第132回国会 逓信委員会 第11号
平成七年六月六日(火曜日)
    午前九時四十分開議
出席委員
  委員長 自見庄三郎君
   理事 佐田玄一郎君 理事 住  博司君
   理事 虎島 和夫君 理事 遠藤 乙彦君
   理事 河村たかし君 理事 田中 昭一君
   理事 小沢 鋭仁君
      荒井 広幸君    小野 晋也君
      岸本 光造君    斉藤斗志二君
      坂井 隆憲君    関谷 勝嗣君
      宮崎 茂一君    山下 徳夫君
      小坂 憲次君    古賀 一成君
      佐藤 守良君    高木 陽介君
      高橋 一郎君    中島  衛君
      日笠 勝之君    大木 正吾君
      山崎  泉君    横光 克彦君
      宇佐美 登君    矢島 恒夫君
 出席国務大臣
        郵 政 大 臣 大出  俊君
 出席政府委員
        郵政大臣官房長 木村  強君
        郵政大臣官房審
        議官      品川 萬里君
        郵政省通信政策
        局長      山口 憲美君
        郵政省放送行政
        局長      江川 晃正君
 委員外の出席者
        会計検査院事務
        総局第四局長  五十嵐清人君
        参  考  人
        (日本放送協会
        会長)     川口 幹夫君
        参  考  人
        (日本放送協会
        専務理事・技師
        長)      森川 脩一君
        参  考  人
        (日本放送協会
        専務理事)   齊藤  曉君
        参  考  人
        (日本放送協会
        理事)     中井 盛久君
        参  考  人
        (日本放送協会
        理事)     菅野 洋史君
        参  考  人
        (日本放送協会
        理事)     河野 尚行君
        参  考  人
        (日本放送協会
        理事)     石渡 和夫君
        参  考  人
        (日本放送協会
        総合企画室〔経
        営計画〕局長) 慶田 敏紀君
        逓信委員会調査
        室長      丸山 一敏君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月二十三日
 辞任         補欠選任
  吉岡 賢治君     山崎  泉君
同月二十六日
 辞任         補欠選任
  高見 裕一君     鳩山由紀夫君
同日
 辞任         補欠選任
  鳩山由紀夫君     高見 裕一君
六月六日
 辞任         補欠選任
  佐藤 剛男君     小野 晋也君
  高見 裕一君     宇佐美 登君
同日
 辞任         補欠選任
  小野 晋也君     佐藤 剛男君
  字佐美 登君     高見 裕一君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 日本放送協会平成四年度財産目録、貸借対照表
 及び損益計算書
 日本放送協会平成五年度財産目録、貸借対照表
 及び損益計算書
     ――――◇―――――
○自見委員長 これより会議を開きます。
 日本放送協会平成四年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書、日本放送協会平成五年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書の両件を議題とし、審査に入ります。
 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 両件審査のため、本日、参考人として日本放送協会の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○自見委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
○自見委員長 まず、郵政大臣から説明を聴取いたします。大出郵政大臣。
    ―――――――――――――
 日本放送協会平成四年度財産目録、貸借対照表
  及び損益計算書
 日本放送協会平成五年度財産目録、貸借対照表
  及び損益計算書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
○大出国務大臣 ただいま議題とされました日本放送協会平成四年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書並びに監事の意見書の国会提出につきまして、その概略を御説明申し上げます。
 これらの書類は、放送法第四十条第三項の規定により、会計検査院の検査を経まして国会に提出するものであります。
 日本放送協会から提出された平成四年度の財務諸表によりますと、平成五年三月三十一日現在、一般勘定につきましては、資産合計は五千三百三十二億六百万円で、前年度に比し二百七十三億五千万円の増加となっております。
 これに対しまして、負債合計は二千三百二十四億四千八百万円で、前年度に比し五十億三千四百万円の減少となっております。
 資本合計は三千七億五千八百万円で、前年度に比し三百二十三億八千四百万円の増加となっております。
 資産の内容は、流動資産一千百三十四億四千三百万円、固定資産三千八百九十四億六千九百万円、特定資産三百二億九千四百万円であり、負債の内容は、流動負債一千三百四十二億九千七百万円、固定負債九百八十一億五千百万円となっております。
 また、資本の内容は、資本二千百九十億七千八百万円、積立金四百九十二億九千六百万円、当期事業収支差金三百二十三億八千四百万円となっております。
 受託業務等勘定につきましては、資産合計、負債合計とも、二千百万円となっております。
 次に、損益について御説明申し上げます。
 一般勘定につきましては、経常事業収入は五千三百九十八億二千四百万円で、前年度に比し百六十七億八千四百万円の増加となっております。
 これに対しまして、経常事業支出は五千六十二億四千六百万円で、前年度に比し二百六十七億六千四百万円の増加となっております。
 この結果、経常事業収支差金は三百三十四億七千八百万円となり、これに経常事業外収支差金二十八億七千四百万円の欠損を加えた経常収支差金は三百六億四百万円となっております。
 これに特別収入四十三億一千万円を加え、特別支出二十五億三千万円を差し引いた当期事業収支差金は三百二十三億八千四百万円となっております。
 受託業務等勘定につきましては、経常事業収入は五億八千六百万円であり、これに対しまして、経常事業支出は四億七千八百万円となっております。
 この結果、経常事業収支差金は一億八百万円となり、これに経常事業外収支差金一千六百万円の欠損を加えた当期事業収支差金は九千二百万円となっております。
 なお、監事の意見書におきましては、監査の結果、財務諸表は、日本放送協会の財産及び損益の状況を正しく示しているものと認めるとされております。
 引き続きまして、平成五年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書並びに監事の意見書の国会提出につきまして、その概略を御説明申し上げます。
 これらの書類は、放送法第四十条第三項の規定により、会計検査院の検査を経まして国会に提出するものであります。
 日本放送協会から提出された平成五年度の財務諸表によりますと、平成六年三月三十一日現在、一般勘定につきましては、資産合計は五千六百十四億二千九百万円で、前年度に比し二百八十二億二千三百万円の増加となっております。
 これに対しまして、負債合計は二千三百八億一千四百万円で、前年度に比し十六億三千四百万円の減少となっております。
 資本合計は三千三百六億一千五百万円で、前年度に比し二百九十八億五千七百万円の増加となっております。
 資産の内容は、流動資産一千二百六十七億五千七百万円、固定資産四千百六十四億七千二百万円、特定資産百八十二億円であり、負債の内容は、流動負債一千三百九十五億三千三百万円、固定負債九百十二億八千百万円となっております。
 また、資本の内容は、資本二千四百六十六億六千五百万円、積立金五百四十億九千三百万円、当期事業収支差金二百九十八億五千七百万円となっております。
 受託業務等勘定につきましては、資産合計、負債合計とも、七百万円となっております。
 次に、損益につきまして御説明申し上げます。
 一般勘定につきましては、経常事業収入は五千五百六十二億八千万円で、前年度に比し百六十四億五千六百万円の増加となっております。
 これに対しまして、経常事業支出は五千二百二十六億八千八百万円で、前年度に比し百六十三億四千二百万円の増加となっております。
 この結果、経常事業収支差金は三百三十五億九千二百万円となり、これに経常事業外収支差金二十六億一千四百万円の欠損を加えた経常収支差金は三百九億七千八百万円となっております。
 これに特別収入八億八千二百万円を加え、特別支出二十億三百万円を差し引いた当期事業収支差金は二百九十八億五千七百万円となっております。
 受託業務等勘定につきましては、経常事業収入は六億一千万円であり、これに対しまして、経常事業支出は四億九千九百万円となっております。
 この結果、経常事業収支差金は一億一千百万円となり、これに経常事業外収支差金一千七百万円の欠損を加えた当期事業収支差金は九千四百万円となっております。
 なお、監事の意見書におきましては、監査の結果、財務諸表は、日本放送協会の財産及び損益の状況を正しく示しているものと認めるとされております。
 以上のとおりでありますが、何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
 以上でございます。
○自見委員長 次に、補足説明を聴取いたします。日本放送協会会長川口幹夫君。
○川口参考人 ただいま議題となっております日本放送協会の平成四年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びに監事の意見書の概要につきまして御説明申し上げます。
 まず、一般勘定の当年度末の資産総額を財産目録、貸借対照表で見ますと五千三百三十二億六百万円で、この内訳は、流動資産一千亘三十四億四千三百万円、固定資産三千八百九十四億六千九百万円、特定資産三百二億九千四百万円、このうち固定資産の内容は、建物一千十二億九千六百万円、土地二百三十七億九千九百万円、機械及び装置一千亘二十四億四百万円、放送衛星百七十四億三千六百万円、その他の固定資産一千三亘三十五億三千四百万円でございます。
 当年度末資産総額を前年度末と比較しますと、二百七十三億五千万円の増加となっておりますが、これは建設計画に基づく衛星放送設備、番組制作設備の整備等によるものでございます。
 一方、これに対する負債総額は二千三百二十四億四千八百万円で、この内訳は、流動負債一千三百四十二億九千七百万円、固定負債九百八十一億五千百万円、このうち固定負債の内容は、放送債券四百三十億六千万円、長期借入金三百二十四億四千百万円、退職手当引当金二百二十六億五千万円でございます。
 当年度末負債総額を前年度末と比較しますと、五十億三千四百万円の減少となっておりますが、これは長期借入金の減少等によるものでございます。
 また、資本総額は三千七億五千八百万円で、この内訳は、資本二千百九十億七千八百万円、積立金四百九十二億九千六百万円、当期事業収支差金三百二十三億八千四百万円でございます。この資本総額は前年度末と比較し、三百二十三億八千四百万町の増加となっております。
 次に、受託業務等勘定について見ますと、当年度末の資産総額及び負債総額は、それぞれ二千百万円でございます。
 次に、損益計算書について申し上げます。
 まず、一般勘定の経常事業収支について見ますと、受信料等の経常事業収入は五千三百九十八億二千四百万円で、前年度と比較し、百六十七億八千四百万円の増加となりました。
 これは主として、受信契約の維持・増加に努めた結果によるものでございます。
 なお、有料受信契約件数は、四十万件増加し、当年度末には三千三百四十五万件となりました。
 次に、経常事業支出は五千六十三億四千六百万円で、この内訳は、国内放送費一千八百四十五億二千八百万円、国際放送費四十一億二千五百万円、契約収納費四百七十九億二千四百万円、受信対策費十五億四千百万円、広報費二十四億一千百万円、調査研究費五十六億一千四百万円、給与一千三百七十三億百万円、退職手当・厚生費五百二士三億九百万円、一般管理費百十八億八千八百万円、減価償却費四百三十六億九千二百万円、未収受信料欠損償却費百五十億一千三百万円となっております。
 これは前年度と比較し、二百六十七億六千四百万円の増加となりましたが、主として、放送番組の充実に伴う事業運営費の増加等によるものでございます。
 以上の結果、経常事業収支差金は三百三十四億七千八百万円となり、これに経常事業外収支差金二十八億七千四百万円の欠損を差し引いた経常収支差金は三百六億四百万円であります。さらに、特別収入四十三億一千万円を加え、特別支出二十五億三千万円を差し引いた当期事業収支差金は三百二十三億八千四百万円となりました。このうち、債務償還に充てた資本支出充当は百七十一億八千百万円、建設積立金繰り入れは三十一億三千八百万円であり、事業収支剰余金は百二十億六千五百万円であります。
 なお、この事業収支剰余金は、翌年度以降の財政安定のための財源に充てるものであります。一次に、受託業務等勘定の経常事業収入は五億八千六百万円で、経常事業支出は四億七千八百万円となりました。
 その結果、経常事業収支差金は一億八百万円となり、これに経常事業外収支差金一千六百万円の欠損を差し引いた当期事業収支差金は九千二百万円となりました。この当期事業収支差金につきましては、一般勘定の経常事業収入へ繰り入れております。
 なお、監事の意見書では、貸借対照表等は、監査の結果、協会の財産及び損益の状況を正しく示しているものと認めるとされております。
 引き続きまして、平成五年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びに監事の意見書の概要につきまして御説明申し上げます。
 まず、一般勘定の当年度末の資産総額を財産目録、貸借対照表で見ますと五千六百十四億二千九百万円で、この内訳は、流動資産一千二百六十七億五千七百万円、固定資産四千百六十四億七千二百万円、特定資産百八十二億円、このうち固定資産の内容は、建物一千十七億二百万円、土地二百三十八億四千三百万円、機械及び装置一千百五十三億二千七百万円、放送衛星百四十億五千三百万円、その他の固定資産一千六百十五億四千七百万円でございます。
 当年度末資産総額を前年度末と比較しますと、二百八十二億二千三百万円の増加となっておりますが、これは建設計画に基づく衛星放送設備、番組制作設備の整備等によるものでございます。
 一方、これに対する負債総額は二千三百八億一千四百万円で、この内訳は、流動負債一千三百九十五億三千三百万円、固定負債九百十二億八千百万円、このうち固定負債の内容は、放送債券三百八十一億五千万円、長期借入金二百三十四億八千百万円、退職手当引当金二百九十六億五千万円でございます。
 当年度末負債総額を前年度末と比較しますと、十六億三千四百万円の減少となっておりますが、これは長期借入金の減少等によるものでございます。
 また、資本総額は三千三百六億一千五百万円で、この内訳は、資本二千四百六十六億六千五百万円、積立金五百四十億九千三百万円、当期事業収支差金二百九十八億五千七百万円でございます。この資本総額は前年度末と比較し、二百九十八億五千七百万円の増加となっております。
 次に、受託業務等勘定について見ますと、当年度末の資産総額及び負債総額は、それぞれ七百万円でございます。
 次に、損益計算書について申し上げます。
 まず、一般勘定の経常事業収支について見ますと、受信料等の経常事業収入は五千五百六十二億八千万円で、前年度と比較し、百六十四億五千六百万円の増加となりました。
 これは主として、受信契約の維持・増加に努めた結果によるものでございます。
 なお、有料受信契約件数は、三十六万件増加し、当年度末には三千三百八十一万件となりました。
 次に、経常事業支出は五千二百二十六億八千八百万円で、この内訳は、国内放送費一千九百八十億五千六百万円、国際放送費四十四優二千三百万円、契約収納費四百九十四億一千三百万円、受信対策費十六億円、広報費二十五億七千六百万円、調査研究費五十九億五千三百万円、給与一千三百七十三億五千百万円、退職手当・厚生費四百八十七億九千百万円、一般管理費百二十三億七千万円、減価償却費四百六十六億四千七百万円、未収受信料欠損償却費百五十四億九千八百万円となっております。
 これは前年度と比較し、百六十三億四千二百万円の増加となりましたが、主として、放送番組の充実に伴う事業運営費の増加等によるものでございます。
 以上の結果、経常事業収支差金は三百三十五億九千二百万円となり、これに経常事業外収支差金二十六億一千四百万円の欠損を差し引いた経常収支差金は三百九億七千八百万円であります。さらに、特別収入八億八千二百万円を加え、特別支出二十億三百万円を差し引いた当期事業収支差金は二百九十八億五千七百万円となりました。このうち、債務償還に充てた資本支出充当は百六十六億二千三百万円であり、事業収支剰余金は百三十二億三千四百万円であります。
 なお、この事業収支剰余金は、翌年度以降の財政安定のための財源に充てるものであります。
 次に、受託業務等勘定の経常事業収入は六億一千万円で、経常事業支出は四億九千九百万円となりました。
 その結果、経常事業収支差金は一億一千百万円となり、これに経常事業外収支差金一千七百万円の欠損を差し引いた当期事業収支差金は九千四百万円となりました。この当期事業収支差金につきましては、一般勘定の経常事業収入へ繰り入れております。
 なお、監事の意見書では、貸借対照表等は、監査の結果、協会の財産及び損益の状況を正しく示しているものと認めるとされております。
 これをもちまして、概要説明を終わらせていただきますが、今後の協会経営に当たりましては、公共放送としての使命と責務を深く認識し、放送事業の一層の発展に努力してまいる所存でございます。
 何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
 ありがとうございました。
○自見委員長 次に、会計検査院当局から検査結果について説明を求めます。会計検査院五十嵐第四局長。
○五十嵐会計検査院説明員 日本放送協会の平成四年度及び五年度決算につきまして検査いたしました結果を御説明いたします。
 まず、日本放送協会の平成四年度の財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書等は、平成五年八月三日内閣から送付を受けましたが、その検査を終えて同年十二月九日内閣に回付いたしました。
 次に、同協会の平成五年度の財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書等は、平成六年七月八日内閣から送付を受けましたが、その検査を終えて同年十二月八日内閣に回付いたしました。
 同協会の両年度の決算につきまして検査いたしました結果、特に法律、政令もしくは予算に違反しまたは不当と認めた事項はございません。
 以上、簡単でございますが、説明を終わります。
○自見委員長 以上で説明は終わりました。
    ―――――――――――――
○自見委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岸本光造君。
○岸本委員 自由民主党の岸本光造でございます。
 私は、昨今のテレビ報道の問題について何点か御質問を申し上げたいと存じます。
 この間から、東京の都市博が中止になりましたが、中止に至る直前のテレビ放映などを見ておりますと、特に筑紫哲也それから久米宏の両名がニュースキャスターを務めている番組、夜のニュースでございますが、これはもう意識的に都市博を中止させるような、世論の誘導というものを喚起するようなやり方であったのではないか。私個人としては都市博イエス、ノー、これは別にしまして、一方的にそういうふうに誘導していくように感じたわけでございます。
    〔委員長退席、佐田委員長代理着席〕
 それよりももっと、オウム真理教にかかわるテレビのアングルの問題、これが非常にひどかったのではないか。特に、現代社会におきましては、すべて人々はマスメディアの影響によって行動することが非常に多いわけでございまして、例えば選挙における投票行動などもそうですし、あるいは買い物の選択もそうですし、身近なものでは気象の情報など、毎日毎日情報によって人々は生活を方向づけされ、選択をして生活をしている、これが今日の社会、情報化社会であろうというふうに私は思うわけです。
 その中で、このオウムの報道は、こういう事件のときには、事実をニュースとして報道する番組と、それから極めて立派な人が出て解説をする場合と、あるいはこういうものに番組、電波を与えて生出演させる、いろいろなやり方があると思うのですが、その中でも、特に今度はあるマスメディア、テレビ局は、ワイドショーなども含めて一週間に五十時間を超える時間をこの教団のために割いて放映したという記録があります。
 そういうことになりますと、上祐何がしという犯罪集団のスポークスマンをテレビに登場させて得々と話をさせる、それを聞いているうちに、先ほど、冒頭に申しましたようにマスメディアによって人々が思考を決定し選択をするという、このような時代でありますから、知らぬ間にオウムに、オウムも一理はあるのじゃないかというようなことを言う人も中には出てきて、その上祐某という者に花束を持って、ファンクラブまでできてきゃあきゃあ騒ぐという。
 サリンによって、松本も含めますと二十数名の方が亡くなり、入院もされ、五千名以上の方が傷ついて苦しんでおる、そういう犯罪者集団を五十時間も、これは史上最高だそうです、日本のテレビ始まって以来。そういうことをやっておりますと、何か国民もオウムの、修行するぞ、修行するぞというのが耳について、私もめったに見ないのですが、あの事件に興味がありましたからそれを見ていますと、修行するぞ、修行するぞというようなことまで耳についてきて気分が悪くなってくる、そういうことが起こるわけです。
 その点、多少NHKは放送姿勢が違っておったのじゃないか、こう思うのです。こういう問題、都市博の問題でもそうですし、これは電波ではありませんが椿発言の問題もありましたし、いろいろな局面、局面で、ここ数年の間マスコミ、特に電波は感性に訴えて方向づけするものですから、非常に影響力が強い。そういう意味で、オウムの問題で、NHKは多少ほかの放送局とは違ったスタンスを持っておったのじゃないか、こう思うのですが、その辺は、何かルールを決めてやったのでしょうかどうか、いかがでしょう。
    〔佐田委員長代理退席、委員長着席〕
○齊藤参考人 NHKでは、当然でございますが、公正中立に、そして冷静に、客観的にといつも心がけておりますけれども、オウム真理教の場合でございますが、これは国民の関心が極めて高い事件であったということでございますが、NHKといたしましては、過度にセンセーショナルにならない冷静な報道を常に心がけてきたつもりでございます。単なるオウム真理教の説明とかあるいはプロパガンダにつながるような報道は避けるということを心がけてまいりました。疑惑の解明に役立つ事実を、みずからの取材に基づいて、それを根拠に伝えていくという基本方針でまいりました。
○岸本委員 よくわかりました。それで多少違ったんだな、こう思うのですが、民間放送の電波を見ていますと、例えば教団の幹部が刺殺された、それを何回も何回も繰り返して、何十回も見ましたね、何とかいう人ですが殺されたところ。しかも、その突いたところから、血のついたナイフがほうり出してある、こういうものも生で何回も何回も繰り返し茶の間に入ってくるわけですね。こういうのはやはり、人を殺しても平気だよという風潮を青少年に与える。これは大変よくない。もうやめてもらいたいなと思ったのは私だけじゃないと思うのです。国民の良識のあるほとんどの人はそう思っておったと思うのですが、これは大臣、クレームをつけましたか、お伺いしたいと思います。
○大出国務大臣 私も一連の報道を見ておりまして、岸本さんが今お話しになった同じ感覚でございまして、ほっておけないなと何遍も思いまして、いろいろ法律もありますから、そういう手だでもあるので気をつけてやらなきゃいかぬなと思いながら、何遍かそれなりにいろいろなところにお話をしたりいたしております。
 今お話のあったような御批判もまた省の側にも方々からたくさん来ておりまして、したがって、NHKの皆さんや民間放送事業者の皆さんに、御存じのとおり、放送法の三条の二に定める番組準則がございます。それに続いて三条の三、ここで定めております番組編集基準がございます。したがいまして、ここらのところに郵政省から物をいろいろ申し上げまして、できる限りそういう批判が起きないように十分ひとつ公正な扱いをしてもらわなければならぬということを申し上げてきたわけでございます。
 放送法の三条の四に基づいて設置されております番組審議機関がございますから、ここでいろいろ議論していただいたものは、新聞にも当時、オウム批判が番組審議会でたくさん出てきて、こういう中身の審議があったというのが載りましたが、私どもそこまで実は何とかしなければという気持ちがございましたから、ほとんど同じような考え方なんですけれども、ただ法律、規則がございますから、それを外すわけにはまいらないという建前でやってきたつもりでございます。
 そういう結果、各放送事業者におかれても、オウム真理教関係者の生出演を控えるとか、行わせる場合には一つの基準を決めて、こういう条件で出てもらうとかというふうに逐次変わっていったというふうに思っているのでございますけれども、確かにこれは、将来に向かっては抜本的に考えてみなきゃいかぬことかもしらぬと思っております。
○岸本委員 もちろん自由ということが一番大事でありますから、何をしても自由、責任を持って、公共の秩序を破壊しない限りもう自由は大切にしていかなくちゃいかぬわけですが、何か今大臣言われたように、こういう社会的な犯罪にかかわる問題が出たときには、何らかの形で歯どめをかけるとか、一定のルールをつくるとか、こういうことをしないと、複雑な社会になればなるほどいつでもこういう問題に電波はさらされるということになると私は思います。
 その辺、何かルールをつくっていかなくちゃいかぬというふうな動き、あるいはそうしなければいかぬ、もちろん自由というものをちゃんと尊重して、これを確立した上でルールを何かやらなくちゃいかぬ、こう思うのですが、何か意見はありませんか。
○江川政府委員 この種の事件とか事故に関する報道のあり方を含めまして、放送番組につきましては基本的には一つのルールというのがございます。現在もございます。
 それは今大臣も申し上げたところでございますが、NHKとかあるいは民間放送事業者というのは、放送法の三条の二というところで放送番組に関する規律というのがございます。異なるものはいろいろな立場から報道しろとか、いろいろあるわけでございます。それから、三条の三に基づいて放送番組の編集の基準をつくりなさい、それを守りなさい、こうなっております。そういうことなどによって放送番組の適正を確保していくというふうになっているところでございます。また、放送番組審議会というのもあって、それがまた個々の番組を見ていくというふうになっているところであります。
 しかしながら、そういうふうにできているのはできているわけですが、今回のオウム事件のような問題に関しましては、つまるところ、必ずしもこのルールが徹底されていないのではないかと懸念される、あるいは指摘されるというようなことがあるわけでございまして、そういう意味で、大臣からもただいま申し上げましたが、我々も、そういうことが耳に入りますと、NHKなり民放なりにいろいろと事実を伝えたりし、かくあらねばならぬという指導をしてきたところでございます。
 そこで、そういうルールだけでこれから先よいのかどうかということが今問われるところでございますが、本件のような事件に際しての報道が具体的にどうだったのかということをこれからよく精査しまして、今後の放送番組のあり方について幅広く研究、検討していく材料として、素材として扱うことも必要ではないかなと考えているところでございます。
○岸本委員 オウムは、これは犯罪者集団という位置づけをするならば、あのような形のテレビ報道というのはできなかったのではないか、私はこう思うわけです。だから、この辺は今後の課題として、放送法の建前が今まであります、それは自由も尊重されています、しかし、何か一つ次のものを考えていくところに来ているのではないか、私はこう思います。
 それと、もうこご一カ月はあの阪神・淡路大震災の放送が全然されなかったわけです。実際まだ現場には困った人が、家のない人が三万余りおるわけですし、復興に向かっていろいろな形で作業が進められているわけですが、これについては全然放送されなかった。何とまあ日本人というのは忘れやすいな。オウムが出てきたら、もうあの阪神大震災が忘れられている。まだ数カ月、三カ月か四カ月前のこと。五千人余りの人が亡くなったにもかかわらず、あのときはそればかりやっていたのですが、次から次へ出てくる。もう電波ジャックされて阪神・淡路の報道が全然できなかった。
 私、そのとき思うのですけれども、この間もサハリンでああいう地震がありました。壊滅的です。そこで考えるのですが、神戸で起こってサハリンで起こって、そして今度は関東だというようなニュースもちょいちょいあるわけです。壊滅的だと。ああいう人間の力で防ぐことができないやつが起こった場合、NHKは放送センターというのがあるんでしょう、放送するところが。これは、つぶれてしまったら一体どうするのですかな。
 これはNHKの方で答えてください。
○森川参考人 お答え申し上げます。
 NHKの放送センターの建物は、低層階、高層階に分かれておりますけれども、それぞれに非常に強固な地盤の上にくいを打ち込む、あるいは直接その地盤の上に基礎を固定するというような工法で建てられております。建物も十分な耐震設計を行いまして、関東大震災の二倍以上の揺れに対しても安全であるということを設計の段階でコンピューターシミュレーションで確かめておりまして、さらに平成四年度には公の基準に基づく耐震診断でも確認をいたしました。現在の耐震基準を十分満たすような耐震強度を持っているというふうに考えております。
 しかし、先生がおっしゃいましたように、阪神・淡路の大震災ではこれまで想定していなかった強さの縦揺れというものも含めて起きたために、現在、国を中心として行われております耐震基準の見直しを待ちまして、私どもといたしましてもコンピューターシミュレーションなどで再度確認したいというふうに考えております。
 それから、放送センターが万が一のことがあった場合のことでございますが、その場合には、NHKの災害対策規程に基づきまして東京以外の放送局、大阪放送局あるいは仙台の放送局が放送センターの役割を代替をいたしまして、番組の制作、送出を行うということにいたしております。
 なお、今回の大地震の結果を検証いたしまして、さらに細かい点につきまして、部内の災害対策マニュアルの改定作業というものも現在鋭意進めております。
 以上でございます。
○岸本委員 あれですか、放送センターは何があってもつぶれない、絶対大丈夫だということですな。それでいいんですかな。
 いや、しかし、もしつぶれることがあったら、地方でやるといったって、日本は災害列島ですからね。関東大震災、どえらいのが起こった、それから紀伊半島には物すごい台風が上ってきて近畿地方は壊滅状態にある、いろいろなことが想定できるわけです。いやいや、これだけいろいろなことが世の中毎月毎月起こってきますと、何が起こるかわからない。そういうことを想定しなければいかぬと私は思うのです。
 地方から放送するといいますけれども、それでは地方はいつでも完全かといったら、地方は完全というわけにはいかぬと私は思うのですよ。地方なんかもやはりいろいろな安全対策を講じているのだと思うのですが、私は和歌山ですが、和歌山の放送会館、そんなに立派だと思わぬし、あれで全国放送せいと言っても私はできぬのと違うかと思うのです。だから、その辺はどうなんですかな。今それはマニュアルどおりの答弁でしょうけれども、それじゃちょっと、そうですかと言うわけにはいかぬですな。ちょっとどんなものでしょう。
○森川参考人 地方会館の建物も含めましてNHKの建物につきましては、建築関係の法令によります耐震基準、これに従っております。
 NHKは非常災害時の指定の公共機関ということに指定されていることもございまして、例えば病院でございますとか学校でございますとか、そういう公共建築の中で最重要建物というふうに指定をされているものと同じ程度の耐震強度を施しております。
 先生おっしゃいましたように、せんだっての阪神大震災の折には、神戸の放送局は建物の倒壊は免れたものの、一部に損傷を受けました。
 これを機に、現在、全国の放送会館の建物の耐震性を総点検することにいたしておりまして、全国の会館の耐震診断というものをただいま進めている最中でございます。その結果、耐震性に問題が発見された場合には、必要な補強を実施するということといたしております。
○岸本委員 NHKは決算でも剰余金がありますから、一遍地方の建物を、私は和歌山ですから、和歌山はもう古臭いですから、いつ建てられたのか知りませんけれども、ああいうものは全国放送にたえられないと思いますから、もう少し内容の充実、設備なんかも更新してもらうようにお願いをしたいと思いますが、何か意見があったら言ってください。地方の、和歌山だけじゃなくていいんですよ、全国的に。
○石渡参考人 全国の放送会館につきましては、テレビの成長期の昭和三十五年、三十年代半ばから四十年代にかけまして、数多くの放送会館を建設してきております。それらが老朽化してきているわけでございますが、その老朽度を考慮しつつ、長期的視野に立って計画的に実施を進めていきたいと思っております。
 平成二年度以降、名古屋、福岡、広島の建てかえをいたしました。現在計画中のものでは、長野、大分、大阪などが計画に上っております。
 繰越金の御使用についてでございますが、この繰越金につきましては、七年度以降のNHKの財政状況が赤字構造になります。したがいまして、極力受信者に御負担をおかけしないよう事業運営の方で使ってまいりたい。したがいまして、放送会館建設、設備の更新などにつきましては、内部資金であります減価償却費ですとか放送債券などにより実施していきたいと考えております。
○岸本委員 それから、この大震災からもう五カ月近くたつわけですが、ここでは苦しみ、不自由それから不便、そういうことに耐えて、現地の人々は立ち上がろうと努力をしてこられたわけです。この中には障害者、高齢者、社会的弱者、いろいろな方々もおって、それで一生懸命立ち上がろうとしてくる。本当にその中で人間愛とか地域社会における温かさとか、そういういろいろなことが、本来のすばらしさというのが出てきているわけですが、ハルマゲドンとは全く別な次元の異質なものです。
 そういうすばらしさがあったわけですが、これからこういう建設に向かって今一生懸命立ち上がっている者に対して、みんなが連帯感を持って新しい神戸をつくる、地域社会をつくる、そのような情熱というか、そういうものはやはりこれから放送の中でも取り入れてやっていただきたいな、私はこう思う次第です。
 そういう意味で、ちょっとしたテレビのアングルによっていろいろな違いが出てくると思いますので、その辺、何か御意見があればお伺いしたいし、なければ結構です。
○川口参考人 震災につきましては、NHKの方針はこれを一時的なものとして扱わない、この大震災がどういう形で起こったのか、その原因究明と今後の対策ということに絞りまして、この一年間かけて「NHKスペシャル」、毎月出していこうと思っています。
 それから、当然のことですが、被災地のいろいろな状況等については、私どもは的確に伝えております。特に、神戸の放送局は半壊とまでいきませんけれども相当壊れましたので、今度は駅の前の貸しビルを使いまして、そこに半恒久的な施設を入れまして、対応に十分力を入れる、そういうことを考えております。
○岸本委員 終わります。ありがとうございました。
○自見委員長 次に、横光克彦君。
○横光委員 横光克彦でございます。よろしくお願いいたします。
 川口会長初めNHKの皆さん、きょうは御苦労さまでございます。
 決算の件は問題ないと思いますので、NHKのほかの関連のことに関しまして、二、三質問させていただきたいと思います。
 いよいよマルチメディア時代の到来ということで、アナログだとかディジタルだとか、インタラクティブテレビだとかビデオ・オン・ディマンドとか、いろいろな活字がマスコミをにぎわわせ始め、そしてまた議論がそれぞれ始まろうとしております。このハード面における技術革新たるや、私なんかの凡人からしますと想像を絶するようなすばらしい勢いで開発されているわけでございますが、本当にSFのような時代が現実に来るのではないか、そういう気がいたしております。
 そういった意味で、このハード面での技術革新、開発、これはもちろん重要なことでございますが、私がちょっと心配しておりますのは、そのハードの革新的な開発に果たしてソフトが追従していけるのか、ソフトの開発、充実もやはり同じように重要な課題ではなかろうか、このように考えているところでございます。
 NHKさんは、民放と比べまして、やはり非常に番組制作の中で幅広いジャンルにまで踏み込んで、随分とそういった意味での制作意欲というのは非常に敬意を表するわけでございますが、今回放送開始七十周年になるわけですね。七十周年の関連番組としていろいろと四月から新番組が放送されております。
 その中で、「NHKスペシャル」の「映像の世紀」というのがございますが、私これを見たときに、本当にあの時代の記録フィルム、映像、そういったものがああして残されていることの大事さ、そしてまた、それを保存していくことの大事さみたいなものを物すごく痛感したわけです。
 さらに、「ふるさとの伝承」という番組が今3チャンネルで四月から始まっています。この「ふるさとの伝承」という制作意図を拝見しますと、「農漁村の過疎化や都市の核家族化などによって、親から子へと伝えられた伝承の多くが消え去ろうとしている。放送七十周年を機に、能登、下北など全国四十八の地域を定めて、いまも暮らしの中に生きている伝承文化とその風土を紹介する新番組。」このように制作意図には書かれております用地域に今なお受け継がれているいろいろな芸能文化、そういったものを放送し、末長く保存していこう、記録していこう、そういう意図がうかがえるわけで、非常に結構な試みだと思っております。これは民放では本当に、視聴率という大前提がございますので、なかなかこういったジャンルにまで踏み込む、制作するということは難しい。そういった意味で公共放送であるNHKができるわけですし、またやらなければならない課題の一つではなかろうかと思っております。
 これからもそういった地域の情報を取り上げる番組を、ことしも試みようとしていると思いますが、どのようなものをやろうとしているのか。そしてまた、これには四十八地域となっておりますが、ある意味ではこういった素材は全国には無数にあるわけでございますので、四十八回で打ち切ることなく、これは各地域の放送局が本当に熱心に取り組んで、そしてまた中央が協力してやられている番組だと思いますので、四十八回で打ち切るというようなことでなく継続していただきたい。このことに関しましてちょっと御所見を伺いたいと思います。
○齊藤参考人 地域の活性化、地域文化の継承あるいは創造が地域にとって大きな関心事であるということから、これらの期待にこたえるというのはNHKにとって特に重要だと考えております。
 具体的には、平成七年度、こうした活性化と発展に寄与するために地域発の定時番組を新設いたしまして、地域から全国に向けての多様な情報の発信を一段と推進しております。
 ちょっと例を申し上げますが、例えば総合テレビで「ふるさと おもしろ博物館」、各地のユニークな博物館を紹介する。それから今お話のありました「ふるさとの伝承」、日本の民間伝承あるいは伝統的な生活様式、こういったものを記録しながら日本人の心を描くということでございます。それからそのほかに「産物列島95」、これは衛星でございます。そのほか衛星第二でも「BSおはよう列島」。さらにラジオでも、「深夜便」で毎週金曜日に大阪初め各地から地域の情報や話題を提供している。今後さらに強めていきたいと思っております。
○横光委員 マスコミはともすると中央中心の情報になりがちでございますが、今のようにNHKが中心になって地域の情報、地域の番組を全国発信で試みようとされている、非常に結構なことだと思います。
 ただ私、これは一つの提案でございますが、今回「ふるさとの伝承」、いろいろな各地域の芸能文化あるいは生活様式を中心に取り上げているようでございますが、人物ですね、ふるさとの人物。私たち日本人というのは非常に郷土愛が強くて、相撲にしても甲子園にしても、地元の高校、地元の力士をやはり応援します。そういった意味で、郷土で活躍したいろいろなジャンルの人物、これを今日的な観点からスポットを当てる番組、これも後世の人たちのために、やはり保存という意味でも大事ではなかろうか、このような気がいたしております。
 私大分県でございますが、大分県では福沢諭吉とか滝廉太郎とか、また文学では野上弥生子とか横光利一とか、スポーツでは名横綱の双葉山とか、いろいろな人もいまして、そしてまた、全国的に有名でない、地域で活躍した人たちもいる。そして、そういう人たちを熱心に研究している郷土史家もいる。そういった郷土史家の方々、非常に豊富な資料、映像、写真、文字、そういったものを非常にたくさん持っている方が多いのですね。こういったことも、地方局の人が熱心に取り組めばもっともっといい発掘がされ、そしてまた、後世にも残せる大きな素材につながる、このように考えております。
 これも先ほど言いましたように民放ではなかなかできにくい問題ですので、NHKの企画力それから取材力、さらに制作力を総合的に結集してこういった番組にも取り組んでいただきたい。「ふるさとの伝承」がふるさとの人物、そういったものも取り上げていただきたいと思いますが、このことに関しましてちょっと御意見を伺いたいと思います。
○齊藤参考人 先生おっしゃるように、地域に目を向けて郷土出身の人物にスポットを当てるということは、番組の素材としてもあるいは地域を考えるという意味からも非常に重要だという認識でおります。
 現在もさまざまな番組で地域の人物を取り上げておりますが、ちょっと例を申し上げますと、例えば歴史上の人物では「ライバル日本史」という番組でいろいろ取り上げております。それから教育テレビの「日曜美術館」、これでは、有名、無名を問わず、画家であるとか彫刻家であるとか、そういった方々を紹介する。あるいは教育テレビの「ETV特集」などでも取り上げています。これからも有名、無名にかかわらず、さまざまに取り上げていきたいというふうに思っております。
○横光委員 ぜひそっちの方面の御努力もよろしくお願いいたします。
 次に、話がころっと変わるわけでございますが、営業経費率、いわゆる受信料を集めるのにかかる経費、この件でちょっとお尋ねしたいと思います。
 受信料をもとに経営されているNHKにおかれましては、むだを省き、効率的な経営を図ることは当然なことでございますが、中でも営業活動の効率的推進、これが毎年の重要課題となっているわけでございますが、平成元年度にはこの営業経費率は一八・一%となっております。それから七年後の現在、このパーセントはどれぐらいになっているか、ちょっとお聞かせください。
○菅野参考人 お答え申し上げます。
 先生おっしゃいますとおり、平成元年一八・一%でございました。それが平成六年度は二二・四%、そしてこの平成七年度は、阪神・淡路大震災の影響がございまして、収入支出の関係で一三・六%でございます。大震災の影響を除けば、平成六年度、七年度とも二三・四%という数字でございます。
○横光委員 形としてはこの営業経費率は圧縮傾向にあるということですね。私、この営業経費率は何が何でも下げることが必ずしもよいことだとは思えないのです。受信料負担の公平性を保つためにもやはりそれらの経費は必要でございますし、経費を下げるのに急な余り、契約数やあるいはまた受信料が集まらなければ、これは何にもならないわけでございますので、特に現場で現実に営業活動をされている方々の御苦労は大変なことだと私思います。
 衛星放送の時代にもなりましたし、そしてまた転勤があれば追いかけなければならない、さらにまた核家族によって世帯数がふえている、また学生が次から次から新規にテレビを買う。そういったことを考えますと、こういった営業活動に携わっている人たちは不払いや拒否や、そういった問題にも説明しなければならない、さらに新しい契約にも努力しなければならない。しかもこれは何時に行けばいるという問題ではない、朝から夜まで行って追いかけなければならない。
 こういった実態の中で非常に居つく人が――転換が早いと聞いているのです。そういった意味で、職員や、委託業務が中心でしょうが、この地域スタッフの定着を図るということも大事ではなかろうか。そういった意味で、営業経費率の問題をNHKとしてはどのようにお考えなのか、お聞かせください。
○菅野参考人 先生おっしゃいますとおり、公平負担というものが公共放送事業体にとって最も大切な部分であるということでございまして、そのためには、営業の現場の、具体的にはお客様のところに伺いまして、そして契約、収納をしていただく地域スタッフの教育訓練とか、あるいは体制の整備というものがやはり必要になってくるということでございます。
 私、営業担当といたしまして仕事をやらせていただいておりますけれども、現在の営業経費率の水準というのはほぼ限界に来ているのかなというふうに思っております。しかしながら、やはりまだまだ私どもとしては改善の余地、努力の余地というものはたくさんあるのではないかなというふうに思っておりまして、これからも、お客様に向かっての理解促進を進めていく立場から、採用した、契約をした地域スタッフの定着に向けての教育訓練とか、そういった部分に力をさらに入れてまいりたいなというふうに思っております。
○横光委員 いろいろな状況から見て、私は、やはりこの問題は、これ以上もう圧縮する方向じゃないような気がいたしております。
 次に、郵政省にちょっとお聞きしたいのですが、NHKの最高意思決定機関でございます経営委員会ですね、この経営委員会についてちょっとお尋ねいたします。
 全国民を基盤として成り立っているNHKは、法の定めるところにより経営委員会を置いている。放送法の第十六条には、委員の選任について「教育、文化、科学、産業その他の各分野が公平に代表されることを考慮しなければならない。」このように定められているわけでございます。
 そして、このように各分野から公平という形になりつつあるとは思っておりますが、さらにこの各分野、そしてまた公平ということを考えますと、やはりこの経営委員会には勤労者の代表、あるいは先ほど岸本委員のお話にございましたように、やはり障害者や高齢者、そういったマイノリティーの立場を代表する人も経営委員会に入ってそれなりの意見を反映することによって、それがNHKのいろいろな形でいい方向に反映される可能性があるわけですので、そういった方も選出委員の中に入れるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○江川政府委員 先生も御案内のように、放送法十六条には、今の仕組みのことでございますけれども、「公共の福祉に関し公正な判断をすることができ、広い経験と知識を有する者のうちからこ選びなさい、その範囲、分野につきましては、教育、文化、科学、産業その他の各分野を公平に代表する、そういうことが書かれておりまして、その趣旨に沿って今の委員は選任されているなど考えておるところでございます。
 そういう意味で、ただいまの先生の御指摘のことにつきまして、経営委員の人数をふやすとか、あるいはこの法律に規定している分野以外のある種の分野の代表を入れるとかということにつきまして、この席で私軽々に申し上げることは不適切なことだと思いますが、現在のこの仕組みの中でも、できる限り広く各分野から見識のある方を選ぶ、いわばバランスのとれた人選を行うということにつきましては、これまでもやってきたつもりですが、これからも随時そういうことを心がけていく必要がある、そういうふうに考えているところでございます。
○横光委員 各分野ということがありますので、また、要するに視聴者というのは勤労者が一番多いわけですし、そういった声が今までは、恐らく勤労者代表が入ったこともないし、障害者や高齢者の代表といいますか、そういった方たちもなったことがないわけで、やはりそういったことが各分野、そしてまた公平につながるわけです。
 これは、恐らくネックは十二人という構成員の件でしょうが、この放送法は昭和二十五年にできて四十年以上たっているわけですね。その四十年で映像の世界もNHKも大きく変わっている中で、この十二人の定員というものはもう見直してもいいのではないか。もっと幅広いジャンルの人を入れるためには、十五人にでも二十人にでもした方がより反映されることは、これは明白なわけですし、いつまでも古いこの十二人という枠にとらわれることはないのじゃないかという気がいたしておりますが、この増員の件に関してはどうお考えでしょうか。
○江川政府委員 先ほども申しましたように、法律改正にわたる事柄につきましてここで軽々に申し上げることはいかがかと思いますので避けさせていただきますが、一応現在の仕組みの中でいろいろと、先ほど申しましたように、いわばバランスのとれた人選を行うという運用でやってきておりまして、一応これで法律が予定している方々の選任は行われているのではないかなと考えているところでございます。
○横光委員 バランスということをおっしゃいますけれども、やはり時代とともにこれは考えていくべき問題であろうと思います。
 最後にちょっと大臣にお聞きいたしますが、この各分野あるいは公平という意味から、勤労者とか障害者とか高齢者の代表もやはり選出されるべきだ、そしてまた、人数も少しはふやしていいのじゃないか。さらにまた、この経営委員会の論議、NHKをこれからどうしようか、どういうふうに視聴者にこたえようとするのか、NHKをどのように発展させようか、いろいろな論議がなされていると思いますけれども、論議の公開性、これもやはり視聴者にとっては非常に聞きたい部分でもあるわけですし、この問題についてちょっと大臣の御所見を伺いたい。
 社会党の大臣になったのは恐らく初めてですし、これからあるかどうかわかりませんし、一委員のときには私と同じような考えをお持ちではなかったかと思う。それが大臣になられて、そういったことを大臣という立場からも奨励する方向を示していただきたい。NHKが、今民主的ではございますが、より民主的な方向にいくように、大臣もそういった奨励をしていただきたいと思いますが、ちょっと御意見をお聞かせください。
○大出国務大臣 確かに後にも先にもないのかもしれませんけれども、私は実は、大臣でなくなりましてなお議席があるということになったら、放送法そのものを、これは二十五年で、このころの法律というのは、私も随分手がけたのがありますけれども、例えば獣医師法なんかも、安倍晋太郎さんが初めて大臣になったのが農林大臣ですが、そこで質問したのが私で、獣医師法改正を提起したのですけれども、これも獣医療法までつくってようやく改正した。衛生検査技師法もそうでございますし、診療エックス線技師法もそうでございますし、このころの法律というものは冷静に眺めてみると随分問題があるのですね。
 この放送法自体も、これはちょっと特異な法律だというふうに考えなければならぬ、二十五年だからやむを得ぬとは思うのですけれども。その中の、幾つもありますが、ここから先は個人的な意見になるかもしれませんけれども、幾つもある中の一つの改正を考えなければならぬ重点という意味で、今の経営委員会というのは、世の中がこんなに変わっているのに、こんな時代にこれ、このままでいいのかなという疑問を私は非常に強く持っているわけでございます。
 これ、連合の皆さんが申し入れに来られたことがあるのですよ。事務局長の鷲尾君以下皆さんが来られまして、いろいろな話がございました。
 これ、今御指摘のように、第十六条には「教育、文化、科学、産業その他の各分野」こうなっているんですね。じゃ、この「産業」というのは何だと。定義ないんですよ。「産業」といったら全部なんですからね。じゃ「その他の各分野」というのは何だと。で、地方的に、「別表に定める地区に住所を有する者のうちから各一人を、その他の委員については、これらの地区を通じて四人を」こうなっているでしょう。何でこんな基準決めたんだという問題もあるんですね。わからないんですよ。ですから、やはりそういう意味で実は事務当局の皆さんと意見は一致しないんです、私は。
 そこで、その「教育、文化、科学こういう中に労使関係みんなある、こう言う。じゃ、出てきている人はこの中の労の側から出てきているかというと、そうじゃないんです、これ。そうなりますと、やはりここのところは抜本的に検討し直す必要があるというのが私の調べてみた結果、放送法読み直してみた結果の以来の持論なんですけれども。
 そういう意味で、矛盾のないようにやろうとすれば、人数をふやすということを前提に物を考えて「各分野」の分け方その他を改めてつくり直す、その必要が私はどうしてもあるという気がね。そして、おっしゃるように、若い世代、あるいは高齢化社会でもありますからそういう世代、そこらをどうするかという今お話ございましたけれども、そこらも含めて一遍、どういう仕組みで考えるかという問題ありますけれども、考えてみなきゃならぬ大きな課題だというふうに私は思っているわけでございます。
○横光委員 どうか前向きな御努力よろしくお願いいたします。
 終わります。ありがとうございました。
○自見委員長 次に、小沢鋭仁君。
○小沢(鋭)委員 平成四年度のNHKの決算ということで、ちょうどバルセロナ・オリンピックというのがその年にございました。後ほど申し上げたいんですが、長野で二年後に冬季オリンピックが予定されておりますが、そこに入っていく導入部分として、いわゆるバルセロナ・オリンピックのときの放送権料というのがございますですね。ちょっと中身を見ても、私の不勉強なのかもしれませんが、具体的によくわからなかったものですから、幾らくらいだったのか。で、NHKといわゆる民放さんの負担割合、そういった問題がどのくらいになっていたのか。さらにまた、今NHKさんで一生懸命進めていただいておりますハイビジョン放送、そういった放送のいわゆる時間というのはどのくらいあったのか。そんなところをちょっとお教えいただきたいと思います。
○斉藤参考人 まず経費でございますが、放送権料、この具体的な金額を申し上げます。五千七百五十万ドル、円に換算しますと、当時のレートですが、八十八億四百四十万ということでございます。それで、民放とNHKの負担割合は四対一、NHKが八〇%負担ということでございます。
 それから、このときの総時間、これはちょっと省略いたします。
 ハイビジョンの放送がどのぐらいであったかというお尋ねですが、十六日間にわたって百二十五時間、これはハイビジョン推進協会へNHKのソフトを提供する、まあ試験放送という形でございましたけれども、百二十五時間でございます。これは、全体のオリンピック関連の放送の中の二〇%ということでございます。
○小沢(鋭)委員 同時に、今度アトランタ・オリンピック、これがございます。今八十八億円という放送権料の話だったんですが、これは大変高騰しているという話も聞いて、さらにまた、各局が競い合ってやや値をつり上げているというか、そんな様相があるというような話も聞こえてくるわけでありますが、これはどのくらいになるんでございましょう。
○齊藤参考人 アトランタにつきましては四月に合意を見ておりますけれども、放送権料として七千五百万ドル、それから百周年記念事業特別協賛金千二百万ドル、それから技術の協力金千二百五十万ドル、トータルで九千九百五十万ドル、八十五円の円に換算いたしまして八十四億五千七百五十万という金額でございます。
○小沢(鋭)委員 最近の円高にやや救われているというところもあるようでありますが、ドルベースで考えると高騰しているということなんだろうと思います。いずれにしましても、いわゆる予算としてあるいはまた支払うものとして考えたときに、それがいたずらに高騰しないように、しかしながら、大事な放送でありますから行っていただきたいということをお願いを申し上げておきたいと思います。
 続きまして、長野オリンピック関連に、オリンピックでずっと聞かしていただきたいんでありますが、入らしていただきたいんですが、私は、こうした国際的なまさにスポーツイベントといいますか、こうしたものの時代における役割というのは大変大きいものがあると実は思っております。
 東京オリンピックのことを思い返したときに、まさにあの時代の、首都高ができ、また新幹線が走り、そういったその時代を映した、ある意味ではそういったその時代が集約されたイベントが行われたような、今になってみれば記憶があるわけでありますけれども、こうした観点で長野冬季オリンピックを見ますときに、この時代は何なんだろうかと考えたときに、まさに、情報、放送、通信、そういったもののシンボルになるといいますか、それを長野オリンピックをてこに、まさにそういったものを我が国はそこにぎゅうっと集約してやっていかなきゃいかぬのじゃないか、そう思うわけであります。まさに光の芸術とかいろいろな形容がオリンピックにはされますけれども、まさにこの二年後の長野オリンピックのときには、日本の放送、それから通信、それから情報政策、それが世界に向かって、こういうふうな話で花開いているんだというものを見せなきゃいけない、で、そのてこにまさにしていかなければいけないというふうに私は思うわけであります。
 そういった意味において、私は、この長野オリンピックの意義というものを前向きにとらえて、これを大いに活用すべきだというふうに思っているわけでありますが、そういった産業構造の転換をまさに推し進めていくてこに使うという意味でも重要だと思うわけでありますが、そういったことに関して、郵政省のこの長野オリンピックに取り組むお気持ちをお聞かせいただきたいなというふうに思います。
○山口(憲)政府委員 一九九八年に開催されます長野オリンピックにつきましては、これは、地元では、ハイテクオリンピックというふうな形にしたいということで、各種のインフラの整備の好機というふうにとらえて今整備を進められておられます。
 特に、高度な情報通信につきましても、オリンピック開催期間中は、とにかくオリンピックの円滑な大会運営の確保とか、あるいは長野から世界に向けて情報を発信するというふうなことを中心にして考えておられますが、あわせてこの視野の中に、オリンピックの終了後をも含めた形でのいろいろな施策を考えていく必要があるというふうに考えておられまして、このネットワークを活用したニュービジネスの創出とか、生産性向上等の企業の経営刷新に役立つ地域経済の活性化をねらいにしたようなものを頭に描くとか、あるいは、いわゆる行政、福祉、教育といった公共サービスの高度化を通じた市民生活、福祉の向上、あるいは、全国とか世界に積極的な情報発信をして、活力のある町づくりにつながっていくもの、こういうことを頭に置いて、今整備を進めようとされておられます。
 そこで、私どももこういったお考えに積極的に対応していく必要があるというふうに考えておりまして、財政的支援を図っていくということを踏まえておりますけれども、さらにまた長野市、長野県と連携をいたしまして、特に電気通信事業者でありますとかメーカーの皆様方等関係者の御協力もいただいて、何とかぜひ高度な情報通信基盤を積極的に整備していきたいというふうに考えておりまして、今いろいろ構想を練っております。
 特に一つは、長野県だけではなくて、全国とか海外との間でも伝送や交換が可能となるような光ファイバー網の整備というふうな、ネットワークインフラの整備をまずやらなければならないだろうというふうに考えておりますし、また、アプリケーションの分野におきましても、各種の情報が容易に検索、入手でき、また活用ができるというふうなアプリケーションの開発、普及を考えております。それからまた、各種の施設でありますとか、いろいろな場所にいろいろなものを設けまして情報通信施設を整備し、その場合には周波数の手当てをしなければいけないとかいろいろな問題がございますが、そういったこともやっていきたいというふうなことで今考えております。
 今お話ございましたように、オリンピックというのは大変大きな国際的なイベントでございますが、こういった場を活用いたしまして、情報通信基盤のすぐれた効用を国内あるいは世界の皆様にもお示しするというのは絶好の機会でございますので、こういった機会に、基盤整備の促進はもちろんのこと、いわゆる新規事業の創出とか雇用の創出というふうな産業構造の改革にもつながるものなんだという認識のもとにいろいろ考えていく必要があるだろうというふうに考えております。
 今の先生のお話で、目玉は何だというふうなお話でしたが、これはいろいろ意見もありますし、なかなか難しい問題でございますが、一つの特徴としては、高精細な動画像というものをふんだんに使ったものにしていって、このマルチメディア時代が動画像が中心で動いていくというふうなことを象徴するようなものにできればというふうに考えている次第でございます。
○小沢(鋭)委員 今、山口局長から大変意欲的な御答弁をいただいて、私も心強い限りでありますが、改めてお願いでありますが、マルチメディア社会、その到来を象徴するものとしてこの長野オリンピックを大いに活用いただきたい。あらゆる実験を、あらゆる試みを、ある意味ではここに結集していただいて、その中では失敗するものが出ても仕方ない、そのくらいの思いで結集していただいて、どうぞお進めいただきたい。それで、放送ももちろんとにかくそこに加わっていただくというのが当然のことでありまして、そういった御決意でお願いをしたいというふうに思うわけであります。
 続きまして、平成五年度の決算を見てまいりますと、平成五年度の決算の特徴というのは国際放送ということなのかなというふうにひとり合点をしているわけであります。ちなみに、平成五年度には「NHKスペシャル アジアハイウェイ」という、これは韓国のKBSさんとの共同制作ですか、そういった十回シリーズの放送もありました。
 そういった中で、これからまさにボーダーレスの時代と言われているわけでありまして、お金が国境を越えて動く、それをある意味ではボーダーレスの時代ということの見方をしているわけでありますが、当然、お金が国境を越えて動くということ以上に、放送はもう常に本当は国境を越えているのではないかと私は思うわけであります。
 現在、五十年平和決議、国会で今議論を詰めているところでありますが、そういったことを考えたときも、まさにアジアということを考えれば、放送が国境を越える、情報が国境を越える、そうした中で、地域の特性というのは当然あるのだけれども、しかし、それをさらに根底の共通の価値観、平和の問題であるとかデモクラシーの問題であるとか、そういった共通の価値観をこのアジアという地域あるいは世界という大きなところで持つというのはこれまた重要であると思うわけであります。ですから、私は、ぜひともこの国際放送、これに前向きに取り組んでいただきたいと思うわけであります。
 そういった観点で、「アジアハイウェイ」以後、こういった例えばアジアの国を知るような番組制作というのは、その後これまでどんなぐあいだったでしょうか。
○齊藤参考人 日本とアジア各国とのつながりはますます密接になっております。そういう中で、こうしたニーズに積極的にこたえるということで、NHKでは、総合、衛星、それぞれの定時番組を含めまして、アジア関連の番組の一層充実に努めております。
 若干具体例を御紹介いたしますと、定時番組では、例えば総合の「アジア発見」、これは最も今エキサイティングでありますアジア各地を取り上げまして、人々の生活を中心にお伝えする。それから「アジア Who's Who」、これは衛星の第一でございますが、アジアを動かしているキーパーソンを日常生活とかインタビュ・を通して紹介する。あるいは、エンターテインメントでございますが、衛星の第二、これは中継を中心にしまして、各国の最新の音楽、イベント等の情報を紹介している。そのほかに、大型の企画でございますが、「中国」、これは既に放送しておりますけれども、今激しい変貌を遂げております中国について密着取材をして紹介しております。それから「故宮」、これはこれから先、平成八年から放送いたしますけれども、北京と台北、二つの故宮を一緒に統合しまして、収蔵された文物を非常に大きなスケールで描くということにしております。
○小沢(鋭)委員 今、制作の方をお聞かせいただいたわけでありますけれども、同時に、これは平成七年度でありますが、いわゆる欧米でNHKのテレビ国際放送がなされましたね。そういったこちらからの発信ということを考えたときには、まだこのアジア・太平洋地域向けのテレビ国際放送は実施されていないというふうに思うのでありますけれども、それはどんな予定でございましょうか。
○齊藤参考人 平成七年の四月から、アジア・太平洋地域向けの提供の時間、いわゆる発信の時間が大幅にふえております。一日十二時間伝送を行っておりまして、提供先といたしましては十八カ国と地域、放送機関三十六に上っております。
○小沢(鋭)委員 それは既にもう発信が行われているということですね。わかりました。
 先ほども申し上げましたように、まさに平和決議、こうした我が国としての決議、これも私は大変重要だと思うわけでありますが、同時に、それを支えるアジア・太平洋地域の、先ほど申し上げたようなまさに平和への思い、あるいはまたデモクラシー、民主主義への思い、そういった基本的な価値観の部分、そういったものを共有していくことがこれからの時代において重要なのじゃないか、そういうふうに思うわけでありまして、どうぞこうした国際放送を本当にそういった意味で大いに行っていっていただきたいと思うわけであります。
 それに関しまして、郵政省の方へ御質問をさせていただきたいのでありますが、いわゆる放送分野の国際化に関する調査研究会報告というものがたしか出ていたと思います。そういったところで制度改正、ルールづくりが行われたというふうに承知しておるわけでありますが、その主なポイントと、それからその後今日まで具体的にその進捗状況というのはどんなぐあいだったか、お聞かせをいただけたらと思います。
○江川政府委員 御指摘の放送分野の国際化に関する調査研究会の報告書といいますのは、平成五年三月に出たものでございまして、つづめて一番大事なところを申し上げますと、国際交流の促進の観点から映像国際放送の受発信を推進しろということに尽きるかと思います。それで、その報告書を受けまして、次の三点のことを大きなフィールドとしてやってまいりました。
 一つは、昨年の六月になりますが、放送法を改正いたしました。従来のラジオによる国際放送に加えまして、NHK及び一般放送事業者が衛星を使った映像国際放送を実施できるようにしたというのが一つでございます。
 二つ目は、民族とか文化等が多様なアジア地域におきまして映像国際放送を円滑に実施していくためには、各国間のそれなりの調整が必要でございます。そこで、昨年四月及びことしの三月に、二度にわたりましてアジア・太平洋映像国際放送会議というのを、郵政省及びAPTというのがございますが、それで主催、開催いたしまして、映像国際放送の責任を持つ国、映像国際放送に関する政府間調整、番組内容等のガイドラインを作成したところでございます。
 端的に言いますと、政治的なものは気をつけろとか、宗教的な問題、政治的な問題、暴力的な問題、いろいろなものがございます。そういったものについての一定のガイドラインを設けたというところでございます。
 それから、三つ目のフィールドで申し上げますと、さらにアジア・太平洋地域の国々と映像国際放送の番組制作技術に関する共同研究を行おうということで、郵政省平成七年度で予算をとりまして、これをこれから実施していこうと考えているところでございます。
 その他いろいろ細かいこともございますが、以上三点、大きく御説明させていただきます。
○小沢(鋭)委員 時間でございますので終わらせていただきますが、今まさに江川局長から御答弁いただきましたように、いわゆる政治的なものや何かのいわゆる押しつけ、これがあってはいかぬわけでありますが、私が先ほどから申し上げておりますのは、本当に各国の考え方に関するまさに理解と認識を深めていく、そうした放送というのは、ある意味では社会的な大きなインフラの一つだと思うわけでありまして、そういったチャンスを提供していただき、そして、そういう中から本当に基本的な、平和であるとか民主主義であるとか、そういったものの価値観を、これは自然と共有をしていきたい。それが、まさにこれからの地域の平和あるいはそれの維持ということにおいては大変重要なのではないかなと思うわけでありまして、どうぞ国際放送、これからもぜひ御努力をいただきたいとお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○自見委員長 次に、高木陽介君。
○高木(陽)委員 新進党の高木陽介でございます。きょうは、決算というよりも、それ以上にNHKの事業全般に関して御質問させていただきたいと思います。
 まず、今直前に江川局長の方からもお話がありました映像国際放送、昨年の六月の放送法改正によって映像国際放送をやり始めるというような形で、このことについてお伺いしたいのですが、まず、北米はジャパン・ネットワーク・グループですか、欧州はジャパン・サテライト・テレビジョンというような形で有料で今までやっておられたと思うのですが、そのような中で、このたび映像国際放送をやっていくということで、現状の放送時間、番組内容、そして、これはわかればで結構なのですが、その視聴率等々というのはわかるのかどうか。また、そういう今後の展望について、全般的ですがお聞かせ願いたいと思います。
○齊藤参考人 放送時間、番組内容でございますが、現在、欧州地域で一日三時間十分、それから北米地域で五時間となっております。番組は、ニュースあるいはニュース関連番組が中心でございます。
 いわゆる視聴率という調査はまだやっておりませんけれども、いわゆる視聴状況についてのアンケート調査は最近実施しております。外国人を含めまして、NHKの映像国際放送が広く視聴されているということが明らかになっております。「おはよう日本」あるいは「ニュース7」などは非常に視聴されているということでございます。
 今後の展望でございますけれども、国際交流を一層進めるということを当然考えております。映像国際放送の放送時間を順次拡大いたしまして、それから対象地域も広げていくということでいきたいと思います。それから、特に、アジア・太平洋地域でも映像国際放送を開始するための条件を、基盤づくりを進めていきたいと思っております。さらに、最終的には世界各地で映像国際放送が受信可能となるネットワークを整備していきたいというふうに考えております。
○高木(陽)委員 今、現状をお聞かせ願ったのですが、これからもさらにどんどん展開されていくと思うのですね。
 そこでやはり気になってくるのが、今、北米五時間、欧州三時間十分ですか、こういうような状況でスクランブルが解かれて無料というような形でやっていくわけなんですが、この経費というものは、基本的に受信料から払っていただいているわけですね。受信料は日本の国民がNHKを見るために払っているわけで、国際理解を深めるということでこれはどんどん展開しなければいけない、そのような考え方はわかるのですけれども、実際問題、受信料を払っている人以外の人がどんどんまた見ていく、ここら辺の関係性をどうとらえていくのか。これをちょっとNHK及び郵政省、それぞれ御見解をお聞かせ願いたいと思います。
○齊藤参考人 今後、放送時間を拡大しますとともに、経費は増加してまいります。今先生おっしゃられますように、国内視聴者からの受信料を経費に充てるということは一定の限度が当然あるわけでございまして、今後映像国際放送の強化に伴ってこの点をどうするかというのは、映像国際放送の動向を見きわめながら検討してまいりたいというふうに思っております。
○江川政府委員 受信料を映像国際放送に充てることについての議論は、昨年放送法の改正をしていただきましたときにお答えいたしましたと同じことを、今ここでもまた繰り返させていただくことになりますが、この映像国際放送につきましては、放送法の四十四条とか九条とかによりまして、NHKの正規の業務として書かれているところでございます。正規のといいますのは本来業務ということでございますが。
 それで、本来業務として、我が国の事情を紹介して国際親善の増進や外国との経済交流の発展に資するとともに、海外同胞に慰安を与えるという公共放送機関としての役割を果たすために、そういう正規業務として定められているところでございます。したがいまして、その放送は国民全体に利益をもたらすものとなりますので、受信料で負担しても問題はないと考えているところでございます。
○高木(陽)委員 映像国際放送のことはそれでちょっと置いておきまして、さらにそれに関連するというか、今度はラジオ・ジャパン、ラジオの方の国際放送です。
 NHKが発足してから十年後ですか、一九三五年六月一日にこのラジオ・ジャパンができて、ことしでちょうど六十周年。現在のラジオ・ジャパンの状況、例えばこれも放送時間または使用言語、受信国数、ここら辺のところをちょっとお聞かせいただきたい。
 あともう一つ、これとともに、現在それでどれくらい経費がかかっているのか。それとともに、そのラジオ・ジャパン、いわゆるラジオでの国際放送に対して国がどれぐらい支援をしているのか。ここら辺をちょっとお聞かせ願いたいと思います。
○齊藤参考人 平成七年度で申し上げます。ラジオ・ジャパンの放送時間は、二十二言語、一日延べ六十五時間実施しております。ちょっとその中身を申し上げますと、一般向けの放送は日本語と英語で三十一時間、それから地域向けの放送は二十一言語によりまして三十四時間、こういった規模で、全世界に及んでおるということでございます。
 それから、経費でございます。国際放送の実施に要します総経費、これは予算額でございますが、九十七億三千七十五万、そのうち政府の交付金は十八億六千五百二十八万円でございます。
 以上でございます。
○高木(陽)委員 今九十七億かかって、そして政府の方が十八億六千五百二十八万、これもやはり受信料の中からやっていただいていると思うのです。特に、これは先ほどの映像国際放送も加わってくると思うのですけれども、やはり海外向けに対する発信、これは今後さらに重要になってくると思われるのです。その中において、これを全部NHKへお任せしますよ、NHK全部やってちょうだいね、これはNHKとしてもかなり負担はあると思うのですね。
 やはり、これから情報化社会がさらに進む、国境もどんどんなくなってくるというような状況にあって、電波によるいろいろな情報発信というのは本当に重要になってくる。そんな中において、今後の政府、国からの支援、こういったものがもっともっとあってしかるべきではないかなというふうに私個人は思うのですけれども、そこら辺のところを郵政省はどう考えているか。やはりこれも、お金の問題になりますといつもいつもここでお話しするのは、大蔵省の問題となってきて、大蔵省がはいと言えば、じゃ郵政省どんどんやりましょうというふうになるのでしょうけれども、そこら辺、郵政はどのように考えておられるか、お聞かせ願いたいと思います。
○江川政府委員 先生が私の答えをお答えいただいてしまったようなところがございまして、まことに申しわけないのですが、やはりこの郵政省が出しますお金は、先ほど十八億六千五百万というふうに申し上げましたけれども、これは放送法第三十三条で、NHKに対してこういう放送をしてくれという命令をすることができる、その命令した部分についてつけていく金のことを言っているところでございます。
 その意味で、郵政省の側から申しますと、国の側から申しますと、こういう放送が必要だという範囲があって、それに金をつけるということで、本当はお金の前に、必要な放送の範囲、内容というのがあるわけでございまして、本当はというよりもそういう仕組みになっておりまして、そういうふうにやっているわけでございます。そのことが今、その必要量が結果として十八億六千五百万という額になっているというのが、まあ郵政省の立場というか、お答えになるわけでございます。
 しかし同時に、お金はあればあるほどいろいろな放送ができるというわけでございますから、それは当然でございまして、私たちも、平成八年度にもまた増額の要求を多分することになるだろうと思います。その意味では、財政当局との相談ということもしながら、予算の許す範囲でできるだけ強化していきたいと考えているところでございます。
○高木(陽)委員 本当に努力をしていただきたいとしか僕の方からも言いようがないのですけれども、これから国際放送というのが本当に重要になってくるというのはだれもが指摘していて、規模がだんだん拡大する、放送時間が多くなる、発信する国がだんだんふえてくる、こういうような形になってきたときに、これを全部受信料で賄えとなると、やはりこれはかなり限界がある。そうでなくてもNHKが肥大化しているといろいろと言われる中で、これはやはりいろいろな形の支援策は考えた方がいいのじゃないのかなと思うのです。
 これは、回答はもうさっきいただきましたので、郵政省全体としても、お金の問題は本当にいつも大変なことだなと思いますけれども、やはり今後の日本全体の利益になりますし、そこら辺を十分に御考慮いただきたいなと思います。
 続きまして、先ほど小沢委員の方からもお話がありましたが、今度はオリンピックについて。
 先ほど放映権料について御回答がありましたけれども、その中で、今とにかく円高ということで今回は何とかクリアしてしまったな、こういうふうに思うのですね。でも、今後、長野もあるし、さらにその次のシドニーですか、といった形で、どんどんまた高騰していくのではないか、こういう不安が、やはり一視聴者の側からも、また受信料を払っている側からしてもあると思うのです。
 じゃ、これをだれが負担するのか。視聴者、そして受信料を払う人がまた巨額なその放送権料を払わなければならない。これは本当に大変なことで、じゃ、どうやったら歯どめがかかるのか。これは交渉事ですからなかなか大変なのですけれども、そこら辺の方策を本当に真剣に考えないと、これは天井知らずでどんどん上がっていってしまうと思うのですね。そこら辺のところで、高騰の歯どめを今後どうしていくのか。
 それとともに、これは受信料にはね返ってほしくないというのが、やはり視聴者側からの要望だと思うのですね。これは虫のいい話で、オリンピックは見たい、いい映像が見たいと言いながら、お金は余り取らないでという、一般国民というのはそういうような感覚を持っているのが当然ですし、そこら辺のところで、受信料への影響は今後していくのか、していかないのか、そこら辺のところを明確にお答え願いたいと思います。
○川口参考人 オリンピックの放送権料というのは、本当に年々歳々、毎回毎回上がっていきますので、これは一番頭が痛いところです。
 これに対する対応策ということで、私どもはいわゆるジャパン・プールというのをこしらえました。そして、民放連加盟の各社全部とNHKが一緒になって、そして、権料に関してはジャパン・プール以外は一切交渉を受け付けないということをやりまして、そのおかげで相当歯どめがかかっているということが、もう明らかに言えます。
 今回も、アトランタの交渉をする三年前から私が直接ローザンヌのIOCの本部に行きまして、そして、ジャパン・プールの考え方を申し述べ、つけ加えて、例えばオリンピックの放送権の問題ということは、お金の問題だけじゃなくて、スポーツをやる人たちの心構えの問題、スポーツがどんどんお金に汚れていくという面があるということを力説をしまして、そして、そういうことを前提にしてぎりぎりまで交渉を続けてまいったわけです。幸いに円高に助かっておりますけれども、それでもやはり一億ドル近くの放送権料を払わなければいけないということになりました。
 ですから、今後、このジャパン・プールを強化することが一つと、それから、世界の放送機関に呼びかけて、これは放送対スポーツの問題ということで問題提起をするのがいいのじゃないかというふうにもやはり思います。
 そして、さらには、日本の国内で申しますと、今負担額が、全体の八〇%をNHK、二〇%を民放というふうになっておりますが、このパーセンテージは、少しでも民放連にたくさん負担してもらおう、それでNHKでも出す分はできるだけ細くしようということを今考えておりまして、既に民放連の会長には私から申し入れをしております。ただ、民放連も今は非常に苦しいときになっておりますので簡単にオーケーが出ませんけれども、今後の交渉の前提に負担率のあり方をさらに検討していくということをやりたいと思っております。
○高木(陽)委員 きょうは時間が短いので、どんどんいろいろと質問をしてしまいますけれども、続いて、二十四時間放送のあり方ということ。
 二十四時間放送は、将来的にこれを目指していくみたいな方向性だと思うのですね。さらに、今回震災ということがあって、すぐに稼働できるような形、しかも、ことしに入ってから一時間ずつですか、始まりと終わりを延ばしたというような形があると思うのですけれども、実際、今後そういうふうになりますと、経費、人員、これはやはりそれなりに負担していかなきゃいけないと思うのですよ。そこら辺のところで、この経費、人員、今後のあり方ということでお話し願いたいと思います。
○川口参考人 二十四時間放送は、実は私が去年の八月に再選をされたときにこういうことをやるよと掲げた一つであります。
 なぜ二十四時間放送をやるのかということについて言いますと、現在の状況というのはいつ何が起こってもおかしくない時代になっていると思います。それは、別に災害とかだけではなくて、世界は二十四時間眠らないで動いているわけですから、貿易問題もあれば産業上の問題もあればいろいろなことが二十四時間起こっているわけです。その際の対応というものをできるだけ早くしたい。一たん火を消しますと、つまり電源を落としますと回復するのにやはり何分かかかりますので、今の時代で例えばどこかで大きな地震が起こった、ぱっと入れてみたら何も映ってないという状況では大変不安感が増しますので、そのことを前提にして二十四時間化をしようということを去年の八月に私が発言をしました。
 ただ、実際上の問題としては、特に午前一時から午前五時までの間というのは相当たくさんの人が眠っている時間ですね。ですから、そこに人手をつぎ込んだり、お金をそこにかけたりすることはこれは非常にもったいないと思います。ですから、何かが起こったらそこはすぐ切るけれども、そのほかのときはこれまでに出した放送の中ですぐれたものを再放送するとか、あるいは眠れない人のために眠れるような形の映像、音楽を流すとかいうふうな工夫をさせたいと思っていまして、余りお金と人をかけないで二十四時間放送の効果を出すということをこれから一生懸命研究していきます。そういうことで実施をいたしますので、よろしく御理解をいただきたいと思います。
○高木(陽)委員 今の会長の答弁、本当に余りお金をかけないでやっていただいた方がいいかなと思うのです。
 あと続きまして、これもよく民放連の方からも言われているのですけれども、NHKの肥大化という言い方ですね。七波、七つの波を持っていて、こんなに要らないのじゃないか。そうでなくても経営がそんなに、受信料でずっとやっていく上において楽ではない。さらに、今後ハイビジョンですとかいろいろな技術開発等々をやっていく上において、七波を維持しながらずっとやっていくとなると、これはかなり負担がかかるしというようないろいろな指摘があると思います。また、会長の方もラジオの第二の取り扱いについて言及されたと思うのですけれども、そこら辺のところで、七波も要らないという一方の意見、いや、やはり七波必要なんだ、いろいろな意見があると思うのですけれども、そのラジオ第二の取り扱いを含めてNHKの考え方。
 また一方郵政省の方では、今後衛星がどんどん発達していきますといろいろな波がまたふえてまいります。マルチメディアになるとさらにそういう形になると思います。そんな中にあって、NHKの今の波の問題についてどうお考えなのか、これを双方からお伺いしたいと思います。
○川口参考人 波を幾つ持ったが適当なのかということは非常に流動的でありまして、当時の社会情勢とか、あるいは視聴者の状況とかNHKの状況とかを考えながら進めるべきものだと思うのです。
 今七波が多いという議論は、七波に特色がないというのが一つあります。例えばテレビが四波ありますけれども、地上の二浪と衛星の二波とが、極端なことを言えばどこかで同じようなことをやっているじゃないか、四つを持つ必要があるのかということになりますね。それから音声も三波ありますけれども、三波が果たしてそれぞれ独自のことをやっているのかという御疑念があるから七波は多過ぎるというのが出てまいります。
 ただ、私どもとしては持っていると波を最高に活用すれば、これは決して多過ぎるとは言えない。ましてこれから後、多メディア時代になりますから、そのメディアの中でNHKが持っているとつの波がその特色を発揮すればそれは必要な波だというふうな御認識をいただけるというふうに思っております。もしそれができないようだったら返上すればいいんでありまして、私どもは別に、そこについてかたくなに七波でなければいけないとかいうふうには考えておりません。
 したがって、第二放送も効率化の一つの形としてこれをなしにしてはどうかという議論をしたわけですけれども、結果的には、新聞に報じられてから物すごいたくさんの方から第二放送をやめるな、あそこで利用している方の切々たる希望がありまして、それを押しのけてやめるというふうには私は結論できなかったわけです。ということは、第二放送がさらにこれから中身を充実していけば第一放送やFMと違うメディアとしての力を十分に発揮できると思います。
 そういうわけで、今後七波をどういうふうに特徴立てて、しかも視聴者のそれぞれに、これはもう視聴者のお好みも多様化していますから、十分にこたえていけるかという観点で今後は対応していきたいと思います。決してこだわってもおりませんし、といってかたくなに何か切ることをやだと言っているわけではございません。時の事情とメディア状況を勘案しながら十分に検討していきたいと思っております。
○江川政府委員 基本的にはただいまのNHK川口会長の御答弁と共通するところでございますが、NHKが保有いたしますメディアについては、今ここで七がいいとか、六がいい、五がいい、八がいい、九がいい、そういうことをにわかに申し上げられるものではございませんが、基本的に、これは将来にわたって固定的なものではないんだ。そしてNHKを取り巻く環境とか視聴者のニーズ、NHKの今後のありようとか、あるいは財政状況、民間放送との関係など、先生おっしゃいましたようにマルチメディアの中でNHKは何を果たしていくのか、どういう役割を果たしていくのか、そういうこととの兼ね合いの中で絶えず見直しといいましょうか、事のよしあしを議論していけば、考えていけばいいんだな、そういうスタンスで臨んでいきたいと考えております。
○高木(陽)委員 局長、会長の方から特色を発揮するというような言い方をされて、ここでちょっと気になるのは特にスポーツ番組、海外からのスポーツ番組、オリンピックですとか。そんなときに今までよくあったパターンが、衛星第一は生放送をします、それから一時間ぐらいおくれた録画を総合テレビの方でやっている。普通の人は総合テレビで見るわけで、何でこっちは録画なんだと。衛星放送の場合はさらに受信料高い分を払っていますからその分サービスしなきゃいけないという感覚はわかるのですけれども、結局同じ放送を時差をつけてやっている、これはまさに特色がない。しかも、見ている人はやはり衛星よりも総合テレビの方が多いわけで、こっちの多くのニーズを無視したやり方、これが今まで何回かあったんじゃないのかな。今後さらに、来年アトランタだとかそういったものがあると思います。こういった衛星で生総合テレビで録画、この関係性をどのようにとらえていくのか、これをお答え願いたいと思います。
○齊藤参考人 総合テレビでございますが、この位置づけは、幅広い視聴者にニュースとか定時番組など多様なサービスを提供するということになっております。こうした中で、大会が非常に長い期間にわたる、あるいは競技時間が非常に長いとか、今先生おっしゃったように開催地との時差の関係とか、こういったことを考慮しますとなかなか総合テレビでは扱いにくい。衛星の場合は非常に自由な編成ができるということから、こういった長時間の放送であるとか、こういったことに衛星を中心に対応している。それを、総合テレビの編成に合わせながら録画を含めて最大限に改めて放送するということを実施しているわけでございます。
○高木(陽)委員 余りよくわからないなという感じがしますが、とにかく自分自身も実感したのですけれども、それを見ているときに、例えば夜中の十二時過ぎ、そこにニュースなんて入っていないわけですから、そこで1チャンをつけていてあれっと思って、ばっと衛星をやったら、同じ競技をやっていながら何でこんなに時差がある、こういうことがある。最初から見たいという人もいるのでしょうけれども、総合テレビ、より多くの人が見ているわけですから、そこら辺のところでやはり生にしていただきたいな、これは要望としてまた御検討願いたいな、そういうように思います。
 あと、もう時間も大分参りましたので、選挙報道についてちょっとお伺いしたいと思います。
 これは特にテレビ、民放を含めて、選挙報道となりますと、いろいろと最近は出口調査等々を通じて、かなり早い段階での当確、当選、これを打っていくといった形があると思います。四月の統一地方選挙、知事選は余り勇み品等々もなかったし、明らかにはっきりしましたので問題はなかったと思うのですが、前回、一昨年夏の衆議院選挙等では、民放各社もまたNHKも当確打ち間違えというようなこともございました。七月には参議院選挙がございまして、今度、衆議院選挙は新しい選挙制度ということで、かなり新しいパターンでやらなきゃいけないな、そんな中での開票時の当確速報争い、本当にむだなことだなというふうに私は思っております。
 実際、何度がここの場でも言っていますが、自分も新聞社出身なので、新聞社も競争しています。当確、例えば早坂で幾つ打った、これが新聞社の競争になっているわけですね。一方、テレビの方はテレビで、何時何分に当確打った、何人出した、これは視聴者から見て別に関係ないわけで、正確な方がいいと僕は思うのです。早いというのもそれはそれで、候補者またはそれを支持した人にとってみればそれはすごく早く知りたいというのはわかるのですけれども、それ以上に正確な報道というのが一番大切なことじゃないかな。
 だから、そんな中での事前の調査で世論調査及び出口調査等々をやっているというのはわかるのですけれども、それを参考にしながらも、勇み足だけは絶対にやめてもらいたいな、そんなことを感じているのですが、その件についてどうでしょうか。
○齊藤参考人 開票速報については、一刻も早くしかも正確にというのが非常に大事だと思いますけれども、NHKといたしましては、事前の情勢の取材あるいは世論調査、それから今おっしゃいました出口調査あるいは開票所での取材、こういったことを総合的に行いまして、とにかく正確に、迅速に、わかりやすくということをモットーにやっております。
 当確ミスは当然絶対にあってはならないわけですが、多少でも根拠に疑問があれば、いたずらにスピードを競わないということは厳に戒めております。
○高木(陽)委員 本当にこれは迅速にと正確に、優先順位では正確にをまずやっていただきたいなというふうに思いますし、NHKがそういう態度をとりますと、民放もだんだんそうなると思うのですね。NHKがこうやって一生懸命やっているのはわかるのですけれども、それで急いで急いでとなりますと、民放もそれに負けじと頑張り始める。そこでもって第一回目の開票が出る前から当確をぽんと打ったり、開票率〇%当確だとか、こんなばかげたことがあってはいけないと思いますので、よろしくお願いいたします。
 もう時間も大分来ましたので、最後の質問だけ。
 先日、放送法が改正されて、人権の問題、いわゆる訂正放送の問題がありました。このことに関して、今の当確ミスも当事者にとってみれば大変な人権の問題にもなると思うのですね。前回のときも、衆議院選挙で当確打って、NHKを見て万歳をやっちゃった、しかもしばらくしたら落選だったということもあるので、そういう人権問題、これだけではなくていっぱいあると思うのです。これについて、NHKとして人権問題にどのように今後も取り組んでいくのか、それをお聞かせ願いたいと思います。
○齊藤参考人 人権問題は重要なテーマでありまして、毎年十二月の人権週間には、これにちなんで人権への正しい理解が得られるような特集番組を放送しております。そのほか、人権意識の向上には不断に努めておるつもりでございます。
 局内的に十分配慮をするためにどういった注意を払っているか、ちょっと二、三具体例を申し上げますが、「NHK番組基準ハンドブック」、これをそういった観点から訂正しております。それから、採用者研修あるいは職員研修を通じて人権についての周知徹底を図る等、さまざまな方策を行っております。さらに、取材とか制作手法等に問題があった場合に、局内に放送現場の倫理に関する委員会を設けまして、きちっと検証を行っているということでございます。
○高木(陽)委員 以上をもって終わります。ありがとうございました。
○自見委員長 次に、河村たかし君。
○河村(た)委員 河村たかしてございます。
 こうやって、予算は承認でございまして、決算は報告ということでございますが、国会内で承認ということになっておるそうでございますけれども、物の本によりますと、いろいろこの予算と決算が近づきますとNHKの皆様も大変で、どこかに飲みに行ったと書いてある本もありますけれども、よくわかりませんが、こういう一つのコントロール、結局ある意味では自主性を大事にしながらまた一方コントロールを一つ一つしていくというようなことなんですが、こういう方式、結局国会による承認というもの、会長、こういうのはうれしいものですか、どういうものですか、これは。
○川口参考人 これは喜怒哀楽ではございませんで、うれしいとか悲しいとかいうことではございませんで、このこと自体が国民の代表である国会の場で審議をされる、そのことは私どもは非常にいい制度だと思っております。それで、そこで交わされる議論の中から、私どもがNHKというものをどう運営していくのかをぜひきちんと考えていきたい、そう思っております。
○河村(た)委員 先人がずっと培ってきた制度でございますので、いろいろな意味で政治というか、いろいろな社会的なコントロールというのは、やはりプロがやる部分もありますものですから、こういう国会の場というのは、これはこれで大切なんだろうな、そんなふうに思っておりますが、また一方、ここまで情報がいろいろ盛んになってまいりますと、プロはプロですけれども、やはり政治の参加のシステムや直接民主的といいますか、そういうようなことももっと大いにやっていく時代を迎えたのではないか。皆さん、これはプロの委員ばかりだと思いますけれども、また御承知のようになかなかこれは忙しいということがございますものですから……。
 それで、今までは受信料なんかでも、結局おばちゃんが、おばちゃんと言ってはいけませんけれども、ずっと回っていただいて、直接ドアをノックして話をしたということで、そこでNHKはどうだったこうだったという話もできたと思うのですね。それがだんだん自動振り込みになっていくということになりますと、そこに何か公共放送の持っておった一つの緊張感がどうもなくなったのではないか。話を聞きますと、それは番審をやっておるからいいよという話もありますけれども、あれはあれでいい面もありますけれども、どうも私、そこら辺ちょっと気にするのです。
 それについて、前、アンケートでNHKは国営放送か公共放送かということを聞いたものがあるようですけれども、これは二つばかりありまして、九二年の十一月十四日のNHKの番組で二百三十二人にアンケートをした。これはどうも外でちょっちょっと聞いたらしいのですが、四七%が国営放送だ、公共放送は三一%、こういうふうに言っておりまして、また反面、世論調査がありまして、それによりますと、国営というよりも半官半民の団体、特殊な公共的事業体という方が多いんですね、実際。
 だからどうも、先ほどに戻りまして予算、決算、こういうことをやっておりますと、何かNHKは国営放送でなかったかなというのが、何となくそんな気持ちがするのが、また国民としてしょうがないところだなと思うのですね。
 しかし、先ほど言いましたように、そういう意味で、受信料が一つのあらわれだろうと思いますけれども、公共放送というものは何であるかということにまた入りますけれども、どうもそこに緊張感がなくなってきたということでございますので、何か、国民というか視聴者との直の緊張感を守り立ててやっていくような、そこら辺は、川口会長、どうでございますか。
○川口参考人 私も同じように考えまして、去年の再選のすぐ後、「NEXT10」運動というのを始めました。これは、いわゆるCI運動、組織が活性化するようにいろいろなことをやっていこうという運動ですけれども、「NEXT10」というのは、次の十年間でNHKをどう持っていこうか、どのようなことをするのが視聴者に向かって一番忠実なんだろうかということを考えよう。今持っている悪いところは全部直そう、自己点検をやって、そして自己改革をしようという運動です。
 このトップのところに、この前スローガンをつくりましたのですが、「NHKは視聴者本位制です」という言葉を若い人たちがつくってくれました。ということは、どういうことかといいますと、視聴者本位、当たり前ですが、それをもう制度としてNHKは内蔵しているのだ、視聴者本位制という制度でもってでき上がっているのだというふうに自覚しようという意味でございます。ですから、視聴者があって、それに向かって出しているということをむしろNHKのあり方の基本に据えていこうという意味でございまして、その前提で、いろいろな業務の改革をやりましたり、それからNHK全体のいろいろな改善、改造というものをこれから進めていくつもりでございます。視聴者本位制という名前であらわされるように、私どもは、そのことがやはりNHK存立の基盤だというふうに認識をしているところでございます。
○河村(た)委員 今まではどうも、放送というのは、放送というかこういうジャーナリズムですね、出版は自由に、放送は規制ということで一応一つの大きな枠があって、その放送も民放とNHKという二本立てでうまく機能してきたのだ、そういうふうに言われてきておるのですけれども。
 一方、ディジタル時代を迎えて、多チャンネルになるよと。多チャンネルの話はよく、いろいろなものがソフトとして見れるという話もありますけれども、もう一つ考えますと、多チャンネルの意味は、いろいろな経営形態が登場してきていいのではないかな。今までは、民放、これは営利企業ですね。NHKは違いますよね、株主はないと思いますが、これは非営利団体だと思いますけれども。国営でもない、民でも、金もうけでもない、そういうものだったのですが、僕はマッカーサーさんの気持ちは知りませんけれども、みんながお金を出し合って、それで草の根的に育てていこう、そういうものを経営形態として、ビルトイン、ひとつつくっていこうという気持ちが多分あったのではないかと思うのですね。
 ところが、日本にそういうシステムをきちっと認知する、社会的にありませんものですから、NHKという一つの、巨大というと怒られますけれども、そういうものだけに、いわゆる掃除機みたいになってしまって、ざっとそういうものを吸い取った格好になってしまったというふうに私は思っておりまして、ディジタル時代を迎えて、NHKさんにみずからどうこうしろというのは難しいと思いますけれどもね。
 マンモスという表現をかりますが、マンモスは自分で自殺したわけではなくて、これは隕石が落ちて死んだと言われておりますので、だからどこかからやっていかなければいかぬですけれども、やはりいろいろな経営形態をもう一つつくっていく。NHK的には、みんなでお金を出し合って育てるというのを、もうちょっと小さいものでも、例えば郵政省でも、聞いておりますと、何かコミュニティーラジオみたいなのを、一ワット以下ですか、今度〇Kにするということですけれども、やはりそれだってそういう経営形態を社会基盤として持っていないとこれは国営放送になってしまうかもわかりませんしね。反対に、民営なら民営でもいいのですけれども。
 だから、そういうような一つの考え方を大いに入れていただいて、そんなところから新しい時代の放送秩序を今模索しておる最中だと思いますけれども、今までのNHK、民放、こういうがちっと組んできたスタイルにディジタルが来て、どうもいろいろなものになりそうだ。だけれども、繰り返しますけれども、今そのいろいろなものというのは番組の内容でとらえておりますけれども、もう一つ進んで経営形態までいっていろいろなものを出す、そういう競争をしながらでも放送をやっていく、そういう時代の方がいいのではないかしらんと思いまして、また、そういう話は放送に関する懇談会なんかやっておられるようですけれども、郵政省の中で。
 だけれども、NTTさんの方はことし政府措置の期限となりまして、非常にこの議論は活発ですけれども、それにもまさるとも劣らない社会的影響を及ぼすNHKというか放送ですので、それは一向に余りそういうことが聞こえてこないということですね。そこら辺、どういうふうに考えておられるのか、そういう草の根的な放送文化を新しい民と官を両方あわせたようなもので育てていくということをどうお考えになっておられるのか、ひとつ川口会長と大出大臣に聞かせてもらえないかと思います。
○川口参考人 こういう形の公共放送というのは、イギリスのBBCが実は範として先にあったわけですね。それで、それが一番今の日本ではいいのではないかということで、一九二五年に現在の基礎ができて、そして一九五〇年に新しい放送法ではっきりしてきたという歴史がございます。その本家本元のBBCでも受信料問題というのは非常に深刻でありまして、特にサッチャー政権時代に非常にいろいろな問題が、つまり国益か反国益かというような問題が起こりまして、それでその存在が相当揺らいだことがあります。その後、BBCは、また今のところではやはり受信料制度を根幹に据えた公共放送のあり方を探っていこうというふうになっておりまして、私どもも多分に同じような経緯をたどっているわけですね。
 私の前の会長さんは、NHKが受信料等ではもっていけないから、いわゆる商業的な方で利益を得て、それを受信料負担の軽減のために役立てるというふうな発想をしたわけです。それは民放からも非常に大きな反発を食いまして、結局私がその後で、その形はできないということを声明をして、そして今、受信料体制下の公共放送のあり方を何とか一生懸命維持していこうとやっているわけですね。
 ただ、おっしゃるように、これから後メディアがふえできますと、その中でNHKをどう位置づけたらいいのか、今持っていると波はどうするのかというふうな問題とか、新しいメディアに対応してどういう放送をやるのか、その放送は今やっているNHKの放送と違うのか、いろいろな問題が出てまいります。したがいまして、NHKとしては、これは自分の問題ですから、いち早く研究、リサーチ、そして検討ということも進めておりまして、いろいろなケースを考え、シミュレーションをして、それでもなおかつ日本にとって、日本人にとって必要な放送というものは何だろう、それをどうやって維持できるだろうということを前提にして考えていきます、そしてその幅もできるだけ広くとっていろいろな可能性を模索をしたい、こう思っております。
○大出国務大臣 河村さんの今の御意見、お考えですね、私は同感というところが大変よくございまして、何もNHKというのは今の形態でなければならぬことはないと思っておるものですから。
 NHKというのはつまり特殊法人なのですよね、今の範囲で決めれば。KDDもそうですけれども。これはついこの間も特殊法人の見直しの中で、KDDなどの民営化という話もありまして、そういう議論になるのならNHKを民営化したっていいのではないのかいという、与党内の議論で、当時の責任者に私がずばっとその話をして、二十五年につくったこの放送法自体、これ、さっきからちょっと口の中に出てしまうのですけれども、二十五年にこしらえたのは、これは実は日本放送協会法なのですね、この放送法というのは。条文を読んでみればわかるので、日本放送協会が条文に出てくるなんて、これは普通はないわけでございますから、それで民放を規制しようというわけですから、私は、根本的に検討してみる価値は十二分にある問題だと思っております。
 ただ、現状は、歴史がありまして、NHKの皆さんがお答えになっておりますように、NHKの皆さんの答弁がここに書いてありますが、時間がかかりますから読みませんけれども、要するに、皆さんから聴視料をいただいているんだから、どこかでこれは規制が必要である、国民を代表する国会なんだから、そこで決めていただくのが一番妥当ではないのかという論理ですよね、今の状況というのは。しかし、もう御指摘のとおり、マルチメディアと言われる時代が急速にこれから進んでいく。
 一つだけ例を挙げますが、一昨年の六月にアメリカで封切って、七月に日本で封切りました「ジュラシック・パーク」という例の恐竜映画がございます。さっきもちょっとお話が出ましたが、あの原作者マイケル・クライトンという人ですけれども、「ライジング・サン」などという有名なものを書いておられます。彼のつい最近の講演を読んでみると、この中で、恐竜になぞらえまして、メディアサウルスというものは崩壊をするという、放送メディアの崩壊という場面が出てくるのですね。
 新聞もそうなのですが、今、自分の必要なものをと思っても、五時間くらい読まなければ本当に必要なものは見つからない。ところが、インタラクティブになってくれば、例えば双方向で、放送という一つのカテゴリーの中で、必要なものは、たたけば本当にもう三十分か一時間あれば全部出てしまうという世の中になる。必要なものがあったら、こっち側から要求すれば全部出てきてしまう。そういう時期に、今の形の放送というシステムが要るのかという議論なんですよ。だから、それを詰めていけば、本当にマルチメディアを考えれば、形は全く変わってしまう。隕石が落っこちたからいなくなるのじゃなくて、今のマルチメディアなるものの進行方向をたどっていくとそこに突き当たるということになる。これは大変な反響を呼んでいます。
 だから、そういう意味で、移り変わりに応じて今の制度――今の決算というのは、予算の制度を決めれば決算も決まってしまうわけですから、予算制度というのはこういうことにしたのだということになると、決算はこうでこうなる。そういう意味で、私は、御指摘のように、時々刻々進んでいく状況に合わせた検討が必要だと思う。何も今の形にとらわれる必要はないと思っています。
    〔委員長退席、佐田委員長代理着席〕
○河村(た)委員 どうもなかなか私の言っとることが、ようまだわかっとってまえんような気がします。
 何が言いたいかといいますと、NHKの受信料システムというのは実は物すごい理想的なシステムであって、官がやるのと、いわゆる営利企業とまた違う、みんなでお金を出し合っていろんな組織をつくって自分たちでコントロールしていくんだという、アメリカでよく言いますNPO、ノン・プロフィット・オーガニゼーション、非営利組織の理論ということで、本当はそういう経営形態こそがこれからどえらい重要な時代に入っておるわけですよ。
 だから、そういう意味で、NHK、受信料苦しいよ、だから民営にぱっといく、そういう論理じゃなくて、みんなで出し合ってつくっていくというのを大いに伸ばす。そのためには小さいものを育てないかぬですね。草の根を育てる理論なわけですよ。そこら辺のところを、大臣も前……(大出国務大臣「NHKじゃなくてもいいでしょう」と呼ぶ)ええ、NHKじゃなくてもいいですね、これは。日本はそういう小さいものを育てるということがなかったものですから、そういう理想的な格好がNHKの強烈な掃除機で全部吸い取られちゃったということでございますので、ぜひそういうことを育てる。今ムードもありますし、私もほかのところで頑張っておりますものですからね。
 それで、もう一つちょっと聞きたいのですが、そういう非営利組織というのが出てきた場合に、営利じゃありませんよ、これは。例えば放送時間の百分の一とか、例えば二十時間放送しますと千二百分ですか、千二百分あれば、その中の十分を、そういう団体の、市民団体ですね、ほかの法人格を、まあいろいろなことを工夫しますけれども、与えていくように、そういう宣伝をするという、義務づけは難しいと思いますけれども、そんなものをひとつ努力目標として仮にお願いしたら、NHKさんは断られますか。どんなものですかね、これは。ちょっと会長さんどうですか。
○川口参考人 現在のNHKが全部においていいとは私は思っておりません。ですから、まだまだやるべきことがいっぱいある。本当の意味で視聴者のためのNHKになっているかということは、もう絶えず自問自答しなければいけないことですね。七つも波があるならば、もうちょっとうまい使い方をしろよということはよく私言われます。七つ持っているならば、こういう放送もできるじゃないか、これもできるじゃないかというふうなことも言われました。
 ですから、それは当然私どもの責任として、今持っているものを最大限に活用するということをやらなきゃいけないと思っておりますし、今後ともそういう御意見はもうどんどん受けとめて、そして新しいNHKを構築するという気持ちでいきたいと思います。
○河村(た)委員 それはちょっとこの辺でやめておきます。
 私が出てきて、おかげさんで名古屋言葉が逓信委員会で市民権を得ましたものですから、この間のフォローという意味でちょっと聞かせていただきます。
 この間、私がお伺いしましたときに、番組基準の一の十の二で、ここに「放送のことばは、原則として、標準語による。必要により方言を用いるときは、慎重に取り扱う。」という規定というのか基準がありまして、これに対して、こういうのはいかぬじゃないか、古いといいますか、やはり多様な時代を目指す今後のあり方とするなら、共通語、標準語という言い方は私は余り好きじゃありませんが、共通語プラス、方言と言うのも余り好きじゃないですけれども、お国言葉、両方やっていくというシステムに改めてもらえぬだろうかと言いましたところが、会長は、私も鹿児島の生まれで、非常に賛成だということで、検討するというお話がございまして、その後どうなったかということ。
 それから、これは江川局長に御指名でちょっと聞きたいのですが、江川局長の方から、一応標準語ということを優先してほしい、しかし、なべて通して、どこかの地方の言葉のみでやってしまうことをよしとすることはいかがなものかというようなことを言われておりまして、この間、僕かごの話をしましたら、川口会長からNHK大阪の発行しました大阪の言葉の本を持ってきていただきまして、ありがとうございました。ちゃんと読ませていただきました。
 そういう流れの中で、例えば一日大阪言葉でやろうというような話もどうも向こうではあるらしいですね。そうなるとこれは江川局長のお話とちょっと矛盾してまいりまして、日本の放送行政をリードする二人のジャイアントが違うお気持ちでは困りますものですから、まず川口会長に、検討させていただきたいというのがその後どうなったか、それから江川さんに、ぜひここは川口会長路線に乗っていただいて大いに――江川さんはディジタルを非常に主張されている。ディジタルのいいところは、やっぱり多様性なんですよね。だから、そういうディジタルの好きな方が標準語を力まれるというのは、どうもいささか僕は寂しくてしょうがないですよ。そこら辺ひとつお答えをいただきたいと思います。
○川口参考人 三月十五日にもお答えしましたけれども、私は方言に対しては相当愛着を持っておりまして、放送の中でも適切に生かされるべきだという考え方でございます。
 例えば大阪弁で一日やるとか、そういうこともまたことしやっていこうと思っています。名古屋弁も考えさせます。(河村(た)委員「名古屋言葉と言ってください」と呼ぶ)名古屋言葉ですか、はい。
 まあ一つの例ですが、この前、五月でしたか、鹿児島でシンポジウムをやったという報告が来ました。そのシンポジウムは、ぼっけもんという言葉があるのですが、これは野心に富んだ青年を指しているのですが、ぼっけもんの時代ということでやったらしいのでございますけれども、非常に方言が乱れ飛んで活発な討論会になったということを聞きました。
 そういうぐあいに、いわゆる方言を豊かに守ろうというところではいろいろな試みを始めておりまして、例えば東北でもそのような試みは幾つもの局がやっております。
 ですから、全国放送でやるとそれは非常に迷惑になるということもあるかもしれませんので慎重にやりますけれども、しかし方言が持っているよさを全国的に味わってもらうということもまた必要ではないかと思いますので、これは、時間帯だとかあるいはやり方だとか何かを十分吟味した上で私は対応していきたいと思っております。
○江川政府委員 極めてクールなことでちょっと答えさせていただきたいのですけれども、放送法の三条の三で、番組基準を放送事業者はつくりなさいと書いてございます。
 要するに、基本的に私が申し上げたいのは、放送事業者が自主自律でやるということが大原則になっているということでございまして、放送番組基準の中に、NHKは具体的に国内放送のやり方で、方言という言葉がいいか悪いかは別ですが、標準語以外による言葉ですね、それについてはこれこれだというふうに、先ほど先生おっしゃいましたように書いてあるわけです。「原則として、標準語による。必要により方一言を用いるときは、慎重に取り扱う。」と書いてございまして、このことを私が直せとか直すなど今ここで申し上げるのはいかにもいけないことです。しかし、このものは、結果的に申し上げますと、大変バランスのとれたいい番組基準ができているなと郵政省は見ているところでございます。
 そこで、川口会長も今の御答弁でございましたように、全国放送でこれを全部ノベタンでやったら迷惑を感じるかも、ノベタンということは言いません、全国放送でやったら迷惑を感じるかもしれないがというふうにおっしゃいました。そういうことはこの放送番組基準にもやはり思想があらわれていると思います。
 私の前回の御答弁も、実は、「なべて通して、もう全部どこか地方の言葉のみでやってしまうことをよしとする」というのはいかがかと申し上げたのは、そういう趣旨でございます。どこかの時間帯、どこかの番組、何かである部分をぐっとどこかの言葉を使うということ、土地言葉を使うということは、それはそれで番組に特徴をあらわすためにおもしろい手法であろう、それは全国のだれもが納得し、認めてくれる話であろうというふうに私たちも考えます。
 そういう意味で、一部特色を出すために使うことは少しも否定するところではございませんが、繰り返しになりますが、全部土地言葉だけで二十四時間を組むというのはいかがなものかなというのは、郵政省としても考えているところでございます。
○河村(た)委員 ありがたいお言葉をいただいておりますけれども、どうも雰囲気としては、特色を出すためにとか、刺身のつまみたいな言い方でございますけれども、私からすれば、共通語はビフテキかわかりませんけれども、お国言葉というのは、刺身のつまじゃない、刺身そのものだということでございます。
 本当に何遍も言いますけれども、ディジタル時代を迎えますので、やはり多様な文化を本当にリードしていくのだぞということを、ぜひディジタルの旗手であります江川局長に旗を振っていただいて、NHKも今言いましたように、NHKの持っているすばらしい、みんなでお金を出し合ってやるというシステムは、実はたまたま大きな組織に日本の場合はなってしまいましたけれども、もっと小さいコミュニティーラジオだってやるのでしょう、これは。そういうところで、小さい、地域の皆さんからお金を集めてみんなでやってくれよ、コントロールもみんなでやればいいじゃないのと、そのかわり、経理なんかをオープンにして、みんなで見るということですね。そういうシステムづくりをひとつこのディジタルの時代に向かって大いにやっていただきたいということでございます。
 以上で終わります。どうも済みません。
    〔佐田委員長代理退席、委員長着席〕
○自見委員長 次に、矢島恒夫君。
○矢島委員 ことしで文字放送が始まって十周年を迎えているわけであります。そこで、私、文字放送、字幕放送について何点かお伺いしたいと思います。
 聴覚障害者団体の粘り強い運動もあって、一昨年、いわゆる通信・放送障害者利用円滑化法というのが施行されました。最近では受信機やデコーダーの値段が随分安くなってまいりました。調べましたところ、二十一インチで七万五千円の内蔵テレビがあったり、あるいは五万五千円のデコーダーも発売されております。また、障害者の方には購入に際して、これは厚生省の方ですけれども、国から八万円の援助が出るようになったわけであります。こういう前進がある一方で、聴覚障害者が一番望んでいる一般のテレビ番組の字幕放送がまだまだ少ないわけです。
 そこでNHKにお尋ねしますが、字幕放送の制作には一体幾らかけているか、ここ二、三年の状況をお答えいただければと思います。また、今後どうこの字幕放送、文字放送を進めていこうとしておられるか、その点をお答えいただきたいと思います。
○齊藤参考人 経費の推移でございますが、昭和六十年、スタート時期は二千六百万の経費でございました。放送時間は三時間。平成七年度に至りまして、ちょうど十周年を迎えるわけですが、現在は放送時間が十五時間十八分、全体経費は一億九千八百万、約二億に至っております。
 今後どうかというお話でございますが、段階的に計画的にふやしていきたいというふうに思っておりまして、その方向で検討を進めております。
○矢島委員 私、新聞の番組表を見まして、字幕放送の場合にはタイトルの前に「字」という字が四角の中に入って印があるわけであります。五月二十七日から六月二日までの一週間、再放送を除きまして二十七番組、放送時間では十四時間でした。それでその六割はNHKだ、こういうことを見たわけです。今年度から「NHKスペシャル映像の世紀」あるいは「生きもの地球紀行」、こういうものも字幕がつきましたし、また、昨年度からすべてのドラマに字幕をつけた。非常にこの点では一定の前進があろうと思うわけです。
 しかし、今お答えいただきましたように、字幕放送の制作費というのが今年度の予算で約二億円。国内放送費の二千二百七十億円から見れば、そう大きい数字ではないと思うのです。
 その点アメリカでは、これは九三年に発効しましたテレビジョン・デコーダ回路法というのがありますが、その中でこういう条文もあるわけですね。「米国内で製造され或いは米国内での使用を目的に輸入される、十三インチ以上のテレビジョン放送受信機は、字幕放送を表示するためのデコーダ回路を内蔵しなければならない。」と義務づけている。さらに、私非常に注目いたしましたのは、この法律の中に、第二条の四項ですが、「字幕放送は、米国老人の約三八%に当たる、聴力に幾らかの衰えのある人々に利益をもたらすこととなること」というのがあるわけです。
 結局、聴力障害者だけではなくて聴力の衰えた方にも非常に喜ばれる、いわゆる健聴者にもこの文字放送、字幕放送が普及している。このことは日本にとっても非常に重要な点だろうと思うのです。
 先日、某民間テレビ局が調査した結果が出ておりました。これを見ますと、テレビを一番見ているのは高齢者だ、こういう結果が出ているわけですね。一日二百分を超す、こういう表題があります。高齢者にとっては、テレビはなくてはならないものだ、「もう一人の家族」だ、こうも言っている方がおります。そのテレビの音が聞きづらいとかあるいは聞こえないとか、困っている高齢者に大変この字幕放送というのは喜ばれるものだ、こういうことが言えるわけです。
 そこで、一つは、生中継以外の全番組に字幕放送をつけるよう年次計画をつくって取り組んでいただきたい、こういうことと、もう一つは、生中継に字幕をつけることが難しいのは私も十分承知しております。しかし、このアンケートを見ますと、「見たい番組の種類」、こういう設問があります。五十歳以上の方のその設問に対する答えを見ますと、「ニュース・報道もの」、これが一番多いわけなんです。高齢者は、日常の事件や事故、こういうものの情報あるいは社会情勢あるいは社会情報、こういうものをまずテレビから入手しているという状況にあるわけで、テレビが社会の窓にもなっているわけです。
 そこで、このニュースや報道ものあるいはスポーツ中継、こういうものも字幕放送を実現するよう技術開発を全力で進めていただきたい、この二つの点についてのお考えを。
○齊藤参考人 先ほど申し上げましたように、字幕放送については年々強化しておりますけれども、一方で社会的な、何というか条件整備が進むことも大事じゃないかな。つまり、さっきおっしゃいましたデコーダーを内蔵したテレビ、ようやく各メーカーが阪神大震災の経験を踏まえて生産されるようになりました。こういった状況に合わせて、NHKとしてもさらに強化していきたいというふうに思っております。
 それから、ニュース、報道番組についてでございますが、こういった生放送に対応するシステム、これはなかなか難しいわけでございまして、例えば、三十分番組の字幕制作には最低四日を必要とするというようなことがありまして、なかなかニュース、報道番組の字幕化というのは難しいということがございます。ただ、それに向けていろいろなシステムの開発もあわせてやっていかなければいけないということで、例えば、しゃべった音声がそのまま変換されて文字になるとか、こういった研究開発も並行してやっておりまして、そういった条件の整うに従ってもっともっと実質的な強化がされると思います。
○矢島委員 ぜひそういう技術開発の方も一層努力していただきたいと思います。
 それから、テレビ番組表を見ますと、例えば地上波では、「八代将軍吉宗」には字幕放送の印がついております。ところが、BSの方はないんですね。大河ドラマですら、こういうBS放送では、いわゆる視覚障害者向けの解説放送はございますけれども、字幕放送がない。早期にBS放送にも字幕放送をぜひ実施すべきだと思うんですが、この点での計画についてお尋ねいたします。
○齊藤参考人 衛星放送で字幕放送を実施する場合は、地上波と同じ方式で行うか、つまり多重装置をつけて文字放送をやるとか、あるいは衛星放送の音声搬送波のデータチャンネルを利用する、いわゆる空きチャンネルを利用して放送するというようなことが考えられますが、どちらにつきましても技術基準に関しては確立されているということでございます。導入する場合は、衛星放送用に新たに多重装置等を整備する、そのために数億円規模の設備投資は必要になるということでございますが、徐々にそういった方向に向けて前向きに取り組んでいきたいというふうに思っております。
○矢島委員 ぜひひとつそういう方向での取り組みをお願いしたいと思います。
 川口会長にお伺いしますが、さきの阪神大震災のときでも、百四十台の文字受信機を設置する、あるいはNHKなどで文字放送によって安否情報あるいは救援物資、それから妊産婦についての相談、人工透析あるいは貯金通帳の紛失状況、こういうようなものが臨時番組として放送が行われたわけです。まさに聴覚障害者の命綱となっただけでなくて、健聴者にも非常に役に立ちました。今回の災害で被災者に対して最も詳細かつ大量の情報を送ったのは文字放送であったと思われるという、そういう声もありました。
 川口会長も、四月二十六日ですか、世界放送連合の会議の中で、「聴力障害者のための文字放送、手話放送も「何かの時はNHK」という視聴者の厚い信頼にこたえた。しかし、今回の災害放送で初めて学んだこと、今後検討が必要なことも多くある。」と話されておると思います。聴力障害者やあるいは高齢者などのニーズとともに、災害時に大きな力を発揮するのがこの字幕放送、文字放送で、ハイビジョン放送やBS放送も含めて一層進めていただきたいと思うわけですけれども、このBSやハイビジョンについては、技術的なことはある程度クリアできるけれども、実際にいろいろお金がかかることだという御答弁もあったわけですが、現在免許の申請、これもないようなんですが、これらを含めてひとつ会長の決意をお聞きしたいと思います。
○川口参考人 字幕放送を始めた昭和六十年というのは実は私は齊藤君の位置におりまして、スタートをかけた張本人でございます。当時から見ると、もう格段の時間量それから内容になっていますけれども、おっしゃるとおりまだまだ一〇〇%とてもいかないという状況でございます。ただ、一遍にこれをじゃ来年からもう全部やるかというと、そうはいかないところがいっぱいありまして、条件整備をやると同時に、適切な計画的なお金の配算とそれから人員の確保というようなことをやっていかなければいけません。したがって、年度ごとにどこまで進めてどういうふうにするということを早急に確定をしたいと思います。
 それから、文字放送の有効性が、ことし阪神大震災でもって非常に大きく見直されまして、私のところにも多くの方々から文字放送の有効性について、これを今後どうするのか、NHKの考え方をはっきりさせろということは言われております。したがいまして、文字放送はこれから恐らく上り坂になってくるんじゃないか、拡大していくんじゃないかという見通しを持ち得るに至りましたので、文字放送会社とも十分相談いたしまして、これがよりたくさんの方により便利に利用していただくようにしたいと思います。
 字幕それから文字放送、いわゆるマイノリティーサービスと称する少数の方々のためのお役に立つような放送は、これはもうNHKの責任の一つでありますから、大事にしていきたいと思っております。
○矢島委員 障害を持つ方々あるいは耳の遠い高齢者の方々がこういう新しいメディアから取り残されるということは、これはまた一つ重大な問題だと思います。「NHK中長期経営方針」を見ますと、「障害者向け番組」のところで、「障害者の幅広い情報ニーズに応えるため、字幕・手話・解説放送等を充実・強化します。」こう言っているわけですから、一層の御努力をひとつよろしくお願いしたいと思います。
 次に、郵政省にお伺いいたしますけれども、民放で放送された字幕放送、この一週間調べてみたわけですが、五局合わせまして九番組七時間でした。実際問題として非常に少ない。障害者利用円滑化法が施行されてから、民放ではどれくらいこの字幕放送が新しく実施されるようになったか。また、民放で字幕放送が進まない理由をどうお考えか、この二点についてお伺いします。
○江川政府委員 障害者法は平成五年九月に施行されまして、その十二月から字幕番組の制作費に対する助成を行っております。施行後の字幕番組の増加状況、民放のキー局五局で申し上げますと、四年度が約三百三十本、五年度が五百本、六年度が六百本と、民放の努力によりまして着実に増加しております。これは、この数字をもって民放の字幕放送が少ないと見るかどうかというのは判断の分かれるところかと思いますが、我々は、ない中で頑張ってふやしてきてくれているな、そう考えておりまして、それは本制度の、助成制度の効果があらわれているものだな、そう承知しております。
○矢島委員 郵政省の方は頑張っているという評価ですけれども、五局合わせて一週間で九番組七時間というのはまことに少ないというふうに一般的には判断されるのではないか。
 なぜなかなか字幕放送が進まないかという理由にはいろいろあると思うのです。一つには制作費の問題もあろうかと思います。
 そういう状況の中で、免許の問題についてお聞きしたいのですが、つまり文字放送がなぜ民放の中で進まないかという中で、大都市圏以外の民放の文字放送の免許状況、なかなか進んでいないようです。郵政省にお聞きしましたところ、現在、全国百二十三のテレビ局のうち十五の局しかまだ免許を取得していないということでした。ですから、キー局では字幕つきの放送を流しても系列局で免許を取っていないと結局流せないわけです。そこで、テレビの免許を持っていれば字幕は自動的に流せる、こういうことにすれば、地方の局は免許がなくても、文字放送の施設がなくても字幕放送を流せるわけです。
 障害者利用円滑化法の審議のときに、当時の放送行政局長が私どもの党の菅野議員の質問に対してこう答えていらっしゃいます。「字幕放送を実施しやすい環境をできる限り整備する必要があるという点では私も同感でございまして、関係者の意見も勘案しながら、免許の方法も含めましてさらに検討を進めてまいりたいというふうに考えております。」
 その後、免許の方法についてどう検討が進んでいるか、お答えいただきたいと思います。
○江川政府委員 字幕放送が普及しないのは、事業の採算性が問題でございまして、免許の問題ではないと考えておりますが、これまで郵政省では、字幕放送等の補完利用に限ってテレビジョン放送の免許と一体化する、あるいは文字多重放送をテレビジョン放送の免許と一体化するということを検討してまいりました。
 しかし、補完利用に限って免許を一体化することについては、番組内容によって免許の要否が定められるということから、この方法をとることは困難だなと。また、文字多重放送をテレビジョン放送の免許と一体化することについては、文字多重放送のほか、音声多重放送あるいはファクシミリ多重放送を含めた多重放送の免許全体のあり方を検討する必要があるということなどの課題がございます。今後ともそういうような課題も含めまして慎重に検討を続けてまいりたいと思います。
○矢島委員 進まない理由というのはいろいろあることは私も承知しております。しかし、キー局との関係からいえば、免許法というのもいろいろとかかわり合いを持っているということを申し述べておきたいと思います。障害者利用円滑化法、この精神からいって、新しいメディアから障害者を締め出してしまうということはやはり全面参加と平等ということにならないわけでありますから、聴覚障害者や耳の遠い高齢者はBSやハイビジョンが楽しめない、こういうことにならないよう御努力をお願いしたいと思います。そこで、大臣にお尋ねしたいのですが、先日、これは五月二十二日の毎日新聞ですけれども、大臣、毎日新聞の竹内さんと対談をやっていらっしゃって、その中で、見出しにもありますが、「光ファイバーネットワーク 二〇一〇年、全家庭に」こういうのがあるわけです。光ファイバーは、このように目標を定め、そしてまた多額の長期低利の融資もして推進しています。
 そこで、一つは、この字幕放送、文字放送も目標をきちんと決めて責任を持って取り組むべきだと思います。
 それからもう一つは、補助金の問題なんですが、障害者利用円滑化法によって助成をするという方向が出されたわけです。しかし、アメリカの例をとりますと、連邦政府が字幕制作に年間三億四千六百万円の補助をしている。日本でもあの円滑化法で字幕制作費の半額が助成される、こうなったわけですが、金利が下がっておりますので年間二千九百万円ぐらいになっている。そうするとアメリカの十分の一ぐらいになるわけです。三十分番組の字幕を一本つくるのに二十二万円かかる、こう言われておりますが、やはり補助金の増額を図るべきじゃないか。
 などなど、円滑化法を本当に推進していく立場から、不十分な点は直ちに改めて、新しい技術にもきちんと位置づける、このことが必要だと思いますが、大臣のお考えを。
○江川政府委員 二点あろうかと思います。
 一つは、字幕放送の普及を進めるに当たって目標設定したらどうか、必要じゃないかということかと思います。
 郵政省といたしましては、聴覚に障害を持つ人がそうでない人とできるだけ同等の情報を享受できるようにするためにいろいろなことを考えているわけですが、今回の障害者法に基づく措置は、字幕番組制作費への補助ということで、いわば呼び水として本制度を創設したものであります。これは、質の議論としてそういうことによって広げていこうということで、今とりあえず開始をするという目標であって、数字的にどれだけの目標を立てるというふうには考えておりません。また、そういう考えをとる予定はございません。
 それから、二つ目の増額が必要ではないかという趣旨の御質問でございますが、障害者法に基づいて、通信・放送機構が十億円の基金を持っていまして、その運用益によってこの制作費の助成を行っているわけでございますが、先生も御指摘のとおり、ただいま、平成六年度では二千九百万、七年度では三千万強というところの額でございます。この助成制度は字幕放送の拡充のための呼び水ということを目的として導入したものでございます。資金というものは、金というものは多くあるにこしたことはないのはもう言うまでもないところでございますが、何分にもいろいろと資金につきましては、白地に絵を描くように金を充てるという、そういうわけにはいきません。その増額については今後、いろいろな状況、字幕放送の普及状況等を踏まえながら種々検討して、必要な分を積み増していくというようなことで努力してまいりたいと思います。
○矢島委員 この障害者利用円滑化法が審議されたときに、当時の放送行政局長もこの法案の支援措置を呼び水にするという言葉を使いました。今、江川局長もそういう言葉を使いましたが、十分に呼び水になっているのかどうかという点が一つの問題だ。もちろん、お金のかかることですからいろいろあるでしょうが、やはりこのことも含めて大臣の決意をお聞きしたい。
 それで、時間がございませんので、もう一つ質問を追加させていただきたいのですが、これも先ほど私が申しました毎日新聞での対談の内容なんですが、マルコー二が無線を発明してことしは百年ということで、大臣が無線通信の役割の重要性をこの中で語られております。その中で、モールスの業績も語られていらっしゃる。そこで、今も船舶を対象にして重要な役割を果たしているところのNTTの銚子無線局の廃局の問題でお伺いしたいのです。
 この廃局は、地元の市長も議会も反対を表明しております。国際条約上も衛星通信への移行というのが図られておりますけれども、一九九九年まではモールス通信、これを残すということにしております。海上の安全、人命にかかわる問題ですし、また阪神・淡路大震災の教訓というのは、通信にはバックアップ体制が絶対に必要だということを物語っていると思うのです。
 通信の公共性という点からも、この銚子無線局の廃止というのはNTTの問題だ、こういうことで放置できる問題ではないのではないか。ぜひ存続の方向で対処していただきたいと思いますが、先ほどのこととあわせてお答えいただいて、質問を終わりたいと思います。
○大出国務大臣 二つございます。
 最初の文字放送、字幕放送の件ですけれども、これは予算委員会でも何人もの方から質問も出まして、障害者法と絡んだ質問がございました。そのときに私、調べてみたのですけれども、アメリカで数年前に、十三インチ以上のものにデコーダー内蔵を義務づけた。あれは議員立法ですかね、出てきているのは。そのときの経過も読んでみたのですよ。日本と比べて向こうはアルファベットですから、こっちは、日本字というやつは、そこまで気がっかなかったのですけれども、やはり経費が、単価が高くなるという問題などもある。よほどあそこで、内蔵させる、義務づける方向でと言おうかと思ったこともあるのですけれども、いろいろ調べてみたら、ちょっとまだそこまで言うのは無理があるなと思って、あきらめて我慢したのですけれども。私の気持ちとしては、機会があるかどうかわかりませんけれども、少しでも前に進めたい、こう思っております。機会があればやりたいと思っております。
 それからもう一つ、例の銚子のNTTの施設につきましては、先生からも三回くらい、通告をいただいておいて御質問をいただかなかったこともあるので、その旨はいろいろ話してきている。NTTの方も、周辺に迷惑その他をかけないようにということを考えてやっているということも言っておりまして、しかし、ぎりぎりまでいけば、やはり民間になっているNTTでございますから、私の方から要望はしていますけれども、あるいは限度があるのかな、しかし、その辺は連絡を取り合ってやってもらいたいな、こういうふうに思って、話はしております。
○矢島委員 ぜひひとつ、聴覚障害者に対する字幕放送、文字放送の前進、それから、最後にちょこっとつけ加えました銚子無線局の問題などについても、今後いろいろと御努力いただきたいと思います。
 終わります。
○自見委員長 これにて両件に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
○自見委員長 これより両件について討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 まず、日本放送協会平成四年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書について採決いたします。
 本件について異議がないと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○自見委員長 起立総員。よって、本件は異議がないものと決しました。
 次に、日本放送協会平成五年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書について採決いたします。
 本件について異議がないと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○自見委員長 起立総員。よって、本件は異議がないものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました両件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○自見委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
○自見委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 逓信行政に関する件、特に高度情報通信社会とマルチメディアについて調査のため、明七日、参考人として国際大学グローバル・コミュニケーション・センター所長公文俊平君、東京大学工学部教授・大型計算機センター長齊藤忠夫君、日本アイ・ビー・エム株式会社会長椎名武雄君、日本電信電話株式会社会長山口開生君の出席を求め、意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○自見委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 次回は、明七日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時四十六分散会
     ――――◇―――――