第132回国会 本会議 第21号
平成七年四月十四日(金曜日)
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 議事日程 第十五号
  平成七年四月十四日
    午後一時開議
 第一 放送法の一部を改正する法律案(内閣提
    出)
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○本日の会議に付した案件
 永年在職の議員石原慎太郎君及び近江巳記夫君
  に対し、院議をもって功労を表彰することと
  し、表彰文は議長に一任するの件(議長発議
  )
 日程第一 放送法の一部を改正する法律案(内
  閣提出)
 悪臭防止法の一部を改正する法律案(内閣提
  出、参議院送付)
 地方分権推進法案(内閣提出)
     午後一時六分開議
○議長(土井たか子君) 皆さん、ただいま外交官
傍聴席に、トーマス・フォーリイ前アメリカ合衆
国連邦議会下院議長御夫妻がお見えになっており
ます。御紹介申し上げます。
    〔拍手〕
     ――――◇―――――
○議長(土井たか子君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 永年在職議員の表彰の件
○議長(土井たか子君) お諮りいたします。
 国会議員として、また、本院議員として在職二十五年に達せられました石原慎太郎さん及び近江巳記夫さんに対し、先例により、院議をもってその功労を表彰いたしたいと存じます。
 表彰文は議長に一任されたいと存じます。これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(土井たか子君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおりまりました。
 これより表彰文を順次朗読いたします。
 議員石原慎太郎君は国会議員として在職するこ
 と二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意
 の伸張に努められた
 よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院
 議をもってこれを表彰する
    〔拍手〕
    …………………………………
 議員近江巳記夫君は衆議院議員に当選すること
 九回在職二十五年に及び常に憲政のために尽く
 し民意の伸張に努められた
 よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院
 議をもってこれを表彰する
    〔拍手〕
 この贈呈方は議長において取り計らいます。
○議長(土井たか子君) この際、石原慎太郎さん及び近江巳記夫さんから発言を求められております。順次これを許します。石原慎太郎さん。
    〔石原慎太郎君登壇〕
○石原慎太郎君 昭和四十一年の暮れから翌年にかけて、私は、ある新聞社の特派員として、当時既にデルタ地域にまで共産勢力が進出していたベトナム戦争の取材に赴きました。
 あのベトナムで私が強く感じたことは、首都サイゴンの知識階級のみずからの国で行われている戦争への驚くほどの無関心、冷笑的な態度でありました。それゆえに、私は、あの国がやがて間違いなく共産化されることを確信していました。同時に、私には、あの教養高いベトナムのインテリと日本の知識人たちがその政治姿勢において互いに非常に似ているという気がしてなりませんでした。ということは、祖国日本もまた、いつかの将来、あるいは自由主義体制が侵食され崩壊する日が来るのではないかと。ならば、それを防ぐためにはみずから行動すべきではないかと。私が政界に身を投じる決心をしたのは、あの他国の戦争で感じたもののゆえにでありました。
 そして、その翌年、昭和四十三年の参議院全国区に立候補、当選し、後に衆議院に転じて、以来今日に及びます。私の政治家への転身の動機は、その後の日本の発展と安定を眺めれば、幸いにも杞憂に終わりました。すべて国民の英知ある選択と、やむことのない努力のおかげであります。(拍手)
 その間、私も私なりに、志を同じくした仲間とともに政治の金権性と戦い、あるいはアメリカや中国の対日関係における一方的な主張に反発し、微力ながらの戦いもしてまいりました。
 最も欣快とするのは、日本側の国益を何ら反映することのなかったあの日中航空協定に最後まで反対した我々青嵐会を当時の周恩来首相が評して、彼らの言うことが当たり前だ、私が日本の政治家だったら彼らと同じことを言っただろうと周辺に語ったということを、後に複数の方々から聞かされたことでありました。
 しかしなお、今日この表彰を受けて改めて私は、みずからの力の足りなさに慙愧せざるを得ません。政治家の経歴は決して、決して長きをもってよしとするものではないということを改めて痛感自覚し、ただ恥じ入るのみであります。(拍手)
 イデオロギーの生んだ冷戦構造が崩壊した今、政治の対立軸が喪失されて、私たちは新しい軽薄な混乱の中にあります。新しい文明秩序の造形のために、多くの可能性に満ちているはずのこの日本の将来を毀損しかねないような問題が幾つも露呈してきているのに、現今の政治はそれにほとんど手をつけられぬままに、すべての政党、ほとんどの政治家は、今はただいかにみずからの身を保つかという最も利己的で卑しい保身の目的のためにしか働いていません。(拍手)
 こうした政治の現況に、国民がもはや軽蔑を通り越して、期待し裏切られることにも倦んで、ただ無関心に過ぎているという状況は、政治の本質的危機としか言いようがありません。
 植民地支配によって成り立っていたヨーロッパ近代主義の繁栄が終焉し、到来しつつある新しい歴史のうねりの中で、新しい世界の文明秩序が期待されている今、歴史的必然としてアジアに回帰し、他のだれにも増して新しい歴史創造の作業への参加資格のあるはずのこの日本は、いまだに国家としての明確な意思表示さえできぬ、男の姿をしながら実は男子としての能力を欠いた。さながら、さながら去勢された宦官のような国家になり果てています。それを官僚による政治支配のせいというなら、その責任は、それを放置している我々すべての政治家にこそあるのではありませんか。
 現在の日本国民の政治に対する軽侮と不信は、今日このような表彰を受けたとはいえ、実はいたずらに馬齢を重ねてきただけでしかない、まさにこの私自身の罪科であるということを改めて恥じ入り慙愧するのみであります。
 それでもなお、かくも長きにわたってこのような私に期待し支持を賜った国民の皆様に、この場をおかりして改めて心より御礼を申し上げ、あわせて深い深い慙愧の念をあらわす次第であります。
 そして、そのゆえをもって、私は、今日この限りにおいて国会議員を辞職させていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
○議長(土井たか子君) 近江巳記夫さん。
    〔近江巳記夫君登壇〕
○近江巳記夫君 ただいま院議をもちまして永年在職議員表彰の御決議を賜りましたことは、まことに身に余る光栄であり、感激にたえません。心から御礼を申し上げます。(拍手)
 今日まで御指導、御鞭撻を賜りました先輩、同僚議員の皆様に深く感謝を申し上げます。また、長年にわたって国政に参画できましたのも、ひとえに大阪三区選挙区の方々を初め多くの皆様方の温かい御支援と御厚情によるもので、この機会に改めて衷心より御礼を申し上げます。(拍手)
 私は、昭和四十二年一月の第三十一回総選挙で初めて国会に議席を得させていただきました。三十一歳、公明党が初めて衆議院に進出したときでありました。以来今日までの四半世紀余り、我が国の政治を取り巻く情勢は目まぐるしいものがありました。
 沖縄返還、日中国交回復、バブルの崩壊、冷戦終結、五五年体制の崩壊、自民党の長期政権崩壊、連立政権の誕生などなど、いずれをとっても激動と困難の連続でありました。時代は昭和から平成へとかわり、ことしは戦後五十年という歴史の一区切りの年を迎えました。いろんな思いが私の胸をよぎります。しかしながら、今また、過去を振り返るいとまもないほど相次いで大きな問題が押し寄せ、政治に対し厳しい選択を迫っております。
 政治、行政、経済、社会など全般にわたって、これまで我が国を支えてきたシステムが行き詰まり、根本的に再検討を迫られているのであります。国際化社会の中で日本がどう生きるべきかも問われております。私は、内外にわたって、日本人の生きざま、文明自体が歴史的な転換期を迎えていることを痛感いたしております。このときに当たり、議会制民主主義と政党の果たすべき役割はいや増して大きいものがあると確信いたします。
 二十一世紀を目前にして、新しい時代への胎動、産みの苦しみとしても、日本のよき伝統は受け継ぎながら、改革を大胆に進める必要があります。あらゆる困難を乗り越え、民主主義の力によってこれを実現しなければならないと思います。
 浅学非才な私ではありますが、本院の役員も経験させていただき、羽田内閣のもとでは科学技術行政の責任者も務めさせていただきました。また、新たに、たゆまざる改革と責任ある政治を目指す新進党の結成に参画できました。国政は国民の厳粛な信託によることを一日たりとも忘れることなく、本日の栄誉と感激を胸に刻み、なお一層精進してまいります。
 今後とも皆様の御指導、御鞭撻をお願い申し上げ、御礼のごあいさつといたします。ありがとうございました。(拍手)
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 日程第一 放送法の一部を改正する法律案
  (内閣提出)
○議長(土井たか子君) 日程第一、放送法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。逓信委員長自見庄三郎さん。
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 放送法の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
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    〔自見庄三郎君登壇〕
○自見庄三郎君 ただいま議題となりました法律案について、逓信委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、真実でない事項の放送により権利を侵害された者に対する救済措置の改善を図るため、所要の改正を行おうとするもので、その主な内容は次のとおりであります。
 第一に、訂正または取り消しの放送に関し、真実でない事項の放送により権利を侵害された者が、放送事業者に対して訂正または取り消しの放送の請求を行う期間を、「放送のあった日から二週間以内」から「放送のあった日から三箇月以内」に延長すること、
 第二に、放送番組の保存に関し、訂正または取り消しの放送の関係者等が放送後に放送番組の内容を確認することができるようにするため、放送事業者が放送番組を保存すべき期間を、「放送後三週間以内」から「放送後三箇月間」に延長するとともに、訂正または取り消しの放送の関係者等が放送番組の内容を確認する方法は、視聴その他の方法によること等であります。
 本案は、去る四月十二日大出郵政大臣から提案理由の説明を聴取し、昨十三日質疑を行い、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。 
 なお、本案に対し附帯決議が付されました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
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○議長(土井たか子君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(土井たか子君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
○山本有二君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 内閣提出、参議院送付、悪臭防止法の一部を改正する法律案を議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます。
○議長(土井たか子君) 山本有二さんの動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(土井たか子君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加されました。
    ―――――――――――――
 悪臭防止法の一部を改正する法律案(内閣提
  出、参議院送付)
○議長(土井たか子君) 悪臭防止法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。環境委員長阿部昭吾さん。
    ―――――――――――――
 悪臭防止法の一部を改正する法律案及び同報告
  書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔阿部昭吾君登壇〕
○阿部昭吾君 ただいま議題となりました悪臭防止法の一部を改正する法律案につきまして、環境委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、近年、複数の物質が複合してより強い悪臭となって苦情の原因となる場合が多く生じていること、さらに、日常生活に起因する悪臭についての苦情の割合が増加する傾向にあること等にかんがみ、悪臭防止対策の一層の推進を図るため、所要の措置を講じようとするものであります。
 その主な内容は、
 第一に、都道府県知事は、指定した規制地域のうち、特定の悪臭物質の濃度による規制基準によっては生活環境を十分に保全することができないと認められる区域については、その規制基準にかえて、人間の嗅覚を用いた測定法に基づき臭気指数を用いた規制基準を定めることができること、
 第二に、国民の責務として、日常生活に伴う悪臭の発生の防止に努めるとともに地方公共団体または国による施策に協力すること、また、地方公共団体及び国の責務として、普及啓発その他悪臭の防止のための施策を推進するよう努めること等であります。
 本案は、三月二十四日参議院より送付され、同日本委員会に付託となり、四月十一日宮下環境庁長官から提案理由の説明を聴取し、本日質疑を行い、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 なお、本案に対し附帯決議が付されました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(土井たか子君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(土井たか子君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
○山本有二君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 内閣提出、地方分権推進法案を議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます。
○議長(土井たか子君) 山本有二さんの動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(土井たか子君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加されました。
    ―――――――――――――
 地方分権推進法案(内閣提出)
○議長(土井たか子君) 地方分権推進法案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。地方分権に関する特別委員長笹川堯さん。
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 地方分権推進法案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔笹川堯君登壇〕
○笹川堯君 ただいま議題となりました地方分権推進法案につきまして、地方分権に関する特別委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、国民がゆとりと豊かさを実感できる社会を実現するため、地方分権を総合的かつ計画的に推進することを目的とするものであり、その主な内容は以下のとおりであります。
 第一に、地方分権の推進は、各般の行政を展開する上で国及び地方公共団体が分担すべき役割を明確にし、地方公共団体の自主性及び自立性を高め、個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現を図ることを基本として行われるものとし、また、国及び地方公共団体の責務について所要の規定を設けております。
 第二に、地方分権の推進は、国においては国際社会における国家としての存立にかかわる事務など国が本来果たすべき役割を重点的に担い、地方公共団体においては地域における行政の自主的かつ総合的な実施の役割を広く担うことを旨として行われるものであります。また、そのための施策として、国は、地方公共団体への権限の移譲を推進するとともに、地方公共団体に対する国の関与、必置規制、機関委任事務、補助金等の整理及び合理化その他所要の措置を講ずるものとしております。
 第三に、政府は、地方分権の推進に関する基本方針に即して地方分権推進計画を作成し、これを国会に報告するとともに、その要旨を公表しなければならないこととしております。
 第四に、総理府に地方分権推進委員会を置き、委員会は、地方分権推進計画の作成のための具体的な指針を内閣総理大臣に勧告するとともに、同計画に基づく施策の実施状況を監視し、その結果に基づき内閣総理大臣に必要な意見を述べることを任務としており、委員会の勧告または意見については、内閣総理大臣はこれを尊重しなければならないこととしております。委員会は、すぐれた識見を有する者のうちから両議院の同意を得て内閣総理大臣が任命する委員七人をもって組織することとするとともに、委員会の事務を処理させるための事務局を置くことといたしております。
 第五に、この法律は、政令で定める施行の日から起算して五年を経過した日にその効力を失うこととしております。
 本案は、去る三月十日本委員会に付託され、同日山口総務庁長官から提案理由の説明を聴取した後、審査に入り、冬柴鐵三君外三名提出の地方分権の推進に関する法律案とともに一括して議題とし、村山内閣総理大臣に対する質疑を行ったのを初め、四月十二日にはいわゆる地方公聴会を福島県及び滋賀県において開催し、地元地方団体関係者から意見を聴取し、昨日は参考人から意見を聴取するなど慎重な審査を行いました。
 委員会におきましては、地方分権の推進の意義と基本理念、その憲法との関係、国と地方との役割分担のあり方、機関委任事務制度の存廃問題、地方税財源の充実確保の必要、地方分権推進委員会の委員の人選のあり方等、広範多岐にわたる質疑が行われました。
 なお、これに関連して、村山内閣総理大臣から、機関委任事務の「整理及び合理化その他所要の措置」のうち、「所要の措置」には廃止も含まれる旨、また山口総務庁長官から、政府における検討の結果、機関委任事務制度の廃止について具体的結論が得られる場合にはこれを廃止することを含む旨の答弁がそれぞれありました。
 本日本案に対する質疑を終局したところ、本案に対し、自由民主党・自由連合、新進党、日本社会党・護憲民主連合及び新党さきがけの四派共同により、地方分権の推進に関する国の施策として講じられる機関委任事務等の「整理及び合理化その他所要の措置」は「地方自治の確立を図る観点からの整理及び合理化その他所要の措置」とすること、内閣総理大臣は、地方分権推進計画作成のための具体的指針について地方分権推進委員会から勧告を受けたときは、これを国会に報告するものとすることを内容とする修正案が提出され、その趣旨説明を聴取いたしました。
 次いで、原案及び修正案について討論を行い、採決の結果、修正案及び修正部分を除く原案はいずれも全会一致をもって可決され、本案は修正議決すべきものと決しました。
 以上、御報告をいたします。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(土井たか子君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(土井たか子君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり修正議決いたしました。
     ――――◇―――――
○議長(土井たか子君) 本日は、これにて散会いたします。
   午後一時三十五分散会
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