第126回国会 安全保障委員会 第4号
平成五年四月六日(火曜日)
    午前十時開議
出席委員
  委員長 志賀  節君
   理事 池田 行彦君 理事 魚住 汎英君
   理事 江口 一雄君 理事 佐藤謙一郎君
   理事 山崎  拓君 理事 上田  哲君
   理事 山中 邦紀君 理事 北側 一雄君
      麻生 太郎君    石井  一君
      石原 伸晃君    今津  寛君
      北川 正恭君    鈴木 宗男君
      谷垣 禎一君    中谷  元君
      中山 正暉君    浜田卓二郎君
      池田 元久君    小澤 克介君
      大出  俊君    川崎 寛治君
      佐藤 恒晴君    斉藤 一雄君
      筒井 信隆君    松原 脩雄君
      吉田 正雄君    和田 静夫君
      玉城 栄一君    山口那津男君
      東中 光雄君    神田  厚君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (防衛庁長官) 中山 利生君
 出席政府委員
        内閣官房内閣安
        全保障室長   児玉 良雄君
        国際平和協力本
        部事務局次長  萩  次郎君
        防衛庁参事官  高島 有終君
        防衛庁参事官  三井 康有君
        防衛庁長官官房
        長       村田 直昭君
        防衛庁防衛局長 畠山  蕃君
        防衛庁教育訓練
        局長      諸冨 増夫君
        防衛庁人事局長 秋山 昌廣君
        防衛庁経理局長 宝珠山 昇君
        防衛庁装備局長 中田 哲雄君
        防衛施設庁長官 藤井 一夫君
        防衛施設庁総務
        部長      竹下  昭君
        防衛施設庁建設
        部長      黒岩 博保君
 委員外の出席者
        法務省刑事局総
        務課長     鶴田 六郎君
        外務省アジア局
        地域政策課長  小島 誠二君
        外務省アジア局
        北東アジア課長 武藤 正敏君
        外務省欧亜局ロ
        シア課長    小町 恭士君
        外務省中近東ア
        フリカ局アフリ
        カ第二課長   山口 壽男君
        外務省国際連合
        局国連政策課長 神余 隆博君
        外務省国連連合
        局社会協力課長 隈丸 優次君
        通商産業省貿易
        局輸出課安全保
        障貿易管理室長 細川 昌彦君
        安全保障委員会
        調査室長    下尾 晃正君
    ―――――――――――――
三月三十日
 防衛費の削減、自衛隊の縮小に関する請願(岡
 崎トミ子君紹介)(第一〇五五号)
 同(鈴木喜久子君紹介)(第一〇五六号)
 同(外口玉子君紹介)(第一〇五七号)
 同(長谷百合子君紹介)(第一〇五八号)
 同(吉田和子君紹介)(第一〇五九号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 国の安全保障に関する件
     ――――◇―――――
○志賀委員長 これより会議を開きます。
 国の安全保障に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山中邦紀君。
○山中(邦)委員 去る二月十八日、前回の当委員会でなされました中山防衛庁長官の所信表明並びに中期防衛力整備計画の修正についての発言に関し、質疑をさせていただきます。
 この所信表明それから発言ともに、国際情勢についていろいろ触れておられるのでありますけれども、これはまた当然のことでございます。防衛政策あるいは中期防の修正、そうして防衛大綱の見直しに至るまで、国際情勢の認識というのは非常に大事だと思いますが、発言等は、時間の関係もありごく概括的なお話であったかと思います。さらに立ち入って論ずる必要があるのではないか、こういう観点でお尋ねをするわけであります。
 まず、「極東ロシア軍の存在は、軍再編の先行きの不透明さもあり、アジア・太平洋地域の不安定要因」である、こうおっしゃっておられます。問題は、漠然とした不安定性、不確実性ではなくて、この対象になりますロシアの軍事的能力、軍事的な意図、こういうことであろうかと思います。その前提として、ロシアと我が国の関係一般について、北方領土等懸案がございます。この解決の方向と現在の状況、成り行きについて、外務省にお伺いをいたします。
○小町説明員 お答えいたします。
 今委員御指摘の日ロ関係での懸案でございますけれども、日本としては、ロシアとの関係につきまして、国際社会と協力いたしまして、ロシアの民主化、市場経済への移行及び法と正義に基づきます外交へ向けた転換を図ること、及びそのために必要な支援を行っていくこと、さらに北方領土問題を解決して平和条約を締結し、日ロ二国間関係の完全な正常化を実現することが日ロ関係の大きな課題と考えております。この関係で、我が国は国際協調の枠組みの中で多国間の協力や二国間の協力を行ってまいりましたし、人道支援等も積極的に行ってきております。
 他方、同時に、我が国といたしましては、日ロ関係の完全な正常化が、日本とロシア両国のみならずアジア・太平洋地域を含みます国際社会全体にとりまして大きなプラスであるという考え方に基づきまして、従来より一貫した方針のもとで北方領土問題の解決と平和条約の締結に向けて努力してまいっておりますし、これからも粘り強く努力してまいる所存でございます。
○山中(邦)委員 一般的な相互関係においては、難問はあるけれども紛争状態が発展していく、こういうふうには読めないわけであります。
 かつて防衛白書は「極東ソ連軍の動向は、わが国に対する潜在的脅威」と記述したことがございます。平成元年版であります。その際、極東ソ連軍の増強も強調、指摘されておられました。現在の極東ロシア軍の規模、そうして増減の傾向、これについてお知らせを願いたいと思います。
○高島(有)政府委員 お答えいたします。
 極東地域のロシア軍につきましては、一九八九年以来、量的には若干の縮小傾向を示してきておりますけれども、他方、再編合理化されました膨大な軍事力が今日もなお蓄積された状態にあるというふうに見ているところでございます。
 その規模につきましては、戦略ミサイルで申し上げますと、旧ソ連地域にございますすべてのうちの三分の一から四分の一程度がこの極東地域にあるというふうに見ておりますし、また地上軍につきましては、全体で百六十個師団のうち三十六個師団、約三十二万人が、また海上戦力につきましては、主要水上艦艇約二百三十隻中約七十隻、潜水艦につきましては二百七十隻中約九十隻が、また航空戦力につきましては、全体で約七千八百二十機のうちの千八百六十機がこの極東地域に配備されているというふうに見ているところでございます。
○山中(邦)委員 増減の傾向もあわせてお聞きをしたかったわけでありますけれども、それに加えて、ロシアでは軍事ドクトリンというのが何回か発表されているようであります。西側の用語と違いまして、ソ連、ロシアの軍事ドクトリンという概念は、戦争遂行上のことだけでなしに、戦争に関する外交政策やら経済の組織化の基本的な事項とか、国家と軍の準備なども含む広範囲なものだと聞いております。ここにロシアの軍事思想といいますか、安全保障に対する考え方ということが読み取れると思いますが、この内容について御説明を願いたいと思います。
○高島(有)政府委員 お答えいたします。
 ロシアの軍事ドクトリンにつきましては、現在ロシアの国防政策を反映する形でロシアの国内におきましてその内容が審議中であるというふうに理解しておりまして、これが最終的には最高会議にかかりまして、そこで採択された後に発表されるという手順になっているようであります。ただ、この内容に関しましては、昨年五月に、その時点での草案の内容がCIS統一軍総司令部機関紙の「軍事思想」というものに掲載されておりますし、また、先般日ロ間で行われました防衛研究交流におきましてもその概要に言及がございました。
 そういう中から主な考え方をかいつまんで御説明申し上げますと、まず第一の点といたしまして、政治的、経済的目的を達成する手段としての戦争、武力の行使あるいは威嚇を否定するということが言われております。また、世界核戦争及び世界通常戦争の直接的な脅威は減少したが、武力紛争や戦争に発展しかねない政治的、経済的、領土的、宗教、民族、人種的な矛盾が依然として存在しているという前提に立っているようでございます。
 他方、ロシアとしてはいかなる国、いかなる国家同盟をも敵とみなさない、ロシアは戦争の防止を安全保障政策の主要目的とみなすということも明らかになってきております。また、仮に戦争が避けられないような場合には、ロシアの主要な防衛目的は、自国及び同盟国の主権の擁護と領土の保全であるというようなことも述べられているようでございます。
○山中(邦)委員 このあたりから見ますと、軍事ドクトリンとして公表していることもありますし、攻撃的な軍事政策をとっているというふうには読めないのではないのか。ドクトリンの中には、「ロシアは、平和の維持を優先目的として認識する。」ということに始まって、今お述べになったようなこと、いろいろ書き上げているようであります。先ほど、一貫して極東地域には膨大な近代的な戦力がまだ蓄積されておる、こういうお話もあったわけでありますけれども、地上戦力、海上戦力、航空戦力、いずれも漸減の傾向にあるというふうに見てよろしいのであろうというふうに思います。
 ロシアも軍縮政策をとっているところであります。この先どういう計画で、どの程度まで現在のところ軍縮構想が持たれているか、この点お尋ねします。
○高島(有)政府委員 先生御承知のとおり、ロシア軍は、旧ソ連軍の主要な部分を引き継ぎまして、昨年五月の大統領令によりまして新たにロシア軍を創設するという方向で現在その再編の途上にあるということでございます。したがいまして、今日具体的にどういう状況にあるのかというのは、動いている途上にあるものでございますので、判断するのはなかなか難しい面がございます。ただ、昨年十月に制定されましたロシア国防法というものによりますと、一九九五年一月一日までにその兵力を人口の約一%、したがいまして大体百五十万人に相当する規模に削減するという計画のもとに、現在もその兵力の削減を行っているという状況にあるというふうに承知いたしております。ちなみに、ミリタリー・バランスの最新版によりますと、昨年年央の全兵力は約二百七十二万人と見積もっておりますので、この計画によりますとかなりのペースの削減になるというふうに見られます。
○山中(邦)委員 ロシア軍が、旧ソ連軍が我が国に近接した地域でどういう活動をしておるか、これは防衛白書も触れているところでありますけれども、「艦艇、軍用機の行動に減少傾向がみられる」「わが国に近接した地域における演習・訓練の状況も低調になりつつあるとみられる。」こういう触れ方をしております。「地上軍については、わが国周辺に近接した地域における大規模な演習は、ここ数年減少傾向にある」、引き続き行われているけれども減少傾向だ。「艦艇については、近年外洋における活動が減少し、演習・訓練は自国近海で実施される傾向にある。」「軍用機については、情報収集が目的とみられる飛行を含むわが国への近接飛行については減少傾向にある」というような記載がございます。
 また、つい先日、ロシアの太平洋艦隊で、ウラジオストク港沖の島にある訓練基地で新兵数十人が栄養失調で倒れて入院、うち四人が死亡したということが報ぜられております。これは特殊な事情があってかもしれませんが、こういうことを見ておりますと、ロシアの内政にはなるほどいろいろな経緯があって不安定さはあるかもしれません。
 長官に御意見を伺いたいのですけれども、以上見てみますと、ロシアにおきまして、我が国に対する攻撃意図といいますか軍事行動を起こすような意思というのは見られないと思うのです。また、渡洋作戦を敢行して、遠路補給を継続して長期にわたって我が国を占領するなどというような能力もないと言っていいのではないかというふうに思います。北方領土等もございますけれども、軍事力の行使をあえてして解決される危険というのも全くないというふうに考えます。長官も所信表明で、「ソ連の解体により東西冷戦は名実ともに終結」ということを述べておられます。ロシアを念頭に置く限りは、我が国がかつて潜在的脅威と目していた当時の軍備を維持する必要はない、このように思いますが、いかがでしょうか。
○中山国務大臣 先生お尋ねの趣旨にもありましたように、今さらに政府委員からもお答え申し上げましたように、ロシアにおきましても、冷戦の終結後、軍備の削減であるとか平和に向けてのいろいろな努力がされているということは事実でございます。これは大変結構な話だと思うわけでありますが、今御説明申し上げましたように、極東ロシア地域には依然としてその地域の防衛に必要な軍備をはるかに超えた近代的な精強な軍事力というものが存在する、あわせてロシアの政局が、今世界の注目を浴びておりますように非常に不安定なものを持っている。そういうようなことを考えまして、そういう存在そのものが我々この防衛の任に当たるものにとっては大きな関心を持たざるを得ない。今すぐに脅威とか侵攻とか、そういうことはあり得ないと思っておりますが、そういう関心だけは持ち続けていかなければならないのではないかというふうに考えております。
○山中(邦)委員 今のお話は、防衛大綱についてよく言われます基盤的防衛力構想というのを我が国はとっているというような前提でのお話をなさっているのではないかと思うわけでありますけれども、基盤的防衛力構想がうたわれた防衛大綱も、その中に国際情勢の分析がなされているわけであります。国際情勢と基盤的防衛力構想、これはどういう関係に立つというふうに認識をしておられますか。これも大臣にお伺いをしたいと思います。
○中山国務大臣 申すまでもなく我が国の防衛体制、基盤的防衛力というのは、この細長い島国をできるだけ少ない経費、装備で効果的に防衛の任務を果たしていくという発想のもとにできた防衛力でございます。したがいまして、国際情勢の変化によって大幅に、敏感に対応をするというわけにはいかない、最小限度の防衛力だというふうに思っておりますが、防衛というのはやはり国際情勢、特に周辺の安全保障の問題については常に関心を持って対応をしていかなければいけないということは事実でございます。そういうことで、常に国際情勢について、また国内のいろいろな情勢、特に若い人たちの人的資源等のことも配慮をしながら、これからの防衛政策また基盤的防衛力というものの変化というものをよく調べ、研究をしながら対処をしていかなければならないというふうに考えております。
○山中(邦)委員 この激変をした東西関係、冷戦の解消というのを率直に受け取って素早い対応をすべきだ、こういうふうに思うのですね。諸外国がどうであろうと自主防衛、専守防衛の基盤的防衛力、これは動かないんだ、こういう説明の方がすっきりするような気はしますけれども、実際そうではなかろうというふうに思います。
 元統幕議長の栗栖さんが、防衛計画の大綱は本質的に周辺諸国からの脅威を前提としていない、したがって、国際事情といいますか、潜在的な脅威があると言ってみてもないと言ってみても、これは変更する必要がないのではないのか、考え方としてですね、専守防衛を旗印にアジア地域の動揺を国防の前提にするということはおかしいという議論をしておられます。これは、この方の議論の途中の段階で、想定敵軍というのは必ず存在するのだというふうに話は続いていくわけでありますけれども、基盤的防衛力構想というのは、やはり国際関係を非常に前提にするとか、それがあって初めてその内容も程度も出てくるわけでありまして、ソ連を不安定要因だからと、不安定ということと潜在的脅威というのはまた話が違うと思うのでありまして、自衛権の発動の三要件というのを政府はいろいろ言ってこられました。これによって考えた場合は、ロシアを前提とする限りにおいては、もっと中期防の見直しも強いあり方であってよかったのではないのかというふうに考えるわけであります。重ねてということになるかもしれませんが、どのようにお考えでしょうか。
○中山国務大臣 基盤的防衛力という考え方、現在大綱の別表にありますような装備についての考え方、これにはいろいろ多過ぎるという議論もありますし、まだまだそれでは足りないのではないかというような議論もあろうかと思います。ただ、最小限度の国防についての、国の防衛についての装備をして、我が国が不測の侵害に対してきちっとした防衛の努力をしている、国民が防衛についてきちっとした考え方を持っている、そういう装備を形の上であらわしていくということ、我が国がこの地域において国の独立を守り、主権を確立していく一つの決意を周辺の諸国にあらわしていく、そのことが、これは複雑な事情がございますが、その中で一つの安定要因になっていくというのが基盤的防衛力の考え方でもあるわけであります。したがいまして、先生がおっしゃいますような周辺の情勢についての対応ということも、もちろん柔軟にしていかなければならないと思っておりますが、この基盤的防衛力に関する考え方そのものは大きく変えなくてもいいのではないかというふうに考えております。
○山中(邦)委員 異論はございますけれども、国際情勢につきましては、大臣はさらにほかの地域のことも言っておられますので、その点についてもいろいろ承りたいと思います。
 朝鮮半島について触れておられました。未解決の諸問題も存在している、こういう話であります。また、核関連施設の建設やミサイルの長射程化の懸念も触れておられます。この一カ月、この数日のうちに北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国の問題は大きく取り上げられてきているわけでありますけれども、その前の話として、朝鮮民主主義人民共和国と我が国の外交交渉、何回も重ねているようでありますけれども、再度国交正常化に向けての合意がなされなければということで行われていると思いますが、その現状、何がネックになっているのか、そしてその見通しはどうであるか、外務省からお尋ねをしたいと思います。
○武藤説明員 お答え申し上げます。
 これまで我が国と北朝鮮との日朝国交正常化交渉は八回本会談を重ねてまいりましたけれども、昨年十一月に行われました本会談におきまして、北朝鮮が李恩恵問題に関する強硬姿勢を出してまいりまして、その会談は途中で打ち切りとなったわけでございます。現在までのところ、次回本会談開催の見通しは立っていないという状況でございます。
 これまで我が国といたしましては、国交正常化交渉におきまして北朝鮮側に対しまして、IAEA保障措置協定の早期無条件かつ完全な履行及び南北相互査察及び再処理施設等の不保有を盛り込んだ南北非核化共同宣言の着実な実施を通じまして、北朝鮮の核兵器開発に関する国際社会の懸念を一刻も早く払拭するよう求めてまいりました。また、この問題の解決なくしては国交正常化交渉の実質的な進展は困難であるということも繰り返し述べてまいりました。
 これまで私どもといたしましては、北朝鮮の核兵器開発問題に進展が見られない状況におきましても、国交正常化交渉の開催には応じてまいりました。したがいまして、北朝鮮との対話のチャンネルを確保するといった観点からも、この問題の進展いかんを国交正常化交渉の開催自体に絡めているわけではございません。ただ、今回の北朝鮮によるNPT脱退の決定は、北朝鮮の核兵器開発に関する国際社会の懸念をさらに深めるものでございまして、これによりまして、日朝国交正常化交渉の実質的な進展は一層困難になったものというふうに考えざるを得ないと思います。
○山中(邦)委員 ネックの一つは李恩恵問題だ、こういうお話であります。これは我が方から調査要求して相手方で断っている、こういう事情だろうというふうに思います。ほかにもいろいろ懸案があることでありますし、相互安全保障という観点からいえば、できるだけいろいろな問題について妥結を図るというようなことを重ねていって難問解決という方向に行くべきだろうというふうに思いますが、NPT脱退問題、これはどういう経緯であるのか。朝鮮民主主義人民共和国は脱退を声明したが、何か撤回したような話もありますし、何を問題にして脱退というような態度に出たというふうに見ておられるか、いかがですか。
○武藤説明員 お答え申し上げます。
 北朝鮮は十二日にNPT脱退を決定いたしまして、通告したわけでございます。その脱退の理由といたしましては、米韓合同軍事演習、チームスピリットの再開及びIAEA事務局による特別査察の要求等を挙げております。北朝鮮がNPT脱退をするということになりましたその理由につきましては、このほかにもいろいう言われております。一つは、国内の体制固めですとか、あるいは核兵器開発を隠すために特別査察には応じられないとか、あるいはこれを今後の外交交渉に使おうとか、いろいろな理由が言われておりますけれども、北朝鮮がどういう理由によってこれを脱退することになったのか、そのあたりの本当のところはなかなかわからないというのが現状かと思います。
 この脱退通告というのは、核兵器不拡散条約、NPT条約、この核不拡散体制そのものに対する大きな挑戦でございますし、重大な事態をもたらすものと私どもは考えておりまして、こういった認識は外務大臣談話という形で即日発表したところでございます。
○山中(邦)委員 いろいろうがった物の見方というのはあるのだろうというふうに思いますけれども、公に言っておりますのは、NPT加盟目的は米国の核の脅威をなくすためであった、ところが一たん中止を決めた米韓の合同軍事演習、チームスピリットを再開をした、そうして核運搬機のような軍用機を使っての演習であった、こういうこともいろいろ言っているようであります。その上、一般に言われております、核保有国の核は認める、非保有国には査察などを実施して核兵器保有を封じようとしているというような、NPT、IAEA体制に対する不満は第三世界にはいろいろあるようであります。こういうことも問題にされているのではないかというふうに思いますが、脱退を撤回するような態度というのが見られてきているのではないのか、また、IAEAと協議をするというような傾向も出てきているのではないかというふうにもうかがわれるわけでありますが、この点でどういうふうに見ておられますか。
○武藤説明員 米韓合同軍事演習の再開でございますけれども、これは昨年の十月に再開の方向が決定されたわけでございます。これは、一昨年の十二月三十一日に韓国と北朝鮮が南北非核化共同宣言というものを出しまして、南北の間で相互査察を行いましょうということを合意いたしまして、その具体的な実施方法等を詰めていたわけでございますけれども、これに北朝鮮が応じてこなかった。つまり、南北相互査察を拒否してきたということで、みずからの核疑惑に対する国際社会の懸念を払拭し得なかったため、このチームスピリットを再開するということになったわけでございます。それで、この北朝鮮のNPT脱退の行動につきましては世界の多くの国々が、これはNPT体制そのものに対する挑戦であり、重大な事態をもたらすものであるというふうに認識しておりまして、そうした認識が去る四月一日のIAEA特別理事会における決議となったということでございます。
 北朝鮮がNPTに戻る動きを示しているのではないかということでございますけれども、これまでも特定査察、つまりこれは英語ではアドホックインスペクションというふうに言っておりますけれども、特定査察を明示的に拒否するというような言い方はしていなかったと思います。ただ、今回、特別査察の要求等を理由にNPTを脱退したわけでございますけれども、この特別査察については依然として拒否の姿勢を続けているというのが現状でございまして、私どもとして、北朝鮮の態度が軟化したとかあるいは前進が見られるというふうには判断していないというのが現状でございます。
○山中(邦)委員 さっき、演習の際に用いられた軍用機についてやや言い方が不正確だったので、きちんと言いますと、核搭載可能な軍用機を参加させた、こういうことも北朝鮮を刺激した理由ではないか、このように言われているところであります。
 こういう問題を見ておりますと、NPTに入っておきながらやり方がよくない、こういう非難もあることではありますけれども、また、加入、脱退というのは自由だといえばそういうことでもありますが、問題は、北朝鮮がいろいろ懸念をする状況に関する関係者の信頼醸成措置というのを強めていく、こういうことが大事なんだろうというふうに思います。朝鮮半島、韓半島の非核化というようなことについての努力を何か我が国がする、こういうことが解決の方向を生んでいくのではないかというふうに思うわけであります。NPTに加盟をしながらやり方がよくないということだけでなしに、こういう点に着目をすべきだというふうに思いますが、長官、いかがお考えでしょう。
○中山国務大臣 朝鮮半島におきましては、一つの民族が価値観を異にする二つの国家に分裂をしているという大変不幸な事態があるわけでありますが、私が所信表明を申し上げました時点では、南北の対話も進んでいる、しかも国連に同時加盟といったような、北朝鮮が国際社会の仲間入りをするというような大変好もしい方向に来ているというふうな時点でございましたが、その後、先生が今お話しになりましたような事態が進みまして、核不拡散条約から脱退をするというようなことは、核爆弾の開発あるいは長射程のミサイルの開発等がうわさされている国でございますので、この周辺諸国に対する一つの挑戦というような感じもあるわけで、我々としては非常に強い関心を持っていかなければならないと思っておりますが、先生がおっしゃいましたような表向きの理由のほかに国内事情などもあるのではないかなという感じもいたします。
 そういうことで、直ちに過剰な反応をする、制裁措置とかそういうことに移るということは逆に危険を増すのではないかというふうな感じもございます。したがいまして、今外務省からお話がありましたように、我が国といたしましてもあらゆるパイプを通じて北朝鮮にこの問題に対する翻意を促していく、そういうことの努力を続けていくべきではないかというふうに考えております。
○山中(邦)委員 防衛白書によりますと、戦車が三千五百であるとか、二十五個師団いるとか、北朝鮮軍の勢力というのが書いてあります。ところが、海上戦力が潜水艦二十四隻とミサイル高速艇三十九隻を中心とする、こういうことの内容を見ますと、これまた、日本海を越えてというようなことは予想はされないのではないかというふうに思います。
 北朝鮮、朝鮮に未解決の問題があるという大臣の指摘でありましたけれども、これが我が国の安全保障との関係でどういう意味合いを持つのか、端的に御説明をいただきたいと思います。
○高島(有)政府委員 お答えいたします。
 御承知のとおり、防衛庁長官からも申し上げましたとおり、朝鮮問題というのは基本的にまだ解決されていないわけでございますし、軍事的に見ますと、非武装地帯を挟みまして百四十万にも上る兵力が対峙するという緊張状態が続いているわけでございます。こういう状態そのものは、私どもから見ましても、この地域の安定、安全に対する非常に大きな不安定要因を内包するものでございますし、このような不安定要因が顕在化するような場合には、この地域の安全、我が国の安全にとっても直接間接に影響を及ぼし得るものであるというふうに考えておるところでございます。
○山中(邦)委員 そのあたりがもう一つすとんと落ちないところでありまして、何も我が国だけができるだけ関係を断って安全でおればいい、こういう趣旨で言っているわけではないのでありますけれども、防衛大綱の基本的な考え方、これがアジア諸地域の不安定というのとどう結びつくか、これは吟味を要するところではないのかというふうに思います。こちらから出かけていって現地において安定を回復する努力をする、こういう使命を自衛隊が持っているというふうには思えないわけでありまして、国際情勢の分析についてもそういう観点から吟味を要するのではないかというふうに思うのです。
 もう数点、アジアの情勢に触れておられるところをお伺いしますけれども、南沙諸島についてもお触れになっておられます。近隣諸国が領有権を主張しているというようなことは報道されておりますけれども、関係各国が交渉で解決をする、実力によらずに解決をするという合意を見た、こういうふうに聞いておりますが、その内容はどうですか。
○小島説明員 南沙群島問題でございますけれども、先生御案内のとおり、中国、ベトナム、フィリピン、マレーシア、ブルネイ、さらには台湾、この五カ国ないしは一地域、これが南沙群島のすべてあるいは一部の領有権を主張しているわけでございます。
 今お尋ねの平和的解決に関する合意が成立しているかどうかということでございますけれども、この点につきましては、一九九〇年以来インドネシア政府がイニシアチブをとりまして、関係当事国の参加を求めて非公式な会合というものをこれまで三回続けてきたわけでございます。
 そういう状況の中で、昨年七月でございますけれども、マニラで開催されましたASEAN外相会議、この場におきまして南シナ海に関するASEAN宣言というものが発出されたわけでございます。
 その主たる内容は二つございます。一つは、南シナ海に関する紛争を平和的な手段で解決すること、これが第一点。それからもう一つは、すべての当事国が自制すること。これが二つ、主たる内容でございますけれども、これにつきまして中国は、本件問題を平和的に解決することについて、この点について同意するということを言っております。さらにベトナムは、今申し上げました宣言を全面的に支持するということを表明しておるわけでございます。
 またさらに、昨年の十一月でございますけれども、李鵬中国首相がベトナムを訪問をしました際に、中国とベトナムの双方で共同コミュニケというものを発表したわけでございます。ここにも主たる点といたしまして二点盛り込まれているわけでございまして、第一点は交渉を通じて平和的に解決することを再確認するという点でございます。それからもう一点は、この問題が解決されるまでの間双方はいずれも問題をさらに複雑化させるような行動はとらない。この二点を内容とする共同コミュニケを発表したわけでございます。
 私どもの立場でございますけれども、こういった努力の積み重ねを通じましてこの地域の対立が緩和されていくことを強く期待しておるわけでございます。
○山中(邦)委員 大臣の御発言には余り触れていなかったと思いますけれども、その他、最近中国あるいは東南アジアの軍事力の強化ということが言われております。これについてはいろいろな評価もあるようであります。まとめてどういう見方ができるか御説明をいただきたいと思います。
○高島(有)政府委員 お答えいたします。
 まず中国でございますけれども、御承知のとおり中国はこれまでのゲリラ戦を主体といたします人民戦争の態勢から正規戦主体の態勢へ移行を図っておりまして、そういう観点からも最近では国防科学技術や装備の近代化といった点が強調されているところでございます。また、この背景といたしまして、先般の湾岸戦争におきます高性能兵器の有効性を改めて認識したという点があるのではないかというふうにも言われているところでございます。
 そういうことを背景にいたしまして、一方で八〇年代後半から百万人以上の兵力の削減を図るとともに組織・機構の改編を実施し、また装備の近代化、特に新型艦艇の建造とかあるいは航空機の近代化、その中にはロシアからのSU27といった最新鋭機の購入も含まれておるわけでございますが、このような形で核戦力、海空軍力を中心といたしまして装備の漸進的な近代化を推進しているところというふうに見ているわけでございます。
 また、東南アジアでございますけれども、御承知のとおり地政学的な複雑性等も背景に、また、先ほどの南沙の問題も含めまして未解決の問題もあるという不安定要因も抱えておる一方、東南アジアは全体として見ますと近年経済の発展が著しいということも背景にいたしまして、例えばASEAN諸国などを見ますと多くの国がそれぞれの国情に応じた形で国防力の充実を図っているという状況にみるところでございます。そういう形で、具体的に見ますと、国防費などもASEAN諸国の多くの国におきましてはかなりの高い伸びを示している状況にございますし、また新型の航空機あるいは艦艇といったものを新たに導入するような動きも見られているところでございます。
○山中(邦)委員 大臣の所信には余りこの辺は触れておられなかったわけでありますけれども、今と同じような認識でおられるのでしょうか。いずれ中国は、軍備増強だ、中国が脅威となっているという批評には非常に反発をしているようであります。百万の兵員を削減しているとか、あるいは軍事費に関してもインフレがあって実質的にそんなにふえていないとか言っているようであります。ただいまの御説明で、大体近代化だというお話でありました。そういう説明をしている人もいるようであります。現在のアジア諸国の戦闘機や海軍艦艇は欧米に比べて二世代も昔のものであるというようなことを考えると、軍備の近代化を非難はできない、軍拡というふうに言うのはちょっと過ぎるではないか、こういう批評があるようであります。しかし同時にこの論者は、どこまでが近代化でどこからが軍拡か、だれも規定ができない、こういうようなことを言っているわけでありまして、やはり不安定要因という観点からは関心を持つべきではないかというふうに思っております。
 さっきそういう意味でちょっと触れましたけれども、こういう問題も含めて宮下前長官は、現大臣はちょうど委員長でおられたからお聞きになっていたと思いますが、アジア・太平洋の不安定要因低減、除去のためCSCAとでも呼ぶべきもの、ヨーロッパのCSCEに倣ってアジア版のCSCEという意味でありましょうが、これを模索する必要があるんではないかという、これは個人的にという言い方を付してでありましたけれども、発言をされたことがあります。私は、これは非常に大事なことでないかと思いますが、長官はどのようにお思いでしょうか。
○中山国務大臣 先生おっしゃいますように、中国あるいはASEAN諸国で軍備の近代化が行われている。経済発展に伴い、また湾岸戦争における軍事技術の変化等に対応した近代化であろうと思っておりますし、まだまだどの国も、中国を含めて、外国を侵略するような兵力までには至っていないと思っておりますが、例えば中国が海上兵力を増強しているというようなことは、先ほどお話しの南沙群島などの問題を含めて、ASEAN諸国等に大きな関心を持たれているということも事実でございます。
 そういうことで、今おっしゃいましたようなこの地域全体を含めた安全保障体制をヨーロッパのような形でつくっていくということも非常に大事なことであろうと思っておりますが、ヨーロッパは、ヨーロッパ全体がソ連という大きな核あるいは膨大な地上兵力とずっと対峙をしてきたということもありまして、安全保障については共通した利害を持っている、考え方を持っているわけで、冷戦崩壊後もそれに対応する組織がきちっとできたと思っておりますが、アジア・太平洋地域ではそれぞれの国々の利害が非常に複雑にかみ合っておりまして、なかなか一緒になって安全保障を考えていくということには非常に難しいものがあるのではないか。私は、できれば中国やロシアまで含めたそういう話し合いの、理解ができ合うような、そういう場をつくるということは非常に大事なことではないかと思っておりますが、その前提として、やはり二国間、日本と中国、日本と北朝鮮とかそういう形、あるいはアメリカを含めたいろいろな、できるところから話し合い、信頼関係というものを築いていくという努力をまず進めていかなければならないのではないかというふうに考えております。
○山中(邦)委員 アメリカが余り乗り気でない、チェックをかけているような報道がなされております。多くの場所でアジア版CSCEの必要性が説かれていて、基本的には長官も同意をなさっているというふうに思います。そういう方向を、模索ということでなしに大いに進めていただきたいというふうに思います。
 東アジア諸国の現状を軍拡というのであれば、その阻止には武器輸出の停止が必要だ。我が国は武器輸出の登録制を提唱して糸口をつくった、そういうことがあるわけでありますけれども、武器輸出の停止が必要だが不可能である、こういう批評がございます。自制を求めるしかないけれども、武器を買い入れることをやめろと自制を求めるような資格があるような国はない、こういうわけであります。もっと買ってほしいという風ばかりであるというような批判であります。
 こういうことを考えますと、やはり現状、専守防衛ということで旗を掲げている、平和憲法を持っている我が国がCSCEのような、名前はとにかく、また緩やかなものからスタートしてもいいわけでありますから、信頼醸成措置のほか、アジア版の軍縮政策をとるということが非常に大事なのではないかというふうに思うわけであります。アジア・太平洋の不安定要因ということを言ったからには、ぜひその辺のことを実現していくべきではないかというふうに考えます。
 そういう意味から、去る二月二十四日、二十五日、防衛研究所主催で日ロ防衛研究交流というのが行われたということであります。いわゆる信頼醸成措置として評価をすべきものであるというふうに思います。これが開かれるに至った経緯、そしてどのような評価をしておられるか、また将来こういう試みを継続していくという意向がおありか、またロシアだけでなしにほかの国々との間でもこういうことをやっていくべきだというふうに思いますけれども、そういう点についていかがでしょうか。
○畠山政府委員 まず経緯でございますけれども、九二年の六月に、既に行っておりました日ロ政策企画協議というのがモスクワでございまして、そのときに、研究者同士の交流をやったらどうかという話し合いが持たれたのがそもそものきっかけでございます。それを受けまして具体的に進めてきたわけでございまして、お話にもございましたように、本年の二月二十四日、五日ということで日ロの防衛研究交流ということが実現したわけでございます。ロシア側からは、参謀総長第一代理あるいは参謀本部大学教授等三名が出席をされまして、防衛研究所主催の研究会が実施されたという経緯でございます。
 内容といたしましては、非常に学術的、真摯な討論が行われたということでございまして、ロシア側からロシアの防衛政策あるいは軍の建設についての説明がございまして、それで質疑応答が行われたということでございます。
 我々といたしましては、こういう研究者間の自由かつ率直な意見交換が行われて、初めての試みでございますけれども、今後の両国の相互理解の上で非常に意義のある第一歩を踏み出すことができたというふうに評価しておりまして、今後ともこういう交流を着実に積み上げてまいりたいというふうに考えているところであります。
○山中(邦)委員 先ほど長官は、アジア版のCSCEについてはまだ尚早というような感じ、二国間の協議を重ねていってというような御趣旨のお話だったというふうに思いますけれども、ただいまの関係国の軍事関係者が情報交換するというようなことは、まさにCSCEが今までやってきたことであります。そうして、当初はWTO、NATO相対立する関係諸国がCSCEに入ったわけでありますから、これは利害が必ずしも一致しないということがむしろこういう組織をつくる必要性を生むわけでありまして、積極的に考えていいことだというふうに思います。
 関係国の軍事関係の透明性を促進する、そういう意味で、ただいまの協議もその一つとして考えでいいのではないか。また、軍事行動の制限やら軍事予算を知らせ合うとか演習について事前に連絡をするとかそういうことが行われてきている。こういうことからアジアの不安定性を軽減しというような方向がとられるべきだというふうに思います。
 長官におかれても、ロシアの軍事研究者という範囲を超えて、もっと情報の交換、そしてロシアだけでなしに他の諸国にもこれを及ぼすという方針をお持ちになっていただきたいと思います。長官、いかがですか。
○中山国務大臣 先生おっしゃいますように、平和を確立するということはやはりお互い同士の信頼関係、理解というのが大前提になってくるわけでありまして、そういう意味では、お互いの軍事力というものをお互いの専門家同士が理解し合う、例えば日本が専守防衛の枠を超えた軍事力を持っているかどうかということは専門家が見ればわかることでありますし、そういうことはこれからも進めていかなければいけないと思っております。
 そういう意味で、今御質問にありましたようなロシアの軍部の若いリーダーの方々が日本の防衛庁の専門家といろいろな率直な議論を闘わした。まだこれから続けてそういう会合を進めていきたいと思っておりますが、私も、その中でロシアの将官の方が、日本の基盤的防衛力というのはどういう計算でこういう数字が出てきたのかということに大変関心を持っておられたというお話を聞きまして、やはりロシアというものの軍の考え方というものほかなり変わってきているのかなという感じを抱いたわけでございます。政治的ないろいろな考え方もあろうかと思いますが、やはり実際の軍事専門家の間のそういう交流というのは、先生おっしゃいますように非常に大事なことであろうというふうに考えて、これからも推進をしていきたいと思っております。
○山中(邦)委員 ロシアは防衛的防衛戦略というのをとり出したということであります。ただいまのような質問をするというのはそういう意味から理解のいくところでありますけれども、大綱の別表についての質問だったと思いますが、長官は何とお答えになりましたか。
○中山国務大臣 報告を聞いたわけで、私が直接答えたわけではございません。
○山中(邦)委員 中期防修正が行われました。このコンセプト、基本的な考え方をお知らせ願いたいと思います。
○畠山政府委員 国際情勢がかなり中期防作成以降も変化を見てきております。この中期防修正に当たって国際情勢をどう判断したかでありますけれども、安定化に向けていろいろと各般の努力が継続されている中で、なお各種の不安定要因が存在しているとはいうものの、特にソ連の解体に象徴されるような大きな変化、つまり東西冷戦が名実ともに終結したということの結果として、総じて言えば、この時点で好ましい方向への流れが進行している。また、国内的にはその後さらに財政事情が厳しさを増している。そういう内外の変化について、可能な限り早期に防衛力整備に反映させる必要があるということから、三年後に行うこととされておりました見直しについて、三年後を待たずに行ったということであります。
 この際に、国際情勢の変化を踏まえまして、整備のテンポを少し緩やかにしようという考え方を基本的にとりました。その背景といたしましては、一部任務の遂行態勢の緩和といったようなこともございまして、そういうことを背景として整備のテンポをおくらせる。他方、諸外国の技術的水準への対応に配意いたしまして、老朽装備の更新・近代化あるいは欠落機能の是正ということを他方において確保するというその両様の見直しを行って、今回の見直しを決めたということでございます。
○山中(邦)委員 説明資料をいただきました。戦車の調達数量の削減に関しまして、「配備部隊の特性等を勘案」こういう記載がございます。これは具体的にどういうことでありますか。陸上自衛隊を中心とした師団の組織編成の再編・縮小を想定したものではないかと思われるわけでありますが。
○畠山政府委員 北海道の師団におきまして、六一式戦車が老朽化したのに対して九〇式戦車をこれで補うという形の整備を進めてきているところでありますが、一部師団におきまして、この九〇式戦車を入れることによって師団の近代化、再編を行おうというふうに考えておったところ、師団の再編は行うとしても、九〇式戦車ではなくて、現有七四式戦車で対応することにしたというようなことをそこでは意味しているところであります。
○山中(邦)委員 護衛艦について、「各地方隊の地理的特性等を勘案」こうあります。これは具体的にはどういう配慮をしたものでしょうか。宗谷海峡など四海峡を担当する地方隊の護衛艦の更新を優先したということになりますか。
○畠山政府委員 その場合の護衛艦といいますのは、今五つあります地方隊の護衛艦の整備に関しての記述でありますけれども、その五つの地方隊のうち重要性を持ちます、つまり海峡防備といったようなことを任務とする地方隊といったようなことを念頭に置きまして、そこについてはある程度重点的に整備をするけれども、その他についてはこれを後送りするといったことを意味しているところであります。
○山中(邦)委員 F15ですが、「最近の緊急発進回数の減少等を勘案」、これはスクランブルの回数減少ということは必要数量と連動している、こう読んでいいのですか。現行の十三飛行隊の態勢を見直す、こういう前提に立ったものとは違いますか。
○畠山政府委員 F15の整備を行っておりますけれども、このF15の各飛行隊におきます機数の一つの根拠として、スクランブルの増加に応じた増強待機ということが従来ございました。これは、ひところ非常にスクランブル回数がふえたという実態を反映して増強待機態勢、それによってF15をふやさなければいけないという形の配備をしていたわけでありますけれども、今回、こういった国際情勢を反映してスクランブル回数が現実に減ってまいったということから、各飛行隊の中におきます一つの算定根拠であります増強待機というものが必要なくなったと判断してそこの部分を縮小せしめたということであります。
○山中(邦)委員 AWACS、これは予算委員会その他いろいろ質問があったところでありますけれども、四機態勢が運用できる状態になるのはいつか、導入完了がいつかという質問です。それから、それに伴う要員、何人ぐらいを予定をしているのか、これはどこからその要員を配置をするのか、それから、年間の運用経費をどれぐらい見積もっているのか、どういう運用をしようと思って構想しておられるか、お伺いします。
○畠山政府委員 三点ほど御質問ございました。
 まず最初に、四機態勢が整うのはいつかという御質問でございますけれども、実は、平成五年度予算におきまして二機の調達を計上いたしておりまして、これは平成五年度でございますから調達がなされるのは九年度ということに相なるわけであります。あとの二機につきましては、中期防の中において予定さしていただいておりますけれども、必ずしもどの年度ということが確定しているわけではございません。仮にでございますけれども、平成六年度にさらに二機を計上するということになれば、十年度にこれが四機態勢になるという、仮のお答えをさしていただきたいと思います。
 それから、要員の問題が第二点としてございました。防衛庁といたしましては、AWACSの運用を円滑に実施できるよう今後必要な要員養成に取り組んでいくということでございます。その意味で、平成五年度におきまして、後方支援体制の整備の中核となる要員を養成するために二名の要員を米空軍に派遣しまして、さらにほかに二名の要員を国内民間会社へ委託しまして、それで機体に関する専門的知識、技能の習得に努めさせるということで、そういうものを基幹として今後必要なものを育てていくということです。実際にどのくらいの要員の人数になるかというのは現段階で必ずしも明らかではございませんが、一応の想定を申し上げますと、AWACS一機の乗員は一クルー約二十名ということでございまして、仮に四機運用するということになりますと、交代要員を含めまして大体百四十名を確保するということが必要でありますし、整備員等を加えますと、おおむね三百五十名くらいになるのかなというふうに一応の想定をいたしております。
 それから、総経費でございますが、これは一応四機全体を想定して、運用開始から十五年間にかかる総経費ということで申し上げますと、調達費も含めて全体で四千八百億円ぐらいになるということ、いわゆるライフサイクルコストと言っていいと思いますが、そういう状態でございます。
○山中(邦)委員 長官は、就任に当たりまして総理から、AWACSのことをよろしく、しっかりやるようにと言われたという対談記事を拝見をいたしました。そして、最近の新聞記事を見ますと、沖縄に米空軍がAWACSを二機持っているようでございます。その運用状況は、本来の防空任務より中米での麻薬密輸の捜査や災害復旧などに使われることがふえている、中東、中米への臨時の短期派遣ばかりをやっているのだという報道がなされております。我が国がAWACSを購入すると聞いて米空軍幹部は、日本も密輸監視などに使ってはどうかと提案をしたという話があります。
 冷戦解消のこの時期に、それは性能もいいというようなこともあるかもしれませんが、非常に高価な、そうして使い方によっては外地へ出て攻撃的な任務を補助するというようなこともできるような機種が入ったということについては、これは中期防見直しの趣旨に反するんじゃないか。装備の調達を繰り延べだということでは中期防の見直しにはならない。やはり一つの期間を区切って計画を立てるという基準があるわけでありますから、下方修正に違いがないわけでありまして、防衛計画大綱の上に中期防があるということになれば、これは連動して考えるべき筋のことであって、単に延ばしたというようなことでは国民に対し説明が済まないというふうに私は思います。
 防衛大綱について連動するという観点で一言申し上げて、長官の方針を聞きたいわけでありますけれども、先ほどロシアの方から別表の数字について根拠を聞かれた、こういうことであります。どう答えたかということについては、御自分はお答えにならなかったということがあるようですけれども、御自身はどうお考えになっておられますか。
 要するに、大綱の記載自体から見ても、防衛力の現状を見ると、自衛隊の規模は既にこの大綱で決めた目標とほぼ同じ水準に来ている、現状を追認した、こういう筋のものであろうと思います。そうしてその前提は、米ソ中の軍事力がほぼバランスをしている、日米安保条約もあるから、我が国に大規模な軍事攻勢が行われることは考えられない、限定的で小規模な攻撃に対処する趣旨でこの大綱ができている、こういう記載であります。
 前提の国際状況は大幅に変わったと思います。東南アジアの不安定要因、これが限定かつ小規模な攻撃に直結するとも思えない。大綱の見直しについては既に宮澤総理も触れておられるところであります。そのあり方からいいますと、宮澤総理は昨年の二月の国会で、別表の見直しは大きな部隊の再編となり、地域的にも影響があるが、早く勉強した方がいいということで検討を始めた、こう述べておられます。その合意は少なくとも陸上自衛隊の定数削減、陸自十三個師団態勢の再編、そうして駐屯地の再編などを含むものだというふうに思います。いつごろ見直しの結論を出すのか、どういう手順で進めておられるのか、そうして見直しのコンセプトですね、基本的な考え方はどこにあるのか、お尋ねをしたいと思います。
○畠山政府委員 防衛力のあり方の検討につきましては、修正後の中期防におきましても平成七年度、つまり中期防の終了するときまでに結論を得るということにされております。その結果として、防衛計画の大綱の修正につながるということがあり得るということは累次国会において大臣から答弁申し上げてきているところであります。
 そのときの基本的考え方といいますものは必ずしも現段階で申し上げる状況にございませんけれども、やはり何といいましても一つには、国際情勢の変化を今後どう見きわめていくかということに基づいて判断がなされていく。それからもう一つは、若年の人口が構造的に減少していくという中にあって、自衛隊としてどのぐらいの人数を想定することが適当かといったような観点からの問題もあり得るわけであります。主としてこの二つのコンセプトといいましょうか考え方をもとに、今後、今お話にもございました組織、編成、配置あるいは装備体系等広範な問題について検討をしてまいりたいというふうに思っておりまして、今後、手順とおっしゃいましたけれども、具体的な手順が現段階で決まっているわけではありませんが、これも国会で答弁申し上げておりますように、関係各層、国民の広い意見を聞きながら、これを吸収しつつ検討を進めてまいりたいということでございます。
○山中(邦)委員 一言だけ。
 大臣から今のような関連については承りたかったわけでありますけれども、国際情勢は、変動を見据えながらというよりは大きく変わっているということをまず前提にして進めていただきたい。それから、安全保障問題に関するいろいろな情報については、できるだけ当委員会も含め国民の前に情報を公開して、そしていろいろな議論の中から進めていただきたいというふうに思います。
 報道されたところによりますと、局長の私的な諮問機関として、民間人、女性も入れて組織をつくり、その上で長官の委嘱をした審議会でさらに検討するというようなことも報道されましたが、まずこの委員会などで十分な議論をしていく、経過についていろいろ知らせていただくということが必要ではないのか。今までいろいろな試行もなされ、報告も出ているというふうに思います。このことを要望して私の質問を終わります。
○志賀委員長 次に、斉藤一雄君。
○斉藤(一)委員 中山防衛庁長官の所信表明演説の中で「自衛隊による国際貢献」、お話しになりましたが、その中で、「自衛隊の果たす役割が極めて大きい」「国際貢献により一層寄与していく」ということですけれども、具体的にはどういうことを改めて述べられたのでしょうか。
○中山国務大臣 国際貢献というのは我が国にとりましても非常に重要な仕事でございますし、特に人的な貢献ということの重要さもいろいろと指摘をされているところでございます。
 ただ、我が国から外国へ人的な要員を出す、しかもPKOが必要とされているような混乱をしている国、いろいろ五条件に合致しているということがありましても、混乱を収束するため、新しい国づくりをするための派遣でありますから、そういうところへ出す。カンボジアに派遣いたしましたように、いろいろな自己完結型の、生活から食糧から移動の機械まで持っていくというようなそういう部隊が必要だ、人的な要員が必要だということになれば、やはり平素から装備も持ち、訓練も受け、組織もあるそういう自衛隊を出すことが一番ふさわしいのではないか。
 しかも、紛争国でありますから、制服が持っている意義というのが非常に大きいわけであります。日本ではまだ軍人ということは認められておりませんが、そういうところへ行けばやはり軍人としての取り扱いを受ける。軍人でなければできない仕事というものも、武器の使用とかそういうことは別にいたしましても、そういう世界的な慣習があるわけであります。我が国から人間を出す、ボランティアとか国家公務員とか地方公務員とか、そういうことも考えられ、そういう方々がまず行くということが一番ふさわしいかと思いますけれども、実際に大きな人員、部隊を出すということになればやはり自衛隊が一番ふさわしいのではないか。そういう意味で所信表明の中で申し上げた次第でございます。
○斉藤(一)委員 それでは、具体的に自衛隊の海外派兵についてお伺いいたします。
 現在、幹部自衛官、三人だと思いますが、UNTACの司令部で働いている。これは軍事行動、PKO法でいいますとPKFの活動そのものではないのかという気がいたしますが、見解を述べていただきたい。
○畠山政府委員 御指摘のように、現在、UNTAC軍事部門の司令部に第一次カンボジア派遣施設大隊の中から、一つは、大隊の業務の円滑な遂行のためにUNTAC軍事部門司令部との間の連絡調整を行うということ、それから、大隊の業務の円滑な遂行に資するための情報収集を行う、その連絡調整と情報収集を行うことを目的といたしまして、UNTACとも調整の上三名の連絡幹部を派遣しているわけでございまして、これはまさに施設大隊の中からその連絡調整、情報収集ということで派遣しているということでございます。
○斉藤(一)委員 PKO関係、法関係。
○畠山政府委員 これは、法の中では施設大隊の派遣というのは建設ということで、三条に列挙されている事業のうちの一つとして施設大隊が派遣されているわけでございますが、いわばそれの附帯業務と申しますか、その業務を円滑ならしめるための一連の業務ということで、建設の業務に相当するということで我々は理解しているところであります。
○斉藤(一)委員 私も兵役の経験があるものですから、司令部というようなものもある程度知識を持っているつもりなんですが、今後PKOが司令部に入っていくという突破口をこのカンボジアPKOでやられたわけですが、後ほどモザンビークの問題も質問いたしますけれども、こういう形というものはPKO法が予定していたものでしょうか。
○萩政府委員 御存じのとおり、現在の国際平和協力法の附則におきまして、自衛隊の部隊等が法律の三条の一部の条項について行うことを部分的に凍結をしているということになっております。恐らく御質問はその絡みだと思っておりますが、私どもは、単に司令部に勤務したということだけでもってその凍結に直ちに抵触するとは考えておりませんが、いずれにいたしましても、司令部勤務をするかどうかまだ具体的な話が出てきておりませんので、今後検討をいたしたいというふうに思っております。
 なお、現在カンボジアにおります。その連絡官三名は、これはいわゆる司令部要員ということではございませんで、施設部隊の隊員の中から連絡官として派遣をされているということでございます。
○斉藤(一)委員 司令部に勤務してそこで連絡調整に当たっている、この連絡調整という言葉は別として、これこそ一般的には軍事作戦行動そのものなんですよ。その点は後ほど関連して質問いたしますから、ここでとどめておきたいと思います。
 次に、昨年の十月三十日、ことしの一月十二日に自衛隊が二件の交通事故を引き起こしております。これについて遺族に謝罪をしたのか、あるいは具体的にどういう補償をしたのか伺いたいと思います。
○神余説明員 委員の御質問でございますけれども、昨年の十月三十日どことしの一月十二日に自衛隊の施設部隊による事故が発生いたしまして、それぞれ現地人一名が死亡したというふうに承知しております。
 本件の二件の事故に関しましてはUNTACにおきましてなお調査中でありまして、調査結果等踏まえた上でなければ我が国の対応について確たることは申し上げられないということでございますが、御質問のその補償の件に関しまして一般的なことを申し上げますれば、UNTACの要員が公務でUNTACの車両を運転中に交通事故を起こして第三者に損害を与えるといったような場合には、当該その第三者よりUNTACに対して損害賠償が請求されることが予想されます。その場合には、国連が締結しております保険契約に基づく保険金の支払いが検討されるというふうに承知をしております。その他の扱いにつきましては防衛庁の方から……。
○畠山政府委員 謝罪というお話がございましたが、十月三十日の事故につきましては、事故当日、大隊の幹部が被害者の兄弟のお宅を訪問いたしまして、義理の姉の方に対して、日本側としては誠意を持って対応したい旨を伝えまして、また路傍に花を添えて村人とともにお祈りをしたということでございます。さらに、副大隊長以下三名で、日を異にしますが同じ兄弟宅を訪問いたしまして、父及び兄弟に対して弔意を表しました。それ以外にも部隊として配慮を示しますために、これまでに十回以上にわたって大隊幹部がこの兄弟宅を訪問しております。
 それから、一月十二日に発生した事故につきましては、やはり同じように事故現場に供花をいたしまして、遺族に会って弔意を表しました。大隊長がその後、また法事に参加しております。それ以外にも、部隊としての誠意を示すために八回ほど大隊幹部が遺族を訪問しておりまして、施設大隊の幹部がこうして遺族を訪問するなどの配慮を示していることから、これらを受けて、双方の遺族はいずれも部隊に対して好意的といいましょうか、特別の感情を持っておらないということでございまして、不満等を有しているということはないというふうに伺っている次第であります。
○斉藤(一)委員 補償について具体的に説明してくれませんか。
○神余説明員 補償につきましては、先ほど一般的な形で御説明申し上げたとおりでございますけれども、UNTACの要員が公務に際しまして第三者に対して損害を与えた場合には、国連が締結しております保険契約に基づいて保険金の支払いが検討されているというふうに承知をしております。しかしながら、現在に至りましてもまだ調査結果が出ておらないということでございまして、保険金の支払いは今のところまだ行われていないというふうに承知をしております。
○斉藤(一)委員 一月十二日の、施設大隊の隊員が国道三号線と四号線の合流点で交通事故を起こし、女性を死亡させた、この問題を調査中と言うのですが、これは無責任じゃないですか、いまだに調査中というのは。そして具体的な補償もしていないということは問題じゃないですか。
 あわせてお伺いいたしますけれども、この事故を起こした隊員の処分というものはどういう扱いになっていますか。
○秋山(昌)政府委員 事故を起こした隊員に対する懲戒処分の手続は事故直後から直ちにとっておりますけれども、懲戒処分をするかしないか、あるいは懲戒処分に至らないけれども行政措置をとるかどうか、これにつきましては、現在UNTACの調査を待って最終的に判断をしたい、かように考えております。
○斉藤(一)委員 自衛隊員が国内でこういう死亡事故を起こした場合はどうなんですか。それと関係して、国外は、いまだに調査中というようなことで処分がされないということでいいんでしょうか。
○秋山(昌)政府委員 国内で交通事故を起こしたような場合、同じようにその後懲戒処分の手続をとって、必要に応じて懲戒処分あるいはその他の行政的な措置をとっているところでございます。
 ただ、懲戒処分は自衛隊の規律の維持を図るという目的を有すると同時に規律違反者の責任を問うものでございますので、本人にとって不利益処分ということになりますから、行為の原因あるいは責任の程度等の事実関係をできるだけ明らかにした上で、適正な種類あるいは程度の処分を選択する必要があると我々考えているわけでございます。本件の場合、いろいろ事情があるわけでございますけれども、我が国と大きく異なる現地のカンボジアの交通事情あるいはそういう状況のもとにおける隊員の責任の程度といったものにつきまして、やはり現地でそういういろいろなケースに当たって調査をしておりますUNTACの調査結果をこれはどうしても待ちたいということを我々考えているわけでございます。
 と同時に、本件はUNTACの一員として平和維持活動をやったということでございますし、実はこれは件数等は明らかではございませんけれども、カンボジアにおける交通事情等を反映いたしまして、UNTAC関係の交通事故というものは現地でかなり起こっております。そういった状況の中でUNTACがどういう判断をするのかということを我々は待ちたい、懲戒処分関係あるいは自衛隊法に基づく、そういった法令に基づく懲戒処分の手続は、我々、事故が起こった直後から直ちに進めておりますけれども、UNTACの調査結果を待って適正な処分をいたしたい、かように考えております。
○斉藤(一)委員 極めて問題だと思うのですが、これだけ質問しているわけにいきませんので、次に進みたいと思います。
 四月二日のポル・ポト派とプノンペン政府軍との戦闘、五日はUNTAC兵士への襲撃が行われました。これは私ども一般常識でいいますと、既に停戦の合意なるものが崩れたという認識に立ちますけれども、いかがでしょうか。
○萩政府委員 ただいま御質問がございましたように、現在カンボジアにおきましては、一部の地域で武装集団による襲撃事件、停戦違反事件が発生しております。大変遺憾なことと存じておりますが、私どもはこのような一部地域における事件が直ちに全面的な戦闘再開というふうには判断をしておりませんで、したがいまして、パリ和平協定に基づきます和平プロセスの基本的枠組みは維持されておるということで、停戦の合意は満たされていると認識しております。
○斉藤(一)委員 パリ和平協定で総選挙についてはどのように決定をしておりますか。
○萩政府委員 パリ和平協定そのものを私ちょっと担当しておりませんのでつまびらかではございませんが、現在のところパリ和平協定に基づいて五月二十三日から三日間選挙を行い、その後、制憲議会の成立を待って三カ月以内に新政権ができるという順序になっていると承知しております。
○斉藤(一)委員 ところが、四月四日ポル・ポト派の声明で、「現状ではパリ和平協定にうたわれている諸条件が満たされておらず、総選挙には参加しない」ということを初めて正式に表明をいたしております。そして、UNTACとの対決姿勢をますます明確に打ち出しておるわけでありますが、これまではこの種の正式声明がございませんでしたので、政府答弁は常にまだそういう状況にはありませんという言い逃れをしてきたと思うのですけれども、この正式表明によって当事者の合意というものは完全に崩れたというふうに思いませんか。
○萩政府委員 先生からお話がありましたように、四日の最高国民評議会、SNCにおいてポル・ポト派の代表が、選挙キャンペーン及び制憲議会選挙に参加しないということを初めて明確に表明をしたわけでございます。極めて遺憾なことでございますが、同時にポル・ポト派は、カンボジア最高国民評議会、SNCを通じましてUNTACの設立及び活動についての規定を含むパリ和平協定に署名をしており、またUNTACの活動を受け入れております。と同時に、UNTACの活動自体を全面的に否定するような行動をとっているわけのものではございません。したがって、同派がみずからの意思でパリ協定上有する選挙参加の権利を行使しないということをもって、UNTACの活動に対する受け入れ側の同意が撤回されたということにはならないものと私どもは考えております。
 なお、ついでながら、ポル・ポト派は累次の機会に、パリ和平協定を遵守するということは絶えず発言をしておりまして、この選挙への不参加を表明した四月四日の会合におきましても、彼らは同時に同協定を遵守するというふうに明言をしております。
○斉藤(一)委員 ポル・ポト派の総選挙ボイコット声明に対してUNTACの明石特別代表は、「総選挙の妨害を図るものはカンボジア国民の敵だ。UNTACは暴力に身をさらす危険を冒しても任務を遂行する」と言明したと報道されております。これはもう完全に中立性ということではなくなったということを私は意味すると思うのですが、いかがですか。
○萩政府委員 UNTACの明石代表が四日の最高国民評議会の会合の後発表した中立的な政治環境という声明の中で、選挙を崩壊させようとする者はカンボジア国民の敵であるというふうに述べたことについては承知をしております。これは、UNTACの活動がバリ協定に従いまして自由かつ公正な選挙を実施することによりカンボジアに新たな政府を設立することを目的としている以上、この発言は何ら不自然なことではないというふうに考えております。この声明におきましては、特定の紛争当事者を名指しで非難したものではなくしたがいまして、このような声明があったからといってUNTACの活動の中立性を欠くというふうには考えておりません。
○斉藤(一)委員 そうおっしゃいますけれども、危険を冒しても任務を遂行するということは、ポル・ポト派の武力攻撃に際して少なくとも武力で応戦せざるを得ない、こういう決意表明ではないでしょうか。
○神余説明員 お答え申し上げます。
 UNTACの明石代表の発言につきましては先ほど答弁したとおりでございますけれども、UNTACといたしましては、カンボジアの新政府が樹立されるまでの間は、停戦監視あるいは行政監視あるいは難民帰還等の幅広い任務を行いながら中立的な政治環境の中で自由かつ公正な選挙を実施するという任務を帯びております。今次明石代表の発言は、さまざまな困難や障害があってもUNTACとして選挙をやり遂げるというふうな強い政治的な決意を表明したものであり、そのような委員の御指摘は必ずしも適切ではないというふうに承知しております。
○斉藤(一)委員 今ポル・ポト派は明石代表のみならず今川大使に対しても批判あるいは非難を続けております。このことは中立的なんというものじゃないでしょう。一方の当事者になり切ってしまっているじゃないですか。違いますか。
○萩政府委員 カンボジアにおきましては、御存じのとおり四派がございます。それぞれの派がそれぞれの利害関係を持ってUNTACとつき合っておるわけでございますが、それぞれの派がそれなりにUNTACに対して他の派に偏り過ぎているのではないかという非難をしばしば繰り返しております。これはプノンペン政権側も同様でございます。私どもは、これは逆にUNTACが努めて四派と等距離、中立性を保つがゆえにこそそれぞれの派が必ずしもUNTACに対して満足をしていないということの、かえって中立性のあらわれではないかというふうに考えております。
○斉藤(一)委員 ポル・ポト派の総選挙ボイコット声明、初めて出された公式表明ですね。したがって、総選挙が四派の合意によって行われるということは崩れたのじゃないですか。
○萩政府委員 パリ和平協定によりまして選挙が実施されるということになっておるわけですが、ポル・ポト派がみずからの意思でその与えられた選挙の権利を放棄したからといって、そのこと自体は残念なことではございますけれども、そのことをもって中立性が崩れたというふうには考えておりません。
○斉藤(一)委員 そうしますと、事実上いろいろな内戦あるいは襲撃、応戦、こういう武力紛争が続いているわけですが、それはまだ規模が小さいから、カンボジア全土で起きているけれども部分的に起きていることだから、四派の停戦合意は守られているのだ、こういうふうにおたくの方はおっしゃっていると思いますし、受け入れ同意についても、四派のうちのポル・ポト派が総選挙をボイコットしようが、あるいは銃撃戦を展開しようが、それは受け入れ同意には何ら変化はないんだ、こういうことをおっしゃったり、あるいは先ほど来の質疑で明らかなように、UNTACのカンボジアにおける中立性というものは事実上放棄されているんですよ。それをおたくの方は、中立性は崩れていないという抗弁をしておられるわけでありますけれども、そうなりますと、停戦合意とか受け入れ同意とか中立性というのはだれがどこで判断することなんでしょうか、基準はどこにあるんでしょうか、はっきりお答えいただきたい。
○萩政府委員 先ほど来申し述べておりますように、私どもは停戦の合意それから受け入れの同意、中立性、こういったものは確保されていると考えておりますが、万々一この三原則が崩れたと判断をして撤収をする場合、どこでだれがどういうように判断をするかというお話でございますが、法律上の規定で申し上げますと、国際平和協力業務を終了する際の判断は、政府として閣議決定の形で行われることになります。
 具体的には、我が国が国連平和維持活動のために国際平和協力業務を実施する前提、まさに今おっしゃいました停戦の合意、受け入れの同意というものが存在しなくなったと認められる状況、また当該活動、これは国連平和維持活動でございますが、いずれの紛争当事者にも偏ることなく実施されなくなった場合、いわゆる中立性が維持されなくなったと認められる場合、こういった状況が続きまして短期間に回復しないという場合でありまして、要員あるいは部隊の派遣を終了させることが必要である、または適当であると認められる場合には実施計画を変更して派遣を終了するということになります。
 なお、実際問題として、例えばこの三原則のうち、停戦の合意が崩れるという事態、これは戦闘の規模といった具体的状況を踏まえまして総合的に判断せざるを得ない。例えば全面的に戦闘が再開されるというようなことが客観的に明らかになった場合といったことが考えられるのではないかと思います。
○斉藤(一)委員 仮の話で恐縮ですけれども、日本の自衛隊員に対する襲撃が行われたり、例えば自衛隊員が数名死亡するというようなことがあった場合に、それでもなおかつ全面的な大規模な戦闘状態ではないからということで自衛隊の引き揚げはしないという考えになるんでしょうか。
○萩政府委員 仮定の議論でございますので大変難しいわけでございますが、一般論だけで申しますと、我が派遣要員、部隊の隊員、これが負傷等いたすような事態になれば、そのことはもちろん重大な考慮要件にはなろうかと思いますが、しかしながらそのことだけが判断材料ではなかろうと思います。
 逆に言いますと、けが人が出たからすぐに業務を終了するのか、あるいは何らけが人がいない場合でも業務の終了ということはあり得るわけでございますので、そういうことを総合的に判断をして終了すべきか否かを判断することになろうかと思います。
○斉藤(一)委員 現状で見ますと、そういう自衛隊が襲撃をされる、あるいは死傷者を出すというようなこと、私は残念ながら予想せざるを得ないと思いますが、あなた方は全く予想していないという考えているのか、あるいはそういうことも場合によっては起こり得るというふうに想定していますか、どちらですか。
○萩政府委員 これは私どもがどうこうするというわけにもまいりませんので、一方的な推測を申し上げるわけにはいきませんが、カンボジアにおける四派ともパリ和平協定の遵守を繰り返して言っておりますので、私どもとしてはそれを期待すると言うに尽きるのではないかと思います。
 なお、一言つけ加えさせていただきますと、報道等では停戦違反、襲撃事件、これについてポル・ポト派であるとか、ポル・ポト派とおぼしきというのが多いわけですが、これはすべてポル・ポト派が認めているわけではなく、むしろ自分たちではないというケースが多うございますし、またかつて報道ではポル・ポト派ではないかと言われたことで、UNTACの調査によってその復そうではなかった、そういったこともあるということで、いずれにいたしましても現地における情勢というのは簡単にどこが何をやったか割り切れない状態であるということをつけ加えさせていただきます。
○斉藤(一)委員 私は、今日の状況は内戦の危機だ、こういうふうに認識いたしております。したがって、そういう状況を私たちは的確に把握できるわけですから、一刻も早く、先ほど申し上げたような事態が起きる前に、自衛隊のカンボジアからの撤兵を強く要求しておきたい。こういうような内戦状況になってから、慌てふためいて閣議を開いておたおたするというようなことがあってはならぬということだけ申し上げておきたいと思います。
 次に、モザンビークへの自衛隊派兵について、当初は宮澤総理は大変慎重な態度をとっておられた、どういう理由から慎重だったのですか。
○萩政府委員 外国に対しますPKO活動の参加につきましては、私ども政府の担当者においてもそうでございますが、常に慎重であろうというふうに努めております。今回のモザンビーク活動、ONUMOZと申しておりますが、これを言い出しましたのは、政府としてはこれまで、憲法それから平和協力法の枠内で行われるべきこと、それから国内の支持を受けること、または国際社会からも評価されるもの、それから現地の情勢に合わせて要員派遣が効果的かつ安全に行われるため万全の支援体制を整えること、それから最後に、我が国が適切に対応することが可能な分野であること、こういったもろもろの観点を慎重に検討したものでございまして、現地調査団の派遣、国連の打診、そういったものを踏まえて最終的に総合的に検討をして結論を出したものと承知をしております。
○斉藤(一)委員 総理が決断する前に、外務省などがかなり突出してモザンビークへは行くべきだという方向も既に定められておったようでありますが、こういう点についてはどうお考えでしょうか。
○萩政府委員 私外務省ではありませんので外務省の立場でお話しするわけにはまいりませんけれども、私ども政府の担当者といたしましては、まず基本的にモザンビークについては派遣の可能性はある、派遣はできるという判断をしていたことは事実でございますが、できるから派遣をすべきであるかどうかという最終的な判断は、もちろん政府が閣議の場で最終的に決定されるべきものと考えております。
○斉藤(一)委員 PKO法に基づいて、今お話しになったような条件が整っておる地域には、外務省などがPKOを派遣できるという資料を添えて総理にそれを提出して、出すか出さないかは閣議の決定で行う。今後ともそういうやり方になるのでしょうか。
○萩政府委員 最終的な結論は閣議において決定される実施計画の成立をもって正式に決定をされることになりますが、同時に、この国際平和協力法においてはPKOへの派遣について外務大臣が要請ができるということになってございますので、外務省の事務当局がその職務において派遣について議論をされることは当然であろうと思っております。
○斉藤(一)委員 カンボジアへの派兵だけでもこれだけ重大な問題を引き起こしている上に、モサンビークへの派遣を閣議の決定だけで行ってしまう。今後とも、あそこの国は当事者間で合意があるからPKOを派遣できますよ、官僚が資料を整えて情報を集めて、そして外務大臣が行けといって総理に提言をする。自衛隊という名前の私に言わせれば軍隊ですが、そうした軍隊を海外に派遣するのに、国会なり当委員会なりの審議、そういうものを全く素通りして、今のようなあなた方だけの判断でどんどんやっていくというようなことでいいのでしょうか。見解を述べてください。大臣どうですか。
○萩政府委員 まずその前に、事務手続的なことを申し上げさせていただきますと、現在の法律にのっとりまして閣議において決定をして派遣されるということになっておるわけですが、御存じのとおり、この法律成立の際に多くの議論がございまして、結局、いわゆる平和維持隊というものの派遣については現在凍結されておりますけれども、そのものの派遣の際には国会の御了承を得て派遣するというふうにされたものと承知をしております。
○斉藤(一)委員 先ほどの軍事司令部の関連でいま一度お聞きするのですけれども、モザンビークPKOの場合は司令部に人を出すということでありますし、特に陸海空の三自衛隊の混成部隊を今回初めてモサンビークへ派兵をするということであります。私の経験からいいますと、日本の自衛隊という名の軍隊が現地の司令部に入り、陸海空が一体となった混成部隊を派遣するということは、このこと自体もう明らかに完璧な戦闘部隊の体裁を整えているというふうに判断するのですよ。違いますか。
○萩政府委員 私の方から、まず司令部の勤務のことについて御説明いたします。
 ONUMOZの司令部に要員を配置するかどうかということはまだ決定をしておりません。いずれにいたしましても、カンボジアにおける経験といったものを踏まえて、国際平和協力法の枠内で適切に対処してまいりたいと考えております。
 ただ、一言加えさせていただきますと、カンボジアの経験から申しましても、司令部に何らかの人員がいるということは、我々の部隊、要員の行います平和維持活動にとって大変効果的であるということは事実でございます。
○畠山政府委員 後段の陸海空混成部隊を派遣するという御指摘でありますけれども、現在、ONUMOZの輸送調整分野への自衛隊の派遣につきまして、先般防衛庁長官から各幕僚長に準備指示というのを出しまして、それを受けて所要の準備が進められている段階でございまして、派遣部隊の構成につきましては、今後予定しております調査団の報告等を待ちまして、これを踏まえて決定するという段取りでございますので、現段階では決まっているものではございません。
 なお、仮に万が一そういう形になったとしても、そのことのゆえをもってそれが戦闘行動だという御質問の趣旨は、申しわけございませんが、私、質問の趣旨が理解しかねるところでございます。
○斉藤(一)委員 私の判断では、このモサンビークへの派遣という突破口が開かれれば、恐らく今後はPKO活動ということで司令部と三軍一体となったそうした軍事行動組織、それが派遣をされていくことになるであろうというふうに見通しております。ますます危険な方向に足を踏み入れたというのが私の認識でありますが、そのこと自体PKFを凍結するということに反しませんか。私はこれは反するという認識に立っておりますけれども、いかがでしょうか。
○萩政府委員 まだ司令部に要員を派遣するということを決めておるわけではございませんので仮定の議論にはなるわけでございますが、私どもとしては、司令部にたとえ勤務したとしても、それが即決偉に違反するとは考えておりません。いずれにいたしましても、あらゆる平和維持活動が国際平和協力法の枠内で行われることは当然のことでございます。
○斉藤(一)委員 司令部の議論というのは絶対秘密を要するのですよ、作戦行動ですから。だから、皆さんが連絡調整、情報収集というようなごまかしを言っても実態は違うのです。時間がありませんのでその点だけを指摘しておきたいと思います。
 次に、カンボジアへの自衛隊派兵について、今回はキャセイパシフィック航空の定期便で一般の乗客と乗り合わせて香港に輸送したということであるようですが、これはシカゴ条約に反しませんか。
○隈丸説明員 委員御提起の問題でございますが、三月二十九日に日本を立ちました第二次カンボジア派遣施設大隊の先遣隊を念頭に置いて提起されているものだと思います。
 国際民間航空条約、すなわちシカゴ条約でございますが、国際民間航空の安全かつ整然たる発展を確保するということを目的としたものでございますが、この条約の上には、特に乗客の職業によって搭乗を制限するような趣旨の規定はございません。したがって、シカゴ条約との関係でいいますれば、問題はございません。
○斉藤(一)委員 防衛庁、事実関係を言ってください。
○畠山政府委員 先ほどお話ございましたように、第二次カンボジア派遣施設大隊の先遣隊約六十名をカンボジアに派遣するに当たりまして、民航の定期便を使用した、その際に他の乗客と一緒であったという事実はそのとおりでございます。
○斉藤(一)委員 その場合に、一般乗客に対して事前に、自衛隊員何十名が一緒に乗りますよというようなことを告知していたのか、さらには、一般乗客に同意を得ていたのでしょうか。それとも、全く乗客は、飛行機に乗ってみたら自衛隊ばかりだということになったのでしょうか。その点の事実関係についてお答えください。
○畠山政府委員 防衛庁として、一般乗客に事前に通告したり、あるいは同意を得るというような
ことはいたしておりません。
○斉藤(一)委員 これはどうなんでしょうか。シカゴ条約に反していないというお話ですけれども、前回のカンボジア派兵のときには日航機を使って行かれたわけですが、これはチャーターして行ったわけですね。今度は一般の定期便で、極端なことを言えば、一般の乗客がそれこそ二、三十人乗っていたといたします。自衛隊員が五、六十人乗っている。さらには、一般の乗客が十人くらいで自衛隊員が五、六十人ということもあるでしょう。そういう飛行機に一般の乗客が乗って、私から言わせれば、戦場の近くまで行ったり来たりやるというようなことでいいのでしょうか。それで一般の乗客の不安とかあるいは民間航空機の安全性というものが保たれていくのでしょうか。私は問題だと思います。
 その点についての明快なお答えと、シカゴ条約に反していないと言いますが、一般乗客を装って実は日本の軍隊が行ったり来たりしているのだという点については、シカゴ条約ではどういう懸念があるとお考えですか。この二点についてお答えください。
○畠山政府委員 前段の問題でありますが、自衛隊員の出張等に際しまして民航機等を使用することはあるわけでありますけれども、防衛庁といたしまして、自衛隊員が搭乗しても当該民航機等が特段危険であるというようなことはないと考えておりまして、今回の場合もそのような一般乗客の安全確保上特に問題があるというふうには思っておりません。
○隈丸説明員 後段の部分でございますが、シカゴ条約におきましては乗客の職業がどうであるかということでその搭乗を制限するといった規定はございませんので、今回の件につきましてもシカゴ条約との関係におきまして特段問題があるわけではございません。
○斉藤(一)委員 先ほども指摘しましたように、そういう場合に、やはり一般乗客に告知をして了解を得るということは必要じゃないでしょうか。大臣、どう思いますか。
○中山国務大臣 予算委員会でも同じような御質問を受けたわけでありますが、自衛隊員が、しかも武器も何も携帯せずに民航機の定期便に乗るということが、一般乗客に多大の不安あるいは危険を与えるという考え方自体、私は了解できません。
○斉藤(一)委員 これは今後とも市民団体などとともに、乗客の立場から、この場だけではなくて徹底的に追及していきたいというふうに考えておりますので、そのことだけを申し上げておきたいと思います。
 日本航空でも非常に困ったのですよ、私も本社へも何回も行きましたけれどもね。これから、民間航空が困ってたらい回ししていくのじゃないですか。今回の場合も、日本航空から頼まれて航空会社がかわったわけでしょう、そういうふうになっていくのですよ。乗客の気持ちとか飛行機の安全性ということを考えれば、常識的にそうなっていくのですよ。そのことだけ申し上げておきます。
 時間が大分迫ってまいりましたので、この機会に政府の見解をお伺いしておきたいと思うのですが、最近、憲法改悪などという物騒な議論が盛んにマスコミを通して行われるようになりました。そういう中で、日本の自衛隊を国連軍とか多国籍軍にも出したらどうか、あるいは憲法上支障はないのだといったような議論も展開されてきておるわけであります。時間がありませんので、そういう問題について私はここで議論しようとは思いません。そこでお伺いしたいわけですが、国連軍に参加するということ、あるいは多国籍軍に参加するということについて、防衛庁長官の基本的なお考えだけはお聞きしておきたいと思います。
○中山国務大臣 憲法は我が国の基本法でございますから、これについては情勢の変化に応じて絶えず活発な議論を行うということは大変結構なことだと思っておりますが、それに伴いまして、自衛隊についてのいろいろな制約等を含めた憲法改正について、これはもうちょっと、国民全体の判断によるものでありますので、防衛庁長官として御意見を申し上げる立場にはございません。
○斉藤(一)委員 私の質問は、国連軍、多国籍軍に自衛隊を派遣したらどうかという大変危険な考え方もマスコミを通して一部出ていますけれども、その点について防衛庁長官はどう考えるかと言っているのですよ。慎重を期するでは困るのですよ、大変なことになりますよ。質問にはっきり答えてくださいよ。
○中山国務大臣 国連軍に自衛隊を派遣したらどうかとか、多国籍軍に派遣したらどうかということにつきましては、私どもも、そのこと自体はともかくとして、そのことによるいろいろな影響、関係が出てくると思っておりますし、私も、現在、今そういうことになるとは思っておりませんのでまだ詳しく研究をしておりません。現在の憲法の制約の中では不可能ではないかというふうに私は思っております。
○斉藤(一)委員 以上で質問を終わります。
○志賀委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午後零時二十分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時五十八分開議
○志賀委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。北側一雄君。
○北側委員 公明党の北側一雄でございます。
 きょう、私、大きく三点質問をさせていただきたいと思っております。一点目が防衛計画大綱の見直しの問題、特に自衛官定数の見直しの問題について、きょうはぜひ長官とざっくばらんにお話をさせていただきたいというふうに思っております。二点目が国連モザンビーク活動への参加問題でございます。そして三点目に軍備管理の問題でございます。この三つの問題につきましてお聞きをしてまいります。
 現在、防衛計画大綱の見直し作業をされていると思いますが、先般も大臣が、九四年度までに何とかまとめて次期防策定の前提にしなければならない、そのようなお話もされておられたかと思います。その別表に規定されております自衛官定数の見直しにつきまして特にお聞きをさせていただきます。
 仮に自衛官定数の見直しをするとすれば、それは自衛隊の組織とか編成、配置等にも当然影響を与えるわけでございまして、大綱全体の見直しにつながってくるというふうに思うわけでございます。私はこれから挙げます五点から、自衛官定数の削減というのはもう必至じゃないか、自衛官定数の削減方向で検討せざるを得ないのではないかというふうに思っております。
 一点目が、やはり国際情勢の変化でございます。東西冷戦の崩壊という国際情勢の変化、昭和五十一年にできた防衛計画大綱時とは大いに情勢が変わっております。
 二点目が、これは私が言うまでもなく防衛庁の方で一番頭を悩まされていることだと思うのですけれども、若年人口の激減でございます。十八歳人口の激減。少し私の方で調べてみましたら、これは厚生省の人口問題研究所の推計によるのですけれども、おととし、平成三年の十八歳人口が二百六万、これがピークでございまして、これから先どんどんこの十八歳人口が激減をしてまいります。ちなみに、十年後の二〇〇三年には百四十三万人。ですから、三〇%今よりも減少する。さらに五年後、今から十五年後の二〇〇八年には百二十万人。ですから、四〇%も十八歳人口が減る。このように激減するというふうに推計をされているわけでございます。客観的に、これはもう削減方向で検討せざるを得ないという要素だというふうに思うのです。
 三点目が装備の変化でございます。装備は時代を追うに従いましてますます近代化、高度技術化されております。この装備の近代化という変化、これも自衛官定数に影響せざるを得ないのではないか、またそれは自衛官の質の問題にもかかわってくる問題だ、私はそのように思います。
 四点目が財政状況です。これまでは経済成長が期待できたわけですけれども、これからはやはり低成長の時代になっていくことはやむを得ないわけでございまして、これらの財政状況の前提がある。また、財政配分におきましても、ほかの政策目的への支出が非常に大きくなってこざるを得ないのじゃないか。例えば、今人口のお話をしましたけれども、もう高齢社会へ向けて急激に進んでおります。この高齢社会への対応とか、またこれから二十一世紀は南北問題が一番大きな問題になってまいります。途上国支援、こうしたことに大きな財政支出をせざるを得ない。こういう財政状況とか財政配分の問題。
 五点目に防衛費の使い方、使途の問題なんです。今回の中期防で大綱に定めております防衛力の水準がおおむね達成するという認識は防衛庁の方でお持ちなわけですけれども、そういう認識がまずある。さらには、自衛官の人材の確保のためにもまたその育成のためにも、これからは自衛官の処遇の充実というのが非常に大事になってくる。自衛官の処遇の充実、また自衛官に対する教育の問題、こうしたことが極めて重要になってくる。そういう意味では後方分野に力を入れなければいけない、そちらの方にお金がたくさんかかってくるということになるのではないかと思うのですね。
 以上五点述べたのですけれども、こういうことを考えてみますと、自衛官定数というのは削減せざるを得ない、それも相当な削減がなされないといけないのではないかというふうに私は考えます。今私が述べましたこの五点の各要素につきまして、自衛官定数との関係でどのような影響があるのか、ぜひ大臣の御答弁を、お考えを聞かせていただきたいと思います。
○中山国務大臣 ただいまの防衛計画の大綱などの見直し、この中期防の期間中に見直しをするということを中期防のスタートに当たってはっきりしております。
 御承知のように、中期防は平成七年まででございますから、それまでに大綱の見直しというような大変大きな仕事をするということになりますと、まあ常識的に言って六年ぐらいまでには一応のめどといいますか、準備は終えておかなくてはいけないのではないかなというような、ちょっと常識的な見通しを申し上げたわけであります。その中で、今先生がおっしゃられた五点、これは大きな問題でございます。特に若年人口の減少、これはもう避けて通れない。はっきりわかっているわけでありますし、この問題につきましては、この大綱の見通しとはまた別途に庁内に検討委員会をつくりまして今研究を始めているところでございます。
 それと同時に、これからの防衛政策のあり方、防衛というものをどう考えていくか。もちろん、今まで続けてまいりました大綱の精神あるいは別表にありますような装備関係、これも将来の見通しを立てながら、今先生がおっしゃいました近代化、いわば省力化といいますか、余り人手を要しないような装備がだんだんふえてくるのではないかというような感じもございますし、また国際情勢の変化をどうとらえていくか、そういうような大きな課題も含めて検討をしていきたいと思っております。
 ただ、まだ情勢が非常に流動的でございまして、報道されておりますような庁内ではっきりした形で検討を始めたということはまだございませんで、幹部の皆さんはそれぞれの胸の中でいろいろと検討はしていると思います。それを突き合わせて具体的な問題について検討をしているということはありませんが、しかし、今申し上げたような人口の問題とか装備の問題とか、個別には問題点がはっきりしてきていると私は思っておりますし、そういう方向で見直しが行われるのではないかなという感じも持っているわけでございます。
○北側委員 今の大臣のお話は、定数につきましては削減の方向でもう検討せざるを得ないだろうという御趣旨の御答弁だというふうに理解をさせていただきます。
 削減とともに質の向上というのが、今質が悪いという意味じゃないのですけれども、やはり重要になってくる。特に装備が近代化してきております。今大臣も人手を要しない装備というようなことをおっしゃいましたけれども、そういう意味ではますます質の向上。質の向上をするためには、やはり一人の自衛官の方にかける手間暇、お金というのを充実していかなければいけないわけでございまして、そういう面からも、予算には当然枠があって、この定数の削減というのは、それも小さな削減ではなくて相当程度の削減を私は考えざるを得ないというふうに思うのですね。繰り返しになるかもしれませんが、大臣いかがですか。
○中山国務大臣 ただいま申し上げましたように、今装備の省力化とかいろいろ申し上げました。それから一人一人の質の問題。今までのような若くて頑強で心身ともに丈夫でというような基準からまたさらに違った資質が要求されてくると思っておりますし、それと同時に、装備それから人員、定数というものがお互いに関連してくるわけでありまして、そういうものをバランスよく整理をしていきませんと、例えば定員だけ先に削減してしまうとか、そういうことがありますとやはり本来の使命が達成できないということにもなりますので、その辺はバランスを考えながらこの見直しというものを進めていかなくてはいけないのではないかなというふうに思っております。
○北側委員 それでは、国連モザンビーク活動への参加の問題につきましてお聞きをいたします。
 政府は、モサンビークへ調査団を先般派遣されまして、その後、三月二十六日の閣議で国連モザンビーク活動、ONUMOZへの派遣について準備を開始する旨の決定をされました。先般、私は予算委員会でもこの問題につきまして質問させていただきまして、前向きに検討すべきであるというふうに質問をさせていただいたわけでございますけれども、閣議決定もございましたので、この参加に当たりましての問題点とか課題とか、できるだけ細かくきょうは御質問をさせていただきたいというふうに思っておるのです。
 まず一点目が、何を差しおいてもPKO参加五原則を満たしているかどうかの問題であります。PKO参加五原則を満たしているかどうか。この五原則のうちの停戦合意、それから受け入れ側の同意、そして中立性の確保、この三点につきまして、この参加要件が満たされているかどうかを具体的な事実を踏まえて御答弁をお願いしたいと思います。
○萩政府委員 五原則のうちの三原則、停戦合意、受け入れの同意、それから中立性でございますが、まず停戦の合意でございますが、先生御存じのとおり、モザンビークにおいては十六、七年間にわたる長い内乱の時代があったわけでございますが、一九九二年の十月、昨年の十月四日にローマにおきまして、紛争当事者モザンビーク政府とモザンビーク民族抵抗運動、RENAMOと言っておりますが、これとの間で停戦に関する規定を含みます包括和平協定が締結され、その後、当初一時期若干の停戦違反がございましたが、現在のところはすべての戦闘が終結しておりまして、停戦の合意は満たされているというふうに了解をしております。
 それから、受け入れ側の同意でございますが、一九九二年八月七日にシサノ・モザンビーク大統領とドラカマ・RENAMO議長による共同宣言におきまして、双方とも国連の関与を受け入れるという旨の表明をしております。また、一九九二年十月四日の和平協定においても、こうした双方の方針に沿いまして政府側、RENAMO側、それから国連その他の機関によって構成される委員会が同協定の履行を監視することについて両者が合意をしておりまして、この合意に基づきまして、モザンビークの大統領から国連事務総長に対して国連の参加を要請する旨の要請書が出されておるということでございます。したがいまして、ONUMOZの活動に対する紛争当事者の同意は存在するものと認められます。
 なお、我が国の参加に対する同意につきましては、国連を通じて紛争当事者に確認されることとなっておりますが、既に政府、RENAMO双方とも我が国の参加を歓迎する意向を表明しております。
 最後に、中立性についてでございますが、ONUMOZの活動は他の国連平和維持活動と同様、いずれの紛争当事者に偏ることもなく中立の原則を前提として行われているというふうに判断をしております。
○北側委員 今の御答弁でPKO参加五原則は十分満たしているという御答弁であったかと思います。
 一つ一つお聞きをしていきますが、次に、現地の現在の情勢、特に治安の状況がどうなのか、これにつきまして御答弁いただけますか。
○萩政府委員 先ほども若干触れましたが、停戦直後若干の停戦違反という事例は見られたわけでございますが、現在は全く戦闘が発生をしておりません。具体的な中身につきましては、先般第一次の調査団が参りまして、今週末にはまた専門調査団が参って細かいことを調査する予定にしておりますが、前回の調査団の報告においてもそのほかの報道につきましても、現地の治安状況はよいという報告を受けております。
○北側委員 閣議決定の内容によりますと、輸送調整業務に参加を検討されているというふうに記されてあるわけなんですが、まずこの輸送調整業務、これの内容についてできるだけ具体的に、また何カ所に展開するのかというふうなことも含めまして、今御答弁できる可能な範囲で結構でございますから、御答弁をしていただけますか。
○萩政府委員 輸送調整という業務は、最近の主要な国の部隊、あるいは国連も同じですが、必ずこういった分野の部隊を保有しております。それぞれによってやる業務が少しずつ違うこともあるかと思いますが、基本的にこの輸送調整の分野と申しますのは、港湾、空港に到着する人員または物資、こういうものをまず受け入れを行うということ、それからそれぞれの部隊がトラックとかバスとかあるいは航空機とかそういった輸送機関を持っておりますので、それが勝手に動きますと大変効率が悪いということでその間の調整を行う、それからどういった輸送手段をどの部隊が利用するのが一番効率的かという輸送手段の割り当てといった、一言で申しますと輸送の段取りと言ったらよろしいでしょうか、そういったことを具体的な業務内容としております。
 それで、配置がどうなるかということにつきましては、まさにこれから国連との調整でございます。幾つかの小部隊に分けて何カ所がに置くとかいうようなことが考えられるわけですが、そのあたりはまだ最終的に固まっておりませんので、まさにそこをどうするかというのがこれからの国連側の話し合いあるいは調査の結果によって決まってくるものだというふうに了解をしております。
○北側委員 輸送調整業務というのは、要するに輸送の段取りを行う人である。私が聞いておるところによりますと、大半はデスクワークじゃないか、また通信業務が大半じゃないかというようなことを聞いております。これで間違いないですね。
○萩政府委員 現在カンボジアに出しております施設部隊あるいは停戦監視要員あるいは文民警察といったような、いろいろな地方において体を動かすといいますか、そういう業務に比べますと、この輸送業務というのは企画調整といったような、これをデスクワークと言っていいのかどうかでございますが、割と本部に近いところで通信手段を利用して調整を行うという業務が中心になろうかと思います。
 ただ、しかしながら、先ほど私もちょっと触れましたが、港とか空港とかにおける、外から入ってくる人員、物資、こういったものの振り分けとか調整をするということがありますから、溝とか空港において実際に体を動かすというか、足を運ぶというような業務はあろうかと思います。
○北側委員 このONUMOZの活動が当初よりもおくれております。当材の和平協定によれば三月中、先月中に八〇%のPKO要員が現地展開する、四月中には一〇〇%の現地展開がなされるという予定であったと思うのですけれども、相当おくれているというふうにも聞いております。武装解除のための集結地点の施設が非常におくれているということも聞いておりますし、このONUMOZ活動がこのように大きく遅延している理由は何なのか。それと、今後の活動のスケジュールの見通しについてどのように掌握をされておられるのか。
○神余説明員 お答え申し上げます。
 ONUMOZの活動が遅延している理由でございますけれども、委員御指摘のとおりでございまして、当初の予定に比べましてある程度おくれを見せておるということでございますけれども、一番大きな理由といたしましては、まずONUMOZの基本的な展開の目的であります武装解除等のスケジュールがおくれておるということでございまして、その武装解除を、例えば主力部隊であるイタリアとかあるいはその他の国の歩兵部隊の到着を待って行うということになっております関係上、その点が少しおくれておるということであろうかというふうに思います。
 具体的にどの程度のおくれかということについては、特定して申し上げるのは非常に困難でございますけれども、いろいろなプロセスがございますので、武装解除あるいは和平プロセスそのものあるいは選挙といったような、プロセスごとにおくれがさまざまでありまして、一概には申し上げられませんけれども、一カ月から数カ月くらいのおくれではないかというふうに考えております。
 今後のスケジュールでございますが、既に現地の方にイタリアの歩兵部隊、イタリアの旅団でございますけれども、到着をしたという情報もございます。このイタリアの旅団の到着を待ってその他の国の歩兵部隊も到着をするということになるものと思われまして、これから徐々におくれを取り戻していくのではないかというふうに思われます。選挙につきましては、委員御承知のとおり、本来、本年十月に行う予定でありましたけれども、全体のスケジュールのおくれといったこともあって、来年の雨季明けの六月ごろになるのではないかというふうに思われます。
○北側委員 官邸の方も、大使館がない、それで情報収集体制がどうなんだというようなお話も一時ございました。それで、現地の情勢についての情報収集体制、これは、人を出すわけですから非常に重要であると思います。この情報収集体制についてどのように確保されていかれるのか、御答弁をお願いします。
○山口説明員 お答えいたします。
 通常でございますと、モザンビークには大使館がございません、実館がございませんので、ジンバブエの大使館が大変な中で情報収集活動をやっているという事情にございます。通常ですと、できることといいますと、電話をかけて先方にいろいろ聞いたり、あるいはファクスを使ったりテレックスを使ったりということでやっているわけですが、時々は現地に行きまして、短期間滞在して、そこで各国の大使館の関係者等に会ったりあるいは政府関係者に会ったりして集中的に情報収集活動をするということで対応しております。
 それで、今回国連のモザンビーク活動への要員派遣に係る準備を開始するということが決定されましたものですから、外務省といたしましても、これまで以上に情報収集活動に力を入れるという見地から、現地に外務省の職員を派遣しまして、現地に常駐させて、そこで情報の収集、また今後起こるであろう要員の支援という業務に当たらせる、こういうことを検討しているところでございます。
○北側委員 協力本部の方は。
○萩政府委員 今お話がありましたように、モザンビーク大使館といいますか、そういった実館に近いものが設置されるということになりますれば、本部からも人員を新しい大使館のもとに差し出しをいたしまして、派遣された部隊の後方支援、日本との連絡、こういったものに万遺漏なきように努めたいというふうに思っております。
○北側委員 それでは、この輸送調整業務に仮に参加するといたしまして、参加人数をどの程度、今正確には決まっていないのでしょうけれども、どの程度の幅で予定をされておられるのか。それから、参加要員の問題ですけれども、当然、輸送調整というふうな業務の内容からいいまして、語学能力、少なくとも英語を話せる能力が必要かと思いますが、この参加要員をどうやって確保していくのか、御答弁をお願いいたします。
○秋山(昌)政府委員 まず人数でございますけれども、大体五十名程度の輸送調整に当たる要員候補者の選定ということで今作業を進めておりますが、この選定に当たりまして、輸送機関の調整、輸送手段の割り当てといったような内容からいたしまして、当然語学能力というものを我々も重視しておるところでございます。
 具体的に申し上げますと、派遣される部隊の隊長とかその職務上特に高い語学能力を必要とする要員につきましては、例えば米国留学経験者とか米軍との連絡調整業務に従事した経験者、さらには、自衛隊の中で専門的な英語教育課程をかなり優秀な成績で修了したといったような者等から選考いたしたいということで、今作業を進めているところでございます。また、これ以外の要員につきましても、この輸送調整業務の性格上語学能力というものがある程度必要だという考え方から、隊員の話学能力調査の結果なども見まして、職務遂行上、特に十分な語学能力を有する者を充てることとしたいと考えております。
 それから、もう一つつけ加えたい点は、さらにこのようにして選定した要員候補者に対しましては、短い期間ではございますけれども、派遣までの期間に語学教育も行いたい、かように考えております。
○北側委員 参加人数は。
○畠山政府委員 人事局長から最初に御答弁申し上げたと思いますけれども、現段階でまだ最終的に決まっておりませんが、おおむね五十名というラインで考えております。
○北側委員 それでは、派遣時期それから派遣期間、この見通しについて、簡単で結構でございますので御答弁をお願いします。
○萩政府委員 これも国連側との今後の調整いかんにかかわっているわけですが、冒頭先生の方からもお話がありましたように、予定よりも既におくれておるわけでございます。国連側の希望としては一日も早くという希望が強いわけでございますので、私どもといたしましても、なるべく早く、遅くとも五月末までには出したい、それも一日でも二日でも早く出られるようにこれから準備を鋭意進めたいというふうに思っております。
 それから、派遣期間でございますが、現在のところ国連において決議されておりますのは、一応十月三十一日までという決議がございます。ただ、先ほどお話がありましたように、全体がおくれておりまして、目標であります選挙、これも十月という予定が来年の六月ぐらいになりそうだという見通しが出ておりますので、その辺の変更があるかもしれませんが、さしあたりございます決議では十月三十一日までということになっております。
○北側委員 ONUMOZに参加するとした場合に、これも今後の検討課題なんですけれども、ONUMOZの司令部への要員派遣、自衛官派遣、それが連絡官という言葉であろうがなかろうが、この要員派遣について今どのように御検討されておられるのか。そして、仮に派遣するというふうに判断するならば、このPKF本体業務の凍結ということとの関係をどう考えているのか、この辺の御答弁をお願いいたします。
○萩政府委員 一部報道があるのですが、私どもは、今その準備が始まったばかりで、輸送調整部隊を、本隊をどうしようかという議論、準備に忙殺されておりますので、司令部要員がどうのというところまでまだ検討が進んでおりません。ただ、少なくともカンボジアでの経験から見ますと、司令部に何らかの形で要員がおりますれば、平和協力業務に際して大変便利であり、かつ効果的だということは事実でございます。したがって、今後どうするかにつきましては、私ども部内での検討、国連との調整ということを考えたいとは思っておりますが、現在何らかの具体的な方針が決まっておるわけではございません。
 したがいまして、法律上どういうことになるのかというところまで検討が進んでおりませんので確定的なことは申し上げられませんが、ただ一つ言えますことは、法律で凍結をされておりますのは、自衛隊の部隊が行う分野が凍結されているということでございますので、部隊に関する話ではございませんので、今後その辺のところの問題点を検討することになろうかというふうに思います。
○北側委員 今細々お聞きしましたが、まず、私のこのONUMOZへの要員派遣についての意見を言わせていただきたいのですけれども、私は、これを七点にちょっとまとめてみたのです。
 なぜONUMOZへ要員派遣を前向きに検討した方がよいのかという理由でございますけれども、まず第一点目に、参加五原則を満たしている、これは大前提でございます。二番目に、今の御答弁であったとおり、現地の情勢がよい、治安状況もおおむね安定している、これが二点目の理由。三点目に、輸送調整業務の内容ですね。比較的デスクワークが多い。現実に輸送はしないわけですから、内陸部に相当入っていくことは普通考えられないというふうな輸送調整業務の内容ですね。これが三点目です。四点目に、情報収集体制については、現地事務所等も設置していくのだということでございます。五点目に、国連からの要請、この輸送調整業務にぜひ参加してもらいたいという要請が非常に強いということ。六点目に、アフリカという地域は今後国際の平和、安定のために極めて重要な地域であると思います。特に、日本の場合、これまでアフリカとの関係が濃かったかといえば、そうではないと思いますので、そういう意味でアフリカ重視の姿勢をきちんと示していく必要がある、これが六点目ですね。七点目に、このような我が国の法律、PKOの参加五原則を満たしているような紛争地域もしくは紛争地域であった国、地域というのは非常に数が限られている。ですから、そういう限られたところにしっかりと参加できるならば前向きに検討すべきである。こうした七点ぐらいの理由から、私はONUMOZへの要員派遣はぜひ前向きに検討しなければいけないというふうに思うわけでございます。大臣、いかがですか。
○中山国務大臣 先生がいろいろ挙げられましたように、我が国と余りこれまで交流のなかった、利害関係の少ないアフリカ、しかも一万二千キロという大変遠い国であります。そういうところへヨーロッパの諸国ではない、アジアから日本が参加するということは大変な意義があると思いますし、我が国のこれからの国際社会の中での活動にとりましても大きな力になるのではないかというふうに思っております。
 一方、余りにも遠い、しかも今まで交流が少ないということで、大変情報が少ないわけであります。今御説明申し上げましたようなことも、調査団を派遣したり、いろいろな情報を集めておぼろげながらわかってきたという状況でありますし、さらに、こちらが要員を派遣するならば、もう一度調査団を派遣して、実際に行く者の身になって現地を見てくるということも必要だろうと思います。しかも、UNTACにしろONUMOZにしろ、多くの国々が集まってできている組織でありますから、そういう中での活動ということになりますと、やはり連絡調整ということが非常に大事になってくるのではないか、任務の遂行の上にも欠かすことができない問題ではないかというふうに思っているわけでございます。そういう意味で、これからもなお詳しく調査をしながら対処をしていきたいと思っております。
○北側委員 これくらいで終わりますけれども、これは私からのお願いですが、今回このONUMOZ参加、準備開始を閣議で決めるまで、必ずしも政府部内の連携というのがよくなかったわけですよね、というふうに外からは見えるわけなんです。報道等では不協和音があるかのごとき報道もされました。私はこうしたことがあってはならないと思うのですね。やはりPKOの活動というのは、今一番大切なことは国民の理解を得て行くということですから、そういう意味では政府部内で不協和音があるなんというのはとんでもない話だと私は思います。大臣、いかがですか、この点。
○中山国務大臣 報道などではいろいろおもしろおかしく報道されておりますけれども、私は最初からそういう感じはございませんでした。ただ、先ほど申し上げましたように、参加することの意義、それから参加することの困難さ、二つ大きな同じくらいのウエートの問題があった。それを、どちらをとるかということに非常に政府首脳としては御苦労をされたのではないだろうか。そういう意味で、調査団を派遣した。その派遣したことが参加をしないことだというようなことも言われましたが、私はその調査団を派遣したことが非常に正解だったと思っておりますし、政府の方は先ほどからお話がありました一つの国際貢献について、日本のあり方、今度のONUMOZへの参加、いろいろな要素を研究をされて最終的に決断をされたというふうに思っております。
○北側委員 質問を変えます。もう時間も余りございませんが、東アジアそれから東南アジア、この軍事情勢についてお聞きをいたします。
 ここ近年、この東アジア、東南アジアの軍事費が非常に増大しているというふうに言われております。ストックホルムの国際平和研究所の九二年版軍事年鑑によりますと、九一年の世界の通常兵器取引総額は前年よりトータルでは二五%減っているのだけれども、総額に占めるアジアの割合は三四%とトップで、中東を抜いて世界最大の兵器市場になっているというふうにされております。具体的にも、台湾ではアメリカからF16戦闘機を大量に購入したとか、またフランスからもミラージュ戦闘機を購入するとか、さらには中国についてもロシアから最新鋭戦闘機のスホーイ27を購入したとか、さらには海軍力も増強しているとか、またマレーシアにおいてもミグ29を購入した。インドネシアについてもホーク戦闘機を購入している。その他タイ、フィリピン、シンガポールにつきましても軍事費がかなり増額をしている、こうした情勢にあるわけでございます。こうした東アジア、東南アジアの軍備の増強を防衛庁がどう認識し、どう分析をしているのか。
 いろいろな理由が考えられると思うのです。例えば経済の発展というのが背景にあるのは当然だと思うのですけれども、単に兵器の老朽化によって装備を近代化しているのだ、近代国家としての防衛力を整備しているにすぎないという程度の認識なのか、または米軍の撤退によって防衛の自助努力を今やろうとしているのだという認識なのか。さらには、中国の南沙諸島への進出に対して警戒心を抱き軍備を増強しているというふうに理解するのか、軍拡とそもそも言えるものかどうか。この点の認識をお聞きをしたいと思います。またその分析もお願いいたします。
○高島(有)政府委員 お答えいたします。
 ただいま先生御指摘のとおり、アジア各国におきましては、それぞれ複雑なこの地域の情勢を背景にいたしまして、それぞれ国情に応じた国防力の充実を行ってきているという状況にございます。したがいまして、各国ごとの国防費の増加の理由については必ずしも明確でないところもございますが、一般的な背景として私どもが認識しておりますところをまず申し上げますと、一般的にアジア・太平洋の地域におきましては、その軍事情勢自体が地政学的特徴等からかなり複雑でございますし、また、そういう複雑な軍事情勢を背景にいたしまして、対立の図式とか安全保障観あるいは各国におきます脅威の認識といったものがかなり多様でございます。さらにこの地域には、朝鮮半島の問題とか、あるいは南沙諸島をめぐる未解決の問題といったような紛争要因も残されております。さらに、ただいま先生も御指摘になりましたように、この地域は一般的に見ますと経済的にかなり発展が著しい地域でございまして、そういう経済的な発展を踏まえて、各国とも国防に投資をする余力が出てきているという事情もあろうかと思います。そういう一般的な状況を背景にして、各国はそれぞれ国防費の増加、国防力の充実に努めてきているという状況であろうと思います。
 若干国別の事情に触れさせていただきますと、まず中国でございますけれども、中国は御承知のとおり四つの近代化の一つとして国防の近代化を挙げております。そういう中で、中国の江沢民総書記も最近、国防力を充実し中国の地位にふさわしい強大な軍隊の建設を重要施策としているということを明らかにいたしております。また韓国におきましては、その国防白書におきまして、北朝鮮との戦力格差解消のための戦力の近代化という点を指摘しております。ASEAN各国もそれぞれ、一般的には国内治安型の軍隊から逐次近代軍への脱皮を図るというのが背景にあるというふうに認識いたしております。
○北側委員 いずれにしましても、この東アジア、東南アジアにおきまして兵器の取引がふえておる、そして軍事費もふえておって、近代軍としての整備を進めているということなのですけれども、やはりここで大切なことは、こういう中で東アジアまた東南アジアの各国間の信頼醸成をいかにつくっていくのか、ここに日本がリーダーシップを発揮してやっていかねばならないと私は思うわけなのですね。信頼醸成のための枠組みをつくっていく努力を日本がリーダーシップを発揮してやらなければいけない。この地域においては軍備管理というのが非常に重要ではないのか、兵器等の移動についての情報収集とか交換とかをしっかり進めていかないといけないというふうに私は思うのです。例えばASEANの拡大外相会議とかアジア・太平洋経済協力閣僚会議とか、こういう場を使ってでも、偶発的な戦闘とか紛争を回避するための、危機回避のためのそういう枠組みをつくらないといけないというふうに思いますけれども、その点いかがでしょうか。
○小島説明員 お答え申し上げます。
 先生御案内のとおり、冷戦の終結に伴いまして、この地域におきましても緊張緩和に向けた好ましい動きが見られる一方で、先ほど防衛庁からございましたように、引き続き懸念すべき問題や不安定要因があるわけでございます。
 こういう情勢に対して私どもとしてどういうふうに対応していったらいいかという点でございますけれども、一つは、この地域の個々の紛争を解決する、こういう取り組みでございます。それともう一つは、先ほど先生の方から御指摘がございましたように、政策の透明性とかお互いの安心感を高める、そのための政治、安全保障対話、これが重要だということでございまして、私どもも従来からASEANの拡大外相会議、これが当面一番適当な場ではないかということを言ってきたわけでございまして、実際にも、昨年の七月でございますけれども、初めて政治、安全保障対話が行われたわけでございます。私どもといたしましては、引き続きこのASEAN拡大外相会議、こういう場で地域の政治問題あるいは安全保障問題、こういうものを積極的に議論をしていく、こういう方針をとってまいりたいと思っております。
○北側委員 最後に一点だけ、安全保障、輸出管理についてお聞きをいたします。
 大量破壊兵器等の拡散防止のために今欧米先進国がさまざまな枠組みをつくろうとしておる、輸出管理の強化をしておるわけですけれども、軍事用にも民生用にもなり得る汎用品の輸出規制がこういう拡散防止のためには非常に重要になってくる。この汎用品規制についてどのような検討をしているのか。特にこの汎用品規制の場合には判断基準の明確化とか客観化というのが非常に大事だと思います。どのような基準をお考えになっておられるのか、御答弁をお願いしたいと思います。
○細川説明員 お答え申し上げます。
 去る三月二十五日に産業構造審議会の安全保障貿易管理部会で、最近の国際情勢にかんがみまして、大量破壊兵器あるいはミサイルの拡散防止をするという観点から輸出管理の強化を意見答申いただいたわけでございます。
 幾つが御指摘いただいておりますが、その中で特に先生御指摘のようなさまざまな汎用品が、湾岸戦争後のイラクへの査察などによりまして、従来の国際合意に基づく輸出管理のみではなかなか大量破壊兵器の製造、開発を防止できないということにかんがみまして、広く国際合意によりまして規制が求められておる品目以外の品目につきましても輸出管理を行うべきである、かような答申をいただいたわけでございます。
 このような答申を受けまして、今後規制のあり方を検討していきたい、かように考えておるわけでございますが、その際、先生御指摘のように輸出者自身の負担ということもかんがみますれば、大量破壊兵器の開発、製造に用いられる可能性がある場合のみを規制対象にすべきであると考えておりまして、そのための客観的な基準というものをあらかじめ明示するということが今後規制を行うに当たって不可欠である、かように考えておりまして、今後具体的な基準づくりということについて鋭意検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○北側委員 終わります。
○志賀委員長 東中光雄君。
○東中委員 最初にカンボジアのことについてお伺いしたいのですが、四日の新聞によりますと、
  UNTACの発表によると、二日深夜、プノンペンの西北約七十キロのコンポンスプー州プレク村のブルガリア歩兵部隊の小隊駐屯地をポル・ポト派ゲリラ十数人が襲撃、ブルガリア兵六人が手りゅう弾などの攻撃で負傷した。
 ゲリラ側は手りゅう弾のほか迫撃砲、自動小銃で駐屯地の建物を攻撃。約二十人のブルガリア部隊も反撃して、一時ゲリラを撃退したが、ゲリラは三日未明、再度攻撃を開始し、激しい戦闘は午前四時ごろブルガリア大隊の支援部隊が到着するまで続いた。
 負傷者はヘリでプノンペンの病院に運ばれたが、途中、頭部に負傷した三人が死亡。残る三人も重傷。これは毎日新聞ですが、こういう報道があります。ポル・ポト派と思われる武装部隊とUNTACが攻撃、反撃、戦闘をやっているということになっておるわけですが、現在の状況はどうなっているか。
○萩政府委員 ただいまおっしゃられました四月二日から三日にかけてのコンポンスプー州におけるブルガリア大隊への武装集団による攻撃でございますが、これについてポル・ポト派、クメール・ルージュのSNCの代表は、自分たちではないということを強く表明をしております。今現在UNTACの方で調査中でございますが、まだ依然として結論が出ていない状況でございます。現地におきましていろいろな停戦違反が発生をしておりますが、必ずしもすべてだれがやったかということが明らかではないという状況でございます。
○東中委員 その記事は続いてこう書いています。「UNTACに対する襲撃は、先月二十七日のバングラデシュ部隊など過去一週間で三件発生。いずれもポル・ポト派によるものとみられている。当地の外交筋は総選挙実施に反対するポル・ポト派が、カンボジア政府軍からUNTAC攻撃へと戦術を転換したことに注目、緊張を高めている。」
 だから、UNTACに対しての攻撃が系統的になってきた。死者が既に四人になっているという状態なんですが、そういうことでそのUNTACに日本の自衛隊が参加をしているということで、攻撃を受けた場合は、現に起こっているわけですが、どういうことになるのか。施設部隊が部隊として六百人、防衛庁長官の指揮監督のもとに行っていることになっておるわけですが、依然としてそれでもその行動を続けるということになるのですか。
○畠山政府委員 仮定の御質問でございますので、すべての状況がどういうことになっているかということを踏まえて、その状況に応じた判断が当然あり得ると思いますが、仮に御設例のように施設部隊に対して攻撃があったというような場合であって非常に危険であるという場合で、なおかついとまがない場合におきましては、実施要領に定められておりますように、まず国際平和協力業務の自衛隊の部隊の長は、つまり現地の隊長でありますけれども、その業務を一時休止するという形をとりまして退避をするなど、部隊の安全を確保するための措置を実施するということに相なります。
 業務を一時休止した場合に、施設部隊の長は速やかに当該状況を防衛庁長官を通じて本部長へ報告をいたしまして、その報告を受けた防衛庁長官は本部長と協議した上で指示を発するという形でございまして、仮にそこで判断として業務を中断すべきだということになれば、そういう法律上の中断ということになるわけであります。したがって、まずは事実上の一時休止ということを実施要領に従って行う、こういうことでございます。
○東中委員 向こうが急に攻撃をしてくる。迫撃砲やら自動小銃やらというときに、それに応戦をした。二十人も参加してやった。それでも死傷者が出ている。そのときに、そういう場面に必ずなるとは限りませんけれども、そういうことが起こった場合には業務中断で何もせぬで逃げるというのですか。そういうことができるかどうかという問題があると思うのですが、最近の報道ではこの襲撃に関連して、「国連筋によると」という記事でありますが、UNTACは各部隊に対して、安全のため余り遠くに行かず陣地にとどまっているよう指示をした。UNTAC副司令官は、今回のブルガリア兵の場合、非常に近距離から撃たれたものらしいが、襲撃の際にはすぐさま反撃するように命じた、そういう報道があります。
 UNTACは、被害を少なくするために反撃せい、自衛の権利があるんだと明石さんも言っているようであります。日本はそういう危険な事態が発生したら業務を中断して――だって、宿営所におるときに攻撃してくるのですよ。業務中断も何もありゃせぬですから、休んでおるときですから。それで中断をして、法律によるとというようなこと、防衛庁長官、これで対応できるのですか。
○萩政府委員 業務の中断それから業務の一時休止というのは、先ほど答弁があったとおりでございますが、現地の部隊長が、みずからの判断でまず業務を一時休止して安全を確保するというのが第一段階。続きまして、東京と連絡がとれましたら、防衛庁長官の指示を仰いで業務の中断をするかどうかを判断するということになっております。これはあってはならないことであり、できるだけ避けるわけでありますけれども、国際平和協力法第二十四条第三項において、「国際平和協力業務に従事する自衛官は、自己又は自己と共に現場に所在する他の自衛隊員若しくは隊員の生命又は身体を防衛するためやむを得ない必要があると認める相当の理由がある場合には、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で」、「武器を使用することができる。」というふうに定められております。
○東中委員 これも報道ですが、UNTACの消息筋の報道として、一連のUNTAC兵への襲撃事件を受けてオーストラリア部隊は、UNTACが撤収を決定した際に備えて、どのように撤退、避難するかについて緊急計画を策定し始めたというふうに言っておりますし、明石代表は、「どこの国も、通常の警戒措置として、予想できない情勢に備えて計画を持っている」というふうに答えたという記事があります。だから、そんな法律に従って中断しなんて、夜中に寝ているときに襲撃を受けて業務を中断しなんというようなことを言っておったって、これはどうにもならぬわけですね。
 それで、正当防衛で武器を使わなくたって、ブルガリアの場合は、報道によると、武器をとりに行っておる間にばあっと襲撃されたというような記事もありますね。だから、およそカンボジアの今の状況というのは、戦闘行動がずっと大がかりになってきた。今度はUNTACに向けてやってくるようになってきたという状態で、しかも報道されるような、そういう撤退の準備ということまで、オーストラリアの場合はUNTACが撤収を決定した際に備えて準備しておくようにする。日本はUNTACの撤収計画とかじゃなしに隊長の判断でやる、こういうわけですからね、あるいはUNTACとは別にやるという体系になっているわけですから。これは容易ならぬ事態に来ているのではないかというふうに思うわけです。
 特に、自衛隊のいる地域で、日本の自衛隊工兵大隊が道路の補修作業を行っているカンポット省で一日夜から二日午後にかけてポル・ポト派軍二百ないし三百人が東部のダントンと周囲の村を無反動砲やロケット砲で攻撃した。さらに、国道十六号と三十四号を切断、三十四号道路は三日正午現在切断されたままになっている。フランスの歩兵大隊はこのダントン町の南西でポル・ポト軍と対峙しています。日本の自衛隊はこの省を中心に補修作業をやっているのだ。いよいよ人ごとじゃない状態になっているのですね。
 決断も大隊長に任しているのだ、しかも前提の戦闘行為がないとか受け入れ同意があったとか、五原則のうちの初めの三原則はもう事実上こういう事態にまで来ているのですからね。これで向こうに任じたままだということでいいのかどうか。私は本当に撤収すべきだ。UNTACに対する戦闘行為が、起こっているのですから、単発的に起こったりするのじゃないのですね。
 SNCのあの議論を見ても、とにかく大量虐殺行為をやっていると言って、ポル・ポト派をプノンペン政府の代表が非難をしているじゃありませんか、逮捕せいとまで言っているじゃないですか。そういう戦闘状態になっている。選挙はやらないと言っている。選挙をやるものに対して妨害する、実力で阻止するというような方向になっている。自衛隊は輸送任務まで今追加しましたね。いよいよその渦中に入っていくことになるじゃありませんか。防衛庁長官、今の事態でですよ。ただ遠いところのことやというわけにはいかぬじゃないか。PKO協力法には私たちは反対です。PKO協力法の反対したその内容にさえも今まさに違反した状態になっているというように思うのですが、防衛庁長官の意見をお伺いしたいと思います。防衛庁長官言ってください。それで終わりですから、次へ行きます。
○中山国務大臣 パリ協定の五原則また我が国のPKO法の五原則が崩れたらどうか、撤収すべきかどうかという大きな判断は、私は、UNTACというのは二十数年続いたカンボジアの内戦と流血から、五月に行われます選挙を通じて新しい民主的な国家をつくろうということに対して国際社会が暫定的な平和維持活動を行ってお助けをするということであろうと思います。そういうことで多少の混乱はありましても、選挙ができるかどうかということが一つの大きな目安になってくるのではないだろうか。選挙ができないような混乱が起きれば、もう当然UNTACの使命というものはなくなってしまうわけでありますから、これは当然撤収をすべきだろうと思いますし、それにつきましてはUNTACなり政府なりの上層部で判断をすることであろうと思います。
 先生が御心配をいただいております自衛隊員の生命あるいは危険というものにつきましては、先ほどから御説明申し上げておりますように、そういう危険な状況のときには、指揮官なり隊員なりの判断で一時緊急避難をするという実施要領が与えられております。そういうことでこれまでの事件を見ましても、UNTAC側は重大器などを携行してない、抵抗するにしても小火器を使ってやっと抵抗しているというような状況でもありますし、我が工兵部隊は道路や橋の補修ということで参加をしているわけでありますから、いち早く状況を判断して避難をする、一時退避をするということは可能であろうと思っております。そういうことを通じて大きな意味での撤退それから部分的な一時退避、そういうものをかみ合わせながら安全を期していきたいというふうに考えております。
○東中委員 二つだけ申し上げておきたいのですが、PKO協力法の建前は、紛争当事者の停戦合意と受け入れ同意と、それからその間の中立と、こういう三つが最初の原則となっておりますね。カンボジアにおける紛争当事者の一つがいわゆるポル・ポト派ですね。これは受け入れ同意しているかといったら、地域内に入れないのでしょう。そして、入れないどころか、今攻撃かけてきているのでしょう。それは、ポル・ポト派の代表がうちじゃないと言っているからといったって、世間のみんながポル・ポト派だと。だってUNTAC自身もそういうふうに見ているじゃありませんか。
 だから、紛争当事者が三原則に違反しているのですよ。そして、それが攻撃してくるかもしれないというときに、何かこう非常にのんきに構えているんじゃないかというふうに思います。これは本当に事が起こってからじゃだめなんです。それから、UNTAC自身がカンボジアの主権そのものについて、あるいはポル・ポト派に対して、これを認めるという姿勢をとってきたという経過の問題もあってこういう問題が起こっているんだということを私は指摘をして、とにかく法の建前からいっても撤収すべきだと。最終的には防衛庁長官の指揮監督でやることになっておるわけですから、そういう点でそのことを強く求めておきます。
 時間がなくなりますので、一点だけお伺いしたいのですが、AWACSですね。今度のAWACSは世界で初めての新型のAWACSを入れるということですね。E767は、E3の体制じゃなくて、警戒管制システムを搭載して、それ以上の新しい型ということをつくっていくわけですが、防衛庁はこれについて交渉の経過で、防衛庁において米側の支援も得て、さまざまな航空機の取得可能性及び妥当性について調査検討を実施して、その結果、要求性能を満たす最適機種としてB767改造型のE767を選定した、こういうふうになっていますね。
 要求性能ということでありますが、四点ほど挙げておられるようだけれども、まず聞きたいのですが、国土から離れた洋上での常続的な早期警戒監視を実施する、遠距離で長時間哨戒し得る能力があるということを第一に挙げていますね。国土から離れた洋上、遠距離で長時間哨戒し作戦をするということになるわけですが、どれぐらい離れたとの地域、いわゆるシーレーン一千海里全体の地域ということなのか。それから、長時間哨戒し得るという、その長時間というのはどういう程度のことを言われておるのか、お伺いしたいと思います。
○畠山政府委員 国土から離れた洋上での常続的な早期警戒監視を実施するために、速度が速くて遠距離かつ長時間哨戒し得る能力と、御指摘のとおりのことを考えて一つの要求性能として掲げてあるわけであります。具体的にどの程度進出できてという点につきましては、これは答弁を差し控えさせていただきますが、いずれにしても数百海里というオーダーの話であります。高度が三万フィートといたしますと、おおむね時間としては八時間の哨戒ということを想定しているわけであります。
○東中委員 長時間哨戒の長時間は。
○畠山政府委員 ただいま申し上げましたように、八時間の哨戒を想定しているということでございます。
○東中委員 数百海里といっても、二、三百海里も数百海里なら五、六百も七、八百も数百海里かもしれませんが、要するに一千海里シーレーン全体を覆っていくということでしょう。数百海里といったら、日本海の方はもう向こう側に入ってしまいますからね。そういうことになる。
 そういうところで、しかも洋上において多数の要撃機等を管制し得る能力を持っている。ここで言っている多数の要撃機といったら、F15戦闘部隊でしょうね。それを管制し得るということですか。シーレーン防衛でそこで作戦をやるということを想定したものに結局なるということですね。
○畠山政府委員 その想定されている内容と私どもの考えております必要性との間に若干ギャップがあるように思いますので、私の方からちょっと体系的に説明をさせていただきますと、このAWACSといいますのは、実は航空軍事技術の向上が著しい中で、周辺諸国あるいは世界全体の航空機のまず航続距離が延びたということが一つございます。そしてまた、それに搭載する空対地ミサイルの射程距離が延びたということがございます。したがいまして、これまでとは違って洋上はるか離れたところから、我が国から離れたところから、いわゆるスタンドオフ攻撃として我が国の例えば重要都市をねらってくるという攻撃が可能になったというのが一般的傾向であります。そうなりますと、我が国土を守るために我々としては早くからそういう情報をキャッチする必要があるというのが第一点です。
 しかもなお、洋上離れたところでの対応になりますから、洋上においてそれみずからが管制能力を持つ必要がある。その管制の対象としてF15があるということは事実でありますけれども、それはあくまでも我が国土の洋上離れたところからの攻撃を避けるためにそういう運用が考えられる、あるいは必要になる、こういうことでございます。
○東中委員 時間ですから、最後に一つだけ聞いておきたいのですが、このAWACSの導入が問題になり始めたのは八五年ですね。中曽根内閣の加藤防衛庁長官の時代のワインバーガーからの要請といいますか、イージス艦とAWACSが問題になってきた。それまではE2Cでいいんだということだったわけですね。AWACSは必要ないと言ったのです。この八五年で問題になったときには、いわゆるソ連脅威論があって、バックファイアが盛んに、もう具体的に出されましたね。国会答弁でもどんどん出ていますよ。バックファイアの飛行距離が長距離になった。これはミサイルを撃ってくる。それに対するAWACSなんですよ。それに対するイージス艦なんです。でしょう。抽象的な話じゃないのです。時代が進むに従ってどうこうと言うけれども、バックファイアが問題になって具体的に進んだのです。
 ところが、そのソ連は、この間の防衛庁長官の所信演説でも、もう冷戦は名実ともに終結してソ連は解体してしまって、事態はごろっと変わっているわけでしょう。だから、何を今さらAWACS買って、しかも新型の、E3じゃなくて非常に高い、そういうことをやるのか。これはもう全然情勢と違うし、連続性もなければ、ただ向こうから要求されたからやっているというふうにしか思えないのです。抽象的な防衛局長の説明は、具体的にはバックファイアだというふうに聞けば、それは余りにも架空の議論じゃないか。こういうものは入れるべきではないということを私は申し上げておきたいと思います。もし何か所見がありましたら聞かせてください。
○畠山政府委員 E2Cの導入の当時は、主として低空侵入に対します地上レーダーの覆域の限界を補完するという必要性を念頭に置いていたものでありますけれども、これは特定の航空機の出現に対処するものではなくて、あくまで当時の一般的な航空軍事技術の進歩に対応して有効な早期警戒監視の体制を維持することに資するためにその整備を行っているということでありまして、バックファイアが五十四年当時配備されたといっても、それは今日のAWACSによる対処が必要とされるような一般的な航空軍事技術の進歩があるというような認識に至らなかったということでございます。基本的には、当然ながら防衛力整備といいますのは、それぞれの時点におきまして一般的な航空軍事技術の進歩に対応しつつ、費用対効果等の観点も踏まえまして、有効かつ適切な整備を図るということで進めてまいってきているところでございまして、現段階では、先ほど来申し上げているような航空軍事技術の進歩を踏まえてAWACSが必要となったという判断をしたということでございます。
○東中委員 終わります。
○志賀委員長 神田原君。
○神田委員 時間が限られておりますので、ごく区切った質問をいたしますが、まず、防衛庁が六本木から市ケ谷に移転をするという計画の中で幾つかの問題点があります。
 一つは、この移転計画作成に当たって、首都防衛機能のあり方の問題でありますが、どのような検討を行ったのかということであります。とりわけ都心から普通科連隊を大宮に移すというような問題について、どういう認識のもとにこのような決定をなさったのかということをお聞きをしたいと思います。
 関東大震災でもかなり多数の、四個師団程度の軍隊を東京都に派遣をしていろいろな防衛政策に当たったわけでありますけれども、虐殺のような事件が起こりました。このような点から、首都防衛を機動隊だけに任せていいという判断なのかどうか、その辺も含めて御答弁をお願いします。
○畠山政府委員 防衛庁本庁舎移転計画につきましての御質問でございますが、首都防衛あるいは災害発生時におきます対処といった点につきましても防衛庁としては当然ながら検討の工作成したところでございます。
 市ケ谷に所在します第三十二普通科連隊は、市ヶ谷地区が狭隘でありますために現在でも訓練等の不便が生じておりまして、この計画に伴って檜町地区に所在します施設を市ケ谷地区に移転させることとなればさらに同連隊の訓練環境は著しく損なわれることになりますために、同連隊を首都近傍の大宮地区に移転させるということにしているものでございます。都心近傍にはこのほか練馬、朝霞地区等にも普通科連隊、施設部隊等が所在をいたしておりまして、大規模な災害発生時等におきましてはこれらの部隊により対処するという考えでございます。
○神田委員 これだけやっておりますと時間がありませんから、私どもは、首都防衛の機能のあり方については非常に問題であるという点を強く指摘をしておきたいと思います。
 それから、市ケ谷地区には東京裁判の舞台にもなりました一号館がございます。これは、戦前は陸軍士官学校、戦時中は大本営陸軍部、陸軍省、参謀本部などが置かれていた歴史的な記念建物であります。これを跡形もなくつぶしてしまうというような計画でございますが、どこの国でもこういう歴史的なものについては保存をしております。アメリカの戦艦アリゾナ、ドイツのニュルンベルク国際軍事裁判法廷などがそうでありますし、また日本でも、民間の生命保険会社第一生命が、マッカーサー司令部が置かれていた第一生命館を保存している、こういうことでありますが、防衛庁はどういう考えてこの一号館をつぶしてしまうお考えになっているのでありましょうか。
 このことにつきましては、「市ケ谷台一号館の保存を求める会」という会がございまして、この会長さんの方からも熱心に防衛庁長官等に対しまして働きかけ、あるいは防衛庁の態度に疑問の声が寄せられておりますけれども、どういう検討でこういうことになったのかお聞かせをいただきたいと思うのであります。
○三井(康有)政府委員 お答え申し上げます。
 防衛庁といたしましては、十分な調査検討を行いました上で、昭和六十二年の八月に防衛庁本庁庁舎等移転計画を決定し、防衛中枢を檜町地区から市ケ谷地区に移転させることとしたわけでございます。その過程におきまして、市ケ谷地区の一号館につきましては過去いろいろな使われ方をした建物であるということ、すなわち戦前は陸軍士官学校あるいは陸軍省等が所在し、戦後は東京裁判の法廷が置かれたなどの経緯があるということも踏まえまして種々検討を重ねたところでございます。しかしながら、移転先の市ケ谷地区におきましては、都内の限られた敷地を有効に活用し、防衛庁の中央組織にとって必要な機能が十分に発揮できるように各種の機関の建物を効率よく配置する必要があることから、敷地の中央部に所在し、床面積が約二万六千平米にもなる大規模な建物である一号館を残置したままでは本移転計画を進めることはできないという結論に至ったものでございます。
 なお、先ほども申し上げましたとおり、御指摘の一号館が過去いろいろな使われ方をしたということは十分承知しているところでございます。しかしながら、防衛庁といたしましては、そのような歴史的事実は十分わきまえてはおりますけれども、そのような事実認識を超えて、これに何らかの歴史的評価を下したり、一号館についての歴史的価値を判断する立場にはないわけでございます。なお、文化庁によりますと、文化財的な観点からも市ケ谷一号館は保存すべきものとして高い価値があるものではないとのことでございまして、その旨は過去国会答弁でも明らかにされているところと承知いたしております。
 それから、最後に、先ほどアリゾナの話とかニュルンベルク裁判所あるいはGHQ司令部の保存等について言及がございましたが、防衛庁としてはその詳細を承知する立場にはないわけでございますけれども、しかしながら、ニュルンベルク裁判につきましては、もともとドイツの裁判所であったところで行われましたために、市ケ谷の一号館とは異なりまして、当時の法廷がほぼそのまま残っておる、さらに建物自体も堅牢な石づくりでありますために現在も裁判所として使用されているというふうに聞いておりますが、ドイツ政府は何らか特定の目的のもとに、後世までこれを保存しようとしているのかどうかといったことについては承知しておりません。また、GHQ司令部につきましては、その建物全体を保存しようとしているものではないと聞いておりますが、いずれにいたしましても、市ケ谷の一号館と申しますと、これと比較にならないけた外れに大きな建物であるということを申し添えさせていただきたいと思います。
○神田委員 文化庁が文化財的な価値がないと、これは考え方がちょっとおかしいのですね。我々は、建物が古いとか歴史的であるとか、ですからそれを残せということを言っているわけじゃないのであります。この一号館が果たしてきた役割といいますか、いろいろ果たしてきた事柄が非常に大事な存在だから、これはやはりきちんと残すべきではないか。大変大きくて計画が機能的に残せないというふうな話でありますけれども、それならば、いろいろあります国有地の方を取り払えば十二分にその価値があるわけでありますので、この一号館を残す。保存を求めている人たちが非常に熱心に言っておりますことは、まさにそういう中でこの建物を残していくところにおいて、日本のいろいろな意味での文化的といいますか、歴史的といいますか、そういう価値が出てくるんだというふうに私は考えておりますので、防衛庁長官にお尋ねをいたしますが、いかがでございますか。
○中山国務大臣 先生がおっしゃいますように、あの建物は歴史的ないろいろな事件が起こった記念すべき建物であることは間違いございません。文化庁の判断がいずれにいたしましても、防衛庁としてもできるだけそういう歴史というものは保存し、後世に伝えていくべきものということで、今回の計画の中でも熱心に検討をしたわけでありますが、ただいまお答えを申し上げましたように、あの大きな建物をそのまま残しておくということは技術的に非常に困難である。ただ、その遺跡といいますか、事実といいますか、そういうものを何らかの形で後世に伝えるべく、いろいろな展示品あるいは記念館というようなものをつくって、そういうものの歴史をとどめていきたいということで、今鋭意努力をしているところでございます。
○神田委員 歴史的には記念館とかいろいろ発想があるようでありますが、私はあの一号館そのものを残すということ、これは非常に意義のあることだというふうに考えております。いろいろ検討したと言われておりますが、どのような検討をなされたのか、もう少し詳しくお伝えをいただけますか。
○三井(康有)政府委員 防衛庁といたしましては、先ほども御答弁申し上げましたように、この一号館についての歴史的価値を判断する立場にはないわけでございますけれども、防衛中枢の市ヶ谷移転と一号館の保存とが両立てきる問題であれば、防衛庁としても、もとより移転計画におきまして一号館を保存したいという意向は持っていたわけでございます。しかしながら、土地の状況でございますとか、建てなければならない建物の所要面積でございますとか、各種の建築基準法を初めとする法規制といったようなことを慎重に検討いたしました結果、両者は両立てきる問題ではないということが明確になったわけでございます。つまり、市ケ谷移転をとるのか一号館保存をとるのか、どちらか一方しかとれないということが判明したわけでございまして、市ケ谷移転をとれば一号館は保存できない、一号館保存をとれば移転はできないということが明らかになったわけでございます。その判断におきまして、防衛庁といたしましては移転を優先させたということでございまして、つまり、一号館保存のために防衛庁移転計画を犠牲にすることはできないと考えた次第でございます。これは防衛庁としての政策判断、価値判断であるわけでございます。
○神田委員 私は、それはちょっと違うと思うのですね。どっちも両立ができないから政策的判断で一号館は取りつぶすのだという言い方をしましたけれども、そんなことはないと思います。それはいかようにでも考えてやればできる問題でありますから、どっちがだめだからこうだ、それが防衛庁の政策だというような、そういう言い方は少し言い過ぎではないかというふうに思っております。
 いずれにしましても、私どもは、強くこの一号館を保存すべきであるというふうに考えて今後ともやっていきたいと思っております。再度大臣のお考えをお述べをいただきたいと思います。
○中山国務大臣 先ほど来お答え申し上げておりますように、この保存についても鋭意検討をいたしましたが、御承知のように市ケ谷のあの狭い台の上に乗っている大きな建物でありますし、これから移転をしていこうとする防衛庁の新しい建物もかなり大きなものになるということでございまして、その新しい施設の機能を十分に発揮をさせ、移転の目的を達成するためにも、どうしても残念ながら一号館は取り壊さざるを得ないという結論に達したわけでございまして、先生がおっしゃっているような歴史的な建物、あるいは歴史そのものの保存というものについて、これからもできるだけの努力をしていきたいというふうに考えているところでございます。
○神田委員 私どもは、この移転計画そのものに大変問題があるというふうに考えております。防衛庁が六本木の地下中央指揮所、これを昭和五十六年から五十九年まで四年かけて建設をして、しかも機材を整備いたしました。そのわずか三年後に移転計画が決定されたわけであります。しかも移転計画の中で、その建物の様式は何か十八階だか十九階建ての高層建築だ、防衛庁の指揮所がそういう高層建築で果たしていいのかどうかという問題もありますし、そういうところから、国防の要請に基づくものではなくて、非常に地価高騰が続く中で政治家の利権が動いたのではないか、そういう疑惑が指摘をされております。この点につきまして、防衛庁はどういう御認識でありますか。
○三井(康有)政府委員 お答え申し上げます。
 防衛中枢の市ケ谷地区への移転計画は、現在防衛本庁等が所在しております檜町地区周辺、これはいわゆる六本木地区と言われるところでございますが、ここが商業地化が著しく進みましたために、商業ビルの高層化等によります警備あるいは通信といった面での影響等が増大いたしまして、このため、防衛中枢が所在する場所としては適切ではなくなってきたことによるものでございます。また、国有財産の有効利用の観点からも、この地区の活用を考えました場合に、防衛中枢を置くよりも、その位置、環境等にふさわしい他の用途に利用することが適当であると考えられたわけでございます。
 防衛庁といたしましては、こうした状況を踏まえまして、あくまで自主的に、防衛庁本庁庁舎等移転計画を決定し、防衛中枢を檜町地区から市ケ谷地区に移転し、これに伴い、首都及びその近郊の防衛施設の再配置を図ることとしたものでございまして、政治家の関与といった御指摘のような事実はございません。
 また、防衛庁といたしましては、防衛本庁等が市ケ谷地区に移転した後の檜町地区の跡地につきましては用途廃止をすることといたしております。この跡地の利用計画につきましては、大蔵省において行う事項でございますので防衛庁としてお答えする立場にございませんが、移転計画の進捗状況等を見ながら厳正に検討されるものと聞いております。
○神田委員 もう少し具体的にお伺いしますが、本来防衛庁は地元業者発注主義をとっておったということでございますが、この市ケ谷移転に関連する事業はゼネコン業者に発注したと言われておりますが、これは事実でしょうか。事実であれば、その理由はどういうことなのか、お答えいただきたいと思います。
○黒岩政府委員 お答えいたします。
 市ケ谷地区におきましては、現在、庁舎二棟の一部につきまして、建築工事をいわゆる大手建設業者五社から構成されます建設企業体と契約しておりまして、平成四年三月二十七日からの工期で工事を実施しておるところでございます。この工事は、九階建て、八階建ての庁舎二棟の地下部分を建設する工事でございまして、契約金額約五十七億二千万円でございます。
○神田委員 私どもの調査では、市ケ谷移転にかかわる建設業者の選定に関しまして、金丸元自民党副総裁の生原秘書が関与し、コミッションを取っていた疑いがある、こういうことが言われております。防衛庁はこの点を確認しておりますか、御承知でありますか。
○黒岩政府委員 防衛施設庁におきましては、工事の信頼性と入札における競争性を確保するために、原則として指名競争入札を採用しておるところでございますが、指名業者の選定に当たりましては、特に合議制の指名選定委員会を設けるとか、指名業者の公表をするというようなことによりまして、その公正さを十分確保しておりまして、外部からの介入によって厳正かつ公正な入札契約事務がゆがめられるということはあり得ないと考えております。
 また、御指摘のような事実はございません。
○神田委員 もし防衛庁のこういう事業に政治家が関与しているというようなことであれば、大変重要な問題でありますから、委員長の方にお願いしまして、この移転計画の契約についての詳細を委員会の方に資料として提出をしていただきたいと思いますが、いかがですか。
○志賀委員長 理事会で協議をいたしまして、お答えをさせていただきたいと存じます。
○神田委員 それから、法務省にお伺いをいたします。
 今の質問のように、防衛庁の市ケ谷移転決定から事業の実施に至る段階、すなわち昭和六十一年から六十四年にかけて、大物の政治家が関与したりコミッションを取っていた疑いがあると言われております。具体的には金丸不正蓄財問題に関係している可能性が強いと考えておりますが、検察当局はこの点を承知しておるでしょうか。また、今後この問題を積極的に捜査をしていくように要請したいと思いますが、法務省の見解をお聞きしたいと思います。
○鶴田説明員 お答えいたします。
 検察当局が具体的な事件あるいは具体的事件の捜査の過程でいかなる事実関係を把握しているかといった事柄につきましては、捜査の内容そのものになりますので、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。
 また、検察が今後どのように捜査するかといった事柄も検察当局が判断すべき事柄で、法務当局から具体的にあれこれ申すべき事柄ではないわけでございます。ただ、一般論として申し上げますれば、もし刑事事件として取り上げるべきものがあれば適正に対処する、こういうことだと思います。
○神田委員 それでは、大臣に一点お伺いします。
 またこの市ケ谷一号館の問題でありますが、この市ケ谷一号館に対する保存問題に対しまして、保存の考え方について、それから保存運動について二つの文書を防衛庁から出されておりますが、これはどういう性格の文書なのか、どういうところに配付をしたのか、説明をいただきたいと思います。
○三井(康有)政府委員 御指摘の資料は、ごらんいただければ一目瞭然なわけでございますけれども、防衛庁の本庁庁舎等移転計画に基づきまして防衛庁の中央組織の市ケ谷地区への移転を進めるに当たって、この地区に所在する一号館の取り扱いについての防衛庁の考え方を整理した文書でございます。すなわち、防衛庁といたしましては、一号館の取り扱いについて慎重に検討しました結果、防衛庁の中央組織を市ケ谷地区に移転させるためには一号館の取り壊しを図らざるを得ないために、本移転計画を円滑に推進するとの観点から、その理由を必要に応じ適宜当該資料を用いて説明してきているところでございます。
 どの範囲に配付しているのかということでございますけれども、この文書は、一号館の取り扱いの問題について防衛庁として配付するのが適当であると判断した、主として国会議員の方々に配付いたしましたが、具体的にだれだれに配付したかにつきましては、相手方との関係もございますので、個々具体的に申し述べることは差し控えさせていただきたいと存じます。
○神田委員 これも非常に中途半端で、しかも自民党の防衛庁の一号館保存に賛成をする人とかあるいは自民党の国会議員とか、そういう中途半端な配付の仕方をしている。これは防衛庁の公文書なのかどうか。また、請願に対しまして、一つの請願権を阻止するような動きになっているというふうに考えておりまして、私どもは非常に問題だと思っております。
 この一号館の取り壊しの件につきましては、やはりこの保存会の人たちが言っておりますように、「国防の基本方針」や「自衛官の心がまえ」等々に反する行為でもあるという指摘もございますし、そういう意味では、どうかひとつさらに防衛庁長官の慎重な検討をお願いしたいと思っております。この移転計画そのものがやはり非常に大きな問題を残しているというふうに私は考えておりまして、もう少しそういうことも含めて、これでは全体的なスムーズな移行ができないのではないかと思っておりますが、本日は時間がありませんから、以上御指摘をしておくにとどめまして、後日またいろいろと御質問をしたいと思います。
 終わります。
○志賀委員長 中谷元君。
○中谷委員 まず、今後の我が国における国際貢献の姿勢についてお伺いをさせていただきます。
 ことしの初めですけれども、矢で撃たれたカモをめぐる騒動がございました。このいわゆる矢ガモ報道では、矢で撃たれたカモを早く助けてやれと世論は沸き、区役所の職員や上野動物園の人なんかも懸命の援助、努力をしたわけでありますが、私は日本人として、このカモを救う気持ちと、ソマリアやユーゴで弾に撃たれて飢えている人を助ける気持ちとは、本質的には生きるものへの思いやりという点では同じことであると思います。カモの方はめでたく救われたわけでありますが、同じ世界に生きていながら、傷つき飢えている人に対しては、現在の憲法下におけるPKO法では日本としての援助活動を行うことができない状態にあるんじゃないか。日本では、平和憲法でありますけれども、憲法がいわゆる足かせになってほかの国における人道上の救援活動が行われない状況にあるんじゃないかと思いまして、私は、日本人にはもっと人類に対する愛とか博愛精神が必要であって、この精神がなければ今後国際社会の中では生きていくことはできないというふうに思うわけであります。
 今、世界の安全保障に対する考えが大変急速に転換をしております。ことしになってソマリアにおいてアメリカ軍が、アメリカ史上初めてアメリカの大統領ではなくて国連の事務総長のもとに米軍を運用するということを決断いたしました。アメリカ自身もこれまでの世界や国連に対する考え方を転換しているわけでありますが、一方、国連自身も今大変考え方を変えようとしているわけであります。
 私はことしの初め超党派で国連本部に行ってきたわけでありまして、各国の国連大使の考え方を聞いてきましたけれども、共通して言えることは、各国とも国連の今後の地位や重要性を増していこうという点では一致しております。また、日本の常任理事国入りについても、ある国は国連憲章を一つでもいじればパンドラの箱をあけたようなもので大変な混乱があるというふうに言われていましたけれども、基本的には各国とも日本の常任理事国入りは、国連五十周年に向けて国連の機構改革をこれから進めていこうという点で一致していたわけであります。そういう点で、先日ガリ事務総長が日本に来日され、みずからの構想であります「平和への課題」について日本の首相とも意見交換をしたわけでありますが、総理は日本は憲法の範囲内で貢献していくという姿勢を堅持、表明したわけでありますが、今後こういった国連の活動について、今のPKOのいわゆる五原則の範囲のみで協力をしていくつもりであるのかどうか、その点について御意見を聞かせていただきたいと思います。
○神余説明員 お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおり、冷戦終えん後の国際情勢につきましては急激な変化を遂げておるという認識を我々も持っておりまして、これに対応して、国連を中心とする国際社会の平和と安全を求める努力のあり方ということについても、現在国連等を中心に模索が行われているというふうに承知をしております。御指摘のガリ構想につきましては、こうした文脈の中で提起をされました新しいアイデアの一つと考えておりますけれども、その提言の一部のものについては伝統的な国連平和維持活動とは異なる考えに根差すものもございまして、国連が新たにそのような役割を果たすということについては、国連加盟国の間でもう少し議論を尽くす必要があるのではないかというふうに考えております。そういう意味で、政府としましては、これらの考え方について引き続き検討すべき問題であるというふうなことを申し上げてきている次第であります。
 しかしながら、国連の活動に対する人的な協力という側面につきましては、国際平和協力法等の現行法にも定められておりますとおり、既存の国内法上の法的な枠組みを前提とせざるを得ないと考えておりますけれども、その前提のもとで我が国の参加の可否については積極的に検討していきたいというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、御指摘のありましたような日本の国際貢献のあり方につきましては、国際社会の責任ある一員としていかなる貢献をなすべきかについて今後とも真剣に考えていくことが必要であると考えておりまして、今後さまざまな場で建設的な議論が行われることを期待しております。
○中谷委員 そこで、防衛庁長官にお尋ねしますけれども、防衛庁長官は午前中の質疑の中で、我が国の国連軍への参加問題につきまして、国連の問題については深く研究はしていないが、現行憲法上不可能ではないかなと考えているというような発言をされましたが、その真意について御説明をお願いします。
○中山国務大臣 午前中の斉藤委員の御質問に対しまして私がちょっと舌足らずだったと思いますので、一言真意を申し上げてみたいと思います。
 私が申し上げましたのは、まず現行の国際平和協力法の中では国連憲章の第七章に基づく国連軍への参加はできないということでございます。
 もう一つは、私も勉強不足と申し上げましたが、国連憲章第七章に基づく国連軍がどういう性格のものか、またそういう国連軍が将来世界の情勢、また世界の世論が醸成されまして、そういうものができたときに我が国がどうするかというようなことをまだ余り勉強していなかったと申し上げたわけでございますが、今そういうことがあるかどうかまだはっきりしておりませんし、またあるとしても、今そういうことがあるとしたらということを検討中でございます。また、そういうものが本当にでき上がったときに、自衛隊を参加させるかどうかということについては憲法上問題が残るというようなことを申し上げたわけであります。したがいまして、将来、国連憲章第七章に基づく国連軍ができ上がった場合、現実としてその中で我が国として対処をしていく具体的な判断を行うべきものというふうに考えておる、そういうのが真意でございます。
 まだ足りないような感じもしますが、よろしくお願い申し上げます。
○中谷委員 国連軍は将来の問題といたしましても、現在ソマリアで行われております平和維持部隊、平和執行部隊については現実のものとなっていまして、我が国がどうするかということも考えておかなければならないわけでありますけれども、憲法の前文を読んでみますと、日本は自国のことのみに専念をするのではなく他国を無視してはならない、また、我々は平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようとしている国際社会の中で名誉ある地位を占めたいと思うと明確に書かれているわけであります。
 また、九条の問題におきましても、先日テレビを見ておりますと、当時のGHQのケーディス氏が、憲法九条を起案中に、自衛の軍隊をも禁止したマッカーサー・ノートから今の憲法の文章に変更する過程で、自衛のための戦力及び国連活動に参加する可能性を残すための修正が行われたと証言していました。これは憲法をつくった人の証言としては極めて重要な意味を持つものでありますが、小沢調査会の答申でも言っておりますように、武力行使に関する九条の規定の中に国連への協力が読み込めるということは、これまで国会の議論では米ソ冷戦の状況でありましたから議論されなかった空白の部分であり、もう一度よく憲法を読んでみると、国家としての意思の働かない国連の平和維持活動には日本も参加することができ、たとえ武力行使を伴う場合でも、今後、国際社会はガリ構想や集団的安全保障の方向に向かった場合は、国連事務総長のもとで完全な形での平和維持活動への参加は国連軍も含めて可能であると解釈できないかと思いますけれども、もう一度この点について長官のお考えを聞かしていただきたいと思います。
○神余説明員 先生御指摘のソマリア等におきます最近の動きを見ていますと、確かに国連の平和のための活動が大変変わってきておる、深化をしておるということは否めない事実であろうというふうに思いますし、ソマリアにおきましても、委員御指摘のありましたような形で新しい国連の活動が設置をされるということになったわけでございますが、そういう意味で、ブトロス・ガリ事務総長が言っております平和執行部隊と全く同じものができたということかどうかにつきましては、これは検討を要するわけでございますが、その要素を含むものができたというふうには解釈されようかと思っております。
 それで、御指摘の点でございますけれども、国連憲章七章に基づく国連軍、将来そういうものができた場合の国連軍への我が国の関与の仕方、参加の仕方の態様については、先ほど防衛庁長官からも御答弁がありましたように、現在研究中でございまして、結果を今明確に申し上げる段階にはございません。
 繰り返しになりますけれども、従来から我が国の憲法の解釈として、集団的な自衛権を行使をすることは、憲法第九条のもとで許容されています我が国を防衛するために必要な最小限の範囲を超えるものであって、憲法上許されないということを国会等において説明してきておるところでございますけれども、その任務が我が国を防衛するものとは言えない国連憲章第七章に基づく国連軍に自衛隊を参加させることについては、憲法上問題が残るところである。しかしながら、このような国連軍はいまだ設けられたことはありませんし、また、その基礎となっております第四十三条の特別協定についてもどのような内容になるか不明でありまして、国際情勢も近年急速に変化をしつつあるということでございます。したがいまして、結論的に申し上げますと、将来国連憲章第七章に基づく国連軍の編成が現実の問題となった場合に、その時点で、以上に述べましたようなことを総合いたしまして具体的に判断をすべきというふうに考えております。
○中谷委員 この問題は憲法の問題でありますから、今後とも国民との間で議論をしていかなければならない問題であると思います。
 次に、カンボジアの教訓についてでありますけれども、カンボジアでは、六カ月に及ぶ前期のPKOの任務が終了し、交代要員が派遣をされたわけでありますが、前期の活動を通じていろいろと教訓や問題点も発生しているのじゃないかと思います。特に、UNTACのチームとしての活動、もう一面は、日本国政府やPKO部隊が立てた業務命令との兼ね合いで、現場での判断が運輸とか医療とかそういう面で滞ったというケースもあったと聞いておりますし、また、PKO監視団として幹部自衛官が奥地で他国の軍人とともに停戦監視に当たったわけでありますが、非常に精神的にも体力的にも苦労が多いというような中でいろいろな教訓も生まれたことと思いますけれども、今後の議論の材料としてどのような点が教訓として今上がっているのか、簡単に御説明いただきたいと思います。
○萩政府委員 まず、私どもの方から個人派遣の要員の面について教訓といったものを御説明させていただきたいと思います。
 停戦監視要員でございますが、停戦監視要員は、先生がおっしゃいましたように個人派遣ということで、一人ないし二人ずつでカンボジア全土に散らばって、他国の隊員とチームを組んで生活をともにしたわけでございます。したがいまして、部隊とはまた違った苦労があったろうということで、帰国をしました八人の隊員からいろいろな話を聞きました。
 基本的に、業務の方は一言で言って、国境なりあるいはカントンメントというところにおいて停戦監視の業務をするわけでございますが、気候が大変日本と違うところでございますのでそれなりに苦労があったかと思いますが、飲料水という水の問題がやはり大きな問題であったようでございます。ただ、私どもといたしましては、UNTACを通じて最大限の支援をいたしましておおむね所要の飲料水は確保できたかと思いますが、個人派遣の場合は、今後ともどうやって優良な飲料水を確保するかということに配慮するのが大変重要であろうか、こういうふうに思っております。
 それで、停戦監視要員のいろいろな苦労話で、やはり重きを置きますのは、語学の問題が一番大きかったようでございます。停戦監視要員は幹部自衛官でございますから、基本的にそこそこの英語能力は有しておるわけでございますけれども、実際の任務で各国のいろいろな種類の英語とぶつかるということで、なれるまでは随分苦労があったということを聞いております。今後ともこのPKOに参加することが多々あろうかと思いますので、将来的にわたって語学教育というものが大変重要になってくるのではないかというふうに考えております。
 そのほか、個人派遣としては現在文民警察がやはり四、五人のチームを組んでカンボジア各地に散っております。こちらはこちらでまた各国の警察官とチームを組んでやっておるわけですが、最大の問題は意思の疎通、要するに語学の問題が大変大きいようでございます。したがいまして、警察官についても今後とも語学の問題がいろいろ出てくるかと思います。
 この個人派遣の人々につきましては、私ども、食べる物あるいは医薬品それから勤務関連のいろいろな装備を支給をいたしまして持っていかせております。食べ物から、あるいは防衛庁から移管をしていただきました防弾チョッキとかスリーピングバッグ、蚊帳といったようなものがあるわけですが、大変予想外に感謝をされましたのがGPS、自己位置表示装置、要するに自分が今どこにいるかということで、ジャングルの中ですとなかなか位置をきわめるのが難しいのですが、最近は人工衛星との通信を利用しまして自分がどこにいるかということが大変簡便にわかる機械ができております。これは日本のものが大変精密だということで、停戦監視要員には全員に持たせましたが、これが各国の垂涎の的になったということでいささか自慢をしておるようなところでございますが、今後ともこういった個人派遣につきましても、もちろん部隊派遣につきましても、後方支援といった面で苦労を少しでも和らげる方向で努力をしたいと思っております。
○中谷委員 これから後期に至って非常に苦労も多い状況も考えられますし、これからのPKFの議論の材料にもなると思いますので、大いに検討をして国民に広く知らせていただきたいというふうに思います。
 それからもう一つ、そのPKOのUNTACのチームとして任務を達成し、また安全を確保する面においては、UNTAC本部での情報の入手とか連絡とか意思の疎通が何よりも大事だというふうに思いますし、また、現在でも民間のボランティアが国内数カ所に散って選挙の応援もしているわけでありますが、今後そういった安全の意味も含めて、UNTACの本部とか国連本部へ多くの幹部自衛官の連絡要員の派遣が必要だと思いますけれども、この点についてはどう思われますでしょうか。
○畠山政府委員 御承知のとおり、現在カンボジアに派遣している施設大隊の中から大隊の業務の円滑な遂行のためということで連絡調整、UNTAC軍事司令部との間の連絡調整でございますけれども、これと、それから大隊の業務の円滑な遂行に資するということで、情報収集を行うということを目的といたしまして司令部に三名の連絡幹部を派遣しているところでございまして、この三名の連絡幹部の派遣によりましてUNTAC司令部での情報収集等は現段階で円滑に行われているものというふうに考えているところでございます。
○中谷委員 いろいろとPKO等の報道を見てみますと、私は、日本ほど国を守る戦士に対して信頼とか尊敬の念のない国家はないのではないかというふうに思います。というのは、PKO活動の出発だとか帰国の際のマスコミや国民サイドの反応が余りにも冷ややかであり無関心であって、国論を二分した形での出発であり、PKO活動に従事した隊員の心情は大変複雑なものがあったというふうに思います。湾岸戦争の後のアメリカの兵士の帰還に際しては、ニューヨークでは国を挙げて歓迎をしたわけでありますけれども、これからPKOから帰ってくる隊員に対して政府としてはどのようなセレモニーで迎えるつもりであるのかということ。
 また、日常活動においても、現在六本木で、防衛庁の勤務において自衛官は、出勤退庁は私服、仕事については制服に着がえる。制服を着用して堂々と町を歩いている自衛隊員の姿を見ることがまれであるわけであります。このような状況について防衛庁長官はどのように感じておられるのか、お伺いをさせていただきます。
○中山国務大臣 第一次カンボジア派遣部隊の帰還につきましては、本当にお話のように大変な最悪の条件の中であれだけの成果を上げてこられ、また無事に帰ってこられたということでございま
して、私どもといたしましても誠心誠意彼らの御苦労を慰め、また高く評価をしたいというふうに思っているわけであります。この八日と十日の両日に小牧基地に帰ってまいりますので、そこで一応の歓迎行事を行いまして、十四日には伊丹駐屯地におきまして派遣部隊の廃止式を兼ねた歓迎会をできるだけ盛大に行いたい、私も参加をしたいというふうに思っております。
 また、自衛隊の方々が制服を着て市中を堂々と歩けるようにならないのかというお話であります。それぞれの個々の問題でもあろうかと思いますけれども、六本木は私もわかりませんが、私は、最近地方におきましては、またいろいろな列車の中でも、制服を着て堂々と歩いておられる隊員の方を大分お見受けをいたします。それだけに、長い間の自衛隊の諸君の努力というものが国民の間にもかなり認められてき、また隊員の諸君にもそれだけの自信がついてきたのではないかな、大変喜ばしいことと思っておりますし、これからもなお一層そういう雰囲気をつくっていくように、国民からもっともっと信頼されるような自衛隊になるように、私どもも努力をしてまいりたいと思っております。
○中谷委員 国土防衛にしても国際貢献にしても、国民のために命を張って安全を守っている人に対して信頼を持たれるというのは、国家の最低の国民との契約事項であると思いますし、世界のために貢献するPKOでありますから、胸を張って行って胸を張って帰ってくるというのが一番大事なものじゃないかなと思いますが、現実にはそういう意識が足りない。
 この原因を考えてみますと、何か国家に対する忠誠心をあたかも軍事的ファッショであるかのごとく否定した戦後の教育がそれに拍車をかけておりますし、また、マスコミの方におきましても防衛問題に対するアレルギーがまだ残っておりまして、PKOの派遣に際しましてもいまだに戦車や大砲の戦闘シーンが意図的に流されたり、また討論におきましても批判的なゲストをたくさん出演させて議論をねじ曲げてしまうというふうな風潮も見られるのではないかなというふうに思います。こういった社会的風潮、戦後の国民教育について長官はどのように考えておられるのか、また今後、政府広報等も含めまして真実の報道のために、国家として自衛隊やPKOについての広報活動においてどのような方針で臨まれるのか、お聞かせいただきたいと思います。
○中山国務大臣 残念なことに我が国には第二次世界大戦までの軍国主義という一つの大きな歴史がございまして、それに対する拒否反応というのがまだまだ根強く残っているわけであります。自衛隊というのはまたそれとは全く性格を異にしているわけでありますけれども、しかし、なかなか一部の方には理解をしていただけない。ただ、これまでの災害出動であるとか今回のPKOの出動であるとか、そういう実際に隊員の若い諸君が、全国のそれぞれの部隊においておっしゃるようにまさに命をかけて国民の幸福と安全のために体を張っている、そういう姿には、徐々にではありますけれども国民の皆様も理解を深めてきていると思うわけでございます。これまではどちらかというと、今先生がおっしゃったような一方的な攻撃が、事実に反するような批判が多かったわけでありますが、これからもこちらからも能動的にそういうものの誤解を解くような努力をしていきたいと思っています。
 具体的には政府委員からお答えを申し上げさせていただきます。
○諸冨政府委員 今の教育といいますかの問題につきましては、本来文部省の所管でございますが、私どもが承知しております限りでは、文部省の学習指導要領というのがございまして、その中で、安全保障問題であるとか防衛問題については青少年に理解させるとか考えさせるというような立場で指導が行われているようでございまして、結果的には教科書は、防衛問題について教えるというよりも、むしろ両論併記みたいな形で教科書が書かれておるということは事実でございます。
 しかし、私ども、自衛隊といいますか防衛問題は、自衛隊のみで国の防衛は全うできるものではございませんので、先生御指摘のように、広く一般の青少年の方々に我々自衛隊の問題とか安全保障の問題につきましてある程度言及していただくということは極めて望ましいことではないか、このように考えておる次第でございます。
○村田政府委員 お尋ねの自衛隊あるいはPKOについての広報の件でございますけれども、当然のことながら国の平和と安全を保つためには安全保障政策に関する国民的な合意というものが不可欠でございまして、そのため、防衛に対する国民の理解と支持及び国を守る気概というものがあって初めて国の防衛が全うされるということでございます。
 こういうような認識に基づきまして、まず自衛隊全般について申し上げますと、防衛庁としましてはそういう国民の理解と支持を得ることを主眼として、各種印刷物の作成配布、新聞、雑誌等への広報記事の掲載、音楽祭などの広報行事の実施、広報映画の制作上映等多様なバラエティーに富んだ広報活動を行っているわけでございます。
 また特に、今般自衛隊が参加しております国連平和維持活動については、報道機関に対する取材協力ということで、これは現地の施設大隊だけでも延べ三千八百人からのジャーナリストがいろいろ取材に参りましたが、それらの方々に対する協力というような事柄、あるいは広報パンフレットの作成ということで、パンフレットを二十六万部、リーフレットを二十六万部ほどつくって配っております。さらに、広報ビデオ等で五百本、「オークンチユラン」という題名のものでございます。これは新聞にも載っておりましたが、そういうビデオの作成、放映、広報パネルの展示など、いろいろな媒体を使いまして活動状況、隊員の日常生活、その苦労の様子などを国民の方々にお伝えしているところでございますが、さらにこれは御指摘のように、今後とも現地の隊員の活動を国民の皆さんが正しく理解していただくように一層の努力を行っていきたいと考えております。
○中谷委員 今後、第一次の隊員が帰ってきて、生の体験談を話してくれると思いますけれども、テレビなんかにも大いに出させてあげて、本当の意味のPKOとは何かというものを理解していただきたいというふうに思います。
 それから次に、今後の我が国の防衛の体制についてお伺いをさせていただきますけれども、本日の大きなニュースとして、カナダでの米ロ首脳会談等で、ロシアに対してアメリカが十六億ドルの資金援助をするという報道がありました。日本はG7の議長国でありますけれども、このG7においても全体で三百億ドル近くの資金援助、資金貢献をロシアにするというふうに報道をされているわけでありますが、こういったアメリカの政策転換は我が国の安全保障体制にも大変大きな影響を及ぼすことになりそうでありまして、今の自衛隊の防衛力の態勢は北方重視、南の方は沖縄にいる米軍に依存をしている状況であります。
 そういう意味で、私の住んでおります四国という島の防衛につきましては、航空自衛隊の基地も施設もなく、また対空ミサイル等も全然配備をされておりません。こういった太平洋からの侵入に対して、防空面から見ますと極めて不安な面もあるわけでありますが、こういった米ロ協調の時代、対日支援のムードの中、今後我が国の安全保障体制についての、いわゆる防衛正面という面についてはどのように変化をさせ、行動していくのか、基本的な考えを聞かせていただきたいと思います。
○畠山政府委員 防衛計画の大綱におきましても、「わが国が保有すべき防衛力」といたしまして、「防衛上必要な各種の機能を備え、後方支援体制を含めてその組織及び配備において均衡のとれた態勢を保有することを主眼」としているところであります。
 御指摘の、これまでの北方重視という考え方は、こうした大綱の基本的考え方に即しつつ、北海道の、例えば他国に隣接していることとか、海峡により本州と分離されていることといったような地理的特性や周辺諸国の軍事的能力等を考慮いたしまして、効率的な防衛力の整備を図るという観点から従来から進めてきているところであります。
 最近の国際情勢に大きな変化が生じておるところでありまして、現在も変化を続けているところだと思います。不安定性及び不確実性に特徴づけられました新たな時代にありまして、これらの変化を今後なお慎重に見きわめるべき状況にあると考えておりますが、いずれにせよ、我が国の防衛力のあり方、検討ということが課題となっておりまして、その中におきまして、御指摘のような国際情勢の動向をも勘案しながら、引き続き精力的な検討を行って、その中で答えを出していきたいというふうに思っております。
○中谷委員 今後の自衛隊のあり方については、内外における状況の変化に適切に対応していただきたいというふうに思います。
 いろいろと申し上げたいこともありますが、最後に、いわゆる自衛官の生活、処遇面におきましても、ロシア軍とか第三国の兵士のモラルなんかを見てみますと、こういった兵士の生活とか処遇面での不遇が兵の士気に的確に反映されているという事実もありますので、これからの自衛官の生活面での改善等もこの防衛計画の大綱にあわせて検討していただきたいということをお願いをいたしまして、若干早くなりましたけれども、質問を終わらせていただきます。
○志賀委員長 本日は、これにて散会いたします。
    午後五時二十五分散会