第126回国会 本会議 第21号
平成五年四月二十日(火曜日)
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 議事日程 第十五号
  平成五年四月二十日
    午後一時開議
 第一 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第二 社会福祉・医療事業団法及び沖縄振興開発金融公庫決の一部を改正する法律案内閣提出、参議院送付)
 第三 農業災害補償法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第四 土地区画整理法及び都市開発資金の貸付けに関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第五 国際的なコスパス・サーサット計画との地上部分提供国としての提携に関する通告の書簡の締結について承認を求めるの件
 第六 国際移住機関憲章の締結について承認を求めるの件
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○本日の会議に付した案件
 日程第一 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第二 社会福祉・医療事業団法及び沖縄振興開発金融公庫法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 日程第三 農業災害補償法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第四 土地区画整理法及び都市開発資金の貸付けに関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第五 国際的なコスパス・サーサット計画との地上部分提供国としての提携に関する通告の書簡の締結について承認を求めるの件
 日程第六 国際移住機関憲章の締結について承認を求めるの件
 環境基本法案(内閣提出)及び環境基本法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)並びに環境基本法案(馬場昇君外二名提出)の趣旨説明及び質疑
     午後一時二分開議
○議長(櫻内義雄君) これより会議を開きます。
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 日程第一 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第二 社会福祉・医療事業団法及び沖縄振興開発金融公庫法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
○議長(櫻内義雄君) 日程第一、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案、日程第二、社会福祉・医療事業団法及び沖縄振興開発金融公庫法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。厚生委員長浦野烋興君。
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 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案及び同報告書
 社会福祉・医療事業団法及び沖縄振興開発金融公庫法の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
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    〔浦野烋興君登壇〕
○浦野烋興君 ただいま議題となりました二法案について、厚生委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 まず、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案は、戦傷病者、戦没者遺族等の処遇の改善を図るため、障害年金、遺族年金等の額を恩給の額の引き上げに準じてそれぞれ引き上げるとともに、戦没者の妻及び父母等に、改めて国債による特別給付金を支給しようとするものであります。
 本案は、去る二月二十二日付託となり、四月七日に丹羽厚生大臣から提案理由の説明を聴取し、同月十四日の委員会において質疑を終了いたしましたところ、自由民主党より施行期日についての修正案が提出され、採決の結果、本案は修正案のとおり全会一致をもって修正議決すべきものと決した次第であります。
 次に、社会福祉・医療事業団法及び沖縄振興開発金融公庫法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案は、老人訪問看護事業の普及を図るため、社会福祉・医療事業団及び沖縄振興開発金融公庫が、指定老人訪問看護事業を行う医療法人その他政令で定める者に対し、必要な資金を貸し付けることとする等の改正を行おうとするものであります。
 本案は、去る四月九日参議院より送付され、同日付託となり、同月十四日に丹羽厚生大臣から提案理由の説明を聴取し、同月十六日の委員会において質疑を終了し、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 なお、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
 以上、御報告を申し上げます。(拍手)
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○議長(櫻内義雄君) 両案を一括して採決いたします。
 日程第一の委員長の報告は修正、第二の委員長の報告は可決であります。両案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(櫻内義雄君) 御異議なしと認めます。よって、両案とも委員長報告のとおり決しました。
     ――――◇―――――
 日程第三 農業災害補償法の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(櫻内義雄君) 日程第三、農業災害補償法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。農林水産委員長平沼赳夫君。
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 農業災害補償法の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
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    〔平沼赳夫君登壇〕
○平沼赳夫君 ただいま議題となりました農業災害補償法の一部を改正する法律案につきまして、農林水産委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、最近における農業事情の変化等にかんがみ、農業災害補償事業の健全な運営に資するため、共済事業のてん補内容の充実、一定の要件を満たす法人格を有しない団体に対する組合員資格等の付与、農業共済組合等の負う共済責任の範囲の拡大、共済掛金に係る国庫負担の方式の合理化等の措置を講じようとするものであります。
 本案は、去る三月十一日本委員会に付託され、四月七日田名部農林水産大臣から提案理由の説明を聴取し、四月十三日及び十四日の両日にわたり質疑を行いました。
 四月十四日質疑を終局いたしましたところ、本案に対し、日本共産党から、共済掛金国庫負担方式の合理化に係る改正規定を削除する修正案が提出され、政府の意見を聴取いたしましたところ、修正案に反対である旨の発言がありました。
 次いで、採決いたしました結果、修正案は少数をもって否決され、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 なお、本案に対し附帯決議が付されました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
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○議長(櫻内義雄君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(櫻内義雄君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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 日程第四 土地区画整理法及び都市開発資金の貸付けに関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(櫻内義雄君) 日程第四、土地区画整理法及び都市開発資金の貸付けに関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。建設委員長野中広務君。
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 土地区画整理法及び都市開発資金の貸付けに関しする法律の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔野中広務君登壇〕
○野中広務君 ただいま議題となりました土地区画整理法及び都市開発資金の貸付けに関する法律の一部を改正する法律案につきまして、建設委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、土地区画整理事業を推進して住宅市街地の造成の促進を図るため、住宅先行建設区制度を創設するとともに、土地区画整理組合に対する資金の貸し付けに関する制度を改善し、都市開発資金により貸し付けを行うこととするものであります。
 本案は、去る二月十日本委員会に付託され、四月九日中村建設大臣から提案理由の説明を聴取し、同月十四日及び十六日の両日にわたって質疑を行い、同十六日質疑を終了、採決の結果、賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
 なお、本案に対し附帯決議が付されました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
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○議長(櫻内義雄君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(櫻内義雄君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第五 国際的なコスパス・サーサット計画との地上部分提供国としての提携に関する通告の書簡の締結について承認き求めるの件
 日程第六 国際移住機関憲章の締結について承認を求めるの件
○議長(櫻内義雄君) 日程第五、国際的なコスパス・サーサット計画との地上部分提供国としての提携に関する通告の書簡の締結について承認を求めるの件、日程第六、国際移住機関憲章の締結について承認を求めるの件、右両件を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。外務委員長伊藤公介君。
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 国際的なコスパス・サーサット計画との地上部分提供国としての提携に関する通告の書簡の締結について承認を求めるの件及び同報告書国際移住機関憲章の締結について承認を求めるの件及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
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    〔伊藤公介君登壇〕
○伊藤公介君 ただいま議題となりました両件につきまして、外務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 まず、国際的なコスパス・サーサット計画との地上部分提供国としての提携に関する通告の書簡について申し上げます。
 昭和六十三年七月、米国、フランス、カナダ及びソ連の四カ国は、極軌道衛星を用いて船舶等からの遭難信号を伝達するためのコスパス・サーサット衛星制度の長期的運用を確保することを目的として、国際的なコスパス・サーサット計画協定に署名しました。同制度は、宇宙部分、地上部分及び無線標識から成っており、同協定には、非締約国が地上部分提供国または利用国になるための手続が定められております。
 本通告の書簡は、我が国が同制度に地上部分提供国として参加することを目的とするものであり、地上部分提供国として負う責任として、宇宙部分から送られる遭難情報の受信、処理及び救助機関等への伝達のための地上部分設備の設置及び運用、遭難情報の救助機関等への伝達、所定の仕様に適合する無線標識の使用等を定めております。
 次に、国際移住機関憲章について申し上げます。
 第二次世界大戦後の欧州においては、深刻な人口過剰、難民等の問題があり、また、米国、中南米諸国等の移住受け入れ国との関係調整の必要がありました。こうした背景のもとに、昭和二十六年、欧米及び中南米の諸国は、ブラッセルにおいて移住会議を開き、暫定欧州移民移動政府間委員会を設立いたしました。同委員会は、その後、欧州移住政府間委員会と改称され、昭和二十八年には、同委員会の設立、運営等についての法的枠組みを設けるため、欧州移住政府間委員会憲章を採択いたしました。同憲章は、昭和六十二年に改正され、委員会の名称を国際移住機関と改め、憲章の名称も国際移住機関憲章となり、現在に至っております。
 本憲章は、移民、難民等について、輸送その他移住サービスの提供等を専門的に行う世界規模の国際機関を設立すること及びその運営について定めることを目的としたものであり、国際移住機関の任務、機関の予算、加盟国が支払う分担金等について規定しております。
 両件は、二月二十六日外務委員会に付託され、去る四月九日武藤外務大臣から提案理由の説明を聴取し、同月十六日質疑を行い、引き続き採決を行いました結果、両件はいずれも全会一致をもって承認すべきものと議決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
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○議長(櫻内義雄君) 両件を一括して採決いたします。
 両件は委員長報告のとおり承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(櫻内義雄君) 御異議なしと認めます。よって、両件とも委員長報告のとおり承認するに決しました。
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 環境基本法案(内閣提出)及び環境基本法の施
  行に伴う関係法律の整備等に関する法律案
  (内閣提出)並びに環境基本法案(馬場昇君
  外二名提出)の趣旨説明
○議長(櫻内義雄君) この際、内閣提出、環境基本法案及び環境基本法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案並びに馬場昇君外二名提出、環境基本法案について、趣旨の説明を順次求めます。国務大臣林大幹君。
    〔国務大臣林大幹君登壇〕
○国務大臣(林大幹君) ただいま議題となりました環境基本法案及び環境基本法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 今日の環境問題は、地球環境という空間的広がりと、将来の世代にわたる影響という時間的な広がりとを持つ問題となっております。環境問題は、二十一世紀に向けて真に豊かさとゆとりを実感できる社会の形成を目指す我が国にとって、重要な政策課題であるばかりでなく、人類の生存基盤としての有限な環境を守り、次の世代へと引き継いでいくという、人類共通の課題でもあります。
 我が国では、かつて経済の高度成長期において、環境汚染や自然破壊が大きな社会問題となり、これに対処するため、昭和四十二年の公害対策基本法の制定とこれに引き続く昭和四十五年の公害関係十四法の制定または改正、昭和四十七年の自然環境保全法の制定等により、鋭意対策の推進を図ってまいりましたが、これらに基づく対策の推進及び国民や企業の努力によって、激甚な公害の克服やすぐれた自然環境の保全については、相当な成果を上げてまいりました。
 しかし、その後の経済的発展の中で、物質的にはより豊かになったものの、大量生産、大量消費、大量廃棄型の社会経済活動が定着するとともに、人口や社会経済活動の都市への集中が一層進んでおり、そのような中で、大都市における大気汚染や生活排水による水質汚濁等の都市・生活型公害等の改善は依然として進まず、また、廃棄物の量の増大等による環境への負荷は高まっており、さらに、身近な自然が減少を続けている一方、人と環境とのきずなを強める自然との触れ合いを大切にする国民の欲求が高まりを見せております。
 また、地球温暖化やオゾン層の破壊、海洋汚染、野生生物の種の減少など、地球的規模で対応すべき地球環境問題が生じ、人類の生存の基盤であるかけがえのない地球環境が損なわれるおそれが生じてきております。昨年六月に世界の国々の首脳が集まって開催された地球サミットの成果も踏まえ、我が国としても、積極的に取り組んでいく必要があります。
 環境は生態系の微妙な均衡によって成り立っている有限なものであり、人類は、このような環境をその生存の基盤として将来の世代をも含めて共有しており、また、環境から多くの恩恵を受けるとともに、環境にさまざまな影響を及ぼしながら活動しております。このため、広く国民、ひいては人類が、環境の恵沢を享受するとともに、将来の世代に健全で恵み豊かな環境を継承することができるよう、適切にその保全を図らなければなりません。
 今やこの環境を保全していくためには、環境の保全上の支障が生じないように科学的知見を充実して未然防止を図るとともに、国民一人一人が環境への負荷が人のさまざまな活動から生じていることを認識し、すべての者の公平な役割分担のもとに、自主的に、経済社会システムのあり方や生活様式の見直しを行い、環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会を構築することが求められております。
 また、地球環境保全が人類共通の課題であるとともに、国民の健康で文化的な生活を将来にわたって確保する上での課題であること、及び我が国の経済社会が国際社会と密接な相互依存関係にあることにかんがみれば、我が国は、その経験、能力等を踏まえ、世界の国々と手を携えて、地球環境保全に積極的に取り組んでいかなければなりません。
 こうした状況を受け、環境の保全の基本的理念と、これに基づく基本的施策の総合的な枠組みを示す新しい基本法を国民的合意として定立するよう、ここに環境基本法案を提案することといたした次第であります。
 次に、環境基本法案の内容の概要を御説明申し上げます。
 第一に、環境の保全についての基本理念として、環境の恵沢の享受と継承等、環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会の構築等、及び国際的協調による地球環境保全の積極的推進という三つの理念を定めるとともに、国、地方公共団体、事業者及び国民の環境の保全に係る責務を明らかにしております。
 第二に、環境の保全に関する施策に関し、まず、施策の策定及び実施に係る指針を明示し、また、環境基本計画を定めて施策の大綱を国民の前に示すこととするとともに、環境基準、公害防止計画、国等の施策における環境配慮、環境影響評価の推進、環境の保全上の支障を防止するための規制の措置、環境の保全上の支障を防止するための経済的な助成または負担の措置、環境の保全に関する施設の整備その他の事業の推進、環境への負荷の低減に資する製品等の利用の促進、環境教育、民間の自発的な活動の促進、科学技術の振興、地球環境保全等に関する国際協力、費用負担及び財政措置など基本的な施策について規定しております。
 第三に、国及び地方公共団体に環境審議会を設置すること等について規定しております。
 次に、環境基本法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の内容の概要を御説明申し上げます。
 この法律案は、ただいま御説明申し上げました環境基本法の施行に伴い、公害対策基本法を廃止するほか、自然環境保全法等の十八法律について規定の整備を行うとともに、所要の経過措置を定めるものであります。
 以上が、これら二法律案の趣旨であります。(拍手)
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○議長(櫻内義雄君) 提出者馬場昇君。
    〔馬場昇君登壇〕
○馬場昇君 ただいま議題となりました環境基本法案について、提案の理由及びその内容の概要について説明をいたします。
 我が国は、一九六〇年代の高度成長政策以降、日常生活の質的な充実よりも生産力の更新と増大を優先させた結果として、日本列島各地に、例えば四日市ぜんそく、水俣病、イタイイタイ病、スモン薬害、カネミ油症、川崎公害など、激甚かつ悲惨な事件が続発し、公害先進国の汚名を世界にさらしたのであります。
 私が生まれ育った地に発生した水俣病は、世界の公害の原点と言われていますが、公式発見から三十八年を経過した今日においても、いまだに救済されない被害患者が多く残されております。
 その一方で、近年、いわゆる都市公害が広がっており、自動車排ガスによる大気汚染、河川環境の悪化、まずい、危ない水道水、工場や産業廃棄物による地下水の汚染などが各地に広がっているのであります。
 今日の経済社会は、我が国の環境を汚染しているばかりではありません。日本は既に世界第二位の生産力を持っておりますが、それは、世界じゅうの資源やエネルギーを輸入し消費する量が世界一という事実と連動しております。加えて、世界各地に進出している企業や資本を通じても、日本は諸外国の環境に対して相当な負担をかけているのであります。つまり、既に日本は地球規模での環境影響大国の座を占めていると言わなければなりません。
 したがって、熱帯林の減少や砂漠化の進行、地球の温暖化、動植物の種の減少、オゾン層の破壊、海洋汚染といった地球環境の危機的な状況に対して、諸外国にも増して重大な責任を果たさなければなりません。
 日本社会党がここに提案いたしました環境基本法案は、以上のような内外の状況に対応できるように、現行の公害対策基本法を本案に切りかえるとともに、自然環境保全法その他の改正を前提といたしました。またそれは、まずみずからの経済社会を改革するとともに、地球市民と協力して、地球の豊かな生命保存機能を未来に引き継ぐための環境憲法というべきものでおります。さらにそれは、一九九二年の地球サミットの宣言の趣旨に忠実な国際貢献宣言というべきものであります。
 次に、我が党案の内容について、政府案と重複している点や類似している事項を除き、政府案よりも数段すぐれている独自の内容について、簡潔に説明したいと思います。(拍手)
 本案の基本理念としては、第一に、環境のもたらす恵沢を等しく分かち合うことは、現在及び将来にわたって、すべての人間にとっての基本的人権であること。第二に、自国の中だけでなく、我が国の企業を含めたあらゆる活動が、国の内外において環境の保全に貢献しなければならないこと。第三に、人類は自然生態系の一部であるとの観点から、自然生態系及び生物多様性を守られるようにすること、以上三つを掲げております。
 また、施策の基本的な原則として、一つには環境の保全を優先させる経済社会への転換、二つには国際協力の推進、三つには軍備縮小と平和の実現、四つには住民と地方公共団体の重視、五つには最高水準の規制、以上の五点を明らかにしておるのであります。
 次に、環境の保全に関する基本的な施策について申し上げます。
 まず、環境基本計画についてであります。例えば、経済計画、全国総合開発計画、公共投資基本計画といった環境基本計画以外の国の計画が、環境保全に関しては環境基本計画を基本とすることとし、さらに政府は、環境基本計画の実施計画をも定めなければならないことといたしました。
 なお、これら計画の中心的な目標となる環境基準については、政府案は現行どおり、単に行政の努力目標といたしているのに対して、環境基準が「確保されるようにするものとする。」として、その実現のための政府の責務をより明確にいたしました。
 第二に、環境アセスメントについてであります。
 国が環境アセスメントの「制度を確立するため、必要な措置を講ずる」として、法制化を当然とした内容にするとともに、「住民の意見が反映される手続を含むものでなければならない。」ことを明記いたしました。
 第三に、情報公開義務についてであります。
 政府案では、情報公開は国の努力義務にすぎないばかりでなく、教育及び学習の振興並びに民間団体等が自発的に行う活動の促進に資するためと限定していますが、本案は、そのように限定せずに公開義務を明記し、さらに進んで事業者に対しても情報を公開するよう指導することにいたしております。
 第四に、新たな経済指標、いわゆるグリーンGNPの開発について、政府案では科学技術の振興の一環として位置づけられているだけでありますが、本案では、国がその開発を推進するとともに、経済政策の企画立案にそれを活用することにいたしました。
 第五に、住民と自治体の主体性を基本に据える立場から、あえて「住民と地方公共団体の重視」という条文を設けるとともに、法令で特に定めがなければ、条例でいわゆる上乗せ、横出しができるようにいたしました。
 次に、農林漁業を環境保全と調和したものにしようということであります。
 もともとこれらの生産活動は、自然界の生態系を維持し、保全する多面的な機能を持っています。例えば林野庁が先日発表した林業白書によると、森林の持つ公益機能だけでも、水資源涵養や大気浄化など、金額に換算すると、九二年時点で国の予算の約半分、三十九兆円と推計されています。本案は、農林漁業の持つ環境保全を初めとした公益機能をさらに強化、拡大することによって、環境保全型の農林漁業を確立する政策方向を示しております。
 以上のほかに、政府案に見られない施策の内容としては、核兵器等の解体等への国際協力、有害化学物質の規制制度、水道水源の水質保全、アイヌ民族の生活基盤としての自然環境の保全、廃棄物の国内処理、原子力発電からの脱却、交通体系の再編成などを明らかにいたしております。
 以上が本案の提案理由と内容の概要でありますが、最後に、いまだ病苦と闘う各地の公害患者のみならず、汚されていくこの自然と地球に対してその痛ましさを感じ取れる心、その痛ましさを感じ取れる心を持つことを、政界、官界、財界の首脳並びに国民各位に強く訴えて、終わりたいと思います。
 慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
 以上です。(拍手)
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 環境基本法案(内閣提出)及び環境基本法の施
  行に伴う関係法律の整備等に関する法律案
  (内閣提出)並びに環境基本法案(馬場昇君
  外二名提出)の趣旨説明に対する質疑
○議長(櫻内義雄君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。高橋一郎君。
    〔高橋一郎君登壇〕
○高橋一郎君 私は、自由民主党を代表し、ただいま趣旨説明のありました内閣提出の環境基本法案につきまして、宮澤内閣総理大臣及び林環境庁長官に質問いたします。
 まず、環境問題についての基本的な認識についてお伺いいたします。
 今日、地球温暖化やオゾン層の破壊など、人類の生存の基盤であるかけがえのない地球環境が損なわれるおそれが生じております。例えば、このまま何の対策も講ぜず、二酸化炭素など地球温暖化の効果を持つ気体を排出し続ければ、二十一世紀末までに地球の平均気温は三度高くなり、また海面が最大一メートルも上昇し、地球全体の生態系が大変化を生じたり、海岸部の人口密集地帯が水没したりすることが予想されているわけであります。
 このような状況を踏まえ、昨年六月には、ブラジルのリオデジャネイロにおいて、かつて例を見ない規模で地球サミットが開催され、百カ国を超える国の首脳を初めとする約百八十もの国々の代表による真摯な議論が闘わされており、今や地球環境の保全は、全人類にとって最も重要な課題の一つとなっております。
 一方、国内に目を転じましても、かつての激甚な産業公害の克服や、すぐれた自然環境の保全についてはかなり対策が進みましたが、自動車交通に伴う大気汚染や、生活排水による水質汚濁のような都市・生活型の公害や廃棄物の増大、身近な自然の減少などの問題が顕在化し、一層の対策が求められております。
 このように環境の保全は、国政において、緊急かつ最重要の課題の一つであります。そこで、まず最初に、環境問題についての基本的な認識について、総理の御所信をお伺いいたします。
 次に、環境基本法の制定の必要性についてお伺いいたします。
 環境の保全につきましては、昭和四十二年に制定された公害対策基本法や、昭和四十七年に制定された自然環境保全法があり、それぞれ相当の成果を上げてきております。
 今回の環境基本法の制定に当たり、公害対策基本法は環境基本法に発展的に統合廃止されるわけですが、法律の名前から公害の文字が消えるからといって、公害対策についての手が緩むことは、みじんたりともあってはならないことであり、その着実な推進、充実が必要であります。
 しかしながら、私は、先ほど述べましたように、我が国の内外にわたる今日の環境問題の特質にかんがみますと、新しい考え方のもとでの新しい施策の枠組みが必要であると考えます。また、昨年の地球サミットを受けて、我が国が世界に先駆けて環境基本法を制定し、環境政策の方向を明確にすることは、この分野における「日本の顔」を明らかにするとともに、世界の国々に対して、直面している解決困難な環境問題に取り組む勇気を与えることになると確信しております。
 環境基本法案の作成に当たりましては、昨年の春以来、宮澤総理がみずからイニシアチブをとってこられたと聞いております。そして、時あたかも、この七月には東京で先進国サミットが開かれますが、我が国の国際的役割が大きくなってきている今、この環境基本法の制定はまさに時宜にかなったものであり、今国会の会期中に早期に成立させ、速やかに新しい施策の展開を図るべきであると考えているものであります。そこで、環境基本法の制定の必要性について、総理の確固たる御所見を率直にお述べいただきたいと存じます。
 環境は、大気、水、土、岩石、鉱物あるいは動物や植物などのさまざまな自然的構成要素が、複雑で精妙な生態系のバランスを保つことによって維持されているものであり、広大無限の宇宙の中で生命をはぐくむこの青い地球は、我々人類の生存にとってかけがえのない貴重な存在であります。いわば環境は、人間にとって、その活動の器であると同時に生存の器であります。
 また、良好な環境は、人々の毎日の生活を潤いのある豊かなものとしてくれるものであります。澄んだすがすがしい空気を胸いっぱいに吸い込むことは、体じゅうが生き返るような感覚を覚えるものであり、清らかな水のせせらぎは心にしみ入るものがあり、また、繁華街の活気のあるにぎわいと同時に、住宅街の閑静な静けさもなくてはならないものであります。また、青々と茂った木々の縁は、都市の住民の目を和ませ、深山幽谷のすぐれた自然は国民的財産であります。さらに。鳥や動物、昆虫たちもそれぞれに命の営みを謳歌できる環境は、人間にとってもまた住みやすい環境であります。
 このように環境は、人間に限りない恩恵を与えてくれるのでありますが、その一方で、すべての人間の活動は、環境にさまざまな影響を与えているということに目を向けなければなりません。
 経済の成長と科学技術の発展の成果によって、国民の生活はますます便利に、かつ、豊かなものになっております。しかし、それは一方で、人間の活動による環境への影響を著しく増大させております。人間は、環境の中で活動しており、自然の生態系の一員でもあるわけですが、その環境は限りのあるものであり、今や人間の社会経済活動は、その環境を大きく破壊しかねないほどにまで大きなものとなっているのであります。
 私は、環境と人間との関係を考えるとき、人間が環境を征服するというのではなく、自然とともに生きるという、いわば東洋的な思想が大切であると考えます。
 基本法という根幹的な法律を制定するに当たっては、その基本哲学が重要だと思います。そこで、環境庁長官に、環境と人間との関係について明確な基本認識を伺いたいと存じます。
 次に、環境と経済との関係についてお尋ねいたします。
 環境と経済の関係については、とかく環境の保全のためには経済成長を犠牲にするとか、経済成長のためには環境を多少犠牲にしてもやむを得ないなどと、環境と経済とを対立するものとしてとらえ、その優先関係を論ずる議論があります。しかし、昨年の地球サミットで採択されたリオ宣言では、環境と経済とを対立するものとしてはとらえず、環境と経済の統合、あるいは持続可能な開発の達成という考え方が示されており、これが現在の世界的潮流であります。
 そのような考え方を踏まえて政府の環境基本法案はつくられているとは存じますが、環境と経済との関係について、環境庁長官に基本的な認識をお尋ねいたします。
 次に、環境の保全の進め方について、基本的な考え方をお伺いしたいと思います。
 第一に、環境というものは、一度壊してしまうと、もとどおりに戻すことは至難のわざであり、環境の破壊を未然に防止することが何よりも肝要であります。そのためには、社会経済活動に環境配慮を組み込んでいくことが必要であり、特に、環境に大きな影響を与える事業を行う場合には、あらかじめ環境への影響を評価し、その結果に基づいて環境の保全について適正に配慮することができるようにするという環境アセスメントの考え方が大切であることは論をまちません。環境基本法案においては、環境アセスメントの考え方の重要性を明確に位置づけているところであり、大いに評価したいと思います。
 また、第二に、今日の環境問題の特質は、経済活動や国民生活の多種多様な活動から、さまざまな環境への負荷、すなわち環境への影響が生じているということでありますが、この特質にかんがみますと、単に環境を破壊する行為を規制するだけではなく、国民や事業者など、各主体の自主的かつ積極的な取り組みを促進し、社会経済のあり方や国民の生活様式の見直しを推進していくよう、多様な施策を総合的に講じていくことが必要であります。
 例えば、環境への負荷の高い活動に対して経済的な負担を課することにより、環境への負荷の低減に努めることになるように誘導する経済的手法については、今後どのような制度を導入していくことが適当か、十分に検討を加えていくことが重要であります。そして、この手法は、規制的手段ではなく、自由主義経済の市場メカニズムを活用し、経済システムに環境配慮を組み込んでいくものであり、この新たな手法を用いることは国際的な大きな流れであり、我が国としても、国民の理解と協力を待つつ、これを積極的に活用していくべきであると信じます。
 また、国民総ぐるみで環境の保全を図っていくためには、国民や企業の意識改革を広げていくことが必要であります。このため、環境教育あるいは環境学習の推進が重要であり、また、環境の保全に関する社会資本の充実と同時に、民間団体の自発的な取り組みを促進していくことも大切であります。
 第三に、環境の保全のための施策は広範多岐にわたるものであり、その計画的かつ総合的な推進が肝要であります。環境基本法案には、環境基本計画を定める旨の規定が盛り込まれておりますが、経済の分野の長期経済計画、国土開発の分野の全国総合開発計画などと並んで、環境保全の分野のグランドデザインを行う計画として、環境基本計画に大いに期待したいと思います。
 政府の環境基本法案は、このような新しい考え方に基づいて、多様な施策手法の規定を盛り込んでいるようですが、ここで、環境の保全をどのように進めていかれるのか、環境庁長官にその不退転の信念をお示しいただきたいと思います。
 昨年六月の地球サミット以来、地球環境保全の議論は大きな盛り上がりを見せていますが、次に、地球環境保全に関する我が国の取り組みについて質問いたしたいと思います。
 世界の国々に目を向けますと、政治的な、あるいは経済的な不安定が続いたり、貧困や飢饉にさいなまれている国々が大変多くあります。このような地域にあっては、環境の保全について顧みる余裕もなく、またそのための技術や資金を欠きがちであります。
 我が国は、世界で一、二を争う経済大国であり、また、世界に誇る平和主義の国家として、地球環境の保全のための国際協力は、我が国が果たしていくべき国際貢献の中でも、最も重要な分野であると考えます。
 また、今や環境問題は、国境を越えて生じる全地球的な問題になってきており、これからの時代は、地球の環境を守っていかなければ、我が国の国民生活も守れず、我が国自身のためにも、地球環境の保全のための努力を、世界の国々と手を携え、そして、世界の国々に率先して、積極的に推進しなければならないと考えます。
 そこで、地球環境保全に対する取り組みについて、環境庁長官の率直な御所見をお聞かせいただきたいと存じます。
 環境の保全は、国民的、ひいては全人類的課題であり、政府においては、ひとり環境庁の任務であるにとどまらず、政府全体において、最重要課題の一つとして取り組むべきものであると考えます。
 私は、昭和四十五年の公害国会のころに、東京都議会で、公害対策関係の委員会の委員長をしており、公害防止条例の抜本的な改正を行うなど、光化学スモッグや河川の著しい水質汚濁の問題を初め、当時の深刻な公害問題に取り組みましたが、今日においても、窒素酸化物による大気汚染など、二十数年を経過しても一向に改善されていない問題があります。これらの環境問題に対して、新しい発想に立った環境基本法のもとで、一層の対策の推進を切に願うものであります。
 そこで、宮澤総理に、政府を代表して、人類の福祉への貢献と、現在及び将来の国民の、健康で文化的な生活の確保という意味を込めまして、環境の保全に対する御決意の御披瀝をお願いいたしまして、私の質問を結びます。ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕
○内閣総理大臣(宮澤喜一君) 今日の環境問題は、地球環境という空間的な広がりと、将来の世代にわたる影響という意味で時間的な広がり、その二つを持つ問題になってまいりました。環境問題は、二十一世紀に向けて真に豊かさとゆとりを実感できる社会の形成を目指す我が国にとりまして、重要な政策課題であるばかりでなく、人類の生存基盤としての有限な環境を守り、次の世代へと引き継いでいくという、人類共通の課題でもあると思います。
 環境問題への取り組みのためには、国、地方公共団体、事業者、国民、それぞれ自分の立場と責任を自覚し、公平な役割分担のもとに、自主的かつ積極的に経済社会システムのあり方や生活様式の見直しを行い、環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会をつくっていくことが最重要であります。
 もとより環境問題は、世界が手を携えて解決すべき課題でありまして、昨年の地球サミットにおいて、世界は、地球環境時代にふさわしい新たな努力を約束いたしました。地球環境に大きなかかわりを持ち、また環境の保全に関するさまざまな経験と能力を持っております我が国としては、国際社会において率先して役割を果たしていかなければならないと考えております。
 我が国の環境保全に関する基本的な法制度としては、公害対策基本法及び自然環境保全法があり、これらのもとでかつての激甚な公害の克服、またすぐれた自然環境の保全についてかなりの成果をおさめてまいったと思います。
 しかしながら、その後になりまして大量消費、大量廃棄型の社会経済活動の定着、あるいは人口、社会経済活動が都市へ集中するといったようなことがありまして、いわゆる都市・生活型公害問題の改善は依然として進んでおりませんし、より一層の対策が求められております。その一方で、地球温暖化、オゾン層の破壊、野生生物種の減少等のいわゆる地球環境問題への対応の必要性が高まり、我が国内における対策とともに、国際協力、国際的連携による対応が必要とされているわけであります。
 以上のような今日の環境問題に対しまして適切に対応をし、環境の恵沢を現在及び将来の国民が享受していきますためには、社会全体を、環境への負荷の少ない持続的発展が可能なものになるように変えていくことが必要であります。そのための環境保全に関する各般の施策を総合的、計画的に進めていく枠組みといたしまして、今回、環境基本法を御提案申し上げた次第であります。
 私も高橋議員のお考えと同じように、環境の保全は、国民的ひいては全人類的な課題であり、現在及び将来の国民の幸せの確保と人類の福祉への貢献のため、政府全体において、最も重要な課題の一つとして取り組むべきものと考えております。この環境基本法案を今国会で十分御審議賜りました上に、早急に成立をさせていただきまして、ここに盛り込まれた新しい基本理念、施策の方向性のもとで積極的な施策を展開してまいりたいと考えております。
 残りのお尋ねに対しましては、関係大臣からお答えを申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣林大幹君登壇〕
○国務大臣(林大幹君) 高橋先生の御質問にお答え申し上げますが、最初に、環境と人間の関係いかんという、こういう御質問でございましたが、この点につきましては、先生御自身が御指摘いたした考え方と、私は全く一致しておることを申し添えたいと思います。特に、環境基本法案の第三条に書かれているように、環境は、生態系が微妙な均衡を保つことによって成り立っているということは、すべての人々が同じ御認識を持っていただける問題であろうと思います。その中で、人間の活動に対しましても、ある程度の深さというものはございますけれども、しかしそれは限られたものであるということで、人間の活動による環境への負荷がこれからの人類の存続にかかわるおそれが非常に大きくなってきておりますので、その基盤を損なわないようにすることがまず第一義でございます。
 環境と人間の関係を深く考えますと、人間は生態系の一員であるということであるとともに、あらゆる生命の生存基盤としての有限な環境を守り、これを次の世代に引き継いでいくということが、現代に生きる我々に課せられた使命であることを痛感するものであります。私は、生命を持つものが生きとし生けるその中で、お互いに慈しみ、そしてお互いに相手を尊重し合いながらそれを進めることが環境行政の基本であるという信念を持っております。自然は人間に大変な知恵を授けてくれておりますが、その知恵が人間の欲望に転化されるときには、環境は破壊されていきます。しかし、その知恵が環境とともにお互いに栄えていこうとする人間の良心から生まれれば、私は、人間が環境をつくっていくすばらしい旗手になれると思っております。そういう意味で、人間の大事さということを、環境の大事さとともに、さらに人間の大事さを痛感するものであります。
 次に、環境と経済の御質問でございますけれども、これはただいまも総理からもお触れになりましたけれども、昨年六月の地球サミットで「環境と開発に関するリオ宣言」が採択されております。環境と経済の統合あるいは持続可能な開発の達成という考え方がこの中で明瞭に示されておるわけでございますが、この考え方を受けまして、昨年の十月の中公審あるいはまた自環審などの答申においても、先進国としては、これまでの生産と消費のパターンを見直さなければならない、そして持続可能な、環境負荷の少ない経済発展を目指すことが必要である、我が国としても、特に資源やエネルギー等の面において一層の効率化を進めて、物の再使用や再生利用をさらに組み込み、そして使い捨てとか、あるいは今までのむだな生活慣習を見直すというようなことが痛切に今考えられるようになってきておりますが、その内容の変化を伴いながら、健全な経済の発展を図ることが環境負荷の少ない経済社会の構築であろう、このような考えを持つものでございます。
 特に環境基本法案におきましては、この答申の考え方を踏まえまして、経済と環境とがお互いに敵対するものではなくて、対立するものではなくて、これを両立する形に持っていくべきではないか。そういう意味で統合という言葉が出てくるわけでありますけれども、私は、そのような経済の発展を図るということが、これからの環境対策の中で非常に重要な要素になろうと思っております。なお、先生御指摘の環境の保全の進め方をどうするのか、こういう御質問でございました。先生御指摘のように、環境は、一度破壊しますと、なかなかこれをもとに復元することは容易ならぬ努力であります。費用のかかる面もありますし、さらに費用だけではなくて、心のすさんだ人間の姿をまざまざとそこに見るというような、そのようなことからも、これは大変重大な問題でございますので、環境保全上のことが、それを未然に防がれることを行うことを私どもは一番のもとにしなきゃならないという、その肝要性を十分に認識するものであります。
 それからまた、従来の規制すればよろしい、取り締まればよろしいというその規制的手段を、そういうものを中心にした体系では、これからの環境対策は不十分であるということがはっきりいたしましたので、ここに環境基本法案の提案をさしていただいた次第でございますけれども、そのような意味からも、社会経済のシステムのあり方や生活様式を改めて見直さなきゃならない、そしてまた、社会全体が環境への負荷を少なくする、そして、これからも後の世代にわたる持続的な発展を可能にする、そのようなことがこれからの対策では非常に重要であるということが痛感されるわけでございます。
 社会資本の整備、あるいはまた環境の保全に関するもろもろの施策、環境への負荷の少ない製品の利用の促進、あるいは先生もお触れになりました環境教育や学習の推進、民間団体の自発的活動の促進、また、地球環境保全等のための国際協力、多様な、いろいろな手段、政策を盛り込んだ体系となって今度の基本法はございますけれども、しかし、そういう中でも環境影響評価、あるいは今後の経済的な措置をどうするかということもあわせて大事な問題になってきております。
 第三に、基本法の十三条にも規定されておりますとおり、環境を公害とか自然環境といったような分野別にとらえるのではなくて、総合的にこれをとらえまして、非常に広い範囲の、しかも多方面にわたるいろいろな施策を相互に組み合わせなければならない。そのような総合的な計画性を持つことが大事になってきておりますので、この基本法を成立させていただきました暁には、国民各層や、またそれぞれの事業主、政府、各省庁等の協力を得て、一層環境保全の効果を図るように努力したいと思っております。
 なお、地球環境保全に関する我が国の取り組みをどうするのかという先生の私に対する最後の御質問でございますけれども、申すまでもなく、人類が生存する基盤というものが環境にあるということを今日ほど強く意識されることはございません。その上で、我々はこの限りある地球環境の中で、持続可能な開発を目指していく経済社会を形成していかなければならない。そしてまた、そのような高度な経済活動の営みの中から、地球環境に大きなかかわりを持つ環境保全の分野で、豊かな経験とすぐれた技術を持っておる我が国としては、地球環境保全を国際貢献の主要な柱としたいという決意を持っております。
 国際社会における積極的な役割を果たすことも、地球環境を保全するという大きな命題の中において、初めて私は、それこそ世界じゅう、国境を越えて大きな力を発揮できるものではないかという信念を持っております用地球環境担当の大臣としての立場からも、このことは痛切に感じておることでございます。
 以上をもちまして、答弁にかえます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(櫻内義雄君) 時崎雄司君。
    〔時崎雄司君登壇〕
○時崎雄司君 私は、日本社会党・護憲民主連合を代表して、ただいま政府から提案されました環境基本法案及び環境基本法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案、これに関し質問いたします。
 その前に、宮澤総理、月末首脳会談、大変御苦労さまでした。そこで、先日の宮澤・クリントン会談を初め、両国首脳の会談の概要とその結果について、冒頭、御報告いただきたいと存じます。
 さて、環境政策の基本として、今何が問われているかといえば、私は、次の三点に集約されるのではないかと思います。
 その第一は、環境保全と経済発展の関係を、したがってまた、環境保全行政と開発行政との関係をどう変えていこうとするのか。第二は、地球環境を守るために国際社会の中でどのような役割を果たそうとするのか。そして第三は、住民や自治体に対してどのような支援策を用意するのか。以上、三つの問題について、順次お尋ねをいたします。
 まず、環境と経済の関係についてであります。
 政府案は、「環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会の構築」を目指すとしています。これが一体どんな社会なのか、極めてわかりにくいのであります。社会党案のように、ずばり「環境の保全を優先させる経済社会への転換」を意味しているのか、それとも個々のケースごとに環境と経済の調和点を探ろうとするそのような程度のことなのか、総理、この際、明確にしていただきたいと思います。
 具体例でお尋ねいたしましょう。環境アセスメントについては、環境庁は建設省など関係官庁に迫られて、法制化をしないという覚書を交わしたと一部で報道されております。環境庁はすぐにこれを否定しました。そのような事実がなかったとするならば、日本がいまだに環境アセスメント法を持たない例外的な先進国であるという現状からいよいよ抜け出せる日も近い、このように期待してよいのかどうか、総理にはっきりさせていただきたいと思います。
 法案の立案過程で、政府は通常、法令協議とか合い議と言われる関係省庁間の調整を行い、省庁間で異論の多い問題の場合、その結果は文書で残されるのが通例であります。それは、公の機関同士が法令の解釈、運用をめぐって確認し合ったものであり、その施行、運用に当たって、事実上の根拠となる文書であります。つまり、意思決定過程の文書であっても、それが公務執行上の実質的な根拠である以上、当然公開されなければなりません。総理、いかがでしょうか。
 ところで、環境庁、経済企画庁、農林水産省が共同で取り組んでいるいわゆるグリーンGNP、すなわち、環境が経済から受ける影響及び経済に与える恵沢を総合的に評価するための方法であります。これを経済政策に早く活用できるようにする必要があると考えますが、いかがでしょうか。
 さらに、国土利用計画や全国総合開発計画を環境基本計画と整合させるとすれば、人口が際限なく大都市に集中することに歯どめをかけなければなりません。総理、いかがでしょうか。
 大都市の電力需要を賄うため、既に広域的な供給体制がしかれています。また水資源についても、例えば熊本県南部の八代市に河口を持つ球磨川から水をパイプで福岡県に運ぶ案、首都圏の水源として信濃川から利根川上流に流す案、栃木県から茨城県を流れる那珂川の水を霞ケ浦経由で利根川に流すことで首都圏に供給する事業などがあります。このように、超広域的な水利用を前提にすれば、大都市への人口集中がまだまだ進むことになり、また、水源地がこのように生活の場から遠のくばかりでは、この環境保全は一層困難になると言わなければなりません。せめてこのようなことはやめさせて、河川の供給可能水量を超えない範囲で住み分けるような原則を打ち立てることができないのでしょうか。総理並びに厚生大臣にお答えいただきたいと思います。
 次に、国際社会における役割についてであります。
 国際社会における日本の位置は、資源エネルギーの最大輸入国ということから見て明らかなように、地球環境にとって最大の迷惑国と言わなければなりません。その反省に立って、国内の大量生産と大量消費のあり方を抜本的に見直すとともに、資源の節約その他によって最大限の国際貢献を果たそうとするのは当然のことでありましょう。
 ところが、地球環境の保全について政府案は、「人類の福祉に貢献するとともに国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。」とし、社会党案よりも限定的で狭い概念になっております。つまり、国民の生活に直接関係しない問題や、国際的に日本との関係の薄い地域の問題には極力手を出さない、極めて消極的な態度になっているのであります。環境庁長官、外務大臣、今国際社会から日本に期待されているのは、この程度のことなのでしょうか、それぞれ御見解を伺いたいと思います。
 また、日本の企業や資本が世界じゅうで大々的に事業活動を展開しているときに、事業者の海外活動における環境配慮義務を明記しなかったことは、とても納得ができません。その理由について明らかにしていただきたいと思います。
 ところで、政府は今、食糧の残留農薬基準や食品の表示基準の改定作業を進めておりますが、これはアメリカを初め食糧輸出国の要請を受けた規制緩和の方向であります。これに関して社会党案では、規制・基準の国際的レベルの向上への貢献を言うばかりでなく、あえて「最高水準の規制」という条文を設け、「我が国の国際社会における地位にかんがみ、環境の保全のため」の「基準及び」「規制については、」「効果が最大限発揮できるようなものにしなければならない。」としております。政府案は、なぜこのような態度を明確にできなかったのでしょうか、その理由を伺いたいのであります。
 次に、住民及び自治体に対する支援についてであります。
 住民と自治体を重視する社会党案では、「環境の恵沢を等しく分かち合うこと」が「基本的人権である」としておりますが、政府案では「環境を健全で恵み豊かなものとして維持することが人間の健康で文化的な生活に欠くことのできないものである」として、いわゆる生存権の一部に含まれるという立場を示すにとどまっています。これは一体どのような事情によるものなのか、お答えをいただきたいと存じます。
 また、欠かすことのできないのが行政 企業の情報の公開であります。これについて政府案は、第一に、国の努力義務を定めたにすぎません。第二に、「教育及び学習の振興」と、「民間団体等が自発的に行う」「活動の促進に資するためこと限定をし、さらに「個人及び法人の権利利益の保護に配慮」といった二重の条件をつけております。そして第三に、事業者に対し情報の公開を指導する根拠条文が見当たりません。なぜこのようなことになったのか、納得のいく答弁を求めたいと思います。
 次に、以上を総じて、政府案が実施されると、一体何がどのように変わるのかという基本的な問題であります。政府案の実効性の度合いをはかるため、環境基本計画やそれと整合するはずの他の計画が果たしてどのようなものになるのか、また、これらの計画を達成するためにどのような手段が用意されているかについて、はっきりと示していただきたいのであります。
 政府案は、公害防止計画については、従来の公害対策基本法と同じく、その「達成に必要な措置を講ずるように努める」としています。しかし、新たな環境基本計画の方は、これを実施する手段について、全く何も示しておりません。社会党案の場合、国の経済や開発に関連する計画は、環境の保全に関して環境基本計画を基本とするように定めており、さらにまた、環境基本計画の実施計画を定めることをも政府に義務づけておるのであります。政府は、このような実施手段について何も明らかにしなかったのはどのような理由によるものであるのか、お答えいただきたいと思います。
 最後になりますが、本院の政治改革特別委員会は、今、金権腐敗の一掃を目指す関連法案の審議を進めております。それは、自民党の金丸前副総裁の巨額の蓄財と建設業界のやみ政治献金が告発されたことによって、ようやく論議が本格化したと言えるでしょう。
 御承知のように、政府の公共投資基本計画は、一九九一年から向こう十年間、二〇〇〇年までの間で、国と自治体の予算によるものだけでも、総事業費四百三十兆円という膨大なものであります。そして、巷間伝えられるように、その三%程度が政治献金として還流しているとすれば、実に毎年一兆三千億円が政治家の懐に入ることになります。
 建設業界にこれだけの大きな余裕資金があるならば、政府はゼネコン各社に対して、より厳格な環境アセスメントを初め、環境配慮の強化を求める一方、政府及び自治体の行う公共事業の発注予定価格の積算を、この際、厳格なものに改め、また使途不明金に対しても課税の強化を図るべきであります。これらの総合的な努力によって、この余裕資金を、環境の保全を初め、社会全体に還元させることが今日の政治の責任ではないでしょうか。総理の御所見を伺って、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕
○内閣総理大臣(宮澤喜一君) 先般、十六日に行われましたクリントン大統領との首脳会談について御報告をせよということでございました。
 冷戦後の新しい時代における日米関係のあり方として、第一に政治あるいは安全保障の問題、第二に両国が共同して果たすべきいわゆる地球的な世界的な協力の問題、第三に経済の三つの柱からいろいろな検討をし、意見交換をいたしたわけでございます。
 まず、政治面におきましては、冷戦後におきましても日米安保体制というものは重要な役割を果たしておるということを確認いたしました。それは、我が国と米国との関係ばかりではなく、東南アジアにおいてもそうであるという認識でございました。また、日米関係が世界の平和と繁栄にとって極めて重要であるということから、両国の首脳が年に少なくとも二回首脳会談を行おうではないかということについて合意をいたしました。
 国際情勢につきましては、ロシア、アジア・太平洋、なかんずく北朝鮮、中国、カンボジア等の国際情勢の問題について意見交換を行いまして、主要外交問題についての日米協調の基盤を固めることができたと存じます。
 経済面につきましては、両国の新たな協力関係を前進させることが重要であるという認識のもとに、今後新しい協議の枠組みを創設しようということで合意をいたしたわけでありますが、この協議では、もとより重要産業における貿易、投資の拡大が可能となりますように、構造問題でありますとかあるいは分野別の問題を取り上げるとともに、単に経済問題にとどまらず、環境でありますとかハイテクノロジーでありますとか、あるいは人的な教育でありますとか訓練でありますとか、そういったような開発の問題での日米協力についても協議の対象としようということで、その具体的な枠組み、内容につきましては、今後三カ月以内に日米間で協議をしようということにいたしたところでございます。
 なお、私としては、事実上、新大統領とは、電話等での会話は何度がございましたが、顔を合わせでゆっくり話をすることは初めてでございましたので、そういう意味で個人的な友情関係を築けたというふうに考えております。
 次に、環境問題につきまして、「環境と開発に関するリオ宣言」におきまして、環境と経済の統合あるいは持続可能な開発の達成という考え方が示されたことは御指摘のとおりであります。環境基本法案において、このような考え方を踏まえまして、環境と経済を対立したものとはとらえずに、「健全で恵み豊かな環境を維持しつつ、環境への負荷の少ない健全な経済の発展を図りながら持続的に発展」をしよう、そのような社会を構築しようということを目的にしておりますことは、御承知のとおりでございます。
 環境影響評価でございますが、「環境基本法制のあり方について」の中央公害対策審議会の答申がございまして、それを受けまして、この法案におきましては、国は、環境影響評価を推進するため「必要な措置を講ずる」と規定をいたしておるところでございます。この環境影響評価の具体的な実施に関して、将来どのような個別の措置が適当であるかという点につきましては、昨年十月のこの答申におきまして、「経済社会情勢の変化等を勘案しながら必要に応じて現行の措置を見直していくことが適当」であると答申をされております。これを踏まえまして、現行の措置の適正な推進に努めるとともに、経済社会情勢の変化等を勘案しながら必要に応じて見直しを行っていくことといたしたいと思います。
 それから、政府案の作成に当たりまして、法案の解釈等について共通の理解を得るべく、省庁間で調整が行われることは御指摘のようにございます。しかし、政府の公式見解は、これはあくまで国会における政府の答弁で申し上げるところでありまして、法律の内容、解釈、法律の運用に当たっての統一的な認識は、国会における政府のお答えの中で明らかにせられるべきものであるというふうに思います。
 それから、国土計画は、これまで国土の均衡ある発展を目標に策定されておりまして、第四次全国総合開発計画では、東京一極集中を是正して、特定の地域の人口や諸機能の過度の集中がない多極分散型国土の形成を図ることを基本目標としております。このため、政府におきまして、四全総に基づき地域主導による活力ある地域づくりの推進を基本として、各般の施策の展開に努めているところでございます。
 それから、水の問題についてお尋ねがございまして、水は、地域の存立基盤として地域と一体不可分の資源であり、地域の経済的、社会附発展のための主要な資源であります。しかしながら、我が国の場合、水資源が地域間でその分布にかなり大きな偏りがございます。国土政策の基本理念は、国土の均衡ある発展を図り、安全で潤いのある豊かな国土を構築することでありますが、そのためには、それぞれの水域の水事情に応じて、水資源を適切に開発管理していくとともに、有効に利用していくことが基本になります。したがいまして、地域での安定した水需給バランスがとれますような最大限の、各方面からの政策努力が必要になっておるというふうに思います。
 それから、建設業界のお話がございました。生活環境の整備、国土基盤づくり等を担う建設行政にとって、環境問題はもとより非常に重要な課題であります。建設業界自身においても、再生資源の利用の促進、あるいは建築物の省エネルギー化のための技術開発等々、業界自身もそのような努力に積極的に取り組んでおりますが、今後とも建設業界全体における取り組みの充実に努めてまいりたいと思います。
 公共事業というものは、国民の税によって実施されているものでございますから、当然のことながら、その執行は厳正に行われなければなりません。公共工事の積算に当たって、会計法令の規定によって、取引の実例価格に基づき適正に予定価格を定めているところでございますが、工事の実態を的確に把握し、厳正かつ適正な事業の執行に今後とも努めてまいりたいと思います。
 それから最後に、使途不明金というものについてお尋ねがございました。税務当局としましては、できるだけその使途を解明して、その支払い先、支出先に対して適正な課税を行うべきものであります。どうしても、しかし、使途が不明である、使途を確定できないという場合には、これを損金不算入として課税をするということは御承知のとおりでございますが、法人税の枠内の措置といたしましては、支出されてはいるが、しかし、その支出は否認をするということで損金不算入をするということが、法人税内の枠内の措置としては、私は、できるだけの、いわば精いっぱいの措置ではないかというふうに考えております。
 残余のお尋ねにつきましては、関係大臣からお答えを申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣武藤嘉文君登壇〕
○国務大臣(武藤嘉文君) 時崎議員にお答えをいたします。
 我が国は、国際社会の中に占める我が国の地位にふさわしい貢献が期待されておると思います。これからも、我が国といたしましては、今まで同様、積極的に環境協力に貢献をしていきたいと存じております。(拍手)
    〔国務大臣林大幹君登壇〕
○国務大臣(林大幹君) 時崎先生にお答えいたします。
 まず、御質問の第一は、グリーンGNPの開発をもっと促進すべきではないかという、このような御質問であったと承りますけれども、いわゆる御指摘されるグリーンGNPといった、環境と経済を総合的に評価する手法につきましては、国連やOECDで各種の検討が進められていることは十分認識いたしております。我が国でも、環境庁、経済企画庁並びに農林水産省で共同研究を現在行っておりまして、国際的な研究の動向をも踏まえまして、関係省庁と連携をとりながら、その手法の開発に一層努力してまいりたいと存じます。
 次に、先生の御質問の中で、地球環境保全についての政府案は、国民の生活に直接関係しない問題や国際的に関係の薄い地域の問題には極力手を出さないということかという御疑問であるように理解いたしましたけれども、これにつきましては、地球環境保全という定義におきましては、これを基本法の重要な対象分野として取り上げなければならない理由、すなわち、地球環境保全が人類共通の課題であるとともに、我が国の国民自身の現在及び将来にかかわる非常に重大な問題であるとの観点を明らかにする必要がございます。このために、人類の福祉に貢献するとともに、「国民の健康で文化的な生活の確保に寄与する」ものという規定を基本法では置いてあるものでございまして、限定している趣旨ではございませんので、その意味においては適切なものと考えております。
 次に、海外事業活動における環境配慮をどうするのかという御質問でございますけれども、これは実は、事業者の海外活動に関しましては、従来からもいろいろな指摘もございます。したがいまして、今度の基本法におきましても、第八条の第四項に規定されております事業者の責務にそういうものが包含されておりますので、海外に活躍してくださる事業者は、その第八条第四項に示される責務を十分に踏まえて活動していただくことになります。
 次に、社会党さんの案によりますと、国民に対してこれがやはり最高の規制であるというような条文を持つけれども、政府案にはあいまいじゃないかという、こういう御指摘と承ってよろしゅうございましょうか、そういう受け取り方で――環境保全に係る規制の措置につきましては、技術的、経済的に可能な対策技術の水準を踏まえまして、環境汚染の程度など地域の自然的社会的条件を勘案して、環環保全上の支障を防止するために必要かつ十分な規制の水準を設定していく必要がございます。
 具体的には、個々の規制の手法ごとに、適用地域の状況あるいは利用可能な対策技術の状況、また規制による効果と影響など、それらを総合的に勘案いたしまして規制の水準を設定すべきものであるという認識でございますので、そのために御指摘の「最高水準の規制」という項は設けておりません。
 次に、環境の恵沢を等しく分かち合う、その権利を十分に認めていないような文章ではないかという御指摘と思いますけれども、この権利ということを考えますと、基本理念の冒頭に、政府案の第三条においては「環境の恵沢の享受と継承」を位置づけてございます。環境を健全で恵み豊かなものとして維持することが、人間の健康で文化的な生活に欠くことのできないものであるということ、さらに、現在及び将来の世代の人間が健全で恵み豊かな環境の恵沢を享受するということができるようにしなければならないことを、実は条文で明定しておるところでございます。これによりまして、御指摘の環境の恵沢を等しく分かち合うという趣旨は、基本法上、的確かつ明確に位置づけられたものと私どもは認識しております。
 さらに、情報公開についての御質問でございますけれども、情報の提供に努めるということは非常に大事なことでございますので、情報の提供には十分に配慮することを基本法でもうたってございます。
 特に、政府提出案の中で、事業者や国民の積極的な取り組みの支援の一環としての必要な情報を、第三者の権利保護に配慮しつつ、適切に提供する、そのような趣旨から「情報の提供」の規定を設けているところでございます。
 個別の法律において適切に対処するための情報の公表ということは、特定の表示の義務づけなど提供されることが必要でございますので、それにつきましても、事業者の保有する情報一般の公開は、その指導の内容に明確さを欠くことがありますと適切ではなくなりますので、その辺を十分に慎重に対応したいと思っております。
 なお、環境基本計画の実効性について、実効性を担保する手段が今度の基本計画については明らかにされていないのではないかという御指摘でございますけれども、環境基本計画は、政府において、環境の保全に関する基本的な計画として定めるものでございまして、非常に広範多岐にわたる関連施策のそれぞれに対しての基本的な方向を示すものでございます。したがいまして、本計画には、環境保全に関する施策の大綱等を定めるものであって、その内容につきましては、環境政策の総合的、計画的な推進のためのマスタープランとしての十分な効果を発揮できるものとなるよう、十分検討いたしたいと考えております。
 以上で答弁を終わります。(拍手)
    〔国務大臣丹羽雄哉君登壇〕
○国務大臣(丹羽雄哉君) 私には、大都市への人口集中と水資源の問題についてのお尋ねでございますが、御指摘のとおり大都市圏での水道水の供給が大きな課題となっておりますが、供給能力によって居住などを制限することは、現実的にはなかなか難しいのではないかと考えております。したがいまして、厚生省といたしましては、地域の開発計画の策定に当たりましては、水道の事業計画と十分調和が図られるよう、関係省庁と密接に連絡調整を図るとともに、水道水源開発の推進や水の有効利用に一層取り組んでいく決意でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(櫻内義雄君) 東順治君。
    〔東順治君登壇〕
○東順治君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議案となりました環境基本法案並びに環境基本法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案について、総理並びに環境庁長官ほか関係大臣に質問をいたします。
 二十一世紀を目前にして、今私たちは、新たな価値観、生活哲学の構築を迫られております。大量生産、大量消費、大量廃棄という今世紀型の文明とはもはや決別し、環境を不可逆的に傷つけることなく将来の世代へと継承することこそ、今を生きる現代世代の責務であります。言うまでもなく、環境問題とは、自然生態系の中でいかにして共存のシステムを構築していくかという、人間の生き方を根本的に問う問題だからであります。
 今こそ、これまで我が国がとってきた産業優先の国づくりから、人間優先・環境保全型のエコロジー社会の建設へと断じて変革していかねばなりません。その決意と姿勢を内外に高らかに示す第一歩こそが、環境基本法であるべきであると私は思っております。
 我が党は、一九七三年六月七日、環境保全基本法案を衆議院に提出以来、現行の公害対策基本法並びに自然環境保全法を改正、強化し、トータルな環境保全を進めるようにと一貫して主張をしてまいりました。さらに、昨年の地球サミットで合意された「環境と開発のためのリオ宣言」の第十一原則にも、各国は効果的な環境法を制定しなくてはならないとされており、環境問題が今の公害対策基本法や自然環境保全法の枠内ではもはや対応し切れないことは明白な状況の中で、今回の政府案提出は甚だ遅過ぎたほどであります。むしろ地球サミット以前にこそ環境基本法を制定し、我が国の地球環境問題に対する確固たる基本姿勢を明確にすべきだったのではないでしょうか。
 さて、基本法案では、環境行政の基本理念として、経済活動による環境への悪影響を少なくする環境保全型社会の構築を盛り込んでおります用地球環境問題というものを視野に入れつつ、持続可能な開発を目指して環境の保全という視点でもって経済発展をコントロールしていこうとする理念そのものは、評価に値するものと言えます。
 しかし、肝心なことは、その理念を具体化するための各論であります。理念を支える骨格、つまり具体的な施策となると法案内容の歯切れは悪く、何ともひ弱であります。確かに、基本法という性格上、ある程度表現が抽象的にならざるを得ないとの見方もあります。しかし、そのことと、環境政策を具体的にどう進めようとするのかという方向性が見えるか見えないかは別問題であり、この点は、環境庁に主導権を握らせまいとする他の省庁との調整に終始した結果によるものなのか、極めてあいまいな表現が目立ち、具体性に欠けていて、まことに残念と言わざるを得ないのであります。
 本来、環境の憲法となるはずの基本法案が、目指すべき理念が崇高であるにもかかわらず、その個別政策は、いわゆる霞が関の論理が先行して、各省庁の妥協の産物となっており、これでかけがえのない地球を次世代に本当に引き継ぐことができるのか。私は、その実効性において大いなる疑問を抱くものですが、まず宮澤総理にこの点についての御所見を求めます。
 次に、環境アセスメントについてお伺いいたします。
 法案は、環境影響評価については「必要な措置を講ずるものとする。」とのあいまいな表現にとどめているのみで、環境アセスメントを法制化する意思の有無をぼかしております。アセス制度というものは、開発を環境保全の側からコントロールする最低限の手段であり、欧米のほとんどの先進国は既に環境アセスメントを法制化しており、乱開発に歯どめをかける方式が定着をしております。
 これに比して我が国は、一九八一年に環境影響評価法案を環境庁が提出いたしましたが、住民の開発反対の口実に利用されるといったたぐいの反対理由で廃案とされ、以来、個別の法律と、国が関与する大規模事業は閣議決定の要綱に基づきアセスメントを行ってきました。つまり、我が国はいまだにアセスメント法を持たない、実に珍しい先進国なのであります。現状のアセスメント体制では対象範囲が限定的であり、開発の免罪符になっているとの意見も多くあることも事実であります。政府は、現在閣議決定されている実施要綱のほか、各自治体の条例、環境保全に配慮した規定を持つ個別法など、あくまでも現状の体制で十分と見ておられるのか、それとも、環境アセスメントの法制化を含む見直しの意思があるのか、総理並びに環境庁長官の明確なる答弁を求めます。
 さて、法案のもう一つの柱に環境基本計画の策定があります。環境保全というものが初めて国の基本計画の一つに位置づけられた点は評価できます。だがしかし、環境基本計画が基本理念を実現するための手法として有効性を発揮するためには、この計画が開発や環境にかかわる他の計画の上位に立つという前提がなければなりません。政府案には何らこの種の規定はないのであります。
 公害防止計画や地方の都市環境計画との関係はどうなるのか、他の開発計画が環境基本計画に反する場合はどうするのかなどなど、他の経済・開発・国土利用計画等に環境保全面から一定の枠をはめる計画としての位置づけがなされなければ、基本理念で言う、環境負荷の少ない持続可能な社会の構築というものは達成できるものではありません。この点はどのように考えておられるのか、総理並びに環境庁長官にお尋ねいたします。
 また、それとともに、この計画内容がどのようなものになるのか、何年規模の計画なのか、そしてまた、環境保全の目標設定や達成の推進についてはどのようになさるのか、環境庁長官からこれらについても具体的に明らかにしていただきたい。
 また、いわゆる環境税についても、総理並びに大蔵大臣の御所見をお伺いしておきたいと思います。
 環境税については、北欧諸国でも早い時期から導入しており、ECでも負担額を明確にし、日米の同時導入を迫っております。また、クリントン米政権でも環境税の性格を持つエネルギー税導入を打ち出し、OECDにおいても環境税導入を勧告する報告をまとめております。
 政府は、将来、環境コストを経済の中に組み込むいわゆる環境税の導入をお考えになっているのかどうか。もしそうであるとすれば、環境税とは新税を想定しているのか、あるいは現行のエネルギー諸税の税収を充当したものを指すのか、お考えを伺いたいと思います。
 もとより、今後の導入については、国民的合意を前提にしつつ、環境負荷の抑制や環境保全に資するものとなるように、総合的検討を行うべきであることは言うまでもありません。とともに、我が党は安易な大衆課税には断じて反対であります。こうした大衆課税を導入する可能性があるのか否かという点も、あわせて明確なる御答弁をいただきたいと思います。
 臨時行政改革推進審議会の第二次答申では、「環境行政については、各省庁の関連行政を含め、総合的かつ抜本的な推進を図る必要がある。」と指摘しております。全く同感であります。にもかかわらず、機構や行政機能の見直しについては、本法案では欠落しております。
 我が党は、かねてより、環境庁の権限強化、つまり、アセスなどの審査機能の強化、廃棄物・リサイクルなど所掌範囲の拡充などを図るために、総理府の外局と位置づけられている現在の環境庁を環境省に昇格させるよう強く主張してきたところであります。米国でも、ことしに入り、環境保護局の昇格を表明しております。環境保全行政の機能強化はまさに時代の要請であるにもかかわらず、本格的な検討を怠ってきた政府の姿勢は看過できない問題であります。この点に関して、今後どのような構想を描いておられるのか、総理の見解を求めます。
 ところで、環境と開発の接点になる数多くの現行法律の中で、環境庁長官の関与が明記されている法律は、工場立地法と農薬取締法など極めて少ないのが実態であります。これでは、たとえ環境庁設置法で、長官は、他省庁の大臣に対し「環境の保全に関する重要事項について勧告することができる。」とされていても、実際の効果は極めて弱いと言わざるを得ません。環境庁長官の権限強化に関して法律上の根拠を明確にするために、河川法、道路法など関係法律をこの際、同時に見直す必要があると思いますが、あわせて見解を賜りたいと存じます。
 総理、現在、我が国のODAに関しては、途上国住民の自然や生活環境に悪影響を与えているケースが内外から、公害輸出日本などと厳しく指摘をされております。にもかかわらず、本法案では、この点に関して、「配慮するように努めなければならない。」とのみ触れているだけで、批判にこたえ得るものとは到底言いがたい内容であります。本法案の文言の中の「配慮する」を「保全する」へと強化すべきだと思いますが、総理の決断を承りたい。
 最後に、国、地方自治体の環境保全に関する基本施策の策定にとって極めて重要な住民参加手続の保障についてですが、我が国ではこの点が未熟で、いまだ確立されておりません。これに対する環境庁長官の率直な御見解を求め、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕
○内閣総理大臣(宮澤喜一君) 環境基本法は、環境政策という国政に重要なウエートを持っております分野についての基本理念を定めるものであります。これを受けまして各主体が負うべき責務を明らかにするとともに、環境の保全に関して講ずるべき各種の具体策とその方向を規定している、そういう性格の法律でございます。
 こういう法律の性格からしまして、基本法において個別具体的な施策の詳細については規定をいたしておりませんけれども、政府全体の法律として講ずるべき環境政策を幅広く規定しております。また、施策に応じてとるべき方向も明確に示しているところでございます。
 環境アセスメントにつきまして、環境影響評価につきましては、環境基本法制のあり方について中央公害対策審議会が答申をいたしました中で、それを受けまして本法案におきましては、環境影響評価について、国は環境影響評価を推進するため「必要な措置を講ずる」ということを第十九条に規定をいたしております。
 環境影響評価の具体的な実施に関しまして、将来どのような個別の措置が適当であるかということにつきましては、昨年十月の答申におきましては「経済社会情勢の変化等を勘案しながら必要に応じて現行の措置を見直していくことが適当」とされたところございますが、これを踏まえまして、現行の措置の適正な推進に努めますとともに、経済社会情勢の変化等を勘案しながら、必要に応じて見直しを行っていきたいと思っております。
 環境基本法案におきましては、広範多岐にわたる環境保全施策を、有機的連携を保ちながら、公平な役割分担のもとに総合的、計画的に推進いたしますために、環境の保全に関する基本的な計画として環境基本計画を閣議で決定し、国が講ずる環境の保全に関する施策の基本的な方向を示すこととしております。
 このような性格を持つ環境基本計画に示されます基本的な方策に沿って、国が環境保全に関する諸施策を講じますとともに、すべての者が公平な役割分担のもとに環境の保全に関する活動を自主的、積極的に行うことによって、環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会の構築を図ろう、こういうふうに考えております。
 環境税についてお尋ねがございましたが、これにつきまして国内にはいろいろ議論がございますけれども、大別して見ますと、環境が汚染されるのを抑制するためのいわば抑制的な目的を持った税である、そういう側面と、いや、環境対策のためには国の内外に非常に財源が必要であるから、財源調達手段としての税である、こういう二つの面の議論が行われているようでございます。
 いずれにいたしましても、新しく税を起こすということは極めて慎重にならなければならないことでございますから、本法案につきまして国会及び国民各層がどのような議論をおやりになるか、あるいは環境政策全体の理念や枠組みについての国の内外での議論がどういうふうに進展していくであろうか、それらを注視しながら、引き続きただいまとしては勉強してまいりたいと考えておるところでございます。
 それから、環境保全行政の機能強化でございますけれども、内外の環境問題に的確に対応していくためには、政府一体となった環境行政の取り組み体制を充実強化していくことが必要と考えております。環境庁は、その政府全体の環境行政の中軸でございますから、政府全体を調整しながらその機能が十分発揮されるように環境庁の行政をやってまいりたい、また、そのように注意をしていきたいと考えております。
 道路法、河川法等の見直しについて御指摘がございましたが、環境と開発の問題につきましては、環境基本法を踏まえて、政府を挙げてみんなで適切に取り組むということで、そういう心構えで対処をしてまいりたいと思います。
 なお、基本法案の文言の中に、国際協力の実施に当たって「配慮する」とあるのは、「保全する」と言うべきではないかということでございますが、第三十四条第一項は、環境の保全一般という意味ではなくて、経済協力を行いますときに特に環境配慮を規定せよというふうに、そういう規定と存じております。また、現実に、このごろ国際協力を行いますときに、事前に環境問題については、当該国はもちろんでございますが、いろいろな関係者と事前の打ち合わせを十分にやるように心がけておりまして、その結果として、当該政府がかねて計画しておりましたような計画の実行が住民の反対に遭って困難になるというようなことは、時々現実に起こりつつございまして、そういう意味では、国際協力とは申しながら、周辺の人々の環境についての配慮、関心も十分に取り込んでいかなければならないということを経験をいたしております。また、今後ともその点は注意をいたすつもりでございます。(拍手)
    〔国務大臣林大幹君登壇〕
○国務大臣(林大幹君) 東先生の御質問にお答え申し上げます。
 まず、環境アセスメントについてでございますが、これは総理の方からもただいま御答弁ございましたとおりでございまして、環境アセスメントの、これを法文にするということよりも、今の場合は環境基本法の中で十分な対応をしながら、閣議決定のもとで十分に対応しながら、その中でまた必要があればそのときには見直すことも考えるということで尽きてございます。
 環境基本計画の位置づけでございますけれども、これにつきましても、他の計画との関係に関しましては、環境基本計画が環境の保全に関する政府全体の基本的な計画として政府部内での調整、閣議決定を経て決定されるものでありますので、国の策定する各種の計画においては、環境の保全に関して、環境基本計画の基本的な方向に沿った内容のものとなることが担保されていると考えております。
 次に、環境基本計画の具体的な内容はどうなのかということでございますけれども、これについての御指摘の、計画期間や計画における目標設定のあり方、それらも含めまして中央環境審議会の御審議をいただいて計画案を作成することとしておりますので、環境政策の総合的、計画的な推進のために十分な効果が発揮できるよう検討してまいりたいと思います。
 なお、国あるいは地方自治体の環境保全に関する施策の策定について、住民参加の手続の保障を確立すべきではないかという、こういう御意見でございますけれども、一般的な方法としまして、憲法上請願権があるけれども、個別の施策につきましては、個々の法律において必要に応じ関係者の意見を聞くことや審議会の意見を聞くといった措置が講じられておりますので、環境保全に関する施策の策定についても、国民や住民の意向をどのように酌み取るか、個別の施策の内容をどうするか、そのようなことも十分配慮されまして、国民や住民の意向が十分に酌み取っていけるよう法案としては対応することになっておりますので、十分注意したいと思っておりながら、対応に努めたいと思っております。
 以上でございます。(拍手)
    〔国務大臣林義郎君登壇〕
○国務大臣(林義郎君) 東議員の御質問にお答え申し上げます。
 御質問は二つございまして、環境税につきまして導入をすることを考えているのか、また、導入することを考えているとすれば、それは新税なのか、現行のエネルギー諸税の税収を充当したものかというのが第一点だと思います。
 第二点は、公明党は安易な大衆課税には反対である、大衆課税を導入する可能性があるのか、こういうふうな御質問だと思いますが、既に総理から御答弁をしていただいておりますので、大体大略はそのとおりでございますが、第一点の環境問題に係る税制につきましては、二つの観点が国内であると思います。
 一つの観点は、環境汚染の抑制のための経済的手段としての税制の活用をするというのが第一点でございます。第二点は、国内外で環境対策にいろいろと金がかかる、その環境対策のための財源調達手段としての税制の活用をどうするのか。この二点が議論されているのではないかと思いますが、いろいろな税制につきましては、これまでも適宜いろいろな調査をしてきたところでありますが、今後とも、本法案に係るところの国会での御論議、さらには国民各界各層の議論を含めまして、環境政策全体の理念や枠組みにつきましての国内の議論、また国際的な議論もありますから、そういった議論の進展を注視しながら引き続き勉強してまいりたい、こういうふうに考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(櫻内義雄君) 辻第一君。
    〔議長退席、副議長着席〕
    〔辻第一君登壇〕
○辻第一君 私は、日本共産党を代表いたしまして、ただいま議題になりました環境基本法案について、総理並びに環境庁長官に質問いたします。
 現在、我が国を含む地球環境は、悪化の一途をたどっております。人類の生存にとって深刻な事態が広がっています。我が国では、一九七八年に環境基準値が緩和され、八八年に被害者切り捨ての公害健康被害補償制度が改悪されるなど、自民党政府による環境行政の後退もあり、深刻な大気汚染やリゾート乱開発など、生活環境や自然環境の破壊が激しく進んでいます。一方、公害の原点と言われる水俣病問題は、いまだに全面的に解決されないままになっています。また、国外においても、日本企業による公害輸出や熱帯林の乱伐などの環境破壊に各地での批判が高まっており、地球温暖化防止を図る国際会議では、口実を設けてCO2削減目標の設定に抵抗するアメリカに追随するなど、我が国政府は国際的に強い批判を浴びています。
 こうした環境問題の現状は、政府が国会に報告している九一年度の環境白書でも指摘しているとおり、「大都市における二酸化窒素による大気汚染が悪化した。さらにごみも増加し、処分場不足や散乱、不法投棄が目立つ」「いわゆるリゾート開発が広がり、自然の改変が進んだ。」とされ、その結果、「総体としてみれば、環境が悪化していることは否定できない。」と書かれているとおりではありませんか。
 したがって、環境の保全を要求する国民の声は、深刻化している足元の公害・環境問題を解決し、地球温暖化など地球的規模での環境問題に対応するためにも、国民の立場に立った真に実効性のある環境基本法の制定を強く要求しているのであります。(拍手)
 まず、宮澤総理に環境保全の基本姿勢を伺います。
 真に実効ある環境基本法となり得るためには、公式発見以来三十七年たった水俣病問題の全面的な解決を避けるわけにはまいりません。水俣病問題の全面的な解決は、政府の環境保全の基本姿勢が厳しく問われている重大問題です。宮澤総理は、昨年一月の通常国会で、水俣病問題の早期解決を努力する旨の答弁をしています。それなら総理は、水俣病問題の全面解決を決断し、和解協議のテーブルに着き、水俣病被害者を直ちに救済すべきであります。総理の明確な答弁を求めます。(拍手)
 今回提案されている環境基本法案は、その法制化の過程で、情報の公開や住民参加もない国民に閉ざされた密室作業に終始しただけでなく、経団連や通産省、建設省などの開発官庁の圧力に屈して後退し、結果的に実効性に乏しい提案となったことを指摘せざるを得ないのであります。環境影響評価制度の法制化は見送られ、環境基本計画以外の国の計画との調和条項を削除し、地球環境保全に配慮するよう努めなければならないにとどまるなど、明らかに国民の要求に背く不十分な法案となっています。
 そこで、重大な問題は、一部報道でも明らかになっている、環境庁と開発官庁との間で、環境影響評価について、法制化は当面行わないとする覚書を結んでいたことであります。これこそ実質的に法制化の道を閉ざすものであり、開発優先に屈した環境行政の姿を如実にあらわしているものではありませんか。
 宮澤総理に伺います。
 地球的規模の環境破壊や国内の生活・自然環境破壊の主要な原因は、利益のためには環境を顧みない大企業、多国籍企業の事業活動にあることは明らかであります。政府は、こうした大企業の横暴を野放しにし、法制化を見送る覚書まで結んで環境基本法案を骨抜きにするような環境行政の姿勢を即刻改めるべきではありませんか。総理の明確な答弁を求めます。(拍手)
 次に、法案が国民の要求にこたえ、真に実効性のあるものにするための具体的な問題について伺います。
 第一に、環境保全対策の基本原則が不明確であるという問題であります。
 環境基本法案の基本理念である「環境の恵沢の享受と継承等」では、「環境の保全は、環境を健全で恵み豊かなものとして維持することが人間の健康で文化的な生活に欠くことのできないものである」ということは規定していますが、環境保全の基本原則が明記されていません。このため、基本理念の「環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会の構築等」で、「健全な経済の発展を図りながら」という、悪名高い経済発展との調和条項の復活とも受け取られかねない表現が挿入されたり、「情報の提供」を規定しただけで、住民の参加や情報公開の道を閉ざすことになっています。また、すべての経済活動を環境保全の基準に反しない範囲において行うという、環境保全の基準に経済活動を調和させる原則も明記されておりません。
 総理に伺います。
 法案には、環境はすべての人の共有財産である、国民は、良好な環境のもとで健康で安全、文化的な生活を営む権利を有し、国と地方自治体は良好な環境を保全し、それを次の世代に引き継ぐ義務を負うことを明確に規定するとともに、環境優先の立場を明確にした環境保全の基準に経済活動を調和させる原則、環境への負荷の少ない生産構造への転換の原則、そして、住民参加、情報公開の原則等を明記すべきではありませんか。総理のはっきりとした答弁を求めるものであります。(拍手)
 第二に、国民の声を無視して環境アセスメントの法制化を見送った問題であります。
 環境影響評価のあり方について、法案の条文では、「必要な措置を講ずるものとする。」となっていますが、これは、国民の願いに背を向け、環境アセスメントの法制化を見送ったものと言わざるを得ません。法制化しないままの事業者による「適正に調査、予測又は評価を行い、その結果に基づき、その事業に係る環境の保全について適正に配慮する」だけの規定では、民活型プロジェクトやリゾート乱開発などの大企業の横暴を規制できないではありませんか。
 総理に伺います。
 地域開発や科学技術開発等すべての開発において、人間と自然との関係が回復不能となるおそれがあるなどの悪い影響が予測される場合は、その事業を中止させることのできる環境影響評価制度を確立する必要があります。したがって、法案には、事業の計画から完成後の各段階にわたって実施する、住民参加が十分に保障される、などの実効ある環境影響評価制度の明確な法制化を規定すべきであります。総理の明快な答弁を求めます。(拍手)
 第三に、汚染原因者負担の原則をあいまいにし、被害者、国民に責任を転嫁する問題であります。
 法案の「環境の保全上の支障を防止するための経済的措置」の条文で、「負荷活動を行う者に対し適正かつ公平な経済的な負担を課すこと」について「国民の理解と協力を得るように努めるものとする。」としていますが、これは、産業界の圧力に屈して汚染原因者負担の原則をあいまいにし、事業者が負うべき負担を国民一般に転嫁する余地を残したものであります。具体的には、企業が負担すべきものを環境税として国民に負担を転嫁するという道を開くものと言わざるを得ません。
 環境庁長官に伺います。
 公害を初め、環境汚染防止の対策、環境破壊による被害の救済、汚染された環境の復元は、汚染原因者の責務であり、そのための費用は汚染原因者が負担すべきであります。したがって、法案には、環境破壊の第一義的責任はその原因を生み出した者にあるという汚染原因者負担の原則を明記すべきであります。環境庁長官の明確な答弁を求めます。(拍手)
 また、総理に伺います。
 国民に負担を転嫁する環境税の導入はやめるべきであります。明確な答弁をいただきたい。
 第四に、地球的規模の環境保全の問題であります。
 法案では、国及び企業による国際協力や海外事業活動に対し、「地球環境保全等について配慮するように努めなければならない。」としていますが、これは、輸出入の際には環境保全のチェックができるものの、海外での活動までは、他国の国家主権もあり、「配慮する」ことにとどまったとしています。この規定だけでは、公害の輸出など多国籍企業等の横暴な行為は規制できず、発展途土地域での環境の保全はできません。環境基本法案の目玉として地球的規模の環境保全を盛り込み、発展途土地域の環境の保全や地球的規模の環境の保全での国際協力を進めようとするときに、肝心のODAや海外事業活動に対し、環境に配慮するだけでは実効性が乏しいものであります。
 環境庁長官に伺います。
 我が国は、地球的な規模の環境破壊の主要な原因者である先進工業国の一員として、相応の責任を果たす必要があります。したがって、法案には、公害輸出の禁止等環境保全のための多国籍企業等への規制等の措置を盛り込むべきであります。環境庁長官、はっきりお答えをいただきたい。(拍手)
 以上、国民が求める、真に実効性のある環境基本法にするため、幾つかの基本的な問題について質問しましたが、このほかにも、国及び事業者の責務規定の強化、環境保全のための事業活動への規制、被害者救済の拡充強化などについても積極的に盛り込む必要があります。
 昨年六月の国連環境開発会議、いわゆる地球サミットのリオ宣言は、人間は、自然と調和した健康的かつ生産的な生活を送る権利を有するとうたい、市民参加の保障、汚染者負担原則、科学的不確実性を口実とした対策の遅延禁止、戦争は環境保全に破滅的であると規定するなど、積極的な条項を盛り込んでいます。
 私は、最後に、日本と世界の人々の環境保全を要求する運動の成果を十分に反映し、水俣病被害者を初め公害被害者が全面的に救済されるような、実効性のある環境基本法の制定を強く要求し、日本共産党を代表しての質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕
○内閣総理大臣(宮澤喜一君) 水俣病につきまして、公害健康被害の補償等に関する法律によりまして、これまでに二千九百名の方々の認定を終わっております。また、平成四年度から水俣病総合対策事業を実施しておるところでございます。和解勧告に応じることは困難と考えております。
 環境影響評価について、何か各省庁間で秘密の覚書がある云々というお尋ねでございましたが、そのようなものはないと承知しております。
 環境基本法におきましては、「環境を健全で恵み豊かなものとして維持することが人間の健康で文化的な生活に欠くことのできないものである」「現在及び将来の世代の人間が健全で恵み豊かな環境」を享受することができるようにしなければならないということを明定しておりまして、これによって国民が良好な環境を享受することの必要性、重要性が的確に位置づけられておるものと私どもは考えております。
 それから、十九条の関係でございますけれども、先ほどもお答えをいたしておったところですけれども、中央公害対策審議会の答申におきまして、国は、環境影響評価を推進するため、必要な措置を講ずると規定をされております。経済社会情勢の変化等を勘案しながら、現行の措置を必要に応じて見直してまいりたいと思っております。経済社会情勢の変化を勘案しながら、必要に応じて見直しをいたすことが大事と思います。
 環境税の導入は、先ほどもお答えを申し上げましたが、その目的が、環境汚染を抑制するためであるのか、あるいは財政需要があるからであるか等々につきまして、必ずしも御議論が煮詰まっていないというふうに思っております。国民各層の御議論を注意深く伺いながら、なお勉強を続けてまいりたいというふうに私としては考えております。(拍手)
    〔国務大臣林大幹君登壇〕
○国務大臣(林大幹君) 辻議員にお答えいたします。
 私に対する御質問は、「環境の保全上の支障を防止するための経済的措置」の条文が法案の中にありますけれども、これは、企業が負担すべきものを環境税として国民に転嫁するものではないのかということと、それからまた、環境破壊の第一義的責任は、汚染原因者負担の原則を明記すべきでないか、こういう御質問でございますけれども、これは、環境基本法二十一条の二項に規定してあるこの条文は、決しでそのような環境税に結びつけるものではございませんで、規制措置に加えて、市場メカニズムを通じた経済的手法の考え方が重要であるということをうたったものでございます。したがいまして、汚染原因者負担の原則を規定したものではありませんけれども、汚染原因者負担の原則に関しましては、法案の第三十六条の「原因者負担」の条において、国や公共事業の主体が実施すべき事業について、その費用負担の考え方を位置づけております。
 それから、ODAや海外事業活動に際しての環境に配慮する問題でありますけれども、この点につきましては、御指摘のような規制措置を盛り込むということは、相手国の主権の尊重の面からもいかがなものかということで、適切ではないと考えております。それによりまして、環境保全上の支障が生じないよう、十分な努力が払われる必要がありますが、このためには、ODAや海外の事業活動に際しての環境配慮の強化を期することと、また、開発途上国の環境保全に関する対処能力の向上等が図られるよう、支援していくことが重要であるという点を十分に考慮いたしております。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(村山喜一君) 高木義明君。
    〔高木義明君登壇〕
○高木義明君 私は、民社党を代表して、ただいま提案のありました環境基本法案、環境基本法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案について、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 産業革命以降の技術革新は、人類に大きな福祉拡大をもたらしました。しかし、今やそのことによって、自然環境の自浄作用を超えた、フロンガス等によるオゾン層の破壊、二酸化炭素などの排出増による地球の温暖化、酸性雨、海洋汚染、熱帯林の減少など、地球規模での環境破壊が進行しております。
 また、この問題は、原因や被害が国境を越えて地球規模で起こるだけでなく、世代をも超えて、空間的にも時間的にも非常に広範囲にわたるという特性を持っているため、結果として、今後わずか数十年後には人類は取り返しのつかない事態に直面する可能性も否定できません。
 かけがえのない海と大地、この地球環境は、現在はもちろん、とわに残さねばならない貴重な財産であります。この環境を保全するためには、行政機関の責務と努力に加え、国民一人一人の自覚と行動を結集し、早急かつ長期的展望に立った対策をとることが必要であります。
 その意味でも、今国会で提出された環境基本法案は非常に重要な意味を持つものであり、その内容いかんによっては、後々の環境行政に大きな影響を与えることになります。
 この観点から、私がまずお尋ねしたいことは、環境基本法の持つ意義についてであります。
 現在、我が国においては、基本法と称される法律が、農業基本法、林業基本法等々十二本ありますが、このような基本法の一つとして環境基本法の持つ意義は何とお考えなのか、また、環境基本法が対象とすべき環境の範囲についてはどのように考えているのか、総理及び環境庁長官にあわせてお聞きをいたします。
 第二は、環境基本計画についてであります。
 理念的な環境基本法案を実効あらしめるものとするには、環境基本法案の中に明記されている環境基本計画の内容、定義が非常に重要な意義を持つと思われます。環境基本法案第十四条に記されている「環境基本計画」のくだりでは、「環境の保全に関する総合的かつ長期的な施策の大綱」と「環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項」について環境基本計画を定めるといたしております。
 しかし、この内容では環境保全に効果があるとは到底考えられません。環境基本計画は、あらゆる政策を総合的かつ一体的に推進するための実効性あるものであるべきです。そのためにも、環境基本計画の中に、我が党が主張している、環境汚染を決定する要因ごとに環境保全・回復目標を設定するという内容を盛り込むことが不可欠であると考えますが、総理及び環境庁長官の見解を伺いたい。
 第三は、地球環境保全のための国際貢献についてであります。
 環境ODAの増額は早急に実施する必要がありますが、環境ODAはただ資金を供与すればよいという性格とは異なります。例えば、会社のオフィスを見ればわかるように、どんなにすばらしいOA機器を導入しても、適正な活用と維持管理がなければその機器はただの粗大ごみとなります。環境ODAもそれと同様で、幾ら環境保全のために資金を投入し、施設整備等を進めたところで、アフターケアがなければ役に立ちません。ODAにより立派な施設、機械が導入されたが、事後点検ができる技術者がいないためにすぐ役に立たなくなったという話は、笑い話ではありません。現実に数多く指摘されている事例なのであります。
 今後、環境ODAの実施に当たっては、事前調査と事後評価の充実とともに、ひもつきでないODA無償援助の拡大、透明性の確保など質的改革を断行すべきであります。総理に環境ODAのあり方を抜本的に改善するよう求めます。
 また、昨年の地球サミット首脳会議への宮澤首相のメッセージの中で、日本として、一九九二年から環境分野への政府間開発援助総額として五年間で九千億円から一兆円を援助すると述べられております。これらの援助に当たって、政府はどのような視点で援助を決定するつもりなのか、最重要と考えている援助内容とは何か、総理の決意をあわせてお聞きしたいと思います。
 第四は、環境庁の省への昇格問題であります。
 地球環境保全のため、我が国は人的・技術的・資金面での幅広い国際貢献を行うとともに、国内においても従来以上の環境保全対策を強力に推進する必要があります。しかし、現在、環境庁は調整官庁にすぎず、環境関連の予算、権限は十七省庁にも分かれております。また、それのみならず、環境庁が独自の政策を打ち出そうとしても、他省庁との政策調整の場において、他省庁の圧力によって後退せざるを得ないことは日常茶飯事であります。この環境庁の力が極めて弱いという現実は憂うべきものがございます。
 また、国民にとって国の環境行政の顔が見えないことも大きな問題であります。国民がある環境問題について役所に対し尋ねたい場合、一体どこに問い合わせをすればよいのかすらわからないという現実を御存じでしょうか。総理、あなたが総理という立場で、ある環境問題について役所に問い合わせをすれば、間髪を問わず回答があるでしょう。しかし、総理という肩書を外し、一国民として同じ問題を役所に問い合わせれば、役所間をたらい回しにされ、役所の縦割り行政の実態と環境庁の存在意義について深くお考えになるはずであります。
 今後、早急に環境庁を省へ格上げし、同時に、環境庁に他省庁の環境関係の権限を移管、省庁調整機能の強化、環境問題に関するデータの一層の集約などを断行すべきであると考えますが、総理の御見解をお聞きしたい。(拍手)
 次に、環境アセスメント制度についてお聞きします。
 日本は南北に長く、歴史的経緯、地理的条件、人口密度なども一定ではなく、当然地域、地域により環境の状態も異なっております。それにもかかわらず、新たにアセスメント法を制定し、全国画一的な環境アセスメントを実施するということは、現在のアセスメント基準より基準が緩くなる地域もあれば、全く開発に手がつけられない地域が出てくることも容易に予想されます。例えば、東京圏の開発と北海道圏の開発について、全く同じアセスメント基準を適用することが果たして自然保護と開発の調和に資するでしょうか。
 過度な基準のアセスメント法を制定すれば、高速道路・鉄道の新設、発電所の建設等々、公共投資的開発さえも不可能になり、地域経済の衰退はもとより、日本経済の停滞、ひいては国民生活水準の低下は避けられないと思います。逆に、緩いものであれば、アセスメントをクリアしたとして開発の歯どめがなくなり、乱開発が勃発するのは自明の理であります。
 一部の政党、団体、有識者の方々は、アセスメント法制定を強く主張されております。しかし、その意図は、世界的なキーワードとなっている持続可能な開発を否定してでも極端な自然保護を実施することにあるのか、それとも、アセスメント法を制定すれば自然は保護されるのではないかとただ漫然とお考えになっているのか、いずれにしろ、私には理解しかねるところがあります。
 また、国の権限をいかに地方に移譲するかが問題となっている現在、新たに国が地方の独自性を縛る内容の法律を制定することはいかがなものでしょう。地域の独自性を尊重し、持続可能な開発を推進するためにも、環境アセスメント制度は全国一律に統一すべきものではありません。地域のことはその地域自身の住民の手にゆだねるべきであります。
 そのためには、我が党が主張するように、昭和五十九年に閣議決定された「環境影響評価の実施について」の内容を再検討して、地方公共団体の作成する環境アセスメント条例のガイドラインとし、それをもとに地方公共団体が上乗せ条例を制定するよう、国が行政指導するという方策が最善であると確信をいたします。
 この点について、総理並びに環境庁長官の御意見をお聞きすると同時に、地方自治の尊重という観点から、自治大臣の見解もあわせてお伺いをいたします。
 最後に、環境保全と経済的手法についてお聞きします。
 環境基本法案第二十一条第二項において、負荷活動を行う者に対し適正かつ公平な経済的負担を課すことにより、そのことがみずから環境への負荷の低減に努めることとなり、環境の保全上の支障を防止するための有効性を期待される場合は、その施策を検討、調査し、必要とあればその措置を講ずるとの内容が明記されております。私は、この条文は、将来における環境税の導入を意図しているのではないかという危惧が頭から離れません。
 確かに、一部で論じられているように、環境税を課すことにより環境への負荷の低減を図ることは、机上では可能であります。ただ、それには大きな経済の停滞が予測されます。環境庁地球温暖化経済システム検討会の中間報告によりますと、環境税を課税することにより、二酸化炭素排出量を二〇〇〇年までに一九九〇年の水準に戻そうとすれば、石油関係の価格に対し一割強の課税が必要とされております。ガソリンを例にとりますと、一リットル当たり十円から二十円の課税になります。その結果、GNPは十年間で六%ないし七%の減少になるのであります。果たして、このような環境税の導入が国民の合意を得られるのでありましょうか。
 現在、一時の勢いはありませんが、国内において、政府、自民党などから依然として環境税導入を求める声が聞こえてまいります。しかし、環境税のあり方、税収使途についての声は聞こえてまいりません。我が党は、環境保全、国際貢献などいかなる理由であれ、国民の意思を無視した安易な増税には断固反対をいたします。
 ただ、将来、環境保全と費用負担の問題は、避けて通れない課題となることも事実であります。環境税がなし崩し的に導入されるのを防ぐためにも、専門家等による環境税導入の是非、そのあり方、税収の使途について技術的検討を進め、国民の意思をまとめる必要があると考えております。
 この問題について、総理並びに大蔵大臣の御意見をお聞きいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕
○内閣総理大臣(宮澤喜一君) 今日のような環境問題に適切に対処してまいりますためには、社会経済活動や国民の生活様式のあり方を含めまして、社会全体を環境への負荷の少ない持続的発展が可能なものに変えていくことが必要であると思います。環境基本法は、このような認識に立ちまして、二十一世紀に向けて地球環境時代にふさわしい環境政策の総合的、計画的な推進を図るための基本的な枠組みを整えたものと考えております。
 なお、御指摘のように、環境基本法案におきましては、環境ということの定義を設けておりません。現在におきましては、具体的な範囲として申し上げますならば、従来型の産業公害の防止やあるいは自然環境の保全ということにとどまらずに、都市のあるいは生活型の公害、廃棄物の排出量の増大、地球環境問題等への適切な対応といったようなものを想定しておるものでございます。
 それから、環境基本法案においては、広範多岐にわたる環境保全施策を、有機的連携を保ちつつ、公平な役割分担のもとに総合的、計画的に推進するため、環境基本計画を策定することといたしておるものでございます。
 環境につきましてのODAとの関連でございますが、確かに昨年のリオの会議におきまして、私から我が国の方針として、今後五年間にODAとして九千億円ないし一兆円の環境のための支出をいたしたいということを申しました。この環境分野の援助実施に当たりましては、途上国との共同の努力が殊に大事でありますし、我が国として、途上国との政策対話、そして環境の上で問題のない案件を探し出す、実施を積極的に進めるということでなければなりません。UNCEDにおきまして、地球の緑、水、空気の保全、途上国の環境問題対応能力の向上に貢献をしていく云々と立場を表示いたしましたのも、そのような我が国のODAの環境問題に当たりましての基本姿勢でございます。
 それから、環境庁のこれからのあり方ということでございましたが、やはりこれは、政府一体になって行政をする、その中心になって調整をしながらこれを推進するというのが環境庁の務めになってまいると思います。また、御指摘のように、必要なデータ等はできるだけ環境庁において整備をするように努力をいたします。
 それから、環境影響評価につきまして、現在国におきましては、国が関与する大規模な事業について、閣議決定要綱等により統一的に実施しておりますし、地方公共団体においては、地域の実情に応じて条例または要綱等により推進を図っております。将来の問題につきましては、中央公害審議会の答申に従いまして、経済社会情勢の変化等を勘案しながら必要に応じて見直してまいりたいと思います。
 それから、環境税についてのお尋ねがございまして、これは、先ほどからも申し上げておりますが、いわゆる消費を抑制するような意味での税であるのか、あるいは内外の環境問題に対応する財源であるのかというあたりの議論がまだいろいろ流動をいたしております。どちらかといえば、税というのは取らずに済めば取らないのが上策でございますので、いろいろ世の中の御議論等々も注意しながら、なお勉強させていただきたいと思っております。(拍手)
    〔国務大臣林大幹君登壇〕
○国務大臣(林大幹君) 高木議員にお答えいたします。
 環境基本法の意義についてどうかという御質問でございますが、先ほど総理の御答弁の中にも触れられておりますけれども、現行の公害対策基本法やあるいは自然環境保全法のような問題対処型の法的枠組みでは、今日の環境問題に対応するためには不十分でございますので、そういう意味で新しい基本法を制定させていただきたいということで今回提案いたしました。よろしくお願い申し上げます。
 次に、環境の範囲についても、これもまた総理の御答弁のとおりでございますので、重複を避けたいと思います。
 それから、環境基本計画でございますが、その内容についてどうかという御質問でございますけれども、環境基本計画の具体的内容につきましては、御指摘の計画における目標設定のあり方、それらを含めまして、中央環境審議会の御審議をいただき、計画案を作成することにしております。御指摘の点を踏まえまして、環境政策の総合的、計画的な推進のために十分な効果を発揮できるよう検討してまいりたいと思います。
 アセスメントにつきましては、ただいま総理の御答弁にも触れられております。特に環境基本法におきましては、そのときの時点においてより個別法として必要であることが認められれば考えなければなりませんけれども、現在の段階では、これは十分に国と地方の双方における取り組みによって全体としての整合のとれたものと現在評価しておりますので、現在の場合には、今の状態で適切な環境保全が図られると理解しております。
 以上でございます。(拍手)
    〔国務大臣村田敬次郎君登壇〕
○国務大臣(村田敬次郎君) 高木議員の御質問のうち、環境アセスメント条例の制定についてお答えします。
 環境影響評価、いわゆる環境アセスメント制度につきましては、総理もお触れになられましたように、既に広く地方公共団体で実施をされており、現在までに都道府県、政令指定都市について見ましても、三都道県及び一政令指定都市で条例が制定をされており、二十八の府県及び三政令指定都市で要綱または指針が制定されているところでございます。
 各種の事業を実施する前に環境アセスメントを実施することは、公害の防止及び自然環境の保全の観点から極めて重要でありますので、地方公共団体が独自の判断により積極的に対応していくことが極めて望ましいものと考えております。
 その際、環境アセスメントの具体的な実施方法は、御指摘にもありましたように、地域によって自然条件や環境汚染等の状況が異なっておりますので、地方公共団体の独自の条例の制定も含め、今後とも引き続きそれぞれの地方公共団体において判断されることが、地方自治尊重という観点から極めて望ましいものと考えております。(拍手)
    〔国務大臣林義郎君登壇〕
○国務大臣(林義郎君) 高木議員の御質問にお答え申し上げます。
 御質問の趣旨は、環境税の導入、あり方、税収の使途についてどうか、こういうふうなお話でございました。総理からも御答弁がありましたから、私から簡略に申し上げますが、御指摘のありましたように、環境税の問題につきましては、国の内外でいろいろと議論がありますが、私は大別して二つのことがあると思うのです。
 一つは、御指摘になりましたようないわゆるCO2税、そういったような環境の汚染を抑制するための経済的手段としての税制をどうするかということと、もう一つは、いろいろな環境対策をやってまいりますので、それに費用がかかる、国内外で環境対策をやらなければならない、ODAその他の関係もある、そのための財源調達手段としての税制をどう考えていくかという二つの議論があると思っております。
 環境にかかわる税につきましては、今までも勉強してきたところでございますが、本法案に係るところの国会での御議論または国民各界各層の御議論を深めまして、環境政策全体の理念や枠組みについての国内外の議論等もございますので、そういったものを注視しながら引き続き勉強してまいりたい、こういうふうに考えております。(拍手)
○副議長(村山喜一君) これにて質疑は終了いたしました。
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○副議長(村山喜一君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後三時四十九分散会
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