第128回国会 本会議 第3号
平成五年九月二十二日(水曜日)
 議事日程 第三号
  平成五年九月二十二日
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    午後一時開議
 一 国務大臣の演説に対する質疑
○本日の会議に付した案件
 国務大臣の演説に対する質疑
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    午後一時三分開議
○議長(土井たか子君) これより会議を開きます。
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 国務大臣の演説に対する質疑
○議長(土井たか子君) 国務大臣の演説に対する質疑に入ります。橋本龍太郎さん。
    〔橋本龍太郎君登壇〕
○橋本龍太郎君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表し、細川総理の所信表明演説に対し質問をいたします。
 なお、質問に先立ち、九月三日から十九日までの十七日間、イタリア、ベルギー、ドイツの欧州各国を歴訪され、友好親善関係を深められた天皇皇后両陛下に対し、心からお喜び申し上げますとともに、これを機会に我が国とこれら欧州諸国がますます交流し、信頼が高まるよう期待するものであります。(拍手)
 さて、申し上げるまでもなく、現下最大の政治課題は政治改革の実現であります。
 総理は、政治改革関連法案が年内に実現しないときはみずから政治責任をとるとまで表明されました。我が党としても、国民に責任のある野党として、党内議論五年余の積み上げをもとに、政治改革の実現に最大限の力を振り絞っていく方針であります。(拍手)
 この課題に対する詳細なお尋ねは後日の同僚議員の質問に譲るとして、私は、この機会にぜひ総理にお伺いしたいことがあります。
 その第一は、実現を期すに当たっての基本姿勢であります。
 第百二十六国会において、政治改革関連法案は、残念ながら解散、廃案という結果となりましたが、百七時間に及んだその審議は実に濃密であり、かつ運営は極めて民主的でありました。我が国議会制度の歴史の中でも容易に例を見出すことができないほどの充実ぶりであったことをここで思い起こしていただきたいのであります。
 我が党も、最善と信ずる政治改革法案を提出いたします。今国会における審議も、先般の国会と同様に充実した徹底的な審議を尽くし、与野党の合意形成に努めるという基本姿勢を貴いでいただけると信じております。改めて法案提出の最高責任者である総理の方針を伺います。
 第二は、選挙制度の改革に当たっての基本理念についてであります。
 今回の改革の中心は、現行の衆議院の中選挙区制度の改革であります。衆議院総選挙が持つ最大の意義は、有権者が政権を直接選択すること、すなわち、どの政党に政権を担わせるのか、有権者がその審判を下すことにあり、ただ単に国会議員を選ぶことだけではありません。望ましい衆議院選挙の仕組みは、安定した政権が直接国民の手によって選択され、かつ、政治に責任感と緊張感がもたらされるものでなければなりません。
 しかし、政府提案のように、小選挙区定数と比例代表定数を同数とすれば、必然的に小党分立を招き寄せることとなり、その結果誕生する連立政権では、政治的な意思決定と責任の所在が不明確になると予想されるのであります。
 連立政権においては、各党間で調整や妥協が行われ、結局、連帯責任は無責任という危険性をはらんでおり、我が国の政治が激動する内外情勢に的確に対応できなくなるのではないかと危惧するものでありますが、総理は、この小党分立の芽をあえて認められ、それでよしとされておられるのですか。
 また、総定数については、政府案では五百をお考えでありますが、抜本改革のこの機会に、公職選挙法本則の四百七十一にまで削減すべきと考えますが、いかがお考えになりますか。(拍手)
 第三に、政治資金制度の改革についてです。とりわけ企業、労働組合などの団体献金の取り扱い、地方の首長、議員に対する献金についてであります。
 我が党は、かねてより、企業なども一つの社会的実在であり、本来、憲法第二十一条に基づく政治活動の自由を有し、これが節度を持って行われ、透明性の向上や量の制限をもって明朗さを確保すべきであるとの考えをとってきました。今回、政府・与党においては、議論の趨勢をかいま見るに、公的助成を導入し、団体献金は廃止される方向のようであります。
 私は、憲法が保障する政治活動の自由や表現の自由の一環として、さまざまな集団が、考えを同じくする特定の政党や政治団体等に対する財政支援などを通じて政治に参加することが重要であり、それを一律廃止することは法的根拠が乏しいのではないかと考えます。主要先進国を眺めましても、アメリカの連邦レベルを除き、団体献金を禁止している例は見られません。
 次に、総理は、政治改革の中にどれだけ地方への視点を盛り込んでおられるのか。我が党は、政治改革は国会議員の利害得失だけで考えず、あくまでも地方にも十分配慮した内容にすべきであると考えます。
 その第一は、地方の市区町村議会議員以上の議員や首長に対し、個人の責任に基づく自由な政治活動を保障するために、企業、団体からの会費程度の寄附、すなわち、月額二万円を二つの資金調達団体に対して行うことができるようにすること。
 第二は、衆議院の比例代表選挙の区域を都道府県ごととすることにより、代議制民主政治の趣旨を貫くこと。加えてさらに、各都道府県に対する定数配分は、小選挙区、比例代表ともにまず一人を無条件配分の上行うこと。
 以上、地方の声にこたえる我が党の改革案でありますが、これらの点を総理はどうお考えになりますか、お尋ねをし、あとは委員会での審議にゆだねたいと存じます。
 次に、当面する外交問題についてであります。
 世界は今、二十一世紀に向かっての新しい産みの苦しみを味わっております。東西間のイデオロギーによる対立が解けたとき、逆にさまざまな問題が国際社会に生じました。ボスニア・ヘルツェゴビナ等での民族・宗教対立、ロシア、東欧での改革遂行に当たっての紛争と大量破壊兵器の拡散のおそれ、環境問題など地球的規模の諸問題、さらに、先進諸国の景気の停滞、開発途上国の貧困など、多くの問題が存在しております。
 このような紛争や難問の絶えない世界にあって、先ごろイスラエル、PLOの両当事者間における相互承認、ガザ、エリコの暫定自治協定の調印が実現したことはまことに歓迎すべきことであります。今後我が国としても、積極的に中東和平と安定化のために各国と協調して役割を果たさなければならないと考えます。
 同時に、我が国は、アジア・太平洋地域における主要先進国として、アジアの平和と安定に積極的に貢献していかなければならない責任があります。
 細川総理は、こうした激動する世界情勢に対処し、どのような基本姿勢で外交政策を運営していかれるのか、お伺いいたします。
 我が国は今や、国際社会の中で、我々が考える以上に大きな経済力を持った国として、世界の平和や安定に積極的な貢献を果たすよう強く求められております。
 かつて私は運輸大臣として、イラン・イラク戦争の激化する中に、ペルシャ湾で次々と日本のタンカーが国籍不明の相手に攻撃され、乗組員が死亡するという事態に遭遇しました。どうすれば日本国民を守り抜けるかに悩み抜いたあげくに、私は、海上保安庁の諸君と相談をし、巡視船をホルムズ海峡まで派遣する決意を固めたことがあります。
 大蔵大臣の折、湾岸危機、湾岸戦争に直面しました際には、多国籍軍の平和回復に向けての努力に対する協力として、エアリフト、シーリフトへの参加を強く求められながら、結局こたえられず、サダム・フセインの人質となっている邦人初めその御家族から、政府は国民を救出するための飛行機さえ飛ばしてくれないのかとの厳しい声を浴びながら苦しみ抜いた一時期がありました。
 こうした中から、自衛隊機を在外日本人の保護のために使用できるよう、自衛隊法改正案を第百二十六通常国会に自由民主党政府は提出したのでありますが、解散の結果、廃案となりました。当然のことながら、政府は、細川総理の先国会での御答弁どおり、今国会にこれを再提出されると思いますが、いかがですか。連立政権の中で、社会党は今回も反対しておられるとのことでありますが、外交、安全保障などは自由民主党政権の方針を引き継ぐことが合意されたのではありませんか。お尋ねいたします。(拍手)
 同時に、こうした事態において、人の面でも国際的な責任を分担できるようにするために、我が党政権のもとで国際平和協力法を成立させました。
 当時、徹底的に反対された社会党からは、自衛隊ではなく文民警察官を多数派遣せよとの議論があったと記憶しております。しかし、この法律に基づき我が国が初めて実施したカンボジアのPKO活動の中で、民間ボランティアの方、文民警察官の殉職という痛ましい事件が発生した後は、いつの間にかそうした声は消えました。
 カンボジアに派遣された隊員は、その献身的な活動でから得た高い評価とともに任務を終了し、二十六日には最後の隊員たちが帰国されます。私は、殉職された中田さん、高田警視の御冥福を改めてお祈りするとともに、無事帰国された隊員たちに対し、心からその労苦をねぎらいたいと思います。(拍手)そして、今この瞬間もモザンビークの過酷な環境の中で活躍している隊員たちに敬意を表します。しかし、同時に、文民警察官、自衛隊員の報告の中から、我々は今後のPKO活動を実施する上での教訓をきちんと受けとめる必要があると考えます。
 政府は、当然のことながら、既にその作業はなさっておられると思いますが、指摘された問題点について、この際、ぜひ御報告をいただきたいと存じます。
 さらに、このPKO法により、国連の要請に応じて他の地域へ要員の派遣を継続する意思がおありかどうか。凍結されているPKFの本体業務の見直しを早められるお考えはないのかどうか。また、中西防衛庁長官は、PKO任務を防衛出動や治安出動と並ぶ自衛隊の主任務にすべきだと発言されておられますが、総理はいかがお考えになるのか。もっと言わせていただくなら、ガリ国連事務総長が、国連憲章第四十条に基づくPKFよりも機動的で強制力を持つ平和執行部隊の編成の必要性を述べておりますが、この部隊への派遣要請があったとき、日本政府はいかに対応なさるのか、あわせてお伺いいたします。
 次に、我が国の国連常任理事国加入問題についてであります。
 冷戦の終えんによって、国連は世界平和と安定に一層大きな現実的役割を担うことになりました。この新しい時代に沿うべく、国連の機構改革が行われ、安全保障理事会の改組により、我が国も常任理事国に加わるべきなどの声が内外で聞かれます。総理はこの声にどうおこたえになるのか、国連総会に出席される前に、この場をかりて国民に対してその意思を御説明されるべきであると考えますが、御見解を伺いたい。(拍手)
 また、我が国が国際的に貢献していくべきもう一つの大きな分野に環境問題があります。我が国は高度経済成長期の公害問題を克服し、環境分野における貴重な経験、行政的技術的ノウハウを蓄積してまいりました。これらの経験を生かし、国連外交の場で地球社会への積極的な貢献を行うべきことは論をまちません。
 昨年六月にリオデジャネイロで地球サミットが開催され、私もストロング事務総長の要請によりリポートを提出した一人です。
 私は今、国際的な環境問題に対して我が国が貢献できる幾つかの提案を持っておりますが、具体的には今後の国会討論を通じて明らかにしていきたいと存じます。
 例えば、昨年の地球サミットにおいて、第二回地球サミットを九七年までに開催することが合意されましたが、我が国がこの第二回地球サミットの開催国に立候補し、地球環境問題に積極的に貢献する姿勢を表明されたらいかがでしょうか。
 総理は、昨日、今国会に環境基本法案を提出する意思を表明されました。環境分野で国際的な行動を起こすためにも、その基本として、私はこれを評価し、早期成立に向けて協力したいと思いますが、その内容は、我が党政権下で提出し、廃案になったものと同じでありましょうか、お尋ねいたします。
 次に、総理の訪米と我が国の立場について伺います。
 日米関係の重要性は今さら申し上げるまでもありません。その日米関係の基軸にあるのが日米安保条約であります。
 ところで、最近、安保条約をめぐり気にかかる問題が見受けられます。
 それは、米国の防衛当局から、北朝鮮のミサイル発射実験の成功と核開発への対応として、戦域ミサイル防衛構想が提案をされ、このためのワーキンググループの設置が日米双方の当局者間で合意されました。報道によれば、これに韓国が加わることになり、中西防衛庁長官はこの問題に関し、韓国の防衛首脳と協議したと伝えられておりますが、これは、憲法上の集団的自衛権にかかわる問題や、安保条約の解釈論にもかかわってくる問題であると考えます。
 一方、上原国土庁長官は、さきの特別国会におきまして、安全保障条約の縮小論をお述べになっておられますが、これは、同一内閣において明らかに矛盾をいたしております。政府はどのようにお考えなのでしょうか、総理に伺います。(拍手)
 次に、日本の経常収支の黒字削減に関して、羽田副総理は、数値的目標設定の必要性を記者会見で述べたと伝えられております。これに対して熊谷通産大臣は、自由主義経済のもとで管理貿易を行うことは不可能であると発言されていること、武村官房長官は羽田発言を否定する見解を表明しておられますが、これも内閣における意見の不一致でありまして、総理はいかがお考えでありますか。
 総理は、さきに決定した緊急経済対策を持って初の日米首脳会談に臨まれるわけですが、この対策だけでは大幅な貿易黒字の削減は達成できず、この点を米国側から指摘されるものと予想されます。会談に臨む総理の基本姿勢についてお尋ねします。
 ところで、最近のロシアの情勢は急速に深刻化していると言わざるを得ません。エリツィン大統領は昨夜のテレビ演説において、人民代議員大会の解散を宣言した上、世界各国の指導者に向かって、ロシアの国家体制崩壊の破滅的結果、膨大な核兵器を有する国が無政府状態に陥った場合の危険性を強く訴え、支援を求めております。また、ロシアはウクライナとの核協定を破棄したとも伝えられております。
 このような事態の中で、一番私の気にかかりますことは、軍が何らかの形で関与する可能性についてであります。さらに、最高会議ビルを初め、幾つかの主要な電話回線も途絶しているとの情報もあります。
 以上のような事態に対して、政府は、どう分析され、どうそれに対応しようとされるのか。さらに、来月中旬に予定されているエリツィン大統領の訪日に何らかの影響があるのか、この点についても総理の御見解をお伺いいたします。
 本年は、雲仙岳噴火災害が長期化する一方で、北海道南西沖地震災害、豪雨災害など大きな災害が相次ぎ、北海道南西沖地震災害では二百三十一人、六月から九月にかけての風水害では百五十五人という多数の死者・行方不明者が出るなど、近来にない大きな被害が生じております。これらの災害で亡くなられた方々に対し深く哀悼の意を表しますとともに、被災者の方々に心からお見舞い申し上げます。
 このように頻発する災害に対し、我が党は、その都度、直ちに調査団を派遣し、被害の実情を調査把握し、災害対策本部を設けて各般の災害対策を講ずるとともに、心配される異常気象による農業災害に対しても的確な措置を講ずることとし、政府に強く申し入れてまいりました。政府もこれらの災害対策に万全の措置を講ぜられるよう強く要請いたします。
 次に、経済問題について伺います。
 本年五月から六月にかけては、公共事業、住宅建設の増加により、景気は一度底を打ち、明るさがのぞいた感がありましたが、政局の混乱、新政権の不安定さに乗じられた感もある急激な円高の進行、冷夏などの異常気象などが景気の足を引っ張り、再度の底割れが心配されております。
 こうした中で、我が党は昨年八月、十兆七千億円の緊急経済対策を決め、それを実施するための補正予算を国会に提出しました。また、本年に入って、景気に最大限に配慮した平成五年度予算や、異例の予算成立直後の総額十三兆二千億円の緊急総合景気対策を決定し、第一次補正予算を成立させたのであります。
 さらに、我が党は、低迷する我が国経済を一刻も早く回復軌道に乗せるため、国際協調による為替の安定を図るとともに、内需拡大による適正な経済成長を確保し、物価の安定、雇用の安定を図るなど、将来の方向を見通した確固たる政策理念に基づき、五兆円を超える所得減税のほか、十兆円を超える第二次緊急総合景気対策を去る九月九日取りまとめ、細川総理にその実施を強く求めたところであります。
 まず実行することは、平成五年度予算、同補正予算の着実な実施、地方単独事業の早期着実な執行と、集中豪雨や北海道南西沖地震などの災害復旧を早期に前倒し実施することであります。
 さらに、弾力条項を活用した財政投融資計画の追加、公定歩合の引き下げに連動して、民間金融機関の貸出金利への反映並びに貸し渋りの抑制、中小企業への融資条件の改善などの金融政策、各種規制の緩和、円高差益の還元等も早急に実施しなければなりません。
 加えて、諸外国に比べておくれている社会資本整備を中心とした景気回復のための思い切った第二次補正予算の早期編成を提案しました。
 これに対して、政府は、九月十六日、六兆一千五百億円の緊急経済対策を決定されました。その内容を見ますと、九十四項目の規制緩和策を中心に、円高差益還元策、住宅投資、政策減税など、私たちの意見も十分にお取り込みになりと言いたいのでありますが、一部をお取り上げになりながら、十項目の内需拡大、輸入促進等を盛り込まれ、社会資本の整備に一兆円の事業費を追加することになっております。
 いずれこの対策は補正予算として審議することになりますが、果たしてこれぐらいの規模の対策で現在の不況が改善されるのか、私は甚だ疑問に思います。(拍手)
 細川総理は、当初、円高差益の還元と規制緩和だけを考えておられたようでありますが、これだけでは即効性はなく、厳しい景気の実態に配慮し、一兆円の公共投資を追加したとのことでありますが、総理の景気に対する認識はなお浅きに過ぎるのではないでしょうか。
 九十四項目の規制緩和策も、鳴り物入りでありながら、我が党政権下において既に緩和の実施が決まっていたものや実効性を失っているもの、実施時期が相当先になるものがほとんどであります。
 また、規制緩和と安全性のチェック、国民の自己責任の原則との関係は不明確であり、さらに、規制を緩和するならば、一方においては独禁法の運用を強化しなければならないはずであり、そのためには公正取引委員会の体制を強化する必要がありますが、概算要求を見ましても、その面の配慮が行われておるようには見受けられません。
 低迷する日本経済を浮揚するために、もっと思い切った財政、税制、金融政策が必要であると考えますが、総理の御所見を伺います。(拍手)
 次に、所得減税について伺います。
 不況による企業収益減少の影響が、給与やボーナス、残業手当にも及び、雇用所得の伸びが急激に低下していることも個人消費の低迷につながっております。
 我が党は、景気対策として、累進構造の緩和に配慮した五兆円を超える大型の所得減税を提案いたします。もちろんこの減税は、連立与党の各党がかつて要求された戻し税方式ではありませんし、赤字国債によるものでもありません。きちんとした財源を確保した上での減税であります。財源としては、まず行政経費の節減を行うとともに、消費税を含め税制全体の中で早急に検討したいと考えております。当然のことながら、所得の低い方々に対する対策は、別途に予算措置を講じなければなりません。
 今日、最大の関心事となっている所得減税に対し、政府の最高責任者である総理大臣が明確な方針を示さず、政府税制調査会にげたを預けるような姿勢は、私には理解できません。総理は所得減税を行うおつもりはないのか、明確にお示しをいただきたいと存じます。
 四年前の参議院選挙で、「だめなものはだめ」という名せりふでブームを起こし、社会党を勝利に導かれた土井委員長が、今、本院の議長席に座っておられます。共同で消費税廃止法案を提出された社会党の山花委員長を初め各党の党首もともに大臣席にお座りであります。各党の責任者として、皆さんは所得減税をおやりになるのか、その財源はどうするのか、内閣としてはどうこれをおまとめになるのか、細川総理の御意見を伺います。(拍手)
 総理、あなたはきのうの所信表明の中で、敗戦から今日までの日本の歩みを「経済成長や産業の発展という目標に向かってわき目も振らず」と、そういう言い回しで総括をされました。
 私は、総理のこの御認識には異論を申し述べたい。我々の先輩たち、そして我々がなし遂げたものは経済発展だけでは決してありません。我々は今、世界一の長寿社会を実現したのです。昭和二十二年に初めて男性の平均寿命が五十歳の壁を破ったことを考えたとき、振り返って、今日の我が国の平均寿命はまさにすばらしい成果ではないでしょうか。
 しかも、高齢化社会などという言葉が世間に出るはるか前、その昭和三十年代に、自由民主党政権は国民皆保険、国民皆年金を実現し、老人福祉法を世に問い、高齢化社会への備えを既に始めていたのであります。(拍手)平均寿命のレベルは一国の社会的、文化的、経済的諸条件の総合的到達水準の反映であることを思うとき、この成果は国民挙げての努力の集大成であり、さまざまな要因の組み合わせの中からこの道を一貫してたどり続けた自由民主党の政策の妥当性を示すあかしの一つでもありましょう。(拍手)
 総理、あなたの二回の所信表明演説で高齢化社会に触れられた部分は極めて乏しく、高齢化社会、長寿社会のあすに向かってどのような展望をお持ちになっておられるのか、全く国民には知らされておりません。
 我々は平成の時代に入っても、「高齢者保健福祉推進十か年戦略」のような年次計画、年金制度の統合一元化への努力など、将来を見通しての施策を次々に進めてまいりました。高齢化社会を受け身で論ずるのではなく、我々はこれに積極的に挑戦し、これまでの社会で形づくられた常識や価値観、いろいろな制度を修正し、適応していけるようにする努力こそが大切なのです。
 同時に、長くなる老後がもたらす苦しみ、悩みに打ちかつための条件をいかにつくり出すか、社会的負担の増大にどう対応するのかの答えを出さなくてはなりません。社会の仕組み、企業のあり方、雇用構造、教育など、あらゆる問題が関連してまいります。子供たちの問題、女性の積極的な社会進出をいかにバックアップするか、所得保障と医療保障と公的福祉サービスの三本柱をいかに負担可能な調和のとれた姿で組み立てるかなど、いずれこれらの問題の各論は改めて総理と論議させていただくつもりです。
 高齢化が一層進む中、高齢者、障害者、子供たちなど、社会を構成するすべての人々に、ともに生きていくためのさまざまな配慮の行き届いた社会を形成する視点を欠いてはなりません。高齢化社会、長寿社会という言葉が、ただ単に社会の構成員の四分の一近くを高齢者が占めることだけを意味するものにしてはならないのです。高齢化社会は、同時に成熟した社会でなければなりません。社会全体をあらゆる意味で成熟させていくためには、今後ともさまざまな努力を積み重ねていかなければなりませんが、総理の所信表明の中にこうした情熱が全く欠落していたことを私は本当に残念に思います。
 激動する世界情勢に的確に対応し、内にあっては、今日の平和と繁栄を確保しながら、長生きをして幸せだった、そう言っていただける日本の社会を築き上げるために、これからも我々自由民主党は全力を尽くします。国民各位に向かってのこの一言を最後に、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣細川護煕君登壇〕
○内閣総理大臣(細川護煕君) 政治改革の基本姿勢についてまずお尋ねでございましたが、審議に当たりまして、与野党の合意の形成に努めてまいることは当然のことでございます。
 御指摘のとおり、先般の国会におきましては充実した徹底的な審議が尽くされたわけで、政治改革の必要性について既に共通の認識が確立されていると受けとめております。ぜひ、この成果も踏まえまして、各党各会派の御理解と御協力によりまして早期に成立することを願っているところでございます。
 それから、政府案では必然的に小党分立になって不安定になるのではないか、総定数を四百七十一まで削減する考えはないかというお尋ねでございましたが、小選挙区二百五十人、比例代表二百五十人の並立制は、純粋な比例代表制と違って、小党分立にまでなるとは考えておりません。また、比例代表について三%のいわゆる阻止条項も設けているわけでありますし、御懸念のようなことはないのではないかと思っております。(拍手)
 総定数が五百人であることにつきましては、選挙制度審議会の答申や、先般の国会に提出されました自民案、社公案における総定数から見まして、妥当なところではないかと考えております。主要先進国の例からいたしましても、決して多い数ではないというふうに認識をいたしております。
 次に、第三問は、財政支援などを通じて政治に参加することを一律に廃止をしてしまうということは法的根拠が乏しいのではないかといった御質問でございましたが、恐らく企業などの団体献金についてのお尋ねであったと思いますが、これにつきましては、このたびの法案では、政党、政治資金団体以外の者に対してするものを禁止することといたしております。このことが企業などの団体の政治活動に一定の制約となることになっても、このところ続発しております政治腐敗事件の多くが企業などの団体献金に起因することなどにかんがみまして、このような措置を講じることとしたものでございまして、憲法の諸規定に照らしましても、立法政策として認められるものと考えております。
 次に、地方への企業・団体献金の扱いについてのお尋ねでございましたが、政党以外の者に対する企業などの団体献金が禁止されることになれば、国政、地方政治のいずれの場合も、政治家個人の政治活動のための政治資金は、みずからが代表者である政治団体に対する個人献金に主として依拠していただくことになるものと考えております用地方に関しては、首長の場合など、県民党、市民党を名のられる場合も多いわけで、また政治意識の変革や今後の地方分権の推進なども、個人献金拡大の一つの手がかりになるのではないかと期待をしているところでございます。いずれにしても、近年の政治に対する国民の不信を解消するために、厳しい制限を設けることにいたしたわけでございまして、関係各位の御理解と御協力をいただきたいと思っております。(拍手)
 次に、比例代表選挙の区域を都道府県ごとにすべきではないかということでございましたが、その場合には、定数二名程度の少ない選挙区が数多くできると見込まれますので、多様な民意をそのまま選挙に反映するという比例代表制の趣旨を徹底するためには、やはり全国を通じて行うこととした方が適当なのではないかと考えているところでございます。(拍手)
 なお、小選挙区選挙における各都道府県への定数配分につきましては、政府案におきましても、各都道府県へ一人ずつを均等に配分した上で、残りの定数を人口比例で配分することにしているところでございます。
 次に、世界情勢と外交の基本姿勢についてのお尋ねでございましたが、今日の国際情勢は極めて不透明で流動的な状況であって、世界経済の低迷や地域紛争など困難な問題が噴出をしております。そういう中で、我が国としては、平和と国際協調という憲法の精神を尊重しながら、世界的な諸問題の解決に積極的な責任と役割を果たしていかなければならないことは当然のことでございます。
 そこで具体的には、まず第一に、世界経済のインフレなき持続的成長を確保していくということ、第二には、世界平和の確保のために国連の強化、国連に対する人的な貢献や軍備管理・軍縮の一層の促進といったことがあろうかと思いますし、またさらには、開発途上国あるいは旧社会主義国への支援もございましょうし、さらにはまた、地球環境といった地球規模問題の解決、そういった分野で、積極的で主体的な外交を展開をしていくべきであろうというふうに考えているところでございます。
 次に、自衛隊法一部改正法案の再提出についてどうするのかというお尋ねでございましたが、一部に異論があることは承知をいたしております。しかしながら、緊急事態はいつ発生するかわかりませんし、生命等への危険が差し迫っている在外邦人を輸送するために、自衛隊の航空機の使用は喫緊の課題だと認識をいたしております。政府としては、先国会でも申し上げましたとおり、同法案の速やかな成立が必要と考えておりますが、そのための関係者間の意見の調整を目下進めているところでございます。
 PKOにつきましてお尋ねがございましたが、御承知のように、国際平和協力法第七条によりまして、実施計画に定めるPKOの業務が終了したときには、当該PKO業務の実施結果を国会に報告をすることとされております。したがいまして、カンボジアにおけるPKO業務につきましても、十月に、その任務終了後、要員からの報告を十分に整理、そしゃくした上で国会に御報告をさせていただきたいと思っているところでございます。
 PKOについて、他の地域へ要員の派遣を継続する意思があるかどうかというお尋ねでございましたが、国際社会の平和と安全を守るために、資金面だけでなく、人的な面でも貢献を行うことは当然のことであろうと思います。今後とも、PKOへの協力は、いわゆる五原則に関する規定を含む協力法に基づいて行ってまいらなければなるまいと思っております。
 それから、PKOの本体業務の見直しを早める考えはないかというお尋ねでございましたが、本体業務の凍結解除につきましては、協力法のもとで実際の協力が開始されてようやく一年を迎えた現段階では、実績を積み重ねていくことがまず肝要であろうというふうに考えております。
 次に、PKOの範囲についてもお尋ねがございましたが、自衛隊法第三条を改正し、PKO業務を本来の任務とすることは、自衛隊の存立目的を変えることになるわけでございますし、PKO業務の実績などを踏まえて、国民的な論議を経た上で行うのが適当であると考えているところでございます。
 平和執行部隊についてのお尋ねもございましたが、申すまでもなく、平和執行部隊につきましては、従来国連が経験したことのない新しい考え方でございますし、また、伝統的な国連平和維持活動とは異なる考えに根差すものでございます。国連が新たにそのような役割を果たすことにつきましては、国連加盟国の間で十分議論を尽くす必要があると考えているところでございます。
 国連の新たな役割や任務に関する議論には、政府としてももちろん積極的に参画してまいりたいと思っております。しかし、このような議論に積極的に参加していくことと、我が国自身がそのような任務に参画し得るか否かということは、また、次元の異なる問題であろうというふうに考えているところでございます。
 いずれにしても、憲法の枠内で、国際社会の責任ある一員として我が国がいかなる貢献をなすべきかについて真剣に検討をしてまいりたいと思っております。
 常任理事国入りに関する問題につきましてお尋ねがございましたが、安保理につきましては、世界の平和と安全に対し主要な責任を有する機関として、一層の機能強化が必要となっております。今次国連総会における主要議題の一つは安保理改革問題であろうと思いますが、我が国としても、この問題に関する議論には建設的な立場で参画をしてまいりたいと考えているところでございます。
 安保理の機能強化のためには、世界の平和と安定のために貢献する意思と能力を持つ加盟国の資源を積極的に活用していくことが必要でございますし、我が国としては、今後とも安保理においてなし得る限りの責任を果たしてまいりたいと思っているところでございます。
 それから、地球サミットの開催国に立候補してはどうかというお尋ねでございましたが、地球環境問題につきましては、我が国も大きな関心を持っているところでございますし、積極的に貢献を行っていかなければならないと思っております。
 国連環境特別総会の開催につきましてもお話がございましたが、国連総会をニューヨークあるいはジュネーブ以外の地で開くということはなかなか難しいかと思いますが、いずれにいたしましても、御意見も踏まえて検討させていただきたいと思っております。
 環境基本法案についてのお尋ねもございましたが、さきの通常国会に提出された法案は、地球サミットの成果を踏まえて、世界に先駆けて環境保全の基本的な理念とこれに基づく基本的な施策の総合的な枠組みを定めるものであって、地球環境時代に対応した新たな環境施策の総合的な展開を図るために一日も早く成立をさせなければならないものと考えております。
 広く有識者から成る関係審議会の御答申を踏まえて策定されたわけでございますし、さきの通常国会で衆参両院におきまして慎重かつ十分な審議が尽くされて、さまざまな御意見を調整の上で修正されて全会一致で可決されたものでございますから、この全会一致で可決されました案を速やかに閣議決定をし、今国会に再提出をすることにいたしたい、その早期成立をお願いを申し上げたいと思っているところでございます。
 日米安保条約についてお尋ねがございましたが、冷戦の終結後も国際社会が依然不安定な要因を内包している中で、我が国が引き続き安全を確保していくためには、日米安保条約に基づく米国の抑止力が必要だと認識をいたしております。また、日米安保体制は、国際社会における広範な日米協力関係の政治的基盤ともなっているわけで、さらにはまた、アジア・太平洋地域における安定要因としての米国の存在を確保し、この地域の平和と繁栄を促進するために不可欠であると認識をいたしております。
 特別国会における上原国土庁長官の御発言は、同長官なりの個人的な政治的信念に基づくものと考えておりますが、いずれにしても、日米安保条約に対する政府の考え方は、今申し上げたとおりでございます。
 なお、戦域ミサイル防衛構想、いわゆるTMDにつきましては、今後アメリカ側の考えをよく聴取しながら、我が国政府としての対応について検討してまいりたいと思っております。
 経常収支の黒字幅について数値目標をどう思うかというお尋ねでございましたが、我が国としては、良好な対外経済関係の維持を図る上でも、経常黒字の縮小に向けて今後とも努力をしていかなければならないことは当然のことだと思っております。しかしながら、経常収支は各国間の自由な経済活動の結果でありますし、単に一国の経済政策や構造調整によって自由に調節できるものではなくて、政府が具体的な目標を設定することは適当ではないと考えております。また、こうした考え方は管理貿易的な措置につながるおそれもございまし、自由貿易体制の維持の観点からも問題があるのではないかと考えているところでございます。
 日米首脳会談において、貿易黒字の削減問題に臨む基本姿勢はどうかというお尋ねでございましたが、我が国として良好な対外経済関係を維持する上でも、経常黒字の縮小に向けて努力をいたしているところでございます。これまでの経済対策を引き続き着実に実施をしてまいりますとともに、今回の緊急経済対策を早急に実行に移して、その効果を経済の各分野に発現させることによって、我が国の経常収支黒字の縮小にも好ましい影響が出てくることを期待をしているところでございます。
 我が国としては、日米包括経済協議の共同声明にある中期的な「経常黒字の十分意味のある縮小」という方向性を踏まえて、引き続き内需拡大や市場アクセスの改善などに向けて自主的な努力を進めてまいりたいと思っております。
 今回の訪米では、こうした我が国としての経済運営の基本方針を説明すると同時に、米国に対しても、財政赤字の削減、国際競争力強化などの政策課題について改善を求め、世界の二大経済大国たる日米両国が積極的に協力をし、世界経済の運営に責任を果たしていくという観点から話し合いをしてきたいと思っております。
 ロシア情勢の急変をどのように分析をし、またそれが大統領の訪日にどのように影響があるかというお尋ねでございましたが、エリツィン大統領は、十二月中旬に議会の選挙を行うことを発表し、民主主義と改革路線を継続するという決意を表明されました。政府としては、国民の意思が真に反映する民主的な政治状況が誕生し、改革が引き続き継続、推進されることを強く期待をいたしております。
 我が国は、民主化、市場経済化に向けたエリツィン大統領の改革努力を一貫して支持してまいったわけでございますし、今後とも引き続き支持してまいりたいと考えているところでございます。
 エリツィン大統領のこのたびの決定が十月中旬の訪日に影響を及ぼさないことを希望いたしておりますが、いずれにしても、このたびの決定に関連するロシアの国内状況につきましては、引き続き注視をしてまいりたいと思っております。
 災害についてのお尋ねがございましたが、雲仙岳の噴火災害につきましては、住宅対策、安全対策など総合的な対策を展開しているところでございますし、また北海道の地震災害につきましては、あるいはまた九州などの豪雨災害につきましては、地域の再建、復興に向けまして、災害復旧の早期実施、あるいはまた農林漁業や中小企業に対する救済措置、被災自治体への財政的措置など、種々の対策を取り決めまして実行に移しているところでございます。
 農業災害につきましても、目下その実情把握に努めているところでございますが、被害の状況を十分に踏まえて、政府として被災農家対策に万全を期してまいりたいと思っております。
 さらなる経済対策の必要性はあるか、景気に対する認識が浅さに過ぎるのではないかというお尋ねもございました。
 我が国経済は、公共投資や住宅投資には回復の動きが見られますものの、個人消費や民間設備投資の低迷に加えまして、急激な円高や異常気象などによる影響もあって、今後の景気回復には予断を許さないものがあるというふうに感じております。
 このような経済の状況を克服し、我が国経済を内需を中心とするインフレなき持続可能な成長経路に円滑に移行させるとともに、我が国の中長期的な課題の解決にも資するように、このほど、規制緩和と円高差益還元に加えまして、円高の影響や災害による被害への財政措置など、幅広い施策を講じたところでございます。
 政府としては、本年度予算や、ことしの四月に決定されました総合的な対策を引き続き着実に進めてまいりますとともに、今申し上げましたような対策を早急に実施に移すことによりまして、先行きの不透明感というものを払拭をし、景気回復への動きを確かなものにしてまいりたいと思っております。
 所得税減税についてのお尋ねもございましたが、所得税減税は、その経済効果の問題や財源確保の問題など克服すべき課題が極めて多く、なかなか容易なことではないということを繰り返し申し上げてまいりました。この問題につきましては、バランスのとれた税体系の構築についての総合的な検討の中で取り組むべき課題だと考えております。
 先日の税制調査会総会にも私自身出席をいたしまして、所得税減税を含め直間比率の是正など税制の抜本的改革について十分御審議をいただき、適切な御指針を賜りたいとお願いをしてきたところでございまして、これは正式な諮問ではございませんが、私としては、実質的な諮問をさせていただいたものと考えているところでございます。
 税制の抜本的改革につきましては、政府の緊急経済対策におきましても、中長期的な視野で活力と創造性のある経済社会構造の構築を図るという観点から、経済改革研究会での検討とともに、「税調における総合的な検討を推進する」としているところでございまして、その検討の成果を踏まえて取り組んでまいりたいと思っております。
 所得税減税の実施と財源について内閣としてどうまとめるつもりか、こういうお尋ねもございました。
 所得税減税を含めて直間比率の是正など税制の抜本的改革につきましては、税調に総合的な検討をお願いしているところで、政府としては、税調での検討の成果を尊重し、国民各位の御意見に十分耳を傾けながら、税制改革に取り組んでまいりたいと思っております。
 高齢化社会の展望いかんということで、最後に御自身のお考えも含めてお話がございましたが、我が国は、今後、出生数の減少も相まって、急速な高齢化が進み、二十一世紀には本格的な高齢社会が到来することは、これはもうよくお話がありましたとおりでございます。
 高齢化は、経済社会や国民生活全体に大きな影響を及ぼすものでございますが、こうした中にありましても、経済社会の活力を維持しながら、国民一人一人が生き生きと多様な価値観を実現できるように、配慮の行き届いた長寿社会を実現していくことが必要であることは論をまたないところでございます。
 こうした観点に立って、年金、医療、福祉などの社会保障施策を初め、政府全体として各種の施策の充実に努めてまいりたいと思っております。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(土井たか子君) 日野市朗さん。
    〔日野市朗君登壇〕
○日野市朗君 私は、新生党・改革連合、公明党、さきがけ日本新党、民社党・新党クラブの四党・会派の御了解を得て、日本社会党・護憲民主連合を代表して、細川総理の所信表明演説に対し、質問いたします。
 総理、私は今、ある雑誌の新春対談を収録したときのことを感慨深く思い出します。そのとき、私とあなたとは、国政上の大事な事柄について互いに共鳴し合いました。日本社会党の一員である私とあなたとは、政策の細部において違いがあったにしても、日本をどのような国にしたいのか、日本の社会はどのようなものであるべきかなど、大筋において意見は一致したのであります。その志において一致したと言っていいでありましょう。
 その当時、私は、あなたがこの時期、総理大臣になるであろうことも、私がその所信に質疑を行うであろうことも全く予想はしておりませんでした。
 時は移り、細川内閣が生まれました。私は、その対談の際に示されたあなたの考えを肯定し、ともに共通する目的の実現に向けて行動しようとの思いから、細川内閣の与党の一員であることに何のためらいもありません。(拍手)
 あなたはその対談で、政権の交代を語り、政治改革を行って政・官・業の癒着を断ち、失われてしまった分配の正義を取り戻すのだと語りました。そして、政治改革を果たし、個人の能力や地域の可能性を最大限に伸ばしてやることによって多様な価値観が尊重されるような社会をつくっていくとも言われ、また、それぞれが個性のある生き方ができる心豊かな社会をつくっていきたいとも言われました。この総理の考えは今も変わってはいないものと信じます。
 このような総理の持つ日本の社会についてのビジョンを、今こそ国民に語るべきではないでしょうか。政治改革は、失われた政治参加や公平の原則の回復の道程であり、さらに、その先に何を我々はなそうとするのかを示さなければならないと思います。総理、どうぞあなたの志を語ってください。
 次に、所信の中に語られた諸点について質問をいたします。
 細川連立政権は、自民党の長期一党支配によってもたらされた政策論争の不在、大手ゼネコントップや自治体首長逮捕に見られるような政・官・業の癒着腐敗などを追及、是正し、健全な政党政治を発展させる課題を背負って誕生いたしました。これらの課題の解決は国民共通の願いであり、私たち連立与党の公約でもあります。
 最近の新聞報道によりますと、細川政権の支持率は七三%に及んでおります。その同じ調査で、政治改革の実現に期待するとした者は六五%に達し、期待しないとする者はわずか一八%にすぎません。細川政権への高い支持率は、まさに政治改革の実現への期待に支えられているのであります。
 総理も、所信表明の中で、改めて政治改革関連諸法案の年内成立に意欲を示しました。私たちも、連立与党の合意に基づいて政府が準備している政治改革諸法案を高く評価し、総理の決意にこたえたいと思います。
 しかし、この間、政治改革諸法案の考え方が国民に誤解されている側面も見逃せません。そこで、この際、政治改革の考え方のポイントについて総理の御所見をお伺いいたします。
 まず、政治改革関連諸法案の一体的成立についてであります。
 第百二十六国会の百七時間に及ぶ審議を経て、今日の日本においては中選挙区制は既に制度疲労を起こしている、中選挙区制に回帰することなく、政党制の政治を実現し、政治腐敗防止と選挙制度の改革を一体のものとして実現するということは、与野党共通の理解となったのであります。にもかかわらず、なお一部に、政治腐敗防止が先で、政治改革には選挙制度改革は必要ないと考える方々があります。大変残念なことでございます。この際、政府が政治改革関連諸法案を一体的なものとして提案される意義につきまして、改めて御所見をお示しいただきたいと存じます。
 次に、小選挙区二百五十、比例代表二百五十の二票制という政府案についてであります。
 この二百五十対二百五十は、ひょっとすると、三百対二百とか三百対百七十一とかになるのではないか、二票制ももしかすると一票制になってしまうのではないか、こういう危惧を持つ人々が少なくありません。こうした危惧につけ込んで、細川政権が提案しようとしているのは小選挙区制であるという悪宣伝も横行しております。総理、政府案であるとともに連立与党の合意でもある二百五十対二百五十の二票制の意義について、御見解をお聞かせ願いたいと存じます。
 次に、企業・団体献金の禁止についてであります。
 このたびの政府案は、政治家、政治家の資金集めをしてきた後援会やその他の政治団体、あるいは派閥等に対する企業・団体献金を一切禁止しております。ところが、一部のマスコミも含めて、政党には規制が及ばず、依然としてざる法だという認識が少なくありません。
 しかし、私は、ロッキード疑獄、リクルート疑獄、共和、佐川事件、金丸不正蓄財事件、ゼネコン汚職など、およそ利権と金の癒着や政治腐敗のことごとくは、企業と政治家と、そして政治家の政治団体や派閥などにまつわるものであったと考えます。したがって、市町村議員に至るまで、政治家に関係する企業・団体献金をすべて禁止するというこのたびの改正は、実質的には企業・団体献金の完全禁止に等しいものとなっていると考えるものであります。総理の御所見はいかがでございましょう。
 企業・団体献金につきましては、三木内閣当時の政治資金規正法の抜本改正においても問題となったのでありますが、実現せず、二十年越しの懸案となったものであります。その企業・団体献金が、政党を除いては全面禁止になる、政党に対するものも、廃止の意見に考慮して五年後に見直すという今回の改革は、日本の政治史上に金字塔を打ち立てるものであろうと考えます。
 しかし、五年後見直しにつきまして、与党合意にあった「廃止の意見に考慮し」という文言が法案から消えているために、五年後に本当に廃止されるのかという危惧を生じ、その金字塔の文字をくすませています。総理、この五年後見直しにかかわって「廃止の意見に考慮し」の文言が消えた経過はいかなるものであったのか、本当に五年後には廃止に考慮して見直すということになるのかについて、明快な御説明をお願いいたします。
 次に、政党助成についてであります。
 政党助成に対する政府の公的な説明は、民主主義のコストとしての政党助成であり、政党の経費の三分の一を公費助成するというものであります。しかし、この説明では、助成金の使用目的がはっきりしないなど、国民にはわかりにくいかとも考えられます。このために、政党助成の意義が十分に理解されるよう、企業・団体献金の禁止と政党助成の関係にもっと言及すべきであろうと考えます。
 今回の改革が行われますと、政党、政治資金団体以外への企業・団体献金は一切禁止されます。その禁止されることとなる企業・団体献金の額は、中央、地方を合わせると約六百億円余であります。この六百億円余の企業・団体献金は、一面では政治腐敗の温床であったものでありますが、他方で、多くの政治家にとって必要悪でもありました。したがって、これを「禁止する」と言われても、多くの政治家は困り果て、やみ献金に走ることにもなりかねません。企業献金の禁止は早くから言われてきたのでありますが、今日に至るまで実現できなかった大きな理由はここにあろうかと考えます。
 したがって、企業・団体献金の禁止による減収のうち四百億円を税金から援助する、同時に、政治の仕組みは政党中心のものとして政治のコストも引き下げる、これによって政治家は、汚い金には手を出さないという民主主義のルールを確立するというのが今回の改革ではないでしょうか。企業・団体献金の禁止と政党助成の関係をより明確に説明し、国民の理解を得るべきであると考えるのでありますが、総理、いかがでございましょうか。
 次に、私は、今後の中期的視点に立った我が国の経済社会構造の変革について、総理にお尋ねをいたします。
 今次の緊急経済対策につきましては、生活者・消費者の視点に立った規制緩和や円高差益還元、社会資本整備等を短期間のうちに広く各分野にわたって取りまとめられたことに敬意を表します。
 私どもも与党として、このような方向での検討作業を積極的に後押ししてまいりました。政府として、まずこの対策を着実に実施することにより、景気の底割れや雇用問題への波及を何としてでも防ぎ、国民の不安や閉塞感を払拭できるよう全力を挙げていただきたいと考えます。
 さて、今回の対策の一つの柱となっております規制緩和は、総理自身も表明しておられるように、今回の九十四項目で終わるものではなく、さらに引き続き中期的な経済社会構造の変革を進めるべきものであります。先ごろ設置された経済改革研究会において、年内を目途として新たな経済社会構築への政策対応等を検討すると表明されておりますが、ぜひともその中でこうした規制緩和の第二ステップの具体化を御検討いただき、年内に政府としての指針をお示しいただきたいと思います。この点につきましての総理の決意を伺いたいと思います。
 一方、改めて足元の景気動向に目を転じますと、円高の急進展や冷夏、長雨等の影響を受け、景気の先行きが極めて厳しいものであることは衆目の一致するところであります。その対策は、企業が雇用調整という禁断の木の実に手を触れてからでは遅いのであります。規制緩和や円高差益還元など、せっかくの構造改革が景気浮揚策として速やかな効力を発揮するためにも、停滞著しい消費に刺激効果を持つ所得税減税など、マクロ対策の必要度は一層増しつつあるとも言えます。消費不況の様相顕著な現状においてこそ、年末調整も念頭に置いた所得税減税の実行を、なお有力な選択肢として残しておくべきだと考えますが、総理の率直な御所見をお伺いいたします。
 あわせて、抜本的税制改革に際し、総理のリーダーシップも求めたいと思います。
 税制の生命線は、透明性に担保される公平、公正にあります。源泉所得者と申告所得者の間に横たわる税の捕捉率の問題、実態にそぐわないためにお手盛りに近い形になっている租税特別措置や引当金のあり方一つをとってみても、国民の税制への不信感はぬぐいがたいものがあると言えます。所得税減税の財源や、間近に迫る超高齢化社会の備えとして、消費税を安易に充てようとする昨今の風潮には強い危惧を覚えます。やるべきことはやり、尽くすべきは尽くすことがまず必要ではないでしょうか。
 信頼に基づかない税制がいたずらに重税感を募らせることは、我が国の税制が不幸にも実証しています。政府税調案の尊重は当然でありますが、政府が国民に問う案は、みずからの責任と決断で行うべきと考えます。総理、いかがでしょう。
 不公平税制の是正とあわせて、物価に中立的な所得税制をつくるための所得税減税をまず先に実施し、その信頼の上に醸成された新しい土台の上で税制の根本改革論議を進めるべきではないでしょうか。
 さらに、生活者の立場を鮮明に標榜する連立政権として、ぜひ前向きに検討を進めていただきたいのが、フランスやアメリカなどで既に導入されている自動物価調整制度、いわゆるインデクセーションの創設であります。これは、納税者に責任のない物価上昇によって生ずる実質増税構造を解消するために、給与所得控除を初めとする各種控除等を物価上昇に比例する形で自動的に調整する方式であります。納税額は結果的には、名目所得ではなく、実質所得によって算定されることとなり、可処分所得の伸びは制度的に保証されます。当該制度に関する歴代自民党政権下での政府税調の否定的な見解は存じております。しかし、国民生活の優先を根本とする連立政権としては、政府の方針として早急に検討すべき課題ではないでしょうか。
 以上の提案に関し、総理及び藤井大蔵大臣に答弁を求めます。
 私は、税については、公平を旨とする税制のあるべき姿を明確にし、国民の皆さんに十分な議論の時間を保障することが、根本的な税制改革論議の結論を得るに当たっての最低限の前提となるべきだと信じます。総理の率直な御見解をお示しください。
 災害対策について伺います。
 本年は、正月早々の北海道の釧路沖地震、六月の北海道南西沖地震、鹿児島県を中心とする集中豪雨被害、さらに冷夏による農業被害など、大きな自然災害が頻発しております。長崎県雲仙・普賢岳の大規模土石流、火砕流も依然猛威を振るっています。
 政府は、この臨時国会に提出を予定されている第二次補正予算に四千数百億円の災害復旧経費を計上される方針であります。具体的な経費を計上されるに際して、以下の諸点に留意をお願いしたいと存じます。
 第一に、集中豪雨等による水害、急傾斜地崩壊対策事業などの問題であります。七月末以来の豪雨により鹿児島県を中心に死者百人を上回る大きな災害を出しました。心痛みます。
 鹿児島県での崩壊のおそれある急傾斜地は一千カ所以上に上ります。ところが、緊急事業であるはずの急傾斜地崩壊対策事業などがなかなか進捗していないのであります。危険性の高い箇所については、従来の公共投資配分を見直す中で、優先的、集中的に事業が実施されるようお願いしたいと思います。
 第二に、北海道南西沖地震についても、津波の被害によって多くの人命が失われ、家屋の倒壊などの被害も甚大であります。とりわけ民家の被害に対しては、地震保険に加入した方でも最高一千万円、通常の火災保険の加入者には見舞い金しか出ないとのことであります。
 自力復興を前提としつつも、こうした場合に既存ローンの金利等の一段の減免、援助が行えないものか。政府部内においても、災害共済あるいは基金を設けることにより、被災者への援助、支援を行える道を開くことについて検討が進められていると伺っております。早期に被災者の救援に道を開かれるよう強く要望いたします。
 第三に、雲仙・普賢岳の災害対策であります。
 大規模土石流、火砕流から住民と地域を守るため、大規模な移転を中心とする防災計画の推進が急務であります。移転対象地区の住民に対して、十分な補償がなされ、将来の生活設計が立つよう、制度、施策の見直しをも含めた十分な対策をとられるよう努力を求めるものであります。
 次に、農業災害問題について伺います。
 本年は世界的にも異常気象による農産物被害が伝えられていますが、我が国でも記録的な冷夏や台風などにより、全国で壊滅的な農業災害がもたらされました。農林水産省の調査による本年産米の八月十五日現在の作況指数は九五と発表されました。しかし、今次冷害の規模を見れば、作況指数がさらに低下することも十分予想され、消費者の食生活にも影響が出るものと思われます。
 今日、我が国の農業者は、外からは農産物輸入自由化の圧力にさらされ、内からは後継者不足や農産物価格の低迷などにより、非常に苦しい経営を余儀なくされています。この上、今回の異常気象による農業災害により、多くの農家は将来展望を失いかけており、一刻も早い政府の農業災害対策が待ち望まれております。政府は、天災融資法の適用、激甚災害の指定、共済金の早期支払いなど、被災農家への救済対策や消費者物価の安定対策などを講ずべきであると考えますが、総理のお考えをお伺いいたします。(拍手)
 ここで、農業の問題について若干触れたいと思います。
 我が国農業は、米作、野菜、酪農、畜産と、どれをとっても振るいません。そんな農業は捨てて、食糧を外国から輸入したらどうかと言う人々もいます。私はその人々に反論したい。
 世界で最も政情不安な地域にアフリカと中米の諸国があります。これらの諸国は、もともと自分たちの文化に根差した農業を営んでいました。しかし、中米では果物を、アフリカでは綿花やコーヒー豆をというように、従来の伝統的食糧生産をやめ、換金作物に転換してから土地の荒廃や経済の混乱、そして政情不安が始まったのであります。人々の生き方、つまり文化を無視したとき、国は衰亡するのであります。
 農業の復権を急ぐべきと考えますが、いかがでありましょう。米の市場開放をすべきではないと思いますが、いかがでありましょうか。
 総理は、国際社会の中で信頼される外交課題について述べました。私は、この機会に日本外交の基本にかかわる問題について質問をいたします。
 あなたはクリントン米国大統領と会談されることでありましょう。我が国と米国との交渉において、いつでも私が奇異の感を持つのは、我が国の米国に対する迎合的態度であります。我が国は我が国の立場を毅然として語るべきであり、米国の立場には謙虚に耳を傾けるべきであります。そうすることが、我が国の規制緩和を初めとする内政上の諸課題の解決に資することとなり、また一方では、米国の財政赤字問題や国際競争力強化の問題にも解決の道ともなろうかと考えるのでありますが、いかがでありましょうか。
 また、あなたは国連に行き、演説をされるわけでありますが、我が国の持つ平和の理念を強く訴えてきていただきたいと考えます。そして、我が国の国際貢献も、平和憲法のもとになされるべきものであることも強く訴えていただきたいと思います。こうした観点に立って、私は国連安保理事会常任理事国となることはいかがかと考える者の一人でありますが、総理はどうお考えでしょう。
 最近、イスラエルとPLOとの間に歴史的和解が成立いたしました。その陰にはノルウェー人のラーセン夫妻とノルウェー政府関係者のまことに平和的な地味な努力があったと伝えられています。このラーセン夫妻とノルウェー政府の行動は人々を深く感動させています。
 彼らは武力を用いたのではありません。彼らの力は、人類愛に由来する平和への願望から生まれたのであります。武力による制圧は、戦場にいっとき静けさをもたらすでありましょう。しかし、その静けさの中で新たな敵意と憎しみが生まれることは歴史の教えるところであります。憲法の平和の理念に導かれる我が国の国際貢献は、平和的なものでなければなりません。
 終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣細川護煕君登壇〕
○内閣総理大臣(細川護煕君) 初めに、橋本議員からのお尋ねに対して質問の御趣旨を取り違えて私が申し上げた点がございますので、その点について改めてお答えをさせていただきたいと思います。
 一つは、環境サミットの問題についてでございますが、地球環境を守ることについての思いは全く同じでございますし、貴重な御提言として受けとめさせていただきたいと思っております。
 それから二点目は、安保常任理事国入りの問題についてでございますが、国連における改革論議の推移を見ながら判断をすべきものと考えております。
 日野議員の質問に移らせていただきますが、政治改革についての基本的な態度について初めにお尋ねがございました。
 御指摘がございましたように、政治改革は、失われた政治参加や公平の原則の回復の道程であるという御認識は、政治改革についての一つの卓見と拝聴をさせていただいたところでございます。私の志を語れとのことでございましたが、この先になすべきことについて申し上げるならば、所信でも申し上げましたとおり、政治改革、行政改革、それから経済改革の三つの改革を推し進めて、これによって、長らく政権交代がなかったことによって硬直化が進んだ我が国に活力を回復させるための構造改革を実現してまいらなければなるまいと考えているところでございます。政治改革は、こうした変革のための起爆剤になるというふうに考えているところでございます。
 次に、政治改革関連諸法案を一体的なものとして提案する意義についての考え方はどうかということでございましたが、政治資金制度のあり方や腐敗防止の問題は選挙制度と密接な関連を持っておりますし、御指摘の、制度疲労を起こしている現行の個人中心の選挙制度を残したままでは、「政治と金」の問題の根本解決にはならないと思っております。したがって、こうした改革をあくまで一体として実現できるように今国会に四法案を提出をさせていただき、御審議をいただくことにしたわけでございまして、政治改革を実現するためには選挙制度改革は不可欠のものだと考えているところでございます。
 二票制の意義についてどうかというお尋ねもございましたが、小選挙区と比例代表の定数につきましては、政権の選択についての国民の意思が明確な形で示される小選挙区制と、多様な民意をそのまま反映する比例代表制の長所を生かしながら、並立的に組み合わせるという考え方に立って、これまでの国会における論議や与党各党の御意見なども踏まえて、それぞれ二百五十人としたところでございます。
 また、二票制を採用したのは、並立制におきましては、小選挙区選挙と比例代表選挙が基本的には別の当選人の決定の手続を持つ二つの選挙であって、有権者の意思を尊重してそれぞれに投票する制度が適当だと考えたからでございます。
 企業・団体献金の禁止についてもお尋ねがございましたが、企業などの献金につきましては、このたびの法案では、政党、政治資金団体に対するものに限って存続をさせることにしたわけでございますが、これまで問題の生ずることの多かった政治家、政治団体、派閥などに対するものは一切直ちに禁止をすることにしたことは御承知のとおりでございます。思い切った改革であって、企業などの団体献金の廃止に向けて大きく一歩を踏み出すことになるものと考えております。
 五年後に見直すことについてもお尋ねがございましたが、連立与党間における、企業献金の廃止の意見に考慮し、その見直しを行う旨の合意を踏まえまして、法文としての適切な規定の仕方について検討をいたしました結果、前例などにかんがみまして、法案の文言どおりにさせていただいたということでございます。
 五年後の見直しにおきましては、連立与党間の合意の趣旨を踏まえまして、公的助成の効果や個人献金の拡充の程度なども考慮して、企業・団体献金の廃止についても当然検討がなされるものと考えております。
 企業・団体献金の禁止と政党助成の関係についてお尋ねがございましたが、このたびの法案では、選挙制度を政策、政党中心の仕組みに抜本的に改めますとともに、政治資金については、政党、政治資金団体に対するものは除く企業などの団体献金は一切禁止することとしたところでございます。これによって政党の財政基盤の確立、強化が不可欠になるところから、政党に対する公費助成を行い、民主主義のコストともいうべき政党の政治活動の経費を国民全体で負担していただこうとするものでございます。
 なお、政党助成の総額の算定に当たりましては、収入構造の変更も織り込んだ新しい制度のもとにおける政党の所要額を推計をいたしまして、その三分の一を助成することとしたもので、国民の皆様方の御理解をいただきたいと思っております。
 需給調整などの観点からの参入規制や価格規制について、経済改革研究会において第二ステップの具体化を考えるべしというお尋ねもございましたが、去る九月十六日、民間の有識者の方々から成る経済改革研究会を開催をいたしまして、我が国をめぐる近来の内外の情勢の変化などに対応して、中長期的な視野から、我が国の経済社会構造の改革を視野に入れた、今後我が国が掲げるべき理念と施策のあり方について御検討を始めていただいたところでございます。本年末をめどに御意見をいただけるようにお願いをいたしております。規制緩和の問題につきましては、新たな経済社会を構築するとの観点から、研究会でも御検討をいただけるものと期待をいたしております。
 所得税減税についてのお尋ねもございましたが、その経済効果の問題あるいは財源確保の問題など、なかなか容易なことではないと思っております。均衡のとれた税体系の構築についての総合的な検討の中で取り組むべき課題だということを申し上げてまいりました。
 所得税減税を含めて直間比率め是正など税制の抜本的改革につきましては、経済改革研究会での検討とともに、税調におきましても総合的な検討を推進をしていただくようにお願いを申し上げているところでございます。
 税制改正案の責任と決断ということについてもお話がございましたが、先日の税調総会には私自身も出席をして、十分、所得税減税を含めて直間比率の是正など税制の抜本的なあり方について御検討をいただきたい、適切な指針を賜りたいとお願いをしてきたところで、このことも既に申し上げたところでございますが、これは正式な諮問ではございませんが、私としては実質的に諮問をさせていただいたというふうに考えております。税調では現在、このような考え方で審議を進めていただいておりまして、私としては、文字どおり税調での御検討の結果、成果を尊重して、国民の御意見に十分耳を傾けながら税制改革に取り組んでいくべきだと思っております。
 所得税減税をまず先行実施して、その上で消費税論議を進めるべきではないかというお尋ねもございましたが、いわゆる減税先行論につきましては、減税だけでなくて、増税の内容あるいは時期というものが先行減税と同一の法律で具体的にセットされるかどうか、セットされることが最低限の条件であろうと思いますが、いずれにしても、所得税減税を含めて直間比率の是正など税制の抜本的改革については、たびたびこれも申し上げますように税調に総合的な検討をお願いしているわけでございまして、その検討の結果を尊重してまいりたいと思っております。
 引当金などの見直しについても、物価調整減税制度の創設ということについてもお話がございましたが、貸倒引当金、退職給与引当金などの税法上の引当金制度は、法人税の課税所得を合理的に計算するために設けられているものであって、制度自体を政策税制と考えることは適当ではないと思っております。個々にその趣旨、利用実態などを踏まえまして、必要に応じて適切な見直しを図っていくべきものと考えているところでございます。
 物価調整減税制度につきましては、巨額の財源を必要とするということとともに、歳出が物価上昇による自動的な要因やその他の要因によって増加する一方で、物価上昇による自動的な減税の制度を導入すれば、財政体質の悪化につながりかねないといったような問題点もございますので、適当ではないというふうに考えております。従来の税調などの御論議でも、そのような方向であったというふうに認識をしているところでございます。
 急傾斜崩壊地の対策について、集中的に事業を実施すべきではないかということでございましたが、五月に閣議決定がなされております計画期間内の総投資額を一兆一千五百億円とするという第三次五カ年計画に基づきまして、危険性の高い箇所や災害多発地区などにおきまして重点的に事業を推進するなど、引き続き計画的に事業の推進に努めてまいりたいと思っております。
 北海道などの地震災害などで家を失った人が抱えている既存のローンの金利の減免をどうするのかというお尋ねがございましたが、住宅金融公庫の融資を受けている被災者の既存債務の融資条件の緩和につきましては、被災状況や被災者の今後の償還能力に留意をして、個別の事情に応じて融資条件の緩和を行うことにしておりまして、極力迅速に対応するように措置をしてまいりたいと思っております。
 災害共済あるいは基金を設けることについてのお尋ねもございましたが、本年相次いだ災害につきましては、直ちに災害救助法を適用して、食事の提供、生活必需品の供与あるいは住宅の建設などの措置を講じてまいりましたほか、災害弔慰金などの早期支給や有利な融資制度の適用など、救済、支援に取り組んできておりまして、引き続き現行制度の的確な運用に努めてまいりたいと思っております。
 雲仙岳の噴火災害につきましてもお尋ねがございましたが、これにつきましても、恒久的な住宅の供給、砂防事業などの防災対策、住民移転対策が重要課題であると思っております用地元自治体と提携をしつつ、政府において総合的に今後ともそのような施策を推進してまいりたいと思っております。既に被災者などの御理解と協力を得て、住民の移転と生活再建が円滑に進むように取り組んでいるところでございます。今後とも、各種の支援策を活用しながら地元自治体と連携をとって推進をしてまいりたいと考えているところでございます。
 それから、異常気象による農産物被害の対策についてのお尋ねがございましたが、目下その実情把握に努めているところでございまして、被害の状況を十分に踏まえて、政府として被災農家対策に万全を期してまいりたいと思っております。今後とも、農作物の需給や価格の安定を図るために、価格の動向などに留意しながら機動的に対策をとってまいりたいと考えているところでございます。
 農業の復権についてお尋ねがございましたが、今後の農政の展開に当たって、新規就農者の減少、高齢化の進行といった事態に適切に対処し、長期的展望のもとに魅力のある農業、農村をつくっていく、その必要性が高まっていることは改めて申し上げるまでもないところでございます。そうした認識のもとに、昨年農水省で取りまとめましたいわゆる新政策に沿いまして、経営感覚にすぐれた意欲的な農業者が生産の根幹を担う力強い農業構造を実現してまい少ますとともに、国土の均衡ある発展のために、農村が多様で活力のある地域として発展できるようにさらに施策の充実強化に努めてまいりたいと思っております。
 米の市場開放問題についてのお尋ねもございましたが、我が国としては、ウルグアイ・ラウンド交渉の年内終結に向けて引き続きあらゆる努力をしてまいらなければならないと思っておりますが、同時に、今後の交渉に当たりましては、我が国の農業が将来に向けて安心のできる魅力のある農業である、安心して生産を続けられる環境を確保することが大切であると思っております。交渉が最終段階を迎えている現状で、各国とも農業問題に関して困難な問題を抱えておりますが、相互の協力によって解決に向けて努力をしていくことが必要であるという姿勢に変わりはございません。米については、その重要性にかんがみて、国会決議の趣旨を体して、国内産で自給するという基本方針のもとで対処してまいりたいと思っております。
 クリントン大統領との会談に当たってどのような心構えで臨むかということでございましたが、今回の訪米では、我が国としての経済運営の基本的方針を説明いたしますとともに、世界の二大経済大国たる日米両国が積極的に協力して世界経済の発展に貢献していくという観点から話をしてまいりたいと思っております。その際、御指摘のように、お互いの立場や示唆に謙虚に耳を傾けて、国内・国際経済上のもろもろの課題に建設的に対応していけるような、相互に裨益する関係を構築していくことが必要であろうと思っております。
 我が国としては、調和ある対外経済関係の形成や、生活者・消費者重視の政策を積極的に推進してまいりますためにも、引き続き、内需拡大あるいは市場アクセスの改善、内外価格差の是正あるいはまた規制緩和といった国内の施策を進めていかなければなるまいと考えているところでございます。また、我が国の努力が、米国による財政赤字削減や競争力強化の努力と相まって、日米経済関係の安定的な発展に寄与することを願っているところでございます。
 国連演説についてもお話がございましたが、総会演説におきましては、国際社会が直面する諸問題への取り組みに当たっての国際協調の必要性や、世界平和実現に向けての努力の重要性を訴えて、我が国の基本的な立場に立ってこのような努力に積極的に協力をしていくという立場を表明をしたいというふうに思っております。
 それから、常任理事国入りについてのお尋ねがございましたが、世界の平和と安全に対して主要な責任を持つ機関として一層の機能強化が必要になっております。そのためには、世界の平和と安定のために貢献する意思と能力を持つ加盟国の資源を積極的に活用していくことが必要でございましょうし、我が国としては、今後とも安保理においてなし得る限りの責任を果たしていくべきだと思っているところでございます。その際、我が国としては、当然ながら憲法の枠内でそのような責任を果たしていくとの立場でございます。
 残余の問題につきましては、関係大臣からお答えをさせていただきます。(拍手)
    〔国務大臣藤井裕久君登壇〕
○国務大臣(藤井裕久君) ただいま日野議員から税制に関する御質問、三点あったわけでございますが、既に総理がきちっとお答えをいただいておるのでありますが、御指名でございますので簡単に申し上げます。
 まず、減税先行論でございますが、減税だけでなく、その裏づけになる財源というものを、内容とか時期を含めて先行減税と同一の法律で具体的に明確にしていく、これが最低の条件だと思います。そして、その条件が満たされても、先行減税期間中に発行した短期国債を償還するための財源は確保されないわけでありますから、これも、結局この短期国債は普通の赤字国債と何ら変わらないものとして残ってしまうというおそれが十分あるという問題もありますので、私どもはとり得ないと考えております。いずれにしても、所得税減税を含めて税制のあり方につきましては、税制調査会において総合的な御検討をお願いいたしております。
 第二点の貸倒引当金やあるいは退職給与引当金を圧縮するようにというお話でありますが、これらの制度は、費用を適正に期間配分する等の見地から、法人税の課税所得を合理的に計算するために設けられたものであって、それ自体が政策税制ではないということを申し上げられると思います。したがいまして、個々にその趣旨だとか利用実態等を踏まえて、必要に応じて見直していきたいと考えております。
 それから、第三番目のいわゆるインデクセーションでございますが、年金等の歳出が物価上昇による自動的な要因だとかその他の要因によって増加する一方で、当然のこと物価上昇を減税に回していくということになると、極めて財政体質が悪くなるという面を持っております。それからもう一つは、やはりこの制度というものがインフレを前提とした経済社会構造のもとに組み込まれてしまうという問題がありますので、せっかくの御提案でございますが、とり得ないということだけ御答弁させていただきます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(土井たか子君) 額賀福志郎さん。
    〔議長退席、副議長着席〕
    〔額賀福志郎君登壇〕
○額賀福志郎君 私が額賀福志郎であります。(拍手)
 私は、自由民主党・自由国民会議を代表し、細川総理の所信表明に対し、質問をいたします。
 私は、最近、細川連立政権が本当に民意を反映した国家意思の形成ができているのかできていないのか、大変危惧を覚えているのであります。議会制民主主義の根幹は政党政治であり、政党は、主義主張、政策を同じくする同志が相集い、国民の審判を受けて多数を占める政党が政権を担当する仕組みになっております。したがって、あらかじめ連立政権を担当する場合は、政権構想を事前に示して選挙で国民の審判を仰ぐことが当然のことでございます。この点につきましては、社会党や公明党、日本新党、さきがけ各党の皆さん方にはじくじたるものがあろうと思いますけれども、この際、答弁は求めないことにいたします。
 それはそれといたしまして、先日の新聞報道によりますと、連立与党の政策幹事会は、当面の景気対策をまとめたが、その内容につきましては発表することができないということでございました。しかも、発表できない理由が、各党の主張がばらばらで、実現可能な案なのかどうかも判断しかねる、各党案を羅列したままで案を提出し、その取捨選択は役所に任せるということであります。これが本当だとすれば、まさに大異を残して小同についたという細川政権の実態が明らかになったものと思います。(拍手)
 我々がこれまでの政治改革の論議をしてきました中で特に注意を払ってきましたことは、政策の遂行に当たってその責任の所在が明確でなければならないということでございます。例えば、単独政権であるならば、国民は選挙を通じて、与党に対しまして政府の政策が正しいかどうかの審判を直接下せるのであります。しかしながら、細川連立政権のような、言ってみれば野合的な政府・与党に対しましては、国民はどのように審判を下すことができるのでしょうか。細川連立政権は、政権の参加に当たりまして、政党として固有の考え方を持つことまでは拘束はしないで、問題を調整しているということでございます。
 しかし、我々はここに見過ごすことができない重大な問題があることを指摘したいと思います。それは、それぞれ独自の主義主張、政策を持った政党が「調整」という名のもとにお互いに無原則に妥協し、各政党の結党の精神と目的が雲散霧消し、選挙人の期待を裏切ることになるからであります。すなわち、各党間の調整、妥協というものは、結局、どの党の意思でもなく、責任の所在が不明確になり、あげくの果ては、連立与党の景気対策に見られたごとく役所任せということになり、政党政治を放棄する事態になってしまうわけであります。(拍手)この点は我が国民主政治の根幹にかかわる問題であるだけに、「穏健な多党制」が望ましいと言っている細川総理自身にぜひ御所見を伺っておきたいと考えます。
 次に、今回の不況対策を初めとする我が国経済を取り巻く諸問題についてお伺いをいたします。
 橋本政調会長も御指摘がございましたけれども、先の景気の動向につきまして、細川総理は最近、後ずさりしかねない、予断を許さないと語ったほかに、三重野日銀総裁も、景気下振れリスクが強まっているとの見解を述べ、昨日は〇・七五%の公定歩合の引き下げを行いました。これは、細川総理が就任直後の記者会見で、景気対策につきましては四月の総合経済対策の効果が出てくるのを見守っていきたいと他人事のように言っていたこと等を考えますと、まさにさま変わりであり、その意味では、細川総理も金融当局もやっと実体経済の深刻さを理解して言だものとほっとしたところであります。
 しかしながら、先日、いざ政府の緊急経済対策が発表されてみますと、その内容は、景気に即効性がない、六兆円といいましてもネットは一兆円の公共事業だけである、円高対策に配慮がない等々のために、経済界や国民各層の皆様方に大きな失望感を与え、マスコミも、項目多数、中身は薄く、即効性は疑問というふうに酷評するありさまでありました。この結果、先週末の株価は、十六日が四百四十円、十七日が百十円と、計五百五十円の急落を見たのであります。
 細川船長、いや総理、このままではあなたの言う国家という船の日本丸は沈没しかねないのであります。六兆一千五百億円の対策では底が割れるのではないかということでございます。
 我が党は、先ほど橋本政調会長が、日本丸が荒波を乗り切っていくことができるように、五兆円以上の所得減税のほかに、十兆円を超える公共投資等の追加を含む景気対策羅針盤を提言いたしました。しかし、細川総理は、国民が待望している所得減税につきましては、政府税調の意見を参考にして検討すると言うだけで、明確な考え方を国民の前に示すことができません。
 私は、総理がいつ税制改正を行うのかにつきまして、ただ、税制調査会に任せて答申を尊重すると言うだけでは国民が苦しむぱかりであると考えます。具体的な構想を示した上で、税制調査会の意見を聞くのが政治家としての務めではないでしょうか。(拍手)現に、加藤税制調査会長は、政府の考え方なども参考にして税制改革案をまとめていきたいと言っているのであります。恐らくこれは答申を出して無視されることになったのでは困るからだろうと私は推測をいたすのであります。
 この際、総理は、減税規模、その主な内容、実施時期につきまして明らかにすべきであります。総理の大きな声で明快に答弁をしていただきたいと考えます。
 次に、先ほど我が党の橋本政調会長も言及いたしましたけれども、経常収支の不均衡問題につきまして別の角度から取り上げてみたいと考えます。
 現在の我が国の対外経済摩擦の背景は、経常収支の不均衡がすべてであると言っても過言ではないのであります。例えば、従来は、繊維、鉄鋼、自動車、半導体、牛肉、オレンジなど、個別の業種、品目が問題となってまいりましたが、これらにつきましてはそれぞれ自主規制などの対応で処置してきたために、最近は経常収支不均衡自体が問題になるようになってきたからであります。
 しかし、日米間の経常収支黒字問題に関しましては、日本は貯蓄超過、米国は貯蓄不足になっていることが貿易収支の不均衡を生んでいる原因であり、我々は黒字自体を問題にするのは正しいアプローチの姿ではないと考えるのであります。
 現在は、我が国の場合、貯蓄世代であり年金払い込み世代であるいわゆる労働力人口の比率がピークであるために、貯蓄超過が出てくるのは当然であります。逆に、高齢化社会がピークとなる二十一世紀初期の段階では貯蓄不足が予測されてくるわけでございます。
 一方、アメリカにおきましては、今でこそ日本以上に高齢化し、財政赤字を抱えていますものの、二十一世紀初頭のころには、逆に先進国の中では最も若い労働力を抱える人口構造になっており、生産力、財政構造の面でも日本より優位な立場に立つことは目に見えておるのであります。
 したがって、現在の日米の貯蓄・投資構造は二十一世紀の早い時期におきまして逆転することが予想され、経常収支構造も大きく変化するのではないかと推測するのは私一人ではないと考えるのであります。
 今日の日本と同じように、かつて経常収支の黒字を続けた英国の場合は、経常黒字をインドを初めとする植民地への投資に振り向けました。米国の場合は、我が国に対するガリオア・エロア、ヨーロッパに対するマーシャル・プランなど、戦後復興に巨費を投じたぱかりではなく、国内の高速道路網を初めとする生活産業基盤の整備や先端技術につながる軍事技術の開発に多くの資本を振り向けたことが、その後の両国の経済の勢いの差になっているものと考えるものであります。
 我々が今考えなければならないことは、積極的に市場開放、政府規制の緩和、内需拡大を行い、黒字削減の方向に向かっているという流れをつくることであります。また、二十一世紀の困難な時代を乗り切っていくために、今日の貯蓄分を、将来の需要を先取りする形で、老人福祉施設、文化施設などのいわゆる新しい発想に基づく社会資本の整備や、我が国産業の競争力維持のための技術・研究開発、生産設備への投資といった形で蓄積をしていくことが大事であると考えるものであります。今、日米間で包括協議が始まりましたが、一部で報道されておりますように、二年先、三年先の経済成長率とか経常収支黒字率を決めて政府問で約束事をするというようなことは、日本も米国も市場原理で経済が動いている以上、間違いであることはだれもが承知していることであります。先ほど細川総理は、具体的数字をもって答えることはよくないと、我々の考え方と同じことを答弁をなさっておりましたけれども、羽田外務大臣におきましては、数値的目標設定に応ずべきだと発言をしているようでありますけれども、これが本物かどうか、お聞かせ願いたいと考えます。本当だといたしますならば、かつて大蔵大臣を経験した方とは思えない見解と思いますが、真意をお聞かせ願いたいと考えるものであります。
 また、細川総理におかれましては、こうした、先ほど述べた歴史的な教訓を生かして、中長期的に見まして我が国の産業政策、経済政策のかじ取りをどうしていくのか、基本的な考え方をお聞かせ願いたいと考えるのであります。
 次に、我が国政府経済見通しについてお尋ねをいたしたいと考えます。
 先般、経済企画庁が発表いたしました四−六月期の国民所得統計速報におきまして、国民総生産の実質成長率は、前期比でマイナス〇・五%、年率換算ではマイナスニ・〇%で、昨年七−九月期以来三四半期ぶりのマイナス成長に逆戻りしたことは、国民の間に大きなショックを与えていることでございます。さらに、景気の低迷はその後も一段と深刻化をしており、七−九月期におきましてもマイナス成長が続くとの見方が広がっております。
 果たして九三年度予算編成の基礎となりました政府経済見通し三・三%の達成は可能なのかどうか。もし達成ができなかった場合は、政府の税収入の大きな落ち込みが予想され、豊かな国民生活の実現を図る上での諸施策や国際貢献策にも大きな影響を及ぼすことは必至であります。総理に、現時点における達成見通しについてお伺いをいたします。
 次に、円高対策についてお伺いをいたします。
 今回の円レートの急上昇は、前回、つまり八五年二月から八八年一月までの百三十三円高より小幅であるものの、月ペースの上昇率におきましては前回の二・一%を一%上回る三・一%となっており、かなり急ピッチであります。さらに今後も我が国の実力を超える円高が定着していくことになれば、製造業を中心とした国際競争力に深刻な打撃を与えることは当然のことであり、七〇年代、八〇年代の我が国の経済成長の原動力となってまいりましたいわゆる鉄鋼、自動車、家電を初めとする産業界では重大な危機感を抱いておるのであります。
 私は、今度の円高に伴って憂慮すべきことが二つあると考えるのであります。
 まず一つ目は、今度の円高が引き続いて今後も世界的に容認されていくおそれはないのかどうかということでございます。
 ドルは欧州・アジア各国の通貨に対しまして比較的強含みで推移しているため、仮に円高・ドル安傾向が続きましても、米国の輸入価格全体といたしましてはそれほど上昇をしないので、インフレの懸念が少なく、貿易収支改善につながる円高基調が放置されていくという懸念があるわけであります。したがって、円はいつ九十円近くまで上昇してもおかしくないる面に立たされているということでございます。
 私が心配するもう一つは、過去ニ回の円高の際は、企業の徹底した省力化、合理化あるいは価格転嫁などの措置で何とか乗り切ってきたものの、今回は、もはや自動車などは一円の円高で五百億円の赤字を出すという状況であります。輸出産業が円高を吸収できる基礎体力を失っているということでございます。
 このため、こうした円高状態が続いてまいりますならば、我が国産業は壊滅的な打撃を受け、企業は大きな雇用調整に追い込まれていくことが必至であります。また、企業が生き残り作戦のために海外移転を図ることとなり、主力製造業の空洞化現象が一気に展開していくものと考えます。つまり、これからの進展次第によりましては、町には失業者があふれ、働く場所は失われ、社会不安が増大し、最終的には政治の責任が問われていくことは歴然としているのであります。
 前回、同僚の町村議員から円高対策についての質問があったかと思いますけれども、その後、細川総理が適切な指示をし、大蔵大臣が積極的に動いたとか欧米各国と連携をとり合っているとかいった情報は全く聞こえてくることがありません。一体、内閣としてはこの円高問題をどのように認識されているのか。新聞報道によりますと、細川総理は、円が急騰している八月、軽井沢で記者団からこの問題について聞かれ、困ったことだと述べるだけで、何ら対策を打ち出さなかったと受けとめられております。総理の御見解を明快にお答えを願いたいと考えます。
 いつものことながら、不況の中で一番苦しんでいるのは町の中小商工業者であります。流通革命の進展、労働時間の短縮などで経済の構造変化の直撃を受けているからであります。このため、最近は新規事業分野に進出したり新しく創業する事業者がめっきり少なくなっていることは皆さん方も御承知のとおりであります。
 円高があっても大企業は海外に生産拠点を移転することができるが、中小商工業者の場合、資金も情報も少なく、不可能に近い状態なのであります。結局、受注先の大企業が生産拠点を海外に移せば仕事がなくなってしまうわけでありますから、そのうち日本の都市という都市に製造業も流通業もなくなってしまうのではないかという心配があるわけであります。中小商工業者の事業育成、事業承継、海外移転などを含めた総合的な支援策を考えるべきではないかと考えます。
 また、中小商工業者は、バブル時代に借り入れた既往借入金の返済負担にあえいでおりまして、借入金の返済猶予を促すような措置はとれないものかどうか。さらに、中小商工業者への民間金融機関の貸し渋りや貸出金利の下げ渋りにつきましても、一層の円滑化を図るための機動的な対策を講ずることはできないでしょうか。総理の御所見をお聞かせ願いたいと考えます。
 話がリストラ問題とか産業の空洞化問題に及びますと、当然雇用問題に行き着いてまいります。
 七月の有効求人倍率は〇・七二倍で、現在、雇用調整を実施している企業の割合は八月下旬で六割弱となっております。我が党は、雇用調整助成金につきまして、これまで制度の充実、拡充を推進してまいりました。政府が今回決定した緊急経済対策におきましても、雇用調整助成金制度の活用など同様の諸施策が盛り込まれており、今後の雇用調整の実態に配慮した弾力的な対応を関係省庁に望むものでございます。
 そのような中で、障害者、高齢者や女性など、社会的に弱い立場にある方々の雇用を大変に心配をいたしております。雇用調整助成金を含む諸施策に関する弾力的運用問題や社会的弱者の方々の雇用確保等の問題につきまして、総理の考えをお聞きしたいと思います。
 次に、山花大臣の韓国訪問に関してお伺いをいたします。
 我が国は、一九五二年、サンフランシスコ講和条約によって終戦処理にピリオドを打ち、その後、関係する国との間で誠実に賠償並びに補償を行い、一部地域を除いては関係国との理解も得られてきたところであります。このような努力を歴代内閣が今日まで続けてきましたことは、細川内閣も理解し、承知をしておられることと思います。
 去る九月四日山花大臣が韓国を訪問をされました。与党第一党である日本社会党委員長としての初の訪韓であり、遅きに失した感はありますけれども、ともかくも韓国を認めたという意味ではそれなりの意義があったものと評価をするものであります。
 しかしながら、山花大臣は、細川内閣の重要閣僚の一人であり、かつ、細川内閣を支える連立与党の第一党の委員長であるという極めて影響力の強い立場にあるにもかかわりませず、訪問先の韓国におきまして、その認識を欠いた重大な発言があったことを見過ごすことはできないのであります。山花大臣は、ソウル到着時に声明を発表し、社会党としては、過去の植民地支配について日本は謝罪を行い、日韓両国国民の納得できる措置を講ずるべきである、日韓基本条約は承認する旨のことを述べたのであります。日韓両国国民の納得できる措置とは何を示すのか、何を意味するのか、私には理解することができないのであります。
 山花大臣が認めた日韓条約におきましては、日韓両国政府のたゆまぬ努力と賢明な判断によりまして、いわゆる請求権問題にはピリオドが打たれていることは細川総理みずからが認めているところであります。そのことは、韓国政府も同じ立場にあることは申し上げるまでもありません。
 こうした両国間の相互理解があるにもかかわりませず、山花大臣はあえてそのような発言をしたばかりではなく、翌五日の韓国の大学同窓生との会合において、さきの戦争は侵略戦争であったという考えを示すとともに、日韓両国のいわゆる戦後処理問題について誠意ある補償のための措置が不可欠であると述べたと報道されました。これに対しまして、武村官房長官は、早速、社会党委員長としての発言であろう、正式の政府の見解ではないと述べ、また、細川総理は、閣僚の一人として内閣の姿勢を踏まえて話しているのだから心配はしない、安心をしている旨の発言がありました。
 総理、山花大臣の発言は、あなたのおっしゃるように内閣の姿勢を踏まえたものと言い切れるのでしょうか。細川内閣の重要な柱をなす一人が、たとえ政党の委員長としての発言だったといたしましても、外国において、さきの戦争は侵略戦争であった、補償措置が必要であると述べたのであります。
 私は、このような考え方は、少なくとも、さきの国会で表明された政府の見解とは明らかに異なっているものと認識をしております。もしそうだといたしますならば、細川内閣の一員である山花大臣は、細川内閣とは違った考え方を外部に示し、行動しようとしているのですから、閣内不一致と言われても仕方がないのではないでしょうか。また、仮に、山花大臣の発言は政党の委員長としての発言であり、あるいは政治家としての発言であるから構わないというのであれば、国務大臣としての責任は一体どこへ行ってしまったのでありましょうか。総理及び山花大臣の責任ある御答弁を求めるものであります。
 次に、PKOの問題についてお伺いをいたします。
 カンボジアに派遣されていた自衛隊の施設大隊も帰国をし、一年近くに及んだカンボジアでの国連平和維持活動が終わろうといたしております。過酷な環境の中で厳しい任務に当たってこられた選挙要員、文民警察要員、停戦監視要員、陸上自衛隊施設大隊員を初め各位を支えてこられました関係者の皆様の御苦労に対し、心からねぎらいの言葉を贈りたいと存じます。(拍手)
 約一年にわたるPKO業務を通じ、我が国は目に見える人的な国際貢献を積極的に展開し、カンボジア国を初め各国から高い評価を得たことは周知の事実であります。
 カンボジアPKOを検証するときに明らかになったことは、PKOは武力紛争直後の脆弱な和平をより強固な和平にするために行われるものであり、こうした状況下で適切かつ迅速な協力を実
施するためには、軍事的な知識と自己完結的な能力を有する組織が不可欠であるということが明らかになったわけであります。だからこそ、国連からは軍事的組織の派遣が要請され、これらがPKOの中心的な役割を果たしているのであります。我が国からも組織的に訓練された自衛隊の要員、部隊が派遣され、大いに活躍をしているわけであります。
 PKO活動が非軍事・民生・文民による自衛隊とは別個の組織で有効に実施されるなどという社会党の主張は、全く非現実的なことであったことが明らかになったわけでございます。しかも、国民の大多数は現在の国際平和活動を高く評価をしております。山花大臣に現在の社会党のPKO活動に対するお考えを党委員長としての立場から御説明をいただきたいと考えます。
 また、細川総理も、社会党とは違った形で、自衛目的に設置されている自衛隊をPKOに参加させるのは無理があるといたしまして、やはりPKOを自衛隊以外の別組織によって行うべきだと主張されておりましたが、現在でも総理のお考えは変わっていないかどうか、お聞かせ願いたいと考えます。
 さらに、中西防衛庁長官は、先ほども先輩の橋本政調会長から御指摘がありましたように、このPKO業務を主任務として位置づける考えをお持ちであるやに伺っておりますが、防衛庁長官といたしましては、その考え方で自衛隊法を改正するつもりかどうか、お聞かせ願いたいと考えます。
 我々は、カンボジアPKOの貴重な経験を生かし、我が国の国際平和協力活動を揺るぎないものにすることが重要なことと考えます。しかしながら、細川内閣におきましては、PKO協力の考え方につきまして、閣僚間においてさまざまな意見が述べられ、閣内が不統一であるかの印象を与えておりますけれども、綱川総理はPKO活動をどう評価し、今後どのように進めるお考えであるのか、また、諸外国の状況を踏まえまして、羽田外務大臣におかれましてはどういうふうにお考えなのであるか、お聞かせ願いたいと考えます。
 次に、先ほどもお触れになりましたけれども、さきの通常国会で衆議院の解散により廃案となった在外邦人等の輸送を中心とする自衛隊法改正案の今国会への提出についてであります。
 我が党は、同法の一日も早い成立を願うものでありますが、連立与党第一党の社会党が与党政策幹事会で絶対反対との見解を明らかにしたということであり、同改正案の取り扱いの結論が先送りされたと伺っております。在外邦人保護を目的とする自衛隊機を使用することについて、社会党はどこに問題があるというのでしょうか。現内閣の国務大臣である山花社会党委員長に反対の理由を明らかにしていただきたいとともに、今国会への成立に向けて努力をしている中西防衛庁長官の考えもあわせてお聞かせ願いたいと考えます。
 また、さきの特別国会で、我が党の町村政調副会長の質問に対し、細川総理は、同法案の速やかな成立が必要と考えている、可能な限り早期に国会に提出し、審議をしていただきたい旨の発言をいたしました。連立内閣だから各党間のさまざまな意見があることはいたし方のないことでございますけれども、よもや今国会で与党内における一党の反対により法案提出の再検討などという事態に陥ることはないとは信じますが、改めてここに確認の意味で総理の御答弁を求めるものであります。
 ガット・ウルグアイ・ラウンド交渉につきましては、同僚の質問もありましたけれども、すなわち、本交渉の成功が極めて重要であるとの認識は持っていますものの、我が国の米につきましては、日本農業の基幹であり、かつ、急峻な国土条件のもとで自然環境を保全する等、多面的機能を有する特別の重要性を有しており、国会決議の趣旨を体し、国内産で自給する方針を貫くべきであると主張をしてまいりました。その後、総理の考えにお変わりはないのか、お答えをいただきたいと考えます。
 また、本年は三十九年ぶりの寒い夏となるとともに、台風が既に七つも来襲したために、稲作の作況指数は八月十五日現在で九五となっており、その後の気象状況を見れば、さらに悪化し、近年にない不作が避けられないほか、その他の農作物に大きな被害を与えております。この被害に対しまして、できる限りの救済対策を速やかに行うことが緊要であると考えますが、総理の御答弁をいただきたいと考えます。
 結びに当たりまして、今マスコミで、政治がおもしろくなってきたと関心を呼んでおります。あたかも政治家が芸能人のようにテレビや週刊誌などでも取り上げられるようになってまいりました。これに呼応するかのように、細川総理も最近は、テレビを意識し、記者会見も政策発表も大分パフォーマンスをしているようであります。今のところ世論調査も上々でありますから、残念な、ことでありますけれども、まずはたたえておきたいと考えるものであります。
 しかしながら、先日も景気対策の発表をパネルを使っていかにも格好よくやっておりました姿を見て、歴代自民党総裁だったらどうしたんだろうと考えてみました。すぐ故大平元首相のお顔を思い出しまして、これまでの自民党ではとてもまねができないとかぶとを脱ぐ始末であります。
 しかし、翌日の新聞におきましては、先ほども言いましたように、項目多数、中身は薄く、米政府は失望などの活字が踊っていました。一瞬、私は、中身は薄くというのは細川総理自身について語ったものかと思ってびっくりしたのでありますが、景気対策の中身でありましたから、ほっとした次第であります。世の中には「過ぎたるは及ばざるがごとし」ということもあります。恐らく大平首相だったら、政治に奇手、名案はない、やるべきことを精力的に、朴直にやっていくほかに道はないなどと答えているに違いないのであります。
 世界は、先進国も発展塗上国も、自由主義国も旧社会主義国も、新しい生き方、新しい平和のあり方、新しい政治、経済のあり方を求めて必死に模索を続けているのであります。国民は、今や政治に甘い未来図やいたずらな迎合を求めているのではない。我が党は、大衆に耳を傾けながらも大衆におもねることなく、真の自由国家建設の道を朴直に追求し、国民と世界に対する責任を果たしてまいりたいと考えるものであります。
 国民各位の御協力と御支援を心からお願い申し上げて、私の質問を終わります。(拍手)
 御答弁によりましては、再質問をさせていただきますから、御通告をいたしておきます。(拍手)
    〔内閣総理大臣細川護煕君登壇〕
○内閣総理大臣(細川護煕君) 連立政権のあり方についてのお尋ねがございましたが、前特別国会でも申し述べましたとおり、穏健な多党制が望ましいというのではなく、単に見通し、可能性について語ったものでございます。
 また、連立政権では責任の所在があいまいになるという御指摘でございますが、政権を構成する各政党それぞれの政策とは別に、あくまでも政権としての政策が形成され、国民に対して責任を負うことになるわけでございますから、御懸念には及ばないと考えております。(拍手)
 所得税減税について、具体的な構想を示した上で税調の意見を聞くぺしというお尋ねでございましたが、所得税減税は、先ほどから再三申し上げておりますように、その経済効果の問題や財源確保の問題など克服すべき課題がいろいろございます。なかなか容易なことではないと申し上げてきたところでございます。
 所得税減税の問題につきましては、均衡のとれた税体系の構築についての総合的な検討の中で取り組むべき課題と私は考えているわけで、だからこそ、先日の税制調査会総会にも、総理としての私自身が出席をして、所得税減税を含めて直間比率の是正など税制の抜本的改革について十分御審議をいただき、適切な指針を賜りたい、こういうふうにお願いをしてきたところでございます。私としては、実質的な諮問をさせていただいたというふうに考えているところでございます。
 税制調査会では、現在、精力的に検討を進めていただいておりますし、政府としては、税調での検討の成果を尊重し、国民各位の御意見に十分耳を傾けながら税制改革に取り組んでまいりたいと考えている次第でございます。
 中長期的に我が国の産業政策、経済政策のかじ取りをどうしていくのかというお尋ねがございました。
 今やるべきこととして、市場開放、規制緩和、内需拡大を行うことによって黒字削減の方向を目指すという考え方を述べられましたが、そのお考えには全く私も同感でございます。
 本格的な高齢化社会の到来に備えると同時に、国際社会とも共存可能な経済構造を実現してまいりますためには、まず第一に、御指摘のように、潜在的に活力がある今のうちに良質な社会資本の整備などを進めることによって、国民生活の一層の向上を図ることが必要であることは、おっしゃるとおりでございます。ひいては、これが新たな需要の創造や経常黒字の縮小にもつながるものと、私もそう考えております。
 第二に、政府規制の緩和や新しい時代にそぐわなくなった旧来の競争制限的な制度や慣行の改革などを推し進め、内外価格差の是正などを通じた消費者利益の増大や経済効率の一層の向上、広く内外に開かれた経済社会の実現を図ることが必要であると考えております。
 我が国経済社会のあるべき姿と、それに向けた必要な政策対応などにつきましては、民間の有識者の方々から成る経済改革研究会において御検討をいただいているところでございまして、年内をめどに取りまとめをお願いしているところでございます。その検討結果を踏まえまして、早急に新たな経済社会を構築するための対策に取りかかってまいりたいと思っております。
 三・三%成長は達成されるのかというお尋ねがございましたが、政府としては、政府経済見直しに示された姿を念頭に置いて、本年度予算、ことし四月に決定された新総合経済対策の着実な実施に努めているところでございます。これに加えまして、今回決定いたしました緊急経済対策を早急に実行に移すことによって、経済の先行きに対する不透明感を払拭をし、景気回復への動きを確たるものにしてまいりたいと思っております。
 なお、四−六月期のGNPの伸びがマイナスとなったことにつきましては、厳しい結果と受けとめておりますが、四−六月期のQEのみが出た段階で五年度の成長率全体を判断するということは必ずしも適当ではないと思っておりますし、七−九月期のQEの数字も見た上で判断することが適当ではないかと考えているところでございます。
 それから、円高の問題をどのように認識をしているかということでございましたが、円高の影響につきまして、一般論として言えば、マイナス面のみならずプラス面もあることはもちろんでございますが、しかしながら、急激な円高は、輸出産業の企業収益を圧迫するなど、企業活動に深刻な影響を与えていることを憂慮をいたしております。
 このような円高の影響を初めとする経済の緊急状況を克服をし、我が国経済を内需を中心とするインフレなき持続可能な成長経路に円滑に移行させますとともに、我が国の中長期的な課題の解決にも資するように、このほど、規制緩和と円高差益還元に加えまして、円高の影響や災害による被害への財政措置を伴う対応など、国民が直面する厳しい経済情勢に対しまして速効的に対応し得る幅広い施策から成る緊急経済対策を講ずることにしたところでございます。
 また、さらなる円高を阻止するための対策をとらないのはなぜかといった趣旨のお尋ねもございましたが、我が国としては、当然のことながら、為替相場は経済のファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが望ましいと考えているところでございまして、こうした基本的な考え方は、ことし四月のG7のコミュニケで示されておりますとおり、各国の共通の認識となっております。今後とも、為替相場の動向に注視をし、関係国とも緊密に連絡をとりながら、適宜適切に対処し、為替相場の安定を図ってまいりたいと思っております。
 中小商工業者の支援策について何点かのお尋ねがございましたが、中小企業をめぐる経済情勢は厳しい状況にあるという認識の上に、今回の緊急経済対策の中で、「中小企業が、我が国経済の構造的な変化を克服しつつ活力を発揮できるよう、」総合的な支援策を講ずることを決定をしたところでございます。
 具体的には、中小企業が構造変化に対応するために行う新事業分野への進出でありますとか、新商品の開発でありますとか、さらには海外展開などを支援するための新規立法を今国会に提出させていただきますとともに、低利融資制度の創設などの各種の支援措置を充実させることにいたしております。それから、事業承継の問題につきましても、中小企業の活力を向上するという観点から、若手後継者の育成など、その円滑化を図るための施策を引き続き進めてまいりたいと考えているところでございます。
 中小企業者の借入金の返済猶予についてもお尋ねがございましたが、政府関係中小企業金融機関における返済猶予につきましては、従来から、個別企業の実情に応じた配慮について指導を行ってきておりまして、現実にも、返済猶予の実績は高い伸びを示しているところでございます。加えて、今回の緊急経済対策におきましても、政府関係中小企業金融機関に対して、景気の現状を踏まえて、返済猶予につきまして引き続き十分指導を行ってまいりたいと思っております。
 また、民間金融機関の貸し渋りや貸出金利の下げ渋りについてもお尋ねがございましたが、金融機関がバブル期の安易な融資姿勢を改めることも重要でございますが、今後の景気回復に向けて、何よりも金融機関の資金が我が国経済の隅々に至るまで円滑に供給されることが必要不可欠であると認識をいたしております。
 そこで、政府としては、今回の緊急経済対策におきましても、中小企業向けを含め、金融機関の資金の円滑な供給が図られるように、融資相談の充実でありますとか、迅速、適正な融資審査でありますとか、融資態勢の強化につきまして、その趣旨を十分浸透させるように要請をしたところでございます。また、貸出金利につきましては、最近における市場金利の低下に伴って着実に低下してきていると思っておりますが、このたびの公定歩合の引き下げが金融の一層の円滑化に資することを強く期待をしているところでございます。
 雇用調整助成金についてお尋ねがございましたが、雇用失業情勢は、有効求人倍率が低下するなど厳しい状況にあると認識をいたしております。そこで、先般決定をいたしました緊急経済対策におきまして、雇用調整助成金制度について業種指定基準の緩和措置を継続いたしますとともに、中高年齢ホワイトカラー労働者の雇用の安定を図るなど、対策を盛り込んだところでございまして、こうした対策のさらなる推進に全力を挙げてまいりたいと思っております。
 また、高年齢者、障害者など、社会的に弱い立場にある方々につきましては、各種助成金の活用を通じまして、六十五歳までの雇用機会の確保あるいは障害者の職業的な自立の促進を図るなど、その雇用の安定に向けてできる限りの措置を講じてまいりたいと考えているところでございます。
 次に、山花大臣の訪韓時における侵略戦争、補償措置に関する発言と政府見解は異なるのかというお尋ねでございましたが、政府としては、過去の我が国の行為が多くの人々に耐えがたい苦しみと悲しみをもたらしたことに改めて深い反省とおわびの気持ちを申し上げるとともに、今後一層世界平和のために寄与することによって我々の決意を示していきたいと考えるということを申し述べてまいりました。他方、いわゆる戦後処理の問題については、我が国は、サンフランシスコ平和条約、二国間の平和条約あるいはその他の関連する条約などに従って、誠実に処理してきていると認識をいたしております。
 今回の山花大臣の訪韓は、社会党の委員長として訪韓されたものであって、その発言もおのずからそのような立場からの御発言であると受けとめておりますが、いずれにしても、山花大臣の発言は、今述べましたような政府の考え方を山花大臣なりの表現で言われたものと理解をしているところでございます。(拍手)
 自衛隊以外の別組織によるPKO参加についてもお尋ねがございましたが、PKOなどへの参加のあり方につきましては、八党派によって樹立された連立政権においてさまざまな考え方があることは事実でございます。しかし、立場の違いを乗り越えて、「連立政権樹立に関する合意事項」におきまして、外交及び防衛など国の基本施策について、原則としてこれまでの政策を継承する、そして、PKOなど国際貢献を含む主要政策課題についても合意しているところでございます。
 私自身も自分の意見をこの問題について申し上げてまいりましたが、今は、合意に基づいて内閣を取りまとめる立場にございますし、いわゆるPKO参加五原則を含む協力法に基づいて実績を積み重ねていくことが何よりも重要だと思っております。
 PKO活動の評価、今後の進め方いかんというお尋ねでございましたが、我が国は、アンゴラ、カンボジア、モザンビークにおきましてPKO活動に従事をしてまいりましたが、現地での評価も高く、国民の理解と支持が深まっていると認識をしております。国際社会の平和と安全を守るために、資金面だけでなく人的な面でも貢献を行うことは当然でございますが、今後とも、PKOへの協力は、いわゆる五原則を含む協力法に基づいて対応してまいりたいと思っているところでございます。
 自衛隊法一部改正法案についてお尋ねがございましたが、先ほども答弁をいたしましたとおり、一部に異論があることは承知をいたしております。しかしながら、緊急事態はいつ発生するかわかりませんし、自衛隊の航空機の使用は急いで検討をしなければならない、方向づけをしなければならない課題だと思っております。政府としては、前国会でも申し述べましたとおり、法案の速やかな成立が必要と考えておりますが、そのための関係者間の意見調整を目下進めているところでございます。
 米の市場開放問題についてお尋ねがございましたが、これも先ほど御答弁を申し上げたとおりでございまして、我が国としては、ウルグアイ・ラウンド交渉の年内終結に向けて引き続き全力を尽くしていく、同時に、今後の交渉に当たりましては、我が国の農業が将来に向けて安心して営農できるような環境を整備していくということを全力で取り組んでいく必要があるということだと思っております。ウルグアイ・ラウンド交渉が最終段階を迎えている現状で、各国とも農業問題についてそれぞれ困難な問題を抱えておりますが、相互の協力による解決に向けて最大限努力をしていかなければなるまいと思っているところでございます。米については、その重要性にかんがみて、国会決議の趣旨を体し、国内産で自給するという基本方針のもとで対処してまいりたいということでございます。
 冷害、台風などの被害の対策についてのお尋ねがございましたが、農作物の被害については、被害状況の把握に努めているところで、順次被災農家対策に着手をしているところでございます。また、冷夏による農作物被害につきましては、目下その実情把握に努めているところで、被害の状況を十分に踏まえまして、政府として被災農家対策に万全を期してまいりたいと思っております。
 残余の問題につきましては、関係大臣から御答弁させていただきます。(拍手)
    〔国務大臣山花貞夫君登壇〕
○国務大臣(山花貞夫君) 額賀議員の御質問にお答えをいたします。
 まず初めに、私の韓国訪問についてお尋ねがありました。
 九月四日から六日にかけての私の訪韓につきましては、韓国与党の民主自由党の日本社会党委員長あてのお招きによって実現したものでございます。額賀議員の御指摘のとおり、社会党委員長としての初めての訪韓であり、日韓友好促進に御努力されている日本及び韓国の関係者各位、また自由民主党の皆様にも大変な御理解と御協力をいただきました。
 御質問に対するお答えですが、過去の我が国の行為が多くの人々に耐えがたい苦しみと悲しみをもたらしたことに改めて深い反省とおわびの気持ちを申し上げるとともに、今後一層世界平和のために寄与することによって我々の決意を示していきたいとの考えは、私も総理と同じでございます。
 他方、いわゆる戦後処理の問題については、我が国は、サンフランシスコ平和条約、二国間の平和条約及びその他の関連する条約などに従って、誠実に処理してきているというのが政府の立場でございます。
 今回の私の訪韓は、社会党の委員長として訪韓したものであり、その際の発言もまたそうした立場のものでございました。しかし、私としては、これまでの政府の考え方につきましても十分踏まえて発言してまいったつもりでございます。
 次に、カンボジアPKOの経験を踏まえての日本社会党としてのPKO活動に対する考え方についての御質問をいただきました。
 この点につきましては、カンボジアにおける貴重な経験を踏まえることは当然のことと考えます。連立政権におきましては、その前提となる連立与党各党の合意に基づき、国際平和協力法の的確な運用を図ってまいるべきと考えております。日本社会党としては、派遣五原則の的確な運用について重視すべきであると考えておりますが、連立政権において十分に議論する中で、その合意に基づき対処してまいりたいと存ずる次第でございます。
 最後に、在外邦人等の輸送を中心とする自衛隊法改正案についての御質問がございました。
 この点につきましては、現在、連立与党間におきまして議論、検討を進めているところと承知をしているものであります。連立与党間で結論が出ました段階で、その結論を尊重してまいりたいと考えているところでございます。(拍手)
    〔国務大臣羽田孜君登壇〕
○国務大臣(羽田孜君) まず、経常収支の黒字削減に関しての数値目標のことについて申し上げたいと思います。
 私の申し上げましたことは、いわゆる経済運営のあり方を議論していくときに、経済問題の見通し、いわゆるマクロの見通しにつきまして数値的なものを含めて率直に議論していく環境、これがあることが必要であろうということの趣旨で申し述べたものであります。日米間あるいは国際的な合意としてこのような目標設定を行うことはあり得ないというふうに承知しております。
 なお、PKOの活動についてでありますけれども、世界の平和と安全のための国際的な努力に対して、平和の中で今日の繁栄を築いてきた我が国といたしましては、やはり人的な面でも貢献を行うことは、責任ある国際社会の一員として当然の責務であろうというふうに信じます。
 また、私自身、先ごろカンボジアで施設大隊、この活動ぶり、これを視察し、その御苦労と、また成果につきましてたたえ、また、ねぎらいを申し上げてまいりましたけれども、UNTACへの参加を通じ、真の国際貢献、これをなし遂げたと実感をいたしてきたところであります。その活動へのカンボジアやあるいは近隣諸国のみならず国際社会からの評価も大変高く、また、その成果に国民の理解と支持も深まり、高まっておるというふうに存じます。今後とも、カンボジア等の経験をも踏まえながら、国際平和協力法に基づきまして積極的に貢献を行っていくことが重要であると確信していることを申し上げたいと存じます。
 以上でございます。(拍手)
    〔国務大臣中西啓介君登壇〕
○国務大臣(中西啓介君) 私に対する質問は二つあったと思います。
 まず、国際平和協力業務の位置づけについてでございますが、自衛隊法第三条には「直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当る」とあります。そして、このことが本来の任務であると規定していることは、もう御承知のとおりかと思います。
 一方、自衛隊法第百条の七に基づきまして自衛隊の部隊等に国際平和協力業務を行わせることは、自衛隊が長年にわたって蓄積してきた技能、経験、組織的な機能の活用を図るものであることから、自衛隊法第八章に規定されている他の業務と同様に位置づけられておるところでもあります。
 しかしながら、昨今、国連の価値観あるいは重要性がますますその高まりを見せておりますし、またその機能も充実されていく中で、国連平和維持活動は一層重要なものとなると考えていかなければなりません。我が国が国際社会の責任ある一員として立派に存立していくためにも、今後ともこのような行動には積極的に参加していくことが極めて必要かつ重要であります。自己完結的能力に極めてすぐれた自衛隊がその中核となって、そのPKO活動を推進していくことは当然のことであると私は考えております。
 このような情勢を踏まえまして、防衛庁・政府部内はもとよりでありますけれども、民主的な手続に従った国民的な活発な論議を経て、PKO業務を自衛隊の本来の任務に位置づけていくべきなのではないかと、そのように考えておるとこみでございます。
 もう一つの自衛隊法の一部改正案についてのお尋ねでございますが、先ほどの総理の答弁にもございましたように、緊急時における在外邦人の輸送を自衛隊の航空機で実施できるふうにしていくことは、これはもう喫緊の課題であると同時に、当然のことでもあり、重要なことでもあると、国民の大多数の方々も御理解をいただけるのではないだろうかと、そのように考えておりまして、再び出させていただこうと今考えております法案は、さきの国会で衆議院は通って、いよいよもう参議院でも成立寸前に国会が解散になりまして、廃案になった法案と全く内容は同じものでございます。そのため、我が防衛庁といたしましては、可能な限り早期に、この国会でその法案を速やかに審議をしていただいて成立をさせていただきたい、また、我々も努力をしていきたい、そのように考えておるところでございます。ありがとうございます。(拍手)
○副議長(鯨岡兵輔君) 額賀福志郎君から再質疑の申し出があります。これを許します。額賀福志郎君。
    〔額賀福志郎君登壇〕
○額賀福志郎君 細川総理を初め関係大臣から、それぞれ質問に対する御答弁をいただきました。ありがとうございます。
 納得できないところがあるものですから、細川総理並びに山花大臣に対しまして御質問をさせていただきたいと思います。
 まず、細川総理に対しましては、所得税減税につきまして、私は、具体的な減税規模だとか内容だとか実施時期につきましてお答えを願いたいというふうに申し上げたのでありますが、なかなかその答えが出てまいりません。
 昭和六十三年に円高不況をどうやって乗り切っていくかというときに、当時、自民党政府でありましたけれども、我々は五兆円余りの所得税減税を行ったことがあります。これは、所得税減税、法人税、相続税、地方税含めまして五兆円余りでありました。当時のGNPは三百九十兆円でありましたから、今日の五百兆円という形から考えますと、私は少なくとも七兆円以上十兆円の所得税減税を行わなければならないというふうに思っているわけであります。
 しかも、なおかつ、その場合、所得税減税とそれから法人税、地方税、相続税も含めまして行うべきであると考えるものでございます。もちろん、三年前に、特に法人税の場合は湾岸戦争で国際貢献のために臨時特別税も行いましたけれども、これは何としても即座に廃止をして企業に力をつけていかなければ、まさに日本の経済が没落をしてしまうということでございます。
 私は、減税先行論という話もありましたけれども、これは税制改革法案という形で一括処理をして、そして来年度は所得税減税をして、そして場合によっては四月から行って、場合によっては一月に戻ってから行ってもいい、そして増税分については平成七年度から行うというような形で、ぜひ細川総理はこういうことを参考にして今度の所得税減税を行ってもらいたいということでございますが、これを参考にして行うかどうか、細川総理から御答弁をいただきたいと思います。
 また、山花大臣にいたしましては、先ほど日韓両国のいわゆる戦後処理問題について、誠意ある補償のための措置が不可欠であると述べたことに対しまして、御説明をいただきたいというふうに申し上げたのでありますが、戦争に対する謝罪については述べましたが、補償措置との関連については何ら触れておりません。お答えをいただきたいと思います。(拍手)
    〔内閣総理大臣細川護煕君登壇〕
○内閣総理大臣(細川護煕君) 所得税減税の問題についての重ねてのお尋ねでございますが、繰り返し申し上げておりますように、所得減税の問題につきましては、財源の問題あるいはまた効果の問題等から容易ではないということを申し上げてきたところでございます。それが基本だということでございます。
 先般、税制調査会に出席をいたしまして私が申し上げましたことは、所得税減税を含め、所得税減税を含め直間比率の是正など税制の抜本的改革について十分御審議をいただき、適切な指針を賜りたいと申し上げたところでございまして、「所得税減税を含め」ということの中には、おっしゃるようなことも当然それは含まれているであろうと思います。ただし、基本的には、先ほども申し上げましたように、これを進めて考えていくことは容易なことではないというのが基本的なスタンスであるということを繰り返し申し上げておきたいと思います。(拍手)
    〔国務大臣山花貞夫君登壇〕
○国務大臣(山花貞夫君) せっかくの機会をいただきましたので、敷衍して説明をさせていただきたいと思います。
 まず第一に、先ほども申し上げましたとおり、私の韓国訪問は、閣僚としてのものではなく、社会党委員長としてのものであり、このことにつきましては手続等においても明確にしているところでございます。韓国におきましては、金泳三大統領も、私の訪韓につきまして、現職委員長の初めての訪韓それ自体が重い意味を持つと、こういうように受け入れの立場というものを明らかにしてくださったところでございます。
 こうした立場を前提として、まず、私が御指摘いただいた部分についての必要な箇所だけを読ませていただきたいと思いますが、正確にこのような発言をいたしました。
 「私は、この場を借り、改めて懸案事項に関して、わが党の立場を明らかにしておきたいと思います。第一に、過去の植民地支配について、日本は誠実な謝罪を行い、関連国際条約と道義的責任の観点から、両国国民の納得できる措置を講ずべきであります。」と、こう申し上げました。
 同時に、こうした社会党の考え方につきましては、こうした私たち日本社会党の考え方については、政府と社会党の考え方にはなお溝があります、私たちの主張を今後の政府の政策の中に生かす努力を尽くしていきたいと思います、こういう形で、政府の政策と私たちの考え方につきましては、きちんと整理をして発言をしたところでございます。(拍手)
 なお、この点に関して、私は、従来の政府の考え方につきましても十分踏まえたと先ほど申し上げました。
 一例だけ申し上げておきたいと思うのですが、こうした問題について端的に問題となりましたのは、いわゆる従軍慰安婦の問題ではなかったかと思います。前政権におきまして、歴代の官房長官が大変苦労してこの問題に対応してきたことを承知しております。平成五年八月四日、当時の河野官房長官が談話として出しました文章につきましては、心のこもった誠意ある対応についてここに私は盛り込まれておったと評価をしているところでございます。
 どういう中身かということについて、省略して簡単にここだけ申し上げますと、そうしたおわびの気持ちについて「我が国としてどのように表すかということについては、有識者のご意見なども徴しつつ、今後とも真剣に検討すべきものと考える。」というのが前政権の考え方でございます。
 私は、こうしたお気持ちというものを当時の我々野党として受け、そして、今日のこうした問題について誠意を持って対応すべきだということを党の考え方としてお話しさせていただいたわけでございまして、したがって、そういう考え方については十分従来の政府の対応についても踏まえた中での発言であったことについて、つけ加えて御報告をさせていただきました。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(鯨岡兵輔君) 松本善明君。
    〔松本善明君登壇〕
○松本善明君 私は、日本共産党を代表して、細川総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 細川内閣が発足をしてから一カ月半が過ぎましたが、この間に明らかになったことは、細川内閣の行おうとしている政治が、従来の自民党の政治を何ら改革するものではないということであります。それどころか、自民党が過去四回やろうとしてできなかった小選挙区制を何としても導入しようとしている点では、これまでの自民党政府以上に自民党的だということであります。(拍手)
 総理、今、国民が政治に求めているものは何でありましょうか。どの世論調査を見ても、それは金権腐敗政治の一掃であります。九月八日に発表されましたNHKの世論調査でも、金権腐敗根絶が七〇%近くを占め、選挙制度改革を求める声は、わずかに一三%にすぎません。ところが、総理の所信表明では、この国民の切実な要求を選挙制度問題にすりかえ、政治改革の名のもとに、小選挙区制の導入を最優先課題にしております。ここに細川内閣の民意を踏みにじる最大の問題があります。(拍手)
 総理は、所信表明の冒頭で、「まず、我々がやらなければならないことは、政治への国民の信頼を回復すること」と強調しておりますが、それならば、国民が望みもしない小選挙区制導入でなく、国民世論の圧倒的多数が求めている金権腐敗政治の一掃に全力で取り組むことが、国民の政治への信頼を回復する道ではないでしょうか。(拍手)
 日本共産党は、小選挙区制の導入を日本の民主主義の命運にかかわる重大問題と考え、党の全力を挙げ、小選挙区制反対の一点で一致するすべての人々と党派や思想を超えて協力し、この法案の成立を阻止する決意であります。まず初めにこのことを申し上げて、質問に入ります。
 憲法に明記してあるように、国会は国権の最高機関であり、唯一の立法府であります。したがって、選挙制度のよしあしをはかる最大の基準は、主権者である国民の意思を国会の議席に鏡のように正しく反映させるかどうかに置くべきであります。(拍手)現行中選挙区制でこれまで問題になってきたことは、定数の格差是正を正しくされてこなかったために、その最大の基準がゆがめられていたことにあります。だからこそ、国会の決議が現行制度のもとでの定数抜本是正を求めたのであります。ところが、政府は、それを行わずに、小選挙区並立制を持ち出してまいりました。この政府提案は、国民の民意の正しい反映という原則から見て、重大な問題点を幾重にもはらむものとなっております。
 その第一の点は、比較第一党が得票率を大きく超える議席を獲得し、圧倒的に有利になる選挙制度だということであります。総理は、小選挙区制に比例代表制を並立させることによって多様な民意の反映を可能とすると言って弁明をしております。しかし、実際はそれが全くのごまかしであることを示しております。
 例えば、朝日新聞の試算によりますと、連立与党がばらばらで戦った場合、前回総選挙で三六・六%の得票をとった自民党は、今の中選挙区制で四三・六%の議席を得ているのに対し、政府案の並立制では六一・四%もの議席を獲得をいたします。連立与党が一本化をして第一党になったとすれば、やはり四八・四%の得票で中選挙区で四七・六%の議席なのに、並立制では五七・四%の議席を得ることになるのであります。いずれにせよ、比較第一党が圧倒的に有利となり、並立制は、国民の意思を正しく国会に反映させるという基準から見て、現行制度と比べて逆行であり、重大な改悪ではありませんか。総理の明確な答弁を要求をいたします。(拍手)
 第二に、小選挙区制を実施をいたしますと、結局、二大政党制が無理やりつくられ、第三党以下が国会から締め出されてしまいます。二大政党制は何をもたらすでしょうか。国民の前には、自民党か、その政治を継承すると宣言しているあなた方連立与党か、そのどちらかしか選択肢はなくなり、これに反対する国民の声は国会に反映できなくなるでしょう。
 例えば、今消費税の税率引き上げについては、与党の側からも自民党の側からも、これを主張もしくは容認する発言が相次いております。しかし、消費税率引き上げ反対は国民多数の声であります。少数政党を国会から締め出すことによって、こうした国民多数の声が政治に反映されなくなってしまうのであります。これは、民主主義の圧殺以外の何物でもありません。(拍手)
 一体、総理は選挙制度改変によって無理やり二大政党制をつくることを民主主義だと考えているのでありますか。はっきりお答えいただきたいと思います。(拍手)
 第三に、少数政党を差別、排除する仕組みが二重、三重に盛り込まれております。比例代表選挙で議席が配分されるためには、得票率が三%以上なければならないという、いわゆる足切り条項が含まれております。ドイツでは、この足切り条項によって、少数政党が切り捨てられてきたのであります。比例代表で三%といえば、七、八議席に相当をいたします。総理は、七議席程度の少数政党はなくなってもいいというのでありますか。このように少数政党を差別、排除していくことは、法のもとの平等をうたった憲法の理念とも両立し得ないものと考えますが、総理の答弁を求めます。(拍手)
 その上、提出法案によりますと、二百五十の小選挙区に全部立候補するためには、供託金が一人三百万円で七億五千万円、比例代表は一人六百万円で、立候補に最低必要とされる三十人の候補者をそろえるためには一億八千万円もかかることになるのであります。これでは、金のかからない選挙といいながら、事実上は莫大な資金が立候補に必要となり、ここでも少数意見と少数政党切り捨ての仕組みがつくられているではありませんか。
 総理、あなたの提案した小選挙区比例代表並立制は、多様な民意の反映どころか、まさに民主主義を根本から覆すものではありませんか。明確な答弁を求めます。(拍手)
 第四に、選挙区を代表する議員の選挙においては、中小政党に投票した国民の声は議席に反映せず、大量のいわゆる死票が生まれるということであります。中選挙区制のもとで行われた前回総選挙では、議席に反映をしない死票の比率は全国平均で二四・七%でありました。しかし、並立制の小選挙区では、多くの試算が示すように、何と死票が四割から六割に及ぶのであります。このように、並立制はあくまでも小選挙区制中心の制度であり、地元代表を選ぶ選挙区においてこのように多数の死票が出ることは、比例制を並立させることで補えるものでは決してありません。
 しかも、これだけの重大な制度改変を提唱しながら、総理の所信を聞きましても、なぜ小選挙区制の導入が必要かについて、国民が納得し得る根拠は示されておりません。総理は、中選挙区制のもとでは「同士打ちが避けられず」「政治腐敗の温床となってきた」、だから選挙制度を変えなくてはならないと所信表明で述べられました。
 しかし、最大の問題は中選挙区制そのものではなく、これまで定数の抜本是正を行わず、国民の投票権の平等を侵してきた自民党の政治姿勢にこそ最大の問題があります。これに企業献金を肯定する態度が結びついて「政治腐敗の温床」になったのであります。細川内閣は、この問題に正面から取り組まず、自民党のこの政治姿勢と中選挙区制に責任を転嫁する論理を引き継いでいるというのが実際の姿であります。
 総理の所信では、中選挙区制に問題があるというのが与野党の「共通の認識」になっているかのように述べておりますが、それは根拠のないことであります。総理の言う「同士打ち」や政策不在という問題点を言うならば、それは選挙制度とは何のかかわりもない、自民党などその政党自身の問題であります。小選挙区制によって金権腐敗がなくならないことは、日本で戦前二回も導入された小選挙区制が、金権腐敗をかえってひどくした結果、廃止されたという実例でも明らかであります。(拍手)総理、これでも中選挙区制が腐敗の温床だと言うのでありますか。
 海部内閣が小選挙区比例代表並立制を導入しようとしたときに、社公民各党は、民主主義の根本問題だということで反対をし、自民党の中からも反対が出て、法案が廃案になったことは御存じのとおりでございます。
 そこで、特に山花政治改革担当相にお聞きをいたしますが、あなたはことし四月の社会新報紙上で、「民主政治を根底から覆す小選挙区制を認めることはできません。並立制もその実質は小選挙区制ですから、これも認めることはできません。」と明言をしておられたのであります。わずか五カ月前のことであります。ところが、今は百八十度方向転換をして、小選挙区比例代表並立制の導入に政治生命をかける細川内閣の担当閣僚であります。あなたの言葉からすれば、民主政治を根本から覆す先頭に立たれているということになるわけであります。これは、民主主義を信じ、節操をとうとぶなら、到底できないことであります。(拍手)民主政治を根本から覆しても、細川内閣の閣僚になることが大事だったのでありますか。あなたの言葉を信じて社会党に投票した国民に対して、一体何と答えるつもりでありますか。疑問の余地なくお答えをいただきたいと思います。(拍手)
 今、国民が望んでいるのは、金権腐敗政治の一掃であります。
 総理の所信表明には、ゼネコン疑惑の解明は一言もありません。ゼネコン疑惑がますます広がっているときに、驚くべきことであります。(拍手)東京湾横断道路や長良川河口堰など、国が直接関与する公共事業においても、受注をめぐる政治家の関与や談合疑惑が指摘されております。政府が責任を持って疑惑の解明に当たるのが当然であります。総理は、大手ゼネコンの膨大なやみ献金と大プロジェクト中心の公共事業のゆがみを正し、徹底した疑惑解明を行う考えがあるのでしょうか。答弁を要求をいたします。(拍手)
 国税庁の調査によれば、昨年の使途不明金の七割を建設業が占めております。この使途不明金がやみ献金の原資になっていることは明らかであります。我が党がこの点を指摘したのに対して、宮澤前首相も「異常なことだ」と認めたほどであります。巨額の使途不明金に本格的にメスを入れ、やみ献金の温床をなくす考えがあるのかどうか、総理の答弁を求めるものであります。(拍手)
 金権腐敗政治の温床である企業・団体献金の禁止は、今や国民の声であります。ところが、細川内閣が今国会に提出した法案は、政党などへの企業・団体献金を存続させるものとなっております。「五年後に見直す」と言っていますが、どのような方向に見直すのかは全く不明であります。五年後見直しという規定は、十八年前にも、田中金脈追及の世論に押されて、現行政治資金規正法附則八条に、個人献金強化の方向でという言葉とともに入れられました。これに比べても、廃止の方向性すら消えてしまった政府案は後退であり、事実上の企業献金存続宣言にほかなりません。(拍手)総理は、特別国会の所信表明で「廃止の方向に踏み切る」と述べましたが、この言明と提出された法案とは、大きく矛盾するではありませんか。これは、国会と国民に対する重大な公約違反であります。明確な答弁を要求をいたします。(拍手)
 総理は、所信表明で、政治家への企業・団体献金を禁止したことが「腐敗防止に大きな効果を持つ」と述べましたが、政党への企業献金は温存したままであります。政党への献金であっても、政治を大企業本位にゆがめ、政治腐敗を生み出す根源になっているという企業献金の本質に全く変わりはありません。(拍手)
 しかも、政治家への企業・固体献金禁止にも多くの抜け穴があります。悪名高い資金集めパーティーは、何回でも開催でき、形を変えた企業献金を政治家が受け取ることができるのであります。さらに、政党を通じて企業が政治家に献金することもでき、抜け穴だらけであります。企業・団体献金をすべて禁止しなければ腐敗根絶に実効が上がらないことは明白でありますが、この点についての総理の明確な答弁を要求をいたします。(拍手)
 さらに重大なことは、中選挙区制では金がかかるとして小選挙区制導入を主張しながら、腐敗の根源である企業・団体献金を温存したまま、生まれたばかりの赤ちゃんからお年寄りまで、すべての国民一人当たり三百三十五円、総額四百十四億円を負担させ、国の財政から政党に助成しようとしていることであります。
 これには憲法上の重大な問題があります。それは、国民の税金が、支持していない政党への強制献金として使われるということであります。我が国には、「政党支持なし」という有権者が約五割いますし、支持する政党はあるが金は出さないという人もおられます。支持政党も多様化しています。国民の税金がその意思に反して政党への助成に使われるということは、「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。」という憲法第十九条の違反であることは明白であります。(拍手)この点について多くの批判が起こっておりますけれども、総理はいまだこのことに答えたことがありません。この際、明確に答弁されることを求めます。
 日本共産党は、憲法を踏みにじる政党助成には断固反対いたします。万一仮に政党助成が強行された場合でも、この助成金の受け取りを拒否することをこの議場において表明をするものであります。(拍手)
 次に、不況対策と消費税について質問をいたします。
 異常な円高の影響で、不況はさらに深刻化しており、不況打開はまさに緊急の課題であります。消費の不振が景気回復をおくらせており、不況打開のためには、国民大多数の懐を豊かにし、安心して消費ができるようにすることが必要であります。大企業向けの対策を優先し、そのおこぼれが国民に回るのを待っているような従来型の景気対策では、不況を打開することはできません。今、政府がなすべきことは、所得税減税を初め、消費税の廃止、少なくとも食料品を非課税とすること、大企業の人減らし合理化や下請いじめをやめさせること、公共投資を生活密着型に抜本的に切りかえることであります。
 減税の早期実施は、国民多数の声であります。その財源は、ゼネコンの談合による公共事業のむだをなくすこと、大企業補助金その他の浪費にメスを入れること、大幅な軍縮、大企業奉仕の不公平税制の是正などで生み出すことができます。(拍手)総理、消費税率引き上げや将来の増税を予定する赤字国債に財源を求めることは決してやってはならないことであります。そのようなものを財源にせず、直ちに所得税減税を実施するつもりはありませんか。答弁を求めるものであります。(拍手)
 次に、消費税についてであります。
 総理は、今月三日に政府税制調査会に直間比率の是正の検討を要請し、九日には財界代表に対して、税調の答申に文字どおり従って実行したいと述べております。消費税は、お年寄りから学生、子供に至るまで、生活している限り課税を免れることはできません。しかも、低所得者ほど負担が重くなる、まさに最悪の不公平税制であります。税率アップで物価をつり上げれば、消費が一層落ち込むことは明白で、不況対策に全く逆行するものであります。消費税の税率引き上げは絶対にやるべきではありません。明確な答弁を要求をいたします。(拍手)
 この際、軍縮についてもお聞きをいたします。
 総理は、所信表明で軍縮に全く触れませんでした。米ソ対立がなくなって、基地の縮小や軍事同盟の解消が求められている現在、米ソ対立という国際情勢を前提とした防衛計画の大綱とそれに基づく中期防衛力整備計画、中期防は根本から再検討し、大幅な軍縮の方向に踏み出すべきではありませんか。(拍手)
 特に、AWACS、空中警戒管制機は、そもそも、シーレーン防衛などといってソ連に対抗するために計画されたものであることは、防衛白書やアメリカの国防報告からも明らかであります。今これを導入する理由は全くありません。AWACSの導入中止を要求し、答弁を求めるものであります。(拍手)
 最後に、私は、日本共産党が国民の強く求めている金権腐敗政治の一掃、小選挙区制導入阻止、抜本的な不況対策の実行のために全力を挙げるという決意を表明をして、質問を終わるものであります。(拍手)
    〔内閣総理大臣細川護煕君登壇〕
○内閣総理大臣(細川護煕君) 並立制の問題について、これは国民の意思を反映させるという観点から見て改悪ではないかというお尋ねでございましたが、小選挙区比例代表並立制は、政権選択についての国民の意思が明確な形で示されるという特性を有する小選挙区制と、多様な民意を国政に反映するという特性を持った比例代表制を並立させようとするものであって、政策本位、政党本位の選挙を実現するために適当な制度であると思っております。多くの弊害が指摘されている現行中選挙区制から見まして、大幅な改善になるということは、これまでの国会や選挙制度審議会の御論議などから見て明らかであると認識をいたしております。
 それから、選挙制度改変によって無理やり二大政党制をつくることを民主主義だと考えているのかということでございましたが、そうは思っておりません。
 このたびの改正案では、小選挙区制に比例代表制を並立的に組み合わせることによって、少数意見の国政への反映にも十分配慮しているところでございます。むしろ、第三党以下にも国会の議席を与えるための制度だと私は理解をいたしております。
 また、将来の日本の政党制がどのようなものになるかということは、選挙制度によって当然に導かれるものではなくて、広い意味での国民の選択によるものと考えているところでございます。
 少数政党を排除するのは憲法の理念とも両立し得ないのではないかというお尋ねもございましたが、御指摘の三%のいわゆる阻止条項は、政権を争う政党間の政策論議の場である衆議院が、過度の小党分立となるおそれがないようにするという観点から設けられているものでございまして、全国を単位とする比例代表制を衆議院に導入する場合には、必要かつやむを得ない制約であろうかと考えております。
 供託金についてお尋ねがございましたが、このたびの法案におきましては、政党の選挙運動の量を原則として候補者数に応じて定めることにしておりまして、多くの選挙運動手段を得ることを目的として、当選を度外視して多数の候補者を届け出ることを防止するといった観点から、従来と同様に供託の制度を設けているところでございます。
 なお、三百万円は現行の衆議院選挙、参議院選挙区選挙の場合と、六百万円というのは参議院比例代表選挙の場合と同額でありまして、また、名簿届け出要件の三十人につきましては、比例代表定数二百五十の約一割であって、現行の衆議院選挙の際の確認団体要件二十五人などから考えまして、必ずしも多いとは考えておりません。
 同士打ちや政策不在は政党自身の問題であって、小選挙区制によって金権腐敗がなくならないことは戦前の実例でも明らかである、中選挙区制でいいではないかといった趣旨だったと思いますが、現行の中選挙区制のもとでは、政権党を目指す限り、同一選挙区で同一政党の候補者間の同士打ちが避けられないわけで、選挙は政策論争というよりも候補者個人間の競争にならざるを得ないという要素を内在しているわけでございます。このことが、候補者個人を中心とした政治資金の調達などに関連して、「政治と金」をめぐるさまざまな問題を生じさせる大きな要因になってきたわけで、やはり選挙制度自体の欠陥と言えるのではないかと、私はそのように認識をいたしているとこるでございます。したがって、政治資金制度の改革や腐敗防止策と一体のものとして、現行中選挙区制度の抜本的な改革が不可欠であると考えている次第でございます。
 ゼネコン疑惑の解明がない、そのことに触れなかった、政府は徹底した解明を行う考えがあるのか、こういうお尋ねでございましたが、所信表明では、「国民の政治不信の直接の原因となった政治腐敗事件がこれ以上発生しないようにするために」「腐敗防止措置を講ずることが不可欠」だということを申し上げたところでございます。政治家個人に対する寄附の禁止、連座制の拡大、罰則の強化など一連の措置は、政治腐敗の防止に大きな効果を持つものと確信をしているところでございます。
 いわゆるゼネコンをめぐる贈収賄事件につきましては、検察当局において、建設会社役員あるいは地方公共団体の首長らを逮捕するなどして、法と証拠に基づいて適正な捜査処理を行っておりますし、私としては、検察当局は今後とも刑事事件として取り上げるべきものがあれば厳正に対処されるものと確信をいたしております。
 使途不明金についてお尋ねがございましたが、真実の所得者に課税する観点から、できるだけその使途を解明し、その支出先に対して適正な課税を行うことが原則であって、国税当局はその使途解明のため絶えず努力を行っているものと思います。ただ、どうしても使途が解明できない場合には、その支出した法人に対して、経費としての損金算入を否認することによって結果的に全額を課税しておりまして、法人税制の枠内の措置としてはできるだけの措置を講じているものと考えているところでございます。
 企業・団体献金の廃止についてお尋ねがございましたが、このたびの法案では、企業などの団体献金につきましては、政党、政治資金団体に対するものに限って認めることにいたしましたが、これ以外の者に対するものは一切直ちに禁止をすることにしたわけでございまして、企業などの団体献金の廃止に向けて大きく一歩踏み出すことになるものと考えております。
 企業・団体献金の禁止に関して、政府案には抜け穴がある、こういうこともございましたが、企業などの団体献金について廃止の方向に踏み切るとしても、あくまでもこれは現実に即して対処していくことが肝要であると思っております。今回は、政党、政治資金団体以外の者について全面禁止したものでございます。腐敗根絶に対する効果は相当なものがあるというふうに確信をいたしております。
 なお、五年を経過した時点で、政党に対してする寄附のあり方についても見直しを行うことにしているところでございます。
 政党助成と憲法との関連についてのお尋ねもございましたが、政治活動に一定の金がかかることは事実であって、政治活動に要する経費はいわば民主主義のコストともいうべきものと考えております。また、選挙制度を政党、政策中心の仕組みに改めることによって、政党の財政基盤の確立、強化が必要になるわけでございますが、選挙や政治資金の制度を抜本的に改革することで、政治活動に要する経費に対する公費助成についての国民の御理解も得られるのではないかと考えているところでございます。
 政党への公費助成は、このような民主主義のコストともいうべきものを国民の御理解のもとに国民全体で負担していただく制度であって、この助成制度によって、個々の国民がおのおの自己の政治信条に基づいて政党を支持する自由は、何ら制限されるものではないというふうに考えております。国会の議決を得る法律で決定される限り、税金が国民の意思に反して用いられるということにつながるわけではございませんし、憲法上の問題は生じないと考えております。
 所得税減税についてのお尋ねもございましたが、再々申し上げますように、その経済効果の問題、財源の問題など、極めて課題が多いということを申し上げてまいりました。なかなか容易なことではないと申し上げてきたところでございます。均衡のとれた税体系の構築についての総合的な検討の中で取り組むべき課題だと考えております。
 消費税の問題についてもお尋ねがございましたが、従来の税制が持っていたさまざまな問題点を見直して、高齢化の進展などを踏まえて安定的な税体系を構築することを目的として行われた抜本的税制改革の一環として消費税は創設されたもので、正しい選択であったと私は認識しております。
 消費税の税率の問題は、国民各層の御意見や御論議に十分耳を傾けて、今後の財政需要の動向を踏まえながら、先ほども申し上げましたように、バランスのとれた税体系の総体的な検討の中で詰めていくべき課題であると思っております。
 いずれにしても、税調において直間比率の是正など税制の抜本的な改革について鋭意検討を進めていただいているわけでございまして、その検討の成果を尊重してまいりたいと思っております。
 軍縮、特にAWACS導入の問題についてお尋ねがございましたが、防衛力整備については、防衛計画の大綱のもと、独立国として必要最小限の基盤的防衛力の整備に努めてきたところでございます。AWACSにつきましては、専守防衛を旨とする我が国にとりまして、情報収集機能の一環である早期警戒監視機能の充実を図ることは、大変重要なことではないかと思っております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁をいたします。(拍手)
    〔国務大臣山花貞夫君登壇〕
○国務大臣(山花貞夫君) 御質問いただきましたポイントは、並立制を選択したことについての理由と判断についてでございました。
 さきの総選挙の結果、新しい政権を樹立する機会が到来いたしました。政権交代を実現して新しい政権をつくることにより、これまでできなかった腐敗をなくす政治改革を、選挙制度の問題を含め断行することが、国民の皆さんの負託にこたえるものと判断し、小選挙区比例代表並立制の提案を受け入れ、連立政権の樹立を政治決断したものであります。(拍手)
 私の担当であり、内閣の最優先課題でもある政治改革の本年中の実現に向け、全力で取り組んでまいりたいと考えております。(拍手)
    〔副議長退席、議長着席〕
○議長(土井たか子君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
○議長(土井たか子君) 御報告することがあります。
 永年在職議員として表彰された元議員小川平二さんは、去る七月十六日逝去されました。
 永年在職議員として表彰された元議員福田篤泰さんは、去る八月七日逝去されました。
 まことに哀悼痛惜の至りにたえません。
 小川平二さんに対する弔詞は、去る九月十九日、福田篤泰さんに対する弔詞は、去る八月三十一日、議長においてそれぞれ既に贈呈いたしております。これを朗読いたします。
    〔総員起立〕
 衆議院は 多年憲政のために尽力し 特に院議をもってその功労を表彰され。さきに大蔵委員長の要職につき またしばしば国務大臣の重任にあたられた正三位勲一等小川平二君の長逝を哀悼し つつしんで弔詞をささげます
    …………………………………
 衆議院は 多年憲政のために尽力し 特に院議をもってその功労を表彰され さきに商工委員長外務委員長の要職につき またしばしば国務大臣の重任にあたられた正三位勲一等福田篤泰君の長逝を哀悼し つつしんで弔詞をささげます
     ――――◇―――――
○議長(土井たか子君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後四時三十七分散会
     ――――◇―――――