第129回国会 法務委員会 第1号
本国会召集日(平成六年一月三十一日)(月曜日
)(午前零時現在)における本委員は、次のとお
りである。
  委員長 高橋 辰夫君
   理事 小澤  潔君 理事 斉藤斗志二君
   理事 島村 宜伸君 理事 山本 有二君
   理事 小森 龍邦君 理事 山田 正彦君
   理事 枝野 幸男君 理事 倉田 栄喜君
      奥野 誠亮君    亀井 静香君
      塩川正十郎君    田原  隆君
      津島 雄二君    浜野  剛君
      坂上 富男君    永井 哲男君
      渡辺 嘉藏君   柴野たいぞう君
      星野 行男君    山岡 賢次君
      荒井  聰君    簗瀬  進君
      大口 善徳君    富田 茂之君
      吉田  治君    正森 成二君
      笹川  堯君    徳田 虎雄君
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平成六年三月二十五日(金曜日)
    午前十時四十分開議
出席委員
  委員長 高橋 辰夫君
   理事 小澤  潔君 理事 斉藤斗志二君
   理事 島村 宜伸君 理事 山本 有二君
   理事 小森 龍邦君 理事 山田 正彦君
   理事 枝野 幸男君 理事 倉田 栄喜君
      塩川正十郎君    田原  隆君
      津島 雄二君    浜野  剛君
      坂上 富男君    永井 哲男君
      渡辺 嘉藏君   柴野たいぞう君
      西川太一郎君    山岡 賢次君
      荒井  聰君    簗瀬  進君
      富田 茂之君    若松 謙維君
      吉田  治君    正森 成二君
      笹川  堯君    徳田 虎雄君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 三ケ月 章君
 出席政府委員
        法務政務次官  佐々木秀典君
        法務大臣官房長 原田 明夫君
        法務大臣官房司
        法法制調査部長 永井 紀昭君
        法務省民事局長 濱崎 恭生君
        法務省刑事局長 則定  衛君
        法務省矯正局長 松田  昇君
        法務省人権擁護
        局長      筧  康生君
 委員外の出席者
        最高裁判所事務
        総局総務局長  涌井 紀夫君
        最高裁判所事務
        総局民事局長
        兼最高裁判所事
        務総局行政局長 今井  功君
        最高裁判所事務
        総局刑事局長  高橋 省吾君
        法務委員会調査
        室長      平本 喜祿君
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委員の異動
二月十六日
 辞任         補欠選任
  吉田  治君     川端 達夫君
同日
 辞任         補欠選任
  川端 達夫君     吉田  治君
三月二十五日
 辞任         補欠選任
  星野 行男君     西川太一郎君
  大口 善徳君     若松 謙維君
同日
 辞任         補欠選任
  西川太一郎君     星野 行男君
  若松 謙維君     大口 善徳君
    ─────────────
三月二十四日
 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内
 閣提出第九号)
同日
 不動産訴訟の貼用印紙額の算定等に関する請願
 (錦織淳君紹介)(第五六二号)
は本委員会に付託された。
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二月二十八日
 死刑制度の廃止に関する陳情書(東京都品川区
 商品川五の九の五内田政行外千六百五十七名)
 (第一〇号)
 法律扶助に関する基本法の制定と財政措置の拡
 充・強化に関する陳情書(福岡県田川市中央町
 一の一田川市議会内清水宣亮)(第一一号)
は本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
 国政調査承認要求に関する件
 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内
 閣提出第九号)
     ────◇─────
○高橋委員長 これより会議を開きます。
 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。
 裁判所の司法行政に関する事項
 法務行政及び検察行政に関する事項
 国内治安に関する事項
 人権擁護に関する事項
以上の各事項につきまして、本会期中調査をいたしたいと存じます。
 つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高橋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
     ────◇─────
○高橋委員長 この際、お諮りいたします。
 本日、最高裁判所涌井総務局長、今井民事局長兼行政局長、高橋刑事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高橋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
     ────◇─────
○高橋委員長 内閣提出、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、趣旨の説明を聴取いたします。三ケ月法務大臣。
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 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ─────────────
○三ケ月国務大臣 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
 この法律案は、下級裁判所における事件の適正迅速な処理を図る等のため、裁判所の職員の員数を増加しようとするものでありまして、以下簡単にその要点を申し上げます。
 まず第一点は、裁判官の員数の増加であります。これは、地方裁判所における民事訴訟事件の
適正迅速な処理を図るため、判事補の員数を十人増加しようとするものでございます。
 第二点は、裁判官以外の裁判所の職員の員数の増加であります。これは、一方におきまして、地方裁判所における民事訴訟事件、民事執行法に基づく執行事件及び破産事件の適正迅速な処理を図る等のため、裁判官以外の裁判所の職員を五十七人増員するとともに、他方において、裁判所の司法行政事務を簡素化し、能率化すること等に伴い、裁判官以外の裁判所の職員を三十二人減員し、以上の増減を通じて、裁判官以外の裁判所の職員の員数を二十五人増加しようとするものであります。
 以上が、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案の趣旨であります。
 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
○高橋委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
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○高橋委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山本有二君。
○山本(有)委員 それでは、この法律改正案について御質問いたします。
 まず、この法律案の取り扱いでございますが、この取り扱いについて、日切れ法案であるか否か、随分いろいろもめた経過がございました。あえて毎年これを日切れにしている、それは厳密に言えば日切れではない法律案を日切れにしている、そういったことの必要性をお聞きいたします。
○涌井最高裁判所長官代理者 この裁判所職員の増員に関する定員法の改正、従前から一貫して日切れの扱いでお願いしてきておるわけでございまして、厳密に言いますと、確かにおっしゃるように、この法律が三月中に成立しませんと法律上その増員措置をとることができなくなるのかと言われますと、法律上はそういうことは確かにございません。ただ、現実の問題としまして、裁判官の増員の場合で御説明いたしますと、判事補増員の給源といいますのは、司法修習生として二年間修習を終えました修習生、そこにしか実は給源はございません。この修習生といいますのは、御承知のとおり三月には二年間の修習を終わりまして、四月からいよいよ任官するということで、いわば待機をしておる状況でございます。
 ことしの場合、幸い皆様方の御支援のおかげもございまして、百名以上の裁判官任官希望者を現在のところ確保できております。仮に今回この十名の増員が三月中にお認めいただけませんと、実はこの百名を超える者のうち十名程度の者は任官時期を四月にはできない。法律が通りますまでの間、ほかの人よりおくれた形で任官をしていただかないといけない、そういう事態になってくるわけでございます。
 裁判官の場合は、判事補になりましてから十年経過いたしますと判事になるというふうな後の処遇といいますか、そういうものがこれからいわば一生おくれてしまうという事態にもなりますので、それはやはり人事管理としては避けないといけないことであろう。そういうふうな観点から、従前からこの法案の処理を日切れでお願いしておるわけでございます。
○山本(有)委員 任官希望者、裁判官になる人の数がふえる年は不況だと言われておるのですが、まさしくそれを反映しているような、そんなことでありますが、いずれにしましても、裁判官の任官がふえることは、事件処理については大変有効なことでありますから喜ばしいわけであります。
 もう一つその法律についてでございますが、我々にとりまして、毎年度末になりますとこの法案が出てまいります。何となくそれでは、ほかにも公務員の皆さんがたくさんおいでになるわけだし、特に検事さんだって裁判官さんと似たような仕事であろうと思うのですが、この裁判所の職員法だけがこうやってどんどん出てくる。それに対して疑問もあるわけですね。総定数を決めて欠員補充をしたらどうかというような考え方もあるわけで、その方が毎年毎年国会を煩わさずに済むわけですから議会の能率上いいような気もいたしますけれども、そこのあたり御所見はございますでしょうか。
○涌井最高裁判所長官代理者 従前から何度か今委員御指摘のような指摘を受けておりまして、確かに定員数の計画的、弾力的な運用と申しますか、そういう面からいたしますと、御指摘のように総定数を法律で決めておきまして、毎年の細かいといいますか、増員は、予算なりあるいは最高裁判所で決めます規則等で決めていけばいいではないかという御指摘、なかなかもっともな点があるというふうに考えておるわけでございます。
 ただ、実は裁判所の定員の場合は、行政機関全体についての総定員法の考えと違いまして、行政機関全体の総定員法の考え方といいますのは、各省庁で取り扱っておられます分野の行政面での需要がその時代時代によって各省庁動いてくるであろう。それを全体として見まして一定の人数で賄う、そういう枠を決めまして、その時代の動きに応じて各省庁ごとの定員を流用していくといいますか、そういうふうな考え方で運用されておるのかと思います。しかし、裁判所の場合は、やはり基本的には事件を処理する官庁でございますので、事件処理の需要がどの程度出てくるかということに応じて定員が決まってくるという面がございます。
 そうしますと、今委員御指摘のように、将来の一定のある時期を一応目標にしまして、その時点でどの程度の裁判官なり裁判官以外の職員数が必要かということを見きわめて、ある程度大きな枠をつくっておくという考え方をとるにいたしましても、その時点でそれではどの程度の事件数が見込まれるかとか、あるいはいろいろな裁判事件の処理の方法がどういうふうな形に固まっていくだろうかというふうなところを見定めませんと、なかなか理想的な人数というものは設定が難しいわけでございます。事件数というのは、これは非常に時代によって変わる面がございまして、最近ですと、バブル経済後の不況を反映した破産事件、執行事件というのが急激にふえておりますが、これまた少し社会状況が変わりますと減ってしまうというふうな時期もございます。
 それから、実は裁判のやり方自体必ずしも確立したモデルというものができておるわけではございませんで、現に現在民事訴訟法の改正が議論されておりますが、そこでは民事訴訟の運営自体についていろいろ新しい試みを検討されておるようでございまして、今後、この検討がどうなるかによりまして民事訴訟自体の運営の仕方というものもかなり変わってくる面がございます。そういうふうな面をすべて見ながら、将来、例えば十年後、裁判所全体としてどれだけの人数があれば支障なく事件を処理していけるかということを計算するとなりますと非常に難しい面がございまして、そういう面があるものですからなかなか御提案のような方策が実現できないわけでございます。
 ただ、御指摘の点には非常に示唆に富む面があろうかと思いますので、我々の方でもいま少し時間をかけてこの問題を検討させていただきたいと思っております。
○山本(有)委員 毎年毎年、そして日切れで扱うということはもういたし方ない必要性があるように、私もそれはその御説明でも思いますが、なお検討をよろしくお願いいたします。
 今度の法律改正案では判事補さん十名を増員するということですが、過去十年ぐらいをずっと見てまいりますと、去年が七人、その前の年が七人、その前の年が五人、その前の年は簡裁判事が五人というようなことで、最近では一番増員数が多いのですね、もちろん任官者も多いかもしれませんが。簡裁の民事、刑事の推移を見ますと、簡裁の事件というのは六十年ぐらいからぐっと減っているし、少年事件も最近は減っているし、あるいは少年保護事件も減っていますし、そういうようなこ
とを考えていきますと、十人ふやしてかつ職員を二十五人ふやす、こういうことについてもう一つわかりにくい点があるわけです。その点についてお伺いいたします。
○涌井最高裁判所長官代理者 増員必要数をどういう手法で計算していくかというのはなかなか難しい面がございまして、統一的な理屈をつけてというところが非常に難しい面がございます。特に裁判官の場合、委員御指摘のように、人数をふやしましても果たしてそれだけの候補者を確保できるかどうかという面もございますので、任官候補者がどの程度確保できるかというふうな点も見ながら、この増員をお願いする数を検討していかなければならないという面もございます。
 今回の増員の理由としましては、提案理由にもございますように、大きく分けますと三本の柱がございまして、一つは地方裁判所の民事訴訟事件の審理の充実という点でございます。これもどうも抽象的な説明になってしまうわけでございますけれども、最近非常に社会生活のテンポも速くなっておりますので、そういう社会生活のテンポから見ますと、現在の民事訴訟といいますのは、簡単な事件だと比較的早く判決が出るのでございますけれども、少し難しい事件になりますと判決までに二年以上の時間がかかってしまうというふうなものが非常に多いわけでございまして、そういうテンポというのはやはり今の時代の要請からすれば問題があるんじゃなかろうか。こういう問題を解決するためには、やはりもう少し民事訴訟事件の審理の運営の仕方自体、今までと違ったいろいろな工夫をやっていく必要があるんじゃなかろうか。
 例えば、民訴の審理というのはどうしても公判廷での審理が中心になってくるわけでございますけれども、公判の審理を開きます前に十分当事者との間でいろいろな形で連絡をとって準備を進めていくとか、あるいは各公判期日の間にも当事者と裁判所の間で十分連絡をとって、公判期日以外で処理できるようなものはできるだけその段階で処理してしまうというふうな、そういう工夫も要るんじゃないか。そういうふうな工夫をいろいろ重ねることによって民事訴訟の審理期間をこれまで以上に短縮していきたいという考え方があるわけでございまして、そのためにはやはり裁判官を中心とします人的な陣容を従前以上に強化していきませんと、なかなかそういう工夫も実現できないという面がございます。
 それからもう一つの柱が、執行事件それから破産事件の急増に対しまして、その事件処理の体制を充実強化していきたいという点がございます。
 最近、新聞等でも出ておりますので御承知かと思いますけれども、執行事件、破産事件、五年前に比べますと、平成五年あたりの事件数はもう四倍とか五倍とかいうふうな事件数になっております。執行事件とか破産事件といいますのは判断の内容もいろいろ難しい問題がございますが、それに付随しまして、いろいろな関係者に照会を出したり、通知をしたりというふうな、いわば判断に付随する事務と申しますか、そういう事務が非常に煩雑でございまして、その関係の手数というのが非常にかかる事件でございます。こういうふうに急増しております執行事件、破産事件の処理のためには、やはり裁判官というよりはむしろ書記官を中心とした増員をお願いしまして、処理体制を強化していく必要があるのではなかろうか、そういうふうな観点から今回のような人数の増員をお願いしておるわけでございます。
○山本(有)委員 御答弁にございましたように、執行事件、破産事件、これはバブルの崩壊という世の中の現象でありますし、そういう世の中の現象に合わせて裁判官を決めていくということでございますから、それに対しては、これは私も認めさせていただくところでございます。
 しかし、考えて見ますと、この法律というのは紛争がなければ職員は要らないという考え方に基づいているようでありまして、理想国家、紛争がなくなれば裁判所がなくなるというおもしろい考え方をしているなと私は逆に思いまして、世の中、太古の昔から紛争はなくなっていませんからこれはあり続けるだろうと思いますけれども、なくなる世の中をお互い希求していきたいと思いますので、裁判官が増員できないような、そんなふうな国であればいいなというような感じがいたします。
 次に御質問をさせていただきますのは、こうやって予算を使って人をふやすというのは、今の風潮からするとちょっとおかしいのではないか、
 一瞬、新聞、テレビを見まして、裁判官がふえる、職員がふえるというのは、何となく今のトレンドに合ってない。何でそう感じるかというと、それはやはり臨調、行革審、こういった最終答申が出ているにもかかわらず、一方でこういう話題が出てくるというのは、もう一つ理解しにくいところが国民の皆さんにあるのだろうと思います。
 そこ交臨調、行革審、特に第三次行革審の最終答申を見ましても、裁判所あるいは立法府、そういったところのコメントはございません。
 調べてもらいますと、過去の臨調答申に、昭和五十六年六月二十二日の第一専門部会等で初めて「立法府や司法府においても同様の観点から自発的に効率化の努力をされることを要望したい。」あるいは行政改革としての性格上、行政部門だけではなくて、国民各層が負担を分かち合い改革に努力するという趣旨から、立法府、司法府においても合理化、効率化の努力をしろ、さらに会計検査院においても、あるいは司法府においても簡素化、効率化を徹底されたいというような言葉が散見されておりまして、いわば司法府も、裁判所もこれの例外でない。とにかく政府が余り大きくなって国民に負担を強いるというのは、今の世の中、おかしいぞ、こういうような意見が出ております。
 そこで、裁判所が自分の体をスリムにするようにダイエットしているかどうか、その御努力を、今までの御努力それから将来の努力目標、メニュー、そういったものがありましたらお聞かせください。
○涌井最高裁判所長官代理者 御指摘の臨調等の答申におきまして、その組織の簡素効率化という要請というのは、何も行政機関のみに当てはまる問題ではなくて、司法府についても同様に当てはまる時代の要請なのだ、そういう指摘があることは私どもも承知しております。また、実はこういう指摘をまつまでもなく、裁判所におきましても、組織の効率化あるいは簡素化という観点から裁判所の運営の自主改革を行っていく必要があると考えまして、いろいろな面で努力を行ってきております。
 実は裁判所の仕事、大きく分けますと、裁判の事件を処理します裁判の部門と、それからそれ以外の、例えば裁判所内部の人事の問題だとかあるいは会計の問題を処理します事務局の部門、この二つの部門がございまして、事件を処理します裁判部の方について申しますと、これは先ほど申しましたように、やはり事件数がある程度どう動いてくるかでその業務量が自動的に決まってくるような部門でございますので、一律に削減目標というようなものをつくりまして人員なりなんなりを削減していくということは非常に難しい面がございます。ただ、それ以外の一般的な事務局の部門、これは一般的な行政事務をやっておりますので、こういう部門につきましては、ほかの行政庁の組織でお考えになっておりますような効率化という点を同様に進めていかなければならないだろうというふうに考えております。
 そういう観点から、これまでも年次計画のような形で、行政部門について一定の人員を順次削減していくという計画を実行してきておりまして、最近十年間では、合計いたしますとこの部門で、全国でいいますと三百六十七名ぐらいの人員の削減を行ってきております。
 それから、裁判部門につきましては、先ほど言いましたように、なかなか行政部門と同じような形での合理化というのは難しい面がございます。といいますのは、基本的に事件の処理というのは、個々の事件ごとの裁判官の判断と申します
か、そういうものが中核になってまいりますので、そこのところを機械化したりというような面は非常に難しいわけでございます。
 ただ、事件によりましては、中心的な判断以外の周辺的なところといいますか、例えば書類を作成したりあるいは計算事務をやったりというふうな面の事務が非常に多いという事件もございます。執行事件でいいますと、これは一定のいわば法則に基づきまして配当の計算をしまして配当金をお支払いするという手続でございますので、計算事務が非常に多うございます。それから、督促事件、支払い命令の事件では、いろいろな書類をつくりましてそれを発送したりするという事務が非常に重要になってまいります。そういう面につきましては、コンピューターでありますとかワープロでありますとか、そういったいわゆるOA機器を用いまして事務の合理化を図ることができるわけでございます。
 裁判所におきましても、かなり大規模なそういうOA機器の導入をこういった分野の事件につきましては考えておりまして、いろいろ工夫をやってきておるところでございます。今後ともそういった工夫を我々の方としても進めていきたいというふうに考えております。
○山本(有)委員 やはり裁判所は紛争処理という定めがありますから、この部分を削るわけにはいきませんが、ほかの部分、一生懸命努力していただきたいと思います。
 裁判所がそういう臨調、行革審にうたわれている心を体現するならば、裁判所が一生懸命臨調、行革審の魂を具現していこうと努力するならば、要はやはり事件の処理能力の向上だろうというように私は思います。処理能力向上を図れば図るほど、国民の皆さんは早期に紛争が解決しますし、それからまた、裁判所に対する信頼がどんどん出てくるだろうというように思います。
 そこで、私がいろいろ散見する中で、二、三点あるいは四、五点、事件処理能力について今御努力いただいているのではないかなと思うことをちょっとお伺いさせていただきます。
 まず最初に和解。これは和解というのは、双方が出てきて、話し合いしたらそれでもう訴訟が終わるわけですから、和解をできるだけ早くして、判決書きせずにそのまま当事者納得の上で帰ってもらう、それが訴訟の進め方としては、訴訟事件がなくなるわけですから、一番いいと思うのです。
 和解でも、とにかく和解の手続一つとっても、なかなかすぐに和解に入ってくれなかったり、タイミングを失していったりするようなこともありますし、和解のテーブル自体も、例えば裁判官さんの方が偉いところに座って、何となく和解しにくいところがあったりというようなこともあって、例えば高知地方裁判所なんかでは、新聞に載っていましたけれども、丸いテーブルを導入したと。なるほど丸いテーブルを導入するだけでもちょっと気分的に違うかなと思ったりしまして、裁判所も味なことをやるわいというように思ったわけですが、こういう和解についてどのように御努力されているか、お聞かせください。
○今井最高裁判所長官代理者 和解の話でございますが、今御指摘がございましたように、民事裁判は私人間といいましょうか、国民の私人間の争いでございますので、本来話し合いで解決できれば一番都合がいいといいましょうか、そういうことで、裁判所としても、最近は和解に相当努力をしておるということであります。
 昔は、もう相当前に我々が任官したころは、和解剖事になるなかれというようなことを言われまして、安易に和解をしてはだめだ、ちゃんと判決をしろ、こういうようなことを言っておられた方もあるのですけれども、最近はむしろ和解の紛争解決機能ということを重視しまして、例えば、判決がありましても、執行というところになりますといろいろ問題がありますし、なかなか難しいところもある。ところが、和解ですと、納得ずくということですので、その履行も十分確保できるというようなことでございます。最近では、大体全国の事件のうちの三分の一強というのが和解で行われております。
 それで、和解のためにどういう努力をしておるかということでございますが、何といってもこれは当事者の話をよく聞くということが前提でございます。話を十分聞いて、その上で両方の納得のいく解決ができなければいけない。そのためには、今おっしゃいましたような和解の場といいましょうか、和解をする部屋でございます。これは施設の問題でございますから、一朝一夕にすぐというわけにはいきませんけれども、庁舎ができるときにまできるだけ和解室、和解の部屋をたくさん確保するというようなこともいたしております。
 それから、和解室のしつらえでございますけれども、先ほどラウンドテーブル、丸い方というような話がございましたが、ラウンドテーブルは実は和解というよりはむしろ傍聴席も設けたいわゆる法廷として設けたものでございます。したがいまして、そこでは、口頭弁論といいましょうか、当事者がどういう主張をして、どういうところを争い、また争わないか、そういうような主張の整理のために使うという、これが主目的ではございます。しかし、そこでももちろん、ああいう部屋でございますから、和解は十分できるし、雰囲気も非常によろしいんじゃないかということでありまして、いわゆるラウンドテーブルというのは、ここ数年来全国に設置をするということで、大体ほとんどの地方裁判所に少なくとも一つはこしらえるということで今進めておるというところでございます。
 そのほかにも、いろいろ環境整備というようなことには配慮をしていかなければいけないだろうと思っております。
○山本(有)委員 事件の処理のことを聞く上において、やはり今の事件の現状、そういうものを先に聞いた方がいいかとも思いますので、ここで、最近の事件の動向、そして民事、刑事訴訟の事件数、こういったものの推移と、そして原因、対一策、こういったものがわかればちょっと教えてください。
○今井最高裁判所長官代理者 まず、民事の関係について御説明いたします。
 お手元に「裁判所職員定員法の一部を改正する法律案関係資料」という資料がございますけれども、その十九ページ以下に事件の新受件数が出ておるわけでございます。
 民事の関係で言いますと、最も主要な訴訟について申し上げますと、地方裁判所におきましては、十九ページの下側の表であります。ここでおわかりいただきますように、第一審訴訟を見ますと、昭和六十年ごろに一たんピークであったわけですけれども、その後ずっと減少いたしまして、平成二年が底になっております。それから、平成三年、四年というふうに増加をいたしております。この表にはございませんけれども、平成五年の地裁の民事第一審訴訟でありますが、二十二万八千八百八十二件ということで、急増しておるわけであります。
 それから、同じように簡易裁判所の第一審訴訟をとってみますと、次の二十ページの下の表の一番上でありますけれども、これも平成二年ごろに底になりまして、平成三年、四年と急増いたします。平成五年でございますけれども、これも一どうも失礼しました。今二十二万八千八百八十二件と申し上げたのは簡易裁判所でございます。大変失礼いたしました。地方裁判所の平成五年は十五万二千四百一件でございます。こういうことで非常に訴訟は増加しておる。
 それから、ほかの事件も大体同じような傾向でございまして、執行事件でございますが、これは一番最後の二十二ページに表がございます。上の表であります。不動産等競売事件、これは強制競売、担保権の実行としての競売合わせまして、ここの表にございますように、やはり平成二年ごろに底でございましたが、その後増加をいたしまして、平成五年、これは表にはございませんが、六万二千八百九十一件、こういうことで増加してお
るわけであります。債権その他の強制執行あるいは事情届に基づいて執行裁判所が実施する配当等の事件というのも増加しております。
 それから、よく話題になります破産事件でございますが、これもまさに急増ということでありまして、平成二年あたりが一万二千件ということでありましたが、平成三年にその約倍、それから四年にもまたその倍ということでございます。幸いにしまして平成五年は平成四年とほぼ横ばいでございまして、四万六千二百十六件、こういう状況でございます。
 これは、いずれも民事事件と申しますのは経済事情の変動に非常に大きく左右されるという傾向がございまして、恐らく最近のバブル崩壊に基づく不況というものが非常に大きく影響しておるのではないかということでございます。
 この対策でございますけれども、先ほども総務局長が答えましたけれども、例えば民事訴訟におきましては、審理の充実ということで今いろいろ努力をしておるわけでございます。どういうことをしておるかということでありますが、かいつまんで申しますと、民事訴訟の審理の中で、最も中心的なものは法廷における口頭弁論、こういうことでございますけれども、それは裁判官及び両当事者代理人が一堂に会しまして、しかも法廷という場を使ってやるということで、なかなか日程的にもそうすぐに日がとれないというようなことがございます。したがいまして、その大切な口頭弁論期日を充実するためには、その準備が非常に大事だ、こういうことでございます。
 具体的に申しますと、訴状をお出しいただく場合に、訴状の記載事項の充実と言っておりますけれども、骨だけの訴状ではなくて、なぜこういうことになって訴状が出たのか、相手方は争っておるのかいないのか、こういうようなことも書いていただく。あるいは書証の早期提出ということでありますが、登記の事件ですと登記簿謄本、それから離婚の事件ですと戸籍謄本、あるいは契約書を出してもらう、こういうようなことをやっていただく。あるいは答弁書につきましても同じようなことでございまして、単に争うということではなくて、なぜ争うのか、どの点を争うのかということを書いていただく。このようなことによりまして、争点をできるだけ早くつかみまして、そこの争点に絞りましていろいろ証拠調べをする、こ−のようなことをやっておるわけであります。
 これについては民事の場合ですと、裁判官あるいは裁判所だけでできることではございません。どうしても代理人である弁護士さんあるいは弁護士会の御協力というのがなくてはならないわけであります。そこで、各地におきましては、それぞれ対応の弁護士会といろいろ協議をさせていただきまして、その中で、今申し上げたようなことを代理人、弁護士さんにお願いをして審理の充実に努める、このようなことをやっておるわけでございます。
 ほか、執行事件あるいは破産事件につきましては、先ほど総務局長が申し上げたような対策をとりまして、できるだけ裁判所を利用される国民の期待にこたえたい、こういうことでございます。
○山本(有)委員 事件の傾向等を御説明いただいて、本当に経済の実態をあらわしているように思います。その意味でも今が難しい時代で、本当に処理について御苦労だろうと思いますけれども、バブル後の後始末というものを裁判所もしっかりやっていただきたいと思います。
 それで、このバブル後の後始末で、僕はだんだん日本も貧富の差が出てきているような気がいたします。その中でやはり簡裁事件の件数がふえているというのは、そういう貧しい人たちが払えなくなって、どうしても困り切って結局裁判ざたになってしまうというようなことなのだろうと思います。このことはこれからも大変続くような気がしますし、その意味では少額裁判というものに対する理解あるいは認識というものが、まだ日本は現状、おくれているのではないかなと思います。確かに九十万円以下は簡裁というものを設けて一生懸命簡裁処理しておるわけでありますが、なお足りないという認識だろうと思いますし、これは法務大臣の専門でもあるかもしれませんが、大臣に答えていただくようには通告しておりませんので  いや、答えてもらってもいいのです。それじゃ大臣に一言、この点についてちょっと御見解をお伺いいたします。
○三ケ月国務大臣 少額裁判制度の改正につきましては改めてまたお尋ねがあるかと思いますので、ただいまのような御質問、すなわち、少額事件についての姿勢の問題というふうなことに限って、とりあえずお答えさせていただきます。
 おっしゃるとおりでございまして、国民の権利意識というふうなものが浸透してまいりますと、小さな事件でもどんどん裁判所に参ります。ところが、訴訟法というふうなものは、やはり昔、十九世紀に骨格のできましたものでもって、むしろ慎重、公正という方を第一に考えておりますがゆえに、小さいものには小さいものという対応というものはなかなかどうも、特に外国の法律をそっくり日本に持ってきてこれが訴訟だという形で学びました日本としては、自分の手で新しい実験をつくり出すということがなかなか難しかったということもございますが、おっしゃるとおり、時代の要請ということがございますので、今後は考えていかなければならない問題であると私も考えておる次第でございます。
○山本(有)委員 そこで、民訴法改正の作業がどんどん進められていると思うのですが、この改正作業の中で、少額裁判についてどのように御検討されているか、そのことについてお伺いさせていただきたいと思います。
○濱崎政府委員 委員既に御案内のとおり、法制審議会の民事訴訟法部会におきましては、平成二年の七月から、民事訴訟手続を、国民に利用しやすくそしてわかりやすくということを目標にいたしまして、全体について見直しをするということで調査審議を行っていただいているところでございまして、昨年の十二月に、それまでの審議の経過を踏まえまして、事務当局で民事訴訟手続に関する改正要綱試案というものを取りまとめて公表いたしました。現在各界から意見をいただいているところでございます。一応締め切りが四月中ということで意見の提出をお願いしておりまして、これが出ますれば整理して、それを踏まえてさらに最終の要綱案の確定のための審議をお願いするということを考えておるところでございます。
 委員ただいま御指摘の少額事件についての裁判制度という問題、これも今回のこれまでの検討におきましては一つの大きなテーマとして、そういう制度を新設するという方向で検討が行われておりまして、既に御案内かと思いますが、改正要綱試案におきましてもこれについての案が示されております。
 御指摘のとおり、現在の民事訴訟法は、訴額が比較的少額な事件につきまして簡易裁判所の訴訟手続の特則を設けておりますけれども、また運用上もその中でいろいろ工夫がされておりますが、やはりこの特則は、少額事件をその訴額に見合った経済的な負担で迅速に解決するという観点からは十分ではないのではないかという指摘を受けて、そういう検討をしているわけでございまして、諸外国の法制も見ながら検討が進められております。
 現在、大ざっぱに申しますと、三十万円以下の金銭訴訟について、一般市民がより低廉な費用で迅速に裁判を受けることができるという特別の少額事件手続というものを設けようということで、その手続では原則として一回で審理を終えて、即日口頭で判決を言い渡すというようなことで考えております。
 また、これは大変重要な問題でございますので、例えばその被告の方にも、そういう手続ではなくて通常の手続でやってくれという申し立て権を認めるのかどうか、あるいはそういう事件につきまして不服の申し立ての手続はどうすべきかというような点については、大変重要な問題でありますので、複数の案を提示して御意見を伺っているというような状況でございまして、御意見を踏
まえてさらに最終的な慎重な審議が行われるものというふうに期待しておるところでございます。
○山本(有)委員 少額事件というのはゆゆしい問題でありまして、五万円貸して、それで毎日毎日訴状や答弁書やそういうものを書かなければならぬという煩わしさ、裁判所まで出向かなければならぬという苦痛、そういったものを考えてみますと、泣き寝入りというものが大変多いと思いますし、やはりそんなことのない国であってほしいという意味からも、どうしても少額裁判というものを早期にうまく実現していただきたいと御要望申し上げます。
 破産事件、確かにこれは急増しておりまして、破産事件やら民事事件について、昭和六十年ぐらいまではサラ金の問題が多かったかもしれません。現在はバブル崩壊とカード破産かもしれません。そういうことを考えたときに、特に東京地裁なんかでの破産の部はもう飽和状態で何ともならない、全部処理するのに何年も先になる、四、五年先になるというようなことであるならば、またまたこれは銀行も困るでしょうし、償却することもなかなか容易ならざるところであるだろうし、また経済が通常に戻るためにもなかなか困難な作業だろうと思うのです。これが早く進まないと景気がうまくもとへ戻らないという点もありますが、この破産事件について、本当に膠着状態で何ともならぬという、岩の上に上がった船のようなことでしょうが、これについて何か対策を講じていられるかどうか、その点について裁判所にお伺いいたします。
○今井最高裁判所長官代理者 御指摘のように、この破産事件は、先ほども御説明しましたように、最近平成二年から三年、四年と倍々というようなことでふえておりまして、大体四万五千件あるということであります。
 ただ、その中身を見てみますと、今御指摘がありましたようないわゆるカード破産が、個人のカード破産でございます、非常に多いわけであります。昔は企業破産といいましょうか、あるいは事業をやっておる人の破産ということで、非常にそれが多かったわけでありますが、最近はむしろ個人のカード破産、しかも自己破産ということでございます。
 この自己破産と申しますのは、御案内のとおりでございますが、破産をいたしまして、その御免責の申し立てをして、免責を受けてその方が新しい再出発をする、こういうことを目的としてきておるものでございまして、関係人の数とかあるいはその破産者の財産というものは、企業の破産に比べますと相当数が少ないといいましょうか、そういうことでございます。それにいたしましても、債権者の数とかいろいろございますので、そういうことで裁判所の事務が大変忙しくなっておる、御指摘のとおりでございます。
 そこで、破産につきましては、増員ということで国会の方にもお願いいたしまして、昭和六十年から平成五年までの間でございますが、書記官、事務官、かなりの増員をお願いしたわけであります。また、今御審議いただいております定員法におきましても、破産事件の処理のために、二十人ということで、書記官の増員をお願いしてあるわけであります。
 そのほかに、それだけでは足りませんわけでありまして、先ほど組織の見直しというようなこともございましたので、東京地裁におきましても、ほかの部門から破産部の方に職員の内部的な配置の転換というようなことをいたしまして、その体制を整える。あるいは、ある程度これは定型的、機械的な処理ができるものもございますので、その面につきましては、パソコンを配りまして、例えば管財人の選任であるとかあるいは債権者に対する通知、それから官報への公告とか、いろいろなある程度の機械的事務がございます。そういうOA機器の配付、あるいは各官庁関係者に対する書類の通知あるいはそれを受けるという関係では、ファクシミリがございますが、そのようなものを配付いたしました。
 また、先ほど申しました自己破産の方は、大体専門家でないといいますか、素人の方が多いものですから、そういう人たちに対しまして、破産手続というのはどういうものか、それから破産になればどういうことになるんだ、裁判所に提出する書類はどんなものが必要かというようなものをわかりやすく解説しました簡単なリーフレット、こういうものを窓口に置きまして、それをごらんいただいて申し立てなりあるいは相談に応じる、このようなことで、できる限り効率的な事務の処理ということに努めておるわけでございます。
○山本(有)委員 なお一層御努力を賜りたいと思います。
 その訴訟の迅速な処理ということで、刑事事件でございますが、最近海の向こうのアメリカでおもしろい処理があったので、これについてお伺いします。
 「ケリガン事件灰色決着=vと三月十七日の読売の夕刊に載っているのですが、これはオレゴン州の州法に訴追妨害罪という刑事罰があって、五年以下の禁錮と罰金十万ドル以下の重罪、それにハーディング選手が適用されて、十万ドル払うことになった。
 ただ、ここでおもしろいのは、司法取引があったわけでありまして、この司法取引というのは、実際にケリガン選手の襲撃事件に関与したかどうかというよりも、夫がそれに関与したということを捜査当局に話をしなかった、不作為によってこの罪についたという、いわば捜査妨害罪なんだというようなことで「事後の関与の部分だけを認めることで「実」をとった」というようにこの新聞も書いておるわけでありますが、いわば実体的真実をぎりぎりっと見きわめずに、手前でとにかく有罪を認めれば、一部認めただけでも、もうそれで許してやろうじゃないか、それで社会的制裁も罰も受けるからいいじゃないか、特に日本での世界選手権の出場停止とか、あるいは五百時間の社会奉仕とか保護観察だとかいうようなことで許してやろう、.こういうことがあったわけでありまして、アメリカの有罪判決の二割が司法取引だ、こういうような状況でございます。
 これは、それこそ日米構造協議からいうと、おまえのところもこんなものをつくって早くしろということも言われなくもないような気もするわけでありますが、こういうような観点から、今の日本の法律も、略式裁判とか交通即決とか、いろいろ工夫はあると思うのです。今の日本の法制下の中でこういう司法取引というのが可能かどうか、これについて法務省にお伺いいたします。
○則定政府委員 このアメリカ合衆国で頻繁に行われているいわゆる司法取引でございますけれども、これは御指摘のとおり、通常重い罪よりも一段軽い罪について有罪答弁をする、あるいは幾つかの訴因のうちの一部を認めるということにおいて検察側と被告人、弁護人側とが取引をして、起訴状の認否の段階で被告人が有罪の答弁をする、それで一件落着、あとは会計手続に移る、こういうことでございます。
 これは、通常いわゆる有罪の答弁と結びついて簡便なあるいは迅速な刑事裁判ということにもなっているのだろうと思うわけでございますが、アメリカの場合には、司法取引に付随し有罪の答弁を行われるケースが七割程度というふうに私ども承知をしておるわけでございます。そういう意味におきましては、訴訟の迅速という点、これはひいては被告人、検察官あるいは裁判所の負担という面においては大きくプラスに作用するということは否めないかと思います。
 しかしながら、一面ではそういうメリットがございますけれども、こういう制度を採用いたしました場合に、今おっしゃいました実体的真実との兼ね合いで、被告人は実際に犯した罪よりも軽い罪でのみ処罰されるということになるわけですが、その結果に対して、その場合、つまり取引に応じなかった者との対比におきまして不公平の問題が生じないだろうか、それからまた、たとえ軽い処罰を受けても、早く刑事手続から解放されたいという気持ちから虚偽の自白をするおそれがあるのではないか、あるいはさらに、自己の刑事責
任を軽くするために他人をも犯罪に引き込む危険性がないだろうか、そういう刑事裁判の本質にかかわる問題をはらんでいるという指摘もございます。
 したがいまして、こういう制度を日本の今の刑事司法制度のもとで採用するかどうか、採用できるかどうか、この点につきまして考える場合には、我が国の全体的な法制度、それから国民の法意識、果たして司法取引というものが国民の法感情になじむものであるかどうか、それからまた、諸外国におきますこれらの制度の運用の実態等を十分踏まえまして慎重に研究する必要があろうか、こういうように考えておるわけでございます。
○山本(有)委員 わかりました。またこれは今後の検討課題だろうと思いますが、一つの考え方であろうと思います。
 次に、私の部屋に裁判所の方から「訴額通知の見直しについて」、多分委員の皆さん全員のところに配付された文書だろうと思いますが、最近の地価の下落傾向といったことから、それからまた、固定資産税の評価額の見直し、こういう点もいろいろ研究されまして、新評価額の二分の一を訴額算定基準とするのだというようなことを検討しているという通知がございました。この検討が今現在通知発出の決意にまでなったかどうか、それについてお聞かせください。
○今井最高裁判所長官代理者 今の問題でございますが、いきさつといいましょうか、この仕組み等を若干御説明させていただきたいと思います。
 申し立て手数料は、御承知のように、民事訴訟費用法あるいは民事訴訟法によりまして目的の価額に従ってスライド式で手数料が決まっておる、こういう構造でございます。その手数料は何にスライドするかといいますと、訴えをもって主張する利益だ、こういうことでございます。最終的には法律の解釈ということで裁判官の判断の問題でございます。
 ただ、そうはいいましても、その手数料の問題はまず受付の窓口で問題になるものですから、そこである程度の基準がないと非常な混乱を来す、こういうことでありまして、実は、昭和三十一年でございますけれども、土地につきましては固定資産評価額を土地の価額とすることを受け付けの際の基準ということで、民事局長の方でそういう基準だということを全国に通知したわけでございます。もちろん、争いがありました場合には、裁判官の判断によりましてその基準によるものではないということを注記しておるわけであります。それからずっと現在までそういうようなことで来たわけでございますが、御承知のような最近の固定資産評価額の見直しという年に当たりまして、相当引き上げをされるということになった。ところが、最近は、きょうの新聞にも出ておりました一が、地価が相当下落をした傾向を示しておる。
 ところで、従前評価額をどうして基準にしたかと申しますと、公示価格とか路線価とかいろいろ公の価格があるわけでございますが、固定資産の評価額というのはその中でも一番低い価格だと言われておった。それから全国津々浦々、一筆一筆に値段がついておる。こういうことで、訴状審査の受け付けの段階ではそれによることが適当であったと思われたわけでございますが、最近の地価の下落傾向と今回の評価額の値上がりということを勘案しますと、場合によっては評価額の方が公示価格よりオーバーするといういわゆる逆転現象のようなものが生じることになってきた。それでは今までの運用との連続性というようなことにもかなり問題がございますので、今回そのような二分の一という措置をとろうということで検討いたしておりまして、近々そのような基準をつくりまして全国に通知をしたい、このように考えておるわけでございます。
○山本(有)委員 そうすると、全国に通知したいということはもう決定されたわけですね。
○今井最高裁判所長官代理者 まだ外部には通知を差し上げてはございませんが、内部といいましょうか、私どもの内部ではそのようなことで今進めておる、こういうことで御理解いただきたいと思います。
○山本(有)委員 その通知はいつ、近々というのでなくて、いつということは言えませんでしょうか。
○今井最高裁判所長官代理者 この時期は来週早々にもということで考えております。
○山本(有)委員 私もこの通知を何らかの形で激変緩和措置として出した方がいいと思っておった一人でございますので、来週早々の通知があるということに対しては心から感謝、御礼申し上げたいと思います。
 ただ、これを決定する経過及び決定は非常にわかりにくい。そして、理屈で考えれば無理があることは否めません。そこで、ある程度この難しい点やらその理屈に合わないところをちょっと指摘させていただきます。
 例えば、裁判官がその訴訟費用、貼用印紙額をそれぞれ決めるという、それは何となく国民感情からすると、これも公共料金じゃないか、そんなもの裁判官一人一人が決めるなんておかしいじゃないか、僕はその疑問は当たり前だと思うのですが、その点について。そして、昭和三十一年には裁判官が一人一人決めると言っておきながら、民一事局長、それこそ今井さんの通知のようなもので、結局全国の窓口、貼用印紙を全部決めてしまった。これも、裁判官がそんなもの決めるということは一つも実益ないじゃないか、こうなるわけですが、この点についてお聞かせください。
○今井最高裁判所長官代理者 二つの点の指摘があったわけでございますが、一つは、この印紙の問題を個々の裁判官が決めるのは問題ではないか、こういうことでございますが、現在の法律の建前から申しますと、先ほど申し上げましたように、民事訴訟費用法によりまして、訴訟の目的の価額に応じて印紙を張る、その目的の価額というものは民事訴訟法の定めるところによるということになっておりまして、その民事訴訟法の規定によりますと、「其ノ価額ハ訴ヲ以テ主張スル利益ニ依リテ之ヲ算定ス」、こういうことでございます。
 それで、「訴ヲ以テ主張スル利益」が何かということでございますが、これは事件によって非常にわかりやすいものとわかりにくいものとがあると思います。「訴ヲ以テ主張スル利益」というのは、一般的にはその事件で原告が勝訴をした場合に得る経済的利益であるというふうに解釈されておるわけです。例えばこれが百万円の金銭訴訟ですと、それは百万円ということはだれでもわかるわけでございますけれども、土地の、土地といたしましてもその土地の所有権の確認訴訟の場合と、それから明け渡し訴訟、登記の事件だとか、あるいはもっと難しくなりますと、操業の差しとめというような訴訟、そうなると、それが果たして何が経済的利益かというのは非常に難しゅうございまして、個々の事案に応じて違うというようなことも言わざるを得ないような場合もあろうかと思います。そういう意味で裁判官が決するということでございます。
 ただ、そうは申しましても、それでは受付の段階でそんなことをやっておったのではなかなか印紙額が決まらない。印紙額といいますのは、御案内のとおり訴え提起の条件といいましょうか、訴え提起するには印紙を張らないと訴えが適法にならない、こういうことがあるものでございますから、ある程度の目安というものがないと訴訟、実際裁判所の事務が進まない、こういうことでございます。
 そこで、昭和三十一年にそういう通知を出しましたのは、全国の取り扱いというのをある程度調査いたしまして、大体こんなところでおおむねのコンセンサスが得られるのじゃないか、こういうようなところで基準を作成いたしまして、受付事務の参考ということで通知をした。その通知には、これについては訴訟物の価額に争いのあるときの基準ではありませんということを注記しておるわけであります。
 今回の措置につきましても、そういう法律の解
釈の問題が絡むものでございますから、裁判所の方は政策をやるところではございません、法律の解釈でございますので、激変緩和という趣旨ではなくて、今までそういう評価額でやってきたのが果たして現時点、現在のような評価額、それから公示価格というような状況から見て合理的であるかどうか、そういうようなことをいろいろ検討しておったわけであります。そういたしまして、最近発表されましたいろいろな土地に関する資料だとかそのようなものを検討いたしまして、今申したような逆転現象が生じるような場合には受付で印紙を取り過ぎるというようなことになるだろう、そういうことがあれば非常に不都合ではないかというようなことで受付の段階で印紙を取り過ぎないように、また今までの取り扱いと連続性が維持できるようにということで今回二分の一という基準をつくったものでございます。
 ただ、この基準につきましては当初の、三十一年と同様、争いのあるときの基準となるものではないということを改めて注記をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
○山本(有)委員 最後に、この効力ですね。これはいつまで続くのですか、通知の効力は。
○今井最高裁判所長官代理者 効力と申されますと、ちょっとなかなか難しいのです。といいますのは、あくまでも参考基準ということでございますので、例えば法律とか規則、あるいは行政庁におきます通達というような意味での効力というのはないわけでございます。事実上のものでございます。
 ただ、そういう措置をいつまでそういう基準にするのかという御質問だろうと思いますけれども、これにつきましては、今度こういうことにしましたのは、現在のような土地の価格の状況、固定資産の評価額、それから公示価格その他の土地の価格の状況というものを前提とした措置でございますので、そのような状況に変化がない限りということになろうかと思っております。
○山本(有)委員 これで終わるんですが、さらに百日裁判について御質問しようと思ったわけでありますけれども、これは時を改めてまた御質問させていただきます。どうもありがとうございました。
○高橋委員長 小森龍邦君。
○小森委員 今回の裁判所職員定員法の一部を改正する法律案につきまして、私は毎たびお尋ねをしておるわけでありますが、憲法には、迅速にして公平な裁判を受ける権利を有す。裁判所というのは恐ろしいところで、権利という感覚は、なかなか私は少年時代にはそういう感覚には立ち得なかったのですが、よくよく考えてみると、罪刑法定主義の建前からいえば、確かにこれは権利である。そうなりますと、速やかに裁判によって物の決着をつけるということが非常に大事でありますが、資料等によりますと、事件が裁判で判決に至るまでにはかなりの時間がかかっておるということでございまして、毎年惰性のごとく少しずつ定員をふやすというのが出ておるように私には思えてならない。逆の側面からいくと、いわゆる臨調、行革の路線で先はどのような議論もございますし、しかしまた、国民の権利を守るということでは裁判は万全の策でやってもらいたいという気持ちもありますので、この点についてどういう感覚でもって毎年この定員法の一部改正をやっておられるのか、御説明いただきたいと思います。
○涌井最高裁判所長官代理者 委員御指摘のとおりでございまして、私ども職員数の増員をお願いしますときにいつも基本に据えておりますのは、各種の裁判事件の迅速で公平な裁判が実現できるようにという、そういう物差しで考えておるわけでございます。
 ただ、それでは具体的にどういう物差しに基づいて、どういう計算によってこの必要増員数を割り出しておるのかという点になりますと、先ほども御説明しましたように、なかなかその計算を一つの算式で計算することが難しゅうございまして、やはりそのときどきの情勢なりあるいはその事件の審理の方法なり、そういうものを見ながら、少なくとも今年度の目標としてはこういう問題があるところについては具体的にこういう形の手当てをしていきたい、そういうふうな観点から必要な人数を算出いたしまして手当てをお願いしておるわけでございます。
 今年度の場合は、先ほど来説明してまいりましたように、地方裁判所の民事訴訟事件、この審理期間をこれまでより何とか短くしていきたい、それから執行事件、破産事件、これが急増しておりますので、その急増状態に対して対処していけるように、こういう事件の迅速公平な処理が可能になるような、そういう陣容をつくりたい。そのためには現在全国に配置されております職員数にどの程度の数の増加をお願いすれば可能か、そういうふうなところから計算いたしまして今回の増員数を割り出しておるわけでございます。
○小森委員 法務省の管轄では、入管行政の問題も、急速に国際化というか国際的な人事交流が激しくなりまして、その事務もふえておりますが、私どもの見るところによると、そこに対する人事配置の問題も、なかなか事務をさばくに足りるような状況になっていない。そういうことも私の念頭にありますので、また法務大臣の所信を聞く機会もあろうかと思いますけれども、法務大臣の方からこの迅速な、しかも公開の裁判を受ける権利を有すということについてどういう気持ちで臨んでおられるか、この点、少しばかりお尋ねしたいと思います。
○三ケ月国務大臣 非常に、司法の根本に実は触れる問題でございまして、やはり裁判制度と申しますのは、これは私の考えによりますと、しょせん人間の作業量というものと比例する、人間の作業量の総体が少なければ、おのずから一定の事件について、割かれる時間なり適正度、あるいはスピードというようなものも少なくなってくる、逆に、ある程度裁判官の手が長ければ、同じ事件でも迅速に処理できるようになる、私は基本的にそういうふうな裁判哲学を持っているわけでございます。
 そういう面から申しますと、今まさに御指摘のございましたように、裁判所というふうなものの活動が非常に複雑多岐になってまいりますれば、それに応じた増員の必要性ということはやはり考えていかなければならないことでありますが、やはり官庁同士の所管といたしましては、そういう点について切実な関心を持たれる最高裁の当局におきまして、そういう状況、それからそのスピード、それの可能性ということを把握されて、そして対応されているというふうなことを、ただいまの今井局長、涌井局長の御答弁からも私も感得したわけでございます。
 それに対して法務省、法務大臣といたしましてはどういうふうな姿勢をとるべきであるかということでございますが、先ほど申しましたように、これは私個人の考えと申しますよりもやはり法務大臣としての発言でございますけれども、裁判所の所掌事務に最も近い関係にあるのは、御指摘のとおり法務担当の大臣でございます。したがって、今申しましたような意味合いを持っております裁判所職員の増員という問題につきまして、最高裁判所の方から、これこれこういう理由でこのぐらいのところを至急とにかく増員してまいりたいというふうな御要望がございましたならば、できるだけこれに積極的に協力申し上げてまいりたい、こういうのが法務省の立場であると存じます。そういう立場から、本法案の提出、審議をお願いしているものと私考えておる次第でございます。
○小森委員 以前、多分これと同じ、毎年行われる定員法の一部改正についての議論であったと思いますが、この程度の裁判官の増員で大丈夫かということを私が尋ねたときに、実は、いやもう裁判官は出勤の電車の中でもきょうの事件をどうするかなといって考えておるのだから、それはもう大丈夫ですというようなことを言ったことがあるのです。そんなことを、要するに人の大変な権利に関する問題について電車の雑踏の中で考えるよ
うでは本当の職務は全うできないのだから、だから、要る人は要るように要求しなければいかぬという意味のことを言ったことを思い出すのであります。いろいろな国の政治の全体の関係があって思うに任せないと思いますけれども、これはとにかく人間の権利にかかわる問題ですから、ひとつ十分配慮をして、先ほど法務大臣もそういう話でありましたから、裁判所の方もひとつ十分な判断で臨んでいただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 さて、そのことに関係をいたしますが、つい先日高松高裁で、吉田さんという方の再審の判決が出まして、実に四十八年ぶりに無罪が確定をした、こういう事件でございます。これまで島田事件とか免田事件とかいろいろ事件がありまして、私の知るところでは十一件ぐらい冤罪が晴らされた、ひどいのは死刑の絞首台から生還して帰ったという、実に人生とすれば綱渡りのような危ない事件もあったわけでございます。
 この吉田さんの事件からいろいろなことが新聞でも報道されておるしいたしますが、私は非常に簡単な事実認定だと思うのですけれども、一体どういうところが結果から見れば誤った判断に裁判官がなるのか。もちろんそれには警察があり、検察があり、それから裁判官ということになる。この裁判官も一審、二審、三審とあるのですが、どういうところがそういうことになるのだろうか。その辺ちょっと、これはひとつ最高裁の方にお答えいただきたいと思います。
○高橋最高裁判所長官代理者 今回の事件では、共犯者とされた者の自白はその内容や供述経緯等から見て虚偽である疑いが濃厚であり信用できない、また、現場付近に落ちていたパナマ帽が被告人の所有であるとする内妻らの供述も信用できないのであって、被告人の犯行と認める証拠はないとして、今回の榎井事件では無罪ということになったわけであります。
 裁判は証拠によって事実を認定するものであり、証拠が異なれば認定が異なってくる、こういうことになるわけでありまして、例えば再審請求で新証拠が出てくることがあるわけですけれども、とりわけ新たな鑑定結果等は、科学技術の進歩発展に伴って、原裁判当時の鑑定技術の水準では正しいとされていた鑑定方法とか結果が後に誤りであると判明するといった事情もあるようであります。今回の榎井事件におきましては、先ほど申し上げましたとおり、パナマ帽に付着していた汗について新たな鑑定が出されたのが、再審無罪の一つの根拠となっているようであります。
 また、同じような証拠関係でありましても、その判断につきましては、食い違う証拠が二つある場合には、そのどちらを信用するか、いろいろと微妙な問題がございまして、いろいろな角度から検討して、そして経験則上の推測を重ねて、どこまで確実に認定できるかという点を積み重ね上げて心証を形成していく、こういうふうになるわけでありますけれども、その過程においてどのような要素をどれだけ重く見るか、そういった点につきましてはやはり個々の裁判官で若干の差異があったりしますし、また証拠を取り巻く周辺の証拠関係、それが変わったりすることによって最終的に結論が異なってくる、そういうことがあるということを御理解いただきたいと思います。
○小森委員 この事件の弁護団長の三野弁護人は、事件の判決が出ましてから次のような声明を発しております。それは、「第一審、控訴審、上告審のいずれの裁判所も」つまり事実を「無視して有罪と断定した。この自白偏重主義は現在に至るまで連綿と続いている」ここから問題ですよ、「わが国の刑事裁判の構造的誤判原因である。」「構造的」ということを、つまりこの事件に携わった法律専門家の人が言っておるわけですね。
 私は、素人なりにその「構造的」ということをどこに求めたいかというと、これはやはり、刑事訴訟法に基づいて裁判をやるのですから、刑事訴訟法のどこかに抜け穴があるのじゃないか。こんなことは大きな問題で、ここの答弁で裁判所や法務大臣に答えてもらうというようなものではないと思うけれども、結局、以前大阪で公選法違反の事件がありまして八十人か九十人か有罪になって、裁判中にお年寄りの方は亡くなって、孫に対しても無念の真実を晴らすことができずに死んでいったというようなことで、私はあのときに法務大臣に謝罪をしてもらったのですが、だから、そういうことからすると、この裁判は、パナマ帽に対する何か汗の分析というようなものについても問題が明白でないのに、共犯者と言われるA氏の長らく拘禁された自白を盾にとっておる、しかし、彼は何回目かの公判でこれを否認した、こういうことがあったにもかかわらず、そのもとの自白を問題としてずるずるといっておる。
 そこで、私が言いたいのは、この前の選挙違反の問題のときにも申し上げたのでありますが、刑事訴訟法の三百二十一条のこれは一項の二号、要するに伝聞を証拠能力にばっと生き返らす、あそこが問題ではないのかと。それでこれは、私はそのときに欧米の刑事訴訟法との比較でそんなことはどうなのかということを尋ねましたが、私の認識では、欧米ではそこは日本よりももっと厳格だとこういう私なりの勉強をしておるんですけれども、そのときのどなたでしたか、刑事局長であったかどうかはちょっと覚えませんけれども、いや欧米も日本も同じですというような意味のことを言って、後からそれは違うじゃないかと私は文句を言うたことがあるんです。要するに構造的欠陥があるのではないか、こういうふうな気持ちがするんですが、時間がなくなりますが、どうでしょうかな、その点は。
○高橋最高裁判所長官代理者 御質問の趣旨は、裁判官の心証形成ということで裁判官の自由心証の点について言われていると思うのですけれども、裁判官の自由心証、これは刑事訴訟法の三百十八条に規定されておりますけれども、裁判官の自由心証と申しましても、経験則に従うといった外枠は当然存在しておりますし、自白事件におきましても、自白に頼らずに他の客観的な証拠、それによって事実を認定していき、自白はあくまでこれを補充するものである、そういうのが事実認定に対する多くの裁判官の基本的な姿勢といいますか、心構えであると思います。裁判実務においてもそのように運用されているということをひとつ御理解いただきたいと存じます。
 いずれにしましても、被告人の有罪かあるいは無罪かという点は、その自白が果たして任意になされたものであるか、またその自白に信用性が置けるかどうか、そういった点が最も重要な問題になる事案が大半であるわけですので、特に捜査段階における自白の任意性あるいは信用性については厳しくチェックする必要があるというのが刑事裁判官の共通の認識であると言ってよいと思います。そのために、自白の任意性、信用性の判断の資料として取り調べ経過一覧表の活用など、証拠調べにおけるいろいろな実務上の工夫が提言され、またそれが実施されているほか、これまでいろいろ多くの裁判例を詳細に分析しました司法研究、そういったものも行われまして、裁判実務の参考とされております。そういった点をひとつ御理解いただきたいと思います。
○小森委員 人生において、私も六十を越しまして、ここ三年、四年、五年という単位の時間というものはもう私の人生にとって非常に大事だということを感じて、物を書いたりなどするのをまとめたいといういろいろなこともあって、いろいろ焦りを感じておるのでありますが、四十八年というのはこれは大変なことですな、そのことで煩わしいことになったということは。大変なことですね。
 だから、やはり今後の課題として真剣に私は、この刑事訴訟法上の、伝聞だから意味がないが、それが法廷で反対尋問にさらされて、さらにその証人がそのことを言えば、それでそれは証拠能力持つんじゃと言うたら、うそを言われたらもうどうにもならんじゃないですかな。だからそういう点が、私は我が国の誤判が非常に再審の結果から見て大きな問題だというふうに思いますので、その点はひとつ十分に考慮、検討していただきたい
ということをお願い申し上げておきます。
 そこで、先ほど裁判官の自由心証といいますか、裁判官は法律と良心に従ってのみ拘束されるというのが憲法の条文にあったと思いますけれども、先ほどの例を見ても、裁判官によって全く逆の判断になるんですね。時代の推移もありますけれども。
 そこで、私が今苦々しく思っていることを一、二申し上げますと、私のかかわっております狭山事件、今千葉刑務所に拘禁生活を送っておりますが、三十年余りつながれておるんですね。これは例えば、すぐに言ってもわからないかもわからんけれども、身代金を取りに行ったと言われるときに履いとった地下足袋が、裁判所が出してきた証拠品の地下足袋は九文七分、本人の足は十文半。いやそれは無理をすればその足袋が履けるんだというような、そんなことを裁判官が理屈をつけなければ一つの結論に到達できないようなことは、明らかに裁判官のこれは恣意じゃないですかな。一々答えは要りませんよ、それは裁判記録を読んでもらえればわかることだから。
 一メーター七十何センチの、七十一センチかニセンチのかもいの上に万年筆があったと。脅迫状を書いたとされておる。インクの色も違うんだけれども、インクの種類も違うんだけれども、脅迫状を書いた万年筆というのが一メーター七十一センチか二センチかのかもいの上にあって、だれもが見やすいところだから捜査員が見落としたのであろうと、これも裁判官の恣意でしょう。
 石川君が死体を関東ローム層というあのずるずるした雨の降る日に抱えて二百何メートル運ぶのに、私も重たいものを若いときに提げた経験がありますが、石川君がずっと誘導されて自白したのは、私はセメント袋を二俵こうやって抱えて歩く力を持っておるんだからと。当時のセメント袋は五十キロなんです。二俵といったら百キロなんです。できないんです、そういうことは。私はそれは物すごく経験があるから。自分でセメント袋を抱えたのは、何千俵も抱えた経験があるんですから。十年間私はコンクリートを打つ専門で仕事をしておった。そういうことで、まあそうかと、こう裁判官。そんなことでなって、この事実が認定をされていくというのは、これは裁判官の自由心証というよりは、これは恣意じゃないですか。
 この恣意をとめるということについて、恣意をどう是正するかということは、時間がないから私がずっと言いますけれども、要するに、事実調べを入念にやるということが一番人権を守るということなんですね。それから、その事実調べを入念にやっていくということになれば、裁判官の定員の問題になってくるんです。
 それからもう一つは、それでも人間のなせるわざ、神ならぬ身でありますから過ちを犯すことがありますね。そうしたらやはり再審の門戸を大きくしておくということ。何だかんだと理屈をつけて再審を閉ざすというのは、人が足らぬから再審せぬのかもしらんけれどもね、あるいは裁判所の権威のためにしないのかもしらんけれども、それでは、この世に生をうけたということは、その人にとってはたった一回なんですよ、やりかえがきかぬのですよ。それが誤って死刑にされるという場合もあるから。法務大臣、この間死刑の判を押されたが、私は前の法務大臣にもかなりやかましいことを言って、発言の時間がないから余り継続してできなかったけれども、誤っておったらどうするんですか、これ。そういう問題がございます。したがって、定員法の一部改正の機会に、改めて裁判というものが持つ人権上の重大性ということを感じていただきたいと思います。
 そこで、この狭山事件に関係して申し上げますが、この前の私の質問で、無期懲役は無期懲役なんだから、それは無期なんだからどうしようもないんだという意味のことを千葉刑務所長が言われたので、そこでまた再度ただして、無期懲役に未決勾留の期間を裁判所が算入すると決めておることについてはそれは一つの判断材料として頭にあるんですということをもう一度答弁してもらったから、三、四年前に私が答弁をもらったのと同じところへ戻ってきたんですが、最近私がある判例を調べておりますと、戦後間もなく米軍のことに関して、裁判権が日本に返ってきた直後のことのようですけれども、無期懲役を受けた者が、まるまる裁判所が、つまり、本件に対して未決勾留期間を算入するといったのを入れておる事例があるんですけれども、そういう点についてはどういう考えを持っておられましょうか。
 あとまた質問を山田先生にしてもらいますので、時間を短縮するためにそのことをお答えいただくということと、もうこれで私は発言を最後にしますが、私の質問の中身と、それからもう一つは、長崎の刑務所に韓国人がつながれておって原爆を受けて、そして身寄りの人が遺骨をひとつ分骨してもらいたいというのと死亡通知をもらいたいということについて、この間私どもの党の坂上法務部会長を中心にいろいろ法務省に研究してもらいまして、大分前向きなような状況になっておりまして、我々も社会党の法務部会の一員としては感謝しております。したがって、ぜひ遺族の意に沿えるように、大分よいところまで進んでおるようでありますが、実現をするようにお願いを申し上げ、そのことについては感謝をいたしたいと思います。
 では、最後の答えを簡単に言ってください、あと山田先生の質問が残っているから。
○則定政府委員 まず最初の、無期懲役刑を言い渡す場合に未決勾留日数の算入を行うことができるかどうか、未決勾留日数の算入を言い渡すことができるかどうかという問題でございます。
 この点につきましては、結論的にはできると考えておるわけでございます。刑法二十一条のいわゆる裁量的な未決勾留日数の算入につきましては、今御指摘の判例もございますし、また上訴申し立て後のいわゆる法定の未決勾留日数の算入につきましても、無期懲役刑でありましても本刑に通算されるというふうに解されると考えております。
 ただ、無期懲役刑に処された者の未決勾留日数は、仮出獄の要件とされております十年には算入されないと従来から解されておるわけでございまして、これは今言及されましたように、無期懲役が終生にわたる懲役刑でございまして、定まった刑期がない。したがいまして、事柄の性質上、これに未決勾留日数を算入するということは不可能であるというふうに解されておるわけでございます。
 それではどうして無期懲役刑に今申しましたような未決勾留日数を算入するという、判決でも言い渡しをするのかということになりますと、これは例えば、恩赦によりまして無期懲役刑から有期懲役刑に減刑されました場合、この場合には未決勾留日数が通算されることになりますので、判決でそういう言い渡しをすることも意味があるというふうに解しておるわけでございます。
○小森委員 終わります。
○高橋委員長 山田正彦君。
○山田(正)委員 私の持ち時間はあと二分ぐらいのようですが、聞いてみたいと思っておりました、固定資産税の評価が三倍から四倍に上がって、それに伴って当然訴訟物の算定基準もそれに従う、準ずるといいますか、貼用印紙額の問題についてお聞きしようと思っておりました。先ほど山本有二委員の方で詳しく聞かれましたので、私二点だけちょっと聞かせていただきます。
 同じように、関連して不動産の売買等に伴う登録免許税、そして固定資産税そのものについては、私の聞き及んでいるところでは、ことしの四月一日からは、登録免許税については前年比二〇%程度の増額、それから固定資産税については前年比五から二〇%ほどの増額と聞いていますが、今度の貼用印紙については先ほどの答弁では百分の五十、そういうお答えでありましたが、実際には前年に比べてどれくらいになるものでしょうか。
○今井最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
 実は、この評価がえによる倍率というのは、各
土地土地によって非常に差があるものですから、一概にどうということは言えないのですけれども、例えば平均的に三倍と言われておりますので、そういたしますと、その二分の一にいたしますと一・五倍ということになります。それで申し上げますと、例えば一千万の訴訟でございますが、現在は訴額が一千万、それが一千五百万になるということでございます。そういたしますと、現在の印紙額は五万七千六百円ということでございます。それが一千五百万になりますと七万七千六百円ということで、倍率にしますと一・三五倍。それから五千万の土地、現在の評価額五千万、この印紙額は二十一万七千六百円。それが一・五倍になるといたしますと、七千五百万円でございますので三十一万七千六百円ということで、一・四六倍、大体こういう数字。御案内のように、高くなりますと手数料率が逓減というような措置がとられておりますので、若干金額によって違いますけれども、大体今申し上げたようなことになるということでございます。
○山田(正)委員 激変緩和措置をとっていただいたことは大変感謝いたしておりますが、同じような固定資産の評価に伴う登録免許税あるいは固定資産税の課税そのものが最高二割くらいの増なのに、今聞いておりますと、この貼用印紙の方は三五%か四五%くらいの増だ、そうお聞きするところです。私も二十年ほど弁護士の実務をやってまいりましたが、国民としては訴訟費用の負担が非常に大きい、そして、なかなか裁判もできにくくなっているというのが実情だと思っております。
 そんな中に、いわば不動産の登録免許税あるいは固定資産税の課税よりもより高く貼用印紙の負担が国民にかかってくるというのはちょっと問題ではないか、こう思われますが、その点についてのお話と、今民事訴訟法について法制審議会において、その裁判費用の負担をできるだけ軽減させよう、そういう趣旨で検討が進められておると聞いておりますが、この二つの点について御回答いただければ、私の質問を終わりにいたしたいと思います。
○今井最高裁判所長官代理者 まず前段の問題でございますけれども、確かに訴訟を起こす際に、ある程度の手数料を納めなければ訴訟ができないということで、そのゆえに訴訟を断念する人があるのではないか、こういうような御質問でございます。
 これは現在の法制度の問題、大きく言いますとそういうことになるわけでございまして、現在は訴えをもって主張する利益に応じて手数料がかかる、こういうことでございますので、それがどの程度がいいのかというのは非常に難しい問題ではございますけれども、裁判所といたしましては、今ある費用法なり民事訴訟法の適用という面で考えておりますので、何が訴えをもって主張する利益になるのかということでございます。それが先ほど来御説明申し上げているような理由で、今度のような措置をとらせていただこうということでございますので、それ以上、例えば政策的にどうかということはちょっと私どもとしてはなかなか、裁判所の立場としてはできない問題だろうというふうに思っております。
 それから後段の問題でございますが、これは先ほど法務省の民事局長の方から御答弁がございましたように、現在、民事訴訟法の改正作業が行われておりまして、昨年、法務省の方から改正要綱試案というものが公表されまして、裁判所にも意見を求められております。その中では、今御指摘のありました訴訟費用の問題についても検討項目ということで挙がっておりまして、現在、求意見中、裁判所の方でも各裁判所に意見を求めまして、まだ意見が来ているところも、ないところもありますけれども、それを裁判所の方の意見としてまとめまして、法務省の方に提出をしたいということでございます。
 その後、恐らく法制審議会におきまして、この点についても検討がなされるものというふうに考えております。
○山田(正)委員 どうもありがとうございました。
○高橋委員長 正森成二君。
○正森委員 裁判所定員法関係の質問に入ります前に、今同僚委員二人から質問がございました訴額通知の見直しについて伺いたいと思います。
 訴額の問題は、大きく言えば国民の裁判を受ける権利と非常に関係してくる問題です。それで、アメリカなんかは定額一律の印紙制度というのが行われていると聞いておりますし、我が国でも印紙額を軽減するためにいろいろ各方面で審議が行われているところです。
 そこで、同僚委員からも質問があったのですけれども、例えば固定資産税の場合は、急激に上昇しまして、中には五倍を超えるものというようなものも出てまいりましたので、昨年既に課税標準額の特例というので減額しまして、その上に、今もお話がございましたように、負担調整措置の新設で五%から住宅用地の場合には二〇%というようになったところであります。
 また、御承知だと思いますが、登録免許税の関係では、これは今国会に法案が出ているわけですけれども、土地の評価額を九四年、九五年度の二年間は四〇%、九六年度に五〇%に減額するという負担軽減をやるという法案が出ております。これによる減収額は四千六百四十億円と大蔵省が報告しております。つまり、国民に対する減税には非常に慎重で、増収は一生懸命考えているあのけちな大蔵省でさえ、けちな大蔵省でさえと言ったらいけませんが、それでさえこういうことをやる。だから、国民の裁判を受ける権利を考えるという最高裁であれば、やはり大蔵省のとる措置などよりも低いものを、つまり、逆に言えば国民に負担がかかるものを民事局長の通知のようなものでやるというのはいかがなものかというのが一つ。
 それから、二十三日にあなた方がそういうことを検討しているという、こういう一枚の紙をもらったのですけれども、自治省や大蔵省でさえ既に昨年のうちから、あるいは今国会に早々とこういう法案を出すということを言っているのに、最高裁判所が二十三日になってやっと国会議員のところに、こんなことを、やりましたじゃなしに考えておりますと、今も質問の中では、今まだ何か民事局長が手元に握っておって、来週早々というから二十八日か二十九日なんでしょう。それじゃ四月一日の目の前じゃないですか。そんなところでなければ対応しないというのは、裁判を受ける国民の権利を費用の点からも保障するという最高裁判所としては非常に反応が鈍いのではないですか。余りにも行政府に対して遠慮し過ぎて、金を稼がない裁判所が国民から取る印紙額を少なくしたら大蔵省に申しわけないというような過剰抑制をやっているんじゃないですか。その点を一言申し上げて、意見があったら言ってください。
○今井最高裁判所長官代理者 二つ御質問があったかと思いますが、まず第一の点でございます。今回の固定資産評価額の増額に伴って固定資産税なり登録免許税については軽減措置が講じられておる、それよりも裁判所の方はもっと軽減すべきではないか、こういう趣旨の御質問だと思いますけれども、私どもが今度は二分の一ということでやりましたのは、激変緩和ということではないわけでございます。
 裁判所は政策官庁ではございませんので、現行法──現行法と申しますのは、民事訴訟費用法あるいはそれが引いております民事訴訟法の中で「訴ヲ以テ主張スル利益」に応じて手数料を取る、こういうことになっておりますので、その現行法の解釈として合理的なものは何かということを考えなければいけないわけでございます。そういうことでいろいろ検討したわけですが、最近の地価の上昇、それからその後の大幅な下落というような状況下におきまして、固定資産税の評価額が場合によっては公示価格を超えるというような事態が生じてきた。そういうことになりますと、果たしてそれを「訴ヲ以テ主張スル利益」とするにはふさわしいのか、そういう点から検討いたし
たわけでございます。その結果、二分の一ということにしたわけでございます。
 それで、その対応が非常に遅いのではないかということでございます。確かに対応が遅かったと言われれば、それはそういう御批判は甘受しなければいけないかと思っております。
 ただ、この点につきましては、弁解ということではございませんけれども、昨日公示価格が発表されましたけれども、最近の土地の下落の状況というようなものにつきましての資料も実はごく最近入手したわけでございまして、そのような資料も検討し、またこれは受付事務の段階とはいいましても、最終的な決定をする裁判官の理解というのも得られなければいけないわけでございますので、そういうようなこともいろいろ考えてやったわけでございます。
 ただ、確かに時間がそれほどございませんので、私どもとしましては、それをできるだけ早く全国の受付窓口に周知をする、そのことにつきましては訴訟の代理人である弁護士会の御協力も求めたいと思っております。
○正森委員 今の御説明は、今までの二、三人の議員に対してした答弁と同じですから、それほど詳しく言わぬでも、私も聞いておりましたからわかるわけですが、あなたの今の答弁を聞いていると、大蔵省や自治省よりも一層政策官庁的な感じです。
 それで、きのう発表した公示価格なんかによると地価が下落しておるのでというようなことを言って、地価が下落していなければ固定資産税の評価額がぽんと上がっておっても、本当はそのままでもよかったんだがなというようなニュアンスが聞こえるわけです。しかし、そんなものを待たなくても、税を取ったくて仕方がない大蔵省や自治省が既に調整措置をとって、もうとっくにやっておるわけでしょう。そうすると、裁判所としては、国民の裁判を受ける権利から、印紙額が膨大になって裁判をやろうにも遠慮するということがあってはならないというようなことをまず考えなければならないのです。不動産屋のように、公示価格がどうなっただろうか、上がっただろうか下がっただろうか、念のためにどこかの不動産を買うてきて実勢価格を調べてみょうがなんて、そんなことはいささかも考える必要はないのです。あなたの答弁の態度を一貫して聞いておりますと、裁判所の民事局を代表するものとしては不十分であって、そんな答弁をするなら、むしろほかの官庁へいった方がより有能になるというような気がするくらいですね。
 それじゃ、このくらいにしておいて、裁判所定員法について伺いたいと思います。
 きょうは裁判所の職員の定員について伺いますが、裁判所に勤めております労働組合等が調査をして資料を出しておりますが、それによりますと、一番新しい資料で、書記官は五百八名、調査官百五十八名、速記官百六名、事務官三百七十五名など、千三百五十一名の増員をお願いしたいという資料が出ております。
 それで、先ほど同僚委員が破産部の問題についてお話しになりましたから、民事執行の関係について若干申し上げたいと思います。
 これはことしの二月二十一日に東京新聞に載った記事ですが、「東京地裁では一九九〇年に千八十件だったのが九三年は五千五百四十三件。わずか三年で五倍以上に増えた計算だ。もちろん過去最多記録である。」というのが出ておりまして、そして「東京地裁の競売担当部署である民事第二十一部は「地裁内で最も労働環境が悪い」といわれるほどに忙しくなった。」「申し立てから競売実施までに要する期間が、平常時の二、三倍はかかる羽目に追い込まれている。このため、銀行界の一部からは「ひどいと二年近くも待たされる。不良債権を迅速に償却したくとも、これではどうしようもない」と批判の声が」上がったというようなことが出ているのですね。
 それに対して、名前は言いませんが、東京地裁民事二十一部の部長裁判官は、取材に応じてこう言っているのです。「「事件がたまったからといって、裁判所のせいにされては困る」と不愉快そうに答え、」引き続いて「これほどの異常事態は想定してないから、税金の無駄遣いになるような余分な人員配置はしていないんです。私たちは少ない人員で苦労して頑張っている」、こう言った上で「銀行がバブルの時にさんざん金を貸し過ぎたからですよ。バカみたいに。(彼らは)自分で責任を取らなきゃいけない。(なのに)それをつかまされた人たちが債務不履行になっている。本当にアコギな話だ。競売に追い込まれた人は、悪い人ばかりじゃないんです」、こう言って「不動産競売は抵当権の実行のためにある。不況に対処する手続きじゃないんですよ」、ある意味では言いたいほうだいみたいに言っております。この部長判事の気持ちはわかると思うのですね。私はこの意見のすべてに賛成するわけじゃないのですよ。
 それで、そういうような状況で、ここに民事二十一部からの要請の資料も持ってまいりましたが、三年間で五倍も事件がふえたので、未済が一万一千件もある。私は実際に調べたわけじゃないですけれども、資料にはそう書いてありまして、物件明細係とか売却係とか配当係とか、いろいろ係ごとの要求が全部書かれております。これは読みませんが、同じような事態は東京だけでなしに大阪管内、不動産執行と破産部に特に著しいという点ですが、そういう点を考えますと、やはり人員の増というのは随分あなた方は要望されて、減員と差し引いても二十五名増員で、これは大蔵省非常によく査定してくれたということかもしれませんが、実際の現場の要求から見ればまだまだ不十分な点があるのじゃないですか。
○涌井最高裁判所長官代理者 ただいま御指摘のございました東京地裁の執行部あるいは大阪地裁の破産部が、非常な事件の激増に遭いまして、非常に繁忙になっておるということは委員御指摘のとおりでございまして、私どもの方もそれは十分承知しておりまして、そういう部門にはこれまでも重点的に人員の配置もしてまいりましたし、今回の増員措置もそういう状況を踏まえてお願いしておる、こういうふうな認識におるわけでございます。
○正森委員 そこで伺いたいのですけれども、報道によりますと、最高裁は二月八日、民事二十一部の外部への業務委託経費を予算要求した、それがどうやら認められたというように聞いているのですが、事実ですか。
 それからまた、そういうものが認められたとして、現場ではどういう声が出ているかというと、一外部要員なのでそれがどれだけ役に立つか疑問だ、外部要員だから書記官資格を付与することはもちろんできないし、その人たちの名前と判を使ってやってもらうことができない、だからお手伝いさんということで、それで正規の書記官やら何やらの判こをぽんぽん押すということにならざるを得ないということを言っているのですね。
 だから、こういう権力行使の一番重要な部分である裁判所の中で、その民事二十一部の業務委託経費を請求するなどというようなことはせずに、やはり職員を増員するというのが筋じゃないですか。ほかの行政官庁のちょっとしたことでも、業務委託というのは問題がいろいろあると言われているのですよ。それが裁判所の関係でこういうことをやって業務委託経費を、あれは物件費で請求するのですか、何か知りませんけれども、そういうことの、そっちの費用がどんどんふえるというようなことは改むべきであると思いますが、どうですか。
○涌井最高裁判所長官代理者 執行事件の関係で、その業務委託の費用の予算要求をやりまして、それが認められましたことは委員御指摘のとおりでございます。
 基本的には、委員御指摘のとおり、裁判というのはまさに裁判官の判断作用でございますし、書記官が担当いたします事務も書記官の固有の権限に基づく判断作用でございますので、その中心になる部分を委託するというふうなことが法律上許されないというのは御指摘のとおりでございま
す。
 ただ、実は執行事件といいますのは、本来の判断作用以外のところで、例えば各種の照会文書を起案いたしましたり、あるいはそれを送達したり発送したりするという補助的な事務が非常に多いわけでございまして、そこのところはある程度外部に委託する形でもやれるのじゃないか。そこは一種の緊急避難と申しますか、非常事態に対する対処の仕方として今回そういうことをお願いしたわけでございます。
○正森委員 最高裁判所がいろいろ今非常に財政的にも厳しいときですし、配慮しながらやりくりされているということはよくわかっております。しかし、こういうことはなるべく余り拡大させない方がいいということを申し上げておきたいと思います。
 それから、時間の関係がございますので、もう一点だけ伺いますが、裁判所の速記官の増員についてであります。
 この予算定員は九百三十五名と承知しておりますが、そのとおりですか。また、この定員は三十年近く変わっていないと聞いておりますが、そのとおりですか。
○涌井最高裁判所長官代理者 速記官の予算定員の九百三十五名がずっと変わっておらないというのは御指摘のとおりでございます。
○正森委員 それで、この速記官の定員というのは、難しい事件、証人の証言を正確に記録しなければ事件の成否にかかわるということから、刑事事件はもちろんのこと、民事事件でも増員要求が出ておりますね。今も私が申しましたように、現場の組合では速記官を百六名もふやしてほしいということを言っておりますし、例えば大阪では外部に速記を発注するというようなことで入れている。また、定員の充足状況を見ますと、これは少し前の記録ですが、速記研修生というのがおるのですね。これはまだ一人前じゃないのでしょう。それを五十一名入れても八百七十四名で、定員九百三十五名に達しない。だから、百名以上欠員と実際上は同じだというような状況があるのです。
 国会で追及されますと、裁判所速記官は特別に人民の権利関係をやるのだから、速記の養成に時間がかかるんだ、つまりいいかげんな者は扱わせられないんだという意味のことを答弁しているのです。だけれども、そうだとしましても三十年も、これだけ重要な事件がふえ、しかも、私も弁護士をしておりましたが、刑事事件なんかでは速記が不可欠の事件もあります。そういう中で、要望が多いのに三十年近く定員はそのままで、しかも欠員があって、だからつまり予算上は採ろうと思ったら採れるのに欠員があって、しかも一人前でない速記研修生を相当多く入れて何とか賄うというようなことは決して正常な事態ではない。
 だから、速記官の養成の仕方とか、あるいはこんなことを言うたら失礼ですが、今は就職難ですから、公務員が非常に人気がいい。伝え聞くところでは、検事の志望が今度はうんとふえたとかいって喜んでいるとか喜んでないとかというときに、速記官も魅力あるものとして、やはりこの機会に皆が応募できるように、これこそ少しは民間のPRの才能を発揮して補充するように努力すべきじゃないですか。
○涌井最高裁判所長官代理者 裁判所速記官の場合、なかなか定員が充足できない状況になっておりまして、我々の方でもそれは非常に困ったことだということでいろいろ努力をしております。
 実は、裁判所の速記官の場合は、高校を卒業しました者を二年間研修生として研修いたしまして、それで一人前の速記官に育て上げる、そういう養成過程をとっておりますのですが、最近では各高校に速記官のパンフレットを配りますとかそういうふうな努力もしておりまして、幸い、就職難という社会情勢があったのかもしれませんが、ことしの場合は応募者自体はかなりふえてまいりました。ただ、従前の研修の実績を見ますと、やはり機械でやります速記に対する適性というのが非常に難しゅうございまして、そこのところで適性がない者を採用しますと、二年間の研修の過程で脱落してしまう。かえって御本人には気の毒な
 ことになるというふうなところもございますので、なかなか適性を持った者を確保するということが難しいわけでございます。ただ、委員御指摘のとおり、できるだけ定員を充足できるように努力をしていきたいと思っております。
○正森委員 時間ですから、終わります。
○高橋委員長 笹川堯君。
○笹川委員 本日は裁判所職員定員法の一部を改正する法律案の審議でございますが、私は十分しかないから、質問して答弁をもらうともう終わってしまうので、まことに申しわけありませんが、時は金なりということもありますので、私は言いっ放しになると思いますが、できたら後で文書で御返事をいただければありがたいな、こういうふうに思っております。これも国会改革の一助になるだろう、こう思っております。
 国民は迅速に裁判を受ける権利がある、そのためには裁判官をどうしてもふやしていただきたいということで、これを読みましたが、この程度で大丈夫かなというような気持ちがありますが、いずれにしても、裁判官というのは、検察官の調べたものが本当に真正で正しいかどうか、そういう観点に立って判決を下すわけですから、まさに法律の専門家であると同時に、社会常識がきちっと兼ね備えられた良識家の裁判官を育成していただきたい、これが国民としての願いであります。いやしくもこういう委員会で、居眠った裁判官を罷免しろとか、したかしないかなんていって最高裁判所の長官が謝ることのないような裁判官をつくってほしい。このことをお願いをいたしておきます。
 さて、せっかくの機会でありますが、今まで法務委員会で質問をしようと思っておりましたが、実は法務省の方に静岡の弁護士会の会長の井口さんのものの写しをきのうお渡ししてあると思いますが、これにのっとって質問をさせていただきます。
 御案内のように、今回ゼネコン事件で非常に世間を騒がし、我々の仲間に逮捕許諾請求が出、あるいはまたそれに承諾の院の議決をいただいたわけでありますが、実は、それにかかわって金沢という元検事が取り調べの最中に暴行したということで逮捕されて、現在裁判になっております。こういうことが過去に前例があったかどうか、ひとつ調べていただきたい。特にこの人は、日本国籍をたしか司法研修所に入所中に取得をしたというふうに考えておりますので、そういう例が過去にあったかどうか、ぜひひとつお知らせをいただきたい。
 特にこの静岡の方の声明の中に、取り調べの際に被疑者の品位を傷つけたり屈辱的な取り扱いをしてはならない、もしそういうことをした場合には、政府は実施状況を国連に報告することも義務づけられておる、こう書いてありますね。もしそうだとすると、今回のように、まさに検察官が自分の権力を濫用して、けったりたたいたりけがをさせたり、あるいはまた損害賠償の対象になって、支払うということは国も応諾をしているわけですから、私は当然この報告の義務の中に入るのではないのかなというような気がいたしておりますから、その点について報告する義務があるかどうかをお尋ねしておきますので、よろしくお願いをしたいと思います。
 特にこの人は、大津でもあるいはまた静岡でもこういう事件を起こしたということも聞いておりますし、過去に汚職事件で相当社会的に地位の高い人が、その人から直接聞いたわけですから名前を言うとぐあいが悪いのですが、年のうんと若い検察官から、おまえそこへ立っていろ、壁に向いていろ、もっと真っすぐ立て、おまえ非国民だとか死んじゃった方がいいとか、そういうことを事実言われたということを聞きました。私は、そういうことは今までは信じられなかったのですが、こういうことが新聞紙上にどんどん載ってくると、それぐらいのことは言ったのかなというふうに考えざるを得ない。
 特に警察官の調べで、例えば人のものをとった
とか強盗したとか、そういうような事犯のときに多少行き過ぎた言葉を使うということはかねがね承知をいたしています。しかし、そのときには、まさに検察官が警察の調書が間違いであるかどうかということを慎重に検討しながら、起訴するかしないかを決めていくのだと思うのですね。そういう大切な役目を持っている検察官みずからがその禁を犯すということになりますと、これは国民とするとだれを信じていいかわからない、こういうことになるわけでありますから、私はこのことは、この一検事の性格が、あるいは個人的なということじゃなくして、検察官全体があたかも正義の味方のようなことでやられている。
 本来、正義というものは、ほとんど世の中には存在しないものであります。正義は何かというと、勝者であります。あの戦争裁判でも正義の名のもとにと言ったけれども、現実には、正義というのは勝った人が正義の名のもとに裁判をしたのであって、負けた我々は何の発言権もなかったということでありますので、それは弁護士がついて弁護をすることでありますが、既に弁護士が弁護をするときには法廷であります。そうすると、法と証拠に基づいてということをよく専門家の人が言われるのですが、証拠に基づいて起訴をするならばもう調べる必要ないじゃないか、証拠があるのだから。では、その裏づけのために供述をとるのだということになると、証拠よりも供述の方がどんどんどんどん大きくなってしまう。そういうことを考えると、まさに日本は民主国家になったわけでありますので、こういうことを委員会で質問をされたりすること自体が私は余り日本の国益のためにならないような気がしてならないわけであります。
 少なくともこれは弁護士会という法曹界の団体が会長名で抗議文を出したわけでありますから、これは大変重く受けとめなければならないな、こう考えております。特にこの件については検察庁の中で処分をされたということも聞いておりますが、戒告とかなんとかという処分というのは、もともと役人が受けてもほとんどもう出世には関係ないですね。戒告処分受けたからもう途中でだめになったという人は余り聞いたことない。特にこういう人を採用したということになると、採用した人は物すごく大きな責任があります。
 例えば、日本の場合には医者になるのには国家の医師試験を合格するとなれます。しかし、アメリカでは教授が推薦しないと絶対なれない。そのとき、なぜかというと、まず最初に一般の教養学部を卒業して、円満な良識ある社会人としてこの人が医者になることがふさわしいのだと言って初めて医学部に入れるわけであります。ところが、日本の司法制度そのものは、普通の上級職の試験と違って、まさに専門家だけを養成するわけでありますから、どうしても人間的に偏り過ぎる嫌いがあるのではないかというような気が私はいたします。ぜひひとつその辺を十分に考えて、もし私の言ったことが違うということであれば、ひとつ後日御返事をいただければ結構であります。
 さて、死刑の廃止問題で、実は私も議員連盟に入れというお誘いを受けて入りました。もちろん法務大臣は、死刑賛成か反対かと聞いてもこれはなかなか答えられません。現実には法が存在する以上、そこに所属する人間は忠実にその職務を遂行をする、当たり前の答弁でありますから、法務大臣にお聞きをしません。
 ただ、死刑と無期というものが余りにも差があり過ぎる。無期というのは、大体、平均十八年八カ月たつと出所してしまう。またそこで何か犯罪を犯して、殺されると、まさに国民は地球よりも重い命を奪われることになるということでありますので、私はぜひ仮出所のできない修身刑というものを新設してもらって、そして死刑制度を廃止していく方が、国際世論にも合致しているし、冤罪ということになると、これは絶対に防止ができるということにもなるだろうと思うのです。
 特に、今は外国人の犯罪が非常に多発しておりまして、もしも外国人が、盗人とか強盗程度はいいけれども、連続殺人だとかあるいは複数の殺人を犯したときに、当然今の日本の刑法でいけば死刑判決が出ると思うのです。出たときに、これを執行したときに、これは大変な問題になる。そうなる前になるべく法を改正していただきたいと私は思うのですが、法務省としては、自分の方から言い出しにくいのか、あるいは国際世論に基づいてするのか、議員立法で変えていくのか、あるいは法制審議会に聞かなければわからないというようなお答えになるか、この辺はこれから議論になります。ぜひひとつ統一した御意見を聞かせていただきたい、こう思っています。
 一般社会人の常識からしますと、無期懲役というともう出られないというふうに考えています。しかし、法律の専門家に言わせると十八年八カ月で出ているのですから、二十年の懲役の満期でいるよりは早く出ているわけですね。これはもう非常におかしい、こういうふうに私は思っておりますので、特に外国人のそういう犯罪というものがこれからどんどんふえていくということを考えて、ぜひひとつ御意見を承りたいと思います。
 さて、さっきどなたかが聞いていただいたと思うのですが……。
 では最後に一つだけ。
 千葉刑務所に在監中の石川一雄さんの早期仮出獄を求めるという署名が来たわけでありますが、これを読んだら、刑が確定して十六年済んでいる、しかも、未決勾留日数が加算されると何と三十一年も拘禁されている、それなのになぜ、平均十八年八カ月で出られるのに、この人が出られないのかという全く素朴な質問が出ます。
 しかし、実際、刑務所側からいうと、本人が罪を悔いて反省をしながらその刑に服したのならば十八年八カ月だ、しかし、やってないやってないということになると、これは反省していないんだから、それはもう十八年だめですよ、無期なんだから、言葉のとおり無期入ってもらわなければならぬという答えが恐らく返ってくるんじゃないかと思うのですが、それはどう考えても社会常識、一般国民が考えることからするとちょっと答えが違うような気がいたします。
 無実を訴えるということは、その人の固有の権利であります。その人が中で暴れたりなんかしたら別だけれども、普通に刑を受けている、しかも拘禁、拘束されているということになると、私は、ほかの人と同じような扱いをしてあげる方がより社会的に妥当なんじゃないのかなという気もいたしますので、ぜひひとつ御返事をよろしくお願いします。
 生まれて初めて十分で終わるという質問、本当に大変だということを御理解いただいて、質問を終わります。
○高橋委員長 これにて質疑は終局いたしました。
    ─────────────
○高橋委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○高橋委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高橋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ─────────────
     〔報告書は附録に掲載〕
    ─────────────
○高橋委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時五十五分散会
     ────◇─────