第126回国会 予算委員会第三分科会 第2号
平成五年三月五日(金曜日)
    午後一時十六分開議
 出席分科員
   主 査 臼井日出男君
       石川 要三君     鴻池 祥肇君
       岩垂寿喜男君     小川  信君
       佐々木秀典君     新村 勝雄君
       関  晴正君     中西 績介君
       石田 祝稔君     遠藤 和良君
       東  順治君
    兼務 岩田 順介君  兼務 菅  直人君
    兼務 鈴木喜久子君  兼務 竹内  猛君
    兼務 山中 邦紀君  兼務 日笠 勝之君
    兼務 吉井 英勝君  兼務 神田  厚君
 出席国務大臣
        文 部 大 臣 森山 眞弓君
        自 治 大 臣 村田敬次郎君
 出席政府委員
        文部大臣官房長 吉田  茂君
        文部大臣官房会 佐々木正峰君
        計課長
        文部省生涯学習 前畑 安宏君
        局長
        文部省初等中等 野崎  弘君
        教育局長
        文部省教育助成 井上 孝美君
        局長
        文部省高等教育 遠山 敦子君
        局長
        文部省高等教育 中林 勝男君
        局私学部長
        文部省学術国際 長谷川善一君
        局長
        文部省体育局長 奥田與志清君
        文化庁次長   佐藤 禎一君
        自治大臣官房長 吉田 弘正君
        自治大臣官房審 小川 徳洽君
        議官
        自治大臣官房会 磐城 博司君
        計課長
        自治省行政局選 佐野 徹治君
        挙部長
        自治省財政局長 湯浅 利夫君
        自治省税務局長 滝   実君
 分科員外の出席者
        人事院事務総局
        給与局給与第一 大村 厚至君
        課長
        内閣総理大臣官 中山 和之君
        房参事官
        警察庁警務局人 櫻井  勝君
        事課長
        警察庁刑事局捜 深山 健男君
        査第一課長
        警察庁刑事局捜 林  則清君
        査第二課長
        環境庁自然保護 菊地 邦雄君
        局計画課長
        法務省刑事局刑 鶴田 六郎君
        事課長
        外務省国際連合 吉澤  裕君
        局人権難民課長
        大蔵省主計局主 木村 幸俊君
        計官
        大蔵省主計局主 福田  進君
        計官
        文部省教育助成 御手洗 康君
        局財務課長
        厚生省保険局医 篠崎 英夫君
        療課長
        建設省河川局治 松田 芳夫君
        水課長
        地方行政委員会 前川 尚美君
        調査室長
        文教委員会調査 福田 昭昌君
        室長
        予算委員会調査 堀口 一郎君
        室長
    ―――――――――――――
分科員の異動
三月五日
 辞任         補欠選任
  関  晴正君     小川 国彦君
  中西 績介君     阿部未喜男君
  石田 祝稔君     長田 武士君
同日
 辞任         補欠選任
  阿部未喜男君     岩垂寿喜男君
  小川 国彦君     関  晴正君
  長田 武士君     遠藤 和良君
同日
 辞任         補欠選任
  岩垂寿喜男君     川俣健二郎君
  遠藤 和良君     薮仲 義彦君
同日
 辞任         補欠選任
  川俣健二郎君     新村 勝雄君
  薮仲 義彦君     東  順治君
同日
 辞任         補欠選任
  新村 勝雄君     小川  信君
  東  順治君     吉井 光照君
同日
 辞任         補欠選任
  小川  信君     佐々木秀典君
  吉井 光照君     石田 祝稔君
同日
 辞任         補欠選任
  佐々木秀典君     中西 績介君
同日
 第一分科員竹内猛君、吉井英勝君、第四分科員
 鈴木喜久子君、日笠勝之君、第八分科員岩田順
 介君、菅直人君、山中邦紀君及び神田原君が本
 分科兼務となった。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 平成五年度一般会計予算
 平成五年度特別会計予算
 平成五年度政府関係機関予算
 (文部省及び自治省所管)
     ―――――◇―――――
○臼井主査 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。
 平成五年度一般会計予算、平成五年度特別会計予算及び平成五年度政府関係機関予算中文部省及び自治省の所管について審査を進めることとし、補充質疑を行います。
 自治省所管について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。関晴正君。
○関分科員 私は、選挙法規の適用の問題で少しお尋ねしてみたいことがあります。
 と申しますのは、選挙において履歴を詐称したり、ありもしないことを言うたり、そういうことで何のおとがめもないままに、多数を得れば当選者でございます、こういうことになっているものかどうか。特に、昨年夏に行われました参議院選挙におきましての新間正次さんの選挙のあの姿というものは、あれは法に触れないものなのかどうか。この問題については、それぞれ事件として取り上げられて進められている向きもあるかと思いますので、その事件として進められている状況と、それからこの問題についての見解と申しましょうか、法の適用に当たって、これは自治大臣、どのようにお考えになっておられるものか、先に承りたい、こう思います。
○村田国務大臣 関委員の御質問にお答えいたします。
 公職選挙法の第二百三十五条の第一項というのは、当選を得または得させる目的をもって公職の候補者または公職の候補者となろうとする者の経歴に関し虚偽の事項を公にした者は、二年以下の禁錮または十万円以下の罰金に処する旨を規定をしておりますが、具体的な事案が公職選挙法に違反するかどうかについてはあくまでも行為の実態に即して判断されるものでありますから、具体的な事実関係を承知しておりませんので、お答えをこの場所ではいたしかねる点があるわけでございます。
 なお、詳細につきましては、御質問によりまして担当の政府委員等から御答弁をさせます。
○林説明員 お尋ねの件につきましては、平成四年七月二十六日施行の第十六回参議院議員通常選挙におきまして、愛知県選挙区から立候補いたしました新間正次候補につきまして、同年の八月四日、選挙公報において学歴を詐称し、また選挙運動期間中に経歴を詐称した旨の告発を受けまして、愛知県警におきまして所要の捜査を行った上、同年十月二十八日に、学歴を詐称する等虚偽の事項を公表したという事実で、事件を名古屋地方検察庁に送付いたしております。
○関分科員 経歴詐称の内容についてお知らせしてくれませんか。
○林説明員 具体的な事案内容につきましては、現在まだ検察庁におかれて捜査中でありますので、具体的な内容等については答弁を差し控えさせていただきたいというふうに考えます。
○関分科員 公職選挙法の第二百三十五条、虚偽事項の公表罪というのは、ただいま大臣からも御説明がありました。この第二百三十五条というのは、経歴を詐称してはならない、そういう詐称するような行為や虚偽の行為があった場合には二年以下の禁錮または十万円以下の罰金に処する。そうしますというと、経歴詐称のままで、それでその罰が何も加えられないままであるという現状ですよね。私は、この二百三十五条が適用されますというと、当然に二百五十一条の適用になって、当選人の選挙犯罪による当選無効になるものだ、こう思っておるのですけれども、その考え方やその見方は妥当でございましょうか。
○佐野(徹)政府委員 公職選挙法第二百五十一条では、「当選人がその選挙に関しこの章に掲げる罪を犯し刑に処せられたときは、その当選人の当選は、無効とする。」こういう規定がございます。
○関分科員 二百三十五条に違反した場合には、当然に二百五十一条の適用になって当選は無効になる、こういうお答えでございますよね。
 そこで、今警察関係の方でもお調べの上、そうして現在、これは法廷に出ているんじゃなくて、これはどこに事件があるんですか。検察庁にあるんですか、警察にあるんですか。警察の方では書類は送ったんですか送らないんですか。送られているとすれば、それを受けているところの検察庁はどのような見解でおられるんでしょうか。どういうような審理の状況にあるんでしょうか、伺いたいと思います。
○鶴田説明員 お答えいたします。
 先ほども警察御当局の方からお話がありましたように、ただいま御指摘の事件につきましては、名古屋地検が平成四年十月二十八日に愛知県警本部から事件の送付を受けております。現在、名古屋地検において捜査中ということでございます。
○関分科員 送られてきたところの内容ですね、どこが経歴の詐称ということで送られてきたのか、それについて御報告ください。
○鶴田説明員 お答えいたします。
 先ほども警察御当局から答弁があったとおり、昨年の参議院選挙に関し偽りの経歴を掲載した選挙公報を頒布させだといった公職選挙法二百三十五条一項違反の事実で送付を受けておるということでございます。
○関分科員 抽象的な御報告じゃなくて、どういう経歴の詐称をしたのかということを聞いているんです。いろいろ新聞にも伝えられていますよね。でも、しかし実際はどういうことなのかということをひとつ御報告いただければと思います。
○鶴田説明員 お答えいたします。
 ただいま捜査中ということで、捜査を行っていることでございますので、ちょっとそれ以上の内容につきましては答弁を差し控えさせていただきたい、こう思っておるわけでございます。
○関分科員 捜査中といって、何もこれはそんなに時間がかかるものじゃないでしょう。捜査中というのは、何を捜査しているんですか。去年の七月の事件でしょう。どこが捜査の対象になって時間がかかるんですか。その大学に入ったか入らないか、何が難しいんですか、調べるのに。問題は、こういうような問題をさっさと片づけないでおるということがおかしいと思うんですよ。失格をするというのであれば、三カ月以内であれば次の方が上がれるんです。後で失格になるとすれば次の方の補充ができないんですよ。これは国民に対する一つの損失にもなるわけです、物を言う権利が一つ失われるわけですから。
 ですから、大学に入ったのか入らないのか、何という大学に入ったことにしたのかしないのか。明々白々それぞれ言われているわけですから、どこの大学だろうかなんて捜す必要ないんです。明らかに経歴において示された学校を終わったのか終わらないのか、入ったのか入らないのか、これはどこが難しいですか、調べるのに。捜査中と言えばいいようなものだけれども、すぐわかることじゃないですか。何でこんなに長引かせておくんです。お答えください。
○鶴田説明員 お答えいたします。
 警察の方から送致された内容について若干敷衍して申し上げますと、その送付された事実は、経歴を詐称したということですが、その内容につきましては今捜査中ではありますけれども、平成三年七月ころ、自己の経歴につきまして、昭和三十年明治大学政経学部中退等と虚偽の事実を県連の職員に述べ、その県連の職員をして昭和二十八年四月明治大学政経学部入学等と記載した選挙公報の原稿を提出させ、国選挙管理委員会をしてこれを原文のまま選挙公報に掲載させた上、同月中旬ということですので七月中旬ごろ、国選挙公報約二百五十万枚を区内の選挙人の世帯に頒布させたという疑いということで送付を受けて、これについて今所要の捜査を続けているということでございます。
○関分科員 ですから、その大学に問い合わせればすぐわかるんじゃないですか。大学は何と言っているんですか。入ったと言っているんですか、入らないと言っているんですか、どうですか。
○鶴田説明員 お答えいたします。
 捜査の内容につきましては、現在捜査中ですので、その具体的な内容に踏み込んでお答えするのは差し控えさせていただきたいわけですが、いずれにいたしましても、犯罪が成立するかどうかということになりますと、客観的な事実のほか、あるいは犯意、関与の度合いとか、そういった面につききちんと捜査をする必要があるわけでございまして、そういった点から、今所要の捜査を行っておるということでございます。
○関分科員 経歴詐称の事実の問題を調べるのに何でそんなに時間がかかりますかと聞いているんです。一番時間がかかるところはどこなんですか、捜査中というのは。何の捜査に時間をかけているんですか。どこがわからないで捜査中なんですか、ちっともわからないじゃないですか。今大学の件が出てきたけれども、大学に聞けばわかるんじゃないですか。大学がわからないと言っているんですか、それとも大学が返事をしないんですか、御本人は何と言っているんですか。どうしてこんなのに、あとあるいは犯罪上の問題で調べなければならないというのにどんな問題があるんですか、残っている捜査しなければならないというものは。何もないんじゃないでしょうか。
 じんせん日を送って過ごすなどという考えではないかもしれませんけれども、昨年の夏の選挙で、もう今、春ですよね。もうじき一年になりますよ。そんなにのんきなことというのはないじゃないですか。何がわからないで捜査しているのですか。そこだけ教えてください。
○鶴田説明員 お答えいたします。
 繰り返しになって恐縮でございますが、捜査の内容自体につきましては、現在それを行っている最中ですので、そこまで立ち入って申し上げることはできないわけですが、先ほどの繰り返しになりますけれども、犯意の問題とかあるいは関与の度合いといったこと等につきまして、いろいろ慎重に捜査を進めておるということでございます。
○関分科員 単位の問題ですか。単位の問題だということになると、学校に入ったということになるのでしょう。その単位ですか。単位というのは何ですか。
○鶴田説明員 お答えいたします。
 犯罪が成立するかどうかという一般論として申し上げますと、客観的に犯罪とされる要件があるわけですが、それに該当するほかに、故意と言っているわけですけれども、そういう主観的な要素が必要になってくるわけです。そういう意味で私どもは、犯罪を犯す意図、犯意という趣旨で申し上げたのでございます。そういう趣旨としてお答えしたものでございます。
○関分科員 学校へ入った単位かと思って単位かと聞いたら、単位じゃなくて犯意だと言われる。それじゃ、犯意の有無を調べているということですか。犯意の有無というのは何を基準として調べるのですか。御本人が犯意があったと言えばある、犯意がないと言えば犯意がない、こうなるのですか。
 経歴詐称という行為そのもの、しかも公職選挙法に基づいて載せる公報に堂々とありもしないことを書いていれば、犯意の有無にかかわらずこれは詐称になるでしょう、虚偽になるでしょう。虚偽になっても犯意がないということになれば、いいという意味ですか。おかしいじゃありませんか。犯意のあるなしにかかわらず虚偽の事実があったら、これは犯意があるということになるものじゃないのですか。他人が過って書いたということでもあれば、これは別ですよ。そういうことでもあるのでなお捜査中だ、こういう意味なんでしょうか。これほど簡単なこともきちんと捜査できないような日本の捜査能力ですか。そんなものじゃないでしょう。
 そういう意味においては、とにかく選挙法規に違反した場合の扱い方というのはいかに時間がかかるかわからない。そして、次のことが出てくるまでには次の任期が来るというようなもので、非常に長引く傾向が強いわけです。単純に早期に片づけると言ってもなかなか片づかないものがあると思います。
 しかし、今度の場合は明々白々で、行きもしない大学に行ったことにし、行きもしない外国に行ったことにし、訪ねもしないところを訪ねたことにし、学びもしないものを学んだことにするというようなことが数々あって、そうして具体的に公報に出てくるところの内容において事実に反することが出ているわけなんですから、あと犯意が残って捜査はもう少したと言うのかもしれませんけれども、これは時間をかければわかるのですか。判断でわかるのじゃないでしょうか。かけなければならない時間があるとすれば、何にかけようとするのですか。いつまでに片づけようという御予定でございますか。せめてそこまで、そのくらいは言えるのじゃないですか。どうですか。
○鶴田説明員 お答えいたします。
 事件を処理するにつきましては、捜査を尽くした上で判断するわけでございますけれども、現段階でいっそれが終了するのか、いつ事件処理をするのかといったことについては、ちょっと今の段階では申し上げられないわけですけれども、いずれにいたしましても、検察としては捜査をしておるところでございますので、集められた証拠等を踏まえまして適正に処理するものと考えております。
○関分科員 そういうことで、あなた方の捜査が進んで、そうして手続的にはどういう格好になるのですか。
○鶴田説明員 お答えいたします。
 一般的に申し上げますと、刑事事件につきまして警察から事件が送致あるいは送付された場合には、検察におきまして必要な捜査をする、その上で捜査を尽くされた段階で起訴するのか、それとも不起訴にするのかといったことの判断を最終的には検察当局がする、こういうことになろうかと思います。
○関分科員 起訴された場合に、その起訴がまた対象になって裁判になり、そうしてその裁判が行われて、そうして決定されれば決定、こういうことになるのですか。
○鶴田説明員 お答えいたします。
 これも一般論で大変恐縮ですが、起訴されれば、二つありますけれども、公判請求という形の場合をとりますと、正式に裁判が開かれ、そこで証拠調べ等の必要な審理を裁判所で行う、そこで判決が出る。その判決について上訴とかそういう手続がなく確定すれば、その段階で判決は確定した、先ほどの公職選挙法の当選無効の規定でいきますと、刑に処せられたという段階になるということでございます。
○関分科員 私は、こういうような簡単な事実があっても、それこそ明々白々な事実があっても、当選無効のところまで時間がまだまだかかるのかしらんと思うわけです。起訴するか起訴しないかが一つの判断、起訴された後には裁判、その裁判が不服ということになればまた上告、こういうことになりますと非常に時間がかかることになるわけなんですけれども、そういう意味においてもスピード判決と申しましょうか、そういう方向をとることが求められている今日でもありますし、検察庁においても、警察で調べ上げて、そして書類がそちらに行っている段階なんですか。あなたの方に書類が行っていて、そして今日なおそこへとどめておくというのは、これは非常に怠慢だと私は思うのです。国会議員であるから、そういうことで手かげんするようなことがあってはならないと私は思う。
 そういう意味においては、とにかくあと調べるものがないのになお時日をかけておくということがないように、犯意の有無、いつ犯意の有無がわかるのかというようなことは私ども専門じゃありませんからわかりませんけれども、常識的に見てそれぞれにおいて判断があっていいと思うのです。ですから、私は、とにかくいたずらに時日を過ごしておくということもよくないだけに、速やかに処置すべきではないだろうかと思いますので、そのお考えがあるのかどうか、もう一遍答えてください。
○鶴田説明員 今御指摘のようなこと等も踏まえまして適正に処理していきたい、また処理するものと考えております。
○関分科員 経歴詐称ということで、この二百三十五条第一項に当てはまることで、これまで選挙取り消し、当選無効、こういうような件数が一件でもあったでございましょうか。例があったらひとつ御報告を願えませんか。
○佐野(徹)政府委員 当選無効があったかどうかというお尋ねでございますけれども、私どもが今まで把握しております限りでは、そういうことは耳にはいたしておりません。
 なお、詳細に、正確にこれは調査したことはございませんので、正確なお答えにつきましては差し控えさせていただきたいと思います。
○関分科員 これは大臣の方にお聞きしておきたいのですけれども、とにかく国会議員というのは法律的にも一番、道義的にも高いところにある存在ですよね。この国会議員にいやしくも経歴の詐称があった、少しでもあったというだけでも、とても恥ずかしくてその職にとどまるなんということはできないものじゃないかと思う。ですから、私は、こういうことがあった場合にはそれぞれの関係団体においても適正に処置すべきことじゃないかな、こう思うのですし、またこんなに二百三十五条で明々白々に法律があるわけですから、この法律がきちんと守られるようにしなきゃならない。
 今のように、違反の行為があってもだらだらして事が進まない。そうして、国会議員であればあるほどに余計に時間をかけて、放置をしておくといえば言葉が悪いかもしれませんが、放置しておいているようなものじゃないですか、これは。特別調べなければならない内容というのがあるものでもない。ですから、法を守る立場にある検察庁、やはりここがきちんとしなければならないと思いますし、また、公職選挙法をつかさどっているところの自治大臣も、こういうようなことがあったらさっさと解決するように私は働くべきだと思う。そちらの方のことだからそちらの方を見守るだけじゃ足りないのじゃないか、私はこうも思いますので、これにかかわる大臣の御見解をひとついただければと、こう思います。
○村田国務大臣 関委員の先ほどからの御質疑、そして御答弁を承っておりました。御質問になる国会議員としてのお気持ちはよく理解することができます。
 これは公式的なお答えになりますと、選挙は公正かつ適正に行われなければならないものということに考えておりまして、このためには候補者側の御努力とともに、選挙管理機関としても関係法規の周知徹底等啓発活動に今後とも努力をしてまいらなければならないものと思います。
 私は、かつて自治省におきまして公職選挙法その他いろいろと勉強させていただきましたが、今の関委員の御質問は、御質問になる気持ちはよくわかるのでございますが、法律の処理ということになると政府委員等の御答弁によって御理解をいただきたい、このように思います。
○関分科員 終わります。
○臼井主査 これにて関晴正君の質疑は終了いたしました。
 次に、岩田順介君。
○岩田分科員 日本社会党の岩田順介であります。
 本日は、産炭地域、とりわけ石炭の後遺症で悩んでおります旧産炭地問題について若干のお尋ねをしてまいりたい、かように思っている次第であります。
 石炭の歴史はもう私が言うまでもないのでありますが、しかし現在、日本の稼行炭鉱というのは北海道、福岡合わせまして五山になってしまったわけですね。しかも、この五山のうちの幾つかは近々消滅するのではないかという心配もされておるところでございます。旧産炭地の財政問題その他につきましては自治省としてもかなり長い間御苦労というか御支援を賜ったことは承知をしておりまして、感謝をする次第であります。
 産炭法ができましてこれまた長い歴史を繰り返しているわけでありますが、今さら産炭地問題というのはどうか、こういう声も聞かれるようになっておることは地元出身の私もよく存じておるわけでありますが、しかし、産炭地域の石炭の後遺症というものがまだまだ根深く残っているということを考え合わせれば、今後一層の国の支援もまた必要ではないかというふうに思います。
 これはきょうの質問とは直接関係はございませんけれども、例えばハードの面というのはかなり進みましたね。しかし、人の問題というのはやはり現実残っているわけですよ、失業者が厳然として多いということだとか、生活保護世帯が全国に比べて随分多いということだとか。それから、大臣も御承知と思いますけれども、もっと心の痛い問題としては、これは特徴的には昭和三十五年九月に起こった炭鉱事故がございまして、労働大臣の出身地でもございますが、福岡県田川郡川崎町の中元寺川という川底が抜けまして、いまだ六十七名の遺体が上がってこないという問題がありますね。そういった意味では、これから先、ハード面だけではなくてソフトの面での産炭地域の心をいやすという行政もまた必要になってくるのではないかと思います。
 そこで、石炭関係の六法案が昨年延長されました。いずれもこれは十年間の延長になったわけでございますが、通産大臣がこれは主管でありますけれども産炭地域振興基本計画というのが決定をされまして、今各関係自治体において実施をどうするか、まさにそういう時期になっているわけでございます。この産炭地域振興臨時措置法というのは十年延長、もうこれきりだろう、これはこれ以上延長することも非常に困難な環境であることは存じております。ところで、果たしてこの十年間に疲弊し切った産炭地域の自治体、産炭地域が活性化をするかどうか、まさにこの十年にかかっているわけであります。政府が十年間という方針を出しましたのは、政府の意思として十年間で打ち切るという方針であることもこれまた言うまでもないと思います。
 そこで大臣、産炭地域振興に関する実施計画が展開されようとしているわけでありますけれども、この展開の行方とその結末というか、仮に実施計画が全部完成をしたとしまして、どれくらいのいわゆる活性力といいますか産炭地域の振興が見通せるものか、その辺の御見解がございましたらお聞かせをいただきたいと思います。
○村田国務大臣 岩田委員から非常に重要な御質問がありました。私は、ちょうど七、八年前に通産大臣をいたしておりまして、産炭地域問題には所管大臣として深くかかわってまいりました。そして日本の産炭地の問題、かつては、重厚長大の繁栄した時代には、産炭地というのは非常に繁栄をした時代もあったのですね。しかし、国際的に見てみますと、日本の石炭をとるという事業はどう考えても採算が合わないわけでございます。したがって、中国であるとかカナダであるとかいろいろ国際的な産炭地の採算に比べると、日本の石炭産業というのは非常な苦境にある、そしてますますそういうふうになっていくという認識をまず基本的に持っております。
 御指摘になりました平成三年の産炭法の十年延長に伴いまして、従来の計画を大幅に改定した御指摘の基本計画が策定をされ、これに基づいて実施計画についても関係道県の作成した原案を踏まえて策定されているところでございますが、これに盛られた内容はいずれも産炭地域の振興に欠くことのできないものであると考えておりまして、計画的に実施されていくことを強く期待をしております。
 自治省としては、関係省庁とも十分に連絡を密にし、法期限内に当該計画の推進が図られますように、今後ともそれぞれの地方団体の財政状況を踏まえ、毎年度の地方交付税、地方債の配分に当たって財政運営に支障が生じないよう適切に対処していく所存でございますが、客観的情勢が非常に厳しいわけでございます。今御指摘になられた事情はよくわかっておるつもりでございまして、心して対応をしていかなければならないという非常に私自身も突き詰めた気持ちを持っております。
○岩田分科員 大臣の御答弁にもございましたように、客観的に見て環境は非常に厳しい。これは一言で言えば、脆弱な産炭地域の財政事情から考えてみましても、経済の動向にもろに影響を受けるという、こういう弱さを持っていますね。経済が仮に好景気に転じましても、一番後ろからくっついていくという状況ですね。
 ですから、福岡県全体の有効求人倍率をずっとたぐってまいりましても一を超えたことがないんですよ。バブルの隆盛期も一を超えたことがないんですね。この原因は、やはり産炭地域が足を引っ張っているということは、これはとりもなおさず明白だろうと思いますね。さらにまた、環境の問題では、バブルが崩壊をしたという状況の中で、バブル崩壊前に計画されておったいわゆるリゾート法に基づくリゾート計画、こういったものも福岡県はほとんど着工せずに計画倒れという厳しさも手伝いまして、果たしてこれがうまくいくかどうかということを心配をしているわけであります。
 せっかく大臣もそういう御心配をしておられますが、さきの産炭法改正のときに幾つか新しい分野開拓や新しい方策も埋め込んでもらいましたけれども、その中での議論として、過去よりも例えば通産大臣が中心になりまして関係各省庁の連絡会議をより密にしていく、こういう展開をやっていくという何遍も通産大臣の答弁がございましたが、どうもそれは余り見えてこないのでありますが、これにつきましては一体どういう状況でしょうか。
○湯浅政府委員 産炭地の振興措置法が十年間延長されましたのが平成三年度でございましたが、この段階におきまして、今御指摘のように産炭地域におきましては非常に厳しい環境に置かれまして、通常の地域と違った各種のネックが出てきているということは私どももよく承知をしているところでございます。
 そういう観点から、私どもといたしましても地域の振興という観点から、地域、地方団体との関係を緊密にやってまいらなければならないと思っているわけでございますが、今御指摘の関係省庁との連絡会議につきましても、担当官レベルでかなり頻繁に連絡をとり合いながら、先ほど大臣から申し上げました実施計画の実行状況、またこれを単なる計画に終わらせない努力というものをする努力を続けているところでございます。
○岩田分科員 ぜひお願いをしたいと思うのでありますが、それぞれ自治体には地域事情などがございます。それから能力の問題もありまして、私はあの実施計画を見てみまして、もう少し当該市町村、自治体に財政の余裕があれば、もっと将来的に展望ができるプロジェクトだとかいろいろな計画ができていくんだろうと思いますが、残念ながらそういう状況じゃないですね。やはり既存の道路をどうするか、既存の基本計画をどう膨らませていくかという程度にとどまっているのではないかというふうに思うのです。したがって、これがもし仮に完全に完成しましても、残念ながら思ったよりそう活性化しないんじゃないかという心配も部分的にはするわけでありますが、ぜひとも省庁連絡会議の密なるものを実行されるようにひとつお願いをしておきたいと思うのです。
 大体今度の実施計画の中身を見ますと、その八〇%が市町村の計画になっていますね。国や県の場合どうかというと、例えば地元でいいますと、二百号線のバイパスだとか二百一号線だとか三百二十二号だとか、それから篠栗線の電化複線化、こういった基幹道路、交通網の整備といったものにウエートがかかっておりますが、あと八〇%というのは市町村がやるわけですね。大臣も最初の御答弁でこれはなかなか厳しいという状況もおっしゃいましたが、これは財政的な支援というか裏づけがあって初めて成功するわけであります。
 したがって、この辺ちょっと私も財政対策については果たしてうまくいくのかどうなのか、これを心配をするわけでありますけれども、改めてもう一度お伺いしたい。
○湯浅政府委員 御指摘のように、関係市町村は他の市町村に比べまして非常に厳しい環境に置かれているわけでございますから、新しい計画を実施していくということになりますと、なかなか困難な面があることは事実でございます。そういう関係もございまして、御案内のとおり産炭地域の臨時措置法におきましても、市町村の行う公共事業の補助率の引き上げでございますとか、あるいは道府県が行う場合の地方債の利子補給でございますとかいうような財政措置も含まれているわけでございますけれども、これからの事業、その地域の振興を図っていくためには、やはり住民に密着をいたしました社会資本の整備というものにどうしても力点を置かざるを得ないと思います。
 基幹的なものは国や県でやってもらうといたしましても、住民に密着したいろいろな施設というものを整備するということになりますと、これはやはり市町村が事業主体でやらざるを得ないということでございますので、そういう意味で、今御指摘のようにかなりの部分を市町村が実施しなければならないということになるわけでございますから、この市町村の事業を行うための財政支援というものにつきましては、私どもも十分意を用いてまいらなければならないと思うわけでございます。
 具体的には、自治省の持っております政策手段といたしましては、地方交付税の傾斜的な配分と申し上げますか、こういう地域におきます特別な財政需要というものをよく基準財政需要額の中に算入していくという問題、あるいは地方債を重点的に配分する、その地方債の元利償還につきましても一定の財源支援が行えるような、こういうやり方ができるような措置によりまして、関係市町村がそれぞれの地域におきまして実情に応じまして社会資本を整備していく場合の財源として、適切に対応してまいらなければならない、こういうふうに考えているところでございます。
○岩田分科員 その問題につきましては後ほど一、二点触れさせていただきたいと思いますが、何度も申し上げますように、やはり産炭地域というのは基本的には財政が極めて脆弱であるということであります。この三十年間、地元では本当に汗を流して苦労してきた歴史なんですよ。
 例えば炭鉱の跡地をどう活用するかということ。関西、関東圏からの企業誘致を積極的に行うということで工場団地の造成を費用をかけて、借金をかけてやるのですけれども、企業誘致が成功しないという問題等がありますね。それから産炭地域は、いずれも大小にかかわらず炭鉱を抱えておりましたね、また大小にかかわらず医療機関を持っていたわけです。その病院を引き継いだがためにまた赤字が膨らんでいく、こういう状況もありまして、二重に三重に努力をするけれども苦労の方が重なるという実態も確かにあったことは事実であります。
 そこで、このようにいろいろな地元の努力がなされたにもかかわらず一向に浮上しない、全部じゃありませんが、田川市郡を見てください、一向に浮上しないという現況をどう見るのか。地元の努力があれほどあったにもかかわらず光明が見出せないというか実を結ばないというのは、一体どういうところに原因があるのか。この辺はどういうふうにお感じになっているのでしょうか。
○湯浅政府委員 今御指摘のように、炭鉱が閉山されてから、田川郡を例にとりますとかなりの時間がたっているわけでございまして、その間、産炭地域の臨時措置法等によりまして積極的な財政支援が国からも行われておりますし、それに基づいで、それぞれの地元の地方団体におきましても大変な努力をしてこられたわけでございます。そういう中でなかなか努力が実を結ばないという点があることも事実でございますけれども、石炭を生産していたという地域の特性、これが急になくなってきたということでございますから、これを一挙に新しい町づくりという形で転換していくということも、これもまた大変な仕事でございますし、先ほど来お話しのように、そこに住んでおられた方々も多くが他の地域に移ってしまわれるというようなこともございまして、この地域の振興というものもなかなか意のままにならないということは、まことにある意味ではもう大変なことだと思っております。
 しかし、それぞれの市町村は、それにもめげずにその地域の振興のためにいまだに一生懸命汗を流してやっているわけでございます。そして、新しい地域の振興のためにやらなければならない事業というものにある意味で積極的に取り組んでいただいているわけでございますから、こういう地域の自主的な取り組みというものを大切にして私どもとしては支援をしていかなければならない、そういうふうに考えているところでございます。
○岩田分科員 ぜひその決意は前向きでやってほしいと思うのですが、ちょっと私が尋ねた観点が違っておるのですけれども、今いわゆる産炭地域振興をする上で阻害要因になっているのは一体何かというのは、幾つか明確にわかっているわけですよね。
 例えば一つだけ申し上げますと、福岡県で今ボタ山というものが幾ら残っているかというと、二百五十以上は残っているわけですよ。あの広大なピラミッド型のボタ山、原形をとどめておるものもとどめていないものもございますけれども、それが占める底地面積というのは大変広いですよ。
 土地は足りない、しかも、石炭を掘ったときに、ボタ山をつくったときには辺地であったものが、今市街地になっているのですよ。これは国が有しているもの、鉱業権者が有しているもの、さまざまですけれども、企業が有しているものにつきましては、三十年放置しているということはこれは企業責任が甚だしいと思いますね。責任問題と思いますよ。それから、政府及びNEDOなどが有しているボタ山だって少なくないのですよ、大臣。まさに今、産炭地の阻害要因になっているわけですよ。こういったところは一向に解決しないですね。
 確かに、交付税等の措置を設けてもらうことも大事なのですけれども、こういう産炭地域の振興の阻害になっている大きな要因についてどうするかという議論が余りないのです。関係省庁会議でもないと思いますよ、これは。通産に言えば、防止策である、ボタ山の老朽化したものの防止をどうするかという災害面である。自治省からお触れになったことないですね。ないのですよ。きょうはこのことはこれ以上言いませんけれども、そういう除去の問題についてもぜひ連絡会議に上げてもらうということがなければ先へ進まないと思いますね。
 それで、財政問題についてお伺いしたいと思いますが、自治省からもらった資料で見ましても、これは公債費比率などを見てみましても、ダントツに悪いのですね。とりわけ田川市郡の問題をちょっと申し上げたいと思いますが、公債費の比率が田川市で平成三年で二一・五にもなっているのです。それから、赤池町などというところは赤字再建団体ですね。これは二八くらいになっているでしょう。さらに、公債費の歳出割合を見ていきますと、田川市で一二・四、香春町で一九、添田町で二〇・八、糸田町で二六・三、以下同様な数字が並びますけれども、全国平均では八・八くらいですね。相当の開きなのです。
 それから、一九八〇年から国の財政再建が始まるのですね、最初。それ以降の時系列分析をした資料がありますけれども、例えば田川市でいきますと一八四・八というような数字も出ますね。それから、糸田町でも二〇九、全国は一〇一というのですね。こういう数字が手元にありますけれども、一体こういうのをどういうふうにして支援をしていくのか、これは軒並みこうなのですけれども、どういうふうに財政の基盤を助けていくのか、引き上げていくのかというのはいかがでしょう。
○湯浅政府委員 御指摘のように田川市とその周辺の町村におきましては、地域経済全体の活力が低下しているということもございまして、税収が非常に減少している。他方、歳出面におきましては、これまでもお話しのように、炭鉱の閉山対策でございますとか鉱害復旧あるいは生活基盤、産業基盤の整備というようなことで多額の財政需要があるということでございますから、これはなかなか財政構造としては大変な地域であるわけでございます。そして、こういう地域の財政構造というものをできるだけ早く健全化していく必要がございますが、この健全化と並行いたしながら、先ほど来申し上げております市町村の当面必要となっている町づくりの事業というものをやっていかなければならないわけでございます。
 こういう意味で、今御指摘のような市町村におきましては、財政構造が極めて厳しいということで財政再建団体になりまして、それで再建をいたしました。その幾つかは、再建の努力の結果、再建団体を終了したものもございます。また、再建団体にはならないまでも、公債費の負担比率が非常に大きいというために財政運営が非常に難しい地域におきましては、自主的に公債費負担適正化計画というものをつくってもらいまして、その計画に基づいて事業を実施していただく場合には各種の財政支援を行うというようなことで、この公債費負担適正化計画をやってもらっているところもございます。まだそのうちの幾つかの町は再建を終了していなかったり、あるいはこの公債費負担適正化計画もまだ計画の途上であるというところもございますけれども、今まで総じて見ておりますと、計画期間を短縮してこのそれぞれの再建なりあるいは適正化計画を完了いたしまして財政構造を健全化していくというような姿になっております。
 私どもも、こういう計画に基づいて積極的に財政構造を健全なものにするために努力をしているものに対しましては財政支援を積極的に行っていきたいということで、これからもこの問題につきましては努力をしてまいりたいと思っておるところでございます。
○岩田分科員 自治省としては、新規事業、独自公共事業を興してくれ、それには支援すると言われましたけれども、こんな借金の状況で余裕がありますか。なかなかこれは発想もわかないですよ、悲しいことですけれども。それを何とかしてくれというふうに私は言っているわけです。
 時間が迫りましたから最後の質問ですけれども、産炭地補正がことしでなくなりますね。産炭地補正ができる以前の状況もちょっと私聞きたかったんですけれども、今お答えになりましたように、やはり少し余裕がある都市は事業をやってきたんですよ。例えば北九州を見てください。ここは選挙区だから言いたくないのですけれども、やはり小さな市町村が割を食っていますよ、六条市町村が。その六条市町村も漸次卒業させようとしているわけでしょう。しかし、経済がどんとこうなったら、大臣、もろにやっぱりかぶっているのですよ。あっぷあっぷ言っていますね、これは今後の問題にしますけれども。産炭地補正は、十年間石炭関係の法律は延びましたが、基本的には延長すべきだというふうに思いますが、いかがでしょう。
○湯浅政府委員 この産炭地補正につきましては、普通交付税の基準財政需要額を算入するに当たりまして、こういう炭鉱地域で鉱業人口が非常に急激に減少する、こういう地域におきまして財政需要を的確に把握するためにつくったものでございます。
 もう既に経緯は御案内のとおりだと思いますが、昭和五十一年度に制度をつくりまして、三回にわたりまして期限を延長したわけでございます。いろいろと関係市町村ともお話し合いをしながら、この制度がやってきたいろいろな反省材料もございますので、この制度は一定の期限というものを立ててやった以上は、これはやはりこの際この期限で終了させた方がいいんじゃないか。しかし、そのままでいいかどうかということになりますと、先ほど来いろいろお話しのとおり、この地域におきましては財政事情がまだ極めて厳しい状況でもございます。したがいまして、関係の市町村の皆さん方ともよく御相談をしながら新たな方法でこういう財政需要というものを別の角度から捕捉する方法はないかどうか、この点について今検討を進めているところでございまして、そういうことでこの点を御了解をいただきたいと思うわけでございます。
○岩田分科員 私なりに確認をさせていただきますが、交付税決定は八月ですよね。検討というのはそれまでにという意味だろうと僕は思いますが、それが一点ですね。
 それから、産炭地補正なるものが使命と目的があって設定をしたものであるから一応これで終わる、しかし厳しい財政状況を考慮しなければならない、新たな方法を検討するというふうに私は理解をいたしましたが、それでよろしいでしょうかね。
○湯浅政府委員 御指摘のとおり、普通交付税の算定は八月末に決定いたします。それまでに、この今の産炭地補正というものが終わった後どういう形で検討していったらいいだろうか、この点を詰めてまいらなければいかぬだろうというふうに考えているところでございます。
○村田国務大臣 岩田委員の御質問、傾聴させていただきました。私は気持ちを申し上げたいと思うのです。
 自治省にはもう働き始めてから私も随分長い年月になりますし、通産大臣の経験もあります。通産大臣のとき感じましたのは、非常に繁栄している企業は通産省には余りおいでにならないのですね。非常に困っておられる企業がおいでになります。そして、自治省でも今一番大きな問題は、御指摘になられた産炭地域の問題だとか、過疎地域だとか、農村地域だとか、そういう平均的な国民の生産水準に達するのが非常に困難な地域、そういうところからの御要請が多いわけです。自治省という役所は、そういう困ったところをしっかりお助けをする役所だろうと思っているのですね。
 だから、農山村の活性化もそうでありますし、今御指摘になった産炭地域の問題もそうでございますが、大きな経済のうねりの中から取り残されていく地域をどうするのか、それが非常に重要な問題であると思いますので、そういう民主主義を育成するという心を持って今後も対応していきたい、このように思っております。
○岩田分科員 ありがとうございます。
 終わります。
○臼井主査 これにて岩田順介君の質疑は終了いたしました。
 次に、岩垂寿喜男君。
○岩垂分科員 十数年前に地方行政委員会に所属をしたことがございますが、その後余り勉強もしていませんので素人ですが、村田自治大臣が実現をしておりますので、やや陳情を兼ねながら質問をいたしたいというふうに思います。
 今大臣、自治省として大事なのは過疎地域だというようなことをおっしゃったけれども、過密の方も大変でございまして、困ったところはいろいろあるわけでございます。その観点から、これは事務当局から最初例答弁を煩わしたいと思いますが、この深刻な不況と言われている状況のもとで地方財政計画に見込まれた地方の税収見積もりというものを確保できるのかどうか、見通しをお示し願いたいと思います。
○滝政府委員 地方財政計画に見込まれた地方の税収見積もりでございますけれども、最近の景気動向を反映いたしまして、法人関係税あるいは利子割等において大幅な減収となる、こういうふうに見込まれるところでございます。
 一方では、前年度課税でございますところの個人住民税、あるいは安定的な財源、こういうふうに言われております固定資産税、こういうところである程度の税収の伸びがございますものですから、結果的には、平成五年度の地方税収全体としては三十四兆五千億、こういうことで、前年に比べて一・六%の増収を見込んでいるところでございます。
 しかし、これの前提といたしましては、当然のことながら、政府の経済見通し、こういうようなところに見込まれているように経済状況が推移する、こういうことが前提でございますので、そういうことを前提といたしまして一応この一・六%の増収というものは全体としては確保できるのではなかろうか、こういうふうに考えているところでございます。
○岩垂分科員 経済成長が今見込まれている数字まで行かないということを前提にして質問を申し上げることは大変失礼だと思いますが、どう考えてもそこまでたどり着くというのはしんどい状況だと思うのですが、その点でやはり見積もりがクリアできないのではないかという感じの方が強いのですが、念のためにもう一遍お尋ねをしておきたいと思います。
○滝政府委員 景気に最も敏感にリンクしますところの法人関係税、こういうところでは確かに思うような状況ではない、こういうことでこの地方財政計画上もそういった法人関係税が中心のところは相当な減収を見込んでおるわけでございますけれども、それ以外の安定的な税目、こういうところではそれなりの増収が期待できる、こういうようなことでございますので、全体としてはこの程度のことは何とか見込める、こういう前提をとっているわけでございます。
○岩垂分科員 それじゃお伺いしますが、今も滝さんからも言われましたけれども、道府県税というのは今御指摘のように法人関係税に多くを依拠するわけですから、道府県税の税収の見通しなどについてはどんなようにお考えになっていらっしゃるか。
○滝政府委員 道府県税につきましては、ただいまも若干申し上げましたけれども、前年度に比較いたしまして、道府県税全体としましては十四兆八千億ということでございますので、道府県税全体としては四・二%の減、こういうことになるわけです。全体の道府県税でございますね。
 そういうことになるんでございますけれども、もう少し細かく申し上げますと、例えばその中で、法人関係税でございますところの法人事業税は、これは九%ぐらい減るかな、それから、現在の利子の状況というのは、これは大変下がっているわけでございますから、そういった利子割ですね、県民税の中の利子割、これは四〇%ぐらい減る、こういうようなことを前提にして税収を見積もっているわけでございます。
○岩垂分科員 去年、実は神奈川県の長洲県知事が議会でこういう答弁をしているんですね。県税収入が大幅に落ち込んでいるのに、国の法人事業税見込みは二六%増、こういう計算でいうと、去年ですよ、去年既に交付団体にしておかしくないんじゃないかという発言をなさっておられます。私はこれは一つの理屈だと思うのです。これについてどんなふうにお考えになりますか。
○湯浅政府委員 地方交付税の額を決定するための基準財政需要額、基準財政収入額を各自治体ごとに計算をいたしますのは八月末ということでございまして、その時点におきまして、地方財政計画に見込まれた額というものを基礎にいたしまして、各地方団体ごとに基準財政収入額の計算をしてもらうわけでございます。その場合に、現実の税収と基準財政収入額の基礎となりました額というものとの間に、これはやはりある程度の差は出てまいるわけでございまして、特に法人関係税につきましては、その差が景気の動向等によりましてかなりぶれることがございます。
 そういうものは、基本的には翌年度以降、法人関係税については収入の精算をするということをやっているわけでございまして、この精算によりまして、昨年、もし基準財政収入額が過大であれば、それを、その過大であった分を翌年度以降で調整をする、精算をする、こういうような形で措置をしているわけでございますが、昨年の場合には、御指摘のように非常に年度途中から税収が落ち込んできたというようなことがございますので、この減収分については、特に減収補てん債、地方債でございますが、税の減収補てん債の発行を措置をいたしまして、この発行額につきましては、翌年度以降その元利償還金につきまして交付税の基準財政需要額に算入するという措置を講ずることによりまして、昨年の場合にはそういう措置も講じたわけでございます。大きく基準財政収入額と実績との間に差が出てきた団体におきましては、この減収補てん債を昨年の場合には発行するという措置が講じられたわけでございます。
○岩垂分科員 見込みが二六%増で実態が二〇・〇%ぐらいのマイナスなんですね。これは大変でかいのです。確かに減収補てん債、二、三日前に御決定をいただいたことは承知をしております。しかし、こういう状態が続いているわけですよ。これまた来年もそうだろうと私は思います。それは後で御質問も申し上げましょう。
 そうすると、一般論として言えることは、東京都は別として、神奈川県それから大臣の愛知県それから大阪などというものは、今は不交付団体だけれども、どうも減収補てん債を引き続いて来年もということになれば、ことしもということになるんですか、会計年度でいえば来年ですけれども、そういうことになれば、これはやはり何か考えなければならぬだろうと私は思うのですよ。その意味で、変動の可能性というのがあるというふうに受けとめてよろしゅうございますか。
○湯浅政府委員 明年度の地方交付税に関しましては、地方財政計画を今、国会に御提出いたしまして、これを基礎にいたしまして地方交付税法の改正を今御提出しているわけでございます。先日本会議で御審議をいただきまして、これから御審議をいただくということでございまして、この中に、改正案の中で基準財政需要額の算定をどうするかという問題等が入っているわけでございますので、今ここで軽々に、それぞれの個々の地方団体について予測をするということは、これは差し控えなければならないのじゃないかというふうに考えているわけでございます。
 ただ、過去のことを申し上げるならば、それぞれの今御指摘のような自治体におかれまして、不交付団体が交付団体になったこともございますし、また、交付団体から不交付団体にまたなったというような、そういう変遷があったことも事実でございますけれども、明年度に関しての問題につきましては、これはひとつ差し控えさせていただきたいと思います。
○岩垂分科員 そこまでくるとガードがかたくなっちゃって困るんだけれども、御案内のとおりに、神奈川それから愛知というのは自動車産業に依拠する分野が非常に大きいんですね。それから一神奈川、大阪というのは電機産業なんかの影響も非常に大きいわけです。それが軒並みに落ち込んでくるわけですね。
 特に、実はここ数日間、新聞を見ますと、日産の座間工場の事実上の生産ラインの閉鎖という問題が大きな問題になっていまして、例えば、おとといの横浜の市議会の本会議でも市長が、「これまで完成車四万台(平成三年)を横浜港から輸出していたこともあり、市内部品メーカーをはじめ、港湾業界にも影響が出る恐れがある」、その関連産業のことを考えるとまさにその影響ははかり知れないものがある、そういう答弁をなさっていらっしゃいます。肝心の座間は、これは税収の落ち込みなどで市税収入の大幅減が見込まれるなど、同市はかつてない厳しい財政難に見舞われている。これは横浜なりその周辺の地域の問題なんです。しかし、それはまさに自治体の市長が言っているように、極めて深刻な状態だというふうに受けとめざるを得ない。
 そういうことを考えますと、私はやはり法人二税の落ち込みというのは尋常ではないというふうに指摘をしておかなければならぬと思う。この点について自治省はどういう受けとめ方をなさっていらっしゃるか、お答えをいただきたいと思います。
○滝政府委員 確かに法人二税は、この平成五年度の税収見積もりでもそうでございますし、また、平成四年度の現在までの全国的な収入状況と申しますか調定状況を見ましても、当然のことながら現在の状況を反映した格好になっておりまして、非常に厳しい、こういうふうに私どもも見ているところでございます。
○岩垂分科員 今財政局長あるいは税務局長から、異常な事態だという認識をお聞かせいただいたことについては、それなりに私も受けとめたいと思います。先ほどから、不交付団体から交付団体になったこともあるといういきさつ、私、実はかなり前に、松浦さんが財政局長のときに神奈川県が交付団体になったいきさつがございまして、そんな関係があったものですからきょう質問をさせていただくことに自分で決めたわけですが、やはりそういうことを振り返ってみて、ぜひひとつその点をお考えいただきたい、交付団体入りのことを考えていただきたいということをあえて申し上げたいのです。
 実は、神奈川県の財政構造というのは、愛知もそうだし、大阪もそうだけれども、経済の動向に物すごく影響されるんですね。それだけに振幅も大きいのですよ。それで地方財政の運営自身が非常に難しい。いいときにはいいかもしれません。しかし、悪いときには本当に極端に落ち込むという可能性もあるわけでして、その上に、道路だとか公園だとか住宅だとかというのがどうしたって立ちおくれてくる。全国レベルにまでたどり着かなきゃいかぬから手当てをしなければいかぬ。そうすると、土地の値段はべらぼうに高い。しかし現実に土地の高いものは基準財政需要額でフォローしてくれるというわけにはいかないわけです。だから、そういう意味の重たい荷物も背負っていかなければならない。それから、神奈川県は、横浜と川崎が指定都市でございまして、義務的な経費は恐らく日本でも最も高いんじゃないんでしょうか。そういう状況というのをぜひひとつ御勘案いただきたい。
 こういう財政状況というのは、通常、当然交付団体になってもちっともおかしくないんだ、僕はそんな感じさえするわけですけれども、財政局長、その辺はどうです。
○湯浅政府委員 おっしゃるとおり、今不交付団体になっております四都府県は、税収構造が法人関係税に非常に偏っているという問題がございますから、今御指摘のように、景気の動向に非常に影響を受けやすい。都府県税全体がそうだと思いますが、その中で特にこの地域におきましては、法人二税の動向というものが景気にもろにぶつかってくるというようなこともございますので、今仰せのことがあることは、よく私どもも承知をしているつもりでございます。
 ただ、交付税というのは、交付税法に基づいた基準財政需要額を各団体ごとに積み上げていく、それと基準財政収入額というそれぞれの自治体の税収見込みというものとの相対の形でこれをとらえていくというものでございますから、現実の税収の動向と交付税の不交付、交付団体になるかという問題とは、これはひとつ切り離して議論をすべきところがあるんじゃないか。そういう意味で、今御審議いただいております地方交付税法の御審議を十分していただいて、その上で、それぞれの団体ごとの基準財政需要額、収入額を八月末までにきちんと計算をしていかなければならないというふうに考えているところでございます。
 まだ現段階ではいろいろな基礎数値というものがわからないわけでございますから、そういう段階で交付団体になるか不交付団体になるかというような問題について私どもから申し上げるのは、いささかまだ早いんじゃないかなという感じがいたしております。
○岩垂分科員 私、断定をしろと申し上げているわけじゃないのです。私は、その可能性が非常に強いなというような認識は持っていただきたいなという気持ちで申し上げているわけです。
 というのは、もうお示しをいただきましたけれども、神奈川県の交付税算定上の最も影響の大きな法人二税というのが、ことしで、前年度に比べて九百八十九億円、率にして二〇%が減収だ。さらに来年度は五百五十四億円、率にして約一五%の落ち込みだ。しょうがないから六年ぶりに五百億円という交付税を当てにしたわけです。
 というのは、もう御案内のことだと思いますけれども、県債というのは当初で千七百億を超えて、この二年間で四千三百億、残高総額でいうと九千三百億になっている。県民一人当たりで十一万円。これは県の財政の硬直化の大きな理由になると私は思うのです。その上に、皆さんの御指導で財政調整基金というのをやってきた。八百八十億、全部崩しましたね。これはゼロになってしまったんです。という状態だから、やむを得ず五百億円ということになったわけです。だから、そういう予算の組み方自身についても皆さん御意見がおありかもしらぬけれども、やはり県の立場からいえば背に腹はかえられない形で、そういう形をとらざるを得なかったことについて十分な理解をいただきたいな、こんなふうに思いますが、財政局長、その点はどうですか。
○湯浅政府委員 私どもは、現段階におきましては、可能な限り明年度の財政計画に盛り込まれた内容についてそれぞれの地方団体の財政当局にその内容をお示ししているわけでございまして、そのお示しした内容に基づいてそれぞれの団体が予算編成を行う、こういうことでやっているわけでございますので、その予算の内容につきまして、どういう歳入を組んだか、あるいはどういう歳出を組んだかということにつきまして私どもが一々コメントするということは、これは適当じゃないんじゃないか。
 ただ、こういう時代でございますので、私どもが特に今回お願いいたしておりますのは、やはり景気対策を踏まえて、歳出面におきまして地方の単独事業というものは積極的にやっていただきたいということは、これは一般論としてお願いをいたしました。この点については神奈川県におかれましても大変積極的な対応をしていただいたことについては、私は感謝いたしておりますけれども、その予算の具体的な内容につきましてコメントするということは、これはいかがなものだろうというふうに感じますので、この点につきましては御容赦願いたいと思います。
○岩垂分科員 大変苦労していらっしゃいますくらいなことは言ってもおかしくないと思うけれども、それ以上のコメントは、じゃ遠慮しましょう。
 基準財政需要額に対して収入額が不足をする場合は交付税で面倒を見ます、こういうことは当たり前のことですけれども、御確認をいただいた上で、大臣、この辺でやはり質問をしておきたいと思うのですが、どう考えても、四月、五月、六月、七月というぐあいに考えて、すぐ上半期で日本の景気が上向きになってくるというようなことを考えることは少し不遜だと思うのですね。いろいろな手当てをしてもやはり秋ごろというようなことがせめて言われている。それも見通しとしてはなかなか大変だ。しかも経済成長は三・三%と読み込んでみたもののどうなるかまだわからぬという状況のもとで、県民にしてみれば、一体どうなるんかいなという心配というのはあるわけですね。そういうときでございますから、率直に言って大臣は愛知のことをお考えになるかもしれませんけれども、それはこっちへ置いておいて、どうか神奈川のそういう状況についてぜひ注目をしていただきたい。不交付団体の三つの、東京を入れれば四つですが、そういう状況というものを含めて注目をしていただきたい。
 それで、申しわけないんですけれども、それは財政局長がおっしゃるように八月ですから、八月ですよというようなことはそれはしょうがないですよ。だけれども、大ざっぱな計算というのは出てくるわけだから、どうもこんな感じだよとか、こんな予感がするよというようなことをやっていかないと、受け身である県の財政の運営というものが、いろいろな意味で、減収補てん債で面倒見るからいいじゃないかということだけじゃ済まないと私は思うのです。その点を含めて大臣の御答弁を煩わせたいと思います。
○村田国務大臣 先ほど来岩垂委員の非常に御見識の高い御質問を承りました。私は問題点が二、三あると思います。
 一つは、東京都圏横浜市とか東京都圏川崎市とかいう、つまり東京の影響を著しく受ける自治体、これは例えば昼間人口、夜間人口の差を見ても、横浜は昼間人口は大阪より恐らく少ないだろうと思います。ところが、夜間人口は大阪より多いんですね。日本第二の都市です。御指摘のように川崎も政令都市でございます。そういう東京圏の中のいろいろな影響を受ける点はどうだということ。
 それから神奈川、愛知と二つ並べておっしゃいました。これはもう私よくわかるんです。愛知県、名古屋市も交付団体になるかならないかという差でございますから、御指摘になった点はよくわかっておりまして、今のような非常に不況なときに、一体これにどういう心持ちで対応すればいいかということでございます。
 それから第三点は、具体的にお述べになりました座間工場の閉鎖に伴う措置でございます。
 これらの点は、ぜひお答えを申し上げなければいかぬなと思って承っておりました。
 景気不況に伴う今後の対応というのは、これはもちろん基準財政需要額、基準財政収入額の差で交付税は対応するものでございますから、基本的には岩垂委員の御指摘のとおり対応するわけでございます。それで自治省は、交付税、地方債等いろいろな仕事を処理しておりまして、広範に対応できる立場でございますから、せんだっても神奈川の知事にもお会いしてそのことを申し上げたのですが、いわゆる単独事業の伸ばし方についてもいろいろ御配慮をいただいておるようで、その点は私は敬意を表しております。そういった点で、景気不況に伴う具体的措置については、交付税そして地方債などで個々に十分御相談に乗りたいと思います。
 それから、座間のことは、これは自動車産業、電機産業の例を挙げて愛知との対比で非常に適切なことを言われました。おっしゃるとおりで、こんなような時期になると余計考えなければならない面が多々あると思っておりまして、これは日本全体の問題でもありますとともに、神奈川県や愛知県のようないわゆる財政的には有力団体と見られておるところの問題でもございます。心して委員のおっしゃる対応をやっていきたい、このように思います。
○岩垂分科員 ありがとうございました。個々に相談していくということでございますから、県民の不安というものについて何か一定のお答えをいただいたような感じがいたします。
 せっかく文部省からお越しをいただきましたものですから、最後の一つなんですが、交付税だけでなくて、義務教育職員の国庫負担金あるいは地方道路譲与税なども財政調整を受けているわけですが、交付団体になればこれは自動的に削られるということで考えてよろしいか。大体、私どもの方は百五十億ぐらいというふうに読んでいますが、数字としてどうかということの御答弁を、一問だけですが、お答えいただきたいと思います。
○御手洗説明員 お答え申し上げます。
 仮に交付税の交付団体ということに決定が決まりますれば、その時点で当然、義務教育国庫負担金は増額して支払うことに相なろうかと思います。金額的には、現時点での推計でございますけれども、御指摘のとおり百五十億円程度になろうかと思っているところでございます。
○岩垂分科員 どうもありがとうございました。
○臼井主査 これにて岩垂寿喜男君の質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして自治省所管についての質疑は終了いたしました。
○臼井主査 次に、文部省所管について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。遠藤和良君。
○遠藤(和)分科員 私は、短い時間にたくさんお聞きしたいことがございますものですから、大変恐縮でございますが、御答弁はできるだけ簡潔にお願いを申し上げたいと思います。
 まず最初に、私の地元の徳島大学の整備充実からお伺いしたいと思います。
 今、総合科学部というのがあるんですけれども、これがことしの四月一日から教養部と統合再編成を行う、こういうことは既に明らかになっているわけでございますが、その問題とともに、今後この総合科学部というものがどのように展望されるのか、この辺からお聞きしたいと思います。
○遠山(敦)政府委員 徳島大学におきましては、かねてから教養教育のあり方を含めました教養部改組について検討してまいったところでありまして、その成果を踏まえまして、このたび教養部を改組して、教養教育と専門教育の有機的な関連性に配慮した四年一貫教育を目指す体系的な教育体制の確立を図るということと、教養部のマンパワーを活用して既設の総合科学部の学科の改組を行って、その充実を図ろうとするものでございます。このたびの改組は、徳島大学におきまして学内での意思統一も図られて行うものでございまして、適切な方向と考えております。
 今後のことについてというお話ではございますけれども、このたびそういう形で総合科学部が充実されるということでございますので、その推移を見守りたいと思うところでございます。
○遠藤(和)分科員 地元では有識者の懇談会等を行いまして、この総合科学部というものをあるいは徳島大学というものをどのように地元の要望にこたえたものにしていくかという意見を学長さんがお求めになっている。そこで出る意見はいろいろありまして、中でも、この徳島大学には法文系の学部がないものですから、その学部を新設してもらいたいという意見が大変根強くあります。
 この総合科学部というのは、この発足のときに私も質疑したのですけれども、何か寄せ集めのような感じでございまして、その存在感がいま一つ希薄でございまして、将来総合科学部というものが発展的に法文学部の方に行くのか、あるいは法文学部を新しくつくっていくのか、この辺の意識というものをやはりぜひ鮮明にしてもらいたい、こういうのが地元の声としては強いのでございますが、その辺について文部省はどのように考えているのか、これを聞きたいと思います。
○遠山(敦)政府委員 このたびの総合科学部への改組におきまして、その学部の中に人間社会学科と自然システム学科というものが設けられる予定でございます。このような形で、発展的に総合科学部が充実されるということでございます。
 これからのことというふうにお話してございますけれども、やはり現下の深刻な行財政事情あるいは今後の十八歳人口の推移等を勘案いたしますと、十分慎重に対応せざるを得ないと考えているところでございます。
○遠藤(和)分科員 ぜひそうした地元の要望というものも念頭に置きまして、この大学のさらに将来計画というものを大学とともに協議をしていただきまして、御討議を願いたいと強く要望しておきます。
 それから、工業短期大学部が今度工学部に転換移行するということなんですが、これは新しい学部が夜のコースと昼のコースがありまして、夜のコースは百人で、昼は六百十五人で、合計七百十五人になるのですね。現在は工業短期大学部の定員というのは二百四十あるのですね、夜ですが。工学部の定員が四百七十五ですから、夜間コースが百四十減って、昼間のコースが百四十ふえるという差し引き勘定になりますね。これで不都合はないのですか。
○遠山(敦)政府委員 徳島大学工業短期大学部におきましては、長年勤労青年等の教育についての実績を持っているわけでございますけれども、近年、教育需要の高度化等の社会的状況の変化に伴いまして、現在の教育体制の一層の発展充実と、より高度な専門教育の実施ということについて強い要望が寄せられてきたところでございます。
 このような状況を勘案いたしまして、来年度におきまして、工業短期大学部を発展的に解消して、工学部における主として夜間に授業を行う履修コースとして転換を図っていくということでございまして、定員の分け方等につきましても十分大学内でも詰められたことでございまして、私どもとしては、今後こういう形で整備されれば工学部の教育研究も発展するものと考えているところでございます。
○遠藤(和)分科員 それで、入学試験は何か夜間コースの人は別にやるということですが、卒業は全く同じ資格である、こういうふうに伺っているのですが、そうなると、入学は夜間コースで入って昼間の方に転換する、こういう出入りというものはどのように考えているのですか。
○遠山(敦)政府委員 御質問の趣旨、やや明快に理解してない面があるかもしれませんけれども、夜間主コースについての入試の方法とそれから昼間の学部への入試の方法について、現在考えられております方策によって入試が行われて、それを受けられました場合に、卒業する段階で同じく学士ということになることは御指摘のとおりでございます。
 今まで工業短期大学部三年間のコースを終えますと、これは短期大学部ということでございますから、新しく準学士をもらえるということではあるわけでございますけれども、今後四年制の大学の中に、その定員の枠内で四年制の中に組み込まれることによりまして学士の学位を取得することができるということでございまして、これまでよりはより広く開かれた仕組みになるというふうに考えております。
○遠藤(和)分科員 ちょっと詳しく、もっとはっきり聞きたいのですけれども、入学試験のこの点数というのは別になるわけですね。全く同じですか。そうすると、卒業証書というものは全く同じだと聞いているのですけれども、この入り口と出口が違うのですか。どうなっているのですか。
○遠山(敦)政府委員 夜間主コースということで、試験の際には夜入試を行うということでございますけれども、入学のレベルにおきましては同じというふうに考えております。
○遠藤(和)分科員 了解しました。
 それから、全国に工業短期大学部というのがたくさんあるのですけれども、今後もやはりこういう方向で工学部の中に編入していく、こういう考え方になりますか。
○遠山(敦)政府委員 それぞれ各大学におきましては、現在の社会における教育需要の変化ということに伴いまして、それぞれ検討されまして、より高度の専門教育の実施とか技術者の養成あるいは再教育に積極的に対応するという姿勢で各大学は臨んでいるところでございます。
 このような現状にかんがみまして、夜間短期大学を併設する国立大学におきましては、夜間短期大学部を発展的に解消して、大学学部の主として夜間に授業を行う履修コースヘの転換を図る例がふえているところでございます。
 いずれにいたしましても、文部省といたしましては、今後とも進学動向あるいは各大学の自主的な検討状況を踏まえながら、適切に対応してまいりたいと考えております。
○遠藤(和)分科員 では、医学部の附属病院の話を聞きたいのですが、この徳島大学の附属病院というのは大変歴史のある病院なんですけれども、大変老朽化が進んでいるのですね。ぜひ再開発を行いたいと言うのですけれども、かなりお金もかかるし時間もかかるということでございまして、これはいつから始まってどの程度の全体計画を考えているのか、ここから聞きたいと思います。
○吉田(茂)政府委員 徳島大学医学部附属病院の再開発、御案内のように昭和四十年代に建築された建物も多いということで、徳島大学で二十一世紀を見通した大学病院として整備を行いたいということで再開発計画の検討を進めておるところでございますが、文部省といたしましては、将来の患者数あるいは疾患の度合い等を踏まえました病院の規模あるいは組織等のあり方、こういった再開発計画に関して検討すべき課題も多いことでございますので、今その内容について大学側と協議を行いっっあるところでございます。
 そういうような状況でございますので、現段階でいつからということについては申し上げるのは困難な状況でございますが、この協議をさらに続けてまいりたい、こう考えております。
○遠藤(和)分科員 いつから始まるかわからないけれども、そういう構想は持っている、このように理解をさせてもらいます。
 その全体構想とは別に、現在ある病院の中のいわゆるニューメディアを使った高度情報システムだとかあるいはインテリジェント化をいたしまして、患者のサービスを向上していく、待ち時間を少なくするとか、こういうことは早急にやるべきではないのか。私も大学病院に参りましていつも思うのですが、いつも朝十時ごろから行って、実際に診察が始まるのは午後二時ごろで、病院に行くのは元気な人しか行けない、そういう状況があるわけでして、早く機械化をしてその対応を適切に行っていく、患者の流れを早くしていく、こういうことは大変大事なことだと思うのですけれども、その辺は具体的にいつから着手されますか。
○遠山(敦)政府委員 徳島大学医学部の附属病院の再開発整備計画の中に、今御指摘のようなインテリジェント化と申しますか、地域医療機関との情報ネットワーク等も含めまして、そういうことについての整備ということもうたわれているわけでございます。したがいまして、全体計画の遂行とともに、そういうことも整備されていくものと考えるところでございます。
○遠藤(和)分科員 考えるばかりじゃなくて、早く踏み切ってほしいのですね。本当にそういう地域の皆さんの声が大変多くて、大学病院が今度特定機能病院になると思いますけれども、そうした場合に地域の医療機関とのネットワークということまで考えまして、大学の中だけではなくて、広く地域に展開した地域の中核病院、親病院としての機能を発揮していくような整備をぜひやっていただきたい、これを強く思うのでございますが、そういう視野に立ってこの大学病院の整備充実を図っていく、このように明言していただけますか。
○遠山(敦)政府委員 そういう方向で現在検討が進んでいるところでございます。
○遠藤(和)分科員 厚生省にも来ていただいておりますので、お聞きしたいのですが、いわゆる高度先進医療の問題でございます。
 この特定機能病院に指定された後の話でございますが、例えば今、徳島大学で生体部分肝移植、この研究を進めているわけでございますが、実際の手術をした例が今ありません。五例なければこの高度先進医療の認定を受けられないというところがあるわけですね。ところがこれは、それを受けられるまでは保険が使えませんから、一回一千万円ぐらい、膨大な経費がかかる、こういう問題があるのですが、何か厚生省は、特定機能病院に認定された後は、高度先進医療に対して、そういう症例がなくともその特定機能病院に限って高度先進医療の認定を行う、このような構想があると聞いていますけれども、それを具体的に教えてください。
○篠崎説明員 御指摘の点でございますけれども、今般の医療法の改正を受けまして診療報酬の改定を四月一日から行うわけでございますが、その中で、先生御指摘のように高度先進医療技術の中で特に特定機能病院におけるものにつきましては、原則として実績、症例がなくても申請を受け付けることといたしておりますが、原則としてと申し上げておりますのは、あくまでも中医協の専門家会議で、その機関においてその技術がまず大丈夫であろうというような判断のもとに認められた場合にそういうことになるということでございます。
○遠藤(和)分科員 今は一般論の話でございますが、当然この徳島大学が考えている生体部分肝移植手術、こういうものもそういう審議の対象になる、このように理解してよろしゅうございますか。それからまた、全国で今展開されております人工内耳の問題も、今数カ所の病院に限られておりますけれども、これが特定機能病院の耳鼻科を持つところ、ここは全部そういう対象になる、このように考えてよろしゅうございますか。
○篠崎説明員 今申し上げましたように、人工内耳あるいは生体肝移植ともに高度先進医療として申請をいただきまして、その申請に基づいて専門家会議で個別に御判断をいただく、こういうことになっておりまして、その結果によって妥当となればそういうことになるわけでございます。
○遠藤(和)分科員 最初に申し上げましたとおりたくさん聞きたいことがございますので、ちょっと早目にさせていただきます。
 鳴門教育大学のことですが、ここに養護学校教員の養成課程がないのですね。前に徳島大学の教育学部の中には定員二十人の養成課程がありました。それがこの教育学部はなくなってしまったものですから、今徳島県では養護学校の教員を養成するところがありません。したがって、養護学校では新しい教員を採用することができない、こういう状況になっているわけですが、この鳴門教育大学の中に養護学校教員の養成課程をつくるべきだと考えますが、どうですか。
○遠山(敦)政府委員 御指摘のとおり鳴門教育大学の学校教育学部におきましては、学部段階では養護学校教員の養成を目的とする課程はないわけでございます。ただ、では全く機会がないかと申しますとそうではございませんで、養護学校教員の資質向上に対処いたしますために、大学院に障害児教育専攻を設置いたしております。これは入学定員三十人でございますけれども、修了者は養護学校の教諭専修免許状あるいは一種免許状が取得できるところでございます。
 学部段階においても養護学校教員を養成するための課程を置くべしというふうな御主張のようでございますけれども、現在学内におきましては、養護学校教諭免許の取得が可能となるように課程の認定を申請しようということで検討中であると聞いているところでございます。
○遠藤(和)分科員 過去六年間にさかのぼりますと、大学院の方ですけれども、三十三名行ったのですけれども、そのうち十九名が既に免許を持った人なんです。したがって、全く新しく免許を取ったのは十四名にすぎないわけですね。例えば今まで徳島大学教育学部の中では毎年二十人出していたわけですから、それが六年間で百二十人でしょう。大学院の方は十四名しか六年間で出していないわけです。
 ですから、現場では養護の専門教育を受けた教師が非常に足りない。また、父兄の中からもそういう方々を養成するところをぜひ徳島県内につくってほしい、こういうことでございますから、今何か学校教育学部では養護学校教員の免許状が取得可能となるようなことを考えているということでございますが、これで十分需要を貯えますでしょうか。
○遠山(敦)政府委員 徳島県内におきます養護学校教員の需要がさほど多くはないということもございます。さらには、児童生徒数の減少もございまして、教員養成学部卒業者の教職への就職率が低下している傾向にもございます。そのようなことで新しく教員養成課程の設置をするということは大変難しい状況にあるわけでございまして、当面、課程認定を通じまして、学校教育学部におきまして養護学校教員の免許が取得できるような道を開くということで地域の要請に対応してまいりたいと考えております。
○遠藤(和)分科員 需要が少ないとおっしゃいましたけれども、実際私のところに養護学校の先生からたくさん手紙をいただいておりますし、具体的に父兄の皆さんからもそういう要望があります。ですから、文部省は東京で考えているのではなくて、たまに徳島にもいらっしゃいまして現状をよくお聞きになりまして、どうか大学の方でそうした方々がきちっとした形で養成できるように少し力を入れて考えてもらいたい、このことを要話しておきます。
 それから、高等学校の話ですけれども、徳島県は平成七年に川北高校というのを新しくつくりたいということで計画を立てているようですけれども、まだ用地が確定しておりません。これを早くつくりたいということですが、私は、せっかくつくるのであれば、これから学校五日制だとかあるいは生涯学習だとか社会教育というものを視野に入れて、学校施設が高校生だけのためのものではなくて地域の皆さんのためにも開放できるようなことを考えながら設計をしていくべきである、このように考えるのですけれども、この川北高校の開校並びに学校施設に対して、文部省からも県の教育委員会等にそういったアドバイスのようなものをぜひお願いを申し上げたいと思いますが。
○吉田(茂)政府委員 文部省では、学校が学習生活の場として安全かつ健康的であるということが非常に大事であると思いますので、こうした観点から校地計画に当たってのいろいろな校地の環境の問題あるいは通学環境等について適切に校地を認定するように指導してきておりますし、さらに御指摘のように、地域の生涯学習のための役割を果たすことはこれからますます大きく期待されてくるというふうに考えておるわけでございまして、地域の実情等に応じて生涯学習の場として活用が図られるよう配慮すべきものと考えておるわけでございますが、御指摘の件につきましては、基本的に設置者でございます県においてまず御判断があろうかと思うわけでございます。今後、徳島県等から個別の御相談があれば必要な御相談に応ずる、指導を行うというようなことで対応してまいりたいと思っております。
○遠藤(和)分科員 生涯学習センターというものを全国につくりましょうということを文部省から全国に呼びかけていらっしゃるわけですけれども、まだ徳島県は具体的な構想がないのです。したがって、やはりこれから生涯学習センターというものを一つの中心拠点といたしまして、公的な学校施設を開放してそうした生涯学習が行えるようにネットワークを結んでいく、こういうことも大変重要ではなかろうかと思いますけれども、この件どうですか。
○吉田(茂)政府委員 御指摘のように地域の学習事情に応じまして施設の開放を進めるというような生涯学習センター的な、生涯学習の場としての活用を積極的に推進することができるように配慮してほしいということは、学校施設整備指針、これは昨年の三月に通知をしておるわけでございますが、そこにおいて指摘をし、指導しておるところでございまして、このような観点からの指導を我々としては続けていこうと考えておるところでございます。
○遠藤(和)分科員 細かい話で恐縮ですが、この間私の母校の加茂名中学校と加茂名小学校に行ってまいりましたら、校長先生から特に頼まれてきたものですからこの機会にお願いをしたいのですが、加茂名中学校の体育館というのは大変古いのです。私が卒業したときにつくったものがいまだに残っていまして、小さくて老朽化が激しいものですからぜひ改築をお願いしたい、あるいは小学校の給食の調理場が本当にみすばらしいものでございますので、この改築もぜひお願いしたい、これをぜひ文部省にも声を届けてください、こういうふうな校長先生からのたっての御依頼だったものですから一言言わせていただきたいのですが、御検討くださいますか。
○井上(孝)政府委員 まず加茂名中学校の体育館の改築についてでございますが、加茂名中学校の屋内運動場につきましては、老朽化に伴いまして平成五年度に改築を行う予定であるということをお聞きしているところでございます。
 改築事業に対する国庫補助につきましては、新年度におきまして具体的な事業計画等の申請を待ちまして、適切に対処させていただきたいと考えております。
○奥田政府委員 加茂名小学校の調理場の改修の問題ですが、先生御案内のように、調理場を開設する場合だけではなくて、一定の要件を満たす改築の場合にはお手伝いをさせていただいているところでございます。お話しのごの小学校の改築計画については、現在徳島県の教育委員会にまだ相談が上がっていない。したがって、私どももお話を承っておりません。将来、お話がありました段階で検討させていただきたいと思います。
○遠藤(和)分科員 どうぞよろしくお願いします。
 それから、徳島県の教員採用試験は、数年前に不祥事がございまして、時の教育長が逮捕される事件があったわけでございますが、私は、この採用試験のあり方と申しますか、制度そのものをもう少し変えていく必要があるのではないか、このように常々思っております。
 そこで、徳島県の教員採用試験のあり方について、文部省は今どんな感想を持っているか、この点を聞きたいと思います。
○井上(孝)政府委員 教員の採用につきましては、文部省といたしましては、教員としてふさわしい資質、能力を備えた人材を確保していくことが重要であると考えているわけでございまして、したがって、採用選考試験における選考方法の多様化や採用内定時期の早期化などについて、各都道府県教育委員会を指導しているところでございます。
 私どもとしては、徳島県につきましてもこのような観点から、採用選考試験におきましては公正に優秀な人材を確保するように指導しているところでございまして、今後とも適正な採用試験が行われることを指導してまいりたい、このように考えております。
○遠藤(和)分科員 文部大臣に聞きたいのですけれども、私たちが全国の父兄の皆さんと教育の懇談会をしたときに寄せられる声は、教師の当たり外れという言葉です。教師は一年間だから外れても一年間我慢すればいいが、親の方は我慢できないということを言っているのですが、実際そういう声が大変強いのでございます。それで、当たりの先生はどういう先生ですかというと、必ずしも教員採用試験にトップで合格した人ではないのです。むしろ努力をされて人間的にも磨かれた方々が児童に人気があるのです。成績のいい人は、何でこんなことがわからないのと言って怒るものですから、人気がないわけです。
 ですから、採用試験で成績のいい人はむしろ教師にならないで研究職か何かになったらどうですかと誘導するとか、競争試験で上から採るのではなくて、本当に教師にふさわしい人をどのような形で選考していくかということが大変大事な問題だと思うのです。例えば年齢制限の緩和などもそうですが、教師を天職だと考える人は幾つになっても、いつでも機会が均等で教師の採用試験を受けられるとか、こういうふうなものにしていくことが大事ではないかと思うのですけれども、文部大臣の御所見を聞きたいのです。
○森山国務大臣 おっしゃいますとおり、教育は人だと言われておりまして、教員に立派な人、適性のある方を得るということが非常に重要なポイントだと思います。そういうことに確かに問題があった面もございまして、その点について常に改善の努力をしているところでございます。最近では、教員採用につきましても、単に成績だけではなくて、それぞれの教員の資質、能力、さまざまな面から検討いたしまして、本当に教育者としてふさわしいか、そういう場で使命感を持って一生懸命やってもらえるかどうかということを多角的に検討させていただいて決定している、そういう努力を積み重ねているところでございます。
 先生のおっしゃるような問題点が全くなくなったとは言い切れないかもしれませんが、これからもできるだけ立派な人材が教育の現場で一生懸命に努力していただけるように、あらゆる点で私どもの方も努力を重ねていきたいと考えております。
○遠藤(和)分科員 時間が来ました。最後に一つだけ大臣にお願いしたいのですけれども、いわゆる私立学校の入学金の返還の問題です。聞きますと、大学をたくさん受けるのですね。受かりますと、親御さんはむだにならないように入学金を納めるわけです。ところが、納める時期が大学によってみんな違うものですから、例えば五つ通るとみんな納めてしまう。ところが、行くのは一つです。四つの入学金は返還されない、こういう問題があります。
 これを構造的に考えてみると、どうも文部省が私学の助成金を減らしているから、私学は学校を経営するためには文部省からもらわないものだから受験生から巻き上げている。巻き上げているという言葉は余りよくないのですけれども、受験生から補助金をいただいている。その入学金が私学の経営の基礎になっている部分があるのです。これをどうするかという問題は大変大事な問題なのですけれども、せめて入学金を所得控除の対象にするとか、寄附金控除の対象にするとか、そんなことを文部省としては大蔵省に働きかけていくのも一つの案ではないのかなと思います。入学金の納付期限を延長して、一校だけ納めればいいというシステムにするのが一番望ましいのですけれども、そうすると私学が倒産する、こういうふうなことを言われます。ここは何とか知恵を出すべきではないのか、このように思いますが、この問題について教えてください。
○森山国務大臣 入学金というのは、先生おっしゃいましたとおり、学校の側から見ますと、何人の学生が確保できるかということを見きわめなければならない、そのための有力な材料になりますし、また学生の側から見ますと、必ずその学生として受け入れてもらえるという確認ができるということで、両方ともにそれぞれの意味を見出している制度だと思います。確かにおっしゃいますような問題点がないことはないのでございますけれども、今最初に申し上げたような入学金の性格から申しまして、返還しないという取り扱いはやむを得ないかなと思うわけでございます。具体的には個々の大学の判断にお任せしているわけでございます。中には返還されるところもあるやに聞いております。
 また、文部省といたしましても、入学金ばかりでなく、初年度にはいろいろほかのものも合わせて相当親御さんにとっては物入りでございますので、初年度の学生が納付いたしますお金のうち、少なくとも授業料とか施設整備費などにつきましては合格発表後直ちに納入させるというような取り扱いは避けるようにということを指導しておりまして、かなりの改善を見ていると思います。
 私学に対する助成につきましては、従来からも努力を続けてまいっておりますが、五年度につきましても、財政厳しい折でございますけれども精一杯の努力をいたしまして、これからも推進していきたいというふうに考えておりますので、御理解いただきたいと存じます。
○遠藤(和)分科員 終わります。ありがとうございました。
○臼井主査 これにて遠藤和良君の質疑は終了いたしました。
 次に、神田原君。
○神田分科員 私は、教員給与の改善等を森山文部大臣にお伺いをしたいと思っております。
 このごろ教育学部を出ても学校の先生になるというのは非常に少なくなってきて、年々低下をしておりまして、平成三年では半分ぐらいというような統計も出ております。この原因につきましてはいろいろありますが、やはり優秀な人材を教員として確保していくということは国家的にも大変大事なことでございますので、以降そういう面で御質問をしていきます。
 学校教育の水準の維持向上のための義務教育諸学校の教育職員の人材確保に関する特別措置法というのが第七十一回国会で成立をいたしました。この内容は、申すまでもなく、「学校教育が次代をになう青少年の人間形成の基本をなすものであることにかんがみ、義務教育諸学校の教育職員の給与について特別の措置を定めることにより、すぐれた人材を確保し、もって学校教育の水準の維持向上に資することを目的」としていること、二つ目に、「義務教育諸学校の教育職員の給与については、一般の公務員の給与水準に比較して必要な優遇措置が講じられなければならない。」こととし、この趣旨に沿って、人事院は、義務教育諸学校の教育職員の給与について、国会及び内閣に対し、必要な勧告を行わなければならないということ、三つは、国は、義務教育諸学校の教育職員の給与の優遇措置について、計画的にその実現に努めるものとしていること、四つに、人事院は、義務教育諸学校の教育職員の給与上の優遇措置の計画的実現のための給与の改善が遅くとも昭和四十九年一月一日から行われるよう、国会及び内閣に対して、必要な勧告をしなければならないこと、こういうことで始まりまして、昭和五十四年まで四回にわたって給与の改善等が行われました。しかし、なかなかそれから以降はこの義務教育等教員特別手当の改善問題は進展をしておりません。こういう状況でありますが、文部省としてはどういうふうにお考えでありますか。
○井上(孝)政府委員 ただいま先生から御指摘のとおり、昭和四十九年にいわゆる人材確保法が制定されまして、義務教育諸学校の教育職員の給与について特別の措置を定めることによりまして、教育界にすぐれた人材を確保して学校教育の水準の維持向上を図ることを目的とした給与改善が行われたわけでございます。この法律に基づいて、昭和四十九年から昭和五十四年までに一般の公務員の給与水準に比較して優遇されるよう計画的な改善が行われまして、約二五%の引き上げが図られたところでございます。
 その後の教員の給与水準につきましては、一般の公務員と比較した場合、人材確保法に基づく給与改善のうち、先ほど先生から御指摘がございました義務教育等教員特別手当が定額であること、また、一般の公務員については昭和六十年に職務の複雑・専門化に伴いまして新たに職務の級が設けられたことなどから、相対的に低下している状況にあるわけでございます。
 文部省といたしましては、教職にすぐれた人材を確保して学校教育の水準の維持向上に資するために、教員の給与改善を図ることは極めて重要なことと考えており、また、人材確保法による給与改善の完成時における一般の公務員の給与水準に対する教員の給与水準の優位性はその後も維持されることが人材確保法の趣旨に沿うものと考えているところでございます。
 このような観点から、義務教育等教員特別手当を含む教員給与の改善につきましては毎年人事院に対して要望しているところでございまして、その改善について今後も引き続き文部省としては努力をしていきたいと考えているところでございます。
    〔主査退席、鴻池主査代理着席〕
○神田分科員 人事院おられますね。人事院は、文部省等の要求について人事院独自にいろいろな解釈もして、また文部省にそういう措置をとるように要望しているようでありますが、その辺をお聞かせをいただきたいと思います。
○大村説明員 教員の給与につきましては、先ほど先生がおっしゃいましたように、人確法の趣旨に基づきまして、昭和四十九年以降、三次にわたる計画的な特別改善、これは給与水準の引き上げとか、それから初任給の改善とか、それから教頭の法制化に伴う等級の新設、それから教員特別手当、部活動手当、主任手当等の新設が行われてきたわけでございます。
 そのうち、先生御指摘の義務教育等教員特別手当につきましては、人確法におきます第二次改善、これは昭和五十年の際にそういった一つとして設けられたものでございます。その趣旨につきましては、教員給与の改善を俸給だけで行うということになりますと、いわゆる特別給とか退職手当とか、そういうことに直接的にはね返る関係もございまして、公務部内のそういう均衡等の面で問題を生ずるということで、手当として措置したものでございます。
 それからもう一方、この手当を定額制にしたというのは、人確法の趣旨を尊重する一方で、公務部内の均衡を留意しながら教員給与の改善を図っていくためには、定率制という固定的な仕組みというのは適当ではないだろう、俸給を含めて全体的に判断していくべきものであろうということで、定額制ということで措置したものでございます。
 その後、人事院としましては、毎年の給与勧告に当たりまして、この人確法の趣旨を損なわないように、俸給表上行政職(一)、これは一般の事務でございますが、に対する教員の優位性を維持しているところでございます。しかしながら、この特別手当が定額制であるということから、この手当を含んだ教員給与の行政(一)に対する関係で見ますと、人確法による改善直後に比べれば、傘としての差は縮小しているということは否定できないところであると思っております。ただ、それが直ちに人確法第四条の趣旨に外れるかどうかということについては、そういうふうには我々としては現在判断していないところでございます。
 今後のこの関係でございますが、従来の経緯を踏まえまして、教員の処遇について引き続き遺漏のないように適切に対処していくつもりでございますが、ただ、人確法以後におきまして、人確法で教員が上がった関係で公務部内にいろいろなバランスを失する部分が出てきまして、そういうところをそれぞれ手直ししていきまして、現在その中で、公務部内において非常に安定的な関係にあると言える状況かと思います。こういう中で教員だけを特別に改善するということになりますと、これは人確法のときもそうでございますが、関係各方面の支持と納得が不可欠でございます。
 こういうことをやります上におきましては、先ほど言いました人材確保の現状や、それから小中学校の先生方というのはほとんどが公立学校にいらっしゃいますので、こういう公立学校における給与水準、こういう実情等を踏まえた上で、人確法上の措置のあり方についての関係者の共通認識が形成され、財政的な計画もされるなど、環境整備が整えられることが先決ではないかというふうに今考えているところでございます。
○神田分科員 定額制であるということがやはり問題なんですね。ですから、相当目減りがしているという状況であるようであります。今後どういうように義務教育の教員特別手当の改善を含む教職員給与の改善を図っていくのか、文部省の方からお考えを示していただきたいと思います。
○井上(孝)政府委員 文部省といたしましては、先生御指摘のように人材確保法の趣旨を踏まえまして教員の給与改善を図っていくという考え方をとっているわけでございますので、そのような観点から、義務教育等教員特別手当を含む教員の給与改善につきましては、今後とも人事院に対して要望をするとともに、関係省庁とも十分協議をしながら検討をさせていただきたい、このように考えておるところでございます。
○神田分科員 人事院の方では、財政的なこと、客観的な環境づくり、そして今後勧告をした場合にはそれが確実にできるという方針で、文部省が中心になって関係機関で事前に受け入れ態勢ができるようなことをしたらどうか、こういうことも言っておるのでありますが、その辺はどうでありますか。
○井上(孝)政府委員 ただいま先生からお話がありましたような観点から、関係行政機関とも協議をし、その具体的な方策等を含めて十分検討させていただきたい、このように考えております。
○神田分科員 これは大変大事なことでありますから、積極的に教員の待遇改善の問題について取り組んでいただけることをお願いをしたいと思っております。大臣の一言を。
○森山国務大臣 先生がおっしゃいましたとおり、教育の現場における人材の確保というのは大変大事なポイントでございまして、そのためにこそ昭和四十九年の法律もできているわけでございます。その趣旨を十分踏まえまして、これからもいろいろな面で努力をしてまいりたいと思います。
○神田分科員 次に、教諭の三級昇格制度と管理職手当問題につきまして御要望いたします。
 自民党の部会でもこういうことについてのいろいろな要望があったわけでありますけれども、我々としましても、昭和五十年三月二十五日の「教員給与体系の改正に伴い、一般教諭についても一定の資格と教職経験年数を勘案して一等級(現三級)を適用できる途を開くこと。」という附帯決議があります。
 人事院でも昭和五十一年の給与勧告の報告において、「豊富な教育経験と優れた教育実績をもつ教諭で、職務の等級上の評価として特に教頭に準じて取り扱うことが適当と認められるものについては、教職の特殊性等から一等級(現三級)とすることができるよう途を開く必要が認められる」としております。
 文部省ではこの教諭の三級昇格について、人事院へ附帯決議に伴った要望を繰り返して行っておりますが、逆に人事院からは、文部省に対し豊富な教育経験とすぐれた教育実績についての評価の基準を示すよう迫っており、いまだにこれを示していないと聞いております。教職調整額などの俸給制度上の問題があれば、中立的立場の人事院が措置すればよいと考えられております。
 一方、管理職手当については、法律の委任を受けて人事院規則で定める事項であり、勧告になじまないものであるのに、これも毎年人事院に文部省は要求をしている。
 これらのように、文部省がしている人事院への要求と文部省自身での解決が必要なものがかみ合わずに、解決されない問題として残っております。今後、三級昇格制度と管理職手当についてどのように対応されていくのか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
○井上(孝)政府委員 まず、教員の三級昇格制度についてでございますが、先生からお話がございましたように、豊富な教育経験を有するすぐれた教員の三級格付につきましては、昭和五十年三月の国会の附帯決議がございますし、また昭和五十一年三月の人事院勧告の説明においてその実施が示唆されているところでございますが、級の決定は、その職務の複雑困難及び責任の度に応じ決定されるものでありまして、教諭の職を二分する具体的な評価基準の設定が必要となることなどから、その実施方法及び三級格付の教諭のあり方等も含めて、今後さらに検討すべき課題であるというように考えているところでございます。
 また、校長、教頭の管理職手当についてでございますが、現在、校長については、大規模校は一四%、その他は一二%、教頭につきましては、大規模校一二%、その他一〇%の管理職手当が支給されているところでございますが、校長、教頭は学校の管理運営について重大な責務を有しておりまして、新学習指導要領の実施、初任者研修の充実、登校拒否等の対応など、その職責はますます重要性が増してきているところでございます。このため、その職務と責任に見合う校長、教頭の管理職手当を引き上げる必要があると考えておりまして、文部省としては今後ともそういう観点から努力をしてまいりたいというように考えております。
○神田分科員 人事院の方でちょっとお考えをお示しいただきたい。
○大村説明員 まず三級昇格の問題でございます。
 昇格で上の級に格付するということにつきましては、三級の級というのは、一般的には本来教頭の職務の級でございます。したがいまして、こういう級に格付するためには、その級に相当するような職務の複雑困難、責任の度というのが必要になるわけでございます。したがいまして、優秀な教員をどういう基準で三級に、いわゆる教頭に準ずるような三級に持っていくのかということにつきましては、やはりこういう教員の実情を一番把握していらっしゃる文部省の方でまず基準をおつくりいただいて、それをもとに検討していきたいというふうに考えているところでございます。
 それから、管理職手当の関係でございますが、今先生御指摘になりましたように、人事院規則で法律の委任でできる部分がございます。これが実は、人事院が所管しておりますのは国立の関係、いわゆる国家公務員だけでございまして、国立大学の附属の小中学校の校長先生の俸給の特別調整額について見ますと、いわゆる大学から幼稚園に至るまで教員相互の均衡を十分に考慮して定められているところでございまして、すなわち国立大学の附属学校長と申しますのは学部に所属します教授を充てることとされておるわけでございまして、その学部を代表する学部長というのは現在一六%、三種の特別調整額に格付しておりまして、これとの均衡を考慮しますと、いわばその下に位置する校長につきましては四種、一二%、一四%でございますが、それから教頭につきましては四種、五種の格付は適当なものであろうというふうに思っておりまして、これを直ちに変更する必要はないというふうに考えております。ただ、校長先生の職責もいろいろ変わってきておりますので、こういう職責の変化の有無等の事情も見きわめながら、今後も適切な格付について検討してまいりたい、そのように考えております。
○神田分科員 人事院の方からは、豊富な教育経験とすぐれた教育実績についての評価の基準を示すように迫られているということでありますが、文部省として、人事院に、そういう形で人事院の要求に対してもうちょっときちんと説明できる、そういうことをやるお考えはありませんか。同じ年で差がついてしまうとか、いろいろあるようでありますが、現在の学校教育の中で非常に職務も複雑だし、そういう意味では優秀であり、また優秀な実績を持った教員というのは当然そういう仕事もしているわけでありますから、その辺のお考え方をお聞かせいただきたいと思います。
○井上(孝)政府委員 ただいま先生からもお話がございましたように、人事院の五十一年の説明において、「豊富な教育経験と優れた教育実績をもつ教諭」というように指摘されているわけでございまして、文部省でも従来からその点についても検討を重ねてきているところでございますが、その職務の複雑困難あるいは責任の度に応じてその教諭の職を二分する具体的な評価基準の設定ということがいまだ必要となるということから、その実施方法あるいは三級格付の給与のあり方、そういうことについてさらに私どもとしては検討いたしまして、人事院とも十分その点協議をさせていただきたいと思っております。
○神田分科員 やはりこれはすぐにでもやって、人事院の方でも前向きにこたえたいということでありますから、文部省に強く要望しておきます。
 次の問題は、義務教育費国庫負担制度についてでありますが、義務教育費国庫負担制度による国の財政負担は、大正七年に給与費を負担することに始まって、地方財政措置との関連で、旅費、教材費、恩給費、共済費、公務災害補償基金、児童手当、また職種でも事務職員、栄養職員分を負担していき、昭和六十年からは逆に教材費、旅費、恩給費を一般財源化し、共済費の負担割合を見直しております。そして、平成五年度予算では、平成六年度の一般財源化の計画であった共済費の追加費用が前倒しで一般財源化されております。
 その年々の財政事情により増減があるようでは義務教育費国庫負担制度のねらいにのっとっているとは思えません。また、財政事情により増減しても、職種による負担の見直しさえしなければ、義務教育費国庫負担のねらいに背くことはないと考えますか、お考えをお示しをいただきたいと思います。
 以前、教材費、旅費は恒久的措置として一般財源化したという説明が政府委員からありましたが、この義務教育費の国庫負担はどの費用をどの割合で負担することが恒久的に必要だとお考えになっておりますか、また、恒久的費用とそうでなくてもいい費用があるのかどうかも御説明をいただきたいと思います。
○井上(孝)政府委員 お答えを申し上げます。
 義務教育につきましては、教育の機会均等と教育水準の維持向上を図ることは国の重要な責務と考えているところでございます。そのため、国は、義務教育費国庫負担制度によりまして必要な経費を負担し、義務教育の妥当な規模と内容を保障しているところでございます。
 義務教育費国庫負担制度は、教職員の給与費のほか、そのときどきにおける地方の財政事情や現職の教職員との関連性等を考慮いたしまして、共済費、児童手当等必要な経費についても対象としてきているところでありますが、昭和六十年以降、国と地方の財政事情や機能分担を考慮しつつ、一部対象経費の一般財源化や負担率の暫定引き下げ等を行ってきているところでございます。
 平成五年度につきましては、義務教育費国庫負担金のうち追加費用等につきましては、現在の教職員との関連がほとんどなくなってきていることを踏まえ、平成六年度から一般財源化されることとなっておりましたが、今回公共事業等に係る補助率等につきまして見直しが行われることとなったために、再度見直しを行った結果、国と地方の費用負担の安定化を早期に図るために、平成五年度から全額一般財源化することとしているところでございます。義務教育の妥当な規模と内容を保障する義務教育費国庫負担制度の根幹は、今回の措置においても維持されているものと考えているところでございます。
 いずれにいたしましても、文部省としては、義務教育の妥当な規模と内容を保障するという制度の根幹は、今後とも堅持してまいりたいと考えております。
○神田分科員 森山文部大臣に、義務教育費の国庫負担制度等は局長から答弁いただきましたが、やはり非常に大事な問題でありまして、お考えをお聞かせをいただきたいと思います。
○森山国務大臣 ただいま政府委員からるる御説明申し上げましたようないろいろな工夫をいたしまして、文教の予算について、またそれに対する国庫の負担についてできるだけ原則をきっちりと守っていくように努力をしているところでございますが、今後とも御理解と御協力をいただきまして、その線をしっかりと守りつつ努力を続けていきたいと考えております。
○神田分科員 きょうは分科会ですのでこれ以上時間もありませんのでできませんが、文教委員会におきまして、今後、教員給与の改善の問題、義務教育費の国庫負担の問題、それから週五日制等々に伴ういろいろな問題につきまして、またいろいろと意見の交換をしたいと思っております。
 どうもありがとうございました。
○鴻池主査代理 これにて神田原君の質疑は終了いたしました。
 次に、山中邦紀君。
○山中(邦)分科員 山中でございます。
 私はいわゆる柳之御所跡の遺跡の保存関係でお尋ねをしたいと思っております。
 若干御説明をいたしますと、この遺跡は、奥州藤原氏の初代清衡、二代基衡の居館跡と伝えられてきたところでございます。岩手県の県南、平泉町中尊寺の南西に当たる北上川西岸の断崖の上にある約十ヘクタール、北西から東南にかけての縦長の地域でございます。
 最初、文化庁にお尋ねいたします。
 この区域で発掘調査が行われてきているのでありますけれども、この数年来、近来の作業の結果、どのようなものが出土し、また、柳之御所跡の歴史的、文化的な価値についてどのようなことが明らかになってきたか、御説明を願います。
○佐藤(禎)政府委員 柳之御所跡と思われる遺跡につきましては、北上川の堤防建設に係る地域につきまして、昭和六十二年度から平成五年度までの予定で発掘調査が実施されておりまして、また今年度からは遺跡の範囲や内容等を確認する、そういう調査が実施されているわけでございます。
 この柳之御所は推定総面積約十ヘクタールでありまして、このうち約四ヘクタールが平泉バイパス、一関遊水地事業の予定地域にかかっておりましたために、昭和五十七年から五十八年にかけて平泉町教育委員会が範囲の確認調査を実施し、昭和六十三年からは岩手県文化振興事業団埋蔵文化財センターと平泉町教育委員会が建設省の委託を受けて本調査を実施しているわけでございます。
 具体的な発掘状況は、各年度進んできておりまして、最終的には平成五年度、約九千四百平米を残して調査を終了いたしております。五年度の調査が済めば、六年度には発掘調査報告書を刊行する、こういう予定といたしているわけでございます。
 一方、今年度から実施をいたしております確認調査は、平泉遺跡群発掘調査指導委員会の指導のもとに、岩手県教育委員会と平泉町教育委員会が工事予定区域外に広がる遺跡の内容確認を行うために国庫補助を受けて実施しているものでありまして、今年度約千四百平米、来年度は千五百平米を発掘する、こういう予定になっているわけでございます。
 これまでの発掘調査の結果でございますけれども、工事の予定区域内におきましては、幅八メートル、深さ三メートルの堀で囲まれた区域、南東部でございますが、それと北東部の区域に分かれていること、南東部の区域内には園地や礎石、建物が発見され、この内部は道路や塀で幾つかの小区画に分けられていること、それから、北西部の区画も道路や堀によって細分されまして、それぞれの小区画の中の建物群が発見されているわけでございます。そして、いずれの区画からも舶載の陶磁器を初めとしてすぐれた遺物が大量に出土いたしておりまして、これらの遺物の年代は大半のものが十二世紀後半代のものであろう、こういうふうに推定されているわけでございます。
 一方、工事予定区域外の確認調査の方でございますけれども、これらにつきましては、南東と北西の区画の間に深い堀が設けられている、両区画とも遺構が北上川の岸辺まで広がっておるということ、南東部の区画も北上川沿いは擁壁工事により約十メートル幅で遺跡が破壊されている、こういうことが明らかになっているわけでございます。
 そのようなことから、それぞれさらになお一年度の発掘の期間を持っておりますので、最終的な結論を申し上げることはできませんけれども、十二世紀後半の豪族の大規模な居館の跡というふうに考えられるに至っておるわけでございます。
○山中(邦)分科員 詳しい御説明があったわけでありますけれども、それ以外にも、げたやくし、曲げ物などの日常生活に使われるもの、形代、呪符のように信仰や呪術に関係をしたようなもの、あるいは十トンを超えるかわらけ、折敷にかかれた墨絵の神殿づくりの様子など、極めて価値の高いものだと評されているところであります。
 ただいまの御説明の中にもありましたとおり、問題は、この区域にかかわりまして、遊水地の堤防工事それから国道のバイパス工事が計画をされているわけであります。その工事との関係で保存の問題をどう考えるか、これが非常に大きな問題であります。
 建設省に工事の関係を伺いたいわけでありますけれども、この遺跡の東側はすぐ北上川であります。この付近で北上川の川幅が狭くなりまして、たびたび水害が起こる。こういうことがあるために、建設省により一関、平泉の遊水地工事が行われております。その堤防の末端、北の端が遺跡の区域を縦貫いたしております。また、その部分におきまして、国道四号線の渋滞を解消するという目的で平泉バイパス工事が行われておりますけれども、堤防に接してバイパスがこの部分を通る、そうして遺跡総面積十ヘクタールのうち約四ヘクタールがこれに相当する、こういうことが言われているわけであります。
 ところで、建設省にお伺いいたしますけれども、この遊水地工事、バイパス工事の現状、特に柳之御所跡付近の関係に重点を置いて御説明をお伺いしたいと思います。
○松田説明員 お答え申し上げます。
 まず、河川事業としての一関遊水地事業から御説明いたします。
 北上川の改修計画の一環といたしまして、昭和四十七年度に事業着手し、一関市及び平泉町の洪水被害の軽減を図るという目的で幾つか遊水地が計画されてございますが、現在までに第一遊水地周囲堤の整備及び遊水地内に位置することとなる低地家屋の移転を重点的に実施してきております。
 その結果、堤防につきましては、戦後第三番目の大洪水と言われておりました昭和五十六年八月の洪水に対応できるという高さまで堤防ができ上がりまして、それから遊水地内の家屋の移転もおおむね九〇%の進捗となってございます。
 現在、引き続き、堤防のかさ上げ等を実施するとともに、家屋移転の早期完了及び管理用通路等の促進を図っているところでありまして、今後とも一層本事業の促進に努めてまいりたいと思っております。
 一方、一般国道四号平泉バイパスでございますが、これは平泉町の国道四号の交通混雑の解消を目的として計画された延長五・八キロメートルのバイパスでございまして、昭和五十六年度に事業着手したところであります。細かい話になりますが、このうち、平泉町平泉字一筋から字瀬原の間の北上川に沿った三・八キロメートル区間につきましては、堤防と一体的な構造で計画されておるところでございます。
 この平泉バイパスの工事につきましては、昭和五十九年度に着手し、平成二年度までに延長二・四キロメートルの工事を概成したところでありますが、平成三年度から、柳之御所遺跡の発掘調査との調整により、工事を一時中断しているところでございます。
○山中(邦)分科員 これらの二つのバイパス、遊水地工事の着手の前段階におきまして、今回同様に工事計画区域内の調査というのは行われたのであるか、また、その調査結果はどうであったのか、工事着手に際し、文化庁等文化財の関係の機関と協議をした上の工事着手であったのか、いかがでしょうか。
○松田説明員 お答え申し上げます。
 建設省といたしましては、工事着手前の段階において、昭和六十三年二月に、文化財保護法第五十七条の規定に基づきまして、東北地方建設局長の方から文部省文化庁長官あてに通知をさせていただいてございます。そこで、昭和六十三年度から岩手県文化振興事業団及び平泉町教育委員会等に委託いたしまして文化財発掘調査を実施し、今日に至っております。
 なお、それ以前の段階におきましては、建設省としては特に独自の調査は実施していない状況でございました。
 それから、文化庁との協議につきましては、今お話しいたしました六十二年二月の東北地建局長から文化庁長官への通知に基づきまして、昭和六十三年三月に、岩手県教育長の方から東北地方建設局長に回答をいただいたところであります。
 この回答の通知の中で、工事着手前に発掘調査を実施することのほか、重要な遺構等が発見された場合には、その保存等について当方に、当方というのは岩手県でございますが、当方に別途協議を行う旨、要請を受けでございます。
 なお、以前の調査といたしましては、平泉町が独自に、昭和四十四年から昭和四十七年にかけて、それから昭和五十六年から昭和五十九年にかけて調査を実施しておりますが、これらの調査においては、特に重要な遺構に結びつく知見は得られなかったように聞いてございます。
○山中(邦)分科員 六十三年以降の調査は現在に結びっくものでありますから、これはわかりますけれども、遊水地あるいはバイパスの計画は四十年代あるいは五十年代に行われた調査結果の上に立って、余り見るべき文化財がないということで計画が進んでいった、このように伺っておりますが、そういうことでよろしいのか。
 また、もう一点、ただいま二つの工事について進捗を図っている、こういうことでありますけれども、問題の柳之御所跡に関しましては、調査を終えて、その後、これを廃絶をするというようなことでは必ずしもないわけでありまして、将来、保存と両立をするような工事計画、工事の進行を図っているのか、いざ調査を終えて保存が適当であるということになった場合に、工事が進み過ぎてもとへ戻れない、こういうことがあるのかないのか、いかがでしょうか。
○松田説明員 第一番目の問題についてお答えいたします。
 事前の計画がどうであったか、調査計画等がどうであったか、こういうお話でございましたが、当然のこと、工事の計画の前に当たりましては、昭和五十六年になりますけれども、都市計画決定に際しまして、県において事前に岩手県当局の埋蔵文化財担当部局とも協議しており、発掘調査の必要性、遺構が発見された場合の再協議等の条件が付されてございますが、その当時におきましては、特にルートの変更等についての御意見はございませんでした。
 それから、二番目の問題でございますが、現在、平成五年、六年ということで、平成五年度中に調査を終えて平成六年度に報告書をまとめるというような状況になってございますので、この結果を踏まえて、地元町あるいは県あるいは関係機関等において協議され、その方向について判断されることになるかと思いますが、建設省といたしましては、それらの判断も踏まえ、関係の機関とも協議し、今後の処置につきましては、河川事業、道路事業をあわせて、十分慎重に対応してまいりたいと考えております。
○山中(邦)分科員 慎重にという抽象的なお話でありますけれども、将来、そのままの状態で保存をするということに差し支えのないような配慮が行われている、このように伺ってよろしいのですか。
○松田説明員 現在、調査結果の全貌についてまだまとまってございませんので、その辺のことについてはまだ判断できる状況ではないと思っております。
○山中(邦)分科員 そういうことを聞いているわけではないわけでありまして、調査結果が出ていない、それはよくわかっております。出た場合、出た場合ということをあえて言いますのは、中間段階で指導委員会が既に保存が適当である、こういう意見を述べておられますので、そういうことにも対処できるような配慮をしているか、こういうことをお尋ねをしているわけであります。歴史関係の諸学会が保存が適当だ、こういう意見を出しております。中には具体的に、例えば岩手史学会などでは、北上川の流路を東側につけかえるというような議論も出ております。あるいは堰堤及びバイパスのルートを北上川の東側、この柳之御所跡というのは西側でありますので、東側にしてほしい、こういうような具体的な提案も幾つか出ているわけであります。
 実は、こういうことをお尋ねしますのは、第百二十国会におきまして、当時の井上文部大臣が文教委員会あるいは当分科会でこの問題について答弁をなさっておられます。そして、そのポイントは、遺跡の保護あるいは遺跡の保存と治水事業、治水事業に重点を置かれたわけでありますが、治水事業の両立を図る方向で調整をしたい、そして関係各省、地方公共団体と調整を進めていく、これはもう二年前のことでありますが、そういう方針を明示をされているわけであります。
 調査期間もだんだん終わりに近づいておりますので、この文部大臣のお話に従いまして相当な配慮がなされているはずではないのか一全然なされていないのか、この辺は保存に関心がある人は非常に心配をいたしているところであります。いかがですか。
    〔鴻池主査代理退席、主査着席〕
○松田説明員 お答え申し上げます。
 問題の場所につきましては、一番最初にお答えしたかと思いますが、バイパス工事については、問題の場所の手前で現在工事を一時中断してございます。それから、河川工事については、現在道路事業を含めまして用地買収ということで、用地買収作業だけを進めてございまして、用地買収はおおむね九割以上の進捗を見ておりますが、土木工事には着手してございません。そういう状況でありますので、現在時点で工事の現場というような、破壊されるとかそういうような御心配はないかと思っております。
 先ほど申し上げましたように、今後の対応につきましては、調査の全貌が把握できた段階で、関係機関ともいろいろ相談しながら進めてまいりたいというふうに考えてございます。
○山中(邦)分科員 建設省にはその程度のお尋ねにとどめまして、以下は文化庁、文部省にお尋ねをしたいのでありますけれども、建設省が関係した緊急発掘調査、これはもちろん文化庁が関心を持ち、いろいろ意見も述べておられると思いますけれども、遺跡の範囲の確認の調査、これも進行しているところであります。遺跡の範囲の確認という方向をとった理由、両方あわせて調査がどのように現在進んでいるのかという点を、先ほどお触れになった部分は重複を避けて、もう一回お尋ねをいたします。
○佐藤(禎)政府委員 これも先ほどお答えを申し上げたところでございますが、最初に柳之御所の推定地の調査総面積を約十ヘクタールというふうに考えているわけでございます。今回の工事にかかります場所がおよそ四ヘクタールでございますので、当然この工事区域外に広がっております遺跡の中身がどうなっておるのかということが大きな関心事になるわけでございます。
 そこで、今度年からこの工事予定区域外に広がる遺跡の内容確認調査を実施をしているわけでございまして、ただいまのところ、工事区域内の調査が平成五年度に終了するということをにらみながら、区域外の遺跡確認調査につきましても四年度、五年度の二年間で終了するように、こういう計画を立てているところでございます。
○山中(邦)分科員 両方とも調査結果待ちということをおっしゃっておりますけれども、この両調査に関連しまして現地では文化庁の指導がありまして、平泉遺跡群発掘調査指導委員会、委員長は藤島亥治郎東大名誉教授でありますが、いろいろ指導をしておられます。発掘調査の指導でありますから、本来はその発掘調査そのもののあり方でありましょうけれども、昨年の十二月十四日の委員会におきましては、この遺跡が奥州藤原氏の三代秀衡が政務をとった政庁である、吾妻鏡に言われる平泉館というふうに断定して、その保存を要望する意見、見解を示しました。指導委員会の立場とすれば、非常に進んだ立場をとっている。それだけ保存に対する熱意、遺跡の歴史的、文化的な価値の評価を高くなさった、それから、現在の工事の進行の状況、六年もかかる発掘調査のあり方についての批判をなさったものだというふうに思います。
 調査結果を待つというのも大事でありましょうけれども、大体調査結果の方向はここで示されているのではないか。むしろ、保存が決定された場合を考えて、遺跡の保存とか工事のあり方とか、文化庁はいろいろ建設省その他と協議をし、具体的なあり方を考える、こういうことでなければならない、このように思いますが、そういう方向はとっておられないのか、やはり調査結果が出るまで待つのか、どういうお考えでおられますか。
○佐藤(禎)政府委員 昨年、藤島先生が見解をお出しになったということは私どもも承知をいたしているわけでございます。ただ、先ほどから申しておりますように、私ども着々と予定を立てて順次発掘調査を進めてきているわけでございますので、私どもといたしましては、予定どおり五年度の調査全体が終了した時点でその総括をしていただきたいというふうに考えるわけでございます。
 ただ、御指摘のように、ではそれまでの間はっておくのかということになりますと、これは建設省初め地元、私どもともいろいろな機会に意見の交換をさせていただいているわけでございまして、そのようなことは慎重にとり行ってもらいたい、こういうふうに考えております。
○山中(邦)分科員 どのような意見交換をして、将来に具体的にどう備えておられるのか、調査結果を待つとおっしゃいますが、調査結果自体は保存に関する意見が盛られるのか、またその調査結果に文化庁は全面的に従うのか、いかがですか。
○佐藤(禎)政府委員 本件発掘は学術的な観点からの調査でございます。したがって、発掘調査が終わった時点、六年度に出されるでありましょう報告書は、学術報告といったような意味合いを持つわけでございます。
 このような結果を受けて、では具体的にどのような形で遺跡を保存をするかということになりますと、これはまた地元でこの遺跡の保存計画をお立てになる、こういう手順に進むわけでございまして、いろいろな段階で私どももこの案件については大きな関心を寄せてまいりたいと考えておるわけでございます。
○山中(邦)分科員 時間が迫ってまいりますから、文部大臣にお伺いをしたいわけでありますけれども、報告結果は学術的な内容が盛られるのが本旨である、あるいはそれを超えて保存意見も出るかもしれないということでありますと、それをさらに文化庁は評価をするという段階があるのではないのかというふうに思います。そして、地元のお話もございましたけれども、昨年十二月の指導委員会の結論を受けて、県知事の方は、重大な意見である、県独自ですべてをなし得ることではない、文化庁と相談をしながらというような意見を述べておられます。
 保存については、工事から除外をするとか、あるいは工事の手法を変えるとかいうようなことも前回、分科会でお話がありましたけれども、十二世紀末のこういう遺構というのは極めてまれである、また中央を離れた地方にある遺跡ではあるけれども、鎌倉等既に遺跡保存で失敗したとあえて言いますけれども、失われた諸事情がこの地域の調査発掘の結果明らかになる、こういう点もあるのでありますから、前井上文部大臣は、保護保存と治水事業の両立を図る方向で調整をする、こういうことを述べておられました。既に二年たっております。調査も間もなく終わる段階、指導委員会もきちっとした意見を述べておられます。
 ぜひ積極的にこの遺跡の価値を認識をされまして、洪水の問題も、昭和二十年代の大洪水、これが前提であります。その結果、岩手県内では多目的ダムが幾つかつくられました。ごく最近でも完成をしたものがございます。コンピューター操作で下流の流水量を調節するというようなことも可能になってきているはずだというふうに思います。調査結果を待たずに、保存の方向があり得るということを考えて調整を図り、そして指導委員会の意見を尊重されて、ぜひ保存の方向で進めていただきたい。御意見を承りたいと思います。
○森山国務大臣 大変貴重な遺跡のようなお話を今承りまして、私も改めて認識をしたような次第でございますが、この保存につきましては、今お話の出ました治水事業と遺跡の保存が両立するような方向で、関係各省また地元公共団体などが調整する必要があるというふうに考えます。せっかく計画的に昭和六十二年以来調査を続けてまいりまして、間もなくその調査の結果も出るようでございますので、その調査の結果を踏まえまして調整する必要があるというふうに考えます。
○山中(邦)分科員 現在の工事は、四十年代、五十年代、余り大した見るべき遺跡もないであろうという前提に立って始まっているものであります。そういうことを考えますと、最近の調査結果は大きくこれと違うわけでありまして、工事についてもまた見直す、私どもは現在の社会状況に対してだけ責任を負うわけではありませんので、これを破壊すれば将来に大きな悔いを残すということになろうと思いますので、ぜひただいまのお話を積極的に進められまして、努力をしていただきたいと申し上げ、質問を終わらせていただきます。
○臼井主査 これにて山中邦紀君の質疑は終了いたしました。
 次に、東順治君。
○東(順)分科員 私は、著作隣接権と音楽演奏家の関係等を主にお伺いしたいというふうに思います。
 最初に、文化庁は、プロの音楽演奏家等の生活実態につきまして、実態調査というようなものをこれまで行われているかどうか。行われているならば、その内容をお知らせいただきたいと思います。
○佐藤(禎)政府委員 文化庁がみずから行っているわけではございませんけれども、五年ごとに実施をされております社団法人日本芸能実演家団体協議会、いわゆる芸団協の生活実態調査に対して補助金を交付しているわけでございます。そして、その調査を通じまして実態の把握に努めているわけでございます。
 私どもの手元にございますのは平成元年の調査の結果でございますけれども、それによりますと、邦楽、伝統演劇、邦舞、洋楽、現代演劇、洋舞、演芸、その他の分野といったことで分野を分からまして、メンバー及び非加盟者を対象として調査をしているというふうに聞いているわけでございます。
 その中身は、分野により人により大変なばらつきが実はあるわけでございますけれども、例えば、洋楽分野の昭和六十三年の平均個人収入は五百三十二万円というような結果が出ているわけでございます。ただ、その場合にも、二百万円未満の人が二三%いる一方、一千万円以上の人が七%いる、こういうふうにかなりのばらつきがございます。なお、全体をならして洋楽分野で見ますと五百二十二万円余りとなっておりまして、総理府の家計調査の平均よりは上回っている、こういう状況になっているというふうに考えております。
○東(順)分科員 私も、若干古いのですが、日本音楽家ユニオンが一九八六年に「ジャズ・ポピュラー音楽家の生活実態調査」というものを行っているということで、この数字をもとにちょっと御紹介したいと思います。
 これを見ますと、一九八五年のジャズ・ポピュラー音楽家の年収平均が三百二十五万円であるというふうになっております。その同じ年の国税庁の昭和六十年分の「民間給与の実態」、これを見ますと、いわゆる一般の人たちの民間給与の年の平均給与が三百五十二万円である。したがって、音楽家と一般の民間の方の平均給与を比較しますと、その差は二十七万円であります。これをもっと厳密に、男女別で見ていきますと、音楽家の男性の年収平均が三百二十四万円、これに対しまして一般の給与所得者の男性は四百二十八万円、その差が九十四万円と広がるわけでございます。
 そして、さらに今度は活動分野、職場別ということで見ていきますと、平均年収が最も高いのが作曲家あるいは編曲家というようなところで八百万円、最も低いのがいわゆる音楽講師のみということで二百三十三万円、それで演奏のみが平均年収二百九十八万円ということで、つまり男性の給与所得者と演奏のみの男性の平均年収を比較しますと、実に百三十万円の差が出るわけですね。このようになっているわけでございます。
 百三十万円というと、単純に月割りしますと年間で月収十万円以上の差が出るということになるわけで、しかもこれは昭和六十年当時の資料でございますので、今はどのくらいかわかりませんが、いずれにしても大変な差がある、こういう実態が出ているようでございます。当然のように、収入に対する満足度は、音楽家の八一・五%の人がとても満足とは言えない、このように答えている。その中でも男性の音楽家は、八三・二%が満足とは言えない、このように答えているようでございます。
 こういう音楽家、特に演奏家の人々の生活の実態というものについてどのように受けとめておられるのか、これを伺いたいというふうに思います。
○佐藤(禎)政府委員 先ほど御報告申し上げましたように、私どもは実は音楽家ユニオンの調査の結果を正式にちょうだいいたしておりませんで、会報等によってうかがい知ってはございますけれども、私どもが直接報告を受けておりますのは芸団協の調査の結果でございます。
 ただいまお話がございましたように、分野によって随分生活実態が異なっているというような実態を持っております。お話と多少共通がございますけれども、年収の内訳を見ましても、洋楽では舞台のコンサート、教授活動からの収入が多いが、他の分野の邦楽では教授活動とその他の事業収入、演芸では舞台活動とイベントといったものが主たる収入となっているといったように、収入源の違いもございます。
 いすれにいたしましても、個々の芸術家にとってそれぞれ違った実態になっていて、平均から学ぶことはなかなか難しいわけでございます。私どもの芸団協の結果ですと、実は総理府の家計調査よりは平均としては多くなるわけでございますけれども、しかし、それは個々の人々にとってはばらばらのものでございますので、その平均の数字で直ちに全体を判断することは難しいか、このように考えるわけでございます。
○東(順)分科員 特に演奏家というところを限定して見たとき、一般の人と比べて収入にかなりの差がある、これは歴然としておるという結果のようでございます。
 そこで、こういう演奏家を保護するために、著作権法には実演家の著作隣接権というものがございますね。この中の商業用レコードの二次使用料及び商業用レコードの貸与ということについて、現在どのような制度になっているのか、御説明をいただきたいと思います。
○佐藤(禎)政府委員 著作権法上の権利でございますが、これは大きく分けて、著作権者の著作権と著作隣接権に分かれているわけでございます。そもそも、著作物を創作をした人には著作権が与えられますけれども、これを公衆に伝達をした人に対しては著作隣接権という概念が用いられているわけでございます。具体的には、実演家、レコード製作者、放送事業者、有線放送事業者等にその権利が付与されておりまして、我が著作権法におきましても、四十五年の現在の法律制定時から。これが認められているわけでございます。
 このうち、実演家について申し上げますと、著作隣接権そのものといたしましては、録音権、録画権、放送権、有線放送権ないしは貸与権というものが隣接権として与えられているわけでございますけれども、このほかに、放送の二次的な使用の使用料を受ける権利、それから貸しレコードについて報酬を受ける権利、こういった権利を著作権法上設けているわけでございます。
○東(順)分科員 商業用レコードの二次使用料については、分配された団体が使用し――先ほどお話ししました芸団協ですね、個人個人への分配はされていないというふうに承っておりますけれども、この理由というのはどこにあるのでしょうか。
○佐藤(禎)政府委員 二次使用料でございますが、現行の著作権法では、実演家等の著作隣接権者に対しまして、商業用レコードが放送及び有線放送された場合にその当該実演家は二次使用料を受ける、こういう権利が認められているわけでございます。
 この規定が設けられておりますのは、商業用レコードが放送や有線放送に用いられるということは通常のレコードの使用ということから予定をされております範囲を超えたものであろうということから、放送事業者等の受ける経済的な利益の一部をその実演家に分配をしよう、こういう考えによるわけでございます。この二次使用料を受ける権利は、国内の実演家の相当数を構成員とする団体で文化庁長官が指定をするものによって行使されるというようなシステムになっておりまして、現在、社団法人日本芸能実演家団体協議会、芸団協がその指定管理団体、こういうふうになっているわけでございます。
 その二次使用料でございますけれども、この分配につきましては、実は芸団協は、会員としておりますのは実演家の団体でございまして、団体から成る団体であるわけでございますけれども、その正会員となっております実演家の団体に分配をするという形で処理をしておりまして、個々の実演家にこの芸団協から直接分配を行うということは行われていないわけでございます。
 恐らくこれは、法制度が条約等に盛り込まれ、我が国でも法制化されております理由の一つとして、実演家一般に対する一種の補償的な措置というようなこともあるのであろうということから、団体を通じて処理をしていただくというような考え方になっているのであろうかと思いますけれども、いずれにいたしましても、これは芸団協を構成する団体等々の総意によってそのような運営が行われているという実態にあるわけでございます。
○東(順)分科員 団体による総意によりこのように運営されているということでございます。その趣旨はよくわかるのですが、先ほど私が御紹介しましたように、やはり絶対的に演奏家の人たちの収入が低いという実態があるわけで、これから考えたときに、この著作隣接権というものがあるわけでございますので、この二次使用料というものも何割かは個人に最終的に届く、そういう必要があるのではなかろうかというふうに考えますけれども、重ねての質問になるかわかりませんが、これはいかがでしょうか。
○佐藤(禎)政府委員 制度の趣旨に立ち戻って考えますれば、この著作権法上の権利は実演を行った個々の実演家の具体的な権利というものに着目をして制度化されているわけでありますので、本来の趣旨からいえば、それぞれの権利者に分配をするという考え方が当然成り立とうかと思うわけでございます。
 ただ、実際の運用ということになりますと、個々の実演家をどれだけ把握できるか、あるいは金額にもよります、現在徴収できている金額も平成三年度で六億強でございますけれども、そういった金額を多くの人に分けた場合の効果ということがあり、言ってみればもう少し共通的に使って一般的な底上げをした方がよいというような考え方もあると思います。そういった考え方との調和の上で現在の運用が行われていると思いますけれども、考え方といたしましては、個々人の権利を集めてきているということであるわけでございます。
○東(順)分科員 そうすると、極めて公平に有効に使われることが望ましい、こういうことなのですね。わかりました。
 それから、今世の中というのはまさにカラオケブームでございます。このカラオケ装置というものをセットしている、用意しているバーとかスナック、こういうようなたぐいのものというのは全国で四十万軒とも五十万軒とも言われている膨大な数に上っておるわけでございます。最近はカラオケボックスというような商売も広く急増してきておるようでございますけれども、このカラオケ業者からの使用料徴収というものは現在どのようになっているのでしょうか、お伺いしたいと思います。
○佐藤(禎)政府委員 バーやスナック、そういったところでのカラオケの伴奏による歌唱でございますけれども、これについては、著作権法二十二条で定めております音楽の演奏権が働くというふうに考えられているわけでございます。演奏権というのは著作権者に認められた権利でございまして、したがって、作詞家、作曲家等の原著作権者の許諾が必要であり、そしてまた、許諾の必要性の中身といたしまして、それを実施する場合には著作権料を徴収するというような仕組みになるわけでございます。
 具体的な権利の行使につきましては、音楽の著作権を管理いたしております社団法人日本音楽著作権協会、JASRACというところでございますが、ここで文化庁長官の認可を受けてカラオケの利用についての著作物の使用料規程を定めまして徴収をいたしているわけでございます。現在、同協会は約九万軒と契約をしていると聞いております。ちなみに、管理率約七〇%と推定をされているわけでございますが、その使用料の徴収額は、平成三年度の実績ですと約五十億円というふうに考えられているわけでございます。
○東(順)分科員 五十億、大変な額でありますね。
 それで、カラオケ業者からの使用料の徴収は、今御説明がありましたように、作詞家、作曲家からの権利の委託を受けてこれを管理している日本音楽著作権協会が行っている。つまり、作詞、作曲家、これはやはり著作権でもってしっかり守られておるんだけれども、演奏家の人たちには基本的にはこの使用料というものは支払われていない、こういうことになるわけですね。そうすると、著作権と著作隣接権というものはそもそも別個の独立した権利ということになるわけで、この著作隣接権の制度によって著作権の行使というものは妨げられることはないわけでございますね。
 そうすると、このカラオケという場合も、大勢の演奏家の人たちが演奏の場を失っている、そういう実態もございまして、この著作隣接権というものを認めて演奏家へも使用料徴収というものを認めるべきではないのだろうか。つまり、隣接権でもって、作詞家、作曲家のみではなくて演奏家もしっかり守れないのか、このように思うわけでございますけれども、この辺はいかがでしょうか。
○佐藤(禎)政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、現在のカラオケについての料金というのは、その根拠は著作権法二十二条の演奏権に求められているわけでありまして、実演家についての二次的な使用料等のシステムにょっているわけではないわけでございます。そして、この場合、保護の対象とされておりますのは、カラオケで使用されました楽曲の作詞家、作曲家等の権利者でありまして、作詞家、作曲家一般を保護するというようなシステムになっているわけではないわけでございます。これは、著作権法がもともとそういった創作的な著作物を個々の権利者に対して保護するというところからスタートしてきているということから言えることではなかろうかと思っているわけでございます。
 カラオケの使用につきまして今お尋ねのような考え方というものも一つはあるのかもしれないかとは思うわけでございますけれども、現在、著作隣接権の基礎をなしております国際的な条約、実演家等保護条約等々によりましても、そこまでの保護を国際的にも認めているわけではないのでございます。
 理由は二つありまして、一つは、基本的に実演家等保護条約ではワンチャンス主義というような考え方をとっておりまして、実演家が一たん許諾を与えて録音、録画を行ってしまえば、その後の利用について実演家の権利は及ばないという考え方が国際的にとられているわけでございます。したがって、これは最初の出演契約のときにしっかりとお金をちょうだいしなければいけないというような対応策になるわけでございます。
 またもう一つは、レコードが放送、有線放送に利用された場合は、通常の、レコードが市販によって利用されるであろうということから想定をされます利用の範囲を超えた利用というふうに考えられるわけでございますけれども、カラオケの場合には、もともとカラオケによって客が歌を歌うであろうということを目的としてつくられているわけでございますので、実質的にはその間にも差異が出てくるというようなことが出てくるわけでございます。
 いずれにいたしましても、著作隣接権につきましては、国際的にも今申しましたような考え方の線で整理をされているところでありまして、これから踏み込むということになりますと、これは相当の研究を要する問題になるのではないかと思うわけでございます。
○東(順)分科員 そうすると、ここで伺いたいのですけれども、レコードというものとカラオケというものの違いはどこにあるのでしょうか。レコードについては商業用レコードの貸与あるいは二次使用ということについては、著作隣接権というもので演奏家は保護されますね。また、カラオケについては今御説明があったように問題外ということなんですが、このレコードとカラオケの定義の違いというのはどうでしょうか。
○佐藤(禎)政府委員 レコードの定義は、ちょっと著作権法上は大変厄介な規定になっておりまして、ちょっと読みますと頭が痛くなりますので、音を音盤に固定をしたものというような規定の仕方になっているわけでございます。ここで二次的な使用料を認められております商業用レコードというものは、一般の音楽等々を吹き込んで、それによって音楽等を鑑賞するためのレコードというようなたぐいのものである、こういうふうに考えられているわけでございます。
○東(順)分科員 厳密に言えば、カラオケというのは何となく、とにかく歌うためのバックミュージックというようなイメージですけれども、人によっては鑑賞用でこれを利用する場合も現実にはあるのだろうというふうに思います。歌うときもあれば、静かに音楽だけ聞きたいというような鑑賞用に使う場合もあるのじゃなかろうか、そういう状況もあるのじゃなかろうかと僕なんかは思うのですね。そういったときに、厳密に鑑賞というところから考えたときに、レコードとカラオケというのは厳密に分けることが果たしてできるのか、こういうふうに思うのですが、極めて素人の単純な疑問だと思いますが、その辺はどうですか。
○佐藤(禎)政府委員 先ほどからの御説明でちょっと言葉が足りなかったかと思いますけれども、商業用レコードにいたしましても、それについて一般的にその二次的な使用料が認められる、料金の請求権が認められているわけではなくて、放送、有線放送で利用された場合にのみその二次的な利用についての報酬請求権が生ずるわけでございます。したがって、仮にその同一の仲間だといたしましても、カラオケの社交場等でそれを演奏するということになりましても、それは二次的な使用料、実演家にとっての二次的な使用料を徴収するという関係には現在ないのでございます。
 カラオケの場所において今徴収をしておりますのは、実演家等の二次的な利用に対して支払われているのではなくて、あくまでもそこで演奏が行われている原演奏についての原著作権者の権利が動いているだけでございますので、この両者が仮に同じであっても、その扱いは同じことになるわけでございます。
○東(順)分科員 るる伺ってきたのは、実は近年カラオケというものが、カラオケ文化という言われ方をするように急速に広がってきておるわけですね。そのカラオケ文化というものの実は陰となって、日本の音楽文化というのが少し危ない状況になってきているのではなかろうかというふうに思うわけでございます。
 私のところに先日ある一人の音楽家から一文を寄せていただいたのですが、ちょっとお聞きいただきたいと思うのです。その最後のところに実はこんなことを書いているのですね。これは大臣にも後でお伺いしたいのですが、
  カラオケの機械が生産されるたびに演奏家は首を絞められています。
  昔キャバレーやクラブには十人前後のバンドマンがいた。それがエレクトトンの弾き語り一人になり、今はカラオケの機械一台である。キャバレー、クラブから最初に首を切られたのはバンドマンでした。
  そのカラオケの伴奏はどこかのスタジオで人間が演奏したものです。
  今日本の音楽レベルが(特にジャズ、ポピュラー)非常に低下しています。ごく一部のスタジオミュージシャンにより支えられているにすぎません。しかし底辺の未来のプロを養成する場所キャバレー、倶楽部)がなくなり、カラオケに占領され演奏家の場がなくなり演奏家が育たなくなっています。
  何とか夢を実現させてください。世界中の演奏家が待っています。
というような一文が実は寄せられたわけでございます。
 カラオケ文化というものが急速に広がっていくことによって、本来いろいろな場所で音楽家が演奏していく、その演奏すること自体が自分の修業となって、それで技術が上がり技量が上がり、そして全体的に結果的に日本の音楽のレベルというのが上がっていく。ところが、それが全部カラオケというものに侵食をされていって、実際自分の腕を磨く場がなくなっていってしまう。今は無名かもしれないけれども、そういう場を踏みながらだんだん実力をつけていって、そしてやがては将来有名な音楽家になるような、そういうコースがあった状況がも果たしてしらないのだけれども、それがカラオケ文化みたいなものでずっとそういう可能性が狭められてきているという実態がある。こういう状況というのは何とかできませんかという悲痛な手紙が実は寄せられてきておるわけでございます。
 そこで、カラオケ文化と言われるまでに急速に広がってきてしまっている、そして現実にそうやって実演家の人たちの生活がどんどん危機に見舞われてきている。そしてそれがまた日本の音楽のレベルを押し上げるという結果にならない、逆の結果になり始めている、そういうことに対してやはりここらで、何らかの形でそういう音楽家の人たちを救済する手だてというのを考えていかないと、その人たちも生活が逼迫してくる、同時に日本の音楽レベルもなかなか上がらないという結果になっていくのではなかろうか、このように思うわけでございます。
 したがって、こういったことに対してどのように思われるか、これは大臣もともにお伺いしたいというふうに思うわけでございます。
○森山国務大臣 芸術家が安心して創造活動に専念できるようにしていくということは、大変大切なことだと考えております。カラオケの出現というのが実演家の活動にどのような影響を与えているかということは、お説のような見方もあるかと思いますが、必ずしも明らかではない面もあるのではないかと思いますけれども、いずれにせよ、芸術家の皆さんに活動の機会を提供するということは芸術振興の上で大変重要なことだというふうに考えております。
 そういう考え方から、芸術家や芸術団体による創造活動に対しまして各種の助成施策を文部省といたしましては積極的に推進しているところでございまして、これらの施策を通じまして芸術水準の向上とともに芸術家の公演機会の増加も図られる、ひいては芸術家に対する経済的な支援にもつながるようにしたいものだと考えているところでございます。
○東(順)分科員 それで、私、文化庁の方からどのようなバックアップ体制があるのですかということで資料をいただきまして、それをつぶさに見てみますと、本当にごくごく限られた一部の人たちに対するバックアップ、例えば芸術インターンシップ制度なんというのは原則として五十二名以内の人たちにバックアップするという、それからまた芸術文化振興基金についてもまだまだ少ない額である等々、やはり極めて限られた、本当に微々たる援助。確かにそれによって、どう言うのでしょうか、優秀な音楽家は一本釣りみたいな形でずっと育ってくるかもしれないのだけれども、日本の音楽文化の底辺を押し上げるということにはとても寄与されていない。片方ではカラオケ文化というのはどんどん侵食してきている。私は、社会問題として音楽家というものを全体的に底上げをしていく、そして音楽レベルを上げるということに対して、これは大きな課題が今突きつけられているのだろう、こう思うのです。
 時間も来ましたので、これで乱やめますけれども、どうかこの辺をもう一歩深くちょっと考えていただいて、ぜひ大勢の音楽志望の人たちが救われますように手だてを講じていただきたい、このように思うわけでございます。どうぞよろしくお願いします。
 以上で終わります。
○臼井主査 これにて東順治君の質疑は終了いたしました。
 次に、菅直人君。
○菅分科員 きょうは、森山大臣に、子どもの権利条約、政府訳では児童の権利条約というふうになっているようですが、これに関連して幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 まず、この条約の批准なんですけれども、さきの国会で少し延びてしまって、この国会で批准されることが期待をされているわけですが、文部省として、基本的にこの条約について、政府一体の原則でしょうから当然批准を望んでいるということなんでしょうが、その条約全体に対する姿勢をまずお聞きしておきたいと思います。
○森山国務大臣 児童の権利条約に関しましては、これは世界で多くの子供たちが今もなお飢えとか貧困などの困難な状況に置かれている、そういう子供たちが非常にまだまだ数が多い。そういう厳しい現実にかんがみまして、世界的な観点から教育を含む児童の権利保障の推進を目指したものであるというふうに考えられます。
 この条約は、子供たちの心身ともに健全な発達のために、教育を初め各種の特別な保護と援助を確保しようとするものでございますが、この考え方は、日本国憲法や国際人権規約、これは既に昭和五十四年に我が国も批准しておりますが、これと軌を一にするものでございまして、基本的に教育基本法、学校教育法などに規定されております我が国の教育の目的、目標の趣旨に合致するものというふうに考えております。
 そこで、我が国といたしましても、平成二年の九月この条約に署名いたしまして、昨年の三月に国会に提出させていただいて、批准のための御審議をお願いしているところでございます。
○菅分科員 そこで、この条約の十二条に意見表明権というのが盛り込まれています。この条約が批准されれば当然この十二条の規定も日本の中で生きてくるわけですが、子供たちが停学とか退学になるようなケースがまれにですがあるわけですが、こういう場合には、この条項から見ると、当然本人の意見をそういった際には事前に表明する機会が与えられる、そういうふうに理解していいんじゃないかと思いますが、いかがですか。
○野崎政府委員 第十二条二項に、個々の児童に直接影響を及ぼすような行政上の手続においては当該児童の意見が聴取される機会を与えられる旨規定されておりまして、この行政上の手続というものにつきましては、教育関係では退学、停学、出席停止というようなものが考えられる、このように思っております。
○菅分科員 ですから、それは認められるわけですね。
○野崎政府委員 意見表明の機会は認められるわけでございますけれども、私どもとしては、それは各学校でいろいろな工夫をしてそういう機会をつくっていくもの、このように思っております。
○菅分科員 これは学校教育法あるいは規則に盛り込む予定はありますか。
○野崎政府委員 今申し上げたようなことで、特に法令上そのような規定を私どもとして設けるということは考えておりませんが、この条約が批准された段階で各学校へそういう旨の指導をしていかなければならない、このように思っております。
○菅分科員 ということは、通達かなんかでやるのですか。
○野崎政府委員 どういう形でやるかはまだはっきり私どもも、この条約が批准されたときに考えたいと思いますが、私ども、指導部課長会議、いろいろな会議の場がございますので、そういう場で趣旨を徹底していくということがいいのではないか、このように思っております。
○菅分科員 ちょっと話がおかしいんじゃないですか。この場は条約の批准の審議の委員会ではないですけれども、そういう審議の委員会のときに批准されてから考えますという話はないわけで、ですから、法案として出す予定があるのか、そうでなくて通達なのかということを聞いて、まだ決めていませんという言い方もちょっとないんじゃないですか。ですから、いわゆる行政指導でやるわけですね。いわゆる明文の規定を設ける気はないということですか。
○野崎政府委員 国の法令で何かこれを書くというようなことは考えておりません。
○菅分科員 この問題だけには絞れませんので、このやりとりはこの程度にとどめますが、こういう意見表明権のように、どちらかといえば学校なり先生に対してはやや弱い立場にある子供たちが意見を表明するというのは、やはりきちんと客観的にわかる形で位置づけた方がいいんじゃないか。もちろんそれが必ずしも法律でなければいけないというほどかたくなに言うつもりはありませんが、学校の扱いの中でいろいろ適当にというような形ではなくて、せめてきちんとした文書で、通達とかそういったものでやられるべきだと思いますが、大臣はどう思われますか。
○森山国務大臣 今局長から御説明申し上げましたような考え方でございまして、特に法令の改正の必要はないというふうに考えております。各教育委員会あるいは学校における手続規定を整備するというようなことが必要ならば、そのようなやり方で対処するべきではないかと思っております。
○菅分科員 それでは次に移ります。
 もう一点、この条約の十六条にはプライバシー等の保護ということ、あるいは二十八条には教育への権利という条項が入っているようですが、その中に、(d)項ですか、教育に関する情報が利用可能という表現が盛り込まれております。最近、内申書の問題とか学校のいろいろな資料について、川崎でしたか、オーブンにするというようなことも行われているようですが、この規定から見れば、やはり本人が内申書等をあるいは学校の事故報告書なんかを見たいというように言えば、当然それは認められるべきだ、そう理解できるのですが、そのように理解していいですか。
○野崎政府委員 今先生の御指摘いただいた規定は二十八条1の(d)だと思いますが、これは「すべての児童に対し、教育及び職業に関する情報及び指導が利用可能であり、かつ、これらを利用する機会が与えられるものとする。」こういう規定を指しておられると思うわけでございますが、この規定の趣旨といたしましては、児童の教育を受ける権利を達成するために、児童が自分にふさわしい学校あるいは職業を選ぶために必要な情報あるいはガイダンスの機会、例えば入学のための案内あるいは進学しようとする学校の教育内容の概要とか職業内容の案内などを提供すべき旨を規定したものと解しておるわけでございます。
 ここにございます「教育及び職業に関する情報及び指導が利用可能であり、かつ、これらを利用する機会が与えられる」という意味合いにつきましては、情報がだれにでも差別なく利用できる状態にある、こういうことを意味しているもの、このように解されるわけでございまして、本人の成績に関する記録など自己情報の開示請求というものを根拠づけるものではない、このように解している次第でございます。
○菅分科員 なぜですか。すべての児童に対して利用する機会が与えられると書いてあるじゃないですか。なぜそんなふうに解釈できるのですか。
○野崎政府委員 今申し上げましたように、情報がだれにでも差別なく利用できる状態にある、だから、むしろ情報公開というような意味合いで私どもは考えておるわけでございまして、本人の成績に関する記録など自己情報の開示、これは情報公開とはまた違う、まさに自己情報を開示していただく、開示請求をする、こういうことでございますので、そういうことを根拠づけるものではない、このように解しているわけでございます。
○菅分科員 ですから、なぜそういう理解ができるのです。教育に関する情報が利用可能であり、これは政府訳ですよ。内申書というのは、これは教育に関する情報じゃないのですか。自己情報なんという言葉は一つもないのですよ。いろいろ入っていますが、「教育及び職業に関する情報及び指導が利用可能でありこと書いてある。「すべての児童に対しこと書いてあるのですよ。それはもちろん、ある児童に対しては認めるけれどもある児童に対しては認めないとかという、そんな差別的対応を有しているとは書いていない。しかし、別に自己情報は利用できないとは何も書いてないじゃないですか。なぜそんな勝手な解釈をこれからできるのですか。
○野崎政府委員 この規定につきましては、繰り返しのお答えになりますけれども、児童の教育を受ける権利を確保するために児童が進学あるいは就職に必要な案内あるいはガイダンスを得る機会を保障する、こういう規定と解釈しているわけでございまして、内申書や指導要録等の本人開示を求めるようなものではない、このように解しているわけでございます。
○菅分科員 これもこれ以上水かけ論をやっても仕方ありませんから、そういうふうに余り勝手に条文に書いていないことを、何か自分の都合のいい方向だけに解釈しないぞくださいよ。当然その内申書だっていろいろ教育を受ける権利にかかわるのでしょう。これが全く関係ないなんということは言えっこないじゃないですか。それを何か、この部分だけはいいけれどもこの部分だけはいけないというふうに、当然のごとく解釈されているようですが、そんなこと一言も書いていないじゃないですか。大臣、どう思われますか。
○森山国務大臣 この条約は、先ほど最初の御質問に対して申し上げましたように、世界の中の子供たちの多くが教育の機会、学校へも行くことができない、さらに進学などはとても難しい、また就職についてもどこにどういうものがあるのか全くわからない、そういうような状況に置かれているということを前提にして、そのような状況を少しでもよくしていこうという気持ちからつくられてきた条約だというふうに私は解釈しております。
 そのような子供たちの状況を改善していくために、どの子供にも同じように進学の機会、学校がどこにあってどういうことを教えてくれるということがわかるように情報を提供する、また職業についても、このような職業がここにあり、こういう資格があれば採用される可能性があるというようなことがだれにでもわかるようにするという趣旨であるというふうに解釈しているところでございます。
○菅分科員 これ以上きょうはやめますが、余り狭く狭くとらない方がいいと思うのですね、こういう権利の問題というのは。
 そこで、この名称の問題がいろいろ議論になっているわけですが、学校教育法にたしか「児童」という言葉がありますよね。それはどういう意味ですか。
○野崎政府委員 学校教育法におきましては「学齢児童」という言い方をしておりまして、小学校に就学させる義務のある子供に対しまして「学齢児童」という言い方をしているわけでございます。
○菅分科員 そうすると、小学校を卒業した後はどうなるのですか。
○野崎政府委員 日本国の義務教育は中学校までございますので、中学校へ進みますと、中学校に就学させる義務を持つ者につきましては「学齢生徒」という言い方をしているわけでございます。
○菅分科員 この条約の条文というのは、そういう学校教育法なんかと横並びに解釈されるのですか。
○野崎政府委員 学校教育法はまさにそういうことで、小学校に就学させるべき子女を学齢児童、中学校に就学させるべき子女を学齢生徒、こういう称し方をしておるわけでございますけれども、この学校教育法以外にも、例えば児童福祉法等の法令におきましては、学校教育法と異なる範囲のものを指す子として「児童」が使われている、こういうことでございまして、条約上チルドレン、チャイルドをどのように訳語として表示するのがいいかということにつきましては、政府として「児童」が適当、このように判断したものと承知しておるわけでございます。
○菅分科員 ちょっと、聞いていることに答えてくださいね。さっきも出ました二十八条、これは教育の権利ですね。ここなんかは、基本的にはまさに文部省が一番かかわりの深いところだと思いますが、児童福祉法とかほかの法律は確かにありますけれども、それを一応分けて考えて、教育の権利のところなんかでは、基本的にはそういう学校教育法なんかと同じ理解で解釈されると見ていいわけですか。
○野崎政府委員 これは、児童の権利に関する条約の第一条で、「この条約の適用上、児童とは、十八歳未満のすべての者をいう。」ということで児童を考えているわけでございますから、この条約の中で児童という言葉が使われた場合は十八歳未満のすべての者を指す、このように私どもは理解しているわけであります。
○菅分科員 ということは、学校教育法と矛盾してもいいということですか。
○野崎政府委員 学校教育法におきましては、先ほど申し上げましたように、小学校に就学させるべき子女を学齢児童、これは学校教育法の範囲でそう言っているわけでございまして、児童福祉法の方に行けば今度は別の範囲の者を児童としているわけでございますから、そこに条約と法令上の矛盾があるというぐあいに私どもは理解しておりません。
○菅分科員 どうも的をずらすのがうまいですね。
 二十八条の1の(d)、政府訳を読んでみますね。「種々の形態の中等教育の発展を奨励し、すべての児童に対し、これらの中等教育が利用可能であり、」云々とありますね。この「すべての児童」の「児童」というのは、年齢的にいうとどうなるのですか。
○野崎政府委員 中等教育でございますから、日本でいきますと、中学校、高等学校相当年齢を指すもの、このように思っております。
○菅分科員 大臣、どうです。中学校、高校を指すのだそうですよ、この条約の児童は。学校教育法で「児童」とは何だったですか、学校教育法で「学齢児童」と言うのは。
○野崎政府委員 学校教育法の「学齢児童」というのは、小学校に就学させるべき子女を学齢児童、こう言っているわけでございます。
○菅分科員 ですから、少なくとも表現としては矛盾しているでしょう、表現としては。違いますか。表現としては矛盾しているでしょうと言うのですよ。
○野崎政府委員 これは、法令の立て方としていろいろあるわけでございまして、少なくともこの児童の権利に関する条約では、第一条で児童の範囲というものをはっきり決め、そしてその児童の範囲についてそれぞれの規定をつくっておるわけでございますから、権利条約の中で論理が完結しているわけでございます。片やまた、学校教育法は学校教育法として、小学校に就学させるべき子女を学齢児童と称して以下の規定を書いておるわけでございまして、ある意味では、小学校に就学させるべき子女というのは一々書いてもいいわけですけれども、そういう書き方をしないで、こういうものを学齢児童という一つの総称的なものにしましていろいろな規定を書いているということでございますから、学校教育法の体系においてはそこで論理完結、それから児童の権利に関する条約においては論理完結ということで、私どもとしては一切矛盾を感じていないようなわけでございます。
○菅分科員 本当に日本語を聞いているのですか、あなたは。私は、表現として矛盾しているのではないですかと言って、別に法律が矛盾しているとは言っていませんよ。表現として、学校教育法では小学生のことを「学齢児童」と言う。この条文の政府訳のままでやれば、中等教育に関連して書いてあるわけですよ、この項は。「中等教育の発展を奨励し、すべての児童に対し、これらの中等教育が利用可能でありこと書いてあるわけですよ。しかし、中等教育については、日本の学校教育法では「学齢生徒」という表現を使っているから、表現としては矛盾しているでしょうと言っているのです。法律として矛盾しているなんていうことを聞いていないわけですよ。
 大臣、おわかりのように、つまりこの議論はまさにチャイルドという言葉の翻訳をどうするかという問題なわけです。いろいろな論理の立て方はあるのですよ、いろいろな論理の立て方は。ですから、必ず子供でなければ一〇〇%いけないとか、児童でなければ一〇〇%いけないという論理ではないと思うのです。どちらが社会的に見て妥当かという論理だと思うのです。私が今申し上げたのは、特に文部省にかかわりの深い条項の中でも、中等教育に関連して児童という言葉が、児童というかチャイルドという言葉が使われているわけです。しかし、学校教育法では、中等教育では児童とは使っていないわけです。もしそこを一致させるとすれば、一致というか少なくとも言葉の表現として矛盾をなくするとすれば、児童とか生徒とかという言葉をもし使わないとすれば、もうちょっと一般的な子供という言葉を使う、こういうことも当然あり得るわけですよ。
 私もいろいろな辞書を見てみました、チャイルドというのを。大体最初に来るのはというか、ほとんどのあれは子供と出てきますね。こんな分厚いやつになってやっとこさ児童なんというのがありますけれども、普通の言葉でいうと子供という表現が大部分ですね。ですから、他の条文がどうだとか他の法律がどうだとか他の条約がどうだと言われるけれども、少なくとも文部省に一番かかわりの深いこの表現から見ても、チャイルドというのを児童というふうに訳すことにそんなにこだわる必要はないはずだし、逆に言えば、部分的にしろ表現としては明らかに矛盾するわけですよ、表現としては。法律として矛盾しているなんて言ってないですよ。それは子供と言ったって、もしかしたら表現として厳密にはどこかで矛盾するかもしれない。
 そういう意味では、多少何かこの翻訳については、これは最終的には外務省も来てもらっていますから聞いてみますけれども、文部省としてはもうちょっと柔軟に対応されてもいいのではないかと思うのですが、大臣、いかがですか。
○森山国務大臣 一般の会話の中でチャイルドに当たることを子供と言うのはよく言うことでございます。ですから、先生の御趣旨もわからないではございませんけれども、法律とか条約の言葉となりますと、そう自由にその場その場でその気分に合ったことを言うというわけにもいかないわけでございまして、既に批准しているほかの条約とかあるいは現在施行されている国内の法律とか、それらの定義などを十分吟味いたしまして、整合性を持たせなければ後でまた別の問題が出てくるわけでございますから、その辺を十分検討された上で、このたびこの条約のチャイルドという言葉は児童というのが最も適当であるという判断に立たれたのだと私は解釈しております。
○菅分科員 いや、ですから、そういう答えが予想されるから今言ったのではないですか。国内の他の法律との整合性でいうと、ここなんか明らかに整合性がないではないですか。どうです。
○森山国務大臣 法律は、それぞれその目的に従って対象物をまず限定して、そしてそれに対する措置や規制やその他のことを決めているものでございます。ですから、その法律に関する限りはその法律で考える最も適当な表現をするわけでございまして、この条約のできる前からの日本の国内の法律それぞれを比べますと、その法律の目的によって表現も違うわけでございますので、特にこの条約を児童というふうに翻訳したということが新たな矛盾を生んだとは考えておりません。
○菅分科員 大臣は頭のいい方ですから、自分が言われていることがちょっと自己矛盾されているのを気づかれたと思うのですけれども、まさに法律はその目的に従って表現が違っていいのなら、さっきの話じゃなくて、整合性なんていうことを、自己矛盾した言い方ですから、私も余り厳密に何か重箱の隅をつっつくような議論をしたいとは思ってないのですよ。
 だから、ごく普通の常識論でいいのですが、いろいろこれまで答弁されたものを見ると、まさに他の条約とか国内の法律との整合性とか答えられるものだから、では国内の他の法律との整合性が全部とれているかと調べてみると、現実には中等教育の中で、国内の他の法律でいえば少なくとも生徒というか何か言わなければいけないところが、この法律の政府訳だと児童になるとか、それは整合性がとれないわけですよ。だから、法律法律によって、条約条約によってばらばらでいいというのだったら先ほどの議論にはならないわけですよ。外務省、どうですか、この議論を聞いていて。
○吉澤説明員 お答えいたします。
 条約の訳文と申しますのは、一般的に個々の文言の意味でございますとか、我が国が締結しておりますほかの条約、それから国内法令におきます用語、そういったものを勘案いたしまして、慎重に検討した上で作成しているものでございまして、この条約の訳文につきましても、このような検討を経て、関係省庁とも御協議の上、法制局の審査、閣議を経て政府として確定したものでございます。
 我が国がこれまで締結いたしました条約におきましては、チャイルドという言葉が親子関係における子という意味に使われる場合には子という訳が用いられておりまして、また必ずしもこのような観点に着目せず、低年齢層の者を一般に指す場合には児童という訳語が用いられるのが通例となっていたこと、それからまた、我が国の国内法令におきましては、児童の定義は必ずしも統一されているわけではございませんけれども、広く法令用語として用いられており、児童福祉法の第四条、児童手当法の第三条第一項等でいずれも児童を「十八歳に満たない者」として定義している、こういったふうな諸点を勘案いたしましてこの条約におきましても児童と訳したものでございますので、この点御理解を願いたいと思います。
○菅分科員 ですから、先ほどの議論を聞かれていてもおわかりのようにといいましょうか、これまでの議論でも、各法律でまず年齢はばらばらだということは、さっき文部省の方からも話がありましたし、私も調べてみてそうでした。あるいは今言ったように、この条項でいえば、学校教育法と範囲が若干違っています。それから、よく言われることですが、たしかウーマンですか、昔は婦人と訳していたのが、今は女子ですか女性ですか、そういうふうに時代によって若干表現が変えられているというケースもあります。
 ですから私は、特にこの条約は割と、条約としては珍しくと言ったら変になるかもしれませんが、幅広い皆さんの関心の非常に高い条約だ。そのことは今後、今大臣が言われたような、もちろんこの目的には発展途上国の非常に厳しい状況にいる子供たちのこともあるでしょうし、そういう子供たちに対する援助の問題もあるいはいろいろあるでしょうし、もちろん国内的な問題でも、幾つか先ほど私も指摘したような問題も広い意味では当然含まれることでしょうし、そういうときにやはりわかりやすい表現を使っておくというのが最も国民に親切だと思うのですね。ですから、これ以上この問題をきょうは詰めませんが、余りかたくなにそれぞれならないで、ぜひ柔軟に再検討していただきたい。大臣、いかがですか。
○森山国務大臣 先生のお気持ちは理解できるつもりでございますが、条約の訳という点では残念ながら変更できないかと存じます。
○菅分科員 なかなかかたくなですね。
 あと幾つかあったのですが、時間になりますので、少し話だけ申し上げて終わりにします。
 子供に知らせる方法、条約広報義務などもありますが、そうすると、知らされる当事者というのはまさに子供というか、学校が例えば児童というふうに言うと、どうも自分のことを言われているのか言われてないのか、中学生や高校生はあるいはちょっと戸惑うのじゃないだろうか。そういった面から見ても、普通、国会では法文は幾らでも修正できるし、あれなんですが、何か訳文というのは修正という手続もなかなか難しいようなことになっているようですが、余りかたくなな立場ではなくて、子供たちにもよく理解されるようなそういう表現にしていただくように重ねてお願いを申し上げて、一応時間ですので、私からの質問を終わりにさしてもらいます。
○臼井主査 これにて菅直人君の質疑は終了いたしました。
 次に、新村勝雄君。
    〔主査退席、鴻池主査代理着席〕
○新村分科員 私は、生涯教育、特にその中で老人教育、老人教育という言葉があるかどうかわかりませんけれども、高齢者に対する教育について伺いたいと思います。
 憲法二十六条は、国民は教育を受ける権利があるという規定がありまして、これを受けて生涯教育の施策が展開されるのだと思いますけれども、先般、平成二年ですか、生涯学習の振興のための施策の推進体制等の整備に関する法律というのができまして、当局においては生涯教育の展開について鋭意努力をされておると思います。しかし、この生涯教育という考え方は、どちらかというと新しい考え方であると思いますし、まだ十分国民の理解が得られていないと思います。
 その中で、特に老人教育について伺いたいわけですが、老人に対する考え方、対策としては、今までは福祉的な観点から行われた点が多いと思います。老人対策といえば、老人に特有の老衰あるいは病気に関係がありますので、療養あるいは介護というような観点から行われる場合が多かったわけでありますが、やはり生涯教育の一環として高齢者が生きがいを感じて生きていく、同時にまた老人なりのエネルギーといいますか、これを活用していく、そういった意味での老人に対する教育、これは決して軽視できない問題であろうと思います。そういう点で、今まで老人に対しては、老人ホームはかなりできておりますが、意欲ある老人に対する教育機会が少ないということは、これは争えない事実であろうと思います。
 そこで、文部省においては、老人教育について具体的にどういう基本的な考え方とそれから施策を持っておられるか、これをまず伺いたいと思います。
 生涯教育という言葉がありますけれども、生涯教育のうちの一部としての老人教育ということではなくて、老人に対する教育あるいは老人の能力を引き出すということは、生涯教育の中の小さい部門ではなくて、これは老人対策としての基本的な大きな問題であろうと思いますが、そういった観点からどういうお考えをお持ちですか。
○前畑政府委員 今先生御指摘いただきましたように、私どもは、老人といいますか高齢者を対象としていわゆる学校外で教育を考えますときには、その高齢者の方に学んでいただくということと同時に、学んでいただいたその成果を活用していろいろな機会に社会のために貢献していただく、このようなことを基本に考えておりまして、例えば長寿学園開設事業というのも実施いたしておりますが、これは六十歳以上の方を対象として、今後当該地域におけるいろいろな学習の指導者になっていただこう、こういうふうなことで学習をしていただくということを考えておりますし、また、いろいろなボランティア活動などにも御参加いただくために高齢者の生きがい促進総合事業というのもやっておりますが、これもボランティアをやるために必要なことを学んでいただこう、こういうふうなことで、高齢者を対象とした事業においては、単純に学ぶことだけではなくて、学んだ結果を活用して社会に貢献していただく、このような観点から取り組んでおるところでございます。
○新村分科員 それはそのとおりだと思います。近いうちに全人口の四分の一が高齢者になる、六十五歳以上の人たちになるということでありますから、これは教育だけではなくて、若い人たちだけが高齢者を支えるということではなくて、同じ世代の高齢者がお互いに支え合うということが必要だと思いますわ。ですから、教育の面でもやはりそういうことでありまして、高齢者教育は高齢者がやるという形があっていいんではないかと思います。
 そういうことでありますが、現状の老人に対する教育というのはまだ体系立ったものがないような感じがいたします。それからまた、施設の面においても必ずしも十分ではないということであります。地方自治体等では老人大学というようなものをつくっておりますが、その教科の内容を見ますと、娯楽的なものあるいは文学作品を読んだりというようなことで、必ずしも内容の水準は高くないわけであります。
 今言われるように、高齢者の指導者を養成するということであれば、やはり一定の程度を要求されるし、言ってみれば一定の知的水準、学力が要求されるでありましょうし、また、その知識に対して国がオーソライズするというようなことも必要だと思います。そういう面で、地方ではやっておりますけれども、名前はどうなるかわかりませんけれども、国が老人大学というような相当権威のある施設をつくる構想はありませんか。
○前畑政府委員 老人大学という御提唱がございましたが、今先生は具体的にどういうふうな御構想がはちょっと私も正確に理解いたしかねるところではございますが、御紹介ございました市町村等で実施をいたしております老人大学、これに類すると言ったのでは若干レベルが低いのでございましょうけれども、私どもが実施いたしております長寿学園開設事業、これは補助事業で実施をいたしておりますが、これは基礎課程、その上にそれをマスターした人のための専門課程、こういうふうな二段のカリキュラムを組む。原則的には、修業年限といいますか二年は在学していただこう、そして二十単位程度は修得してもらおう、こういうような仕組みの事業というものを実施をいたしております。
 今先生の御指摘のようにレベルの高いものをだんだんと求めていくということになりますと、これも御案内かと思いますが、大学を初めとする高等教育機関にそういった高齢者の方々も入学をする、あるいはいろいろな形で大学で学習をする、そういうふうなことも考えられるのではなかろうか、このように思っております。
○新村分科員 老人大学の設置については余り前向きではないようでありますけれども、老人大学に限らず、福祉政策、特に老人政策もそうですけれども、地方の方がむしろ進んでいるわけですよ。老人大学が多くの自治体でやっておるというようなこと、あるいはまた、これは文部省の所管ではありませんけれども、東京都にはすばらしい老人研究所というのがあります。私はそこへ行っていろいろ話を聞いてきたのですが、老人の老化現象であるとか、老人の病気であるとか、老人の社会におけるあり方、いわゆる老人社会学といいますか、そういったあらゆる部面から研究をしております。すばらしい。ところが国にはないわけですよね。最近になって厚生省ではそういうものをつくる計画があるということを聞いておりますけれども、まだない。
 そういうようなことで、むしろ国が地方団体よりもおくれているという状況がありますから、ぜひこの問題についても検討を願って、老人大学、名前はどうでもいいのですけれども、要するに高齢者が学んで、高齢者がその能力を社会に還元できるようなそういう施設、これをぜひおつくりをいただきたいと思うのですけれども、大臣、いかがですか。
○森山国務大臣 先ほど来局長から御説明申し上げておりますような事業をやっておりますし、またそれ以外にも例えば放送大学とか一般大学の公開講座であるとか、若い方々とも肩を並べて勉強していただく、そして新しい知識を身につけていただいて社会のためにまた貢献していただくというようなチャンスは今既にかなりできつつあるというふうに考えております。
 老人の方だけを対象にして考えるということもあるいは適当なのかもしれませんが、また別の観点から見ますと、年齢のやや若い方々とも一緒に肩を並べ、友達づき合いをして、そして新しい知識をその間に情報として身につけていくということもプラスなのではないかというふうにも思いますので、年齢を一定に限定して老人だけのためのというのがそのままでよろしいかどうかということは、もうちょっと検討してみた方がいいのではないかな、私の個人的な感想でございますが、そんなふうにも思います。
 いろいろなチャンスがございますので、意欲のあるお年寄りの皆さんにはいろいろな場にどしどし参加していただきたい。先ほど申し上げたようなさまざまな機会が各地区に開けているというふうに私は思います。
○新村分科員 現在でも相当やっている、確かにおやりになっていると思います。例えば放送大学というようなものがありますけれども、放送大学は、もちろん知識を得るというだけであればそれは一定の成果は上がると思いますけれども、やはり教育というのは一カ所に集まって人間関係を結び、あるいは世代間の連帯感、交流、それから人格的な触れ合い、そういうものがむしろ教育は大切なのではないかと思います。そういった意味からも、ぜひ老人大学を将来はつくっていただきたい。特にこれは御検討をお願いしておきたいと思います。
 それから今大臣から、現在若い人に伍してやっているというお話がありましたが、その問題に関連をして、大学の公開というか開放といいますか、大学の公開あるいは学問の公開、これが生涯教育については極めて大切な問題だと思います。この大学の公開について、文部省では、旧高専あるいは大学を中退した人たちが再び学問を続けて、中途半端になっている知識を完成をさせる、このために単位を取得させる制度を検討しているというふうなことを聞いておりますが、これはどうなっておりますか。
○遠山(敦)政府委員 現在、大学におきましてはいろいろな形の改革が実施されつつございますけれども、多様な学習機会を提供していこうということも今大学の改革の一つの大きな柱になってございます。これらの大学教育へのアクセスを多様化をして、授業の履修形態の柔軟化を図るというようなことでいろいろな形の学習機会を提供していこうということでございまして、その中に社会人あるいは高齢者を対象にしたいろいろな仕組みを考え、かつ実施に移されているところでございます。
 今お話しのいろいろな背景を持っておられます方々も、大学の制度の中に組み入れて学習できるようにしようということで幾つかございますが、例えば平成三年二月の大学審議会の答申に基づきまして、大学設置基準を改正いたしまして、科目等履修生制度を導入したところでございます。これはかって大学に、正規の学生あるいは単位が取れる制度ではなくて、聴講をするというような制度があったわけでございますけれども、これでは十分に単位が取れないということもあるものでございますから、その人の背景によるわけでございますけれども、個別の授業科目の履修あるいは一定の体系的な授業科目群の履修によりまして大学の単位が取れるようにする、そういう制度を新たに導入しているところでございます。単位を少しずつ取っていって、それらを積み重ねていくというふうな考え方に基づく制度が開かれつつあるところでございます。
○新村分科員 生涯学習の一つのポイントは、やはり今のお話の単位を与える、一定の聴講をしてもらって、まあ試験は必要でしょうけれども、その試験に合格した場合には単位を与える。そして一定の単位の数、今大学は百二十四単位ですか、百二十四単位に達した場合には学士号を与える。さらにその上に進んでいきたい者については、修士課程あるいは博士課程、そこまで必要な単位がそろった場合にはこれを与えるというような制度ですね。これは生涯学習の一つのポイントであり、最も重要な施策になろうと思います。そうすることによって、生涯のうちのいつの時点でも一定の資格が取れるあるいは勉強ができるということでありますから、これは学問をやろうという熱意のある者にとっては大変いい制度でありますが、またそれが完全に実施をされていないようであります。
 これについては、どういうふうにして聴講ができるのか、あるいは単位が取れるのか、最終的にどこが認定をするのか、そういう制度がまだ整備をされていないのですよね。ですから、これは一日も早く認定機関、一連の手続、それから施設、必要な期間、これを整備していただきたいと思いますけれども、いつごろにこれは整備されますか。
○前畑政府委員 今先生御指摘ございましたように、いろいろな機会に学習をした、その学習をした成果を大学の単位と換算をして評価をする、そういうふうな仕組みがあるいはできれば、そしてまたできましたときに、その換算された単位といったものを積み上げて大学卒業の資格を認定をする、そういうふうな仕組みが今先生御指摘のところだと思いますが、なかなか難しゅうございますのは、これは先生も御案内かと思いますが、一般に、学習をする人たちというのは、そこで試験を受けたり成績評定をされたりということにつきましてはかなりな拒絶反応がございます。
 実は私どもも、大学の公開講座についてしかるべきレベルの内容のものをやるためにはそこできちっと成績評定をする、試験をする、そういうふうなことを通じて、それを将来大学の単位と同等に評価をする道がないかというようなことも研究をしつつありますけれども、これまた公開講座を受ける人たちというのは、評価などはしてほしくない、ただ黙って勉強すればいいんだ、そういうようなこともございまして、全体としての社会の動きの中、そしてまた御案内だとは思いますが、単位というのは大学の学生だけに特有なものでございますので、それをさらに今先生の御指摘のようなことを進めてまいりますと、大学に身分を持っていない、学生の身分を持っていない者にも大学の単位と同じような評定をするかという新しい仕組みの問題にまで発展してまいろうかと思いますので、これらは今後の検討課題とさせていただきたい、このように思う次第でございます。
○新村分科員 人の要求は多様化しておりますよね。ですから、単に話を聞いて、それでいいんだ、テストをされたりすることは迷惑だという人もいるでしょう。いるでしょうけれども、自分の能力なり取得した知識に一定の権威を与えてもらいたいという人もいるでしょうし、そういったものを集積をして、そして一定の資格を得る、その資格を取得した者については老人問題のカウンセラーの資格を与えるとか老人クラブの講師の資格を与えるとかというようなこともできるわけでありますから、やはりそういう一定の知識の水準を確保して資格を与えるということ、これは学校教育の一つの、一つのというか大きな目的でしょうけれども、それをさらに社会人にも拡大していくということは必要だと思いますよね。
 これが実は生涯教育の柱にならなければいけないのではないかと思うのですけれども、そこのところをどうして文部省は逡巡しているのか、なぜその決意をされないのか、それを疑うわけです。この点をぜひ検討して一日も早くそういう制度をつくってもらいたいと思います。
 それで、公開講座を聞いて、それだけで満足しているという人はそれでいいわけですよ、もちろん強制するわけではありませんから。ありませんけれども、一定の知識水準をオーソライズされて、それが一つの生きがいたという人もいますし、それで社会還元をする一つの基礎ができるという満足感を得られる人もいるわけですから、その点についてぜひお願いをしたい。
 それから、生涯教育というのは、むしろ学校に行っていない人たちを対象にするわけでしょう。学校に行っていない人たちを学生と同じ扱いにすることは抵抗があるということであれば、これは生涯教育の基本的な理念から外れるわけでありますから、そうじゃなくて、大学に学籍がなくても、その人が一定の知識水準を持っていれば、単に公開講座を聞いただけで証明書を与えるというんじゃなくて、公開講座を聞いてもらって、試験を受けてもらって、その試験ももちろん大学に在学をしている若い人たちと同じ水準で採点をして、それでパスをすれば若い人たちと同じだけの権威ある認定、資格を与えるということに踏み切らなければ生涯学習の精神が生きてこないと思うんですよ。これはどうでしょうか。
○前畑政府委員 大変示唆に富む御指摘であると思いますが、学校の外、つまり大学以外の場で、大学に入学をしないで、大学の学生の身分を持たないで学習したことを適切に評価をする、そしてその適切に評価をしたところを、いわば今先生御指摘のように積み重ねて何らかの職業資格に結びつけるといったようなことは、確かに大変大事なことであるということは十分認識をいたしております。
 今御審議いただいております平成五年度の予算案におきましても、そういった学校外で学んだことをどのように評価をしていくか、それにはどういうふうな仕組みというものが考えられるかということについて調査研究をいたしたい、このように考えて所要の調査費をお願いいたしているところでございます。
○新村分科員 いや、学校以外ではないんですよ。そういう希望者については大学の中で講義を聴講させる道を開いて、ですから、聴講しているときにはこれは学生と同じ扱いにしていいわけでしょう。大学をそういう意味で開放する。そして、希望者については七十歳であろうが八十歳であろうが大学の講義を聴講させる道を開く。聴講するということは学内にいるわけですからね。身分も、これは聴講生という身分を与えればいいわけですから。それで単位を与えるということができないのかどうか。それを積み重ねて一定の単位数になれば卒業の、学士の資格を与える、あるいは修士の資格を与える、博士の資格も与えるということは、決して非合理、不合理ではないと思いますよ。そういう道を開くことがやはり生涯教育に生命を与えることになるんじゃないでしょうか。
○遠山(敦)政府委員 実は、先ほど御説明いたしました科目等履修生制度がまさにそういうことに対応する制度でございます。要するに、聴講生ということで大学の授業を聞くという場合には、身分は学生の身分を有してないわけでございますね。そういたしますと、大学としては、単位という正式の制度の中に組み込むことができないわけでございます。そういうことにこたえるために、やはりいろいろな方々の多様な要望にこたえて大学の授業の履修の場も提供して、それによってある一定の水準に達しました者には単位を取っていただくようにしていくというふうなことを開く角度から科目等履修生制度というものを開いたわけでございます。今後そういう形での単位などが追って大学の卒業資格に結びついていくということになりますと、その後に修士課程あるいは博士課程という段階へ進む入学資格も得られるようになっていくわけでございます。私どもは今そういう段階で、大学の開かれた制度というものをさらに促進してまいりたいというふうに考えております。
○新村分科員 文部省、ひとつ柔軟にお考えをいただいて、こういった場合には試験も何もなしに無制限で聴講生には資格を与える、聴講する熱意のある人には。聴講した場合には学生と同じ扱いにして単位を与えるというくらいの柔軟性がないと、生涯教育、これは本当に仏つくって魂入れずということになりますよ。ぜひお願いしたいと思います。
 それから、教育と老人問題ですけれども、老人問題というのは福祉の問題だけではなくて、教育の問題としてもやはりこれから重要な問題になるのではないかと思います。老人の社会におけるあり方、そういったこともありますので、老人問題を学校教育に取り入れていくべきではないか。学校教育の中で老人問題を小さいうちから教育をして、老人あるいは老化、老人の社会におけるあり方、そういったものについての認識あるいは知識を小さいうちから植えつけていくということが必要ではないかと思います。
 それから、これは時間がなくなりましたけれども、老人問題、老人学。老人学というのは老人医学とは概念が若干違うと思いますけれども、この老人学が日本の医科大学ではほとんどやられていない。医科大学が今九十ぐらいありますか、そのうちで老人学の講座があるのは五、六校にすぎないということですよね。ですから、これから高齢化社会になりますので、老人学の発展充実ということが今要望されているわけですから、少なくとも医科大学には老人学の講座を全部設置をする、あるいはまた人文科学系統の学校にも老人学の講座はあってもいいのではないか、そういうことで文部省の御考慮をお願いしたいと思います。
 それからまた、人間はいつかは死ぬわけでありますけれども、今医学の面ではホスピスというようなものがつくられておりますが、やはり人間というのは、最期に、死ぬときにどういうふうに冷静に死を受容して死んでいかれるかというそのことが人生の究極の問題だと思いますね。終わりよければすべてよしという言葉がありますけれども、死ぬ間際の状況が悪い場合にはその人の人生はもうだめなんだ、そういうことも言えるわけであります。そういう意味で、これは新しい学問のようでありますけれども、死生学という学問が今できつつあるそうであります。こういった問題についても文部省としては十分御考慮をいただいて、これを大学の講座に入れるとかあるいは死生学の充実のために一定の政治的な配慮をすると。か、教育の問題でありますから、大学で十分それらのことについての勉強ができるような環境をつくっていただくとか、そういったこともお願いをいたしたいと思います。
 時間が参りましたので、答弁は要りませんけれども、ぜひ今まで申し上げた幾つかの点についての実現をお願いいたしたいと思います。
 終わります。
○鴻池主査代理 これにて新村勝雄君の質疑は終了いたしました。
    〔鴻池主査代理退席、主査着席〕
○臼井主査 次に、小川信君。
○小川(信)分科員 三十分の限られた時間ですけれども、日本の相撲の問題についていろいろお尋ねをしたいというふうに思います。
 実は私、今からちょうど二年前の平成三年三月十一日、やはり同じように百二十国会の予算委員会の分科会で、大相撲、特に両国国技館の入場券の問題について質問いたしました。私の友人がおりまして、私自身は相撲というものに対して余り興味、関心はないわけですけれども、私の友人が、私がこちらに来たときになかなか相撲を見に行こうとしても見に行くことができない、特に升席なんかは特定のルートがなければ入手することができない、死ぬまでに一遍でもいいから見に行きたいと思うけれどもなかなかそうはいかない、小川さん、あなたせっかく国会議員になったのだから、今度はあなたの手で見に行くことができるようになるだろうけれどもと、こういう話があったのですけれども、そうじゃない、この日本の国技という相撲をもっとたくさんの人に見てもらえるような機会をつくることがおれらの仕事だから、一遍国会で十分聞いてみようということで、二年前分科会で、当時の井上文部大臣にいろいろと御質問を申し上げたわけです。そして、いろいろと議論をした後、結論として井上文部大臣から、日本相撲協会とよく相談して指導するというお約束をいただいたわけです。
 このことについて、二年たったわけですけれども、文部省はどのような相談をされ、指導をされ、対応されたかをまず聞かせていただきたいと思います。
○奥田政府委員 今のお話でございますけれども、先生御案内のように、近年相撲競技の人気向上もありまして、一般の国民の入場券入手というものは非常に難しくなってきているということは私どもも承知をいたしております。このため、文部省といたしましても、ただいまお触れくださいましたけれども、二年前の御質疑等も踏まえまして、相撲協会に対しましては、相撲競技の一層の振興充実を図るためにも、多くの国民がこれまで以上に入場券を容易に入手できるよう改善方策を検討するよう要望してきているところでございます。
○小川(信)分科員 体育局長、わずか二年間ですから十分な御指導なりができなかったかと思いますが、実は、御存じのように、私も改めてこの問題を取り上げたのは何かといいますと、最近相撲がますます人気が高くなって、若貴時代とか曙・貴ノ花というふうな時代で、広く国民の底辺に相撲の人気が広がってきているだけに、この升席等々の入場券入手の困難性というものが多くの社会的な話題になってきたのだろうと思います。最近、週刊ポストという週刊誌がこの問題を毎週取り上げてきております。そのように、この問題については今まで以上に国民の関心が高まってきておるのではないか、そういうふうに私は思っておるのです。
 文部省、私が二年前に御質問して、相談をし、指導を約束されて今日に至ったわけですけれども、その後、今時点、こういうふうな問題が大きい社会問題になるような形にまで高まってきているということについてどのように受けとめておられるのか。大臣は相撲についてはいろいろな意味で御関心もあったようですし、土俵の上に上がりたいという御要望もお持ちだったし、また先般は貴ノ花に賞を差し上げられたというふうに聞いておりまして、殊のほかそういうことには御関心が多いのだろうと思いますが、連日週刊誌が取り上げて大きい関心になっているこの問題をどのように受けとめておられるのか、御感想を聞かせていただけたらと思います。
○森山国務大臣 私は週刊誌の記事はちょっと詳しく存じませんが、おっしゃいますような社会的な問題とさえ言えるよう立話題になっていることは承知しておりまして、これは、せんじ詰めて申せば、相撲の人気の高くなってきたあうわれだというふうに思いまして、そのような意味では相撲の振興のためには喜ばしいことだというふうに思っているのでございます。
 しかし、そのために、本当にぜひ見たいというファンの方がなかなか切符が入手できないというのはやはり問題ではないかと思います。このように国民の多くの方から大変注目されている、その人気にこたえるためにも、財団法人の日本相撲協会といたしまして、必要に応じた改善策が検討されますように期待しているところでございます。
○小川(信)分科員 大変いいお話をいただいたのですが、これは財団法人という公益法人としての日本相撲協会が主催をして、その事業の一環として場所を開設する。これは、寄附行為に記載されておりますものは、力士の相撲競技の公開実施だ。多くの人々に見られるような環境をつくることが公益法人としての日本相撲協会の責任であり役割であるのではなかろうか、このように思っておりますし、今大臣がおっしゃったようなことになるように期待をしておりますけれども、現実に国技館の升席の入手が難しいということは十分聞いておりますけれども、文部省は窓口で一般に販売される升席が升席全体の何%ぐらいあるかということについてどのように把握しておられるか、ちょっとお尋ねしたいと思います。
○奥田政府委員 相撲協会から聞いた報告を御説明申し上げます。
 現在評判になっております入場券の入手困難につきまして、升席の人気が特に高いということ、今先生御指摘がございました。そこで、この升席の入場券の販売についてでございますけれども、窓口等で直接国民に販売する、いわゆる木戸分というのでしょうか、それは約五%、それから株式会社国技館サービスを通じまして販売している分が八六%と聞いております。
 今申し上げましたのは升席の分でございますし、先生も升席についてお尋ねでございましたけれども、なお念のために、入場券全体、例えばいす度等がございます。これを全体で見ますと、一般の窓口等で販売しているものが約四〇%ございます。そして、国技館サービスを通じますものが五六%というふうに聞いております。
○小川(信)分科員 国技館の一万余りの席全体の中には、いわゆる立ち見席まで含めて約一万人が入場するわけですので、その割合というのはいろいろ見方によってあるかと思いますが、相撲を見たいという人たちが入るのが升席とかいす席のいいところ、前のところなんだろうと思いますが、今お話を聞きますと、国技館サービスという会社が八六%を取り扱っておる。これは委託販売という形でおやりになられると思うのですが、国技館サービスという会社がどういう会社なのか、資本構成なり代表者、役員構成、役員の経歴、それから事業の内容、経営の概況なり決算状況等々、わかったら教えていただきたいと思います。
○奥田政府委員 お話しの株式会社国技館サービスでございますけれども、設立されましたのは三十二年八月でございまして、当時、財団法人の日本相撲協会と旧相撲茶屋、二十軒あったそうですが、そこの経営者グループ、それぞれ五〇%すっ出資いたしまして今日に至っているという状況でございます。
 役員構成等でございますけれども、代表取締役には、観客の案内、入場券の一部代行販売等を行う案内所の営業責任者の親族がなっております。取締役には、案内所の営業責任者の親族二名及び同社の社員一名の計三名が就任いたしております。また監査役には、案内所の営業責任者及び相撲協会の職員の計二名が就任しているという状況でございます。
 次に、事業内容でございますけれども、一つは国技館内の料理飲食業、それから飲食物及び土産物の販売、そしてその他付随する業務を業務内容としているというふうに聞いております。
 それから、経営状況及び決算の状況でございますが、実は先生、これは一応性格上は株式会社といたしまして、独立のいわゆる株式会社、営利法人でございますので、私どもはその内容について直接は聞いておりませんが、相撲協会を通じまして聞いたところでは、資本金が二千万円、平成四年度におきまして株主配当等を行う前の当期利益が約一億二千五百八十万円というふうに聞いております。
○小川(信)分科員 今いろいろお聞かせいただきましたけれども、私の調べた範囲でも、今おっしゃるように昭和三十二年にできて、国技館サービス会社の資本金二千万円は、これは財団法人日本相撲協会が五〇%、そして今案内所とおっしゃったいわゆる茶屋ですね、相撲茶屋の経営者の皆さん方が五〇%というフィフティー・フィフティーの出資会社ですから、財団法人の日本相撲協会の子会社、系列会社としての位置づけはありますから、文部省の監督責任はあるだろうと私は思います。
 しかし、そこまでは今のところ言うことはないわけですけれども、相撲協会の入場券の委託販売を引き受けておられるのはいいのですけれども、それでは、この相撲協会の案内所を通じて今大部分が販売されておりますというようなことでありましたけれども、私は、一九五七年、昭和三十二年の三十五年前にさかのぼって、当時のことを考えていただきたいと思うのです。
 昭和三十二年の当時の国会で相撲茶屋の問題が大きく取り上げられた。社会党の辻原弘市代議士が当時の灘尾文部大臣と、文教委員会さらには予算委員会でちょうちょうはっしの、相撲茶屋の問題についてこの近代化を図るべきじゃないか、今盛んに言われるいわゆる改革すべきだということを強く主張してこの問題が大きな社会問題になった。皆さん御存じかと思いますけれども、当時の相撲協会の出羽海理事長ですか、自殺を図ることもあったというようなことも聞いておりますし、参考人を呼んで文教委員会で相当厳しく追及をされて、文部省と相撲協会が四回にわたって協議をしてこれで行きましょうという一つの結論が出ております。
 その中でこの升席の問題も取り上げられておりますけれども、この升席の問題については、入場券は全面的に公開を目標とするが、協会財政ともにらみ合わせ順次実施するということを第一に決めている。実は、現在の協会財政は極めて裕福な、豊かな協会財政になっておりますが。そして、升席、いす席、各席にわたって興業期間中の通し券、一日席券ともに公開をする、升席のばら売りもする、こういうふうに決めております。さしあたり九月秋場所では、一般公開分四〇%を協会窓口と市中プレイガイドで販売する。協会取り扱い分を六〇%とするが、この中から四五%以内を従来の茶屋経営者に委託販売をさせる。こういうふうなことで、升席の四〇%を一般公開するという約束を当時の相撲協会と文部省が話し合って指導されてきたわけですけれども、三十五年たってもこれが実現してなくて、二年前私が御指摘申し上げたような状況であり、今盛んに世上で言われておるような状況になっておる。
 こういうことについて、あの当時文部省の皆さん方が本当に努力をされて協会を指導された、このことがその後生かされてないのではないかというような感じがしてならないのですけれども、その辺についてはどのようにお考えでございましょうか。
○奥田政府委員 先生御指摘のように、昭和三十二年当時、文部省は、当時は財団法人大日本相撲協会と申しましたけれども、これに対しまして、一つは当時の茶屋制度を廃止すること、それから二つ目に本場所大相撲の入場券は公開を原則とし、財政確保その他の諸般の事情を考慮しつつ逐次これを実現するようにすることなどを内容とする指導を行ったところでございます。相撲協会としましては、これを受けまして、入場券の取り扱いについては升席を含めた入場券全体の四〇%を一般公開することとしていたところでございます。先ほどちょっと申し上げましたように、現在も入場券全体では四〇%ぐらいをいわゆる一般国民に直接販売するというふうな方式になっております。
 ただ、先生御指摘のようになかなか一般公開分の比率が高まってきていないという点がございますので、機会あるごとに自主的な努力を我々も協会の方に要請いたしておるところでございます。
○小川(信)分科員 三十五年前に指摘を受け、国会で議論をし、改善の方向ができて、協会がこれでいきましょうと言って三十五年たったわけでございます。ですから、私が御指摘を申し上げてたった二年ですから、三十五年に比べれば二年だから余り変わらぬかもわかりませんけれども、やはりこの問題は今大きな社会的な問題になっておるわけです。
 現実、先ほどもお話があったように、升席については八割を上回るものがいわゆる案内所という昔の茶屋に割り当てられておる。しかし、その茶屋に割り当てられたものは、升席の席券、一万円で券を一枚くださいというわけにはいかないのが現実なのです。升席のばら売りをするということを決めたとは言うけれども、現実として四人一つの升で一人一万円、土産や料理がついて三万、四万になる、そして五万になる。四人が行って払う金は、十万払わなければ升席に入れない。よくてそうで、どうしても急に見たいと言えば横から流してもらわなきゃならぬということになると、それが三十万、四十万になる。こういうふうなのが現実だと言われておりますけれども、文部省はこの現実をどのように認識しておられるのか、聞かせていただきたいと思います。
○奥田政府委員 先生御指摘のように、週刊誌で取り上げられるなど、いろいろな批判あるいはいろいろな要望等ございまして、入場券をできるだけ確保できるようにというふうなことは相撲協会もよく認識をいたしているようでございます。したがいまして、自主的にそういう要請にこたえられるような努力を一層進めていただきたいと私どもも考えているところでございます。
○小川(信)分科員 それで、この一予算委員会の分科会ではなかなか天下の大相撲協会も改革をされなければ、私は、常任委員会の文教委員会で三十二年に、三十五年前に取り上げられたような形でもう一遍取り上げて、今国民の人気の最高潮にあり、国技と言われる日本の相撲、そして国際的にもこれが広がっていくようなこの相撲の改革をやるために常任委員会で十分取り上げてやっていただきたい、このように思います、きょうはそうはいきませんけれども。
 具体的なことで今度いきますと、先般から、相撲協会が前売りを出すと前売りを買いあさるために暴力団や何かの人たちの手先が並んで大変だからといって、窓口はやめまして、テストで電話での予約販売をするというようなことを言っております。しかし、新聞に出ているのを見ましても、電話で出すのは升席は全体の三・四%だというのです。ですから、今おっしゃるように、相撲協会は公開ということについてちゅうちょしておられる、どうもそう思わなければならない。
 確かに相撲茶屋は相撲の人気がないときに、苦しいときに協会を助けたという役割を持ったと思いますけれども、今は相撲茶屋の利益も非常に大きくて、それから国技館サービスの収益率も非常に高い。さらには日本相撲協会も相当たくさんの内部留保をされておる。こういうふうな状況になってきたら、三十五年前の約束のように財政状態をにらみながらということは、もうその必要はなくなってくるのではないか、全面公開でいいのではないか。
 そして、私は、升席を買った人があそこに行ってすしが食べたい、料理が食べたい、そして帰りには土産を言づけたい、こういうことなら、そこで注文するというような仕組みを考えてもいいのではないか、そういうふうに思っているところですけれども、これらの問題について、テスト販売というようなことを協会がやられますけれども、協会の方はこういうものについて事前に文部省と協議されるのですか。
○奥田政府委員 今のお話でございますけれども、相撲協会は、先生御指摘のように三十二年、特にそういう御指摘があって以来、この問題意識を持っていると思うのです。先生がおっしゃってくだすったですが、相撲協会を弁護するわけじゃございませんけれども、非常に厳しいときにも支えてもらったといったようないきさつ等々がございまして、そういうこともどのようにしてこれからは調整していったらいいのかというふうなことを苦吟しながら、どのように公開分といいましょうか一般に直接販売する、そういう方法を広げていくのかということを検討していると思います。
 先ほどお触れいただきましたが、この大阪場所についてテストケースとして電話受け付けをするというふうなことを試みたい、そしてさらに今後ともそれをもとにしていろいろな試みをしていくだろうというふうに期待をいたしております。これも相撲協会が自主的にいろいろ内部で検討した上やっていることでございます。
○小川(信)分科員 確かに苦しいときに助けてもらったという日本人の特有の義理と人情、私はそれは否定をしません。しかし、現実、日本相撲協会も財務的には、財政的には非常に豊かになっておる、国技館サービスも一億二千万円の剰余金を出し、さらには手数料として相撲協会に十億ぐらいの金を繰り入れるというようなこともやっておる、そしてそれぞれの茶屋の経営も決して苦しい状況ではないということになれば、やはり三十二年のときに文部省の指導で協会がこれでいきますと言った線に帰るべきではないか、その指導を文部省がされるべきではなかろうか、このように私は思っているわけですね。これは国民全体が物すごく拍手喝采をすると思います、私は。
 特に私が言いたいのは、相撲というのが国技として位置づけられておるということですね。そして、その相撲協会の寄附行為の中には、「我が国固有の国技である相撲道を研究し、」「もって相撲道の維持発展と国民の心身の向上に寄与する」と書いてあるのですよ。相撲協会は金をもうけるとは書いてないのです。ですから、そのために相撲競技の公開をして国民に対して広く普及を図っていくということですから、その役割を負っていくことを考えたら、協会が広く国民に競技公開を受けとめられるような機会を開放するように文部省は指導をしていくべきではなかろうか、このように考えておりますけれども、私の考えが違うものなのか、文部省のお考えを聞かせていただきたいと思います。
○奥田政府委員 先生のお話の趣旨、痛いほど私わかります。そしてこれも、今までの経緯がありまして、同じような繰り返しになるかもしれませんけれども、我々以上に相撲協会の幹部がこのことについて強い問題意識を持っているように私どもも受けとめております。したがいまして、先生お話しのような、相撲協会が果たすことが期待されているそういう公益目的を達成するためにも十分な財政基盤が必要でございます。ある程度の経営努力というのは大事でございますが、他方で、先生御指摘のような批判に十分たえられるような努力を一層していってもらいたいと期待しておりまして、私どもも必要に応じた指導をやってまいりたいと思っております。
○小川(信)分科員 二年前のこの委員会での御質問に比べたら、今体育局長さんの御答弁は相当前進をしておるだろうと思います。あのときは、行って見られぬ人はテレビで見たらどうですか、こういうふうな御発言もございました。それから、よく相談してみましょうということでしたけれども、それに比べれば非常に前進をしておりますので、ぜひそのようにしていただきたい。
 私はそういう意味で、文部省が協会に対してより積極的な、そして具体的な指導をしていただいて、少なくとも昭和三十二年に文部省が協会に対して行った指導、そしてそれを相撲協会が受け入れた、この線を即刻実施するように文部省は強力な指導をしていただきたいと思いますが、最後に大臣の御決意を聞かせていただきたいと思います。
○森山国務大臣 大変御熱心な御意見をちょうだいいたしまして、いろいろと考えさせられるところがございました。何事もそうでございますけれども、長年の習慣というものを改めるというのはなかなか難しいことでございます。しかし、時代の要請、新しい時代に対応して、どちらでもその時代に合ったやり方をしていかなければいけないということもまた大変重要なことでございまして、今後とも先生の、御鞭撻をいただきたいというふうに思う次第でございます。
○小川(信)分科員 それでは、文部省の強力な指導を期待いたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。
○臼井主査 これにて小川信君の質疑は終了いたしました。
 次に、鈴木喜久子君。
○鈴木(喜)分科員 社会党の鈴木喜久子から、文部大臣に伺わせていただきたいと思います。
 今の小川委員のお話、私も後ろで非常に興味深く伺っておりました。ちょうど私が衆議院に初めて当選してここに来ましたころに、森山文部大臣の御発言で土俵云々ということがありまして、その後に私も女を土俵に上げる会というところに入りまして、そこで私が上るとそのまま回しをつけたくなるから、そうでない形でいいからというようなことで、大いに気をよくして頑張ったことを今思い出しました。このごろの相撲というのは男性ばかりでなく、非常な勢いで特に女性の相撲のファンがふえております。ぜひ国民全体に開かれた形での大相撲のあり方というものをお考えいただきたいと思います。私はお相撲のことをきょう言うために来たのではないので、その次のところをお願いしたいと思います。
 まず、大臣の御所感をいただきたいのですけれども、山形のいじめ殺人事件がございました。四月が間もなく来まして、進入学に胸を膨らませている子供たちも非常にたくさんいると思います。ぴかぴかの一年生というのは本当にいいものだと思うのですけれども、学校のそういったいじめという問題、この殺人事件ばかりではなく幾つもの自殺等を引き起こすようなそうした問題について学校に上げる親たちは非常に心配の念を持って、どうなるかなという不安感を非常に持っていると思うのです。こういった親の心配といじめという現状について、これと教育のあり方というものについて、大臣の御所感を伺いたいと思います。
○森山国務大臣 大変痛ましい事件が最近も幾つか起こりまして、私も子供を育てた経験のある親の一人として非常につらい、話を聞くだけでもつらい気持ちでございます。
 しかし、いじめなどがどうして起こるかということをいろいろ検討してみますと、やはりその子供自身の問題行動の原因、子供だけの問題ではなくて、その背景にいろいろな社会環境とか家庭環境とか、あるいは学校における教育指導のあり方、その他さまざまな要因が複雑に絡み合っているのだと思います。ですから、これを解決していきますためには関係する者が一体となった取り組みが必要なのではないかというふうに思うのでございますが、特に教育ということを受け持っております学校におきましては、校長のリーダーシップのもとに全教職員が一致協力して指導に当たるということが必要なのではないだろうか、そのように痛感しているところでございます。
 文部省といたしましては、従来からいろいろな場におきまして、いじめの実態の把握や取り組みの充実について指導を行ってまいりますとともに、教師向けには指導要領の作成配付をいたしましたり、また研修を実施いたしましたり、教育相談活動を推進いたしましたり、自然教室の推進とか、生徒指導上困難な課題を有する学校には特別に教員の加配をするなど、いろいろな方法を講じましてその解決のための施策の充実に努めてきたところでございます。
 今後とも、いじめなどの問題行動をなくしまして、一人一人の子供たちが生き生きとした学校生活を送ることができますように努力をしていきたいと存じます。
○鈴木(喜)分科員 この問題について、私も子供を育てた経験のある母親として、そしてまた近ごろはもう既に孫を持つ身として、このままにしておいてはいけない問題だ、文部省の御努力もわかりますけれども、そういったいじめの問題がついこのごろ出てきたわけではなくて、もう大分前にこういった問題で騒がれて、私などは大分下火になったかなと思っていたところが、昨今また非常にこれが社会的に大問題になってきた。ですから、その御努力の跡がなかなかきちんとした効果になってあらわれていない。そこのところが非常に問題の根深く、また大変なことだろうと思います。
 私、さまざまな要因、たくさんあると思いますけれども、今の子供たちの中に欠けているものというのは、弱い者とか障害を持った者とか、または自分と少し異質な気に入らない部分のある者とか、また自分よりちょっと小さい者とか、そういう者に対するいたわりの気持ちが本当にない。そういう者を踏みつけてしまうことに快感を持ってしまうというか、そういった傾向が非常に多いんじゃないかというふうに思います。
 これは背筋の寒くなるような思いがするのですが、どういうところからこれがきているかというときに、そういった障害のある人とかまたはお年寄りや小さい子供たちと一緒に寝起きをして暮らすというようなことが、さまざまな家庭の事情や建物の事情、家の狭さとか、そういうことからもなくなった、核家族化されてきた、そういったことでそういったものとの触れ合いが非常になさ過ぎるというところにも大きな原因があるのではないかというふうに思います。そして、そのことで私は、そういったものを今家庭の中に、そういうことで一緒に住みなさいとかいうふうに言ったところでこれは社会環境としてなかなかできない部分を教育の中で何か補うところがないものだろうか、そういうことをつくづくと感じています。
 そこの中で私が考えますのは、やはり小学校のときから大学の教育まで続けて一種のボランティアといいますか、そういった教育または実地の活動というものが子供たちの心身を発達させる中に非常に大きな影響力のある、効果のあるものではないかというふうに思われてなりません。その点についてまた大臣に伺いたいのですけれども、こうしたボランティア教育、効果というものについての意義をどのようにお考えでございましょうか。
○森山国務大臣 さまざまな奉仕活動あるいはそのような関連の活動の実体験をするということは、子供にとって人間性、社会性を養い、思いやりを育てるというような意味で非常に意味があることだというふうに思いますし、むしろそういうことをぜひ取り込んでいかなければいけないというふうに考えております。学校の教育の中におきましても、子供たちに勤労のとうとさとか社会に奉仕する精神を培うというようなことを心がけておりまして、それぞれの発達段階に応じまして道徳とか特別活動などを中心に指導しているところでございます。
 具体的には、その地域の実情に応じまして、例えば老人ホームの奉仕活動をお手伝いするとか、地域の清掃を一緒にするとか、いろいろなことが実際に行われておりまして、新しい学習指導要領におきましても、社会奉仕の精神を涵養し、公共の福祉と社会の発展に尽くそうとする態度を育成するということを特に重視いたしまして、そういうものの内容の一層の充実を図っているところでございます。
○鈴木(喜)分科員 小中という義務教育の間におきましては、文部省の今の大臣のおっしゃった中で特別活動というのが低学年で大体週一回、それから高学年になってくると二回ぐらいの割合でそういった活動のときがとられているように伺っていますけれども、また中学に行っても大体週一、二回ぐらい特別活動というところがあるのですが、ちょっと文部省の方に伺いますけれども、現実にこの特別活動というのは今大臣が言われたような形でそうしたものに使われている時間なのでしょうか。道徳というのもその中には入ってくるし、また低学年の一、二年生のときには「生活」というのが週三回あるように伺っておりますけれども、こうした時間というものの中でどのくらいそうした教育活動に現実使われているのでしょうか。
○野崎政府委員 特別活動の内容といたしましては、学級活動それから生徒会活動、クラブ活動、学校行事、こういろいろなものがあるわけでございまして、学校によってこの配当も違ってくるかと思うわけでございます。
 ただ、この中で、特に学校行事の中に勤労生産・奉仕的活動、この奉仕的活動というのは今までの学習指導要領に入っていなかったのですが、今回そういうような活動も位置づけました。
 また、クラブ活動の中にも、「全生徒が文化的、体育的、生産的又は奉仕的な活動のいずれかの活動を行うこと。」というようなことで、クラブ活動の中にも位置づけておりまして、何時間ということはなかなか各学校それぞれ事情がございますので言えないわけでございますけれども、できるだけ学校におきましてそういう活動に力を入れていただきたいというようなことで、私どもの方でも小中高それぞれ指定校などを設けまして研究もしていただいている、こういう状況でございます。
○鈴木(喜)分科員 今始まったところの問題でございますから、ぜひその成果の上がることを期待いたしますけれども、こういった活動をするということにも、現場の先生がこういったものに対してどのくらいの認識をお持ちであり、またそうした奉仕活動やクラブ活動というものに御堪能かということがまた一つの大きな問題になってくると思うのですね。
 現在、大学の教職課程が主に問題となりますけれども、一般に大学のカリキュラムを組むというときには、その独自性ということからほとんどが大学独自のカリキュラムの構成ということになるというふうに伺っておりますけれども一文部省がどのくらい、どういった形でそういったカリキュラムに大学の場合がかわっておられるのか、現状を伺いたいと思います。
○井上(孝)政府委員 教員を目指す者が奉仕活動などのさまざまな実体験を積むということは、先生がおっしゃるように大変必要なことで、その視野を広げ人間性や社会性を養う上で、また先ほどからお話がございます特別活動などに関する実践的指導力の向上においても大きな意義があるというように考えているところでございます。そういう観点から、文部省といたしましては、昭和六十三年の教育職員免許法等の改正におきまして、新たに必修とした特別活動に関する科目の内容といたしまして、各大学において学生の実態や地域の実情に沿いまして奉仕活動など適切な活動が行われるように指導をしているところでございます。
○鈴木(喜)分科員 指導をされて、その結果どういった形で現在運用されていますか。要するに、奉仕活動をするようにと言えばそれで済むという問題ではなくて、どのくらいそれがされているかという捕捉は、六十三年と伺いますともう既に五年くらい経過しておりますから、何かしらのそういった形というか捕捉ができてくるころじゃないかと思いますけれども、いかがなものでしょうか。
○井上(孝)政府委員 この六十二年度の免許法の改正によりまして、実際に大学におきまして特別活動に関する科目が取り入れられましたのは平成二年度からでございますが、その具体的な内容といたしましては、特別活動に関する科目の中で特に野外文化活動あるいは奉仕活動等の活動を行うことに配慮するように指導しているところでございます。したがいまして、現在、大学のカリキュラムの中でこのような特別活動に関する科目の中ではそのような教育が実際に行われているものというように私ども考えておりますが、詳細に各大学、一つ一つの大学についてどのようなことが行われているかということは、実際にはまだ私どもは掌握しておりません。
○鈴木(喜)分科員 学問としてまたは教育の技術として、こういった野外の活動をした方がいいとか奉仕活動した方がいいというための勉強ということばかりでなく、例えば実習としてそういった形でお年寄りのところに行って、教育実習だったらばずっと学校に詰めてそして活動をするわけですけれども、そういった実習ということを含めて指導をされているという意味に伺ってよろしいのでしょうか。
○井上(孝)政府委員 今先生がおっしゃるとおりでございまして、私どもはそういう実際の学生の実態あるいは地域の実情に沿って奉仕活動などが適切に行われるようにその趣旨の徹底に努めているというところでございます。
○鈴木(喜)分科員 私は、こういうことを学校の先生が行って、私も教職課程をとりまして教育実習に行きました。あの行っていた間というのは本当に意義のある体験を教育という場所を通じてさせてもらったと今でも感謝しているし、自分の中に、私は教職にはつかなかったけれども、非常に重要なものだと位置づけています。教職課程の中で何が残ったかといったら、あの教育実習しか私の中には残っていないというふうに思っているぐらいのものなんです。だから、ボランティアということについても、もしこういう実習ということがあれば、ある老人ホームに行って、そこでお年寄りと寝泊まりを一緒にして、そこでお世話をするという期間がもしもあれば、これはまた青年たちにとって、大人になっても、またずっと社会に出ていっても、非常に大きな一つの価値になって自分の中に蓄積されるであろうということは想像にかたくない部分だと思うのです。
 これを今なさっているというか、そういう形で推し進めているというお話ですが、私は、これをぜひ教職課程をとるときの、単にカリキュラムの中にこれを組み込みなさいよということではなくて、例えば必須科目として、教員免許をとるときにはこれを履修するということがどうしても必要な科目としてそういうものを挙げるというようなことができないだろうか。全部の科目でなくても、例えば小学校の先生になる場合、または社会科とか体育の先生になる場合とか、そういうふうなときに必須の科目にするというようなことは、またはこれをしたということが教員免許のどうしても大きなものになるということをするというようなお考えはないでしょうか。
○井上(孝)政府委員 先ほど申し上げましたように、大学において特別活動に関する科目を取り入れるような指導はもちろんしているわけでございますが、各大学のカリキュラムは、先生御案内のとおり各大学でそれぞれカリキュラムを自主的に判断し編成するというようなことになっておりますので、文部省としてそれぞれの分野の中で個々具体的な授業科目を必修とするようなことは現在のところ考えておりませんが、しかし、先ほどからの先生の御趣旨のように、私どもとしても、できるだけ教育免許状取得の際には、大学において特別活動に関する科目を修得し、その上でボランティア活動等にも積極的に参加するような指導は今後も続けていきたい、このように考えております。
○鈴木(喜)分科員 こういうのというのは、どれを見ても各お役所のやる気の問題でかなり進み方の度合いも違うと思うのです。そして、事は緊急を要することではあるけれども、やはり迂遠に見えても、教育というように何年かかかるものを今からすぐにでも始めるという緊急性はあるけれども、そして何年かたってやっとそこで実が上がってくるのが教育というもので、特に教員の養成というのは今の子供たちということから見るとかなり遠回りには見えますけれども、要はやる気の問題で、大学の自主性に任せるからこういう問題については口出しもできないのだということではなくて、この問題について積極的に取り組んでいただいて、多くの大学でこれを必須科目とすることができるような形にぜひ御努力をいただきたいと思います。
 この問題について、大臣、どのようにお考えか伺いたいと思います。
○森山国務大臣 先ほど来御指摘のように、またこちらからも御説明申し上げましたように、ボランティア活動というものの持っている非常に重要な意味、そしてそれを実際に学校の現場で先生が指導しまた子供たちが実践していくということがこれからいろいろな意味でとても大切であるということは、全くおっしゃるとおりだと私も同感でございます。それがもっと今よりも具体的に現実の場で実施され生かされていきますように、いろいろな点でこれからも努力したいと思っております。
○鈴木(喜)分科員 どうもありがとうございました。同じ女性ですから、本当に期待して、一生懸命お願いをいたします。
 最後に、業者テストについて、この問題について少しだけ伺わせていただきたいと思います。
 この問題について、業者テストというものをこれから全面的に廃止すべきであるという意味での推進会議の最終報告がありました。これについて、これを取り入れようという御意見を大臣がなされたということで、そのことが最近の幾つかの新聞紙上を飾ってきたところでございますけれども、この業者テストに頼らない教育現場、これは絶対に私も必要なことだと思いますし、そういうもののなかった時代に私も受験時代を過ごした者とすれば、どうしてそんなものをというふうな思いが強いのでございますけれども、現状非常にたくさんのこういったテストに頼っている学校がある場合に、これをなくすための摩擦といいますか、非常にそのための混乱のようなことで一番傷ついてしまっていけないのは子供たちなわけでございますから、その子供たちが傷つかないような方策というのはどのようにお考えなのでしょうか。
○野崎政府委員 業者テストの問題につきまして、先生御指摘のように大変これが全国的に盛んに使われている。やはりこの業者テストは数値で出てくるものですから、大変便利であるというようなことで使われてきて、しかも、もともとはこれは腕試しとかそれから進学先の目安のための参考資料というような形で使われていたわけでございますけれども、近年ですと、一部の私立高校で中学校から提供されました業者テストの偏差値によって事実上の合否決定を行う、あるいは中学校が業者テストの偏差値によって生徒の志望する高校を受験させないように指導したりするというようなことで、そういう意味で大変弊害が出てきている、こう思うわけでございます。
 先生、混乱が起こるのではないかというようなお話でございましたが、こういう弊害がある業者テストというものをまず公教育の場からなくしていくということが基本じゃないかということで今回報告もいただいたわけでございます。
 どのようにするかということになりますと、やはり私どもは、先生方が子供たちの常日ごろの学力なりそれから活動なりをよく把握をして、まさに汗をかいた指導をしていただく。そして、主役になるのは子供たちだと思うのですね。子供たちが一体何を希望しておるのか、そういうことをよく先生方が把握をしていただく。それと同時に、高等学校の方も多様な教育を提供する、高等学校の方も特色を持っていただく。同時に、入試の方法も、学力検査だけに頼るのではなしに、推薦入学を実施したりあるいは調査書と学力検査の比重を変えたりとか、入試の方法自体も高等学校の方でもいろいろ工夫をしていただく。そういう中で、やはり一列に子供たちが並んでどこかで輪切りをするというような形でない姿に持っていくということが大事じゃないか、このように思っておるわけでございます。
○鈴木(喜)分科員 子供たちがそのことにおいて受験のときに混乱をすることのないようにということがまず第一の私は問題だろうと思います。
 これをなくす方向、今までこれに問題があることはもうもちろんわかっていますし、これをなくすという方向で行くというその方向は、私もこれは賛成するものでございますけれども、ただ、今までこうだったものが急に違うよと言われて、急にUターンするような形で、子供たちは対応が器用にできるものかということの方が何か心配でなりません。
 それともう一つ、業者という形で考えますと、学校からはテストを放逐するかもしれないけれども、民間で同じような規模で同じような要するに統一的な模擬試験みたいなものを私的に実施して、その結果というものを各校ずうっと全体的に横並び的な一つの資料として成績を出す、私たちのころもそういった模擬試験はいっぱいあったわけですけれども、そういった形でするということでまた一つの評価がその中から出てきてしまう。同じようなことを、ただ単に学校ではなくて、今度はまさに有料で子供がお金を払ってそのものが出てきてしまう、校外でやるというような弊害も出てくるのではないかというふうに思われるのですが、こういうことについていかがなものでしょうか、どのようにお考えでしょうか。
○野崎政府委員 先生御指摘のような、急になくしてどうなるんだろうかというお話も私ども聞くわけでございますが、これを、それじゃ半分だけ残すとか、そういうことはなかなかできない。やはりこれはどこかで決断をして、そしてその上に立って、まさに公教育の場から業者テストがないんだという姿の中で、しかも、これは今、塾のお話とかいろいろ出ましたけれども、少なくとも中学校にしろ高等学校にしても公教育の場でございますから、そういう中学校なり高等学校の先生方が一緒になってこの問題に取り組んでいただく、やはりそれが子供たちの不安をなくしていく最上のものではないか。
 今まで確かに、先生方、先生のお話なんか聞きましても、子供たちが業者テストの結果によって振り分けられておった。しかし、やはりそこが問題だと思うのですね。そこに疑問がなしに行われていたというところにやはり基本の問題があるんじゃないかと思いますので、先生の御指摘の点も、私ども十分考えなければならない課題と思っておりますけれども、やはり業者テストをまず公教育の場からなくす、そしてその上で汗をかいた進路指導をしていく、こういうことがやはり基本と思いまして、この三月十日には各県の、これは教育委員会だけじゃなしに私学の担当部局の課長も呼んでおりまして、よくその辺のところの周知徹底を図ってまいりたい、このように思っております。
○鈴木(喜)分科員 今おっしゃったことをぜひいろいろと御実行いただきたいと思います。
 最後に、この点につきまして大臣からの御所見をいただいて、終わらせていただきたいと思います。
○森山国務大臣 いわゆる業者テストがいろいろな弊害を起こしているということは、もうかねて指摘されていたことでございます。しかし、これが一種便利なものですから、一時御遠慮いただきたいということを申しますと、ちょっと遠慮されてもまたすぐもとに戻ってしまうということを繰り返してきたようでございまして、ますますその弊害が広く深く行き渡ってしまったということで、この際思い切って少なくとも公教育の場からこのようなものをなくしていこうということで決断をしたわけでございます。
 子供が混乱するかもしれないというお話もございましたけれども、私は、子供もそれは全く無関係とは言えませんけれども、むしろ今までこれに安易に寄りかかっていた大人たちの方に問題があるというふうに思うのでございまして、特に親や先生方がこの点について十分御認識をいただいて、先生方が血の通った、心のこもった進学指導に汗を流していただきたい。そのことを切に願っているところでございます。
○鈴木(喜)分科員 ありがとうございました。
 終わります。
○臼井主査 これにて鈴木喜久子君の質疑は終了いたしました。
 次に、佐々木秀典君。
○佐々木分科員 社会党の佐々木でございますけれども、三つほど質問を用意させていただきました。お疲れだろうと思いますけれども、おつき合いいただきたいと思います。
 まず最初に、私は学校給食の問題についてお尋ねをさせていただきたいと思います。
 御承知のように、昨年の六月ごろだったと思いますけれども、埼玉県の庄和町という町で町長さんが、学校給食についてはもうその役割を果たしている、あるいは自治体の負担が大きいというようなことから廃止の方向を打ち出したということで大分話題になりました。ただ、正確には、これは見てみますと、廃止というよりも、選択制にするというか、お弁当持参と、それから給食を望む者については、そういう子供たちについては給食の用意をする、どっちを選択するかというようなことであったようですけれども、しかし、新聞では廃止というようなことで大分話題になりました。
 そこで、この学校給食について文部省としてどういうような位置づけを持っておられるかということをお尋ねしたいわけですが、一方、これは先月の二十日の日本農業新聞によりますと、この前日の十九日に、全国の学校給食にかかわる調理師、栄養士それから学校の先生方などが随分たくさん日比谷公会堂に集まられて、教育の中の学校給食を考える集会というのをお持ちになった。それで、教育の一環としての給食のあり方、これをもっと推進すべきだというような意見、そしてまた同時に、今お米の自由化の問題などが非常に問題になっている、私、今農林水産委員会に属しておるのですけれども、日本の農業の将来像ということも、昨年の六月に農林水産省から新しい食料・農業政策というものが出されて、私どもも今検討しておるところなんですが、そういう論議とあわせて、日本の農業を守る、あるいはそういうことについて給食というものを通じながら子供たちにも教えていく必要があるのではないか、こういうような決議がなされたというように聞いておるわけです。
 そこで、文部省としては、この学校給食というものをどういうように考えられ、今後どういうようにされていくのか、それとまた自治体の負担が確かに大きいということがあるわけですけれども、そういうことに対する財政的な援助といいますか、この辺についてどうお考えなのか、これをまずお聞かせをいただきたいと思います。
○森山国務大臣 学校給食は、子供たちの心身の健全な発育、発達に役に立つ大事なものでございまして、また、国民の食生活の改善に寄与することを目的とするものでもございます。学校教育活動として実施しているという位置づけでございます。
 学校給食は、栄養のバランスのとれた食事を提供することによりまして、児童生徒の健康の増進、体位の向上、そして正しい食習慣の形成を図り、また、児童生徒間や教師と児童生徒の心の触れ合いの場をつくるとともに、児童生徒に集団生活を体得させ、共同、協調の精神を身につけさせるなどの教育的意義を有しているというふうに考えております。
 文部省におきましては、学校給食がより豊かで魅力あるものとなりますように、米飯給食や郷土食の導入など食事内容を多様化するということに努力しておりますし、また、食堂などの食事環境の整備などの施策も推進しているところでございまして、今後ともこれらの推進に努めていきたいと考えております。
 予算的なことにつきましては別途御説明させていただきます。
○佐々木分科員 それでは、財政的な支援といいますか援助といいますか、その辺はどうでしょう。
○奥田政府委員 先生御案内かと思いますけれども、学校給食におきまして、食材料費、これは保護者に負担をしていただく、施設設備、これは当事者で整備をいたしますし、あとの人件費は公が持つ、それから光熱水料も当然ですけれども、そういう負担区分でございます。いずれにいたしましても、国、地方それぞれ役割分担をいたしまして、地方公共団体が十分これに対応できるような財政措置を講じております。
○佐々木分科員 大臣から、この学校給食の積極的な役割といいますか、教育の一環としての役割で、これを推進していくというようにお伺いをして、安心もしたり期待もしたりしているわけです。
 先ほどお話がありましたように、子供たちの食習慣というお話がありました。これは私は非常に大事だと思うのですね。これは、私などが小学校時代というのは戦争中のさなかでございましたから、北海道に育っておりましても本当に食べるものもなくて、特に戦争が終わりました後では、食生活は本当に貧しく、ひどいものだったわけです。その後、アメリカの占領軍が入ってきて、それでいろいろな放出物資などがあったり、そのころに初めて、あれが給食のはしりかなと思うのですけれども、今考えてみるとあれはパンの耳だったんですけれども、きっとアメリカの兵隊さんたち、入ってきた駐留軍関係の方々などがサンドイッチにして食べたその端っこの切れ端だったと思うんですね。それでも当時の私たちにとってみたら、白いパンを見られたということで大変な思いで、今考えると案外屈辱的じゃないかと思われるんだけれども、しかし喜んで食べたということがあって、本当に食べ物についての貧しさというのを私どもはつくづく考えた世代なのですが、それに比べると、今私たちの周りには食べ物があり余っていて、飽食の時代だと言われている。したがって、子供たちの食生活も確かに変わってきております。
 先ほど来飯給食のお話もございましたけれども、今のお米の消費量、これもだんだん減ってきて、実は今、年間で国民一人当たりの平均のお米の消費量というのは七十キロを割っているんじゃないだろうか。つまり、年間で一人一俵ちょっとしが食べていないんじゃないかということ。そしてまた、都会の子供たちの場合には、これはどうしても婦人の社会進出とあわせてお母さん方が大変お忙しいということもあって、特に朝はなかなか御飯を炊いて食べさせるというような、これはまた御飯というのはそれだけではなくてどうしても副食物が要るわけですから、そういうような手間をかける家庭が少なくなってきているということもあって、なかなか家庭でお米のおいしさなどを味わえない。本当はお米というのはすばらしい食品だと私は思うのですが、そういうことを味わえないで育っている。何でもとにかく口に入るものがあればいいやというような子供たちが育っていくとすれば、文化の面でも心の面でもいろいろな問題があるのではなかろうかと私は思うのですね。
 大臣の場合には、お若いときからお仕事をずっとやられて、キャリアとして、しかもお忙しい御主人を持たれた家庭で、何重にもお仕事があって大変だったろうと思うだけに、そういうような家庭の主婦、働く主婦の立場、よくおわかりいただけるのではないかと思うのです。
 そういう中で、それは全部家庭の肩がわりを学校給食、学校でやれというわけにはいかないだろうと思いますけれども、しかしその中で、やはり学校給食というものが食習慣に与える影響というのは非常に大きなものがあるだろう。特に、子供というか人間というのは、小さいうちに体になじんだものあるいは覚えた味などというものがずっと精神的なあるいは人格形成に大きな大きな影響を与えるんじゃないかということをつくづく思うのですね。
 特にまた、私ども古いものですから、よく同じかまの飯を食べてなんという言葉があるわけですけれども、同じような状況の中で同じようなものをみんなで食べるということの喜びというのは、これまた味わいの深いものだと思うのですね。ですから、ハイキングだとかピクニックのときに、子供たちが見よう見まねで御飯を炊いてカレーライスをつくるなんということを、男の子も女の子もみんな一緒にやっている。そういう中でつくったものを味わうというようなことが、大変また子供たちの連帯感を醸成する意味でも大きな役割があるんじゃないだろうか。そういう意味では、学校給食についてもいろいろな工夫があってしかるべきだと思うのですね。
 先ほど大臣は環境の整備ということもおっしゃったけれども、本当にそうだと思うわけです。例えば、いろいろなところでモデル的にやっているところもあると思うのですが、これは大分地域によっては過疎地域が出ておりますので、私ども北海道の場合でも地方に行きますと、教室はたくさんあるんだけれども生徒がいない、余ってきているというような中で、その余っている学校のスペースを使って、それを給食のための、食べる方の食堂に充てて、そこで子供たちが一堂に会して食べさせるとか、あるいは聞くところによるとバイキング方式をやっているというところもあって、大変子供たちに好評だという話も聞いておるんですね。そういうような環境づくりのためにも、ひとついろいろなケースを十分に把握していただいて、それでどういうようなあり方がいいのかということをぜひまた文部省の方でも御検討いただき、御指導いただきたいものだと思っているわけです。
 それから、実は米飯給食の問題に関連いたしまして、私は、これは平成三年の七月四日の農林水産委員会でも米飯給食問題について文部省にお尋ねをいたしまして、お答えをいただいているのですが、実は文部省の御指導にもよりまして米飯給食の推進が大分図られました。一週のうちの平均回数も多くなっているんです。しかし、問題なのは、先ほど私指摘したように大都会の子供たちなんだと思うのです。東京だとか大阪だとかあるいは横浜だとかというような、大都会ほど米飯給食の率というのが非常に少ないわけですね。これは私の一昨年のお尋ねだったんですけれども、米飯給食の伸びといいますか状況、この辺について現在掌握されておりましょうか、その辺わかりましたら。
○奥田政府委員 米飯給食の意義は、もう先生御存じかと思いますけれども、特に、食事内容を多様化するということ、日本人の伝統的食生活の根幹であります米飯の正しい食習慣を身につけおということ、さらに日本の食文化を取り入れ、我が国の文化に対する理解を深めさせるというふうなことから、教育上非常に意義がございます。したがって、私ども文部省が例えば米飯給食を週五回のうち何回しなさいというふうなことを指導することは、原則、食についてはすべきではないというふうな御意見もございますけれども、ただいま申し上げましたように、米飯給食の重要性にかんがみまして、週五回のうち三回はひとつめどにやっていただきたいということを現在指導しているところでございます。
 その結果、平成三年五月現在で申し上げますと、全国平均で二・六回、ちなみに北海適は二・一回でございます。
○佐々木分科員 これはお米の消費の拡大にもつながり、また子供たちの食習慣あるいは人格形成にも、それから日本文化の培養と申しますか、そういうことについても私は大きく影響するものだ、プラスの効果が大きい、ぜひ特に都会の子供たちに米飯給食を味わわせるように、もちろんそれについては手間もかかります、お金もかかります、いろいろな御苦労のあることはよくわかるのですけれども、できるだけこれを推進していただくような方向でお考えいただくように、そしてまた学校給食というものの位置づけを、さっき大臣お話しのようにその教育としての給食という側面でぜひこれを推進していただくように、心からお願いしたいと思います。
 そこで、次の質問に移らせていただきますけれども、いよいよ学校の五日制ということが現実的な問題になってまいりまして、今年度から各都道府県でそれぞれ五校、全国で二百二十五の小中高校がモデル校に指定されて、月一、二回の学校五日制を試行するということになっているようです。しかし、私の地元であります北海道では、それだけでは足りない、北海道の場合に五校ということになるわけですから、これだけでは足りないということで、北海道教育委員会が独自に、四十八の小中高校などについてこの四月から五日制を実施するという試みをやろうとしております。もちろん、この学校週五日制ということは、当然のことですけれども週休二日制の問題ともあわせて、しかし、やはり子供たちのための五日制ということにならなければならなかろうと思うのですね。
 それで、いろいろな問題が言われているようですけれども、この五日制について、文部省としてはこれからどういうようにこれを推進されようとしているか、そしてまたそれを進められるに当たっての問題点、乗り越えなければならない問題点はどういうことが考えられるのか、またそれをどうやって乗り越えようとされておられるのか、その辺をお伺いしたいと思います。
○森山国務大臣 昨年の九月から学校週五日制というのを始めておりまして、これはまだ今のところ月一回というのが全国的なやり方なんでございますけれども、これをまず円滑に定着をさせていくということが当面の課題でございます。このために、学校、家庭、地域社会の関係者の御理解と御協力をいただきまして、日常的、継続的な取り組みを進めているところでございます。
 さらに、月二回の学校週五日制ということに移行するのがこれからの課題でございますけれども、今お話しのように、昨年五月に指定しました六百四十二校の調査研究協力校、北海道のように特別に道として検討していただいているところもあるかと思いますが、そのような指定された学校において実践的な研究を進めていただいております。平成五年度におきましては、新たに実践研究地域を指定しまして、学校だけではなくて地域ぐるみという意味で、地域を指定いたしまして月二回の学校週五日制を少し具体的に分析、検討していきたいというふうに思っております。
 このように、少しずつ状況を見きわめながら進めていくということが大事だと思いますので、あらかじめ一定のスケジュールを決めまして、いつから週五日制を二回やるとか三回やるとかいうことを早目に決めておくということは、この問題の性質上ふさわしくないというふうに思いますので、これが目指しております教育がどの程度実現できるかによって次の段階へ進むというふうにやっていきたいと考えております。一つ一つの問題を解決しながら、着実に進めていきたいというのが私どもの考えでございます。
○佐々木分科員 これについては、大変歓迎する向きと、それから懸念する向きとがいろいろあります。結局、今大臣お話しのように、これは学校だけの問題ではもちろんないわけですし、文部省や教育委員会だけの問題でもない。地域としてこれにどう対応していけるか、自治体もありましょうし、あるいはボランティアの方々の御協力も必要だと思いますし、もちろん家庭の協力も必要だろうと思うのです。お父さんやお母さん、働いている方々が、週休二日制になるからといって、それじゃ子供たちのこの二日間の休みに全部つき合えるかというと、なかなかにそうはいかないんだろう。本当はそういうところで親と子のスキンシップ、一緒に何か物事をやるというようなことに役立ては、これは一番いいと思うのですけれども、なかなかにそうはいかない。
 そこで、子供たちが行き場がないとか体をもてあますとか、あるいは塾通いが横行するのではないかとか、あるいはまた不良化の原因になるのではないかとか、いろいろなことが心配をされているようでございますので、これはもう地域の皆さんとの協力ということもぜひやっていただかなければいけないだろうし、そうなってまいりますと、お役所としては文部省だけではなしに、自治省ともあるいはその他いろいろなところとやはり関係してくるわけですね。そういうような懸念があります。
 それからまた、もう一つの懸念として、特殊教育学校の場合にどうなるんだろうか。
 これは北海道の教育委員会の調べですけれども、北海道の中には、盲唖、盲聾、養護学校などが五十七ばかりあって、約四千三百人の児童生徒が在籍している。そのほとんどが寄宿舎を併設しているわけですが、遠隔地に家庭がある場合や、障害の程度によっては土曜とか日曜が連休になってもなかなかにうちに帰るのは難しいというようなことで、この学校五日制の場合に、この子供たちについてどうするかというようなことも大分一つの問題点として指摘されているようですけれども、そういうようなことについてはお考えはございますか。
○野崎政府委員 今、特殊教育諸学校につきましてお話がございまして、確かに学校五日制を始めるに当たりまして、やはり学校としての対応が必要ではないか、こういうことがございました。地方交付税の方で指導員とスクールバスの配置をお願いし、平成四年度も措置をいただいたわけでございますが、平成五年度におきましてはさらにこれを充実していきたい、このように思っておるわけでございます。
 それから、地域の対応でございますけれども、先ほど北海道の数字が出ましたが、六百四十二校というのは北海道の数字も入った数字でございます。私どもといたしましては、これは制度の問題でございますので、県が独自にやるという考え方じゃなしに、やはり国として実験校として指定をした上で実施していただきたいということで、確かに予算措置はこれよりも少ないのですけれども、そういう希望も勘案しながら六百四十二校という指定をいたしています。
 その六百四十二校の調査研究協力校の中で、もちろん学校の中におきます指導内容や指導方法の工夫改善とか、あるいは授業時数の配当の工夫とかというようなこともございますけれども、同時に、休業日となる土曜日においてどういう対応をしたかとか、そういうことについての研究もお願いをしておるわけでございます。ただ、おおむねこれは二学期から始まったところが多いものでございますから、まだ必ずしも実情が把握できない状況でございまして、本年度末までの研究成果について中間的な報告をいただきたい、こう思っております。
 それから、先ほど大臣からお話のございました地域指定という形で、地域を一緒にした形で指定をし、地域の方々の意見とかそういうものも反映したこの月二回の学校五日制の実施というようなことも平成五年度考えたいと思っておりまして、また御指摘の子供たちが行き場がないというようなことが起こらないような対応策は、そういう中でいろいろ研究をしてまいりたいと思っております。
○佐々木分科員 この制度が子供たちに本当の意味でのゆとりを与えたり、地域の社会の皆さんとの触れ合いからの、学校の授業そのものからは得られないような一つの教育的な効果が出てくるようなものでなければならなかろう。そのためにはやはり画一的なものであってはならなかろう。地域によって随分差があるわけですし、私どもの北海道なぞは、そういってはなにですけれども、自然環境もなかなかいいものですから、それと地域と子供たちあるいは家庭との結びつきというものもある、それから隣近所とのおつき合いというものもあるものですから、割合そういう点ではうまくいっている例が多いのですが、大都会になるほど、これも学校給食、米飯給食ではありませんが、そうした点で問題が多そうだと思うのです。
 ですから、地域の実情をできるだけ把握していただいて、それと今までもそのモデル校の指定をされていろいろと調査もされておられると思いますけれども、それは一つのモデルなのだということを十分御配慮いただいて、一をもって十とするのではないような思いで、できるだけ皆さんの御意見も聴取して、この制度が生かされるようにぜひ御努力をいただきたいということを御要望して、次の質問に移らせていただきます。
 最後ですけれども、これは学校図書館の問題でございます。
 実は、全国の公立の小中高校というのは約四万枝ぐらいあると言われているようですけれども、どこの学校にも多かれ少なかれ、あるいは大なり小なり、それからその内容の差はあるのですが図書館あるいは図書室などというものが置かれているようでございます。しかし、ここにいわゆる司書教諭の方が、こういう資格のある方が置かれているというところは非常に少ない、全国でも二百ぐらいしかないのではなかろうか、こういうように聞いておるわけですけれども、先ほどの五日制の問題ともあわせて、この学校の図書館などはこれから一つの新たな役割も担っていくのではないだろうか。
 ただ、もちろん本だけではないわけですけれども、これから一つの情報センターとして、コンピューターだとかあるいはビデオの関係だとか、いろいろなものがだんだん置かれていくというようなことで、子供たちにまた本とは違ったいろいろな親しみ方、勉強の場にもなりそうだと思うわけですね。そういうことを考えますと、この司書教諭がもっと配置されるような御努力があってもいいのではないかと思っておるのですけれども、この辺についていかがでしょうか。
○野崎政府委員 司書教諭につきましては、今お話がございましたように、大学が文部大臣の委嘱を受けて行います司書教諭講習を終了した教諭の中から充てる、こういうことにされているわけでございますので、まずこの資格を取っていただくということが大事なわけでございます。
 そういうことで、文部省におきましては、昭和二十九年以来毎年国立大学に委嘱いたしまして学校図書館司書教諭講習を実施し、司書教諭の有資格者の増加とその司書教諭の発令の促進に努めているところでございます。特に、平成三年度から司書教諭講習を実施する大学を十大学から十五大学にふやすなどして、有資格者の確保に努めているところなわけでございます。
 現在、有資格者のいる学校の割合は、小学校で二〇・六%、中学校で二四・二%、高等学校で三四・九%ということで、大分この有資格者のいる学校はふえているのですが、御指摘のように、現実の発令ということになりますと、これがなかなか進んでいないというような状況でございまして、私どもはさらにこの有資格者の増加と、それから有資格教諭を司書教諭として発令するように、都道府県教育委員会等を通じて引き続き指導してまいりたいというふうに思っております。
○佐々木分科員 この司書教諭の配置というのは、一九五三年施行になりました学校図書館法に一応定められているのですね。ところが、これが当分の間置かないことができるということがあって、その当分がもう四十年近くになっている、こういうことのようですね。せっかくこういう制度があるわけですから、何とかこれを生かしていただいて、もう当分の間というのはこの辺で、ここからぐっとやるんだというようにしていただきたいと思います。
 時間が参りましたけれども、きょうお尋ねした三つの問題というのはいずれも、これからの時代を背負っていく子供たちをすぐれた子供たちというか人間的によい人間につくっていく、そういう人格形成に役に立てたいという思いからお尋ねしたわけで、全部関連をしていることだろうと思っております。いろいろ御苦労がおありだろうと思いますけれども、大臣を初めとして文部省当局の皆さん、どうかそうしたあるべき教育のためにこれらの制度をぜひ推進していただくように心からお願いいたしまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
○臼井主査 これにて佐々木秀典君の質疑は終了いたしました。
 次に、吉井英勝君。
    〔主査退席、鴻池主査代理着席〕
○吉井(英)分科員 文部大臣も大変お疲れのところ、しょっばなにまず疲れるような話から、実は物すごい階段を上らないと大学へ行き着かないという、その話を最初に伺いたいと思うのです。
 きょう、私は二つ伺いたいと思うのですが、一つは障害者対策、もう一つは文化財保護の問題です。
 最初に、国際障害者の十年に当たって、それに前後してですが、建設省などでは、障害を持った方も健常者の人もお互いにごく普通のように生きていけるように、そういう世の中をつくらなきゃいけないということで、国や自治体の建物その他について基準や指針を示してまいりました。そういう各省庁の取り組みを総理府の方で大体まとめていただいて、「障害者対策に関する長期計画」、前期・後期の「重点施策」というのを出しておりますが、最初に総理府の方から、この「重点施策」の中で大学への障害者の受け入れについてどういうことを考えなきゃいけないか、どういうことを示したらいいか、これをまず伺いたいと思うのです。
○中山説明員 御説明申し上げます。
 障害者の大学への受け入れにつきましては、昭和六十二年六月に策定いたしました「障害者対策に関する長期計画」の「後期重点施策」の中の「教育・育成」の項目の中で、「障害者の大学への受け入れについては、入学試験の実施方法等に配慮するとともに、施設の整備等に当たっても身体障害者の利用に配慮すること。」と規定されておるところでございます。
○吉井(英)分科員 そういう取りまとめをされる上で、もちろんこれは大学関係については文部省も参加されて、こういう取り組みをするのだということをうたわれたわけでありますが、事前に伺ったところでは、文部省の文教施設部の計画課の方で、文教施設整備予算だけで見ても、一九八四年以来毎年、例えばエレベーターについては十七基とか十四基、十一基、二十基、十基、十三基、十二基、十九基というふうに決して多くはありませんが、しかし取り組んできておられます。これは、建設当初分は多分入ってないと思うのですね。そういうふうな取り組みをされてきたのはよくわかるのです。
 さて私、そこで一つ具体の例で伺いたいのです。
 国立大阪教育大学が、柏原市というところの標高百四十メートル、余り巨大な山ではありませんが、山の上に移転をいたしました、これは昨年でありますが。そのことについて文部省は、ここは障害を持つ学生とか病気がち、体の弱い人などが健常者と若者らしく語らいながら駅から大学まで通学できる、そういう状態にあると見ておられるのかどうか、その辺の御認識をまず伺いたいのです。
○吉田(茂)政府委員 御指摘の大阪教育大学でございますが、御案内のとおり、従来三つの分校、池田、天王寺、平野に分散しておりましたが、それぞれ敷地が狭隘であるということもありまして、現在大阪府の柏原市旭ケ丘へ移転統合の整備を実施中でございます。
 最初に計画をし、事業が進んでまいりましたときには、現在の大阪教育大前駅というのはまだございませんでした、近鉄大阪線でございますが。そのときには、今の駅より一つ奈良県寄りの関屋駅、そこで下車をしてという形での構想を考えておったわけでございますが、その後、便利であるというようなことで大阪教育大学前の駅ができまして、そこから、大学の要請もございまして、歩道、車道を整備したところでございます。
 敷地が高台にあるため通学通勤に困難が生じているという意見もあることは事実でございます。
○吉井(英)分科員 困難という意見があるという御認識だけだったら、私、少しうまくないのじゃないかなと思うのです。駅からキャンパスまで標高差が六十二メートルあるのです。階段が三百八十段です。これは議員会館でいいますと二十一階分なのです。
 それで私、今お答えいただいたのですが、こういう計画が上がってきたときに、例えば文部省の近くに、高いので言えば、かなり古くなりますが霞が関ビルもあります。あそこで毎朝二十一階を一遍歩いて上がっていただいて十日ほど続けてみて、それであそこはエスカレーターなどは要らないというふうにお考えになったのかどうか。せっかく文部省も入って、総理府の方でこういう取りまとめまでやりながら、余りにも考えていらっしゃることが冷たいというか配慮が足りないのじゃないかな。自分が実際に上がってみてどうなのか、そういう観点に立って考えるべきじゃなかったかと思うのですが、そんなことを一遍やってみられましたか。
○吉田(茂)政府委員 御指摘の大阪教育大学の新キャンパスに上がる経路でございますが、先ほど申し上げましたように、当初の場合は今より一つ奈良県寄りの駅から通学するということで、その場合は比較的上りも急ではないというようなことで、それを構想しつつ、現在キャンバスができ上がってきたわけでございます。
 先ほど申し上げましたように、その後、非常に便利であるということで、皆様の御努力によりまして大阪教育大前駅ができたわけでございますが、そこから上がると近いけれども、確かに坂は従来の構想の分よりも急であるというような状況が後から出てきたというようなことがございます。そういった経緯がございまして、今みたいな状況になりまして新たに歩道を整備したというところでございます。
 今申し上げましたような、敷地が高台にあるため通学通勤に困難が生じている、こういう声があるわけでございまして、私ども、実際今の新しい歩道を上がったわけではございませんが、そういった大学側の意見は承知しておるところでございます。
○吉井(英)分科員 昔考えられた駅からですと随分遠いのです。いずれにしても障害を持った方からすると大変だし、病弱者も大変です。そういうことがあるから大学関係者の皆さんも頑張って近鉄に駅をつくらせたわけですよ。そこから私、実際三百八十段の階段を登ってみました。ああいうのを文字どおり登校というのでしょうね。それを登ってみて、これは確かに障害を持った方、それから中年過ぎの学者の方、妊娠中の職員らにとっては本当に大変です。
 教育大学は、御存じのように女子学生の比率も非常に高いですね。大学の若い人たちがなかなかおもしろい企画をされて、自分たちの言いたいことを一遍カードに書いてみようというので、ゆうたろうカードというものを集められたのを私も読ませていただきましたし、直接意見も聞きました。例えば、生理のときは途中休憩しないと登り切れませんとか、体調が悪いと恐怖の階段三百八十段が目に浮かんできて休みたくなりますとか、年配の教授ならば学校へ着いて一時間は休憩しないと授業がやりにくい、そのために時には休講になってしまいますというのが現状として訴えられております。それは先生方にもお会いして私も聞きました。それから風雨の強い日は、何しろ吹きさらしの山を登るのですから全身びしょぬれ、夏は教室に着いたら汗が吹き出す、冬は小雪まじりの風で体が凍えそうになる。
 実際、昨年移転、開校したばかりで当初はそこまでお考えにならなかったかもしれないけれども、そういう事態なんです。ですから、本来これは建設するときにエスカレーターぐらいはつけておくとか、エレベーターも考えられたようなんですが、一遍に大量に運べないということでエスカレーターの方が合理的だというお考えも大学当局でおありのようでありますが、おくればせながらにしても、うんと遠い駅からだったら当然バスということになるでしょうけれども、本当に近いものですからバスを仕立てるほどの距離でもないのですね。ですから、そういう点ではエスカレーターなども含めてこれは根本的に対策を検討していただくことが大事じゃないかと思うのです。私は、この点についてだけ最後に、大臣の取り組む意欲なりお考えなりを伺っておきたいと思います。
○森山国務大臣 新しい大学、実際に開いてみますと、予想した以上のあるいはそれ以外のいろいろな難しい問題が出てきたという御指摘で、特に今の三百八十段の階段という話を承りますと、お聞きしただけでも大変だなという感じがいたしますが、文部省といたしましては、学内でもいろいろ検討しておられますでしょうから、その検討の結果を踏まえまして対応していきたいというふうに思います。
○吉井(英)分科員 これはぜひ本当に、総理府の報告を文部省も入ってまとめられたわけですから、それが生かされるように対応していっていただきたい、こんなふうに思います。
 次に、文化財保護についてなんですが、これは過去何度か予算の分科会やあるいは文教委員会、私は昨年地方行政でも取り上げたこともありますが、ずっとこの数年来議論になってきた一つに、日本の古代国家成立前夜の混沌とした時期というのが大体六世紀中葉から七世紀前半にかけてあるのですが、つまり、そのときの中心が大和飛鳥へ移っていくまでの期間に河内飛鳥と言われる石川流域が畿内の中枢として存在した時期がありました。約一世紀ぐらいあるのですが、この古代国家の成立の過程の解明が進む非常に重要なところです。
 当時、人や物の流れというのは大陸から九州そして瀬戸内海を通って、難波宮あたりのところから大和川、石川を上って河内飛鳥へ、そこから陸路、山を越えて大和へという、そういう点では交通の要衝にも当たっておったし、当時の強大な権力を持っておった蘇我一族の根拠地があり、蘇我といえば御存じのように天皇と姻戚関係のあった人でもありますし、それからそういうところだから大陸からの渡来人とか、近ごろは移民という言葉も使ったりもするようでありますが、住みついて高度の技術、文化を持っていた土地柄です。この地域はまた、王陵の谷とか言われる、これは敏達、月明、孝徳、推古の天皇と聖徳太子の御陵がちょうど梅の鉢のように配置されている、その磯長谷というところと連檐して一須賀古墳群というのがあるわけです。
 ですから、この点では極めて日本の歴史の上で大事なことだということで、これはちょくちょく新聞にも登場しております。日本経済新聞の九〇年八月二十三日付では奈良の水野正好教授が、「大和飛鳥に対しこちらは河内飛鳥と言われるように、蘇我氏、渡来人系の遺跡が集中している。大陸系の方墳を採用するなど当時の文明開化の先端を切っていた土地柄で、日本国家成立の謎を秘めた場所だから、これ以上の遺跡破壊は勘弁願いたい。」、こういう声は随分今まで学者、専門家の皆さんから出ているところです。
 ところが、残念ながら、この地域で二百基から三百基あるのですよ、一大古墳群なんです、そういうところがこの二十年ほど前からたびたび破壊の危機に遭っているのです。かつてはかなり大規模な住宅建設、開発が行われて約二十基ほど破壊されてしまいました。その後、別なところで丸紅がえせ同和団体と組んで大規模住宅開発を計画したが、これは学者、住民の反対でとんざした。ところが、その後を引き継いでまた大林組系その他の太子ゴルフ観光という会社が、買収に応じない地主のところへ暴力団を送り込んだり、えせ同和団体まで送り込んで土地を手放せと迫ったりして、ゴルフ場建設で古墳群のあるこの地域を大々的に破壊しようという非常に危険な事態が今進んでいるわけです。
 これは私、この機会に確認しておきたいのですが、これまで文化庁は、ここは学術的価値、文化財としての価値は極めて高いものがあるということを認めていらっしゃるのですが、この立場は今日も変わりませんね。
○佐藤(禎)政府委員 ただいまるる御説明をちょうだいいたしましたように、この地域は近つ飛鳥というようなことが言われておりまして、蘇我氏の本拠地であったということから、この一須賀古墳群につきましても蘇我氏との関係が注目をされているところでございます。そのため、この古墳群につきましては、昭和四十年代の半ばごろから宅地開発等が進んでまいりましたけれども、文化庁と大阪府の間でいろいろ相談をいたしまして、保存、開発の調整に努力をしてきているところでございます。
○吉井(英)分科員 日本学術会議第一部会から文化庁に要請が出ておったり、それから日本考古学会、史学会その他およそ二十ほどの学会、文化団体から要請書なり声明が出たりしているわけでありますが、今調整中だというお話ですが、その学術的価値、文化財としての価値はもちろん認めておられるわけですね。
○佐藤(禎)政府委員 御案内のとおりに、大阪府ではこの地を昭和四十五年から昭和五十年にかけて約二十九ヘクタールを買収をいたしまして、文化庁の国庫補助事業によりまして風土記の丘を建設をし、公開しているわけでございます。また、その風土記の丘以外の地域につきましても六十年代以降、こういった開発計画との関連で文化庁、大阪府の間でもいろいろと相談をさせていただいております。その結果、私どもの見るところでは、最も古墳が密集をしております主要な部分につきましてその保存ができるという見通しを待つっあるところでございますが、そういったことが進みますれば、私どもといたしましても府の要請を受けまして、史跡としての指定をするかどうかということを文化財保護審議会に語るということになるわけでございます。
○吉井(英)分科員 すぱっと伺っておきたいのは、これはかって石井議員に対して文教委員会で、重要な遺跡地域だと認識している、昨年私に対しては、これは学術的に見て重要なものだと認識している、こういうことを答弁していらっしゃるのです。当然のことながら、今もこの立場はとっておられるのですねということを伺っておりますので、これはすぱっとお答えください。
○佐藤(禎)政府委員 その地域に重要性があるということに着目をいたしまして、その保存についての考え方を府と私どもが調整いたしておるわけでございますので、その前提に、その地域が重要な地であるということは私どもも思っているわけでございます。
 それでは、それが果たして史跡として指定すべきところかどうかということになりますと、これはまた新たな段階として文化財保護審議会にお諮りをする、こういう手順を経ようかと思うわけでございます。
○吉井(英)分科員 審議会にかけて史跡指定を決めるにしても、まず文化庁の姿勢がしっかりしておらなければいかぬわけですね。これまで地元住民、文化財関係者への回答、国会や地方議会での答弁を私ずっと繰ってみました。文化庁と大阪府の教育委員会の相談した方針としては、地元の協力を得て買収するか地権者の同意書の形で史跡指定を行うということにして、そういう方向で取り組んできていますね。これは間違いありませんね。
○佐藤(禎)政府委員 先ほどから申し上げておりますように、以前に大阪府が取得いたしました二十九ヘクタールのほかに、現在のところ約二十五ヘクタールと想定をされておりますけれども、古墳群が密集した地域を確保しようとしているわけでございます。そこを確保しよう、そこで保存するということの重要性を認識しながら進めているというところではございます。
○吉井(英)分科員 それで、認識し、確保しようとやっていただいているのですが、実はゴルフ場業者の方は、ゴルフ場開発を認めよ、自社所有地の同意書は出すが、賃貸契約で借地をして、ゴルフ場の面積のつじつまを合わせるために借地分がかなりあるわけですね、借地をして開発許可の要件に合うようにしよう、そのつじつまを合わせた借地の土地については同意書は出せないと今言っているのですね。
 今まで文化庁が大阪府と調整をされて、私たちはその方針に賛成じゃありませんけれども、しかし、全面的に買収したり保存をようせぬものだから、ゴルフ場開発を認めるかわりにこの三つの尾根二十五ヘクタールについては同意書を全部出させるのだということで答えてこられたのですよ。ところが、今出てきているのは、業者は、開発申請と、自社の持ち分だけは同意書を出すけれども、賃貸分については同意書を出せないと言っているじゃありませんか。そうなると、これはまるっきり話は変わるわけですね。
 今こうして破壊の危機が非常に迫っておるのです。私は、これは拱手傍観しているようなときじゃないと思うのです。これはどうなんですか。
○佐藤(禎)政府委員 私どもといたしましても、これは今お話の出ておりますように開発関連部局も関与しているわけでございますし、教育委員会と私どもは文化財保護の観点からこの問題に取り組んでいるわけでございますけれども、両者間で調整を、お話し合いを進めながら、しかし、この重要な地域について、特に古墳群の密集している地域については、その保存ができるようにという方向に向かって努力をさせていただいているわけでございます。
○吉井(英)分科員 今大変な事態だということで、実は昨年も十五名の学者、著名人から緊急アピールが出ました。ここは、これまでも十二の歴史学関係の団体が反対声明を出すなど、守ってくれと言ってきたところだった。大阪府立の近つ飛鳥博物館を今建設しておりますが、建設するまでわからなかった古墳が、博物館を建てるために発掘調査をやったら新たに十九出てきたのです。そういう重要なところだからぜひ保存に努められたいということで、万葉集の専門家でもある犬養幸先生、国文学の吉井巌先生、古代史の直木孝次郎先生や上田正昭先生、考古学の石部正志先生や小笠原好彦さん、北野耕平先生ら十五名の方。
 それから、それはぜひそういう方向で頑張ってくれということで賛同しておられる著名人の中には、元環境庁長官の鯨岡兵輔さん、大石武一さん、梅原猛さん、同志社大学の考古学の森浩一さん、関西大学で考古学で有名な網干先生。それから、桂米朝さんは「こんな重要な場所が法的に守れないということがおかしいと思います。」こう言っておられますね。それから、作家やシナリオライターでも、三浦綾子さん、下重暁子さん、筒井康隆さん、森村誠一さん、橋田寿賀子さん、小山内美江子さん、飯沢匡さん、早乙女勝元さん。田辺聖子さんは「河内飛鳥は歴史的文化財の宝庫です。破壊に反対です。」、犬養先生は「河内飛鳥は絶対に守らなければなりません。」と言っておられる。
 多くの考古学者あるいは古代史の専門家、国文学者その他の方たちが、これだけ本当に心配して今声を上げておられるのです。文部大臣もほとんどの人たちを直接御存じだったり、もちろん名前は御存じの方ばかりだと思うのですが、お聞きいただいたように立場はさまざまな方がいらっしゃる。しかし、文化財を守ろうというこの一点で、みんな必死の思いで、これは何とかしなければいけないというふうになっているときなんです。
 この点で、ぜひ大臣、こういう声を本当に生かす方向で、もう開発と保存の調整だ何だと言っている段階じゃないのですね。現に開発が迫っておって、その中で日本の歴史上極めて貴重なこの地域が簡単に破壊されてはならないと思うのです。私は、ぜひこの機会に大臣の御見解を伺っておきたいと思うのです。
○森山国務大臣 大変貴重な文化財のように承りました。今るるお話がございましたような大変歴史的な意味のあるところということでございますと、それはぜひとも保存していかなければいけないと多くの方に御心配いただいているということもよくわかった次第でございます。
 文部省といたしましても、地元の地方公共団体や皆さん方の御意向をよく聞いて、対処してまいりたいと思います。
○吉井(英)分科員 一九八七年九月二日の文教委員会で、当時塩川文部大臣が石井郁子委員の一須賀古墳の保存についての質問に答えて、「いい質問をしてくれました。ありがとうございました。」「大阪府教育委員会もふにゃふにゃ、ふにゃふにゃやっていてふがいない、ちっとも決めようとしない、」「文部省も地元で地元でと言って逃げてしまう、それがこうなってしまって、途中で土地が何遍も転がしになってきた、」「これはいい質問をしてくれたので、私もまたこれをきっかけに大阪府を呼んで、早急に片をつけるようにしましょう。方針をそうしましょう。これはいい質問ですよ。」「本当にほうってあるんだ、無責任な。これがもしつぶれてしまったら、おっしゃるようにこんな貴重な史跡は戻りません。」「調和を調和をはかり言っている間にこういう事態になってきた。」「やりますから、これは百遍の答弁よりもどうするかということなんです。」と、力強い決意を表明してもらっているのです。
 塩川文部大臣の答弁の時代はまだ事態はよかったのです。今なぜ危機的な事態になったかといいますと、さっき御紹介しましたように、ゴルフ場開発の許可申請に大阪府がゴーサインを出してしまったら手おくれなんですよ。何しろ同意書は出ていないのですから。だから、大阪府がゴーサインを出すのはしばらく待ってくれという要請をまずされて、これはあくまで地方自治体との関係がありますからね、私は要請せよというくらいきつくやってほしいのですが、要請という形でもいいですよ。しかし、よく調査検討して対応してほしいし、文部大臣が検討している間にもゴーサインを出してしまうようなことになったら大変ですから、こういうことがないようにぜひ、これは塩川文部大臣の時代からの懸案事項なんです。これがあいまいにされたら文部省はなめられているのと一緒だと私は思いますよ。
 こんなことは断じて許さないんだ、こういうことで、大阪府に対しても、まず――許可申請が既に出ているのです、昨年九月。ですから、もう許可をおろすかどうかという、開発だけのサイドで見れば危険なところなんです。とりあえずちょっと待ったを要請していただいて、そして大臣としてもぜひ検討をしていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○佐藤(禎)政府委員 文化財の保護は文化財保護法に基づいて行われているわけでございますけれども、言うまでもなくこれは文部省文化庁が一方的、強権的に実施をしてしまうことはできないわけでございます。それぞれの地方公共団体ないしはその地権者等々の関係の方々と協議をしていく中で進めていくわけでございまして、私どもとしては、これまでその協議を通じて、一定の地域等についての文化財の保護の確保ということの見通しを得つつあるところでございますので、それはそれとして進めさせていただきたいというふうに思うわけでございます。
○吉井(英)分科員 時間が参りましたので、あと一分ほどで締めくくらせていただきたいと思いますが、これも石井議員に答弁したときに、これは文化庁の方が答えておられるのですね。文化財保護法に基づきますと、特に地権者の同意が前提となっている制度ではございません、しかし制度を円滑に運営するためにできるだけ同意をいただくようにするんだ、そういうふうに努力しているんだというお話でした。それは今も変わりないはずです。
 それで、大和飛鳥の方は、法律をつくって今保存、保護を図っていっているわけでしょう。近つ飛鳥の方、河内飛鳥については法律はないのです。私は何もかも法律で縛れと言っているのじゃないのです。とりあえず現在ある法律に基づいて史跡指定をして一大歴史公園として保存していくなり、道はあるかけですから。それが今本当に破壊の危機に瀕しているだけに、まさに塩川さんが言っていたように、ふにゃふにゃ言っている間にこんなになったんですよ。断固として文化財保護の立場で頑張るんだ、そういう力強い決意だけは、最後に文部大臣の決意を伺って終わりたいと思うのです。
○森山国務大臣 文化財の保護というのは非常に大切なことでございまして、やはり一度失われてしまいますと、後、大変に困るということがあるわけでございますので、先生の御心配、また地元の皆さんの意向、いろいろ勘案いたしまして、精いっぱいの努力をいたしていきたいと思います。
○吉井(英)分科員 終わります。
○鴻池主査代理 これにて吉井英勝君の質疑は終了いたしました。
 次に、日笠勝之君。
○日笠分科員 大臣、遅くまで大変に御苦労さまでございます。
 文教行政を取り巻く諸問題がいろいろ表面化しております。例えば山形のいじめ殺人事件であるとか亜細亜大学の情実入学、教育費の高騰、大学附属病院の未払い問題、お寒い大学研究室の環境、内定取り消し、業者テストの全廃に対する各県教育委員会の甘い対応、大学病院のペースメーカー汚職事件、指導要録の開示に対する文部省の反対、順天堂大学医学部受験生リストの流出、免許外教科の先生の問題、もう数限りなくあるわけでございます。
 本日は、これを一つ一つ丁寧に本当はやりたかったのですが、わずかな時間しかございませんので、できる限りやった後、あとは一問一答の短答式で大臣の決意を聞いて持ち時間を終了したいと思いますので、まずよろしくお願いいたします。
 まず、教育費の問題でございます。
 野党三党は、教育減税ということで、一つは寄附金控除、大学、高校の入学金の寄附金控除、五十万円までは所得控除すべきである、二つ目には特定扶養控除四十五万円を五十五万円にすべきである、このように主張しておりますが、まず大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○森山国務大臣 教育費の負担というものが大変話題になっておりまして、教育の機会均等の理念を実現いたしますためにも教育費の負担が過大にならないように配慮することは重要でございます。
 文部省におきましては、育英奨学事業、私学助成、その他予算、税制などの面でさまざまな措置を講じているところでございまして、特に税制面におきましては、入学金、授業料などに係る消費税が非課税となっておりますほか、十六歳から二十二歳までの特定扶養親族に係る割り増し扶養控除が講じられているところでございます。今後とも教育費負担軽減の見地から適切に対処してまいりたいと考えます。
○日笠分科員 総務庁の家計調査によりますと、全世帯の平均で六%が教育費なんです。ところが、四十五歳から四十九歳までの中堅サラリーマンは何とその二倍の一一%なんです。こういうことを見ても、教育費の負担軽減というのはもう喫緊の課題になるわけでございます。たまたまきょうの朝日新聞の世論調査を見ますと、あなたが期待する景気対策としてどういうことがありますかという中に、何と教育費などに絞った減税というのが一五%あるわけですね。
 そこで、先ほど大臣がおっしゃったような、いわゆる大局観に立ったような、奨学金がどうだとか私学助成がどうだとかいうのじゃなくて、与党の政調会長も住宅減税、教育減税、こうおっしゃっておるわけですから、文部省としても大蔵省に税制改正を要求すべきである、かように思いますが、いかがですか。
○森山国務大臣 平成五年の二月二十二日に日本社会党、公明党そして民社党から自民党に対して提出されました共同の予算修正要求におきまして、教育減税に関する提言が行われておりました。それにつきましては、教育費の負担軽減という観点を含んで、それを前提にしての御意見だというふうに考えますが、現段階におきましては、政府といたしましては、この一月十二日に閣議決定いたしました平成五年度税制改正の要綱を踏まえまして平成五年度予算を編成し、その成立に向かって御審議をお願いし、努力しているところでございます。
 なお、減税の問題につきましては、今後与野党の間において協議がなされるものと伝えられておりまして、文部省といたしましてはその動向を見守ってまいりたいというふうに考えております。
○日笠分科員 ぜひひとつ与野党協議で教育減税ができますように私たちもしっかり頑張りたいと思いますし、平成六年度のいわゆる税制改正では文部省はちゃんと大蔵省に、こういう教育減税をすべきであると要請ぐらいしたっていいと思いますね。強く要望しておきます。
 続きまして、今度は地元の問題に参ります。高等専門学校の件でございます。
 まず、お聞きしますが、専門学校からの卒業生で大学へ編入する人は近年とのぐらいでございますか。
○遠山(敦)政府委員 高等専門学校卒業者が大学へ編入学している状況でございますけれども、国立大学工学部におきまして三年次編入学定員の整備を図ったり、あるいは昭和五十一年度に主として高等専門学校卒業生を受け入れる長岡、豊橋の両技術科学大学を設置して、その受け入れを行っているところでございます。
 その大学へ編入学した者の推移を最近の数値で申し上げますと、平成元年度一千人でございます。平成二年度一千百十九人、平成三年度一千二百五十三人ということで徐々に増加を見ているところでございます。
○日笠分科員 累次増加をしておるわけでございます。
 そこで一昨年、学位授与機構というのが設立されました。その学位授与機構の業務内容を見ますと、学位授与機構の認定する高等専門学校の専攻科で単位を取得すると、学位授与機構から学士の授与があるわけでございます。今高等専門学校でこの学位授与機構の認定を受けているところはございますか。
○遠山(敦)政府委員 現在認定を受けておりますのは奈良工業高等専門学校と新居浜工業高等専門学校の二校でございます。これは今年度新たに専攻科を設置したところでございまして、その設置したところについて認定が行われているというところでございます。
○日笠分科員 今後高等専門学校に専攻科を漸次拡大していく、このように期待をしたいわけですが、どういう基準で設置をされますか、認定されますか、お聞きしたいと思います。
○遠山(敦)政府委員 認定に当たりましては、各高等専門学校の教員組織でありますとかあるいは施設設備等の整備充実の状況、さらには専攻科設置にかかわります構想の検討状況等を総合的に判断をして整備を図るということにいたしております。
 ちなみに、平成五年度の設置予定といたしましては四校ございまして、仙台電波工業高専、それから富山工業高等専門学校、鈴鹿工業高等専門学校、久留米工業高等専門学校につきまして設置の予定でございます。
○日笠分科員 中国地方は一つもございませんね。ぜひ津山工業高等専門学校に専攻科を設置していただきたいと地元も強く要望しておりますが、可能性はございますか。
○遠山(敦)政府委員 津山工業高等専門学校からは、これまでのところ専攻科の設定の具体的な計画は聞いていないところでございます。
○日笠分科員 ですから、要望が出たら検討していただけますか。
○遠山(敦)政府委員 先ほど申し上げましたように、いろいろな側面からの条件を満たしましたならば、また検討の対象になるということでございます。
○日笠分科員 では、次に移ります。
 いわゆる小児成人病という言葉が一般化されつっございます。私もこの問題はもう過去いろいろな委員会で取り上げてまいりました。おかげさまで、昨年度初めて尿糖検査が実施をされました。学校保健法を改正していただきました。その結果、尿糖検査でどれくらいの子供さんがいわゆる第一次スクリーニングにひっかかりましたか、数とかパーセントをお聞かせ願いたいと思います。
○奥田政府委員 お答えをいたします。
 今先生御指摘のように、糖尿病の早期発見ということが重要でございますので、文部省におきましては、昨年の二月に学校保健法施行規則の改正を行いまして、平成四年度から、学校の健康診断におきまして、児童生徒全員に糖尿検査を義務づけたところでございます。
 現在私どもが把握しております平成四年度学校保健統計調査によりますと、糖尿検査の結果で、小学校では〇・〇八%、中学校では〇・一三%、高等学校では〇・二〇%の者が陽性となっております。
○日笠分科員 これは第一次スクリーニング、リトマス試験紙みたいなのを尿につけてそしてわかる部分ですね。問題は第二次検査、その結果というのは追跡調査といいましょうか、掌握されておられますか。
○奥田政府委員 専門家によりますと、この検査というのが二通りあるんだそうでございまして、一つは、一次検査そして二次検査をした上で精密検査をする、それからもう一つは、一次検査といいますか糖尿検査をやった上で精密検査をするという方法があるようでございます。
 そこで、今私が申し上げました第一次検査の結果から推計いたしますと、小学校では約七千二百人、中学校では約六千六百人、高等学校では約一万人の児童生徒が二次検査の対象になっているわけでございます。
 糖尿病は、適切な治療を受けることにより眼疾患、腎臓疾患などの合併症を予防することができるため、早期に発見することが重要であります。こういうことから、児童生徒の健康診断の項目に糖尿検査を加えたということは、先ほど申し上げましたように、糖尿病の早期発見、それから将来の合併症を予防するということから重要でございます。
 先生お尋ねの件でございますけれども、専門家の経験的な統計によりますと、児童生徒における糖尿検査の結果、先ほど私申し上げました一次検査の結果に対しまして二次検査も陽性になるという者の比率は、一次検査の三分の一ないし四分の一と言われております。繰り返しになりますけれども、先ほど申し上げましたように二通りの方法があるわけです。そこで、一次検査、二次検査というふうなやり方でやる場合には、今申し上げましたように、一次検査で陽性でありましても、二次検査あるいは精密検査をやりますと陰性だ、逆に言いますと、陽性だと思ったけれども陰性だったという子供がかなりいるということになります。
○日笠分科員 ですから、二次検査で学問的にいくと三分の一か四分の一、ざっと計算しますと五、六千人ということになるわけです。この人たちが果たしてどうだったのかという追跡調査といいましょうか、検証というのは今後されますか。
○奥田政府委員 学校におきます児童生徒の健康管理をどういうふうにするかという基本的なこととのかかわりがございます。学校におきましては、児童生徒の健康診断というふうなことにつきまして、疾病の兆候を早期に発見するということを目的にしているわけでございます。したがいまして、そこでそういう兆候があるということになりますと、後は学校の方から保護者に御連絡を申し上げまして、そして保護者の方において適切な医療機関等々でしかるべき検査あるいは治療を受けていただくというふうな仕組みになっております。
○日笠分科員 そうすると、その子がもし糖尿病ならば、給食とか体育の時間の問題だとか、こういうものにもリンクしてくるわけでしょう。そういう意味で、ちゃんと追跡調査でこの子とこの子とわかるようにしておかないと、一把からげてどんな給食でも出していいということにはならぬわけでしょう。そういう意味で、検証してきちっとされますかということを聞いているわけです。
○奥田政府委員 今先生お話しの点でございますが、学校における健康診断の結果あるいはさらに医療機関等々でそういうことがわかりますと、例えば学校給食の面を例に挙げますと、速やかに御連絡をいただきまして、したがって、その子供の健康上問題のないような学校給食を実施するということで、そういうきめ細かい配慮をするように特に我々は今、意を用いておるところでございます。
○日笠分科員 それと同時に、以前も鳩山文部大臣のときにもお聞きしましたが、心電図とか血圧測定も、文部省のデータもいただきましたら、高校で六三%がもう既に心電図をやっていますし、血圧も高校ではもう四分の一、二五%がやっているわけですね。こういうものも学校保健法を改正して早期に取り入れるべきではないか。先日も突然死で子供さんが亡くなっておられましたし、そういうふうな前向きなお考えはございませんか。
    〔鴻池主査代理退席、主査着席〕
○奥田政府委員 お話しの点につきましては、大事なことだと考えております。文部省におきましては、昭和六十二年の四月から、財団法人の日本学校保健会に委託いたしまして健康診断調査研究委員会を設置していただき、児童生徒等の健康診断の検査項目及び実施方法について継続的に検討をしていただいているわけでございます。先ほど御指摘がございましたように、こういう検討結果を踏まえまして、昨年の二月に糖尿検査の追加あるいは心臓疾患及びその異常の有無の検査方法の変更というふうなことを行い、平成四年度から施行しているという状況にございます。今後ともこの委員会等におきまして検査項目の適否、方法というふうなものを検討していただき、常に適切な診断方法を考えていきたいと考えております。
○日笠分科員 尿糖検査に絡みますが、大臣、きょうは実は現物を持ってこなかったのですが、清涼飲料水の中に糖分として砂糖十個分とか十二個分入っておるわけですね。それを子供さんは、特に夏場はがぶがぶ飲むわけです。そういうことで、私は、この清涼飲料水や加工食品には栄養成分の表示をすべきだということで、一部努力はしていただいておりますが、文部省の方から厚生省の方に強く要請すべきだろう。
 先ほど局長おっしゃいましたように、尿糖検査を始めたら、一次検査ですけれども、全国で小学生で〇・〇八%、高校生ですと〇・二%、約二万数千人の子供が一次検査でひっかかっておるわけです。やはりそういう飲食物も影響があると思いますね。
 最近、即席ラーメンの協会は、私たちはだれから言われなくても栄養成分表示をしますといって、ちゃんとやっておりますよ。清涼飲料水はございません。スナック食品もないものもあります。そういう意味で私は、文部大臣の方から、特に女性大臣として、子供の健康というのは大事な問題でございますから、厚生省の方に、清涼飲料水、加工食品、スナック食品等には栄養成分を表示するように強く要請していただきたい、かように思いますが、大臣の御決意をお聞きしたいと思います。大臣、お願いします。
○森山国務大臣 子供たちの健康につきまして大変詳しい御検討をいただき、また、いろいろ御指摘をいただきまして、大変参考になった次第でございます。
 お申しつけのスナック食品とか飲み物の内容の表示についても、非常に重要なことだと思いますので、厚生省ともよく相談をしてみたいと思います。
○日笠分科員 時間がなくなりましたから、大臣、これからの問題は一問一答でいきますから、御決意をお聞きします。
 去年、国連の障害者年が終わりました。引き続きまして、アジア・太平洋障害者の十年というのが始まっておるわけです。私は、特に精神薄弱児の社会参加ということで以前からお願いしておりました結果、旅客運賃の割引制度は適用になりました。ところが、有料道路の割引制度が、昨年の六月、建設省の道路審議会有料道路部会で、精薄の方々の有料道路割引もやるべきだという答申が出ているのですね。しかしなかなか建設省は実行に移さない。もう十カ月たっておるのです。
 精神薄弱児という、障害を持った、また社会的に大変厳しい子供さんのためにも、私は文部省としても建設省に早く実現するように強く要請すべきだと思いますが、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
○森山国務大臣 私も、電車の料金の割引につきましては、自民党の中のグループの中で一生懸命努力した経緯がございまして、その問題については多少存じているつもりでございます。
 有料道路の件については今初めて伺いましたけれども、そういう御意見が既にある程度出ているということでありましたら、それができるだけ早く実行されますように希望していきたいと思います。
○日笠分科員 続いて大臣、大学附属病院の未払いという大きな問題が出てきておりますが、これはどのように対処されますか。
○森山国務大臣 東大病院とか京大病院など国立大学病院の一部におきまして薬の代金の支払いが滞っているというような報道がございまして、早速調べましたところ、納入業者の方々に多大な御迷惑をおかけしているということがわかりまして、まことに遺憾なことと思っております。
 文部省といたしましては、代金を早急に支払いますよう指導しているところでございまして、各大学でもさまざまな努力を行いまして、順次支払いをしているというところでございます。
 大学病院は、教育と研究と診療を一体的に行うという機能を持っておりますので、その運営は大学のほかの部門に比べてなかなか難しい点も多々あると思うのでございますが、だからといって、人様に迷惑をかけていいというものではございませんで、今後は納入業者の方々に御迷惑をかけることがないようにしてまいりたいと思います。
○日笠分科員 総額何枚、どれくらいの代金未納があるのでしょうか。
○遠山(敦)政府委員 平成四年十二月末までに納入されました医薬品等のうち、本年一月末までに支払い手続を行っていないものを調べた結果で申し上げますと、三十一大学にわたり、未済額約百億円というふうに聞いております。
○日笠分科員 これはどこから支払うのですか。予備費か何かもらうのですか、それとも、特別会計ですから借入金でもされるのですか、どうなんですか。
○遠山(敦)政府委員 これは年度内に支払うということが必要なわけでございますけれども、大学病院と取引業者とは通常長い取引の実績がございまして、それぞれの取引慣行ができているところが多いわけでございます。今回の調査結果の中には、通常の取引慣行によって支払われる予定のものもかなり含まれていると考えているところでございます。また、既に調査時点から一カ月以上たっておりまして、各大学も順次支払いを進めているというふうに承知いたしております。
○日笠分科員 割と予算をしっかりとっておられたのですね。結構なことだと思います。
 それから、先ほども申し上げましたが、昨年は国連障害者の十年の最後の年でございました。今度、アジア・太平洋障害者の十年ということになるわけですが、どうも障害者の方のスポーツ施設、これをある団体の方が自治体にアンケート調査をとられましたところ、全部回答が来ませんで百四の地方自治体でございましたが、例えば障害者用トイレの設置状況はどうかというと、不備である自治体が七七%、スロープの設置状況も不備である自治体が四三%、このように、障害者の方がスポーツに親しんでいこう、にもかかわらず、そういう施設がまだ整備できていない。先ほど申し上げましたアジア・太平洋障害者の十年の決議でも、障害者の方のためにスポーツ等の活動面でのアクセスを改善することとなっておるわけです。
 これは、民間団体の方が全国の地方公共団体にお願いしたけれども、なかなか回答も来ないということでございますので、ひとつ文部省の方で、全市町村、身体障害者の方がスポーツを行うについて施設の総点検をぜひ行っていただきたい、そして対処していただきたい、かように思いますが、これは大臣からお答えいただきたいと思います。
○奥田政府委員 先生お話しの件でございますけれども、身障者が健常者と同じようにスポーツに親しむ機会を持つということは極めて重要なことでございますので、私ども文部省におきましても、各地方公共団体がスポーツ施設の整備を行う際は、身体障害者が十分利用できるよう、御指摘ありましたように、身障者用トイレ、スロープ、手すりなどの施設設備の整備におきまして配慮するよう、各都道府県に機会あるごとに指導しているところでございます。また、スポーツ施設の国庫補助におきましても、このような施設の整備のために必要な経費につきましても補助対象にしているところでございます。
 お話がございましたように、現在のところ、このような助成を一生懸命進めるとともに、各地方公共団体においても御努力をいただくということが先決でございまして、まず今の段階ではそれに意を用いたい、全力投球していきたいという考えでございます。
○日笠分科員 いろいろ統計をとられますよね、スポーツ施設、どういうものが各県幾らあるかとか。そのときに一緒に、あわせて障害者の方が利用できる設備があるのかどうかという項目をちょっと入れていただければ全国調査というのはできるわけですよ。そういう御努力をいただけませんですか。
○奥田政府委員 先ほど先生が数字をお示しいただきましたように、まだ数字としてはそう高くないという状況でございます。したがいまして、我々はできるだけそういうものを整備してほしいということを指導するということにまず全力投球をしたいというふうに考えておりまして、今後状況を見まして、先生の御趣旨も外しながら検討してまいりたいと思います。
○日笠分科員 時間がなくなりました。
 最後に大臣、私は教育の機会均等というのは、これは非常に大事なことであると思います。また、それがあったからこそ、今日、日本のいわゆる人材育成、また経済大国というふうにもつながったと思いますね。
 もうこれは最近のニュースで私、大変個人的に怒りを覚えるのですが、亜細亜大学の例の情実入学というものですね。こんなことが果たしていいのだろうか。学長推薦入学制度がある。それも、教職員の子供を優先だとか、政治家から頼まれたら優先するとか、そういう枠があるのならぜひ私も何ぼかいただきたいと思うくらいですね。それはできないわけでしょう。こういうことについて文部省は調査をされますか、またどういう対応をされますか、これを聞いて終わりにしたいと思います。
○遠山(敦)政府委員 今の亜細亜大学の件につきましては、私も詳しいことはまだ聞いていないわけでございますけれども、学内でもこの問題については今後やめる方向で検討中であったと聞いております。このようなことにつきましては、それぞれの大学の事情はあると思いますので、ここで一刀両断にどうということはできないわけでございますけれども、少なくともその件が明確になりました亜細亜大学におきましては、このことについてもう今後は続けては行わないというふうに聞いているところでございます。
○日笠分科員 終わります。
○臼井主査 これにて日笠勝之君の質疑は終了いたしました。
 次に、竹内猛君。
○竹内(猛)分科員 私はつくば市の小田城の文化財保護について質問するわけですが、もう同じ問題を十年くらい続けてやっているのですね。そして、なかなか前に進まないということは極めて残念で、もどかしい感じがします。
 そういう点で、去年もちょうど三月十二日の分科会で質問をいたしましたが、そのときはまだ小田城を中心とした検討委員会の終わったあたりで、当時の市の行政が、前の助役が市長になって、議席が野党が多いためになかなか思うようにならなかった。そういう点で、検討委員会の結論についても必ずしも十分ではない、こういう経過がありましたが、去年の十一月の市議会選挙で体制が変わって、前の筑波の町長であった、この計画書、保存計画をつくったときの筑波の町長である、茨城大学の教授をやめて出た井坂さんという人が今回は教育長に就任をする。そして座長であった木村さんが市長に当選した。それから市会議員であって志村宗司という理学博士が今度は市の理事に就任をするという形で、全体の体制が整っておりますから、これからは本当に文化庁と一緒になって物を考えるという体制ができておりますか、今日まで約束をしたことが幾つかあるのですね。
 その木村市長になってから、私の質問もありましたが、当時遠山次長がここで答弁をしたことがある。それはどういうことかというと、市の検討委員会の結論を大事にします。そして、その中で三つ問題を出しています。その一つは、A、B、C地区というのがありますけれども、Dまでありますが、A地区については本丸を守ります。これは守りましょう。それからB地区の建物のあるところでは、これは建物の建築、修理、それはできるだけ自由にしたい、一定の期間は自由にしたい。それからC地区については、これは住民本位でやっていこう、こういう話をした経緯があるようですが、これについては文化庁としてはどうですか。
○佐藤(禎)政府委員 ただいまの御方針でございますけれども、私どもの理解をいたしておりますところによりますれば、平成四年五月に、つくば市の木村市長ほかが文化庁に来庁されまして、記念物課長等と小田城の保存整備について協議をしたということだそうでございます。その際、市長からは、小田城跡の保存整備に積極的な姿勢を示されまして、本丸地区の土地の公有化等を進めますと同時に、いわゆるB地区につきましては、将来史跡として整備をするという方針を確定した上で、その実現までの間、現在建っている住宅については改築も認める、こういう規制の緩和ができないかといったような提案がなされたと伺っております。
 これに対しまして、文化庁といたしましては、小田城址の全体的な保存整備の方針が未確定の現在、規制緩和のみが先行して主張されるということになりますれば、結局史跡としても保護の基本線を損なうことになりかねないので、まず全体の保存整備の構想を策定し、それとの関係で規制のあり方を検討する必要があるのではないか、こういうふうに意見を述べたそうでございまして、市長の提案を了承したという形にはなっていないと私どもは理解をいたしているわけでございます。
○竹内(猛)分科員 昭和十年に文化財に指定をされて、既に六十年たっている。半世紀たっているんだよ。あれは全然文化財としての体をなしていないんじゃないか、現実に。
 いいですか、昭和二十七年農地法が制定された。そして、その本丸の中に中山達郎という人は、農地法の第五条の許可を受けて、県の認可も取って家をつくっている、すぐ前に。これは本丸ですよ。それから、B地区と言われるところには二十八戸の住宅ができている。C地区、D地区ももちろんですね。こういうような状態になっているというのは、つまり四十三年に都市計画法ができて、これは市街化区域になり、宅地になっている。さらにその上に、税金は宅地並みに取られている。草が生えていても宅地並み課税だ。こういう状態を認めますか。
○佐藤(禎)政府委員 史跡小田城址の保存につきましては、御指摘をいただいておりますように、近年まで史跡としての保存管理というものが十分には行われていない嫌いがございました。そのために一部住宅化するなどの状況だったということは、私どもとしても伺っているところでございます。
○竹内(猛)分科員 それだけのことを聞いているんじゃないんだよ。農地法の問題、宅地化の問題、税金の問題、これ全部都市並みじゃないですか。例えば、文化財のところだから全然何もつくってないから、税金ならそれは考えようということもあるだろう。一つもやってない。
 それから六十年ももう過ぎようとしているのに、一番皆さんが大事にしようとする堀あるいは土塁の状態はどうです。そんなものは見ようとしても見えない。ここに僕は写真を持ってきたから、大臣、ちょっとこれを見てちょうだい。こういうものを六十年間もそこへほったらかしておいて、文化財を守るんだ守るんだなんて、何言っているんだということだよ。おかしいじゃないですか、それは。守ってないじゃないですか、現実に。
 それで、A地区には三十一人の地権者がいる。B地区には五十八人、C地区は百五人、Dで六十四。百九十八人ぐらいの地権者がおるし、八十二戸の家が建っている。八十六戸あったけれども三軒は確かに引っ越した。これだけがもし文化庁がやったとしたらやったわけであって、改めて手を加えたことはないでしょう。
 そこで、現状というものに対してどういうぐあいに認識をされているか、もう一遍、現状認識について意見が一致するかしないか、お伺いしたい。
○佐藤(禎)政府委員 最初に申し上げましたように、この小田城趾は、昭和十年に当時の史蹟名勝天然紀念物保存法の規定によって史跡に指定をされているわけでございまして、二十五年に現行の文化財保護法による史跡として引き継がれているわけでございますけれども、近年まで、お話しのようにその城址の史跡としての保存管理というものが必ずしも十分には行われておりませんで、一部住宅化する、そういった状況があったというふうなことは私どもも認識をしているところでございます。
○竹内(猛)分科員 必ずしもということじゃないのだ。ほとんど手をつけてないじゃないですか、一つも。今そこに写真があるけれども、まず城址には最近は木が生えでいる。桜の木が自然に大きくなった。入り口の道路はバスも入れない。人間はあそこに見に行っても入るところがない。夏になると草が生えて、長靴を履かなければ入っていけない。こういうところに中央から、文化財だと言ったところで、北畠親房が南北朝のときに神童正統記を書いたところなんだと幾ら言ってみたところで何もないじゃないですか、これは。それはきのうやきょう僕が言っているのじゃない。十数年前からその話はしている。それに何らの手をつけないというのは一体どういうことか。
 それじゃもう一つ聞くけれども、文化庁は、その文化財を保護するために今日までどれぐらいの財政の支出をされたか、それをひとつ教えてください。
○佐藤(禎)政府委員 これまで講じておりますものは、昭和六十年度に史跡の保存管理計画の策定事業に対しまして五〇%の国庫補助を行ったのが一つ。それから、昭和六十一年度に本丸、土塁の修理事業を行ったものに対しまして五〇%の補助を行っています。そして、平成二年度には土地の買い上げ事業三件につきまして八〇%の国庫補助を行っている、こういう状況になっているわけでございます。
○竹内(猛)分科員 合計金額で幾ら。
○佐藤(禎)政府委員 事業費ベースになりますけれども、一億七千七百三十万円というようなことになります。
○竹内(猛)分科員 昭和十年から平成五年まで、それで抑えに抑えて一億七千万、そのうち一億六千万は三戸の移転の補助ですからね。八〇%、これはわかる。そのほかに文化財を守るために何も出してない。これではげんこつで守れということと一緒だよね。だから、現地へ行くと、憲法の二十九条、私有財産を公共の事業に供する場合には補償という話もある。そのことも全然されてないですね、こうやって抑え込むだけで。
 だから、あの辺は農業をやっているから、これはある意味においては理解ができないことはない。それから、都市計画によって宅地になっているから、それは使用収益は自由なはずだ。それに対して今度は五十八年、文化庁は町に向かって通達を出した。建てかえからあるいは土取りから何からかにまで、家とか周辺を動かすことについては文化庁の許可が要るという。許認可だけは厳しくするけれども、これはまた何にもそれに対する裏づけがない。こういうような行政というのはまずいよね、実際の話。
 そして、六十年に保存計画を作ったのですね。その保存計画をつくったときの町長というのが、現在の教育長になった当時の筑波町の町長だ。これは茨城大学の教授をやめて町長になった。そのときに委員の人たちが中心となっていろいろやったけれども、その委員の人たちに一人ずつ聞いたら、いや、文化庁から強い指導がありましたと。きょう来てないかな。きょうは見えてないな、ここには。相当な有名な人なんだよ。文化庁の中では大した地位じゃないけれども、あそこに来ると非常に怖いんだ、この人は。学生時代から小田城にあこがれていたというからそれはいいけれども、それならそのように少し頑張って、物を言うなら裏づけをしてから物を言わなければだめだ。だから、あの人が行くとみんな逃げちゃう。町長も怖かったと言ったな。みんなそう言っている。
 あの辺の人たちは人間がいいから、文化庁というような偉い役所から押しつけられると何にも言えなくなってしまって、ああ、そうですかということでみんな判を押しちゃう。そして説明を、あのパンフレットの中にあるでしょう、三十二ページにね。地権者の承認あるいは同意、こういうものを得るのだということを書いてあるけれども、それはパンフレットを持ってきて説明しただけで、文化庁に出しちゃった。だから、あのときに関係した人たちは、大変申しわけがない、何とかなりませんか、こう言っている。そういう状態の中で、私としては別にあれを守るのに反対じゃないのですよ。守らなければいけないと思っていますからね。だから、一緒になって守ろうと思っているのだから、もう少ししっかりやってもらわなければ非常に困るんだな。
 そこで、せっかく保存計画ができたのだから、それじゃ、保存計画を実施する実施計画というのをつくらなければだめだ。それをつくる意思があるかね。それをまず聞きたいのですよ。
○佐藤(禎)政府委員 私どもの理解をしているところによりますれば、先ほどお話がございましたように、現在つくば市では、昨年九月に就任をなさいました教育長さんを中心にいたしまして積極的に地元とのお話し合いを行っているというふうに伺っているところでございます。これまでのお話し合いというよりは少し輪を広げまして、多くの住民の方々とも接触をしながら今後の取り進め方についてのお話し合いが進められているわけでございますので、私どもといたしましては、県、市、地元住民の方々との協議、調整というものを進めてまいりたい、こういうふうに考えるわけでございます。
○竹内(猛)分科員 いや、それは新しい教育長が進めているわけじゃなくて、現在市長になった木村市長が助役のときに検討委員会の座長をやって、その結論を大事にするということを遠山さん、去年は次長だったですね、遠山次長がここで答弁をした。それに向かって進めてきた。ところが、市の中の政治体制の事情から余り前進をしなかったけれども、この間の十二月の選挙で体制が整備をされたから、これからやろうというときになって、初めてA地区の地権者と話をした。これは前進といえば前進だけれどもね。
 そういう話をすると必ず出てくるのは、一体文化庁は、押さえることだけ押さえて、実施計画というものをつくる意思があるのかないのか。それなら、もし実施計画が文化庁自体でできないのであれば、それはつくば市が管理団体としてまた検討委員会を新しいメンバーで再建をして、そこで地権者も入っていろいろ話をしよう、こういう考え方になっていることは事実だ回
 そうすると、そのときにでも、現状維持じゃだめなんだから、あの土塁を一人前にするために、あるいは城を再建するために、一体どのくらいのお金がかかるかということは、それは皆さんは頭のいい人ばかりの集まりだから、そっちの方だけは何もやらないで、それで守れ、守れ、守れと言ったってこれは守れるわけがない。これくらい金がかかる、一気に出すというのじゃない、それを何年計画でこうする、どこから手をつける、こういう話にならなきゃ、これはどうしようもないでしょう。
 もしそれが文化庁でできないなら、文化庁も地元の検討委員会の中に加わってこれを実行していくということになれば、それはまたそれなりの方法もある。そして、これが両立していかなくちゃまずいと思うのですね。特に、堀を全部占有してしまって、ほとんどは私有財産になっている。あれだって買い上げなくちゃいけない。相当のものでしょう。だから、そういうことを考えると、かなり財政的な支出も要るわけだから、その計算くらいはおよそしなきゃどうしようもないじゃないですか。それはどうですか。
○佐藤(禎)政府委員 よく御存じのように、この史跡全体が中世の平城でありまして、後の立派なお城というような形態とはやや違っておりますために、見た目はそれほど目立たないというようなことがあろうかとは思いますが、私どもとしてはその史跡の重要性というものは十分に認識をしているつもりであるわけでございます。したがいまして、私どももこの委員会では、その史跡の保護の基本的な方針として、立派な計画、結論が出ますれば尊重してまいりたいというようなことを当時の遠山次長からもお答えしているわけでございます。
 私どもの立場としては、史跡の保存ということを基本に置いて物を言うということは常に外れられないわけでございますけれども、地元の方々によって計画が立てられるという機運になっておりますときに、私どももその検討の中に入っていくということについてはやぶさかではないわけでございます。
○竹内(猛)分科員 それは確認できるかな。文部大臣、どうだね、それ。いいですか、大事なことですよ、これ。
○森山国務大臣 文化庁あるいは文部省が文化財を保存するということは一つの大きな目的にしていることでございますから、その文化財を保存するという立場から地元の皆さんとも御協力申し上げてできる限りのことをいたしたい、そういうふうに思っております。
○竹内(猛)分科員 もうあと時間もないからまとめて申し上げますけれども、このつくば市というのは人口十五万の市になっていますね。そして、二千八百ヘクタールというのは、これは学園都市の区域内、移転する四十七の国の研究機関、筑波大学を初めとしてたくさんの学者や文化人や技術者が移ってきている、そこはまあ学術都市。
 ところが、今の小田城を中心とした農村地区はまた水郷筑波国定公園を背景とした一つの景勝地でもある。万葉の里と言われた筑波山、ここにも古いいろいろな歴史があるし、文化がある。
 それから小田城を中心とした南北朝の歴史、北畠親房がそこへ入って神童正統記を書いて、途中でそこを追い出されて大池の方へ行って、それから関城町の関城へ行った。そこで神童正統記を仕上げたという話もあるし、その周辺には大宝という城もある、城址があります。こういうのが一連の南北朝の歴史なんです。
 それから、そのほかに鎌倉時代の歴史として、宝篋山というところにはいろいろな大きなお寺もあります。こういうものを一つの風光と歴史の地域として現地では、つくば市では考えよう、そして史料館、歴史館、そういうものをつくって、そういう意味での活性化をしていきたい、こういう考え方もある。
 そういうときに、環境庁も来ているけれども、環境庁もこれにはやはり協力してもらわなければ困る。通産省に、あそこで石取りをしているので、僕は石を取るのはやめてくれということで、あと三年で石取りはやめるけれども、せっかくああいう風光明媚なところがあるんだから、ゴルフ場をつくることについてもこれを中止させておるわけです。そういう点では、関東地区における風光明媚なところと歴史の里というものでひとつ活性化していきたい、こういう考え方を持っている。だから、それについて文化庁も環境庁も一緒になって協力してもらわなければ、市だってこれはやりょうがないのだから。県にも協力してもらう。これはいかがですか。
○佐藤(禎)政府委員 ただいまお話がございましたように、この地区は小田城址のほか、お話のありました大宝城坐あるいは関城址、平沢の官衙遺跡、新治郡衙遺跡等々の史跡がたくさんある地区でございます。そういった地区全体を考えまして総合的に保全をし、適切に整備をするということは望ましいことだと思っておるわけでございます。
 ただ私どもは、繰り返しになりますけれども、文化財を保護する立場からこれに参画をしていくことになりますし、私どものお手伝いできることは限られているということは、残念ではございますが、申し上げなければならないかと存じております。
○菊地説明員 環境庁といたしまして、御指摘の問題自身は私どもがコメントする立場じゃございませんが、より幅広に、身近な自然環境の保全あるいは活用方策の検討というような形で地元からの問題の提起というものをいただきました際には、私どもといたしましても大変関心の高いところでございますので、今のところ県から具体的相談を受けたことはございませんが、今後必要に応じまして茨城県の相談には乗ってまいりたいとは思っております。
○竹内(猛)分科員 きょうのこのやりとりを契機にして、これは県の方でも非常に心配をしているし、知事も大分心配をしておりました。それから、市の方でも体制ができたからいよいよ今度は本格的にやろう。ところが、文化庁は文化を守るということだけで、そのほかには手を出さない。手を出さないといっても、できるだけ手を出さなければこれはしょうがない。
 小田城だってあのような状態で、そこに写真があるように、平城だ、平城だといったって、それはおかしいじゃないですか。城を見たい、それじゃ堀があるか、堀なんかありやしない。塁があるかといったら、塁もない。何にもないのですよ。田んぼしかない。そういうところを文化と言えるかと、こう言うんだよ。これは大臣、言えるかね。それを見て文化だと言えますか。六十年たっているんですよ。六十年、あなた方がここを指定して押さえてから。いいですか、一歳の人が六十歳になっているんだよ。頭が白くなっているんですよ。それでも実態はちっとも変わらない。これじゃどうにもならないんだよ。それじゃいけないんですよ。そのことを僕は言いたいんだ。
 文化を守りますよ、一斉に。守るんだから、守るには今言うようなそれぞれの役割があるでしょう。国の役割、県の役割、地元の市の役割、それから長くこれを守ってきた土地の役割、こういうものとみんなが一緒になってやるには、それは金の計算ぐらいしなきゃ。出す出さないは別だよ。このくらいの金は必要だということは計算できるでしょう、あなた方はあちこちの文化財を押さえているのだから。さっきも大阪の話があった。静岡もそうだ。菊川町で何かやったら問題が起こっているね。あちこちで起こっていることを知っていますよ。だから、それは大事だから、守るのはいいから、守るなら守るように、ちゃんと住民と一緒になって守りなさいよ。共存共栄でいきましょうよ。大臣、どうです。ひとつ頭のいいところで、ちゃんとしたいい答弁をしなきゃだめだ。
○森山国務大臣 小田城の跡というのは、今承りまして、また写真も拝見させていただきまして、南北朝時代の代表的な城の一つということで史跡に指定されているということでございますが、現在農地や宅地となっておりまして城址としての姿がわかりにくい状態になってしまった、それは大変残念なことでございます。これまでも地元の方々、つくば市、茨城県などの御努力によりまして、史跡としての保護のあり方が検討されてまいって、徐々に具体的な事業も行われているということでございますので、今後とも、これらの皆さんの御協力を得ながら、史跡が国民全体に親しめるものとして保存整備されていくように努力してまいりたいと思います。
○竹内(猛)分科員 今大臣は史跡が具体的に進んでいると言ったけれども、進んではいない。とまっているんだよ。とまっているんだから、それを進めるためにはやはりさっき私が言うように、国も県も市も、それからそこに住んでいる住民も、それから関係する省庁が一緒になってそこに一つの文化財を守りながら地域を大事にしていく、こういう共存共栄という心がなければいけない。それをやろうということなんだから、それに賛成してもらわなければ困る。そうでしょう。
 これで終わります。
○臼井主査 これにて竹内猛君の質疑は終了いたしました。
 次に、関晴正君。
○関分科員 きょうの最後の質問になりました。森山大臣、大変御苦労さんでございます。
 私は、きょう、宗教法人創価学会のことについて率直にお尋ねしたいと思うのです。
 宗教法人創価学会については昨年のちょうど今ごろにも質問申し上げまして、この宗教法人創価学会が掲げているところの目的、掲げているところの教義、それに忠実に運営されているだろうかどうかということをお尋ねしたわけであります。あれから一年余過ぎました。現実に宗教法人創価学会がこの掲げている教義や掲げている目的に忠実に運営されていると見ておられますかどうか、お答えください。
○佐藤(禎)政府委員 創価学会に関しましては、昨年の御質問のときにも私どもからお答えをいたしているところでございますが、御指摘の問題を含めまして、第一義的には所轄庁である東京都に属する事項であるということをお答えをしているわけでございます。その際、御承知のとおり、宗教法人の要件としては、宗教の教義を広め、儀式行事を行い、信者を教化育成することを主たる目的とし、かつ、単立法人の場合には礼拝施設を持っているというようなことがその要件となっているわけでございますが、東京都からはこの要件を欠いたという具体的な報告をちょうだいをしていないわけでありまして、私どもはそのように理解をしているわけでございます。
○関分科員 あのときに私、何と言いました。東京都にお任せしておる、なるほど所轄庁としては東京都でしょう。でもしかし、問題が出ておればこの問題についてお尋ねしておきなさいよ、池田大作さんに来てもらうとかあるいは学会の責任者に来てもらうとかと言って、聞いておきなさいよと申し上げましたよね。私の質問していることや求めていることには何のお調べも何の御行動もなかったのですか。そうして東京都庁から何の音もないから何のこともない。何という無責任、無干渉でしょう、これは。
 大臣、大臣の方に私は所轄庁の問題でも聞きたいと思っているのですよ。宗教法人法の第五条に何と書いてありますか。本当を言えばこの担当になるところは、創価学会というのは今や日本全国のものではなくて世界にそれこそ広がっているほどの大きな団体でしょう、ですからこれは当然宗教法人法の第五条に従って、五条の二項に従って所轄庁は文部大臣になっていいと思うのですけれども、それについての御見解はいかがですか。
○佐藤(禎)政府委員 宗教法人法は、先生十分御承知のとおり、憲法に定めております信教の自由並びに政教の分離、こういった原則を踏まえながら立法されているわけでございますけれども、宗教活動については所轄庁が関与をするということを避けまして、宗教法人の活動について規定を設けているわけでございます。
 第五条に定めます「宗教法人の所轄庁は、その主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事とする。」というのが一項でありまして、第二項では、包括宗教法人の場合には文部大臣ということになるわけでございますが、宗教法人間の包括、被包括の関係がない場合には原則に立ち戻って都道府県知事がその所轄庁になるわけでございます。
○関分科員 そこで、所轄庁である都庁にしてもまた所轄庁である大臣にしても、私が先ほど申し上げたように現状が――読んで聞かせなければわからないなら、時間が本当にもったいないのですが、大臣よく聞いていてください。
 教義として何とあるかといいますと、「日蓮聖人の一閻浮提総与の大曼茶羅を本尊とし、日蓮聖人御遺文集、日蓮正宗勤行要典を経典とする。」とあるのです。これを経典として現在やっていますか。
 二つ目、「日蓮大聖人側建立の本門戒壇の大御本尊を本尊とし、日蓮正宗の教義に基づき、弘教及び儀式行事を行い、」云々とあります。日蓮正宗の教義に基づいて弘教及び儀式をやっていますか。お答えください。
○佐藤(禎)政府委員 宗教法人法は、個々の宗教活動について所轄庁が関与をするという関係はつくっていないわけでございます。宗教法人の規則の認証ということにまずその最初の関与があるわけでありまして、そして最終的な手段として、幾つかの要件を満たした場合には宗教法人の解散を裁判所に請求することができる、こういう規定がございますが、宗教活動そのものについては触れていないわけでございます。
○関分科員 認証のところにおいて届け出ている条項があるでしょう。教義、目的。示されているところの、認証を受けているところの教義が何であるか認証を受けているところの目的が何であるか。その目的はどうでもいいというのですか、今の答えは。どうやっても何ら手もっけられないんだ、こういうことですか。そんなことないでしょう。どうです。
○佐藤(禎)政府委員 規則の認証を受けます場合に目的等を記載することになっておりますが、目的、教義等が存在をするかどうかということを所轄庁は確認をしているわけでありまして、その中身がいかなるものであるかというその中身の判断は一切行っていないわけでございます。
○関分科員 中身が何であるかを伺っていないということを聞いているのではないのです。示されているとおりに儀式が行われているかと聞いているのですよ。示されているとおりに教義が尊重されてやっていますかと聞いているのです。教義の内容がどうだとかなんとかというようなことを問うているんじゃないですよ。認証を受けた事項に従って忠実に運営されているかということを聞いているのです。知らないなら知らない、わからないならわからない、構わないなら構わない、どっちです。
○佐藤(禎)政府委員 先ほど申しましたように、宗教法人法は、認証の後は最終的な手段である解散の請求という手続、そういう手たてしか設けていないわけでございます。その際には、八十五条に定めます要件に該当するかどうかという判断は所轄庁がするわけでございますけれども、少なくとも八十五条に定める要件に明確に具体的に該当しているということの判断は、東京都庁においてはできないというふうに現在判断をされているわけでございます。
○関分科員 八十五条というのは何のことですか。あなた、八十一条と間違ったでしょう。(佐藤(禎)政府委員「失礼しました、八十一条です」と呼ぶ)慌てないで答えてくださいね。
 私の申し上げたいことは、創価学会は、天下の創価学会でしょう。しかも、ある意味では公において最も力を振るってよく働いているところじゃないですか。しかし、こうして認証されている事項が日蓮正宗と今どういう状況にあるのですか。その教義は教義として、それを基本にしてそういう状況に合っていますか合っていないでしょう。まずそれが一つ。
 都庁から報告が来なくたって、あなた方だってそのくらいのことは当然調べているでしょう。ですから、こういう明々白々な条項が何も生かされないでいるとすれば、これは大変です。そういうときには、第八十一条の二号によって次の問題が出てきます。しかし、八十一条の二号だけじゃありませんよ。今日、創価学会の会員の皆さんと日蓮正宗の法華講の会員の皆さんとの間に起きているトラブル、ただごとじゃありません。北海道、東北、関東、関西、中部、四国、九州、中国、沖縄、全国においてこの間におけるトラブルが非常な格好であるのじゃありませんか。一々申し上げる時間はありません。本当はこの間のときは一時間ぐらいやれるかと思ったのですが、きょうは三十分にされてしまいましたから例を全部挙げるわけにはいきません。
 でも、青森県の例を一つだけ申し上げておきましょう。
 これは、ついこの間ですよ。平成五年二月十四日、青森市石江富田百番地、開米スエさんという方が法華講の講員で、ここに坪谷芳春、学会員、現職警察官、青森市新田字扇田百八十四の五、この方が元僧侶の山本辰道氏と地元の学会員を引き連れて強引な脱講運動の案内役をしたとある。脱講運動というのは、法華講の講から抜けるという運動ですよ、そして学会に来いということです。それぞれ信仰の自由がありますよ。それは、勧めるには優しく勧めるということもあるでありましょう。しかし、抜けた人に入ってもらうために、その勧め方や訪問の仕方を見ますと大変な状態です。全国から来ている文書の中には、戸をたたく、入れないと思っても、お山の方から来たとかお寺の方から来たとかと言って、あけてみれば学会の人だ。トイレを貸してくださいと言うので、あけてみればまた学会の人だ。一日に何度も来る、また一カ月に何度も来るという。そうして、脅迫的言辞を弄している。こっちへ戻らなければ地獄へ落ちるぞ、こっちへ戻らなければ殺してやるぞと。これは何ですか。
 今私は青森の例をとりました。この事実は、現職警察官が僧侶を案内して、そうして行っているわけですよ。お帰りください、これからテレビを見なければならないのですよと言ったって、帰るものじゃない。こういうことは公序良俗に反する行為でしょう。公序良俗に反するような行為が公然と行われている。一体これをだれが取り締まるのですか。暴力団取締法というのがあるけれども、それに似たようなことが行われているというのは人権侵害もいいところでしょう。そういう意味からいきますと、あなた方は積極的ではない、なぜ積極的でないのか私はわからぬけれども。
 先ほど八十五条と言いましたけれども、解散命令は八十一条です。この八十一条には、「裁判所は、宗教法人について左の各号の一に該当する事由があると認めたときは、所轄庁、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、」いいですか、職権でですよ、「その解散を命ずることができる。」「一 法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと。」これなんかは公序良俗に反することを意味しているでしょう。今申し上げたようなことなんか、ここに該当するでしょう。一としては、「第二条に規定する宗教団体の目的を著しく逸脱した行為をしたこと又は一年以上にわたってその目的のための行為をしないこと。」いいですか。この「目的」というのは何の目的ですか。宗教団体設立のときの認証を受けたときに掲げている目的でしょう。そのときに掲げているところの行事でしょう。それを一年以上にわたって行わないときには解散命令をかけるとあるのですよ。
 あなたは私がここまで聞かないうちに先に解散命令の話をしましたから、解散してくれるというならいいことなんだけれども、その気持ちもないのでしょう。私だったら、これは大変な問題だから、東京都庁のことだからといって知らぬふりしないで、所轄庁であるところの文部大臣、なるほど形式的には都庁にあるかもしれません。起きている事態というものは全国的なものです。全国的に行われているということは、これは組織的に行われていることなんでしょう。
 池田大作と握手をしましょうと言って学会の皆さんや、また学会出身の政治家ともが歩いているのですよ。しかも、全部それが、お帰りください、お帰りくださいと言っても聞かない。無理やりにあけている。戸が閉まらないように足を狭めて入ってくる。一人、二人じゃない、四人も五人もですよ。一人の年いったおばあさん、あるいはひとり女で暮らしている方が、夜中に来てそういうことをする、怖くてしょうがないと言いますよ。あるいはまた、後を尾行してくる。自動車で来る、そうして今度は自動車のタイヤに穴をあけるいたずらをしていく、ガラスを破っていくなんということもある。こういうようなことを聞くにつけ、耳にするにしても、何ということだろう、文化国家日本はどこへいったんだろうと思いますよ。
 そういう点からいきますと、警察の方にだって一一〇番の知らせや、あるいはまたそういうようなことで申し立てをしているのがたくさんあるでしょう。警察庁なりこれを担当している方からも実態を御報告すべきことがあったら御報告いただきたいと思います。
○深山説明員 警察庁といたしましては、個々具体的な団体別の犯罪統計といったものは従来からとっておりません。したがいまして、特定の宗教団体に関する事件あるいは今御質問の一一〇番の受理件数といったものは把握いたしておりません。
 しかしながら、警察といたしましては、当然のことながら、いかなる事案であろうとも、違法行為があるならば厳正、公平に対処していく所存でございます。
○関分科員 警察の方にだって届け出たのがあるでしょう。あなた方の交番の出先の方々が走り回っていろいろと苦労しているのもあるでしょう。一つもないと言うのですか。青森のことはどうなんです。これ、あったんですか、ないんですか。
○櫻井説明員 お尋ねの青森の件でございますが、青森県警において詳細調査中でございまして、現時点では事実関係は必ずしもつまびらかではありません。
 青森県警におきまして、現在までの調査においては、御指摘の人物の執務時間外における活動について警察に相談があったという事実があるとの報告を受けておりますが、いずれにしましても、同人がその職務に関連し、またはその地位を利用して宗教的活動を行ったという事実はないと承知しております。
○関分科員 これもまたとんでもないことを言う人だ。現職警官が、執務時間から外れてくれば、やってもいいということですか。そんなのに加担して歩いて、お先棒を担いで、無理やりに、帰ってくれと言っても帰らない。帰ってくれと言ったら、帰っていけと言うのが警察官じゃありませんか。それを、制服を脱いで私服で歩いている、私の時間であればそんなことをしても構わないと言うのですか、今のお答えは。
 吉崎という防犯課の方にちゃんと届け出て調査をしていますよ。何でそんなにあいまいに答えるのです。何が怖いのです。ふまじめだよ、今の答えは。警察官がそんなことをしてもいいと言うのですか。大変な話ですよ、今のは。答えられるか。答えてごらん。
○櫻井説明員 繰り返しの答弁になりまして大変恐縮でございますが、ただいまの点につきましては、現在、詳細調査中でございまして、事実関係は必ずしも明らかでございません。
 いずれにしましても、これまでの調査においては、同人がその職務に関連し、またはその地位を利用して宗教的活動を行ったという事実はないと承知しております。
○関分科員 何という話で、ないって。対決させましょう。いいですか、それで。対決させましょう、そんなうそを言うなら。警察がうそ言ったら、うそは泥棒の始まりと教えているのがあなた方でしょう。何だ、そんなこと。対決させますよ。警察官呼びますよ。呼んでください。名前までここで発表したんですから。これは一つの青森の例だから、僕は青森だし言えるから言っているのですよ。いいかげんなことを言っているんじゃないんだから。
 そこで、私は思うんです。創価学会は、宗教法人としてきちんと認証してもらうのには今のままではまずいんじゃないか。ですから、今の状態を創価学会どうしようと思っている。創価学会だって名称を変えようと思ったりしているんでしよう。
 先般のSGIの第十五回の大会において、創価学会の方では、日蓮創価宗に参加しましょう、こう言って池田大作さんが呼びかけているじゃありませんか。それから、日蓮聖人の御本尊もちゃんとありますよ、こう言っていますよ。御本尊二つあるのかどうかわかりませんけれども、私には。あるなら見せてもらいたいと思う。はっきり創価学会で言っているでしょう。ですから、そういうふうにして変わっていくなら、私は変わっていった方がいいと思うんです。そうして、けんかなんかしないで、それぞれの道を歩いたらいいんじゃないですか。とにかくひどい状態であるということだけは間違いありません。
 ですから、私はここで、その第八十一条の法規に照らし合わせて、処断しようと思えば処断できるんじゃないだろうかと思うんです、一と二。森山大臣もひとつ一と二を読んでもらう。それから、実態についても当たっていただく。これは私のところじゃないからと言って構わないつもりですか。これは森山大臣に聞きましょう。ぜひひとつ私は真剣に当たっていただきたいと思うのです。いかがです。
○森山国務大臣 先ほど来お話し申し上げておりますように、創価学会の件につきましては、第一次的には所轄庁であります東京都に属する事項でございますが、創価学会と脱会した会員との間に多くのトラブルが発生しているという御指摘につきましては、東京都に問い合わせてみましたところ、具体的には承知していないという報告を受けたところでございます。
 なお、本件につきましては、宗教上の事項とも密接にかかわる事柄でございまして、宗教上の事項につきましては、宗教法人法第八十五条の規定によりまして、所轄庁が調停したり干渉したりするべき事項ではないと考えられますことから、所轄庁は慎重な対応を行う必要があると考えます。
○関分科員 とにかく、条項に照らし合わせて、都庁に対してとりあえず指導したらいかがです。都庁が黙っていればあなたたちも黙っている、これじゃ話にならないでしょう。
 私は都知事に会うべくお話ししました。大丈夫、会うというところまでいったのですけれども、用件は何だと言ったから、この用件だと言ったら、取り巻きの者が会わせるわけにいきませんという答えですよ。何とうまくできておるんだろう。ちゃんと日にちまで決まって、そうして行くことになっておったんだ、私は都知事に実態を申し上げるべく。そうしてまた、東京都に対しては、所轄庁に対しては、それなりにまたそれぞれの団体でぜひ解散させるという運動も起きていますよね。それらの処置についても伺っておかなければならないと思いまして訪ねたんだけれども、取り巻きの者がその用件であれば知事に会わせるわけにいかないと言うのです。
 ひどいですよね。どうしてこんな創価学会が怖いのでしょう。私にはわかりません。法の責任者にある者どもがそういうことで放置しておく、これが法治国家の日本の姿だとなったらどうなるのです。情けない姿じゃありませんか。ひとつこの際責任を持って、私は、森山文部大臣に本当にそういうことなのか――私、全部データを持っています。参りたいと思いますよ。しかし、それよりも今のようなことについてもっとぶつかりなさいよ。池田大作さん、どうなるのですか、宗教法人として目的に照らしやっていけますか、こう聞いたらいいでしょう。そして、法人としてもっていくためにはどうしたらいいのかと言うんなら、新しい道をつくりなさいと指導したらどうです。内容の問題じゃありませんよ、これは。表の皮の話だよ。皮が腐っちゃっているんだもの。そう思います、私は。
 とにかく、この問題について非常にトラブルが多いということだけは、なくするにしても、信教の自由ということをきちんと教えてやってください。そうして、自分の方に来ないからといって無理やりに引っ張ってくるなんということはすべきことじゃない、脅迫的言辞を弄するなんて許されることでもない、公序良俗に反するようなことは絶対にすべきことでないということぐらい教えてあげたらどうです、文部大臣。そのくらいのことは必要でしょう。本当に宗教心がどこにあるのかと思うと情けなくなるですよ。宗教心というのは人をいたわる心でしょう。慈悲の心でしょう。悪魔の心になっているなんということは、宗教ですか、これ。
 文部大臣にはもっと早くお話をじきじきしたかったんだけれども、この間の総括質問のときには待たせちゃって御迷惑しました。私は、あなたのだんなさんが科学技術庁長官のときに、青森県の原子力船「むつ」で陸奥湾海戦のときに真っ向から対決した仲です。でも、そのかたきをここで討とうなんて思っていませんよ。それは、やはり科学技術庁長官のときの話だし、今は御婦人で、女性で、最も良識のある森山文部大臣、さきには官房長官としても十二分にその手腕を発揮した方なんだから、ひとつこの問題についても十二分に当たっていただいて、真剣に対処していただきたいと思うのです。
 本当に末端では泣いているんです。きょうここに傍聴においでになっている方々は、みんなえらい目に遭っている方々ばかりなんですよ。何とか関さん、国会で取り上げてくれと言うのです。私が取り上げようとすれば、あちらからもこちらからも、やらないでくれ、やらないでくれと言われますよ。みんなよくもこうそろって言うものだと思うくらいですよ。でもしかし、こんなことで泣いている人がこんなにあるということを思いますと黙っていられますか、これ。
 私の名前は関晴正という。悪いことをすれば関所の関だぞ、晴れて正しい世の中をつくるんだぞ、こう言って今日まで、七十歳になります、間もなく。今度国会に出ることもしません。しかし、私にとっては、やっぱり日本をよくしなきゃならないし、我が国の宗教も、我が国の文化も立派なものにしなきゃならない。そういう意味においては、ともにいい道をつくり上げなきゃならないんだ、こう思っているんです。どうぞひとつ文部大臣、お答え要りませんから、あと、隣の人の話ばかり聞いていてもだめですから、隣の人は去年同じことを何度も言っておるんだから。まあとにかくまともに当たって、そして心配している方々――外国では宗教戦争がありますよね。これではかり地域戦争が起きておるんでしょう。地域戦争になりかねないですよ、これは日本の。そういうことも考えてひとつ対処していただくことを心からお願い申し上げて、私の質問を終わります。
○臼井主査 これにて関晴正君の質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして文部省所管についての質疑は終了いたしました。
 これにて本分科会の補充質疑は終了いたしました。
 これにて散会いたします。
    午後九時二十二分散会