第129回国会 本会議 第21号
平成六年五月三十一日(火曜日)
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  平成六年五月三十一日
    正午 本会議
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○本日の会議に付した案件
 永年在職の議員中尾栄一君に対し、院議をもつ
  て功労を表彰することとし、表彰文は議長に
  一任するの件(議長発議)
 雇用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提
  出)の趣旨説明及び質疑
    午後零時六分開議
○議長(土井たか子君) これより会議を開きます。
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 永年在職議員の表彰の件
○議長(土井たか子君) お諮りいたします。
 本院議員として在職二十五年に達せられました中尾栄一さんに対し、先例により、院議をもってその功労を表彰いたしたいと存じます。
 表彰文は議長に一任されたいと存じます。これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(土井たか子君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決まりました。
 表彰文を朗読いたします。
 議員中尾栄一君は衆議院議員に当選すること九回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた
 よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもってこれを表彰する
    〔拍手〕
 この贈呈方は議長において取り計らいます。
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○議長(土井たか子君) この際、中尾栄一さんから発言を求められております。これを許します。中尾栄一さん。
    〔中尾栄一君登壇〕
○中尾栄一君 ただいま、院議をもちまして永年勤続の表彰の御決議を賜り、議長を初め、先輩、同僚の議員の方々に心から厚く御礼を申し上げたいと思います。(拍手)とともに、長年にわたり私の政治行動を御支援いただきました山梨県民の皆様方に、謹んで感謝の誠をささげる次第でございます。ありがとうございました。(拍手)
 顧みて二十五年、果たして、私は、衆議院議員として何をし、何を残してきたのかを考えると、あの日あのときこのような言辞を弄し、行動をなすべきであったと思うにつけ、ざんきにたえない気持ちでいっぱいであります。
 特に、私が若き政治家のころに、兄事すべき先輩たちが、与野党を問わず数限りなくおられて、一瞬一刻教示を賜ること、感激と誇りに満ちあふれていたものでありました。すなわち、衆議院議員であることへの責任感と、それにまさる使命感の誇りを持ち続けた毎日であったと言っても過言ではなかったのであります。
 振り返って、現在私の年にして、ほとんど若い政治家たちに語る機会もなく、考え方のギャップや矛盾点を時に感じながらも、真剣に話し合い続け、理解し合う努力をしたことがあるのかとみずからに問うとき、「これも年代の違いかな」と情熱を失い、怠惰とあきらめ感に身を任せてしまうことが余りにも多くなってきたのではないかと反省するのみであります。そのような情熱や、自分自身よりも大きな世界や国家や社会に責任を持ち得なくなった者は、すべからく政治の世界から去るべきなのであります。
 しかし、私の心には、何としても日本の国を世界の経済の一流国のみならず、精神的にも文化的にも一流国にしたい情熱は、いまだ、馬齢を重ねたとはいえ、脈々とこの心中に燃えているものを感ずるのであります。今の日本に必要なものは、国家観、世界観、歴史観を超えて「常識に戻る心」であり、世界の中でバランスのとれた日本の国づくりであります。さらに言わしていただくならば、次代を担う青年層に、国際的な視野に立ちながらも、大地を踏まえる両足はこの祖国日本であるということを忘れぬ愛国心であることを認識してもらいたいのであります。(拍手)
 私は、今から二十年前、青嵐会で全国遊説を行っている半ばで過労のため演壇で倒れたことがありました。そのとき、私の先輩の一人が「遺書」という本を届けてくれました。病人に遺書もないだろうと思いながらもページをめくっていると、一文が目に飛び込んでまいりました。それは、学徒出陣で出発せんとする植竹海軍中尉の幼子久美子ちゃんに対して、二十年たったら読みなさいと表書きに書いた遺書でありました。
 久美子ちゃん。
 久美子はお父さんのひざの上でいつもぐっすり女神のような顔で眠っていましたよ。お父さんのひざが揺りかごだったんですね。お父さんのひざが揺りかごだったと同様に、このかわいい久美子ともお父さんは別れなければなりません。五日後にお父さんは特別攻撃隊で出撃するからであります。
 しかし、お父さんはだれのために死んでいくのではないのです。久美子やお母さんや庭に植えた一本の柿の木を守ってやりたい、それだけの気持ちで私は出発するんです。
 ただ一つ心残りなのは、久美子が幼稚園や小学校に行くようになったとき、友達などとけんかして、父なし子とののしられ、顔をくしゃくしゃにして泣いている久美子の姿を想像すると、お父さんは断腸の思いに駆られるのです。しかし、久美子は決して父なし子ではないんですよ。ひざで寝かしていたお父さんがいたことを忘れないでください。どうしてもお父さんに会いたいときは仏前で合掌しなさい。お父さんは、鬼神を避いても久美子の前に顔を出し、久美子と呼びかけるでしょう。
 お母さんは病弱だから、お父さんの分まで大事にしてください。さようなら。
これが娘にあてた一片の遺書であります。私の世代には、数限りなくこの思いはあるのであります。
 私の中学の最優秀の先輩が「国破れんとするとき何の一高、陸士、海兵か」と私たちに言い残して短期の予科連に志願し、回転の魚雷艇で死んでいってくれました。だからこそ、私も一期生のときに京都の植木光教参議院議員と相協力し合ってグアム島に慰霊塔を建立したのであります。(拍手)
 この世の中に戦争がよいと思っている者は、一人としておりますまい。それだけに、いかなる時代を経ようとも私たちが許してはならないのは、人類を最大の不幸に陥れるであろう戦争勢力であります。言葉をかえて申し上げますならば、ごく一部の指導者の恣意によって全体が犠牲を強いられる全体主義の強権であります。それはファシズムにもネオナチズムにも通ずるプロセスになるからであります。洋の東西あるいは歴史の古今を問わず、これらの台頭に対しては、政治家たるべきもの勇を鼓して挑戦しなければなりません。
 二十五周年の私にとっての祝いに際し、所感の一端を述べ、厚く御礼の言葉にかえたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
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 雇用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
○議長(土井たか子君) この際、内閣提出、雇用保険法等の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。労働大臣鳩山邦夫さん。
    〔国務大臣鳩山邦夫君登壇〕
○国務大臣(鳩山邦夫君) ただいま議題となりました雇用保険法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 我が国における雇用を取り巻く諸情勢は、今後大きく変わっていくものと予想されます。すなわち、急速な高齢化や女性の職場進出が一層進み、また、産業構造の転換や技術革新が進展しております。さらに、中長期的には労働力の供給制約が見込まれております。
 このような状況の変化に的確に対応し、雇用保険制度が、今後、雇用に関する総合的な機能を一層発揮できるよう、現在の制度を見直し、その整備充実を図っていくことが必要であります。すなわち、高年齢者、女性を初め個々の労働者について職業生活の全期間を通じてその意欲が生かされ、能力が十分に発揮できるよう、また、労働者の失業中の生活の安定、再就職の促進等に一層の実効を期すことができるよう対応していくことが重要な課題であります。
 雇用をめぐる社会経済の変化に対応した雇用保険制度のあり方については、中央職業安定審議会の雇用保険部会において二年にわたる検討が行われ、昨年末に、労働者の職業生活の円滑な継続を援助、促進するとともに、失業中の生活の安定、再就職の一層の促進を図るため制度を改善すべき旨の報告をいただいたところでございます。
 政府といたしましては、この報告を踏まえつつ、この法律案を作成し、関係審議会の全会一致の答申をいただき、提出した次第でございます。
 次に、その内容の概要を御説明申し上げます。
 第一は、雇用保険法の一部改正であります。
 その一は、雇用継続給付制度の創設であります。
 本格的な高齢社会に対応して、高年齢者の働く意欲と能力にこたえ、六十歳から六十五歳までの継続雇用、再就職の促進を図るため、六十歳時点に比して賃金が相当程度低下した状態で雇用を継続する被保険者に対し高年齢雇用継続給付を支給することといたしております。
 また、女性の職場進出の進展、少子化の傾向に対応して、労働者が育児休業を取得しやすくし、その後の円滑な職場復帰を援助、促進するため、満一歳未満の子を養育するための休業を取得した被保険者に対し育児休業給付を支給することといたしております。
 なお、この雇用継続給付については非課税とするとともに、これに要する費用は労使が折半して負担する現行の保険料率による保険料及び国庫負担をもって充てることといたしております。
 その二は、一般被保険者に対する給付の改善を図ることでございます。
 まず、所定給付日数について、現在五十五歳以上六十五歳未満を一の年齢区分としている点について、六十歳定年制の定着の状況等に対応し、六十歳以上六十五歳未満の年齢区分を設けるとともに、四十五歳以上六十歳未満を一の年齢区分とし、六十歳以上六十五歳未満の年齢区分に係る所定給付日数の引き上げ等を行うことといたしております。
 また、再就職の促進、失業中の生活の安定を一層きめ細かに図っていく観点から、基本手当の額の算定の基礎となる賃金日額の上限額について、受給者の年齢に応じて設定すること等の改正を行うことといたしております。
 さらに、産業構造の転換等が進む中で、再就職に対する援助を図る観点から、受給資格者が公共職業訓練等を受講する場合については、その受講開始日以後の期間について給付制限を解除することといたしております。
 その三は、高年齢継続被保険者に対する給付の改善等を図ることであります。
 すなわち、高年齢継続被保険者が失業したときに支給される高年齢求職者給付金の額について、被保険者であった期間が一年以上十年未満である者について引き上げること等の改正を行うことといたしております。
 その四は、日雇い労働被保険者に対する給付の改善を図ることであります。
 週休二日制の普及等に対応し、失業の日の属する月の前二カ月間に通算して二十八日分以上の印紙保険料の納付を要するとの現在の支給要件を改め、二十六日分以上の印紙保険料の納付とすることといたしております。
 また、給付金について、最近における日雇い労働被保険者の賃金分布状況の変化等を勘案して、現行の四段階制を改め、現在の第一級の給付額の上に一段階を設け、下位の二つの段階を廃止することにより三段階制とすること等の改正を行うことといたしております。
 その五は、再就職手当の改善を行うことであります。
 再就職手当の支給要件について、産業構造の転換、高年齢化の進展等に対応し、受給者の一層の早期再就職を促すため、支給残日数が三分の一以上ある者についても、原則として再就職手当を支給することといたしております。
 さらに、現下の厳しい雇用失業情勢に照らし、当面の措置として、現在基本手当の百二十日分以下の範囲の額とされている再就職手当の額を基本手当の百四十日分以下の範囲の額とすることといたしております。
 第二は、労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部改正であります。
 日雇い労働者の給付金を三段階制とすることに伴い、印紙保険料の額を現在の四段階制から三段階制とすることといたしております。
 第三は、船員保険法の一部改正であります。
 船員保険についても、雇用保険と同様の趣旨から、雇用継続給付を創設すること、失業保険金の給付額の算定方法を改善すること、高齢求職者給付金の改善を行うこと、再就職手当の支給要件の改善を行うこと等の改正を行うことといたしております。
 以上が、雇用保険法等の一部を改正する法律案の趣旨でございます。
 どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
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 雇用保険法等の一部を改正する法律案(内閣
  提出)の趣旨税明に対する質疑
○議長(土井たか子君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。長勢甚遠さん。
    〔長勢甚遠君登壇〕
○長勢甚遠君 富山県第一区から出ております長勢甚遠であります。
 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました雇用保険法等の一部を改正する法律案につきまして、内閣総理大臣及び労働大臣に質問をいたします。
 今回の改正は、自由民主党が政権を持っておったときに検討してきたものを内容とするものであります。おおむね我が党の政策を具体化したものとして評価をいたしております。その上で質問をいたします。
 さて、今日、我が国経済社会は、国際化の進展に伴う円高と産業の空洞化、一方で高齢化の急速な進展、少子化等、大きな転換期を迎えております。従来のシステムを見直し、大胆な発想のもとに産業構造の転換を図り、活力ある高齢者社会を構築していくことが政治の重要課題であります。その際忘れてならないことは、しっかりした雇用労働政策なしにはこれからの我が国社会の変革をスムーズには達成できない、こういうことであります。
 国際経済社会に調和をしていくためには自由化を進めなければなりませんが、自由化に伴ってリストラが求められる、低生産性部門の衰退、こういうものを覚悟せざるを得ません。それにかわる新産業を興していくことが必要となるわけであります。衰退産業から生ずる離職者をどうするか、新産業に必要な労働者をどのように確保するかについて、しっかりした方向づけがなければ、産業構造の転換はなし得ないのであります。
 増大する高齢者の医療、介護等の体制を整備していかなければなりませんが、それらに必要な労働者をどのように確保するか、そして高齢者の雇用の場をどう確保していくかについて、しっかりした方向づけがなければ、安心した高齢者社会を模索することはできないのであります。
 このように、二十一世紀に向けて産業社会の転換を進める上において、雇用労働政策が大きなかなめでありますとともに、より重要なことは、雇用労働政策が、産業政策、福祉政策と総合的に整合性を持ったものでなければならない、こういうことであります。産業政策官庁、福祉政策官庁がそれぞれベストな政策を実施するとしても、例えばそれぞれの政策をうまくやるためのみの観点から、若年労働者を奪い合ったり、あるいは高齢労働者を排出し合ったりするようでは、それぞれの政策自体の完遂すらおぼつかないことになるでありましょう。
 また、仮に一つの政策がうまくいったとしても、国全体としては決してうまくいきません。国全体としての離職者対策、高齢者対策の方向づけに沿って、産業政策、福祉政策が考えられなければならないのであります。同時に、雇用労働政策も、二十一世紀における産業政策、福祉政策がうまく遂行できるものとなるように大胆な見直しをしていくことが必要であります。
 このように考えるとき、現実にどうなっておるか。関係省庁には、雇用労働政策との十分な整合性を配慮しない、あるいは相反する、そういう独自の施策を展開する、こういう動きが見られるところであります。これで本当にうまくいくのか、大いなる危惧を抱いております。まるで、各党ぱらぱらの連立与党と同じであります。そのために、現場の役所は混乱をし、企業も働く方々も困っておるのであります。
 これからの産業社会の転換に当たって、雇用労働政策の重要性、これを政府全体として全く認識しておられないのではないのか。また、雇用労働政策の重責を担うべき労働省は何をしているのかと言いたいのであります。おまけに、連立与党の一部には、労働省の役割は終わった、そういったような議論をしておる者も見られる、こういうことに至っては全くの論外であります。
 総理、整合性ある雇用労働政策の強力な推進のために労働省が十分役割を果たせるように、大いにリーダーシップを発揮すべきではありませんか。何としてでもこれはやってもらわなければなりません。簡潔、明快なる御見解をお伺いをいたします。
 また、労働大臣には、働く人のためだけではなくて、産業政策、福祉政策の円滑な推進を人の面から支えるためにも、もっと大胆に踏み込んだ政
策を実施してもらいたい。鳩山大臣には大いに期待しております。ぜひ御決意をお聞かせいただきたいと思います。
 次に、今後の労働市場のあり方と規制緩和についてお伺いをいたします。
 最近における国際経済社会の変化に対応するため、産業構造の高度化や企業のリストラの進行が不可避であります。これと並行して、将来の日本経済の発展の軸となる新たな産業が成長し、雇用の場が確保されるようにしていくことが最重要課題であります。
 新しい産業や雇用の場の創出を推進する上で、これまでの労働政策や労働慣行が阻害要因となっているとすれば、これを改めていくべきことは言うまでもありません。労働関係法における規制緩和、雇用の流動化を進めるべきだとの意見があります。これまでの労働政策、労働慣行というものが、主として製造業を対象として形成されてきたことは事実であります。今後、新産業における雇用創出を進めるために、大胆に見直していくことが必要であると考えます。かかる観点から、自由民主党においても、労働者派遣法の見直し等について積極的に取り組むこととしておるのであります。
 ここで強調したいのは、労働政策についての規制緩和や雇用の流動化を進める、こういうことは、それが新産業を興す、雇用機会の創出に役立つ、また、新しい産業社会に必要な労働力を確保することに役立つ、こういう意味で必要であるということであります。
 昨今、言葉のひとり歩きが流行しております。古来、言葉の乱れは国の乱れと言われておりますが、規制緩和という言葉が、あるいは見直しという言葉が、十分な目的意識なく、金科玉条のごとく安易に使われるとすれぼ、大変に危険なことであります。現在、既にそのような便乗的な議論も目につくことを指摘しておきたいと思います。思いつきだけで安易に規制緩和や雇用の流動化を進めるとすれぼ、行き着く先は自由放任であり、そのしわ寄せば、中小企業経営者や働く方々、特に高齢者、女性に及ぶことになることは必至であります。このようなことは、あってはならないことであります。
 労働省では、現在、中期雇用ビジョンを策定中と伺っておりますが、今後の労働市場のあり方、規制緩和についてどのような議論をしておるのかお示しをいただいて、そして労働大臣の御見解をお伺いをいたしたいと思います。
 次に、育児休業給付の創設についてお伺いします。
 我が国は少子化が急速に進行しており、次代を担う世代の健全な育成がますます重要な課題となってきております。こうした中で、働く女性が育児休業を取得しやすくし、また、その後円滑に職場復帰ができるようにしていくべく、自由民主党は一貫して真剣に取り組んでまいりました。その成果は、平成三年に育児休業等に関する法律の成立となって結実したことは、記憶に新しいところであります。今回の育児休業給付制度の創設は、我々が主張してきたことであり、育児休業制度に関する我が党の長年の地道な積み重ねの上に立って初めて実現し得たものであることを、この場で明確に申し上げさせていただきます。
 ただ、育児休業給付の創設については、財政的に大丈夫かとか、あるいはノーワーク・ノーペイの原則との関係をどのように考えるかというような議論があります。今後、育児休業制度を一層普及させていくためにも、これらについてどう考えるかを国民の前に明らかにしておくべきと考えますので、これについて労働大臣の御見解をお伺いをします。
 また、女性の職場進出が進む中、仕事と家庭との両立をいかに実現していくかが我が国の将来を左右することにもなると考えるものであります。自由民主党においては介護休業制度の普及促進やパートタイム労働者対策に積極的に取り組んでおりますが、働く女性の問題についてどのような政策を推進しようとしておるのか、労働大臣の御見解をお伺いをいたします。
 次に、高齢者問題についてお伺いします。
 現在、我が国の高齢化は、世界に例を見ない速度で急速に進んでおります。希望すれぼ六十五歳まで働ける社会の実現は急務であります。今回、六十歳から六十五歳までの雇用の継続を図るため高年齢雇用継続給付を創設をする、こういうことは高齢者雇用対策の一つの方向として評価をしております。
 しかしながら、現在の高齢者の雇用をめぐる厳しい状況を考え、将来それが深刻化することを考えるとき、六十五歳までの雇用確保について、この給付制度が十分な効果を上げられるのかどうか、一方でまた、今後の財政負担にたえられるのかどうか、危惧しております。今回創設する高年齢雇用継続給付は当面の過渡的な制度として位置づけて、そしてより抜本的な高齢者対策を講ずべきものと考えますが、高齢者の雇用問題について現在のような体系で十分だと認識しておられるのか、何が足りないと考えておられるのか、労働大臣の御見解をお伺いをいたします。
 以上、るる質問をさせていただきましたが、かつて労働行政に携わった者として痛切に感じておりますととは、従来の雇用労働政策、雇用システムが大幅な見直しの時期に来ており、雇っている方々も雇われている方々も現在及び将来について困っておられる、不安を持っておられるということであります。
 これからの日本の社会の基盤をなすこの問題こそ、きちんとした論議をし、国民の方々が納得する選択をしていかなければなりません。将来を見据えた、しっかりした雇用労働政策の確立に向けて、自由民主党は各界各層との議論を深め、あらゆる努力を惜しまないことを国民の方々にお誓い申し上げますとともに、その実現のためにも、一部政党の権力闘争に振り回されることのない、真に国民の立場に立った、民主主義にのっとった議論が行われる政治の回復に向けて全力を挙げることを明言して、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣羽田孜君登壇〕
○内閣総理大臣(羽田孜君) お答え申し上げます。
 労働行政につきましては、雇用の安定、高齢者、障害者の雇用確保などの産業政策、福祉政策とも関係が深いものであることは、まさに御指摘のあったとおりでございます。このため、私どもは、各省庁と緊密な連携をとりまして、整合性の
ある雇用労働政策の展開が図られるよう積極的に努めていることを申し上げたいと存じます。
 以上であります。(拍手)
    〔国務大臣鳩山邦夫君登壇〕
○国務大臣(鳩山邦夫君) 産業政策等との調整の問題ですが、これは当然でございまして、産業構造の変化によって雇用は大きく変わってまいるわけでございますから、今後の経済社会情勢を予測するという意味でも、産業政策、そして福祉政策、そしてこの雇用政策がみんな調和がとれていなければいけないわけでございまして、主役は人間であるということで、そういう方向で努力をしてまいります。
 雇用の流動化等についてのお話でございますが、我が国の雇用を支えてきた長期雇用システムというんでしょうか、一つの会社へ長く勤めるというそのメリットは今後とも十分生かしていくことが重要であると思っておりますが、社会の変化、時代の変化に伴って、労働力の移動ということについても意を用いる必要がございます。産業構造の変化、労働者の意識の変化等も加わってくると思いますが、要は、両方の、長期継続したこの雇用システムと流動性のある雇用関係というもののバランスの問題ではないかと思っております。
 規制緩和につきましては、これは社会を活性化させるという意味では雇用の創出につながるわけでありますが、安易な規制緩和は逆に失業の発生を生むおそれがあると注意をしていかなければならないと思っております。
 いずれにいたしましても、雇用の安定は国民生活の安定にとって大変重要でございまして、労働市場のあり方や規制緩和については十分に注意をしてまいりたいと思っております。
 育児休業につきましては、その所要額は年間最大限六百億円程度、十四万人ぐらいの方が御利用いただけるのではないかと思っておりまして、この給付の効果として、逆に失業給付が節約されます。そして、保険料収入が増加します。国庫負担十分の一でございますが、そうしたことによって賄うことができますので、現行の保険料率の範囲内で、枠内で大体対応できるであろう、こう思っております。
 また、ノーワーク・ノーペイの原則については、育児休業給付というのは、いわば、保険の世界でいいますと、育児という雇用継続が困難となる事由を一つの保険事故とみなす、そんな保険給付でありますから、費用負担も事業主のみでなくて労使折半でございますから、ノーワーク・ノーペイの原則と矛盾するものではないということでございます。
 働く女性に関する一般的な政策については、婦人局が中心となって頑張っておりますが、職場における男女雇用機会均等法の問題がございます。指針を厳しくいたしておりますから、この厳格な運用をお願いをしてまいりたい。育児休業法、そして育児休業給付の制度を今お願いをしているところでございますし、介護休業制度についても考えていかなければなりません。要するに、職業生活と家庭生活の両立を支援するための施策をこれからやりていこうということでございますが、特に、雇用情勢が厳しい中で、来年の新規学卒である女子学生の就職が心配でございますので、総理大臣を中心として関係閣僚が集まって、閣僚懇談会を設置したわけでございます。
 それから、高年齢雇用継続給付、高年齢者の問題につきましては、将来、これは福祉政策との絡みでございますが、六十五歳までは現役で働いていく世の中が望ましいということを考えますと、そういった意味では、もっと抜本的な施策もこれからやっていかなければならないということでございましょう。
 高年齢雇用継続給付は、定年後六十五歳までの雇用の継続を積極的に援助、促進しようとするものでございますが、こうした制度が実効を上げるためには、企業における雇用管理等が、すなわち、高齢者にもっと働いてもらおう、高齢者を大切にしようということが、企業内であるいは社会内でもっと高まっていくことが必要であろうと考えております。今国会に高年齢者雇用安定法を出させていただいておりまして、これは、本格的な、六十五歳まで現役でいける社会をつくるための法改正と御理解いただければありがたいと思います。
 以上でございます。(拍手)
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○議長(土井たか子君) 池田隆一さん。
    〔池田隆一君登壇〕
○池田隆一君 私は、日本社会党・護憲民主連合を代表し、ただいま議題となりました雇用保険法等の一部を改正する法律案につきまして、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 法案の内容に入る前に、まず、最近の雇用情勢について伺います。
 労働省が発表した三月の有効求人倍率は〇・六六倍と、前月を〇・〇一ポイント上回るなど、雇用情勢の悪化に歯どめがかかり始めたことを示すようなやや明るい統計データもありますが、総務庁が発表した三月の完全失業率は二・九%で、八七年六日以来の高い水準が続いており、雇用情勢は依然として厳しい状況にあります。
 社会党は、昨年の秋、当時の連立与党内の協議において、不況の長期化による雇用の危機に対応するため、緊急雇用開発計画の策定を提案しました。この提案が他の連立与党や労働省に受け入れられ、昨年十二月に策定された労働省の雇用支援トータルプログラムとして結実したものと我々は受けとめております。
 雇用情勢の改善には、もちろん基本的には所得減税の実施など有効な景気対策が必要であります。しかし、実際に景気が浮揚するまでの間は、雇用を維持し再就職先を確保するための雇用対策が欠かせません。このトータルプログラムにより約百万人の雇用機会の確保が可能と見込まれており、その効果には大いに期待をしているのでありますが、その実施状況はどうか、総理並びに労働大臣にお伺いいたします。
 さて総理、昨日のある新聞に、産業構造審議会の基本問題小委員会が二十一世紀の産業構造のあり方を展望した報告書の骨格が報道されています。この新聞報道によりますと、骨格は、自動車や家電など輸出産業に依存してきた産業構造を内需主導に転換すべきである、産業間の円滑な労働移動も欠かせない、さらに、労働市場の積極的な流動化政策などを求めています。
 労働市場の積極的な流動化政策とは一体何を意味するのか。一九四四年のフィラデルフィア宣言を引用するまでもなく、労働者は、単に企業の都
合で使用されたり、捨てられたり、拾われたり、活用されたりする商品であってはなりません。
 現在、我が国の産業、雇用は、いわば構造的な問題に直面しております。ある程度の国際分業は避けられないとも私も考えます。他方、現実の問題として、同一企業内で雇用が保障されなくなってきていることも事実であり、いわゆる終身雇用を前提とした現在の諸制度のあり方については、私も将来的には検討しなければならない課題だと思います。しかし、それは企業優先ではなく、労働者の雇用、労働条件に十分配慮したものでなければなりません。
 この問題について通産大臣は一体どのようにお考えか。また、労働大臣は産構審の小委員会報告をどのように受けとめておられるのか。そもそも、このような問題については、関係各省庁が連携し、経済、産業と雇用とが一体となった施策を立案、展開していくことが必要だと思うのであります。両大臣はどうお考えでしょうか。この問題は極めて重要な問題でありますから、総理からも御見解をお聞きしたいと思います。
 さて、今回の雇用保険法改正案の最大のテーマは、雇用継続給付制度の導入であります。これは、雇用保険制度が大きく変化することを意味するもので、現に目的規定の改正を伴っており、抜本改正と言ってもよいと私は考えるのであります。
 人生八十年時代を迎え、六十五歳まで働くのが普通の時代を迎えようとしています。私は、今回の高年齢雇用継続給付の創設についてはいこのような状況に対応して高齢者の雇用を促進するものとして評価したいと思いますが、その給付率については、高年齢者の雇用を六十五歳まで進めるために実効ある水準とする必要があります。改正案にあるとおりの二五%で十分なのか、二五%とした理由は何か、被保険者期間が五年間以上であることを要件とした理由は何か、確認的に御質問をしておきたいと思います。
 ところで、この新給付制度については、二五%が上積みをされることを前提として、賃金を引き下げることが懸念されています。明らかに制度の悪用なのでありますが、そのようなことのないようにするため、労働省としては一体どう対処するおつもりか、労働大臣の御答弁を求めます。
 続いて、育児休業給付制度について伺います。
 今回、健康保険法等改正案や年金法等改正案、国家公務員等の共済各法の改正案など一連の法案で、育児休業期間中の労働者の社会保険料、共済掛金の負担が免除されるとともに、懸案であった育児休業給付制度が設けられることになったことは、我々の加わったさきの細川連立政権の成果であり、まことに喜ばしいことと受けとめているところであります。
 ところで、労働省の調査によれば、一九九二年四月の育児休業制度スタート後一年間に出産した民間女子労働者のこの制度の利用率は、四八・一%となっております。まず、この育児休業制度の周知徹底、完全定着に向けて、政府はどのように対処するおつもりか。今回、新たに育児休業給付制度が設けられるのを契機に積極的な取り組みを期待するが、どうか。さらに、育児休業給付制度が活用されるようにするためには、特に手続などもできるだけ簡素なものにし、親身になって対応する必要があるのではないか。労働大臣にお伺いいたします。
 二五%の給付が確保されたことは、欧米諸国の実情や別途社会保険料等の免除措置が講じられることと考え合わせれば、大いに評価ができます。しかし、決してこれで十分であるとは言えません。今後の改善、見直しに期待していることをここで付言しておきたいと思います。
 さて、今回提案されている育児休業給付は、来年四月施行ということになっています。育児休業期間中の所得保障制度の必要性は、民間労働者であると公務員労働者であるとを問わないことは言うまでもありません。ところが、公務員については、この法律による育児休業給付に対応した給付制度を設けるための法律案が提出されていないのは、一体どうしたわけでしょうか。公務員についても早急に必要な立法措置を講じるべきと考えるところであります。総理の御見解をお示しください。
 次に、国庫の負担についてお尋ねします。
 失業給付に係る国庫負担は、御承知のように本則では四分の一となっておりますが、前回、二年前の雇用保険法改正により、当分の間五分の一とされております。この暫定措置は、人手不足の時期、保険料収入が増加した時期にとられた措置でありますが、雇用情勢が悪化している今日、国庫負担率についてはもとに戻すべきではないか。また、今回新設される雇用継続給付については、失業給付の二分の一とされていますが、そのようにした理由についても労働大臣にお伺いしておきたいと思います。
 次に、所定給付日数の変更等についてお尋ねをいたします。
 五十五歳以上六十五歳までの年齢層を二つに分けて、六十歳から六十五歳までの層を手厚くすることは結構なことでありますが、五十五歳から六十歳までの層については、給付の引き下げになることは問題であります。これについては、個別延長給付によって対処することとされていると聞いております。これで五十五歳から六十歳までへの配慮は十分なのか。また、この趣旨が担当行政機関に周知徹底されなければトラブルも起きかねませんが、これらの点について労働大臣はどうお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
 さて、今回導入される新しい二つの給付制度について、私は大いに期待しており、ぜひとも活用されるようにしたいと願うものであります。
 しかし、ここで私が心配していることは、事務の執行体制であります。執行体制が不十分なため
に、心ならずもこの制度の普及や円滑な施行に支障が生じるようなことにでもなれば、一体何のための法制度化かということになります。
 そこでお尋ねするわけですが、政府は、本制度の普及促進にどのように取り組んでいくのか。また、利用者をどの程度見込んでいるのか。さらに、執行体制の確保についてはどうお考えか。総理並びに労働大臣のお考えを明らかにしていただきたいと思います。
 さて次に、育児休業給付問題に関連して、ILO百五十六号条約批准問題についてお伺いいたします。
 このいわゆる家族的責任を有する労働者条約の批准は、一九八五年の国連女子差別撤廃条約批准審議以来の懸案であることは、総理も御存じのことと思います。去る五月十六日の参議院本会議において、我が社会党の糸久議員が、ことしは国連の国際家族年でもあるのだから、この条約の批准をぜひとも今国会で実現するよう総理のリーダーシップを求めたのに対し、総理は、政府としては国会提出を目指し関係省庁で努力してきたところであるが、なお検討を要する問題が残されている、しかし、前向きにできるだけ早期に国会に提出できるよう努力を続けたいと答弁されました。本条約の批准については、他の野党も異存はないものと思います。
 そこで、私からも重ねて総理に本条約批准への御決意をお伺いするとともに、外務大臣に対しても、先日の総理答弁を外務省としてどのように受けとめているのか、また、総理答弁を踏まえて外務省としては具体的にどのように取り組まれているのか、今後の見通しも含めてお答えいただきたいと思います。
 最後に、本法案は、少子・高齢社会への対応策として、広範な国民各層から非常に注目されております。その期待にこたえ、所期の目的が十分に達成されるよう、事務の執行に当たる職員の確保も含めて、総理初め関係大臣に格段の御尽力を強く要請して、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣羽田孜君登壇〕
○内閣総理大臣(羽田孜君) お答え申し上げます。
 雇用情勢、これは依然として厳しい状況が続いております。このような状況に対応するために、皆様の御提案も踏まえまして、昨年十二月に、雇用支援トータルプログラム、これを取りまとめたところでございまして、我々は現在これに基づきまして積極的に雇用対策を実施しているところでございます。政府といたしましては、雇用の安定を図ることは極めて重要な政策課題であると認識しておりまして、今後とも全力を尽くしてまいりますことを申し上げたいと存じます。
 なお、経済、産業、雇用が一体でというお話があったわけでございますけれども、今後、国際化の進展、技術革新、規制緩和等によりまして産業構造の変化が見込まれることになります。こうした状況に対応する必要がありますが、同時に、労働者の雇用の安定に十分配慮したものでなければならないことを私も認識をいたしております。このため、経済、産業と雇用が一体となった施策の立案が重要でありまして、政府全体で総合的な施策の展開に努めてまいりたいというふうに考えます。
 なお、公務員につきましての育児休業期間中の所得保障の問題でありますけれども、民間部門におきまして、雇用保険制度の中で育児休業取得者に対する育児休業給付、これが支給されることになれば、給付水準と実施時期を含めまして、公務部門におきましてもそれに見合う何らかの措置が必要であると認識しておりまして、今後対応を検討してまいりたいというふうに考えます。
 なお、雇用継続給付の問題でありますけれども、給付を受給する方の数は、両給付全体で最大年百三十万人程度、これを見込んでおります。雇用継続給付の実施に当たりましては、制度内容ですとか手続の周知徹底を図り、その普及促進に努めますとともに、的確に給付を行うことができるよう、その体制というものをしっかりとしていく必要があるということは御指摘のとおりでありまして、私どももそのように努めてまいりたいと思います。
 なお、ILOの百五十六号条約の批准の問題でありますけれども、今御指摘がありましたように、先日、糸久議員の方にもお答えいたしましたとおり、なお検討を要する課題というものがございますけれども、政府といたしましては、前向きに、できる限り早期に批准できるように検討してまいることをこの機会に申し上げたいと存じます。
 残余の質疑につきましては、関係大臣から申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣鳩山邦夫君登壇〕
○国務大臣(鳩山邦夫君) 池田先生にお答え申し上げます。
 雇用支援トータルプログラムについては、昨年十二月に取りまとめて、今、雇用問題解決のための中心の施策として機動的に実施をいたしておりまして、なお予算が通りませんとできない部分が一部ありますので、予算の一日も早い成立を願っているわけでございます。
 産構審につきましては、実はまだ報告を聞いておりませんので、正確、正式の報告を聞いておりませんので何とも申し上げることはできませんが、先ほど長勢議員にもお答えを申し上げましたように、産業構造のあり方と雇用は密接不可分でございますので、大変重要な関係にあると思っております。雇用不安が生じないような雇用政策をやっていこうという方針でございます。
 それから、給付率の二五%なんですが、これは賃金と給付の合計額が六十歳で離職した場合の失業給付よりもやや高目にくる水準ということで二五%ということを決めたわけでございまして、支
給要件につきましては、六十歳以上で離職して失業給付を受ける者との均衡、バランスを考慮して、いわゆる保険の立場から被保険者期間を五年以上としたということでございまして、いずれも適当なものと考えております。
 また、高年齢雇用継続給付の支給額は、事業主が賃金を高目に設定しますとその分それに比例して多くなって労働者の収入がふえるという制度でございますから、普通善意で考えれば先生御指摘のようなことは起こり得ないと思うのですが、事業主が高年齢雇用継続給付の支給を理由として賃金をうんと引き下げるなどというようなことがもしあったりすると大変でございますが、その場合は必要に応じて公共職業安定所において指導することと予定いたしております。
 育児休業制度でございますが、育児休業制度の周知徹底、定着促進については、いわゆる啓発活動、相談指導体制、あるいは適用猶予事業所に対するできるだけ早期導入の促進などに取り組んでいくつもりでございますし、今回創設される育児休業給付制度、こういう制度ができたということも幅広く宣伝をしていかなければならないと思っております。育児休業給付制度の活用を進めるためには、できるだけ制度を利用しやすくすることが必要であり、先生御指摘のとおり、できる限り運用に当たって手続が簡単であるように指導をしてまいりたいと思っております。
 私が申し上げるべきことではないかとは思いますが、本来、育児休業制度あるいは育児休業給付制度というものを考える場合には、当然、公部門、民部門を問わず、公民、オールジャパンで、一体で進んでいくのが理想でございますから、これからすべての部門が足並みをそろえていけるようにみんなで努力をする必要があるだろう。これは総理のお話と同じでございます。
 それから、国庫負担率の暫定措置はもとに戻すべきではないかとのお話でございますが、これは、国庫負担の暫定的引き下げは平成四年度から保険料奉の暫定的引き下げと軌を一にして行ったものであり、これにより雇用保険の収支は平均的に均衡していると考えておりまして、当面はこのままでやらせていただきたいと思っております。
 また、雇用継続給付の国庫負担率が失業給付の半分であるという点については、これは対象者がいわゆる完全な失業状態ではないということを考えますと、それに比べて、結局国の責任もそれだけ相対的に低いと考えられておりますので国庫負担率を半分にしておるということでございます。
 それから、給付日数の問題でございますが、結局、五十五歳から六十歳の方をそれだけ若い方と一緒にするという意味では、日数が引き下げられてしまうわけでございまして、これも六十五歳まで現役で働くというこれからの一つの方向を示すものともなっておりますが、これによって給付日数が一定以上減少する者については、激変緩和措置ということで個別延長給付をやる、先生御指摘のとおりでございますが、それで対処をしてまいりたいと思いますし、そういう制度があること、その内容を周知徹底をしてまいりたいと思っております。
 雇用継続給付の普及促進あるいは執行体制の問題でございますが、これは労働者、事業主ともに、制度内容やあるいはやり方、手続等の周知徹底を図ってまいりたいと思っております。
 高年齢雇用継続給付の利用者は、平年度ベースで百十六万人まで見込んでおりますし、育児休業給付は、先ほど申し上げましたように最大十四万人程度を見込んでまいっております。
 以上でございます。(拍手)
    〔国務大臣畑英次郎君登壇〕
○国務大臣(畑英次郎君) 池田先生御指摘のとおり、厳しい経済実態に対応すべく産業構造審議会が持たれておるわけでございますが、御指摘のありましたとおり、労働者のお立場を商品化するようなことが、万が一にもあり得るはずもありませんし、そういうことは絶対ない、そういう認識のもとにこれから先の事柄を進めてまいりたいというふうに考えております。
 私ども、産業構造改革のビジョンと労働、雇用の問題のビジョン、これが表裏一体となって初めて今後の希望のある、活力ある産業界の発展というものが見込まれる、かような意味合いで労働省と我が方とが月二、三回既に協議を始めておりますが、引き続き全省庁、関連省庁とも十二分な連携の中で事柄を進めてまいりたい、かように考えております。(拍手)
    〔国務大臣柿澤弘治君登壇〕
○国務大臣(柿澤弘治君) ILO百五十六号条約批准手続についてでございますが、外務省といたしましても、関係省庁と目下問題点を鋭意検討中でございます。総理答弁の線に沿いまして、これからできる限り早期に批准手続が進むよう努力をしてまいりたいと思っております。(拍手)
○議長(土井たか子君) これにて質疑は終了いたしました。
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○議長(土井たか子君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後一時十一分散会
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