第129回国会 本会議 第19号
平成六年五月十三日(金曜日)
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 議事日程 第十一号
  平成六年五月十三日
    午後一時開議
 一 国務大臣の演説に対する質疑 (前会の続
   )
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○本日の会議に付した案件
 議員請暇の件
 国務大臣の演説に対する質疑   (前会の続
 )
    午後一時三分開議
○議長(土井たか子君) これより会議を開きます。
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 議員請暇の件
○議長(土井たか子君) 議員請暇の件につきお諮りいたします。
 遠藤登さん、左近正男さん、沢藤礼次郎さん、関山信之さん、田中昭一さん及び渡辺嘉藏さんから、五月十五日から二十二日まで八日間、右いずれも海外旅行のため、請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(土井たか子君) 御異議なしと認めます。よって、いずれも許可することに決まりました。
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説に対する質疑  (前会の続)
○議長(土井たか子君) これより国務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。萩山教嚴さん。
    〔萩山教嚴君登壇〕
○萩山教嚴君 私は、自由民主党を代表し、羽田総理の所信表明演説に対し質問をいたしたいと存じます。
 二十一世紀に向かって、世界は今激動の時代にあります。厳しい内外情勢のもと、我が国が当面する政治的な課題は山積みいたしております。
 外においては、東西冷戦後の世界平和の維持確保、世界経済の安定のための施策、地球環境問題の処理等、我が国は先進国の一員として国際社会への貢献を果たしていかなければならないのであります。
 内にあっては、長期低迷を続ける戦後最大の不況を克服して経済の活性化を図り、内需中心の持続的な経済の安定成長を定着させなければなりません。本格的な高齢化社会の到来とあわせて、真に生きがいのある豊かな国づくりを模索していかなければならない重要なときであります。
 また、先般成立いたしました政治改革四法の立法の趣旨に沿って一層徹底を図り、政党法の制定、政治腐敗防止法の制定を検討し、政治に対する国民の信頼を回復することこそが現下の急務ではなかろうかと思うのであります。
 しかるに、四月八日、細川前総理の辞任声明以来、連立与党による後継首相選びは、現下の我が国の厳しい事態を認識しない、国民不在の権力ゲームに終始したものであったと私は思うのであります。当初、連立与党は、細川前総理の辞任は、全く細川個人の一身上の疑惑から辞任したものであるというふうな解釈に立って、連立政権の維持を最高命題として考えてきた感があるのであります。
 こうした与党内の主導権争いが二週間以上も続いたということは、そもそも細川連立政権は、八月、政治改革を旗印に主義主張の異なった八会派が集まってつくったものであり、先般の政治改革四法案が成立したことによってその使命は終わったものでなければならないのであります。(拍手)当然として、次は野党第一党、我が自由民主党を中心に政権が構成されることが政党政治の原則であり、まさに憲政の常道ではなかろうかと思うのであります。(拍手)
 しかるに、羽田連立与党の皆さんは、社会党さん、与党中の最大会派が去りたにもかかわらず、一たん手にした政権は何が何でも守るとの姿勢、まことにもって言語道断であると断ぜざるを得ないのであります。
 そうした弱体内閣が、結果によって生まれました。何としても私たち自由民主党は、この件について大いに議論を沸かし、政権政党としてのあり方というものを模索しなければならない重要な時期に差しかかっていると思うのであります。
 羽田総理は、この新政権発足に当たって、政権成立までの連立与党の混迷について国民に対し深くおわびする気持ちはないのかどうか、改めてお伺い申し上げたいと思うのであります。
 本来、政党はどうあるべきなのか。私は、今こそ政治家として将来の日本を見据えた中で、真剣に考えていかなければならないということであります。
 東西冷戦が終結し、自由主義社会対共産主義の闘いは終わった。これからは、自由と民主主義の世界にあってどうした国家像を求めていくのか、政治家は何を目標として政治を行うのか。細川総理が行った単なる改革のパフォーマンスだけではどうしようもないのであります。政治はそんなに派手にパフォーマンスするよりも、むしろ愚直に、誠実さを持って国民の皆さんに対し対処することがより肝要であろうと思われるわけであります。(拍手)政党はみずからの信ずる基本の政策に基づいて連携行動し、国民世論を喚起しなければならないのであります。この点は大切なことであります。
 我が自由民主党は、羽田新政権に対し、責任野党として日本の将来を見据えた中で、羽田総理に対しては追及すべきは追及し、これからの国会運営を我々自由民主党はやっていきたいというふうに思っておるわけでございます。
 次に、政治改革問題についてお伺いいたします。
 与野党最大の懸案であった政治改革関連法の改正案は去る三月四日に成立し、そして先月十一日には衆議院議員の小選挙区画定案を策定するための委員七名が任命されました。
 申し上げるまでもなく、議会制民主主義の再生のために我々が目指した政治改革の基本的な理念というものは、真の政党政治の確立にほかならないのであります。政治が負うべき責任の明確化、金銭の透明化あるいは資金の健全化とでも申しますか、政策論争の活発化、国会内での活性化等々、なし遂げなければならない政治課題が山積いたしているのであります。これが有効に機能することが、問題解決のための私はかなめではなかろうかなと思うわけでございます。改めて各位におかれましても御銘記いただき、今後に資していただきたいと思うわけでございます。我が党といたしましても、国民に責任のある野党として、強靭な政党政治の実現に最大限の努力を傾注する覚悟であります。
 ところで、この機会にぜひ総理にお伺いしたいことがあります。政治改革の完全な実現を期すための政党という存在に関しての法的の位置づけでございます。
 かねてより我が党同僚議員が強く訴えてきたところでございますが、我々は、今回の制度改正により政党が果たす役割の重大さを思うとき、政党の民主的な組織、運営を担保したり、政党みずからが政党財政の透明度を高めることなど、国民に対して負うべき社会的責務を明確にすることであります。これまで人格なき社団として取り扱われてきた政党を真っ正面から法的に位置づけることが求められているときは、今ほどないと思うのでございます。
 政党が公権力によって弾圧さ、れてもならないし、自由な政治活動が十分保障されなければなりません。当然のことであります。また一方では、政党中心の政治の仕組みの中で強力な力を持ちながら、このままではただの任意団体にすぎない政党の権力から国民を守っていくという視点も不可欠であろうと思うのであります。
 我々は、これらのことを前提とした上で、政党みずから権利義務の主体となって財産関係の帰属を明らかにすることのできるように、その目的の範囲内で法人格を付与すべきであると考えるものでありますが、総理はどのようにお考えなのか。あるいはまた、付与しない場合と比べて法的にあるいは実態的にどう影響があるのかを含めてお考えをただしたいと思うのであります。
 次に、新たな制裁制度の必要性の観点からお伺いいたします。
 さきの公選法改正で、選挙腐敗を防止するために連座制の対象者の範囲を拡大し、その効果として候補者の立候補資格を剥奪する措置を講じたことは、選挙の公正を確保するため当然の措置と思われるのであります。しかしながら、小選挙区制では勝つか負けるか二つに一つしかないだけに、政党が政治の主体制、責任性を強く自覚しない限り、また有権者が選挙を厳しく監視しない限り、中選挙区の中でさまざまな弊害があったことは諸先生方も御存じのとおりであります。これを是正しない限り、選挙は公正であろうというわけにはまいらぬのであります。私の胸中にある率直な思いを総理にぶつけてみたいと思うわけでございます。
 また、やみくもな厳罰主義の有効性というものではなく、イギリスのように、候補者や選挙運動員みずからが主体的に選挙の浄化に努力することによって、選挙腐敗を駆逐する方法も検討する必要があると考えます。成立した四法の立法の趣旨をさらに徹底し、選挙腐敗の一掃を期すため、連座制の対象者の範囲を、候補者と意思を通じて行われる選挙運動で一定の権限を有する者、例えば後援会会長、団体の幹部にまで思い切って拡大するなど、新たな制裁制度を検討する考えはあるのかないのか。また、具体的な提案があれば総理にお聞かせいただきたいと思います。
 次の質問に移ります。
 さきの日米首脳会談は、包括経済協議において合意を見ることができずに失敗に終わりました。日米関係は、言うまでもなく我が国外交の基軸であります。それは、安全保障が日米安保条約によって担保されておりました。対米貿易黒字が六百億ドルに上るという事実が何よりも明確にこれを証明しているのであります。このような日米間の現実から、我が党政権下にあっては、最優先課題として対米関係に最大の外交的な配慮を払ってきたところであります。しかしながら、連立政権側は、当初、政権獲得に当たって、外交・安全保障はこれまでの政策を継承すると合意したのにもかかわりませず、我々が当初予想したとおり、その政権の脆弱さを日米関係に端的にあらわすところになったことは、まことに遺憾のきわみであります。
 さて、新政権はこのような日米関係をどのように打開していくおつもりなのか。去る三月二十九日、政府が決定いたしました対外経済改革要綱に対しても、米国政府は新味に乏しいものと冷ややかであったではありませんか。具体的な提示がなされていないということの不満を表明するなど、包括経済協議再開のめどは今も立っていないのが現実ではなかろうかと思うのであります。
 我々は、一日も早い日米関係修復に全力を挙げることこそが今最も求められているものであろうと思うわけであります。それは、マクロ分野での黒字削減を早急に確立し、個別分野での目に見える市場開放を実現するための規制緩和のプログラムを策定しなければなりません。また、対日不信感の解消に努めることなど。ある指摘によれば、我が国は国内総生産の約四〇%に規制がかかっていると言われております。米国のそれは七%にすぎないと言われておるわけであります。我が国への輸出は極めて難しいと指摘されているゆえんでもあろうかと思います。内外価格差においても、三割から六割高と言われるこのような実態が、米国の不満に拍車をかけているということは事実だと私たちは思うわけでございます。
 経済関係の摩擦が政治・安全保障の分野にひびが入らないうちに解決策を提示し、実行することこそが重要であります。総理は、今後、日米包括経済協議をどのように再開してナポリ・サミットまでに解決していこうと思われるのか、御所見をお伺いしたいと思います。
 次に質問を移します。
 農林及びウルグアイ・ラウンド関係について御質問をしたいと思います。
 羽田総理、あなたの行動力と農政に対する深い愛情、私も農政運動をいたしておりました中で、あなたに対する信頼というものは、私だけじゃなくて自由民主党の中にもたくさんおられるはずであります。そのあなたが、昨年七月、細川連立内閣の外務大臣兼副総理に御就任になりました。細川総理を誤りなく指導されるものと我々は思っておりたのですよ。結果は、米のミニマムアクセスという代償を払った上に、米の例外も関税化の枠組みにはめ込まれたことで終止符が打たれたではありませんか。
 羽田総理は、かねてより、食糧問題をガットの場だけではなくて、食糧問題を国際的な機関で取り上げ論議するならば、FAO、国連食糧農業機関のような場で広く人口と食糧問題について取り上げるべきであるという主張をなされておられましたですね。そのとおりであります。
 そういう食糧問題の見方からすれば、ウルグアイ・ラウンドの決着は余りにも商品の貿易ルールに偏ったものと断ぜざるを得ないのであります。さすれば、農産物を一般商品と同じように関税化をしてしまうという手法は、根本的に羽田総理御自身の理念なのか。信条と食い違っておられませんか。この点を改めて特にお伺いいたしたいと思います。(拍手)
 次に、ガット・ウルグアイ・ラウンド一般についての対応についてお伺いしますが、去る四月十五日モロッコのマラケシュで署名された最終合意文書などの五つの文書では、来年一月からガットは世界貿易機関、WTOへと生まれ変わることになっておると聞かされております。かなりの問題が先送りされているように思うわけであります。
 WTO協定は大枠を定めたものであり、各国での批准や法改正の段階で自国に都合のよい解釈をされるおそれがあります。例えば、我が国の米の受け入れに関して言うなら、七年後について関税化は国内的には決まっていないというのが、多くの国は関税化するものだと理解している。スーパー三〇一条のように一方的な措置は禁止されてはいるが、米国は有効だと主張しております。反ダンピング協定も拡大解釈できると言われております。これらの問題点を含めて、WTO体制に政府は今後どのように臨まれていかれようといたしておるのか、お伺いいたしたいわけであります。
 さらに総理に聞いていただきたいのは、ウルグアイ・ラウンド交渉について国会での報告はきょうまで行われておりません。また、所信表明の中にも、さきのマラケシュでのウルグアイ・ラウンドについての調印についても触れられておりません。全く国会軽視と言わざるを得ないのであります。(拍手)総理、その責任をあなたはいかがにおとりになるつもりか、この答弁に私は期待をかけておるものでございます。
 次に、農林漁業についてお伺いいたします。
 我が国農業・農村は、これまでの不況及び昨年の異常な冷害などで、かつてない危機ともいうべき状況に置かれております。加えて、昨年暮れのウルグアイ・ラウンドの農業交渉によるミニマムアクセスの受け入れで、農家の不安は増幅され、稲作農業の前途にも暗い影が立ち始めるようになりました。皆様も御存じのとおりであります。また、世界の食糧事情が人口の増大や予測される地球温暖化の影響で悪化するのではないかと言われていることも事実であります。また、真剣に受けとめなければならない課題であります。一国の食糧政策の推進は、国の政治の礎であります。
 細川総理は、ウルグアイ・ラウンド農業交渉の妥結に際して緊急農業農村対策本部を設置し、みずから率先してその対策のために緊急に全力を尽くすとおっしゃっておられました。これまでの間、何をどれだけやられたのでしょうか。我が党政府が牛肉・かんきつの自由化を決定した際に、自由民主党と政府が一体となって直ちに、そのときの我が党の総合農政調査会長でありました羽田総理がその善後策をつくったではありませんか。したがって、その事情はよく御存じでありますから、明確な答弁をしていただきたいと思うのであります。
 また、都市と比較して著しくおくれている農村、漁村の生活基盤整備と生産基盤整備のピッチを上げることは当然必要であります。羽田総理の御所見をお伺いしたいと思います。
 さらに、米について、時代に合わなくなっている食糧管理制度の抜本的改革が必要と思われるわけであります。加藤農水大臣にその点を、今後どういう手法があるのか、あるいは日程があるのか、お聞かせ願いたいと思うわけでございます。
 最後に、細川前総理の辞任にまつわる佐川疑惑についてお尋ねいたします。
 そもそもこの問題は、昨年の総選挙前に細川前総理が日本新党を結成以来の問題でありました。我が党は、この問題について、衆参両議院を通じ、私も含めて延べ三十八人が追及してまいりました。しかし、追及すれば追及するほど疑惑はますます深まるばかりであります。また、新しい疑惑も次から次へと発見されるのであります。ついに総理を辞任するという事態になりたわけでありますが、しかし、細川前総理の後始末がこのままでよいのかどうか。
 しかも、細川前総理は、辞任となった理由について、新疑惑については、あんな疑惑は目くらましたと語りておられます。一国の最高責任者として本当に反省の気持ちがあったのかどうか、疑わしい限りであります。みずから政治改革の旗手として自任するのであれば、政治倫理綱領に明記されているように、真摯な態度で疑惑を解明することこそが、政治家の、最高責任者としての任務であろうと私は思うのであります。(拍手)
 長引く不況を克服するため、平成六年度の予算成立に向けて全力を挙げて取り組まなければなりません。このような事態、このようになったのもだれの責任でしょうか。全くもって国民不在の政治がまかり通っておったということを私たちは危惧するものであります。
 また新たな疑惑が首相辞任にかかわる理由として、首相が資金運用を任せたと言われる元雑誌発行者は法律違反を否定しております。細川事務所は前首相の清潔性を演出するために犯罪者扱いにしたと怒っているではありませんか。
 疑問の第二は、佐川急便からの一億円の借り入れ問題で、前首相は完全に返済したと言っておられましたが、新たな資料は提出されず、疑惑は晴らせられないままであります。また、この利息分、旧佐川急便各社からの政治資金として処理したことも提出の資料の信頼性を根底から揺るがせるものになっておるわけであり幸す。
 第三の疑惑は、NTT株の購入問題であります。売却代金が細川事務所の口座に振り込まれていること、実質的には前首相の取引であったという疑問は消えないのであります。
 細川前首相は、たびたび、辞任の効果を誇らしげに「国民の政治に対する信頼をいささかでも回復できればと願っている」と言っておられますが、それを言うならば、この問題を国会の場できちんとけじめをつけてからにしてもらいたいものであります。(拍手)我が党は、この問題について、国の最高責任者の疑惑問題として今後とも真相を明らかにしていく考えでおります。参考人等の招致等、国会において厳しく追及していかなければなりません。
 私も、予算委員会で細川総理に対し、私は僧職の出であるからという前ぶれで質問をいたしました。あの答弁は、全くのうそ、でたらめの答弁であった。坊さんにうそをつけば七代たたると言われているわけでありまして、まさにこのことが私は現実となったなと思うわけであります。(拍手)どうぞ、うそのない政治、国会運営、国家国民のための政治を、皆さん、しようではありませんか。それが私たちに課せられた急務である、私はそう思います。
 これをもって私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣羽田孜君登壇〕
○内閣総理大臣(羽田孜君) 萩山議員にお答えをいたします前に、昨日の大原一三議員から御質問のございました、漏れておりますところにつきまして、申し上げたいと思います。
 公共料金の引き上げ額は、社会保障額や地方公共団体分も含めてどの程度になるのかという御指摘があったわけでございます。これを所得減税額と比較して回答しろというお話でありました。
 これは、政府といたしましては、公共料金につきましては、経営の徹底した合理化を前提として、物価及び国民生活に及ぼす影響、これを十分に考慮して厳正に取り扱うことといたしております。その値上げに当たりましては、真にやむを得ないものに限るとともに、その実施時期及び改定幅につきましては極力調整をいたしておるところであります。
 主要な公共料金の引き上げによる平成六年度の負担増額を試算いたしますと、これは郵便料金で二千六百億円、公衆電話料金で六百八十億円、医療費の四月改定分で約二百億円、首都高速道路料金で約二百六十億円、国立学校授業料で二十五億円程度でありまして、‘方、政府といたしましては、昨年九月の円高の差益還元における電気・ガス料金、こういった公共料金を引き下げること、あるいは市外通話料金、これの引き下げといった公共料金の引き下げも行ってきたところであります。
 地方公共団体につきましては、三千三百に近い団体数でございまして、公共料金についてもさまざまなものがあるので、現時点においてその引き上げ額が幾らかということについては把握は難しいというふうに思います。
 なお、家計の社会保障負担増につきましては、年金の保険料は御案内のとおり公共料金には含まれませんけれども、その平成六年度の厚生年金及び国民年金にかかわる負担増は約一兆五千六百億円になります。これは、年金給付の改善や制度の成熟化による給付、この増の約一兆五千六百億円に見合うものでございまして、国民経済全体として見ますと影響はないというふうに考えるところであります。
 いずれにいたしましても、政府といたしましては、二月に五兆四千八百億円の所得減税を含みます総額十五兆円を上回る幅広い施策から成る総合経済対策、これを決定したところでございまして、その着実な実施を図ることなどによりまして、本年度政府経済見通し、これに示されたように、物価の安定を図りながら、我が国経済をできるだけ早い時期に本格的な軌道に乗せていきたいということをお答えをさせていただきます。
 それでは、萩山議員から御指摘のございました新政権の発足時にかかわる問題についての御質問でありますけれども、発足に当たりまして、政権樹立までの間で残念な経緯があり、一部の会派が閣外に去ったことになったことは本当に残念に思っております。その結果として、これまで平成六年度予算の国会審議が進んでいないことなど政治空白を招いておりますことは、私はこれは尋常ならざる事態として謙虚に受けとめておるところでございまして、私といたしましては、国民の皆様に対しましても率直におわびを申し上げたい心境であります。
 みずからの信ずる基本の政策に基づいて連携行動し、国民世論を喚起していくことが大切とのお考えは、これはまさに傾聴に値するものでありまして、私といたしましても、今後とも与野党の御意見に一層謙虚に耳を傾けまして、国民的な合意を追求しながら政治を進めていく、この考えでありますことを申し上げたいと思います。
 政党に法人格を付与すべきではないかという御指摘がありました。
 議会制民主政治の主要な担い手であります政党がその期待される役割を十分に果たしていくためには、何よりもまず政治活動の自由が最大限尊重されなければならないということは申し上げるまでもありません。政党に法人格を与えることとした場合に、財産の帰属関係が明確となるが、また一方、これは政党のあり方に直接かかわる問題であることから、慎重な検討を要する課題じゃなかろうか。これは昔、ともに議論したところでございます。
 いずれにせよ、連立与党と自民党との間で設けられました政治改革協議会におきまして、「政党交付金の交付を受けることができる政党は、法人格を有すべきであるとの自由民主党の意見に留意し、今後連立与党と自由民主党との間において協議を行い、衆議院議員の選挙区を定める法律案の国会提出までに結論を得るものとする。」というふうになっております。そのように私ども報告を受けておりまして、今後十分御協議をいただきたいというふうに考えております。
 また、連座制の対象者の範囲、新たな制裁制度、こういったものについてどうなのかというお話でありますけれども、政治改革の一環といたしまして、このたびの改正におきましては、連座制の強化として、連座対象者の拡大あるいは連座の要件の強化、立候補制限の導入といった措置を講ずることといたしておりまして、腐敗防止に相当な効果を上げ得るものというふうに期待をいたしておるところであります。御指摘の連座対象者のさらなる拡大など腐敗防止策の強化につきましては、今後やはり引き続き検討すべき課題であろうというふうに考えます。
 また、日米関係をどのように打開するかという御指摘でありましたけれども、現在の日米関係は、経済面におきまして日本が一方的に過剰であるということで、御指摘のありましたように六百億に近い黒字を持っておるという不均衡の状態にあるところでございます。
 これを改善するという喫緊の課題を抱えておるわけでありますけれども、安全保障の面ですとか、この面では非常に強固な同盟関係、これを堅持しておるというふうに思っておりますし、また、北朝鮮の核兵器の開発の問題ですとか、あるいはアジア・太平洋地域におきます諸問題、あるいは環境ですとか人口、エイズ、また地球規模の問題、こういった幅広い問題につきましては、さきの細川・クリントン首脳会談におきましても合意を実は見ておるところでございまして、こういったものを着実に進めていくことが大事であろうと思っております。いずれにしても、基本的にはやはり強固なものであるということが言えようと思います。
 ただ、日米間の円滑な協力関係というのは、世界全体の平和ですとかあるいは繁栄にとっても不可欠であるということでありますし、今良好な状態にあるということを申し上げたわけでありますけれども、しかしやはり経済関係というのがうまくいきませんと、これは嫌米感だとかあるいは逆に嫌日感なんというものも今まで生まれた経験を私たちは有するわけでありまして、そういうものが逆に政治的な連帯というものを崩してしまうということもあろうというふうに考えておりまして、先ごろ来、クリントン大統領もあるいはクリストファー長官も、今日の日米関係ほど重要な二国関係はない、世界の中にないということを言われておるわけでありますけれども、私どもはまさにその認識では一致をいたしておるところでございます。
 その意味で、我々はこれからその認識に立ちながら、今後、日米間の意思疎通をこれまで以上に、何というのですか、きずなをしっかりさせると同時に、率直にやはり忌憚のない議論をしていくことが大事であろうというふうに思っております。
 いずれにしましても、国際社会における日米のパートナーシップの重要性を十分踏まえながら、さらに協力関係というものを緊密にしていくことのために努めることをお約束申し上げたいと存じます。
 また、包括協議をどのように再開するのかということでありますけれども、現在冷却期間にあります日米包括協議の個別分野の交渉につきましては、日米双方とも交渉のドアは常にオープンにしておるという立場でございますので、ヤラケシュでもカンターさんとお話ししておりますけれども、いろいろな機会をとらえまして、交渉再開の糸口を模索したいというふうに思います。
 その際、政府としては、やはりこれはみずからの国、自分たちのために規制緩和等をやるんだということ、市場開放ですとかあるいは内需主導型の経済運営というものは、これはやはり国民の生活にもプラスになるんだということ、この認識を持ってこれに対応することが大事であろうというふうに考えておりまして、私どもはこれからも各省を督励しながら、また、それぞれにかかわる皆さん方の理解を得ながら、これらを進めていきたいと思っております。
 それともう一つは、やはり内外価格差、この是正、あるいは市場を開くことによって消費者の選択の幅を広げるということができようかと思っております。そういった点につきましても、さらに我々としては努めていかなければならないであろうというふうに考えるところであります。
 いずれにしましても、私ども、六月の末までに検討の成果というものを取りまとめていきたいということで最大限努力し、ナポリ・サミットの前に一つのめどというものをつけていきたいというふうに考えておるところであります。
 また、農産物を一般商品と同じように関税化してしまうという手法は、私自身の理念、信条と食い違っておるんじゃないのかという御指摘でありました。
 まさに今御指摘がありましたとおり、私も従来からこの問題につきましては、単に貿易あるいは商品として扱うだけではなくて、食糧というものが、人口がこれから増加していく、あるいは開発途上国がだんだんだんだん生活が向上されていくということになると、肉を食べるとかいろいろな問題が起こってくる、そういう中で食糧というものが不足する可能性もあるじゃないかということを主張しながら各国を説得しましたり、あるいはガットの主要国会議の場なんかでも私自身がやはり主張してまいったところであります。
 ただ、結果はもう御案内のとおり、このラウンドに参加している国は、たくさんの実は国があるということで、各国がやはり難しい問題を持ち寄っておるということであります。その意味で、私どもが十分に、これは全部入ったということではありませんけれども、しかし私どもが主張してきたことがやはりある程度確保されておるというふうに考えておりまして、私は、今度の交渉の結果というのは、まさにぎりぎりのものであったということであろうと思っております。
 しかし、ポスト・ウルグアイ・ラウンドという中にありましては、今御案内がありました問題なんかも含めまして、存分にやはり議論していく必要があろう、環境問題なんかも議論していく必要があろうということを申し上げたいと思っております。
 なお、世界貿易機構、WTO、これの設立の問題でありますけれども、物の貿易だけではなくて、今までのガットの体制下では必ずしも十分でなかった貿易ルールでありますけれども、これが農業の問題ですとか、あるいは新たな分野であります知的所有権、サービス貿易分野などを対象といたしておりまして、貿易自由化のための包括的なルールを定めるものであろうというふうに考えております。また、紛争解決手続についても、手続が大幅に強化されておるというふうに認識をいたしております。
 貿易立国である我が国といたしましては、今後設立されますこのWTOのもとで協定の精神が遵守されるように、御指摘があったようにこれが看過されるようなことがあってはならぬ、遵守されるように引き続き多角的自由貿易体制というものを維持し強化する、そのために最大限努力することが必要であろうというふうに思っております。
 また、ウルグアイ・ラウンド、マラケシュの署名について、国会報告の点について御指摘があったわけでありますけれども、このラウンドの交渉と国会との関係につきましては、この交渉の結果作成された、今お話のございましたWTOの締結についてできるだけ早く国会の御承認をいただきたいと考えておりまして、この間の所信表明の演説の中でも言及を実はさせていただいたところであります。他方、この交渉の重要性にもかんがみまして、機会をいただき、国会に御報告しなければならないというふうに考えておりまして、国会軽視というようなことは考えておらないことを申し上げさせていただきたいと思います。
 なお、ウルグアイ・ラウンドに関する国内対策の現在までの進捗状況ということでありますけれども、ラウンドの農業協定の実施に伴います影響を最小限に食いとめるとともに、我が国農業の将来展望を切り開いて、二十一世紀に向けた農業構造の早期実現、これを図ることが我が国農業の発展の上でも何よりもやはり肝要であろうというふうに考えます。
 政府としましては、今回、ウルグアイ・ラウンドの農業協定の実施に伴う国内対策につきまして、昨年暮れに閣議了解された基本方針に沿って設置しました緊急農業農村対策本部、ここにおきまして検討の上、農政審議会における議論も踏まえながら、今後とも、関連の諸制度、諸施策につきまして格段の充実あるいは推進を図って、農業を足腰の強いもの、あるいは農村が本当に環境的にも住みよいものをつくるために努力しなければいけない。そして私どもは、平成五年度の第三次補正予算におきまして、緊急に農業の体質を強化するために、国際化対応緊急農業対策ということで織り込んでおりますと同時に、平成六年度の予算におきましても、新政策の推進に格段の厚みを増すように工夫を凝らしたというところでございます。
 また、農山漁村の整備につきましては、このラウンドの合意の成立等国際化の急速な進展や、生活環境の著しく立ちおくれている農山漁村の厳しい現状に対処して、農林水産業の体質強化と農山漁村の活性化を図るために、生産基盤と生活基盤、これを整備していくことが重要であろうというふうに考えております。
 このような観点から、先ほど申し上げましたように、第三次補正の中では総額で千四百三十八億円、これに及びます対策が織り込まれておることでありますし、また六年度予算におきましては、圃場の大区画化など体質強化のための生産基盤整備ですとか、あるいは集落排水等の生活環境基盤整備を進めるための農林水産公共投資の総額は一兆八千五百五十九億円、これを計上をいたしておるところでありまして、今後とも、第四次の土地改良長期計画等の政策に沿って、農林水産公共投資の着実な推進を図っていくということを申し上げたいと存じます。
 なお、細川総理の問題について御指摘があったわけでありますけれども、これはプライベートな問題でございますけれども、前総理は、真相についてみずから語っていきたいということで、当時の事実関係を調べたり、資料の所在を調べたりいたしまして、相当に御苦労され、可能な限りの答弁をされたものというふうに考えておるところであります。そうした中で、国会の空転の政治的な責任と新たな法的問題についての道義的責任を負うべきであると判断されまして、このたびのような身の処し方をされたということでありまして、これを私どもとしても重く受けとめたいというふうに考えておるところであります。
 以上であります。(拍手)
    〔国務大臣加藤六月君登壇〕
○国務大臣(加藤六月君) 萩山議員の御質問にお答えいたします。
 食管法の改正の方針、日程等についてのお尋ねでございますが、国民の主食である米については、その重要性にかんがみ、食糧管理制度のもとで、年間を通じて安定的に国民に供給しているところでございます。
 この制度は、これまでも米をめぐる情勢の変化に対応しつつ、市場原理、競争条件の導入を図るとの観点から、各般の流通改善や自主流通米価格形成の場の設置等で運営改善を進めてきたところでございます。こうした中で、そのあり方について、昨年のウルグアイ・ラウンド農業合意に伴う国内対策の一環として、現在、農政審議会等において論議、検討が進められているところでございます。
 農林水産省といたしましては、生産者に対する再生産の確保と消費者への安定的な供給を図るという制度の基本的な考え方を堅持しながら、新政策の方向や七月中を目途にまとめられる農政審議会の報告等を踏まえまして、引き続き米の安定的かつ円滑な供給を図るという観点から適切に検討し、少なくともウルグアイ・ラウンド合意の批准に当たっては所要の食管法の改正が行われるよう努力してまいりたいと考えておるところでございます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(土井たか子君) 野坂浩賢さん。
    〔野坂浩賢君登壇〕
○野坂浩賢君 私は、日本社会党・護憲民主連合を代表して、羽田総理の所信表明演説に対して、昨日の村山委員長に引き続いて質問をいたします。
 南京大虐殺や集団的自衛権をめぐる閣僚発言問題や朝鮮民主主義人民共和国の核疑惑問題など、安保・防衛・外交問題については村山委員長が取り上げましたが、重大な問題でありますので、私からも補足をして若干の質問を行いたいと思うのであります。
 永野発言のもたらした影響は極めて甚大であり、重大であります。
 細川前総理が昨年夏の特別国会で、「過去の我が国の侵略行為や植民地支配などが多くの人々に耐えがたい苦しみと悲しみをもたらしたこと」についての反省を率直に表明したことは、連立政権が樹立されたことにより日本も大きく変わっていくものとアジア各国から期待され、歓迎されたのであります。それは、日本とアジアの国民に大きな災いをもたらした過去の侵略戦争を率直に反省しようとしない勢力が残存する日本に対して、アジア各国が持っている根強い警戒心を解き、心から許し合える隣人として友好協力を深める礎を築いたと思うのであります。
 永野発言は、これを全くほごにしてしまったと言っても過言ではありません。アジア各国が、そうか、やっぱりと、今また日本に対する疑惑を深め、警戒心を高めています。発言が撤回されただけでは到底済まない問題ではなかろうかと思います。あなたが永野発言を否定するのであれば、なぜ永野前法務大臣を罷免しなかったのですか。その方が、各国に対し日本政府の意図をより明確に示し得たと私は思うのであります。(拍手)
 あなたは、昨日、永野さんはすぐれた人格、識見の持ち主だと前法務大臣を称賛をし、かばうかのような答弁をされました。そのようなかばい方をすればするほど、日本ではすぐれた人格、識見の持ち主と言われる人までがあのような過去の戦争観、認識を持っておるのかと、近隣諸国の不信を深めてしまう結果になることをなぜあなたは気がつかないのですか。(拍手)
 各国の不信は、総理が所信表明演説の中で細川前総理と同じ言葉を口にし、親書など各国に言いわけをするだけではとても解消できるものではありません。具体的な行動が必要です。
 この際、村山委員長が提案をしたように、戦争責任と謝罪の決議をこの国会で行うだけではなく、アジア各国における日本の侵略行為や植民地支配の事実、そしてアジア各国の意見が適切に日本国民に伝えられるようにすべきであり、その観点から、西欧で取り組まれているような共通の歴史教科書の作成なども検討すべきではないかと思うのであります。従軍慰安婦問題についても、アジア各国の信頼回復の観点から早急に解決を図るべきだと考えますが、総理はいかにお考えか、お伺いしたい。(拍手)
 新聞報道によれば、羽田総理は、国会答弁に備えるため熊谷官房長官と柿澤外務大臣らを呼び、集団的自衛権に関する従来の政府答弁の変更にまでは踏み込まないことを確認したそうであります。また、柿澤外務大臣は、集団的自衛権については、まず羽田政権を順調に船出させるため穏やかに、まろやかに答弁したいと語ったと伝えられております。順調に船出さえしたら豹変することもあるかのような口ぶりであります。
 総理、あなたは、昨日、この問題について、今従来の政府解釈を変更するつもりはないと答弁されましたが、羽田内閣が今後とも従来の政府解釈を堅持していくかどうか、いま一つはっきりしないのであります。
 そこで、お尋ねをしたい。
 羽田総理、あなたの内閣では従来の政府見解を堅持すると約束できますか。これに反する発言をした閣僚が出れば、直ちに罷免をされますか。きっぱりと御答弁をいただきたいと思うのであります。(拍手)
 さて、以下、私は当面する主要な政策課題について質問をいたします。
 昨年十二月のガット・ウルグアイ・ラウンドの合意の受け入れが農業に携わる人々に及ぼす影響を極力少なくするよう国内対策に万全を期すことは、細川連立内閣の公約でありました。この公約がどのように果たされるのか、農業を愛し農業を続けるために日々努力されておる人々や農産物の自給を望む消費者の方々が異常なほど注目をされておるのであります。国政の基本ともいうべき食糧・農業政策は、可能な限りの合意のもとに確立されなければなりません。総理は、ウルグアイ・ラウンド合意後の農業についてどのような対策を講ずるお考えか、具体的にお示しをいただきたいと思うのであります。(拍手)
 この合意により、米については、ミニマムアクセス分として毎年一定量の外国産米が輸入されることになります。この分に相当する減反は、細川総理がその際に、減反は強化をしないと明言されておりますが、減反そのものについて、従来のような一律的なやり方ではなく、選択制の導入など農業者の意向を尊重した制度に改善すべきであると私は思いますが、いかがでありますか。また、他用途利用米は、価格その他全体を見直すべきだと考えております。総理の御答弁をお願いいたします。
 今回の未曾有の不作に伴う米騒動は、要するに従来の備蓄対策が全くの不備であったことに最大の原因があります。国民の皆さんは、主食である米については、やはり国産のものを食べたいという強い希望を持っておられることが判明をした以上、二度と今回のような事態を招かないように、常時二百万トン水準の備蓄を確立すべきであると思うのでありますが、総理の明快な御答弁をお願いを申し上げます。(拍手)
 さて、我が国林業も、長期にわたる外材支配のもとでの木材価格低迷に加え、林業従事者の激減ど高齢化が進み、産業としての存立基盤が危ぶまれておるのであります。ガット・ウルグアイ・ラウンドにおいては林産物関税の引き下げが合意されたことにより、事態は一層深刻になってまいりました。我が国森林の保全と林業の再建のためには、木材生産者への所得補償措置を含めた林業・林産業の基盤整備などの長期計画の策定や林業労働力確保法の制定を図るとともに、九一年の国有林野事業改善大綱についても見直す必要があると思うのでありますが、総理の御見解を伺いたい。(拍手)
 次に、高齢化社会を展望した税制改革問題について伺います。
 我々は、細川前総理の唐突な国民福祉税の提案には断固として反対をいたしました。また、第二次連立政権の樹立に向けた連立与党各派の基本政策協議でも、「初めに間接税の引き上げありき」のような取り扱いを我々は問題視をしたのであります。しかし、税制改革の必要性そのものは十分に認識をしております。また、高齢化社会に向けたシステムづくりに当たっては、税制が中心的な役割を果たさざるを得ないものと我々も考えておりますが、ここで重要な問題は、税制改革の進め方なのであります。
 安定した税制は、国民の理解と納得の上に成り立ちます。税制に対する国民の信頼を回復すること、そのためには、税をめぐる不公平税制の是正、現行消費税の欠陥の是正と歳出構造の洗い直し等により、その環境整備を図ることを抜本税制改革の前提としなければならぬのであります。
 さらに、国民に税負担を求めるのでありますから、その税収が一体どこに使われるのか、どのような福祉社会を目指すのか、いわゆる福祉ビジョンが国民にはっきり示されていなければならぬのであります。そして、国民の理解と納得の上で実施すべきなのであります。我々は、その意味で国民の合意の必要性を主張し続けてまいったのであります。(拍手)
 国民福祉税構想の撤回後、当時の連立与党は、福祉社会に対応する税制改革協議会を発足させましたが、私はその座長でありました。この与党税制協は、開かれた論議を旨とし、国民の意見を聞きながら、与党案を取りまとめることとしておったのであります。
 そこで、総理にお伺いしたい。
 抜本税制改革に当たりては、年内実現を目指すことは私も当然と思うのでありますが、「初めに消費税率引き上げありき」といった態度はとらないことであります。私が申し上げましたように、政府としての福祉ビジョンを明らかにしつつ、国民の理解を十分得るよう努力することを約束できますか。税制改革の具体的な進め方を含めて、総理の見解を示していただきたいと思うのであります。(拍手)
 次に、この問題に関連して、今国会に提出されている年金法改正案について質問いたします。
 二十一世紀に向けて、老後の生活保障の柱として年金制度をより一層充実し、同時に、現役世代と年金受給世代との負担と給付の均衡を配慮して、六十歳支給を六十五歳に引き上げることを主眼にしたこの年金法改正案の成り行きについては、国民が不安な眼を持って注視しているところであります。
 この改正案は、基本的に細川政権時代の連立与党年金プロジェクト案に基づいたものであり、社会党にもその責任の一端があることは十分に認識をしております。しかし、皆さん、改正案が国会に提出される際には、社会党は当時の連立与党政策幹事会において次の三点についてコメントし、いわば意見を留保したのであります。
 その第一は、次期財政再計算が行われる一九九九年までに高齢者雇用の確保に見るべき進展がなかった場合には、二〇〇一年からの支給開始年齢引き上げスケジュールを再検討する必要があることであります。
 第二は、大量の無年金者と低年金者を生みかねない現行の基礎年金を立て直すと同時に、ナショナルミニマムを確立するため、将来的には全額税方式を展望しながら、当面は国庫負担割合を段階的に引き上げるべきだということを考えているということ。
 そして第三は、雇用保険の高年齢雇用継続給付を受け取る人の年金については賃金の一割相当額カットすることとされているが、これについては国民の理解が得られがたく、見直す必要があることであります。
 以上、三点について申し上げました。これらについて羽田内閣の見解をお聞かせ願いたいと思うのであります。
 さて、この際、医療保険制度改正問題についても伺っておきたい。
 今国会に提出された健康保険法等改正案は、付添看護、介護の解消など良質な医療の確保に向けた意欲的な提案が含まれており、我々としては評価すべきものと考えております。
 しかし、入院時の給食費について八百円の定額自己負担を導入することについては、我々は当時の連立与党政策幹事会においても、低所得者や、あるいは入院患者とはある意味医療の一端であるという意味を考え、低所得者や高齢者などに配慮すべきである旨を主張し、厚生省も我々の主張を了承した経緯があります。羽田内閣としても、健康保険法等改正案の審議に当たってはこうした経過を十分踏まえて対処されるものと我々は受けとめておりますが、総理はいかがお考えでありましょうか、お尋ねをしたいのであります。(発言する者あり)黙って聞け。
 次に、情報公開法制定の取り組みについて伺います。
 情報公開制度の整備については、一九八〇年の閣議決定以降、臨調答申や行革大綱などに再三にわたって取り上げられてきた行政改革の重要テーマであります。しかしながら、この十数年間、歴代自民党政府は情報公開法制定に背を向けてまいりました。細川連立政権の誕生後は、総務庁に行政情報公開制度研究室を設け、新たに設置する予定の行政改革委員会における審議の方向を打ち出すなど、我が党が強く要望した法制化の方針に従って体制の整備が進められてきたことは、総理も御案内のとおりであります。
 私は、細川政権の改革の継承を旗印とする羽田内閣としては、行政改革、民主主義発展の試金石として、情報公開の意義を踏まえ、プライバシーの保護に配慮しつつ、早急な法制定の実現を図るべきだと考えるのでありますが、総理の決意及び法案提出のめどについて明確な御答弁をいただきたい。(拍手)
 次に、地方分権の推進についてであります。
 これまで繰り返し地方分権の推進が叫ばれながらも実際には地方分権がなかなか進まないのは、各省庁が消極的であるからだと思うのであります。地方行政は、長く続いた縦割り行政にならされ、行政能力に欠けると言われる部分があることも否定できません。しかし、中央官僚におんぶにだっこのような状態を続けていたのでは、いつまでたっても地方の行政能力は高まっていきません。やはりどこかで決断の必要があります。
 その意味で、パイロット自治体制度は、その地方の行政能力を培う機会でもあります。ところが、このパイロット自治体に適用される特例制度においても各省庁が一々チェックを行い、行政権限の移譲は認められず、行政手続が若干省略されたにすぎないことになっております。
 したがって、総理、昨年十月の行革審答申も指摘しておるように、内閣総理大臣のリーダーシップが極めて重要になってまいります。あなたは今その自信と確信がありますか。いかがですか。その点を明確にしていただきたいと思うのであります。
 地方分権の推進は、結局のところ霞が関主導ではできないというのが前政権下における与党の理解ではなかったでしょうか。そこで、議員立法を目指すプロジェクトが与党幹事会のもとに設置されたのでありました。新党さきがけと社会党が与党を離れて、このプロジェクトがどうなっているのかわかりませんが、地方分権の推進の必要性と、霞が関主導では地方分権は実現できないという認識において、与野党が一致できると考えるのであります。その意味で、従来の経過を踏まえつつ、与野党の垣根を取り払って、改めて地方分権基本法策定のための協議機関を設けることは意義あることと思うのでありますが、この点に関する羽田総理の御見解を伺いたいのであります。(拍手)
 最後に、総理、社会党の連立政権離脱についてのあなたの見解と、社会党の指名投票に対するあなたの受けとめ方についてお尋ねをしたい。
 我々は、細川前総理の退陣表明を受けて、第二次連立内閣の樹立にお互いに努力しました。そして四月二十二日には、昨年七月二十九日の七党一会派による合意及び覚書を継承しつつ、新たに九項目にわたる合意確認をいたしました。我々は、これを前提として、あなたを次期首班候補に推薦し、首班指名投票に臨んだのであります。しかしながら、その直後に、全くやみ討ち的に新会派改新が結成され、政権の枠組みを改編するという連立政権の信義と信頼の基礎を揺るがし突き崩す行為があったために、我々は政権からの離脱を決意せざるを得なかったのであります。
 しかし、我々があなたに投票したことによってあなたが首班指名を受けたという事実は、厳然として現在も残っておるのであります。この事実をあなたは一体どう受けとめておるのか、あなたの心境が聞きたい。
 我々は、細川前内閣の一員として、本年度の予算や関連法案の成立に協力することは当然考えております。国民が今切実に政治に求めているのは景気対策でありますが、予算の早期成立こそ最大の景気対策なのであります。
 我々はさらに、羽田政権が今後の施政において、昨年の連立政権合意や覚書そして今回の基本政策合意を尊重し国民の期待にこたえる限りには、支持するでありましょう。しかしながら、あなたの内閣による施政が細川政権の目指したものや基本政策の合意から外れ、国民の期待に背くようなことがあれば、我々としても重大な決意をせざるを得ません。
 そのような立場で、我々は国民の立場に立って、あなたの施政の展開を我々は国民とともに注目していくことを申し添えて、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣羽田孜君登壇〕
○内閣総理大臣(羽田孜君) まず、法相の発言が諸外国に痛みと憤りを改めて引き起こしたことにつきましては、まことに遺憾と申し上げざるを得ません。永野氏には直ちに厳重に注意をしたところであります。永野氏も深くこれを反省いたしまして、全面撤回をされました。そして、さらに辞意を表明されたものでございまして、私としても、この問題に対して直ちに対応しようということで、受理をさせていただいたところであります。
 戦争責任と謝罪の決議について今国会でというお話がありました。
 私も、実は院にありましたときにこのことを主張しておった人間でありまして、今お話がありましたことについて、理解でき、評価できると思っております。国会決議を行うか否かにつきましては、これは専ら国会で御論議をいただくべき筋合いのものでございまして、私が今ここで意見を差し挟むものではないだろうというふうに思います。
 また、アジア各国共通の教科書の作成ということのお話がありました。
 教科書における日本とアジア諸国との間の近代史の取り扱いにつきましては、五十七年の教科書問題以降、検定基準の改訂を行いまして、国際的な理解と国際協調の見地に立って必要な配慮がなされておるところであろうというふうに理解しております。歴史教科書の作成につきまして、アジア諸国のそれぞれの国により異なる制度がとられておりますところから、今直ちにということは、共通のものにするということは困難であろうということを申し上げざるを得ないわけであります。
 なお、従軍慰安婦問題についてのお話でありますけれども、この従軍慰安婦問題を含めまして、さきの大戦にかかわる賠償あるいは財産、請求権の問題につきましては、繰り返し申し上げてまいりましたけれども、サンフランシスコ平和条約、二国間の平和条約及びその他の関連する条約などに従いまして、誠実にこれは対応してまいったところであります。
 他方、従軍慰安婦の問題につきましては、このような我が国の立場は堅持しつつ、問題の性格等にかんがみまして、我が国としておわびと反省の気持ちをどのようにあらわすことができるのか、これをできるだけ早い時期に結論を出していかねばならないというふうに考えております。
 また、集団的自衛権について、従来の政府解釈、これを堅持すると約束できるのかという御指摘でありました。
 国際法上、国家は、集団的自衛権、すなわち、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利を有しているものとされております。我が国が、国際法上このような集団的自衛権を有していることは、主権国家である以上、当然でございますけれども、憲法第九条のもとにおきまして許容される自衛権の行使は、我が国を防衛するため必要最小限度の範囲にとどまるべきものであると解しておりまして、集団的自衛権を行使するとすることはその範囲を超えるものであって、憲法上許されないというふうに私も考えております。
 集団的自衛権の問題につきましては、政府は従来から一貫して以上のような解釈をしておりまして、この解釈を今後とも堅持していくことを申し上げたいと存じます。
 政府解釈に反する発言をした閣僚が出れば直ちに罷免するのかということでありますけれども、集団的自衛権の問題については、政府としても今申し上げたように一貫しております。ただいま申し上げたように解釈をしてきておりまして、現内閣を構成する閣僚もこうした認識で一致しておるというふうに申し上げたいと存じます。
 国内農業の対策のいかんということでありますけれども、ウルグアイ・ラウンドの農業協定の実施に伴う影響を最小限に食いとめるとともに、我が国農業の将来展望を切り開きまして、二十一世紀に向けた農業構造の早期実現を図ることは、我が国農業の発展の上で何よりも肝要と考えております。
 政府といたしましては、今回のウルグアイ・ラウンドの農業協定の実施に伴う国内対策につきましては、昨年暮れに閣議了解された基本方針に沿って設置いたしました緊急農業農村対策本部におきまして検討の上、農政審議会における議論なども踏まえながら、今後とも、関連諸制度あるいは諸施策につきまして格段の充実、推進を図ることといたしまして、私どもとしても万全を期していく決意でございます。
 これまでも、平成五年度の第三次補正について、緊急に農業の体質強化を進めるため、国際化対応緊急農業対策を盛り込むとともに、平成六年度予算でも、新政策の推進に格段の厚みを増すよう工夫を凝らしてまいったところでございまして、先ほど御懸念のありました問題は、私自身もみずからのものとしてこれに対応していきたいということを申し上げたいと存じます。
 なお、減反制度についてでありますけれども、平成六年度及び七年度におきます転作などの目標面積、これを七万六千ヘクタール緩和をいたしました。その対策の実施に当たりましては、地域や農業者の作付の拡大意向を基本として進めておるところであります。
 将来の米の生産調整につきましては、新政策におきまして、市場で形成される価格指標ですとかあるいはコスト条件などを考慮いたしまして、経営体の主体的判断によって行い得るような仕組みとする方向に向けて逐次条件の整備を進めることの必要が示されているところでございまして、農政審議会等の場における論議も踏まえながら、私どもとしても検討をしていきたいというふうに考えます。
 なお、他用途利用米制度の見直しについての御指摘でありますけれども、ウルグアイ・ラウンド交渉の結果を国内的に実施するに際しまして、ミニマムアクセス分の輸入米などをどのような用途に振り向けるかということと密接に関連するものでありまして、今後における新たな米管理システム、これを検討していく中で、私どもとしても今の問題について対応していきたいと思っております。
 なお、平成六年度の他用途利用米は、従来どおり転作作物として位置づけまして、可能な地域で取り組むことといたしております。この場合、価格条件及び数量につきましては、生産者側と実需者の側で双方納得のいくよう十分協議を行っていただきまして、その合意に基づき実施することとしているところでございまして、現在その協議が進められておるところでございます。
 なお、常時二百万トン水準の米の備蓄の確立ということが言われておるわけでありますけれども、野坂議員は私とともに農水の委員会等に所属されまして、一緒にこの備蓄問題を議論したことがありましたけれども、ことしのような不作というのはまさに百年以上この方なかったと言われるような状態であり、かつての備蓄しておりました時代には、少し余計とりますとそれが直ちに実は積み増されていってしまう。というのは、我が国の食生活はどうしても新米志向といいますか、新しい米というのを食べるということで、古いものはどんどんどんどん積み重ねられて古々米になつてしまったという経験、そういう中で実はこれの余剰処理のために大変なお金を使ったという経験があるわけでございまして、こういったものにやはり留意していかなければならないというふうに思っております。
 いずれにいたしましても、在庫保有のあり方につきましては、食糧管理制度の役割を十分に果たし得るよう検討していく必要があると考えておりますけれども、当面、安定的な米の供給を確保するために水田営農活性化対策の見直しを行いまして、平成八年度をめどといたしまして、転作目標面積を七万六千ヘクタール緩和、そして在庫数量というのは百三十万トンぐらいを見込んでおるということをこの段階で申し上げられると思います。
 さらに、今後、ウルグアイ・ラウンドの農業合意を踏まえまして、安定的な国内生産が可能となり、国民への安定供給を確保できるよう、中期的な観点に立ちまして、備蓄を含む新たな米管理システム、こういった問題について国会でも御論議をいただくと同時に、私どももそういったものを踏まえながら検討してまいりたいというふうに存じております。
 また、森林保全と林業の再建、あるいは国有林野事業の改善大綱等についての御指摘があったわけでありますけれども、森林は緑と水の源泉でありまして、森林の保全及び林業の振興を図ることは国家としてもやはり重要な課題であろうというふうに考えております。
 このため、民有林、国有林を通じたいわゆる流域管理のシステムの考え方を基本といたしまして、森林整備事業計画あるいは治山事業の五カ年計画に基づきまして、造林・林道等の計画的な推進によって、林業基盤整備及び森林の保全に努めてきたところでございます。
 また、林業労働力対策につきましては、林業事業体の体質強化、あるいは高性能機械の導入など、林業の担い手の育成強化のため、それぞれの各般の施策というものを今日までもとってきておるところであります。
 今後ともこれらの施策というものを適切に実施していく必要があろうと考えておりますし、また、国有林野の事業につきましては、平成二年の十二月の閣議了解の経営改善大綱に基づきまして策定した経営改善計画に即しまして、自主的な改善努力というものを尽くすとともに、やはり所要の財源措置というものを講じてきておりますけれども、今後とも、経営の健全性というものを確立して、重要な森林の果たす役割あるいは国有林の果たす役割というもの、こういったものが適切に進められるように、現下の、現在行われているところの計画のもとで経営改善をさらに進めていきたいということについて、ぜひとも御理解を賜りたいと存じます。
 なお、税制改革についてでありますけれども、活力のある豊かな高齢化社会を実現するためには、社会を支える勤労者に過度の負担がかからないよう個人の所得課税の軽減と消費課税の充実を柱として、社会の構成員が広く負担を分かち合い、福祉政策などの積極的な展開にも適切に対応し得るバランスのとれた安定的な税体系をつくることが必要であろうというふうに思っております。
 年内に実現を目指す税制改革は、このような考え方のもとに進めるつもりでありまして、御指摘のとおり、「初めに消費税の引き上げありき」という態度はとってはならぬということは私どももよく理解をしておりまして、やはり国民の合意を得るための努力というものをしなければならないというふうに考えております。
 また、これを進めるに当たりまして、福祉社会のビジョンにつきましては、先般、厚生省の高齢社会福祉ビジョン懇談会、こちらが「二十一世紀福祉ビジョン」を取りまとめ、二十一世紀の、少ない子供、最近は少子と言われておりますけれども、少子・高齢社会における社会保障全体像とそ
の主要施策の進むべき方向性について、またその負担のあり方も含めまして、具体的、定量的にお示しいただいておるところでありまして、税制調査会や連立与党の税制改革協議会におきまして、この福祉ビジョンを踏まえて、高齢化社会の国民負担や税制のあり方などについて議論を進めていただいておるというふうに承知をいたしております。
 我々といたしましても、税制改革の具体案づくりに向けまして、国民の皆様の御意見にも十分耳を傾けまして、また、税制調査会で審議を進めていただきながら、先般の各党間における確認事項に沿って、与党の協議会におきましても引き続き協議を進めていただくとともに、これまで税制改革の実現に向けてともに協議を進めていただきました社会党やさきがけの皆様にもぜひともさらなる御検討をいただきたいと思いますし、また、各党・会派の皆様方の御協力もいただきたいというふうに考えます。そして、私どもは六月中には成案を得まして、ぜひとも年内の税制改革に役立てていきたいというふうに考えております。
 高齢者の雇用の問題でありますけれども、年金制度につきましては、本年が五年に一度の制度の見直しの年に当たることから、二十一世紀の高齢社会におきましても長期的な安定が図られるよう制度全般にわたる総合的な措置を講ずることといたしまして、今国会に改正法案を提出させていただいておるところでございます。
 一方、雇用につきましては、二十一世紀の活力ある長寿社会に向けて、高齢者が少なくとも六十五歳まで現役として働くことができる社会、これの実現を目指しまして、高齢者の雇用安定法などの改正を初めとする高齢者の雇用対策を拡充していくことが大事であろうというふうに考えて、これを進めたいと思っております。
 こうした中で、厚生年金の支給開始年齢につきましては、六十歳代前半における雇用と年金の連携、これを図ることといたしまして、六十歳代前半期は雇用と年金を組み合わせて生活を支える期間とし、六十歳から六十四歳までの間は部分年金的な年金を支給することとしております。また、その切りかえにつきましては、やはり十分な準備期間を置きまして、二〇〇一年から二〇一三年にかけて段階的に実施していこうとしているところであることをさらに御理解をいただきたいと思っております。
 今後、人口の急速な高齢化の進行する中で、将来の現役世代の負担を過重なものにしないためには、今回の年金制度改正はどうしても必要なものでございまして、計画どおりの実施が不可欠であるというふうに認識しておりますことを申し上げさせていただきます。
 また、基礎年金の国庫負担割合を段階的に引き上げることを提言するというお話でありましたけれども、年金の国庫負担は、全国民共通の給付である基礎年金の三分の一となっております。今後の年金給付費の急激な増大に伴いまして、国庫負担額は現行制度のままでも急増していくことが見込まれており、国庫負担率を上げることとすればさらに巨額な財源が必要となりますけれども、そのような財源をどう確保していくかが重要なやはり課題であろうというふうに考えておるところであります。
 さらに、基礎年金を全額税金で賄うことについては、財源の問題のほかに、保険料の拠出に見合った給付を行う社会保険方式の方が我が国に定着しておりまして、かつ、より公平な仕組みではないかというふうに考えております。また、その使途につきまして他の政策と競合を生ずるとともに、税収は景気の変動に左右されやすいなど、長期的な安定性に欠けるのではないかなどというふうに考えまして、やはりこれは慎重な検討を要する問題が多々あるのではなかろうかというふうに問題意識を持っておることを率直に申し上げさせていただきます。
 雇用保険の問題でありますけれども、六十歳代の前半につきましては、現行年金制度では賃金収入のある方は年金額がカットされる仕組みになっております。現在の方法は高齢者の働く意欲を阻害するとの指摘があり、今回の制度改正におきまして、高齢者の雇用の促進を図る、この考え方から、このカットの仕組みを賃金の増加に応じ賃金と年金の合計額がふえるように改めることとしておることを申し上げます。
 今回、雇用保険制度で創設される高年齢雇用継続給付は、これは公的な現金給付でございまして、賃金額に応じてその二五%を支給する給付であることから、賃金との調整に準じまして年金額の一定の調整を行うこととしたものでございまして、適切な措置であるというふうに考えておることを御理解いただきたいと存じます。
 なお、医療保険における給食費の自己負担でございますけれども、今般の医療保険制度の改革は、今後とも国民が安心して医療を受けられるようにするとともに、サービスの質の向上という新たな課題にこたえるためのものでありまして、いわゆる付添看護に伴います患者負担の解消あるいは在宅医療の推進をすること、そして入院時の食事につきましても保険給付の見直しを柱として実施するものということでありまして、このうちで入院時の食事の見直しにつきましては、入院患者と在宅の患者の間のいわゆる負担の公平を図るために、入院時の食費について定額、これは平均的な家計における食費を勘案して額を設定しておりますけれども、定額の自己負担を導入することといたしておりますけれども、これは負担能力の低い方々への十分な配慮は必要不可欠のことと考えておりまして、負担額の軽減措置、これもたしか、八百円、六百六十円、三百円というふうに三段階に分けまして軽減措置を講じておるところでございます。
 これらの改革は、二十一世紀の本格的な高齢社会を控えまして、医療保険制度の中長期的な安定を図りつつ医療サービスの一層の改善を目指すものであり、不可欠のものというふうに考えておることを申し上げさせていただきます。
 なお、情報公開制度の制定についてでありますけれども、中期行政改革大綱におきまして、新たに設置します行政改革委員会におきまして調査審議を行うこととしておりまして、行政改革委員会設置法案を今国会に提出しておるところでございますことはもう御案内のとおりであります。行政改革委員会設置法が御審議の上で成立しまして、同委員会が設置いたされますならば、できるだけ早く制度化を目指しまして本格的な調査審議が開始されることを私どもは期待をいたしております。
 本制度は、我が国におきまして前例のない制度でありまして、同委員会における検討の結果を踏まえて必要な法制化を図るべきものでありますけれども、国民の期待にこたえまして、できる限り早い時期に結論を得て立法化を進めるよう努めていきたいというふうに思っております。この点につきましては、社会党、特に野坂委員から御指摘があったわけでありまして、私どもは今後とも御協力をお願いしたいと存じております。
 地方分権の基本法の制定でありますけれども、私は、地方分権は、改革の、時代の大きな流れであるとともに、国土の均衡を図り、地域の特色ですとかあるいは自主性、自律性、こういったものが反映される活力に満ちた地域づくり、これを展開していくためにもどうしても重要なものであるというふうに認識をいたしております。
 基本法策定のための協議機関の設置につきましても、こうした地方分権を積極的に推進するための一つの方策としての提言であるというふうに受けとめております。今後、国会の特別委員会や御指摘のような協議機関など、どの場で検討を進めていくことが現実的か、実際にどのようなものであるのかということについては、慎重に考えさせていただきたいと思っております。
 いずれにいたしましても、地方分権の推進は今や国民的な課題の一つでありまして、これを時代の要請に適合したものにするために勇断を持って取り組んでまいりたいと思っております。
 また、社会党の連立政権の離脱についての見解はどうなのか、あるいは社会党が指名してくださったことについての考え方、受けとめ方ということを問われたわけでございます。
 三十八年間にわたる自民党の単独政権にかわって誕生した細川連立政権において、社会党とともに我が国の政治あるいは行政、経済社会の改革に取り組んできたこの八カ月間の経験というものは、我が国の政治の新しい歴史を開くものであり、また、私どもの新しい国の政治の方向、こういったものを方向づけたというふうに私は確信をいたしております。
 今の御答弁を申し上げました情報公開等の問題につきましても、やはり皆様からも特に御指摘をいただいたことでありまして、こういった問題に対して、私たちがこれを率直に認めながら進めようとしてきたこと、こういった問題は、私は大きな前進であろうかと思っております。
 お互いに責任ある政権政党として、存分に政策論議を尽くしながら、相違を乗り越えて改革の実施に社会党とともに取り組んできたという実績は貴重なものでありまして、これは私は、この八カ月間というものを、どこでも申し上げておりますことでありますけれども、誇りにいたしておるということを改めて申し上げたいと存じます。(拍手)
 また、社会党が私の首班指名を御支持いただいたことにつきましては、私は、この八カ月間に相互に互いが培ってきた信頼のあらわれであろうというふうに考えまして、大変光栄に思うとともに、その職責の重さというものを十分認識をいたしておるところでございます。その社会党が政権から離脱された経緯につきましては、まことに残念、遺憾と言うほかございません。
 新政権は少数与党政権として発足することになりましたけれども、私といたしましては、今後とも、社会党も含めた旧連立与党の政策合意というものを初めとする連立の枠組み、これを極力維持することは極めて重要であろうというふうに考えておるところであります。このため、私は、今後とも社会党とも率直に御相談しながら政策運営に取り組む考え方でありまして、改革の推進という歴史的な使命の遂行に社会党からも御協力いただけるものと信じておるところであります。(拍手)
 その意味で、ただいま野坂議員の方から、我々はさらに羽田政権が今後の施策において昨年の連立政権合意や覚書そして今回の九項目の基本政策合意を尊重し、国民の期待にこたえる限り支持するというお話があったことは、大いに私どもは大事なお言葉として、謙虚に今のお言葉を受けとめながら、誠実に政治遂行に向かって私どもも進めてまいりたい、かように考えておりますことを申し上げて、答弁とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(土井たか子君) 武村正義さん。
    〔議長退席、副議長着席〕
    〔武村正義君登壇〕
○武村正義君 私は、新党さきがけ・青雲を代表し、新しく就任された羽田内閣総理大臣に対しまして、二、三の基本的な問題についてお尋ねをいたします。
 まず、このたび、大変厳しい政治情勢の中で困難な旅立ちをされた羽田総理を初め新しい閣僚の皆様には、どうぞ改革の旗をしっかり継承をして、精いっぱい頑張っていただきたいと思います。(拍手)
 我々は、これまで一貫して政治改革を進める立場に立ってまいりました。政治改革関連法の仕上げと新制度の円滑な実施、さらには政治改革の一層の前進のために、引き続き努力をしていく覚悟でございます。また、細川内閣をともに支えてきた立場から、平成六年度予算案はもちろん、関連法案や関連条約にも、閣外からではありますが、その早期成立のために全力を挙げて協力をしてまいります。(拍手)そして、これから羽田内閣が打ち出される新しい政策については、一つ一つの課題を真剣に検討しながら、その賛否を明らかにしていきたいと存じます。
 さて、もうたびたび繰り返されたことでありますが、細川内閣を継承するとして発足した羽田内閣でありますが、スタート直後から、過去の戦争を正当化するような前法務大臣の発言や集団自衛権に踏み込むような柿澤外務大臣の発言などが相次ぎ、前内閣とはかなり異質なものを感じ、率直に言って戸惑っております。細川内閣では、過去の戦争責任を率直に反省し、その上に立って、国際平和とアジアの繁栄に積極的に貢献しようと、新しい一ページを開いたばかりでありました。そのやさきのあのような発言は、歴史認識として間違っているだけでなく、我が国の誠実なこれまでの国際貢献活動までもが素直には受け取られないおそれもあります。発言の取り消しと大臣の更迭という処置だけでは消し去ることができないマイナスを日本外交に残したのではないかと危惧をするものであります。任命権者としての総理の見解をまず伺います。(拍手)
 次に、柿澤外務大臣が発言をされた、いわゆる集団自衛権をめぐる問題であります。
 従来の政府見解では、一貫して集団的自衛権の行使は憲法上許されないという立場がとられてまいりました。しかし、今回の柿澤発言などは、かねてからの個人として発表された持論をにじませてしまったいわば本音の発言であり、素顔が見えてしまったと考えます。その後、公式には修正をされましたが、いずれにしても憲法解釈の重大な変更を意図したように思えます。
 羽田内閣では、本気で集団的自衛権の憲法解釈の見直しを行おうとされたのではないか。見直しを行うつもりがないと昨日も否定されておりますが、閣僚のこのような素顔の発言が内外に与えた好ましからぬ影響について総理はどうお考えなのか、伺います。
 また、総理が署名された連立与党の政策合意に盛り込まれた普遍的安全保障という概念は、一体どういう意味なのか。これまで使われてきた集団的安全保障や国際的安全保障という言葉とどう違うのか。さらには、こうした考え方と憲法の関係をどう理解をされているのか、お尋ねをいたします。
 さて、羽田総理は、就任後、ヨーロッパ諸国を歴訪され、精力的に外交を展開されてこられましたが、その足取りを見ると、やや心配な点があります。
 新聞報道等によりますと、フランスのバラデュール首相との会談では、「国連は改革が必要で、常任理事国の数をふやす必要がある。日本は政治、経済などすべての分野で常任理事国にふさわしい役割を果たしている。我が国が常任理事国になれば、なし得る限りの責任を果たす考えだ」と述べられたようであります。国連常任理事国入りに強い意欲を表明したとテレビ、新聞は伝えました。ドイツのキンケル外相との会談でも、ドイツと共同歩調をとって常任理事国入りを目指す考えを強調したと伝えられております。こうした一連の報道を見ると、今度のヨーロッパ訪問は、国連常任理事国入りのための根回しの一環のような感じもするわけであります。
 細川前内閣においては、国連における演説で、「改革された国連において、なし得る限りの責任を果たす用意がある」と表明をされました。今回の訪欧では、羽田総理は、いずれも「常任理事国として」という言葉を使って一歩踏み込んだ表現をされております。
 御承知のように、アメリカの上院では、新たに常任理事国になる国には軍事面も含め従来の常任理事国と同じ役割を求めるべきとの決議がなされております。過般、総理が会われたフランスのジュペ外相も、「常任理事国となることは、権利のみならず義務を伴う」と述べておりますし、また「立候補をする国は、それを可能にさせる憲法改正を行う義務が生じるであろう」というふうにも述べております。いずれにしましても、常任理事国入りについては大きな義務と責任が生じることを我々は認識をしなければなりません。
 我が国憲法と常任理事国として果たし得る役割との関係について十分検討された上での発言なのか甚だ疑問でありますし、また、何よりも、こうした重大な態度表明に当たっては、国民的な議論が十分に行われているとは思えないのであります。常任理事国入りの問題は、国民投票が必要とされるほどの、この国の運命にかかわる重大な問題であります。国民的合意ができる前に、外交の場において積極的な意思表示を次々と積み重ねていかれるのはいかがなものかと心配をするわけであります。
 常任理事国になるべきだと言うのなら、なぜなるべきなのか、なって何をしようとするのかを明らかにしなければいけません。そうでなければ、拠出金が多いからという理由だけで、いたずらに地位や権力を求める国という印象を与えかねません。
 さらに、国連における常任理事国制度を羽田総理は歴史的にはどのように評価をしておられるのか。拒否権は今のままでいいのか、日本が加わることにより常任理事国制度をどう変えていこうと考えるのか、この辺もぜひ伺いたいと思います。(拍手)
 仮に常任理事国入りをしたとして、その義務と負担に日本は今後たえることができるのか。とりわけ、現在の日本国憲法の制約の中で、果たすことのできる義務と負担はどのようなものなのか、果たすことができないことは一体何なのか。さらに、日本だけが一部の義務を果たさないことが国際的に許されるのかどうか、その点もお聞かせをいただきたいと思います。
 我々は、国連常任理事国入りが絶対にいけないと申し上げているわけではありません。しかし、いたずらに常任理事国になりたがっている印象を与えると、日本が大国志向の外交を展開していると受け取られるのを懸念をするわけであります。せっかくのODAやPKOまでも、その他のあらゆる外交活動までもが、そのための選挙運動のような印象を与えかねません。
 日本は、今まで国民的な協力のもとに、経済協力を初めさまざまな努力によって国際的な影響力と信用を蓄積をしてまいりました。それを常任理事国入りのために使い尽くしてしまうことは、日本のためにも世界のためにも賢明なことではありません。この影響力を、国連が冷戦後の新しい時代に対応できるように、国連改革のために使っていくことが肝心であると信じます。(拍手)政府は、現在の国連がこのままでよいと思っているのか、改革すべきところはどこにあると考えておられるのか、お伺いをいたします。(拍手)
 さて、今国会に六兆円の減税先行の予算が提案され、税制改革は待ったなしの状況に立っております。
 総理は、所信表明演説の中で、六月末までに抜本的な税制改革の成案を得たいと述べられ、あわせて「簡素で賢明」な政府をつくることを目標に掲げ、行政改革の重要性も強調されました。我々も、税制改革の必要性は強く感じており、年内の実現に全面的な協力を惜しまないつもりであります。しかし、そのためには、国民福祉税の轍を踏まないよう、新しく税を求める前に、今の税の集め方に問題はないのか、今の税の使われ方に問題はないのかということについて国民の理解を得ることが欠かせません。このため、まず国民の納得できる行財政の思い切った改革の道筋を示すべきであります。まさに「行政改革なくして税制改革なし」ということを強く訴えたいと思います。(拍手)
 アメリカでは、ゴア副大統領の提唱で、連邦政府の職員を今後五年間に一二%、約二十七万人削減するという内容の連邦人員再構築法が成立をし、過去最大規模の行革を断行しております。我が国でも、国民が納得できる具体的な行政改革の先行が税制改革成功のために不可欠であると私は考えます。その立場から、二、三質問をさせていただきます。
 まず、平成六年度予算案では、九十二ある政府系特殊法人に対して年間四兆円余の出資金と補助金が支出されております。事業法人の民営化を含む思い切った特殊法人の整理合理化を年内に断行することによって、来年度の予算編成では、これを相当程度削減できるのではないかというふうに考えます。特殊法人の整理合理化について、総理は、既にこの所信表明演説の中で、政治家として勇断を持って取り組むと述べられました。総理みずから各省庁に対して削減の具体的な目標を示すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 また、所信表明でも強調されている縦割り行政の弊害除去のためには、まず国益より省益とさえ言われる国家公務員の意識改革が重要であります。そのためには、国家公務員制度の見直しが必要であります。国家行政組織法、国家公務員法、そして内閣法を改正し、少なくともT種国家公務員は、平成八年度までに省庁別採用をやめて、内閣による一括採用とすることが望ましいと考えますが、いかがでしょうか。(拍手)
 政府は、行政改革委員会設置法案をこの国会に提出をいたしております。行政の改革については、行政に絶えず国民の視線が注がれ、国民が行政を監視することが必要であります。しかし、現在政府から提案されているこの法案では、行政監視機関としての性格がまだまだあいまいであり、その意味では国民の期待に十分こたえられないのではないかと危惧をいたします。我が党は、法案審議の過程で具体的な問題点を指摘していきたいと思いますが、この法案についても総理の所見を伺います。
 二十一世紀を間近に控え、我が国が多様で豊かな社会を形成していくためには、地方の活力を生かし、国民の参加を求める地方分権確立への道筋が早急に明確にされなければなりません。機関委任事務の原則廃止を含む地方分権基本法の制定が必要であると考えますが、総理が地方分権の確立に取り組まれる手順をどのように考えておられるのか、お伺いします。
 また、こうした行政の抜本改革を進めるには、これまでの私自身の経験と反省を踏まえましても、行政側の自己防衛本能が働きます。あれこれのさまざまな抵抗と、内容を骨抜きにしようとする動きが必ず目立ってまいります。総理自身も、所信表明演説の中で「改革をなし遂げるためには大きな痛みと困難を乗り越える勇気が必要」と強調されました。政治の長として、こうした行政の足元の抵抗と対決してでも、ひるまずに蛮勇を振るって改革を推進されようとしているのか、その御決意を伺って、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣羽田孜君登壇〕
○内閣総理大臣(羽田孜君) お答え申し上げます。
 まず、永野発言の問題でありますけれども、先般の永野発言が撤回され、また閣僚が辞任したとはいいましても、近隣諸国の方々の悲しみと憤りというものを改めて起こしてしまったことは、まことに残念であるというふうに考えております。このようなことが二度と起こらないよう私どもも十分注意をしていかなければならないということ、これを申し上げる以外に言葉がございません。私ども、その点は徹底して注意をしてまいることを申し上げたいと思います。
 また、外務大臣の発言あるいは集団的自衛権の憲法解釈の見直し、これについての御指摘でありますけれども、国際法上は、国家は、集団的自衛権、すなわち、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利を有するものということについては、もう御案内のとおりであります。我が国が、国際法上このような集団的自衛権を有しておることは、主権国家である以上、当然でございますけれども、憲法第九条において許容される自衛権の行使は、我が国を防衛するため必要最小限度の範囲にとどめるべきものであると解しておりまして、集団的自衛権を行使することはその範囲を超えるものであって、憲法上許されるものであるというふうには考えておりません。
 集団的自衛権の問題については、政府は従来から一貫して以上のように解釈しておりまして、この解釈を変更し、そしてそういったことを進めようとしているのじゃなかったのかということでありますけれども、それはないことを申し上げたいと思います。
 また、柿澤外相等の閣僚の集団的自衛権に対する発言が諸外国に与えた影響をどう認識しているかということでありますけれども、これまでの憲法解釈を遵守することにつきましては今申し上げたとおりでありますけれども、かかる政府の立場は、諸外国においても私は十分理解されるものというふうに考えております。
 また、普遍的な安全保障の内容についてということでありますけれども、集団安全保障とは、これは、平和に対する脅威あるいは平和の破壊、または侵略行為が発生しようとした場合、国際社会が一致協力してこのような行為を行った者に対しまして適切な措置をとり、平和を回復しようというものであり、国連憲章上は、そのための具体的一措置が第七章に規定されております。
 このような第七章に規定された措置を含む、国連憲章が規定する国連による平和と安全の維持のための枠組みの総体として国際的安全保障と言われることもあろうと思いますが、これはいわば国際社会全体によって受け入れられているというふうに私は考えております。そのような意味で普遍的な性格を有するものであり、国連による普遍的な安全保障とはこのような普遍性を有する国連の枠組みを意味するものであるというふうに私は理解するということであります。
 この憲法との関係についてでありますけれども、国連憲章では、国際の平和と安全の維持を国連の主たる目的の一つとして掲げております。我が国憲法におきましても、平和主義、国際協調主義の理念を掲げておりまして、いわゆる国連憲章と我が国憲法というものがこの理念においては軌を一にするものであるというふうに考えます。普遍的安全保障の理念を含む連立与党の政策合意は、このような国連による国際の平和と安全のための活動に対し、我が国として、憲法の理念に基づきできる限り協力を行うことを通じて世界の平和と我が国の安全保障を図るとの決意をうたったものであるというふうに承知をいたしておるところであります。
 また、常任理事国となるべき理由、それから担っていこうとしている役割はどのように考えるかということでありましたけれども、冷戦が終えんした今日、国連の役割というものは、新しいニーズというものを含みましてますます重要であろうと思っておりまして、その面で国連の機能というものを一層強化していく必要があるという点につきましては、国際的にも幅広い合意というものがあろうと思っております。安保理の改組に関する動きも、そのような背景のもとに活発化して各国がいろいろな意見を述べているところであります。
 平和の中で今日の繁栄を築き上げてきた日本としては、世界の平和と安定のため、どのような責任を果たすかが国際的にやはりその中でも問われているというふうに考えます。我が国は、これまで一貫して平和主義、国連中心主義の理念を堅持し、実践してきたところでございますけれども、常任理事国になるということは、我が国が過去に蓄積した平和のための実績ですとか、あるいはこの間に蓄積したノウハウ、あるいは憲法の平和主義の理念、これを生かして真の世界平和の構築のために主体的に責任を果たすことであろうというふうに考えております。
 国連における常任理事国制度を歴史的にどう評価し、また拒否権のあり方を含めてどのように理事国のあり方を変えていくつもりなのかという御指摘でありますけれども、この理事国制度というのは、国連創設に当たりまして、第二次大戦の戦勝国の中から、世界の平和の確保のために中心的な役割を果たし得る国を国連の中核に据えるとの発想のもとに成立したものであるというふうに理解を私どもはしております。しかし、国連が創設されて五十年ということになりまして、当初は五十一カ国であったものが百八十四カ国にと大きくふえておることはもう御案内のとおりであります。そして、かつて敗戦国であった国の中にも、世界平和のために重要な貢献を行っている国も新たにあらわれてきておるということが言えようと思っております。
 私は、平和主義の理念というものを一貫して掲げ、しかも我が国は非核保有国であるという、この国が常任理事国に加わるということは国連の機能強化につながるというふうに考えながら、外務大臣のときからもこのことを申し上げてまいりました。また、安全保障理事会の議論に国連加盟国全体の意見が反映されがたいとの見解も一部にありますけれども、日本は非常任理事国としても、これまでできるだけ多くの加盟国の声というものを安保理の中での論議の中に吸い上げるべく努力してまいったところでございまして、常任理事国になったとしても、そのような努力を続けていくことができるというふうに考えております。
 なお、拒否権につきましては、肯定的な面と一方では否定的な両面がある、これは私は承知しております。しかし、これは否定的な面だけを取り上げるというのではなくて、近年、拒否権というものが、むしろこの行使そのものが激減しておるということ、これを歓迎すべきものであろうというふうに思っておりますし、日本としては、このような好ましい傾向を助長して促していくことが重要であろうというふうに考えております。
 また、常任理事国入りの際に、現行の憲法の中で日本のできること及びできないことは具体的に何かというお話であったわけであります。また、日本だけが一部の義務を果たさないことが国際的に許されるのかという御指摘があったわけでありますけれども、現行の国連憲章のもとで我が国が安保理の常任理事国となりたといたしましても、国連の現状を見たときに、追加的に我が国の憲法上問題となる具体的な法的な義務を我が国が負うことは、これは通常予想されないことだろうというふうに思います。
 ただし、安保理の改組後の常任理事国の権限及び義務につきましてはさまざまな態様があり得るので、現時点において、一定の権利義務を前提として憲法の関係を論ずるのは適当ではないというふうに考えております。いずれにいたしましても、我が国は、憲法の枠内で安保理常任理事国としての責任を果たす考えであることを改めて申し上げたいと思います。(拍手)
 そして我が国は、これまで一貫して平和主義、国連中心主義の理念を堅持し、これを実践してきたことは、これは我々誇れることであります。また、カンボジア和平の実現に至るプロセスにおきましても重要な役割を果たしてきたこと、あるいは通常兵器登録制度、これを提唱するなど、軍縮ですとかあるいは不拡散の分野におきましても我が国が尽力していることは、一つの大きな例であろうと思います。また、国連平和維持活動への協力につきましても、カンボジアやモザンビークでの我が国の活動に対しては、大変高い国際的な評価もあります。
 このように、我が国の得意な分野におきまして、憲法の範囲内でなし得る限りの貢献を行っていくことで、常任理事国としても十分責任を果たせるというふうに考えておりますし、また、こういった経験と、今日まで日本が歩んできたような道を歩んできたものが常任理事国入りするということは、私はむしろ国際的な支持を得るものであろうというふうに思っております。
 昨年十二月にブトロス・ガリ国連事務総長が来日した際にも、これは武村議員も同席されました細川総理との会談におきまして、事務総長は、国連平和維持活動で軍事的な責務を負うことは常任理事国入りの条件ではない、また二番目として、常任理事国はPKO設置の決定に参加するが、設置されたPKOに参加するかしないかは別問題であるというふうに明確に述べられていたことを私は承知をいたしておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、日本の憲法で許される中で日本の国がこれからの新しい国連に求められる要請に対してこたえていくことは、私は十分にあり得ることだと思っております。むしろ、そういったことについてきちんとこたえていかないならば、日本としては本当に国際的な役割を果たすのかどうかという実は疑いが、今国際社会の中で日本に向けられていることも我々は理解しなければいけないというふうに考えるところであります。(拍手)
 また、国連の現状認識と、いかなる改革が必要かということでありますけれども、明年は国連創設五十周年を迎えようとしている今日でありまして、国際情勢は国連創設時に比して大きく変化しております。こうした時代の変化に適合して国連自身が変革していかなければならないと考えております。
 国連は、現存する唯一普遍的な国際機関であろうというふうに考えまして、国連を生かしてこそ世界の平和と安定が築かれるものと認識をしております。このような認識のもとで、我が国は、これまでも一貫して国連を中心とした世界の平和と安定の構築に努力してきたところでありまして、国連改革の具体的な事項として我が国が特に重視するのは、昨年の国連総会における細川総理の一般討論演説におきまして提唱した、平和維持活動の強化、あるいは安全保障理事会の改組、また行財政改革の三点であろうというふうに考えておりまして、この三つの改革について私どもは引き続き努力していきたいというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、今、国連についてのいろいろなお考えを述べていただいたわけでありまして、私どもは、そういったお考えがこの国の中にあり、また国民の多くの中にもあるということ、こういったことをやはり念頭に置きながら、本当にこれからの新しい時代に要請される国連に改組するために、これからも努力していきたいということを申し上げたいと存じます。
 なお、行政改革についてでありますけれども、税制改革は、国会で全会一致で議決が行われていることを踏まえれば、今や緊急に取り組まなければならない重要な問題でありまして、六月中にはその成案を得て、年内に実現に取り組むべき問題であろうというふうに考えております。しかし、御指摘のありましたように、行政改革は、税制改革があるからということだけではなくて、これは、社会経済情勢の変化というものは、著しくやはり変化があるというふうに思っております。こういったものに対応して、簡素にして効率的な行政の実現を目指して、これを不断に進めていくべき国政運営上のこれは重要課題であるというふうに私も認識をいたしております。
 「今後における行政改革の推進方策について」は、この二月に御一緒に閣議決定をいたしたところでございますけれども、これに沿いまして、私どもといたしましても、行政改革の推進に向かって勇断を持ってやはり進んでいかなければいけないというふうに、新たに覚悟をするところであります。
 また、まことに深刻な財政事情のもとで、今後とも、あらゆる経費について制度の根本にまでさかのぼった見直しですとか、あるいは施策の優先順位、これの厳しい選択を行うなど、徹底した洗い直しに取り組み、行政改革とともにやはり財政改革というものも進めなければいけないというふうに思っております。
 今、特殊法人についても御指摘があったわけでありますけれども、累次の臨時行政改革推進審議会の提言も踏まえながら、特殊法人等の事業分野及び内容の見直しに努めて、その合理化、活性化などを今日までも進めてまいったというふうに私も考えますけれども、さらに、行革審の最終答申、これは五年の十月に答申されましたけれども、こういったものを踏まえまして、本年の二月十五日にやはりこれはともに閣議決定されました今後における行政改革の推進方策に基づきまして、各省庁において、おおむね二年をめどに、所管特殊法人について順次、事業の社会経済的必要性などの観点からその事業内容というものを見直し、必要な措置を講じなければいけないというふうに考えております。
 しかし、御指摘がありましたように、こういったものを改革するときには、間違いなく大変な反発、それから確かに筋が通るような一つの説得といいますか、そういったものの動きというものがあることはよく私も理解するわけでございまして、またお力をおかりしながら対応していきたいというふうに考えております。
 T種国家公務員の内閣による一括採用、これは縦割り行政の弊害ということで、これを是正し、適切な行政運営を確保するためには、行政運営に携わる国家公務員についての適切な人事行政を推進していくことが必要であろうと思います。
 御指摘の国家公務員の一括採用につきまして、私どもも意見を持っておりましたけれども、多種多様な行政各分野における適材適所の人材配置ですとか、本人の志望や、熱意のある人材の確保などの観点から種々の問題があろうというふうに考えておりまして、慎重な検討を要する問題というふうに考えております。行革審の最終答申におきましても同様の考えが示されておるところでありますけれども、この公務員のあり方等につきまして、あるいは縦割り行政の弊害を是正するという問題につきましては、やはり二月十五日に閣議決定をいたしております。
 しかし、私どもは、そういったものを踏まえながらも、今後とも、省庁間の人事の交流ですとか、あるいはお互いの啓発、研修の充実あるいは整備、こういったものを一層図りていくことが必要であろうということを認識をいたしておることを申し上げたいと思っております。
 また、行政改革委員会の設置法案では行政監視機関としての性格があいまいであり、このままでは国民の期待にこたえられないということが述べられたわけでありますけれども、政府としては、これはみずから取り組むべき重要な課題であろうというふうに思っております。
 これに当たり、国民の意思を反映して客観的、合理的な内容とするために、外部の有識者などから成る第三者機関を政府部内に設置して、その監視、督励の仕組みを設けることの意義というものはやはり大きいというふうに考えております。このため、政府といたしましても、行革審の最終答申あるいは経済改革研究会の報告の趣旨というものを十分踏まえまして、行政改革委員会設置法案、これを決定して国会に提出しておるところでございまして、ぜひともこれを一日も早く通過させていただきたいと思っております。
 委員会は、規制緩和を初めとして行政改革全般にわたりその実施状況を監視するとともに、行政情報の公開にかかわる制度について調査審議を行うことを任務としておりまして、行政改革を推進する上で極めて重要な役割を果たしていただけるものというふうに期待しております。しかし、これは、審議をいただいたそのものを私どもがどのようにこれを進めるかということでありますので、この点についてもさらにお力添えをいただきたいと思っております。
 地方分権の確立でございますけれども、これは十月に、臨時行革推進審議会から最終答申、これをいただきました。今後における行政改革の推進方策の中でやはりこの問題も閣議決定を行ったところでございまして、地方分権の推進をこの中でも図らなければいけないということを強く訴えておるところであります。私どもといたしましては、まさに住民に身近な問題というのは身近な地方公共団体に担っていただくことを基本としまして、機関委任事務の問題を含めまして、二十一世紀に向けた時代にふさわしい地方自治を確立するために、私としましても具体的な成果を上げるべく強い決意でこの問題に取り組んでまいりたいというふうに思っております。
 終わりに、この改革をなし遂げるためには痛みを伴う、蛮勇を振るえという御指摘でありましたけれども、間違いなく改革というものは、これは痛みを伴わないものはないだろうというふうに考えております。こういった困難を乗り越えていくことが必要であるというふうに考えておりまして、私みずからも最高責任者として努めるとともに、各大臣あるいは政務次官、事務次官、この皆様方にも機会のあるごとにこの決意を表明いたしまして、この改革というものをなし遂げる、そのための先頭に立っていきたいというふうに考えておりますので、今後とも、各般の面から御指導あるいは御指摘また御助言を賜りますこともあわせてお願いを申し上げたいと思います。
 以上であります。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(鯨岡兵輔君) 不破哲三君。
    〔不破哲三君登壇〕
○不破哲三君 私は、日本共産党を代表して、羽田総理に質問するものです。
 まず、内閣の成立にかかわる三つの角度から首相の政治姿勢について質問します。
 第一は、金権疑惑にかかわる問題です。
 細川前首相は、みずからの資金疑惑を明らかにできないまま退陣しました。その後を受けた内閣だけに、金権腐敗の一掃への真剣な取り組みが求められることは当然であります。ところが、所信表明演説であなたが政治改革について具体的に述べたのは、小選挙区制の区割り法案の成立を急ぐということだけでした。首相は、金権疑惑の問題はもう解決済みだと考えているのでしょうか。
 解決済みどころでないことはゼネコン疑惑をとっても明瞭であります。昨年来、公共事業の発注がゼネコンからのわいろで左右されてきた事実が数多く指摘されてきました。東京湾横断道路の建設に際し、赤字会社で受注困難とされた飛島建設が金丸信氏の力で入札に参加し、有利な大型工区の落札に成功したというのは、その典型の一つであります。こうした問題で、刑法上の贈収賄の罪を究明するのは検察の仕事です。
 しかし、発注を決定するのは、政府あるいはその直接の管轄下にある会社、公団などです。わいろを受け取って天の声を発した政治家がだれであれ、それは、結局は政府自身の建設行政のゆがみとなってあらわれざるを得ないのであります。ゼネコンからの工作によって公共事業の発注がどのようにゆがんだのか、その真相は当然政府の責任で解明すべきことではありませんか。ところが、細川前首相は、国会で何回追及しても、この責任を最後まで回避し続けました。その結果、政府発注にかかわる疑惑の大部分が今なおやみに隠されたままで、国民の間には疑問と怒りが渦巻いています。
 首相、この問題であなたはどういう取り組みをするつもりですか。建設行政の汚染の疑惑の真相を調査し、それをただす決意を持っているかどうか。責任ある答弁を求めるものであります。(拍手)
 ゼネコン腐敗の土壌として、ゼネコンから政治家への盆暮れのやみ献金が日常化していたことも大きな問題です。
 この問題で、昨年、清水建設の献金リストが明るみに出て、年間三百万円以上の献金対象者二十一名のリストが報道されました。政治資金規正法では、一企業から一政治家への献金の上限は百五十万円でしたから、これはすべて最初から違法性の明白なやみ献金であります。そのリストには、羽田さん、あなたの名前も含まれていました。そのとき、マスコミへのあなたの側からの回答は、「あったかなかったかわからない。早急に調査する」でした。私たちはその調査結果を聞いておりません。この種の疑惑が提起されたとき、事実をきちんと説明することは、すべての政治家が負っている義務であります。しかも、問題は、新内閣の総理にかかわることであります。清水建設を含め、ゼネコンからのやみ献金を受けたことがあったかどうか、事実に基づく答弁を求めるものであります。(拍手)
 また、細川前首相の佐川資金などの疑惑についても、細川氏の国会での答弁や国会提出資料が偽りに満ちていたことは、今では明白な事実となっています。その責任は、細川氏だけにとどまるものではありません。連立諸党は、政務幹事会の名前で「総理は一億円を返している。デマに惑わされないように」との文書まで発表し、真相究明を求める立場を非難しました。連立諸党の共同責任は重大であります。この真相解明に対しどういう態度をとっていくか、与党の最高責任者としての見解を問うものであります。(拍手)前首相の資金疑惑をプライベートの問題だなどと言ってかばい立てすることは、絶対に許されないことであります。
 第二は、首相の指導性に関する問題であります。
 連立諸党内の今回の権力闘争は、目に余るものがありました。特に異常さが際立ったのは、あなたが国会の多数を得て首班に指名されながら、その直後、新会派の結成による政治基盤の再編成に乗り出したことであります。それは、はっきり言えば、首班指名のときだけの多数を利用して少数勢力が政権についたということであり、議会制民主主義を愚弄したものと言わざるを得ません。
 そこで伺いたい。
 あなたは、新会派結成などの段取りを承知の上で首班指名に臨んだのですか。その夜の記者会見で、あなたは、きょうやるとは思わなかったと述べていました。この言葉が本当なら、内閣の基盤の変更という基本問題さえ、そのシナリオはあなたの知らないところで書かれ、あなたの知らない間に実行されたということになります。これが新内閣の実態だとしたら 一体あなたは国政の重責を今後どうやって担っていくのでしょうか。国民が納得できる答弁を求めるものであります。
 第三は、過去の戦争と憲法に関する首相の認識の問題であります。
 あなたは、組閣に当たって、職業軍人の経歴を持ち、自衛隊の最高首脳部にいた永野氏を法務大臣に任命しました。こういう経歴の人物を閣僚に任命したのは、戦後の日本の政治史の中であなたが最初であります。あなたはこの任命を、「国務大臣は、文民でなければならない。」という憲法第六十六条の規定を考慮した上で行ったのでしょうか。
 職業軍人の経歴を持つ者に入閣の道を開いた自民党政府でさえ、軍国主義思想に深く染まっている者は除くという基準を設けざるを得ませんでした。ところが、永野氏は、日本の侵略戦争を正当な目的を持った戦争として肯定するという紛れもない軍国思想の持ち主でした。あなたは、永野氏の属する新生党の党首であり、永野氏が理事長をしている日本戦略研究センターの顧問でもあります。永野氏が従来から繰り返していたその思想を知らないはずはありません。その永野氏を、憲法の規定を無視して、なぜ法務大臣に任命したのですか。永野氏が陸上幕僚長として防衛庁の有事立法のプロジェクトチームに加わってきたことを評価しての任命ではなかったのですか。また、首相として、憲法に反する任命行為をしたその責任をどうとるつもりですか。明確に伺いたいと思います。(拍手)
 この問題では、総理自身の戦争観が問われています。首相は、永野発言に関連して、日本の過去の行為に関する反省の言葉を述べました。しかし、あの戦争が侵略戦争であったかどうかの基本認識については、ついに触れませんでした。なぜ侵略戦争とはっきり認めることを避けるのですか。
 戦争に伴う侵略行為があったことを認めても、それをもって戦争の基本認識にかえることはできません。永野氏でさえ、同じ発言の中で、戦争に伴う侵略的行為があったことは認めています。個々の行為の問題ではありません。あの戦争の全体としての性格をどう認識するか、それが侵略戦争であったことを正面から認め、その根本的な反省の上に今日の政治を進めるかどうかが問われているのであります。(拍手)
 あなたは、四月二十三日、報道各社とのインタビューの中で「あの時点では日本としては武器を持っても立ち上がらなければいけないということで、ABCD包囲網を打破するという意味で行動したんだろう。残念ながら国際的な理解が得られない。そのためにいろんなところに迷惑をかげながら敗れてしまった」と述べています。これは、アメリカを先頭とする諸国が日本を戦争に追い込んだ、日本の戦争目的はやむを得ないものだったが、国際的な理解を得られず、それがまずかったということであります。これが総理の戦争観だとしたら、永野発言と本質的に変わるところはないではありませんか。結果として迷惑をかけたなどの結果論ではなく、戦争目的を含め、日本が行った戦争を侵略戦争と認めるのかどうか、総理のはっきりした見解を聞きたいと思います。(拍手)
 この問題は、日本が今日の国際社会に参加する資格があるかどうかにかかわる問題であります。日本軍国主義が過去に行った明々白”な侵略戦争を侵略戦争と認めない者が、今日の複雑な国際政治の中でどうして侵略やその防止について論じることができるでしょうか。この肝心な問題をあいまいにしたまま国連の安全保障活動により積極的に関与したいなどといっても、それは世界には通用しないのであります。(拍手)
 次に、新内閣の今後の政策について伺います。
 第一は、消費税増税の問題です。
 あなたが署名した連立諸党の政策合意には、間接税の引き上げを税制の抜本的改革の中心に据えることが明記されています。あなた方は、不況下の国民生活の現状をどう考えているのですか。あなた方は、減税をしきりに宣伝しました。しかし、実際にまず先に行われたのは公共料金、年金保険料などの一斉値上げで、その大波は減税の効果をその実施以前にのみ込んでしまう勢いです。公共料金などの一斉値上げを再検討し、抑制の措置をとるつもりはありませんか。
 消費税増税は、不況と値上げに苦しむ国民生活に、一般庶民にとりわけ重い負担のかかる増税を押しつけることであります。私は、名称は何であれ、消費税すなわち大型間接税の税率引き上げという計画をきっぱり撤回することを強く要求するものであります。(拍手)
 あなた方は、消費税導入のときもいわゆる直間比率の是正を理由とし、今回の税率引き上げでもこの理由を持ち出しました。今後も、大きな新財源が必要になるたびに、是正という同じ口実で消費税増税が企てられることは必至であります。
 総理、あなた方の言う直間比率の是正なるものは、一体間接税の割合をどこまで引き上げたら達成されるというのですか。経済同友会などは、財界の意向として、直間比率五対五という目標を示しています。これは、今の七%程度の引き上げは当面の通過点にすぎず、少なくとも税率十数%、総額三十兆円を超える超大型消費税が目標だということであります。国民をなし崩しにそのような道に引き込むことは、民主主義を建前とする国では許されることではありません。
 しかも、あなた方は、国民生活に広範かつ深刻な影響を及ぼすこの暴挙を、次の選挙での国民の審判を待たずに強行しようとしています。竹下自民党内閣は、国民の審判を回避し、選挙のない時期を選んで消費税の導入を強行しました。あなたは、民意の判定を回避するこのひきょうなやり方まで自民党政治を継承するつもりですか。
 ここで、米問題について一点だけ聞きたいと思います。
 首相は、昨年の十二月十一日、ジュネーブで、自分の腹は七年半前から固まっていたと記者団に発言しました。七年半前といえば、あなたが第二次中曽根内閣の農林水産大臣だったときであります。あなたは、これまで国会などで、いかにも自由化阻止の交渉を重ねてきたかのように説明してきましたが、実際には、自民党政府の時代から今日まで、輸入自由化への道を意図的に進んできたというのが真相ではありませんか。はっきりした答弁を求めます。(拍手)
 次の問題に進みます。
 首相は、所信表明で、朝鮮半島情勢の現状を「尋常ならざる事態」と描きながら、緊急の事態に備える問題について述べました。ここで言う「緊急の事態」なるものが、北朝鮮に対するいわゆる制裁にかかわることは明白であります。
 質問の第一は、制裁とは北朝鮮のいかなる行為を対象としているのか。また、それは国際法の何を根拠にしているのかという点であります。
 世界政治の上で制裁が問題になるとしたら、その根拠は国連憲章以外にないはずであります。アメリカが核疑惑を認定したからといって、それが制裁の根拠になるものではありません。大体、アメリカは、自分は世界最大の核兵器を持ち、各地で核戦争の体制をとっている。その国が、他の国にちょっとでも核疑惑やその気配があれば、それを犯罪扱いし、事が自分の思いどおりにならないといって国際的な制裁を問題にする。ここにあるのは、核兵器を自分たちだけが独占しようという大国の横暴勝手そのものではありませんか。
 日本共産党は、北朝鮮が核兵器を持つことにはもちろん反対であり、機会あるごとにそのことを表明してきました。それは、地球上からすべての核兵器をなくすという核兵器廃絶の目標を真剣に追求する立場からであります。日本共産党はまた、ラングーン事件、日本漁船銃撃事件、大韓航空機爆破事件など、北朝鮮の不法行為について最も厳しい糾弾と批判を行ってきた政党であります。しかし、いかなる国に対してであれ、十分な道理もなしにその国への制裁を問題にすることは、新しい無法を国際政治に持ち込むことであります。世界の平和と民主主義を守る立場から、こういう無法には反対だということをここではっきり言明するものであります。(拍手)朝鮮半島の非核化の問題も、話し合いによる平和的解決という立場を最後まで堅持すべきであります。
 第二点は、日本政府の具体的対応についてです。
 首相は、国連の方針が決定されたらこれを尊重すると述べました。これは、日本が国連の軍事的行動に協力し、参加することを含むのですか。また、首相は、緊急事態のもとでの日米及び日韓の緊密な連携と協調を言明しました。これは、米国などが国連の決定なしに独自の行動を決めた場合にも、日本はそれと緊密な連携協調の行動をとるということですか。
 アメリカ議会調査局は、この四月に、朝鮮危機についての報告書を発表しました。そこでは、米韓同盟軍がとり得る八つの選択肢が挙げられていますが、その中には、一連の戦争行為、特に戦争をアメリカの側から開始する先制攻撃の実施から核兵器の使用までが含まれているのであります。事態は、日本が緊密な協調を安易にあらかじめ約束できる状況にはないのであります。(拍手)
 朝鮮半島は、日本にとって特別に深い関係がある地域です。それだけに、朝鮮半島を舞台にしたアメリカの不当な制裁行動に日本が加わることは、危険きわまりないことであります。ところが、首相は、事態の進行を先回りさえして、国連やアメリカの制裁行動に参加する態度をいち早く宣言しました。私は、そこに、アメリカの計画に追随しながら日本の軍事大国化を目指す危険なたくらみを見ざるを得ません。日本共産党は、憲法の平和原則を侵すいかなる企てにも反対であり、日本とアジアの平和のためにあらゆる努力を尽くす決意であります。(拍手)
 最後に、私は、首相に対し、憲政の常道に従って速やかに衆議院を解散して、総選挙で国民の審判を問うことを強く要求するものであります。(拍手)
 現内閣は、衆議院で三六%弱、参議院で二五%弱の与党しか持たない少数党内閣であります。しかも、昨年の総選挙で新生党、公明党、日本新党、民社党が得た得票は、合わせて三〇%そこそこでした。つまり、この内閣は、いかなる意味でも国民の信任を得たことが一度もない政権であります。議会制民主主義を尊重する立場に立つならば、このような政権が、選挙で公約したことのない政策、消費税増税や日本の有事体制化などを実行する資格がないことは、全く明白であります。(拍手)
 与党の側では、新しい制度での総選挙に固執する意見が聞かれますが、これは国民を忘れた議論であります。小選挙区制そのものが総選挙での公約に背を向けた政治取引の産物であって、国民の審判を受けたことのない選挙制度ではありませんか。
 速やかな解散・総選挙を首相に重ねて強く要求して、質問を終わるものであります。(拍手)
    〔内閣総理大臣羽田孜君登壇〕
○内閣総理大臣(羽田孜君) さきの所信表明の中でも申し上げましたように、私は、政治改革を最重要の課題として引き続き追求してまいりたいと思います。
 その第一歩としては、衆議院議員選挙区画定審議会の勧告に基づきまして、いわゆる区割り法を早期に成立させて、選挙制度及び政治資金制度の改革を完結させることが重要であると考えておりまして、国民に信頼される政治実現のためには、まずやはりこのことはやり抜かなければいけないというふうに考えております。
 また、建設行政の汚染の疑惑の真相を調査して、これをただす決意についてお話がありましたけれども、この汚職事件につきましては、検察当局は、法と証拠に基づいて適正な捜査処理を行ってきたというふうに考えております。一連のゼネコンの疑惑を引き起こした建設業界に対しては、建設省において厳正な指導を行っているというふうに私ども承知をいたしております。
 また、この一連の不祥事根絶の対策として、本年一月には、一般競争入札の本格的な採用を初めとする入札・契約制度の改革として、政府として、「公共事業の入札・契約手続の改善に関する行動計画について」を策定しておるところであります。今後、国はもとより、すべての発注機関が、その趣旨を体して制度の改革に取り組んでいくことを強く期待するものであります。
 ゼネコンからのやみ献金を受け取ったことがあったか、事実をということでありますけれども、いわゆるやみ献金などというものは受け取った事実はございません。寄附については適正に処理をしていることを申し上げます。
 それから、前総理の佐川資金などの疑惑について最高責任者としての責任、見解を問うということでありますけれども、御指摘の細川総理の問題につきましては、これはもうプライベートの問題であるからということはどうだということでありますけれども、私は、このたびの前総理の潔い身の処し方というものを重く受けとめていきたいというふうに思っております。
 また、総理は、新会派結成の段取りを承知で首班指名に臨んだのか、基本問題さえ知らなかったというのが実態ならばということでありますけれども、新会派をめぐる動きに関しましては、私としては、結果として一部の会派が閣外に去られたことに至りましたことはまことに残念な経過であったというふうに承知しております。
 なお、新会派につきましては、私として特にこれは関与をしておりません。ただ、私がテレビあるいはその他の場所で常々申し上げております一般論としては、政策を進めていくのに余りに多くの会派がばらばらで行動するということは、これはなかなかまとまることがなくて、時間を大変必要とする。そして、我々に今課せられている問題を正しく進めていくためには、やはりできるだけこれは、何というんですか、統一されていくということが、これはだんだん統一されていくことがいいだろうということを実は私は申し上げてまいったわけでございます。
 今後とも、できるだけ幅の広い合意の上で政治を進めていくという決意とこの誓いには変わりはございません。開かれた中での政策決定を旨としつつ、国政の最高責任者としての責任を果たしていくことを申し上げたいと存じます。(拍手)
 また、永野氏の法相任命と憲法六十六条、この問題でありますけれども、この六十六条二項には「内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。」と規定しておりますが、ここに言う「文民」とは、次の者以外の者をいうというふうに解釈されております。これは、旧陸海軍の職業軍人の経歴を有する者であって軍国主義的思想に深く染まっていると考えられるもの、自衛官の職に現在ある者以外の者をいうものと解釈されております。永野前法務大臣につきましても、この文民の解釈に関する従来からの政府統一見解も考慮の上で任命したものでございます。
 ただ、今般の発言につきまして、私としましても今日まであの方とおつき合いをしながら、あの方はやはり平和を希求する人であったことは間違いありません。そういう中で実はやったことでありまして、こういう発言になったことは、本当に私は残念に思っておるところであります。
 また、さきの大戦を侵略戦争と認めないのかというお話でございますけれども、侵略戦争という用語の意味につきましては、いろいろとこれは議論があるというふうに思われますけれども、先般の所信表明演説において申し上げましたように、私は「我が国の侵略行為や植民地支配等が多くの人々に耐えがたい苦しみと悲しみをもたらした」ものと認識しており、かかる認識と、その上に立つ反省やおわびの気持ちこそが重要であろうというふうに考えておることを申し上げさしていただきます。
 不況下の国民生活の現状についてでありますけれども、国民生活の現状を見ますと、景気が総じて低迷を続ける中で、個人消費というものはやや持ち直しの動きが見られておりますけれども、雇用情勢が厳しいこととやはり設備投資が厳しいということは、残念ですけれどもこれは事実であります。
 こうした状況に対しますために、私どもといたしましては、この二月に大規模な所得税減税を含む史上最大規模の総合経済対策を策定し、現在その着実な実施を図りておるところでございまして、六年度予算についても、あるいは平成五年度第三次補正予算とあわせて、可能な限り景気に配慮するよう努めたところであることを申し上げます。政府としては、これらの施策というものを着実に実行しながら、国民生活の安定、そして景気の回復というものを図りていきたいというふうに思っております。
 公共料金についてでありますけれども、この問題につきましては、経営の徹底した合理化を前提として、物価と国民生活に及ぼす影響を十分に考慮して厳正に取り扱うことといたしておりまして、その値上げに当たりましては、真にやむを得ないものに限るとともに、その実施の時期及び改定の幅につきましては極力調整しておるところであります。いずれにいたしましても、私ども、さきの閣議で決定いたしましたこと、この基本方針、これに基づきまして、今後とも適正な公共料金が確保されるように努力していきたいというふうに思っております。
 また、消費税、すなわち大型の間接税の税率の引き上げという計画を撤回するよう強く要求するということでありますけれども、先ほどから何回も申し上げてまいりましたように、豊かで活力のある高齢社会というものを目指しながら、個人所得課税の軽減と消費課税の充実を柱とする税制改革を年内に実現することは、緊急に取り組まなければならない重要な課題でございます。国会で全会一致で議決されておりますことを踏まえますと、その速やかな実現は今や国民的な課題であろうというふうに考えます。
 政府といたしましては、税制改革の具体案づくりに向けまして、国民の皆様方の御意見に十分耳を傾けて、税制調査会で審議を進めていただきながら、先般の各党間の確認事項に沿って、与党の協議会においても引き続き協議を進めていただきながら、各党各会派の御理解と協力を求めながら、六月中に成案を得て、ぜひとも年内の税制改革の実現に向けていきたいということでございまして、これは、税というものは、だれもこれを引き上げることを喜ぶ人なんていうのはないわけでございまして、私どもも、こういった問題は慎重にしながらも、将来というものを考えながら、こういった問題を逃げることは許されないというふうに思っております。
 直間比率の是正は、間接税の割合をどこまで引き上げたら達成されるのかということでありますけれども、国際的に比較いたしますと、OECDの加盟二十四カ国中、所得税の割合というのは第一位であります。しかし、資産課税等の割合は第七位でありまして、消費課税の割合はこの二十四カ国中最下位となりておることを申し上げます。社会の高齢化が急速に進展する中で、このような所得課税に偏った税体系を維持したままでは、負担がますます中堅のサラリーマン層を中心とする勤労世代に偏ってしまうことになりまして、勤労意欲というものが阻害され、社会経済の活力ですとか安定性というものを弱めてしまうことになりかねないというふうに思います。
 年内に実現を図る税制改革では、個人所得課税の軽減と消費課税の充実を図ることにより、勤労者のみに過度の負担がかからないよう、世代を通じた税負担の平準化を図り、社会の構成員が広く負担を分かち合うことができるような税制をつくり上げる、その考え方のもとに検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
 消費税の増税という国民生活に広範な、深刻な影響を及ぼす暴挙を、次の選挙で国民の審判なしに強行しようとしているということで、まあ私どもがこの問題について訴えてなかったようなお話でありますけれども、私は、実はこの間の選挙戦の中でも、こういった痛みを伴うものでも現実の実情というものを率直に国民に訴える、そして国民の皆様は、私どもが率直に訴えたときには理解していただけるというふうに、国民は賢であるということを私たちは忘れてはいけないということを率直に実は申し上げながら、この前の選挙戦も戦ってまいったものであります。
 そういうことで、私どもは、税制改革の具体案づくりに向けまして、国民の皆様の御意見にもさらに十分耳を傾けながら、税制調査会で審議をいただいて、これを進めていきたいというふうに考えていることを申し上げたいと思います。
 また、私が、米市場の開放について、ジュネーブで、市場開放の腹は七年半前から固まっていたということを言った、そういう何かお話でありますけれども、私がずっとみずからが思い、そしてそのために働いてまいりましたのは、実際にいろいろな会議に出席をしながら、各国がそれぞれ難しい問題を抱えておりました。特に、アメリカのRMAが米の問題で提訴をいたしましたときに、実は日本の米問題が俎上に上ったところであります。これをガットで議論しよう、そのかわりアメリカもウエーバーの十四品目等につきましても、これもテーブルにのせましょうという話で始まっております。そして、会議に出るたびにいろいろな国の発言を聞いておりますと、どこの国もやはり難しい問題を抱えておるわけであります。
 そういう中で、一カ国の一品目だけが何にも傷つかないということはあり得ないということで、これはもう率直に申し上げまして、本当は、これは水際作戦なんということを言っておりましたけれども、日本に上陸させないで始末することはできないのか、そんなことも実は考えたこともあります。
 しかし、いずれにしても、何にも傷つかないことはあり得ないということを話したことは、私は方々で、街頭でもそういったことを話したことはありました。しかし、この開放のために腹が固まっておったなんということは申し上げておらないことを申し上げておきたいと思っております。
 いずれにいたしましても、私どもは、そういう中で、国会の決議というものを、これを最大限に念頭に置きながらこれに対応してきたということであります。ただ、結果としては、私どもの考え方は、これが相当程度尊重されたというふうには思っておりますけれども、残念ですけれども、全部が反映されたというふうには思っておりません。まさにこれは断腸の思いでこの決断をしたんだということは、ぜひともこれは御理解をいただきたいと思います。ともかく、これだけのために相当な時間を費やしながら戦ってきたということを、この機会に申し上げておきたいと思っております。
 しかし、この受け入れのためには、農家の皆さん方にも不安や動揺を来しましたし、また国民の皆さんにも、将来の米というもの、主食というものはどうなのかという心配があることは事実でありまして、私どもは、緊急農業農村対策本部、これは私が本部長を務めることになっておりますので、こういった中で万全の対策というものを進め、生産する人もあるいは消費する人たちも安心できるような体制をつくるために全力を尽くしてまいりますことを申し上げたいというふうに思います。
 制裁の対象となるもの、制裁の国際法上の根拠ということでありますけれども、北朝鮮に対する経済制裁につきましては、これは何回も申し上げておりますけれども、国連の安保理事会におきましても議論がされてないこの現状におきまして、具体的なことを申し上げることは、これは差し控えたいと思います。
 いずれにいたしましても、北朝鮮の核兵器開発問題は、我が国を含む北東アジア地域の安全保障上の最大の懸念であるのみならず、核不拡散体制や国際社会の安全保障にかかわる重大な問題でありまして、我が国としては、米国、韓国、中国などの関係国と連携しながら、北朝鮮に対して核兵器に対する国際社会の懸念を払拭するよう、これはもう粘り強く対話でやはり求めていく、これが今日まで我々が外交の中で進めてきたことであるということも御理解をいただきたいと思っております。
 また、国連の行動への参加、協力はということでありますけれども、これは一般論として、仮に安保理で何らかの措置が決定される場合におきましても憲法の範囲内で責任ある対応をとるということは、今まで申し上げてきたことと全く変わりません。
 米国等が国連の決定なしに独自の行動を決めた場合の対応ということでありますけれども、北朝鮮に対する経済制裁等についてまだ議論がされてないことはもう何回も申し上げてきたとおりでありまして、御指摘のような点について今お答えを申し上げるようなことではないというふうに思っております。
 また、速やかに衆議院を解散してというお話でありますけれども、先ほど来お話がありましたように、現状の厳しい景気の状況ですとか、あるいは私たちが今なさなければならない問題というのは今まさに山積をしておるわけでございまして、そういった問題について、国会の皆様方、我々少数与党でありますけれども、しかし今積み上げられている問題というのは、これはまさに国民的にも今なさなければならない問題であり、国会としてもなさなければならない問題であろうと思っております。その意味で、国会の各党の皆様方の御理解と御協力をいただきながら、ぜひともひとつこれに対して御協力をいただきたいということであります。そのために、私は誠心誠意を尽くしましてこれからも重責を果たしてまいりたいと思っております。
 特に、この政治改革の推進は重要な課題でありまして、先ほどもお話ししました画定審議会の勧告というものを尊重して、関連法をやはり早急に通しまして、これは国会に申し上げまして、次回の総選挙が新制度のもとで実施できるよう可能な限り早期に国会の中で通していただきたい、このことをお願いを申し上げたいと思うところであります。
 以上であります。(拍手)
○副議長(鯨岡兵輔君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
○副議長(鯨岡兵輔君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後三時五十三分散会
     ――――◇―――――