第132回国会 予算委員会 第28号
平成七年五月十七日(水曜日)
    午前九時一分開議
出席委員
  委員長 佐藤 観樹君
   理事 衛藤征士郎君 理事 桜井  新君
   理事 野呂田芳成君 理事 深谷 隆司君
   理事 伊藤 英成君 理事 加藤 六月君
   理事 草川 昭三君 理事 三野 優美君
 理事 五十嵐ふみひこ君
      荒井 広幸君    伊藤 公介君
      浦野 烋興君    江藤 隆美君
      越智 伊平君    越智 通雄君
      金田 英行君    菊池福治郎君
      栗原 裕康君    後藤田正晴君
      近藤 鉄雄君    志賀  節君
      関谷 勝嗣君   田野瀬良太郎君
      高鳥  修君    中山 太郎君
      蓮実  進君    林  幹雄君
      原田  憲君    松下 忠洋君
      村山 達雄君    茂木 敏充君
      山本 公一君    若林 正俊君
      安倍 基雄君    伊藤 達也君
      石井 啓一君    石田 勝之君
      大野由利子君    川島  實君
      河村たかし君    工藤堅太郎君
      笹木 竜三君    月原 茂皓君
      野田  毅君    冬柴 鐵三君
      松田 岩夫君    宮本 一三君
      山口那津男君    山田  宏君
      池端 清一君    今村  修君
      佐々木秀典君    坂上 富男君
      細川 律夫君    前原 誠司君
      松本 善明君    吉井 英勝君
      海江田万里君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  村山 富市君
        法 務 大 臣 前田 勲男君
        外 務 大 臣 河野 洋平君
        大 蔵 大 臣 武村 正義君
        文 部 大 臣 与謝野 馨君
        厚 生 大 臣 井出 正一君
        農林水産大臣 大河原太一郎君
        通商産業大臣  橋本龍太郎君
        運 輸 大 臣 亀井 静香君
        郵 政 大 臣 大出  俊君
        労 働 大 臣 浜本 万三君
        建 設 大 臣 野坂 浩賢君
        自 治 大 臣
        国家公安委員会
        委員長     野中 広務君
        国 務 大 臣
        (内閣官房長官)五十嵐広三君
        国 務 大 臣
        (総務庁長官) 山口 鶴男君
        国 務 大 臣
        (北海道開発庁
        長官)
        (沖縄開発庁長
        官)
        (国土庁長官) 小澤  潔君
        国 務 大 臣
        (防衛庁長官) 玉沢徳一郎君
        国 務 大 臣
        (経済企画庁長
        官)      高村 正彦君
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      田中眞紀子君
        国 務 大 臣
        (環境庁長官) 宮下 創平君
        国 務 大 臣 小里 貞利君
 出席政府委員
        内閣官房内閣内
        政審議室長
        兼内閣総理大臣
        官房内政審議室
        長       藤井  威君
        内閣法制局長官 大出 峻郎君
        内閣法制局第一
        部長      津野  修君
        内閣総理大臣官
        房管理室長   安藤 昌弘君
        国際平和協力本
        部事務局長   鈴木 勝也君
        公正取引委員会
        事務局長    糸田 省吾君
        警察庁長官官房
        長       菅沼 清高君
        警察庁生活安全
        局長      中田 恒夫君
        警察庁刑事局長 垣見  隆君
        警察庁警備局長 杉田 和博君
        総務庁長官官房
        審議官
        兼内閣審議官  土屋  勲君
        防衛庁参事官  江間 清二君
        防衛庁長官官房
        長       三井 康有君
        防衛庁防衛局長 秋山 昌廣君
        防衛庁人事局長 萩  次郎君
        防衛施設庁総務
        部長      粟  威之君
        防衛施設庁労務
        部長      涌田作次郎君
        科学技術庁長官
        官房審議官   宮林 正恭君
        科学技術庁科学
        技術政策局長  落合 俊雄君
        科学技術庁科学
        技術振興局長  工藤 尚武君
        科学技術庁原子
        力局長     岡崎 俊雄君
        国土庁長官官房
        審議官     角地 徳久君
        国土庁計画・調
        整局長     糠谷 真平君
        国土庁土地局長 山田 榮司君
        国土庁大都市圏
        整備局長    荒田  建君
        法務省民事局長 濱崎 恭生君
        法務省刑事局長 則定  衛君
        法務省矯正局長 松田  昇君
        外務省総合外交
        政策局長    柳井 俊二君
        外務省総合外交
        政策局軍備管
        理・科学審議官 林   暘君
        外務省アジア局
        長       川島  裕君
        外務省北米局長 時野谷 敦君
        外務省欧亜局長 野村 一成君
        外務省経済局長 原口 幸市君
        外務省条約局長 折田 正樹君
        大蔵大臣官房総
        務審議官    竹島 一彦君
        大蔵省主計局長 篠沢 恭助君
        大蔵省主税局長 小川  是君
        大蔵省理財局長 田波 耕治君
        大蔵省証券局長 日高 壮平君
        大蔵省銀行局長 西村 吉正君
        大蔵省国際金融
        局長      加藤 隆俊君
        国税庁次長   松川 隆志君
        文部大臣官房長 佐藤 禎一君
        文部省初等中等
        教育局長    井上 孝美君
        文部省教育助成
        局長      遠山 耕平君
        文部省体育局長 小林 敬治君
        文化庁次長   林田 英樹君
        厚生大臣官房総
        務審議官    太田 義武君
        厚生省保健医療
        局長      松村 明仁君
        厚生省社会・援
        護局長     佐野 利昭君
        厚生省児童家庭
        局長      佐々木典夫君
        農林水産大臣官
        房長      高橋 政行君
        農林水産省経済 東  久雄君
        通商産業大臣官
        房審議官    河野 博文君
        通商産業省通商
        政策局長    細川  恒君
        通商産業省機械
        情報産業局長  渡辺  修君
        資源エネルギー
        庁長官     川田 洋輝君
        中小企業庁長官 中田 哲雄君
        運輸省運輸政策
        局長      豊田  実君
        郵政大臣官房審
        議官      品川 萬里君
        郵政省郵務局長 加藤豊太郎君
        労働大臣官房長 伊藤 庄平君
        建設大臣官房長 伴   襄君
        建設省河川局長 豊田 高司君
        建設省道路局長 藤川 寛之君
        建設省住宅局長 梅野捷一郎君
        自治大臣官房総
        務審議官    二橋 正弘君
        消防庁長官   滝   実君
        消防庁審議官  松田 研一君
 委員外の出席者
        予算委員会調査
        室長      堀口 一郎君
委員の異動
五月十七日
 辞任        補欠選任
  江藤 隆美君    松下 忠洋君
  越智 伊平君    田野瀬良太郎君
  後藤田正晴君    山本 公一君
  志賀  節君    金田 英行君
  関谷 勝嗣君    茂木 敏充君
  村田敬次郎君    荒井 広幸君
  山崎  拓君    林  幹雄君
  安倍 基雄君    河村たかし君
  左藤  恵君    宮本 一三君
  山口那津男君    大野由利子君
  矢島 恒夫君    吉井 英勝君
同日
 辞任        補欠選任
  荒井  広幸君   蓮実  進君
  金田  英行君   志賀  節君
  田野瀬良太郎君   越智 伊平君
  林   幹雄君   栗原 裕康君
  松下  忠洋君   江藤 隆美君
  茂木  敏充君   関谷 勝嗣君
  山本  公一君   後藤田正晴君
  大野 由利子君   山口那津男君
  河村 たかし君   安倍 基雄君
  宮本  一三君   左藤  恵君
同日
 辞任        補欠選任
  栗原 裕康君    山崎  拓君
  蓮実  進君    村田敬次郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 平成七年度一般会計補正予算(第1号)
 平成七年度特別会計補正予算(特第1号)
 平成七年度政府関係機関補正予算(機第1号)
     ――――◇―――――
○佐藤委員長 これより会議を開きます。
 平成七年度一般会計補正予算(第1号)、平成七年度特別会計補正予算(特第1号)、平成七年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案を一括して議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。深谷隆司君。
○深谷委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、御質問を申し上げたいと存じます。
 まず、村山総理、あなたに申し上げたいと思います。
 あなたは、三党連立政権の誕生によって、第八十一代の内閣総理大臣に御就任されました。はっきり申し上げて、長年にわたる万年野党のお立場から天下をとったわけでございますから、大きな戸惑いだとか、あるいは焦りとか、さまざまな思いに駆られて毎日を過ごしておられるのではないだろうかと思うのです。その上、歴代内閣でもかってないぐらいに、さまざまな問題があらしのように襲ってまいりました。すなわち、阪神・淡路大震災であり、円高問題であり、あるいはオウム真理教のサリン事件等でございます。
 これらの問題は、いずれもあなたの責任から起きたことではございませんが、その対応をめぐりまして、あらゆる角度から厳しい批判にさらされているのでございます。そのために、近ごろの報道を見ますと、いささか弱気になっておられるようにも書かれていますが、本当でございましょうか。
 総理、しょせん、為政者というのは、どのように対応しましても、常に批判にさらされるお立場になってしまうのであります。民主主義が成熟すればするほどさまざまな御意見が活発に出されまして、それはしばしば叱正に変わっていったりもいたすのでございます。しかし結局は、そのときに、その為政者がどのように国家国民を愛し、自分の一身をささげてどのように真剣に対応したか、そのことで必ず後に正しい評価が定まると私は思うのです。
 村山総理、あなたが倒れるときは、いわゆる一部のマスコミの動きや皮相の世論や、いわんや政党の内外のあつれきから倒れるということがあっては断じてならないと私は思うのであります。あなたは、一心を無にして国家国民にささげて、今は全力を挙げて御努力を尽くすときだ、私はそう思います。
 そういう点に関して、総理の御決意のほどをまず承りたいと思います。
○村山内閣総理大臣 深谷委員の質問にお答えする前に、大変申しわけございませんが、冒頭に一言申し上げておきたいと思うのですが、去る四月二十日の予算委員会における石田委員の質問に対して、私の、別件逮捕という言葉を使った発言についてでございます。
 この答弁は、オウム真理教をめぐる種々の犯罪容疑の捜査を行う過程において、同関係者による犯罪が次々と発覚をし、捜査当局が、これらの犯罪に対して、法令の許す範囲で可能な限り捜査を尽くしているという趣旨を申し上げたのでございますが、結果としてやや舌足らずで誤解を招きかねない表現となったことにつきまして、謹んでおわびを申し上げ、皆様方の御理解を賜りたいというふうに思います。
 そこで、深谷委員の質問にお答えしたいと思うのですが、御指摘のように、本年に入りまして阪神・淡路大震災を初め地下鉄サリン事件等が相次ぎ、同時に、急激な円高によって日本経済に大きな影響をもたらす、こういったようないまだかつて経験したことのないような事案が次から次に起こってまいりました。
 私は、戦後五十年を節目にして二十一世紀を間近にする中で、今のような、ある意味では社会不安が増大し、同時に経済的な見通しもなかなか立たない、あるいはまた、政治的にも政党支持が離れて混迷した状況にあるといったような閉塞状況にあると思われるような現代に対して、何としても社会不安を解消して、そして国民の皆さんが安心して社会生活が営めるようなそういう状況をどうつくり上げていくか。
 同時に、そうしたことを通じて二十一世紀に向けて明るい展望を切り開いていくということがこの内閣に与えられた最大の課題ではないかというふうに考えておりますから、そうした点を十分踏まえた上で、内閣一体となってこの困難を乗り切ろう、こういう決意で現在取り組んでおるところでございまして、そうした、ある意味ではいまだかつて経験したことのない経験を乗り越えていく、そういう歴史的な使命を持っておるということを自覚をして、私はこれからも取り組んでまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○深谷委員 戦後五十年たって、政治や経済や文化、あらゆるものが大きく変化しようとしています。場合によっては教育の結果ということも一つの大きなテーマになろうと思いますが、いずれにしても、今、日本の大切な曲がり角に来ています。そういうときに総理大臣になっておられる村山さんでございますから、どうぞしっかり頑張って国家国民のために一層御努力を願いたい。私たちも、微力でありますが、力いっぱいお手伝いすることを申し上げたいと思う次第であります。
 それでは次に、オウム真理教関係の問題について伺いたいと思います。
 昨日は、ついに麻原代表の逮捕という事態になりました。今日ここに至るまで、過剰と思えるぐらいのマスコミの報道があったり、あるいは時には心ならずも厳しい批判が寄せられたりもいたしたのでありますが、この間、国家の安泰のために、国民の安全のために黙々と多くの方々が頑張ってこられた。よくぞ御努力を続けてこられたと今しみじみ私は思うのであります。村山総理はもちろんのこと、野中国家公安委員長を初めとする関係者の皆さんに心から敬意を表したいと思います。
 また、この機会に、この事件でお亡くなりになった方々、その方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、無念の涙をのまれた御遺族の皆さんやおけがをなされた方々にも謹んでお見舞いを申し上げたいと思うのであります。
 麻原代表逮捕はいわば頂上に迫ったということでございますが、しかしまだ入り口に入ったという状況でございまして、まさにこれからが正念場であろうと思うのでございます。坂本弁護士一家あるいは仮谷さんの拉致事件、さらには國松警察庁長官の事件など、未解決の問題も山積をいたしておるわけであります。どうか鋭意努力を重ねて、一日も早く全容の解明をしていただくように要請いたしたいと思います。
 ところで、今、国民の一番の心配は、生成されたサリンがまだどこかに隠されているのではないかという点です。あるいは他の薬物もあるのではないか、他の毒物もあるのではないかと一部で報道されています。一体この点ほどうなっているのか、その対策を含めて野中大臣にお答えをいただきたいと思います。
○野中国務大臣 ただいま深谷委員から、三月二十日地下鉄サリン事件発生以来今日まで、厳しい中におきまして、日々劣悪な条件下、祭日も休日も返上して昼夜を分かたぬ努力をしてまいりました警察官を初め、さらに再三にわたり、この事件の再発防止と全体像の解明と犯人検挙のために先頭に立って私どもを指示し、そして督励をいただきました村山総理以下関係閣僚に対しまして手厚いお言葉を賜りましたことを、私は、今日まで警察官のとうとい日夜を分かたぬ活動に対して涙の出るような感じを持っておりましただけに、改めて厚くお礼を申し上げます。
 そして、長い捜査活動でありましただけに、異常な教団の内部が放映をされ、あるいは国民の前にさらされることによって、ある意味においては国民の皆さん方から警察に対する批判もあったのではなかろうかと思いますときに、今お話を賜りましたように、国民の皆さん、また御理解を賜りまして、沈着冷静な警察の捜査活動に大いなる御協力を賜りましたことを改めて厚くお礼を申し上げますとともに、また、お亡くなりになった方、あるいは負傷されました皆さんに謹んでお悔やみとお見舞いを申し上げる次第であります。
 ただいま御指摘のように、オウム真理教をめぐりましては数々の犯罪容疑が認められたところでありまして、サリンの生成、さらには、これを地下鉄サリン事件として敢行をした事実が解明をいたしましたので、昨日、麻原代表を初めとする多くの逮捕状をいただき、かつ逮捕をしたところでございます。
 けれども、おっしゃいましたように、今一つの局面を迎えたのでありまして、ただスタート台に新たに立ったと認識をしておるところでございまして、今後さらに、残された課題はもちろんのこと、事件の背景すべてについて徹底した捜査を行ってまいらなくてはならないと思うわけでございます。
 さて、御指摘のございましたサリンの残留についてでありますけれども、捜査を通じまして、サリンが大量につくられたということはないであろうという捜査結果を得ておりますけれども、また一方で、犯人の供述等から、そのつくられたサリンのほとんどは既にもう解消をされておるという供述を得ておるところでございますけれども、今なお、少量といえども残留しておらないという保証はないのでございまして、これをまた否定することはできないのでありまして、たとえ少量でも残留をしておれば、飛散し大量の殺傷を起こすことになるわけでございます。
 私どもは、従来の勤務体制にさらに八万人という警備態勢を加えまして、昨日、村山総理からも重ねて再発防止と、そして犯人検挙への御要請をいただいたところでございますので、警察の全組織を挙げて、今後、この残留物がさらに残っておるかかつ再発防止ができるように、全体像解明のためにまた努力をしてまいりたい決意でございます。
○深谷委員 現在、麻原容疑者を初め、幹部が根こそぎ次々と逮捕されている状態でございます。言いかえれば、オウム真理教のいわば指導者層が全部摘発されていくわけでありまして、現実は無政府状態になっているのではないかと思われます。何しろ狂信的な集団でございますから、指導者のいなくなった今もまたかえって危険が増大しているということも考えられるわけでございまして、この点を十分御検討の上、万全の態勢をさらにしいていただくことを重ねてお願い申し上げたいと存じます。
 なお、オウム真理教の背景の関係についていろいろと取りざたされています。ほかの宗教団体があるいは暴力団か、あるいは場合によっては他国との関係などなどが指摘されております。私は、一体その可能性はどこまであるのか、この際、自治大臣に伺いたい。国家公安委員長に伺いたい。そしてまた、捜査の今後の進め方も、そういう面も視野に入れて広い範囲で行うことが大事ではないかと思いますが、野中大臣の御所見を伺いたいと思います。
○野中国務大臣 捜査は現在着実に前進をしておると承知をいたしております。今後とも、今御指摘なさいました捜査を徹底的に行うことによりまして、組織の実態、事件の背景ともども、事案の全体像の解明が図られていくものと承知をいたしております。
○深谷委員 次に、オウム真理教という宗教団体の解散命令の問題について、文部大臣に伺いたいと思います。
 宗教法人法第八十一条の規定によって、宗教法人の解散は可能であります。戦後、この規定で解散命令を行ったということはありませんが、オウム真理教に関する限り、私はこの法律に紛れもなく該当すると思います。
 文部大臣はいつ解散命令をお出しになるつもりか、具体的な今後のスケジュールをお知らせいただきたいと思います。
○与謝野国務大臣 宗教法人には宗教法人法が適用をされるわけでございます。その八十一条には、宗教法人が解散しなければならない場合が書いてございます。しかしながら、宗教法人を解散させるということは、その法人に不利益な処分をするわけでございますから、文部省あるいは東京都が独自でできるということではなくて、裁判所の御判断を仰ぐということでございます。
 したがいまして、この場合は解散の請求を裁判所に行うという手続が必要でございまして、請求すべきはだれかと申しますと、まず第一には、オウム真理教という法人を認証いたしました東京都、または検察官、または利害関係人となっておりますが、私どもとしては、今回のケースでは東京都と検察官が共同で裁判所に解散請求を行うということが正しいのではないかと今考えております。
 この事件発生以来、文部省を中心に、警察庁、法務省の御協力もいただき、また東京都にも御参加をいただきまして、事務レベルであらゆることの検討を行ってまいりましたけれども、昨日、麻原代表が逮捕をされましたことを契機に、事務当局に対して解散請求に至る諸準備にかかるように正式に指示をいたしました。
 一体いつ解散請求を行うかということでございますけれども、やはりこの場合には、今般逮捕状が出され、逮捕がなされております殺人罪に関しまして起訴が行われた時点が私は解散請求をすべき時期だろうと思っております。ただ、これは裁判所に御判断を仰ぐわけですから、いろいろな書面、証拠等が必要でございますので、刑事事件の問題よりも若干ずれるというふうには考えておりますけれども、大幅にずれるべきでない、そのように考えております。
○深谷委員 解散命令が決定をいたしますと、すべての宗教活動が禁止されるわけであります。そういう意味では、一刻も早く解散命令が下されるように関係各位の御努力をお願い申し上げたいと存じます。
 憲法第二十条は、信教の自由をうたっております。しかし、それは宗教団体が治外法権、つまり国の法律外にあるということでは決してないわけでございます。オウム真理教のこのたびの犯罪は、宗教法人法という法律について幾つかの欠点があることを、あるいは欠陥があることを示しているのではないだろうかと考えます。この法律を、宗教法人法という法律をこの際検討する必要があるという指摘をする声もございますが、文部大臣はどのように御判断でしょうか。
○与謝野国務大臣 ただいまの最初の質問に係ることでございますけれども、宗教法人が解散に至りますと法人格を喪失するわけでございます。法人格を喪失いたしますと法人としての財産を所有できなくなる。これは、国または地方公共団体等に帰属するということになりますので、宗教活動ができなくなるということよりは、法人としての財産等を所有できなくなるという問題が一つと、また税粉等の恩恵を受けられなくなる、そういう効果がございますが、宗教活動自体は個々個人の次元では恐らく継続されるケースも想像はできなくはないと思っております。
 そこで、現在の宗教法人法でございますけれども、宗教法人法ができましたのは昭和二十六年、戦前治安維持法という法律がございまして、幾つかの宗教団体もその治安維持法の適用を受けるというような事態、また、新しい憲法ができたということで大変信教の自由等が謳歌された時代にできた法律でございます。その根本的な考え方は私は正しいのであったろうと思いますけれども、現在、それでは宗教法人法が完全にいろいろな社会的な要請にかなったものであるかといえば、私は議論の余地はあると思います。
 一つは、何と申しましても、東京都が認証した法人が海外にまで出かけていく、あるいは全国展開していく、こういうケースがあるわけでございますけれども、そのことについて東京都は知り得る立場にない、こういうことがございまして、果たして認証を行う所轄庁について、地方自治体である都道府県が行ってよい場合と国の機関が行った方が適当な場合とがあるという考え方をやはりもう一度整理し直す必要がある。
 今般のこのオウム真理教のような場合も、ロシアのモスクワまで出かけていっているわけでございまして、例えば先方の政府から我が国に対して何か問い合わせがあったときに、全く物を知らないという状況が正しいのかどうかという問題がございます。
 それから、その活動自体が全国展開する、あるいは海外に及んだ場合にも、そのような宗教団体としての活動を干渉しない範囲で、やはりある程度の基礎的な知識を所轄庁というのは持っている必要があるのではないか、そのようにも考えられるわけでございます。
 そのほか、一般的に、公益法人の財務のディスクロージャーあるいは税制の問題等々も議論の対象になっているということは承知をしております。
 文部省としては、現在宗教法人審議会を招集いたしまして、そこで基本的な議論をしていただいているわけでございますが、国会でもぜひどうあるべきかという議論をしていただきたい、そのように考えております。
○深谷委員 憲法でうたっている信教の自由を守るということは大事なことだと思います。しかし、その大前提は、宗教団体がその趣旨にのっとってきちんと公正なる活動をしているかどうかが問題でございまして、このたびのオウム真理教のような場合は、あくまでも宗教団体の行為を逸脱しているわけでありますから、こういうような団体に対して適切な処置がとれるような宗教法人法の改正というのは私は必要なことだと思っておりますので、鋭意、御検討、結論を出していただくように要請いたしたいと思います。
 解散命令が出された後のことを想定いたしますと、非常に多くの問題をはらんでいます。例えば、全財産を出家した人は寄進しているわけで、生活の基盤が全くなくなってしまっている。あるいは、洗脳であるとか薬剤のためにかなりの影響が残っているわけでございます。特に心配なのは、保護されるであろう子供たちの対応についてであります。こういうようなもろもろの問題、アフターケアとでもいうのでしょうか、事後の処理というものを一つ間違えますと、大変な社会問題になっていく可能性があると思います。
 きょうは、各省庁の大臣にそれぞれ具体的な対応を伺いたいと思ったのでありますが、時間の関係がございますので、これは官房長官からお答えいただきたいと私は思います。必ず起こってくる問題でありますから、今から、関係大臣をお集めするとか、対応を十分に協議していく必要があろうと思いますが、どのようにお考えか、この機会に明らかにしてください。
○五十嵐国務大臣 今の御指摘は全くそのとおりであろう、こういうぐあいに存じます。
 多数のオウム真理教の信者が、できるだけ早く正常な社会に復帰して落ちついた暮らしのできるように、社会全体も、また行政もできるだけの対応をする必要がある、このように存ずる次第でございます。
 政府といたしましては、サリン問題等に関しましては関係省庁連絡会議をもってさまざまな対応をしているところでありますが、この連絡会議であるとか、あるいは関係閣僚、十分に協議をいたしまして、それらについて万全の対策を講じてまいりたい、このように思う次第であります。
○深谷委員 昨日は、東京都知事あての小包が爆発いたしまして負傷者が出るという事態が起こりました。オウム真理教以外でも、不穏な動きが各所に起こっているわけでございます。
 これからますます日本の治安というものが重要視されなければなりませんが、ぜひひとつ頑張っていただいて、国家の安泰と国民の安全のために御努力をしていただきたい。先ほど御決意は伺いましたので、心から、国家公安委員長初め皆様にしっかり頑張っていただくことをお願いをいたして、この問題から、次に円高問題に移りたいと思います。
 一年間に二〇%という円高は異常であります。そのために日本に非常に大きな影響を与えたことは申すまでもありません。
 ドル安というのは、本来、私はアメリカの責任だと思っています。自国の貨幣の価値が下落したのでございますから、これは本来、その国にとって深刻な問題であります。ところが、アメリカの経済は順調であり、株価も安定しておるものでありますから、一向にこれに対する対応を積極的に行うという姿勢が見られない。しかし、ドルは国際通貨でございますから、当然何らかの対応をすべきで、その意味では、アメリカの責任は極めて重大だと私は思うのであります。
 この点については、私は、もっと率直にアメリカに物を言うべきだ、そう思います。場合によっては、日本の外貨準備をドル一辺倒というのから、例えばマルクであるとかあるいは金の保有であるとかいうような形に、時代に合った、バランスのとれた配慮を行っていくということも大事ではないかな、そんなふうにも思います。大蔵大臣のお考えを伺いたいと思います。
○武村国務大臣 今回の通貨変動の中でも、私どもは、二国間におきましても、G7におきましても、アメリカに対する意見は率直に繰り返し申しているところであります。
 当然、アメリカはアメリカの国内経済事情を背負っているわけでありますし、二つの赤字の問題や貯蓄の問題がそうでありますように、さらには基軸通貨国としての世界に対する責任の問題も、特にAPECの蔵相会議等では、アジア各国の大蔵大臣から数多くそういう意見がルービン長官にも出ました。そういうこともありますから、世界経済全体に対する責任も強く主張をしているところでございます。
 今御指摘のように、外貨準備そのものをドル一辺倒から少し考え直してはどうかという御指摘は、もちろんドル一辺倒でなければならない決まりはないわけでありますし、通貨当局として全体の中で今日まで判断をしてきたところであります。ただ、今、ドルが弱含みのときに、アメリカに対する姿勢として一気にドルをマルク、金にかえますと、そのことがまた一層ドル安・円高を誘発する可能性もあるわけであります。
 だからその考えは考慮しませんという意味ではありませんけれども、そういう問題も含んでいることも含めながら、しかしG7も、この急激な円高の状況は正しくない、どう見ても、ファンダメンタルズから見ても正当化されないという共通の認識を持つことができましたし、明確に反転させていこうということで合意を見たところでございまして、G7の会合以後、そういう意味でやや反転の兆しが見えている状況の中で、私どもは一層、日米も当然でありますが、G7、世界の協調の中でこの問題に対する真剣な対応を続けてまいりたいと考えているところでございます。
○深谷委員 例えば、外貨準備の中で金を保有するということに対しては、世界各国が現在保有している量を余り変動してはならないという不文律があるなどなど困難な問題があることは承知しております。しかし、ドル一辺倒の形でこのまま進んでいくということには私は無理があろうと思うのです。ですから、大蔵大臣の今のお答えは必ずしも私は十分とは思いませんが、ひとつぜひ、ただいまからこういう検討に入っていただくように要請したいというふうに思います。
 ところで、自動車及び部品問題で日米経済協議は決裂をいたしたのでありますが、昨日、アメリカのカンター通商代表は、通商法三〇一条を発動して、日本製の高級車十三車種を対象に制裁の候補リストを提示いたしたのでございます。現行二・五%の関税を一〇〇%に引き上げる、大変厳しいものであります。
 そもそも私は、三〇一条というのはアメリカの国内法ではないか、アメリカの国内法を振りかざして自由貿易を破壊するということは許されないことだというふうに、そんなふうに思っております。大体、円高問題や貿易摩擦でアメリカの高圧的な姿勢というのは、多分にクリントン大統領の来年の選挙の背景もあるというふうに聞いているわけであります。私は、この際日本は毅然たる態度で臨むべきだと思っています。当然、今度の三〇一条の発動に際しては、世界貿易機関、WTOに日本も提訴すべきだと思いますが、総理大臣は、今どういうふうにお考えでしょうか。
○村山内閣総理大臣 これまで日米包括経済協議の中で、自動車・同部品以外のものについてはそれぞれ合意点に達して、もう話が決着をしておるわけです。今御指摘のあった自動車と自動車部品だけが話し合いがつかずに残ってきておる。今御指摘のございましたように、三〇一条を発動して、そして一方的に制裁を科すといったようなことになっておるわけでありますが、我が国も、これを受けてWTOの公式の場に持ち出して、そして国際ルールに基づいた場所できちっと話をつけるという方針をとって臨んでいきたいというふうに考えております。
○深谷委員 ちょうど来週からOECDの会議が開かれるわけでございます。その国際会議には、我が国からも関係大臣が出席することになっています。この機会に、現地で日米折衝を行うことも大事でありましょうし、他国の、特にヨーロッパのこれに対する協力を喚起するような話し合いということも非常に大事だろうと私は思います。
 当予算委員会も、この重要な時期に大臣が国際会議に出席するということを含めて、与野党ともに積極的に予算の審議を早めたわけでございますから、ぜひひとつ成果を上げていただきたいと思うのでありますが、御出席をされる外務大臣並びに通産大臣の御決意、お考えを伺いたいと思います。
○橋本国務大臣 国会の御了解を得てIEA並びにOECD閣僚理事会に出席をさせていただけるということを伺い、心からお礼を申し上げたい気持ちでいっぱいであります。
 先ほど総理からも御答弁がありましたが、昨日、日本時間の夜十一時、アメリカのUSTRカンター代表からいわゆる制裁リストと言われるものが公表をされました。これはジュネーブの時間ではもう夕方になっておりましたので、本日改めて我々はWTOにこれを提訴する決心でありまして、その時間は刻々と迫っております。
 そして、本来OECDの閣僚理事会の論議はもちろん大切でありますけれども、既にこの場をかりて、アメリカのブラウン商務長官から私自身に対して会談が申し入れられております。私は、まさか制裁リストを公表した上で自動車の問題を御提起になるおつもりではなかろうと思いますけれども、いずれにいたしましても、この会談には応じるつもりであります。
 同時に、この閣僚理事会の場を、または個別の会談を最大限に利用して、今回のアメリカ側の措置が、いかに国際的な、せっかくお互いがまとめ上げたWTOのルールに違反するものであるかをはっきりさせておきたいと思っております。
 なお、ここで一点のみ補足をお許しいただきたいと存じますのは、昨日カンター通商代表の会見を見ておりますと、部品の輸出には関係がないという発言がございました。しかし、今回アメリカ側が対象として指定をいたしました車種、この輸出が完全に停止をいたしました場合には、アメリカとの間における部品の調達計画のうち約一割が減少することになります。この措置は決して日本に対する打撃のみではなく、アメリカのユーザー、ディーラー、さらには部品供給メーカーに至るまで影響の及ぶ措置でありまして、これは決してひとりアメリカに痛みがないというものではないということだけははっきりさせなければなりません。
 私どもは、全力を尽くして各国の理解を得ながら、アメリカにもこうした無法な措置がまかり通るものではないということを早く知ってもらいたい、そのために努力をいたすつもりであります。
○河野国務大臣 今通産大臣御答弁申し上げましたが、来週前半、パリにおきましてOECDの閣僚理事会がございます。国会の御了承をいただければ、我々それに出席をしてまいりたいと思っております。
 御案内のとおり、OECD二十四カ国の閣僚が集まりまして、今後のマクロ経済情勢あるいは雇用の問題、さらには世界貿易機関が発足したことを踏まえての新しい自由貿易のルールの確認、その他いろいろと議論をすることも多いわけでございます。昨年我が国はこの会議に欠席するということでございまして、各国から若干の失望を買ったというふうにも伝え聞いております。ことしは我々も責任上この会議にはお許しをいただいて出席をさせていただき、我が国としての責任を果たしたい、こう考えているところでございます。
 日米関係につきましては、今通産大臣御答弁のとおりでございますが、一言だけ外務大臣の立場から申し添えれば、アメリカとの間にはこの二十カ月にも及ぶ自動車・同部品の交渉が合意に達しなくてはなはだ残念ではありますが、日米双方が加盟をしておりますWTOにおいてそれぞれがこの議論をルールにのっとってするということは当然のことだというふうに思うと同時に、このことが日米関係全体に悪影響を及ぼすということがあってはならないというふうに私は考えております。
 このことはカンター通商代表も言及しておられますし、私、モンデール大使との間にも、このことが他の、例えば安全保障問題でございますとかAPECでございますとかその他の分野に悪い影響を与えるようなことがないように、そうした点には十分配慮をしながら、ルールにのっとった議論が行われることになるべきだというやりとりをしていることを一言つけ加えたいと思います。
○深谷委員 ぜひひとつ頑張って日本の国益のために努力していただきたいとお願い申し上げます。
 話は違いますが、かつて我が国の財界人というのは政府と、いい、悪い関係なしに、常に一体となって経済を守るために頑張ってきたものであります。ところが、昨今の一部の財界人の言動は、いたずらに政府を批判するということに終始してみずからを省みないという傾向がございます。
 つい過日も財界のトップの人が村山内閣を批判して、果ては、早く解散・選挙を行え、そこまで言及している。円高対策で、経済が手詰まりで、その怒りを無責任にも政界にぶつけているとさえ私には思えるのであります。バブルでさんざん稼いたときは黙っていて、いざ苦しくなってまいりますと、みずからの責任を棚上げにして政府を批判するというのは、私は健全な財界人の姿ではないと思います。
 これは一部の財界人でございますが、これらの言動について、村山総理の御意見、御感想を伺いたい。
○村山内閣総理大臣 この内閣ができましてからもう一年近くなろうとしているわけでありますけれども、この内閣がこれまでやってきたことを振り返ってまいりますと、長い間懸案となっておりました政治改革やらあるいは行政改革やらあるいは税制改革もすべて、私は思い切っていろいろな政策はやり遂げてきたというふうに自分なりに思っております。
 さらに、今のような閉塞感のあるような状況の中でどうさらにこれから改革を進めていくかという意味では、例えば行政改革委員会の中に規制緩和の小委員会あるいは情報公開の小委員会等をつくってこれから積極的にさらに改革を進めていこうという段取りをつけておりまするし、同時にまた、先般地方分権推進法の成立もいただきまして、これから大いに日本の政治全体を変えると思われるような地方分権の推進も進めていこう、こういう段取りもつけております。
 同時にまた、緊急円高・経済対策も方向を出して、そして今補正予算の審議もいただいて、何とか当面の危機を乗り切ろう、こういう取り組みをしているところでございますが、今お話もございましたように、私は、何をもって空白と言われるのか、その意味がよくわからないのです。
 それで、どういう意味ですか、こう聞いても、それはもう抽象的に物を言うだけではっきり言いませんし、それから、たびたびおいでになる方に、規制緩和、規制緩和ということを言われますから、したがって、どこの規制をどう緩和すればいいのか具体的に御指示をいただきたい、もしそうであるならば全力を挙げてその期待にこたえますよ、こう申し上げますと、具体的なことについては何らお触れにならないというようなことが多い。
 抽象的に、空白があるとか規制緩和をもっとやれとか言われてみても、これは、私どもは謙虚に話を聞きます、謙虚に要望やら期待にこたえていく姿勢は持っておりますということも申し上げておるわけでありますけれども、そういうことは余り具体的に提示がないというようなこともございまして、私も、何でそんなことを言われるのかなと言って首をかしげながら、しかし、まあ国民の声には謙虚にやはり常に耳を傾けるという姿勢も大事ですから、その気持ちはいささかも変更はございません。言われる意味は、私どもはやはり聞くべきところは謙虚に聞かなければならぬという気持ちでございます。
 できれば財界の代表なりあるいは労働組合の代表なりにお集まりをいただきまして、そして十分お話し合いができるような、そういう機会もこれからつくっていくことが必要ではないかというふうにも思っておりますから、そういうこともこれからの視野に入れて十分にこたえていきたいというふうに思っておるところでございます。
○深谷委員 そういう一部の財界人の言動を見るにつけても、円高その他で、あるいは不況で一番苦しんでいる中小企業は黙々と働いているのですね。私はこの点をむしろ指摘したいがために前段申し上げたわけなのです。中小企業の皆さんが日本の経済を支えてきたことは紛れもない事実でございます。
 昨今出されました中小企業白書を見ましても、日本経済は全体として緩やかな回復基調に乗っているのでありますが、中小企業については構造転換に向けての人材とか資金などの壁も厚くて、なかなか容易ならざる状態のまま苦しんでいるということが明らかになっているわけであります。
 今度の補正予算で中小企業対策費が盛り込まれていることはよしといたしますが、まだまだ十分ではないと思うのであります。これからの中小企業に対する支援や協力について、あわせてこの際、総理のお考えを承りたい。
○村山内閣総理大臣 去る五月十二日閣議決定をいたしまして、国会に御報告を申し上げておりまする平成七年度の中小企業白書によりますると、最近の円高への対応策として、新製品の開発、新分野展開等の前向きの取り組みを挙げる中小企業が多くなっておると承っております。しかし、このような取り組みを行うに当たっても、御指摘のとおり、人材が確保できないとか、あるいは資金調達の困難を挙げる中小企業が大変多いという現状にあることについては、十分認識をいたしておるつもりでございます。
 かかる観点から、政府といたしましては、中小企業の技術開発あるいは事業化、創業等の創造的事業活動に対する資金面あるいは人材面等にわたる総合的な支援策を講ずることによって、そうした対応でこたえていきたいというふうに思っているわけでございます。
 今国会で成立をさせていただきました中小企業創造活動促進法を四月十四日から施行することになっておりまするし、また円高の一層の進展に対応するため、中小企業新分野進出等円滑化法の改正法案を補正予算と並行してこの国会に提出をいたしておりまするので、ひとつ速やかに御審議をいただいて、御可決をいただきまして、予算どこの法案とを並行しながらさらに強力に推し進めていきたい、こういうふうに考えておるところでございます。
○深谷委員 中小企業を支えるためには幾つかの協力すべき分野がございますが、その一つの大事な部分が融資、金融関係だと私は思います。
 公定歩合が今最大に下がっている状態でございますから、本来からいうと、借りやすい姿でなければならないのですが、実際問題としては、中小企業はほとんど借りる機会がない、借りられない。それはなぜかというと、日本の国内の金融システムというのがいまだに担保主義が中心になっているからだ、そう思うのです。
 中小企業は、一般に資産デフレのために担保能力は減退しています。どのようなすばらしい事業計画があっても、すぐれた経営者がいても、すぐれた社員の集まりがあっても、あるいは企画力だとか商品力がありましても、担保がなければ資金を貸さない。この根本を改めない限り、私は中小企業を救うことはできないと思うのでありますが、大蔵大臣はどうお考えでしょうか。
○武村国務大臣 おっしゃるとおりだと思っております。
 民間金融機関の中小企業に対する融資が、こういう経済の状況でありますだけに、円滑に行われるように細心の注意を払わなければならないと思います。一言で言えば、やはり経済の隅々にまで資金供給が行われるような努力が必要だと思っておりますし、そういう意味では、これまでの担保万能主義といいますか、担保がなければだめだということでなしに、やはり事業の将来性、経営者の意欲といった側面を含めた総合的な経営の将来に対する判断をして、的確な判断をして、その前提でどんどん融資をしていく。私どもも銀行局を通じではそういう考え方を要請をしてきているところでございますが、一層努力をしていきたいと思っております。
○深谷委員 私の申し上げたことに、おっしゃるとおりだと言っていただいて、安心しましたが、現実は担保がないと貸さないのです。その事実は、私どもも中小企業の町ですから、毎日のように訴えてこられます。その願いというのは本当に切実でございます。
 どうぞひとつ、担保主義にいつまでも終始するのではなくて、今手助けをしたら必ず中小企業は立っていけるんだ、このことが経済全体を支えていくんだという、そういう確たる信念を持って、大蔵省の諸君を督促して、大いにひとつ融資関係で中小企業を救っていただくように心からお願いしたいというふうに思います。
 また、政府系の金融機関も同じなんですね。やはり担保がないと貸さないのですよ。民間もさることながら、政府系の金融機関がしっかりお手伝いするということは大事ですから、ここをひとつじっくりごらんいただいて、具体的な答えが出るように頑張っていただきたいというふうに思います。
 それから、こういう国の系列の金融機関というのは、長期にお金を借りるということにはメリットがあるのですが、金利状態が変わりましても、借りかえて安い金利でそのまま貸してもらうというシステムがないわけであります。国民金融公庫から例えば平成二年十月に八・七%で十年物の資金を借りるといたします。今は三・八五%で借りられるんですね。これがもし借りかえができれば、どれだけ中小企業を救えるかわからないのですが、これは何回言っても大蔵省がいろいろな理屈をこねて応じてくれない。多分、今大蔵大臣に質問しても答えは同じだろうと思うのです。
 しかし、例えば天災が起こったときに、農村に融資をしたりあるいは補助を出したりするわけですから、中小企業の責任ではないさまざまな問題から危機に瀕しているような場合には、こういう金利の問題も含めて、緊急対策として対応するようにぜひ考え、検討していただきたいということを私はこの場で強く要請してまいりたいと思っております。
 最後に、防災対策に触れたいというふうに思います。
 あの悲惨な阪神・淡路大震災が起こってから四カ月が流れました。その間、被災者の皆様や関係の皆様の御努力で着実に復旧作業が進んでいることは結構なことだというふうに思います。今回の補正予算も有効に活用して、一日も早い復興を図っていただきたいと熱望いたす次第であります。
 この大震災から、私たちは、日ごろの準備ということがいかに大事かということをつくづく教訓として受けてまいりました。特に、災害が起こったときに、最初の三日間というのは行政や政治の手が行き届きませんから、コミュニティーを中心にしてお互いに守り合っていかなければならないという現実も学んだのでございます。私は、これからの防災対策の拠点というのは、できる限り小さな区域に割りながら、コミュニティーでの活用を重視していくということは大変大事なことではないだろうかと思うのであります。
 そこで、私は一つの提案を申し上げたいと思います。
 それは、幸いなことに、全国網の目のように区分いたしまして、そこに公立の小学校、中学校、高等学校が配置されているのでございます。この全国三万の公立学校をいざというときの災害、防災の拠点と考えて、この学校に食糧や薬品の備蓄基地を置いていく、これをぜひ実現していただきたいと思うのです。
 また、各学校にはプールがございます。このプールの整備をきちっといたして、大きな地震にも耐え得るような構造に改修していく、これを防火の役に立てる、時には飲料水に変えていく、こういうような配慮を実現するということは大変重要なことではないだろうかと思うのであります。
 全国の三万の学校のプールを堅牢なものにかえていくということは、莫大な費用がかかりますから、一定の期間を置かなければなりません。しかし、そのかかる費用を面倒を見ることによって、一方では地方の工事関係者が発注を受けて、それが経済効果という点でも大きなプラス作用をいたすことは間違いがないわけであります。
 ちなみに、二十五メートルのプールを考えますと、四百トンの水が入ります。今緊急用の浄水装置をここに設置いたしますと、大体一時間で飲料水は一トンつくられるというんですね。ですから、二十四時間で考えると二十四トンの飲み水を、フル回転でこの浄水装置を使いますと、供給することができる。
 この周の神戸震災のときに、東京都の水道局が応援給水を行いました。四千人が収容された東灘小学校を例にとりますと、このときに給水量は一日十八トンであった。ですから、一つのプールに浄水装置をつけてフル回転すると一日の間に二十四トンの飲料水が生まれるということは、東京都の水道局が一生懸命出かけていって給水作業をやったそれよりもはるかな効果を上げるわけでございます。
 こういうことを考えていくということは非常に大事なことでありますが、文部大臣、学校の施設はあくまでも教育の拠点ですから、災害の拠点と頭から決めつけられるのはどうかとお思いかもしれませんが、国家全体のことを考えますと大事ですから、どのようにお考えか、この機会にお答えください。
○与謝野国務大臣 今回の震災に際しまして、学校建築というのは地震に比較的強い、堅牢な建物であるということが証明され、地震の後もたくさんの方が避難所として、一時的な居住の場所として使用されてきたわけでございます。大変これは私どもとしては喜ばしいことだったと思っております。
 そこで、先生が御提案になった、学校の施設、また学校の校庭等を防災拠点にというお考えを提示されたわけでございますが、それは大変重要な考え方であると私は思います。この間の震災のときも、震災直後最も必要とされたのは水であり、食糧であり、また医療であったわけでございまして、その数日間の緊急事態に地域社会としてそのようなものがあらかじめ準備され提供されるということは、震災に対する大変心強い準備であると私は思っております。
 そこで、学校施設と防災との関係でございますが、学校施設は、もう言うまでもなく教育施設でございますから、第一義的には教育施設としての機能をやはり十分持っていなければならないということは当然のことでございますが、震災になりました場合には、学校にいる児童生徒がその学校施設の中で安全に震災から守られるということがまず第一でございますし、また第二には、やはりただいま先生が御指摘されましたように、学校施設というのは全国に展開しております。網の目のように存在しているわけですから、防災拠点としての性格も持っている必要があるのではないかと思っております。その場合どうすべきかということは、現在文部省と自治省がお話し合いをしておりますので、先生が御提案になったような方向に少しずつ進むと思います。
 その場合には、やはり学校である程度の食糧を備蓄できないか、ある程度の医薬品等を備えておくことができないかそれから先生が御提案になられました、学校のプール等で浄水機をつけまして飲料水の供給ができないか、こういうことはまさに検討に値すべきことだろうと思っておりますし、一部、東京の二十三区の中でもプールの水を浄水できる装置を持っておられるところがあると聞いておりますので、そういうことも参考にしながら、学校施設と防災の問題を今後とも幅広く検討をしてまいりたい、そのように考えております。
○深谷委員 阪神・淡路の大震災のときに、お隣の衛藤征士郎理事と二人で現地を視察してまいりまして、いろいろなことを学んでまいりました。まだまだ申し上げたいことがございますが、関連で衛藤理事に譲りたいというふうに思います。
 最後に、私は総理にお願い申し上げたいと思うのですが、この二兆七千億を超える補正予算、これは、被災地の救済あるいは円高で苦しむ中小企業、そのほかもろもろの関連を含めた予算で、その内容においても、時期を急いだという点においても、評価できると思うのでございます。
 しかし、これで事足りるというわけではないことは申すまでもないわけであります。経済の情勢を考えまして、いずれさらなる補正予算も組んでいかなければならないのではないかと思うのですが、総理はどうお考えか、この機会にお考えを伺いたいと思います。
○村山内閣総理大臣 今回の補正予算は、たびたび申し上げておりまするけれども、阪神・淡路大震災からの復旧・復興事業に加え、地震災害に強い国土をどうつくっていくかという緊急的な災害防止の予算も計上いたしておりまするし、同時に、経済・産業構造の改革に必要な予算、あるいはまた急激な円高対策に対応するところの予算等々を組み込んで、現時点における財政施策を最大限盛り込んだつもりでございます。
 この予算は、緊急円高・経済対策に盛り込まれた措置と相まって、景気の先行きに不透明感がある、それを払拭をして何とか明るい展望を開きたい、こういう気持ちも込めてつくられた予算でございますので、速やかな御審議もいただいて、成立を図っていただきたいと思うのでございます。
 今お話もございましたような問題点等も含めながら、今後の財政運営につきましては、緊急円高。経済対策にあるように、引き続き適切かつ機動的な財政運営に努めるということに尽きると考えておりますが、今後とも、今回の対策の効果や景気回復の状況などに十分留意をしながら対応していくことが必要であると思います。
 七年度補正予算を国会に提出をし、まさに御審議をいただいておる段階におきまして、第二次の補正予算を云々するということについては差し控えさせていただきたいというふうに思いますが、今お話のございましたお気持ちも十分含めて、これからの予算執行に努めてまいりたいというふうに考えておることを申し上げておきたいと思います。
○深谷委員 今、第一次補正予算を審議している最中に、もう第二次補正予算のことに触れるということは、総理としては無理だろうと思いますから、これ以上強くは申しませんが、いずれ間違いなく必要になってまいります。
 私は、与党院内総務会の座長もしておりますから、三党で積極的に研究をいたしまして、日本の景気が回復し、経済が安定するように、いずれ第二次補正予算に向けて意見をまとめてまいりたいと思っておりますので、どうぞ政府も十分に対応してくださるように心からお願いを申し上げまして、私の質問を終えたいと思います。
 ありがとうございました。
○佐藤委員長 この際、衛藤征士郎君から関連質疑の申し出があります。深谷君の持ち時間の範囲内でこれを許します。衛藤征士郎君。
○衛藤(征)委員 私は、自由民主党・自由連合を代表いたしまして、補正予算開運に対しまして、総理並びに関係閣僚に質問を申し上げます。
 ただいま同僚の深谷理事からそれぞれ質問がございました。私の質問とダブっているところもあります。その辺のところは割愛をいたしますので、皆さんの御了解をいただいておきたいと思います。
 まず、総理の政治姿勢ということについて一言お尋ね申し上げたいのでありますが、戦後五十年たちました。そして、東西冷戦構造も終わりを告げたわけでありまして、その結果、冷戦構造崩壊後の政治、経済、社会秩序の混乱と不安定性がだんだんと増大をしておるわけであります。
 また、そのトレンドとしての部族間の抗争とか宗教間の対立とか、あるいは統制経済から自由市場経済への急激なマーケットの拡大による経済の混乱とか、あるいは経済の減速、さらには、視点をかえてみますと地球環境の悪化、また、無党派層に象徴される保守革新の対立軸のあいまいさから、かつての二極構造の崩壊、そしてその変質の中では、どなたが国の責任者としてリーダーシップをとるにしても極めて困難な状況に置かれておる、このように私は認識をしておるわけでございます。
 外国を見ましても、かつてのブッシュ大統領しかり、現コール首相しかり、メージャーさんしかり、どなたも大変苦労しておる。我が国にありましても、連立内閣にありまして村山総理も大変御苦労をされておりますが、私は、ただいま申し上げましたこの冷戦構造崩壊後の世界の大きな政治、経済、社会のトレンドの中にあって、村山総理はよく頑張っているな、このように思っているわけであります。
 こういうような認識を踏まえて、総理の御感想を承っておきたいと思います。
○村山内閣総理大臣 今委員からお話もございましたように、戦後五十年の節目、これはまあ日本だけではなくて、世界全体が大きく転換をする時期にあると私は受けとめております。
 そうした世界情勢全体の大きな変革期の中において、日本のこれまでとられてきたしきたりなりあるいは仕組みというものが、これから二十一世紀に向けて、新しい時代に対応できない部面もたくさん出てきておる。そんな意味では、変革をし、改革をして、その改革の中から新しい時代に向けての創造が必要である、こういう時期に差しかかっているのではないかと、私はそういうふうに時代認識を持っております。
 したがいまして、先ほど来申し上げておりますように、政治改革から行政改革から経済構造改革から規制緩和から、あらゆる部面の改革を実行する中から、日本も新しい時代に十分乗り切って前進できるような基盤というものをしっかりつくっていくことがやはり大事ではないかというふうに考えて、今全力を挙げて取り組んでいるところでございます。
 同時に、これだけ価値観が多様化しておる時代ですから、一つの政党が単独で政権を担当していくというのではなくて、幾つかの政党が連立を組んで、そして多様化した国民の意見がそれぞれの政党を通じて国政に反映されていく、そういう真摯な議論の中から、民主的な透明度の高い運営をすることによって国民の理解と納得も得ながら、国民的な合意を見出して、そして、国民のためによりよい政策の選択も見出していきながら政治を進めていくということが一番大事な時代ではないかというふうに考えておりますから、そういう理解と認識のもとに、全力を挙げて国民の期待にこたえ、世界のためにも十分貢献できるような日本をつくり上げていきたい、こういう決意で今取り組んでおるところでございますので、御理解をいただきたいと思います。
○衛藤(征)委員 御案内のとおり、来週はOECDの閣僚会議も始まりますし、またその後サミット、そして参議院選挙、そして秋の税制改正、さらには暮れの予算編成と、総理、関係閣僚におかれましては内外ともにスケジュールがメジロ押してございまして、どうか総理、ただいま所見表明されましたが、自信と活力に満ちでこの難問に対峙していただきますようにお願いを申し上げます。
 さて、補正予算絡みでありますが、第百三十二回国会における武村大蔵大臣の財政演説、この財政演説の中で、経済構造改革の推進や金融機関の不良債権の早期処理、また証券市場の活性化策等実効性のある各般の施策を遂行する、このように表明されておるわけであります。
 もちろんこれは最近の経済情勢と緊急円高・経済対策にかかわる問題でありますが、とりわけ私はこの点につきましてお尋ねをしてみたい、このように思っておるわけであります。つまり、景気対策、経済対策、不況対策と申しますか、その中の金融機関の不良債権の早期処理あるいは証券市場の活性化対策、こういう問題についてお尋ねをしたいと思います。
 九五年度の予算編成のときには、政府は、四条公債に限らず公債政策を活用すると言っておったわけでありますが、このたびの公共投資基本計画六百三十兆円の問題については、財政の健全性に配慮しつつ積極的な計画の推進を検討する、このように言ったわけであります。これでは、中長期的に見て、日本の貯蓄・投資バランスは劇的に変化しないというふうにも受け取れるわけでありまして、私は、日本の貯蓄・投資バランスが変わらなければ多額の経常収支黒字は今後も残ると思うのであります。これに対しどのような対応をすべきとお考えになっておるのか。
 また政府は、経済見通しては九五年度の成長率は二・八%、このようにしております。しかし、我が国の中期的な潜在成長率はほぼ三%ではなかろうかと思うのであります。平成七年度の予算編成、これはたしか一ドル九十八円で設定をしておるのではないかと思うのでありますが、現状のように対ドル八十円に接近するというような円相場が出てまいりますと、私は、実質成長率二・八%は大変厳しい、このように思うわけでございます。
 そうだとすれば、この成長率の差を埋めるために何をなすべきか、また、公共投資の追加で補うとすればどの程度の額が必要か、こういう問題について関係閣僚の御意見を賜りたいと思います。
○高村国務大臣 今の日本の経済は、企業設備等の調整が進展する中で緩やかながら回復基調をたどっているわけであります。そして委員御指摘のように、急激な円高が経済に悪影響を及ぼすおそれがある、こういう状況でありますが、そういったことに対応して政府は四月十四日に緊急円高・経済対策を行ったわけでありますし、今その具体化としてこの補正予算を御審議いただいている。そして同じく四月十四日に日銀は公定歩合を引き下げた、こういうこともあるわけであります。
 こういう状況の中で、この補正予算を一日も早く成立させていただいて、平成七年度予算とともに着実に執行していく、その他経済対策に示されたようなことを着実にやっていく、この補正予算の内容が具体化される、そして震災の復旧・復興事業が進展していく、そういった中で景気の動向、景気の回復はより確実なものになっていく。そして私は、今の段階で二・八%が達成困難になったというふうには考えていない、こういうことでございます。
○衛藤(征)委員 経企庁長官は、現状を踏んまえて今のままで大丈夫だ、こういうような御意見がありましたが、私はそうは思いません。極めて厳しい、このように思います。
 それじゃ大臣にお尋ねしますが、潜在成長率程度の成長をなし遂げるに必要な公共投資額はどれくらいだとお考えになりますか。また仮定としまして、公共事業費の土地代を二割に想定して、例えば公共投資十兆円の積み増しをした場合、実質のGDP、成長率の押し上げ効果を何%に見ますか。その二つの点がしっかりしませんと、ただ観念的に大丈夫だなんて言ったって、これはだめでございます。
○高村国務大臣 今度の補正予算のGDP押し上げ効果でございますけれども、それは、今までの手法に従って機械的に計算すれば、年間一・二%程度の押し上げ効果があるというふうに考えております。
 今度の経済対策はそういった内需振興策にとどまらず、経済構造改革とかあるいは規制緩和の前倒しとかそういったものを含めておりますので、その丁二%の押し上げ効果プラスアルファの効果がある、こういうふうに考えているところでございます。
○衛藤(征)委員 私は、今は第一次補正でありますが、深谷筆頭理事の指摘したとおり、秋口等におきましてもやはり公共投資の追加をすべきだ、このように考えておりまして、せめて秋口には公共投資十兆円の、それくらいの積み増しをすべきだ、このように申し上げておきたいと思います。
 次に、金融機関の不良債権処理問題についてお尋ねしたいのですが、四月十五日の日本経済新聞の一面トップ記事といたしまして、「公的資金の導入 住専処理へ検討」という大きな見出しが躍っておりました。大蔵省の基本的な考え方を聞かせてほしいわけですが、どの程度の公的資金が必要であるのか、お尋ねを申し上げたいと思います。
 これをお尋ねする理由は、住専七社への貸付金を見ましたときに、大変大きな金額が貸し付けられている。例えば九四年九月末で、都銀一兆四千八百億、長信銀一兆四千九百億、信託銀行二兆一千九百億、地銀、第二地銀合わせまして一兆一千百億、農林系で五兆五千五百億、生損保で一兆、その他で二千九百億、合わせて十三兆一千一百億、こうなっておるわけであります。
 この数字を聞いて、関係される閣僚はぞっとしておる閣僚もおると私は思うのでありますが、特にコール市場での重要な出し手となっている農林系金融機関、五兆五千五百億貸付金を出しておるわけでありまして、この出し手を見ましても、全体から見ましても、九五年二月で四十一兆五千億のコール市場の中で農林系は何と五兆六千億、このコール市場に出しておるわけですね。
 私は、この金融機関の不良債権処理問題、とりわけ住専七社等の問題の解決は極めて重大だ、このように思っております。これをうまく処理しませんと金融システムに破綻が生じる。そして国内のいわゆる銀行、インターバンク市場での取りつけとか、あるいはユーロ市場に波及することは必至ですし、そういたしますとジャパンレートが発生するし、また為替取引におけるドル不足が発生して、結果として円の急激な下落、株価の大暴落につながる、私はそのように思うわけであります。
 大変な事態になっている。そこでどうしても公的資金を導入せざるを得ない、こういう時期に来ておるのじゃないでしょうか。大蔵大臣の御見解をお聞きいたします。
○武村国務大臣 金融機関の不良債権の問題は、御指摘のとおり、我が国の経済全体の立場に立ちましても大変大きな問題であると認識をいたします。先般の政府の円高方針の中に、そういう意味で一つの柱を立てて、おおむね五年を目標に不良債権の問題にめどを立てたいということを打ち出したわけであります。
 金融機関といった場合に、いわゆる都市銀行、長信銀等のレベルの不良債権から第一、第二地銀、さらには協同組合系の金庫、信用組合、そして住専と、いろいろな段階がございます。最近私ども、まず都銀、長信銀、信託二十一行についても、従来は破綻先債権額とか延滞債権額、この二つを基本にして不良債権の数字を見てきたわけであります。これは、ことしの三月末十二兆五千億という数字、十三兆数千億からやや一兆余り減る状況にあります。特に最近は、ヒアリングをいたしまして、こういうレベルの銀行の金利減免債権額も調べておりまして、今申し上げた二十一行のレベルでは約十兆円強になるのではないか、これはきょう初めて申し上げますが、こんな数字が集計されております。
 こういう状況から、今御指摘の住専、農協にも絡まる住専の問題まであるわけですが、やはり住専そのものは、たびたび申し上げてまいりましたように、十カ年計画を立ててそれぞれ必死で財政再建に努めていただいているところでありまして、そういう不良債権を抱えた各金融機関の経営努力を見きわめることも大事でありますし、国民全体のこの問題に対する世論を見きわめることも重要であります。
 特に、二つの信用組合をめぐっては、東京都の三百億の低利融資についても、公的資金の出動についてはかなり幅広く批判的な世論が存在するわけでありますが、しかしある意味では、この二つの信用組合問題が、いわゆる金融機関の存在なり預金のあり方なり、そしてまた、こういう不良債権も含めた今後の経営問題を国民の前に貴重な教訓として、教材として示すことができたという効果もあるようにも思います。
 そういう国民的な世論の中で、金融機関全体の不良債権の問題は、公的資金の導入の視点も含めて慎重に検討をしていかなければならないというふうに思っております。大変この問題を重視をしていきたいという姿勢でありますし、五年をめどにめどをつけたいという、きょうのところはその方針だけは明らかにさせていただきたいと思います。
○衛藤(征)委員 ただいま大蔵大臣から、この不良債権の処理は五年をめどに決着する、こういう強い決意がありました。大変重大な決意であると私は思います。必ず、今大蔵大臣の御発言のとおり、五年をめどに不良債権処理問題を解消してほしい、このようにお願いしておきます。
 なお、これにつきまして、不良債権問題の克服にアメリカはかなりうまく取り組んだわけでございまして、特にアメリカでは、銀行が資本市場を有効活用することによって自己資本を増強して、証券化スキームなどを駆使して不良債権を償却したわけですね。また、貯蓄貸付組合、SアンドLに対しては約千二百億ドルの事実上の公的資金を投入して、そして結果として金融システムが安定したわけでありまして、私は、アメリカのこうした不良債権処理問題にかかわる公的資金の導入等のことも十分にひとつ参考にしてほしい、このようにお願いを申し上げたいと思います。
 次は、不動産の流動化対策についてお尋ねを申し上げたいと思います。
 不動産がなぜ流動化しないかということでありますが、これは一つは、金融機関の不良債権の処理がスムーズに進まないという、そういうパラレルの関係にもあるわけです。共国債権買取機構に持ち込まれた不良債権を見ますと、本年三月までに元本ベースで八兆五千五百八十億円に上っていますが、このうち、担保不動産を処分して回収された資金はわずかに千七百十七億円と、二%にすぎないわけでございます。
 したがって、金融システム不安の解消のためには、不動産市場の流動性を高め、担保不動産の処分を速やかに進めなければならない、このことが喫緊の課題になっておるわけであります。不動産の流動化の促進によりまして適正な地価形成が行われる、そして土地に対する需要が喚起され、さらに不動産の流動化の促進につながるといった、こうしたいい環境が生まれてくるのではないか私はこのように思っております。
 そこで、土地税制、特に土地の譲渡益課税の緩和を私は強く要求したいわけであります。
 現在の土地譲渡益課税制度は、バブル期の異常な地価急騰に対処しまして、投機的な土地取引を抑制するために設けられたものでありますが、現在、地価が大幅に下落した段階では、投機的取引が生ずるおそれはないと私は思っています。むしろ、他の資産の譲渡益に比べて土地譲渡益に対しては高い税率が課せられている。また、保有期間が短いほど高い税率が課せられている。このことは不動産の流動化を阻害する大きな要因になっていると私は思っております。
 土地譲渡益の高い税率の適用を取りやめ、個人については少なくとも二六%のもとの税率に下げる、そして法人についても通常の法人税を上回る課税は行わない、さらに短期譲渡益に対する重課税はやめる、こういうことが必要ではないか、私はこのように思っておりますが、大蔵大臣はいかがお考えでございますか。
○武村国務大臣 土地税制全体について、いつも申し上げておりますように、私どもは、平成三年のあの税制改革におきまして、所得、資産、消費の間のバランスのとれた税体系を確保するという立場から土地に対する課税を考えていくべきである、土地の課税における適正公正の問題を真剣に考えていくべきであるということと、土地基本法が制定をされました経緯もございまして、この土地の公共性等の基本理念をしっかり踏まえて土地税制を推進していこうということで、当時の与党、政府ともども大論議をして今の税制が確立をされたところであります。
 ところが、その後、バブルが崩壊する中で、土地が下落する、あるいは土地の取引が非常に少なくなってきたという事態があり、長期的な政策として確立したはずの土地税制をめぐってまた昨今いろんな論議が行われてきているわけでありますし、今衛藤委員の御趣旨も、そういう立場から、土地の譲渡益課税について見直しをすべきだ、引き下げの方向で見直しをすべきだという御主張であります。
 昨年末も与党の中でも随分御議論をいただいて、賛否両論ございましたが、御承知いただいておりますように、四千万という枠がございますが、地方税を含めて三二・五%という、約半分ほど税率を下げる措置をとらせていただいたところでございます。
 私ども、土地税制は、経済情勢を踏まえて上げたり下げたり余り軽々に変えるべきでないという気持ちを強く持っているわけでありますが、昨年のこの決定に伴う、今年度から始まるこの改正措置の推移をまずはしっかり見きわめることも大事ではないか、そういう中で今後、政府税調の中でも土地税制全体としても真剣に議論を続けていかなければいけないというふうに思っております。
 今この場ですぐに、さらに引き下げという御趣旨に対しては、お答えは留保させていただきたいと存じます。
○衛藤(征)委員 大蔵省の事務当局にお尋ねいたします。
 土地の譲渡所得税の税収についてちょっとお尋ねしたいのですが、もとの二六%の段階のときに、これは平成元年でありますが、譲渡所得の税収はたしか十三兆三千億ぐらいあったのじゃございませんか。そしてこれを、平成四年に二六%を三九%に移行したときに、この土地の譲渡所得税の税収が五兆四千億に落ち込んで、その税収の差額、平成元年が十二兆三千億、三九%にしたために平成四年が五兆四千億で、七兆九千億の差額といいますか、そういうものがあるのじゃないでしょうか。ちょっとお尋ねいたします。
○小川(是)政府委員 個人の土地の譲渡所得に係るものにつきましては、ただいま御指摘ございましたように、平成二年に譲渡所得ベースで約十七兆六千億、平成三年が十八兆、直近のところで、平成五年で約六兆円でございます。
 問題は、この平成元年、二年、三年のところが大変大きかったということでございますが、その前、昭和六十一年ぐらいですと五兆円ぐらいでございまして、まさにこの間にバブルによって土地の譲渡所得がふえたわけでございます。
 なお、これは所得ベースでございますが、譲渡の金額、土地の譲渡、流動化という意味ではどれくらい動いているかという点で申し上げますと、今の平成二年、三年というところは約四十兆円ぐらい譲渡価額でございます。平成五年のところでは、それが約六割強の二十六兆円でございまして、昭和六十一年には二十二兆四千億ぐらいでございましたから、いわゆるバブルによる土地の高騰分が当時反映して、それが、バブルが崩壊をして地価が鎮静化し、こうした譲渡価額になっておるという状況でございます。
○衛藤(征)委員 引き続きまして主税局長にお尋ねしたいのですが、平成六年度の土地譲渡所得税収、見込みで結構です。それから平成七年度、これを三九から三二・五%にしたわけですから、この辺のところを踏まえまして、この土地の譲渡所得税収の見込みはどれくらい見ておるのか、お尋ねします。
 また、国土庁長官にお尋ねしたいのですが、バブル後、この間の地価のいわゆる動静といいますか、それをお尋ねいたしたいと思いますし、また、これから先の地価の動静についての国土庁長官のお考えも承っておきたいと思います。
 そして、さらに国土庁長官にお尋ねしたいのですが、この間、監視区域の規制を緩和するとか、あるいは住宅税制でもそうですが、いろいろの規制を一つ一つ外してきている。しかし、私の見る限り、地価はどんどんと下がっておるわけですね。上がる傾向にはないわけですよ。その辺のところは一体どうなっているのか。
 まず国土庁長官にお尋ねし、その後主税局長に、平成六年度税収見込み、平成七年度三二・五%にしたときの土地の譲渡所得税の見込みについてお尋ねしておきたいと思います。
○小澤国務大臣 先生御指摘のとおりに、近年の地価動向は、大都市圏を中心といたしまして四年連続下落をいたしておることは御承知のとおりであります。東京圏で見ますと、今回の地価高騰前の昭和五十八年と比べて、住宅地で約一・七倍、商業地で約一・八倍となっております。
 今後の地価動向は、大都市圏の住宅地はわずかな下落ないしは横ばいとなり、商業地は引き続き下落するものの、下落幅は縮小するというのが大方の見方であります。このような地価の推移の中で、大都市周辺の値ごろ感が出た地域を中心に、平成六年度におきましてはマンション等の取引が活発化し、土地取引も五年ぶりに増加に転じております。
 地価は住宅価格等を決める大きな要因であることにかんがみ、二度と地価高騰が起こらないように、引き続き総合的な土地対策を着実に実施してまいりたい、かように考えております。
○衛藤(征)委員 政府の政策よろしきを得れば、大臣の仰せのとおり、地価のいわゆる高騰はない、このように御発言でありますが、私もそのように思っておるわけであります。
 私の手元に「景気の先行きに不透明感を見る「日銀春の情勢判断」」という情勢判断資料があるのです。これは日銀が平成六年秋、十月二十一日、それから平成七年春、四月二十一日に、それぞれ景気の情勢判断をした比較資料なんですが、これを見ますと、やはり住宅投資がどうしても落ち込んでいることが指摘されているのですね。ほかの、例えば設備投資の問題とか生産出荷とか個人消費とか、まあまあ横並び、指摘されたことが当たっていますが、住宅投資については、平成六年の秋「引き続き堅調に推移している。」ところが平成七年の春、四月二十一日では「頭打ち傾向にある。」というふうになっておるわけですね。
 私は、これは大変大きな問題だと思うのです。ほかの指数は、例えばマネーサプライでも同じです。平成六年秋は三%、平成七年の春のマネーサプライの予想も三%、こうなっているわけです。どのケースを見ても大体当たっておるのに、住宅投資だけがどんどんと落ち込んでいくということは、大変大きな問題だと思うのです。
 戦後五十年たちました。大変我が国は豊かになってまいりました。それでも、持ち家を持っている比率は六四%なんですね。六四%しかございません。戦後五十年たって、世界第一等の経済大国なんというふうに言っていますし、また対ドル、もし一ドル七十九円ならば、GDPはアメリカとちょうど横並びになるというわけですね。これほど我が国は豊かになってきておる。
 ところが、住宅事情はどうかというと、大変惨めです。今国民が求めておるものはマイホームなんですね。まさに家と庭、家庭、マイホームなんですよ。間違いありません。やはりこれを私どもがよく考えてあげて住宅取得の環境を整備する、それが私は国の大きな責任ではないか、このように思うわけです。
 そのときに、何かというと、やはり土地対策なんですね。土地なんですよ。これに対する税制が根本であるし、またこのことが例えば不良債権処理問題の足を引っ張っているわけです。土地、住宅が流動化しない、動かない、凍結されている。だから、これをどうかして動かさなきゃいけない。そのためにはやはり税制に踏み込まなきゃいけない、私はこういうことだと思っております。
 重ねて大蔵大臣、政府税制調査会等々でもいろいろと議論はされるでありましょうが、政府として、大蔵大臣として、こういう認識に立つときに、私が申し上げたようなことを考えてほしいのであります。もう一度、平成八年の税制改正に向けた土地税制、とりわけ個人の土地譲渡益課税に対しては、もと二六%だったんですから、今は三二・五%ですが、これを縮減するとか、そういうような方向をさらに踏み込んでほしいと私は思いますが、いかがでございますか。
○武村国務大臣 おっしゃるように、日本経済を活性化していく、本格的な回復軌道に乗せていく中で、先ほどの不良債権の問題と、そのかかわりで今不動産の流動化ということを御指摘いただいておりますが、こうした側面が大変大事であることは私も認識をいたしているつもりでございます。
 問題は、なぜ不動産が動かないのか、あるいは下がりぎみなのか。私どももいろいろ議論してみまして、だから税だという主張もあるわけでございますが、じゃ税を下げれば
――一昨年もある種の緩和をしました。まあ昨年もああして、四千万という制約がございますが、三二・五%に決断をさせていただきました。こういうことが、税的な措置が本当に不動産の流動化を促進することになるのかどうか、そこもやはりそれなりに見きわめさせていただきたいし、そして土地税制全体の中で、もう間もなく、政府税調ももう始まっておりますし、こういう議論も当然さまざま行われるはずでございますが、そういう中で段階を踏んで、平成八年度の今具体的な御提案ございましたが、論議の行方をしっかり見守ってまいりたいと思います。
 今ここで、この時期に大蔵大臣として、衛藤委員の御提起に対して前向きにそのとおりですというお答えは留保させていただきますが、大変大事な点を御指摘いただいているという認識をしっかり持たせていただきます。
○衛藤(征)委員 私は、少子・高齢化社会が目の前に迫ってきている現状を思うときに、今の国の力が若々しいときにやはり備えておくべきだ、このように思います。
 今手元に、厚生省が試算いたしました、中長期的な社会保障の負担率の問題とか、いわゆる国民負担率の問題等が試算されておるわけでありますが、問題は、高福祉高負担をとるか、中福祉中負担がいいか、低福祉低負担がいいか、こういうことであります。
 まあ中庸な中福祉中負担を求めるとするならば、現在の厚生省試算ケースで見ますと、九三年度は国民負担率が三八%、これが西暦二〇〇〇年になりますと四四%になりますし、また西暦二〇一〇年には約四八%になるわけでございますから、私は、今のうちに住宅を含め、また住宅だけではなく社会資本の整備については備えておくべきだと思います。いやが応でも、高齢化社会はすべての分野がスローになると思います。テンポがスローテンポになる。私は、そのことを考えたときに、今こそ備えをしておくべきではないか、このことを申し上げたいと思う次第でございます。
 次に、景気対策の一環として、大蔵大臣にお尋ねいたしますが、所得税減税の問題であります。
 ことしのいわゆる景気等あるいは予算、税収等々をよく勘案して、平成八年度所得税減税二兆円、継続するかどうかということが課題になっておるわけでありますが、私は、所得税減税二兆円はやはり九六年度もやるべきだ、このように思うわけであります。もし九六年度に二兆円減税をやらなければ実質GDP成長率で○・三%ぐらい押し下げてしまうのじゃないか、こういう民間機関の調査もありますし、また、一運の公共料金の引き上げで家計の負担というのは約一兆八千億円ぐらいふえる、このようにも言われておるわけであります。これは、結果的には実質増税と同じ効果になるわけであります。一兆八千億円であります。
 そこで、大蔵大臣にお尋ねしたいのでありますが、公共料金を引き下げるわけにはなかなかまいらないかもしれませんが、九六年度、もう目の前の話であります、私は、所得税減税二兆円は継続すべきだ、このように思うわけでありますが、いかがでございますか
○武村国務大臣 昨年と今年度二年間、五・五兆円の所得税減税を推進をいたしているところでございます。御承知のように、三・五兆円は恒久減税、もう法律をおつくりをいただきまして制度化が実現をしましたので、恒久的に中堅層の負担を下げるという減税を実施をいたしているところでございますし、これに二兆円、特別減税としてオンをさせていただいて、ことしも実施をさせていただくわけであります。
 問題は、御指摘のように九六年度、来年度をどうするかという御質問でございます。私ども基本的には、この減税、三年間継続というのを覚悟をいたしておりますが、三年目、これは、特別減税の二兆円についてはやはり景気動向を見て最終判断をしようということでございますので、ことし後半、特に予算編成の時期の景気判断を最大の、最後の判断材料とさせていただいて、その時期に政府・与党の中で最終決断をさせていただきたいというふうに思っている次第でございます。景気が本格的に回復しない限りは来年も継続する可能性が高いという認識であります。
○衛藤(征)委員 私は、景気が極めて厳しいという認識に立っておりますから、ぜひ所得税減税は引き続き来年度も実施されるように強く要求しておきたいと思います。
 次に、景気対策の一環でありますが、証券市場の活性化対策についてお尋ね申し上げたいと思います。
 まず第一点の、みなし配当課税の撤廃の問題でございますが、今次の緊急円高・経済対策の中にも、証券市場の活性化のための施策の一つとして、「六月の定時株主総会に向け、発行企業に対し、株主に対する利益還元策として自己株式取得への積極的取組を要請する。」との項目が入っておるわけでございます。当然、企業の配当可能利益の状況からどの程度自己株式取得ができるか、そういうことが問題になるわけでありますが、平成五年度決算ベースで見ますと、発行済み株式総数の二〇%以上を償却できる上場企業は約四七・五%あるようでございます。
 ところが、平成六年の商法改正によって、確かに企業は、定時株主総会の決議があれば、配当可能利益の範囲内で自己株式を取得し、償却ができるようになったわけであります。ありますが、実質上は、産業界からは、商法上は可能であっても、株式を償却するときに、通常の配当のごとく、株主に金銭が支払われないのにもかかわらず、みなし配当が生じて課税が行われているわけです。そのためになかなか難しい、こういうことになっておるわけであります。
 ぜひ、政府の方で企業に自己株式取得への積極的取り組みを要請するということであれば、私は、みなし課税は撤廃すべきだ、このように思うのでありますが、大臣、いかがでございますか。
○小川(是)政府委員 ただいまの御指摘は、会社が自己株を取得しまして、利益をもってこれを償却する場合には、残った株を持っている株主の方から見ますと、対応して資本金がふえる、あるいは一株当たりの資本がふえるということになります。この部分は、払い込んだのではないにもかかわらず自分の資本がふえるわけですから、いわば利益の配当があったものとして配当課税が行われるわけでございます。通常の場合ですと、源泉徴収について、現金の支払いかないので、これまでですと株主総会で現金配当もあわせて行って、それを源泉徴収するということが行われなければならなかった。
 この点につきましては、そういった御意見も参酌いたしまして、平成六年度の改正におきまして、一つは、残りの株主に対しての源泉徴収は行わないということにしたわけでございます。したがいまして、従来に比べますと、今のような問題が個人株主について消えたのではないか、これをまず御利用いただきたいと思うわけでございます。
 それから、先ほど御答弁の機会がございませんでしたのですが、土地の譲渡に係る税収というのは、それだけを取り出して計算することができませんものですから、先ほど申し上げたような譲渡所得価額にそのときの比例税率を掛けて概算を見るというところが限度でございます。
 以上でございます。
○衛藤(征)委員 同じく証券市場の活性化対策として、有価証券取引税の軽減、撤廃を私は強く要求したいと思います。この問題につきましては、武村大蔵大臣の財政演説の中にも触れられておるわけでありまして、ぜひとも先進国並みの有価証券取引税の横並びの制度にすべきだ、このように思います。
 政府は、口を開けばいわゆるグローバルスタンダード、国際的な水準に持っていくのだ、このようにいつも言うわけでありますが、この証券市場の問題で、有価証券取引税の問題については、私は、我が国は後進国だ、このように思うわけであります。これはひどいと思うわけでありまして、少なくとも先進国並みに、同じ土俵、同じスタートライン、イコールフッティングにやはり立つべきではないかな、このように思うわけであります。
 そうでなくても我が国の金融市場としての役割がだんだんだんだん低落をしておる、こういうことでありまして、それに合わせるがごとく金融市場の空洞化がいわゆる産業の空洞化に連動していく、こういうような深刻な問題になっておるわけでありまして、この点については特に御配慮をいただきたい、このように思うわけであります。
 ちなみに、外国の例をちょっと見てみますと、アメリカでは、有価証券取引税等の流通税、これは一九八一年十月に廃止されています。オランダが、一九九〇年の七月に廃止しています。ドイツも、一九九一年一月に廃止をしておるわけであります。スイスも、一九九三年四月から一部の発行、流通に係る印紙税が廃止をされておりますし、フランスでは、もう御案内のとおりですが、一九九三年五月、一回当たりの取引金額五万フラン以下は非課税となっておりますし、また、一九九三年の七月からは、一回当たりの取引の取引税の上限が四千フランとなったわけであります。また本年一月からは、非居住者の取引は取引税が非課税になっている。また、イギリス及びフランスでは、業者間取引については取引税が非課税となっている。このように、世界的に見ても有取税に類する流通税は廃止及び軽減の方向にあるわけであります。
 また、我が国は、ニューヨーク、ロンドンと並ぶ世界の三大証券市場の一つでありまして、その機能を十分に発揮することが求められておるわけでありますが、この有取税というのは、御案内のとおり、昭和二十八年に株式等の譲渡益が原則非課税とされたかわり、代替として創設されたわけでありまして、その経緯からすれば、平成元年四月一日から有価証券譲渡益課税が全面課税に移行された段階で本当はこれを廃止すべきだったわけです。ところが、諸般の事情から、まあ大蔵の事情からですが、約四割の税率の引き下げが行われるにとどまって今日に至っておるわけでありますから、これは極めて深刻であります。
 また、心配なことは、切実な問題として、短期金融市場における債券現先取引の取引コストを高めておる。また、コール等の他の短期金融商品に比べて債券現先取引の相対的地位の低下をもたらしておるわけでありまして、これも私は問題だと思うわけであります。
 でありますから、国際的な税制の調和及び短期金融市場の活性化の観点からも、株式及び公社債等に対する有取税の課税が撤廃されるべきだ、このように思っております。
 主要国の有価証券取引税等を見ますと、株式の自己取引、委託取引、債券の自己取引、委託取引を見ましても、アメリカは一切なし、カナダも一切なし、ドイツも一切なし、それからフランス、イギリス、スイスにつきましては先ほど私が指摘をしたとおりでありまして、日本はがっちりと有価証券取引税で押さえ込んでおる、こういう状況でありまして、これは問題ではないかなと思います。
 もちろん証券市場は、基本的には、実体経済の動きを反映し、同時に、証券市場の動きが企業家心理等を通じて実体経済に影響を及ぼす、そして結果としてマクロ経済面において景気の回復がなされ、そして企業業績の回復という動きが出ることを期待する、それが証券市場であることはよくわかっておるわけでありますが、それにしても私は、証券市場の、経済全体の資金の流れを円滑かつ効率的に行うためにも、どうしてもこの有価証券取引税、これは撤廃されるべきだ、このように思っていますが、いかがでございましょうか。
○武村国務大臣 有取税をめぐって御質問をいただきましたが、世界各国の状況、我が国の過去の経緯等にまで触れていただいたわけであります。
 私どもは、既にこれまでの政府税調でもこの問題については議論を始めていただいておりますが、結論的には、今後の、ことしの政府税調でこの問題も真剣に議論をいただこうという考え方であります。その結果を待って政府として最終判断をしていこうということでありますが、申し上げておりますことは、資産課税のあり方とか、あるいは証券税制全体の立場に立って判断をする必要があるということでありますし、有取税だけを廃止するか否か、それがいいか悪いかという議論でなしに、株式等譲渡益の考え方をどうするか、その中でこの有取税の帰趨も含めて真剣に議論をして結論を見出していきたいというふうに思っております。
○衛藤(征)委員 私は、主税局長にお尋ねしたいのでありますが、恐らく主税局長の頭の中は、有価証券取引税を撤廃すると大変な歳入減を起こす、このようにお考えになっておると思いますが、一体、昨年度あるいは一昨年度、この二年間の税収はどれくらいあったのですかお尋ねしておきたいと思います。
○小川(是)政府委員 有価証券取引税の平成六年度の見込み額は四千三百六十億円でございます。それに対しまして、平成七年度の現在の予算ベースでございますが、三千九百六十億というふうに見込んでいるところでございます。現在のところは、約四千億の税収を現行の税制及び取引状況の中で見込んでいるという状況でございます。
○衛藤(征)委員 主税局長にお尋ねをいたしますが、もし有価証券取引税を廃止した場合に、例えばキャピタルゲイン税が増収になり、法人税の増収になりとかあるいは企業マインドが好転して設備投資や個人消費の拡大で有効需要が生まれるとか、そういうような試算をまじめにしたことがありますか、お尋ねします。
○小川(是)政府委員 ただいまのような関係でこの問題を分析することは極めて困難があると存じます。
 直接にそういう分析はございませんが、逆に申し上げますと、有価証券取引税の税率は、先回の平成元年、約四割引き下げる前はたびたび引き上げが行われておりました。その後、引き下げが四割程度行われたわけでございます。この間、我が国の株式の取引で見ますと、取引量は、実は税率が上がっていく過程のときにふえ、そして下がっていく過程でおりている、あるいは株価もそういった結果を示しているわけでございます。
 そういったことからいたしますと、株価あるいは株式の取引というのは、今御指摘のあった有価証券取引税の税率の水準というものと関連づけて御説明するということは、過去の何十年かのデータからは大変難しいというふうに思うわけでございます。
○衛藤(征)委員 私は大蔵大臣、主税局長にお願いをしておきますが、有価証券取引税を撤廃した場合、例えば、株価上昇等出来高増高によるキャピタルゲインの増がどういうものになるとか、あるいは機関投資家や証券会社の負担減による利益かさ上げ効果で法人税が幾ら増収になるとか、あるいは財産評価額の上昇による相続税が幾らふえるとか、こんなことも私はぜひ検討してほしい、このように思うわけであります。
 なぜならば、私どもこれだけいわゆる為替レート、円高対策、株価、やっておりますが、とにかく朝七時のテレビのスイッチを入れると、もうまずそれが出てくるわけですよ、株価の。一時間ごとに報道しているわけですよ。まさにこれは重大ニュースなんですよ。いかに大事な問題かということがわかると思うのですね。それが少し鈍感になり過ぎてはしないか。もう少し私は、証券市場育成、国際金融市場育成、こういう問題については景気対策の一環として、根本的な経済対策の一環としてとらえてほしい。そしてこれを国際金融市場の方に育成をしてほしい。少なくとも国際的にイコールフッティングの市場をつくるあらゆる努力をしてほしい。そのためにはまず有価証券取引税の廃止を強く望みまして、私の質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
○佐藤委員長 これにて深谷君、衛藤君の質疑は終了いたしました。
 次に、佐々木秀典君。
○佐々木(秀)委員 日本社会党・護憲民主連合の佐々木でございます。
 三つの項目を予定いたしましたけれども、最初にやはりオウム真理教の関連について質問をさせていただきたいと思います。
 御承知のように、昨日、オウム真理教の教祖であります麻原彰晃こと本名松本智津夫容疑者が逮捕されました。先ほど同僚議員からもお話がございましたけれども、このいわば教祖の逮捕によって、国民の随分多くの方々がある意味では胸をなでおろしているというのが実情ではないかと存じます。
 正直申し上げて、私などは実は、彼が素直に逮捕に応じるであろうか。逮捕令状をとるところまではいった、恐らくあの上九一色村の第六サティアンの中に所在しているであろうということを警察としても見きわめたから逮捕の実行に乗り出す準備をなさっているということはわかっておりましたけれども、しかし、どうも彼のこれまでの言動、それからまた、かつてアメリカでありましたカルト教団での教祖と信者との集団自殺というような事態を想定いたしますときに、それに類するようなことが起こるのではないだろうか。麻原自体も自殺などをして、それに信者が同調してたくさんの方が死ぬのじゃないかというようなことも実は想定していたのですけれども、そういうことなしに逮捕が実行できだというのは、これは本当によかったな、そういうように思っております。
 そういう意味では、麻原氏自身もある程度の良識というものをまだ温存させておったのかなとも思うのですけれども、これはあるいは善意な解釈に過ぎるのかもしれません。
 しかし、それにいたしましても、これで全部が終わったわけではないのでありまして、まだまだ真相の解明、全容の解明ということはこれからであります。それからまた、先ほどのお話にもありましたように、まだ不安が残っておるわけでありますね。この点についての治安の強化それから警備の強化などということも必要になってくるだろうと思うのです。
 それに関連して、まず今日まで御努力をいただいた警察、検察、国家公安委員長を頂点にして本当に頑張っていただいたことに私は心から敬意を表したいと思いますけれども、この段階で、捜査の状況、それから今後の取り調べの見通しなどについてお尋ねをしておきたいと思います。
 まず、本年に至りましてから、大きくオウムとの関連で問題が起きましたのは、一つは、二月二十八日の例の目黒公証役場の事務長仮谷さんの拉致事件です。これについては、容疑者とされる松本、これは全国の指名手配になっているはずですけれども、まだ逮捕には至っておりません。ただ、井上その他の逮捕によって大分これが、事件内容もはっきりしてきているのではないかと思いますが、残念ながら仮谷さんの安否そのものも不明であります。
 それから、続いて三月二十日の地下鉄サリン事件ですね、何といってもこれが大変な悲劇でございました。
 それやこれやを含めまして、このオウム関連の事件での逮捕者というのは相当な数に上っていると思われますけれども、まず、今日までのオウム関連事件の逮捕者の数、それから、逮捕状は出ているけれども逮捕をされておらない、つまり逮捕令状の未執行者の数はどのぐらいなのか、それから、早い時期に逮捕された者についてはもう勾留期間も過ぎておるわけですけれども、つまり処分の期間が過ぎている者もあるわけですが、そういう者について既に起訴済みの人数はどのぐらいなのか、それからまた、起訴に至らないで不起訴として釈放された者の数はどのぐらいになるのか、まずその辺のところをお尋ねをしておきたいと思います。
○垣見政府委員 お答えをいたします。
 現在までにオウム関連事件で逮捕された数でございますけれども、この問題につきましては、実は逮捕しても黙秘等をして必ずしも所属等が明確にならない人物もございますので、正確な数字については申し上げられないわけでございますけれども、逮捕し現在勾留中の被疑者が約百名、また、逮捕いたしましたけれどもその後釈放されている者が約百名ぐらいというふうな数字で御理解をいただきたいと存じます。
 なお、起訴をされたかどうかにつきましては、私どもの方でちょっとお答えする立場にございませんので、よろしくお願いをいたしたいと存じます。
○佐々木(秀)委員 起訴者の数は、これは処分庁は検察庁になるわけですけれども、検察の方でおわかりになりますか。
○則定政府委員 お答えいたします。
 昨日までに全国の検察庁でオウム関連の被疑者ということで起訴いたしましたのは約三十名でございまして、罪名は、監禁罪、営利誘拐罪、公務執行妨害罪等が主たるものでございます。
○佐々木(秀)委員 そこで、警察の方にもう一度お尋ねをいたしますけれども、これは確認ですけれども、きのうの麻原の逮捕状の執行ですが、この逮捕状記載の罪名ですね、これは殺人というように報道されておりますけれども、それで間違いないのか。その殺人の容疑事実は、いろいろこれからも出てくるだろうと思うので追起訴の可能性あるいは追加で逮捕状の請求ということもあるのかもしれませんけれども、いわゆるサリン事件との関係での殺人容疑ということと了解していいのかどうか、この点をひとつお尋ねしたい
 それから、解明されていない幾つかの事件がございます。一番その中で私どもとしては記憶にとどめておりますのは、今から六年前、一九八九年の十一月の三日から四日にかけてのことですけれども、私も弁護士ですけれども、私どもの後輩でもあります坂本弁護士が、奥さんと、それから、まだ一歳足らずだと思いますけれども、よちよち歩きになったばかりの赤ちゃん、竜彦君というのですけれども、この三人が忽然といなくなったという事件で、その現場にオウムのバッジが落ちていた。
 そして、かねてからこの坂本弁護士はオウムの事件を担当しておりまして、いわゆるオウムの被害者の会というものをつくって、その中で非常に精力的な活動をしていた中心的な弁護士であったわけですが、その彼がいなくなった。恐らくこれはオウムに違いないということで、当時も横浜県警などを中心にして捜査をお願いしていたんですけれども、なかなかに情報が集まらない。
 で、弁護士会では、日本弁護士連合会も積極的にこれにかかわりまして、それで情報提供者に対しては相当高額の報酬といいますかお礼金ですか、こういうものも用意をして情報の収集などにも当たったけれども、結局、犯人の逮捕に至るどころではなくて、この家族の安否もわからないというような状況のままに推移してきたわけですね。このような事件。
 それからまた、昨年の六月に起きた例の松本市のサリン事件。ここでは例の誤認逮捕ということがあったわけですね、率直に言って。オウムと全く関係のない人が逮捕されて、そうじゃないということになったわけですけれども。この点でのオウム真理教との関連ですね。
 それから、先ほど申し上げた仮谷さんの拉致事件については、これはもうオウムとの関係というのははっきりしているわけですが。
 こういういまだに不明な事件、特にこの坂本弁護士事件、それから松本サリン事件、これとオウム真理教とのかかわりはどの程度掌握されておられるのか。あるいは、今度のこの麻原の逮捕などなどによってこれらの真相の究明、解明というのは進展するのかどうかですね、その見込みなどについてもお話しをいただければありがたいと思います。
○垣見政府委員 お答えをいたします。
 まず第一点の御質問でございますけれども、逮捕罪名でございますが、山梨県上九一色村のオウム関連施設におきましてサリンを生成し、三月二十日、東京都の営団地下鉄内において発散させ、十二名を死に至らしめ、多数を負傷させたという殺人及び殺人未遂容疑で逮捕をいたしたものでございます。
 それから、御指摘の二点目でございますけれども、まず坂本弁護士の失踪事件でございますが、これは、御指摘のように大変重大な事件というふうに認識をしておりますが、残念ながら、現在まで事件の解決には至っておりません。神奈川県警察におきましては、弁護士会等とも連携をとり、また、いろいろな御協力もいただきまして現在も捜査を強力に推進をしているところでございます。
 また、オウム真理教との関連でございますけれども、これは、御指摘いただきましたように、坂本弁護士が当時オウム真理教の関係者等と交渉するなど弁護活動を行っていたことは承知しておりますが、現段階では、この失踪事件とオウム真理教関係者との具体的な関連については把握をいたしていない状況でございます。
 ただ、この事件は大変重大な事件というふうに認識をしておりますので、引き続き、神奈川県警はもちろんでございますけれども、警視庁を初め全国の他の府県警察とも連携をして幅広い関連情報の収集を行い、また捜査を尽くして、早い時期に事件が解決するように捜査を今後とも進めてまいりたいというふうに考えております。
 それから、いわゆる松本サリン事件でございますけれども、これは、御指摘がございましたけれども、一点だけ申し上げさせていただきますが、この事件、もちろん御指摘のように事案の解明には至っておりませんが、現在まで、この事件の関係で被疑者として逮捕した者はございません。長野県警察におきましては、この事件も大変重大な事件と認識をしておりまして、これまで、現場周辺における聞き込み捜査を初め、化学薬品の流通ルートの解明等粘り強い捜査を進めているところでございます。
 この事件もそういうことでまだ解決には至っておりませんけれども、今回地下鉄のサリン事件が解明される段階に至っているわけでございまして、このサリンは、御承知のように通常自然界には存在しないとされている物質でございますことから、この松本におきましてもサリンが使われているわけでございますので、オウム真理教との関連についても、十分情報交換等をさせながら今後引き続き捜査を徹底させてまいりたいというふうに考えております。
 もう一点の仮谷さんの拉致事件でございます。これも大変重大な事件でございまして、私ども、警視庁において徹底した捜査を進めていることを十分承知をしております。残念ながら、仮谷さんの発見、救出に至っておりません。また、被疑者の一名につきましては逮捕いたしておりますけれども、そういうことで被害者の救出にも至っておりませんで、まだ事件の全面解決には至っておりませんので、この事案につきましても今後とも徹底した捜査を行い、早い時期に被害者の救出、事案の全容解明を図りたいということで、関係府県を督励をしてまいりたいというふうに考えております。
○佐々木(秀)委員 先ほどの質問の中で、松本市のサリン事件については誤認逮捕と申し上げましたけれども、逮捕者ではなくて参考人としての事情聴取だったようであります。その点は訂正させていただきます。
 ただ、あのときの報道で、いわゆる参考人とされた方があたかも犯人であるかのごとく見られたというようなことがあったわけでありまして、こういう点でも私どもとしては、十分に警察としても留意すべき点があったのではないかと思うことを御指摘しておきます。
 それから、先ほどの質問で、あるいは横浜県警と私申し上げたかもしれないとすれば、それは神奈川県警の誤りでございますので、その点訂正しておきます。
 それから、法務省にお尋ねをいたしますけれども、先ほどのお話で、現在までの起訴件数が三十件ぐらい、三十人ぐらいだと。これからは次々と、これまた恐らく処分を決めていかなければなりませんし、起訴者もふえてくるだろう。その処分を決定する前の捜査、取り調べというのは、今までは、逮捕までは警察に大変御努力いただいたわけですけれども、これからは検察の手に移っていくわけですね。
 そうすると、検察もこれはなかなか大変だと思うのですね。法務大臣もきのう記者会見をなさっておられて、それに対する特別な体制の立て方、体制を強化するというお話のようでございますけれども、これはなかなか検察官、そうでなくても検察官不足なんということが言われているわけですけれども、大変だと思うのですね。
 そこで、ことし新しく検事になられた方の数、これは例年に比べてどうなのか、それを含めて、これからのこの事件に対する検察としての取り組みの体制、これは十分にできるのかどうか、私どもとして心配がありますので、ひとつお答えをいただきたいと思います。
○則定政府委員 検察活動につきまして御心配いただいて、ありがたいことだと思っております。
 最初に、ことしの新任検事の採用数でございますけれども、八十六名という多数に上っておりまして、この後継者の確保、かつて大変御心配いただいておったわけでございますけれども、このところは今後とも安定的に後継者が確保できる見込みになってきている。これは、いわゆる司法試験制度改革の一環といたしましての修習生の数の増加、いわゆる給源の増加ということが大きく影響しているものと受けとめておるわけでございます。
 ところで、東京地方検察庁を中心といたしまして、今般の一連のオウム関連事件の検察サイドにおきます捜査につきましては、本年三月、いわゆる地下鉄サリン事件が発生いたしましたときに、東京地方検察庁におきましては、刑事部に特別捜査本部を設置いたしまして、そこに所要の検事を張りつけたわけでございます。
 また、昨日、殺人罪及び殺人未遂罪ということで、警察当局におきまして多数の者を検挙されたわけでございます。いずれあすにでも身柄の送致が検察庁にあるわけでございまして、これらをおもんぱかりまして、昨日からさらに、東京地検におきましては、本件、一連のオウム関連事件の捜査に充てる検事を増員いたしまして、約五十人体制、つまり検事の数を五十人この事件の解明に充てるということで、万全の体制を組んでいるわけでございます。
○佐々木(秀)委員 いずれにしても、これから検察の役割は大変大きくなることだと思います。
 それから、先ほどお話しの坂本事件あるいは松本市のサリン事件などについても、これからの取り調べを通じて、関係者の自供、あるいはなかなか自供を得るというのは大変だと思うのですけれども、しかし関係の証拠などによって明らかにしていただきたい。一日も早くそれらの解明ができること、そしてまた坂本事件だとか仮谷事件については、何とか坂本さん御一家あるいは仮谷さんが元気な姿で私どもの目の前にあらわれていただくことを心から望んでおりますので、どうか関係者、関係当局、本当に御苦労だと思いますけれども、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 それから、先ほど深谷委員からのお尋ねても、まだサリンの残留の問題、これなども不安がある。それから、逮捕令状が出ていても、まだ捕まっていない人たちがいる。きのうあたりもテレビを見ておりましたら、一般の方々は、半ばほっとしながら、この報復的な処置が行われるのじゃないか、攻撃が行われるのじゃないか、そんなことで、きのうあたりは地下鉄に乗るのを避けているなんという方もいらっしゃるわけですね。
 こういう点の治安あるいは警備体制について、御苦労いただいております国家公安委員長、どういうようになっておりましょうか、この辺をひとつお話しいただければと思います。
○野中国務大臣 御指摘のように、まだ、どのような形でサリンが飛散し、そして隠匿されておるか、わからないわけでございまして、どのような少量でありましても、先ほど深谷委員にも申し上げましたように、多数の方々の人命を殺傷するものでございますだけに、私どもは、より警備を厳重にいたしまして、これの検挙をしてまいりたいと考えておるところでございます。なお、さらに化学薬品あるいは銃器等も隠匿しておる、こういう疑いもあるわけでございますだけに、一層警備を厳重にし、捜査をやっていかなくてはならないと考えておるわけでございます。
 先般、サリン特別法あるいは銃刀法を改正をしていただきまして、そして、こういういわゆるサリン等を保持しておる人、これを使用し、発散する前に届け出をされた方については刑を減軽しあるいは免除する、あるいは銃器等についても、銃刀法を改正いただきまして同様の措置をしたわけでございますので、信者の方々におかれましても、教団が今日のような異常な事態になったことを踏まえて、そして信者である前に民主国家を構成する一員であることを踏まえまして、直ちに、そういうものがあるとするならば善意をもって届け出ていただきたいと期待をしておるところでございます。
 私ども、国民皆さんの不安を解消するために、一層従来にも増して警備体制を整え、捜査活動をやってまいりたい決意でございます。
○佐々木(秀)委員 御決意を聞いて、心強く思っております。どうか万全の上にも万全の体制をとっていただくように、心からお願いをしたいと存じます。
 それから、これに関連しては、実は私が心が痛みましたのは、一つは、テレビの画面などを通じて、あのオウムの施設の中にいた子供たちですね。これが自分の意思とは恐らく、まあ自分の意思なんということを言えないような年ごろの子供たちが、頭にえたいの知れないヘッドギアを着けさせられて、そしてあの保護された子供たちのことを聞きますと、中では大変不衛生な環境の中に置かれて、そしてろくなものも食べさせない、そして片方では盛んに特定のマインドコントロールのようなことをされて、その精神、身体の健全をむしばまれているというような状況を見るにつけても、本当に私は問題だ、これはもう子供たちの人権の問題、児童福祉の観点からも大変問題だと思いました。
 そこで、あの子供たち、かなりの数が、きのうもまた保護されて、児童相談所などに入っているというようなことでございますけれども、こうした実情について、これは厚生省の管轄だと思うのですね、児童相談所は。どんな御処置で、どんな状況になっているか、簡単で結構ですから、お知らせをいただきたいと思います。
○佐々木政府委員 お答えいたします。
 オウムの関連の施設からの一時保護の状況でございますが、これまで見ますると、四月七日大阪市で一人、これが初めでございましたが、四月十四日に山梨県で五十三人、それから、その後、四月二十六日に東京都で一人、それから、五月十二日でございますが、群馬県で二人、その後、昨日五月十六日に東京都で十人、群馬県で三十一人、熊本県で三人、合計で百一名、これまで一時保護をしたとそれぞれ各自治体から報告を受けているところでございます。
 これらの一時保護は、警察によります今回のオウム真理教施設への捜査の過程におきまして、いろいろな事情がございますが、親がいないとか、あるいは居住環境が劣悪、あるいは一見して健康状態が悪いといったような、それぞれの保護を要する状況にあるというふうなことで、警察の方から通告があり、児童福祉法の規定に基づきまして一時保護を開始した、このような状況でございます。
○佐々木(秀)委員 これもいろいろな問題が含まれていると思います。とりあえずは一時保護で、その一時保護の子供たちの様子、大分普通の子供に近づいてきたように見られる子供もあるし、中にはそうでない子供もある、これは子供の一人一人の個性によっても随分違うと思います。
 それから、時間がありませんのでここまではお尋ねしませんが、文部大臣、就学の問題もありますね、学校に全然行ってないというようなことがあります。
 ただ、これについても、私どもとしては気をつけなければいけないと思うのは、これはたしか被害者弁護団のある弁護士も言っておったことで、これは信者の皆さんのことについても言及しておるわけですけれども、言ってみれば信者の方々も被害者なんだと。子供たちはもちろんそうですね。
 しかし、そういう環境の中で、そういうマインドコントロールをされて、普通の精神状態、身体状態でなくなっている人々、この人々を、子供も大人もそうですけれども、社会に復帰させるためには、やはり性急であってはいけないと思うのですね。慌てずに、子供たちにしてもそうですけれども、普通の社会生活に戻らすためにはそれなりのやはり配慮も必要だろうと思いますので、関係機関も、行政としても、それなりの配慮をしてこれからもこの子供たちやあるいは一般の信者の皆さんに対処していただきたい。犯罪を犯した人とそうでない人がいるわけですから、この辺については厳にやはり区別をしないといけないのじゃないかと思いますので、その点を指摘させていただきます。
 宗教法人の問題については先ほど深谷議員の方からお尋ねがありましたので、私も質問を予定しておりましたけれども、大体お答えもありましたので割愛をしたいと思いますが、ただ、この宗教法人の見直しの問題で、税金面からの問題について武村大蔵大臣、きのう見解を出されておられますね。優遇税制の問題などから見た宗教法人のあり方の問題など、この辺についての御感想といいますか、お考えというかこれをこの際お聞かせをいただきたいと思います。
○武村国務大臣 宗教法人を含めたいわゆる公益法人の課税の議論は、ずっと政府税調も含めて論議がなされてきた経緯もあるわけでございます。
 そういう中で、いわゆる公益法人の収益事業に対しては、御承知のように、二七%でしたか軽減税率を適用する、法人税との対比で、そういう措置がとられているところでございます。
 問題は、宗教法人も含めてでありますが、何が収益事業なのか、この議論もいろいろございます。
 したがって、非収益事業、特に宗教法人の場合は非収益事業が宗教活動ということになるわけでありますが、今回のオウムの事件を見ておりますと、これは今後の行方によってまだ断定的には言えない話でありますが、人を殺すとか、あるいは集団的な人に危害を加える、そのためにさまざまな機材、施設が用意される。その資金にはいわゆる寄進と言われる、いわゆる宗教行為である、の資金が使われていると仮定いたしますと、それには非課税という形がとられていることでありますから、一体これをどう見るのかという疑問が国民の皆さんの中にも強く出てきていると言わざるを得ません。
 私どもは、しかし、税当局がこの点について、宗教法人とは何か、宗教活動とは何かを決めて課税に踏み切るわけにはいきませんので、これは文部省御所管のいわゆる宗教法人法の論議の中でこの辺はきちっと詰めていただきたい、その期待を申し上げた次第であります。
○佐々木(秀)委員 わかりました。
 そして、宗教法人法との絡みで、宗教法人のあり方の問題、先ほど問題点については与謝野文部大臣から御指摘がありまして、私もそのとおりだと思っております。オウム真理教については、もう反社会的な行為をここまで重ねているわけでありますから、解散請求というのは当然のことだと思いますし、これは当然もう早急にやらなければならないことであろうと思います。
 それとまた、数多くある宗教法人のあり方についても、この際に、宗教法人法の問題と絡み合わせて、やはりお互いに行政としても、それから国会としても考えていく必要があるだろうと思いますので、この点はお互いに共通の認識として持ち合いたいものだ、この点を私どもとしてもそう考えていきたいと思っております。
 この問題については、最後に村山総理、こういうことで、ある意味では第一段階を経た、しかしこれからもまだまだ多くの課題が残っている。国民の皆さんも大変大きな関心を持って、しかも不安を持ちながらこれを見守っている。これに対して行政としてしっかり対処していただきたいと思いますけれども、その御決意のほどを承りたいと思います。
○村山内閣総理大臣 先ほど国家公安委員会の委員長からも御答弁がございましたように、昨日、麻原彰晃を逮捕する、そういう挙に出たときに、直ちに関係閣僚会議を開き、あるいは関係省庁の対策連絡会議も開いて、どのような事態にも対応できるような体制を整えてやったわけであります。
 今お話もございましたように、まだこれですべてが解決したわけじゃない、むしろサリンのまだ隠匿されているものがあるのではないかというようなことも心配されますし、同時に、全容が解明されたわけではございませんから、したがって、むしろこれから全容を解明されるという段階に入っていく。徹底した全容解明も必要だし、同時に、このような事件が再び起こらないような体制というのもしっかりつくっていく必要があるというふうに考えておりますから、万全の対策で臨んでいきたいと思うのです。
 先ほど深谷議員からもお話がございましたように、むしろ上九一色村の皆さんからしてみますと、もう全部解決をして、そしてもう一遍安心できる平和な村にしたい、こういう念願もありますし、あそこにおられる皆さんは、これは善良な信者もおると思いますけれども、もう財産から家から全部なくしてしまっているわけですから、そういう方々に対するアフターケアをどうするかといったような問題もあると思いますから、むしろこれからが大変ではないかというふうに私は思っております。
 そうした全体をとらえて、国民全体がこの不安を解消して、安心できるような対策というものをしっかり推し進めていきたいというふうに考えています。
○佐々木(秀)委員 総理の御決意を承りまして、国民の皆さんも期待をしておると思います、しっかりひとつ取り組んでいただきたいと思います。
 それでは次の質問に移らせていただきますけれども、これも時間が余りありませんので、簡単にお聞きをし、簡単にお答えをいただきたいと思いますが、補正予算との関連で、阪神・淡路大震災、ちょうどきょうで四カ月目になるわけです。小里大臣を中心にして、本当に御努力いただきました。
 復旧作業も環境の整備も随分整ったと思いますけれども、ただ、きのうあたりの本会議での御質問で、まだまだ足りない、そしてまた、避難生活をしている人が、ある質問者は四万人と言い、ある質問者は五万人と言って、ここで一万人の食い違いがあるのですけれども、実情として、まだ避難所生活などをしている方々が実際にはどのくらいの数になっていて、どういう対応策がとられているのか。
 それから今後、今度のこの補正予算との絡みで、これからの復旧、復興について、どういう点に重点を払われていこうとするのか、その辺を、恐縮ですが、手短にお答えをいただければありがたいと思います。
○小里国務大臣 避難所の現在の員数につきまして、お話しのとおり、多少数値が前後いたしておりますが、今日の段階で三万七千人前後、かように御判断いただきたいと思います。
 なおまた、これからの復興にかけての話でございますが、今まで、地元の罹災者を初め、広く県民の大変な御協力をいただきながら、さらにまた地元の県、市、町、一体となりまして取り組んでいただきました。政府といたしましても、省庁挙げまして、一丸となりまして対処してまいりましたが、お話しのとおり、決してこれが対応、成果が十分であったとは考えておりません。厳粛な、一つの今までの経験を教訓にしながら、これからの復興にかけてまいらなければならないと思っております。
 殊に、これからの復旧、復興にかけまする政府としての考え方、あるいはまた当面講じるべき諸施策につきましては、先月の二十八日に決定をいたしたところでございます。あらゆる講じられる政策手段を最大限に活用しながら、思い切って施策を講じてまいったつもりでございますが、今後とも、不退転の決心で、そのような決意で対処してまいるつもりでございます。
○佐々木(秀)委員 時間の関係がありますのでこれ以上お伺いするのは避けたいと思いますけれども、これについてもまだやらなければならないことがたくさんあるわけでございますし、それから、復興については、この被災市あるいは被災県などからプランを出していただいて、それを尊重しながらやるというように伺っておりますので、どうか、その辺も十分に協議をなさった上でしかるべき対処をお願いしたいということを申し上げておきたいと思います。
 それから、最後でございますけれども、一月の二十七日の当委員会の質問で、私は、戦後五十年国会決議の問題で質問をさせていただきました。
 ここで、余り時間がありませんけれども、もう一度お尋ねをしたいと思いますのは、実は、いよいよ八月の十五日、我が国にとっての終戦の日が近づいてまいりました。
 実は私、さきの連休中に、日独議員連盟の訪独代表団の一員に加えていただいて、ドイツに行ってまいりました。先ほどまでこちらにいらっしゃいましたけれども、もとの外務大臣の中山太郎先生が団長でございまして、今ちょっといないのですけれども、伊藤英成さんも一緒だったわけでございます。
 実は、この間、五月の八日に、ベルリンのコンサートホールで、ドイツの終戦五十年の記念式典がございました。私ども、これに出席、参列をして、大変感銘を受けたわけですけれども、オーケストラのベートーベンの曲の演奏で始まって、最後もベートーベンの、これはたしか第九の原曲になった曲だそうでございますけれども、それの演奏で、そして最後は、バックにコーラスがついてドイツの連邦共和国の国歌の斉唱で終わる。その間に、ドイツ連邦共和国のヘルツォーク大統領、それからロシア共和国のチェルノムイルジン首相、イギリスのメージャー首相、アメリカのゴア副大統領、最後はフランスのミッテラン大統領の各演説があった。非常に感動的な、シンプルな中にも粛々とした式典であったわけでございます。
 これに私ども出て、なお一層私どもとしても、この平和への誓いを内外に宣明する、そしてまた、きのうも本会議で総理大臣が御答弁なさっておられましたけれども、過去の侵略行為あるいは植民地支配、これについての反省の思いを新たにするということを、国会決議をすることの必要性というのを改めて私どもは痛感させられた思いがしたわけでございます。
 そこで、ただ、私も、実は与党のこの五十年問題のプロジェクトチームの一員に加えていただいていろいろとやっておるんですけれども、与党間の中でもいろいろな御意見がございます。特に、何といっても一番議員さんの多いのが自民党さんでございますし、また、この自民党さんの中でもいろいろな御意見があって、いろんな、さまざまな動きがあることも承知をしておりますけれども、何とかしかし、内外にこの平和の誓い、これを宣明して、これからのやはり国際社会の中での名誉ある地位を占めていくためにも、私はこの国会決議は大事だと思っております。特に自民党の総裁でもあられる河野外務大臣に、自民党総裁としてのお立場で、この自民党内の党内世論、どういうふうに取りまとめていかれるのか、この辺についてもお伺いをしたいと思います。
○河野国務大臣 御案内のとおり、村山政権を樹立いたしますときに、与党三党では三党合意というものをつくったわけでございまして、その三党合意の中には、今議員おっしゃるような、国会決議についてこれを推進するという合意がございます。私どもは、この三党合意は誠実に守りたい、こう考えておりまして、党内でも議論をいたしているところでございます。
 我々は、過去を見詰め、未来に思いをはせる、そういう気持ちはだれしもが持っているわけでございまして、それを五十周年という節目の年にふさわしい文言で表現をするということのために、多くの議員が参加をして、これについて目下議論中でございます。私は、そう先でない時期に党の気持ちを収れんをさせて、三党の合意ができるよう最大の努力をいたしたい、こう考えております。
○佐々木(秀)委員 ぜひ御努力をお願いしたい、このように思っております。
 ちなみに、先ほど申し上げました式典の中で、ミッテラン大統領の締めの演説というのは特に評判になっておりまして、いわばミッテランの遺言だ、こういうように論評されております。
 そこでミッテラン氏が言っているのは、いろいろありますけれども、特に私ども印象に残っておりますのは、本日我々が祝うのは、ドイツの敗北やフランスの勝利ではなく自由の勝利である、それは欧州が自分自身からから取った勝利であった、これはすべての欧州の人々にとり、同じ意味を有する、こういうことを言っておられるんですね。どちらが勝者か敗者かということを記憶する日ではないんだ、言ってみれば、圧制からの解放の日なんだということを言っておられる。
 ところがヘルツォーク大統領の方は、これまた、多くの国の罪なき人々に対する大虐殺を始めたのはドイツ人であった、このことを我々は忘れるわけにはいかないんだということを言っておられるんですね。それにもかかわらず、ヨーロッパの人々がドイツを自由諸国の一員として受け入れてくれて、一緒に欧州建設のためにやっているということを評価しておられるんですが、ただ、その前段としては、例えばヘルツォーク大統領は、去年ワルシャワでやはり終戦の記念式典があったときに、ポーランドの皆様に対するドイツ人の行為についてはこうべを垂れて謝るということをはっきり言っておられるんですね。
 そういうような歴史の事実の認識といいますか、それをしっかり持った上でのことであるからこそ、ミッテラン大統領のこういう演説も出てくるんだろうと私は思うんですね。
 ですから、過去のことは過去のこととして、やはり事実は事実として私どもはしっかり掌握をしながら、その上で平和への気持ちをさらに新たにする。前に武村大蔵大臣も言っておられたように、憲法の理念というものを、むしろそれを体現するというか、再確認するというか、そういうところに私は国会決議も意義があるのではないかと思っております。
 ぜひこれができますように、それぞれ、総理もそうですし河野外務大臣、それから武村大蔵大臣、それぞれの党の党首としてのお立場からも、そのための御努力をまたお願いしたい、私ども国会の側としても頑張ってまいりたい、こう思っております。
 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○佐藤委員長 これにて佐々木君の質疑は終了いたしました。
 次に、五十嵐ふみひこ君。
○五十嵐(ふ)委員 新党さきがけの五十嵐ふみひこでございます。佐々木委員のお時間を少しちょうだいをいたしまして、早目にすることができました。ありがとうございます。
 最初に、村山内閣の命題となっております行革について、総理にお尋ねをしたいと思います。
 私は、行政改革、なぜ必要かという観点なんですけれども、戦後のキャッチアップ型の経済というものを効率よく転がしていくために我が国は全力を挙げてその行政のシステムが働いてきたというふうに思っております。それは非常にうまくいってまいりました。世界一、二を争う経済をつくってきたわけですけれども、どうもよく見ると、世界一、二を争う、建物でいうとビルなんだけれども、ちょっと曲がって建ってしまっているかなという部分があるんだろうと思います。
 それは、例えば教育につきましても、独創性よりも均質な人材というものの供給というのが重視をされるとか、あるいは、配当性向を高めるより、むしろどんどん土地を買っていく、資産を会社が持っていく、あるいは設備投資を促すというような形で土地本位制ができてしまった。あるいは、独禁政策でも適用除外が多いとか、いろいろ系列だとか談合だとか護送船団方式だとかいう、今までは効率的だったけれども、こういうボーダーレスの社会になってくると、それがともすると日本異質論だとか、通産大臣が今御苦労されている日本バッシングにつながっていく。我々は不公正だとは思っていないけれども、よそから見て、どうも我々と違うぞというところができてしまっている。
 それを直していくためには、やはり政治のリーダーシップが必要だ。経済をそうやって今の段階まで持ってくるために必要な装置として行政が働いてきたんだけれども、行政自体は小回りがきかない。現実を守っていく姿勢が強いということで、今こそ政治がリーダーシップをとって、経済社会全体を、日本の文化は、きちんと伝統は守りつつも、新しい国際社会に合うような姿にしていかなければいけない。その大きな改革の一環として行政改革が実はあるんだろう。その小回りがきかない官僚による行政システムを政治がリーダーシップを持って変えていくためには、やはり私は、一番最初にやるべきことは官邸機能の強化だろうと思う。
 そういう意味で、総理が各党、与党から一人ずつ総理補佐官をつくられて、官邸に部屋を設けられて常駐せられるようになったというのは、第一歩だと思って評価をさせていただいているわけです。
 しかし、いかんせん、何ら法令上の裏づけ、権限を持っている役職ではないということでございまして、私は、できれば閣僚級、あるいは準閣僚級の補佐官をきちんと法令に基づいて官邸に置くというような形、あるいは、そうした官邸に新しく入る政治家が、きちんと自分のスタッフ、官僚ではないスタッフも含めて、きちんと自分のスタッフを連れて官邸へ入って、総理に、あるいは官房長官に、官僚ルートではない情報もきちんと上げられる、政治判断がきちんとできる、そういう材料が与えられる、あるいは政治家としてリーダーシップを発揮できる、そのような仕組みにすることが、非常に行政改革の第一歩として必要ではないかと思っているわけですが、その点について総理の御見解をいただきたいと思います。
○村山内閣総理大臣 冒頭に行政改革の問題についてもお触れになりましたけれども、これだけ国際情勢全体が変わってきておりまするし、経済的な交流やら、あるいは貿易自由化等大きく進展をしている中で、日本のこれまでのあり方がいろいろな角度から問われておる。そのために規制緩和も、特殊法人の問題も、あるいは地方分権の問題も、情報公開も、すべてやはり見直しをして、思い切った改革をする必要があるということは、申し上げるまでもないと私も考えております。
 今進めておるところでありますが、今御指摘のございました官邸機能の強化につきましては、これは一昨年の十月の臨時行政改革推進審議会の最終答申におきましても御指摘があっておるところでございます。今、昨年十月に官房長官のもとで官邸の強化、近代化の検討を進めておるところでありますけれども、ことし四月に関係職員を米国、英国、それからフランス、ドイツ等々に派遣をいたしまして、官邸機能がどういう状況になっておるかというようなことも十分調査をしてもらっておるところでありますが、そうした諸外国の状況等も参考にしながら、今御指摘のございました、官邸機能をどう強化して、どのような事態にも対応できるような機能を持つかというようなことについて、十分検討してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○五十嵐(ふ)委員 官邸そのものの、建物の今改築というものも、建てかえというものも話題になっているようですから、そのこともあわせて私は御検討をしっかりいただきたいと思います。
 次に、オウム真理教の事件に関連いたしまして先輩議員も今いろいろ質問をされましたけれども、私ももともと与党の税調の中でも、社会の共通の経費を負担をする、あるいは公益に資する税金というものを払いたがらない宗教法人というのはオーソドックスではないのではないか。また、経理を公開できない、しない、しようとしない、したくない宗教法人というのも、実は本来の宗教法人の考え方からするとオーソドックスではないのではないかというようなことも申し上げているわけであります。
 宗教法人だけではありませんで、最近問題になっているのは、二億組の問題でも、信用組合というのは一種の協同組合でございまして、公益法人に準ずる存在として認知をされ、税制上その他の優遇措置を受けているわけでございます。また、それに関連して、最近出てきております労働省所管の公益法人が政治家によって私物化されて、その印が持ち出されて融資が行われたり、あるいは基本財産を担保に融資が行われたりというとんでもない事件が起きておりますけれども、これらを考えても、宗教法人も含んだ公益法人あるいはそれに準ずる法人等々に対する管理監督のあり方というのをもう一度ここで考え直さないといけないのではないかというふうに思っているわけであります。単に税制面だけではなくて、もっとディスクロージャーをする必要があるのではないか。
 税制面でいえば、先ほども御答弁がありましたけれども、収益事業のみしか見られないのですね。そうすると、収益事業か本来事業がというのはだれが判定するかというと、公益法人本体がやるわけでありまして、それではとても責任ある司直による監査というものはできないわけでございまして、そういうことも含めて公益法人一般の管理監督のあり方、税務上の監督のあり方について私は見直す時期が来ていると思いますが、官房長官、その点について御意見ございますでしょうか。
○五十嵐国務大臣 公益法人は全国で二万六千ほどございまして、このうち国が監督しているものは約七千でございます。したがって、残りの一万九千の法人は都道府県が監督している、こういう内訳になります。
 これらの公益法人の監督につきましては、各府省令等に基づいて毎年事業概要報告、それから収支決算書、財産目録などの提出を義務づけているところでございますが、同時にまた必要に応じて帳簿の検査等も行っておりまして、業務運営が適切に行われるように現在も指導監督を行っているところでございます。さらに、公益法人等指導監督連絡会議というのを持っておるものでございますから、この場で指導監督基準の申し合わせをするなど、公益法人行政全体の統一的改善についても現在進めているところでございます。
 今のような議論がいろいろ先般来もございましたものでありますから、ことしの三月に公益法人のあり方についての見直しを行ったところでありまして、いわゆる官主導の、役所の都合で公益法人を申請するというような場合の抑制基準を申し合わせたところであります。
 また同時に、今も御指摘ございました公益法人の透明性をより確保するという観点から、毎年一回、今度は新設、解散件数、事業の状況等取りまとめてこれを公表しようということにも先般決めたところでございますが、御指摘の点を踏まえまして、これからの公益法人の指導監督のあり方につきましても、公益法人等指導監督連絡会議の場を通じて適時適切に対処してまいりたい、このように考えている次第であります。
○五十嵐(ふ)委員 もう少し広い範囲で真剣な御討議をいただきたいと思うのですが、例えば農業協同組合や生協あるいは今言ったような信用組合についても、本来の目的、弱者が集まってサークルの中でお互いに助け合う、そういう本来の目的が、規模が大きくなってくると、その組合自体の成長なり利益のために動くというようなことになりがちでございます。規模が大きくなったら、その本来の性質がどうなるのか、その監督のあり方はどうなのかというのも含めて、私は考え直すことが必要ではないかと思う立場でございますので、広い観点から御討議を、御審議をいただきたいと思います。我々も努力をしてまいりたいと思います。
 時間がございませんので、円高に移らせていただきたいと思います。
 最初に、貿易インバランスというのは、そのもの自体が悪ではないということを私は思っております。それは、貿易を通じて財貨というものを物で持つか通貨で持つかという、黒字国は通貨で持ち、赤字国は物で持っているわけですから、それだけの、所有の形態の違いだけであって、そのこと自体が悪だと思っておりません。むしろ、我が国が特有の過当競争体質を米国に輸出したとか、そういう問題の方が大きいのであって、先ほど、アメリカに言われるまでもなく、構造的な問題として我が国がいろいろ経済社会上のゆがみを直さなきゃいけないということはあるけれども、それは何も貿易インバランスそのものを直すためということではなくて、私は、別の観点から我が国の主体性を持ってやるべきことなんだろうと思っております。
 そこで、頑張るべきこと、すなわち正しいことを主張するという点ではきちんと主張していただきたい、先輩議員の御意見もありましたけれども、やはり今の姿勢を守っていただきたいということを通産大臣にお願いをしたいと思いますが、一方で、円高というものは我が国にとって差益というものももたらしますし、いろいろな面がございます。
 差益という面に関して、すぐ、では電力料金はどうなんだというようなことがあります。一方では石油価格が、原油価格が上がっているという問題もありまして、単純に差益還元、そら電力料金の引き下げだということにはならないと思います。電力料金の引き下げ要望も強いかと思いますが、例えばその場合でも、月に数円下がるというようなことで還元するということが果たして効率的に国民に円高差益を還元することになるんだろうかという問題があると思います。
 私は、むしろこの際、熱電併給、コジェネのモデル事業を電力会社にやらせるとか、あるいは電線地中化というものについて拍車をかけるとか、あるいはクリーンエネルギーの開発費を出していただくとか、そのような方向で、最終的にもっと大きく国民へ差益を還元していくというような考え方もあるのではないか。
 あるいは、電力料金を下げるという面では、夏季の瞬間最大電力量のために実は大きな設備投資を電力会社はしているわけでありまして、その方がうまく調整ができるというようなことが工夫ができれば、実は電力料金のコストというのはうんと下げられるという考え方がございます。
 そのようなことも含めて、差益還元のあり方、特に電力を中心に今申し上げたわけですけれども、一工夫あっていいのではないか。どういうお考えをお持ちか、通産大臣にお尋ねをしたいと思います。
○橋本国務大臣 電気料金のあり方につきましては、従来からさまざまな角度での議論があったことは委員御承知のとおりであります。
 そして、今国会成立をさせていただきました電気事業法改正法、それから昨年来の料金制度改革の成果というものを料金に反映させたい、そして来年一月に電気事業法が施行されました後、でき得るだけ早く新しい料全体系のもとでの料金の改定作業を行いたい、そういう意思を持ちまして、先日、準備に着手をいたしました。
 そしてまた今、現行の暫定引き下げの措置につきましていろいろな御意見をちょうだいしたわけでありますが、私は、委員の見解は一つ傾聴すべきものである、そう思います。
 その上で、先週、実は電力業界の代表者とも私は意見交換をいたしましたが、今月いっぱいの為替レート、原油価格の動向というものを見きわめた上で、料金改定までの間を視野に入れまして、現行措置の見直しというものを含めながら検討するように事務方に指示をしたところでございます。
 いずれにいたしましても、私は、これは一つずつの問題、大切な問題ばかりでありまして、電力各社はそれなりに真剣に取り組んでおると考えておりますし、着実な取り組みを期待いたしております。
○五十嵐(ふ)委員 時間が参りました。
 これから新産業の創出というのは非常に大切だ。今度の対策にも含まれておりますけれども、私は、科学技術というものを、もっと独創性のある科学技術が生めるような環境をつくっていくということが大切だということを強調したかったわけでございますけれども、時間が参りましたので割愛をさせていただきます。
 質問を終わります。ありがとうございました。
○佐藤委員長 これにて五十嵐君の質疑は終了いたしました。
 午後一時十五分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    正午休憩
     ――――◇―――――
    午後一時十六分開議
○佐藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。野田毅君。
○野田(毅)委員 質問に先立って、昨日、オウム真理教の麻原教祖が地下鉄サリンに関連して殺人容疑で逮捕されたわけです。この地下鉄サリン問題は本当に国の内外に非常に大きな衝撃と不安を与えたわけですから、そういった意味で、多くの人はこの逮捕によってほっとしているというのは偽らざるところだと思います。そういう点で、大変長い捜査の過程で、しかもなかなか難しい事案であっただけに、現場の警察当局初め関係者の皆さんの御苦労にはまず心から敬意を表したいと思っております。
 ただ、この上は一刻も早く全容の解明に全力を挙げてもらいたい。それから、午前中にもいろいろ問題点が指摘されましたけれども、サリンがまだ若干なりとも残っておるのではないかとかあるいは教団がこれから自後にどういう行動に出るかということもまだ懸念は消えていないし、また信者たちのアフターケアの問題、さまざまな問題が残っておりますので、これらの点にも全力を挙げてアフターケアをしっかりやっていただきたい、このことを申し上げておきたいと思います。
 大体午前中の質疑の中で、宗教法人の解散請求等々の問題あるいは宗教法人法の改正そのものについてのいろいろな論議が交わされましたので、時間の関係上、ここではその問題はおいておきたいと思います。
 ただ、若干このサリン問題だけでなくて、坂本弁護士一家やら、あるいは仮谷さんやら、そういった行方不明の方々の問題もまだあるわけですから、それらの問題をあわせて今後の捜査状況等について、今国会できるだけ早い機会にまず政府から報告をしてもらいたい、このことをお願いを申し上げておきたいと思います。この点はよろしいですね、官房長官。もう首を振ってもらうだけで結構です、時間がもったいないから。政府からの報告ですからね、これは政府の方から答弁をしてもらうということだと思います。
 そこで、逮捕に至ったことはよかったのですが、ただ、若干こういう声があることだけは指摘しておきたいのです。それは、昨年の六月、松本でサリン事件が発生をした。既に秋にはオウム真理教とのかかわりがいろいろ取りざたをされておったわけです。そういう点で、もっと早く的確な対応をしておるならば、あるいは地下鉄サリン事件の発生も未然に防止できたのではないかという声もある。これはなかなか専門的な問題ですから難しいかもしれない。しかし、そういう声もある。このことは指摘をしておきたいと思っております。
 そこで、一つこの問題に関連して若干気がかりなところは、実は現職自衛官のこの事件へのかかわりであります。大方の我が国の自衛官は、本当にみんな真剣に、真摯に任務遂行しているわけです。今回の捜査の展開に当たっても、化学班を初め、いろいろな捜査協力を一生懸命やってくれている。そのことを高く評価する。それだけに、先般来、若干報道されておりましたが、現職自衛官が火炎瓶を教団本部に投げつけたり、あるいは部隊内のいろんな情報が教団側に漏れておったり、あるいは運転免許センターに侵入をしたという、そういったことが明らかにおっているわけです。
 そこで、こういうことはないことを願っておりますけれども、捜査の過程の中で、もし仮に地下鉄サリン事件に直接関与をしたというような者がありとせば、これはなかなか容易ならざることだな。これはかって潜水艦の「なだしお」の事件があっただけに、なかなか頭の痛い問題だ。そういうことをないことを願っておりますけれども、一応念のために、もしもそういうようなことがあったときに、これは玉沢長官、ひとつお考えを聞かせておいてもらいたいと思います。
○玉沢国務大臣 ただいまのお話は、現職自衛官が関与をしておった場合はどうするかという仮定のお話であると承りました。
 国民の生命と財産を守るべき現職自衛官がそのようなことに関与しておることはない、私はそう思うわけでございますが、最高責任者としての私は、あくまでも規律厳正なる部隊を保持し、国民の皆様の負託にこたえていく、こういうことに全力を挙げてまいりたいと考えております。
○野田(毅)委員 まあ仮定の話ですから、それ以上は答えられないと思います。しかし、本当に大変なときに防衛庁長官をやられたなと同情をいたしております。
 それにしても、この問題が起きて一つ本当にしみじみ考えさせられるわけですけれども、それは、この逮捕された容疑者、いずれも非常にハイレベルの学歴や知識を持っている。どうしてこういう人たちが、こういう本当に人間として首をかしげるような事柄に首を突っ込んでしまったんだろう。正しく進んでいくならば随分と社会のために役立つ立場に立っているんではないか。一体何でこういうことになったんだろう。人間として大切な何かが欠けているんじゃないか。
 こういう点は、社会風潮としても、オウムの問題だけでなくて、いろんな教育の現場の中でも、いじめが最近は頻発している。我々子供のころはほとんどいじめなど聞いたことはない。むしろ弱い者いじめというのはまさにひきょうな人間のすることだ。これは決して子供の世界だけではない。何か社会全体に倫理性というか、そういったものが、残念ながら戦後、だんだんだんだん経済が発展してきたのはいいんだけれども、日本の国の中で社会の倫理性というものがどうやらどんどんどんどん欠けてきているんではないかという実は懸念を持っています。
 そうなるとやはり、私は何も教育勅語をそのまま復活せよということは言うつもりありません。元田永孚さんというのはもともと熊本の出身ですから、教育勅語をつくった人はね。結局、戦後の日本の教育の中で、教育現場が混乱をした。少なくともその中で、私は、日教組教育のあり方がやはり問われているんじゃないか、そのことと無関係ではない。それは、日本人としての当然の誇りを持つべき、反日の丸・反君が代を徹底したことをやってきている。それだけではない、むしろ人間としての基本、人間のあり方というものを否定してきた。それはやはり道徳教育、昔の修身教育をまず否定してきた。
 私はこの点で、例えば英国では、もう子供のころからジェントルマンシップというものをしっかりとたたき込まれていますね。そして、フェアということを非常に大事にしている。アンフェアと言われることは死ぬよりつらい。そういう、恥を知る、そういったことを外国では徹底してやってきているんだ。
 さて、翻って日本の教育現場の中で、そういう日本人としてのあり方論というものを本当にちゃんと教えているんだろうか。私も二十何年自民党の中にいた。そういう中で、保守の政治家の一員として、いわば自公民という枠組みの中で、日教組のそういう非人間的な、そういう教育現場の崩壊に対して、いわばみんなが一緒になって何とか正常化しなければだめだということでやってきている。
 そこで文部大臣、やはりそういう徳目、人間としての徳目というものをもう一遍基本を、学校あるいは家庭でもそうですけれども、そういった必要性をあなたは感じませんか。なかなか今日までの文部大臣、一生懸命やってこられているから、せっかくならそういう人間教育の基本ということについて、まさに教育現場の中でそういう徳目をもう一遍やってみたらどうですか。今、世界じゅうの中で日本人に対する、かつて勤勉でまじめでとかいろいろな評価があったけれども、どんどんこのところ壊れてきているわけでしょう。そういった点で、日教組教育の間違ったそのツケをこの際是正をするのだという、そういう気持ちがないかどうか、文部大臣。
○与謝野国務大臣 まず、先生の日教組に対する認識は多分古いのではないかと思います。
 日教組も時代とともに変わるという内部努力をされておられまして、日本の教育の将来について深い憂慮を持って教育現場で一生懸命やっていただいております。
 また、いろいろな道徳教育等につきましては、現在の学習指導要領は、私は、もう完成の水準にございます。そういう意味では、学習指導要領に基づいていろいろな人間としての基本的な倫理を知っていただく、こういうことも学校教育では大事でございますが、子供の教育、特に基礎的な倫理観に関しましては、やはり保護者たる両親が自分の人生経験に基づいて子供にいろいろな機会に教えていく、こういうことがやはり基本であるべきだと考えております。
○野田(毅)委員 まあ、今、村山内閣の文部大臣だからそういうことをおっしゃったのでしょう。しかし、現実にあなた方自民党だって、ついこの前まで、日教組の今までの、戦後の教育のこの罪悪を徹底して皆さん追及していたのではないですか。そうでしょう。それをきのうきょう一緒になった、連立政権一緒につくったからといって、まるで教育のツケは、特に人間教育のツケというのは去年ごとしで変わるものではないんだ。もっと戦後からはっきりしているじゃないですか。そんな、文部大臣がばかみたいなこと言っちゃいけませんよ。
 時間の関係もありますから、この問題は本当に残念ながら、自民党自身ももう少ししっかりしなさいよ。
 そこで……(発言する者あり)要らない。要するに、今の教育指導要領で十分だという答弁をしているわけですから、全然そういうようなことをやる気がないという、そういう答弁を聞いたわけですから、押し問答をしても同じだ。
 そこで、次に進みます。(発言する者あり)いや、答弁は求めていない。要らぬお世話です。
 ところで、このところいろいろ新聞報道で出ておりますが、本当に村山さん、お疲れさんだと思います。本当におくたびれになったでしょう。今度の地下鉄サリンの問題もあるし、もちろんそれだけではない。本当に、超円高あるいは日米交渉の問題あるいは先立って阪神大震災、次々といろいろな問題が発生をしてきた。本当に大変だと思う。これから先を考えると、社会党内のごたごたもなかなか大変だろうと思いますし、特に戦後五十年の国会決議、これをどうやって三党間で合意を取りつけるのか。
 つい先日はゴラン高原へのPKO派遣問題について、とうとう結論を先延ばしをして、そして国連に対してもっと早く返事をしなければならぬのに、その結論を先延ばししてしまっている。先を考えれば、やはり三党でやっていくというのはなかなか容易なことじゃない。だから、本当にこの枠組みを続けるのはもう限界がある、そういうことをしみじみとお感じになっているだろう、本当にそう思います。それだけに、自分一人だけではもう何にも決められない、こんなことを思うと、やはり限界を感ずるというのが僕は素直なところだろうと思います。
 だから、つい身近な人にもうやめたいということを漏らしたと言われていますね。これは否定をされているけれども、そんなことを言ったって、では聞いた人がうそつくわけないですよ。それは森幹事長もそうでしょうが、つい先日のテレビで自民党の加藤政調会長が、いや、私もそんなことは今まで何遍も聞いていますと、現にみんなの見ているテレビで言っているじゃないですか。一人だけじゃないんだ。そんなことは口癖になっているんだ、一回だけじゃないよと。
 村山さんは淡泊な人だし、それからもともと自分がなりたくてなった総理大臣じゃないし、みんなが一緒に協力をしてくれるからやっていこう、だから、協力してもらえないならそれはとてもやっていられない、もうくたびれたというのが私は本音じゃないかと思うのですよ。そうでしょう。
 そうでなければ、もし、やめたいやめたいということを漏らしながら、実はそれを、やめたらおまえたちが困るじゃないかそれを期待をして、いや、やめないでくれということで延命を図るというほど私は村山さんは悪い人柄じゃないと思っているのです。だから逆に、本当に村山さんが本音を漏らしたんじゃないか、私は、これが常識的な受けとめ方だと思うのですよ。その辺、どうですか。
○村山内閣総理大臣 きのう本会議で、口癖でやめたいやめたいと言うというようなことがございましたから、そんな口癖はございませんということを明確に申し上げておきました。
 これは、一つの政党が単独で政権を握っているときには、その党が、党内ではいろいろな議論があるでしょうけれども、一応党議で決めたら、それはやっぱり権力を握っているわけですから、そのまま遂行できる。しかし、連立政権の場合には必ずしもそうはいかない。それはやっぱり基本的に、前提として理念も政策も違う政党が一緒になっておるわけですから。これは細川さんのときもそうですし、羽田さんのときもそうだったと思いますね。
 ただ、私は、この経験を踏まえてみて、これだけやっぱり国民の価値観が多様化しているわけですから、多様化した国民の意思というもの、国民の意見というものが、自民党は自民党なりに支持する国民の層があってその声を反映しているわけですよ。社会党を支持する層は社会党に期待をして支持をして、その声を国会で反映してもらいたい、こういう期待があるわけですよ。その期待にこたえて各党が努力をしているのです。それは、三党の政策論議の中ではそういう意見も踏まえた上でお互いに真摯な議論をし合う、そして何が一番国民のためにいいのかという選択をしていく、それで合意を求めていく、こういう透明度の高い民主的な運営をしていくところに、私は連立政権のよさがあるというふうに思うのです。
 ですから、時間はかかるかもしれない。しかし、そこを粘り強くやっていくところに民主主義のいいところがあるのであって、私は、やっぱりその努力と苦労は甘んじて受けてやらなければならぬ、こういうふうに考えております。
○野田(毅)委員 今の三党連立の欺瞞性というか、そういうことについては、後ほど私は触れたいと思います。
 ただ、今私どもここでごちゃごちゃ言うよりも、内外の村山内閣に対する評価がどういうものであるかということを、余り事細かに言うつもりはありません。四月に入ってから、外国のウォールストリート・ジャーナルが村山内閣のことを何と言っているか。驚くほど無気力な対応しかできない村山政権はミイラの政権だ、こういうことも言っているし、あるいは日本国内のいろいろな、さまざまな立場の人が、村山内閣が続くことがもう政治空白なのでしょうという言い方もある。
 あるいは世論調査、これはたくさんある最近の世論調査の中で、一紙だけを除いて全部マスコミの世論調査は支持率よりも不支持率の方が高いという現実がある。極端なものは、あるものは、四月初めですが、支持率が二六・七、不支持が七二・一と、いろいろあるわけです。
 そういうことを考えますと、今村山総理にぜひ総理を続けてほしい、こう言っている人たちというのは、どうもそれは本当に村山さんのことを考えておっしゃっているのではない。どうも国民のためでもないんじゃないか。本音は、結局は自分たちの都合のために、今村山さんにやめられたら困る。だから結局は、村山総理は、非常に残念ながら、利用されているのじゃないか、そういう人たちに。私はそういう見方があるということも指摘をしておきたいと思います。
 それから、いま一つ、村山総理についていろいろ批評がある中で、ともかくいろいろな問題でリーダーシップが見えないということがよく指摘をされますね。なぜ村山総理はリーダーシップを発揮できないんだろうかと。今、三党の合意でやらなければならぬからとおっしゃる。それは私はやはり逃げ口上だと思います。やはり総理たる者、この問題については自分の政治生命をかけてでもこれだけはやりたいというものがあっていいと私は思っていますよ。それは、その点もともとリーダシップがないんだろうか、いや、そうじゃないだろう。中には、大変失礼な言い方だけれども、何に対してどのようにリーダーシップを発揮すればよいのかわからないんじゃないかと言う人もある。
 私は、そんな失礼なことはない、やはり今申し上げたように、リーダーシップを発揮したいんだけれども、やはり三党という政権の枠組みの中で自分の思うことを実現しようとすると、どうしても限界があるんだ、三党の枠組みの限界があるんだということを痛いほど痛感をしておられるんじゃないか。それだったら、じゃ、なぜ怖いんですか、この政権が壊れることが。この政権の枠組みを維持するために総理を続けておられるんだろうか。国民のために総理がこれだけはやりたい、そういうことをおやりになったらどうですか。
 それは、やはり何か一つのことをやろうとすると、必ずリアクションが出ますよ。今まででも、少なくともかつての歴代内閣の中でいろいろなことがあった。日中国交正常化を田中さんがやったり、あるいは消費税にしても、竹下さんはまさに政治生命をかけて、泥をかぶって国家のために私はやったと思いますよ。いろいろな先輩たちが、泥をかぶりながら、これだけは日本のためにやらなければならぬのだとその信念に基づいてやって、撃ちてしやまんでいいじゃないですか。私はそこに、その迫力が実はリーダーシップを生んでくるのだということを申し上げたいんです。
 それは、やはり中曽根内閣でもあの国鉄改革をやった。ある意味では政治生命をかけたと思いますよ。それだけの強力なリーダーシップを発揮したから物事が動いていくんですよ。私は、そういう意味で、細川政権でもそうだ。例えば、ウルグアイ・ラウンドの処理、これは自民党内閣ででもやり切れなかった。だけれども、やはり世界の自由貿易というものを何とかして守らなければだめだ、そういうことであえて決断されたと思いますよ。
 私は、そういった意味で、ぜひ村山さんは、九州男児なんだから、深く、これだけは私はやりたい。例えば、今度の五十年の国会決議の問題がある。これには村山総理は何らかの御自分の意思がある。意思があるなら押し通してみたらどうですか、この点を。どうですか。
○村山内閣総理大臣 私は、絶えずリーダーシップ、リーダーシップということが問題になるわけですけれども、リーダーシップとは一体何なのかということを、意見をされるたびに自分なりに考えてみるわけですよ。
 これは独裁国家なら別ですよ。これはトップダウン方式で、もう長にある者が決めたら右へ倣えで、みんなそのとおりになるというような政治がいいのか。そうではなくて、できるだけ議論は民主的にやる、そして透明度を高めて、国民の皆さんにも十分わかるような議論をしていく、そして結論を見出していく。しかし、その結論が見出せない場合に、もういよいよやはりどこかで断を下さにゃいかぬというときに、責任者が断を下すということはあり得て当然だと思うのですね。同時に、決めたことは率先して、先頭に立ってやるということも大事なことだと思いますよね。
 私は、そんな意味で、やはり民主主義というものは大事にせにゃいかぬ、こういう信念を持っておりますから、したがって、言われるようなリーダーシップは私はとりたくない。そうでなくて、先ほど申し上げましたように、議論はしたけれども結論が出ないという場合に、その長に判断が求められるという場合には、決断をしてリーダーシップを発揮するということはあり得ることは当然だというふうに思っておりますから、そして、どのようなことがあっても最終的な責任は最高責任者がとるというのは当然のことでありますから、私は、皆さんを信頼して、仕事はしてもらわにゃいかぬ、こういうふうに考えておるところでございます。
 それから、これだけはという特定のものを考えて、それだけにかけるなどというような考え方を持って私はやっておるわけじゃないんですよ。これは、これだけやはり日々いろいろな問題が山積しているわけですから、山積した問題を一つ一つ片をつけていくということも私は大事なことではないかというふうに考えております。そういう問題を片づけていくことによって、積み上げて物事がなし遂げられていくのであって、今考えてみても、例えばサリン事件の問題とか、それからまた円高の問題とか、いろいろな問題が今山積しているわけです。そういう山積した問題を一つ一つ片をつけていくというところに、政治に課せられた課題がある。その課題を解決するのが我々に課せられた課題である。
 同時に、今これから大きく変わっていこうとする世界ですから、したがって、変革する世界の中で、これからの二十一世紀に向けて日本は一体どういう方向に向かっていくのかという方向を明らかにしていくということも、またこの内閣に課せられた課題であるというふうに考えておりますから、そういう点もしっかり踏まえて、期待にこたえて頑張ることが私に課せられた役割だというふうに思っております。
○野田(毅)委員 大変言葉よく説明いただいたんですけれども、要するに、結論を言えば、自分としてやりたいことを余り出すとうまくないから、みんなで仲よくまとまればいいやということに聞こえますね。ある意味では責任逃れにつながるかもしれない。
 それから、これだけはやりたいという政治テーマがないということは、これはいつまでもやはり村山内閣を続けたいという、そういう意思表示なのかなというふうにも受けとめられますね。もう少し、本当に最重点課題はこれとこれだ、これだけは自分が総理になった以上はぜひやっていきたいということが出てこなきゃだめですね。私は、その辺申し上げておきたいと思います。
 そこで、村山総理の内外からの評価が芳しくないということについていろいろありましたのですけれども、どうしてだろうかなと私なりに分析してみたのですけれども、大体大きく分けて四つあります。
 一つは、まず第一に、政権の成り立ちの問題がある。政権の正統性の問題に疑義ありということだと思います。
 第二に、基本政策の転換を総理になる前にしっかりして、それから総理になられるならまだしも、大事な自衛隊、安保、日の丸・君が代、原発、消費税、いずれも明確な総括や反省というものがない。すべて総理になった後で、世の中も変わったし社会党も変わったからという、事情が変わったからということだけで終わってしまっている。それだったら、国民から、また変身しちゃうんじゃないか、立場が変わったら。やはりそういう疑念を残しておる。
 第三に、さっきからいろいろありましたけれども、阪神大震災、超円高あるいは日米摩擦、行革、規制緩和等々、こういう政策決定に当たって村山総理の顔が見えなかった。ある人は無為無策だと言っているのです。まさに失政そのものじゃないかということで、村山内閣が続くということならば、日本の不幸は政治空白が続くことなんだという指摘まで現にある。
 第四に、以上の結果、本当に日本は安全な国ではなくなるんじゃないだろうかあるいは日本の経済や雇用の明るい展望はもはや開けないんじゃないか、国際的にも日本は孤立化していくんじゃないか、本当に村山内閣が続くことは日本の危機を深めているんではないか。大きく分けてこの四つに分類されるかと思っています。
 一応これから若干かいつまんでそれぞれについて聞いてみたいと思うのですが、まず第一の問題、政権の正統性の問題ですけれども、総理に御就任されて直後に、アメリカのモンデール大使が官邸にお見えになって、そのときにモンデール大使がレジティマシーという言葉を使ったと報道されております。あえてレジティマシーを問うことはしませんがと遠慮がちにおっしゃった。総理は今レジティマシーとは何だと隣に聞いておられたから、よくおわかりでなかったのかもしれない。だけれども、これはどういう受けとめ方をされたですか。アメリカ大使からレジティマシーという言葉をあえて使われたということについて、総理はどうお受けとめになりましたか。
○河野国務大臣 アメリカ大使が発言をされたということを引用されましたけれども、アメリカ大使が村山政権の正統性について疑義を持ったなどということは一度もない。そんな誤解があってはならぬと思いますので、私から申し上げておきたいと思います。
○野田(毅)委員 今外務大臣に聞いているんじゃないんですよ。直接言われた総理に聞いているんです。どういう受けとめ方をされたか。
○村山内閣総理大臣 いや、そんなことを聞いたことはないと私は今言ったのです。事実であれば、そんなことをアメリカの大使が直接内閣総理大臣に言うなんということは、これは内政干渉も甚だしいことなんであって、そんなことは常識で考えて言うわけはございませんよ。私は聞いておりません。
○野田(毅)委員 あえてレジティマシーを問うことはしませんがという遠慮で言われたそうですね。そうでなければ、新聞で報道が出るわけがない。ごまかしちゃだめですよ。それは、総理……(発言する者あり)総理、これはつまり民主主義の政権交代のルールというものを踏みにじっているのではないかということなんですよ。(発言する者あり)
○佐藤委員長 静粛に願います。――静粛に願います。
○野田(毅)委員 これはなぜかというと、結局、民主政治の基本とは一体何だ。それはやはり、政権というものは選挙によって生まれるということが鉄則でしょう、基本的に。大統領選挙なら直接選ぶのですよ。しかし、これはもうイロハですけれども、議院内閣制では有権者は政権の枠組みを選ぶわけでしょう、政権政党を。だから、かつて自民党の単独政権時代は、少なくとも自民党の単独政権時代は、その中で任期が来れば総裁がかわって総理もかわる。言うなら、選挙で選ばれた後の枠組みの中の話だ。総理、二年前の選挙は少なくとも社会党は反自民で戦った。そして、当時自民党におった人間としては、残念ながら非自民の枠組みが二年前の選挙の結果であった。そういう中で細川政権が生まれた。そして、その同じ枠組みの中で羽田政権が誕生したわけですよ。
 問題は、そこで二年前に全く違った約束をして、政党の倫理というのはそうでしょう、国民との公約を守ることだ。言うなら、公約というのは国民との契約ですよ。その契約を踏みにじって、そして自民党と一緒になって政権をつくったという、いわば民主主義のルール、議会制、議院内閣制というルールの中で、その基本原則を踏みにじった、そのことに国民は、内外もそうなんだ、違和感を感じておるということなんですよ。そのことをまず申し上げておかなきゃならぬと思っています。その点、どうぞ。
○村山内閣総理大臣 先ほどモンデール大使からのお話がございましたけれども、もしモンデール大使がそういうこと重言われたとすれば、これは日本の議会制民主主義を否定したことになりますよ。私はルールに基づいて、本会議で皆さんの投票によって選ばれたんですよ。その総理をそういう言い方をされるということは、これは日本の議会制民主主義を否定することになりますし、それは私は重大な発言だと思いますよ。そんなことをアメリカの大使が言うはずはございませんよ。その点、私ははっきりしてほしいと思うんです。
 それから、公約の問題等々についても言及されましたけれども、これは仮に、一昨年の総選挙の際に、直後に細川連立政権がつくられた。そういう政権ができるということを想定して私どもは総選挙をしたわけじゃないんですよ。しかし、選挙の結果によって、各党の話し合いの中で連立政権が生まれたんですよ。だけれども、総選挙の前にそういう連立政権ができるということは、だれも公約もしていないし、国民の皆さんも考えておらなかったと思うんですね。
 ですから、それはもう、これは選ばれた政党がそれぞれの話し合いの中で政権をつくっていくというひとつのやっぱりルールというものはあって当然ではないかというように思いますから、そういう経過を考えてまいりますると、今の自社さきがけの連立政権も生まれるべくして生まれた政権である、私はそのように考えています。
○野田(毅)委員 まあ、勝てば官軍理屈なし、こういうことなんでしょう。
 だけれども、少なくとも政権ができることについて、世の中にやっぱりルールというものがある。だから、村山内閣ができたことによって、要するに国民全体の中に、本当にこれから先何が起きるかわからぬ、要するにノールールの時代になったんだという、こういう風潮を蔓延をさせたことは大変ゆゆしき問題だ、私はその責任重大だと思いますよ、本当に。(発言する者あり)要らぬやじをやるべきものじゃないですね、あなたも。
 そういう点で、私は、我が党の新進党の問題についてもいろいろごちゃごちゃ言っていますから、あえてこの際に申し上げておきたいと思うんです。
 それは、少なくとも今日まで長い間、さっきいろいろ言いましたが、自衛隊とか安保とか、特に三年前のPKO法案、あるいはさっき言いました日教組教育によって現場が荒廃する中をどうやって立て直すか、こういう大事な問題について、かって自民党政権ではあったけれども、いわゆる自民党、公明党、民社党、言うなら自公民が一緒になって、やはり社共の反対の中でこの国をつくってきたことは紛れもない私は事実だと思っています。
 そういう点で、今の新進党の流れはそういう枠組みですね。やっぱりそういったものを踏まえているんだ。そういう点を考えれば、私は単なる数合わせじゃない。そういう点で、今の自民党と社会党がくっついて、そしてお互いにかばい合っている姿というものを見れば、私は、本当に国民がだれを信じていいのかわからない、そういう風潮をつくり出しているということをまず申し上げておかなければならぬ。
 この点、いろいろ、どなたに聞いていいのかわかりませんが、この自社結託ということについて、自民党の中でも、今やじっている人たちも、随分と、自分たちの胸に静かに手を当ててみれば、このままで本当にいいのかという思いが一方であるはずだ、このことを指摘をしておきたいと思います。
 そこで、村山内閣の、さっき言いました問題点の第二、基本政策転換に当たって、やっぱりきちっとしたけじめをつけていなかった。特にこの点で、さっき言いました基本政策、私はすべて情勢が変わったということで村山総理が逃げておられるんだろうと。
 この点について、私はあえてもう一遍、自民党の皆さんにこの際申し上げておきたいんだけれども、社会党が基本政策を変えた、それは村山内閣をつくったから自民党のお手柄だということを言われた方々が結構ありました。私はそういったことは余計なお世話だと思っています。むしろ私どもから言わせれば、さっきからいろいろやじがありますけれども、自民党自身も連立という枠組みの中で、村山さんの人柄なんでしょう、ぜひ村山さんに長く続けていてもらわないと自民党が政権与党たる立場からおかしくなる可能性があるから、だから村山総理にも随分配慮されたんだと思います。
 そういう中で、例えば小ちゃな話かもしれませんけれども……(発言する者あり)閣僚席はやじっちゃだめだよ。一月四日、伊勢神宮参拝、これは総理になって当然参拝をする、これは風邪を引いたということでいらっしゃらなかった。二月十一日の建国記念日、二月十一日、これは政府主催でしょう、だが、これは風邪は引かなかったけれども村山総理はいらっしゃらなかった。まあこれは党内の話だけれども、三月五日、自民党大会が行われたけれども、いろいろ報道でも出ておりますけれども、とうとう会場から日の丸が消えた。どういう理由で消えたか、いろいろあるかもしれません。あるいは、きのうの鳩山元文部大臣が本会議でも指摘をしておられましたけれども、大分で、日章旗を強制的に掲げさせるのはけしからぬ、こう言って激怒された、こういう話、このあたりは文部大臣と大分意見が違うようですけれどもね。いずれにしても、今度のゴラン高原PKO派遣についてもうやむやなままで結論を先延ばししてしまっている。
 要するに、いまだに残る村山総理自身の自衛隊、日の丸アレルギーというものは私はぬぐいがたいものが根っこにあると。これは後で阪神大震災の問題でもこれは指摘をしておきたいと思っています。こういう状況の中で、なおかつ自民党は、やっぱり連立をやっているんだからまあいいんだ、いいんだということで、一体いつまでそういったことをやろうとしているんだろうか。
 私は、先般、石原慎太郎議員が、これは村山内閣つくるのに一生懸命走り回った一人でしょう、本人もそう言っていたわけですから。しかし残念ながら、その結果がこういう事態をもたらしたということに自分はざんきの念にたえない、こういうことで議員辞職をされた。私は、これは人間の生き方ですからいろいろあると思います。しかし、少なくとも、保守を愛した人たちの中でそういう話があるということも現実なんだ。私は、そういった意味でぜひ自民党の皆さんも、ただひたすら政権党にあればそれでいいのかという、私は、そんなことよりも、もっときちっとした保守の理念をあなた方が堂々と掲げて、そして国民に訴えていくという、野党であってもいいじゃないか、その思いでやってもらいたい、そのことを申し上げておきたい。
 そこで、一つ質問をします。さっきちょっと触れましたけれども、戦後五十年の国会決議の問題であります。
 この点について、これはやはり今国会で必ずまとめる、これは閣僚の立場というよりも、やっぱり三党首おられるわけですから、党の合意で決めるわけでしょう。そういう意味で、社会党委員長、自民党総裁、さきがけ代表、三人の責任者の、党代表の、まずまとめるという、何が何でもまとめるというその決意をまず聞きたいと思っています。どうですか。
○村山内閣総理大臣 きょうは国会のこの予算委員会でございますし、テレビも放映されて、全国の皆さんが関心を持ってごらんになっておる。こういう席で、一方的に言いたいことだけ言って答弁を求めないようなことでは、これは私はやっぱり誤解を招くおそれがあると思うのですね。
 ですから申し上げておきますけれども、私は、自衛隊の観閲式にも観艦式にも行ってまいりました。そして、阪神大震災には現地に参りまして、自衛隊に対して敬意を表して慰労もしてまいりました。これは、これだけ献身的に努力されている皆さんの姿を見て当然のことだと思うんですよ。
 今社会党は、これはこれまでも長い間随分議論を党内でやってきているわけですよ。そういう経過があって、ある程度もう我々の要望も反映されておるし、国民の大多数ももう自衛隊を認知しておる、こういう現状を踏まえて、そして社会党としての政策の方向を変えたんですよ。これは、一遍決めたことはもう終生変えてはならぬなんという政策というものは私はないと思いますよ。やっぱりそれは時代が違い、国民の意識も変わってくれば党の持つ政策も変わるのは当然であって、それはあり得ることだ、こういうふうに思いますから、その点は、昨年の九月三日の党の全国大会で議論をして、そして党全体としてそういう方向に変わってきたんですから、それはひとつ誤解のないように御理解を賜りたいと思うんです。
 私は、今いろいろお話もございましたけれども、これはあなたに言うわけじゃないんですよ、今党内でも離党したいという動きがありますから、そういう方々に申し上げたんですよ。あなたは少なくとも社会党公認で当選をしてきたんだ、だからこの会期は当然社会党として頑張ってほしい、こう私は申し上げたんですけれども、それはやっぱり政治家ですから、その政治家がそれぞれの判断でもって行動することについて私はとやかく言いたくはないけれども、しかし、そういった意味における基本的な理念といいますか、そういうものはやっぱりしっかり踏まえた上で、政策はその時代に対応して変わることはあり得るというのは当然ではないかというふうに思っているところでございますから、誤解のないようにお願い申し上げたいと思います。
 それから、五十年の決議につきましては、これは国会でお決めになることでありまして、今三党でも十分話し合いをしてもらっております。ただ私は、政府を代表する所信表明演説の中で私の考え方というのは明確に申し上げておりますから、できるだけそういう方向で、国会の中がまとまった決議がなされるように心から期待をして、今見守らせてもらっておるという状況でございます。
○河野国務大臣 ここは閣僚として出席をさせていただいているわけでございまして、国会決議は院の意思を決めるということでございますから、その発言には、私は私なりの節度を持たなければならぬと思います。
 しかし、あえて申し上げれば、我々は三党合意というものを踏まえて村山政権をつくっているわけでございまして、その三党合意の中には、五十年という年を迎えるに当たって三党は国会決議をやろう、こういう合意ができているわけでございます。私は、その合意を誠実に実行するべく努力をするのは当然のこと、こう考えております。
 答弁に立たせていただきましたので、大変恐縮でございますが、先ほど議員が、モンデール大使の言葉の中に正統性云々ということがあったという御発言がございまして、私ちょっと疑問に思いましたので資料を取り寄せましたけれども、モンデール大使は私との会談の席上、大使の言葉ですが、留保なしに新政権の正統性を全面的に受け入れる、こう発言をされたわけでございます。この留保なしに新政権の正統性を全面的に受け入れる、こうはっきり述べたことが、むしろこんなことを言うことは異例ではないかという疑問が出たという記事が一部出ました。しかしそれについては、その疑問には、社会党の委員長が政権の座に着いたということに若干の戸惑いがあるかというやりとりについて、全くその戸惑いはない、留保なしに新政権の正統性を全面的に受け入れる、こういうはっきりとした発言をされたのが事実でございますので、申し上げておきます。
○武村国務大臣 何か細川、羽田政権は選挙で信任をされているというふうな感じの発言がございましたが、細川政権、御承知のように、できる前は、日本新党、さきがけは非自民の連立政権の協議に参加いたしておりません。そういう意味では正統性はないわけであります。まあ、選挙民はあの選挙で単独過半数の政党を生まなかったといいますか、したがって、これは連立政権を必然にしたというふうにも言えるわけであります。そこに、当初は自民党以外の政党による政権が誕生し、そして今は第一党自民党を含めた連立政権が誕生しているということで、そういう意味では全く同列だと私は認識をいたします。
 真剣に、国民の期待する、何が一番連立政権としていいのか、そのことに努力をしなければならないときだと思っております。
 国会決議につきましては、私どもは三党合意に従って、この国会、遅くとも終戦の日までには、最終的には野党の皆さんも御賛同いただく形でしっかりしたものをまとめなければならないと思っております。
 私は、今の憲法そのものが終戦直後できたわけでありますが、あの前文なり第九条の精神が、古さに二度と侵略戦争を繰り返さない、あの戦争を反省をして平和への新たな決意を表明したものがと思います。そういう意味で、あの憲法があるからいいという考えもあるかもしれませんが、あの憲法の考え方を今の時期、五十年たって今の言葉で合意することができればありがたいというふうに思っております。
○野田(毅)委員 さっき村山総理が、自衛隊に関して、自分はそんなアレルギーはないんだということをいろいろおっしゃった。主観的にはそうかもしれません。
 ただ、阪神大震災のときに、これはあのときにも随分議論されました。自衛隊の災害出動については三つのカテゴリーがある。その一つは防衛庁長官、これは総理の命があってもいいわけですが、その命による災害出動。いま一つは、現地の知事から要請を受けるということ。それからいま一つは、さらに緊急避難的に現地の部隊の長が近傍派遣。この三つのカテゴリーがある。
 あのときにみんなが感じたのは、もっと早く官邸が出動命令をためらわずに出しておったらもっと早く全国の駐屯地から対応がてきたのではないか、そういう思いがある。(発言する者あり)今、ためらったのは兵庫県だという話がある。まさにそこなんです。それは、現地の知事も、場合によっては現地の伊丹の駐屯地もみんな被災者です。それだけに、要請するためのためらいとかいろいろあったでしょう。しかし、ためらっている間に貴重な時間が刻々と費やされて、結局初期対応のおくれが出たのではないか、このことはっとに指摘をされているわけです。
 当時、これはシステムのせいだという話があった。それもあるだろう。しかし、システムのせいじゃないんだ。まさに、この前の予算委員会で、佐々さんがここで公述人として証言をしておられましたね。これは、かつての三原山噴火事故があった、あのときの官邸の初期対応ぶりと今回の官邸の初期対応ぶり、明らかに差がある、このことを、あれは与党の推薦で出てみえた公述人だったと思います、その指摘があるわけです。
 したがって、常識的に見て、なぜためらったんだろう、これはやはり村山総理が自分の責任において自衛隊に出動命令を出すということへのためらいが結果としてそういう結果になったのではないか、その思いがみんな消えないのですよ。その点についてどうですか。
○村山内閣総理大臣 これは、今までもこの場でも、また他の委員会でもいろいろ議論をされてまいりました。この危機管理の体制というものが、これは率直に申し上げて、不足している点は多々あったのではないかというふうに私は思います。
 ただ、あのときの状況を考えてまいりますと、現地の情勢が全然正確に把握できないというところに私はやはり最大の原因があったと思うのですよ。しかし、そう言いながら、自衛隊はやはりいつでも出動できる態勢の準備だけはちゃんと整えておった、こういうこともありますから、自衛隊は自衛隊なりに判断をして、そして対応できるような準備はきちっとしておったというように私は理解をいたしております。
 ただ残念ながら、やられた兵庫県あるいは神戸市等々の被害の状況というものが、地震の状況というものが早急に、正確に把握できなかったというところにやはり対応のおくれがあったということは率直に私は認めざるを得ないと思うのですね。そういう意味では、もう少し情報が正確に収集できるような、そして収集できた情報に対して正確に対応できるような、そういう危機管理体制というものはしっかりつくらなければいかぬなということを、この経験を通じて今見直しをしているという状況にあることだけは申し上げておきたいと思います。
○野田(毅)委員 震災がたしか十七日だったと思いますね。総理が入られたのは十九日ですね、現地に。私どもは海部党首ともども、翌日、総理より一日前に現地入りをしました。そして、そのときに感じたのは、やはり通過交通を緊急に遮断するなり、あるいはいろんな緊急食糧物資だとか援助物資をもっと空を使ってやればいいじゃないか、あるいはなぜ自衛隊の出動をもっと早目に大量にできなかったのか、この思いだけはやはりあったということ。その点で、初期対応のおくれについて今反省の弁も聞かれましたからそれ以上は言いませんけれども、私は、少なくともこのことにおいてやはり村山内閣の危機管理能力というものについて随分と内外から疑問が投げかけられたということだけは記憶をしておきたいと思っております。
 そこで、次にPKOの問題に入るんですが、その前に、今度はゴラン高原のPKOを国連から要求されましたね。これは、大体いつ、国連から日本国に対して、どういう形で、どういうルートで、だれからだれに、どういう内容で要請があったのか、それから大体いつまでに返事をしなければいけないのか、その点について教えてください。
○河野国務大臣 国連との間にはまあ種々の連絡が常にあるわけでありますが、この問題につきましては、昨年の五月、国連PKO局担当者より我が国の国連代表部に対して、UNDOFのカナダ後方支援部隊が担っている機能の一部を日本が担当するという可能性があるかどうか検討してほしいという非公式の打診が口頭であったという記録がございます。あったと言われております。
 本件につきましては、カナダの現地での支援部隊の状況等がございまして、これは何カ月かに一度ずつ交代をするという状況がございますから、それに合わせてもし行けるものなら準備をするということになろうかと思います。
 向こうからの連絡では、いつまでに返事を欲しいというような話はございません。行けるかどうか打診をしてほしいということでございます。
○野田(毅)委員 非常に大事な問題なんでもう一遍確認しておきたいんですけれども、非公式な打診というお話だったんですが、日本国政府としては、それは、そういうプライベートな話じゃないわけですから、口頭であれ何であれ、やはり国連からの要請があったと受けとめて対応を今考えている、こういうことでしょう、基本は。だから、そんな、非公式だから返事はうやむやでもいい、そういう性質のものではない。そうでしょう。
○河野国務大臣 私、非公式と申し上げましたのは、公式に行ってほしいという、こちらの対応も決まり準備もできる状況になれば向こうから改めて公式に行ってくださいという要請がある、それを公式と申し上げたのであって、非公式というのはただ茶飲み話でしたと、そういう意味ではございません。
○野田(毅)委員 ということですから、そのあたりは、要請があったということは、それは正式にセットされて、そして初めて公式文書で来るということは、それはわかっています。しかし、少なくとも日本政府としては、それに対して真剣に考えてしっかり返事しなければいけませんね。
 そこで、今のお話では、カナダの後を引き受けてくれ、その可能性はありや否や、こういうことであったんですか。
○河野国務大臣 カナダが現在行っている仕事の一部を担当してほしいということでございます。
○野田(毅)委員 であるとすれば、カナダのPKOの現在の仕事は十一月で終わるという話もあるけれども、そのあたりはどうなんですか。
○河野国務大臣 それは全く誤解でございまして、カナダの部隊は何カ月に一回かのローテーションを組んでいるわけで、そのローテーションの時期が十一月に来る、それで十一月に交代する人たちもあれば二月に交代する人たちもあるということでございます。したがって、十一月にカナダが仕事を終えてしまう、そういうものではございません。
○野田(毅)委員 今のお話で、そういう要請、検討依頼が来た、それからもうかれこれ一年たっているわけですね。だから、本当は、イエスでもノーでも、それは政府としてどうするかということを早く決めないと、日本がいつまでもずるずるずるずる延ばしていてどうなるかわからぬようなことで、しかも与党三党からは現地に調査団まで派遣をして、前向きの報告書が出てきて、それが、三党間で協議をしている間に行くのか行かないのかわからない。結局は結論先延ばしというのが今日の状況でしょう。それとも何か結論を出したのですか。
○河野国務大臣 現地に調査団が行って戻ってきてからまだそう日はないわけでございます。戻ってこられて報告書が出ております。もうちょっと正確に申しますと、政府の調査団と与党三党の調査団とが同時に現地を調査に行かれたわけです。政府調査団の報告書も出ておりますし、与党三党の調査団の報告書も出ております。
 それで与党三党は、その与党三党の調査団の報告書を踏まえて、この報告書を評価するといいますか、あるいは踏まえて与党三党としての判断をする、そのための今議論がなされているというふうに伺っております。
○野田(毅)委員 いつ結論を出すのですか。
○河野国務大臣 いつでもいいというわけにはいかないと思います。(発言する者あり)まさに適当な時期だと思います。(発言する者あり)
○野田(毅)委員 冗談じゃないですよ、あなた。何言っているのですか。だめですよ。委員長、だめだよ。適当な時期なんて、そんなばかな話があるかい。もう一遍答弁しなさいよ。まじめに答弁しなさいよ。(発言する者あり)
○河野国務大臣 現在、与党三党は慎重に判断をしておられるわけでございまして、この与党三党の判断というものも我々は待たなければならぬと思っております。私といたしましては、与党三党の御判断を参考に、政府調査団の報告書も踏まえて最終的な判断を下すということが必要だと思っております。
 私は、先ほど申し上げましたように、いつまでもおくれていいとは思っておりません。それはまさに不適切だと思います。したがいまして、適切な時期ということを申し上げようと思ったわけでございまして、強いて申し上げれば、可及的速やかに御判断をいただきたい、こう申し上げたいと思います。
○野田(毅)委員 助け船で適当な時期なんというやじめいたことに飛び乗って、外務大臣が国会でそういう不謹慎な発言をしちゃいけませんよ。いいですか。
 それで、さっきから言っていますように、この問題は、やはり国連から、何だかんだ言いながら、日本にきちっとその検討依頼は昨年来ているんですよね。だから、これはいつまでも与党三党の合意ができるまではイエスともノーとも結論を出せないで、あと何年でもほうっておくんですか。そんなことはないんでしょう。だから、いつまでにはやはり返事をしなきゃならぬ。
 そのためには、その次に聞きます、外務大臣は、これは何とか前向きで返事をしたい、そういう方向でまとめたい、こういうお考えが外務省としてはある、こう報道されていますが、それはどうですか。
○河野国務大臣 一年もほうっておいてという感じでおっしゃっておられますが、それはそういうことではないのでございまして、我が国は国際貢献のためにモザンビークにも、ルワンダの難民支援のためにザイールにも自衛隊の人員を派遣しておったわけでございまして、これだけの人員を外に出していて、さらにゴラン高原に出すということは、まだまだPKOに経験の浅い我が国としていかがなものかということもあって、我々としては、まずモザンビークのPKOが無事に戻ってくる、あるいはザイールの人道支援の方々がその役割を果たして戻ってこられる、そういうことをまず待ちましょう、こう言っておったわけで、この人たちが昨年末からことしの初めにかけて戻ってこられましたから、そこで、それでは次に我々が国際貢献をする場所について検討をするということにしてはどうかということだったわけでございます。
 そこで、我々としては慎重に議論をして、与党からも調査団を出していただき、政府からも調査団を出していただき、調査をしていただいたということであって、決して漫然と時間を送っていたというわけではないということをぜひ御理解をいただきたいと思います。
 私の立場といたしましては、中東におきます和平プロセスの重要性というものを我々は考える必要があるというふうに考えておりますから、中東の和平プロセスに我が国としてどういう貢献ができるか。この貢献は政治的な貢献もあると思います。あるいは経済的な貢献もあると思います。あるいはゴラン高原にPKOが行くという意味の貢献もあると思います。さまざまな角度からこの中東和平プロセスに対する貢献について考える、そのうちの一つの側面といいますか、部分ということで我々は考えているということを御理解いただきたい。
○野田(毅)委員 僕の質問には余り答えてないんですよ。要するに、最後のちょこっとだけ、何かいろいろほかのところも協力をする、その一部としてこれも前向きにぜひ検討したい、これが外務大臣のお考えだ。
 さてそこで、村山総理、やはりこの問題は、三党が仮にイエスとなればそれでいこう、三党でノーということになったらノーでいこう、こういうお考えですか。
○村山内閣総理大臣 PKO法に基づいていやしくも自衛隊員を派遣するわけですから、したがって、よほど慎重な検討と分析をして、そしてきちっとした確信を持って結論を出すことがやはり大事だということから、今党内で、三党間で議論をしていただいているということでありますから、その三党間の議論というものも十分踏まえた上で、最終的には政府が判断をして決めるということになると思います。
○野田(毅)委員 要するに、今現在、総理自身は確信がない、こういうことの表明でしたね。そうでしょう。要するに、三党で合意をしてぴしゃっと決まったら確信を持ってやります、だからそれまでは自分としては何にも自分の意見は言わないと、こういう話ですか。
 それとも、実は、今河野外務大臣が言われたように、やはり自分としてはこういう考えがある、だからそれに沿って検討してほしいというのなら、そのようにおっしゃればいいんだ、基本的に。それがリーダーシップなんです。そうでしょう。そして総理の考え方を三党に諮ってみて、それでまとまるかまとまらないかは、それはやってみて結論が出る話だ。
 だけれども、全く白紙の中で、さあどっちでも料理してくださいということでは、やはりこれは困るんですよ。
○村山内閣総理大臣 これは少なくとも、政府の代表も与党三党の代表も現地に調査に行ったんですよ。調査に行って、その調査に基づいて議論をされているんです。いいですか。そこで総理が、私はこう思うが、ぜひこうしてほしい、こういう結論を先に示せば、私は、やはり総理の意見は、それは三党でも尊重されると思いますよ。しかしそれは、せっかく現地に行って調査までして真剣な議論をしているさなかにそんなことはやはり言うべきではない、私はそう思っておりますから、したがって、その三党の議論も十分踏まえた上で、結論が出ればその結論は尊重しなきゃならぬと思いますし、結論が出なければ、出ない時点で内閣が判断をして決断をする、こういうことになろうかと思うんです。
○野田(毅)委員 ともかく、本当に総理は逃げてはかりだな。
 結局、国民の税金を使って現地に調査団を派遣して、政府からも行ったわけだ。そして、その報告書は出ているわけです。そうでしょう。調査団の報告書はあるんでしょう。外務大臣、うんと言っているじゃないですか。それを読めば、おのずから、やはり政治家ならどうすべきかということは当然、イメージが出てくるのは当たり前じゃないですか。そうでしょう。それを何もその結論で押し切ってはんばん走れと言っているわけじゃないんだ。少なくとも自分としての考えはこういう方向だが、なおかつ党内でいろいろ調整をしておるというのならまだ話はわかるんだ。だけれども、全く白紙委任で、どうでもいいよというようなことでは、これは本当に心もとないんだ。
 そこで、PKO法について言えば、ゴラン高原の話からちょっと変わるんですが、ちょうど三年前、今ごろ、大変な環境の中で成立をしたわけですね。ですから、私は過去の村山さんの行動を一々ここでごじゃごじゃ言おうとは思いません。ただ、ごしゃごしゃは言わないが、少なくともあれだけ陣頭指揮をとった。その陣頭指揮をとった総理が、去年の秋はルワンダにみずからの責任で派遣をするという立場に実は変わったわけですね、基本的に。それはそれで立派に、現地に行った自衛隊の諸君も大変な任務を果たして無事帰ってきてくれて、我々もほっとしていますよ、基本的に。
 そこで、私はそのことをいいとか悪いとか言ってないんだけれども、やはりあれだけ議員辞職願まで出して、つい三年なんですよ、それは世の中変わったと言うけれども、やはりここだけは、ごしゃごしゃは言わないが、しっかりした総括を、私はその過去のことを、是非を言っているんじゃないんです。だから、そこのところを総括をきちっともう一遍、このPKO法の評価について私はやはりしておいてほしい、基本的に。それだけやってみてくださいよ。
○村山内閣総理大臣 九二年の六月にこのPKO法案が成立する前後のことを考えてまいりますと、ちょうど湾岸戦争が終わった役なんですよ。それで、湾岸戦争に自衛隊をどうするかといったようなことも国会の中で議論されていました。ですから、国民の中には、これを認めると自衛隊が武装したまま海外に派遣されることに道を開くのではないか、こういう意味の疑念があったことは事実ですよ。そういう疑念を解明する。ですから、徹底的な審議をやるべきである、こういう意味で私どもは抵抗を試みてまいりました。
 残念ながら、これは多数で決められたわけです。決められて、法律として成立したんです。成立したら、やはり日本国民として成立した法律を尊重するのは当然の話なんであって、その立場に立って国際的な状況を見た場合に、平和に貢献をする日本の役割として国際貢献を積極的に果たしていくのは当然である、こういう方針は社会党は出しておりますよ。ですから、ルワンダについては、これは人道上の問題として難民の救援に行くという意味では、国際的に大きな、平和憲法の精神に基づいた役割を果たすのではないかこういう意味で社会党も積極的に賛成をした、こういう経過がありますから、私は正しく御理解をいただきたいというふうに思うのです。
 現に、自衛隊がルワンダに参りましてやられた行動については、それはもういろんな国からも高く評価をされておる。私はそのように確認をいたしておりますから、そういう意味における国際貢献というのはこれからも積極的に果たす役割を日本は持たなきゃ保いかぬ、同時にやらなきゃいかぬ、こういうふうに考えておることも申し上げておきたいと思います。
○野田(毅)委員 わかりました。世の中変わった、だから、今、現にあるPKO法については積極的に評価をし、それを活用していこう、こういう意思表示であると、こういうことだと思いますね。
 そこで、見直し規定があるのですね、御承知のとおり。附則の中に、「政府は、この法律の施行後三年を経過した場合において、この法律の実施状況に照らして、この法律の実施の在り方について見直しを行うものとする。」この施行日というのが八月の十日ですから、ことしの八月十日に見直しの時期が来るわけです。
 それで、来てから考えようというのじゃ、これは困るわけですね。当然、今のように積極的にこのPKOを評価をしておられるということであれば、別の附則で凍結をされている部分もあります。幾つかの見直しの問題点もそれなりにクローズアップされてきておるわけですね。
 そこで、総理自身、もういよいよ八月十日ですから、そんな先の話じゃない、この見直しというものはやらなきゃいかぬと、そう今考えておられますか。
○村山内閣総理大臣 国際平和協力法附則第二条において、自衛隊の部隊等が行う国際平和協力業務の一部、いわゆる平和維持隊の本体業務ですね、これについては、別に法律で定める日までの間は実施しないものとする、こうありますから、したがって、PKO法の見直しとPKFの見直しとは区別をいたしております。
 したがって、PKO法そのものの見直しは、これは当然やらなきゃならぬというふうに思いますから、それぞれの党で検討していただきたいというふうに思っております。
○野田(毅)委員 次に聞こうと思ったのですよ。では、PKFの見直しについては果たしてどうか。
 整理しますと、今総理がおっしゃったのは、PKO法の見直し、そのことはやらなきゃいかぬ、ただし、別の、いわゆるPKFですね、こっちの方の見直しについては、ではどうですか。PKFの凍結解除の問題です。
○河野国務大臣 今、総理、若干お触れになりましたが、PKFにつきましても、これは国会での定めがなければならないわけでございますから、当然国会の論議も必要であることは言うまでもございません。
 私どもは、PKOの見直しについても、PKFにつきましても、モザンビークでありますとか、カンボジアでありますとかザイールでありますとか、既に自衛隊から何カ所かに出ていって、経験を積んで戻ってきた人たちがいるわけでございますから、この経験、これは貴重な経験として、この人たちの意見も聞く必要があろうかと思います。また、この派遣に当たってかかわった方々の意見も必要かと思います。そうしたさまざまな意見を徴した上で、見直しに着手するか、改正をするかしないかについて決めるべきであるというふうに考えているところでございます。
○野田(毅)委員 PKOについては見直しをする必要がある。いつから準備に入りますか。この法律は「政府はこということになっているわけですね。したがって、政府の方としては、八月十日になってから準備を開始しようというのではなくて、既に前倒しで、しかも三党内の相談もしなきゃならぬでしょう、それは。この問題はもう論議をスタートしていますか。いつからスタートしますか。
○鈴木(勝)政府委員 お答え申し上げます。
 この法律の見直しにつきましては、御指摘の八月十日というのは、八月十日の時点で具体的に政府としての見直しの案あるいは改正案というものが出ていなければならないというふうな規定ではございませんで、同様の規定は他の法律にもいろいろございますけれども、この意味は、八月十日以降において行われる、こういう趣旨だろうと思います。
 ただ、それでは無限に延びていいということではもちろんないわけでございまして、大体今までの例を見ておりますと、いわゆるその法律で定められている期限の日から一年ぐらいの間には政府としての改正案が出ている例が多いように思いますけれども、具体的にはケース・バイ・ケースだろうと思います。
 そこで、政府として今具体的に何かあるかと申しますと、もちろんこれは公表できるようなものがあるわけではございませんけれども、私ども関係省庁の中では、従来のカンボジアあるいはモザンビークあるいはエルサルバドル等へ行ってこられた方々の意見というものを集約してそれなりに問題点を煮詰めさせていただいておりますし、与党の御意見もこれから聞いていこう、こういうことで考えておる次第でございます。
○野田(毅)委員 さっきから、いろいろなことをやる上で、やはり三党連立なんですから、少なくとも三党の話がまとまらなければ動けないわけでしょう、ゴランPKOでもみんなそうだけれども。したがって、今回のPKO法の見直しについても、特に政府の、役所の事務的な手続よりも、やはりきちっと政治家の話し合いの中で基本方針を決めるということが当然まずあって、それから後、役所が事務的に動くというのが当然の話なんですね。したがって、私はそのことを総理に聞いたわけですよ。いつからそういう三党のお互いの意見のすり合わせを開始するんですかということを申し上げたわけです。
○村山内閣総理大臣 見直すということになっておりますから、その規定に基づいて三党でこれは十分検討してもらわなければいかぬし、あるいはまた、皆さん方も検討になられると思いますね。その見直した結果、いや、現行法律で見直す必要はないという結論になることもあり得るし、あるいはまた、こういうところはこういうふうに見直す必要があるというようなことになるかもしれませんし、これはこれからの作業だと思います。私は、見直すという規定に基づいて当然見直しはしなければならぬものだというふうに思っておることを申し上げたわけです。
○野田(毅)委員 いや、そのことは聞いたのですよ。だから、いつから政治家として党内のそういう協議の作業を始めますかということを聞いたんです、全然その答えがなかったんだけれどもね。
○河野国務大臣 ちょっとこの話は、総理が直接ということよりも、我々が考えなければならぬことだと思いますので、私からお答えをさせていただきますが、三年後見直し、こう書いてあるわけでございますから、まさに先ほど事務局長も言いましたけれども、三年たちましたら一遍経験者などの意見も徴して、見直しの作業に具体的に入るか、あるいはそれぞれの話し合いでこれはもうこれ以工作業をする必要がないということになるか、それはまさに八月十日過ぎからの話であろうというふうに思います。
○野田(毅)委員 もう時間の関係で次に移りますが、自衛隊の憲法上の位置づけについて、ちょっとこの前までの国会の経緯の中で確認をしておきたいことがあります。
 それは、昨年の十月、この予算委員会で総理が我が党の日笠委員に対して答弁をされた。自衛隊の、今まで違憲論であったけれども、自衛隊は合憲である、こういう答弁をされ、その中で憲法解釈を変えたという答弁をされているわけですね。その中で、「先ほど来申し上げておりますように、こういう国際情勢の変化やら、あるいは国内情勢の変化やら、あるいは連立政権を組むという状況の中で、社会党は自衛隊の憲法解釈を変えましたと、こう言っているわけです」、こうおっしゃっているわけですね。
 それで、市川質問、これは本年の一月ですが、このときには、憲法解釈は変えていないと今度はおっしゃっているのです。これは自衛隊に対する政策を変えたんだ、こういうことで、実は当日は平行線になっちゃったわけだ。憲法解釈は全然変えていないということで、物別れになっているのですよ。これは憲法解釈をお変えになったのか、いや変えていないのか、そこをはっきりしてほしい。
 それは、私は大いに、合憲論という形できっちりと枠組みがはまれば一番いいのですよ、そのことは。だから、それならそれでもうはっきりと、そんな政策論とかそういうことじゃなくて、憲法解釈をこう変えたんですということで素直におっしゃった方が、やはり三軍の長ですからね、総理大臣は。そこをちょっと確認をさせてください。
○村山内閣総理大臣 これは、憲法解釈を変えたんだというふうに私は申し上げたのではないのです。
 申し上げましたのは、憲法の前文に規定されております憲法の理念に基づいて、あの当時は米ソが対立をした冷戦構造の中にございましたから、したがって、そういう国際情勢を受けて日本の国が再び軍備強化をされていくということは憲法の理念に反するではないか、したがって、憲法を守る立場から我々は反対だ、こういう立場を貫いてきたんですよ。
 しかし、もう冷戦構造も崩壊をして、しかもそういう客観的な情勢が解消されたということもございますし、同時に国民の世論を見ましても、もうこの程度の自衛隊は認知をするという国民の支持もあるわけですから、そういう国民の声も反映をさせて、そして社会党が、言うならば自衛隊に対する考え方、政策を変更したというふうに私は御理解をいただきたいというふうに思うのです。
○野田(毅)委員 総理はおわかりなんでしょうけれども、本当にわからない。合憲か違憲か、これは憲法解釈そのものじゃないですか、合憲か違憲かというのは。これは憲法解釈じゃなかったら一体どうするのですか。
 それを、なぜそういう言葉にこだわられるのかな。あっさりと、今までの憲法解釈はこうでした、しかしこれからはこういう憲法解釈になったんですと言ってしまえばいいじゃないですか。どうしてそれが言えないんですか。
○村山内閣総理大臣 それは、私が私の考え方、私の理念を申し上げておるのに、あなたがあなたの解釈で私に押しつけてみたって、これはしようのない話だと私は思いますよ。
 それは、私はそういう考え方でこれまで自衛隊に反対をしてまいりました。しかし、こういう国際情勢の変化やらあるいは国民意識の変化やら、そういう状況等々を総合的に判断をしてみて、これはもう自衛隊は合憲であるという立場をとらなければいかぬ。したがって受け入れたんですよ。
 違憲という意味は、憲法の第九条に反するというのではなくて、先ほど来申し上げておりまするように、憲法の理念に基づく平和理念に反するという立場で反対をしたんだ、こういうふうに私は申し上げているのです。
○野田(毅)委員 普通に素直に聞くと、憲法に反するか反しないかということは憲法解釈そのものなんですよ。だから、どうしてそんなに憲法解釈を変えたと言うことに抵抗があるのか、僕はそこが非常に不思議で仕方がないのですよ。あっさり言ったらどうなんですか。
 結局、こういうことでしょう。社会党は、実際に憲法の条文なりそういったことで厳密にいくならば違憲、合憲についてはどうかわからなかったけれども、少なくとも政治運動論として違憲論をかざしてきたというなら、それでいいのですよ。だったらそういうふうに説明をしてくれればいいのです。やはり合憲か違憲かということをはっきりしなければだめですよ。憲法解釈そのものじゃないですか、合憲か違憲かというのは。
○村山内閣総理大臣 これは何度も申し上げますけれども、先ほど来申し上げておりますように、そうした国際情勢全体を反映させて、社会党の役割というものを十分考えた上で、それで国民のそういう相当強い、それを支持する声もあった。したがって、その声を反映させて、社会党は取り組んで運動を進めてきたんです。
 しかしその結果、国際的な冷戦構造も崩壊しますし、同時に、国家にとって最も基本的な問題である防衛問題について主要政党間で大きな意見の相違があったことは決して好ましいとは考えていない。
 戦後、社会党は平和憲法の精神を具体化するための粘り強い努力を続け、国民の間に、文民統制、専守防衛、徴兵制の不採用、自衛隊の海外派兵の禁止、集団的自衛権の不行使、非核三原則の遵守、核・化学・生物兵器など大量破壊兵器の不保持、武器輸出の禁止などの原則が確立をされて、必要最小限の自衛力の存在を容認するという穏健でバランスのとれた国民意識を形成し得たものであると考えておるんです。
 これは、やはりそういう社会党の運動があったから、私はこういう状況をつくり出したと思うのですよ。そんな意味では、社会党の運動の成果と効果というものは十分やはりあったと私は確信をいたしておりますね。
 そういう運動の成果の上に積み上げられてきた現状というものを是認をしてこれから取り組んでいこう、こういう考え方に立っておるということについて御理解をいただきたいと思うのです。
○野田(毅)委員 今までの経緯はよく存じています。いろいろ苦労してこられたこともよく存じています。だからそれだけに、あっさりとおっしゃった方がいいね、私はそう思っています。
 そこで、実は違う切り口でちょっと聞いてみたいのですよ。
 私はこの自衛隊の合憲・違憲論について、自衛隊の存在そのものの合憲性という問題と、それから自衛隊の具体的な活動の合憲性という問題と、二つあるんじゃないかと、基本的に。そういう点で分析をしてみると、現在の総理の答弁は、社会党は従来から自衛権は否定していないんだから、自衛隊の存在そのものの合憲性はかねてから否定していないようにも受けとめられるわけですよ。だから、今まで社会党が問題にしていたのは自衛隊の具体的な活動の合憲性の話だと。だから、行き過ぎをチェックするために政治運動論として違憲論を掲げてきたんだと。こういう説明をすれば、それはそれなりの納得がいくわけだ。
 しかし、実際にしゃ過去においてどういうことでやってきたかというと、自衛隊の存在そのものについての違憲論を振りかざしてやってきたところに――だから、あえて僕は、解釈を変えたんだということで、そのこともきちっとけじめをつけられたらどうですかこう言っているわけですよ。
 そうでないと、政策によって合憲がまたいつ何どき、政策判断で変えたんだと言うんなら、いつまた何とき、客観情勢が変わった、国内情勢が変わったということでまた違憲論に戻るかわからない。戻らないという保証はないということになるわけです。そうでしょう。(発言する者あり)いや、心配だから聞いているんだ。それだけに、心配ないなら心配ないということだけは、やはり三軍の長であるだけに、私はそのことだけははっきりしておいてもらいたい。
 特に、自衛隊の任務の性格上、やはりみずからの存在についてしっかりと確信を持って、そしてすべてを任務に傾注するという、これは非常に大事な、自衛隊のあり方として、一点だ。そういう意味で、自衛隊が政治家を信頼をして任務に精励するという、これがやはりシビリアンコントロールの原点だと私は思います。
 そういう点で、私はあえてこの問題についてもう一遍、あっさりと、本当に、憲法解釈、変えていいじゃないですか。解釈、きちっと変えたんだということでなければ――それは政策を変えだからという話で、合憲、違憲の話じゃない、それは詭弁だと思いますよ。
○村山内閣総理大臣 今私が申し上げましたような立場に立って自衛隊を認めるということに、党は、昨年九月三日の全国大会で議論をして、この方針を決めたわけです。
 決めた方針というのは、あくまでも平和憲法のもとにおいて、自衛隊が国連の活動に平和的な憲法の枠内で協力をする、しかも積極的に国際貢献を果たす任務を持つ、こういう意味で、私どもは積極的に自衛隊のそうした活動を推進をしていきたいというふうに考えています。
○野田(毅)委員 この問題は、また時間があったときに持っていきたいと思います。
 次に、若干日米通商問題に移りたいと思いますけれども、橋本通産大臣、本当に御苦労さまでございます。
 きょうアメリカが制裁リストを発表して、これから具体的にヒアリングをやって具体的なものを決めていくという。そこで、日本としてはそれを受けてきょうじゅうにWTOに提訴するという話もあるが、通産大臣としてはまずどう対応されるか、聞かせていただきたいと思います。
○橋本国務大臣 日本時間の昨夜十一時、アメリカUSTRカンター代表から対日制裁リストと言われるものが公表されましたことは、委員御承知のとおりであります。
 本来そうした事態になりました場合には直ちにWTOへ提訴するということを私は申し上げておりましたが、ジュネーブがもう夕方大変遅い時間でありましたこともあり、一日待ちまして、本日提訴をいたすことにいたしております。
 以上です。
○野田(毅)委員 これはお互い、ある意味では決裂ではあるけれども、ある意味では、大きな意味ではこの交渉の延長線上にあるわけでしょうね。したがって、お互いが冷静な判断をして、いい着地点を見つけるような努力をしなければいかぬ。
 しかし、仮にアメリカ側がさらに、WTOの枠内だけで調えようとかいうことでなくて、本当に具体的に、強硬に制裁措置が発動になる、こうならないようにした方がいいと思うのですが、仮になった場合に、日本側も逆制裁を行うという用意があるというような話もちらちら伝わっておるわけですが、その点はどうですか。
○橋本国務大臣 私は、逆制裁といった言葉を一度も使ったことがございません。
 先日来マスコミの皆さんの関心はその一点に集まっておりまして、繰り返し繰り返し、リストが確定をした段階でどうするのかというお尋ねがあります。いたずらに刺激を避けてほしいと幾らお願いをいたしましても、同様の質問が参ります。けさも同じような質問がございました。そして、その時点で十分に考えることということを申し上げておるわけでありますが、私は、その逆制裁という言葉は使っておりません。
 ただ、日本が余りにも理不尽な状況にさらされる場合に、これに対抗する手段をとり得る余地は、日本国として保有していることは当然であります。
○野田(毅)委員 しっかり頑張っていただきたい。冷静な中にも筋の通る対応が求められておるわけです。
 ただ、客観的に、日米以外の、EU、いろいろな方からすると、大変迷惑だ、アメリカの事自動車に関するやり方は随分と強引でルール違反みたいなものだねと。一方で、それにしても日本の市場は随分閉鎖的だという、どっちもどっちという印象が相当あることは現実のことだと私は思います。そういった点で、これから日本は、自動車という分野、筋を通すというのはこれはこれでいいのだけれども、それだけで、じゃ全部終わりかというと、そうではない。やはりその筋を通そうとすればするほど、日本は別のところでしっかりと責任を果たしていかなきゃならぬというのは、これは当然のことだと思います。
 それだけに、今まで以上に市場の閉鎖性をどう透明度を高くしていくか。特に世界全体に日本は今貿易インバランスを抱えているわけですからね、対米関係だけじゃないわけです。そういったことを考えると、まさに今日本が世界経済全体から見て日本経済の最大の課題は何かと問われたら、私は、やはり貿易収支をいかに改善するかということを我々しっかり認識しなきゃならぬということだと思います。
 それは短絡的にはできないかもしれませんが、かつてオイルショックのときにアラブのいろいろ産油国が集めたオイルダラーが二年間で八百億ドル弱ですね。そして、六、七年、数次にわたるオイルショックがあって、そしてそれで、累積で集めたドルが千八百億ドル強ぐらいですか。翻って、我が日本が過去五年間、去年一年間だけで千四百億ドルを超えているわけですね。それは累積すると六千億ドルを超えちゃっているわけです。そういうことを考えると、やはり日本が世界経済の不安定要因になっちゃいけない、むしろ世界経済を拡大していくようにするには、やはりこの貿易収支をいかに改善するかという発想を持たないと、私は、基本的には日米経済関係もうまくいかない。
 そこで、午前中も円高かドル安かという話があった。私は、いろいろな見方があると思います。そこで、自分でつくったので実にちゃちなあれですけれども、これをざっと見てもらいたいと思うんですが、いわゆる実効為替レート、これは通常の為替レートじゃなくて、貿易相手国との貿易量に為替レートを加重平均した、これで見ると、赤いのが日本ですね。これが一九八〇年。ブルーがアメリカです。グリーンがドイツです。これで見ると一番わかりやすい。
 つまりアメリカ経済から見ると、基本的には、多少のドル安ということにはなっているけれども、長い動きの中で見ると余り変わってないのです。日本だけが上がっちゃっているのです。やはりこれは円高なんですよ、基本的に。それは、短期的に一カ月、二カ月の相場がちょろちょろ動くということだけをとって、やれ円高だのドル安だのと言ってみても始まらないのです。こういうトレンドというものをしっかりやはり頭に置いてこの経済問題に対処しなきゃいけない。このことだけは総理もぜひ頭に置いて対応してもらいたいと思うんですよ、この点は。
 ちなみに、八〇年を一〇〇とすれば、日本、三月では二六二ですからね、二・六倍円高になっているんですよ。ドイツは約四割アップです。日本だけこんなに上がっている。ここのところをしっかり頭に置いて対応しなきゃならぬと思います。
 それで、これは実に釈迦に説法で大変恐縮ですが、こんなものもちょっとつくってみたんですけれども、わかりやすくするために。単純に見れば、要するに金の流れですが、日本の国内から輸出をすると、物を輸出すればお金がこっちへ入ってきますね。逆に外国から物を入れれば、お金は国内から国外に流れるわけです。これは当然貿易収支です。そのほかに貿易外収支もあるわけです。そのほかに、今度は資本取引の世界がある。この資本取引の世界の中でお金が出たり入ったりするわけです。
 かつてアメリカがドル高で悩んだときには、貿易赤字であるにもかかわらずアメリカがドル高で悩んだことがある。そのときには、日本からどんどんお金がアメリカに流れていって、あのころは簡保資金という言葉が、日本語がそのままアメリカの市場で通用したことがある。だから、アメリカは貿易赤字で大変苦しみながら、ドルが高くて困ったんですよ、基本的に。
 今回も、日本のお金が、資本取引のお金がどんどん海外に行ってくれればいいのだけれども、かってそれだけもう大やけどしちゃっているものですから、なかなか動かない。もうあれ以上差損は発生させたくない、元本の目減りは嫌だ。もう簡保資金だけで実際に九千億円の現在目減りがあるわけですね。九千億ですよ、簡保資金でね。
 ある説によると、機関投資家、保険、信託その他の日本の国内の機関投資家、これが過去のそういうアメリカのドルを買ったお金が日本円に換算すれば半値以下に目減りしたわけですから、そのために大変な運用赤字を出す。だから今、生保会社では配当率を落とさざるを得ないところに追い込まれているわけですね。
 だから問題は、そういう中でここが今動いていない。だから完全に、この貿易取引の世界の貿易黒字が現実に市場の趨勢としてどうしてもきいてきて、これが円高に反映されるというのが今の構図になっておるということなんですよ、基本的に。
 だから、じゃどうしたらいいのかというと、それは輸出を減らしてドルの流入を減らすのも一つのやり方です、輸出の自主規制の話だから。しかし、それは好ましいことではないと思う。そうであるならば、日本が輸入をふやす以外にないのですよ。では、どうやったらこの輸入をふやせるのかというのが今度の、本当はこの補正予算であり、この前の円高対策の一番のかなめでなきゃならぬわけです、基本的に。
 そういう点からすると、残念ながら、四月十四日に円高対策を政府としてはお出しになった、だけれども、その後の現実の為替市場も株式市場も全然反応していない、現実には。そうでしょう。だから、やはり効果がなかったということなんですよ。
 これは、アメリカのルービン財務長官が、要らぬお世話かもしれないが、日本政府の今回の対応措置、対策を市場は肯定的に評価しなかった、こういうことを言っちゃっている。別にそんなことをルービンさんに言われなくたって、現に市場はそうなっちゃった。
 最近は、皮肉なことですけれども、アメリカが日本に強硬姿勢で来たぞ、そうすると日本は、やはり何らかの貿易インバランス改善の具体的な措置をさらに上乗せをするのではないかというそういう思惑が、多少円が安く、今、一時の八十円台のぎりぎりの姿からやや八十五円ぐらいに戻っているというのが、皮肉ながら現実の姿になっているわけですね。そういう点でいくと、私は、この前出された政府の規制緩和措置あるいは円高対策、残念ながら効果がなかったということを私が断定するよりも、市場が現にそういう姿になっているという、このことがあらわしているということだと思います。
 だから、与党の訪米団がつい運休ですか、アメリカに行かれて、そしてアメリカの議会関係者に、ことしの秋には十兆円規模の第二次補正を出すのですということを言ったと報道されています。ということは、まさに今回の第一次補正というものは何らの効果ももたらさない、大いに不足をしておる。
 しかも、考えてみたら、あの十兆円という規模は、一次のものと合わせるとおおむね十三兆ぐらいですからね。それじゃ我が新進党の案と同じようなものじゃないか。それだったら、もう最初から一緒に組み替えをしてやった方がいいんじゃないかということだって当然言えるわけですよ。
 この点について、基本的に、これはどなたにお聞きしたらいいですかね、秋の補正、これ今からやるのかやらぬのかと聞く方が、大体そのときの状況を見てという答えがもうわかりますから、それ以上は聞きませんが、じゃ少なくとも与党訪米団はフライングだったのかと、その点についてどう思いますか。
○武村国務大臣 まず、野田委員、熱心にそういう表までおっくりをいただいてありがとうございました。
 円の独歩高というおっしゃり方は、実質レートという表現でありましたが、私どものデータでは、例えば三月末で昨年末と比較しますと、円の上昇率は一五・三%、マルクは一二・八%、スイスは円より上がっていまして一五・九、こういう数字もあるわけです。これを五月十五日に直すと、円は一五・五%、マルクは七・九%、円の方が高い。マルクはマルクで動いておりますし、円は円で動いているわけでございますから、そのときその日によって、比較の仕方によって数字は違っできますが、決して円だけがひとりどんどん上がったということではありません。欧州通貨も、あともうずっとございますが、大なり小なり、円ほどではありませんがかなり上がっているということを改めて申し上げたいと思います。
 それから、政府・与党の円高に対する対応もおっしゃいましたけれども、私どもは、それなりにこの急激な状況の中で政府挙げて取り組んできたところでありまして、三月の二十日前後は、総理の御采配で中小企業や雇用対策の新年度の延長を早い時期に決定いたしましたし、大蔵省は三月末には財政金融の方針を発表しておりますし、そういう経緯を経ながら、四月十四日には円高緊急対策を発表したところでございます。私はあれがあったから非常に助かりました。
 と申し上げますのは、バリ島のルービン氏との対談も、その後のワシントンG7も、日本政府はこういう方針で行きますということをきちっと説明をすることによって相手側はほとんどもう批判はない。しっかりやってくださいよ、じゃ今後の経緯を見守ってまいりますと、こういう激励でG7も終わったわけですし、ルービンさんもそういう対話でした。
 事実G7の後から、反転という合意ができた後からじわじわ反転の兆しが見え始めていることは率直に御評価をいただきたい。(野田(毅)委員「委員長」と呼ぶ)答弁中です。(野田(毅)委員「いや、答弁中じゃない。私が聞いていることに答えてほしい。私はそんなことは聞いてないんだ。」と呼ぶ)したがって、そういう経緯がございますから、今から答えます。そういう経緯を申し上げているわけです。
○佐藤委員長 大蔵大臣、野田委員の御質問の最後の部分だけお答えください。時間の関係もございます。
○武村国務大臣 いや、前段宣言わないと結論にならないわけであります。(野田(毅)委員「いや、要らない。最後の分だけ。時間がないんだ。とんでもないよ」と呼ぶ)
○佐藤委員長 野田委員の時間もありますから、最後のところだけ答えてください。
○武村国務大臣 お答えいたします。
 政府は秋の補正予算について今具体的な考え方を固めているわけではありません。当然、今こうして第一次の補正予算を真剣に国会で御審議をいただいているさなかでございます。今後、この秋といいますか今年度後半の対応については、円高対策に述べておりますように、機動的、弾力的に政府としては経済情勢を見ながら対処をしてまいります。
○野田(毅)委員 もう本当にどんどん時間が過ぎちゃうんで、じゃ今回の補正、それからこの前の円高対策で貿易収支がどれくらい改善されると見ていますか。
○高村国務大臣 定量的にどのくらいということを試算するのは、大変困難というより不可能に近いことだ、こういうふうに考えておりますが、機動的な内需振興とかあるいは輸入拡大策の措置により大幅に縮小する、こういうふうに考えております。
○野田(毅)委員 もう時間がないから余りしつこく言いませんが、だから市場がやはり反応できないんですね、評価できないんですよ。これぐらいのものが行くんだよということがあると素直に反応する。やはりここのところはポイントなんですよ。
 ここでは残念ながらそれ以上は言えませんが、ただもう一つ、私は、輸入拡大という中で規制緩和について千幾らかの項目をお出しになった。しかし、中身をよく見ると、実は物によってはもう去年から役所の中では内々ずっと検討して積み上げてきたようなものが多いし、だから、そういう意味では実際にいろいろやってきた。それだけに迫力がないんですよ。私は、さらにこれは大いにやらなきゃいかぬことだと思うんです。
 それからもう一つは、実は公的規制緩和だけでないんです。私はぜひこれは検討してもらいたいと思うのは、窓口で非常に恣意的な取り扱いがあるんですよ。つまり、法律には決められていない添付書類をつけないと受け付けをしないという、この種のやり方が随分といろいろな分野にあるんですよ、これは。日本人でも頭にくるんですよ。いわんや外国の人はもう役所との間を行ったり来たり。法律上何も書いてないじゃないかというけれども、通達やら要綱やらいろいろなことで、実はそういう書類を要求されて、それを持っていかないと受理してくれないという、これも実は大きな、規制というのか何というのか、そういう意味でやらなきゃいけない。これは、ある意味では役所の、役人の要らぬ権限を拡大している。要するに、恣意的な行政上の取り扱いを多くしている。だから、みんな長いものには巻かれろで、日本の中小企業はみんなそれで我慢しているけれども、とてもじゃないが、外国の方から見るとこんなアンフェアな不透明なことはない、こういうわけですよ。
 そこで、アメリカで数年前に書類削減法という法律をつくっているんですよ。それは、法律で要請を決めた法定書類以外は添付させちゃいかぬ、要求しちゃいかぬということになっているんですよ。これは一遍日本でも検討する余地があるんじゃないか、そっくりそのままでなくてもいいんですが。これは大事な公的規制という分野だけでない、そういう意味で、現場の恣意的な取り扱いを減少させるということがどれだけ大きな行政改革につながるか、これはぜひ御検討いただきたい。
 それからいま一つは、民間のいろいろな業界内の問題があります、系列とか親子とか商慣行とか。
 かつて私も金属バットの問題で携わってきたことがあります。日米貿易関係、随分個別案件も実際に携わってきました。金属バット、アメリカから五年余りかかったと思います。調べてみると、文部省の権限じゃない。だけれども、高野連がな、それが民間のスポーツ用品メーカーと一緒になって基準つくっているわけだ。だから、アメリカの金属バットは音が大きくて折れやすい、日本みたいな狭いところでは騒音でしょうがないからだめだといって、末端のスポーツ店に入れさせない。これを解決するのにやはり五年以上かかった。この種の民間のいろいろなものがあるんです。それをどうするか。これは民間のことですから、自由経済ですから知らぬですというわけにはいかない。やはりそろそろ日本もやった方がいい。
 アメリカでは、かつて一九五〇年代、自動車について言えば、ディーラー保護法というのがあった。今日でもある。これはやはり、アメリカでもビッグスリーの力が強くて、そして系列のディーラーに対して影響力を行使してほかの社のものを売らせないというようなことではバーゲニングパワーがつかないから、だからそういうことをさせちゃならぬというので、ディーラー保護法というのがあるわけですね。まあそっくりそのままでなくてもいい。しかし、現に日本の自動車メーカーがアメリカの市場に乗り出していくときに、そういう独立したというか、バーゲニングパワーのあるディーラー網を活用してふやしていったということは、これは偽らざる現実だと思います、この点は。
 そのほかにも、何も自動車だけじゃないけれども、親子関係の中で非常に力関係によっては、何といいますか、中小企業は特に面倒を見てもらっているから、いろいろ言いたいことあるけれども、どうにもならぬということがたくさんある。今までそういう点では、下請代金支払遅延防止法というもので実は日本はいろいろやってきました。しかし、そろそろ、今この超円高で親の方も子の面倒を見切れなくなってきているわけですから、大分変化が生じているとは思いますが、少なくともこれから、そういう下請なりあるいは納入業者なりあるいはディーラーなりそういったものについて、一歩踏み出して、少しアメリカのディーラー法みたいなものを参考にしながら考えていい時代に入ってきているんではないか、私はそのように思います。
 その点について、書類削減法あるいはディーラー保護法、ディーラー関係ね、下請保護法というか、そういう形でちゃんとやるとか、一遍そのことを検討されたらどうでしょうかね。
○橋本国務大臣 時間の貴重なときでありますけれども、これは対米交渉中の問題に関連することでありますので、この点だけは正確に申し上げたいと思います。
 アメリカから、今委員からも御指摘になりましたようなメーカーとディーラーの関係に対しての疑念が提起されましたので、独禁法の周知徹底を含めて、日本側といたしましては、通産省にそうした問題が生じた場合の苦情の受け付けの担当者を決めるところまでこの問題については提示をいたしました。さらに、アメリカ側からなおそれについても不安が残るということでありましたので、私は、もしこの交渉がまとまるならばメーカーの中にもその点についての苦情を受け付ける役職をきちんと設けてもらおうという提案までいたしました。まとまりませんでしたのは、それに対して、ダウンペイメントという言葉でありますから頭金ということでありましょうか、来年あるいはもっと近い距離での数値の、ディーラーの数の目標を示せということになりまして、これは決着をいたしませんでした。
 日本は、そういう疑問を世間から受けないように業界も必死で努力をいたしておりますし、我々も努力をいたしております。また、公正取引委員会にもそれだけの機能を持っていただいて、そうした疑いを海外から受けないで済むような、そしてもしそういう疑いがあった場合にはきちんとした調査ができる体制まで提示をいたしておることだけは御理解をいただきたい。
 交渉中の問題でありますから、これだけはお聞きを願います。
○山口国務大臣 書類削減法について御意見承りました。
 御案内のように、昨年十月一日行政手続法が施行になりました。この的確な運用を図ることによってある程度御指摘の点にはこたえていかなければならぬと思っております。
 さらに、行革委員会におきまして今情報公開に真剣に取り組んでいただいております。二年以内に法的措置について一応答申をいただくことになっております。これも進めたいと思いますし、さらに規制緩和の問題につきましては、これは絶えず見直して、御指摘の点につきましても改善するように努力をいたしたいと存じております。
○野田(毅)委員 あといろいろ実は公取の、今通産大臣からお話があったんですが、この問題についても、もう資料をお配りしてあるので、これを見ればわかると思うのですが、相当程度要員の増強なりあるいは処遇の改善なりやらないと本当にそういった改善はできないんじゃないかということをまず指摘をしておきたいと思っています。
 あとは、関連で松田委員からの質問に譲りたいと思います。
○佐藤委員長 この際、松田岩夫君から関連質疑の申し出があります。野田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。松田岩夫君。
○松田委員 総理、中国訪問御苦労さんでございました。
 少し外交面から円高問題といったものを考えてみたいと思うわけでありますが、最初に、先日連休を利用されまして中国へ行かれました。中国は日本にとりまして第二の貿易相手国でありますし、中国から見ますと、日本は第一の貿易相手国であります。日中両国の相互依存関係はますます深まってきておるわけでありますが、国際社会におきます日中両国の存在感を考えますと、日中の関係を安定的かつ建設的に発展させることが、アジアだけではなく世界の繁栄と安定にとって不可欠でございます。
 日中両国が二十一世紀に向けてどのような役割を担っていくか。総理にとって初めての訪中は、いわゆる謝罪外交から、あえて使わさせていただくわけでありますが、いわゆる謝罪外交から抜け出して、真の意味で未来志向の外交を築くためのものであったわけだと存じます。果たしてそのようなものとなったのかどうかまず、総理の訪中の意義、評価をお伺いいたします。
○村山内閣総理大臣 今お話もございましたように、戦後五十周年のこの節目の年に私は総理として中国を訪問したわけであります。
 率直に私の気持ちを申し上げたいと思いますが、この五十年の節目に一応けじめをつけたい、そして未来に向けて日中関係をどう構築していくかということを中心にした話をしたい、こういう気持ちで私は中国の首脳とお会いをいたしました。率直に私は所信表明演説で述べたことを申し上げて、そして日本国民の気持ちとしては、五十年を反省した上で、未来の平和に向けて、軍事大国にならないという憲法の方針にも基づいて、これから二十一世紀に向けて日中関係をよりよいものにして、努力をしていきたい、こういうお話を率直に申し上げました。
 これは単に日中関係だけの問題ではなくて、今世界的に注目をされておるアジア・太平洋地域の平和と安定のためにも、日中が協力し合ってどういう役割を果たすべきか果たせるかというようなことについても率直に話し合いをしたい、こういう気持ちで話をしてまいりました。
○松田委員 未来志向の外交をと意気込まれた総理のお気持ちは歩といたしますが、しかし、実際には、繁栄のための共同作業というような抽象的な表現で、中身もなく、未来志向の関係構築を目指した今回の訪中の意義はほとんどなかったと私には思われます。
 村山首相は今回の訪中に当たり、戦後五十年問題の清算、今おっしゃったとおりであります。新たなアジア外交政策を表明することで、中国を初めとするアジア各国との未来志向関係構築を目指したい、そのために外務省などに対していろいろ検討も指示され、また私的なブレーンの方にも検討を要請されたとお伺いしております。
 私も尊敬しております宮崎勇さんからも、冷戦が終了した新しい時代に向けて建設的な意見を言うべきだ、いろいろ御提言があったと聞いておりますが、しかし、外務省サイドはこの政権では思い切った政策は無理だと難色を示して、結局抽象的な表現に終始する内容に終わったと言われております。総理たる者、いかに政治的力量を必要とするかをまざまざと思い知らされた族となったわけであり、まことに残念であり、総理の責任は重い。
 外務大臣――新聞で報道されていることをそのままお読みいたしたわけであります。新聞が事実であるか、また外務省の諸君の意見も聞きました。私が今申したことは、私の判断では事実だと推量いたしました。
 さて、外務大臣、今のような外務省の考え方、私にはわからないではない。だからあえて取り上げた。外務大臣の所見を問う。
○河野国務大臣 予算委員会の場で余り事実無根のことを言われることは極めて迷惑千万。外務大臣として、今おっしゃるようなことは断じてないということをはっきり申し上げておく。もし、もしそういう事実があるなら、ここに出していただきたい。
○松田委員 さあ、そうしてお怒りになるといいますか、そうして言われる割に、では一体今度の訪中によって日中両国でどんなグランドデザインが描かれたのか、何の報道もない、何の報告もない。ぜひ報告をしっかり出していただきたい。
 きょうは時間がありませんから、そこまで言われるのであればはっきり、まさに戦後五十年、大事な節目です。私は、総理が訪中されて、まさに日本と中国のためのみならず、アジア・太平洋地域そして世界のために日本と中国はかくかくしかじかのことをするんだ、まさに村山ドクトリンなり新しいそういったグランドデザインが立派に表明されてしかるべきでありますが、残念ながら全然出ていません。(発言する者あり)よく聞いてください。全然出ていません。
 自民党の諸君、聞かれたか。村山総理が中国へ行かれて一体何の世界に向けたサインが送られたのか。まあ、そこでグランドデザインは描けなかったといたしましても、しかし個々の問題について、じゃ中国との間でしっかりとしたやりとりができたのか。まさに、日本側の個々の要望や注文をはっきり伝えていただく、あるいは中国のおっしゃることを、はっきり日本の考えを述べていただく、このことがまさに対等互恵、未来志向の外交を築き上げていく第一歩でもあります。
 そういう意味で見てみましょう。
 さて、北朝鮮の核疑惑問題への対応。ちょっと時間がありませんので、私ざらざらっと言います。後で御返事をいただきますが、北朝鮮への軽水炉供与問題、村山首相が米朝合意の実施に向け中国側の協力を求めたのに対し、李鵬首相は、役割があれば努力したいと述べたにとどまったと。なぜもっと強く中国の協力を求められなかったのか。
 さあ、核実験の禁止。核実験の禁止についても要請をした、NPTの無期限延長支持も訴えた、核実験全面禁止条約の締結交渉も強く述べたと、当然のことであります。さあ、それに対してどうだったのだ。NPTに関しては既に決着をいたしました。しかし、そのときの中国の回答はいかにもあいまいであった。また……(発言する者あり)まさにそのとおり。核実験をやめると言っていただいたにもかかわらず、舌の根も乾かないうちに、まさに去る十五日、中国は地下核実験を実施いたしました。まことに遺憾なことでございます。
 総理、どう思われるのか、何を一体話してこられたのか、中国に対する経済協力、それでもなお、お続けになっていかれるのか。
 さて、中国の国防力……(発言する者あり)いや、一括答弁を求めますので、どうぞごゆっくりお聞きください。軍事情報の透明度を求める声は、日本のみならずアジア各国、アメリカはもちろんであります。この軍事情報の透明度が低い。そのことが周辺諸国にとっての大きな脅威である。軍事費の透明性確保をもっと強く求めるべきだった。また、南沙諸島の問題についても平和的解決への努力を強く訴えるべきであった。軍事費増大についての懸念ももっと強く言うべきであった。
 日本の軍国主義、これも話題になった。村山総理が過去の歴史への深い反省を改めて表明したのに対して、中国側は江沢民国家主席が、戦争について日本国内に一部誤った見方をする人がいるが許されないと強調。李鵬首相も、日本国内には確かに軍国主義が存在すると指摘、そして、誤った傾向の抑制を日本に求めた。
 しかし、日中戦争の個々の史実や第二次大戦の性格をめぐり日本国内に論争があるからといって、日本の軍国主義復活につながると見るのは余りにも誤りであります。今日の日本の政治、社会構造を見ればそんなことはあり得るわけがない。総理、しっかりそういったことをお話しいただいたのかどうか。
 さて、中国の人権問題、我が国のみならず、世界各国の共通の願いです。しかし、総理は、五月三日夜、人民大会堂で開かれた李鵬首相主催の歓迎夕食会であいさつし、中国の人権問題について、それぞれの国情があるが、人権は普遍的な問題なので中国も努力してほしいというような言い方をされたと言われる。しかし、人権問題については、まさに、夕食会でのあいさつなどということではなく、本来の議題としてもっと堂々と言ってほしかった。
 国連安保理常任理事国入り問題、この問題について総理が支援を依頼されたそうであります。間違っていたら後で一括直していただければいいです。中国側は、日本の意欲を理解するが、全体の改革や他の国の要望を考慮すべきだと、むしろ反論されたと。一体、なぜもっと強くよく話し合われなかったのか。
 さて、まだたくさんありますが、時間の関係もありますけれども、台湾問題への対応。こちらの言うことに対して十分な回答もないのに、向こうからはいろいろ注文をつけられたと。
 その一つ、アジア・太平洋経済協力会議首脳会議への台湾要人の出席問題についてこの機会にどんなやりとりがあったのか。結論的に申せば、徐立徳経済建設委員会主任、台湾から出席したいということであればお受けになりますか。御質問であります。(発言する者あり)
 さて、多過ぎるということなんで、最後一つにしておきますが、総理は、日中戦争の発祥の地であった盧溝橋、抗日戦争記念館を御訪問された。極めて結構なことだと思います。御案内のように、死亡者数に諸説がございます。昭和十二年の南京事件について中国側が説明した三十万人虐殺説を黙って聞いておられたとのことであります。総理はこれが真実だと思っておられるのか。
 以上、せっかく中国に行かれて、グランドデザインについても描くことができず、また同時に、それじゃ個々の問題についていろいろお話し合いができたのかといえば、今の私が申したとおりであるとすれば、まことに何のための訪中であったのか、そういうふうに思います。総理の所見を伺います。
○村山内閣総理大臣 これは首脳会談ですから、中国には中国の立場があって言い分がある、日本には日本の立場があって言い分がある、ですから必ずしも一致をすることばかりではございません。意見が対立するものもあります。しかし、どこが違うのか、中国の言い分はこの問題についてはどういう見解を持っておるのか、日本はどういう見解を持っておるのかということがわかり合うだけでも私はそれなりの意義はあると思うんですよ。ですから必ずしも、合意をしない、こっちの言い分が通らないからといって交渉にはならないということにはならないと私は考えています。
 で、今お話もございました点を若干御報告申し上げますけれども、五十周年の問題につきましては、私は所信表明演説で申し上げたことを申し上げました。それに対して李鵬首相は、村山総理の戦争に対する考え方については賛成である、もうそのことを踏まえて前向きにひとつ協力し合っていきましょう、こういう話し合いはされました。
 それから台湾問題につきましては、これは私の方から、本件についてはシアトル及びボゴールの前例を踏襲する、日中共同声明に基づき、台湾との関係は非政府間関係として維持する方針は変わらない、二つの中国を支持することはない、こういうことを明確に私は申し上げておきました。これは従来からの日本政府の方針でございます。
 それから朝鮮半島問題につきましては……(松田委員「徐立徳は」と呼ぶ)北朝鮮の核開発問題につきましては、米朝合意が着実に実施をされ、本件が対話により解決されることを私はどんなことがあっても達成させたいと考えております、そのために中国の御協力もいただきたいということを私は申し上げました。これに対して中国も、中国は朝鮮半島の平和と安定を切望しており、本件の平和的解決を希望しております、そのために中国が力になれることにつきましては協力をいたします、こういうお話をいただきました。これは、この考え方については合意をしておるわけです。
 それから南沙諸島の問題につきましては、私の方から、いろいろ懸念をされておる事項がある、したがって、あくまでも関係国が話し合いでもって平和的に解決をしてほしいということを強調いたしました。それに対して中国も、中国、フィリピンの問題については二国間で平和的に解決できる国際問題にしなければならぬ、あくまでも平和的に話し合いで解決するつもりです、こういうお話がございましたから、これらの点についてはお互いに合意を得たところでございます。
 それから、日中貿易の投資関係につきましては、中国から投資関係については強い要望がございましたから……(松田委員「そんなことは聞いていません」と呼ぶ)聞いていない、答弁の必要はない。(松田委員「投資関係は聞いていません」と呼ぶ)あ、そう。それでは申し上げません。数が多いからわかりませんけれどもね。
 ただ……(松田委員「核実験、核実験」と呼ぶ)核実験の問題につきましては、これはもうNPTに政府は賛成をいたしておりまするし、国連の中でもそれが達成されるために活躍をしておるわけですから、その見解を私は率直に中国に申し上げて、同時に、核は終局的には廃絶していくべきものだ、したがってぜひ核実験については配慮してほしい、やめてほしい、こういうことを申し上げました。
 それに対して中国は、九六年までの合意達成を目標にしておる、したがってその合意達成ができればもちろん核実験は中止をするけれども、それまでは中国の国内問題として考えておる、こういう答弁がございましたから、これは意見がすれ違いでもって合意ができなかった。だけれども、日本政府の考え方としては明確にお伝えを申し上げた、こういうところであります。
○松田委員 幾つも残っておりますが、時間の関係もありますから、重要な論点ばかりでございます。私は、一つ一つの問題についてしっかり対応していくことが総理らしいあり方だと思うものですから、あえて申し上げているわけであります。
 さて、その中で核実験を再び実施をいたしました。念を押しますが、経済協力、円借款を初め経済協力を、お続けになるのかならないのか、変更があるのかどうかこの一点と、先ほど質問いたしましたが、お答えがなかったのでもう一度念を押しますが、台湾・徐立徳経済建設委員会主任がお越しになりたいと言われたらどう対応されるのか。さっきの答弁では、お受けになるというふうに理解していい答弁であったと理解していいですか。その二点だけ確認をしておきます。
○河野国務大臣 APECにおける出席の問題であろうと思いますが、この問題は、先ほど総理からシアトル、ボゴールの先例に倣って行いますということを申し上げているわけでございまして、こう申し上げればどなたもおわかりになるところと思います。
 核実験の問題につきましては、今……(松田委員「受け入れるわけですね、今の答弁は」と呼ぶ)どなたも、私がこう申し上げればどなたもおわかりになるはずでございます。
○松田委員 全然わかりませんので改めてお聞きしますが、台湾から……
○河野国務大臣 ちょっと待ってください、今答弁中でございます。
○佐藤委員長 ちょっと松田委員、待ってください。
○河野国務大臣 答弁中でございますから、私の答弁、一応一通り聞いていただきたいと思います。(発言する者あり)委員長から答弁の要請がございました。
 核実験の問題について申し上げたいと思いますが、総理から御答弁を申し上げましたように、日中首脳会談におきましては、総理から、中国の核実験については、十分じゅんじゅんとこれが再び行われないように申し上げたところでございます。残念ながら、その後中国は核実験を行いました。我々、極めて遺憾なことだと思います。
 この問題は議員も大変御関心をお持ちだと思いますが、NPTの無期限延長を決めます際に、全面的核実験禁止条約その他、核保有国が核軍縮に向けての誠実な実行を行うということがその裏にあるわけでございます。あの文言の中にもそれは入っております。したがいまして……(松田委員「それはいいです、わかっておりますから。要点だけを答えてください」と呼ぶ)いや、わかっておりますと言うけれども、わからないと言っておられるから御答弁申し上げているわけです。したがって、私どもとしては、中国に対して甚だ遺憾である旨伝えたところでございます。
 前段についてもう一度申し上げますが、ボゴールにおきましても、シアトルにおきましても、非公式……
○松田委員 経済協力を続けるのか、変更があるのか、それが質問ですよ。それだけ答えてくださればいいのですよ。
○河野国務大臣 失礼しました。それでは、もう一度整理をさせていただきます。
 中国に対しての経済支援については、この問題をよく考えた上で我々としての判断をしなければならぬと思っておりますが、現時点で直ちに大きな変更をするという状況ではございません。
○松田委員 徐立徳さんの点についてはどうなんですか。もう一度念を押しておきます。明確に。
○河野国務大臣 ボゴールにおきましても、シアトルにおきましても、台湾からはそれぞれ希望が述べられた由でございますけれども、それぞれの議長国は、シアトルにおけるルール、シアトル・ケースといいますか、シアトルにおきます前例に倣ってボゴールでも行われましたし、大阪で開かれますAPECにおいても、そのボゴールの例に倣うということは総理から御答弁を申し上げたところでございます。
○松田委員 その答弁でわからないものですから、具体的にお聞きしているのですが、具体的に御答弁がないのですがね。
 それでは、徐立徳さんがお越しになりたいということであったらお受けになる、こう理解してよろしいですね。
○河野国務大臣 特定の人間の問題ではないのでございまして、これは経済問題を議論をする場ということを考えまして、と同時に、中国が非公式首脳会談におきます発言者といいますか、出席者といいますか、これを構成する人たちについて議論をして、シアトルのケースをアメリカがっくり上げて、それをボゴールでも踏襲をし、今回もそれを踏襲すると申し上げているわけです。
○松田委員 明確な答弁がございません。まことに残念でありますが、国民の皆さんも知りたいことをお答えにならないのが今の日本の政府の一つの姿だということが、目の前に赤裸々に明らかになっておるわけであります。
 さて、私が総理に申し上げたかったことは、このことであります。大きなグランドデザインを今こそ中国との間でつくってほしかった。そのことが余り十分に果たせなかった。そうかといって、個々の問題についても、いろいろ日本の思いを本当にもっとしっかり伝えてほしかった。しかし、それも必ずしも十分ではなかったな。ひたすらなる贖罪の旅に終わってしまったのか、まことに残念至極だというのが、正直、今御答弁を聞いての私の所感であります。
 さて次に、日米関係、中国と同時に日本にとって大事な日米であります。
 先日、これは余談でもありますけれども、しかし正直なところ非常に強く感じましたので、あえて述べるわけですが、連休にアメリカに私ども何人か国会議員で、もう十三回目になりますが、アメリカの国会議員と自由な討論を行いました。
 出席したほとんどのアメリカの国会議員というのは、一昨年細川政権の誕生で、日本の政治が変わる、政治の改革から経済の改革へ、あるいはまた彼らの言葉遣いからすれば、官僚政治から政治家による民主政治といいますか、ニューデモクラシーが確立される、こう大きな期待を持った。その後、選挙制度や政治資金の制度は変わったが、その後は見るべきものがない。期待が大きかっただけに、現在はがっくりきている。自民党と社会党の連立政権、まさに驚きだった。村山内閣は、規制緩和一つとってもトラスチックなものがない。こういった現在の日本の村山政権に対するさめた見方が、ほとんどのアメリカの国会議員の一般的な見方であった。
 まことに残念至極。残念至極であると同時に、ある程度これも事実だと思わざるを得ない。このことがしかし、日米関係にとって極めて憂うべきことでありまして、今日個々のいろいろな日米関係の問題が今まさに山積しているわけですが、その背景には、こうしたアメリカの国会議員の、まさに国民から選ばれた方々の日本の政治に対する見方というものがあるわけであります。
 総理、どう受けとめておられますか、今の件。
○村山内閣総理大臣 私はアメリカのクリントン大統領とは三回にわたって会談をしてまいりました。個人的な信頼関係もそれによって大分深まってきたと考えておりますし、同時に、日米間がこれまで協力し合ってきた問題点、これから協力しなきゃならぬ課題等についても率直な話し合いをしてきたつもりでございます。
 したがって、この日米包括経済協議につきましても、今お話のございましたように、残念ながら自動車・同部品分野での協議は決着を見ておりませんけれども、今般米側が一方的措置の候補リストを発表するに至ったことは極めて残念であります。
 しかし、これまで政府調達、保険、板ガラス、金融サービス等の分野では決着を見ておりまするし、また投資分野での協議、さらにはコモンアジェンダのもとでの協力の進展などなど、全体としては日米関係というのは着実に私は実を結んできておるというふうに考えておりますから、この自動車・自動車部品の問題が、全体として日米関係をこじらすといったようなことにはならないというふうに考えておりますし、そのことでそういうことにならないように、さらにこれからも努力をしていく必要があるというふうに私は考えております。
 したがって、御指摘のような、日米首脳会談で、今の村山内閣に対する評価については、それはいろいろ私は見方があると思いますよ。あると思いますから、今あなたがおっしゃったような評価だけではなくて、私のところに来ている評価はまた別の評価もあるわけでありますから、したがって一概には言えないんではないか。ただ、謙虚に耳を傾けて、聞くべきことは聞かなきゃいかぬという気持ちは、私は終始一貫持っているつもりでございます。
○松田委員 ぜひ謙虚に、そういう意見もあったと受けとめていただきたく思い、それを受けとめてしっかり頑張っていただきたいと思うわけであります。
 さて、今おっしゃった自動車部品問題、もう議論になっているわけですが、先ほど我が同僚の野田委員からもありましたが、どうして決裂したのか。お互いそれぞれ正当性ばかり主張している日米両国を見ておりますと、まことに何とも歯がゆい思いもいたすわけであります。
 今後の見通しは、先ほど通産大臣からお話がありました。しかし、振り返ってみると、なぜもっと話し合いの余地はなかったのかなと。(発言する者あり)これを成熟したパートナーと見るのか、お互いまだ本当に理解し合うところまでいっていないと見るのか、いろいろな意味で思いをめぐらすべき、またそれに値する今度の事件、事件といいますか、今度のケースであったと思います。
 そこで、例えば総理、あなたはずっと見ておられたんでしょうか。それとも何かやられたんでしょうか。余り総理が本件について、自動車部品問題について、こんな決着になっちゃった。後でもう少し時間があればあれしますけれども、これからもまだ大変ですが、総理、何かされたんですか。――総理にお聞きするんです。総理が何かされたことがあるかと。
 総理はクリントン大統領とホットラインもあるわけですよ。電話すればすぐいろいろ打ち合わせもできる。一体、総理になられてから何遍クリントン大統領と電話されたのか。ついでにお聞きしておきますが、本件のように両国間で担当大臣同士がいろいろ苦労しておる。クリントン大統領、何かいい手はないものかな、そんな会話でもせめてあってもしかるべき日米間の関係であり、総理がもっと、それこそ先ほどから出ている、いろいろクリントン大統領との間で御相談することもあったのではないか。
 そんな思いと、あるいはそんな思いも持ったことがありませんか、総理。どうでしょう。
○橋本国務大臣 大変恐縮でありますが、大変恐縮でありますが……(松田委員「総理大臣のことをお聞きしているのです、私は」と呼ぶ)大変恐縮でありますが、交渉の当事者として責任を持ってお答えを申し上げさせていただきたいと思います。(松田委員「時間のこともありますので」と呼ぶ)わかっております。(松田委員「私は交渉の経過なんか聞いておりません。総理がどうされたのかということだけ……」と呼ぶ)経過ではございません。
○佐藤委員長 総理が答弁をする前に、担当大臣として簡単に答弁をしていただきます。(松田委員「いや、私が求めていないんです。なぜ委員長がそんなことを言うんですか」と呼ぶ)事は交渉にかかわる話でございますから、細部につきましては通産大臣に簡単に答えていただきまして、その後、総理に答えていただきます。(松田委員「交渉の経過など聞いておりません。総理が何をされたのかと……」と呼ぶ)
○橋本国務大臣 経過の話を申し上げるつもりはございません。
 出発前に総理にきちんと御指示を受け、その指示の範囲で私は行動してまいりました。責任は私であります。
○村山内閣総理大臣 昨年十一月のジャカルタ及び本年一月のワシントンにおけるクリントン大統領との会談の中で、この問題については政府の責任の範囲内で、この権限の範囲内で話のできるものについてぜひ決着をつけてほしいということを私は率直にクリントン大統領には申し上げてあります。
○松田委員 いや、ですから、なぜもっと、ホットラインもあることですし、本当に日本とアメリカ、まあ総理大臣と大統領というのは世界のことやいろんなことでどんどんどんどん御相談をし合っていく、そういう国になるべきなんですよ。ところが、本件のようなことについても今のような御答弁、まことに残念な総理を我々はいただいているな、そういうふうに思わさせていただいて、次に向かいます。
 さて、次に円高についてお聞きいたします。
 武村蔵相は……(発言する者あり)御静粛に願います。武村蔵相はさきのG7で、ドル安防止といいますか、円高防止についてそれなりの成果があったと、先ほどもおっしゃっておられました。しかし、まさに先ほどおっしゃっておられたのを聞いて、私は一生懸命話したと、日本の円高対策あるいは経済対策あるいは公定歩合の引き下げ、あるいはさらにこれからもっと頑張るよと、いろいろ言いました、こういうお話です。結構なことでございます、いろいろおっしゃっていただいて。
 じゃ、向こうはどうだったんだ、アメリカの方はどうだったの。ところが、アメリカのルービン財務長官、武村蔵相もぜひ追加利上げをやったらどうだ、ドイツも言われた、あるいはIMFも言っている。ルービンさんはどう言われたんですか。まあ、物価動向から見ると追加利上げは要らないよ、また財政赤字の削減……(発言する者あり) 一括聞いているんですよ。流れを聞きなさい、流れを。不規則発言だ。
 財政赤字の削減、財政赤字の削減についても大いに求めていく。財政赤字の削減についてもどう言ったか。ルービン長官、いや、財政赤字についてももうGDPで見れば先進七カ国で最低だ、アメリカは財政赤字削減に努力しておるよ。まさにそういう意味で何の追加の努力をなさる意図も表明されなかった。まして日本が打診した円建て米国債の発行、これも否定なさった。日本に対しては、おい頑張れよと、まだ日本の景気回復も弱いようだ、さらに一層の努力をしろよと言われた。先ほど、いや一生懸命努力をいたしておりますという御説明は一生懸命今ここで力説されました。
 じゃ、一体アメリカは何を、アメリカに対しては何をしろと言われ、言ったことに対してどうだったのか。何もしていない。余りにも一方的であります。ドル下落を……(発言する者あり)いやいや、まだ質問の最中なんですよ、論旨をよく聞いてくださいよ。ドル下落を事実上放置しているアメリカ政府のドル防衛姿勢こそまさに最大の焦点ではなかったのか。それに対して大蔵大臣、一体何を交渉しておられたのか。
○武村国務大臣 全く交渉の当事者でない方が想定をして一方的にテレビの前でお話をされているのを大変残念に聞いております。そういう話し方はよしていただきたいとむしろ抗議を込めて申し上げたいと思います。
 私は、先ほど野田委員の質問に対しては、日本の円高緊急対策との絡みで、これがあったから大変助かりましたと私は堂々と、ルービン長官に対しても、G7の中でも、日本の政策はこれですときちっと言うことができたし、それで、ルービンさんにしろあるいはヨーロッパの大蔵大臣にしろ、それはよくわかりました、ぜひその経過を見守っています、あるいは早い実施を期待いたします、こういう会話で、日本のマクロの問題についてはこの政策があったからほとんど議論なしで終わりましたよということをあえて申し上げているわけであります。
 当然アメリカに対しては、我々も言うべきことはきちっと言い、会話をしているわけであります。金利の問題もそうだし、二つの赤字の問題も、貯蓄の問題もそうであります。その上、バリ島では円建て債の発行まで相手に提案をいたしているわけでありまして、あるいはアジア諸国がどうこの円高・ドル安を見ているかということも、つぶさに私から、ルービン長官にしろG7でも語っているわけであります。もちろん、ドイツとアメリカのやりとりもありました。あるいはフランスとアメリカのやりとりもありました。
 そういう五時間余りにわたる議論の結果、異例の今回はステートメントを出そう、文書できちっと合意しようということになりました。それでもなかなか余り経緯は説明をしてはいかぬことになっていますが、日本の私どもが最初に反転という言葉を提案しておりまして、その反転ということをすっきり言い切れるかどうか、これが一つの焦点でありましたが、最終文書で、現状は正当化されないという認識とあわせて秩序正しい反転に持っていこうということが合意を見たわけであります。
 その間、いろいろなやりとりがありました。それはドイツに対してもフランスに対しても、財政再建その他の議論もあったわけであります。そういう中で、各国の個別の政策については、内外の不均衡を縮小すべしというこの表現でもう終わっておりますけれども、この内外の不均衡というのは、日米間の経常収支の問題もありますし、アメリカの財政赤字の不均衡も含まれているわけでありますが、そのことには国別に具体的には触れておりませんが、七つの国の大蔵大臣、中央銀行総裁としては、そういう大変締まった、この乱高下の激しい為替相場の変動の中で、これはだめだ、反転さそう、反転ということは円安にドル高に持っていこうということを明確に言い切ることができたわけであります。
 したがって、私は、もう一度整理して申し上げるならば、円高対策を政府・与党で苦労して決めていただいた、これは大変体系立ったもので、必要な柱は全部立てております。そして、このおかげで二国間の蔵相会議やG7を乗り切ることができた。しかも、七カ国で一定の合意を得て共通のステートメントを発表することができた。その後から円が反転の兆しを見せているわけですが、まだ安心できません。きょうは八十六円台であります。あのころは八十一円でありました。ですから、そういうことはきちっとどうぞ御認識をいただきたい。言うべきことはちゃんと言っております。
    〔委員長退席、三野委員長代理着席〕
○松田委員 言うべきことはちゃんと言っておられることはよくわかりました。しかし、言われたことがどの程度相手の行動となったか、そのことがより一層重要であります。追加利上げの問題にしろ、財政赤字削減の問題にしろあるいは円建て債発行の問題にしろ、全部しっかりと米側が受けとめたとは思われません。まさに余りにも一方的な通貨外交であったな。武村蔵相の通貨外交の拙劣さを、非力を思わざるを得ません。
 まさにこのことが今日こうして私たちが大いに悩んでいる円高の一つの大きな理由であることだけは明らかでありまして、私は、ここであえて大蔵大臣の責任の重さというものをはっきりと申し上げておきます。(発言する者あり)根拠がないわけではありません。今のまさにG7での会談、会合のやりとり、今お聞きして、いろいろ言われたが、アメリカ側にはまさにドル防衛をしっかりやろうという意欲が全然にじみ出てこないその姿をまざまざとお聞きしたわけであります。アメリカの問題はもっと責任者たる蔵相の立場からしっかりと督励をしてやっていただきたい、こう思います。
 さて、時間の関係もあります。もう一点、日本とアメリカにとって、そのことはまた世界にとってでもありますが、今貿易の問題そしてまた通貨の問題取り上げてまいりましたが、次に防衛の問題であります。
 またこの連休を活用されて、玉沢防衛庁長官、アメリカにお行きになりました。こうして経済関係でいろいろぎくしゃくしていると一般に受けとめられているようなときこそ、まさに全体として日米関係をしっかりさせる、大事なことであります。世界のこういう新しい諸情勢の中で、日米防衛体制、日米安保条約といったものを新しい意義づけの中にしっかりと打ち立てていく、とても大事なことであります。
 訪米前に、日米安保再活性化を目指して米国がさきに取りまとめた東アジア戦略報告、それに対する見解を防衛庁としてまとめ、その中で、世界平和に向けた米国の活動を積極的に支援する、何といいますか安保体制のグローバル化とでもいいますか、そういった考え方を防衛庁の中では大いに議論され、玉沢長官が今回の会談でアメリカに伝えるべく防衛庁の諸君が一生懸命頑張っておりました。私もお話を聞きました。ところが、実際に首脳会談に行かれたら、どういうわけだか、この日米安保の新しい意義づけといいますか、まさに今最も求められていることでありますが、そのことについてはほとんど触れなかった。
 触れられたというのであれば、一体どんなものであったのか、ぜひ、重要なことであります、この委員会にできるだけの御報告を後刻していただきたく思います。書類の形式で出していただきたく思います。しかし、日米安保の基本的なあり方について御議論されたということであれば、ぜひその概略を、ここでお聞きするにはもう時間がありません、議論をしたかしなかったかということだけを御答弁いただき、そしてさらにじゃ、ちょっと御答弁ください。
○玉沢国務大臣 日米安保の意義づけということについて何か議論があったのではないか、こういうお尋ねでございましたが、既に我が国とアメリカにおきましては、ポスト冷戦下におきましても、アジアの安定と、また我が国の平和と安全を守る上におきましても、日米安保条約は必要である、こういう共通認識に立っておるわけでございます。アメリカ側の方におきましては二月に東アジア・太平洋地域の戦略報告書を提出いたしまして、その中におきましては我が国の認識と全く同じでございます。
 したがいまして、そういう認識の上に立ちまして私もそのことを申し上げたわけでございますが、特段、日米安保条約の再評価とか意義づけということについては、もう両国が共通の認識に立っておるわけでありますから、その点についてはくどくどと議題を上げて議論をするということは必要ないと、向こう側もそう言ったわけでございますので、そのように我々もやったわけでございます。
 ただ、今議員が御指摘になられましたように、防衛庁が、新しい日米安保条約の意義づけといたしまして、何か世界的に我が国がアメリカを支援するかのようなことを検討したということを言われましたが、そういうことはございません。
○松田委員 日米安保体制がこれからどうあらねばならないか、とても大事な問題であります。特にアメリカとの間でその点についてしっかりと議論をしていただきたい、そう思えばこそ申し上げたのであります。ところが防衛庁の諸君から聞くと、これはだれと言うとまた後であれですが、課長さんです、余りその点についてはこの首脳会談で議論にならなかった。議論にならなかった理由は今長官が説明されましたが、私は、そんな程度のことではよくない。もっとしっかりと、これからの日米安全保障体制のあり方、その中で条約の果たす意味、しっかり議論しておいてほしいと思うものですから、あえて取り上げた。ところが、十分にその点は議論がなかった、これが防衛庁の諸君の言っていることでありますので、あえて申し上げておきます。
 さて、時間の関係もありますから次に参りますが、運輸大臣、これも私、運輸大臣が発言されて、なぜこういうことを取り上げるか、大変日米関係が大事なときなものですから取り上げておるわけですが、こんなような趣旨の発言をされているというのです。
 米ソ冷戦終了後、アメリカには西側同盟諸国を大事にしようという気持ちが希薄になった。特に日本に対しては商売がたきと見るようになっているのではないか。比喩的に言えば、かつてアメリカはアフリカから黒人を奴隷として買ってきて労働力を確保したことがあるが、今日、アメリカには東の海の片隅に日本という便利な国があると思っているのではないかと疑いたくなる対応が目立つ。戦後、日本はアメリカの助けを受けてこれまでやってきたが、そこにはアメリカによるマインドコントロールがあった。内外要因の変化が重なったそのときに村山政権が成立したことは象徴的なことだった。村山さんはアメリカのマインドコントロールを受けていないし、今後その可能性もない。その意味で、アメリカがいら立ちを感ずるのは当然かもしれない。
 ほかにもいろいろあったのですけれども、目を引いた、私にとってちょっとこれはどういう理解かなと思った点だけ申し上げましたが、運輸大臣、こんな趣旨の発言をされたのでございますか。
○亀井国務大臣 お答えをいたします。
 私は、委員もそうであろうと思いますが、日米関係が極めて重要である、そういう基本的な立場に立っておるわけでございます。これを今後とも真摯に強化発展をさせることがなければ、世界の平和、また我が国の発展、安全はない、このように基本的に考えておるわけであります。我々自身もそうした努力を真摯にやらなければなりませんけれども、しかし、アメリカもその点については十分努力をしていただかなければならない、このように考えておるわけであります。
 ところが最近、為替レートの激変等に対するアメリカの対応あるいは日米交渉等におけるアメリカの姿勢等を見ておりますと、ひとつ文句も言いたくなるような点もあるわけでございまして、オフレコのこれは会合でございましたけれども、そこにおいて委員が御指摘のような発言を私はいたしておりますが、別に私は日米交渉の過程とか公の席上でアメリカに対するアナウンスという立場でこのことを言ったわけではございませんが、そうした会場での私の発言が報道されたということでございます。
○松田委員 私は、きょうは時間がありませんでしたから、例えば円の国際化の問題、その関連で例えば日本とアメリカ、結局、ドル圏、円圏といった議論がありますが、アジア・太平洋地域ではアメリカの経済の存在とともに発展がある。そういう意味で、円圏、ドル圏、共存していくような世界。マルクのようにマルク圏ができてというわけにもいかない。
 経済の面、防衛の面、通貨の面、どんな面から見ても日本とアメリカというのは本当に一体だ、お互いに深く理解し合って一生懸命やっていかなきゃならぬ、それでこそ日本の幸せもありアジア・太平洋の幸せもある、こう思っている一人でありますが、そういう認識からすると、幾ら何でも中途半端な認識を亀井先生はお持ちだなと。尊敬する亀井先生には、こんな発言をされたということを今認められたのでがっくりきたということだけはっきり申し上げておきますが、しかし、そんな方が閣僚である村山内閣というのもたまらないなともまた思わさせていただきます。
 同時に、村山総理……(発言する者あり)はっきり、だからこそ物を言ってくださいと申し上げているのです。言っている中身が見当外れだから。(発言する者あり)
○三野委員長代理 お静かに願います。
○松田委員 さて、村山総理。その意味でアメリカがいら立ちを村山総理に感ずるのは当然かもしれない、それもはっきり亀井さんは言われたそうでありますが、アメリカは村山総理にいら立ちを感じている、こうおっしゃっておられる、あなたの閣僚の一人が。これについてどう思われますか。
○亀井国務大臣 私が申し上げているのは、今の村山総理が、まさに我が国の国益を考えながら、アメリカとの真のパートナーシップを構築しようという、対等な形で構築しようという立場におられるということ、このことを私はそういう形で申し上げたわけでございます。
○村山内閣総理大臣 今運輸大臣の発言したとおりに私も受けとめておりますし、そういう格好でこの日米関係を強化していくために私も真剣な努力をしておるということだけは申し上げておきます。
○松田委員 アメリカが村山総理にはいら立ちを感じておる、それは当然だ、こう閣僚の一人が言われ、それを御否定もなさらない総理、まあそういうことでございますか。まことに私としては、そういう村山内閣あるいは村山総理、今日本の最も高い地位にあっていいものだろうか、そんな感じをまた一層強くしたわけであります。
 さて、時間が来ました。最後に、この三月下旬に与党三党の代表が北朝鮮を訪問されました。外務大臣は、先般の外務委員会だったと思いますが、政府として北朝鮮に対して国交の正常化交渉の再開を呼びかけておるが、なかなかその再開ができなかったところ、与党代表団の訪朝によって交渉再開の道筋がつけられたということで、そのことを歓迎しているという趣旨の御答弁をされておられます。私もそれを聞いておりますので、念のため。
 さて、その訪朝団と北朝鮮労働党との間で二十九日から三十日未明にかけて実務者会談が行われ、そこで重大な発言が北朝鮮側から行われた。同席した関係者によりますと、北朝鮮側は、ミサイルの発射角度を二度ずらせばほかの国に飛んでいくと発言したとのことであります。これは標的を日本とした恫喝でありまして、このような恫喝のもとにもし国交正常化の道筋がつけられたとすれば、とんでもないことであります。
 外務省からも四人が随行されておられます、この訪朝団には。外務大臣は報告を聞いておられるはずと思いますが、これは事実ですか、外務大臣。
○河野国務大臣 先ほど来からの御質問の中で、御質問の根拠、出どころがはっきりしない質問がしばしばございます。ただいまの御質問も私は全く議員の御質問の根拠がよくわかりません。
 もしこうした御質問をなさるならば、質問の根拠を示して御質問をいただきたいし、先ほど来から外務省に対していろいろとおっしゃることについても、私が根拠を示してほしいと申し上げたにもかかわらず根拠をお示しにならないということは、事実無根であったと、私はそう考えます。
    〔三野委員長代理退席、委員長着席〕
○松田委員 外務大臣は、以上のような、私が申し上げたようなことについては御報告を聞いておられない、そういう事実はない、こういうことでございますね。
 私も大した根拠があるわけじゃありません。(発言する者あり)私自身がそこにいませんから、私自身が確かめた根拠がないと申し上げているだけです。しかし、この週刊ポストという雑誌にそのことがるる書かれてあります。本件の根拠はこの週刊ポストでありますが、しかし、これが事実だとすれば大変なことだと思って取り上げたわけであります。ですから、事実かどうか、そのことを究明するのが我々国会議員の務めだ、私はそう思うわけです。
 さてそこで、その会議には、自民党から保利耕輔さん、大木浩さん、社会党から関山信之さん、深田肇さん、さきがけから菅直人さんが出席しておられます。これは事実でしょう。あちこち皆確認しました。さて村山首相、党の代表者として、これに出られた方から今私が申したようなことについて聞かれたことはありませんか。
○村山内閣総理大臣 聞いたことはありません。
○松田委員 それでは、私は、本件の事の重要性にかんがみまして、もしそういう事実があったとすればとんでもないことでございます。したがいまして、私はぜひ、この実務者会談に御出席をされました自民党の保利耕輔さん初め皆さんの証人喚問を要求しとうございます。(発言する者あり)総理、今お笑いになられましたね。もし事実だとしたらどう思われますか。まさに私はそういう意味で、今の政府のやり方がいかにずさんであるか、そのことを申し上げておきます。
 私に与えられました時間が参りましたのでやめますが、社会党が得意とされた中国、北朝鮮との関係も、きょう申し上げたようなとおりだ。また、まさに大事なアメリカとの間でも、通貨外交あるいは貿易外交、安全保障、どこから見ても今まで以上に緊密な関係をつくっていかなければならない、そういうときにあるのに、十分な努力がなされていない。まさに先ほど出たとおり、閣僚も認めるアメリカ嫌いの総理大臣、アメリカが嫌うと言っている総理大臣、まさにこうした政治が私は今日の円高や不況の一つの要因だと思うのです。今最もそういう意味で求められていることは、私は、村山内閣が一刻も早く退陣することである、そのことを強く申し上げて、私の質問を終わります。(発言する者あり)
 証人喚問を要求しておきますよ。これは委員会でぜひ取り上げていただきたい。私は冗談にこんなことを取り上げていることではない。ぜひ理事会で御検討いただいて、証人喚問をお願いし、本当に北朝鮮が実務者会談で先ほど述べたようなことを申したのか、そのことが一体国交正常化交渉のもとになった与党訪朝団の判断にどう影響しているのかそのことをしっかり明らかにすることがまさに我々に課された責務だと存じます。
 時間が参りましたので、以上をもって私の質問を終わります。
○佐藤委員長 ただいま松田委員の方から議員の証人喚問についてお話がございましたが、野党の理事さんの方もお聞きになっておらないようでございますので、そういうことを御理解をいただきたいと思います。
 これにて野田君、松田君の質疑は終了いたしました。
 次に、吉井英勝君。
○吉井委員 日本共産党は、私たちは、八九年の坂本弁護士一家拉致事件を初めとする一連のオウム事件の徹底捜査を要求して、また、上九一色村など関係する地元で住民の闘いの先頭に立って、彼らのどんな脅迫や妨害にも屈しないで奮闘してまいりました。昨日、オウム真理教の麻原教祖が逮捕されたことは、全容の解明に向かっての第一歩であります。今国民の最大の関心事は、残存サリンはどうなっているのかということであります。
 そこで、国家公安委員長に最初に伺いますが、昨日井上警視総監は、これまでの捜査で、残っているサリンはまずないのではないかと語っていますが、具体的な何か根拠があるのでしょうか。あるいは証明されているのかどうか、このことをまず伺いたいと思います。
○野中国務大臣 お答えいたします。
 総監が会見で申したことは、今日までの捜査の過程で、大量にサリンが生成されたという状況にはないと認識をしておること、さらには今日までの逮捕した人間の供述から、生成されたサリンが既に大宗部分について処理を終わっておる、処理されておるという認識に立って申し上げたわけでございまして、少量といえども残存しておるということを否定したわけではないわけでございますので、私どもといたしましては、たとえ微量でありましても、これが隠匿され、かつ飛散をすることがあれば重大な事件に発展する可能性があるわけでございますので、先ほど申し上げましたように、その他の毒性物質を含め、銃器等を含めて、徹底した警備、そして捜査、さらには再発防止のために万全を期してまいりたいと考えておるところでございます。
○吉井委員 警視総監の発言とは別に、総理の方は、サリンを隠匿、所持している可能性も否定できないと、昨日の段階では相反する見解を述べておられました。
 これまでの警察取材に基づく報道などによりますと、第七サティアンでサリンが生成されたと思われるような記述があったり、また、第七サティアンのプラントについての証拠保全を行ったこと、それから、サリン原材料の大量の三塩化燐がプラント内に残っておったことなどが報道されておりまして、それらを読んでおりますと、大量に生産されたのではないかという懸念も生まれてくるわけであります。
 それが最近では、土谷容疑者の供述として、実験室で数十キロつくっただけで、そのうち地下鉄サリン事件で十キロほどが使われたと報道されて、昨日の警視総監の会見では、土谷容疑者の供述など、捜査に基づいて残っているサリンはまずないと語っておられたわけですから、そうしますと、一体これでは何が本当なのかと、国民の不安というのは解消されません。
 サリン事件の経過を少し見てまいりますと、ことし一月一日の読売新聞で、警察当局だけしか知り得ないと思われるような捜査の内容、サリン鑑定の経過と結果、捜査態勢までが報道されておりました。
 こういう記事なども含めて、この間の問題、少し整理してみますと、松本サリン事件で犯人でもない人を全く見込み違いで捜査をしたこと、九月から十一月にはサリンの生成疑惑を確認しながら、手を打たなかったために、その間もサリンが製造され続けて、そのサリンが地下鉄事件で使われてしまったと思われること、一月に捜査の内容が新聞に報道されてからも、三月二十二日までの八十一日間、強制捜査に入れなかったわけですが、そのために地下鉄サリン事件がこの間に起こって、多数の犠牲者や被害者が出てしまったということ、また、この間にオウムの方が組織的証拠隠滅を図ったという点、そこがやはり問題だと思うわけです。
 警察の捜査が後手後手に回り、対応に重大な手落ちや立ちおくれがあったということは明らかだと思うのですが、麻原教祖逮捕で終わったというわけではないわけですから、何といっても今、この国民の願っているサリン事件の全容の徹底解明、そしてこの再発の防止、そして、やはり警察情報という報道だけじゃなしに、節目節目にきちんと国民に事実を公表する、このことが私は必要だと思うのです。
 この点については、総理に、これを約束されるかどうか伺っておきたいと思います。
○村山内閣総理大臣 この一連のオウム真理教の捜査の関係につきましては、今お話もございましたように、もう長い期間、非常に困難な条件の中で、慎重に、しかも厳正に、粘り強くこの捜査を続けてきた。ようやくオウム真理教の麻原彰晃を逮捕するというところまで来たわけでございます。
 しかし、まだその全容が解明されているわけではありませんから、したがって、その全容が解明されるまでは、やはり徹底した捜査と再発防止に努める必要があるというふうに私は考えておりますから、そのように申し上げておるわけです。
 したがって、国民の皆さんにもその点は周知をして、国民の御理解と御協力もお願い申し上げたい、こういう気持ちでいっぱいでございますが、やはりこれは、捜査の過程においてなかなか発表しにくい点も私はあると思います。したがって、そういう点につきましては、この捜査の段階段階に応じて、必要に応じて国民の御理解を求めるということは必要なことだと思いまするから、そういう点については十分検討して、対応してまいりたいというふうに思います。
○吉井委員 やはり節目節目にきちんと国民に事実を公表するということをやっていただきたいし、何よりも再発防止に全力を尽くされたいと思うのです。
 この猛毒ガスを使った大量殺人、拉致監禁、暴行、児童虐待など、オウム関連の事件として深刻な問題がたくさん残っております。上九一色村の住民の皆さんは、オウム施設の完全撤去と住民に対する報復テロ行為が行われないということを願って、住民集会などを開いたりしております。住民の安全を守るということと、それから、何といってもこのオウム事件の原点とも言える坂本弁護士一家拉致事件の解明と、家族三人及び仮谷さんの救出に政府は総力を挙げて取り組んでいただかなきゃならぬ、このことを求めておいて、私は、次に震災問題に入りたいと思います。
 五千五百名を超える犠牲者を出して、そして四十万世帯の人々が倒壊や焼失によって家屋を失った阪神大震災から四カ月がたちました。私も先日、先週ですが、改めて神戸の被災地を訪れて、今なお五万人の人々が避難所やテント暮らしを続けているところを訪ねてきました。また、住宅や宅地の擁壁やがけ崩れの実態を見てきました。今、梅雨を控えて、テント暮らしというのは本当に表現しがたいほど大変な事態です。そして、がけ崩れのところでは、人命にかかわる二次災害が心配されるという事態になっております。
 災害から国民の生命財産を守るということ、このことこそが政治の最大の責務でありますから、そこでまず最初に、阪神大震災でがけや擁壁の崩れにより、住宅宅地に被害の出たところは何カ所あったのか、それらはどのような対策を講じてきたのか建設大臣の方に伺っておきたいと思います。
○豊田(高)政府委員 事実関係、数字のことでございますので、私からお答えさせていただきます。
 地震直後に、全国から約二百六十名の応援を得まして一斉調査に入りました。千二百カ所、ずっと調べまして、がけ崩れ等の緊急調査を行ったわけですが、そのうち特に緊急性の高い六十六カ所につきまして、平成六年度の補正予算で現在事業を実施しているところでございます。
 このうち、今先生が御質問ございましたがけ崩れがどうかといいますと、二十六件でございます。つまり、六十六件と二十六件の間の約四十件はかけ崩れ以外の、地すべりだとか、渓流が崩れただとか、そういうものでございます。それからこのほかにも、崩れないまでも山腹だとか斜面に亀裂が生じておる心配がございまして、こういったところの二次災害防止のために、今後、土石流、地すべり、がけ崩れ対策を強力に推進していかなければならないと思っております。
 それからもう一つ、宅地被害についてどうかという御質問でございますが、これは兵庫県、神戸市などの地方公共団体の調査によりますと、現在約四千五百件であるというふうに聞いておるところでございます。
○吉井委員 その四千五百件のお話ですが、対策はどうなっているんですか。
○豊田(高)政府委員 この四千五百件の箇所につきましては、そのうち特に危険性がある、心配があるということで、県、神戸市の方から対策を勧告した箇所がございます。これが約二千件でございます。うち二千件について持ち主において何らかの対策をしてください、第三者に被害が及ぶおそれがあるから対策をしてくださいといって勧告をしたのが二千件でございますが、これらの持ち主が基本的には対策をすべきでありますが、特に、そうは申しましても個人には限界がございますので、一つとして、住宅金融公庫の融資制度を活用するというのが一点。(吉井委員「細かい話はいいですから」と呼ぶ)はい、もう少し。
 それから、災害開運緊急急傾斜地崩壊対策事業の特例措置というものを設けまして、やっております。こういった災害復旧の制度活用を行いまして、現在、鋭意対策を進めておるというところでございます。
○吉井委員 今のお話を聞いていまして、本当にのんきな答弁だと思うのです。現場はそんな実態じゃないのですよ。
 私は一週間前に見てきて写真を撮ってきましたから、これをよく見ていただきたいのですけれども、一月の地震から四カ月たって、まだこういう状態なんですよ。もともと山の多いところに、山を削って垂直に擁壁を立てて土盛りをすれば危ないのはわかっているのですが、国も県も市もそういう開発のやり方を認めてきたわけでしょう。そこへ個人が家を建てて、地震でこういう被害を受けたわけです。
 これは、このままでは少し解説を入れないと難しいと思いますが、この手すりのこちら側には私道があったり階段があるのです。その上にまた、垂直に立っているところに家があったんですが、これが崩れたわけです。この家は今崩れかかっているのですね。この家の下の方も、またこれは住宅があるのですが、がけ崩れによって下の家はもうつぶれかかり、住めないという状態です。
 大体こういうことが四カ月間も放置されて、日に日に事態が深刻になってきている。梅雨に入って集中豪雨が来ればどうなるか。これは私は、大きな豪雨が来れば間違いなく崩れると思います。そのときには、下の家が崩れたときにはその下にある道路が封鎖される状態になるのですが、そうなりますと、山側にある二百五十戸の住宅には、消防車も救急車も清掃車も通分道が封じられてしまうという大変な事態であるわけです。
 一体これをいつやるのかといったら、八月末に工事をやるというのです。こういうことでは、これは豪雨が来たときに、本当に市民の皆さんの生命も財産も保障されないじゃありませんか。
 私は、総理は一月の国会で、一番大事なことは被災者の要請にどうこたえるかということだ、そう答弁されたわけですが、二次災害が心配されるこの梅雨までにどんなことがあってもこういう問題については緊急に対策をとって解決しなければならぬと思うのですが、それをされるかどうか、この点をお聞きしたいと思います。
○野坂国務大臣 お答えいたします。
 今、河川局長が申し上げましたが、先生御指摘のように、一番危険な箇所は六十六カ所で、現在工事中でございます。今度の、お話がありましたように、四千五百カ所あるじゃないかと。これは、二千カ所に集中しておるということを答弁しておりました。これは、上にあるお宅と下にあるお宅とは両方とも申請をされておりますので、精査いたしますと大体二千カ所ということになる模様であります。
 今までは、がけ崩れのがけの高さは五メーター以上ということになっておりますが、今回の震災に限って三メーターまでは全部引き取るということで、公共事業で百五十カ所は実施を今しておるところでございまして、あとの問題は、今申し上げましたように、恒久的な対策としては、個人の財産なので、いわゆる三%でその宅地と擁壁についてはやる、道路の横の擁壁は公共事業だ、こういうふうに割り切っております。
 したがいまして、当面する第二次災害を防ぐというためには、兵庫県と話し合ってまいりまして、兵庫県の方が具体的に五項目を上げて、仮排水工とか土の除去とかそれらの問題については対応するということを明確にして、御本人の負担はかけないということにいたしております。
 したがいまして、お話がありましたように六年度の補正と今次の本予算、今度の補正で事業量は百二十億円、それから個人の復旧のところは五百八十万で貸してさしあげる。災害の緊急の傾斜荊の問題……(吉井委員「基本的にやられているかどうか、そこを答えてもらったらいいんです」と呼ぶ)今言われたことですね、今言われたことは、今度の予算で八十億を計上して直ちにかかりたい。少なくともできるだけ速やかにこの予算を上げてもらいたいということであります。
○吉井委員 大体、一月以来今まで四カ月間ですよ、放置されてきて、今そんなのんきなことを言ってもらっては困るのですよ。本当にその四カ月間にどういう事態が起こっているかということをもっと知ってもらわぬと困ると思うのです。
 先日も、十二日の豪雨によって、神戸で地震で壊れかかった八階建ての雑居ビルが完全に倒壊したわけでしょう。あのときに新たにがけ崩れが、宅地の擁壁、がけ崩れで百件を超えているのですよ。木造アパートも壊れました。神戸市北区の有馬温泉では百三十人の避難勧告が出たぐらいですよ。
 ですから、こういうところについて、この予算を組んだから上げてもらってから、そんなのんきな話じゃもう間に合わないのですよ。直ちに取り組んでもらわなきゃいけないし、今まで四カ月間放置してきたこと自体が問題なんだということ存本当に肝に銘じて、総理、これは梅雨に入るまでに緊急対策を講じる、この一言、あなたの決意を伺っておきたいのです。
○村山内閣総理大臣 今度の阪神・淡路の大震災で、がけ崩れがあったりあるいはまた多くの宅地の擁壁が崩れたという被害が出ていることはもう私も十分認識をいたしておりますし、梅雨期を控えて二次災害が心配されるということについても認識をいたしておりますから、そうしたものについては現地と十分打ち合わせをして対応を迅速にやるということについては申し上げておきたいと思います。
○吉井委員 それで、本当に全力を挙げてやっていただきたいのですが、なお三つの基準ということを挙げられましたけれども、集中豪雨の雨は基準に合うところだけ来るわけじゃなくて、基準に合わないところも同じように来るわけですよ。基準に合わせてそっちは個人で心配しろと言ったって、もともと大震災ですべてを失った人たちにどうしてこれができるのですか。個人でやれというのはもともと無理なわけです。
 そういう点では、今度の補正の中でも例えば百五十カ所の予算を組まれました。四十億から五十億の国費でやるということですが、建設省で言っている千五百カ所というなら十倍の予算でしょう。約四百億円ですよ。これは今度の補正で言っている、今世界でもうけ頭になっているGM、フォード、クライスラーの三社に対して今度三百七十八億円かけて東京、名古屋、大阪の三カ所に展示場をつくってやると言っているじゃありませんか。
 そういう金があるならば、まさに今本当に生命財産を脅かされているこの被災者の皆さんの復旧、復興に当たる、二次災害防止のために全力を尽くすということこそ政府としてやるべきことじゃありませんか。そのことを私は最後にもう一度あなたの決意を伺って、質問を終わりたいと思います。
○村山内閣総理大臣 先ほども申し上げましたように、何をおいても人命救助が一番大事ですから、したがって現地の実態というものを十分把握した上で連絡をとり合って対応してまいりたい、もう何よりも人命救助については全力を挙げて取り組みたい、このことだけは申し上げておきます。
○吉井委員 終わります。
○佐藤委員長 これにて吉井君の質疑は終了いたしました。
 次に、海江田万里君。
○海江田委員 まず、政府の経済成長率の見通しの問題ですが、最近、政府の経済成長率の見通しとそれから実績との間の乖離が非常に大きくなっていると思うのですね。
 特に九三年度の場合は、政府見通しがプラスの三・三%であったのが、実際はマイナスの〇・四%で、差が三・七%にもなってしまっている。こういう現実を踏まえて、学者の中には、政府の経済見通しに一・二倍をして、そしてそこから二%を引くと大体これが実績になるのじゃないだろうか、こういう説を唱える人もいるくらいでございますけれども、予算の議論をする場合は、この政府の経済見通しというのが非常に重要、それが当然のことながら前提になっていなければいけないわけです。
 朝方の衛藤委員の質問に対して、緊急経済対策で一・二%の成長が期待できるということをお話しになりましたけれども、それでは、一・二%の成長が見込めて、当初二・八%という数字を出しておったわけですから、それが一・二%さらに上積みになるのか、それとも一・二%上積みになって最終的に二・八%になるのか、その成長率の見通しとの関係はどうなっておるか、教えていただきたいと思います。
○高村国務大臣 残念ながら、一・二%プラスで四%というわけにはいかないわけであります。
 今、急激なドル安・円高の中で、非常に経済に悪影響を及ぼすおそれがあるという中で、二・八%あるいはその近辺を達成するためにはこのくらいの追加が必要であるということも考えてこの対策を打ち出した、そしてそれを実行するために補正予算を御審議いただいている、こういうことでございます。
○海江田委員 せんだって、阪神・淡路大震災のときも、私は、どの程度の被害を受けて、それが結果的に二・八%という成長率をどのくらい低くするのかというお尋ねをしたのですけれども、そのときも御返事がなかった。今回は補正ですから、その二・八%というのは当然本予算のところでそういう数字が出てきておるわけですから、やはり補正のときはそれが何%ぐらいになって、民間は大体一%ぎりぎりじゃないだろうかとかそういう議論があるわけですね、そういう議論が全くなしで出てきたのか。
 そろそろこの成長率の見通しというものがほとんどもう意味を持たなくなっておるのじゃないだろうか。強いてその見通しの意義というものを探すとすれば、これは大蔵主導になって、経済企画庁でなしに大蔵が主導になって、それこそ赤字国債をなるべく圧縮をさせる、財政の論理が前に出てきておるのではないだろうか、私はそういう気がするのですが、いかがでしょうか。大蔵大臣でもよろしゅうございます。どちらでもよろしゅうございます。
○高村国務大臣 税収見積もりが先にあって、そのためにどのくらい成長率が必要だからこういう見通しをつくるということは、少なくとも平成七年度の経済見通しをつくるときにはやっていないわけであります。
○海江田委員 今の御答弁だけでは甚だ説得力に欠けると思うのですね、正直申し上げまして。
 私は、例えばこれだけ変化の大きい年ですから、それからアメリカなんかは議会が一緒になって、そして年の半ばに成長率の見直しをやっておるわけですね。ところが日本は、前の年の十二月に決めたらそれが翌年の、一年以上にわたってずっと一つ数字がそのままついて回っている。しかも、だれもその数字を信用していないということ。
 この現状でしたら、それこそ大変な労力をかけて、それから大変なお金をかけて実はこの見通しをつくっておるわけですよ。アメリカなんかは、これは若干数字は違いますけれども、景気先行指数を商務省がつくるのをやめて、民間の数字でいいじゃないかということを言っておる。あるいは実質GDPの計算方式を変更するとか経済が非常に動きが激しくなっているときに、合わせた見直しをやっておるわけですよ。
 十年一日のようにこのとおりやっておって、しかも二十四年間調べたら、誤差が〇・五%の範囲でおさまったのはたったの六回しかない。一体、それほど大きな経済の見通しの、成長の見通しの誤りをやって、だれか一人でも経済企画庁長官がやめたとか、経済企画庁のお役人がやめたとか、そういうことがあるんですか。こんないいかげんな数字を出しておいてだれも責任をとらない。無責任のきわまりだと思いますが、いかがでしょうか。
○高村国務大臣 一年以上見直しをしないとおっしゃいましたけれども、毎年十二月に新たにつくるときに、その年度の中のものも一応修正をしているわけであります。
 そして、政府の経済見通しというのは、私たち単なる予想屋に徹してやるわけではなくて、できるだけ望ましい経済の姿を描きたい、こういう要請もあるわけでありますから、経済が過熱しているときには若干低目になりがちである、あるいは、逆に不景気の場合には若干高目になりがちである、こういうこともあるわけであります。
 確かに委員御指摘のように、平成四年度、五年度、バブルの崩壊の影響を低く、過小評価し過ぎたということもありますし、それから急激な円高、冷夏、長雨というようなことを平成五年度については予測できなかった、これは仕方ないことだと思いますが、少なくとも、将来にわたってはより的確な見通しをして、後任の長官が困らないように頑張ってまいりたい、こういうふうに思っております。
○海江田委員 時間がありませんので、規制緩和の問題で一つだけ総理にお尋ねというか、決意のほどをお聞かせいただきたいのです。
 せんだって横浜の輸入住宅の展示場をごらんになってきたということですが、ごらんになって、やはり日本住宅がいいわとおっしゃったとか言わないとかいろいろ出ております。私は、せっかくこの輸入住宅をごらんになったら、例えば、確かに輸入住宅、住宅そのものの費用は安い、ところが、何で日本の住宅が高くなっているかというと、当然、住宅を建てる工事費でありますとか人件費でありますとかこういうことが高いわけですから、結果的に、本当に、輸入の原材料の費用が住宅建設費の中で占める比率というのはせいぜい二〇%がいいところなんですよ。残りの八〇%を何とかしなきゃいけないのですね。
 例えば、政府が緊急円高対策でやりました、規制緩和の五カ年を三カ年でやるというあの話。あの中で、水道工事の指定工事店制度の抜本的な見直し、これを当初五年でやる、平成十一年までにやるというのを、これを三年に前倒しをしよう、二年前倒しをして三年間でやろうということですけれども、せっかく総理が横浜の住宅を見てこられたら、やはりこういう問題は、そん室二年と言わずに、もうすぐに着手をしても私はいいと思うのです。
 この規制緩和の問題はお役人に任せておいたんじゃこれは一歩も進みません。これは政府の、あるいは政治家の指導力というのは、この規制緩和の問題、どういうふうにお考えか、お聞かせください。
○村山内閣総理大臣 規制緩和の問題につきましては、三年の前倒しをいたしました。
 同時に、今行政改革委員会の中に規制緩和小委員会というものがつくられておりまして、そこで鋭意検討いたしてもらっております。ここから勧告があれば、その勧告を受けて政府は実施をする。こういう段取りをつけておるわけでありますけれども、規制緩和の問題はこれだけ大きな問題になっておるわけですから、したがって私は、具体的に問題提起があって、これはやはりやるべきだ、こういう判断がつけば直ちにでもやらなきゃならぬ、こういう受けとめ方をして規制緩和に取り組んでいきたいというふうに考えています。
○海江田委員 では、ついでにですけれども、一ドルは今八十六円ぐらいですよね。では総理、一円は何ドルですか、御存じですか。ぱっと計算ができますか。もしすぐできたら、一円は何ドルですか、これは。
○村山内閣総理大臣 八十六分の一になります。
○海江田委員 そうです。なかなか見事なお答えですが、○・○一二ドルですね。ということは、一円は一セントなんですよ、これは。私は、これは日本の政治家として、果たして一円が一セントでいいのかという、この問題はやはり一度考えてみる必要があると思うんですね。
 これは何を言いたいのかというと、形を変えたデノミということなんですけれども、円の国際化ということを叫びながら、一円が一体幾ら、例えば基軸通貨の米ドルに対して幾らになっておるのかということ、これは実は日本のマスコミにも問題がある。NHKも、一ドルは幾らということを毎日出すけれども、一円は幾らかということを出さないんですよ。ヨーロッパなんかでは、確かにドルは基軸通貨ですから、一ドルは何マルクということも出しますけれども、それと同時に一マルクは何ドルということも出すわけですよ。そういうことをやって、本当は円の国際化ということをやはり考えていかなきゃいけないわけで、そういう観点から、円の国際化という観点から、私はやはりデノミということも考えてみてもいいのじゃないかと思いますが、これは大蔵大臣、どうですか。デノミなんということは全く考えたことがないのか。それとも、本当は時々考える、今の一ドルの、一円の問題からいっても。だけれども、言うと差しさわりがあるから言えないというのか。どちらでしょうか。
○武村国務大臣 デノミについても時々人から意見を承ることがありますが、今政府は考えておりません。
 やはり、だんだん戦後育ちといいますかが圧倒的にふえてきまして、今の通貨の基準になれ親しんでいただいていることもありますし、デノミをやるときには相当な、企業にしても、日本の経済社会全体かなりのコストも覚悟しなければならない、そういう問題もあることも認識しながら、これは御意見として承らせていただきます。
○海江田委員 時間ですので、終わります。
○佐藤委員長 これにて海江田君の質疑は終了いたしました。
 次回は、明十八日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時五十一分散会