第126回国会 予算委員会 第26号
平成五年五月二十六日(水曜日)
    午前九時一分開議
 出席委員
   委員長 粕谷  茂君
    理事 石川 要三君  理事 小杉  隆君
    理事 鴻池 祥肇君  理事 佐藤 信二君
    理事 中川 昭一君  理事 串原 義直君
    理事 中西 績介君  理事 松浦 利尚君
    理事 草川 昭三君
       相沢 英之君     愛野興一郎君
       赤城 徳彦君     粟屋 敏信君
       井奥 貞雄君     石原慎太郎君
       臼井日出男君     内海 英男君
       衛藤征士郎君     衡藤 晟一君
       越智 通雄君     大石 千八君
       唐沢俊二郎君     久間 章生君
       倉成  正君     高鳥  修君
       戸井田三郎君     浜田 幸一君
       原田  憲君     星野 行男君
       増子 輝彦君     松永  光君
       松本 十郎君     村山 達雄君
       森  英介君     谷津 義男君
       柳沢 伯夫君     綿貫 民輔君
       伊藤 忠治君    宇都宮真由美君
       関  晴正君     竹内  猛君
       富塚 三夫君     楢崎弥之助君
       堀  昌雄君     松前  仰君
       三野 優美君     水田  稔君
       目黒吉之助君     元信  堯君
       石田 祝稔君     倉田 栄喜君
       東  順治君     宮地 正介君
       児玉 健次君     正森 成二君
       吉井 英勝君     伊藤 英成君
       中野 寛成君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  宮澤 喜一君
        法 務 大 臣 後藤田正晴君
        外 務 大 臣 武藤 嘉文君
        大 蔵 大 臣 林  義郎君
        文 部 大 臣 森山 眞弓君
        厚 生 大 臣 丹羽 雄哉君
        農林水産大臣  田名部匡省君
        通商産業大臣  森  喜朗君
        運 輸 大 臣 越智 伊平君
        郵 政 大 臣 小泉純一郎君
        労 働 大 臣 村上 正邦君
        建 設 大 臣 中村喜四郎君
        自 治 大 臣
        国家公安委員会 村田敬次郎君
        委員長
        国 務 大 臣 河野 洋平君
        (内閣官房長官)
        国 務 大 臣 鹿野 道彦君
        (総務庁長官)
        国 務 大 臣 
        (北海道開発庁
        長官)     北  修二君
        (沖縄開発庁長
        官)
        国 務 大 臣 中山 利生君
        (防衛庁長官)
        国 務 大 臣
        (経済企画庁長 船田  元君
        官)
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長 中島  衛君
        官)
        国 務 大 臣 林  大幹君
        (環境庁長官)
        国 務 大 臣 井上  孝君
        (国土庁長官)
 出席政府委員
        内閣官房内閣外
        政審議室長
        兼内閣総理大臣 谷野作太郎君
        官房外政審議室
        長
        内閣法制局長官 大出 峻郎君
        内閣法制局第一 津野  修君
        部長
        国際平和協力本 柳井 俊二君
        部事務局長
        警察庁長官   城内 康光君
        警察庁長官官房 垣見  隆君
        長
        警察庁長官官房
        総務審議官事務 泉  幸伸君
        代理
        警察庁警務局長 井上 幸彦君
        総務庁行政管理 増島 俊之君
        局長
        防衛庁参事官  三井 康有君
        防衛庁長官官房 村田 直昭君
        長
        防衛庁防衡局長 畠山  蕃君
        防衛庁教育訓練 諸冨 増夫君
        局長
        防衛施設庁総務 竹下  昭君
        部長
        防衛施設庁建設 黒岩 博保君
        部長
        経済企画庁調整 長瀬 要石君
        局長
        経済企画庁総合 田中 章介君
        計画局長
        経済企画庁調査 土志田征一君
        局長
        科学技術庁長官 興  直孝君
        官房会計課長
        科学技術庁原子 石田 寛人君
        力局長
        科学技術庁原子 佐竹 宏文君
        力安全局長
        環境庁長官官房 森  仁美君
        長
        国土庁長官官房 藤田  修君
        会計課長
        法務省民事局長 清水  湛君
        法務省刑事局長 濱  邦久君
        外務大臣官房外 英  正道君
        務報道官
        外務省アジア局 池田  維君
        長
        外務省欧亜局長 野村 一成君
        外務省経済局長 小倉 和夫君
        財務省経済局次 林   暘君
        長
        外務省経済協力 川上 隆朗君
        局長
        外務省条約局長 丹波  實君
        外務省国際連合 澁谷 治彦君
        局長
        外務省情報調査 鈴木 勝也君
        局長
        大蔵大臣官房総 日高 壮平君
        務審議官
        大蔵省主計局長 斎藤 次郎君
        大蔵省主税局長 濱本 英輔君
        大蔵省銀行局長 寺村 信行君
        大蔵省国際金融 中平 幸典君
        局長
        国税庁次長   瀧川 哲男君
        文部大臣官房長 吉田  茂君
        文部省初等中等 野崎  弘君
        教育局長
        厚生大臣官房総 瀬田 公和君
        務審議官
        厚生省生活衛生 藤原 正弘君
        局水道環境部長
        厚生省社会・援 土井  豊君
        護局長
        厚生省老人保健 横尾 和子君
        福祉局長
        農林水産大臣官 上野 博史君
        房長
        農林水産大臣官 堤  英隆君
        房予算課長
        農林水産大臣官 澤井 義雄君
        房経理課長
        農林水産省経済 眞鍋 武紀君
        局長
        農林水産省構造 中道  宏君
        改善局次長
        林野庁長官   馬場久萬男君
        通商産業大臣官 江崎  格君
        房総務審議官
        通商産業省通商 岡松壯三郎君
        政策局長
        通商産業省通商 森清 圀生君
        政策局次長
        通商産業省貿易 渡辺  修君
        局長
        通商産業省産業 熊野 英昭君
        政策局長
        通商産業省生活 高島  章君
        産業局長
        工業技術院総務 松藤 哲夫君
        部長
        資源エネルギー 黒田 直樹君
        庁長官
        中小企業庁長官 関   收君
        運輸大臣官房長 豊田  実君
        運輸大臣官房総
        務審議官    向山 秀昭君
        兼貨物流通本部
        長
        運輸省運輸政策
        局次長     和田 義文君
        兼内閣審議官
        運輸省鉄道局長 秦野  裕君
        運輸省海上技術 戸田 邦司君
        安全局長
        運輸省海上技術 長尾 正和君
        安全局船員部長
        郵政大臣官房財 新井 忠之君
        務部長
        労働大臣官房長 七瀬 時雄君
        労働省労政局長 若林 之矩君
        建設大臣官房長 望月 薫雄君
        建設大臣官房会 木下 博夫君
        計課長
        建設省建設経済 伴  襄君
        建設省都市局長 鹿島 尚武君
        建設省住宅局長 三井 康壽君
        自治大臣官房総 遠藤 安彦君
        務審議官
        自治大臣官房審 松本 英昭君
        議官
        自治省行政局選 佐野 徹治君
        挙部長
        自治省財政局長 湯浅 利夫君
        自治省税務局長 滝   実君
 委員外の出席者
        参  考  人 三重野 康君
        (日本銀行総裁)
        参  考  人
        (住宅・都市整 豊藏  一君
        備公団総裁)
        予算委員会調査 堀口 一郎君
        室長
    ―――――――――――――
委員の異動
五月二十六日
 辞任         補欠選任
  相沢 英之君     森  英介君
  石原慎太郎君     赤城 徳彦君
  内海 英男君     井奥 貞雄君
  高鳥  修君     久間 章生君
  中山 太郎君     増子 輝彦君
  綿貫 民輔君     星野 行男君
  二見 伸明君     倉田 栄喜君
  東中 光雄君     吉井 英勝君
  中野 寛成君     伊藤 英成君
同日
 辞任         補欠選任
  赤城 徳彦君     衛藤 晟一君
  井奥 貞雄君     内海 英男君
  久間 章生君     高鳥  修君
  星野 行男君     綿貫 民輔君
  増子 輝彦君     谷津 義男君
  森  英介君     相沢 英之君
  倉田 栄喜君     東  順治君
  吉井 英勝君     正森 成二君
  伊藤 英成君     中野 寛成君
同日
 辞任        補欠選任
  衛藤 晟一君     石原慎太郎君
  谷津 義男君     中山 太郎君
  東  順治君     二見 伸明君
  正森 成二君     不破 哲三君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 平成五年度一般会計補正予算(第1号)
 平成五年度特別会計補正予算(特第1号)
 平成五年度政府関係機関補正予算(機第1号)
     ―――――◇―――――
○粕谷委員長 これより会議を開きます。
 平成五年度一般会計補正予算(第1号)、平成五年度特別会計補正予算(特第1号)、平成五年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案を一括して議題といたします。
 これより経済・一般等についての集中審議を行います。
 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 三案審査のため、本日、参考人として日本銀行総裁三重野康君及び住宅・都市整備公団総裁豊藏一君の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○粕谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
○粕谷委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堀昌雄君。
○堀委員 平成五年度の補正予算についてお尋ねをいたしますが、まず最初に、今度政治改革が行われることになりまして、この問題は政治改革の特別委員会が設けられておるのでありますけれども、やはり自民党と私どもという形だけではなくて、政府とされましてもこの新しい選挙制度にそれなりの対応をしていただく必要があるのではないか、こう考えまして、実はまず最初にこの新しい選挙制度の問題についてお尋ねをしたいと思います。
 まず第一に、これまで、現在行われております中選挙区制度というのは、私はこういうような認識で関係者の皆さんにお話をしておるのでありますけれども、これは言うなれば、陸上競技の例えば五百メートルぐらいのランニングのコースに各党の候補者が並びまして、そうして用意ドンと、要するに告示とともにおのおのの候補者は走り出す。走り出しますが、そこには、当然競走でありますから、恐らく五名区というものがある以上は七、八名の方がスタートラインに並ぶ、そうして用意ドンで走っていって、そうして一番、二番、三番、四番、五番と、八番までゴールラインに入ったときに順番がついてくる。
 そこで、三名区の場合は一番、二番、三番までが当選、四名区ならば四番までが当選、五名区なら五番までが当選、六番以下が落選、こういう言ってみればちょっとランニングのような、競走のようなスタイルで実は中選挙区というのは行われていた。それはどういうことかといいますと、言うなれば選手一人一人の能力というものが試されるわけでありますから、私はこれを個人本位の選挙制度、こういうふうに位置づけてこれまで説明をしてきておるわけであります。
 もちろん、政党に属しておりますけれども、自民党の場合はほとんど当選された方以上の候補者が出ておられますが、私も実は、私の選挙区、兵庫県二区でございますけれども、ここではずっと私ども複数で実は選挙をしてまいりまして、最初に私が出ましたときはまだ統一社会党ということで、昭和三十三年の五月一日に告示されました第二十八回総選挙に統一社会党として初めて参加をしたのでありますけれども、そのときは左派社会
党という方から山口丈太郎さんという前職の方、右派社会党から山下栄二さんというこれも前職の方、私は新人として初めて、三名が公認をされたわけでございます。そこで、ランニングをやりました結果、私は幸いに二番で実は入れましたので第一回目の選挙当選、こういうことになったのでございます。
 実はその選挙というのはまさに私を、社会党は幅の広い政党でございまして、統一した後でございますから、旧右派の社会党の方は右派を、旧左派の方は左派を、そして私はどちらかといいますと中間的な皆さんといいますか、そういう方たちでごく少数で、選挙事務所も国道二号線に面してはおりましたけれども、四畳半ぐらいの土間のあるところで選挙をやらせていただきました。大変私を支持してくださる熱心な県会議員が一人、市会議員が一人、その他の方がおられましたおかげで、一生懸命選挙活動をやりました結果、幸いにして二番目で本院に議席を得ることになったわけでございます。昭和三十二年の五月の二十五日に当選をいたしましたので、ちょうど今日、きょうは二十六日でございますから、三十五年と一日というのがその日からの実は時間でございます。
 この間、実は選挙は私どもはそういう個人本意の選挙制度のスタイルでございますから、個々にやはり同じ党の中でも自分たちのいろいろな考え方を訴えながら選挙の準備をしてまいったのでありますが、いよいよ私がかねてから主張をしてまいりました政党本位の選挙制度に、今度のこの政治改革でこれがチェンジをすることになります。
 私は、三十三年の五月に当選をいたしまして、そうして、前にも申し上げたかと思いますが、当時百六十六名という大変たくさんの人が社会党から当選をいたしましたので、党の方では委員会の志望を認めないで、党の側から割り振りをされました。そこで、私は文教委員に配属をされまして、その文教委員で、昭和三十四年当時、文教委員長が大平さんだったんじゃないかと思いますけれども、要するに文部大臣松田竹千代と言われる、テキサス無宿という別名をとっておられました、アメリカでいろいろと仕事をしてこられた方が文部大臣で、そうして宮澤総理はそのときに文部政務次官として、私は、昭和三十四年の五月ごろでございますか、初めて実は委員会で宮澤総理にお目にかかったわけでございます。
 それから長い期間でございますけれども、宮澤総理は経済企画庁長官、通産大臣、大蔵大臣とこういうふうに歴任をされまして、私も三十五年の一月から大蔵委員になりまして、もう一つ公職選挙の特別委員になりましたが、専ら経済財政問題をやらせていただいておりますので、宮澤総理とはもう随分何回も、総理におなりになる前の閣僚時代から論議をさせていただいて、ほぼ経済的な判断については余り総理と私の間に大きな違いはないという感じでこれまで質問をさせていただいてまいっておるわけであります。
 それで、その公職選挙の委員会に参りましたときに、私はかねてから申しておりましたのは、要するに世界の先進国の中で個人本意の選挙制度というものをやっているのは日本だけであって、例えばイギリスでございますと小選挙区制でございまして、御承知のように保守党か労働党かという選択になりますし、それからドイツは併用制でございまして、ここもやはり政党本位でございますし、フランスは小選挙区で、これも政党本位、アメリカもまあ大体、範囲は広うございますけれども、小選挙区システムでございますから、そういう意味では私は、この日本の個人本位の選挙制度というのは非常に問題が多いと。
 その問題が多いということの一つは、これはいつも自民党の方がお話しになるのでありますけれども、同士打ちといいますか、同じ党の中から出て争う、こういうことになる。同じ党から出て争うということになりますと、党の政策を訴えたのでは、これは同じ人が三人いますから選択の余地がないものですから、おのおのがそういう異なったことをやらざるを得ません。
 私も当初は山口丈太郎さん、山下栄二さんと三人で出て、その後山口丈太郎さんとまた二人でやりましたときもございますし、その後では土井たか子さんと私、ずっとこの選挙区で二人で一緒に選挙をする、こういう格好になって今日までまいったのでありますけれども、やはり私は選挙制度というのは何としても政党本位の選挙制度、それはもう比例代表か小選挙区しかないわけでございまして、私は、そういう意味では、公職選挙の特別委員になりまして、その中で論議が出てまいりましたのは、ひとつ選挙制度をきちんとしようということで、選挙制度審議会というものをつくったらどうだろうか、こういう御意見が出てまいりまして、私も大賛成でございまして、当時党には、成田さんが書記長でございましたが、成田書記長にも御報告し、了解を得て、選挙制度審議会というものが実は設けられました。
 私、そこで手を挙げまして、第一次、第二次の選挙制度審議会の委員。党のルールがございまして、二期続けて外部の審議会に出た者は二期休めということでございますので、三、四の選挙制度審議会の委員はやっておりませんが、次また五、六の選挙制度審議会の委員をやらしていただくということで、公職選挙の問題については長くかかわらしていただいてきたわけであります。
 今、参議院全国区比例代表という制度がございますが、第六次の選挙制度審議会のときに私の試案ということで提案をいたしました案がございます。というのは、当時、御承知のように全国区は個人単位の選挙でございまして、見ておりますと、初めは大変立派な、山本有三さんとか立派な方が当選されたのでありますが、だんだんとこれがタレント化をしまして、テレビに出て知名度の高いタレントというような方が、非常に個人名では全国的には行き渡るものですから、そういうふうになっておりましたので、これでは政治の基本が崩れるとこう考えまして、ひとつ参議院の全国区は比例代表にしたらどうかという試案を実は第六次審議会に出しておりました。
 竹下登さんが自民党の選挙制度調査会長になられて、そして私のところに連絡があって、堀さん、実は自分もどうも今の参議院全国区のあり方は適当だと思わないので、ひとつあなたの案を自民党の案として提案したいと思うのだけれども、あなたの案だからあなたが了解をしてくれればひとつこの案を自由民主党から全国区比例代表制ということで提案をしたいがどうか、こういうお尋ねがございました。私は、それは大変光栄です、ぜひひとつ自民党案としてこれを国会に出してください、こういうことで実はその後、私も自分の案を自民党で出していただきましたので、社会党の皆さんにも協力をしていただいて、この参議院全国区比例代表という制度は法律になったわけでございます。
 そんな経緯がありますので、私はかねてから参議院よりも本来は衆議院に実はその政党本位の選挙制度を導入すべきだということでいろいろ努力をしてまいりましたけれども、今度いよいよ国民世論も政治改革を求める、こういうことになりまして、今自民党が提案していらっしゃるのは五百名の完全小選挙区制、私どもの方は西ドイツ方式の併用制ということで、いずれも政党本位の選挙制度を今ここに提案をさせていただいているということで、私といたしましては、自分の在職中にこの選挙制度の改革が行われるということが行われますならば、まさに政治家冥利に尽きるといいますか、長年主張してまいりまして皆さんにお訴えをしておりました制度に日本の国会の仕組みが変わるということは、まさに私は、この日本の議会というものが正しい国民の支持を受けた、憲法に書かれておりますような国民を代表する人たちによって構成されて、政党本位の間で論議が交わせるということになることを、大変私はこの時期に議員として務めておりますことを幸いに思っております。
 私どもの党では、実はこの前七十歳定年制というのが出てまいりまして、私と同僚の安井吉典さんとか角屋堅次郎さんとか皆同期でずっときてお
りました人たちは、その七十歳定年制ということで実はもう引退をされたのでありますけれども、たまたま私と同じ選挙区の土井さんが当時委員長でございまして、そうしてその委員長は、ひとつできるだけ候補者をふやして次の選挙をやりたい、だから一名のところはできたら二名にしてくれないか、二名のところは三名にしてくれないか、こういう要請を土井委員長が党の方針として打ち出されたわけであります。
 そこで、私どもの県本部は、そうなりますと、もう私、七十歳超えておりますから、七十歳定年制にひっかかるのでありますが、県本部の委員長であります現在参議院議員でございます本岡昭次さんとかあるいは兵庫県の連合の会長でございますところの石井日教組委員長とかこういう皆さんが、幾ら何でも、土井委員長が各地方で候補者ふやせと言っておられて、そうしてこの兵庫県第二区では私が七十歳定年だからやめるとなると、あとは候補者の出手はないぞ、土井さんと一緒にやって当選できるような新人なんというものはあり得ないから候補者の出る可能性がない、これでは幾ら何でも、土井委員長が全国に候補者をふやせと言っておいて、自分は二名でやってきたのが一名でやるというのは道理が通らないではないか、こういうことを本岡参議院議員・兵庫県本部委員長あるいは石井連合会長たちがそういう論を出されまして、兵庫県本部としても、また兵庫県二区、特に西宮総支部という土井さんの地元の総支部も、それは県本部の言われるとおりで、やはり二名にしなきゃしょうがないじゃないか、こういうことになりまして、当時は山口書記長でございましたけれども、いろいろ骨を折っていただいて、無所属、社会党推薦ということで実は十一回目の当選を果たさせていただいたわけでございます。私は無所属でございましても、社会党推薦という名前がついていれば、私が社会党の人間であることは、三十年近きにわたって選挙しておりますから、有権者の皆さんに御理解をいただいて、今日最後の仕事をさせていただいておるわけであります。
 ちょっと私事にわたったことを申して恐縮でございましたけれども、そういう意味で、私の念願のかなった政党本位の選挙制度がいよいよ実現するということは、私は大変うれしく思っておるわけでございます。
 ただ、ここでちょっと問題になりますのは、今提案されております自民党の小選挙区制、私どもも比例代表併用制と言っておりますが、いずれも小選挙区制度が実は組み込まれておる案でございます。小選挙区というのは、言ってみますと将棋や碁のようなものでございまして、二人がこうやって、どっちが勝つかどっちが負けるか、まあ二人以上の参加者があることはありますでしょうが、実際に争いますのは自民、社会が一名を争うということになるだろうと思うのでありますが、そのときには、今度は要するに条件が変わってまいります。
 ランニングでございますと何人もて走るのでいいのですけれども、一議席を争うというときには、やはり私は、これも一つの競争でありますから、この競争は条件をひとつイコールフッティングにしないと、競争原理というのは、一般的にフェアな競争というのは、イコールフッティングで競争するというのが競争原理の原則でございますから、そうすると、この小選挙区における候補者ということになりますと、どうしても私は、選挙費用あるいは政治活動費用というものが一定期間を限っては同じ条件でないと、例えばAの候補者は資金が十である、Bの候補者は資金が二であるとか一であるとかというような差になりますと、これは日本の長い中選挙区、個人本位選挙制度をとる仕組み、お金の使われ方等から見て、小選挙区になってもやはり金が優位にある人の方が当選する確率が高いということは避けられないと思うのであります。
 そこで、私は、公正な小選挙区制度ということにするためには、条件を同じにする。政治資金、選挙資金等を一定の時期を限って、私は六カ月ぐらいが適当ではないかと思っておりますが、六カ月ぐらいを限って同じにして、このことはひとつ新しい制度で、公費の問題というのは今度は私どもも取り上げておりますし、自民党も取り上げておられますから、この小選挙区候補者については公費でひとつぴしっと同額の選挙費用、政治活動費用というものを与える。それは幾らにするかということは、これはまた第三者の関係者の皆さんの御論議をいただいて決めることでありましょうけれども、少なくとも形としては選挙管理委員会が発行した小切手帳を使うとか、ある一定の使い方で、もしそれ以外にお金を使ったことがわかったらその人は当選無効だと、こういうペナルティーのついた公正な競争条件を費用の上においても確立をすることが新しい小選挙区という制度では必要ではないか、こう考えておるわけであります。
 これについてひとつまず、金額の話等は別として、物の考え方として、総理はどのように御判断になるか、お答えをいただきたいと思います。
○宮澤内閣総理大臣 堀委員におかれましては、大変長い政治の御経歴の中から、今日第三十六年目の一日をお踏み出されになられたことをただいま伺いました。ますます御健闘をお祈り申し上げたいと思います。
 長年堀委員も御関係になられました政治改革の問題でございますが、このたび、国会に各党から政治改革、選挙制度についての御提案がございます。確かに、ほぼ共通の考え方として、政党本位の選挙をすべきであるという共通点がございまして、そういう意味では、今の中選挙区というものは必ずしもその趣旨に沿ったものでないというお考えは、ほぼ共通して各党がお持ちのように思います。
 確かに、先ほど陸上競技の例をお出しになられましたが、大政党におきましては、中選挙区でございますと、複数の候補者を立てる、あるいは複数の当選者が出るということはしばしばございます。そういたしますと、政策をもって政党が争うという面よりは、同じ政党に属する複数の人が相争うということに非常になりやすくなりまして、そこのところから、必ずしも政策による選挙という結果が有権者にとってははっきりいたさないということになる嫌いがございます。私どもの党におきましては、それに加えまして、そこからきますいろいろ党内の問題という弊害もございまして、そういうこともございまして、私どもの党も、やはり中選挙区には問題があるということで、改革案を国会に提出をいたしたわけでございます。
 したがって、そのことにつきましての御主張は、私はそのとおりであると思いますし、また、そうなりましたならば、選挙が政党本位に争われます結果として、この選挙に公費で補助をしても、十分にそれだけの理由があるのではないかというふうに私どもの党も考えておりますし、またそうお考えの党が多い。
 このことは、たまたまと申しますか、今日極めて深刻になりました国民の政治に対する不信が金の問題に絡んでいて、そのことは選挙に金が要る、政治に金が要るということ、そこからくるということから、その弊害をどのようにして除去するかという問題がございまして、やはりそれは金の問題をきちんと厳しくいたすとともに、同時に、やはり国が公費で助成をするならばそういう金についての過ちというものも少なくなるであろう、こういう考え方に立っておるという点もほぼ各党共通の考えと思います。
 そこで、今仰せられましたことは大変意味があると思いますのは、小選挙区に仮になりますと、おのずから選挙区は今よりは小さくなると考えなければなりません。小さくなりました選挙区においては、よほど考えませんと、選挙の方法、今金のことをおっしゃいましたからもっと端的に申し上げますならば、小さな選挙区の方が金が使いやすいということは明らかでございます。そういう意味で、小さな選挙区になった結果がえって金が物を言うことになりはしないかという御懸念は、
私はまことにごもっともだと思います。
 そういう意味で、法定選挙費用の問題はもちろんでございますけれども、小さな選挙区になればなるほど金が結果を支配することになりやすい弊害をどのようにして除去するかということを厳しく考えなければならない、そういう御主張は私はまさにそのとおりと思いますし、どのような案が生まれるにいたしましても、その点は極めて厳しく律するような制度でなければいけないと考えております。
○堀委員 私の主張しております方針に総理もおおむね御同感をいただいたようでありますが、そういたしますと、比例の話になりますとちょっと角度が違うのでございますけれども、小選挙区という問題に限って見ます限りは、やはり私は、そこでは選挙費用が一定期間同額ということがイコールフッティングの一つの具体的なことになるだろうと思います。
 同額にする場合には、政党本位の選挙制度でございますから公費の負担も理解できるという御答弁をいただいておるわけでありますが、この部分に限っては、私は、国が公費をもって一定金額を政党に渡して、それは候補者の数でございますから、数に応じて政党に渡して、ただしその資金は、普通の通貨、円の普通の我々のお札を使って処理をするのではけじめがつきませんので、この選挙費用、政治費用に関するものは小切手その他で、後でそれがきちんと確認できるような形にしておきませんとやはり公平の原則が崩れますので、そういうことをいたしますためには、私はこの際、今の小選挙区の部分についてだけは公費の負担によって決まった定額を渡して、そうしてその支払いはすべてその小切手帳をもって政治活動、選挙活動の費用は支払う、それ以外の形で支払われるという場合については、やはりこれは一定のペナルティーとして、もうこういう場合のペナルティーは一番大事な原則のところでありますから、当選無効という形ぐらいの厳しいペナルティーが科されるという格好であってもいいのではないかと、こう思うのでありますけれども、それでは担当の自治大臣の方から御答弁いただきたいと思います。
○村田国務大臣 堀委員にお答え申し上げます。
 先ほど来の長年の貴重な御経験を承って、非常に勉強になりました。大体半年ぐらいということをおっしゃいましたが、事実そういうことで実際の選挙運動は行われることが多いわけで、個人本位の制度でなく政党本位の制度になれば、フェアな競争条件を確保するという意味で、今おっしゃったことは非常に重要なことだと思います。
 今の選挙でも、例えばテレビの放送であるとか、いろいろ公費負担をやっておる面がございますが、これをもっと厳格に適用をいたしまして、いろいろな選挙に要する費用、これは政党本位で、政党が考えて支出をするということで、政党助成法も当然であると思いますし、そういった堀委員の御意思を体して進むということであろうと思いますし、また、自民党案も社公案もそういったことを踏まえておると思います。
 非常にいい御提案でございますので、参考として検討させていただきたいと思います。
○堀委員 まず、私が最初の問題として取り上げさせていただきました新しい政治改革の問題というものの裏づけになります部分の一番重要な部分は、やはり資金の問題でございますので、ここがフェアでなければ、選挙活動、政治活動がフェアだというふうにはならないと思いますので、今の自治大臣の御答弁をいただきましたので、今後はこの問題について与野党協議の中で話を進めていただくということにさせていただきたい、こう思います。
 今度は、二点目の問題でございますけれども、大蔵大臣にお伺いをいたします。
 最近、日本の経常収支は大変膨張してまいりまして、九二年、暦年で経常収支の黒字が一千億ドルをたしか超えたと思いますが、ちょっと大臣の方から正確な数字を御答弁をいただきたいと思います。
○中平政府委員 ただいま御指摘のように、経常収支の黒字は九二年度、この三月に終わりました九二年度、まだ暫定的な数字でございますけれども、千二百六十一億ドルの黒字、貿易収支につきましては千三百六十一億ドルの黒字ということになっております。
○堀委員 私が議会に出てまいりましたころというのは、日本経済は、昭和三十三年という時期ではまだ必ずしも十分な整った状態になっておりませんでしたものですから、この時期は、要するに貿易収支の赤字の問題というのが非常に大きな問題になっていた時期でございます。国民の大変勤勉な努力と、そうして科学技術に対する学者や技術者の皆さんの努力、そうして政治に携わる皆さんの努力によって、今日、日本経済というものは世界の中で最もバランスのとれた経済ということになってまいりましたけれども、その反面、実は今お話のありましたように、一九九二年度で一応千二百六十一億ドルの経常収支の黒字が出るということは、その反対側に千二百六十一億ドルの国際収支の赤字があるという認識をまず最初にしておかなければならないと思うのでございます。
 そこで、こういう黒字を反映して円が大変強くなってまいりまして、百十円台まで入ってくるというような格好になってまいりました。考えてみますと、私、ずっとそういう為替の経過、三百六十円できておりました固定相場が御承知のように自由な形になり、その間いろいろな問題がありましたが、その当時は当委員会ではなくて大蔵委員会で、この問題の所管委員会として担当させていただいておりましたので、今日になってみましてまことに感慨無量といいますか、悩みが、かつての赤字の悩みから黒字の悩みに変わった。赤字の悩みよりは黒字の悩みの方がいいのでありますけれども、しかし、今度は黒字を減らすというのは、またこれなかなか実は赤字を減らすよりは難しい問題だ、こう考えているわけであります。
 そこで同時に、あわせて円が強くなりました。かつて一ドル三百六十円という時期があったわけでありますけれども、それが百十五円とか百十円台に入ってきたというようなことは、とてもあの三百六十円の固定為替のときには考えられないことでございまして、それだけ為替の関係で、特に日本は原材料を輸入をする立場からしますと、これは大変大きなプラスになってきておると、こう思うのであります。
 同時に、そういう円高であっても、実はなおかつ日本の貿易はどんどんと伸びている。こういう環境は、ある意味では大変恵まれた環境だと思うのでありますけれども、しかし、さっき申し上げましたように、その裏側にある国際収支の赤字の側の皆さんの立場も考えないで、ひとりよがりで黒字になってよかったというわけにはいかないと、私はこう考えておるわけでございます。
 ただ、もう一つ申し上げておきますと、実は為替の問題が出てまいりましたころに、当時私は大蔵委員会で、何か円を切り上げるということには国民世論は大変反対でございました。しかし、私はそのときに、それはおかしいんじゃないかと。要するに、円が上がるということは、日本の国民の労働力がそれだけ高く評価されて海外に売れるということになるので、まさに同じ単位時間で日本の皆さんが働いておられる労働の結果としての産物がそれだけ高く評価されるということは、これからますます日本国民が一生懸命働いて、新しい科学技術を開発をして、そうしてやっていくことが日本の経済にとっては大変プラスだ、こういうことで、当時、そのころは一般世論は何か円高になることに対しては大変消極的でございましたけれども、私は大蔵委員会でそれは間違っているとかなり世論に反した論議をしてまいったことがございますが、しかし、ここまで参りますと、今度は円が強ければいい、こういう話だけではなくて、今の千二百六十一億ドルの黒字というものはもう何とか少し減らしてまいりませんと、これは国際的にやはり適切でない、こういう感じがするわけでございます。
 しかし、なかなかこれは、赤字を減らすのよりは、私は黒字を減らすというのは難しいと思うのです。赤字を減らすというのは、しっかりいい物をつくって、そうして価格を下げて売れば売れるということになるのでありますけれども、今いい商品で、そうして値段も安い物を私ども売っているわけでありまして、いろいろ議論のありますときに、私は若いころに申したのですけれども、我々は外国に輸出をしているというのは、何も無理に押し込んでいることはありません、向こうの消費者のニーズにこたえる商品をつくるから、そうして値段も安いから世界の国が日本の商品を買っていただいているのです、ですから、その限りにおいて私たちは後ろめたい気持ちは一つもありませんと。その国の皆さんがよりよい品物をより安く買っていただけるようにするということは、私はマイナスでも何でもないと思います。しかし、その結果として貿易収支が大変黒字になってきて、向こうが赤字になるということは、私たちも十分考えなきゃならないだろう。
 そこで、私は社会党でございましたけれども、経済というのは競争原理が働くのが当然だと。要するに、自由な経済というのは競争原理に基づいて結果が出てくる、こういうことであるべきだということを党の中で、まだなかなか当時はかたい考え方の方の多い中で、率先して社会党の中で競争原理、自由経済、市場問題というものを訴えて、今日もう党も完全にそういうベースになってきたわけでありますけれども、そういうことを振り返ってみますと、これから国際的に見て、私は、これは多少の黒字がある方がいいですから、例えば年間三百億ドルとか五百億ドル以内の黒字でしたら、やはりリスクの関係もありますから、あっていいと思うのですが、ちょっと一千億ドルを超える黒字というのは、これはこのまま、よそはもう辛抱しろ、こっちはもうまじめにやっているのだからでは通用しない、こう思うのでございます。
 そこで、まず総理に基本的な認識として、これから日本経済をどういうふうに運営をしていけばこの問題に対処できるか、ちょっと総理のお考えを承りたいと思います。
○宮澤内閣総理大臣 後ほど大蔵大臣からまたお話をお願いしたいと思いますけれども、私どもがいわゆる新しい国づくりというものを考えましたときに、まあよく世の中で、これはもう堀委員もよくお聞きのとおり、よその人から、日本は随分品物を売ってきて我々をある意味で困らせるけれども、その日本へ行ってみると、都会の人はウサギ小屋に住んでいるじゃないかと言われていることは、私は残念ながら本当であると考えざるを得ません。まあ長いこと、明治以来でございましょう、富国強兵であるとか、欲しがりません勝つまではであるとか、戦後はもうドルは血の一滴というようなことをずっとやってまいったものですから、ついついそういう体質になってしまって、これは国民にもそういう呼びかけを長いことしてきたものですから、国民もそう考えるし、行政もそういうふうにできておって、ここへ来て、ウサギ小屋に住んでいると言われたときに、やはりいろいろ考え直さなきゃならないということから、生活大国というようなことを申し始めたわけでございます。
 現実に、我々の生活関連のインフラストラクチャーにいたしましても、下水道一つとりましてもこういう状況でございます。家の面積をとりましても、公園をとりましてもそうでございます。それは事実でございますから、これだけの輸出力がある、経済のポテンシャルのある、そのポテンシャルをどうしてもっと自分たちの身の回りへ振り向けられないのかということは、意識革命を必要としますけれども、やはり私はそれが今御提起になりました問題に対する一番正しい答えであろうというふうに考えてまいりました。
 それで、殊に対米関係では、御承知のようにSIIといいますような、その国なり社会のあり方の問題にまで実は立ち入って、まじめに議論をし、まじめにやってまいりました。ただ、これは構造改革でございますから、そんなに早い時間の間に効果があらわれるというわけにはまいらない。やはり基本は、そういう生活大国のような物の考え方に合わせましてそういうことをしていくということではないかと考えておりまして、これも時間のかかることでございますけれども、やはり基本的な考え方はそういうところでなければならないだろう。
 貯蓄超過であるということは、貯蓄をすることがいけないということではない。私は、貯蓄をすることがいけないなんという世界はあり得ないと思いますし、怠けていいという世界もあり得ないと思いますので、そういうエネルギーの向け方と申しますか方向と申しますか、そういう政治の目標がやはり設定されるということが基本ではないかというふうに考えております。
○堀委員 大蔵大臣、今総理から物の考え方は承ったのですけれども、何か少し具体的に担当大臣として、別に私も、国際収支を減らすというのは、何らかのやり方によって結果として減るというのでないと、国際収支の黒字を減らすということを目的に何らかの政策をとるというわけには私はまいらないと思うのでありますね。
 そうしますと、しかし、今も総理のおっしゃいましたように、要するに社会資本の充実、こういう問題があるのですけれども、社会資本の充実ということになりますと、これ、どちらかというと民間がしっかりやってくれればいいですけれども、なかなかそういかないということになると、国がやるということになると、今度は税金を国民から取り上げる、こういう話になってまいりますね。これは国民からしますと、ある一部の、一部のと言うとあれですけれども、企業がどんどん海外に品物を売るために起こってくる貿易黒字、経常収支の黒字を国民の方に転嫁されては困る、こういう論議も起きてくるだろうと思うのですね。
 ですから、そこらはやはり急にはまいりません。しかし、少なくとも世界の他の赤字国が見て、ああなるほど、日本も基本的な方針を転換したなど。時間がかかるだろうけれども、少なくとも徐々にこの黒字を減らしていくということが現実のものになるなというような政策提起がないと、私はこれはなかなか、かつて日本も赤字で随分苦しんだ経験を持っておりますから、その赤字のときの気持ちを考えると、やはり黒字国側が積極的にそれに対応する何らかの政策の転換といいますか、政策提起がないとまずいと思うのですね。 大蔵大臣の方でひとつ御答弁をいただきたい。
○林(義)国務大臣 堀議員から昭和三十三年ぐらいのことのお話がありました。あのころは、まさに日本は経常収支の赤字で非常に苦労しておった時代であります。私も役人の端くれて、その方の担当をしておりまして、お話を聞いておりまして、まさに感無量な思いがするわけでございます。
 世界最大の債権国になったわけでありますし、昨日発表しまして、日本は最大の資産国である。資産がありますということは、逆に申しますと、経常収支の黒字がそれだけずっと余ってきている、こういうことでございますから、私は、それをどうするかというのは、やはり世界的な観点でいろいろなものを考えていかなければならないと思います。
 当面の問題としましては、私は、日本の内需拡大というか、日本の経済全体が大きく伸びていくということ、持続的成長を達成していくことによりまして、外に向かう力を内の方へ向けていく。先ほど投資と貯蓄のバランス論というような話が総理からありました。日本でもまだ貯蓄が多いというような話がありますけれども、私は投資と貯蓄がバランスしていくというのが建前であると思いますし、それをやはり国内的にいろいろな形で、まさにウサギ小屋を解消するような形で持っていくということが私は国内経済政策のあるべき姿だろうと思いますし、そのためには経済の持続的成長ということこそ基本的に考えていかなけれ
ばならない問題だろうと思っているところでございます。
 そうしたことと関連いたしまして、日本の問題につきましていろいろ海外から言われていることもあります。我が国としても積極的に輸入促進をやっていかなければならない。国民公庫とか中小公庫の輸入品販売円滑化貸付金の金利を下げることであるとか、あるいは海外から日本に対して輸出を行うところの企業に対しまして、逆に日本に対する輸出、日本の輸入についての輸入金融を積極的に輸出入銀行を通じて行うことであるとか、また施設等の整備にかかわる政府調達におきましても、外国製品が容易に入る、もちろんこれは政府調達でありますから自由な競争であらなければなりませんけれども、いろいろなそこにあるところの障害は排除していくようなことを努力するといういろいろな施策をとって海外の誤解を解いていく。また、日本は公正な社会である、そういった形でやっていくということが大切なことじゃないかなと思っておりますし、そういった形でやっていくことが私は大切なことだと思っております。
 それから、円高の話がございました。実は私、心配しておりますのは、きょうは百九円というような相場になっちゃった。大体百十円ぐらいでなにしておりましたが、百十一円ぐらいになっておりましたが、実はアメリカの方で財務省が発表されまして、それが何か円高を承認しているかのごときことが新聞で伝えられました。財務省当局にも確かめましたけれども、財務省では、いや、それは全くの市場の誤解である、私たちは、やはり為替レートというのはファンダメンタルズを反映してなだらかな形で動くことが一番望ましい、それに対してお互いが協調して、協力してやっていかなければならない、これはこの前のG7で話をしたところでございまして、その方針については全く間違っていない、またこれからもそういった考え方でやるんだという話を受け取っておるわけでございます。
 為替相場というものは、単に輸出と輸入とのバランスだけで動きません。為替市場というものは大変大きな市場になりまして、一日に現物取引市場の五十倍とかなんとかというようま取引があるわけでありまして、その市場の中でいろいろな思惑が発生していくということもあると思います。
 ただ、これはやはり自由市場でやっておりますから、自由市場でもって価格が形成されるということは望ましいことであろう、こういったことでありますが、その中で思惑とかいろいろな行き過ぎたことがありましたならば、やはり世界全体の協調という形で直すべきところは直していかなければならない。本当は自由市場のメカニズムが働くことこそ私は一番大切なことじゃないかなと、こう考えておるところでございます。
○堀委員 お話しのとおりなんですけれども、立場が変わりますと、日本の方は、今伺って、十円を切って九円になったというのを今初めて伺ったのでありますけれども、この調子でいくと百円近くのところまでやがていっちゃうんじゃないか。私はそんことを希望しておりませんから、できるだけいかないことがいいと思いますけれども、これは市場が決めることですから、私どもがどうこう考えるわけにはいきませんが。
 そうなってきたときに、私は一つの問題提起をさせていただきたいのは、やはりアジアの諸国、特に私どもが戦争で多くめ被害を与えた国にもうちょっと積極的な経済援助をやる。その経済援助というのも、私は前からこういうことを申しておるんですけれども、一つの産業というとちょっと大げさになるんですけれども、そういう国に最も適した事業を、工場それからそれの販売システム、そこに働く人たちの教育機関、こういうものをワンセットにしてひとつその国に、その国における産業、要するに日本からその国に随分行っている物をその国の人たちがその国で生産できるようになれば、日本の物を買う必要はなくなるわけでありますので、やはりこういう状態の中では、かなり目に見える積極的な対応をしていかないと、この現状というものは、ほっておきますとこれはもっともっと拡大するんじゃないかということを私は非常に心配しているわけでございます。
 ここらで一応ストップして、これから少し下げていくということをするためには、やはりそういうアジアの諸国に日本の得意としておるもので、余り精密な工業とか訓練や時間を要するものは無理でございましょうけれども、そうでない程度の、ちょっと例を引くのがなかなか難しいのでありますけれども、それは専門家の方たちが考えていただけばいいんで、やはり工場ごとそれを建てて、そしてその横に工場で働く人たちの訓練施設もつくって、日本から技術者も、それから工場の設備、機械等をそちらへ出して、そしてその現地の皆さんを訓練をして、そこでひとつその国が非常に輸入している品物を自給できるようなシステムを、アジアで私どもが被害を与えた諸国にまず協力をしていったらどうだろうか。
 その場合に、国にお金がそんなにあるわけではありませんから、やはり国は、それについては国民からお金を借りるという形ででもこれをやっていくという、何らかの目に見える積極的な対応をやらない限り、いろいろな手段をやっていますといっても、これは目に見えないと一般の国民はわかりません、向こうの国民ですね、日本の国民じゃなしに。
 ですから、そのためにはひとつ新しい発想に立って、余り大規模なものは必要がないんでありますが、どういうものが適切かはまた専門家の皆さんに御検討をいただいて、その国の情勢に合った産業、例えば、言ってみればスクーターのようなものがその国でつくれるとか、テレビはちょっと無理かもしれませんけれども何か電気製品がつくれるとか、そういうその国のレベルよりは少し高いけれども、そんな高い技術や能力を必要としないようなものを少しあちこちに日本の資本で建てるということをやって、我々は今の貿易の黒字の問題を基本的なところから解決する考えで具体的に行動していますよ、こういうような問題を出してまいりますと、黒字を出している国としてそれなりの責任を赤字の国に果たしてくれておる、こういう認識が生まれてくるんではないかこう私は思うのでありますけれども、基本的な考え方についてひとつ総理のお考えを伺って、具体的には担当の大臣から伺いたいと思います。
○林(義)国務大臣 まさに堀議員おっしゃったようなことで基本的にはやるべきだろう、私もこう思うのです。
 先ほど、経常収支の黒字というのは資本流出の問題の逆である、こういうことを申しました。まさに、今や日本の金がそういった形でやはり行かなければならない。物でのバランスはプラスになります。しかし、それは逆に言いますと、金では逆になっているわけでありますから、当然そういった形でいろいろやっていかなければなりませんし、それがやはりそれらの国々の経済発展にも役立つでありましょうし、また平和にも私は役立つものだろうと思うのです。やはり生活が豊かになるということが一番平和のためにいいことだろう、こう思いますので、アジアの国に対して私たちがまずやっていくというのは、一番近いところでありますからやらなくちゃいけませんが、そのほかの国に対しましても、そういったことをいろいろとやっていくということをやっていかなければならない、こういうふうに思っておるところであります。
 例として私はいいのかどうかわかりませんけれども、かっての債権国で大きかった国というのはイギリスなんですね。イギリスがやっていましたのは、インドであるとかいろいろなところに対して金を相当つぎ込んでいろいろな工場をつくっていった、こういうことがあります。それは言いますと、植民地主義だと言われますけれども、植民地主義的なものではなくて、私は、本当に平和の使者として、平和的な形での金がそういったところに流れていくというような形のシステムをぜひ
日本としてもつくっていかなければならない、こういうふうに考えておりまして、一方では内需の拡大を大いにやるのと、やはり世界的にそういったことも考えていくというのが一つの大きな方向ではないかと思っています。
 ただ、これを具体的に何億ドルとかどうだというような話になりますと、またかえってぎすぎすしますから、方向としてそういったことをやっていくということで、今鋭意関係各省とも御相談をさせていただいて方向づけをやっていこう、こういうことで私は考えているところでございます。
○森国務大臣 内政面につきましては先ほど総理からお話しになりました、まさに質的な生活の環境を整えていくということであろうかと思います。
 今いろいろと具体的なお話がございましたし、大蔵大臣からもお話がございましたが、やはり黒字を持っておることそのものは決して悪いことではないわけで、そのことが世界全体に貢献をしていく、国際的にどう貢献をしていくかということだと思います。アルシュ・サミットの際の五カ年計画でのいわゆる資金還流計画、ちょうどこれが終わるわけでございますので、今大蔵大臣から申し上げたように、関係各省で、どうした資金還流計画が世界に向けて発信できるだろうか今検討いたしておるところでございまして、そういう中で、やはり発展途上国に対する円滑な資金の流れを確保して国際貢献を果たしていくということが基本的に重要だろうという認識をいたしておりまして、通産省としては、今先生からお話がございましたように、例えば環境分野、それから部品等のすそ野産業を育成していくというようなことが具体的に貢献策になるのではないだろうか。額の面ではこれから関係省庁と考えていくし、また総理の御判断もいただくところでございますが、総理から事務的な作業をするようにということで、もう既に数カ月前からこの作業を開始をいたしておるところでございます。
 まさに大蔵大臣おっしゃいましたように、イギリスもおおよそ百年近い黒字を続けた。それが一つの植民地政策という形、いい悪いの判断は歴史の判断によるでしょうけれども、アメリカもかなり長い、七十年近い黒字を続けた、こう言われておりますが、それはまたアメリカの大きな経済や政治あるいは軍事の面でのプレゼンスをつくり上げたものだろう、こう思います。我が国は、そういう植民地政策をとったり、アメリカのような政策をとるわけにいきませんので、今先生から御指摘ございましたようなことなどを通じて国際的な貢献をしていくということになお一層努力をしていきたい。
 先生から三十三年当時からの思い出をいろいろ伺いました。私はまだ学生時代でございましたが、また経験深いお話を承って、ぜひそうした国際的な貢献にさらに努力できるように、世界からも信頼をされるような、そういう日本国にしていかなければならぬ、こう考えております。
○堀委員 総理初め各担当大臣からの御答弁で、方向としては決まったのでありますけれども、国だけがやっているという感じはまずいと思うのですね。ぜひ今の仕事に民間のそういう関係の皆さんも一緒になって、要するに官民で今の問題をやる。そして具体的には、どういう工場をどこへ持っていくかというようなことは、これはやはり民間の皆さんにそういうお仕事を任せないと、ちょっと官庁で担当者が行って見てくるなんということは、これは余りそぐわないと思いますので、そこらは何かひとつ新しい団体、そこにいろいろなそういう関係の、経済人の方も必要でしょうし、学者の方も参加していただく必要があるかもしれませんし、皆さん方の方も参加していただいて、私は、日本が本気でそういうことをやっているということが、具体的なプログラムができて工事が始まるのにはかなり時間がかかりますけれども、やはり外から見ますと、そういう民間と政府とその事業者たちが、あるいは学者が力を合わせでそういう方向に動き出したというような姿が国際的にわかってまいりますと、私は、アジアの諸国も、それじゃ自分たちはこういうふうにしてくれとか、いろいろな要望もまた出てくるだろうと思いますしね。
 だから、こっちが押しつけるんではなくて、向こうの要望にこたえるということも非常に重要でございますから、何かひとつそういうような仕掛けを、関係各省と民間の団体と、そしてまたそういうテクノロジーをやっていらっしゃる専門家、そういうものでひとつ何かのプロジェクトをつくってやっていただくと、やはりこういう問題というのは目に見えるのが一番効果がある。新聞に書いてくれますよりもやはり、そうなれば新聞だけでなくてすべていろいろなものに広がってまいりますから、何かそういう工夫もひとつ考えていただいたらどうかと思いますが、いかがでしょうか。
○森国務大臣 今のお話の中に、民間の産業界といいましょうか皆さんに協力いただくことが大事だという、これはまさにそのとおりでありまして、通産省というのはかっては輸出振興ということが大きな目標でありまして、ジェトロというのはまさにその最先端。このジェトロは相手国の投資先がないか、どういうものを売り込んだらいいかということを懸命に探していたわけですね、むしろそういうことの環境を整える。
 今では、私も大臣になりましてからいろいろ外国へ行ってまいりまして、現地でジェトロの皆さんの話を聞きますと道なんですね。もうヨーロッパなどでは本当に細かな国に行きまして、中小企業、小規模事業へ行って、こういう包装紙にしたらいいですよとか、こういうマークをつけたらどうですか、日本にこういう形では売れますよということを本当にその店の工場まで行って指導しているんです。したがって、外国の国はどうしたら日本に投資ができるだろうかというようなことを、もうまさにジェトロは今や逆の実は働きをしておるというのが現実でございます。
 それから、それはまさしく企業の力をかりて、優秀な商社におられた方々あるいはある程度の年齢に達した方を国の予算で、長期派遣事業、こう言っておりますが、外国に派遣しまして、アメリカなどは十九名ぐらい各州に点在をしておりまして、そういう方々が、アメリカの品物をどうやって日本に持っていって売ったらいいかというようなことで、まさに官民挙げて、アイデアは官の方でつくり上げますが、実質の中核は民間に入っていただいてやっているわけです。
 先ほどプロジェクトのお話がございましたが、例えば環境分野でのグリーンエードプランなどというものも、これからの中進国、発展途上国に大変喜ばれておりまして、これらもやはりそうしたプロジェクトをそれぞれの専門家で考えて、民間のいろいろな企業に環境先進国としていろいろな技術のお手伝いをして、民間の皆さんの力をかりているということで今進めているわけでありまして、まさにそういう効果があらわれてくるものであろうと、こういうふうに期待をいたしておるところでございます。
○堀委員 今の問題は以上で、時間があと三十分ぐらいでありますから、次の問題に移らせていただきます。
 実は私、長く大蔵委員会におりまして、税の問題の中で一番問題なのは、所得税というものが総合課税になっていない。所得税というものは、本来的にその人のあらゆる収入を所得として把握をして、総合課税で税を取るというのが私は所得税の原則だ、こう考えているんでありますけれども、私もうこれは三十年でございますが、大蔵委員会で随分そのことを主張してまいりまして、納税者番号の問題も出したり、いろいろなことをやってきました。
 私が最初に納税者番号の問題をやりましたときに、実は私を支持してくれております主要組合でありますNTTの組合。全電通の労働組合からクレームがつきました。ともかく堀さん、そんな番号つけるということは個人のプライバシーが守られない、だからそういうことはやめてくれ、こう
言って、私の最も強力な選挙運動を担ってくれている全電通の組合からそういう注文が来まして、この人たちの理解と説得をするのに随分時間がかかりました。ですからそういう意味で、何とかひとつ所得税を総合課税にとこう考えて、そこで納税者番号というものも大蔵委員会で提案をし、いろいろとやってきたんでありますけれども、今日まだ日本では総合課税が行われないで、要するに分離課税というものが幾つもあるわけですね。
 国民ももっと怒っでいいのではないか、私はこう思うのです。だって今だんだんと、バブルや何かということが言われてきた経過がおありますが、資産所得というものがかつてに比べたら今はるかに大きくなっておる。その大きくなっておる資産所得は別建てで、要するに分離課税で取る、所得税は所得税でこちらは単独だというのでは、これは私は所得税という税の原則から逸脱していると思うんですね。所得税は、何としてもその人のあらゆる所得を総合して課税するというのが所得税の基本的な原則だ、こう思うんですけれども、三十年大蔵委員会で頑張っても実は実現しない。経常収支の黒字ということは、裏返せば国民も豊かになってきておるわけでございますし、もうそろそろここらで、これは本来は自民党で議員立法で出していただけば一番いいんでありますけれども、なかなかちょっとこの番号をつけるということは抵抗がありますので、やはりこれは政府で踏み切っていただく以外ないんじゃないか、こう思っております。
 プライバシーの保護については、もし必要があればプライバシー保護のための法律をあわせてつくってもいいと思うんでありますけれども、要するに納税者番号という形で、資金が動くものは、そのカードを持っていかなければ銀行に貯金もできないし引き出しもできない、株も買えないし、土地から何からあらゆる経済行為は、少なくともその人の持っておる納税者番号カードを提示しなければ取引は行われないというシステムをきちんとするならば、私は総合課税への道は確実に開ける。今からかかってもこれが完成するのにはまだ四、五年かかるんじゃないかと思うんでありますけれども、いつまでたってもこれができないというのは、私も実はそう長くいつまでも議員としてやっているわけにはまいりません。ですから、この際ひとつ政府として、その納税者番号制度を速やかに導入をして所得税の総合課税を確実に実行する、こういう御答弁をいただきたいんでありますけれども、いかがでしょうか。
○林(義)国務大臣 堀議員、もう長年この問題をやっておられまして、私もそのことはよく承知しております。最初にいろいろな話もしたときには、今も総理とちょっと話をしたんですが、納税者番号をつけると徴兵制につながるぞよなどというような議論まで実はありました、初めには。こんな全く誤解的な話がありましたけれども、そんなような話が一部にあったことも事実であります。長いこといろいろの議論をされてきたことでありますし、これは委員先刻御承知のとおりの話でございますけれども、現在、税制調査会でこの問題につきましても鋭意検討を進めているところでございます。
 私から申し上げるまでもありませんけれども、番号付与の方式で、どこで番号をつける、年金番号でやるのか住民台帳の番号でやるのか、どっちにするのかねと、こういうふうな話でありますとか、あるいはコストがどのくらいかかるのかというようなことがありますし、またプライバシーをどういうふうな形で保護していくかというような諸問題が残っておりますので、引き続き検討と、こういうことになっておるところでございます。
 しかしながら、私が思いますのに、やはり所得税というのは、先生おっしゃるとおり総合的な形で課税していくのが本当の所得税のあるべき姿じゃないかな、こう思っています。なかなか現実問題としてできないというのは、やはりいろいろな問題があるからできないのでありまして、そういったことを関係方面ともよく話を詰めて私はやっていかなければならないところだと思います。税でございますから、国民感情や考え方というのを十分に配慮したものでなければなりませんし、引き続き税制調査会でこの問題については御検討をしていただきたい、こういうふうに考えているところでございます。
○堀委員 今のような答弁を私は何回実は大蔵大臣から伺ったかわからないんです。だから、きょうはひとつこういうことを申し上げたいんですけれども、どこかに壁を立てたいと思うんです。あと三年でも五年でもいいです。十年なんて先はだめですよ。だから、五年後には確実に番号制をしいて総合課税にする、公式にひとつこの場所でお答えをいただきたい。そのくらいの決意がなければ、これは何回言ってもだめなんですよ。だって、それは国民の側としたら、そんな番号簿を持って、自分の資産の出し入れするのにそんなことまでされなくてもいいじゃないかということかもしれません。
 しかし、国の基本は一体何かといいますと、税収が国の基本にあるわけです。その税収の一番中心をなすものは何かというと、所得税なんですよ。この所得税をきちんとやらないで、いいかげんにやっておいて、今の消費税、これも実は私がこの予算委員会で提案をさせていただいて、それが今日制度になっているわけです。
 私から見たら極めて不完全な消費税でございまして、あんな提案、初めしてないんです。ちゃんとインボイスをつけてきちんとやりましょう、こういう形できちんとしたものを昭和三十五年の二月の予算委員会で、EC型付加価値税の導入と五〇%、五段階税制の導入ということを予算委員会で提案をさせていただきまして、これは両方とも実現しているんですけれども、残念ながら、今の消費税というものは、私から見たら極めて不完全な消費税。
 要するに、EC型付加価値税をやりたいということは、どこに問題があるかというと、もう最近余り言われなくなりましたけれども、トーゴーサン、クロヨンという所得税の負担のあり方について、要するにサラリーマンの皆さんはもう九九%実は所得は把握されているわけでありますけれども、営庶業の皆さんは非常に申告率も低いし透明度もいかがか、こういう状態がありますから、もう何回もここで言ってきたんですけれども、実は今のような御答弁だったんです。
 総理、ひとつ、これはもう総理の御決断でございますので、私はそんなに前に時間をずらそうと思いませんが、五年以内には必ずやるというふうに、総理、御答弁いただけませんか。
○宮澤内閣総理大臣 本当に三十年余り堀委員にはいろいろ御教示をいただいてまいりましたし、おっしゃっていらっしゃることが、たとえすぐにではなくても、ある時間を置いて実現してきたことを私は自分の目で見ております。
 今の問題についても、おっしゃいますことは私は基本的に決して間違っていると思っていませんけれども、税だけでなく広くいろんな方面に非常に影響を及ぼす問題であろうというふうに思っておりまして、そういうお話がもう一度この時期にございましたことはしっかり覚えておきますけれども、いろいろ諸般の情勢も考えてまいらなければならないということも御了解をお願いいたしたいという気持ちがございます。
○堀委員 ちょっと事務方の方で答弁してもらいたいんですけれども、この今の総合課税の問題、税制調査会で一番最初に論議を始めたのはいつですか。それから、歴史的な経過を少し確認しておきたいと思います。
○濱本政府委員 お答え申し上げます。
 総合課税制度自体をめぐります論議というのは、これはもう随分古くからございますけれども、直接的なお尋ねといたしまして、納税者番号制度につきまして本格的な議論を始めたのはいつか、その経緯はどうかということで御報告申し上げてみますと、六十二年の二月に税制調査会に納税者番号等検討小委員会というものが設置されまして、平成元年の一月の答申におきまして基本的
な考え方が既に示されております。
 その基本的考え方のポイントだけ申し上げますと、この制度を導入しようとすれば、まず一つは、大多数の個人及び法人に対して全国一連の生涯変わることのない番号を付与し得る体制というものができるかどうか。それから、今御指摘のございましたように、プライバシーの保護との関係について国民が納得する、共通の理解が得られるかどうか。それから、こういう制度を実際動かそうとなりますと、大変煩わしい点、あるいは費用もかかりますけれども、そういうことが国民に受忍されるかどうか、その合意が得られるかという点が問題だ、こう述べられております。
 それで、確かに堀先生先ほどから御指摘のように、論議が繰り返されてきたという面はございますけれども、一言御報告にかえて申させていただければ、私はこの論議は次第に深められていると思います。特に、その後いろいろないきさつがございまして、先ほどもちょっとお話に出ました、これは税務の世界だけで処理できる問題なのか。番号というものが一回できますと、その番号というのはいろいろな行政分野で活用できる、そこもあわせて検討しないと話にならぬじゃないかという指摘もございまして、平成元年の二月には、共通番号制度というものをどういうふうに利用していくのが一番いいか、関係省庁の連絡検討会議というものも設けられ、その検討も始められました。
 また、その後、そこでの検討の結果を税制調査会にまた戻してこられまして、その検討の中間報告なども行われまして、それが税制調査会でまた審議されるということをたどり、昨年の十一月にたまたま利子・株式等譲渡益課税の見直しの審議というものが税調で行われますときに、納税者番号制度の検討はどうであるかということから、そちらの検討報告がまとめられました。
 この検討報告の中に登場しましたのが、先ほど申し上げましたように、番号付与の方式につきましての具体的な検討の手がかりとなります新しい提案でございまして、公的年金番号制度を一本化する、こういうものを使ってはどうかという考え方や、住民基本台帳の電算化、ネットワーク化というものが進めばそういうものが利用できるのではないかという非常に具体的な次元での話になってきたと思います。
 そういうふうに検討の局面は少しずつ改まりつつあると思いますけれども、それでは本当に国民の御判断をいただくということになりました場合に、まだまさに事柄自体が検討の途上にございまして、現在進行形でございまして、どれをどのように国民に提示し、御判断をいただくかというのにはもう少し詰める必要があるというのが今の税調の考え方でございまして、それに向かって進んでおるということでございます。
 いつまでに壁を立てろというお話でございますけれども、このこと自体を解決しますためには、その問題の周辺に起こっております、例えば今、年金番号の問題もそうでございます、典型的にそうでございますけれども、そういう論議がいつごろまでにどういうふうに進むのか、あるいは住民台帳のネットワーク化の問題がどういうふうに片づいていくのか、それと一体になっている面がございます。
 それからまた、そういうことが合わさっていろいろな結論を出そうとしますときに別の問題が生じてくるということもございまして、はかりかねておるというところがございますが、まじめにやっておるということは、今私が申し上げましたことでおわかりいただけるんじゃないかというふうに存じます。
 さらに必要があれば細かく申し上げます。
○堀委員 私は長くこの仕事をやっておりまして、大体官僚の皆さんの答弁というのは今のような話なんですね。私は大蔵委員会で  それじゃ私の方で時間を決めないから、いつになったらやるんですか。要するに壁を立てなければこういうことはできないんですよ。
 だけれども、それを私がいっと言えばそれはできませんということになるでしょうから、主税局長、一体どのくらい時間があったら  そしてアメリカが既に一九五七年からソーシャル・セキュリティー・ナンバーを入れてやっているわけですね。アメリカでできることが日本でできないわけはないと思っているんですよ。大体日本はアメリカの方向を見てやっているわけですからね。一体いつになったら番号制度ができるか、ひとつあなたの方で公式に答えてください。
○濱本政府委員 アメリカのお話が出ましたけれども、アメリカの社会保障番号制度、これは一九三六年に、先生もう御承知のことでございますけれども、相当前でございますけれども、付番を開始しております。それが実際に納税者番号制度として制度化されましたのは、大分たちました後の一九六二年でございます。つまり、一般に番号というものが普及し、それをいよいよ納税者番号として取り入れていいという国民の認識に至りますまでには相当の日月がかかったということは、アメリカの例が物語っているだろうと思います。
 国民がこれから後意思決定をされますのに、その国民に向かっていつまでに意思決定を要するかということ、これは役所として、こういう問題を手がけます当局としては、働きかけていかなきゃならない時点といいますかタイミングというのは一つの大事な問題ではあると思いますけれども、事柄の性質からしまして、今この問題につきましていつまでに壁を立てろというお申し出というのは、現在の状況からいたしますと、やや無理な御請求であるというふうに私は思います。そのことがいい答えをもたらすというふうにも思いません。
 ただ、決して怠けているわけではない。こうして今も納税者番号小委員会というものが税調に存在しておりますし、勉強を続けておるということだけは申し上げておきたいと存じます。
○堀委員 政治の問題というのは、確かに、いろいろ議論しておりましたら、やりたくない仕事とやったらいい仕事といろいろ種類がありますから、この問題は、非常に人の懐に手を入れるような話で、やりたくない仕事だと思うんですね。しかし、だれかがやらなければ公正は守られない。公正が守られない限り、税なんというものは国民が信用しなくなりますね。
 国の基本というのは、税によって国の予算は成り立っているわけでありますから、この最も重要な国の仕組みの中の税制について国民の信頼を失うようなことをしてはならぬというのが私のかねてからの信念でありますから、どうかひとつ、きょうはいつまでということは伺いませんけれども、少なくともどこかに自分たちで壁を立てて、ここまでにはどうしてもやらなければいかぬという意気込みがない限り、日本では永久に所得税の総合課税がなくて、国民がだんだんとそういう意味では税に対する不信感を広げていくんではないかということを心配しておりますから、そういう点で、ひとつ十分に速やかな御検討をお願いしたいということを要望しておきます。
 最後に、使途不明金の問題をちょっと取り上げさせていただきます。
 実は、この間から、ちょっと問題が起きておるお金の行き先が、これは税務上でありましょうか、使途不明金と称する形で処理されていて、政治家に対する献金問題、これが今国民の中に非常に大きな不信をもたらしております。お互い政治家として、こういうような国民の疑念を晴らさなければ、私は、政治家として国民に信頼していただくわけにはいかない、こう思っておりますので、あと十分しかありませんけれども、ちょっとこの問題に触れさせていただきます。
 実は、昭和五十七年事務年度から平成三年の事務年度までの十年間に、実地調査等の対象が四万八千九十九件、そうして使途不明金がその中で七千百八十二社にわたってございまして、このうち約八割の三千七百七十六億円というのは完全な使途不明だ、こうなっております。
 最近三年間の使途不明金の金額を事務年度別にあれしますと、これはもう時間がありませんから
私の方で言いますが、平成元年度五百六十三億円、二年度四百七十六億円、三年度五百五十八億円ということで、いろいろと調べた結果、どうしてもこれだけは使途不明だというものがこれだけある、こういうことが国税庁の資料に出ているわけでございます。
 私は、企業というのは、私は大蔵委員会でもかねてからやっておりますけれども、日本の企業というのは株式会社という名前がついているんですけれども、株式会社の体をなしていないと思うんですね。株主総会で会社の社長は、我が社はと大体言っていますよ。アメリカの株主総会ではユアカンパニーと言って、もう基本的にそこが違うんですね。
 要するに、アメリカでは株式会社というのは株主のものですよという考えがはっきり定着していますけれども、日本の株式会社というのは要するに従業員とか役員のものだというような感じで、株主はそこにおるかとも言えないような形になっているものですから、日本の株主総会なんてはからしくてだれも行かないですから、これだけの資本主義大国でありながら、まともな株主総会なんて行われていないというのが現状なんですね。
 だから、これを正しますためにはきちんとしたディスクロージャーが行われなきゃならないと思うんですけれども、依然としてこういう点について非常に寛大といいますか、なまぬるいというんでしょうか、資本主義国として私は全く恥ずかしいことだ、こう思っているんですね。
 ですから私は、何とかこの使途不明金の問題について、今すぐ、もう五分しか時間がありませんから、その問題についてお答えをいただくわけにはいかないと思いますけれども、政府の各省で協議をしていただいて、何らかの方途によって、要するにこの使途不明金というものはどこかの、要するに、第一、領収書をとらないような金を会社がだれかに渡したということは明らかな背任行為ですからね。だから、そういうきちんとした、現在の商法に基づくところの株式会社が、商法に基づき、あるいは税法に基づいて瑕疵ない運営ができるようにするためには、私は、この使途不明金などというものが税の処理に残るということは、先進国として、今の資本大国として大変恥ずかしいことじゃないか、こう思うのですね。
 ですから、何とかひとつこの使途不明金問題について御検討をいただいて、その結果をひとつ文書で公開をしていただきたい、こういうふうに思うのでありますが、いかがでしょうか。
○林(義)国務大臣 委員先刻御承知のことだと思いますから私からくどくど申し上げませんけれども、使途不明金という概念は税法の上で出てくる概念でございまして、税を取るときに、企業の方で、これは出すわけにはいかないからという形で、使途不明金で出しているところがございます。そういったようなものでございますから、それは、法人税法その他では、税を取るためでございますから、そこについて税はかかるわけでございますから、法人税法としてはそこまでが私は精いっぱいの話ではないか。これは税の法律の建前としてそういうことだろう、こう思うのです。
 しかしながら、社会的にいろいろな問題が出てきております。がしかし、商法の問題として申し上げますならば、商法では使途不明金などというものはこれはないわけでございまして、商法上ははっきりいろいろな形が出る。もしもいろいろなことがあれば、それは背任罪とかなんとかというような話になってくるんだろう、こう私は思うところであります。
 そういったことをどうしていくかというのは一つの私は問題だろうと思いますし、正直申しまして、昨今のいろいろな政治的な問題からありまして、そういったものが流れているのじゃないかという疑いもある。私はどうかというのはわかりませんけれども、そういったものはやはり詰めてみなければならない話だろうと思いますし、むしろ政治改革の方の話なのかなという私も感じを持っておるところであります。
 各省でいろいろ少し事務方にでも話をして、少しお互いがフリーに話をして、何らかの解決をしていかなければならない問題だろうという認識を持っていることは申し上げておきたいと思います。
○堀委員 この国会は、現状でございますと、六月二十日までの会期がございます。きょうが二十五日でございますか、ですから約二十五日間ぐらいありますので、ひとつ各省庁打ち合わせをしていただいて、その結論はいいのですけれども、要するにどういう形で物を調べてどういうふうにするかという仕組みぐらいはひとつこの国会の会期中に何らかの回答をいただきたい、こう思うのでありますけれども、いかがでしょうか。
○林(義)国務大臣 非常に難しい法律論が私はあるのじゃないかなという感じがいたします。そういったことで、いろいろなことをやはり考えていかなければならない問題があると思いますので、その辺も含めまして検討させていただきたい、こう思います。
○堀委員 終わります。
○粕谷委員長 この際、水田稔君から関連質疑の申し出があります。堀君の持ち時間の範囲内でこれを許します。水田稔君。
○水田委員 この国会中、四月に、宮澤総理はアメリカへ行かれて、クリントン大統領と日米首脳会談をやられたわけであります。大変国会の重要な日程の中を抜けて行かれたわけでありますが、私どもから見ますと、一体その成果があったんだろうかどうだろう、そういう疑念もありますし、結果的には、帰るときに為替の急激な円高というつけ馬を連れて帰ったぐらいでという感じがして仕方がないわけであります。極めて重要な時期に行かれたわけでありますから、その目的と、それからもう一つは、どういう成果を上げた、どういうぐあいに成果を上げたとお考えになっておるか、まず総理からお聞かせいただきたいと思います。
○宮澤内閣総理大臣 ただいま日本とアメリカとの間では、世界のGNPのちょうど四〇%ぐらいを占めておる両国でございますから、いわゆる世界の問題について両国がどのように協調して対処するか、幸いにして価値観を同じくしておりますので、これはやはり新しい大統領が誕生されました機会に話し合っておくべき問題であろうというのが第一でございます。第二に、しかし、両国の間にまたいろいろな問題がある、殊に経済問題がありますのは御承知のとおりでございますから、そのことについてももちろんお話をしなければならない。それから第三に、たまたま今年は東京でサミットが開かれますし、ロシアの問題も御承知のようなことでございますので、そういうことについても話しておきたい。大体この三つを主たる目的にして会談をいたしました。
 それで、会談そのものでございますけれども、私は大統領と二人で話す時間もかなり長くありまして、会談の目的は十分達成をしたというふうに考えております。それで、非常に厳しい雰囲気のものであったという印象を記者会見等々から世間で一般に持たれたように思いますけれども、私の感じを率直に申しますと、今までの時代、ブッシュさんの時代、つまり戦前の日本というものを知り、したがって戦後の日本を大事にいわば援助してきたという意識の政治家、またそういう大統領と私との間で生まれている信頼感、友情というものと今度は全く異なりまして、今の大統領にとっては、日本というのは最初から大人でございます。日本でつくった車に乗り、日本でつくったテレビを見て育たれたでしょうから、初めからそういう意味でからっとした感じでございまして、大人と大人。私は決してアメリカに厄介になったことを忘れてはおりません。おりませんが、先方にはそういう意識は大変にもう少なくて、大人と大人のからっとした話をしてきたという思いがあります。私は、それはそれでいいことではないかという気持ちがございます。
 それが全体の私の持っておる印象でして、会談としては大変有意義であった、今申しましたような三つの問題について広い話をしてきたというこ
とでございます。
 その中で、今水田委員のお取り上げになられましたのは、日米間の経済関係でございます。これは先ほどもお話がございましたような非常に大きな赤字、黒字の関係でございますから、どうかしなきゃならないと大統領が思われるのはもっともですし、我々も何とかしなければならないということで、両国の間で小十年随分いろいろなことをやってまいりました。お互いにまじめにやってきましたけれども、結果としての貿易黒字、赤字というものはなかなか動かないというのが現実でございますから、大統領がそのことを非常に、まあ一番優先度の高い問題と考えられることは無理のないことと思います。
 そこで、二人の間で合意をしたことは、さりとて特定の品物について市場の占有率を定めようというような考え方は、これはもともと考え方として適当だとは思われませんし、またそういうことを市場経済の国が実行できるとも思えない、したがってそれは私として同意することはできないということは明瞭に申してまいりましたけれども、しかし、これだけ大きな黒字、赤字の関係であること、実はそのことについては、やはりこれからお互いにどうやっていこうかということは考えていかなければならない。
 実はそればかりでなく、日米関係は、これは大きな問題ではございますけれども、そのほかにマクロの経済の問題であるとかあるいはもっと幅広く、いわば環境問題であるとかエイズの問題であるとかハイテクの問題であるとかいろいろございますから、それらを含めて今後の日米間の協議のひとつ枠組みというものを、フレームワークという言葉を使いましたけれども、それを考えましょう、クリントン大統領が日本に今度サミットのときに来られますから、それまでの間に両国で枠組みを考えましょうということで合意をしまして、その作業は既に両国間で始まっております。七月のサミットまでには一つのものをつくり上げたいと思っておるところでございます。
 それから、為替の問題について御言及がありました。クリントンさんと私との間で、二人だけの間及び全体会議を含めて、為替の問題がそのような形で言及されたことはございません。記者会見においてクリントンさんが日米間のこの貿易赤字、黒字の問題について幾つかの要因と申しますかそういうことに触れた中で、為替がその一つであるということは言われました。それは新聞記者の質問に答えて言われたことであって、私は聞いておりまして、私の口を挟む場ではありませんでしたけれども、為替相場に影響を与えようという意図を持って言われたとは考えませんでしたし、今もそういうことは考えておりません。
 日米間の貿易不均衡を直すために、例えば個々の品物についての問題であるとか、あるいは構造問題であるとか、あるいはマクロの問題であるとか、あるいは為替の問題であるとか、そういう形で言及をされた。恐らくそれが市場にああいう影響を与えるということはクリントンさん自身もちろん意図をしておられなかったでしょうし、あるいは驚かれたのではないかと思いますが、このことは、その後にG7の林大蔵大臣の出られました会合が四月の末にございまして、為替についてはファンダメンタルズ云々というああいう合意が確認されましたことによりましても明白であろうと思っております。
○水田委員 現実に我々から受けとめますと、例えば五項目の開放要求というのが、いわゆる分野別の協議が提案された。今総理もお答えになったように、それはとるべきでないということで断られておる。しかし、新しい枠組みというのは一体、クリントン大統領の考える新しい経済政策と、それから我々が反省しなきゃならぬのは、私は半導体の協議のあのいきさつをずっと読んで見ても、どう考えても、二〇%へ行かなければペナルティーを科すというのはどこにもないわけですね。しかし、現実にはそういう形になってきている。アメリカはそのことをやはり念頭に置いているわけですね。念頭に置いた日本との関係を考える。今総理は、それは大統領の提案に対して否定をしたけれども、新しい枠組みというのは一体何なのか。
 例えば、通産省は通商白書の中で、アメリカのそういう出方というのはやはり批判しておるわけですね。これは、自由貿易の原則を守るべき、管理貿易は反対。総理もやはりそういう立場でノーと言われた。しかし、アメリカはサミットあるいはこれから日米の交渉の中でこの五項目を出してくることは間違いないわけですね。新しいフレームというのは一体何なのか。それは、今までのような自由貿易で、あるいは管理貿易反対ということだけで対応できるのかどうか。
 これは大統領は意図しなかったと言いながら、あの記者会見で円高容認、評価するということは、どういう為替の変動があるかということは、少なくとも日本と両方で世界の四〇%の経済力を持つ国の大統領なら知らないということはないと思うのですね。ですから、逆に言えば、日本が貿易収支のアメリカの大変な赤字に対して、またふえておるわけですが、それに対してこたえられるような話が日米首脳会議の中でなかったということに対するいわば、変な言葉ですが、しっぺ返しのような、それを記者会見の中でやったんじゃないかと考えるのが常識だろうと思うのですね。
 ですから私はそこのところを、通産大臣も、これは今総理は、確かに自由貿易、管理貿易反対という立場でいえば断られることは当然かもしれないけれども、そのことがこれからの日米の経済交渉なりあるいはまたサミットの中で当然大きな課題として出てくるわけですが、どういうスタンスで、私は例の半導体交渉のああいうことを繰り返してはならぬという思いがありますから、そこのところはどういうぐあいに取り組まれるお考えがあるのか、伺いたいと思います。
○森国務大臣 今、総理からもお答え申し上げましたように、事務的にそれぞれアメリカ側も、先般私はトロントでカンター通商代表にお目にかかりましたときにも、一日かけてゆっくりいろいろ考えております、予備的なものは今月内にはお示しすることになるでしょう、こういうお話でございました。また、それを受けて日本の方も事務的にこれからまとめていくわけでございますから、具体的な方法、具体的な項目については今の段階では申し上げられる段階ではないと思いますが、基本的には、先ほど総理がおっしゃいましたように、単なる通商的なものだけではなくて、これからの日米の教育でありますとか環境でありますとか科学技術の投資でありますとか、そういうマクロ的なものを十分考えた、そうしたフレームワークをやはり考えていくべきだろう、こう思っております。
 また、先ほど総理からもお話がございましたけれども、日米首脳会談によってむしろそういう個別的な数値の設定をするということなどについては、総理から強くきちっとした日本の姿勢をクリントン大統領にお示しになったわけであります。そのことが結果的には、例えば総理が豪州やニュージーランドへおいでになったときにも、豪州、ニュージーランドもやはりそういう考えに賛意を示しておられます。
 また、私自身もこの連休を利用しましてASEANへ参りますと、ゴー・チョクトン首相でありますとかあるいはインドネシアのスハルト大統領を初めとして、やはりこの日米間の問題に大変関心を持っておられますと同時に、アメリカ側のそうした数値を設定する、個別的なものを設定する、あるいは一方的なアプローチをするということについては、そうした国々も大変な懸念を示しておりますので、そういう意味では総理とクリントンがそういうお話をされましたということで大変私はよかったと、そのことが世界全体に自由貿易のあり方というものについて改めてその重要性を大きく喧伝を、喧伝という言葉がいいかどうかわかりませんが、かえってみんながそういう意識を持つということになったと私は思いますし、そのことがウルグアイ・ラウンドをやはり何としても合意にみんなで努力してこぎつけていかなきゃ
ならぬなという、世界的なそういう合意にもなりつつあるというふうにも考えております。
 したがいまして、ちょっと外れましたけれども、やはりこうしたフレームワークは両方で十二分に中長期的なものも含めて検討していくべきものであろう、このように考えております。
○水田委員 自由貿易というのは、それぞれの自由な経済をそれぞれが持って、その中で有無相通ずる関係というようなことなどを念頭に置いた考え方なんですね。ところが、実際にこれだけ大きな経済が発展する中では、例えばの話、国際市場に出るもので、どこかの国の刑務所の中で非常に安い賃金でつくったものが市場を制覇するという場合に、それも自由貿易ということでいいのかどうかということ、あるいは極めて突出した技術力をもって世界の市場の大半をいわゆる寡占状態にまで一つの国がした場合、そういう場合にも自由貿易ということだけでいいんだろうかというようなことが、クリントン大統領があれだけアメリカの経済ということを考えて、その中でそういう思いがあるんではないだろうか。
 だから、そういうことも当然考えながら、しかし、今まで日本は、アメリカというのは、すべての問題、圧力をかければ最終的には日本は応じてきたじゃないか、そういう思いが、これは半導体の問題もあれば、私はFSXの問題も一番けしからぬと思っているのですが、そういう問題が山ほどある。そのことが日本の中に、逆に言ったらアメリカはけしからぬという嫌米の思想が蔓延してくる、そういうことになっている。そういうことになってもいけないと思うのですね。
 ですから私は、本当にアメリカのために何を考えるか。それは、日本との関係がいい関係で、日本の経済との関係、あるいは貿易収支の大幅な黒字の問題をどういう形で解消するかということが、今までの自由貿易とか管理貿易反対だけじゃなくて、もう少しちょっと世界の経済の状況を見て、これは米の問題にも関係しますけれども、それは我々の主張が正しいという意味で、そういうことを含めた枠組みというのを、フレームという言葉を使われましたが、それはそういうスタンスでのフレームを考えるときが来ておるんじゃないだろうか、そう思いますが、総理とそれから通産大臣にちょっと御答弁いただきたいと思います。
○宮澤内閣総理大臣 お考えは、私は基本的にはそうだと思います。
 ですから、これから、今フレームワークの作業、今の段階は実はまだ両国間でアイデアの交換をするところまでいっておりませんで、アメリカ側はアメリカ側として考えている、日本側は日本側としても考えつつあるというような、まだそういう段階でございますけれども、これをやはり両方突き合わすといたしますとかなり難しい作業になると思います。思いますが、先ほど申しましたようなことだけはきちんとしておかないといけませんし、また今、水田委員の言われましたようないろいろな点、これは確かに考えていかなきゃなりませんので、このフレームワークのつくり方は大変重要な問題だと思います。
 御指摘のようなことも十分考えながら交渉をしてまいりたいと思います。
○森国務大臣 今、例えば刑務所の中でつくってとても安かったものをというようなお話がございましたけれども、やはりそうした特異な例になりましたり、そういう数字的に非常にまた際立ったものになりますと、その場合は、やはりガットというものがあるわけでございますから、そういう中で話し合っていくということがやはり私は自由貿易体制の一番大事なシステムだろう、こう思います。
 また、もう少しこれを、今の日本の貿易黒字というのはいろいろな形で検討はしていかなきゃなりませんけれども、やはり基本的には日本の景気が悪いということが一つの大きな原因でございまして、委員も御承知だと思いますが、九二年度の貿易動向の数字を見ましても、輸出は対前年度比七・三で伸びておりますが、これは価格で七・三でありまして、数量は〇・〇なんです。全くふえてないわけです。したがって、そういう数字というものを輸入で見ましても、全体的には〇・三プラス、価格は〇・四で、数量は逆にマイナス〇・一ということでございます。これはまさに日本の不況ということになるわけでございますから、基本的にはやはり景気を回復させて、そして輸入拡大が進むようにしていくということだろうと思います。
 そういう意味で、今時間をとって恐縮でございますから申し上げませんが、いろいろなことを今やっております。先般も通産省に日本の企業百七十社の社長さんに全部お集まりをいただきまして私からお願いも申し上げましたし、地方の通産局全部利用いたしまして、それぞれの地域の社長、経営者にお集まりをいただいて、輸入促進に対して御努力いただくようにお願いもいたしておるわけでございます。
 この貿易の問題は、全体的に見まして、やはり中長期的にも見ていかなきゃなりませんので、例えばこういうことがございますね。アメリカの産業の工程間の分業というのがございます。日本のいろいろな部品が優秀でありますから、どうしても日本の部品が入ってしまう、その分がどうしてもやはり貿易の面での日本の輸出ということになりますから、これはもう少し長期的に見ていって、日本とアメリカとの産業協力というのが進んでまいりますと解消していくことにもなると思いますし、それからクリントン政権が発足いたしまして、産業の競争力にもっと力を入れるとか、教育に投資を入れるとか、そうした教育投資あるいはインフラ整備もやる、こうおっしゃっていますから、そうしたことが少しずつ進んでいったり、あるいはまた競争力が強化されたり財政の赤字が削減されていく。
 逆に我が国の方は、貯蓄が非常に高いわけでございますが、これもまた一昨日の予算委員会でも出ておりましたように、高齢化に対応していきますと、やはり日本の貯蓄力というものに対する動向が変化してくるだろう。
 こういうようなバランスからやはり長期的に見ていくべきであって、短兵急に今の時点の中で日米間が感情的になるということは、これは先ほど委員がおっしゃいましたように、まさに世界のGNPの四割を持っておる米国と日本の関係から見れば、ここは我が国は冷静な対応を求める、こういうことで、政府にもあるいは議会関係者にもそうした申し入れといいましょうか要請を申し上げているところでありまして、ここは冷静な対応を、中長期的な問題と短期的な問題をきちっと分けて話し合って解決していくということが大事ではないか、このように考えております。
    〔委員長退席、小杉委員長代理着席〕
○水田委員 刑務所の問題をちょっと例に挙げたんですが、例えば日本でいえば労働時間が極めて長い、そういう問題がやっぱり競争力の問題、そういう問題まで考えた総合的なフレームというのを考えていかなくちゃいけない。
 ですから、これはすぐにはならぬでしょうけれども、アメリカでは貿易収支の赤字を減らすために日本に所得税減税を要求したらどうかそういう論議が既にアメリカで出ておる、そういう報道もされておるわけですね。ですから、この前四百三十兆の公共事業の話をした、あるいはその後からそういう問題がどんどん出てくるわけですね。
 ですから、私は、逆に言えば、日本でやれることはきちっとやった方が、日本の中でいわゆる嫌米という感情が広がるのは、向こうから言われたからやる、まあ日本の中でそれを進めておる人もあるようですが、そうでない形で、やはり日本のことは日本の国内で、我々が国際社会の中でどう生きていくのか、どう産業構造を持っていくのか、そういうことを我々自身の手で考えながらやった方がむしろいいんじゃないか。そういう意味で、日米関係も大事ですから、そういうことなども、我々自身の今のあり方も考え、そしてアメリカとの関係できちっとしたものをやってもらいたいということを要望して、この点を終わりま
す。
 もう一つ、総理、米の問題は大統領との間で話はなかったですか、されなかったですか。
○宮澤内閣総理大臣 大統領との間で話しましたことを一々申し上げることは差し控えなきゃならぬと思いますけれども、私としては、国会で今まで申し上げてきたこの問題につきましての考え方、別段、日米会談がございましたからといって、それを変えていくというつもりは全くございません。
○水田委員 この点、そうだとお認めいただけるかどうかわかりませんが、この会談の中で、ウルグアイ・ラウンドをめぐってクリントン大統領がこういう言い方をしておるのですね、非常に政治的な問題に対処してほしい。これだけじゃわからぬのですが、これはえんきょくに、政治的なというのは米の問題、米市場の開放を要求した。これに対して総理が、英語でずっとやられたんですから、英語でやられたんだと思うんですが、最善の努力をする、こう答えられた、こういうことが報じられておるものもあるわけですね。
 これはもう大変重要なことで、例えばもしこういうことがあるとするならば、日本でいえば、国会答弁で、前向きに検討するとか最善の努力をする、結果、後見たら何もしてないというのは、それでも済むというような風潮がありますけれども、アメリカとの間ではとてもじゃないがそれは通用しないことで、絶対やらなきゃならぬということになる。
 これはそうだったとお認めになることもなかなか難しいのかもしれませんが、こういうニュアンスのことが話し合われておったのかどうか、否定はされないのかどうか。保というのは、これからのウルグアイ・ラウンドの中であるいは日米交渉の中で、米問題でもしそういうことがあったとするならば、相当こっちが受け身で立たなきゃならぬようなことになるんではないかと心配するわけですが、内容を、大統領との話ですから全部言われるわけにはいかないかもしれませんが、こういうことが全くなかったのか、あるいはまあ近いニュアンスの話があったのか、お聞かせいただければありがたいと思います。
○宮澤内閣総理大臣 一般にウルグアイ・ラウンドを推進したいという話は、これはございましたけれども、今の問題につきましては、これは明確に申し上げてよろしいと思いますが、私はそういうことを申しておりませんし、また、そのような印象を与えたこともないと思います。
○水田委員 それでは、次の補正予算の問題についてお伺いしたいと思います。
 当初予算の審議のさなかから、景気対策として大型のいわゆる公共事業の補正を組まなきゃならぬという話は出てきておったわけですね。実際には四月の十三日ですから、予算が通ると同時ぐらいに経済対策、これは今回出された補正とほぼ同じ十二兆二千億という、こういうものが同じ会期の国会に出されたわけですね。
 これはどう考えてみても私は、一つは、財政法二十九条の補正予算を組む条項には該当しない、非常に疑義があるというよりは財政法違反ではないか、こういうぐあいに思うわけです。
 まずその点について、これは大蔵大臣になりますか、どういうぐあいにお考えか、伺いたいと思います。
○林(義)国務大臣 財政法二十九条の規定からいたしまして、予算作成後において生じた事由によって補正予算を出すことができる、こう書いてありますから、「予算作成後」、こういうふうに書いてありますのは、予算を作成したときである。それは私どもの考え方は、政府で予算を出す、予算を出すというのは憲法に書いてありますから、その段階でありますから、私は十二月の末に閣議決定したときが予算作成時だろうと思うんです。もう一つ譲っても、国会に出したときがその作成時というふうに私は思いますけれども、そうした考え方で私どもの方ではやっているところでございます。
 いずれにいたしましても、私どもは平成五年度の予算をお願いをし、それからその中でいろいろ議論がありました。確かに景気、足りないじゃないかとかどうだというような議論をこの委員会で随分やっていただきました。私たちはそういったことについても謙虚に話を受けとめましたし、それから景気の状況等がもう一つ思わしくない、まだまだら模様であるというような判断から、四月の初め、全く異例の時期ではあったけれども、こういった補正予算のお願いをしたというのが私どもの考え方でございます。
○水田委員 これはもう大臣も御承知のとおり二十九条は「次に掲げる場合に限りことなっておるんですね。「法律上又は契約上国の義務に属する経費の不足を補うほか、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費」ですね。これは当初予算の論議のときから同じ、今度の場合も景気対策で同じあれなんですね。当然、同一ですから、当初予算の中へ組み込んでやるべきものだと思うのです。
 そこで、先例はどうなんですか。これは事務方でもいいんですが、こういう同一会期内における補正がやられたのは、いつ、どういう理由によってやられたのか、たくさんそういう例があるのか、お伺いしたいと思います。
○斎藤(次)政府委員 突然の御質問でございますが、正確には、資料が手元にはございませんが、私の記憶によりますと、昭和三十四年にそういう例があったと記憶しております。
○水田委員 どういう内容でですか、それは。
○斎藤(次)政府委員 失礼いたしました。
 三十四年の例でございますが、これは、国際通貨基金及び国際復興開発銀行に対する出資の額が増額されることになったことに伴って、その予算措置を講じたものでございます。
○水田委員 それだけですか。三十六年にありますね。
○斎藤(次)政府委員 三十六年の例もございますが、これはいわば特別会計の補正でございました。
○水田委員 このいずれの場合も、それは国際的な取り決め、あるいは今の三十六年の場合も、これは公労委の仲裁裁定が三月二十七日に出たということによって、予算は既に審議されている最中ですからその同一会期内に出されたというわけで、それ以外に、景気対策ということで当初予算で一生懸命やっておった、そのときにはこれはもう最善のものですと一生懸命言ったわけです。そのさなかに、片一方では、終わればすぐ補正をやるようなことをずっと言ってきたわけです。四月十三日に経済対策を決めるということは、まさに予算審議長中にその準備を全部しておったわけですから、本来ならば当初予算の中にこれは組み替えをやってても出すべきだろうと思うのです。
 もう一つは、この点からいうと、これは同じものです。今の三十四年と三十六年の問題というのはちゃんと法律に基づくものですからいいのですが、緊要ということでいうとこれに該当しない。そうすると一事不再議の原則に触れるのではないかということも考えられるわけですね。いずれにしたところで、これがまともな補正で、当然のことですということは言いにくいものだと思うのですが、その点いかがですか。
○林(義)国務大臣 法律論で申し上げましたならば、二十九条の二号に、「予算作成後に生じた事由に基づいて、予算に追加以外の変更を加える場合」、こういうふうにございますから、私は、「予算作成後」というのは、先ほど申し上げましたような予算の作成をしたときでありまして、政府が決定したときである、そういうふうに思いますから、その後にいろいろな事由があった、いろいろな御意見があった、そういったことで、「予算に追加以外の変更を加える場合」には補正予算を出すことができる、こう書いてありますから、私は、財政法の規定からすれば、これはそうおかしなことをやったとは思っておりません。
 ただ、具体的な問題として、予算の編成の途中におきましていろいろ御議論があった、補正をしたらどうだというような御議論がありましたけれ
ども、いや、私の方としてはお願いをしている予算をぜひやっていただきたい、こういうことでやってきたわけでございまして、しかもすぐに出すのはどうかと言われれば、もう少したってからというふうな話もあったと思います。思いますが、私は昨年の例を見まして、八月に総合経済対策をやりました。十月に出そうというときがおくれちゃったというようなこともございますから、やはり景気回復のためには早目に手を打った方が経済政策としては好ましいのではないか。
 したがいまして、まさに異例な措置であるけれども、私たちはやはりそういったことをした方が、景気を持続的成長のもとに持っていくためにはその方がいいだろう、こういうふうな判断をいたしまして、あえて補正予算のお願いをしているところでございます。
○水田委員 私は、やはり問題がある。総理も大蔵大臣も当初予算、これが今景気が悪い中で最善のものです、一日も早く通してください、こう言ったのです。舌の根の乾かぬうちにこれでは足らぬのですと。これは議員を少しなめたお話なのか、そういう感じがして仕方がないわけです。
 そこで、それならば、景気対策でそこまで必要と言うなら、今まで公共事業、公共事業と言ってこられて、我々が要求した所得税減税について、これは総理というよりは総裁として、総裁の補佐役、いわゆる番頭役であります与党の大幹事長が、予算審議の間に、所得税減税については「前向きに検討する」、バッジをかけると言ったのです、バッジを。大変なことです。大政権政党の幹事長が言われたわけですが、全くこの中には出ていない。勝手なことを、早く通してくれ、これは景気対策のために必要だ、減税がそれは役に立つと言ったら、そんなものはとにかく「前向きに検討する」だけでごまかして、これは出してこぬのです。それは私どもとしてはいただけない、こういう思いがするわけです。
 そこでお伺いですが、去年同じように早くとにかく当初予算を通してほしい、そして経済対策で十兆七千億やった。七五%前倒しやって、そして十兆七千億やった。ことしも当初通った七五%前倒しやる。公共事業やったのです。景気はどうなったのですか。経済企画庁長官、この間も答弁されておるのですが、今の景気はどうですか。
○船田国務大臣 お答えいたします。
 我が国の景気はなお依然として低迷を続けているという基本的な認識にはおりますけれども、ただ一部の数字、例えば、それは景気動向調査なり、あるいはまた在庫循環もかなり終局に向かっているというような状況にもあります。また、鉱工業生産出荷額も、若干ではありますけれども、プラスに転じてきている。このようなことで一部には回復の兆しが見られる、こういう「回復」という言葉を初めて五月の月例経済報告でも申し上げさせていただいたという状況でございます。
 しかし、最初に申し上げましたように、なお個人消費あるいは民間の設備投資、いわゆる経済でいえば横綱と言われているようなそういう指標がなかなか上向いてこない。そういう現状にありましてはなおまだ低迷を続けておる、こういう基本的認識は崩せないのではないか、このように思っております。
○水田委員 今申し上げたように、去年からあれだけ公共事業が一番役に立つと言ってやってきた政府が、どうして、GNPの六〇%を占める個人消費が、なお最近の状況でも百貨店やスーパーの売り上げはまだマイナスの状況ですね。そして、公定歩合は六%から二・五%まで下げたけれども、民間設備投資も起こってこない。これが二〇%。全体の八〇%がまだ動いてこない。
 大蔵大臣は、とにかく公共事業、あるいは総理もそれが一番いい、こういうことで、去年から前倒しをやる、十兆七千億をやる、また前倒しをやる。ならぬわけですが、それはどこに問題があったのですか。我々が言っておるやはり直接的な、消費が冷え込んだところへこたえるのは、一つは所得をふやすか、そこで懐へ残る、いわゆる実際の税金を減らして、減税をやって残すことが、そういう特効薬的な施策をやってないからそういうことが起こったんじゃないですか。そういう反省はないですか。大蔵大臣と経済企画庁長官。
○船田国務大臣 お答えいたします。
 先ほど消費の落ち込みということを御指摘をいたしましたけれども、やはり消費の落ち込みの原因としては、バブル経済の崩壊、そしてそれによる資産デフレということが消費のマインドを冷え込ませたということが一つあると思います。それから、やはり景気の落ち込みということでどうしても残業がかなり減りまして、その影響もあって時間外手当の分が非常に少なくなった。こういう点が可処分所得をそれほど大きくはふやしてこなかった。こういう影響もあるかと思っております。
 そういうことでありますけれども、また一方で公共投資、そういうことによって景気を刺激する、こういう効果がどうなっているんだ、こういう御指摘でございますが、私、昨年の三月の緊急経済対策、これは主に公共事業の前倒しということを中心とした政策をとらせていただきました。昨年八月の総合経済対策、これは御承知のように十兆七千億円というかなり大きな規模の追加的な政策をとらせていただいた。ただ、若干ではありますけれども、それに関連をする補正予算の成立が十二月にずれ込んだということもございまして、やや息切れをしたなという感じはいたしておりますけれども、しかし、低迷を続けている景気の下支えは少なくともあの当時したのではないか、こういうふうには思っておりますし、ことし年初からその効果というものが非常にあらわれてきている、こういうことも私個人としては感じておるわけでございます。
 しかし、景気の足取りということを考えた場合にはなお新たな対策が必要であった。景気の足取りをより確実にするためには、やはり公共事業を中心とした対策というものをもう一段考えなければいけないな、そういう気持ちでこの新総合経済対策もまとめさせていただいている、こういうことでございますので、公共事業の意味合いというものの理解をぜひともお願いをしたいな、このように思っております。
○林(義)国務大臣 消費の落ち込みというのにつきましては、いろいろな数字があると私は思います。確かに百貨店の売り上げはそんなにふえてないということもございますが、スーパーなんかの方は割とふえてきている、回復の兆しがあるというようなこともあります。特にディスカウントハウスであるとかというようなところは相当出てきておる、こういうふうな話もあります。それから自動車なんかは、実は二、三月はふえてきたのですが、四月はまた落ちちゃったというようなこともございます。それからもう一つ言いますと、金融の関係でM2の数字がふえてきている、徐々に回復をしていることもいい方向だろう、私はこう思っておるところであります。
 それで、個人の消費がどうしてふえないのかね、どういうふうな形で見たらいいのかな、これは私はいろいろな問題があるのだろうと思いますが、やはり生活が安定をしていく、収入が相当ふえていくという将来的な期待がなければなかなかそういうふうな形にならない。単に一時的にパートなんかやって、それじゃ将来どうなる、また前と同じだということになると、それは貯蓄に回しておかなくちゃだめだぞというのが私は一般的な感じだろうと思いますし、経済全体をよくしていくことが消費に対するところのいい刺激を与える方の話だろうな、こう私は思っているのです。
 そうした意味で、どういうふうな形でやっていくかというと、公共事業でいろいろな社会資本その他をふやしていくということが、それによって仕事が出てまいります。その仕事が出てくることによりまして、それに対するところの部品をつくったりあるいはそれに対するいろいろな素材を供給するところの産業というのがふえてくるのだろう、こう思っておるところであります。
 例えば機械受注なんというような数字がございますね。機械受注なんて割とふえてきているので
すよ。何でふえているのだろう、こんなに景気悪いのになぜ機械受注がふえているのだ、こういうことでありますが、何かふえているのは環境関係の機械、というのは下水道であるとかそういったようなところの関係の施設が相当ふえてきている、これはまさに私は公共事業がそのままやってきたところだろうと思います。そんなところがふえできますとそれの部品がずっとふえてくる、こういうふうな形で動いていく、そういった形のものが私は今の実態だろうと思いますから、そんなに力強いばあっとしたことにはならないかもしれないけれども、着実にそういった形で、社会資本の充実によりまして日本全体がレベルアップするという形でもって私は今きているんじゃないかな。そこで徐々に景気の回復の方向へ向かっていく。しかしながら、そんなにぱっとしたものが四月になって出てきたとか五月になって出てきたというような形ではない。
 こういうふうな認識をしているところでありまして、やはり日本全体としてのことを考えますならば、全体のレベルをどう押し上げていくかというと、社会資本の充実をいろいろな角度から図っていくということをやっていくことが必要であろうなと、こう思っているところであります。
 特にいろいろな形で政府がいろいろな支出をするということになりますならば、単に個人の消費を刺激する、例えば飲み食いを刺激するために税金を使うのかねと、こういうふうな話になるだろうと思うのです。そういうことではなくて、やはり社会資本をつくる、それによっていろいろな仕事が出てくる、それによって資材の発注等もあります、そういったことが回り回って日本経済というものがうまく動くというふうな形でやった方が、若干時間はかかるかもしれませんけれども、私は王道ではないか、そういった形でこそ私はやっていくべきだろうなと、こう思っておるところでございます。
 特に今の財政大変に厳しいときでありますから、そのときに赤字国債をまた出してやるというふうな話になりましたら、今はいいかもしれないけれども、将来にツケを残すというような話になりましたら、やはり現在に生きているところの政治家として果たしていいかなと言われれば、私は大変に問題があるのだろう、こういうふうなことを考えてお願いをしているところであります。
○水田委員 将来にツケを残すなんて、私はそんな話はしてないのです、所得税減税を言っておるだけで。
 私はやはり処方せんが間違っておるのではないかと。今日まであれだけやって、公共事業、公共事業と言ってやってきたけれども、なお一番の、全体の八〇%を占める個人消費と民間設備投資が起こってないということは、やはり処方せん。四十度熱が出ておるのに、それは悪いことはないです、栄養剤を与えて、これが効くんだ、これが効くんだよ。それはそのうち栄養剤も効いてくるでしょう。だけれども、熱を下げるというそういうこともやはり政策としてとるべきじゃないか。
 というのは、単に下げろと言うだけじゃなくて、調整減税ということを考えて、それでも二兆円ぐらいはしなければ、本当を言えば勤労者の税金と、それから、減税やってませんからね、申告所得との間では経費がふえていっております、落としてもらえる分がね。その分をやるだけでも、調整減税でも二兆円ぐらいはあるわけですからね。それもしないで、減税よりは公共投資ということでやってきた結果がこういうことになっておるのですから、私はやはり処方せんの誤りがあるのだろうと思うのですね。
 そういうことと、それからもう一つは、先ほど申し上げましたように、これは総理というよりは総裁として、大幹事長が約束したことが今日守られていない。それで、我々野党としては、党とそれから大蔵大臣に所得税減税についての申し入れをしておるわけです。きょう昼ぐらいまでに回答をいただくということですが、この点についてやはりきちっとした、減税をどうされるのか。(発言する者あり)いや、この国会中にということで大幹事長が我々にバッジをかけて約束したのですから、その返事を具体的に聞かしていただきたい。これは総裁として聞かしていただきたい。この国会ではやれないのか、あるいは我々との話をさらに詰めてぜひこの国会中には、六月二十日までには何らかの形の結論を得るようにやられるのか、どちらかを聞かしていただきたいと思います。
○林(義)国務大臣 公党間のお話は私も聞いておりますし、水田委員もいろいろと党の方でやっておられますから十分御承知のことだと思いますから、この場をかりての御説明は省かせていただきます。
 実は、私に対しまして、昨日予算委員長から、三党からこういう申し入れが来ているよ、こういうふうなお話がありました。私も謹んで受けましたけれども、内容を拝見いたしますと、公党間でのお話し合いの中でございますから、公党三党と自民党との話の内容でございますから、その話を見守っておくというのが私どもの考え方でございます。私も国会議員の一人として、公党間でのいろいろなお話し合いというものは当然にいろいろ考えていかなければならない話でございます。
 先ほど申しましたのは、行政府の立場として、私はそういったことを申し上げておかなければいけないということで、あえて申し上げたようなところでございます。
○宮澤内閣総理大臣 昨日、三党からの共同要求は、予算委員長を通じて承っております。なお公党間で御協議が続いておるということを承知しておりますので、それ自身について政府としてはコメントを差し挟む立場にはございませんが、御協議の推移はもちろん注意深く見守っております。
 政府といたしますと、この財源をどういうふうにするか、あるいはそのような所得減税が税制全体の中でどういう位置を占めるかといったようなことについての問題意識を持っておりますが、実はこれはたびたび申し上げることでございますけれども、前回の昭和六十二、三年のころの税制改正、抜本改正をいたしましたときに、やはり所得税については問題を残しておるという気持ちを私は持っておりますし、来年は公的年金の財政再計算の年でもあり、再来年はまた統一というようなことも考えられる年で、そういうことに向かいまして、今後の国民の給付と負担をどうするかというそういう大きな問題がもう目の前に迫っておりますので、しょせんこの問題はそう長くほっておけない問題だというふうに私自身は考えております。
 そのような問題意識と、現在御協議が続いております各党間のお立場とどういうふうに考えていくか。いずれにしても、そう遠い将来までこの問題は放置しておくことはできないという気持ちを実は私自身は持っておりますけれども、なお公党間の御協議の推移を見守ってまいりたいと思っております。
○水田委員 我々としては、党間の話もさることながら、今申し上げましたように、二年間にわたってこれだけ公共事業ということを中心にやってきたけれども、なお一番の大宗になる個人消費と民間設備投資が起こってこぬということを考えれば、政策としても、長い目で見た税制ということもありますけれども、たちまちの問題としても当然考えるべきだ。
 それから、公党間の話を今しておるわけでありますけれども、少なくとも政権政党の与党の幹事長が恐らく政府と無縁でああいう約束をするわけはないわけですから、バッジをかけて検討すると言ったのですから、必ずこの国会中には国民にこたえられる案を出してもらえる、こういうぐあいに期待をして、その点を打ち切りたいと思います。
 あと、実は公共事業をたくさんやられるわけですけれども、これはどこが所管なのかわからぬものですから、大蔵大臣に聞く以外にないのですが、いろいろな公共事業があるのですが、これの比率は、いわゆる事項別に見ると、大体昭和五十八年から四年までここにありますけれども、ほと
んど変わっていないのですよね。今実際に国民の生活なり社会の変化の中で必要な、例えば物流を考えて、これから地方港湾も考えて、陸と空と海、そういう中で地方港湾の整備も必要だろう、あるいは生活からいけば生活道路の問題あるいは高速道路の問題、そして同時に生活で一番身近なところで下水道の問題、そういうことで、社会の変化につれてニーズは変わってくると思うのですね。
 それが、調べてみると、これは所管がそれぞれ建設省であり農水省でありあるいはまた運輸省であったりするものですから、これは大蔵大臣に聞く以外にないのかなと思うのですが、どうしてこれは一定なんですかね。今、公共事業で、国民の生活なり自然環境とかあるいは高齢化社会に対応するためにどうしてもやらなきゃならぬというところは、どういうところへウエートを置いて公共事業を考えるべきなんだろうかそういう点にお考えがあれば聞かしていただきたいと思います。
○林(義)国務大臣 公共事業費、余り変化ないではないか、こうおっしゃいますが、各事業はそれぞれ事業をやっていかなければならない。今お話がありました港湾であるとかというようなものもやらなくちゃなりません、漁港もやらなくちゃなりません。それぞれやはり理由があるから国で予算をつけておるところでございますが、やはりそれも、そのときの経済社会情勢また社会的な要求というものがありますから、それに沿ってやっていかなければならないものだろうと。
 そういった形で、常に同じ比率じゃなくて、ずっと変えてきているところでございまして、例えば今回の追加の補正にいたしましても、下水道のシェアにつきましては一四・八%にいたしました。五年度の当初のシェアでは一一・七%。市街地再開発は、補正追加シェアは一・七%にいたしまして、五年度の当初シェアでは○・四%であります。少しずつ変えてはきておるところでございます。
 そうした形で、生活大国をやはり実現していかなければならないといった観点から、景気の現状に対応していくということも踏まえまして、新しい仕事というか、都市再開発事業であるとか快適な生活環境の形成に資するような事業であるとか、そういったところに重点的に配分をしていこう。大体今までの考え方をさらに延長した考え方だと思いますけれども、そういった形で順次ウエートを移してきているということでございます。
 数字的な説明がありますから、事務当局の方から何だったら御説明をさせたいと思います。
○水田委員 よろしいです。
 総理、ちょっと聞いていただきたいのですよね。このもらった資料でいきましても、例えば治山治水というのは、昭和五十八年度、公共事業の中で一七・三%で、六十一年が一七・五で、平成四年度が一七・八、こうなっていますね。
 それから、一番変わりがないのは、例えば農業農村整備が五十八年が一四・一%、ずっと、その次の六十一年も一四・一。総額は違うわけですよ。それでもパーセントは平成元年一四・一%。そういうぐあいになるわけですね。
 それから、林業工業用水等は、これはずっと二・七%、二・七%、二・六六%、二・七%、まさに一律なんですね。そういうことは本当はあり得ぬと思うのですね。社会の変化につれて大変違ったニーズがあるだろうと思うのですね。
 そこのところは、やはりこれからの社会というのは、一つは国際的に言えば地球環境を守る環境問題だろう、あるいは一人一人の生活の周りの問題だろうし、それからもう一つは高齢化社会に対応するものが、今まで必要なかったものもたくさん出てきます。
 例えば、私思うのですが、これは今国有鉄道でなくなったですけれども、高架にすると駅というのは全部従来のあれより物すごい高いプラットになるわけですね。そこらをお年寄りが上がろうにも、もうあそこを使うのは嫌だというようなそんな駅がいっぱいできておるわけですね。それは当然エスカレーターにすべきだろうと思う。それは金の問題があるからそう簡単にはしない。しかしそれは、本当を言えば、地域社会で生活する上で必要なものなんですね。そういう需要というのが本当は出てくるわけです。そういう問題をやはり公共事業の中で考えていくべきじゃないだろうか。これが一定というところに問題があるんじゃないか。
 問題があるんじゃないかということだけ申し上げて、これはそれだけやりますと、大分また何か請負の話まで入らないけませんからきょうはやめますが、総理としてはやはりそういうところも少し、公共事業というのは、何でも公共事業なら総額が大きければいい、あるいは従来の今までのしきたりでこれでいかなしょうがない、ここをふやすと減るところから文句が出るというようなことは考えずに、ニーズに応じたやはり公共事業というのを組んでいくべきじゃないのか。
 その中で一つ例だけ申し上げますと、例えば公共下水道というのは五カ年計画で進められておる。全国平均では四五%というのですが、これはもう大半が大都市、東京なんか九〇%、あるいは大都市を持った府県は七〇%、六〇%になっている。ところが、地方に行くと、県によると五%とかあるいは二〇%はざらなんですね。非常にアンバランスな状況です。予算も、公共下水道で年間一兆円ですか、それから農村の下水道が二千億。
 そこで、七年ほど前から始めたいわゆる合併浄化槽というのは、だんだんふえてことし大体百億なんですね。地方を進めるという、全体的に進めるというためには、合併浄化槽というのは非常に経費も安く上がるし、後の維持管理は個人の負担が大分要るという問題がありますけれども、法律にもちゃんとあるように、水道水を保全するところとか、あるいは自然環境、あるいはラムサール条約でいわゆる湿地帯の周辺であるとか、そういうところは集中的にやる必要があるし、そういうことが今必要なんじゃないだろうか。そうすると、一兆二千百億円の下水道、いわゆる排水処理の金なら、その中でこの合併浄化槽に例えば一割ぐらいかければ、地方のいわゆる排水処理の比率はぐっと高まってくるということになるわけですね。
 そういう点について、これは厚生省所管ですね。これは大蔵大臣も、同じ金を使うんであれば、今国民が生活の上で必要だと思っておる公共事業に思い切って金を使うというようなスタンスに少し変えてもらえれば、同じ額の金でも違ってくるだろう。ただ、難しいのは、今言うように、全体の枠で比率を一緒にしておるとこれはなかなかできぬわけです。そこで、私が冒頭申し上げたのは、そういうことを配慮しながらこの問題を進めていく必要があるんではないだろうか。これは答弁いただきます。
 それから、あともうこれは答弁要りませんが、例えば太陽光発電にしても、百万メガワットですかにすれば、今は公共施設に対して試験的にこの補助金を出しておる。これは、個人宅までやるようにすれば、これはアモルファスの生産というのを急速にふやさなきゃならぬ。そのコストはぐっと下がって、一キロワットですか今四十円が二十円に下がる。二十円になればペイするわけですね。ただ、通産省がガイドラインを今度変えたものですから、これは関さんが一昨日やっていますから詳しく言いませんが、そういう例えばクリーンエネルギーのために金を使うとかあるいはこの国会に法律が提案された高齢化社会に対する、身障者、高齢者のいわゆる福祉用具の問題、そういうものに金を使うとか、そういう金の使い方を従来と変えていくという考え方が必要じゃないだろうか。
 そういう点で、合併浄化槽の問題だけについて、それから金の使い方の問題、大蔵大臣と厚生大臣にお答えいただきたいと思います。
○丹羽国務大臣 合併浄化槽でございますが、水田委員御指摘のように、これは生活排水について下水道と並ぶ内容を持っております。しかも、短期間でどこでも容易に設置できる、こういうこと
で、地域の住民の間に大変ニーズが高まっております。
 厚生省では、平成五年度の予算においては合併浄化槽にかかわる関係の国庫補助金として、先生先ほど御指摘賜りましたけれども、前年度当初比三五%増の百億円を計上させていただいています。さらに、ただいま御審議いただいております補正予算におきましては四十億円を計上しておるところでございます。
 いずれにいたしましても、私ども、地域生活のこれは大変有力な切り札だ、このように考えておるわけでございますので、今後とも積極的に推進していく決意であります。
○林(義)国務大臣 合併浄化槽、下水道の話、今厚生大臣からお話しいたしましたから、一般論として、私は、その情勢情勢で国民の需要が変わってくるわけでありますから、それに相応したような形で変えていかなければならない、こう思っておるところでございます。
 特に、下水道の分野というのは相当に重点を置いてやっていかなくちゃなりませんし、委員のお話で、お言葉を返すようでございますけれども、比率はだんだんだんだん変わってきているということでございまして、例えば住宅とか下水道環境衛生等の分野は、昭和四十年度におきましては九%でありましたが、今は、五年度におきましては三〇%になってきている、こういうふうな形で随分ふえてきておるわけでございます。そういった点も御勘案いただきたい。
 決して今までのとおりばかりでやっているということではない。そのときそのときの状況に応じましてずっと変えていく。予算に限りがありますし、それから、それでは農業関係のものをおまえのところはもう要らないよというわけにはなかなかいかない話でございまして、その辺の調整をどうするか。全体の中をどういうふうな形で効率的、重点的に考えていくかというのが財政当局の仕事でもあろうかなと、こう思っておるところでございます。
○水田委員 もう一つは、先ほどもちょっと触れましたけれども、これは個人で管理するわけですから、水の水質検査をやれば一回五千円ぐらい取られる。一年に一回掃除をすると三万から五万円ぐらい取られるのです。割に高いのです。それをきちっとやらないと流れる水は余りよくない、こういうことになりますから、そこで、例えば公共下水道の場合も、それは本人よりは国とか市町村り負担というのが、公費を大分かけておるわけですね。ですからそういう点では、これは公共下水道と同じような基幹的な排水処理の手段として、公共的な金もある程度つぎ込むということは検討すべき課題ではないだろうか。今直ちにということは無理にしても、公平の原則からいけば、この合併浄化槽についてもそういう点を検討すべきではないかと思うのですが、これは検討課題としてで結構ですが、厚生大臣の方から御答弁いただきたいと思います。
○丹羽国務大臣 厚生省の公共事業においては、地域の生活環境の保全や国民の生活に密接に関係する、例えば水道施設であるとか廃棄物処理施設が対象となっております。これらに対する要望がもう各地区で大変な状態でございまして、予算額を上回る状態が続いております。この一連の中で、シェア全体は、少しずつでありますけれども、おかげさまでふえておるわけでございますが、合併浄化槽についても、全体的に厚生省のシェアをふやしていく中においてひとつこの問題についても問題の解決を図っていきたい、こういうことでございますので、先生の御協力を賜りたいと思っております。(発言する者あり)
○水田委員 今、後ろの方から応援のあれがありまして、税金で考えたらどうかというのです。大蔵大臣、どうですか。
○林(義)国務大臣 合併浄化槽、実は私も、こんなところで申し上げるのはどうかと思いますが、合併浄化槽議員連盟というのがありまして、それのメンバーでありますし、浄化槽法をやるときにいろいろとやったことも事実なんです。だから私もその方はそんなに暗い話じゃありません。ありませんが、合併浄化槽というのを税金でやるということになったら一体どんな仕組みを考えたらいいのかな、ちょっと私も、突然の話でございますから、どういうふうにするのか検討させていただきたいなと思っております。
 それから、合併浄化槽の予算は、今厚生大臣から話がありましたが、そういったような話もありますし、厚生省の方とよく相談をして私もやっていきたい、こう思っています。
○水田委員 それでは次の課題で、実は経済企画庁長官からお話があったように、個人消費とそれから民間設備投資はまだまだ低迷しておる。
 数字の上で上回ったのが二つあるのです。一つは公共事業なんです。これはもう物すごい伸びです。これは実際予算組んでやっておるから、数字の上で出ておるのです。それからもう一つは、住宅建設が少し回復の兆しがある。
 ところが、去年からことしの初めにかけて木材が、今木造建築が少し持ち直してきたのですが、その木材が急騰したわけですね。今それで高とまりになってきたわけですね。これは、一つは、アメリカの米松というのが日本の木材価格の基準になっておるわけですね。これが上がると全体に上がる、下がると全体に下がる。これをはり材に使っておるわけです。日本の松というのは松くいにもやられるし、両方で、とにかくはり材に使われる松は少なくなってきた中で、アメリカの米松が入ってきている。あれはシマフクロウですか、たしかシマフクロウだったと思います。いや、マダラフクロウですか、マダラフクロウの生息地なんです。それで松を切るのをワシントン州とオレゴン州でもう禁止するとか、そういうことからこれが高騰してきたわけですね。もちろんそれによって基準の材が上がるものですから全体が上がる。
 そこへもってきてラワンの方も、これは南方ですが、これに規制がかかってくる。そういう中で三〇%から五〇%近く上がったわけですね。今、余り高くなるものですから仕入れを抑えたのでしょう、ちょっと下がりぎみですが、高とまりという状況でございます。これは、せっかく回復しかけた住宅建設に水を差すことになるだろうと思うのですね。
 そこで、三つほどお伺いしたいわけですが、一つは、例えばシベリアの松も無節のものが今向こうで製材して入ってはきておるのですが、それは使えぬのだろうかと聞いてみたら、いわゆるシベリアの松というのは、はり材には使えぬそうです。これから米松がどんどん入ることはないです、値段の点だけではなくて、環境保護で規制するわけですから。そうすると、どうしてもということになれば代替のものを検討、研究する必要があるのじゃないだろうか。あるいはまた、ラワンが上がるということは合板が上がるわけですから、これはコンクリを打つ板がべらぼうに高くなるわけですから、そういったいわゆるはり村とか合板の代替品の研究を今からやっておく必要があるのではないだろうか。これは、林野庁、通産省、建設省にお答えいただきたいと思うのです。
 それから、もうまとめてお伺いしますが、困るのは、これが高騰するのが一番困るわけです。徐々に上がるのは仕方がない、ある程度はやむを得ぬにしても、高騰されるということが一番困る。そこで、価格安定のために、関係の省庁というのは建設と林野、通産でしょうが、そこらで一遍協議機関でもつくってやっていただけぬだろうか。
 それからもう一つは、価格の安定と供給で、全建総連という組織がありますが、これは六十五万で、普通の労働組合とは違うわけで、親方がいっぱいおるわけです、実際に事業をしておる人が。そういうネットワークがあるわけですから、林野庁の中に、業界団体とそれからそういう労働組合と一緒になって何か対策を講ずる委員会はできぬものだろうか。そうすると情報が全部入ります。
 そして、材木の流通というのは、林野庁へ聞いてみると、一番いいのは、材木を直に買って、自
分で製材すると一番安いんです。これは物すごくあっちこっちへ移動する。製材というのは、製材したところが生産地となるのです。例えば、私の岡山県でとれた材木でも、東京へ来て製材すると東京産と、こうなるのです。これが長距離を移動する。そういう中で、材木の値段というのを流通のわかっておる人たちがそこで調査をして、価格の高騰を抑えることができるかという、そういう検討機関を置いてもらえぬだろうかということでございます。
 以上三つ、それぞれ三省庁関係がありますが、御答弁をいただければと思います。
○馬場政府委員 お答えを申し上げます。
 最初に、米松などの価格の高騰のための代替材の研究を行うべきではないかという御質問でございますが、おっしゃるように、外国のいろいろな事情によりまして価格が大変上がってきているということで、特にはりに使う米松が昨年来上がっております。
 これにかわるものという意味もありますが、我々、国内の人工造林の資源がだんだん成熱しつっありますので、それを利用するという意味もありまして、従来から、例えばカラマツの集成材あるいは杉を重ねてはりにするという、そういうものについては研究をしてきているところでございますが、これを一層研究を進めたいと思っています。といいますのは、技術的にはある程度可能なんですが、強度の問題とか、そういう点でなお研究の余地がございますので、検討をさせていただきたいというふうに思っております。
 いずれにしても、外国からの資源的な制約に対する対応としては、やはり国内資源の活用ということに林野庁としては重点を置いてさせていただきたいと思っております。
 それから二点目の、価格、需給動向についての各省での協議機関という問題でございます。これは、実は現在、私ども農林水産省におきまして木材需給対策中央協議会というものを開催しておりまして、年間及び四半期ごとの木材の需給なり価格の見通しというようなものをつくっておるわけでございます。そこには関係業界団体のほかに、経済企画庁、建設省、通産省にも御参加をいただいておりまして、今言いましたように、定期的に木材なり合板の需給安定のための見通しあるいは対策等について協議をしておるところでございます。今後とも各省庁と連携を図りながらやってまいりたいと思っております。
 三つ目でございますが、おっしゃるように、全建総連の方に私もお会いをいたしましていろいろとお話も伺いました。各ユーザーといいますか、それから流通段階あるいは製材段階の方々にいろいろお話をいただくということは必要なことだろうと思っております。林野庁なり農林省の省内にそういう組織をつくるかどうかということは別といたしまして、関係業界の間の意思の疎通とか情報交換について極力、それから私どもも中に入りまして、つくっていきたいというふうに考えております。
 以上でございます。
○森国務大臣 木材、合板などの同様な用途に使用されております主要な建築資材といたしまして、アルミサッシなどの窓枠、石こうボード及び繊維板等のボード類、鋼材及びコンクリート床材等の構造材などがございますが、これらの資材の供給につきましては、私どもとしては、今のところ問題は生じておりません。価格も非常に安定的に推移をいたしておりまして、通産省としましては、これらの資材が今後とも活用されることを期待をいたしております。
 委員もお持ちだろうと思いますが、主要住宅用資材の市況の表をここに私持っておりますが、軟質繊維板も、九二年の四月から九三年の四月まで一枚九百六十円のままでございます。パーティクルボードもほとんど変わっておりません。石こうボードは下がっております。それから軽量H形綱も、これも変わっておりません。アルミサッシも同じございまして、先ほど委員から御指摘がございましたコンクリート型枠用の合板、これは値上がりをいたしておりまして、これは申し上げにくいんですが農水省の所管でございまして、通産の方のこの建材については、物価的には全く問題はございません。
 それから、ラワン材の不足からのお話でございましたが、これは近年、マレーシア等木材の主要産地国におきまして、資源事情の悪化などによりまして、伐採量の削減あるいは輸出制限が強化されておりまして、ラワン材等を含むこれらの外材の価格が急激に上昇いたしておるようでございます。このことが合板価格にも影響を与えているのではないか、こう見ております。
 合板価格を安定をしていくためには木材等の安定的な供給が重要でございますが、通産省といたしましては、従来より、木材の所管官庁でございます農林水産省の主催する木材需給対策中央協議会に参画をいたしておりまして、関係省庁とともに、この木材、合板等の需給安定対策について協議を行っているというのが私どもの立場でございます。
○中村国務大臣 先生から御指摘をいただきましたように、自然環境保護あるいは資源問題、こうした問題を含めまして、外材が非常に高騰をしてくるという状況でございますが、住宅におきましては、木造住宅においては木造の材料費が約二割、鉄骨系プレハブで一割でございます。そのために、できるだけ木材の使用を抑えるあるいは設計施工の段階で工夫を凝らす、こういったことによって、必ずしも外材が上がってきたことが即住宅の建築に大きな負担にならないような工夫はしておりますけれども、御指摘をいただきましたような問題が将来にわたって心配されることは事実でございます。
 そこで、建設省といたしましては、国内村をできるだけ使用できるような環境を考えていく、あるいは輸入は、従来の輸入先からさらにニュージーランドあるいは北欧、南洋材、北米材、こういった多様な輸入先を確立するということも必要なことだと考えております。
 いずれにいたしましても、木材価格の安定と供給の確保については、関係省庁と連携を図りつつ、適正な価格で木造住宅の供給に努めていくように今後努力していきたい、このように考えております。
○水田委員 最後に、これは堀委員の方からも質問いたしましたが、貿易収支の大幅な黒字の解消の問題について若干、為替だけでできるものでもないし、それから、例えば四百三十兆のいわゆる公共事業というのは、日米の交渉で決まったような内需を拡大していく、そういう問題もあるでしょうし、あるいはクリントン大統領が打ち上げて、為替の円高とか為替の変動ということでやるという方法もあるでしょう。あるいはまた日本の国内的な条件でいえば、労働時間の短縮なども日本としてはやるべきことがあるんだろうと思います。あるいは貯蓄率も、例えば老後とか教育費の心配というのが減ってくれば、貯蓄率は下がるわけですね。そういう問題全部が総合的な問題だろうと思うのです。
 そこで、私はいつも考えるのは、円高になった場合の国内の産業の対応、日本の産業のいわゆる二重構造の中に少し考えるべき問題があるんじゃないだろうかという気がして仕方がないわけです。
 それはどういうことかといいますと、極端に言いますと、円高になると元請は下請の単価を下げるのです、あるいは仕入れる原料を値切るわけです。主要な日本の輸出産業というのは、どこということは申し上げませんが、大蔵大臣も通産大臣もそう言われたら大体頭へ浮かばれると思うのですね。そうするとどういうことになるかというと、内需が減るわけですわ。国内で単価を下げるわけですから、あるいは今まで千円で仕入れたのを八百円で出すというのですから、下がるわけですが、これは結局、日本の経営者なり中小企業なり、あるいは働いておる人が苦労してそれを支えているような形で、これをずっと繰り返しておるわけですね。
 そこで、時間がありませんからこちらの方から申し上げますが、例えば、これは通産大臣は御承知のとおり、日本の中小企業というのは、事業所の数からいって九九・一%、それから従業員数で七九・二%を占めるわけですね。生産額は、製造業ですが、製造業の出荷額は九〇年で五一・八%ですから、まさに中小企業が日本の産業を支えておるということになるわけですね。
 そこで、これは大蔵大臣にも聞いていただきたいのは、それだけのものに対して国の予算は二千億ですから。七十四兆五千幾らの予算の中で二千億ですから。これはまあきょうの質問ではありませんが。しかも、その内容を見てみますと、実際には労働生産性の格差では九〇年で四七・四、資本の装備率で四二%、これは八七年までしかありません。賃金格差の指数が八八年で七六・五、こうなっていますね。ですから、日本が豊かなとか経済的な力を持ったとかいうけれども、これだけの数の労働者というのはそういう条件で働いて、しかも円高になれば、あるいはあれだけの黒字を抱えながらこういう形で働いておるわけですね。
 しかも、十七、八、二十ぐらいのところは、大企業も中小企業も採用された賃金は同じぐらいなんです。それを出さぬと人は来ぬからですね。ところが、四十歳から五十歳ぐらいのところを見ますと、これは大企業と中小企業ではまさに、例えば百人未満のところでいいますと、一番働き盛りが大手に比べて六八%とか六二・八%ですね。千人未満のところでようやく七九%とか七六%です。そこへ今言ったような形で、円高になればこう来るわけですね。
 ですから、内需拡大の中にそこのところを底上げするということができれば、違ってくるだろうと思うのです。問題は、下請代金支払遅延等防止法とかというのがあるのですね。これは契約したものを払わぬ場合にやれるだけです。契約するときどうかというと、極端に言うと、この単価でやれと言われたときに、例えば円高になってこの単価でやれぬと言うたら、おまえのところには仕事を出さぬよと言われたら、これは終わりなんです。倒産するから仕方がない。これは独禁法上の問題でもあるんですかね。そういうのが現実の姿なんですね。ですから、私はここのところを、特定の企業がどうじゃなくて、この数字の中でこれを底上げしていく、底上げすることが日本の政策として、あるいは貿易収支の黒字を解消するための一つの、産業構造をどう変えていくかということで必要なことではないだろうか、そういうぐあいに思うのです。
 最初に大蔵大臣にお伺いしておきたいのは、去年千三百六十億ドルですか、貿易収支の黒字がある。もうだれに聞いてもわからぬですが、これはどこへ行っておるんだろうかというのです。その行く先がわかれば手が打てると思うのですが、それは、何かそういうあれはわかりますか。
    〔小杉委員長代理退席、委員長着席〕
○林(義)国務大臣 経常収支の黒字が千三百億ドル、これは国際収支の理論からいたしますと資本収支の赤字になるのです。それで足し引きしますと、誤差脱漏はありますけれども、資本収支の赤字という形で出てくるのです。もう一つ言いますと、海外に対していろいろな投資をいたします。あるいは外国の証券を買うというのがあります。それから、向こうから、外国から日本に来て証券を買う、その差し引きがいわゆる資本収支ですね。その中に金融機関の収支があります。今まで日本の銀行は外国から金を借りておりましたから、その借りた金を返済して借金を減らしてきた、こういった形でバランスをしている、こういうことでございます。
 だから、言いますと日本の銀行の資産状況がよくなった。それから、海外にいろいろな投資をいたしました。先ほど堀先生からもお話もありまして、海外にいろいろな仕事をやったらどうだ、こういうふうなお話がありましたけれども、今、日本は相当な勢いで東南アジアその他のところへ投資をしている、こういったのが私は実情だろうと思っております。そういった形で金としてはバランスをしている、こういうことだろうと思っておるところでございます。
○水田委員 貿易収支の黒字で、言われておるのはアメリカとの関係。貿易収支、我々が言われておるのは。ですから、その金がどこへ行っておるか。例えば、この中で企業の収益として入って、税金として取っているのもあるだろうと思うのです。そういうのがどうなっているかということ。結構です、時間がありませんから。
 そこで、そういうことを頭に置きながら一体どうしたらいいかということで、今私が申し上げたこと、こういう構造のままでは何とかしなければならぬという点では御理解いただけますでしょうか、大蔵大臣それから通産大臣。
○林(義)国務大臣 今御指摘ありました、いろいろありました。下請の問題がありましたり、それから労働者の条件の問題がありましたり、いろいろな問題がありました。私はこれは日本経済の抱えているところの問題であろうと思いますし、また内需拡大をやっていかなければならないというのは、まさにそういったところの状況をなくしていくような形でやるというのが政策の方向だろう、こう思っております。いろいろな点につきましても、御指摘の点は十分に配慮してこれからやってまいりたい、こう思っております。
○森国務大臣 中小企業対策につきましては、ちょっと時間がかかると思いますので、委員もよく御承知のとおりでございますが、先ほども少し私は触れましたけれども、やはり少し中長期的にも見ていかなければならぬだろう。確かに、先ほど申し上げましたように、産業の工程間の分業というのは大分進んでおりまして、そういう面では日本の非常に強い部門がございますが、こういう部門につきましてはアメリカはどうしてもこれを輸入しなければならぬということになります。したがいまして、さらにアメリカの産業の競争力がついてまいりますと、やはりここは是正をされていくようなことになると思います、例えば一例を挙げればですね。
 ですから、そういう形でもう少し長期的に見てまいりますと、今アメリカの新しい政権では、競争力を強める、あるいは教育投資をするというようなことも発表しておられますし、あるいは財政の赤字を削減をされていくということでございますれば、またその効果も出ますし、それから、これは水田さんさっきおっしゃっていましたように、我が国の貯蓄率の動向もやはり高齢化社会に対応して変わっていく。そういうところから自然な形でバランスがとれていく、こういうこともやはり大事ではないかと思っております。
○水田委員 数字は申し上げましたので、労働大臣、一つは、例えば最低賃金というのは、本当にあれが最低賃金として今の全体的な賃金水準や経済の水準からいって機能しておるのかどうか。非常に低いわけですからね。そこらあたりの底上げも、これは何といいますか今の格差を是正する一つの手段ではないだろうか。
 それからもう一つは、難しいのですけれども、例えば何年かを区切って下請中小と大手の格差是正のための、雇用調整給付金というのは、これはまあ全然別の次元の問題ですけれども、例えば、そういう努力をする者に対して何らかの底上げができるような、労働政策として何かできぬだろうかという感じがするわけです。その点、二点。
 それから、通産大臣の方は、さっきも申し上げましたように、元請と下請のいわゆる単価の値決め、これは自由経済ですから自由というけれども、実際には圧倒的な力があるわけです。あるいは圧倒的な力を持った産業では、そこへ原料あるいは部品を納入するところもやはり一方的な、相対の取引にはなってないというところにこういう問題が起こる原因があるわけですね。そこらは自由経済、取引の自由ということではありますけれども、本当にそういう相対の取引ができるような条件のための何らかの手だてを講ずる必要があると思う。そうでなければ、これはもう突出した産業なり突出した企業であれば、圧倒的に常に力を持ち続けていくようなことになる。そのことがや
はり国際社会の中で同じような問題を起こしていくことになるだろうと思うのですね。何かそういう仕組みを考えるところへ来ておるのじゃないだろうかと思うのですが、いかがでしょうか。
○村上国務大臣 中小企業と大企業の賃金格差、おっしゃるとおりだと思います。それはやはり労働生産性の格差がその一因だ、こう思っておりますが、いずれにいたしましても、中小企業の労働生産性の向上、高めていかなければならない。それには自発的な企業努力による経営基盤の強化、それから、これは通産大臣から御答弁があるかと思いますが、施設だとか設備の近代化、高度化、こういうところに今先生のおっしゃられるようなそうしたことを何か考えることができるのか。これは通産大臣の所管でございますが、私どもの所管といたしましては、人材の育成だとか技術力の向上だとか、そうした施策の推進を図ってできるだけ格差を縮めていきたい、このように考えております。
○関政府委員 お答え申し上げます。
 下請関係の取引条件の改善等々につきましては、我が国の製造業の約五割以上が下請関係にございますので、非常に重要な問題だと考えております。
 ただ、基本的には市場経済を前提としておりますので、これの改善のための対策として、私どもは、ある意味で二段構えと申しますか、一つは下請代金支払遅延等防止法によりまして、力関係を理由に不当な取引条件を押しつけるような場合につきましては、この法律に基づきまして必要な措置をとっておるところでございまして、これからも厳正な運用に努めてまいりたいと思っております。
 それからまた、今先生御指摘ございました単価の決定方法等の問題でございますが、これは実は下請中小企業振興法という形で、振興基準という形で、これは強制力を伴うというよりは、むしろ親企業、下請企業がそれぞれこれを理解いただいて、これに基づいて協議をして値段等を決めていただくということを今実施をいたして、御協力を求めているところでございます。これにつきましては、この基準を親企業につきましてもまた下請企業につきましても十分理解し、遵守していただくようにこれからも努力をしてまいりたいと思う次第でございます。
 なお、より中長期的に下請企業の体力を強化するといいましょうか、あるいは技術水準を上げて、これまでのようなピラミッド型からネットワーク型の、多数の取引先とも取引できるような技術力を持つというような形にすることも一つの方法がと思うわけでございますが、そういう点についてはさまざまな形で助成等を強化してまいりたいと思っているところでございます。
○水田委員 先ほども申し上げましたように、生産性の格差とか資本の装備率、ここらを上げるためには、やはり中小企業の単価がある程度余裕があればできるわけですね。ですから、そこのところが非常にポイントだということを御理解いただいて努力をしていただきたい、そのことを要望しまして、終わります。
○粕谷委員長 これにて堀君、水田君の質疑は終了いたしました。
 午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時四分休憩
    午後一時十七分開議
○粕谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。宮地正介君。
○宮地委員 きょうは、お忙しい中を日銀総裁と住宅・都市整備公団の総裁に参考人として御出席いただきまして感謝を申し上げたいと思います。
 最初に日銀総裁にお伺いをしておきたいと思いますが、昨日ニューヨーク市場で百九円三十八銭、そして午前中の東京市場におきましても百八円八十三銭、こういうことで円が最高の高値になったわけでございますが、この円高の原因と今後の推移についてどのように分析をされているか御説明いただきたいと思います。
○三重野参考人 お答えします。
 為替の現状及び見通しにつきましては、私のような立場の者があれこれ申しますとマーケットに不測の波乱を起こしますのでそれは差し控えますが、委員がお尋ねのきょうの円高というのは、これは昨日、アメリカにおきまして財務省が議会に提出したレポートが発端になっておりますが、これはけさほど大蔵大臣からもお話があったそうでございますけれども、我々としましては、先月末G7におきまして為替についての合意を見ております。
 これは委員御承知だと思いますけれども、第一に、為替はファンダメンタルズを反映すべきこと、第二に、人為的な操作は行わないこと、第三に、大きな変動は好ましくない、第四に、もしその場合は各国協調してその処理に当たるということでございまして、これはアメリカが、財務長官が議会に対しても証言し、G7においてもそのことが確認されてコミュニケにも出されたわけでございまして、きのう、きょうの動きはそれに反するものでございますけれども、大蔵大臣が向こうの財務省に確かめたところ、その方針に変更はないと言っておりますし、私どもも向こうの連銀に確かめたところ、その確証を得ておりますので、マーケットがそのレポートを誤解してこういうふうになったのだというふうに理解しております。
 私が申し上げるのはそれだけでございます。
○宮地委員 G7の合意事項については方針に変わりない。しかし、昨日の財務省の報告書の後、アメリカのサマーズ財務次官は、やはりこの円高容認への確認の発言をされているわけですね。日本の貿易収支、経常収支、一千億ドルを超えるこの改善のためにはこの円高を容認せざるを得ない、こういう発言が報道されておりますが、これは事実ではないのですか。
○林(義)国務大臣 私からお答えをさせていただきます。
 現在、千野財務官がワシントンに行っておりまして、千野財務官をしてサマーズ財務次官に確認させましたところ、サマーズ次官は、米政府の為替政策には一切変更がない、米政府には為替相場を操作する意図は全くない、財務省報告は誤解されている、この報告の内容は純粋に分析的、説明的なものである、こう申しまして、今までの方針、四月二十七日の議会証言、また四月二十九日のG7のコミュニケにおける考え方は全く変わっていないということについての確認を得ているところでございます。
○宮地委員 日銀総裁、最高値になった。百八円台というこれは大変急激な高値ですね。午前中は、これ介入したのですか。今後介入する考えはあるのですか。
○三重野参考人 委員、介入は大蔵大臣の所管でございますので。
○林(義)国務大臣 為替相場の問題につきまして、私の口から介入したかどうかということについてのコメントをすることは差し控えさせていただきたい、こう思っております。
○宮地委員 この円高の最大の原因は、日米の経常収支、日本の四百億ドル近い黒字の問題、また世界経済の中における日本の経常収支、千三百億ドルを超えた、こうした状況に対して、国際的な市場開放あるいは内需拡大、こうした要請に対して、どうも日本の手の打ち方が甘いのじゃないか。円高というこの強行的な金融政策によって改善する以外にないのではないか、こういうパワーが働いていると見るのは私は常識であろう、こう思うのです。総理、これについてどういうふうにお考えになりますか。
○林(義)国務大臣 為替相場の問題につきましては、先ほど日銀総裁からもお話し申し上げましたように、ファンダメンタルズを反映して安定的に動くことが望ましいというのは、国際的に確立さ
れた一つの物の考え方でございます。
 現在の為替市場というのは、いわゆる通常取引の数十倍にも上るような取引が市場で行われているわけであります。そういった市場での動きというものが着実にファンダメンタルズを反映して動いていかなければならないものであろう、こういうふうに考えておるところでございまして、日本についてどうだこうだという話ではない。私は、そのあるべき姿というのは、まさに市場がいろいろな点について判断をするものだろう、こういうふうに考えているところでございます。
○宮地委員 日銀総裁、昨日日銀は、景気に対しての概観を一応発表していますね。現在の景気の現況、これをどういうふうに見ておられるのか。今後どういうふうに推移していくと考えているのか。特に今回のこの補正予算、総合経済政策の十三兆二千億のこの効果をどういうふうに見ておられるのか。また、今回のこうした急激な円高がこうした景気にブレーキをかけるのではないか、こういう心配もあるわけですが、この点について、どういうふうに判断されているのか。
○三重野参考人 お答えいたします。
 このところ、経済指標の一部に明るいものが出てまいりました。例えば生産、出荷がかなり伸びまして、在庫調整も非常な進捗を見ております。さらに、株価も持ち直して、これがいろいろな意味でマインドを明るくしていることも事実でございます。しかし、その最終需要、個人消費、設備投資、これにつきましては、まだ上向くような動きは今のところは見られておりません。
 したがって、目先は、どう申しますか、まだら模様といいますか、明暗入りまじった様子がしばらく続いていくというふうに思います。しかし、もう少し先のことを申しますと、本年度の上期中はまず財政需要と住宅投資で何とか下支えされている景気が続きまして、下期に入りますと、さきの在庫調整だけではなくて、耐久消費財あるいは資本の不足調整がかなり進捗してまいります。その上に、その結果として民間経済の間に新しい回復への基盤が整備されてくるということがございます。それに財政金融面からの手だても講じられておりますので、恐らく下期に入りますれば、民間経済がやや立ち直り、景気全体も回復へ向かうものではないか、それを期待をしております。
 もちろん、先生の御指摘のように、円高がどうなるか、その他いろいろ注目すべきこともございますので、よく注意して見てまいりたい、かように思っています。
 そこで、円高のことをちょっと。円高、円が強くなるということは、中期的に見ますとデメリット、メリットありまして、むしろ私は総体的に見れば、いいのじゃないかと思いますけれども、しかし、まず最初にあらわれますのは、輸出企業に対する採算悪化という形でデフレショックがまずあらわれてまいります。ところが、最近は輸出関連企業の収益率が非常に低いところにあります。それの上に景気自身も今から回復しようという非常にデリケートなところにございますので、タイミングが非常に悪い。したがいまして、この円高の影響はどうなるかというのは、よほどよく注意して見てまいらなければ今後の景気にも大きな影響があるのではないかと思っております。
 それから、今御審議いただいております補正予算が通れば、政府の十二兆二千億の景気対策が動き出すわけでございますが、私は、この結果としまして、財政から今年度を通じて絶え間なく景気を支持する力が出てくるわけでございまして、その意味は大変大きいというふうに理解をしております。
 その上で、委員が御指摘の三・三%という成長が可能かどうかということでございますけれども、まだ本年度に入って一カ月ちょっとしかたっておりませんので、今ここでその実現性について私がコメントすることは差し控えたいと思いますけれども、私どもが最も大事に思っておりますことは、限られたある年度の中の成長率が何・何%になるかということではなくて、日本経済が一刻も早く円滑に、要するにインフレなき、バブルなき、長続きのする成長路線へつないでいくかということだと思いまして、その点につきましては、先ほど申し上げましたように、下期にはそういう可能性というか期待は持てるのではないか、そういうふうに考えております。
○宮地委員 今、日銀総裁おっしゃったように、個人消費が非常にまだ低迷をしておる。五月の経済企画庁の経済報告によりましても、底ばい状態である。
 さて、このいわゆる消費を喚起していくためにどういう施策が最も有効であるか。この問題については、公共事業投資、あるいは我々は所得税減税、こういう問題を提起しているわけですが、政府は一貫して、この相乗効果が所得税減税の場合は○・五三、公共事業の場合は一・三九、こういうことをしきりに言っているわけでございます。
 そういう中で、今回、補正予算が異例のことということで組まれたわけでございますが、なぜこの消費の喚起のために所得税減税を組み込まなかったのかこの点について、大蔵大臣、明快に答弁していただきたい。
○林(義)国務大臣 所得税減税につきましては、いろいろ問題があるということは繰り返し私がこの委員会におきましても申し上げているところでございまして、第一に、その効果が公共事業等に対して劣ること、今先生からも御指摘のありましたような数字もありまして、劣ることであります。また、所得税減税をやるのに巨額の赤字国債をもって賄おうとするならば、その財源をどうするのかという問題がある。第三番目の問題といたしまして、所得税減税は所得税の体系の中でどういうふうなことになるか。いろいろな問題がまだまだあるし、解決をしていかなければならないということがたくさんある。こういうことで、いろいろな問題があるからさらに検討していかなければならない話ではないかということでございます。
 御承知のとおり、社会、公明、民社三党と自民党とのいろいろなお話し合いを今やっておられまして、その三党間のお話し合いが続いているところでございますし、私の方は、とりあえず話が大体ついたというかお話のついたようなところで、秋口に向かっての景気の回復が確実なものになるようにという形でこの補正予算の提出をいたしておるところでございます。
 所得税の問題につきましては今申し上げましたようなことでありますが、さらに申し上げますならば、いわゆるばらまき減税になるような戻し税というような形の話になるならば、これはやはり税の体系を曲げるものであろうということもつけ加えて御説明させていただきたいと思います。
○宮地委員 それでは、平成四年度の税収について、昨年補正で四兆八千七百二十億円減額補正をいたしました。そろそろもう五月も終わりですから、平成四年度の決算、税収の実績、今一兆円ぐらい歳入欠陥が出るのではないか、こう言われておりますが、どの程度今把握されているか、状況を報告していただきたい。
○濱本政府委員 平成四年度の補正後の予算の伸率は九六・三%でございますけれども、これに対しまして三月末の税収は、年度初めからの累計で見まして、前年比九四・九%の伸びになっております。補正後の予算が九六・三に対しまして、実績が九四・九ということでございます。
 四年度の年度全体を通じました税収動向につきましては、進捗割合がまだ七割強のレベルでございますので、確たることを申し上げられる段階にはないと存じますけれども、三月分の税収が判明いたしましたところでこれを見ますと、最近の数カ月の実績に比べまして三月分が低調でございまして、特に確定申告に係る申告所得税収が予想外に低調でございました。そのことから、仮にこの低調が続きますれば、補正予算の見積もりで想定いたしました税収動向の達成が容易ではない、そういう事態も懸念されないではない状況かと思われます。しかし、いずれにいたしましても、四
月、五月分の税収動向を十分注視していく必要があると考えております。
○宮地委員 今主税局長が容易ではないということは、ほぼ歳入欠陥の可能性が高いということを私は示したものと理解したいと思うのですね。
 そうなりますと、昭和五十七年度と同様の処理を十分検討しなくてはならないのではないか。特に、歳入欠陥によっては、決算の調整資金、これを検討しなくてはならない。そうなりますと、現在、決算調整資金は、残高はどうなっておりますか。
○斎藤(次)政府委員 残高はゼロでございます。
○宮地委員 残高がゼロだということは、まさに歳入欠陥の財源は、これは決算調整資金が国債整理基金から借り入れを起こして対応せざるを得ない、こう思いますが、間違いございませんか。
○斎藤(次)政府委員 税収がどうなるか、あるいは歳出の不用がどうなるか、税外収入がどれぐらい出てくるかまだ確定しておりませんので、そこら辺どうなるか帰趨ははっきりいたしませんけれども、仮にその結果歳入欠陥を生じるようなことになれば、おっしゃるとおりの事態になると思います。
○宮地委員 大蔵大臣、あなたは先ほど所得税減税について、赤字国債の発行はこれはできない、そういう立場から盛り込まなかった。あなた方が、この平成四年度で財政運営をして、補正予算で昨年減額補正までやって、四兆八千七百三十億の減額補正までやって、なおそこで歳入欠陥が出ました。今言われるところでは、一兆円くらい出るのじゃないか、こう言われている。ところが、今主計局長がお話しのように、決算調整資金は残高ゼロ、こうなれば、国債整理基金の方から借り入れを起こさざるを得ない。まさにこれは特例公債じゃないですか。あなた方の財政運営の失敗のそのツケは特例公債で処理をする、これはどうなんですか。
○林(義)国務大臣 歳入の見通しにつきまして誤りがありましたときには、先ほど来事務当局から御説明しているような格好で処理をせざるを得ない、こういうことでございます。そういった形が法律的に認められておりますので、これは私は、すぐにいわゆる赤字国債と、新しく起こすところのものではない、こういうふうに考えておるところでございます。
○宮地委員 財政法上認められておるからこれは問題ない、それではちょっと国民にはなかなかわかりづらいのですよ。納得いかぬのですよ。やはり景気が落ち込んでいる最大のところは、消費の需要が低迷している、これをどうやって喚起するか。
 特に午前中経済企画庁長官もお話ししておりましたが、最近はサラリーマンの皆さんの超過勤務手当が減少しておる、目減りしておる。経企庁のデータによれば、昨年同月比で二〇%レスですよ。そして、平成元年度以来所得税減税をやっておりませんから、可処分所得も相当今、目減りをしておる。国民の実質的な手取りの額というものはダブルで目減りしているのです。インフレ要因だけが増大している。景気が不況であるから法人税の上がりも来ない。税収見積もりが狂ってきている。補正予算で四兆八千億の減額修正をして、なおさらに今一兆円近い歳入欠陥が出ようとしている。恐らく先ほどの主税局長の、非常に厳しいというお話は、まさに私は歳入欠陥はもう間違いないと思います。そうなったときに財政法上問題ないからこれは特例公債で処理します。ところが、国民の皆さんの景気を浮揚する消費の喚起、あるいは懐を少しでも楽にして消費の需要に活用する所得税減税、これは赤字国債はだめです。これはなかなかわかりづらい論理なんですね。
 そういう点について、もう一方の大変危険なというか、国民が心配している論理は、いわゆる消費税導入のときと同じように、この所得税の大型減税というものと税制改革の抜本改革というのをワンセットにして、近い将来、消費税率三%の増税に結びつけていくんではないか、こういう声もたくさん今国民の中にある。今後の税制改革の中でこの消費税率のアップと所得税の大型減税、これをリンクしているのではないか、こういう声に対して、大臣、どう答えますか。
○林(義)国務大臣 宮地委員御指摘の問題が二つあったんだろうと、こう思います。
 一つは、いわゆる決算上の不足に対応するための措置として決算調整制度がありまして、それで賄うのも赤字を発行しているのと同じではないかと、こうおっしゃいますが、これは私は、そうではない。国民的に申しましても、赤字決算、今までやってきたことの結果としてそうなったと、やむを得ざる措置として制度上こういうふうになっているというのと、新しくわざわざ赤字をつくってやるというのでは、私は大きな違いがあるのではないだろうかなと、こう思うところでございます。
 それから、第二番目の問題、いわばそういった赤字の問題を消費税で埋めるのではないか、そういった心配があるということでございますが、私は、消費税というものはそういった形でやるべきものでない。やはり消費税としての性格がありますから、その消費税としての性格からしてどういうふうにしていくか、特にその率につきましては、かつて消費税を導入いたしましたときにも非常に問題があったところでありますし、軽々に私はやるべきものではありませんし、国民全体の御納得のいくような形での率の決め方をしていかなければならない問題だろうと、こう思っておるところでございまして、安易にそういった形での消費税をいじるということ、特にそういった、今あるからその問題を簡単にやるというような話で税の問題は取り上げるべき問題ではない。基本的な税の体系の問題としてこの問題は考えていくならば考えていくべき問題ではないかなと、こう思っておるところでございます。
○宮地委員 過去の特に税制改革の経緯をいろいろ調べてまいりますと、いわゆる物価調整減税という所得税減税をやらなかったのは、昭和三十年代で二回、昭和四十年代では昭和四十七年度の一回だけなんです。そして五十年代になりましては、逆に五十年、五十二年、五十九年度、ここで減税をやってきたわけです。そういう中で、大蔵大臣も御存じのように、消費税の導入のときには、その前に売上税、これがだめになって、それで竹下政権のときに、消費税導入のときには減税先行でいったわけですね。
 今回のこの税制改革の論議等をこう見ておりますと、手法が、手法、持っていき方といいますか、この消費税率のアップをねらうところに対する機を見ているというのか、類似点が非常にある。
 今回こうして大型の所得税減税というものを我々が要求をする、赤字国債の発行はできません、国民の間からも非常に強い熱気が出てくる。そうすると、今税制改革の問題で政府税制調査会の中においても、現在の税率、これをフラット化するとか、あるいは消費税率のアップ、あるいは所得税の累進税率の最高税率を五〇%以下に抑えるとか、そういう今後の直間比率の見直しという議論が再三今されてきている。どうも行き着くところは、大型の所得税減税をやって、五〇%以下に最高税率を引き下げ、あるいはフラット化する。これはどうも、片一方でその財源は消費税の税率アップをもとにして税制改革というものをやっていこう、こういう意図がありありに我々見えるわけですね。
 ですから、今かたくなに、大型所得税減税はやらない、財源は赤字国債、これはできません、かたくなに大蔵省が今突っ張っておる。これはまさに、将来のそうした税制改革論議の中において、本命は消費税率を増税しようというそれがあるのじゃないか。これは国民、多くの皆さんが大変に今抱いている感情であろうと、私はこう思うのです。
 宮澤総理、もし大蔵大臣のように消費税の税率は考えてませんと、こう言うのであるならば、竹下総理と同じように、総現在任中は消費税の増税はやらない、この際きっぱりと答弁できますか。
○宮澤内閣総理大臣 今のお話でございますけれども、やはり一番大事なところは経済をどういうふうに運営をするかということであると思います。こういうような不況でございますと、それは税収も当然影響を受けますけれども、経済の動きが順調になれば、今度はまた税収はその影響をプラスに受けるということで、これは昭和六十二、三年のところでも経験をいたしたことでございますけれども、そういうふうな経済の運営に心がけることが大切である、そういう中から減税もできる、そういうふうに私は持っていくのがやはり本当だと思っていまして、消費税の税率というようなものは安易に引き上げたりすることは、これは簡単にはできないことだというふうに心得ております。
○宮地委員 そうした現在の不況を克服していく最も重要な消費の喚起について、政府は公共事業を、相乗効果が一・三九あるのでということで最優先し、所得税減税については現在、まだ決断をしておりません。しかし、この問題は再三この委員会でも議論されておりますが、三月四日の与野党の書記長・幹事長会談における「前向きに検討する」という大変重い与野党の約束事があるわけでございますから、私は、この問題についても積極的に政府としては取り組んでいく責任がある。まして与党の幹事長の約束事でございますので、我々は素直に、「前向きに検討する」というあのときの発言は、所得税減税を実施すると、やると、こういうふうに我々は理解をしていたわけですが、いまだにこの問題が尾を引いておる、大変残念なことでございます。
 総理、この点について重みをどう感じ、今後どういうふうに決断をされようとしているのか、お伺いをしておきたいと思います。
    〔委員長退席、石川委員長代理着席〕
○宮澤内閣総理大臣 そのような各党間のお話の経緯があったことをよく存じております。
 それで、大蔵大臣が財源の問題と言われましたのは、ちょうどまさしく今、宮地委員が御指摘になっておられますように、平成四年度の税収というものは、政府委員が申し上げましたように、まだ見通しははっきりいたしませんけれども、宮地委員の言われますように、それは容易なことではないぞということであるとすれば、大蔵大臣としては、ただでさえ財政は難しい、その上にさらにそういう容易でないということを仮に考えておかなきゃならぬとすれば、いよいよその税源をどうするかということを、大蔵大臣のお立場としてはやはり心配になられるということではないかと思います。
 ただ、前から申し上げておりますけれども、いずれにしても、前回の税制の抜本改正という昭和六十二、三年のときに所得税の姿というのは、まだ手直しをしなければならない、できるならばしたいという問題を残しておりますことは、御承知のとおりでありますし、公的年金の財政再計算とか、あるいは年金の一元化とかいう問題がもうすぐそこまで来ております。いろいろなことを考えますと、これからの国民負担、国民給付というものをどうするかという避けて通れない問題がもうそこへ来ておりますものですから、遅かれ早かれこの問題に入っていかざるを得ないという問題意識は私自身持っておりまして、そういう意味で、各党間のお話は今御折衝中でございますけれども、問題というものはやはり遅かれ早かれ俎上に上さざるを得ないという問題意識は持っております。
○宮地委員 今回の補正で景気がどの程度効果があるか。名目で二・六%の押し上げ効果がある、こういうふうに分析しているようであります。しかし、いわゆる平成五年度の税収見積もりにおきましても六十一兆三千三十億、これは名目が四・九%というGNPをもとにしてはじいておるわけでございまして、恐らく相当これは厳しいんじゃないか。まず発射台そのものが非常に低くなっているわけです。この六十一兆三千三十億というのは、平成四年度の当初予算六十二兆五千四十億、これをもとにして算定されておる。その発射台そのものが恐らく減額では四兆八千五百億、これにまた一兆を加えれば恐らく五兆を超える。これが落ち込んで、発射台そのものが五兆円を超える落ち込みの中で、それで名目も四・九という大変高いところに置いて六十一兆三千三十億という税収見積もり。私は、常識的には秋には第二次補正を組まざるを得ない。この対応をどうするんだろう。よほど景気が回復をして法人税等の税収が上がらない限り、私は、おのずから第二次補正を秋に組まざるを得ない、そのときはまた特例公債で財源をあさらなきゃならない、こうなるんじゃないか。
 景気にしたって実質三・三%、こう言っていますけれども、現実には、平成四年度三・五を一・六に下方修正して、これも恐らく一・二ぐらいに落ち込むんじゃないか。この一・二の発射台が低いところから三・三に上げるということは大変なことです、これは。
 こういう面から見ても、私は、今後の財政運営というのは大変厳しいんじゃないか。そういうことを考えたときに、今回のこの補正予算、十二兆二千億のこの景気対策というものが果たしてどこまで息が続くのかな、こういう点について大蔵大臣、財政運営の大臣として、第二次補正はやらないで乗り切れるのか、この点について決意を伺っておきたいと思います。
○林(義)国務大臣 先ほど来から先生からも御指摘がありましたようでありますし、私の方からも御説明していましたけれども、財政の状況、特に歳入の状況は大変厳しいものがあるということは、私も篤と認識をしております。
 平成四年におきましても大変厳しい状況の中でいろいろと苦労をして補正を出し、やってきたわけでありますが、平成四年度の状況はそう芳しくないという状況であります。確かに、おっしゃるとおり、平成五年度につきましてもそれを土台にしてやっているわけでありますが、もう一つ申し上げますならば、土台が低いということは、これからの成長率というものは全体の量からいたしますと私は割と高い率というものが予想されるのだろう、こう思っておるところでございます。
 そういったようなことと、これからいろいろなことをやっていかなければならない、こういうふうな形でありまして、今回の補正予算につきましても、普通ならば、補正予算ということであるならばまた臨時国会でも開いてというような話だろうと思いますけれども、そういった先々のことを考えますならば、一刻も早くお願いした方がいいだろう、こういった形で臨時異例の措置としてこの通常国会の間にお願いをしているようなことでございます。
 とにかく、何と申しましたところでまだ平成五年度の年度が始まったばかりでありますし、本年度の経済見通しがどうなるかということについてはまだまだ私ははっきりした図を描くことができないというのが状況でありますし、いろいろな施策を通じましてこれからいい方向に持っていくように努力をいたしたい、こういうふうに考えていることを申し上げておきたいと思います。
○宮地委員 また財政運営、経済問題については次の機会に譲るとして、きょうは重要な案件が何点かありますので次に参りたいと思います。
 政治改革の問題について少し総理にお伺いしておきたいと思います。
 最初に、きょうは後藤田副総理にもお出ましいただきましたので、政治改革、これは今国会最大の政治課題の一つでございまして、今や御存じのとおり社会党も連用制ということで野党の合意づくりに汗をかく、こういう方向に今なってまいりました。自民党も今精力的に党内調整を総理みずから始められて、単純小選挙区制から自民党は比例代表小選挙区制の並立案の方向に何か傾いているような動きもあるようにも聞いております。あるいは、運用制の一票制の方にという意見も相当ある、こう聞いておりますが、まず後藤田副総理、政治改革に大変前向きにお取り組みの大臣として期待をしているわけですが、この政治改革の政府としての取りまとめ、総理みずからがこれは
リーダーシップをとってやっていただく問題でありますが、副総理としてこの問題についてどういう決意で臨んでおられるのか、また、どの辺を今落としどころに検討されておるのか。大変難しい問題でございますが、さらに党内調整の問題もこれあり、この辺についての見解を伺っておきたいと思います。
○後藤田国務大臣 国民の政治に対する不信感といいますか、むしろ怒りに似た気持ちとでもいいますか、さらにはまた、これじゃどうにもならぬというあきらめの気持ちといいますか、政治が国民の目から見れば、対応ぶりについては大変な危機感を持っていらっしゃるのではないかな、こう思いますが、お尋ねの件につきましては、私は閣僚でございますから、今せっかく政治改革特別委員会で各党が、時間のゆとりもそれほどありませんね、そういうことで最後の詰めのお話し合いをしているときに、私の口からとかく申し上げることはかえって妨げになりはしないかなということを恐れるわけでございますから、せっかくの御質問でございますけれども、私自身の見解は差し控えさせていただきたい、こう思っておるのです。
 ただ、私自身は御承知の、三、四年前になりますか、例の政治改革大綱、これを政治改革委員会の会長として取りまとめたわけでございますから、その中に会長としての意見、会長としての取りまとめですから、党として当然これは党議決定もしていただいておるわけでございますから、私としては、ああいう考え方が党としては決まっておりますから、いずれにせよ何とかこの国会で一括して、部分でなしにワンパッケージで政治の改革が行われるように強く期待をいたしておる、この程度でひとつ答弁はお許しをいただきたい、こう思います。
○宮地委員 では後藤田副総理、一括して何とか与野党の合意を見つけるべく努力したいと。そうなりますと、やはり中曽根元総理の最近の発言、政治腐敗防止法で処理、いわゆる分離論ですね、あるいは梶山幹事長の、衆議院は単純小選挙区制、参議院は比例代表制、こういう御発言、我々、非常に唐突に、この一体論を壊す、改革つぶしてはないか、こういう感じがしているんですが、後藤田副総理、このお二人の発言についてはどんな感じを持たれておりますか。
○後藤田国務大臣 政治改革の問題は、ここまで来ればどの政党もあるいは政治家どなたも、今のままではいかぬな、これはどなたもお考えになっているんじゃないでしょうかね。
 ただ、それじゃ一体どういう切り口から、そしてまたどういう結論を出していけばいいのかといったような最終的な到達点、さらにはその道筋についていろいろなお考えがありますから、今御質問のようなお二人の方も、これはそれなりに十分お考えになった御議論であろうと思いますから、これについて私、批判するわけにはまいりません。ただ、私が言えるのは、繰り返しになりますが、私は、三、四年前のあの改革案を取りまとめた責任者でございますから、私自身の考え方はあの中にこもっておる、かように御理解願いたい、こう思います。
○宮地委員 宮澤総理、野党の方も明後日の党首会談で野党の合意案が今後まとまるかどうか、正念場を今迎えたところです。自民党もいろいろ御意見があって、党内、これから取りまとめをしていかなきゃならない。総理は一国の総理大臣として、やはりこの政治改革を断行する最高責任者ですね、政府としての。この際、私は、一つはリーダーシップを国民が期待していると思うんですね。このリーダーシップを発揮される行動を、いよいよ本格的に動き出されたと我々理解しているんですが、このリーダーシップを発揮していく上において、野党合意案がまとまり、そして自民党内の取りまとめ、これが大変だと思いますが、これをしっかりしていただいて、近い時期に与野党党首会談といいますか、そういうところで決着をつけていく、こういうお考えがあるかどうか、お伺いしておきたいと思います。
○宮澤内閣総理大臣 野党の各党首が今週金曜でございますか、お集まりになられるということを承っております。いろいろこの問題につきましては各党とも御意見のおありのところ、その調整というお集まりかと存じますが、自民党案というものが四法案として、これも国会の特別委員会に御提案をして御審議を願っておるわけでございますので、自民党が考えておりますところも、どうぞひとつ野党が御検討せられますときに御勘案をお願いいたしたいものだというふうに考えます。
 私としましては、やはりこの国会で総合的な政治改革というものをぜひお願いをいたしたい、こう思っておりまして、幸いにして特別委員会で熱心な御審議があり、地方公聴会も済まされたことでございますので、なお特別委員会において御審議を進めていただく、これが一番この問題についてのあるべき場であり、あるべき場でいろいろ御審議をさらに進めていただきたい、こう願っておりまして、当然のことでありますが、自民党におきましても、特別委員会における御審議促進に最大の努力をいたしてまいりましたし、また、これからもいたさなければならないと思っております。
○宮地委員 いよいよこれからが政治改革の私は正念場だと思うんですね。野党は野党で、やはり合意づくりに汗をかく。自民党内もしっかりまとめていただいて、そして与野党の今度は合意づくりという次の段階、こういうことに汗を大いにかいていただくと同時に、もう一つは、物理的に、日程的にこの六月二十日という会期で間に合うのかどうか、こういう一つの大きなハードルがこれからやってくると思うんですね。
 この際、総理としては、会期延長の問題は国会のマターの問題でありますが、会期延長をしてまでもこの国会で決着をつけるんだ、そういう御決意、執念、こういうものがおありなのかどうか、この点についてお伺いしておきたいと思います。
○宮澤内閣総理大臣 中身さえまとまりますれば、あと、これを法案に、縦にいたしますことは実はそんなに難しい問題ではないと考えますので、まだまだ時間は私はある。殊に各党間での合意ができるといたしますならば、その点は恐らく参議院においても御了解をいただけるものと考えますので、それを考えますと、時間的には私はまだ十分あるというふうに思っております。
○宮地委員 次に、カンボジアの問題について、ちょっと一、二点お伺いしておきたいと思いますが、きょうは時間がないので総理にちょっとお伺いしておきたいと思います。
 一つは、今回のこの総選挙が、いよいよきょうから移動の投票ということで新たな投票活動にまた展開をいたしました。八五%を超えるんではないかということで、大変にUNTACの明石代表も大成功であるということで、また、この選挙も非常に有効的な選挙である、こういう評価も出てまいりました。今後、総選挙の後考えられることとして、私は大事な問題として、一つはカンボジアの復興に対して日本政府がどう積極的に取り組むかという問題。
 それから、もう一つは、PKOのこうした大変なところに派遣をされた要員、特に日本の自衛隊、文民警察官あるいは選挙監視員、こうした方々に対して、帰国されたときに私はそれなりの政府として顕彰をしてあげるべきである。大変な中を行かれて、殉職者の方も出られました。ボランティアの方からも死亡者が出られた。カンボジアに行って汗を流して国際貢献をした、それに対して、私は、政府としてのそれなりの相当な顕彰をしてあげるべきである、こういうふうに考えておりますが、この二点について総理のお考えを伺っておきたいと思います。
○宮澤内閣総理大臣 カンボジアにおける選挙はすべて終了いたしたわけではございませんけれども、今日までのところ非常に高い投票率があり、自由な明るい環境の中で選挙が行われたということは、何といいましてもパリ和平協定の主たる目的としていたところが実現をされつつある、カン
ボジア国民の勝利と申し上げるべきものだと思います。また、UNTACにおかれても、よく困難な環境の中で事態をここまで促進されましたことに敬意を表したいと思います。
 我が国といたしましては、貴重な犠牲を払わなければならなかったことを心から残念に存じておりますが、しかし、その方々の意志に報いて、平和の理念を貫いて、国際貢献に何がしかの実績を残し得たことは、我々として誇りに思ってよろしいことだと思います。
 それから、多数の隊員、要員の人々が、安全の問題あるいは生活環境の問題があるにもかかわらず、この仕事を立派にやり抜いてこられたことに心から感謝の意を表したいと思っております。
 これからの新生カンボジア国との関係でございますが、選挙が終わり、制憲議会ができますならば、いよいよカンボジア人の手によるカンボジアの国づくりが進むわけでありますが、我が国としては、かねてカンボジア再建のための関係国会議を既に主催をいたしてまいりました。これから具体的にカンボジアの国づくりに我が国として支援をし、貢献をしなければならないことが多々あろうと存じます。
 また、その際、我が国が直接にということもよろしゅうございますが、ASEAN、周辺の国々が我が国と共同してと申しますか、財政的負担は我が国がいたしますが、具体的にはそれらの国々が共同してこの援助あるいは訓練等々に参画されるのならば、その成果は、カンボジアばかりでなく、インドシナ半島全体あるいはこの周辺の国々にも稗益するところとなりますので、そういう援助の方法も考えてまいるべきだと思います。
 なお、このたびの平和協力活動に対して協力をされた隊員、要員等々については、それらの功績に対して、御指摘のような、いかなる謝意を表すべきか、それにつきましては十分検討をさせていただきたいと思っております。
○宮地委員 PKO活動はノーベル平和賞も受賞される大変高貴な活動でありますので、どうかそれなりの政府としても顕彰をして、激励をしていただきたい、きょうは強く要請をしておきたいと思います。
 きょうは時間が参りまして大変残念なんですが、最後に、きょうは住宅公団の総裁にお見えいただいておりますので、関係大臣で御質問できなかったところはお許しをいただきたいと思います。
 これは総裁と総理にちょっとお伺いしておきたいと思うのですが、総理御存じのように、ちょうど今から五、六年前から住宅・都市整備公団は、昭和三十年代、特に三十三年、三十四年、今から三十五年ぐらい前に建てられたそうした古い公団について建てかえを始めました。
 私は、大変これは結構なことだと思っております。一つは、その町の活性化のために新しい区画整理事業、開発事業に大変貢献をする。もう一つは、新しい住宅、ホームのニーズにこたえた、そうしたレイアウトによっての新しいマイホームづくり。非常に私はそういう点では結構な建てかえの問題であろうと思っております。
 しかし、三十五年たった今日でございますから、当時は中産階級の中所得者層ということで、若いサラリーマンの皆さんがお入りになりました。しかし、三十五年たちますと、皆さん既に六十五歳を超え七十歳、あるいは八十歳近い。高齢化をしておりまして、そういう方々が現実的にもう既に年金生活に入ったり副業をやって、所得も入居したときから相当少なくなってきている。結果として、そういう方々がそうした自分の長く住みなれた公団に住めなくなる、転居して出ていかなければならない、そういう大きな課題が今あるわけです。大体三DKで、当時入っていた方々は今四万円ぐらいの家賃で生活をされ、六十五歳を過ぎ、年金生活に入っておられます。
 ところが、高層のマンションになりまして、確かにすばらしい公団ができますけれども、家賃は十万を超えまして、私の地元の埼玉県の新所沢とかあるいは鶴瀬の第一、今やっております霞ケ丘、こういうところはもう十二万を超える、約三倍以上の高家賃になる。確かに、家賃に対しては、スライド制とかいろいろ公団としても、建設省としても御苦労をしております。しかし現実的には、そうした高齢化のお年寄りの皆さんはそこに住めないというのが実態なんです。
 そこで、私は公営住宅の併設化ということを提唱して、建設省としても、五百戸以上のそうした団地においては、県営住宅をつくったり市営住宅をつくって低所得者層の皆さんを救済しよう、こういう基準づくりをして今公団は対応しております。それなりに私は敬意を表しております。しかし、その戸数も限られておりまして、果たして全部の方が入居できるかどうかも、これも大変大きな問題であります。
 私は、そういう面におきまして、今後こうした公団の建てかえをする場合において、こうした高齢化の方々、あるいは途中、脳溢血などで倒れて身体障害者の身になられたお年寄りの方もいらっしゃるんです。そういった方々に対しても配慮した、家賃の面とかあるいは公団の施設の面においても、もっともっと配慮したそうした建設計画というものが必要な時期に来ているのではないだろうか。健常者で中所得者層の皆さんが対象でなくて、新しい時代には、そうした恵まれないといいますか比較的弱い立場にある方々にもっとスポットを当てた建てかえ工事というものをやっていくべきではなかろうか、こう考えております。
 時間が参りましたので、総裁から一言お話をいただいて、最後に総理からのコメントをいただいて、終わりにしたいと思います。
○豊藏参考人 ただいま住宅・都市整備公団の賃貸住宅の建てかえの問題につきまして御質問ございましたが、御案内のとおり、私ども、前の日本住宅公団のときから約三十数年間住宅の建設をしてまいりまして、全部で約百二十万戸の住宅を建設してまいりました。
 そのうち、現在賃貸住宅として管理しておりますのが約七十万戸ほどございます。さらにその中でも、ただいま御指摘の昭和三十年代に建てられましたものの賃貸住宅の戸数が約十七万戸ございます。そのうち、借地方式によるものを除きます十六万戸について見ますと、規模が非常に小さい、あるいは設備も古くて陳腐化しておる。さらにまた、一万都市計画の立場から見ますと、容積率はおおむね六〇%程度でございますが、実際に与えられております法定容積率は約二〇〇%ございますので、土地の高度利用を図る。さらにまた、今申しましたように、住宅の機能を更新して、町の都市計画ともマッチした町づくりにも寄与する等々総合的な立場から、昭和三十年代の早い時期に建てられましたものについて計画的に建てかえを進めたいということで、各団地ごとに順次御相談を進めさせていただいております。これは御承知のとおりかと思います。
 その際、やはり今までお住まいになっていた方々につきましては、それなりの私どもは配慮をいたしたいと思いまして、例えば家賃の面につきましても、一般的には七年間減額をするといった措置で、新しく入る方との間には、若干やはり前から住んでいた方に対する配慮をいたしておりますし、また住宅の選定等につきましてもできるだけ御希望に沿うように努めております。
 ところで、その中でも最近の高齢化の波の中で、かなり高齢になられて所得が少なくなった方々もいらっしゃいますので、そういう方々に対しましては、まず七年間の減額措置を十年間の減額措置に延長するとか、あるいはまた所得の面などにつきましても、一定の基準に該当する方につきましては公営住宅に優先的に入居していただくようなあっせんをする、あるいはまた新しく制度がつくられました地域リロケーション住宅といったようなものを建設することによりまして、なるべく御要望に沿うように努めております。
 中でも、平成四年度からは国の方とも御相談いたしまして、公団住宅の団地の中に公営住宅を併設していただきまして、公営住宅の入居基準に該当する方々につきまして優先的に入っていただく
ような措置を講じていただきました。これにつきましては、団地ごとに関係の公共団体とも現在相談をさせていただいております。
 こういったようなことでいろいろと努力しておりますが、具体的に個別の御事情に即しまして、私たちもできるだけ御希望に合致するような形の中で総合的な対策を進めていきたいということでございますので、今後ともよろしく御協力をお願いしたいと思います。
○宮澤内閣総理大臣 御質問の御趣旨は、ただいま総裁からお答えを申し上げました中で十分に理解をされ、またそういう施策をしているということの御報告を今総裁からございましたが、第六期の住宅建設五カ年計画におきましても、そういう高齢者あるいは障害者もおられると思います。設計、設備等の面で、その人々に配慮したような住宅の供給、また医療、福祉との関係がどうしても出てまいりますので、そういう施策との連携を密にしたような住宅施策、障害者についても同様でございますが、そういう問題につきましても十分に配慮して施策を進めてまいりたいと思います。
○宮地委員 終わります。
○石川委員長代理 これにて宮地君の質疑は終了いたしました。
 次に、吉井英勝君。
○吉井(英)委員 私は、今不況の中で一番困っている社会的弱者、所得の低い人たちに力を尽くすことが今日そもそも政治の根本問題の一つだというふうに思うわけです。
 そういう点で少し厚生省などからもいただきましたデータを見てみますと、横浜市と札幌市の例で見ますと、昨年九月より生活保護開始が廃止を上回ってきております。全国的に見ましても、昨年一月より開始の方が増加に転じて、昨年三月から廃止が減少に向かう。その点では、従来、厚生省の方は大体不況が始まると一年のタイムラグをもって影響が出ると言っておりましたが、この点ではっきりこの生活保護の様子を見ておっても不況というものが社会的弱者にあらわれている、こういうことを見ることができると思うのです。
 また、不況になりますと、例えば病弱で生活保護を受給している人たちに対して、しかしこの場合、軽労働しかできないわけですが、不況になれば就職先が一層困難になってくるわけです。ところが、福祉事務所の方では診断書に軽労働可と書いてあるから、就労しなさい、就労しなさいと責められるわけですね。しかし、現実には職安へ行ってもなかなか軽労働ですから、ない。こういう中で福岡県のNさんのように遺書を残して自殺をされる方とかそういう事態が生まれてくるなど、不況のしわ寄せというのは今社会的弱者に、非常にここに及んでいるということで、まずここのところに力を入れていただきたい、このことを最初に総理に求めておきたいというふうに思います。
 そこで、具体的に次に伺いたいのですが、去る四月二十三日に、秋田地裁は生活保護費訴訟で福祉事務所の保護費減額は違法であるという判決を下しました。
 これは生活保護と障害年金で暮らしている加藤さんという老夫婦が、将来入院して付き添いを要するようになったときに、付添婦さんに来てもらうときにはお金が必要だ、大体一日一万円は金が要るとして、一本の塩サバを十切れに切って夫婦で三日間、なくなるまで一切れずつ食べて我慢をされた。そして水道、ガス代の節約ということでふろは一週間に一回に減らし、六年間に買った衣類はパンツ二枚だけ。自分たちが働けなくなって野だれ死にするのが怖かったからだ、こういうふうにいってためてこられた預貯金を収入認定して、そして保護費削減をやった事件でありますが、私は今回の秋田地裁のこの判決を受けて、やはり判決を尊重した生活保護行政を進めていくということが、こういう不況の時代だからこそ特に配慮したやり方が必要だと思うのですが、まずこの点、厚生大臣のお考えを伺っておきたいと思います。
○丹羽国務大臣 原告の加藤さんは、委員御指摘のように、将来の不安から最低生活を切り詰めた生活をなさって保護費を蓄えたということでありまして、私は個人的には大変お気の毒で胸が痛む思いがいたしております。
 ただ、御理解を賜りたいのは、生活保護制度というのは憲法二十五条で定めます「健康で文化的な最低限度の生活」を保障する、こういうことでありまして、老後の不安であるとか、あるいは医療の確保については必要な補助が行われておるということであります。本来、生活保護というものは、必要な生活費をその都度、そのたびごとに支給する、将来の不安のために蓄えるということは必要ないという、こういうような態度で臨んできております。
 ケースワーカーの方々、大変現場で御苦労なさっておるわけでございまして、今回のケースは極めてまれなケースでございますけれども、被告でありますのが秋田県でありまして、私どもはこの秋田県の判断を尊重いたしまして、これ以上争わないことが妥当である、こういうような判断を下したことでありますので、御理解を賜りたいと思っています。
○吉井(英)委員 この判決で大事なことは、秋田県の一福祉事務所やケースワーカーが敗訴したという問題ではないと思うのです。これは判決の中で述べられておりますが、厚生省の一二三号通知に基づく調査と指導、指示から始まっているということを指摘しております。
 また、加藤さんの再審査請求に対する裁決を、法の定める七十日以内というのをはるかに超える五年以上放置してきて、秋田県の原処分及び原裁決を妥当なものとするという厚生省の決定を厚生大臣名で下しておるわけですが、それが違法であったのだということが、その中身が判決で示されているわけでありますから、私はこの点ではやはりこの判決を尊重した行政が、単に一事務所の問題じゃなくて厚生省自体に求められているのだ、そのことを指摘しておきたいと思うのです。
 判決ではまた、生活保護法二十七条の指導、指示というのは、「生活の維持向上その他保護の目的達成に必要がある場合に行われるものであるが、被保護者の自由を尊重し、必要の最少限度に止めなければならない」、被保護者の意に反してはならない、また、自立更生計画書の提出は本人の意思に反するものであってはならない、こういったことを指摘し、指導、指示の名で努力義務を課すとか、不利益処分を行う、こういう行政処分に至ってはならないということ、被保護者の自由や意思、基本的人権を守り、生活保護は恩恵ではなく憲法の生存権保障に基づくものだ、すなわち、国民の権利としての生活保障だということを憲法十三条、十四条、二十五条を挙げてこの判決は述べているわけです。
 ですから私は、今大臣おっしゃったことは次にまた触れたいと思いますが、これからの指導、指示というのはやはり、こういう判決が出た時点で、十分こういう判決も踏まえて配慮したもとにこれをやっていくということが大事な点だと思うのです。この点についても大臣のお考えを伺っておきたいと思います。
○丹羽国務大臣 ただいまも御答弁申し上げたわけでございますけれども、基本的に生活保護というのは不足の部分をその都度に補充をする、補足をする、こういう原理原則になっておるわけでございます。加藤さんの場合には、いわゆる老後の特に医療面の心配であるということでありますが、医療扶助というものは講じられておる、まずこの点を御理解を賜りたいと思っております。
 私どもといたしましては、この加藤さん御夫婦が高齢者でありますし、また障害者加算もいただいておるわけでございます。こういうような状況、さらに老夫婦が長期間にわたりまして最低生活を下回る生活、切り詰めた生活が行われていた、そういう中で生活保護制度のあり方を必ずしも十分に徹底させてはいなかった、こういうことを総合的に勘案した結果でありますけれども、これは決してケースワーカーの方々に一方的に責任
を負わせるのではなくて、私どもも今回のこのケースを十分に反省いたしまして、今後指導を徹底させていきたい、このように考えております。
○吉井(英)委員 指導、指示というのは、今後はこの判決の精神をよく踏まえて配慮したものにしていっていただけますね。
○丹羽国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、憲法第二十五条で決められております健康で文化的な生活を行うためのいわゆる生活保護費である、そのことを基本に踏まえながらひとつ指導監督していく、こういうことでありまして、預貯金については、要するにこれまでと同様に認めない、こういう方針で徹底させていきたいと思います。
○吉井(英)委員 加藤さんの判決文そのものにこれは示されておりますから少し触れておきますと、建前は、生活保護費はすべて暮らしに使っていただく、最低生活なんですからね、それはおっしゃるとおりなんです。それと、法律と実態とは乖離しているというところがあるのだから、それを踏まえたものを考えなければいけないということを言っているわけですよね。
 例えば、「原告の付添看護の費用ないし通院にかかる交通費等が前記医療扶助により支給されたことはない」、それから「基準看護の承認を得た病院に入院した場合、医療扶助として付添看護費の支給はされないが、こうした病院においても事実上、患者の家族あるいは職業的付添人の付添看護が求められるか、少なくとも容認される実態があり、かつ、こうした事情はある程度周知されていた」ということ、それから「医療扶助として付添看護費が支給される場合であっても、その額は職業的付添人に支払うべき額を下回わり、被保護者の負担分が残ることが認められる。」ということ、「現在の生活保護基準の中で支給されるべきものについても、支給の申請をしても当座の出費に際し時間的に間に合わないもののほか、保護基準では支給されない、あるいは不足するが、現実の生活の中でどうしても必要な出費があり得る」。
 ですから、私、大臣がおっしゃった意味がわからぬと言っているのじゃないですよ。その法の建前と、しかし実態との間には乖離がありますから、だからその点では、一つは判決を尊重した、もちろん今まで預貯金を全く認めないということを皆さんも言っているわけじゃないから、ですから変動があるわけですから、その範囲内について、判決を踏まえたものとして将来の備えについて一定部分認めるか、あるいは実態を見て基準看護の病院でも生活保護で付添手当等が考えられることその他、この判決に触れられている法律と実態との乖離、この部分については、これは制度面とか運用面とか、そこでちゃんと措置をしていく。
 法律の建前ばかり言っていると、実態を無視したことをやっておれば第二、第三の加藤裁判が必要になってくるわけですから、この点についてはよく配慮した是正を図るなりあるいは検討、研究を尽くすなり、私はそのことが今求められていると思うのです。大臣のおっしゃった意味はちゃんとわかった上で僕は言っているのだからね。しかし、あなたも私の言っている意味はわかってもらえていると思うのだが、そこのところをきっちり踏まえたことを今後やらないと、本当に第二、第三の裁判が出てきますよ。だから、その点でこういう点によく配慮した是正なり研究、検討を進めるということをお考えいただきたいと思うのですが。
○丹羽国務大臣 吉井委員の御質問で、わかっている部分とわかってない部分がありますものですから。
 基本的に医療扶助というものが講じられておる、生活保護の方に対しては。それに十分に要するに対応できるということは御理解いただけますか、対応できるということが。それで十分にやっていけるのだ、そこがまず第一点でございます。
 それから、問題は、いわゆる不時の出費も含め現在の生活に必要な生活費をその都度支給することになっておりまして、いわゆる通常の生活上のやりくりとしての一時的な蓄えはこれは認めておる。しかし、それ以外としては、要するに生活費に必要とするものは預貯金として認められない、こういう基本的なスタンスでありますので、御理解を賜りたいと思っています。
○吉井(英)委員 それで、この判決に述べられておりますように、実態と法の建前との乖離があるのです。私はあなたがここで研究、検討を要するというのならば、それで検討していただいたら結構なんですよ。ただ、あなたが今おっしゃったのは、医療扶助で措置されているというそれは建前の話であって、現実には実態に合わないものがありますよということを判決でも触れているわけです。
 これは加藤さんの特殊な事例じゃないのです、広く全国的にあるわけですから。ですからここについては、この実態と法の乖離の部分については何らかの措置を、これは制度面で改正するなりあるいは運用面で何かの改善を図るなり、そこはこの判決を踏まえてその点をよく配慮した対応が必要だということを私は申し上げているのです。この乖離はよく御存じだと思いますから、その点もう一度お答えいただきたい。
○丹羽国務大臣 乖離といいますと、ほかの話で恐縮でございますが、九州などでは暴力団関係の方が生活保護費をいただいていてそしてベンツに乗っておる、こういうようなことが実は十年前大変社会的に大きな問題になりまして、いわゆる適正化の推進、こういうことが非常になされておるわけでありまして、現在、生活保護費はいわゆる国ベースで一兆円をもう既に超えております。
 そういう中において、加藤さんの場合とこの暴力団関係というのはおのずと違う話であるということも私も十分に踏まえておるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、よりきめ細かなケースワーカーというものを進めていくということは私も大変重要なことである、このように認識いたしております。
○吉井(英)委員 これは臨調行革が進んでから、特に一二三号通知以来のこの十二年間を見ただけでも、生活保護受給者数で約百四十五万人から九十四万人ぐらいに大幅に十二年間で削られてきているわけですね。一二三号通知の立場で生保の切り捨てというやり方が進められて矛盾を現場では深めております。ですから、この数年、また毎年、生活保護は減額補正、減額補正、それでさらに不用額を出しているというのが今の実態でありまして、いかに削減のやり方がひどいかということがあらわれております。
 そこで、この不況の中で、生活保護受給者を初めとして低所得者の暮らしというのは本当に今深刻なんです。ここに温かい光を当てるということこそ私は政治の大事ななすべき課題だと思うのですよ。しかも、この福祉のお金をふやせば、これは低所得者層の間でも消費購買力は伸びて、それはまた購買力を高めるという一定の効果も持ってくるわけでありますから、私はこういう点でもう少しこの判決を踏まえて、これはケースワーカーが悪いんだとか、何かそんなふうなとらえ方の問題じゃなくて、根本的に考え方を改めてこれからの保護行政を進めていただきたい、このことを申し上げまして、次に進みたいと思うんです。
 この不況の実態と対策を考えたいと思うんですが、月例経済報告の方では、一部に回復の兆しが見られるが、として回復の兆しが見えない部分があることも認めております。
 そこで伺いますが、GNP最大項目である個人消費はどうなっているかと見ると、家計調査報告によれば全世帯の消費支出は昨年から三カ月連続マイナス、百貨店の売り上げは十三カ月、先日の発表では十四カ月マイナス、全国のスーパー売り上げが九カ月連続マイナス、この個人消費の落ち込みということが、これは今日の深刻な不況の実態の一面をあらわしていると思いますが、この点についての認識は一緒だと思うんですが、いかが
でしょうか。
○林(義)国務大臣 今お話のありましたように、家計調査につきましては、個人消費のところで申しますと、前期比で少し落ちて、少し回復をしているような数字もありますし、また落ちているような数字もある。それから百貨店の売り上げなどというのは、前期比に比べましても、また前年比に比べましても相当な落ち込みをしている。こういうふうな形になっているところでございます。
 一般に景気がどうなるかこういうことにつきましては、落ち込んでいるところもあるし、また上がっているところもある。例えば、住宅建設なんというようなところは上がってきているところでありますし、また機械受注などというのも上がってきているというような、いろいろな数字がございます。
 それから、特に上がってきているような数字というのは公共工事の請負、これはまあ当然のことながら私は上がってきておるんだろうと思いますし、それから景気動向指数を示すところの先行指数を見ますと、八〇%までが先行指数として上がってきているような数字が出ているということで、まあ言うならばまだらのような状況になってきているというのが我々の認識でございます。
○吉井(英)委員 何といってもこの個人消費の落ち込みというのは、これは実態としてはっきりしているわけでありまして、これは大企業における人員削減の問題、賃上げの抑え込み、雇用不安の増大、これで有効求人倍率は八八年一月以来五年二カ月ぶりの落ち込みになっておりますし、労働省も雇用調整が本格化するおそれがあると指摘をしています。
 もう一つは、中小企業においては、大企業のリストラによる売り上げ不振、倒産、廃業というのが続いて、商工中金の四月の中小企業景況観測で中小企業の悪化が指摘されております。この上にクリントン政権の円高誘導発言の追い打ちなどがあって、実際今深刻な事態になっておりますが、今大事なことは、やはり雇用をふやすということと中小企業の売り上げを伸ばす効果をもたらす対策が必要だ。
 こういう点では、一部に回復の兆しが見えるにしても、この回復の兆しの見えない分野への対策として何をしていこうとお考えなのか、この点を伺っておきたいと思うのです。
    〔石川委員長代理退席、委員長着席〕
○林(義)国務大臣 景気はまだらな形でございますが、一般国民の生活が伸びていくということ、それが消費の拡大につながる、こういうことだろうと思いますが、やはり経済全体がなだらかな形での成長の方向へ向かうということが私は必要なことだろうと思います。個別の品目で、この料理店はどうであるとかこの商品がどうである、だからというような話で私はやるべきでない。全体としての生活レベルが上がっていくことが必要でありますし、またそういったことからいたしますと、いわゆる「生活大国五か年計画」で示されておりますようないろんな諸施策を講じていくことである、また社会資本の充実を図っていってより住みよい社会をつくり上げていくということが必要である、こう考えておりまして、そうしたトータルの考え方に基づきまして、公共事業を中心にしていろいろな施策をやっておるところでございます。
○吉井(英)委員 政府の不況対策は、今最後におっしゃったように、今度の補正予算でも公共投資、公共事業が中心でありますが、これは建設省の総務審議官の市川さんなども、従来は公共事業というのは景気の下支え役であったけれども、景気の回復を軌道に乗せるというのは別の方途だ、公共事業にはかってほどの需要誘発効果はないということを語っております。
 私は、その点は当たっていると思うのですよね。もちろん公共事業がだめと言っている話じゃないのです。公共事業については、生活密着型のすそ野の広い分野に影響の及ぶ公共投資を重視する必要があると思いますし、それとともに、公共投資中心の従来型から個人消費を高めて雇用を生み出すものへとシフトしていく必要があると思うわけです。
 この点については、これは私の考えだけを言っておってもあれですから、委員長、資料の配付をお願いしたいと思うのですが。資料の配付をお願いします。
○粕谷委員長 どうぞ。事務局、手伝ってやってください。
○吉井(英)委員 私が今から配付いたします資料は「ジャパン・リサーチ・レビュー」の十月号よりとったものでありますが、これは日本総研というシンクタンクのまとめているものでありますが、これからの不況対策として考えるべき問題として、一つ、経済構造が、生産構造が変わってきている。それは、第三次産業のウエートが九〇年代に入って六〇・八%と、一次、二次が落ち込んでいく中において逆に三次産業のウエートが非常に高まっているということ。それから、企業活動の面でも三次産業のウエートが五八・八%に増加し、これは法人数においてももちろんそうでありますが、就業者数のウエートにおいても、この三次産業の比率が九一年には五六・九%に高まってきている。
 こういうふうな、今第三次産業に日本の産業の構造が変わってきているということを踏まえた上で、途中の詳細は省きますが、公共投資とそれから所得減税の効果というものを、一定の前提条件を置いて、「一兆円の景気浮揚策影響試算」というのが示されております。これが、この今お配りしております図表です。
 それで、もちろん私もこの種の計算が、これはまあ経企庁などとの違いは、モデルとか手法の違いとか、扱うデータの違いがありますから、一つのことですべてということを私は論ずるわけじゃありませんが、しかし、これはなかなか大事な指摘だと思います。
 これの試算の根拠というのは、下にデータは何を使ったかとかすべて挙げられておりますし、これは建設省、総務庁、企画庁などのデータとそれから産業連関表を使った計算をやっているわけでありますが、これで所得税減税一兆円やった場合と公共投資一兆円やった場合で生産誘発額がどうなるか、増加労働者数がどうなるかという比較です。それで結論的に言いますと、これは同等の効果を持っているという、この点の指摘です。
 そして、ただ公共投資の場合には、これはこの真ん中のグラフを見ていただくとよくわかりますが、これは製造業と建設業では確かに生産誘発効果は大きいけれども、しかし、所得減税の方があらゆる産業に押しなべて広く影響が及ぶんだということ、それから、業種別の増加労働者数で見たときには、これは公共投資であれば、建設業においては伸びが多くても、他の産業分野では、製造業では労働者数の増加というのはほぼ所得減税と同じぐらいであり、その他の分野ではすべて所得減税の方が増加労働者数が多いんだ。こういう点では、所得減税というこのものの景気浮揚効果というのは極めて有効なものなんだということが論じられております。
 私はこういう点で、こうした試算なども示されておりますが、これはまたさっきの建設省の審議官の指摘とほぼ合致しているわけです。そこで、総理や大蔵大臣あるいは経済企画庁などは、所得減税の効果というのを従来余り考えておられないか低く抑え目に見ておられるように思うのですが、今はやはりこういうものも踏まえて、これは不況対策として所得減税についてもっと力を入れていただく必要がある、私はこのことを申し上げたいと思うのですが、どうでしょうか。
○林(義)国務大臣 今委員御指摘のような数字はあります。委員も工学部の御出身ですからこの辺はお詳しいのだろうと思いますが、私が思いますのに、これはいわば産業連関表でつくった数字だろう、こう思うのですね。私がはじきますのに、やはり乗数モデルという方でやった方が今の実態には合っているのだろう、こう思います。これは産業連関表ですから、一つの産業でこれだけの仕
事が出たならば、こちらの産業でこれだけ出てきますよ、一回限りの話であります。乗数モデルの方でいいますと、それはずっと続いて出てくるわけでございますから。私はやはり数字のとり方、どうもこの方式が一体どうかなと思います。思いますが、経済企画庁の専門家の方から詳しい御説明をさせたいと思います。
○長瀬政府委員 ただいまお示しいただきました資料につきましてお答え申し上げたいと思います。
 この試算は、一兆円の所得減税についての試算がなされているわけでありますけれども、これは生産誘発額につきましてただいま大蔵大臣から御指摘のような問題点があることに加えまして、消費の生産誘発係数に、注2というところの@にございますように平均消費性向を掛けているわけでございます。しかしながら、減税によります追加的な所得に対しましては、限界的な所得の増加に対します限界的な消費の増加、こういうことでありますから、限界消費性向を掛けるべきものである、こういうふうに考えるのが普通ではないかというふうに思うわけでございまして、そういう意味では、限界的な所得の増加に平均消費性向を掛けているというところがこの試算の一つの問題点ではないかと思います。
 ちなみに、世界モデル等によりますと、平均消費性向はほぼここにございますような〇・八六程度でございますけれども、限界消費性向は〇・三ないし〇・四というふうに低いわけでありまして、その限界消費性向を用いてこの計算をするというのが本来のやり方ではないか。突然のお示してございますけれども、私どもそのように考えているわけでありまして、そういう意味で、世界モデルによる、先ほど大蔵大臣から御答弁ございましたような乗数モデルによる試算ということであるべきではないかと考えております。
○吉井(英)委員 もう時間が参りましたので簡単にしたいと思いますが、きょうはモデルの論争をやっているわけじゃありませんから、こういう試算もあって、だから真剣にこれは所得減税の効果というものを考えていただきたいということ。
 なお一言申し上げますと、限界消費性向の議論については、高所得者層よりも低所得者層の方が大きくなるという点、これは京大経済研究所の左和さんなども指摘しておりまして、したがって、下に厚く上に薄い所得減税ほど景気浮揚効果は大きいんだ、こういう指摘もあります。大蔵省などの方は、レーガン減税で効果なかったじゃないかということもどこかで言っておられましたけれども、レーガン減税というのは、高所得者、大企業減税で、トリクルダウン理論だったわけですが、それに対して、それは余り効果はなくても低所得者層を中心とした減税というのは非常に景気浮揚効果があるんだ、こういう指摘その他もありますし、私は、こういう点をよく踏まえて所得減税に今こそ踏み切るべきである、このことを申し上げて、時間が参りましたので、質問を終わりたいと思います。
○粕谷委員長 これにて吉井君の質疑は終了いたしました。
 次に、伊藤英成君。
○伊藤(英)委員 本日、私は経済問題に絞って質問をいたしますけれども、これからの日本の経済の状況等を考えますと、例えば為替レートの推移は、やはり今後の日本経済、あるいは産業、あるいは雇用に対しても非常に大きな影響を与えると思いますし、そしてまた、目の前に東京サミットもありますけれども、そのサミットの状況やらあるいは日米関係がどうなっていくかということが、今申し上げた為替の問題も含めて、日本に本当に大きな影響を与えていくんだろう、こういうふうに思っているわけであります。
 そんなふうに思いながら質問をいたしますが、まず最初に総理にお伺いいたしますが、本日為替レートが一ドル百八円台という戦後最高の状況に突入をしたわけでありますが、この状態について総理はどんなふうに思われますか。
○宮澤内閣総理大臣 先般もワシントンで、大蔵大臣・中央銀行総裁の会合であるG7がありまして、そのコミュニケの中で、為替相場がファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが望ましいのである、これは私は当然なことだと思いますが、改めでそのようなG7の方針なり決意が四月の末に表明されたところであります。
 今日の為替の動きを私も聞きましたが、これはちょっと私は急な動きだ。よって来るところは存じませんけれども、こんな急な動きはファンダメンタルズを反映したという動きばかりとも言えない。したがいまして、為替が乱高下をする、あるいは多少投機的な動きをするというときには、これに適宜に対応するということがG7でも伝統的な考え方でございますので、今日現にどう反応したかは存じませんけれども、そういう種類の相場ではないかと私は思っております。
○伊藤(英)委員 ところで、ことしの東京サミットの焦点となる課題というのは、どういうことが焦点になりますか。
○宮澤内閣総理大臣 これは、いわゆるシェルパがアジェンダを調整中でございますけれども、大体まとまってまいりました点を申しますと、一つは世界経済の問題、インフレを避けながら世界経済をどうやって活性化するかという問題でございますが、それからソ連の問題、開発途上国の問題。なお、世界平和を今後どうやって確保するかという、やや経済外でございますけれども、そういうことについても当然話があろうと思います。
○伊藤(英)委員 そこで、そのサミットに今までもどなたを招待するかという話でいろいろ議論もされてきたりしているのですが、ロシアのエリツィン大統領は実際に招待されたのかされるのか、どうなられるのか、あるいは非同盟諸国代表としてインドネシアのスハルト大統領を招待されるのか、あるいはそうした調整をされているのかどうか、その辺はどういうふうになっておられますか。
○宮澤内閣総理大臣 ソ連のエリツィン大統領につきましては、昨年のサミット、ミュンヘンにおきましていわゆる七カ国の会議が終わりました後、別の席へエリツィン大統領を招いて意見の交換をいたしました。今回のサミットにおきましても各国が同様の希望を持っておられますので、先般、私、議長としてエリツィン大統領に同じような形での訪日を御招待をしまして、それについて快諾のお返事がございましたので、昨年と同じような場を設けることになると存じます。
 スハルト大統領につきましては、かねて非同盟国の議長であるという立場から、非同盟国の考え方をこのサミットの場において伝えたい、そういう御希望が、私がことし一月にインドネシアに参りましたときにもございまして、昨年の十月にも実はそういうお話が東京でございました。
 ただいま調整中でございますけれども、七カ国の議長として私がスハルト大統領の御意見をお聞きすることはもとより喜んで私としてはいたすつもりがございますけれども、七カ国全体がそういう場を設けるということについては、実は今日まで合意が見られておりません。ただ、七カ国の首脳の中で、例えばアメリカの大統領は、自分が東京に行ったときにスハルト大統領のお話を聞くことはやぶさかでないということを既に言っておられますけれども、しかしそれについての十分なまだ合意というものは見られておりませんで、したがって、この問題につきましては、我々としては、あるいは私としてはと申し上げます、私としてはいろいろ努力を続けておりますけれども、ただいま、最終的にどういう報になりますか、申し上げるような段階になっておりません。
○伊藤(英)委員 ところで、サミットの、私は最大の問題となりますのは各国の政策協調の問題だと思うのですね。特に、サミット参加国の中で日本が最大の規模の黒字国となっている状況からいたしますと、日本に対する内需拡大、そして市場開放ということは一層求められるのではないかと思うのですが、こうしたことに対してどのように政府として対応をされるのか、その方針を伺いま
す。
○宮澤内閣総理大臣 これは御承知のように、我が国としては、先般の総合経済対策、あるいはただいま御審議願っております補正予算等々、最善の努力をいたしておるわけでございますし、また一般的に、サミットまでにウルグアイ・ラウンドのうちで工業製品のアクセスあるいはサービス等々につきまして、もう少し充実した各国間の実際上の合意をつくり上げたいという努力も行われております。
 それらに加えましてなお、これは全体の問題ではございませんが、日米におきましては、先ほども御説明申し上げましたいわゆるフレームワークをそのときまでに大体両国間で同意をしておきたいという計画でただいま作業を進めております。
○伊藤(英)委員 今総理の言われました東京サミットまでに新しい経済協議の機関、フレームワークをつくるというふうに合意されたということなのですが、先般、アメリカの政府の方とちょっと私が会いましたら、つくるようになったんだけれども、なかなかうまくいってないという話をその方は、ついこの間会ったときに言っておられました。
 現在この新しい協議機関は、その扱う内容等も含めて順調に進んでおられるのかどうか、その辺の状況について御説明いただけますか。
○小倉政府委員 御案内のとおり、総理とクリントン大統領の間で、三カ月以内と申しますか今度の東京サミットごろまでに、この話、どういう包括的な協議機構をつくるかについて両国で話し合うという合意があるわけでございます。
 そこで、今先生のおっしゃいます話し合いの状況でございますが、今のところ、この問題につきましては三つございます。中身でございますが、一つはどういう分野を取り上げるかの問題、それから構造問題をどのように取り上げるかの問題、それから日本とアメリカとの間で一緒に協力してやっていこうという、エネルギーとか環境とかいろいろあり得ると思いますが、そういうどういうものを取り上げるかという問題、この三つの大きな分野の問題がございますので、そのおのおのについてどのようにやるかということ。
 それからもう一つは手続の問題がございます。どういうレベルの人がどういう頻度で会うかとか、そういう問題。
 両方の側面がございますが、その両方につきまして、両国の政府が今政府部内で、アメリカはアメリカ、日本は日本で、中で協議をしておる。その協議が一応ある段階まできましたところで、近い将来にも日米両国の間で話し合う、そういう手順になろうかと思います。
○伊藤(英)委員 今私が伺ったのは、そういうことで順調に進んでいるというふうに思われますか。私がアメリカ政府の方に会ったのはつい先週のことなんですが、かなり大きな不満を言っておられました、その方は。順調に進んでいると言えますか。
○小倉政府委員 御案内のとおり、アメリカの政府の高官の指名、あるいは上院における何と申しますか確認と申しますか、そういうことの様子を見ましても、若干の省庁におきましてはまだ副次官とかあるいは局長クラスが必ずしもそろってないという面もございます。したがいまして、私ども実務当局といたしましては、そういうことも兼ねて考えますと、今の話し合いが特におくれているということはないと思います。大体、まあ順調という言葉の定義にもよりますが、それほどここに大きく話し合いのタイミングとしておくれているということはないと思います。
○伊藤(英)委員 この点はもうこれ以上申し上げませんが、その方はアメリカ側よりも日本側の対応の問題について不満を言っておられました。それだけ申し上げておきます。
 この日米間の問題で、この市場開放の問題につきまして、これは先回の政治改革特別委員会の場でもちょっと私は申し上げたりしたんだと思いますが、前の予算委員会だったかもしれませんが、いわゆる各国の分野ごとの市場開放を求めるやり方の話がアメリカ側からいろいろ出たりいたしました。総理も首脳会談のときにこの問題について、きっぱりといわゆる目標設定方式のやり方については否定をされたわけでありますが、改めて、その考え方について変わりはないかどうか。特にあのころ問題になったのが、日本がノーと言うときに、ノーという発言に対して例えばイエスという意味かどうかとかいう話が、この間来いろいろ話が出たりいたしましたですよね。だから、そんなふうにならないようにという意味も含めて、総理にこの件についてもう一度お伺いいたします。
○森国務大臣 午前中にも御答弁申し上げましたが、数量目標を個別的に設定するということは、これは企業の自由な経済活動に基づく市場経済原則に反するわけでございますから、当然これは管理貿易というふうにつながっていく可能性がございます。また、こういう設定をいたしますと、それに到達しなければ報復をするということになる。ますます自由市場経済というのは壊れてしまうということになるわけでございます。これはもう伊藤さん十分御存じのとおりです。
 その件については、今御指摘ございましたように、総理からクリントン大統領にはそのことは強く我が国の方針をお伝えを申し上げでございます。また、私は、三月訪米いたしました際にもベンツェン、カンター、ゴア副大統領、あるいはブラウン長官に申し上げましたし、またブラウン長官も四月来日されました際にも再度申し上げた。五月の十四日にトロントの四極通商がございました際にもカンター氏に私からもう一度申し上げております。また、総理はニュージーランド、豪州訪問の際も、そうした国々の首脳からも大変この問題についてはやはり懸念をされておられるわけでありまして、そしてまた先般韓国で、たしか今週だったと思いますが、ダンケル氏がやはりこのことについて批判をされておられます。
 こうしたことが大体、世界的なやはり自由貿易というものを大事にしていこうという考え方、基本的な考え方、大体基調は同じだろう、こう思っておりますし、カンター代表に十四日に申し上げたときにも、それについて深い議論はいたしませんでしたが、我が国もそれについてはもう少しクリエーティブなことを考えてみたい、このようにおっしゃっておられますので、こうした総理以下私ども申し上げていることも、アメリカ政府に次第に理解が得られつつあるのではないか、冷静な対応を求めていきたい、このように考えております。
○伊藤(英)委員 本件につきましては、総理もそれから通産大臣も、まさに世界の経済秩序あるいはそのシステムというものをどういうふうに維持していくか、あるいはつくり上げていくかという意味で、大変な御努力をされていると私は思いますし、敬意も表したいと思っているのですが、いろいろしかし最近心配されるなどいう意味で、御承知のように、最近幾つかの新聞にも、あるいはアメリカの新聞にもいろいろ大きく報道されておりますが、アメリカ政府内でいわゆるジャパン・ペーパーというのが対日戦略として報道をされたりしております。
 その中身は、まずマクロで日本のGNP比貿易の黒字幅をどうする、あるいはミクロの部分で分野別に市場開放を迫るという二つの方式。そして、このことの意味は、すなわち、第一のマクロで云々という話は、私は、日米間といえば、世界経済、あるいは世界を巻き込んだ形で日本にどうする、もしもこれを対日戦略という意味で考えればそういう考え方であるし、ミクロで考えれば、文字どおり分野別に対日圧力という二段構えで物を考えるという戦略といいましょうか、そういう考え方だと思うのですね。
 そういう意味で、マクロ、ミクロ両面において、いわば対日政策、対日包囲網という言い方が妥当なのかもしれませんが、そんなシナリオを描いているんだと私は思うのですが、この辺のことについてどう思われるか。いかがですか。
○森国務大臣 アメリカ側からは、いろいろな今伊藤さんが御指摘をされましたようなことなども、我々は新聞、テレビ等などでも情報も得ております。しかし、先ほど申し上げましたように、やはり基本的には自由貿易体制というものを維持発展をさせるということが世界の大きなこれは繁栄のためへの不可欠な条件だろうと思います。そういう意味では、アメリカも我が国も、世界のGNPの四割を占めているわけでありますから、お互いに両国協力をして世界の経済に貢献をしていこうということについては、これは宮澤・クリントン首脳会談においても冒頭に確認をされていることでございますから、アメリカ側のやはり冷静な対応を私どもは期待をしたい、こう思っております。
 したがって、先ほども申し上げたのでございますが、当然まず基本的には日本の経済をやはり回復させて、そして輸入拡大政策ができ得るようにするということがまず第一だろうと思います。
 余り時間をとって恐縮でございますが、昨年の貿易動向の数字を見ましても、実際には輸出額で七・三%というふうに対前年度比上がっているわけであります。数量は、これはゼロなんです、横ばいなんです。したがいまして、いわゆる日本の景気がまた大変大きくやはり輸入に対しても影響しているということにもなるわけでございますし、もう一つは自動車産業のこと、よく御存じだと思いますが、こういう状況の中でも日本の品物が出ていくということは、やはり産業の構造上の問題もあるわけですね。つまり、日本の部品をどうしても買い求めなければならないという生産の工程の理由もあるわけでありますから、もう少し長期的に見ていくべきじゃないでしょうか。そして、長い目で見てこうしたインバランスというものは解消していく、あるいは、大きく日本にもたらされた黒字というものを世界の国々に対して資金環流を進めていって貢献をしていくとか、いろんな角度で日本は対応していくことがやはり大事なのではないかというふうに考えております。
○伊藤(英)委員 クリントン政権の通商政策等はこれから本当にどういうふうになっていくかなという意味では非常に私は心配しているんですね。三月に私もアメリカ、ワシントンにも参りましたけれども、そんなふうに思ったりします。
 だから、これから対日通商政策というのはどういうふうになるだろうか。例えば、スーパー三〇一条の議会通過をさせようというふうに思っているんだろうか。あるいは、通過をさせてもそれは拒否権で発動させない方向にしようとするんだろうか。この辺を一体どういうふうに見るんだろうか。私は、意外とスーパー三〇一条は成立させようと本人も思っているんじゃないか、こう思うのですが、どうでしょうかね。
○森国務大臣 先ほど申し上げましたように、数量的な個別設定ということも問題ありというふうに我々指摘しておりますが、当然、報復的なそういう一方的なアプローチに対しても、私どもとしては、やはりこれを受け入れるわけにいかないわけであります。しかし、こうしたいろんなさまざまな問題がもし提起されてくるとするならば、やはりこれはガットの場で議論をしていくということが大事ではないかというふうに思っております。
○伊藤(英)委員 今のお話は、これは若干問題だと思われるときは、それは日本としては速やかに、あるいは威厳を持ってガットの場に持ち込んで議論をするという意味でしょうかね。
○森国務大臣 もちろん前提といたしましては、先ほど申し上げましたように、冷静な対応を政府側にもあるいは議会側にも、政府としましても、またいろんな各政党の皆さんの御協力もいただきながらアプローチをしているわけでございまして、そうしたアメリカ側の冷静な対応を私どもは期待を申し上げておるわけであります。
 それを超えて、またそうした一方的な措置をおとりになるというようなことでございましたならば、やはりこれはガットの場で協議をしていくということが大事なのではないかというふうに思っております。
○伊藤(英)委員 日米の経済問題を考えるときに、私は基本的には、アメリカの経済の中に例えば消費過剰の状況があったり、あるいは空洞化ということがあったり、そういうことの問題が根本的にある、こういうふうに思っていますが、しかし、日本の市場の閉鎖性というのがアメリカにいろいろな口実を与えるという部分がかなりあると思うのですね。その日実を与えないようにするためにも日本の市場開放ということはやはり考えなければならぬ、こういうふうに思いますが、その辺はどんなふうに認識をされておりますか。
○森国務大臣 どうも我が国の、島国という意味もあるのでしょうね、あるいはまた、これまでの長い日本の貿易というものに対する考え方もあったのでしょう、保護主義的な考え方は過去においてやはりあったと思う。そういう意味では、一種の日本に対する神話のようなものがやはりあるのだろうと思うのです。構造上の問題もございましょう。だから、そうしたものも十分に今日まで論議も進めてきたわけでございます。
 ただ、少なくとも、貿易上、関税でありますとか数量制限でありますとかそうしたことについてはもうかなり努力を日本はしておりまして、私も再三、アメリカ側とお話を申し上げるときには数字などもきちっと持ってお示しを申し上げているわけでありますが、少なくとも鉱工業製品についてはかなりの、恐らく今平均二・五%ぐらいの関税率だろうと思いますが、先般また四極通商会議の際にも御提示を申し上げましたオファーがもしそのまま実現をいたしますと、我が国の関税率は恐らく世界で一番低い、今でも低いと言ってもいいかと思いますが、恐らく一・六ぐらいになるのではないかというふうに考えております。
 ただ、象徴的なものは幾つかやはりございまして、サービス分野でございますとか、どうしてもまだもう少し時間的な経過措置の必要になるというものもございますので、そうした問題が象徴的にとらえられているという面は否めない事実であろうと思いますが、それにつきましては、なお一層我々としても努力をしていかなければならぬと、こう考えております。
○伊藤(英)委員 具体的に伺いますけれども、米国から日本の建設市場の参入の問題について強く要求をされておりますけれども、これに対してどういうふうに対応をされる方針か。この間も建設省は入札の改善策なんかも出したりはしておりますが、米国からの参入要求という問題、そういう視点から見たときに、どのように対応するおつもりか、伺います。
○中村国務大臣 御指摘をいただきました我が国建設市場につきましては、先生御承知のとおり、民間も公共も含めまして内外無差別で行っているわけでございます。とりわけ日米間においては、建設市場に対してふなれであるということで、習熟期間を置いて、そして特例措置を、事業を指定いたしまして、このことに対しましては米国企業は着実に実績を上げているわけでございます。
 具体的には先生ももう御承知だと思いますが、一九九一年に米国企業が受注した額は三百七十一億円、我が国の企業が米国において受注した公共事業額は三百六十一億円でございますので、この点だけ見ても、建設市場においては日米のアンバランスがないと、このように私どもは認識しております。
 さらに、日米の建設レビューを現在続行中でございまして、こんなときに、四月三十日に、一九八八年の包括貿易法の年次報告書の中で我が国の建設サービスが閉鎖的であるということで、六十日の間に改善が図られなければ制裁措置を発動する旨の一方的な決定が行われたということに対しては、我が国としては、こうした米国の制裁圧力を背景とした一方的な措置に対しては、健全な日米の協力関係を構築する観点からまことに残念である、このように考えております。現在、レビューが続行中でございますので、引き続き、我が国の習熟期間を置いて実績を上げてきたという
ことについて、レビューを通じて我が国の努力というものを米国に伝えていきたい、理解を求めていきたい、このように考えております。
○伊藤(英)委員 建設大臣、米国から見ていろいろ御努力を、日本側の努力やら、あるいはレビューということにもなるんですが、大体満足する状況になっていると思われますか。そういうふうに評価をされますか。
○伴政府委員 入札手続につきましては、指名競争の中ですけれども、より透明性、競争性を確保するために改善措置を講じました。実は、この改善措置も中央建設業審議会で審議したわけでございますが、そのときも、いろいろな社会経済情勢の変化の中で、建設市場の国際化というのが大変大きな変化でございますので、それに対応していろいろな考え方を出したわけでございまして、例えば外国の入札制度も参考にいたしまして、入札参加者の参加意欲の尊重だとか、技術的適性をより的確に評価する新しい方式を入れるとか、あるいは指名基準をより一層具体化、明確化しまして、結果的には外国企業にとってもわかりやすい透明性のある手続にするといったようなことをやっておるわけでございます。
 これにつきまして、アメリカ側がどのような評価をするかというのは、コメントいただいておりませんのでわかりませんけれども、そもそも日米建設合意におきましては、公共事業の調達手続がお互いに相違があるということを前提にいたしまして、それを尊重しながら、外国企業が日本の制度に習熟するためのそういう制度を設けたものでございますので、レビュー会合が開催されるに当たりましては、この改善策につきましても十分米国に説明していきたいというふうに考えております。
○伊藤(英)委員 最後に伺いますが、私は、今の日米間ということを考えてみてもそうだし、それから私たち自身が日本の国内で見てもそうなんですが、非常に大きな問題はいわゆる許認可、規制の問題ですね。その規制緩和という問題であるわけでありますが、現在の日本の状況は、私はほかの国から見ればなかなか大変だ、こう思うのです。そしてまた、今政治改革、政治改革と言われておりますが、その本質の部分の一つはこの許認可という問題だと私は理解するのですが、そういう意味で、時間がなくなって申しわけないのですが、総務庁長官と運輸大臣、通産大臣、建設大臣、それぞれにこの許認可の問題についてこれからどのくらい削減をしようとされるのか、それぞれお伺いをしたいと思います。
○鹿野国務大臣 この規制緩和の問題につきましては、臨調・行革審以来、いわゆる行革の一つの柱ということでやってまいりました。それで毎年行革大綱も策定いたしまして、そしてその年度中にやる、あるいは中長期的にやるものというふうなことで取り組んできたわけでございます。そういう中で推進もしてまいりました。
 しかし、それだけでは足らない、それだけではやはりだめだ、もっと思い切って規制緩和に取り組むべきじゃないか、こういう世論にこたえるべくということで、過般の四月十三日の経済閣僚会議におきまして、総理御自身から、規制緩和を思い切ってやるようにという御指示がございまして、私どももいろいろ検討させていただいた結果、思い切って、今日一万九百五十四件でございますけれども、一万件を切るという、このような決断をさせていただき、各省庁とも打ち合わせをさせていただき、今それを推進すべく取り組みをいたしておるところでございます。
○越智国務大臣 運輸省は許認可事項が多いと言われております。ただいま千九百六十六件でありますけれども、運輸省としては、二〇%の削減、こういう計画をいたしまして、今年度中に一〇%、三年間に二〇%、こういう目標で決定をいたしまして、今進行中であります。二〇%、約四百件でございますから、これは大変なことでございますけれども、思い切ってやろうと、こういうことで進めておる次第であります。
○森国務大臣 通産省も大変数では多い省庁でございますが、通産省の場合は、保安、安全対策、それから消費者保護というのが最近大変大きなウエートを占めております。それに通商管理等の経済的、社会的な重要な意義を有するというものでございまして、社会情勢の変化もございますし、これまでも適時適切に許認可等の見直しを行ってまいりましたが、そうしたお話もございまして、目標としまして一割を削減する、その方向で今見直しを行っております。
 ただ、この委員会でもそうでしたし、参議院の委員会でも、一方でやはりマルチ商法みたいなものがありまして、消費者保護の面ではこういう規制をしろ、こういう規制をしるというのが随分各党の皆さんからも御指摘がございます。そうした面が、やはり整理もしていきますが、また新しい変化でいろいろなものが加えられていくということもぜひこれは御理解をいただきたいのですが、まあ総じて、鉱山保安でありますとか、それからこれだけ技術的に進んでおりますから電気用品なども少し規制がうるさいかなと、こういうものなどはかなり進歩しておりますから、こうしたところは少し見直していくべきだなと思います。
 たびたび申し上げて恐縮ですが、伊藤さんは車にお詳しいわけですが、要は自己責任と、それに対し公的関与というものとのバランスだろうと思うのです。車も本当に、ああするなこうするなと言われるよりは、自分の気持ちで素直にドライブができれば一番いいわけですが、しかしそれぞれ人々の心でありますから、大きな過ちを持てば車も危害を与えるものになってしまいますから、そういう意味で、やはり通産省の立場から見ると、自己責任と公的関与というものをどのようにバランスをこれからとっていくかということが大事ではないかなというふうに、事務当局にはそう指摘をいたしておるところであります。
○粕谷委員長 答弁者に申し上げますが、時間が大分経過していますので、簡明にお願いをいたします。
○中村国務大臣 それでは簡単に。
 建設省としては、これまでも臨調・行革審の答申等に沿って許認可等の整理合理化に努めてきたところでありますが、今回政府として申し合わせがなされた中で、その趣旨を踏まえて引き続きできる限り努力をしていきたい、このように考えております。
○伊藤(英)委員 どうもありがとうございました。
○粕谷委員長 これにて伊藤君の質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして経済・一般等についての集中審議は終了いたしました。
 引き続き締めくくり質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宇都宮真由美君。
○宇都宮委員 カンボジアのPKOに関しまして、少し質問させていただきたいと思います。
 この問題につきましては、昨日まで本当にいろいろなことが議論されました。指揮権の問題とか参加五原則の問題とか独自判断による撤収の問題、停戦の合意があるかどうか、あるいは警護と巡回、輸送業務の問題等、たくさんの議論がなされましたけれども、そのような高尚な議論とは別に、私はもっと素朴な、多分国民の皆様もそういう疑問があるのじゃないかと思うのですけれども、本当に素朴な疑問を質問させていただきたいと思います。
 まず一つは、政府が国民に対してPKOの問題を、そして日本がカンボジアのPKOに参加する、その場合のことをどのように説明したかということなんです。
 いろいろ国会の議論などを通して、そしてマスコミ等を通して国民の皆様にわかっていただく、そういう部分もあるとは思うのですけれども、ここに政府が出している、外務省と防衛庁なんですけれども、二つのパンフレットがあるのです。多分ごらんになったと思うのですけれども、外務省が出しているのが「もっと知りたい! 国連平和維持活動 Q&A」、防衛庁が出しているのが
「国連平和維持活動と自衛隊 Q&A」、本当にわかりやすく書かれていますので、これは多分、国民の皆さんにこの国連平和維持活動あるいは自衛隊がそれに参加することに対する説明をしている文書だと思うのです。どのくらいこの文書を国民の方に配布したのかというのはちょっとわかりませんけれども、こういう文書にこの国連平和維持活動の業務が危険な仕事であるということは一言も書かれていないのです。いずれの文書も問いに答えるという形になっているのですけれども、同じようなことが書かれています。
 例えば、「武力衝突に巻き込まれることはないのですか」というふうな質問に対しては、武力衝突に巻き込まれることはないとはっきり言っています。例えば、これは外務省の分ですけれども、「争いが行われている地域に行くことはありません。」「これに参加した各国の部隊が紛争に巻き込まれることは考えられません。」と。今の中田さんとか高田さんの事件が果たして武力紛争に巻き込まれたと言えるのかどうか、紛争に巻き込まれたと判断するかどうかは異論があるかもしれませんけれども、そういうふうにして全く紛争に巻き込まれる心配はないというふうなことが書かれています。
 防衛庁のバンフには「派遣先のガンボディアは危険なところではないのですか」という質問があります。それに対して、全部は述べませんけれども、「ガンボディアでは、一九九一年十月に和平協定が結ばれ、長年の戦火は終結しています。また、万が一紛争当事者の停戦の合意が破れた場合は、活動を一時中断し、状況によっては派遣を終了し現地を離れることができることはいうまでもありません。」と、そういうふう宣言葉が書かれているわけなんです。そして、「現地の活動においても、隊員の安全確保を最優先する方針です。」そしていろいろ書かれて、「現地での安全な活動が期待できます。」
 ここには危険という文字は一個もないのです。それに比べて安全という文字は合計五回も使われているのです。これほどこのPKOについて、そしてそれに参加することについて安全を強調するというのは、私は、国民に対して本当のことを告げていない、少なくとも誠実にこの業務のことを政府としては説明してないんではないかと思うのです。
 特に、高田さんの事件が起こった後、後藤田法務大臣は、PKOというのはもともと危険と隣り合わせの仕事であるというふうなことを申されました。それであるのならもう少し危険であるということをこういうものに書いておかないと、これを見た国民は、確かに日本よりは少し危険かもしれないけれども安全なんだろうという気持ちでいると思うし、カンボジアに協力隊に派遣されていく人もこれを見れば、それほどカンボジアのことを知らないと思うから、危険でないと思って行かれると思います。そして、まして残された家族の人たちは、こういう文書に書かれたことを信じて派遣に行った人の帰りを待っているのじゃないかと思うのです。
 そういうことを考えたら、本当に、もう少しこのPKOについて、そして日本がこれからしようとしていることについて正確に告げて理解を求めるのが筋ではないかと思うのですけれども、この点、総理大臣それから法務大臣、いかがお考えでしょうか。
○英政府委員 宇都宮委員御指摘のパンフレット「国連平和維持活動 Q&A」でございますが、これは、国会における国際平和協力法の御審議を経て同法が成立いたしまして、アンゴラ、カンボジアへの我が方の要員の派遣が決定されました。それを踏まえまして、この国連の平和維持活動、それからそれに対する我が国の協力という点について広く国民各位の御理解を得るために、昨年の十月に作成いたしまして配布したものでございます。
 当時、非常に国民の間で関心の高い問題について、国会での御議論、またそれに対する政府の御答弁というものを踏まえまして、なるたけ簡潔にわかりやすく説明するということで作成したものでございます。
○宇都宮委員 作成の趣旨はわかりましたけれども、総理はお読みになったかどうかわかりませんけれども、お読みになっていただきたいということを言っていたのですけれども、PKO活動の国民に対する説明として、このようなパンフレットに書かれていることが果たして正しい、妥当であるとお考えになられるかどうか、ちょっとお伺いしたいのですけれども。
○宮澤内閣総理大臣 私は、全体として比較的注意深く書かれていると思いましたけれども、現実にはおっしゃいますようにそういう危険が起こっておりますので、やはりそういうもしミスリードするようなことがありましたら、それは遺憾なことであったと申し上げます。
○宇都宮委員 余り時間をとってもいけませんのでやめますけれども、本当に日本にとってはこれから進む方向を大きく変えた法案でございますので、またこれからも、国際貢献という言葉が妥当かどうかはわかりませんけれども、国際協力、世界の中で生きていかなければなりませんわけですから、こういうことはできるだけ正確に説明していただきたいと思います。
 そして、もう一つこの件に関しましての疑問は、今のカンボジアの状況は当初予測しなかったことが起きている、そういうことを総理は言われております。当初というのは、多分このPKO協力法を私たちが審議するときであったと思いますし、またカンボジアに協力隊を派遣したときのことだろうと思います。その当時予想されなかったことが今カンボジアでは起きているわけなんですよね。
 ということは、PKO法の想定外のことが今起こっているんではないかと思うんです。そうだとすれば、この事態に対して今のPKO法で対処するのは無理があるのではないか、私はそのように思います。まして、さつぎのような説明、殊さら安全を、安全であるということを強調して国民にも言っているし、そういう御答弁も繰り返されたわけなんですから。そこのところを考えましたら、今の事態にこのPKO法を拡大解釈して対応するということは、やはり私は、こういう自衛隊の海外での活動、また武器を伴う活動でございますので、それに無理な法律の解釈によって対応するということはいけないことではないかと思います。
 だから、今まで停戦合意が崩れているかどうかということは、議論がさんざんなされてきました。それを今蒸し返そうとは思いません、私たちの意見とは反対なわけですから。それとは別に、こういう予想外のことで、政府は協力隊を派遣したわけですから、そのことを正直に国連なり諸外国なりに訴えて、日本の隊員は引き揚げさせてほしい、そういう外交努力をするのが、私は、安全であると信じて行った協力隊の皆さんや、そしてまた残っている家族の人たちに対して、また私たち一般の日本人に対して、政府の態度ではないかと思うんですけれども、そのような点はいかがでしょうか。
○河野国務大臣 昨今の状態は、国民の皆様にも大変御心配をおかけをしておりまして、まことに残念な事態でございます。
 しかし、今、宇都宮委員御指摘でございますが、現地で活躍をいたしておりますUNTAC要員の安全を守る義務といいますか仕事は、UNTACそれ自身に本来あるわけでございまして、今我々がやるべき仕事のまず最初は、UNTACに対してより安全を守れということを言うことがまず最初であろうと思います。行って危ないから、危険だからすぐ帰るということをするのではなくて、UNTACに対して安全を確保するべくもっと努力をしてくれ、こう言うことがまず最初に我々がやる仕事と心得ておりまして、そのことをずっとやってきたわけでございます。
 この国際平和協力隊法それ自身は、カンボジアのこのケースだけを想定してつくられた法律ではございません。もっと、何といいますか普遍的な
ものを考えてっくっているわけでございます。しかし、そうではありますけれども、何といっても本格的にこういうふうに参加したのは初めてでございますから、今回のさまざまな事態は、我々にとっていろいろな教訓を与えてくれていることは事実でございます。ということも考えて、この法律には三年後の見直しの条項が入っておるわけでございますから、これらを注意深く、慎重に、そうした教訓は教訓として受けとめて、その見直しの時期が来れば、もし見直すべきものがあればそうしたことを考えるということが必要なのであって、今直ちに法律を直せということにはならないのではないかというふうに思います。
○宇都宮委員 そうしましたら、最後に確認ですけれども、予期しないことが今起こっているけれども、今のPKO協力法で政府は対応していきたいと考えている、そのようにお聞きしてよろしいわけですか。
○河野国務大臣 昨日もいろいろ御質疑をいただきましたが、私どもといたしましては、現在の法律の範囲内で安全対策、でき得る限りの安全対策をいたしておるところでございます。
○宇都宮委員 次に、PKOの問題はこれから日本がどう生きていくかにかかわる問題でございまして、そのことはまた今までの、過去の生き方をどう処理するかという問題にも共通点があると思いますので、ちょっと戦後補償の問題についてお尋ねしたいと思うんですけれども、その前にいわゆる日韓条約、その解釈について二、三確認をさせていただきたいと思うんです。
 一つは、協定第一条第一項の無償三億ドルと有償二億ドルの経済協力、それと同第二条第一項の「財産、権利及び利益」並びに「請求権に関する問題」の解決、この二つは法律的には対価関係がないというふうに言われていますけれども、政治的といいますか存在的といいますか、経済協力するからまあ財産等の問題は解決したのだ、解決するから経済協力するんだという意味においては対価関係にあると思うんですけれども、そういう形で連動しているとは言えないのでしょうか。
○丹波政府委員 お答え申し上げます。
 先生はこの問題に大変お詳しい先生でございますので、ごく簡単に経緯を御説明申し上げたいと思いますけれども、日韓国交正常化交渉におきましてのこの財産請求権問題の討議は、法的な根拠があり、かつ事実関係も十分に立証されたものについてのみ日本側がその支払いを認めるという前提に立って交渉を行ったわけでございますけれども、法的な根拠の有無に関する日韓間の見解というものに非常に大きな隔たりがあった。また、御承知のとおり戦後十数年を経過し、かつ朝鮮動乱が間にあったということで、事実関係の立証自体も非常に難しかったということでございます。それで、しかしそのような状況の中でこのような両国の対立を無期限に放置し、そのために正常化もおくれるということであってはいかぬということで、両国が大局的な見地から考えてこの協定をつくったわけでございます。
 そこで、両国の正常化後、韓国の民生の安定、経済の発展に貢献することを目的といたしまして、韓国に対しまして経済協力を行うことが適当であるということを考えましてこの協定を締結いたしまして、先生が今おっしゃいましたとおり、第一条におきまして五億ドルの経済協力の供与を合意するとともに、当時国会でも何度も説明申し上げましたが、それと並行的にとかあるいはあわせてという言葉を使っておりますが、それと並行的にあるいはあわせて、第二条におきまして両国間の財産、請求権の問題を処理した。完全、最終的に処理したということでございます。
 先生今おっしゃいましたとおり、この第一条と第二条の間には法的な直接のつながりはございませんけれども、当時の経緯を考えまするに、そこにはやはり政治的なつながりがあった、あるいは人によっては政治的なパッケージであったという言葉を使って説明される方もおられますけれども、いずれにしても、そのような関係であったというのが歴史的な事実ではないかと思います。
○宇都宮委員 次に、この協定第二条第一項の「財産、権利及び利益」と「請求権」との関係についてお聞きしたいと思うんです。
 それはどうしてかといいますと、この当時の合意議事録によりますと、ここで言う「「財産、権利及び利益」とは、法律上の根拠に基づき財産的価値を認められるすべての種類の実体的権利をいうことが了解された。」というふうに書かれております。そしてまた、今までの外務委員会とか予算委員会での議事録を見ますと、「財産、権利及び利益」というのは法律上の根拠のある請求権である、そして「請求権」というのは法律上の根拠のない請求権であるというふうな説明がなされております。このような両方の説明からしますと、ほとんどの権利は「財産、権利及び利益」の中に入って、いわゆる何というか全く根拠のない、言いがかりをつけるようなものだけが「請求権」の中に入るというふうな感じにちょっと感じられるのです。
 そこで、もう少しわかりやすく、「財産、権利及び利益」の中にはどういう権利が入って、「請求権」の中にはどういう権利が入るのか、具体例を挙げて、かつ簡単に御説明いただきたいと思うのですけれども。
○丹波政府委員 いわゆる財産、権利、利益と請求権との区別でございますけれども、「財産、権利及び利益」という言葉につきましては、日韓請求権協定の合意議事録の中で、ここで言いますところの「財産、権利及び利益」というのは、合意議事録の2の(a)ございますけれども、「法律上の根拠に基づき財産的価値を認められるすべての種類の実体的権利」を意味するということになっておりまして、他方、先生御自身今おっしゃいましたとおり、この協定に言いますところの「請求権」といいますのは、このような「財産、権利及び利益」に該当しないような、法律的根拠の有無自体が問題になっているというクレームを提起する地位を意味するということになろうかと思います。
 具体的にとおっしゃいますので、ちょっと具体的に申し上げますと、御承知のとおり、この第二条の三項におきまして、一方の締約国が財産、権利及び利益、それから請求権に対してとった措置につきましては、他方の締約国はいかなる主張もしないというふうな規定がございまして、これを受けまして日本で法律をつくりまして、存在している実体的な権利を消滅させたわけでございますけれども、まさにこの法律が対象としておりますのは、既に実体的に存在しておる財産、権利及び利益だけである。
 具体的に申しますと、それは例示いたしますと、日本国あるいは国民に対する債権あるいは担保権あるいは物権といったものを消滅させた。これがまさに実体的な権利でございまして、請求権はなぜこの法律の対象でなかったかと申しますと、まさにその消滅させる対象として請求権というものが目に見える形で存在していないということだと思うのです。
 先生はもう弁護士の先生でございますので、これ以上あれする必要はないと思いますけれども、例えばAとBとの間に争いがあって、AがBに殴られた、したがってAがBに対して賠償しろと言っている、そういう間は、それはAのBに対する請求権であろうと思うのです。しかし、いよいよ裁判所に行って、裁判所の判決として、やはりBはAに対して債務を持っておるという確定判決が出たときに、その請求権は初めて実体的な権利になる、こういう関係でございます。
○宇都宮委員 今の御説明をお聞きしますと、財産、権利、利益の中に入る権利というのは、例えばよく例に出されるのは郵便貯金の返還請求権とか、そういうのが言われるのですけれども、一見して証拠上だれが見ても権利が存在していると認められるような、判決書とか国の権利証みたいな、そういうものだというふうに考えて、そしてそういうまだはっきりしていない権利というのは、損害賠償請求権なども法律上の根拠があるかないかといえば、私はあるんだろうとは思うので
すけれども、そういう損害賠償請求権とかあるいは慰謝料請求権、あるいは労働契約に基づく賃金の支払い請求権なども、そういうはっきりした証拠がなければ請求権の方に入るというふうに解釈してよろしいのでしょうか。
○丹波政府委員 これは条約、協定あるいは国内法でもそうかと思いますが、いかなる意味合いで請求権という言葉が使われているかということによって違うと思うのですが、しかし先生、一番重要なことは、請求権につきましても、日韓両国、両政府の間では、国家あるいは国民の請求権も相互に放棄され、完全、最終的に解決されておるというのが、この問題につきましてのこの条約上の一番重要な問題ではないかと考えております。
○宇都宮委員 重要な問題がどうかということをお聞きしたわけじゃなくて、権利の分類が私の解釈で間違ってないでしょうかということを確認させていただいたのですけれども。
○丹波政府委員 ですから、請求権という言葉がどういう文脈あるいはどういう法律の中でどのような形で使われているかということによって、そこは実体的なものを持っているのかどうかも違ってくるのではないかと考えます。
○宇都宮委員 済みません。もう一回だけ確認させてほしいのですけれども、証拠がはっきりしているかどうか、だれの目で見ても一見明らかに存在すると見られるような権利が「財産、権利及び利益」の中に入って、それがはっきりしないような権利が「請求権」なんだというふうに一番最初例説明されたのではないのですか。
○丹波政府委員 先ほど申し上げましたとおり、この「財産、権利及び利益」と申しますのは、法律上の根拠に基づきまして既に財産的価値を認められています実体的な権利を意味しておる。それで、「請求権」と申しますのは、「財産、権利及び利益」に該当しないような、法律的根拠の有無自体が問題となっているようなクレームを提起する地位、それを意味しておるということでございます。
○宇都宮委員 今までの外務委員会等での議事録に書かれているとおりの御答弁なんで、これ以上はやめますが、何でああいうわかりにくい説明をするのか、私はよくわからないのですけれども。
 いずれにしましても、財産、権利、利益の中に入るものも、請求権の中に入るものも、条約上はその権利を消滅させていない。財産、権利、利益に対する日本国の措置に対して、そしてまた請求権に対して、国家は何らの主張もしない。要するに主語は国家であって、その権利が消滅したことを条約で言っているわけではないと思うのです。この条約では、要するに外交保護権の放棄を言っているだけの話で、権利自体の消滅についてはこの条約は言っていないということはいいわけですね。
○丹波政府委員 お答え申し上げます。
 この第二条の一項で言っておりますのは、財産、権利及び利益、請求権のいずれにつきましても、外交的保護権の放棄であるという点につきましては先生のおっしゃるとおりでございますが、しかし、この一項を受けまして三項で先ほど申し上げたような規定がございますので、日本政府といたしましては国内法をつくりまして、財産、権利及び利益につきましては、その実体的な権利を消滅させておるという意味で、その外交的な保護権のみならず実体的にその権利も消滅しておる。ただ、請求権につきましては、外交的保護の放棄ということにとどまっておる。個人のいわゆる請求権というものがあるとすれば、それはその外交的保護の対象にはならないけれども、そういう形では存在し得るものであるということでございます。
○宇都宮委員 韓国政府がその外交保護権を放棄したからといって、日本の法律で直接その韓国人の権利を消滅させるという、その根拠は何なんでしょうか。
○丹波政府委員 それは、何度も立ち戻りまして恐縮ですけれども、韓国との請求権・経済協力協定の第二条一項を受けまして三項の規定があるものですから、日本政府が相手国、この場合韓国ですが、韓国政府及び国民の財産、権利及び利益に対していかなる措置をとっても、相手国あるいは相手国政府としてはいかなる主張もしないということになっておるものですから、その意味で、日本政府がまさにこの財産、権利及び利益というものを消滅させても、韓国としてはいかなる主張もしないということが規定されておるものですから、日本政府としてはそういう措置をとったということでございます。
○宇都宮委員 それは韓国政府が何も言わないということで、韓国人が何も言わないということまでは決めていないと思います。ちょっと長くなりますので、もうこれでやめます。
 次に、戦後補償の問題なんですけれども、いろいろあるんですけれども、韓国の従軍慰安婦の方の問題についてちょっと質問させてもらいたいと思うんです。
 政府の立場は、今言いました一九六五年の日韓間の請求権・経済協力に関する協定、これで、戦後補償の問題については韓国及び韓国民との間では既に解決済みであるという態度を繰り返して述べられております。そしてまた一方では、この元従軍慰安婦の方には補償にかわる何らかの措置をする必要があるというふうにも言われています。
 この解決済みであるということと、何らかの補償をしなければならないということとの関係というのは、どういうふうに考えたらいいんでしょうか。法律的には解決済みだけれども、何らかのことをする政治的な義務とかあるいは人道上の義務があるというふうにお考えなのか、それとも、義務はないけれども、まあするんだというふうに考えるのか。どちらなんでしょうか。
○池田政府委員 いわゆる従軍慰安婦問題の法的な立場についてはただいま条約局長から御答弁があったとおりでございますけれども、本件の性格にかんがみまして、道義的、人道的観点から、我々としては日本国民の気持ちを何らかの形であらわすことはできないだろうかということで検討しているわけでございます。
○宇都宮委員 そこで、何らかの道義上の義務があるというふうに考えられているんだろうと思うんですけれども、今まで私たちというか、元慰安婦の方たちも、要するに事実の調査をしてほしいということを訴えてまいりました。
 それで、いろいろ政府の方でも文書の調査はなさって、昨年の七月にも第一回目が発表されて、また二回目の調査の結果を発表するということでございますけれども、この書類とか文書とかの調査以外に、聞き取り調査をなさるということを三月の参議院の予算委員会でおっしゃられました。聞き取り調査の対象とか方法とか、具体的に決まっていれば御説明願えますか。
    〔委員長退席、石川委員長代理着席〕
○谷野政府委員 お答え申し上げます。
 ただいま聞き取り調査ということでございましたが、私どもが行っております聞き取り調査は、当事者の方々の、慰安婦の方々から直接お話を伺うということと、それから、それ以外のいわば関係者の、日本の方も含めてですけれども、その方々からお話を伺うのと二通りあろうかと思いますが、後者につきましては既にいろんな形でお話を伺っております。
 難しいのは当事者の方々から直接お話を伺うということでございまして、私どもは、現在進めております調査をより完全なものにするためには、当事者の方々から直接お話を伺うことが必要であろうという感じになっておりまして、ただいま外務省にお願いいたしまして、現地の大使館を通じて当事者の団体の方々と連絡をとらしていただいております。向こうの側でもいろんなお考えがあるようでございまして、いま少しく、いつどういう形でやらしていただくか、時間がかかろうかと思いますが、何とか実現にこぎつけたいと思います。
○宇都宮委員 今まで、そういう証言の信憑性については疑問を持っているということで、私たちがそういう聞き取り調査を行うべきでないかと言っても、行わないという方針だったと思うんです。
 そしてまた、もう一つは、そういうもとの当事者の方に聞き取り調査をすれば、その人たちは、強制的にやらされた、従軍慰安婦にさせられた、いわゆる強制連行されたというふうな証言をなさっている方が多いわけです。そういう証言が出てくることは明らかだと思うんですけれども、この強制連行については政府はどのようにお考えなんでしょうか。
○谷野政府委員 まさに先生のただいまお話しのようなポイントも含めまして、私どもは別に予断を持っているわけではございません。なすべきことは、なるべく真実を究明するということでございまして、それに尽きると思います。そのような考え方に基づきまして調査を進め、聞き取り調査も行うということでございます。
○宇都宮委員 だとすれば、この聞き取り調査をするということに方針を変えたのはどうしてなんですか。何か理由があるんですか。
○谷野政府委員 聞き取り調査のお話だったと思いますが、政府は確かにひところまで、この当事者の方々のプライバシー等の問題もあろうかと思いまして、これの問題について若干消極的なことを述べておったかと思いますけれども、その後、先ほど申し上げましたように、より実態に迫るために、かつまた韓国側からも内々これを実施してほしいという強い御要請がありまして、ただいまのところでは、先方の協力が得られればということが条件でございますけれども、先方が応じてもいいということになりますれば、ぜひそのような段取りを進めたいと思っております。
○宇都宮委員 この聞き取り調査に関して、なかなか難航している、いろいろと韓国の団体の方にも反対があるというのでなかなか難航しているというふうな報道がなされておりましたけれども、見通しといいますか、特に元従軍慰安婦の方の聞き取り調査ができるかどうかの見通しと、それに対します、どうすれば実現できるかというその方法など、どういうふうにしたいか考えていらっしゃれば、お伺いできますか。
○谷野政府委員 これは、先方の団体とのお話し合いは、外務省、出先の大使館にお願いしてございますので、あるいは外務省の方からお答えいただいた方がよろしかろうかと存じますが、私どもの承知いたしておるところでは、いろいろ先方にも、団体の方にこれに応ずるにおいてもいろんな条件とかお考えがあるようでございまして、その辺のところをいま少しく解きほぐすために時間が必要だと思います。したがいまして、相手のあることでございますから、私の方の立場でいつまでにということはなかなか申し上げにくいわけでございます。
 それから、しかりとすれば、どういう規模で、どういう形で、どこで何人くらいということは、そういった話し合いを通じてお互いに合意をして出てくる話でございまして、とにかく今は私どもの考え方を向こうの団体の方に伝えて、私どもの考え方をわかっていただくというふうなことで努力をさせていただいております。
○宇都宮委員 では最後に、企業献金の問題についてちょっとお尋ねしたいのですけれども、私たちは企業献金は廃止するという法案を出しております。この方針に変わりがあるわけではないし、今ここで企業献金を廃止すべきかどうかという議論をするつもりはないのです。ただ、企業献金、もちろん個人献金についてもですけれども、昭和五十年までは全く制限がなかったのです、量的な面については。それが、昭和五十年の改正で、個人は年間二千万が限度、企業の方は、資本金の額によって差はありますけれども、一億円を限度とするというふうな量的制限もなされました。
 そこで、なぜこういう規制をすることになったのか、そしてまた、個人が二千万、企業については一億円、その額はどういう根拠で決めたのか、そのあたりを簡単に、わかっていれば御説明いただきたいのです。
○村田国務大臣 企業献金の問題ですが、宇都宮委員よく御承知のように、例の八幡判決に対する最高裁判決によって、企業も社会的存在であるからその献金を一概に廃止すべきではない、節度を持って行うべきであるということが言われておりまして、御指摘のように、昭和五十年の政治資金規正法の改正から、例えば、政党、政治資金団体の公職の候補者に対する寄附金は、五十億円までの資本金であれば千五百万円以内、それから五十億から百億円以内であれば三千万というふうに決まっておりまして、個人献金の二千万よりは、この限度において変わってくるわけでございます。
 どうしてこういうことが制定されたのかということは、特定の者のする多額の献金によって政治に対して不当な影響を及ぼすことのないようにするという見地から定められたものと理解をしております。限度額をどの程度にするかについては、やはり寄附を行う側がどの程度寄附を行い得るかという応能的な考慮もする必要があるということで、団体献金の限度額を個人献金の限度額との関係のみをもって論ずることは適当でないという考え方から制定をされたものだと思います。
 これについては、今政治改革特別委員会において各党で真剣な御論議をいただいておるところでございまして、今後各党間の議論を深めていただいて合意点を見出していただきたい、このように考えておるところでございます。
○宇都宮委員 最後に、そうしましたら、多分、五十年の改正でこういう量的制限を設けたのも、やはり企業献金による政治腐敗といいますかそういう事件が起こって、やはり政治をきれいにしよう、政治と汚いお金の結びつきを少しでも制限しようというところからこういう制限が設けられたんじゃないかと思うのですけれども、その件に関しまして、今まで二千万と一億円が大体妥当なところだろうというふうに考えて、その制限が今決められているわけです。それを、今自民党の案は、企業の最高額を二億円に上げようとしていらっしゃいます。この点についてどういうふうに考えられるかということ。
 そしてもう一つ、ちょっと時間がないので一度に言わせてもらいますけれども、今企業献金というものの政治腐敗に対する関連というか、企業献金の弊害、これは結構顕著になっていると思うのです。だから、政治献金は個人献金の方にシフトすべきだ、個人献金を主体にすべきだというふうなことは、政府の方も自民党さんの方もそういうふうに考えられているんじゃないかと思うのですけれども、そういう時期に、企業献金と個人献金で差をつけている。現行法でも個人は二千万しかできないのに企業は一億できる。そして、それをまだ二億円に上げようとしている。そういうことは、立法政策として個人献金を主体にしていこうとしている時期に、企業に個人以上の献金を認める、そしてまた企業の最高限度額を上げるということ、この点についてはどういうふうにお考えになるのか。
 私は、個人ができると同じくらいのことを企業にもできるくらいでいいのじゃないか、少しでも企業献金を減そうと思えばそのぐらいにしていいのじゃないかと思うのですけれども、その点いかがお考えでしょうか。
○村田国務大臣 先ほど申し上げたように、個人のする献金の限度額と企業のする献金の限度額の考え方は、宇都宮委員の考え方とは違って、応能的なところから考えるべきであるというところから来ておるわけでございます。しかし、今度の政治改革は、宇都宮委員が御指摘になったように、これによって政治等が汚くなってはいけないから、したがって、党からの政治資金というものを主体にすべきである、個人ではなくて党のを主体にすべきであるということで、いろいろな制度を設けようという努力が積み重ねられておるわけでございます。
 これは今政治改革委員会で熱心に討議をされておるところでございまして、まさにその指摘をさ
れた点は社会党と自民党との考え方が非常に違う点でございますので、よく御議論をいただいて、私は企業からの献金が全部悪であるという考え方ではないのです。それも一定の限度においては、政治を汚くするものでなければ認めるべきである、こういうふうに考えておりまして、そういった論点についてよく御議論いただきたいと思います。
○宇都宮委員 じゃ、最後に、応能的、要するにどれだけの献金をする力があるかということから、個人よりは企業の方によりそれだけする力があるというところから分けているということなんだろうと思うのですけれども、確かに個人の一千万と企業の一千万、大企業の一千万とだったら、それは負担感といいますか、負担は全く違うと思いますけれども、それをもらって使う側の方から見れば、一千万は一千万で同じなわけですよね。だから、そういう意味で、出す方の側、負担が重いか、これだけ負担ができるかどうかだけで決めるのはおかしいのじゃないかと思うのですけれども、どうでしょうか。
○村田国務大臣 今の政治改革においていわゆる政党助成法が定められて、個人が出さなければならないという政治資金は非常に制限をしなければならぬという点では各党が一致です。そして、先ほど申し上げたように、資本金十億円から五十億円までは千五百万円以下ということになっておるわけでございまして、以下、資本金が上がるごとにその限度額を変えておるというのは、個人の出す政治資金と企業の出す政治賃金とはおのずから考え方が違うわけでございまして、その点をひとつよく御議論をしていただきたいと思います。一概に両者を比較して、個人がこうなっているから企業もそうするというのは、これは前提が違うと思います。
○宇都宮委員 最後に、この国会での政治改革関連法案の成立に関しまして総理にリーダーシップをとっていただくことをお願いしまして、質問を終わります。
○石川委員長代理 この際、内閣総理大臣より発言を求められておりますので、これを許します。宮澤内閣総理大臣。
○宮澤内閣総理大臣 昨日、伊藤忠治委員から、国際貢献庁をつくり、自衛隊との別の組織によりPKO業務を実施すべきではないかという質問がありました。これに対する私の答弁に舌足らずのところがあり、その点は失礼をお許しいただきたいと存じます。
 次に、我々は自衛隊が憲法違反とは考えておりませんし、平和維持活動への参加は憲法の平和主義に合致するものと考えております。そして、迅速に協力するためには、自衛隊が長年にわたって蓄積してきた技能、経験、組織的な機能を活用することが、我が国の人的協力を実効性あるものとする上で重要であり、また、現在、カンボジアにおける自衛隊の活動については大多数の国民の理解と支持を得ているものと考えております。したがって、国際貢献庁をつくって自衛隊とは別の組織によりPKO業務を行わしめることは考えておりません。
○石川委員長代理 次に、松浦利尚君から関連質疑の申し出があります。宇都宮君の持ち時間の範囲内でこれを許します。松浦利尚君。
○松浦(利)委員 PKOの文民警察官の関係、国連ボランティアの問題についてお尋ねをいたしますが、その前に、きのう三党で、文書で政府に所得税減税についての申し入れをいたしました。きょう、自由民主党からは三党共同要求についての文書回答をいただきましたが、「いずれにせよ、引き続き「不況対策に関する各党協議会」において協議を続けたいと考えている。」こういう文書であります。
 大蔵大臣に対しても文書で差し上げたのですが、文書で回答がいただけませんでした。
 そこで、確認をさせていただきますが、午前中、我が党の水田議員が減税について質問させていただいたわけでありますが、もう時間の関係がありますから、大蔵大臣それから宮澤総理の前段部分は削除をいたしまして、最後の方で宮澤総理は、「いずれにしても、そう遠い将来までこの問題は放置しておくことはできないという気持ちを実は私自身は持っておりますけれども、なお公党間の御協議の推移を見守ってまいりたいと思っております。」という締めくくりでございますが、前段を含めて、これが宮澤総理の、自民党の方からの総裁としての御回答はいただきましたが、政府としての大蔵大臣そして総理の御答弁と理解をしてよろしいかどうかをお答えいただきたいと存じます。
○宮澤内閣総理大臣 午前中、水田委員にお答えをいたしましたところを、政府のただいまの考え方と御了知いただきまして結構でございます。
○松浦(利)委員 それでは、PKO関係についてお尋ねをいたします。
 実はきょう、国連と我が政府との間のPKO派遣にかかわる口上書、原本並びに邦解をいただきました。ここで少し不思議に思いますのは、選挙要員につきましては、国連側の口上書の中に「責任と任務」という部分が記載されています。選挙要員については、これこれこれこれの責任と任務を持っておりますよというのが、国連の方から口上書によって我が政府に指示をされております。
 一言申し上げておきますが、きょういただいたこの邦解、翻訳、「責任と任務」の部分だけが英語なんです。これは全然訳されておらないのです。前の方だけ訳して、あとは、その任務のところだけは英語になっている。私に対する皮肉なのかどうかわかりませんけれども、こういうのはやはりちゃんと邦文に訳していただけたら幸いだというふうに思います。
 それから、もう一方の方に文民警察官についての口上書があります。これには任務と責任について全く触れられておりません。その関係についてはどのように理解をすればいいのか、お答えをいただきたいと存じます。それから、施設大隊についても同じですね。お答えいただきます。
○澁谷政府委員 この口上書が発出される前に、私どもは国連事務局と絶えず協議をしておりまして、その中でも明らかになっておりますが、文書の上では、例えば一九九二年の二月十九日に、UNTAC設立に関する事務総長報告書というものが出ておりますが、そこで、UNTACの文民警察の主な機能としては、法秩序が効果的かつ公正に維持され、人権及び基本的自由が十分に守られるよう、各地の文民警察を監督または管理することであるというぐあいに、その業務の内容ないしは文民警察の機能が述べられております。これは大体私どもの法律が規定しているところと合致するという理解のもとに、私どもは文民警察の派遣に同意したという次第でございます。
○松浦(利)委員 国連側の口上書には、PKOに派遣する文民警察並びに施設大隊についての責任と任務については明示されておりませんが、今の局長の報告によると、九二年二月十九日のカンボジアに関する国連ガリ事務総長報告について、その任務の一部分を今読み上げられましたね。一部分を読み上げられたから、その部分についてオーケーをして派遣をしたのだ、こう言われました。ですから、派遣をする原則はこの国連事務総長報告に依拠しておられるわけですね、逆に言うと。
 そこで、これは本部長である官房長官おられませんね、お尋ねをしますけれども、「警察部門」の「公秩序の検討」というところ、この百十三項には、もう時間がないから、あなたは知っておられると思うから省略をするけれども、要するに、武器管理が行われておらず、カンボジアの国内で「かなりの数の兵器が「非公式に」所有されている」。また一方では、「兵器の扱いにかかわることにのみ熟達しているかなりの数の者」が放出されている。ですから、武器を返して、一般の人として兵役を退役しておるわけですね。「第五条の第三項にもとづいて勧告されている職業再訓練プログラムが社会にたいする危険を軽減するかもしれないが、これらすべての要因は、略奪、強盗、暴
力、窃盗を増加させ、法と秩序の情勢の悪化を引き起こすかもしれない。」ですから、非常に危険な状態であるということはそのガリ事務総長報告に書いてあるのですよ。
 あなたは、任務の方で、指導というところだけを抜き出して物を言われたけれども、文民警察を派遣するときには、そういう状態だということは、去年の二月のガリ事務総長報告が指摘しておるわけです。そういう問題点を私たちがここで十分議論をしないまま、安全だ安全だといって、防弾チョッキも前の方だけ、後ろはない、命令のもとに出して、とうとい高田さんの命が失われた。もう痛恨の念あたわざるものがありますよ、これは。このカンボジアの事務総長報告が正確にここに出されて、自民党も私たちも含めて、私たちは反対をしたけれども、みんなが一緒になってこういうガリ事務総長報告の危険だと指摘した部分を議論しておったら亡くならずに済んだのじゃないですか。今、宇都宮さんが「Q&A」でも言われた、安全だ、安全だと。
 もっと言わせてもらうと、このガリ事務総長報告をあなたたちは翻訳しておらぬでしょう。英文のままでしょう、こんな厚いやつを。それは、自民党の人はみんな英語ができるかもしれぬ。しかし我々は、英語の解読はなかなか遅々として進まないのです。前の委員会でも渡辺外務大臣に私は言ったのですよ。こんな大切なものは必ず翻訳をして、我々が議論できるようにしてくださいと言ってあるのです。
 あなたは、文民警察を派遣するその根拠は、このガリ事務総長報告の「警察部門」の一部分を読み上げられた。もしあなたがこれをそのように信用して出されたとするなら、なぜ前文に危険だということが書いてあることを私たちに教えなかったのですか。総理も反省をしておられる。我々も、今申し上げたように、議論の足らざるを残念に思うのだけれども、もっと私たちが危険な状態だというガリ事務総長報告を把握しておったら防げたのです。僕はこういうやり方は極めて遺憾だと思いますね。
 この際、本部長がおられませんので、総理の御答弁を求めます。
○澁谷政府委員 確かにガリ事務総長の報告書には、現地の警察が直面しておりますいろいろな問題点が列挙してございますけれども、外国から派遣される文民警察は、それに対して直接そういった問題を処理するということではなくて、現地の警察のそういった業務を指導、監督するのがその機能であり業務であるというぐあいに書かれておりますので、これは我が方の法律の枠内であるということで決定をした次第でございます。
○松浦(利)委員 今の局長は、事務的に処理されたのです。この状況というのは、カンボジアの警察官であろうと派遣される日本の警察官であろうと状況は変わらないのです。なぜこういう状況だったということを私たちが知らなかったのか。それはあなたたちの勉強不足と思われるのか、それとも、情報は外務省が持っておるのですから、その点に対して総理の御答弁を求めます。
○宮澤内閣総理大臣 ただいま政府委員が申し上げましたように、当時、我が国の文民警察の仕事は、直接に警察事務をいたすのではなくて、現地の警察官に対する指導、監督というふうに理解をされておりました。また、法律にもそうなっておりますので、恐らく政府委員としてはそういうこととしてこの報告を理解したものと思いますけれども、現地の情勢などにつきましてもいろいろ述べられておる点もございます。したがって、そういう点はよく政府としても消化すべきでありましたし、また、その理解の上で御報告をすべきであったと考えます。その点は落ち度があったように存じます。
○松浦(利)委員 それから、この口上書の中に文民警察官の任務づけについて入っておらない。私は私なりに一つの理由があったと思うのです。
 それは、私はかつてこの委員会で大変やじを受けましたけれども、やじ、怒号の中で質問したのですけれどもね、文民警察問題で。実は外務省の方は平成二年三月に平和協力人材センターに関する審議をしまして、国際貢献で果たす日本の役割というのを、外務省が委託をして、報告書をつくったのですよ。ところが、この報告書が出たら困るのですよね。なぜかといえば、平和協力人材センターというのはあくまでも民間人ですから。制服軍人ではないのですからね、これは。自衛隊じゃないのだから。ですから、これがつぶされてしまったのです、平成二年三月に。
 ところが一方、国連の方はどうかといいますと、第四十四回の総会で当時のデクエアル事務総長は、各国政府派遣の民間要員、文官、これに対して事務総長報告をしまして、そして、これから文民警察等を含めて、極めて文民警察の役割が重要だから、実は各国に対して報告を求めておるわけです。日本政府は文民活動についてどういう部門について貢献できるか、その貢献について報告を四十四回総会が求めて、四十五回総会はその報告をしておる。私はこの予算委員会で質問したのです。大変に与党の先生方からやじられた。
 ところが、そのときに中山外務大臣は何と答えたかというと、「ただいま国連局長がお答え申し上げましたとおり、現在内閣官房を中心に、どのようなことが日本政府としてできるか検討中でございまして、いましばらく時間をちょうだいいたしたいと考えております。」こういう御答弁が、実は平成三年三月七日、本委員会であった。
 これは、作業をしておるものの報告を求めるのは無理だから、その出された報告を、もう出しておられるはずだから、私のところへ持ってきてくださいと申し上げたけれども、現在まで全然ない、来ない。結局出しておらぬのでしょう。どうですか。
○澁谷政府委員 国連からの勧奨に対する回答は出しておりません。
○松浦(利)委員 外務大臣、国連中心、国際貢献、我が国の外交は国連が中心だ、こう言われてきたはずですよ。これは現職の外務大臣を責めるわけじゃない。しかし、一貫性があるから、あなたがたまたまめぐり合わせが悪かったので恐縮だけれども、あのときに、ここで大変与党の人からやじられて、大変だったのです。
 だから、国会乗り切り策としてこういうことを言ったのだったら、これはもう我々に対する侮辱ですね。恐らくそうじゃないと思いますね。何で報告しないのですか。そうすると、そういう報告書が出されておったら、口上書の中に入ってくるのです。我が国に対する任務が入ってくるのですよ、口上書で。それがないでしょう。どうですか。それはどう思われますか。既に報告しておらぬと言われています。外務大臣。
○武藤国務大臣 正直、私もきょう報告を受けたわけでございますが、きょうといっても今、現時点で報告を受けたわけでございますけれども、その報告の義務がないということで報告をしてないようでございますが、いささか、こういういろいろの本当に重要な問題については、もう少し、国連との間の文書などもできる限り、外務省の事務当局だけが持っておるものではなくて、しっかりやはりみんなにわかるようにすべきだと私は反省をいたし、今後はでさるだけそういう方向で努力をしてまいりたいと思います。
○松浦(利)委員 それでは、政府の方で今までこうしたことについて対応できなかったことに対しての反省、そしてこれからこういう問題についてどう対応なさるのか、そういう点について統一見解を求めたいというふうに存じます。
○宮澤内閣総理大臣 先ほどから幾つかの点につきまして、文民警察、文民、文官派遣等々の活動に関しましての実情の把握並びに国連事務総長からの照会に対する対応等につきまして、ただいま御指摘がありましたように行き届かない点が幾つかあったように存じます。この点は反省をいたしますし、今後こういうことがありませんようによく注意をいたします。
○松浦(利)委員 ぜひ、こうしたことでとうとい人命が失われてはなりませんので、政府の真剣な対応をお願いをしたいと存じます。
 そこで、国連のデクエヤル事務総長時代から今日までの総会における事務総長報告を一就いたしますと、実はこの中にもうはっきりしているんです。「平和維持活動は国連の活動として、すなわち、派遣団の責任者に管理される単一の統一的指令の下に、国連の規則や規定、指示、手続、先例に従って運営されなければならない、ということになる。」「各国政府が派遣する民間要員は、国連の活動上の指揮・命令系統に服することを承認すること。民間要員が、国連の平和維持の指導的原則を理解し、国連事務局の職員に求められているのと同様」なことを行うこと。これが、今言ったのは、四十四回、八九年十月十一日の国連総会の事務総長報告の第四項、文官にかかわる二十八から三十五のところです。
 それから、翌年の一九九〇年九月十八日の同じくデクエヤル事務総長の「民間人の使用について」の報告。この前、不幸なことでしたが、高田警視がお亡くなりになり、警察官の方が負傷されてタケオに持ち場を離れて行かれて、UNTACから批判がございました。ところが、この国連総会のデクエヤル事務総長の報告の中に、第十三項にこういう項目があるんです。
    〔石川委員長代理退席、委員長着席〕
 「政府が派遣する文官は平和維持活動の指揮・統制機構に組み込まれ、もしこの者が居なかったならばその職務を果たした筈の軍人又は国連職員と同様に、組織図の中で表示される。」こう書かれている。だから、さっきタケオに行った人たちはもう脱落をした、命令に従わなかったという扱いになるということをここに書いてあるのです。これは、UNTACではない、全体的な事務総長の「平和維持活動への民間人の使用について」という原則について触れた報告です。その報告の中に、派遣をした文民警察官というものは、文民というものはこういうことになるのですよということがはっきりしているのですよ。
 そして、さっき言ったガリ事務総長報告の中には、確かに現地の警察官の指導、監督ということで行かれたはずだけれども、しかし、ここにちゃんと書いてあるじゃないですか。現地の状況によっては任務に変更を与えるということもこのガリ事務総長報告は書いておるのですよ。
 ですから、私たちはそう思って派遣をしても、一遍UNTACの指揮下に入ってしまったら、私たちはこう言いました、こう言いましたと、確かに口上書の中には、こういうPKO法律があるからこういうのを法律の枠組みの中で派遣をいたしますというふうに書いてあります、我が国政府からの国連事務総長に対する口上書には。しかし、現地に行ったときには、こういう総会の報告書に従って文民警察官も使われるのです。ですから、要人の警護があったり、あるいは貴重な建物の警備にもつかなきゃならぬ。それはあくまでも指示、現地の指揮官の指令なんです。そういう枠組みになっているのです。
 そういうことになっておるにかかわらず、私たちは、私自身がこの事務総長報告書をここで取り上げたらごうごうと非難ですよ。やじられたのです。今でも思い出しますよ。この議論ができなかったのです、結果的に。だから、そういうことを考えますと、私たちが制服のことばかり考えだということも確かに問題はあったでしょう。しかし、我々、文民警察のこういった民間活動について議論をしようにも、する雰囲気でない。私は、端的に言って、高田さんが亡くなられた最大の責任は我々にあると思う、国会の方に。もちろん、先ほど総理が発言をされたように、政府の対応も大変問題があった。私は、そういう意味で、ぜひこうした問題についてもっと積極的に提供して国会の議論をさせるような雰囲気を外務省はつくってもらいたい。
 今私はこんなことは言いたくないけれども、これを翻訳したのは私ですよ。第二議員会館の下の翻訳室に頼んで、みずから金を出してこれを翻訳したんだ。政府がくれたのは英文だけなんだ。外務大臣、私は、みずからもそういった問題について議論を深められなかった責任を非常に感じながら申し上げていますけれども。
 総理、今、反省だけではなくて、こうした問題について政府の統一見解を求めたいという意見が出されておりますので、委員長、ぜひ政府に対して統一見解についての見解を求めたいと思います。
○粕谷委員長 この際、内閣総理大臣から発言を求められておりますので、これを許します。内閣総理大臣。
○宮澤内閣総理大臣 松浦委員から、本委員会に対する御審査の上で必要な文書の提出に関し、及び我が国と国連との間の文書の往復について不十分な点があったと、二点について御指摘がありました。
 前者の点につきましては、不注意によりまして十分な文書を御提出できなかったことをまことに遺憾に存じます。なお、国連との往復につきましても至らざる点がございました。
 以上の点を十分反省いたしまして、今後このようなことが起こらないようにいたしたいと存じます。(発言する者あり)
○粕谷委員長 御静粛にお願いいたします。
○松浦(利)委員 今、総理から御答弁がありました。私は、百万遍言葉を尽くしても、謝っても、亡くなった人の命は返ってこないのだ。ですから、お互いにやはりこうした問題は、再び犠牲者を出さないという前提に立って、過ちは正し、間違いは反省をして前に進まないと、また同じことの繰り返しが起こるんだ。やじることによって解決するならやじればいいんだ、お互いに。私は、そうじゃないと思う。
 ですから、この際、私は今までの外務省の姿勢、あるいは文書、そういった重要な審議に対する書類等の提出がなかなかできなかった、それは自民党の方も認めておられます、理事さんたちが。ですから、そういった状況を判断して、武藤外務大臣は、国際的な問題についての議論が深まれば深まるだけに、情報を握っておるのは外務省ですから、外務省の情報が出てこなければ与党の人だって議論はできないのです。もちろん野党はもっと情報不足ですから議論できない。それを、総裁が発言され、そしてまた総理の立場で発言をされましたから、私はそのことを信頼して、二度と再びこうした誤りが起こらないように、善処すべきことは善処してもらいたい、そう思います。
 もう時間がなくなりました。
 そこで、これは外務省にお尋ねしますけれども、国際ボランティアで亡くなられた中田さん、これは国連の方で補償するようになっております。ところが、邦貨にして一千万円なんですね。邦貨にして、日本のお金にして、円にして一千万円の死亡見舞い金が国連から出される。ところが、私たちがこれは非常に低いじゃないかというふうに批判を加えてみても、国連ボランティアには低開発国の方々がたくさんおられる。例えばバングラデシュとかそういったところの人たちは、大変失礼だけれども所得が大変低いために、名目所得が低いために、日本のお金にして一千万円であってもどんどんと国連に応募されていくんです。ですから、本人が国連と契約をして行かれたんだからといってしまえばそれでおしまい。しかし、これから国際貢献を続けていくという意味では、これはどうにかしてあげにゃいかぬと思うんですね。第三者の立場に立つべきじゃないと思う。ですから、これについて外務省の方ではどうお考えになっているのか、これが一つ。
 それから、国家公安委員長にお尋ねをいたしますが、文民警察官である高田警視が亡くなられた。国家公務員としての厚い手当があるし、法律の上乗せがある。しかし、それでいいのかという問題は依然として残っておると思うんですね。こういう問題についてどのように調整をされるのか、どういう考え方でおられるのか。
 まず外務省の方からお尋ねをし、それから国家公安委員長から御答弁いただきたい。そして本部長の方からお答えいただきたいと思う。
○澁谷政府委員 まず、中田さんの件につきまし
ては、私どももUNVの方には最大の配慮をお願いするという一般的な申し入れをいたしまして、額につきましてはある程度そういった配慮がなされております。これは向こうの、UNV側からの要請もありまして具体的な額を申し上げることは控えさせていただきますけれども、ある程度の配慮は行われたということでございます。
 それから、一般的にそういったUNVの、ボランティアのような人たちに対する補償をどうするかという点は、今後の問題になりますけれども、これはむしろ国連の枠内でそういった制度をつくるべきだという意見もございますし、これは今後国連、特にUNVと相談しながら、そういった一般的な制度をつくるということに貢献してまいりたいと思っております。
○柳井政府委員 私の方から高田さんの補償につきましてお答え申し上げます。
 政府といたしましては、国際平和協力隊員として亡くなられました故高田さんの功績に報いるために、国際平和協力隊の隊員賞じゅつ規定に基づきまして賞じゅつ金を、また、内閣総理大臣特別褒賞金をお出ししたところでございます。さらに、国家公務員災害補償法の適用、それから国家公務員共済組合からの給付、これは遺族共済年金などの補償を行うべく現在手続をとっているところでございます。
 高田さんにつきましては、もともとは岡山県警の御出身でございますが、国家公務員たる国際平和協力隊員として殉職されたものでございますので、政府として政府の持っております制度内におきましてできる限りの措置をとるように努めているところでございます。
○松浦(利)委員 総理、ぜひ、いろいろな規定があります。上乗せしたりなんかして努力しておるのは認めます。しかし、この際、これだけ国際貢献の分野が広がっていきますと、それはやはり外務省の危険な地域におられる人だって大変なことだと思います。ですから、そういった意味では、国際貢献に係るそういった補償制度というのを別法律でやはりきちっと整備すべきだ、私はこういうふうに思うのですが、こういった問題について、金を出す大蔵大臣はこうしておられるけれども、総理、どうですか。総理の方がいいと思いますけれども。
○宮澤内閣総理大臣 これはどれだけしても十分という性質のものではございませんし、しかし、金を実は惜しむという考えは全くございませんで、全体の中で、おのずからやはり制度というものがございましょうから、どうやれば一番ベストの方法ができるかということについて、なおこれからも検討してみたいと思います。今回のことは、ともかく与えられた制度の中で最善のことをいたしたいと思っております。
○松浦(利)委員 なお、大変失礼いたしました。先ほど低開発国は云々と発言をして、バングラデシュと、こう申し上げましたが、バングラデシュは発展途上国でございますので、発言を訂正させていただきます。
 それから、もう時間があと五分になりましたので、経済問題とかそういった問題についてははしょりまして一つだけ、東京サミットその他がくるわけですけれども、アメリカのように個別品目についての目標を設定するとか、あるいは黒字の問題につきましても、GNPの三%近くということはもうこれは異常な状態だし、それから海外資産についても連続二年トップだ。ですから、そういった意味からいうと、もう内需拡大というのは待ったなしだ。そういうことを抜きにすればアメリカのそういった攻勢がかかってきますが、これは何としても二国間協議とか目標の設定とか管理貿易的なものは避けてもらいたいし、また黒字減らしをやるのは日本国民であって、何もアメリカが設定をしてどうだこうだと言われる必要はないので、そういった意味でも厳しく対処してもらいたいと思いますが、しかし、内需拡大についてもやってもらいたい。
 ですから、冒頭申し上げたように、昨年度に比べてことしは消費性向が下がってきているんですね。確かに消費リストラという面もあるでしょう。しかし、率直に言って、円高等の問題をめぐって、確かに経済指標で好調を示しておる部分もあるけれども、逆に消費性向部分というのは落ち込んできておるわけでしょう。ですから、先ほど総理が言われたように、所得減税についても十分な御検討の配慮をいただきたいと同時に、前川レポートというのがあって、一応政府はそういった問題の方向づけをされて内需拡大に努力をされてきました。ですから、そういう面からいうと新たな前川レポート的なものを政府が何かつくられて、そして全体的にその方向で集中的に内需拡大を進めるということが私は目下の急務ではないかという気もするわけです。
 これは個人的な意見ではありますけれども、これについてのお考え方を御答弁いただきたいというふうに思います。
○宮澤内閣総理大臣 ごもっともな御指摘と思います。先ほど申し上げました日米のいわゆるフレームワークというものを作業をしておると申し上げましたけれども、我が国の立場から、これは何もアメリカのためということでなく、我が国の立場からはやはりなすべきことがいろいろございます。それは前川さんのレポートに盛られておるようなそういう種類のことであって、あれから随分やってまいりましたけれども、まだ完全にし尽くしているとは言い得ませんので、このたびの我々のフレームワークにおける考え方の中で、そういうことは十分に御指摘の御趣旨を具体化しまして、フレームワークをつくってまいりたいと思います。
○松浦(利)委員 以上で終わります。
○粕谷委員長 これにて宇都宮君、松浦君の質疑は終了いたしました。
 次に、草川昭三君。
○草川委員 草川であります。
 まず、政治改革について、総理と後藤田副総理にお伺いをいたします。
 先ほどの質問で、政治改革についての決意の答弁について、総理は、まだ時間は十分にある、こういう答弁をされました。しかし、実質的な会期を頭に置きますと、もう二週間しかないわけであります、皇室行事等がございますから、実質的には。私は、非常に時間が切迫をしておると思うのでございますが、それにもかかわらず総理は時間は十分にあるという答弁でございましたが、これは会期延長ということを念頭にお考えになっての御答弁かどうかお伺いをしたいと思います。
○宮澤内閣総理大臣 むしろそう考えない意味で申し上げたのでございますけれども、特別委員会も地方公聴会までやられまして、今日から東京でのまた御審議が始まっておりますし、そういうことからいいますと、基本的な考え方が各党の間、関係者の間で一致いたしますれば、法案の起草そのものにはそんなに時間がかからないと思いますし、また、各党の事実上の合意が生まれておれば参議院における御審議もそう時間がかかることはあるまいというようなことを考えまして申し上げたことでございます。
○草川委員 もう一問お伺いしますが、今お話が出ました特別委員会のことでございますが、論点整理に入ったようでございます。論点整理に入っだということは、各党が妥協の入り口に入った、入り口になるとお考えになるのか、御判断をお伺いしたいと思います。
○宮澤内閣総理大臣 委員会の御審議について、政府と申しますか私どもがかれこれ本来申すべきことでございませんが、自民党から出ております理事、委員等々は、各党の代表される理事、委員等々の方々と十分今まで議論してこられましたことの共通点、相違点等々について議論をしておられる、されることになるように伺っております。
○草川委員 後藤田副総理にお伺いをしたいと思うのですが、後藤田さんは本日昼、国会の中で梶山幹事長とお会いになられ、政治改革の関連法案の取り扱いについてお話しになったようであります。
 フラッシュによりますと、この会談は後藤田氏の求めで行われた。席上、後藤田氏は「政治改革について心配している。妥協に向けて党内をまとめてほしい」と法案成立に協力を求めた。これに対し、梶山氏は「党内情勢から難しい。私個人も安易な妥協をしない」と述べ、党内の状況を見ながら慎重に対応する考えを表明したという報道があるわけであります。
 私は予想外にこのフラッシュを見たわけでございますが、改めて、今日のところの御心境をお伺いしたいと思うのです。
○後藤田国務大臣 おっしゃるように、きょう梶山幹事長にお会いしたことは事実でございます。
 ただ、その話の中身は、何かファクスを今お読みになったけれども、私は一切物を言っておりません。ただ、党内の情勢等についてお伺いをしたということは申し上げることができると思いますが、ただ、私の気持ちとしては、結果としてともかく国民の期待に沿うような形で何とか政治の改革をやり遂げることを私自身は望んでおりますけれども、政府の者が余りこれは物を言わぬ方が今はいい時期だ、こう考えます。
○草川委員 では、今度は法務大臣としてちょっとお伺いをいたしますが、参議院の法務委員会で二十五日、後藤田さんはこの政治改革について、「国会が自浄能力を失い、それならおれが代わって(改革を)やってやるという動きが出ることを一番心配している」、これに対して報道は「警察や検察の政治改革への介入避けよ」という見出しになっております。
 私は、いささかこれは違うのじゃないか。私は院が違いますけれども、そういうことではなくて、例えば今私どもは後援会なんか歩いていますと、非常に国民の皆さん怒ってみえて、非常に強い不満がある。一種の右翼の台頭というようなことを私は実はひしひしと身に感ずるわけであります。副総理は、そのようなことを言われたのではないかと思うのですが、この件について、念のために真意をお伺いをしておきたい、こういうように思います。
○後藤田国務大臣 さすがにあなたの御判断が正しいと思います。
 私が申し上げましたのは、一つの質問は、罰則を強化したらどうだという意見がある、これは私は前職以来今日まで変わらない物の考え方で、罰則だけで世の中がよくなるということは私は考えておりませんということを一つはお答えをしたわけでございます。
 それからもう一つ、私はマスコミ等で、政治の抜本改革ができないと地獄を見るといったようなことになるおそれもあるのではないかこういうことを言っておるわけですが、それについての御質問がございましたから、やはりここまで来ると、何といいますか、国民の側から見ると政治そのものが自浄能力が発揮できないということになってくると、外部から、それならいたし方がない、我々が、こういう動きが出ることが恐ろしい、これだけは何としてでもそういうことのないようにしないといけないと思うということを私は申し上げたわけでございます。
 その意味合いは、もう既にいつか何かの論文も出ましたね。それから、現に金丸先生をけん銃で射殺しようとした事件すら起きておる。そういうようなことを私自身の過去の長い間の経験から、そういうことの事件が起きると、これはもう絶対防止しなければならない、そういう意味合いでお答えした、こういうことです。
○草川委員 後藤田さんは非常に危機感を表明されておみえになるわけでございますが、その危機感を表明されるのは全く私は正しいと思うので、どうか会期内にこの政治改革が実現するよう総理にも特に御要望を申し上げておきたい、こういうように思います。
 時間がございませんので、次に移ります。
 先ほどもUNTACというのですか、カンボジアにおける文民の苦悩のお話が出ております。
 私は、その中の一つに、UNTACに対する主要国の分担金の支払い状況が非常に悪い、この問題を指摘をしておきたいと思うわけであります。米国が三億四千五百七十一万ドルの負担でありますが、未払い額が一億ドル残っておるといいます。日本は一億三千八百三十六万二千ドルを負担をしておりますけれども、これは全額支払い、こういうようなことでございますが、ロシアはゼロであります。そのほかドイツ、イタリア等の滞納も多いわけでございますが、このような現状を踏まえて、加盟各国に対する分担金の支払い要求を我が国としても国連に申し入れる必要があると思うのですが、現状はどうなっておるか、お伺いしたいと思います。
○澁谷政府委員 この点につきましては、あらゆる機会に国連側に、まず国連の財政を適正化するためには延滞金の解消、これを図るべきであるということは申し入れております。最近では、四月の末にジュネーブで、いわゆるジュネーブ・グループというグループがございますけれども、これは主要資金供与国の国連局長の集まりでございますけれども、ここでも国連の財政改革が問題になりまして、その際にも、まず各国の分担金の増額よりも延滞金の解消、これを最初に図るべきであるということは強く主張いたしました。
○草川委員 カンボジアの新政権ができた後の話でございますけれども、日本としても当然いろいろな援助をしなければいけないということになると思います。
 そこで、やはり難民の方々が戻られて安定をしなきゃいけない。約三十八万とか三十九万の方が難民として行かれたわけでありますから、戻る。戻ったら、当然のことながら、農業国でございますから、いわゆるお百姓さんをやっていただかなきゃいかぬわけであります。しかし、難民の方々が戻られて、農業を希望するという方々が、選択をしますと、わずか三・八%、それで、もうお百姓さんをやるよりはお金が欲しい。現金をいただく難民の方々は、大人五十ドル、子供二十五ドルの現金支給。これが八一・五%の選択率だと言われておるわけです。一体これでは、わずか日本のお金で五千円、六千円でございますから、それでもうお百姓さんをやるということを捨ててしまうわけですから、それでは私は新政権ができても安定しない、非常に不安な状況になり、ポル・ポト派の思うつぼになるわけであります。
 じゃ、なぜ農民ができないのかといえば、地雷がたくさんあるからなんですよ。地雷があるからお百姓さんができないわけです。だから、私の考えとしては、難民帰国者の農業の入植状況が一体どこに問題があるのか、農業の支援というのですか、なぜ農業の選択をしないのか、その点についての現状を問いたいと思います。
○澁谷政府委員 この理由につきましては、主としてUNHCRがこの問題をやっておりますが、UNHCRの担当官の説明によりますと、この難民、避難民が、かつて非常に悲しい経験をした場所には帰りたくない、しかしながら余り遠くには行きたくないというところで、なかなかもと住んでいた場所にはすぐ帰らない人たちが多い。だからといってどこでもいいというわけではないというような事情もございまして、定住のための土地獲得については難民側の事情もかなりあるということでございます。しかしながら、UNHCRとしては、さらに難民の土地定着を図るようにさらに努力していくということを申しております。
○草川委員 地雷対策の訓練センターというのもあるわけでありますし、その地雷対策訓練センターも基金をつくってやっておるようでございますけれども、この訓練センターの基金に資金援助をしているのは先進国では二つか三つしかない、こういう状況のようでございますし、そこから卒業というのですか、訓練を終えた方がわずか千名近くしかいない。これではあの広い土地で地雷の除去なんかできっこない。さすれば、難民は難民として落ちついた生活ができないということになるわけでありますから、我が国は戦後復興についてはそういう細かいところにも配慮して対策を立
てていかないと後手後手になると思うのですが、その点はどのようにお考えになるのか、お伺いしたいと思います。
○澁谷政府委員 地雷除去につきましては、このセンターが、UNTACの任務終了後にも、現在UNTACがやっておりますこの分野での活動を引き継ぐということになっております。
 先生御指摘のとおり、現在のところ資金的援助を約束している国は二、三の先進国にとどまっております。その詳細については私どもも承知いたしておりませんけれども、この点につきましては、今後、主要先進国と協議をしながら、日本が何をできるかという点についても積極的に検討してまいりたいと思います。
○草川委員 それから、先ほども文民警察の問題が出ましたけれども、日本を除くと、文民警察で現地にいる方々のいわゆる警備能力というのですか、非常に低いということが言われております。日本の文民警察だけが非常にまさっている、その日本の文民警察に対するUNTAC側の期待というのが非常に強いというように我々は聞いておるわけであります。しかも、なぜあの北部の方のアンビルあたりに日本の文民警察が配置をされたのかということでございますが、これは私どもにも責任があると思うのでございますが、国会でいろいろと安全の問題で議論をいたしました。で、議論をして、いわゆる自衛隊の派遣についての議論に集中をして、文民警察の配置ということについては余り議論をしなかったことは事実であります。それで、言葉が非常に悪いんでございますけれども、国会の議決もおくれた、だから場所取りにおくれたという理由が一つあるんですよ。なぜ日本の文民警察がアンビルまで行ったのかということは、これは村田さんに聞かなけりゃいかぬと思うのですけれども、私は、もう少し我々も、カンボジアに対する支援ということを決めるならば、きちっと決めておいて、それで、その場所についても、後から行ったから山奥の危険なところに配置が決まってしまった、それでいわゆるアンビルのような北部しか場所がなかったというところで行かされたという問題があるわけです。
 これは、行かされた人間にとってみればたまったもんじゃないと思うのですよ。だから私どもは、そういうことも含めて、世界からたくさん文民警察が行っておりますけれども、一体どういうような警備能力があるのか、お伺いしたいと思うのです。
○柳井政府委員 初めに、アンビルについて御指摘ございましたが、確かに我が国の文民警察が到着いたしましたのが昨年の十月十四日でございますので、その時点でかなりの部分につきましては他国の文民警察の配置が終わっていたということはございました。
 ただ、アンビル自身につきましては、私どもこれまで見てまいりました限りでは、比較的初めのころは平静でございまして、むしろポル・ポト派の軍隊とそれからラナリット派の軍隊が仲よくパトロールをしていたということもあったそうでございます。ただ、情勢がその後非常に悪化したということが一つ言えると思います。
 それから、いわゆる警備能力の問題でございますが、これはどういうふうに測定するか、はかるかというところは難しい点でございますけれども、我が国以外の国の文民警察につきましても、多くの警察官はけん銃をカンボジアまで持ってきてはおりますが、ただ、実際にはどうも携行していないようでございます。したがいまして、通常は丸腰で勤務するということと承知しております。
○草川委員 時間がないのでこれ以上触れませんが、警察庁の山崎隊長の信頼は隊員の方々からは絶大なものがあるようであります。私は、山崎隊長の信頼された行動あるいは冷静な行動によって、今日の日本の文民警察が非常に高い評価を受けながら御健闘願っておると思うのです。そういうことは素直に私どもも評価をしなければいけない、こういうように思っておるところであります。ぜひ文民警察の方々が安心をして最後の任務につかれるよう、一段の御配慮をお願いをしたいと思うわけであります。
 この問題について、最後の一問、PKOの予防的な展開が国連の安保理で決議をされました。我が国の対応はどうなるのか、あるいはまた将来これに加わる意思があるのかないのか、明らかにされたいと思います。
○澁谷政府委員 昨年十二月の安保理で行われましたマケドニアへのいわゆる予防展開についての審議には、私どもも参加いたしましたし、最終的に出された決議案にも賛成いたしました。これは、ユーゴ地域における紛争がマケドニアに飛び火することがあるかもしれない、これを防止するために有効であるという判断に基づいて行ったものであります。 今後、同様の問題が生じた場合、我が方はどういう態度で臨むかという点につきましては、その都度、その時点での具体的な情勢を勘案しながら判断をしていくということになると思います。
○草川委員 次の方へ移ります。
 今から私が申し上げたいのは、手に障害を持つ子供たちのためのリコーダー、縦笛のことを取り上げていきたいと思うのです。
 実は、総理はもう御年配ですからおわかりにならぬと思うのですが、三十代以下の方は……(発言する者あり)いや、お孫さんがおみえになるかもわかりませんが、これは昭和三十三年からでございますけれども、小学校では、学習指導要領に基づきまして、縦笛を作音楽器、合奏楽器として、小学校三年生からの音楽の授業に取り入れているんです。それですから、全国の公立の小中学校は、まず全員がこの縦笛を持っているわけです。こうして吹くわけです、ドレミファのいろんな音を出しながら。それで、これは音楽の授業以外にも、特に小学校などでは、運動会の鼓笛隊のパレードだとか、朝礼などの学校集会、あるいは朝や下校時のホームルームでのあいさつがわりの合奏と、縦笛を吹く機会が非常に多いわけでございます。それで、みんなが大変喜んで、子供さんの教育には非常に役に立っているわけです。
 ところが、実は、生まれつき手や指の一部がない子供もたくさんおみえになりますし、障害を持った方がたくさんおみえになるわけであります。障害を持っている子供さんたちは、実はこの笛というのが吹けないことになるわけであります。そこで、この笛を、片手の人はもちろんこれは吹けませんし、一部しかやれませんね。それから、これは八つの穴があるんです。それを交互に閉じたりして音を出すわけであります。ところが、その障害を持った方々は、それに参加できないために、非常に難しい状態に置かれるわけですね、みんながやっておるのに、障害のある子供さんたちはそれに参加できないわけですから。
 そこで、実はこれを改造しようじゃないかというのが、ボランティアの方だとか、そのお母さんだとかお父さんの会だとか、あるいは東京都の、都立の補装具研究所というのが東京都にあるんですが、そこの先生方がいろいろと訓練をして、じゃこれを例えば、こちらの手のない方でも参加できるように、この穴の位置を……
○粕谷委員長 草川委員、御発言中ですが、せっかく何本がお持ちになっておられるので、総理のお手元にもお渡しいただいて……。
○草川委員 ありがとうございます。じゃ一遍総理に、これが普通のものでございまして、これが少し修正をしたものでございますが、ちょっとこれを見ていただきたいと思います。
 それで、みんなで子供さんたちが集まって合奏をしようというときに、子供さんができない場合に、ひどい例だと、口だけ当てて、まねだけしなさいというような非常に過酷な場面もあるわけであります。
 そこで、改造笛というのを、今申し上げましたように、もっとたくさんの方々に利用していただいたらどうだろうという話が出てきたわけでございますが、これがなかなか、普及をするに予算の面だとかいろんな点で厳しい条件があるわけです。
 一方、小学校の学習指導要領の中には、小学校三年生になりましたら「リコーダーに親しみ、簡単な旋律を演奏すること。」というような指導要領があるわけですから、みんなでこの笛を買ってさあやりましょうということになるんですが、その障害を持った方々はなかなかそういうものに参加できない、こういう問題があるわけです。
 文部省にお伺いをいたしますが、このリコーダーの指導の現状についてどのように把握をしているのかお伺いをしたい、こういうように思います。
○野崎政府委員 お答え申し上げます。
 今先生御指摘ございましたように、小学校の音楽におきまして、第三学年そして第四学年を中心にリコーダーの指導を行っているところでございます。
 それで、このリコーダーの指導に当たりましても、性に応じた指導ということで、学級の温かい雰囲気の中で障害のある児童ができるだけ自分の力でリコーダーを扱える、音づくりや音楽活動を楽しむことができるよう配慮することが大切だ、このように考えているわけでございます。
 その際、今先生御指摘ございましたように、障害の状況に応じまして、市販のリコーダーを改造して用いたり、障害のある児童用に開発されたリコーダーを用いたりしている例がある、このように私どもも承知しているところでございます。
○草川委員 そこで、この改造をした笛でございますけれども、これは今申し上げましたように、東京都立の補装具研究所あるいは全国のボランティアの方々あるいは一部のメーカーの方々が、その障害に応じた、子供さんの条件に応じて改造をするわけなんです。ですから、この値段は、普通の場合だと大体一本千円とか千二、三百円でございますけれども、改造するということになりますと、この穴をこちらに移しかえる程度の改造の費用ならばいいんでございますけれども、全く片手の場合、障害のある方は、なかなかそういうこともできません。という場合は、ちょうどこのサキソホンのようないわゆる連動キーを用いまして、そのキーを押すことによって穴があく、あるいは、こちらの方は連動キーを押すことによって穴が閉じるというような、それぞれの条件によりまして、こちらの笛の場合は五本指が使える子供さん、こちらの場合は四本指が使える子供さんというようになりますと、これはかなり値段が高くなるわけであります。三万円とか五万円になる。ところが、三万、五万では大変だというので、メーカーの方々に交渉いたしまして、メーカーには、少なくともこれは三万六千円ぐらいにしてほしい、あるいは、こちらの方は一万四千円にしてほしいというように、メーカーに泣いていただくというんですか、協力をしていただいて、これが若干普及をしているわけであります。
 こういうリコーダーのかなりの経費がかかるわけでございますが、これについての助成という道はないのだろうかどうか、これも文部省にお伺いをしたいと思うんです。
○野崎政府委員 お答えいたします。
 助成する考えはないかということでございますけれども、リコーダーは、いずれにしましても、これは口で吹くものでございますので、そういう衛生的な理由からも個人持ちの楽器とされておるわけでございます。
 また、今先生御指摘ございましたように、個人の障害の状況に応じて改造の仕方も多様なものになるわけでございますので、あらかじめ学校で購入しておく備品としてなじむかどうかというような問題があるわけでございます。したがいまして、個人持ちということで、その個人に対して助成ができるかということになりますと、なかなかその助成ということは私どもやはり難しいことだと思っておるわけでございます。
 確かに今先生御指摘のように、大変高価であるという面もあるわけで、著しく高価であるということは望ましくないと私どもも思っておるわけでございまして、我々としてはいろいろな機会にリコーダーの改造についての情報を提供するとか、あるいは障害のある児童のためにつくられたリコーダーの普及を図ったりすることなどによりまして、できるだけ廉価で、安い値段で購入できるように関係者への協力をお願いするということで、この問題に対処していきたいと思っておるわけでございます。
○草川委員 自治大臣に、自治省にお伺いしますが、今のような障害者教育の一環として、改造笛の給付事業を東京都を初め各県でかなり単独事業で実施をしておることがございます。それで、この単独事業を地方自治体の障害者福祉施策としてバックアップするような、地方からの財政措置というものを考えることはできないのかどうか、これをお伺いしたいと思うのです。
○村田国務大臣 草川委員にお答えいたします。
 今、例をお挙げになりましたように、この改造笛、東京、それから京都、神奈川、埼玉、いろいろなところで地方単独事業で実施をしておるというところがあるわけでございます。
 自治省としては、地方団体が地域の特性に応じて自主的に実施をする福祉施策を積極的に支援するということとしておりまして、このため平成三年度に創設をいたしました地域福祉基金ですね、これについて平成四年度及び五年度に拡充をいたしまして、全体で九千六百億円というふうに拡充をするとともに、平成五年度の地方財政計画におきましては、単独社会福祉系統経費として大幅な伸び、対前年度九・四%ということでございます。これは例にお挙げになった改造笛の例のみならず、地方の福祉事業として行うことでございますが、今後地方団体としてもこれらの財源を活用し、障害者福祉に係る地方単独事業についてもその積極的な展開を図れることができればと、このように考えておりまして、地方団体が障害者福祉など地域福祉の充実を図るための財源措置について、自治省としても最大限の努力をしたいと思っております。
○草川委員 今、地方自治体の方でのバックアップをするという答弁が出ましたので、それはぜひお願いをしたいと思うのです。
 そこで、この学習指導要領にも書いてあるように、みんなでリコーダーを使いましょう。ところが、できない子供がいる。私は、現実に本当に子供の考え方を大切にしながら適切な指導ができておればいいのですが、できていないことをぜひこれは総理にも聞いていただきたいのです。
 それで、本当に両手が使えない場合に、口だけ使える場合、後ろからほかの子供が手で穴を押さえてやる、二人で一緒に合奏をする、こういう非常にいいお話もあるわけであります。これが、私は、細かい配慮で本当にそういうことをやれというのが指導要領ではないかと思うのです。そういうように心のこもる指導要領に私はぜひしていただきたい。特に教師の方々が、そんな改造笛があることを知らなかったという方もたくさんおみえになるわけです。あるいは、改造笛をやりたいけれども、どこへ行けばそれができるんですかという質問をされる教員の方もおみえになるわけであります。
 そういう意味で、教師の理解を深めるために研修などが必要だと思うのですが、その点、文部省、どうでしょう。
○野崎政府委員 お答え申し上げます。
 障害のある児童に対しまして指導上十分な配慮を行うということは大変大切なことでございまして、文部省としてもいろいろな機会をとらえまして指導を行っているわけでございます。
 特にこのリコーダーの指導につきましては、近く改正する予定にしておりますけれども、都道府県の教育委員会の指導主事を集めました研究協議会、そういう場などを通じまして改造リコーダーについての理解を深めるようにしてまいりたいと思っております。また、夏には、小学校教師等を対象にいたしまして、音楽などの実技に関する指導者講座を開催することにしております。そういう際などに改造リコーダーの取り扱いを取り上げるなど、障害のある児童への配慮につきましても
指導していきたい、このように思っておりまして、先生の御趣旨を体しまして努力してまいりたい、このように思っております。
○草川委員 これは通産省に一つ質問しようと思ったのですが、時間がないので、これは総理に後でちょっと見解を賜りたいのです。
 実は今、私ここで子供の話をしましたが、例えば雨が降ったときに雨がっぱが要りますね。ところが、障害を持った方々に対する雨がっぱというのは売っていないのですよ。雨がっぱというのはレインコートですから、大体チャックがついておる。そういうものしかない。ところが、松葉づえの子供さんたちにはマジックハンドのかっぱがあったっていいのですが、それをつくろうと思っても、メーカーはなかなかそれは利益が出ませんから、つくれぬわけですよ、つくらないわけですよ。
 例えば義足の子供さんたちに雨靴を履かしたいわけですけれども、義足用の雨靴も、つくろうと思ったら簡単につくれるのですけれども、大量に売れませんからメーカーはつくりません。そこで東京都は大変苦労をして、雨靴をつくる会社に五十万の金型の費用を出しましたが、国としてはそういうことはもちろんできませんね、個別の企業に対する支援というのは。
 ところが、ついせんだって福祉用具の研究開発に関する法律ができたのですが、これは研究用にお金が要る場合には助成をすることができるのですが、製造には出ないわけです。ところが、こういう障害者の方々の雨がっぱというのは本当に売っていない。それは買おうと思えば高いわけですから、それが子供さんたちにも容易に提供できるようなことがこれからの日本の生活大国の基本的な理念だと私は思うのです。総理は生活大国ということをおっしゃっておみえになるので、今の私の提言についてどのようなお考えか、お伺いしたいと思います。
○宮澤内閣総理大臣 生活大国とは、ただ生活上のインフラストラクチャーをつくるということではございませんで、これだけの国になりましたので、すべての人が自分の生活の豊かさを感じるように、それは高齢者の場合にもありますし、障害者の場合もそうでございます。そういうふうな社会になっていかなければならないという理念でございますので、ぜひやはりそういうことは奨励をしてまいりたいと思います。
○草川委員 あと二分半ありますので、減税の問題を一問やります。
 先ほど自民党の方から三党に対して、減税要求について答えが出ました。その中の文言に、「赤字国債を発行してまで所得税減税を行う状況ではないと考えている。」こういう御返事がございました。
 ところが、私、昨年の九月からの新聞のメモを持っておりますが、簡単に言いますと、昨年の九月に日商の方から、所得税減税の機会を探れというような話が出てまいりました。東京商工会議所の方も九月の十日に、個人消費が大切だ、こういうことを言いました。九月の十四日に日本百貨店協会から三兆円の減税というようなことがずっと出てきましたら、今度は自民党の政調会長三塚さんが四年の十二月の十四日に、「赤字国債財源に減税」ということを打ち出された。自民党が言われたのですよ。「赤字国債財源に減税 景気にらみ本予算後にも」、こういうことですね。それから「減税は首相決断」なんというのが最後にございますけれども、それから「首相、所得減税時期探る 総選挙の切り札に」なんという、こういう記事もあるのですね。総選挙のときにはやはり減税をやるんでしょうね、これだと。それから、やはり三塚さんが十二月の二十一日に「景気低迷なら「補正」編成も」というようなお話がございまして、さらに、今外務大臣をやっておみえになりますが、武藤自民党税調会長は一月の二十一日に、「戻し税で所得減税も」「赤字国債財源に五、六兆円」ということを言われている。
 これがきっかけになって野党がわっと盛り上がったのですよ。火をつけたのは自民党であるということだけ申し上げて、ひとつ減税についての答弁をお願いをしたい。おたくの方が最初に火をつけたんです。どうぞ。
○林(義)国務大臣 おまえの方が火をつけたんじゃないか、こういうふうなお話でございますが、火を消しておるのは私の方でございまして、もう私くどくど申しませんけれども、先ほど自由民主党から日本社会党、公明党、民社党各位にあてまして、「赤字国債を発行してまで所得税減税を行う状況ではないと考えている。」ということでございます。なお、「引き続き「不況対策に関する各党協議会」において協議を続けたいと考えている。」こういうふうな形で出ております。
 私はそういった形でこの推移を見守ってまいりたい、こういうふうに考えておることを申し上げておきます。
○草川委員 終わります。
○粕谷委員長 これにて草川君の質疑は終了いたしました。
 次に、吉井英勝君。
○吉井(英)委員 私は、最後の締めくくり総括の中で、今国民の皆さんの間で、何といっても腐敗防止をどう進めるのかということは、これは非常に大きな関心事です。どうも国会の様子を見ていると選挙制度の議論が中心で、選挙制度にすりかえているんじゃないか、この腐敗防止をやれという声が非常に大きいということと、同時に、人のうわさも七十五日とは申しますが、リクルートにしても、近いところでは共和にしても佐川にしても、いつの間にか国会はどうなっているんだ、確かに司直の手で解明されるべき部分とともに、それ以外のもので解明されるべきものがあるじゃないか、こういう声があります。
 そこで、私はきょうは、せんだって共和汚職で東京地裁は、五月十七日に株式会社共和の元副社長森口被告に贈賄の罪で有罪判決を下しました。阿部被告の収賄罪の裁判は続いておりますが、宮澤派事務総長としてあなたを総理にした責任者が、総裁選挙資金、猟官運動資金などとして共和から多額の金を受けていた。そのうちの贈賄罪に当たる部分について贈賄側の有罪が認定されたわけでありますが、一つは、あなたはこの判決をどのように受けとめておられるかということと、もう一つは、贈賄側の有罪判決で、阿部議員もいわば事実上といいますか半分有罪判決を受けたみたいな意味を持っておりますが、宮澤派事務総長としてあなたを総理にした人のことでありますから、あなたの方から議員を辞職するように話を進めるとか当然あると思うのですが、この点についてまず伺いたいと思います。
○宮澤内閣総理大臣 当然のことですが、判決には関心を持っております。ただ、私の立場で司法の裁判所のなされました判決につきまして論評を加えますことは適当でないと考えております。
 なお、阿部議員のことにつきましては、従来からお答えをいたしましたことと変わりございません。
○吉井(英)委員 判決の中では、この被告人森口は、阿部氏に対し、大臣就任のための運動資金を渡したりしていた、こういうことを明らかにいたしております。
 そこで、実は昨年十月二日の第八回の、これは収賄側の東京地裁刑事第三部における公判における森口証言でありますが、この中でこういうくだりがあります。
 検察からその金の趣旨と経緯を聞かれて森口が語ったところでは、
  宇野内閣の総辞職で、次の内閣改造によって阿部先生が大臣に就任するための、根回し資金で、二千万円を用意するよう依頼された。阿部が大臣になったも共和のためにやってくれる、と思った。
  料亭の宴席で阿部が「今度はおれは大臣になるよ。大臣になるためには金がかかる。ムラの先輩にもあいさつせんといかんからな。」と言った。それで私は、派閥のことを「ムラ」といい、派閥の先輩に金を配ることを「あいさつ」と表現したのではないかと思った。
  八月三日ごろに料亭「まん賀ん」で宴席を持った。
  「先生、大臣になったらすごいですね。」と私が言うと、阿部が「一応のことはしているが、問題なのは宏池会の推薦だ。組閣直前にもう一回根回しとして、一千万円が要るかもしれない。」との申し出を受けた。
  八月八日に共和の新社屋完成を祝うパーティーを新しい社屋の地下で催した。政治家がたくさん来た。塩崎、本村先生が出席。山下徳矢先生からは祝電。阿部は根回しで忙しかったのか欠席。
  このパーティーの翌日なので、八月九日に間違いないが、私の車の中に阿部から電話が入った。「急いで一千万円届けてくれ」と言う。「私は、「これから会社に帰り、一時間後にお届けします」と答えた。
  会社から手提げの紙袋で用意した一千万円を持って衆議院第一議員会館の阿部事務所に届けた。阿部は一千万円を受け取ると「森口さん、ありがとう。急いでこれを届けないといけないので」と言って、部屋を飛び出していった。
と証言しております。ちょうどこの日の夜に、実は彼は大臣に就任しているわけであります。
 ところで、昨年二月の二十五日の予算委員会で鈴木参考人からは、長年の念願であった入閣を果たしたとあいさつに、私にまずお礼をしたい、一千万円という大きなお金であったなど、阿部氏から一千万円を受領したことを認めました。
 そこで、検察庁に伺いたいのですが、この判決でも猟官運動資金のことが触れられているわけですが、総額は一体幾らだったのか、それから阿部議員からだれに幾ら流れておったのか、これを伺いたいと思います。
○濱政府委員 お答えいたします。
 このいわゆる共和事件において、共和の側から阿部議員側に流れた資金についてのお尋ねかと思うわけでございます。
 東京地方検察庁におきましては、共和から阿部議員に対しまして多額の資金が提供されたという報道等をも視野に入れて、その資金提供の全体につき捜査を尽くしたけれども、起訴したもののほかに訴追するに足るものは認め得なかったという報告を受けているところでございます。
 お尋ねの点は、起訴されていない事実関係にかかわる事柄であると思うわけでございまして、その点についてはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。
○吉井(英)委員 検察庁の方が扱おうとしているのは、文字どおり贈収賄事件とか刑事上の事件になるものを扱っているわけでありますが、実はその周辺部分にある政治的に解明しなければいけない問題がある、こういうふうに思います。
 それで、実はこの問題については、昨年の二月四日のこの予算委員会におきましても、我が党不破委員長の質問に答えて総理は、「大臣をやるのに金を出したとかというようなことは、そういうことは一切私、ございません。聞いておりません。」当時はひょっとして聞いておられなかったかもしれない。しかし現実には、これは今紹介しました第八回公判などの中での森口証言その他でも紹介されているわけです。
 それだけに、今の時点で派閥の長として阿部氏を大臣候補に推薦したことを、そして贈った側が有罪になっているわけですから、事実上半分有罪になったみたいな感じでありますが、今、そういう時点で推薦したことをあなたはどう思っておられるか、これを伺いたいと思います。
○宮澤内閣総理大臣 大臣になるために金を使ったというようなことは、私はやはり昨年もお答えしましたとおり信じませんけれども、しかし、阿部議員がいろいろ取り調べを受け、起訴された事情等々を聞いてみますと、私は推薦をすべきでなかったというふうに考えております。
○吉井(英)委員 昨年の二月二十六日の法務委員会で、木島議員に濱刑事局長は、「起訴に係る九千万円のほかにも資金提供があった」「冒頭陳述におきまして当然検察官が立証すべき事実を明らかにする」と答弁をいたしておりますが、しかし、いまだ冒険などにおいても検察は明らかにしておりません。
 共和から政治家に流れた金というのは総額五億三千万円と言われたり、あるいはそれ以上だと言われたり、いろいろな話がありますが、今回裁判で争われているのは贈収賄事件の九千万円だけです。ですから、その他の金の流れは全く未解明なわけです。一審判決も下っているわけですから、やはりこれは刑事事件となったもの以外の部分について、昨年は明らかにするだろうということを言っておられるわけですから、ぜひこの機会に明らかにされたいと思います。
○濱政府委員 これはもう改めて申し上げるまでもございませんけれども、検察当局を含めまして捜査機関が捜査を行いますのは、刑事責任の有無あるいはその程度を明らかにするために証拠を収集するわけでございます。したがいまして、刑事訟訴法に定めておりますところの強制処分をも含めまして強大な権限を行使して、人の秘密にわたる事項にも踏み込んで捜査を行うということになっているわけでございます。
 したがいまして、捜査の結果得られた資料あるいは捜査の過程で捜査機関が把握した事実等捜査の秘密に属する事柄につきましては、これを秘匿しなければならないこととされているわけでございます。もし捜査の過程で把握した事実等捜査の秘密に属する事柄が、刑事手続以外で利用されたり、あるいはこれが公になることになりますると、いつも申し上げておりますとおり、関係者の名誉、人権の保護だけではなくて、捜査、公判に対し不当な影響を及ぼすおそれがある、あるいは国民の信頼と協力を得て円滑に遂行しなければならないところの今後の捜査を含めた刑事司法の運営に重大な支障が生じてくるわけでございまして、そういうことから、捜査の秘密に属する事柄につきましてはお答えを差し控えさせていただいているわけでございますので、その点はひとつ御理解をいただきたいと思うわけでございます。
○吉井(英)委員 質問の角度を変えたいと思います。
 昨年、あなたは、この起訴に係る九千万円のほかにも資金提供はあった、だから九千万円だけじゃなくてほかにもあったということはおっしゃっておられるわけです。そのうちの九千万円は要するに贈収賄罪で事件として扱われたわけですが、そうすると、この残る九千万円以外は、これは政治資金であったのか贈与であったのか、どういう性格になるわけですか。
○濱政府委員 お答えいたします。
 先ほどお答え申し上げましたように、起訴されていない事実関係につきましてはお答えを差し控えさせていただきたいと思うわけでございます。
○吉井(英)委員 それはおかしいと思うのです。起訴されていないものではあるが、それはあくまでも贈収賄の事件のもの以外なんですよ。その以外のものが政治資金であれば、これは政治資金規正法上の届け出がなされたかどうか、なされていなければ届け出違反になってくるし、贈与であれば所得税法違反の問題も出てくるわけですね。これはこれとして、検察庁としてはやはり調べて適切な対処をしなきゃいけないのじゃないですか。
○濱政府委員 お答えいたします。
 昨年の二月二十五日に共和事件の捜査処理に関する報告の中でも申し上げたわけでございますが、東京地方検察庁におきましては、株式会社共和から阿部議員に対する資金提供の全体につきまして、贈収賄や政治資金規正法違反の点を中心として捜査を尽くした、尽くしたけれども、既に起訴したもの以外については訴追するに足る事実は認められなかったということを御報告申し上げたわけでございます。
○吉井(英)委員 それは、あなたがおっしゃったのを私も読みましたよ。しかし、あなた自身が九千万円以外にもあったということをまず言っているわけですよ。じゃ、それが九千万円という贈収
賄の事件を構成するもの以外のものであれば、これは政治資金規正法違反の対象になるものなのか、所得税法違反の対象になるものなのか、そこはどっちかが出てくるはずですよね。そのことを明らかにしないで、もうこれでもって一件落着というこのやり方は、私はこの機会に検察庁に伺いたいのですが、結局この贈収賄の事件以外のものは、それ以外のお金はすべてやみのままにしてうやむやにしてしまおう、こういうことですか。
○濱政府委員 お答えいたします。
 検察当局に課せられた使命、職責と申しますのは、これはもう改めて申し上げるまでもございませんが、法と証拠に照らして厳正に事件を処理するということに尽きるわけでございます。
 先ほどお答え申し上げましたように、この株式会社共和から阿部議員に対する資金提供につきましては、その全体につきましていろいろな角度から、今委員が御指摘になっておられますところの政治資金規正法違反の点をも含めまして捜査を尽くしたけれども、結論として、既に起訴したもの以外には訴追するに足る事実は認められなかったというのが結論であったわけでございます。
○吉井(英)委員 実は政治改革特別委員会などの中でもいろいろ議論がありました。
 津島議員などのお話の中には、政治資金規正法で透明性を高めるということが一つと、それからもう一つは、それ以外の裏金などは刑事事件としてきっちりやっていくのだ。罰則の強化その他も主張がありました。
 ところが、今のこの共和事件で検察庁は、やみ献金、裏金になるものについては何ら明らかにしようとしていない。つまり、このやみ献金は政治資金規正法にも刑法その他にも何にも触れない扱いにされてしまうという、こういうことになっているのじゃないですか。
 私はこの機会に政府の態度は一体どうなのかということを伺いたいのですが、やみ献金というのを野放しにするということじゃ私はどうにもおかしいと思うのですが、政府としてはどういうお考えですか。
○佐野(徹)政府委員 現行の政治資金規正法では一定の量的規制がございます。同一の者に対しまして百五十万円という量的な規制がございますし、また、資金の授受がございました場合には政治資金規正法上の報告をする、こういう規定もございます。したがいまして、政治資金規正法上は一定のルールにのっとりまして、また収支報告もしていただくことによりましてそれが公のものになる、こういう仕組みで円滑な運営がなされるということになっておるわけでございます。
○吉井(英)委員 私はそんな説明を聞いているのじゃないのです。
 この共和の場合、例えば五億三千万円の金が流れたとか言われているわけですよ。それは幾らかわからないわけです。それは、検察の方は調べられてよくわかっていると思うのですが、ただ、濱刑事局長の昨年の答弁では、九千万円以外のものがあったというわけですから、仮に五億四千万とすれば四億余りの金はどこかへ流れているわけですよ。それは政治資金規正法の届け出にないとなれば、届け出違反になるわけだし、いずれにしても、これはやみのままに葬られようということはとんでもないことだと思うのですよ。私は、今のこの答弁をもって政府の態度とされるのであれば、まことにもってけしからぬことだと思います。
 時間がだんだん迫ってまいりましたから、私はもう次の質問するあれが、二分ぐらいじゃとても無理なので、私が調べた中で出てきた問題だけ指摘しておきたいと思うのです。
 実は、丸紅、共和の詐欺事件を昨年調べたときに、もともと関西にも関係者が多いものですから、共和の元幹部に会って事情聴取を行いました。共和汚職のルーツは三沢市清掃工場汚職だということを言われたので、この三沢の判決文を私は読みました。
 最初の方に、三沢市の一般廃棄物処分場建設工事と粗大ごみ処理施設建設工事を三井造船に請け負わせれば、工事額の五%のリベートと今後五年間はいろいろな名目で全員を提供させることができるとして、実は仲介した山本某を使ったのは宮澤派幹部で大臣経験者の田澤吉郎代議士の後援会、沢友会の東京事務所の責任者でおいに当たる田沢克郎氏でした。
 これは判決文にそういうふうに書いてあります。結局、山本が裏切ったからこれは別な事件になって、森口副社長らがこれで逮捕されて有罪となるわけでありますが、私は、こういうことがある中で、しかもその後に宮澤派幹部がぞろぞろ出てきたのがこの共和事件ですよ、お名前が出てきたのが。しかも、森口副社長が三沢市汚職で逮捕され、公判中であることを知りながら料亭で接待を受けたり、パーティーに行ったり、金をもらったり、一体政治家として節操や倫理や道義はどないなってんだ。本当にひどいことだと思うんですよ。結局そこには、企業になかったり金に走る、猟官運動とか総裁選挙に金が要る、ポストを得るのに金が要るという問題じゃないでしょうか。私は。阿部議員の個人的資質の問題や事件じゃない、やはり宮澤派の責任者としてあなた自身の手で……
○粕谷委員長 吉井委員、御発言中ですが、時間が参りましたから。
○吉井(英)委員 去年の予算委員会ではあいまいでしたが、どう全貌を解明されるか、最後にこれの総理の考えを伺って、終わります。
○宮澤内閣総理大臣 事実でありますれば、おのおのの方が反省をしておられると思います。
○吉井(英)委員 とても納得できません。
 終わります。
○粕谷委員長 これにて吉井君の質疑は終了いたしました。
 次に、中野寛成君。
○中野委員 当初予算成立後直ちに総合経済対策が検討され始め、補正予算が組まれて今日に至ったわけであります。ところが一方、九二年度決算は大幅な税収不足、歳入欠陥の公算と言われております。
 このような事態は、政府の経済見通しの誤り、経済対策の欠如、財政運営の硬直化、税収見通しのルーズさ、この税収見通しは多かったり少なかったり、ここ数年来当たったためしがないと言っても過言ではありません。これらのことが要因となっていると思うのであります。本来であれば、この補正予算提出に当たって、前もってそれこそ内閣総辞職、せめて、言いにくうはございますが、大蔵大臣や経企庁長官の更迭くらいはしなければならない政治責任というものがあるだろうと思うのでございますが、総理はどうお考えですか。
○林(義)国務大臣 予算の責任者でございますから、私からお答えをさせていただきます。
 五年度当初予算は、異例に厳しい税収動向、財政事情のもとで、既存の制度や歳出の徹底した見直しなどに取り組む一方、内需中心の持続的経済成長を図っていかなければならない、そうした意味におきまして、景気に十分配慮した予算をつくったところでございます。
 ただ、予算を出しましてから、景気の状況を見ますと、回復の兆しを示す動きが今でこそ徐々にあらわれてきておりますものの、前回の対策であったところの四年度補正予算の成立が昨年の暮れにおくれたということもありまして、景気の先行きについてはいまだ予断を許さない状況にあります。平成五年度予算案の御審議のときに当たりましても、先生を初めいろいろな方々からお話がありまして、不十分ではないか、景気は大丈夫かどうかというようなお話があったわけでございます。そういったようなことでございまして、予算は三月三十一日に成立させていただきました。これも各党の皆様方でやはり景気対策を早くやっていかなければならない、予算の前倒しというようなこともあるであろうからというような御配慮もあったのだろう、こう思っておりまして、その辺は感謝をしておるところでございますが、そうした状況の中で、依然として景気がまだら状況にあ賄の事件を構成するもの以外のものであれば、これは政治資金規正法違反の対象になるものなのか、所得税法違反の対象になるものなのか、そこはどっちかが出てくるはずですよね。そのことを明らかにしないで、もうこれでもって一件落着というこのやり方は、私はこの機会に検察庁に伺いたいのですが、結局この贈収賄の事件以外のものは、それ以外のお金はすべてやみのままにしてうやむやにしてしまおう、こういうことですか。
○濱政府委員 お答えいたします。
 検察当局に課せられた使命、職責と申しますのは、これはもう改めて申し上げるまでもございませんが、法と証拠に照らして厳正に事件を処理するということに尽きるわけでございます。
 先ほどお答え申し上げましたように、この株式会社共和から阿部議員に対する資金提供につきましては、その全体につきましていろいろな角度から、今委員が御指摘になっておられますところの政治資金規正法違反の点をも含めまして捜査を尽くしたけれども、結論として、既に起訴したもの以外には訴追するに足る事実は認められなかったというのが結論であったわけでございます。
○吉井(英)委員 実は政治改革特別委員会などの中でもいろいろ議論がありました。
 津島議員などのお話の中には、政治資金規正法で透明性を高めるということが一つと、それからもう一つは、それ以外の裏金などは刑事事件としてきっちりやっていくのだ。罰則の強化その他も主張がありました。
 ところが、今のこの共和事件で検察庁は、やみ献金、裏金になるものについては何ら明らかにしようとしていない。つまり、このやみ献金は政治資金規正法にも刑法その他にも何にも触れない扱いにされてしまうという、こういうことになっているのじゃないですか。
 私はこの機会に政府の態度は一体どうなのかということを伺いたいのですが、やみ献金というのを野放しにするということじゃ私はどうにもおかしいと思うのですが、政府としてはどういうお考えですか。
○佐野(徹)政府委員 現行の政治資金規正法では一定の量的規制がございます。同一の者に対しまして百五十万円という量的な規制がございますし、また、資金の授受がございました場合には政治資金規正法上の報告をする、こういう規定もございます。したがいまして、政治資金規正法上は一定のルールにのっとりまして、また収支報告もしていただくことによりましてそれが公のものになる、こういう仕組みで円滑な運営がなされるということになっておるわけでございます。
○吉井(英)委員 私はそんな説明を聞いているのじゃないのです。
 この共和の場合、例えば五億三千万円の金が流れたとか言われているわけですよ。それは幾らかわからないわけです。それは、検察の方は調べられてよくわかっていると思うのですが、ただ、濱刑事局長の昨年の答弁では、九千万円以外のものがあったというわけですから、仮に五億四千万とすれば四億余りの金はどこかへ流れているわけですよ。それは政治資金規正法の届け出にないとなれば、届け出違反になるわけだし、いずれにしても、これはやみのままに葬られようということはとんでもないことだと思うのですよ。私は、今のこの答弁をもって政府の態度とされるのであれば、まことにもってけしからぬことだと思います。
 時間がだんだん迫ってまいりましたから、私はもう次の質問するあれが、二分ぐらいじゃとても無理なので、私が調べた中で出てきた問題だけ指摘しておきたいと思うのです。
 実は、丸紅、共和の詐欺事件を昨年調べたときに、もともと関西にも関係者が多いものですから、共和の元幹部に会って事情聴取を行いました。共和汚職のルーツは三沢市清掃工場汚職だということを言われたので、この三沢の判決文を私は読みました。
 最初の方に、三沢市の一般廃棄物処分場建設工事と粗大ごみ処理施設建設工事を三井造船に請け負わせれば、工事額の五%のリベートと今後五年間はいろいろな名目で全員を提供させることができるとして、実は仲介した山本某を使ったのは宮澤派幹部で大臣経験者の田澤吉郎代議士の後援会、沢友会の東京事務所の責任者でおいに当たる田沢克郎氏でした。
 これは判決文にそういうふうに書いてあります。結局、山本が裏切ったからこれは別な事件になって、森口副社長らがこれで逮捕されて有罪となるわけでありますが、私は、こういうことがある中で、しかもその後に宮澤派幹部がぞろぞろ出てきたのがこの共和事件ですよ、お名前が出てきたのが。しかも、森口副社長が三沢市汚職で逮捕され、公判中であることを知りながら料亭で接待を受けたり、パーティーに行ったり、金をもらったり、一体政治家として節操や倫理や道義はどないなってんだ。本当にひどいことだと思うんですよ。結局そこには、企業になかったり金に走る、猟官運動とか総裁選挙に金が要る、ポストを得るのに金が要るという問題じゃないでしょうか。私は。阿部議員の個人的資質の問題や事件じゃない、やはり宮澤派の責任者としてあなた自身の手で……
○粕谷委員長 吉井委員、御発言中ですが、時間が参りましたから。
○吉井(英)委員 去年の予算委員会ではあいまいでしたが、どう全貌を解明されるか、最後にこれの総理の考えを伺って、終わります。
○宮澤内閣総理大臣 事実でありますれば、おのおのの方が反省をしておられると思います。
○吉井(英)委員 とても納得できません。
 終わります。
○粕谷委員長 これにて吉井君の質疑は終了いたしました。
 次に、中野寛成君。
○中野委員 当初予算成立後直ちに総合経済対策が検討され始め、補正予算が組まれて今日に至ったわけであります。ところが一方、九二年度決算は大幅な税収不足、歳入欠陥の公算と言われております。
 このような事態は、政府の経済見通しの誤り、経済対策の欠如、財政運営の硬直化、税収見通しのルーズさ、この税収見通しは多かったり少なかったり、ここ数年来当たったためしがないと言っても過言ではありません。これらのことが要因となっていると思うのであります。本来であれば、この補正予算提出に当たって、前もってそれこそ内閣総辞職、せめて、言いにくうはございますが、大蔵大臣や経企庁長官の更迭くらいはしなければならない政治責任というものがあるだろうと思うのでございますが、総理はどうお考えですか。
○林(義)国務大臣 予算の責任者でございますから、私からお答えをさせていただきます。
 五年度当初予算は、異例に厳しい税収動向、財政事情のもとで、既存の制度や歳出の徹底した見直しなどに取り組む一方、内需中心の持続的経済成長を図っていかなければならない、そうした意味におきまして、景気に十分配慮した予算をつくったところでございます。
 ただ、予算を出しましてから、景気の状況を見ますと、回復の兆しを示す動きが今でこそ徐々にあらわれてきておりますものの、前回の対策であったところの四年度補正予算の成立が昨年の暮れにおくれたということもありまして、景気の先行きについてはいまだ予断を許さない状況にあります。平成五年度予算案の御審議のときに当たりましても、先生を初めいろいろな方々からお話がありまして、不十分ではないか、景気は大丈夫かどうかというようなお話があったわけでございます。そういったようなことでございまして、予算は三月三十一日に成立させていただきました。これも各党の皆様方でやはり景気対策を早くやっていかなければならない、予算の前倒しというようなこともあるであろうからというような御配慮もあったのだろう、こう思っておりまして、その辺は感謝をしておるところでございますが、そうした状況の中で、依然として景気がまだら状況にあ
るということから、四月十三日の日に新しい経済対策を立案いたしまして、今補正予算案をお願いをしているということでございます。
 政府は、これは全く私たちの方も異例な措置である、こういうふうに考えておりますが、もしもこれを秋口まで延ばす、また臨時国会まで延ばすということになればそれだけ執行がおくれますし、内需中心の持続的成長という形に対しまして、私は、やはりマイナスになる、やるものだったならば早くやった方がいいだろうということであえて予算案の審議をお願いをしているところでございます。
 それからもう一つ、税収の見通しの問題が、お話がございました。
 税収の見通しにつきましてはどうか、こういうことでございますが、経済見通しにおきましても、昨年三・三%というものから一・六%に変えました。一・六%というものに対しましてもなかなか難しいんではないかというようなことが言われております。そういったようなことを反映いたしまして、私は実態問題としてなかなか経済が一月−三月に上がってくるのはどうかなという感じもいたします。
 ただ、今のところ、四年度の年度を通じました税収につきましてはまだはっきりしたことが出ていない。まだ、二月、三月ぐらいのものが出てまいりますのは四月、五月になってからでございまして、確定申告による申告所得税収が、三月分につきまして見たところでは相当低い状況にある、これも事実であります。
 こうしたことでありますから、何かやはり足りないんではないかという懸念もないではありませんけれども、減収がどうなるかということをこれから考えて判断をしていかなければならないことだろう、事態を注視していかなければならない状況であろう、こういうふうに考えているところでございます。
○中野委員 私は大蔵大臣の説明と言いわけを聞こうと思ったのではない。そういう事態を招いている状況について、総理にその政治責任をお尋ねしたいのであります。どうお考えなんですか。
○宮澤内閣総理大臣 こうやって非常に大きな補正予算をすぐに御審議をお願いするというようなことはまことに異例なことでございます。経済状況がかつて経験したことのなかったものでございますので、景気の足取りを確かにいたしたいという気持ちからいたしました。その点はひとつ御理解をお願いをいたしたいと思います。
○中野委員 もう一つ、補正予算の中でロシア支援の予算、約二千億円、十八億二千万ドル組まれているわけであります。実に大きな数字でありますが、政府は、これまでロシアへの本格的な財政金融支援には北方領土問題が解決することが必要、この二千億円は本格的な支援ではないということでありましょうか。また、日本政府は領土問題を棚上げして経済支援に踏み込むという新しい政策判断をしたのか。拡大均衡という抽象的な言葉がよく使われますけれども、私はそれで切り抜けるということではいけないと思います。政経不可分の原則に照らしまして、この二千億円、十八・二億ドルの持つ性格というものはいかなるものなのかお尋ねをしたいと思います。
○宮澤内閣総理大臣 先般、我が国が議長となりまして、蔵相、外相を含みます合同会議をいたしましたときに決定したものでありますが、その中身は食糧、薬品等々のいわゆる人道支援、それはマネタイゼーションにもなるわけでございますが、等のほか、輸銀それから貿易特別会計等による保証等々によりまして、ロシアのエネルギー関係を中心とした一種の輸出振興につながりますような技術支援等々を考えたものでありまして、いわゆる本格支援というものには属さない。我々としては先進七カ国、いわゆるG7のこの合同会議における結論に従って我が国としてのいわばシェアを、責任を果たした、そういう性格のものと考えております。
○中野委員 北方領土の問題のみならず、例えば放射性物質の一種の垂れ流し的な状況等を見るときに、国民感情として、これだけの膨大なお金を、ロシア支援といえども、また諸外国との関係からといえども使うことについては釈然としないというのが率直なところであろうと思うのであります。ロシアに対してはやはり毅然たる姿勢を持つということが必要であろうと思うのでありまして、そのことは要望をいたしておきたいと思います。
 次に、PKOについてお尋ねをいたしますが、PKOについて今後なすべきこと、それは三つあると思います。今回のカンボジアPKOの反省の上に立って、率直な反省をしながら、次のことについて私は考えるべきだと思います。
 第一、総選挙後も含めまして、今後とも安全対策に万全を期し、選挙はもとよりのこと、新しい民主的政権の樹立、戦後復興をなし遂げること。
 二番目に、カンボジアPKOを参考にしながら、我が国のPKOに取り組む法律、体制等について早期に改めて見直すこと。特に今回のカンボジアPKOで痛感したことは、武装解除がきちっと行われておれば多くの悲劇やまた危惧の念を払拭することができた、政府もまたここでいろいろな言いわけをしなくても済んだはずであります。そういう意味で、武装解除の重要性というものが改めて痛感をされます。そのために、他国の部隊が実際上行うことに、日本の法律からいいますとそうせざるを得ませんが、武装解除作業の後方支援をなすために決められているPKFの凍結部分、これについてはやはり真剣な議論の中で解除する必要があると思います。それは安全を守るための武装解除のために必要である、このように考えます。
 三番目、国連及び諸外国とともに、反省すべきは反省して、新しいシステム等をつくる必要があると思います。今申した武装解除というものを大前提に置くということなどは、やはり考えられてしかるべきだと思います。また、例えば中田さんが、ボランティア採用試験で競争に負けて不採用になったと思い込んだ現地人に逆恨みをされたという話もあります。このようなことが起こらないように、その採用のシステムなども考えなければいけないでありましょう。綿密な、心のこもったその見直し、対策というものが今必要だと思います。
 私は、あれだけ多くの国民に期待され、参加された選挙の大成功を見るにつけても、今回のUNTACの活動は、私はそれなりに成功したものと評価をしたいと思います。それだけに今後、そのことのまだ不十分さがあった部分については、これまた一万謙虚に反省をして、今後の対策を講ずべきだと思います。このことについての心構えをお尋ねをいたします。
○河野国務大臣 固定投票所の投票の三日間が終わりました。御承知のとおり八〇%を超える大変高い投票率を示しまして、このこと自身は私どもも、その投票が余り大きな混乱もなく行われたということで安堵をすると同時に、カンボジア国民の皆さんがこの選挙に高い期待をかけておられたということをしみじみ感じております。
 まだ選挙があと三日間残っておりますので、ここで緊張感を緩めることなく最後までこの選挙をやり抜いてほしいというふうに思っておりますが、今先生おっしゃいましたように、大変貴重な経験をいたしました。そして、この経験にかんがみまして、ここで得た大切な経験というものを今後に生かさなければならないということは肝に銘じております。
 今お尋ねがございましたように、これからこの選挙の結果を、開票が行われていよいよ制憲議会が始まるわけでございますが、今後のことについてのお尋ねはまさに、今後の安全対策についても十分引き続きやっていかなければならぬと同時に、今御指摘がございました民生のための諸施策について、これから大いに考えていかなければならないというふうに感じております。
 さらに、武装解除の必要性というものは、御指摘がございましたように、我々も極めて重要なも
のだというふうに感じております。これらはいずれも、武装解除につきましてはいずれも和平プロセスの中で極めて重要なものであるということを認識をいたしまして、この武装解除が徹底をいたしますためにどういうことをすることが効果があるかということについては、今回の経験にかんがみまして、十分分析、検討をいたしたい、こう思っているところでございます。
 また、もう一つ感想を申し上げれば、こうした状況でPKO活動を世界、国際社会に求める国々は、もう既に経済的にも大変疲弊をしているわけです。貧困の状態があるわけでございまして、ここに貧困による危険というものもまた存在するということに十分配慮をしなければならないということを感じた次第でございます。
 これらは、御指摘がございましたように、十分この経験を今後に生かしていかなければならないものと承知しております。
○中野委員 私ども民社党は、先ほど松浦議員の指摘で、資料をもっとオープンに出しなさいということが言われて、総理もまたそのことについてのコメントをされたわけであります。私は全く同感であります。堂々とお出しいただいた中で協議をするべきだと思うのであります。そして、私どもはそういう危険性もあることを明確に申し上げながら、あの法案の審議を我が党はいたしました。そして、危険があるからこそ武装解除を的確にやるように、そしてまた、危機管理の訓練が行き届いている自衛隊の皆さんを中心にするようにということをあえて私どもは申し上げたわけであります。今後とも、そういう実態を踏まえながら、私は堂々たる論議がなされるようにお願いをしておきたいと思うわけであります。
 そしてまた、カシボジアの皆さん、戦後の復興は、まず行われますことはエネルギーの問題でありましょう。そして二番目にインフラ、そして三番目に農業国としてのかんがい用水のことをカンボジアの皆さん言っておられました。また、ソン・サン氏は、教育の重要性を強調しておられました。これらのことについて、やはり今後新しい安定した政権が生まれるように努力するとともに、それらの戦後復興策について大いに、既に検討を始めてでも協力をしていきたいものだ、こう思いますし、このことについても要望をいたしておきたいと思います。
 最後に、色覚異常に関係をした質問を一問させていただきます。
 きょう新聞を、朝刊を見まして、大変うれしいニュースがありました。高校が大学に提出する調査書の様式は文部省の通知で決められているが、この健康の状況に視力、聴力などと並んで色覚欄があったが、文部省はこの欄をなくす通知を全国の都道府県教委などに出した、こういうことであります。長年私が文教委員会等を通じてお願いを申し上げておったのがやっとこうして実現したかと思いますと、感慨深いものがあります。
 小学校に入りますと、一年生、四年生、また中学校で色神検査が行われるわけであります。それに対して何の手当でもない、何の指導もない、何の手引もない、単に差別を生むその原因だけを文部省はつくるのか、こう申してきたわけでありますが、教科書の色合いを変え、今回はこうして色覚異常欄を廃止をし、また手引書をつくられたということなどについて、私は前向きに検討されているということで評価をしたいと思います。また、厚生省、労働省もいろいろとこれについての調査研究を進めていただいておりまして、今後とも精力的にその進捗をお願いをしたいと思いますが、最後に、そういう状況の中にあって文部省としては、手引書をふやし、研修会等で趣旨を徹底する中でこの活用をしていただきたいと思いますし、教員養成機関のカリキュラムなどの充実もお願いをしたい、こう思うわけであります。
 春の質問で森山文部大臣が、一億円も金かかるからだめだと言われましたが、あれは別にいたしまして、今後の対策についてお伺いをしたいことと、運輸大臣にお尋ねをいたしますが、こういう状況下にある中で、ことし、小型船舶操縦士免許の非色力検査基準を強化された、こう聞くわけであります。本来、色覚異常者は身体障害者の扱いを受けません、健常者扱いを受けるわけであります。それだけにいろいろな規制が何か野方図にかかってくるような気もするわけであります。障害者と認定されるものであるならばそれはそれで保護策が加えられますが、そういうものはありません。こういう状況の中で、安全上弁色力が必要ならば灯火等の現行のシステムの改善の方をむしろ行うべきだと思います。
 極端に言うならば、自動車の運転免許については警察庁の御工夫で、今やそれによってはねられるということはほとんどありませんけれども、そのときにも申しておりました、色覚異常者のために信号の方をむしろ変えるべきだというふうに申したことがございました。私は、そういう原点に立ってあらゆる人が、先ほどの草川委員の質問にもございましたが、あらゆる人ができ得る限り社会の環境の中で参加できる体制をつくるという方向で努力をするべきであって、規制を加える場合も、それはあくまでも必要最小限度にするべきであります。
 今回は強化されているということを聞きますと、私は大変情けない思いになるわけでありまして、そのことについてもお尋ねをしたいと思います。文部大臣と運輸大臣からお願いいたします。
○森山国務大臣 色覚に問題のある子供たちの指導につきまして、先生から大変貴重な御意見をたびたびちょうだいしてまいりました。私どももそれを十分体しまして、先ほど御指摘のようなことも一つ一つ解決してまいったところでございますが、これからもさらにこの問題について教師の間にもっと認識を深めるという必要があると考えておりまして、その手引書、かなりの数つくって、既に三年ほど前から研修をいたしておりますが、これからも新しく先生になってくる人たちにも勉強してもらいたいと思いますので、その資料を増刷することを考えております。また、さらにその指導書の中のエッセンスを特に簡単にまとめまして、要点だけを取り上げたものもつくっていきたいというふうに考えております。
 いろいろな方法をとりまして、御趣旨を徹底させてまいりたいと考えております。
○越智国務大臣 色覚異常者につきましては、できるだけ、参加、平等、これを旨として行いたいと、かように思います。
 しかしながら、運輸行政、特に船につきましては、非常に、自分もさることながら相手の衝突とかあるいは座礁とか危険が伴うものであります。医師もいろいろ意見がありまして、大丈夫だと言う方もいらっしゃいますし、また、危険だと言う方もいらっしゃいます。そこで、公的な機関でこの所見を伺って進めていきたいと、かように思う次第であります。
 それから、標識の問題ですが、これは世界共通の問題でありますので、我が国の周辺を航海する、あるいは港へ入る、この標識を日本だけ変えるということはちょっと難しいと、率直にこういうことであります。
 先ほど申し上げましたように、公的機関の眼科の医師の複数の意見を聞いて、その所見に従って進めてまいりたいと、かように思う次第であります。
○中野委員 終わります。
○粕谷委員長 これにて中野君の質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして三案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
○粕谷委員長 これより討論に入ります。
 三案を一括して討論に付します。
 討論の通告がありますので、順次これを許します。小杉隆君。
○小杉委員 私は、自由民主党を代表し、ただいま議題となりました平成五年度一般会計補正予算外二案に対し、賛成の討論を行うものでありま
す。
 今回の不況に対しまして、政府は、昨年八月に総合経済対策を策定するなど、景気の速やかな回復を図るべく全力を傾注してきたところであります。
 さらに、先般成立した平成五年度予算においても、国の公共事業等について、近来にない高い伸び率を確保するなど、景気対策に最大限の努力がなされておることは既に御承知のとおりであります。
 こうした一連の努力によって、住宅建設など一部に回復の兆しが見られるものの、依然として我が国経済は調整過程にあり、いまだ予断を許さない状況にあります。
 政府は、このような状況にかんがみ、景気回復の足取りをより一層確実なものにするため、去る四月十三日、総事業規模十三兆二千億円という史上最大規模の総合的な経済対策を策定し、政府の並み並みならぬ決意のほどを示したところであります。
 今回の補正予算は、この経済対策を実施するため、公共事業費の追加を行うほか、厳しい経営環境に直面している中小企業への対策、また、ロシア連邦等に対する支援関係経費を盛り込むなど、特に緊要になった事項について所要の措置を講じようとするものであります。
 以下、賛成する主な理由を申し述べます。
 その第一は、公共事業等の追加が行われていることであります。
 今回の補正予算においては、一般会計において一般公共事業関係費、災害復旧等事業費及び施設費等の合計二兆二千二百億円強の公共事業等の追加が行われているほか国庫債務負担行為総額一兆二千九百億円が追加されております。
 また、社会資本整備の新たな展開として、電線類の地中化事業の推進及び教育、研究、医療、社会福祉などの各種施設の整備が図られることとなっております。これらはいずれも生活大国の実現といった、我が国の将来に向けた政策課題に積極的にこたえるものとなっており、高く評価するものであります。
 その第二は、中小企業の経営安定を図るため、手厚い中小企業対策がとられていることであります。
 現在、中小企業は、いわゆるバブル経済崩壊後の厳しい金融環境のもとで、その資金繰りが悪化しております。このような状況にある中小企業の金融の円滑化を図るため、一般会計において、政府関係中小企業金融機関等へ合計八百七億円の出資金等が計上されております。また、政府関係機関予算においては、貸付規模の拡大などに必要な資金として、財政投融資計画の追加が行われております。これら一連の措置は、中小企業の置かれている現状に照らしてまことに時宜を得たものであります。
 その第三は、いわゆる政策減税が盛り込まれていることであります。
 すなわち、住宅取得者の初期負担を緩和するなどの住宅減税の拡充措置、また、教育関係の諸出費がかさむ中堅層に対し、特定扶養控除の引き上げを図る教育減税を実施して、家計負担の軽減を図るほか、設備投資減税を行うなど、内需拡大に大いに資することは疑う余地のないところであります。
 以上の理由により、私は、本補正予算が、現在、我が国が直面している景気回復と貿易黒字縮小という最重要課題に十分こたえ得るものと全面的に賛成の意を表するものであります。その一日も早い成立を強く望み、私の賛成討論といたします。(拍手)
○粕谷委員長 次に、目黒吉之助君。
○目黒委員 私は、日本社会党・護憲民主連合を代表し、ただいま議題となりました一九九三年度補正予算三案について、次に述べる理由により反対の討論を行うものであります。
 その第一は、去る三月三十一日可決成立した一九九三年度当初予算審議に当たって、政府は、最良にして最大の予算と説明し、野党が一致して要求した所得税減税を中心とした予算修正要求に一切応じませんでした。それにもかかわらず、その二週間後の四月十三日、十三兆二千億円の新総合経済対策を決め、本補正予算案の提出に至ったことは、当初予算審議の過程で述べた答弁と全く矛盾するものであります。
 第二は、多くの国民が強く求めておる所得税減税に一切配慮されなかったことであります。特に、与野党書記長・幹事長会談で、景気対策の上からも大幅な所得税減税について「前向きに検討する」としたにもかかわらず、一切これを無視した政治責任は極めて重大であると言わなければなりません。
 第三に、政府は景気対策を強調しながら、公共事業中心の対策に終始し、資材の値上がりなどが懸念されると同時に、放漫財政のそしりを免れないものであることであります。
 第四に、当初予算に過不足が生じたわけでもなく、財政法第二十九条の趣旨にそぐわない補正であり、財政秩序を確保する上で明らかに問題を残したと言わなければならない点であります。
 以上、主なる理由を述べ、本議案に反対をする理由にしたいと思います。
 何とぞ、委員の皆さんの御賛同を賜りますようにお願いを申し上げまして、討論にかえさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○粕谷委員長 次に、石田祝稔君。
○石田(祝)委員 私は、公明党・国民会議を代表し、ただいま議題となりました平成五年度補正予算三案に対しまして、反対の討論を行うものであります。
 反対する第一の理由は、補正予算には所得税減税が盛り込まれておらず、景気対策として不十分であることであります。
 現在の景気低迷は、個人消費の深刻な落ち込みが一因であります。GNPの六割弱を占める個人消費の喚起なくして景気の回復は困難であると思います。しかし、企業のリストラによる雇用調整の動き、今春闘の低賃上げ等を考えると、消費が拡大する要素は見当たらないのであります。最近の急激な円高も、短期的には相当景気に打撃を与えることは避けられないと思います。
 こうした状況を勘案すると、我が国の巨額な貿易黒字を減らし、内需主導の経済運営で政府経済見通しの三・三%成長を実現することは政治の責任であります。そのためには、消費を喚起する所得税減税の実施が不可欠でありますが、本補正予算には盛り込まれておらず、景気対策としては不十分であります。
 第二は、景気対策に十分配慮したベストの予算との説明にもかかわらず、当初予算成立後わずか一カ月余で補正予算を提出することは自話相違していることであります。
 政府は、当初予算について、景気に十分配慮したベストの予算であると説明してきました。しかし、我が党は、不十分であり、景気回復を図るには力不足であることを明らかにしてきました。
 しかし、政府は予算修正を拒否しながら、当初予算成立後わずか一カ月余で、それも同一会期内に補正予算を提出することは極めて異例であり、当初予算が景気対策として欠陥があったという証左であります。野党の修正要求を聞こうとしないこうした独善的なやり方は、国会の役割を軽視するものであり、納得できないのであります。
 第三は、補正予算では税収見込みが当初予算のまま何ら変更されていないことであります。
 平成四年度の税収は補正予算の見込み額より約一兆円ほど減収になると報道されております。四年度の税収が減額になれば、当然五年度の税収見積もりの基盤が約一兆円ほど減少するため、その分五年度税収も影響を受けることは避けられないのであります。しかし、本補正予算には、税収の減額に触れられておりません。不備な歳入に基づく補正予算は認めるわけにはいかないのであります。
 以上で、平成五年度補正予算三案に対する反対の討論を終わります。(拍手)
○粕谷委員長 次に、正森成二君。
○正森委員 私は、日本共産党を代表して、政府提出の補正予算三案に対し、反対の討論を行います。
 反対する第一の理由は、建設業界のやみ献金問題など政財官の癒着構造にメスを入れないまま、大手ゼネコン向け公共事業を大盤振る舞いし、また、新社会資本整備と称し、電機・ハイテク関連大企業向けのてこ入れを行うなど、アメリカと財界に配慮した補正予算だからです。
 今回、目先を変えた新社会資本の整備と称する施策は、公共事業の枠を情報通信、電機・ハイテク産業分野に拡大し、大企業に新たなもうけ口を確保するためのものではありませんか。
 第二に、所得減税を意図的に拒否し、若干の政策減税にとどめるなど、深刻な不況の影響を最も受けている国民、中小企業の苦しみを打開する対策とはほど遠いことであります。
 所得減税は、消費者の購買力を高めるためにも、また、経済の構造変化に対応した景気対策としても必要不可欠です。あわせて消費税の食料品非課税を実行すべきです。
 中小企業融資対策、大学、研究所、医療・社会福祉施設の整備など、我が党や国民が要求してきたことも若干含まれていますが、まだまだ不十分です。
 第三に、景気対策の財源を、建設国債の増発、財投からの借金、地方自治体への借金押しつけなどで賄っている点です。
 国債、地方債依存は、借金づけ体質をますます進行させ、結局、国民に借金のツケを回すものであり、財政再建はますます遠のくばかりです。
 最後に、天皇家の単なる私的行事である皇太子の結婚を国事行為とし、記念貨幣を発行して税外収入を見込むことは、天皇の政治利用、美化・神一聖化を一段と進めるもので、断じて容認できません。また、四百億円もの対ロシア援助は、アメリカ初め西側諸国に追随して、政治抗争の渦中でのエリツィン支援という極めて政治的、戦略的な思惑の強いものであり、賛成できません。
 日本共産党は、国民の暮らしを守る根本的な不況対策実現のために奮闘することを表明して、私の討論を終わります。(拍手)
○粕谷委員長 次に、中野寛成君。
○中野委員 私は、民社党を代表し、ただいま議題となっております平成五年度補正予算三案に対し、反対討論を行います。
 反対の第一の理由は、補正予算案の提出は宮澤内閣の経済政策の失敗に基づくものであるということであります。
 我が国経済は……(発言する者あり)
○粕谷委員長 御静粛にお願いをいたします。
○中野委員 我が国経済は、一部に回復の兆しを示す動きがあらわれているものの、国民生活に最も関係する雇用、消費関連の指標はますます悪くなっているなど、依然として深刻な不況状態にあります。有効求人倍率はことし一月、二月、三月はそれぞれ〇・九三、〇・九一、〇・八八と月を追うごとに厳しい情勢となっており、百貨店販売額は昨年三月以来伸びがマイナスとなり、ことし三月の一世帯当たりの消費支出の実質伸び率は三・四%減少し、三カ月連続のマイナスとなっております。今回の不況の責任は、経済分析を誤り、時宜に応じて適切な対策を講じ得なかった宮澤内閣自身にあります。
 このことを端的に示したのが、今回の補正予算案の提出であります。政府は、当初予算の成立直後に補正予算案を提出いたしました。実質的内容を伴う補正予算案を同一会期内に提出したことは戦後初めてのことであり、極めて異例のことであります。これは、政府が提出した当初予算案が前提としていた経済見通し及びそれに基づく施策が誤りであったことを示すものであり、本来内閣総辞職に相当するほど、極めて重大な責任を負うべき性格のものでありますしかるに政府はその自覚を全く欠いており、まことに遺憾であります。
 第二は、我々が実施を強く求め、自民党の梶山幹事長が「前向きに検討する」と約束したにもかかわらず、政府・与党はこの約束を積極的に果たすことなく所得税減税を見送ったことであります。
 今回の深刻な不況の根本的原因は、言うまでもなく国民総生産の約六割を占める個人消費支出の異常な落ち込みにあります。したがって、景気の回復のためには、大幅な所得税減税の実施により個人消費を刺激することが不可欠であることはだれが見ても明らかであります。政府・与党が財政上の理由でこれを見送ったことは、経済政策の過ちを繰り返すことであり、まことに遺憾であります。
 第三は、私どもは、生活、景気に配慮して予算を執行するよう要望し、公共事業の執行に当たっては不況地域や中小企業、不況産業に配慮するとともに、国民が物心ともに豊かな生活を送れる生活先進国の建設を積極的に進めるため、生活関連の社会資本を優先して整備するよう求めてまいりましたが、一部実施されたものの、不十分な結果にとどまっていることであります。
 第四は、この補正予算案にも盛り込まれているロシア支援については、北方領土問題解決への道筋確立、ロシアの民主化、市場経済化の促進などの原則を明確にすべきであるにもかかわらず、それがないまま、なし崩し的に国民の血税が注ぎ込まれていることであります。
 以上、諸点について政府・与党の反省を促し、私の反対討論を終わります。(拍手)
○粕谷委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
○粕谷委員長 これより採決に入ります。
 平成五年度一般会計補正予算(第1号)、平成五年度特別会計補正予算(特第1号)、平成五年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案を一括して採決いたします。
 三案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○粕谷委員長 起立多数。よって、三案は、いずれも原案のとおり可決すべきものと決しました。(拍手)
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました三案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○粕谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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    〔報告書は附録に掲載〕
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○粕谷委員長 本日は、これにて散会いたします。
   午後六時四十九分散会