第123回国会 予算委員会 第11号
平成四年三月四日(水曜日)
   午前十時開議
出席委員
  委員長 山村新治郎君
   理事 中山 正暉君 理事 原田昇左右君
   理事 町村 信考君 理事 村岡 兼造君
   理事 村上誠一郎君 理事 串原 義直君
   理事 野坂 浩賢君 理事 松浦 利尚君
   理事 草川 昭三君
      浅野 勝人君    粟屋 敏信君
      井奥 貞雄君    池田 行彦君
      小澤  潔君    越智 伊平君
      越智 通雄君    唐沢俊二郎君
      倉成  正君    後藤田正晴君
      左藤  恵君    志賀  節君
      中谷  元君    萩山 教嚴君
      浜田 幸一君    原田  憲君
      松永  光君    松本 十郎君
      村田敬次郎君    村山 達雄君
      柳沢 伯夫君    井上 普方君
      伊東 秀子君    岡田 利春君
      加藤 万吉君    小岩井 清君
      新盛 辰雄君    関  晴正君
      筒井 信隆君    戸田 菊雄君
      日野 市朗君    水田  稔君
      吉岡 賢治君    和田 静夫君
      石田 祝稔君    冬柴 鐵三君
      渡部 一郎君    児玉 健次君
      古堅 実吉君    伊藤 英成君
      中野 寛成君    楢崎弥之助君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  宮澤 喜一君
        法 務 大 臣 田原  隆君
        外 務 大 臣 渡辺美智雄君
        大 蔵 大 臣 羽田  孜君
        文 部 大 臣 鳩山 邦夫君
        厚 生 大 臣 山下 徳夫君
        農林水産大臣  田名部匡省君
        通商産業大臣  渡部 恒三君
        運 輸 大 臣 奥田 敬和君
        郵 政 大 臣 渡辺 秀央君
        労 働 大 臣 近藤 鉄雄君
        建 設 大 臣 山崎  拓君
        自 治 大 臣
        国家公安委員会 塩川正十郎君
        委員長
        国 務 大 臣 加藤 紘一君
        (内閣官房長官)
        国 務 大 臣 岩崎 純三君
        (総務庁長官)
        国 務 大 臣
        (北海道開発庁
        長官)     伊江 朝雄君
        (沖縄開発庁長
        官)
        国 務 大 臣 宮下 創平君
        (防衛庁長官)
        国 務 大 臣
        (経済企画庁長 野田  毅君
        官)
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長 谷川 寛三君
        官)
        国 務 大 臣 中村正三郎君
        (環境庁長官)
        国 務 大 臣 東家 嘉幸君
        (国土庁長官)
 出席政府委員
        内閣審議官
        兼内閣総理大臣 野村 一成君
        官房参事官
        内閣法制局長官 工藤 敦夫君
        内閣総理大臣官 高岡 完治君
        房審議官
        内閣総理大臣官 石倉 寛治君
        房管理室長
        公正取引委員会 梅澤 節男君
        委員長
        公正取引委員会
        事務局官房審議 植松  勲君
        官
        公正取引委員会 矢部丈太郎君
        事務局取引部長
        総務庁恩給局長 新野  博君
        防衛庁参事官  高島 有終君
        防衛庁参事官  三井 康有君
        防衛庁参事官  上原 祥雄君
        防衛庁長官官房 村田 直昭君
        長
        防衛庁防衛局長 畠山  蕃君
        防衛庁教育訓練 小池 清彦君
        局長
        防衛庁人事局長 坪井 龍文君
        防衛庁経理局長 宝珠山 昇君
        防衛庁装備局長 関   收君
        防衛施設庁総務 竹下  昭君
        部長
        防衛施設庁施設 大原 重信君
        部長
        経済企画庁調整 吉冨  勝君
        局長
        経済企画庁総合 長瀬 要石君
        計画局長
        経済企画庁調査 土志田征一君
        局長
        科学技術庁科学 須田 忠義君
        技術政策局長
        科学技術庁研究 井田 勝久君
        開発局長
        環境庁長官官房 森  仁美君
        長
        環境庁企画調整 八木橋惇夫君
        局長
        沖縄開発庁総務 造酒亶十郎君
        局長
        沖縄開発庁振興 水谷 文彦君
        局長
        国土庁長官官房 藤原 良一君
        長
        国土庁長官官房 森   悠君
        会計課長
        国土庁土地局長 鎭西 迪雄君
        国土庁防災局長 鹿島 尚武君
        法務省民事局長 清水  湛君
        法務省刑事局長 濱  邦久君
        法務省入国管理 高橋 雅二君
        局長
        外務省アジア局 谷野作太郎君
        長
        外務省北米局長 佐藤 行雄君
        外務省欧亜局長 兵藤 長雄君
        外務省経済局長 小倉 和夫君
        外務省条約局長 柳井 俊二君
        外務省国際連合 丹波  實君
        局長
        大蔵大臣官房総 日高 壮平君
        務審議官
        大蔵省主計局長 斎藤 次郎君
        大蔵省主税局長 濱本 英輔君
        大蔵省関税局長 吉田 道弘君
        大蔵省理財局次 吉本 修二君
        長
        大蔵省証券局長 松野 允彦君
        大蔵省銀行局長 土田 正顕君
        国税庁課税部長 坂本 導聰君
        文部大臣官房長 野崎  弘君
        文部省高等教育 前畑 安宏君
        局長
        厚生大臣官房総 大西 孝夫君
        務審議官
        厚生省保健医療 寺松  尚君
        局長
        厚生省児童家庭 土井  豊君
        局長
        厚生省援護局長 多田  宏君
        農林水産大臣官 馬場久萬男君
        房長
        農林水産大臣官 山本  徹君
        房長 
        農林水産省経済 川合 淳二君
        局長 
        農林水産省畜産 赤保谷明正君
        局長
        食糧庁長官   京谷 昭夫君
        林野庁長官   小澤 普照君
        通商産業大臣官 榎元 宏明君
        房審議官
        通商産業省通商 岡松壯三郎君
        政策局長
        通商産業省貿易 高島  章君
        局長
        通商産業省立地 鈴木 英夫君
        公害局長
        通商産業省機械 熊野 英昭君
        情報産業局長
        工業技術院長  石原 舜三君
        資源エネルギー 山本 貞一君
        庁長官
        資源エネルギー
        庁長官官房審議 末広 恵雄君
        官
        特許庁長官   深沢  亘君
        中小企業庁長官 南学 政明君
        運輸省運輸政策
        局次長     向山 秀昭君
        兼内閣審議官
        運輸省港湾局長 上村 正明君
        運輸省航空局長 松尾 道彦君
        郵政大臣官房長 木下 昌浩君
        郵政大臣官房経 山口 憲美君
        理部長
        労働大臣官房長 齋藤 邦彦君
        労働省労働基準 佐藤 勝美君
        局長
        労働省職業安定 若林 之矩君
        建設大臣官房長 望月 薫雄君
        建設大臣官房会 近藤 茂夫君
        計課長
        建設省道路局長 藤井 治芳君
        建設省住宅局長 立石  真君
        自治大臣官房審
        議官      谷口 恒夫君
        兼内閣審議官
        自治省行政局長 紀内 隆宏君
        自治省財政局長 湯浅 利夫君
        自治省税務局長 杉原 正純君
 委員外の出席者
        参  考  人 三重野 康君
        (日本銀行総裁)
        予算委員会調査 堀口 一郎君
        室長
    ―――――――――――――
委員の異動
三月四日
 辞任       補欠選任
  相沢 英之君   浅野 勝人君
  越智 伊平君   萩山 教嚴君
  伊東 秀子君   吉岡 賢治君
  筒井 信隆君   岡田 利春君
  日笠 勝之君   渡部 一郎君
  東中 光雄君   古堅 実吉君
  中野 寛成君   伊藤 英成君
同日
 辞任       補欠選任
  浅野 勝人君   中谷  元君
  萩山 教嚴君   越智 伊平君
  岡田 利春君   筒井 信隆君
  吉岡 賢治君   伊東 秀子君
  渡部 一郎君   日笠 勝之君
  伊藤 英成君   中野 寛成君
同日
 辞任       補欠選任
  中谷  元君   相沢 英之君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 平成四年度一般会計予算
 平成四年度特別会計予算
 平成四年度政府関係機関予算
     ――――◇―――――
○山村委員長 これより会議を開きます。
 平成四年度一般会計予算、平成四年度特別会計予算、平成四年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
 本日は、内外経済についての集中審議を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。越智通雄君。
○越智(通)委員 内外経済についての集中審議に当たりまして、自由民主党を代表して、二、三の点について総理初め閣僚並びに参考人の皆様にいろいろとお教えをいただきたいと思っております。
 宮澤総理、きょうは三月四日でございます。ちょうど内閣発足四カ月でございます。私が昭和二十七年大蔵省に入省いたしましたときには池田大蔵大臣で、総理は秘書官でいらっしゃいました。懐かしい四谷時代でございますが、大蔵大臣をされて総理になられた方は、池田先生以来宮澤総理で七人目でございます。その間、大蔵省の先輩でなられた方は四人目でございまして、私ども今一番難しい世界経済、その中における日本経済の曲がり角、何としてもこれを救っていただくには、宮澤総理が陣頭指揮をしてぜひ日本の経済を立て直していただきたい、こういう思いでいっぱいでございます。
 しかるところ、日本の経済の先行きについて非常に心配なものですから、自由民主党の方の中におきましても、総理御存じのとおり、景気対策についてのいろいろプロジェクトチームなどができておりまして、本日も私は予算委員会の昼休みにそれに参加することを求められておるのでございますが、この日本の経済について今どのように総理がお感じになっており、そしてこれをどういうふうに持っていくか。殊に総理は、施政方針演説の中で「心理」という言葉をお使いになりました。我が国経済はこうした状況が企業家や消費者の心理を大きく冷え込まさないよう内需を拡大しというようなことで、その点を重視されているようにお聞きいたしました。
 総理のこれからの経済政策、景気対策についてのまず御所見を伺って質問を始めさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○宮澤内閣総理大臣 昭和二十七年というお話がございまして、これは講和会議の翌年でございました。それからのきょうまでの年月を見まして、我が国の経済、今日を考えますと今昔の感にたえません。
 私は長い目で見まして、我が国の経済には全面的に自信と楽観を持っております。と同時に、今日になりますと、我々が世界全体に対して持っている責任、当時と比べ物にならないほど大きくなりました。そういう世界に対する責任を我が国の経済はまた果たさなければならない役割を担っておると思いますが、私はそれは立派に果たせるし、果たさなければならない。と申します意味は、先般から申し上げ、越智議員もよく御存じのいわゆる国際的貢献、それは世界、新しく激動しつつありますこの冷戦後の時代の新しい世界の平和の構築に当たって我が国が果たすべき役割というものは、各国からも非常に大きな期待を持たれておりますし、また、その期待にこたえますためにも、我々はできるだけの努力をして、できるだけいい意味での成長をしていかなければ海外の期待にこたえることもできませんし、また我々自身のいわゆる生活大国としての目的も果たすことができない。
 そういう大きないわば責任と目的を持っている我が国の経済のただいまの時点におきまして、二〇二〇年ごろにはいわゆる老齢化がピークに達するかと思われますが、恐らく六十五歳以上の人口が二五%になるというのが今の推計でございますが、まだそれまでに間がございます。そして、今は実は人手不足という状況にあって、多くの企業がこれに対処して省力投資、合理化投資をしなければならないという、そういう切実な問題に直面しておりまして、と申します意味は、まだ日本の経済はこれからいろいろな設備投資をしていかなければならないという、企業側にそういう問題意識が十分にある。何年間か二けたの設備投資が続きましたので、それがそのまま直線的に伸びると考えることは楽観に過ぎましょうけれども、基本的にはそういう各企業が問題意識を持っております。そういう中で、世界全体が冷戦後の時代といういわゆる平和の配当を期待できるような時代になっておりますから、私は、当面我が国の経済の見通しというものは大変に明るい、その見通しを我々の経済は達成するだけの潜在力を持っておるし、意欲も持っているというふうに考えるわけでございます。
 それはしかし、ただ、やや長期的なお話を申し上げましたので、当面、今の局面というものは確かに非常に難しいところに参りました。何年間か二けたの設備投資を続けてきたということは、それはある意味で多少の足踏みがあってもこれはやむを得ないことであろう。その設備投資が増産投資ではなくて、合理化投資、省力投資あるいはRアンドDであると申しましても、しかしやはり二けた以上が何年か続いだということは相当なことでございますから、多少の足踏みがあることは、これはやむを得ないのであろうと思いますが、そういう局面に私は来ておるのだと思います。しかし、先ほども申しましたように、やはり省力投資、合理化投資ということはしなければならないという企業側の問題意識がございますし、仮に住宅一つとりましても、我が国の住宅事情というものがこれで十分になったとはだれも考えておりません。ですから、住宅投資が過去二、三年かなり高い水準にあった、その裏がある程度出ることは、これもやむを得ないこととしまして、しかし潜在的に需要があるということにはまた間違いはございません。
 それから、基本であります消費でございますけれども、かつて我が国はもう物離れをしたということが言われました。それは五年ほど前でございましょうか、しかしそれは実際には間違いであったということがその後にわかってまいります。物の消費はもちろんでございますが、サービスの消費、旅行などを含めまして、そういう意味での国民の、いろいろな意味での消費意欲というものは私は決して衰えているとは思っておりません。ただ、国民自身がこの経済の動向というものには無論非常に敏感で賢明でございますから、その消費があるときには低くなり、あるときには高まるということはございましても、消費の水準というものが非常に低くなって低迷しているということは私は考えない。と申します意味は、このような労働の逼迫状況の中にあって、時間短縮というようなことが大方の合意になりつつある状況の中で今年も賃金決定が行われるわけでございますけれども、これはもう文字どおり労使の間で決定をされるべきものでございますけれども、極端に従来と異なった形の賃金決定が行われるとは、これは想像しがたいところでございます、水準についてはいろいろな問題がございましょうけれども。でございますから、消費そのものが非常に低い水準に落ち込むと考える理由もない。
 財政は非常に苦しい状況にございますけれども、ただいま御審議中の予算案におきましては精いっぱいの景気振興のための努力を盛り込んでおりますことは、越智委員のよく御承知のとおりでございますので、全体といたしまして今一つの難しい局面にあることは、これはそのとおりと存じますけれども、私はしかし、何と申しますか、目先を含めまして、中長期的に我が国の経済には基本的にはすぐれた潜在力を持っておるという考え方でございます。
○越智(通)委員 総理、ありがとうございました。総理、やはり政治上の恩師でいらっしゃる池田勇人先生の流れをくんで、いわば積極経済論者、日本の経済力についての自信にあふれたお話をいただきました。
 今、ふと思い出しておりましたが、昭和三十五年に所得倍増計画が決定されましたときに、十年間で倍ということは複利の計算で七・二%、当然の計算でございますが、池田内閣発足当初でございましたが、七・二は不足であるということで閣議決定で九%というのをお決めになりました。私はどちらかというと四、五%成長の安定論者の方でございましたものですから、随分むちゃだなという感じでも受けとめたんでございますけれども、その後の結果を見ますと、あの所得倍増計画というものが国民に自信を与えた、そしてその力を引き出した、今日の繁栄の一つの大きなステップになっていたんじゃないかな。随分前の話でございますけれども、そのころのことを今思い浮かべておりました。
 今一番大事なことは、政治が経済に対してできるのはみんなに自信を持たせることだ、みんなに明るい見通しを持たせることだ、みんなのいら立ちを静めることだ、このように思うわけでございまして、ぜひ宮澤総理の御指導のもとに、宮澤内閣においてそのような経済政策を展開していただきたい。まさに総理のおっしゃっている企業家や消費者の心理を冷え込まさないという守りの姿勢じゃなくて、うんと明るくするような政策の打ち出しをしていただきたいと思っております。
 そんな中できょうは三つのテーマにだけ絞ってお伺いをさせていただきたいと思いました。いずれも、何と申しますか、今みんなのいら立ちの原因になっているわけでございまして、一つは金融問題でありまして、どうなるんだろうか、それから一つが独占禁止法の適用の問題でありまして、最後が土地を持っていることに対する課税の問題でございまして、いずれも私の知る限り、経済界の方々が大変憂慮しているポイントだと思いますので、それぞれの御担当の大臣あるいはお役所の方から御説明をいただければありがたいと思っております。
 金融についてでありますけれども、実は皆様御存じのとおり、大変に資金は潤沢にかつて回っておりました。昭和六十二年から平成二年までは、大体名目経済成長率を上回るマネーサプライが行われておりました。おおむね一〇%以上のものでございました。そして、その間に公定歩合は二・五%という非常に低い、日銀の歴史の中でも非常に異例に低いのが二年三カ月も続いたわけであります。宮澤総理が大蔵大臣の時代もございました。三重野総裁においでいただいておりますが、三重野副総裁としてそのころいらしたわけでございます。
 あのころに比べまして、現在の金融は今、きょうの新聞にも公定歩合を下げるかという、毎日新聞でございましたか、三月下旬か四月上旬だという記事もございましたけれども、今ここで公定歩合どうですかということをお聞きするつもりはありませんが、いずれにしても、現在は四・五で、かつ私は非常に年末以来憂慮してたびたび申し上げておりますのは、マネーサプライが余りにもタイトなのではないか。一月は一・八でございました。もし二月の数字がおわかりでしたら教えてください。その前も大体二%ぐらい。名目経済成長率の半分以下のお金を供給している。前にたくさん供給していて残っているんだろうから、今足し前は少なくてもいいんだという理屈は、余り私どもは納得できない。先週随分食べ過きだから今週はずっと絶食しちゃおうかというような感じで、体にいいはずないなという感じがするわけでございまして、このマネーサプライあるいは金融情勢、これは平成四年度、きょうから向こう一年間、どういうふうに展開すると考えて経済政策を打たれるんでしょうか。
 経済の見通しの中には、成長率とかあるいは物価だって、国際収支だって、先様のあることで、見通しは立てにくいものをあえて立てていらっしゃるわけですが、金融に関してはその見通しがどこからも聞こえてこない。もし、大蔵大臣でも経企庁長官でも日銀総裁でも結構でございますが、そこらについて国民にお教えいただければもっとみんなが安心するんじゃないかと思います。よろしくお願いいたします。
○三重野参考人 お答えします。
 マネーサプライについて、越智委員が御指摘になられたように、M2プラスCDの伸び率というのは、最近二%前後の大変低い伸びを続けております。これは現象的に申しますと、もう金融に詳しい越智委員。に御説明する必要もないかと思いますけれども、実際には金利先安観による借り控えだとかあるいはいわゆる銀行預金以外の金融資産へのシフト、これは、これも御存じだと思いますけれども、最広義のマネーサプライは大体五%弱で安定した動きを続けておりますが、そのほか、やはり経済の現在の低迷と申しますか、在庫調整が続いておりますので資金需要そのものがない、これが一番大きいと思います。その結果だと思います。これは、当面まだ在庫調整が続きますので、今の伸び率の低さはしばらくは続くかと思いますけれども、在庫調整が終わり、生産がふえてまいりますれば、いずれこれは増加に転ずると思います。
 しかし問題は、このマネーサプライの伸び率の低さが経済の実体にどういう影響を与えるかということであろうかと思います。
 その場合、手がかりになりますことは、企業金融がどうかということと、いわゆる金利が下がっているかどうか、この二つが手がかりになるかと思います。今、委員も御指摘になりましたように、この数年間の非常な緩和時代に、ストックとしてはかなりの金が出回っておりまして、したがって、GNPに対するストックの比率はなお相応のレベルはまだ維持しておりました。かつ、企業金融につきましてはいろいろなアプローチがございますが、不動産等特定の業種を除きまして、今のところ逼迫という感じはございません。さらに、金利はここのところ低下を見ておりまして、特に昨年末の公定歩合引き下げ、その後の市場金利並びに貸出金利の低下は大変なものでございまして、まだ数字としてははっきりしておりませんけれども、現在進行中でございます。こういう点から見まして、今の伸び率は低うございますけれども、これが日本経済の今後の発展に大きな制約になっている、そういうふうには考えておりません。
○越智(通)委員 そこで金融政策って一体何なんだと聞きたくなるわけで、みんなが借りに来るからどんどん貸したんだ、借りに来ないから貸さないんだといったら、金融政策要らないことになっちゃうんですね。金庫番じゃないんでしょう。お金を取りに来たから渡すんだ、取りに来なきゃ渡さないんだ、それでは経済政策としての金融政策はどこにあるのかという議論になるんじゃないか。
 現に、もっと金利を下げて、あるいはもっと資金を出せば金利そのものは下がると思うんですね。この十二月から以降、長期は下がっている傾向が続いていますけれども、短期は時々ぱんぱんとはね上がっているじゃないですか。それを見ますと、もっと資金量をふやして市中金利を下げて、地合いが下がったところで公定歩合が後追いしていく。公定歩合を上げるときは先に立つ場合が多いと思います。下がるときは後追いの場合も多いと思いますのでも、市中金利の実勢を実は資金量を抑えることでとめていたらしょうがないんじゃないか。仮に、この金利をどんどん下げれば、今長期を下げてきていますけれども、設備投資の動向なんかは違ってくると思うんです。私は、設備投資は、利益と利子とを両にらみして設備投資を企業家がされる、その根本的なニーズは非常に強いと思います。国際競争力を強くしなきゃならぬ、あるいは今うるさい環境問題でいろいろな設備、新しい設備投資をしなきゃいかぬ。――ごめんなさい。今問題になっている環境問題で設備投資をしなきゃならぬ、あるいは省力、省エネをやらなきゃならぬ、こういうことについて設備投資のニーズはありますけれども、収益は下がってきている。それに見合って利子も下がってくれればまた設備投資は出ると思いますが、今ごろ各企業とかなんか来年のというか、この四月からの設備投資の計画を立てていらっしゃる。今恐る恐る立てていると思いますね。ですから、設備投資がふえるという傾向は今は少なくとも出ない。そして、例年の例ですと、これから先にだんだん時は移っていって、六月になった、八月になったというときに、もうちょっとやれるなということで、今まで設備投資はどっちかといいますと上方修正を年度中にしておりましたけれども、ことしは下手すると、このままの金融が続くと下方修正になる可能性だってある。設備投資というものは、消費と並んで経済を支えていく二大パワー。その一つが、経企庁では平成四年度は名目五・一%伸びると見ていらっしゃるんだと思いますが、現状での民間の感じは、去年と同じ類やるかどうしようかというところが実際の判断だと思いますので、もうそこだけでも大きく狂ってくる。ですから、ぜひ金融がもっと緩むように政策的な意図を持ってやっていただきたい。もちろん、設備投資のもう一つの原因はほかにもあります。それは、設備投資をする資金を、幾ら金利が下がってきてもどこで調達するかという調達の場が今非常に逼塞しておりますから、狭められておりますから、この問題はありますけれども、いずれにしてもことしの金融政策として今よりきつくなるんですかね、もっと^楽になるんですかね。そこら辺を、それこそ明るい見通しを企業家に与えなかったらいかぬと思いますが、いかがでしょうか。
○三重野参考人 今の越智委員のお話に、まず金融政策の現在の基本的なスタンスを答弁いたしまして、その次に最近の金利状況について御説明したいというふうに思います。
 当面の景気情勢でございますが、これは私どもも、このところの最終需要のやや減少を背景にいたしまして在庫調整が本格化し、生産基調も抑制ぎみであり、まあ調整局面というふうに感じております。特に、在庫調整は素材関連企業については早くから始めておりましたが、加工業種は今から始めるわけでございますので、これからややしばらくは、在庫調整の本格的な進展の厳しい状況が続くというふうに判断をいたしております。
 ただ、そうは申しましても、現在の調整局面をどういうふうに考えているがと申しますと、これはもう委員には申し上げるまでもないことでございますが、一九八七年から四年間、約五%の非常に高い成長が続いたわけでございまして、その間にいわゆる人手不足の深刻化、バブルの発生、潜在的物価上昇力の発生、そういうようなことが出ましたことからも明らかになりましたように、これは速過ぎるわけでございまして、そういう速過ぎる成長からよりバランスのとれた持続的安定成長への過程として避けて通れないと申しますか、やむを得ないと申しますか、そういう調整局面に現在あるというふうに考えております。しかし、やむを得ない調整と申しましても、これは行き過ぎてはぐあいが大変悪いわけでございますから、行き過ぎに対してそれは行き過ぎないように配慮し、手当てすることは当然のことだというふうに思います。
 金融政策としましては、これももう委員御案内のとおりでございますが、昨年の七月から公定歩合を三回下げ、市場金利の低下を容認し、準備率も下げます、一連の金融緩和措置をとりましたのも、そういう趣旨からでございます。その結果、経済の実体面に最も影響のある市中の貸出金利は大幅に低下しておりまして、これももう数字は委員に申し上げる必要もないわけでございますが、短期プライムは五・八七五%、これはピークから二・四%の減少でございます。長期プライムに至っては、六%と申しますのは実にピークから二・九%、約三%下がったわけでございまして、特にこの長期金利の六%という水準は、いろいろ言われますが、歴史的に見てもかなり低い水準でございまして、現在の設備投資をいわゆる採算面からは十分サポートできる水準ではないかというふうに考えております。
 その上、これもさっきちょっと申し上げましたが、特に第三回目の公定歩合の引き下げの後、あれは短期プライム、長期プライムを決めましても、それが実際に下がるのは、まあ手形の切りかえごとに下がっていくわけでございますが、今回は非常にその進捗が速うございまして、したがって私どもはそれの進行を見守って、より確実にそれが浸透することを願うと同時に、今までのこのかなり低いところまで参りました金利水準がどういう効果が出るかを今注視しているというのが、現在の金融政策のスタシスでございます。
 それから、委員から短期金利その他についての御指摘がございましたが、確かに年末に公定歩合を下げました後、市場金利につきましては短期、長期ともに一段の低下を見た後、比較的落ちついた動きをしております。恐らく委員の頭にあるのは、例えば短期市場金利でもオーバーナイトのコールレートは非常に高いというようなことがおありかと思いますけれども、これはもう金融に詳しい委員に申し上げるまでもないことでございますけれども、金利先安観がございますので、銀行は資金の手当てをまあ一番短い金利でやろうとする。オーバーナイトでやる。で、ある銀行によっては一日に四兆、五兆という金額が毎日続いているわけでございます。したがって、オーバーナイトのコールレートはどうしても高目になってくるわけでありますが、そのほかの金利は比較的いわゆる我々の思ったとおり下がってきておりまして、長短金利の逆転も、どこでとるかにいろいろよりますけれども、ほぼ解消いたしまして、むしろ長期金利につきましては、六%まで下がってまいりますと、今六%といいますのは長期プライムでございますが、市場の長期金利が五・三四%まで下がってまいりますと、これは非常に低い金利でございますから、現在は社債の発行が非常にふえてまいりました。したがって、むしろ長期金利は若干強含みになっているというような状況でございまして、私どもといたしましては、引き続き金利の低下が経済の実体にうまく影響するように努力してまいりたい、こういうふうに考えております。
○越智(通)委員 日銀さんの方でそうおっしゃってますけれども、実際には、企業から見ると銀行に余り相手にしてもらえない、しょうがないのでお金をどこかで調達せにゃならぬというのが実情じゃないか。今総裁も社債のことをおっしゃいましたが、証券市場では実は株式を新しく出すのは今はできなくなっている、とまっちゃっている。これはどういうお見通しがいずれ伺いたいと思うのですが、普通社債が今やけに伸びていることは事実です。だけれども、普通社債とあるいはエクイティーファイナンスも含めたものと銀行の貸し出しの増加が、最近ではとんとんになっているわけですよ。昔は銀行さんから借りる方がうんと多かったんです。それで、証券市場から調達するのは社債を出すとかエクイティーファイナンス、要するに時価発行だ、転換社債だ、ワラント債だというのを出すときには、せいぜい銀行から借りる分の半分だとか三分の一だとかいうことだった。今はとんとんでございますよ。ひところはもうめちゃめちゃに証券市場が多かった。ひところと申しますのは、六十二年、六十三年、平成元年は、証券よこんにちは銀行よさようならという感じですから、そっちからどんどんとっていた。しかし今日、例えば平成三年度の上期ではどんとんでございます。銀行はどうも冷たいというのが感じなんですね。
 そんなときに、二つ声が聞こえてくる。これもきょうの新聞に載ってますけれども、銀行は焦げつきがたくさんあるから新しくなかなか貸せぬ、二兆円という数字がきょうの新聞に載っております。「大半が不動産向け」で、都銀は「焦げ付き二兆円」と書いてある。一つは、焦げつきがあるからなかなか貸せない。去年の九月の仮決算は、銀行は収益は非常に高いんです。その高い収益で焦げっきを償却するかどうか知りませんが、これも新聞ですからどの程度あれか知りませんが、大蔵省としては有税償却を奨励したという記事もぼんと一面に出たこともあります。この問題が一つある。
 もう一つの問題が、絶対に銀行の方はおっしゃらないのですが、BISの規制があるわけです。BIS一国際決済銀行は資本と貸し出しは、貸し出しから資本を見れば八%ですね、それで資本の方から貸し出しを見れば十二・五倍、要するに自分の持っている自己資産といいますか、そういうものから見て、余りたくさん貸しちゃ、むちゃ貸しちゃいけないよ、オーバーバンキングと申しておりますが、これを規制している。数年がかりで今日になった。この三月三十一日が一つの板テストです。来年の三月三十一日が本テストです。これを違反したときにはどういうペナルティがあるか。私も詳しくまた知りませんが、教えていただきたいんですが、海外に出している日本の銀行の支店が言うなれば痛い目に遭うということじゃないかと思うんですが、この八%をもっと緩めてもらえないか、あるいはこの期限というのをもっとおくらしてもらえないかという動きに対しましては、それは約束をしちゃったんだからとか、あるいはそれは日本が一生懸命頼んで八%にしてもらったんだ、あるいは日本が一生懸命頼んで資本の勘定を少し評価益などを入れて大きくしてもらったんだからということで守らざるを得ない、数年がかりの交渉の結果だと、これもよくわかります。
 だけれども、今日本の経済が殊に金融を中心にこう苦しんでいるときに、そういう約束の方がより強く先行しなきゃいけないのかな、何か打つ手はないのかな、こういう感じがするわけでありまして、このBIS規制というのは、私の知る限りでは金融機関も大きい方、上の方が対象でありまして、下の方は、下と言ったら言い方が悪いかもしれませんが、対象でない。本当は小さい金融機関こそオーバーバンキングしちゃいけないんだよと。後で申し上げますけれども、いわゆるノンバンクの方々の自己資本は四%ですよ、二十五倍の金を貸しているわけですから。そういうのをやっちゃいけないんだよという規定の方が、今、信用金庫その他をやっているその行政もあるようでございますけれども、いずれにしてもこのBIS規制をそんなに金科玉条にせにゃいかぬでしょうか。むしろ国内の方にもっと目を向けてもらいたいなというのが声でありますけれども、その点についてお考えがあれば伺っておきたいと思います。
○三重野参考人 私ばかり答えてよろしゅうございますでしょうか。
 銀行の貸し出しの伸びが低いことは委員御指摘のとおりでございまして、かつては二けたの伸びであったこともございますが、ごく最近は、各業態とも前年比四、五%の伸びかと思います。これは、先ほど申しましたけれども、いわゆる借り控えもございますけれども、一番大きいのは、やはり景気がこうやって調整局面にあることからする資金需要がないということが一番大きいのではないかと思います。
 しかし、こういったことをもとにして、BIS規制がこれの制約になっているのではないかというお話が確かにございます。しかしながら、現在の銀行の貸し出しの伸びのあれは、むしろ資金需要がないからでございまして、貸し渋りによるものではございません。これは先ほども申しましたように、金利が低下しているということが一つの証明かと思います。特に昨年秋ごろまでは、いろいろなところで銀行がどうもなかなか厳しいという話もございましたが、年が改まってからはかなり銀行の態度も変わっておりまして、これは数字は、いわゆる約定平均金利などがこれから一片のが発表になってくる。これはかなりはっきりと各業態とも下がったということが出てくるかと思います。かつ、銀行の貸し出しサイドも、確かに委員御指摘のとおり、いろいろ信用リスクがございますので慎重に貸してはございますけれども、中堅、中小企業あるいは個人の健全なものに対しては積極的に貸し出したいという意欲がございまして、特にその傾向は最近さらに強まっているというふうに私にはうかがわれ。ます。
 このBIS規制というのは、実はこういう国際化、自由化の世の中になっていますと金融機関の経営というのは非常に難しくなってくるわけでございますが、その場合、これを乗り切って金融機関が公共的な使命を果たす、しかも健全経営を守っていくためには、自己責任原則のもとで自己資本の充実とリスク管理の徹底、この二つが最も大事かと思います。それをある意味ではBIS規制が側面から支えていることでもございますので、私は、BIS規制そのものはここで廃止するのはどうかと思いますが、実際の銀行の貸し出しの状況は、今申したとおり少しずつ変わってきておりますことを御認識いただければというふうに思います。
○越智(通)委員 BIS規制、それはおっしゃるとおりで、今日本だけがやめたと一方的に言えるものじゃない。そのとおりですが、よほどこの運用といいますか、交渉をうまくやっていただかないと難しいな、こう思っております。殊に金融制度調査会、澄田調査会で昨年夏にも、BIS規制にはこういう行政の国内的な法的根拠がないということが指摘されているわけですから、BIS規制を今後も国際的に受け入れでいくとするならば、そうしたものを受け入れる国内的な受け皿をきちんとしなきゃいけないんじゃないかな、こんなふうに思うわけです。
 それと関連して、ちょっと変わりますけれども、証券市場のことを伺っておきたいのですけれども、一体ことしの平成四年度の証券市場はどういうような展開になっていくのか、これは証。券局長で結構ですから。新株の発行その他はとまっていたわけだし、まあ市場の相場が幾らになるかと聞くわけじゃありませんけれども、もっと証券市場をどういう方向に引っ張っていこうとするのか。昨年の後半は、悪いことしちゃいかんぞという、私どもも参加していろいろな法律をつくってきて、今度もまた国会に法律をお願いすることになるわけですけれども、取り締まるだけじゃなくて、証券市場というものが逼塞していると、企業家が事業をしようと思っても銀行も相手にしてくれない、新株も出せない、しょうがない、社債だけもう今一生懸命、そっちへやらせてもらっている。半期で七兆ぐらいいっていますけれども、社債としては多いと思いますけれども、かつてエクイティーファイナンスで十何兆やっていたころに比べればそれは小さなものでございますから、そういう意味では、このことしの証券市場、殊に外国人がひところはわあっと入ってきました。だけれども、ちょうど私どもが海部内閣の最後のころは外国人投資家が入ってきたんですけれども、どういうわけだかあの十月過ぎから去っていったように思います、実際には。そして、ことしその外国マネーが入ってくる可能性というのは、わかりませんけれども、何だか余り期待できないような気もするんですが、証券市場の本年度の見通しについて、証券局長から御説明をいただきたいと思います。
○松野(允)政府委員 証券市場、特に株式市場の見通しという御質問でございますが、率直に申し上げまして、見通しを申し上げるというのは非常に難しいわけでございますし、また、私どもが見通しを言うというのも適切ではないんではないかというふうに思うわけでございます。
 ただ、私どもとして、現在この株式市場が低迷を続けておりますいろいろな原因について分析をし、それに対する対策を考えるということが、私ども行政当局に課せられた使命だと思っておるわけでございます。現在の低迷の原因の中には一時的な原因もございますし、あるいは構造的な原因もあるわけでございます。一時的な原因といいますのは、三月の決算期を控えて機関投資家の動きが非常に鈍いとか、あるいは決算対策のための売りというものが出てくるんではないかというような不安感、現実に幾らか出ているということも言われております。しかしこれは、三月を過ぎればそういう要因はまずなくなっていくわけでございますが、それよりも重要視しておりますのは構造的要因でございまして、これの大きな問題は、一つは、やはり昨年来のいろいろな不祥事で、特に株式市場に対します投資家、個人投資家の信頼が依然として回復してないという問題がございます。
 もうこの信頼をいかに回復するかというのか非常に大きな問題でございまして、まあ先般損失補てんの禁止ということを、法律を改正していただいたわけでございますが、あわせまして今回、証券市場に対する監視機能の強化あるいは自主規制機能の強。化というようなものもお願いをしたいと思っているわけでございます。あわせまして、証券会社の営業の姿勢、投資勧誘態度というものにつきましても、従来のようなやり方ではなくて、より自主的な営業あるいは投資家の自己責任に基づく判断を尊重するような勧誘というようなものが必要だろうということで、証券会社の方もそういう新しい営業体制あるいは投資勧誘方法の立て直しというものに取り組んでいるわけでございます。
 それから、もう一つ構造的な問題といたしましては、株式の保有魅力がいかにも低いという問題がございます。配当が非常に少ないということで、ただ株を持っていて配当だけを受け取るだけでは余りにも利回りが低過ぎるという問題があるわけでございまして、この点につきましては、私ども企業に対し、時価で資金調達を株式市場で行う以上は、その時価に応じた配当、あるいは企業が得ました利益のうち幾ら、どのくらいの割合を株主に渡すか、いわゆる配当性向と言っておりますが、そういったものを引き上げる、あるいは配当政策の考え方をよりディスクロージャーといいますか、より明確に対外的に公表するというようなことを通じて発行会社も証券市場におきます株式の保有魅力の引き上げ、それを通じる個人投資家の市場への参加というものをやっぱり考えていただかないと、なかなかこの発行市場が再開、特に時価ファイナンスが再開することができないわけでございますので、市場関係者としてぜひその配当の引き上げについて考えていただきたいということを言っているわけでございます。
 そういう構造的な問題はなかなか一朝一夕に効果を上げるというわけではございません。しかし、着実にこういう措置をとることによって株式市場に対する投資家の信頼を回復し、あるいは株式保有魅力を高めていって、個人の貯蓄あるいは金融資産におきます株式の割合をできるだけ適正な水準まで上げていく。やはり金融資産がふえてまいりますと、株式投資のニーズも当然ふえていくというふうに考えられるわけでございますので、そういうことを通じて株式市場の低迷を打開していさたいというふうに考えているわけでございます。
○越智(通)委員 証券局長のおっしゃる、いわば分析はわかるんですけれども、投資大衆と申しますか、明るい見通しを与えるような説明になかなかなりにくい、また難しいだろうと思いますね。
 それで、今三月の相場が決算対策で売りが出て危ないかという御説明がありましたけれども、これは逆の見方もありまして、決算が終わって四月が危ないという見方もあるわけでございまして、株の先行きが見通しが悪ければ、企業経営者が決算が終わって四月になってから処分をして、その金をより有効な方へ回そうという経営態度が出てくる可能性もあるんですが、そこを今議論してもしようがありません。
 心配しているのは、株価が下がると、さっき申し上げたBISの規制上、銀行の自己資本が下がるということでありまして、したがって貸し出しもまたきつくなると、こういうわけで、BISの規制というのは、実は株がだめなら銀行だと言いたいところなのに、株がだめだから銀行もだめだという連鎖反応を起こす可能性がある。可能性というか、そういう仕組みになっているところが、先ほど来申し上げているBISの問題点なんですが、ぜひ証券市場を活性化してそういう、何と申しますか、危惧、不安、いら立ちというものを解消しないと、なかなか経企庁がお考えになっているように、割と今度の景気後退が、浅いことは浅いと思うんですけれども、短くて済むよというところが心配てしょうがない。アメリカの例に見るように、なべ底になっちゃったら困る。上がったんだか下がったんだかわからない、たらたらっとこう、長いことなったら困るんじゃないか、そういう意味ではやはり証券市場もぜひ積極的に、大蔵省を中心に対策を早急にお考え、また打ち出していただきたい。
 そんな中で、金融を緩めたり金利を下げたりすると、またバブルが来るんじゃないかと。だけど、それはやはりバブルがなぜ起こったかという構造の分析にもかかわるわけでありまして、あのころ一番問題になったのがいわゆるノンバンクでありまして、このノンバンクの問題を実際にはよく解明されてないのが問題じゃないか。
 総理、私ども古くに大蔵省にいた者は、ノンバンクという言葉が実は正直言ってわからないんですね、実際には。銀行局長さんにちょっと聞いてみたいんですけれども、銀行法には第六条というのがございまして、「銀行は、その商号中に銀行という文字を使用しなければならない。」これはみんな守っています。「銀行でない者は、その商号中に銀行であることを示す文字を使用してはならない。」「銀行という文字」という言葉と、「銀行であることを示す文字」というのは意味が違うんだと思うのですね。
 いわゆるノンバンクという方、三万ぐらいあるそうですが、私は百社の名簿は持っております、トップ百社ですね。それでトップ三百で、一%で全体の資金量の八割、資金量何ぼあるかといったら、大きく見ると百兆です。小さく見て七十数兆です。これは旧相互銀行よりも多いんです。要するに、全国銀行の中でも、都市銀行、地銀に次ぐ資金量でございますから。そしてこの中で、この間、個々の名前を言っちゃ悪いかもしれませんが、新聞にたまたま載りました日貿信。日貿信というのは危なくなったんで六行が助けに入るというのが書いてありました。金利減免など検討、日貿信に金融支援。日貿信というのは、総理御存じかと思いますが、台湾銀行の方々が残っておつくりになったノンバンクでございますが、ここの貸し出しか一社で一兆三千億。これは減って一兆三千億円。前は一兆四千とか五千やっておった。こういうとこら辺が、日貿信は信という字しか使っていませんが、その百社の名簿を見ると、非常に多くはファイナンスという字を使っています。約百社のうち三分の一がファイナンス。銀行という文字に当たるみたいな感じがするんですけどね。いきなりバンクと言っている人はいないんですけれども、あとクレジットとか何か。
 こういう機関、いわゆるノンバンク、種類は八つあるんでございますよ。消費者向け無担保貸金業者、消費者向け有担保貸金業者、事業者向け貸金業者、銀行系クレジットカード会社、信販会社、流通・メーカー系クレジット会社、不動産関係金融会社、リース会社、それに住宅金融専門会社、それまで入れると九ってあります。住宅金融専門会社の人に言わせると、自分たちをノンバンクと呼ぶのはやめてくれと、不愉快だと、こうおっしゃいました。ある会長さんがですね。
 その中で、住宅金融を入れて九十八兆二百億、除けば八十四兆。その中で一番事業向けが多いのが四十四兆。事業向けの貸金業者というのは何だというと、貸している金の半分以上が事業用なんです。消費者のためのクレジットや何かだったら五万円だか二十万円だか貸しているのです。こういうところは違うんです、億で貸しているんですから、億で。今の日貿信というのはその事業用向けの貸金業者でございまして、その百社のトップからいえば全体を通じて五位です。五位で一兆三千億ですから、上のはもっとでっかいんです。
 そういう関係でやっているこのノンバンクをどういうふうにコントロールしていくか。これは非常にいいことだという見方もあるのです。金融機関の頭は、何というか、悪い言い方かもしれませんが、頭がかたくなっているのに対して、この方々は非常にどんどんどんどん新しい金融の方法を考える、柔軟だと。それから、金融機関の足らぬところを補完してやっているんだと、だからいいんだと、こういう議論もあるんですけれども、九十八兆の金融が現実に行われている。この問題に対して、例えばここに大口規制があったら、このノンバンクにかけていたらばこういうことにならなかったかもしれない。しかしもろにだあっと貸している。
 まして問題は、この百社の中で調べましても銀行の系列に属しているのが、まずこれも三分の一あります。おまけに冠でございます。その銀行がすぐ想定されるように何銀ファイナンスとか何銀クレジットとか、こう言っているわけでありまして、こうなると、銀行行政というのは銀行と名のついたところだけで、そこから出している出先、このファイナンス会社の、ノンバンク会社の特徴は、預金は集めておりません。預金を下手に集めれば出資法違反になります。金はどこから取ってきているかと彼らの資金源を調べますと、概数ですけれども七七%が銀行からの借り入れなんです。そしてあとの十数%、二〇%足らずが事業会社から出しているのがあります。これはトータルですから。特定のファイナンス会社を見れば一〇〇%あれですね。自己資本がトータルで四%です。だからよそから借りてきた、ほかの銀行が預金者から集めた金がこっちに流れ、そこで貸すだけをやっている、こういう感じでございまして、さっき金利が下がったというお話をされているときにも実は申し上げたかったんですが、銀行の方でお調べになっている金利というのは、このノンバンクに貸す窓口の金利をおっしゃっているんで、ノンバンクからさらに借りている消費者はもうちょっと高いんでございますよ。高くなきゃこのノンバンクの人たちの飯代が出ない、食いぶちが出ない。したがいましてもっと高い金で動いているんじゃないか。
 こういうところが実は、この方々が一番貸したのは何だというと、不動産なんです。このノンバンクの九十兆あるいは八十兆と言われているものの貸出先があれなんです。じゃ、銀行はどのくらいノンバンクに渡したか。さっき九十兆の七七%と申しましたから七十兆ぐらいのものを貸しているわけですが、その七十兆ぐらいの銀行の貸し出しは銀行プロパーが不動産屋に貸したのとどのぐらい違うんだといったら、こっちに、ノンバンクに貸した方が多いのです。銀行はストレートに自分の窓口から不動産業者に貸したよりも、ノンバンクに貸したのが多い。ノンバンクから不動産屋に行っている。そうすると、銀行の窓口で不動産貸し付けを一生懸命抑えてみても網の目は逃れている。そういう意味では、金融の仕組みから見るとこの問題をなぜ取り上げられないのか、金融制度調査会では実は余り語られておりません。実際は去年の六月の答申でございました。討議はもっと前に行われたのでしょう。実態がよくわかってなかったのかもしれませんが、今こそこのノンバンクという存在についてもう一歩踏み込んだ態勢をとらないと、私は今後も金融が乱れるもとになるのじゃないかな。
 こういうものに対して、実はさっきの金融機関の焦げつき以上にこっちが危ないのだといううわさが流れているわけですよ。ノンバンクの会社、何とかファイナンス、何とかクレジットの方はそれの一つのあらわれ、新聞に載っちゃったのが日貿信。日貿信ではどのくらい危ないかというと一兆三千億の貸し出しの一割が焦げつきだ、千三百億です。六行が入っているのです。そしてこのノンバンクの方々は、総理ぜひおわかりいただきたいのですけれども、ファイナンスという名前ですけれども物すごく小人数でやっているのですよ、人件費を稼ぐために。日貿信の社員は、一兆三千億貸しているのですけれども、これは会社四季報にもはっきり載っています、二百四十何名の社員しかおらないのです、職員は二百四十何名しか。一兆円というのは、漁協と漁信連の貸している金が一兆三千億ぐらいですからね。オール漁協、羽田蔵相は農業お詳しいから、オール漁協の貸しているのと日貿信一社で貸しているのは同じぐらいです。そして実際に貸し出しのやっている方々はわずかな人数。そこから出てくる心配は何か、ろくな審査はしてないな、こういうことです。融資に当たって、できないなと。確かに、銀行からOBの方が天下って、そういう金融のセンスはお持ちになっている経営者がいるのでしょうけれども、それだけの人手でそれだけの貨し出しをやって十分に目が届くはずがないじゃないか。
 そうすると、そこの危なくなったときに、一体大蔵大臣、各銀行に命じてそれを助けに行くのですか。日貿信は六行が出ると言ったのですが、六行出たけど金を出したとは書いてない。六行はいわば探りに行った、見に行ったというか検査に行ったのじゃないか。ここは大蔵省の銀行検査ももちろん入りません。そして去年の夏の法律で報告だけ求めるようになって、やっと今私が御説明しているような数字がある程度つかめてきたというのが現状なんです。もちろん日本銀行も考査局は取引先じゃないから考査に行かない。ただ、さっき申し上げたように百社の三分の一が銀行の冠の出先なものだから、銀行まで行って、あのおまえのところの子会社はどうやっているのだと聞いているということで、随分隔靴掻痒以上の迂遠なコントロールといいますか、あれしかできていない。これをもっと自由にしておけという議論もあるのですよ、実際問題は。通産大臣もぜひ聞いておいていただきたいのですけれども、そういう議論もある、ノンバンクの扱いについて。だけど、ここについて今御説明をし、総理初め皆さんに御理解もいただき、問題の所在を深刻にぜひ受けとめていただきたいと思ったので申し上げましたが、本件について大蔵大臣また日銀総裁から御所見があれば、方針があれば伺わせていただきたいと思います。
○羽田国務大臣 まさに大変子細なデータをお持ちになっての御指摘、私ども多く勉強させていただきました。
 確かにノンバンクの融資業務につきましては、昨年の貸金業規制法の改正によりまして土地にかかわる貸し付けの実態把握と適正化のための必要最小限の報告を求めもことが法的に認められたわけでございますけれども、一般の貸出金についてまで報告を求める法的な権限は限られているものというふうに考えております。
 しかし、このような法的な権限には制約があるものの、昨今の不祥事ですとかあるいは過剰融資問題等にもかんがみまして、ノンバンク側の自主的な協力、これを前提としてノンバンクの融資業務の状況についてもできる限りやはり実態の把握というものに私どもは努力しなければならないだろうというふうに思っております。そして、これはいろいろなものにやはり関連してくるわけでありますから、そこに貸し出している銀行等の状況等についても私どもは十分やはり把握していかなければならないというふうに思っております。
○三重野参考人 私どもは、委員も御指摘のように、大蔵省以上に権限がございません。ただ、これもまた委員が御指摘になりましたように、ノンバンクの資金調達の大部分は銀行でございますので、銀行に対する実地考査あるいは日々のモニタリングを通じましてノンバンクの実情把握には努めておりますが、隔靴掻痒で確実に把握しているとは言えないと思いますが、しかしノンバンクの貸し出しかいわゆる不動産及び財テクに偏った結果、しかもそれがこのところのバブルの崩壊に伴いまして貸し出し内容がかなり悪化していることは事実だろうと思います。したがいまして、銀行のノンバンクに対する与信の仕方、審査の仕方あるいは与信の管理の仕方については私どもとしても関心を持って指導してまいる、そういうことでございます。
○越智(通)委員 私はもう少し突っ込んだというか強い態勢をとっていただきたいなと思っているのです。銀行がなぜ。自分の名前をつけた会社を許すのですか。何銀という字までついているのがあるのですよ、何銀ファイナンスというのが。さっきの銀行法の、これは預金者保護もあるけれども、貸し出しに対しても銀行という名の持つ信用度をやたらに使っちゃいかぬよという意味であるのですけれども、何銀ファイナンスという、なぜそんな冠を許させるのですか。そしてそこに行っている方は元支店長か何かで銀行さんですから、ソフトなんです。ジェントルマンなんですよ。借りに行った連中は、もっと怖いところかと思って行くと、割とソフトなんですよ。人をどんどん出しているじゃないですか。そしてそれだけお金を供給しているじゃないですか。その子会社を調べる前に、そういうことをさせている親銀行を態度がおかしいのじゃないかとなぜ言っていただけないのですか、私はそういうふうに思うのですね。
 そして、その子会社の方は、子会社というか何とかファイナンスさんは貸金業法なんです。今大蔵委員会で、また貸金業法をもうちょっと強化しようじゃないかという議論があるのですが、貸金業法は私どももさんざんやってきましたが、議員立法でございます、スタートから。そしてこれはどっちかというと、要するに町の隣の八百屋の小僧さんが五万円貸してくれというのに貸したという、おまけにこれは消費者保護的な法律でございまして、これが一兆円の金を貸している会社を調べに行く根拠法規になっていること自身に何だかそぐわない感じがするわけですね。ですから、むしろ新規立法をお考えいただくか何か、いわゆる貸金業者というものでイメージされるものとは違うのですから、立派なビルに入っておるのですよ。立派な住所のところにいるのですよ。ですから、そういう意味でこの問題はぜひもうちょっと強く突っ込んだ感じでやっていただきたい。
 まして、その先へ進みますけれども、この間うちの銀行の不祥事件、きのう富士銀行がまた追起訴になりました。ああいう事件に大抵こういうことがかむのですよ、ノンバンクが。かむということは通じているのですね、早く言うと。赤の他人じゃないのです。ですから、この不祥事件を抑えていく意味でも、あるいはバブルと言われる土地の問題もなにしていくためにも、ぜひこういうノンバンクをそういう意味でもきちっと規制するといいますか、規制という言葉はよくないかもしれませんが、位置づけをきちっとする、このことも考えていただきたいのです。
 そこで、今の事件に関して、ちょっときつい言い方かもしれませんが、証券界に対するのと金融界に対するのでは、あの不祥事件、正直言うと信用を落としたという意味では銀行の方が大きかったと思いますね。何百億とか何千億という預金証書というのは僕は見たことありませんが、ある事業をされている同僚代議士から言われました、そんな預金証書はないんだよ、本当は。そんなものはありっこないよ、普通ならば。そんなばかでかい金額のものを、そんなものを見て信用する方も信用する方だが、それは貸した方ですよ。ど素人じゃないんですよ。お金を貸すような方がよそから来た預金証書のばかでかい金額を見て、ああそんなに預金があるんだな、失礼な言い方ですが、大阪の料亭さんはすごい金持ちやなと思って金を貸したとしたら、信ずる方も問題じゃないかねという議論を我々の会議の場でもおっしゃいましたけれども、私もそんなふうに思うのです。
 ああした問題が絶対に起こらないように銀行の方はどういう手段をおとりになったのでしょうか。この間出した法案で、監視委員会で銀行もやるようになっていますけれども、あれだけでいいんでしょうか。むしろ、銀行に対しては今までたくさん監督しているわけですね。大蔵省銀行局の検査があり、日本銀行の考査局の考査があり、そして自分のところで自主考査もしていて、私ども町の中で聞いている話では、富士銀行さんのあの事件の直前にもそうしたものが、直前というのは何も三日前という意味じゃありませんが、二月、三月前にもそういうものが入っていたのだ、入っていたけれども見つからなかったのだ、こんなふうなことを聞きますと、やはり銀行不祥事件、一部の不心得者がやったので企業ぐるみじゃないでしょう。だけれども、そういう起こってはならないことが起こった、そのために全体の金融機関の信用を下げた。その再発防止策は今十分できているのでしょうか。そのことについて御説明いただければありがたいと思います。
○土田政府委員 昨年の後半、一連の事件が起きまして、これは確かに御指摘のように、我が国の金融システムに対する信頼を大きく損なうことになりました。まことに遺憾に存じております。
 そこで、私ども検査を担当しておる者といたしましては、いずれにいたしましても、我々の日常の活動を通じてできる限りのことをしなければいけないと考えておるわけでございます。しかしながら、その前に、もちろんそれぞれの金融機関における管理体制の確立、それから検査という次元に限りますならば、それぞれの銀行で立派な検査組織を持っておるわけでありますから、そのような検査組織の充実、機能の強化、そのようなものが前提になるとは思いますが、いわゆる金融検査につきましても、内部管理体制を含めました金融機関の業務についての重点的な、また機動的な検査を実施してまいるということに一層心がけなければならないと思います。
 ただ同時に、やはり限られた人数、限られた能力で全部をカバーすることができないことも事実でございますので、そこを補うものといたしましては、例えば、電算化の推進その他にょりまして検査のバックアップシステムの強化に努めるというようなこと、それからさらに、我々検査官の外部検査と銀行の中の検査部の内部検査との連携の充実、そのようなことに努めていかなければいけないと思っております。
 そのようないわば外科的な診断によりまして銀行の経営が悪用されることを防ぐと同時に、やはり根本には金融機関の経営姿勢の一層の引き締めと申しますか、そのようなことが自発的に行われなければならないと存じますが、この辺につきましては銀行界を挙げて、全銀協を中心としましていろいろ対策を研究し、また個別金融機関におきましても、審査部の能力の拡充その他の措置を一斉にとり始めておるところでございます。今後、このような事件が起こることのないように十分努力をしてまいりたいと思っております。
○越智(通)委員 実は金融問題の最後に、日本銀行にもいろいろ御注文申し上げたいと思っていました。それは町の声にもっと耳を傾けてほしいといいますか、本当は政策委員を通じて声が入るべき仕組みになっておりますけれども、ぜひお願いしたいと思うし、また金融機関のそうした運営については、信用制度の保持育成のために必要な業務を行うというのは日銀法で仕事になっているわけですから、銀行という信用制度が今危殆に瀕しているとすれば、それは大蔵省だけではない、日本銀行も一緒になってそういうことに言うなれば汗をかいてもらいたいという御要望でございますが、時間の都合で、済みません、日銀総裁においでいただきましたが、心からお願いいたしまして、その点は打ち切らせていただきます。
 もう一つ、次に入らせていただきますのは、非常に今心配しているのは独禁法の問題でございまして、早く言うとアメリカのSII、経済構造調整協議というのでしょうか、これで問題が今二つ出てきている。一つが再販価格の問題、それからもう一つが今の罰金制度の問題でございまして、再販の方はもう絞られてきて、化粧品と医薬品の問題でございますが、総理も御存じと思いますが、昔は九つもみんな再販値段、要するに小売値段を決めておいてもよかったのがだんだん減らしてきました。今一番問題になっているのはその二つでございますが一その中で医薬品が二十六種類ですか、それから化粧品は千円以下の二十四種類、こういうことになっているのです。
 大体、医薬品とか化粧品というのを売っているのは小さい店でございます、そう言っちゃ悪いのですけれども。六万六千軒あるのです、薬局と名のつくものは、薬種商とかなんとか入れて。そのうちの一人か二人、お父さんと奥さんといいますか、御主人と奥さん、こういうのが大半でございますよ。きれいな女の子が立っているなと思って聞いてみると、何とか化粧品会社のセールスレディーなんです、これが。美容部員とかなんとか言っておりますが。要するに、非常に零細企業の中で、それも千円以下のものを売っているのを、それをやめてしまえ。九百五十円で売る店と九百円で売る店と千円で売る店と、まあ消費税が上に乗っかりますけれども、自由にしなきゃ消費者の利益を害するとは僕は言えないんじゃないか。ここは無理押ししてもらいたくないな。ぜひこれは、実は公取にはお願いする以外にない。
 法律上は、これは公正取引委員長が全部おやりになる仕組みになっている。おまけに、独禁法はすごい法律でございまして、私ども三木内閣のころに、商工委員会でさんざん独禁法の勉強をさせていただきましたけれども、独禁法の中には、職員の中に検察官がいなければいかぬとちゃんと書いてある。それから、わざわざ「公正取引委員会の委員長及び委員は、独立してその職権を行う。」と書いてある。「独立して」というのは、内閣の指示は受けませんということなんですね。すごい行政委員会なんです。ですから、そういう意味でお願いする以外にないのですが、実情をよく把握して、この再販問題については慎重にお取り組み願いたい、まずこれをお願いいたしておきます。
 それから、ついでに一緒に申し上げてお話をいただきましょう。
 もう一つの問題が、今非常に問題になっている罰金の話であります。課徴金があるところにまた罰金とはどういうわけか。確かに、五百万円の罰金というのは低いじゃないかという議論があります。今までは罰金というのは、個人も法人も両罰主義だから最高限は同じだと。その同じ最高限の中で実際に科するときに手かげんといいますか、勘案いろいろしていたわけですね。それが低いから上げる。今度の、きのう国会に出されました報告書によると、それを分ける。個人のは上げない、法人の方だけ上げる。一つのお考えだと思います。結構なことだと思いますけれども、しかし、今実際には日本の経済は、先ほど来申し上げてきているようにいわば微熱を出しているんですね。風邪引いているのです。肺炎、肋膜とは思いませんけれども、そのときに大きな手術をするということは大変心配でございまして、この問題も相当に慎重にお考えいただきたい。
 これは法律問題ですから、まさに国会の問題になるわけです。この独禁法の改正、それに対して、また新しい刑事罰の導入という声もあるとか、あるいはアメリカの方で、アメリカの法律を日本の企業に適用する、いわゆる域外適用の問題とかあるようですけれども、さしあたりはこの今の罰金の問題ですね。大変難しい問題でお答えしにくいと思いますけれども、ぜひ公取委員長、通産大臣から御所見があれば伺わしていたださたいし、新聞紙上を見ると、閣僚によっては何か意見を言っちゃっている方がいるようですが、新聞では。わかりませんが、我々はどういうふうにこれに対応していくか、大変心を痛めておりますので、ぜひお言葉をいただきたいと思います。
○渡部国務大臣 産業の活力を発展させ、また一方、消費者利益を増進させるためには公正な競争を確保していく。そういう意味で、独禁法の役割の重要なことは重々私どもも承知をいたしております。また、今越智先生から御指摘のような問題点について勉強を、あるいは研究ということの方がいいのかもしれませんが、されておるというところまでは私ども承知をいたしておりますけれども、その後の相談は受けておりませんので、今後、政府の方針を決定するということになってくれば、私どもは、産業を発展させていかなければならない、あるいは守っていかなければならない、そういう立場になって御意見を申し上げるつもりでおります。
○梅澤政府委員 刑事罰の問題につきましては、昨年一月以来、主として刑事法学者、独占禁止法学者によりますこの問題の検討を重ねていただいてきたわけでございます。先般、その報告書がまとまったわけでございますが、その骨子は、一つは、今委員が御指摘になりましたように、両罰規定によりまして現在の独占禁止法の一番最高の罰金刑、これは独禁法の八十九条、カルテル等の行為でございますが、この部分について、企業に対する罰金刑の五百万という上限は、現在の企業の経済力なり社会経済における実態から見た場合に、違反に対する制裁としては低きに失するという点が一つございます。
 それから二つ目は、これは独占禁止法に限りませず、御指摘になりました両罰規定というのは、我が国のあらゆる企業刑事法制に共通した構造になっているわけでございますけれども、今日、これは刑法学説あるいは刑事政策、いろんな立場があるようでございますけれども、共通して、個人と法人等事業者の罰金水準は切り離すべきであるというのが基本的な方向であって、その方向に沿って今回の独占禁止法の問題も論議されたということが二つ目でございます。
 それから三つ目は、その引き離しの対象になるものは、独占禁止法にいろんな罰条があるわけでございますけれども、先ほど申しました八十九条、カルテル等の市場の支配、これが競争秩序の侵害に一番大きい影響があるわけですから、ここに限定して引き上げを検討する。それから、引き上げの水準といたしましては、個人と法人等の資力の格差等、それから、我が国の場合はアメリカと違いまして、これも先ほど御指摘になりました課徴金という制度がございますから、そういうものも総合的に勘案して水準を検討すべきだろう。報告書では数億円という表現がとられておるわけでございますが、今政府といたしましては、この報告に沿いまして各方面と調整を重ねておるところでございまして、最終的に、与党におかれましても非常に真剣にいろいろな角度から御議論、御検討いただいているようでございますので、何とか各方面の御理解を得まして、この国会に提案をさせていただくべぐ現在努力しているところでございます。
○越智(通)委員 いろいろ御苦労のほどはわかるんでございますが、課徴金というのを先般引き上げました。実は、利益に対してかけるという認識をお持ちの方がいたので、党内の議論のときに、それは違う、これは売り上げにかかるんじゃ、利益が上がっていてそういう行動をとっているんじゃなくて、利益が上がらないから追い詰められていろいろな、例之は生産制限みたいな話し合いがあったときに、損をしている会社に売り上げに対しての率でかかるわけですから、大変企業としては存立を脅かされる状態もあり得るという意味で大丈夫かなと。それは悪いことをしたんだからしょうがないだろうと言われればそうなのかもしれませんが、それならば、どんな罪を犯した人でも全部死刑にするという議論に通じるようなことでございまして、そういう意味では、私は、課徴金は相当日本の場合にはきつい、このように思っておりますので、ぜひ罰金刑の問題についてはその点を十分考慮していただきたい。
 そしてまた、その課徴金のときに、大企業と中小企業とを分けて議論していただきました。カルテルという名前から聞くと大企業だけがやりそうな気がするのですけれども、結構、今までお調べをいただいている中には中小企業の団体も多いわけでありまして、この中小企業を十分に頭に置いていただかないと、個人と法人と分けたその法人の中に大きいのから小さいのいろいろあるわけでございますから、そこも十分考慮された方策をよく御吟味いただきたい、心からお願いいたしておくわけであります。
 最後に、土地税制のことだけ伺っておきます。
 実は、土地税制をお話し申し上げたいのは、ことしから地価税がスタートしたわけであります。実際に税金を納めるのは秋過ぎかもしれませんが、現実には一月一日から行われておりますし、それとともに、再来年になりますが、平成六年一月一日から固定資産税の評価も上がる。実際には土地の値段は下がっているわけですね。
 きょう、国土庁おいでいただいていると思いますけれども、三月になったら、といってももう三月になりましたけれども、三月の下旬でしょうかね。いつごろ国土庁は、あれは一月一日ですか、十二月三十一日現在ですか、一月一日でしたかな、の分を御発表いただけるのでしょうか。今からどんな方向だとは言えないかもしれませんが、肌で感じているところでは、私は東京の政治家なものですからこの東京近郊の感じしかわかりませんけれども、かなり下がっておる、こう思うのですよ。しかし、どうも上がるときはおくれて上がるけれども、下がるときもおくれて下がるというか、なかなか下げてもらえない。そうすると、実際に地価が下がっているという認識の中にお役所の査定だけがかっかかっかと上がられたら、これは何と申しますか、納税者の顔を逆なでするような感じになりまして、大変政治としてまずいのではないか。まずは国土庁から、最近の地価の状況を御説明いただければありがたいと思います。
○鎮西政府委員 継続的に地価の調査をやっておりますのは、ただいま委員の御指摘にもございましたが、一月一日時点のいわゆる地価公示、それから七月一日時点の都道府県地価調査、この二つがあるわけでございますが、私ども、昨年十二月一日時点で臨時の調査を行っております。したがいまして、これの状況が大体ことしの一月一日時点の地価公示の様子、これをほとんどそのまま反映しているのではないか、こういうように考えているわけでございますが、ちなみに、一月一日時点の地価公示は、この三月下旬に公表できることを目途に現在取りまとめ作業中でございます。
 したがいまして、昨年十二月一日時点でとりまとめました地価の動向について若干御説明いたしますと、基本的な姿といたしましては、大都市圏におきます地価の下落傾向は非常に強まっておりますし、あるいは下落している地域も拡大しているということでございます。また、地方圏におきましては、昨年の七月時点ではかなり上昇している地域もあったわけでございますけれども、十二月一日調査では鎮静化または下落している地域が拡大しつつある、こういう状況になっております。
 若干具体的に申しますと、最も関心の深い東京圏でございますけれども、区部の都心部等で年間に直しますとおおよそ二けたの下落ということで、ピーク時でございます六十二年秋ごろに対しますと累積では大体三割前後下落している。それから大阪圏でございますが、京都市等では大体年間三割を超える下落となりまして、ピーク時が大阪圏の場合は平成二年夏ごろでございますけれども、累積では三割から四割近い下落。その他地方のブロック中心都市と言われるところでございますが、ここでも一部下落を示す都市が見られる等、鎮静化傾向にあるというように考えております。
 ただ、大都市圏の地価の水準でございますけれども、ただいま申しましたように、ピーク時に比べまして相当下落しておるということは事実でございますが、今回の地価高騰前の昭和五十八年に比べまして、最も国民の関心の深い住宅地でございますが、まだ二倍以上、商業地では三倍程度ということでございますので、私ども昨年一月に策定いたしました総合土地政策推進要綱に従い、構造的かつ総合的な土地対策を着実に推進していく必要があるというように認識しているところでございます。
○越智(通)委員 今の局長さんの最後のところが一番問題なんですよ。地価は下がってきたけれども、まだ公示価格の七割までいってないからまだ上げますよということになると、本当は政治としてはいいのかなあということを感じるわけでございまして、時間がなくなりましたから、固定資産税と相続税と、それぞれ私の見解を申し上げて、お答えをいただきたいと思います。
 私ども、各党の政策担当者と協議したときもそういう議論が大体一致したんでございますが、固定資産税は余り値段でしょっちゅう変える必要はないんじゃないか。本来、固定資産税を市町村税にしたのは、市町村の固定的な経費を賄うために固定的な収入をもらうという意味でやったんであって、地価が上がったから上げる、下がったから下げるということはそんなに必要なものじゃない、もっと大まかな固定資産税の取り方があるんじゃないか。一筆ごとにその評価を変えて三年ごとにやるということが、実は地方公共団体にとって大変な仕事量になっているんじゃないか、そういうことを考えると、固定資産税をもうちょっとそういう格好で取れないか。
 殊に、この法律上、標準税率というのは地方税法に出ているんですけれども、標準税率というのは本当はおかしいんじゃないかなあと私は思っているんで、本来地方税法に書くべきものは最高税率が書いてあればいいんで、標準税率は、もし書くのならばあくまでもそれはお勧め商品でございまして、千分の十四がいいですよというだけならいいんですが、この標準税率があるために、地方財政法の五条では、普通税で標準税率以上取ってないと起債を認めないという条文があるわけですね。これでかんぬきがかかっちゃっています。
 もともと起債というのは、これは本来借金なんですから、都道府県が自由にしていいはずのものを、地方自治法二百五十条で、自治大臣の許可を受けなければならない、「当分の間こと書いてある。この法律は昭和二十四年だったと思いますが、四十何年続いている「当分の間こでございまして、優良なる都道府県などは一々自治大臣の判こをもらわなくても借金ぐらい自由にさせたらどうか。知事を選び、県会議員たちを選んで、みんなが、住民が参加している政治の中で、どんな借金でも、黒字の団体でも、起債は判こが要る。このために、実は結果として、土地の値段がこんなに違うにもかかわらず、千分の十四というのは全国一律なんです、ほとんど。上がっているのはあります、ちょっと。なかなかこれは下げられない。
 ぜひこの標準税率制度をもっと柔軟な運用をしていただくと、今回の評価アップと税率とをうまくバランスさせながら実際上の納税者の負担を激変緩和できると思うんですが、今自治省のお考えになっているのは、その評価の仕組みの中にいろんな細工をつくって、二百平米までの住宅用なら評価を何割に減らすとか、ああだこうだとやって、評価でいじくっているんですが、本当はもっと税率を自由にすればそんな細かな細工をしなくても済むんじゃないか。こういうことをやった結果、評価を上げた結果、一体五年先までの固定資産税ってどのくらいになるんですかということを知りたいわけです。どんどん上がるんじゃないかなあと。この懸念が、これから土地を取得することについて非常に危惧として、抵抗として残っちゃっていますので、ぜひ固定資産税の今後の持っていき方について、まずは自治省の局長さんで結構ですから方針をお聞かせください。
○杉原政府委員 お答えいたします。
 まず最初に、固定資産税の評価につきまして御議論をいただきましたが、現在まで固定資産税の評価、これは市町村がもちろんやるわけでございますが、余りにも市町村間でばらつきがある。大変極端に低いところも、極端にと申しますか、ほどほどの適正な水準にあるところも、余りにもばらばらがある。しかも一般的に極めて低いということになりますと、同じ公的な評価はほかにもいろいろございますが、評価に対するやはり国民、住民の信頼感といったものが損なわれる、いろいろその不平不満も出てまいるということでございまして、そういった点から固定資産税そのものに対するやっぱり不信感につながりかねない。固定資産税は市町村税の根幹税制でございますので、これはぜひ納税者の信頼を得ながら育てていくべき税制だと思っておりますが、その根幹になります評価につきまして住民に不信を抱かれないようにまず評価をしっかりやろうじゃないかという、こういうことでスタートいたしました。
 土地基本法の十六条にもその趣旨がうたわれておりますし、昨年の一月の総合土地政策推進要綱、閣議決定におきましても、公的評価につきまして、お互いの均衡化、適正化ということを速やかに図るべきだ、こういう線も出ておりまして、私どもその線に沿いまして、地価公示価格といったものが現在ございますので、それを物差しにいたしまして、その一定割合ということで七割をめどにいたしまして、平成六年度の次の評価がえには余りにもばらばらかつ低過ぎる各市町村の評価をできるだけそろえましょう、こういうことで現在作業を進めようといたしているわけでございます。
 具体的な評価は、この七月一日を基準にいたしまして、これからでございまして、今地価の動向など国土庁からも御説明ありましたが、実際にどの程度の評価アップになるのか、その辺を見きわめませんとこれからの対策を打てないわけでございますが、いずれにしましても、その固定資産税の評価をとにかく均衡化、適正化を図るということそれ自身が目的でございまして、決してこれによって増税、増収を図るということをねらっているものでございませんものですから、その評価がえの状況を見まして、その評価がえの結果、個々の納税者の税負担に急激な変化を生ずることのないよう、そこは十分な最大限の配慮をいたしてまいりたいと。いろんな、特にお話にございましたような住宅用地などにつきましていろいろ御意見ございます。衆議院の地方行政委員会でも特別決議をいただいておりますものですから、また、税制調査会の答申でも方向が示されております。十分な配慮をいたしまして税負担の急激な変化のないようにいたしたいと思います。
 その際、税率でというお話が一つございました。まあ、標準税率というのを現在地方税法上とっております。これはお話のように市町村の提供いたします行政サービスにつきまして、標準的な水準を維持するために必要な住民の標準的な税負担の水準を示すというものでございますので、まあ、したがって地方財政、財源保障をするという地方交付税の額を定める場合の基準財政収入額の算定にも基礎として用いているわけでございます。しかし、あくまでも標準税率でございますから、もちろんこの標準税率にょらないということはできるわけでございます。財政上特別な必要があると認められればできるわけでございますけれども、しかし、標準税率は一つのガイドラインといたしまして、国、地方間の税源配分でありますとか国民の税負担の水準などいわば総合的に勘案して定められているわけでございますので、特に最近は住民の間にもやはり負担の均衡といったいわばそういう地域間のバランスといった要請も大変強い昨今でございますものですから、また、他の地方団体へ波及するという影響も十分考慮いたしませんといけませんものですから、財政上の特別の必要という格別な事情が存しない限り、できるだけ標準税率によった課税をしていただきたいものだと私どもは思っております。
 で、税率によってその負担をいろいろ調整するということになりますと、土地、家屋、償却資産といったものを一体として、いろいろ特例などありました課税標準額を出しまして、それに対して総体として物税としての固定資産税を課税しているわけでございますものですから、個々の特例はいろいろと考えられると思いますけれども、税率で操作するということにつきましては、固定資産税の性格上、大変なじみにくいものではないだろうか、かように考えております。御理解いただきたいと思います。
○越智(通)委員 じゃ、最後に相続税のことだけ伺って終わらせていただきたいと思います。
 相続税も実は固定資産税と関連してくるんだと思います。一つの土地についていろんな評価があるのはおかしいというところからこの評価がえの議論がスタートしているわけですから、その意味では、公示価格の七割の固定資産税と公示価格の八割の相続税というスタンスも一つは問題になってくるかもしれませんが、今余りにもばらついているからある程度そろえたいということになってきた。
 そんな中で、実はここでも同じ方策がとられているのですが、税率をいじくるよりも評価のところでいろいろとかげんをしていただいている、非常に細かな作業をしていただいている。それはありがたいんですけれども、その後ろ側といいますか、わきで、国税庁が十二月に通達をお出しになった。この通達で、今までありました六つほどの補正率をいろいろいじくられたわけですね。奥行き価格補正率とか側方路線影響加算率とか二万路線影響加算率、間口狭小補正率、奥行き長大補正率、がけ地補正率、六つの補正率をいじくられたのですね。そして、この評価の仕方は、実は今度秋に報税される地価税にもろに響くのです、地価税は相続税の評価と連動してくるわけですから。実は地価税をやったときはこういう通達が後で出るとは知らなかったわけですね、正直言うと。だから、この国税庁の通達で実は相続税の評価が大きく上がってくる。もしそれがどんどん上がってくると、自治省の方もそれを横に見ながら、独自の方策で評価はされているのでしょうけれども、すり合わせるという感覚からいうと、問題になってくるのではないかなと。
 だから、相続税の評価が上がってくる、それに対していろいろの税率その他で緩和する、今法案が国会に出ております。それはそれで大変結構だと思います。だけれども、評価の仕方そのものを余り厳しくされると問題になる、こう思うものですから、大蔵大臣に相続税に関する評価について、御所見というか方針をお話しいただき、もし総理に何か全体を通じての御所見がございましたら、最後に、日本の経済を三・五%成長させるというのはいわば国際公約みたいになっていると思うのですけれども、これで我が国の平成四年度の経済はうまくいくんだというところを、御決意というかお話しいただいて、最後にさせていただきたいと思っております。
○坂本(導)政府委員 今御指摘の、昨年十二月の土地等に関する評価通達の改正でございますが、これは、最近における土地取引やあるいは土地利用の実態に適合した適正な評価を行えるように、その全体的な見直しを行い、評価の実勢の適正化を図ったというものでございます。
 今御指摘の、宅地路線価方式で評価する場合の奥行き価格補正率、これにつきましては、従来の補正率は昭和三十九年に設定されたものでございまして、その後一切変更されていない。ところが、その間、現在の土地利用の実態やその形態が相当変わってきている。特に御指摘の、従来、商業地区、繁華街地区が一本でございましたが、今はビル街地区とか、あるいは高度商業地区とか、繁華街地区とか、分かれているだろう。それによってまたその利用効率も違うのではないか。例えば、かつては奥行きが長い方が評価が低かった。しかし、大手町地区とか新宿西口地区では大きい土地の方が価値がある。ところが、従来はそういうところでは六一%も軽減されていた。逆に、十平方メートルぐらいの小さいところは軽減されなかった。それを逆にさせて、その個々の地区の実態に合わせた評価がえを行ったというものでございます。
 ただ、これは唐突に行ったのではないかという御指摘でございますが、これは、地価税法の審議の際に、やはり現在の奥行き逓減率、補正率、これについてはもっと現在の実態に合わせるようにすべきであるという御指摘がございまして、それを踏まえて措置したものでございます。ただ地価動向、ただいま下がっているという点がございましたが、これは的確に反映させて、個々の地点を評価するに当たってはそういうものを的確に反映させるよう努力したいと思っております。
○羽田国務大臣 ただいま部長の方からお答えしたとおりでございまして、やはり、土地の利用の仕方とかそういった実態というものが大きく変わってきておるということ、こういったものも見きわめなければならぬということでありますけれども、もともと地価税はただ増収のためにやるのじゃないんだということ、この辺を私どもやはりよく念頭に置きながら、この運用というものを適正に図っていきたいということを申し上げておきたいと思います。
○越智(通)委員 ありがとうございました。以上で終わります。
○山村委員長 これにて越智君の質疑は終了いたしました。
 午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。
    午前十一時三十六分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時一分開議
○山村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。岡田利春君。
○岡田(利)委員 きょうは、経済問題を重点にして集中審議でございますので、その趣旨に基づいて御質問いたしたいと思います、
 昨年の六月にバブル経済が崩壊をして、その後国民は我が国の経済の運営はどういう方向を目指すのか、大変な心配と、また宮澤内閣に期待を持って見詰めておると思うわけです。私はそういう国民の立場に立って、きょう主に総理を中心にして関係閣僚の御意見をいただきたい、こう思います。同時に、この議論を通じて、私は二十一世紀に向かう我が国の経済政策について、お互いに党を超えて共通の広場というものがないかどうか、そういう考え方に立って御質問をいたしたい、かように思いますし、また、私どもの考え方も述べたいと思う次第であります。
 そこで私は、昨年、宮澤内閣が誕生して第百二十二回の臨時国会が開かれました。その臨時国会の所信表明の中で宮澤さんは、生活大国への前進という点で、これからの目指す生活大国づくりについて触れられたわけであります。この文章を読みますと、何か官僚が書いたんではなくして御自身が相当手を入れられたやに思われる文脈の流れになっていると思います。「ずしりと手ごたえのある「生活大国」」などという表現は、まさしくそういう感じがするのであります。そして、この臨時国会を受けて、百二十三回のこの通常国会の冒頭において宮澤総理大臣の施政演説が行われております。この施政演説の内容は、さらにこれを一歩進めて、「生活大国への前進」と題して、言うなれば「効率優先から公正にも十分配慮した社会への転換」「生産者中心の視点から消費者や生活者を重視」した、そういう方向に転換をする、そして内政の最重要課題としてこのことを位置づけるんだ。しかも、「私の描く生活大国とはことして第一、第二、第三、第四、第五、第六、六つの目標を明確に掲げられておるわけです。私は、非常にこれは画期的なことであり、私自身は高く評価をいたしておるわけです。決して何か意図を持って申し上げておるんではなくして、本当に心からこの政策、方針に対して賛意を実は表しておるわけであります。
 私は、このことは従来の日本型の効率主義の経済運営、このことをやはり大きくスタンスを変えて、国民や消費者、そういう立場にスタンスを移してこれからの経済運用を図り、豊かさを実感できる、そういう経済システムというものをつくっていこう、非常に積極的、意欲的であると思うのです。いわば私に言わせると新経済政策の哲学でもある、こう思うのであります。したがって、宮澤さんはよく言われておりますように、私はこれまで貧に対処することを考えてきたが、これからは富に処することを考える、そういう哲学で今後の日本の経済について考えていきたい。とするならば、まさしく私はそこにこれからの二十一世紀を目指す経済政策の出発点があるのではないか、こう思うのであります。この点、率直に各大臣から聞いても、それぞれがそれぞれの理解をしているようでありますけれども、宮澤総理大臣の真意をまず伺っておきたいと思います。
○宮澤内閣総理大臣 いろいろ御理解をいただいておりまして、ありがたいことだと存じております。
 我が国がこれだけのいわゆる経済大国になったわけでございますが、いろいろ考えてみますと、経済というのはしよせんは手段であって、人がいわば幸せにならなければならないわけでございますが、我が国の経済はこれだけ大きくなりましたが、国全体がみんなが豊かな気持ちを持って生きておるかといえば、必ずしもそうでございません。それにはいろいろな理由があるわけでございますが、せんだっての所信、施政方針でも申し上げた幾つかの理由があるわけでございますが、二〇二〇年ごろになりますと老齢化、高齢化社会が、ほとんど、人口の二五%が六十五歳以上になる。そこに至りますまでの間に、まだ我々には十分な力がございます。またその後も当然力を回復いたしますけれども、一度そういう時期があるということを考えますと、一つはやはりこの際本当に社会資本を充実して、みんなが豊かな国になった、暮らしやすい国になったということにいたしたいというのが一つの問題意識でございますけれども、もう一つの問題意識は、世界が新しいこの平和秩序を構築するときになりまして、我が国に求められているところは非常に実は大きいわけでございます。国際的な貢献というものがある、それに対して我々はその期待にこた之なければならないわけでございますが、そのような国づくりをどうしていくかという二つの、内と外の二つの意識がございまして、かねて考えていたことでございますが、国会において思っておることを申し上げたわけでございます。
 で、ちょうど今年は長期経済計画の改定の年になりますので、経済審議会に先般諮問をいたしまして、そのようなこれからの国づくりをどのようにすべきかについて答申をいただくことになっております。五カ年計画のデッサンが大体夏前ごろには出していただけるというふうに存じておりますが、そのような長期目標のもとに、そういう手法を使いましてこの理想を実現していきたいと考えておるわけでございます。
○岡田(利)委員 最近、経済界の中においても、盛田・水野論争とか、あるいはまた地球から日本の経済を見る、世界から日本の経済を見る、日本から世界を見るというだけではなくして、そういう思考に立って新しい経済政策に転換しなければならない。随分積極的に意見が経済界の中にも生まれてきたんではないでしょうか。私は非常に結構なことだと思うし、当然その方向を目指してそれぞれ各界各層、国民のアイデンティティーというものをきちっと築いていかなければならない、そういう転換期でもある、こう私は理解をするのであります。そしてそこに与党も野党も党派を超えた共通的な広場というものを目指すことができるんではないのか、こう私は考えるのであります。
 そういう意味で、バブル経済の崩壊による、ちょうどこれを総決算をしなきゃならない、そして新しい展望を求めて経済審議会で新しい計画を審議をする、非常にタイムリーだと思うのですね。ですから、やる以上その方向は自信を持って、哲学を持って進んでいく、またそういう指導力を発揮をしていく、こういうことでなければならぬと思うのであります。この点、いかがでしょうか。
○宮澤内閣総理大臣 ぜひそうさせていただきたいと思っておりまして、殊にただいま言われましたことで気がつきますことは、我が国の経済がこれだけ強い経済になった、世界のいわば消費者から日本の品物はいい品物だといって喜ばれておる反面で、日本の脅威というものがいろいろに言われるようになり、摩擦が生じてきておりますことはもうもとより岡田委員が御承知のとおりでございますが、その摩擦の生じている一つの理由というのが、何か人生観と申しますか、経済というものの考え方について、どこか基本のところに理解し合わないものがあるのではないか。それは、我々としても本当にまっしぐらにここまで進んでまいりましたが、第二の経済大国になって、さて振り返ってみて、これで全部いいのかなというような、そういうあたりのところで先ほどお話しになられました盛田昭夫氏のような考え方が出てまいってきているんだろう、私もそのように思っております。
○岡田(利)委員 今日本とアメリカの間では自動車問題をめぐり貿易摩擦といいますか、日米関係がぎくしゃくし始めておるわけであります。なぜ一体こういうことが、まあ糸を売って縄を買ったという繊維の問題から始まって、鉄鋼だ、あるいはまた工作機械だ、次から次と、それで今度は自動車だ。そのたびに自主規制ということで、それが管理貿易かどうかという議論が国会でもなされておるわけであります。
 だが、我が国は自由貿易による最大の恩恵者だ、こう常に言いますけれども、今世界の貿易立国でもしベストスリーを挙げればどことどこの国になるのでしょうか。これはいかがでしょうか。
○土志田政府委員 お答えいたします。
 IMF、国際通貨基金の統計にょりますと、九〇年では、輸出につきましてはドイツがアメリカを抜きまして四千億ドル強でございまして、一番多いわけでございます。アメリカ、日本という順になっております。輸入につきましては、アメリカが五千億ドルを超えておりまして、ドイツ、日本という順でございますので、両方合わせますとアメリカ、ドイツ、日本ということで、この三カ国が三大貿易国でございます。
○岡田(利)委員 私の手元にある一九九〇年の統計によりますと、ドイツは輸出が四千二百四十一億ドル、輸入が三千五百四十九億ドル、輸出ではこれは第一位であるわけです。アメリカよりもはるかに高いのであります、アメリカは輸出は三千九百八十六億ドルでありますから。日本は二千八百四億ドルなのであります。
 このドイツは、もちろん国際間でありますからある程度の摩擦はあるでしょうけれども、日本のようにしょっちゅうこういう国際摩擦というものは起きていないんですね。そして、我が国以上に貿易立国である。GNPで見ますと、輸出は実に二七・三%なんです。そして、世界貿易におけるウエートとしては一二・四%。もちろん輸入の場合についてもGNP二三%を占めておりますし、世界貿易の一割を占めているんです。こういう国があるのに、なぜ一体我が国はしょっちゅう貿易摩擦を起こすのでしょうか。こんな反省ありますか。いかがでしょうか。
○宮澤内閣総理大臣 これは専門家の助けをかりる必要がございますけれども、沿革的にやはりドイツは周辺の国々との自然な物のやりとり、交易の中で育ってまいったと思います。そして、現にECの中でのやはりやりとりが非常に大きい。そういうことが、何と申しますか長い時間のうちに自然にでき上がってきておるということ。お互いにECの国々もいわば、何と申しますでしょう、相互依存という体制が歴史の中で自然にできておるということが、比較的ドイツがいろいろな摩擦を起こさずに済んでおる大きな理由ではないかというふうに思っております。
○岡田(利)委員 私はやはりドイツの戦後の国の再建の基礎といいますか、その基本的な方針がやはりこういうことの基礎になっていると理解を実はいたしておるわけです。あの戦いに負けて、ドイツは過去に厳格に責任を持って、このことは二度と繰り返さないという決意を持って、言うなれば国民の生活と福祉を優先していく、そういう国をつくるんだというところから出発をしているわけですね。だから、どうでしょう、ドイツの場合にはイギリスやフランスのように産業を国有化しなかったわけです。一応民営原則の上に立っているわけですね。例えば石炭があれほど問題になっても、ルール炭田一社化であって、あくまでも会社としてこの統合を行っておるわけであります。同時に、ドイツの経済の運営に当たっては国民の参加を認めるという方針を出しました。マーシャル・プランに基づいて、炭鉄の復興のときに、御存じのように共同決定法という法律が大変な議論の中で成立をいたしておるわけです。その後それぞれの企業に及ぼして、経営組織法が制定をされて、労働者の代表が選ばれて重役の一員に参加をする、こういう体制も築かれたわけであります。いわばその国の基本的な出発点、ここから今日のやはりドイツの姿があると思うのですね。残念ながら今東西ドイツの統合で、そのコストのために、今度は経常収支も財政の関係も双子の赤字に落ちておりますけれども、やがてこれは克服するでしょう。私はここに学ぶべきものがあるのではないかな。同じ敗戦国、そして今日の経済の繁栄をした我が国、そして経済大国と言いながらまだ豊かさもゆとりも実感できない我が国、この反省がなくして私は今後の二十一世紀を目指す国づくりを進めていくことは難しいと思うんですね。いかがでしょうか。
○宮澤内閣総理大臣 今の共同決定法というのは、確かに戦後のドイツの経済再建に非常に大きな私は影響があった体制であると思います。
 その前に、ちょうどドイツもやはり連合国の占領を受けまして、戦後に、米国主導でございましたが、戦後のドイツ経済の青写真がかかれました。このことも恐らく幸せをしたんであろうと思います、それはアデナウアーのちょっと手前ごろからのことでございますけれども。そこへ共同決定法があり、そうしてその後のドイツが、今度は石炭鉄鋼共同体とかいうようなことでECと一緒に育ってくる。確かにそういうことがございまして、私は仰せの点は極めてごもっともなお話だというふうに思います。
○岡田(利)委員 先ほど総理からお話がありましたように、今新しい計画について経済審議会に諮問をされています。それには生活大国、それを築く経済の基盤、そして地球的な規模の問題、この三つを中心にして新しい計画をつくる。この答申は夏二うまでと、こう言われているわけです。最近いろいろ雑音が入りまして、いや、サミット前には何か中間報告がなきゃどうかなとか、いろいろ外野の方で言われておるのであります。サミットといえば今お話をしている、今度はミュンヘン・サミットになるわけですね。私は、やはりじっくり落ちついて議論をしなきゃならないのではないか、先ほど言いましたように、いわゆる新しい計画というのは画期的なものにならなきゃならない。一つの政策転換はきちっとしたものにならなければいけない。そういう意味では、事務当局の方は、相当実行可能性のあるものであると同時に、そういう意欲を込めておると私は承知をいたしておるわけです。
 また、総理自身もある席で発言しておるのでありますけれども、この五カ年計画はある意味ではこの目標に向かって進むアクションプログラムである、そういう気持ちで今度の計画はつくらなければならないという意見も述べられておるのであります。そういう意味で、この経済審議会に対する期待といいますか、またこの扱いについて総理から直接お話を伺いたいと思います。
○野田国務大臣 確かに、今先生御指摘ありましたように、前提となります国際環境が今非常に大きく変化をいたしております。そういう点で、この新しい経済計画を策定していく上での前提条件がかなり流動的であるということから、慎重に事を構えていかなければならぬということは御指摘のとおりであろうかと思います。
 しかし一方で、先ほど来御指摘ございましたように、今日までの日本の経済成長の成果の配分という側面あるいは国民生活の充実という側面あるいは地球的視野の中における新たな課題という側面、いろいろな形の中で、あるいは産業、社会のあり方あるいは我々個人個人の生きざまの問題、そして政府のこれに対する政策的支援の手法という問題、こういった問題について、できるならばより早く国民の前にお示しをして、そしてコンセンサスを得ながらそういう共通の目標を念頭に置いて行動していくということもまた大事なことでございます。
 時間的な制約はあるわけでありますが、先生もう御案内のとおり、審議会において既に審議をスタートしていただいておりまして、もちろんその中には東京においてお集まりをいただくのみならず、実は、きょうは熊本にも出かけて地方審議会をやっておりますし、先般は札幌の方あるいは関西の方、そういう地方審議会をやり、そしてこの審議会の中に四つの部会を設け、さらにまた専門的に三つの小委員会を設ける、こういった事柄をかなり濃密な論議をしていただいておりまして、大体、都合百回程度の議論の積み重ねを予定をいたしておりまして、期間はある程度制約はありますけれど為、その中で十分な論議を尽くしていただいて、そしてできるだけ早く国民の皆様に宮澤内閣としての方針としてお示しをしていけるということができるならば一番望ましいことではないか、このように考えておるわけでございます。
○岡田(利)委員 この新しい計画は九二年度が初年度で五カ年間の計画である、こう言われて諮問されておるのであります。そうしますと、今年がスタート台になるわけですから、当然今年も検討課題の中にあるんだと思うのです。しかし、既に政府の経済見通しは、九二年度は策定されておるのであります。しかし、そのフォローアップといいますかあるいはまたある程度の補強といいますか、そういう点については当然含まれる、こう理解をしていいのかどうか、これは大事なところですから承っておきます。
○野田国務大臣 この新しい経済計画の今後策定された後にそれぞれフォローアップ体制をつくっていかなければならぬということは、もう御指摘のとおりでございます。少なくとも、現在御審議中の平成四年度予算の中にはそういう生活量揮といいますか、同じ公共事業の中でも生活関連公共施設といいますか、そういったものの手厚い配慮ということを十分に反映をしておる予算編成をさせていただいたと認識をいたしております。
○岡田(利)委員 常に、ローリングのように、もし実態を伴わない場合には手直しをしていくという謙虚なあれがあっていいと思いますから、余ヶこだわらないで議論された方がいいのではないかと思います。
 きょうは短い時間で時間がございませんから申し上げますが、今、春闘の時期で、いろいろ労働時間の短縮の問題、賃上げの問題が山場を迎えようといたしておるわけです。
 労働時間の問題でいいますと、何といっても最も先進的なのは先ほどのドイツの場合であります。私は時間について具体的に言う必要はないと思うのですが、ただその中でも有給休暇という分野になりますと、ドイツの場合には夏四週間、冬二週間設定されておるのであります。我が国は大体十四、五日ぐらいの有給休暇であります。そして、その有給休暇は、我が国では九日間どって、あとの一週間は実は返上しているというのが全産業の平均であります。
 日曜日はどうかというと、日曜日も一生懸命働く。ドイツの場合には日曜日は厳禁であります。いかなる場合でも働くことは禁ずるというのが西ドイツの場合であります。時間外の場合についても日数、時間に厳しい制限をして、経営者はむしろペナルティーを残業時間には払う、こういうシステムになっておるのであります。したがって、ドイツの職場の場合には、十人必要であれば、十人の職場であれば十二人か十三人労働者を雇わなければなりません。日本の場合には十人必要であれば、残業をさせるという計算を初めから組みますから七人か八人おればやれる、この差があるわけですね。やはりここに経済運営に対する基本的な違いがあるのであります。
 労働賃金の問題でいいますと、これも比較の仕方がいろいろありまして、単純比較をしてはならないと私は思うのです。言うなれば労働にかかる総費用、賃金もあるし退職金もあります、あるいはまた年金もあります、そういうものすべてを含んで一体労働賃金というものはどうなっておるのか、こう見るのが正しいのではないかと思うのです。
 これも時間がありませんから申し上げますと、これはドイツの場合、時間当たりにすると十七・五八ドルであります。日本の場合は、残念ながら十二・六三ドル、ドイツよりも四〇%低いのですよ。そして購買力平価は一都市で比較すると二〇%ぐらいドイツの方が安いのです。そうすると、ドイツの労働者と、日本の労働者の生活は実質生活、大体ドイツの水準の約半分、こう言わざるを得ないのでありますけれども、この私の認識について何か労働大臣、御意見がありますか。
○近藤国務大臣 御指摘もございましたように、私たち労働省で各国の労働生産性を比較をいたしました。全産業を平均いたしますと、日本とアメリカは大体とんとんでございますが、時間当たりで換算いたしますと、アメリカ、さらにドイツはもっと差がついて、それを購買力でさらに比較いたしますと、前半分というのはどうかでありますが、計算の仕方でありますけれども、相当差がつくのは事実でございます。
○岡田(利)委員 賃金とか退職金とか労働福祉、福利費、すべてをトータルして比較をすると、私が今申し上げましたことになると思うめですね。また、労働分配率は日本が非常に低い、ドイツは一番高くて八八・八%の水準にあるということも明らかなわけであります。
 したがって、今経済の成長の減速の問題がいろいろ言われておりますけれども、今次の春闘はそういう意味では我が国のこれからの経済の運営に関しても非常に重要なポイントであります。同時に、国際的に見ると、三・五%というのは、宮澤さん、これ国際公約なんでしょう。違いますか。どうですか。
○宮澤内閣総理大臣 全力を尽くして達成をしなければならない経済目標であります。
○岡田(利)委員 私は、少なくともことしは国際公約的な意味を、重みを持ったものである、こう受けとめておるわけです。そうしますと、今度の春闘というのはそういう視点から見れば国際的な意味を持つ春闘でもある、やはり日本の経営者の素質も問われておるし、労働者の素質も、労働組合そのものも問われている、私はこう思うのであります。
 先般、経済企画庁長官に、そういう意味では政府としては賃金と労働時間二兎を追うということは当然ではないですか、あなたは見解はどうですかと聞きましたら、野田長官は、私はあえて経営者に対して言っています、三兎を追ってくださいと。三兎というのは何ですかと言ったら、それは賃金と労働時間と生産性ですと。さすがと、こう私は思いましたけれども、総理はいかがでしょうか。
○宮澤内閣総理大臣 なかなかいい答えでございます。
○岡田(利)委員 もうちょっと言葉を多く語ってほしいところであります。
 私もそう思うのですね。そういう意味では、春闘について今、日本の労使が問われている。また政府自体も、直接介入すべきことじゃないけれども、これからの経済のあり方、そういう立場から助言できるものは助言すべきではないか、こういう私の意見を申し添えておきたい、かように思います。
 ただ、この場合に一つ問題なのは、どうも我が国の労働時間の短縮一つ見ても余りスムーズには進まないですね。大体、ヨーロッパの場合には重筋労働者から労働時間の短縮が始まるのですよ。鉄鋼とか炭鉱とか、そこから始まるのですよ。そして、ずっとサービス産業に及んで完全週休二日が実施をするのが世界史的な、労働運動史上の世界史的な流れなんです。日本はだめなんですね。なかなか、何ぼやっても進まない。そして今、今度はいよいよ金融機関がやって、今度は官庁が公務員の週休二日を、実施を先行させる、こういう事態なのであります。異常性が存在しているのであります。
 その中で特に我が国の特殊事情として中小企業の問題があるのですが、中小企業の労働時間の短縮は依然として進んでおりません。せっかく政府はガイドラインを設けて、振興基準をつくって指導いたしておるのでありますけれども、通産大臣、先般、調査の結果惨たんたるものであったようですね。御所見を伺っておきたいと思います。
○渡部国務大臣 今回田先生から中小企業の労働時間短縮についてのお話でございますが、御案内のとおり、大企業と中小企業の間には経営的な力、こういうものでなかなか大企業並みにいかないのは御指摘のとおり現実でありますが、まさに中小企業の皆さんこそ時短の進捗を見なければならないという考え方で、私どもは中小企業の経営内容が、大企業に劣らず時短を率先してやれるように、あるいは先般は大企業の中小企業に対する下請方式について改善策を求めるとか、今回の御審議をいただいておる予算案も十一年ぶりに中小企業の予算は伸び幅を示しておりますが、今後あらゆる方法を講じて中小企業で働く人たちが他に劣るというようなことのないような、同じような快適な働く条件ができるように、しかも中小企業がそのために経営を損ねることのないように努めてまいりたいと思います。
○岡田(利)委員 中小企業の時短が進まないという理由は簡単なのであります。それは親会社あるいはまた下請の業務を発注している大企業の会社、やはりこれの理解が不十分であるからですね。時短をやりたいというのはもう五〇%を超えているのですから、実にやっているところもあるわけですから。これは企業の倫理観が問われる問題じゃないでしょうか。労働倫理観というお話もありますけれども、今、日本の国内では企業の経営の倫理観が問われる問題ではないでしょうか、私はそう思うのですね。そういう意識を政府は持ってこの問題についてこれから対処をする、指導をするという決意がありますか。
○近藤国務大臣 実は先生、中小企業と大企業は労働時間をトータルいたしますと余り差がないのですね。むしろ内容でございまして、大企業の場合むしろ所定外、いわゆる残業が多くて、中小企業の場合には所定内が多い、すなわち週休二日制とかそういったところはとっていない、こういうことでございますので、その点は週休二日制、有給休暇がとれるような指導をしていかなければならないと思います。
 先生御指摘の元請、下請の関係はまさにそのとおりでございまして、幾ら中小企業が例えば週休二日制をしたいと言っても、例えば金曜日に発注があって月曜日に物を出せなんということになれば土日は休めないわけでございますので、そういう下請、元請の関係についても十分に話し合いをしながら、そしてまた同業他社と横並びで、競争にならないように、そういうことができるように実は今政府として時間短縮促進法をまとめつつございまして、近く国会に出させていただいて御審議をいただきたい、こういうことでございます。
○岡田(利)委員 労働大臣、今の御答弁ですけれども、最近労働省は元気がないなど私は思うのですよ。戦後労働省がつくられたときには、元気印の労働省と言ったものです。最近の労働省は何か政策の追随ではないか、こんな感じが私はするのですね。労働時間の問題はまさしく典型的なものだと思いますね。もちろん、それは単に労働省だけの問題ではありませんけれども、そういう感じがします。
 ましてサービス残業が平気で行われ、ふろしき残業でしょう。うちに仕事を持って帰ってしなきゃならないというのがそのまま見過ごされておるわけでしょう。こんな恥ずかしいことがありますか。週休二日もない、こんなに多くの残業をする国が何が一体経済が一流国ですか。経済大国なんて言われないでしょう。そういう反省がなきゃいかぬと思いますね。ある人は、いや、我が国は経済大国だ、今や国民所得はアメリカを超えたなんて言っていますけれども、そういうものではないと思うのですね。質の問題ですよ。そういう意味で、私は、本当にそこに共通の広場を求めてお互いにいい日本をつくらなければならぬということではないでしょうか、そういうことを特に強く主張しておきたいと思います。
 そこで、経済の運営の問題でありますが、総理は竹下内閣の閣僚でありまして、大蔵大臣であって、しかも前計画の、世界の中に生きる日本、そして五カ年の経済運営計画をつくられて、八八年スタートでこの九二年終わりという五年間の計画を組まれたわけであります。しかし、その中でバブルが発生をして、五・五%の経済成長率から急激に計画四%、今や三・五%ぐらいまで落ちてきた。いわばソフトランディングができなくてハードランディングのような状態にいった。それはやはりバブル経済の崩壊というところが大きく影響をいたしておる、こう思うのです。そして、そのバブル経済の崩壊の後遺症は依然続いておるわけですね。まだこれから顕在化するものがたくさんあるわけであります。
 そういう意味では、六%実質成長で始まり、四・六%、その次は五・五%、非常に高い成長率で三年間五・四%、今年を含めても五%の経済成長率の平均になるのであります。高ければいいというものではないんだと思うのですね。特にバブル経済を発生をさせた、まあ資本主義というのは大体バブル性があるわけですけれども、そういう意味でひとつの反省総括、総括反省がなきゃならないと思うのですね。特にこの計画をつくられた宮澤さんの反省をぜひ――反省と言ったら気分が悪かったら、総括をお聞きいたしたいと思いますね。
○宮澤内閣総理大臣 それは反省とおっしゃっていただいても私はいいと思います。いろいろ私も考えてみるのでございますが、プラザ合意がございましたのが一九八五年の九月の二十何日、お彼岸のころでございます。そのときに円が二百四十二円でございます。急速に円が上がりまして、その年の終わりには、三月でございますが、二百円になっております。私が大蔵大臣を仰せつかりましたのはその翌年の七月でございますが、ほとんど百五十円の水準になっておりました。ですから、この円の急速な上昇というのは我が国経済としては経験したことのないもので、企業家としては、毎日どう対処しようか、これではもう日本に工場をつくっても到底だめであるから東南アジアヘでも資本を出すかという計画をつくられて、昼のテレビを見るとまた円が二円上がっているというような、そういうことの繰り返しで、一種のやはりパニッキーな状況でございました。その間に、何とか急速に円が上がるということを防ごうと考えましたから随分為替市場でドルを買ったわけでございますが、そういう形で過剰流動性がだんだんふえてまいります。しかしそれでもなかなか急速なこの変化に対応できずに、翌々年でございますから八七でございますか、緊急財政経済対策を、六兆円がらみのものをさしていただいたわけでございます。これで何とか経済が立ち直りまして、それから長い景気が続くわけでございますが、ここでもう一遍過熱流動性が出てまいります。
 そこで、振り返りますと、円高というのはそういうことによってともかく我が国の経済はいわば克服をいたしましたし、企業と申し上げます、克服いたしましたし、円高でもやってい付る体質にはなったわけでございましたが、そしてその間輸入価格が安くなる、またエネルギー価格がたまたま安かった、金利も低かったということで好調を持続したわけでございますが、その間に生じた過剰流動性というものを、まあ自然増収は随分税金でございましたけれども、しかしこれをどのようにして、いわば片っ方で円高のショックを緩めながら片っ方で過剰流動性が余りに過剰にならないようにという、こちら側の政策が言ってみれば十分でなかったということになろうかと思います。過剰流動性は結局最後には土地になり株になっていったわけでございますので、そういう意味では、プラザ合意に発したこの未曾有の円高、あるいは我が国の経済の大きな変革のときに、日本経済はこれにうまく対応いたしましたけれども、その結果生じたものがいわゆる過剰流動性でありバブルであった、こういうふうに反省をいたしております。
○岡田(利)委員 八五年のプラザ合意、このときの円高対策の問題でとられたいわゆる公定歩合の引き下げですね、超低利の二・五、私はこれが一つのきっかけになってバブルが発生した。バブルというのはもう発生したら管理ができない、台風みたいなものだ。発生させないということが大事で、発生したらこれは管理する方法がないんですね。そして、株に、また土地に、投機に走る、そして財テクブームが巻き起こっていく。だから、やはりバブル対策というのは、バブルを、その要因をつくってはだめなんです。発生をさせてはだめなわけです。発生したら管理ができない、こういうものだと思うんですね。その結果ああいう事態に私は突入していったと思うのであります。そういう反省がきちっとなければなりませんし、そういう意味で、我が国がこれから超低金利の時代に入るということは、恐らくこの経験から見ればないだろう、まあ中金利といいますかね、そういう水準の金利のもとに金融政策は運用されみだろうと私は思う。そういう判断をいたしておるのであります。
 そこで、九一年の経済の落ちつき見込みというのは、もう三月ですからほぼもう出てくるんだと思うんですね。政府は実質成長三・七%、海外余剰が〇・八%、こう言っておるのであります。ここに落ちつくかどうか。この点、景気が悪い、こう言うのは、景気は前に比べたら急速に減速をし、要因としていろいろなものがありますけれども、それでも景気が悪いという物の言い方、考え方は今後もこれは続くんでしょうか。
○野田国務大臣 表現する側の立場がどういうことをイメージするかによって表現は若干異なると思うんです。単純に今の状態をつい昨年、一昨年と比べて、今はこの前に比べて景気はいいですか悪いですかということになれば、今は決してよくないという表現になろうかと思います。しかし一方で、若干視点を中長期的に見ていけば、今御指摘がありましたように、やや過熱ぎみの経済成長から、もう少し消費活動も堅実な姿になり、そして企業活動も健全な、いわゆる財テクに走り過ぎない、適度な財テクは私は結構だと思うんですけれども、走り過ぎるということのいわゆる節度が一つ大事であった。そういう意味からすれば、基調としてはそういう過程にいく一つの調整局面にある。そこに加えて、このところいわば最終需要がやや元気がないというようなことから、生産面あるいは特に在庫の積み上がり状況、こういったところに影響が出ておるということでございまして、ややそういう意味での短期的視点と中長期的視点と両方見ながら適切な経済政策をしていかなければならぬと思っております。
○岡田(利)委員 問題は、車でも酔っぱらい運転をしたり、百十キロで走って今度は七十キロにばあんと減速すると、これはショックを受けますよ。減速を感じることは当たり前ではないでしょうか。問題は経済の運営の仕方なんです。これがソフトランディングができておればそうでもなかったと思うんですね。バブルが崩壊したためにそのコントロールがきがなかった。そして急速に減速をした。初めの計画は四%でしょう、当初、今年は。それを下方修正しているわけでしょう。私はそういう意味で、高さやいいものではないということは、この四年間の経過が証明していると思いますね。経済はやはり常に適当な成長が安定的に持続されていくということが望ましいわけでしょう。そういう意味で、新しい計画を組む場合にも十分配慮しなきゃならぬ問題だと思うんです。
 特に、今年の経済と来年を今度は比較した場合に非常に違いがあるわけですね、基本的に。ことしは最終決算はまだわかりませんけれども、政府の言っているように三・七%の実質成長で海外余剰が〇・八%とすると、これは二・九%内需でやるということになるわけです。ところが、ことしはげたが二・二%。六%のときは二・九%のげたをはいて非常に恵まれているんですね。一・八、一・九、今度は二・二。ところが、残念ながら今の経済の落ちつきを見ますと、来年のげたは一%を切る状況に今あるんだと思いますね。そうしますと、三・五%の実質成長、しかも海外余剰はマイナス〇・一、こう見ているんですから、内需で三・六%実質成長をさせなきゃならないというのが九二年度の計画なんですね。そうすると、げたが一%を切るということになりますと大変なやはり内需拡大を進めないとこの計画も、大幅にと言ったら語弊がありますが、相当下方修正をしなきゃならない状況に追い込まれる。もし宮澤さんが三・五%を、いや国際公約ですから私はやると言うんだったら、金融政策も財政もつぎ込んでやらなきゃならぬでしょう。そういうやはり局面にあるということだけは事実ではないでしょうか。その認識はいかがでしょう。
○野田国務大臣 確かに現在、足元の、特に企業経営者のマインドがかなり冷えておることも事実ですし、特にこの三月決算を目前にして、実際、今までどちらかというと過去数年間は営業利益が一けた増、経常が二けた増というような状況から、本年三月に入りますと、どちらかというと、営業利益が一けたのマイナス、経常の方が二けたマイナスですから、そういう意味では、今度決算を組もうというときの経営者の大変なショック感というのは十分に察しておるつもりでございます。
 しかし同時に、いわばさっき申し上げましたように、一つは何といっても在庫の積み上がりということが大変な圧迫感になっておるわけであります。これは業種によって異なりますけれども、特にことしに入りまして、加工面における業種の方が在庫の圧迫感というのが強くなってきておる。素材関係は昨年からかなり生産面における調整が進んできております。そういった業種間の、それぞれ相違はあろうかと思いますが、早いものは四−六、あるいは大体業種によっては七−九にかかっていくものもあろうかと思いますが、そういう在庫調整が進んでいくということがまた業況マインドを非常によくしていくという大事な材料であろうかと思っております。
 同時に、若干長くなって恐縮でありますが、大事な一つのポイントは住宅であります。住宅については先般も申し上げたんですけれども、昨年の九月、十月が、年率ペース百二十六、七万戸、そして十一月、十二月が百三十万戸ペース、ことしの一月に入りまして百三十八万戸のペースになっているわけでありますので、昨年同期と比べれば確かに減少はいたしておりますけれども、少なくとも傾向としては、下げどまりの傾向は十分見てとれるのではないか。
 あるいは個人消費の分野で申しますと、少なくともいわゆみ雇用者所得の環境そのものは、雇用者増ということにも支えられ堅調な推移が続く。ただしかし、若干感じますのは、そういうような好環境があるにもかかわらず、具体的な個人消費が若干伸び悩んでおる。これは、消費者のニーズといわゆる供給サイドの方との間に若干ミスマッチがあるいはあるのかな、特に耐久消費財系統についてやや階段の踊り場的な感じがしなくはない、こういう感覚を持っておられる経営者の方も多い。そういうことでありますが、少なくとも個人消費全体としては堅調であり、特に今御審議をいただいております公共投資の側面におきましては、これはもう御案内のとおり、国の予算においても地方財政においても財投においてもかなり思い切った景気への配慮をいたしておりますから、これが基本的に下支え要因にもなっていく。
 そういう幾つかの最終需要の側面からいわば引っ張られていくということになりますと、私は、まだ平成四年度がスタートしていない今の段階ですからどうのこうのということを言うわけにいきませんけれども、少なくとも明るい兆しは既に兆しとしてはあるのではないか。ただそれがまだ今のところは、いわば最も今マインドの悪い時期にあるのではないか。そういうことを考えますと、今後、年度の前半よりも後半にはかなり景況感というものは回復をし、政府として見通しました成長率への達成に向けて、私どもはまた政策努力もタイムリーに手を打っていくということと両々相まって達成していけるものだと考えておるわけでございます。
○岡田(利)委員 個人消費についても、これはウエートがもちろん高いわけですから、五七%ぐらいのウエートを持っているわけですから、これが若干でもマイナスになるということは、このウエートからいって非常に気をつけなければならぬ、注意しなければならぬ面だと思うのですが、財投についても、私は単に今の長官の説明だけでは問題が残ると思うのです。やはりバブル経済の崩壊によるツケがボディーブローのように今効いてきているんじゃないでしょうか。そしてそのことが三月決算にも出てくるでしょう。企業スキャンダルのような形で、飛ばしというような形で証券取引法違反のような状態もまた顕在化しているわけですね。さらに顕在化することがあれば、その投資マインドは下がっていくでしょう。だから、そういう意味では統計上出ない側面が今の経済の中にはある、体質にはあるということを我々は意識をしなければならぬのではないでしょうか。
 政府の信頼すべき資料でも、経済企画庁と違って、平成三年度の設備投資、二・五、落ちつき、そのうち製造業はマイナス二・三だ。四年度は、全産業で一・二、うち製造業はマイナス七・五という相当な資料があるんですよ。これは恐らく宮澤さん御存じでしょう。そういう説明を聞いてどのように感じられますか。難しいですか。
○野田国務大臣 御指摘のとおり、昨年の秋ごろから、大体経営者の方々が、向こう三カ月間、いわゆる四半期ごと、次の四半期を予測を立て、そして生産計画を立てられるわけでありますけれども、そのたんびたんびに期待と実績の間に乖離があるという状況から、いわゆる業況感というものが実態以上に下振れしておる。むしろ設備投資のマインドは、もちろん一つは金利との関係で、期待収益率とそれから金利とのバランスの中で決まっていくという要素はありますけれども、目下のところは、そういう要素もさることながら、むしろ業況感が非常に厳しいというようなところがかなり影響しているんではないか。
 それで、先生御案内のとおり、毎年この時期は実績よりも大体低目にスタートする。そして各四半期ごとに修正をされるわけで、上方修正されるわけです。ただ、それも単純に過去の同じような考えで見るわけにはいかないと思います。問題は、業況感がこの先四−六、七−九にかけてどういうふうに変わっていくかということが大事な、来年度の設備投資を決める大きなポイントになっていくと思っております。
○岡田(利)委員 いずれにしても、問題点であるということだけは明らかだと思うのです。
 そこで、時間もありませんから、バブルのツケというのは一体どのようにまだ残っておるのかという意味で、バブルの中で資金の流入といいますか流出というものがどういう形で流れたのかということをやはり把握をしなければならないんだと思うのですね。言うなれば金融機関から金が出ておるわけでありますから。そこにノンバンクの介在がある。もちろん企業も一部存在をしているでしょう。そして不動産関係に多くの資金が流れておる。株式については御存じのとおりであります。この実態は大蔵省としてはどう現時点で把握しているのですか。まだ把握し切れないのでしょうか。
○土田政府委員 金融機関を通じまして、かつて大量の金がノンバンクを経由し、ないしは直接不動産に流れだというような事跡が認められます。そこで、その結果がどうであるかというのは、今度はいわゆるバブルの崩壊の過程におきまして、その金融機関の経営にどのような影響を与えるかというところで次第にはっきりしてまいるわけでございます。
 ただ、そのような流れが変わりましたのは、いわば現在進行しております年度の途中からでございますので、やはりこれは年度を終わりまして、その年度決算などの数字を見ないと、数字的にはっきりしたことを申し上げることは難しいのではないかと存じます。
 ただ、感じといたしましては、これはあくまでも一般的な状況でございますけれども、やはりバブル経済の崩壊の過程におきまして一部の業種の業績が悪化しておりますので、これが金融機関にはね返りまして、金融機関の不良債権が増加し、例えば貸し倒れの負担がふえていくということが懸念されるわけでございますが、ただ私どもは、現時点での金融機関の経営状況から見ますと、それぞれ収益力、資本力、さらにはいわば含み益というものもございますので、システム全体の問題になることはないと思っております。
 ただ、もちろん私ども、今後この金融機関の健全性を確保すべく、引き続き注意してまいりたいと存じますし、やがて決算のヒアリングなどもございますので、そのとき実態の把握に努めてまいりたいと思っております。
○岡田(利)委員 率直に言って、こういうことはなかなか具体的に説明ができないでしょう。
 ただ、ある調査によりますと、こういう流れがあるのですね。例えば全国銀行では、不動産市場に五十九兆円、ノンバンクに七十二兆円、生保の関係がノンバンクに十五兆円、信金、信組がノンバンクに六千億、そして不動産市場には五兆五千億、外銀の場合にはノンバンクに六兆三千億、そして不動産市場には六千億、それ以外に資本市場、企業があるのであります。したがって、不動産市場にはこういうお金が百二十兆円流入をしたという調査もあるのですがね。これは民間の調査ですからそう無責任な調査ではないと思うのですね。大体肯定はされるのでしょう、政府も。いかがでしょう。
○土田政府委員 その数字なるものについてはつまびらかにしないわけでございますが、例えば私どもの手元の数字を見ますと、これは全国銀行でございまして、信用金庫なり保険なりまで加算した数字ではないわけでございますけれども、例えば去年の十一月末で、全国銀行の総貸出残高、これが四百十七兆であるといたしますと、その中で不動産業向けには約五十兆が回っております。それから、金融保険業という分類がございますが、これに四十三兆八千が回っております。
 ところで、これが仮に大ざっぱに申しましてノンバンクであるといたしますと、別途ノンバンクにつきましての実態調査がございまして、この実態調査により、ノンバンクの中で、主要ノンバンクの中で不動産業に向かっております貸し出しの比率が、これは去年の九月末でございますが三七・八、すなわち約四割というような感じでございます。したがいまして、もし単純に計算いたしますならば、四十兆の四割、二十兆弱のものがやはりこの金融業を通じまして不動産業に流れたというようなことば想像はできるわけでございますが、全体の量が幾らかというよりも、そのトレンドといいますか伸び率、そのようなものがむしろ問題になろうかと思います。
 そこで、ただいま申しました不動産業向けの貸し出し五十兆の、これは去年の十一月末ですが、前年同月比の伸び率は四・四%ということになっております。これは一時は一〇%を超える高率で伸び続けたものでございますが、ここのところ鎮静化しております。さらに、金融保険業向けの四十三兆八千は、前年同月に比べますと四%の減少になっております。これが一時はやはり一〇%を超える伸び率を示しておったわけでございますので、このようなトレンドから申しまして、この不動産業向けに流れております資金が一時は非常に大きな勢いで膨張いたしましたが、このところは縮小傾向にある、鎮静化しつつあるということははっきり言えるのではないかと思っておるわけでございます。
○岡田(利)委員 政府はその対策として、有税償却で損失を見なさいとか盛んに指導いたしておるわけです。また、銀行関係については、恐らくこの損失保証と見込まれる総額は二十兆円に達するだろう、六年間はたっぶりかかる、こうちまたのエコノミストが分析をいたしたことも明らかであります。そういう意味で、今後の経済運営というものは、緊張して経済の運営を図っていくということが私は大事だと思うのです。まして有価証券の飛ばしという新しい、言うなれば差損保証、補てんのような事件も顕在化してまいりました。これも大手に及んで、また既に問題点が出ているのでありますから、どこまでこれが広がるのかという問題もあるわけです。私は、証券取引法のこれは明らかな違反である、こう思っておるのであります。
 こういう点について、バブルを清算をするんだというきちっとした決意を持って対応しないと今後の経済運営に重大な支障を来すし、いつまでも国民の信頼を回復することはできないと思うのですね。そういう点について総理、この経済の運営について、今のような要因を抱えながら決意はどうでしょうか。バブル清算の決意について伺っておきたいと思います。
○宮澤内閣総理大臣 先ほど申しましたようなことを背景にいわゆるバブルという現象が起こってまいったわけでございましたが、その具体的な内容を見ておりますと、結果論としてばかりでなく、いかにも異常であった。経営者のお立場としてこういうようなことがあったのかというようなことが幾つか起こっております。それはある意味では、我が国の経済がずっと戦後順調に成長してきた、ほとんど余り苦労せずにと申しますか、余り苦節に遭わずに成長してきたことの上に、やはり経済というのは、まあ言ってみれば損するときも得することもあるというふうなことが原則でございますから、そういうことについての基本的な認識をちょっと忘れてしまって、普通でない取引が行われた、そのことをやはり総体的に反省すべきであろう。
 それは国外から言われるまでもなく、考えてみますと、今になってみればわかることなんでございますけれども、やはりそういう中でそういう経営が行われたということはこれは大切な反省であると思いますし、この反省をきちっとしていくことにょってこれからまた日本経済が着実に私は伸びていく、そういうやはり教訓としてお互いに、これは経済界ばかりでなく、この政界におります私どもなんかも一緒に反省すべきことであろうというふうに思っております。
○岡田(利)委員 まさしく今回のバブルの崩壊というこの件は、我が国の史上最大の言うならば金融界並びに経済界における汚点である、こう言わざるを得ないと私は思うのであります。
 時間がございませんから最後に申し上げておきますが、そういう状況の中で、金丸副総裁の発言などは極めて遺憾であるということを指摘をしておかなければなりません。
 我が党は、この問題に対して、次のような見解を表明しております。
 自民党の金丸副総裁が二十七日、公定歩合引き下げを求めて日銀総裁の人事問題を含めた発言を行ったことは驚くべきことと言わざるを得ず、改めて真意を伺いたい。金融政策に関しては政党、政治家が発言することは自由だが、日銀に対して、しかも総裁の首切りを示唆しながら強要することは良識を逸脱する発言である。そもそも金利政策については日銀政策委員会の専権事項であり、独立性が確保され政治的な中立性が担保されているものである。
 いわばそういう意味で与える影響というのはやはり出ておるわけですね、内外の、別に国内だけじゃなくてですね。こういうことをきちっとしなければならないと思いますね。いや、もう何かしゃべってしまえばもともとだ、それでいいんだ、効果があったんだなんということで政治家がこういう問題について軽々に発言することは、さらに一層国民のこの経済運営に対する信頼を失うことになるんだろうと思うのです。
 あるいはまた、最近問題になっております株式市場の健全な育成の問題についても、証券取引委員会の創設を初め不正取引の排除であり、バブルの排除が大事である。したがって、金利政策については、最重要課題としてバブルの退治をまず主眼に置いて決定されるべきであるというのが我が党の見解でもあるわけです。また、市場の活性化についても、当然政治が介入するというような姿勢は排すべきである、こういう一連の動きに対して我々は明確な態度を実は示しておるところであります。
 最後に、総理のこの我が党の見解に対しての率直な御所見を承りたい、こう思います。
○羽田国務大臣 御指摘のございました副総裁の発言等につきましては、これは個人の政治家についてのあれについて私どもコメントする立場にございませんけれども、ただ、まあ、非常に今景気が難しい状態にあるぞ、これを崩壊させちゃならぬぞという心配のあらわれがああいう言葉になられたのであろうということで、そのほかいろいろな方々からそういう御指摘がございます。
 ただ、私たちはそういったものをもとにしながら、一体状況がどうなのか、この辺を判断すると同時に、いろいろな聞き取り調査その他も含めまして、常にやはり業況の動きというものをつかまえていなければならぬと思っております。それと同時に、やはり日銀はいろいろな圧力とかそういったものには何もあれするものじゃなくて、やはり実際の状況の判断というもの、やはりこの権威というものはしっかりと我々も持ってい。なければならないものであろうということを私自身も確信をいたしておるところであります。
 なお、今お話がございましたような証券市場の今の状況というのは、確かに一日二億を、この間から月平均にしますと切ってしまっているという状況は、これは異常な状況で、やはり証券市場というものは本当の信用を取り戻すということが今求められていることであろうということで、私どももこれからまた御審議をいただくことになっておりますけれども、一つのルールをきちんとする。それと同時に証券業協会におきましてもみずからのルールというものを確立させていく必要があろう。あるいは、株式そのものに対する配当性向ですとかあるいは配当率、こういったものなんかも質を高めていくということによっていわゆる個人投資家、こういった人たちが本当に魅力を持つような市場にしていくことがやはり大事なのじゃないのか。そういう意味での正当な話し合いとかあるいは指導というものをしていく必要があろうと思いますけれども、今御指摘があったとおり、変な介入なんというものはすべきではない、やはり自由な市場というものが証券市場の一番の大切なところであろう上思っております。
 あわせて、金融界についても、全く今御指摘があったことを私たちもよく腹の中に置きながら、本当に信頼の持てる中で金融市場というものが動けるようなことを指導してまいりたい、かように考えております。
○宮澤内閣総理大臣 ただいまの御発言は極めて示唆に富んだ御指摘であると伺いました。
○岡田(利)委員 終わります。
○山村委員長 これにて岡田君の質疑は終了いたしました。
 次に、日野市朗君。
○日野委員 何かこれから随分いろいろ問いを発するはずの相手の大臣が席を立たれましてちょっとやりにくいのでございますが、こうなると総理からいろいろお聞きしなくちゃならぬことになりますが。
 まず総理に伺っておきたいのですが、私、政治家として一番最初にしなくちゃいかぬことというのは国民の食、これを万全の安さに置くということが、これはもう政治家として何よりもしなければならないことでございます。人は食のみによって生きるのではないんでありましょうが、しかし食う物がなくちゃ、これ、どうにもしようがありません。それで、食糧を確保するということの重要性というものは、これはいつの世にあっても変わらないと私考えます。
 しかし、私こうやってずっと歴史的に考えてみまして、農業という部門が日の当たる産業であったことが今まであったのかなということを考えてみますと、これは食糧難の時代というときには一時これはございましたけれども、しかしずっといつも政治の世界において取り残された、どちらかというと軽んじられてきた産業のような感じがしてなりません。これは人から聞いたんですが、何ですか、菜種油と百姓は搾れば搾るほどとれる、こういう話やなんかもあったようでございまして、常に搾り取られてきた、搾取の対象にされてきたというような歴史が事実あったのではなかろうかというふうに思います。
 そこで、今飽食の時代だとかなんとか言って日本では浮かれているようでございますが、やはり食糧が危機的な状況に陥るということも想定しなければならない、常にこれを想定していくことが政治家の努めであるというふうに私考えているのでございますが、総理はいかがお考えでございましょうか。
○宮澤内閣総理大臣 それは、政治の要請は民を飢えしめざることであるということを古典で申しておりますように、もうそのとおりだと思います。
○日野委員 そこで、私伺っておきたいのは、今日本の食糧自給率が非常に低いということはもう既に指摘をされているところであります。今さら数字を申し上げるまでもないわけでありますが、このような状態が健全な状態とは私は実は考えられないんですが、現在の政策を見ておりますと、外国から食を得ても食が得られればいいのではないかというような考え方が先に出ているような気がしてなりません。
 ここは、二つの選択肢でございましょう。一つは、やはり国内できちんと国民が飢えないだけの食糧を用意しておく、常にそれが生産可能の状態にしておくという考え方と、それから、国内の生産力というものをある程度落としても外国から買ってこれればいいではないかという考え方と、これはあり得ると思うのです。私は前者であろうと思います。やはり日本の食糧をきちんと供給できるようにするためには、食糧供給力、これをきちんと確保しておく、このことが必要であると考えますが、総理のお立場はどちらになりますか。
○田名部国務大臣 総理のお答えの前に私から答弁させていただきますが、基本的には基礎的な物資でありますから食糧の安定供給というのはこれは欠かせないと思います、私ども農政の基本的な役割だというふうに思うんですが、食生活が多様化してまいりまして、かつては米と魚と何かあれば何とか自給できたわけでありますけれども、最近は肉食、食べる物も多様でありまして、何でもかんでも国内で自給できるかというと、残念ながら、七割が山に囲まれた日本でありますので、どうしても国民の要求にこたえるということは非常に難しくなってきておることは先生御案内のとおりでありまして、しかしそれにしても世界百四十五番目とかいう程度の自給率というのは考えなきゃいかぬということで、平成二年の閣議で決定された需要と生産の長期見通し、これに立って自給率の低下に歯どめをかけようということで、二〇〇搾年にはカロリーベースで五搾%というものを実は見込んでおるわけであります。
 それで足りるかどうかということになると、それは一〇〇%が理想でありますが、ただ問題は、非常に戦略物資に食糧を使われるとか、あるいは石油のように幾らでも買ってこなきゃいかぬというこの事態はやはり常に私ども心配しておかなきゃならぬ。ちなみに、アメリカやフランスの穀物の自給率は一〇〇%を超えて、イギリスも旧西ドイツも非常に高い。日本は三〇%。カロリーベースでも、アメリカ、フランスというのは一一三、一四三と高いのですが、日本は四七、こういう状態にあります。
 その理由は幾つかあるわけでありますけれども、やはり米のどんどん消費が減っていく、別なものがふえるわけでありますから、その分が問題になっておる。しかし、五〇%にするために、米については国内自給を基本として良質米とか加工用、そうしたものを需要などにこたえていく、あるいは小麦、大豆については……(日野委員「一般質問で聞くようなことは、聞きますから」と呼ぶ)まあそんなことで努力をしてまいりたい、こう思っております。
○日野委員 総理もどんなお考えか、これは基本的な政策の一番中央になる、中枢部分についてのお考えですから、どうぞ総理の御意見もお聞かせください。
○宮澤内閣総理大臣 今農水大臣が言われましたような基本的な考え方でございます。
○日野委員 念を押しますが、あくまでもやはり大事な食糧は日本の国内で生産するのが正しいというふうなお考えと伺ってよろしゅうございますね。多様化しておりますから、食生活が。外国からも入れなくちゃいかぬことはわかります。しかし、ちょっと乱暴な言い方をさせていただければ、それはぜいたくの部分であって、基本的な食糧はやはり私は日本の国内で生産をする、そしてその生産の可能性、ポテンシャルというものは常に国内で押さえておかなければいけないものというふうに私も考えております。
 それにしても総理、総理もお国に帰られたときや何かにもお気づきになっているのではないかと思いますが、日本における農地の今荒れた状態といいますか、耕作を放棄した農地、それから一応つくってはいるが本当に荒れ果てた農地が非常に多いのですよ。それから、耕作をしようにも農家の後継者がいないと。いうような状態が全国的にずっと広がっておりまして、これはかなり日本の食糧生産力というものが低下してきているというふうに私は見ております。これは、とりもなおさず国力の低下を意味しているというふうに私考えますが、総理としてはいかがでしょうか。
○宮澤内閣総理大臣 農地の荒れた姿を確かによく目にいたします。これは、やはりどうも、私が一番感じますことは、社会のやはり荒廃につながるのではないか、その地域の社会の、そういう感じを私は一番受けております。
○田名部国務大臣 これも、何といいますか、農業に魅力がないというと、ある人もおるわけですから、ただ、人によってはあるいは場所によっては、どうも農業というのは非常に苦労が多い割には生活がよくならぬ、別な職を求めた方がいいという考えの人も中にはおると思うのですね。ところが、中には非常にうまくやっておりまして、農業というものはいいという人もおるのでありますが、第一にやはり経営の意識だろう。
 私はしばしばスポーツに例えて言いますけれども、やはりやる意欲がない人を集めて幾らいい練習方法をやっても強くならない。どうやってそのやる意欲、意識を持たせるかというのが肝心だと思うのですね。そのために、何といっても規模を適正にして経営管理あるいは企業的な感覚で農業もやれるようにならなければ、そこには意欲は出てこない。そんなことで、今新しい政策の中でこれを打ち出したい、こう思っております。
○日野委員 今農水大臣も言われたように、やはり農業だけでは食っていけない、普通の人と同じ生活水準をエンジョイすることができないという面は、これは非常に強いと思うのですね。それを、そういった障害を克服をして、農業においてちゃんとやっていける、これは兼業がそこに入ってくることもございましょう、私はそれでいいと思うのですが、兼業であってもちゃんと農業にいそしみながらやっていけるような一つのビジョンを農民に示さない限り、私はこのような日本の農業の、衰退のさまと私はあえて申しますが、この衰退のさまというのは改善されることがないのであろう、私はこう思っているのです。
 そこで、私考えなくちゃいけないのは、一般工業とか商業というものの生産性と農業の生産性との間には非常に大きな差があるんですね、残念ながら。この差をいかにして埋めていくのかという一つの政策的な方向がもう示されなければならない。私さっきも申し上げましたが、耕作放棄地が随分広がっております。せっかく今まで手塩にかけて切り開いてきた農地、これが荒廃をしていっている、そして農家にも後継者がいない、こういう状態を改善していくためには、そこのところを、他の産業と農業との生産性の差ですね、これを埋めていけるような農業政策、これが今もう示されなければならないと思います。どのようにここを考えておられるのか、伺っておきたいと思います。
○田名部国務大臣 担い手を先ほど申し上げたように育成する。例えば水田二十町歩、畑二十町歩、これは仮の話ですが、これを何人で耕作するとどれだけの利益が出るかという、この逆の計算から入っていきませんと、まあ三反歩やそのぐらいで幾ら力を入れても採算というものはとれない。そこで考えられることは、農地利用権の設定ですね。それから、農業の受委託をする。経営を、まあ例えばわずかの人で大きな耕作をするということになると、余剰の人が出ます。そういう人は、例えば機械のリース会社とか公社とか受委託をする会社を経営して、その分野でやってもらう、あるいは農産加工等の取り組み、農産物を利用して加工する方にも働いてもらうということで、まお今先生お話しのように、年間を通じた就労条件の整備というものがないといかぬと思うのですね。
 例えば一反歩当たり、どうもヘクタールでなくて恐縮ですが、一反歩当たり四十時間ぐらい働いておる。北海道は二十何時間ですね。そうすると、まあサラリーマンの一週間分です、ちょうど八時間、五日間働いても。そうすると、三週間もあるとあとは何にもしないという計算になるんですが、計算上は。それではいかぬのであって、何とか年間就労して、サラリーマンと同じ時間働けみような条件をつくって、そしてサラリーマンとどうか、こういうことにならないといかぬ、こういうふうに考えております。まあそのためには何でもかんでも日本国じゅうできるかというと、その実態ありますから、その実態に応じて考えていかなきゃならぬということではなかろうか。
 それから、先生さっきお話しのように、まあ農地を放棄しているという例は、やむを得なくそうなった例と、農業をやるのは嫌だということでなった例というものはあると思うのです。昨今、農家も一人っ子とか二人おっても男、女が一人という条件で農業の跡を継がせられないという家庭が、実際私の親戚なんかも随分ふえておりますから、そういうことなんかも含めて、一つの区画の中に全部入れてあげて、その中はもうどんなことをしても耕作面積というものを崩さない、離農する場合でもそこのところはそこへ確保するということ等を考えていかなきゃいかぬ、こう思っております。
    〔委員長退席、中山(正)委員長代理着席〕
○日野委員 今農水大臣が言われたことは、これは私もよく知っておりますし、今まで構造政策を推進するということでもう何年も何年もそれをやってきた。しかしなかなか成果は上がらずに今の状態を迎えているわけでありまして、私はこう思っているのです。自由競争に任せておいてうまくいくところはあります。確かに日本の鉱工業それから流通関係なんかは、これはかなり自由競争に任せてうまくいった部分であろうと思う。完全な自由競争ではありませんね、これは随分国の方でもいろいろてこ入れをしてきたという経緯は今まであります。それと同じょうに、やはりこれはてこ入れをすべきところはてこ入れをすべきだ、私はこう思うのですがね。
 私、ことしの農業予算も勉強はさせていただきました。そして概算要求のころから農業予算についてもいろいろと物は申してきたつもりでありますが、やはり全体の中の農業予算の比率というものはほかの国に比してもかなり落ち込んでいることだけはこれは間違いない。これでは今の日本の農業というのは維持できないという方向に進むのではないか、もっと農業予算、これは国の手を入れるというところは入れるべきだ、私はそう思いますが、いかがお考えでしょうか。
○田名部国務大臣 欧米の農業と違いますのは、やはり土地そのものがヨーロッパ等は平地が非常に多いものですから、日本より小さいなと思っても耕作面積が非常に大きいという差はあると思います。しかしそれでありましても、今も申し上げたようなことをやらなければ日本の農業というのはもうどうにもならぬところにきている。そのためには、担い手も不足、出生率も低下、そういうことを考えてみると、思い切って本当に意欲のある人に今申し上げたような形でやってもらうというためには投資が必要だ。何でもかんでも投資すればいいかといっても、やはり本当に優良農地というものをもう一遍見直して、そこにはもう思い切った投資をしていく。特に都市近郊の農家というのはどっちかというと農地よりも何かに利用した方がいいという気持ちが多いものですから、そこに投資してもむだになってはいかぬ。ですから場所場所によって政策というものを変えて全国一律ではなくてやらなきゃいかぬ、そのための投資というのは必要だ、こう思っております。
○日野委員 今農家はかなりこれは高齢化しておりますね。そして、さっきも言ったように農地がかなり荒廃しているものが見受けられる。こういう状況を見ますと、今きちんと規模拡大、一つは規模拡大、このためには投資をしなくちゃいかぬ、こう思いますね。これは補助金だとかそれからあとは貸し付けたとか、随分いろいろあります。制度がいろいろある。それをもっと有機的に、一元的にこれを活用するという方向を考えなくちゃいかぬだろう。それから、随分そうやってあいてきた農地だとか何かがあって、それから高齢化でもう手放したいと思っている人もいる。こういうものをいろんなところでいろいろこちょこちょこちょこちょやるのじゃなくて一元的に、これを統一的に情報も集める、それからあっせん行為もやる、そういうことに金をかけなくちゃいかぬ。今それをやらないとタイミングを逸する、私はこう思うのですね。いかがですか、ここのところはきちんとやるべきだと思うが。
○田名部国務大臣 連担的、こう申し上げておりますが、相当大きな面積、耕地面積というものをしっかりしたものにつくる。その中にはどうしても土地を手放したくないという人もおるだろうと思うのですね。持っている人もおる。少ない人でやるものですから、実際にはそういう人たちが自分の分だけをやるというわけにはいかなくなるだろうと思います。そうした場合に、受委託で一緒にやってあげるとかいろいろなことが必要になってくる。あるいはやめたときにはその水田を買い上げるのかどうするのか。そしてその一画だけはもう崩さないという方法でないと、農業をやめるたびにどこかに売られて何かになったのではせっかく投資をしたことが効率の悪いことになりますから、どういう形になるかわかりませんが、新しい食料、農業、農村、今一生懸命専門家の方々に意見を出していただいて勉強しております。春をめどに、こう言うので、春はいつだというと多少幅がありますが、いずれにしても精力的にやって肉づけを、また御意見を伺ってやっていきたい、こう思っております。
○日野委員 何といっても日本の農業というのは米作を中心にこれは営まれてきたわけでありまして、私が今非常に心配をしているのは日本の、さっきから企業マインドという言葉が出ているようですが、今日本の農業マインドが失われようとしているのではないか、ここのところを私は非常に心配するのです。それは結局米がどうなるんだというところにずっと集約をされるわけですね。私もその米の問題というものは随分いろいろな方面からかかわり合ってまいりましたので、このことについては改めてまた問いただしておかなければならない、こういうふうに思っているわけですね。
 ずばり、総理いかがでございますか、米は輸入されるんですか、絶対にこの米の輸入というものはしない。これは泡盛とか何かとか、あの旅行者が持ち帰る一人当たり十キロとかそういう問題は別にして、輸入をされる方向に進まれるのかそうではないのか、イエスかノーかという非常に明快な形でお答えをいただきたい。
○宮澤内閣総理大臣 それは国会でしばしば御決議がありましたように、国内産で自給することを基本方針とするというのが政府の考え方でございます。
○日野委員 ところが、どうも疑いの目でみんな見ているわけでございますね。どうも疑念というのは晴れないような感じです。
 そこで外務大臣に伺います。何度も何度もこれはここで外務大臣質問をされて、私はその都度、ああ外務大臣は演説がうまいな、こう思ってきたのですがね。何となくわかったような感じにさせられてしまう。ところが、後で議事録をとってそれを見るとさっばりわからない。外務大垣はどうなんですか。外務大臣もこれはガット・ウルグアイ・ラウンドにおける交渉の当事者のお一人でございますから、これは外務大臣のはっきりした答えを伺っておきたいのですが、いかがでしょう、今の総理に対する問いに対するお答えは。
○渡辺(美)国務大臣 私は宮澤総理のもとでお仕えをしているわけですから、総理の言うとおりです。
○日野委員 せっかくまた名演説が聞けるかと思ったらそうでもなかったんですが、あなたの議事録を読んでみますとそうは言っておられないんですね。「一トンも入れないで頑張るといったって無理じゃないか」ということを話をしている、こういう答弁を我が党の野坂委員に対する答弁として、同じことを聞かれて、あなたの発言はどういう趣旨なのかと聞かれて、そう言っておられる。私は、ここで個人渡辺美智雄とそれから副総理・外務大臣渡辺美智雄という使い分けはできないお立場に今おられると思いますので、もう一度ただしておきたい。いかがでございますか、あなたは野坂委員の質問に対して、「一トンも入れないで頑張るといったって無理じゃないかという話をした」んだ、こう言っておられますし、それから、「ここらまでであればできるという案も出さないというわけにはいかぬじゃないか。」とも言っておられる。これはもちろん前後ある話ですよ。しかし、あなたはそう言っておられるので、宮澤総理との間にはちょっと矛盾が、ちょっとではないですな、かなり大きい矛盾があるというふうに考えます。それとも宮澤総理のおっしゃっていることの方が違うとおっしゃるのか、いかがでございましょうね。
○渡辺(美)国務大臣 私がじかに交渉しているわけではありませんが、私の下で交渉担当者がおるわけでありまして、相手がございますから、相手との間で駆け引きもありましょうし、いろいろ理屈も、非常に難しい理屈をつけて交渉を最後の最後まで頑張っているというのがきょう現在であって、それも瀬戸際に来ておるわけですから、ここで私が違ったことを言えるわけもないし、皆さんの趣旨を体して、我が国の代表団は非常につらい立場に立たされながら頑張っているということでございます。それ以上つけ加えることはありません。
 それから、一トンも入れないとかどうとかということにつきましては、これは世間の常識もありましょうし、我々は、米は自給を旨としてということで交渉をしておるということであります。
○日野委員 そうすると、今までおっしゃってきたことときょうの渡辺外務大臣の発言とはまたえらい違っちゃったものになっておりますね。そうお感じになりませんか。いかがですか。私はここに議事録を持って今のお話を伺っているわけですしね。
○渡辺(美)国務大臣 これは、交渉事というのは、何といいますか相手の出方を見ながらやっておるわけですから、相手国ですね、一方的なことだけ言っておってもだめだし、相手の方がどういうふうに出るのかというようなことを出方を見ながら一番有利な線で解決したいという交渉事をやっておりますから、私は交渉に違いはないと思いますよ。ただ、いろいろな感想とか何かを述べたことはないことはありませんが、やはりそれは外交は一体ですので、農林省などとよく連絡をとりながら現地交渉団がやっておるわけです。だからそんな、ただ解説や何かしたことはありますよ、いろいろな解説したことはありますが、交渉の方においてはずっと一貫した交渉を今も続けているということは事実でございます。
○日野委員 今も一貫した交渉を続けているのはよくわかります。しかし、少し先を見てみましょう、それでは。その交渉がいろいろ行き詰まる、政治的な決断を迫られる、そのようなとき最終的な決断をなぎるのは、現在交渉に行ってジュネーブに赴いている人たちではないはずだ。それはあなたであり、農水大臣であり、宮澤総理であられるはずですね。そのときあなたはどういう決断をなさるのか。いかがでございますか、これは。
○渡辺(美)国務大臣 これは内閣一体になって相談をするということはあるでしょう。しかし、相手と今交渉をやっている真っ最中ですから、どういう決断を、ああするこうするということをあらかじめ手のうちをここで言ってしまうわけにはまいりません。
○日野委員 こうやってそういうお答えを聞きながら総理の御発言を聞いてみても、なかなかはっきりしない点があるのですな。「我が国の米についてはこれまでの基本的方針のもと、相互の協力に。よる解決に向けて」まあ今ここで訓詁学みたいなことをやろうとは思いませんが、これまでの基本方針というものをもう一度おっしゃってください、それでは。総理、いかがですか。
○宮澤内閣総理大臣 国内産をもって自給することを基本とするという国会決議に政府は忠実にあろうとしておるわけでございます。
○日野委員 渡辺副総理、あなたは、それは将来の交渉について今手のうちを明かすわけにいかぬとおっしゃる。大体どのような方向に向かって進むのかということは、これは二つの大きな今選択肢があるわけですな。全く違う選択肢がある。その中で、今まであなたは野坂委員に対する答弁のような答えをしておいて、そして新聞なんかでもそれを言われて、新聞なんかにもいろいろ書かれて、大体新聞で書いていることとこの議事録に残されたあなたの発言というものは、私は本質的に違いがないと見ているのですよ、本質的には違いがない。こういう二つの、今総理が言われたこととあなたの今までの発言と全く矛盾すること、この間の調整をどのように考えたらいいのか。これから農民は非常に注意して見ているのですよ。現在これからの営農設計をどうしていくんだ、自分の後継者を残すべきか浅さざるべきか、今荒れている農地をどうしたらいいのか、ここで農民たちは非常に悩んでいる。こういうときに当たって、あなたが言われたことに対する責任あるコメントをしていただきたい。それは先に、どのような交渉についての決断を示すかということはこれは確かに今なかなか言いにくいことでしょうけれども、やはりあなたとしては、言ってこられたことについての責任をとられる必要があると思う。いかがでしょうか。
○渡辺(美)国務大臣 これは先ほどから言っておるように、交渉は土壇場に来ているのですよ。そこで、御承知のとおり今までのいろいろないきさつもございまして、例外なき関税化を主張しておりますから、米、酪農等の関係製品も含めて、数字は書き込まないでオファーしているということはもう既に御承知のとおりでありまして、政府のやっておることと私が言っておることと違ったことをやっておるわけじゃなくて、外国相手にやっておるわけですから、他の国の状況ももちろんあります、交渉事ですからね。ですから、ほかの国はじゃどこまで出すんだということもございますから、日本だけが出し過ぎるようなことは絶対困るわけですし、ですから、流動的なものは確かにあるのはありますよ。ありますけれども、我々としては今までの方針に変わりなく最大限の努力をしている。それについては、もちろん農林省も外務省も別々なことをやっておるわけでも何でもございませんので、これは一体としてやっておるということであります。
○日野委員 水かけ論をしてもしようがありませんから話を進めましょう。少し具体的なケースを想定してみたいというふうに思いますが、今ガット・ウルグアイ・ラウンドはアメリカとECとの間で非常に激しいやりとりが続いておりますね。もし、ここでアメリカとECとの間で話し合いが成り立ったとした場合、どういう態度をおとりになるのです、日本は。
○渡辺(美)国務大臣 だから、交渉事でございますから、相手の国の状況等もよく情報をとって、ただ日本だけがひとりぼっちにされちゃって世界じゅうから裸にされるようなことは困るわけですから、だから、一番有利な解決策というものを求めていかなきゃならぬ。それには、前からの我々の願望は、お米については自給といいますか、自給自足ですな、それを旨としてやるというその精神に基づいて、一番有利な、それに近い方法を考えていくということであって、具体的にどことどこがどこの部分でどういうふうに手を結んだからどうだと、そういうふうなことは幾つも幾つも組み合わせがあるわけですから、それについてこういう場合はこういうことを考えています、ああいう場合はこういうことを考えていますということをここで申し上げるという段階ではないということを言っているわけです。
○日野委員 今の渡辺外務大臣のお話だと、今のお話と、そうすると野坂浩賢委員に対する話とは合ってくるわけですな、話が。なるほど。
 そうすると、じゃ、米を輸入するということを前提とした話を今までしてきたのだ、こういうことになりますね。いかがですか。
○渡辺(美)国務大臣 それは幾ら攻められましても、今交渉の本当にど真ん中で、真っ最中。にきておるので、今私が言ったように、日本にとって一番有益な方法は何かということについて最大限の努力をしているわけです。――私どもの言っていることは、総理の言っていることに尽きるのですよ。最終の決断者は総理大臣でございますから、だから、いろんな情報を提供を我々はいたしますが、決断は総理大臣ですから、総理大臣に答えていただきます。
○田名部国務大臣 所管大臣でありますから一言申し上げさせていただきますが、修正案もいろんな今案を出して、全力を尽くしている。もう既にアメリカにもECにも農林省の幹部も派遣して、もう一生懸命やってますから、その先、この試合に勝てるか負けるかと聞かれても、勝つために一生懸命やっているわけでありますから、ひとつ全力包尽くさせていただきたい。二十六日も、総理と外務大臣と私と、基本的にはこうだ、国会のこの決議を体して、数字も書き込まない、もうこれ以外の何物でもないわけでありますから、ひとつこの姿勢で我々に最後まで努力をさせていただきたいということをお願いしておきたいと思います。
○日野委員 最終の決断者であられる総理、いかがでございます。
○宮澤内閣総理大臣 何度も申し上げておりますが、国内産で自給することを基本方針とするというのが国会の決議でございますから、その旨を体していたします。
○日野委員 まあ総理がそうおっしゃるのなら、そのように伺っておきましょう。
 ところで、ウルグアイ・ラウンド、非常に混迷をしていると私、考えております。御承知のようにアメリカとECとの争いがあり、アメリカはアメリカで国内がまとまらぬ。ECはECで域内各国の間でまとまらぬ。ECの共通農業政策についても、各国のいろんな思惑が入っている。だれもウルグアイ・ラウンド交渉がすっきりまとまると考えている者はおりません。今日本の置かれている。立場、とっている立場というものを考えてみますと、この二大勢力であるアメリカとECとがこうやってもめている、そして交渉がさっぱり進まぬ、こういうはざまにあって、そして何とかうまく事態が転がっていかないかと思っているのではないかというふうに見えます。
 そこで私は、積極的にこの際ウルグアイ・ラウンドにおいてしっかりした役割を果たしたらどうか、こう思うのですよ。ウルグアイ・ラウンドですね、農業部門を外して、他の部門でまとめられるようなそういうアクションを起こされるおつもりはありませんか。
○田名部国務大臣 沈黙は金という言葉がありますが、いろいろ憶測をして、アメリカは出さないのではないか、あるいはECはこうではないか。本当のところ、どういうところでECはECでもめておるのか、苦労しておるのか、これはわからぬわけでありますから、そのために今農林省の幹部を派遣して詳しい情報等もとるようにいたしておりますが、いずれにしても、これから交渉が本格的に始まる中で、出す案は私どもは米についてはこういう案、あるいは十一条二項(c)についてははっきりしない部分もある、これははっきりしてください、この分野についてはこうしましょうということを今作業を進めております。ですから、そういうときにまたもう一つの、まとまるのからまとめて難しいものは残すという、さらに困難に拍車をかけることではなくて、これは交渉の結果としていよいよにっちもさっちもいかないというときに各国がいろいろと考えられることの中の一つかもしれませんけれども、今からそういうことを想定しての行動というものはしないということでございます。
○日野委員 今やっているのはウルグアイ・ラウンドでございますが、東京ラウンドでも積み残したところはあるんですね。東京ラウンドで積み残しているのはセーフガードシステムですな、これは積み残しをしました。それから農業部門についても、これは穀物についてちょうどそのころ国際的に国際小麦委員会をやっていて、そこで今検討中だからということで、農業部門についてもその部分は残したわけですな。そして、その国際小麦委員会はこれはまとまらなかった。結局、その部分はもう残っちゃったのです。そういう前例がこれはあるわけですね、東京ラウンドについても。そしてウルグアイ・ラウンドが開始したのは、プンタデルエステ宣言で一九八六年だったと思います。一九八〇年代というと、これはもう各国とも過剰農産物を抱えて、余剰農産物を抱えて、そして穀物の山が至るところに積み重ねられていたという状態でありましたね。
 しかし、そういった穀物の山も今だんだん小さくなって。状況は大きく変わってきたのですね。まあ八〇年代とはこういうふうな事情が大きく変わってきており、そしてウルグアイ・ラウンドの現在の進捗状況というものを見ますと、もうこれは農業部門については、昨年も本当は、一昨々年になりますか、期限が来ていたにもかかわらず、ほぼこれはブレークダウンじゃないかと言われていたものを何とかもう一年つないできた。そして、今また農業部門でこのように非常に難しい状況になってきている。こういう状況になってくれば、それは今進めている交渉というのは非常にデリケートな交渉を進めているのはわかりますけれども、これは日本としても決断すべきところは決断をして、もう農業部門はこれは積み残しということで進めてもいいのではないかというふうに私は思っております。これはかなり高度の政治的な判断になってまいりますので、ひとつ外務大臣にもお考えを伺いたいし、総理にもお考えを伺いたいと思っております。いかがでございますか。
○田名部国務大臣 先生御案内のように、この穀物の自給率で見ても、アメリカは一九七五年ごろ一七四で今が一〇九でありますね。あるいはフランスは一九七五年で一五二、一九八五年で二〇四、一九八八年で二二二。ですからこういう状況を踏まえて、交渉というのはいろいろ起きてくると思うんです。しかも日本はこのときに三〇ですから。そうすると、二二二も持っているフランスは何とか売りたいと思うでしょうし、あるいは私は別な考えを持っておりまして、世界の人口は五十三億ぐらいでしょうか、十年後は六十三億をも四億とも言われている。こうした食糧は一体どこが、発展途上国は人口がどんどんふえておる、食糧が不足をする、そういうものを一体世界はどうやって救ってあげるかといういろいろな角度から検討すべきものが食糧だと思うんです。金を持ったところに、足りないから余った方が売る、売るというだけではなくて。
 そういうことからいきますと、まあガットの場というよりもFAOかどこかで議論してほしいと思うんですが、そういうことも含めて農業問題というのは取り上げるべきだというふうに思っておりますが、いずれ交渉をやってみて、いろいろと難しいな、私は難しいと思うんです。農業交渉というのは難しいから、今日までまだ各国が案を出せないという状況にもあるんだろうと思うんです。ですから、交渉が始まって、あるいはこうしようああしようという案は出てくる中の一つになるかもしれないということで、まあやってみなければ何とも言い得ないことだろう、こう思います。
○小倉政府委員 世界の農業事情につきまして、それとの関連からの先生の御質問に対するお答えは今農林大臣が申し上げたとおりでございますが、ウルグアイ・ラウンドの中の農業部門を切り離すことができないかというその部分につきまして申し上げますと、先生も御案内のとおりウルグアイ・ラウンドと申しますのは、東京ラウンド、過去のラウンドと違いまして、かなり今までと違った知的所有権とかサービス部門といった非常に幅広い。分野を含んでおります。そういう観点から、実は先生も先ほど御指摘になりました一九八六年のプンタデルエステのウルグアイ・ラウンドを出発せしめました基本的な閣僚宣言におきまして各国が合意しておりまして、その合意の中に、交渉の開始及び交渉の結果の実施は一個の事業全体として取り扱われるという部分がございまして、これによりまして、ウルグアイ・ラウンドというのはある部分、特にその重要な部分というものを切り離して交渉せずに、全体を一つの包括的な、一つのパッケージと申しますか、それとして交渉するという合意が現在できておりまして、そのラインで交渉している、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
○日野委員 そんなことはこっちはよく知っているんですよね。知っていて言っているんだ。だからその部分が、もう時代もかなり変わったんですよということで今お話をしているので、余計なことを言ってもらいたくないですな。そんなことを知らないで言っているわけじゃないんだよ、こっちは。そこのところで私は、この部分にちゃんとそういう合意をしているけれどもここで日本あたりがイニシアチブをとったらどうか、こういうことを言っているんです。いかがですか、外務大臣。
○田名部国務大臣 やはり交渉事を始めてから、いろいろと苦しい立場の中でいろんな案というものは出てくるだろう。まだ土俵に呼び出しも出ていませんので、もうちょっと交渉に本当に入って、それからの話でいろんな案が考えられる、こう思います。
○日野委員 半分を農業問題、半分の時間を環境及び科学技術と、こう割り振っていたのですが、どうも時間がなくなってきました。私もシャドーキャビネットの科学技術庁とそれから環境庁の方の担当でありますから、環境の問題についても一言だけ総理の基本的なお考えを伺っておきたいと思います。
 総理は、施政方針演説の中で環境問題にお触れになっております。しかし、そこで私ちょっと気になってしょうがない部分がございます。それは、総理が施政方針演説の中で「有限な環境と資源の中で、持続可能な開発を目指す経済社会を形成」する、こう書いておられる。今、環境問題というのは人類の生存を脅かしているというふうな認識を共通にした上で総理はこのような立言をされているわけでございますが、私は、現在の環境の問題というものは、これは開発と環境どっちに重きを置くかということになれば、どのような形容詞を付そうともやはり開発よりは環境に重きを置くべきだ、こんなふうに考えている者の一人でありますが、総理はこの点いかがお考えでしょうか。
○田名部国務大臣 私もいろんな国を訪問しますが、確かに、生活する、もう食べるのが精いっぱいという国を見ますと、何かしてあげなければ、ただ熱帯林がどうのこうの、発展途上国がというだけでは、彼らは生きる方がもう大事であって、そんな余計な話をするなという感じ方なんですね。よく焼き畑なんかもそうでありますが、しかしその中にあってやはり彼らの生活の糧である森林というものをめちゃくちゃにやるんではなくて、先生お話しのように持続可能ということで計画的にやはりやる必要があるということで、私どももその面については、今度の会議等を通じて、本当に環境とそれがバランスとれていくという道を世界が求めなければならないというふうに思います。
○日野委員 それはよくわかるのです、私も。開発途上国やなんかの人たちが生きていかなくちゃいかぬ、そのために材木を切って売らなくちゃいかぬというのは必要であって、これは出てくるのです。それはわかりますよ。しかし、焼き畑をやったり材木を切ったりして、そこに貧弱な牧場をつくって、もうペットフードにしかならぬような牛を飼ってみるなんということをやるよりは、日本としてもっともっと、そんなことを、やるのならもっともっとお手伝いをしてあげられることがあるということではないでしょうか。総理も国際貢献ということを非常に強調しておられますが、私は、この国際貢献の中で環境問題というものは日本が最も貢献のできる場ではないか、そんなふうに思っておりますので、私はそこのところをあえて、こういう持続可能な開発というようなことを言うよりは、もっとそういったことを実現してあげるということを、環境に重きを置いて考えるべきではないか、こう考えるのですが。
○宮澤内閣総理大臣 たしか我が国のODAの中で環境関連が一二%近く、私はもうあるのではないかと思いますから、それは我が国にとって大切な仕事だと思っておりますけれども、ただいま農水大臣の言われましたように、確かにその日その日を生きなければならない人たちの立場というものもしばしばこれは国際会議でも代弁されるわけでございますから、そういうことも忘れるわけにはいかないというふうに思います。
○日野委員 ところが、日本の経済活動というものは環境に対する配慮というものが非常にないがしろにされる傾向が私はあるのではないかと思う。例えばバーゼル条約の国内法案ができた、骨子ができたというようなことが新聞に載っておりますね。それによりますと、見出しだけ、もう時間がないようですから見出しだけ言いますわ。「「公害輸出」懸念の声」がある、「環境庁も抵抗方針」だと、こう新聞に出ておりますがね。日本の企業活動、経済活動というものは、環境に対する配慮というものを軽視、軽くしながら経済活動をやっているような傾向があるように見えます。ぜひともこれは環境庁、頑張ってもらわなくちゃいかぬ、こう私は思っているのですが、いかがでしょう。
○中村国務大臣 委員御指摘のとおり、サステーナブルディベロプメント、持続可能な開発というコンセプトが出てきて、それに沿った社会経済をつくっていこうというこ止で今世界が動き出して、そこであのサミットが行われるというところであります。しかし、日本の企業にとりましては、きょうも実はマレーシアの環境大臣が来ておったのでありますが、日本の企業は向こうでいろいろな活動をしております。ですから私は聞いてみました。日本の企業は何か御迷惑をかけておることがありましょうかということを聞きましたけれども、そういうことはないと。今やはり産業界も随分変わって、やはり環境保全ということを考えずに工業、産業はないという考えでやっていただく時代に入っている、そういう態度でやっていただいていると思っております。
 そして、政府といたしましても、例えば温暖化防止計画でもいろいろな議論が今国際的になされていますけれども、地球温暖化防止行動計画というのは政府一体となってつくってこれに向けて進んでいるわけでありまして、日本が決してこういう面で配慮が欠けていたり、おくれているとは思っていないわけであります。一層なお環境庁も頑張ってまいりたいと思っております。
○日野委員 時間が参りましたので終わりますが、最後に一言だけ。
 この間、アメリカのブッシュ大統領がオゾン層破壊物質の規制を前倒しにすると言った。そうしたら日本もあわててそれに付随した。あんなみっともないことやめて、できることならどんどんやってください。そのことを一言言って終わります。
○中山(正)委員長代理 これにて日野君の質疑は終了いたしました。
 次に、水田稔君。
○水田委員 全体的な経済運営については我が党の岡田委員が質問しましたので、個別の問題について質問したいと思います。
 一つは中小企業対策について、これはぜひ総理に聞いていただきたい、そして答えもしていただきたいのは、もう御承知と思うのですけれども、中小企業というのは、資本とか人数での区切り方もあるのですけれども、統計的に見ますと、数からいうと九九%は日本は中小企業なんですね。働いておる人は約四千万人、物をつくる場合あるいはまた流通関係含めてですけれども、そういう状況にあるわけです。それから出荷額を見ても、半分以上とにかく製造業の中でも中小企業が担っておる。あるいは小売の販売額を見ると、これもまた七八・五%ですから、まさに日本の産業の全体を大きく支えておるのは中小企業だ、こう思うのですね。
 ところが、これは通産大臣も御承知のとおり、予算を見ますと、昭和五十七年に二千四百九十八億が最高だったのです。それからゼロシーリングということで、ことしは七億円ふやしたけれども、それでなおかつ一千九百八十億円でございますから、七十二兆の全体の予算から見れば〇・三%、どうしてもそれは日本の産業を担っておる多数のものに対する国家予算としては、いびつというよりはもう異常な状況ではないのだろうか。これから全体的に技術はハイテク技術を中小でも導入しかきゃならぬし、情報化はどんどん進んでいく。あるいは人手は、中小企業ではいわゆる福祉関係の福利施設が足りないからなかなか人が来ない。そういったくさんな問題を抱えた中で基本的にこういう状況に置かれておることについて、一つは、総理大臣、本当に今までの予算の組み方が、いわゆる全体の予算がそこから、ゼロシーリングならそこで何%切る、その上に必要なものを乗せるだけの形で全体を抑えてきた、その形がこうなっておるのですね。
 これは文教でいつでも、文教というのは八割が人件費ですから、それが人勧の勧告でふえていけば、当然全体の予算、そこに食い込んでいくわけですね。で、ゼロシーリングをやれば、当然そこではいわゆる物件費とかあるいは研究開発費なんかが抑えられるということ、そういうことをずっとこの十年近く続けてきたわけですね。そのことで予算がいびつになってきたわけです。
 時代が大きく変わっているわけです。国際的にもまた、国内的にも産業構造から全体がもう変わる。そういう中でやはり発想を変えなきゃ実際に必要なところへ資金が回らないということになるんじゃないだろうか。
 中小企業の問題は、今のような状況でございますから、これはひとつぜひ総理大臣にそのことについての、予算のこれからの組み方なり、中小企業に対する思いを聞かしていただきたいし、通産大臣からも、これは頑張っておられるのだろうと思うのですけれども、やはり本庁の方が大事で中小企業庁の方はわきの方ですからね、ちょっとこう軽く扱ってこういう結果になってきたんじゃないか。それから大蔵大臣も、予算編成についてはそういう新しい感覚で予算編成をこれからやっていくべきじゃないだろうかということについて、お答えをいただきたいと思います。
○渡部国務大臣 今、中小企業予算、またこれが対策についてお話ありましたけれども、厳しい財政の中で昨年の補正予算でも中小企業の要求する予算を確保させていただきましたし、また、今御審議いただいておる予算でも、金額は今おっしゃられましたけれども、これは十一年ぶりの高い伸び率の予算であることも委員御承知のとおりであります。
 ただ、金額について、これが多いか少ないか、これはまた議論のあるところですけれども、中小企業といえども産業対策ですから、これは単に補助金が多いからいいというものではないんで、一番大事なことは金融で、そういう意味では、今回も思い切って財政投融資の上積みを行って、国民金融公庫あるいは中小企業金融公庫、北東公庫、また開銀、それぞれの分野で中小企業の皆さん方にとって一番大事な金融の配慮もいたしておりますし、また、委員御承知のように、小規模企業対策等については、これはよその国にない商工会の青年部や婦人部の組織活動についての補助であるとか、あるいは商工会館の建設の補助であるとか、あるいは経営指導員の強化であるとか、我が国にとって中小企業が――これは大企業を支えておるのも、自動車であろうと弱電であろうと、こういうものはそのすそ野が中小企業によって成り立っておりますし、先般も、新しく自由経済でよみがえろうという新しいロシア連邦の代表が、ぜひ日本の中小企業に学びたいということで、代表団お見えになっておりますが、世界でも我が国の中小企業に大きな関心を持って、私は胸を張って世界じゅうに、経済に活力を求めるためには我が国の中小企業を見ろ、こう言えるような政策を今日までも続け、また、これからも続けてまいるつもりでございます。
○羽田国務大臣 今委員の方から御指摘がございましたように、中小企業の占めるその地位というもの、これは非常に重要であること、今また通産大臣からもお答えを申し上げたとおりであります。
 確かに、シーリングをこのところずっと、高度経済といいますか、バブルなんて言われた時代でも、経常経費については一〇%削減していただきたいということでやってきたということでございます。しかし、確かにシーリングというものをかけておりますけれども、そのシーリングを一〇%例えば削減していただきたいということをお願いする中にあって、各省庁とも、その時代のニーズというものをとらまえながら、必要なところにはやはり重点的な配分をしてきておる。私たちも、それを念査しながら、そういった姿勢でやってきたつもりでございます。
 そういうことで、今通産大臣からもお話がございましたように、今度は中小企業に対しても十一年ぶりの伸びというものを示す、あるいはきめの細かい配慮というものは私どももやはり同等にやってきたつもりであります。それと同時に、いわゆる財投を活用しながら、今お話のあった各金融機関からもそういった皆様方に十分な資金が回るように手配をしておるということでありまして、しかし、いずれにいたしましても、私どもも中小企業の重要性ということは念頭に置いていきたいというふうに思っております。
○宮澤内閣総理大臣 中小企業対策と特掲しておりますのは、特に中小企業のための、あるいは特に中小企業に関連する経費を特掲しておるわけですけれども、特掲するためにかえって誤解を招いているところもございます。一般的な経費と言われるものが中小企業にもう非常に関係をしていることは、むしろ、おっしゃいますように中小企業が国の企業の九割何分であれば、むしろ当然のことでございますので、そういう意味では、その他の経費をあわせてごらんいただくということも私は必要なことだと思います。
○水田委員 あとは答弁は結構ですが、五十七年から比べて十年間で、貨幣価値も変わっていますが、五百億円減っておるわけですからね。ふえても実質は同じくらいであると思うのですね。ですから、内容的には変わっていないんですね。だから、財投その他は同じなんですから、そういう点からいえば、まさにこれからの時代というのは今まで以上に中小企業は困難な場面を迎えるという点では、これは要望として申し上げておきますが、来年度あるいはことし補正でもあれば、そこは今景気動向もありますから、ぜひ御配慮いただきたい、お願いを申しておきたいと思います。
 そこで、この間、公聴会で公述人に聞いてみると、特に流通関係では売り上げが減ってきた、こう言うんですね。昨年の末までは百貨店の売り上げもマイナスにはならなかったところが、ことしに入ってからマイナスになる。よく考えてみれば、今の景気動向でいえば一番個人消費が冷えてきておる。確かに景気対策では、一つは公定歩合の問題、これは日銀の専管でしょうし、あるいは公共事業で予算でどうこうする。しかし、一番影響のあるのは、やはり個人消費は、全体のGNPを引っ張るのは四〇%を超すものがあるわけですから、そういう点からいうと、個人の消費がどれだけ買えるかということはこれからの景気動向で一番大きいと思うのですね。もちろんほかもありますけれどもね。
 そこで、これは大蔵大臣、もう御承知と思うのですが、いわゆる給料生活者というのは、給料から所得税はもう天引きですね。所得は一〇〇%把握、課税客体の把握は一番完全にできるところですね。そこで、勤労控除というのがありますが、一般の申告納税者というのは経費で落ちるのは、物価が上がれば当然その分は経費で落ちるわけですね。勤労者はそれは全くないわけですから、そういう点から、一つは税金と、一つは社会保険料というものもありますが、実際に賃金が上がっても、半分しか実際には手取りがふえない。ですから、そういう形で常に勤労者が一〇〇%課税客体を把握され、そしてきちっとかけられて間違いなく税金を取られながら、しかも比較してみると、経費については、負担がふえてもそれは全く経費としては見てもらえない、そういうマイナス面を背負っておるわけですね。ですから、そこだけでも減税すれば、やはりそれは消費に回るわけですから、そういう点で、ぜひ大蔵大臣そこらを、まあ物価調整減税というんですか、そういうことをぜひ考えるべきではないだろうか。
 これは、それがどれだけ動くか、四百兆円に対して一兆円としても〇・二五ぐらいですか、それは回り回ってもう少し、〇・幾らになるかもしれません、そういう景気とそれから成長率にはね返ってくる。ということを考えれば、ぜひその点を、もう既に予算はできておるわけですから、この中で修正できるんであれば我々はぜひしてもらいたいと思うし、野党の中で予算の修正についての論議をしていますが、その中でも恐らくそういう論議が出てくるだろうと思うのですね。そういう中でぜひ御検討いただきたいと思うが、いかがでしょうか。
○羽田国務大臣 この所得税につきましてでございますけれども、先般のあれにつきましてもう私からるる申し上げることはないと思いますけれども、二年にわたりまして五兆五千億円に上る大規模な所得税減税、これを実施したというところでございまして、中低所得者層を中心とした重税感ですとかあるいは負担の累増感、これは大幅にやはり緩和されたものであろうというふうに考えております。
 加えて、現下の財政状況が非常に厳しいという中で所得税の減税を実施するという状況にないということであろうと思っておりますし、また、これは一般的でありますけれども、いわゆる主要各国とこうやって比較いたしましたときにも、日本の税率というのは非常に、特に課税最低限というのは高いということ、あるいは最低税率、これも比較的低いということでありまして、これを今消費を刺激する意味からというのは、これは確かに減税というのは一つの手法であるということは私ども承魚しておりますけれども、しかし、先ほどから申し上げましたように、今日の財政事情が非常に厳しいという中から非常に難しいんじゃないかなということ。
 それから、今消費が大変落ち込んでいるという話でしたけれども、確かにぜいたくなもの、あるいは高級品というもの、こういったものを買うのが控えられておる、こういうことは現状でありますけれども、このところ、そこの衝にある方々といろいろとお話をいたしましても、食料品ですとか、あるいは日用雑貨ですとか、そういったものが今復調にだんだんなりつつあるというような状況も実は聞いておるところでございます。
 いずれにいたしましても、賃上げもある程度あったということ、そして今、半分になっちゃうというお話であったわけですけれども、しかし、物価も安定しているという中で、割合と個人の消費というものも堅調に進んでいくのじゃないのかなというふうに考えております。しかし、よく私どもも注意深く動き等についてはにらんでいきたいということを申し上げておきます。
○水田委員 大臣も御承知だと思いますが、労働大臣は特によく御承知と思いますが、労働分配率は、これはちょっと年数が一年古くなりますけれども、日本の場合は七六・四ですか、アメリカが八〇・八でフランスが八八・八ですか、ドイツが八二・八というように、労働分配率も低い。それからもう一つ、連合が計算したのでは、七%の賃上げをやれば今三・五%の成長率が四%に上がる。そういうことと今の減税の問題等含めて内需でやるというのは、もちろんおくれておる社会資本の充実ということも政府としては責任がある。しかし、国民が何を感じておるかというのは、そういう社会資本のおくれによる生活の環境という問題もあるけれども、現実には時間の問題や生活する賃金、それから実際手取りで使える可処分所得であるとか、そういったものが総合的に豊かさを実感できるものですから、その点では、これは答弁結構ですが、今大蔵大臣からもお話がありました、いずれ与野党協議の中では予算問題として減税の問題等も出てくると思いますので、そういう中ではぜひ御検討いただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 それから、これは日米構造協議の結果、大店法の改正をやりました。私どもはそのときに、従来の商店街はそのままで、大きいのが来るのはだめということではない、それらを含めて、来ても来なくてもこれを新しい時代に見合うような町にしなきゃならぬし、来るとすればそれを有効に生かすことも考えなきゃならぬ、あるいはもうこれ以上はだめということもあるかもしれない、町づくりで考えようということで私どもも取り組んでまいりました。
 これはことしの一月三十一日から施行されたわけですが、そういう状況の中で、先日の公述人が大阪の例を出されて、虹の街のことを出された。そのときに、もちろん中小小売商業振興法の一部改正や特定商業集積整備法を新しくつくったり民活法の改正をやってバックアップしようということはやったのですが、この間の公述を聞いていますと、現実には高度化資金は反対者が三名おるために虹の街の改造が進まないということがあるわけですね。ですから私は、大店法でトイザラスを含めてどんどん入ってくる、そういう中で本当にやろうという中小流通業、いわゆる小売店の人たちがやる気があるならばやれることを、ただしゃくし定規な法律が今こうだからということだけではなくて、今の分で十分でなければそれはやはりそれを補足するような、支えるような法律をつくるなり、あるいは規則でいけるなら規則の改正をやるなり、予算づけでやれるなら予算でやるとか、そういうことが必要だと思うのですが、その点いかがでしょうか。
○南学政府委員 先生御指摘のとおり、今改正大店法の施行、さらには消費者の嗜好の多様化等によりまして、小売商業者の競争環境というのは非常に厳しいものになってきております。このために私ども、魅力ある商店街、商業集積づくりのためにいろいろな対策を講じているところでありまして、平成四年度も同様に積極的な対策を講じていきたいと考えております。
 第一は、商業基盤施設の整備に対する補助を拡充する。第二は、小売商業支援センターの事業を創設する。これはリテール・サポート・センターという新しい情報センターであります。第三は、中小商業活性化基金、これをふやしまして、商店街のにぎわい創出等をやっていこう、こんな対策をこれから大いにやっていくつもりでありますが、先生御指摘の、高度化資金についての合意がない場合使えないではないかという問題でありますが、商店街のアーケードあるいはカラー舗装等の整備を行う事業につきまして、組合員全員の合意を制度上は特に必要とはいたしておりません。しかし、実際問題といたしまして、例えばアーケードについて不参加組合員がいる場合、その部分のアーゲードが設置されずにアーケードがいわゆる歯抜け状態というようなことも出てまいりますので十分に機能し得ない、こういうことに相なるわけでありまして、高度化制度の適用が困難な場合もあるわけであります。
 いずれにせよ、我々といたしましては、いろいろなアドバイザー制度の活用等によりながらコンセンサスの形成をやらせまして、商店街近代化事業が円滑に進むようこれからも努力をしてまいりたいと考えております。
○水田委員 計画立てるときに、全体で一致してこいという仕組みになっておもわけですね。そういう場合、本当は、大阪の例で言われたのでは、虹の街ならもう三軒だけであればそれが生きていける方法を何か別の仕組みでできないのか、そういうことが、法律の建前があるからこれでやって、そこがだめならそこが抜けるだけですということでは町づくりにならぬわけですからね。その場合、その人たちが乗れるものが何かないのか。組み合わせでもいいからそういう方法を、法的な仕組みなのか、あるいは予算にするか、あるいは規則だけでやれるのか、そこらを検討してもらいたい。これは要望にしておきますから。
 それから、これに関連いたしまして、長崎県の普賢岳の火砕流なり土石流による。災害、一年間にわたって続いておるわけでございます。ここのいわゆる中小小売店というのは国の制度融資を借りた分は、商売がまともにできませんから返済の延長が認められるわけですね。ところが、制度融資だけではなくて民間の金も一緒に借りてやっておるということになると、それは全くそういう制度はないのです、民間ですから、金利もまけてくれぬし。そこらあたりは何とかできないのか。中小のいろいろなことの対応を考えるとして、その中で、経済活動の面からいえばそのことは考えられぬだろうかということと、もう一つはこの地域の経済活動、例えば農業はもう火砕流でやられて、だめなところはだめ、あるいは入ろうと思っても今は入れない、そういうこ上で活動できない。あるいは人はよそへ疎開する者もおるから人が減ってくる。商売は停滞していく。あるいは物をつくるところも、自分のところは工場を持っていても入れないから別に仮のものをっくってやる。そういうぐあいに経済活動が非常に停滞していく。で、先行き一体どうなんだろうかという不安に駆られておるわけですから、それに対応するものとして、その地域が人間が生活できる産業といいますか経済の振興のための、これは今ある制度を使えばいいということでなくて、本当に一年間にわたるあの思いというのは大変だろうと思うのです、ですからそういう特別な立法を考えて支えるということも必要ではないだろうか。これはできれば総理大臣に御答弁をいただきたいと思います。
○南学政府委員 雲仙被災者が大変困った事態に至っていること、我々十分承知いたしておりまして、それがゆえに、昨年から政府系金融機関の貸し出しを行ったりいろいろな手当てをしてきているわけでありますが、民間資金の問題につきましては、例えば中小企業信用保険の特例などを設けて民間資金が被災者に流れるように手当てをいたしておりますし、また大蔵省銀行局長を通じまして、民間の銀行がこの被災者に対して特別の配慮をするようにお願い申しているところであります。
○水田委員 いわゆる復興、振興のための特別立法を考えてもらいたいと申し上げたのです。それはできれば総理大臣ということで御答弁いただきたいと申し上げたのです。
 それから、今の銀行に対する要請が具体的にどういうぐあいに機能して、全く心配ないようになっておるのかどうか、その点も聞かせていただきたいと思います。
○南学政府委員 これは、民間金融機関に対しましては、昨年の六月十八日に大蔵省の銀行局長名で全銀協に対し要請等を行ったということでありまして、その実施の状況等については、私どもよりも大蔵省から聞いていただくのが適当ではないかと思います。
○鹿島政府委員 雲仙岳噴火災害に対しましては、今日まで政府におきまして非常対策本部を設け、被災者等救済のため政府のとるべき施策につきまして、地元地方公共団体等各界からの御要請も承りまして、あらゆる角度から検討の上、既に住宅、民生、農林漁業、中小企業、雇用、地域振興など二十一分野、九十項目にわたります雲仙岳噴火災害に係る被災者等救済対策を決定をいたしまして、今日強力にこれを進めているところでございます。先生これは御案内のとおりでございます。
 私ども、これらによりまして、新規立法を行うまでもなく、予測し得る事態へ必要な対策が講じられたものというふうに理解をして、地元地方公共団体ともどもこれをさらに進めていく考えでございます。
 ただ、今後の課題といたしまして、ただいま先生仰せられましたとおり、この地域全体の防災、振興、活性化をいかに図っていくかということが地元の方々のためにも大変重要なことだと考えております。そこで私ども、県を指導いたしまして、国と地元市、町、県、それぞれ緊密な連携を保ちまして、将来の地域防災づくり、地域の振興、活性化につきまして、現在県におきましてその調査検討を進めているところでございます。私どもこれを受けまして、所要の措置を政府全体として検討していきたいというふうにただいま考えておるところでございます。
○水田委員 融資の問題というのは、民間の金融機関のものは通達を出しただけを阿いて、私に対する答弁にならぬですよ。もっと具体的に、本当にそれが機能しておるのであれば機能しておると、それはやはり困っておるものがあれば、困っておるのがあるのでどうするかということ。
 それからもう一つは、今特別立法についてお伺いしたのは、これはまさに内閣の政治的な決断の問題ですから、それは総理大臣に私は答えていただきたいと言ったんですが、総理大臣が御無理なら担当大臣がきちっと、その気がありませんというならありません、それは、今言ったようなことを含めて検討するならするか、いずれかの返答をもらいたいと思いますね。
○渡部国務大臣 普賢岳の災害地、またその周辺地域の中小企業の皆さんについて大変水田委員から御心配をいただきましたが、今、中小企業庁長官が答弁いたしましたとおり、私ども可能な限り皆さん方のために力を尽くしておりますし、今後も力を尽くしていかなければなりませんし、これはもとより、単にこれは中小企業の問題でなく、これは政府全体の方針として、普賢岳の災害対策については全力を尽くすという総理の御意向のもとに、私どもそれぞれの担当の分野で頑張っておりますので、御了承を賜りたいと思います。
○水田委員 通産大臣は今、中小企業のいわゆる民間資金の問題については、それは答えていただけばいいし、あれは不十分ですから、それは後でもいいですから。実際にはその制度融資の関係は返済の延期が認められておる、それから民間の部分は通達を出した。その結果どういうぐあいになっておるのか、これは資料として下さい、後で。これは結構です。
 それからもう一つは、そういう中で、一年間にわたって不安な中で暮らしてきて、これからどうなるかという思いがある。それに対してこたえるのに、政府として、宮澤内閣として、それはもう今のままの制度で十分ですと、こう言い切るのか、あるいは実際の実態を見て、その上で何らかの検討をしなければならぬと言うのか。それは――いやいや、それは変えるということ、法律をつくるということを一言も言ってないですよ。ですから、それを含めて検討されるというのであれば、内閣の責任ある人が。それは通産大臣じゃない。通産大臣は、あそこのいわゆる産業とか流通の関係には責任があるけれども、それ以外についてはないわけですから。その点についてお答えいただきたいと思います。
○宮澤内閣総理大臣 国土庁長官の御要請がございませんでしたのでおられませんが、私から申し上げます。
 先ほどもお話しを申し上げましたが、二十一分野にわたって各省庁が幅広く対策を講じてきたところでございます。私の聞いておりますところでは、ただいままでの限りでは、新しく立法を必要とする分野はない、従来の法制をもって十分に対処しておるという報告を聞いておるところでございます。
 なお、これはやや別の問題になりますが、先ほど政府委員が申し上げましたことは、これから後の復興の問題について、去る二月二十何日かに長崎県に対して水系の砂防であるとか治山計画とか農地復旧方針とか、その全般の問題を地区の代表者に長崎県が説明をいたしました。それは三百世帯ぐらいの移転が必要になるという問題を含んでおりますので、住民との間で長崎県がいかにすべきかを相談をしておられるようでございます。この結果がどうなりますのか。これは当然国の施策につながってくるわけでございますけれども、それはこれからの問題でございますが、ただいままでの現状につきましては特に立法を必要としないというふうに聞いております。
○水田委員 例えば災害復旧その他については現在法律がありますし、それに基づいてやられるというのは当たり前のことだと思うのです。
 ただ問題は、例えば水害といえば、一過性で行ってしまいますね。その後どうするかということですからいいんですが、一年間にわたって、一年以上になりますかね、あと幾らかかるかわかりません。生活の不安、実際にやろうにもやれない状態で来た、そういうことを含めて、商売もまともにできなくなった、そういうことを含めた復興、振興についてこれはやはり考えてもらいたいと、我々はそういう意味で申し上げておるので、これは強い我々の願いとして、ぜひ復興についての検討をされる中で特別立法も考えてもらいたいということを要望として出して、この質問はこれで終わりたいと思います。ぜひそのようにお願いしたいと思います。委員長、いいですか。
 引き続いて、この前の総括がちょっと時間が足りなくて日米自動車問題で言いっ放しにしたわけですけれども、そのときにちょっと申し上げたんですが、これ総理、変に答えられると、また向こうから言われてもいけませんから慎重にお答えいただきたいと思うんですが、私は、あの総理の発言というのは、あの交渉の結果を普通に言っておると思うのです。ただ私が心配してこの前申し上げたのは、半導体の協議の中で秘密サイドレターというのがある。その文書を読んでみても、あんな報復をされるような条項は全くどこにもない。しかし現実には、それは報復をされても文句を言えない形になっておる日本とアメリカの交渉のあり方。
 ですからあのときに、例えば、あれは自動車のそれぞれのメーカーが努力目標を出したんですと、我々は、それは結構なことです、それを応援しようということだったんだと、それだけなら私もそう信ずるんですが、アイアコッカがああいうことを言うということは、この半導体の交渉の中で秘密サイドレターがあったような形で日米の交渉がされることが、今後のお互いの、日本の国民はみんな不信感を持ちますよ、不信感を。逆に言ったら、アイアコッカは帰ってどう言うたといったら、あの自動車の合意が守られなかったら三〇一を適用するとこう言って、向こうで、しろと、こう言うわけですね。そういうことを繰り返す交渉というのはやるべきでない。
 ですから、本当にそうであるならば、アメリカとの交渉の中で、これは日本の自動車会社の努力目標ですよ、それはアメリカも、そのことで政府が約束するんじゃありませんということをやはり交渉の中できちっと言っておかぬと、向こうは、あれは附属文書で、見たら全体の文書の中にきちっとついておるわけですから、これはこの中で政府との合意をしたものだという向こうは言い方をするわけですから、そういう点は、これからの日米関係を考える上で私は政府が注意してやるべきことではないだろうか、そういうぐあいに思うので、この前ちょっと内容触れずに申し上げたわけです。
 私は、アメリカとの関係というのは、現に貿易でも四割を占める、日本の経済を支えておる大事なお得意さんであるし、また、技術を導入してきた国ですから大事に考えています。ただ、あの問題でも言われたように、ECは、それはガット違反ではないか、そういう日米の話、そう言われるし、あるいは我々が、例えばこれ、外務大臣がアメリカから言われておるのは、例えばベトナムやカンボジア、日本があの計画の中へ積極的に入ることについてはブレーキをかける、それはなぜかという、そういう問題について、私は今までの交渉のあり方を変えていく必要があるんじゃないだろうか、そういうぐあいに思って、ですから、日本はアメリカとの関係も大事、しかしECはあんな思いがあって、それならECの方でどういうぐあいに――同じことができますよ。それから、アジアの国々が、日本がアジアの国であるのにアメリカばかり気にしておるのか、こういうことになる。
 そこらあたりをこれからはどういうぐあいに、日本が外交交渉で失敗しないように、私は総理の発言は決して間違ってはおらぬと思うけれども、それがアメリカでああいうぐあいに言われることに日米の関係の一番の問題がある、こう思っているんですよ。
 ですから、これは外務大臣、御経験があるか知らぬけれども、外務省とアメリカの国務省との交渉というのは、日米関係決してよくはならぬ、もっと国会議員同士の交流で本音のところをやり合う、そういうような外交も必要だろうし、日本の中にアメリカ問題専門に研究するシンクタンクを持って、それらを政府なり野党も使えるような、そういう形の中でのアメリカとの交流なんかを考えるということは必要だろうと思うんですね。
 基本的なことについて総理大臣に、自動車交渉、本当はもっと細かく一つずつお尋ねするようにしておりますけれども、時間がありませんので基本的な考え方だけお伺いしたいと思います。
○渡部国務大臣 日米自動車問題について大変御心配をいただいております。
 今委員からお話がおりましたように、日本の自動車産業界の皆さん方が、過去の日米関係また今後の日米関係を大変心配され、また、我が国の自動車業界にとってもアメリカは最大のマーケットでありますから、これらを円満に進めていくための行動計画として、アメリカの業界の皆さん方にも御努力を賜るという前提の中でああいった行動計画をっくったわけでありますけれども、しかしこれは私どもも大いに責任を痛感し、今後の進捗状態については順次通産省で報告を受けることになっておりますから、これは国と国との信義にもかかわっていく問題で、やはり約束は実現するということに全力を尽くしていかなければなりませんし、私は必ずあの行動目標、これは目標でありますけれども、その目標は達成できるものと確信をいたしております。これは先生にしても私にしても同じですが、この行動目標、今始まったばかりで、これは選挙に立候補したばかりのようなものですから、これは当選するために全力を尽くして当選することを考えるんで、落選した後のことなどを今考えておりません。必ず目的は達成できるものと確信をいたしておりますので、御了承いただきたいと思います。
○水田委員 それじゃ、関連してまた後でも触れますが、技術摩擦の問題について、あと限られた時間ですが質問したいと思うんです。
 今、日米間に個別問題というのはいろいろありまして、最近でいいますと、ミノルタの自動焦点の機構に関する特許で、大変な、日本のカメラメーカー全部が大赤字になるというような、そういうような結果になる。例を挙げればたくさん、キルビーのあれもあれば、あるいは血漿溶解剤、あるいは三菱とフュージョンの関係とかファイアット特許、いろいろありまして、そういう中でアメリカのあれを見てみますと、これはもうどうもアメリカ、戦略的にやっておるんじゃないかと思われる論議もあるわけですね。
 例えば、ヒルズ通商代表が昨年の五月の十四日、アメリカの上院の特許著作権商標小委員会の公聴会で、「一九八七年のITC調査結果では、米国の知的所有権が適切に保護されていないため多額の損害を出している。TRIP交渉は知的所有権の保護の国際的向上のため最良の機会を提供しておる。」それから、モスコーという通商代表の次席代表が九一年の十月二十九日に上院の財政委員会で、これは指名をされるという向こうの制度に基づく公聴会でございますが、そこで「対日交渉の中で日米構造協議会を通じて特許保護の強化を要請していく。」こういうぐあいに述べておるわけですね。ですから、向こうは戦略をちゃんと持って日本に対する知的所有権の問題については出てきておるわけですね。
 確かに、日本は、アメリカだけじゃなくてイギリスやイタリア、ドイツなどから戦後技術導入をしてそれを改良していく、そういう中で今日までやってきたわけですね。ところがこれからは、追いついたわけですから、まだ追いついてないものもありますけれども、追いついて追い越すようなことになる。そういう中でこのハイテク技術に対する知的所有権の問題で向こうが攻撃をかけてくる。それは申し上げますと、一つは特許制度の違いがあって、何十年もたってぱっと特許が許可される。そこでまたやられる。向こうは発明主義でこっちは出願主義という制度の違いがある。あるいは、特に今度のミノルタの場合を見ると裁判制度も問題、我々と違う。向こうは陪審制度ですから。陪審制度でいわゆるハイテク技術の説明が十分できて、十分理解できるんだろうか。だから、裁判制度の違いもそういう点では今後の技術摩擦の中では日本としてはこれはすり合わせをして、向こうのままであれば、向こうでは裁判になった場合、例えば日本であればこれは裁判やって最後まで最高裁まで行こうというのでも莫大な金がかかるものですから、裁判そのものに経費がですね、だから途中でやはり取引きをするというようなことにならざるを得ぬので、莫大な金を払わなければならぬ、そういう問題もあるわけですね。
 ですから、これから日本が生きていくためには、こういう点ではそういう点をやはりきちっとアメリカとの間で、単に起こってくる問題の一つ一つの産業の問題とかじゃなくて、基本的なここらあたりを押さえた対応をしなければ日本が生きていけないんじゃないかと思うんですが、そこらについてのお考えがあれば聞かせていただきたいと思います。
○深沢政府委員 お答え申し上げます。
 非常に幅広い先生の御質問ございましたけれども、特に具体的には特許の点につきましていろいろ御指摘ございました。その背景少しちょっと申し上げさせていただきますと、近時製品がどんどん高付加価値化していく、そういう進展の中にある。そうしますと、この製品の価値の中におきます特許等の知的所有権の占める割合、考え方というのが非常に大きくなってきている。こういうことを背景に、御指摘ございましたように半導体、バイオそれから自動焦点カメラとか、そういった分野での先端技術分野を中心に、確かにおっしゃるように日米間で特許権をめぐる紛争が生じていることは承知しておるところでございます。
 こういった紛争、まず一義的には、これは民間企業間の問題でございます。ただ、先生の今御指摘のありましたように、背景として各国の特許制度とか運用の違いから、そこに起因した紛争というのもあるのも事実でございます。そういった意味で、現在どういう対応がといいますと、ガットとかWIPO、これは世界知的所有権機関でございますけれども、そういう場でもって制度を国際的に調和をさせていこう、そういう努力が続けられてございます。そういった中で、政府といたしましても、これは積極的に取り組みに貢献をしていこう、そして各国の工業所有権制度及び運用の相違による摩擦が生じないように努力をしていく、そういう所存でやってまいりたいと思います。
○水田委員 特許制度の問題だけじゃなくて、そのこととそれから裁判制度を含めて、そういった日米の文化の違いといいますか、制度の違い、それがこれから日米の技術摩擦の中で日本が大変な状況になるという問題を抱えていますよ。それに対して、特許庁だけの問題じゃないのですよ、これは。どこの所管になりますかね。通産大臣と、それから司法制度になるとこれは法務省ですか。そこらはやはり高度な政治的な、これからの対応についてはお答えいただかぬと、特許庁がそれはすり合わせしておるのを知ってますよ。知っておるけれども、そう簡単にはいかぬでしょう、長年それぞれの歴史があるわけですからね。
 だから、総合的に二つ、今私が見てもどうもそこらあたりからいろいろ技術摩擦で問題が、日本では納得できぬような問題が起こっておる。それは続けば続くほど日本では何だというような、最初は向こうは反日、こっちは嫌米と言っていたのが、だんだん、この間聞いたら侮米になったというのですから、わかりませんけれども、そんなことを続けたらだめなんですよ。そうならぬために基本的なところでやはりきちっと、話をするところはやらなきゃならぬ、直すべきところは直さなきゃいけぬ、こう思うのでお伺いしておるので、これ特許庁じゃなしに、政府の責任ある方に御答弁いただきたいと思います。
○渡部国務大臣 先生御指摘の問題、これは大変大事な問題で、今特許問題については深沢長官から答弁がありましたけれども、これはそれぞれの国にそれぞれの歴史や慣習やいろいろのものがあります。しかし、その中で今後これは国際化の時代に協調していかなければならないのでありますから、そういういろいろの国の違いの中でいろいろな問題が起こってくる、これを国際化に向けて協調していくというのが我々の今後の目標でなければならないと思いますので、先生の今の御指摘、私ども十分頭の中に入れて今後努めてまいりたいと思います。
 なお、先ほどの私の答弁で、一つ答弁落としかありました。日米問題がECの問題その他の国に波及しないかということでありますけれども、これは常に私は申しておりますけれども、通産省が輸入促進、いわゆる貿易摩擦解消のために積極的に訴えているビジネス・グローバルパートナーシップ、これはアメリカだけをもとより対象にするものでありません。ECその他すべての国にこれは平等に考えておるものでありますので、したがってこれはアメリカだけだというようなものでないということは、これはECその他の国々にも極力誤解を避けるようにお話をしておりますが、自動車については外国車の輸入、これはドイツ、フランス等非常にふえておりますし、アメリカが極端に外車の輸入の中で少なかったというような中で業界が行動目標というものを立てたのであって、決して他と区別するというようなことでないということについては、他の国の人々にも積極的に誤解のないように努力をしてまいりたいと存じます。
○水田委員 時間が足りませんから、本当はもっと詳しくずっとやりたいのですが、アメリカも決して、この間の自動車のアクションプログラムのようなことに対しても冷静に見ておる人もおられるわけですね。半分ぐらいはやはり問題じゃないか。そして、アメリカでも一九八九年に「メード・イン・アメリカ」という報告書を出しておられる。その中を見ると、これはまさに正論なんですね。そういう方々もおられるわけですね。そういう論議と、日本がどう生きていくか、日本の改めるべきところはどこか、そういう基本的なところの論議がされなければ日米関係は決してよくならぬと思うのです。
 その最たるものがFSXで、一たん合意をしたのが、最初は独自開発がアメリカが強引に共同開発、そしてまたそれに対して議会からクレームがつく。こういう内容というのはまさに、これは一般質問でまたやらせていただきますが、アメリカの思いというのは、やはり日本がこれからハイテク技術で、いろいろな産業で追いついてきた、しかしこれ以上はさせないよという分野を考えている。そういう中で、例えば航空宇宙産業でアメリカを追い抜くことはもう許さぬというようなそういう思いが、これは宮澤総理もおられる横で私はフォーリー下院議長と、向こうから話が出たものですからやったわけですね。
 それは日米関係で決していいことじゃないと私は思うのです、そういうことは。例えば日本の航空宇宙産業が工業先進国の中における産業の比率でいえば極めていびつなほど小さい形になっておる。これぐらいほかの産業に技術移転をする産業はないわけですからね。私は、この状態でいいのかという思いがするわけです。ただ、アメリカがこれまで日本から追いつき追い越されたいろいろな産業があるわけですから、その思いがわからぬことはないわけですよね。わからぬことはない。だから、それを、それぞれを、おまえのところはけしからぬ、そんも言い方じゃなくて、実際、我々もこういう点はこうする、あなたのところもこの点はこうしなきゃ日本と競争できぬでしょう、こういうことができる、率直な話のできる関係をつくらなきゃならぬと思うのですが、それについて、これは総理、本当に日米関係をいい関係で、そして日本人の思いはやはりこういう思いがあるのですよ。
 繊維に始まってずっと産業のいわゆる貿易摩擦というのは、アメリカがやられるものだから理不尽に力を背景に日本に大きな声でしたら、日本は最初は反対と言ったけれどもだんだんやられて最後はのんできた。米をのけては農産物全部ですからね。それらを含めて、例えば自動車でもそうでしょう。この間申し上げたように、まあとにかくアメリカの自動車産業から失業者が十万も二十万も出るから、おい、三年ほどちょっと辛抱してくれぬかというのは、これは協力したらいいと思うのです。十年間自主規制というのは、これはもう自由貿易じゃないですよ。それが当たり前という、日本もそれをのんじゃいけぬと思うのですね。そういうことが私は大事だと思うのですね。そのことをこれから日米関係いい関係で、日本人はみんなそれで、だから嫌米というのが出てくるんですよ。あるいは侮米というのは私は思いませんけれども、日本の方に書いてあったのを向こうが今使っておるようですが、それは決していいことじゃないと思うのですね。だから、国民の思いというのは、アメリカが大きな声をすれば日本は最初反対だけれどもだんだんやられてやられて最後はのんできたじゃないか、この思いを変えていくことが必要だろうと思うのですね。
 そういうことについて、総理大臣が日米関係をこれからいい関係で発展させるのにどういうぐあいにお考えになっておるか、聞かせていただきたいと思います。
    〔中山(正)委員長代理退席、委員長着席〕
○宮澤内閣総理大臣 航空産業のことにつきまして水田委員がトーマス・フォーレー議長にお話をされたことは私もよく記憶をしておりまして、まさにそういう率直な意見の交換ということが非常に大事なことでございます。お互いにお互いの立場をよくわかりながら率直に意見の交換をするということが大事であると思います。
○水田委員 総理大臣、我々もそういう繊維交渉以来のそういう中で、一体どういう交渉を政府がやってきたのか。国民が、やはりアメリカに対するそういう思いと同時に、政府がやってきた外交交渉はそれだけでいいのかという思いがやはりあると思うのですね。
 それは、その底にあるのは何かと言うと、一つの例を申し上げますと、私は、当選して最初に予算の分科会でやろうと思ったら外務省が余りやってもらいたくないようなことを言ったから、わからなかったのですがね。私は、日米航空協定というのは、これぐらい不平等条約はないですね。なぜならば、あの昭和二十八年ですか、独立したときに日本は戦後のあの八年間、飛行機を全部、持つことも禁じられた、つくることも禁じられた。その中で決定的なおくれを、航空機産業なり航空会社というのはおくれを生じたわけですね。そのときに、海外へ出ていく飛行機というのはアメリカに頼る以外にはないですね。ですから、そのときに日本は全く以遠権を持たなかった。アメリカは持っておるわけですね。その上で、今度はだんだん日本が経済的な力がついてきた。JALも大きくなってきた。ANAも大きくなってきた。海外へ出ていく。しかし、その場合に新しく航空路をふやそうと思えば、相互主義だ、同じだと言うのですね。もとの以遠権は全く認めないでやってくる。そのときにはそれはやむを得なかった。しかし、今の時代になれば、これはお互いの関係を考えれば直すのが当たり前なんですね。それは直さないわけです。そういうことが日米関係の中に幾らもあるわけですね。
 ですから、私は、今後の日米関係を考える上でこういうことが必要ではないかと思うのですね。そういった、その当時は世界の富の四割をアメリカが持っておった、日本は外貨もないような状態、外国にも自由に国民が行けなかった、そういう時代とは違った形にお互いになっておる。そのことをお互いに理解しなきゃならぬ。
 それからもう一つは、その当時以上に、日本とアメリカの関係は、相互関係が、いわゆる依存関係は大きくなっておるわけですね。トータル的には大きくなっておる。そういう中で、お互いの国民の思いというのは多様化してきておる。そういったことを十分わきまえながらやっていかなければならぬ。最近は特に変わったのは、今までは、ほかのことは何があっても、おい、とにかくどこやらの脅威、こう言っていれば、日米一緒にやらなきゃ、こういうことでお互い結集するあれがあったのでしょう、政府間でいえば。国民の中では違うかもしれませんよ。だけれども、それはなくなった。ソ連は日本を準同盟国と言うのですよ。これはこれからまたいろいろな論議をしてもらって、防衛問題も考え直してもらわなければいけぬと思いますが、そういう変化がある中で日米関係というのをどういうぐあいにやっていくか、そういう立場でぜひ総理にお考えいただきたいと思うのですね。
 そのことについて最後に総理から御答弁をいただいて、終わりにしたいと思います。
○宮澤内閣総理大臣 過去のことにつきましてもいろいろ御言及がありまして、そのとおりでございますが、今両国合わせまして世界のGNPの四〇%ということ、そういう関係でございますから、お互いにお互いの立場を考えながら率直にやはり対話を続けていくことが大事と思っております。
○水田委員 終わります。
○山村委員長 これにて水田君の質疑は終了いたしました。
 次に、渡部一郎君。
○渡部(一)委員 たくさんお尋ねしたいことがございますので、なるべく簡略に申し上げますが、よろしくお願いいたします。
 まず、景気対策をお尋ねしたいと思っているわけです。大変、私の地元は神戸でございますが、地元を歩いておりましても商店の灯が、盛んな勢いが最近沈んできたのが身に迫ってまいっておりまして、一般的な小売業でいいますと、二割ぐらい先年比で物の売り買いが下がっております。明らかに白書の統計なんかよりもはるかに急ピッチで不景気風が進行しつつあるなという感じを深くしているわけでございます。きょう、経企庁長官と派手な統計上の論戦をするつもりは毛頭ございませんで、そんな見通しが合っているかどうかなんかじゃなくて、ともかく何かしなきゃならないなという気がひどくするわけでございます。そこで、公共投資の前倒しか、公定歩合の引き下げが、補正を含む総合対策か、言われているのはそのあたりのところへ絞られてきつつあるなという感じがするわけでございます。
 そこで、率直、端的に、総理、大蔵大臣あるいは通産大臣にお尋ねしたいのでございますが、まず、設備投資の方から始めたいと思っているわけでございます。
 政府は、九二年度の設備投資では四・五%伸びるとおっしゃっているわけでございますが、日本債券信用銀行や日経新聞の最近の調査では、もうマイナスの方になっておる。また、民間経済研究所の予測でも二%から三%のところへ集中しておる。四・五%の実現というのは大変難しいんではないか、こういうふうに思っているわけでございますが、この辺の見通しは、設備投資についてちょっと見通しをお尋ねしたい、こう思っているわけでございますが、いかがでございましょうか。
○吉冨政府委員 お答え申し上げます。
 このところ在庫が、資本財、耐久消費財について大変積み上がりました。これは出荷が十二月に大変悪かったためにそうなりましたので、設備投資は、このために企業の利益が悪化することを受けて低下する方向に今動きつつあります。ただ、その傾向を挽回するためには、在庫調整が年央にかけて終わり、その後、今とられつつあります財政政策それからこれまでの金融政策によって景況感を反対の方向に挽回していくということで対応ができるかと思います。
○羽田国務大臣 設備投資の状況等について今お話ありましたけれども、前倒しの件等につきましてはそういう問題があるということで、まだ御質問の中であれでございませんでしたか。(渡部(一)委員「どうぞおっしゃってください」と呼ぶ)この点につきましては、今まさに平成四年度の予算を御審議いただいておるということでありますから、今前倒しをどうこうするということについては私ども申し上げることはできません。ただ、過去においては前倒しということを実際に執行する中でやってきたことがあるわけですね。ですから、私どもといたしましても全体をよく見詰めながら常に適正に対応できるように、この予算を通していただいたら適正にこれが執行できるように我々としても準備し、また勉強をおさおさ怠らないようにしなければいけないというように思っております。
○渡部(一)委員 ひどく明るい雰囲気でおっしゃっていただいたのでございますが、今のところ在庫調整のおくれだとか、株式市場からの資金の借り入れとか、そうしたものがひどく様子が悪いものですから、先ほどせっかく御説明をいただいたのではございますけれども、かなり投資削減という方向の気分が戻ってないという雰囲気が濃厚ではないかと私、心配しております。
 その件も含めまして総理に、最近、金丸先生がおっしゃったそうでございますが、日銀総裁の首をちょん切ってもひとつ公定歩合を引き下げろと勇敢におっしゃったということでございますが、日銀の専管事項である公定歩合政策に苦しく干渉するものであるとか、あるいは各国の中央銀行制度というものはインフレを防止して通貨価値を守るために独立性が尊重されているものであるとか、三重野さんはインフレ退治の親方として大変高い評価を受けている方ではないかとか、ごうごうたる非難が巻き起こっておる。私はこれを拝見しておりますと、こんなことを知らないような金丸さんではない。そしてまた、総理大臣は財政のベテランであって、こんなことを知らない方でもない。とすると、これはある意味で公定歩合引き下げ期待が高まっていて、ほかの在庫一掃などということを今進めなければならぬときに、公定歩合の方を引き下げようという人の気分が巻き上がっているのを抑圧するために、逆に公定歩合引き下げというのを権限のない人が大声で言う、言うことによって一回それを鎮圧してもらう。金丸先生に悪いくじを引いていただいて、その後金丸先生の秘蔵っ子の大蔵大臣がさっそうと登場してくる、あるいは、宮澤総理がにっこり笑って自分の財政政策のよさというのを示すというような深い深いねらいがあるのではないかと私は思うのですね。恐らく私のねらいの方が当たっているのじゃなかろうかと私は思っているのです。
 ただ、それは、少々このねらいは読み過ぎなのか読み過ぎでないかわからないけれども、私はこれは明らかに、ちょっと国民に対してフランクに話しながら引っ張っていくというところとはほど遠いやり方だなとは思うわけであります。御当局者は一体どう考えておられるか。この問題については極めて硬直した御返事しかマスコミを通しては伺っておりませんので、生のところで、この公定歩合問題あるいは在庫整理の問題あるいは先ほど言った設備投資の動向等についてどういう態度をおとりになるか、承りたいと思います。
○羽田国務大臣 先ほど野田長官の方からも細かくお話しになっておられましたけれども、在庫、確かに大変大きく、ここのところ過熱ぎみな成長であったという中で生産も非常に活発であった、そして、まさに今調整局面にあるということであろうと思っております。その意味では、在庫調整といいますか、この痛みというのはどうしても通らなければならない。いわゆるインフレのない持続可能な成長というものを求めていく、あるいはつくり出していくためには、どうしても経験をしなければならないこの局面であろうというふうに思っております。ですから、業種によっては多少そのおくれとかそういったものはあるでしょうけれども、私はこの在庫調整というのは進んでいくのではなかろうかということを考えております。
 なお、設備投資につきましても、総理がいつもお答えをされておりますように、やはり労働力というものは非常に逼迫しておるという状況が現実にあります。そういう中で、やはり合理化、省力化のための投資というものは、その意欲というものは今あろうというふうに私どもも判断をいたしております。ただ、これによって、生産される量とかそういったものなんかがございますから、今調整局面というものを、在庫調整等を見詰めながら各産業が考えておられるのじゃなかろうかなというふうに思っております。そして、やはり開発的な投資というもの、これについても企業は相当意欲を持っておるということでありますから、多少おくれはありますけれども、これが起こってくるであろうということを確信しております。
 なお、それに対する金融というのが十分じゃないのじゃないのかという御指摘があったのだろうというふうに受けとめたわけでありますけれども、確かに金丸副総裁初めいろいろな方がこの問題については御発言なさっております。しかし、実際にやはり今全体のあれが、余り急激な成長というものがあったものですから、それが剥落したという中で、それに対する心配あるいはこのままいったら本当に大変なんじゃないのかという不安を率直にあらわされたものであろうと思っております。
 ただ、私どもは、そういう御発言というものが一体実際に、本当にいわゆる設備投資をしようとしているとか、そういう企業がお金が使えないような高い金利のお金なのかどうか、こういったものを、やはり実態というものを調査していかなければいけないということで、日銀は日銀、私どもは私ども、あるいは通産省は通産省、それぞれのお立場で聞き取り調査等を行ってその判断の材料というものを求めておる。これは常にやっておるということでありますから、私どもはそういったものをよく見きわめながら、本当に需要のあるお金というものが産業の皆様方のところに届くように、これは念頭に置いておきたいというふうに考えております。
○宮澤内閣総理大臣 かなり景気の落ち込みが大きいということは実は昨年末ごろには感じておりまして、そういうことを考えながら予算の編成をいたしました。財政事情は御承知のように非常に苦しかったわけでございますけれども、公共事業は五・三%、それから財投では公共事業関連機関に一〇・八であったと思います。それから地方の単独は一一・五でございます。これはかなり公共投資を、つまり建設国債をいっぱい出しまして積み上げた予算でございますので、そして、暮れ押し詰まりまして公定歩合の引き下げがもう一遍ございました。そういうことでございますので、この予算をまず執行させていただきたい。そして、けさも日銀総裁が言っておられましたが、長プラ、短プラとも金利の低落はかなり顕著でございますから、その効果をもう少し見守りたいとけさ言っておられたと思いますが、そういうこともございますので、予算をできるだけ早く成立させていただきまして執行をする。また地方に対しては、単独一一・五の伸びでございますが、地方単独事業というのも十四兆もございますものですから、非常に大きいので、これも地方にお願いをいたしましてできるだけ早く施行をしていただく。
 こういうことで、まず財政の方の出動をし、そして金利の低下の浸透をもう少し見るということで今考えておるところでございます。
○渡部(一)委員 大和総合経済研究所が、三・五%の達成のためには公共事業一兆円、減税四千億、公定歩合〇・五%の追加が必要だと言っておりますが、御承知のとおりであります。この種の議論というのは広く日本の中に行き届いておりまして、公定歩合下げろとか公共事業早くやれとか減税しろとか、いろいろな議論があるわけであります。例えば、そういうのを見ている中小企業の経営者があったといたしますと、金利がまだ下がりそうだな、そうすると、借りるのはちょっと後にしょうかな、こういう気分が起こる。お互いの話し合いの中でも、ここのところ日本経済の景気悪いようだな、お互いに物が売れないねというような話、ひどく気分を害する話というのがひどく多い。
 この気分の話になりますと、経済政策を少し外れてくるような気もいたしますけれども、景気の大きな要因にならざるを得ない。そのときに、陰気な顔をしている大蔵大臣が陰気な顔をしてもしか説明をすると景気が悪くなるという話がありますように、一般論として申し上げておるのですが、自信に満ち満ちた感じの大蔵大臣が必要だと各国で言われておりますように、これは政府の雰囲気というものはひどく庶民を直撃していると思っているわけであります。
 ところが、この間から国会の審査を見ておれば、汚職問題などで大騒ぎしておるわけですし、その問題をほうり出しているように見えるわけだし、そこへもってきて景気の浮揚について意見が集中していないように見えるわけですから、与えたサインというか、ボディーサインみたいなのはひどく悪い印象が与えられておる。したがって、私はこれは何かのサインをする必要があるのではないかなと思うわけであります。
 したがって、私は今総理のお話を伺っていてよくわかったのですけれども、予算案を通すのがまず第一よ、その予算案を通して在庫調整という厳しい局面をその間に何とか早く乗り越えていただきたいものだなというのが第二、これは大蔵大臣が言われたけれども。そして、そこのところへもってきて、設備投資に向かっていよいよ調整が始まっている地域であるから、領域であるから、そこのところへ何とかつなげたい、金融についてはその時点で何とか手当てをしたい、地方財政の方にもお願いをしてそちらの方から少し前倒し型にやっていただく、こちら側も、国としても前倒し型のことは、大騒ぎされて八〇%とか七五%というのは別にしても、例年のとおりのやり方というのもある種の考え方を持っているよ、こうほのめかされた、サインされた、こういうふうに見えるわけであります。それだけのことなら、私はもうちょっとはっきり言ってもよろしかったのじゃないのか。その意見が余り多く見えないところにひどく問題があったな、こう思うわけであります。
 総理、この辺は大ベテランでいらっしゃいますので私が申し上げるまでもないわけでありますが、これからこの景気の問題についてどういうふうになさるか、国民の喜ぶようなことをちょっと言っていただけないでしょうか。
○宮澤内閣総理大臣 当面の予算の成立をお願いすることを初め、当面のことを申し上げたわけでございますけれども、そういうことの中で企業側には、この人手不足からくる設備投資、合理化投資の必要というのは痛いほど感じておられるわけでございますから、そこでこの辺で金利というものは大体下げどまるんだな、かなり下がったなという感じのところから投資というものを真剣に考えられるようになる、あるいはその段階で在庫調整、これはまあ生産財の在庫調整は割に早く進んだと思いますけれども、それ以外のものがおくれているというけさの日銀総裁のお話もそうであろうと思いますけれども、そのころに在庫調整というものがかなり見えできます。そういたしますと、実は年の初めにどこも設備投資の予測は比較的低く抑え目に出しておりますけれども、多少の上方修正があって、そのあたりから景気というものが普通のいわゆる順調な軌道に乗っていく。
 ことしの賃金水準の問題は、これはもう労使でお決めになることでございますけれども、このような人手不足の状況は変わるわけではございませんし、また、時間短縮のお話もあるような状況でございますから、そんなに昨年を大変に下回ったような賃金水準の決定が一非常に下回ったようなことがあるとも予測いたしません、これは具体的に申し上げることのできないことでございますけれども。
 そういうこともございますから、消費はますます堅調であるであろう。あれこれ考えますと、私は、ちょっとこの曲がり角はきつうございますけれども、しかし、過去にこういうことは正直言って何度もございましたし、日本経済もこれだけ大きくなって、しかも雇用の不安というものはむしろ人手不足の方にあるわけでございますので、まずまず努力をして、さしずめまず財政が努力をするわけでございますけれども、いきましたら、そんなに深刻なことにならずに正常の軌道に入っていけるのではないかと思っております。
○渡部(一)委員 ひどく素人っぽく言いますが、総理、いつごろから景気はこう上向きになるということを何かおっしゃってくださいませんか。今のお話はひどく論理的で正確なんだろうとは思いますけれども、国民の方から見ていると、何かさっばりわからないところがおりますので、この辺になればもうそろそろ上向きになるよというようなことをおっしゃっていただけだませんか。余り外れ過ぎたらまた攻撃しなければなりませんけれども、かなり正確におっしゃってください。
○宮澤内閣総理大臣 それはやはり国民の気持ちからいいますと、そういう、正直申しまして、せんだってから暗い話がいろいろございまして、こういうことも決して国民の気持ちを明るくしておったわけではございませんので、こういうことが一つある意味で国会の御審議もあって一区切りと申しますか、それはそれとして、経済というようなことがこうして話題になってくる、そしてまた予算の成立についても御審議がこうやって始まっておる、促進されておるというようなこと、そういたしますと、まあ年度もかわってくるあたりできっと今の経済界の持っておられる気持ちというものが変わってくるのではないかというふうに思っておりますけれども。
○渡部(一)委員 かなり言いにくいことまで言っていただきましたが、大体年度がわりの四月一日ごろ日本の景気は上向きになるというふうに総理が言われたんだろうと私は解釈して、喜んで期待したいと存じます。ひとつ頑張っていただきますようにお願いしたいと思います、
 さて、今度はアメリカとの関係でございますが、アメリカとの交渉の、今度見ておりますと、バーというアメリカの司法長官が、外国が米国の反トラスト法、独禁法に違反するようなやり方で経済を運営する場合には、米国は裁判に訴えるべきだと示唆をした。またまたひどい乱暴な話をしておられるなと私は撮っているわけでありますが、こういうのは一々我が国の経済の立ち上がりにも印象が悪いし、その上、アメリカ自身としてもこうした立場で、米国独禁法の域外運用なんというものはヨーロッパでもひどい反撃を受けたテーマだし、どうかと思うわけでございますが、こういうことを日本側はのむ気なのか。また、米国の方針が現実となれば、違反の事実の調査などに日本の国権を侵してアメリカの公権力が行使されなければならないという状況になるとも思われるわけでございますが、こういう不愉快な話に対して日本政府はどういうふうに対応しておられるか、御担当の方から御返事を賜りたいと思います。
○渡辺(美)国務大臣 御指摘のようなことですが、テレビの番組で言ったというように聞いておりまして、具体的にそうやるということをはっきり言ったわけではありませんけれども、もし、そのようにアメリカの国内法を域外に適用するというようなことは、これはもってのほかのことでありまして、我々としては、米政府の慎重な対応を実は要請しておるところでございます。
○渡部(一)委員 日米構造協議の際に、つまり一月のブッシュ大統領の来日の際に、SIIの活性化、つまり日米構造協議についていろいろやろうよというお話があったと承っておるわけでございますが、その内容が我々の方には余り明快に伝わってきませんし、新聞記事によりますと、米側は日本側に対して、市場の透明性、公平性、競争性を活性化するというふうに言われたというだけにとどまりますし、また四つの業種を挙げて、これに対するパンチを食わせるぞという意味合いのニュアンスがあったと承っておるわけでございますが、つまり自動車部品、ガラス、保険、飼料穀物と名前が挙げられているとも承っておるわけでございますが、この話はどういうふうになっていくのか、この場所でむしろお尋ねした方がいいだろうと思いまして、お尋ねいたします。
○小倉政府委員 先生御案内のとおり、ブッシュ大統領が訪日されました際に、いわゆる日米構造協議、SIIの再活性化ということを合意したわけでございますが、それを受けまして二月二十六日にワシントンにおきまして、これから具体的に再活性化をどういうふうに持っていくかという協議をしたわけでございます。
 それで、先生のおっしゃいますように、透明性、公正性、競争性といったような概念の議論も出ました。これはどういうことかと申しますと、いろいろそういう考え方も踏まえながら、SIIの中で日米双方の構造問題を取り上げていこうという意味におきまして、ただ、いろいろ取り上げていく際にどういう考え方を頭に置きながらやっていくかということ、日本側もアメリカの、例えば競争力の強さ、競争性、そういったものを頭に置きながら議論していくということを言っております。
 具体的に、今後どういうふうにしていくかという御質問がと思いますが、これは今まで言っておりました六項目、日本側の六項目、アメリカ側の七項目ということがございますが、日本側の措置としましては、例えば貯蓄・投資パターンとか土地利用とかいろいろ言われております。米側の措置につきましては、日本側から企業のビヘービアとか生産力とか言っておりますが、そういう範囲の中でこれからもお互いにやるべきことを検討していこう、こういうことになっております。
○渡部(一)委員 このお話はまだ途中なんだろうと思いますし、この先伺って余り出そうもないので、私はむしろ立場を変えて私なりの言い方をしたいと思っておるわけでございますが、日産自動車の令名高き社長でいらっしゃいまして、今は社長ではございませんが、石原さんが、日米関係の貿易問題の六割は自動車なんだと率直に私は聞かしていただいたことがあります。要するに、アメリカ側は自由貿易ということをひどく言うけれども、実際に要求されることは、管理貿易そのものの要求が最近はますます強くなってきたということを述べておられました。
 また、盛田ソニー会長のお話を最近承ったのですが、よいものを安く売る、そしてどんどんつくって売るというのは間違っておると最近は思うようになったと、盛田さん、劇的な口調で言われました。私はそれを聞いていてびっくりいたしたわけでございますが、悪いものを高く、どんどん売らないというのが一番いいのではないかと言わんばかりのお話なので。私は、この盛田さんのお話というのは、アメリカは自分の固有のルールを持っており、そしてそのルールに外れたものは全部公正でないと言う悪いくせがついてしまったなということを感ずるわけでありまして、これは率直に忠告をしなければとんでもないことになるのではないか、私は最近とみにそう思うようになったわけであります。
 そこへもう一つ、宮澤総理をきょうはかばいたいと思うのでありますが、総理は、最近労働者の倫理性について問題にされ、大問題を引き起こされ、アメリカの反日感情に火をつけたと罵倒されているわけでございますが、実際のペーパーを拝見すると、そんなことを言われたのでは全くなくて、日米両国のあぶく経済に対する倫理性の問題を述べられた立派な評論であったと、私は褒めておきたいと思う。ところが、言われてしまうとそのままになってしまう。私はこの際、日本の政治家が、これだとだんだんと物言えば唇寒し秋の風みたいな雰囲気になってくる、こういうときは猛烈しゃべって説明して説得しないと、危ない状況にあるのではないかと思うわけであります。その意味で私は、ふだん激励しない総理大臣に対してあえて激励しているわけでありますが、これはほっておくといかぬ。
 特に、私はひどくショックを受けておりますのは、完全な自由経済、自由市場というものを認めるんだったら、政府が口を出したり政府が管理貿易に対して強引に引っ張っていくようなことは避けなければならぬはずだ。管理貿易をするというんだったら自分で管理をすればいいんであって、人の国へ泥足で、おまえは自動車何は以上売るなということを陰に陽に圧力をかけるなどということは、大国のするべき外交交渉ではなかろうとまで私は思うわけであります。私は野党ですから気楽に言っているのかもしれませんけれども。
 さて、きょうは、こういう話になるといろいろおもしろいことをおっしゃってくださる方が四人並んでいるわけですから、通産大臣から始めて、ひとつ御見識を承りたい。というのは、アメリカと交渉するために無礼、無作法も我慢しているというだけだったら、それは日本として無理を生ずる。その無理を生じたことは結局は破綻してくる。そして、日米関係の長期的な親善にもならないと私は思うからです。よろしくお願いします。
○宮澤内閣総理大臣 これはちょっと順序を逆にしまして、私からそれでは。
 いろいろお話をいただきました。実は、この委員会で武藤委員のお話がございましたときにお答えをいたしましたことは、速記録にもございますので明らかでございますが、それがどういうことかああいう報道になりまして、私としても思わないことでございました。したがって、私の申している意味は一度だけもう一遍申しましたけれども、どうもごれについてあれこれこの立場にあります私が申しますことが、どうも百害あって一利なしという感じがいたしますので、これにつきましてはもうあれこれ申し上げない方が、むしろ両国の関係のために今いいのではないか、こういうふうに私思っております。
○渡部国務大臣 日米関係、これは先生御承知のとおりでありますけれども、戦後、マーシャル・プランあるいはガリオア・エロア資金によって、あの貧しい飢餓の状態から今日の繁栄を取り戻すまでに、日米のお互いの信頼と友情というものが世界の平和のために、また今日の日本の繁栄のために大きな役割を果たしてきたことは言うまでもないことだろうと存じます。
 今後の問題ですけれども、御案内のように、経済面においては今年も一千億ドルを我が国の貿易黒字が超すような状態、しかもアメリカの比重が一番多い、また今。アメリカの貿易そのものの中では、アメリカは赤字を減らしておりますけれども、その分、割合としてはこれは対日赤字というものが、アメリカから見れば大きくなってきますから、いろいろの問題点が出てくるのは現実でございます。
 しかし、その中でやはり過去の長い歴史、まだこれからの将来、日米がお互いに信頼し合って頑張っていくことが世界の平和のために、また日米のお互いの発展のために極めて重要なことだという認識の中で、お互いに主張すべきことは主張する、譲るべきことは譲る、言うべきことは言う、しかしまた、我々としてなさなければならないことはやる、こういうことで今後通商関係を進めてまいりたいと存じます。
○渡辺(美)国務大臣 今通産大臣がおっしゃったことに大体尽きております。
○羽田国務大臣 私も、日米関係というのは、いつも総理が言われますように、世界の四〇%の生産を持つということ、そしてもうこれぐらい相互依存関係というのは非常に深まった時代というのはないだろうというふうに思っております。ですから、日米関係というのは本当にお互いに理解しながら、お互いに協力して進んでいくこと、これがやはり日米というだけでなく、世界のためにとっても最もよいことであろうというふうに考えておりますし、また、日本にとってはアメリカが購入してくれる量というのは大変なものであるわけでありますから、やはり日本にとっても最もお得意さんであろう。逆に、農産物なんかは、日本はまた一番お得意さんであるというような面、これはまさに相互依存という関係だろうと思います。
 その意味で、今御指摘ありましたように、お互いに率直にやはり話し合うということが重要であろうというふうに考えております。
○渡部(一)委員 四大臣のお言葉を聞いていると、苦悶の表情がうかがわれますね、日本政府のね。それはなぜか。ここで全部言えない。そして、相当の無理も我慢しなければならない。しかも、日米関係というのは大事なんだ。これを壊したら日本の存立の基礎的な部分は失われるという部分がある。だから何を言われても、ともかくうまく交渉でやるんだという合意が見事にでき上がっておられる。
 私はそれに加える言葉が別にありませんが、よかったら、交渉のときに頑張っていただきたい。日本国民としてはうっぶんがたまっているわけですね。一体ちゃんと交渉しているのか。アメリカへ行くたびにいろいろ交渉したとは言われるけれども、お答えはいつも何かへなへななのが出てくるじゃないか。だれが何やったんだと言いたいような感情を持っておるわけですね。そのうっぷんが今たまっておる。もしアメリカが管理貿易でやるのだというんだったら、自動車をアメリカに売るのをやめればいいんですから、それで百万台に切り下げるとか、大幅に下げてしまえばいいんであるし、それをさもさももっともらしく自由貿易という旗印のもとにやりたいとおっしゃるんだったら、それだけのやはり、格好の悪いのを日本に押しつけて、自分は格好のいい顔をなさるんですから、アメリカのしかるべき当局者はそれなりの態度があってしかるべきですね。そこのところはやはりきちっと言わなければならないのです。
 礼儀正しい日本としては、その東洋の礼儀の雰囲気を堅持しつつ、やはり交渉すべきところはやっていただかなければならぬなと私は思っているのですが、通産大臣いかがですか。
○渡部国務大臣 これはぜひ先生に御理解を賜りたいと思いますけれども、私の役所でいえば、これは外務省も大蔵省も同じことだろうと思いますけれども、いろいろ日米折衝の報告を聞いておりますけれども、これは前線に立って折衝しておる人たちは、まさに先生の今おっしゃった、言うべきことは言うということで、前線で頑張っております。ただそれらの内客を一つ一つこういう場で、これは申し上げるわけにいきませんけれども、少なくとも我々の省の前線にあって日米の折衝に当たっておる者が、国益のために全力を尽くして言うべきことは言うということで頑張っておることは御理解賜りたいと思います。
○渡部(一)委員 これはもう答弁を求めませんが、私は、大蔵省の主税局の石井さんという方が書かれた「エコノミスト」の文章、「日米はリーダーとしての自覚持て」という文章がございます。なかなか優秀な方だと私は思いますが、引用いたしますのは、米国の景気循環とか大統領選挙というような短期的な事象としてアメリカ経済をとらえるべきではなくて、
 八〇年代前半のレーガノミックスの下、政府・企業・家計がそれぞれ己の稼得能力を超えた支出を続けた結果、国全体として貯蓄・投資バランスが悪化した。これを賄うための対外赤字が累積するにつれ、人々の間ではこのまま赤字を積み重ねることは持続可能(サステナブル)でないこと、早晩マクロ・バランスの改善が必要とされるが、これは当然に米国民の生活水準の切り下げをもたらすことが認識され始めた。
ぐさり、こう評論しておられます。私もそうだなあと思います。
 その痛みを負っている米国を助けるために何をなすべきか。向こうのプライドがあるのでやりにくいのですけれども、それを我々は模索するときが来ているめではないか。むしろ要求書を突きつけられてそれを嫌々ながらやっている日本というこの悪いイメージをぶっ壊して、おたくも今大変なんでしょう、長い間お世話になっておりますので、私の方はマーシャル・プランなどということは申しませんけれども、何かさせていただきたいところには、これぐらいはいかがですかという、兄弟としてあるいは友人としてあるいはある意味の戦友として、同志として提案することがあっていいのではないか。そういう大きなプロジェクトをぶつけない限りアメリカの大きな世論というのは変換しないのではないかと私は提言しておきたいと思います。
 それで、抽象的なここまでの発言については、皆様首を振って聞いておられるからほとんど御賛成でしょうから答弁を求めませんが、私はその意味で日本外交の難しさというのが今日の前に来たなと思っておるわけでございまして、よろしくお願いしたいと思います。
 ちょっと飛ばしまして。時間がなくなってきました。演説が多過ぎた。
 次に、品格ある国家ということを、僕は総理がこの間言われて、もう敬意を表したいと思います。こんな言葉遣いをされた総理は今までなかった。きょうは総理をやたらに持ち上げるつもりは別にないのですけれども、褒めるところは褒めなきゃならない。公明党では、ノーブレスオブリージュ外交という言い方で言っておりまして、数年前から申し上げているところでございますが、気品のある、尊敬される、信頼のおける国家へ変容しなきゃならない。今までは一生懸命食事をし、生計を維持し、国家として黒字にして、そしていこうというところにむしろ視点があり過ぎたと私どもも思っておるわけでございます。その意味で、この品格のある外交というのは、大変大事なことだと思っているわけであります。
 ところが、その冒頭で出てきたのが、戦争中の慰安婦問題、もう品格のある国家と言った瞬間にまるで頭から何か泥をかぶせられたみたいな雰囲気になっており、残念でなりません。しかし、これも戦後処理、広義の、広い意味の戦後処理を我々の世代でやってしまわなければならぬという意味で、極めて重大なテーマであった。問題として、起こっている人数とか事件としては小さいかもしれないけれども、決して小さくない。これをいかに扱うかということにおいて、日本がノーブレス国家になり得るかどうかのまさに境目ではなかろうかと思っているわけであります。それで、最近またそういうのが多うございまして、旧日本軍が中国に放置した化学兵器が、未処理が二百万発で、犠牲が二千人あるとか、こうしたテーマが甚だ多うございます。
 したがって、私はちょっとお尋ねをしたいわけでございますが、その未処理の案件の中で私が今手元にいたしておりますのは、旧日本軍軍人、軍属、軍夫、ある意味では慰安婦の一部もそこに入れるのかもしれませんけれども、旧日本政府が雇ったり徴用したりしたメンバーに対する補償でございますが、この方の問題とそれ以外の問題というのは立て分けて議論すべきだと存じます。つまり、この二つの問題を分けて、まず当時日本人でいて日本側が使った、日本の政府が使ったという者に対する補償というのはしなければならないのではないか。
 ところが、拝見いたしますと、これは教えていただいたのですが、政府のお話によりますと、戦傷病者戦没者遺族等援護法の附則の二項以下十三項目の当時の戦病者、戦傷者、戦没者、未帰還者、引揚者等に対する補償の措置は、ことごとく国籍条項がついておりますが、その点は御説明をいただきたいと存じます。厚生省、お願いします。
○多田政府委員 援護法等十三の法律ということで先生御指摘でございますが、これにつきましては、まず戦傷病者戦没者遺族等援護法、それから恩給法、旧軍人等の遺族に対する恩給等の特例に関する法律、それから戦没者等の妻に対する特別給付金支給法、戦傷病者特別援護法、戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法、戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法、戦没者の父母等に対する特別給付金支給法、それから未帰還者留守家族等援護法、未帰還者に関する特別措置法、それから引揚者給付金等支給法、引揚者等に対する特別交付金の支給に関する法律、平和祈念事業特別基金等に関する法律、この十三本が先生のお話しの法律だと考えております。
○渡部(一)委員 このうち恩給法と旧軍人等の遺族に対する恩給等の特例に関する法律は総務庁、平和祈念事業特別基金等に関する法律は総理府が所管されているそうでございまして、十三本だそうでございます。また、被爆者に対する原子爆弾被爆者の医療等に関する法律と、被爆者に対する特別措置に関する法律につきましては、国籍条項はない。また、台湾の住民の戦没者に対する弔慰金に関する法律と特定弔慰金等の支給の実施に関する法律は、私どもも努力させていただきますが、元台湾兵に対するもので、もちろん国籍条項としては日本国民を離れた方々であります。したがって、これに対して国籍条項がついているのは、従来の解釈によりますと、これは日本が払うべぎものではないという形できているようでございます。
 しかし、最近になりまして、各国の対応も皆変わってまいりまして、例えて申しますと、サミット参加国の中で比較をいたしますと、当時植民地のなかったカナダを除きまして、他の六カ国は、日本を除く五カ国は、戦後の国籍が変わったとしても、当時国籍のある者に対しては全部補償する。例えばフランスは植民地時代にセネガル人の元フランス兵については同様の年金をもう支給することに決めてしまった。やっておる。これは国連まで提訴して大騒動になったものでございます。またドイツにおきましては、ドイツはユダヤ人に対するナチスの加害という点からこの問題に取り組んでおられまして、七兆円に上る、損害、戦争被害を与えた外国人らに対しても五〇年度以降七兆円を補償した。ここまでドイツはやってのけた。こういうドイツの場合はまだこの例とは違いますけれども、こういうふうなところまでやってきた。
 そこで日本の対応というのがひどく目立つわけでございますね。要するに、日本は国籍条項を盾にしていつまでもこうした人々を見殺しにするのか。私は、こうした問題の中では、例えば香港等にある戦時の軍票、軍隊で出したお札でございますが、軍票問題につきまして、先日中国側の、中国政府の代表とお会いしましたときに話し合ってみましたけれども、これは平和条約におきましてイギリス側が処理するべき問題であって、それを今から言っているのはむしろおかしいという発言までいただいておりまして、中国側としては、それが日本政府とイギリス政府の間で処理されることを望むと中国側も言うような立場でございますから、私はこの問題はむしろ分けておいた方がいいと存じます。
 しかし、ここであるような国籍条項が絡んで補償しないという部分については、諸条約の規定にもかかわらずとあえて申し上げますが、国際的な不評を買う重要な問題ではなかろうか。確かに手放しでやれば大変な金額がかかってしまいますし、またこれを補償金というのか賠償金というのか特別基金による支出金というか、何というかはかなり技術的な面倒な点はあるといたしましても、御研究をいただくことが大事なのではなかろうかと存じますが、いかがでございましょうか。難問です。
○渡辺(美)国務大臣 戦争というのは、まことに人道を外れたようないろんな問題を包蔵をいたしておりまして、本当に、そのために犠牲になられた、心の痛むような方々がたくさんあることはよく承知をいたしております。国内的にも似たような問題ももちろんございます。しかしながらどこかで線を引がなければ、これはいつまでも延々として続くわけでございますので、そのために、それぞれの国と平和条約を結ぶに当たりましては一定の取り決めをいたしまして、これにて一切解決というような措置をとってまいりました。しかし、原爆被爆者というような、人類に例を見ないような問題が起きたため、これらについて例外的な措置をとったことも事実でございます。しかし、それがどんどん広がっていくという筋合いのものではこれはございません。したがって、人道的な立場で例外的な措置をとったということは事実であります。
 しかしながら、一応解決されたという国家間において決まった問題については、それをまたやり直すというようなことは、これはなかなか言うべくしてできない問題でございます。しかしながら、慰安婦問題というようなものはどうなんだというような話は、これは必ず出てくるわけでございますから、これらについては、もう総理がたびたびお話し申し上げているとおり、まことにお恥ずかしい、また心の痛む問題でありますと、私もそのとおり考えております。これらにつきましては、これはもう法律論争では決着ということになりましょうけれども、何らかの、異例といいますか、そういうような、これは一つ政治問題でございますので、そういう問題について、我々はむとんちゃくでおるわけではありません。しかしながら実態がわからないということでございますので、官房の、官邸の指導のもとで目下鋭意両方でも調査をしておるという最中であります。
○渡部(一)委員 私は難問であることは認めますし、で、日本の今までの通常のルールではいかない。今外務大臣は自分でおっしゃいましたが、法律問題を超える問題だとおっしゃっておられる。政治問題だともおっしゃっている。こり品格ある国家という概念を導入するとこれがテーマにならざるを得ないと私は思います。その意味で対応が必要である。目下調査をされておると承ったのですが、今まで日本政府は何回もおわびはした。天皇陛下の分まで含めて、天皇、総理が諸外国に向けて謝ったのは、私のメモにあるだけで七回。すると、口では謝る、調査もする、それからというのではまたよからぬ不評を逆に招くのではなかろうかと思います。私は、日本政府のまさに決断の問題、現政府の決断と決意の問題ではなかろうかと存じます。その意味で品格ある国家を、そして将来の日本の国民に、アジアを歩くときに胸を張って歩けるような立場をとっていただけるためにも私たちは決断をすべきときではなかろうかと存じます。その意味で何らかの適切なる措置を、調査を超えた措置をぜひお願いしたいと思うのでございますが、いかがでございますか。
○宮澤内閣総理大臣 渡部委員は国会議員として我が国の外交問題には非常に長い深い造詣をお持ちでございますし、また戦後の我が国の平和回復、今日までの外交の流れもよく御存じでいらっしゃいますので、そういうお立場からおわかりいただいているに違いないことは、それらの問題を一応含めまして、我が国がサンフランシスコ講和条約を初めその後の二国間条約あるいは共同宣言等々の形で一応それらの問題についての国と国との関係は処理し終えた。賠償を払った国もございますし、経済協力をした国もございますし、態様はいろいろでございましたけれども、国と国との間ではいわゆるそのような戦後処理というものは終了した、法的にはそういう状況にあると思います。
 と申しまして、相手国の国民がそのような訴訟を我が国の裁判所に起こすことは、もちろんこれはそういう自由を持っておりますから現に訴訟が起きたわけでございますが、結局私どもとしてはそういうまこと。に相済まないことをしたということは事実として認め、そしてその上で平和条約、あるいは二国間、サンフランシスコ多国間、いろんな平和条約なり平和処理をいたしてきたわけでございますので、そういう立場としてはこの問題はいわば法的には決着がついておると申し上げることは私は間違いではないと一方で思っております。
 他方で、我が国が経済大国になった、あるいは先ほどもお話のありましたドイツなどが、イスラエルに対してもあるいは自由を迫害したことについても非常に大きな補償措置を何十年にわたってやってきたということもだんだん知るようになって、で、日本の場合はどうなのかということがお互いの間の意識に問題として上ってきておりますときに、相手国からも、相手国の国民からも先ほどお話しのような問題が提起されることになった。
 私がこの間韓国に参りまして遺憾の意を表しましたのもその問題であったのでございますけれども、ただ、私がまことに遺憾であるということを申しましたときに、ただ言葉だけで謝って何にも償いをしないのは偽善であるという批評がありまして、そんなことはない、それは心底申しわけないことをしたと私は思っているのですと言いたかったのでありましたが、何か補償のようなことをしなければそれは言葉だけのあいさつで偽善であると言われるから、それはいかにもきついではないかという思いが私はするのでございます。
 そういうことを今でも思っておりまして、訴訟が提起されましたので、この訴訟がどのような判決になりますかそれも見ていたいと思いますし、他方で我が国の、先ほどのいわゆる慰安婦の問題などにつきましては、当時の国と申しますか、軍と申しますかが具体的にその募集なりあるいは慰安所の経営なりについてかかわり合った対応が少しずつ当時の文書などから明らかになってまいりました。そういうことは誠実に調査をいたしたいと思っておるのでございますが、さて、さりとて今のようなことについて、全面的にこれから我々が一つ一つのケースに補償をするかということになりますと、これはまあ非常な大問題でございますし、またどういう考え方に基づきそういうことをするかというようなこともよほどいろいろに考えなければならない問題でございますので、渡部委員がこの問題を御提起になられましたお考え、お気持ち、従来の経緯を御存じでいらっしゃるだけに、それは私はよく了解をいたします。よく理解をいたしますが、政府として何をすべきかということはにわかにただいま申し上げる用意がございません、率直に申しまして。
○渡部(一)委員 率直に今の立場を総理、外務大臣はお述べいただいたと私は存じます。それは現政府の立場として今までの、現行の立場としてはそのとおりだろうと存じます。ここはぜひ御研究をいただいて、今後一歩前進をしてくださいますよう希望したいと存じます。
 さて、最後の御質問を申し上げたいと存じますが、今国会、質問がたくさんございまして、通告がたくさんございますが、残念ながらほとんどカットさしていただきますが、沖縄県におきまして、対岸貿易が戦前大変たくさん行われておりました。中国、台湾との間であります。ところが、出入国管理法及び関税法の規定により、沖縄の指定港におきましておのおの五カ所以外は認められていない状況になっております。そのために対岸貿易はできない。むしろ平和化された現在においてこの貿易を積極的に進めていただきたい、こういう希望がたくさんあるわけでございます。質問の趣旨は既に大臣のところへ申し上げておりますので、今後大蔵省あるいは通産省、運輸省等において、小口の、本当の簡単な民衆の往来、貿易をさしていただきたい。
 例えば与那国なんかは目の前で、船で二十分のところのあるところで結婚までされているのに、それ、ぐるっと九州回りで行かなきゃいけないなどというばかなことまでやってきたわけでございますから、何とかしていただけないか。また、天津の南方の小さな漁村においては、沖縄まで行くとおいしいものがあるのになあなんと言いながら暮らしておられるところがたくさんあるわけであります。平和の時代、周辺の諸国との平和を、大航海時代に戻って友好を進めていくためには、ぜひこうしたことについても積極的なお取り計らいをお願いしてよろしいのではないかと存じまして御提言とさしていただきます。
 ぜひ大臣方から、一言で結構でございますが、意のあるところをお酌み取りいただき御返事をいただきたいと存じます。
○羽田国務大臣 すべて御存じなあれでございましょう。余り細かく申し上げませんけれども、御指摘の沖縄県におきましては、金武中城ですか、それから那覇、平良、石垣という外国貿易量の多い四港につきましてはもう既に開港しておりますけれども、不開港におきましても、一応その税関長の許可を得ましたときに、あるいは不開港出入許可手数料、こういったものを納付する等所定の手続を経ましたときには外国貿易船も入港することは可能である、必ずしも開港指定が沿岸貿易の支障になっているというふうには考えておりません。
 ただ、具体的なその開港の要望が出てきた場合には、我々の方も貿易の実態等を見きわめつつこれは検討をしていきたいということを申し上げておきたいと思います。
○渡部国務大臣 先生今お話のありました沖縄については、台湾等との地理的近接性という利点を生かし、南における重要拠点として、近隣アジア諸国の主要都市等と有機的連結を強化するとともに、国際的な諸機能の展開を図り、貿易拡大等国際交流の活性化を図ることが期待されておるということを私どもも承知いたしております。
○羽田国務大臣 一点ちょっと申し上げておきますけれども、いわゆる不開港にしておりますのは、もう御案内のとおり、税関が対応できないときにもし何か問題が起こる、この問題というのは例の麻薬等ですとかあるいは社会悪になるような密輸、そういったものがやはり起きてくるというようなことがございまして、ここのところは割合と厳しくいたしておる。ですから、先ほどの手数料というようなものもやはり税関の者が出張した。なんかする、そういったようなことでそういう手続なんかをしておるということもあわせて申し上げておきます。
○渡部(一)委員 わかりました。ありがとうございました。
○山村委員長 これにて渡部君の質疑は終了いたしました。
 次に、古堅実吉君。
○古堅委員 最初に住宅問題についてお伺いします。
 一般勤労者にとって、特に大都市圏の勤労者にとって住宅問題は深刻な問題の一つです。三十年前に比べて賃金は約四十七倍に上がりました。ところで、住宅の大事な基礎となります地価については百二十倍も上がってしまいました。勤労者にとっては文字どおりマイホームは夢と化してしまった、こう申し上げて過言ではございません。こういうことにかかわる問題です。
 ところで、国が重要な責任を持ちます国民の住宅にかかわる面での公共住宅、これについては全住宅の七・五%にすぎませんけれども、この不足した公的賃貸住宅の建設を真剣に促進するという方向には行ってないところに指摘しなければならない大事な問題がございます。九二年度の住宅建設計画の戸数は、今年度に比べて公団で一千戸がふやされます。しかし公営住宅の方は増加はございません。全体としては、前年度比で七千六百も減るという計画でしかないのであります。これは、住宅の現状に照らして、まことに重大だと申さねばならない施策です。
 これまで公営、公団の賃貸住宅の建設戸数の推移を見てまいりますと、公営住宅の最高が一九七〇年で十万七千九百九十二戸でございました。これが一九九〇年では三万八千戸に減る、こういう実態になっています。公団住宅の最高が一九七一年で七万八千三百八戸でありましたが、これも九〇年はわずかに一万三千戸という実態です。
 こういう状況が反映しまして、公共賃貸住宅への入居申し込み、これもひどいものになっています。東京で平均八十七倍、場所によっては三百六十倍から四百倍だというふうに言われます。これはもうくじ引きするようなものです。
 総理、こういう事態を政治の最高の責任者としてどう受けとめておられるのか。大都市圏における住宅問題の解決の根本には、こういう公的住宅の大量建設というものをしっかり据えなければならないのじゃないか、このように考えますが、それらについての御所見を承りたい。
○山崎国務大臣 ただいま細かい数字をお挙げになりまして御質問ございましたのでございますが、先生御案内のとおり、政府は第六期住宅建設五カ年計画を持っておりまして、その計画期間中の住宅建設戸数は総計七百三十万戸でございますが、そのうち公的資金による住宅建設戸数が三百七十万戸でございます。年々に住宅建設戸数にいろいろとばらつきはございますけれども、この計画は完全達成を期しておるのでございまして、とりわけ公的資金による住宅建設戸数三百七十万戸は確実に達成をいたしたいと考えております。
 特に、御指摘の公共賃貸住宅につきましては、ファミリー向けの賃貸住宅等に重点を置きまして、積極的に供給を促進してまいりたいと考えております。
○古堅委員 総理はお答えありませんが、私がお尋ねしておりますのは、こういう住宅難の中で深刻をきわめていると言う以外にない状況ですから、公共的な住宅の大量建設を問題解決のかなめ、軸に置かなくちゃいかぬじゃないかということについての質問を申し上げたわけです。
 総理は、一月三十日の参議院本会議で、我が党の立木議員の質問に答えて、こうおっしゃいました。低額所得者等の世帯について公共住宅の的確な供給の充実に努めてまいりますというふうに答弁されましたが、抽象的でよくわかりません。この公共住宅の的確な供給の充実というのは、具体的に言えば、公共住宅の建設をふやしていくという意味なんだろうかというふうに考えたりしていますが、どういうことをおっしゃろうとされたのか、お聞きしたいと思います。
 先ほどの最初の私の質問に対する御答弁も含めておっしゃってください。総理のお答えをください、総理に聞いておるのですから。あなたへの質問じゃありません。
○宮澤内閣総理大臣 先ほどのお尋ねは、建設大臣が答えられましたとおり、第六期の五カ年計画において実行いたしますということでございます。
 ただいまのは具体的な建設省の問題でございますので、建設大臣からお答えをお願いいたします。
○山崎国務大臣 総理が、低額所得者等の世帯に対する公共賃貸住宅につきまして、本会議で、公共住宅の的確な供給の充実ということの中に、その中に含めて申し上げたのでございます。
 具体的には、低所得者世帯向けに公営住宅を供給する。これは従来からでございますが、さらに民間賃貸住宅を活用いたしまして、家賃低減措置を講ずる地域特別賃貸住宅の供給等を行っているところでございますが、平成四年度予算案でその拡充を図っているところでございます。今後とも、低所得者等の世帯に対する公共賃貸住宅の供給促進に努めてまいる所存でございます。
○古堅委員 公共住宅の大量建設の問題は、これは国民の切望でもありますし、それなしに住宅問題を解決する道というのはございません。もちろん単純なものではないですから、いろいろ複合的です。重視をされて努力してほしいと思います。
 ところで、八〇年代に政府が進めてきた臨調民活路線は、公共住宅を激減さしてしまいました。民間任せの住宅供給で住宅問題が何とかなると考えた民活路線でありましたけれども、結局は、良質の公共住宅建設を減少さして、入居資格があっても入れないという状況をつくるという結果になってしまったのです。それは別の面では、民間の家賃を恐ろしく引き上げるという関連を引き起こしてしまいました。それだけ一般勤労者の負担がかぶさってくるという結果にもなったのです。
 政府は、こういうこれまで十年来とってきたところの民活路線を改めて、公共住宅の大量建設を住宅政策の中心に据えるべきだ。そういうお考えがあられるかどうか、総理からも、建設大臣からも、その点について明確な御答弁をいただきたい。
○山崎国務大臣 大都市地域におきましては、借家世帯の居住水準が低いこと、地価の高騰により良質な賃貸住宅への需要が高まることが予想されますことから、御指摘の公共賃貸住宅を初めといたします良質な賃貸住宅の供給促進は極めて重要と考えております。
 このため、現行の先ほど申し上げました第六期住宅建設五カ年計画におきましても、公共賃貸住宅全体として、前期計画に対しまして四万戸増の三十八万七千五百戸を計画いたしておるのでございます。平成四年度予算におきましては、地域特別賃貸住宅制度の拡充、従前居住者対策の充実等による公共賃貸住宅の建てかえ促進、あるいは公団賃貸住宅建設戸数の拡大等を盛り込んでおります。
 今後とも公共賃貸住宅の供給促進に努めてまいりたいと考えております。
○古堅委員 我が党国会議員団は、予算の組み替えについて、せんだって党の態度を明らかにいたしました。その中で、住宅問題については、来年度で公営を八万戸台に、公団を四万戸台に水準を引き上げて、大量建設の方向を進めるべきだという要求も盛り込んでございます、そういう趣旨も踏まえて、ぜひ住宅問題の解決に大量公営、公団の住宅など公共的な住宅建設を置いて展開してほしいと重ねて指摘し、要望申し上げておきたいと思います。
 ところで、公共住宅に入居できる資格を持ちながら、こういう公共賃貸住宅が激減するということもあり、間に合わない、そのために入れなくなっている、高い家賃を払って民間の住宅に入らざるを得ない、こういう深刻な事態が広がっています。御存じのとおりです。これは、政府が進めてまいりました民活政策のもたらした一つの大きな弊害でもございます。東京一極集中、土地投機、高地価、高家賃の犠牲がそういう形であらわれつつあるということも申せましょう。こういう人たちの家賃の高い負担を何とか解決してあげなくちゃいかぬということは政府にとっても重要な課題の一つになってきた、これは避けて通れない問題ではないか、そのように考えています。
 西洋の例などを見ますと、既にイギリスやドイツ、フランス、アメリカ、スウェーデン、そういうところでは住宅手当や家賃補助など、これは一般の国民に対しても実施され、当然視されてまいった、珍しいものではございません。
 ところで、経済大国と言われながら、我が国ではこういうものが、こういう国会の中で真剣に論議されなければならないような、大変な立ちおくれの実態にございます。総理、この問題は、政治の基本の問題として、どのような施策をとっていくかということにかかわる大事なものと考えて、総理のお答えをいただきたいのですけれども、少なくとも、公共住宅に入る資格があるにかかわらず入れなくて、高い家賃を支払って、一層生活その他の面で負担を担がざるを得ないというこの問題を解決する、そしてこういう人たちの負担を軽減するという立場から、住宅補助の制度を真剣に検討し、実施する方向で進めてほしいというふうに思うのですけれども、それに対する御見解を賜りたいと思います。
○山崎国務大臣 家賃補助制度について御指摘がございましたが、この問題につきましては、住宅宅地審議会において検討していただいておるところでございます。
 その中で、家賃の評価、家賃の支払い能力の把握、管理運営のための組織、費用等の検討課題があると指摘されているのでございまして、慎重に対応すべきものと考えているのでございます。
 しかしながら、家賃負担の軽減につきましてはもちろん重要でございまして、融資、税制の活用等によりまして賃貸住宅供給コストの低減を図ってまいりましたが、特に低額所得者等の世帯につきましては、公営住宅等公共賃貸住宅の的確な供給等施策の充実に引き続き努力してまいりたいと考えております。
○古堅委員 東京では、都を初め二十三区の大部分が、高齢者の住みかえや新婚世帯への家賃補助を行っております。もう既に東京都内でもそういう限りでは珍しいものではなくなってしまいました。これは進む政治の趨勢と申しても埋言でもありますまい。また、一般区民の家賃補助制度も一部では実施されるようにもなっております。
 このような施策を自治体任せにしておくというような形で、この問題について促進する立場から真剣に取り組まないということになったんでは、やはり政治に対するいろいろな批判と注文が多くなるというだけであろう。私は、この問題は決して避けることのできない問題になったというふうに考えます。
 そういう立場でもう一度、自治体もこのように進んでいますよ、他外国でもこのようにもう当たり前になっておりますよ。政府が積極的にこの問題を、今おっしゃっておりました解決すべきいろいろな問題があればそういうことなども解明して、実施する方向に行きたいという方向であられるのかどうか、そのことについてもう一度お聞かせください。
○立石政府委員 お答えいたします。
 先生御指摘のとおり、地方公共団体の一部におきまして、例えば人口減少をとめるために新婚世帯に家賃対策補助をする、あるいはまた、高齢者等につきまして、高齢者の居住の安定を図るために、建てかえしたり、あるいは転居した場合に、その前後の家賃の差額を埋めるために家賃補助一をする等の、地方公共団体独自の目的で家賃を軽減する制度を導入していることにつきましては、私たちも承知しているところでございます。
 しかしながら、先ほど建設大臣からお答えいたしましたように、家賃補助制度を一般的に導入することについてはいろいろな問題があると考えているところでございます。
 しかしながら、国といたしましても、一般的な家賃補助制度ではございませんが、平成三年度から、地方公共団体が土地所有者の建設する良質な賃貸住宅を借り上げまして、家賃負担を軽減して高齢者に賃貸するいわゆる高齢者向けの借り上げ公共賃貸住宅制度を創設したところでございますし、また平成四年度におきましても、高齢者等に対しまして、公営住宅の建てかえに伴う家賃激変緩和措置、あるいは市街地の木賃住宅等が密集している地域の再開発に伴っての家賃激変緩和措置等を行おうとしているところでございます。
○古堅委員 私が言わんとしているところは、避けられない課題なんだという立場を踏まえて、検討すべき点は検討し、積極的に進めるという立場からこの問題を受けとめてほしいということです。
 次に、沖縄の住宅問題についてお聞きしたいというふうに思います。
 住宅統計調査がなされておりますが、その中の主要指標による都道府県序列という表がございます。四十七都道府県いろいろと比較されています。その一つに最低居住水準未満率というのがございますが、それの四十七番目が東京で、四十六番が大阪、四十五番が沖縄、四十四番が神奈川であります。もう一つ一住宅当たり延べ面積というのがございまして、これも四十七番が東京、四十六番が大阪、四十五番が神奈川、四十四番が沖縄、こう来ておる。一人当たり畳の数です。それも、四十七番が沖縄で、四十六番が東京、四十五番が大阪、四十四番が神奈川です。
 このように、東京、大阪、沖縄、神奈川、この四県が今言った基本的な指標に全部、全国を一番から四十七番まで並べて最下位を占めているという事態です。これだけを資料的に申し上げただけでも、沖縄の住宅問題が、大都市圏の東京や大阪や神奈川と同様に、深刻な事態にあるなということを御理解いただけるというように思います。
 そういう住宅問題についてそうなんですが、御承知のとおり、県民一人当たりの所得というのはもうずっと全国最下位で、この間発表されたものによりますというと全国平均の七一%程度です。しかも失業率は全国の倍に近い、いつでも全国一です。こういう実態も加わるわけですから、住宅問題のこの困難な問題についてどう解決するかの問題は、真剣に国を初め関係者が取り組まなければならない、そういう問題だと考えます。
 ことしは復帰二十年に当たります。また第三次振興開発計画、それが進められることになっておりますが、その初年度にも当たる、そういう大事な節目の年であります。こういうときでもありますだけに、大事な三次振計の中心課題となります住宅問題について、政府がどのようにそれを受けとめて、その解決のために推進を図るかということは大事なことであると思います。そういう実態をどのように受けとめ、こういう節目の年に当たってどのように展開されようとするのか。大事なことですから、ぜひこの問題については総理大臣からも、そして建設、沖縄開発庁長官からもお聞きしたい、このように思います。お願いします。
○立石政府委員 初めに、事務的なことでございますが、数値等についてお答えしたいと思います。
 沖縄県の住宅事情は、一世帯当たりの住宅数では全国平均のレベルに達しているわけでございますが、今御指摘のとおり質的な面におきましては、例えば一戸当たり平均床面積でも、そのほかの数値におきましても全国平均よりなお立ちおくれている状況にあると承知しております。しかしながら、昭和五十三年から六十三年までの十年間に一戸当たりの床面積が全国平均をかなり上回りまして、十年間で一〇・四平方メートル、ストック状態でございますが、住宅事情の改善が進んできております。こういうような急速な改善が進んでいるという状況も承知しているところでございます。
 沖縄県では、昨年、今後五年間の住宅建設の目標となります沖縄県住宅建設五カ年計画を策定しているところでございます。この計画に沿って一戸当たりの平均床面積を全国平均に近づけるよう努力するというように述べているところでございまして、沖縄県における着実な住宅対策が進んでいるというように承知しております。
 国といたしましても、公営住宅の建設に対する補助あるいは融資等を通じまして、五カ年計画の達成を支援していきたいと考えているところでございます。
○伊江国務大臣 数字的な御説明を伴いますので、私からお答えを申し上げたいと思います。
 今も建設省から御説明がございましたように、確かに劣っている面がございます。しかし、この問題は、先生ももちろん申し上げるまでもないことですが、量的な問題の面と質的な問題の面の両方からやはり考えなければならないということでございまして、確かに復帰直後は住宅事情も本当に劣悪な状態でございましたが、今日現在では、先ほども建設省からお話がございましたように、非常に一世帯当たりの、二戸の全国水準は、到達いたしております。したがいまして、これからもその面についてはまだ需要も高こうございますから、これからも五カ年計画をつくってやってまいりますし、また、第三次振興開発計画におきましても、御指摘のとおり重点事項として取り上げてまいりたい。
 それから、質的な面についての御指摘は、確かに二、三の指標についてお話がございましたとおり、これは建設省からも御説明がございましたが、確かに質的な面については劣るところがございます。しかしこれは、今から二十年前の復帰後の姿から比べれば相当高い水準に合いきつつあるということでございまして、なお一層建設省の方との御相談も進めながら、質的な向上の面については努力してまいりたい。特に、申しましたように、第三次の振興開発計画においても重点事項として取り上げてまいりたい、かように存じております。
○古堅委員 住宅問題は沖縄にとっても深刻な問題なんですが、一方、銃剣を突きつけられて取り上げられた米軍の基地内には、広々としたところに至れり尽くせりの米軍住宅が日本の思いやり予算によって大量に建設されています仁その両方を見比べますよ。だれもそのままでは納得いたしません。大事な節目の年に当たっておりますので、そういう立場を踏まえて沖縄をどうするのか、このおくれた実態をどのように解決していくのか、そういう立場で真剣に考えて進めてほしいという立場からの質問を申し上げたわけです。ぜひ受けとめて、積極的に進めていただきたいと思います。
 時間がございませんので最後の質問をさしていただきますが、お米の問題です。
 先ほども質疑がございましたが、一点だけにとどめさしていだだきたいと思いますが、ドンケル・ガット事務局長の提案を受けて自由化の方向に進むのか、それともその自由化の方向を阻止して我が国のお米、農業を守るのかどうか、その問題については全国民の重大な関心事となっております。
 日本共産党は、この二十五日に改めて党の見解を発表いたしました。これ、四点にわたりますので、大要を申し上げますというと、それは第一に、ドンケル案はたたき台にすぎないのであって、例外なき関税化に賛成しているのはわずか七カ国、反対しているのは逆に二十カ国にも及び、自由化拒否は決して孤立てはない。ガット交渉は従来どおり一致点で合意して交渉を終結させればよい。
 第二点は、仮に七〇〇%という高い関税率で出発しても、六年後には四〇〇%になり、それに対抗できる日本の農家はごくわずかにすぎない。結局は日本農業を破滅させることになってしまう。
 第三に、ドンケル案は食品の安全基準をアメリカの思いのままに緩め、日本の消費者、国民の健康と安全を根本から脅かすものとなる。
 第四に、国連の予測でも世界の人口は爆発的に急増し、世界の食糧危機が不可避だと言われる中で、米の自由化を拒否している我が国の米、農業を守ることこそ国際社会に貢献する道である。
 要旨を申し上げると大体そんなものです。
 国権の最高機関たる国会が過去三回にわたってこの問題を重視し、決議をしてまいりました。内閣がその決議を体して施策を展開していただかなくちゃいかぬことは申すまでもございません。総理自身もこの決議に参加してこられました。政府として、米の交渉に当たり、この国会決議の立場を堅持して、決しであいまいな態度にしない、こういうことを明確にしていただけるかどうか、これは総理からぜひお答えください。
○田名部国務大臣 先にお答えをさしていただきますが、今お話しのようなことで国会決議等の趣旨を体して、しかも国内産で自給するという基本方針のもとで対処しておるわけであります。したがって、今回の国別約束表の提出に当たってもそのような基本方針で今努力をしておる最中であります。
○宮澤内閣総理大臣 ただいま農水大臣からお答えを申し上げたとおりでございます。
○古堅委員 終わります。
○山村委員長 これにて古堅君の質疑は終了いたしました。
 次に、伊藤英成君。
○伊藤(英)委員 私は、今日本にとって極めて重要なテーマについて、幾つか質問をしたいと思います。
 まず、日朝の、日本と北朝鮮ですね、正常化交渉についてお伺いをいたしますけれども、日朝交渉においてこの核査察問題は極めて重大な意味を持っていると思うんです。去る二月の二十五日に、国際原子力機関、IAEAが理事会において、査察に関し未申告の核物質並びにその施設の特別査察実施権について確認をしたと伝えられます。これは、現在の核不拡散条約等の変更をすることもなく、今まで可能だったけれども実施していなかったこの特別査察権を今後は実施をするという意味に考えていいんでしょうか。
○渡辺(美)国務大臣 法律上の問題ですから、事務当局から説明させます。
○丹波政府委員 お答え申し上げます。
 今基本的には先生がおっしゃったとおりでございまして、そのIAEAの協定の中には特別査察ということは従来からあったわけですが、その手続その他が必ずしも明確でなかった、それを今回の理事会が明確にして、未申告の施設その他についてもIAEAが査察できるということを明確にしたという意味で、先生のおっしゃるとおりでございます。
○伊藤(英)委員 北朝鮮は一月の三十日にこの特別査察を含む保障措置協定に署名をしておりますけれども、いつごろ発効すると見通しを立てておられますか。
○谷野政府委員 お答え申し上げます。
 ただいま仰せのように、北朝鮮は保障措置協定の署名をいたしました、一月の三十日でございますが。したがいまして、今後の手続は、批准、そしてこれの発効という手続になるわけでございますが、先般IAEAの理事会が開かれました折に、北朝鮮の呉大使が述べたところによりますと、その保障措置協定の批准の手続は四月じゅうに終わる見込みであるということを申しております。それを受けまして査察に行くわけでございますけれども、査察はそれを受けまして、これも同大使の言によれば、六月じゅうぐらいには何とか査察の実施に至るであろうという発言がございます。私どももそのようにぜひ取り運んでいただきたいものだと思います。
○伊藤(英)委員 先月の二十五日に米国の中央情報局、CIAのゲーツ長官は米国の議会で、北朝鮮が核開発能力を隠ぺいするためのごまかしプランを持っているとの情報を得ている、彼らは核保有施設を申告をしていない、そのプログラムは前進をしている、こういうふうに述べております。じゃ、この発言、こうした発言をどのように考えられるか。申告すべき核施設が申告をされていないおそれがあると判断した場合には、日本政府として特別査察を求めるものでありますか。
○渡辺(美)国務大臣 北朝鮮がごまかしているかいないかということを、我々は証拠がありませんから何ともこれは申し上げることはできません。ただ、言えることは、核査察を受けてください。それからその特別査察という制度がありますが、これは拒否することもできるそうであります。拒否した場合は、また安保理ということでそこに訴えることもできる。最終的には強制査察もできるということだそうでございますが、そういうようなことになると大変な時間のかかる問題でございます。したがって、そういうような悪夢は今から考えたくない。だから、速やかに査察を、疑いのあるところについては特別査察を受けていただく。そして、本当にきれいさっぱり、核施設は持っていないということをはっきり国際機関でしてもらうことが日朝の正常化を早急に進展させる原動力になるというように考えております。
○伊藤(英)委員 時間はかかるかもしれませんが、もしもアメリカが言うように隠しているというおそれがあるならば、日本としてはそれを、特別査察を実行してもらうのですか。
○渡辺(美)国務大臣 そのように理解されて結構であります。
○伊藤(英)委員 すると、もしも特別査察が実行されない場合にはどのようになるんでしょうか。逆に言いますと、この核の問題というのは日本にとっては重大な問題だと思うんですね。そういたしますと、この核のおそれがクリアされないと日朝正常化は図ることができない。この問題は、そういうクリアするための条件になる。そのおそれがあるときに、特別査察もしてクリアをするということが日朝正常化の一つの条件になると考えてよろしいですか。
○渡辺(美)国務大臣 北朝鮮側はそういうものは持ってもいないし、そんな力もない、こう日本に対しては言っているわけですから、一応我々はそれを信用したいと思いますが、しかし国際機関が疑いが持たれているようなことが、万一、万一ですよ、あればそれははっきりしてもらわないと、なかなか残念ながら前へ進めない。しかし、そういうことのないように、一日も早く査察を受けて立証してもらいたい、そう思っております。
○伊藤(英)委員 再確認でありますが、今のお話は、一日も早く査察を受けてというふうに言われましたけれども、それは少なくとも日本よりも恐らく情報量を多く持つアメリカがそういうおそれおりと言うような状況ですと、そういうおそれがある場合は、特別査察をしなければ日朝正常化を進めることはできないというふうに考えてよろしいですか。
○渡辺(美)国務大臣 たびたび言っているように、北朝鮮側のことを我々は信用したいんですよ。向こうは、持っていませんしそんな力もありませんと言っているんですから。だから、余り仮定の問題で暗い話はしたくないんです、実際は。しかし、強いておっしゃるならば、本当にそういうことがあった場合は、それはなかなか進めたくても進められないということになりましょうが、そういうことのないように希望しますということを言っているわけです。
○伊藤(英)委員 今申し上げましたように、恐らく米国はこうした情報についていろいろと調査もしているでしょうし、情報把握をされていると思うんですが、この核の問題について言えば、米国との連携というのは極めて重要だと思うんですが、その辺の連携は十分に行って進めておられますか。
○渡辺(美)国務大臣 それは同盟国でありますから、よく連絡はしています。
○伊藤(英)委員 次に、カンボジアに対する国連平和維持活動への協力の問題について伺いますけれども、先月の二十八日に国連安全保障理事会はカンボジア国連平和維持活動の決議を採択をいたしました。内容は、ガリ事務総長のPKOの展開計画を承認をしたということであります。中身は、総勢二万六千人という大変な規模のPKOを展開しようということでありますし、三月の中旬から順次現地入りをさせていこうということのようでありますけれども、今我が国でPKO法案を審議しているわけでありますが、これは一刻も早く成立することを私は望みますが、もしも、いわゆる国会承認云々という話は別にいたしまして、成立をしなかった場合、もう目の前の話になるわけですが、もしもPKO法案が成立しない場合には、人的な協力の部分では日本はどのように対応をすることになるでしょうか。
○渡辺(美)国務大臣 これも、我々は成立さしていただきたいと努力している最中でございますから、今から成立しなかったことを前提に物を申し上げることはいかがなものか。もう何が何でも、ひとつ話し合いの上で、組織的にそれ相応の人的貢献ができるようにしていただきたい。
 まあ万一の場合というようなことでございますから、それはなかなかやりづらい。そのことについては、想定でありますが、事務当局から説明をいたします。
○丹波政府委員 簡単にお答えさしていただきます。
 まず、UNTACの活動の内容を具体的にもっと分析する必要があると思います。しかしながら、今までのところは先生御承知のとおり、PKF活動とそれ以外の通常のPKO活動と分けた場合に、PKFについてはこれは法案ができなければできないことは御説明の要はないとは思います。いわゆるPKOの側面で、例えば治安維持として外国から警察官を送ってほしいということが内容にあることは先生御承知のとおりですが、日本の警察の方々に行っていただくというのは、やはり今お願い申し上げている法律ができなければ非常に困難じゃないなかというふうに考えてございます。
 それから、例えば選挙監視でございますね。これは来年の五月、遅くとも五月ということが先ほどの決議の中に書かれております。それから行政への助言ということもあります。この辺になってきますと、純粋に文民ができる活動だろうと思いますので、例えばその選挙監視でございますと、一九九〇年の秋、十月から十一月にかけましてナミビアのPKO活動のときに日本は二十七人の選挙監視団を送ったわけですし、それから――失礼いたしました、一九八九年の十月です、それから一九九〇年の二月のときには、二カラグアの選挙監視で六人ぐらいの人を送りました。しかし、これは外務省員として採用しましてと申しますか、身分がえをして送ったわけですが、今回の場合には治安の問題とか、それから恐らくもっと多い数が要請されるんじゃないかというようなことを、いろんなことを考えますと、私、不可能であるということは申し上げるつもりございませんけれども、なかななか難しいなという感じは持っております。
 しかしながら、今後もしそういう要請があった場合に、現行の法令の範囲内で本当にできるのかどうかということは勉強させてもらいたいと思っておりますけれども、今外務大臣も申し上げましたとおり、お願い申し上げている法律をぜひ国会でお認めいただきたいというふうに考えております。よろしくお願いいたします。
○伊藤(英)委員 これも仮定で申しわけないんですが、今言われますように、ぜひ成立させるようにということですね、御努力をされているわけでありますけれども、もしも成立した場合には、例えばアジアには最初にはPKFは送らない方がいいんではないかというような議論も一部にはあったりしますけれども、もしも成立をした場合には、人的な支援の問題についてはどういう、このカンボジアの問題についてですね、どのように考えられますか。
○丹波政府委員 先生の御質問をされたときにお考えになっておられるのは、特にPKF活動あるいは監視団としての活動だと思いますけれども、やはりPKO委員会で、この場でも私そう申し上げたことございますけれども、まず国連の要請というものがどういうものであるか、それから法律上できるかどうかという問題、それから三つ目は、そういう活動をすることについての国内におけるあるいは国外における世論と申しますか、そういうことも考えながら慎重に政府として検討してまいるべきことであろうというふうに考えてございます。
○伊藤(英)委員 次に、日米関係の問題について総理にお伺いいたしますけれども、今いわゆる日米摩擦ということが大変な状況になっていると私は思います。最近の日米関係は、そういう意味では極めて深刻な状況にあるというふうに考えられます。先般も中京大学の学長が殺害されたり、あるいは不動産会社の社長が殺害されたり、あるいは日系人センターが襲撃されたりとか、こうしたこともこのいわゆるジャパン・バッシングと無関係ではないだろう、こういうふうに思います。今は、時々聞こえるのは、アメリカにいる日本人あるいは日系人が大変な恐怖感すら持っているという話も聞きますし、先日のテレビである人が言っておりましたけれども、今こういう時期にアメリカに行きたくありませんという話をしたりもしておりました。
 きのうの新聞には、特集記事のような大きな記事が載っておりまして、ここ一カ月、全米のあちらこちらで、日本の政治家たちのアメリカ労働者批判発言が引き金となって日本非難あるいはバイ・アメリカン運動が広がっている旨の、そういう大きな記事が出ておりました。そのときのタイトルは「怠け者発言ひき金」というのがありました。私はなかなか大変な状況だと思うのですね。いわば両国の関係改善を最もすべき政治家、私たちもちろん含めてでありますけれども、そうした者が、特に総理の発言もこの大きな、何というか、いわゆる関係改善をすべき立場が、逆に今は結果としては深刻な状況をつくり上げているということだと私は思うんです。
 だから、そういう意味では非常に残念でありますし、先週というか今週の日曜日だったでしょうか土曜日だったでしょうか、ソニーの盛田会長もアメリカから帰ってこられて、それでアメリカのある空港におりたら、すぐインタビュアーが自分のところに来てマイクを突きつけて、最初にぱっと質問したのは、アメリカの労働者はレージーなんだろうか、アメリカの労働者は怠け者なんですかという質問をしたりということですね。私は非常に残念だと思うんです、
 きょうのこれは夕刊にも出ておりますが、たしかこれはきのうのCNNか何かでやったんじゃなかったかと思うんですが、「日本人の頭上にキノコ雲巻き起こせ!!」という記事が載っております。これはアメリカの上院議員が、これを読みますと「(連中の頭上に)キノコ雲を巻き起こし、その下に「怠け者で、字も読めない米国労働者によって米国で製造され、日本で実験された」と書き込んでやろうではないか」というふうに述べたようであります。要するに、いわばああしたことが引き金となってアメリカで全国的な形でこれが広がってしまったということだと私は思うのです。
 そういう意味で、総理は今のこの状況をどういうふうに認識をされて、そして総理みずからどのように責任を感じられるか、ちょっとお伺いいたします。
○宮澤内閣総理大臣 私の発言はこの委員会の席上におきまして武藤委員のお尋ねにお答えをいたしましたので、これは速記録にも残っておりますし、お聞きい。ただいたとおりでございます。それがどうしてそのような誤解に発展いたしましたかは、私にわかりません。一度だけ、それは誤解であるということを外務省の報道官から言ってもらいましたが、後はもう沈黙をいたしております。ということは、もともと申す必要のない、まあ国会のお尋ねですからお答えはしなければならなかったのですけれども、そういうことはあれこれ申しましてもかえって事をこじらせるだけでございますので、私はもうこれについては何も申さないことがいいというふうに思っております。
○伊藤(英)委員 なかなか難しいものでありまして、先日、私はこれはNHKのテレビで見て、中身がアメリカのABCのニュースのことでありました。したがって、アメリカのABCの方にも確認をいたしましたけれども、アメリカのABCでは二月の二十日に放映をしたそうでありますが、日本の政治家がなぜあれほど謝罪するのかということを、そういうような内容の特集をやっておりました。最初の画面は、この間の冬季オリンピックの伊藤みどりさんの失敗した後の、済みませんでしたという話で始まりましたけれども、すぐその後は、総理のこの米国の労働者に対する謝罪の問題、あるいは韓国でのいわゆる慰安婦問題での謝罪の問題等を報道をして、そしてそのときに、本当に本気で謝罪をしているんだろうか、本当にそうなんだろうか、日本人がどんなによくごめんなさい、ごめんなさいというのをやるのかというようなことを、特集でやっておりました。
 私、そういう報道あるいはそういう特集がされること自身も非常に今残念な気はするのですが、いろいろ謝罪の仕方というのはある意味ではなかなか難しいのかな、こういうふうに思うのですが、総理、御感想ありますか。謝罪の仕方についてですね、アメリカのABCテレビなんかでも、日本はこんなにも多く謝罪をするのかと言って、総理の状況を報道をされておりました。
○宮澤内閣総理大臣 国会で申し上げましたことがそういう誤解になったのは残念なことだと思います。
 それから、韓国の慰安婦の問題は、私は、韓国の大統領に対しまして遺憾の意を表しました。
○伊藤(英)委員 今の日米のこういう、非常に感情的になっている部分も強いと思うのですけれどもね。あるいは、マスコミの報道の仕方にもいろいろ問題も私はあると思うのですが、しかしともかく、今たまたま大統領選というような状況もあるかもしれませんが、しかしそうとばかりも言えない部分もあるのだろうと思うのですね。
 それで、これからどういうふうにしたらよくなるのだろうかということをいろいろ思うのですが、例えば、近いうちに総理が訪米されて、向こうのテレビなんかにも出られでいろいろ考え方を述べるとか、そういうようなこともできれば私は急いだ方がいいのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうかね。
○宮澤内閣総理大臣 もとが誤解だったと思いますので、私は何も言わない方がいいと思います。
○伊藤(英)委員 今韓国の、例えば慰安婦問題とかいろいろな問題が出たりしているのですが、本日はその問題を議論するつもりはないのですが、私は最近非常に思うのは、日本の外交ということを考えたときに、日本とアジアのそれぞれの国との信頼関係というのが、なかなか強固なものにならないなという気がしてならないのですね。何となく彼らから見ても、日本はいつもアメリカを見ているとかあるいはヨーロッパを見ているという意見が結構出されますね。それで私は、アジアのそれぞれの国との間の協力関係、意思疎通をもっとよくすることを常に心がけるべきではないのだろうか、こういうふうに思うのです。
 そういう意味で、マレーシアのマハティール首相の言っているいわゆるマハティール構想というようなものは、私は非常に耳を傾ける価値のある話ではないかという気がするのですが、政府としてはどのように考えられますか。
○渡辺(美)国務大臣 アジアではAPECというのがございまして、それにはマレーシアも当然加入をしておるれけでございます。ただ、この間は残念ながら外務大臣が出席しなかったという事実関係はあります。やはりしかし、アジアだけで固まってやろうというようなことであったのでは、さなきだに日米関係等がこのような関係に今あるわけですから、排他的なふうにとられると日本にとっても困る問題でございます。別にマハティール構想についてとやかく言いませんけれども、我々としては、開かれた構想でなければ日本としては参加しにくいということは申し上げております。
○伊藤(英)委員 先日も文芸春秋だったでしょうかね、マハティール首相との対談がかなり長文のものが出ておりまして、私もそれも読んでみながら一層思ったのですが、結構あれは開かれたものではないかなという気もいたします。もちろんAPECの方も、これは私は非常に重要だと思うし、いわばいろいろな形があっていいのだろうという気がいたします。
 これは、例えば今度のカンボジアの和平あるいはそれへの協力の問題にしても、いろいろな問題をそういう周辺の国々と相談をしながら進めるということが非常に日本にとっては重要でありましょうし、お互いが協力をしてお互いが発展をしていこう、アジアの国々が日本も含めて発展していこうという、そういう姿勢が非常に重要だろう、こう思うのですね。いかがですか。
○渡辺(美)国務大臣 マハティール構想が、ASEANの中で域内の貿易関係がもっとやりやすくなるように、関税または非関税障壁等をだんだん少なくし撤廃していくというようなことでおやりになることは、大変結構なことだと我々は思っておるわけであります。しかし、当初の問題として、日本も入れて、そこで、まずそれだけでやろうということになりますと、いろいろやはり問題があって、日本だけじゃなくその他の国にも難色を示すものがあるわけですから、我々はASEANの中で今後どういうふうなことでやっていくのか等を見きわめながら検討をしてまいりたいと思います。
○伊藤(英)委員 時間も参りましたので、最後に総理に、今私が申し上げたような意味で対アジア外交といいましょうか、この辺の基本的スタンス、これからどういうふうに信頼醸成を図っていこうとされるのか、最後にお伺いして、質問を終わります。
○宮澤内閣総理大臣 やはりこれからの我が国、二十一世紀を展望いたしますと、何といってもアジアの国々との信頼関係、日米の信頼、そういうことが我が国にとって一番大事なことであろうと思います。アジアの国々とはますますお互いの理解を深めてまいらなければならない、当然のことと思っております。
○山村委員長 これにて伊藤君の質疑は終了いたしました。
 次に、楢崎弥之助君。
○楢崎委員 七分しかございませんから、二問に絞りたいと思います。
 第一番目は、宝塚市蔵人手深谷というところに、社団法人宝塚ゴルフ倶楽部というものがあるそうであります。それについて、以下述べるような陳情がありましたのでお伺いをしておきます。
 この宝塚ゴルフ倶楽部は、敷地の中に十六カ所の宝塚市の市道、二番目に、四十八カ所の里道、三番目に、当該地域を流れる逆瀬川の河川敷のかなり広大な部分が含まれておる。その総面積は約百万平方メートルにも及ぶと推定される莫大な国有財産が含まれていると言われております。
 その国有財産の法的関係は一体どうなっておるのかというのをお伺いしたいわけであります。
 この国有地は、主として昨年三月五日、十二日、十三田にわたって、社団法人宝塚ゴルフ倶楽部として現実に占有、使用されておるそうであります。もちろん社団法人宝塚ゴルフ倶楽部は国有地の払い下げも受けていないし、賃貸あるいは使用貸借契約も行われていないのに、勝手にゴルフ場として造成、整地をしてしまって、国有地との境界もほとんど不明確になってしまっておるそうであります。
 もし以上のことが事実であれば、その法的処理は一体どうなっておるのであろうか。処理いかんによっては、公正証書原本不実記載等、刑法第百五十七条、同行使罪、刑法第百五十八条に該当する問題が起こってくる。次に、これは膨大な国有財産の強奪、すなわち侵奪行為、刑法第二百三十五条ノ二、不動産侵奪に該当する重大な犯罪行為ではないのか。そのような犯罪がどうして可能になったのでありましょうか。
 もしこの宝塚ゴルフ倶楽部と関係諸官庁、すなわち建設省の道路局、同大臣官房会計課、同河川局、大蔵省近畿財務局神戸財務事務所、兵庫県土木部、宝塚市建設部、西宮市企画局都市計画部等々が関係の諸官庁でありますが、それとこのゴルフ場との癒着やなれ合いがもしあって、まさかとは思いますけれども、そこに贈収賄的な問題が介在しておれば、そういう不法や不正行為によって造成されておるとしたら、これは極めて重大な問題であります。
 宝塚ゴルフ倶楽部とその隣接市との境界線、これと関連する西宮市及び宝塚市との間の境界線は現在一体どうなっておるのかという問題があります。この国有財産の評価は数千億に上るものと推定されます。もしそうならば、リクルートや共和や佐川疑惑どころの問題じゃない。このような国有財産侵奪が本件のみならず全国的規模において存在する疑いも十分あるのであります。もしそれを全国的な被害として推定するならば百兆円に及ぶであろう、土地鑑定士はこういうことも言われておる。笑い事ではありません。財政窮迫の現在におきましてこのようなことを看過、放置することは国家的な重大問題ではないのか。
 そういう意味におきまして、これは非常に複雑な問題でございますから、どうぞ建設大臣においては、きょうは時間もございませんから、事実関係及び、もし事実であればどうするのか、対応策を書面をもって一般質問の終わる十日までにできれば私のところに回答いただければと、このように思います。
 次に、防衛庁長官、簡単ですから。
 私も去年普賢岳へは行きましたよ。それで大変自衛隊のお世話になりました。装甲車にも乗せていただいて禁止区域も入った。私はこの場でその御苦労をねぎらい、称賛をいたしました。
 ところが、これ、災害出動でしょう。島原市から一億六千万出させております。深江町から五千万円出させておる。一体これは何ですか。どうして国が出さないのです。予備費もあるでしょう。恐らく、長崎県の新規防災計画の中に経費負担区分というものをつくっておる、それから出しておるに違いない。そういうことをなぜさせるのですかというのが私のお願いです。ただでさえ自治体は困っておるのに何を一体やっておるのですか。それについて御答弁をいただきたい。両大臣にお願いします。
○山崎国務大臣 お答えをいたします。
 当社団法人宝塚ゴルフ倶楽部は、大正十五年の八月七日に開設をされておりまして、非常に古いものでございます。今日までのいろいろな歴史的な経過があると存じますが、その点はよく承知をいたしておりません。ただ、先生の御指摘のような疑惑めいたことはないと確信をいたしております。
 そこで、現時点でわかっていることだけ申し上げますと、この敷地内には、御指摘のとおり、河川、里道、水路等の国有財産が約五ヘクタール程度あると報告を受けております。その中には、現に機能している普通河川の逆瀬川も相当程度の面積で存在しているということでございます。兵庫県におきまして国有財産の境界画定に係る作業を進めていると聞いておりまして、この結果を待って、存置の必要のないものにつきましては用途廃止手続をとるなど適正な処理をいたさせたいと考えております。
 追って詳しい調査をいたしまして、先生のところに事務方を説明に出頭させます。
○宮下国務大臣 御答弁申し上げますが、先ほど先生おっしゃられたように、島原市一億六千万、深江町五千万ということで御指摘がございましたが、そのような金額ではございません。そして、金額は、今私の方でかかった費用を大体聞いてみますと、島原市で七千八百万円くらい、それから深江町で六十二万円くらいのようでございますが、この問題は、災害対策基本法に基づきまして都道府県知事があらかじめ地域の防災計画というのを定めることになっております。それで、御承知のように災害対策基本法の四条でその総合調整を行うことに知事が権限が与えられております。その総合調整の中で経費負担の調整をやっておるものでございますが、多くの県でこの各県の防災会議によりまして地域防災計画というのがいわばレディーメードでつくられておりまして、その中には、次の事項について通常派遣を受けた市町村側の負担とするということが書かれておりまして、派遣部隊の救援活動に必要な資材及び機材等の購入、借り上げまたは修理費とか、あるいは災害の派遣部隊の宿営に必要な土地建物等の借り上げ料あるいは派遣部隊の宿営及び救援活動に伴う光熱水料、くみ取り料、電話及び入浴料等、無作為による損害の補償等、こういうように定型的に大体書かれているのが例でございまして、現物支給によって行われるというものでございまして、私の方で特にこれを要求しているものではございません。
 ただ、調整の場合に、現地の、四師団でございますが、あそこに派遣しているのは。四師団長と、それから具体的には、それは災害派遣命令者が四師団長です、それと知事との間で協議して定めることになっておりますが、恐らく財源的には交付税なりなんなりで地方が買って、そして、地域ごとに災害で必要なものは違いますから、それを現物支給受けて自衛隊が災害救援に協力する、こういう建前になっておるようでございます。
○山村委員長 これにて楢崎君……(楢崎委員「要求してないなら御遠慮なさったらどうですか、それだけは言っておきます。要求していないんだったら御遠慮されたらいいんじゃないですか」と呼ぶ)これにて楢崎君の質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして、内外経済についての集中審議は終了いたしました。
 次回は、明五日午前十時より委員会を開会し、一般質疑に入ります。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後六時三十二分散会