動物の場合はその関連がどうだろうかということでかなり私も共存の問題では疑義を持っておったわけでありますが、かなりわかったような気がして、ただ、諸外国で動物愛護となりますと、高度にそれが進みますと、殺すなという問題になるものですから危惧しておったところであります。どうもありがとうございました。
 なお、参考人の方から、原因をはっきりさせ、飼養管理をよくする、未然に病気を防ぐという立場のお話がございました。また、森田参考人の方からも、そうした立場で各地域で懸命の努力をされているという報告がございましたので、その点についてもお伺いをしたいと思いますが、その前にせっかくですから竹内参考人の方に研修期間について、臨床研修ですが、森田参考人の方から四十二名、六班に分けて八週間ほどという御説明が実務上ございました。大体期間はこういうことでいいと思われておるのか、これから施行する研修の期間についての考え方についてちょっと御説明を願いたいと思います。
○竹内参考人 この研修の目標をどこに置くかということで随分期間が違ってくると思います。それから研修も、卒後すぐの研修とあるいはある程度就業した後の研修ということも当然していかなきゃなりません。それによって内容も違えば当然期間も違っできますので、ちょっと一概には大変申し上げにくいと思います。
 ただ、卒後研修について申しますと、やはり少なくとも先ほどおっしゃった期間、あるいは最低六カ月ぐらいはどうしても必要だと思いますが、それ以上必要だという意見があっても決して不思議はないわけですが、それはやはり獣医師の就業する環境の問題ですね、それを許すかどうかということもありますし、施設の問題もあります。それだけの人間を長く泊めておく施設がなければいけません。それから当然、長い間その人が研修に従事しているということを現場が許すかどうかという問題もございますので、そういうことが解決されれば、より長い研修というものも恐らく十分に意味があると私たちは思いますが、少なくともそれぐらいはなくてはいけないのではないかというふうに考えております。
○有川委員 どうもありがとうございました。時間があれば、また竹内参考人にはお伺いしたいと思いますが、森田参考人にお伺いをしたいと思います。
 先ほど来、飼養管理、衛生問題は事前の体制が非常に重要というお話がお二方からございましたが、今度の獣医師法の改正法の一部に、獣医師は、診療したときは、その飼育者に対して、飼育動物に関する保健衛生の向上に必要な事項の指導をしなければならない、こういうふうにされておりまして、このことがいかに重要かということが明確になったような気がいたすわけであります。きのうも私、質問の中でちょっと申し上げたのですけれども、最近、乳牛等の事故が多発をする傾向にある。そういう状況の中で、共済保険の収支が悪化するという問題もございまして、共済制度の充実あるいは獣医師の皆さんの待遇改善ということなどを考えますと、どうしても保健衛生向上の指導というのは極めて重要だろうというふうに思います。
 そういった中で、現場で、北海道では百二十三万頭という多数の産業動物に対しまして日夜献身的な努力をされておるわけでありますが、距離的な関係でも、一日の診療頭数に限界がある。さらには自動車の運転なりいろいろ精神的、肉体的な苦痛もあるし、あるいは地域によっては診療頭数にも問題がある。今、過疎がどんどん進んでおりまして、そういう意味では、散在する産業動物の診療、点検、管理というのが、指導が非常に重要になってくるのではないか、あるいは難しくなってくるのではないか、このように思っておるわけであります。
 北海道も非常に広大な地域を抱えていらっしゃいますし、現実に今日までそういう診療体制を、事前の健康チェックですか、そういうことをされておるのか。されておるとすれば、どういう形でされてきたのか、どの程度それができておるのか。あるいはその効果とか経費、共済のいろいろな関係がありますから、経費の関係はどうなっておるのか、ちょっと御説明をいただきたいと思います。
○森田参考人 お答え申し上げます。
 先ほど有川先生からお話がありましたように、私どもは、家畜の診療といいますのは、表にあらわれた病気を診療して、それに対する共済金を支払う、給付を行っておるわけでございまして、最近、先生の御指摘のとおり乳牛の事故が非常にふえておるのが実態でございます。したがいまして、その対策をいかにすべきかということで、従来とも一生懸命、損害防止対策事業といいますのは、要するに、表にあらわれない潜在している病気の拡大防止、それから事故を全く未然に防止する予防業務、二つの事業をやっているわけでございます。
 それで、潜在性の損害防止事業には国の補助がございまして、国の特定損害防止事業という中でさせていただきまして、非常に現場では有効に活用して事故の防止に努めているわけでございます。
 さらにもう一つ、事故を未然に防ぐということが非常に大事なことでございまして、先ほどおっしゃられましたような事故がふえているということはそれだけまた獣医師さんの仕事もふえるということで、いかに仕事を減らすか、そういうためにはどれだけ病気を減らすかが先になりますので、一生懸命やっているところでございます。特に繁殖障害とか乳房炎が非常に多いわけでございますので、定期的検診のほか飼養管理指導、さらに私ども連合会では家畜診療巡回車をもちまして農家を回りまして、人間でいいます健康診断、人間ドック的なものを農家でやってございます。
 ただ、そういうふうに現実には非常に一生懸命やっているわけでございますが、その効果といいますか、事故が減ったとか病気が減ったとか、さらにはもう一つ大きなものは経済的効果、要するに農家そのものがその損害防止によって幾らもうかったかという、言葉はちょっと悪いわけでございますが、そういうものがなかなか数字にあらわれないのと、同時にまた、農家自体も指導に対しましてはお金を払うことがなかなかできないという問題、私どもももらえないという問題を現実に抱えてございますので、そういう意味では、これから指導効果を明確にしながら、経済効果をあわせまして、そういう意味の生産性向上に対してこれだけプラスになりました、そのうち何割かは私ども共済にお返しくださいという方向で、指導に対しましてもより付加価値を高めながら効果のある指導にしていって、それに対応する対価を求めていく方向で進めていきたいと思ってございます。
 積極的な形の中で今後ともやっていきたいと思ってございますので、ひとつよろしくお願い申し上げます。
○有川委員 経済効果がどうもすぐにあらわれないということでもありましたが、共済組合は独立採算制で、それぞれの共済組合で独自に運営をされて、赤字にならないように努力をされておるということでございますが、やはり共済組合の範囲によって、単位によって、経済的にいいところと安定しない採算性の厳しいところがあると思うのです。潜在性の病気については国の補助がある。ところが、未然に防ぐという予防診断、こういうものには現実にはないので、共済組合が負担をするとか受益者から金をもらうとか、こういう努力、なかなかもらいにくいというお話でありましたが、そういう意味では国がもっと、病気を少なくする、農家の負担を軽くする、さらには共済の採算性をとっていくという立場からは、特に僻地の場合はそういうことが言えると思うのですが、やはり助成などを思い切って考えていく必要がある時期に来ておるのではないかと思うのです。この法律の趣旨からいたしまして、あるいは竹内参考人を含めてお話しになったことをお伺いしますと、非常に重要な問題のように考えますが、どうお考えでしょうか。
○森田参考人 ただいまお話がありました、私どもも今回期待しているわけでございまして、基本的に、獣医師法の保健衛生予防指導に対します義務づけ的なもの、これに何らかの措置がございますれば非常に心強いわけでございます。基本的には、やはり受益者負担が私どもの基本でございまして、家畜保険制度は病気になったものに対する給付が基本でございますので、予防的なものは農家みずからが守ることが原則だということでございます。
 そういう中で、先生の御配慮をいただきましたそういう国の何らかの措置がいただければ、私ども現場としては非常にうれしいことでございますので、ぜひお願いしたいというのが実情でございます。よろしくお願いしたいと思います。
○有川委員 私たちもそうした立場で努力をしなければならないというふうに理解をいたしました。
 ただ、特別巡回をされる場合に、幾らかの金を受益者からもらっていらっしゃるのですか、共済が出しているのですか、そこら辺をちょっと、具体的な数字があればお知らせいただきたい。
○森田参考人 私どもの巡回車が現場へ行きまして、大体四日がかりまして酪農家二戸を検査してございます。血液検査をやりまして、さらにその結果を求めまして、現場でその農家さらに関係者を集めて指導しているわけでございまして、検査の実費として今まで一万六千円いただいてございました。農家個人で払っている方、共済で半分助成しているところもございます。今年度からはこれを三万円に引き上げることにいたしました。これからは、やはり受益者負担ということも頭に考えまして適正な料金を設定する方向に行かざるを得ないような感じをしてございます。
○有川委員 大変参考になりました。今後頑張って努力をしていただきたいと思います。
 時間がもうありませんので、長岡参考人にちょっとお伺いしますが、いろいろ発達の歴史をお教えいただきまして、格段の進歩があることに、今日までの皆様方の大変な御努力に感謝を申し上げると同時に、さらに発展することを期待するわけであります。
 今の体外受精卵移植の技術は、まだ緒についただけとはいえ約二〇%程度の状況になっておるように承りますが、今後、将来展望としてかなりのパーセントまで持っていける、そういう状況下にあるのか、その辺について教えていただきたいと思います。
○長岡参考人 お答えいたします。
 発展の過程にありまして、二〇%と申し上げたのでございますが、実は機関によりましては既にもうかなり高い発生率を確保しておる、水準に達しておるところがございます。
 御承知のように、肥育牛というのは、繁殖生理上から言うと必ずしも好ましい状態ではないわけでございますね。当然でございます。三週間ごとに発情を繰り返すようでございますと肥育効率が上がりませんので、繁殖牛とは異なった管理下に置かれます。したがいまして、卵巣は必ずしも生理的には十分に機能していないのが事実でございます。
 そういうふうな状況もございますし、地域的な、あるいは季節的な要因等も技術的にはございますが、今畜産試験場あるいは家畜改良センター等で、あるいは県の畜産試験場等で活発に研究がされておりますので、現在既にもう高い水準に達しておるような機関もございますので、例えば三〇%だとか四〇%だとかという水準には恐らく近い将来といいましょうか、やがては達するのではなかろうかなという期待はいたしております。失礼いたしました。
○有川委員 どうもありがとうございました。
 時間が参りましたので以上で終わりますが、ただ、体外受精卵移植の技術、非常に発達して進んでくることはありがたいのですが、これが外国に渡ったら大変だなという私たち今心配をしておりまして、そういうことはまた政府の側にも要請をしてきたところであります。
 さきに、森田参考人の方から、今後安心して働けるように、獣医師の果たした役割も大きかったし農家の前進を期待したいというのがありましたが、ともにそういう方向で頑張ってまいりたいと思います。
 本当にありがとうございました。
○高村委員長 倉田栄喜君。
○倉田委員 公明党の倉田でございます。
 お三方の参考人には、大変示唆に富んだお話を承りまして、ありがとうございました。私の方からは、もう少しお話をお伺いさせていただきたいという趣旨でお尋ねをいたしたいと思います。
 まず、竹内参考人に二点ほどお尋ねをさせていただきたいと思います。
 先ほど参考人のお話で、獣医師の皆様方の職域の拡大、こういうお話がございました。この点に関しまして、今後、その職域の拡大という意味を含めまして獣医師の皆様方の役割をどのようにお考えになっているのかということと、関連をいたしまして、現状の獣医師教育の問題点といいますか課題というのか、この点をどのようにお考えになっているのか、お尋ねをいたしたいと思います。
○竹内参考人 獣医師の役割について最初にお話しいたしますと、まず、一般論ということになりますが、獣医師は動物を対象にしたある意味の生物学を使っての専門家であるというふうに思います。そういう意味では、動物と人間がかかわり合うその間に入っていくということになります。そうしますと、昔から現在、現在から将来を考えたときに、動物と人間のかかわり合いというのは世は世につれいろいろ変わってまいります。そうしますと、そこに入っていく獣医師の職域というものはどうしても広がっていきますので、あるいは変わっていきます。そういう意味で、これは必然的にいろいろな変わり方があると思います。ですから、これから動物と人間のかかわり合いがどういうふうになっていくか、人間が動物とどうやって一緒に生活していくか、あるいはどうやってお互いに利用し合っていくか、そういう形態は随分変わります。ですから、そういう意味でこれが非常に変化をしてきて、また多様性を持ってきているというのは、言うなればこの職業にむしろ必然的な変化ではないかというふうに、大変総論的になりますが、考えております。個々の職域の話をいたしますと、ちょっと時間が長くなりますので。
 そういう意味で、例えば動物は、食べるだけではなくて、動物と一緒に住むということで精神的な安寧を求めるという部分もございましょう。あるいは動物をほかの形で利用する、例えば実験動物として利用するということもありましょう。それから、対象とする動物の種類もいろいろと広がって変わってまいります。野生動物まで対象にしなければならないということにもなるかもしれませんので、そういう意味では、人間がどうかかわり合っていくかということでこれは非常に広がりを持つ職域ではないかというふうに考えております。
 考えてみますと、私も獣医師ですから、余り自分のところの宣伝をしたくないのでありますけれども、こういう形でいろいろな動物の生物学を中心として人間にかかわり合う部分に入っていく職業教育を受けている人間というのは、実は獣医師以外はほとんどないのですね。そういう意味で、世界的に今お話ししたような傾向があるんだと考えております。
 それから、現在の教育の問題点でございますが、それだけ広い範囲を持っておりますので、世界の各国では、随分早いうちから六年制あるいはそれ以上の教育をやっております。そして、年限だけではなくて、それに必要な十分な教職員の数あるいは施設を維持しております。それでなければ、実際は年限だけでは教育の実を伴いません。
 我が国においても、御承知のように六年制が実施されたわけでございますが、そのときに、教職員の数を十分ふやすあるいは施設を充実するという点につきましては、文部省の方針で大学の再編整備ということを前提にして行おうとされたわけですが、文部省の歴史を見ましても、大学が一緒になって一つになったとかいう例はほとんどないわけでございまして、総論は賛成でございましたが、具体的にやろうという段になると非常に障害があって、現在実行しておりません。そういう意味で、教育に必要な施設、教員の数、そういうものについてはまだまだ大変不足をしておると思いますので、ぜひ、現場の恐らく全員の声として、これはできるだけ早いうちに改善していただきたいということではないかと思います。
○倉田委員 今参考人がお話しになりました教育施設、いろいろ教育環境といいますか、その御指摘は非常に重要な問題であろうかと思います。私どもも努力をしてまいりたいと思います早
 そこでもう一点、今度は教育の内容に関して。
 今、食の安全ということを盛んに言われているわけですけれども、畜産でありあるいは魚であり、あるいは今回、先ほどお話の中で、保健衛生の向上ということで一般動物も含めてのお話もあったかと思うのですが、では絞ってお聞きをいたしますけれども、魚に対する、例えば飼育の魚でもいいわけですけれども、安全性に関する大学における教育というのは、現在どのようになっておりますでしょうか。
○竹内参考人 魚、特に今おっしゃいました飼っている魚と申しますか、飼育下の魚ということに絞らせていただきたいと思いますが、そういうものについての教育は、現在どこの大学でも魚の病気という形で急病の講義を全員受けることになっておりますし、獣医師の国家試験の中にも急病の問題が必ず出てまいります。それから、急病だけではなくて、今お話しになりました食品衛生という関連では獣医公衆衛生学というものの講義を、これは伝統的に獣医学の中の主要部分としてやっておりまして、その中でほかの食品とともに水産食品についてもそういうことが取り扱われております。さらには、病理学というのがございまして、そういう中でいろいろな動物の病気というものについての教育を受けております。あるいは魚の病気の中でも、伝染病というものに関しては伝染病学の中で触れておられる方ももちろんあろうと思いますので、そういう急病だけではなくて、いろいろな広い範囲でそれ関連の教育が行われているのではないかというふうに考えております。
○倉田委員 大変ありがとうございました。
 それでは次に、長岡参考人にお尋ねをいたしたいと思います。
 新しい技術の改良等の問題について詳しく御説明をいただきました。そこで、私の方からは、いわゆる家畜改良事業団の中における家畜改良ということと同時に、疾病といいますか、今竹内参考人からもお話がありましたけれども、疾病対策、予防対策、この点については事業団としてはどのように取り組んでおられるのか、お尋ねをいたしたいと思います。
○長岡参考人 改良事業団といたしまして管理しております家畜は種雄牛でございます。種牛でございます。これは、四十六年から四十八年にかけまして、凍結精液技術の普及に対応いたしまして、都道府県で従来設置されておりました種雄牛センターを凍結精液技術の普及に対応いたしまして広域化するということで、盛岡、前橋、岡山、熊本というところに設置したわけでございますが、そこで種雄牛を管理をいたしております。そこにそれぞれ獣医師を配置いたしまして、種雄牛の健康管理、予防等に努めてお川まずし、それから精液の生産、人工授精用の精液の生産でございますが、これにつきましても衛生上適切なマニュアルに従いまして管理をしております。
 それで、本日のテーマの体外受精につきましては、卵の採取から生産に至りますまでに細菌汚染、コンタミが起こらないような管理をしております。と申しますのは、これは細菌に汚染されるようであると、卵は受精卵に発生をいたしません。インキュベーターそのものが大変なコンタミを起こしまして、卵が発生しなくなってしまいます。ですから、申し上げましたように、大変な無菌的な管理下におきまして、無菌室におきまして受精卵は生産をいたしております。
 以上でございます。
○倉田委員 もう一点、長岡参考人にお伺いをしたいのですが、技術の改良には本当に長年の蓄積と多大の労苦がある、このように考えますけれども、そのようにして改良された技術あるいはでき上がった受精卵、こういうものが、例えばいわゆる経済原理原則の中で海外に輸出されていったりするようなことが可能性としては考えられるわけでございますけれども、そういう技術の保護といいますか、あるいは受精卵の保護といいますか、この点についてはどのようにお考えでございましょうか。
○長岡参考人 特に肉用牛でございますが、肉用牛につきましては、ここまで肉牛が、牛肉の輸入自由化の中でも、我が国の消費市場の中で高い評価を受けておるという事実がございます。とは言いながら、やはり牛肉の自由化というのは、我が国の消費市場を舞台として展開をされる国際競争でございましょうから、我が国の農家ともどもこれには負けるわけにはまいらないわけでございます。ですから、優秀な受精卵であればあるほど我が国の国内において遺伝子の集積をしなければならないということでございますから、少なくとも我々としては海外に持ち出す余力はない、国内で十分に有効に使って、我が国の肉牛の改良増殖を進め、国際化に当たらなければならないと考えております。
○倉田委員 大変ありがとうございました。
 最後に、森田参考人にお伺いをいたしたいと思います。
 お話の中では、北海道では既に九五%が共済家畜診療所でやられておるということでございました。今回の法改正案の一つの目的というか趣旨といたしまして、いわゆる産業獣医師さんの不足をどのようにするかということがございますので、この点については、参考人からも種々待遇、処遇の面についてのお話もお伺いをさせていただいたところでございます。
 そこで、共済の家畜診療所の役割も非常に大きなものがあるということも十分承知をいたしますけれども、同時に、開業されている産業獣医師さんの確保も本当に大切なことであろう、このように思うわけでございます。森田参考人には、この点について、共済家畜診療所と開業される産業獣医師さんとの共存というか、役割といいますか、どうしたらこれらが十分に機能できて畜産業の発展に資することができるのかということについてどのようなお考えをお持ちか、お尋ねをできればと思います。
○森田参考人 先生御指摘の私どもの共済団体の北海道におきますシェアは大きいわけでございますが、それでも開業の先生方も、実際に大動物を診療されて生活していらっしゃる方は三十人から四十人だと思います。その方とは競合することなく、指定獣医師という絡みもありますので、そういう中で、お互いに協力し合いながら対応しているのが実態でございまして、競合的なところはございません。
 今の家畜共済の中で、それでは開業の先生の待遇も含めてどうなのだろうということになりますと、やはりそれは先生の働く量、もちろん資源頭数が一番大事でございますので、そういう中でどれだけお働きになっているか。ただ、開業の先生は私どもの団体と若干違いまして、研修教育もなかなかできかねる。それだけ、三百六十五日拘束しているという場面もありますので、やはり共済の団体職員以上に処遇されなければいけないような気もしてございます。
 ただ、そういうのはどういうふうにやればいいかというと、なかなか難しいものでございますので、ちょっとお答えしづらいと思いますので、お許し願いたいと思います。
○倉田委員 時間が参りましたので、最後に一点だけ森田参考人に、過疎地の診療体制について、先ほどもう少し御説明をいただければと思ったものですから、簡潔にお話を願えればと思います。
○森田参考人 北海道における過疎地といいますと、都市近郊、札幌近郊でございます。そういうところは、診療所の統廃合をしながら私どもの家畜診療所のみで今のところ対応できますので、もっと過疎的なといいますと、内地府県では特にそういう課題があるかと思いますが、私どもの中では診療区域の調整とか統廃合を行いまして、一カ所の診療所における獣医さんの数をふやしながら効率的な診療をして対応をしてございます。
○倉田委員 以上で終わります。
 お三方の参考人には大変ありがとうございました。
○高村委員長 藤田スミ君。
○藤田(ス)委員 きょうは参考人の先生方、ありがとうございます。
 まず最初に、私は長岡参考人からお伺いをしていきたいと思います。
 体外受精卵移植につきましては、屠体からの卵巣摘出、そしてそこからとった卵子を体外受精させるということで、多分に工業的手法で体外受精卵を大量生産することができるわけでありますが、今回の法改正を前に、大企業による卵巣の買い占め競争が既に厳しく行われているというふうに聞いております。黒毛和牛では、優秀な雌牛については生きているうちからその卵巣は買い手が決まっていて、もう市場にはそのような卵巣は出回らないというような現象も一部起こっているわけであります。ある特定の和牛の受精卵が一部の大企業によって支配され、それで高値になるということでは何にもなりませんので、ここのところは私は野放しにしないできちんと供給できる体制をつくらなければならないというふうに思いますけれども、この点について先生の御提案、御意見をお伺いしたいと思います。
○長岡参考人 先生のおっしゃるようなお話はマスコミの報道を通じて見たといいますか、聞いたことがございますが、申し上げましたように、体外受精技術というのは六十年にできまして、関与する機関が非常に数が少のうございました。ところが、ここ一、二年非常にその機関がふえてまいりまして、ふえてまいりましたのも、畜産試験場、家畜改良センターだけではなくて、県の畜産試験場等で実施される機関がふえてまいりました。言ってみれば、公的機関が非常にふえてまいっております。
 この技術の重要性にかんがみまして私にどういう判断をしておるかと問われれば、この技術が持つ我が国の肉牛改良増殖上に果たす役割というものが年産業の世界において認識されればされるほど、多分先生の御心配されるようなことにはなっていかないのではないかな、技術者なり関与する生産者たちがおのずから的確に我が国の家畜改良増殖の方向へとその手法なりシステムを多分選択していくのではないかなというふうに思っております。それを左右するものは、一つには技術であるということでございまして、いかにその卵巣から有効にたくさんの優秀な受精卵をつくっていく技術を持ち合わすかということが非常に重要なかぎでございまして、そこらは家畜改良センターあるいは畜産試験場等々の優秀な技術者たちが、これから技術開発によって担保していくであろうというふうに思います。
○藤田(ス)委員 それでは、続いて森田参考人にお伺いをいたします。
 今の酪農を見ておりますと、先ほどからもお話がありましたが、搾乳牛一頭当たりの乳量というのは、北海道で六千七百キログラム、これはもうアメリカと並ぶ世界一の水準に達してきております。この水準は既に家畜改良増殖目標、九五年までに乳量、ホルスタインで六千四百キログラムという目標を北海道の場合は超えてきておるわけでありますけれども、ここに至る酪農家の皆さんや先生方、獣医の皆さん、関係者の努力というのは大変なものがあったと思うのです。しかしながら、その乳量の過度な増加というのは牛の生理を無視した飼育を招くことになりがちでありまして、現在、乳脂肪率三・五%を達成するために高たんぱく質の配合飼料を多給するというようなことになって、乳牛の脂肪肝あるいは乳房炎、繁殖障害が多発し、家畜共済事故がふえているということになっているのではないかと思うわけです。この点はもう既に酪政連なども問題点を認識してきていらっしゃると思いますが、この点について森田参考人はどのようにお考えか、お示しをいただきたいわけです。
○森田参考人 先生おっしゃるとおり、北海道の酪農も非常に高度化、改良が進みまして、乳量も非常にふえてございます。もう一つ大きな背景としまして、乳価も据え置きで、奨励金もいただきまして、農家にも若干明るさは見えたわけでございますが、やはり農家経営も厳しい中で搾ろう、搾ろうとして努力してございます。先生おっしゃられました濃厚飼料の多給も現実でございまして、そのために牛は命を削って乳を出しているという実態もあると思います。そういう傾向で、私どもとしましては、先生おっしゃられた乳房炎とか難産、事故とか、いろいろな代謝障害的なものが非常にふえてございまして、その対策に苦労しているわけでございます。
 ただ、牛乳の三・五%、これは現実には三・六%出てございますので、決して牛そのものには脂肪量だけでは無理はかかっていないと思いますし、また、飲用牛乳を三・五にしたことによりまして飲用乳が非常にふえたということはむしろ酪農家としては歓迎すべき事態だと私どもは承知してございます。
 そういう中で、これから事故をどういうふうに減らしながら牛を強めて丈夫にしていくかというのが課題でございますので、また皆さん方のお知恵を拝借しながら対応していきたいと思いますので、ひとつよろしく御指導願いたいと思います。
○藤田(ス)委員 先ほど森田参考人が、産業獣医師を確保するためには将来に希望の持てる畜産業にしていくことだとおっしゃった、この御意見に私も全く同感でございます。
 そこでひとつ、そうはいっても現実にこの足りない産業獣医師を確保するために今最も求められるもの、現在求められるものという点をお示しいただけたらと思うのです。
 あわせて竹内先生にもお伺いをしたいと思いますが、若い学生の皆さんが産業獣医師に魅力を感じて出ていくために今何が求められているかということをひとつお伺いしておきたいと思います。
 農村部の獣医師の不足などの中で人工授精師に獣医師の持っている権限を移していくというのでしょうか、診断権まで与えていこうというような声を私どもは耳にするわけでありますが、この点について竹内先生はどういうふうにお考えでしょうか。
 しかも、一方では小動物の診療を志向する傾向が強まって、この小動物診療の分野の過剰問題というのはもう顕在化しつつあると私は思うわけです。にもかかわらず、今回の法改正の中では企業の参入ということが認められましたので、そういう傾向に一層拍車がかからないかということを大変心配しておりますが、何か幾つか申し上げましたが、御意見をお伺いしたいと思います。
○森田参考人 産業動物医の確保でございますが、私ども北海道には七百七十五名、現在のところ獣医師は充足しているつもりでございます。
 獣医師確保対策には、私ども連合会が組合の委託を受けてそれぞれ採用させていただいておるわけでございますが、やはり基本的には学生が臨床の現場をなかなか理解してくれていない、先生おっしゃられました農政、自由化の問題等を初め先行きが暗いという問題も先行してございますし、やはり待遇が悪いとか労働が過重だということが先行されまして、なかなか理解されない場面がございます。したがいまして、私どもは、確保のために各大学にお邪魔したり、実習を受け入れたり、いろいろな場面で臨床の現場を理解していただく、決して臨床の現場はそういう暗いものではないですし、給料もまあまあだと思ってございますし、労働条件にしましても休みも一般社会以上に持っていると思います。そういう意味では労働条件も逐次改善されてございますので、むしろよく理解していただくということが先じゃないかなと私ども思って努力しているつもりでございます。
○竹内参考人 学生がまず産業動物の方へ向かっために、あるいはそこへ魅力を感じるためには何をしたらいいかという問題ですね。これは大変難しい問題だと思います。
 先ほどから森田参考人の方から北海道の実情をいろいろ御披露ございましたけれども、私もいろいろなところの畜産を知っておりますけれども、北海道はかなりの学生が魅力を感じる分野じゃないかと私は思います。ところが、それ以外の特に関東一円でございますとか、そういうところの農家へ学生を連れていきますと、なかなか魅力を感じない部分があるということも事実でございますね。重要性は重要性として、そこで一生かけようという気持ちがなかなか起こらない、比較をするともう少し魅力のあるところの方へ出てしまって、そしてなかなか行ってくれないということはあると思います。ただ、現実には学校へ入ってきた学生というのは、将来産業動物の獣医師になりたいと言っている人間はかなりいるのです。ですから、そういう人たちが魅力を感じるような場所にしてやれば、行く可能性は十分あると思うのですね。
 その魅力は何かといいますと、これはなかなか難しいのですけれども、一つは、それは待遇改善かもしれません。しかし大部分の、例えば共済組合の俸給でいきますと、国家公務員に大体近いわけでございますから特に悪いわけではございませんが、職務の内容からしますと現在嫌われている部分が多分にございますので、そういうこととの兼ね合いてもう少し待遇を改善してほしいという要望があるし、それをすれば学生に多少魅力を感じさせるという部分もあるでしょうが、それにもまして、先ほどから払お話しさせていただきましたけれども、技術者として大いに満足できるような環境、それは先ほどから出ております卒後研修も含めてそういうものが出てくるということも大事ですし、何か一つやれば事が済むということではなくて、先ほどから出ているいろいろな問題を全部総合しないと無理ではないかというふうに思います。
 それから、人工授精師の問題でございますが、今回の法改正によりまして、人工授精師が屠場での臓器に触れることができる、そういうことが果たして問題を起こさないかというようなことを絡めての御質問がと思いますけれども、これは先ほども参考人の方から御説明がございましたが、もともと人工授精師というのは、体の外に取り出した、生体試料と我々は言っておりますが、精子とかそういうものを無菌的にきちんと扱うという操作のトレーニングを受けているわけですから、その人たちにきちんとした今度は卵巣の取り扱いという教育をすれば、基本的には生体の外でそういうものをいじるということにはなれていると思います。そして、それを入れるということは従来やっておることですから、そういう意味で、そこのところはむしろお任せをするとすれば最も適した専門家ではないのだろうかというふうに考えております。
 それから、今度は小動物の問題でございますが、企業の参入の問題というのは大変難しゅうございますけれども、今回の法律を私たち読ましていただく限りでは、開設者なり管理者なり、そしてそこにそれぞれにかなりの規制がしかれておりますので、そういう形でかなり企業が利益本位の診療をしていくということについての歯どめは相当かかるのじゃないのかなというふうには考えております。
 それから、小動物の獣医師の過剰の問題でございますけれども、これは世界的に小動物の臨床というのは若い人に大変魅力のある分野でございまして、これは世界的な流れでございますから、過剰になれば当然こういう自由競争の社会でございますから恐らくブレーキがかかってくる。できればその前に警告を発したいわけですが、実際は、大学の教育の場ではほとんどの大学でそういう警告は発しております。しかしながら、現実にはやはり行ってしまう部分がまだ続いているということだと思います。長くなりました。
○藤田(ス)委員 どうもありがとうございました。終わります。
○高村委員長 小平忠正君。
○小平委員 お三方の参考人には本当にお忙しいところまことに御苦労さまでございます。早速でありますが、私からも数点質問をさせていただきます。
 まず、竹内参考人さんにお伺いいたしますが、御承知のとおり獣医師制度は我が国の畜産業の発達を支えてきたところでありまして、これはまさしく車の両輪である、こういうことが言えると思います。私は、獣医師は第一義的には畜産業の発展のためにあると考えておりますが、先生が委員をされておりました獣医事に関する研究会の報告によりますと、獣医師が果だす新たな役割として、一つには小動物の診療業務の拡大、二つには社会福祉活動分野への積極的関与、また三つ目には野生動物の診療、希少動物の繁殖といった広範囲のものを挙げておられるわけであります。
 今後、獣医師は我が国の経済社会の中でどのような役割を果たしていくべきであると考えておられるのか、まずこれについて御意見をお伺いしたいと思います。
○竹内参考人 先ほども申し上げましたが、私の理解では、人間と動物の接触のあるところ、その接触の形が変われば獣医師の絡み合いもいろいろ変わっていくだろう、またその重点の置き方も変わっていくだろうというふうに思います。
 したがいまして、昔はともかく動物を食べる、あるいは日本の戦後におきましてもともかく食糧確保ということが中心でございましたから、獣医師のかかわりもそこが中心であったというふうに思います。しかし、例えばそういう食糧といいますか、食べたり着たり住んだりということがある程度満足されますと、人間はどうしても精神生活の充実というものを求めます。そういう意味で犬や猫の人間社会における位置づけが変わってきた、これは社会的な世界的な大きな傾向でございます。したがいまして、犬や猫にうつつを抜かすとかということではなくて、そういうふうに人間社会における位置づけが変わってくれば、それに対応して、そういう動物にかかわり合うことによって人間社会が満足をしてくれればいいわけでございますから、そういう意味でその分野は昔に比べると大きくなるということは、私は必然的であろうかとも思いますし、また社会の要望でもあろうかというふうに思います。
 そういう意味では、今おっしゃいました社会福祉であるとかあるいは野生動物、希少動物の保護ということも、もともと動物を丸ごと扱ってあるいは群として扱って、それを生物学的にいろいろ理解をし問題の解明に手を打っていくということが獣医師の専門でございますので、今そういう分野が大きな注目を集めてくれば、当然獣医師あるいは獣医療としてはそこに入っていくことを強調しなければならないというふうに考えまして、私どもあの報告書の作成に御協力を申し上げた次第でございます。
○小平委員 ところで、私は産業獣医師の確保という観点でお伺いいたしますが、現在、獣医師をめぐる最大の問題は産業獣医師の不足にあるのではないかと思います。その最大の原因は、基本的には産業獣医師の収入がペット獣医師に比較して極端に低いという現実、さらにはこういう状況の中で獣医大学の教育にも今後工夫をしていかなければならない面があるのではないか、こう思うわけであります。
 最近、獣医大学に入学する学生は都会出身者がふえて、また特に女子の数がふえてもおるわけであります。このことは教育の機会均等ということで大いに結構なことなのでありますが、偏差値だけで学生を選抜するということは、獣医師の養成といいますか、教育という面においてはある意味では適切じゃないという面もあるのではないか、こう私は考えているわけであります。例えば、この特殊性を勘案して卒業後のことを条件にして関係農業団体長が推薦することも考慮に入れるとか、そんなことを思うわけでありますが、竹内参考人は東京大学農学部の教授で実践の教育の場におられまして、この産業獣医師の不足の原因をどうとらえておられるのか、また、その確保のために獣医学教育において今後どのようなことができ得るのか、そこのところをお伺いしたいと思います。
○竹内参考人 いろいろなことを今御指摘いただきましたけれども、小動物分野での獣医師の収入が大動物分野の収入よりも一般的に高いというのはどうも世界的な傾向で、もう何十年も前からそうでございます。しかし、それでも諸外国では大動物の獣医師にそれなりの数の人が行くということは、やはりそれの意義づけが、その重要性が社会で認められている、そういうことが非常に大きいと思うのです。
 ちょっと話が長くなるといけませんので簡潔にいたしますが、やはりこれは大学だけの問題ではなくて、初等教育、子供のときから、畜産業というものが我々が生きていく上に非常に大事だ、食糧の問題は大事だということが初等教育の段階から身についてこそ産業動物の獣医師になろうという人が出てくるんだと思うのですね。
 大学教育がすぐ悪者にされて私はちょっと困るのですが、時には、大学では産業動物獣医学の教育を軽視しているのではないか、こういうお話がございますけれども、これはよく教師同士で話しますが、これはどう見ても違う、実際には半分以上は大動物の講義をしております。現場も見せております。しかしそれでもなかなか行ってくれないというのは、もちろん大学側の努力も大事でございますけれども、それ以外の分野での環境の改善といいますか、条件の改善ということがなしには産業動物の方向へ獣医師がたくさん行ってくれるというふうにはなかなかならないだろう、そのために今回この法改正の中でいろいろな分野がいじられている、そういうことが相まって効果が出てくるのではないかという意味で私は期待をしたいと考えている次第でございます。
 女子の問題もあるいは都会の問題も、これはもう今の一つの流れですね。人間、人口そのものが都会周辺に偏っているわけですから、獣医学科の学生だけじゃなくて、ともかく都市近郊の学生が主体を占めてまいります。そういう人たちの中にも、先ほどもお話ししましたように、産業動物獣医師になりたいと言って大学に入ってくる学生はいるわけですから、その人たちが希望を失わないような現場の環境ができれば将来行ってくれるのではないかと私は考えております。
 それから女子の問題も、現在もう半分近くの学生が女子になっておりますが、これはもう世界的な傾向でございます。じゃ外国ではどうかといいますと、女子がちゃんと大動物の産業に従事できる職場の環境ができております。ですから日本も、もう女子を嫌っていては、そういう社会は私は伸びないと思いますので、この畜産関係でも女性獣医師が活躍できるような受け皿をぜひきちんとつくっていただきたい。それはテクノロジーを利用すれば、力のない女性でも十分に、あるいはそういう産業動物の獣医業にある程度まで従事できる、そういう可能性はあるんじゃないかというふうに考えております。
 以上で大体お答えできたかと思いますが。
○小平委員 教育の場にあられる竹内先生からお話をお伺いいたしました。
 そこで、森田参考人さん、ひとつ現場でいろいろと接触されている森田参考人さんにお伺いしたいと思うのですが、産業獣医師が今このように不足している原因には、一つには獣医師免許の受験資格が大学で六年間学ばなければならない問題ですとか、あるいは今回のこの改正案にある卒業後の臨床研修といったような面もある。すなわち獣医師になるには時間とお金がかかり、それを取り戻すためにもペットの方に行きがちである。そんなこともあるのではないかとも思うわけであります。産業獣医師の技術の向上は一般論としては確かに重要なことでありますが、このことによって畜産業から離れていくのであればまたこれも問題である、私はこうも思うわけであります。そんな意味で日ごろ畜産農家に密に接触をされております森田さんはこれらの問題についてどんなお考えをお持ちなのか、ひとつ忌憚のないところをお伺いしたいと思います。
○森田参考人 まず、産業動物の教育年限が六年になった、四年からふえたことによって、いろんな意味がございますので一概には言えないと思いますが、それによって産業動物が減ったとかなんかとは関係ないと思います。
 従来の教育を変えた理由は、やはり現場に向く獣医さんも含めまして教育の高度化、それから先ほどもちょっと申し上げましたが、現場の家畜の診療形態も変わってございますし、病気の発生形態も非常に変わってきて複雑化してございますし、いろんな器具、機械の検査方法も変わってきてございますし、それに見合う診療体制をつくっていくことが大事だと思いますので、そういう意味では六年制も非常によかったのではないかなと思ってございます。
 卒後の教育、これは先ほども言いましたように従来とも力を入れているわけでございまして、やはり臨床現場と教育現場とは多少違いますので、現場に入りましてそれに見合う、特に臨床現場となりますと毎日毎日が生きているものでございますから変わってくるわけで、そういう事例が学校教育じゃなかなかできないという場面もございます。そういう意味で私どもそれを補足して、安心して現場へ出るような方向で教育してございますので、ペットに行く方がお金をたくさん取れるとか言いますけれども、やはり産業動物に来ていただく獣医さんは産業動物が好きで、それぞれ使命を持って入ってきていただいています。特に最近、採用に歩きましても、やはりどうしても産業動物をやりたいという獣医さんが結構いらっしゃいます。だから、それをどうやって確保して定着さしていくかが我々の課題だと思ってございますので、やはり先ほど指摘されました待遇の問題とか卒後研修、教育の問題とか、さらには労働条件等いろいろ配意しながら頑張っていきたいと思ってございますので、ひとつよろしくお願いしたいと思っでございます。
○小平委員 次に長岡参考人さんにお伺いいたしたいと思います。
 このたびの家畜改良増殖法の改正によって、屠体よりも受精卵移植を可能ならしめる、このことは確かに技術の改良に効果があり、私も評価するところでありますが、この技術は体内受精卵移植の技術を基礎としたものでありまして、この開発が急速に進展しているということであると思うわけであります。体外受精卵移植の実施状況、それと今後の見込みについてひとつお聞かせ願いたい。また今後この対策、これについてもどんな普及をさしていくのか、これらについてお伺いしたい。
 もう一点。この受精卵は海外に持ち出すことは自由なわけですね。現在牛肉の自由化が進展する中で、さらにこのことによって我が国の畜産業に与える影響が大となる、そういう危倶をしているところなんですが、これらについていかがお考えか、お聞かせ願いたいと思います。
○長岡参考人 大変失礼でございますが、実施状況とおっしゃったんでございましょうか。
○小平委員 実施状況と今後の取り組みなんですが、特に海外に今受精卵が持ち出しか自由ですね、それによって我が国の畜産業に与える影響という、そんなことを含めて……。
○長岡参考人 今体外受精が実施されておる機関というのを全部私は承知しておるわけではございませんけれども、この技術は、申し上げましたように畜産試験場で開発され、種畜牧場の協力によって子牛が生産されたわけでございますが、その後、この技術は県の畜産試験場等に普及して、技術が移転されてまいりました。それからまた、一部飼料会社あるいは食肉会社等でも取り組んではおられます。そういう状況でございます。最近、ここ二、三年、実験の結果でございますが、急速に実施頭数もふえてまいりまして、平成二年度に六百頭を数えるというところまで参っておるわけでございます。
 この技術が今後どういうふうに普及していくかというお尋ねかと思いますけれども、多分思いますに、肉牛というものがその地域の農業の中で大変重要な基幹部門として重視され、各県とも非常に積極的に取り組んでおられますので、恐らく畜産試験場等でも取り組まれることになるのではないかな、そこらが恐らく指導性を持って取り組んでいかれるのではないかなというふうに考えております。
 それから、生産された受精卵が海外に出ていくことはないのかというお尋ねかと思いますが、多分技術的に、それらの国々との間に検疫上の取り決めが将来できましたときにはあるいはそういう可能性がないとも言えないかと思いますけれども、我が国の年産業といいますか肉牛生産者たちは、むしろ海外に出すよりも我が国の中で有効に使って、国際競争に勝てる、勝ち続けなければなりませんから、そういうふうな活用に恐らく持っていくのではないかな、生産者の合意といいますか世論といいましょうか、恐らくそういうふうな方向へと選択、誘導されていくのではないかなというふうに思います。
○小平委員 どうもありがとうございました。終わります。
○高村委員長 阿部昭吾君。
○阿部(昭)委員 今までの質疑を通じまして大変貴重な御意見をお聞かせいただいて、ありがとうございます。
 竹内先生と長岡先生に伺いたいのでありますが、今まで技術の保護というのが、今も受精卵が海外に出はしないかとかいろいろなお話がございましたけれども、私の認識では、恐らく日本で今開発をした技術といったようなものは、どんどん世界的に広がっていくのだろうと思うのであります。
 ただ、日本で開発した受精卵そのものが出ていくかどうか、これは別の問題だと思います。そういう際に、例えば最近、国際特許であるとか、あるいは特許権を侵害したとかいうようなことが、いろいろな業界で大変問題になるわけであります。あるいは知的所有権の問題であるとかいうような意味で、日本の畜産の中で非常に長い努力をされてここに持ってこられたものを、これからのありようとしては、何か他の業界にあるようなそういう保護、こういうものがどのように整えられるものであろうかということを、両先生にお伺いをいたしたい。
 それから、北海道は、私はやはり我が国畜産の非常に大きく発展をされておるところだと思います。その第一線で非常に御活躍なさっておられる森田先生に、今度の三法、この改正及び医療法の制定は、長い間の現場第一線の強い主張というものに基づいて今回出された、こういうふうに私ども思っているのでありますけれども、これで果たして十分なのかということになると、現場の方々、現場の立場からはいろいろな御意見があるのではないかというふうにも思うわけであります。この今回の法整備の次に何を現場第一線として求めていらっしゃるのであろうかということをお聞かせ願えれば非常にありがたいと思います。よろしくお願いいたします。
○竹内参考人 御質問の中の受精卵の移植技術に関しましては、正直申しまして私の専門でもございませんので、そういう技術の維持といいますか、あるいはノウハウをどういうふうに日本で維持していくかというようなことについては、長岡参考人の方で御説明いただきたいと私は思います。知らない人間が余り言わない方がいいと思います。
 ただ、一般的に獣医の学術研究成果ということに関しましては、通常は余りそういう秘密主義というのはございませんで、現在の社会でございますから、できるだけ早く情報を流す、情報をとるというふうにしてやっておりますので、いわゆる工業関係でやっておりますようなああいう問題は、私どもの専門である研究分野ではさほどはございません。もちろん、必要なものは全部特許申請をするとかいうことは当然いたしますし、その特許申請のときには学会できちんと発表したということも当然必要でございますので、そういう手順を踏んで、そして学会で発表して、特許申請の必要なものはそれをやりながら、その結果というものはある程度公表していく、そして、同じことをしないで次の人が次のステップに進めるようにしていくということでないと全体が進みませんので、全般的にはそういう動きであると私は承知しております。
○長岡参考人 お答えいたします。
 今後に予測されます技術の開発がどういうふうになっていくのかということはちょっと予測しがたいところもございますが、今までの開発された技術につきましては、体外受精に関します限り、特許によりましてこの技術が大きな制約を受けて使えないというところは今のところはございません。
 ただ、一般論と申しましょうか、国の指導助成がございまして、鉱工業研究組合法に基づきます受精卵移植技術研究組合というのを設けておりまして、そこで受精卵移植技術を大きなテーマといたしまして、それに関連する周辺技術も含めましての技術開発を進めておるわけでございますが、その中におきましては、新しく開発された技術につきましては、それぞれに特許申請をしながら技術を保護するということで今対応しておるところでございます。
 お答えになったかどうかわかりませんが、一応お答えにいたします。
○森田参考人 このたびの法改正によりまして、産業動物臨床獣医師が直ちに確保できるとか解決する問題じゃないと思っでございます。長い目では非常に有効的に働いてくると思いますし、そういうふうに私どもも期待をしているわけでございます。
 特に、今回明確になりました臨床研修の面とか医薬品の適正使用、これは我々に与えられている、現場に与えられている課題である。安全な食品を提供するという大きな課題もございますので、そういう問題からいいましても、さらには、診療時の保健衛生指導、事後指導でございますが、これも非常に大きな課題でございますし、これがまた確保されますと非常に農家自身もプラスになりますので、そういう意味では今回の改正は私どもとしては非常に大きく期待しているところでございまして、そう長い時間はかからないうちに定着するのではないかと思ってございます。
 ただ、先生おっしゃられました、次にどういうフォローを期待するかというのは、まだそこまでは考えてございませんので、お許し願いたいと思います。
○阿部(昭)委員 きのうも実は私、農水大臣や皆さんと若干論じ合ったのでありますけれども、獣医師というこのお仕事、少なくとも今は六年間の専門の大学教育を受けて、そして現場に立つと、現場は特に産業動物の獣医師さんは非常に少ない、確保が困難、こういう事態が起こるのは、帰するところやはり仕事はきつい、もう一つは待遇は必ずしもと、こういうところにあるのだろう。私は、実は長い間農村をいろいろ駆け回ってきましたので、そういう思いを痛感しておるのであります。
 表には出しておりませんが、建設省やその他、三省協定というのがあって、いわゆる報酬とか賃金の基準というものがある。私の郷里は最近は少なくなりましたが、たくさんの季節出稼ぎ者がやってまいります。普通の農家の皆さんでありまして、そんなに技術を持っておるわけじゃない、こういう皆さんの平均報酬、賃金基準よりも政府の獣医師さんに対する補助単価の基準、一万二千円というのは実はちょっと低いのですよ。このことを言いましたら、それは三Kの出稼ぎ現場なんというのはきついところだから、労働力市場の関係でそうなっておるんだということをきのう政府の方は答弁しておりましたけれども、たくさんの困難な問題はありますが、やはり獣医師さんという専門の大学教育を受けて日本の畜産をここまで持ってきた、そのほかにも今の食品安全とかいろいろな分野で大変な使命を果たしておられる獣医師さんに対する処遇としてはまだまだ改善されなければならぬのではないか、私はこんな認識を持っております。私のその認識は間違いなのかどうか、竹内先生の御意見をお願いします。
○竹内参考人 まことに心強い御発言をいただきまして、獣医師をつくり上げている方としましては、一般論でございますが、そういう評価をしていただけるということは大変ありがたいことだと思います。
 確かにおっしゃるとおり、特に現在受けている待遇と申しますか給料が非常に低いというものではございませんけれども、仕事の内容を考えますと、やはりこれは内容にしては低いのではないかと思う人がいても不思議はないと私も思います。現実に私ども現場を知っておりますけれども、確かに汚い、危険がある、そういう悪い部分もたくさんあります。ですから、それはそれなりに認めてくれているんだなということを学生なり獣医師が自分で感じるためには、やはり一つは、何もお金がすべての世の中ではありませんが、待遇であり勤労条件の改善でありということではないかと思います。それと同時に、そういうことがあったとしてもなかなかつらい職場でございますから、それが社会に役立っているという意識が持てるような環境をつくる。先ほどからお話がでております卒後研修その他を含めまして、あるいは今度の動物の保健衛生の指導ということも僕は生きがいを感じさせるのに大変いいことだと思いますので、そういうもの、三本柱になるかもしれませんが、私はそういうものがそろうということが大変大事なのではないかと思いますので、基本的にはおっしゃる部分はそのとおりではないかというふうに考えます。
○阿部(昭)委員 どうもありがとうございました。終わります。
○高村委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 この際、参考人各位に一言お礼を申し上げます。
 参考人各位には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。
 参考人各位には、御退席をいただいて結構でございます。ありがとうございました。(拍手)
 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時十五分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時一分開議
○高村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 内閣提出、獣医師法の一部を改正する法律案、獣医療法案及び家畜改良増殖法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題とし、質疑を続行いたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。前島秀行君。
○前島委員 畜産三法全体について見解を伺いたいと思うのですが、畜産業が我が国の農業の基幹産業部門に成長してきたということ、それから一般家庭における小動物の飼育の普及、動物愛護、こういう考え方が非常に高まってきた。そういう一方で、獣医師への社会的な要請、期待というものも高まったのでありましょうけれども、片っ方、獣医師がいわゆる小動物の方に集中をして、本来あるべき大動物、産業動物への獣医師のかかわり方が非常に少なくなってきた、こんなようなことが今回の法改正の出発点だろうと思うわけでありますが、やはり何といってもこういう現象は、獣医師に対する社会的評価というものが一体どうなんだろうか、一般的に、社会的に見て、きのうの質疑でもありましたけれども、六年間の大学教育を受け、あるいはその診療現場、臨床現場の厳しさ、そういう条件から比べると必ずしも十分な評価をされていない、こういうことに大きな原因があるのかな、こんなふうにも思うわけであります。
 そういう面で、大臣、畜産の振興あるいは動物愛護等々の高まりの中で、この獣医療を営利目的にすべきであるかどうかということを含めて、大臣の獣医師に対する認識といいましょうか、評価というものを基本的に伺っておきたい、こういうふうに思います。
○田名部国務大臣 日本の経済の発展がいろいろなところにいい結果をもたらした分野、あるいはそれによって起きてきたひずみといいますか、そういう両面があると思うのですね。特に、飼育動物をめぐる情勢というものも、ここずっと見ておりますと、何といっても畜産業が我が国農業の基幹的部門に成長発展をしてきた、一方ではこの経済的な豊かさあるいは出生率の低下によって、家庭で広く小動物が飼育される面が出てきたという状況が変わってきた中で、獣医師の皆さんに求められる診療内容もまた大変きま変わりをいたしまして、あるいは高度化してきておるわけでありまして、そういう意味では適切な診療の提供を行うということがさらに求められてきた、こう思うのであります。
 いずれにしても、どんな職業であっても、そこに誇りを持って国家国民のために尽くしている、そういう気持ちがなければ、どうも安易に、汗を流さずに所得の多い方ということを求めるだけが私は人生だとは思いませんが、しかし、さればそういいましても、この際診療業務等の提供に対して適正な対価を収受することは当然でありますし、獣医師の業務に営利性というものが否定されるものでもないわけであります。
 また、食品の安全性に対する関心がここのところ非常に高まりを見せておりまして、食鳥検査等に見られるように、公衆衛生分野における獣医師の活動範囲もまた拡大をしておるということで、さらに重要な役割を果たすようになってきております。
 さらに、近年、このほかにも獣医師の活躍が求められている分野が拡大しておりまして、例えば実験動物、動物園の動物等に対する獣医療の提供とかいろいろあるわけであります。
 いずれにしても、こういう状況を踏まえて、今回の法改正において獣医師に課せられた任務を明記して、やはりきちっと違うということを明確にしながら、社会的地位に対する十分な自覚を持っていただくと同時に、資質の一層の向上を図っていかなければならない、社会の要請に的確にこたえていくようにするために、獣医師の任務に関する規定を整備することにした次第であります。
○前島委員 今度の法改正で、いわゆる社会的要請、期待にこたえて獣医師の任務規定をした、これは当然必要であるし、あるいは保健衛生の向上という新たな概念規定を入れた、これは非常に重要なことであり、大切なことでありますけれども、そういう期待にこたえてもらうためにも、やはり獣医師における社会的な地位といいましょうか評価というものを片っ方でやらないと、どんな精神規定にしても現実の問題としてはなかなか成果も上がらない、こういうことであろうと思いますので、これからいろいろな行政をやる中で、ぜひ大臣、必要であるのでありますから、いろいろな面での期待が込められているわけでありますから、獣医師の位置づけ、評価というものを行政の中でぴしっと生かしていただきたい、こういうふうに思います。
 そういう中で、具体的に、特に不足ぎみである、何とかしなければいかぬという大動物に携わる獣医の皆さん、やはり小動物と基本的に違うのは、大動物の方は経済性といいましょうか経済動物を扱っているということが違うわけであります。畜産行政と大きくかかわってくる、農政と大きくかかわってくるということなんですね。その扱う診療対象が経済性との兼ね合いで非常にいろいろな議論が出てくるということだろうと思うのです。
 今回のいろいろな法改正の中で、獣医師の皆さん、とりわけ産業獣医師の皆さんにかかわっているそういう人たちの意見を聞くと、もちろん非常に厳しい、労働条件が厳しい、同時に畜産行政といいましょうか、あるいは諸制度とぶつかってしまって、本来やりたい獣医師としての技量が発揮できないという面で、多々ぶつかるというのです。そうすると、やりがいというような問題で一つの壁にぶつかって失望していってという形があるわけですね。片っ方、ペットの方は、いわゆる労働条件的なものを含めても、みんな来てくれるわけでありますから、産業獣医師の方は出ていくわけです。雨であろうが、夜であろうが、何であろうが出ていく。その基本的な違いと同時に、来てもらう人はペットを、人間とは違うでしょうけれども、何とかしてほしいというのがすべてであるわけであります。そういう面では、かなり相談事であるけれども、獣医師としての技量が十分発揮される場面が大きいわけですね。もちろん、聞くところによると、収入という面でも小動物の方が大きい、こう言われる。やはり今言われている産業動物の獣医師を確保する、経済的側面と同時に、一生懸命学んできた獣医療を十分発揮できるような条件をつくってやる、それがすぐれて畜産政策、行政とのかかわり合い、あるいは具体的には家畜共済のあり方の問題、運営のあり方の問題等と絡んでくるような気が私はするわけであります。
 そういう面で、やはり畜産行政の中で、あるいは畜産政策の中で獣医師の存在、獣医療というものをどう位置づけていくのか、ここが片方で非常に大切なことではないだろうか。このことをいろいろな角度から具体的に実践をしてといいましょうか保障をしていかないと、どんなに叫んだって、どんなに任務規定とかをやったって現実問題としてはなかなか難しいよというのが偽らざる現場の獣医師さんの声だというふうに私は受けとめるわけであります。そういう面で畜産政策における獣医師の位置づけ、その辺のところをひとつ基本的に聞かせていただきたい、こういうふうに思います。
○赤保谷政府委員 日本の畜産は、食生活の高度化等を背景としまして、これまで順調な発展を遂げてまいりました。日本の農業の基幹的な産業にまで成長してきておるわけですが、この間、産業動物獣医師の皆さん方は、家畜の健康を保持する、損耗を減少する、そういうことで畜産経営の安定なり生産性の向上、そういった畜産振興に非常に大きく貢献をしてきたところでございます。
 特に近年、国際化が進んでいる、我が国の畜産をめぐる事情もいろいろ問題が出てきている、そういう中で多様化、複雑化する疾病による損耗の防止が一段と重要になってまいりますし、安全な畜産物の生産の確保ということも、消費者の安全性に対する意識の高まりという意味で非常に重要な問題であります。
 さらに、新しい技術であります受精卵移植等による家畜の改良の促進を図る、そのためにも、産業動物獣医師による適切な診療の提供、保健衛生指導等がより一層重要になっていると思います。このため、今後とも獣医師がこのような要請に的確に対応いたしまして、獣医師に課せられた任務を十分に果たしていただくことが、日本の畜産の発展のために必要不可欠であろうと思います。
 そういう意味で、先ほど先生お話がありました獣医師さんの処遇の問題、いろいろ制約もございますけれども、日本の畜産の発展のために進んで御活躍いただけるような環境もつくりたい、そういう願いも込めて、今度、十分じゃないかもしれません、いろいろなことをやらなければいけませんけれども、そういう願いを込めて今度の法案の審議をお願いしているところでございます。
○前島委員 具体的に産業獣医師の不足、確保をどうするかという点をちょっと質問してみたいと思うのです。
 最初に、最近の状況を一、二聞かせていただきたいのですけれども、要するに最近の獣医学生の動向といいましょうか、新卒の傾向。それから、新卒者は大体年間千名ぐらいだというふうに聞いているわけですが、この千名というのはいろいろな面を考えて、これからのことも考えて、実態から見て適正の規模なのかどうなのか。それから獣医師さんの平均所得は大体どのくらいなんだろうか。特に、大きな基準といいましょうか、影響を与える農業共済獣医師さんの所得といいましょうか給与というのは、どんなところあたりに標準を当てているのか、どんなところを基準にして、その辺が出されているのか、その辺の取り巻く一般的な状況について、ちょっと報告をお願いしたいと思います。
○川合政府委員 共済のお話がありましたので、私の方からそれを先にお話しさせていただきます。
 共済団体の獣医師さんの給与につきましては、一般職員とは異なる勤務の特殊性ということで、地方公共団体などの類似業務に携わる者との均衡に配慮して、適正な給与額になるように従来から指導しているところでございます。
 ちなみに、平成三年度の年間給与、これは本俸のみでございますが、都道府県の家畜衛生試験場の獣医師さんが年間平均三百十八万三千円というのに対しまして、ほぼ同一年齢の共済団体の獣医師さんは平均三百二十六万二千円というようなことでございますので、ほぼ同等の水準というふうに考えてよろしいのではないかと思っております。
○赤保谷政府委員 獣医師さんの人数の問題で御質問がございましたが、平成二年度における獣医系学生の就業状況を見てみますと、千九名の卒業者がおりまして、そのうち行き先が最も多いのは小動物開業獣医師の二五・四%、次いで製薬会社を初めとする会社関係が二〇・三%、都道府県の職員が一五・九%、農業共済団体が八・七%等となっております。
 六年制教育を受けました新規学卒者が初めて就業をいたしました昭和五十八年度以降の新規学卒者の就業状況を見てみますと、ほぼ千名前後で安定的に推移をしてきているところでございます。
 最近における分野別の新規学卒者の就業状況を見てみますと、小動物診療あるいは製薬会社への就業が増加をしている、それに対しまして農業関係団体等において採用が困難になってきておりますので、獣医系大学の定員を増加すべきではないかという御意見もございます。他方で小動物診療における獣医師さんが過剰であるという意見もございまして、獣医師に対する需要の推移を十分見きわめた上で慎重に対応することが必要ではなかろうかと考えております。
 なお、平成三年の五月に大学審議会から答申されました「平成五年度以降の高等教育の計画的整備について」という答申がございますが、その答申におきましては、「獣医師は、おおむね必要とされる整備がすでに達成されているので、現行計画に引き続き、その拡充は予定しないこととする」というふうに記載をされております。
○前島委員 要するに小動物にどういうふうに流れるかという、流れるという言葉はちょっと悪いのですが、つかれるかということが一つの焦点になろうかと思うのですが、現在の統計ですと、いわゆる公務員関係が三四・九%、三五%で九千五百人。それから民間の方が、農業関係団体、会社等々を含めて二二・五の六千百四十八。問題は個人診療の関係で、ペットが現在は二一・二%ですね。それで数が五千七百八十六。それから個人の産業動物診療、産業動物に携わっている人たちが二千三百二十四で八・五。そうすると今年度の一つの傾向というと、この現在の比率よりさらに小動物に行かれる獣医さんの方が多い、こういう現象だというふうに見えるわけであります。
 そういう意味で、今後、現在こういう状況に産業獣医師さん等々あるいは公務員、民間等々の配置の中であるわけですが、特に個人診療施設に携わっておる、産業動物に携わる獣医の皆さん二千三百二十四人、あるいはペットの万五千七百八十六人というこの辺の数字といいましょうか、目標、いわゆるこれからつくるであろう基本方針にかかわる問題だろうと思うのですが、その辺のところを基本的にどういう目標としてこれからやろうとしているのか。このままでずっといきますと、明らかにペットの率がどんどんふえていくことは間違いない。現在でも多いというのに、昨年でいいますと二五・四%というわけでありますから、多くなっている。片っ方ではもう産業動物の方の率はどんどん落ちている。そういうことになると、産業動物に携わる個人診療の医師の皆さんは最低このくらいは確保したいという一定の目標みたいなものがないと、具体的なこれからの施策というものはできていかない、こういうふうに私は思うわけであります。
 今度の法改正の基本方針のところに携わる問題だろうと思うけれども、その辺の大まかなといいましょうか、基本的な目標みたいなものをひとつ聞かせてほしいというふうに思います。
○赤保谷政府委員 今度の計画制度では国の基本方針と県の計画ということになっておりまして、国の計画におきましては、物の考え方というようなものを書くことになろうかと思います。
 県の方で定める獣医師さんの確保の目標といいますか、そちらの方はかなり積み上げになるというようなことを考えております。というのは、それぞれの地域の実情、県もどの程度の区域に分けるかですけれども、動物の飼育状況、疾病の発生状況、それからその地域での診療施設の有無、あるいは獣医師さんの参入、退出、リタイア、今何歳ぐらいの獣医師さんがおられて、何年後ぐらいにはその方はどうもリタイアしそうだ、そうするとそこには一人補充しなければいけない、県計画ではそういう積み上げを頭に置いた計画になる。
 国におきます基本方針、国の計画は、やはり物の考え方を書く。まさに基本方針でございますから、そういうことになろうかと思っております。
○前島委員 言葉となれば説明はそうなるのだろうけれども、では、あとは県任せ云々というわけには実際問題いかないと思うので、それ以上のことは聞きませんけれども、やはりこれからの畜産の振興状況、それに必要な獣医師との兼ね合いの問題、あるいは学校、新卒の生徒の問題、あるいは公務員等々との兼ね合いの中で、それぞれにどう配置をしていくのかという一定の目標を立てるのが国だと私は思うのです。そのためにどう現状を変えていく、政策的に誘導していくかというのも、やはり基本的には国が立てなくてはいかぬことなので、まあ基本方針の中で、これからその辺のところは根底にあって立てられるだろうと思いますから、これ以上の質問はしませんけれども、そういう面で、要するに基本的な問題は、産業動物の方にどう政策的に誘導するか、こういうことが大きな柱であることは間違いないと思うのです。
 そうすると、教育面といいましょうか、学生に対する対応というものが一つあるだろうし、あるいは直接産業獣医師に携わっている人たちに対するいろいろな施策というものがあると思うのです。
 そういう面で、まず第一に学校教育。これは文部省にかかわる問題でしょうけれども、いろいろな現象を見ると、女性が多いとかあるいは都会の学生が多いとか、現場との兼ね合いが非常に薄くなってきたとか、こういうことがいろいろ指摘されていますので、いわゆる学生に対する、学校に対する、産業動物へ獣医師を誘導するという意味での施策みたいなものは基本的にどういう対策を考えようとしているのか、その辺のところをひとつ。
○赤保谷政府委員 大学の学生が産業動物獣医師として就業することを促進するために、昭和五十三年度から、獣医師免許取得後、産業動物の診療等の業務に従事しようとする獣医系大学の学生に対しまして、修学資金の給付を実施しているところでございます。今年度、平成四年度からは、この給付年限あるいは給付額についても充実してまいりたい。今までは、六年制大学で三年生、四年生と五年生、六年生。一年、二年は給付しませんでしたが、三年、四年も月四万円、五年、六年が六万円。今度一年から六年まで通して十万円程度の修学資金を貸し付けようというようなことも考えているわけでございます。
 それからまた、産業動物の臨床技能の習得のために大学が実地研修を行うのに際しまして、必要な場合には国の家畜改良センターの家畜を利用させるといった措置も講ずることといたしております。
 いずれにしても、これは文部省ともよく連絡をとりまして、大学の学生に対しまして産業動物診療についての理解を深める、あわせて必要な技術の習得についてできる限りの協力をする、そういう形で獣医師さんの確保に努力をしてまいりたいと考えております。
○前島委員 確かに、奨学金を厚くして一年生のときからやるとなると、拘束できるのが九年間だ、こういうふうに聞いているのですけれども、それで決定的かなというと、そうはいかない。学生対策、教育対策で産業獣医師に携わる人たちへの誘導ということは、必要なことは認めますけれども、正直言ってそう簡単なものではない。結局は、やはり産業獣医師に携わってもらう人たちの処遇ということが決定的に、対策としては重要視をされてくるのではないだろうかと思うわけであります。
 そういう面で、先ほども言いましたように、何といってもこの六年間の大学教育を受けた人たち、あるいは厳しい労働条件で働いている、特に個人診療の、地域診療の産業獣医師の皆さん、特に、これから公務員が週休二日制になってくるわけです。それで、先ほど聞きますと、共済の方の皆さんの給与が大体公務員に準ずるような形になってくると。そうすると、家畜共済の点数もその辺のところが標準になって計算されてくるのでありますから、当然個人診療の獣医師の皆さんの収入と連動してくるわけですね。同じ獣医師の中で、公務員関係の皆さんは週休二日制になるし、きょうの参考人の話を聞きますと、共済に働くような人たちもそれに準ずるような努力をするのだ、している、こういう話になってきますと、要するに、個人診療の獣医師さんというのは、私も今回聞きましたけれども、三百六十五日ほとんど休んだことはないと言っているわけであります。あるいはまた、同じ獣医師さん同士で、そういう公務員に働く人たちと皆さんの労働条件の差というのはたくさん出てくるような気がするわけであります。
 そういう面で獣医師さんの待遇改善ということを言うと、例えば診療報酬をどう変えていくのかとか、あるいはどうしても国庫補助の問題を拡大しないといかぬぞとか、あるいは自由診療というふうな問題を拡大する方法はないかとか、あるいは畜産行政を総合的な角度でやる中で獣医師さんの処遇改善という、畜産行政の側面から積極的にそこをやっていかなければいかぬ等々、いろいろ考えられるわけでありますが、やはり一つの柱は診療報酬だろうと私は思うのです。家畜共済の診療報酬、この値上げといいましょうか、これが直接出てくる。
 しかし問題は、その家畜共済の場合、診療報酬を上げると受益者負担というものがついて回る、ここが難しいところだろうと思うのです。現在の家畜を取り巻いている状況から見て、受益者負担、農家負担ということはそう簡単にできるものではない。それなら診療報酬の値上げができないのだから我慢するしかないとなる。私は、そうはいかない、何かそこに工夫はないのかなという気がするわけであります。
 例えば、ある人に言わせると、廃用の共済の部分と疾病にかかわる日常の治療の部分を分けてみたらどうかとか、あるいは日常の診療にかかわる共済の方は、獣医師さんの側から見ると自由診療にした方が私たちは自由にできるという議論があってみたり、あるいは全体の治療といいましょうか、自由診療の中のすべてを共済にするのではなくして、共済の部分と直接補償する部分、すなわち国庫負担で賄って共済掛金の中で処理をしない、この枠を広げていくとか、そんないろいろな工夫があってしかるべきではないだろうかという気が私はするのです。
 そういう面で、この診療報酬を値上げする、しかし、受益者負担にならない何か工夫がない限り、私は前に進まないような気がする。そしてすぐ、診療報酬の値上げというと三年ごとに見直しますからということなんです。三年ごとに見直すというのは今までずっとやってきたことなのだから、何もそんなに事新しいことではないので、獣医師さんの処遇改善のための手だてというふうに言い切れないと私は思うのです。何か一歩踏み込んだその辺の改善策、診療報酬値上げ策がないとどうしようもないんじゃないかなというふうな気がするのですが、その辺の工夫はあるのかないのか、ひとつその辺のところを経済局長の方、共済の方のあれですから。
○川合政府委員 先生御指摘がございましたように、共済につきまして、診療の技術料というような形で見直しを行ってきているわけでございます。今先生まさに御指摘のように、これは非常に高い国庫補助率はございますが、全体として掛金が上がる方向で行くということは御指摘のとおりでございます。
 私ども、共済事業を持っている立場から申しますと、一つはこの共済事業、ある種の保険と言ってもいいと思いますが、これはやはり畜産経営の中でそれなりの評価というものが与えられてしかるべき、今もう与えられているわけでございますが、そういうものだと思っております。やはりこれから企業的な経営といいますか、そういう経営が畜産で行われていけばいくほど、こういう保険的な考え方、保険のコストというのはしかるべき地位を与えられるべきであるということは一つあります。
 ただ、そうはいっても、農家なり農業の経営体にとりまして、その負担というものが問題になるわけでございますので、一つは、これは今でもやっているわけでございますが、予防事業と申しますか、事故をなるべく少なくするという方向で、これはもちろん共済事業あるいは共済団体だけでできる話ではありませんが、そういうところから何かアプローチすることができないかということが一つあろうかと思います。
 それから、今先生がおっしゃられました診療あるいは疾病も含めまして、その中の分担をどうするかという問題もあろうかと思います。ただ、これはいろいろな、恐らく両方向からの御意見があろうかと思います。その辺、私どもも今の先生のお話をいろいろ検討させていただきたいと思いますけれども、私どもの立場からいいますと、やはりこの共済事業というものを、畜産業あるいは畜産行政の中の位置づけをさらに高めていただくということが必要ではないかというふうに思っております。
○前島委員 いわゆる農家負担につながらないような改善策ということになると、結局国の援助というところにぶつかってしまうわけなんであります。そういう面で、今その国庫の負担が、年とか馬の方の場合が二分の一だとか等というその率を、私はそう簡単に変えられるものではないとは思うけれども、例えばこういう家畜共済にかかわるいろいろな部分で、すべて共済という枠の中にくくるのではなくして、そこをある程度分離して国の補助をつけることによって、農家負担にならない診療報酬の値上げという、何か工夫が私はあるような気がしてならないわけなんです。そうしなければやはりどうしてもその辺のところの改善は成らない。基本的にこれ以上獣医の皆さんの所得を上げる必要はないという認識ならともかくですけれども、私は、先ほど聞いた大体の平均の所得、特に臨床現場における獣医師さんの労働条件等々を考えると、まだまだ収入増という、待遇改善というものをしないと、直接収入増になるようなものをしないと、そう簡単にできないと思うのです。そういう面で、その国の補助という面、支援という面で、何かひとつ考える方法はありませんか。
○川合政府委員 共済の立場から申しますと、先ほども申し上げたわけでございますが、共済の事業の中で組み込んでいくということになりますと、既に今の体系の中で国庫助成はかなり高い水準にあるわけでございます。したがいまして、その外と申しますか、それ以外の形で何か考えられるかということになりますと、私どもでもやっております損害の予防という面、これはもちろん共済事業の中でやることにつきましては限界があるわけでございますが、これを全体としてどういうふうにやっていくかということが一つ考えられるということはあろうかと思いますが、どうも共済事業という本来の仕事の中でその点をやっていくということについては、かなり限界があるのではないかというふうに思っております。
○前島委員 その共済の枠の中で処理するということは、私もその率を二分の一をどうのこうのいじらなければできないということはわかるのでありますけれども、それだけでは全然具体的な処遇改善ができないんで、その辺の共済の枠と、国の別の角度からの支援という形でもって結果的に改善をしていくとか、あるいはその他の総合的な畜産行政をする中でやっていくというふうな点で、いずれにせよその改善策が絶対的に必要だろう、こういうふうに思うんで、共済のサイドでの改善と、それから畜産行政を進める中での獣医師への改善策ということをぜひこれからも追求をしていただきたい、こういうふうに要望をしておきたいと思います。
 それから、次に聞きたいのはいわゆる保健衛生の向上ということなんであります。
 第一条で、任務規定として新たにこの保健衛生の向上が出されてきているわけであります。そしてまた二十条の中で、保健衛生の向上のために獣医師に指導というものを義務づける形になっているわけであります。私は、この保健衛生向上という任務規定は、獣医師の皆さんの方に及ぶといいましょうか、かかわるということは当然だろう、こういうふうに思うわけでありますけれども、先ほど言いましたように、産業獣医師の方の皆さんというのはやはり経済性が伴うわけであります。保健衛生というものとその辺の経済性、経済動物を扱うというものが対立する場面がなきにしもあらずだろう、こういうふうに私は思うわけでありますけれども、そういう面で、まず第一にこの保健衛生の向上ということを言っているのでありますが、具体的に獣医師の皆さんに業務として何を求めているのか、どういう活動といいましょうか、それを期待しているのか、その辺のところをまず聞かせていただきたい、こういうふうに思います。
○赤保谷政府委員 ただいまお話がございましたように、今度の改正では、目的の中に保健衛生の事項を、第二十条で保健衛生の指導を義務づけております。
 その具体的な内容ということでございますが、いろいろございますけれども、伝染病の発生状況等を考慮した的確なワクチン接種の指導、これも先ほどの損害軽減につながる話だろうと思います、保健衛生というのはいろいろな意味で事故の減少につながると思うのですが。それから、迅速な疾病治療を行うための疾病の早期発見、これもきよう午前中参考人の方からございました、治療よりも予防が大事だ、早期発見に関するそういう指導、それから病気の蔓延を防止するための畜舎の消毒方法等についての指導、さらには動物の健康状態等を考慮した上での飼料の、えさの給与に関する指導、そういったこと、さらに副作用や耐性菌の発生を防止する、あるいは抗生物質等の残留防止、そのための医薬品の適正使用、そういうようなことが保健衛生向上のための指導の中に含まれると思います。
○前島委員 そうすると、具体的に保健衛生の向上の効果あらしめるということになると、いわゆる予防診療ということが大きなウエートを占めるわけでありますね。そうすると、ここでこの予防診療は共済の対象になるのかどうなのか。あるいは、先ほど言いましたように、この辺のところの部分が産業動物、経済性というものが伴ってくるわけでありますから、この予防衛生、予防診療というところをやるやらぬ、これは非常に微妙になってくる。経済性といいましょうか、そういう側面と、医師としてのこの予防診療、保健衛生を効果あらしめるための診療というところで、微妙にそこのところが分かれてくる側面があるわけであります。
 そうすると、獣医師の側から見ると、その診療というものがぴしっと共済だとか別の方法で補償されるといいましょうか、診療報酬という形でもって、あるいは技術補償という形の中で制度化されていないと、今期待するようなことを具体的にできるだろうか。あるいは獣医師が保健衛生の任務として、義務としていろいろやる過程の中で、そこを効果あらしめることができるだろうかというふうに思うわけであります。その辺の予防診療を求めるそれぞれの診療業務の中に共済という制度があるのか、そこの適用範囲になるのか、あるいはほかの診療報酬という形の中で補償されるのか、すなわち獣医師の技術補償というのが具体的に出てくるのかという点を、ちょっとその辺のところを確認をさせていただきたい。
○川合政府委員 制度的に申しますと、これは先生御承知の点でございますけれども、農業災害補償は、不慮の事故によって受けることのある損失を補てんするということになっておりますので、損害が生ずる以前の予防に関する経費は給付の対象にならない、こういう原則でございます。したがいまして、損害防止については、具体的には組合などでやっている場合には組合が負担をいたします。ただ、農家の飼養管理技術の向上だけでは防止できないような特定の疾病につきまして、特定損害防止事業というような位置づけがございまして、これは法律上の位置づけでございますが、これにつきましては国が六割を負担するというようなことで、かなりの範囲でこの事業をやっているという仕組みになっております。
○前島委員 結局、もともと予防というのは保険の対象になるかならないかというところは議論があるところだろうということはわかっておるのでありますけれども、やはり予防診療ということが重要だということになってくると、なかなかそこのところが現実の問題としては対象にならないだろうし、効果を求めるためにはそこのところの十分な治療といいましょうか、あれが必要だというところに、どうしてもしょうがない、ぶつかるのでありますけれども、ぜひその辺のところは、いろいろな角度での対策の中で、予防診療を効果あらしめる、そのためには、それに携わる人たち、特に個人の地域の獣医師の皆さんにそれが評価されるような工夫をぜひしていただきたい。そうしないと具体的な効果は上がらないのではないだろうか、こういうふうに思っているわけであります。
 次に、家畜改良増殖法の関係について、まず伺いたいと思うわけでありますけれども、いわゆるきょうの午前中の参考人の皆さんの意見でも、対外受精はやはり画期的な一つの成果だというふうに言われているわけであります。かなり高度の研究の成果だ、こういうふうに評価されるわけでありますけれども、片方で、獣医師の皆さん等々から聞きますと、その技術というものが必ずしも十分に下の方に普及し、評価されているだろうかという点は、私はまだまだ心配だという声を聞くわけであります。
 例えば、体内受精にせよ体外受精にせよ、採卵技術の問題だとかあるいは凍結技術の問題だとか、人工哺育の問題だとか、あるいは体外受精でいうと受精卵の生産率等々、まだまだ技術的に研究の余地があったり、あるいは研究の段階から実施の段階へいくと、現場の十分な技術の普及というものが必要ではないだろうかという意見も、片方で聞くわけであります。そういう面で、この体内受精、体外受精の技術上の問題点、課題あるいはその普及というところをまだまだこれからやる必要があるのではないか、現場の方の声としてあるわけなんであります。その辺の技術のさらなる充実とその普及という面で、その点の見解をひとつ聞かせていただきたい、こういうふうに思います。
○赤保谷政府委員 畜産の新技術のうち、家畜の体内受精卵移植技術につきましては、昭和五十五年度に実施機関は十九カ所ございましたが、それが平成二年度には二百四十一カ所にふえております。この技術による産子の数ですが、七十三頭から五千九百十二頭に飛躍的に拡大しております。
 それからまた受精卵移植に関連する技術として、既に受精卵の、これは長期に広域的に流通する凍結受精卵、こういう技術が実用化されておりますし、また双子の生産効率を非常に高める、そういう技術も確立されております。
 さらに、屠体の枝肉評価の結果を踏まえまして実施することが可能でありまして、効果的な家畜改良増殖を可能とする体外受精卵移植技術、これにつきましては、平成二年度に七十六カ所、生まれた子供が六百二十一頭、そういう形で実用化の段階に達していると思います。
 その技術上の問題点、課題ということですが、家畜体内受精卵の場合には、採卵で一回当たりに回収される正常卵数、これが不安定であるということ、それから体外受精卵の場合は、卵巣一個から生産される正常卵、これは今は大体二個程度だ、その程度にとどまっているということ、それから受精卵の凍結、融解、解凍、そういう技術がまだまだ改良の余地がある、それから一層の受胎率の向上、これを図っていく必要がある、そういうようなことが問題点というか、課題として考えられるところでございます。
○前島委員 特に現場への技術上の普及といいましょうか、指導という点をぜひこれからお願いしたい。恐らくこれから講習等々あるいは資格試験等々の過程の中でするだろうと思うけれども、ぜひ現場への指導というところをいろいろな形で強めていただきたい、こういうふうに思います。
 それと、特に体外受精卵の価格の問題、これが一体今どのくらいの状況なのか、そしてこれからかなり普及していくであろうこの体外受精卵の価格というのは一体何で決めるのか、どうなっていくのか、その辺のところをぜひ聞かしていただきたいと思うのです。
○赤保谷政府委員 まだ体外受精卵の移植については始まりたてで、相場というものがあるのかないのか必ずしもはっきりしませんけれども、体外受精卵の生産コスト、これは一定の前提を置けば計算はできるわけです。それは生産規模等によって異なるわけでして、それで一概には申し上げられませんけれども、現在の技術水準を前提としてあえて試算をすれば、一方から二万円程度になるのではないか、そういう見込みでございます。
 それで、その体外受精卵の販売価格、これは製造コストとは別でございまして、体内受精卵と同様に父親の牛、母親の牛、その評価水準等によって相当な幅が生ずると思います。ですから、その幅が生じますけれども、受精卵全体の供給量の増加あるいは体外受精卵技術の向上等によって、形質にもいいものと悪いものとありますから、幅はあっても、だんだん平均的な価格というのは低下していくのではないかというふうに考えております。
 まだ技術が始まりたてというか実用化初期の段階でございますので、はっきりしたことはちょっと申し上げられない、要するに需給のバランスで、いいものは高く売れる、悪いものは安く売れる、当然のことでありますけれども、そういうことだろうと思います。
○前島委員 けさの参考人の中でも、体外受精、肉質というものでいいものができていくだろう、それがわかってくるということで画期的な評価ができるという御意見があったわけですね。そうすると、かなりコストといいましょうか、価格というものが正常に働いて適正な価格になればいいと私は思うのですけれども、そこを適正な価格にするためには、何かかなりの注意といいましょうか、配慮が必要なような気がしてならないわけであります。体内受精以上に体外受精というのは、受精卵をつくるという商品といいましょうか、そういう性格というものが非常に多くなってくるので、これからいわゆる需要と供給という関係の中で、結果できてくる肉質の評価によって正しく評価されればいいのですけれども、あるいは別な要因が働いて不当な価格になる心配がなきにしもあらずだろうというふうに、私は思うところなのであります。
 そういうものとの兼ね合いの中で、登録業務との関係あるいは獣医師の診断書というのですか保証書というのですかと、卵巣の一体性の問題等々をぴしっと管理をしたりしないと、そこのところが私は非常に心配なような気がするわけです。何かこう独占的なというか、一方的な価格のつり上げ現象というようなものがないとも限らぬような気がするわけであります。
 この登録業務あるいは診断書と取り出した卵巣の一体性の問題、それとその卵巣の価格形成というものとがうまくかみ合わなくてはいかぬではないだろうか、それが正当に価格として出てこなくてはいかぬではないだろうか、そういう面でかなりの注意と工夫が必要だろうというふうに私は思っているのです。それを単にコストでできるだろうとか、あるいは需要と供給の関係でできるんじゃないかという単純な形ではいかないのだろうと思うので、その辺の対応を求めたいと思っているのでありますが、これから皆様方で工夫をしてもらいたい、こういうふうに思うのでありますけれども、その辺の考え方をちょっと聞かせてください。
○赤保谷政府委員 一つの方法というか、登録をする、それによって評価がある程度できるという問題はあろうと思います。
 家畜の卵巣を採取する過程で登録できるかどうかですけれども、今は生まれた子供ですけれども、体外受精卵を登録できるかどうかという問題なのですが、家畜卵巣を採取する過程におきまして、獣医師または家畜人工授精師がその卵巣を採取する家畜について個体、血統の識別を行っておる。また、未受精卵の採取、処理、体外受精等の生産過程におきましては、ずっと同じ獣医師または家畜人工授精師が引き続き処理等を行うことによりまして、個体、血統の識別を確実に担保しておる。このため個体、血統を明確にすることが可能でありまして、登録に支障を来すことはないというふうに考えております。ですから登録はできる。
 また、体外受精卵を譲渡する際に、血統等を記載する欄を設けた体外受精卵証明書の添付を義務づけまして、登録事業に対応できるように措置することといたしたいと思っております。
○前島委員 ともあれ、公平に正当にできるような形、評価されるような形をぜひいろいろな面で指導をしていただきたい、こういうふうに思います。
 それから次に、体外受精を含めて人工授精がかなり普及するであろうと思うのでありますが、この人工授精師さんの任務といいましょうか、分担といいましょうか、あるいは獣医師さんとの兼ね合いの問題というのがあろうと思うわけであります。人工授精師というのはかなりの人数の人がいらっしゃるし、日本の畜産行政の中で、生産活動の中で重要な役割も片っ方で獣医師さんと一緒に果たしているだろう、こういうふうに私は思うわけであります。
 そういう意味で、これから体内、体外の人工移植が進んでくると、家畜人工授精師さんをどう任務づけていったらいいのだろうか。あるいは獣医師さんとの任務の分担といいましょうか、それをどう整理をしていったらいいだろうかという問題が双方にできてくるわけであります。
 そういう意味で、例えばこれは人工授精師さんの方の希望として、妊娠鑑定も授精師ができるようにはできないだろうかとか、あるいは家畜受精卵採取も人工授精師さんでできないだろうか等々の意見もあります。現在の考え方からすればこれは無理だということはわかるわけでありますけれども、いずれにせよ、人工授精師さんと獣医師さんの問題、人工授精を振興していくための授精師さんの役割というのも出てくるだろうというふうに思うので、そういう点と、もう一つ、これから受精卵移植の講習の開催が出てくると思うのです。普及してくれば、この資格を取って積極的に貢献をしたいという人もこれから出てくるだろう。そういう人たちを積極的に採用していくということも重要なことだろうと思うわけであります。
 そういう面で、この講習のあり方の問題は政令で決めていくというふうになっているわけでありますけれども、二十日間とか三十日間、資格を取るために拘束されると、現に授精師さんにいろいろな影響が出てくるとか、そういう意見も片っ方であるわけであります。そういう面で、この体外受精の技術を生かしてそれを獣医師さんとともに人工授精師さんがやっていくためには、授精師さんの受験条件といいましょうかをある程度考慮してやって、受けやすい体制をつくってやるということも片っ方で必要ではないだろうかというふうに思うわけであります。
 人工授精師さんの任務の問題と、受験、受講に対する何らかの支援といいましょうか、条件を考慮するというふうな面での工夫があるかないか、その辺のところをちょっと聞かしていただきたいと思います。
○赤保谷政府委員 家畜人工授精師と獣医師の役割分担というか職域分担というか、それは基本的に診療行為に当たる業務は獣医師さん、そうでない行為については家畜人工授精師で一定の資格を持っている方はできる、一言で申し上げればそういうことです。
 今回、体外受精卵移植も法律上位置づけましたが、そういう考え方で一貫をいたしております。人工授精師の方、今までは人工授精と体内受精だけだった。今度は体外受精も含めた講習会を受けていただければ、獣医師さんと役割分担を決めておりますが、体外受精にも携わることができるということになっているわけです。
 そこで、講習会を受けやすくできないか、こういうお話でございますが、農協等に勤務していれば、人工授精師が新しい資格を取得するために講習会を受ける、そういった際に、これは当たり前でしょうけれども、その際の収入は勤務している機関が保障する、講習会の受講経費を負担するのが一般的ですが、個人の開業している人工授精師さんが新しい資格を取得する、そのことは収入源の範囲を拡大することになる、商売が広がるわけですから。そういうことでありまして、それにかかる費用は新しい業務を通じて回収することができるわけですから、本人が負担することが一般的というか妥当というか、そういうように考えております。また、他の職域、職種の資格取得のための講習会とのバランス、並びというものもありまして、なかなか難しい問題であろうとは思います。
 しかしながら、受精卵移植の普及のためには優秀な技術を持った技術者の養成が重要であるということは当然でありますので、講習を受けやすい環境づくり等どういうことがあるのか、これから考える必要があろうと思いますが、講習を受けやすい環境づくり等について努力をしてまいりたいと考えております。
○前島委員 ともあれ、これから普及するであろう体内、体外受精において、獣医師さんと人工授精師さんがうまくかみ合って充実していくようにぜひお願いをしたい。そしてまた、今言った授精師さんの資格を取るための受講も、単にその機関が保障ということじゃなくして、受けやすいような環境整備という面で、ぜひこれからの工夫をお願いをしたいと思います。
 最後に大臣、結局この獣医師の問題というのは畜産行政、日本の畜産がどう振興するかというところにかかっているわけでありまして、きちっと畜産行政ができれば、いろいろな角度からそこに働く獣医師の皆さんも結果的に保障されるだろうし、やりがいも出てくるだろう、こういうふうに思うわけであります。そういう面でぜひ、畜産行政を進める中で、積極的に獣医師さんの位置づけというものを明確にしておいてほしい。そして同時に、畜産行政を振興する、立派な日本の畜産をつくり上げることが、結果において獣医師さんのいろいろな形を保障することになるだろうし、産業動物への誘導という結果になるだろう、こういうふうに思うわけであります。
 そういう面で、大臣に、最後に畜産行政における獣医師の位置づけとこれからの畜産行政に対する御見解を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
○田名部国務大臣 車の両輪であろうと思うのであります。したがって、ペットの方は非常にふえておる。こういうペットを飼う家庭というのは大体が裕福な家庭でありますから当然高い診療費を払う。ということを見ますと、畜産業もこれ自体で本当に経営が安定してくるということになると、獣医師さん方の生活もさらに向上していく、こういうことになろうかと思うのです。
 ただ、決定的に違いがあるのは、米の方は消費がどんどん毎年減っておる。畜産は逆にふえておるのですね。やはりこれを本当に生かしていかなきゃいかぬし、特に食生活が高度化し多様化しておりますことから、今申し上げたようにまた相当伸びが期待される。したがって、零細であったものから基幹的な部門まで発展してきたということもそのとおりでありますが、自由化の影響を受けて厳しい状況にあることもまた事実でありますし、そのためにいろいろな手だてをいたしておるわけであります。
 しかし、何といっても、やはり今お話しになりましたように、畜産経営の健全な発展を図るためには、生産から流通、消費にわたる各般の施策を総合的に整合性を持って実施することが非常に重要でありまして、この点に関して生産性の向上と経営体質の強化を図っていく。飼養規模の安定的拡大でありますとか飼料生産基盤の拡充、いろいろあります。一方では家族的な経営でやる方々もおりますが、それはいろいろなものと兼ね合わせて経営をして、畜産の安定も図っていく。両面あろうかと思うのです、規模を大きくしてやる面と。
 それから、受精卵移植技術等の畜産新技術の実用化、普及。これは徹底してこれから力を入れていく分野であろう、こう思います。
 また、合理的な流通体系の確立。これは家畜の市場、産地の食肉センターの整備等を図って、そして消費の拡大。これは今までの伸びを見てもさらに伸びが期待される分野でありますから、質、量、そういうものを高めながら、いずれにしても畜産農家がみずから、余り世話にならぬで本当は独立してやっていける、そういう状態をつくることが私たちの仕事であろうと思います。
 また、自由化になったことでただ元気をなくしているのではなくて、幾らか輸出も出てきておるようでありますから、世界各国、主要国にはたくさんの日本人がおりますので、もっともっと海外に目を向けて輸出もしていく、競争して負けない、こういうこともまたこれからの大きな課題であろう、こう思っております。
○前島委員 終わります。
○高村委員長 石橋大吉君。
○石橋(大)委員 きのうから我が党でも五人目の質問になりますので、主要な問題点はほとんど言及をされて、もう余り議論をすることがないかなという感じもしないことはないのですが、きのうから専ら、私どもの委員の質問もそうですが、各党の委員の質問も、産業獣医師の確保をどうするか、こういうところに論議が集中をしているわけでありまして、私も若干異なった角度から、この問題について、まず最初にお伺いをしたいと思うのです。
 まず第一に、獣医師の処遇に関しまして、都道府県、市町村などに勤務する、いわゆる公務員として勤務する獣医師の公務員給料表の適用別人員の数。例えば、一般行政職が何名、医療職給料表が何名、研究職の給料表適用者が何名、その他何名、こういうふうに実態がもしわかっておれば、お伺いしたい。これが一つ。
 さらに、民間団体に勤務する獣医師のうちで農業協同組合、農業共済組合に勤務する二千九百四十七名の獣医師の処遇の現状。特に、都道府県など公務員としての処遇を受けている獣医師と比較して給与の水準、退職金、年金等の処遇がどうなっているか。
 ここで非常に重要なのは、農業共済組合などに勤務する獣医師さんについても、建前としては公務員の水準は確保されている、こういう話を聞いているわけですが、私が想像するのに、恐らく初任給は同じだろう、しかし勤務年数が長期化するに伴ってその後の昇給昇格制度などの違いを反映して、勤務年数が長くなるに従って恐らく格差が開いている、そういう実態ではないかと思いますが、その点、資料があるかどうか知りませんけれども、あればこの点についても明らかにされたい。
 それから次の問題は、民間団体のうち、特に会社勤務の獣医師二千八十五名ありますが、この会社勤務の獣医師の処遇の現状と今言った都道府県、市町村、農業共済組合などに勤務する獣医師の処遇との比較。
 私が地元で聞いた話では、余り正確でないのですが、製薬会社などに勤務をしている獣医師の月収と地方で勤務している産業獣医師との月収の差は七万円ぐらいあるというような話もちょっと聞いたのです。この辺、余り正確ではありませんが、そういうことがありますので、そういう状況があるとすれば、どう産業獣医師、産業獣医師と言ってみても、集まるところはやはり民間会社に全部行ってしまう、こういうことになると思いますので、その点はどうなっているかということがもしわかれば聞きたいわけであります。
 最後に、さっきもちょっとありましたが、開業されている獣医師さんの年収と勤務医の獣医師さんの年収、これは大ざっぱなところでいいのですが、おおよそのところがわかれば。
 以上、簡単にお答えをいただきたい。
○赤保谷政府委員 まず、公務員獣医師の給料表がどうなっているのか、人数がどうなっているのか、こういうお話でございます。
 都道府県の獣医師職員の給料表につきましては、本庁畜産課等の行政部局にあっては主に行政職(一)、行(一)が適用されております。それで、家畜保健衛生所とか保健所等にありましては主として医療職の(二)が適用されている。それから、畜産試験場等の試験研究機関にあっては研究職が適用されております。
 今先生、人数はどうかというお話でございましたが、人数についてはちょっと数字がございません。それで、都道府県、県別ですが、畜産課で行(一)が適用されているのが三十六県、医療職(二)が適用されているのが十一県。それから家畜保健衛生所では行(一)が適用されているのが五県、それから医療職(二)が四十二県。それから畜産試験場ですが、これはすべて研究職、四十七県でございます。
 それから、製薬会社等の会社勤務獣医師の処遇との比較のお話ですが、平成二年度の獣医系大学の新卒者の初任給につきましては、各大学からの聞き取り調査によりますと、製薬会社にありましては、初任給ですが、十九万円程度のようでございます。それから同じ聞き取り調査ですけれども、都道府県公務員、それから農業共済団体にありましては、小動物、個人施設とほぼ同様の十七万円程度でありまして、研究職として製薬会社に勤務する者よりも若干低い、そういうような状況でございます。
○石橋(大)委員 今人数は少し明らかでありませんが、おおよその傾向についての御答弁をいただきました。
 今もお答えがありましたように、行政職で行政上の管理監督の立場にあるような仕事をしている人が行政職(一)の適用があるのは、これは至極当然と言えば当然ですし、行政職(一)の場合は最後の方がかなり高くなりますから余り問題はないようであります。それから研究職の関係も、研究機関に勤務をしているという性格からいいましても、その職掌柄研究職給料表の適用で余り問題はない、こういうことですが、一番問題なのは、第一線の現場で働いている農業共済組合などに勤務する獣医師さんの処遇であります。
 県の獣医師さんに適用される給料表についても、島根県の場合は、先ほどお話がありました医療職給料表の(二)の関係の適用があっているわけであります。今話を聞きますと、やはり全体の傾向としても、現場で産業獣医師として活動されておる部分の獣医師さんには主として医療職給料表の(二)が適用されている傾向が多いのじゃないか、こういうふうにも話を聞きましたが、御承知のとおり、この医療職給料表の(二)というのは、本来、薬剤師、栄養士、診療放射線技師、臨床検査技師、理学療法士、作業療法士、歯科衛生士、歯科技工士、あんまマッサージ指圧師など、いわゆる医療技術職員に適用される給料表であります。
 獣医師等の給料表の適用については、かねていろいろ問題がありまして、昭和四十七年九月二十五日の自治給発第三七号「地方公務員の給与制度等の適用について」の自治事務次官通達によりまして、「薬剤師、獣医師の医療職給料表(二)の適用については最近における機関の統合、組織の拡大などにより、職務内容が複雑化している実情にかんがみ、現行の国の行政職給料表(一)の八級(旧三等級)に相当する等級を新たに設けることもやむを得ない場合もあると考えられる」、こういう次官通達による指導基準が示されているところであります。
 しかし、先ほども話がありましたように、現在都道府県では医療職(二)表の七級、旧一等級を使用している場合もありますが、さっきありましたように、現場では特に(二)表の関係が使われている、こういう実態になっているわけです。同じ医療職給料表の(二)を適用されているといいましても、比較的高い水準の給料表の適用になっていますが、それにしてもさっきから申し上げておりますように、この給料表そのものの基本的な性格は、医師である者に適用される給料表では本来ない、医師を補助するいわば医療技術者群に適用される給料表だ、こういう意味で、基本的にはそういう性格の給料表になっている。
 さっき申し上げましたような医療技術者の修学年数は大体二年から四年、修学年数もかなりばらつきがある。獣医師については修学年数、最近は六年ということになっていますから、人間を相手にする医師の修学年数とほとんど変わらない、こういう状況であります。
 こういうことを考えると、やはり獣医師の処遇をもっと根本的に改め、またよくして、産業獣医師にたくさんの希望者が集まるようにしていくためには、独自の獣医師の給料表を設定することが非常に大事ではないか。きょうは人事院も来ていただいておりますので、農林水産省の当局の意見と同時に、人事院として、今までのいろいろな経過もありますから、この点どういうふうに考えておられるのか。
 特に問題なのは、国家公務員には行政上の管理監督の立場に立つ獣医師さんはおられるかもしれませんが、農業共済関係の仕事に従事している獣医師さんのように山間部の現場で夜も走り回って診療に当たっているような現場の獣医師さんは、国家公務員の場合ほとんどいないわけですから、そういう意味で、国家公務員に獣医師の独自の給料表がないということが地方自治体の大きな悩みにもなっていますので、その点を含めて、将来的な問題も含めてどう考えているか、畜産当局と人事院の見解をあわせてお聞きしたいと思います。
    〔委員長退席、金子(徳)委員長代理着席〕
○森園政府委員 国家公務員に対する給料表の適用につきましては、今先生いろいろおっしゃいましたように、職務の種類に応じて適用俸給表を違えているということでございます。
 そこで、第一線現場の、今おっしゃいましたような場面で仕事をする国家公務員はいないわけでございまして、御案内のように動物検疫所で家畜防疫官として働いている人はおるわけでございますが、これにつきましては、昭和六十年から行政職(一)から分離をいたしまして、専門行政職俸給表を適用しておるということでございます。そのほかは、概して畜産関係等の一般行政事務に従事している者は行政職(一)、それから大学の獣医学等の教授等については教育職俸給表(一)、それから試験研究機関での調査研究等に従事している職員は研究職、こういう適用関係になっております。
 そこで、獣医師の俸給表というお話でございますが、私どもが直接対象にしております職種といたしましては今申し上げたような状況でございますので、国家公務員として特別の俸給表を用意する現実の必要性はないわけでございますので、今のところ念頭に置いておりません。
 それからもう一つ、一般的な考え方を申し上げますと、国家公務員の職種は非常に多岐にわたっておりまして、ちなみに私どもが昭和二十八年に、これは国家公務員法に基づきます給与準則の案というものを国会、内閣に提出したことがございますが、そのときには私どもの分類で職種百七十二種類という分類を前提といたしまして、八種、十俸給表、すなわち百七十二種の職種があるけれども、俸給表としては、これはやはり維持管理の適当な限界というのがございますので、職務の類似性に応じまして十種類にグルーピングしてこれを適用するということでお願いを、これは日の目を見ませんでしたけれども、いたしたわけでございます。
 私どもは、同様に、俸給表の管理をしていく上にはいろいろな御要請もあり得るわけでございますけれども、逐一の職種ごとに設定するというのはなかなか困難である、したがって、相当数の類似業務がまとまっておるような場合で、かつ、その級の刻み等についても既存の俸給表と違った必要性があるというような場合にこれは考えられるものである、一般的にはこのように考えております。
○赤保谷政府委員 私どもの農水省におきましては、獣医師のうち、行政部局等に勤務する者については行(一)が適用されております。試験研究機関に勤務する者につきましては研究職を適用されておる。それで動物検疫所に勤務する家畜防疫官、この方々については専門行政職という、また別な取り扱いを受けております。それで、行(一)と研究職の適用を受けている獣医師、これは医師と同様の処遇を受けているところでございます。したがって、農水省としては現在の俸給表に特に問題はないのではないか。県の話はちょっと別にいたしまして、本省はそういうことでございます。
○石橋(大)委員 人事院の給与局長の話では、国家公務員にそういう現場で働いている獣医師はいないから余り独自の給料表を考えていない、百七十二種の職種の一つの中で運用上の問題として考えて処理してほしい、こういう感じの答弁でしたが、私は、人を対象にした医師の処遇とまでは一気にいかぬにしても、御承知のとおり、毎年各県の長者番付をずらっと並べれば、十番、二十番の間はとんと九〇%はお医者さんですから、一気にそこまで獣医師さんの処遇をよくしろとは言わぬが、それにしても現状は少し低過ぎるんじゃないか、こういう感じもしますので、やはりこの辺が大きなネックになっていることは間違いありませんから、ひとつ真剣に関係当局で検討いただきたい。このことだけここでは要望しておきます。
 それから次に、公務員の週休二日制の完全実施に関しての問題です。さっき前島委員からもちょっと話がありましたが、いよいよ五月から国家公務員について週休二日制が実施をされる、地方自治体でも恐らく六月か七月ごろから週休二日制が完全実施をされる、こういうことになるわけですね。これはいわば人事政策上画期的な事件ですから、かなり深刻な問題を対応いかんによっては引き起こす、こういう問題だと思っておるわけです。
 島根県における産業動物獣医師不足の現状についてちょっと申し上げますと、産業動物の飼育頭数は肉用牛が四万三千三百頭、乳用牛が一万三千九百頭、計五万七千二百頭で、小さい県ですから北海道みたいに多くはないのですが、これに対する必要獣医師は七十一人です。これに対する診療獣医師の現状数は、農業共済連が五十一、開業医が四、計五十五名で、十六名不足しておる。これは県の畜産課が、乳用牛は肉用牛換算で三頭、獣医師一人当たり診療担当頭数約千二百頭、これ実際これだけやれるのかどうか、私は大変だと思っておりますが、どっちにしてもそういうことを基礎にした計算であります。十六名不足している、こういうわけであります。
 さっきもちょっと触れましたように、ほとんど各県の状況は同じだと思いますが、家畜飼養農家は中山間地に点在をしているために、高齢獣医師が島根県の場合は二十四名おりますが、そういう中山間部を飛び回って診療する診療業務に十分対応し切れないという高齢化の問題もあるわけですね。現状でもなかなか週休もろくにとれない、こういう状況でありまして、島根県の農業共済関係では去年四月から休日当番制を採用しまして、県内五カ所に各二名ずつの当番を入れて他の者は休むということで、やっと去年の四月から当番制を採用して週休をとれるようにした、こういう状況です。
 ここへいよいよ五月、六月ごろから完全週休二日制実施ということになりますと、これは国のレベルでも都道府県、市町村のレベルでも、よっぽど思い切った手段をとらないと対応し切れないと思うのですね。対応できなければできないで、獣医師の職場はますます三K職場だということになりますから、また一層産業獣医師の確保が困難になる、今こういう状況を前にしているわけであります。
 そこで、やはり週休二日制実施に伴う緊急対策を真剣に考えなければいかぬ。その緊急対策の一つは、大学の獣医学部の入学定員を臨時的にも少しふやして緊急に獣医師を確保するような手だてを講ずる。それから、これは国の指導もあってでしょうが、島根県の場合、ことしから産業動物獣医師確保緊急対策事業として、大学一年次から六年次までを対象に、一人月額私立大学で十万円、国公立大学で七万円の貸付制度を具体化しております。卒業後、県下の団体に就職または産業動物の診療所を開設し、従事期間が貸付期間の一・五倍に達したときは返還を免除する、こういう制度であります。これは他の県でもやられているかもしれませんけれども、こういうようなことを含めて緊急に抜本的な対応策を具体化をする必要がある、こういうふうに考えるわけです。
 特に大学の場合は、獣医師だけではなくて、例えば人間の場合の病院、診療所、社会福祉施設などを含めまして他の職種にも関係する問題ですから、技術者の養成や高度の知識を持ったそういう専門職種の育成については、抜本的な対応を全体としてしなければいかぬ、こういう状況を前にしておると思いますので、文部省の見解とあわせて、農水当局の見解を承りたいと思います。
○若林説明員 御説明申し上げます。
 現在、獣医学部、獣医関係学科におきましては、毎年約千名前後の卒業生を送り出しているところでございます。この卒業生の中には、獣医事に従事されない方やあるいは獣医事に従事されても診療を業務としないというふうな方がかなりおられるという状況が一つございます。
 それからもう一つは、平成五年度以降、大学に入学する年齢でございます十八歳人口の急減期を迎えることになります。平成四年度は二百五万人でございますが、これが平成十二年度、西暦二〇〇〇年になりますが、このときには百五十一万人になるというふうなことが見込まれております。
 こういうふうな状況から、文部大臣の諮問機関でございます大学審議会は、平成五年度以降の高等教育の計画的整備について、大学、短期大学については量的な拡大よりもむしろ質的な充実を図ることが重要である、したがって、学部学科等の新増設とかあるいは定員増につきましては、原則抑制する必要があるだろうという答申をなされております。また獣医学につきましても、先ほど申し上げましたようなことから、おおむね必要とされる整備は達成されているので、その拡充はこの計画期間中には予定しないこととするという答申をおまとめになっておられます。
 このようなことから、文部省といたしましては、今後の社会的なニーズというふうなものを十分に配慮しながら、これらの答申を踏まえて慎重に対応してまいりたい、かように考えております。
○赤保谷政府委員 私の方としては、具体的にどうして獣医師さんを確保するか、一朝一夕に即効薬というものはないかもしれませんけれども、今回お願いしている法案におきましても、都道府県計画において獣医師の確保に関する目標を定める、この目標に向けて関係者の努力を促す、こういうことにしているわけです。
 具体的な支援措置としましては、先ほど先生から島根県でやっておられるというお話がございましたが、修学資金、これも給付期間なり単価というか一月当たりの金額も拡充して実施をする、あるいは診療施設を開設するに当たっての長期の公庫資金の貸し付け、融資面での助成を考える。それから学校を卒業した後の臨床研修、これも午前中に参考人の方々からお話がありましたが、実際に実務に携わるに当たって臨床研修というのは非常に重要だ。この臨床研修の実施というようなこと。それから、とりあえずというのか、勤務獣医師のOBの方々、家畜保健衛生所に勤めておられて退官間近の方々、あそこは検査が中心でしょうから、そういう方々に対して診療の講習会をやるとか、さらに、獣医師さんが不足している地域、そこは開業獣医師さんに巡回診療をお願いしている、そういうような措置を講じて、何とか獣医師さんの確保を図っていこう、そういうようなことでやっておるところでございます。
○石橋(大)委員 文部省の意見を聞きますと、せっかく大学の獣医学部を出ながら産業獣医師にならない人がたくさんおるから、それらを有効利用すれば十分であって、これ以上大学の入学定員を拡大する必要性はないと考えている。同時に、平成五年以降大学入学者が激減する、こういう状況もあって、これからはさらに量よりも質だ、こういう御答弁をいただきました。
 量よりも質だというと非常にきれいな話ですが、これは産業獣医師を確保するという点からすれば、このままだったらはっきり言って一層厳しくなるということですね。それだとすると、なおさら何とか抜本的な手だてを考えて、社会的に見ても、処遇の面からいっても魅力ある仕事だ、こういうふうにしておかないと、質が昔高くなればなるほどまた、処遇の悪い産業獣医師にはならぬということになりかねませんから、そういう観点で、やはり真剣にその確保策について、処遇の面を含めて考えていただきたい、こう思っているわけでございます。
 そうはいっても、各県の、特に農業共済に勤務する獣医師の処遇を引き上げることについては、やはり診療報酬単価の問題だとか農業共済の経営上の問題だとか、必ずしも財政的に非常に強い体質を持った共済組合ばかりではないと思いますから、処遇をよくした、すぐ赤字に転落して倒産をする、こういうようなことにもなりかねない、そういう弱さがあると思うのです。そうなってくると、どうしてもやはり一定の国の補助を充実する方向を考えざるを得ない。
 そこで、これは私の個人的な発想ですが、やはり各県ごとに産業動物の飼養頭数に応じて、ある程度面積なども加味しなければならないかもしれませんが、産業獣医師の配置基準みたいなものをつくって、そこに対しては最低幾らかの国の補助をきちっとする、そういうことで負担を軽減しながら、同時に処遇も改善をし、人材も確保する、こういう手だてを講じてはどうかと考えていますが、この点についての考え方を承りたいと思います。
○赤保谷政府委員 今先生のお尋ねは、共済との絡みでのお尋ねでございますか。(石橋(大)委員「共済との絡みでも何でもいいです」と呼ぶ)
 獣医師さんは自由業でございますので、その収入を直接……
○石橋(大)委員 そういう意味では勤務医のことを言っていますよ。農業共済などに勤務している獣医師の方ですよ。
○川合政府委員 勤務医のうちのかなりの部分を共済団体の獣医師さんが占めているという事実はございます。
 先ほどもお話がございましたように、先生まさに御指摘もあったわけですが、獣医師の処遇の改善ということは当然掛金、これも掛金は御承知のように国庫負担が二分の一という非常に高率の補助になっておりますので、そうしたアプローチをさらに続けていくということは非常に難しい、先生、その前提でお話しだろうと思っております。
 共済の立場からいえば、共済事業のコストというものはやはり畜産経営の中でしかるべき位置づけを持つべきであるし、そういう評価をしていただくということは、私どもの事業運営の上からも必要だろうと思っております。そうした中で、こうした獣医師さんの処遇全体を共済事業の面からアプローチするということは、先ほども申しましたように、ある面での限界があるのではないかということだろうと思っております。したがいまして、私どもの立場からいいますと、事故率を下げていく、予防という点に力を入れることによってコストを下げるというか、逆にいいますとコストの中に占める人件費の割合を高めていく、そういうことが一つのアプローチではないか。その場合の予防事業というのはやはり共済事業だけではなくて、全体としての畜産行政、あるいは畜産事業という観点で対応していくべきものではないか。これは共済の立場からの意見で、若干狭い範囲の意見がもわかりませんけれども、私どもそんなふうに考えているところでございます。
○石橋(大)委員 人間の共済組合に対してだって国庫補助があるわけですね。酪農の経営状況が非常に厳しいということもありまして、なかなか診療報酬の引き上げなどによってばかりは対応できない。もちろん今局長が言われるような努力はするとしても、それはたかが知れたもので、もう少し処遇を充実しようと思ったら、思い切って制度をきちっとして、国の補助をもう少し大幅に上げるくらいのことを考えないと問題は解決しないと思いますので、ぜひひとつそういう方向で検討をお願いしておきたいと思います。
 時間がありませんので、次に進みます。
 今度の法律改正によりまして臨床研修の規定が設けられておりますが、この臨床研修について現場でもいろいろと心配をされております。また、午前中の参考人の意見を聞きましてもいろいろ問題があるようですので、以下簡単に、箇条的に申し上げますから、ひとつ箇条的に何点がお答えいただきたいと思います。
 まず一つ。臨床研修の期間をどの程度と考えているのか。午前中の北海道農業共済連の森田参考人の御意見によりますと、臨床講習所を設けて八週間の卒後研修をやっている。それから東大の竹内さんの意見は、いろいろ職場の制約条件はあるにしても、六カ月ぐらい必要なのじゃないか、こういうお話でしたね。午前中の参考人の話を聞くと、今度研修は義務的な研修になっていませんが、どうも臨床研修だけは何週間か何カ月間かはある程度義務的にでもやっておかないと対応できないような参考人の意見、私はそう聞いたわけですが、そういう意味で、一定のところは義務化をすべきではないかというようなことも考えますので、そういうことも含めて、一体どれくらいの期間を考えているのか。
 二つ目。大学の附属機関等に研修の受け入れ態勢が整っているのか。また、研修のための農林水産大臣の指定する診療施設として何を予定しているか。
 三つ。獣医師の新たな負担とならないのかどうか。また、研修に当たっては、現在の獣医師の修学年数の差などに見合った研修期間や回数などを考えているのかどうか。
 四つ目。さっき言いましたように、臨床研修は努力規定であって義務規定になっていないわけですが、それでは忙しい中で積極的に研修を受けようというインセンティブは余り働かない、こういうように思いますが、その点では何らか考える必要があるのじゃないか。この点とうかということ。
 五つ目。診療業務以外の分野についていた獣医師が新たに診療業務に携わろうとする場合にも、臨床研修が必要と考えているのかどうか。
 六つ目。長期的に見て、その結果が診療費の引き上げにつながるおそれはないのかどうか。
 七つ目。獣医師法改正案第十六条の五には、臨床研修の実施に関し農林水産大臣は必要な援助を行わなければならない、こういう規定が置いてありますが、具体的にどのような援助の方法を考えそおられるのか。参考人の意見の中にも、もっとこれらの点について国の援助の充実を期待する、こういうような御要望もありましたので、あわせてお伺いしたい。
 それから八つ目に、非常に人手不足の中で、大学の入学者を見ると、もう六割は女子学生になっている。そういう状況を考えたときには、何となく小動物の、何といいますか、診療医師をふやすということでなくて、産業獣医師にやはり女子を積極的に導入するということももう少し考えた方がいいんじゃないか。
 話はちょっと飛躍しますが、防衛大学や自衛隊にも女子学生が入学する時代ですから、また参考人の竹内さんの意見にもありましたように、バイオテクノロジーなどを使うようになった現在、十分女子の獣医師さんでも対応できるような状況が整いつつある、こういうふうな意見もありましたので、この点について、もっとやはり積極的な対応を、人手を確保する、絶対数を確保する、そういう面からいっても必要ではないか、こう思いますので、あわせてできるだけ簡単明瞭に、ひとつ伺いたいと思います。
○赤保谷政府委員 たくさん御質問がございましたけれども、まず、研修期間、どの程度と考えておるのか。大学卒業者の技術水準だとか、飼育者の要求する技術水準その他いろいろ考えまして、午前中の竹内先生のお話にもございましたが、六カ月程度が適当ではなかろうかというふうに考えております。
 それから、受け入れ体制はどうなっているのかという話ですけれども、大学の附属施設である診療施設におきましては、従来から獣医師を研究生等として受け入れておりまして、臨床技術の習得を目的とした研修を実施する体制が整っている。また臨床研修を実施する診療施設として指定を予定しております農業共済団体等の診療施設については、ある程度診療施設が整備されているところにおきましては、現在も新規採用獣医師等に対しまして研修を実施しているところでありまして、獣医事審議会においてその意見を聞いて指定するわけですけれども、臨床研修を実施する体制が十分整っている、そういうところになると思います。
 それから、大臣が指定する施設、どんなところなのか、これはあらかじめ獣医事審議会の意見を聞いた上で、今お話ししましたように指定するわけですが、この場合には、効果的な臨床研修を実施するためには、研修を実施する診療施設において、一定の水準の診療施設の整備だとかあるいは十分な技術を有する研修担当獣医師の確保が図られていること、そういうことが必要でありますので、当面、従来その職員に対する研修の実績のある農業共済団体等の診療施設の中から指定を行うことになるというふうに考えております。
 それからその次に、新たに獣医師となる者、負担の問題ですが、今回創設しようとしている臨床獣医師制度でございますが、これは現在、大学の附属機関等におきまして、獣医師を研修生として受け入れて実施しているそういう診療技術の習得のための研修、あるいは農業共済団体等が新規採用獣医師を対象として実施している研修、そういうものをより体系的に推進をしようというものでございます。
 この場合、研修期間とかその内容につきましては、今申し上げましたような大学卒業者の技術水準あるいは飼育者が求める水準、あるいは研修の具体的な方法等を勘案して定めることとしておりまして、特にその内容は、基本的には大学で取得した基礎的技術の応用を図ろう、そういうものでありますから、獣医師さんに過度の負担を強いるというものではなくて、また獣医師さんにとってはまさに必要とされる臨床技能についての研修実施が図られるものであるというふうに考えております。
 それから、大学の修学年数によって研修期間が変わるのかということでございますが、六年制教育の修了者は、昭和五十八年度から六年制の卒業生が出ていると思いますので、そういう六年制の教育修了者の技術水準を勘案して定める、そういうことを考えておりまして、修学年数によりまして研修の内容に差を設けることは考えておりません。
 それから、義務的にしたらどうか、こういうお話ですが、獣医師の臨床研修につきましては、その実施に当たって「努めるものとする。」という法律の規定になっております。そういう努力規定を置いている趣旨は、臨床研修の実施について獣医師の自発的努力を期待しているということを法律上は明らかにするものでありまして、人間のお医者さん、医師の臨床研修に関する規定と同様の規定ぶりとなっているわけでございます。臨床研修は、強制的に研修を実施させようというものではございませんけれども、実際の現場において的確な臨床技能を有することは重要なことでありまして、必要な援助を得て臨床研修の円滑な実施が図られるように努めてまいりたい、そう思っております。
 それから、新たに診療業務に携わる者、そういう者も臨床研修を受けるのかということですが、今度の研修は、実際に現場において臨床技能を習得することを目的にしているものですので、したがって、臨床業務以外に今まで従事していた獣医師が新たに診療業務に携わる場合におきましても、臨床研修の実施に努めることが望ましいと考えております。
 それからその次の、研修を受けると診療費の引き上げにつながるのではないかということですが、この研修は、疾病が複雑多様化している、動物の飼育者の衛生的な知識の向上等を背景として、高度化、多様化が進展する動物診療に関しまして実践的な臨床技能の習得を推進するものでありますが、現在職場で行われている研修、それをより体系的に実施することによりまして、飼育者により的確で効率的な獣医療の提供ができるようにするものでありますから、長期的にはむしろ飼育者の利益につながるものであるというふうに考えております。
 それから、援助の問題でございます。国としては、研修を実施する診療施設の長に対しまして、新しい疾病に関する臨床研修マニュアルの配付を行うといったこと、そういった必要資料の提供だとかあるいは家畜衛生試験場からの講師の派遣、そういうようなことを予定をいたしております。
 それから、女子の獣医師さんについての問題、最近卒業した獣医師さん、三〇%が女性でございます。これからも増加していくものと考えられる。そこで、女性の獣医師については、一般に小動物への就業が高くなっているところでありますけれども、近年、女性獣医師の就業比率の比較的低い産業動物分野においても就業する者が増加をする傾向にございます。これらの女性獣医師は診療現場で活躍しておりまして、今後女性獣医師の働きやすい職場環境の整備を一層推進することによりまして、女性の獣医師がより活躍できるように関係者の指導をしてまいりたいと考えております。
○石橋(大)委員 残り時間も少なくなりましたが、次に診療施設の構造設備の基準に関連してちょっとお伺いをしておきたいと思います。
 今度の獣医療法案では、診療施設の基準について定めて、その基準に適合しないときには使用の禁止をさせたり改善命令を出したりするようなことがいろいろ規定をされておりますが、この場合、農林水産省ではどういう構造設備基準を定める考えであるのか、また、基準に達しない診療施設を有する開設者に対して都道府県知事がその使用を制限、禁止または修繕、改築を行うよう命ずる、こういうことになっているわけですが、非常に収益性の低い産業獣医師に過大な負担を強いる心配はないのかどうか、この点について、構造設備の基準に関連して、この点一点だけ聞いておきたいと思います。
○赤保谷政府委員 診療施設の構造設備の基準、こういうようなことを考えております。
 飼育動物が逃げ出すのを防止するために係留等に必要な施設を設けることを予定しているわけですが、これに必要な設備としては、かご、ケージ、動物にもよりますが、あるいは建物の扉、窓、そういったものを、診療あるいは収容する飼育動物が自分の力で開閉できないような構造であるもの、それから産業動物にありましては、くい、社あるいは保定枠等によりまして診療または収容する産業動物を係留するもの、こういうものが考えられるわけでございます。
 それから、収容施設を有する診療施設、こういう診療施設におきましては、院内での感染防止を図る必要がある、そういう施設が必要でありますが、これは伝染性疾病にかかっている飼育動物を収容する設備としまして、収容している飼育動物をほかの動物と隔てることができる、そういう固定式あるいは可動式の間仕切りがあればいいのではないかと考えております。
 それから、エックス線装置を取り扱っている施設ですが、エックス線診療室からの漏えい線量を一定値以下とすることを予定しておるわけですが、第一次エックス線を遮へいするための鉛板を設備することが必要となろうというようなことでございます。
 それから、そういう施設基準に合っていないときには改善命令が出される、収益性の低い獣医師さんに過大な負担になるのではないかというお話ですが、この基準につきましては、診療施設の設備内容を衛生上、保安上一定の水準に保つための必要最低限遵守すべき事項、そういうものを定めることとしておりまして、その内容は、例えば今申し上げましたエックス線の撮影台に鉛等で遮へい板を置くとか敷くというようなことで、さほど大がかりな改築ということを要するものにはならないのじゃないかと考えております。
 また、施設基準につきましては一定期間その適用を猶予する、法律は公布の日から六カ月以内ですが、この基準についてはその適用を一定期間猶予することを検討しておりますので、こういうことによりまして産業動物の開業獣医師等に過大な負担を強いることにはならないものと考えております。
 そういうようなことを考えております。
○石橋(大)委員 余り大した金はかからぬようですから安心しました。
 次に、要指示医薬品の適正使用に関係して、これも時間がありませんので簡単にお伺いしておきます。
 今度、要指示医薬品の適正使用について、獣医師法第十八条、薬事法第四十九条の規定などに基づいて農水省としても指導通達などを出されているわけですが、要するに今度の獣医療法の制定などによって、動物に対する医薬品使用について現行と異なるのか異ならないのか、もし大きく違うとすればどの辺が違ってくるのか、端的に伺っておきますので、お答えいただきたいと思います。
○赤保谷政府委員 新しく指定される医薬品について獣医師がみずから診察しなければ投与、処方をしてはいかぬ、こういうことですが、端的に申し上げますと、要指示医薬品につきましては従来から獣医師が処方せんまたは指示書を発行する場合は、原則としてみずから診療をして行うよう指導しております、事実上の問題として。したがって、基本的には従来の考え方を受け継いでいるということでございます。
○石橋(大)委員 一番最後に大臣からお答えをいただきたいと思っていますが、普通の質問としてはこれが最後になると思いますが、家畜改良増殖法に関連をしまして、家畜の体外受精卵移植を行うことができる者は家畜人工授精師と獣医師、この二つになるわけですね。
 今度の法律改正によりましてどれだけ獣医師の仕事量がふえるのかちょっと明らかではありませんけれども、例えば人工授精師の免許の取得者を見ますと、平成元年現在で人工授精師の総数が五万百二十六人、うち受精卵移植を行うことができる者が八百十人、これは受精卵移植といってもこれまでのところですから体内受精卵移植であって、体外受精卵移植の技術を身につけている人工授精師は目下のところほとんどいないだろう、こう思いますね。本法施行と同時に、どっとこういう体外受精卵移植の需要があるとすれば、すぐそれにこたえなければいかぬ。ところで、そのための人工授精師や獣医師に対する研修が特別に必要になってくるのではないか、こういうふうにも思うのです。
 午前中の長岡正二参考人の御意見によりますと、牛の体外受精卵移植技術は人工授精などとは比べものにならない技術であり、その特徴は細胞培養の技術である、こういうふうに言われています。肉用牛改良上画期的な技術であって、技術普及上の課題としては、受精卵をとる技術、移植する技術、牛の飼養管理に対する技術、この三つの課題がある、こういうふうに言われています。
 そういう意味でもかなり高度な新しい技術のように思うのですが、獣医師さんの場合はそういうことについて研修が必要であるのかどうか知りませんが、察するところ多少の研修は必要なんじゃないか、こういうふうに思います。いずれにいたしましても、この体外受精卵移植を新たに法律改正によって実施するに当たって、それを実際にやる人工授精師と獣医師さんに対するそのための研修期間、そういうことについてどういうふうにお考えか、お聞きしたいと思います。
○赤保谷政府委員 今までの人工授精師さんは体内受精だけでございました。今度新しく講習を受けなければいけないわけですが、法律の施行、附則の一条ですけれども、施行期日が書いてありまして、一般の規定については「公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただしこということで「家畜体外受精卵移植に関する講習会及びその修業試験に係る部分」については「公布の日から施行する。」少し早目に施行する、そういう形で、できるだけ早く研修を受けられるようにということを制度上も考えております。
 そのほか、予算措置の問題ですけれども、家畜改良増殖を図る上で、体外受精卵移植技術は今おっしゃいましたように非常に重要なものですので、その実用化、普及の推進を図るということで支援事業も用意をいたしております、中身御説明いたしませんが。
○石橋(大)委員 そろそろ制限時間が来ましたのでこれで最後にしますが、ずっと質問を聞いておられまして、大臣に最終的にお答えをいただきたいわけですが、一つは当局の方からでもいいのですが、共済組合の関係で、特に産業獣医診療行為にほとんど農業共済の獣医師が携わっているという状況もありまして、診療報酬の引き上げたとか国の補助だとかかなりそういう問題に対する期待があるし、また現実そういうことがないと、本当の意味で問題の解決につながっていかないというふうに思っていますが、そういうことも含めて、全体を通じて大臣の所信なり決意を伺って終わりたいと思います。よろしくお願いします。
○田名部国務大臣 長期的に考えてみますと、米は消費の拡大が、年々減っておりますが、畜産に関する限りは毎年需要が伸びておる、言ってみれば期待される産業であろう、こう思うのです。ただ、自由化の影響もあっていろいろと困難な面がありますが、いずれにしても畜産振興と獣医療の発展は車の両輪であろう、こう思っておるわけであります。
 そういうことを考えてみますと、いろいろな診療施設の整備、これはもう年々必要に迫られてきておるわけでありますから、そういうものを長期低利の資金の貸し付けを行うとか、あるいは実態を見ますと高齢化がどんどん進んでおりまして、全体の量は減っておらぬのですけれども畜産の方がふえておりまして、それで負担が非常に重くなっておるというので、若い人たちをどうやって確保していくかということで学生を支援するための修学資金を設けた、あるいはばらつきがあってどうしても行けないというところも出ておりますので、巡回指導をするあるいは臨床研修を行うということで、一生懸命これでやってみたいと考えております。
 また報酬の面についても、いろいろとこの議論の中で感ずることもありますが、これは他の分野でも、例えば医師も開業医と勤務医ではおのずから、設備をしたりなんかするリスクを生じながらやっているという人とそうでない人というのはおのずから差があるのだろうと思います。それは程度の問題であります。ですから、何といっても畜産自体が安定的に発展をすれば、こういう方々の、ペットの方を見てそう思うのですが、やはり適正な診療を払ってあげられる体制をつくっていくことが大事なことだ、こう思って、何としてもこの畜産振興を一生懸命やりたい。
 いつまでも助成、補助金を受けなければ業として何十年も成り立たないというのではおかしいわけでありますから、何としてもひとり立ちできるように私たちも一生懸命努力しますし、何といってもやる方々がその気になって一生懸命努力をしていただきたい。両々相まって発展を続けていく、そういう方向をこれからいろいろと探しながら努力をしてまいりたい、こう考えております。
○石橋(大)委員 さっきも言いましたように、当面特に週休二日制の実施に関連する問題が非常に大きいと思いますので、ぜひひとつ万全の策を講じていただきますように強くお願いをしまして、時間が来ましたから私の質問を終わります。
○金子(徳)委員長代理 藤原房雄君。
○藤原委員 畜産三法につきまして若干御質問申し上げたいと思います。
 その前に、昨年の十二月二十日、ダンケル事務局長からガットにおきましては例外なき関税化ということで、それ以来それぞれの国の対応が迫られておったわけであります。当時といたしましては、イースターの四月十九日ですか、その辺を一つのめどというようなことも言われておったわけでありますが、アメリカ、ECとの間のいろいろな話し合いの中でなかなかこれが対立したものである、こういうこと等もございまして、最近の情報によりますと、二、三カ月延期をするといいますか、審議を延ばすというようなこと等も報じられておるわけであります。
 我が国におきましては、乳製品を初め米の市場開放につきましての関税化は反対ということを明確に態度を表明いたしておりますが、今後の農業交渉におきます重要な一つの課題でございますし、また、私どももマスコミ等の報道で知る範囲でありますが、農水省といたしましては、現在のこのようなガットにおける動きにつきましてどのように把握をし、今後についてはどう見通されておるのか、また、今後の政府の対応につきましてはどのようにお考えになっていらっしゃるのか、この点について最初にお伺いをしておきたいと思います。
○川合政府委員 四月十三日にウルグアイ・ラウンドの貿易交渉委員会、いわゆるTNCの非公式会合が開かれました。
 これは、目的は交渉の現状について評価し合うということでございますけれども、ダンケルはこの会合で、その理由といたしまして、交渉プロセスの透明性を確保すること、あるいは第一トラック、いわゆる交渉の路線でございますが、第一トラックから第三トラックまでの作業がやや弾みを失いつつあるというような見方がある、それから現在の、漂流状態というような言葉を使っておりますけれども、これを何とかとめて、ウルグアイ・ラウンドの早期かつ成功裏の終結に立ちはだかっている諸問題に取り組みたい、こういうことがあるのでこの会合を開いだということを言っております。ただ、今までのところ第一、第二のトラックは特に困難に直面していてなかなか進んでいない、これをどうするかということについて議論したいというようなことだったようでございます。
    〔金子(徳)委員長代理退席、委員長着席〕
 しかしながらもう一つは、これは非公式でございますが、イースター、四月十九日というようなことが一つの期限みたいな言い方をいたしておりましたものですから、そんなこともございましてこの会合が開かれたということでございます。しかしながらこの会合につきましては、結論的なもの、あるいはこれから先の行く末についての結論めいたものは何ら出ておりませんので、これから先いろいろな形で会合を持とうということにとどまって、この会合は終わっておもようでございます。
 いずれにいたしましても、一つは米、ECの動きがございます。これは御承知のように、首脳の会合が二十二日とも言われておりますが、開かれるというようなこともございまして、それを見ているというような要素もあるわけでございます。
 いずれにいたしましても今後の見通しはなかなか立ちにくいわけでございますが、しかしながらどの国もウルグアイ・ラウンドを失敗させることについては何とか避けたいというふうに思っておるわけでございますので、私どもといたしましては、いろいろな情報を集めまして、常に緊張感を持ってこの交渉に臨んでいきたいというふうに考えております。
○藤原委員 状況については今お話がございましたが、しかし日本的に言いますと、連休とかいろいろなことがこれから始まるわけであります。諸外国におきましてはまた様子が違うわけでありますし、今御報告の中にもございましたが、ECでもいろいろな動きがあるわけでございます。緊張感を持ってということでございますが、大臣、これは緊張感を持って情報を収集するということが今後の日本の国の対応の唯一の姿勢のようにしか受け取れないのです。やはり日本の立場というものにつきまして、意思表示はしておるわけでありますけれども、もっと積極的な動きというのをとらないで待ちの姿勢みたいなことでいいのかどうか、その辺、大臣はどうお思いですか。
○田名部国務大臣 なかなか難しい状況にあると思います。と申しますのは、今のところは関税化反対と言い切っているものですから、これ以外の交渉というのも展望がない。話し合いをしろというと、これはどういうことになっていくかわからぬ話し合いになるわけでありますから、非常に動きにくい面というのは日本の場合あると思うのです。
 ただ、修正要求しておる明確化してほしいという部分については、それはそれなりの交渉はできると思うのであります。しかし、全体としては包括的な関税化ということでダンケルの案が出ておるものですから、そういうことでは日本にとっては非常に難しい。譲歩あるべしという案を持って交渉するのであれば、どのあたりでやるかという対応というものは出てくるわけでありますが、国会決議を体して私ども交渉しておるわけでありますから、日本の出した案というものがもうこれ以上のものではないということで、今までもこれまでの基本方針のもとに、食糧輸入国としての立場が反映されるように最大の努力をしておるというのが現状であります。
○藤原委員 それでは法案に入ります。
 まず一点は、獣医師法の改正、それから獣医療法の制定、この経過と目的ということになるのかもしれませんが、昭和二十四年に制定以来初めての改正ということでありまして、それだけ社会情勢が大きく変貌した中での、それに対応するための諸施策というものがこのたび盛られているわけであります。一つは、獣医師の任務ということ、また、臨床研修とか獣医師の診療対象の飼育動物の追加とか、医薬品の投与及び処方に関する改善とか、獣医師による保健衛生の指導とか、こういうそれぞれについて、このたびの改正が見られたわけであります。これだけの大きな時代の変革の中でありますから、多方面にわたり、そしてまた根本的にも、第一条、現行法では法律の目的ということがうたわれておりましたが、改正案では、今度は獣医師の任務という形にいたしたわけであります。そういうことで、この獣医師の持つ社会的な重要な役割というもの等につきまして、産業動物を初めとします、そしてまた、最近におきます小動物の飼育、こういう社会情勢の変化に対応すべく、飼育動物に関します保健衛生及び畜産業をめぐる情勢、これに対応する形でいろいろな施策が講じられたわけであります。
 そういう理念的なことはよくわかるのでありますが、このたび法制定に当たりまして、意図するといいますか、何点かの問題につきましては、それを推進するという役割も一つはその法案の中に盛られていると思うのであります。一つは、地域における産業動物の診療体制を整備するということや、それから産業動物の獣医師の確保対策、こういうものを講ずるというようなこと等も、このたびの法改正の中では、畜産振興ということも念頭に置いた大事な改正の一つのポイントであろうか、こう思うのであります。
 このたびの法改正の経過と目的ということをるる述べよと言ったら一時間ぐらいお話しになるんだろうと思いますが、そうじゃなくて、主要な項目につきましてそのエッセンスをひとつお述べいただきたいということと、それから、この法改正に当たりまして目指すべきものとしてポイントになる点をお述べいただきたい、こう思うのです。
○田名部国務大臣 今お話しになりましたように、時代の変遷に伴って畜産業は非常に変わってまいりました。規模が大きくなったこともその一つ、あるいは一方では小動物が飼育されるようになった、この二つが社会の大きな変化であったろうと思うのです。
 それは日本経済の発展に伴ってなったことでありますけれども、そのために新たな診療機器が普及し、あるいは動物用の医薬品の開発、その高度化が大きく進展してきた。他方では、家畜飼養の多頭化、それに伴っていろいろな病気がふえてきたわけでありまして、複雑化する等、動物に関する保健衛生上の新たな問題が生じてきた。
 それから、いま一つは高齢化が進んでまいりました。この獣医師の確保が困難な地域も発生しております。あるいは動物用の医薬品の適正使用等がより重要な問題になった。
 大体こういうことから、法律の内容として、獣医師法の方では獣医師の任務の明確化を図る、あるいは獣医師でなければその診療を業務としてはならない飼育動物の追加、三つ目としては医薬品の範囲の拡大、四つ目に臨床研修の推進ということを規定を整備することにしております。
 また、獣医療法の方でありますが、一つには基本的な方向、二つ目としては診療施設の整備、獣医師の確保あるいは獣医療に関する技術の向上等、そして都道府県計画の策定並びにこれらに基づいて診療施設の整備を図る者に対する農林漁業金融公庫からの資金の貸し付け、二つ目として診療施設の基準、その管理の基準、そうしたものを整備しようとするものであります。
○藤原委員 もう質疑も最後でありますから、今いろいろお話まとめていただいたわけであります。今大事な点、何点がお話ございました。昨日からの委員会におきましても、臨床研修ということについていろいろお話ございましたが、午前中の竹内参考人のお話の中にも、卒業後の研修のことについてるるお話がございました。卒業後の必要性とかその重要性についてお話ございましたけれども、そのお話の中で、現在の大学の中での実習ということについてちょっと触れられておったんですけれども、最近動物愛護といいますかこういうようなこと等もありまして、各大学で実習用に動物をあやめるということは非常に困難を来すような状況になるというような意味のことをお話ございました。しかし、この大学の課程の中で、一体臨床面ではどうなっているのかということについてちょっとお伺いしておきたい。
 これでちょっと文部省の方に来ていただいておるわけでありますが、文部省の方の高等教育の中で、実習については、聞くところによりますと最近はなかなか実習する動物の確保といいますか、実習が少ないということ、それから特に国公立の場合は非常に限られた大学でしかしてない。予算が非常に少ないことのために実習が十分にできないのではないかというようなこともおっしゃる方がおるわけであります。私も、獣医師の学科を持つ大学では、やっぱり飼育とかそれからまた解剖とかについては、当然そういうものについての施設なりそれからまたそういう環境というものはあるんだろうと思いますが、最近は大分何か変貌しているようで、四年の大学が六年になった、そういう中では、当然そういうカリキュラムの中には実習というものもあるのではないかというように思っておりましたが、確かに大動物だけではなくて小動物、いろいろな幅広い社会情勢の中でそれに対応するということですから、いろいろなものはできないのかもしれませんけれども、最小限文部省の高等教育の獣医師に対する課程の中ではどういう指針を明示されていらっしゃるのか、そしてまたそれに対する予算等、どの程度の実習ができる、どういうことになっておるのか、その辺のことについて、ちょっとお伺いしておきたいと思います。
○若林説明員 御説明申し上げます。
 大学におきます獣医学教育につきましては、先生御案内のように、各大学がそれぞれの教育理念、目的に基づきまして教育課程を編成し実施しておるところでございます。国立大学の獣医学部関係では、お尋ねの実習関係の開議状況、大体二十三単位から四十単位という幅でそれぞれの大学で実施しているところでございますが、一部の大学におきまして、御指摘のような実習の開議単位数が若干減少しているという状況はございます。
 それから、これらの実習のうち牛、馬等の大動物にかかります実習時間がどれだけかというようなことにつきましては把握しておりませんけれども、ただ、大動物の患畜数が減少している大学等も一部にございますので、今後それぞれの大学の教育課程を踏まえまして、学外の施設を活用するというふうなことなど、学生が大動物に触れる適切な機会が十分に確保されるように各大学に留意を促してまいりたいというふうに考えております。
 それからもう一点、先生御指摘の実習予算の件でございますが、国立大学の場合には、教育研究の基幹的経費でございます教官当たり積算校費及び学生当たり積算校費をまず措置いたしております。特に獣医学部、学科につきましては、実習等に必要な経費として、動物解剖等経費及び家畜病院経費を措置いたしてまいっておるところでございます。
 平成四年度予算につきましては、基幹的経費でございます教官当たり積算校費及び学生当たり積算校費の単価につきまして、それぞれ一・一%の増額を図るとともに、特に実習に必要な家畜病院経費につきましては、対前年度二七・五%増と大幅な増額を図ったところでございまして、今後ともこのような措置を通じまして、教育研究経費の充実に努めてまいりたいというふうに考えております。
○藤原委員 若林課長さんになってから大幅に増額になったのかもしれませんけれども、聞くところによりますと、確かに大動物についてのいろいろな単価等とありましても、それは輸送費から何から相当かかりますので、そういうのがなかなか見ていただけないということで非常に実験の機会が少ない、こんな話も聞いておるわけでございまして、お話のようにそういう学部に所属なさる方々が触れる機会がないということではどうも困る。最近は都市化が進んでおりますし、また、午前中の参考人がおっしゃっておりますように、動物をあやめる、そういうことを言ったら何もできなくなってしまうのかもしれませんが、最近はそういう考え方も非常に強うございますから、学校の中でできることというのは限られたことになるのかもしれませんが、そういうところに希望していらっしゃる方々がやがて社会に出られるわけでありますから、最低限の実習ができるようなことでなければならぬだろうと思うわけであります。そういうことからいいますと、学校の中の施設ということだけで足りなければ、国の機関とか私立大学等におきましても、そういう畜産業に関係が深いわけでありますから、農林省、国の方のいろいろな機関等を通しましてそういう実習の機会をつくるようなこと等でやっていくべきではないかということを、いろいろな方々のお話を聞きながら感じたものですから、お話し申し上げているわけであります。
 今日までも農業、漁業、林業というのは学校の教科書にもなかなか取り上げてもらえなかった、そういうことで、文部省さんも最近ようやくそういう問題についても記述するようになってきました。高等教育でこういうことがあるのかと、いろいろな方々のお話を聞いて私もちょっとびっくりしたのですけれども、技術系につきましては、特に施設や何かにつきまして非常に予算が少ないとか、実験が思うようにできないとかいうようなことを言われておりますが、技術系の方々と同じように、生き物を扱う方々が、今お話ございましたけれども、こういう形で今実習等の予算につきましても積算やいろいろなことについては御配慮をいただいておるようでありますが、ぜひこれは本来の姿に立ち戻らしていただくように御努力いただきたい、こう思うのです。
 文部省の関係のことで今現状についてはお話を聞いたのですが、これは閣僚の一人として、大臣、ひとつ文部大臣にもよくお話ししていただいて、学校教育の中でのきちっとした体制について促進方をひとつよろしく――頭を下げるのじゃなくて、ちょっと答弁してください。
○田名部国務大臣 よく御相談を申し上げていきたい、こう思います。
○藤原委員 このたびのこの法律の中には、省令にゆだねているといいますか、政令で定める、省令で定めるということが非常にあるわけでありますが、一つは政令の問題であります。獣医師の診療対象について、獣医師法の第十七条で診療対象を拡大するとあります。政令で定めることになっておりますが、政令の基本的な考え方についてお伺いしておきたいと思います。
○赤保谷政府委員 獣医師法の第十七条におきまして診療対象動物として規定された場合には、獣医師以外の者はその診療対象飼育動物の診療の業務が制限されるわけでございます。
 この十七条の診療対象飼育動物としてどういうものを対象とするかということでございますけれども、畜産業の発達あるいは公衆衛生の向上、こういう観点から見ての重要性、それから疾病の発生状況、三番目に獣医師による技術的な対応能力、そういったようなことを総合的に考慮しまして、公共の福祉の観点から必要性が高いと判断されるものについて規定をしていくべきものであろうと考えておりまして、現在法律で書いてある動物の種類もそういうような観点から書かれておりますし、今度ウズラを書きます。その他オウム病関係で小動物を書きますが、今のような観点から、小動物については特定の種を拾い上げていくということにいたしておるところでございます。
○藤原委員 次に、獣医師によります医薬品の使用制限、これも獣医師法の第十八条に劇事業や生物学的製剤の使用について獣医師の診療が義務づけられておる。それに新たに「農林水産省令で定める医薬品」が加わったわけでありますけれども、最近食品に対する安全性ということが非常に叫ばれておるわけでありますが、こういうことからいいまして、食品になりますと厚生省ということになるのかもしれませんけれども、それ以前の川上であります農林水産省の対応というのも非常に重要なことになるのだろうと思います。これは省令で抗生物質、抗菌製剤、こういう薬事法の要指示薬、こういうものについても当然のことだと思いますが、このたびこのように定められたことは非常に時宜を得たことであると思います。さらに今後の省令等につきましてはとういう方針でこれからお取り組みになるのか、お考えの基本をお聞きしておきたいと思います。
○赤保谷政府委員 獣医師がみずから診療しない場合には投与、処方をしてはならない、そういう医薬品を省令で追加できるようにするわけですが、最近家畜の疾病の発生要因が複雑化、多様化をしている、そういう中で、抗生物質だとかホルモン剤といった医薬品の投与をする必要性が増大をしている。こういった医薬品は、その使用の仕方いかんによっては耐性菌が増加をしまして疾病の治療効果が低下をするという問題が生じる。それから伝染性疾病の蔓延の助長にもなりかねない。それから、今お話がありました動物医薬品の残留の助長という問題を生じさせまして、いろいろ障害が出てくる、そういうことが懸念されるわけでして、それで、今回これらの医薬品の投与または処方を行うに際しましても獣医師みずからの診察を義務づけまして、これら医薬品の適正な使用を図るということにしたものでございます。
 省令で定める医薬品としましては、今申し上げましたような理由から要指示医薬品それから使用規制対象医薬品、そういうものを追加することを考えているわけでございます。
○藤原委員 それから、同じ省令に関することですが、獣医療法の第四条、診療施設の構造設備についてであります。
 これも詳細については農林水産省令で定めることになっているわけでございますが、小動物の診療施設においてはエックス線撮影装置とか入院施設が普及しておる、こういう現状からしまして、保安とか衛生という面について必要な基準を設けるべきだ、こういうことが言われておるわけでありますが、往々にして役所がこういう基準を設けますときに、経済面、確かにこの保安、衛生という面についてはきちっとしなければならないのは当然でありますけれども、規格ということになりますと、病院等におきます何か基準を定めなければならぬということになると、今まであります施設、こういうものが参考になるということで、どうしても非常に過度な出費を強いるような形になりやすい。これは小動物の診療施設でありますから、これに適合したような形のもので定めるべきだ、こう思うのであります。今日まで、牛舎にいたしましても、国の補助金等によって建てますと、実際建てるものの何倍にも、非常に過度なものを建てなければならない仕組みになっておる。こんなことのないような配慮をぜひひとつ基本に置いていただきたい、こう思うのですが、いかがでしょう。
○赤保谷政府委員 今度決めようとしている基準につきましては、衛生上、保安上一定の水準に保つ必要がある、そういう事項についてやるわけですけれども、必要最小限遵守すべき基準というような考え方で決めたいと考えております。したがいまして、現在適正な診療を提供しているような診療施設におきましてはほぼ整っているようなものではないかという気がいたしますが、いずれにしても、必要最小限遵守していただかなければならない、そういうようなものを規定いたしたいと考えております。
○藤原委員 家畜共済のことについてでありますけれども、最近死廃事故が多発をしておりまして共済が赤字である、データ等を見ておりますとそうなっておるわけでありますが、死廃事故の多発の原因というのはどこにあると見ていらっしゃるのか。最近の家畜能力の向上と規模拡大、疾病の多様化それから増大、こういうこと等が言われているわけでありますけれども、今後ともに国際化の中で畜産業の高度化、生産性の向上、こういうことは避けることのできないことであろうと思うのであります。
 そういうことからしますと、こういう死廃事故ということはできるだけ事前に原因を追求して対策を講ずるということ等、家畜共済の赤字の増大の伴わないような、そしてまた保険料率を増大させる懸念のないような事前の対策というものが必要ではないか。産業として今大きなウエートを占めております畜産の安定のためにも非常に重要な問題だと思うのでありますが、家畜共済におきます最近の動向等についてどのように農林省としてはお考えか、お聞きをしておきたいと思います。
○川合政府委員 家畜共済におきまして、特に平成二年度から、今御指摘のようにいわゆる共済事故がふえております。
 一つは平成二年度が猛暑であったということがございますけれども、申しおくれましたが主として乳用牛に事故が多いわけでございますけれども、そのほかに濃厚飼料の多給などによる乳房炎、関節炎、繁殖障害等の疾病が増加しております。また、死亡あるいは廃用というような形での乳用牛が増加しているということでございます。
 今お話がございましたように、家畜共済は畜産経営にとって非常に重要な意味を持つ事業だと私ども思っておりますけれども、何と申しましても事故の低減をまず図る、特に予防的な意味でこうした事故の低減を図るということが何よりも大事なことだろうと思っております。これはもちろん共済事業の範囲で行われることにとどまるものではございませんけれども、私どもの方といたしましても特定損害防止事業、あるいは、これは法律に基づくものでございますけれども、予算措置などによりまして高被害率の事故対策事業などというものをこれまでにもやってきているわけでございまして、畜産振興という面から申しましても、こうした予防対策を強化するということがこれからますます重要になってくるのではないかと考えております。
○藤原委員 今お話ございましたが、経営の大型化に伴いまして個体中心から群とか農場単位という形での予防衛生、保健衛生の指導とか教育、対策、こういうことについてより力を入れていかなければならないと思うのです。これはぜひひとつ、人間でも予防医学ということについては重要性を増し、いろいろな形でやられておるわけであります。きょう午前中も巡回していろいろな予防対策をしているというようなお話もございましたが、まだまだそれは限られた範囲内のことだと思います。だんだん大規模化しております現状に即した形で、予防衛生に対する保健衛生等の指導、対策を充実させていただきたい、これをまずは申し添えておきます。
 最後になりますが、受精卵移植の現況、それからまた今後の普及振興とか、こういうことにつきまして、それにまた家畜改良センターの再編整備の状況、それから、きょうはいろいろ参考人からもお話ございましたけれども、外国との関係で日本の優位性というものを保つという上では、精液管理とか受精卵の問題につきましても、非常に難しい問題があろうかと思いますが、和牛の、日本の特性というものをいつまでも持続させることが日本の畜産業におきまして重要な課題だと思います。しかし、その技術は日本の国にいつまでも温存させておかれるものではないだろうと思いますから、そういうことからしますと、新しい技術を、そしてまた日本の国で普及といいますか、こういうことで、こういう問題については日本の優位性というものを持続のできるような体制というものを真剣に取り組まなければならないことだろうと思うのです。
 いろいろ報じられておるところによりますと、諸外国におきましても日本の和牛の優秀なものがつくられつつあるということも報じられておりますけれども、国内的に安定をいたしております和牛が、もし諸外国でも同じようなことが行われ、そしてまた日本の国の畜産業に大きな影響を与えるようなことになりますと、これは大変なことだろうと思います。絶えざる研究開発といいますか、諸外国よりも一歩も二歩も先んずる、そういう技術開発ということとともに、現在あります日本の和牛の優位性というものを維持するための最大の御努力をひとつしっかり努めていかなければならぬと思うのですが、この辺のことについてはどのようにお考えなのか、最後にお聞きして終わりたいと思います。
○赤保谷政府委員 国際化の時代で、諸外国に競争できる、対抗できる、そういう畜産を育てる、いろいろな面での物の考え方があると思いますが、技術の問題、生産の問題については技術の問題というのは基礎的に重要だと思います。おっしゃるとおりでございまして、国の試験場で基礎的な技術の研究開発をする。その応用といいますか、実用化、低コスト化、安定化、そういった面を、畜産の面でいいますと、家畜改良センターで実施している。さらに、各都道府県、地域の実情に応じてそれを実用化するというか、実情に応じた実用化試験、これをそれぞれの都道府県の試験場で役割分担を決めてやっております。生産対策におきまして技術は基礎的な重要性を持っておると認識しております。今申し上げましたように、国の試験場、センターあるいは県の試験場、それぞれの役割分担に応じてこれからもますます力を入れていくよう、私どもも努力をしてまいりたいと考えております。
○藤原委員 以上で終わります。
○高村委員長 これにて各案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
○高村委員長 ただいま議題となっております各集中、まず、獣医師法の一部を改正する法律案について議事を進めます。
 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 内閣提出、獣医師法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○高村委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
○高村委員長 次に、獣医療法案について議事を進めます。
 この際、本案に対し、藤田スミ君から修正案が提出されております。
 修正案の提出者から趣旨の説明を求めます。藤田スミ君。
    ―――――――――――――
 獣医療法案に対する修正案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
○藤田(ス)委員 私は、日本共産党を代表して、獣医療法案に対し、修正の動議を提出します。
 その内容は、今お手元に配付されております案文のとおりです。その趣旨と提案理由について、以下御説明申し上げます。
 まず第一に、本案四条に定めている診療施設の構造設備に関しては、すべて省令にゆだねるのではなく、施設名を法案に明記しています。その理由は、診療施設の構造設備が省令に定める基準に適合しない場合には、開設者もしくは管理者に対して、都道府県知事が使用を制限、禁止し、または修繕、改築の命令を行うことができることから、新たな設備投資を強いられ、経営上、過大な負担となるおそれがあるからであります。したがって、診療施設名を明記し、あわせて国は必要な資金の確保を図り、基準に適合した施設とするために必要な経費に対しては、融通のあっせんに努めるべきと考えるからであります。
 第二に、本案六条の診療施設の使用制限命令に関して、開設者が営利を目的としてその診療施設を開設しているときは、都道府県知事は期間を定めて閉鎖命令を行うことができることを加えています。その理由は、本案では、診療施設を開設する者は、獣医師とは限らず、企業でも開設できることとなっています。既に企業診療については、雪印乳業が東京都内に開設を計画するなどの動きがありますが、米国本社からの指示によるペット販売のアフターケアとしての診療所の開設をもくろんでいる企業もあると言われています。したがって、このような企業診療が開設獣医師の経営を圧迫することがないように、企業による診療施設で営利を目的に開設している者には閉鎖命令をかけられるようにするためであります。
 第三に、本案十七条の広告の制限に関して、誇大な広告によって家畜及び愛玩動物飼養者が獣医師の選択を誤らないよう、医療法に準じて、獣医師の学位、称号は削除し、専門科名及び専門対象動物、診療施設の名称、獣医師名、診療日、診療時間、そして収容施設の有無などとするように改めています。
 最後に、これら修正案の内容は、日本獣医師会および日本小動物獣医師会の皆さんが長年にわたって検討され、そして要望されてきた点であることをつけ加えておきます。
 以上の趣旨でありますので、委員各位の御賛同をお願いして、提案理由の説明を終わります。
○高村委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
○高村委員長 これより内閣提出、獣医療法案及びこれに対する修正案を一括して討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 内閣提出、獣医療法案及びこれに対する藤田スミ君提出の修正案について採決いたします。
 まず、藤田スミ君提出の修正案について採決いたします。
 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○高村委員長 起立少数。よって、藤田スミ君提出の修正案は否決されました。
 次に、原案について採決いたします。
 原案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○高村委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
○高村委員長 この際、両法律案に対し、東力君外五名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、民社党及び進歩民主連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。有川清次君。
○有川委員 私は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、民社党及び進歩民主連合を代表して、獣医師法の一部を改正する法律案及び獣医療法案に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
    獣医師法の一部を改正する法律案及び獣医療法案に対する附帯決議(案)
  現行獣医師制度の発足以降、獣医師をめぐる情勢は、畜産の飛躍的拡大、食品・医薬品の安全性に対する国民の意識の高まり、さらには動物愛護や自然環境保護の思想の浸透等大きく変化し、獣医師及び獣医療に対する社会的要請は、ますます多様化・高度化している。
  よって政府は、これらの要請に的確に対応するとともに、両法律の施行に当たっては、左記事項の実現に遺憾なきを期すべきである。
      記
 一 産業動物分野において獣医師の確保が困難な地域が発生し、畜産業への影響が懸念される事態にあることに対処し、産業動物獣医療を適切に供給するため、基本方針及び都道府県計画については、畜産関係者及び獣医療関係者の意見を十分聴取し、各地域の実情に即して樹立すること。
   また、地域における家畜衛生の中核的機関としての役割が期待されている家畜保健衛生所の活用等獣医療関連施設の相互連携の推進に当たっては、開業獣医師を十分に活用することにより効率的に獣医療を提供するよう配慮すること。
   併せて、産業動物獣医師が農村において円滑に獣医療を提供できる条件の整備に努めるとともに、産業動物獣医師の確保難の現状も踏まえつつ、獣医学教育の充実に努めること。
 二 獣医師法の改正により明確にされた獣医師の任務を全うし、多様な社会的要請に的確に応え得るよう、開業医をはじめとする獣医師に対する研修体制の充実に努めること。また、卒後の臨床研修を円滑に実施するため研修受入体制を充実するとともに、獣医師の臨床研修への参加の円滑な推進に努めること。
 三 獣医師の診療対象飼育動物については、今後とも、生産段階で疾病の治療・予防が重大な課題となっているもの及び人畜共通の伝染病で問題を惹起しているもので、特に必要な飼育動物を対象とすること。また、急病対策の重要性にかんがみ、急病技術者の養成及び技術の向上に一層努力すること。
 四 衛生上、保安上の観点から定めることとされている診療施設の構造設備基準については、開設者に過大な負担を強いることのないよう配慮すること。
 五 消費者に対し安全な食品を提供するため、家畜及び養殖魚への動物用医薬品の適正使用について、さらに適切に指導すること。
 六 獣医師等が行う広告については、動物の飼育者の保護の観点から、今後とも、誇大広告等によって飼育者が選択を誤ることのないよう措置すること。
 七 獣医事審議会については、臨床研修施設の指定や基本方針の策定等に際して、新たに意見を聴取することとなることから、その委員の選任等今後の運営に当たり、広く国民の意見が反映されるよう十分配慮すること。
  右決議する。
 以上の附帯決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通じて委員各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。
 何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)
○高村委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 東力君外五名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○高村委員長 起立総員。よって、両法律案に対し附帯決議を付することに決しました。
 この際、ただいまの附帯決議につきまして、農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。田名部農林水産大臣。
○田名部国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上、善処するよう努力してまいりたいと存じます。(拍手)
    ―――――――――――――
○高村委員長 次に、家畜改良増殖法の一部を改正する法律案について議事を進めます。
 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 内閣提出、家畜改良増殖法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○高村委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
○高村委員長 この際、本案に対し、東力君外五名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、民社党及び進歩民主連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。志賀一夫君。
○志賀(一)委員 私は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、民社党及び進歩民主連合を代表して、家畜改良増殖法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
    家畜改良増殖法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  農業の国際化が進展する中にあって、家畜改良増殖の促進が、畜産経営の体質強化と畜産物の安定供給を図る上での基本的な要件であることにかんがみ、政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に遺憾なきを期すべきである。
      記
 一 我が国の家畜の能力をさらに向上させるため、各種施策を的確に推進し、受精卵移植等の新しい技術を家畜改良増殖に十分活用するとともに、国、都道府県及び農業団体等の果たすそれぞれの役割が有機的かつ効率的に機能するよう努めること。
   併せて、新しい家畜改良増殖技術の実用化を行う家畜改良センターについて、その機能を円滑に発揮するため、引き続き努力すること。
 二 家畜体内受精卵移植技術の一層の普及を図るため、採卵技術、凍結技術等の向上・普及に努めるとともに、受卵牛の選定、人工哺育等について適切な指導に努めること。
 三 家畜体外受精卵移植技術の定着を図るため、受精卵の生産率を高める等の技術の向上・普及に努めるとともに、とたいと卵巣との一体性の確保と畜場における卵巣の採取の円滑化、卵巣の衛生的な取扱いの徹底等について万全を期すこと。
 四 家畜受精卵移植技術の普及の推進に際し、特定の近縁系統への集中等家畜改良への悪影響が生ずることのないよう適切な指導を行うこと。
 五 家畜受精卵移植については、優良な雌畜の利用等の促進を図るとともに、優良受精卵の利用については、国内の需要に的確に対応し得るよう体制の整備に努めること。
 六 家畜人工授精師の技術の向上を図るため、研修体制の整備・充実に努めること。
  右決議する。
 以上の附帯決議案の趣旨につきましては、質疑の経過等を通じて委員各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。
 何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
○高村委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 東力君外五名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○高村委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
 この際、ただいまの附帯決議につきまして、農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。田名部農林水産大臣。
○田名部国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上、善処するよう努力してまいりたいと存じます。
    ―――――――――――――
○高村委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました三法律案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
○高村委員長 次回は、来る二十二日水曜日午前
九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時散会
     ――――◇―――――