第129回国会 予算委員会 第2号
平成六年二月二十一日(月曜日)
    午前十時二分開議
 出席委員
  委員長 山口 鶴男君
   理事 衛藤征士郎君 理事 越智 通雄君
   理事 野中 広務君 理事 深谷 隆司君
   理事 後藤  茂君 理事 中西 績介君
   理事 杉山 憲夫君 理事 渡海紀三朗君
   理事 草川 昭三君
      伊藤 公介君    石橋 一弥君
      江藤 隆美君    小澤  潔君
      大原 一三君    鹿野 道彦君
      近藤 鉄雄君    志賀  節君
      関谷 勝嗣君    橘 康太郎君
      東家 嘉幸君    中川 昭一君
      額賀福志郎君    保利 耕輔君
      穂積 良行君    水野  清君
      宮下 創平君    村山 達雄君
      柳沢 伯夫君    若林 正俊君
      綿貫 民輔君    伊東 秀子君
      坂上 富男君    鉢呂 吉雄君
      細川 律夫君    三野 優美君
      上田 清司君    工藤堅太郎君
      笹山 登生君   柴野たいぞう君
      月原 茂皓君    宮本 一三君
      山本 幸三君  五十嵐ふみひこ君
      石井 紘基君    鴨下 一郎君
      武山百合子君    長浜 博行君
      石井 啓一君    河上 覃雄君
      谷口 隆義君    二見 伸明君
      高木 義明君    中野 寛成君
      穀田 恵二君    東中 光雄君
      松本 善明君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  細川 護熙君
        法 務 大 臣 三ケ月 章君
        外 務 大 臣 羽田  孜君
        大 蔵 大 臣 藤井 裕久君
        文 部 大 臣 赤松 良子君
        厚 生 大 臣 大内 啓伍君
        農林水産大臣  畑 英次郎君
        通商産業大臣  熊谷  弘君
        運 輸 大 臣 伊藤  茂君
        郵 政 大 臣 神崎 武法君
        労 働 大 臣 坂口  力君
        建 設 大 臣 五十嵐広三君
        自 治 大 臣
        国家公安委員会
        委員長     佐藤 観樹君
        国 務 大 臣
        (内閣官房長官)武村 正義君
        国 務 大 臣
        (総務庁長官) 石田幸四郎君
        国 務 大 臣
        (北海道開発庁
        長官)
        (沖縄開発庁長
        官)
        (国土庁長官) 上原 康助君
        国 務 大 臣
        (防衛庁長官) 愛知 和男君
        国 務 大 臣
        (経済企画庁長
        官)      久保田真苗君
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      江田 五月君
        国 務 大 臣
        (環境庁長官) 広中和歌子君
        国 務 大 臣 山花 貞夫君
 出席政府委員
        内閣官房内閣安
        全保障室長
        兼内閣総理大臣
        官房安全保障室
        長       坪井 龍文君
        内閣法制局長官 大出 峻郎君
        内閣法制局第一
        部長      津野  修君
        内閣総理大臣官
        房管理室長   石和田 洋君
        国際平和協力本
        部事務局長   鈴木 勝也君
        警察庁刑事局長 垣見  隆君
        総務庁長官官房
        審議官
        兼内閣審議官  陶山  晧君
        防衛庁参事官  高嶋 有終君
        防衛庁長官官房
        長       宝珠山 昇君
        防衛庁防衛局長 村田 直昭君
        防衛庁教育訓練
        局長      上野 治男君
        防衛庁経理局長 秋山 昌廣君
        防衛庁装備局長 中田 哲雄君
        防衛施設庁総務
        部長      草津 辰夫君
        経済企画庁調整
        局長      小林  惇君
        経済企画庁総合
        計画局長    吉川  淳君
        環境庁長官官房
        長       大西 孝夫君
        環境庁自然保護
        局長      奥村 明雄君
        国土庁長官官房
        長       藤原 和人君
        国土庁土地局長 原  隆之君
        外務省総合外交
        政策局長    柳井 俊二君
        外務省アジア局
        長       川島  裕君
        外務省北米局長 佐藤 行雄君
        外務省経済局長 原口 幸市君
        外務省条約局長 丹波  實君
        大蔵大臣官房総
        務審議官    田波 耕治君
        大蔵省主計局長 篠沢 恭助君
        大蔵省主税局長 小川  是君
        大蔵省関税局長 高橋 厚男君
        大蔵省理財局長 石坂 匡身君
        大蔵省銀行局長 寺村 信行君
        大蔵省国際金融
        局長      加藤 隆俊君
        国税庁次長   三浦 正顯君
        文部大臣官房長 吉田  茂君
        文部省初等中等
        教育局長    野崎  弘君
        文部省教育助成
        局長      井上 孝美君
        文部省高等教育
        局私学部長   泊  龍雄君
        文化庁次長   林田 英樹君
        厚生大臣官房総
        務審議官    佐々木典夫君
        厚生省児童家庭
        局長      瀬田 公和君
        農林水産大臣官
        房長      高橋 政行君
        農林水産大臣官
        房経理課長   澤井 義雄君
        農林水産省経済
        局長      眞鍋 武紀君
        農林水産省構造
        改善局長    入澤  肇君
        農林水産省畜産
        局長      東  久雄君
        食糧庁長官   上野 博史君
        林野庁長官   塚本 隆久君
        水産庁長官   鎭西 迪雄君
        通商産業政務次
        官       遠藤 乙彦君
        通商産業省通商
        政策局長    坂本 吉弘君
        運輸省運輸政策
        局長      豊田  実君
        郵政大臣官房財
        務部長     楠田 修司君
        郵政省簡易保険
        局長      高木 繁俊君
        労働大臣官房長 征矢 紀臣君
        建設大臣官房長 伴   襄君
        建設大臣官房総
        務審議官    内藤  勲君
        自治大臣官房長 遠藤 安彦君
        自治大臣官房総
        務審議官    松本 英昭君
        自治省行政局選
        挙部長     佐野 徹治君
        自治省財政局長 湯浅 利夫君
 委員外の出席者
        予算委員会調査
        室長      堀口 一郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
二月二十一日
 辞任         補欠選任
  後藤田正晴君     水野  清君
  近藤 鉄雄君     穂積 良行君
  高鳥  修君     額賀福志郎君
  中山 太郎君     大原 一三君
  村田敬次郎君     橘 康太郎君
  加藤 六月君     宮本 一三君
  工藤堅太郎君     上田 清司君
  鴨下 一郎君     武山百合子君
  穀田 恵二君     東中 光雄君
同日
 辞任         補欠選任
  大原 一三君     石橋 一弥君
  橘 康太郎君     村田敬次郎君
  額賀福志郎君     高鳥  修君
  穂積 良行君     近藤 鉄雄君
  水野  清君     保利 耕輔君
  上田 清司君     工藤堅太郎君
  宮本 一三君    柴野たいぞう君
  東中 光雄君     穀田 恵二君
同日
 辞任         補欠選任
  石橋 一弥君     中川 昭一君
  保利 耕輔君     宮下 創平君
 柴野たいぞう君     加藤 六月君
同日
 辞任         補欠選任
  中川 昭一君     中山 太郎君
  宮下 創平君     後藤田正晴君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 平成五年度一般会計補正予算(第3号)
 平成五年度特別会計補正予算(特第3号)
 平成五年度政府関係機関補正予算(機第3号)
     ――――◇―――――
○山口委員長 これより会議を開きます。
 平成五年度一般会計補正予算(第3号)、平成五年度特別会計補正予算(特第3号)、平成五年度政府関係機関補正予算(機第3号)、以上三案を一括して議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。水野清君。
○水野委員 お時間をいただきまして、質問する機会をいただいてありがとうございます。感謝申し上げます。
 まず、総理に少し伺いたいのですが、この間の日米会談の話でございますが、二月の十一日、ホワイトハウスで、総理と、こちら側は羽田外務大臣、向こうはクリントン大統領、ゴア副大統領、それからクリストファー国務長官、ホワイトハウスで話をなさった会があります。そこで、これは恐らくクリストファー国務長官が、アメリカを代表してということだと思うのですが、北朝鮮の核疑惑の問題で経済制裁ともなればと、今日この問題が、核査察を一応は受け入れるということで少し時間的にはタイムラグができましたけれども、総理は法令の範囲であらゆる対応をとる、こう言っておられます。
 この問題について、実はどうしようかと思ったのです。この間渡辺委員が、法令を改正してもやるのかどうかというような質問をされておられまして、質問をして、憲法の範囲だな、こう言って御自分で回答を出しておられたので、総理の真意を実はもう一度、くどいようですが、お話を承りたい。法令の範囲というのはどういうことでございますか、こういうことであります。
○細川内閣総理大臣 先般、渡辺委員からのお尋ねに対しまして、仮に安全保障理事会で何らかの措置が決定される場合には、我が国としても憲法の範囲内で責任のある対応をとる考えであるという趣旨のことを申し上げました。そのときにも同じようなことを申し上げたと思うのですが、安保理において具体的な措置について何ら検討をされていない段階におきまして余り具体的に申し上げることは差し控えた方がいいのかというふうに思っております。
○水野委員 そうすると、憲法の範囲というふうに理解してよろしいようでございますね。わかりました。
 実は、これは後ほど申し上げますが、万一経済制裁に踏み込むようなときには憲法の範囲ということでないと、現行法令の一部では改正をしないと制裁にならないわけであります。どんな法律をどうするかということは仮定の話ですし、影響がいろいろ及ぶのもいけませんから、想像されるのは、外為法であるとか貿管令であるとかその他いろいろな諸法律、法令がたくさんあると思います。政令もあると思います。そういったものについての御検討を念頭に置いているのかなと、こう理解してよろしゅうございますか――よろしゅうございますな。わかりました。
 続いて、この問題は大変大事なことでありまして、実はそのホワイトハウスの話の翌日、クリントン大統領は総理と共同の記者会見で、北朝鮮の核については深刻な懸念を持っている、日米双方は朝鮮半島において核がつくられないように緊密に協力していくことに合意をした、こう言っておられます。この緊密に協力をするということもなかなか重大な意味を持っていると私は見られるわけです。
 御承知のことでありますが、この半年間、朝鮮半島で何が起こっても不思議ではない、これが実情だと私は感じております。日米間でこの核の、北朝鮮の核開発の問題で大きな違いが今後出てまいりますと、これは実は経済問題でも今大きな問題が出てきていますが、それ以上に大きな問題になってくる。いわば日米安保、日米の同盟関係が揺るぎかねないという私は問題があると思うんです。
 こんなことを言っては大変失礼なんですが、実はシアトルのAPECの会議でもこの話が大分出たらしい。そのときもかなりアメリカ側からいろいろなお話が出たように聞いています。あるいはこれは外務大臣がお聞きになったのかもしれません。日本側としては割合にあいまいなお話であったように聞いている。官僚の中では、どうも総理はまだこの話は、失礼ですが、お得意のあいまいなといいますか、何といいますか、ファジーなという言葉が流行なんですが、態度でおられる。羽田さんは何か、いざとなったらおれは腹くくる、こう言ったという話も聞いています。これは本当かうそかわかりませんが、ともかくそういう話を聞いていますが、どうもこの間の日米会談まで日本側は割合に消極的に考えておられたようであります。
 五五年体制を変えるということは、実はこういう安全保障の問題でもやはり明確にせざるを得ないときにはするしかないということだと私は思うんですね。その辺の御覚悟はおありなのか、もう一度ひとつお話を承りたい。外務大臣、ありますか。
○羽田国務大臣 この核疑惑の問題という点につきましては、これはアメリカというよりはやはりアジアという、しかも日本の隣国であるということでありますから、これは私どもといたしましても大変懸念をしておる問題であると同時に、やはり深刻に受けとめているということであります。そういうことで、今日までもアメリカ、中国そして韓国、この国の皆様方とも率直な実は話し合いをし、アメリカでもいろいろなレベルの皆様方と私どもお話し合いをしてきております。
 ただ、私どもが言っておりますことは、制裁先にありきということではなくて、やはり胸を開きながら率直な話し合いをし、核開発というものがもし認められるということになると核拡散してしまうということを、これは何としても先方にわかってもらうようにアメリカに粘り強くひとつ話し合ってもらいたい。しかも、それから段階的に漸進的にひとつやってもらいたいということを相当言っております。ただし、もちろん、それでもなおかつというときには我が国としてもきちんとした対応をいたしますということを申してまいりました。
○水野委員 そこで、これはちょっと官房長官に伺いたいのですが、最近特にあちこちで講演をしていらっしゃるようですが、連立与党のかなめになっておられる小沢さんが、普通の国日本、こういう言い方をしておられます。あなたは、きらりと光る日本、こういうふうに言っておられるのですが、こういう北朝鮮に対する経済制裁、これは仮定の話ですよ、もし万一のときにはどういうふうにお考えですか。簡単で結構です。
○武村国務大臣 総理がお答えをいたしておりますように、憲法、法律の範囲内で精いっぱいの国際協力をしていくということではないかと思っております。
○水野委員 表面的にはそういうことなんですが、これは万一経済制裁をやることになったら、国内的にはなかなか大変なことになるわけですね。
 そこで、山花大臣に承りたいのですが、山花大臣は、かつて金丸先生と田邊前委員長と御一緒に北朝鮮においでになって、金日成と三者の共同声明をお出しになったことがあります。またその後、韓国へ社会党の委員長としては初めて御訪問になったことがあります。この経済制裁の問題で万一踏み込まざるを得なくなった場合に、どういうふうにお考えでいらっしゃいますか。
 私の申し上げているのは、総理は今憲法の範囲、こう言っておられました。憲法の範囲ということは、憲法に抵触しない限り諸法令を改正してでもやらざるを得ないときにはやらなければならない。具体論があるのですが、具体論を言いますとこれはいろいろな影響がありますから、私は申しません。
 抽象的に申し上げますが、憲法の範囲ということは、もう一度申し上げますが、憲法はもちろん改正してやるわけじゃありませんけれども、そのほかの諸法令については、場合によっては改正してでもこの経済制裁をやらざるを得なくなるんではないか。これはおそれを言っているわけでありまして、その際に一体どういうふうなお考えをお持ちでいらっしゃるか。ちょうど金日成さんと共同声明をお出しになったこともありますし、また、韓国へ初めて社会党の委員長として御訪問なさった御経験もありますので、お考えがあれば若干承らせていただきたいと思います。
○山花国務大臣 今御指摘のとおり、自民党、社会党、朝鮮労働党三党共同宣言のときにも私は実務的な仕事を担当しておりましたし、金泳三大統領にも当時の社会党委員長としてお話をする機会を得ました。一貫した気持ちは、朝鮮半島における平和、そして非核地帯という問題にあったわけでして、同時に、私発言の際に常に、日本が非核三原則を守っているということについてもお話をさせていただいたわけですが、そのことの意味は、あくまでも目的は朝鮮半島の平和、非核化ということでございます。
 今制裁問題について御質問いただきましたけれども、目標はやはり朝鮮半島の平和ということにあるということを念頭に置いて対応すべきだと思っております。今御質問の点につきましては、そうした観点から、個別具体的に制裁問題について議論するということがそうした方向に沿ったものかどうかということがあるんじゃなかろうかということは過日もここでお答えさせていただいたとおりですが、憲法の範囲というもの、憲法の精神というものを遵守しながら、国内法令について検討するということについては、あり方としては当然のことであると思っております。ただ、具体的にどれこれという問題についてまだ触れる時期ではないのではないか、こう思っているところでございます。
○水野委員 これは外務大臣にお話を聞いた方がいいと思いますが、これはけさの朝刊ですが、北朝鮮が、御承知のとおり、国際原子力機関IAEAの核査察を受け入れるということになりましたが、何かまだビザを出さないそうですね。それだけでなくて、御承知のとおり、査察の対象になる箇所が、まあIAEAといいますかアメリカ側といいますか、西側は九カ所と言っているんですが、七カ所しか認めないようでもある。こんなことから、かなりIAEAの理事会におけるこの問題の取り扱いも安心できないなということが国際的には大体常識になっている、こう思われるわけです。
 そこで、実は外務大臣は一月に中国においでになりましたね。それから、これもきょうの、この二、三日の新聞で、朱鎔基さんが、中国の副総理が来られます。当然中国といろんなお話をしておられるようでありますが、時間がありませんから簡単で結構ですから、要点だけひとつ、どういうお話をされたのか、北朝鮮の核疑惑についてですよ。
○羽田国務大臣 中国との話し合いは、私どもといたしましては、やはりこの朝鮮半島に核が持ち込まれる、つくられるということ、これはお互いに懸念するということ、それから、そのためには、疑念を排除するためには、やはり米朝が話し合っている、これは中国も大変評価しておりました。そして、これから粘り強い話をしてほしいということを彼らも希望として述べておりました。
 ですから、米朝が話し合うこと、それから韓国と北朝鮮が話し合うこと、これがやっぱり大事である。そして中国もやはりこの懸念について北朝鮮側に伝えてもらいたいということを、これはやはり相当大きな関係がありますから、中国から語りかけることが非常に理解されることであろうから、ぜひそれを続けてほしいということを申し上げ、また、これからもし朱鎔基さんとお目にかかることがありましたら、そのことを強く申し上げたいと思っております。
 そして、確かに御指摘のとおり、もう二十一日、まさにきょうはIAEAの理事会が開かれる日であるわけでありますけれども、少なくも今のところ七カ所を通常査察をということでこの間了解したというふうに私ども聞いておりまして、まずこれをスタートさせることが大事であろうというふうに思っております。
○水野委員 総理に伺いたいのですが、私は、日米関係、これは非常に重要な問題になりかねないと思うのですね。一つボタンをかけ違えますと、経済問題でもボタンをかけ違って、私は非常にまずいなと思っていますが、これ以上に私は大きな問題になると思うのです。
 IAEAの理事会の核査察を受け入れる、一応金日成がそういうことを言い出したわけです。これは、金日成もアメリカを怒らせるのはまずいということを知っているわけですね。引っ張るだけ引っ張って、一応は条件闘争のように、九カ所のうち七カ所だけはお見せしましょう、こういう回答を出したわけでありますけれども、これは日本政府もこの問題でアメリカを余り怒らせますと、私は面倒なことになると思うのですね。
 実はきょう、新聞を読んでいましたら、これは宮澤さんなんでね、宮澤さんの話を紹介していいかどうかと思ったんですが、テレビで言っておる。フジテレビで今後の日米関係、これは経済協議の話ですが、日米関係について大変私は心配をしている、成熟をした大人の関係と浮かれているときではない、アメリカは国を挙げて圧力をかけて日本の態度を変えようとしているんだ、こういうことを宮澤さんも指摘しています。
 実は、後ほどあれしますが、アメリカ側の日本に好意的な人たちもそのことを何カ所か指摘をしています。先般私は、ちょっと今持ってこなかったのですが、岡崎さんといって、かつて外務省におられた方で、評論家をやっている方がありますが、この方も予断を許さないということを盛んに指摘をしておられます。それについて、これは総理、ひとつ日本の国の代表として、どういうふうに深刻に考えておられるのか、お話を承りたいと思います。
○細川内閣総理大臣 初めに北朝鮮の問題についてのお話がございましたが、七カ所の査察を受け入れた、これはこれで、おっしゃるようにもちろん本件の問題が解決をしたということではございません。NPT脱退の完全な撤回というようなことも必要でございましょうし、それからまたIAEAの保障措置協定の完全な履行ということも必要でございましょうし、あるいは南北の完全な非核化宣言というようなことも必要でございましょうし、そうしたことについて日米あるいは韓国、中国などともよく連携をとって、今後ともできる限り可能な方法で働きかけをしてまいりたいというふうに思っております。
 それはそれといたしまして、今の日米関係のお話ですが、私も大変懸念をしておりまして、もうこんなことは申すまでもないことですが、何といっても、世界の中でも極めて大きな意味を持った二国間関係でございますから、経済のみならず安全保障の面でも政治的な面でも、あるいはまたグローバルなさまざまな課題への協力につきましても大きな意味を持った二国間関係でございますから、この二国間関係がうまくいかないというようなことになれば、これは両国のみならず世界に極めて大きな影響を与えるものだと思っております。
 ですから、何とかしなければならないということでございますが、とにかくこの長い間続いてまいりました五百億ドルを超えるインバランスというものが目に見える形でいい方向に向かっていかなければ、なかなかアメリカの方も納得をするということになりませんでしょうし、今いろいろ、今度の会談が終わりました後も検討を続けているところでございますが、できる限り早急に何か打開の糸口を見つけたいということで鋭意努力をしているということでございます。
 核の問題としては、先ほど申し上げましたように、できる限り緊密な連携をとってやっていくと。今一応いい方向に向かいつつあるということでございましょうから、とりあえずは、七カ所は認めるということで、きょうの決定が、さっき外務大臣からもございましたように、どのような決定がなされるかわかりませんが、我が国としては責任のある対応をとるということ、今の時点では申し上げられることはそういうことだろうと思っております。
○水野委員 少しお得意のファジーな答弁で非常に残念なんですがね。もうちょっと羽田さんのように、いざとなったら腹くくります、こういうお話があるかと思ったのですが、腹くくっておやりになるという話は出てこないようであります。
 そこで、少し話題を変えまして、これは一月のことでしたけれども、連立与党のかなめになっている小沢一郎さんが、プルトニウム爆弾を北朝鮮がもう既に持っている、二個持っていると言ったか何か、テレビか何かでしゃべっておられた。新聞記事にもなりました。これは実は、小さい記事でしたけれども、非常に国際的にも影響が出ました。
 そこで承りたいんですが、簡単にひとつお願いします。
 総理は、北朝鮮はもう既に核爆弾を持っている、こういうふうに思っていらっしゃいますか。いかがですか。外務大臣も次に承りますから。これはアメリカでも、国務省とペンタゴンで違うのですよ。ですから、個々に承っていきたい、こういうことなんです。
○羽田国務大臣 これにはいろいろな意見があること、今お話しのとおりでありまして、ただ私どもは、今はまだ持っているというふうに理解をいたしておりません。そういった、疑惑が持たれるような状況があるなということだけで、今私どもは、持っているというふうに認識をしておらないということです。
 ただし、いろいろな情報があるということはよく承知しております。
○水野委員 総理は、いかがですか。
○細川内閣総理大臣 今外務大臣が言われたように、私もさまざまな情報に接しております。
○水野委員 それじゃ、政府は大体統一的に、まだ北朝鮮は持っていないだろう、さまざまな情報はあるが持っていない、そう理解してよろしゅうございますか。――よろしゅうございますね。それでは、そういうふうに理解をさしていただきます。
 そこで、これはちょっと余談なんですが、まあ私は昔マスコミ出身だったからちょっと斜めで見ているんですが、持っていないのに持っているかのごとき、小沢一郎さんともあろう方が発言をされたのは何であろうか、AWACSの予算をつけるためのキャンペーンだったんじゃないのか、こういう話がさっと流れたんですよ。これはイエスともノーとも言えないでしょうが、ともかくそういううわさが流れたことは事実であります。
 かと思いましたら、アメリカに、ワシントンにいる新聞社の特派員の某君からたまたま電話がありまして、いや、AWACS、日本の導入について既にロビイストが活躍しているんだよ、我々の知っているやや著名な人が、ロビイストになっているのかロビイストの手伝いをしているのか知りませんが、そんな人もいるんだよという話がありまして、はあそうですがというようなことがありました。これはお答えを要求しても何とも言えませんから、御紹介をしておくしかないと思います。
 もう一つ話題を変えますが、最近日米間で、私は非常な情報操作がいろいろあると思うんです。これは不思議だなということが非常にありまして、実は先月、政治改革の法案が通る直前でありますけれども、政治改革の法案が通ったら日米間の諸問題は全部解決するんだ、規制緩和もうまくいくんだ、貿易の黒字も解消するんだという話がさっと流れました。流れたその筋や何かはわかつていますが、まあ私は余り紹介したくありませんから、いたしません。が、その情報が流れたらすぐ、これはニューヨーク・タイムズだったと思いますが、キッシンジャーが、そんなばかなことがあるか、二週間もすれば結果はわかるよ、こういうことをしゃべっているのが新聞に載りました。だから、何かそういう情報があったんでしょう。
 私は、どうも最近日米間にいろいろな情報操作があって、まあ少し自民党の方がこういうことに立ちおくれているんじゃないかなという反省もしてるんですがね。どうもこれは、しかし、ゆゆしいことが多いなと思っているわけであります。
 そこで、規制緩和の話に触れましたので、ちょっとこれは総理と大蔵大臣に承りたいんです。まあ大蔵大臣には、私、大変親しくしていただいて、こういうことを質問しちゃ気の毒なんですが、あなたの塩の何といいますか、関係の政治献金の問題ですが、そのこと自体はまた別の方がいろいろ議論しておられますが、細川内閣は今規制緩和ということが私は看板だと思います。これは総理に後ほど承ります。
 この塩というのは今、まあ塩が専売だということを知ってる人も随分日本人は少ないんですが、塩は専売なんですね、これは。たばこ会社でやっているんですね、これ。こんなもの、これこそ規制緩和で早く解消した方がいいんでしょうな。
 審議会でやっているのに、監督官庁の御主人である大蔵大臣が献金を受けられたということは、私は、献金を受けたということと同時に、やはり内閣として大変規制緩和をやる気がないんじゃないか、どうもこれは看板だけなのか、あるいは、失礼ですが、大蔵大臣は看板に泥をお塗りになつ
たのか、どっちかなとこう思って新聞を拝見をしておりましたけれども、総理はひとつどういうふうにお考えでいらっしゃいますか。内閣の一つの政策の基本でございますから、お話を承らせていただきたい。
○細川内閣総理大臣 経済の構造的な改革を進めていく上で規制緩和は非常に重要な柱だと認識をしております。今後できる限り具体的にターゲットを絞って、先般から申し上げておりますように、第一には、まず土地とか住宅とかいうところから手をつけて、逐次規制緩和の問題に取り組んでいきたいというふうに思っているところでございます。
 そういう中で、今大蔵大臣の問題についてのお尋ねでございますが、大蔵大臣は先般の本委員会におきましてもそのことについて弁明をしておられますし、私は、そのことを大蔵大臣のお言葉のとおり重く受けとめているということを申し上げているところでございます。
○水野委員 要するに、規制緩和を表題にしておられるけれども、表題だけだと、こういうことですか。それとも、これは大変しまったことであるというふうにお受け取りいただいているかと、そういうことなんですね。ファジーな表現でなくて、具体的にお願いをします。
○細川内閣総理大臣 規制緩和の問題を今後しっかりやっていくということと今の問題とはちょっとまた次元を異にした問題だと思っておりますが、適切でなかったというこの間の大蔵大臣の弁明につきましては、私はそれを重く受けとめていると、こういうふうに申し上げたわけでございます。
○水野委員 規制緩和を続けておやりになるということ。塩の専売をやめるということも規制緩和の非常に大事なことなんですね。大体今どきまで塩を専売にしていたというのは、これは大蔵省という役所も相当なもんです、よその役所には規制緩和しろしろと言っておいてですね。規制緩和の問題をやるというのは、これは内閣全体の話でしょうけれども、大蔵省だけひそかに塩を大事に抱えておった、それは私はやはりおかしいと思うんですよ。そこがおかしいと思う。
 やりますと言っているけれども、その御所管の大蔵大臣がそういうことがあったということは非常に残念なことじゃないんですか。残念だとはもう思わないんですか。大蔵大臣はそれは残念だと言っておられるし、それは遺憾だと言っておられるし、藤井先生のお話ですし、私はそんなに悪意に思わないんです。しまったと思っておられるんでしょうけれども、内閣としてどうなんですかということを言っているんです。いかがですか、総理。ファジーでない、ひとつ。
○細川内閣総理大臣 塩の問題についての規制の問題をどうするかということについては、これはまだ具体的に、どのような方向に行くかということについてはそれほど詰めた論議がなされていないというふうに私は承知をしております。
 今後どういうふうに進んでくるのか、いくのか、進めていくべきなのか、その辺は今後の課題だと思っておりますが、とにかく、この問題については大蔵大臣からも直接釈明がございましたので、そのように私としても受けとめていると、こういうことでございます。
○水野委員 私はただいまの御答弁では満足できません。これだけ規制緩和、規制緩和と言っておられて、規制緩和をすれば物価が下がると、国民の生活がよくなると、こう言っておられるんですね。あらゆるところで言っておられるんです。これは組閣以来言っておられる。
 私どもは、きのうテレビを見ていたら、自民党の橋本政調会長が、規制緩和、規制緩和とおっしゃっておられるけれども、それは千数百件、七百件か余りあるんですね、今の規制が。それを一々拾っていくと、なに、なかなかできやしないよと、自民党だって随分拾い上げて苦労しているんだよ。
 私も総務庁長官をやりまして、規制緩和というのはえらい面倒だということがようわかってきたんです。役人の抵抗あり、それぞれの業界の実情あり、バスの停留所を動かすようなお話をされたこともありますけれども、とてもそんな簡単な話じゃない。しかしそれをあえてやろうという、これは壮として、私は立派だと思って評価をしておったわけです。本当に藤井先生をまくらにして申しわけないのですけれども、藤井先生の献金のことを言っているんじゃない。そのやさきにこういうことがあって、総理はファジーな答弁しかなさらない。私はそこのところがちょっと無責任だな、総理こそ私は無責任だなというふうな感じでしようがないのです。時間がないものですから、これはもう先をやらしていただきます。
 そこでもう一つ。ちょっときのうきょうあれですが、これは官房長官、政局について少し伺わせてください。
 あなたは、きのうかおととい、十九日ですね、名古屋のホテルで某新聞主催の懇話会で講演をして、今後の政治のあり方でいろいろある。政界再編成についてのいろいろ講演をなさいましたが、人物でいえば後藤田さんから横路さんぐらいまで幅があって、何か広くて、それで今の連立与党内とはちょっと方向の違うような講演をしておられる。これは新聞記事をちょっと切り抜いてきたのです、けさね。ちょっと講演ではわかりませんから、本当の話を聞かせてください。ここで講演をやっても結構ですから。
○武村国務大臣 そうちょくちょくも講演はしておらないのでありますが、延ばし延ばしになっておったので中日新聞の主催の会に土曜日に出まして、一時間ほど講演をさせていただきました。日米関係とか行政改革の話を中心にしたのでありますが、やはり報道は一番最後にちょこっと言ったことが一番大きく出まして、そういう報道になってしまいました。
 私、まあ選挙制度改革もできて、お互いに新しい選挙制度がいよいよ出発しそうな状況を迎えておりますから、だれしも関心を持っているわけでありますし、私も官房長官ではありますが、同時に新党さきがけに属しておりまして、その党の立場、大変小そうございますだけに余計四方八方眺めながら真剣に今後の行方を考えなければならない党の立場もございまして、そんな色合いを含めて少し考え方を述べた程度でございます。
 内容的には、政界再編はこれはまだまだかなり時間がかかるでしょうし、今すぐ一挙にできる話じゃありません。場合によってはまだまだ数年ぐらいかかる話かもしれません。
 そんなことは別としまして、私の考えとしては時代認識と政治理念と政治手法、この三点を挙げまして、これは余り具体的ではありませんが、この三点で近い政党や政治集団が連携しながら選挙に向かっていくことになるのではないか。その幅としては自民党から社会党までというのもぎらつきますから、私が個人的に親しい後藤田さんと横路さんの名前を挙げさせていただいた。その幅でどうこうじゃないです、その非常に幅の広い視点から時代認識や政治理念あるいは政治手法、そういうものがより近いグループが連携し合うことになっていくのではないかということを申し上げたわけであります。
○水野委員 わかりました、おぼろげながらですけれども。わかるようなわからないような。
 そこで総理、せっかくの話ですが、これはきのうの新聞ですが、内閣改造が二十八日と書いてあります。そういうことになるわけでありますか。これは、言いにくいことはおっしゃらなくて結構です。
○細川内閣総理大臣 まだ考えておりません。政治改革あるいは第三次補正、こうしたものが区切りがつきましたならばそういうことが考えられる状況になるかなという気もしておりますが、まだ考えていないということでございます。
○水野委員 ありがとうございました。
 それでは、通産政務次官に大変お待たせをいたしました。
 その前に、ちょっとこれは文部省の宗教関係の担当の方に伺いたいんですが、いらっしゃいますね。
 創価学会がSGI、創価学会インタナショナルのこれは略だと思います、というものを持っていらっしゃいます。時間がないから少しはしょってあれしますが、これは一体宗教法人なのか、何かはかの公益法人なのか、任意団体なのか、あるいは、それから本部が一体どこにあるのかというようなことについて、これは事務的な話で結構ですから、お話を承りたい。
○林田政府委員 SGIと言われるものについてのお尋ねでございますけれども、御承知のとおり、創価学会との関係の団体だということをいろんな報道等で知っておるわけでございますけれども、創価学会につきましては、東京都知事の所轄の宗教法人でございます。
 SGI、これは私どもの関連情報で承知したところによりますと、創価学会インタナショナルの略であろうかと思いますけれども、これにつきましては、文部大臣及び東京都知事における規則の認証をしておらないわけでございます。したがいまして、少なくとも文部大臣と東京都知事の所轄の宗教法人にはなっていないということでございます。さらに、ほかの都道府県も全部調べるとなりますと相当時間も必要でございますので十分な把握ができておりませんけれども、少なくとも文部大臣、東京都知事の所轄の宗教法人ではないということでございます。
 したがいまして、宗教法人を所轄いたします立場としての文部省といたしましては、SGIがどのような組織であるのかというようなことについては承知しておらないところでございます。
○水野委員 大蔵省の国際金融局の方、いますね。
 そこで、私はよくわからないんですが、週刊誌なんかに、日本の創価学会という宗教法人から、このSGIを通じてなのかよくわかりませんが、あるいはこのSGIに、アメリカのSGIとかカナダのSGIとかブラジルとかフランスとかドイツとか各国にそういう宗教団体があって、恐らくこれは向こうの、相手国の中にあるんですから相手国の法律によってあるんだろうと思いますが、いろんな送金をされている。例えばカナダでいろんな施設をつくるとかアメリカでいろんな施設をお買いになったりしておられるわけですが、そういうものに対して送金が行われているはずなんですが、送金について確認をしておられますか。
○加藤(隆)政府委員 一般論として海外の送金に関する外為法の適用関係について申し上げますと、送金の原因行為が寄附、贈与や貸し付けであれば、一定の金額を超える場合等には、外為法上、許可または届け出が必要になるという仕組みでございます。
 ただ、個別の取引に関するお尋ねについては答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。
○水野委員 個別についてはあれですが、送金があるということはお認めになりますか。
 それから、ついでですが、実はこれも私の調査力ではとても確認できないのですが、香港のSGIは有限会社、名前はSGIですが、有限会社になっているというのですね。すると、宗教法人から宗教法人へお金を送るのはいいんですが、宗教法人から株式会社にお金を送る場合、外国法人であってもそれは許されるのかどうか、ひとつお話がわかったら聞かせてください。
○加藤(隆)政府委員 まず、後段の方のお尋ねから申し上げますと、寄附、贈与に該当するような送金であったかということを専ら判断基準といたしております。
 それから、あと、許可の申請の事実、あるいは許可、不許可の事実を含めまして、個々の取引につきましては答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。
○水野委員 これは長年にわたってたくさんのお金が行っているわけですね。これは別に私は違法だと言っているんじゃないんですよ。違法な送金をしているんだろうとかそういうことじゃなくて、普通の送金をしていらっしゃるが、その送金の回数、一回において幾らずつ、どういうふうにあれした、その送金先ほどういうふうに利用されているのか、それは相手国のことですからなんですが、それはお答えいただけないのですか。
○加藤(隆)政府委員 繰り返しになりますが、従来から周知の事実になっていない個々の取引につきましては答弁を差し控えさせてきていただいております。
○水野委員 時間がないので、これはひとつ与党の理事の先生方にお願いでありますが、理事会において、私は資料要求をしたいと思いますので、大蔵省に対して、内々にとろうと思えばできますけれども内々にとるのは嫌ですから、きちっと資料要求をいたしますので、委員長、ひとつこれにつきましては御検討いただけますか。
○山口委員長 後日、理事会で相談をいたします。
○水野委員 ありがとうございました。
 次に、お越しをいただいて大変恐縮でございますが、今通産政務次官をたまたましていらっしゃるものですからここへおいでいただくことができたので、まことに恐縮なんですが、遠藤政務次官に承りたいのです。
 それは、ちょっと古いのですが、平成二年の総選挙のときにあなた様が、大田区の南馬込の創価学会の文化会館でしょう、ここで立候補のごあいさつをなさいました。そのときのごあいさつの、これは一部でありますけれども、私はテープにとったものを拝聴いたしました。ちょっと読んでみます。
 「必ずや、皆様のご期待に応え、」我々も同じことを言っておりますが、「皆様の手足となりきって、先生を守り、」これは、先生というのは池田大作先生だと思います。「学会を守り、民衆を守る妙法の政治家として、力の限り戦い抜くことをお誓い致します。私も池田門下生の一人としまして、先生より数多くのご指導、ご薫陶を賜ってまいりました。先生のご薫陶のおかげで、広布に生きる使命を自覚することができ、妙法の外交官となって二十年にわたり世界を舞台に存分に戦ってまいりました。」こういうお話があります。
 そこで承りたいのは、遠藤先生は、外務省に御在任中は池田大作先生のためにお働きになっておられたのか、国家公務員として日本の国のために活躍をなすっておられたのか、それはどっちか、ちょっとここでお話を聞きたい。
○遠藤(乙)政府委員 二十年間外務省に在職をしておりましたが、当然国家公務員としての活動でございます。
 私は、池田名誉会長のことにつきまして申し上げたのは、私の尊敬する人物として師として仰ぐという意味でございまして、すぐれた哲学を持ってそういった外交官として活躍する、そういった意味で申し上げたわけでございます。政治家にせよ外交官にせよ、単なる専門家としてのみではなく、やはり一番の根本において人間としてのいわばあるべき姿、哲学、そういったことを持つことは当然だと思いますので、そういった趣旨で申し上げたわけでございます。
○水野委員 これは選挙のごあいさつですから無理もないかなとも思うのですが、このおっしゃったごあいさつは、どうも感じがそういうものではないみたいです。実はこれも、邪推だったら勘弁してくださいよ、まあ余計なことは言いませんので。
 これは遠藤先生に承りたいのですが、外務省に鳳会というのがあると書いてある。これは週刊誌の話ですから、うそならうそで結構ですが、あるそうです。外務省の職員の会だそうですが、創価学会に帰依していらっしゃるというのか、あるいは池田大作先生を尊敬していらっしゃるというのか、その数は二百人とも三百人とも言われている。それで、池田先生の海外旅行の下支えをし、要人との会見などの根回しをする、そういうグループである。鳳会のメンバーは、国家公務員上級職合格者から在外公館の現地採用組まで入れると大変な数になるということが書いてあります。その中心になるのが、これは榎泰邦さんというのですか、デトロイトの総領事さん、それから今の政務次官でいらっしゃる遠藤乙彦先生、このお二人だと、こう言うのです。
 遠藤先生に承りたいのですが、外務省にその鳳会というものがあるのかないのか、それをちょっと聞かしていただきたい。
○遠藤(乙)政府委員 鳳会というのは、確かにおっしゃるように信仰を共通にする人たちのいわば懇親の場としてあることは事実でございます。
 若干の経緯を申し上げますと、私が外務省に入ったのはもう二十年以上も前のことでございますが、何人か外交の分野を希望する人もおられまして、そういった方々に私も当然のことながら受験の面でいろいろなアドバイスをいたしました。また、もちろんそういった学会の方のみならず、いろんな大学の後輩、また、私自身の体験が受験雑誌にも出たことがありまして、いろんな方から御要望がありまして、そういうアドバイスをしたことがあります。そういった中で、同じ信仰をともにする人々が何人か外務省にその後入ってこられまして、そういった方々の懇親の場としてそういう場を設けたことはございます。
 ただ、その後私も大変勤務が忙しく、また海外に勤務をしたり政界に転じたこともあって、その後そういったものがどうなったかということは現時点では詳細を承知しておりません。
○水野委員 これは、信仰の自由、結社の自由があるわけでございますから、別にいささかも構わないのでございますが、ただ非常に気になるのは、先ほど申し上げましたように、遠藤先生が外務省をおやめになって初めて国会に、衆議院の選挙に立候補されたときに、この「妙法の外交官となって二十年」「世界を舞台に存分に戦ってまいりました。」日本の国家公務員として世界に活躍をしてきました、その陰ながらとかなんとかいうお話ならいいのですが、これはお国のためというのは一つもないのですよ、ごあいさつの中に。
 我々も選挙のときに支持団体に行きますと、ここだけが頼りだと、こういう言い方をしないでもないので、私は余り人のことをとがめられないなと思いながらこの文章を読んだのです。
 時間がないので簡単にさせていただきますが、実は遠藤先生の、この前もちょっと政治改革の委員会で申し上げたのですが、選挙中の、これは平成五年の選挙のときの日程が私のところにあるのです。そうしますと、要するに政教一致でいらっしゃるということを私は言いたいのですが、それは至れり尽くせりなんですよ、この資料を見ますと。何月何日はどこで一緒に勤行会をやるとか、それはもうまことによくできている。
 ちょっと資料の表題だけでも申し上げますが、一、支援活動のポイント、二、総合スケジュール、三、事務所開き注意事項、これは公明党じゃないですよ、創価学会ですよ。はがき記入上の注意、候補スケジュールについて、街角遊説計画、有権者基準、不在者投票のやり方、街頭集会のやり方、私設遊説について、決起大会タイムスケジュール、決起大会、E駅というのはこれはE電のことでしょうね、E駅頭計画、宣伝物配布計画とありまして、非常に興味深いところだけちょっと読んでみますと、例えばこのはがきの配布の仕方その他ですが、「書き損じ・ダブリ・予備等も含め、配布された全枚数をご提出願います。」友人のお宅等、他人のところには絶対置かないでください。「注意事項」、これはもう下にアンダーラインがしてある。「地元からは、絶対に投函しないで下さい。」なんという非常に丁寧な、至れり尽くせりの御指導をしていらっしゃいます。
 それから、さっきの備品一覧、これはこの前の政治改革委員会で御紹介しましたけれども、紅白の幕からお茶わんの数から灰皿の数からスチールいすから、それはすべてあれしています。
 それから、創価学会の会員でない方のFという方、多分フレンドという意味なんでしょうね、こういう方々の数を地区ごとに集計して、それで一体総得票は幾らになるか。
 ここに事務所備品一覧、これは全部創価学会の方で持ってきてくださるんですね。大変ありがたいなと思います。千羽鶴まで、ビニールかばん、ちょうちん、くぎ、びょう、お茶の葉、紙袋、ビニール袋、アルミ菓子皿、灰皿、ポット、お盆、急須、湯飲み、受付用のお盆、パイプいす、ビニールクロス、立ちトイレ、紅白幕、看板、これを全部持ってきてくださる。これはうらやましいと思って拝見をいたしました。
 私はこれを拝見しますと、この前の政治改革の委員会で石田委員長に申し上げましたけれども、委員長が政教は分離している、こうおっしゃるのですが、どうも納得がいかない、そうだとは思えないのですね。政教一致しているとしか思えないのであります。私は、これは憲法上からいっても、憲法の精神からいいましても、日本の民主主義からいいましても、政教は分離をしていかないといけない。これは日本の我々の古い歴史ではありましたし、政教一致している国も幾らでもありますけれども、日本の憲法の精神からいうと、これはどうしても納得ができない、こう思っているわけでございます。
 時間がないので、委員長にちょっと最後にひとつ御答弁を願って、私の質問を締めくくらせていただきます。
○石田国務大臣 お答えを申し上げます。
 公明党と創価学会の関係、それがさまざまな、例えば今水野先生がお示しになりましたような、選挙に対して創価学会が積極的に、しかもかなり細部にわたって計画をし、そして公明党の候補を支えておる、それ自体が政教一致ではないかという御指摘なんでございますけれども、しかし私は、この政教一致、分離の議論の立て方に問題があろうかというふうに思うんでございます。
 やはり原則的にいきますれば、今御指摘のありましたように憲法第二十条の問題をめぐっての政教分離の規定があるわけでございまして、そのことについては、例えば公明党が国会におきまして創価学会のために何か発言をするとか、あるいは他の宗教の問題についてそれをやっつけるような言辞を吐くとか、そういうようなことはいまだかってなかったわけでございます。
 公明党も党を結成して以来かなりの年数がたちますけれども、そういったことは私たちとしては厳に慎んでまいったわけでございまして、あくまでも信教の自由というものを憲法として保障しているわけでございますから、その憲法の精神はあくまでも守っていかなければならない、そういう角度でずっとやってまいりました。
 今先生が御指摘になっていらっしゃる創価学会と公明党との関係、これは、確かに私たちはいろいろな意味で強い支持をいただいております。これは政党といわゆる支持団体との関係でございますので、それがかなり丁寧にあるいは強力に行われている。だから、それによっていわゆる、何といいますか、さまざまな政策を策定する場合に影響力を与えるとか、そういう問題とはちょっと違うのではないかと思うのでございます。
 あくまでも、政党、政治家は政策をつくり、それを法律化して、そしてすべての人にその恩恵が渡るようにということを原則に考えていかなきゃならないわけでございますから、一つの法案をつくるに当たって、仮にその法案に反対する人についても、一つの法律がその影響力を持ったりあるいは恩恵を与えるわけでございますから、そういった点は厳に私たちもしっかり検討しながらやっておりますので、そういった点の御心配はない。
 ただ、強さの関係において御指摘になっていらっしゃると思うのでございますけれども、強力な関係にあること自体、それがすぐ政教一致というふうにお考えになるについては、私どもは大変抵抗感を覚えるわけでございます。
 以上です。
○水野委員 委員長、私この前も申し上げましたが、私も創価学会の副会長さん何人か存じ上げております。かって我が党の一部の方が創価学会から脱会をしていろいろ新聞をにぎわした時代がありますが、ちょうど鈴木内閣のときだったものでございますから、私は、立場は副幹事長かなんかやっておりましたが、その副会長さんに頼まれて、我が党の中でまあまあまあと言って、まあもみ消しみたいなことをやった、脱税の方じゃないですよ、もみ消しをやったこともあります。いろいろな経過を私はよう知っております。
 どうも今の御答弁では満足いかないんですが、これは時間がないものですから、また資料がたくさんありますので、また次、何かの機会にゆっくりやらしていただくことにしまして、本日はこれで終わらしていただきます。
 ありがとうございました。
○山口委員長 これにて水野君の質疑は終了いたしました。
 次に、大原一三君。
○大原委員 久しぶりに質問をさせていただきますが、私、きょうは財政、経済、金融問題について当面の問題をお伺いしたいと思うんでありますが、それに先立ちまして、自民党の渡辺大先輩の質問でわからないことが一つありました。
 今水野委員からも質問がございましたが、憲法に従って危機管理をいたしますということでございますが、今の憲法には危機管理は何にも書いてないんですね。私はあの答弁が、渡辺先輩は納得されたようでありますが、どうもよくわからなかったんですね。
 私のわかるように、その点についてひとつ質問をいたしたいと思いますが、御説明願います。総理。
○細川内閣総理大臣 いろいろな状況が想定をされるということは、きょうまさにその二十一日を控えてあり得るのかもしれませんが、とにかく現時点で憲法の枠内で考える、その中で責任のある対応をとっていくというのが今申し上げられるぎりぎりのところであろう、こういうことを申し上げておるわけでございます。
○大原委員 ある本を読んだんですね。防衛庁に勤められた方でありますが、佐々さんという、名前を申し上げて恐縮ですけれども、九年間防衛庁に勤められたそうでありますが、その間に、これは自民党時代ですね、閣僚が十一人かわったそうであります。こういう状態では危機管理はおろか、防衛政策そのものだって企画立案ができなかったということを告白しておられるんですね。
 ところで、今の憲法の範囲内ということでありますが、今の憲法は、正直に申しまして、危機管理憲法ではないですね。日本の憲法には、おおよそ危機管理なるものは書いてありゃしません。そういう状況の中で、一体どのような危機管理ができるんでしょうか。当面は北朝鮮問題はございますけれども、例の湾岸戦争のとき、さらにまた関東大震災クラスのクライシスがあった場合の危機管理ができる体制にあるかどうか、総理のその辺に対する見解をお伺いしたいと思います。
○細川内閣総理大臣 安全保障に関する危機管理、まあ今地震のお話もございましたが、そうした特に安全保障の問題に関する危機管理といったようなことにつきましては、安全保障会議、内閣にございます安全保障会議などにおきまして、いろいろと検討はいざというときのためにしているということもございます。地震、災害などにつきましても、それぞれに危機管理についての万一の場合の対策などを日ごろから話し合っているということはございましょうし、それ以上にどういうことをやっているかということにつきましては、確かにまだこれでは不十分だというところもございましょう。おっしゃるとおりかもしれません。
 しかし、なかなか表にはっきりと申し上げにくい。そういうことを申し上げることによって、何かいたずらにこう危機感をあおるというようなこともあるかもしれませんし、申し上げにくいところもあると思っておりますが、現実に危機管理に対する取り組みというものが、私も十分であるというふうには考えておりません。
○大原委員 総理自身がさようおっしゃるんでありますから、まあ各閣僚お聞きでございますが、私は国土庁の政務次官を昔やったことがあるんですね。そのときに、国土庁長官よろしいかな、防災局というのがありますよね。で、一年間に防災訓練を一回やりますが、ところが、いざ一たん関東大震災クラスの地震が起きたときに、あの国土庁の防災室は残ると思いますか。一番てっぺんにでっかいアンテナがたくさん置いてあるんでありますけれども、あれがつぶれちゃったら、今度はどこで防災管理ができるんでしょう。国土庁、だれか専門家いる。
○上原国務大臣 もう先生よく御承知のとおりですが、国土庁の現在のビルといいますか建物は、十分関東大震災クラスの耐震工作がなされていると聞いております。
 しかし、御指摘のように、そういう緊急事態あるいは大災害に備えていくというために、御案内のように、立川に第二防災に対する建物といいますか、そういう情報その他対策がとれるような対策もとれておりますので、国民に不安のないような対策は、地震あるいはその他の自然災害の場合はできるのじゃないか、こう考えております。
○大原委員 おおよそ予定していたような答弁しか返ってまいりません。そういったことを真剣に考える部局がないんですね、この内閣に。私は、そういう意味で、きのう質問がありました関連として思いついたことを、せっかく総理の座にあられるんですから、こういった問題にも、何が、湾岸戦争みたいなことがいつ起こらないとも限らないわけでありますので、十分内閣としても御検討しておかれる必要があるんじゃないのかな。これは質問の本論ではございませんが……。
 次に、最近、官僚という言葉がやたらに新聞の上を走りますね。細川さんのお書きになった、総理のお書きになったいろいろなものを見ますと、官僚主導型で思うことが十分行えない、そういう政治体制はいけないんだということがよく書いてあります。やはり官僚というものを批判していらっしゃるんですね。最近この官僚論がこんなにかまびすしくなったのはいかなる理由によるものか、総理はどうお考えでありますか、正直にお答え願いたいと思います。
○細川内閣総理大臣 最近、特に行われておりますのは、連立入党ということになって政治がなかなかリーダーシップが振るえない、振るえていないのではないか、こういう趣旨からの議論が多いように思いますが、従来からなされております霞が関に対する批判というものが、そのまままた繰り返し出されているものもあるように思います。
 しかし、いずれにいたしましても、これも先般渡辺委員でございましたかお答えを申し上げましたように、政治家は、やはり政治がリーダーシップを振るうべきことは当然なことだと思いますし、またそうあらねばならないと思いますし、何と申しましても国民から選ばれた政治家、選挙によって直接選ばれた政治家でございますし、またその結果責任を負うということも政治家の当然の責務であろう、このように思っているところでございます。
○大原委員 私も大蔵省で二十年間役人をやらせていただきまして、政治家十五年でありますから大体半々でございますが、役人時代に官僚ということを言われますと余りいい気がしないんですね。それで私、言泉という字引を引いてみたんですよ、官僚というのは一体何だろうかと思いまして。おもしろいことが書いてあるんです。官僚とは「官吏。役人。」これは当たり前の話ですね。「おもに、政治の動きに影響力を持つような高級官吏の一部。」と書いてあるわけですよ。高級官まだけなんですね、これは。
 そういう意味で、私は今度のクリントンさんの大蔵省批判で、なぜこういう批判が出てくるんでしょうね、今まではそんなにクリントンさんは官僚に対しては目くじら立てなかったんですね。アメリカではイン・アンド・アウトといいまして、しばらく入ってきてすぐ出ていく、学界や法曹界や言論界の人たちがやれ国務次官補、何とか次官、閣僚もそうでありますが、イン・アンド・アウト、こう言っているようであります。日本の場合は生涯役人として働くわけでありますから、細川総理の今度の妥結について、ノーという言葉よりもむしろこの減税に対する答弁にがっかりをした。大蔵省官僚の振りつけどおりであるということをクリントンがどこかのマスコミにしゃべったようであります。
 私は、そもそも官僚というのはいわゆる民主的な議院内閣制のもとでは政治を動かしてはいけないと思うんですね。それが何でこんなにクローズアップされて官僚が悪口を言われなきゃならないのか。きょうは大蔵大臣がおられますから、藤井さんも官僚の仲間でありまして、ひどい人に言わせますと、昔は関東軍、今は大蔵省という批判をしている包括協議のスタッフがいるんですね。それほど官僚が強くなったということは、内閣にこれは問題があるんじゃありませんか。
 私は、そういう意味で、今日の連立八党の政策決定の手法というのを見ましても、官僚群が、官僚というこの言泉の定義ならいいですよ。ところが官僚主義にいきますと、ないしは官僚制にいきますと、これは大変なことになるんですね。日本は官僚制ではありませんから、制度的に認めるわけではありませんが、仮に官僚制というのを、この言泉に書いてあるのですね、「特権的な層を形成する官僚が、政治的支配を行う統治形態。独善性、形式性、画一性などを特色とする。」こういうふうに定義になっていますね。これは言泉でありますよ、私が言うのじゃないのです。こういったことまで走っていったら、私は議院内閣制というのは危ないと思うのですね。その辺について、現状を踏まえながらもう一度総理大臣の官僚制、官僚についての御意見を承っておきたいと思うのです。
○細川内閣総理大臣 海外からの御批判のポイントというのは、日本株式会社という感じを持っていて、その中心にあるのが官僚である、こういう認識が多くの方々に持たれているのではないかという感じがいたしております。それは一面で当たっている部分もあるのだと思いますが、しかし私は、日本の官僚の人たちは申し上げるまでもなく非常に優秀であり、また、例えばこのたびの日米協議にいたしましても非常によくやってくれたと、頑張ってもらったと、そう思っております。
 まあ無理なものにつきましては、管理貿易的な数値目標というようなものについては、これは先般来申し上げておりますように、政治家であろうと官僚であろうとその原則は受け入れられない、原則に反するようなことは受け入れられない、こういうことを言うのは当然のことであろうと思っているわけでございまして、私は、決して今行われているような官僚批判というものが的を射たものではないというのが私の認識でございます。
○大原委員 総理になられる前と今と大分御意見がお変わりになったようでありまして、私はいいことだと思うのです。私も役人をやりまして、政治については役人時代いろいろなことを考えた男の一人でありますけれども、最近極端な官僚論があります。
 例えば「官僚亡国論」という本がありますけれども、これはもう物すごい、官僚はいない方がいいというのです、日本列島には。官僚というのはピンからキリまであると思うのですけれども、そういう極端な批判であります。「省益あって国益なし」というのが副題になっておりまして、どうしてそういう形になるんだろうかなということを私も疑問に思います。
 私事にわたって恐縮でありますが、昭和二十六年に大蔵省へ入らせていただきました。とにかくすごい仕事のボリュームでありまして、要するに今までの体制を一挙に民主化していこうという時期でありますから、マッカーサー司令部の指令によりまして昭和二十六年までに日本の基本法は全部できたのですね。教育基本法、労働組合法、それから農地法の基本ができました。自作農創設特別措置法、こういった民主主義にかかわる基本法が全部でき上がりまして、我々が入ったころから、その基本法に基づく法制化をしなきゃならぬというので、とにかく夜を日に継いで新しいものを追っかけていかなきゃならぬという大騒ぎをしながら、徹夜徹夜で新しいものをつくったつもりでありました。
 ところが、今のお役人さんというのは我々の時代と、まあそう言っちゃ恐縮でありますが、そこらにたくさんいらっしゃるわけでありますけれども、何だかつくることはしないんじゃないのかな、守ることが多くなったな。いわゆる既成の特権を守っていこう。新しいものをつくろうという意欲が役人諸君の中になくなったんじゃないのかなという感じがしてならぬわけであります。いろいろの説明に来ましても、まあとにかく、ある一つの法律改正があると、運輸省が来る、通産省が来る、大蔵省が来る、これは困る、困る、困るという話ばっかりでありまして、本当にそういう意味では私は、平和時代の役人というのはこういうものかなということをしみじみ感ぜざるを得ない一人であります。藤井大蔵大臣もそういう仲間でありますが、どう思いますか、私の意見について。
○藤井国務大臣 私は大原先輩の四年後に大蔵省に入りました。したがって、非常に感じが近いのでございますが、私は官僚という言葉は一切使っておりません、行政官というふうに常に言っております。行政官というのは行政技術者だというふうに私どもは大蔵省で習ってまいりました。最もすぐれた行政技術者たれと私は習ってまいりました。
 そして、この道に入らせていただきましたが、まさに今総理の言われたとおりでありまして、物を決定し、それに対して責任を負うのが私は政治だと思います。そのすみ分けが明らかにあると思いますし、今減税のお話がございましたが、これは、大蔵省に対して私が信念を持って、財政体質を悪くする、あるいは経済の基礎を崩すようなことはやってはいけないという私の信念をみんなが理解してくれて、いろいろ動いてくれたんだと思っております。
 ただ、大原委員の言われたガードのシステムに少し特化しているなという点については、私も同じ印象を持っております。ガードというか守りでございますね。
○大原委員 思いつくままを質問したわけでありまして、私の感覚が当たっていなければいいのでありますけれども、そういう感じがしてならぬということを申し上げたわけであります。
 さて、本論にこれから入るのでありますが、あと四十分しかございません。総理大臣にまずお伺いいたします。
 日本の現在の経済の不況、ただならぬ不況であります。この不況の性格についてどのようにお考えでありますか。後からの質問の出発点でありますので、総理の御意見を承りたいと思うのです。
○細川内閣総理大臣 たびたびこれも本委員会でもお答えをしておりますように、循環的な要因だけでなく構造的な要因もそれに重なって、またそこに先行き不透明感といったようなものが折り重なって、この現在の経済に対する、経済の状況あるいはまた先行きに対する見方というものを大変不透明なものにしているというのが、一言で言って今日の状況ではないかと思っております。
 大変重大な局面であるというふうに受けとめております。
○大原委員 まさに私も重大な局面だと思っております。
 ある本で「複合不況」という言葉がありまして、有吉さんの「複合汚染」というのは読んだのでありますが、「複合不況」というのは余り読んでないのでありますけれども、宮崎さんという方が書かれたようであります。これは、いわゆる景気循環論からは一刀両断に割り切れない不況である、構造的な問題があると。だけれども、我々、構造的、構造的という言葉でごまかしてしまうのですね。
 いわゆる単純な不況論で言えば、景気循環論でありますから、在庫調整が終わったら景気は上がるだろう、こういう考え方を、きょう企画庁お見えになっていると思うが、金輪際変えないというようなまことにお気の毒な判断を長いことやってこられたのですよ。その政策変更をされたのはたしか九二年の二月だったと思うな。それまでは頑固に、在庫調整で景気は必ずよくなりますという
考え方を日銀もとっておられるわけだ。
 その中身の判断が、まさに気の毒という意味は、大本営発表と同じだな。大丈夫です、大丈夫です、勝ってます、大丈夫ですといったあの大本営発表と同じことをやっておられる。その一番お気の毒な立場に置かれたのが船田前企画庁長官でありまして、景気は底入れ、終わりましたという発言をされたが、熊谷さんに首になりましたあの産政局長あたり、絶対に底入れ宣言はさせない、反対だと。通産省の方がよくわかっていたわけなんですよ。
 そこで申し上げますけれども、フローの不況とストックの不況とをはっきり分けていただきたいのですね。ストックの不況とは何かといいますと、いわゆるバブルによって踊った連中、その連中といいますのは株と土地であります。私は基本は土地だったと思うのですね。土地の値上がり、八五年から九〇年までに千四百兆円ぐらい膨れまして、二千四百兆円ぐらいに膨れちゃったのですね。五割から六割土地の値段が上がっているわけであります。アメリカが五百兆円だから、日本は二千兆円を超えました、アメリカが五つ買えますなんて有頂天になった時代がございました。
 私はある本を読んだのでありますが、ガルブレイスという人の本、これは非常におもしろい本でございましく総理にお薦めするのでありますが、「バブルの物語」という小さな本でございますけれども、それに日本の土地狂者を非常に言葉厳しく批判をしておる。
 ユーフォリアという言葉を使って、ユーフォリア、土地気違いなんですね、それをユーフォリアと呼んでいますが、ちょうど十七世紀のオランダのチューリップの投機、これを引用しながら、世界の投機で一番ひどかったのはあのチューリップ投機なんです。あらゆる貴族が財産を持って、あのつまらない球根一つを買うために私財を投じて一生懸命やったら、翌朝見たらただになっちゃったという話。まあそこまで極端じゃありませんが、言ってみれば陶酔投機狂というのかな、ユーフォリアというのは。そういった状態が日本経済の実態だったのですね。
 さあチョウよ花よと思っている間に、九〇年の一月から株がどんどん下がり出して、ついに一万六千円ということでありますから、その前の五年間で六百五、六十億たまった株の値上がり益は一遍に飛んでしまった、ないしはマイナスになっちゃった。これが資産デフレの一つでありますが、問題は、元凶は土地だと思うのですね。土地の投機益が流動性を増して株にも波及していったというのが私は実態だろうと思うのですね。
 ところで、まあ今不況でございますから、この不況の原因を生んだのが、今申し上げたようなユーフォリアの結果が、マイナス効果が今出ているのでありますから、そこは長期的な考え方から判断しなきゃならぬ材料。まあ短期的には、やはり高い土地でございましたから、下がっちゃっては困るから少し上げてくれという政策は、短期政策としては当然私はうなずけると思うのでありますが、このユーフォリアは必ずまた起きるのですよ、総理。
 だから、今の問題に総理は非常にかまけてお忙しいと思うのですけれども、長期的に見たら、日本経済のがんは私は土地だと思うのですね。もう申すまでもありませんが、いわゆるアメリカが四つ買えるとか五つ買えるとかいったような地価ですね。こういった地球の上の乗っかり賃に法外なコストを払わなければならぬ経済というのは必ずつぶれる、これは。私は、日本経済のがんはまず土地だと思うのですよ。
 しかし、短期的な話を申し上げているのじゃないですよ。上がり過ぎたのが半分になっちゃったから、何とかしてくれないと持ちこたえられぬから景気対策をやってくれという気持ちはわかる。しかし、この前の土地のユーフォリアはいつだったかといいますと、昭和四十七年ですね。四十七年からいわゆる八五年といいますと、十三年目にやはり土地ユーフォリアが起きているわけなんですよ。やはり私は、日本経済で土地のこのいわゆる陶酔的投機がこれから起こらないとは限らないと思うのです。
 そういう意味で私は、日本経済の将来のアキレス腱というものが土地問題だということを、国土庁長官おられますけれども、あの土地基本法のときに私も特別委員会の筆頭理事で、土地とは公共の福祉のために利用しなきゃならぬという条項を入れちゃったのですね。お役人は反対でした。なぜ反対したかといいますと、憲法の所有権の尊重ということに抵触する可能性がある条項は入れぬ方がいい。ところが、社会党の井上さんとかなんとか、よく話しまして、頑張ろうじゃないか、ここまで入れぬとだめだということで、あの条文が議員修正で入ったわけであります。同時に、土地は投機をしてはならぬという条項も入っちゃったのですね。
 にもかかわらず、全くそれと無縁の土地投機が起きたわけでありまして、今我々が不況だ不況だと言うのは、土地問題、さらにまたそれをめぐる株の問題、資産デフレが今日の状況を生んでいるんだということを総理もしっかり御認識をいただかないと、政策の出発点を誤るんではないかと思いますが、いかがですか。
○細川内閣総理大臣 今お述べになりました御認識は、私も全く同感でございます。
○大原委員 大蔵大臣もうなずいておられますが、恐らくこれらの点について今後の経済政策の中にしっかりしたスタンスを持っていかないと、こういうストック不況というのはまた起きたら大変なことになるんです。
 せっかく土地基本法があるのに、さっきの二条文を裏づけする法律は一つもないんですね。基本法があるのにそれを裏づける法律はないんです、正直申しまして。都市計画法はあるけれども、そういったことに対する配慮というものがどこまで行われるか。恐らく、そう書いてあるのに都市計画法は入り口でいつもどじをしているわけなんですね。こういった問題もしっかり御認識をいただきたいなと思うわけであります。
 ところで今度の予算でありますが、またフローの話に戻って恐縮でございますけれども、補正予算、どれぐらいの経済効果があり、GNP効果があると御判断なさっていますか。これは大蔵大臣いかがでしょう。企画庁、大丈夫ですか。
○久保田国務大臣 私どもの方は、総合経済対策、これに裏づける三次補正でございますけれども、先生御存じのように三つの部分に分かれておりまして、景気浮揚効果をねらう内需拡大、特にその中で五兆四千八百億円に上る所得減税でございます。こうした消費、住宅等への刺激のほかに、確かに今までのバブル崩壊の、その他問題を抱えている分野への手当てというものを加えておりますし、また規制緩和等、前向きの発展を期しております。その効果といたしまして十五兆二千五百億円。その経済効果を試算いたしますと、名目GNPの二・二%ぐらいの効果を上げるものというふうに考えております。
○大原委員 今長官がおっしゃったのは、今までの乗数効果なんですよ、今までの。いわゆる景気がずっと伸びているころの乗数を使っちゃって、今こういう資産デフレの真っ最中に同じパーセンテージで伸びますという議論は、余りにも単純であります。それはお聞きしています、二・二%伸びるということは。
 それで、現在の十五兆二千億から、いわゆる土地の売買、土地の買い上げ先行取得等を差し引き、中小金融に対するいわゆる融資等も差し引き、実際の公共投資部分を選び出し、それに一・三九ぶつ掛けちゃったんでしょう。それから、減税部分については乗数効果は最初はないわけですから、消費にいきなり回るわけですから、その分だけ〇・五を掛け合わせますと二・二でございますと、こうおっしゃるわけ。それは伸びるときの話ですよ。こうなっているときの乗数というのは、プラス・マイナス・ゼロだ、これは。
 私は、今まで政府が、自民党政府を含めまして、補正予算を幾らやってきたか。四十五兆円というのをやってきたけれども、経済は横ばいじゃありませんか。それは余りにもフローにこだわった認識なんです、長官。さっき申し上げましたストックのデフレ効果というのは、今度の経済白書によう書いてあるじゃありませんか。それを起点にしないと経済政策を誤るということを申し上げるわけです。
 かてて加えて、きのう渡辺先輩がおっしゃいましたように、あれよくわからないですよ、私。一円で六千億、五円でもって三兆円マイナスと言われた。よくわからないのでありますが、とにかく円が五円上がれば、ないしは十円上がれば、これは強烈なマイナス効果になるわけでございますから、差し引きゼロになっちゃうんですよ。企画庁の計算によっても、十円上がったらやはりマイナス二・何%、二、三年かかって効果が出ると書いてあるでしょう。そうなれば、さっきおっしゃった二・二%はゼロになるわけなんですよ。
 そういう厳しい経済状況であるということを長官やはり御認識いただかないと、細川総理も政治改革で忙しいから十分おわかりにならぬ点があると思いますので、十分その辺を御認識いただかぬと経済のかじ取りを誤りますよ、これは。そこはひとつはっきり申し上げておかなきゃならぬと思います。
 それから、これは藤井大蔵大臣に対する質問でございますけれども、金融機関の不良債権問題、これは明らかにストック不況ですね、最たるものであります。
 前発表されたときは十三兆円でございましたが、その次は十四兆円ぐらいしか言われてありませんね。渡辺先輩は四十兆ぐらいはあるだろう、ある説によれば百兆という数字も出てくるわけでありますね。その辺、十三兆と言うし十四兆でもいいですが、いわゆる買取機構というのをおつくりになったけれども、これ一兆円ぐらいの効果しかない。
 そこで、今度大蔵省が各ノンバンクに対して特別会社をつくってその再建もやろうとしておる。何とかそっちの方へ取り組もうとしていらっしゃるんですが、さらにまた、今度の経済対策と同時に、金融機関の不良債権の処理についてという通達をお出しになっていますね。果たしてこの程度のことで日本の構造不況、いわゆる資産デフレ不況、その一番最たるものは金融機関の不良資産でありますが、解決されると思われるか。
○藤井国務大臣 先ほどから大原委員のお話を伺っておりまして、全く同じ認識で今取り組んでいるつもりでございますが、特に今度の総合経済対策において、御指摘のようにいわゆる不良債権、これは、十三兆八千億というのは、もう何回もここで申し上げておりますように一つの基準に立っているわけでございますね。六カ月利子が延滞した、あるいはもう取れないであろうというので、基準でひとつまとめてみようというのが十三兆八千億であり、今お話しのように、それに上積み部分があるだろう、私はそのとおりだと思います。
 それが、一つが金利減免債権分でございますね。ノンバンクあるいは住専などに貸している分は、これは一つの仕組みをつくったから金利減免債権になっておって、その十三兆八千億に入っていないわけでございまして、これについても今大原委員の方から御指摘がありましたが、今度の対策の中で別機構をつくって、それが買い取って処理をしていくようにしている、こういうことでございます。
 そのほか、平成四年から国税のいろんな債権償却引当金なども相当弾力的な運用をしているということでございまして、今の御指摘でありますが、金融機関によってはそろそろ先が見えてきているというところもあると私は思います。まだまだ大変なところもあると思います。
 したがって、過般、この総合対策と一緒に出しました金融行政の指針の中において、今後ますます、場合によっては合併のようなものも考えていかなければならないだろう、保険機構の発動も十分考える余地はある、こういうことまで申し上げている次第でございます。
○大原委員 私は銀行の擁護をするわけじゃありませんけれども、マネーフローをつくる金融機関というのは経済の動脈ですよね。実物経済における石油のごとしだ。ところが、この金融機関が大変な不況に見舞われておって、貸し渋りとかいろいろの事態が起きておりますね。さらにまた、BIS規制もようやく超えるという程度の備蓄であります。
 そういう中で、大蔵大臣ならおわかりになると思うので、ひとつ提案があるんですよ。これは私は財政部会長、あなたと一緒にやったときに、うそぶいたことがあるんでありますが、固定資産の評価問題ですね。これ、余り早く打ち出しますと、銀行がゆるふんになっちゃうんですよ。ふんどしを早く緩める。悪いことをしたのは金融ですからね、一緒になって。財界というのはそのころ一番、今偉そうなことを言う資格ないんですよ。あの人たちが火をたきつけ、金融機関がまたこれに一緒になってバブルをつくったんですから。これはもう細川総理の責任もとよりないわけでありますが、政治の責任もあるとはいえ、一番最初、第一線で踊った連中はその辺にあるのですよ。だから、余り経済政策がどうのこうのと偉そうなことを言う財界人というのは私はもってのほかだと思う、そういう意味ではね。だから、余りあの連中の話は聞かないで、しっかり内閣で政策をつくってもらいたいと思うのであります。
 言いたいことは、固定資産の再評価を金融機関だけにやりまして、不良債権を一、二の三で落とさせたらどうかということなんですよ。余り最初から言うとふんどしが緩みます。(発言する者あり)ああそうか。とにかくゆるふんとよく言うじゃないか。それではいけないわけでありまして、もうそろそろこの辺で、つぶれる銀行はつぶしていいと思うのですよ。いわゆる護送船団方式で全部守っていかなくてもいい、吸収するところは吸収し、合併するところは合併していい。最後の切り札で、さっき言った固定資産の再評価をおやりになったらどうか。
 私は先年、九二年でございましたが、使節団長でヨーロッパへ参りまして、シュレジンガーさんにも会いました。EC統一指令では、土地の再評価を資本準備金に組み入れてよろしいという通達が出ているのですよ。そして、イギリスもおやりになった、フランスもおやりになった。ドイツだけが、シュレジンガーさんが頑として聞かなかったのです。そんなに緩慢な政策を金融機関にとつちゃいけないということでEC統一指令を拒否しておられたのですが、昨年の九月、最後は認めましようということで金融機関だけに土地の再評価益を資本準備金に組み入れて、そこで償却をさせるということをやらせたのでありますが、日本のように土地の値上がりのないこれらの国においてさえそうでありますから、そこのところ大蔵大臣、どう考えられるか。
○藤井国務大臣 もう申すまでもなく、日本の商法、日本の企業会計原則は取得原価主義になっているという基本があるのはもう御承知のとおりでありまして、そこの中で金融機関だけを再評価するというようなことについては非常に問題があるように私は思います。したがいまして、せっかくの大原委員の御指摘でございますが、必ずしも適当でないのではないかなと思っております。
 しかし、同時に、先ほど御指摘にもなっておりますように、金融機関の償却を促進するということは大変大事なことでございますから、それについては今申し上げたようにあらゆる手段を講じております。
 またさらに、これも最後に加えましたように、合併等の問題も含めて一日も早くこの金融機関の正常化を図っていかなければならないと思います。
 貸し渋りは、不良債権問題だけではなくて、過去における少し行き過ぎた融資態度の是正とかいろんなこともありますもので、一概にこの不良債権問題だけではないと私は考えております。
○大原委員 この問題は税金の絡み合いがありまして、いろいろ言いたくない人がいっぱいいるの
ですが、腹の中では、やはり最終的にはガードとして考えてあげていい政策ではないのかなと私は思うのですよ。これはもっとひどくなる可能性もないことはないわけですからね。
 原価主義会計というのは、全部そうですよ、世界全部。だけど、時価主義会計をだんだん入れてきているのです。そして、先ほど言いましたように、固定資産の扱いについては時価でも可、結構ですというのがあのヨーロッパ大陸ですね。アメリカさんが原価主義会計でありますけれども、やはり時価主義会計というのが大変今強くなっていまして、将来これを時価主義に切りかえよう。日本の貸借対照表ほどわからぬものはないと外国人は言うのですから。貸借対照表を見て投資をする人はいないのですね。あそこの含み資産は幾らあるだろうか、こう見て投資をするわけですね。アメリカの投資家は、日本の貸借対照表は当てにならない、だから時価主義会計に持っていくべきであるという議論がやはり強く起きているのですね。
 これから国際化の時代であるし、それから、日本は今まで企業中心なんですね。株主ないしは消費者のことを考えてくれない。おれのところの会社の含み益というのは幾らあるかは内密でありますなんていうつまらぬ経営者がいるのですよ、日本には。それが日本の成長の秘密だったのかもしれぬけれどもね。そういう意味では、やはり時代が変わった、もう少しディスクローズして、オープンにして、株を買う、投資する人にもさせなければ、これはあなたミスリードの始まりでありますから、そこらのことを私は指摘したくて先ほど申し上げたわけであります。
 ところで、公債発行残高が二百兆円になるという、これは大変なことですね。今年十三兆お出しになるわけでありますが、国民一人当たり百六十万円になるということであります。これだけの公債残高を抱えている国は、GNP対比で見ましても、アメリカ五八%、日本五一%。日中戦争が始まる昭和十二年、調べてみましたら五六%なんですよ。まさに日中戦争前なんですね。赤字公債はいかぬという哲学を戦後打ち出したのは、あの戦争の結果やったわけでありますけれども、残念ながら、五一%というGNPに対する国債水準、これはアメリカの悪口を言えなくなりましたね。あんたのところの財政は垂れ流しだ、おかしいじゃないかということを、アメリカを攻撃する材料なくなるじゃないですか。アメリカを物笑いできなくなったんですね。
 それがまさに二百兆円の意味するものでありまして、アメリカはそれをつくったのはレーガンさんなんですよ。とんでもない減税やらかして、九一%あった最高税率は七〇に下がったのでしょう、レーガンの前は。それを二八にしちゃったんか、一四から。それでブッシュさんが、これは低過ぎるというので慌てて三%上げて、ガソリン税と何だったかな、何か上げちゃってね、たばこか、そうして公約違反だって、あの人それで落選したのですよ。レーガンというのは罪な人だね。二つの赤字をつくってから、自分の間だけ景気伸ばしちゃって、後は野となれ山となれ。昔、都知事にもそういう人がいたんじゃありませんかね。それを精いっぱい黒字にするために骨折った方が、二期八年間、その赤字を直すのを苦労したそうでありますよ。
 この前の税制の議論もまさに小手先でしょう。今だけですよ、その五兆何千億、赤字国債で六カ月で賄いましようというようなこと。こういったことが積み重なっていくと、私は大変な財政状況になると思うのです。
 よく覚えていますが、国債を発行したのは昭和五十一年の福田総理のときですね。一藤井国務大臣「五十年」と呼ぶ)五十年か、福田総理の。(藤井国務大臣「三木総理」と呼ぶ)三木さんのときか。福田大蔵大臣のときだ。一藤井国務大臣「いや、大平大蔵大臣」と呼ぶ)ああ、そうかい、大分違うな、おれの認識と。で、そういう大蔵大臣のときにそういうことがあったことは覚えていらっしゃいますか。そういう大蔵大臣に藤井さん、ならぬでほしいな。これは大変なことですよ、二百兆経済というのは。
 アメリカの金利が上がったのは、やはりクラウディングアウトです。野放しに上げていっちゃったね。六%ぐらいが、レーガンさんのときは一六%、一八%になったのは、おまえの金をおれによこせと公債を発行して、自分が勝手に使って、民間にやらなかったからですよ。そういう高金利を生んだということですね。
 これも、結果的には、二百兆円を超えれば、土地問題だけじゃなくて、国債が日本経済の大きなアキレス腱になる可能性が多分にあるということですね。藤井大蔵大臣、もっていかんとなす。
○藤井国務大臣 ただいま大原委員のおっしゃったのは全く同じ感じでおります。
 レーガンのときも、ああいう大赤字に伴う減税政策をやった。その結果、非常に金利が上がって、ドル高になった。だから、今の赤字の原因があそこでできてきた。これはもう全くおっしゃるとおりだと思います。
 私どもも財政当局としての立場を、御承知のようにこの夏以来続けてまいりました。今大原委員の御指摘のような気持ちを持つがゆえにやり続けてまいりました。歯どめなき赤字国債というのはやめていかなければならないという気持ちでやってまいりましたが、今回の連立与党の御決定というものは、本当にいろいろ各党が歴史をしょっておられる中で、私はぎりぎりの正しい選択をしていただいたと思っております。
 思っておりますが、しかし、私どもの立場からいえば、本当の赤字国債にしていけば、今おっしゃったように、財政の健全化に加えて、今おっしゃった経済の体質を壊しちゃうということですね。クラウディングアウトという言葉を使われましたが、上納金思想になるわけですね。民間のお金を制限なく公的に回すという、そういう仕組みになっちゃうというこの怖さ、経済体質の怖さを感じるがゆえに、私どもは全力で頑張ってまいりましたし、この秋に向けて全力で頑張らなければいけない、こういう気持ちを持っていることを申し上げたいと思います。
○大原委員 全く大蔵大臣と同じ考え方でありますし、そこら辺については総理、よろしく御認識をいただいて、二百兆円を超える国債を発行するのだから、要するに十年借りかえで二百兆円を六十年先に平均して返していくわけでしょう。この六十年先の話は、あなた、この中で生きている人が何人いるか知らぬけれども、先の人が払うんだでは、これは増税を先送りしているだけなんですよ。そういう、ゆるふんもいけないし、垂れ流しという言葉もいかぬそうでありますが、あの政策は細川総理のときに始まったということにならぬように、官房長官、いいかな、あなた、意見が違ったりしないように、しっかりその辺はやっていただきたいな、こう思います。これは財政の大変な問題点。
 第二番目が、私、質問するので最近数字を並べてみたのですよ。予感としては持っておりました。各国の老齢化率と租税負担が相関関係にあるということだな。
 いいですか。老齢化率、日本が六十五歳一三%、スウェーデンが一七・七、日本の国民負担が三八、スウェーデン七七、その間にヨーロッパ、アメリカの先進国の年齢がばらまかれておりますが、その老齢化率の高さと租税負担率の高さが同じになってしまっているということだ。これは逆相関じゃないですよ、まさに順相関関係にあるということでありますね。それから、租税負担率の高さと経済成長率が逆相関になっておるということ、これはトリレンマだな。
 いいですか。老齢化率は進む、租税負担は上げなければならない。ところが租税負担が上がりますと経済成長率がゼロに限りなく近づく。スウェーデンの場合は、最近ゼロ成長であります。社会保険負担を何とかしなければならないということで、ぼちぼちその社会保険に気がついていらっしゃるようでありますが、我が国の老齢化率はこれからいよいよ急速に進むわけでありまして、現在、私がいただいた数字を見ましても、大変な数字が出ているわけであります。
 それは何かといいますと、社会保障費ですね。不思議に社会保障費のあの十三兆円と国債発行額はイコールになっている。これは皆さん、おもしろい数字だよ、おもしろいと言ったら怒られるかもしれぬけれども。アメリカは、国防費の支出二千七百億ドルと財政赤字の国債発行がイコールなんです。これは財政のアキレス腱と言ったら語弊があるかもしれぬけれども、そこらにこれからの財政編成をされるときの焦点を当てていただかないと大変なことで、今おかげさんで国防費が少ないで済んでいるけれども、アメリカはイコールですよ、財政赤字と国防費がイコール。
 日本の財政赤字と社会保障費がイコールでありますが、現在、社会保障支払い額が五十兆円です。それが二〇一〇年には二百二十兆、二〇〇〇年には百十兆、これはだれが負担するのですかね。いかなるシステムをつくって負担をふやしていくか、国債発行か増税しか方法はないと思うのですね。
 これは総理にお伺いすることだと思うのですが、いかがに考えていらっしゃいますか。目先も大事ですが、長期計画が、長期スタンスなしに、政策が右往左往しているのが今日の状況じゃないのかなということが心配でありますからお伺いしているのでありますが、総理に御答弁をお願いします。
○細川内閣総理大臣 おっしゃるような状況の中で、どのような受益と負担の関係をつくっていくか、経済社会を構築していくかということは、非常に重要な、我々が強い関心を持たなければならない課題であることは当然のことだと思っております。それに向けまして、施策の優先的な選択を厳しくしていくとかあるいは歳出の見直しをしていくとか、そういうことは当然のことといたしまして、受益と負担のあるべき関係というものについてどういう姿が望ましいのか。それは、第三次行革審の答申あたりでも出ているような、二〇二〇年のピーク時に五〇%を下回るというようなところが大方妥当なところなんだろうと思っておりますが、そのためには、やはり今申し上げましたような受益と負担の関係というものについてのしっかりとした見直しをしていくということがどうしても必要だというふうに思っております。
○大原委員 藤井大蔵大臣も御存じのとおり、増税か国債しか方法がないのですね。いろいろおっしゃいますけれども、行政費を減らせと言うでしょう。行政改革、行政改革と言うのは、私は逃げ言葉だと思うな。これ以上何を改革するのですか。大体役人の数は、正直に言いまして千人当たり四十人でしょう。フランスは百二十人なんですね。アメリカ、イギリス等が百人ぐらいいるのですね。この役人の数を減らして、そしてそこから何か出そうといっても、そんなに社会保障費を賄うような財源というのはなかなかそこから出てこない。そうなれば増税しか方法がなくなってくるわけだ。ないしは国債ということにならざるを得ないわけでありますが、これはまさに厳しい選択をしなきゃならぬということであります。
 最後に、よく逃げ口上で規制緩和、規制緩和ということをおっしゃるでしょう。細川総理がおっしゃったのかどうか知りませんが、規制緩和の経済メリットというのは何かあるのですか。その辺、計算してあるのでしょうかね。いや、規制緩和もやりますと先ほど企画庁長官おっしゃったわな。規制緩和で何か経済メリットがあるのですか。
 私は、最近に読んだアメリカの、これは堺屋太一さんが翻訳されている本でありまして、信用していい本だろうと思うのですよ。その中にこういうことが書いてあるのです。レーガンさんの一九八〇年代の自由化以来、規制緩和で二十万人が失業いたしましたというのですね。その中の十五万人が運輸関係のトラック業界であります、こういうことが書いてあります。規制緩和というのは弱肉強食ではないのか、こういうことが書いてありますね。そうして、百三十のアメリカの小さな町で、定期便があったそうです、航空便が。それが全部やめられちゃったというのですな。廃止された。規制緩和で不便になっちゃった、こういう議論もなされているわけですね。
 今我々が、とりあえず皆さん方がやろうとしている規制緩和、中小企業や地方にしわ寄せば来ませんか。これはどなたがお答えになったら――武村さん、きょうは何か規制緩和担当大臣になられるというふうに新聞に出ましたけれども、官房長官がいいかな。じゃ、それをちょっと答えてくれますか。
○武村国務大臣 規制緩和というのは、御承知のように現行の秩序を変えるということになりますから、経済面でもさまざまな影響を及ぼします。おっしゃるような失業者を生み出す心配もあるわけであります。同時にしかし、レーガンの、規制緩和というとらえ方がいいのかどうか知りませんが、マネーサプライの政策等々によって数百万の新たな雇用を創出したというふうにも言われておるところでございまして、特に情報通信関係の規制緩和がその面では一番突出して大きな効果を生んだというふうに私も認識をいたしておりまして、ニュービジネスあるいはニューフロンティアという言葉もありますが、従来の経済が一つの壁にぶつかって新しい産業を生み出していく、そして雇用を新しい産業にシフトしていくために規制緩和がかなり大きな役割を果たすというふうにも期待をいたしております。
 同時に、今の日米間の貿易問題になりますと、いわば輸入にかかわるような規制を緩和することによって、アメリカを中心とした外国のものがより日本市場に入りやすくなることによって、経常黒字の問題にも貢献することも期待できるわけで、いいことばかりではありません、プラス・マイナス両面あることをしっかり見詰めながらこの問題には対応しなければいけないと思っております。
○大原委員 規制緩和、規制緩和と、何か、役所に行ったら三つ判こ押すのを一つでいいそうだ、はあ結構でございますというのが大体庶民感覚だわな。
 だから、そういうメリットはメリットとして計算されるのはいいが、デメリットがあるということね。それは中小企業と零細業者に影響が出てくるということ、しかもそれは地方に大方出てきますよ。料金の自由化やなんかをどんどんやっていったら、それはもう小さいものに影響が出る、弱肉強食の結果が出てくるというのはアメリカの事例が示しているわけでありますから、余り新聞、マスコミが、規制緩和は何かいいことだなと思っていると、案外これはもろ刃の剣だということをやはり認識してもらいたいなと、担当されるということになれば、その辺特にお願いをしたいと思うのです。
 時間がありませんので、問題点だけ指摘して質問を終わります。
○山口委員長 これにて大原君の質疑は終了いたしました。
 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時二分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時二分開議
○山口委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。石橋一弥君。
○石橋(一)委員 私は、教育問題について、総理を初め関係大臣に質問をいたしたいと思います。
 質問に入ります前に、六年度の当初予算、文教及び科学振興費につきましては、一般の伸びが一%にしかならないのに対して二・四%の増を予算化していただきました。まことにありがたく、心から感謝を申し上げる次第であります。
 そこで、日本の教育を語るに際しまして、昔からのいろいろなことがありますけれども、細川総理は熊本五十四万石の代々の親分であったわけであります。その熊本藩におきますところのいわゆる藩学でありますとか、寺子屋でありますとか、日本国の全体の中においても大変すばらしい教育をしておると思います。その藩校の名前が時習館という名前であったと記憶しております。論語の学而編の中に、「学んで時にこれを習う亦説ばしからずや」、こういう文言があったことを聞いております。その時習館あるいは寺子屋、熊本藩時代の教育の真髄をまずお聞かせをいただきたいと思います。
○細川内閣総理大臣 これはもう石橋先生の方がお詳しいのではないかと思いますが、十八世紀の中ごろに時習館が設立をされまして、そのときの基本的な考え方というのは、国を興すは学を興すにありということがこの時習館を興した細川重賢という人の一番基本的な考え方であったというふうに聞いております。
 よく私が聞かされておりますのは、橋を一つしかかけないということではだめだ、それぞれ人には違った能力というものがあるのであって、川上にも川下にもそれぞれ橋をかけた方がその人の持ち味というものが、能力というものが、個性というものが生かされるんじゃないか、そういう意味で川上にも川下にも二つの橋をかけるべきだということは、よく例として挙げられるところでございます。
 この時習館におきましては、もう先生御承知のことかと思いますが、当時特定の武士階級だけにしか認められていなかった教育の分野というものを、より広く農工商、そういった人たちのところにまで広げるとか、あるいは朱子学だけでなくて、多くのところは朱子学だけだったのでございましょうが、古学にまで広げるとか、そういったこともほかのところとは違ったユニークな教育を行っていたというふうに伝え聞いております。
 また、この学校はその後洋学校に変わったわけでございますが、当時としてヨーロッパの近代的な教育というものをいち早く導入をしてやっていこうという姿勢も一つの大変すぐれた考え方ではなかったのかな、このような考え方がその後広く全国の教育の面でも注目をされ、また取り入れられていったというふうに承知をしているところでございます。
○石橋(一)委員 日本の教育のことにつきまして、総理、ライシャワー博士は、よほど前のことになりますけれども、一言で申し上げますと、初等中等教育、これはまさに世界に冠たるものがある、このような表現で大変褒めております。一方、大学教育におきましては、なかなかもって、研究部門が、いわゆる大学、すなわち教育並びに研究ということになりますと、どうも劣ってやしませんか、大変劣っているような感じを持ちますということをライシャワー博士が言っておりますですが、この見解について総理はどのようにお考えでしょうか、お聞かせをいただきたいと思います。
○細川内閣総理大臣 私もそれは非常に当たっている御指摘であるというふうに考えております。日本の今日の発展というものが、特に江戸時代からの初等中等教育というものにその大きなよって来るところがあったということは、ライシャワーさんのみならず、国際的にも多くの教育にかかわっておられる方々、また教育以外の方々も指摘をしておられるところでありまして、江戸時代に約五万ぐらいの寺子屋があった、あるいはまたその他徒弟制度であるとかさまざまな教育のシステムというものが整っていた、そのことがどれだけその後の日本の発展にとって大きな意味を持ったか、それがまた明治時代になって学制がしかれて、高等学校、中学校、小学校という形で全国にその網の目を張りめぐらしたということは、これは非常に大きな成果であったというふうに思っております。
 それに比べまして、大学の方は、御承知のとおり試験地獄であるとか、これは最近だんだん下の方までおりてきて、幼稚園に入るのも大変だとかいろいろな問題もございますが、しかし、とりわけ大学というものが本来の大学としての機能を果たしていないのではないか。これはもうライシャワーさんの御指摘をまつまでもなく、我々も、多くの日本の人たちも感じているところでございましょうし、また外国から見られてもそういう印象を受けられるであろうということは全くそのとおりだというふうに思っております。
○石橋(一)委員 そこで、我が国教育の変遷あるいはまたお隣の中国あるいは西欧各国のことをやや述べさせていただきたいと存じます。
 我が国教育の一番初めの文献を見ますと、大宝律令、これが西暦七〇一年に制定されて、中央に大学寮、地方各国に一つずつ国学を設けるとした学令を定められております。また、中央の各省に、典薬寮、これは医学教育であります、あるいは陰陽寮、天文学、暦のことです、それから雅楽寮、音楽、舞踊のことなどの専門教育機関、こんなものがまず置かれているわけであります。
 そして、下って幕藩体制のときになりますと、いわゆる武士階級のものは藩校でやったですね。一般の教育につきましては、寺子屋で勉強をしたわけであります。この寺子屋の数が、定かでありませんが、最低一万校はあっただろう、あるいは二万校あった、こう言われておりますが、まあまあ一万五千校ぐらいの大変余計の数の寺子屋があった。三十人あるいは五十人、もっと大きなのは大変な数、学んだ人の数がありますですが、そのようなことで学んできております。
 一方、例えば西欧に例をとってみますと、イギリスの方は、教育ということでロー、法律ですね、これが初めて出たのが一八七〇年、今から百二十四年くらい前であります。日本の場合は、先ほど申し上げたとおり、千二百九十年も前に学校制度というものができ上がってきているという事実。フランスは、初等教育法というものがまあまあできましたのが一八六七年、何年も前でしかありません。ドイツでありますと、一般農村学校令というものができたのが一七六三年、まあ二百三十年くらい前。
 そして、識字率をさらに調べてみますと、イギリスの場合が約五一%、一七五〇年代であります。フランスの場合が、一八七三年、八〇%ぐらいであります。ドイツ、これは一八四九年当時八〇%の識字率であった。日本の場合は幕藩体制時代七〇ないし八〇%の識字率であった、このようなことが言われておりますですが、ここら辺は総理、各国あるいは各民族の教育に対する動き、考え方というものをどう御認識をなさっていられましょうか、お伺いいたします。
○細川内閣総理大臣 各国それぞれに、どこのところに重点を置くのかということについては歴史的な経緯もございましょうし、また、そのときどきの考え方というものが反映をされているんだと思いますが、主として高等教育というものに重点を置いてきたというのが、私もそれほど詳しいわけではございませんが、欧米の大体の傾向ではないのかなという感じがいたしております。
 その点に比べて、少なくとも日本は明治時代までは初等中等教育というものに重点を置いてきた、それが非常に大きな成果があったということが言われているということではないのか。したがって、今後とも初等中等教育の充実ということに力を入れていかなければならないことは当然でございますが、先ほども申し上げましたように、今問題のある、いろいろ指摘をされている大学教育というものについてどうあるべきか、これは本当にこれから議論をしていかなければならない大きなテーマだというふうに思っております。
○石橋(一)委員 今申し述べましたとおり、藩学の問題でありますとかあるいは寺子屋の問題でありますとか、しかもこのような教育制度というものがきちっとでき上がったのは、西欧各国等と比較して、日本の場合は大変古くからやっておったわけであります。
 そして御承知のとおり、明治五年の八月に、「邑ニ不學ノ戸ナク、」ということで学制が発足したわけであります。そして、教育勅語というものができた。人間生活、日常の生活の基本、道徳観であります。そして、君臣の関係をつくって、憲法と相まって戦前の教育があったわけであります。
 そして戦後は、御承知のとおりの憲法というものができ上がって、君臣のことでなく、主権在民の上に立って、思想ですとか信教ですとか、いろんなものの自由というものが保障されて、さらには教育基本法、そして学校教育法等が生まれて、今の教育制度になりました。こうした考え方、そしてまた、今現実的に我々はその中にあって動いているわけでありますけれども、ここのところは文部大臣、どう考えておりますか。
○赤松国務大臣 ただいま石橋先生と総理とのお話を伺っておりまして、今まで知らなかったことも教えていただいて、私も大変勉強させていただきました。大宝律令にまでさかのぼり、あるいは諸外国の学校関係の法律のようなことにまで、まだ不学でございましてよく知識がございませんでした。きょう新しく時習館という名前なども学ばせていただいて、大変ありがたく勉強をさせていただいたことを感謝申し上げます。
 今お尋ねの件でございますが、私も、明治時代からの学校制度等につきましては、文部省を預からせていただいて若干勉強いたしましたが、非常に財政が窮乏していたであろう時代にもかかわらず、非常に学校あるいは教育全般について政府が力を注ぎ、無償教育というのを、明治二十七、八年戦争の成果として得た賠償のほとんどを無償化に使うというような、教育に対する重点の置き方というものが今日の日本の社会の基本をなしたというふうに認識をしている次第でございます。
 また、戦後の教育改革もずっと今日まで成果を上げてきているわけでございまして、ただ御指摘のように、高等教育、なかんずく大学の問題としては、いろいろ指摘されているのはかなり当たっているような気も私もしているわけでございまして、それにつきましては、そのことに気づかれました方々が、あるいは臨教審から始まるのかもしれませんが、臨教審、それを受けての大学審議会の設置、その中での御検討等を踏まえまして、大学の体制の改革というようなものに現在取り組んでいる過程にあるというふうに私は認識している次第でございます。
○石橋(一)委員 私が今申し上げた中において大臣の御答弁をいただいたわけでありますが、大臣といたしますと、この考え方をこの路線の上で進めていくという考え方でございますね。
○赤松国務大臣 教育が百年の大計であるということはよく言われる言葉で、私もそれを肝に銘じたいと思っております。
 教育の基本というものは、例えば政権がかわるとかいうようなことでぐらぐらとするようなことがあってはいけない。臨教審あるいは大学審議会での御答申、その先生方がそれに基づいて御苦労くださいました文教政策の基本というものを引き継いで努力をしてまいっているつもりでございます。
○石橋(一)委員 中身はよくわかりますが、大臣お考えになりまして、さてな、ここのところはどうかと思うな、そんなことがあればお話をいただきます。
○赤松国務大臣 例えば個性の尊重というのが問題になるかと思います。私ども日本人は、一定の基準まで達するということはなかなかすぐれていると思いますが、ユニークといいますか、一つの個性を際立たせて物を考えるとか何かをするという点はやや弱いところがあって、初中教育ぐらいまではある基準をちゃんと達成するということが要請されるわけでございますから、それは相当いいところまでいける。しかし、大学になりますと、やはりもう一歩進めて自由な発想とか自由な精神とか個性とか、そういうものが非常に重要になっていくのではないかと思いますので、その点がやや弱いのではないかという認識をいたしております。
 もう一つ申し上げさせていただくと、基礎的な、基礎科学と申しますか、そういう点については、明治以来、諸外国からいろいろと学ぶところを活用いたしまして、その上に立って日本の高度な科学技術を発展させたという過程がございます。それは今日まで続いておりまして、基礎科学をみずから生み、研究し、それを発展させるという点では、これまたやや弱点ではないかというふうな気がいたしております。
○石橋(一)委員 ありがとうございました。
 たしか明治の末ころであったと思いますが、和魂洋才という言葉が大変言われました。現代におきましても、高等教育、つまり大学教育、特に研究部門、このような問題、それと人間の考え方、性質、そうしたもの、全体的に言えばそれが日本の文化ということになるわけでありますが、このところは和魂洋才というのが今になっても続いているということですね。そう私は理解をいたしているものであります。
 そしてまた、日本人、親がどんな苦労をしても子供はさらにいい生活をやってほしい、そのあらわれが教育志向、教育を少しでもよく、立派なものを子供に受けさせたい、習わせたい、この考え方があると思います。
 そしてまた一方、これほど、健康保険問題でありますとかあるいは年金問題でありますとか、自分が得た収入の半分以上は自分が使えるもの、半分のぎりぎりのところまでは社会に税金として出してやってもいいという哲学的な考え方、そのような考え方の中においても、総理、日本の国民というものくらい、自分の子供をよりよいものにしたい、よりよい教育を受けさせたい、このような考え方が非常に強い国民、強い民族だ、私はこのように考えておりますが、総理の御見解をいただきたいと思います、日本民族に対して。
○細川内閣総理大臣 全く私も同感でございます。少しでもいい教育を子供たちに受けさせたい、それが今日の日本のこうした発展の大きな力になってきたということは、もう先生御指摘のとおりだと、私もそのように感じております。
○石橋(一)委員 私は自分でこの問題を、日本の民族はいわゆる未来志向型の民族だということで定義をいたしております。
 まあ今まで述べましたことは皮相の感がなきにしもあらずでありますが、日本の教育というもの、そして西欧各国等の教育を比較してみて、日本というのは大変すぐれたものを持っているというふうに私は断定をいたしております。
 お隣の中国の問題を触れませんでしたが、あの国と申しますれば、老子の思想あるいは孔子の思想、人間が毎日生活を営んでいく上での倫理、これが大変発達した国であり、日本人の毎日毎日の生きざまを規範としてつくり上げた思想がこちらにあるなど、どちらかといえば、いわゆるキリスト教文明の方にだんだん移行していることも、これも否めない事実だと思いますが、やはり大部分の日本人というのは、彼らのあの考え方が日常生活の規範になっているのではないかな、このように私は思うものであります。
 そうしたことはとにかくといたしまして、本論に入りたいと思います。
 私学振興助成法、これが昭和五十年に公布になっております。しかも、この法律は、当時の文教委員会の理事でありました河野、西岡、藤波、三塚、塩崎、この五人の先生方が先に書かれて、きょういらっしゃる自民党出身の各党の皆様方、党全員の一人一人が全部法案の提案者になって、全員であります、それででき上がった法律であります。
 その中で、これは提案者を代表して、塩崎委員が私学の助成に対してこのように申し述べております。
 二分の一以内の裁量権限、これを私立大学の補
 助について規定することにいたし、地方の私立
 の高等学校以下につきましては、地方団体に対
 しましては地方自治のたてまえから二分の一と
 いうような拘束は置かない、しかし国が二分の
 一以内というようなことが一つの基礎になりま
 すれば、こう言いまして、
 善意で地方団体も国の施策に準じて二分の一を
 目標として進んでいただけるに違いない、それ
 はそのときの財政事情に左右されましても、目
 標は二分の一になるであろうということを期待
 いたしました。このようになっているわけでありますね。
 いわゆる私学助成法の大学に関するもの、たしか四条であったと思います。それと、九条の高校以下の各学校に対する助成法についての考え方がこれに極めてはっきりと出ているわけであります。この点については、文部大臣、どうお考えですか。
○赤松国務大臣 先生ただいま御指摘の塩崎委員の提案理由説明、よく拝見させていただきまして、そのときのこの法律案の趣旨についてはよく理解をさせていただきました。
○石橋(一)委員 大臣、それだけでよろしゅうございますか。
○赤松国務大臣 この法律はもちろん今も生きているわけでございまして、その趣旨にのっとりまして助成を続けているところでございます。
 ただ、二分の一という基準につきましては、この法律ができまして以来、達成したことがないという点は残念なことでございます。
○石橋(一)委員 大臣、大臣を余り責めたくないわけでありますけれども、今まで、平成五年度予算、高校以下、大学、平成四年度の高校以下、大学、大体大学につきましては計算基礎の二分の一以内に到達するようにやってまいりましたが、二十数%が一番余計なときであって、それから学校数、生徒数がふえますので、結果的にはやや補助金率が下がってきております。しかし、それに向かって大学もやってきた、予算はですよ。高校も同じ考え方でずっとやってきているわけです。
 そこで、六年度予算、これは大蔵大臣ですね、一挙に四分の二、つまり二分の一であります。予算額を、長い伝統の中においてやってきたものを一挙に四分の二にしたというのはどういうことですか、大蔵大臣。
○藤井国務大臣 私学振興助成法がお話のように五十年以来存在していることは十分承知いたしております。
 ただ、高校以下につきましては、御承知のように、所管庁が都道府県であるというようなことと、それから、数字を申し上げていいのでございますが、独自の都道府県助成も非常にふえてきておりますもので、そういう事情を勘案いたしまして、国の厳しい財政事情の中でそのような内示をさせていただきました。しかし、文部大臣との話し合いの結果二五%ということで決定をさせていただいた次第でございますので、御了解いただきたいと思います。
○石橋(一)委員 文部大臣との話の中において、六年度から四分の三に政府案は決まったわけでありますね。四分の二の大蔵提案、これはなぜそうなったんですかと聞いているのです。
○藤井国務大臣 ただいま申し上げましたように、国の財政事情、そして現実に高校以下について都道府県独自の助成額もふえてきておるというような事情を総合勘案いたしましてやらせていただいた内示案でございます。
○石橋(一)委員 今のお話は、大臣、都道府県知事からの話ですとか、いろんなことは私はつけたりであったと思いますよ。四分の四から四分の二に一挙に下げてしまったというのは、少なくとも予算編成上のことからいいますと、あなたがさきに申し上げましたところの、金がないから減らしたよと、それだけでしょう。違いますか。
○藤井国務大臣 都道府県の自主財源からの助成があるということもまた事実でございます。同時に、財政事情が極めてきついということも、今石橋委員の御指摘、ないわけではございません。
○石橋(一)委員 これは、もうちょっと論を進めてからまた蔵相に答弁を願います。
 次は佐藤自治大臣、お仲間でありますけれども、私から申し上げたいと思います。
 交付税法第三条二項、基準財政収入額から基準財政需要額を引いて、残ったものを交付税として補正係数等を掛けてやるよと。これは自分のことを言って恐縮ですが、私は村長をやりました。そして市長もやりました。みずからがあの計算をやっておりますから、割合によく知っている方だろうな、こう思っておりますが。その中において、第三条二項は、交付税というのはどこまでも地方団体の独自の財源だ。
 ただ、つかみ取りでやってはならないという考え方がありますので、測定単位でありますとかそうしたものを掛け合わせてみて、あるべき人口数に比較した、この団体についてはこの程度の金が当然入ってくるんだ、この団体はこの程度の金が当然要るんだ、道路であっても橋梁であっても学校であっても福祉の問題であっても、これだけのものは当然要るんだというものを計算をして、満たないところには交付税をやる。しかし、それはどこまでもどこまでも地方団体独自の財源、その計算根拠はあるから、それを上回ってとか、それとイコールであるとかというものを出さない、出してはならないという規定が三条二項ですね。これは間違いないでしょうか。
○湯浅政府委員 地方交付税の性格につきましては、ただいま先生おっしゃるとおり、条件をつけたりしてはいけない、あくまでも地方の一般財源であるということを明確に規定しているところでございます。
○石橋(一)委員 今局長が言ったとおりであります。
 ところが、この高校以下の私学の助成については、なかなかもって行政指導という立場、いろいろな立場があって、今御答弁をなさったとおりにはいってないですね。これは、文部大臣はよく御承知だと思います。
 さて、そこら辺のところ、具体的に後から申し上げますけれども、その行政指導、どうやっていますか、局長。
○佐藤国務大臣 全体のお話をした方がいいのではないかと思っておりますけれども、今は、地方財政計画は御承知のように策定中でございまして確定的なことは申し上げませんけれども、この私学助成につきましては、極めて重要なテーマでございますので、私学経営の実態あるいは保護者負担の状況、こういったものを考えて、当然所要の額を計上しなければならぬというふうに思っております。
 今委員御指摘のように、大蔵省は私学助成の八百四十七億に対しまして二五%カットということをいたしましたから、二百十二億そこで足りなくなるということになってくるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、国費と地方費とを合わせて、我々といたしましては、助成総額、昨年が、平成五年度が四千八百億ぐらいでございますけれども、これを上回って一定の伸びを確保する必要があるというふうに考えております。
 では、先生言われますように、一体それはどこから出てくるんだ、交付税はちゃんと項目が決まっているじゃないかということかと思いますけれども、先生御指摘のように、あくまで地方交付税は一般財源でございますから、使途が制限されるというひもつきの財源でないことは御承知のとおりでございます。
 しかし一方、では、何でも使っていいかということ、使途の制限がないからといって地方団体がこの財源を無制限に、恣意的に、では何でも使っていいよということにはならぬことはもう先生に言うまでもないわけでございまして、したがいまして、この交付税法の精神にも書いてございますような、地域の実態を踏まえつつ、合理的、かつ、妥当な水準を維持するように行政執行をしていかなければならぬということが書いてあるわけでございまして、今度の地財対策の中で、一般の行政経費というのは一・三%伸ばすように組んでございます。したがいまして、その差が約二千億円、行政経費、出てくることになりますので、その中でこの私学助成というのが、その地域地域、各県におきまして対応してくださるというふうに考えておるところでございます。
 ただ、確かに一般行政経費は伸びておりますけれども、私学だけにこれをやるというわけには、もう先生御承知のように他の項目もいろいろあるわけでございますので、地方の財源であるところの交付税の伸びというものを一つの項目だけに伸ばすわけにいかぬわけでございますことはもう御承知のとおりでございますが、いずれにいたしましても、私たちといたしましては、そのような対応の仕方をしていくというふうに考えて、今地財計画を策定中でございます。
○石橋(一)委員 また、今度は文部省の方に移らせていただきます。
 結果的に言って四分の二が四分の三になったことは、これは内閣提案によりそのようになったわけであります。
 そこで、文部大臣、私立学校振興助成法の中の、いわゆる私学助成法でありますが、第四条は、さわりだけ申し上げますと、「教育又は研究に係る経常的経費について、その二分の一以内を補助することができる。」こうなっていますね。これは大学または高等専門学校を設置する学校法人に対しての補助の中身であります。これは先ほど言ったような考え方に沿ってずっと各年度をやってきていることは間違いない事実であります。
 そこで、「小学校、中学校、高等学校、盲学校、聾学校、養護学校又は幼稚園」、つまり高校教育以下でありますね、これらにつきましては、「当該学校における教育に係る経常的経費」と、ここにも第四条を受けたような言葉が入っております。「経常的経費について補助する場合には、国は、」国はですよ、「都道府県に対し、政令で定めるところにより、その一部を補助することができる。」こうなっているのですね。もう一つ聞きたいのですが、まずこれだけお聞かせください、文部大臣。
○赤松国務大臣 今先生の御指摘のとおり、学校法人に対する都道府県の補助に対する国の補助は、第九条で、「都道府県が、その区域内にある小学校、中学校、高等学校、盲学校、聾学校、養護学校又は幼稚園を設置する学校法人に対し、当該学校における教育に係る経常的経費について補助する場合には、国は、都道府県に対し、政令で定めるところにより、その一部を補助することができる。しという条文に基づいて国が補助をして……(石橋(一)委員「それは大臣、法律を読んでいるばかりで」と呼ぶ)失礼いたしました。この法文の趣旨に基づいて補助をしているところでございます。
○石橋(一)委員 大臣、今のは第九条をお読みになっていらっしゃるのですね。
 私が今からお伺いするところまで一緒に答えていただきたかったのですが、それは第九条を受けて助成法の施行令が、「法第九条の国の補助」として、第四条になりますね、これは、私、ここであえて読みませんけれども、文部大臣が定める私立小学校、以下ずっと各学校の名前を書いてある。そして「文部大臣が定める児童等一人当たりの金額に当該小学校等の学則で定めた収容定員の合計数を乗じ、その乗じて得た金額を合計した金額」、ここら辺のところまであわせて御答弁をください。あるいは大臣、大変なんでしたら、局長がいるだろう、私学部長か。
○泊政府委員 お答えいたします。
 ただいま石橋先生から御質問ございましたように、私学振興助成法の第九条で、高等学校等に対する国の補助につきましては、その配分方法等については政令以下に委任をされております。
 政令以下、法文では非常にややこしゅうございますので、わかりやすく御説明をさせていただきますと、各都道府県の児童生徒数一人当たりに対する補助額と申しますか、いわば都道府県における助成水準の高低が一目でわかる一人頭の補助実績額というものを算定をいたします。そして、それに同じ都道府県内の定員内の実員数を掛けるということで一定額が出てまいります。そういたしまして、それらを四十七都道府県分トータルをいたします。
 一方、国庫補助ということでございますので、予算の制約がございます。そこで、国庫補助の予算額につきまして、各都道府県で、先ほど申し上げました、一人頭の補助実額に定員内実額を掛けたものの都道府県のいわば全体の中に占めるシェアに応じて予算額を配分をしていくというのが、大変技術的で恐縮でございますが、その原則でございます。
 逆に言いますと、こういう配分を通じまして、各都道府県における助成水準というものの維持向上をこの国庫補助のシステムによって誘導を図っていきたいというものが現行のシステムになっているところでございます。
○石橋(一)委員 ただいまの御説明ですが、お話を承りますと、いかにもごもっともというような説明の仕方であります。実際問題はなかなかそうはいってないですね。
 そこで、まあ実際問題を申し上げますと、この補助そのものが、そもそも予算補助の考え方、それと各私立学校に予算を上げる配当額の考え方、予算の考え方と配当するときの考え方は違うんです。大臣、おわかりですか。私が説明を申し上げますか。予算をつくるときの考え方は、私が言っちゃいけないということですから、私は言わないでおきましょう。大臣、どうぞ。
○泊政府委員 石橋先生の今のお尋ねでございますが、高等学校以下の私立学校に対する経常費助成補助金につきましては、予算上、先ほど先生がおっしゃいましたように、これまでその充実にいろんな財政事情等も考慮しながら努力をしてまいってきておりますが、その中で、いわば国庫補助金とそれから地方財政措置との、国の両者を合わす財源措置によって地方に財源措置をしてやる。そういう中で、国庫補助金につきましては、各地方でこういった助成水準の維持向上に努力をしてほしいというようなことを願って、いわば誘導効果を持たせている、こういう形で運用しているわけでございます。
○石橋(一)委員 振興助成法に入ったり、あるいは自治大臣の方に入ったり、行ったり来たりしてまことに恐縮でありますけれども、私学の高校以下の助成に対する交付、助成というよりも交付税法の計算の根拠は、これは各都道府県の人口に対して私学の高校以下のものを含めて、例えば教育委員会の問題でありますとかいろいろな問題を含めて、人口百七十万人ぐらいの標準都道府県、その百七十万人くらいの人口に一人当たり三千九百八十円、それを掛け合わせて、さらに補正係数、密度補正等をやりまして、そしてどの都道府県はこの程度ですよという数字が出るのが佐藤大臣の方の考え方であります。でも、冒頭に申し上げましたとおり、それは交付税法第三条第二項で、それは計算の根拠であつくそこに使わねばならないということではないのは明らかであります。
 そこで、じゃ一体私学振興助成法の方の計算はどうなっているかと申し上げますと、これは、今度は配当予算ではありません。今、六年度予算として出されているものは、平成五年度の例えば高校の単価は四万二千四百円です。六年度はがくっと下がって二万九千六百円です。中学、小学、幼稚園以下、約四分の三に一挙に切り下げられてやっております。
 そしてそれは、決定するのはいつか、つまり補助として配当するものはいつかということを見ますと、結局二年前の実際金額ですね。六年度にくれるものは四年度の決算を見てからやるという形なんですね。そこへ佐藤大臣の方の考え方が実際は入ってきております。
 つまり、私学振興助成法であらかじめ今まで二分の一に近づけようという努力の数字の分が予算補助に出ている、考え方が。その考え方が出ていったから毎年、高校以下の補助金については八百何十徳というのがずうっとつながっています。一挙に今度は四分の二に大蔵が削減しちゃったということ自体大変おかしな形がそこに出てしまう。
 そこで、これからが問題でありますが、例えば、私は千葉県出身でありますから千葉県のことを申し上げますと、平成四年度高校のみを申し上げますと、一人当たり、これは生徒数ですよ、二十一万五千三百七十円。うち、私学振興助成法をもととしての文部省からの予算、これが三万六千百八十七円。差額十七万九千百八十三円。これは交付税を含んで、そして県が出した補助金に対する補助率が、四十七都道府県が同じように計算をしますので、こんな形になります。
 もっと申し上げますと、その交付税方式の掛け算をやって出たものと予算の間に大変差が出てくる。そこで、そのものそのものに使ってはならないよという三条二項があるにもかかわらず、それを土台として、足らないものを出してやってくれよと、あるいはそれより余計やってくれよというようなことが、実際問題は、行政指導という名前の中であります。交付税法三条二項に背反をするような予算の割り振りをやっているのが現状の姿である。
 これは、後ほど文部大臣から聞きますが、恐らく自治省といたしますと、そんなことはやらないとお答えになると思います。しかし、まあ文部省といたしますと、結果論として、高校以下の私学に行く金が余計であればどうだっていいじゃないか、そんなに難しいことを言わないで余計やればいいではないかという考え方が文部省の中にも、大臣、あると思うよ。
 これは、先般私ども大臣に陳情したときには、交付税法、それと私学振興助成法の差異は当然皆様方の陳情のとおりでありますと、これはいたしません、そして全額復活に向かって一生懸命にやりますというお答えであったですが、大臣は、私の仄聞をするところによれば、どこかで、どこから金が来たっていいじゃないの、私立高校に行く金が余計であればそれでいいじゃないのかしらねえということをおっしゃったということが私の耳に入っております。これはね…・・・(発言する者あり)
○山口委員長 静粛に願います。
○石橋(一)委員 大臣の考え方は極めてしっかりしていると思いますが、これはやっぱり都道府県知事の考え。だから、高校以下の私学の皆様方は文部省や自治省にお礼は言わなくていいですよ。都道府県知事に対してお礼を言えばいいわけだ、大変上積みをされてたくさんの金が行っているということでね。どうも私が推測をしますと、どうだい、ひとつ交付税法の計算によってもこのくらいのものが行っているんだから、これに上積みをしてやってもらえませんかなという行政指導があるように思えてなりません。ここのところを佐藤大臣、そして文部大臣、お答えを願います。
○佐藤国務大臣 文部省の方の補助金の配り方の問題につきましては、これは文部省の問題ですから私からお答えすべきことではないと思っております。
 ただ、私の方からそのことについて言わなければならぬのは、かつては地方自治体の方も三段階でこの文部省の予算につきまして配分してくれと、全国一律の補助単価、これは三段階になっていたそうでございますが、これを一律にやってくれということがあったようでございますけれども、やはり私学振興の充実ということからいうと、今石橋委員御指摘のように、知事が一生懸命私学振興に、私学助成に熱心なところをやはり上乗せをした方がより効果があるのではないかということで、今まで文部省の方はそういうふうに来たというふうに私の方は理解をしておる、むしろ地域からのそういう要望だというふうに考えております。
 ただ、余分なことかもしれませんけれども、今度二百十二億減らしまして、平成五年度が八百四十七億対三千九百五十四億でございますから、ざっと地方の持ち分が一対五、五倍近く平成五年度の場合にはなった。これは恐らくその二百十二億という二五%の分だけ動かしたといたしまして、これはまだ決まっていません。決まっていませんが、動かしたとしますと、七倍近いものを地方自治体が出すということになるでありましょう。この問題が一つございます。
 それから、委員御指摘のように、基準財政需要額の中に入れ、交付税の中に算定をしておるわけでございますが、これは各県別に見ていただきますと、多いところもあれば少ないところもある。それは今委員御指摘のように私学助成について非常に熱心なところ、例えば、なんでございますけれども、私の愛知県は私学が比較的多いところなものですから、そういう意味では非常に多く出るとか、それは自治省の行政指導というよりはその地域におきます私学の状況、これに基づいていわば知事がその上に乗せて、議会の理解を得て金額がこうばらばらになっていく。例えば九州の場合には十八万九千円台で大体一緒だとか、佐賀が十九万五千九百八十九円になっているとかとなっているわけでございまして、これは自治省の行政指導というよりは、まさにこれこそ地方分権の知事の私学助成に対する対応と申しましょうか、これで金額が違ってくるというふうに私は理解をしております。(発言する者あり)
○山口委員長 静粛に願います。
○赤松国務大臣 先生の文部大臣としての御実績等をよく存じ上げているわけでございまして、その当時の実績にもかかわらず、このたび二五%削減ということになったのはまことに私の力の至らないところだと存じますが、どこから入ってもいいではないかなどというようなことを申したことはございません。先生の御激励を受けて大蔵大臣との折衝に臨んだわけでございまして、今回の折衝の中で最も重点を置いた折衝でございました。それで、五〇%の削減を二五%にしていただいたところでございます。
 また、今般の減額につきましては、平成六年度はやむを得ない措置として受けとめますが、この措置は一般補助の一般財源化を意味するものではないことを大蔵大臣に申し上げまして、大蔵大臣から、文部大臣の申し入れとして十分承っておくというお言葉をいただいたところでございます。
○石橋(一)委員 この問題、長い討議を私はやっていかなければならないと思います。
 結果的に都道府県知事が高校以下に、補助金額が多い場合は私学振興助成法の補助金も多くなっていくというところに問題があるのですよ、一番問題が。これは委員長も文教でありましたからよく御承知だろうと思います。ここに持ってくる、これは大蔵大臣との相違ということになると思いますがね。
 四分の二に下げちゃうということならば、なぜもっと議論を深めなかったのですか。議論を深めた上においてなるほどなと言えば、私もこんなに頭にこない。議論を深めない中においてこういうことをやったから、一挙に半額にしてしまうということをやったから、だからこういうことになる。先般もあんなようなことがあった。これからもあることでありますが、やはり民主主義、一歩一歩が大事であります。一歩一歩を省略していきなりやるからこんなことになる。これをひとつお願いを申し上げたいと存じます。
 あと一分あります。
 そこで、私は総理と外務大臣に、全然この問題と違うことでありますが、要望、要請が一つあります。それは、武器の輸出入の禁止の問題です。
 どう考えてみても、国連というものがあって、そこに大国が幾つも幾つもあって、紛争のあるところに武器を売る。しまいには飛行機も売る、タンクも売る、そしてミサイルも売る。そこで戦いをどんどん大きくする。その大きくなった戦いをまた防ぐために、鎮圧をするために国連軍が出ていく。こんなにふざけたことはないと私は思うのですよ。私はいつもこれは自分の選挙区の選挙演説でもやっております。
 総理、外務大臣、それは国連安全保障理事国になるのも結構、大変結構だと思います。ただ、このようなことをお互いになくしようじゃないか、平和のために、人類のために。武器を売って、武器輸出をする業者の懐を肥やすことの方が人間を損傷するよりもとうといんだ、いいんだという考え方は絶対に私はなくしてもらいたい。国連理事国加盟に当たって、理事国になるならそのくらいの条件を彼らがのめばやってやってもいいよという態度で処していただきたいと思います。答弁なさいますか。
○羽田国務大臣 もう御指摘は全くそのとおりでありまして、やはり、武器の移転というのが行われるということ、これがいろいろな問題を起こしていくということになります。ただそれは、その国の安全というものはやはり確保しなければならぬ。これは周囲の相対的なものでありますからそういったことはありますけれども、しかし今御指摘のあったことは全く私も同感でありまして、今後とも、武器の移転といいますか、そういったことに対してやはり国連としても、こういったものが管理されていくように、そういったところが強化されることが重要であろうというふうに考えております。
○石橋(一)委員 徐々に段階を踏んでやってください。
○羽田国務大臣 そのとおりであります。
○石橋(一)委員 終わります。
○山口委員長 これにて石橋君の質疑は終了いたしました。
 次に、保利耕輔君。
○保利委員 既に多くの議員の皆さんが御質問されておりますから、一部重複する質問があろうかと思います。お許しをいただきたいと思います。また、通告をしていない質問が時として出るかもしれませんが、それについてもお許しをいただいて、しっかり御答弁をいただきたいと思います。
 質問に先立ちまして、現在、御承知のようにリレハンメルで冬季オリンピックが行われております。連日テレビで報道されまして、すばらしいオリンピックだなと思いながら見ております。ノルウェーがその国土を、その美しさを世界に向かって宣伝するいい機会であるように思いますし、また同時に、ノルウェー国民が自分の国を非常に愛しているんだという姿を私は感ぜざるを得ません。特に、長距離の選手がゴールに入ってくるときに、ノルウェーの旗、赤地に十字を刻んだ旗をたくさんの人が打ち振っている。日の丸の小旗という言葉もありますけれども、小旗どころではない、大きな旗をほとんど全員の人が持って打ち振っている姿というのは、やはりノルウェーの国民は自分の国を愛しているんだなということをつくづく印象づけられました。
 また同時に、日本選手団の活躍というのも大変なものだと思います。勝負は時の運でありますけれども、本当に一生懸命やっておりますし、また、屈託のない表情でインタビューに答えている。すばらしい若者が日本にも育っているなということをつくづく感ぜざるを得ないわけであります。
 また日本では、長野のオリンピックが準備中であります。外務大臣のおひざ元でありますから、これは一生懸命努力をして準備をして、ノルウェーに負けないような立派なオリンピックをやっていただきたいと思う次第でございますが、総理大臣はスキーの選手としてかつて国体にも御登場をなされ、そのスポーツマンぶりはっとに有名でありますが、総理は、このリレハンメルのオリンピックについてどういう御印象をお持ちになったか、御答弁をお願いをいたします。
    〔委員長退席、中西(績)委員長代理着席〕
○細川内閣総理大臣 私も今、保利委員がおっしゃいましたのと同じような印象を持ちながら、まあそれほどテレビを見る時間もないのですが、ちょこちょことテレビや新聞などでそうした思いを感じております。
 ノルウェーの小さな村も確かに非常に美しくて、ああいうところでオリンピックが持たれたということの意味も大変意味があるなという思いがいたしますし、またそこで、世界から若い人たちが集まって、日ごろからの鍛練の、その集積された極限のものをそこでぶつけ合うという、それをテレビを通じて見ることができるというのは大変すばらしいことだと、そこにさまざまな感動が生まれ、またその感動を世界の人々が共有することができるということは本当にすばらしいことだなと思っております。
 いい意味で、改めてそれぞれの国の人々がみずからの国について考える機会にもなっているのだろうと、今おっしゃったような光景というものを見ておりますと、そういう感じを強くするところでございまして、私も感動を持って眺めている、そういうことでございます。
○保利委員 なぜリレハンメルのことを冒頭に持ってきたかと申しますと、実は、リレハンメルで日本選手団が活躍をしております一つの助けとなったものに、御承知のように、スポーツ振興基金というのがございます。平成二年に補正予算で政府の予算二百五十億を組んで、このスポーツ振興基金をつくったわけであります。
 当時、私は文部大臣をやっておりまして、実は、補正理由というのを説明する、補正事由と申しますか、なぜ補正予算でこれをやらなきゃならないんだということを説明するのに、文部省の皆さんと随分角突き合わせて議論をして、これでいいだろうということで補正事由を一生懸命考えた。そういうことがありますので、今の場は第三次の補正予算であります、いろんな予算が組まれておるわけでありますが、補正事由ということを大事にしておられるかどうかということを私は心配をするわけであります。
 予算をつけていただくことは、それは必要でありますし、また景気対策上これも必要だということは認めますけれども、しかし、財政法二十九条で言っているところの「特に緊要となった経費の支出」というような項目に当たるのかどうかというような観点から見てみますと、問題なきにしもあらずであります。
 例えば、大蔵省が用意をしましたこのリストの中に明るい選挙推進委託費というのがある。十八億入っているわけであります。これはどういう補正事由があるのか御説明をいただきたいのでありますが、御担当はどちらでしょう。
○佐藤国務大臣 政治改革の問題は国民的な大変大きな課題であったことは御承知のとおりでございます。そして、細川総理及び河野総裁のもとに修正を協議をされまして、そして平成六年度の予算の審議の前までにひとつ成立をさせるという総総会談の結論が出ておるわけでございます。
 私たちは、この国民的な関心がございます、しかも重要な政治改革の問題につきまして、かなりの長い間議論してまいりましたが、主権者であり有権者でございます国民の皆様方に十分わかっていただくためには、この総総会談に基づくところの修正案が国会で成立をいたしましたならば、それは今申しましたように、平成六年度の予算の審議が始まる前までにと、こういうことになっておるわけでございますので、修正案が成立をいたしましたら直ちに有権者である国民の皆さん方にこの改革の中身を周知徹底をするのが行政府としての責任である、こういうことで補正予算に組ませていただいた次第でございます。
○保利委員 国民の皆さんが選挙の今度の改正について一番関心をお持ちなのは、いろいろな点がもちろんありますけれども、選挙の区割りがどうなるんだということについて私なんかも非常に多く質問を受けるわけであります。しかし、この小選挙区の区割りが確定しますまではかなり時間がかかるだろうと思うのですね。それにもかかわらず、国民が最も知りたいところについてはまだ先に行ってしまうのに、今度はこうなりました、ああなりましたと、しかも十八億の予算も使ってやってしまう。これはいかがなものかなと思います。
 私はこれ以上御答弁は求めませんけれども、非常に疑問があるな、補正予算でこれをやるのはいいのかなということについては大変疑問を持っているということだけを申し上げておきます。この問題については、後から同僚議員が申し上げることでありますので、私はここでとめさせていただきますが。
 財政法二十九条の解釈の問題についてこれを一つお伺いをしたい。大蔵大臣にお伺いをしたいんですけれども、もし法律の細かい点で大蔵大臣がお答えになれなければ、事務局からお答えをいただいて結構であります。
 これは私自身の持っている疑問であります。
で、あるいは国会の中で既に御論議があっていることかもしれません。確認の意味で質問をさせていただきます。
 「法律上又は契約上国の義務に属する経費の不足を補うほか、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出又は債務の負担を行なっため必要な予算の追加を行なう場合」というのが補正予算の一つの要件として提示されていることは大臣も御存じでございますね。この中で「特に緊要となった経費の支出」ということについて焦点を当てさせていただきます。
 その中で「予算作成後に生じた事由に基づき」という言葉がございますが、この「予算作成後」というのは、本予算を指しているか、本予算を補完をしていく第一次補正予算、第二次補正予算も含んでいるか。第二次補正予算、この間やったばかりですが、そこで大体まあ平成五年度にやるべき施策というのは十分組み込まれたはずなんです。その後に何か事由が起こったからこそ初めて第三次補正予算というのは出てきた、こう我々は思うわけですね。それですから、事務局にお答えをいただきたいのは、あるいは大臣からでも結構ですが、「予算作成後」というものの解釈をどういうふうにとっておられるか、これをお聞かせください。
○篠沢政府委員 財政法第二十九条で申し上げております「予算作成後」と申しますのは、その直前に成立をしている予算までを含むというふうに考えるのが至当であろうと思います。今回の場合でございますと、第二次の補正予算までができ上がっており、その後というふうに解釈することになろうかと思います。
○保利委員 私が財政法第二十九条を読んでみた感じは、今篠沢主計局長がお答えになったとおりであります。したがって、第二次補正予算が成立した後に起こった緊要な事由に基づいて今度の予算編成が行われているかどうか、その点についてお答えをいただきたいのでありますが、いかがでしょうか。これはノーという返事は出てこないはずですけれどもね。
○藤井国務大臣 その後の経済の情勢というものは憂慮すべき事態であったということは御承知のとおりであります。したがいまして、第二次補正予算後において公共投資を中心とする第三次補正予算を作成するというのは緊急の事態であると考えております。
 また、選挙の問題につきましては、ただいま佐藤自治大臣がお答えしたとおりだと思います。
○保利委員 我が党は、第二次補正予算のときに組み替えの要求をいたしまして、追加要求をいたしましたが、これは見事にはねのけられてしまったわけであります。それからほとんど日にちがたっていないのに追加予算をされた。事由があるんだろうかという気がいたします。これは後ほどまた同僚議員からもこの点については質問があろうかと思います。よく勉強しておいていただきたいと思うのであります。
 特に、それから後起こった事由ということになりますと、文教施設費、九百二十五億ですか、組んであるのがあります。これなんかは、当然やらなきゃならないことをやってなかった、この際補正予算が組まれるのだからやろう。やってもらうことは、それは結構でありますが、しかし、財政法二十九条の趣旨にのっとっているのかどうか。もし景気対策がなかったら、この大学等のあるいは国立学校の施設整備、これは大幅におくれてしまう。景気対策があってよかったね、やっていただくことは結構なんですよ。
 しかし、これは通常、平年度予算の中で、当初予算の中できちんと組み込んで、文教関係の充実についてはこういうことをやっていますということを天下に向けて言うのが本当は政府の立場だろうと思うのです。景気対策にかこつけて九百二十五億も文教施設費を上乗せしていただいてありがたいのだけれども、そういうやり方というのは本当は補正予算になじまないやり方ではないかと思うのですが、この点について、大蔵大臣、文部大臣、いかがお考えですか。
○藤井国務大臣 今保利委員御指摘のように、本来本予算で一つ一つ処理をしていくというのが正しい姿だと、例えば文教施設費についてはそう思います。その他の政策もそういうものだろうと思います。
 ただ、今申し上げたように、第三次補正というのは、現在の極めて厳しい経済情勢の中で、公共投資あるいは施設費等を増加していかなければならないという中で、文部省がその中で最も緊急性のあるものを、施設費を拾われたものと考えております。
○赤松国務大臣 第三次で補正を一千三百四十二億円、国立大学の施設整備費として計上させていただきました。先生も御承知のように、国立大学、老朽化、狭隘化、劣化というのが非常に深刻でございまして、これはもう私ども何度も申し上げているわけでございますが、それに対して、この第三次補正の際にこういう施設費をいただくということは、非常に緊急かつ景気浮揚についても即効性のあるという、いわば一石二鳥というような考えで計上させていただいたところでございます。
    〔中西(績)委員長代理退席、委員長着席〕
○保利委員 二十九条に言うところの「特に緊要となった経費の支出」、しかも「予算作成後に生じた」、第二次補正予算が成立後にできた「事由」というふうにはとても考えにくいわけであります。したがって、非常に多く問題点を持っているな、やっていただくことは結構なんですけれども、問題点を持っているな、財政法上問題があるというふうに言わざるを得ません。
 それから、この補正予算の中には、国際化対応緊急農業対策というのが千四百三十八億入っておりますね。これは、ウルグアイ・ラウンドの対策云々というのでは、これは非常に小さいことであって、ウルグアイ・ラウンドの対策については閣議の中でも、あるいはもっと本格的に対策を講ずるんだということになっておる。その対策をできるだけ早くやって、そして本格的な、これは補正になるのかあるいは本予算になるのかわかりませんが、対策をとっていただく必要が僕はあると思うのですが、この国際化対応緊急農業対策というものはどういう意味合いを持った予算なのか、これを農林水産大臣から御説明いただきたいと思います。
○畑国務大臣 ただいま御指摘がございましたとおり、ガット・ウルグァイ・ラウンドの受け入れというような事態を踏まえました中にございましては、何といっても将来に対する不安の解消、あるいはまた痛みを和らげる、かような意味合いのことを念頭に置きながら、第三次補正における景気対策という要素も踏まえて公共事業等々を取り上げていただいた姿の中での予算計上であるわけでございます。
 いわば、事柄からして、やはり国民の皆様方に、この問題にあらゆる機会をとらえて努力をいたしておるという政府側の立場、物の考え方をお受けとめ願いたい、こういう気持ちも込めての計上であるわけでございますが、委員御指摘のとおり、農政審議会等々におきましてもただいま御論議をいただいておるわけでございますし、なおまた、これに伴います国会批准等々の関連も考えました場合には、そういった国会筋の御指摘等々をいただく中にございましての本格的な対応といいますものは引き続き我が方におきましても十分検討をし、具体化を図っていかなければならない、さような意味合いの今回の三次補正への計上である、かように御理解を願いたいと思っております。
○保利委員 農林水産大臣の御答弁は、今回の予算はあくまでも景気対策が主眼である、ウルグアイ・ラウンド対策はまた別途本格的にやるよ、こういうふうに受けとめさせていただいてよろしゅうございますか。
○畑国務大臣 急がれるウルグアイ・ラウンド対策への第一歩を踏み出させていただいた、その同時並行的な効果としましての景気対策、かようにお受けとめを願いたいと思っております。
○保利委員 なかなかつじつま合わせ、難しいところだろうと思います。
 第三次補正予算の件につきましてはそこまでにさせていただきますが、次に、このほど平成六年度予算をお決めになられました。その中で、それに関連いたしまして、政府の長期計画をお決めになっていらっしゃいます。
 これは、たしか大臣折衝に持ち上がったのだろうと思いますが、第九次の漁港整備計画並びに第四次の沿岸漁場整備計画というものをおやりになったのですね。農林水産省は随分PRに努められまして、漁港の整備は必要だということで、パンフレットを持って回って、随分役所の方は御苦労なさったのです。その最初のパンフレットには、ここにありますけれども、三兆四千億、六年度で要求する、こう言っているのです。
 農林水産大臣が三兆四千億を要求された根拠、どういうビジョンを持って漁港の整備長期計画に三兆四千億が必要だというふうに御説明になったのか、農林水産大臣から御説明いただきたいと思います。
○畑国務大臣 この第九次漁港整備長期計画、これにつきましては、区分といたしましてのいわば内容といいますか、そういう問題につきましては、一般公共事業分野におきます漁港の基本的な施設の整備あるいはまた漁港・漁村の環境整備、地方単独事業費、そしてまた調整費等々、従来の盛り込まれておりました項目に従いまして要求をさせていただいたわけでございますけれども、いわゆる今日の財政事情等々の中から、委員御案内のとおり、三兆円というような意味合いの結果に相なっておるわけでございまして、我が方といたしましては、いささか要求に対しましての査定をされたという意味合いでは残念な姿であるわけでございますが、引き続き御理解をいただきながら、万般にわたりましての事業展開を積極的にやらさせていただきたい、かように考えておるところでございます。
○保利委員 農林水産大臣は、長期計画について大蔵省から査定を受けて不満だというふうに御表現になったわけであります。不満であるという意味合いにおいてとかいうふうなお話であったと思うんですが、ちょっと意味がわからないのですけれども、いずれにしても余りおもしろくない、三兆四千億通してもらいたかった、こういうことだろうと思うんです。
 確かにこのパンフレットを見ましても、三兆四千億必要なんだということで一生懸命書いてあるわけですよ。そして、そのことによって漁民は喜ぶだろうし、それから都市と漁村の触れ合いもできるだろうしというようないろいろバラ色のことがたくさん書いてあるので、三兆四千億は農林水産省としては必要なんだという立場で御主張なさったと思うんですが、大蔵省の方はどういうわけかこれを三兆円に、言葉は悪いのですけれども値切っちゃった。値切った理由をお知らせください。これは大蔵大臣。
○藤井国務大臣 その原案の三兆四千億計画の中には本当に大事なことがいっぱい書いてあると思います。ただ、全体として今の財政事情等を勘案いたしまして、御無理をお願いして農林水産大臣に三兆円で御合意をいただいたわけであります。事柄としてはいずれもそれなりに入っていると考えております。
○保利委員 それでは、大蔵省に値切られた結果の三兆を達成をしていくためには、現在の漁港予算を年率何%伸ばしていかなければなりませんか。これは事務局からでも結構です。
○藤井国務大臣 事業費ベースで年率六%と承知をいたしております。
○保利委員 今大蔵大臣がお答えになった事業費ベースで六%伸ばしていくということと、財政審の答申で抑制的にこれを決めていくということはどういうふうな整合性を持っておりますか、お答えください。
○藤井国務大臣 保利委員当然御承知のように、事業費ベースと一般会計公共事業費ベースには違いがあるということが一つありますが、同時に、この一、二年に成立いたしております長期計画は、事業費ベースで大体年率一〇%というものでできていることもあわせ御勘案をいただきたいと思います。
○保利委員 そうしますと、大蔵省は三兆四千億の要求を三兆に値切った。大蔵大臣としては、財政事情が厳しいから、三兆四千億上げたいけれども三兆にした。しからば三兆円は、これは六年間でキープしてくださるか、確保してくださるかどうか、御確約をお願いをしたいのですが。
○藤井国務大臣 過去の長期計画などの例は十分御承知のとおりと思います。毎年毎年の財政事情を見ながらそういう方向で努力をするということまでは申し上げられると思います。
○保利委員 ここにちょっと問題があるんです。長期計画というのは、この漁港の問題は特に国会承認事項なんですね。これから始まる農林水産委員会でも恐らくこの審議が始まると思うんですよ。そうすると、大蔵省は一たん値切っておいて、値切ったものについてもそのときの財政事情でどうなるかわからぬという御返事では、何のために国会審議するのかわからぬ。ここのところはどういうふうにお答えになりますか。
○藤井国務大臣 当然その方向で努力をいたしますが、過去の各長期計画の例の中にもそういうことは間々あるわけでございまして、努力をするということだけはお約束させていただきます。
○保利委員 努力をするということで、例えば九五%達成すればそれでいいか、そういうことではないと思うんですね。国会で審議をして三兆認めるということになるならば、やはり大蔵省はありとあらゆる手段を使って三兆を確保していただきたいというのが我々の希望であるし、そうあるべきだと思うんです。なぜならば、大蔵省は四千億値切っているんだから、今の段階で、経済事情がどうのこうのということで。予算の単年度主義と長期計画との間にはここのところに矛盾があるんですよ。
 総理、ここのところはどうお考えになりますか。長期計画で国会が承認をした。大蔵省は農林水産省が出してきた三兆四千億を値切って三兆にした。しかしその三兆も認められるかどうかはわからない。最大限の努力をするという言葉で、必ずしも確約はしない。ここはどうお考えになりましょうか。これは突然の御質問で申しわけないのですけれども、感じをお答えいただければありがたいと思います。
○細川内閣総理大臣 今大蔵大臣から御説明がございましたように、各種の長期計画というのは、今後の社会経済の動向、財政事情などというものを考慮しながら、弾力的にその実施を進めていくということなんだろうと思います。
 長期計画というのは、今も事業費ベースと云々というお話がございましたけれども、地方とかあるいは受益者負担も含めた事業費ベースで長期計画というのは策定をされているわけでございますし、それからまた、国の一般会計の公共事業関係費としたがって直接リンクするものではないのではないか。ですから、大蔵大臣が言われましたように、そういう方向で努力をするということで、従来もそうした考え方で処理をされてきたのではないかというふうに私も受けとめております。
○保利委員 これ以上御答弁を求めませんけれども、つまり、国会に承認を求めるような重要な長期計画、それを、努力はするけれども確保について約束することはできないということは、閣議決定をし、国会承認を求めるこの長期計画というものの権威にかかわってくる問題だろうと思います。だから、この点はよく内閣においても検討しておいていただきたいと思うのです。
 それはわかりますよ、ときどきの財政事情に云々ということは。しかし、ときどきの財政事情がどうだからというので四千億値切ったんだから、もう既に。もし値切るということを毎年度やるんだったら、三兆四千億のまま、農林水産省が一生懸命言っているその金額のままのせておけばいいのですよ。それでそのときの財政事情に基づきというのをやればいいのですよ。どうもそういう気がしてなりません。
 ここら辺に問題点を感じておりますので、今後、これは内閣としても長期計画を策定する場合の一つの考えるべきポイントとして、よく総理の頭の中にも入れておいていただきたいと思うのであります。
 同時に、第四次の沿岸漁場整備計画というのが大臣折衝に持ち上がったんですね。これも同じことが言えます。同じことが言えるんですが、ここの中で一つ重要な問題があります。ちょっと突然で申しわけありませんが、これは環境庁長官に感じだけお答えいただければありがたい。
 それは、沿岸漁場整備計画、何となく頭の中でイメージできると思うのですね。沿岸漁場、つくり育てる漁業、そういうようなもの、あるいは沿岸がこう壊れつつあるものを直して、何かいろいろあります。それが、一昨年ブラジルで国連環境開発会議というのがあったんです。これは環境庁、関係ないとは言えませんわね。そこでこういう決議をしておりますね。「沿岸国は、国家管理権の及ぶ水域において、海洋生物資源の保存と持続的利用を義務とする。」こういうふうな決議が採択されております。
 そうすると、これは環境庁も、国連環境開発会議の中で決議されているんだから、この第四次沿岸漁場整備計画に対しては農林大臣を後押ししなければならない立場にあると思うのですが、いかがでしょうか。
○広中国務大臣 そのようなことになると思います。環境庁の権限というんでしょうか役割、それは他省庁にかかわることでございまして、環境の保全の視点から、これからも国際条約などにも基づきましていろいろ意見を言わせていただきたいと思っております。
○保利委員 環境庁もバックアップしてくださるそうですから、農林水産大臣、頑張ってこの沿岸漁場整備計画を進めていただきたい、こういうふうに思うわけであります。
 そこで、環境の問題については官房長官が非常に関心が高いわけでありまして、最近「小さくともキラリと光る国・日本」という本を出されて、私も通読させていただきました。あっという間に読んでしまったんですが、その中に環境の問題がたくさん書いてあった。海洋をめぐる環境保全というのは非常に大事だ。そのためにはやっぱり環境という観点からも、何といいますか、この沿岸漁場整備計画は進めていかなきゃならないと僕は思うんですが、官房長官は、環境という点からどういうふうに思われますか、ちょっと御感想を。
○武村国務大臣 こういう問題は余り認識がなかったのでありますが、今保利委員の御質問を伺っておりまして、改めて認識を深めさしていただきました。ありがとうございました。
○保利委員 まあ、感謝されちゃって、私も何かちょっとこう面映ゆいような感じがいたしますけれども、やっぱり環境は非常に大事だ。で、余り大きな予算ではないんですけれども、沿岸漁場整備計画というのは大事だ。これもまた大蔵省が値切っちゃった。値切って、これもまた閣議で決定しなきゃならぬ、そういうような状態になっておるわけであります。とすれば、やはり大蔵大臣もこの点については、できるだけ努力しますなんて言わないで、絶対に確保します、任せてください、こう胸をたたいていただきたいなと思うわけであります。
 政府の長期計画、長々とやらせていただきましたが、そのくらいにさせていただきまして、次に、日米の包括協議に移らしていただきます。
 日米包括経済協議、総理大臣、大変御苦労さまでございました。十一日においでになってクリントン大統領とお会いになり、いろいろな新聞記事が出まして、私どももいろいろと拝見をさせていただいておりました。二月十一日に日米包括経済協議の首脳会談をおやりをいただいた。
 二月十一日という日は、日本では祝日になっております。三連休になったんですね、たまたま。役所の方々も皆さん予算で大変忙しかった。中にはスキーの計画をしておった、総理大臣がお好きなスキーの計画をしておったんだけれども、それもつぶれちゃったというようなことでありましたけれども、総理大臣はアメリカまで行って御苦労なさった。しかも、クリントン大統領とちょうちょうはっしゃってこられた。
 そこで、二月十一日というのは建国の日なんですけれども、総理大臣が日本におられなかった、まことに私は残念だと思う。私も予算編成で野党は野党なりに忙しかった。それで地元での建国の日の行事に参加できなかったんです。私は、建国の日というのは大事にしなきゃならぬなと。私が小学校に入ったときは紀元節と言っておりましたが、日本の国というものを国民が意識するという意味で非常に大事な日である。総理大臣はこの建国の日というのをどういうふうにとらえておられますか、ちょっとお答えをいただきたいと思います。
○細川内閣総理大臣 国の成り立ちに思いをはせ、国を愛する心を養う日ということでございましょうか。
○保利委員 総理大臣が、ということでございましょうか程度のものではなくて、国民の祝日に関する法律というのできちんと定められておるんです。その中には、「建国をしのび、国を愛する心を養う。」こう書いてあるのです。そういうことを意識する日なんですよ。ノルウェーで、ノルウェーの旗をたくさんテレビで見ますね、ああいうような感じというのがやっぱり日本の国内にあってしかるべきだと私は思っておるんですけれども、いろいろなお考えの方々がいらっしゃるでしょう。
 そこで、僕は文部大臣にちょっとお伺いをしたいんですが、御準備よろしゅうございましょうか。
 建国の日というのを年端もいかない子供に、何で二月十一日って建国の日なのと聞かれたら、文部大臣はどうお答えになりますか。何でですよ。これはこういう日ですというだけじゃないんです。例えば、「建国をしのび、国を愛する心を養う。」なぜそれが二月十一日なのかと聞かれたら、何とお答えになりますか、文部大臣。
○赤松国務大臣 私ども古い者は、先生さっきおっしゃいました、「雲に聳ゆる高千穂の、」なんという歌もよく、難しい歌でございましたが、最後まで覚えておりますが、今の子供にはそういう教育がございませんで、建国記念日というのは法律で二月十一日と定められているというふうに教えていると思います。
○保利委員 今の文部大臣のお答えでは、恐らく子供は納得しないだろうと思うのです。
 なぜ二月十一日が建国記念日で、その日はお休みで、国を愛する心を養うのか。これに対しては、だれが聞かれてもやはり難しい問題ではあるんです。私がその席にいても、今ちょっと、やはり答えるのに口がもごもごするだろうと思うのです。しかしこれは、やはりやがてはっきりさせなければならないと思いますし、子供のそういう素朴な質問に対しては、はっきり答えができるようにした方がいいんじゃないかと私は思っております。
 本当は総理の見解をお伺いしたいんですけれども、こういう問題提起があったということをひとつ頭の中に入れておいていただいて、こういうことも大事だなというふうに御認識いただければありがたいと思います。
 ところで総理、アメリカの独立記念日というのは御存じでしょう。フォース・オブ・ジュライ、七月四日なんです。今度日米首脳会議をやるときは、東京で七月四日にやられたらどうですか。日本の建国記念日のときには、日本の総理がアメリカへ行ってアメリカの大統領にお会いになったんです。そのくらいの気持ちを我々は持っておりますよ。いや、独立記念日はいろいろ行事がありまして日程の調整がつかないとかなんとかという返事は何となく来るような感じがしますが、しかしそれだって、日米経済状態は非常に緊迫しているんだからいいじゃないかということで、そんなものは理由にならないというぐらいのことを言ってもいいんじゃないかと私は思うのです。
 しかし、アメリカ国民にはアメリカの独立を大事にする気持ちもあるでしょう。そこも大事にしてあげなきゃなりませんから、これは余り突っ込んで御質問するつもりはありませんけれども、七月四日、独立記念日に日本で日米首脳会談をおやりになるということを私はお勧めします。そうでないと、日本の国民がどうも気持ちが納得できない、こういうふうな感じがいたすわけであります。
 実は日米包括経済協議についてはいろいろなことを御指摘申し上げたいんですが、こういう問題があるんですね。これは外務大臣もよく御存じだと思うんですが、アメリカの経済公使から「U.S.Policy on the U.S.−Japan Economic FrameworkTalks」というレポートが来ているのです、ことしの一月に。本当によく書いてありますよ、何をアメリカが望んでいるのかということを。最初のうちは、英語なものだから頭が痛いなと思っていたのですが、後ろにきちんとした、これは日本人が書いた訳文がついております。それで読んでみると、なるほどアメリカ側はこういうことを要求しているんだというのがよくわかるんです。
 「例えば保険のシェアは外国企業の保険の分野での日本でのシェアは、わずかに二%しかありません。閉鎖的です。」なんということを書いてあるんですね。これを見ればだれだって、あれ、閉鎖的だな、アメリカの保険会社は余り入れないんだな、こう思っちゃいますよ。そういうような見事なPRをアメリカの大使館が日本の議員にやっている。しかも野党の私のところへこういうふうに持ってきているということなんです。
 外務省は、こういうようなPR、日本の立場、例えば数値目標はだめよというような日本の立場をアメリカの議員にこういう文書の形で回すという仕事を心がけておられるでしょうか、どうでしょうか。
○原口政府委員 いろいろな機会に、在米大使館の館員がテレビに出たり、あるいは直接米国の議員さんのところに行ってこの種のお話を伝えております。我々の持っている数字を伝えております。
○保利委員 人に会う、数字を伝える、考え方を伝える、結構です。大いにやっていただきたいと思うが、立派なこういうようなPRにもつと努めるべきじゃないか。選挙のPR、十八億円もいいですよ。しかし、日本の立場をアメリカに向かってPRするのには、十八億円、惜しくない。そういうものが対策に組まれてないでしょう、今度の第三次補正には。私は、そこら辺にちぐはぐさを感じるんです。また、外務省の、外務大臣を前にして言いにくいけれども、取り組みが少し甘いんじゃないかという感じがしてなりません。外務大臣、ひとつこのことについて印象をお聞かせください。
○羽田国務大臣 これは保利議員も御存じだと思いますけれども、たしか肉の交渉ですとかあるいはその他のときに、我々自身も日本文を英語に訳させて、それでいろいろな議員のところに送ったりなんかしたことがありますし、また、外務省も今言った中にも一部含まれていると思うんですけれども、しかし、今御指摘のあったように、今度米国の方でとられたのは相当細かくやったなということを私どもも思っておりますので、よくその点はこれから注意していかなければいけないと思います。
○保利委員 実は、この問題は、先日終了しましたウルグアイ・ラウンドの交渉なんかとも関係があります。これは、外務省がおやりになったのか、「政府広報:外務省」と書いてあるから外務省が主としておやりになったんだろうと思うが、羽田外務大臣のにこやかな写真が出ておって、「ウルグァイ・ラウンド交渉妥結の意義」というようなことで、大学教授、女性の方と対談をしておられる大きな記事が出ておるんです。これは相当金がかかっただろうと思うんです、全部の日刊新聞に出たから。はあってね、うちの家内が羽田先生のことを存じ上げ、そして大変尊敬申し上げておりますので、羽田先生の顔が出ているわよということで、見たんです。
 それで、実は読んでいきましたら、中身が極めて抽象的なんです、言っていることが。自由貿易を守るためには何としてもこれを成功させなければならなかったとか、自由貿易にはウルグアイ・ラウンドの成功が必要だったんだとかいうようなことが書いてあるし、農業も力強い農業にしていかなければならないというようなことだけが書いてある。
 これは、アメリカがこういうふうに出しているのと比べると具体性に欠けております。日本国民はもっと細かいことを知りたい、あるいは具体的なことを知りたいということだろうと思うんです。そういう意味で、PRするにも考えてやっていただきたい。こういうことでは日本国民はだまされませんよ、そのことを申し上げておきたいと思います。
 それで、私は、外務大臣にもう一つ申し上げたい。
 ウルグアイ・ラウンドの中でアメリカとヨーロッパが随分ちょうちょうはっしとやりましたが、その中で特に目立ったのはフランスの抵抗です。それで、フランスが、ガットのウルグァイ・ラウンドの終結について、外務大臣のこのPRと同じようなPRをしておられるんです。しかも、日本にあります在日フランス大使館が出している雑誌に記事を大きく出して、バラデュール首相の写真を入れて、こういう成果をウルグアイ・ラウンドで上げたということを一生懸命PRしているんですよ。それは極めて具体的なんです。
 オーディオ・ビジュアルの中では、「オーディオ・ビジュアル分野は、アメリカ側がヨーロッパ市場の開放を強く求めていたにも関わらず、ウルグアイ・ラウンドから除外されたために、ヨーロッパの文化的独自性が守られることになった。」除外されたなんてPRしていますよ。それからエアバスをめぐる問題については、「合意を一九九五年まで延長することに成功した。」やらないと、まだ継続して交渉すると、そういうことに成功した。
 要するに、いろいろほかにもあるんですけれども、フランスの国益のために一生懸命頑張ったということを具体的に書いている。それも日本人に出す。これは日本語で書いてあるんだから日本人に見せるんでしょうけれども、出して堂々とやっているんですね。それに比べると、外務省が中心になっておつくりになったこの羽田さんと上智大学の先生との対談というのは、余りにも抽象的に過ぎるというふうに私は思います。
 外務大臣、もう一度御答弁いただきたいと思いますが、こういった問題について日本の国民に、日本政府はこういうことで得したぞ、これでよかったぞということをおっしやれるかどうか、御答弁ください。
○羽田国務大臣 日本の場合には、例えば鉱工業とかそういった分野においては、もう既に過去において日本としては相当大きな実績を上げておるということでありまして、その中で我々としては今度はつらい選択をしなきゃならなかったということでありますから、なおさら国民には、少なくも外国というよりは国民にもわかるようなPRというものをしていかなければならない。
 これは実は私自身、外務大臣になってからもそうでありますけれども、過去においても各大臣のときに、やっぱりもう少し日本というのは国民に対してもあるいは国際的にも理解できるようなパブリックリレーションといいますか、そういったものをしていかなければならないということを申してきたものでありまして、さらに我々としてはその努力をしなければならないというふうに思います。
○保利委員 努力をする、努力をするということで結構であります。それを、具体的に努力の成果があらわれるように努力をしていただきたいと思います。
 外務大臣がこの対談の中でも強調しておられるのは、自由貿易ということなんです。ところが自由貿易ということについては、国民はもう少しさめた目を持っているんですよ。政府は、自由貿易を守るために米の部分開放もしなきゃならぬというようなことで、大変な気持ちで、清水の舞台から飛びおりるような気持ちでおやりになったと、こういうことなんだけれども、自由貿易ってそんなに食糧の問題について大事かということについてはさめた見方がある。
 どういうふうな記事が出ているかというと、例えばある雑誌に出ていたこういう記事があるんです。
  自由貿易とは弱肉強食の論理である。そこで
 は競争力の劣るもの、効率の悪いものは徹底的
 に駆逐され、競争力の強いもの、効率のいいも
 のだけが勝利を得る。世界は強いものの独占物
 となり、自由競争は強者だけに利益をもたらす
 特権と化す。つまり、自由貿易とは弱者にとつ
 て、実に苛酷な論理に他ならないのだ。
  それゆえ、そこにはその強者の論理をコント
 ロールし、弱者の存在を保護する一定の限界が
 設定されなければならない。いかに自由貿易の
 論理が重要だとしても、弱いもの、効率の悪い
 ものはただ駆逐せしめられるべし、というので
 は秩序ある人間社会は多分成り立たないであろ
 うこれは、社会福祉政策やその他でも同じようなことが言えると思いますよね。強いものだけが残っていくんだ。動物の世界なんです。人間の世界というのはそういうものではないということをここでも言っている。
 ですから、私が申し上げたいのは、外務大臣が自由貿易を大事だと言っておられるのはわかりますけれども、自由貿易論だけで日本の食糧その他を律していくということは、まことにもってこれは間違えた考え方じゃないかと思います。そのことは再三申し上げておりましたので、これ以上は繰り返しません。
 そこで、時間も少なくなってきましたので、大事な事項について、ウルグアイ・ラウンドを中心にちょっと御指摘をさせていただきます。
 先日、二月の一日だったと思うのですが、農林水産大臣は全中に会見を求めて、全中の全国代表者会議のところでウルグアイ・ラウンドの経過について御報告をなさいましたね。このことは事実ですか、どうですか。
○畑国務大臣 全中の方々に御報告ということではございませんで、御案内のような昨年末のいわば全くパイプが切れたというような中にございまして、たまたま転作問題あるいはまた他用途米の問題の時期的な問題もこれあり、そういったことの具体的な農林水産省側の意向も聞きたい、将来に向けての具体的な話も聞かしてもらいたいというような意味合いを踏まえて、全中に参りましてお話をさせていただいたということでございます。
○保利委員 今大臣のお答えのニュアンスでは、全中側が要請して大臣に来ていただいたような感じが出ておるが、実は大臣の方から、全中で説明させてくれ、説明させてくれと再三くどくお願いをしたんじゃありませんか。それはどうですか。
○畑国務大臣 事柄の性質上、お互いの接触の場がないということは事極めて残念な姿である、かような意味合いで接触の場を持とうではないかという呼びかけはさせていただきました。そういう中にございまして、たまたま全中側の方も役所側にお見えになりまして、私もお目にかかったわけでございますが、ただいまお話しのような問題を踏まえてひとつ話をしてほしい、こういうことでございましたので、私の従来お願いしておった接触という意味合いでの一つのありがたいチャンス、こう踏まえてお伺いをさせていただいた次第でございます。
○保利委員 私がもし農林水産大臣の立場にありましても同じ発想は持っただろうと思うのです。団体に対して説明をしたい、御相談もしたい、こういう気持ちを持っただろうと思うのです。
 ただ、私は農林大臣がお忘れになっている非常に重要な事柄を指摘せざるを得ないのであります。それは、ウルグアイ・ラウンドが実質的に交渉妥結したのは十二月十五日でありますが、十二月十五日以降、国会に対してウルグアイ・ラウンドの経過報告、結果報告をなさいましたか。これは農林水産大臣。
○畑国務大臣 ただいまの御指摘にございましては、御案内のように、今回の問題はまだ国会で正式の批准も終わってない、そういう中にございまして、昨年の十二月の七日でございますか、ドゥニさんの調停案の骨子公表というような事態も一段階、あるいはまたドゥニ調整案の公表というのが十二月九日、そういうような意味合いの中にございまして、手元の資料のメモにもあるわけでございますが、十二月八日の予算委員会、十二月九日の参議院の予算委員会、そしてまた衆参農林水産委員会、米、ウルグアイ・ラウンド中心といったようなことの意味合いでの御審議を賜ってまいったわけでございまして、そういう中にございまして、農林水産関係のいわば内容等々を国会側の方に御説明を申し上げながら御審議を賜った、こういうのが現在の段階の姿でございます。
○保利委員 今農林水産大臣が御答弁になりましたことは十二月十五日以前のことなんですね、主として。十二月十五日に交渉は妥結したんです。
 それで、総理はこの間、包括協議で日米首脳会談をおやりになって、その後いち早く国会の本会議で御報告になっていらっしゃるんですね。それに対してやりとりがあったのです。ウルグアイ・ラウンドと日米交渉とどっちが重要だなんて、そういうやぼな議論はいたしませんけれども、ウルグァイ・ラウンドほどの大きな交渉事がこういう姿で一応手は打たれましたといったら、国会報告をするのが当たり前じゃないですかね。国会軽視と言わざるを得ませんが、どうですか。
○羽田国務大臣 確かにおっしゃるとおりでありますし、また今度の場合には、知的所有権とかあるいはサービスとか新しい分野も入っておるということがありましょう。その意味では今の御指摘のことは私もよく理解できます。今最終的に文書の確定ですとかあるいは用語の整合性、これは割合と大きな、大部なものでございまして、そういったものを準備しながら、内容が確定した後にこれを国会の御審議に求めることになろうというふうに考えております。
○保利委員 今外務大臣がお話しになりましたのは、例えば署名をするのは四月の十五日にマラケシュでおやりになるということが大体決まっておるようですが、それまでは文書がきちんと整わないから報告はしないんだ、こういう意味に聞こえますけれども、どうでしょうか。それ以前に、実質的にはこういう妥結をしたんだ。国民にあれだけ総理が明け方に放送しておられるでしょう。
 ほかの分野についても、例えばこの間議論をさせていただいたが、MTOについてはこうなりました、アンチダンピングについてはこうなりました。ああなりました、こうなりましたということを外務委員会とかあるいは農林水産委員会、商工委員会、いろんな委員会があるんだから、その場で担当大臣から報告するのは、これは政府としてやるべき義務じゃないかと思うんです。国会という国民の、いわば国権の最高機関に報告するというのは当たり前だと思うんです。そのことについては山口委員長御自身が非常にうるさく言っておられたことですよ、国会軽視するなということを。そういうことを私は指摘をさせていただきます。
 できるだけ早い機会にウルグアイ・ラウンドの全体像について報告をする、そういう手だてを、遅くなった今でも構わないからすぐやってほしい。そして、相当な論議をその場でやらせてほしい。私はそのことを要望いたしておきます。農林大臣、何かお言葉ありますか。
○畑国務大臣 先ほど御一緒に答弁を申し上げればよかったと思いますけれども、十四日に調整案の受け入れの決定を未明にいたしまして、これは足らざる点があると言われればそういうことに相なるかもしれませんが、農業に関する国別約束表の問題等々を含めまして、十四日の日に参議院の予算委員会、そしてまた参議院の本会議に対しまして調整案の受け入れの御報告をさせていただき、なおまた農業合意内容を全議員に配付をさしていただいたというのが現在の取り組みの姿でございます。
○保利委員 私が申し上げたいのは、そのお答えではだめだと僕は思います。やっぱり委員会の場できちんと国会に対して報告すべし、これが私の注文でありますから、さようお心得願いたいと思います。
 ところで、なぜそこまで言うかというと、いろいろありまして、ウルグアイ・ラウンドが事実上決着した次の日の朝刊には、ウルグアイ・ラウンドの各分野にわたる詳細な報告というのが出ているんですね。我々は新聞だけでこれを知るというわけにはいかない。ちゃんと政府から文書をもって国会に報告をいただきたいと再三申し上げているとおりですが、きのう、おととい、ちょっと勉強しましたら、ガット条文の見直しという事項がここの中にありまして、その中にウエーバーのことが書いてあるんです。
 どういうふうに書いてあるかちょっと御披露いたしますと、ウエーバーについてはある機関で審査をされることになっておりまして、「各審査においてウエーバーを正当とする特別な状況がまだ存在するか否か、及び付された基準と条件は守られたか否かについて検討することとし、当該審査に基づきウエーバーを延長、修正または廃止できる。」という条項がガット条文の見直しに入っているんですよ。
 これをいろいろこう見てみますと、いや、アメリカがウェーバーは守ったと、こういうことを言っていた人たちがいるんです。それと今の条文、つまり審査をして、その理由が正当であればこれは延長することができるというふうにこれは読めるんですよ。そういうようなウエーバー条項が守られるんじゃないかという疑いを持つ文章が報告されているんですね。そういったことに対して国会に報告がない。
 そして、アメリカのウエーバーがもし守られて日本の米が開放されちゃったという状態になったら、これは日本外交の失敗になりますよ、絶対に。ここのところを、まあお答えの準備があったらお答えをしていただきたいと思うが、非常に重要な指摘が、指摘というか、このガット条文の見直しの中に私はたまたま発見しました。だれも政府の方々がこの問題について説明してくれたことはありません、事前に説明したとかなんとかとおっしゃっているが。大臣、どういう御見解をお持ちになりますか。
○畑国務大臣 このウエーバー条項の問題につきましては、従来から大変国会におきましても重要な問題点としましての御指摘等々を賜っておったところでございまして、ただいまお話がございましたような今度の決着に伴いまして新たに設立をされますいわゆる世界貿易機構、WTOにおきまして、一九四七年に締結をされました現行ガット協定について若干の修正を加えたもの及び現行のガット協定のもとで与えられたウエーバーの一部等が引き継がれるというような意味合いのものが言われておるわけでございます。
 しかし、最終合意文書において、アメリカの農業調整法第二十二条に対して与えられてきたウエーバーはWTOに引き継がれるべきリストに記載されていないことから、WTO発足によりこのウエーバーは効力を失うもの、こういうように私どもは受けとめさせていただいておるわけでございます。いわゆる四分の三の賛成というような意味合いの中での今後の道は残されておる、こういうように承知をいたしております。
○保利委員 米の開放か決断か、そのことばかりが走って、ウェーバーについてはどういう処置になっているのかというような研究が不足をしておったんじゃないか。
 総理、今、席を立っておられるときに非常に大事な問題を指摘しました。ウエーバー条項が残るんではないか、審査を経て延長することができるんではないかという文章を、私は新聞記事ですけれども御披露して今議論を進めておったところなんです。そういうふうに、余り焦点が米だけの問題に当たり過ぎていて、ほかの問題についてやや国民的なPRが不足をしておったということは、今度のガット・ウルグアイ・ラウンドの日本にとっての大きな問題点だろうと思うのです。今のウエーバーはよく研究していただきたいと思うのです。
 例えば、もう一つ挙げますと、前に、十二月の八日にここでまた議論をさせていただいて、外務省の経済局長に大分大声を出したことがあるんですが、MTOについても、つい最近アメリカのカンター通商代表部代表が、WTOの制約を受けないということを堂々と言っているんですね。それは、アメリカの国会の中で議員の質問に対してそういう答弁をしておる。三〇一条を縛れないようなMTOあるいは将来のWTO、そういうものじゃだめだということを私は盛んにあのときも申し上げたはずなんです。そしたら経済局長が、アメリカの議会を通るように配慮することが一番大事だなんて、そういう御答弁をされたことがあります。私はそれにかみついたんですけれども、しかし、ふたをあけてみたら、WTOでは三〇一条が縛れないというような結果になっていったら、これまた外交の失敗ということにならざるを得ない。
 これは農林水産大臣にお伺いするのはちょっと無理なことだろうと思うが、外務省はどういうふうにとっておられますか。この三〇一条は制約されないんだ、WTOの制約は受けずと言っておりますが、この点はどう解釈しておられますか。
○原口政府委員 三〇一条自身につきましても、日本としてはかねてからガット上疑義があるという言い方はしておりますが、純法律的に申しますと、三〇一条自身をつくることまでガット違反と断ずることはできない状況でございますが、万一それを発動して、一方的に、例えば日本がガット上持っている権利というものを侵犯するようなことがあれば、これは日本の権利としてガットで提訴することができる。
 それで、今度のWTOにおける紛争処理メカニズムにおきましては、そういう一方的な措置はとってはならないという規定がございますので、そういう、アメリカが実際に三〇一条を発動する側面におきましては、今回のガットの取り決めは非常に価値のある取り決めになると考えております。
○保利委員 御答弁、わからないではないが、アメリカの通商代表部代表が議会で制約を受けないとはっきり言っている、それをどう受けとめるかということなんですね。通商代表部代表が間違えているのか、それともそうではないのか、局長、もう一回答弁してください。
○原口政府委員 私はカンター通商代表がどういう気持ちでそういうことをおっしゃったか存じませんが、私が今申し上げたことが我々を含む各国の理解だと確信いたしております。
○保利委員 ちょっと聞き取りづらかったんですけれども、つまり、カンター通商代表部の解釈は間違いだというふうに解釈して、いや、あなたの御発言をそう解釈していいですか。
○羽田国務大臣 それはカンターさんの議会証言でありますけれども、いわゆる三〇一条においても、問題となる事項がガットの対象とするものである場合にはガット上の手続をとらなければならない、だから三〇一じゃだめよということ。
 それから、WTOの協定のもとでは対象範囲が今度は広がったわけですね、知的所有権だとかサービスだとか。そういった広がった分だけガットを通さなければならないケースがふえるということも、実はカンターさんは議会の方で証言しておるということであろうと思っております。
○保利委員 確かにそうらしいんですね、ガットを通さなければならないものはふえるかもしれないけれども、しかし結論部分が大事なんですよ。三〇一条の基本的な手続や効力に一切変化がない、そこまで言い切っちゃっているのです。
 もうこれは後ほどに議論を譲りますけれども、というようないろいろな問題を今度のウルグアイ・ラウンド交渉というのは包含をしておるのです。それを国会にも報告をしない、審議も議論もしない、そういう状態というのは私は納得できない。それが私の結論であります。
 あと残った時間で、ちょっと前に議論をしましたことの蒸し返しになるので大変恐縮ですが、ミニマムアクセスは国家貿易のもとでは義務になる、何十万トンかの米を毎年毎年輸入し続けることが義務である、これは農林水産大臣の御答弁からもそのことはうかがえるわけです。ところが、実は総理大臣はそれに対して、義務であると農林水産大臣が言われたのに対して総理大臣はどういう御答弁をされているかというと、ちょっとすれ違い答弁になっておったのです。これは私も気がつかなかった。
 私が「国家貿易のもとではミニマムアクセスは義務になる、これは間違いないかどうか、御答弁ください。」と申し上げましたらば、農林水産大臣の御答弁は、「先ほど申し上げましたとおり、例外的な状況以外は義務になる、そう受けとめて、厳しく認識をいたしております。」ちょっと意味がわからない、語尾のところが何だかもやもやしたところがくっついているのですが、つまりは「例外的な状況以外は義務になる、」こういうふうに私は受け取ったのです。
 総理、「それでよろしゅうございますね。」と私が総理に質問を投げかけましたら、総理はこういう御答弁をされたのです。「ダンケル・ぺ−パーによりますと、従来、輸入がほとんど行われていない農産物について、一定量のミニマムアクセスの機会を設定することは締約国の義務であるとされていると承知をしております。」こういう御答弁だった。これはちょっと違うのですね。ミニマムアクセスを置くことが義務なんだと総理は一般論でお答えになっていらっしゃるのです。
 ですから、今ここでもう一回確認をしたいのは、国家貿易のもとではミニマムアクセスは義務になる、何十万トンかの米を輸入し続けなければならないという農林大臣の御答弁を総理は裏打ちをしていただけますね。そのことを御確認させていただきます。
○畑国務大臣 私が総理のお気持ちをそんたくして申し上げることはいかがかと思いますけれども、今申し上げますことは、条文の上では、委員御指摘のとおり、いわゆるそういったチャンスを提供するというような意味合いのものが書かれておるわけでございます、姿になっておるわけでございますが、国家貿易という姿で我が方は取り組む、この分野におきましては、現実の姿はこれは義務という姿にならざるを得ない、こういうような私自身の受けとめ方であり、政府側の考え方である、こう申し上げさせていただきます。
○保利委員 義務にならざるを得ないということと。それは大臣、はっきり言ってもらいたいのですけれども、義務である、なぜこういうふうにはっきり言えませんか。
○畑国務大臣 いわゆる国家貿易という立場にございましては義務を生ずると、かように受けとめております。
○保利委員 今農林水産大臣が御答弁されたこと、これは、内閣全体の長であります細川総理大臣にこれを裏打ちをしていただきたいと思います。
○細川内閣総理大臣 今農林大臣は、義務を生ずると、こう言われました。私は、義務に近いものと考えると言った方がより正確なのではないかというふうに思います。
○保利委員 義務であるとは申していただけない、言っていただけない。私は、そこに何かあるのかなと思うのです。これ以上議論しても仕方ありませんからここまでにいたしますけれども、国家貿易のもとでは義務になる、どうも今までの議論の過程ではもうそういうふうに感じるのですね。また、そう受けとめてもいいと思います、これは議事録をずっと点検をしたら。
 そして今度は、これは外務大臣に伺いたいのですが、国家貿易というのは自由貿易と両立するのかしないのか、これについて外務大臣の御見解をお聞かせください。自由貿易が大事だ大事だとあれだけ新聞にお金を随分使って出したのですから。
○羽田国務大臣 まさにガット、これはルールでありまして、より自由貿易というものを段階的に進めていこうというのが基本にあろうと思います。ですから、私は、完全な自由貿易というのはなかなかあり得ないなと思う。
 そういう中で、日本として、これはもう保利議員も御存じのように、よその国からもこの国家貿易に対して非常に厳しい指弾があったわけでありますけれども、私どもやはり国家貿易という中にあって一元的にこれを管理していきたいということ、これが理解されたことであろうと思う。ですから、やはり一つの特例であろうというふうに思っております。自由貿易の中における特例であろうというふうに思います。
○保利委員 時間が迫りましたのでこれ以上議論は続けませんけれども、また農林水産委員会その他の場で議論をさせていただきます。
 私が申し上げたいことは、国家貿易、アメリカはこんな自由貿易に反するものはだめだといって、最初はもうけっ飛ばしにけっ飛ばしていたのです。それがぱっと変わっちゃったのですね。なぜだ。アメリカの麦の輸出は日本の国家貿易に守られているのですよ。日本の国家貿易があり、食糧庁が輸入割り当てをするから、そしてアメリカに優先的な輸入割り当てをしているから、実績主義か何か知りませんけれども、ほかにカナダやオーストラリアがもっと出したくても、アメリカにたくさん輸入割り当てをしているわけです。そのことにアメリカがふっと気がついたものだから、国家貿易を攻撃することはやめたと私は勝手に解釈をしておりますが、大体当たっているだろうと思うのです。農林水産大臣、ほほ笑んでおられますからそのとおりだろうと私は思うのですけれどもね。
 それで実は、麦の問題についてはまた別の場でやらせていただきますけれども、この間、あるテレビ局で、麦のポストハーベストの問題について相当厳しい、また大変なテレビ番組を流しました。国民の間にも非常に不安を呼ぶことでした。つまり、アメリカの麦でつくった小麦粉にはコクゾウムシが寄りつかない、日本の国産の小麦粉にはコクゾウムシが寄りつく。無理やりコクゾウムシをアメリカの粉に、外国の粉に乗せておいたら、三日で死んじゃった。これが画面に出てびっくりしたんですよ、
 これから自由貿易原則に基づいて、羽田外務大臣推奨するところの自由貿易に基づいて日本にいろいろな外国の食糧が入ってきたときには、これだけの問題じゃなくてほかにもいろいろ問題が出てくるだろうと思います。こういうことについては、厚生大臣にもしっかり検疫体制その他を守るための努力をしていただきたい。十八億円の選挙の宣伝の前に、輸入食糧の安全確保のためにその十八億円を使ったらどうでしょうか。私は、そのくらい心配をしております。
 そのことを申し上げ、まだほかにもいろいろ考えておったのですが、ちょっと時間がなくなりましたので、これで私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
○山口委員長 この際、中川昭一君から関連質疑の申し出があります。保利君の質疑時間の範囲内でこれを許します。中川昭一君。
○中川(昭)委員 総理大臣、昨年冷害の視察、異常気象の視察で農家の現状を視察されたときに、求められて「農魂」という色紙を書かれたというふうに私は承知をしております。大変いい言葉だな、また適切な言葉だなと思っておりますけれども、この農、農魂の農、農業の農、この象形文字の「農」という字の意味をお教えいただきたい。
○細川内閣総理大臣 私も浅学にして象形文字の意味は存じませんが、そのときに書きました意味は、農というものは国のもとである、その農を預かる方々の心情というものを何よりも大事にしていかなければなるまい、そんな思いで、とっさのことでございましたが、「農魂」ということを書かせていただいたところでございます。
○中川(昭)委員 お気持ちはよくわかりますが、実はこの「農」という字、私調べましたら、下の「辰」に当たる部分は、二枚貝を意味して、昔の古い土を掘り起こす農具のかわりだったそうです。上の部分は、両手で頭をぐっと押さえてやわらかくする意味。それににくづきがつくと「膿」になったり、さんずいがつくと「濃」くなったりするのですけれども、何か知恵を絞り出すさまをあらわしているんだそうでありまして、農業の「農」という字は、耕すという意味と知恵を絞り出す意味と二つ意味があると私は理解をしておるわけでございます。
 農家の皆さんは、そういう農業という大切なお仕事をされて、自然を相手にしているわけですから、生き物、自然を相手にするわけで、今非常に意欲というものがウエートを占める割合が高いと思うわけでありますけれども、今の農業情勢を考えると、幾ら知恵を出そうとしても、もう出す知恵がなくなっているというのが私が感じておる今の状況でございます。
 特に、このウルグアイ・ラウンドの合意案の受諾という問題で、これはもう本当に農家の知恵を絞り出すものがなくなってしまっておる。
 そのときに、総理は受け入れと同時に緊急対策本部を設置され、本部長になられたわけでありますけれども、もとより我々は本合意案を是認しておるわけではございませんが、政府は、この緊急対策という、その緊急という意味で今まで一体どういう対策をとられてきたのかなということを私は率直に疑問に感じておるわけでございます。
 今ごろ三次補正を審議をされておるわけでありますけれども、その中に国際化対応緊急農業対策という一項目が確かにございます。しかし、中身を見ますと、大区画圃場だとか、排水の改良だとか、あるいはまた農道の整備だとか、こんなものは一昨年の六月に出された新農政の中で既にやらなければいけないということでやっているものであって、ウルグアイ・ラウンドに関する緊急のものとは言えません。
 また、対策項目の中に、農業生産基盤の重点的な整備という一項目がございますけれども、御承知のとおり、財政審の答申では産業基盤整備、つまり農業基盤整備については、重点的かつ抑制的ということで、先ほど保利委員の漁港等のお話にもあったように、極めて厳しい査定が六年度の予算の中で出ておる。こういうことになりますと、この予算が一体いつ成立するかも含めまして、私は、この農家の皆さんの不安は一層ひどくなるものだろうと思っております。
 そういう意味で、緊急という言葉が特につきながら、一昨年の、ウルグアイ・ラウンド前の農政、新政策の方針を絡ませたり、あるいはまた、農政審議会の意見を聞くというような項目もございますけれども、本来基本政策をやるべき農政審が緊急対策に果たして対応できるのかという疑問も率直に持っておるわけであります。
 我が党は、政権時代に牛肉・オレンジの自由化をやりましたけれども、決定と同時に一千億円の緊急対策をやりまして、文字どおりその被害といいましょうか、問題を必要最小限にしようという努力を同時に打ち出したわけでありますけれども、わざわざ緊急という名前をつけながら、二カ月半にわたって今申し上げたような意味で具体的な施策がないということになりますと、本部長としてどういう心構えで、どのような緊急対策を今お出しになった、あるいはなっていらっしゃるというふうにお考えになりますか。
○畑国務大臣 御指摘がございましたとおり、細川総理を対策本部長として対策に対する取り組みをスタートを切らさしていただいておるわけでございます。
 そういう中にございまして、たまたま本年度本格的なスタートを切らさしていただいております従来の御関係の皆様方の大変な御努力によります新農政、新政策、その物事のとらえ方の中にございましては、いわゆる足腰の強いとかあるいはまた国際化とか、そういうものを念頭に置きながら、大変な御検討を賜っての新農政の展開が今日スタートを切らさしていただいておるわけでございますので、いわゆるそういうものを前倒しに、厚みを持たさしていただくということも一つ緊急的な対応としまして、御案内のような三次補正あるいはまた平成六年度予算の中にも盛り込まさしていただいておるということでもあるわけでございます。
 そしてまた、いわゆるこのガット・ウルグアイ・ラウンドに伴う、従来なかったメニュー、新しい項目が何か出てくるべきではないか。例えば、具体的に申し上げれば、所得補償等々の問題が論議があるべきではないかというような御要請もこれあることも承知をいたしておるわけでございますが、私どもにおきましては、ただいま申し上げましたような意味合いでの前倒しあるいはまた生活環境整備等々の問題を積極果敢に展開する中にございまして、たまたまこのウルグァイ・ラウンドそのものの決着の内容がまだこれからの、今整理の段階であり、国会批准等々もあり、そしてまた実際の実施時期が来年ということにも相なっておるわけでございますから、さような意味合いでこの問題を、終始関係の皆様方の御意向を拝聴しながら、農政審議会等におきましても御検討を願って、万遺憾なきを期してまいりたい、かような考え方で事柄を進めておるというように御承知おきを願いたいと思っております。
○中川(昭)委員 今のお話を伺いますと、新農政の前倒しをやればウルグアイ・ラウンドが乗り切れるんだというようなニュアンスになりますけれども、これはとんでもない話ではないかというふうに……。あの新農政のときには、もっともっと違う議論があって、何もウルグアイ・ラウンド受諾を前提にした議論なんというものは一つもなかったはずであります。
 そこで、具体的な話を一つ伺いますけれども、この対策項目の中で、乳製品、でん粉等に関する影響を最小限に食いとめるために、需給調整対策あるいはまた価格安定対策の見直し、充実を行うという一項目がございます。乳製品に関しては、今までもずっとこれは過剰で、生産者は生産調整あるいは価格の低迷で非常に困っていたわけですけれども、具体的な需給調整というのは何を示しておられるのか。例えば、ヨーロッパのように一年間ぐらい長期備蓄をやるとか、あるいは大規模に、計画的に海外援助をやるとか、そういうようなことも視野に入れながらの需給調整対策を考えていらっしゃるのか。
 それからもう一つは、この厳しい経営が続く中での自由化という農家の情勢を考えたときには、この基本方針の趣旨からいっても、あるいは総理大臣のあの決定を受けた後の記者会見のお話の趣旨からいっても、生産者の期待にこたえるということになれば、間もなく始まります畜産物価格の決定においても、これは十分な価格あるいは十分な生産量を確保するというふうにとらえるのが筋だと思いますけれども、政治家としての畑農林大臣にその決意をお伺いをしたいと思います。
○畑国務大臣 ただいま御指摘を賜りましたような問題が、関係の生産者のお立場等々で強く御期待をなさっておられるということも十分承知をいたしておるわけでございますが、引き続き具体的な、ただいま価格問題等々あるいはまた諸般の従来の施策展開の中におきましても、さような新たな厳しい要素を踏まえての検討の中から、前向きで問題の解決を図るべく全力を尽くしてまいりたい、こういう決意で今後の措置に当たってまいりたいと考えておるところでございます。
○中川(昭)委員 今の大臣のお言葉、ひとつ大蔵大臣も同じ対策本部の一員といたしまして、同じ閣内の財政担当大臣として、今のこのとりあえず目の前に迫っております畜産物価格等については、農林大臣の御決意を十分受けとめて対応していただきたいということを、これはお願いをいたします。
 去年のあのラウンドの大詰めになって、まあ突然といいましょうか、どさくさという言葉は余りよくありませんけれども、アメリカが牛肉の関税を三六%ダウンさせろ、つまり三二%にするように強く要求をしてきたわけです。
 新聞報道によると、これはある意味では米よりも重要な問題なんだという政府高官の発言もあるわけでありまして、御承知のとおり、この日米牛肉あるいはオレンジ交渉というのは、長年かけて自由化という選択を迫られ、そして段階的に去年五〇%に下げた、その直後にこういう要求をしてくる。これはもうまことに理不尽な要求としか言いようがないわけであります。
 ところが、政府は結局、ダンケル最終合意案のあの約束から比べてもさらに厳しい、ベースレート七〇%から四五%もカットをした三八・五%という関税に引き下げることを約束をしたわけであります。そのかわりに特別のセーフガードをとつたんだということでありますけれども、このセーフガードは、私が知るところでは、毎年一七%以上輸入がふえた場合に関税率を五〇%にするんだという案だというふうに聞いておりますけれども、これ、一七%ということは、一六・九%ずつふえていく分には何の意味もなさないものであります。
 現に自由化以来輸入牛肉の占めるシェアは、平成三年が四五%、四年が五〇%、五年は推定ですけれども五五%と、もう着実に伸びているわけでありまして、これが与える影響というものは、これは生産者だけではなくて、生産が崩壊をすればやがては消費者も影響を受けるわけでございます。そういう意味で、このセーフガード措置が果たして有効だと政府はお考えになっているんでしょうか。
○畑国務大臣 ただいま、事のいきさつにつきましては中川委員からの御指摘の内容のとおりでございまして、三六%カットといいますものを、決着の内容におきましては三八・五、いわゆる六カ年間でいわば毎年二%程度の減という姿に相なったわけでございます。
 そういう中にございまして、ただいま御指摘がございましたように、いわゆる一七%増の場合には関税率を五〇%に戻しますよというような、いわばいささか改善策をそこに織り込みながらの決着を図らせていただいたということであるわけでございますが、いずれにいたしましても、この分野におきましては、子牛価格の安定基金等々の問題等、今後におきましてもそういうものを活用しながら、万遺憾なきを期していかなければならぬ、かように考えておるところでございます。
○中川(昭)委員 子牛価格の安定制度なんというのは、今、現に発動されていても畜産農家、酪農農家は大変な苦労をしておる。先週NHKの「視点」という番組で別海の厳しい状況を、これは大臣もごらんになったと思いますけれども、あれはほんの一例でありまして、日本全体の畜産、酪農家が困っておるという中ですから、子牛安定制度を活用して救えるものならもうとっくに救えているわけで、これからますます厳しくなっていくわけであります。
 そういう意味で、私は、このセーフガードというのは非常に意味がない。したがいまして、我が党としましては、既に国会に提出をしておりますけれども、生産者も守ると同時に、生産が崩壊をすれば消費者もひいては影響を受けるという観点から、我々は国内生産と輸入量とが同額以上になった場合には七〇%の高率な関税をかけて、実質的にストップを期待をしながらの制度をつくっていこうじゃないかということで、議員立法を提出をさせていただいたわけであります。
 私は、こちらの方がはるかに生産者、消費者両方のサイドを見据えた対策であり、より効果的だと思いますので、これは議員立法でございますので、議員の皆さんの御理解と御賛同をひとつお願いを申し上げたいと思うわけであります。
 次に、林産物についてでございますけれども、これは先ほど保利委員から、同じようなアメリカのいろんな強引なやり方の例示がございました。その一環でございますから総理からお答えをお願いをしたいのでありますけれども、林産物は日米間で決めたベースレートから五〇%のダウンということでウルグアイ・ラウンドで決着をして、国別表も既に出しておるわけであります。
 ところが、その後になってアメリカは最近、いわゆるゼロ・ゼロという要求をまた持ち出してきておる。これは選挙に例えて言うならば、開票結果が出た後に投票させろみたいなもので、もうおとといいらっしゃいという議論なんですね。それを堂々と言ってきておる。こんなことがまかり通れば、本当に国際的な約束も何もあったものじゃないということになるわけでありまして、こういう要求に対しては、日本政府としてはもう聞く耳を持たない、議論の余地はないということを私は総理の口からぜひ御答弁をいただきたいと思います。
○細川内閣総理大臣 ラウンドの方は昨年の十二月に決着になっているわけでございますし、確かに今おっしゃったようなことを米国側はいろいろと言ってきておりますが、我が方としては、我が政府としては既に決着済みであるというふうに考えております。
○中川(昭)委員 既に決着済みであるというお言葉でございますので、一安心をさせていただきたいと思います。
 先ほど申し上げましたように、今日本の農家は大変な不安を抱えておるという状況です。そして、来年から関税化あるいはミニマムアクセスの実施ということになりますと、それによっていわゆるTE、関税相当量というのが認められるわけでありますけれども、総理の談話にもあるように、これを契機にして新たな農業をつくり上げていこうという決意を実効あらしめるためには、これは相当高いTEを張らないと大変なことになってしまうということになるわけですね。
 今申し上げた牛肉にしても林産物にしても、とにかく一たん約束をしたものをすぐにこうまた向こうの都合で言ってくるというのは、これはもう本当に、先ほどの保利議員もいろいろおっしゃっておりましたけれども、我々誠実にルールを守ろう守ろうと言っているときに、さっき言ったように、もう投票が終わった後におれに投票させろというような理不尽なことを言ってくるということで、察しますと、これも仮に六年間なら六年間のルールが一応決まりましたよと言いながらも、また途中で向こうの都合で出てくる可能性があるという不安が否定できません。
 そういう意味で、もう苦労して苦労して、しかも我々さっきから言っておりますように、この結果そのものはまだ認められる内容ではございませんけれども、この後、万が一にもまた、今度は牛肉であろうが米であろうが何であろうが、さらに引き下げを強いてきたということになったときには、絶対にそれは認められないんだということを、今総理の口からも林産物についてお言葉がありましたけれども、副総理の方からひとつその辺のことをお伺いしたいと思います。
○羽田国務大臣 例の米の問題の関税化のときにも、今お話があったようなことは念頭にありました。
 と申しますのは、ちょうど中川委員のお父上、一郎先生が農林水産大臣をおやりになって、肉その他の問題について決着をつけました。しかしその後、いろいろな問題について後からまた関税を下げてほしい。たしかステージも、一年ごとにこうやって何%というのを日本だけ二段三段飛びでおろされたようなこともありました。そういうことがあるので、私は実は米についての関税化というのはどんなことがあったって受け入れられないということを申したわけであります。
 しかし、今そのほかもう関税化されているものがあるわけでありますから、そういった点について、やはりこういった合意というのはみんなそのときに大変な痛みを伴いながらやるのだということ、これは我々もよく承知しながら、きちんと約束したことは約束したことで守っていくように先方に対しても物を言っていかなきゃならぬと思っております。
 ですから私は、逆にやれるべきものを変なふうにおかしな形でやらないで、やるべきものはきちんとやらぬといかぬということをむしろ言っているぐらいであります。
○中川(昭)委員 アメリカというのは、ダブルスタンダードといいましょうか、何か基準が二つありまして、例えば国連でも、言うことを聞かないときには余り国連は相手にしないけれども、何かソ連が崩壊しちゃったらもう国連はおれの言うことを何でも聞くから国連を利用しちゃおうとか、この農業問題でも、あるアメリカの雑誌を読みますと、日米包括協議をがんがん言ってきているのは、実はウルグアイ・ラウンドでゲップハートが騒ぐのをとめるためにこっちの方に矛先を向けているんだとか、あるいはまた、都合によってはまたこっちに向けるんだということを実際にやる国だと私は思うのです。
 そういうことで、この日米関係とマルチの場というのは当然私は一つのスタンダードで考えるべきだと思うのですけれども、さっき言ったように、バイでだめならマルチだ、マルチがだめならバイでいくぞということを、今までも米等でいろいろやってきましたけれども、今後はMTOあるいはWTO、そしてまたよりきちっとしたルールが少なくとも六年なら六年の間はでき上がったわけでありますから、そういうアメリカの都合で使い分けをされて、さっきのようなさらなる無理なる要求を出してくるということをやりかねないな、アメリカの国益を守るためにはという理屈で、そう私は思うのですけれども、それに対してもう一つ断固たる決意をお伺いしたいと思います。
○羽田国務大臣 この点はアメリカだけでなくてほかの国からもよくやられることであります。私どもは、こういったマルチの場で、しかも百十六からの国・地域が集まって決めたことなんですから、これがもし途中で崩されるということになると、もう今後の交渉にだれもまじめに行かなくなってしまう、また我が国もまじめにつき合えなくなるということをはっきり申しながら、これからも対応していきたいというふうに申し上げます。
○中川(昭)委員 最後の質問になるかと思いますけれども、実は農業を主たる産業としておる地域というのは、産業政策としての農業だけではもうその地域というものはもたない。したがって、先ほどの財政審のように、産業基盤は一休みしてください、生活関連はやりますよといっても、その生活関連というのは都市公園だとか地下鉄だとかということになってくると、さっき言った別海に地下鉄を敷くなんということはこれは考えられないことでありますから、そうなりますと、今の農政というものは、単なる産業政策ではなくて総合的な地域政策になってくるだろうと思うわけであります。
 同じ農村といっても北海道から沖縄まであるわけですから、規模も違えばやっている作物も違う、あるいは中山間みたいな地域もある。本当に、一つ一つ人間の顔が違うように、一つの農村一つの農村の特色というものも私は厳密に言えばかなり違ったものがあるんだろうと思っているわけです。
 そういう中で、これからの厳しい情勢の中で、総理の御決意のように、新たな活力ある農業をつくっていくスタートにしようじゃないかということであるならば、これは一農林省だけの問題じゃなくて、例えば大規模酪農地帯で今問題になっていますふん尿処理みたいな環境問題でありますとか、あるいは村社会は、特有のことですけれども、三世代、四世代が住んでいくわけですね。これは総理にお聞きしますのでちょっとお聞きいただきたいのですけれども、あるいはまたお年寄り対策でありますとか、人材育成のための教育だとか研修だとかいうもの、これはひょっとしたら文部省が関係するのかもしれません。
 あるいはまたその財源対策ということになれば、国もきちっと財源を確保しなければいけませんけれども、自治体の財源もきちっと佐藤自治大臣の方で見てもらわなければいけないとか、これはもう緊急対策本部に十何人の閣僚が名を連ねていらっしゃるのでわかるように、これからの農業、農村を再生をしていくためには、本当に文字どおり各省の垣根を越えて、あるいは国・地方の垣根を越えてやっていかなければ、しかも先ほど申し上げたように、一つ一つ農村は顔が違いますから、きめ細かくかつ総合的ということになると思います。
 ところが残念ながら、総理の生活者重視というお言葉を聞けば聞くほど私は農業者軽視、農村無視というふうに聞こえて聞こえてならないのです。私がそういうふうに聞こえるということが間違っているのだというふうに私も思いたいわけでございますので、改めて、このウルグァイ・ラウンドでさらに厳しい情勢になっておる、しかも日本の食糧を安定的に守っていかなければいけない、国土も保全しなければいけない、環境も守っていかなければいけない、そこに住んでいる人たちに生きがいを与えていかなければいけないということになると、農林省だけではなくて全部の省庁がバックアップをしてやっていく。
 そうなりますと、総理のまさにリーダーシップのもとで、目に見える具体的な形の、さっきの新農政の前倒したとかそういう次元ではなくて、本当に発想を変えた新たな農村政策といいましょうか、食糧供給政策といいましょうか、そういうものが必要になってくると思うのですけれども、それを具体的に出してもらわないと我々にはなかなかわからないところなんです。
 そこで、今具体的に出せと言ってもなかなか、本予算もこれからですし、長期的な問題もあるかもしれませんので、ひとつその辺の総理の御決意を改めてお伺いをしないと、我々としては、先ほど言ったように、農村軽視という誤解であれば誤解をぜひ解いていかなければならないと思っておるわけであります。
○細川内閣総理大臣 農村軽視ということは決してございません。もう再々本委員会、本会議等でも御答弁申し上げてきたとおりでございます。
 ただ、先ほど農林大臣からも御答弁申し上げたように、まだ今後のウルグアイ・ラウンドの日程もはっきりしていないところもございまして、多分、恐らく今までの予定では来年の七月の一日に発効ということになっておりますが、それがもう少し早まるかもしれない、その辺のところはまだ流動的でございますけれども。
 いずれにしても、今回の第三次の補正予算では、今までの、私は、先ほどから新農政についてのお話もございますが、この基本的な骨組みの考え方というものはウルグアイ・ラウンドのその新しい国境措置ができた後でも正しい考え方だと思っておりますし、その基本的な考え方というものは生かしながら、その中から前倒しで取り組むことができるものは取り組みながら、今度の補正予算というものもそのように編成をさせていただきました。
 また本予算におきましても、これも先ほど大臣からお話があっておりましたが、農政審とかの御議論もございましょう、また国会での御論議等もございましょう。そうしたものも踏まえて、本格的には再来年度の予算から本格的な対応ということになるんだと思いますが、タイムスケジュール的に言いましてもそういうことになるんだろうと思いますが、しかしなおかつ、やはりこれはそれなりの準備期間というものも必要であることは当然のことでございますから、来年度予算におきましても、そのようなことを十分念頭に置いて予算を提出をさせていただく、こういうことでございます。
○中川(昭)委員 終わります。
○山口委員長 これにて保利君、中川君の質疑は終了いたしました。
 次に、宮下創平君。
○宮下委員 私は、一時間ちょうだいいたしまして、防衛問題あるいは安全保障の問題について、主として総理の御見解をお伺いしたいと思います。
 初めにお断りしておきますけれども、今までは政治改革とかガット・ウルグアイ・ラウンド交渉でございますとかそういうことが中心でございまして、総理のお口から安全保障についてどのような考え方を持っているのかというような点については必ずしも明らかでございませんので、きょうは基本的な安全保障あるいは防衛政策の幾つかの諸点について総理の見解をお伺いをしたい、このように思いますので、あるいは場合によりますと教科書風的な質問になって恐縮に思うこともございますでしょうけれども、お許しをいただきまして基本的な問題についてお伺いしたいと存じます。
 そこでまず最初に、その論議の前に、防衛関係予算がいよいよ編成をされたわけでございます。連立与党の初めての防衛関係の予算、予算全体がそうでございますが、特に連立与党の中にいろいろ立場の相違があります党派もございまして防衛予算が編成されたわけであります。
 そこでまず最初にお伺いしたい点は、平成六年度の防衛関係予算、これは四兆六千八百三十五億円、〇・九%増ということで決定を見ておられますけれども、新聞報道等によりますと、総理が防衛費については縮減をしたいということで、かなり強力な総理の御意向が反映されて〇・九%になったというように報道もされておりますし、お伺いをいたしております。
 総理は、自衛隊の観閲式におきまして、自衛隊の観閲式での総理の訓示というのは、自衛隊の最高指揮官でございますし、そして最高の責任者でございますから、そこの訓示におきまして軍縮につきましても触れられて、軍縮についても世界に率先してイニシアチブをとらなければならないというような趣旨のことを述べておられますけれども、自衛隊の今の現状をさらに縮減していかなければいけないとお考えなのかどうか。まず、平成六年度の防衛関係予算についての総理のお考えをお伺いしておきたいと思います。
○細川内閣総理大臣 経費削減の厳しい経費枠の中で、修正された中期防のもとで、防衛力全体として均衡がとれた態勢の維持整備を図るために必要最小限度の業務が推進できるように、できる限り意を用いて今回の予算の編成に当たらせていただいたということでございます。
 防衛大綱の問題につきまして、観閲式の際に、今後、東西の冷戦構造というものが崩れた中で、また防衛大綱というものも二十年余りが経過をした中で新しい状況が生まれてきているのではないか、そういう状況を踏まえて、世界的にそのような状況が変化していることを受けて、我が国の防衛力につきましても、真に意味のある防衛力というものはいかなるものであるか検討する必要があるのではないか、こういう問題提起をさせていただいたところでございます。
 その後、連立与党内におきまして、政策幹事会あるいはまた政務幹事会等々におきまして御論議をいただきまして、前年度比〇・九%という予算で最終的に、先ほど申し上げましたように、均衡がとれた態勢の維持整備を図るために必要最小限度の業務が推進できるように、そのような予算が組めたというふうに思っております。
○宮下委員 防衛予算の性格は、これは人件費が大体四一%を平成六年度予算で占めております。そしてまた過去の、防衛予算というのは単年度になじみません、装備の調達その他が。したがって、国庫債務負担行為という形式をとりまして、過去において契約した分の歳出化分も当然増としてあるわけでございます。
 そこで私は、四一%の人件糧食を占める防衛庁、これは一%の公務員のベースアップをいたしましても百八十億程度必要かと思われますね。ことしは一・九二%のベアでございますから、自衛官の場合は若干その改定率を異にするといえども、それだけでも三百数十億必要になるわけですね。しかし、ことしは〇・九ということで四百二十九億円の増しかなっておりません。そしてまた、歳出化経費が大体三八%くらいございますから、合わせて八割の経費というのはそういう既定経費で占められております。
 一方、〇・一%というのはどの程度かというと、言うまでもなく四兆六千億の〇・一は四十六億でございますね。防衛庁の要求は一・九五%で、これを調整して、最後は油とかあるいは為替の問題等調整して一・六がぎりぎりであるという要求をしたわけですね。しかし、どうもお伺いするところ、一%を超えるとこの緊張緩和の状況の中でぐあい悪いんじゃないかという御判断があったやにお伺いするわけですね。
 私は、やはり〇・一が四十六億円でありますと、防衛庁の要求一・六、極めてつつましいものです、これは最近においては。しかも、それを仮に認めるか認めないかということは、隊員の宿舎でありますとか、あるいは隊舎でありますとか、あるいは厚生施設等々の経費の充実に資するものでございまして、私は、今の自衛官の諸君も、こういう豊かな時代になった自衛官の処遇というものはやはり民間企業並みくらいのレベルのものをきちっとやっていかなければならないと思っています。しかし、まだ民間レベルに対して劣後されておりますね。
 そういう意味で、どうも形だけ〇・九ということにとらわれて、そういう実態をお考えいただけたのかどうか、そういう自衛官に対する温かい御配慮があったものかどうか、非常に私は疑問に思うのでございます。
 そんな点で、今後防衛予算についてはどうかひとつ御理解を賜って、単に世界が冷戦構造が終わったから平和のために軍縮をしなければいけないんだ、日本の自衛隊の防衛予算も削らなくちゃいけないんだという発想だけで取り組まれることは、大変私どもの期待に反しますし、国民の期待に反することだと思いますので、その点申し添えさせていただきます。
 なお、この防衛問題、予算につきまして、その閣議決定の前に安全保障会議を開かれまして、現在の連立与党の各閣僚の合意を得られたと存じます。したがって、今までは防衛問題について抽象的な議論が多かったわけですが、現実には予算という形で提示され、それを各閣僚が全部承認をなすっていらっしゃるわけですね。
 したがって、この連立与党内の政策上の相違というのは、防衛政策に関しては私はあると思っていました。しかし、この予算の審議を通じまして本当にそれが調整できておるのかどうか。あるいは総理は、特に意識的にこの与党内の最も基本的な政策である防衛政策あるいは防衛予算について調整の御努力をなさったのかどうか。その結果合意が得られたものなのかどうか。今の細川内閣の性格は、方向は、基本政策で自民党の政策を継承するというだけでずっときておりますね。ですから、今回もその延長線上だけで問題を解決されたのかどうか。そういう点をちょっとお伺いしておきます。
○細川内閣総理大臣 私も率直に申し上げて、果たしてこの防衛予算がすんなりと決まるのかどうかという点につきましては、大変危惧をいたしておりました。しかし、アメリカに参りますまでに与党の中の政策幹事会におきまして各党大変御努力をいただいて、大変円滑に考え方を一つにまとめていただいたということでございまして、私も大変感謝をしているところでございます。
○宮下委員 今総理の御答弁の中に、円滑な処理が行われた、大変感謝しているというような御発言がございましたが、しからば私は、特に社会党の出身閣僚について御質問を申し上げたい。
 それは具体的に申しますと、今度の予算の中でAWACSですね、早期警戒管制機、これの二機の導入が予算化されておりますね。それから問題があるとされたペトリオット、これもその改装経費等が計上されておるわけですね。社会党の党としては、こうしたAWACSとかペトリオットというのは、これはやはり反対であるということが昨年は報道されました。
 そういうことでございますから、社会党の代表、前委員長の山花さんでも結構ですし、それからまた同時に、上原長官は社会党時代のシャドーキャビネットの防衛庁長官をおやりでございますから、そのお二方から、この問題についてどのようなプロセスで承認するに至ったのか、それを明確にしていただきたいと思います。
○山花国務大臣 今総理が円滑にとお話しになりましたけれども、形の上ではそうだったかもしれません。政務幹事会、そして代表者会議と、そこでの議論を経て予算については決定をされておるわけです。ただ、中身としてはやはりかなり議論があったというように私は承知をしているところでございます。
 たまたまこの問題については、党内の上原さん含めて長い議論をしてまいりましたし、長官当時、私もいろいろ伺ったことがあったんじゃなかろうかと思っておりますが、今また御質問の中にありました、これまでの政策を承継しつつ平和と軍縮の問題について責任と役割を担う、こうした合意からスタートいたしまして、総理の、大綱については見直しを行っていく、こういうような全体の流れの中で、大枠でくくって、個々の問題というよりはこれからの議論の中でまたこれをしていきたい、こういう考え方ではなかったかと私は承知をしているところでございます。
 党のそうした議論を踏まえての決定もございましたので、閣僚としての立場では、閣議におきましてもこの問題についてあえて異論を申し上げることもなく同意をしてきた、これが経過でございます。
○上原国務大臣 私からお答えするのも適切かどうかは迷うんですが、せっかくの御指名ですから、今のお尋ねにお答えをさせていただきたいと思います。
 AWACS、ペトリオットの予算計上の経過につきましては、先ほど総理からも御回答ありましたし、また今山花前社会党委員長からも御答弁ございました。私も、その経過については、いろいろ連立与党間で議論をし、社会党も党内で議論をして、連立与党に参画をする合意に基づいて今回の防衛予算についても理解を示したと聞いております。
 そこで、これから問題はないかということですが、けさのここでのやりとりでも、AWACS問題については自民党の先生からも御指摘が若干ありました。経緯については、私も専門ではありませんが、ある程度勉強させていただいた面もありますので、私は、防衛問題あるいは特定の防衛政策について、今宮下先生御指摘のように、もっとこの予算委員会なり国会でいろいろ議論をして、国民の合意形成を求めながら、日本の今日的安全保障のあり方はどうすべきかということを誠心誠意やっていくことが閣僚としても、また政権に参加をする社会党としても大事な点じゃないのか、こういう立場で努力をさせていただきたいと思います。
○宮下委員 今の御答弁、大変ちょっと私も理解できない点がございますけれども、AWACSとペトリオットの軍事的な合理性とかあるいは必要性を私はここで議論しようとしているわけではございません。やはり近代技術の進歩に即応したこの象徴的なものについて社会党の諸先生方がこれを承認するということは大変問題があると思うのです。
 つまり、これは去る昨年の十月四日の衆議院の予算委員会におきまして山花前委員長は、現在の自衛隊の違憲論に関してでございますけれども、社会党の見解としては現在の自衛隊の実態については違憲であると考える、こう御答弁なすっていらっしゃいます。そして、一政治家または政党の一員としての見解かどうかという議論がございまして、これは国務大臣としての立場で申し上げているのではなくて、一政治家の見解です、国務大臣としては内閣の意向に従いますという答弁でございますね。
 そして、それがどうも我々政治をやっている者としては納得できないということで、この問題の整理をやっていただいて政府見解というのが出されましたね。それは憲法九十九条の憲法の擁護、尊重義務に反しているのではないか、あるいはまた憲法六十六条の内閣の連帯性にもとるのではないかという議論がございまして、これは政府見解が出ましたけれども、これは憲法論としては、私はやや例文解釈としては三百代言だと。自民党時代にもいろいろ見解を出すと言われましたが、これは法制局長官を中心にして恐らくやられたものだと思います。
 そういう点で例文解釈としてはわからぬではございませんけれども、しかし、我々は政治家です。そして、防衛の問題は基本的な政策です。これについて、国務大臣であるか一政治家であるかを問わず、山花さんが言われたように、そして他の閣僚はみんな同調しておられますけれども、自衛隊のどこが一体違憲と認識しているのか。つまり、現在の自衛隊の実態については違憲だと言っていますから、一体自衛隊のどこが違憲と認識しているのか、どこを直せば合憲となるのか、質と量の面でやはり御検討なさっていなければ、この発言は極めて無責任になりますね。
 したがって、この際どうかひとつ、どこをどう直せば合憲となるのか、どういう兵器を入れるからいけないと考えるのか、あるいは防衛庁の自衛隊法の建前がそもそもだめなのか、そういう点についてより突っ込んだ議論を本当は申し上げたいわけですが、これについてとりあえず御見解を承りたいと思います。
○山花国務大臣 当時も、個人としての意見と閣僚としての意見、若干未整理だった部分もありましておしかりをいただき、統一見解ということになりました。したがって、そうした経験もございますので、余り個人の立場で意見を述べるということは適切ではなかろうと、こういうように思っているところでございまして、本日先ほど閣僚としての立場での意見を述べさせていただいた次第でございます。
 しかし、せっかくの御質問ですので一言だけ触れますと、今おっしゃったような量、質の問題につきましては何十年の長い議論があったのではないかと思っております。そうした経過の中で、そこだけを議論するということは問題について迫るのに有益ではないのではなかろうか、こういう関係の中から我々もまた議論を進めてきた、私もそういう議論を進めてきた、こういうことがございますので、今この場で短い時間でやりとりをする、個人の意見を述べるということについては、差し控えさせていただきたいと思っているところでございます。
○宮下委員 やはり国会の答弁というのは責任を持ってもらわぬと困りますね。現在の自衛隊の実態について違憲だと言うからには、どこまでならいいかということは明確にすべきこれは政党として義務がございますよ。そういう点で閣僚としての立場の答弁を私は求めるつもりはございませんが、せっかく社会党が政府・与党の立場になっておられますから、それらは党としてやはり前向きに検討していただいて、どの国だって防衛政策等の基本政策については相違点を持っている与野党というのはないのですよ。共通の認識を持っているわけですから、その点を要望しておきます。
 次に、話題を変えまして、国際軍事情勢の問題でございますけれども、とにかく最近の劇的な変化、これは総理もしばしば言及されておられますけれども、ソ連の解体によりまして世界は好ましい方向への流れは進行しつつありますが、また、軍備管理とか軍縮の動きもございますけれども、同時に、世界各地の宗教上あるいは民族的な、そういうものに起因する対立の表面化は申すまでもなくございます。それからまた、核兵器等大量破壊兵器とか弾道ミサイル等の高性能兵器の移転や拡散の問題も大変心配な状況にございます。
 同時に、国連の世界の平和と安全を維持するための行動というのが幅広く展開されておるというような状況でございますが、全体としては、やはり冷戦構造の終結によって好ましい方向にはあるとはいうものの、地域的、宗教的あるいはその他の要因による紛争が多発しております。
    〔委員長退席、中西(績)委員長代理着席〕
 一方、アジア・太平洋地域におきましては、これも好ましい方向と好ましくない面とございます。例えば中国と韓国との国交樹立、あるいは韓ロ基本条約の締結でありますとか、また南北朝鮮の同時国連加盟とか好ましい方向にはございますが、朝鮮半島は御存じのように緊張状況に私はあると認識をいたしておりますし、また、中国の関連がございますけれども、南沙群島等における領有権をめぐる問題、これは大変深刻な問題を私は抱えておると思う。我が国の北方領土もまだ返していただけない。
 こういうことでございまして、特にまたアジアにおいては、多国間の集団安全保障体制というものが存在をいたしておりません。ヨーロッパは、NATOとかワルシャワ条約がございまして、これが一つのくくりになっておりまして、消滅した後はCSCEというような形で共通の基盤ができておりますが、アジアはそうではございません。
 そして同時に、アジアにおきましては、国防費の増額や国防力の近代化というのが中国とか韓国とかあるいはASEAN諸国において顕著に見られますね。これはお認めになると思います。また、極東ロシア軍も、これは今のロシアの現状でございますから、軍の統制、訓練その他行き届かない点がございますが、しかし、膨大な合理化、近代化された兵力が存在していることもこれは事実ですから、決して防衛というのは短期的な視野だけではいけませんから、そういうものも念頭に置かなくちゃいかぬ。
 そしてまた、当委員会でも一番議論になっております朝鮮半島問題ですね。これは核不拡散条約と、それから国際原子力機関の査察の問題が提起されておりまして、我が国としてはこれは一千キロとか一千五百キロの隣国の話でございますから、この北東アジアにおけるやはり最大の問題だと思うのでございます。
 こうした問題について、詳しくここでは触れる時間がございませんので、問題の指摘だけしておきますが、そういう危険な状況が存在しているということがございます。
 それから、中国もやはり中華思想といいますか、自国がやはり中心になって戦略思想を確立する、あるいはそういう自分たちだけで防衛をしようということで、そういう戦略観に基づいて、特に海軍とかあるいは空軍の近代化を図り、あるいは海洋に対する勢力を拡大しようとする意図がもう明白に出ておりますね。特に、南沙群島等の海洋資源確保に向けた南進の傾向、これは私どもは注意しなければならないと思っております。そして装備の近代化、海軍の近代化を図っておる、こういう事実は厳粛な事実として私ども認めていかなければなりません。
 このように、アジア・太平洋地域は非常に情勢が複雑でございまして、欧州において生起したような大きな変化のないのとは違いますから、さらに一層二国間の対話を深めていくとか安全保障に対する信頼感を高めていくということはぜひ必要だと思いますけれども、この際、総理がしばしば劇的な変化というようなことをおっしゃられますけれども、この国際軍事情勢の認識と我が国の防衛政策との関係について、包括的に総理の御見解を承りたいと思います。
○細川内閣総理大臣 私の認識も、今宮下委員がおっしゃった認識ともうほとんど変わらないと申し上げていいのだと思います。
 一言で言えば、世界的な規模の戦争の可能性というものは、相当にその可能性が少なくなったということでございましょうし、一方では、民族紛争であるとか、あるいは宗教に絡んだ紛争であるとか、地域的な紛争の要因というものはまだあちこちにむしろふえつつあると言ってもいいのかもしれません。そういうことを十分に踏まえて、我が国の安全保障のあり方というものも考えていかなければならないということに尽きるのだろうというふうに思っております。
 特にお話の中でございました朝鮮半島の動向というものがこれからどういうふうになっていくのか、この点につきましてはよく注目をしていかなければならない、また、いい方向に向かっていくように関係国とも連携をとっていかなければならないと思っております。
 また、これもお話の中にございました旧ソ連や中国のこれからの動きというものもどういう方向に向かっていくのか、この点につきましても、例えば中国などにつきましては、これから資源の問題などで、南沙諸島のお話がございましたが、先々この問題をめぐってのトラブルというものもいろいろ起こり得るということも念頭に置いておかなければならないのかな。我が国だけとの間ということではございませんが、そういうことも念頭に置かなければならないことかもしれませんし、旧ソ連の軍事力というものが今のような状況になった中で、それが将来とも安定した形でいけるのかどうかということも、これもまたよく注目をしていかなければならない要因なんだろうな。大体におきまして、おっしゃったことに同感でございます。
○宮下委員 次に、時間の関係上、議論を進めたいわけでございますけれども、防衛政策の基本的な考え方につきまして総理の御見解をお伺いしたいと思うのであります。
 憲法九条と自衛隊、自衛権の関係につきまして、これはやはり国際法上、集団的自衛権あるいは個別的自衛権は主権国家としては当然認められておるけれども、憲法九条はやはり国際紛争を解決する手段としての集団的自衛権は禁止している、ちょっとわかりやすく言えばそういうことだと思いますね。したがって、自衛のための必要最小限度の自衛権の発動というのは、これは憲法九条に禁止するところではございません。
 これは社会党の諸君が自衛隊は違憲合法論というのをかって言われて、今御主張なさっているかどうかわかりませんが、そういうことを聞く時間がございませんが、当然憲法九条は個別的自衛権を認めておる、こういうことでございます。しかし、そのほかにも我が国の防衛政策では大変重要な防衛政策の基本的な事項が今まで確立されてきております。
 一つを申しますと、一つは国防の基本方針というのが三十二年の五月につくられております。これは外交努力が第一だ、第二は民生安定と愛国心の高揚だ、第三は国力国情に応じて防衛力を漸増する、それから第四は国連の安全平和機能が正当に機能するまでは日米安保条約を基軸としてやるという基本方針がありますね。それに基づきまして各種の防衛政策が今日まで打ち立てられてまいっております。
 その第一は専守防衛、これは受動的な防衛戦略と言ってよろしいかと思いますけれども、これはきょうこの中身を詳しく議論する時間がございませんから申し上げておきますが。それから、非軍事大国、軍事大国にならないということですね。それから、文民統制、これも国会が今民主的な予算その他を通じてコントロールするという文民統制が、しかも安全保障会議もある、あるいは総理、防衛庁長官、国務大臣は文民でなければならない、あるいは参事官制度を部内的には設けている等々の文民統制確保の慣行が確立されてきていますね。
 そしてまた、非核三原則というのがございます。これは佐藤総理が四十二年ごろ委員会で答弁されたことが今や国是となっておるわけですね。これは法的根拠はございませんよ。憲法九条では核兵器の保有は禁止しておりません。
    〔中西(績)委員長代理退席、委員長着席〕この議論も私は今ここで申し上げることはできませんけれども、そういう中で我が国は国是として非核三原則をとっておる。これは法律でも何の根拠もないのです。
 それから、海外派兵の禁止でありますとか、徴兵禁止でありますとか、そのほかいろいろな問題がございますけれども、これらの防衛政策の基本というのは、言うならば我が国で今まで自民党政権の中でずっと築き上げてきた国是ともいうべきものになってきております。これは当然承継されるべきものと考えます。
 総理もこれは承継をされるものと思いますけれども、私はここで、やはり連立与党の方々が今政権をとっておられる、その中で防衛政策について極めて異質な見解をお持ちの社会党まで入っていらっしゃるわけですから、この機会に、私は、これらの基本政策について安全保障基本法みたいな形で合意形成を目指して、そして与野党の安全保障に対する基本的な認識を一緒にするためにぜひとも安全保障基本法みたいなものを制定した方がいいと思っておるのですが、総理のお考えをお伺いしたいと思います。
○細川内閣総理大臣 今いろいろ基本的な考え方についてお述べになりましたが、専守防衛であるとか非核三原則であるとか、もちろん日米安保条約というものもそうでございますが、幾つかの基本的なそうしたラインというものは承継をしていくということを申し上げました。全くそのように考えておりますし、連立与党でもそういう合意を見ているところでございます。
 今の安全保障基本法というお話につきましては、今さまざまな御議論があることもよく承知をいたしております。それも一つの考え方かなという感じも私は持っておりますが、まだ私自身はそれが適切なのかどうなのか、私自身まだその結論を出すに至っていないということでございます。今後連立与党の中でも、また与野党含めて国会の中でも、あるいはまた国民的な論議というものも極めて重要な問題でございますから、ぜひこの問題についての御論議が成熟していくことを期待をしたいというふうに思っております。
○宮下委員 次に、防衛計画大綱の見直しについてお伺いをしたいと思います。
 防衛計画の大綱は、御案内のように、今まで我が国の防衛力の整備というのは、防衛庁が発足以来、一次防、二次防、三次防、四次防というような形で総額をある程度予定しながらも、歯どめなき軍拡であるという当時議論がございまして、しかし同時に一方、国際情勢もデタントの状況にあった三木内閣当時に、平和時における防衛力というのはどうあるべきかということを基本にして防衛計画の大綱が定められまして、以来一%枠という閣議決定を設けまして、一%の枠内であれば許容されるという考え方のもとに防衛計画大綱がつくられたのは御案内のとおりですね。
 この防衛計画の大綱は、お聞きしたい点を先に私の方から申し上げておきますけれども、ある程度の自衛力を持つということが結局我が国周辺の国際政治の安定化につながるというのが一つございますね。これが防衛計画大綱の思想です。
 それから、我が国に対する軍事脅威に直接対抗する、つまり脅威対抗論というのがありましたね。相手がどんどん軍拡するからこっちもやっていくんだという脅威対抗論ではなしに、みずから、自分の国が力の空白になってしまってこの地域の不安定要因になっては困るということで、独立国としての必要最小限度の自衛力を持つという考え方に立っておりますね。
 それから、平時は十分な警戒態勢をやることはもちろんでありますし、限定的・小規模な侵略に対しては極力これに対応する。しかし、どうしてもだめな場合には日米安保条約によって米軍の協力を得て排除していく。核の問題についてもしかりであります。
 それから、同時にもう一つ重要な点は、基盤的防衛力構想というのがこの中に織り込まれています。これは、情勢に重要な変化が生ずる場合があります。そういう場合に、新たな防衛力の態勢が必要とされた場合には円滑にこれに移行するよう配慮されたものでなければならないということも防衛計画の大綱に書かれておりますね。
 こうした防衛計画大綱の基本的性格、考え方について総理はまずどうお考えなのか、その点をちょっと包括的にお伺いしておきたいと思います。
○細川内閣総理大臣 まだその中身について、まさに今基盤的な防衛力とかさまざまなお話がございましたが、そのようなことを全部引っくるめて、先ほども申しましたように十七、八年、二十年近くたっているわけでございますから、こういう新しい時代の中で総体的に、例えば基盤的な防衛力というものは一体いかなるものであるべきかといったようなことも含めてもう一度基本から考えてみる必要があるだろう、このように思っているわけでございます。
○宮下委員 先ほど申し上げました自衛隊の記念日における総理大臣の訓示の中にも、意味のある防衛力ということを二度お使いになっていらっしゃるのですね。これは果たしてどういう御意向なのかなと。あるべき方向を定めなければいけない。自衛官に向かって、現職の最高指揮官が、意味のある防衛力でない面もあるんだよと言わんばかりの、二回にわたっての訓示をされておられますね。
 このことはちょっと指摘にとどめておきますが、同時に大綱につきましても、今総理の御答弁のように二十年たっているから、科学技術の進歩等を考えると、時代の要請に適合したものであるかどうか、改めて基本的な考え方についてこれは整理してみる必要があるのではないかということを申し上げて、今の答弁と同じことを訓示の中で言われていますね。私は、これがまた真意がどういうことにあるのか。防衛計画の大綱の本旨というのを余りよくおわかりになっていなくてこういう軍事技術と大綱の関係だけを言われたのか。あるいはハイテク防衛とか、むだなことが多いと。例えば陸上自衛隊なんか総理がどうお考えか。むだなことが多いとはハイテク防衛を意図して言われているものなのか。要するに、意味のある防衛力というものは何なのかという点が非常に不明確です。私はその点、非常に疑問に思っておりますので、その点だけを指摘申し上げておきます。
 そこで、二月十五日の安全保障会議において総理は、防衛力整備の指針であります防衛計画大綱を見直すために首相の直属の諮問機関としての懇談会を設置する意向を正式に表明したと伝えられております。そのとおりだと思いますが、そうでなければ御答弁願いたい。
 そして、この懇談会はいっ発足するのか。今月下旬ごろ、改造の問題が総理、頭の中いっぱいですから、それどころじゃないとおっしゃるかもしれないが、しかしいつ発足するのか。
 それから、何をねらいとしてこの懇談会をやられようとしておるのか。情勢判断を変えようとしているのか、あるいは自衛官定数問題をスリムな自衛隊ということの見地から見直そうとされているのか。あるいは防衛政策のあり方、つまり三自衛隊の機能的な運用その他についてもメスを入れていこうとされているのか。あるいはPKOの位置づけを自衛隊法の中の三条の本来任務に加えようとされておられるのかどうか。
 こういうことで、私どもはやはり中期防の修正その他やってまいりましたけれども、基本的な防衛計画の大綱の考え方は考え方として是認をしながら、しかし減額修正をしながら、そしてまた防衛計画の大綱については別表の、例えば陸上自衛隊十八万と書いてありますが、今の中期防には十五万三千人を限度とするというアッパーリミットをもうあらかじめセットしてありますから、実際は十八万人体制じゃなくて十五万人体制なんですね。そういうことどももございますので、私どもは別表の検討を中心にしてやろうと考えておったわけでございますが、一体、全体をがらっと変えてしまおうとされるのかどうか。
 それから、この結論をいつごろまでにお出しになるのか。ことしの夏ごろまでなのかどうか。そしてその結果を平成七年度予算にどう反映なさろうとしておられるのか、その点をちょっとお伺いしておきたい。包括的にちょっとお願いします。
○細川内閣総理大臣 先ほどお尋ねございましたように、十五日の安全保障会議におきまして、防衛計画の大綱の基本的な考え方について懇談会を設置したいということで御了解をいただきました。それで、今月中にもその懇談会を開催をしたいというふうに考えております。
 検討の対象についてでございますが、大綱にかわる新しい考え方の骨格につきまして御意見をい
ただきたいと考えておりますが、そこでの議論の対象につきましては、今いろいろ具体的にお挙げになりましたが、大体そういったテーマもすべて含めて、今後メンバーになられる方々と御相談をしながら詰めてまいりたいというふうに考えております。
 それから、懇談会は本年の夏ごろまでには終わりたいというふうに考えておりまして、それを七年度の防衛力整備に何らかの形で反映し得るようにできればいいな、そのように考えております。
 メンバーの人選につきましては、防衛、外交あるいは経済、財政などの専門家、あるいは国際的な視野を持った方々、できるだけ小人数の方々に集中して議論をお願いをしたいというふうに思っておりまして、これからそれぞれの方々に御了解をいただきたいというふうに思っております。
○宮下委員 今の総理の御答弁では、この懇談会は夏ごろまでに結論を出して、平成七年度予算に何らかの形でこれを反映したいということでございますが、実際の構成といたしましては、防衛計画の大綱はいわば基本的な問題でございまして、その上に中期防衛力整備計画というのをつくっておるわけですね。そして、現在の中期防衛力整備は平成三年から平成七年までと、来年いっぱいを予定しています。そして、平成三年から四年にかけて見直しをやりまして四年に修正していますね、御案内のとおり。
 そういうことでございますので、総理のお考えは何らかの形で反映したいとおっしゃられますが、実際、中期防を直さないと反映のしようが私はないと思うのですね。一体、中期防の修正がそれまでに可能であると、平成七年度に反映させるまでに可能であるとお考えですか。
○細川内閣総理大臣 可能であるかどうかも含めて御検討をいただきたいと思っております。
○宮下委員 これは総理にお伺いするのはちょっと酷かと思いますので、防衛庁長官にちょっとお伺いします。
 中期防の策定というのは、やはり三幕の要求全部吸い上げて、そしてそれを調整するということで、大体一年ぐらいはどうしても必要なんですね。そういう実態が今までございます。今度見直すにしても、我々は修正をした場合でも、それだけの時間をかけて徹底的な検討をした結果が修正につながったわけですね。防衛庁長官、そんな二、三カ月で簡単に中期防の修正はできますか。
○愛知国務大臣 平成七年度の予算は、御承知のとおり八月いっぱいに概算要求を出して、それをもとにして予算編成の作業が進められるわけでございまして、この私的諮問委員会がどういう結論を、夏までにということでも、概算要求のときにそれを間に合わせるということは実際問題としてかなり難しいかなという感じを抱いております。
 総理がおっしゃるように何らかの形で反映させる、その方法につきましては、その方法を検討させていただきたいと思いますけれども、平成七年度の予算でがらりとすっかり様相を変えるということは実際問題としてはかなり難しい、このように認識をいたしております。
○宮下委員 中期防の修正問題、先ほど触れましたけれども、我が自民党の政権時代も、やはりこの国際情勢の変化等踏まえまして、中期防の中に三年後の見直しという規定がございました。それを前倒しいたしまして、二年で修正をいたしました。このことは御案内のとおりですね。
 これにつきましては、二十二兆七千五百億円という規模でございましたけれども、そして平均伸率は三・〇%、二年後の修正案によりますと、これを五千八百億円削減いたしております。この中には湾岸戦争のときに約束された一千億も含まれているのは御案内のとおりですが、そして平均伸率は二・一%ということで非常に抑制されたものにしました。
 そして、正面契約ベースにつきましても、二・三%マイナスでありましたものをさらにマイナスの六・二%にするということで、正面装備の契約額も五兆円から四兆四千億くらいに減らして後年度に対する影響度を緩和しようという努力、これは大変つらい努力でございましたけれども、そういう努力を我が党の政権時代にはやってきておるわけですね。総理はそのことは重々御承知かと思いますが、一体この中期防の修正についてどう評価なすっていらっしゃるのか、その点ちょっとお伺いしたいと思います。
○細川内閣総理大臣 これは大変本当に御苦労をなすって、宮下前長官を初めとして自民党の国防関係の皆様方の御努力のもとでこの修正がなされたということは私もよく認識をしておりますし、また高く評価をいたしております。
 そういうことを踏まえて、なおかつ先ほど申し上げましたような大きな流れの中で、大綱の中にもまた、基本的なもちろん考え方については、大筋で私は今日も変える必要がないという認識をしていることがたくさんあるわけでございますが、しかし、にもかかわらずやはり基本的に少し視点を変えた方がいいのではないかというところもございますので大綱の見直しということを申し上げているわけでございますが、この中期防の下方修正の問題につきましては、先ほど来申し上げますように、高く評価をしているということを改めて申し上げます。
○宮下委員 ありがとうございました。
 それでは次に、時間もございませんので、国際平和協力法の問題、PKOの問題について若干お伺いしたい。
 カンボジアヘのPKO派遣も、私がちょうど防衛庁長官のときに、これは初めての業務でございますから、どうしても安全性、あるいは立派な仕事をしてもらいたい、また国際社会の中へ、初めて自衛隊を海外に派遣するわけでございますから、そういう意味でも本当に神経を使ってやりましたが、法律が施行になって一カ月後には派遣できるという状況でございました。これは平素の自衛隊の訓練があればこそだと私は思っております。
 今いろいろ国連でPKO活動がなされておりますけれども、総理に御確認をしておきたい点は、カンボジアでは、また今の国際平和協力法は五原則というのがございますね。停戦の合意、派遣の同意、中立公正あるいは撤収、武器の使用というような点についての合意をきちっと厳格にこれを規定してやっておりますが、実際はユーゴ型の国連防護軍に見られますように、国連の今行われておるこの紛争処理の実態は、武力をかなり重視しておるというようにも思われます。したがって、五原則を今後も維持されるのかどうか。
 また、国連のガリ事務総長の言われているような、これは「アジェンダ・フォー・ピース」という、「平和への課題」という中で、平和執行部隊の創設とこれの予防展開を述べておられますね。そういうことで、今後の国連への加盟問題を含めて、こうした問題は私どもとしてどうしても検討をしておかないといけないと思うのです。国連の常任理事国に日本とかドイツが入った方がいいとかいう検討もなされておりますけれども、これは時間をかけないといけない問題でございますけれども、そういうことを頭に置いた場合でも、そういう点をきちっとしなければいけないと思うのですが、その点についてちょっと総理の所見をお伺いしたいと思います。
○細川内閣総理大臣 カンボジアにおける我が国の協力は、国際的にも高く評価をされておりますし、また国内でも高く評価をされているというふうに認識をいたしております。
 平和協力法の五原則につきましては、当然今後ともそれを遵守していく、こういうことであるというふうに申し上げておきたいと思います。
○宮下委員 ガリ事務総長の見解の問題は、また時間があるときに改めて論議を展開したい問題がございますから、これはまた後の機会に譲りたいと思います。
 そこで、もう一つの問題は、防衛計画大綱の見直しと絡めまして、PKOの自衛隊法上の位置づけをどうするかという問題がございます。これはPKOの法案の審議の際にも、自衛隊法の三条の基本任務にすべきだという議論と、いや、そうでないという議論の両論がございました。
 自衛隊法の三条は、直接侵略及び間接侵略に対して我が国を防衛することを主たる任務としということが掲げられておりまして、PKOの業務は、この附則によりまして、自衛隊の任務の遂行に支障を来さない限りこれに従事するというような法の仕組みと実態になっているわけですね。
 この点はひとつ基本的な問題でございますから、総理からこの移行について、これから検討するとおっしゃられるのかどうか、大体想像はっきますけれども、しかし、これをもしか三条の規定の中へ入れるとしますと、やはり組織、編成とか装備の整備は大変なこれは財政負担を要しますね。そういうことが一つあります。
 それから、PKO活動というものはそもそも、能力を十分に発揮するためには、自衛隊の組織、編成とかあるいは経験とか自給能力とか、こういうものをやはり基礎とする、それを活用するというところにスタートがあるわけでありまして、本来任務の中で訓練された自衛隊であってこそ初めてそうした任務にたえられると私は思うのでございます。
 そういう意味で、また国際的にも各国の軍隊がPKOの構成要員になっていることはこれは当然でございまして、この三条の基本任務とするかどうか、この点についての総理のお考えをお伺いしたいと思います。
○細川内閣総理大臣 自衛隊の存立目的を変えるということになるわけでございますし、国民的な議論を経た上で、その成熟を待って検討すべきことであるというふうに思っております。
○宮下委員 ぜひ、この問題は大変重要な問題をはらんでおりますから、慎重な御検討をお願いしたいと思います。
 それからPKOの問題につきましては、まあ今はいわゆるPKFと言われるものが凍結されておりますね。これは国際平和協力法の三条の定義の中にあります、例えば武装解除の監視でありますとか緩衝地帯の巡回をやるとか、あるいは武器の搬入、搬出の検査、確認をやるとか、あるいは放棄された武器の収集をやるとか、そういう業務は全部凍結されております。これは法律で定めるまでは実施しないとなっております。
 しかし、国際的なこういう中で、やはりこれは、私は凍結を解除した方がしかるべきではないかと思っておる者の一人でございます。そして、同時に法律には、この法律の実施のあり方についての三年後見直しがきちっと書かれておるわけでありまして、こうした点について、総理の御見解をお伺いしたい。
○細川内閣総理大臣 一年半後の見直しに向けまして、カンボジアなどの経験も踏まえまして、今後さまざまな御議論があるだろう、その御議論を踏まえて詰めていくべきことであるというふうに思っております。
○宮下委員 まあ総理の御答弁は大体、検討するとかいうようなことで、必ずしも具体的なイメージがわかないのは、失礼でございますが、率直に言って残念でございますけれども、こうした国の基本に関することでございますから、総理が最高指揮官としてやはりリーダーシップを発揮するというのは、それなりの見解をお持ちになって、そしてリードされることが必要であろうかと思いますので、そんなことを申し上げさしていただきます。
 それから先ほどの、ちょっと申し上げました安全保障理事会の常任理事国入りの問題でございますけれども、私はやはり、第四十八回の国連総会では改革案の論議もされておりますし、そしてまた、今の国連の機能としては軍事力による平和維持ということがかなりウエートが置かれているように思いますけれども、私は、総合安全保障の理念とか立場から、武力行使ではない地域紛争への対応がぜひ必要だと思うのですね。
 そういう意味で、軍事面のみならず、経済、社会、人権を含めた拡大した機能という点に着目をしてこの国連の平和維持というものを考えていくべきときになっているのではないか。もう紛争が起こって、武力鎮圧をやるといっても限度がございますし、多大の犠牲を伴います。
 そういう意味で、我が国は総合安全保障を提起するには最もふさわしい国であろうかと存じますので、ぜひそんな意味で考えていただきたいし、また、その国連の場を通じまして、いい意味での我が国のアジア政策なりなんなりというものをきちっと位置づけした方が私はいいと思うのです。それの方が効果的だ。
 そしてまた日本は、アジアを代表いたしまして七回も非常任理事国として経験も積んできておるわけでございまして、国際協調のノウハウも十分蓄積をしておるわけで、国連の分担金も非常に多く負担している、こういうことでございますから、ぜひそういった点、前向きに御検討をいただきたいと思いますが、いかがですか。
○細川内閣総理大臣 昨年の十二月に、国連総会におきましても作業部会の設置が決まりました。ことしの九月中旬までには何らかの報告を行うということになっておりますし、今後、改組後の安保理のあり方などが国際的に大いに議論されることになるだろうということだろうと思います。
 その際に、日本が国連においてより大きな役割を果たすためにどうすればいいのか、大いに日本は国際社会の中でその責任を果たしていくべきだという声は当然高まってまいるだろうと思いますし、それはまた国際社会の中の客観的な事実だろうというふうに認識をしております。
 繰り返しいろいろな機会に今までも申し上げてまいりましたが、我が国としては、このような作業部会の議論に積極的に参加をしていくということが必要だと思いますし、国際社会の期待にこたえてなし得る限りの責任を果たしていくということが肝要であろうというふうに考えます。
○宮下委員 ぜひとも国連の、これから新しい世界の平和の秩序の構築という面では国際連合というものを無視できないわけでございますので、今総理から前向きな御答弁をいただいたように、ぜひお取り組みをいただきたいと思うわけでございます。
 時間がございませんので、あとちょっと簡単にアジアの安全保障について、総理がどのようなお考えを持っておられるかお聞きをしたいと思います。
 アジアはヨーロッパと違ってバイの条約でネットワークがつくられておりますね。したがって全体としては、冷戦構造は終わったとはいうものの、余り変化をしてない状況でございますが、しかし、やはりヨーロッパにおけるCSCEみたいなああいう組織というものを念頭に置きながらアジアと協調的に防衛関係の交流もする、あるいは安全保障の共通の認識を深めていくということは非常に重要だと思うのですね。そういう意味で、今までもASEAN拡大の外相会議でありますとか、あるいはASEANの地域フォーラムの提唱もございますし、クリントン大統領も新太平洋共同体構想というようなものを出されておられますね。
 そういうことですから、どうか、CSCEのアジア版といえばCSCAということになるでしょうけれども、直ちにそういうことにはならないとは思いますが、しかし、視点としてはどうしてもそういう点をやはり視野に入れて、我が国の安全とアジアの安全保障、これが世界の平和につながるわけでございますから、そういった基本的な考え方を私は総理に持っていただいて、そして場合によれば懇談会等においてもそういったグローバルな話も検討の対象にしていただきたいと思うのですが、いかがですか。
○細川内閣総理大臣 懇談会においてそういうテーマを御検討いただくかどうか、それも御相談をしてみたいと思っておりますが、CSCEのような形のものがこの地域において適当であるかどうかということは、これもまたそこでの御論議などを見守ってまいりたいと思っております。
 しかし、いずれにしても、この地域におきまして、透明性とかあるいはまた相互信頼というようなことが確保される状況を構築をしていくということは何よりも大事なことだと思っておりますし、二国間あるいは多国間で、例えば人事交流のようなものも含めてさまざまな、人事交流というのは例えば制服の人たちの人事交流なども含めて、さまざまな取り組みというものがあり得るのではないかというふうに考えております。
○宮下委員 時間もございませんので、最後に、日米安保条約の堅持と日米経済摩擦についてだけ、ちょっと所見を申し上げながら御見解を承りたいと思うのでございます。
 経済包括協議は今非常に日米間の経済戦争とも言われる状況になっておりますね、そして総理は、やはりこうした経済の問題と政治、安全保障の問題とはこれは別の世界で、それはもうセパレートしているから大丈夫だというような趣旨の御発言もあったかと思うのでございます。しかし私は、必ずしもそう言い切れるかどうか大変心配なんです。
 つまり、自民党政権時代は、我が国の安全保障、それからアジアの安全保障、これを、日米安保条約を基軸としておりますから、安全保障の面と経済はリンケージしない。つまり、経済的な問題も今まで摩擦がたくさんございました。しかし、そのたびに我が国はアメリカの駐留軍経費についても分担をいたしまして、そしてこの安保の関係だけは経済とは別ですよという信頼関係もあった、相互にそういう認識もあったと思いますね。
 しかし、もう最近になりますと、やはり戦後世代のクリントン大統領も出られるような時代になった。アメリカの考え方も見方も違ってきていると思いますし、それからまた、何よりも米ソ冷戦構造が終結をして日本に対するアメリカの役割というのは随分認識が違ってきていると思いますから、そう簡単に安全保障観と経済とは別になっている、リンケージはしていないんだと言い切れない面がございますので、このリンケージさせないような努力をしませんと、日本の存立にかかわる問題、基礎の問題でございますから、大変重要な視点でございますから、どうかその点をしかと認識をされまして、経済摩擦抗争その他に対処をしていただきたいと思います。
 総理の御感想をお伺いして、質問を終わります。
○細川内閣総理大臣 全くおっしゃるとおりだと思います。私もそのような意識を持って今回の首脳会談にも臨んでまいりましたし、また、現にそこにおきましても、北朝鮮の問題でありますとか、あるいは旧ソ連の問題などもその首脳会談におきまして話題に上ったところでございます。
 おっしゃるようなことをよく念頭に置きながら、今後とも対応をしてまいりたいと考えております。
○宮下委員 ありがとうございました。
 終わります。
○山口委員長 これにて宮下君の質疑は終了いたしました。
 次に、松本善明君。
○松本(善)委員 総理大臣、きょうは細川総理の疑惑について伺いたいと思います。
 総理が総理に就任をされてから、たびたびこの国会でも細川総理自身の疑惑の問題が取り上げられてまいりました。小泉純一郎さんが、あなたの佐川疑惑について、自民党政権時代なら当然辞任だ、こういうことを書いておられます。小泉さんとは考えもかなりいろいろな点で違いますけれども、この見方は私はそうではないかと思います。
 といいますのは、金丸信氏の五億円も、それから起訴をされました金子元新潟県知事の場合も、やはり佐川マネーだったわけですね。佐川というのは、御存じのように、運輸、交通問題から労働問題まで、違法なことがいっぱいありました。それが献金によって覆い隠されてきたという、これらの事実がずっと出てきていたと思います。
 一億円の疑惑の問題もありますが、最近では十億の金の便宜供与がなされた、京都のあなたの別邸の修理ということで、そういう報道もされております。いずれにしても、我が党の吉岡議員が参議院でも追及しましたが、佐川との関係は細川総理は非常に深い方であるということが明らかになってきているかと思います。
 あなたと考えが近いと言われております小沢一郎氏は、政治資金の出入りを一円に至るまで全面的に公開し、流れを完全に透明にすることが必要だということを言っておられます。御本人は必ずしもそういうふうにしておられるとも思いませんけれども。私は、総理大臣という立場は、これはもう質が違うのだと思うのですね。政治倫理綱領にも「疑惑をもたれた場合にはみずから真摯な態度をもつて疑惑を解明し、」というふうにあります。
 総理大臣が政治改革ということを言われる限りは、やはり自分にかけられた疑惑については徹底的に解明をする、そして国民の前に明らかにするという政治姿勢がどうしても必要だろうというふうに私は思いますけれども、この総理が自分にかけられている疑惑についてどう対処をされるのかという考え方をまず最初に聞いておきたいと思います。
○細川内閣総理大臣 この委員会におきましても再々申し上げてまいりましたように、いわれなき疑いを持たれるということは大変残念なことだと思っております。この場におきまして誠心誠意お答えのできることはお答えをしてきたつもりでございますが、まだ残念ながらそのような疑念を解いていただけるに至っていないという状況でございまして、大変残念な話だというふうに思っております。
○松本(善)委員 かつて宮澤前総理が大蔵大臣のときに、リクルートの株の売買について、秘書がやったというふうなことを言われて、その弁解が通らなくなって辞任をされたことがありました。国務大臣が国会でうそを言うということは、政治全体に対する信頼を失うことになります。特に総理大臣にとってはそれは非常に大きな、個人的な問題であっても、国政全体の信頼にかかわるものだというふうに思います。
 そういう点では、食言というのも非常に厳しく追及をされるわけでありますけれども、この総理の国会での答弁の重大さということについて、総理、どのように考えておられるか、これも最初に聞いておきたいと思います。
○細川内閣総理大臣 先ほども申し上げましたように、できる限り誠実にお答えをしてきたつもりでございます。
 ただ、本件がかなり時間的に古い話でございますから、記憶が正確でない、あるいは私だけではなくてその担当をした者たちの記憶も定かではないといったようなこともございまして、多少その辺で誤解を招くようなことがあったかと思います。その点については大変申しわけなく思っております。
○松本(善)委員 きょうは、総理のマンションが担保になってNTT株が売買をされた問題について、まずお聞きしたいと思います。
 総理のマンションを担保に、総理の義父の、奥さんのお父さんの名義で約四億円を借りてNTT株の売買が行われた。約五千万円の売却益とNTT株百一株、当時、八七年三月でありますが、時価で約二億七千万円、計三億二千万円を時価で計算すれば入手をされたという問題が各紙に大きく報道され、国会でも追及をされました。NTT株の売買というのはほとんどの国民が大変損をしているんです。それらの国民がこの総理の疑惑についてどう思うだろうか、この国民の気持ちを考えながら答弁をしてほしいと思います。
 政治改革の中心問題というのは、やはり政治の場で金もうけをしている、政治家が地位を利用して金もうけをしている、これはけしからぬじゃないか、この怒りが爆発をしたんです。それだけに総理が誠意を持って解明をしていただきたいというふうに思うわけでございます。
 総理は、一番最近では一月七日の参議院の政治改革特別委員会で、この問題についてみずからの関与を否定され、麻布のマンションを担保に提供しただけだと答えられました。さらに、この取引
に総理の深山元秘書が関与をしていたことも認められました。あなたが担保を提供し、あなたの秘書が事実上この取引の実務を行ったというだけで、これは実はあなたの取引だという疑いは極めて濃厚であります。
 あなたは、この取引の結果、結局あなたの奥さんが相続をされましたNTT株百一株を担保に軽井沢の別荘をあなたの同族会社が買い、総理夫妻だけが使っていることについて参議院で追及をされて、同族会社だからそういうふうになるという趣旨の答弁をされました。
 私はこの問題をきょう御質問するということで、きのう総理の秘書の方たちに深山秘書によく事情を調べてきてほしい、大体こう思うというようなものではだめだと、やはりはっきりと調べて国会に責任を持った答弁をしてほしいというふうに申し上げましたが、深山秘書に詳しくこの間の事情についてお聞きになりましたでしょうか。
○細川内閣総理大臣 事務所の方から深山秘書には確認をしているということでございます。
○松本(善)委員 この取引は、実は投資コンサルタントが仲介をしたものであります。私は、その投資コンサルタントにお会いをして直接話を聞いてまいりました。
 仮にこの人をA氏と言いますけれども、この人の話によりますと、深山元秘書、あの当時の深山秘書は、あなたの指示で来た、こういうふうに言ったということでありました。それで、細川は知事なので別の人の名義にしたい、こういうふうに言ってこの取引が始まって、あなたの取引を名義だけあなたの義父のものにした、上田正平さんのものにした、こういうふうにこの投資コンサルタントは言っております。どうですか。そういう投資コンサルタントが、そういう取引をしたということをはっきり私に言っておるんです。
 あなたはこの問題について、深山氏がそういうふうに言ったというんですよ、深山氏に、事務所を通じてでありましょうけれども、どういうふうに確認をされましたか。
○細川内閣総理大臣 同じような話が週刊誌にも出ているようでございますが、深山に確認をいたしましたところ、そのようなことは申していないということでございました。
○松本(善)委員 この投資コンサルタントが介在したということはお認めになりますか。そういうことは、深山氏は言っていましたか。そういうふうに言っていないということは、投資コンサルタントを通じてやったけれども、あなたの指示で来たとか、あるいはほかの人の名義にしてくれというふうに言ったことはない、こういうだけのことでございますね、今のお話はそう受け取りましたが。
○細川内閣総理大臣 深山秘書に確認をいたしましたところ、その投資コンサルタントからはたびたび電話をもらっているけれども、一貫して私の取引ではない、私というのは私のことでございますが、細川の取引ではない、このように説明をしているということでございました。
○松本(善)委員 そうすると、結局、投資コンサルタントが間に入って、事実関係で違うというだけでございますね。うなずかれたので、そのとおりということでありましょう。
 実は、この投資コンサルタントのA氏とどうして知り合ったか。この人の知人が熊本であなたに会って、この投資コンサルタントのNTT株の投資プランの説明を受けて、NTT株を買いたい意向を伝えたと。あなたから伝わったと。私は、そのときに説明をしたというNTT株の公開順序についての文書、契約書、皆持っております。もらってきました。あなたに知人が説明をしたということです。こういうことがあなた自身についてあったという記憶は思い出せませんか。
○細川内閣総理大臣 全く記憶しておりません。
○松本(善)委員 この人の話によりますと、いろんな人にこの投資プランを説明したけれども、乗ってきたのはあなたの件だけだった、こういう話でございます。この人は、知人からあなたの意向を聞いて、深山秘書があなたの指示で来たということなのでこの取引をやるようになったということまで言っておりました。そこまで申し上げても、やはりそれに類する記憶は起こりませんか。どうぞ答えていただきたい。
○細川内閣総理大臣 申しわけございませんが、全く思い出せません。
○松本(善)委員 それではちょっとその事情をお話しして、伺いたいと思います。
 あなたの奥さんのお父さんの名義の取引といいますのは、NTT株が一般売り出しになる前の入札によるものであります。売り出し価格を決定するためのものでもあったんです。ですから、当時は、独自の調査能力を持った一部の機関投資家を除きますと、ほとんど入札価格については、どういうふうに入札したらいいかということについては手探りの状態だった。入札でNTT株を入手できた人はごく限られた人です。
 入札は、法人が千七百五十二社、個人が九百三十六人。そのうち落札できたのは、法人が五百二社、個人は百九十一人。個人は約二割にすぎません。高く入札をして大変損をした人もいれば、低過ぎて応札できなかった人もたくさんおります。ごく少数の限られた人だけができる取引であります。
 ところが、あなたのかかわる入札は、三百株とも応札できただけではなく、私の調べた限りでは、入札価格も極めて上手に分散をされて、いわば非常に上手な入札が行われております。あなたのお父さんの上田正平氏は、NTTの事情に詳しいとか株の専門家でもありません。当時八十歳近い上田正平氏だけでできる取引とは思えないのです。どうしてこのような取引ができたと思う。これは証券取引に詳しい人の助力なしにできることではないと思うのです。
 これは、あなたも今お認めになりましたけれども、証券コンサルタントがいたからこそできたというふうに思っておられますか。その点の認識を伺いたいと思います。
○細川内閣総理大臣 これは前に申し上げましたとおり、私が義父名義で証券金融からマンションを担保に四億円を借りまして、NTT株を購入をして、売却益五千万円を得たのではないかという話が伝えられているわけですが、それは事実ではないということを申し上げているわけで、私自身がNTT株を購入したわけではございませんし、私の義父の話でございますから、私はその細かいことは、どうおっしゃられても、ちょっと何とも申し上げようがない。
 そこで、ただ、前から申し上げていることは、義父の会社の経営について私の深山秘書が、特定の問題ということではございませんが、折に触れて相談に乗っていた、まあ年でもございましたから、そういうことはあったというふうに思っております。
○松本(善)委員 ちょっと確認をしておきますが、結局あなたの取引ではないというふうに考えておられるけれども、深山氏が動いたということと、それから証券コンサルタントが介在をしてこの取引が行われたということは認めておられるわけですね。その点だけちょっとはっきり確認をして、次へ行きたいと思います。
○細川内閣総理大臣 私の取引ではございません。第一点はそういうことです。
 それから、深山秘書が、その父の株の購入に当たって、それを手伝っていた、恐らくその辺のアドバイスはしたであろう、こういうことはそのとおりだと思います。
 それから、コンサルタント云々というのは、恐らく、再々電話がかかってくるということでございますから、そういうことがあったのではないか。どの程度のかかわりかはわかりません。
○松本(善)委員 それでは、この取引は、あなたが七千七百万で買っているマンションを限度額一億八千万円の根抵当を設定をして、これから買う予定のNTT株と合わせて担保にして、東京証券金融株式会社から四億一千七百七十万円の融資を受けて行われたものであります。これは登記簿にも出ております。不動産の担保価値といいますのは、普通大体七割程度であります。入手後約四年の値上がりを考慮に入れても、根抵当の限度額というのは異常に高いものであります。
 また、このときのNTT株の売り出し価格もまだ決まっていない、担保価値も全く決まっていない。金融関係者の言葉で言えば、担保としては空っぽなんです。しかも、応札できるかどうかもわからない。応札できても、株券は本人に書留で郵送されることになっておりまして、確実にその株が担保にとれるかどうかもわからない、こういうものであります。よほどの信頼がないと四億以上の融資をするということはあり得ないのです。
 現に、この取引で東京証券金融株式会社は融資をしておりますけれども、あなた方、あえて私はあなた方と言いますけれども、最初は都市銀行に相談に行って断られているのです。それで、A氏の紹介で東京証券金融株式会社から融資を受けたのでありますけれども、このA氏の話によりますと、東京証券金融側は、A氏の、コンサルタントの紹介だし、相手が細川さんだから融資をしてもよいということだった。
 あなたは義父に担保を提供しただけ、こういうふうに答弁をされていますけれども、上田正平氏の住居は借家であります。上田氏自身の担保は全くありません.、株の購入資金も出しておりません。NTT株購入資金の全額を準備をしたのは細川さん、あなたであります。深山氏は、元麻布のマンションと軽井沢のあなた名義の別荘二つを担保に入れようということで、権利書を出したそうです。しかし、東京証券金融の方では、細川さんだからというのでマンションだけでよろしいということでありました。
 普通の人はもう到底受けられないような特別の巨額の融資が、あなたとその証券コンサルタントのA氏の信用で受けられた。これはもうだれが見てもそうですよ。あなたは、こういう事情を私が御説明しても、そうではないというふうに言い張られますか。お聞きしたいと思います、し
○細川内閣総理大臣 これも前から申し上げていることの繰り返しになるかと思いますが、今お話がございましたこととも関連をいたしますけれども、義父が、義父のNTT株の購入に当たりまして、申込証拠金を工面するための担保を提供してほしいと依頼をされまして、元麻布のマンションを担保に提供したまでであるということは前に申し上げたとおりでございます。
 これも今お触れになりましたように、昭和四十六年の秋以降、私の義父は借家住まいでありましたために、担保を貸してほしいという話がございまして貸したわけでございますが、その後亡くなりまして、家内が百一株を相続をいたしまして、これも資産公開をいたしているということでございます。
 調べました結果、これも前に申し上げたかとも思いますが、元麻布のマンションを担保にいたしまして、昭和六十一年の十一月四日に申込証拠金一億二千万円を支払って、NTT株三百株を四億二千万円で購入をしたというふうに聞いております。このNTT株三百株の購入資金は、さきの申込証挺金の約一億二千万円と、それから入札に成功した時点で、その株を担保に金融会社から借り入れた三億円の両者を合わせたものである、合わせて購入したものであるというふうに聞いております。それ以上のことはちょっとわかりません。
○松本(善)委員 総理、私が今詳しく申し上げましたように、とても普通の人が受けられないような融資を受けて売買がされているのですよ。それは、とてもあなたの言い分は通らないです。
 今、深山氏がその証券コンサルタントの方から何度も電話をもらったと言っていますが、同時に、この方の話によりますと、深山氏から何度も何度も電話がかかった、昨年の末以来、何度も何度も電話がかかってきているというのです。要するに、あなたの取引ではなくて、義父の、奥さんのお父さんの取引にしてくれというふうなことを頼んだ。彼は、そんなことを思っているようだけれども、世間はそれは通らぬよ、あなたが細川さんの立場を思って言っているのはわかるけれども、事実がわかれば細川さんはびっくり返るよ、うそを言ってばれると裏目に出るよ、こうまで言われているのですよ。どう思いますか。どちらが本当を言っているだろうか。
 私は、とても上田正平氏の取引とは思えない事情が、私は全部あのときのNTTの株、入札の状況その他を調べました。だけれども、それは証券コンサルタントの言われていることが本当だと思います。それは客観的にあのときの入札の状況を見ればだれでもわかります。融資の状況を見ればだれでもわかります。あなたはどう思います。
○細川内閣総理大臣 まあそうおっしゃられましても、私の取引ではないということを繰り返し申し上げているわけでございまして、そう申し上げるしかないということでございます。
○松本(善)委員 このA氏は、融資の交渉にA氏とそれから深山氏が行っている。A氏は上田氏には会ってもいないということです。取引の実態は、まさに名義は上田正平氏、取引は細川氏本人のものであったと言っても差し支えないものだと私は思います。総理は、結局全部深山氏から聞いておられるわけでしょう。直接ではないわけですよ。
 もし本当に総理が疑惑を晴らしたいというふうに思われるならば、深山氏の証人喚問に同意されるべきですよ。私は、堂々とあなたが違うと、私の言っているのは違う、それからその証券コンサルタントの言っているのは違うと言われるならば、それじゃ深山を出すから聞いてくれ、直接聞いてくれということを言われるのが当然ではないかと思うんです。あなたはこの深山氏の証人喚問に同意をされますか。
○細川内閣総理大臣 もう私の申し上げたことで明白であるというふうに思っております。それをぜひ信じていただきたい、このように思います。
○松本(善)委員 それはもうだれも信用しないですよ。このマンションは知事になったら使うというので佐川から一億円借りて買ったというのですよ。借りたのは買った後で、あなたは使わずに人に貸した、おまけにNTT株でもうけるために担保に使う、そのNTT株売買は義父がやったんだ、しかもそのNTT株を担保に使って軽井沢の別荘を安い値段で買う、これは疑惑を持つなと言ったって持たない方が不思議ですよ。知事になったときに備えて佐川から一億円借りたという、そのあなたの弁明も信じろと言ってもとても無理じゃないか。
 どうしても深山の証人喚問が必要だと思います。この喚問の要求を、理事会でも要求しておりますが、この際ここで要求をしておきたいと思います。
○山口委員長 理事会で相談をいたします。
○松本(善)委員 これで、あと一億円の借金問題もちょっと聞こうと思ったんですが、時間がなくなりましたので、東中さんの関連質問に移りたいというふうに思います。
○山口委員長 この際、東中光雄君から関連質疑の申し出があります。松本君の質疑時間の範囲内でこれを許します。東中光雄君、
○東中委員 総理にお伺いします。
 平成六年一月二十八日付の政治改革関連法案に関するいわゆる総総会談、総理・総裁会談の合意書についてお伺いをします。
 総理は、この合意書に内閣総理大臣細川護煕と署名していることについて、十八日の答弁で、この委員会で、この署名は内閣を代表する内閣総理大臣としてのものではない、こう述べられました。このような肩書の使用はあいさつ状や記帳などについても行っており、今回は実質的に連立与党全体を代表する地位にあるという意味も込めてあったかと思います、というふうに答弁されました。要するに、この署名は単なる肩書であって、内閣を代表したものでもないし、連立与党の八党五会派の権限ある代表ということでもない、こういうことだと思うのですが、そうですね。
○細川内閣総理大臣 先般申し上げたことと全く同じことを申し上げざるを得ないんですが、総理大臣の権限において署名をしたわけではございませんと、そのときにも申し上げました。そのとおりでございます。
○東中委員 連立与党の代表でもない。この合意書を見ますと、その冒頭で「第百二十八回国会の会期が残すところ一日となったいま、われわれは、」云々と書いて、「深刻な認識において一致した。」こう書いています。続いて、「二人は、」云々かんぬん「虚心に意を通わせたところである。」と書いてある。全く個人的なんですね。そして、「話し合いの結果、左記の事項について合意するに至った。ついては、」ということで十項目の合意が出てくるわけです。これはもう全く、我々というのは二人、意を通じてということになっているんですよ。
 一体何をやったのかといえば、それはいわゆる政治改革関連法案について、衆議院で修正可決をされた。しかし参議院で審議をやり、採決をして否決をされた。これは参議院の院としての意思表示ですね。それが両院協議会にかかった。憲法五十九条三項に基づく両院協議会、正規のものです。そして、参議院代表と衆議院代表であるそれぞれの協議委員が協議をした。二十七日、成案を得られなかったと二十八日の衆参両方の公報にちゃんと載っている。
 そうすれば、院として決まった正規の結論、それから両院協議会という憲法上の規定に基づく正規の代表による正規の参議院と衆議院と、否決と可決のその協議で成案を得られず、こういうものを何の、内閣総理大臣という肩書があるかもしれぬけれども、政党を代表するわけでもなし、院を代表するわけでもなし、行政府としてはもちろんあり得ない。そういう私的な合意をやって、そしてひっくり返したのですよ、これは。
 こういうことをやってこれで民主主義と言えるかという非難が、国内の世論もそうでした。そして、アメリカの新聞でもパリでもあるいはドイツでもそれぞれ日本の民主主義というのは何ということだということを言っているのです。
 こういう私的な合意、これはあなたはこれで民主主義の一つの方法だということを今なお強弁するのかどうか。それからもう一つ、ここでできた合意はだれに対してどういう効果を持つというのか。議会に対して、あるいはあなたが代表したわけでもない連立与党にそういう拘束力を持つのか、持たないのか、あなた自身はどう思っていますか。お伺いしたいと思います。
○細川内閣総理大臣 これもこの間申し上げたことと重複して恐縮なんですが、政党間の協議が調わない場合にはトップ同士が話し合うというのもまあ政党政治の一つのあり方ではないかといったような趣旨のことをこの間申し上げました。そのとおりだと今もそう思っております。
 それから、先ほど、総理大臣の権限において署名をしたわけではないということを申しましたが、与党の代表者会議から一任を受けて、実質的には連立与党全体を代表する地位にある者という意味を込めていたということもこの間申し上げたとおりでございます。
○東中委員 政党間の議論が収れんしない、今度はそんなんじゃないんですよ。参議院の否決という院の意思が確定したんです。そして、両院協議会で成案を得ずという結論が出たんです。衆議院公報にも参議院公報にも出したんでしょう。その問題を、政党間の意見が収れんしなかったから、だからトップ会談をやってひっくり返すんだ、そんなばかなことがありますか。全然違います。
 そういう認識で、実際上は、独裁的な個人の意思で議会をひっくり返してしまった。それが日本の民主主義を売り渡すような取引なんだということを各国から批判が来ている。それについてなおぬけぬけと、全く筋の通らぬことですね、政党問で話がつかなかったからトップ会談をやる、それはやったらいいですよ。
 今言っているのはそうじゃないじゃないですか。衆議院と参議院と違った、両院協議会でも成案が出ない。その問題を勝手に密室で二人で、我々は意を通じ合って、こういうことでやる。それについて、それが議会制民主主義を本当に覆す、あるいは国会を全く軽視するものだということについて自覚がないというのは、本当に恐るべき私は独裁的なそういう感覚だということで強く糾弾をしておきたいと思うんです。
 次に聞きますが、小選挙区並立制については、総理は選挙に金がかからないようにする、政党・政策本位の選挙をやる、そして腐敗をなくする、こういうことでこれを導入する大義名分とされた。我々は、小選挙区制は民意をゆがめる制度であり、民意の正確な反映という選挙制度の基本に反するものだという批判をしてきました。
 これに対して、総理は何回も答弁をされましたが、小選挙区と比例代表の定数が半々だから、だから民意の集約と反映が相まって、相補う形で実現されていく現実的な妥当な案だ、要約すればそういう趣旨のことをずっと繰り返してきました。
 ところが、今度の合意はどうですか。半々だと言っておった、そして、民意の反映と集約が相補う、こう言って正当化しておったことを、まるっきり反して三百対二百に、そして比例代表選挙は十一ブロック、比例の候補者数の要件を各ブロック選挙区の定数の十分の二以上の数とするというふうな方向を決めましたね、密室の協議で。今まで国会で、正規に内閣総理大臣として、国会に対し、国民に対し言ってきたこととまるっきり違うことを、全く密室で、二人で意を通じ合ってということでやってしまった、これが実情じゃありませんか。
 三百対二百、十一ブロック、これは八次審の答申の構想ですが、これは国会に一回もかけられたことはないですね。提案されたこともない、審議の対象にもなったことない。ところが、二人で勝手に、密室でやってしまったら、この合意書によって、今度は百二十九国会において、平成六年度当初予算審議に先立って実現されるようにするという合意をしているのですよ。これではあなた、国会を全く、政治改革どころか、政治改革を根底から覆していくことになるじゃありませんか。どう思われますか。
○細川内閣総理大臣 国会における御論議も踏まえて、与党と自由民主党とが政治改革を何とか実現をして国民の御期待にこたえなければならない、そういう共通認識に立って、お互いの立場を乗り越えて歩み寄った結果まとまったものである、このように受けとめております。
○東中委員 それは、あなた、ここに書いてあることを言っているだけじゃないですか。自分が国会に対して言ってきたこと、それを何の論議もしないで、国会で審議もする機会もないままに実現させるんだというようなことを、合意をやって、それを押しつける、こういうことが許せますか。
 小選挙区並立制ということで、さきの国会では、少数政党を切り捨てる、国民の被選挙権の侵害がいろいろ問題になりました。そういう中で、政党中心の選挙だ、それから金のかからない選挙ということで、この三百、二百の小選挙区比例代表並立制ができたという場合に、この選挙は民意を反映させるための選挙ですから、政党はそういう役割を持っているわけなので、この政党が国民に民意を反映する機会を提供しようとすれば、すべての選挙に参加することが必要になります。そうすると、小選挙区で三百人の立候補、それから比例で十一ブロックで、しかも各ブロックごとに十分の二立てなければいけないということになれば、最低四十五人を立てなければいけないということになります。
 ところが、日本の今の制度でいけば、立候補制限は、政党要件いろいろありますけれども、そのほかに選挙供託金制度がある。特に、小選挙区制では議員一人当たり三百万、それから比例代表選挙では六百万というふうにこの間の法律ではなっております。
 そうしますと、三百及び二百の比例代表ということになりますと、比例で二億七千万円、それから小選挙区制で九億円、合計十一億七千万円の供託金がなければ政党としての本当の選挙参加ができなくなる、こういうとんでもない制度になっています。
 中選挙区から小選挙区制にした、ふえたということで、いよいよひどい状態が起こってきます。事実上の被選挙権、政党の選挙活動をこういう財政的な面で抑圧するということは許されないと思うんですが、定数を変えたことによって一層大きくなってくる、この点について、定数を変えるということならば当然そういうことも考えなきゃいかぬじゃないかと思うんですが、いかがですか。
○佐藤国務大臣 修正の前のときにも東中議員からこの点については御質問を受けたと思いますけれども、公選法でいろいろと運動の量を決めますときにはどうしても候補者数というものを一定の量にして運動量を決めるというやり方でないと、とにかく人数を立てればいいということになったんでは選挙が非常に効率的に行われないということになってくるわけでございますので、したがいましてこの供託金制度というのは設けられていることは御承知のとおりでございます。
 したがいまして、この三百万というのは現行の衆議院あるいは参議院の選挙区選挙の金額でございますし、六百万というのは参議院の比例代表の選挙の金額でございます。
 東中委員のお話を聞いていますと、供託金を出すと何か全部国が没収しちゃうようにとられますが、今度は小選挙区の場合には十分の一、有効投票の十分の一ということで、ちゃんととれば返ることになっておるわけでございます。
 今までの選挙では、候補者一人当たりの選挙の執行経費、それから公営費というのが、合わせますと、衆議院の平成五年の場合には四千三百七十八万円かかっているわけですね。あるいは平成四年の参議院の執行経費及び選挙の公営費を見ますと、五千二百三十万という大変な金額がかかるわけでございますから、やっぱりそれに見合うものを、ただ候補者を立てて、そして運動量だけをふやそう、当選は度外視だというようなケースを除去するために合理的なことでこの供託金というのは設けられておるわけでございまして、ひとつ御理解をいただきたいと存じます。
○東中委員 選挙供託金制度というのは、比例代表選挙をとっておるところでは世界各国ほとんどありません。それから、小選挙区制の場合は、英米系の小選挙区制のところは若干ありますけれども、この金額を見てみますと、イギリスの場合は小選挙区一人につき約九万円です。換算率がありますけれども、約九万円。フランスは約二万二千円です。カナダは約一万九千円です。オーストラリアの場合は下院が約四万、上院が約二万。せいぜいイギリスが比較的多くて、日本はその多いイギリスの三十倍ですよ。それから、カナダなんかのことを思えば百倍、百五十倍でしょう。こういう制度をやっておるところはありゃせぬのです。
 今度は中選挙区制じゃないんですよ。あなたが今言われたのは中選挙区制のことを言われたんでしょう。中選挙区制は個人が立って金がかかるから政党本位の小選挙区制にするんだって、そう言うたんですよ。それは本当かうそかは別としてですよ。中選挙区制のときのやつをそのまま持ってくる、今までやっておったことだからと。筋が通らぬじゃないですか。、
 小選挙区で、世界的にやっているのを見れば、日本の今の制度の三十分の一から百五十分の一。三倍とかいうんじゃないんです。べらぼうにたくさんになっているということについて、今度中選挙区から小選挙区にして、なぜ下げなかったのかということを聞いているんです。
○佐藤国務大臣 東中議員言われますように、供託金の金額というのは、諸外国の例を挙げられましたけれども、確かにそのとおりだと私も思っております。日本ほど選挙の公営ということが進んでいるところはないのでございまして、ポスターの印刷代から、あるいは新聞の広告代から自動車の使用料から、あるいは看板代からビラの作成費まで公営にしているという国は、私の知る限り日本以外にないのでございまして、したがいまして、そういった公営費が大変かかるわけであります。
 中選挙区制のもとにおいても小選挙区制のもとにおいても、このことは何もいじってないわけでございまして、そういった意味で公営費というのは大変かかるわけでございますから、国民の税金をこうやってやる以上、単なる選挙の当選は全く度外視をしてどんどんと候補者を出すということでは、これはこれでまた一人お金がかかるわけでございますから、したがってそれの一応のチェックといたしまして供託金というのがあるのでございまして、公営費の方のこともひとつ十分対比の上、御考慮をいただきたいと、こう思います。
○東中委員 選挙公営というのは何のためにやるのですか。あなたは、選挙公営というのは立候補者の利益のためにやっているような、全く低劣きわまる議論を今やりました。選挙公営は、選挙を、これは民主主義の一番もとですから、だから選挙権を行使する人が政策がよくわかるように、それから立候補者、被選挙権者の選挙活動を客観的に保障するために、立派な選挙をやるために国が補助をするんでしょう。
 そして、その補助をするのは、政党助成という形で日本の今の制度は政党活動一般に対してやろうとしているでしょう。しかし、フランスを除いてサミット参加国のイギリス、イタリア、カナダ、ドイツ、アメリカもそうですが、全部選挙についての補助を国が出しているでしょう。政党補助は選挙活動に対する、例えばテレビ、ラジオ放送とかはがきとか、そういうものに対する補助を出していますよ。これは、政党助成金というのはそういう形で使われているのですよ。日本も現にそれはやっていますよ。
 今度やろうとしているのは、政党助成ということで政治活動一般に対してつかみ金で四百十四億と言ったのがいつの間にか三百九億になる。全くの根拠のない、そういう金を政党には出す。しかし、本当に選挙をやろうというときに、今度はそれに対する助成、選挙公営で国の金が出ているから、だから立候補者には供託金たくさん積ませるんだ、こんなもの論理でも何でもありゃせぬです。どこの国でもやっていることじゃないですか。
 日本はたくさんやっているからといって、今政党に対してはっかみ金の使途さえはっきりしない、そういう助成をやる。憲法上問題がある。しかし、選挙に対する助成はやっているからといって、供託金を上げる理由にはならない。供託金を西欧諸国の何十倍、百倍、二百倍というようなことをする、そういう理由にはならない。
 それから、あなたは今、没収は、十分の一とれば没収がないんだと。ヨーロッパの例を見てごらんなさい。一〇%もとっているところがどこにありますか。どこにありますか。イギリスでも五%でしょう。オーストラリアは四%ですよ。そんな一〇%、べらぼうに三十倍から百倍高く積んでおいて、そして今度はとる方の限度はうんと多い。しかもそれは中選挙区制でだめなんだと言ったやつをそのまま持ってくる。小選挙区制にする。選挙区はうんとふえる。選挙区の中は人口も面積も狭くなる。しかし、そこで立候補するときは同じようにたくさん積ませる。
 こんなばかなことがありますか。これは被選挙権を抑圧するためのものである。政党中心の選挙だと言って、その政党に対して助成を出すと言うとりながら、その政党から立候補するときに、それは今度は金を積まなきゃいけないんだ、こういう矛盾したことを平気でそのまま引き継いでいく、これはだめです。
 総理、全体の位置づけを、制度を変えるんだから、そして助成もすると言っているんだから、それならば、余りにも不合理で、しかも事実上被選挙権を抑えるような、こういうことをやめるべきだと思うのです。小選挙区を三百にふやしたということに合意をされた、そういう時点でですよ。したがって、供託金制度もせめて世間並みに、諸外国並みにするようなことを考えるべきだと思うのです。
 それから、比例代表についてはオランダだけですよ、比例代表で供託さしているのは。それは百六十万ぽっきりです、名簿全体を。一人当たり六百万、こんなばかなことがありますか。最低限、十一に分ければ四十五要るんだ。ブロック制にすれば余計です。参議院は十人だったでしょう、全国一区で。ところが、今度は四十五人になるのですよ。
 そういうことを供託金について考えるということを、少なくともこういう合意書を出して押しつけられたその当事者であります総理にひとつ、そういう点を検討し直すということを私は強く要求したいのですが、ひとつ答弁を求めます。
○細川内閣総理大臣 おっしゃることは一つの御意見として受けとめさせていただきます。
○山口委員長 これにて松本君、東中君の質疑は終了いたしました。
 次回は、明二十二日午前十時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時五十二分散会