第123回国会 安全保障委員会 第3号
平成四年五月二十一日(木曜日)
    午前九時四十一分開議
出席委員
  委員長 中山 利生君
   理事 江口 一雄君 理事 大島 理森君
   理事 亀井 善之君 理事 瓦   力君
   理事 三原 朝彦君 理事 上田  哲君
   理事 山中 邦紀君 理事 渡部 一郎君
      石井  一君    石原 伸晃君
      今津  寛君    佐藤謙一郎君
      鈴木 宗男君    中馬 弘毅君
      中谷  元君    中山 成彬君
      山下 元利君    池田 元久君
     宇都宮真由美君    沢藤礼次郎君
      新村 勝雄君    松原 脩雄君
      元信  堯君    吉田 正雄君
      北側 一雄君    山口那津男君
      山田 英介君    東中 光雄君
      神田  厚君    楢崎弥之助君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 渡辺美智雄君
 出席政府委員
        内閣審議官
        兼内閣総理大臣 野村 一成君
        官房参事官
        防衛庁参事官  高島 有終君
        防衛庁防衛局長 畠山  蕃君
        外務省アジア局 谷野作太郎君
        長
        外務省北米局長 佐藤 行雄君
        外務省欧亜局長 兵藤 長雄君
        外務省条約局長 柳井 俊二君
        外務省国際連合 丹波  實君
        局長
 委員外の出席者
        運輸省航空局管
        制保安部管制課 小田原眞一君
        長
        海上保安庁警備
        救難部警備第一 野崎 典重君
        課長
        安全保障委員会 岩永 英一君
        調査室長
    ―――――――――――――
委員の異動
四月十五日
 辞任         補欠選任
  池田 元久君     鈴木  久君
同日
 辞任         補欠選任
  鈴木  久君     池田 元久君
同月二十一日
 辞任         補欠選任
  今井  勇君     増岡 博之君
  今津  寛君     宮崎 茂一君
  山口那津男君     東  祥三君
  神田  厚君     小平 忠正君
同日
 辞任         補欠選任
  増岡 博之君     今井  勇君
  宮崎 茂一君     今津  寛君
  東  祥三君     山口那津男君
  小平 忠正君     神田  厚君
同月二十二日
 辞任         補欠選任
  池田 元久君     後藤  茂君
同日
 辞任         補欠選任
  後藤  茂君     池田 元久君
同月二十四日
 辞任         補欠選任
  石原 伸晃君     愛知 和男君
  今井  勇君     熊谷  弘君
  今津  寛君     梶山 静六君
  鈴木 宗男君     谷川 和穗君
  中馬 弘毅君     佐藤 信二君
  中尾 栄一君     齋藤 邦吉君
  中谷  元君     佐藤 孝行君
  中山 成彬君     野呂田芳成君
  中山 正暉君     小泉純一郎君
  東   力君     平沼 赳夫君
  元信  堯君     小澤 克介君
同日
 辞任         補欠選任
  愛知 和男君     石原 伸晃君
  梶山 静六君     今津  寛君
  熊谷  弘君     今井  勇君
  小泉純一郎君     中山 正暉君
  佐藤 孝行君     中谷  元君
  佐藤 信二君     中馬 弘毅君
  齋藤 邦吉君     中尾 栄一君
  谷川 和穗君     鈴木 宗男君
  野呂田芳成君     中山 成彬君
  平沼 赳夫君     東   力君
  小澤 克介君     元信  堯君
五月十三日
 辞任         補欠選任
  山口那津男君     坂井 弘一君
同日
 辞任         補欠選任
  坂井 弘一君     山口那津男君
同月二十日
 辞任         補欠選任
  神田  厚君     米沢  隆君
同日
 辞任         補欠選任
  米沢  隆君     神田  厚君
同月二十一日
 理事土肥隆一君同日理事辞任につき、その補欠
 として山中邦紀君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の辞任及び補欠選任
 国の安全保障に関する件
     ――――◇―――――
○中山委員長 これより会議を開きます。
 この際、理事辞任の件についてお諮りいたします。
 理事土肥隆一君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。
 ただいまの理事辞任に伴うその補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中山委員長 御異議なしと認めます。
 それでは、理事に山中邦紀君を指名いたします。
     ――――◇―――――
○中山委員長 次に、国の安全保障に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上田哲君。
○上田(哲)委員 まず、副総理としての渡辺大臣に見解をただしたいと思います。
 宮澤首相は、政治改革の柱である定数是正についていわゆる九増・十減案を決定されて、きょう党内手続も済まされ、近々各党責任機関に提示されるということになっております。これについては社会党の田邊委員長を初め野党各党もほぼ合意の趣が伝えられておりますから、今国会成立は既定事実がと思われます。
 そういう意味合いで副総理としての御見解をただすわけでありますが、元来この問題は、既に再開後一カ月半をけみする政治改革協議会の主要テーマでありまして、その柱となるのは、言うまでもなく第一に定数是正、政治腐敗の防止、政治資金規正の問題、さらに政治倫理の問題であります。当面、緊急措置としてのいわゆる九増・十減案でありますが、これらの案と宮澤首相が二月の段階から指示しておられる総定数の見直しを含めた抜本是正との関係はどのようにお考えになっておられますか。
○渡辺(美)国務大臣 私は副総理ではございますが、副総裁ではございません。この政治改革の問題は行政の問題ではなくて、むしろ国会、政党の問題でございます。したがいまして、有権的にこれがああだこうだと言う機能を私は持っておりませんが、一議員として申すならば、政治改革は進めなければならない。
 政治改革の抜本的な改革案は何かと言われれば、我々は去年、小選挙区比例並立制及び政治資金規正等の案を政党助成法と三本ひっくるめて出したわけでございますが、廃案になったことは事実でございます。何がいいのかは今後、各党間の協議によって進められておるところでございますからその協議の成り行きを見なければならないと存じます。一党だけが勝手に決めて、これが政治改革だというわけにはなかなかいかないだろう、やはり国会全体の問題だと私は考えております。
 しかしながら、違憲状態にあると言われておる四選挙区については何が何でも最優先で、政治改革の抜本改正がおくれるならばその前に最低限やらなければならない問題である。しかし、それではまた違憲状態がすぐ来てしまうんじゃないかというようなこと等も言われて、我が党の中では二十ぐらいの選挙区をいじるかという話もあったようでございますが、一方、四増・四減では少な過ぎるというような点から九増・十減というようなことが表に出かかった。完全に出たということじゃないでしょう。むしろ瓦理事から聞いた方が詳しいんじゃないかと思いますが、いずれにせよ、十の選挙区で人を減らすということはかなり大きな問題だろうと思います。思いますが、しかしそれは決めた以上は逃げて通れない、そのように考えております。
○上田(哲)委員 表にもうはっきり出ているわけでありますし、しかも、成立するであろうという見通しを野党の側からも問いかけている上での議論でありますから、突っ込んだ見識をぜひ承るべき次元の議論でございます。このことは、八六年五月の衆議院本会議における衆議院議員の定数是正に関する決議に載っているものでありますから、この決議にのっとった定数是正のための抜本改正には届いていないという点についてはどのようなお考えをお持ちですか。
○渡辺(美)国務大臣 これだけで抜本改正だとは言えないだろう。やはり前に言ったように、政治倫理の問題や全体の定数減の問題や選挙制度の問題、そういうものを含めた中で初めて抜本改正ということが言えるんじゃないかと存じます。その一里塚だと言っても差し支えないし、前進基地だと言ってもいいし、間に合わせと言ったのではやはり語弊があるんでしょうね。政治改革の方向に向かってやってはいるんだが時間が多少かかるので、その間違憲状態を解消することを含めたやはり暫定的な措置であるということは言えると思います。
○上田(哲)委員 暫定措置から出発することは結構ですが、抜本的な措置に至る部分については今国会でぜひ完遂しようという御認識でありますか。
○渡辺(美)国務大臣 先ほど言ったように、私は行政の方については副総理でありますが、そのような国会運営とか政党間の話し合いというところには実際参画しておりませんので詳しいことはわからないということであります。いずれにせよ我々としては、今国会で抜本案ができるかどうかということは各党の意見が一致するかどうかということであって、各党の意見が一致しなければ抜本案というのは言うべくしてそう簡単にいかないだろう。したがって、鋭意各党間の協議をやるということに公党間の申し合わせができておるわけですから、そういうことをひとつ積極的に進めていただきたいと考えます。
○上田(哲)委員 基本的にはそれでいいのですけれども、政治改革協議会が遅々として進まないではないかという世論のいら立ちとさえ言えるものに対する一つの緊急措置である、政治の姿勢であるということであれば、党内の職員であるとかさまざまな分限の問題を超えて、あなたは実力者として、あるいは政治家の喫緊の任務としてこの問題の積極的な姿勢はいかにあるべきかというところを特にお伺いをしたいわけであります。今国会の中でそうした問題を抜本的に解決すべきであるという点については御異論がないのだろうと思うのですが、いかがですか。
○渡辺(美)国務大臣 私は確かに自民党の役づけ上は幹部ではありませんが、幹部に近いのかな、近くはないのか、ある程度政治的影響力はあるかもしれません。上田委員も同様だろうと思いますので、それぞれの党の担当者に対して抜本改革案をもっと進めるように、私も言いますが、あなたの方もおっしゃっていただきたい。
 私は今議論されてないことについてついでだから申し上げたいのですが、どんな制度をこしらえても守る気持ちがなければ何にもならぬじゃないか、常々私の持論なんです、実際は。したがって、まず現行法が完全に守られるということなら大変な政治改革であって、現行法というのはかなり厳しくできているわけですから、したがって、それがどこまで守られているのかというところに問題があるでしょう。守らない法律を次から次からつくってもそれは余り意味がないんじゃないか、やはり法律は守られるということが一番大事なことじゃないか、それには一大国民運動を起こすべきだということを私は言っているのです。
 だから、選挙に金がかかる金がかかると言うけれども、かかる人もあればかからない人もあるわけだから、かかる方が悪いのか、かける方が悪いのか。やはり選挙区の事情、個人差、これは物すごくあるんです、実際。我々の選挙区の中でも私は比較的かからない方だろうと思っておるのですが、それが地域によって違うんです。多少違うということを聞いておる。何でこんなに金がかかるようになったのか、いろいろありますが、余り言うと脱線になるから申しませんが、いずれにせよ、政治倫理というのはそういうような選挙に金を使わないという、要するに有権者と一緒になってやらなければだめであって、もともと町会議員の選挙などというのは無報酬なんです。ボランティアでやったものですが、最近は金がかかるといってなかなか立候補しない。私の町を例にとって言っては失礼だが、一番有権者の多い四割近いところからは立候補者はいない、それで農村部でみんな立候補して、おかげさまで無競争になったのはいいけれども共産党が三人も当選してしまった。こんなばかなことがあるかと私が言った。これを落とすためにはどうしても立候補者を出せと言って随分勧めたけれども、ついに立候補する人がなくて無競争で共産党が三名私の町からは当選してしまったんです。そういう事実があるんです、ことしの選挙で。
 いい悪いは別ですよ。いい悪いは別ですが、なぜかと聞いてみると金がかかる、金がかかるからばかばかしくて町会議員になれない。可部というのは商人とかなんか多いですから、商店が。だから金を出してまで町会議員なんかやるのは嫌だ。こういう風潮をなくすことが大事であって、選挙
粛正とか行政改革というものは古くて新しい話であって、また新しくて古い話なんですよ。
 だから、そういう点でモラルの問題、国民運動の問題で、時間励行運動と同じだ。時間励行というものは罰則規定がないんだが、二十年前は本当に守られない。国会は守られたかどうか知りませんよ。しかし集落等での集まりなどというのは一時間おくれ、三十分おくれというのはざらだった。鳩山内閣以来、新生活運動をやって農村部でも時間が励行されるようになったんです。これはやはり国民運動なんですよ。献酬廃止とか香典、引き出物を出さないとか、かなり守られるようになったんですね。それと同じことではないか。だからそういう運動を徹底させることが先ですよ。仮に交通規則で幾ら罰則を規定しても、これは教え込まなければ何にもならないのであって、子供のときから交通安全運動をやったりいろいろやっているから、暴力団だって左側通行というところを右側通行したり、それから出口から入っていく暴力団というのは余り見たことない。これはだれが見てなくても習慣づけられちゃっている。同じようなことが選挙というようなもので行われるようにするためには、社会運動、学校運動、学校教育、社会教育、そういうものを通じてやりさえすれば選挙に金はかからなくなるし、そんなばかな派手なことをやった人はあれは金権候補というレッテルのもとで得票は得られない、金は使ったが票は入らない、そうなるんです。私のところでも、名前を言っては何だけれども、金権候補というのがおって三回立候補したけれども、三倍ぐらい金を使ってとうとう一回も当選しなかったですね。あきらめてしまった。
 そういうことがありますから、私は、それは法律の問題も制度の問題も大事だろうけれども、その前に法律は守られるということを、そして政治はみんなのボランティアでやらせる、そのかわり政治家の非行その他については厳しくこれを監視する、そしてちゃんと票でそれが出てくるというように持っていくのが一番いいんだろうということを言っているんです。だから別に政治改革に反対じゃないんですよ。反対じゃないが、その前にやるべきことをやらずして制度だけ直したからといってうまくいくかどうかは疑問だねということを言って物議を醸したことがあります。今は申しませんよ、今は。過去にありましたというのを参考までに申し上げた次第であります。
○上田(哲)委員 金のかからない選挙のために国民大運動を起こすべきだ、結構じゃないですか。乗ろうじゃないですか。私の選挙区でも二回にわたって全立候補者が、もちろん現職議員を含めて名前を書いて判を押して、政治家は御祝儀袋を配らぬ、そういう骨子で声明書をつくり、全部配りましたよ。なかなかうまくいかないようですな。それを小さな範囲でなくて国民大運動、結構じゃないですか。だから今のお話を具体的な運動にできるような、こんなものは超党派で当然のことですから、そこから手をつけよう、具体案を今ここでとは言いませんが、今おっしゃったようなところを呼びかけていただくことを、これは私の方から逆提案いたします。いかがです。
○渡辺(美)国務大臣 これは私は党内でもかなり言っているんですよ。ですから、各党でもそういうようなことで国民運動として、政界浄化、選挙粛正の国民運動というものをやったらいいんじゃないか。こういうことはしょっちゅうやる必要があるんですね。交通安全週間というのがありますが、あるいは安全運動、あれをなくしてしまって罰則強化だけで死者の数が減るか、自動車事故が減るかといったら私は激増すると思いますね、あの安全運動をやめちゃったら。あんな安全運動などやらしたってつまらないじゃないかと思うけれども、やはり意識改革ですから、すぐ忘れかける、またやるというようなことで繰り返し続けてやることが必要なんじゃないか。したがって、そういう空気をつくってもらって末端の選挙をきれいにすればおのずから上の選挙はきれいになるだろう。末端の選挙を汚しておいて上の選挙だけきれいにやれと言っても習慣づいちゃってできない。だから、末端の選挙をきれいにしていれば上の選挙はおのずからきれいになる。政党によっても、ほとんど金がかからないで当選しているような人をいっぱい部下というか運動員に持っている人は案外金がかかっていないんです。私の思いつきのような話かもしれませんが、私は一つの哲学であり真理だと思うのです。だから、各党でこれはひとつよく御検討いただければ大変ありがたいと思っております。
○上田(哲)委員 それが実現すると自民党にはつらいんでしょうけどね。つらい方から言っていただいたから、大変結構だからぜひやっていただきたい。
 さて、そのお話の中に制度をいじるよりも現行法をしっかりやるべきだというお話がありまして、先ほどの衆議院本会議決議に戻るのですが、その決議の中では、抜本改正に際しては二人区・六人区の解消を行うとする中選挙区制の堅持を前提とする文言があるわけでありまして、したがって抜本改正は小選挙区制でなく中選挙区制のもとで行わなければならない、こういうことになっているわけですが、この認識でよろしいですか。
○渡辺(美)国務大臣 それはいろいろな意見があって、私は今その担当者じゃありませんから余り所管外のことに口出しするのは物議を醸すからやめますけれども、一つのたたき台みたいなものじゃないかと私は思っています。しかし、最終的に中選挙区のままでの抜本改正ということが言えるかどうか、私はちょっと問題なんじゃないか、しかしそれもやり方だろうと思います。
○上田(哲)委員 中選挙区の中でまずやるべきだと書いてあるのですね、そういうふうに理解すべきだと、その先どう伸びるかは別問題として。それでいいんじゃないですか。
○渡辺(美)国務大臣 それはやはり制度の問題ですから、私がここで一方的なことを言うというよりも、やはり各党間の協議会があるんですから、その中でひとつしっかりと詰めていただきたいと存じます。
○上田(哲)委員 では先へ行きますが、今回の九増・十減案が出されて通るということになると解散権との問題はどうなるか。最高裁判決の流れに沿って、このまま定数是正も行わないでは選挙は違憲の判断を免れないという政治認識があるわけですが、緊急是正であれ十分な是正でない暫定措置であれ、こういう措置をとるということになると解散権は縛られないと政府は解釈していくのかどうか。例えば竹下元総理は今月の七日、中国大連で発言されておりまして、そもそも現状でも理論的には解散権は制約されていないという趣旨を述べられているわけです。今回のこうした緊急是正は解散権の縛りが解けるというふうに認識されるのですか。
○渡辺(美)国務大臣 これは、私は法律家でないから法律的にどうだということを断定的に申し上げることはできません。できませんが、要するに、内閣は違憲状態のままおくことはできないということで違憲状態を解消する案を出せば、そこ、から先は国会の問題であって、三権分立でありますから、内閣は違憲状態を脱出しようという最大の努力をしているということははっきりしているわけですから、違憲状態を放置したままならば解散権は縛られるということはあるでしょうけれども、違憲状態を変える法案を提出して国会にかけてある以上は内閣は解散権は縛られない、私は政治的にそう考えます。
○上田(哲)委員 院の構成にかかわる極めて重大なことでありますからもう一遍お尋ねいたしますが、これは党内の役職という問題ではなくて、解散権が帰属する内閣の副総理という立場でありますから私はもう一遍お伺いしたいのでありますが、これまでのところでも解散権は縛られていなかったという見解、もう一つは、これまでは違憲状態だったが、この緊急措置によって違憲状態を脱することになったというふうな理解でありますか。
○渡辺(美)国務大臣 私は総理じゃありませんが、要するに違憲状態のまま解散するということ
はこれは行き過ぎだろう。しかしながら、内閣が違憲状態を解消する努力をしても、三権は分立ですから、国会がそれを入れないという場合は新しく議員を入れかえてもらって、自分の違憲状態を脱するということは正しいというように国民から認めてもらうことは決して違法ではなかろう、私はそのように考えます。
○上田(哲)委員 三権分立だからという立場における立法府の問題を取り上げるならば、六十九条による不信任案の可決ないしは信任案の否決という次元の問題が出てくる。しかし、もう一つ私がお伺いしたいのは、私はとるべきではないと思ってきましたけれども、いわゆる七条解散、つまり政府専権としての解散権という立場に立ては、今回の緊急是正によって違憲状態を脱したとお考えになるわけですか。
○渡辺(美)国務大臣 これは、憲法論議をここでやることは私にとって適当でないと私はまず前置きを申します。申しますが、今まで憲法七条による解散というのは再々やってきたことでございまして定着をしておりますから、私は何ら差し支えないと存じます。
○上田(哲)委員 大変重要な発言がございました。我々もPKOの山場を迎えて、その流れの中でただいまの解釈をしっかりかみしめていかなければならぬなと思ったところであります。
 そのPKOでありますが、まさに山場といえば最大の山場に差しかかり、ここでその担当責任者であられ、しかも副総理である、さらに党内最高実力者であり、次期総理をねらう政治家に対して議論をする場というのは極めて重大だと思うのであります。これは政治論としてぜひ突っ込んだ御意見を承りたいと思います。
 これまで、もうPKOは通るよというムードが流れていたと思います。これまでもそういう発言は、先ほどの大連での竹下元総理なりそれぞれの発言をここに挙げるまでもありません。宮澤首相は地球サミットに出席をされる。六月十二日に東京を出発してリオデジャネイロに向かって十五日までいるという日程も検討されておる。これはもうPKO法案通過ということを前提にしたさまざまな準備作業である。あるいはクエール副大統領は、沖縄返還二十周年記念式典に出席する前にもワシントンで、PKOで日本は決断せよ、日本に行ってもそのことを言うという発言がありました。あるいは陸上自衛隊は早々と三月の段階で、名前は国際貢献チーム的なことになっておりますが、具体的にPKO法案によって出動する場合の準備作業にも入っているという段取りが今日まで続いてまいりました。
 ところが、ちょっと私はそういう雲行きではないだろうと思うのであります。表舞台の国会で法案が目の前にあって、この法案に向かって表面の議論をしているという段階では既にない。論議と別に各党首の会談が相次いで行われ、その中では既に政治論としては方向が明確になってきています。
 例えば昨日も、既に十分御存じのように社会党の田邊委員長は、もし伝えられる自公民案という形で法案が一方的に通過するならば合法的な極限の手段を行使してこれを阻止すると表明しておりまして、もしそのようになる場合には当然成立の可能性はなくなるということにもなってくるわけであります。こういう事態を月並みな答弁で言えば、成立を期したいとかぜひ各党の合意を得たいとかという通り文句になるのでありましょうが、そんなことは並みの大臣ならともかく責任者である渡辺大臣から聞きたいのではない。この緊急事態とでもいいましょうか最終段階といいましょうか、山場の中で、これまで政府・与党では通過が既成事実というふうに見られていた法案が急転そのような状況にあるということについて、御認識を承りたい。
○渡辺(美)国務大臣 これは、このような重大な国際貢献に関する法案において我が党と第二政党である社会党との間で意見が甚だしく異なることは、二大政党をもってよしとすべしという我々の日ごろの考えからすれば、まことに残念で悲しいことだと私は思っております。
 しかしながら、やはり社会党の中でも、個人個人いろんな人の話を聞いてみると、必ずしも、何が何でもこれはどんなことをやっても、物理的抵抗をしてもつぶさなければならないという人ばかりいらっしゃるかどうかは私は疑問だろう。かなり世の中も移り変わって、PKO活動というものが本当に国際社会に貢献するものであるということが世界的にも認知されておるし、また世論調査をやってみても、社会党の最大の支持母体である自治労等でももう六割以上の人がやはりPKO活動というものはやるべきだということが新聞発表等されているというような状況で、PKO法案やむなしというふうに我々は理解しておるわけですから、したがって私は、やはり政治は生きておるわけですから、国民の意識が変わっているのに旧態依然たることをやるというふうなことを、近来脱皮された新しい現実的な社会党がそういうことをおやりになるということは考えてみたくもないし、考えられないことである、そのように思っておりますから余り心配はいたしておりません。
○上田(哲)委員 歴史は常に楽観主義で前進するという標本のような今の御答弁でありますが、社会党は合法政党でございますから、そして多岐にわたる議論がある政党でもありますが、これが憲法にかかわる、あるいはその基幹をなす平和主義にかかわるという限りにおいては、今お話があったような乱れなどはありません。
 しかも、御注意申し上げておきますが、社会党が今やむを得ずとらなければならぬと最高責任者が表明しているあり方は全く合法的な手段の範囲でありまして、決して非合法な活動に出ようというのではありません。フィリバスターという議会主義の伝統の中で当然にあるべき少数党の議会活動の手法として、国の基幹にかかわる問題について精いっぱいの主張をなさんとするのでありますから、そこから先の話にしましょう。
 もうここは表面づらの話をしている段階ではないのでありまして、私たちも、いわゆる物理的抵抗などと言われる手段をとりたいと思っているのではありません。したがって、私たちが考える国際貢献のあり方とつながる道はないのかというところに楽観主義をこちらからも立てたいわけであって、その意味でもう表面づらは離れてお話をするのですが、既に自民、公明、民社の三党は、明日幹事長・書記長会談を開いてPKO法案の再修正案を最終的に詰める、こういう段階と伝えられています。こういう形になれば私たちとしてはもはや話し合いの余地を失ってしまうのであって、この事態をどう認識されておられますか。
○渡辺(美)国務大臣 我々政府といたしましては、一応原案を提出をいたしました。しかしながら、これは国会の御意思によって御承知のとおり修正をされた、そして参議院送付になりまして参議院で目下審議中である。したがって、政府としては、ともかく原案のままぜひ通してほしいということを今でも言い続けておることは事実でございます。しかしながら、参議院の多数会派から改めて話が、相談があれば成立のために、頑迷固随に自己主張だけをいつまでも言い続ける、これもともかく政治じゃありませんので、やはり政治は話し合いと言っておるわけでございますから、それは原案になるべくなるべく近い形にしてほしいということは、これは引き続き私は意見具申をしていきたい、そう思っていますが、今のところそういう動きはいたしておりません。
○上田(哲)委員 国会の中でリーガルに行われる審議と、その舞台の裏で進められていく流れと、この二つが実は違っているといいましょうか、つながった流れとは言いがたく、しかも舞台の裏の流れで決まってしまうということになっては、これは国会審議の意味を持ちません。したがって、もうここではその二つを結びつけた政治論議がしっかりなされなければならないと思うのです。
 そういう点で、あるいは難しい答弁になるのかもしれませんけれども、私は切り込んで申し上げるのは、きょうは二十一日、あしたは二十二日、ここで自公民の再修正案が確定するということになれば、既に話し合いの糸はすべて切られてしまうということになる認識をどうお考えですが。
○渡辺(美)国務大臣 私は、これは自分で交渉してませんからわかりません、結論から言えば。わかりませんが、要するに今までの国会の議論を聞いていると、社会党は非軍事部門に限定をして、それで別組織をつくって何年もかけて訓練をして、施設設備を改めて集めておやりになるというふうなことを言っていらっしゃる。しかし、それではとてもじゃないが当面のカンボジアの貢献などできるわけもありませんし、そこのところはやはり社会党も、もういろいろな体制に対して妥協を、政治はやはり妥協ですからね、ある程度。だから、そういうようなことをおやりになるのかどうかよくわかりませんが、できることだったら、今からでも遅くないから話し合いに乗っていただければそれはいいんだろう。国会対策で梶山委員長がやっておりますから、それ以上の具体的なことは混乱しますので私は申し上げません。
○上田(哲)委員 先へ進めましょう。
 私が言いたいことは、もしほかに流れがあるのなら、それを議会民主主義の本舞台である審議の場に引き出して生の議論をしなければならない時点に来ているぞということを申し上げているわけでありまして、今、本音の議論を少なくとも国会の議論としては残すべきだと思うのですね。
 そこで中に入りましょう。外務大臣が表明された政府統一見解、いわゆる指揮権の問題、これは最終的な見解になるわけですが、これを見るとますますわからぬようになるんですね。こういうびほう策を、ばんそうこうをさらにべたべた張っていくようなことをして政治的なカード合わせで進めてしまうということではならぬのでしょう。どういう話し合いができるかということの前にばんそうこうを張りまくったという形でないというところへ少し議論を戻さなければならないと思うのですね。逐条審議や条文解釈はしませんから、本質のところでお伺いしたいのです。
 あなたの言われた統一見解では、「長年の国連平和維持活動の慣行を踏まえて作成された派遣国と国連との「モデル協定」第七項において、国連の「コマンド」と言われている。国連のこの権限を法案では「指図」と規定しておりこ云々とこうなっているんですね。つまり、自衛隊を派遣するということが本法案の根幹でありますから、派遣される自衛隊がどういう指揮権のもとにあるかという根幹の問題があっちへ行きこっちへ行きして、結論的に根拠となるのは実は国連のモデル協定第七項、こういうことになるのです。モデル協定第七項というのは法制度の上でどれほどの権威があるのか。右往左往しながらそこへたどり着いて、これをもって国内の根拠法としようという発想というのは法理論として弱いんじゃないか、ここがばんそうこうのポイントではないか、私はそう思うんですね。その認識はいかがでしょう。
○渡辺(美)国務大臣 具体的な細部にわたっては事務当局から説明をいたしますが、モデル協定というものは、初めに協定ありきでなくて長い間の国連の平和維持活動の中から自然と生まれてきた、たび重なった中でできたようなルールといいますか慣行からでき上がったものである。したがって、それをやはり一つの目安といいますか根拠といたしまして、我々はそれを援用するということは何ら差し支えないと存じます。
○上田(哲)委員 差し支えないと言い切っていいのかどうかというところに、私は、日本の自主性といいましょうか、外交政策の根幹の厚みといいましょうか、こうした問題への確信を国民は持ち得ないと思うのですね。今お話しのように長い間の慣習で積み重ねてきた活動、長い間の慣習で積み重ねられてきたものがすべて明文化されなければならぬとは言いませんけれども、今もって国連に明文の規定はなく、いわゆる六章半と言われる。こういう問題を根拠として国々の基本方針を決めていくというやり方。しかも国論が二分している中でそれを強行していいのかどうかという問題が出てくると思うんですね。これは差し支えないと言い切られてしまえば国民の判断の基本に戻すしかないということになるわけで、私たちは納得をしません。
 そこで大臣、私は何遍も同じことを繰り返したいが、ここまで来ているわけですから、上っ面の議論で終わらしてはならないところでお互いが問われていると思っているから、あえて、最高実力者でありさらにその上を目指す政治家として、渡辺大臣が厚生大臣になられたときに社会労働委員長だったとき以来、本音を語る人だと思って聞くので、事務当局がどう解釈するかなんて話はもう卒業してやりましょう。
 例えば、国連のコマンダーの指揮権のもとに入るということで、慣習であれ明文の規定がなくてもそれは構わないんだとしても、実態としてそれで自衛隊が別組織になるというのは、これは詭弁だろうと私は思うのです。国民の目から見たら理解できるだろうか。休職・出向だって、一時退職したってこれは自衛官だ、結局自衛隊だ。司令官が国連から来て、それが上に乗っかったら自衛隊はその瞬間から日本の自衛隊でなくなるなんという話は、自衛隊に税金を払っている国民の意識からしたらこれは無理ですよ。何とかして自衛隊を送りたい、その自衛隊を送るために、帽子をかえればその瞬間から自衛隊でなくなるというような説明は無理だ。ところが無理な説明をしたいために急に指揮権の解釈を変えるということになる、詭弁では。いや、そうでしょう。私は国民のレベルで認識を問いたいんですよ、もっとずばり。政府としては併任以外にはないんだろう。これをいろいろな形に変えたい。司令官がぼっと国連から来たらそのままそこで自衛隊が自衛隊でなくなる、日本の軍隊ではなくなる。それは説明として通らないんじゃないか。これはそう思いませんか。
○渡辺(美)国務大臣 それは何か誤解じゃないかと思いますが、我々の言っているのは、要するに仮に自衛隊を退職したような人が向こうに行くという話をしているんじゃなくて、自衛隊として国家公務員として部隊のまま参加する、そして完全な指揮監督権はやはり本部長である内閣総理大臣が持つのです。そういうことを言っているんですよ。しかし参加した以上は、各国から何十カ国も参加するわけですから、それぞればらばらな行動をやられたのではともかく目的が果たせないということのために、長い間の慣行から生み出された一つのガイドラインというか基準というか、そういうようなものがつくられておりますから、そういうものの範囲内において我々はその実施計画をつくってよくすり合わせた上で、やはり同じことができるように、向こうの司令官のもとで部隊の配置や移動やその地やるにいたしましてもそれは当たり前のことだろう、そう思うんですね。各国がみんな別々なばらばらなことをやられたのではそれはもう統制がつかなくなってしまいますから、だからある程度それは同じような動作、動作といいますかある程度向こうの統制の中に入る、指図の中に入るということは当然だろう、私はそう思っております。
○上田(哲)委員 それは当然なんですよ。そこを議論の出発点にしょうじゃないですか。そうなんですよ、行くのは自衛隊なんですよ。行けば向こうの指揮権のもとに入る、これは当たり前なんです。それが指揮権だ指図だなんということを言っているのがおかしいんだから、それはそれで一枚表皮をはがしたと思うんですよ。難しく言えば二重指揮権の問題になってくる。そん宣言葉は、この際私はレトリックはとらない。
 認識を伺いたいのは、行くのは自衛隊でしょう。行くのは自衛隊なんだが指揮権という言葉で、司令官が向こうから来たら日本人の指揮官ではないからそれは自衛隊ではありませんというのは国民から見てわからない。それは自衛隊が行っているんでしょう、指揮官だけがかわったということでしょう。その認識が普通じゃありませんか。
○渡辺(美)国務大臣 それは自衛隊なんですよ。自衛隊じゃありませんなんて政府は言ってないんですよ。自衛隊が行くから法律が必要だと言っているわけです。自衛隊が行くんですよ。だけれども、向こうのコマンダーのコマンドに従う。
 問題は、その指揮下に入るでしょうと、じゃ何で指揮とは書かないで指図と書いたのですか、そこは確かに議論になっています。それはもう指揮といったっていろいろあるんですよ。よく野党の方がおっしゃること、特に社会党ですが、要するに国内法では消防の例などを挙げまして、一つの町の消防が隣の市の火事のところへ手伝いに行ったときには向こうの消防長の指揮下に入るということになっているじゃないかということやら、確かにいろいろな例があります。警察庁が警察を指揮して捜査をするというような場合、言うことを聞かなかったときはどうするんだ、まるっきり別な組織じゃないか。そういうときには、その指揮下に入っても言うことを聞かないときは、警察庁は懲戒権はありませんよ。ありませんが、刑事訴訟法で、そういう場合は国家公安委員なり地方公安委員会なりに懲罰の告発というか、そういうことができますとか書いてあるのもあれば、消防法のようにそこのところはあいまいもこになっているのもあればいろいろありますよ。だから指揮といったっていろいろなのがあって、それは俗に言う指揮だったら運動会の指揮もあるしデモ隊の指揮もあるし、音楽のコンダクターの指揮もあるし、指揮といったっていろいろ意味があるんですよ、実際は。
 だけれども、政府の方は、要するに完全な「指揮監督」というのは、自衛隊でありますから本部長がこれを持ちますということはこの法文に書いてあるわけです。そうすると、司令官のを指揮と書けばそこのところが混乱をする、同じ指揮とか書くと。だから、本部長の指揮というのは身分あるいは懲戒その他まで全部持った終始一貫した指揮だけれども、コマンダーの方の指揮というか指図にはもちろん従いますが、指揮といっても緩やかな指揮というのか、それは言ったっていいんですよ。いいんだけれども、そこのところは混乱するからわざと指図というように厳密に分けた。指揮と書いたから絶対間違いだと言えないと思います。しかし、より正確を期すために指図と。
 ところが、指図権というのはあるのかとか、それは新しい造語じゃないかとかという議論があって、確かに耳なれないということはそうでしょう。しかし、新しい法律が初めて国際間において日本の公務員を国連の司令官の指図に従わせるということにしたのですから、それを指揮と書かないで指図と、新しくそういう言葉をつくったということは決して間違いとも言えないんです、これは。耳なれないということは言えるかもしれないけれども、間違いだと言うことは当たらないと私は思います。
○上田(哲)委員 大事なところがわかりました。行くのは自衛隊なんだとおっしゃる。そうすると、自衛隊が行って司令官がかわったら別組織になるということはないわけですね、ないんですね。
○渡辺(美)国務大臣 自衛隊が行くのですから自衛隊ですよ。
○上田(哲)委員 それじゃ、指揮権が国連の司令官のところに行くのだから別組織になるんだという見解は否定されたわけですから、そういう解釈の修正案でいいということにはならない。一部の党がそういうことを言っているわけですが、そこのところははっきりしましたからいいです。
 そうしますと、明石さんが来ましたね。PKOとPKFは区別できぬ、これはどういう意味ですか。
○丹波政府委員 事務的な事実関係の問題がございますので、私から答弁させていただきたいと思います。
 明石さんは先般、ことしの三月と五月、二回にわたってことしは訪日いたしております。御承知のとおりでございます。三月に訪日されたときにある政党の委員長と会談した際に、「国連ではPKFとPKOとは峻別していない」ということをおっしゃったということが報道されておるのを私たち承知いたしております。
 先生自身も先ほどからおっしゃっておられますとおり、このPKO活動といいますのは、国連の過去四十三、四年間の慣行を通じて確立されてきたものでございまして、そういう意味で、例えば国連が出しております「ブルーヘルメット」という本によりましても、このPKOとPKFの関係につきましては、国連のPKOは大きくいって、原則として非武装の将校から成る監視団、それから必要な後方支援要員を擁する軽武装の歩兵部隊から成るPKFに区分されるというふうに書かれております。しかしすぐその後で、しかし、これらの区分も完璧なものというわけではないという注釈があるわけでございます。
 そういう意味でPKOとPKFを分けた場合に、例えばPKFとは何かという質問に対して、ある方は歩兵部隊の行う任務、活動を狭く考えられてこれがPKF活動である、それをPKFの本体業務とおっしゃる方もございますし、それに加えてそれを支援する軍事要員によって行われる通信活動、輸送活動、兵たん活動、そういうものも全部広くとってPKF活動、こうおっしゃる方もございます。そういう意味では、そういう方々の発言の文脈、そういうことによっていろいろ違っておる。そういう意味で結論的に申し上げますと、かちっとしたものが定義として存在しているというわけではないというふうに承知いたしております。
○上田(哲)委員 まさにそのとおりでして、二つに分けるとPKFとPKOは明文の規定において、いわゆる六章半ですから区別されていない。もう一つ、実態的にPKOとPKFは区別できない、こういうことですね。
○丹波政府委員 先生のおっしゃる実態的にという点、ちょっと私、正確に理解しているかどうか確信ございませんが、現在国会に御審議をお願い申し上げておりますPKO法案の例でとりますと、これはPKOとかPKFとかあるいは監視団というそういう分け方ではございませんで、法案の三条三号にイからずっとその任務を列記して書かれておるという建前になっておるわけでございます。
○上田(哲)委員 そこで、明文の規定もないのだからそこの解釈論はもうクリアしていいのです。クリアというのは、区別の議論をしなくてもいいのです。そこで実態的に具体的に詰めることが大事なんです。つまり大臣、地雷の除去をやるのですか、やらないのですか。
○丹波政府委員 先生の御質問は、いわゆるPKF凍結論との絡みで、もし凍結された場合に地雷の除去作業ができるのかどうか、こういう質問ととりますけれども、先ほども大臣が申し上げましたとおり、政府といたしましては、原案をお出し申し上げてこれの御審議をお願いしておる段階でございます。他方におきましていろいろな御論議が政党間で国会の内外で行われておる、そういう状況でございますけれども、具体的な凍結の中身あるいは表現といったものについて政府としては現在の段階で承知しておりませんので、ここでどういうものが入るのか入らないのか、こういう点についてコメント申し上げることができない次第であることはぜひ御理解いただきたいというふうに思います。
○上田(哲)委員 それは御理解できないです。そんなことを今言っている段階ではないので、あなたが冒頭に言われた認識でいいんですよ。つまり、PKFを凍結した場合の質問だろうと。あした決めようとしている皆さん方の自公民修正案はPKFの凍結という言葉を使うのですから、そうでなければ通らないというところへ踏み切るわけですから、その議論をしましょう。
 あえて整理しておけば、PKFは地雷除去は本務なんだから、原案ならそれはやるに決まっている。だけれども、PKFの凍結へいくんだから、表面づらの話をしないで中身で言うんだが、外務大臣自身が八日の国会で地雷除去はやらざるを得ないだろうと発言している。これは本務としてPKFを凍結すれば、本務としてはないけれども、実際に後方支援の中だって医療業務の中だって、そこに地雷があったらやらざるを得ないだろうという意味でありましょう。結局地雷除去はやるのだということになりますね。
○渡辺(美)国務大臣 現段階におきましては、政府は法案を出しているわけですから、この法案の中では放棄された武器等の収集、保管、処分はできることになっているわけです。要するに地雷というのは捨てられた武器でしょう。機関銃でも小銃でも捨てっ放しで逃げてどこかへみんな行ってしまった、それをそのまま放置しておけば、仮に泥棒が、強盗がそれを拾って悪いことをすることだってあり得るわけですから、当然その捨てられたものは除去できる。しかしながら、このPKFと称される、法案におけるところの第三条の三号のイからホまでのいわゆる歩兵部隊が主として行うと思われるような軍事部門を、仮にですよ、仮に凍結をする。凍結という言葉を使うかどうか知りませんよ。そういうような法律用語があるかどうかもわかりませんから、これから詰めることであって、これは俗論で言っているわけですから、だからそういうことをとりあえずやらないということを決めても、それは完全に全くやらないということは言い切れないかもしれません。
 後方支援で輸送をしている、たまたま初めての道を行ったところがそこに小銃が弾と一緒に捨てられておった。しかしそいつは見逃して行ってしまうんだということがいいのか。停戦をして、武器は要するに回収するという約束に全部上でなっているんだから、捨てられた武器がたまたま目の前に置いてあった、それはだれか市民のために、強盗、ギャングのために使ってくださいと言う人はいないでしょう。普通の人だってそれは警察へ届けるとか何かやるんじゃないですか。あるいは地雷がたまたまですよ、たまたま偶然に一つ転がっておった。しかしながら、それは踏むべきか、それともそいつを撤去すべきかというときに、これはPKFの部分だから地雷にさわっては大変だ、目をつぶって踏んでしまえ、そういうことはあり得ないんですよ。どこまでも言葉の遊戯ということであって、主としてはやらないだけであって、そういうような例外中の例外みたいなときには、それはその地雷の除去をすることもあるでしょうし、捨てられた武器を拾って保管することもあるでしょうという意味で私は言ったのでありまして、問題は、主としてそういうことをやるかどうかということで分類する以外に方法はないんじゃないか、私はそう思っています。
○上田(哲)委員 率直に話していただくのは結構なんですよ。率直に話しましょう。主としてでなくてもやるものはやる。
 質問をちょっと角度を変えますが、PKFが凍結をされた場合でも、道路、橋に携わる施設部隊、武器の収集、回収、あるいはその輸送をする部隊、あるいは医療に携わる部隊といえども今のような場合に地雷処理、除去をしなければならない事態はあり得る、これは当然ですね。
○渡辺(美)国務大臣 それは本当に断片的な例外中の例外みたいなものでしょう。しかし組織的な問題で、うんとたくさん地雷が埋めてあるとかあるいは大量の武器が置いてあるというような場合は、それぞれ任務を持った人に通報して除去してもらうということをやるのが原則でしょう。だから原則としてということじゃないですか。それはもう例外中の例外までもやらない、それによって人命に被害を及ぼす可能性があるということもあえてやらないということは言葉の遊戯ですよ、それは。
○上田(哲)委員 言葉の遊戯でない話ですよ。そうすると、行くのは自衛隊である、そしてPKFが凍結される場合でも、橋だ、道路だ、医療だ、輸送だ、武器の回収だというようなことを部隊行為としてはやらなければならない場合もあるということは、結局出動する自衛隊に求められるものは部隊としての行動であって、その中には地雷除去等の問題も含まれ得るということになるわけですね。
○丹波政府委員 大臣が先ほどから申し上げておりますことは、例えば道路の補修あるいは橋の建設ということがあくまでもそれが主目的で出かけていった者が、たまたま目の前に地雷がある、そういうものを付随的にと申しますか、そういうものを除去しなければ補修あるいは建設の目的が達せられないという場合にはそういうことも行い得るであろう、しかしながら地雷が非常に多くて、まるで地雷を処理することが本務になりかかるようなそういう状況のときには、これは地雷を本務とするほかの国に依頼せざるを得ないであろうということを申し上げた次第でございまして、その前の段階でまず申し上げたいと思いますのは、いわゆる俗に言う凍結論なるものがこの地雷の処理を法文上どういうぐあいに処理するかという問題はもちろんあるわけでして、それを見てみなければ議論を進めることは非常に難しいということを改めて申し上げさせていただきたいと思います。
○上田(哲)委員 後の部分は官僚の言うことじゃないです。私は言葉をひっかけようなんて思っていないし、PKF凍結の場合、自衛隊が行くのは地雷除去を本務にするだろうなんということを言っているのではありません。ただ、私が指摘しておきたいのは、行くのは自衛隊である、そしてその自衛隊は武力集団としての機能を外れるというわけにはいかないんだ。全く自衛隊的な能力を持っていない、つまり軍隊的な能力を持っていない者が行った場合には、おっしゃるような偶発的なときに処理能力がないわけですから、そういう資質を持った者を派遣せざるを得ないということが偶発的であってもあり得るわけだということを整理しておくわけです。これは議論の余地はないところです。
 だから、何も地雷のことだけを取り上げて言っているわけじゃないのでありまして、派遣される部隊は軍事能力を持つものでなければならなくなる。本務だとかなんとかという議論でやぶの中に入るのじゃなくても、そういうことを当然の前提にしていると言っているわけですね。そういう中では、たとえ偶発的なことであれ不測の事態であれ、軍隊行動という立場の機能が全うされるような指揮命令系統の中にあるのは当然でありまして、指揮権の問題にやはりもう一遍帰ってくるわけです。いかなる行動もその指揮権の範囲内で行われるのであって、逸脱して行われるはずがないのは言うまでもないのです。
 そういうことになると、いわゆる二重指揮権の問題というのが出てくるわけです。どうしても自衛隊の最高司令官である総理大臣、そしてその下の防衛庁長官の指揮権を残しておきたいという気持ちはわかるけれども、軍隊組織では矛盾である。
 例えば、適当でないかもしれないが、学校へ行けば生徒は学校の校長の指揮下に入る。そこで不祥事が起きればその校則によって裁かれるといいますか、統制されるわけですね。親がそこへ行ってどうだこうだと言うわけにはいかない。ちょっと例はよくないけれども、帰ってきて子供にけしからぬと言って親が怒るのは家庭の中であるからで、校則を犯した生徒に別な立場で処分を求めるというようなことはできない。
 そういうことだから、指揮権が並立するというようなことはあり得ないし、元来軍の指揮権というものは二重指揮権ということがあってはならないものなんですわ。だから、私は二重指揮権という言葉自体が間違いだと思っているのです。
 先ほど引例した大臣の統一見解では、これまでは派遣部隊は国連の現地司令官の指図は受けるが指揮権は日本にあると言ってきたんだけれども、今度国連の「「コマンド」に従う」という統一見解に改めたとなると、例えば派遣部隊の独自の撤収というのはだれの指揮のもとで行うのかという問題が出てくる。私は二重指揮権という言葉が違うと思うのですね。それはその指揮権が失われる、派遣された場合には日本側の指揮権は喪失される。現地に向かって国内から現地の司令官ではない方向に動けというようなことは言えないのですから、その段階においては指揮権は喪失するというふうに考えなければ理屈は通らないと思うんです。
○渡辺(美)国務大臣 二重指揮権ということはないんですよ。要するに部隊を派遣すればそれはコマンダーの指図に従う、従いなさいと本部長が言うわけですから。本部長が向こうの指揮者に従いなさい、こういうときは従いなさいと言ってあるんですから、それは二重指揮権にも何にもならぬのですね。そうでしょう。(上田(哲)委員「指揮権の喪失でしょう」と呼ぶ)だから喪失じゃないんですよ。向こうへ出ていったらばそれはコマンダーの指図に従うのですよと……(上田(哲)委員「だから二つはないんですよ」と呼ぶ)だから、従うのですよとこっちが命令しているんですから、その命令によって自衛隊が向こうの指図に従うわけですから二重指揮権じゃないんですよ。だから私は少しも心配は要らない。
 では、どこまで従うかということについては、向こうにはいろいろなガイドライン、手引書、そういうのがあるから、その手引書とこちらのやることとを実施要領とか実施計画とかということですり合わせをしてちゃんとこういうことはやるんです、こういう範囲で。向こうからもそう言われますから、そのとおりやりなさいと言っているわけですから、向こうに行ってやることは、向こうの司令官が今度は具体的に、Aの地点からBの地点に移動しなさいとかこういうふうなところに配置につきなさい、それはいういろ言われますよ。そこまでこっちは細かく現地を知っているわけじゃないんだから、Aの地点とかBの地点とかと法律で書きようもないし、計画書でつくりようもないわけです。だからそれは、そういうふうな具体的な問題についてはそのコマンダーの指図に従いなさいと言ってあるんですから、二重指揮権にならぬのですよ。
○上田(哲)委員 だから無理があるんですね。非常に回りくどく説明しなければどうしても回路が見えないという無理があるんです。指揮権は二つあるはずはないんですから、向こうの指揮権のもとに入ってしまったら、そのときにこっちの指揮権は消えるというのは当たり前なんです。
 そうなると私たちが心配する一つの例は、この形を推し進めていくと、小沢前幹事長が主宰される言うところの小沢調査会が二月に見解を取りまとめられ、さらに最近これを修正されて方向を出された。きょうの新聞でインタビューをされておるのでありますが、将来自衛隊は日本のみを守る国防軍的な性格よりも、国連の指揮下で世界の秩序維持に貢献する国連待機軍としての機能を優先させるのがいい。こうなれば今の話は全部きれいになってしまいますね。こういう方向に行ってしまうことになっては私たちは大変だと思います。このインタビューの中では、そうなると日本国土の専守防衛ということになっている自衛隊法を変えろ、当然大綱も、こういう話が具体的に発展してきているのです。
 今の政府の方向を整理していくと、なるほど小沢調査会の今の見解のとおりになると説明はから竹割りで極めてわかりやすくなってしまうのだが、そうなられては私たちは反対です。非常に影響力のある方針が出て、しかもこれが具体的に世の中を歩いているわけですから、それとの関係はいかがですか。
○渡辺(美)国務大臣 これは自民党の中の一つの調査会の考え方であって、我々はそこまで今採用しているわけではありません。
○上田(哲)委員 ちょっと聞こえなかった。そこまで何ですか。
○渡辺(美)国務大臣 その小沢答申というものを政府が採用しているわけではありません。今のところ採用しておりませんということです。勉強中ということです。
○上田(哲)委員 大臣の言い方としてはもう一歩踏み込んでもらいたいと思うのです。採用していませんという言葉は、それはかなりよくわかりますよ。ただ、先ほどからの話の論理を進めていくと大変ここに行きやすい論理があるんですね。つまり、もう自衛隊というのは国を守る自衛隊ではない、国連の下で国際的な紛争を抑えていくものとしての待機軍であるべきだ、こういう方向に行ってしまうと指揮権の問題も何もなくなってしまうわけですが、そういうような方向をとられては私たちは非常に困ると思っている。党内で勉強しているだけだというにしては余りにも影響力が大きいわけだから、国会というところはそういう問題についての政権党の意見を聞きたいというのは当然のことなんで、採用しないとおっしゃったからそれはそれでよくわかります。将来にわたってもそういう姿勢でありましょうか。
○渡辺(美)国務大臣 将来といったって長い将来もあるし近い将来もあるしわかりませんが、今採用をしておりませんということです。
○上田(哲)委員 総理を目指されるわけですから、将来についてはかなり思い切って物を言ってもいいですよ。小沢さんのことにいつまでも引っかかるつもりはありませんけれども、大変いろいろなことをおっしゃっているわけで、例えば、戦闘という行為はすべて一体であって、PKFとかPKO案というものは分けられるはずはないんだというような問題をかなり本音を述べておられるから、これは法案に賛成の方は大変鼓舞される見解になるだろうと思うのですが、それではやはり問題が違うと思います。
 そこで、もう一つ突っ込んで聞きます。二重指揮権というのも言葉としては私は適当でないと思うからそんな解釈上の議論はしませんが、もしそういう事態、二重指揮権、私から言わせれば指揮権の喪失、いずれにしてもそういう難しい事態になったら防衛庁困るでしょう。これでは自衛隊を派遣してとても生きを期する活動はできないだろうということになると思います。ということは、先ほど来何遍も確認しているように出すのは自衛隊だということになると、その自衛隊の身分はしっかりしておかなければならないのに、まだわからない解釈論で宙に浮いているんですね。
 先にちょっと確認しておきますけれども、仮にPKFが凍結された場合、俗論ではPKFを凍結すれば自衛隊は行かないんじゃないか、行かなくていいんじゃないかみたいな認識が誘導されていますが、PKFが凍結されてもPKOで自衛隊は行くんだ、当たり前のことですけれども確認しておきます。
○丹波政府委員 これも先ほど申し上げましたとおり、俗に言う凍結なるものがいかなるPKF活動の部分を凍結するのかということによっていろいろ違っできますけれども、仮に先ほど申し上げた狭い意味でのPKFのところだけが凍結されるという場合には、通信であるとかあるいは輸送、建設といったところの活動につきまして、例えばUNTACを例にとって考えまするに、各国とも送っておるのは軍事要員でございます。
○上田(哲)委員 よくわからないですよ。PKFが凍結されるということを前提とした場合に、広い場合、狭い場合もあるが、最も広い場合までいったら自衛隊は派遣されないということがあり得るのですか。
○丹波政府委員 ですから、前提を置いて議論せざるを得ない状況でありますので議論が非常に難しいのでございまして、もし自衛隊の参加全部を凍結するというのであれば、自衛隊が出ていけないのは当然のことでございます。しかし、先ほど申し上げたとおりPKFといった場合にはいろいろな考え方がございまして、それは歩兵部隊の行う活動であるという考え方をもしとった場合には、歩兵部隊が行う活動以外の部分については凍結されない、したがって、その場合には輸送であるとか通信、医療とかが自衛隊によって行われることは凍結されない、こういうことになろうという前提でございます。
○上田(哲)委員 もうそういう話はだめなんだ。自衛隊を行かせないなんという凍結論の修正案はどこにも出ていないんだから。そんなところをあなたが今持ち出してきたら新たな問題になりますよ。そんなことはどこも言ってないでしょう。PKFの凍結という言葉が出ているわけであって……(発言する者あり)その辺ちょっと静かにしてくれないか。審議もスムーズにさせないようなことではPKO国会の権威が最後の段階で失われる。静かに聞いてもらいたい。反論があったらここへ来たまえ。
 PKFの凍結ということについて、これは外務省が国連に問い合わせたじゃないですか。例えば文民警察、選挙監視、一般行政指導というのは、これは当然除きようがない。つまり、自衛隊はどのようなPKF凍結という言葉になっても行くんでしょう。いいですか。事務当局はそれ以上答える必要はない。はっきり答えてもらいたい。新説が出ちゃ困るんだ。PKFが凍結ということになったと仮にする場合、それが最大限に凍結されたという場合でも、国連の解釈に従うならば自衛隊が行く。行かない場合はない。そうでしょう。
○丹波政府委員 この法案に即して申し上げさせていただきますと、三条三号のところに「国際平和協力業務」としてイからレまでずっと業務が挙がっておるわけです。一体そのうちのどこまでが凍結の対象になるのかという点につきましてはいろいろな議論が行われておるようですけれども、現在までのところきちっとしたそういう考え方が一つの表現となって出てきている段階ではございませんので、まさに前提を置いて、ここからここまでであればそれ以外のところは、自衛隊がやる任務というのが残っているんであればそれはできましょうということしか申し上げられないということを申し上げている次第でございます。
○上田(哲)委員 時間のむだだ。だから、その三条三号のイからレまでの項目のすべてが否定されたら行かないんですか。イエスかノーかでしょう。レトリックはやめてくれ。
○丹波政府委員 申しわけありません。決してレトリックを遊んでいるつもりはないんです。自衛隊の行動が全部任務として行われることが凍結されるんであればそれはできないでしょうけれども、残る部分があるんであればできますということしか、先生、申しわけありませんけれども、表現となって出てきている段階ではないんです、現在のところ。
○上田(哲)委員 そうじゃないんです。具体的仮定を置いて言っているんだから、その仮定についてこなきゃ議論にならないじゃないですか。あなたが言っているイからレまでのすべてですよ。それが全部否定された場合には自衛隊は行かない場合があるのかと言っているんですよ。項目が残っていれば行くに決まっているじゃないですか。そのイからレまでが全部なくなった場合に自衛隊は行かないかと聞いているんですから、イエスかノーか答えられるじゃないですか。
○丹波政府委員 この国際平和協力業務の中で自衛隊の行う業務として挙がっているものが全部凍結された場合には、自衛隊は行くことができないということでございます。
○上田(哲)委員 今出ている修正案の凍結論は自衛隊を除くなんという言葉はどこにも使ってない。新しい議論をここで起こそうと言うんなら別ですよ。自衛隊を除くなんということはいかなる党だって修正案で出してないじゃないか、PKFを凍結するということを言っている人とか党があるだけであって。だから、自公民修正案がここまで来ているんだから今ここで議論をしっかりしなきゃならない。あなたが言っている政府PKO法案三条三号のイから始まるこの項目、これを最大限にイからレまで全部凍結した場合、そうなったら自衛隊は行かないのか行くのかということを聞いているんだから、そんな同義反復の議論をしてもらっちゃ困るのです。
 わかりやすくいきましょう。三条三号の業務が全部そうやってイからレまで凍結された場合に、いいですか、文民警察、選挙監視、一般行政指導の分野に自衛隊は行かないんですか。
○丹波政府委員 今の御質問でしたら私はよくわかるんです。文民警察には自衛隊参加いたしませんし、「行政事務に関する助言又は指導」というのは自衛隊参加いたしませんので、これが凍結されないんであればそこには自衛隊は行かないということは、それはそういうことだと思います。ただ、一言つけ加えさせていただきますと、先ほども申し上げましたけれども、この法案の立て方はPKFという表現を使っての立て方になってないものですから、先ほどのような申し上げ方で申しわけありませんでしたけれども、そういう仕分けになってしまうということを申し上げたつもりでございます。
○上田(哲)委員 官僚答弁はもうこれで抑えておきましょう。
 外務大臣、違うでしょう。外務省が国連としっかり打ち合わせた国連からの回答では、ミリタリーの資格のある者を出してくれ、こうなっているじゃありませんか。そこのところをこの段階へ来て取り違えるようなことがあっちゃ困るんです。例えば医療部隊、施設部隊、運輸部隊でもミリタリーの資格のある者を出してくれと国連は言っているじゃないですか。どうなんですか、これは。この分野に行かないんですか。
○丹波政府委員 この法案に即して申し上げさしていただきますと、第三条の三号に「国際平和協力業務」としてイからずっと挙がっているわけです。例示的に申し上げさしていただきますと、まずイのところ、これは軍事要員しか行っていない任務、ロについてもそのとおり、ハについてもそのとおり、ニについてもホについてもヘについてもそのとおりでございますので、今申し上げた、先生がおっしゃった医療の問題につきましても、例えばUNTACの現状を見ますとこれは軍事要員しか行っておらない。通信についてもそのとおり、輸送についてもそのとおり、そういう状況でございます。
○上田(哲)委員 だから行くんじゃないですか。行くんですよ。そこのところをはっきりしなきゃいけないんだ。つまり自衛隊が行くんですよ。ミリタリーの資格ある者でなければ困るというのが国連の回答なんですよ。そこのところを凍結論を上手に使いながら、場合によっては自衛隊が行かないように説明してもらっちゃ困るんです。
 具体的に言いましょう。つまり、そういう意味で言うと、自衛隊を持っていくという場合には併任以外にはないわけですよ、政府としては。出向・休職なんと言ったってさっきの指揮権の問題が出てくる。退職と言ったって、国民の常識からすれば昨日までの自衛隊員とどう違うんだとなる。それでまた帰るんなら同じじゃないかと。となると、事態は実は大臣、制服をかえようとか帽子をかえようとか、指揮官をどうしよう、持っていく武器をどうしようとかというようなことはびほう策であって、自衛隊が行くんだ、ここのところに認識は一点帰着するわけです。そうするとその派遣資格というのは休職・出向でも困るわけですね。退職ではどうなんですか。ぴしっと答えてください。
○野村政府委員 ただいま先生の方から国連の方の要請、特にいわゆる軍人の資格ということがございました。同時に、退職自衛官がどうかという御質問でございますけれども、まさにそういうことになりますとこの法案、PKO活動全般でございますけれども、停戦監視団あるいは御議論になっておりますPKFの特に本体業務でございますけれども、そういったものについてはこれは国連のニーズに合致しないわけでございます。したがいまして、そういうことについての対応は不可能ということになります。PKOの非常に中心的な役割を占めておるのはいわゆる平和維持隊の業務でございます。これは先生も御理解いただけると思います。そういうことに対して対応は不可能になるということが言えます。
 それからまた、何と申しますかPKFの先ほどから御議論になっております後衛後方支援の業務につきましても、私どもは、やはり自衛隊の持っております自活能力と申しますか組織的な力というのが、現実のPKOの展開の状況を考えますとやはりそれが必要であるというふうに基本的に認識いたしております。そういう意味におきまして、特に法案で、PKOあるいは人道的な国際救援活動いずれにつきましてもやはり現職のまさに自衛隊の組織を活用するということが必須である、それがまさにこの国際貢献を効果的とならしめるゆえんである、そういうふうに考えておる次第でございます。
○上田(哲)委員 自公民修正案にとっては残念ながらはっきりしたんですよ。もともとミリタリーでなきゃだめだと、そういう資格の軍隊でなければだめだということははっきりしているんです。政府原案であっても仮に凍結案が出てきても、そこが今ぎりぎりのところへ来てはっきりしていることなんです。
 もう一つ具体的に聞いておきます。退職という言葉の中に、グレーゾーンとして予備自衛官があります。予備自衛官は国連の言うミリタリーですか。
○畠山政府委員 予備自衛官が軍人か文民がという御質問がと思いますけれども、これはその定義によっても異なると思いますが、少なくとも予備自衛官は訓練招集あるいは防衛招集ということを受けるわけでございまして、その期間は少なくとも軍人としての性格を有するものというふうに解しているところでございます。
○上田(哲)委員 国連が言うところのミリタリーの資格を有する者、有しない者じゃなくて有する者ですね。ちょっとそこのところをはっきりしてよ。外務省、いいですか。
○畠山政府委員 恐縮でございますけれども、国連が言うところのというところは、私、有権的な解釈はできないところでございまして、国内法的に予備自衛官がどういう扱いを受けているかという点については、先ほど申し上げたように、訓練招集、防衛招集等を受けた場合に軍人的ステータスを持つということでございます。
○上田(哲)委員 いや、そこを聞いているんじゃないんですよ。国内招集の場合の規定はよく知っている。だが、PKOで派遣する場合に、国連からはミリタリーの資格を有する者と言っているんだから、それに該当しなかったら意味はないわけでしょう。だから、そこのところは防衛庁と外務省は意見が違うんじゃないですか。違わなければ違わないでその議論を進めるが、いいですか。どうなんですか。
○野村政府委員 お答え申し上げます。
 先ほど私、国連のニーズとの関係で軍人のステータスということを申し上げました。その点はやはり常時軍の任務に従事している、そういう意味と理解しております。
 それで同時に、いわゆる予備自衛官につきましては、先ほど防衛局長から答弁ございましたけれども、やはり防衛出動、治安出動ということでございます。今回のこのPKOの活動というのはそれとは全く別の次元での活動を想定しておるわけでございます。したがいまして、国連のニーズとの見地からいたしましても、予備自衛官が今この活動に従事するということはないものというふうに理解しております。
○上田(哲)委員 困るじゃないか、今ごろそんな意見が違っては。外務省の方が有権解釈でしょう。ちゃんと調整してくださいよ。私は、国内で治安出動、防衛出動するための議論なんか聞いているんじゃない。それで派遣するなら戦争出動だ。PKOで出かける自衛隊に、予備自衛官というのは国連が言っているミリタリーの資格を有する者の中に入るのか入らないのかという話をしているんだから。入らないのですね。統一見解しっかりしてくださいよ。外務省、防衛庁、そんなことではだめですよ。
○野村政府委員 私、冒頭にお答えいたしました入らないということでございます。
○上田(哲)委員 だめですよ。こんなことも政府ではっきりしていないじゃないか。どん詰まりまで詰めてみると、出向・休職なんということではだめ、そしてまた退職でも予備自衛官でもだめ、これは国連の要請のミリタリーの資格には入らない、こういう問題が出てくるんですよね。この程度のところもはっきりしないままここまで来てしまったというところは非常に問題でありますが、そのだめな修正案の中で決着してしまうことになるということであっていいのかという問題を投げかけておきます。
 大臣、名前を出すわけにはいかないけれども、自衛隊の人から聞いてほしいと電話があります。万一のことです。去年の秋に、海部内閣時代に私自身が質問しまして、国連の今までのPKOの実績でいうと各国で七百七十余名の犠牲者が出ている、今回出せば不測の事態で戦死者は出るのかと言ったら、海部首相から犠牲者は仕方がないという答弁がありました。それは不測の事態も全然ないとはまた言えないという遠回しの言い方なんでしょうが、そこからの一つの質問なんです。そうした場合に戦死者は靖国神社に祭られるかという、どうですか。これは大臣に答えてほしい。
○渡辺(美)国務大臣 さあ、これは神社が決めることですからわかりません。
○上田(哲)委員 大臣としてはどうあるべきだとお考えですか。
○渡辺(美)国務大臣 それは今のところ、私はどちらがいいとか悪いとかということをここで申し上げることは差し控えます。
○上田(哲)委員 そうすると、自衛隊員のそういう気持ち、質問に対しては答えられないというのが政府の立場ですか。
○渡辺(美)国務大臣 政府としては別に何も決めておりません。私は個人としての考えはありますが、ここは大臣として答弁しているわけですから個人の考えは差し控えておきます。
○上田(哲)委員 個人でもいいです。命令が出て自衛隊員が行くことになった場合、不測の事態が起きたときにどうなるのかという問いに答えてやらないで出すのですか。
○渡辺(美)国務大臣 だれを靖国神社に合祀してくれ、だれをしないでくれ、そういうようなことは宗教との関係に絡むものですから政府は申し上げない。それは神社が決めるんですよ。
○上田(哲)委員 靖国神社は宗教の絡みだけではない。国の重大発言だ。
○野村政府委員 お答え申し上げます。
 ただいま先生の問題提起は、この国際貢献の過程で殉職した職員に対して賞じゅつ金の引用もございましたけれども、それに対していかに功績をたたえるかという、そういう見地からの問題提起であると思います。私どもやはりそれにふさわしい功績がある者についてはその対象とするよう、この法案の作成あるいはその実施の段階においてきちんとした処理をしていこうと思っております。
 ただ、ただいま靖国神社にという問題提起がございました。外務大臣がまさにお答え申し上げておりますとおり、この点につきましては靖国神社が自主的に決定することでございまして、政府として申し上げる立場にはございません。
○上田(哲)委員 宗教の絡みだと言われたのはどうなんですか。
○野村政府委員 私が靖国神社が自主的に決定することと申し上げたその要素の一つとしまして、これはまさに外務大臣が指摘のように、宗教の問題であるということが当然含まれているわけでございます。
○上田(哲)委員 浅い議論をしたくないのだが、私は功績論で言っているのじゃないんです。今は素朴な質問を取り次いでいるだけだということをはっきりしておきますが、靖国神社は宗教だけの問題ですか。そこのところは政教分離原則の問題としてちゃんとした答えをしておいてください。
○野村政府委員 先生、この靖国神社の問題ということで提起されておるわけでございますけれども、もちろん私は、靖国神社と申しますと宗教の問題という要素があるのだと思います。それ以外にも論点あるいは論議の対象になっている点があろうかと思いますけれども、外務大臣が申しましたように、基本的に私は、今御指摘の賞じゅつとか功績をたたえるという点につきまして、その点に絞りますと、これはまさに靖国神社が自主的に決定することであるということを申し上げている次第でございます。
○上田(哲)委員 素朴な意見を取り次いだのですから、それ以上私はここでは議論をしません。深くは後に譲ります。
 かなり議論を進めてきましたけれども、私は、PKO論は国連という問題の位置づけということにも最終的にかかわってくる基本的なことだと思っています。つまり、国連中心主義ということをどんなに称揚しても、国連と各国の主権の問題は毅然としているのであって、国連が主権の上に立つものではありません。例えばこうしたPKOの法案、あるいはその出動ということがある場合でも各国の主権との特別協定に基づかなければならないのであって、一義的に国連ないしは安保理事会の決定に従って一国の軍隊が出動するなどということが行われるはずもない。各国の主権の上に国連がそびえているような感覚というのは甚だしい誤謬であるということを一つだけしっかり言っておかなければならないと思います。それはまた、当然、国連が言うからということではなくて、平和憲法に基づく日本の独自の主体的な外交政策が先にあるべきであって、その中から国連を見ていく、国際貢献を考えていくというところが今逆になっているんではないか、こう思います。いかがでしょうか。
○渡辺(美)国務大臣 国連はもちろん命令をしたりなんかするところではありませんし、国連に加盟するに当たりましてもそれぞれの主権は尊重される、当然のことでございます。
 ただ、国連がどうしてできたかといういきさつを考えてみればわかるように、私の私見を申し上げれば、要するに第二次大戦というものをやった、そしてもう各国とも疲弊こんぱいをして、ひとつこれ以上戦争をやって領土を取り返すというような愚かなことはやめよう、そういうことでみんなが誓い合ったわけですよ。ところが、国連の所期の目的というものが二大左右勢力の対立によってうまくいかない。朝鮮戦争が起きたりベトナム戦争が起きたり、キューバの革命が起きたり、お互いに一致してやろうとしても拒否権発動等が行われて、一致した平和に対する大きな貢献ができなかった。たまたま今度はもうソ連が崩壊をして、そして崩壊する前からSTARTというような問題も大きく前進したし、中距離核ミサイルの廃止というようなこともうまくいったし、これからはやはり世界の平和秩序についてはもっと国連というものが大きな役割を果たしたっていいんじゃないか。超大国の庇護のもとというんではなくて、むしろ国連で、暴れ者があったらイラクのフセインのように、みんなで取り押さえていくということによって新しい秩序をつくったらどうかという議論が大きく出てきたことは事実なんですよ。それは見方によっては集団安全保障的な物の考え方であるかもわかりません。
 しかし、国連軍というものは今までつくられたことはありません。ただ、今までの長い歴史の中で、平和を回復するための戦争処理の一つとしてPKOという活動があったことは事実で、これが今大きく国連がリードをして成果を幾つかおさめてきておる。それであればこそノーベル平和賞というものが国連の平和維持活動に与えられて世界の共通の評価を受けているというように我々は認識をしておるわけです。
 したがって、カンボジア和平の問題につきましても、やっと国連の調停によって和平が成立をするということになったんだからこれについては各国ともみんな協力しようじゃないかということで、東南アジアを初めたくさんの国が平和維持活動についたり今からつこうとしておる。さすがに中国までも、解放軍報という中国の軍の新聞にありますが、初めて中国は国際のひのき舞台に躍り出た、これによって我々中国の解放軍が国連に参加をして平和活動に参加できるということは大変な誉れだということを書いておるんですよ。それが世界の常識なんですね。
 だから、その世界的な常識を日本は認めるか認めないかという話になってくるわけですから、これはまさに哲学の問題なんですよ。しかしながら、我々はこのような平和維持活動、世界的に評価のある平和維持活動には、理屈はいろいろ言い分はありますよ。あるけれども、そういうものに参加するかしないかという大きな政治決断が先に出るということが私は正しいんじゃないか。どういうふうに決断をするかはそれは人の考え方によってみんな違いますから、我々は参加すべきだという意見なんですよ。
○上田(哲)委員 次に、カンボジアの財政支援です。これは一二・四五%という負担割合で議論されていますが、三〇%という希望もあるようです。UNTACの資金の枯渇もあるわけですが、これについては話は進んでいますか。
○丹波政府委員 UNTACは十八カ月の期間をもって設置されたわけでございますが、そのUNTACの総活動経費につきましては国連事務局が、二月だったと思いますが、まず見積もりとして出してきた数字は全体で十九億ドルという見積もりを出してきたわけですが、これに対しまして国連の中で、本当に十九億ドルかかるのかという議論がずっと今日まで引き続き行われてきておる段階でございます。そういう議論を受けてつい先般、約十七億ドル程度になるんじゃないか、もっと正確に申し上げますと、いろいろな議論を受けた結果、十六億八千万ドルになるという数字が新たな数字として国連事務局が出してきたわけです。この数字につきましても実はまだ議論が行われておるということでございまして、総体的な数字は国連の総会が決定しますが、まだ決定されておりません。今日まで決定された数字は、とりあえずの立ち上がり経費として二億ドルというものが決定されております。これは、国連の加盟国各国に対しまして分担率に従って割り当てられております。日本は、一二・四五%に当たります二千五百万ドルというものを三月に既に支払っております。
 これがUNTACそのものに絡みます財政的な問題でございますが、これに加えて、カンボジアの復旧にもちろん経費がかかるわけですが、これにつきましては四月の二十日に、ガリ事務総長がプノンペンに滞在しておられたときに約六億ドルという数字を発表いたしております。この中には難民の帰還の問題も入りますし、復旧の問題が入るということでございます。この約六億ドルは分担率として義務的に割り当てられるのではございませんで、各国の自主的な拠出によって賄うということでございます。この約六億ドルのうち約一億一千六百万ドルは難民の帰還に使われるということで、この分につきましては、今日までのところ日本政府は約三千五百万ドルの拠出をいたしております。
 この難民部門を除きましたカンボジアの復旧そのものの問題につきましては、今後いろいろな状況を見ながら日本政府としてどのぐらいの貢献を行うか、現在検討中であるという段階でございます。
○上田(哲)委員 北方領土についてお伺いします。
 宮澤総理も五月に西欧を図られたし、渡辺大臣は四月の二十九日から五月の三日までエリツィンあるいはコズィレフ外相との会談を進められた。九月の十四、十五日には初めて大統領資格でエリツィンさんも訪日される。二段階論とか条件つき施政権論とかさまざまな話題がございました。返還交渉はどのような見通しですか。
○渡辺(美)国務大臣 実は私はエリツィンさんがロシア共和国の議長のとき、去年の五月に会って議論をしたことがあるのですが、彼が正式に大統領になられてからは会ったことがないので、日本の立場、主張というものをきちっと直接エリツィンさんに申し上げたいということが一つ。それから、北方四島問題に関して日本に来て話し合うということで、ことしの秋ごろ、九月ごろ日本に来たいという意思表示は、ことしの一月宮澤さんと会ったときに話があったのですが、その後半ばよりももう少し早めてもらえないかというふうな情報も入ったので、日にちが確定できないとこちらもいろいろ準備もございますしね、一国の元首を迎えるわけですから。そこで来日の日取りを確定してもらいたいというのが最大の目的なんです。これにつきましては、九月十四、十五と二日間を協議の場にしたいということははっきりしたわけであります。
 あとは向こう側から、いわゆるソ連の考え方がいろいろ御説明がありました。別に目新しいものはありません。五段階返還論を要約して言ったということであって、彼はその中でもう一、二、三は大体目安がついたんじゃないか。つまり、北方四島というものはもう日ソ間に問題として存在しないとソ連は言ってきたのだが、これは問題として存在するということは認めたんだから一つは終わった。第二番目の北方四島と日本との交流という問題については、旧島民間のビザなし交流というものが既に始まっているから、これも緒についたねということです。もう一つ三つ目だ。私は第三番目として北方四島の軍事基地、これを非軍事化するということも申し上げる。ことし、来年のうちに北方四島の非軍事化、つまり軍隊を引き揚げる、必要な国境警備隊だけにいたします。人数は言わなかったけれども、そのようにいたしますから、そうするとこれももういいから、あと残っているのは要するに条約の締結と四島の返還交渉だけじゃないかというわけです。
 しかし、それは大変いいことではあるけれども、しかしながら来世紀になって新しい世代の人がうまいこと考えるだろうというようなことでは困ります、それはうんと早めてもらわぬと困るということが一つ。それからもう一つ、我々としては、返還の時期とか態様とかいろいろな条件がありましょうが、住民の扱いとかこういうことについては、今まで日本としては北方四島即時一括返還ということでずっとやってきているわけですから、しかしこれは、北方四島が日本のものである、主権は一括して認めるという見通しが立ては、そういう見通しを認めてくれれば、我々はあとは条件等については相談の用意がありますということが要約するとこちらの主張であります。
 その結論はもちろん出ておりませんが、両外務大臣の間でひとつもっと積極的に、九月に行くまでにどこまでできるかも含めて詰めてもらいたい。ただ、ロシアは今非常に困窮な状態にあって、旧保守派、共産党、車その他私に反対する勢力もかなりある。したがって、これが大きな政治問題になって騒がれるというようなことは困るんだ。だからこれは静かに、余り騒がないで着々と冷静に、時間がある程度かかっても仕方ないじゃないかというようなニュアンスでしょう、それで進めようというのです。ですから我々は、それならばもう一遍私は行くと言ったら、向こうはではサミット後がいいな。ではサミット後私が訪ソする。そして八月の末か九月の初めにコズィレフ外務大臣が日本に来て、そしてどこまで十四、十五の二日の会談でまとめられるかを全部準備をしようというところまでであります。
 そういうことで、我々としても予断をもちろん許さないいろいろな周囲の情勢があります。ただ、ロシア側は一般世論、世論ということを盛んに言っておりまして、世論が承知しないと議会が動かない、そういうような案を出してもつぶされてしまったらそれで終わりになってしまう、だからそれにはまだ時間が足りないというようなことを盛んに言っておりましたが、正しい情報を与えなければ世論は動かないわけですから、その正しい情報を与えるという意味で、今までの両方で認められた北方四島に関するいろいろな諸資料、歴史的な条約だとかいろいろなやりとりがありますから、そういうような共同の資料を日本文とロシア文で両方でつくって大いにPRしようじゃないかということで、その中身については大体題目ぐらいは決まっているのですが、これから急いでやりたい、そう思っております。
○上田(哲)委員 その話し合いの中で何とか成果だと思われたのは、一年以内に北方領土から撤兵するという約束だったのです。ところが昨日、ロシアのパーベル・グラチョフ国防相が、日本が北方領土と呼んでいる地域からロシアの軍隊が撤退する用意はない、こう言い切っているんですね。その約束が少しおかしくなっているんじゃないですか。
○兵藤政府委員 仰せのとおり、もしこのグラチョフ国防相の発言がそのとおりであるとすればエリツィン大統領の渡辺外務大臣に対する発言と食い違うわけでございますので、早速我が方のモスクワ大使館に訓令を発しまして今照会をいたしております。
 とりあえず国防省の渉外部に照会をいたしましたところ、この渉外部のとりあえずの答えは、グラチョフ国防大臣はクリル諸島から軍を撤退させるつもりはないというふうに述べたけれども、南クリル諸島から軍を撤退するつもりはない、つまり南クリル諸島と言った覚えはないんだ、こういうとりあえずの説明でございました。
 それから、ロシア連邦外務省に照会をいたしましたところ、事実関係を把握していない、しかし一国の最高責任者が言った言葉を指針として、自分たちはこれを前提にして考えていくつもりであるというとりあえずの答えでございました。
○上田(哲)委員 外務省は旧ソ連邦、独立国家共同体に近くミッションを派遣されて、独立国家共同体内の各国にどこまでかの範囲でそれぞれ大使館を設置するという方向であるように聞いております。どうなっていますか。
○兵藤政府委員 独立国家共同体ができましたことを踏まえまして、今国会におきまして在外公館名称位置法の改正をお願いしました中に、この独立国家共同体、当時はまだグルジアが国家承認の問題が残っておりましてグルジアはとりあえず外したわけでございますけれども、十一カ国に大使館を設置させていただくという法律を通させていただきました。それを前提にいたしまして外交関係を設定済みの国に対しましては、これは兼轄の大使館、さしあたりはモスクワ大使館をして兼轄せしめたいと考えておりますけれども、兼轄大使館の設置、そのために現在モスクワに駐箚しております枝村大使を兼轄大使として発令をしたい、そのためのアグレマンの了承をとるというような作業を進めております。
 一方、実際の公館を置く必要につきましては、渡辺外務大臣が中央アジアに参りましたとき以来その必要性を痛感をいたしまして、大臣の御指示によりまして、事務的に今この十一独立国家共同体の中で、全部に実館を置くことは大変難しいであろう、とすればどこに置いたらいいのかという事務的な検討を渡辺大臣の御指示によって開始したところでございます。
○上田(哲)委員 時間があと五分になりましたから、二問に絞ってお伺いします。簡潔にお答えいただきたい。
 世界の大きな変化の中で日本の安全保障のあり方が根本的に問われていると思うのですね。後の機会にその議論はしっかりいたしたいと思いますが、私は、例えばECが年内に経済の大きな垣根を取り払うという発展、あるいはASEANが動き出したアジア・太平洋地域の経済協力、あるいは北米から米州経済圏の設定等々大きなブロック化というものがこれまでの軍事の枠組みを乗り越えて広がっていく時代に入ったというふうに思っておりまして、その意味では旧型の二国間の対抗的軍事同盟である日米安保条約解消の検討も基本的にすべきであって、経済条項を拡大すればいいという程度の次元の話ではないというふうに思っています。
 質問は、そういう中で日本政府はCSCEへの参加を表明されておるわけでありまして、それはこの大きな流れとどうかかわるか。CSCEにはオブザーバーというような規定はないようですね。そこをどういうふうにクリアされるのか。それから、その場合には当然問題になりますが、オープンスカイ条約などにはどのように対応されるのか。
○兵藤政府委員 CSCEにつきましては、激変の後に新しくできてきたヨーロッパの状況、その中で安全保障を含めた新しい秩序づくりの模索が始まっているという認識から、そのヨーロッパでCSCEで模索し始めた新しい国際秩序づくりというのは日本、極東地域も当然関係してくるはずだということであれば、我々も密接に協議を受け、また日本が言うべきことを言う機会をぜひつくってもらいたいというのが、私どものこのCSCEに密接なかかわり合いを持つことにしたいということを申し入れたきっかけでございます。
 仰せのとおり、CSCEと申しますのは今まできちっとした運営の規則とか事務局がございませんでした、やっと事務局がプラハにできましたけれども。したがって、先生御指摘のとおり、オブザーバーというような資格がきちっとした規則で定められているということもございません。私どもはとりあえずCSCEの正規メンバーとして参加するということは考えておりませんが、日本に関係のあるいろいろなことが討議される場合に日本がそこに参加をさせてもらって意見を言わせてもらう、あるいは必要な情報をきちっともらう、そういう形でのCSCEとの関係を強化したい。それは言葉ではどういう言葉が適切かこれはわかりませんけれども、そういった関係を構築したいというふうに考えてございます。
 オープンスカイ構想については、私どもまだ全く検討いたしてもおりません。
○上田(哲)委員 最後にまとめてお伺いします。
 本来政府側には、各国の軍縮の実態の中で現実に日本の軍事費をどうしていくのかの大方針がない。実際には各国がどんどん削減していく、日本には後年度負担分もあるし人件費の問題もあるけれども、世界が大方針としてどんどんこれを縮小していく方向がとられている中で、日本の場合は中期防あるいは大綱の見直しということが言われつつ、実際には中期防期間中は防衛費の削減はない、伸びる一方だということが現実のところであります。
 したがいまして、こういう状況でいかに日本の安全保障が考えられていくべきか。私は小沢調査会とは全く違った意味で、言葉が似せられてきて困るのだが、全般的安全保障体制という構想に行かなければならないと思う。仮想敵国を前提とする対抗的軍事同盟をなくして、大きくアジア・太平洋的な安全保障体制を構築していくということが本当だと思うし、それは大臣、CSCAというべき方向をひとつ考えていくべきだということについて御見解を承りたい。CSCEのアジア・太平洋版といいますか、そういう問題。
 それから、これは検討を申し入れておきましたけれども、従来私が唱えている米ソ、今は米ロの双方とも日本列島から六千キロ兵力引き離し案について検討してもらいたいと言っておるわけでありますが、それについてお答えをいただきたい。
○渡辺(美)国務大臣 今、CSCEのお話につきましては欧亜局長からお話ししたとおりでありまして、日本としてもそういうような事前のいろんな安全保障についての話し合いの場ができることは結構なことでもありますので、日本もオブザーバーとして参加させてもらうように申し入れをしてあるということが一つ。
 それからアジア版につきましては、今もうASEAN拡大外相会議というものがございますから、そういうようなものの場を活用していくということが一つでしょう。しかしながら、これは同じ共通の価値観を持たないと、なかなか安全保障関係を一つにするといっても今すぐには難しい問題があります。北方四島の問題も未解決ですし朝鮮半島の問題もありますし、あるいは中国の存在ということもございますし、いろいろ安全保障という問題でアジアが今すぐにそのような一つの保障会議を持てるという段階に残念ながらまだ来ておりませんが、将来の問題としては私は重要な問題である、さように考えます。
○上田(哲)委員 六千キロの問題。
○佐藤(行)政府委員 先ほどの御提案は新しいお考えなものですから我々も検討させていただきたいとは思いますが、ただいま、これまでのヨーロッパとの対比におけるアジア・太平洋地域の安全保障につきましては、御承知のとおり、アジア・太平洋地域とヨーロッパとは非常に情勢が違います。ヨーロッパの場合には一つの地上の上で、当時で言えば米ソの、あるいは東西、NATOとワルシャワ条約体制の対決ということがあったわけですから、その間の比較においてどれだけ引き離すかということが一つの方法として考えられたんだろうと思いますが、御承知のようにアジア・太平洋地域そのものにおきましては、まずアメリカの存在は海における存在を中心とするものでございますし、ロシアも、もはやロシアでありますが、地上軍を中心とする存在であります。また、もはやアジアの安全保障の構図というのは、先ほど来おっしゃられたような対話とか経済協力とかいうことを中心にして進めていくものでありまして、いわゆる軍事的な対峙という構図も、ロシアとアメリカとの間のかつてのような緊張関係だけでとらえられる問題ではないんだろうと思います。そういう意味で、アジア・太平洋地域の安全保障というのは大変複雑な要素を含んでおりますので、いろいろな角度から考えていかなきゃならないと思っております。
 その意味で、先ほど大臣も言われましたけれどもASEAN拡大外相会議とか、あるいは先ほどは触れられませんでしたけれども、APECにおける経済協力を中心とした問題とか、そういうところにおける多重的な対話を一方で進めて、同時に当面ある地域的な対立をまず緊張を下げていく、これが先にあるべきことじゃないかと我々は考えております。
○上田(哲)委員 六千キロ引き離し案というのは、平和保障の原理である兵力引き離しをロシア側は六千キロ、ウラル山脈の西側まで帰りなさい、アメリカは六千キロ、ハワイの東側まで、第三艦隊エリアまで帰っていくという形が日本の安全保障にとって一番効果的な姿だという主張でありまして、先ほどのCSCEに対してCSCAに向かって将来展望として考えていくべきだという大臣の答弁もございました。例えばアメリカのベーカー国務長官がフォーリン・アフェアーズに率直に発表された論文でも、今やアジア・太平洋の安全保障はASEAN、日本、オーストラリア、国連安保常任理事国の多国間協力で考えていかなければならない時代に来たと主張されている。これは日米安保条約自身を乗り越えるべきと読み取れる提案でありますし、ベーカー長官はこの構想でその後アジア・太平洋の歴訪もしました。時代はそういうところへ来ているだろうと思います。
 そういう大きな発想、構想の中から日本の安全保障、また世界への貢献ということも考えていくべきときだ、そういう外交方針を確立されることを強く要望するとともに、特に今国論が二分される中で憲法に違反する自衛隊の武力集団としての海外派兵が強行されることのないように、ぜひ大臣の良識を求めて、質問を終わります。
○中山委員長 午後三時三十分より再開することとし、この際、休憩いたします。
    午前十一時四十九分休憩
     ――――◇―――――
    午後三時三十分開議
○中山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。今津寛君。
○今津委員 大臣におかれましては昨年の十一月以来、韓国の第三回APEC閣僚会議の御出席を初めとして、中国、米国、ロシア、カザフスタン、キルギスタン、それから本年の七月にはドイツのミュンヘン・サミットに御出席の予定ということで、我が国ばかりではなくて世界の平和のために大活躍されておりますことに心から敬意を申し上げたいと思います。ただ、余り多忙過ぎて大好きな水泳だとかゴルフが余りできないようでありますから、どうか健康に留意をしていただきたいと思います。
 先ごろキルギスタンの方で大規模な地震が発生したということをちょっと聞いたわけでありますが、おわかりの方がいれば簡単に御報告いただきたいと思います。
○兵藤政府委員 我が方のモスクワにございます大使館からの報告によりますと、五月十七日にキルギスタン共和国南部のオシ、ジャラル・アバド地区を中心に震度その地震が発生した模様でございます。死者、負傷者等の人的な被害につきましては、現在大使館を通じまして照会中でございます。もし交通手段の都合がつきますれば、キルギスタンの首都ビシュケックに大使館から館員を派遣してもう少し詳しく実情を把握せしめたいと思っておりますが、地震の直後にまた強い豪雨が襲ったということで、地震の被害と豪雨の被害と両方が重なっている模様でございます。現地との電話が今不通になっておりますので詳しい状況はわかっておりませんけれども、人的な被害よりも倒壊した家屋が相当あるというふうに報告が参っております。
○今津委員 キルギスタンは先日大臣が行かれたばかりでありますから、できるだけ災害のないことを祈っておきたいと思います。
 さて、大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。
 北方四島におけるビザなしの渡航の問題でありますが、四月二十二日から二十七日にかけて北方四島のロシア住民がビザなしで北海道を訪問しまして、地元において心のこもった歓迎を受けたところであります。また、これに続いて五月十一日より日本側の第一陣が北方四島を訪問し、先般帰国したところでありますが、地元の新聞によりますと大変大きな効果があったようでありまして、南クリル地区議会のテレシコ議長の談話によりますと、領土問題についても返還に絶対反対という島民の意識に少しずつ変化が出てきた、交流を通して知り合うことが正しい道だということが証明をされたと言っている。国と国との交渉も大切なことでありますが、民間においても、少しずつ交流を深めて親睦を図り、その打開策を図っていくということで大きな効果を上げているところであります。このことについて大臣の評価をいただきたいと思いますし、政府としてはこのビザなし渡航の問題についてこれからどのような形で支援をしていくのか、指導をしていくのか、お答えいただきたいと思います。
○渡辺(美)国務大臣 ただいま今津委員からお話があったとおり、私は大変成功裏に今まで推移した、そのように理解をいたしております。やはりあそこの現在の島民が一番心配をしていることは、日本に返されたらすぐ追い出されるんじゃないかという心配が一番深刻なようでありました。旧島民などが、我々がスターリンのときにやられたようなことは、あなた方に仕返しをするようなことはさせないというようなことを言ったところが大変喜んでおったというようなニュースも入ってきております。したがって、信頼関係を持つということが一番重要なことでございますから、上の方だけでやるんでなくて、あそこに住んでいる人が、北方四島が日本のものだというようにされても自分が直ちに路頭に迷うということがないんだということを知らせるということは非常に重要なことじゃないか、安心感を持たせることが非常に重要だと我々は考えております。
 そういうことで、今後ともビザなし渡航というものを継続してやっていくように政府としても努力をしてまいりたいと考えます。
○今津委員 北方四島からのソ連軍の撤退の問題でありますが、午前中の質疑で、グラチョフ国防相の発言についての真意をただいま確認中ということでございますけれども、御案内のとおり北方領土におきましては、現在、師団規模の地上軍やミグ23フロツガー戦闘機が約四十機配備されているのであります。また同時にオホーツク海でありますけれども、潜水艦発射弾道ミサイル搭載の原子力潜水艦SSBNが展開しているのでありまして、これがオホーツク海にたくさんいるということでありまして、このオホーツク海はロシアにとっても軍事的に大変重要な位置でもあるわけであります。現在でも旧ソ連の太平洋艦隊には、SSBNを含み約六十五隻の原子力潜水艦が存在をしているということであります。仮に北方四島からソ連軍が撤退をいたしましても、現実にオホーツク海近辺にはその潜水艦がたくさんいるわけでありまして、我が国周辺に存在する極東のソ連軍の軍事力は、一九八九年以降量的には確かに削減傾向を示しておりますが、依然膨大なものが存在をしており、またT80のような新型戦車あるいはバックファイアという新型爆撃機が増強されたと承知をいたしております。質的には増強しているということであります。
 極東の旧ソ連軍の軍事力について、防衛庁は現在どのように把握をし、そして認識をしているか。私は、北方四島からソ連軍が撤退をしたとしてもこのように脅威は現在もなお残っているし、我が国においては極東における軍事力削減を強く求めていくべきだと考えているわけでありますが、御見解をお聞かせいただきたいと思います。
○高島(有)政府委員 お答え申し上げます。
 まず北方領土におきますソ連軍の問題でございますが、確かに先生御指摘のとおり、北方領土にございます旧ソ連軍は極東軍の一部としてその機能を有しているわけでございまして、それ自体が我が国に対して持っている軍事的な意味合いというよりは、極東軍全体が持っている意味合いの方がはるかに大きいことは御指摘のとおりでございます。そういう事情でございますので、私どもも我が国周辺の軍事力を見ます際には、北方領土のソ連軍を含む極東軍全体の戦力に関心を払っているところでございます。
 そういう点で今日の極東軍の状況を見ますと、これもまたただいま今津先生御指摘になられましたように、極東地域の旧ソ連軍は六〇年代以降一貫して質的にも量的にも増強されてまいりまして、ゴルバチョフの時代、八九年あたり以降量的には若干の縮小傾向を示しておりますけれども、質的には非常に増強された装備及び再編合理化され、近代化されました戦力が蓄積された状態が今日も続いているという状況でございます。その中では、今先生御指摘になられましたように、地上あるいは潜水艦発射の戦略戦力、またそれ以外の非戦略の核戦力、それから相当大きな太平洋艦隊、それに三十四万にも上ります地上軍が依然としてこの極東地域に配備されている、こういうふうに現在見ているところでございます。
○今津委員 今のお話でもわかるとおり、量的には削減をされても質的には増強されていると判断せざるを得ないと思うのです。
 さらに、近くの北朝鮮については、核関連の施設の建設や、地対地ミサイルの射程距離を伸ばすために研究開発が現在行われているところであります。特に、開発中と伝えられますノドンと呼ばれる新しい地対地ミサイルは射程が千キロにも及ぶと言われておりまして、これは北朝鮮の中央部から発射をいたしますと大阪まで楽に届くという代物でございまして、我が国の安全保障上に大きな問題であると私は思います。
 また北朝鮮だけではなくて、我が国の周辺にはロシアや中国も我が国を射程内におさめ得るミサイルを保有しているわけでありまして、例えばロシアについては大陸間弾頭ミサイルICBMなどは言うまでもなく、短距離の地対地ミサイルであるスカッドなども樺太から撃ては十分に北海道へ届くものでありますし、中国も射程二千キロメートルから三千キロメートルと言われるCSS2などを保有しているわけであります。
 このようなミサイルに対しては、第一義的には日米安保体制による米国の抑止力に期待するものと考えるわけでありますが、北朝鮮のミサイルの開発などを考えますと、日本もミサイルの防衛防御能力を向上させなければならないと思うわけであります。この点についての防衛庁の対応と御見解をお伺いをしたいと思います。
○畠山政府委員 我が国の防空態勢といいますのは、御承知のとおりレーダーサイトをもちまして、それと早期警戒機ということで侵攻しできます航空機に対応するということになっているわけでございますけれども、今御指摘のスカッドミサイルといったようなものの能力の向上に対応しましては、現在持っております我が方で対応いたしますところのペトリオットというものがございますが、これはスカッドミサイルのような高仰角、高いところから入ってくるようなミサイルに対しては必ずしも対処が十分でないということが言われておりまして、そこで平成四年度予算におきまして御指摘のような認識に我々も立ちまして、このペトリオットミサイルの能力向上型ということで、ミサイル対処能力とECM、いわゆる電波妨害に対する対処能力というものの向上を図るということで、平成四年度予算から能力向上型のペトリオットを整備するという態勢になっているところでございます。w
○今津委員 防衛庁においてその対応策をしかとやっておられるということでありますから、期待をさせていただきたいと思います。
 このようにソ連の解体や冷戦の終えんを受けて、世界は軍縮一辺倒というムードも実はあるわけであります。しかし実態としては我が国周辺、特に北方においては依然として緊張状態にあり、日本国民の安全と生命を守るためにもやはりしっかりと対応した防衛体制、こういうものをさらにとり続けなければならないと私は、私ばかりでなくて我が国のほとんどの国民がそういうことを願っていると確信をしているわけでありますが、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○渡辺(美)国務大臣 私もロシアに行ったときには、ともかく西側のいろいろな兵器が東側に回されて、しかも増強されるというような形で我が国の全面支援ということはなかなか難しいです、やはり西側で緊張が緩和されるならば極東地域においても緊張が緩和されるようにしてもらいたいということはもちろんロシア当局には伝えでございます。
 いずれにいたしましても、米ソの超大国の間で大型兵器の削減交渉というものが今後とも継続して行われるということは非常に重要なことであろう。したがって我々は、ソ連の軍縮ということが失業に直ちにつながるという点は理解をいたしますが、しかしながら、軍需から民需への転換というようなことを並行的にやっていけば軍縮はできるわけでございますから、やはり必要最小限の、国を防衛するに必要にして十分な防衛力はそれはソ連でも必要でありましょう。我が国においてもやはりその程度のものはぜひとも必要でございますので、四囲の状況を見ながら今後とも万抜かりのないように準備は怠ってはならない、さように考えております。
○今津委員 金賢姫の日本人化教育係の李恩恵という女性のお母さんが亡くなったということであります。公安当局の調査によりますと、この女性は元ホステスであって、北朝鮮の工作船に運ばれたというような可能性が非常に強いというふうに判断をされておるわけでありますが、とうとう母親の死に目に会うことはできなかったということでありまして、私は大変悲しいという一言に尽きるわけであります。大臣はどのようにお思いになりますでしょうか。
○谷野政府委員 私からかわってお答え申し上げます。
 先般、第七回の日朝の正常化のための交渉の場におきましても私どもの代表団から、この問題を一日本人の行方不明という案件というふうに観念いたしまして、この方の行方の調査について北朝鮮側当局に強く要請したところでございます。先方は従前と同じような立場でございまして、これに応ずる気配がなかったのは非常に残念なわけでございますけれども、今後ともそのような私どもの要請を粘り強く伝えてまいりたいと思っております。
○今津委員 北朝鮮との問題については国と国の交渉であって、それぞれ違った立場の国との交渉事でありますけれども、我が国にとってとても了解できないようなことも実は先方で話の中に出しているわけであります。日朝国交正常化交渉や南北首相会談等において、我が国のプルトニウム政策に言及をしながら、日本は核武装を企図しておるという批判を繰り返し行っているわけであります。
 例えば、第六回の日朝国交正常化の交渉の中で、これは北朝鮮側の記者のブリーフのときの内容ですが、「核の脅威はどこからもたらされるのか。それは日本から来るといわざるを得ない。」「日本が必要以上のプルトニュウムを保有しているといわれている。これらのプルトニュウムは核兵器として利用されることが懸念されている。核査察問題が解決したにもかかわらず日本だけが言いがかりをつけて不信感を偏っているのは、日本が核武装化をするための口実を作ろうとしているにほかならない。」
 さらには、同じように「日本の核技術と経済的潜在力に照らせば、日本がすぐに核大国として登場しうることは、誰の目にも明らかな事実」であるということを公言してはばからないわけでありまして、まことに言語道断、許しがたい発言であると私は思うわけでありまして、このような発言に対しましては我が国は断固たる抗議と対応と姿勢をとるべきだと私は思うわけでありますが、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○渡辺(美)国務大臣 御承知のとおり、我が国は非核三原則というものを国是として堅持をしております。したがって、原子力の利用というものは平和目的に限定をしておって、厳格な国際査察を現在受けておりますから、世界のそのような国際機関から何らの疑惑を持たれることはありません。したがって、北朝鮮が我が国の基本政策すら理解せず、我が国が核兵器開発を企図しているというがごとき批判は余りにも無理解であって、驚きを禁じ得ないものであります。北朝鮮の批判は、みずからの核兵器開発の疑惑に対する国際社会の懸念をそらそうとするものではないのかなというように我々は疑念を持たざるを得ません。
 したがいまして、日朝交渉の場におきまして我が国としては北朝鮮に対し明確に反論をしてきておるところでありまして、今後ともそういうことはないことをよく理解せしめるよう努力をしてまいりたいと考えております。
○今津委員 こういう問題については国の威信がかかっている問題でありますので、きちっとしていただきたいと思うところであります。
 さて、我が国はこれまで旧ソ連邦に対して九〇年十二月に一億ドルの融資、九一年十月には五億ドルの融資を初めとする二十六億ドルのパッケージ、さらには、本年一月には六十五億円の緊急人道援助を表明しているところであります。
 この六十五億円ですが、六十五億円というのは莫大な金額でありまして、例えば九一年四月のバングラデシュの台風の被害のときには十二億円、また九二年のトルコの地震の際でも数千万円の援助でありますから、この六十五億円というのは大変大きな金額であると思うわけであります。
 一方、午前中から議論のあるところでありますが、我が国は北方領土問題に対しては政経不可分、この形というものを崩していないわけでありまして、今後のロシアに対する支援の問題とこの政経不可分の原則の問題、その両者の関係を政府としては今後どのようにとらえていくお考えでありますか、お聞かせいただきたいと思います。
○渡辺(美)国務大臣 我々は政経不可分の原則というのは依然として堅持をしております。ただ人道的な援助、こういうことにつきましては、国際社会においてソ連がせっかく共産主義を離れて今までの体制とは全く別な民主主義で、自由主義で自由経済に移行しよう、我々と同じような価値観を持っていこうという政府が出現をしたわけでございますので、これが生活難のためにそれをつけ込まれて反動勢力によってまた昔に逆戻りするということはこれは見るに忍びないことで、どうしても西側陣営としてはソ連が逆戻りしないようにてこ入れすることは最小限度必要じゃないかというような話がございまして、我々といたしましてもその点は人道的な立場から、領土問題が未解決であるにせよ、やはり国際社会の一致したソ連支援という共同の作業の中では事情の許す限り協力をしようということで、今まで二十五億ドルの輸銀融資等の信用供与を与えてあったのでございますが、そのほかに、ことしの一月になって私がソ連支援会議に出席をした際に約五千万ドル、六十五億円を無償供与として出しましょうということで奮発をしたわけであります。
 これについてはソ連のエリツィン大統領を初め首脳者に対して、日本としてはこれは実は異例の金額なんですよと。今、今津議員が言ったように、そういう多額の無償援助をやった前例は実はないのであります。したがって、その点は理解をしていただかなければなりませんから、恩着せがましい話ではございませんけれども、真実は知ってもらわなければなりませんので、その事情等は詳しくるる説明をいたしてあります。
 したがって、二国間の倍の本格支援という問題については平和条約が結ばれなければ難しいことも話してありますが、だからといって、現在の政権の地盤が壊れてしまう、それによって軍部や共産主義がもう一遍力を持って人民を弾圧し、力による国内政策、国外政策をやるようなことになったのでは世界の安定と平和のためにもならないというように考えております。したがって、サミット等を通して今後とも議論されることだと思いますけれども、我々としては、国際責任の一端としてそれはできるだけの協力はいたしますと言っているのであります。
 先ほどちょっと私は、輸銀あるいは保険等のクレジットといいますか信用供与について二十五億ドルと言ったかもしれませんが、二十六億ドルでございますので訂正しておきます。
○今津委員 九月十四日、十五日とエリツィン大統領が訪日をされるということが渡辺大臣の御尽力もあり決定をしたわけであります。その両国間の交渉を今後エリツィンさんの訪日に向けていろいろとやるのでありましょうけれども、その九月の訪日に向けて政府としてはどのような北方領土問題に対する姿勢でいくのか、具体的にお聞かせをいただきたいと思います。
○渡辺(美)国務大臣 これは目下交渉中でございますから、具体的内容について公表することは差し控えたいと存じます。ただ、せっかくエリツィン大統領が日本を訪問されるわけですから、やはり一歩前進という形にしなければならないということで、どうすれば余り騒ぎを起こさないで、しかも粛々と着実に前進できるかということについて、今両当局間で作業部会等も開きつつ、両外務大臣の往来によってその足場固めをやっている最中である。抽象論で申しわけありませんが、そのように答えさせていただきます。
○今津委員 交渉事ですから中身を明らかにできないことはよくわかるのですが、しかし国民の側としては、一体我が国としてはどういうことを頭に置きながらロシアと交渉しているんだということはやはり知りたい中身だと私は思うのですね。
 そこで、これもなかなかお答えづらい質問かもしれませんが、最後でありますけれども、一歩前進、こういう成果を図りたい、こう大臣はおっしゃいました。そこで、日ごろ大臣のお話などを伺っておりますと、北方四島の問題については大きく分けると二つあるのです。一つは、北方四島の主権が我が国にあるということをロシアに認めさせることだ、それからもう一つは、そして平和条約を結んでいきたい、こういうことなんです。先方は大変気の長い話をしているわけでありますけれども、我が国はそうはいかないという中で九月十四日、十五日の際、今大臣がおっしゃった一歩前進ということは、この大きな二つのことについて明らかに形として整うといいましょうか、めどがつくといいましょうか足がかりがつくといいましょうか、そこのところは最低確保したいという気持ちで臨んでおられるのかどうか、私はそのように受けとめているわけですが、決意のほどをお伺いしたいと思います。
○渡辺(美)国務大臣 北方四島に対する主権が日本にあることを認めればもう八割終わったようなものでございますから、それは非常に望ましいことで、最大限の努力はいたしますが、そこまでいけるかどうかということについては相手のあることでございますし、我々はそういう方角を何とかして出したいなということでやっておるわけであります。
○今津委員 相手もありますからなかなか明確にはおっしゃることができないのでしょうけれども、少なくとも十四日、十五日の際にそういうことが形として成果が上がるように、外務大臣渡辺先生は力のある、しかも人徳のある方でありますからきっとこの姿勢は相手国にわかっていただける、私はこういう期待をしながら、質問を終わらせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
○中山委員長 渡部一郎君。
○渡部(一)委員 外務大臣をお迎えいたしまして、我が国の安全保障に関する部分についての質問をさせていただきたいと存じます。懸案事項が大変たくさんございますので、いろいろとお尋ねしたいと存じます。
 まず第一に、CISと核防条約について伺いたいと存じます。
 御承知のように、核拡散防止条約は、ある意味でその機能を果たし、ある意味で不平等条約として世界の非難を浴びる状況の中で、これを延長する打ち合わせがこれから始まろうとしているわけでございますが、外務大臣も御自分でCISのカザフでございますか、行かれまして、核防条約に参加するように、それも非核保有国として参加するようにとおっしゃってこられたと新聞報道で拝見しているわけであります。
 私どもの関心も、CISの国々が相互安全保障協定を結んで全部団結するのかと思っておりましたら、六カ国だけが結束する、ソ連の核兵器の権利についてはロシア連邦共和国が確保する、この辺はわかるのですけれども、あと情報がよくわからない。ウクライナが持つのか持たぬのか、カザフ共和国は核兵器を大変たくさん持っているから持っている間は核保有国だなんという声明を新聞で拝見すると、一体何だかさっぱりわからないわけであります。もちろん我が国としては、世界としては核保有国が少ないのにこしたことはないのであって、この辺の見通しをお聞かせいただくと同時に、我が国の立場を鮮明にしていただきたいと存じます。
○渡辺(美)国務大臣 CISの中でも、ウクライナとかカザフというのは核を持ったというか置いてある国である。先ほども話をいたしましたが、カザフは、非核国としてNPTに参加をしろと言われても、好むと好まざるとにかかわらず現に自分のところに核があるんだ、これは自分が好きで持ったわけではないんだ、もともと置かされたんだ、だからそれをすぐ撤去しろと言われても時間のかかる話だから、とりあえずは核を持った国として参加したいというようなことを言っておりました。我々はそれに対して、それは核が置いてあっても、自分がそれを管理し、さわっていなければ非核国家として参加できるんだから、そういう形で参加してはいかがですか、核を持っているということは維持管理だけでも大変でしょう、我々はその核の一元的管理、ロシアによるところの一元的管理ということを常に言っているのですと。そういうことに対して相手国は、それは統一軍が管理をしているんだから、そういう意味では一元的管理だ。私の方が、それならば非核国家として参加できるんじゃないですかと言うとそこのところがあいまいなわけであって、先ほども言ったように自分が核のボタンを持つということは、核を発射させないために持つんだから非常にいいことなんだというようなことも言うわけです。
 それで、アメリカに行ってブッシュ大統領に会って何を言ったかということはまだよく確認をしておりませんが、STARTには署名をするというようなことを言っておりますが、非核国家として参加するかどうかということについてはいまだ明らかでないように我々は思っております。したがって、今後も交渉は継続されるのではなかろうかと存じます。我々は説得をしていきたいと考えています。
○渡部(一)委員 ウクライナについてはどういうことになっておりますか。
○兵藤政府委員 ウクライナ及び白ロシアにつきましては、一九九一年十二月二十一日、アルマアタにおいて署名されました核兵器に対する共同措置に関する協定というものがございますけれども、その中の第五条第一項に「ベラルーシ共和国及びウクライナは、一九六八年、核兵器不拡散に関する条約に非核保有国として加入し、関連する保障協定をIAEAと締結する義務を負う。」こういう条項が入っていて、両国とも署名をいたしておりますので、私どもは明確になっていると考えております。
 カザフスタンにつきましては、ただいま外務大臣から御報告申し上げたとおりでございます。
○渡部(一)委員 そういたしますと、ロシアとウクライナの間で黒海艦隊を二分する交渉をしておられる御様子でございますが、黒海艦隊は非核保有艦隊ではなく、核を持ち得る艦隊、実際あるかどうかはわかりませんけれども核を所有し得る艦隊と伺っているところを見ますと、この交渉は奇妙な感じがするわけであります。つまり、核部分を全部渡すとしますと、黒海艦隊のほとんどは当然のこととしてロシア側のものになるはずのものでありますが、その辺のところはどう認識しておられるのですか。
○兵藤政府委員 おっしゃるとおり黒海艦隊の帰属問題は、今ウクライナとロシア連邦との間の大変深刻な問題になっております。まだ決着がついてございません。その中の一つの議論は、まさに今渡部先生御指摘の核という問題の取り扱いをめぐるいろいろな応酬であると私ども承知をいたしております。一時は、黒海艦隊を戦略軍としての構成部分とそうでない部分というふうに分けようという話があり、一時そういう方向で動くかに見えたこともございましたけれども、しかし海軍のプロの方の意見として、そもそも、黒海のみならず黒海を超えて大洋艦隊として育て上げられ、構成されているこの黒海艦隊をそういうふうに分けることは技術的に到底できないという意見がまた出てまいりまして、その考え方は今途中でとんざしているというふうに私は聞いておりますけれども、この問題についてはまだ決着がついていない、引き続き協議中であるというふうに承知をいたしております。
○渡部(一)委員 それに加えまして、北朝鮮の核保有の問題で我が国が日朝交渉という形で粘り強く交渉されているのは新聞等を通じて理解しているところでございますが、現在どこまでいっておられるのか。私どもの知るところでは、当初においては核兵器は持っていない、核兵器に関する開発はしていないということでございましたけれども、だんだんと交渉が進むにつれて、そうではなくてプルトニウムも実はつくっておった、放射能化学兵器研究所あるいは工場を所持していた、あるいは最近に至っては、核ミサイルの研究開発ももうすぐ完成に達するのであって途中までできておるというふうに報道されておりますが、こうした報道については外務省として、あるいは防衛庁としてどういうふうに認識をしておられるか承りたいと存じます。そして、それに対してどういう態度をとるかということになるわけでございますが、よろしくお願いします。
○谷野政府委員 先生もお話しになりましたように北朝鮮の核開発の問題は、我が国はもとより、これに関心を寄せる国際社会が非常に強い懸念を北朝鮮に表明し続けてまいりました。そういうこともございまして、最近、私は一定の前向きの動きが出てきておると思います。北朝鮮側からもいろいろなニュースが流れてくるようになりました。しかしながら、御案内のように肝心のIAEAによる査察自体がまだ実施されておりません。また、非核化共同宣言というのが南北でございましたけれども、これに定める相互査察、この実証の方法につきましても現段階ではまだ合意に至っておらないということでございまして、したがいまして、事実関係が確認されておらない部分がまだまだ多いということでございます。したがいまして、私どもは先般の第七回の交渉の場におきましても、IAEAによる査察等を通じましてそのようなことが明らかにされていくことが望ましい、そして、北朝鮮をめぐるこのような疑惑が晴らされることが日朝正常化へ大きく事を、いい環境をつくるゆえんであるということを先方にるる申し上げた次第でございます。
 ただいまのところ、一番私どもあるいは国際社会が関心を持っておりますのは、ただいまお話があったと思いますけれども、北朝鮮から流れてくるいろいろなレポートの中で、問題の寧辺におきましてプルトニウムの分離の研究等のための放射化学実験施設、これを建設中であるということを初めて先方北朝鮮側は明らかにいたしました。そして、これもそのように第七回の交渉の場におきまして、北朝鮮側は少量のプルトニウムの分離に成功したという話がございました。他方、米国の方は、CIAの長官は、既に累次に及んで米国の下院軍事委員会等で、北朝鮮側は外部からの助言を得ることなく核兵器に使用できる品位の核物質を生産し得るインフラストラクチャーを建設しつつある、寧辺には二つの原子炉があり云々、特に問題の核再処理施設は完成間近である、こう言っておるわけでございます。
 したがいまして、今般、北朝鮮が研究いたしておりますこの放射化学実験施設なるものとCIA長官が述べております核再処理施設、この辺が一体どういう関係になるのか、私ども大変関心を持っておるところでございまして、いずれにいたしましても、このようなことも含めて、いずれ来るべき、六月にも始まると言われておりますけれども、IAEAの査察を通じて逐次明らかになっていくことを私ども非常に強く期待しておるところでございます。
○渡部(一)委員 防衛庁に伺いますが、核兵器を搭載するために必要なミサイルの研究が北朝鮮側では大変一生懸命行われておる。近々その完成期を迎えるというような報道がございますが、これに対してはどういう情報を持ち、どういうふうに確認しておられますか。
○畠山政府委員 ただいまの御質問の件につきまして私どもとして独自の情報を特に持っているわけではございませんで、ただいま担当の外務省の局長から申し上げましたような情報を外務省から得ているということでございまして、私ども国の安全を確保するという立場からいたしますと、その辺の動きについて重大な関心を持って注視をしているということでございます。
○渡部(一)委員 本来敵対国家でない、つまり友好国家であり、二足の交流がある国家に対してはそれほど厳格に考えなくてもいいのかもしれませんし、今、日朝交渉も真っ最中でございますから、私たちは両面にわたって気をつけなきゃならぬ点を含んでおる。こうした不愉快な出来事、と申しますのは、核防条約に入っておりながら核防条約を無視するような行動をとる国に対してその政治的責任を問い、そして安全な、おつき合いできる基本的プリンシプルを打ち立てるという面は断固として譲ってはならない。その交渉を、第一党と第二党の偉い人が行ったからというのでとんとん拍子に慌てて交渉するなどということは許されない。それは国民に対する背信行為であると同時に、ふざけた政治行動であるとしか私は言えないのであります。それと同時に、今度は逆に、それがあるからといってその問題だけで全体の我が国の平和外交のための努力というものをなおざりにして捨ててしまってもならない。ここは難しいところだと思うのです。
 特に後者の方に関して申しますならば、私が心配しているのはそのIAEAの手による査察なのであります。その疑惑の施設を査察しても核物質が発見されない、隠されてしまっておるということになりますと、IAEAとしては、伺うところによりますと、これは他のところを探して歩くとか、国じゅうのぞいて歩くというぐあいにはいかない。つまり、単なる疑惑だけで安保理決議で強制調査をするということは国際法上に大変無理がある。
 その無理を押し切ってやった例は、先日の湾岸戦争の敗戦後のイラクの場合には、第九次の国連合同査察委員会が全関連施設を急襲すると同様に急襲して四万ページにわたる証拠書類を巻き上げてきた、そしてその上でアル・アシールの原子炉施設を爆破した。ここまでやったんだけれども、それにもかかわらず想像されていた濃縮ウランの
四キロというものはどこかへ行ってしまったといまだに大騒動になっている。こういうことを見てみると、一方ではイラクの国内に反国連、反IAEAの気分が濃厚に存在することは間違いないし、逆にIAEAの手をかいくぐるテクニックがここで明瞭に教えられたと見ることもできるわけであって、IAEAというのは決して切り札ではない。ジョーカーではない。IAEAにおける査察というものは、一つの国際世論の刺激のテクニックではあったとしてもいい手ではない。ここを私は大変心配をいたしておるわけであります。
 そういたしますと、この交渉は粘り強くやっても落ちどころがない。こちらは疑わしいと言う、こちらは疑わしくないと言う、じゃIAEA呼んでこいと言う、IAEAが行った、そしてIAEAは見つけられなかった。じゃ、どうするんだ。まだどこかに隠してあるはずだ、この前人工衛星からのぞいたよ、それならおまえが見たのか、いやアメリカ軍からのぞかせてもらったなどというような陳腐な交渉になるおそれがある。私は、その意味では交渉のスタイルが余り賢明ではないのではないか、ここのところをどうお考えになっておられるか伺うわけであります。
○谷野政府委員 確かに先生ただいま仰せのように、IAEAの査察の仕組みというものが今まで十分なものでないというのは、ほかならぬIAEAの側におきましてそういう深刻な思いがございます。そこで日本等が音頭をとりまして、イニシアチブをとって、これをより完全なものにしなければならないということで作業が始まっておりますが、他方、主権国家を相手にするわけですからなかなか難しい面があるということのようでございます。したがいまして、確かにIAEAの査察はそういう前提で考えなければいけませんけれども、しかしながら、六月になりますか七月になりますか、専門家がチームを派遣して恐らく一定の結論を出されるのだと思います。その専門家の確かな目を通じた結論をまずは待ちたいということが第一点でございます。
 しかしながら、これは先般の先方との交渉の場でも提起いたしましたけれども、それとともに私どもはこれを大きく補完する道は、南北の場で、南北の間において相互査察というのを一応約束して、一体これをどういうふうに進めるかということで今細目を詰めておるわけでございますけれども、韓国側はこれについて強制力を持たせたい。今イラクのお話がございましたが、イラクの場合は確かに安保理の決議というものがあって初めてできたわけでございますけれども、あのような強制力を持ったものにしたいという非常に強い立場のようでございます。そうすると北朝鮮がこれにどう対応するかという問題がございますものの、仮に韓国のそういう主張が取り入れられるとすれば、それはそれでIAEAの仕組みの弱い部分を南北の相互査察で補い得るということになると思います。
 したがいまして、両様の進展ぐあいを私どもは注意深く見守っていきたい。いずれにいたしましても、その部分を不明確にしたまま日朝が先に進むというのは、これはほかならぬ国会のお許しを得られませんでしょうから、そこはしっかりした立場で臨みたいと思っております。
○渡部(一)委員 大臣にもっとややこしいことを一つ伺いたいと思います。
 IAEAの核査察というのは核物質が軍事転用されないための安全保障という意味であるのだそうでございますが、計量管理とか核物質の放射線測定とか、無人カメラとか機材の封印とか、技術的には大変うまくいっておる。ところが、これはアメリカの専門家たちが開発したシステムでございますが、当初から日本とドイツの核武装を阻止するためのテクニックとしてつくられたものであった。この所期の目的のために、査察官二百名、年間予算七千万ドルの三分の二以上が日本、ドイツ、カナダに対する査察業務として行われているわけであります。つまり、ほかの国の方はともかくとして日本とドイツは、いつプルトニウムをかすめて、ウラニウムをかすめて核兵器をつくるかわからぬという疑心暗鬼にこたえるためのIAEAの核査察であった。したがって、ほかの区域に対するところの核査察は非常に科学的レベルの低いものに対する核査察、つまりウラニウムを洗っているだけでも、ちょっと持っているだけでも捕まる程度のものを予測してできておる。
 したがって、核査察それ自体を直す必要がある。要するに、日本とドイツばかり調べるなんてもってのほかである。しかも、最近に至っては米軍の将校が、将校と言っておきますが、日本がもし核武装したらアメリカとしては直ちに核攻撃を加えて粉砕するなどというヨタが新聞に掲載されてくる。私はそれを見ておりますと、核査察という問題全体に対して、日本は世界に冠たる非核保有国で、しかも核防条約の忠実な実践者としている以上、日本の外交の大きな柱として、核査察問題についてはやり方を直してくれ、こういうふうにしようではないかという提案をするにふさわしい国家ではないか。
 国連外交について私は痛感することでありますが、向こうから言われたことを論議して返事するだけの国連外交なんというのは存在しない。日本語で言うなら仕掛けて、仕掛けて、仕掛けていく。そしていいことを言い続けていったときに初めて国際信用は増すものであると思うわけでありまして、その意味で最近のPKO審議なんかを見ると慨嘆にたえないのでございますが、私はその意味で、世界の核防体制というものほかくあるべしと直すために我が国外務省は汗をかいて、関係省庁とも打ち合わせをして戦略を立て直す努力をするべきだと思いますが、いかがですか。
○丹波政府委員 NPT、IAEA体制の問題でございますので、私から答弁させていただきたいと思います。
 先生が今おっしゃった国連外交に対する日本のあるべき姿勢というのは、基本的にはおっしゃるとおりだと思います。今のIAEAの問題について申し上げれば、先生が御指摘になられた問題点、つまりIAEA自体は、人的な側面、それから財政的な側面でいろいろ問題を抱えております。そういう状況の中で、日本とかドイツとか核武装ということはおよそ考えられない国は実は平和利用活動が多いものですから、そこに非常に人的あるいは財政的な資源が注がれてしまっていてちょっとおかしいじゃないかという議論は先生おっしゃるとおりで、そういう意見が既に出てきております。私たちもそういう意見は知っておるわけです。
 先ほどから触れておられます例えばIAEAの特別査察制度の強化の問題、これにつきましては、先生も御記憶と思いますけれども、昨年五月の京都におきます軍縮会議でまさに海部総理がこの問題提起を演説の中でされて、そのフォローアップがことしできたということにも見られますとおり、ささやかなあれかもしれませんけれども、日本政府としても、先生の御助言その他いろいろお助けをいただきながら努力してきているつもりでございまして、今後ともこういう側面でできるだけの努力はしたいと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
○渡部(一)委員 では次に、地球環境に関するサミットにつきまして。
 ブラジル会議の直前で、今いろいろな交渉が行われているようでございますが、ブッシュさんは、九日に国連で交渉が難航していた地球温暖化防止条約についてようやくにしてまとまったことを背景にして、六月の地球サミットに出席すると表明されたようでございます。ところが、温暖化の原因になる二酸化炭素を二五%ずつ排出し続けているのはアメリカであります。そのアメリカが、総量規制を義務として受け入れることを経済に悪影響を及ぼすという言い方で猛烈に抵抗して、場合によっては行かないよというので実際的に環境サミットを破壊するまでの圧力を加えたというのは、我々の強い不愉快とするところであります。これに対してアメリカ国内でも環境団体から、アメリカの電力、石油、石炭、自動車の産業保護を考えて条約を骨抜きにしたという論争まで始まっているようであります。
 私は、こうなった事由が大統領選挙にひどく影響があるのはわかっているわけでございますけれども、最大の友好国であると自負しておる我が国が、ブッシュさん、あなたのやっていることは少しおかしいんじゃないの、それならばひとつここのところは何とかすべきではなかったのと、総理、外務大臣からブッシュさんをたしなめる動きがなければならなかったのではなかろうか、こう思うわけであります。ひげそりのためのフロンガスばかりを整理するのに熱中していたアメリカ、それに同調するだけ元気な日本、ところが炭酸ガスになると一遍に腰を抜かして、何一つ批判をし提言をしない日本などというものは外交としてみっともないのではないかと思うのでございますが、御見識を承りたいと存じます。
○渡辺(美)国務大臣 せっかく世界で地球温暖化防止を中心としたサミットをやろうというときにアメリカが参加しないということでは、それは何のためにやるかわからない。地球の四分の一近い排気ガスを年間にアメリカは排出している、こう言われておるわけです。今不況のどん底といいますか、不況からまさにはい上がろうというやさきに、アメリカとしてはエネルギーを消費しないで経済成長というのはなかなか難しい。九〇年の水準にとどめるというようなことになったのではとてもこれは参加をしない。日本も九〇年にとどめるということだけであるならばアメリカの方がもっとやりやすいわけですから、今まで出しっ放しみたいな話だから、こちらはかなり規制しているのだからこれは不平等になるといういろいろな思惑がございましょう。
 しかしながら、何とかアメリカに参加してもらうということで、あのように二〇〇〇年で九〇年代のところに戻すとははっきり言っていないのだけれども、そういうようなことで、今すぐ結論は出せないが今後ともそういう趣旨に沿ってやろうというところまで来ておるので、はっきりしたことは書いてありませんが、いろいろと説得をした結果アメリカも参加するということになったので、これを出発点に今後やっていくということが現実的なことではないかな、そう私は思っております。
○渡部(一)委員 話題を少し変えましょうか。じゃ、少し目の覚めるような質問をしましょう。沖縄の話に移りたいと存じます。
 沖縄県の一番南のところに与那国という島がございます。その島は台湾と接しているところにあるわけでございますが、この与那国空港への着陸はVFRで行っていると聞いておりますが、事実でしょうか。IFRによる着陸はできるのでしょうか。つまり、何を言っているかというと、目で見なければ着陸できないのだと言われておるのです。計器は持っているらしいのですが、なぜわざわざ目で見て飛行機が着陸するのだ、地元では大変不満がございまして、まずお尋ねをいたします。第二弾は外交問題になります。
○小田原説明員 ただいまの先生の御答弁に対しましては、与那国空港におきます飛行機の飛び方でございますが、計器飛行方式、つまり、パイロットが計器に頼って管制の指示に従って飛ぶという計器飛行方式が設定されておりまして、計器飛行方式によります運航は可能でございます。定期便は計器飛行方式によりまして運航しているところでございますけれども、定期便以外の小型機につきましては、有視界飛行方式によりまして任意の飛行経路と高度を選択して飛行するケースが多いのであります。
○渡部(一)委員 時間を使わないようにさっさと出てきてください。
 次に、与那国空港のビーコンは頻繁に停波するためVFRで飛ばざるを得ないと聞くが、事実でしょうか。これは台湾に気兼ねして運輸省が停波させているのではないか、運輸省は台湾の軍隊の方に気兼ねしてビーコンの波を出さない、そしてまたIFRも、気兼ねして使うとだめだといううわさが現地に広がっているわけであります。どうぞ。
○小田原説明員 与那国空港のNDBが停波しましたのは、平成三年度では二回だけございました。その原因は、機器の障害によりますものと定期的な点検によるものでございまして、台湾との関係において停波させることはありません。なお、定期的な点検により停波させます場合には、航空機の運航に支障を及ぼさないように運航者と事前に調整、周知の上、停波しているところでございます。
○渡部(一)委員 聞いておられる諸君は、私がひどく変な質問をしておるだろうと思うのです。だんだんすごくなりますから……。
 台湾の防空識別圏というのがあるのですが、この防空識別圏が与那国の真上を通っておる。こんな異常な、我が国の領土の上に識別圏があるなんということは、残念ながら今度自分でのぞきに行くまで私はわかりませんでした。識別圏があるものだから、そこでビーコンを出そうが、あるいは計器飛行をやらせるにせよ気兼ねするのが当たり前。気兼ねするということは逆に言うとどういうことかというと、ふだんからやらない。平成三年に至ってはもうほとんどビーコンも出さなければ何もしないという形で、停波しないと言っているのであります。こんな属国みたいなやり方をいつからやっておるのか。私は血の気が多い方ですからかっときたわけであります。
 台湾側のADIZ、これはアディスと言うのでありますが、防空識別圏に進入しなければ着陸できないのか、一体どうなっているんだと伺いましたら、方角がございまして、識別圏がございましてこっちが台湾側だといたしますと、島がありますと、ぐるっと回ってこっちからでないと着陸できないのです。つまり防空識別圏を侵さないと入れない。したがって、現地の与那国可及び与那国空港において伺いましたところが、台湾側から軍隊のスクランブルをしばしば受けておる、こういう話も伺ったのであります。こういうことは事実でありますか事実でないのですか、伺います。
○小田原説明員 与那国空港におきましては、台湾側の防空識別圏、ADIZですが、これが島の中央に位置しておりますことから、その離着陸は台湾側の防空識別圏内を飛行することとなります。また、沖縄返還直後におきましては台湾軍によりますスクランブルを受けたということも聞いておりますけれども、近年ではそのような報告は全く受けておりません。
○渡部(一)委員 防衛庁はこの事実を知っておられるのですか。これは、運輸当局と運輸当局の間はどうやら連絡をしたり、あるいは飛行計画を連絡しているかのごとくであります。ところが軍隊同士は連絡していない。したがってスクランブルするのも自由だし、スクランブルしないのも自由であるという状況にあるのではないのですか。これは、無協約状況の中において我が国国民の権益が侵されている状況と言って差し支えないのではないか。防衛庁はどう認識しておられるのかを伺いたい。
○畠山政府委員 与那国空港に発着する航空機に対します台湾軍用機によりますスクランブルという御指摘でございますけれども、航空自衛隊の宮古島にありますレーダーサイトからの警戒監視レーダーによりますと、そのようなことは行われていないというふうに承知いたしているところでございます。(渡部(一)委員「運輸省はやっていると言ったじゃありませんか」と呼ぶ)それは沖縄復帰直後には多少はあったであろうけれども、現在はないであろうどいうことを運輸省の人は述べたわけでございまして、現在、我々の航空自衛隊の警戒監視レーダーから把握するところでは、そういう台湾軍用機によるスクランブルは行われていないというふうに聞いております。
○渡部(一)委員 私は最近どうだと聞いたんじゃないんですよ。復帰の時点にさかのぼって返事をした運輸省の答弁の方がずっと正直じゃないか。あなたのは不正直ですよ。しかも、私が両方の防衛担当はちゃんとコンタクトしているのかと聞いたのに対してあなたは何にも言わないじゃないですか。都合の悪いことは答弁しないようなやり方
はいかぬ。
○畠山政府委員 両当事者で協議をしているかという御質問でございますけれども、御指摘のとおり、この件について協議を一切行っていないということでございます。
○渡部(一)委員 我が国の民間航空機が他国の防空識別圏と称するところに入っているのを我が国は認めているのか、認めていないのか。甚だ不愉快です。わからないですね、これは。現地ではどういうことを言われているかというと、防空識別圏を昔、台湾も沖縄も両方米軍がコントロールしていた時代は頭の上に防空識別圏があったとしても我々としてはわからなかった、それで支障もなかった。だけれども、日中国交正常化交渉が行われた後、台湾側との間で日本政府は一定の理解をつけていただいているのかと思ったらそうでもない、こういうことであっては我々は一体どこを頼ったらいいんですか、こう言っているわけです。これについて運輸省もほうりっ放しだし、防衛庁に至っては今のとおりの始末だし、外務省は一体交渉しておられるのかどうかもわからないし、現地は甚だ不満に思っているわけです。どうぞどこかから御答弁いただきたい。
○小田原説明員 スクランブルの件につきましては先ほど説明申し上げましたけれども、なお民間航空の安全という面から、与那国空港に離着陸します航空機につきましては国際民間航空条約の規定に基づきまして、計器飛行方式または有視界飛行方式のいかんを問わず、飛行計画を台湾当局にも通報しているところでございます。さらに、計器飛行方式により運航しますところの定期便につきましては、我が国の那覇航空交通管制部と台湾の台北管制部との間で、飛行の都度、専用回線によりましてあらかじめ密接な打ち合わせを行いまして業務を実施いたしております。
 今後とも航空の安全運航を確保するということから、台湾の管制当局とも円滑な連携をとりながら安全を図ってまいりたいというふうに考えております。
○渡部(一)委員 それは言うばかりだよ。今からこれをするという決意であることは了承するとしても、そういうことが円滑に行われているとはうかがえない。現地の担当者たちに聞くと、名前を言うことはできないので申しわけないけれども、向こう側へ通報しても、ADIZの中に、向こうに進入する場合向こうから返事がない、向こうは防空識別圏の中なんですから、人のところへ勝手に飛んでくるわけなんだから返事がない。返事のないところを飛ぶときに計器飛行なんかをやっていると問題が起こる、だから計器飛行はなるべくやめて目でやる飛行に切りかえる、ビーコンはなるべく使わないようにする、こういう配慮がなければ着陸できないと言っているのであります。現地は霧、もやその他が大発生するところで流れのひどいところですから、計器飛行で着陸できないなんという状況をほっておくというのはもってのほかであって、これは早いところ正式の外交交渉に上げて一定の理解を得るようにする、終局的には。防衛識別圏が我が国の頭の上を通っているなんという、そんなおかしな話を何年放置してきたのかなと思うのです。
 現地では言っているらしいのです。言っているらしいけれども返事がないというのです。運輸省にも言ったことがあるというのです。ところが何にも返事がない。この返事がないというのが最悪ですね。だから沖縄のこの辺の方々に言わせると、日本政府は返事をしてくれない、ノー・レスポンスである、こういう最悪の陳情を私は受けましたのでそれを申し上げておきたい。早急に交渉してこれについて理解を求めるとともに防空識別の筋を移していただいて、我が国の飛行機が着陸するくらい、何十キロも延びるわけじゃないんだし台湾との間にまだ百キロ余裕があるんですから、真ん中に筋を引くくらいの交渉はそう難しいことではなかろうと思うのです。ぜひやっていただきたいと思いますが、いかがでございますか。
○渡辺(美)国務大臣 不肖にして私つまびらかでなかったものですから、今そういう事情を聞きまして、事実関係を確認の上善処をしたいと考えます。
○渡部(一)委員 まことにありがたいと存じます。もう本当に僕はこの話を沖縄県の与那国で聞かされたとき、弁明することができませんでした。
 次に港についてでございますが、これも安全保障上の問題とちょっと絡みますので、海上保安庁にお答えをいただきたいのでございます。
 与那国、石垣の方は現在、三角貿易と申しまして、台湾の船が何百隻もやってきまして形式上一遍日本へ入国する、そこへ仮泊してから天津とかその他の方へもう一回行く、こういう中継基地みたいな格好になっているんだそうでございます。ところがこの逆も成立しておりまして、これらの船が実は石垣あるいは与那国に接岸ができないのであります。入域のための判こを押して料金を取るというところは取れる。しかし、水を揚げるとか野菜の売り買いをするとかその他したいんだけれども取れない。いわんや寄って一杯飲んでいくなんということは全然できない。港の設備も悪うございまして、与那国の方では今二千トンのバースをつくっている途中で、まだあと五年くらいかかるんだそうです。石垣に至りましては、五千トンのバースがあるんですけれども途中がぶつかるようになっておる、ひどく細く掘ってありまして入れない。これは港のつくり方が悪い。港のつくり方が悪いのは外交問題ではないですね。だけれども、事実上そういう形で外に道を開かないぞ、開港しないぞと言わんばかりのやり方になっている。現地の方は、昔だったらこういう船は全部くっついてくれて、水を揚げたって野菜を揚げたって何を揚げたってこっちのもうけになるのにもうけにならぬと叫んでいるわけです。
 そこへ持ってきて、入国管理の事務所はかろうじてあるのですけれども植物防疫所と動物検疫所がない。植物防疫所と動物検疫所がないので、これらの人々はどうしても何か入れるという場合は宮古あたりから飛行機に乗って駆けつけてくる。係官がいないのでコンタクトできないという何ともかんとも言いがたい状況になっておる。じゃ、こっちから物を売るくらいは簡単にできるかといったら検疫官がいない。人が病気になったら大変なのでそんなことは許さぬ。だから各省庁の悪いところが全部出ておって、つまり、みすみす何百隻の船が目の前を流れていくのを地元の人はじっと見ていなきゃならぬ、こういうことなのであります。ほかにもたくさんございますが、この問題は少し何とかしていただけないかと思いますが、いかがでございますか。
○野崎説明員 ただいま先生の御質問になりました海域でございますが、これは当庁では第十一管区海上保安本部というところが管轄してございます。この地域に那覇市に管区本部、それから石垣市に海上保安部、名護市、中城村、平良市にそれぞれ保安署がございます。さらに那覇市、石垣市にはそれぞれ航空基地が設置されておりまして、これらの部署に配備されている巡視船艇、これは当庁で言いますところの大型ヘリ搭載型巡視艇をも含めまして十四隻、それからヘリコプター等航空機八機がございます。これらを中心に必要に応じて他管区からの応援派遣等を受けまして、これら南西諸島海域における取り締まり業務に現在万全を期しておるというところでございます。
○渡部(一)委員 時間がないので最後の一問に突っ込んでちょっと申し上げますが、大臣、聞いておいていただきたいと思うのです。
 実は、ここの海域は昔から海賊が発生しやすいところです。それで、交易をしたいのはしたいのですけれども、最近に至って猛烈な高速のモーターボートでもって来る密漁船あるいは密輸船、はっきり言うと、ちょっと心配なのは先日から麻薬の運搬船、それから中国でつくられたとおぼしい星のついたピストルの密輸ルートになりかかっているのだそうでございます。ところが我が海上保安庁は、どういうわけだか知りませんけれどもこの与那国という一番先端のところに船をしょっちゅうやらないんだ。ほとんど停泊したことがない、すぐ帰ってしまう。もっと北の方にある那覇のあたりにはいるけれども、やってこないんですね。海上保安庁の方は人手が足らないとか船が足らないとも言っているけれども、実質的に何か騒動が起こったときに追いかける能力がない。大体のろいのですね。それからヘリコプターがほとんどないという状況にあるわけで、現地の住民は心配をし始めているわけであります。
 したがって、与那国島には海上保安庁の巡視船はしょっちゅう一台や二台いてもらいたいし、船も座っていてもらいたいと要望しているわけでございます。つまり、警察官のいない町が国境線にあるのと同じ状況にあるわけでありまして、しかも、高速モーターボートの発達によってお互いの船の出入りがひどくあるものですから心配が重なっている。私は日本の官庁の能力は信じてはおりますけれども、こういう国境線のところで、先ほど申し上げました「何を言っても中央は返事をしない」という言葉であらわれておりますように、もう運輸省も外務省も、ひとつ外務省が先鋒に立って、防衛庁も農林省も厚生省もみんな引き連れて現地を視察していただき、こうした諸問題を解決していただけないかと私は思うのでございますが、いかがでございますか。
○渡辺(美)国務大臣 このことも私は初めて聞いた話であって、恥ずかしいといえば恥ずかしいのですが、よく関係各省と事実関係を確認し、協議の上できるだけの善処をしてまいります。
○渡部(一)委員 ありがとうございました。
○中山委員長 次に、東中光雄君。
○東中委員 質問時間が極めて限られておりますので、簡潔にお願いしたいのです。
 渡辺外務大臣は三月二十二日夕方、カンボジアのフン・セン首相と都内のホテルで一時間半会談をした、そしてフン・セン氏はUNTAC活動へ日本の自衛隊を派遣するように強く要請をしたということが報道されておりますが、フン・セン氏はどういう資格で、なぜ日本の自衛隊の派遣を要請してきたのでしょうか。一時間半会談されましたので、御趣旨を明らかにしてほしい。
○渡辺(美)国務大臣 フン・センさんは私は友人ですから、要するに、PKOに参加をして日本もひとつぜひ国際貢献の協力をしてもらいたいと言うことがあっても少しも不思議はない、そう思っております。それはシアヌーク殿下その他の方も、カンボジアを訪れた人たちに対して似たようなことを言っておるんです。カンボジアでは特に拒否反応というのはないんですね。ほかの国はみんな賠償を払ったりいろいろなことがあるのですが、カンボジアでは賠償は放棄して、払ってないんですね、日本は。聞いてみると、あそこは駐屯したことはあるが、フランスの軍隊に対しては余りいい感情を持っておらなかった。しかしながら、日本に対しては大変いい感情を持っておるというのは事実のようであります。したがって、そういう過去の歴史上の問題もあって、自衛隊に、日本の軍隊に対する悪い感情は持っていないというところから来ているのだろうと思います。
○東中委員 その会談があったときに、これはニューヨーク二十四日発の朝日の記事ですが、「国連筋は二十三日、「通常の手続きから外れた、きわめて異例なケース」との見解」「PKO派遣の主体は国連であり、受け入れ国が、直接派遣国に要請するのはきわめて異例のケースだ。」というふうに言っています。
 そして、単なる受け入れ国ではないわけです。フン・セン氏はカンボジアにおけるカンボジアの武力紛争の当事者の一派を代表する人ですね。国連事務総長の報告を見ますと、フン・セン氏の派はカンボジア人民党というふうに表示をしています。その軍隊はカンボジア人民軍というふうに言っておるそれの代表的な人である。そのほかに民主カンボジア党というふうに表示している当事者があります。それはポル・ポト派です。その部隊は、あの国連事務総長報告に民主カンボジア国民軍というふうに書いています。そのほかソン・サン、シアヌーク、いずれも国民軍とか自由軍とかいろいろ言っておりますが、こういう四派があるんですよ。それが武力紛争の当事者でしょう。それが停戦協定を結んだんでしょう。そのうちの一人が、そこへ国連が派遣するということになって四派が派遣を受け入れたというので、ポル・ポト派それからフン・セン派といいますか、この争いが現実にあるわけですから、武力的な紛争もあるというときに、その受け入れ国側の武力紛争の当事者の代表が今度は国連派遣国にもなっていない、国連から正式に要請も来ていない日本へ来て日本の自衛隊を出してくれ、こんな要請をするというのは、これは全く異例も異例、極めて不可解なことなんです。
 ところが、これは単に不可解であるだけでなくて、このことについて今川大使が、これは三月二十六日の朝日の記事ですが、こういうことを言っていますね。「国連カンボジア暫定行政機構(UNTAC)の活動が成功するかどうかの一つのかぎは、ポル・ポト派幹部で、パリ和平協定に否定的立場をとり、独自に軍事攻勢を強めている強硬派のタ・モック司令官派(約六千人一の動きにある」というふうに今川大使は指摘をした。プノンペン政府のフン・セン氏が「自衛隊派遣を要請した背景にもタ・モック派への懸念がある」と思われる。「フン・セン首相らには、自衛隊の参加によってUNTACの権威を高め、同派への抑止力を強めたい」要するにタ・モック派への「抑止力を強めたい考えがある、と指摘した。」「コンポントム州に出てUNTACを攻撃したりしているのは、北部のタイ国境に多いタ・モック派だ。」彼らはポル・ポト派の重要な幹部です。「彼らはUNTACが活動できなくなるようにすることで、パリ和平協定の枠組みを壊そうとしており、心配だ」と今川大使が述べたとかぎ括弧つきで書いています。
 そういう背景で、要するにポル・ポト派と争いになっている、そこへ日本の自衛隊を入れてというふうなことを考えているとしたら、これはもう言語道断でしょう。そういうものじゃないんじゃないかと私は思うのです。だから、外相が友人として話をされるのはそれはいいですけれども、副総理・外相として向こうのフン・セン首相だということで、実は武力紛争の一つの当事者の代表にしかすぎない人とまともに話をするのは私はどうも理解しがたいことだと思うのですが、そういう点でどう思われますか。
○渡辺(美)国務大臣 それは外務省に来て公式会談を持ったわけでもありませんし、アメリカに行く途中で日本においでになって、それで私がホテルでお会いしたということは事実なんです。それから、それは希望を言っているだけであって、UNTACとして要請したわけでも何でもないこともそれも事実。それから各党がみんなカンボジアに参りますが、シアヌーク殿下も同じことを言っていますよ。その他の人も言っていますよ。しかし、それは日本が決めることで、我々はそれは同意するという意味だととればいいんです。ですから、それは当然にその他の派はどうなのかということは理屈の上ではあると思いますが、これが仮に国連が要請ということになれば、当事者であるところのあそこの暫定機構のSNCから同意をもらうという手続は当然とることになるでしょう。
○東中委員 要するにあれは、日本の自衛隊を派遣するということになれば同意するということを公式のものではなくて言うたにすぎないのだ、そういうふうに理解するものだ、こういうことでございますね、今言われたのは。そういうふうに受け取ってよろしゅうございますか。
○渡辺(美)国務大臣 それは、あなたの方から一派だけがそういうことを言うことはおかしいとおっしゃるから、私はそう言ったのです。
○東中委員 それで結構です。結局は今川野カンボジア大使のこういう見解を否定するわけでもないし、公式のものでもないし、そういう程度のものだというふうに聞いておきましょう。
 それで、今度はカンボジアの状況についてお聞きしたいのですが、資料要求をいろいろしているのですが、四派の部隊の配備その他について一向に政府側は資料を出さないんですね。出しているんだけれども、と思われるとか、模様とかいうふうになっているんです。
 それで、改めてお聞きしますが、パリ協定の附属書で、「撤退、停戦及び関連する措置」というのが附属書の二です。その第一条「停戦」の三項にこういうことが書いてあります。「各派はこ要するにポル・ポトもフン・センも、「各派は、この協定の署名の後直ちに国際連合に対し次の情報を提供することを合意する。」というのがありまして、これがパリ協定の停戦合意ですね。その中に「各派の軍隊の総兵力、編成、ガンボディア内外における配備の正確な数及び位置。」というのがあります。そして続いて、「軍隊の配備については、占領しているかいないかにかかわらず、すべての部隊の陣地(拠点、補給基地及び補給経路を含む。)を地図に標示する。」もう一つ、「各派の軍隊が保有する武器、弾薬及び装備の包括的な目録並びにこれらの武器、弾薬及び装備が配備されている正確な位置」と書いてあるんです。これは協定が発効したら直ちにですから、去年の十月に発効しているわけですから直ちにその情報を提供することを合意する、こうなっておるのですが、こういう情報は国連へ出ておるのか出ていないのか、出ているとすればその内容はどうなっているか。事務総長報告ではそういうことがはっきりわからない。全く包括的に書いてある。各派の数、位置を「地図に標示」とまで書いてあるんです。その点について国連局長、どうですか。
○丹波政府委員 先生もあるいはお読みかと思いますけれども、UNTACの設立に当たりまして事務局から提出されております事務総長報告書のパラ六十五を見ますと、カンボジアの各派の軍事力につきまして一定の数字が上がっております。詳細は省きますが、相当丸い数字が上がっているわけですけれども、恐らくこういう数字が出てくる根拠は、あるいは先生御指摘のパリ協定附属書二の一条の三項による情報がもとになっているのかなと私は思って読んでおりましたけれども、それ以上にわたりまして、附属書二の一条三項の(a)、(b)、(c)、(d)に該当する詳細な情報というものがカンボジア各派から国連に提供されているかどうか、この点については承知いたしておりません。
○東中委員 パリ協定で合意されたことが実施されているかどうかもよう知らぬ、こう言っているんですね。いわんや、その内容が何であるかということはもちろん知らない。事務総長報告は私が言うたようにまとめて書いてあるだけじゃないですか。二十万及び二十五万と書いてあるだけじゃないですか。そういう情勢についてはどうなっているか全くわからないという状態じゃないですか、外務省は。よく国連と連絡をとってと言うけれども、四派が対立している、PKO法案ができたらそこへ派遣するのだと言っているんでしょう。その相手がどうなっているのかは全然わからないというふうなことで、しかも協定違反をやっているのかやっていないのかもわからないと言う。全く真面目にやっていると思えないですね。
 もう時間がありませんので、もう一点だけ聞いておきます。
 今言われた二月十九日のS二三六一三の事務総長報告の構成部門の「C.軍事部門」の中の「5.組織案と配備」の項で、UNTAC軍事部門の組織と配備と各部隊の任務を記載しています。それは御承知のとおりであります。参謀本部を置く、軍本部と地区本部を置く、歩兵大隊十二大隊を派遣する、人数は何ぼ、それから軍事監視員、通信部隊、工兵部隊、航空支援部隊、海上部隊、医療部隊、後方支援大隊、こういうふうに人数と任務まで全部書いてあります。
 ところで、このUNTACについてその人数も部隊も全部もう既に各国に上がって、国連としては、多少の異動はあるかもしれませんけれども話し合いがついているわけですが、もし日本が参加するとしたら、日本の自衛隊を派遣するとすればどれにも参加をするということですか。あるいは参加できない、通信隊ならいいけれども歩兵隊はいかぬのだということなんですか。それは法律的にはどうなるのですか。
 それから、防衛庁から来ていただいていると思うのですが、こういう要請というか、UNTACの機構、配備に対して日本の自衛隊はどういう部隊を派遣する能力がありますか。それを聞いておきたいのです。
○畠山政府委員 法案が通りました後に具体的に国連からの要請があった段階で、その時点における準備状況ないしその能力等も、事務に支障がない限りという規定がございますから、その限度も考えながら総合的に判断をしてその時点で決定するということでございますので、現段階で、その能力がそれぞれについてすべてあるか、それとも一部についてあるかということを申し上げる段階ではないと思います。
 しかしながら、一般論として申し上げますと、長年培われてきました自衛隊の訓練で組織的な能力というものを活用することができるわけでございますし、またさらに、準備期間段階でPKO活動にとって必要な訓練をも施すという予定になっておりますから、それらをあわせますと、自衛隊としてかなりの部分について対応ができるというふうに考えているところでございます。
○東中委員 後方支援とか本隊とかいろいろ言われておりますが、この部隊で言うならばどれが後方部隊で、どれが支援部隊なのか。
 それから、「国連の平和維持者は、クメール・ルージュ〔ポル・ポト派〕ゲリラがいまだに村や道路の支配のために戦闘をおこなっている北部カ、ンボジア地域に初めて、一時的に踏み込んだ。」これは四月二十七日付のバンコク・ポストの記事ですが、偵察に入った。そしてその後コンポントムの状況は非常に困難な状態で、今派遣されておる二個のインドネシアの大隊とオーストラリア軍の通信班が辛うじて同市に駐留する、その市のところへ行っている。大隊で行きたいのだけれども行けない。それで「クメール・ルージュは、支配下にあるさらに北部の荒廃した地域への通路である国道十二号線を守ろうとしている。」だから入れない状態になっているという報道があるのですけれども、要するに二個中隊と通信隊というのは一緒に行っているんですね。駐留するのは後方も支援もないんです。一緒に駐留するんです。だからこの七つの隊は後方だとか本隊だとな言えない関係にあると思うのですが、そういう点はどうでしょうか。
○丹波政府委員 衆議院におきましても、参議院の関係の委員会におきましても何度も御説明申し上げたとおりでございますが、PKFのいわゆる本隊とか後方とかいうことにつきまして厳密な定義はない、国連憲章上もないし、そのほかいろいろな書類を見てもないということを申し上げておるところでございます。しかしながら人によりましては、PKFの本隊というのは歩兵部隊の活動を特に指しておる。UNTACに即して申しますと、隊として行うところの停戦監視、軍隊の収容の監視、それからカンボジア各派軍の動員解除の監視とか武装解除の監視、武器の管理、これがまさに歩兵部隊が行う業務でございまして、工兵部隊とか通信部隊、ロジ部隊、以下省略いたしますけれども、これを支える活動を行う軍事要員の部隊を指して後方支援部隊、そういう使い方がされておるということを御説明申し上げている次第でございます。
○東中委員 時間が来ましたので、やむを得ずやめます。
○中山委員長 次に、神田原君。
○神田委員 北方領土関係につきまして、二、三質問をさせていただきます。
 ロシアのパーベル・グラチョフ国防大臣が十九日、日本人が北方領土と呼んでいる地域からロシアの軍隊が撤退する用意はないと発言したと伝えられておりますが、外務省はこの事実を確認しておりますか。
○兵藤政府委員 ただいま仰せのような報道がロシアのタスで流れたという事実を承知しております。
 それを受けましてロシア連邦の国防省並びに外務省に直ちに照会をいたしたわけでございますが、国防省渉外部のとりあえずの答えといたしまして、グラチョフ国防大臣はクリル諸島から軍を撤退させるつもりはないということは言った、しかし南クリル諸島からという表現は使っていないということでございました。またロシア連邦外務省の方は、この事実は承知しておらないけれども、さきの渡辺外務大臣に対するエリツィン大統領の発言は最高指導者としての発言であるので、ロシア外務省としてはこの発言を指針として考えていくつもりであるという説明がとりあえずございました。
○神田委員 軍の最高責任者が就任後初の記者会見の中で特に北方領土の問題に触れ、軍隊撤退の意思がないということを声明したことは極めて重大な発言であると考えます。ただいま答弁がありましたが、外務大臣はこの発言をどういうふうに受けとめておりますか。
○渡辺(美)国務大臣 私は、防衛庁長官と総理大臣が別なことを言ったということが仮にあったとしても、それは総理大臣の言ったことを正当な発言と受けとめるという考え方でございますから、言い回し等については今局長から言ったように、クリルというのは得撫島までということになれば、南クリルとは必ずしも言っていない。南クリルというのはいわゆる北方四島ですから、得撫島から北、カムチャツカまで軍隊がいても、その話は我々はそれはどうこう言いません。それはソ連の領土である、ソ連の領土じゃないが少なくとも日本が放棄した島々であるというので、私は先ほど局長が答弁したとおりであって、それが全く違うということを言い出せばそれはさらにロシアに対してもう一遍話をしますけれども、それもエリツィン大統領が言明したことを否定するようなものではないというふうに理解をしております。
○神田委員 本年三月にコズィレフ外務大臣は、北方領土のロシア軍の師団は旅団規模に縮小され、既に三割減って七千人程度であると発言をしたと言われていますが、この発言も事実でありますか。
○兵藤政府委員 これは、三月二十日の日ロ外相間の協議におきましてコズィレフ外務大臣の方から、北方四島駐留の旧ソ連軍はかつて師団の規模であったけれども、三〇%削減されて旅団となった、大ざっぱな計算では削減後の現在の兵力は、軍の通報によれば四島合計で七千人となる、この中には国境警備隊は含まれていないという趣旨の発言がございました。
○神田委員 この発言に基づくロシア側の行動を防衛庁は検証しておりますか。
○高島(有)政府委員 コズィレフ外相から説明がございました北方領土におきますロシア軍の削減された規模について、防衛庁としてこれを確認しているかという御質問でございますが、結論として申しますと、そのような削減につきましては防衛庁といたしまして確認いたしておりません。ただし、その趣旨は、削減がなかったということを申し上げる趣旨ではもちろんございません。一般的に申しまして、兵員の状況を短期間で正確に把握するということはいろいろな面で困難が多いということでございます。
○神田委員 アメリカの軍事筋が五月六日までに明らかにした発言として、財政難に伴う極東ロシア軍の兵力の削減が進行しており、戦闘機、爆撃機、輸送機などの航空機は半減、兵員も三分の二に減って航空戦力は半減し、陸軍の地上戦力、艦艇を中心とした海軍戦力も低下しているということでありますが、この軍事筋の情報を防衛庁は得ておりますか。また、北方領土を含む極東ロシア軍の戦力について防衛庁自身はどういうふうに認識をしておりますか。
    〔委員長退席、亀井(善)委員長代理着席〕
○高島(有)政府委員 ただいま神田先生御指摘になりましたような趣旨の報道が、米軍筋ということを引用いたしましてなされたということは承知いたしております。一般的に私ども、いろいろな軍事上の関心のある問題につきまして、米国の国防関係機関と相互にかなり緊密な情報交換を行っているところでございますけれども、今の御質問の点を含めまして具体的にどのような内容の情報交換を行っているのかといった点につきましては、事柄の性質上コメントは控えさせていただきたいと存じます。
 ただ、一般的に私どもが旧ソ連極東軍の現状についてどのように見ているかという点につきましては、御承知のとおり六〇年代以降質、量ともに増強されてまいりました極東田ソ連軍でございますが、ゴルバチョフ登場以降、八九年当たりから量的には若干の削減は見られるものの質的には依然として近代化が続いていた。そういう状況のもとで、昨年のソ連邦崩壊といった大きな事態以降も、今日極東にある戦力という点では、ただいま申しましたような蓄積された戦力が依然としてそこにあるという状況は変わっていないという認識でございます。ただ、一般的な活動状況という点で見ますと、昨年以降、確かに演習等の軍事活動は低下してきている傾向が認められるということでございます。
○神田委員 五月十九日の新聞報道、これは読売新聞でありますが、ロシア連邦国防政策の基本指針が明らかになったと報じられておりました。その内容を外務省は承知しておりますか。
○兵藤政府委員 先生御承知のとおり、ロシア国防省は創設をされましてまだ大変日が浅いわけでございます。もともとは、旧ソ連軍の基本的な部分は統一軍として存続させる、その統一軍というのは、戦略軍と一般目的軍とに分けて組織がえをして存続させるという基本合意があったわけでございますけれども、ウクライナ共和国を初め各共和国の中で幾つかの共和国が独自の国防組織を持つ、あるいは国防省を持つという中で、ロシア国防省、ロシア軍の創設にエリツィン大統領は踏み切ったわけでございます。そういうことで、現在ロシア国防省の組織並びにそのもとでの国防政策の検討が鋭意進められている、そのためのいろいろな内部文書が存在するということは承知をいたしております。ただ、現在なお検討中の段階であると私どもは承知をしているわけでございまして、この国防方針が平和的な国防政策という線に沿って検討されることを私どもは期待したいと考えておるところでございます。
○神田委員 この基本指針は報道されているところによりますれば、「日本、中国、朝鮮との良好な関係構築・維持を、「シベリア、極東地域の安全保障と経済発展」の要に据えている」ということでありますが、外務大臣がロシアを訪れた際のロシア側の認識もそういうものであったのでありましょうか。
○渡辺(美)国務大臣 特別にそういう発言は聞いておりません。
○神田委員 カザフスタンがロシアの核の傘の下に入ることを明らかにするなど、現在ロシアの軍事的地位の重要性が高まる一方でありますが、これまでロシア政府が進めてきた文民統制政策、シビリアンコントロールの政策が、今回軍の上級大将を国防大臣にしたというようなことで軍部主導の政策に大きく政策転換が図られるのではないかと懸念されておりますが、外務省はどのようにお考えでありますか。
○兵藤政府委員 まず、冒頭に御指摘のカザフスタンの非核国のお話でございますけれども、先ほどの御議論の延長でございますが、ナザレバエフ大統領が訪米をいたしましたときのブッシュ大統領と共同でのプレスリマークスの中で、米国側は非核国としての不拡散条約参加ということに言及をしているわけでございますけれども、ナザレバエフ大統領の記者会見では、我々は一九六八年の核不拡散条約上の義務を負い、加盟国の一つとしてSTART条約の義務の遵守も行うというふうに述べているにとどまっております。米国側の御説明のように、ナザレバエフ大統領が渡辺外務大臣との会談の際の若干不透明な、あいまいな御発言から一歩進んで決断されたということを期待したいわけでございますけれども、少なくともこの会見におけるナザレバエフ大統領のこの御発言の中ではその点はなお明確になっていないという気がいたしますので、現在確認中でございます。
 第二番目の御質問のグラチョフ国防相任命の意味ということでございますが、これは何分現政府の現職閣僚の任命でございますので、その任命するところの意味について私どもがここで論評を加えるということは必ずしも適当ではないと思いますので、その点は差し控えさせていただきたいと思います。
○神田委員 今月四日の日ロ外相会談では、防衛庁とロシア国防省を交えた安全保障対話を早期に実現するということで合意をしたということでありますが、この合意どおりに進めていくことで支障はないのでありましょうか。
○兵藤政府委員 これは渡辺外務大臣とコズィレフ外務大臣との間で明確に合意をいたしたわけでございますので、私どもは次回の安全保障対話には防衛庁の専門家の方々も参加していただいて、向こうも制服は恐らく参加すると申しておりましたけれども、そういう形で幅広い対話を開始したいというふうに考えております。その点について支障が新たに出てきたというふうには認識しておりません。
○神田委員 これはどのぐらいのめどで対話を進めて、一つの条約ですか、そういう形になっていくのですか。
○兵藤政府委員 これはあくまでも安全保障につきましてロシアの安全保障の関係者の方々と、ここに制服と申しますか国防、防衛庁関係者を含めることにしたわけでございますけれども、幅広い角度からアジア・極東地域の安全保障について意見を交換するということが目的でございまして、その結果を条約に何かまとめていくということは当面想定しておりません。
 なお、条約のお話で申し上げれば、一つ、衝突防止条約というものを締結するという合意がございまして、先般、渡辺外務大臣から、モスクワにおきましてコズィレフ外務大臣に我が方の案を手交いたしました。これはかなり専門的な交渉になりますので、ここにも当然両方の軍事専門家が参画することになるであろうというふうに考えております。
○神田委員 北方領土の問題につきましては、我が国は政経不可分の原則に立って領土返還を求めていくという方針をとってまいりましたが、その点に関しまして大臣はどういう決意を持っておられますか。
○渡辺(美)国務大臣 政経不可分という基本方針を変える考えはありません。
○神田委員 終わります。
○亀井(善)委員長代理 次に、楢崎弥之助君。
○楢崎委員 四月十四日の当委員会でも質問をしたのですが、そのときは外務大臣は御出席ではありませんでした。宮下防衛庁長官が出席されておる。外務大臣は四月のある週刊誌のインタビューに応じて、自衛隊派遣の理由の一つとして、カンボジアには数十万の地雷があるのだ、その除去の任務があるのだ、そういうことを言われております。金丸信自民党副総裁は、江沢民中国総書記がお見えになったときにお会いになって同じようなことを言われております。
 そこで確認をいたしておきますが、昭和五十七年六月九日に批准をして、昭和五十八年十二月二日条約が発効いたしました。十年前でありますが、条約の名前は、過度に傷害を与え又は無差別に効果を及ぼすことがあると認められる通常兵器の使用の禁止又は制限に関する条約、外務大臣はこれを熟知されておりますか。
○亀井(善)委員長代理 柳井条約局長。
○楢崎委員 委員長、外務大臣に聞いているのです。あなたに聞いているのじゃないです。外務大臣が発言されたから外務大臣に聞いているのですよ。おかしいじゃないですか。
○亀井(善)委員長代理 柳井条約局長。
○柳井政府委員 御指名いただきましたので……。
 私ども、このいわゆる特定通常兵器条約というものを締結いたしまして、これを知っております。この附属議定書というのがございまして、そこにこの地雷の除去についての規定がございます。
○楢崎委員 あなたに聞いているのじゃない。外務大臣が発言され、金丸自民党副総裁が発言されておるから、この条約を熟知した上でああいう発言をされておるのかと聞いておるのです。条約局長が知っておるのは当たり前でしょうが。それで、もしこれを熟知されておればあのような発言はできないはずである。そうでしょう。自衛隊に地雷を除去する任務がありますか。紛争国が除去する義務があるのでしょうが。つまり、カンボジアですよ。
 それからもう一つ聞いておきますが、これの「第六条 周知」、「締約国は、武力紛争が生じているか生じていないかを問わず、自国において、できる限り広い範囲においてこの条約及び自国が拘束されるこの条約の附属議定書の周知を図ること並びに、特に、この条約及び当該附属議定書を自国の軍隊に周知させるため自国の軍隊の教育の課目にこの条約及び当該附属議定書についての学習を取り入れることを約束する。」ここの「軍隊」に自衛隊が入りますか。
○渡辺(美)国務大臣 時間がないようですから結論だけ申し上げますが、この条約はカンボジアには適用されないというように認識しています。
○楢崎委員 そういうことをわかって質問をしているのですよ。時間がないからその点については当然時間があるとき触れますが、これは国際的な普遍の原理として加入してなくても守る義務がある、そういうようなことがここに書いてある。もし加盟していなかったら、どうして加盟せよと言わぬのですか。何でフン・センさんが来たときにそういうことをおっしゃらないのです、それだったら早く加盟しなさいと。そうでしょう。だからこれをよく熟知されたらああいうことは出てこない。
 それから、防衛庁局長、この今言いました六条の「自国の軍隊」に日本の自衛隊が入りますか。これは約束されているのです、条約で。
○亀井(善)委員長代理 柳井条約局長。
○楢崎委員 防衛庁局長に聞いているのです。
○柳井政府委員 我が国は締約国でございます。したがいまして、これは全く仮定の問題でございますが、我が国が紛争当事国になれば、それは当然我が国についても適用になるということでございます。
○楢崎委員 十年前にこの条約に加盟するときに約束しているのです。そして自衛隊はこれに入ることになっておるのでしょうが。だから私は四月十四日の本委員会の質問のときに、朝雲という新聞がある、自衛隊に関係がある。この三月十二日の朝雲に、一三普連は一月十六日、カンボジアの地雷のこともあるから、地雷のことをよく知っておかなければならぬということで実験をやった。これは初めてである。十年前に約束をしておって、一、二カ月前やっと実験だというのでしょう。一体何をやっておるのです。
 つい四、五日前でしたが、宮下さん、防衛庁長官に、地雷のことを御存じないものだから、地雷とはこういうものですということを教えているところがテレビに出た。これでまあ地雷を除去するだの自衛隊を派遣すると防衛庁長官よく言われましたね、本当に。宮澤総理大臣は、たしか江沢民総書記だったと思うが、PKOのことを余り御存じないからああいうことをおっしゃるのじゃないかというふうな失礼なことを言っているが、御存じないのは防衛庁長官や外務大臣の方ではないか、あるいは自民党副総裁の方ではないか、それだけ申し上げておきます。あんな失礼なことばかり言って。
 終わります。
○亀井(善)委員長代理 本日は、これにて散会いたします。
    午後五時四十分散会