第126回国会 厚生委員会 第5号
平成五年三月二十五日(木曜日)
    午前九時三十三分開議
出席委員
  委員長 浦野 烋興君
   理事 粟屋 敏信君 理事 野呂 昭彦君
   理事 平田辰一郎君 理事 持永 和見君
   理事 網岡  雄君 理事 遠藤 和良君
      甘利  明君    伊吹 文明君
      岩屋  毅君    衛藤 晟一君
      小沢 辰男君    大石 正光君
      岡田 克也君    加藤 卓二君
      坂井 隆憲君    鈴木 俊一君
      住  博司君    近岡理一郎君
      戸井田三郎君    畑 英次郎君
      宮路 和明君    柳本 卓治君
      山本 有二君    秋葉 忠利君
      池田 元久君    岡崎 宏美君
      沖田 正人君    加藤 繁秋君
      川俣健二郎君    菅  直人君
      貴志 八郎君    小松 定男君
      五島 正規君    外口 玉子君
      土肥 隆一君    長谷百合子君
      草川 昭三君    吉井 光照君
      児玉 健次君    柳田  稔君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 丹羽 雄哉君
 出席政府委員
        厚生大臣官房総
        務審議官    瀬田 公和君
        厚生省健康政策
        局長      寺松  尚君
        厚生省保健医療
        局長      谷  修一君
        厚生省社会・援
        護局長     土井  豊君
        厚生省老人保健
        福祉局長    横尾 和子君
        厚生省児童家庭
        局長      清水 康之君
        厚生省保険局長 古川貞二郎君
        厚生省年金局長 山口 剛彦君
        社会保険庁運営
        部長      佐藤 隆三君
 委員外の出席者
        文部省教育助成
        局施設助成課長 矢野 重典君
        文部省高等教育
        局大学課長   工藤 智規君
        文部省高等教育
        局医学教育課長 遠藤純一郎君
        運輸省運輸政策
        局消費者行政課
        長       浅井 廣志君
        建設省住宅局住
        宅建設課長   那珂  正君
        自治省財政局調
        整室長     林  省吾君
        厚生委員会調査
        室長      高峯 一世君
    ―――――――――――――
委員の異動
二月二十六日
 辞任        補欠選任
  甘利  明君    相沢 英之君
  岩屋  毅君    中山 太郎君
  衛藤 晟一君    浜田 幸一君
  柳田  稔君    永末 英一君
同日
 辞任        補欠選任
  相沢 英之君    甘利  明君
  中山 太郎君    岩屋  毅君
  浜田 幸一君    衛藤 晟一君
  永末 英一君    柳田  稔君
三月一日
 辞任        補欠選任
  菅直人君      楢崎弥之助君
同日
 辞任        補欠選任
  楢崎弥之助君    菅  直人君
同月四日
 辞任        補欠選任
  甘利  明君    高鳥  修君
  岩屋  毅君    石原慎太郎君
  衛藤 晟一君    綿貫 民輔君
  大石 正光君    相沢 英之君
  岡田 克也君    中山 太郎君
同日
 辞任        補欠選任
  相沢 英之君    大石 正光君
  石原慎太郎君    岩屋  毅君
  高鳥  修君    甘利  明君
  中山 太郎君    岡田 克也君
  綿貫 民輔君    衛藤 晟一君
同月十二日
 辞任        補欠選任
  甘利  明君    石原慎太郎君
  岩屋  毅君    倉成  正君
  衛藤 晟一君    原田  憲君
  伊東 秀子君    富塚 三夫君
同日
 辞任        補欠選任
  石原慎太郎君    甘利  明君
  倉成  正君    岩屋  毅君
  原田  憲君    衛藤 晟一君
  富塚 三夫君    伊東 秀子君
同月二十五日
 辞任        補欠選任
  伊吹 文明君    柳本 卓治君
  簗瀬  進君    山本 有二君
  伊東 秀子君    池田 元久君
  土肥 隆一君    貴志 八郎君
  長谷百合子君    秋葉 忠利君
  森井 忠良君    岡崎 宏美君
同日
 辞任        補欠選任
  柳本 卓治君    伊吹 文明君
  山本 有二君    簗瀬  進君
  秋葉 忠利君    長谷百合子君
  池田 元久君    伊東 秀子君
  岡崎 宏美君    森井 忠良君
  貴志 八郎君    土肥 隆一君
三月十日
 母子及び寡婦福祉法の一部を改正する法律案
 (内閣提出第五五号)
 社会福祉・医療事業団法及び沖縄振興開発金融
 公庫法の一部を改正する法律案(内閣提出第五
 六号)(予)
 診療放射線技師法の一部を改正する法律案(内
 閣提出第五七号)(予)
 視能訓練士法の一部を改正する法律案(内閣提
 出第五八号)(予)同月二日
 乳幼児から学童期までの保育の充実に関する請
 願(長谷百合子君紹介)(第四一一号)
 同(沖田正人君紹介)(第四八五号)
 同(伊東秀子君紹介)(第五二〇号)
 保育所制度の充実に関する請願(加藤紘一君紹
 介)(第四八四号)同月十日
 保育所措置費国庫負担制度の堅持に関する請願
 (北沢清功君紹介)(第五五九号)
 同(清水勇君紹介)(第五六〇号)
 同(堀込征雄君紹介)(第五六一号)
 同(木島日出夫君紹介)(第六一九号)
 同(串原義直君紹介)(第六二〇号)
 同(井出正一君紹介)(第七二九号)
 同(唐沢俊二郎君紹介)(第七三〇号)
 同(小坂憲次君紹介)(第七三一号)
 同(田中秀征君紹介)(第七三二号)
 同(羽田孜君紹介)(第七三三号)
 同(宮下創平君紹介)(第七三四号)
 同(村井仁君紹介)(第七三五号)
 あん摩マッサージ指圧師の業務と異名同質のカ
 イロプラクティック及び整体術等無免許療術行
 為取り締まりに関する請願(鯨岡兵輔君紹介)
 (第五六二号)
 小規模作業所等成人期障害者対策に関する請願
 (河上覃雄君紹介)(第六一八号)
 乳幼児から学童期までの保育の充実に関する請
 願(外口玉子君紹介)(第六五六号)
同月二十三日
 すべての障害児者の基本的人権の保障に関する
 請願外四件(池端清一君紹介)(第七九一号)
 同(児玉健次君紹介)(第八三九号)
 同(池端清一君紹介)(第八五四号)
 同(池端清一君紹介)(第八八六号)
 同(池端清一君紹介)(第九〇一号)
 同外一件(池端清一君紹介)(第一〇〇五号)
 脳死・臓器移植の法制化の早期確立に関する請
 願(平泉渉君紹介)(第八一八号)
 保育制度の堅持と充実に関する請願(梶山静六
 君紹介)(第八一九号)
 公的年金制度改善に関する請願(児玉健次君紹
 介)(第八三八号)
 乳幼児から学童期までの保育の充実に関する請
 願(菅直人君紹介)(第九八八号)
 同(小沢和秋君紹介)(第九八九号)
 同(金子満広君紹介)(第九九〇号)
 同(木島日出夫君紹介)(第九九一号)
 同(児玉健次君紹介)(第九九二号)
 同(佐藤祐弘君紹介)(第九九三号)
 同(菅野悦子君紹介)(第九九四号)
 同(辻第一君紹介)(第九九五号)
 同(寺前巖君紹介)(第九九六号)
 同(東中光雄君紹介)(第九九七号)
 同(不破哲三君紹介)(第九九八号)
 同(藤田スミ君紹介)(第九九九号)
 同(古堅実吉君紹介)(第一〇〇〇号)
 同(正森成二君紹介)(第一〇〇一号)
 同(三浦久君紹介)(第一〇〇二号)
 同(山原健二郎君紹介)(第一〇〇三号)
 同(吉井英勝君紹介)(第一〇〇四号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 国民健康保険法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第一二号)
 薬事法及び医薬品副作用被害救済・研究振興基
 金法の一部を改正する法律案(内閣提出第三六
 号)
     ――――◇―――――
○浦野委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、国民健康保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小松定男君。
○小松委員 私は、国民健康保険法の一部を改正する法律案、特に今回のこの改正の問題点について何点か質問をさせていただきたいと思います。
 まず、改正案のうち保険基盤安定制度の問題なんですが、これは現行が国が二分の一、都道府県四分の一、市町村四分の一という負担割りを、今度は国の方が定額百億、都道府県が四分の一、残りを市町村負担、こういうふうにしたわけですね。そこで問題なのが、これによって四百六十億円の地方負担増に平成五年度でなるわけですね。この地方負担分については、一応自治省の方との話し合いでは地方交付税で見る、こういうことも言われております。しかし、この点については、例えば不交付自治体におきましてはこれは見られないということですから、こうなりますと実質的な国庫負担の削減ということになるわけでございます。したがって、この点についてどのように考えているのか、これは自治省を含めて答弁をお願いいたしたいと思います。
○古川政府委員 お答えいたします。
 御指摘のように、保険基盤安定制度の問題でございますけれども、この制度では、地方交付税の不交付団体でございましても保険料軽減相当額の全額を一般会計から国保特別会計に繰り入れるということとされておりまして、国民健康保険サイドでは事業運営に支障が生ずるというようなことはございません。
 ところで、不交付団体の場合、交付税措置がなされないのじゃないかというふうなお話かと思うのでございますが、不交付団体の一般会計につきましては、必要に応じまして調整債などの適切な配慮がなされているということのほかに、今回国保特別対策費補助金、従来これは百億円でございましたのを平成五年度には八十億円を増額いたしましたわけで、総額百八十億円になるわけでございますけれども、こういった特別対策費補助金の機動的な運用というようなことによりまして、不交付団体につきましてもその事業運営に支障が生ずることのないように適切に配慮していきたい、かように考えております。
○小松委員 これは市町村でいろいろと心配されておるわけですが、もう少し具体的に出さないとなかなかわからないと思いますので、私の市町村のところの所沢市で例をとって指摘をしたいと思うのです。
 埼玉の場合の例でいきますと、不交付団体というのは七市あるのですね。七市あるのですが、全部これを言うわけにいきませんので、例えば私の住んでいる所沢市の例を見ますと、今までは基盤制度では八千五百万円、このうち国庫補助が二分の一で四千二百五十万円入っていたのです。ところが、今度この制度になりますと、今回の改正で試算しますと約四千二百五十万円入らなくなってきますので、一般会計の方からこの分だけ持ち出しになるわけであります。
 したがって、こうした不交付団体、全国でどのくらいあるかわかりませんけれども、埼玉の例でいきましても一市町村でもこれだけの一般会計から持ち出しがあるということは、これはやはり大きな問題だし、それから関係市町村におきましては大変な不安のあることも事実です。したがって、こういうような実態ですから、当然不交付団体についても何らかの財政措置というものを講じてもらいたいという声もあるわけでございまして、この点についていかがでしょうか。
○古川政府委員 不交付団体につきましては、ちょっと先ほども申し上げましたが、一つの手法としては調整債といったものを発行する、そういったことでの対応。それから、運営といいましょうか、その市町村の実情ということにかんがみましてどうしても必要というようなときには、私ども先ほど申し上げた国保特別対策費補助金、これで必要に応じて対応する。一つは調整債、一つは特別補助金、こういったものの機動的な運用で支障のないように対応してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○小松委員 これはしっかりと我々も受けとめておかなきゃならないので、自治省、きょう来ていると思うのですが、今の点、私の方はそういうふうに理解してよろしいかどうか、ちょっと答えてください。
○林説明員 お答えをさせていただきます。
 先ほど御答弁ございましたが、自治省といたしましても、今回の暫定措置に伴います地方負担の増加分につきましては、平成五年度の地方財政計画に全額を計上いたしまして対処することとしております。具体的には地方交付税の基準財政需要額に算入することとしておりますが、これによりまして市町村に実質的な財政負担が生ずること^ないよう、適切な措置を講ずることとしているところでございます。
 この措置につきましては、不交付団体につきましても同様でございまして、全市町村につきまして地方交付税の基準財政需要額に算入することとしておりますが、これに伴いまして交付団体になるという、いわゆる交付成りをしない不交付団体につきましては、実際には財源が増加しないということになりますことは事実御指摘のとおりでございます。このため、自治省といたしましては、これらの団体につきましては、必要に応じまして調整債の発行を認めることとしておりまして、財源の確保に配慮することといたしておりますが、いずれにいたしましても、これらの団体の財政運営に支障が生ずることがないよう配慮してまいりたい、こう考えております。
○小松委員 そういうことで、これは確認をしておきたいと思うのですが、いずれにしても関係市町村はかなりこの点について心配をしておりますので、あえてその点を指摘をしておきたいと思います。
 それから、これは何も不交付団体だけじゃないのですけれども、今回の改正案というものの中身が、関係保険者、自治体には、今後交付金の方でいろいろと配慮してくれるだろう、定率が今度定額になったということですから。ただ、この点については、今までの国の財政というのはどうしても地方負担に押しつけよう押しつけよう、こういう動きがいろいろな角度から出てきておりますので、その点の不安もまた一般の自治体にあることも、これまた事実です。したがって、そうしたことのないように、特にこの点については指摘をしておきたいと思うのです。これは私の方のそういう声ですから、指摘をしておきたいと思うのです。
 そこで、例えば今度のこの改正によりますと、今までは国保会計で事務費、すなわち人件費が大半なんですけれども、この国保を扱う人件費というのは、いろいろとそうした会計から見てくれていたわけですね。ところが、そういう人件費も含めて、これは不交付団体なんかは特にそうなるのですけれども、一般会計の方から今度は繰り入れて見なくちゃならないということですから、この点についてもあわせて、先ほどの調整債か補助金かは別にいたしましても、そうした人件費等についてもぜひ見てもらいたいということですが、この点はいかがでしょうか。これは自治省。
○林説明員 お答えをいたします。
 御指摘の国民健康保険制度につきましては、私どもといたしましては既に市町村の事務として同化定着していると考えておりまして、国保事務費の負担金は一般財源化になじむものの一つである、こういうふうに考えております。
 また、国庫負担金の中でも人件費的なものにつきましては、臨調、行革審答申等におきましても一般財源化の対象として検討されるべきものとされておりまして、私どもといたしましては、このような観点から、昨年、事務費のうちの人件費につきまして一般財源化することで関係省庁間の合意が調ったと考えておりますし、また今回の措置は、昨年の措置に加えて、賃金、委託料及び電算機の共同利用に係る負担金のようなものにつきましてもさらに一般財源化することといたしたものでございまして、趣旨としては昨年の一般財源化と変わるものではないと考えております。
 これにつきましては、当然一般財源化に伴いまして地方負担が増加するわけでございますが、市町村の国保事務に係る経費の実態を踏まえまして、所要額を平成五年度の地方財政計画に計上し、地方交付税の基準財政需要額に算入することといたしておりますし、不交付団体につきましては同じ手順で財政措置がされますが、なお実質的な財源の増加が出ないような団体につきましては、お尋ねがございましたような地方債移譲の措置を通じて、財政運営に支障を生ずることのないよう配慮いたすことといたしております。
○小松委員 その点については、今の答弁をしっかりと実行するようにやってもらいたいと思います。
 これは厚生省の方に聞いた方がいいのかわからないんですが、今回の改正案、これは当初の概算要求のときにはこういうことは考えておったのかなかったのか。出てなかったと思うんです。ところが、先ほど私の方から指摘しましたように、国の方の財源が厳しいものですから、いろいろな意味で地方自治体に対する影響というものから、例えば公立保育所などの人件費の問題、こういうことなどがあったりなんかして、そうしたことを含めて地方へ肩がわりされてきたのかなというようなことも指摘をされているわけです。実際に当初概算要求のときには、こうした定額、定率の問題というのは考え方としてはなかったんではないかという気がしたんですが、この点はどういうふうになっていますか。
○古川政府委員 今回の措置は、国の非常に厳しい財政状況のもとで、そういったものを背景として予算編成の過程で浮上してきたということは、そのとおりでございます。
 ただ、この制度改正というのは、極めて厳しい国保財政の現状ということにかんがみまして、国保財政を何とかして安定化させたい、また保険料には市町村国保で大変格差がある、そういったものを平準化といいますか、できるだけ格差を是正したい、こういうことから当面平成五年度、六年度の暫定措置として緊急に必要な措置を講ずる、こういうようなことでございまして、私どもは単なる国庫負担の地方負担への転嫁ということではない、こういうふうに考えているわけでございます。
 具体的に申し上げますと、今回の保険基盤安定制度に係る国庫負担の変更というのは、一方で国保財政安定化支援事業、これは千二百五十億でございますが、こういったものの制度化によりまして、市町村の実情に応じた国保財政の安定化措置を地方の財源によりまして行うということとあわせて行ったものでございます。そしてまた、こういった改正に伴う地方負担の増につきましては、先ほどもお話がございますように、その全額について地方財政措置が講じられるものである。
 いずれにいたしましても、今回の改正は、国の厳しい財政状況を背景として、予算編成の過程で浮上してきたことは委員御指摘のとおりでございますけれども、私どもとしては、大変厳しい国保財政というようなことにかんがみまして、全体として何とか国保の財政安定化に資したい、また保険料の負担格差の是正にも資したい、こういうふうな趣旨で改正を行いたいということでございます。
○小松委員 そこで、これは政策的なこともありますので厚生大臣にお聞きした方がいいと思うのですが、今回の改正案というのは二年間の暫定措置として提出されているわけですね。
 本来は医療保険制度のあり方というのは、全体を見直していかなげればならないということが一つ、それから国と地方の役割を明確にすることが必要ですね。今後のこうした方策についてはどう対処しようとするのか。いずれにしても、来年か再来年あたりにはこうした抜本改正というものが当然出されると思うのですけれども、その点についてはどういう計画を組まれているのか、これは厚生大臣の方に伺っておきたいと思います。
○丹羽国務大臣 今回の国保制度の改正は、先ほど局長からも答弁申し上げているわけでございますけれども、大変厳しい状況下にある国保財政の現状にかんがみまして、いわゆる制度の基本的な枠組みに変更を生じない範囲内で、国保財政の安定化と保険料の地域間の格差、地域によっては保険料が七倍も差があるんではないか、あるいは医療も九倍も地域格差がある、こういうものの解消、つまり平準化を図っていくための一環として、当面必要な措置として講じたわけでございます。
 そこで、先生が御指摘の国保におきます国と地方の関係など国保制度の基本問題につきましては、現在医療保険審議会において幅広い観点から御審議を賜っておるわけでございますけれども、厚生省といたしましては、国保制度の抱える構造的な問題、いわゆる高齢者であるとか低所得者が非常に多いとか、こういう問題を含めまして、ひとつ問題の解決に向けて関係者の意見を踏まえながら十分に鋭意検討を進めていく、そのための周辺整備を行っている、このように御理解を賜れば幸いと思っております。
○小松委員 この抜本的な改正については、大体どの程度の日程を組まれて予定されているか、この点についてはどうでしょうか。例えば来年とか再来年くらいには審議会の方から出てくるでしょう。それに基づいてこうなりますよというようなことでいいと思うのです。
○丹羽国務大臣 私どもの希望といたしましては、夏ごろまでに一つの方向をまとめていただきまして、そして、もしまとまりますならば来年にも国会の方に御審議を賜りたい、このように考えている次第でございます。
○小松委員 それでは次に移りたいと思うのです。
 医療費が年々ふえてくる中で、いろいろ問題もあるわけですけれども、現在医療費というのは二十兆六千億円。あるいはこれはもう二、三年前の医療費ですから、今はもっとふえていると思うのですが、ずっと見てまいりますと、医療費はふえているのだけれども、年々国庫負担の方は逆に減額されているということが統計にも出ておりますね。
 例えば十年前、一九八三年、国庫負担が三〇・六%であったのですが、一九九二年には二四・〇%と約六・六%少なくなっております。もちろん差額ベッドとか付添看護料、保険対象外の正常出産などが二兆五千億円ほどあるのですが、これは含んでおりません。その中でそれくらい国庫負担が減額されている。
 逆に今度は患者負担を見ますと、同じ一九八三年でいいますと一〇・五%だったのが一九九二年では一二・六%、こういうふうに逆にふえてきているのが統計上出てきているわけです。そういうことですから、国民のそれぞれにとりましては、医療費の自分の負担というものが大変ふえているということをまずここでしっかり押さえておかなければならないと思うのです。
 そこで、なお心配されているのが、なお一層保険外負担というものがふえてくる方向にあるのではないか。例えば差額ベッドにしても付添看護料にしても、これからますますそうした意味で個人負担というものが拡大されてきはしないかという心配も一面あります。それからもう一つは、入院給食はそうした保険の方から外す方向も一方では言われているようなことも仄聞をいたします。そうなりますと、ますます医療費に対する個人負担というものが増大をされたのではたまったものではないという声もありますので、この点についてはどういう方向性を考えているのか、これは局長に答えていただきたいと思います。
○古川政府委員 三点ほど先生御指摘の問題があろうかと思うのですが、まず第一の、要するに国民医療費に対する国の負担の減少というようなことでございます。
 国民医療費に対する国の負担というものの一番大きなものは、国民健康保険でございます。御案内のように、国民健康保険制度は高齢者とかあるいは低所得の方々が非常に多い、そういった構造的な原因がございまして、増大する医療費に対してその財政をいかに確保していくか、これは大変腐心をしてきたところでございます。この御指摘の国庫負担の減少につきましては、そういった腐心の積み重ねでございますが、退職者医療制度を創設する、あるいは老人保健制度の改正等によりまして、国保財政に対する高齢者の増大の影響が緩和されたことによるものだ、こういうふうに考えているわけでございます。
 退職者医療制度というのは、御案内のとおり、会社などをやめますと所得能力がなくなって、病気がちになってくればみんな国保に入ってくる。そういうようなことをそれぞれの被用者保険なりで支えていこう、こういう制度でありますし、老人保健制度も各医療保険制度でみんなで支え合おう、そういうふうなことでできて、そういったことから国保の財政に対する高齢者の増大等の影響というものが緩和されたということが一つの要因ではなかろうか。また、患者負担分の増加につきましては、被用者本人の一割負担導入というのが図られたわけでございますが、こういったことが影響している、要因になっているというふうに考えておるわけでございます。
 それと医療保険の財源について基本的にどう考えるか。私どもは、医療保険制度については、受益と負担の関係が租税負担に比べましてより明確な保険料を中心とすべきものである、こういうふうに基本的には考えているわけでございますけれども、低所得者が多い、また事業主負担がない国保とか、あるいは経営基盤の弱い中小企業の集団である政管健保などについては、制度の安定的な運営を図る必要から、やはり相当額の国庫負担を行っている現状であります。そういうことが一つあります。
 それから、患者の一部負担につきましては、コスト意識の喚起とか健康保持、疾病予防に対する自己責任の自覚の促進とか、あるいは受益者負担の観点などから設けられておるということで、それぞれそういった国庫負担のあり方、あるいは患者負担といいましょうか、受益者負担の考え方というものがそういった経過で入っているということでございます。
 それからいま一つは、保険外負担の問題で差額ベッドとか付き添いの問題の御指摘がございましたが、これにつきましては、御案内のように、我が国の医療保険をめぐる状況というのは、高齢化の進展とか疾病構造の変化、あるいは生活水準の向上、国民の医療ニーズの高度化とか多様化、そういったことなどで大きく変化しておりまして、こういったことを踏まえまして、将来を展望した、二十一世紀を展望した医療保険制度の確立を図ることが私どもは重要であると考えております。
 また、同じように、入院給食の話もございましたが、この給食のあり方につきましては、在宅と施設との負担の公平とか、公的医療保険における給付の重点化とか、患者による選択の幅の拡大等の観点から、見直すべきであるというふうな意見があることも承知いたしております。
 いずれにいたしましても、患者負担の問題あるいは国庫負担のあり方、保険外負担の問題等々の御指摘がございましたけれども、こういった問題につきましては、今後の医療保険制度のあり方というものと非常に深くかかわってくる、国民の医療ニーズの多様化あるいは高度化等にも深くかかわってくるというようなことで、大臣が先ほど申し上げましたような医療保険審議会で幅広い観点から検討しておりまして、こういった問題については私どもは幅広い観点で国民的なコンセンサスを得て対応していくべきものだ、こういうふうに考えて、現在医療保険審議会で御検討いただいている、こういう状況でございます。
○小松委員 この点については、今言われたように医療保険審議会その他等の声もこれから十分配慮するんだと思うのですけれども、いずれにしてもこの問題については、今でも保険外負担というものが非常に重荷になっているということは事実ですから、これをさらに一層拡大のないような、文字どおりそうした制度というものを十分配慮してやってもらうことを私の方からは指摘をして、次に進んでいきたいと思います。
 それから拠出金の問題なんですが、この拠出金というのは、実は厚生省の方も、今度の国保制度の改善に関する陳情書というので、全国大会でこれは決議の中にありますね。したがって、老人保健拠出金にかかわる制度の問題について、上限設定を撤廃してもらいたいという声が非常に高いわけです。これについてどういうふうに今後されるのか、ぜひひとつ伺っておきたいと思うのです。
○横尾政府委員 老人保健拠出金の算定につきましては、老人加入率に二〇%の上限、また一%の下限を設けているわけでございますが、これは老人保健制度が各保険者の共同事業であるという性格にかんがみまして、それぞれの保険者について極端に大幅な調整を避けることが適当ではないか。若人の加入率の高い保険者と老人加入率の高い保険者とのバランスに配慮しながら設けられた制度でございますが、現状、先生御指摘のような声が上がってまいりました背景には、既に千五百二十一の市町村がこの上限を超えて老人が加入をしているということが背景にあると考えております。
 こういうことも含めまして、今回の国保制度におきましては、暫定措置として、上限措置によって老人保健拠出金の負担増が生じている市町村国保に対しまして特別の措置を講じ、その負担の緩和を図ったところでございます。
 今後につきましては、この二〇%あるいは一%の措置の見直しをどうするかということでございますが、制度設定の趣旨をかんがみながら、各保険者の運営状況の推移あるいは費用負担の状況等を考えながら、老人保健制度全体の中で考えてまいりたいと考えております。
○小松委員 きょうはほかのこともあるので、この問題でもう少し議論したいところもあるのですけれども、ただ、全国の市町村からそういう撤廃の声が上がっているということを特に強く指摘しておきたいと思うのです。
 同時に、これでどのくらいの影響を受けているかということで、今若干お話がございました。この二〇%の上限設定によって拠出金が影響を受けているのが、金額にすると四百二十二億一千六百万円ということで、かなり大きな金額が試算されておりまして、被保険者一人当たり四千六百九円、こういうふうに試算されておりますね。したがいまして、こうした点について、全国の市町村でいきましても、今お話がございましたように千五百十七市町村が二〇%を超えているわけです。四六・六%。全国市町村でいけば、約半数くらい二〇%を超えている。こういうような現状ですから特にこの声が高いのかなという気がするんですが、この点についてはそうしたことで撤廃の方向、ぜひこれを実現する方向でいってもらいたいということで、次に進みたいと思います。
 そこで、次に私の方から問題として取り上げたいのは、今のこの国保税の賦課のあり方、これは調べれば調べるほどいろいろまちまちなことがありますね。この算定基準というのが統一されてないわけです。したがって、窓口でよく住民とのトラブルがあるわけです。そういうことで、これは統一しないと今後ますます混乱するし、市町村によって公平といいますか、同じような算定基準でないのです。
 例えば今、応能割と応益割、そういったことでやられているようですけれども、それが、所得を中心にしてやるのはわかるのですけれども、例えば資産、土地家屋を持っている人はそれの資産割もそこへ加わるというようなことで、三通りくらいですか。全国では恐らく所得割、均等割方式と、それから所得割と均等割、世帯別均等割、この方式と、それから資産割、土地家屋ですね、これを採用している三つの方式があるんだと思うのです。だとすると非常にこれは問題があると思うのですが、これらの点については今後どうした角度で一元化といいますか統一を図る方式でいくのか、あるいはどうしても市町村にその税のかけ方というものを好き好きに任していくのか、このあたりは特に問題がありますので、指摘をしておきたいと思うのです。
 例えば、これは埼玉だけじゃありませんが、東京都の場合ですと、都が多少国保に対する援助、一般財源から繰り出しているのかどうかわからないのですが、越しできますとよく窓口で問題、トラブルが起きるのですね。また、埼玉なら埼玉、神奈川なら神奈川、千葉なら千葉でも市町村でまちまちの方式をとっておりますから、行った市町村においてはいろいろと窓口で、おたくの方式はまずいじゃないか、何でこんな高くなるんだというようなことがあることも事実です。したがって、こうした現状を踏まえたときには、何とかしなければならないんじゃないかという気がするのですが、この点はどうですか。
○古川政府委員 御指摘の問題は大変長いいろいろな経緯がございます。一つは、保険料を取ったりあるいは保険税を取っているような市町村があります。これについてもいろいろな経緯がある。また、賦課方式につきましても、所得割あるいは資産割、均等割及び平等割を賦課する四万式、あるいは資産割をとらない三万式、資産割及び平等割をとらない二万式、それぞれの市町村によって選択されているというのは先生のおっしゃるとおりでございます。
 こういった問題につきましては、長い歴史的な経過あるいは市町村国保のあり方というようなこと、おのおのの実情というものを考慮して賦課方式が定められているというのが実態でございますので、私どもとしては、こうした実態を十分尊重することが必要であるというふうに考えているわけでございます。
 いずれにしても、そういった実態も踏まえ、市町村の御意向も尊重しつつ検討していく必要があるというふうに考えている次第でございます。
○小松委員 この点については、いろいろと各市町村やり方がばらばらですから、これは将来当然もう少し合理的に検討してもらわないと、例えば土地家屋を持っている者は土地評価額、家屋評価額なんかも変わってまいりますので、所得はなくても保険税だけはふえてくるということもあります。ただ、この資産割をとっているところというのはそんなに数は多くないと思うのですけれども、そういう方式もあって、そういう矛盾もあるということを含めて指摘をしておきますので、今後の対応をいろいろな角度からひとつ検討してもらいたいと思うのです。
 そこで、国保の料金というのですか、これは保険税ということが今使われているわけですね。ところが保険料というところもあるのですね。この料と税というのはどこが違うのですか、この点もちょっとはっきりしてもらいたいと思います。
○古川政府委員 これもいろいろな経緯があるわけでございます。国民健康保険の財源につきましては、国民健康保険法に基づく保険料という形で徴収されていたわけでございますが、戦後収納率が著しく低い状態にあるというようなことから、昭和二十六年度から地方税法に基づく保険税の制度を導入いたしまして、市町村が実情に応じて保険料、保険税、いずれかを選択できる仕組みというふうになされたものでございます。
 保険料と保険税というのは、このような経緯からその根拠法令が異なっておりまして、また、徴収権の消滅時効期間、例えば保険料であれば二年とか保険税であれば五年とか、そういった徴収権の消滅時効期間とか、あるいは徴収権の優先順位等も相違しているというようなことでございます。
 国保税も本質的には保険料の性格を持つものであるというふうに考えておるわけでございますが、ただいまお話しのような保険料方式への統一というようなことにつきましては、統一しろとおっしゃっているわけではない、いろいろまちまちであるからどうだという違いをお聞きになったわけでございますが、大体約九〇%の市町村が国保税方式を採用しているという現状にございますので、こういった点も踏まえて、市町村の意向も尊重をしつつ検討する必要があるというふうに考えております。
○小松委員 お聞きするところによると、約一〇%くらいがまだそういう保険料ということになっているようですが、税と料との違いというのは大体わかりました。ただ、税になると厳しいなという気がします。同じ日本国民として国保の料金を払っていながら、片方はそういうことで料、片方は税、こういうことではやはりこれは不公平なこともあるかなという気もしますので、このあたりは今後の課題としていろいろと検討していかなければならないことかなというふうに思います。この点についてはそういうことで指摘をしておきたいと思うのです。
 次に、保険税の限度額の問題、今四十六万円ですが、今度の改正案で五十万円まで引き上げられますね。そういたしますと、それでなくても国保の保険税というのは、一般の保険料から見るとかなり負担が重いような気がするのですね。そこへ持ってきて今度上限を上げるものですから、なお一層大変になるかなというふうに思います。したがって、上限を例えば四十六万円と決めたって、今でも四十六万円取れないですよ、市町村によって。取れない市町村はどのくらいあると思います。ちょっと答えてみてください。取っているところが少ないでしょう。
○古川政府委員 限度額別の保険者数はわかるわけでございますが、四十六万円の限度額を取っているところが二千七百三十二保険者、それから四十万円以上四十六万円未満が四百八十八保険者、四十万円未満が三十三保険者、三千二百五十三保険者のうちでそういった状況にたっております。
○小松委員 ですから、今度さらに上限を上げるということになりますと、今だって四十六万円取っているところ、上限いっぱいまで取っているところというのはほとんど少ないのですよ。ですから、市町村は上限を上げられたって大変だと思うのですよ。よく窓口でトラブルのもとになるのです。ですから、これを引き上げるときには、もう少し慎重に配慮した方がいいのではないかというふうに私は思います。
 それと、例えば国保の加入者というのは、中小企業の零細商店とか農民とか、あるいはまた失業といいますか、いろいろなそういう人だとか、大企業に勤めている人とかというのは、政府管掌かあるいは自分たちの健保で入っているわけですよね。ところが、国保に加入するという人はそういう零細の人たちが非常に多いわけなので、そうした人たちから見ていっても非常に掛金が高い。しかも給付は悪いんですからね。保険制度ではこれが一番悪いわけですよ、七割給付ですから。あとは大体九割給付か十割給付でしょう。応益、受ける部分というのはこれが一番悪いわけなんですよね。しかし、負担分はかなり高いんですよ。ですから、そういう意味からしても、上限を決める場合でもやはりそういうものを含めてやらなければならないと思うのですが、この点どのように考えているのかですね。
○古川政府委員 上限の議論でございますが、国民健康保険料あるいは保険税の賦課限度額につきましては、毎年見直しを行いまして、必要に応じまして引き上げを図っているというような状況でございます。
 考え方でございますが、一つは被保険者間の負担の公平を図るというような観点、それからまた、所得の伸びとか政府管掌健康保険の保険料の上限改定等というものを勘案しまして所要の見直しを行っており、必要に応じて引き上げを行っておる。ちなみに平成五年度においては、そういったことで、平成四年度の四十六万円から、ただいま申し上げたような趣旨から、五十万円に引き上げるというふうなことといたしておる次第でございます。
○小松委員 ですから、大体最高限度額というと年収どのくらいになりますか。七百万ぐらいじゃないですか。
○古川政府委員 必要経費を控除するという、それを調整いたしますと七百万ぐらいでございます。要するに、給与所得の収入として考えた場合には年収七百万ぐらい、そういうことでございます。
○小松委員 一般の他の保険制度から見ると、かたり個人負担は高いと思うのですね。これは例えば厚生年金それから共済年金、役人の人が入っているのは共済年金だと思うのですが、それから見てどう感じますか。
○古川政府委員 政管健保の場合は年収一千百万程度と考えております。ただ、これは政管健保の場合と国民健康保険では仕組みが違うわけでございますので、国民健康保険の場合の七百万と政管の千百万というのが高いか低いか、これは国民健康保険は、御案内のように、所得が非常に高い人も、それから非常に低い人も多いというような所得の分布状況全体を見ながら、被保険者間の公平、バランスということを考えながら上限も設定するという要素もございまして、政管の場合あるいは健保組合あるいは共済の場合と国民健康保険の場合の上限だけを単純に比較して、高いか低いかということはいかがかなというふうに考えております。
○小松委員 私は今、上限の問題がわかりやすいから取り上げたのですけれども、一般に国保の場合は、ほかのそれに基づいてきても、個人負担が多いことは多いんですよ。それで給付の方は逆に言うと低い、こういうことですからね。ですけれども、国民皆ひとしく医療制度を、そういう社会保障も含めて恩恵を受けるというものもあるわけですから、そうしたところで余り格差というものをつくっていってはうまくないから、とりわけ今回こういう引き上げの場合、そういうものも十分配慮した中でやる必要があるのじゃないかということからいろいろお聞きしていたわけですが、そういうことでひとつ受けとめていただきたいというふうに思います。
 そこで、時間も余りありませんので、次に進みたいと思うのですが、外国人労働者の問題なんです。
 外国人労働者というのは今でもどんどんふえておりますが、これから国際化社会の中でますますふえてくると思うのです。それについて、今度は保険に絡んだ問題というのは大きな課題だと思うのですね。ところが、例えば中小企業に外国人労働者を雇う場合も、一般の政府管掌の健康保険に入れたいんだけれども、厚生年金と一体でなければ今の制度は入れないわけですね。ですから、この点で、厚生年金を掛けても、外国人の場合は受給するまでいるかいないかわからない、安定性も余りないということで、それじゃばかばかしい、こういうことで掛けない。したがって、政府管掌の保険にも入れないということで国保に切りかえていくということですから、市町村の負担はだんだん多くなってくる。
 片や、この間も政管健保のときにもいろいろ指摘をされたように、政管健保の場合にはかなり黒字を出している。しかし、国保の場合にはそうではないということですから、外国人労働者の場合には特例を認めてもいいんじゃないかという気がするのですが、このあたりはどういうふうな認識を持っているのか、伺っておきたいと思うのです。
○古川政府委員 医療保険の関係で考えますと、適法な外国人の方々については、これは医療保険、国保が適用されている次第でございます。
○山口(剛)政府委員 厚生年金の適用につきましては、御指摘のとおり、適用事業所に雇用をされておりますと、国籍を問わずに強制適用ということになっております。これはむしろ労働者の生活保障、特に障害になられるというようなケースもあるわけでございますので、そういう観点から強制適用にしておるわけでございますし、また国際的に見ましても、むしろ内外人差別しないで平等に扱えという潮流にあろうかと思います。
 したがいまして、我が国の社会保険制度の根幹となっております強制適用の原則に例外を設けるということについては、慎重でなければならないと思いますし、むしろ外国人の方々も適用をした上で出てくる課題、ちょっとお触れになりましたけれども、年金の通算問題というようなことにつきましては、私どもも課題として、将来解決をしていかなければならない問題として強く認識をしておるところでございます。
○小松委員 これは年金と関係しているものですから。確かにこれは全部一緒の方がいいということは一面わかるのですね。ところが、現実にはそういうことで、年金の方と一体のものでは雇う方も負担をしなければなりませんので、これはつまらないから掛けたくない。それから外国人労働者にしても、せっかく資格は入れるにしても、やはり年金の方はそう二十年も三十年も勤めるかどうかわからないからということもあるのでしょう、掛金をやってもつまらないということですから入らない。そうなると、今度はこちらの方も入らないという現実があちこちで起きていることも事実です。
 ですから、これは医療保険の方で、今言ったように、特例を設けることが難しいという答弁なのですが、年金の方で別に考えてもいいというようなことなのか。いずれにしても、両方が一体のものではなかなか現実的ではないのです。ですから、何とかしてこれは特例を設けるとかして、切り離した方がよりいいのかなという気が私はしておるもので、特に指摘をしておるのです。そういう点で何か将来考えられないのかどうか、もう一度答えていただきたいと思うのですが、いかがでしょう。
○山口(剛)政府委員 特に滞在期間の短い外国人労働者の方々の我が国における社会保険の適用をどうするのかという点になりますと、年金で解決をしていかなければならない問題、課題の方が多いと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、年金をできるだけ内外人平等に適用をしていくという原則の中で、御指摘をいただいておりますような問題についてどういうふうに解決をしていったらいいのかどうか、年金サイドとしても課題として真剣に考えていきたいと思っております。
○小松委員 時間もありませんので、最後に、今度の改正に関連してですが、今私が指摘した中でも、医療制度にいろいろと問題点があることは事実なのです。同時に、平成二年の改正のときには、国会決議でもって三点挙げているわけです。この点について、今言ったようだ決意を含めてどういうふうな決意で臨むのか、最後に大臣の見解を聞きたいと思うのです。国会決議で三点ほど挙げているのです。持っているので私が読めばいいのですけれども、ぜひひとつそれを守ってもらいたい。
○丹羽国務大臣 平成二年の五月二十四日の決議で、三点につきましていろいろ御指摘があるわけでございますけれども、先ほど先生から御指摘がございましたように、国民健康保険制度は、ほかの健保や政管などに比べまして非常に高齢者が多い。これは近年とみに、いわゆる産業構造の変化に伴いまして、自営業者あるいは農林水産業関係者などの被保険者が毎年五十万から百万人ぐらい減ってきておる、こういうようなことで、ますます高齢者がふえてきておる。それから第二点といたしまして、いわゆる低所得者が全体の四分の一を占めておる、財政基盤が大変脆弱である、こういう構造的な問題をまず抱えておるわけでございます。
 それで、そういう観点でございますけれども、何と申し上げましても国保は国民皆保険制度の中におきます最大の課題であり、大切な柱でありますので、その長期的、安定的な運営を心がけていかなければならない、このように考えているような次第であります。
 今回お願いをいたしました暫定措置も、そういう観点に立ちまして、市町村から国保への繰り入れに対する交付税措置を従来の一千億から一千二百五十億円に増額をして、これを国保財政安定化支援事業として初めて法制化をお願いをした、こういうこともその一環でございます。
 御案内のように、現在医療保険審議会において議論をいただいておるわけでございますので、その決議等を踏まえまして、ひとつ長期的、安定的な国保体制の運営に努めていきたい、こういう決意でございます。
○小松委員 以上、終わります。
○浦野委員長 菅直人君。
○菅委員 丹羽大臣は大臣になられてもう大分時間がたつわけですが、厚生行政には大変詳しい大臣ですし、たしかこの委員会で私が質問をするのはこれが初めてではないかと思います。きょうは国民健康保険法の一部改正案についての審議でありますが、この問題、さらには国民健康保険制度とも非常に関連の深いゴールドプラン、高齢化社会を控えてのいろいろな問題などについて、多少幅広く議論をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。
 まず、法案として提案をされているこの国民健康保険法の改正案でありますが、いろいろと苦労されて、若干の改正をして安定化を図りたいという趣旨は、それはそれとして理解できるわけであります。しかし、ではこういう改正をしたら本当に長期に安定をするのか、それとも、これは暫定措置だという言い方もされておりますけれども、また間近にいろいろな面での大改正が必要になるのか、ここのところが一番大きな論点であろうというふうに思っております。
 若干翻ってみますと、国民健康保険、制度的に他の制度に比べて非常に弱い。その大きな原因は、特に高齢者の比率が高いことだということを長年言ってきたわけであります。そして、その中で生まれたのが退職者医療であり、あるいは老健制度であることはもちろん大臣重々御承知のとおりであります。そういう中で、老健制度の加入者按分率等もだんだん上がってきまして、一〇〇%ということになってくる。そうすると、一応少なくとも七十歳以上の皆さんの医療費の負担というものは、各制度間において公平にといいましょうか、ほぼ公平に負担をする制度になった、そう考えることができるかと思うのです。
 そういうふうなことを踏まえて考えますと、これからの国民健康保険制度、つまり、今回改正を提案されているこのことが改正されれば、当面といいましょうか、少なくとも三年、五年程度はこれでもう十分やっていけるというふうにお考えなのか、それともさらに大きな改正あるいはいろいろな改正が必要だという見通しを持っておられるのか、まずその基本的な点についてお聞きをしておきたいと思います。
○古川政府委員 お答え申し上げます。
 今回の制度改正の措置は、繰り返して申し上げておりますように、厳しい状況にある国保財政の現状等にかんがみまして、制度の抜本的な改革を行うまでの間の暫定措置として、国保財政の安定化とかあるいは保険料負担の平準化、格差是正を図るために緊急に必要な措置を講ずる、こういう趣旨でお願いをしているわけでございます。
 今回の改正によりまして、国保全体として見ますと、国・地方を通じまして公費負担の拡大が図られることとなること、また、国保財政安定化支援事業等の制度化によりまして、市町村一般会計からの適切かつ円滑な財政支援措置が行われることになること、そういったことから、私どもとしては国保財政の安定化と保険料負担の平準化、つまり格差是正に資するものだ、こういうふうに考えております。
 しかしながら、御案内のように、あるいは御指摘のように、国保におきましては低所得者が非常に多い、あるいは中高齢者が多い、また医療費や保険料に大きな地域格差が存在している、こういった国保制度の構造的な問題は依然存在しているわけでございますので、私どもとしては、これらの構造的な問題の解決に向けまして、関係者の意見等を踏まえながら、国保を含めた医療保険制度全体のあり方について議論を深めていく中で、こういった国保のあり方について検討を進めてまいりたい、その必要がある、こういうふうに考えているわけでございます。
○菅委員 今三点挙げられたわけですね。低所得者が多い、中高年齢者が多い、地域格差。それぞれいろいろな見方があるわけですが、一つちょっとお聞きをしておきたいのは、現在国保の場合は、基礎自治体といいましょうか、市町村が保険者になっているというふうに理解しているわけですが、この保険者単位の議論が従来からあるわけですね。
 つまり、インシュアランスとしての保険事業というもの、いわゆるお金の計算としての保険事業というものが市町村単位がいいのかどうか。逆に言えば、ヘルスといいますか、そういう面での保険事業というものはなるべく基礎自治体がやるべきかもしれないけれども、お金の計算の単位というのにしては自治体によってはやや小さ過ぎるのではないか、こういう議論もあるわけですが、この点についてはどういう見解をお持ちですか。
○古川政府委員 先生御指摘のように、市町村国保の規模というものは非常に小さいわけでございます。そういったことで、私どもは国保事業の広域化という問題は非常に重要な問題だ、こういうふうに認識しているわけであります。
 御案内のように、国保は小規模保険者が大変増加してきている、しかもそういったことから市町村国保の事業運営基盤が脆弱化してきている、こういうことは既に指摘されているところでございまして、私どもとしても、小規模市町村対策として、特に都道府県国保連合会の行う高額医療費共同事業の推進、そういったもの等を図ることによって運営の安定化に努めている。例えば、非常に規模が小さければ、高額の医療費を要するような患者さんが出れば非常に影響が大きいというような問題がありますので、高額医療費共同事業の推進、そういったこと等を図ることによって運営の安定化に努めてきている、こういう状況でございます。
 そこで、国保事業の広域化というような問題でございますけれども、これについては先生御案内のように従来からさまざまな議論がありまして、現在は国保事業運営の効率化というような問題、あるいは市町村の保健活動との関連、つまり、きめ細かなそういった保健活動を行っていくというような趣旨から、市町村に基礎を置いた事業運営が行われているというのが現状であるわけでございます。
 御指摘のように、国保保険者のあり方につきましては、国保運営の現状等から見ると大変重要な問題である、私どもこういう認識のもとで、現在医療保険審議会における検討項目の一つとしてこういった国保運営のあり方が挙げられておりまして、今後審議会の御議論等を踏まえながら検討してまいりたい、かように考えているわけでございます。
○菅委員 この議論をしていていつも、ホケンという言葉が日本語で二つ、言葉としては同じ発言であるわけですね。だからどうもどっちの、保は同じですが、ケンがいわゆるヘルスの方の健なのかあるいはインシュアランスの方の険なのか、いつも混乱するわけです。
 今も局長が言われた保健活動、後に議論をする例えば在宅福祉とかそういう問題は、確かにできるだけ基礎自治体を中心に構成されることが私も望ましいと思うわけです。しかし、そのことといわゆるもう一つの保険、みんながお金を出し合って、今言われた高額な医療費がかかる人もあるいは健康な人も負担をし合ってやっていこう、そういう意味での保険というものの考え方からすると、今の単位が適切なのかどうか、これは私は従来から若干の疑問を持っているわけです。
 しかし一方では、経済的な面でも、いわゆるヘルス事業を充実させることによって医療費をプライマリーな段階で節約できるんだ、そういう動機づけもあり得るわけで、そういう点では両面から考えなければいけないと思いますけれども、今も言われたように国保全体を見るとき、あるいはその負担の標準化なんということをしきりに言われているのを見ると、こういったお金の面といわゆる保健事業の面、活動の面とを区分けして考えることがこれから場合によっては必要なんじゃないかな、私自身もそういうふうに思っております。
 もう一つ、所得水準が低いということをしきりに言われているわけですが、これは二つの面があると思うんです。実際に年金受給者などによって所得水準が低いという面と、もう一つ、これはなかなか表現しにくいんですが、税の議論の中でよくあるわけですけれども、よくクロヨンとかトーゴーサンピンとか言われております。実際の収入はある程度あるけれども課税される面は非常に低い水準である、こういう面が場合によってはこの国保という面でも影響しているんではないか、こういう議論もあるわけですが、この点の影響については厚生省としてはどう考えておりますか。
○古川政府委員 言葉が適切かどうかですが、いわゆるクロヨンの御指摘もございました。基本的には、国民健康保険の構造的な問題として、いわゆる無業者といいましょうか、これはほとんどその八割が年金の受給者でございますが、それが今日もう三五%に達しているというようなこと等から見ましても、そういった所得把握の問題とは別にしまして、国民健康保険被保険者の方々のそういった所得水準というものが非常に厳しい、低いということは指摘できるかと思うわけでございます。
 そこで、もう一つのいわゆる国民健康保険における所得把握の問題でございますけれども、御案内のように、国保というのは農業をやっておられる方々とか自営業者の方々、あるいは年金受給者といった多様な稼得形態の被保険者が加入しておるわけでございまして、また一方で住民税が非課税となるという被保険者も多く抱えておる、多く含まれておるというようなことから、所得把握につきましては、いわゆる被用者保険に見られたいような大変難しい問題があるということは事実でございます。
 この所得の適正な把握をどうするか、これはもう御案内のとおり制度運営の基本であるわけでございまして、保険料負担の公平という観点からも私どもは大変重要な問題である、こういうふうに思っているわけでございまして、各市町村保険者等におきましては、住民税非課税世帯等に対する国保単独での所得調査の実施をするとか、そういった地道な努力を積み重ねて、適正な所得把握に努めているというような状況でございます。
 厚生省といたしましても、今後とも各市町村において所得の正確な把握ということによります適正な保険料賦課が行われるように、引き続き保険者の指導ということに努めてまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。
○菅委員 今後の国保制度の根本的な議論の中で問題になりそうな幾つかの点についてお聞きをしたわけですが、実は先ほども他の委員からもありましたが、老健法との関係、拠出金との関係などもいろいろ議論があるわけです。これは後ほど時間があればやらせていただくことにして、少し話を移していきたいと思います。
 国保制度に限りませんけれども、今から厚生省にとってといいましょうか、あるいは我が国の内政にとって最大の課題が高齢化社会の問題であることは言うまでもないわけです。大臣も団塊の世代にやや近い年齢ですけれども、団塊の世代があと三十年たてば、ほぼ七十五から七十歳の間に入ってくる。いわゆるオールド・オールドの世代に入ってくる。ですから、十年後、二十年後というようなことを言われておりますが、私はやはり三十年後あたりを一つのピークと見ながら物事を考えていかなければいけないんじゃないかな、こういうふうに思っているわけです。
 その中で、高齢化社会の問題でいろいろな議論の切り口があると思うわけです。一つは、収入というかお金というか年金の問題、一つは、ゴールドプランでも非常に重要視されている介護のマンパワーの問題、それと関連をする施設の問題、そして施設という以上に、在宅福祉の宅の方は大丈夫なのかという言い方を私はしているのですが、住宅とか都市の問題、こういった問題、幅広くあると思うわけです。
 まず、できれば大臣に、高齢化社会というものを迎えるに当たっての、特に私は年金、マンパワーあるいは施設というものについての議論はかなりされていると思うのですが、もう一つ、在宅福祉という言葉だけは先行しているのですけれども、それに見合うようだ、つまりは老人が自立して自分のうちで住む、あるいは公共住宅で住むというそのことが可能な住宅が提供できているのか、あるいは自立して活動できるような都市が提供できているのか、こういう点についての観点がまだ非常に不十分ではないかという気がしているのです。高齢化社会を控えての基本的な姿勢について、一度大臣の見解を聞いておきたいと思います。
○丹羽国務大臣 ただいま菅委員から御指摘がございましたように、国民の四人に一人が六十五歳以上になるという高齢化社会がやがてやってくるわけでございますけれども、こういう高齢化社会においても、お年寄りが安心して過ごせるような環境づくりというのは大変私は重要な課題である。これから最大の、いわゆる宮澤内閣におきましても生活大国の実現ということを声を高らかに上げておるわけでございますが、一番基礎的な問題ではないか、このように認識をいたしておるわけでございます。
 ひとり暮らしの老人やあるいは最近は高齢者だけの世帯というものが大変ふえてきておるわけでございますけれども、そういう方々が地域の中で自立して生活できるような環境整備を進めていくことが大変重要だと思っております。
 菅委員がこの問題につきましてかねがね大変御熱心に提起をいたしておって、大変私は心から敬意を表しておるわけでございますけれども、例えば住宅などにおきましても、現在の住宅というのは、高齢者を対象としているような住宅というものは必ずしも十分に開発されていないのではないか。
 ですから、これからの課題といたしましては、高齢者向けのリフォームのための融資やあるいは住宅改造相談体制の整備、こういうようなものを進めていかなければなりませんし、また、建設省と協力のもとに、公共住宅と住宅福祉サービスの連携を図るようなシルバーハウジング事業の展開、さらに、お年寄りになりますると身体の機能が低下してくるわけでございますので、そういう中に招いても自立できるようなケアハウスの整備、こういうものを図っていかなければならないと思っております。
 それから、同時にお話がございましたいわゆるマンパワーの確保でございますけれども、御案内のように、平成二年度からスタートいたしましたゴールドプランがことしで四年目を迎えるわけでございます。そういう中で一番私どもがこれから力を入れていかなければならないのは、まさにマンパワー、人材の確保でございますけれども、ホームヘルパーを十万人確保するとか、あるいはショートステイ、デイサービス、いわゆる在宅三本柱、特にデイサービス・につきましては、中学校区に一カ所ずつ整備していこうではないか、こういうようなことを行っていきたい、こう考えているような次第であります。それから、大変お気の毒なことにその地域においてはなかなか自分では自立てきない、こういうお年寄りに対しましては、特別養護老人ホームであるとかあるいは老人保健施設だとか、こういうような施設を通じまして、いずれにいたしましても、これは私どもの問題でもあるわけでございますけれども、高齢化社会においても国民の皆さん方が安心して過ごせるような環境づくりのために努力をしていく決意でございます。
○菅委員 大臣の方からかなり幅広くお答えをいただいたわけですが、今話題に出た問題について、それぞれ少し突っ込んで議論を進めていきたいと思います。
 一つは、マンパワーの問題の中で看護婦さんの問題があります。最近でもいろいろと病院ないしは医院のお医者さんに聞きますと、やはり大変看護婦さんを確保することが難しい。一時の全体に人手不足の時代は特にそうだったと思いますが、最近若干景気が悪くなって、一般の分野では、例えば同じ病院の中でも看護婦さん以外の分野では、多少採用しやすい側面も出てきているというようにも聞いておりますが、看護婦さんに関してはまだまだ非常に確保が難しいというふうによく聞くわけですね。
 まず、端的にちょっと聞いてみたいのですが、この問題はどんなふうにとらえておられるのですか。つまり、実際そうだという認識があるとすれば、何が原因で病院とか医院とかでの看護婦不足というのか、あるいは看護婦確保が困難な原因はどういうふうにとらえておられますか。
○寺松政府委員 お答えいたします。
 看護婦の不足と申しますか、需要が非常に増大しておるということは私ども認識いたしておるわけでございます。
 その理由はいろいろあるかと思います。 一つは、医学医術の進歩によって医療が高度化しておるということもあるかと存じますし、それからまた、高齢者がふえて手がかかる患者さんが多くなったというようなこともございましょう。それから、もう少し具体的に申し上げますと、「高齢者保健福祉推進十か年戦略」、ゴールドプランというようなことでいろいろな施設がつくられるというようなこと、それから、近年特に看護婦不足だなというのが強く感じられましたのは、地域医療計画等の策定に伴いまして駆け込み増床なんかがありまして、病院の病床増ということもあったことも事実でございます。
 しかし、病床の方はどうにか落ちついておりますけれども、その他の先ほど申し上げました需要が非常に多くなって、それに対するためのマンパワーということで、看護婦さんが中心でございますので、非常にそういう不足感があるのではないかと思います。
○菅委員 実は、今言われた問題もそれぞれ非常に大きな問題なのですね。特に、最後に言われた病床が若干駆け込み的にふえてきている、今落ちついているという言い方もありましたが。ですから、病院の基準も非常に細かい基準がどんどんつくられて、それに合わせていろいろな性格を持った職員が必要になってきている。
 そういう中で、特に看護婦さんの場合は、もちろん資格も必要ですし、非常に不足感が強い。いろいろ理由を挙げられたのですが、これらの理由というのはある意味では当然予測されてよかった理由ばかりで、急に火山が噴火したとか台風が来たという話ならともかくとして、医療の高度化あるいは高齢化によって手がかかる、あるいはゴールドプランによって施設が増設を逆にどんどんしているとか、医療計画によってとかというのは、まさに行政全体としては当然予測ができるところだと思うわけですね。それが非常に今不足感が強くなっている、不足がきつくなっているというのは、私はやはり広い意味での対応のおくれと言わざるを得ないと思うわけです。
 そのことを責めるだけでは仕方がありませんので、今後の展望についてお聞きしておきたいのですが、ここに、看護職員確保対策の概要というのを先日厚生省からいただいております。これを見ると、平成十二年には需要数百十五万九千人に対して、きちんと百十五万九千人が充足するであろうという数字が出ているわけですけれども、この見通しについて、これに書いてあるといえば書いてあるのですが、これを実現するためにこの間どういう努力をされるつもりなのか、あるいはこれを達成することによって今言ったような問題が、つまりは病院などについての看護婦さんの不足というような状況がこの数字で完全に解消というか確保が可能になるのか、その点についてお聞かせをいただきたいと思います。
○寺松政府委員 お答えいたします。
 今先生御指摘の、看護婦の今後の需給につきましてどういう対策でやろうとしておるか、今ちょっと先生が資料の中でも御説明がございましたけれども、平成三年十二月に看護職員の需給の見通しを改めまして、これから十二年に向かってどういうふうな形で需給をやっていくかということでございます。
 それで、一応いろいろなやり方があるかと思いますけれども、私どもやはり養成力の強化というのはどうしてもやっていかなければならぬと思います。しかし、これは先生恐らく御指摘になるかと思いますけれども、若年の人口が今後減っていく、特に十八歳の人口が減っていくということも予測されておりまして、養成力の方は努力はいたしますけれども、なかなか難しいところもあるかと思います。
 そこで、いわゆる実際に看護婦さんとして働いていらっしゃる方々の離職を何とか防止するということ、それから再就職。と申しますのは、今潜在看護婦さんが大体四十四、五万いらっしゃるというふうに推測しておるわけでございますけれども、そういう方々のカムバックと申しますか、再就職、再就業の促進ということもやっていかなければならぬと思います。そのためにも、勤務条件等の改善というようなことがこれから望まれると思います。特にそれが強く要望される。したがいまして、週休二日制の問題とかあるいは労働時間の四十時間のお話もございますし、その辺もやらなければなりません。
 それからまた、そういう再就職あるいは離職防止のために、院内の保育所というものも整備していかなくちゃならない。しかも、それも保育時間の延長でございますとか、あるいは一カ所の病院でなかなか保育所を持つのは難しゅうございますので、共同利用型の保育所をつくるとか、そういうことを国庫補助の対象にいたしたり、いろいろな形でそういうふうな整備を行って、看護婦さんの離職防止あるいは再就業の促進ということも重点に置いてやってまいりたい、このように思っております。
○菅委員 きょうは文部省にも来てもらっていまして、この看護婦さんの養成というのは、いわゆる短大、大学という形の文部省管轄の機構の中で養成されるものと、いろいろな専修学校等、あえて言えば厚生省管轄の中で養成されるものとがあるというふうに理解しておるわけです。文部省として、先日聞きましたら、かなり大学などをこの面では充実していくという計画だそうですが、この一、二年のそういう充実計画、あるいは将来もさらにそういう計画があるとすれば、それを含めて端的に御説明をいただければと思います。
○遠藤説明員 文部省といたしましては、昨年の六月に成立しました看護婦人材確保法に基づき告示されましたいわゆる看護婦の確保に関する基本指針におきまして、「看護系の大学の整備充実を一層推進していく必要がある。」こう示されていることを踏まえまして、看護教育の充実あるいは教員等指導者の養成を図るという観点から、大学レベルでの養成が重要であると考えておりまして、国立私立大学を通じまして積極的に対応したい、こう考えておる次第でございます。
 ちなみに、国立大学につきましては、今お願いしてございます平成五年度の予算案におきまして、三つの医科大学に医学部看護学科を設置するとともに、もう一つは、大阪大学になりますけれども、現在短大という形で医療技術短期大学部という形であるわけでございますけれども、これを発展的に解消いたしまして、四年制の医学部の保健学科への転換を図るということにしておるわけでございます。
 それから公私立大学につきましては、これは文部省で設置認可ということを行うわけでございますけれども、現在十八歳人口が急減しております。これに伴いまして、一般的には大学等の新増設を原則的に抑制するという方針で臨んでおるわけでございますが、看護婦等の医療技術者の養成、それに関連した大学、学部につきましてはこの抑制の方針の例外として取り扱うということとしておりまして、平成五年開設分は昨年の十二月に設置認可いたしたわけでございますけれども、四つの公私立大学あるいは学部の認可をしておるところでございます。
 これによりまして、平成五年度におきます看護系の大学は、平成四年度に対しまして八校増設になりまして、国公私立大学合わせて二十二校となる予定になっておるわけでございます。
 私ども、こういったような方針で今後とも対応していきたいというふうに考えておる次第でございます。
○菅委員 これは大臣にも一応聞いておいていただきたいのですが、確か一、二年前に私が少しこの質疑をしたときには、看護婦さんをふやしたくても、看護婦さん教育をする教育の人材がまだなかなかないんだということを厚生省、文部省から聞いたことがあるわけです。今の説明によれば、人材確保法ができた後、十四校が八校ふえて二十二校になる。ここに定数も私の方の資料はいただいておりますが、かなり思い切った拡大といいますか、定数増あるいは大学増をされたというふうに率直なところ評価をしておきたいと思います。
 そういうことを踏まえて、先ほど最初に申し上げたように、長期的な看護婦さんの不足を解決していく上で、しかも質的な、私が聞くところによれば、大学の看護学科などには希望者はかなり多いのに、今までかなり難しくてなかなか合格するのが、三倍とか何倍とかいう倍率で、せっかくなりたくてもなかなかなれない人が多かったというふうにも聞いております。それでなくても非常に不足している分野ですから、そのあたりの中長期の見通しに立った厚生省、文部省、ある意味では十分協議をされた上での計画をさらに確実に進めていただきたいということをこの点については申し上げて、次の問題に移りたいと思います。
 ところで、先ほど大臣からも老人の自立という言葉が出てきたわけです。私もこれからの高齢化社会というものを考えたときに、今までは元気な間は当然ながら普通の生活をする。自分の家であったり借り家であったりする。病気になってしまうと、端的に言ってしまえばベッド一つ、自分の存在はベッド一つの存在になる。その間にいろいろな形態があるわけですね。例えば、先ほど言われたもので言えば、どちらから言ってもいいですけれども、かなり介護の必要な人は特別養護老人ホームがある。あるいは、そこまで介護は必要はないけれどもという人には軽費老人ホーム、あるいはこのゴールドプランではケアハウスという言い方をされております。
 それに対して、必ずしも施設というよりは、住宅の側から迫ってきて、つまりはほとんどは自立した生活ができるけれども、しかし、いざ何かあったとき、あるいは若干はいろいろお手伝いいただきたい、こういうものをどういう形で埋めていくのか、こういう問題が今一番大きな問題にたってきていると思うわけです。
 あるいは大臣、これ読まれたことがあるかもしれませんが、三年ほど前に岩波新書から「体験ルポ 世界の高齢者福祉」という、当時二十九歳の青年が国内国外のいろいろな施設に数カ月間ずつ住み込んで報告をした、私、数年前に読みまして大変印象が深かった本があります。あるいは大臣も読まれたかと思います。
 そういう中で、いろいろな事例が出てきておりますが、例えばスウェーデンなどでは日本よりかなり進んでいるなと思ったのは、日本の場合は特別養護老人ホームあるいは老人ホームの個室化の問題も、基準からいえばまだ大部屋制が基本になっている。私の地元の保谷市というところに東京老人ホームというところがありまして、ここは数年前建てかえをやった中で大部分を個室形式にした。それをするに当たっては厚生省と大変な議論をして、いろいろと言って何とか認めてもらったなんという話も聞きましたけれども、個室化の問題がある。
 しかし、スウェーデンではさらに進んで、個室で住んでいるあるいは夫婦で住んでいるよりも一部屋ですから、いろいろな食事とかなんとかのサービスの提供が全部受けられる。そうすると、自分が食事ぐらい多少つくれる能力があっても、しないで済んでしまう。だから逆に、施設の中の部屋ではなくて、まさにケアハウスですね。つまりは安心を、いざというときには何か手伝ってもらえるけれども、日ごろは自分が食事をつくったり掃除をしたりあるいは洗濯をしたり、そういう最低限のことをできるようた施設の方に重心が移っているというふうにこの中にも出ているわけです。
 そういう点で、先ほどケアハウスあるいはシルバーハウジング等について大臣の方からも触れられました。このシルバーハウジング・プロジェクトというのも、せんだって厚生省あるいは建設省からいろいろ聞きまして、制度としてはなかなかいいなと思うのですけれども、基本的にはまだモデル的な段階だとは思いますが、現在のところ公営住宅に限られた制度になっている。
 公営住宅というのは、ここに書いてあるのによりますと、まだ実績が計画戸数で三千百戸、管理開始で五百戸と書いてありますから、まだまだ量的にはごく限られたものにたっていると思います。今後こういうことを公営住宅に限らない方向でもっと拡大すべきではないかと思っておりますが、こういったシルバーハウジングあるいはケアハウスについての今後の展望について、厚生省としての見解を伺っておきたいと思います。
○横尾政府委員 ゴールドプランの実施が具体的に地域で始まりまして、その中で現場の人々が指摘をしているのは、まさに家の問題を解決しないとなかなか在宅サービスの円滑な実施が難しいという点でございます。
 お尋ねのまずケアハウスでございます。これは目標戸数を十万戸と定めておりますが、制度が新しいこともございまして、非常にその進捗がおくれているのが実情でございます。何とかそのおくれの原因、どこにあるかというその原因に一つずつ対応しながら推進をしたいと考えておりますが、その一つの対応策が平成五年度の予算案で申し上げますと小規模化ということでございまして、十五戸分で設置ができるようにしていくということを試みているわけでございます。このケアハウスによって、多少体が弱くなった場合でも極力従前の生活を維持できるように、私どもとしても重点を置いて取り組んでいきたいと考えております。
 また、シルバーハウジングについては、建設省と御相談をしながら進めておりますが、こうしたものに加えまして、新たに、現在公営住宅の建てかえ時期に差しかかっているということを前提といたしまして、その建てかえ時に公営住宅の一角にデイサービスセンター、ホームヘルパーステーションあるいは給食サービスの拠点といった、老人のケアのための施設を織り込んだ総合的な再開発ということを考える施策を提案させていただいているところでございます。
 また、そうした公的な住宅以外の個々の住宅の改造というのは、なかなか一気にとはまいりませんけれども、御提案を申し上げました福祉用具等の開発普及の法案等に基づきまして、家の中で使いやすい機器、設備といったものの開発普及も進めてまいりたいというふうに考えております。
 個々の具体的なサービス、それを取り巻く福祉用具、住居、町というふうに、高齢者の介護問題を考えていきますときには、面的な広がりを念頭に置いて取り組んでまいりたいと思っております。
○菅委員 非常に積極的な答弁をいただいているわけですが、きょうは建設省にもおいでいただいています。
 先日いろいろと話をしておりましたら、第六期住宅建設五カ年計画、私は不勉強でこういうものが閣議決定されているのを細かくは知らなかったわけですが、その頭のところで「第一 住宅建設の目標 二十一世紀の本格的な高齢化社会の到来を目前に控え、」云々と、まず冒頭に高齢化社会のことが述べられているわけです。しかも、その中の具体的な項目の中でも、「高齢化社会への対応」ということで、「高齢者が可能な限り住み慣れた地域社会で安心して生活できるよう以下のとおり住宅の整備を進める。」として、いろいろと施策が書いてあるわけです。
 多分シルバーハウジングという制度も、こういう考え方に基づいて生まれてきた制度だと思うわけですし、そのこと自体は先ほども申し上げたように評価をしたいと思っております。しかし今、横尾局長からも話がありましたように、ケアハウスの方は軽費老人ホームでやるというふうなことをゴールドプランには書いてありますが、ケアハウスよりももう少し、何といいましょうか、独立して生活できる皆さんに対するシルバーハウジングといったものに私は非常に期待をしているわけです。今後このシルバーハウジング、あるいはもっと言えばシルバーハウジングに限らず、第六期住宅建設五カ年計画に基づいて、建設省としてはどういうふうな高齢化社会への住宅ないしは町づくりの計画を持っているのか、聞かせていただきたいと思います。
○那珂説明員 お答えいたします。
 私どもといたしましても、住宅政策の中で、高齢者の方が可能な限り自立して豊かな生活ができるよう、そういう住宅及び住環境の整備を進めていくことは大変重要であると考えております。
 このため、まず高齢者の方々の居住空町の確保という観点から、公営住宅等公共賃貸住宅による高齢者住宅の供給の促進ということに重点を置きまして、量的な確保に努めているところでございます。さらに、公営住宅については、原則として段差のないいわゆるバリアフリー化された設計とするとか、すべての住宅が少しでも早く高齢化社会対応の住宅設計、設備となるよう、誘導策にも力を入れているところでございます。
 さらにまた、先生御指摘のシルバーハウジング・プロジェクトでございますが、六十二年度から始めた制度でございまして、ライフサポート・アドバイザーによる日常生活の指導あるいは緊急時の連絡等、比較的軽いケアつきの公共住宅というコンセプトでございます。この事業につきまして、厚生省と大変密接な協力のもとに実施してきております。
 これらにつきまして、その量的な問題については、御指摘のとおり現段階で管理開始戸数が五百戸強という段階でございますが、平成四年度の計画策定ベースでの実績は一千戸程度になりました。また、平成五年度、来年度は計画策定ベースではございますが、三倍の三千戸を予定しております。また、事業の中身につきましても、いわゆるライフサポート・アドバイザーだけではなくて、デイサービスセンター等の老人福祉施設との併設によって、同様のサービスの提供を前提とした事業が進むよう、制度の改善を図ったところでございます。
 さらにまた、このシルバー・プロジェクトにつきましては公営住宅がメーンでございますが、公団住宅についても、一例でございますが現在でもございます。また、公団住宅等につきましてもこういう施策が広がりますよう、指導に努めてまいりたいと存じます。
○菅委員 建設省自身認められているように、まだまだ量的には始まったばかりという段階でありますし、私は公営住宅についてバリアフリーというものを原則とすることは大いに結構だと思うのですが、例えばこの国会に出ている優良賃貸住宅に対する補助なんかの対象を、つまり公営ではなくて私的につくるものについても、基本的に公費を導入したものについては高齢者も安心して使えるものという基準をぜひ適用するよう、これは要望を申し上げておきたいと思います。
 それから、建設省でもう一つ。先日聞きましたら、福祉の街づくりということについても若干の施策が進んでいるというように聞いております。高齢者はもちろん家の中にいる時間も長いわけです。しかし、できれば外に出て買い物をしたり、いろいろな事業に参加をしたりしたいという希望は多いわけですけれども、満員電車に乗るのもなかなか難しいし、特に階段などはお年寄りにとっては大変な場合もあるわけです。そういう点で、この福祉の街づくりについて簡単に説明をして、今後の展望があればお述べをいただきたいと思います。
○那珂説明員 私どもが福祉の街づくりモデル事業と呼んでおります事業は、高齢者の方々の環境の整備という観点から、先ほど住宅について御説明させていただきましたけれども、今度は住宅の周りの状況、都市全体の中に観点を広げまして、特に高齢者の方々の快適で安全な移動の確保という観点から、新しく平成三年度に創設された事業でございます。この事業につきましても厚生省と連携を密にしております。
 厚生省で指定されておりますふるさと21健康長寿のまちづくり事業等の事業と連携をとりまして、私どもも専ら街づくりという観点から整備計画を策定いたします。その計画に基づきまして、特に高齢者の方々の利用頻度の高い社会福祉施設等に接続する道路の動く歩道、あるいはエレベーター等の屋外の移動施設の整備を行うとか、さらには、これは一般的にも行っておりますが、道路の歩道の段差の切り下げ等の交通安全事業を重点的に実施する、このような事業を展開しようとしているところでございます。
 これにつきましては、先ほどのシルバーハウジング・プロジェクトよりもまた新しい三年度創設の事業でございまして、現在全国で計画策定地区で十一カ所にとどまってはおります。また、平成五年度につきましては、やはり事業の内容の充実を図る一方、計画策定地区を拡大してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○菅委員 きょうは運輸省にも来ていただいておりますが、運政審の中でも「利用者の高齢化への対応」なんという項目が入っているわけです。
 いろいろ調べておりましたら、これはもうこの方面の方には大変有名な法律だというふうに思いますが、アメリカでADA法とでもいうのでしょうか、障害を持つアメリカ国民法というのが成立をして、一九九一年に正式にスタートしたというふうに聞いております。これを読みますと、アメリカという国もいろいろな問題点はあるにしても、やはりすごいなというふうに思いますね。つまりは交通機関やあるいは公共建物に対して、障害を持った皆さんや、もちろん高齢者も含めてアクセスが基本的にちゃんとできるように、それを義務づける法律になっているというふうに私は理解しているわけです。
 こういうものとの比較も含めて、運輸省として、特に交通弱者という言葉が最近は大変よく使われておりますけれども、そういう皆さんに対する基本的な姿勢あるいは具体的な政策があれば、こういうアメリカの法律などとも比較して、どういうことをやろうとしているのか、簡明にお答えをいただきたいと思います。
○浅井説明員 お答えを申し上げます。
 先生が御指摘いただきましたいわゆる交通弱者の方々、言葉は適切かどうかあれでございますが、高齢者の方々あるいは身体障害者の方々にとって公共交通機関をより安全で利用しやすくするということは、大変重要な課題であるというふうに受けとめております。
 現在運輸省で進めております施策、大きく四つほどございまして、一番目は先ほども御指摘いただきましたいわゆる交通ターミナル、このターミナルを利用しやすくするということでございます。具体的には、駅などにエスカレーターでございますとかエレベーターをつけたり、あるいはスロープということで、より身体的な負担がないように進めていく。
 それから二番目が乗り物、交通機関自体の問題でございます。端的には、例えばバスなどでは大分対策が進んでおりますが、床を低くして、さらに扉を広くしてお年寄りの方々が乗りやすくするという乗り物に対する対策でございます。
 それから三番目、これは来年度の予算で新たに要求しておりますが、例えば外国ではバスもニーリング方式といいまして、高さが調節できるようなバスがあるようでございまして、そういうものも日本のような道路事情の中で取り入れられるかどうかという技術面の検討も進めてまいりたいと思っております。
 それから四番目には、交通機関は一種類で御利用になる機会は大変少ないと思います。最寄りのバス停から駅にお出になって、鉄道を何度かお乗り継ぎになるということでございますので、そういう連続した交通機関を御利用になる際に障害をなくすというようなことも大事な視点だということで、交通体系の面での整備、この四つの対策を今後強力に進めていきたい、このように考えております。
 なお、ADA法につきましては、これは障害者の差別を禁止するという法律でございまして、交通だけではなくて、雇用の問題ですとか通信の問題も含めて大変広範な、具体的な規定になっているということでございまして、こういった立法例は、私どもいろいろヨーロッパも見ておりますが、アメリカが一番そういう意味では進んでいるというふうに思っております。そういう意味で、先ほど御指摘いただきましたが、施行されて間もないということもございますので、具体的な施行規則の内容でございますとか、その後の施行状況などを注意深く見守っていきたいと思っております。
 なお、我が国におきましてこういう法律で規定することにつきましては、現在、先ほど申し上げましたような形で事業者に対する指導ベースで施策を進めておりますので、我が国では物理的な制約とか財政面での制約といったようなこともございますので、なお慎重な検討が必要なのではないか、このように考えております。
○菅委員 この間の議論で、当然のことなんですが、高齢者問題という、特に住宅や都市という問題は、当然厚生省だけの権限でやれるわけでもない。あるいは建設省の協力というか全面的な対応も必要だし、さらには今のように運輸省も含めた相当の政策が必要になる。もちろん他省庁もいろいろとあると思います。
 今運輸省の方から、ADA法はヨーロッパにもない大変進んだ法律だというか、どこまでやれるのかななんというのが何となく聞こえてくるような答弁であったように思いますが、まさに大臣言われたように、我が国はある意味では宮澤内閣、生活大国を掲げたりあるいは内需拡大ということを考えたりすると、確かにこの法律を私も若干見てみてすごいたと思うわけですね。これを根本的に変えていくとしたら、多分相当のそれこそ投資が必要になるだろう。
 今、公共事業のあり方もいろいろ問われているわけですが、逆に言えば、そういうところに公共事業の投資をするということは、私は国民的な合意というのは非常に得られるんじゃないか。もちろん一挙に一年、二年でできるというんじゃなくて、十年、二十年、先ほど申し上げたように三十年後に確実に残せるものというのは、お金を積んでおけば残るかもしれませんが、これはインフレになったらパーになっちゃうし、人材の問題も制度としては非常に重要ですけれども、三十年後の人材を今から確保するというのは事実上不可能なわけです、まだ生まれてないかもしれないわけですから。
 そう考えてみると、確実に残せるのはこういう都市構造あるいは住宅構造、そういうハードではないか。逆に言えば、そういう高齢化社会に備えた住宅と都市を今の段階できちんと整備しておくことが、三十年後に備える非常に効果的な制度ではないかというように思いますが、この点、感想があれば大臣の感想を伺いたいと思います。
○丹羽国務大臣 先ほどから菅先生の提起をお聞きいたしておりまして、全く私も同感であります。
 実は、政府は昭和六十一年に策定いたしました長寿社会対策大綱の中においても、いわゆる住宅と生活環境システム、この重要性というものを指摘しておるわけでございますけれども、高齢化に伴いまして心身機能が低下してまいりました高齢者、お年寄りの皆さん方が住みなれた地域で暮らしていけるような、いわゆる高齢者が暮らしやすい町づくりを進めていくことが大変重要ではないかと思っております。
 それで、御案内のように国連障害者の十年が昨年終わりまして、これを受けまして、政府といたしまして今後の十年間のあり方につきまして検討をいたしまして決定をいたしたわけでございますけれども、この中で高齢者あるいは障害者の社会への自立と社会参加、こういうものを基本方針としながら、社会全体の中で高齢者や障害者を受け入れていくような環境づくりというものが何よりも必要である、こういうことで決定を見たわけでございます。
 先ほどから各省からもいろいろなお話があるわけでございますけれども、率直に申し上げまして、まだまだ私どもはいわゆる強者のための町づくり、こういうものであって、真の意味でお年寄りのための、弱者のための心の通った町づくりというものがまだ欠如しているのではないか、私はこういうふうに考えております。
 個人的に例えば町の中を歩いておりましても、道路はどんどんよくなってまいりました。しかし、これはお年寄りだけではございませんけれども、ガードレールがないとか歩道がないとか、それから歩道のエスカレーターも必要なことながら、やはりもっとベンチがあった方がいいんじゃないかとか、こういうことを痛感をいたしておるわけでございますけれども、これは本当に簡単に問題が解決することではありません。長時間かけまして、各省庁とも十分に連絡しながら、これから高齢者の住みやすい町づくりのために努力していく決意でございます。
○菅委員 大変積極的な答弁をいただいたのですが、時間もあとわずかになりましたが、あと一、二点質疑をしたいと思います。
 きょうはもう一つの面で文部省にも来ていただいています。といいますのは、最近子供の数が大変減ってきて、小学校、中学校の統廃合問題が、特に東京の都心はもちろんですが、場合によったら郊外でも今後出てきそうな気配であります。
 考えてみると、小学校というのは子供の足で歩ける範囲に原則的にあるわけですから、それぞれの住居地域の中にまさに配置をされている。そういう点で、小学校が例えば統廃合されるなどによって使われなくなった場合には、ある意味では高齢者の先ほど来出ているケア施設とか、そういうものに振り向けるには非常にいいところにあるケースが多いんじゃないか、こんなふうに考えるわけです。
 そこで、そういうことが可能なのかどうか、もし何らかの手続が必要だとすればどういう手続が必要なのか、この点少し文部省に聞いてきているわけですが、先日聞いたところによれば、時間もありませんから若干こちらで申し上げますと、建物について国の補助金が入っている場合には補助金適正化法に基づいて文部大臣の承認が要る、他の目的なり壊すなりするときは、そういうふうにも聞いております。しかし、基本的にはそういう申請そのものがまだ出てきているケースが少ない。つまりは、各自治体がこの小学校をもうなくするから、こういう福祉施設にしたいから、例えばその建物を壊していいですかという申請そのものも余り出てきていないというふうに聞いておりますが、そういう実態あるいはそういう事例があるとすればどういう事例があるのか。
 あるいは文部省として、今私が申し上げた考え方について、つまりは小学校、中学校の中で子供たちが減って使わないでも済むようになったものを、そういう福祉施設に振り向けるという考え方について、見解があれば伺いたいと思います。
○矢野説明員 お答えいたします。
 おっしゃいますように、国の補助金を受けてつくられました学校の建物あるいは土地を統廃合によって他の施設へ転用する場合には、手続といたしましては、委員御指摘のように、補助金適正化法による財産処分の承認を受けるということが必要になるわけでございますが、その後その建物や土地をどのように活用するかにつきましては、これは設置者である市町村に全くゆだねられているところでございまして、その活用方法、利用方法について文部省として特に制限していることはございません。
 そして、具体的に統廃合によって不要となりました土地建物を老人福祉等の社会福祉に転用した例、私ども最近五カ年の事例を調べてみましたところ、五件ほどあるような状況にございます。ですから、具体的にそういう申請が出てまいりますれば、もう統廃合という形でその目的を達しているわけでございますから、基本的には財産処分の承認は得られるはずでございます。
○菅委員 今の答弁、私も先日直接にも聞きまして、なかなか難しいのかなと思ったら、少なくとも文部省の考え方としては、当然ながらそういう補助金を使ったものについての他の転用なりは承認が要るけれども、それ以外のことは、各自治体できちんとやってもらえばいいのだという今の答弁だったと思うわけですね。それならもっと何かそういうことの要請が出てきても不思議ではないんだという気もするのですが、厚生省も少し遠慮をしないで、また将来、百年くらい先に今度は子供がふえて年寄りが減ったら、今度はまたそれを建てかえればいいわけですから、そういうものをもっと積極的に提案をされてみたらどうかというふうに思います。
 時間になりましたので、最後に一言だけ申し上げて終わりたいと思いますが、もう一つは、ここに資料をもらっております。あるいは大臣の手元にも行っているかもしれませんが、六十五歳以上の高齢者と子供の同居率の国際比較というのをこの間厚生省に出してもらいました。
 これを見ると、日本は五七・六%あります。アメリカが一五・五、イギリスが九・六、ドイツが一五・五、お隣の韓国は六一・六です。常識的に考えてみて、日本の同居率五七・六が今後高まるということは多分ないであろう。もっともっとこれが下がってくるのではないか。こう考えますと、日本の高齢化社会というのは、絶対数としては高齢者がふえる、あるいは若年層が減るという二つの要素に加えて、子供との同居率が今約六割あるわけですが、これが例えば三十年後に半減していてもおかしくない。アメリカ水準でいえば四分の一になっていてもおかしくない。そういう三つの要素が重なって出てくるように思われるわけです。
 そういう点で、住宅福祉という言葉は非常に今定着をしてきておりますが、そのケアの人の問題、システムの問題と、きょういろいろ議論をさせてもらいました住宅そのもの、あるいはハードとしての都市構造、こういうものを考えて、いわゆる家族によるケアというものはもちろんある意味では望ましいことだと思いますけれども、傾向としてはそれが非常に難しくなりつつあることは間違いないことですので、そのことを特に申し上げて、ちょっと時間がオーバーしておりますが、最後に大臣、何か感想があれば一言お願いをしたいと思います。
○丹羽国務大臣 御指摘の問題、大変難しい問題でございまして、私どもは三世代同居ということを一つの旗印に掲げておるわけでございますけれども、その一方でいわゆる核家族化が進んでおるということも紛れもない事実でございます。どういうような施策が今後この厚生行政の中で考えられるか、あるいは我が国全体の中でこういう問題をどういうふうにとらえていくかということにつきまして、しばらくお時間をいただきまして、また改めて私なりの考え方を示させていただきたいと思っております。
○菅委員 それでは終わります。
○浦野委員長 外口玉子君。
○外口委員 私は、一九九〇年の老人福祉関連八法を初め、老人保健法、医療法などの審議過程で、大幅に立ちおくれてきている日本の保健、医療、福祉の枠組みをユーザーの側から見直すということに重点を置いて取り組んでまいりました。特に、それらの仕組みの偏りとゆがみを象徴的に示すさまざまな問題を取り上げて、公平性を担保する仕組みづくりへの行政責任についても言及してまいりました。そして、本格的高齢化社会に向けて、保健、医療、福祉のバランスがとれたサービスの統合性を目指し、抜本的な対応を政府に求めてもまいりました。
 したがって、今回の国民健康保険法の改正に当たっては、地域保険としての国保の特性を生かす方向で、総合的なサービスの充実に向けての展望を明らかにしながら、真の意味において医療費の適正化とはどういうものなのかということについての、国民的なコンセンサスを生み出していく努力をすべきものと考えるものでございます。
 そこで、まずお伺いいたします。
 そもそも国民健康保険制度をどのような制度と考えておいでになるのでしょうか、お伺いいたします。
○古川政府委員 お答えいたします。
 御案内のように、我が国の医療保険制度は、大きくは職域保険と地域保険の二つに分かれておるわけでございまして、国民は必ずいずれかの制度に加入する、こういった国民皆保険体制をとっているわけでございます。
 御案内のように、健康保険とか共済組合等の職域保険は、企業等で働く被用者を対象として被保険者集団を構成している。一方、地域保険である国民健康保険は、職域保険に属されない方々すべてを包括的に被保険者としている、こういうところが一つの特色でございます。
 私どもの認識としては、このようなことから、国民健康保険というのは、国民皆保険体制の基盤を支える大変重要な役割を果たしている、こういうふうに考えているところでございます。
○外口委員 私は、本制度は、社会保障の原点としての所得で生じた格差の是正方策を最も必要としている人々を対象としている点において、かつまた、今御答弁いただいたように、それぞれの地域社会の人々の暮らしぶりあるいはそこでの健康課題、そういうものを最も反映しているという点において、健康保険制度の主軸をなすものと考えているものでございます。
 しかし、現実には、今回の改正の背景といいますか底流に流れている考え方を見ましても、どうも本制度が他の保険制度に比して、厚生省からも自治体からも、あるいはまた医療関係者からさえも厄介者扱いされているようなムード、風潮、実態があるということに対しては、大変遺憾に思っているものでございます。
 この国保制度を充実させていくということは、つまり、国民健康保険は社会保障の理念の具現化を私どもが進めていく上での課題を浮き彫りにしているものだというふうに、大局的に見るならば、逆説的ではありますが、積極的にとらえていくことができるのではないかと考えます。
 そういう認識に立つならば、日本の医療保険制度全体の中で、厚生省は国保制度にどのような位置づけを行ってきているのか、また、どのような役回りを担ってきているのか、それをどういう方向で解決しようとされているのかという点についてお伺いしたいと思います。
○古川政府委員 先ほど申し上げましたように、私どもは国民皆保険体制、これはもう堅持していかなければならない。その大きな柱の一つが国民健康保険である。
 しかしながら、御案内のように、国民健康保険は職域等に属さない方々すべてを包括的にカバーする医療保険である。したがいまして、そこには自営業の方々とか農業の方々、あるいは無業といいましょうか年金受給者の方々とか、地域社会におけるいろいろな方々を包含している制度である。また、お年寄りの方々、低所得の方々が非常に多うございますので、したがって、財政的にいいますならば大変脆弱な基盤を持っている。
 したがいまして、国民皆保険体制を支える一つの柱として、そういう構造的な要因を持っているということから、私どもとしては、その財政の安定というようなものについて、国民が安心して、その地域の人々が安心して医療にかかれるような医療保険制度としてどう構築していくのか、どう確保していくのか、これまでも腐心をしてきたところでございまして、例えば保険給付に対して五〇%の国庫負担を行う、あるいはその他基盤安定制度等を行い、かつまた退職者医療制度とか老人保健制度とか、そういった国保を支援するようなもろもろの施策を講じてきている。
 こういうことで、あくまでも国民皆保険体制を支える一つの大きな柱として、何とかこの財政の安定を図り、また地域の保険料負担の格差等の是正も図っていく、こういうふうに考えている次第でございます。
○外口委員 今の御答弁ですと、皆保険制度のもう一つの柱である政府管掌健康保険は、黒字であるのを理由に、昨年の改正時には国庫補助率を三・四%引き下げたのに続きまして、さらに今回千三百億円も特例減額するということがありますが、そういうことを取り上げてみても、国民皆保険制度を同じく担うこの国民健康保険と政府管掌健康保険とでどうしてこうも財政状況が異なるのか。そして、今の御説明では不十分でして、国民健康保険に内在する問題は一体どのような問題と分析されているのかということをもう少し突っ込んだ形でお答えいただきたい。
○古川政府委員 前段の、同じ医療保険制度で政府管掌の健保は財政が黒字基調である、国民健康保険がなぜこんなに苦しいのかということについての考えといいましょうか、原因等をというお尋ねでございますので、申し上げますと、政府管掌健康保険の財政が黒字基調であるというのは、医療費の伸びが落ちついてきているということが一つと、それから、好景気等に支えられまして保険料収入の伸びが好調であったというようなことが主な要因であると考えておるわけでございます。
 国民健康保険につきましても、平成三年度におきましては、医療費の伸びが落ちついてきたこととか所得の伸びが比較的高かったこと、そういった政府管掌健康保険と同じような理由のほかに、老人保健制度の改正あるいは各保険者の経営努力によりまして、財政状況は全体として見ると黒字というふうな状況になっております。
 しかしながら、先ほど来申し上げておりますように、国民健康保険というのは、保険料負担能力の低い高齢者の方々とか低所得者の方々の加入割合が高いといったいわば構造的な財政不安定要因といいましょうか、そういったものを抱えておるわけでございまして、財政基盤が依然脆弱であるということから、国保の財政が不安定であるということには変わりないわけでございまして、例えばこのようなことで、平成三年度には市町村一般会計から国保特会へ約三千億の繰り入れが行われる、こういったことから見ましても国保の財政状況は依然として厳しい、こういう状況にあるわけでございます。
 政管と国保の財政状況というのはそういうことでございます。
 そこで、もう一点でございますが、私どもは、国民健康保険が国民皆保険体制を支える一つの柱であるということから、保険給付費の五〇%という他制度に比べても大変高率の国庫負担を行ってきているほかに、例えば今回お願いしておる保険料の負担軽減を行った場合等における市町村の一般会計からの繰り入れの制度化、そういったこと等を行うことによりまして、財政の安定を図ってきたということでございます。
 ただしかし、それにしてもまだ依然として今後構造的なそういった要因から、例えば低所得の方々が多いあるいは高齢者の方々が多い、そういった構造的要因というものが解消するわけではございませんで、ますますそういった傾向を強めていくものだろう、社会経済の動向から見ますとそういったことがうかがわれるわけでございます。
 そういうようなことを踏まえて、将来にわたって国民に安心した医療を提供する、そういった医療保険制度としての国民健康保険をいかに確保していくのか、そういったことから、昨年の九月に医療保険審議会というもの、つまり、従来は国民健康保険につきましては審議会がなかったわけでございますが、昨年の健保法の改正によりまして、国民健康保険を含めた医療保険全体のありようというものを考えていこうというようなことで医療保険審議会が創設されまして、精力的にそういった国保を含めた医療保険制度のあり方について御審議をいただいている、そういう状況でございまして、私どもはあくまでも、国民皆保険体制を支える大きな一つの柱としての国保制度というものが、本当に国民のために安心した医療保険としての役割を果たすように腐心をし、そういう方向に持っていきたい、かように考えておる次第でございます。
○外口委員 どうも今の御答弁ですと、国民健康保険の構造的な財政不安定の要因は、保険料支出が困難で、かつ保険料支払いが多くなる層が集まってくるような制度になっているというふうに考えられます。もしそうだとすると、医療保険制度全体の仕組みを考え直す必要があるのではないでしょうか。
 そういう医療保険制度全体の仕組みを考え直す、あるいはまた単に医療保険制度のみではなく、保健、福祉、医療を通じた総合的なサービスの充実に対する展望を明らかにした上でなければ解決できないのではないかと思うのです。そういう展望が示されないままに費用負担の導入が行われることは、単なる国庫負担の転嫁にすぎないというふうに私は考えますが、その点についてどのようにお考えでございますか。
○古川政府委員 先ほど申し上げましたように、国民健康保険制度のあり方、我が国の医療保険制度全体につきましてのいろいろな問題について、医療保険審議会で現在検討いただいている。その中には、例えば公的医療保険の役割とか、給付の範囲あるいは内容とか、あるいは医療保険制度の制度的な枠組みとか、この中には中長期的な課題あるいは当面の課題、さまざまな課題が検討項目として挙げられておるわけでございまして、そういったことにつきまして医療保険審議会で現在検討していただいている、こういう状況でございます。
○外口委員 もう一度お尋ねします。
 他のどの保険制度も救い切れなかった人たちをこの国保制度が辛うじて受けとめてきた、そういう歴史的な経緯があるわけです。だからこそこの国保制度に矛盾が集約されているわけです。したがって、この制度を充実していくこと、あるいはこの制度を全体でもう一度見直していく、そういうことが今後私どもが権利としてベーシックな仕組みを確立していくという上でのバロメーターではないかと考えます。
 そういった意味で、国が責任を持ってこの国保制度に対して、今回のような医療費を抑えていく方向あるいは負担を転嫁していく方法ではない取り組みへの決意を伺いたいと思います。
○古川政府委員 私どもが申し上げたように、国民健康保険を含めた医療保険制度の長期的ないろいろな議論については、現在医療保険審議会で御議論いただいておりますが、先生にひとつ御理解を賜りたいのは、現在国保自身が大変厳しい状況にあるわけでございますので、そういった基本的な枠を超えたいという範囲の中で、当面非常に厳しい状況にある国保に対してどのように支援をするのか、その財政安定を図るのか、そういったことから、いろいろと腐心の中でこのたびのような制度の改正をお願いしている。
 これは全体といたしまして国民健康保険の財政の安定に資すると同時に、今日大きな問題になっております保険料のいわゆる地域格差の平準化といいましょうか、そういった問題にも資していくということで、ひとつ御理解を賜りたいのは、そういった当面の緊急に厳しい国保財政ということ、あるいは国保の問題については今回、平成五年度と六年度の暫定措置といたしまして対応しているということ、それと同時に、並行して基本的な枠組みあるいは基本的なありようというようなことにつきましては、医療保険審議会で精力的に御審議をお願いしている、こういうことを御理解賜りたいと思います。
○外口委員 どうも今お伺いしていますと、厳しい状態にあるから何とか理解してほしいということですが、この厳しい状態にある原因、要因、それを先ほどは対象の特徴から申しておりましたけれども、私はどうも医療費だけに着目して考えておられるという点で、非常に疑問に思うのです。
 国保制度が厳しい状況にあるのは、いわゆる地域の中に福祉サービスの充実がなされていない。そのことでどうも医療が、国保がと言ってもいいですが、肩がわりさせられている。そういう福祉サービスの充実というものがあって初めて、そういう厳しい状況あるいは見直しが必要な状況への改善策がとられるべきだと思いますが、その点に関しての御意見をお伺いしておきたいと思います。
○古川政府委員 御指摘のように、高齢化社会といいましょうか、そういうものを明るく活力に満ちた長寿社会として、あるいは福祉社会としていくということのためには、国民健康保険、医療費保険というか医療保険、そういうことだけでそういうことを考えることではない。まさにヘルス、保健と福祉と医療サービスというものを総合的に施策を展開していかなければいけない、こういうふうに考えているわけでございます。
 したがいまして、この医療保険制度の改革を行うに当たりましては、いわゆる保健サービス、ヘルスサービスあるいは福祉サービスとの連携とか、これらのサービスと医療保険との関係について検討することは大変重要である、こういうふうに考えておりまして、医療保険審議会の検討項目の一つとして、医療と保健、つまりヘルス、福祉など周辺領域との関係ということが挙げられていることからも、私どもは全くその点は先生のおっしゃるような考え方を持っているわけでございます。
 なお、国民健康保険も、確かに医療費保障という制度としての役割を大きく果たしているわけでございますが、同時に、保健福祉、保健活動、ヘルス活動というものにも力を入れておりまして、国民健康保険の中に直診というのがございまして、直営の病院あるいは診療所、そういったことを中心といたしましてヘルス活動というものにも力を入れてきている。
 そういうことで、私どもとしては、医療あるいはヘルスというもの、あるいは福祉というものを総合的に地域社会の中で展開することによって、安心した暮らし、医療あるいはヘルスというものを確保する、こういうことが大切であろう。その点については先生と同感でございます。
○外口委員 そのような方向で具体的に実現させていくための方策についてぜひお伺いしたいと思います。また、いわゆるゴールドプランなどが出されているにもかかわらず、その進捗状況というのは極めて遅い状態にある。その点についても、もし今の御答弁にあるような方向で取り組まれるとおっしゃるならば、具体的にお伺いしたい。
 一つここで、北海道の医療費が高い。これは老人保健福祉部の作成による老人福祉レーダーチャートを見てみると明らかなように、高齢者の福祉サービスと入院医療費との間に明らかに相互補完関係が見られるわけですけれども、こういう状況に対して厚生省は具体的にはどういう指導をなされていらっしゃるのでしょうか。そのことについてお伺いしたいと思います。
○横尾政府委員 福祉サービスと入院医療費の関係でございますが、まず在宅福祉サービスの充実は、第一義的には、自分の住まいで暮らし続けることができるという高齢者のQOLという観点から進めているものでございますけれども、長期的に見れば不必要な入院が是正されるなど、入院医療費の適正化にもつながるものとは考えております。
 北海道の例をお挙げになりましたが、この例で申せば、一人当たりの医療費も高い、在宅サービスがややおくれをとっているという実情がございますが、これはゴールドプランが始まりました初期の段階での状況でございますから、在宅サービスと高齢者入院医療費について全国どこでも、あるいは長期にわたってもしっかりした相関があるかどうかということについては、なお慎重に考えていくべきだというふうに私は考えております。
○外口委員 日本の社会福祉給付費を見ますと、医療保険が二五%、老人保健が一二%、社会福祉が四%、公衆衛生が一%という概算がありますが、このように保健、医療、福祉へのお金のかけ方が極めてアンバランスな状態に置かれたままにある。そのことが大きな原因というか、これをどういうふうに抜本的に変えていかなければならないかというのが厚生省の役割だと思います。
 そういうことに関して、特に医療保険制度の見直しあるいは医療費の適正化というふうに今おっしゃるのであるならば、高齢者保健福祉サービスの抜本的な充実を図るためのいわゆるゴールドプランの前倒し計画とか、厚生省としての具体的なお考えがあるのかどうか、お伺いしたいと思います。
○横尾政府委員 これまでの社会保障給付費の骨格というものは、年金給付費と医療保険の給付費が大宗を占めてきた経緯があることは御指摘のとおりであります。それに対しまして従来社会福祉サービスという分野は、比較的限られた方々へのサービスということで、給付費ベースで見ましても小さな割合でとどまってきたというのは、そのとおりであると思います。
 しかしながら、今厚生省が考えておりますのは、この社会福祉サービスが今後は高齢化社会においてすべての国民の課題であるという認識に立って、この部分を計画的に大きくしていく。その柱としてゴールドプランという福祉についての初めての長期計画をお示しして、取り組むということにしているわけでございます。その意味では大変意気込んで取り組んでいるところでございますし、毎年の予算編成におきましても、相当程度の予算枠を確保しているというふうに考えているところでございます。
○外口委員 もう一度、福祉サービスの抜本的な拡充に対しての厚生省の姿勢を伺いたいと思います。
 今、日本のこの福祉の貧困な状態に対して、いわゆる生活大国と言われながら、人が安心して暮らすという基盤づくりがないところで、その基盤づくりに対しての取り組みというものを積極的に打ち出さないままに、各医療制度、給付率を上げるとかあるいは医療費を抑制するとか、どうもそういうこそくな対応がこの間幾つかの法案改正の中で見られているように私には思われてならないのですが、もう一度伺います。
 先ほど、昨年の健康保険法改正の際に医療保険審議会が創設されて、審議が進んでいるという御答弁でした。そして、保険の二元化の方向を目指していくとか、自己負担を一律二割にするとか、さまざまなことが耳に入ってきていますが、では具体的にどのような将来像を描いているのか。もちろん国民皆保険ということは維持されていくわけでしょうが、そういう全体的な見直しを行うと言われていますけれども、それをどのようなスケジュールでいつごろまでに行われるのか、その二点です。
 最初に、全体的な見直しを行うと先ほどお答えになりましたが、どういう日程でいつごろまでにどういうふうに行うのかということを、もう少し具体的にお話しいただきたいと思います。
 実は、週刊社会保障の九三年三月十五日号で、大臣が「医療というのは、水や安全といったものと同様にただで享受できるという発想は改めていかなければならない」という大変微妙な言葉で自助努力を強調し、医療保険が従来のように医療にかかわる費用のすべてを保障するものではないとおっしゃっていますが、このような方向ですと、医療費の中に格差が非常に拡大し、切り捨てられていく人たちが多くなるという懸念も出てくるわけです。この点も含めてわかりやすくお答えいただきたいと思います。
○丹羽国務大臣 まず、医療保険を取り巻く状況でございますが、先ほどからお話が出ておりますように、欧米に比べましても三倍ないし四倍のスピードで高齢化の波が押し寄せてきておる。それから疾病構造の変化が挙げられます。さらに、国民の皆さん方の医療のニーズに対する高度化、多様化など大変大きく変化をいたしております。
 こういうような状況を踏まえながら、将来にわたって良質な医療を効率的かつ安定的に供給できるように、医療保険制度のあり方全般について検討を行う必要がある。さらに、その中できょう御審議を賜っております国保につきましては、高齢者やいわゆる低所得者が四分の一を占める、こういうことで財政基盤が極めて脆弱であるわけでございますので、大変大きな課題である、このように考えております。
 この医療保険制度のあり方につきましては、先ほどから局長からも御答弁を申し上げておるわけでございますけれども、医療保険審議会において現在公的医療保険の役割、保険給付の範囲、内容、給付と負担の公平、そして医療費の規模及びその財源、負担のあり方、こういった全般について幅広い観点から御審議を賜っておるわけでございます。
 今後のスケジュールでございますけれども、公的医療保険の役割や保険給付の範囲、内容を中心にして検討を進めまして、ことしの夏ごろまでを目途にいたしまして中間的な取りまとめをいただきまして、お許しをいただけますならば来年の通常国会に提出をさせていただきたい、こういうことでございます。
 それから、私の持論でございます水と安全と医療はただと思うな、こういうことでございますけれども、今我が国の医療というのは、非常に実はいろいろな問題を抱えておりますけれども、うまくいっておるわけでございます。
 話がちょっと長くなって恐縮でございますが、クリントン政権が発足いたしまして、内政の最大の課題が医療改革である。つまり、アメリカにおきましては公的な保険というのは、いわゆる高齢者であるとかあるいは生活保護者、こういう者だけしか公的保険がない。民間保険がほとんどでございまして、いわゆる低所得者を中心にいたしまして三千五百万人が無保険者である。
 こういう中において我が国は、要するに保険証を持っていけば一割から三割の負担の中で行っていける。しかし、こういう中において、国民の医療費というのが今二十三兆円にも達しておるわけでございまして、この中で平成五年度で医療にかける国庫補助というのは五兆円であります。非常に限られた財政の中において、お互いにやはりこういうものをできるだけ、要するに何といいますか、自助努力と申しますか、そういうことを考えながら、ひとつ必要な医療においてはかかっていかなければいけない、医療サービスを受けなければならない。しかし、あくまでも医療費というのはただである、こういったような観念というのは、これは考えなければいけない。
 話が飛んで恐縮でございますけれども、例えばゴルフをやるにしましても三万円も四万円もする。そういうことから比べますと、いわゆる健康と命を守ってくれる医療というものは、いかにも保険証があり、また一割から三割の一部負担で十分に医療サービスを受けられる、こういうことを国民の皆さん方が十分に認識しなければらぬ、こういうことを申し上げたわけでございますので、ひとつこの問題を長い間専門に御尽力賜ってきました外口先生ならば、十分に私の意のあるところは御理解を賜れるのではないか、このように考えているような次第でございます。
○外口委員 そのような三十年余りの現場経験があるからこそ厚生省の姿勢に大変憂えているということで、理解しかねているわけなので、続いて先ほどの質問に対するお答え、答弁をいただきたいと思います。
○浦野委員長 日程というか、これからのあれですね、政策遂行の日程をということですね。
○外口委員 先ほど申し上げましたように、具体的にどういう将来像を描いておられるのか。それからまた、その日程といいますか、スケジュールはどのようなものなのかということについて、大臣への質問の前にひとつぜひ伺いたいというふうに先ほど…(丹羽国務大臣「スケジュールでございますか」と呼ぶ)そうです。
○丹羽国務大臣 スケジュールにつきましては、先ほども申し上げたわけでございますけれども、今医療保険審議会において御検討を賜っておるわけでございます。夏ごろまでにこれをまとめていただきまして、できることならば来年の通常国会に提出をさせていただきたい。
 その中で、いわゆる中心的な検討課題として私どもが特にお願いをいたしておりますのは、保険給付の範囲あるいは内容、あるいは先ほどからお話を申し上げております公的医療保険の役割、こういった問題につきまして審議会の答申を得まして、ひとつ国会の方に御提出をさせていただく、こういうような心づもりでございます。
○外口委員 今、審議会の結果を待ってという極めて医療保険のあり方に絞ってお答えいただきましたけれども、そうではなくて、私が当初から申し上げておりますのは、国保制度とかそういう単一の制度の見直しということではなくて、しかも医療サービスの見直しだけではなくて、保健、福祉、医療、そういう総合的なサービスの仕組みつくり、すなわち極めてベーシックな、私たちだれもが安心して住み続けられる、そして必要なときに必要なサービスを受けられるというそういう総合的な対応というか、そういうようなことについての当局のお考えと、それへの取り組みの具体的なスヶジュールについてお伺いしたわけですので、もう一度きちっとその点御答弁いただきたいと思います。
○丹羽国務大臣 まずお許しをいただきたいのは、現在医療保険審議会において医療保険制度について御審議をいただいている最中に、私どもが予見を与えるようなことを申し上げるのは大変失礼である、こういうことで先ほどから申し上げておるわけでございます。
 それから、医療と福祉のあり方、これも私も大変重要な問題である、このように考えております。確かにお年寄りなどにおきましては、どこまでが医療でどこまでが福祉だという点が、もう一つ接点というものが国民の皆様方から見てもわかりにくいし、内心、私どももこれからどうやってこの問題を整理していくかな、こういうふうに考えておるわけでございますけれども、基本的には私ども、平成二年からスタートいたしましたいわゆるゴールドプランの中において、ショートステイ、デイサービス、こういった在宅ケア、さらに、大変不幸なことにいたしまして寝たきりになった方に対しましては、特養あるいは老人保健施設、こういった分野において十分な福祉サービスが受けられる。
 さらに、今度この四月から療養型病床群というものがスタートするわけでございます。六・四平米以上の一人当たりの床面積、そしてプライバシーを守る、こういうような観点において医療のサービスも受けられる、こういうような体制を十分にかみ合わせながら、医療と福祉の充実に今後とも努めていく決意であります。
○外口委員 今お答えいただいた中でたくさんの問題点が出されてきたわけです。いわゆるゴールドプランの鋭意推進ということで幾つか言われましたが、この進捗状況は、具体的には当初厚生省が意図したものよりずっと立ちおくれています。しかも、先ほど年間の医療費が二十三兆円というお話でしたが、これは、十年間の総費用六兆円という極めて福祉に対する国の姿勢が象徴的にあらわれているお金の額の格差でございます。
 例えば、平成元年度の社会保障給付費の総額約四十五兆円、そのうち医療費が十七兆円近く占めていて、医療サービスにこれだけの巨額を投入しているのに対して、福祉サービスはわずか一兆五千億円にすぎないという報告が厚生省の元事務次官の方の論文にもされております。そして、OBになるとこんなにも私どもの目指している考え方と近くなるのかと、現役の方々のもう少し積極的な姿勢を喚起したい思いを強くして拝読させていただいたわけですが、その厚生省の元事務次官でさえ、もっと福祉に日本はお金を投入するべきであると言っています。
 そういった意味では、最低限の基盤整備さえ満足にされていないという現実が、大臣の今の御答弁ですとおわかりいただいていないのじゃないか。もう少し現場の声に耳を傾けた方からの御答弁をお願いいたします。
○横尾政府委員 ゴールドプランの進捗状況でございますが、三年度の実績の例を申し上げますと、ショートステイは、予算が一万一千床としておりましたところ実績は一万三千三百七十一床、デイサービスは、二千六百三十カ所を目指しておりましたが二千二百二十四カ所、在宅介護支援センターは、七百カ所でございましたが実績は四百カ所。施設に関しましては、特別養護老人ホームは、予算が十八万二千床余りでございましたが、実績でこれを上回りまして十八万六千二百六十七床、老人保健施設は、予算が六万九千八百十一床でありましたところ実績が五万六千床余り、ケアハウスが四千七百人の予算に対しまして実績二千五百二十人、高齢者生活福祉センターは、予算八十カ所に対しまして実績七十一カ所というのが実情でございます。
 申し上げましたように、非常に予算を上回っているものもございます。出おくれているものももちろんございます。今、四年度、五年度にかけまして、この出おくれている施策についててこ入れを行うなどしております。また、五年度中には各市町村が老人保健福祉計画をおつくりになるということもありまして、私どもは、まさにゴールドプランが具体的に国民の目に見えるような形で浮かび上がってくるものというふうに考えている次第でございます。
    〔委員長退席、持永委員長代理着席〕
○外口委員 今、数をおっしゃいましたけれども、国民の介護ニーズの質と量の増大は非常に深刻化しておりますよね。例えば寝たきり在宅老人の数も今七十万人と言われ、痴呆性老人は百万人とも言われているわけですね。これらの要介護を介護している人たちはだれなんでしょうか。
 今、非常に乏しい施設の数を挙げられましたけれども、このような介護は人が人に働きかけるという非常に大切なものであるわけでして、この介護問題に対して、介護サービスの保障ということを厚生省がどう考えているかということを私は非常に憂えているものですが、この要介護者はどこでだれが介護されているとお考えになっておいででしょうか。
○横尾政府委員 寝たきり老人等につきましては、先ほど申し上げました施設の関係では、特別養護老人ホーム、老健施設が大変大幅に整備がされております。両者を合わせますと年間約三万五千床の整備が進んでいるというのが実情でございまして、多くの方々がこの施設を御利用になっていると思われます。
 また、在宅の関係でございますが、在宅の方の介護をだれがしているのかというデータで見ますと、配偶者が三割弱、子供が二割弱、子の配偶者、いわゆる嫁ということになるのでしょうか、こういう方々が四割弱という状況になっております。
 こういうふうな在宅の方々の介護問題については、このゴールドプランに先立ちまして厚生省が設けました介護対策検討会の報告の中で、これからの介護サービスのあり方といたしまして、家族がいるからといって公的な介護サービスがなされないようなことがあってはならない、家族の人間関係を支えるためにも、公的な介護サービスは早目早目に出動すべきであるということをうたっておりまして、現在私どもも地方自治体に対して、公的な介護サービス、在宅サービスのありようはこういった観点から進めてほしいということをお願いしているところでございます。
○外口委員 今ほとんどの要介護の方々は、多くは家族の方々の大きな負担になっています。とりわけ、横尾局長も女性ですが、女性の肩にかかっています。時代は女性の社会的な進出をますます高めていく方向にあります。そうしますと、この人たちを介護するシステム、介護サービスを必要な人がだれでもが安心して受けられるような仕組みづくりを今やらないと、これから大変なことになっていくと思いますが、そういうような仕組みの保障というものをどうお考えなのかということをお伺いします。
○横尾政府委員 介護、特に在宅介護の仕組みづくりが焦眉の急であるという御指摘、私も全くそのとおりに考えております。先ほどの御質疑の中で、小学校を介護の拠点にという御提案もありました。私どものゴールドプランが中学校区というのを念頭に置いておりますのも、地域で歩いて行けるような範囲に介護の拠点をというふうな考え方で、中学校区ということで目標を定めたところでございます。
 先生おっしゃるように、事柄は急ぐと思います。そのことを踏まえながら、私どももゴールドプランの進捗を進めていきたいというふうに思っております。
○外口委員 財界団体である関西経済同友会でさえ。介護の社会化は必要だというふうに提唱していますね。今の家族の介護に依存したままで、一体このままでうまく高齢社会を乗り切れると本当に思っておいでなのでしょうか。
○横尾政府委員 私どものゴールドプランの思想は、家族のある方については家族で介護をしてほしいということは全く前提にしておりません。家族がいる方にも公的な介護サービスが提供されるということを前提とした運用を行っていきたいというふうに考えております。
○外口委員 私は、これまでも何度もこの点に関してはいろいろな角度から、公的な仕組みづくりがきちっとなされていないということで、厚生省に抜本的な対応策をと質問に立ってまいりましたが、中でも、今おっしゃったように公的サービスが圧倒的に少ない中で、一昨年の厚生白書のサブタイトルに見られるような安易な民活化が行われている中で、大変にいろいろなゆがみが出てきている。そういう実態を踏まえての質問を先ほど来させていただいています。
 私が考えます福祉サービスにおける公的責任とは、決して一般に誤解されているように全部官営でというか、公営でというような考え方でありません。すなわち、福祉のニーズの充足が達成されるに足るような仕組みを確立する、仕組みの保障をするということが公的責任というふうに考えます。そのために必要な財源とヒューマンパワーを担保すること、これも公的な責任だと思います。そういう基盤ができて初めて、民間資本の導入などによるサービスの多様化と選択性の高まりというものが好ましいものとなっていくということです。
 そういった点で、その象徴的なものが、私が一昨年以来たび重なる質問の中で、物価特別委員会の中でも公取委員会に対しても質問を行った有料老人ホーム問題、これはマスコミを通してかなり問題にされていますが、今局長が公的サービスを充実していくとおっしゃりながら、その一面でこの有料老人ホームは、何度も何度もマスコミあるいは有識者を騒がせ、そして日本の今後の総合的な保健・医療・福祉サービスの仕組みづくりへの懸念を強めさせている問題でございますので、そのことをちょっと申し上げれば、もう少し具体的かつ積極的な御答弁がいただけるかと期待いたしまして、有料老人ホームの問題について一点だけ質問をさせていただきます。
 私は、この問題を消費老保護の立場、ユーザーの立場からという視点でいつも質問に立っているわけですが、極めて情報の公開が未発達な医療、福祉の領域におきましては、消費者が供給者と対等な関係を維持するということは大変難しく、供給者からのより積極的な情報開示への努力がなければできないことでございます。しかしながら、この有料老人ホームに関しましては、私は一昨年、全国のあらゆる有料老人ホームからパンフレットを取り寄せまして、その表示に不備が極めて多いということを指摘し、それに対する厚生省や有料老人ホーム協会の指導の徹底を要望いたしました。関係者はよく御存じのことと思います。
 この有料老人ホームが初めて法律上位置づけられましたのは、一九九〇年の老人福祉法改正においてでした。その条文には、第三十条「有料老人ホームの健全な発展に資することを目的として、」有料老人ホーム協会を設置できるとあり、そして、有料老人ホーム協会の業務として、第三十一条の二「その目的を達成するため、」「この法律その他の法令の規定を遵守させるための会員に対する指導、勧告」をするということがはっきりと明示されております。さらにまた、この法律の運用のために、厚生省老人福祉振興課長は一九九一年十一月に、有料老人ホームの設置運営に対する指導を徹底するようにと通知しております。その中で、入居契約書、パンフレット、募集広告などについて介護類型を表示するようにと義務づけております。
 このように、福祉社会づくりに向けて国会で定められた法律、あるいはまた厚生省がみずから出された通知で厳重に規定されている介護類型の表示が、質問から一年半たっておりますので、今私はまた各ホームからのパンフレットを取り寄せて見ておりますが、私のお見受けしたところ、各有料老人ホームのパンフレットの多くどころか、老人福祉法で法律の遵守を会員に対して行うことを義務づけられている有料老人ホーム協会がみずから発行している「有料老人ホーム入居ガイド 輝」ナンバー十一の中でも、表示されていない施設が大変多うございます。有料老人ホームの健全な発展に資することを目的として、福祉八法あるいは景品表示法などその他の法令の規定を遵守するように会員に対する指導勧告をする有料老人ホーム協会が、みずから通知違反どころか、法律違反をしているのではないかとの批判の声が最近とみに強くなってきておることは、当該局長はよく御存じだと思います。したがって、私は、近々「有料老人ホーム入居ガイド 輝」の最新号が出されると聞いておりますので、そこには表示漏れや不当表示がなくなるようにぜひ指導を徹底していただきたいと思います。前回の質問のときには、パンフレットヘの指導をするということでお約束をいただきましたが、その後の状況も含めまして、今後指導を徹底する、あるいは不当な表示、表示漏れは今すぐにもなくすという確認の御答弁をここで関係当局の方から伺いたいと思います。
○横尾政府委員 御指摘の点でありますが、昨年の四月に、有料老人ホームの広告等に関する表示の基準を社団法人全国有料老人ホーム協会に指示をいたしまして、作成をさせました。この団体を通じて会員ホームの指導をいたしますとともに、都道府県に対しましてもこの基準に基づく指導の徹底を指示したところでございます。
 御指摘の正確な情報の開示、提供ということは、高齢者の老後生活を支えるために欠かせないものと私どもも認識しておりまして、御批判を受けないように指導の強化に努めてまいるつもりでございます。
    〔持永委員長代理退席、平田(辰)委員長
    代理着席〕
○外口委員 では、できるだけ消費者保護の立場から、情報の正確な開示と表示漏れがないようにすぐにでも御指導をいただく、それの徹底を図るというお約束をここでいただいたということでよろしいですか、御確認願います。
○横尾政府委員 指導の徹底を図ります。
○外口委員 では、頑張ってください。
 次に、地域保健の充実、そしてまた長期入院の是正あるいは在宅ケアの推進を図るということに関連しまして、地域での保健・医療・福祉サービスの充実の一つとしてスタートした訪問看護ステーションの問題と、それからもう一つどうしても最も重要なヒューマンパワー、先ほどは看護婦の養成、育成、そして確保の問題が質問されておりましたが、ここでは、保健婦の地域での保健活動の展開こそが医療費の適正化をももたらすという、長期的に見れば地域の健康問題を解決していくという役割を担っている保健婦の確保策への政府の積極的な対応についてお伺いしたいと思います。
 まず最初の訪問看護ステーションについて伺います。この制度は、御存じのように、さきの老人保健法の改正によって創設されました。私もこのときに質問に立たせていただき、厚生省のそのときの意図することを何度も確かめた者の責任として、もう一度ここで質問させていただきます。そしてまた、きちっとした対応についてのお答えをいただきたいと思います。
 ことし一月でこの訪問看護ステーションは百五十四ありますが、六一%が医療法人が設置主体である。このことは何を意味するのでしょうか。厚生省が当初意図されたことを生かしていくためには、地域独立型の訪問看護ステーションが全国各地に開設されていく中で、そういうところで暮らしの場で必要なサービスを利用できるという、今後発展させていく一つの新しいサービス提供形態というように大変多くの方々から期待、注目を集めてスタートしたわけですけれども、医療法人が設置主体であるということは、私は現場にいた経験上、病院が患者の確保手段といいますか、そういうものとしてステーションを機能させてしまいかねないという懸念も非常にあるわけです。
 そうした意味では、今の訪問看護ステーションの設置状況、新しくスタートし、そして地域保健での総合的なサービスの充実の一端を担うものとしての看護主体あるいはケア主体の活動を今後保障していくために、厚生省はどういう方策あるいは対応をお考えなのか、お伺いしたいと思います。
○横尾政府委員 訪問看護ステーションの運営に当たりましては、地域に開かれた在宅サービスを提供する、これを目的としております。また、それとの関連で、地域の関係機関との結びつきも重要であるというふうに考えております。
 先ほど申されました現在の百五十四カ所でございますが、医療法人のほかに市町村十カ所、医師会十八カ所、看護協会八カ所等々でございますが、その設置の仕方も、それぞれの開設主体が既存の病院あるいは社会福祉施設に併設の形で持っているもの、あるいは病院とは別なところに独立して単独の形で設けているもの、さまざまでございます。
 私どもは開設主体のいかんを問わず、この制度が当初ねらいといたしましたような地域の在宅サービスを支えるものとして、訪問看護ステーションが充実、そして数の拡大が図れるように努力をしてまいりたいと考えております。
○外口委員 時間の制約がありますので、早口で失礼します。
 一九九三年二月の日本看護協会の厚生省への要望は御存じだと思いますが、その中で、現状の報酬体系における厚生省のモデル事業案による老人訪問看護ステーションでは、損益、資金収支が十五年間でも黒字に転じず、事実上倒産することが判明したというふうに報告されております。
 このような実態に対し、低金利の融資や助成、さらに法人税の減税などの緊急対策、あるいは診療報酬における老人訪問看護療養費の増額、急性期や終末期における訪問看護サービス回数制限緩和、サービス対象者の年齢の引き下げなどの財政的な措置を行うことによって、ぜひ育成していく方向性をとっていただきたいと思います。
 また、同協会のアンケートで明らかになった地域の医師の理解不足による医師との調整や看護婦確保、二十四時間開業の困難さを是正するために、研修の実施や在宅介護支援センターとの連携強化などの施策を行うべきと考えます。
 さらに、訪問看護ステーションに対して期待されているもう一つの住民ニーズとして、電話相談が大変多いということで、このような相談事業が円滑に行われるような相談の位置づけが極めて重要だと思います。そういった意味で、地域のケアへのニーズに対し、住民を主体としたサービス提供が実現できるような訪問看護ステーション運営のための緊急の政策的措置を求めたいと思います。
 時間がありませんので、その政策的措置を後でまとめてお答えいただくということで、もう一つ、保健婦の確保の問題だけ最後にぜひとも質問させていただきたいと思います。
 先ほど申し上げましたように、医療費の適正化に関して、これからの私たちの課題は、福祉サービスの抜本的な充実を図ることだということは御答弁の中でもはっきりさせていただきましたので、今後の取り組みを期待するところですが、いま一つ、ユーザー側である国民の中にある医療への過剰な依存意識をどのように変えて、ケアの質への期待を高めていくかということです。つまり、従来の診療報酬における出来高払い制の中で、医療の大量生産、大量消費のメカニズムというものがあったわけですが、これを変えていくために、ユーザーの中に新しい健康観あるいは医療観というものを育てていく必要があると考えます。
 そういう意味で、保健サービスを担っている保健婦の役割というのは重大ですし、その確保策ということが厚生省、政府にとって極めて重要な課題だと思いますが、この保健婦の確保策に対しての見解をお伺いしたいと思います。
○横尾政府委員 第一のお尋ねにお答えをいたします。
 訪問看護ステーションの運営の安定化についていろいろ御示唆がございました。私ども、診療報酬の設定の際にかなり思い切った評価をしたというふうに考えておりますが、これに加えまして、訪問看護ステーションに対する税制上の優遇措置についても、医療機関と同様の措置を講じたつもりでございます。
 さらにまた、初期投資について担当負担があるという御指摘もございましたので、これを受けまして、低利融資の制度を設けるための社会福祉・医療事業団法の一部改正案を国会に御提案させていただいているところであります。
○寺松政府委員 今先生の御質問で、保健婦の今後の確保の問題について御質問がございましたので、それについてお答えをしたいと思います。
 先生が御指摘のように、人口の高齢化とか疾病構造の変化、あるいは多様化、高度化する国民のニーズに対応いたしまして、やはり保健サービスというのが非常に大事だと思うわけでございます。その中核となりますのが地域保健活動の中におきます保健婦の仕事でございまして、これの重要性は今御指摘のとおりと考えております。昨年の十二月に策定いたしました看護職員に関する人材確保の基本指針におきましても、保健、医療、福祉の連携が大事であるということで、保健事業の活発化が行われるだろう、それに伴いまして保健婦需要が高まるものと予測されております。
 そこで、厚生省といたしましては、自治省ともいろいろと御相談をいたしておりまして、平成五年度から平成十一年度までの七カ年の地方財政計画におきまして、保健婦の約九千人の増員を図ろうというふうなことを考えておるわけでございます。また現在、国民のいろいろな御要望、要請を受けまして、公衆衛生審議会におきまして検討されていることでございますが、地域保健の総合的な見直しというものをやっておりまして、その中でもマンパワーの確保充実ということが重要な柱ということで検討が行われております。
 いずれにいたしましても、私ども関係省庁とも連携をとりながら、必要な保健婦の養成、確保が図られるよう努力をいたしてまいりたいと思います。
○外口委員 この保健婦確保に対しては、一九九一年末で保健婦未設置市町村が九十二と報告されているように、とりわけ小規模市町村では困難になっています。今後保健婦の増員を考えるに当たって、小規模市町村に対する国の積極的支援が求められると考えます。
 これは先ほどの国保の場合でもそうですが、全国の地方自治体のほぼ半数は人口一万人以下の町村ですから、多くの自治体では負担の増加が予算を圧迫していくことが確実ですし、また、そのようなところにこそ国庫負担による援助が必要なはずだということで、この二点からも、今回の改正に当たって懸念するところは、どうも今度は地方自治体レベルでの格差が生じ、また、弱小なところは切り捨てられていくということが起こるのではないかと非常に憂えるところでございます。そういう点で、保健婦の増員を考えるに当たって、小規模市町村に対する国の積極的な支援ということについてのお考えを最後に伺いたいと思います。
 そしてもう一つ、保健婦が定着しない理由というのはさまざまにありますけれども、保健婦の地域性に応じた働き方というか、あるいは組織の中の保健婦の位置づけというか、それが大変あいまいで、上司あるいは周辺の人たちの考え方で、自律的な仕事、本来的な保健婦の仕事が大変できにくくなっているような状況を私は多くの全国の仲間たちから耳にいたします。
 そういった点で、保健婦活動の充実のためにより柔軟な支援策を具体的にお伺いしたいと思います。例えば保健関連施設活動費を国保から一%というふうに、いろいろな形でお金が助成金として流れておりますが、それを三%へという動きもあります。また、かつては国保の保健婦がおりまして、そういう歴史的な経緯もありました。この保健婦活動の充実への国の支援策ということを最後にお伺いして、質問を終わりたいと思います。
○寺松政府委員 お時間がありませんので簡単に御説明を申し上げたいと思いますが、今、小規模町村につきましては、先ほどちょっと御紹介しました地方財政計画の中でも頭に入れながら対応していきたいと思っておりますし、それから、これも先ほどお話しいたしました総合的に地域保健の見直しをやりたいと考えておりまして、今公衆衛生審議会でも御議論いただいておりますので、その中で、そういう小さな町村に対しましてどういうふうに対応していくかということをお知恵を出していただきたい、このように考えております。
 それから、保健婦さんの場合の働きやすさというのでしょうか、位置づけといいますか働きがいといいますか、そういうようなものにつきましては、私どもの方で課長通知で既にいろいろと地方自治体につきまして指導いたしておりますけれども、特にその中で申し上げておりますのは、保健婦の処遇の向上、あるいは保健婦の保健計画策定への参画、あるいは保健婦によります保健婦業務の管理というふうなものについて保健婦さんを参入させる、参加させるようにというようなことをやっておるわけでございますし、また資質の向上というようなこともございまして、研修とか研究会というふうなものも積極的に開催するということも私ども努力をいたしておるわけでございます。
 今回、平成五年の予算案の中で今御審議をお願いしてございますけれども、その中で地方自治体におきます先駆的な保健婦活動というものにつきまして積極的に予算化をし、それを活用していただくというようなことで、保健婦さんの活躍に少しでも資しますように、こういうことで私どもお願いをしているわけでございます。
○外口委員 終わります。
○平田(辰)委員長代理 吉井光照君。
    〔平田(辰)委員長代理退席、委員長着席〕
○吉井(光)委員 私は、最初に国保の改革の道筋について大臣にお尋ねをするわけでございますが、この問題につきましては根本的な問題でございますので、今朝来からいろいろと質疑もされたと思います。しかしながら、今申し上げましたように非常に大事な問題でございますので、私の方からもぜひとも大臣の御所見を伺っておきたいと思うわけでございます。
 現在、医療保険制度の改革、これが大きい課題になっているわけでございますが、その中でも国保の改革の中心をなしているものが老人医療費の問題でございます。この老人医療費は、過去十九年間に約十六倍に増大をしておる、そして国民医療費に占める割合が約三割にも達しておるということから見れば、際立って伸びが高いわけでございます。
 なぜならば、一つには老人医療費が年間一人当たり五十七万二千円、若者の十一万円と比べても約五・二倍という格差があるわけでございます。二つには人口構造の高齢化、これがスウェーデンの三倍のスピードで進展をしておる。近い将来には四人に一人は六十五歳以上の社会が到来をする、このようにも伝えられているわけでございます。そして九七年にはこの老齢人口というものが年少人口を上回る。となりますと、給付人口はどんどんふえるのに反して、いわゆる負担人口というものがどんどん減っていく。すなわち、支える人より支えられる人が多くなるという姿、これが我が国の将来像でございます。
 この極めて深刻な将来像に対応するには、やはり単に負担、保険料、これをふやしたり、それから給付を削減をする、または凍結をする、または自助努力を訴えたり、その都度制度をつなぎ合わせれば済むといった手法ではもう済まない。この国保制度ほど過去数回にわたって手を加えられたものはないわけでございますが、そういった観点から、まずむだをなくし、スリムにし、そして必要なところには重点的に手当てを施す大胆な行革を断行すべきであると思います。
 薬づけや保険外負担の解消、また医療機器のコストダウン、薬価基準の見直し、医療費の減量化、適正化、これを図ることが非常に大事なことではないかと思うわけでございますが、その上で、医療、年金、福祉、保健、教育、雇用、住宅、これらを総合的、多角的に複合させて、そして、あらゆる施策を講じていかなかったならば抜本的な改革へはつながらないのではないか、このように思います。
 したがって、この視点に立って、この老人医療費問題を中心とした国保の立て直しというものをどう抜本的な道筋でつくっていくのか。例えば、医療としての老人医療と福祉としての老人福祉をきちっと分けるべきであると思いますが、これも先ほどいろいろと質問も出ておりました。また、国保の事業主体を少なくとも県単位にして財政基盤を安定させていく。また、公平な負担と給付にする。そしてサービスの低下の心配は、今までどおりの事務処理としてやはり市町村に任したらいいのではないか、このような気もするわけでございますが、もう既に年金問題と同様に、この医療の一元化等、大改革についての大きな論議が行われているということを踏まえまして、厚生大臣の国保改革への道筋についてのお考えをお伺いしたいと思います。
○丹羽国務大臣 先生からも御指摘がございましたように、今我が国の国民総医療費というのは二十三兆円であります。そのうちおよそ三割の七兆円がお年寄りの老人医療費でございます。そういう中におきまして、いわゆる国保のあり方というものが大変大きな問題とたっておるわけでございます。
 国保の場合には、御案内のように高齢者が大変多い、全体の四分の一を占めておる。それから、産業構造の変化に伴いまして、自営業者やあるいは農林水産業者などの被保険者が年々五十万から百万人ぐらいずつ減ってきておる、こういうようなことが財政的基盤の脆弱の要因になっているのではないか、こういうふうに認識をいたしておるわけでございます。
 そこで、私どもはこれまで、例えば国保の安定化のために、七十歳以上を対象にいたしまして老人保健制度の創設というのを行いました。さらに、サラリーマンのOBの方、いわゆる被用者保険の適用を受けていた方々に対しましては退職者医療制度の創設、こういうものを行いまして、言葉が適当かどうかわかりませんけれども、国保の財政の負担になる部分のちょっと周辺整備を行ってきておる、これが実情でございます。
 こういう観点に立ちまして、今回もいわゆる財政安定化のために、一千億から一千二百五十億円の財政安定化の支援をお願いをいたしておるわけでございますけれども、基本的には、現在医療保険審議会におきまして、保険給付の範囲と内容につきまして御検討をいただいておるわけでございます。この夏ごろをめどにいたしまして一つの中間的な報告をまとめていただきまして、できますことならば私どもといたしましては来年の通常国会にひとつ改革の法案を提出したい、こう考えておるわけでございます。
 現在御審議をお願いしておる最中でございますので、今こうあるべきだということを私どもが申し上げることはちょっと差し控えさせていただきたいと思っておりますけれども、いずれにいたしましても、この国保のあり方というものは抜本的にひとつ考えていかなければならない、この問題を解決してこそ初めて医療保険全体の改革というものに着手できるのではないか、このように考えているような次第でございます。
○吉井(光)委員 大臣の御趣旨はよくわかるわけでございますが、先ほどもちょっと述べましたように随分改革が行われてまいりました。しかしながら、最近になりましてどうも負担の度合いというものがだんだん地方の方に偏ってくる傾向がございます。今回もいわゆる保険基盤安定制度の国庫負担の縮減といいますか、こうした傾向が見られるわけでございます。
 今回の見直し案によりますと、国庫負担を定率二分の一から定額の百億円にする。その定額化に伴う地方負担、これはたしか四百六十億、これに対しては当然地方財政措置、すなわち交付税の特例加算として三百九十億の手当てをする、そして調整債として七十億、これを充てるということでございます。しかもこれは平成五、六年度の暫定措置でするわけでございますが、どうもこの定額化という趣旨も我々から見れば何か不明確なような気もいたしますし、単なる地方への負担転嫁ではないかというような気もしないわけでもございません。そういう傾向性も私は強く指摘をしておきたいと思うわけでございます。これは答弁は結構でございます。
 そこで、各論に入りたいわけでございますが、まず助産費の支給手続の迅速化についてでございます。
 我が国の人口は、二〇一一年の約一億三千万人をピークに減少していくという予測がございます。その主たる原因は、御承知のように出生率が低下をしておる。現在その特殊出生率が一・五三。では、なぜこれが低下をしていくのか、また、なぜ出産しないのかということが問題でございますが、その原因を順番に挙げますと、まず一番が養育費が非常に高いということ、二番目が教育費、三番目がいわゆる住宅費が高い、そして四番目が二人の生活をエンジョイしたい、こういう意見もございます。そして五番目が、二〇二〇年に世界の人口が百億になるといういわゆる地球環境を考えて、こういうことでございます。これでも明らかなように、高い養育費というものがいかに出産の障害になっているかがわかるわけでございます。
 そこで、いわゆる子育て支援対策として提案をしておきたいのですが、まずその第一点が、冒頭申し上げました国民健康保険におけるところの助産費の支給手続の迅速化についてでございます。
 通常各市町村では、助産費の給付手続は、退院後に出生届を添付して助産費の請求を役場に申請いたします。そのため、一時的にせよ本人が病院など医療機関への支払いは負担しなければならない、これが実情でございます。いわゆる立てかえ払いをしなければならない。通常の出産のケースで、入院から退院まで、国公立以外の病院で言いますと大体二十七万から二十八万円、診療所で三十万から三十五万円の出産費が実際かかっているようでございます。
 これだけのお金を一度に支払うということは家計にとっては大きな負担となっている。こういったことから、この負担軽減措置として、二十四万円の助産費をせめて退院までの一週間以内に現金支給をしてもらいたい、こういう主婦の皆さん方の非常に強い要望がございます。既に出産証明書で助産費を給付するように改めたところもございます。即日給付か否か、また現金か振り込みかの違いはあるにしても、何らかの方法で給付手続の迅速化を図っている市町村が全国に次第にふえ始めているわけでございます。山口県下におきましても、我が党が推進をいたしまして、既に六市町でこうした助産費の支給手続の迅速化が実施をされておりまして、これが多大な反響を呼んでいるわけでございます。
 したがって、国保における助産費の支給手続の迅速化、これに対する厚生省の見解をひとつ確認をしておきたいことと、また、全国の市町村にこの迅速化に努力するよう行政指導はできないものか。この点はいかがでしょうか。
○古川政府委員 国保の助産費の支給手続あるいは支給方法についてのお尋ねでございますが、国保の助産費の支給手続及び支給の方法につきましては、現在基本的には各市町村の定めるところによっているという状況でございまして、各市町村の実情を見ますと、おのおのいろいろさまざまに工夫を凝らしておられるようでございます。そういう趣旨で工夫を凝らしながら支給の迅速化を図っているところでありますが、御指摘されました出生証明書、そういった証明書による支給申請を受け付けるというのも私どもは一つの工夫ではないか、方法ではないか、こういうふうに考えております。
 私どもとしては、御指摘のように、申請時の添付書類の簡素化とか、あるいは市町村内部での事務手続の迅速化とか、あるいは口座振り込みの場合における支払い回数の増加など、支給手続の迅速化については、関係法令及び市町村の事務能力を勘案しつつ、でき得る限り御要望に沿えるように市町村を指導してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○吉井(光)委員 ひとつぜひとも強力にお願いをしたいと思います。
 次は、これが健保の場合でございます。国保の場合と同様に、健保の場合も迅速化を望む声が非常に大きいわけでございます。お産をされる方にとっては、それが国保であろうが健保であろうが、これは関係ないことでございます。
 健保におけるところの分娩費の支給の流れを簡単に申し上げますと、支給申請受理、それから支給決定、それからオンライン登録、それから支給決定書、それから支給決定書送付、そして本人指定の銀行で受領、こうなるわけです。したがって、オンラインの処理に約三日から五日、それから銀行振り込みまでの支給事務に約一週間、銀行から本人口座に振り込みが完了するまで約四日から七日間必要と言われております。そして、社会保険事務所で申請を受理してから本人に現金が渡るまで、早くとも二週間かかる。通常約一カ月間程度必要であるということでございます。
 国保のように退院までの支給は困難な状況にあると言われておりますが、これは何とかひとつ工夫はできないものであるか。国保の方は御承知のように市町村の窓口、身近なわけで非常に早い。ところが、健保の方はこのように今一カ月程度の時間がかかる。したがって、申請受理から支給決定まで確定をしたら、もうあとは手続上の事務処理の問題だけですから、この支給決定の段階で社会保険事務所が例えば支給証明書を発行して、その証明書をもって現金支給とみなすことができれば退院までに間に合うのではないか。また、現時点では難しいにしても、今後の給付サービスの向上課題として、これはもうぜひとも検討していくべき課題ではないかと思うのですが、いかがですか。
○佐藤(隆)政府委員 政管健保の分娩費についてのお尋ねでございますが、ただいま御指摘のような事務の流れでございまして、審査事務あるいは国庫金の送金など会計事務上の手続がございまして、現在支払いまでに二週間から三週間かかっているというのが実情でございます。しかしながら、できる限り迅速な支給が行えますよう、現行の支払い方法についてさらに工夫をしてまいりたいと考えております。
 また、御提案の支給証明書を発行してということでございます。それを提示いたしまして分娩費用の支払いがあったとみなす、こういうことかと存じますが、その場合に分娩費を医療機関が代理受領をすることとなるわけでございまして、その代理受領の法的な性格の問題、あるいは実際に分娩費が支給されるまでの期間、医療機関がその費用をいわば肩がわりするわけでございますので、医療機関との調整の問題、こういうようないろいろな難しい問題がございますが、今後の課題として検討させていただきたいと思います。
○吉井(光)委員 私は、こうした問題というのは非常に大事な問題だろうと思うのです。ただ国民に負担ばかりを強いるのではなくして、サービスとして取り組んでいく行政というものが私は今からは非常に大切ではないか、このように思うわけでございますが、先ほどから述べました国保、健保のいわゆる分娩費の支給手続についての迅速化、大臣はどうお考えですか。
○丹羽国務大臣 先ほどから各局長、部長からお話を申し上げておるわけでございますけれども、政管につきましては二週間ぐらい、それから国保についても二週間ぐらいで、先生の御指摘は退院までの間に何とかしてくれ、こういうことでございますか。――当然のことながら、現金給付でございますので、各保険者との兼ね合いがあるわけでございますけれども、事務手続上可能な限り、ひとつ迅速な支払いができますように努力していく決意であります。
○吉井(光)委員 いずれにいたしましても、金が入ってくるのは間違いないわけでございまして、その間のいわゆる立てかえ払いというものが非常に問題になるわけでございまして、同じ払うのであれば、やはりそこの手続上のいろいろな問題等はできるだけ簡素化、迅速化して、そういう負担のかからないようにすべきであろう、このように思うわけでございます。
 次は、妊婦の定期健診の無料化についてでございます。
 この定期健診料は、地域や病院の規模、それから健診内容等によって若干異なるわけではございますが、通常一回について約四、五千円程度の個人負担となる。中でも超音波検査などは、一回一万円を超すものもあると言われております。これが出産までに十数回の健診を受けますというと、健診だけで少なくとも六万から十万円程度かかることになるわけです。したがって、この改善を求める声、意見というものも非常に強いわけでございまして、検査回数、内容等に制限はあるものの、国が三分の一、それから都道府県が三分の二の助成による無料健診が実施はされているわけでございます。
 山口県においても、単県事業のいわゆる妊婦健康管理特別強化事業、これは保健事業と言っておりますが、いわゆる超音波検査の予算の二千百万円をこの平成五年度に計上をしたわけでございます。
 医療水準が高いと言われる我が国ではありますが、妊産婦の死亡率というものがやはり依然として、現在ももうスウェーデンの二倍以上という問題がいまだもって未解決でございます。したがって、この際、二回までは無料であるとか三回までは無料であるとか、そういったことを言わずに、全部の定期健診について無料化できるような助成を国がきちっとしたらどうか、このように思います。わずかなことで何回以上は有料ですとかそんなことは言わずに、ひとつ思い切って無料化するようなお考えはございませんか。
○丹羽国務大臣 妊婦の健康診査につきましては、もう先生御案内のように、妊娠の前期と妊娠の後期におのおの一回ずつ医療機関において無料で受診することが可能となっておるわけであります。現実問題といたしまして、先生からも御指摘がございましたように、私どもの調査でも、平成二年でございますが、十・七回検査を受けているということでございます。
 確かに妊産婦の死亡率というのは大変大きな問題でございますので、この死亡原因に関する医学研究を進めるとともに、十回とすれば二回は無料であとの八回が自己負担、平たく言いますとこういうことでございますので、そのほかの分野においてある程度限定をして、要するに無料化ができるかどうか、ひとつ今後検討していきたい、このように考えております。
○吉井(光)委員 これも非常に大事な問題でありますし、こうした私たち男性では気がつかないような問題が最近非常に大きな声となって上がってきているわけでございますから、ひとつこうした問題についてもよく配慮をしていただいて、それなりの御配慮を願いたいと思うわけでございます。
 次に、予防接種の統一料金化、また完全無料化についてお考えをお尋ねしたいのです。
 きょうの新聞によりますと、厚生省は昨日、公衆衛生審議会伝染病予防部会に予防接種制度の見直しに関する委員会を設けて、そして義務制緩和を軸に、この制度を抜本的に見直すよう諮問されたようでございますが、この予防接種自体の見直しということもさることながら、予防接種の統一料金化と完全無料化。いわば三種混合、それからはしかなどの予防接種法で定められている接種は、通常全額市町村の負担となっております。同じ三種混合でも、病院によっては料金に千円近く差があります。これはどういうわけなのか。やはり同一の接種は当然同一の料金にすべきではないかと思います。
 また、指定された期間内に接種をしなかったり、地元医師会の範囲を超えた地域での接種、これは現在個人負担となっていますね。これも非常におかしい話でございます。むしろ医療面から子供たちの生命、身体の安全を事前に守るということが私は予防接種制度の目的であると思うわけでございまして、こうした場合の予防接種も含めてすべて無料化にすべきだと思うのですが、いかがでしょうか。
○谷政府委員 予防接種のことについてお答えをさせていただきます。
 今お話ございましたように、予防接種法に基づく予防接種のうち、いわゆる定期の予防接種につきましては原則無料で実施をされているというふうに理解をしております。
 一方、この予防接種というのは、御承知のように実施主体が市町村であるというようなことでございますので、市町村の区域外で予防接種を受けられた場合、あるいは今もお話ございましたMMRという、はしかとおたふく風邪と風疹の三種混合のような場合には、これはいわゆる任意の接種ということで、接種される方が希望する場合にやるといったような予防接種でございますので、この場合には料金をいただいているということが実態でございます。
 ただ、今お話ございましたように、実際の料金にばらつきがあるということでございますが、私ども率直に申し上げて、市町村段階での料金について必ずしも十分に把握をしておりませんので、どの程度のものなのか、一回調査をしてみたいというふうに考えております。
 それから、今ちょっとお触れになりましたが、予防接種全体の問題につきましては、昨日公衆衛生審議会の方に厚生大臣の方から制度全体の見直しということで諮問をさせていただいておりまして、最後の方でお触れになりましたこの予防接種をどういうふうに考えていくかということについては、その中で今後御検討をいただいてまいりたいというふうに考えております。
○吉井(光)委員 この予防接種につきましてもいろいろ議論の分かれるところでございまして、例えば義務制が緩和される、こうなりますと、今もお答えがありましたように、みずから進んでこの予防接種をしたい、こういうものについては当然有料化にすべきだという意見もございます。しかしながら、反面、やはり子供の健康を守り、生命を守るという立場から考えれば、いやこれは当然無料化にして、だれでも安心して接種が受けられるようにすべきではないか、このような意見に分かれるわけでございます。皆さん方はやはり役人的発想に立たざるを得ないかもしれませんけれども、生活者の立場に立ちますと、そうしたことも当然ひとつ考えに入れていただきたい、このように私も強く要望するわけでございます。
 次は、出産費の差異と正常分娩の保険適用でございますが、通常の出産におけるところの費用の取り扱いにつきましても、分娩費といった現金給付の形ではなくして、療養給付あるいは高額療養費のように医療給付の形にすべき段階に来ているのではないか、このように思います。同じ出産という点について着目をするならば、正常分娩であるか、それとも異常分娩かの差異でこの保険適用の有無を決めているということは、これも考え方が少しおかしいのではないかというような気がするわけでございます。
 また出産費用におきましても、正常分娩では三十二万から三十三万円、これが時間外となりますというと三十七万から三十八万円、異常分娩では、帝王切開等の場合ですが、これが二十二万から三十万円、そして一般異常の場合は正常分娩よりも一万円程度高くなる、こういう話でございます。これも私たち男性の素人考えかもしれませんけれども、ちょっとおかしいような気もするわけでございます。大変な苦しみを乗り越えて出産した方が高い料金というのも何か違うような気もしますし、そもそも出産においては同じことでございますから、費用差があるべきではない、このように思うわけですが、いかがですか。
○古川政府委員 二点御質問がございまして、後の方から申し上げたいと思うのでございますが、異常分娩につきましては、負傷、疾病に当たるというようなことから療養の給付の対象とされているところでございまして、例えば帝王切開を行って十日間入院したという場合を考えて試算して出してみますと、診療報酬としては約三十万円弱程度ということになってございます。私どもとしては、療養の給付の対象とされているものについては、診療報酬上必要とされる治療技術に応じた適切な評価が行われているものというふうに考えているわけでございます。
 一方、御指摘の正常分娩につきましては、これは自由料金ということになってございまして、各医療機関によって差異があるということでございます。これはもちろん保険からは療養費払いという形で現金給付が出るわけでございますが、料金そのものとしては自由料金ということでございますので、各医療機関によって差異があるということで、したがいまして、両者を一律に比較するということは困難ではなかろうかと考えております。
 それから、例の現物給付化というようなお尋ねでございますが、負傷とか疾病というような場合には、その診療に必要な費用につきましてあらかじめ準備することが困難であるというようなことから、医療保険制度におきましては、その給付は原則として現物給付方式ということになっているわけでございます。これに対しまして正常分娩の場合には、妊娠後、出産のための費用についてあらかじめ準備することが可能である、そういったこと等の理由によって、健康保険制度が創設されまして以来、出産後に一定額を支給するということになっているわけでございます。
 現物給付とすべきではないか、もうそういう時期に来ているのではないか、こういうふうな御指摘でございました。この現行方式というのは長年定着いたしておりますので、これを現物給付とすることについてはいろいろと検討すべき問題も多いわけでございますが、医療保険審議会において今後幅広い観点からそういった問題も含めて御議論があるというふうに考えておりまして、そういった今後の審議も踏まえながら検討してまいりたい、かように考えている次第でございます。
○吉井(光)委員 じゃ次に、高額療養費の支給制度についてでございます。
 一つ具体例を挙げてちょっと御説明をしたいと思うのですが、国保に加入をしていらっしゃるある婦人が甲状腺腫瘍手術のために国立病院に七十数日間入院をいたしました。そこで、手術も含めて最初の一カ月の医療費が二十万八千五百二円、このように非常に高額になったわけでございますが、主治医はこの手術後の経過を早く知りたいために、別の町立の病院でCTスキャナー検査を受けるようにその婦人に指示をしたわけでございます。婦人はその指示に従って検査をし、窓口で一万三千六百五十円を支払った。国立病院にもいわゆる断層撮影ができる医療器械は設置をされているけれども、申し込みが多過ぎて時間がかかるために別の病院を指示した、こういうわけでございます。
 そこで婦人は、自分の意思ではなくして医師の指示に従ってやったことだから、当然この一万三千六百五十円も二十万八千五百二円の高額療養費と合算できる、このように思っておったところが、現行制度では、たとえ同一疾病でも複数の病院にまたがった場合は高額療養費として合算できないことになっている、このように言われたそうでございます。
 他にも同様のケースがあちらこちらで聞かれるわけですが、もしそうだとするならば、高額療養費の支給要件、いわゆる健保法の第五十九条ノ四ノ二、それから国保法の第五十七条の二、これを改善して、自分の意思ではなくして複数病院にまたがった場合には、高額療養費として合算できるようにできないものだろうか。これはいかがでしょうか。
○古川政府委員 高額療養費の支給の仕組みでございますが、先生もお触れになりましたように、高額療養費の支給というのは、事務処理上、患者さんが受診されました際に医療機関、総合病院にありましては診療科ごとでございますが、医療機関ごとに月単位で作成されますレセプト、診療報酬明細書でございますが、このレセプトを基礎といたしまして行っているわけでございます。したがいまして、同一の疾病でも複数の医療機関にかかった場合には、レセプトが複数作成されるというようなことから、別個のものとして処理せざるを得ないという実情にあるわけであります。
 しかし、その後いろいろと工夫を凝らしまして、自己負担額が一件につき三万円以上の場合には、これは先生ちょっとお触れになりましたが、同一の医療機関じゃなくて複数の医療機関に係るものであっても、これを合算いたしまして、自己負担限度額の六万円を超えた部分につきまして高額療養費が支給される、こういうふうな仕組みになっているわけでございます。
 先生御指摘になりましたこの例では、片方の医療機関での自己負担額が合算対象基準額の三万円を超え、一方では三万円未満であるというようなことから、合算の対象とはならなかったものというふうに思われるわけでございます。
 問題は事務的な問題でございますけれども、これは大変困難な問題がございまして、私どもいろいろ工夫して、今は自己負担額が一件について三万円以上の場合には、別々の医療機関であっても合算しようじゃないか、そういうふうなこととしておるわけでございまして、合算基準額未満のもの、つまり、三万円未満のものを合算の対象とするということは、大変実務的に困難であるということを御理解賜りたいと思います。
○吉井(光)委員 これは非常に難しい問題だろうとは思うわけでございますが、しかしながら、高額療養費支給制度という制度の建前からして、やはりひとつ検討もしていただきたい、このように思います。
 もう一点、総合病院におけるところの給付要件の緩和についてでございます。
 現在、自己負担額が一病院で月六万円を超える場合はその超える額を支給する、これが原則でございますが、総合病院の場合は一院一科ではなく、いわゆる併科が可能でございます。そして、一科三万円以上、今御答弁いただいたところでございますが、かつ併科の合算額が六万円以上なければ支給されない。
 例えば、自己負担額が内科で二・九万円、外科で二・八万円、眼科で二・七万円だとすると、合計で八・四万円になるわけでございます。ところが、これになるまで支給がないわけですね。ところが、内科で三・一万円、外科で五・三万円、合計が同じ八・四万円でも、こちらは二・四万円の支給があるわけでございます。これは、ちょっと考えてみれば非常に不公平な結果ではないかと思うわけでございます。したがって、支給要件を緩和して、一科が三万円以上でなくても、この合算額が六万円以上であれば支給すべきではないかと思いますが、いかがですか。
○古川政府委員 高額療養費の合算に当たりましては、保険者におきまして、その対象となるレセプトすべてを世帯ごとに名寄せのために抽出しなければならないというわけでございまして、現在の保険者における事務処理の状況では、合算対象基準額の三万円の引き下げということは実務的に困難であるということで、レセプトの機械処理の進捗状況等を踏まえて行う必要があるものと考えております。
 こういったことから、レセプト電算処理につきましては、医療機関及び保険者の御理解を得ながら審査支払い機関の体制整備等を進めまして、コンセンサスづくりを図っているところでございまして、高額療養費の支給方法の改善については、これらの進捗状況を踏まえながら今後検討してまいりたい、かように考えておるところでございます。
○吉井(光)委員 三番目として、融資制度の普及策についてでございます。
 この高額療養費が償還されるまでの間の医療費支払いに要する資金についてでございますが、保険者が融資制度を実施できる旨の根拠規定、健保法の第二十三条、これが設けられまして融資制度ができております。ところが、それを知らないケースが意外に多いわけでございます。現に先ほど紹介をいたしました具体例の御婦人も、この融資制度があることを知らずに大変苦しい思いをした、こういうことでございます。
 したがって、この融資制度をしっかりアピールすべきであろうと思うわけでございます。政府としてはどのように行政指導をしていらっしゃるのか。もう少しやはりきめ細かな行政サービスをすべきであると思います、こうした声を幾度となく聞くわけでございまして、ひとつ行政サービスの窓口に関する総点検くらいやられたらどうですか。せっかくのこうした制度がありながら、それがもう全然PRされていないために非常に苦しい目を見ていらっしゃるという方が随分いらっしゃるわけですから、その点いかがですか。
○古川政府委員 御指摘のように、高額医療費融資制度というのは、自己負担額が高額療養費の自己負担限度額を超えた場合に資金貸し付けを行う、こういう制度でございまして、これは定着をしてまいっておりまして、平成三年度におきましての実績でございますが、平成三年度におきましての貸付実績は、政管健保では約一万四千件十四億円、それから国民健康保険では約十六万六千件百六十九億円に達しているというふうなことで、漸次制度として定着してきているのではなかろうかと考えておるわけでございます。
 ただ、おっしゃるように、本当にこれは周知徹底して活用されなければいかぬということでございまして、この事業に対する理解を得るというようなことから、政府管掌の健康保険におきましては、パンフレット等を全適用事業所、さらには医療機関に配布することなどによりまして広報に努めているところでございますし、また国民健康保険におきましても、市町村の広報等によりその普及を図っているところであるわけでございますが、今後とも、おっしゃるように生かされなければいかぬというようなことで、本制度が十分に被保険者に周知されるように保険者を指導してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○吉井(光)委員 それとともに償還手続の迅速化でございますが、甲状腺腫瘍の手術のために国立病院に入院した先ほどの婦人の例で申し上げますと、高額療養費について平成三年七月分を同年の十月に申請をした、そして、病院と国保窓口の手違いによって、通知が届いたのが平成四年の二月、そして実際に銀行に振り込まれたのは三月、いわば申請から六カ月後でございます。
 この手違いは別にいたしましても、国保も健保も通常償還手続に要する日数は大体一、二カ月、早くて三週間、このように言われているわけでございます。こういうのもやはり高額療養費の償還手続の迅速化が非常に問われているわけでございますが、この件についての対応はいかがですか。
○古川政府委員 仕組みでございますけれども、高額療養費の支給に当たりましては、先ほど申し上げましたように、レセプトを基礎として世帯合算とか支給額の決定を行っているというような状況でございまして、そのレセプトは、御案内のように、審査支払い機関を経まして保険者に送付されるということとなっているわけでございます。したがいまして、保険者には診療月の翌々月の五日に到達するというふうなことになっているわけであります。このようなことで、レセプトを基礎としているというようなことから、高額療養費の支給を大幅に早めるということは困難であると考えております。
 なお、先ほど御指摘もございましたような高額療養費の支給までの間は、高額医療費融資制度を活用していただけるように広報に一層努めてまいりたい、かように考えております。
○吉井(光)委員 現場からこのようなたくさんの声が上がってきていることも事実でございますので、その点ひとつ御了解いただきまして、それなりの対応策をお願いをしたいと思います。
 それでは、今度は話が変わりまして、国公立の福祉学校の設置について、ちょっと文部省にお尋ねをしておきたいのです。
 いわゆるゴールドプランの実現のみならず、来るべき二十一世紀の高齢化社会を支えるかぎを握っているのは、今さら言うまでもなくマンパワーの確保でございます。八九年に社会福祉士、それから介護福祉士等の身分法もできました。そして、これらの資格者の社会的な評価を高めて資格制度の普及を図り、志望者をふやすあらゆるPRをしていきたい、これは厚生省が平成二年四月の予算委員会の分科会のときに私の質問に答弁をされたわけでございます。
 こうしたPRが非常に効いたのかもしれませんが、本年の大学入試状況は、福祉関係の学部、学科を持つ大学に人気が集中をいたしました。そして、ある大学では前年に比べて約九割もふえているところもあるわけでして、それもいわゆる男子の志願者が急増をしております。
 理由は幾つか挙げられているわけでございますが、急速な高齢化社会への不安とその対応に迫られているほか、ボランティア活動に対する関心の高まり、それから身分法の制度化が反映している、このように分析もされております。本音の部分では、不況に強い自治体や社会福祉施設の安定性に魅力があるようでもございます。現に、高齢化率の高い地方自治体などは福祉を行政の中心に置いておりますが、それがそのまま志願者数につながっているとの見方もございます。
 また、新しい傾向といたしましては、建築分野で、高齢者や身障者向けの住宅の開発などによる専門的知識が要求されるようになっておりますが、こうした幅広いニーズが人気の理由とも言われております。
 こうした福祉関係志願者が今後ますますふえてくるのではないかと思われるわけですが、肝心の福祉専門学校はすべて私立てございます。安い学費で学べる国公立の福祉学校、これをしっかり建てて、そして若い有能な人材育成に着手すべきときではないか、このように思うわけですが、御意見をお聞かせ願いたいと思います。
○工藤説明員 お答えいたします。
 人間社会の中で、お互いいたわりの心を培うことは大事なことでございますが、こういう社会福祉の関係につきまして、専門の大学を整備するだけではなくて、他の学部等におきましてもそういう関係の教育を行っていくことも、また重要であろうかと思っているわけでございます。
 今し方の先生のお話で、公立大学は全くないのではないかということでございましたが、実態といたしましては、公私立大学、短大を合わせまして約四十の社会福祉関係の学部、学科がございまして、入学定員としましては約五千七百人を擁しているわけでございます。この中には、公立大学で言いますと、例えば学部で専用のものを置いておりますのが大阪府立大学に社会福祉学部というのがございますし、あるいは学科レベルですと東京都立大学の社会福祉学科とか、学部、学科で見ますと、公立大学でも七大学八学部を擁しているところでございます。
 これからのことでございますけれども、平成四年をピークにいたしまして、大学進学人口でございます十八歳人口が減少してまいります。これは大学の学生確保という面だけではなくて、社会のマンパワーを確保する意味で重大なことでございます。
 そういう十八歳人口の減少を前にいたしまして、大学、学部の新増設につきましては、基本的には抑制していかざるを得ないというのが私どもの基本的な方針でございますが、そういう中にありましても、特に社会的需要が高い分野につきましては、その設置を認めていこうということでございまして、現にここ一、二年の動向を見ましても、平成四年に公立大学では福岡県立大学が新たにできまして、人間社会学部に社会福祉学科、入学定員五十名でございます。これを含めまして平成四年度、社会福祉関係の創設が入学定員レベルで五百人ございましたし、この平成五年四月からの受け入れといたしましては、岡山県立大学に保健福祉学部あるいは岡山県立大学の短期大学にも健康福祉学科ということを含めまして、公私立合わせて四百三十人の入学定員の増加を認めているところでございます。
 なお、国立大学につきましては、専用の学部はございませんけれども、関連の講座、学科目等で社会福祉に関係しております教育、研究を行っているところが明らかなだけでも十四ございますし、講座、学科目ではっきりはしていないものの、実際の教育、授業で行っているのがさらにこれよりも多いところと承知しているわけでございます。
 ただ、国立大学で専用の学部を今後創設するかどうかということにつきましては、基本的には各大学の検討状況を踏まえまして検討させていただきたいわけでございますけれども、他方で国の財政事情もございますし、先ほどのような十八歳人口の減少という動向もございますので、いろいろ総合的に勘案しながら、国公私含めまして適切に対応してまいりたいと存じておるような次第でございます。
○吉井(光)委員 いずれにいたしましても、マンパワーの確保ということは、私は今からの最大の大きい柱ではないかと思います。したがって、文部省におかれましても学部の増設、これも当然やらなければなりませんけれども、ひとつ専門的な知識をより大きい範囲で得られるような学校を奨励していただいて、このマンパワー確保に当たっていただきたいと強く要望をしておきたいと思います。
 時間がありませんが、最後に不法滞在外国人の医療問題についてお尋ねをしておきたいのです。
 我が国は、これからのいわゆる高齢化率二五・八%、これは二〇二五年、こうした世界に例を見ない超高齢化社会に突入するわけでございますが、これによりまして現在の就労人口六千五百万人に対して、予想される労働力不足が約二百八十万から五百万、このように予測をされております。
 では、この労働力不足をどう補っていくのか。一つには出生率の向上を図らなければいけない、二つ目には女性の社会参加、三つ目には外国人労働力の投入、このように言われておりますが、労働省は外国人の就労の拡大に大きく踏み出し始めております。来年度からスタートいたします外国人の技能実習制度で義務づけられるいわゆる労働省の技能検定資格に基礎級、これを新設をして、かつ外国人労働者の就業紹介システムの確立を目指しているのがそれでございますが、いずれにいたしましても、この不法就労を初め多くの難問を抱える外国人労働の問題は、避けて通れない極めて大事な、緊急的な政治課題であろうかと思います。
 今回は、不法滞在をしている外国人の医療費未払いの対応策について若干触れてみたいわけですが、この不法滞在外国人は年々ふえ続けております。法務省の発表によりますというと、昨年十一月現在で約二十九万人を超えて過去最高を記録した、こういうことでございますが、この人たちによるところの救急医療費不払い総額は、全国で年間約二億円に上るそうでございます。この問題をこれ以上このまま放置するならば、病院経営の危機を招くおそれがあるばかりか、人道的な立場から国際批判を浴びることにもなりかねない状況でございます。
 こうしたことに配慮いたしまして、神奈川県では、昨年九月に横浜で起きたところの不法入国のタイ女性がホテルから転落をし重傷を負った事故を契機に、新年度から、救急医療に限り費用を負担する政策を全国で初めて打ち出しました。群馬県でも同様に、初年度一千四百万円を計上しているようでございます。このことが首都圏だけではなくして、広島など地方都市にも広がっております。関係各方面にさまざまだ波紋を投げかけているわけでございますが、一方、政府としては、昨年夏から厚生省や法務省なと関係機関の間でこの外国人労働者問題を多角的に検討しておりまして、その中には当然、医療費未払い問題も含まれていることと思います。
 確かに国レベルでは入国管理法などとの整合性、こういった問題もあると思いますが、現に未払いの増加の実態があります。また、地方自治体を初めボランティア、また病院等関係者がその対応策に苦慮している現実を厳しく受けとめて、またエイズ予防対策だとも考えれば、いずれにしても国が率先をして早急に何らかの救済制度や、またガイドラインなどの手を打つべきでありますが、厚生省のこの問題に対する認識と、そして解決策についてお聞かせを願いたいと思います。
○丹羽国務大臣 まず、我が国に適法に居住する外国人につきましては、内外人平等の原則に基づきまして、医療保険の給付が行われていることは先生も御承知のことと存じます。
 問題は不法に滞在する外国人でありますけれども、実際問題、大変難しい問題を抱えておるわけであります。
 まず、この不法に滞在する外国人というのは、強制退去の取り扱いの対象になっているということと、それから二番目といたしまして、この医療保障というものを行えば、結果的に不法滞在を容認、助長することになるのではないか、こういうような非常に難しい問題を抱えておるわけでございますけれども、その一方で、現に医療機関が人道的な立場からそういう不法滞在の外国人に対しまして治療を行った場合の費用をどうするかという、大変大きな問題となっておるわけでございます。
 そこで、厚生省といたしましては、医療機関におきます損失を何らかの形で助成することができないかどうか、現在各省庁で検討中でございますけれども、できるだけ早い機会に結論を出さなければならない、このように考えているような次第でございます。
○吉井(光)委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○浦野委員長 児玉健次君。
○児玉委員 日本共産党の児玉健次です。
 厚生省は一九五八年二月、昭和三十三年ですが、社会保障制度審議会に新国民健康保険法案要綱を諮問しました。ここに「国民健康保険四十年史」というなかなか大部なもので、昭和五十四年三月十日に発刊されたものですが、その中で厚生省は、新たに発足させるべき国民健康保険法について次のように述べている。
  国民皆保険体制の確立のための国の責任を明確にしたこと。
  国民健康保険事業を行うことは、市町村の固有事務であるとする旧法の考え方を改めて、国民の医療保障を行うことを国の責務とし、これを市町村に団体委任するという考え方を基本とした。
この考え方において変わりがないと思いますが、いかがですか。
○古川政府委員 現在の国民健康保険法第三条におきまして、市町村は国民健康保険事業の実施を行うものとするというふうに規定されておるわけでございまして、御指摘のとおり、国保事務は団体委任事務とされているということで理解しております。
○児玉委員 今の基本的考え方に立って、「国の財政上の責任については旧法の療養給付費の一〇分の二以内の補助の制度を、一〇分の二の国庫負担の制度に改めこと明確に述べています。補助でなくて国庫負担の制度に改めた。このあたりに皆保険制度をどうしても実現させたいという、そしてそれを国の責任でしっかりとしたものにしようとする当時の厚生省の意気込みを私は感じます。
 そこで、その後かなりの期間がたって、今日の国民健康保険の状況はどうかという問題についてです。
 今、国民健康保険の加入者を職業別かつ年齢別にその構成を見てみますと、これは九〇年度の場合ですが、職業別でいえば、農林水産業一〇%、自営業二八%、被用者二三%、そして無職三五%回無職が第一位です。年齢別でいえば、七十歳以上のところは五年刻みになっていないということはありますが、その部分が一六・二%、次に六十歳から六十四歳が一〇・二%、三番目が六十五歳から六十九歳の部分で八・九四%。現状はそのとおりですね。
○古川政府委員 そのとおりでございます。
○児玉委員 この点は大臣に述べたいのですが、今の国民健康保険の加入者の状況というのは、国民健康保険制度がその財政的基盤において非常に脆弱であるということを示すものだと思います。その傾向はますます強くなっている。
 例えばさっきの職業別構成で、今私が述べた一九九〇年、その四年前でいえば無職は二五・五%だったのだが、二七・三、二九・六、三三・五、そして九〇年の三五・四%です。高齢部分に次第に重心が移っていくという点も、数字は言いませんけれども明確に出ていますね。そうであればあるだけに、国民健康保険財政に対する国の支えというのは年々強められなければならないと思うのですが、いかがでしょう。
○丹羽国務大臣 国民健康保険制度におきましては、先ほどから私答弁を申し上げておりますように、高齢者が大変多いということ、それから低所得者が全体の四分の一を占めておる、こういうようなことで財政基盤というものが極めて脆弱であります。そういうことで、国の方といたしましては、給付費の二分の一、平成五年度におきましては二兆三千億円という巨額な国庫負担を行っておるわけでございます。
 こういうようなことを行っている一方におきまして、これまでいわゆる国保の安定化のために、七十歳以上のお年寄りを対象として老人保健制度の創設を行ったり、あるいはサラリーマンの被保険者のOB、こういう方を対象にいたしまして退職者医療制度の創設、こういうものを行いまして改善を行ってきたわけでございます。
 今後とも国保制度の安定のために、現在医療保険審議会で検討をいただいておるわけでございますけれども、何と申しましても国保制度というものは地域における中核でもあるわけでございますので、国保の長期的安定のために努力していく決意でございます。
○児玉委員 今大臣がお述べになったことについては、後ほどさらに議論を深めたいと思います。
 今回の一部改正で、保険税の限度額が四十六万円から五十万円になる。午前中も同僚議員によって論議がありました。政管健保の限度額は四十八万八千円だと承知しております。私は午前中の答弁を聞いていて、ちょっとあれっと思ったのですが、限度額に突き当たるのは月収九十七万円ですから、年収でいえば、企業によってさまざまであろうし、九十七万というと役員報酬などを伴う部分もあるかもしれないけれども、大体年収千五百万前後と見るべきではないでしょうか。いかがですか。
○古川政府委員 政管健保の場合には、年収でいえば千三百八十五万、給与所得控除を引いたら千百五十六万、こういうふうな状況でございます。
○児玉委員 数字のつかみ方についてはいろいろ議論がありますが、いずれにしろ月収九十七万のところで限度額四十八万に突き当たる。国保の場合はどうか。五十万円の限度額は、事業所得、給与所得でそれぞれどのようになりますか。
○古川政府委員 一定の仮定のもとで試算を行いますと、限度額五十万円に該当する世帯の所得は約五百二十万円、給与所得控除前で見ると約七百万円、こういう状況でございます。
○児玉委員 同じ健康保険であっても負担の額に大きな差があるし、そして、給付において国民健康保険が非常に不利であるという点は、もう議論の必要がありません。ここのところの問題です。今局長がおっしゃったモデルはあくまでモデルであって、例えば私のおります札幌市で現実にどうか、例として挙げたいと思います。
 札幌市では、限度額が本年度で四十四万円です。その限度額にどの収入で突き当たるかといえば、四人家族の場合年収五百二十九万。局長のおっしゃる控除を除けば四百二十四万です。そこで突き当たります。単身者の場合ですと年収三百六十万、所得三百三十一万で限度額にぶつかります。
 その部分はまだ相対的に言えば負担が重いけれども、もう少し下に比べれば若干ましなので、例えば四人家族年収四百二万、所得二百七十二万の場合、札幌における保険税は三十九万九千七百八十円です。年収四百二万というのは、ボーナスも含めれば月収二十五万前後です。そこで保険税が月額にして三万三千三百十五円。これは一割どころか一割五分に達しているのですね。ここまで来たら今日の国民健康保険はもう負担の限度を超しているのではないか、こう考えますが、厚生省の現状認識を伺います。
○古川政府委員 まず基本的に、限度額というかそういうものを政管と国保で比較して委員がおっしゃいましたが、それをどう考えていくのかということが一つあろうかと思うわけでございます。
 限度額に該当する所得というのは、被保険者の所得分布状況とか限度額該当世帯割合等によりまして、全体のバランスを考えて決定されるということでございまして、国民健康保険の方が政管健保より低い所得で限度額に該当しているということが、直ちに国保の保険料水準の高さとかそういったことを示すものではないというふうに考えているわけでございます。
 そこで、今回の国保の議論でございますけれども、保険料負担能力の低い低所得者の加入割合が非常に高い、特に中間所得層の保険料負担が過重となっている、こういうふうなことがございますので、一定の仮定のもとで試算いたしますと、事業主負担を除く本人の保険料負担は政管健保に比べて約二倍となっている、こういうような状況もございます。
 今回、国保財政安定化支援事業の制度化ということを通じて、市町村一般会計から円滑かつ適切に支援が行われるというようなこととか、あるいは、先ほど来お話がございますような限度額四十六万から五十万というようなこと等が行われることによって、私どもとしては、中間所得層に偏っていた保険料の賦課が適正になるものではないか、そういうふうに考えております。
 それで、限度額について、限界ではないか。私は、限界か限界でないかという議論は、にわかに言えない問題ではなかろうか、こういうふうに考えております。
○児玉委員 局長の今おっしゃったことですが、私がさっき二つ目の札幌の事例として出した部分とまさしくかみ合うのです。四十六万とか五十万でどの部分に突き当たるか。その所得層よりももう少し所得の少ない部分の国民健康保険税に対する負担が非常に重くなっている。限度額のところも重いけれども、そこは非常に重くなっている。さっき私が言いました四人世帯で月収二十五万前後、そしてこの人が月に払う保険料は、札幌の場合、さっき言いましたように月収の一四%に達するのですから、その部分が今度の措置で改善されますか。されるかされないか答えていただきたい。
○古川政府委員 私どもとしては、全体として財政支援事業で千二百五十億等を投入することになるわけでございます。国保について幾らということは各市町村が決める議論でございますから、全体のバランスを考えて決めることでございますので、にわかには申し上げられませんが、全体としては国保財政の支援ということは確実になるというふうに考えております。
○児玉委員 今回の改正の中身に入りたいのですが、全体として国民の負担が非常に重くなっている。そういう中で、皆さん方の場合、今回の措置で国民健康保険料軽減分についての負担制度、保険基盤安定制度ですけれども、ずっと国が全額を負担していた。
 八四年にそれが八割負担になり、八八年には五割の負担、都道府県、市町村が各四分の一、四分の一となる。そして今回は百億円を定額で負担するだけ。もし九三年度も九二年度とほぼ同様の軽減分だとすれば、割ってみたらこれは一割を下回りますね、約八%ということになります。かつては全額であったものが、八割、五割、一割以下。明らかにこれは国の負担がどんどん身軽になっている、そして市町村の負担がその分ふえていく、こういうことになりませんか。
○古川政府委員 保険基盤安定制度につきましては、午前中から申し上げておりますけれども、国保財政の現状というものを踏まえまして、国保財政安定化支援事業が法制化され、各保険者の実情に応じた財政安定化措置が地方財源によって行われるということにかんがみまして、今回国庫負担の見直しといいましょうか変更を行った。そして、その部分につきましては、市町村が持ち出すといいましょうか負担する部分については、全額地方交付税措置で措置をする、こういう仕掛けでございます。
 本当に国民健康保険は、先ほど来お話があるように、高齢者とか低所得者を抱えて非常に厳しい。そういう中で全体としてどのように安定を歯っていこうか、あるいは平準化を図っていこうかということの中での議論でございまして、私どもとしては、国保の財政安定に大きく資するものだというふうに理解しておりまして、その点はよく委員にも御理解を賜りたい、かように思うわけであります。
○児玉委員 今の国が負担すべきものを地方財政措置に移していく、この手法は、先ほど議論した保険基盤安定制度に限らないですね。幾つかの部分でそちらにシフトされていっている。国保財政安定化支援事業の法制化、ここでも市町村の一般会計からの繰り入れが前提となっていて、そして国としても一定のことをということです。
 これは冒頭に私が言いましたが、国民健康保険制度は市町村への団体委任事務である。したがって、国の財政の責任を補助から負担に改める。現行の国民健康保険制度の最も本旨にかかわる部分が今こそ貫かれなければならないと思うのですが、そこのところがそうでなくなっている。
 地方財政措置にゆだねるといいますが、そこでは大きな問題があります。例えば、さっき大臣が平成五年度において二兆三千億の国庫支出とおっしゃった。二兆三千五百九十六億。その金額は、全体としての医療費、国民健康保険の財政のスケールが大きくなっていっているけれども、例えば昭和六十年度において既に二兆二千三百九十七億ですよ。この部分はもうきれいに横ばいです。横ばいだから、パーセンテージでいえば、八四年四九・八%であった国庫支出金の割合が、九一年には三八・三%に一〇ポイント以上落ちているのです。そこが一つです。
 もう一つ、地方財政措置の問題だけれども、私は具体的に言いましょう。そこに国民健康保険に関する部分がシフトされることで地方財政はどうなるのか。自治省の方たちはよく地方交付税交付金の出口ベースを問題にします。ことしの予算にかけられている地方交付税交付金の出口ベースは十五兆四千三百五十一億、これは去年に比べて二千四百四十一億の減額です。全体のどんぶりについてはそのままにしておいて、新しい要素をそこに入れ込むことによって地方財政全体は窮迫していきます。そこが一つです。
 もう一つの問題は、地方交付税交付金というのは本来自治体の財源であって、憲法九十二条の地方自治の本旨を貫く、その観点に立ては、交付税が国の補助事業、施設への財源保障にどんどん今傾斜していっていますが、そのことに今回の国保の一部改正は拍車をかけることになる。明らかにこれは好ましくない。いかがでしょう。
○古川政府委員 御指摘の国庫負担の問題で国の責任を論じられておるわけでございますが、こういうことを御理解していただきたいと思うのでございます。
 国民健康保険財政に占める国庫支出金の割合というのは、昭和五十九年度におきましては確かに四九・八%、それが平成三年度においては三八・三%となっている、これは事実でございます。
 ところで、なぜそうなったか、こういうことでございますけれども、これは、五十九年に退職者医療制度の創設ということに伴いまして国庫負担の見直しが行われたこととか、その後、国民健康保険の給付費のうち、国庫負担の対象とならない退職者医療制度の対象となる部分が年々増大してくる、退職者がふえてくることによって増大するというようなこと等によるものでありまして、データ的に見ましても、そういった退職者を除きまして、一般被保険者に係る給付費に対する国庫負担の割合は基本的にはほとんど変化がない、これはもうデータでそうなっております。
 したがいまして、国庫負担の縮小というようなことをおっしゃいますけれども、そういった点は退職者を除けば国庫負担の変更はないわけで、その退職者医療制度をなぜつくったか、あるいは老人保健制度をなぜつくったかということは、もろもろの要素もありますが、国民健康保険というものを国民の医療保険制度の一つの柱として維持し、安心して医療を受けられるように何とかそういったものを確保したい、財政の基盤を安定させたい、こういうことであるわけでありまして、全体として私は国の責任というものはいささかも後退していない、こういうふうに考えておるわけでございます。
○児玉委員 今の議論は、ここ三回の国民健康保険法の一部手直しの都度議論してきていることで、先ほど私が指摘した幾つかの事実、その点は局長もお認めになるわけだし、その点で私たち今度のこの改正案には賛成できません。そして、この後、国民健康保険が国の負担で本当に国民の皆保険の中心になるように、充実させていくために努力をしたい、こう思っております。
 この機会にもう一つ、国民健康保険制度に関連して御質問します。
 それは、長引く不況で国民の生活が非常に厳しい状態にある。中小業者の営業の問題、失業の増大、そういった中で、老人保健法の改悪に伴って一九八六年に国保法の一部改正、そこに端を発していわゆる資格証の発給の問題が出てきております。例えば、私のおります札幌市では昨年の十一月、資格証明書が三千八百九十七世帯、ちなみに前年度は五十四世帯だったのですから、一挙に七十数倍にがあっとふえる、こういうふうな事態があって、これはもう社会問題になっています。
 この問題について国会で審議されたとき、私どもの経塚委員の質問に対して当時の斎藤十朗厚生大臣、そして下村保険局長はこもごも次のように答えています。これは斎藤厚生大臣ですが、「所得がなくて払えない方も悪質とみなすというようなことではございませんで、悪質滞納者とは、合理的な理由がなく故意に保険料を滞納している者をいうわけで」云々、下村保険局長は「むしろ低所得というよりは、かなりの所得がありまして、しかも保険料を納めない、医療給付を受けてないから払いたくたい、あるいは財産処分は回避をするというふうなことで、明らかにどうも保険料を納める意思がないというふうな者を対象といたしますので、」「運用面で心配はないというふうに考えている次第でございます。」答弁はこのとおりですね。
○古川政府委員 今、私はちょっと確認できません。
○児玉委員 後から確認をしてください。八六年十月二十八日の衆議院社会労働委員会と地方行政委員会の連合審査の会議録からです。
 それで伺いますが、翌年七月二十八日に参議院で我が党の沓脱委員が質問したことに対して厚生省は、「延納なりあるいは保険料軽減の手続をとるなり、しかるべき手続を踏んでいただきたい」と思っています、こう述べています。そのしかるべき手続を踏むための指導、これは現場でどのように行われているのでしょうか。
○古川政府委員 委員御案内のように、この被保険者資格証明書の発行の対象となるような方々というのは、資産とか所得がありながら故意に保険料を長期にわたって滞納しているというような方々でございまして、私どもは公正の見地から、そういう方々についてはこの被保険者資格証明書を発行するというようなことをしているわけでございます。
 もちろん被保険者証の返還とかそういった問題については、事前に十分な納付の相談・指導とかいうようなことを行っているわけでございまして、生活困窮等やむを得ない特別の事情により滞納している場合等について、配慮といいましょうか、十分指導しているというようなところでございます。
○児玉委員 その指導が十分行われたら、こういう事態は生まれませんね。
 国民健康保険法施行令第一条の四、そこで
 一 世帯主がその財産につき災害を受け、又は盗難にかかったこと。
 二 世帯主又はその者と生計を一にする親族が病気にかかり、又は負傷したこと。
 三 世帯主がその事業を廃止し、又は休止したこと。
 四 世帯主がその事業につき著しい損失を受けたこと。
 五 前各号に類する事由があったこと。
この五で明らかなように、今のずっと述べられていることは例示です。そして、先ほどの下村局長も、倒産、失業、経営不振等、保険料、地方税等徴収が猶予される場合、減免の措置、そういうことを述べておられるのです。減免制度の措置について、市町村の窓口で本当に周知徹底させる必要が今あると思うのです。この点の努力を強化していただきたいのですが、いかがですか。
○古川政府委員 繰り返しになるかと思いますけれども、この国保の被保険者証の返還とかあるいは被保険者資格証明書の発行の対象となる方々というのを具体的に申し上げれば、災害、失業、長期入院等の合理的な特別の理由がなく長期にわたって保険料を滞納している方、それから納付相談・指導に一向に応じようとせず、滞納処分を行おうとすると意図的に差し押さえ財産の名義変更を行うなど、納付相談や指導によっては対応できない方、こういった方々を私どもとしては被保険者証の返還とか資格証明書の発行の対象となる方々である、こう理解しておるわけでございます。
 やはり国民健康保険というのはみんなで助け合った制度でございますので、公正の見地から、そういった方々についてはこの制度によって対応していく。しかし、そうでない方々がそういうようなことにならないように、それは十分配慮してまいりたい、かようなことを申し上げている次第でございます。
○児玉委員 八六年十二月二十七日に厚生省は通知を出されている。その通知自身を私は不当なものだと思っていますけれども、慎重に読んでみたら今局長が述べられたことがそこに随分入っていますね。二重、三重の縛りがかけられています。
 そこで、一つの縛りは、実際の運用に当たって納付相談・指導を通じて滞納者の実情を十分把握しろ、次の縛りは、いたずらに被保険者証の返還の措置を求めるのでなく、納付相談・指導を通じても対応が不可能であると認められる場合は、運用において配慮しろというふうになっている。もしこれができたら、札幌のように公費負担医療費の医療の受給者まで含めて、資格証明書が出されるということはなかったはずですよ、相当数が含まれているのだから。この点で厚生省の指導を強めていただきたいと思います。いかがですか。
○古川政府委員 私どもの基本的な考え方は先ほど申し上げたとおりでございまして、各保険者がそういう趣旨を十分徹底するように指導してまいりたい、かように考えております。
○児玉委員 時間ですから、最後に減免制度の改善、正確に言えば軽減制度の充実改善、そのような制度が国民健康保険制度において立派に存在しているのだということの周知徹底、この点での厚生省の一段の努力を求めたいと思います。いかがですか。
○古川政府委員 国民健康保険制度は、先ほども申し上げましたように、相扶共済といいましょうか相助けていく、こういうことを原理とする社会保険制度であるというようなことから、被保険者には一定の保険料負担が求められているということでございます。
 したがいまして、もちろん御承知のとおりでありますが、国保の保険料は、受益に応じて賦課される応益割と負担能力に応じて賦課される応能割という二つの部分によって構成されることとされておりまして、さらに負担能力に応じて賦課される応能割の算定に当たりましても、特定の所得階層に負担が偏ることのないよう、所得から基礎控除のみを除いたいわゆる旧ただし書き所得を賦課のベースとして、広く浅い賦課を行うということを原則としているところでございます。
 このように、国民健康保険の保険料は、基本的に能力に応じた負担を求め、所得再配分といった要素をもあわせ持った直接税である住民税とは賦課の目的、考え方等が大きく異なっているということで、両者を単純に比較して軽減基準の高低を論ずることは適当でないと思っておりますが、基本的にはただいま申し上げたような軽減の基準についての考え方でございますので、御理解賜りたいと思います。
○児玉委員 終わります。
○浦野委員長 柳田稔君。
○柳田委員 まず最初に、医療費の地域間格差についてお尋ねをしたいと思います。
 今も議論がありましたように、国民健康保険は、高齢者、さらには低所得者の加入割合が大変高い、財政的に厳しいものがあるという問題もありましたけれども、国民健康保険の構造的な問題として、一つは医療費の地域間格差があるのではないかと思う次第であります。この国民健康保険の医療費の格差の現状について、都道府県レベル、そして市町村レベルで今どのような状況にあるのか、御説明をしていただきたいと思います。
○古川政府委員 御説明申し上げます。
 平成二年度の国民健康保険被保険者一人当たりの医療費の実績値を都道府県ごとに見てみますと、最も高い都道府県は北海道で二十九万七千円、最も低い都道府県は沖縄県で十四万三千円とたっておりまして、最高と最低の間には約二・一倍の差がございます。これは都道府県で見たものでございます。
 これを個別の市町村ごとに見てみますと、被保険者一人当たりの医療費が最も高い市町村は北海道の赤平市でございまして、これは五十万六千円、最も低い市町村は東京都の青ケ島村でございまして、五万五千円ということになっておりまして、最高と最低の間には約九・二倍の差がございます。
 以上でございます。
○柳田委員 今、都道府県レベルでは二・一倍、市町村レベルでは九・二倍格差が生じておる。この原因であり背景について厚生省としてどのように分析をされ、考えていらっしゃるのか、お示し願いたいと思います。
○古川政府委員 医療費に地域差が生ずる原因というのはもろもろのものがあろうかと思うわけでございますが、一つは人口の年齢構成の違い、また病床数、ベッド数など医療供給の状況の違い、あるいは医療機関側の診療パターンといいましょうかそういったものの差、それから住民に対する保健事業、つまり、健康づくりとか疾病予防とか、そういった住民に対するヘルス事業の実施の状況、それから住民の生活習慣、健康に対する意識あるいは受診行動の違い、こういったものが考えられるわけでございまして、これらの要因が相互に影響し合った結果こういった地域差が生じているのではなかろうか、こういうふうに分析しているところでございます。
○柳田委員 これからも高齢化社会がどんどん進んでくる。そうなると医療費負担は相当大きく膨らんでいく。国民からいいますと、果たしてこの制度を維持していけるのだろうかという不安の声も聞こえるくらいな感じに今なりつつあるのではないかと思うのです。
 今、年齢の構成なり医療の供給の違いとかという御説明がありましたけれども、それにしても特に高医療費地域ですか、こんなに本当にかかるものかな。今、原因とか背景をお聞きしたのですけれども、九倍も違うというのはどうも理解ができないなという気がしてならないのですが、厚生省としてこの高医療費地域にどういうふうな対策を今講じていらっしゃるのか、今後どのような対策をお考えになっているのか、教えていただきたいと思います。
○古川政府委員 医療資源の有効活用あるいは医療費の適正化というのが私どもは今後非常に大切ではなかろうか。
 そういったことで、レセプト点検の充実強化とか医療費通知の充実等の医療費適正化の推進をしてきたところであるわけでございますが、特に御指摘の高医療費地域における対策といたしましては、昭和六十三年の国民健康保険法改正によりまして、年齢構成の相違あるいは地域の特別事情等を勘案しても、なお金国平均よりも著しく医療費が高いそういった市町村におきましては、国民健康保険運営の安定化計画を作成していただきまして、医療給付費の適正化等安定化対策を講ずる、こういうふうなことで対策を一つは講じているところであります。
 さらに、平成五年度におきましては、国保医療費適正化特別対策基金というものを国保中央会に設置することといたしておりまして、高医療費地域の保険者等に対する医療費適正化対策の充実強化を図っていく、こういうことといたしております。
 御指摘のような高医療費地域対策というようなことでございますが、今後とも地域の実情に応じた医療費適正化対策等を総合的に推進して、医療費の地域間格差の是正にも努めてまいりたい、かように考えている次第でございます。
○柳田委員 私は北海道に行ったことは余りないので、この赤平市のことはよくわからないのでありますが、あるときでしたか、テレビで、この赤平市に住んでいる方ではない方が大変多くほかの地域から、特に冬場に長期入院される人が多いというふうな報道もあったかというふうに聞いておるのです。
 要は、そういうところに入院をする必要性があるから行く人、またはほかの要因、つまり、ひとり暮らしだ、雪が多い、それだったらば疾病がないわけじゃないのだから、病院に行って長期入院しようかというような、社会現象なんでしょうか、そういうふうな問題点も起きてきておるのかた。要するに、自分の住んでいるところにないから、こういう医療費がたくさんかかるようなところに集中してしまう、そういうふうな報道であったわけでありますけれども、これも何か手を打たないといけないのじゃないかな。
 つまり、社会的入院まで病院が受け入れる必要が本当にあるのだろうかという気も若干しておるのですが、やはりこの辺も医療費がこれだけ高額になる理由になっておるのでしょうか。
○古川政府委員 北海道の例であれしますと、大変入院が多い、それから入院の期間が特に七十歳以上の方々について非常に長い、七十歳以上の方々の全国平均が八十五日ぐらいとすれば百日ぐらい、それを超しているというような状況、そういった事由があるわけであります。
 その原因には、例えば遠隔であるとか家庭の事情、いろいろなもろもろのことがあると思いますけれども、私どもとしては、この医療費対策というのは、単に医療保険だけではなくて、医療機関の配置の議論だとかあるいは福祉の議論だとかヘルスの議論とか、やはり総合的に対応していかなければいかぬ問題である、こういうふうなことで、これはもう力を入れていかなければならない、こういうふうに考えている次第であります。
○柳田委員 次に、保険料の負担について質問したいのですが、この医療費の地域間格差、保険料の負担の地域間格差、ともに余りにも範囲が狭いといいますか、一つの村でやりなさい、一つの町でやりなさいというところにも問題があるのではないかな。これは後で質問なりをさせてもらえればと思うのですけれども、その前に、保険料負担の地域間格差でありますが、現状どのようになっているか、またその原因はどうしてこうなのか、お示し願いたいと思います。
○古川政府委員 保険料につきましても地域によって大きな格差が生じているわけでございまして、平成二年度における一人当たり保険料について見ますと、最も高い市町村と最も低い市町村等を比較してみますと約七倍の格差がある、都道府県単位で比較いたしましても最高と最低の間に約二・三倍の格差が生じている、こういうことでございます。
 では、こういった保険料の格差が生ずる要因というのは一体何か、こういうことでございます。要因としては、私どもさまざまなものが考えられると思うわけでございますけれども、やはり一つは、先ほども申し上げたような個々の市町村の医療費水準とかいうものが相当の格差になっている、それが一つの影響を及ぼしているということとか、あるいは被保険者の所得水準の差異というようなことによる面が多いのではなかろうか、こういうふうに考えているわけでございます。
○柳田委員 市町村レベルで七倍、都道府県レベルで二・三倍。住んだところがそこだからいたし方ない。しかし、これほど格差があるというのも大変大きな問題だなという気がします。
 いろいろ考えますと、今御説明がありましたように、原因としていたし方ない面もあるなという気もするわけでありますが、その原因をお聞きしますと、逆にさらに広がる可能性もあるなという気もしないでもないのです。何とかしてこの格差が縮まるようにしなければならない。しかし、相当難しそうだなという気もいたします。
 さらに、負担は高い、かといって行く病院なり施設なりが余りない、しょうがないからどこかの方に出かけてでも行って、治療を受けたり施設に入ったりしたいという動きも出てきているようでありますけれども、このレベルといいますか、市町村というレベルをもっと広げて扱ったらどうなのかな。要するに負担、医療費の分についても保険料についてもある程度範囲を広げて、広域的にやられるようなことを考え合わせたらどんなものだろうかなという気がしておるのですけれども、いかがでしょうか。
○古川政府委員 国民健康保険におきましては小規模市町村が非常に多いわけでございますし、今後の経済社会の動向というものを考えると、ますます。そういった傾向が強まるのではなかろうか。全く御指摘のように、国保事業の広域化というようなことをどう考えていくのかということ、あるいは保険経営の問題、そういったことをどう考えるのか、これは大変重要な問題であるというふうに認識しているわけでございます。
 ただ、国保事業の広域化という問題については、従来からさまざまな議論があるわけでございまして、現在は国保運営の効率化とか市町村のヘルス活動との関連等から、市町村に基礎を置いた事業運営が行われてきているというのが現状でございます。
 保険者運営のあり方につきましては、私どもとしては、市町村の今後の動向等を考えると、先ほど来先生も御指摘のように本当に大変重要な問題である、こういう認識をしておるわけでありまして、医療保険審議会におきますところの検討項目の一つにも掲げられておりまして、今後審議会の御議論等を踏まえながら鋭意検討してまいりたい、かように考えております。
○柳田委員 ちょっと質問は飛びますけれども、ことしの四月から特別養護老人ホームの入所措置権限が町村に移譲される。だから、これからはいろいろな施設なりサービスなりが市町村が中心になっていくというふうなことになるようであります。
 このことを地方の皆さんにお聞きしますと、これも隣近所の市町村のメンツ争いなんでしょうか、わかりませんけれども、私の町にはこういう病院をつくります、私の村にはこういう施設をつくります、そういうふうな市町村の争いが出てきているような気がします。言葉が適切かはわかりませんけれども、私はやる、私の町ではやる、私の村ではつくりますと。
 ところが、財政的にそうなるのかなというと、そうでもない。これから高齢化社会が進む、設備が要る、お金はもっとかかるということまで考えますと、こういうふうな福祉サービス、施設についても、できれば厚生省の方、こういうふうな国民健康保険のこともあるわけですから、できればまとまったらいかがでしょうか、もう各市町村単位ではなくて、あるレベルの皆さんが集まって推進なさった方がいろいろな面でもよろしいのじゃないでしょうかという、指導なりとまでいくのかどうかわかりませんが、そういう考えを示すというのも一つの手だてだと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○横尾政府委員 特別養護老人ホームの整備に関してでございますが、各小さな自治体がそれぞれ特別養護老人ホームを建設するということになりますと、御指摘のような状況を生じます。そこで私どもは、各自治体が老人保健福祉計画を立てる際に、周辺地域と連携をとって適切な施設配置ができるように指導しているところでございまして、具体的には、市町村の保健福祉計画に加え、都道府県の保健福祉計画の策定を求めておりまして、地域全体の適正配分ということを進めていきたいと考えております。
○柳田委員 ただ、現実的にいろいろなところに参りますと、私の町にもこういう病院をつくります、建てます、こういう施設をつくりますと、要するに広域的な感覚よりもその地方自治体のメンツでしょうか、私はやりますよという方が先に出ておりまして、逆に悪い意味の競争が出てきているようだ。
 できればこの辺の施設も、さっき言った国民健康保険の財政も厳しいということを考え合わしていただいて、都道府県単位というと余りにも大き過ぎますから、できればどうにかある程度グループが集まってやるというふうな方針を立てて、モデルケースでも結構ですし、何かそういうふうなことでまとめていける方向はないのかな。要するに、我々が行っても町長なり村長なり、また議員さんなりがはっきり言いますので、厳しい面はあるとは思うのですが、何かされた方が全体的にいい方向に向くと私は思うのです。いかがでございましょうか。
○横尾政府委員 先ほど都道府県の計画を立てることを申し上げましたが、少し具体的に申し上げますと、都道府県を数個の老人福祉圏というふうに広域圏に分けまして、それぞれの地域ごとの適正施設の目標というものを定めて整備をしていただく方針でございます。今後はこういった計画に基づいて、例えば施設の整備に当たりましても、国庫補助のつけ方を考えていきたいと思っております。
○柳田委員 もう繰り返しませんけれども、要するに地元に戻ると、方針はわかるのですが、おらが村おらが町なんですよね。
 もう一つの方は、要するに国保の財政面も含めて、今市町村単位で行われておるのですが、これも広域化という問題も検討してもらえばと思いますし、できればやられた方が私はいいかと思っているのですけれども、局長はどのようなお考えをお持ちでしょうか。
○古川政府委員 先ほども申し上げましたように、この問題は大変重要な問題だと認識しておりまして、現在医療保険審議会では、国民健康保険を含めまして、医療保険制度全体のありようということの中で検討項目の一つにも掲げられておりますので、検討してまいりたい、かように考えております。
○柳田委員 じゃ審議会の答え待ちということでしょうけれども、そういう考えもあるということをお伝え願えればと思っております。
 大分時間もおくれているようなので、最後に大臣にお伺いしたいのですが、大変厳しい質問なりお答えを聞いておりますと、なるほどな、さもありなんなと、ただしこれから進む道は険しいという気がいたします。国民健康保険の財政基盤の長期的な安定も考え合わせた場合に、厚生省として大変強いリーダーシップも必要になるかと思うのですが、最後に大臣の御決意をお伺いをして、質問を終わらせていただきたいと思います。
○丹羽国務大臣 国保制度につきましては、ほかの医療保険制度に比べまして高齢者が非常に多いということ、さらに低所得者が全体の四分の一を占めておる、こういうようなことで財政的に極めて脆弱なわけでございます。こういうような大きな問題を抱えておるわけでございますけれども、国保制度は国民皆保険体制を支えていく上で極めて重要な柱でございます。そういう観点に立ちまして、今後とも国保財政の安定と保険料率の平準化を図っていきたい。
 現在、国保制度のあり方等を含めまして、医療保険制度のあり方全般につきまして医療保険審議会で御検討をいただいておるわけでございますけれども、私どもは、今回の暫定措置は医療保険制度全般についてのあり方のいわゆる周辺整備だ、このようなとらえ方をいたしておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、国民が安心して医療が受けられるような体制づくりのために、国保制度の充実強化のために今後とも努めていく決意でございます。
○柳田委員 ありがとうございました。
○浦野委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。
○浦野委員長 この際、日本共産党から討論の申し出がありますが、理事会の協議により、御遠慮願うことにいたしましたので、そのように御了承願い、直ちに採決に入ります。
 内閣提出、国民健康保険法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○浦野委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
○浦野委員長 この際、本案に対し、粟屋敏信君外三名から、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、公明党・国民会議及び民社党の四派共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者より趣旨の説明を求めます。網岡雄君。
○網岡委員 私は、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、公明党・国民会議及び民社党を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。
 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。
    国民健康保険法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について、適切な処置を講ずべきである。
 一 今回の措置によって、地方公共団体の財政運営に支障が生じることのないよう、所要の地方財政措置を遺漏なく講じること。
 二 今回の制度改正が二年間の暫定措置であることにかんがみ、構造的問題を抱える国民健康保険制度の長期的安定を図るため、国と地方の役割の在り方を含め、国民健康保険制度の抜本的な見直しを行うこと。
 三 地域保険としての国保の特性にかんがみ、市町村における保健・医療・福祉の総合的推進を図る観点から、ゴールドプランの積極的支援等保健施設事業の充実強化に努めること。
 四 引続き保険料負担の平準化に努めるとともに、地域の実情に応じた医療費適正化対策等を総合的に推進し、医療費の地域間格差の是正に努めること。
 五 高齢化の進展や国民の保健医療ニーズの高度化・多様化の状況等を踏まえ、医療保険制度全体の見直しを行うとともに、給付と負担の公平化のための一元化に向けた取組みを進めること。
以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○浦野委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 粟屋敏信君外三名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○浦野委員長 起立多数。よって、本動議のとおり本案に附帯決議を付することに決しました。
 この際、丹羽厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。丹羽厚生大臣。
○丹羽国務大臣 ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして、努力いたす所存でございます。
    ―――――――――――――
○浦野委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○浦野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
○浦野委員長 内閣提出、薬事法及び医薬品副作用被害救済・研究振興基金法の一部を改正する法律案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。丹羽厚生大臣。
 薬事法及び医薬品副作用被害救済・研究振興基
  金法の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
○丹羽国務大臣 ただいま議題となりました薬事法及び医薬品副作用被害救済・研究振興基金法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 難病、エイズ等を対象とする医薬品や医療用具は、医療上の必要性が高いにもかかわらず、患者数が少ないことにより、十分にその研究開発が進んでいないのが現状です。
 また、医療をめぐる国民のニーズの多様化等に対応して、安全かつ良質な医薬品等を一日も早く医療の場に提供する必要があります。
 このため、政府として希少疾病用医薬品等の研究開発を促進するための措置を講ずるとともに、医薬品等の品質、有効性及び安全性の確保のための施策の充実を図ることとし、この法律案を提出した次第であります。
 以下、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、厚生大臣による希少疾病用医薬品等の指定制度を創設し、その研究開発について助成金の交付、税制上の特例、優先審査、再審査期間の延長等の措置を講ずることとしております。
 第二に、医薬品等の製造業の許可等の基準にその製造管理及び品質管理の方法の基準を追加することとしております。また、既に承認された医薬品等との同一性に係る調査を医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構に行わせること等により、承認審査の迅速化等を図ることとしております。
 なお、この法律の施行期日は、本年十月一日からとしておりますが、医薬品等の品質、有効性及び安全性の確保のための施策の充実に係る事項は平成六年四月一日からとしております。
 以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○浦野委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時十一分散会
     ――――◇―――――