第132回国会 地方分権に関する特別委員会 第7号
平成七年三月二十九日(水曜日)
    午前九時三十三分開議
出席委員
  委員長 笹川  堯君
   理事 中馬 弘毅君 理事 野田 聖子君
   理事 蓮実  進君 理事 山崎広太郎君
   理事 吉田  治君 理事 畠山健治郎君
   理事 田中  甲君
      石橋 一弥君    遠藤 利明君
      西田  司君    浜田 靖一君
      平林 鴻三君    山口 俊一君
      若林 正俊君    青木 宏之君
      今井  宏君    岩浅 嘉仁君
      古賀 敬章君    佐藤 茂樹君
      須藤  浩君    富田 茂之君
      赤松 広隆君    網岡  雄君
      緒方 克陽君    穀田 恵二君
 出席国務大臣
        自 治 大 臣 野中 広務君
        国 務 大 臣
        (総務庁長官) 山口 鶴男君
 出席政府委員
        総務庁長官官房
        審議官     土屋  勲君
        総務庁行政管理
        局長      陶山  晧君
        自治省行政局長 吉田 弘正君
        自治省財政局長 遠藤 安彦君
        自治省税務局長 佐野 徹治君
 委員外の出席者
        議     員 冬柴 鐵三君
        議     員 増田 敏男君
        議     員 今井  宏君
        議     員 山崎広太郎君
        地方分権に関す
        る特別委員会調
        査室長     前川 尚美君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月二十九日
 辞任         補欠選任
  若林 正俊君     石橋 一弥君
  青木 宏之君     須藤  浩君
  穀田 恵二君     古堅 実吉君
同日
 辞任         補欠選任
  石橋 一弥君     若林 正俊君
  須藤  浩君     古賀 敬章君
同日
 辞任         補欠選任
  古賀 敬章君     青木 宏之君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 委員派遣承認申請に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 地方分権推進法案(内閣提出第六一号)
 地方分権の推進に関する法律案(冬柴鐵三君外
 三名提出、衆法第二号)
     ――――◇―――――
○笹川委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、地方分権推進法案及び冬柴鐵三君外三名提出、地方分権の推進に関する法律案の両案を一括して議題といたします。
 本日は、午前中、冬柴鐵三君外三名提出の法律案について審査を行い、午後は両案について審査を行うことといたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。畠山健治郎君。
○畠山委員 私は、各党が政策を提示して相互に討議を深めるということは、議会制民主主義を深めるという意味でも極めて意義の深いことだというふうに思っております。特に、今行われております統一地方選挙の真っただ中に行われるこの地方分権の審議の意義というのは、極めて大きいものだというふうに思っております。しかも、衆法、閣法に基本的な差異というのはほとんどないのではないだろうか。これまでの審議の中でも、政府側からもそのような答弁が出されておるところであります。
 したがいまして、私は、きょう御質問させていただきますけれども、討議というよりも、素直に質問をさせていただいて、相違点がもしあるとすれば浮き彫りにさせていただきたいものだ、そういう観点から質問をさせていただきたいというふうに思っております。
 特に通告はしておりませんでしたが、三月の地方議会におきまして、審議促進、早期成立ということのいろいろの決議がなされておりまして、私のところにも二百を超える決議案文が届いておるところでございます。そういう立場から、まず最初に、審議の促進、早期成立という立場からのお考えを承らせていただければ大変ありがたいというふうに思います。
○冬柴議員 確かに、地方分権推進は、我が国の政治におきまして、明治以来の大転換を果たそうとしている大きな課題であるというふうに思っております。
 地方六団体、率先して対案を提案をされた、そういうような努力も見られますし、各地方議会におかれましても、この機会に、いわばシャウプ勧告以来我が国の大きな政治課題とされてきた地方分権を進めていただきたい、このような強い要請がなされているところであります。
 そのようなものを受けまして、我々も、何としてもこの国会で成立をさせ、できれば、推進委員会の委員も国会の同意大事にたっております。したがいまして、この通常国会におきましてそのような手続を済ますことができるように、早期成立を図りたい。そのためには、我々の提案をしているいい部分もぜひ取り入れていただきまして、国会がこぞって、後世評価をされるような仕事をしてまいりたい、このように思っております。
○畠山委員 新進党案を拝見いたしますと、大して大きな違いではないと思いますけれども、相違点は、私からすれば六点ぐらいあるのではないだろかなというような気がいたしております。それとても根本的に相違しておるとは思われないというふうに思っております。基本理念あるいは基本方針及び推進方策という法律上の構成は全く同じではないだろうかなというふうに思っております。このような内容であれば、政府案に対する対案ではなくて、むしろ修正案であってもいいのではないだろうかというふうな気がしてならないとも思っております。
 もちろん、法案というのは、提案は各党に固有の権利として、我々持っておるわけでありますから、否定するつもりは全くございません。そういう立場から、対案ではなしに修正案的な内容ではないだろうかなというふうに考えますが、あえてその点について御見解を承りたいというふうに思います。
○増田議員 畠山委員の御質問にお答え申し上げます。
 今お話がございましたが、一番大きな相違点というのは出発の地点、スタートの地点であります。したがって、政府案と私たちが出した対案とを比較ができるような、そういった体裁を整え、判断しやすいようにということで提案を申し上げました。
 基本に流れているものは、思い切った地方分権を進める必要がある。これは政党だけではない、経団連あるいは民間政治臨調の再度の緊急提言、地方六団体の意見書、内閣総理大臣に対する行革審あるいは地方制度調査会等の答申、これらをしっかりと土台といたしまして、十分たたかれて
きた。したがって、その上に立って政府案が出されればな、こう願ったのですが、残念ながら政府案は、私たちが考えているよりちょっと後退したような形でスタートをとられた。
 それはどういうことかというのは、申し上げるまでもなく、これから議論になっていくと思いますけれども、機関委任事務の問題であるとか、あるいは地方事務官の問題であるとか、そういういろいろの問題がちょっとスタートが違っていた。理念とする、基本とする考え方は私も同じだと思っております。
 したがって、ぜひ、この御質疑を通しまして、こう言うと恐縮なんですが、私たちの案に賛同が賜れれば、このように逆にお願いをするところであります。よろしくお願いいたします。
○畠山委員 新進党案によりますと、機関委任事務に当たって、でき得る限り市町村に移譲したいというふうな趣旨に承っております。これは、地方分権の主体は市町村との考えに基づくものと思われます。
 そこで、まずお伺いいたしますが、現行、都道府県それから市町村という二層制の地方自治制度についてどのように評価をなされていらっしゃるのか、その点についてお伺いをいたしたいと思います。
○今井議員 おはようございます。
 畠山議員さんにお答えを申し上げます。
 御質問の趣旨は、現行の二層制につきましての評価についての見解を求められたわけでございます。
 御案内のように、地方制度調査会あるいは地方六団体の意見書でも既に言及をされておりますとおり、現在の基礎自治体であります市町村とそれから都道府県という二層制を基礎とする地方自治制度そのものが国民の間に既に定着をしておるわけでございます。当面、現在の二層制を前提といたしまして、地方分権を推進する方策について検討するべきであると我々も考えておるところでございます。ただし、衆法第五条二項に触れてありますとおり、できる限り住民に一番身近な、基礎的な自治体である市町村へ権限が移譲されるよう配慮する必要があるということで一項設けさせていただいた次第でございます。
 以上です。
○畠山委員 地方分権の主体が市町村にあるということにつきましては、私も同じ立場をとる者の一人でございます。
 その場合、現行の市町村の数を前提にしていらっしゃるのかどうか。よく受け皿論が問題になるわけでございます。わけても、新進党の幹事長さんが、ある本によれば、市町村の数を三百にするなんというようなことを書かれておる本なんかもありますが、三百にするというようなことはかなり冒険的な意味もあろうかと思いますが、その辺、数等についてのお考えがもしあるとすれば、お聞かせをいただきたいと思います。
○今井議員 お答えを申し上げます。
 先ほど申し上げましたように、最終的な権限それから財源というのは、地方自治の本旨に基づきまして市町村にあるべきであろうという方向性を立法者の政策の選択として指し示させていただいたところでございますが、そうはいうものの、三千三百の基礎自治体という現実があるわけでございます。
 内政に関する広範な事務を効率的に処理するにはそれなりの一定の規模を有することが必要であることは、この席でも総理から、国民健康保険を引き合いに出されまして御答弁もあったわけでございます。広域連合制度の積極的な活用や市町村の自主的な合併を支援することが必要になってくるとは思いますが、ただ、その場合、国が上から、合併しなさいとかあるいは広域連合をしろ、こういうような決め方につきましては慎重でなくてはならないと思っています。あくまでそこに住む自治体の、お住まいになっている住民の皆さんが自主的に判断をして決めていく、こういうことが大事だと思いますし、それをサポートする役が我々にあるのではないだろうか、こういうふうに思っておるわけでございます。
 自治体の規模は、ある程度大きい方が分権がしっかり――自治というのはみずから治めるということですから、一定の規模が必要かと思います。ただし、今ある集落とか部落あるいは町会というように、コミュニティーはむしろ小さくしてサービスをきめ細かにする。大きく、小さく、こういう発想が大事ではないだろうか、このように考えておるところでございます。
 以上です。
○畠山委員 じゃ、あの本というのはどこまでも幹事長の私案であって、党の方針ではないということでいらっしゃいますか。
○今井議員 今、本と言いましたからどこの本かと思いまして、大変失礼を申し上げました。
 幹事長の私案ということでああいう本が、政策提言がされておりますが、たまたま今回の政治改革関連法案の選挙区が、小選挙区が三百ということになっていまして、あるいは昔三百諸侯なんということがありまして、イメージがだぶつくのだと思いますけれども、これらにつきまして、我が党として精査し結論を持っているものではございません。
○畠山委員 現行二層制地方自治制度は、市町村と都道府県の役割分担上に成り立っておるわけでありますが、特に都道府県は地方自治法において、広域、統一、連絡調整、代行、この四つの機能を有するとされておるところでございます。そうなりますと、市町村を主体として地方分権を進める場合におきましては、都道府県機能は一定の見直しを必要とされてくるのではないだろうかなというふうな気がいたしますけれども、その点についての御見解を承りたいと存じます。
○今井議員 お答えいたします。
 いずれにいたしましても、明治維新以来百三十年に及ぶ中央集権システム、これを、行政システムを分権型にこれから慎重に、ダイナミックに、しっかりと変えていくということでございますので、従前あったものの総点検、総見直しというものが当然必要になってまいりますし、御質問の県のあり方、県の機能の今後のあり方、こういうことの大きな見直しも必要かと思っておるわけでございますが、基本的には基礎自治体に任せるものは任せる、そしてそれができないものは広域的に、あるいは県でやる、県でできないものは国でやる、こういう発想の転換が必要ではないかと思っております。従前ですと、中央集権、上からの関与、上からの指令、それに基づいて地方自治、名前だけのみずから治める自治であってはならない、こういうふうに考えておるところでございます。
 したがって、私どもの法案でも第七条に「広域的な行政需要への適切な対応」という項目が一項目、閣法と違って明記してあるかと思いますが、こういうことを明記することによって、広域行政というものを、あるいは広域連合というものを市町村のみならず都道府県単位でもやってもらう。そうしないと、どのみちできないのだから、また国で全部関与するよ、国でやるよということになってしまったのでは、そのおそれがあったのでは、今回の分権の趣旨が生かされない、このように考えておるわけでございます。
 基本的には各基礎自治体と都道府県とが、地方が一体となって地方行政を完結的に行っていく、こういうことが大事なことではないだろうか、かように考えておる次第であります。
○畠山委員 現行二層制の地方自治制度が地方分権推進の前提であることは申し上げるまでもございませんが、もう一つ重要なことは、住民自治制度の問題であろうかと思います。
 ともすれば、都道府県のあり方に関連して、道州制構想がいろいろと問題にされてまいります。地方制度の効率化の観点からすれば、住民の負託に基づく地方自治制度が軽視される傾向なしとは言えないのではないだろうかと考えられます。地方分権が進めば進むほど、住民の直接民主主義に基づく地方自治制度は強化される必要があろうかと存じます。
 首長や地方議員に対する住民の直接選挙は今後とも維持発展していかなければならないことは、これは当然だというふうに思いますが、いま一つ、住民投票制度の導入等新たな直接民主主義制度の創設も早急に確立していかなければいけないのではないだろうかというふうに考えます。この点についてのお考えがございましたら、お伺いをいたします。
○今井議員 お答えいたします。
 基本的な考え方は全く同じでございます。先生も大館の市長さんをおやりになった御経験、私は草加せんべいの草加の市長を四期やらしていただきまして、同じような視点でございまして、やはり直接民主主義、これが民主主義のすべてではないと思いますが、この制度を基本的にどう生かしていくか、より民主的な地方自治を確立するかということがとても大切なことだと思っております。本会議でも御答弁申し上げましたが、住民発意など直接請求制度や住民投票などの直接民主主義をより一層徹底することは、まさに地方自治の本旨ではないだろうか、このように考えておるところでございます。
 以上です。
○畠山委員 「地方こそ改革のパイオニア」と題する新進党の政策を見せていただきました。地方分権の実行に当たって、自治体間の財政格差が大変問題視されておるようでございますが、この解決策として、法人住民税及び法人事業税の外形標準課税への移行、そして二つには、富裕団体の財源を拠出する逆交付税制度の導入を提起なさっておるようでございます。
 そこで、まずお伺いいたしたいと思いますが、地方税源の充実といっても、都道府県及び市町村の機能の違いを考慮すれば、それぞれのよって立つべき税源も当然異なると考えられます。都道府県及び市町村の充実すべき主要税源について、その性格について、お考えがあったらお聞かせをいただきたいと思います。
○山崎(広)議員 地方分権を進めるに当たりましては、やはり自主財源である地方税の充実強化が基本だ、このように思っております。
 現在の地方財政の状況は、その歳入の大きな部分を交付税や補助金に頼っておりまして、したがって、自治体がみずから行政改革をやって歳出の削減を図っても、それが必ずしも住民の負担軽減につながらない、そういう状況がございます。したがいまして、地方における歳出規模と自主財源である地方税収入の乖離をできるだけ縮小していくということが基本だと考えております。したがって、できるだけ偏在が少なく安定的な地方税体系の構築が重要でありまして、抜本的な税源の再配分を含めた地方税の充実強化が必要であると考えます。
 具体的な税目の配分については、推進委員会で十分その趣旨に沿って御議論いただきたい、このように考えております。
○畠山委員 法人住民税について、外形課税を提起なさっておるようですが、いかなる理由によるものだろうかということが第一でございますし、それから、法人住民税は所得課税でございますね。法人事業税は、所得税の形式が濃厚とは言えるかと思いますが、物税であることには変わりはないと思います。この性格の違いを見ないで一律に外形化を考えるのは問題があるのではないだろうかというふうにも考えますが、その点についてのお考え、並びに地方消費税とのかかわり合い等につきましてお考えを承りたいと存じます。
○冬柴議員 この問題につきましては、地方分権推進の過程で十分に協議をし、研究をしていかなければならない課題であると考えますけれども、現状におきましては、経験の深い畠山委員の御提言等も今示唆をいただいたところも踏まえまして、今後も党内でも協議をし、検討していかなければならない重要な課題であると思っております。
 ただ、地方分権という部分につきまして、今言われているような相当高度な技術的な問題につきましては、税財源の移転の問題で随分大きな問題ではありますけれども、今後推進委員会でも協議をし、我々政党もそれに積極的に、検討の結果を検索をし、提言をしていきたい、そういう課題であるというふうにとらえておりますので、今後検討してまいりたい、このように思います。
○畠山委員 富裕団体と、それから残念ながらそれに反する団体とあります。地方税源を充実するというようなことを押し通せばその格差はもっと拡大するという方向になろうかと思います。
 そこで、お伺いいたしたいと思いますが、一体富裕団体というのはどこで位置づけをするのか。言うなれば、財政力指数の一ということを境にするとすれば、これまた逆に矛盾が拡大してくるのではないだろうかというふうな気もしてならないわけであります。その点が一つ。
 それから、逆交付税方式ということをおっしゃいますけれども、それは一体どこでやるんですかというふうなことが残りますね。中央政府でやるのですか、あるいは自治体間で調整機関を持つということの制度でもおつくりになられるのですか。この辺のところ、よくわかりませんので、もしあったならばお聞かせをいただきたい。
○冬柴議員 我が党の今回の統一地方選に臨む一つの提言として、逆地方税という、上から分けていただくのではなしに、むしろ下で徴収したものを上へ上納するというような一つの考え方を提言しているわけでございますけれども、これは、まだまだこれから国民との多くの討議を経て、合意を形成しつつやっていかなければ、長い間、いわゆる国が集めてそれを地方交付税という形で調整を図っていくという制度が今定着している中で、その方向に向かってやるべき、努力すべき課題である、このように思っておりますけれども、これからの努力目標であろうというふうに思います。
 また、閣法や、我々の衆法六条では「地方税財源の充実確保を図るとともに、地方交付税の財政調整機能を強化する措置を講ずる等こということを特に入れて、富裕団体とそうでない団体との格差というものを十分調整していきたい、それも一つの課題であるというふうにこの中に盛り込んだ次第であります。
○畠山委員 法案によりますと、地方事務官制度を廃止すると明確にお書きになっていらっしゃるようであります。歯切れは大変よくてよろしいかと思いますが、問題は、廃止した場合の社会保険及び労働の問題等々についての代替をどうするかというようなことが問題だと思います。中央政府が直接おやりになるということになるのですかという疑問が残るわけでありますが、時間がありませんので、そのお考え、端的にひとつ。
○冬柴議員 この地方事務官制度の問題につきましては、昭和四十九年及び五十年に衆参両院の地方行政委員会におきまして、地方事務官制度は、昭和五十一年三月末日を目途に廃止し、地方公務員とするという決議がなされていることは、周知のとおりであります。
 我々は、この地方と国との役割を考える上におきまして分担を明確にしていきますと、地方事務官制度は大変異質であって、地方自治の本旨とはそぐわない制度であるということを見出すことができるわけでありまして、この際、これを廃止すべきである、そのように多くの方々、地制調ももちろん申しておりますし、地方六団体もそのように言っていられるわけであります。
 その際、今御指摘のように、それでは職業安定事務や社会保険事務をどうするのか、こういう問題であります。また、その職員の身分をどうするのか、これも大問題であります。
 これはまさに地方分権推進に当たってどのような形が望ましいかは、地方分権推進委員会において十分な討議をしていただいて国民が納得し得る結論を出していただきたい問題でありますけれども、いずれにしましても、その事務そのものはなくなるわけではないのでありまして、その身分、やっていられた公務員の身分が地方公務員になるのか、あるいは今の国の出先機関に全部それを統合して、そちらへ移っていただいて、国家公務員としてその事務をおとりいただくのか、そういう
問題、それがいずれが国民の福祉、福利向上のために資するのかという観点で十分に検討される問題であろう、このように思っております。
○畠山委員 大変申しわけありません、時間がございませんので端的に、最後の問題として、機関委任事務制度の廃止、これも明確にうたっておるようでありますが、どのような事務の中身が入っているのかというようなことが一つ。廃止するということになりますと、そのかわりの担保する部分というのは一体どんなことをお考えにたっていますか。この部分を端的に、時間がありませんから。
○冬柴議員 機関委任事務も、まさにこれをどうするのかということは、地方分権を進める上においてかなえの軽重を問われる重大な課題でありまして、これが進まない限り、地方分権推進ということは言えないんだということも言われているところであります。これは、我々が歯切れよく言い出したというのではなしに、もうシャウプ勧告以来、神戸報告、第九次の地制調、第二十次地制調、そして第二十四次地制調等々も明快に言い切っていることであります。
 その手当てにつきましては、まずゼロベースから、そのまま置いておくのではなしに全部廃止をして、その中でどうしてもこれは国の事務として残さなければならない、しかしながら、地方にその事務の協力を得て進めることの方が国民の利便にも資するし、また事務効率という意味から見てもその方がいいというものにつきましては、あるべき姿、これも先ほど申し上げたとおりでございまして、この推進委員会において十分検討していただき、国民の御同意を得られる方法を考えていくべきであると考えております。
○畠山委員 ありがとうございました。
 総理への総括質問の際に、リーダーシップを含めて、かなり具体的な中身を含めていろいろな御主張があったわけでありますけれども、まさにきょうの答弁を聞きますと、これからの問題ということの御答弁が中身であったというふうに受けとめております。
 ぜひひとつ、そういう意味も含めて、これからの審議を尽くして、両案まとめていくようにお互いに努力をしてまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
 ありがとうございました。
○笹川委員長 田中甲君。
○田中(甲)委員 さきがけの田中甲です。どうぞよろしくお願いします。
 十六日、総理に質問をした際に、私はこんなことを申し上げました。この法案は与野党の対決法案となってはならないのだろう。「この法案に限らず、行政改革は本来新しい国の進路をつくり出すべく、与野党間の垣根を越えて超党派で取り組むべきものである」と考えておりますが、総理の御所見を承りたい、そういうお話を実はさせていただきました。
 そのときにこの委員会室にもしいらしていただければお聞きになられていたかと思いますが、与野党間でもし対立したとするならば、「法案が政争の具として利用されたことを示すものであり、これほど残念なことはありません。」こういう内容で続けました。
 そして、野党から提出された対案の中にも、衆法の中にも検討すべきよい点があるならば取り入れていくという柔軟な姿勢も、場合によっては総理、お持ちになるべきではありませんか、そういうお話を実はさせていただいたのですが、冒頭、私たちはその辺の基本的な姿勢の確認をしてから、私も質疑をさせていただきたいという気持ちを持っておりますので、冬柴委員がどのようにその辺をお聞きになられたか、ちょっと御意見をまずお聞かせいただきたいと思います。
○冬柴議員 この地方分権の推進というもの、大変政治家にとって大切な課題だと思います。
 考えてみれば、明治以来、キャッチアップ、西欧に追いつけ、追い越せ、戦前は富国強兵という一つの大きな目標を掲げた強烈な天皇を中心とする中央集権がなされてきました。戦後は、新日本憲法のもと、九十二条で「地方自治の本旨」という新しい概念が取り入れられまして、国民全体の政府と申しますか、そういう中央政府と、地域の政府と申しますか、そういうような地方公共団体、そういうようなものの緊張ある対立関係というものの中から民主主義というものを形成していこう、そういうすばらしい意気込みが感じられるわけでありますけれども、しかし現実には、戦後も灰じんの中、立ち上がるためには、経済繁栄、復興、そういうような大きな国家目的のもとに中央集権が進められて、そして残念ながら今日に来た。しかし、経済繁栄の面では非常に大きな役割を果たしてきたと思います。
 しかし、今この成熟期を迎えた我が国の中で、いろいろな制度を見返す必要があると思います。さきに行われました政治改革もその一つであろうと思いますし、この地方分権推進というのはまさにその一つの大きな問題であろうと思います。
 そのようなときに政治家として我々この国会に籍を置くことができたことは、大変自分にとって誇りでもありますし、そして明治以来そういうふうなものが進められてきたいい面もありますけれども、反面、一極集中、あの権力の過度の国への集中というもの、こういうものが我々からいつの間にか豊かさとか潤いとかいうものを奪っていったということも事実であります。
 何としてもここで国民本位の政治を取り戻すためにも、この地方分権を進めて、そして国民一人一人が、国家の繁栄が即一人一人の豊かさに通ずる、そういうような社会をつくっていかなければならない、その重要な法律であると思います。
 したがいまして、これを政争の具に供するというようなことは論外であります。我々も、何としてもこの衆法を提出した以上、この衆法で凝り固まって対抗するというのではなしに、今田中委員も御指摘のように、いい面を両方が総合して、そしてこれには官僚の強い抵抗が予想されますけれども、我々政治家はやはりその点で大きなリーダーシップを持って、いい法律をこの際つくり上げていかなければならない、このような基本的な考えを持っておりまして、その意味では村山総理のお考えも一緒であったというふうに私は思っております。
○田中(甲)委員 私も全く同感でありますし、本当に期待していたとおりの御答弁をいただいて、大変にうれしく思います。
 与党と野党がバーサスの関係になる法案ではないと思います。官僚と政治家がどのように、これからあるべき、求められた的確な関係をつくり上げていくか、いよいよそういう新しい日本の進路を探していく問題に入ってきた。この地方分権の審議をさせていただくことを私も本当に誇りに思っているところであります。
 さて、その前段を確認し合った中で、なぜ衆法では機関委任事務の廃止にこれほどこだわるのか、改めて御所見を、簡単な質問でありますが、改めて要点をかいつまんでお話しをいただきたいと思います。
○冬柴議員 地方分権というのは、最近本当にもう燎原を火が覆うごとく大きな高まりを見せております。しかし、先ほどもるる私の所見を言わせていただきましたけれども、そのような考え方はもう古くからとられてきたところでありまして、特にそれの中心的な、これを解決しなければ、幾らいろいろなことを言っても地方分権を推進したことにはならない一つのメルクマールといいますか、その中の一つとして機関委任事務というものをどうするのかというものがあると思います。
 先ほど来挙げましたように、いろいろな今までの、神戸報告、それから第九次地制調、第二十次地制調、第二十四次はもちろんのことですけれども、その中でもその概念あるいは観念というものを廃止するのだという、すなわち、ゼロベースから整理しなければできないということの指摘がなされてきたわけであります。
 御存じのように、昭和五十八年と六十一年にはこれを整理するための一括整理法ということで進められてきましたけれども、地方公共団体が望む
ところとはほど遠い現状にあったわけでございます。第二十次の地制調、「機関委任事務等に係る当面の措置についての答申」、これは昭和六十一年二月に出されておりますけれども、「基本的には、この概念を廃しこういうふうに言い切っていられます。国と地方の役割を分担して、そして推進すべきである、制度のあり方を見直していくべきである、こういうふうに言っていられるのが六十一年ですから、それからもう既に相当な年月がたっておりますけれども、現状どうなっているか。
 そのような一括整理法とかいろいろ努力を重ねながらも五百六十四というそういうものが今残っているということは、今までこれだけの答申、そしてその整理の事務をやってもなし遂げられなかったのは何にあるのだろう。やはり一回全部廃止してゼロからスタートをする、そういう手法をとらなければこれは片づかないのではないかというふうな信念から、こういうものを、私どもの衆法では制度を廃止するということを書き込んだわけでございまして、そのような心がそこにあらわれているわけでございます。
○田中(甲)委員 私はちょっと勘違いをしておったようであります。私たちは、閣法の中にも機関委任事務の廃止という精神は十二分に盛り込まれている、しかし衆法の方では機関委任事務の廃止の文言にこだわっているというような部分ではないかなと受けとめておったのですが、今冬柴委員の御答弁をお聞かせいただくと、一度とにかくゼロベースですべてを廃止するということをおっしゃられたわけですから、そうなりますと、おっしゃるとおりですねということでは、どうもおこたえできなくなってまいりまして、閣法の方は、各省庁との問題、兼ね合いから今回機関廃止事務の文言ということが使えなかったという部分も若干はありますが、私は個人的にもう少し違うところに視点を置かせていただいています。
 余談になりますが、「新党さきがけ われわれが目指す日本の進路」という政党で出しているこの政策集の中にも、実は、自白をしてしまいますが、速やかに廃止すべきであるという文言を使っておりまして、そういう面では方向はまさに同じなのであります。
 旧連立の際にも同じようにその審議を重ねてきたことは私が言うまでもありませんし、全くその辺は相違のないことだと思いますが、実は私は、ここで機関委任事務の廃止やあるいは地方の事務官制度の廃止あるいは権限の移譲等を進めていく上で、地方公共団体の成熟度と申しますか、現在のレベルがどの辺までお互いに信頼し得るものと認識しているかという点に少しスポットを当ててみたいと思うのです。
 今私の手元に昭和五十九年度から平成五年度までの汚職件数の推移を書き出したものがございます。昭和五十九年には百四十二件、汚職ということで摘発がされております用地方自治、この十年間で一千八十七件の汚職というものが、減ることなく、平成五年には逆にふえるというような傾向が見られるわけであります。「「汚職」とは、私利私欲のため、職務に関して不正をなすことをいう。」こういう定義でありますが、特に、この中でも平成五年は数がふえておりまして、百九件、横領、収賄がそのうちの八七%、詐欺、職権乱用、公文書偽造、背任、公印の偽造という各項目にそれぞれ、このようなことであってよいのだろうかと思うような地方公共団体の、今まさに地方分権が進められようとする中で、さらに受け皿がしっかりとしてこないといかぬ。
 今回の地方分権を推進していく中で、計画が出されていく中で、このことも同時進行的に充実を図るように示唆をし、指導していくことが必要だろう。これはもう大事な問題として思うわけでありますが、この辺を委員はどのようにお受けとめになられているか。私は、この十年間で一千八十七件と申しましたが、まさにこれは氷山の一角だと思います。三千二百有余の各市町村、さらには都道府県合わせて、十年間ですと、そのうちの十カ所に一カ所は汚職が行われたということでありますから、この辺の御意見を、御所見をいただきたいと思います。
○山崎(広)議員 機関委任事務と今のおっしゃった御指摘とは直接私どもはつながらないと思っておりますけれども、確かに今挙げられた数字はそのとおりだと思いますけれども、私は、むしろ自治体の自立性というか、そういうものが今まで欠けていた、むしろ中央に依存し過ぎておる。とにかく中央に要求するだけの自治体でよかったわけですね、したがって今まで住民の自治体に対する監視機能も弱かったし。だから、その意味でも私は、やはり地方分権を進めて、自治体が自己責任をきちっと持たなければいけないし、住民も自分たちの市町村のことは自分たちが決める、税金のむだがたいようにきちっと監視する、そういうことを図っていくためにも、まさに今地方分権が必要だ、今御質問を聞いておって改めて強く分権の必要性を感じました。
○田中(甲)委員 それでは私は火に油を注ぐ質問をしてしまったのでしょうか。
 山崎委員は地方政治に精通されてもう大先輩であることはよく存じ上げております。しかし、今委員の御答弁の中にもありましたように、地方自治の充実と同時に、自治意識を高揚していかなければならないという問題点も触れられたと思うのですけれども、その点も踏まえて考えていくならば、やはり機関委任事務の廃止の問題を一気にゼロにしていいのだろうか、あるいは権限の移譲ということもすべてを一気に行っていくということが極端になり過ぎていないだろうか。
 あるいは、財源の問題もそうでありますが、私も地方議員を務めさせていただいた経験を持つ中で、正直申し上げて、地方議員が、平素の議員活動の中で高い理念を持って活動しているとは思われない部分がかなりありました。建築物があるならば、そこで汚職ということが発生しかねないような、そんな話し合いの場面もすぐ身近で見てまいりました。こういうことをしっかりと改めていく、示唆していく、方向づけをしていくということを、機関委任事務の内容にしても種類に分けていかなければならないでしょうし、そのほかも丁寧に細かく分析をしていく時間というものがやはり必要だと思います。
 にもかかわらず、五年で、次の質問に入らせていただいているわけでありますが、五年でこの効力を失うということは、私はプラスにぜひ受けとめていただきたい。この五年の間に、地方分権推進委員会が勧告を行い、それに従って推進計画をつくり出していく、その行っていることに対して常に委員会が監視を行う、こういうことを一定の期間を決めて進めていかないと前には進まぬぞという、ポジティブな考え方としてこの五年間の期限設定ということを受けとめていただきたいと私は考えるのですが、その辺についての御意見をお聞かせいただければありがたいと思います。
○山崎(広)議員 確かに、五年という期限をつくって一気にやっていくというのは、実効が上がる方法だろうと思いますけれども、しかし、残念ながら政府案は、五年で果たして大きな成果が得られるかどうか、ちょっとその辺が中途半端なもので終わりはしたいかという疑問を私ども持っておるわけです。それは地方制度調査会の答申でも、その答申に盛り込まれたその事項に沿って法律をつくってくれ、つくるべきだということをうたっておるわけですね。
 ところが、残念ながら、その具体的な権限移譲の基本原則や方針がこの政府案には示されてない、このように私ども考えておりまして、したがいまして、むしろ、時限立法とするよりも、五年をめどに具体的な成果を上げることを私どもとしては目標に掲げて、それを担保するために勧告の国会報告や委員会の審議概要の公表を義務づける等の措置を考えておるわけでございます。
○田中(甲)委員 委員の御意見も決してわからないわけではありません。この辺をお互いに前向きにとらえていくということが必要だろうかと思うのですが、衆法で出されています第十二条、私は、この点の方がむしろ重要なことではないかと
読ませていただいたのですが、「内閣総理大臣は、」委員会から勧告を受けたときには、「これを国会に報告するものとする。」これが限られた期限の中で本当に進められるかどうかということを分析していくためには、この条文は、最後に附則でつけられています、たしかそうだと思いましたが、衆法の方で言われている五年というものを一つのめどにしながら継続していくという考え方よりも重要視すべき部分ではないかと思うのですが、御意見を聞かせていただきたいと思います。
○冬柴議員 衆法を御紹介いただきまして、大変光栄に思います。ぜひこれは取り入れていただきたいと思う一つの発想だと思うのですが、我々は、行政内部だけでこういう兆のを進めるのではなく、広く国会の論議を呼び起こし、そしてまた、その十一条にも閣法にない一つの発想を盛り込んでいるのですが、委員会のその審議の概要というものを一般国民に公表して、そしてこれも、定期的に公表をすることによってこの進捗状態あるいは今どういうふうなことが論議されているのかということを国民も知り、そしてまた、国会へ報告していただくことによって、国会でもその議論が呼び起こされる。常に地方分権の推進というものに皆が関心を寄せて、忘れ去ることなく、常に緊張関係を維持しながら進められていく、そういうものがぜひ必要であろうというところでこういうものを入れたものでございまして、評価をいただいたのは大変うれしく思いますし、ぜひそういういい面は閣法の中に取り入れていただきたいというふうに思います。
○田中(甲)委員 冒頭に私も僭越ながらお話をさせていただきましたが、お互いのいい面は持ち寄って、より充実した法案というものを成立させていく、そういう姿勢は全く同感でございまして、そのお互いの姿勢を大切にしてまいりたいと思います。
 そんな中、冬柴委員が総理に質問された機会だと記憶しておりますが、衆法が閣法より前進したものであるということ、そのことは衆目の一致したところであるということを認めさせるというような、そんな発言がたしか質問の終盤にあったと思うのです。
 しかし私は、その衆目が一致して閣法よりも衆法の方がすぐれているということを認めさせることよりも、それよりも、そのことを優先させるよりも、閣法の内容をより充実させる、そして全会一致で成立に向けてもし進めていくことができれば、そのことの方が、地域における地方分権推進ということを今心待ちにしている中でより求められている形ではないだろうか。いささか自分勝手な部分もあるかもしれませんが、そういう考え方を持ってこの委員会で皆さんの話を聞いておりました。
 もう時間も残されているところわずかしかございませんが、各委員から、そんな私の質問に対する御答弁を一言ずついただければありがたいと思います。
○増田議員 お答えをいたします。
 大変言葉の背景のある御質問のように承りました。もちろん私たちも、対立てあるとかあるいは対決であるとか、そういう基本的な考えはありません。どういう方向で、どういうふうにスタートをとったら地方分権というものが将来の日本の地方自治を考えたときに一番いいか、この原点に立っていろいろと議論をして提案をしたところであります。したがって、意見と言われれば率直に申し上げますが、私は、それぞれがそれぞれに法案にこだわることなく、どこが一番いいかというところをしっかり見出して、その上で将来の地方自治のために本法案はつくっていくべきだろう、こういう心を実は持っております、申し上げておきます。
 それから、スタートが違うんです。スタートが違うんです。すべてを推進委員会に一任するというのと、これとこれは原点だから、この上に立ってスタートしましょう、その違いなんです。
 またいろいろと話し合う時間もあると思いますので、考えの一端をお答えとさせていただきます。
 以上です。
○山崎(広)議員 増田委員のおっしゃったとおりでございますが、私個人としても、今の政府案はやはり精いっぱいのところの案だということで評価はいたしております。しかし、もう国会の場に出てきたわけでございますから、それを、より両者歩み寄って、よりもう少し高い次元で一つの成案が生まれれば、このように期待をいたしております。
○今井議員 お答えいたします。
 言わずもがなだと思いますけれども、この分権を地方分権のシステムにするというのは分権革命と言ってもいいくらいなわけでして、行政側も政治も、もちろん国民も意識の大改革をしないとこの制度は定着しないし、そう簡単なものではない、その覚悟というものが大事だ、こういうふうに思っておるわけです。国のシステムですと、内閣があって与党さんと、政府・与党一体論ということでなかなか難しいお立場もあろうかと思いますが、それは理解しながらも、実は法律をつくるのはこの国会であります。国会しかできないわけであります。
 それで、この権限と財源の転換ということは、中央の官と地方の官との仕分けをどうするかということと言っても過言ではないと思うのですね。いわゆる役割を分ける、その仕組みの仕分けをする、こういうことでございますので、ここは政である国会議員が、国会でしか法律ができない、この憲法の機能をしっかり果たして、その覚悟をしながらこの地方分権を推進するための法律をよりシャープに、よりしっかりとしたものにするためにお互いに努力していくことが大事なことではないだろうか、こういうふうに思っています。
○冬柴議員 私の言い過ぎたところがあればお許しいただきたいと思うのですけれども、真意は、やはり今まで地方制度調査会あるいは羽田内閣のときに出発しました行政改革推進本部ですか、それの専門員の御意見等を踏まえたときに、やはりここまでは法律の中に盛り込まなければ国会議員としての責めを果たしたことにはならないのではないか、そういうような感じで見てきたわけでありまして、そういう観点から見ると、閣法、努力された跡はもう十分わかります。よくここまで来れたな。
 これはわかるのですけれども、ただ、その視点から見たときに、やはり我々としては、先ほどいろいろな方が言われましたけれども、スタートが違うのではないか。もう今まで十分協議をされて同じ八条委員会、すばらしい地方自治に精通された方々の衆知を集めた結果が、例えば機関委任事務制度のこの概念というものは廃止するということを言い切っている点が閣法にないのは我々は不満である、そういう点を言うためにそのような言葉を使ったわけでございまして、決してこちらの案がすぐれているとかそういうことを言ったわけではありませんので、御了解をいただきたいと思います。ありがとうございました。
○田中(甲)委員 以上で私の質問を終わりますが、私の方も逆に失礼な発言がありましたら、お許しをいただきたいと思います。ありがとうございました。
○笹川委員長 穀田恵二君。
○穀田委員 それでは、提出者の皆さんに質問いたします。
 私は、さきに内閣提出の際に総務長官に質問しましたように、地方分権というのは、憲法が定めている「地方自治の本旨」の充実の方向が目的でなければならないということをお話ししました。そして、憲法九十二条を受けて制定された法律は、憲法が直接保障している地方自治の根本原理を法律に明文化していることも明らかにしました。ですから、私は、基本理念、目的規定としてやはり憲法の述べている「地方自治の本旨に基いてこということを明文化する必要があると私は思っています。その点はいかがでしょうか。
○増田議員 穀田委員のお尋ねにお答えいたします。
 「地方自治の本旨」については、私たちも法案化に際しまして最も重要な点であると考えたところであります。憲法九十二条にうたわれております「地方自治の本旨」については、その今日的意義をどのように本法案に生かしていくか、「地方自治の本旨」とは何か、憲法にうたわれてきたにもかかわらず、これまでの我が国の行政システムに十分に反映されてこなかった原因は何か、このことを十二分に踏まえた法案化でなければならない、こういう考え方に立ちました。
 一つは、国と地方の新たな役割分担のまず明確化の点、政府案よりもより具体的に役割分担をこれは明確にしていくべきだろう。二つに、国と地方の対等そして平等の関係の構築、また機関委任事務制度の廃止、国の関与や必置規制について必要最小限のものにすることを明記したところであります。
 したがいまして、私どもの法案に十分その趣旨は生かされている、そしてその趣旨がもととなって書かれている、このように実は考えております。したがって、「地方自治の本旨」の明文化について否定的にもちろん考えるものではありませんし、今後の御議論にこれまたゆだねていきたい、こう思います。
○穀田委員 今お話ありました点でいいますと、最も重要な点だ、そして、その中身としては今日的な意味をどのように生かしていくかということ、それから本旨というのはそれ自身が何か、それから三つ目に、反映されてこなかったというお話がありました。私は、その内容を生かしたものが、今増田委員からお話ありましたように、中心的には役割分担の問題とそれから対等、平等の関係に基づく整理という問題だというふうに、今お話、大体概括そういうことだったと思うのですね。私は、じゃ、本来「地方自治の本旨」とは何かという問題について、もう少し増田委員の御意見を伺いたいと思うのです。
 私は、今三番目にお話があった、反映されてこなかったという点を重視しているのですね。そうしますと、「地方自治の本旨」が反映されてこなかった点を、つまり私は、この前お話ししましたように、憲法に保障されたこの原理が空洞化し、形骸化している。その結果として地方分権というものが出されてきて、本来地方自治の拡大強化、なかんずく人権の保障や住民自治の拡大や団体自治の拡大という問題として生かされなければならないというふうに私は思っています。
 そうしますと、委員がお話あったように、反映されてこなかったという点がどのようにどの点に生かされているのか、それから、「地方自治の本旨」とは何かという問題について明確にこの法案に生かされていると自負なすっているようですので、その点の二つの点ほどんな形になっていますでしょうか。
○増田議員 お答えをいたします。
 答弁が逆になるかと思いますが、「地方自治の本旨」とは何か、こちらの方からまずお答えをしたいと思いますが、私は、団体自治と住民自治の両者を実現することだ、こういうふうに地方自治体について考えております。もちろん、憲法からきた考え方でありますが、団体自治は、地方公共団体の権限を特に国との関係で強化し、確立することだ、こういう理解をいたしております。住民自治は、地方公共団体の権限の行使を住民の意思に基づいて行うことである。要するに、我が国は、地方公共団体の権限が国に由来するものであっても、地方公共団体にできる限りの権限を付与し、これを住民の意思に基づいて実施することを基本的な政策としてきたと考えております。もちろん、これを憲法によって明らかにしている、こういうふうな理解をいたしております。
 したがって、「地方自治の本旨」とは、ただいま申し上げましたようなことで、その中の関係、特に私の方の、私が先ほどお答え申し上げましたのは国と地方の関係、この関係を地方分権ということでこの際見直して、将来における地方自治体の住民のための、そして住民の幸せにつながる地方自治というものをしっかりと確立をしていきたい、こういうことでお答えを申し上げました。
 以上です。
○穀田委員 最初に言いました、委員のお話にあった、「地方自治の本旨」が反映されてこなかったという三つ目の点はもう一つ余り定かではありませんでしたが、時間もありませんから、そのことをあわせてお答えいただくと同時に、具体的にお聞きしたいと思うのです。
 第四条にございます国の役割ですが、非常に限定的に書かれている。この法案によりますと、「直接かかわる事務」それから「不可欠な」、それから「最小限の役割を明確にし」ということで、二重三重にこれは実は規定をしています。こういうふうにして国の仕事を限定しているのは何ゆえかということと、先ほどの残りの点と二つ。
○増田議員 私の発言が足りなかったかどうかわかりませんけれども、今申された四条の中にも具体的に書かれてあるところであります。それは、機関委任事務の関係であるとか、あるいは地方事務官制度の問題であるとか、そういうような点が四条に書かれてあると思います。したがって、それらを踏まえて私の方では反映をされていなかったと申し上げたのですが、委員は私の趣旨を御理解いただけなかったようであります。
 地方自治の本旨の団体自治と住民自治の中の団体自治のかかわり合いの中で、国と地方自治体の権限の確立、この関係を私は十分に反映されているとは――だんだん反映が薄くなった、もっとしっかり反映してもらいたい、これが地方分権の法案提出につながった、こういう意味でありますので、御理解を賜りたいと思います。
○穀田委員 今お話あったのは、まず前段からいいますと、それは五条に書かれてある文章を中心にお話あったわけですね、私が言ったのは四条なんですけれども。私が言っているのは、私は先ほど言いましたように、憲法が保障している地方自治の根本原理というのが、この前もお話ししたように、非常に阻害されている、形骸化されている、こういう中にあるからこそ、逆に言えば、地方分権というものが出てきたということを私は信じております。
 したがいまして、そういう意味からいいますと、「地方自治の本旨」が反映されてこなかった中心ポイントは何かということを聞きたかったわけでして、理解していないつもりはないのですが。
 ですから、私は、こういう意味でいいますと、ここにありますように、四条の話ですね、「直接」それから「全国的な規模で行われることが不可欠な」それから「本来果たすべき最小限の役割を明確にし」と、こう非常に限定的にしているわけですから、限りなく限定しているのはなぜかということをお聞きしたわけですね。
 これは、臨時行政改革推進審議会の第一次答申にあります「国の行政は、外交・防衛を始め国の基幹にかかわる課題に全力を注ぐべきであり、国民生活にかかわる権限はこれを責任ある地方自治体にできる限り移管」するという考え方、また行政改革推進本部の地方分権部会の意見では、国は地球的規模の課題にこたえるため、内政を地方公共団体にゆだねる、そして国際調整業務に機敏に対応することがその仕事だと書いています。大体そういうふうな流れに沿ったものと理解してよろしいですか。
○増田議員 国の仕事を限定化しているのは何か、こういうようなのが根本的なお尋ねだと思います。
 そこで、私どもは、国民がゆとりと豊かさを実感できる社会を実現するために、行政権限の国への過度な集中の弊害を除去することが重要であると考えてきております。そして、地方自治の本旨の観点からも国の役割を限りなく限定化に近いものにすべきとの立場に立って、国と地方の役割分担を明記したところであります。したがいまして、限定という言葉は法文には書いておりませんけれども、その精神は限りなくそれに近く持っていきたい、こういうことであります。
○穀田委員 ということは、今お話があった、限
りなくそういうものに持っていきたいというのは、今お話ししたように、行革審の第一次答申や分権部会のそういう内容に沿ったものと理解していいですね。
 そうしましたら、今の質問との関係で、地方分権部会の意見はその後段でこう述べているのですね。「地方公共サービス、税収に関し、ナショナル・ミニマムあるいはシビル・ミニマムがある程度達成されたと思われる今日、地方分権、地方自治を推進する立場から、若干の不均一性、多様性を認めるべき。」と後段の方に書いています。これは、中央政府を身軽にして、かつ、今行われている公的規制の緩和ということが一層進む、その行き着く先は、結局のところ、福祉に対する公的な保障の放棄になりはしないかと私は考えているのです。
 当委員会で私は内閣にも質問しましたけれども、憲法第二十五条の国家責任においての国民の生活、健康保障を明確にしているということなんですけれども、これらの問題についてはどういうぐあいに位置づけておられますか。
○冬柴議員 非常に大事な視点だと思います。
 言うまでもなく、日本国憲法第二十五条は、日本国民は「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」これは国が、中央政府が国民に保障した、約束をしたそういう条文である、そのように思います。したがいまして、国はそのような意味で、ナショナルミニマムあるいはシビルミニマムと申しますか、そういう最低限度の一つのレベルを保障する、そういうことはもう当然でありまして、私どもも前提といたしております。
 ただ、我々は今ある程度成熟化社会を迎えております。いろいろな福祉の問題あるいは教育の問題でも、全世界六十億人の地球上に住む人々の生活、そのサービス等を見たときに、我々はある一定の限度を達成したということは言えるのではないか、また、そういうふうに言う人も多い、そのように思われます。しかし、そうなったときには、我々はその地域の特性を生かして、その上に何を優先をさせてサービスを地方が独自に自主的、主体的に積み上げていくか、そういう時代を今迎えているのではないかというふうに思っているわけでございます。
 したがいまして、今までナショナルミニマムの達成という一つの名目のもとに三千にも及ぶ細々とした補助金をつくりまして、そして地方公共団体のいわばはしの上げおろしまで中央政府が関与するという、そういうものは改めなければいけないということを言いたいわけでございます。
 委員も御承知のように、現在の地方と国との最終消費といいますか歳出の割合は、地方が六五、国が三五ということになっていると思います。ところが、税収をとってみますと全く逆でございまして、国が六五、地方が三五ということであります。したがいまして、その差は国から地方へ何らかの形で移転をされなければならないわけでありまして、それがいろいろな形で地方の自主性や主体性を制限をし、そして独自の発想、独自の企画、立案、調整という機能を奪ってきたのではないか、こういう反省があるわけでございます。
 だから、我々は今のナショナルミニマムの達成ということは、委員から指摘されたとおり、決して放棄するものではありませんけれども、一定水準の上に地方がどのように積み上げていくか、そういう観点で我々は論じているわけでございますので、御理解をいただきたいというふうに思います。
○穀田委員 お話ありましたけれども、一定水準の上にということなのですが、この前も私言いましたように、一定水準自身が、本来、向上に努めなければならないという文言が当然ありますね、ですから、それ自身が国自身の責任としてずっと上がっていくものだと私は理解しているのです。
 なぜ私そういうふうに限りなく限定しているという問題をわざわざ言ったかといいますと、例の、先ほどもありましたけれども、小沢一郎氏は、新進党の幹事長ですが、その著書の「日本改造計画」の中で「国政改革の第一歩は、国民生活に関係する分野を思い切って地方に一任することだ。その結果身軽になった中央政府は、」「強いリーダーシップの下に国家として真剣に取り組むべき問題、たとえば国家の危機管理、基本方針の立案などに全力を傾けて取り組むのである。」と述べているものですから、私はこういう考え方から出ているのかなというふうに理解したものですから。
 というのは、例えば後半の部分で、冬柴委員も前回の閣法に対して御批判なさったように、実は基本方針の立案などに全力を傾けて取り組むという考え方は、本来、企画、調整、そして立案というふうな点からしましても批判され得るべきものなのだが、実際にはこういうふうな形で限定するということはそうではないのかなと私は思ったものですから。
 次に、今財政の問題が出ましたので、私はそれに関連してお聞きしたいと思うのです。
 法案の第六条に、今お話あったように「地方税を充実強化」ということを書いています。現状は、今お話あったように、約三十四兆円の地方税と約五十七兆円の国税となっています。今提案者の言うところの「充実強化」とは、第一に、租税の総枠を固定して、国税の割合を削って税源移譲して地方税をふやすのか。それとも二番目に、租税総額に関係なく地方税をふやすのか、つまり新たな税負担の道を選ぶのか。そういう二つの道があると思うのですが、どちらを想定されているのですか。
○山崎(広)議員 基本的に、地方の歳出規模と地方の自主的な税収とができるだけ乖離しないようにという基本的な考えに立っておりまして、今委員の御指摘の点でいえば、税目の見直しを含めて中央の税源を地方に移管していくということになるかと思います。
○穀田委員 もう一つ意味がわかりませんね。
 だから、わかりやすく言えば、税金のそういう意味での国税というものを移譲するのか、それとも新しい税負担をふやすのか。総枠を変えて地方税で関係なしに取ってしまうのか、それとも今の枠の中で国税の税源移譲をこっちにがばっとするのか。要するに、わかりやすく言うとどちらなのですか。先ほどの冬柴委員の話だと、移譲するという感じにとれたのですけれども。
○冬柴議員 委員御理解のとおりでございます。
○穀田委員 わかりました。
 ついでに、そういう問題と関係して、国庫支出金の問題についても若干お尋ねしたいと思うのです。
 国から地方に配分される補助金の負担割合である補助率が御承知のとおり削減されました。先ほど述べました憲法第二十五条を国が保障するための代表的な予算である生活保護負担金の補助率は、一九八四年度に十分の八であったものが八五年度から十分の七に削減され、それが六年間にわたって続いた後、九一年度には四分の三となって恒常化されました。同じく保育所などの措置費は、八四年度が十分の八で生活保護費と同じ補助率であったものが、八五年度に十分の七、さらに八六年度には十分の五にされ現在に至っています。公共事業についても同様でして、例えば道路は四分の三、三分の二、十分の六、十分の五・二五と段階的に削減されています。
 その結果どうなったかといいますと、一九八五年度と九〇年度について比較しますと、地方財政全体の歳出規模の伸びは五十六兆円から七十八兆円に約四〇%伸びています。ところが、国庫支出金は同じ時期のこの五年間にわずか二・一%の伸びで、ほとんどふえていません。こういう結果、地方財政が本当に苦しくなったということは御承知のとおりです。こういう点をどのように評価されますでしょうか。
○山崎(広)議員 委員おっしゃるとおり、近年、国は財政事情を理由にいたしまして補助金の補助率を下げまして、地方へ負担を転嫁する傾向にあると私ども考えております。そして、この措置については私どもも強い疑問を覚えておるわけでございます。
 国庫補助金は機関委任事務と並んで、その膨大かつ多岐にわたる申請事務等により地方に多大な負担を強いているものでございまして、地方に同化、定着したものを手始めとして、その抜本的整理合理化を図るべきであると考えます。それをせずして、今のような負担のみ地方に押しつけるやり方は許されないと思っております用地方分権推進の柱の一つとして国庫補助金の整理合理化を進めなければならない、このように考えております。
○穀田委員 整理合理化ということで書いているわけですが、私は、国庫支出金の中身として、これらは本来どういうふうにするかという問題は、これは減らしてきたことが原因で今日に来ているわけですから、そういう中身を全廃――例えばこれで見ますと、国の負担金、補助金等の支出金の整理合理化ということは、結局全部そういうことを廃止するということを意味するのですか。つまり、閣法に対する質問の際に、内閣は、整理統合といった場合についてはそれは廃止も含むんだ、こういうふうに言っていましたけれども、では、山崎委員のお話でありますような、文言でいいますと、廃止全廃ということも含めて当然考えておられるのですか。
○冬柴議員 先ほどの最終消費と税収のアンバランスということで大枠いかにその点が問題かということを申し上げたつもりでありますけれども、確かに補助金といいましても、国の義務として支出すべきもの、それから奨励的補助金、任意的に一つの政策の遂行というものを奨励するためにその一部を補助するというようなものがたくさん、先ほど申し上げましたように三千にも及ぶ補助金というものが各省に実に零細なものからあるわけでございまして、私どもは、この奨励的補助金というのは廃止すべきである。そして、これにつきましては、この廃止の手順も含めて十分推進委員会で、これは二十四次地制調でも具体的に提言しているところもありまして、こういうものも踏まえてぜひ廃止をしてもらいたい。
 それから、少額の補助金というのがあります。こういうものは順次基準を引き上げて、これを地方の一般財源に回すという手順が今までとられておりましたけれども、これももっと金額を上げ、そしてこれを少額の、これはもう地方にとっては大変たくさんの書類をつくって中央政府まで陳情して、そしてわずかな補助金をもらう、そういうような煩雑な事務というものも省けるわけでございますし、そういうものを地方の一般財源に回していただく、そういうことも込めて私どもは衆法を起草したつもりでございます。したがいまして、御指摘のように、その中には廃止をするというものもありますし、そして、整理合理化を進めるという部分もあるということでございます。
○穀田委員 最後にまとめて二つばかり、一つは、この間入院給食費が有料化される、そんな中で、地方自治体独自で助成制度などがとられています。そのたびに実は厚生省なんかから文句が出たりして、国保税や国保料の問題にしましても、引き下げるとペナルティーだよ、こういうふうな状況があります。そういう意味では、こういう関与、干渉というのが枚挙にいとまがないということは御承知のとおりです。
 地方自治の拡充という点からいえば、こういうのは非常にまずいと私は思うのですね。そういう点ほどうかということをお聞きしたいのと、この前私お聞きしましたように、そういう場合でもかなりの数の通達が国から地方自治体に対して出される。この通達のそれぞれについて、例えばこの通達は地方自治法二百四十五条を根拠とするよ、そういう行政指導なのか、また、あるいは特定の法律の規定に基づくものなのかということを明記すべきだということをお尋ねしました。その点はどうなのかということを二つ。
 それから最後に、新進党の政権準備委員会行政改革担当というところが出しています「「地方分権推進法」制定の提唱」の中に、分権の受け皿となる市町村の規模の問題ということと、それから地方の選挙制度の問題などを鋭意検討を進める必要がある、こう書かれています。こういう点ほどういうことを考えているのかということをお答えいただきたいと思います。
 その三つ、よろしくお願いします。
○冬柴議員 示達、通達、非常に多いと思います。二百四十五条、これは国と地方公共団体との関係を規律する上におきまして、非権力的な技術的助言とかあるいは勧告というようなもので、本来、私は国と地方の関係というものはそういうものであるべきであろうと思うわけでございます。
 ところが、機関委任事務ということになりますと、国と地方公共団体という一つの独立主体との関係ではなくて、地方公共団体の中の首長、すなわち地方住民が直接公選によって選挙したそういう人たちを国の機関の中に取り込みまして、そしてそれを国家行政組織法上の下部機関として自由に監督、統制するという関係が生ずるわけでありまして、これは、私どもは地方自治の本旨に反するものだと思っております。
 したがいまして、今おっしゃるように、私は、その通達とかそういうものにはその法令の根拠を書くべきであるし、また、求められれば教示する義務があると思うのですけれども、ただ地方自治法百五十条とか、あるいは国家行政組織法十四条に基づきますと、機関委任事務ではもう無限に、根拠を示せと言えばどんな根拠でも示せるような根拠がありますので、これはもう意味がない。そういう意味からも、私はこの機関委任事務というものは廃止すべきである。そうしたければ、地方の独立ということは口では言っても実質は保証されない、そういうふうに思うわけでございます。
○今井議員 お答えいたします。
 受け皿の件でございますが、実は先日も私も御質問を申し上げたところでございますが、地方六団体が自治法の制度によって初の意見具申を、内閣総理大臣と私たちの代表である議長に意見書を出してきたわけであります。そこで、新時代の地方自治ということでまさに地方自治体のみずからの決意表明があって、分権を進めるべきだ、こういうふうに言ってきたわけです。市町村から都道府県まで、かなり幅が広いわけです。したがって、これを真摯に私たちはしっかりと受けとめていく重たい意見具申である、こういうふうに思っております。
 今までは、どちらかといいますと市町村と都道府県が分断されて、結局御質問の受け皿はできないじゃないか、二百人の村でどう分権の受け皿できるの、片側では三百万人の都市がありますよ。規模が違い過ぎ、分権できないでしょう。地方はそれだけ信頼できませんよということで分断されていたものが、ここで初めて市町村から大都市まで一つに意見を取りまとめたというところに、私たちは重たくこの意見を受け入れていかなげればならぬし、先ほど申し上げました国会の機能、機能をここで果たしていかなければならぬ責任というのがあるんだと思うのであります。
 それでその規模でございますが、いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、基本的には基礎自治体、それができないものについては県、そして県あるいは国がそういったものをサポートしていく。したがって、受け皿を一定にこの規模にするということを明示するべきものではないでしょうし、これらについては分権委員会の中で十二分な議論が必要なものだろうと考えております。
 それから選挙制度でございますけれども、今回衆議院の選挙制度が変わったわけでありますが、これは政治改革のただただ入り口にすぎないわけでございます。したがって、政治改革はこれからも徹底的に改革をされなければならないと私は思っておりますし、当然のことながら参議院の選挙制度の改革あるいは地方の選挙の改革も視野に入れて改革をしなければならない課題である、このように考えておるわけです。
 その際、地方の選挙制度の改革を考えるに当たりまして重要なことは、住民の民意を十分反映させることはもちろんでありますけれども、地方の議会が住民の立場に立って執行部をきちっと
チェックできる機能をいかに確保するかという、地方分権時代にふさわしい選挙制度をどのようにしてつくっていくかということが大事だと思っておりますし、私たちはその視点に立ちまして、地方制度の改革についても鋭意地方ともども検討を進めていかなければならない、このように考えております。
 以上です。
○笹川委員長 吉田治君。
○吉田(治)委員 このたび、我が国の行政システムにとりまして非常に画期的な役割を担います地方分権推進法並びに地方分権の推進に関する法律案が今国会に提出されまして、この委員会におきまして審議されることにつきましては、両案の提出に当たられました政府・与党関係者並びに対案衆法提出者の並々ならぬ御尽力に本当に心から感謝を申し上げたいと存じます。特に、国会における幅広い論議を喚起し、この法案の実効性を高めるためあえて議員立法という形で対案の提出の道をとられました新進党提案者に対しまして、その御労苦と見識に深甚なる敬意を表したいと存じております。
 さて、官僚主導型の政治を排し、議会政治の復権の必要性が叫ばれる今日ではありますが、国会審議を活性化させ、立法府の機能を高め、主権者である国民の意思を国政に反映させていくために、議員立法の果たすべき役割というものは今後ますますその重要さを帯びてくると考えます。
 その点からしますと、明治以来の地方集権体制である我が国行政システムの大転換でありますし、これまでさまざまな方法で取り組まれてまいりました国と地方の役割の見直しが関係省庁の合意の範囲にとどまるものであり、結果として不十分な、成果を上げ得ることができなかったということを考えてまいりますと、地方分権の推進に関する法律案に関しまして議員立法としての法案提出は、政治のリーダーシップをも考え合わせて大変大きな意義を持ったものと考えられます。
 新進党提案者におかれまして、この対案提出に当たり、議員立法の意義ないしは立法府の責務という点についてどのようにお考えであるのか、その御所見をお尋ね申し上げたいと思います。
    〔委員長退席、中馬委員長代理着席〕
○増田議員 お答え申し上げます。
 議員立法の意義と立法府の責務についてのお尋ねでございます。
 言うまでもなく、我が国は間接民主主義を政治制度としている国であります。選挙により選ばれた我々国会議員が国民の意見を代弁をし、国政にそれを反映させる責任を持っております。国民の意見を反映させる方法といたしましては、国会における質疑等を通ずる方法もありますが、基本的には立法行為を通じ、その実現を図るべきではないかと考えるものであります。それこそ憲法第四十一条の「国会は、国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である。」を目指すものであると考えるものであります。
 これまでは政府提出の法案が多く、議員立法が少なかった状況にあったことは否定できません。今後、政党の政策立案能力の向上や国会の立法スタッフの充実などを図り、政府案への対案や独自の議員立法の提出を活発にしていくことが憲法の精神を生かす道であり、議会制民主主義、民主政治を健全に発展させるためにも必要である、このように考えているところであります。
 以上です。
○吉田(治)委員 そういうお考えのもとでこの対案が提出された事情というのは、今提案者から申されていましたように、政府案が必ずしも十分でないという見地からこういう法案が対案として提出されたのだと思いますが、提案者から見まして、政府案とそれから新進党案の主な相違点、特に新進党案におきまして、ここを重視するよ、こういうところが一番大事であるというところをまずお尋ね申し上げます。
 特に、機関委任事務制度、また地方事務官制度につきまして、あえて「廃止」と対案の方では明文化されております。政府案ではそこのところは明文化されておりません。その明記したということの理由についてお聞かせいただきたいと思います。
    〔中馬委員長代理退席、委員長着席〕
○冬柴議員 我々の議員立法について評価をいただきまして、大変ありがたく、感謝をいたしております。
 今、閣法と衆法の違いについてお尋ねでありますので、条を追ってと申しますか、主な点を御説明申し上げたいと思います。
 まず、地方分権の推進に関する法律案を我々が提案をし、政府が閣法として提出をすることとなった縁由と申しますか、動機と申しますか、そういうものは、広くいろいろな機関なりあるいは団体が指摘するように、明治以来の日本の中央集権体制というものが一つの役割を終えたのではないか、国は栄えたけれども、構成員である国民一人一人がその繁栄に対応する豊かさというものを心に実感できないのはなぜだろう、こういうような考えを持つに至ったわけであります。
 そうしますと、そこに出てきたのが、やはり中央政府に過度に行政権限が集中をしたということ、それがいわゆる行政府の中心地点である東京、それに一極に集中をしたということ、そういうものが大きく関係しているのではないか。この東京は狭い範囲に日本の一割の人口が住んでおります。したがいまして、土地の値段は物すごく高くなる、物価も上がる。そういうような問題がある反面で、日本の他の地域におきましては過疎という問題が起こっております。
 同じ日本の国の中でありながら、そこでは一家、一村分散というようなことにまで発展しかねないような、過疎過密が出ているわけでございまして、そういう行政権限の国への過度の集中による弊害というものが見過ごすことができたくなってきまして、これを排除することが冒頭申し上げました国民がゆとりと豊かさを実感できる社会を実現するためにはぜひ必要だ、そういう認識からこういうものが出てきたと思うわけであります。
 我々は、衆法第一条でこの指導理念と申しますか、この立法の動機と申しますか、そういうものを書き込んだというところが閣法との違いでございます。
 二条も若干違うところもありますけれども、飛ばしまして、四条で、国と地方公共団体の役割分担のところで、御指摘のように随分違うところが出てまいりました。閣法では、国と地方の役割というものを分けようという思想は明確に書かれております。しかし、その分け方が並列的であるように思われてならないわけであります。
 私どもは、事務の中から国の事務はこういうものに限定をする、そしてその残りの内政に関する幅広い行政というものは地方にやってもらうということでございまして、しかも、地方は企画、立案、調整、実施という、一貫してこれを行ってもらう。
 今まではとかく国の方で企画、立案というところはやられますけれども、地方はその実施だけを国の強烈な監督、統制のもとにやらされてきた、そういう面があったように思われるわけでございますけれども、我々は、そのように控除された残りについては地方自治体が自主的また自立的に自己完結的に行う、そういうことを第四条ではうたいとげたつもりでありまして、したがって、閣法と違うところは、限りなく国の役割というものを限定するということに意を用いまして、いろいろな言葉がそこに使われているということを見取っていただきたいと思うわけでございます。
 そして、五条でございます。五条では、そのように四条で分けた国と地方の役割というものから出てくる事務、それにつきまして即応するように、地方の事務とされたものは国からどんどん移譲をしてもらう。そしてその峻別した――だけれども、国と地方とは全く没交渉というわけにはいきません。今まではその交渉を国の事務でありながら地方にやらせているという部分があったわけでありまして、それが機関委任事務でございます。また、国の公務員が、国家公務員が地方の県
庁の中に籍を置いて、そしてその地方の職員を指揮するようないびつな関係がありました。こういうものも廃止していこうじゃないか。
 それから、先ほども言いましたけれども、数え上げれば二千から三千にも及ぶ国の関与、これは法律でもあれば、政令でもあれば、いろいろな形で関与、すなわち報告をせよ、説明をせよ、事前承認を求めろ、そして承認、そういうようなものがあります。
 それから、必置規制、これは地方団体にはこういう委員会をつくりなさい、こういう職名を持った官吏を置きなさいというものが全国一律に置かれるわけですね。したがいまして、任命はしたけれども、一年間一回も会議を開いたことのないような委員会もたくさんつくられるわけです。そういう必置規制というようなものを、ぜひ地方分権推進を計画的かつ集中的に行う、そしてそれを一応五年という目途を定めて、そしてその間に、期限を切ってそういうものを整理合理化していく、廃止していく、廃止した後の事務の分配もあるいは財源の移転もしていく、こういうことをしていくということが五条に書かれているわけであります。それで、譲り渡す先は、究極的には住民の身近な基礎的自治体である市町村に渡すべきである、そういうふうなことも五条に書かれているところが違うわけでございます。
 また第六条では、財政基盤の整備でございますけれども、これはやはり先ほど申しましたように、地方が支出しているものとそれからその税収とが物すごいアンバランスになっています。したがいまして、これの懸隔というものを、乖離しないように、平等になるように、国から地方へ税財源というものを移転をする。
 また、先ほど他の委員からも御指摘がありましたように、地方の中には豊かな地方とそうでない地方があります。税収という意味ではどうしてもアンバランスが出ます。そういうものを調整する上においては、地方交付税、こういうものももっと強化をして、そしてきちっとした、歳出と歳入というものは地方でバランスがとれるようにしていく、そういうようなことも我々は書いているわけでございまして、それが、地方公共団体の財政基盤、すなわち歳入歳出、それの整備を図っていく、ここも閣法と違うところでございます。
 そのほか、地方分権推進委員会につきましても、先ほど与党の委員からも評価をいただいたのですけれども、その審議の勧告の内容を国会にも総理に報告をしていただくとか、あるいは一般にも定期的にその進捗状態を公表していただく。そして、国会あるいは国民全体の批判の中でこういうものが間断なく進められていって、五年を目途に具体的な実績が上がるというような点を我々は書き込んだわけでございます。政府も目指すところは同じなのですけれども、そのスタートの地点が違うように思われるわけでございます。
 以上でございます。
○吉田(治)委員 今お答えの中で、やはり権限を地方へ移譲しようというお話、また財政の問題、触れられましたけれども、やはり地方の関係者とお話ししておりますと、地方分権された場合に、では、それに見合った財源がちゃんとついてくるのか。また、本年一月の全国市長会の地方分権に関するアンケートでも、地方分権推進法の中に特に盛り込む必要があるものというもののナンバーワンは、圧倒的に「地方税財政制度の自律性の強化」ということが言われております。
 そこで、衆法では、地方公共団体の自主財源である地方税を充実することを基本とし、地方税財源の充実を図る、今冬柴提案者も申されたとおりでありますけれども、従来言われておりますように、地方の歳出規模と地方税収の乖離というのは、三五%、六五%と、よく数字が使われておりますように非常に大きい。その大きい分だけ地方の財政的自立が阻害されている生言わざるを得ないと思います。
 しかしながら、その一方で、税源の偏在ということも、豊かなところ、そうでないところという指摘もされておりまして、地方交付税の総額確保というものが従来からの地方団体の強い要望でもあったということは周知のことでございます。
 このような点を踏みまして、衆法提案者の地方公共団体の財政基盤のあり方について、簡潔にもう一度御所見の方を述べていただければと思います。
○山崎(広)議員 やはり地方分権を進めていくためには、地方の自主性、主体性が必要だと思います。そのためには、地方の仕事と中央の仕事を分けて、地方の仕事は自主財源を中心にして健全に運営していくということが基本だと思います。今のような状況だと、国の財政が借金体質になると地方の財政も同時に借金体質にならざるを得ない、そういう状況でございます。
 この点は、アメリカなんかは、それぞれ連邦の財政と州の財政が独立していまして、今連邦政府は大変な財政危機ですけれども、州財政は非常に健全に運営されている。そういう点がやはりアメリカの、何というか、力ということになってくるのではないか、このように思っておるわけでございます。
 したがいまして、今委員御指摘のように、とにかく地方の仕事、役割に見合った自主財源を確保していくということが基本だということを強調させていただきたいと思います。
○吉田(治)委員 権限、財源、地方分権、国会でも長時間の審議をする、政府案で閣法が出る、衆法が出るというふうにやっておりますけれども、もうこれ、地元また地方、さまざまなところに帰りまして地方分権ということを言いましても、これはどうも盛り上がりに欠けているというのですか、住民の方々とお話をしていましても、何、それは、ぴんとこない。
 規制緩和でしたら、ひょっとしたら物価が安くなるのではないかとか、こういうものの値段が規制緩和で安くなった、携帯電話が安く使えるようになったというふうなものが目に見えて出てくるのですけれども、地方分権に関しましては、平成五年の六月に、衆参両院の地方分権の推進に関する決議、行革審、地方制度調査会の答申、政府の大綱方針の閣議決定、そしてこの地方分権推進法の国会提出と、本当に国政の場では地方分権、地方分権と非常に大きな政治課題として取り上げられてはいますけれども、なぜか住民の方々にはいま一つぴんとこない。なぜ必要なのか、どうして日常生活にかかわってくるか、十分な理解も得られていないでしょうし、また、ここ何日間かの報道では、阪神大震災の報道、また地下鉄サリン事件の報道等々の報道の中で、地方分権、これだけの議論をしている、これだけのことが行われているということの報道も非常に少ない。
 果たしてこのままで進めていって、基礎自治体の主役であります住民意識の高揚というのですか、住民が果たして理解をして行動するのかということが非常に疑念視されるわけでありますけれども、特に地方分権の時代の主役であります地方公共団体と住民意識の高揚というふうなものが本当に大切だと考えるのですけれども、この辺についてどのようにお考えになられているのか、また、どのようにすべきなのか、どういう方法があるのかというふうなことをお尋ねしたいと思います。
○今井議員 吉田議員にお答えを申し上げます。
 今までの地方分権の経過から明らかに後退した地方分権大綱の内容や具体的な方向性が示されているとは思えない閣法の内容では、地方分権はお茶を濁すだけで終わってしまうのではないだろうかという疑念を抱かせているわけでありますけれども、まさにここで政府の強い決意あるいは我々国会の強い決意というものが示されていかなければならないのではないかと思うわけであります。
 だからこそ、私たちの議員立法であります衆法は、第十一条で、推進委員会の審議概要を定期的に公表する、そして七条で、「情報公開の推進及び住民参加の機会の拡大のための措置」、こういう文言を、閣法には盛られておりませんけれども、我々はわざわざ言及したところでございます。
 これは物の道理でありますけれども、どんなことで合意を求めるについても一番大切なことは、情報を共有するということだと思うのであります。そこで初めて理解が進み、認識が深まり、そして建設的な批判ができて合意形成できる。まず情報を共有するためにこれらの公表というものがとても大切であります。この情報は、国会議員のみならず国の機関、あわせて地方政府、あわせて地方議会、あわせてもっともっと大切なのは国民が情報をくまなく知る、国民の協力ない限り、この分権革命はできない、こういうふうに思っておりますので、この点が大事ではないかと私は考えております。
○吉田(治)委員 地方自治、みずからのこと、みずからの地域のことはみずから治めるのだ、そのための分権だということで、情報を発信するだけじゃなくて、周知徹底までしていかなければならないと思います。
 しかしながら、これまでの臨調以降の改革の流れというのを見ますと、各答申を受けまして立法措置がとられます。それなりの整理合理化が行われたなと思う一方で、新たな立法措置がとられ、また新たな国の関与が発生していくという、ある意味でのイタチごっこの繰り返しがなされてきているようにも思えるわけであります。今回は地方分権推進法に基づいて抜本的な改革が行われ、国と地方の新たな関係が構築され得るものと期待はしていますが、地方分権推進計画が一応の実施を見、その成果を上げた後、あるいはその過程においても、こういうふうな新規立法というものが不断に行われていくわけであります。
 この新規立法と地方分権、もしくは新たに構築された国と地方の関係との整合性はこれからどのように図られていくのか。当然、立法段階での配慮ですとか国会の場でのチェック機能というものは働くのでありますが、もう少しシステマチックなものが考えられないかという気もいたします。この点について、何かお考えがありましたらお聞かせいただきたいと思います。
○今井議員 お答えを申し上げます。
 地方制度調査会の答申におきましても、「地方行政に係る立法に対して意見を提出することができるものとすべき」と書かれておるわけでございますし、行革推進本部の地方分権部会の意見でも、「地方自治に影響を及ぼす法令の制定改廃や予算上の措置等に関して、内閣及び国会に対し意見を提出することができるものとする。」等々、意見があったことを私たち十分承知をしておるところであります。
 吉田委員御指摘のように、これまでの改革の歴史を振り返ってみますと、お話しいただきましたように、イタチごっこの実態が強く意識されるところでございまして、単に立法府のチェック機能のみに頼るのではなくて、何らかの仕組みというものを考えていかなければならない、そして推進委員会の機能としてそれらをきちんと位置づけしていくということが大切ではないかという形で検討を進めてきたところではございます。しかしながら、この委員会は八条委員会ということでございますので、一定の限界があるわけでございまして、立法化の中でこの法文の中にそれらをきちんと生かし切れなかったという残念さは私たち心の中ではあるわけでございます。
 したがいまして、改革の実効性を確保する見地から、極めて重要な課題という認識を持っておりますので、地方分権の実施状況を見守りながら、中期的課題といたしまして位置づけて、推進委員会でもぜひお取り上げをいただきまして、これらにつきまして研究を進めていただきたい、かように思っておるところであります。
○吉田(治)委員 こういうふうに、地方分権推進法というふうなもの、また、それにより推進計画が実施されまして、国と地方というふうなもの、今までの中央集権のシステムじゃない、新しい国と地方の関係が構築されていくわけでありますけれども、しかしながら、行政というのは、ある意味で生き物、人を相手にしている仕事でございますので、さまざまな、新たな行政需要が発生したり、この法案をつくる段階、決議した段階、そして実施に移す段階で、当初予想もしなかった国と地方の間の関係、また地方向土の間に新たな問題や課題が提起されていくということも十分考えられていくことではないかと思います。
 中央集権的な行政が進められている間には、よくもあしくも国の指導に従ってみずからの行政を進めていく以外になかったわけであります。何かありましても、国が決めてくれる、国の言うとおりにしておけば間違いがたい、国の方に全部振ってしまえ、それの答えをもらったらいいわというふうなことだったのですけれども、地方分権の実現になりますと、先ほどから提案者の方々が申されておりますように、国と地方というものが対等、平等の立場にたるということ。
 そうしますと、この両者の間に生じますさまざまな紛争、先ほど言いましたように、新たな行政課題、問題、また行政需要が発生した場合に、トラブルが発生するということも考えられるのではないかと思います。これは、単に国と地方というだけじゃなくて、地方と地方というふうな間にも、中央集権的な場合でしたら、東京へ持っていって東京が判断すればということですけれども、一応全部対等という形でありましたら、これを調整する機関の必要性が生じるのではないかなと考えております。
 地方制度調査会の答申におきましても、「国と地方公共団体の関係を調整する新たな制度のあり方について、今後、検討する必要がある」とされておりますが、この点について、どういうふうにお考えでしょうか。
○今井議員 お答えを申し上げます。
 調整機関の必要性でございますが、お話しいただきましたように、地制調でもそのような制度のあり方の指摘があったわけでございます。また、聞くところによりますと、ヨーロッパ諸国で提唱されておりますヨーロッパ自治憲章、あるいは国連で討議されております地方自治憲章の一つの柱にも、紛争処理機関の設置、これが自治の確立のためにぜひとも必要である、こういうふうに言われておるわけでございます。先ほどの、新規立法に対する意見表明の機能とも絡む問題ではありますけれども、これらをあわせた機能を有する体制が必要となってくるのではないかと感じております。
 したがいまして、少々乱暴な考え方かもしれませんけれども、お許しいただきますと、地方分権がかなり進捗してくる段階で、今回のこの推進委員会をある意味では発展的に解消でもして、新たな機能を付与した形で、例えば機能がしっかりしている、独立性がある、もっと強いという意味では三条委員会、こういうことが言われておりますが、これも一つの検討の例だと思いますけれども、そのように、改組するなどによりまして新しい仕組みをつくっていくことが必要ではないだろうかなと考えておるところでございます。
 ただ、残念ですが、今回、私どもの力不足でもございまして、具体的な提案に至りませんでしたが、地方分権の推進を踏まえまして、確かな歩みをさせていく意味でも、ぜひとも検討していくべき課題である、このように考えておるところであります。
○吉田(治)委員 地方自治は民主主義の学校というふうなことを、私、中学校か高校の社会で教えていただきました。その位置づけであります、基本であります地方分権というものが速やかに推進され、またこれが、単に国と地方、行政ですとか議会だけが、そういう言い争いじゃなくて、住民まで一緒になって考え、巻き込み、そして発展していくような地方分権並びに地方自治がますます推進されることを希望いたしまして、私の質疑を終了させていただきます。
○笹川委員長 野田聖子君。
○野田(聖)委員 自由民主党の野田聖子でございます。
 本日は、衆法、地方分権の推進に関する法律案について質問させていただきます。
 実は、私は岐阜県議会議員をしばらくさせてい
ただきました。そのときに、地方分権を必ずしなげればならないなと実感した出来事が一つございます。
 それは、平成七年度に完成予定なんですが、岐阜駅鉄道高架事業というのがありまして、岐阜市の大きなプロジェクトということで、毎年予算をとらなければいけない、そういう活動をしておったのですけれども、当選して早々に、私は、当時の岐阜市長さん、またその関係各位の皆さんと伴って東京へ上京しまして、建設省へ参りまして、そこでしましたことは、各自、名刺を一枚ずつ集めてゴム輪で巻いて、大体二十枚ぐらいになるのですけれども、それと陳情書、要は、早く予算をつけてくれとか、早く完成させてくれといった内容なんですけれども、それを役所の担当者のところにお願いに上がるわけです。
 確かに約束なしに役所にお邪魔することも失礼なことかもしれませんが、わざわざ岐阜から高い電車賃を出して来て、お願いに行っている割には、役所の人たちというのは、けんもほろろというか、資料を置いても見てもらえない、顔すら見てくれない、当然会釈なんというのはないわけで、そういうことに接したときに、こんな形に地方があってはいけないんだ、やはり私たちは頭を下げてお金をもらうような行政とか政治をしてはいけないんだということをしみじみ感じて、むしろ国が多くの権限とか何もかも手放してくれることが私たち地方議会の自立の始まりなんだなということを実感して活動を続けてきたところでございます。
 そこで、国会決議によって地方分権を進めようということがなされまして、そしてついに法律という形でこのたび閣法、衆法として出てきております。当然地方分権を進めたいという意欲、意思は変わらないわけですけれども、私自身、この委員会において閣法と衆法を並べて比べたときに、どうしてもこれといった違いがわからない。対案というのは閣法に対して根本的にこういうところが違うんだという、そういう何かが欲しいなということを感じていたのですけれども、今までの委員の先生方もそういう質問がありましたけれども、私あえてもう一度お尋ねしたいのは、衆法としてなぜ対案、対立とまでは言いませんけれども、新たに法律案をつくる必要性があったのかどうか、お尋ねしたいと思います。
○冬柴議員 政府の閣法も地方制度調査会の答申に盛り込まれた各項目が網羅的に規定として書かれていることは事実でございます。ただ、さきの総理も御出席をいただいた答弁の中でもその点が明らかになってきたたという感じがしたのは、やはりまず地方分権推進委員会という権威のある、八条委員会ですけれども、つくる。そして、その中でいろいろな課題というものを進めていこう、そういうような点に非常に重点が置かれているように思うわけでございます。そうであるならば、今までシャウプ勧告以来いろいろな地方制度調査会等の累次の答申の中で盛り込まれてきた、真に地方自治というものを確立するためには、今野田委員からもお話がありましたように、過度に集中した国の権限というものをどうしても排除していかなければならない、それが総論でございます。
 各論は、そうあるためには何が必要なのかという点について、二十四次の地制調ではもうはっきりその点について項目を挙げて、それをどう整理するかということまでも指し示しています。
 一つは機関委任事務でございますが、機関委任はその概念を廃止して、地方団体が今まで行っていた事務は地方公共団体の事務とするという原則が示されております、そのちょっと前に行政改革推進本部の専門員の先生方が示された意見発表の中でも同じようなことが指摘されておりますし、地方六団体の意見書の中にも、機関委任事務はこれを廃止するということがはっきり書かれています。
 もう挙げれば切りがないほどでございまして、そういうものが、じゃ閣法の中でどう処理されているのか。閣法の第五条にはその点について確かに機関委任事務というものが挙げられておりますが、整理合理化その他の所要の措置を講ずる、そういう言葉で書かれているわけでございます。じゃ、この言葉は聞いたことあるな、これは、二次にわたる一括処理法、機関委任事務というものをもっともっと整理しなければならないという答申を受けて、六十一年にも五十八年にも二回にわたって行われている、そういうものの中にも機関委任事務はそのように整理合理化する、その概念も検討するということをうたわれてきたのですが、それから今日まで本当にされたでしょうか。現在五百六十四という機関委任事務が残っています。
 私は、今から推進委員会の中で五百六十四を一つ一つ、これはどうするのかということを始めたのでは、今まで一括処理法とか、累次の八条委員会の、これは内閣総理大臣の諮問機関ですが、答申があったにかかわらず、今日まで実行できなかったこと、もう一度その轍を踏むのではないか。
 我々は推進委員会をつくるけれども、そのスタートは、もう機関委任事務あるいは、今説明はしませんでしたけれども、同じようなものとして地方事務官制度、これも廃止する、そこからスタートしていただいて、ゼロからスタートしていただいて、そして真に、国に残されるけれども地方で処理する方がいいというものがあれば、これについては、地方自治の本旨というものを十分に踏まえて――今機関委任と委任という言葉が使われておりますが、民法で委任というのは、双方合意ができ契約で成立するわけですが、この機関委任事務だけは国が法律で一方的に地方に義務を課するわけでございまして、公選の首長が国の国家行政組織法上の一部に取り込まれてしまうわけですから、私は、そういうものは地方自治のありようとして、野田委員が今指摘されたような、中央に地方の代表が上京したときの屈辱的な気分というもの、そういうものに如実にあらわれていた制度じゃないかと思うのです。そこが違うと思うのです。我々は同じように推進委員会をつくるのだけれども、推進委員会が始める事務のスタートが違う、そのことを強調しておきたいと思います。
○野田(聖)委員 機関委任事務については後ほどお尋ねしようと思っていたのですが、私がもう一度再確認したいのは、例えば衆法の中での目的とか基本施策というものに関しては閣法との差はないということで理解してよろしいでしょうか。
○増田議員 野田委員のお尋ねにお答えいたします。
 体験を踏まえたお尋ねでございますので、地方分権に対して何でかんで実現しようという意欲には同感であり、敬意を表します。
 そこで、今やもうこの分権は国民の合意となっていると私はとらえておりますけれども、中央集権型の行政システムが明治以来の我が国の近代化に一定の役割を果たしてきたことは事実であります。今日においては、行政権限の国への過度の集中をもたらし、行政の非効率化を招いているほか、長年にわたる東京圏への諸機能の一極集中などさまざまな弊害が生じております。このような弊害を除去しよう、地方公共団体がその実情に沿った個性あふれる行政が展開できるように、その自主性また自立性を高め、地域の個性を生かした多様で活力あふれる地域づくりを進めることが、国民一人一人がゆとりと生活の豊かさを実感できる社会を実現する上で極めて重要であると考えております。そのためには、中央集権型行政システムから分権型行政システムヘの転換を図ること、すなわち地方分権の推進が不可欠であります。
 こういったことを踏まえて今御発言があった、私はこのように承って、実はこれから申し上げるのですけれども、本格的な高齢化社会がこれから到来をします。活力のある福祉社会を築くために、高齢者と日ごろ身近に接し、高齢者個々の態様に応じたきめ細かな対策を講ずることのできるような地方公共団体の果たす役割はもちろん重要であります。地方がその役割を十分果たせるように思い切った地方分権を進める必要があります。
 これは我々の政党だけではなくて、ただいままでお話がございましたように、経団連あるいは民間政治臨調あるいは地方六団体あるいは内閣総理大臣に対する行革審及び地方制度調査会の答申等がひとしく指摘をしてきたところであります。国会においても、こういった環境の中で衆議院、参議院が地方分権の推進に関する決議をした、国民合意は大体形成済みである、私は、国民のコンセンサスは得られている、こういう理解に立っているわけでありますが、そういうところで、さればこれから速やかに効果的に分権を進めるのにはどうすればよいか、こういうことであります。
 政府案は、地方分権推進計画のための具体的指針も示しておらず、すべて推進委員会に任せることになっています。これでは推進委員会の構成等により地方分権が中央官庁の意向に左右され、形はつくったが分権は一向に進まないという結果になりかねないのではないか。したがって、我々の案で示しているように、地方分権推進の根幹となっている機関委任事務制度また地方事務官については明確に廃止の方向を打ち出すんだということが、政府が地方分権推進計画策定に当たっての具体的指針を示さなかったとの対照になっているところであります。
 したがいまして、ぜひ、私たちがそういう意味合いから対案を提案いたしましたので、御理解を賜りたい、私の出した、提案した案に御賛同賜りたい、このように心から野田委員にお願いをして答弁といたします。
○野田(聖)委員 随分懇切丁寧な御答弁を賜りましてありがとうございます。
 時間が余りございませんので先に進ましていただきたいんですけれども、今の御答弁をかいつまんで私なりに解釈しますと、総論というか、基本的な考え方は閣法も衆法も変わりないんだと。ただ、閣法の方は具体的な指針がなくて非常に、先ほどの御答弁にあったように、後退しているんじゃないか、だから、衆法の方ではそういうことを示していくんだということで、先ほど来何十回となく繰り返された言葉が機関委任事務制度の廃止。
 で、私自身、午前中のその審議をずっと聞いていまして、やはりこの機関委任事務制度、地方事務官制度もそうですけれども、廃止するということがやはりこの衆法での目玉というか、明文化したということが目玉であるというふうに理解してよろしゅうございますか。簡単で結構です。
○冬柴議員 簡単に言えと言われれば、そのような面があります。
○野田(聖)委員 それで、もう一度改めて、委員の皆様には失礼な話かもしれませんけれども、ここで機関委任事務にここまでこだわる理由というのを私自身再確認したいと思っているんです。
 なぜならば、私自身、機関委任事務というのは、今回の衆法の中の一つのシンボルにされているんじゃないか。いわゆる国から地方への権限を減らしていくことが地方分権の大きな柱である、たくさんあるわけだけれども、その一つに機関委任事務があるというふうな理解になってしまうんじゃないか。なぜかというと、私がいろいろ勉強する中で、国というのはやたらといろいろなところに関与しているわけで、必ずしも機関委任事務だけが邪魔な存在ではないというふうに理解しているんですね。
 実はここに、総務庁行政監察局が平成六年十二月に出している「国の関与の実態把握の結果について」、どれだけ国が地方にいろいろと手出し足出し、邪魔をしているとまでは言わないけれども、皆さんのいわゆる地方の自立を阻害しているかという実態調査だと思うんですけれども、そこで出てきているのには、国の関与というのは、地方公共団体が事務を行うに当たっていわゆる関与している。そこの中には、権力的というのとまた非権力的という分け方があるということ。もう一つには、国の関与は、必ずしも機関委任事務だけではなくて、いわゆる団体委任事務にも多く関与しているという事実。
 こういうこともありますので、必ずしも機関委任事務を廃止したからといってすべてがバラ色になるわけではない。むしろ、閣法のように国の関与という大枠の中でやはり推進委員会に投げかけて、機関委任事務以外の国の関与、例えば先ほど申し上げた陳情行政というのは、まさに補助金をいかに変えていくかとかそういうこともあるんですけれども、まずそれを推進委員会に投げることがこの法律にとって一番大切な魂ではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○冬柴議員 我々もこの機関委任事務だけを言っているわけではありませんで、地方事務官制度も廃止すべきであると明快に言い切っております。
 それからまた、今挙げられました関与、必置規制、こういうような四つのものが典型的に挙げられていますけれども、関与につきましても、お説のように、ある文献によれば、ちょっと古いですけれども、「平成六年三月末現在では三、二九三件」に上っている。そして、「この数は法令に基づくものだけであるが、この他にも実態として補助金要綱等に特定の施設の設置、人員の配置、運営面での制約などいわゆる事実上の関与もあり、地方公共団体の自主性・自立性を確保し、国と地方公共団体との関係の改革を進めるうえで引き続き重要な課題」である、こういう指摘をされていることも十分承知しております。
 したがいまして、何もこの機関委任事務だけを廃止すればそれでもうすべて事足れりというふうに考えているわけではありませんで、我々の五条を見ていただきますれば、その点がはっきり書き込まれていることは御承知のとおりだと思います。
 実は、参議院で参考人質疑が既に行われました。ことしの二月十七日のことでございますが、これには新藤教授が参考人として出頭されてこんなことを言っていられます。「最も基本的な焦点は何かと申し上げれば、私はやはり一つは機関委任事務であり、もう一つは補助金問題をいかに解決するかというこの二点にかなりの程度焦点が絞られるんではないかと思っております。」そして、「その機関委任事務という方式が自治体の総合性を阻害しているという点」を見て、この点を挙げていられるわけですね。
 そしてまたこういうことも言っていられます。「分権推進法案なるものが五年間の時限立法であるというふうに初めから限定をしております。」これは閣法のことを言っていられるわけですが、「実は分権推進計画に何を盛り込むのかということも法律案は」、その点が「書いておりません」、こういうことを言っていられるわけです。分権推進計画をするに「かなりの時間がかかるでしょう。何かの分権推進を行っていくにしても、根拠法は五年で消えてしまうことになります。一体これは、本当に分権をやるつもりのある法律案」なんでしょうかなんてことをその教授は言っていらっしゃいます。
 そしてまた、閣法の中では、国の役割のメルクマールとして「全国的な視点から国が取り組むべき事業」というものが書かれていることは御承知のとおりで、我々はそれは書かれておりません。この点について取り上げられまして、こういう「項目をわざわざうたっております。ということは、まさに道路とか河川であるとか港湾であるとかという、この手の常に問題になってまいりました国家的観点あるいは全国的観点からの大規模公共事業という、これはこの分権推進法によってもなお存続をするという、そういうことになりかねない」のではないでしょうかということも指摘していられるわけです。
 そこら辺が、我々これを見て別に書いたわけではありませんけれども、我々も同じような観点から、野田議員御指摘のように、まず第一に、もう従来から、古くから指摘されている機関委任事務あるいは地方事務官制度、これを廃止しましょう、ゼロからスタートしましょうということを申し上げているわけで、国の権限も、閣法と違って限りなく限定をしたい。そして、できるだけ地方に内政面のものは広範にもう自己完結的に地方だけで、国が一部関与するんじゃなしに、できるよ
うにする。もちろん財源もそれにあわせて移転する。
 そういう発想でありますので、そういうものをほとんど全部分権推進委員会にお任せをして、そしてその先生方の良識に任せて進めていくという、その中で検討してもらうということは、私はちょっと今までの経過を見れば、もうこれは実効は期待できないのではないかというふうな思いから、そこに閣法との違いがあるというふうに思っているわけでございます。
○野田(聖)委員 機関委任事務の話に戻します。
 廃止ということは、先ほどもおっしゃったゼロベースなのですけれども、では、この機関委任事務を廃止することによってだれが一番恩恵を受けるか、いい思いをするかという話になってくるのですが、実は、私たち地方分権を考える中でどうしても忘れ去られがちなのが住民なんですね。やはり行政というのはあくまでも住民サービスをやっている事業ですから、住民にとってそれがデメリットであればやめればいいし、メリットであるならばやはり考えなきゃいけない。
 それでは、機関委任事務制度というのがどれほど住民に対してデメリットがあったのか。例えば、具体的に言うと、私たちの選挙の事務とか、パスポートの発給事務とか、外国人登録、それはまあいろいろあるわけで、そういうことは実際機関委任事務として行われていて、それが果たして受け手の私たち住民にそんなに不便であったのか。私が心配しているのは、国権、国の権力がただいたずらに知事さんたちに移行することが地方分権としてならば機関委任事務の移行はそれで結構だけれども、本来、地方分権が推進されることによって、よかったと思う人たちがこれによって混乱するような事態になるということは、やはり避けていかなければいけない。
 そういうことについて、機関委任事務をぼんと廃止することによっての次ということは、その住民の人たちに対しての不利益とかということは、お考えになったことはありますか。
○冬柴議員 機関委任事務制度を廃止するというのは、今地方公共団体が国の機関として行っている事務をなくしてしまうという意味では全くありません。今までどおりにやってもらうわけでございます。ですから、住民は何ら不利益を受けるものではありません。
 例えば、今でも市役所に行って戸籍謄本、戸籍抄本をもらっできます。これはまさに国の戸籍事務というものを、法務大臣が国家行政組織法上の上級官庁として各市町村の長を下級官庁として統制して、そのとおりにやってもらっているという事務なのでして、この費用は地方が負担しているわけです。それで国は何をしているかというと、国家行政組織法上、十五条あるいは十四条というところで、それについて指揮監督をして、そして、それに対して言うことを聞かない人に対してはいろいろな権力的な統制もできるような手段が確保されているわけです。
 こういうことが地方自治の本旨にかなったことでしょうか。私どもは、そういうものは、今やっている事務はそのままするのですよ、そのまま。何もそれを国へ取り上げて住民が不便するというようなことを我々考えているわけではありませんので、そこのところはそのように御理解をいただきたいというふうに思います。
○野田(聖)委員 時間が少なくなりましたので、最後に、これは実は閣法の方でもお尋ねしようと思っていたのですけれども、私はこの推進委員会というのはとても大切だと思うのです。と申しますのは、地方分権、地方に権限を渡す作業をする法律であることは間違いないけれども、私たち国にいる人間がそれをリクエストすることすら、この際間違っているのではないか。すべて地方にほうり投げてしまって、そこから出てきたものを私たちが認めていくよというくらいな大胆な発想で、この地方分権推進法というのは進めてきていいと思うのです。
 ところが、今みたいに機関委任事務は廃止しろとか、あらかじめ私たちが言ってしまっては、手かせ足かせになってしまうのじゃないか。逆に、地方のいろいろな本当に実務者の声を聞くということが大事なので、そこで推進委員会の設置がとても重要になってくる。
 私が特に心配しているのは、閣法にしてもそうなんですけれども、衆法にしても、この推進委員会の設置で、その要件の中の委員の要件というのは、非常にさらっと流している。要は有識者であればいいというような考え方なんですけれども、実は私は岐阜県の出身で、岐阜県の知事さんからは、この推進委員会というのは大変重要なものだと感じている、そこで随分なことができてくるだろうという理解の中で、ここには地方からの推薦した、要するに地方の関係の人を入れてもらいたいという要望が来ているのですよ。
 それに対して、むしろ衆法が具体的な指針を示すとするならば、この推進委員会自体、全く具体的な指針のない委員会なんですね。有識者ということでなくて、そうやって地方団体が推薦した者を優先的――優先的というか、必ず入れるとか、そういうことを考えてみようという気にはならなかったのでしょうか。
○冬柴議員 これは内閣総理大臣が、この法律が成立しますと、両院、衆参両院の同意を得てこの人事を行うことになっておりまして、非常に重い人事です。
 今御指摘の地方の代表を入れるということは、例えば行政改革推進本部の専門員の意見書の中にも書かれておりますし、地方六団体にももちろん書かれておりますし、それから地制調第二十四次にも書かれております。したがいまして、内閣総理大臣が任命する際には、そういう地方の団体の代表を、一つの学識経験者あるいはそういうものについて識見を有する人として任命されることを我々は期待していますし、また、そうあるであろう、法律にそういうことは書かなくても、そういういろいろな沿革を探れば、当然そういうことは無視することのできないものであろう、重いものであろうというふうに、内閣総理大臣も受けているわけですから、そのように思っているわけでございます。決して軽視はいたしておりません。
○野田(聖)委員 最後に、質問をさせていただく中でやはり地方分権は進めていこう、それは一致しているわけですので、いたずらに審議時間が延びて、実行段階に移す時間がおくれたいようにしていかなければいけないなということを感じております。
 最後に、私はこの質問をするに当たって、岐阜県の知事さん初め、さまざまな関係の人たちからのコメントをいただきました。とても最後皮肉だなと思った中で、機関委任事務というか、国の関与の中で撤廃をしてもらいたいもののリストがファクスで流れてきたのですけれども、昭和六十三年第二十一次地方制度調査会答申の中に、信用金庫法というのがあるのですね。これも国から地方に移してほしい。そこで、県からのコメントは、「これについては最近の信用組合問題の議論もあり、ましてや信用金庫についてはという問題があります。」そういう本音の意見をいただいているわけですけれども、必ずしもすべてゼロにしてしまうことが、今の地方に住む住民にとって幸せかどうかははかり知れないわけで、やはり推進委員会での緻密な議論というのを尊重していきたいということを私自身お願いとしまして、質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
○笹川委員長 午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時九分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時二分開議
○笹川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。野田聖子君。
○野田(聖)委員 午前に引き続きまして質問させていただきます。
 午前中衆法についての質問を集中的にさせてい
ただきましたので、今回は閣法、地方分権推進法案についてお尋ねをさせていただきたいと思います。
 質問に入る前に、地方分権を考える前提となったいろいろな事実があります。例えば、国が許認可、勧告などの形で地方自治体に関与する事項は三千百余りある。国、自治体合計歳出の三分の二近くは自治体が支出するのに、総税収の三分の一強しか自治体に入らない、つまり国の補助金を頼るしかないという現状。また、全国の知事のうち官僚OBは二十六人。自治労の調べによると、中央省庁から都道府県への天下りは七百二十三人、これは平成五年四月一日現在。参考までに、長年中央官僚ゼロというのは神戸市と言われています。
 また、午前中若干申し上げたのですけれども、陳情という形、私たちはこれを現代版参勤交代と呼んでいるわけですけれども、要は地方の議会なり市長さんなりの東京もうでが常態化している、つまり常にそれが当然のように行われている。これは、結局は地方自治自体が機能しないし、また時間や労力を中央に差し出す不経済のメカニズムが一つの仕組みになっているのではないか。その中で、四国のある県では、補助金を得るための事務的経費が補助金額を上回っているものもある。
 いろいろと中央集権国家に対する弊害が長々と叫ばれてきた中、ようやく国会決議を経てこの法律案ができるということで、大変うれしく、喜ばしく思っているのですが、閣法の方を勉強させていただきますと、まず一番の柱、基本の方針としては、この推進法案の目的というのは、我が国において地方分権を推進することは、つまり中央集権的な国家の仕組みを転換させるという大事業である、そういう理解をしてよろしいでしょうか。
○山口国務大臣 今お話がございましたような主張を、私かつて地方行政の委員としていたしましたことを思い出しました。
 したがって、よく三割自治というような言葉があるわけですが、そういった三割自治をなくして、憲法の規定でございます「地方自治の本旨」を実現するためには地方分権を実現したきゃならぬということを私一つの政治的な信念としてやってまいりまして、この前も委員会で申し上げたと思いますが、そこにおいでの西田さんと一緒になりまして国会等の移転に関する法律を提案者として提案して、衆参両院で御論議をいただいた上成立をさせていただいたのですが、そのときも、国会等移転を考えるのにはまず地方分権を推進することが肝心だ、地方分権の推進に的確に対応しながら国会等の移転、首都機能の移転も考えるべきではないかという法律にいたした次第でございます。
 したがいまして、今回の法律も、そういった委員御指摘の点を解消して、地方自治の本旨を実現する、そういう意味では、地方分権をぜひとも推進したいという願いを込めて、政府部内において取りまとめをいたしました上で提案させていただいたということでございます。
○野田(聖)委員 この法律案に基づいて推進委員会ができて、そして現実に地方分権がなされると仮定しましたときに、やはり一番必要な要件というのは、その地方分権に適合できるというか、それを受け入れることができる住民自治なり地方自治の成熟化だと思うのです。言いかえれば、地方分権化と地方自治の成熟化というのは硬貨の裏表の関係でなければならないということを感じておりますが、若干、衆法、閣法にしても、地方行政への権限移譲が主体となっていて、要は住民の意識の底上げとか、そういうところが非常に不案内というか、わかりづらいところがあるのですが、この法律案の中でどのような形から読み取ることができるか、御示唆いただきたいと思います。
○山口国務大臣 この法律の第一条の「目的」に、「国民がゆとりと豊かさを実感できる社会を実現することの緊要性にかんがみ、地方分権の推進について、基本理念並びに国及び地方公共団体の責務を明らかにするとともにこということで私たちの目的を明確にいたしましたが、同時に、第二条「地方分権の推進に関する基本理念」、それから第三条の「国及び地方公共団体の責務」というところで、国及び地方公共団体の責務ということに触れて記載をいたしておる次第でございます。
 そういう中に、委員が御指摘の、やはり地方公共団体が住民自治という立場に立ってその地域の住民の皆さん方の福祉を守るということで、きちっとした体制を整備いただきたいという気持ちをこの中に込めている次第でございます。
○野田(聖)委員 今お話がありました第二条なんですけれども、政府が目指そうとする地方分権推進の道筋において、「地方公共団体の自主性及び自立性を高め、個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現を図る」が基本ということであります。つまりこれは、そうであるならば、地方公共団体の側が、単に国から言われて、受動的ではなくて、むしろ能動的に分権化及び自治の確立に努めることが不可欠な要素として期待されていると考えてよろしいでしょうか。
○山口国務大臣 おっしゃるとおりでございます。
○野田(聖)委員 関連しまして、第三条には、「国の地方分権の推進に関する施策の推進に呼応し、及び並行して、その行政運営の改善及び充実に係る施策を推進する」ことが地方公共団体の責務と規定されています。ということであれば、できればその文章の中に、地方公共団体が率先してというような一言が示されれば、なお一層地方公共団体の励みになるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○山口国務大臣 法律が成立いたします場合は、国権の最高機関であり、唯一の立法府である国会の議論がどうあったかということをやはり十分踏まえてその実施に私は対処すべきものだと考えております。それが議会制民主主義の基本的考え方ではないか。
 したがいまして、表現には委員御指摘のようにございませんけれども、国会の議論の中でそういったことがやはり強調されたということは、今後のこの法律の実施に当たって、私ども政府としても十分そのことを考慮しなければなりませんし、また、あるいは今後御議論になると思いますが、地方分権推進委員会が勧告もし、また、政府が地方分権推進計画を策定する場合におきましても、そういった国会の御議論というものを十分踏まえて私は対処すべきものだ、これが議会制民主主義というものの本質ではないだろうかというふうに考えておる次第でございます。
○野田(聖)委員 今お話に出ました推進委員会も、午前中の衆法での質問の中で、この推進委員会というのがこの法律の中で双方にきちんと、それこそ明文化されて存在が明らかになっているわけですけれども、どうもその推進委員会に寄せる期待度というのが若干閣法と衆法では違っているのではないかと思いますが、どのようにお考えでしょうか。
○山口国務大臣 これは政府提出の地方分権推進法におきましても、また、衆法の地方分権の推進に関する法律案にいたしましても、地方分権推進委員会の役割というものは極めて重要なものという認識のもとに法案が作成されている、その点は同じではないかと思います。
 ただ、どこが違うかと言われれば、地方分権推進委員会で議論をして、勧告もいただき、推進計画でもって政府が策定すべき問題に関して、衆法の方がやや詳しく具体的に触れておられるという点は相違があるとは思いますが、しかし私ども政府案の方も地方分権を推進するという立場で法律を出しているわけでございまして、先日もお答えいたしましたように、閣法も地方制度調査会の答申あるいは地方六団体の御意見というものをきちっと踏まえ、地方分権を推進するという立場で提案をしているという点はひとつ御理解をいただきたいと申し上げたわけでございまして、その点をぜひ御理解を賜りたいと思う次第でございます。
○野田(聖)委員 もう一度確認したいのですけれ
ども、推進委員会ができるということで、私たちこの委員会で議論している法律案というのは総論の取りまとめであって、国会決議ができた、だけれども、それは法的根拠がない、これから法律化して全国民に私たちは地方分権を進めていくのだという大枠を知らしめ、かつ各論については、それぞれ例えば機関委任事務の廃止とか地方事務官制度、それ以外の補助金の問題とか地方税の問題というのは、その推進委員会が非常に重要な役割を演じるというか、そこでおおむね決めていっていただくことが妥当であるというような理解でよろしいでしょうか。
○山口国務大臣 お答えいたします。
 法律におきましても、例えばこの機関委任事務の問題に関しましては「整理及び合理化その他所要の措置を講ずるものとする。」こういたしまして、地方分権大綱が書いてございます機関委任事務につきましては、整理合理化、所要の措置を検討するという趣旨を踏まえた上で進めるのですよという基本的な考え方はうたっていると思いますし、また、国の負担金、補助金等の支出金の整理の措置を講ずるということにつきましても、この点は考え方は方向としてきちっと明示をいたしておるということであると存じます。
○野田(聖)委員 そういうことであれば結構なのですけれども、そこで、先ほど衆法の質問の中でも同様の質問をさせていただきました。その委員会の委員の選任についてなのですけれども、双方とも有識者というふうな簡単な記載というか要件でやり過ごしてしまっている。むしろこの推進委員会にぜひ入ってもらいたいというのは、地方公共団体が推薦する人物が最優先されるのじゃないかということを常々考えていました。そこで初めて私たちは、国権を利用した地方分権ではなくて、地方からの生え抜きの委員会による地方分権のスタートが切られるのだという思いがあります。
 同様に、私は岐阜県選出なのですけれども、岐阜県選出の梶原知事も、その地方分権推進委員会の構成に関しては、法案では地方自治体関係者からの推薦のある者を選任する旨の明示がないが、委員の選任に当たっては、地方自治体の意見を十分反映させるため、地方自治体の立場に立った委員をメンバーに加えるよう強く要請するものであるというコメントがございます。これに対して御回答いただきたいと思います。
○山口国務大臣 お答えいたします。
 政府がつくります地方分権推進計画、これも重要でございますが、同時に、この計画を策定するに当たって、地方分権推進委員会が議論をして勧告をいただく、その勧告を内閣総理大臣は尊重して推進計画を立てる、こういう仕組みになっているわけでございますが、そういう意味で地方分権推進委員会の委員の方々の役割というものは極めて大きい、委員御指摘のとおりであろうと存じます。
 したがいまして、この委員につきましては「優れた識見を有する者」という言葉がこの法律にも書いてあるわけでございますが、そういったすぐれた識見をお持ちの方々を内閣総理大臣が選考いたしまして、そうして地方分権の推進に関する決議をいただきました衆参両院、国権の最高機関であります両院の御同意を得て委員を任命する、こういう仕組みになっておるわけでございますので、私は、委員が御指摘のように、地方政治、地方行政に関してすぐれた識見をお持ちの方を委員の中に入れていくということは、当然のことであろうと存じます。そういう点は内閣総理大臣も十分配慮いたしまして委員の選考を行うでございましょうし、また、国会が御同意をいただく際にも、そういう点を十分検討した上で御同意をいただけるものだというふうに考えておる次第でございます。
○野田(聖)委員 私の意見を聞き入れてくださいまして、本当にありがとうございました。
 実は、この地方分権の推進法案、衆法と閣法という二つの法律案が出てまいりまして、私なりにその二つを比較しながら勉強してまいりました。最初に申し上げたとおり、総論ではおおむね違いはなくて、やはり一歩前進していこうという姿勢はどちらの法律にも共通している部分であります。
 しかし、私が何よりもこだわってしまったのは、衆法の方で機関委任事務の廃止規定という非常にわかりやすい具体的な法律の目玉みたいなのを提案されている。そうすると、世間からすると、突っ込んでいるから非常に前向きたイメージというのがあるのですけれども、残念ながら、ややもするとそれを廃止した後をどうフォローするのかとか、どういうルールづくりができていくのかとか、だれが担当していくというような点がまだこの委員会では棚上げされて、それは今度できる推進委員会にやっていただければいいということでは、残念ながら、一見閣法よりも突っ込んだ内容に思えるのですけれども、そういうふうに見えるのですけれども、そこが抜けちゃっているなという感じをその衆法に対して感じてしまったわけなんです。
 しかし、ここで気をつけなければいけないのは、衆法の皆さんがおっしゃっているように、どうも閣法には積極性がむしろ後退しちゃっているのじゃないかというイメージがある。どうしても、衆法と閣法を比べた場合には、何となく一般の人から見ると衆法は突っ込んでいて前向きだ、閣法は何となく後ずさりしているようなイメージというのがあることは、事実だと思うのです。
 ですから、私としたら、衆法の中にかいま見ることができた積極性というのを、やはり閣法が、今後修正するにしても、どういう形にせよ具体性を持って取り込むことができれば、その意義というのは非常に大きくなるように思えるのですが、それについてどういうふうにお考えでしょうか。
○山口国務大臣 委員の御主張はよくわかります。
 この前の委員会でもお答えしたのですが、政府といたしまして、この機関委任事務を廃止をするということを法律に明記をするということになりますれば、当然、他の法律との整合性というものを閣法の場合は考えなければなりません。そうなりますと、この地方自治法の別表第一から第四、二つは団体委任事務でございますが、二つは機関委任事務、たくさん書いてございます、そういったもの、また、その機関委任事務の根拠の法律というものをどういうふうに整理するかということを抜きにして、政府の場合、この機関委任事務廃止ということを法律で御提案申し上げるということはや点り問題があるということは、御理解いただけると思うのであります。
 私どもといたしましては、この機関委任事務の中に、国政選挙の執行でありますとか、あるいは旅券の発給でありますとか、戸籍事務でありますとか、やはりこれを廃止をする、機関委任事務を廃止をするという場合、それでは一体どこの機関でこれをやるか、国の出先機関をそれじゃたくさん各地区につくるのか、行政改革という立場でそういうことはやはり至難だと存じます。
 では、どういう形でこの事務を処理すべきなのかということは、やはりきちっと議論した上でこの問題については結論を出すべきだというふうに考えているわけでございまして、私ども、機関委任事務を残そうと思ってこの法案を提案しているわけではございません。地方自治体の立場で、できる限りこの機関委任事務について廃止すべきものは廃止をしていくという方向は、私たちの目指す方向でございます。
 ただ問題は、今申し上げましたような点の、何といいますか、この扱いを一体どうするのかということを考えた上で政府としては対処したきゃならぬし、そういった問題は地方分権推進計画の中で明確にしなきゃならぬ。また、その計画を立てるに当たりましては、地方分権推進委員会で十分な御議論をいただいて、その上で、勧告もし、あるいは意見もいただくという中で、具体的にどうするかということをやはり決めていくべき課題ではないか。
 御趣旨は、私どもの考えと同じだと思います。
○野田(聖)委員 先ほど衆法でお尋ねした際に、機関委任事務を廃止しても全く住民には迷惑をかけない、何にも変わらないんだという御指摘がありました。今おっしゃったような案件のことだと思うのですけれども、何となくそこら辺で矛盾が生じてくる。では、何にも住民に対しては、やめようとやめまいと行政サービスとしては変わらないという答弁も何となくおかしいような気もしますし、今のお答えだと、機関委任事務を全廃してしまうと、それをだれがやるかというような問題が生じてくる。
 そこで、やはり衆法での答弁と閣法での答弁がちょっとわかりづらくなってしまっているので、もう一度お尋ねしたいのですけれども、機関委任事務を衆法の御趣旨どおりゼロベース、つまり全廃することによって何ら住民サービスに影響はないというふうに、先ほどはそういうふうなお答えをいただいたのですけれども、どう思われておられますか、現実問題。
○山口国務大臣 現在地方自治法の別表にございますこの機関委任事務、これを全部廃止をした、その場合、例えば国政選挙をやるということになりました場合に、それでは、国政選挙の事務は一体どこでやるのかということはすぐ問題になるだろうと思うのですね。ですから、直ちに私は、機関委任事務に対して廃止すべきものは廃止して自治体の固有事務にすること、結構だと思います、また、自治体の議会が関与できる団体委任事務にこれを変えていくということも結構だと思います、ケース・バイ・ケースによってですね。しかし、今申し上げましたような国政選挙の事務というもの、これを地方の固有事務というわけにはまいらぬと思います。
 したがいまして、そういうものについては、一体どのような手だて、どのような機関がやるのかということをやはりきちっと詰めました上でこれに対する結論は出すべきだ、これが政府の立場であると私は申し上げておるわけでございまして、後の手だてを考えずに直ちにこれをゼロベース、廃止というわけにはまいらぬ。そういう事務が幾つあるかと言われるとこれはあれですが、相当あるのではないかというふうに存じます。
○野田(聖)委員 ありがとうございました。機関委任事務を初め、それらのことについてはまた別な方に議論していただければいいと思います。
 最後に、繰り返すようですけれども、私が地方議員として初めて屈辱を感じたのは、陳情をして予算をお願いしたときに、役所の人にけんもほろろにされてしまった、同じ人間でありながらこんにちはも言ってもらえなかったというところが私の原点であります。ですから、むしろ今私がこだわっている地方分権というのは、機関委任事務とかそういう事務手続の権限よりも、いかに地方に財源とか地方税の使い方が緩くなってくるか、いかに私たちが自由裁量で使えるお金がふえて、何か物をつくったり地方の活性化にお金を使うときに、その都度新幹線に乗って役所に頭をぺこぺこ下げに行くような、そういう活動をやめたいというのが、地方分権の私が考える第一歩であります。
 しかし、なかなかこれは難しい問題なんですが、最後に、地方税とか財政の整備とか拡充についてどういうお考えであるか、お聞かせいただきたいと思います。
○野中国務大臣 委員から御指摘がございましたように、地方分権を推進するためにその税財源を拡充強化しなければならないということは当然のことでございまして、先般の税制改正におきましても、従来の消費譲与税にかえて地方消費税が創設をされましたことは、ある意味において地方分権の大きな弾みにたったと考えておるわけでございます。
 そういう点から考えますときに、これからも交付税その他、地方に税財源を充実するための施策は十分にやっていかなくてはなりませんし、また、今回の法案におきましても、「国と地方公共団体との役割分担に応じた地方税財源の充実確保を図るものとする。」と書かれておるわけでございまして、私ども、今後深刻な少子高齢化社会を考えますときに、住民に身近なところである地方公共団体に、その権限にふさわしい税財源が十分確保されるということが、分権を推進していく基本的な問題であると考えておる次第でございます。
○野田(聖)委員 どうもありがとうございました。
 私の願いは、やはり地方がお金をもらって仕事をするというのではなくて、みずからつくり出したものに対してみずからの財源でふるさとをよくしていく、そして子供たちに残していくというのが地方分権の、行政の願いでもあるし、そこに住む人たちの願いでもあると思います。どうか、この問題が一日も早く現実のものとなりますように、そして、それと同時に、反比例して、いわゆる国会や霞が関へいらっしゃる陳情の皆さん方の数が激減することを心から願いまして、私の質問を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。
○笹川委員長 須藤浩君。
○須藤委員 新進党の須藤でございます。
 ただいまから閣法に対しての質疑をさせていただきたいと思います。
 今回のこの推進法案に関しましては、これまで数多く議論がされております用地方にしてみますと、本来基礎的自治体であります地方自治体が住民サービスのためにどのような行政をしていくか、住民にとってみますと、直接窓口でかかわるのは市町村、基礎的自治体の職員の方々であります。そこで、当然のことだから、生活に密着をしている行政というものを考えれば、速やかに、しかも中身のある、住民の側に立った行政サービスが適切に行われるということが一番望ましい、このように思います。ところが、現在においては、やはり国の方に余りにも権限あるいは財源が集中をし過ぎているということで、これを地方に分権という形、つまり権限やある意味で財源を移行する、こういうことでの分権論が大変盛んになっております。
 しかし、よくこの地方分権ということを考えてみたときに、どういうような観点からこの地方分権というものをとらえていくかということによって、私はその方法論であるとかそういったもの、順序、手だてがかなり変わってくるのではないか、このように思います。これまでは、国から地方へ権限を移譲するということの中では、どうしても中央側の地方に対するコントロールというような部分がなかなかぬぐい去ることができない状況で分権が行われている、このように思います。私も市の職員や地方議会を経験しておりますが、どうも地方が自分たちの意思決定をもって行政を行う、あるいは町づくりを行うということがなかなか難しい。それは制度的にもそうであるし、またある意味では、精神的にそういうことを自立的に行っていくということがこれまでの長い間の仕組みの中からできづらくなっている、こういう現実があろうと私は思います。
 そこで、まず両大臣にお伺いしたいのは、この地方分権ということの基本的な視点というものをどのように考えていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。
○山口国務大臣 お答えいたします。
 法律の第四条におきまして、国と地方公共団体との役割分担ということを明確にいたしております。特に、「地方公共団体においては住民に身近な行政は住民に身近な地方公共団体において処理するとの観点から地域における行政の自主的かつ総合的な実施の役割を広く担うべき」ものというふうに規定をいたしております。「自主的かつ総合的」ということは、これは当然、過般も委員会で御議論になったんでございますが、一体地方公共団体が行う仕事は実施だけなのか、そうではありません。企画、立案、調整、そして実施、これ、すべてを地方公共団体が担うんですというふうにお答えいたしましたが、「自主的」ということは、この企画、立案、実施、これを当然含むことだと思いますし、「総合的な」ということは、調
整というものを含むということは法律用語として御理解をいただけると思います。
 したがって、御質問に対してのお答えとするならば、まさに住民に身近な行政は住民に身近な地方公共団体がこの企画、立案、調整、実施、すべてを自主的かつ総合的に担い得るという体制をつくる、これが私は地方自治の本旨であるし、これがまた憲法が規定しております「地方自治の本旨」、これに沿うものではないかというふうに認識をいたしております。
○野中国務大臣 今総務庁長官から御答弁があったとおりでございますけれども、戦後、地方自治法が施行をされまして半世紀に近いこの期間というのは、ある意味において、あの廃墟の中から新しい地方自治の芽を求めましたけれども、しかしまた一面、強力な中央集権の主体によって、この国力の繁栄をもたらさなければならない背景もあったと思うわけでございます。
 けれども、今日それぞれの地方公共団体が成熟をしてまいりまして、そして五十年という一つの節目に、地方分権が大きな、政治と、そして現代的課題を持つことになりましたことは、私は、この日本のこれからの歩みが、皆さんが御指摘になっておりますように、地方でそれぞれ二十一世記を踏まえながら住民に身近なところで、今総務庁長官からお話がありましたように、住民のニーズにこたえた行政がやられなくてはならない。
 そういう意味において、地方が行う行政と国が行う行政との役割分担を明確にして、そしてその中から、いわゆる国の行うものと地方が行うものに伴う税財源の配分を行い、かつ、これをこなし得る十分な人材を充てることによって地方分権という、地方の調和のとれた均衡ある国土の発展、そして住民のニーズにこたえられ、これからの困難な時代をそれぞれ地方分権を推進することによって乗り切っていけるような、そういう節目に立ったんではなかろうか。まさしく五十年という節目に、地方分権という新しい使命というものが、国の政治の中から一面求められた責任であると考えておる次第でございます。
○須藤委員 この地方分権の基本的な視点ということは、基本方針の中にもそれぞれ掲げられていますが、今長官がいみじくも、「自主的かつ総合的な実施」という言葉の中に、法令用語の中に、主体的であり、あるいは企画、立案、調整、実施云々ということが入っていると、解釈の上でそう読めるということなんでしょうが、述べられましたが、これまでの地方分権論というものは、恐らくそういったことは、戦後地方自治法、憲法の中に地方自治に関する一章が設けられたときに、将来の方向としては必ずそういうことになるんだ、あるいは行政が国から地方へどんどん分権をして、地方が自立をできる方向性というものを強化していくんだということは考えられていたと私は思うわけですね。ところが、これまで臨調やあるいは行革審等で議論が進められ、こうすべきであるというようなことで、ある意味で総論賛成、国民合意のもとに進められてきたんですが、なかなかそれが実態としては前へ進んでいかないということだろうと思います。
 そこで、今回のこの法案の制定に当たっては、そこのところを明確に、明瞭に明記をして地方自治の推進を図るということであろうと私は思うわけですが、あえて政府案の方としては、「自主的かつ総合的な」という言葉でその辺が明確といいますか、明記はされておりませんが、今までの経緯を考えて、断固としてこの地方分権を、いかなる障害があろうとも進めていこうという決意があれば、その表明としての具体的なこういう文言というものは、私は基本方針の中にあらわれてきてもよいのではないか、このように考えますが、いかがでしょうか。
○山口国務大臣 私は、率直に言いまして、学校は法科を出た人間ではございませんので、法律用語について専門的な知識はございません。したがいまして、事務の皆さんに聞いたのでありますが、結局、法律用語におきまして「行政の自主的かつ総合的な実施」ということは、「自主的」というのは企画、立案というものを当然含む、それから「総合的」ということは当然調整を含むんだということは、法律的には明確になっているそうであります。
 したがって、「自主的かつ総合的な実施」、こう法律で書けば、企画、立案、調整、実施というふうに当然読み取れ得るものというのが専門家としての立場からの回答でございますので、私はそういうふうに受け取っていただいて結構であるし、また、政府もそういう考え方でこの法律は出しておるということで御理解をいただきたいと存じます。
○須藤委員 法律をつくるときには、当然目的や理念あるいは立法者の趣旨といいますか、考え方というものが全体を通して、あるいは個々の文言の中にもあらわれてくるのが私は普通だと思います。
 先ほどから申し上げていますように、これまで地方分権が進まなかったというのは、それは一方においては、いわゆる受け皿論という形の中で論じられているように、中央から地方に対するある意味の不信感といいますか、まだまだ任せ切れないというような部分があります。また、地方自治体としても、これまで余り経験のないところに権限であるとか財源が一気に来てしまっては、すぐに受け皿ができかねる、こういう現実もあろうと思います。
 しかし、それはそれとして、例えば小さな子供が大人になっていくときに、大きくなるまで自立できるような環境、状況を何もつくらないで、ある日あるとき、一気にこれをやってみろと言われても、それはなかなかできないのが当たり前である。本来であれば、できるように育てていくのが親の仕事だろうと思います。中央と地方の関係というのも、これまでの五十年間を考えるのであれば、一つ一つそういう形での、各地方自治体がみずからの力で立つことのできる環境をいかにつくっていくかということが私は重要であろうと思います。そうであるならば、今回のこの推進法の制定において、いかにその障害を乗り越えるかということが地方分権の推進には一番重要なことであろうと私は思います。
 法律用語で「自主的かつ総合的な」というのは、法律用語の意味としてそういうことが入っているとは私は思いません。日本語の「自主的」あるいは「総合的な」、語彙として企画、立案とか、あるいは調整、実施などということの意味が含まれることはあり得ます。
 しかし、今回のこの推進法は、こういった部分が地方にとっていかに阻害をされているかということが大きな問題なのであって、それをクリアするために推進法を制定するということであろうと思います。ということは、一番の重要な部分としての目的や理念、あるいはこの基本方針の中にそれが明記されて初めて具体的な個別の条文の中で分権推進のための方策を決めていくことができる、私はこのように考えますが、もう一度この点に関してのお考えをお伺いしたいと思います。
○山口国務大臣 御指摘の点は、私も全く同感です。
 私は、私の政治の経歴について委員会で申し上げたことがあるわけでございますが、私も一番最初は地方行政委員会に所属をして、十年間地方行政委員会の委員、理事として活動させていただきました。それで、地方行政委員会では、地方自治の本旨、地方分権、地方が自主的な立場で仕事ができるようなことにすべきだ、そういう意味では、税制、財政、行政、あらゆる分野において自治体の自主的な立場を確立しなければならぬという議論が随分あるわけでございますが、当時の国会は、むしろ縦割り行政になって国からの補助金あるいは指導というものがあった方が国会議員の皆さんとしてはみずからの選挙区を培養するのにかえって便利だ、こういうお気持ちを持つ方も率直に言って数多くおられたと思います。したがって、地方行政委員会では地方分権という話が随分出ますが、国会全体としてはなかなかそういう状況にはたかった。族議員などという言葉があった
のも、私はその一つのあらわれではないかと思うわけです。
 しかし、時代が変わって、一昨年、地方分権推進に関する国会決議が衆参両院で行われるという時代になったわけですね。そういう意味では、まさに国会が、委員御指摘のような形の地方分権を推進すべきだということになったと思うのです。そういった流れを受けて私たちはこの法案を提案をいたしたということでございます。
 そうして、法律家の立場で、この「自主的」「総合的」という意味を解すれば、今言ったように、企画、立案、調整、そして実施というものを含む表現であるのだということは、法律専門家の立場からもそうだと明確に言っていただいておるわけでございますので、そういう点で、私たちの法律案が目指す方向というのは、委員御指摘の点と同様であるということは、御理解いただけるのではないだろうかと存じます。
○陶山政府委員 ただいま山口大臣の御答弁につきまして、文字どおりそれに尽きておりますけれども、実務的に補足をさせていただきます。
 御案内のように、昨年十二月二十五日の閣議決定、いわゆる地方分権の推進に関する大綱方針でございますが、この中では、「地方公共団体は、地域の実情に応じた行政を積極的に展開できるよう、地域に関する行政を主体的に担い、企画・立案、調整、実施などを一貫して処理していくものとする。」という表現になっております。
 ところで、法律の規定としてどういう表現ぶりをするかということにつきましては、立法技術上を含めいろいろな観点から厳重な吟味が行われ、それらの制約があるわけでございますが、端的に申し上げるならば、「一貫して処理」というふうな、「一貫して」というふうな表現は、法律の規定ぶりとしてはなじまない表現であろうと考えております。いろいろな観点から検討いたしました結果、この閣議決定の内容を含んで総括的、端的な表現として「自主的かつ総合的な実施」という表現を法律の規定としては用いたというふうに御理解をいただきたいと存じます。
○須藤委員 これまでのそういう議論の経緯の中での最終的な表現として「自主的」あるいは「総合的な」ということの御説明ですが、地方分権を推進していくに当たって、やはりこれを名実ともに実現するためには、言葉で明確に表現をしていくということが重要な視点であろう、私はこのように思います。
 今回のこの分権論については、地方出先機関の廃止であるとか、あるいは機関委任事務、地方事務官制度廃止、そういったものがこれまでかなり論じられてまいりました。これも、分権を推進していくに当たって、もうある意味で答えは出ている。地方分権の推進に当たっては、いかに実現ができない障害を除去していくか、私はこういう視点で取り組むべきであろうと思います。
 今回の政府案の中で、先ほども議論が行われておりましたが、これから調べて、そして具体的に廃止、整理統合できるかできないかを詰めていくというような、ある意味で事務レベルの作業をしなければならないということが答弁にありましたが、この議論はもう済んでいるのではないか、私はこのように思います。
 問題は、こういったことをいかに実行するかということ、これを考えますと、やはり今まで議論されてきました、障害となっております、あるいは具体的に地方機関に分権をしていく中身、そういったものをゼロベースで抜本的な改革をしていくということを先に政治的に投げるといいますか、表明をする。そして、できない部分について、どうしたらできるのかということを議論する、事務的に詰めていくことが必要であろう。方法論としては私はそうすべきであろうと考えますが、今回の政府案ではそういう旨の明言が行われていないかと思いますが、このことに関してどうお考えであるか、伺いたいと思います。
○山口国務大臣 お答えいたします。
 この点は、先ほど行政管理局長から指摘をいたしました地方分権大綱の中に、「機関委任事務の整理合理化等」といたしまして、「機関委任事務の整理合理化を積極的に進めるとともに、機関委任事務制度について検討する。」ということを述べている。そうして、それを我々は受けて、法律案ではあのように整理合理化その他必要な措置を講ずるものとするという形で提案を申し上げている。中身は分権大綱を踏まえておるわけでございますというふうにお答えをし続けてまいりました。
 したがって、先ほども申し上げましたが、機関委任事務の中には、当然どのような形で国の事務としてこれを処理すべきかという処理の方法について議論をし、一定の方向を出さなければならぬと思います。廃止できるものは廃止をする、地方公共団体の固有事務とするものはする、また機関委任事務でなくて団体委任事務にできるものはしていく等々の整理をする必要があるというふうに私ども考えております。
 そうして、そういった議論の結果、機関委任事務制度について検討するということは、当然その際の議論の中で機関委任事務制度のあり方自体についても検討の結果、結論を出すべきものだというふうに我々としては解しておりますということも申し上げたわけでございまして、私ども機関委任事務を残すという方向でこの法案を提案したわけではございません。できる限り地方自治体の御意見に沿って機関委任事務制度については整理合理化を積極的に進める。そうして、制度のあり方自体についても検討するのだという方向を私どもとしてはきちっと出しているということで御理解をいただきたいと思う次第でございます。
○須藤委員 今のお話は、機関委任事務を残すという考え方ではとらえていないということであれば、どういうようにして今行われている機関委任事務を地方自治体の中で具体的な事務レベルに落とすことができるかということを考え、それが実行できるということであれば、機関委任事務制度といいますか、その仕組みは廃止をしてもよろしいということになりますが、それでよろしいわけですね。
○山口国務大臣 ですから、初めに答えありきではなくて、まず議論をして、その上で、どのように扱いをすべきか個々について判断をいたしました上で対処すべきものだ。そうして、その上で答えが出るとすれば、制度のあり方自体についても検討するという考え方を分権大綱は含んでいるのだ、その考えを踏まえてこの法律案はできているのだということで御理解をいただければと存じます。
○須藤委員 少し新進党案と政府案の基本的なスタンスの違いといいますか、法案を制定して当然実行に移すわけですが、法案をつくること自体はある意味で一つの手続法であろうと思います。しかし、地方分権を推進するという意味では、あくまでも政治的にこれを断行していくということであろうと思います。そういう観点からすると、一つの具体的な例としてこの機関委任事務制度というものに取り組むスタンスの違いということが私は明確に出ているのではないか、このように思います。
 そこで、仮に政府案が修正されるかあるいはそのまま原案どおり可決されるか、いずれにしても通った場合、現在の制度の中で地方分権の推進委員会、それから行政改革委員会、さらには地方制度調査会、この三つの組織が併存するわけですけれども、この中で考え方とかあるいは具体的な意見の違いというようなものが生じてきた場合、どのような対処、対応をされると考えておられるか、伺います。
○陶山政府委員 ただいまのお尋ねにつきましては、従来も例えば地方分権の問題について議論をいたしましたのは臨時行政調査会や行革審も同様でございました。片や地方制度調査会におきましても、地方制度の基本的な事項について並行して御審議があったことは、御案内のとおりでございます。
 お尋ねの点について端的に申し上げますならば、例えば同じ事項について異なった御意見が提
出されるといった場合につきまして、政府としては、その当該意見をそれぞれ尊重しながら最終的には内閣総理大臣の責任において適切に判断をする、そういうことになるというふうに考えております。
○須藤委員 そこで重要になるのが、いかに地方分権を推進させるかということであろうと思います。これまでの例ですと、どうしても中央官庁の力が強くて政治主導型に持っていくことがなかなかできなかったという苦い経験を何度もしております。三つの委員会等における中身が具体的な場面で違ってくるというようなことも私はなきにしもあらずと思います。この点に関してはしっかりとした調整をできるような万全の体制を整えていただきたい、このように考えます。
 次に、政府案では五年後に時限立法としてこの法案をなくすることになっておりますが、実際五年間たって当初期待していたとおりに物事が運ばない場合、どのようにされるか、お伺いします。
○山口国務大臣 これはもう五年の時限立法でございますので、五年間のうちにこの法律が目指すものを仕上げていく、一定の期限内に集中的かつ計画的に取り組んで具体的な成果を上げるということが必要であるというふうに考えております用地方制度調査会の答申におきましても、五年の時限立法にしてはどうか、こういう御提起をいただいているのも、私ども政府の考えと同じ考えに立っているのではないだろうかというふうに思います。
 五年間でできなかったらどうするかということでございますが、そういうことは私ども考えません。五年間のうちにこの法律が目指すものは仕上げる、こういう決意で対処いたしたいということでございます。
○須藤委員 この点に関しましては結果は留保されるわけですから、それに対して政府といいますか与党の姿勢そのものに国民は期待せざるを得ないという部分があります。そうしますと、仮にできなかった場合はどうするのかという責任を追及しても、それは努力をするという一言で実は片づいてしまうという大変難しい問題に私たちはぶつかるわけですけれども、この点に関しましてはさらに同僚議員からも私はいろいろ議論が出ると思いますので、次の質問をさせていただきたいと思います。
 それは、日本における行革というものが近隣諸国に与える影響というものをどのように考えているかということであります。特にアジアを考えてみますと、日本の制度を参考にしてそれぞれ近隣で同じような制度をつくっているところがあろうかと私は思います。そういったところでは、最近数々の改革を実行して、ある意味では日本の制度を超えるようなところも出てきているやに伺います。今回日本で地方分権というものを戦後五十年たって行うということは、そういう意味で近隣に対する影響であり、日本の国内におけるそういう改革の姿勢というものがどう行われるのかということでの注目を集めるのではないか、このように考えるわけですけれども、この点に関してどのようにお考えであるか、お伺いしたいと思います。
○山口国務大臣 地方分権は、私どもあくまでも時代の要請にこたえて我が国の行政システムを変革するという問題意識のもとに行おうとしているものだと存じます。私どもがやることがアジアの模範になるというような気負った考え方というものは私ども持ってはおりませんし、また、そういう気持ちを持つことはいかがであるかというふうに思っております。
 ただ、我が国が戦後五十年、こうして画期的な地方分権という方向を打ち出したということに関して、アジアの他の国々が我が国の努力というものを何らかの参考ということで考えていただければ、それにすぐる幸せはないというふうに考えておる次第でございます。いわば、国の政治体制、行政組織というものは、各国の社会、経済、歴史、この状況のもとにそれぞれの国の方々が議論をして選択をすべき問題だと思う次第でございまして、一つの国の制度がすべてすぐれておるとかということではないだろうと思います。
 いずれにいたしましても、我が国といたしましても、他の国々、例えばアメリカにおける連邦政府というようなまさに地方分権というものの徹底している制度、あるいはドイツにおける制度、また、最近フランスにおきましては、あの中央集権的な政治体制を地方分権の方向に切りかえておるわけでございますが、そういった各国の制度というものは、私ども謙虚に学んでいく必要はあろうかというふうにも存ずる次第でございます。
○須藤委員 いずれにしましても、大きな流れの中におけるこういった分権、あるいは歴史の過程の中における段階としての地方分権ということ、両方とってみても、近隣、特にアジアに対する影響というものはあると私は思います。胸を張ってこの地方分権が推進できるように立派な分権を実現すべきだ、このように思いますので、このことを一つ指摘させていただいて、私の質問を終了いたします。
○笹川委員長 岩浅嘉仁君。
○岩浅委員 新進党の岩浅嘉仁でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 この委員会は、地方政治に携わった委員さんもたくさんおいででありますし、また、長官はたしか県議二期ですか、お務めになられて、自治大臣は二十五歳で町議、三十三歳で町長ですか、そして府議、副知事、ある意味では地方自治の生き字引のような方であろうと思います。昨年末でしたか、町村長会、町村議長会の大会がございまして、大臣がごあいさつをされておりました。私は後ろで座っておりまして、すばらしいなと実は思いました、野党としては切歯扼腕でございますけれども。しかし、あれだけのすばらしいごあいさつをされる、情熱がある、私自身は、野中自治大臣が総理になれば地方分権はあっという間にできるのじゃないか、そういうふうな感想も実は持ったことがございます。そういう観点からひとつ前向きに御答弁を賜りたいと思います。
 地方分権に関しましては、これは今議員同士で議論をしておりますけれども、やはりこれは相手は、相手といいますか、対象は、中央の官僚といいますか官僚体制、これをどう政治がこなしていくか、極論すればこういうことにかかっておると思います。それが本質だと私は思います。官僚といいましても、それぞれいい方ばかりでございますけれども、体制になりますと巨大な力を持っておる、これが日本の現実である、下手をすれば、官僚の官僚による官僚のための分権になってしまう可能性も大いにあるのじゃないかと私は思っておるところなんです。官僚の方には申しわけないのですが、一省一局の利害には非常に対処が早いというのが一つの特色でもあると思います。
 そんな中で、これは長官も、また委員長さんの地元にもなるのですが、昨年群馬県が、この群馬県の知事さんは、伺いますと、地方分権とか規制緩和の推進論者ということで非常に積極的な方らしいのですが、その方がリーダーシップをとって、県庁内のプロジェクトチームの検討結果として報告書をまとめた。
 そしてその中には、緊急に国から地方への移譲が必要なものとして二十三項目を挙げておられます。これらは昭和六十三年五月に第二十一次地方制度調査会の答申の地方公共団体の権限移譲についてで掲げた十六項目を上回り、自治体として初めて権限移譲の具体的な項目にまで踏み込んだ、地方自治体としては画期的なものであるという評価もあるわけでございますが、しかし、この報告書が公表されまして間もなく、群馬県の担当課が権限移譲を指摘された省庁から事情聴取を受けた、こういうことを私は伺っておるわけでございます。
 山口総務庁長官はこのことを御存じなのかどうか、そしてまた、その事情聴取というものはどういうものであったか、長官自身がお聞きになってもし御存じであれば、どういう感じを持たれたのか、まず御感想をいただきたいと思います。
○山口国務大臣 お答えいたします。
 群馬県の小寺知事は、自治省出身ではございま
すけれども、長い間群馬県の副知事をし、それから知事に就任をされた方でございます。地方分権の問題については非常に熱心です。国から都道府県への権限移譲の問題、さらに都道府県から身近な地方自治団体である市町村への権限移譲の問題についても非常に熱心であって、地方の時代という言葉を一番真っ先に言いました神奈川県知事の長洲さんを中心にいたしまして神奈川県で地方の時代のシンポジウム等々を開催いたしました場合は、講師として出席もいたしまして、みずからの信念を堂々と述べるというような方でありまして、私も大変立派な知事だと尊敬もいたしております。
 実は私が総務庁長官に就任しました後、総務庁の出先機関であります行政監察局の局長を集めまして、所轄の地域でどのような問題があるかということを聴取をしたわけですが、その際も、関東行政監察局長は、群馬県ではこの地方分権、権限移譲の問題について非常に熱心に対処をしておられるという報告はいただきました。
 そうして、地方分権に対して県として独自の、国から都道府県への権限移譲をすべき項目はこうという提起をしたという報告は小寺知事から私もいただきました。しかし、その後知事から、中央省庁から事情聴取を受けたというようなことは一切聞いておりませんので、これは初耳でございます。一切そういうようなことは承知をいたしておりません。お話がありましたので、今後、知事はどうだったかということは聞いてみたいと思います。
○岩浅委員 でも、総務庁長官に就任されて知事と会われたら、多分私は、これはいろいろな官庁の、「地方行政」とかそういうものでも報道されておるのですね。そしてその群馬県の担当課の幹部が、「地方分権という総論は賛成でも、具体的な権限移譲になると各論から異論が出る、やみくもに国の権限を地方に移管することには問題がありますが、中央の壁の厚さを改めて痛感しました、今回の報告書は地方分権を検討する上でのたたき台にというつもりだったんですが」というふうな苦しいコメントもされておるのですね。これは一度、ぜひ総務庁長官としてお確かめをいただきたいと思います。
 国と地方の関係の中で、これは随所にあると思うのですよ。先ほど野田さんが、地方議員として陳情したときの地方議員の悲哀を語られましたけれども、私もそういう体験を持っております。国が県庁の職員に言う言い方と、県が市町村の職員に言う言い方と全く同じだ、高圧的だ、こういう生の声も、長官、多分聞かれておると思います。やはりそういうところを今から改めていかなければならない。それが私は地方分権の原点だと思います。ぜひこのことは御確認をいただきたいと思います。
 次の質問に入りますけれども、国と地方自治体の役割分担についてであります。
 これはいろいろ議論が出ておりましたけれども、政府案の第四条で、国の担うべき役割として大きく三つほど挙げられております。その三番目の、全国的な規模や視点に立つべき施策及び事業の実施、全国的な規模や視点に立って行わなければならない施策及び事業というのは何を指すのか、こういうところが極めてあいまいであるということが、有識者の間でも指摘をされております。
 先ほど新進党の冬柴先生の方からは、新藤先生でございますかね、大学の先生のお話が披瀝されたわけでございますけれども、全国的な規模や視点に立ってといった場合、道路、河川、鉄道、港湾だと、まさに現在地方主導で行っている大型公共工事、こういうものが含まれる、こういうふうに解釈してよろしいのでしょうか。
○山口国務大臣 この点、私どもの案で全国的な規模と視点に立って行わなければならない施策及び事業と言っておりますのは、地方制度調査会におきましても、若干表現は違いますが、同じような趣旨の提言をいたしていることは、委員も御存じだろうと思います。
 実は、政府の行革推進本部、その中の地方分権部会でこの地方分権大綱については議論したわけです。専門家の皆さん方に議論をいただく。同時に、関係省庁の閣僚も出席をいたしまして考え方を述べました。その際、省庁によりましては、この全国的な規模と視点に立って行わなければならない施策及び事業がさまざまたくさんありますというような主張をやっておられた閣僚もあったことは事実です。
 そういう中で、私ども、この問題はやはり相当きちっとした態度でなければ、地方分権推進法、これを効果的に進めることはできないな、こう認識をいたしました。多分、今後ろで聞いておられる野中自治大臣も同じお気持ちだったであろうと思います。
 したがって、閣議後の懇談で私も発言をいたしましたし、野中自治大臣も発言をいたしまして、この際、地方分権を進めるに当たっては、地方分権推進委員会をきちっとしなければ推進ができませんよ、このことが肝心だということを強調し、またその他の御意見もありましたが、村山総理が最終的に、この際地方分権推進委員会を明確な形で設置するという形の法律を提案しようではないか、こう締めくくりましたために、今回のこのような法律の提案に至ったと私は思っております。
 したがいまして、省庁によりましては、ここにありますような全国的な規模と視点に立って行わなければならない事業をできるだけ拡大していこうというような気持ちがあり得るということを私も認めないわけではありませんけれども、しかし、そうさせてはならないということで、地方分権推進委員会を明確な形にし、しかもその後私が予算委員会で発言もいたしまして、委員会の機能は、単に意見だけではなくて、監視も勧告もできるという明確な権限を付与すべきだということもお答えをいたしまして、その趣旨で今回の法律ができたということをお考えいただければ、委員が御指摘の点の懸念は、絶無とは私は申しません、懸念があることは事実でしょうが、それを抑えるための法律という形で今回は私ども十分議論をいたしました上で政府案を提出申し上げている。
 ひとつそういった政府案を信頼いただきたいということをお答えとして申し上げます。
○岩浅委員 今おっしゃいました私の懸念というのは何でしょうか。私がこれから聞こうと思うことを、長官、全部御答弁いただいたのですね。
 私は単純に、全国的な規模や視点に立って行わなければならない施策及び事業とは何ですか、これだけを聞いておるのです。政治家の大先輩として、総務庁長官として――法律に書いてあるわけですからね。当然いろいろな議論をされてこういう文言になったと思います。ですから、この箇所はどういうことを指すのですか、これだけ私はお尋ねをしたいのです。
○山口国務大臣 農水省、厚生省あるいは建設省、運輸省等々が所管をいたしております事業、そういうものについてさまざま議論があるだろうというふうに思います。
○岩浅委員 極めて抽象的なのです。
 先ほど御答弁の中に、推進委員会にすべて任すのだ。これはずっと継続して、終始一貫そういう御答弁をされておられるわけなのですけれども、私が感じますのに、地方分権の主体性、これは前にも議論に出ましたが、国民から見て政府の主体性というのは、この議論を聞いていたら絶対わからぬと思います。とにかく推進委員会に任すのだ、何でも推進委員会に、そういうふうに聞こえますよ。みんたそう思っていると思いますよ。だから、政府の地方分権への道筋、具体的な道筋……(「推進計画」と呼ぶ者あり)いや、法案読んでくれたらわかりますとよく答弁されていますけれども、村山総理も、歴史的、画期的な法案だからぜひ賛同してほしい、こうおっしゃいましたけれども、私は極めてあいまいだと思うのですよ。
 先ほど、この三番目の全国的な規模や視点に立ってについての私の質問にも極めて抽象的な御答弁を総務庁長官はされたと思いますけれども、
わかりやすくかみ砕いて御所見を教えていただきたいと思います。
○山口国務大臣 問題は、例えば建設省が所管する国道、国道にもさまざまありますね。基幹的な国道、それから国道すべてというものを含めるかどうかというところで議論も分かれるでしょう。例えば群馬県の小寺知事などは、国道といっても、百という三けたの数字を持っている国道などは都道府県が管理して何の不思議がありますかという主張を日ごろからやっております。私は、そのとおりだろうと思います。私、政治家としてはそう思っておりますが、ただそういった問題は、これを一体どうするかということを、今私がどこで線を引きますというふうにお答えすることはいかがかと思うのです。
 私ども、推進委員会にすべて任せるわけではございません。策定するのは、政府が地方分権推進計画を策定するわけです。そして、その計画を策定するに当たって、地方分権推進委員会が議論をして出していただきます勧告というものを十分尊重して推進計画を立てます、こう言っておるわけでございます。
 すべて推進委員会にお任せをするということではなく、政府としては法律でこの基本的な考え方は示しているわけですから、その考え方に立って推進計画を立てますが、その際、十分地方分権推進委員会の御意向というものを聞き、その勧告も尊重して私どもとしてはその計画を策定してまいりたいというふうにこの法律としては考えてできておる次第でございます。
○岩浅委員 地方分権の問題が出てまいりましたのも、こういう大型公共事業が中央集権の象徴である、政官業の癒着が言われてまいりましたね。こういうものを何とかいろいろな面で、政治改革もそうです、規制緩和もそうでしょう、そういうものでそういうことが起こらないようにやろうという中の地方分権の一つの役割が私はあると思うのですね。政府案のこの行間から見ますと、やはり全国的な規模や視点に立ってという表現の中には、大型公共事業を引き続き重点的に担う、こう表現しておるように私は解釈しますし、今の答弁でも、具体的にはおっしゃいませんでしたが、そういうことになろうと私は思います。御答弁は結構です。――いいですか。じゃ、答弁してください。
○山口国務大臣 私どもは政治改革に取り組んでまいりました。公選法改正は実現をいたしまた、しかし、それだけで私は政治改革ができたとは思っておりません。
 政治改革を実現するのには、御指摘の政官財癒着の構造というものを断ち切ることだ、それには、我が国の制度が余りにも中央集権的過ぎる、そこを直すことが本当の意味での政治改革だと私は考えて、そして、当委員会でも申し上げましたように、この地方分権と的確に関連づけてという意味で国会等の移転に関する法律も提案者としてこれを成立せしめましたし、また一昨年の国会決議もそういう意味で、この際、地方分権推進の国会決議をやろうやということを提唱して、この国会決議を実現することができた。その仕上げとして、今回この地方分権推進法を御提案申し上げる立場に立ったことを私は本当にうれしく思っておる次第でございます。
 そういう意味では、委員御指摘の政官財癒着の構造を断ち切るためにもこの地方分権が重要であるという認識は同じだと存じます。
○岩浅委員 今の部分はよくわかりました。
 次に、いろいろ今までも出たのですが、地方税財源の充実確保の問題なのですけれども、地方分権に関しては、やはり地方自治体は財源を一番心配いたしておることは事実であろうと思いますが、政府案は分権化に伴う地方税財源についての疑問とか不安に十分こたえておるとは言えないのじゃないか。と申しますのは、第六条で、国は自治体が事務や事業を自主的、自立的に執行できるよう、役割分担に対応した地方税財源の充実確保を図る、わずか二行しか書いておりません。この文言は、既に地方財政法で規定されていることを書いているにすぎない。極めてこれもまた抽象的に過ぎるのではないかと思うのですが、この点と、今後補助金、地方譲与税、地方交付税の各制度はどうあるべきか、簡潔にお答えいただきたいと思います。
○野中国務大臣 お説のように、もう先ほども私お答えいたしましたけれども、現在非常に財政基盤の弱い地方公共団体にとりまして、地方分権を推進していく上で地方の税財源を十分に担保するというのは地方分権の基本的なあり方でなければならないと思いますし、また、御審議を賜っておる法律案の中にも六条にそのことが明記されておるわけでございます。
 行間の問題よりも、地方分権を真に成功さすために、先ほども申し上げましたけれども、先般の税制改革におきまして地方消費税が創設をされましたことは、比較的景気に左右されやすい地方の道府県民税のあり方につきまして、それぞれ法人課税に頼ってきたものを消費課税に、地方消費税として安定的、伸長性のある税源が確保され、これに伴います交付税率の引き上げも行われたというのは、地方分権への一つの足がかりを得たと考えておるわけでございます。
 今後もまた、この推進委員会の審議を得ながら、政府といたしましても、この地方分権の推移とともに、地方行財政をより効率的にしていく上において、地方税財源の確保、さらには分権を推進し得る人材の確保等については十分な配慮を加えてまいらなくてはならないと存じておるところでございます。
○岩浅委員 民間政治臨調の案では、この地方税財源について、これは吉田議員からも午前中にちょっと触れられたのですけれども、収入面の割合を最終消費に合わすべきだという指摘がなされておりまして、事務の責任の所在と経費の負担を一致させることを原則に、国税と地方税の税源を見直すに当たっては、税収の安定性があり、地域的偏在の少ない税源を国から地方自治体へ移譲すべきであるという民間政治臨調の主張であります。
 この中で、固有名詞こそ挙げておりませんが、現行の消費税をEC型付加価値税のように修正した上で地方税にすることを提言しておるわけでございますけれども、こうした観点に立つならば、当然税制の改革が必要になってきますが、政府は、地方分権推進法案の制定に当たって、地方税財源の充実確保のために税制改革に思い切って踏み込むことも必要と考えられておるのかどうか、伺いたいと思います。
○野中国務大臣 先ほど申し上げましたように、今回の税制改革におきましても、いわゆる福祉を地方が担っていきます視点に立ちまして、個人の所得課税の負担軽減を行うことをいたしますとともに、消費税につきましては日本型のインボイスを導入するなど、現行制度を改革した上で、消費課税の充実を図って地方税源の充実を図るために、先ほど申し上げましたように、現行の地方譲与税にかえまして地方消費税を創設し、あわせてこれに係る交付税率の引き上げを行ったところでございます。
 今後も、地方分権の趣旨に沿った地方税財源の確保というのは制度的に構築をされていかなくてはならないと認識しておるところでございます。
○岩浅委員 最後になるのですけれども、地方分権推進委員会の設置で、八条委員会とする以上は、これは答えはわかっておるのですが、地方分権推進のためのより具体的なプラン、例えば機関委任事務制度や地方事務官制度の廃止などを法案の中に明記すべきである。いろいろ議論が出てきましたが、私はそう思うのです。
 村山総理が十六日の当委員会で行政の透明性ということをおっしゃいました。透明性が重要だとおっしゃった。これは当然のことだと思いますけれども、透明性が重要であればこそ、機関委任事務の原則廃止を前提に推進委員会に審議をゆだねた方が、どういう項目がどういう理由で存続になったということをチェックする意味で、私はその方が総理の言う透明性により近づくのじゃない
かと思うのですが、最後にこのことについてお伺いして、質問を終わりたいと思います。
○山口国務大臣 地方制度調査会におきましても、その答申の中で、国家行政組織法の第八条の機関として地方分権推進委員会を設置することが望ましい、こういう趣旨のことをうたっていただいておるわけでございます。
 少なくとも、地方分権を推進する上で第三者機関に求められる役割は、みずからの責任において措置を決定するということではなく、公平中立的な立場から政府に対して適切な提言を行うことであって、このような機能を担う機関はまさに国家行政組織法八条が想定する機関だというふうに存じます。
 したがいまして、透明性ということを申しましたが、これはもう、できまする地方分権推進委員会が、まさにこの委員会独自でお決めになる規約だとは思いますけれども、当然、この御議論の中身は、この委員会の責任者の方がマスコミ等に発表されるでしょうし、また、出します勧告その他につきましては、当然、このような勧告を政府に出したということを明らかにされるでしょうし、そういう意味では、まさに言論の自由が保障された我が国において、透明性ある運営というものが十分なされるということは間違いないものというふうに私ども確信をいたしている次第でございます。
○岩浅委員 そうなることを期待して、私の質問を終わります。
○笹川委員長 石橋一弥君。
○石橋(一)委員 質問をさせていただきたいと思います。
 まず、この法案をつくること、つまり中央集権から地方分権へということであるわけでありますが、なぜ地方分権の方が中央集権よりいいのか、今の時代にこれをなぜやらねばならないのか、これが議論の一番もとであろうと思います。また、これがしっかりしていませんと、地方からこれをやってほしいといういろいろな意見がなかなかもって出てこないと思うのです。
 そこで、まず両大臣から、なぜ今地方分権なのかという信念の披瀝をしていただきたいと思います。
 なお、この法案、閣内で審議をなさったときに、両大臣に対して、村山総理から、頼むよ、特にお二人頼むよというお話があったと承っておりますが、それらも含めまして、決意のほどをまずお伺いいたしたいと思います。
○山口国務大臣 後の方からお答えいたしたいと存じますが、今度のこの法案を提案するに当たりまして、本会議でも、また、先日の委員会でも申しましたが、総理が非常な熱意と決意を持って当たられたということを率直に申し上げたいと思います。
 先ほどもお答えしたのでありますが、やはり省庁によりましては、今の権限というものをできるだけ保持したいという考えをお持ちの部分もないとは申せません。そういう中で、本当に地方分権を推進するためには、政府もしっかりしなきゃならぬが、そこにいろいろな提言をいただく地方分権推進委員会がきちっとしたものでなきゃいかぬ。だから、地方分権推進委員会という、地方制度調査会が答申された形の委員会をきちっとつくるべきですということを閣議で発言もされまして、その方向で指導をいただきました。
 そうしてまた、この地方分権推進委員会の権限につきましても、やはりきちっとした権限を存分に付与すべきだ、こういう御熱意も示されたものですから、先ほどお答えいたしましたが、単に意見を具申するというだけではなく、地方分権の推進状況を監視し、そしてまた、地方分権推進計画を政府が策定するに当たってはきちっと勧告ができる、そういった権限を持った委員会にしようではありませんかという話を申しましたら、総理が、そうだ、そのようにしっかりやってほしい、自治大臣とともに地方分権推進のきちっとした法律を提案してほしいということを私にも申されました。その点を率直にお伝えを申し上げる次第であります。
 それから、我が国の歴史をずっと見ますと、江戸時代は幕藩体制だったと思います。しかし、とにかくあのような当時の世界の情勢、ヨーロッパの列強がアジアの国々を植民地化しようということでさまざまな行動をやっておりますときに、あの明治維新ができたと思います。
 そういう中で、当時、明治政府の人たちは、欧米の国々に一日も早く追いつき追い越すことが必要だという立場からヨーロッパの国々を視察をいたしまして、ドイツあるいはフランス等の中央集権的な国家の体制というものを勉強されて、そういう意味で中央集権的な政治体制というものを選択をされたのだろうと存じます。
 また、戦後、あの荒廃の中から我々が立ち上がるについても、中央集権的な体制というものがある程度大きな効果をあらわしたことはもう間違いないことだというふうに私は認識をいたしております。
 しかし、今、我が国が世界第二の経済大国にもなった、こういう状況のもとで、やはり地方の自主性を尊重した、地方の御意思というものを十分尊重した地方分権という形をつくっていくことが一つは必要だと思いますし、それからさらに、先ほど申したように、本当の意味での政治改革のためには、政官財癒着の構造のもとにたっている我が国の中央集権的な体制、これを直していくことが本当の意味での清潔な政治を確立する、真の政治改革を達成する、そういう道にもつながるのではないだろうか、かような考えで、私としてはこの地方分権推進の国会決議を実現するのに努力もいたしましたし、今日までそういう立場で、政治家の信念として対処してまいったということを率直にお答えいたしたいと存じます。
○野中国務大臣 今、山口長官からもお話がございましたように、村山内閣が発足いたしましたのが昨年の六月三十日でございまして、翌七月に入りまして上旬の、たしか七日ごろでございましたか、村山総理を本部長といたします行政改革推進本部のいわゆる分権部会の民間の先生方とお会いになって、そして分権部会が開催されたのが、村山内閣の初めての正式機関との会合であったと私は思います。
 この会合を通じて、それだけに総理には、地方分権に対する熱い思いと、何とかしてこの内閣で成功させたいという決意がみなぎっておったと私は思うわけでございまして、それをまた今日、それまでにもたらされたのは、一昨年の衆参両院における国会の満場一致の地方分権推進の決議でありましたし、これが結局は地方六団体の意見書となったり、あるいはそれぞれ分権部会の先生方の答申となったり、第二十四次地方制度調査会のまた御答申をいただくということになりました。
 いわば、この十年間、地方の時代と言われ、そして地方分権と言われましたけれども、しかし地方からは比較的熱い熱意が伝わってこないという、私自身、地方自治にかかわった人間として、いらいらした気持ちがございました、率直に申し上げて。それが、先ほど申し上げたような一連の経過を経たがら、村山総理という強力な、そして初めて地方分権部会の皆さんと接しられたという、そういう感動の中から、ぜひ仕上げなくてはならないというのが昨年の十二月二十五日閣議決定の地方分権大綱に結ばれたと私は思うわけでございますし、今回お願いしておる法案となったと思うのでございます。
 総務庁長官とともにこれを預かる自治大臣の私としても、そういう総理の特命を受けまして、総務庁を中心にして、私ども自治省として若干お手伝いを申し上げながら本日ここに至ったというのは感慨無量でございまして、そういううねりの中から、また地方からもそれぞれ、六団体を初め関係議会においても、法案の早期成立を目指す動きが出てまいって、先ほど申し上げましたように、若干いら立ちを持って地方の熱意に冷ややかな目を持っておった私にも地方の熱意が伝わってくるようになったというのは、また大きな地方分権へのうねりになったと私は考えて、喜んでおる次第
でございます。
○石橋(一)委員 ただいま両大臣からお話を承り、しかも決意のほどをお話しいただいて、まことにありがとう存じます。
 明治維新は幕藩体制の中で、それこそ藩札まで出してやってまいったわけですから、まず地方分権と言っていいでしょうね、地方分権という言葉があっなかなかったかわかりませんが。とにかくそこまでのことを、二百六十六藩あった、そこでそれぞれ地方文化を形づくりながらやってきたものを、世界の列強が、いろいろなことが始まった。中央集権的な国に直して、そしてほかの民族、ほかの国家よりも上にならねばならないという考え方、いわゆる倒幕と尊王攘夷という考え方であったのですが、途中から尊王開国と見事に変えたのですね。今度の大臣のところの社会党と同じですよ。そんなことでやってまいったわけであります。
 さて、今の両大臣のお話を承って、確かに委員会の議を経ていろいろな答申をしていただいてやるというのは当然のことだと思いますのでも、なかなかもって国民あるいは地方団体、これらは、そういうことはもちろん当然だと思うが、理論装備として地方分権の方がなぜいいのだということには、やはり委員会よりも両大臣の、こういうことがあるからいいのだよということをきちっと申し上げた方がいいな、こう私は考えておりますので、そこのところをもう一遍、恐縮です。
○山口国務大臣 私も、県会議員を約二期、まあ一期半でございましたが、いたしました。
 道路のことを考えますと、主な国道の改修は国が直轄をいたしております。直轄事業の分担金を県が支払わなければなりません。一方、県道、市町村道は、県、市町村がそれぞれ工事をいたします場合、国から四分の三なり三分の二なり二分の一なりという補助が参ります。分担金を出したり補助金をもらって仕事をしたりというのはいかにもおかしなことではないかということを、当時私は県会議員としても考えました。
 ですから、やはり国と地方の役割分担というものを明確にする、そして県あるいは市町村が行います事務については、できるだけその経費をその自治体の独自の財源として確保できるような税財源の体制というものをつくる、これが本来ではないか、私はこう思いました。
 しかし、そればかりやりますと、やはり我が国にはまだ三千有余の市町村もございます。財政力に随分差がございます。都道府県四十七でも財政力の相違というのが随分ございます。したがいまして、財政調整機能というのはどうしても外してはならない重大なポイントであるということも私は考えておりますが、そういった財政調整機能は生かしつつ、先ほど自治大臣がお答えになりましたような地方自治体の独自の財源というものをできるだけ強化していくということはやはり必要であるな、こう思っております。
 そういった状況を私たちがつくっていく、そのための法律として今回地方分権推進法を御提案申し上げて、そして五年の間にこのような形で地方分権を推進するという計画を御提示申し上げる、それには地方分権推進委員会の御意見も十分承る、勧告も尊重する、そういう中で、具体的には計画に基づいた法律案を国会に御提案申し上げて、そして先ほど来問題になっております機関委任事務の整理合理化の問題とか地方事務官の問題をどうするかとかというものを逐次法律案として提案し、また、税財政の問題についても御提案を申し上げ、国と地方の役割分担の問題についても法律を御提案申し上げて、そして五年間のうちにとにかくこの政官財癒着の構造と言われたような構造を直し、地方分権を実現するということを進めてまいりたい、そういった考え方を盛ったのが今度のこの法律案であるということで御理解をいただきたいと存じます。
○石橋(一)委員 大臣のお話、私はずっと向こうへ行ってから御質問しようと思ったのを今みんな答えられてしまって、さてこれは困ったな、こう思いながら、とにかくありがとう存じます。
 そこで、幕藩体制が崩れたときに、世界の情勢が――今度の場合、フランスが相当のことを始めているということも承っております。それからさらに、二月であったと思いますが、ゴルバチョフさんが日本に参ったのですね。私も何人かの国会議員と一緒にその話を聞いたのですが、彼の言わんとするところは、結局地方、地方ということになるであろう、こういう考え方。国の数からいうと三百ないし七百の国になるであろう――計算の根拠はわかりませんよ、そのくらいの国に分割をする、つまり、地方、地方の自治体というものが国までになっていくであろうということを言明したのですね。これは、さてなという感じを私も持ちましたが、そんなようなことを考え合わせてみまして、この日本における地方分権の波というものが世界史的な波を打ってくるのではないかな、こんなふうに私は思っていますが、いかがでございますか。
○野中国務大臣 お説のように、私どももさまざまな変化と潮流を見ますときに、今委員がおっしゃるようなことを考えることが多うございます。特に、最近韓国や東南アジアの皆さんが、先ほども御質問ございましたけれども、私どものところへ訪れられることが多うございます。これは、一つは、やはり近隣アジア諸国との友好親善、信頼関係を構築しなければならないという思いがどちらにもあろうと思うわけでございますけれども、いま一つは、やはり先進的な我が国のそれぞれの制度の中で地方自治のあり方を学んでおきたい、そしてこれからの行政あるいは社会的なあり方を国づくりとして考えていこう、そういう首長なり議員の皆さん方の熱意が伝わってくるような気が私はするわけでございます。
 先般も韓国の国会の方々がお越しになりまして、近く行われる首長選挙についていろいろなお考えを述べていらっしゃることを聞きまして、今石橋委員がおっしゃったような、単に我が国のこの地方分権という節目だけでなく、世界的な規模で一つの潮流が出てきておるということは、私も認識をするところでございます。
○石橋(一)委員 ありがとうございました。
 そこで、地方分権というものは、基本はこのような制度の中において議論をしながらやっていくということでありますが、その議論の中においても、両大臣、やはり分権というものは、話し合いは当然でありますが、奪い取るという考え方がなければ本当の分権にはならないであろうというふうに、私はいつもそれを思っております。
 私の出自をこの際申し上げておきたいと思いますが、満二十五歳と一カ月たたないうちに村の村会議員になりました。そして、村の村長を若年のうちに終えまして、後に、東金市、合併をし、市長をやってきた。約二十七年間。そうした体験から考えてみて――もういいかげんに質問なんかやらないで引っ込んでいろという意見もたくさん聞いておりますが、そのような出自を持っていますから、地方分権ということになると頭へ来てしまうのですね。何が何でもこれはという気持ちがどうしても出ます。
 そんなことできょうは御質問を申し上げたわけですが、闘い取るべきであると。どうお考えになりますか。
○山口国務大臣 私も、二十九歳のときに群馬県の県会議員になりまして、一期半、まあ二期目の途中から衆議院の方に参りました。衆議院に参りまして、最初は地方行政委員、約十年間、委員、理事をいたしました。ですから、私の国会議員としての活動の出発点は地方行政でございましたし、また地方議員の経験もございます。
 そういう中で、私はやはり、今闘い取るというお話がありましたが、県会議員のときも考えましたし、また国会へ出ましてからも、「地方自治の本旨」というのが憲法にもあるではないかと。しかし、現状は三割自治。仕事は七割地方自治団体が担っているけれども、財源は三割しか与えられていない。そしてまた、仕事の面では、地方自治法、自治体の固有事務というのはこの程度しか書いていないが、おしまいについている別表第一か
ら第四では、機関委任事務、団体委任事務がこんなにたくさん書いてある。そういった状況というのは間違っている。国と地方の役割分担というものを明確にし、自治体は自治体として、先ほど自立的、総合的というふうなことで申しましたが、企画、立案、調整、実施、これをやはり主体的に、自治体としては、住民の身近な仕事はやれるという体制をつくっていくことが必要だ。
 そのために、やはり地方自治体は大いに声を上げなきゃいかぬということを県会議員当時も思っていましたし、同じ思いで、国会議員でも、地方行政委員をそのような気持ちでいたしておりました。
 したがいまして、先ほど野中自治大臣も、最近になって、やはり地方自治体が地方分権必要だと、熱気というものが私のところにも伝わってくるようになってうれしいということを申しましたが、最近、総務庁長官であります私のところにも各自治体の皆さんがおいでになりまして、地方分権、ぜひ推進してほしい、今国会でぜひとも政府提出の地方分権推進法は成立してほしい、そうしてせっかくの地方分権推進委員会も、今国会で国会の同意を得て、ひとつ委員を任命して発足をいただきたい、こういう要請が私のところにもたくさん届くようになりました。
 やはり地方自治体も、この際立ち上がって地方分権を実現しようという熱気が燃え上がっているというふうに認識をいたしております。
○野中国務大臣 石橋委員から、地方自治を経験され、特に首長を経験された立場から、今回における地方分権への熱い思いを披瀝いただいて、私も感慨を新たにしておるわけでございます。
 確かにおっしゃるように、首長を経験した人と地方の議員を経験した人と、分権に対する温度差はまだあると私は思っております。
 私自身、田舎の町長をやっておりますときに、わずか七万円ぐらいの農林省の補助金で会計検査を受けました。小さな土地を買収することができなかったので、その横に建物を建てました。それで随分徹底して、会計検査院から強い指摘を受けました。まあ年も若うございますし、気も強い方でございますから、私は、七万数千円を持ってきて、持って帰れと言いました。こんなわずかな金で、これだけの大変な経費を使うて、手間を使うてやって、当初予定したところに建てられないだけで、場所を少し横へ移転しただけでこれほどのことを言われるなら、もう持って帰ってくださいと言って、随分反発をしたものでございます。
 今振り返ってみて、そういうわずかな補助金がいまだに残っておる。これはどうしても整理統合をして、そして地方がおのずから節度を持ち、自制をしながら、一般財源化されたものをみずからのものとしてやっていく、そういう熱意がなければ、そしてその責任がなければ、私は地方分権が確立はしないと思うわけでございます。
 おっしゃるように、地方分権は闘い取るような、そういう思いでやらなくてはなりませんし、戦後五十年の節目を得て、私は、ある意味において今日まで歩んできた地方自治が問い直され、かつ地方主権というべき時代を迎える、そういう天の時を得たと。そのときにいわゆる市町村合併の法案も満了をして、新しい推進法をまた議会で議決をいただくことにたったというのは、二つ、地方分権推進法と合併促進の法律とがセットの時期を迎えだというのは、まさしく私は、戦後の五十年を歩んできて、天が与えた時である、こう考えますだけに、この時を大切にしながら地方分権から地方主権への道を歩んでいかなくてはならないと思っておる次第であります。
○石橋(一)委員 両大臣、大変ありがとうございました。私も欣喜雀躍というのですか、このような気持ちに浸ったわけであります。本当にありがとうございました。
 そこで、日本国憲法、この憲法は一体、地方分権的にできていると思いますか、中央集権的にできていると思いますか。
 時間がだんだんたちますから、中身を申し上げてみたいと思いますが、憲法九十四条、こういうことをやるよと、法律の許す範囲内で条例において定めることができる、こう書いてあるのですね。私はこれを読みまして、そのまた先を考えてみて、この憲法ができたときのいきさつから考えてみて、この憲法は地方分権的ではないな、中央集権的につくられた憲法だなというふうに思っております。どうでございましょうか。
○山口国務大臣 当時、私、地方行政委員会で憲法九十二条の「地方自治の本旨」、このことを大変強調いたしました。そうしましたら、ある議員の方が、いや九十二条ばかりではないよ、憲法は六十五条があるではないか、「行政権は、内閣に属する。」と。したがって、我が国の憲法は、「行政権は、内閣に属する。」すなわち中央集権的な考え方でできている憲法ですよ、こういう話をされまして、ああ、そういう考え方もあるのかな、こう思いました。
 総務庁に参りまして、役所の皆さんに聞きますと、役所によりましてはこの憲法六十五条の「行政権は、内閣に属する。」ということを強調されて、そうしてこの地方分権法をまとめるというのには、なかなかやはり各省庁いろいろな議論がありますという話も聞きました。
 しかし、私は、確かに憲法六十五条もあるでしょう、また憲法四十一条では、国会は国権の最高機関であって、そして唯一の立法府であるという明確な規定もございます、そうして、九十二条「地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。」という規定もあるわけでございまして、見ようによっては、中央集権的な思想でできていると見れば見えるかもしれませんけれども、やはり九十二条に焦点を当てて考えれば、地方分権、これを進めるのに決して支障のある憲法だとは私は考えません。
 野中自治大臣は地方主権という言葉をお使いになりました。私も、地方行政委員のころは、中央政府に対して地方自治体は地方政府というくらいの気概を持って対処すべきじゃないかということを随分議論をいたしました。そういう意味では、私は、我が国の憲法は、地方分権、これを進めるのに決して支障ありとは考えておりません。
○石橋(一)委員 現職閣僚でありますからなかなか憲法批判はできないな、こう私も思っておりますが、九十四条は、法律の許す範囲という法律というのは国のことだから、その中でしか条例改正はできない、条例は制定することはできない、これは中央集権憲法ですよ。私は、どう考えてもそう思う。
 読売さんが憲法改正に対して大変具体的な、細かいものを出したのですね。このところは大分直されているようであります。そこのところはいわゆる理論装備のもとでありますから、時間がもう三十分たってしまいました、次に移らせていただきます。
 地方分権を行う際にも、いわゆる小さな政府あるいは一極集中排除という考え方、こうしたものをきちっと決めていかないうちは、うっかりすると今あるいろいろなものをどう事務配分をやっていったらいいか、それに対する税財源の配分をやっていったらいいかというふうになってしまうおそれが大分そこへ出てくるであろう、こう思うわけであります。
 そこで、基本的に、これは昔のように夜警国家までなれ、こんなことは私も言っておりません。しかし、経済行為にまで一切口を差し挟むようた政府、これは小さな政府になり得ないと私は思う。そこで、小さな政府はどのようなものをするか、中央の中においてもどのようなものをするか、そして、一極集中排除をやりながら地方分権に持っていくという一番基本的な姿勢はどうお考えになりますか。
○山口国務大臣 村山内閣といたしまして、行政改革は内閣の最大の課題であるというふうに総理がしばしば強調しておられます。この行政改革を進めるに当たりまして、柱は二つあると私は思います。一つは、今御論議をいただいております地方分権推進、国から地方へという考え方。それから、この三月三十一日までに、今規制緩和推進の
五カ年計画を策定しておりまして、おおむね政府・与党の間で考え方は一致をいたしました。三十一日の閣議でこれを決定いたしたいと思っておりますが、この考え方は、官から民へということだろうと思います。
 この、国から地方へ、官から民へという方向で、そして中央政府は簡素にして効率的な政府とするという形で、できる限り行政改革を着実に推進をしていこうというふうに考えておるわけでございまして、したがいまして、夜警国家というような考え方は私ども考えておりませんが、できるだけやはり中央政府はそういう形でスリムの方向に持っていくべきである。そうして住民に身近な行政というものはできる限り地方自治体、先ほどのお話であれば地方主権あるいは地方政府といった考え方で地方自治体が、先ほど自主性、そして総合的ということをめぐって議論をいたしましたが、企画、立案、調整、実施というものを一貫してできる限り地方公共団体が実施できるような体制というものをつくっていくということが、今村山内閣が目指している行政改革というものではないかというふうに認識をして、今努力をいたしている次第でございます。
○石橋(一)委員 ありがとうございました。
 そこで、この法律の中で、地方分権推進委員会、これはもう何度も議論をされてまいったわけですが、国家行政組織法第八条によってこれがつくられるんだということは、将来、いろいろな具体的な問題を取り上げて、これは国から地方へだというのは、ずっとやっていくと、どうしても国家行政組織法の一つ一つの改正というところまで必ずいくわけですね。
 そこで、これによってやるんだよということでございますが、なかなかもって地方団体からいろいろな意見が出てこない。
 私はこの際申し上げますが、あるところの今度の県会議員の選挙、十八選挙区がある、その十八選挙区がある中において、選挙戦をまあまあ戦われるようになるところ、これが四つ、五つ、六つ、六つしかないですね。あと十二選挙区は全部無競争ですよ、無競争です。これは一体、地方分権ということを真剣に、県会議員諸公があるいは国民そのものが、住民そのものがいろいろなところで考えているならば、なかなかもってこうはならないではないかなという感じを持つわけです。
 そこで、闘い取るべきであるということは私は理論的に正しいと思いますよ。今までも、幕藩体制を倒したとき、あれだけの戦いがあった。あれは本当の殺し合いですよ。今度は殺し合いではない、議論をやればいいのだ。なかなか出ない、極めて残念なことですが。何かこう、国はこういうことをやるんだ、例えば国防でありますとか外交でありますとかということが幾つかありますね、そんなことを、委員会ができてからという御答弁になるかどうかわかりませんが、こんなことは国がやるんだ、あとは地方団体、都道府県や市町村にやってもらうんだということをやった方が、私は極めて残念ですが、五カ年間という中においてきちっとしたものをつくっていく上でその方が早いなという感じを持って仕方がない。
 そこで、例示がありますね、私も読ませてもらった。ひとつ御意見のほどをお伺いしたいと思います。
○山口国務大臣 国の存立にかかわる事務、国が統一的に行うべき事務、それから先ほど来議論があります全国的な視野で行うべき事務、これが国が行うべき事務であってということを、この衆法では限定という言葉を使っておりますが、役割分担を明確にするという形で私どもは御提案を申し上げております。
 限定するというような言葉を使いますと、国権の最高機関である立法府である国会に対していかがであるかということもございます。したがって、限定ということを使うのはやはりいかがであるかなということも実はお答えしてまいりましたが、いずれにしろ、そういうことで、国と地方の役割分担についてはある程度のイメージは私どもの政府案でもお示しをいたしていると思います。
 したがって、お話のありますように、外交、防衛、通貨、あるいは年金等の問題ですね。あるいは度量衡の問題もありましょう。それから、国が全国的にやるものということになりますと、道路でいえば東北自動車道であるとか関越自動車道というような高速道路というものを、今道路公団等が工事はやっておりますが、やはりこれは国がある程度所管していくべきものではないかというふうに思いますが、あとどの程度まで道路だとは自治体に任せるのが適当かということは、これからやはり十分な御議論を積み上げていただいた上で計画を策定すべきものと、今私がそこまで踏み込んでお答えを申し上げることはやはりいかがであるか。
 その辺はひとつ遠慮をさせていただきたいと思っているのですが、要は、先ほど言いましたように、国として統一的にやらなきゃならぬ事務はやる、国の存立にかかわる事務は国がやる、やはり住民に身近な行政はできる限り挙げて自治体でやっていただくというのが基本ではないかというふうに考えておる次第でございます。
○野中国務大臣 あるべき方向については、今総務庁長官からお答えになったことと私変わらないわけでございます。ただ、四月九日、四月二十三日の統一地方選挙の一弾、二弾を前にしながら、先ほど委員のおっしゃいましたお話は、私も投票率の低下とともに最近のあり方として深刻に考えておる問題でございます。
 そういう問題の中から、やはり私は、一つは、地方分権のあるべき方向がまだ地方には見えてこない、したがって、これをどのように受けたらいいのかという、そういうとらまえ方ができてこないというのが一つあると思います。
 また、そういう中から、地方制度調査会が都道府県、市町村の二層制を考えながら受け皿とされた意味も、やはり住民に身近な行政であっても今の市町村の規模でやれる可能性があるかどうかということを、一たんは都道府県におろしながら、なおおろしていくものと、直接おろすものと、やはりそういう必要があるのではなかろうかということを地方制度調査会みずからもお考えになったと私は思うわけでございまして、そういうものが、地方の府県あるいは市町村レベルでやはりそれぞれ受けとめ方、理解の仕方が見えてこないというのが最近の地方分権に対して地方のまた悩んでおる一つであり、それが、私どもから見るとやや歯がゆい、熱意の伝わってこないという表現になるのでもなかろうかと思っておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、今後私ども、先ほどお話しになりました無投票の多いことあるいは投票率が低いこと、これは地方みずから、一つには、それぞれもう議員が議員活動をやっていく上で一つの家計を支えていくことと議員活動とのはざまになってなかなかやりにくい。そしてそういう議員を目指される人が少なくなった中で、これから議員のあり方をどう考えていくか、こういう問題もあろうと思いますし、また、本当の地方の政治が理解され、国政が理解されて、国民が地方政治や国政にみずから責任を持つような、そういう啓発は我々の責任でやっていかなくてはならないというように認識をし、深刻に受けとめておるところでございます。
○石橋(一)委員 今の問題、両大臣からこういうものは国でやるんだよということはなかなか言いづらいと思います。
 そこで、総務庁、いらっしゃいますね。少なくとも印刷物で例示までしている。していますですね、外交だよ、法務だよという例示までして。それをここで御開示をいただきたいと思います。
 なお、これはまた蛇足だと思いますが、私の村がお隣の町と町村合併をやったときは昭和二十八年の四月一日であります。市町村合併促進法ができたのは昭和二十八年の十月一日。六ケ月早い。何を意味するか。市町村長は当然首、三役も首、議員も全員首、そして新しい選挙を行った。すごい熱意だったですよ。今でいえば地方分権と同じようなものだ、市町村合併。
 先ほど野中大臣からお話のあったこと等を考え合わせてみますと、どうも分権問題、地方が本当に考えて本当に動いてきてくれたかた、動き始めるのかな、極めて私は危惧の念ですね。あのときのことは、自分の首なんかどうだっていいんだ、町民が、村民がよくなればそれでいいんだという大変な熱意があったのです。今度はそれがなかなか出てきてない。そうしたことも考え合わせながら、総務庁からずばり例示を話してください。
○陶山政府委員 恐縮でございますが、ただいま石橋先生の御指摘になられました例示というお尋ねの意味合いが必ずしも正確に理解をできておりませんが、もし国と地方団体との役割分担においてのその具体的な例示という意味合いで御指摘があったとすれば……(石橋(一)委員「そうではありません。国が行うべき仕事は例えばこういうものがあるということで印刷物に出ているのですよ」と呼ぶ)それは、恐らく御指摘のものは例えば地方制度調査会の御答申における例示ではなかろうかと存じます。
 それによりますと、これは法案と表現は若干ずつ違いますが、やや詳しくなっておりますけれども、「国は、」一つが「国家の存立に直接関わる政策に関する事務」、例えばということで「外交、防衛、通貨、司法など」という例示が挙がっておりますが、それを行うほか、二番目として「国内の民間活動や地方自治に関して全国的に統一されていることが望ましい基本ルールの制定に関する事務」、例えばということで「公正取引の確保、生活保護基準、労働基準など」及び三番目として「全国的規模・視点で行われることが必要不可欠な施策・事業に関する事務」、例えばとして「公的年金、宇宙開発、骨格的・基幹的交通基盤など」、それを「重点的に行うこととし、その役割を限定的なものにしていくべきである。」こういう表現になっております。
○石橋(一)委員 今お話がありましたが、この委員会でこういうことが具体的に出たということが新聞等に発表になって動けば、これはやはり地方団体とすれば、大変なことになるな、そういうものは国がやって、あとは地方団体になってくるのかな、これはうかうかしていられないなと、そして先ほど自治大臣からお話があった、五十分の一の有権者から調印がまとまれば各市町村は合併協議会を置かねばならない、これが両々相まってくるであろうと私も思いますね。
 そんなふうに各市町村の中で、例えば、例を言って恐縮でありますが、青年会議所なんというものは、大体市町村合併をやるべきだという意見が大変強いのです、若い人には。全国的に強い。五十分の一の調印をまとめれば、それを市町村合併、やれとは言いませんよ、協議会を持たねばならないというふうになっているのだから、これをどんどん使って地方分権論を大いに出していただきたいな、こんなふうに私は考えております。
 あと十分を切りましたので、中のいろいろなことをお伺いをいたしたいと思いましたが、それらは飛ばしまして、結局、例えばドイツ連邦、この憲法は、明らかにこれは国が行うべき、これは地方が行うべし、これは両方が一緒になって行うべきと極めて憲法の中で行政事務をきちっと割っていって、アメリカもややそうであります。そんなような形に憲法改正というところまで踏み込めるかどうか、これは別として、やはりそこまでやっていきませんと本当の地方分権はできないのは当然だ、私はこう思っております。
 そこで、一つは先ほどから何度も話が上がりましたが、機関委任事務、これは全部で幾つありますか、簡単に幾つとだけ言ってください。
○野中国務大臣 五百六十二であります。
○石橋(一)委員 ありがとうございます。
 そこで、これを何とかしてもらいたいというのは、これは都道府県知事、市町村長、みんなここへ一極集中でそれこそやってくると思います。これに対して両大臣、さっき私が申し上げたとおり、これは両方でやらなければいけないよ、これは国だよ、これは地方団体だよというものがありますけれども、やはり知事や市町村長はそこに重点思考して、どうしてもこれは頼むという話になってくると思う。これは説明というよりも、お二方から本問題に対する決意をひとつ拝聴いたしたいと思います。
○山口国務大臣 たびたびお答えしているわけでございますが、この機関委任事務、できる限り私は整理合理化すべきものと思っております。
 ただ、例えば国政選挙の執行の事務でありますとか、あるいは旅券の発給事務でありますとか、戸籍の事務でありますとか、国の事務としてやるべきものがあります。これについて、その扱いをどうするかということは、やはりこれは工夫をしなければならないと思います。残すか、あるいは違った形でこれを執行するようにするか。
 それからさらに、この同じ委任事務でも、団体委任事務の場合は議会が関与できますので、機関委任事務のうち団体委任事務に任せられるものについては団体委任事務に移していく、そして廃止すべきものは廃止していくという形で、機関委任事務としてはできる限り整理合理化を積極的にやるべきものというふうに私は考えております。
○野中国務大臣 今総務庁長官のおっしゃったとおりでございます。
 ただ、前段の憲法議論につきましては、憲法を遵守すべき閣僚の一人でございますので、私どもは国会においていろいろな問題を幅広く議論をいただきたいと存じます。
○石橋(一)委員 時間がありませんので、最後に一つ、結局、いろいろなことを言われても、地方に力を持たせることは、これはもう地方財源の充実以外にないですね。それが充実されてくれば、これは言われなくてもやりますよ。それ以外にない。
 そこで、今山口大臣からお話がありましたが、よく七と三だ、そして三と七だということ、いわばだんだん自治大臣初め自治省の皆さん方のお骨折りによって六と四ですか、六と四だね。大体一言で言って国が六、そして地方が四、そして地方譲与税と地方交付税ですね、これをやりますと五五と四五ぐらいになっていますね。それをやりますと、そのような形になっている。
 もう一歩進めた統計を私はいただいているわけでありますが、先ほどから山口大臣、例えば国道に例をとりお話をされておりましたが、そうした中において、当然そこには国の負担金を出すものもあるでしょう。国からの補助金もあるでしょう。県からの補助金もあるでしょう。いろいろなことを総計をいたしますと、平成四年度の最終支出主体別決算統計、これで見ますと、だんだん国の持つ金が少なくなりまして、国が三四・五%、地方が六五・五%になっているのですよ。三十何%しか国は使える金がない。
 いいですか、税財源の配分はさっき言ったようなことだが、補助金まで含めますと、今度は反対に六五・五%が県と市町村、三四・五%が国が使うという。これは裏返してみますと、最終的にその事実に合うような税財源の配分のやり直し、補助金でなく、独自財源としてそこまでのことを持たせてやる、そういうことに結果的になると私は思うのですよ。どうでございましょうか。
○野中国務大臣 おっしゃるとおりでございます。ただ、それに地方の自主的、自立的、そしてみずからを律する責任性とチェックが要ると思っております。
○石橋(一)委員 まだまだ聞きたいことがあったわけでありますが、時間が参りましたのでこれで終わりといたしますが、先ほど野中大臣は、この機に遭遇しておれもありがたい、山口大臣も同じだと思います。私自身もそんな気持ちであります。与党といたしまして、これをどうしても通していって、将来の日本国あるいは将来の我が日本国の村々、これが心も一緒になってのすばらしい文化をつくり上げていきたいものだなと思います。
 ありがとうございました。
○笹川委員長 緒方克陽君。
○緒方委員 社会党の緒方克陽でございますが、地方分権推進法と野党が出されました法律につき
まして質問をさせていただきたいと思いますが、総理質問、それから先日の質問、きょうということで論点は大体出尽くしたような気がいたしますが、さらにお尋ねをしたいということと、この点はぜひお聞きをしておいた方がいいのではないかという点についてお尋ねをいたしますので、よろしくお願いしたいと思います。
 まず、政府案に対して御質問いたしますが、地方分権推進計画の内容についてお尋ねをいたしますが、法案を読みますと、地方分権が実際に進むかどうかというのは、本当に結局のところ地方分権推進計画がどのようなものになるかということにかかっているようです。そうなっております。
 それで、第二十四次地制調の答申には、委員会がつくる計画の作成指針について、「各行政分野に応じ、当該行政分野全体にわたる見直しの具体的な方針を示すもの」というふうになっているわけでありますが、この「各行政分野に応じ、当該行政分野全体にわたる見直し」とは何かということと同時に、そういう趣旨は当然これからの委員会の作業その他に影響を与えるものであろうというふうに思いますが、その辺についてまずお尋ねをいたします。
○山口国務大臣 お答えいたします。
 委員御指摘のとおりでございまして、地方分権推進計画には、国と地方公共団体との役割分担のあり方に即しまして、地方公共団体への権限の移譲、国の関与、必置規制、機関委任事務及び地方公共団体に対する補助金等の整理合理化並びにその他所要の事柄について講ずべき必要な法制上または財政上の措置その他の措置を定めるということであろうと存じます。
 具体的には、地方分権推進委員会が勧告いたします指針を尊重して作成することになるわけでございますが、委員会は各行政分野について全般的に見直しを行いました上で、可能な限り具体的な指針を勧告いただけるものというふうに考えておる次第であります。
○緒方委員 そこで、当然いろいろな意見は地制調の委員などをされた人などからもまた出てくると思いますので、そういうことも当然生かされるだろうというふうに思いますが、次に、このことでお尋ねしますが、その委員会がつくります作成指針に基づいて推進計画というのは忠実につくられていくというふうに考えていいかどうか、お尋ねをいたします。
○陶山政府委員 政府といたしましては地方分権推進委員会の勧告を最大限に尊重するという義務が法案の上でも課されているところでございます。したがいまして、地方分権推進委員会の勧告を最大限に尊重し、地方分権の推進に関する基本方針に即して地方分権推進計画を作成するということになるわけでございます。
○緒方委員 私の質問の忠実にということを最大限にという言葉で答弁をされましたけれども、忠実に実行されるようにぜひ期待をしたいと思います。
 次に、この分権推進委員会の委員の問題についてはもう随分議論があったのですけれども、この委員会は、委員の役割が重要であると同時に、それを支える事務局の体制も大変重要じゃないかというふうに思うわけであります。そこで、地方自治体の意向を十分踏まえるということは、いろいろな場で意見を聞くということだけではなくて、自治体からも広く事務局に人材を集めるということも必要ではないだろうか。事実、第二臨調などでは大阪府などからの派遣もあったというような話も聞いておりますが、ぜひこういうことも検討すべきじゃないかと思うのですが、いかがでございましょうか。
○陶山政府委員 事務局の問題でございますから私から御説明申し上げます。
 先般もお尋ねがございましたが、法案が国会において成立をさしていただけますならば、できるだけ早く委員会を設置すべく事務的にも努力をさしていただきたいと考えております。
 そこで、事務局につきましても、法案の成立後速やかに準備を始めるわけでございますが、現段階で必ずしもその構成、規模等について固めた案を持っているわけではございません。ただいま先生から御指摘のございましたいわゆる第二臨調の例、つまり地方団体から職員が事務局に派遣をされて事務局の事務に従事をされるということは、私どもも承知をしておりますし、事実でございます。
 ただいまの先生の御指摘は御意見として十分に承らしていただき、今後、法案成立後速やかに事務局を含めた準備を進めさしていただきたいというふうに考えております。
○緒方委員 先ほどの質問でぜひということで要望いたしまして、検討したいということでありますので、ぜひ幅広い人材を集めるという中で真の地方分権が進められるような事務局体制の設立を希望したいと思います。
 それから、所管の問題であります。法律では総理府に置くということで第九条になっているわけでありますが、実際には、行革審答申を見ても、あるいは地制調の答申を見ても、大変苦労をされているわけでございまして、それぞれ省庁だけで、総務庁だけでもあるいは自治省だけでもよくないということで、全体で協力をし合いながら、しかも立派な成果が上がるというようにしなければ、それぞれの役所の任務はあるわけでありますけれども、そこを協力し合って、そして総務庁は総務庁でちゃんとまとめるということでありますが、そういう進め方と、事務局といいますか、その責任ある立場の作業の進め方についてどのように考えておられるか、お尋ねをいたします。
○陶山政府委員 地方分権推進委員会の運営に関するお尋ねでございますが、まず地方分権推進委員会は総理府に設置されるわけでございまして、また、独立の事務局が置かれることになっております。したがって、委員会の運営につきましては事務局が委員会の業務を補佐するということになるわけでございます。総務庁、自治省におきましては、委員会の審議に関しまして必要な協力を最大限行ってまいりたいと思っております。
 いずれにしろ、推進委員会の業務が円滑かつ効果的に、効率的に行われますように、直接には事務局が委員会の業務を補佐するわけでございますが、それぞれの立場で十分協力をしていきたいというふうに考えておるところでございます。
○緒方委員 それでは次に、地方自治と住民参加ということについてお尋ねをしたいと思います。
 法律の第七条では、地方公共団体は「行政の公正の確保と透明性の向上及び住民参加の充実のための措置その他の必要な措置を講ずることにより、地方分権の推進」云々ということになっているわけでありまして、住民参加のための措置というのは非常に大きな意味があるであろうというふうに私は思うわけでございまして、後ほど直接請求についても触れてみたいと思いますが、まず三点だけお尋ねをしたいと存じます。
 まず第一は、自治体における住民参加の充実についてでありますが、これは分権にとってどのような意義があるというふうにお考えになっているのかどうかというのが一つ。それから、「住民参加の充実のための措置」ということに法律でなっているわけでありますが、これはどのようなものを想定されているのかということが二つ目です。そして三つ目に、七条の第一項では、「行政の公正の確保と透明性の向上」のための措置には当然情報公開の推進というものが含まれるというふうになると思うのですが、その点についてはどうでしょうか。
 以上三点、お尋ねをいたします。
○吉田(弘)政府委員 地方自治体における住民参加の充実の意義は、意義があると考えるがどうかというような御質問でございますが、これは御指摘のとおりでございます。そもそも地方自治は住民の自発的かつ積極的な参加によりまして支えられ、つくられていくというものでございまして、住民自治は地方自治の不可欠な要素であると考えております。
 地方分権の成果を十分に上げていくためには、もとより地方公共団体への権限の移譲とか、さら
には国の関与の是正、財源の充実等、国の側の努力が必要でございますが、同時に、地方公共団体におきましても、住民参加の充実のための措置を講ずるなど、新たな地方公共団体の役割を担うにふさわしい地方行政体制の整備、確立を図る必要があると考えている次第でございます。
 それから、第二点のお話の、第七条一項の「住民参加の充実のための措置」についてはどのようなことを想定しているかということでございますが、これは地方公共団体におきます政策形成過程における住民意思を反映する機会の拡大などを念頭に置いて規定しているものでございます。例えば市町村の基本構想の作成に当たりまして住民代表を加えた審議会を設置するとか、あるいは町づくりに関して住民の声を行政に反映させるための施政懇談会を設置するというような措置を地方公共団体が講ずるというようなことが考えられるところでございます。
 それからもう一つ、同じく七条一項の「行政の公正の確保と透明性の向上」のための措置というものには当然情報公開の推進も含まれるのではないかというようなことでございますが、これは御指摘のとおりでございまして、この七条一項では、新しい時代における地方公共団体の役割を担うにふさわしい地方行政体制を整備、確立するというためには、地方公共団体においても行政の公正の確保と透明性の向上ということが必要でございまして、その措置を講ずる必要があるということを規定しているわけでございますが、具体的な問題点としましては、行政手続の適正化あるいは監査機能の充実などのほかに、今御指摘のございました情報公開の推進のための措置を地方団体が講ずるということが考えられるところでございます。
○緒方委員 衆法、新進党案について、今の件でお尋ねいたしますが、衆法ではこの行政の公正の確保と透明性の向上ということが法案上は出ていないようでありますが、その辺については、なぜ、どういうことなのか、お尋ねをいたします。
○今井議員 緒方議員さんにお答えをいたします。
 七条の文言の中に、御指摘の行政の公正の確保と透明性の向上、これがないのはいかがか、こういう御質問かと思いますが、それをより具体的に書いたものが私どもの衆法の内容でございます。
 当然のことながら、ただいま政府委員からも答弁がありましたように、私どもも再三この場から御説明しておりますように、監査機能の充実あるいは情報公開の進捗、そういう形で具体的に公正の確保と透明性の向上を図っていくための衆法である、こういうことでございます。
 以上です。
○緒方委員 深くは追及しませんけれども、この場でそういうことで答弁されたというようなお話ですが、法文上出ていないのはどういうことなのかなということでございます。
○今井議員 法文上にいわゆる「広域的な行政需要への適切な対応」、これは先ほど答弁いたしましたように、こういう位置づけをしておかないと地方自治の自治権の確立というのが損なわれるおそれがある、こういうことで説明申し上げました。
 次に「監査機能の充実」、これも文言として入れ込んでございます。次は「情報公開の推進及び住民参加の機会の拡大のための措置その他の必要な措置を講ずることによりこということで、この透明性をより具体的に文言として明記させていただいた次第であります。
○緒方委員 御答弁としてはお聞きをいたしました。
 そこで、だんだん時間がなくなってきますが、直接請求の問題についてお尋ねをしたいと思います。
 具体的に御理解をいただくために一つだけ例を出しますが、実は私、二年前に、小さな十二万の都市で、直接請求で四名の汚職議員の方の議員辞職要求のリコール署名運動があったわけでありますが、やってみて、もう大変なことがわかったわけですね。
 具体的に言いますと、四名の方を、一カ月間で署名を十二万の有権者にとるためには署名収集人がたくさん要るということで、三千人つくりまして、その後かなり数をふやしたわけでありますが、結局、署名の冊数をふやして、いわゆる、一冊に全部、各ぺージごとに割り印が要るわけですね。それも実印の割り印でありますが、それでどれだけの判こを押したかといいますと、一冊に合計二十八カ所の印鑑を押すように今制度ではなっておるわけですね。それで、合計三十三万六千個の印鑑を押したということになりましたので、運動期間は一カ月あるわけですが、一週間はもう判こ押しで終わり、十万の都市で。百万の都市であるならば、もうこれは判こを押しているうちに終わってしまうということになりまして、大変だなという指摘があったわけです。
 同時に、このことでは障害者の代筆署名が認められないということで、国会でも取り上げまして、昨年自治省でも検討をいただいて、去年、代筆署名が実現をするということで、大変よかったわけでありますが、実際にはこういうことで、制度はあるけれども、本当に大変だという問題が実際あるわけでありまして、やはり改善をしなければならぬというふうに思うわけであります。
 そこで、具体的にお尋ねをしたいと思いますが、一つは、住民参加を自治体で進めていくためには、やはり直接請求制度の拡充というものを進める必要があるのではないか。また、住民の発案を行政に生かすためには、これがもっと活用できるような手続や条件の見直しを、改善を図っていくということが必要ではないかということと、住民投票制度の導入についてはどのようにお考えになっているのか、以上、ちょっと三点になりますか、お尋ねをしたいと思います。
○吉田(弘)政府委員 直接請求について条件、手続の緩和をすべしという御質問でございます。
 昨年の地方自治法の改正で、御指摘ございましたように、代筆署名の件につきましては法律改正をさせていただいたところでございます。
 もともと、この我が国の地方自治制度の基本的な仕組みは、公選の長と議会による代表民主制がとられておりまして、これが原則になっているということでございまして、補完的に直接請求制度が採用されているわけでございます。そこで、御指摘の直接請求制度の見直しにつきましては、過去に、例えば第十六次の地方制度調査会の答申においても言及されているところでございまして、住民参加の充実のための課題の一つであるというふうに今考えているわけでございます。
 ただ一方で、先ほど申しましたように、代表民主制の原則との関連におきましてこれをどう考えていくかというような問題もございまして、今後十分検討をしていく必要があると考えているところでございます。
 それから、直接請求についていろいろ検討すべき問題として、その際に具体的にはどういう問題があるかということになりますと、例えば長の解職請求などでは、現行制度では、例えば大都市地域においては、なかなか要件であります署名の数が集まりにくいといったことから、実効性が乏しいという批判がある一方、例えば議員の解職の請求について、少数意見を主張しているようだ議員を排除するというようなことで、制度を乱用されるおそれもあるという御指摘もあるわけでございます。したがって、御指摘の点も含めて、直接請求制度については十分に検討していく必要があると考えているところでございます。
 それから、住民投票制度の導入の問題でございますが、これは、第二十四次の地方制度調査会の答申におきましても、これを「検討する必要がある。」と述べられているところでございます。住民参加の充実のための課題の一つであると考えているわけでございますが、他方、我が国の地方自治制度の基本的な仕組みが、先ほど来申し上げているように代表民主制であるということから、住民投票制度を導入する場合には、現行の代表民主
制を基本とした地方自治制度のもとでの議会や長の本来の機能と責任との関係をどう考えるかといったようなことなど、検討すべき事項も多いとされているわけでございます。
 いずれにいたしましても、今後十分に検討をしていく必要があると考えているところでございます。
○緒方委員 時間がなくなってきました。では、次に移りたいと思います。
 衆法でありますが、時限立法ではないということで、随分いろいろ議論になってまいりましたけれども、「おおむね五年を目途に、具体的成果をあげるものとする。」ということにたっているわけですね。
 しかし、いろいろ法律を調べてみますと、例えば、おおむね十年とかいうような条文がある法律もあるようでありますが、それは、例えば空港整備などで、いろいろな長期展望がなかなか出ないというような場合などにはやむを得ないかなという気もするわけでありますが、地方分権は早急に進めなければいけない、そういう状況の中で「おおむね五年」というのは、見た目からしても、問題を早急に解決するというような姿勢にはなかなか見えないというふうに五条でとれるわけでありますが、それはどうしてなのかということでお尋ねいたします。
○山崎(広)議員 衆法を時限立法にしたがった理由でございますが、それだけこの法律を重くといいますか、大きく受けとめておるというふうに御理解をいただきたいわけでございます。果たして五年で、閣法にしろ、この法が目指しているところの成果が得られるかどうか甚だ疑問だと。特に、政府御提案の法律に具体的なその方針が示されていない、精神は示されているけれども、実行に移っては白紙で臨むというような状況でございます。
 例えば、五年という年月はあっという間に過ぎてしまう。この前の地方自治法の平成三年の改正、これは職務執行命令訴訟制度で、まさにこの機関委任事務を地方自治体の首長が実行しなかった場合の代執行をどうするかという、この法改正だけでも五年かかっているのですね。
 そういうことでございますので、私どもとしては、この地方分権の推進に関する法律は、中央と地方の基本的なあり方を決めるものであって、単に中央から地方に権限を移譲していくだけのものではない、そういうふうに受けとめております。したがいまして、もちろん私どもも、五年をめどに実効を上げるようにやっていこう、そのために、勧告の国会報告や委員会の審議概要の公表を義務づける等の措置によりましてこの進行を担保していこう、こういう基本的な考えに立っておるわけでございます。
○緒方委員 閣法の方も、できるだけ早くというような趣旨の答弁でありましたし、私どもといたしましては、やはりこの問題は早急な問題であるという意味で、一日も早い成立をなすべきであると考えておりますし、期間も限定をされるべきだと思っております。
 それで、時間が参りましたので、最後に機関委任事務のことについてお尋ねをいたしますが、いろいろ随分議論をされてまいりましたけれども、正確に言うと、法律案では機関委任事務制度の廃止という言葉に、制度ということになっておりますけれども、仕事そのものはなくなるということではないということは、先ほどの答弁でもありました。
 しかし、現実に考えてみて、何遍も出ておりますが、国政選挙の事務やパスポートの発行事務、これもパスポートの具体的な作業は県庁でもされておりますが、実際のいろいろな外国との関係で照会事務とかいろいろな形があるわけでありまして、それがあるのでやはり機関委任事務ということでされているわけでありますが、事務の性格によっては改革のあり方も変わるのではないかというふうに思いますが、衆法を出された新進党の方にそのことについてお尋ねをいたします。
○冬柴議員 機関委任事務の廃止につきましては、もうここで再三論じられたところでありますし、また委員の所属されます社会党の地方統一選挙に臨む公約の中にもその旨が書かれているように、今や国民大多数の合意形成はなされた事項であろうと思います。
 私は、それではなぜ廃止するとすっぱり言い切っているのかという点につきましても再三答えてまいりましたけれども、今まで、例えば近くは二度にわたってこの機関委任事務を廃止するという目的のもとに一括整理法が昭和五十八年、六十一年に行われたわけでございますけれども、地方が期待するような結果はそこにあらわれていないわけでありまして、今も五百六十を超える機関委任事務が残っているということは、その如実な証左であろうと私は思うわけであります。
 二十次の地制調「機関委任事務等に係る当面の措置についての答申」、これは六十一年二月に出ておりますが、ここにも「基本的には、この概念を廃しこと書かれているわけでございます。二十四次は、もう再三ここで述べられておりますからあれですけれども、機関委任の概念はこれを廃止して、そして今現に処理をしている地方公共団体の事務として移管する旨が書かれております。
 もちろん、その後ろには非常に例外的な面が挙げられていることはこれは事実でありますけれども、私は、この数百にも及ぶ機関委任事務を、これは今まで進められていた指導理念は、現在の閣法に述べられていると同じように積極的な整理合理化を推進すべきであるということが常にうたわれているわけです。
 しかし、進まなかった。どうすべきか。それに対して、私は、今回ゼロベースからスタートをして、真に必要なものにつきましてはそのあるべき姿も地方自治の本旨に照らして内容を取り決めていく。例えば、総務庁長官もおっしゃいましたように、これは機関委任事務ではなくて団体委任事務の形をとる、十分な予算措置も講じた上で、そういう方法でこれをクリアするという方法もあると思うわけであります。
 いずれにいたしましても、地方自治の本旨に即した整理が行われるべきである、そのように思っておる次第であります。
○緒方委員 時間が参りましたので、大臣に最後の決意をお聞きしたいと思っておりましたが、皆さんに迷惑をかけますので、それぞれ決意を表明されたこの分権の推進については全力を挙げて頑張っていただきたい、法案の成立についても一生懸命頑張っていただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
○笹川委員長 佐藤茂樹君。
○佐藤(茂)委員 新進党の佐藤茂樹でございます。
 まず冒頭に、国の進路を決める上で本当に大事な法案をこの国会の場に提出されました政府・与党関係者並びに新進党提出者の皆様の御苦労に対しまして敬意を表しますとともに、その大事な法案につきまして質問させていただくことを栄誉に感じる次第でございます。その上で、閣法、衆法ともにやはり本当にスタート台にまず出されたな、これをたたき台として本当にこの国会の場で政治のリーダーシップでより国民の皆さんの納得していただけるようなそういう法案にしていくのが、私たち国会の役目ではないかな、そのように責任感を強く感じる次第でございます。
 その上で、閣法、衆法、それぞれの提出者に御質問をさせていただきたいわけでございますが、まず最初に、もう既に先ほど来各委員からもありましたけれども、なぜこの閣法が五年というものにこだわった時限立法になっているのかということを、再度納得のいく御説明をまずお聞かせ願いたいと思うわけです。
 山口長官の今までの同僚委員の質問に対する答弁の中で、大体大きく二点、今まで答弁されていると思うのですが、一つは、時限立法にした理由として、一定の期間内に集中的かつ計画的に取り組むことが具体的な成果を上げる上で最も効果的である、これは私も異論のないところでございます。
 もう一点が、地制調の答申の中でそういう御提言をいただいた、そういうお話を根底にされながらのお話たんですが、別に逐条解釈をここでする気はございませんけれども、もう一度その辺の、地制調を受けてであれば、どういうように御理解された上での五年の時限立法なのかということをちょっとお聞きしたいわけです。
 間違いのないために、この地方制度調査会でどういうように言われているかというと、最後の方の部分で、「地方分権の推進を図るためには何よりも、本答申に盛り込まれた事項に即し、地方分権推進法(仮称)を速やかに制定すべきである。」と銘打たれて、「その際、実効ある地方分権の推進のためには、一定の期限を設定して計画的かつ集中的に取り組むことが肝要であることから、地方分権推進法は時限立法とし、来るべき二十一世紀までのおおむね五年程度で具体的成果をあげることを目標とすべきである。」こういうふうに言われているわけですけれども、ここで二つポイントが私はあると思うのですね。
 一つは、やはりこの地方制度調査会の答申に盛り込まれた事項にきちっと即しているかどうかということが一つのポイントであろう。もう一つは、五年の時限立法とはうたっていないわけです。時限立法とするというのはうたっていますけれども、「おおむね五年程度で具体的成果をあげる」ということをこの地方制度調査会ではうたっているわけでして、その辺を踏まえた上で議論をしていかないといけないのじゃないかな。そういう意味から、まず五年の時限立法というのは、そこの五年の部分だけをとったという部分が非常にイメージが強くて、それが一点。
 もう一つは、各委員からも議論がありますけれども、この地方制度調査会での答申に盛り込まれた事項で代表的な例というのが、今回衆法から出ている機関委任事務制度の廃止と地方事務官制度の廃止を初めとした明確な具体的な方針ですね。そういうもの、また、国の権限というものをある程度限定的に列挙してありましたけれども、そういうものにした上で残りを地方に移すというような具体的なことがうたわれているわけでして、今回閣法を読ませていただきますと、そういうことをある程度やわらかく、悪く言えばあいまいにした上で、この分権の具体案というのはその後の地方分権推進委員会と政府の作業に具体的にゆだねる、悪く言えば先送りしているという部分のイメージが非常に強いわけですけれども、その意味では、本当に本答申に盛り込まれた事項にきちっと即しているのかなというそういう疑問を抱かざるを得ないわけですね。
 これからのこの作業を考えていった時点で、最終的に地方制度調査会から受けた答申を踏まえたのかもわかりませんけれども、スタート時点で非常にもう一度逆戻りしているというか、地方制度調査会で具体的に言ったことをもう一度具体的に示さずに五年間でやろうとしているところがございまして、これから、そういう意味でいえば、地方分権委員会のメンバーの方とかまた政府の作業に物すごく負担がかかる、そういう閣法にたっておるのではないかな。もしかすると、この地方分権委員会で集中的に議論していただくわけですけれども、その最初の部分で、今までも二十年以上かけて長年繰り返されてきた分権論議というような入り口の論議、どういうように役割分担をしていくんだというような論議から始まってずっとやっていかないといけないんじゃないのかな、そういう危険性を物すごく感じるわけですけれども、そういうことも踏まえまして、もう一度総務庁長官に、なぜ五年という数字を挙げた時限立法でなければいけなかったのかということをまず最初にお聞きしたいと思います。
○山口国務大臣 お答えいたします。
 私の政治経歴についてもお話を申し上げましたが、一九六〇年国会に参りまして、そのころも地方分権という議論はございました。しかし、なかなか実現しなかったわけでありますし、また、地方制度調査会も繰り返し地方分権を推進するための方策をさまざま答申として提起をいたしましたが、それが結実してこなかった。しかし、一昨年、地方分権推進に関する国会決議が衆参両院で行われた。そしてまた、その前年でありますけれども、地方分権と的確に関連づけてという国会等の移転に関する法律も衆参の御論議をいただいて成立をした。そういう中で、最近地方分権に対する大きなうねりというものが生まれたということだろうと存じます。
 そういったことを私ども考え、村山政権としても地方分権を推進しようという総理の熱意、私どもそれをとらまえまして、そして法案を提出したわけでございますが、少なくともだらだらとやっているのではなくて、集中的に一定の期間で政府が策定する地方分権推進計画を策定をする。そして、策定に関しては地方分権推進委員会が的確な御意見あるいは勧告をいただく。そういう中で速やかに推進計画を策定して、そして法律案として国会に提案し、御論議をいただくものは提案をいたしましてこれを仕上げていく。そういう意味では、一定の期間集中的にこれを進めることが必要である。そのことでこのような時限立法という形にいたしたわけでございます。
 つけ加えまして、地方制度調査会が御指摘ございますように、「来るべき二十一世紀までのおおむね五年程度で具体的成果をあげることを目標とすべき」だ、時限立法とすべきだ、こういう答申もいただいておるものですから、それも尊重し、参考にいたしましてこの法案を提案をいたしましたということを申し上げたわけでございまして、要は、一定の期間集中的にこの問題は議論をし、計画を策定し、実行していこうという気持ちから、このような法案として提案申し上げたということで御理解をいただきたいと存じます。
○佐藤(茂)委員 今のに関連いたしまして、もう一点長官にお伺いしたいのですけれども、大変集中的に、とにかくだらだらやるのではなくて議論をやるんだという考え方は、確かにもうそのとおりでございますけれども、例えば地方分権推進委員会の方々、また政府、こういうところに一体どこまでやっていただくのかということをやはりきちっと提示したければいけないであろう。適当にそれぞれ集まって集中的、計画的にやってくださいよ、そういうことではいけないんではないかな。
 これから具体的に実行する上で、一昨年の第三次行革審の最終答申の最後の部分で次のようなことが言われているんですね。
 抜本的な地方分権を進めるため、まず国と地方の役割分担を本格的に見直した上で、国から地方自治体への権限の移管等を着実に実行する必要がある。そのため個々の法令の改正作業を丹念に進め、これに伴って財政制度も改革されなければならない。さらに以上の改革と並行して、地方制度の見直しや地方自治体の自己改革も進める必要が
 ある。と、具体的にある程度やらなければいけないことをこの最終答申では列挙しているわけです。
 例えば、ここに言われているとおりにしますと大変なボリュームがあるわけですね。今までの各委員からの議論の中にも出ておりますけれども、例えば地方自治体に関与している国の事務、そういうものだけでも九四年三月末で三千二百九十三件に上る。先ほどから議論になっておりますけれども、旅券発券などの機関委任事務が五百六十二件ある。また、関係法令なんかを集めると四百八十余りになるんじゃないかという報道もあります。
 こういうものを五年の中できちっと、これは国にし、これは都道府県にしということを本当に全部立て分けていかれるのかどうか。どこまで本当にこの五年で計画を立て実行されるのかということを、ある程度地方分権推進委員会にゆだねるためには明確にしなければいけないんではないかな、そういう感じがするのですが、そのあたりについてどういう御所見をお持ちたのか、お聞きしたいと思います。
○山口国務大臣 この点は法律案にも国と地方の役割分担という形で政府としての考え方はお示し
をしておりますし、また、昨年の十二月二十五日に決定をいたしました地方分権大綱でも、その点は政府としての考え方は明らかにいたしているところでございます。
 鉄は熱いうちに打てという言葉もあるわけでございまして、私どもとしては、この法律案及び分権大綱でお示しをいたしました考え方に基づいて、政府としては推進計画を策定する、そしてそのための御意見、勧告というものをこの委員会にお願いを申し上げるということでございまして、全く白紙でお願いしますということをやっているわけではございません。その点は十分御理解を賜りたいと存じます。
○佐藤(茂)委員 長官の御答弁では枠組みをおっしゃっていただいたわけでして、具体的にその五年間で、先ほど最終答申を読ませていただきましたけれども、例えば法令の改正作業も全部やってしまうのか。また、それに伴った財政制度もきちっと改革してしまうのか。どの程度まできちっと実行しようというものをお持ちたのか、お聞かせ願いたいと思います。
○山口国務大臣 政府が策定いたします地方分権推進計画は、五年ということではなくて、その前半のうちにこの計画は策定をいたしたい。そして、この五年間のうちの半ば及びおしまいの期間におきまして法律の処理というものを積極的に進める。そして、その政府の計画あるいはこの法制化等の状況について推進委員会が監視をいただいて、そして必要とあらば意見も政府に対して出していただく。こういう仕組みで私たちはできる限り一定期間精力的にこれを進めてまいりたいということでございます。
○佐藤(茂)委員 今の長官のお立場からすると五年後のことまできちっとした約束はできないかと思うのですけれども、例えば先ほど数字を申し上げましたけれども、そういう三千二百九十三件の関与している事務なんかについても、五年間できちっとどうするのか明確にした、また実行に移したというものを残せるような取り組みをしていただきたい、そのように思うわけです。
 後でまたそのことについてちょっとお聞きしたいと思いますが、その前に衆法の提出者の方にお聞きしたいのですが、この五年の時限立法の是非について、衆法の方は、地方制度調査会の後の部分を尊重して、この第五条の中で、先ほど緒方委員からもありましたけれども、「地方分権の推進を計画的かつ集中的に行い、おおむね五年を目途に、具体的成果をあげるものとする。」と述べているわけですね。
 そこで、あえて閣法のように時限立法にされなかったのには、それなりのやはり理由があるであろう。また、もう一つ、その部分では先ほどの緒方委員の答えと重なるかもわかりませんので、具体的に五年を目途に具体的成果を上げさせるためにどういうことをしなければいけないとお考えになっておられるのかも、あわせてお聞かせ願いたいと思います。
○山崎(広)議員 私どもは、おっしゃるとおり、あえて時限立法化をしなかったわけでございますが、佐藤委員の先ほどの政府案に対する御質問で御指摘になられておりましたけれども、私どもも、地方制度調査会の答申のあの部分をどういうふうに読むのかということにつきましては、随分議論をいたしたわけでございます。
 答申は「地方分権推進法は時限立法とし、来るべき二十一世紀までのおおむね五年程度で具体的成果をあげることを目標とすべきである。」としているわけでありますが、佐藤委員御指摘のとおり、五年程度で具体的成果を上げることをより重視し、その方法論として時限立法を提案しているのでありまして、少なくとも時限立法の期間を五年に限定したものではないと私どもは読み取っておるわけでございます。
 答申ではこのほかにいろいろな縛りをかけてございます。一つは、先ほど御指摘の、本答申に盛り込まれた事項に即し推進法を制定すべきとする点や、推進計画の作成期限を明記すべきだとした点、その他、答申に盛り込まれた事項はかなり個別具体的に表現してあるわけでございまして、そのような周到な準備がなされた上でも時限立法の期限、期間は五年と限定されなかった意図を私どもは十分読み取るべきであると考えたわけでございます。政府案は、まさにそのような周到な準備がないままの極めて私どもから見れば不用意な時限立法化であるというふうに考えております。
 私ども、地方分権は単なる国から地方への一方的な権限移譲のみで終わるものではなく、国と地方の新たな仕組みを構築し、さらにそれを発展させていくものであると理解しております。もとより時限立法が大きな拘束力を持つことは言うまでもございませんが、それだけに、推進に関する大きな拘束力となると同時に、悪くすれば中途半端なもので終わらせる拘束力をも有するものと考えるわけでありまして、私どもは、五年を目途に具体的成果を上げることを目標に掲げる一方で、いわゆる地方分権を中途半端なものにしないようあえて時限立法の措置をとらなかったということでございます。
○佐藤(茂)委員 これで時限立法に関しては終わりたいと思うのですけれども、特に閣法の場合、やはり全体的に、地方分権の推進法なんというのは今回出されただけで、これから二十一世紀に向けてどう地方分権をつくっていくのかということでいえば、本当にスタート台だと思うのです。その段階で、確かに精力的にやらなければいけないということで、ある程度成果を出してもらうために五年という枠組みをはめて、それは積極的にとらえればいいようにとらえられると思うのですけれども、しかし、それが実効が上がればいいのですけれども、五年たってみて結果的にもう一歩不十分だった、そういう段階においては、やはり地方分権を推進する意味でもさらに地方分権が推進されるような何か保険を掛けなければいけないのではないかな。
 そういう意味でいえば、例えば目標を明確にした上で、それと最終年に、半年前ぐらいに検討していただいて、例えば地方分権推進委員会にもう一度かけて、推進法自体をこれからさらにどうしていくのかという、そういう延長も含めた見直しを検討させるようなことを考える必要があるのではないか、そういうふうに思うのですが、総務庁長官の御所見をお伺いしたいと思います。
○山口国務大臣 私は、保険は衆参両院における地方分権推進の国会決議であるというふうに考えております。
 私議運の理事も長くやったのでございますが、法律は過半数で成立をいたします。国会決議は全会一致が原則です。少なくとも九〇%以上の賛成でなければ国会決議は実現しないという慣例を私はつくってきたつもりであります。したがって、法律よりも政治的には国会決議は重たい、こう私は思っております。そのような国会決議が衆参両院でなされているわけでございますから、もし御指摘のように地方分権推進ではなくて中途半端に終わるというような事態になれば、これは唯一の立法府である国権の最高機関国会が黙っておられるはずはないというふうに私は思います。したがって、保険は国会決議であるというふうに認識をいたしております。
○佐藤(茂)委員 今の長官の御答弁を踏まえた上で次の質問に移らせていただきたいのです。
 衆法十一条には地方分権推進委員会の行う勧告、意見、審議等の概要の公表というか、そういうもの、また衆法第十二条の二項には地方分権推進委員会が首相に勧告したその勧告を国会に報告することというのがうたわれているわけです。
 私は、今回の閣法の性格からして、地方分権推進委員会にかかる比重というか負担というものが非常に大きいものになってくる、そういう法案になっておりまして、閣法で言う第十条の、「地方分権推進計画の作成のための具体的な指針を内閣総理大臣に勧告する。」わけですけれども、その具体的な指針の中に今回あえて触れられなかった権限移譲の手続や基本原則を具体的にどう盛り込んでいくのかということが非常に問題になってくるような、そういう制度になっていると思うのです
ね。そのことによって、非常にその後の分権の行方が大きく左右されると私は思っておるわけです。
 そういう意味では、地方分権推進委員会の審議の概要や勧告の内容というのは、衆法の言うように、きちっとやはりその都度ある程度公表されなければいけないと思うのですけれども、その点につきまして総務庁長官はどのようにお考えか、お聞かせ願いたいと思います。
○山口国務大臣 私、国会等の移転に関する法律を提案いたしました際に、この場合は調査会を設置いたしまして、調査会で国会等移転に関するさまざまな議論をしていただきまして答申をいただくという形にしてございました。その場合、委員会での論議の経過を公表すべきではないか、また、委員会が意見を出す等々の場合はこれを公表すべきでないか等々の御意見がございました。
 私は、それは全くごもっともだ、これだけ重要な問題を国民の見ておられるところでガラス張り、透明性を確保して進めるということは当然だと思うと。
 ただ問題は、委員会の運営に関しては、これは委員会自体が運営規則をやはり決めるべき問題だと思うのです。したがいまして、私は、国会でそういった御意見があれば、その御意見というものを十分委員会も尊重いただいて、そして国会の御議論に沿った形でこの委員会を運営いただけるのではないかというふうにお答えをいたしました。
 今回も私はそうだと思います。地方分権推進委員会ができれば、国会の御議論というものを十分踏まえた上で、委員会は透明性を確保した形で対処をいただけるのではないか、しかし、それは委員会自体がお決めになる規則の問題であるというふうに考えておる次第でございます。
○佐藤(茂)委員 もう一つですけれども、先ほど国権の最高機関たる国会の決議というのを非常に重要視するのだというお話がございました。そういうことで次の質問に移らせていただきたいのですけれども、その意味では、国会が常に国民の代表者としての目を持って地方分権の推進状況というものを見ていかなければいけない、私はそのように思うわけですけれども、そういう趣旨のことが、例えば先ほど来出しておりますが、第二十四次の地制調の答申とか、また、ほかの行政改革推進本部の地方分権部会の報告とか、また、地方六団体の意見書の中に国会の役割について書かれた、これを必ず推進法に盛り込んでくれという部分があったのですね。それはどういうことかというと、地方分権推進法には、地方分権の推進状況の国会への報告、具体的には「(地方分権推進白書)、等を定めるべきである。」ということが、各答申とも表現は違えども盛り込まれていたわけです。
 私は、この部分は非常に大事な部分ではないかな、ただ単に行政内部に任せるのではなくて、そういうものが国会へきちっと報告されて、国民全体がチェックできるようなものをシステムとしてつくっておくべきではないかなと思ったわけですが、それに対して、今回の閣法、衆法とも、どういうわけかここの部分については両法案とも触れておられず、盛り込まれておられないわけでございますけれども、これにつきまして、総務庁長官と衆法提出者に、御所見と、また、なぜ盛り込まれなかったのかということについてお聞かせいただきたいと思います。
○山口国務大臣 私は、先ほど来お答えしておりますように、村山内閣が進めております政治の手法というものは透明性を確保するという点を非常に大切にしているということをこの際も強調させていただきたいと思う次第でございます。
 今、規制緩和の問題について取りまとめをいたしまして、三十一日には閣議決定をする予定でございますが、これを進めるに当たっても、総理は常に、その過程が大切である、その過程で透明性を確保するということが重要だということを強調してこられました。したがって、私どもとしては、地方分権推進委員会ができれば、当然国民の皆さんが極めて関心を持つ重大な問題を御論議いただくわけですから、この規則におきましてどうお決めになるかは委員会のいわば自律性の問題でございますが、当然透明性を確保する運営をやっていただけるであろうと期待をいたしますし、また政府も、この推進委員会から勧告等を受ければ、あるいは意見をいただければ、あるいは監視状況について御意見をいただければ、こういった意見を推進委員会がいたしましたということは、これは当然マスコミに報告されるわけでございましょうし、また、国会で当然そういう点は御議論になるだろうと思いますし、また、国会等の移転に関する法律を審議のときも、調査会が、法律ができた後も、これは国会がお決めになることですから私は断定的に言うことはできませんけれども、多分国会では国会等の移転に関する特別委員会は存置をして、国会としてもこの問題についてはずっと関心を持って御論議をいただけるだろうというふうに私は申しました。
 今、地方分権に関する特別委員会がございます。法律ができたら特別委員会は終わりということでは必ずしもないのではないか。国会決議をいたしました国会でございますから、当然国会としてもこの問題に関して十分御議論をする場というものは、多分国会として、国会自体の問題として御議論をいただけるのではないか。そういう中で委員御指摘の点は十分確保できる、私はかように考えておる次第でございます。
○今井議員 佐藤議員の御提言を含めまして御質問にお答えさせていただきます。
 もとより、地方分権の推進は、我が国社会の行く末を左右し、我が国が健全な民主主義の国として発展し得るか否かがかかった重要な問題である、こういう認識をしておりますし、先進諸国では全部分権型になっておりまして、今の日本のような中央集権型は民主主義が未成熟な国がとっておるシステムであるというのは、御案内のとおりでございます。したがって、その成否は国民の理解と協力にかかっていると言っても過言でもないわけでございます。
 そのために我々は十分な手だてを尽くしていかなければならないと思っておりますがゆえに、私たちの衆法では、政府が地方分権推進計画を作成したときは国会に報告し、その要旨を公表することに加えて、地方分権推進委員会は審議の概要を定期的に公表する、そういう担保をきちんとしておく、姿勢じゃなくて、法律に文言に明確にしておくということが大事だと考えております。
 御提言いただきました白書でございますが、これらにつきましても十分配慮し、それらのものを国民の前に公にしていく、そしてお互いに建設的な批判をしていくということが大事だと思っております。御提言ありがとうございました。
○佐藤(茂)委員 時間が参りましたので、最後に、今回の両法案ともに、お互いにいいところはしっかりといいものをとって、二十一世紀に向けての日本の本当に新しい進路がこの法案で決まるんだという前提のもとに、これからも責任ある前向きな、建設的な議論をすることを決意といたしまして、質問を終わらせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
○笹川委員長 田中甲君。
○田中(甲)委員 再度お時間をいただきまして質疑をさせていただきます。ありがとうございます。
 佐藤委員と私も全く同様の気持ちであります。そして、内閣総理大臣、村山総理に御質問をさせていただき、先ほどは衆法を提出されている委員の方々にも御質問させていただいた全く同様の内容から、まず山口総務庁長官並びに野中自治大臣に質問させていただきたいと思います。
 地方分権推進法ももちろん含めて、行政改革は本来、新しい国の進路をつくり出すべく、与野党間の垣根を超えて超党派で取り組むべきものであると考えます。そんな中で野党から提出された衆法、この対案の中にも検討すべきよい点があるならば取り入れていくべきという柔軟な姿勢も場合によっては必要ではないかと私は感じ、それぞれ
の答弁の皆様方に御質問をしてきたのですが、総務庁長官、いかがでしょうか。
○山口国務大臣 私ども、政府案は最善のものとして、政府・与党とも十分相談した上で御提案を申し上げました。しかし、野党の皆さんの方から衆法も提案されております。表現の違いが若干あるわけでございますけれども、私は、志は全く同じではないか、かように考えておる次第でございます。
 したがいまして、地方分権を推進しようという熱意、その志、それは同じわけでございますので、十分この問題については与党と野党の間で御理解がいただけるものではないだろうか。私ども、最善のもの、こう考えて御提案を申し上げているわけでございますので、趣旨は野党の皆さん方も十分御理解をいただける、決して対立法案などというものではない、御理解のいただける法案である、志は同じであるというつもりでおることをこの際強調いたしたいと存じます。
○野中国務大臣 総務庁長官の答弁と同様でございます。
○田中(甲)委員 みんな疲れてきたと思いますが、頑張ってやってまいりたいと思います。
 同様ということでありますから、そのように承らせていただきます。
 発言者の中には含まれておりませんが、もしかしましたら冬柴委員にまた御質問するかもしれませんが、よろしくお願いいたします。
 と申しますのは、「新しい連立政権の樹立に関する合意事項」、昨年の六月三十日、村山内閣が発足するその前段に、新党さきがけ、日本社会党並びに自由民主党ともども合意をして出されたものでございます。「行政改革と地方分権の推進」というところをあえて私は読ませていただきたいと思いますが、「機関委任事務は原則廃止し、補助金等は原則一般財源化を図る。広域行政については自治体の自主的な連合による行政を原則とし、国の関与を限定する。」まさに、地方行政常任委員会では市町村合併法の一部を改正する法律案が出されている、この広域行政のところを示しておると思います。
 今あえて私がお読みしたのは、重ねて申し上げるまでもなく、「機関委任事務は原則廃止」ということが連立政権をつくる際の合意事項にしっかりとうたわれていたということであります。
 また、私どもの政党のことを申し上げることは何かアブハチ取らずになってしまいますが、あえて申し上げます。新党さきがけの「われわれが目指す日本の進路」という最も新しい政策の小冊子の中にも「機関委任事務および国の出先機関は速やかに廃止する。」ということを正直うたっております。
 こういう形で実は進んできたにもかかわらず、非常にその渦中に、今理事として携わらせていただいている中でなかなか見えなくなっている部分が逆にございます。ですから、あえて素朴な質問をさせていただきますが、こういう流れで来ていたにもかかわらず、今回の出された法案の中にその点が明確に書かれていなかったということは、どういう障害があって、あるいはどういうお話し合いがあってこのような形になったか、改めてお聞かせをいただきたいと思います。
○山口国務大臣 この点はたびたびお答えしているわけでございますが、私どもは、機関委任事務を存置しようというつもりでこの法案を出しているわけではございません。何回もお答えいたしておりますように、積極的に整理合理化をするというのが地方分権大綱でございますし、そしてまた、法律もその趣旨を踏まえて提案をいたしているわけでございます。ですから、国の事務として行うべき事務があることは、もう委員もよく御理解いただいていると思います。
 問題は、それをどう扱うか、また、機関委任事務をどのように団体委任事務に転化していくことができるか、そういう中で積極的な整理合理化を進めていこうということが私たちの願いでございますので、そういう意味では、原則的に廃止をしようという三党合意の趣旨と私どもは決して違っているものではないというふうに思います。
 要は、私どもその三党合意の趣旨を踏まえて、そして、ぎりぎり法律の言葉としては一体どのような言葉が適切なのかという点を事務局が十分努力をいただきました結果、このような法律案の案文となっているということで御理解をいただきたいと存じます。
○田中(甲)委員 与党の一員でありますから、その点は私自身は実は理解しているつもりであります。
 しかし、午前中の衆法の質疑をさせていただいた中で、機関委任事務というものを全くゼロという状態にして再スタートさせるんだ、こういうお話を冬柴委員の方から承りました。この辺の考え方というのは、やはりだんだんこのように審議をしている中でよく見えてきた部分ではあるんですが、もう一度冬柴委員に、午前中に御答弁をいただいた内容というのは、今私が申し上げましたように、ゼロからの、全くないところからスタートさせる、そのために機関委任事務制度を廃止するということをうたっているんだ、そういう御理解をしてよろしいでしょうか。
○冬柴議員 御理解いただいたとおりの考え方でございます。
 機関委任事務制度が果たしてきた役割というのが大きいことは否めませんけれども、それの弊害、また、我が新憲法下における法秩序と相入れないこのような制度というものはなくしていくべきであるという提言は、識者からつとに指摘されてきたところでありますが、近年に至りましては、内閣総理大臣の諮問機関までがそのような、この制度の概念を廃止したり観念を廃止する、それをはっきり言われているわけでありまして、これは、過去においてそういうものを存置しながら整理合理化を進めてきた歴史があると思うわけでございます。
 しかし、それは再々申しますように、一括整理法等いろいろな試みをしたけれども、期待した結果が出なかったというそういう過去の流れ、そういうものを踏まえて、今回はこの二十四次ではっきりそのようなことがうたわれている。その前にもまた、行政改革推進本部の専門員の意見の中にもそのような明確な意見表明があるわけでございます。
 我々はこの法案の中で、また長くなりますから、失礼ですから、ここは申しませんけれども、一応これを全部廃止するというところからスタートして、そして、じゃ、住民が困るじゃないかという意見もありましたけれども、今住民がサービスを受けている当面の相手方は地方自治体です。全部そうです。それが国の本来的に行うべきものかどうかというところにかかっているわけでございまして、子細に検討いたしますと、五百六十を超える機関委任事務の中には、なるほど国の事務として行うべきものが適当であって、そして、それを執行する上において地方の独立を、自主性を尊重しながら協力を求めていって処理をした方がいいと思われる部分はありますけれども、そうでない部分が随分あります。そういうものは、今事務を現実に執行している地方に権限を渡し、そして財源もお渡しする。
 そしてその地方が、それこそ企画、立案、調整、そして執行までもう完結的に一貫して自主的に処理をしていくというそういう方が、憲法秩序にも即応しますし、そしてまた、経費の面でも、二重、そういうような、あるいは地方自治の精神にそぐわないような、国家行政組織法上の指揮監督を公選の首長が受けるというようなおかしな制度、そしてまた、その費用は地方が全部負担するというようなそういう地財法の九条の規定、これは本文ですけれども、それは非常に不合理だと思うんです。
 それで、国が一部負担する分についても超過負担というものは物すごくある。こういう実態があるわけですから、我々はここで一度全部地制調が言うように整理いたし、全部ゼロにして、そこから本当に、これは国が役割分担をするときに国の役割とされたものの中の事務、それをだれがどう
いうふうにやればいいかということを、これは局限されてきますから、パスポートとか国政選挙とかいろいろ挙げられておりますが、そういうものについては、それぞれにその仕組み等も、地制調もそれの一つの解決の指針を出していますし、六団体も出しておりますし、東京都の地方分権検討委員会の報告書の中でもこういうものは示されておりますから、そういうものを参考にして今後推進委員会で専門家に検討していただいたらいいんではないか、そのように考えている次第でありまして、我々も、閣法とはねらうところは違うのかもわからぬけれども、スタートするところが根本的に違うように思えてならないわけであります。
 御理解をいただきたいと思います。
○田中(甲)委員 さきに総務庁長官に御質問をさせていただいて、そのときの私の疑問は、やはり議院内閣制の弊害というのですか、私たちも与党の一員ですが、その辺まで非常に考えざるを得ないような、まとめていくための官僚とのすり合わせといいますか、先ほど冒頭に申し上げましたように、行政改革というものは、政治家が官僚と戦っていくという、政治家と言うと語弊があるかもしれませんが、国民の代表という立場をお与えいただいている私たちが、官僚のシステムとどのようなかかわり方が一番正しい、求められているスタイルなんだろう、形なのかということを模索していく時代にこれから入っていく。そういうことから考えますと、民権政治、官権政治という中においては、私は、今出されている衆法の考え方もわからないでもないというのが正直な気持ちなんです。
 ところが衆法の方は、何か例えが正しいかどうかわかりませんが、政治改革におけるまるで現行選挙制度を廃止するということが、小選挙区制度ということですけれども、あれをもう外しては政治改革は成り立たないというような空気が広がりましたね。あのときに大変よく似ているような気がしてならないんです。
 地方分権推進法の中で機関委任事務という言葉を、この制度を廃止するという言葉を使わないと始まらないというような何かそんなものになってしまって、細川手腕というんでしょうか、細川流みたいな空気が漂ってくるのですね。いい悪いは別ですよ。ただ、そういうスクラップしなければ始まらぬということ、もしかするとこれは少し過激過ぎるのかもしれないという部分もまだ自分の中であります。その辺を私の中でどのように消化していけばいいのかということがなかなか見つからないままなんです。
 しかし、閣法の中に機関委任事務という文言自体が使われていたいということは、いささか問題ではないかな。第五条のところですね、私が申し上げたのは。それはちょっと誤解があるというか間違いならば訂正いたしますが、五条のところの二枚目、四ページ目になりますが、「地方公共団体の執行機関が国の機関として行う事務」、これがいわゆる機関委任事務ということでありましょうから、機関委任事務(地方公共団体の執行機関が国の機関として行う事務)、細かい点を指摘いたしましたが、機関委任事務ということがここまで取り上げられて話がされている中で、やはりこの文言がここにも使われるべきではなかろうかということを考えます。
 後ほど批判されることを恐れずに少し本音でお話をさせていただくならば、そうあるべきだと思いますからそうさせていただくならば、私はこの機関委任事務というものの廃止を視野に入れてというぐらいの、折衷案ではありませんが、廃止を視野に入れて検討していくという文言の表現ぐらいまでは使われる方が、国民の皆さん方にもあるいは地方自治体、地方公共団体の皆さん方にも、かなり自分たちに責任がかかってくるぞ、自分たちも本腰を入れて自分たちの受け皿づくりを進めていかなければならないぞということを受けとめていくものになっていくのではないか、そんなことを感じておるのですが、総務庁長官、いかがでしょうか。
○山口国務大臣 委員が御指摘のように、機関委任事務が何か踏み絵の重大なものであるかのようなことについてはいかがかと思うという御発言、私もその点は十分わかる気持ちがいたします。
 繰り返して申しておるわけでございますが、五百六十あります機関委任事務、できれば大部分を整理合理化していければ、もちろんその方法は廃止ばかりではなく団体委任事務に移しかえるという手法も含めて整理合理化を積極的に行う。そうしてまた、その中には国の事務としてやる必要はない、もう地方公共団体の固有事務として処理すべきものもたくさんあるという形で整理していきたいなというのが政治家としての私の願いであることは、もうこの際率直に申します。
 ただ、総務庁長官としてお答えするについては、先ほど来申し上げておりますように、分権大綱で整理合理化を積極的に行うのだ、地方事務官制度の検討を行うのだということで御理解をいただきたいということでございます。
○田中(甲)委員 ありがとうございます。
 与党の立場でありながら、少し踏み込み過ぎた発言なのかもしれません、逆に野党の皆さん方がにこにことうなずいて聞いてくれておりますから。しかし、そういう中で本当にあるべき法案というのがつくられていかなければいけないのだろうと真剣に思うわけでありますので、お許しを賜りたい、御理解をいただきたいと思います。
 さて、これも午前中の質問の中でさせていただいたのですが、五年間という期限を区切ってこの法がつくられたわけであります。私は、果たして五年間でできるのかどうかということの一番危惧される点は、国会内と官僚、霞が関と永田町というかかわりの中にはございません。これはもう本当に進めなければいかぬという気持ちがみんなありますから。
 ところが、地方の腐敗というものは私たちがもっともっと認識をしておかなければならないほどですね。十年間において汚職事件の件数一千八十七件というこの実態。特に、平成五年には件数がふえてきている。汚職とは、私利私欲のために職務に関して不正を行うこと、この汚職事件、特に平成五年のデータを午前中にも挙げましたが、横領や詐欺、職権の乱用や公文書偽造、背任、公印の偽造など、この部分は挙がってきているのは氷山の一角である。
 私も短い期間でありましたが、市議会議員、県会議員という経験をさせていただいたことは、今では地方分権に携わる中での自分の気持ちの中で大きな財産だと思っております。やはり地方議会あるいは地方政治の中の充実ということ、その中で汚職ということを一つ例にとったのですが、百条委員会がかなり設置をされているところ、統一地方選挙から外れている選挙の時期を持つ地域は、やはり何らかの理由があって、もちろん首長さんが健康上の理由で勇退されたということも多いでしょうが、やはりそれぞれに理由があって腐敗やまだまだ受け皿としての充実というのがなされていたいのではないかという危惧を持つわけであります。
 経験豊富な自治大臣、この辺に対する危惧やお考えは今どのように持たれているか、お聞かせをいただければ幸いであります。
○野中国務大臣 委員御指摘のように、私先ほど来御答弁をやってまいりましたように、地方分権を推進する上で、当初は地方の時代あるいは地方分権と言われながら地方から熱いものが伝わってこなかったという表現を使いました。さらに、今後この推進をやっていく上において、地方みずから自主的、自立的にみずからを厳しく律して、チェック機能を十分にして、そして受け皿づくりをやっていかなくてはならないということを申しました。
 それは委員がまさしく今御指摘になりましたように、地方がこの受け皿に足る十分な機能を備えていかなくてはならないし、そこには行財政の地方みずからの改革あるいは透明性というものが十分確保され、公正性が確保され、住民参加を含めた諸施策が十分機能していかなくてはならないと考えておるところでございます。
○田中(甲)委員 そういう状況下にある中で、五年間という限られた中で、地方分権推進委員会、本当に本腰を入れて頑張っていかなければいけないと思います。
 それを考えて衆法を読ませていただいたときに、第十一条並びに十二条というものは大変にいい条文だと思いました。これは十二条の方を、先ほどもお読みしたので同様にいたしますが、「内閣総理大臣は、」委員会から「勧告を受けたときは、これを国会に報告するものとする。」
 限られた期間の中で成果を上げていくためには、常に国会に委員会からの報告というものが、総理でとまるのではなく、国会の方にも報告がなされるということがとても大切なことだと思いましたので、こういういい部分は閣法においても取り入れていくべきではないだろうかと思うのですが、この点に対して御所見をいただければありがたいと思います。総務庁長官。
○山口国務大臣 御指摘のように、地方分権推進委員会の権限の極めて大きいものは、内閣総理大臣に勧告ができるというところにあると思います。このような重要な権限であります勧告を内閣総理大臣が受ければ、当然これは法律に規定がなくとも国会に、地方分権に関して御論議をいただいているわけでございますから、何らかの形でこのような勧告がなされておりますということはお伝え申し上げるのは、私は当然のことだろうというふうに思います。
 したがいまして、表現は閣法にはございませんけれども、そういう気持ちは、透明性確保ということを重点にしている村山内閣は同じ気持ちは持っているという点は、御理解をいただけるだろうと思います。
○田中(甲)委員 次の質問者がもう席に着いておりますし、同じ選挙区で戦ってきた仲間でもあります。衆法を受け入れる懐の深さを、そして万一各省庁が抵抗するようなことがありましても、力強い政治的指導をぜひ総務庁長官並びに自治大臣にお願いをいたしまして、私の希望といたしまして、質問を終わります。
○笹川委員長 富田茂之君。
○富田委員 私の質問の前に質問されました田中委員は、同じ選挙区で戦っただけではなくて、旧細川内閣時代に地方分権推進基本法案を一緒に練り上げてきた仲間でもあります。その仲間から、与党の立場に立ちながらも機関委任事務について廃止という言葉が質問の中ではありますが、出たということに関して、非常に感慨深いものがあります。中馬理事がちょっとというような顔をされた点もすごく印象に残った。本当にいい審議がされているのじゃないかなというふうに思います。
 私は、与えられた三十分間を機関委任事務についてちょっと集中的に御質問させていただきたいと思います。与党の方の皆さんも廃止ということがかなり頭にあるのではないかというふうに思いますので、この点ちょっと質問させていただきたいと思います。
 地方分権推進法案が国会で審議されるということで、国民の皆さんには、国の権限がこれで地方に移ってくるのではないか、国の役割が小さくなる、中央省庁の再編・統合あるいは行革もこれをきっかけにどんどん進んでいくのじゃないかというような期待が多いと思います。ただ、今回内閣が提出されました法案を見ますと、ちょっとそれに水を差してしまうのじゃないかなという感じがいたします。
 昨年の十一月十八日、政府の行政改革推進本部の地方分権部会が最終意見書をまとめられました。その中で、本部専門員の意見書、これは本部専門員の意見の大要を整理集約したものでございますが、これが私どもの手元にも配られております。その中では「機関委任事務の廃止等」という項目でこのように言っております。
 「機関委任事務制度は原則として廃止すべきものであり、その進め方、代替措置等については、適切な措置を検討する。」これが意見の一つ。もう一つの意見は「機関委任事務制度は廃止する。なお国の事務として残さなければならず、かつ執行に地方公共団体の協力を必要とする事務については適切な措置を検討する。」というふうになっております。原則廃止という方針を明確に打ち出しているわけであります。
 この最終意見書を受けて政府の方でまとめられた地方分権大綱の素案、原案というのですか、そこでは、機関委任事務の抜本的な整理合理化を推進し、機関委任事務制度は廃止を含め検討するというふうになっていたと報道されております。この段階では廃止という言葉は残っていたわけであります。
 ところが、十二月二十五日閣議決定されました地方分権の推進に関する大綱方針、いわゆる地方分権大綱でございますが、ここに至りますと「整理合理化を積極的に進めるとともに、機関委任事務制度について検討する。」というふうに規定されまして、廃止という言葉は削られてしまいました。これは一体どういう経過でこの廃止という言葉が消えていってしまったのか、事務方の方でおわかりになる方がいらっしゃれば、御説明いただきたいと思います。
○陶山政府委員 若干実務的になろうと存じますが、御説明申し上げます。
 分権部会の専門員の意見を整理された報告の中で御指摘の内容になっているのはそのとおりでございますが、この分権部会の専門員の意見も十分しんしゃくしつつ分権大綱の案文策定作業を政府部内で行ったわけでございます。
 ポイントの一つは、機関委任事務制度につきましては、大臣がたびたび御答弁をされておりますように、また地方制度調査会においてもそのことが明記されておりますように、現在の機関委任事務の中には最終的にどうしても国として、国が責任を負わざるを得ない事務が存在するということはあるわけでございまして、制度廃止という議論がもちろん従来もございましたし、また、いろいろな議論が長きにわたって行われたことも事実でございますけれども、制度廃止といったときに、どうしても国が最終的に責任を負わざるを得ない事務について国の責任を担保する仕組みをどういう形で構成するか、そのことについて現段階で必ずしも明確な方針と申しますか、答えを政府全体として引き出すことがなかなかに難しいということが実務的な観点で申し上げればあることは事実でございます。
 したがって、現段階での政府の方針としては、整理合理化を積極的に進めると同時に、制度自体についてもいろいろな観点から検討を進めていくということが協議調整の結果の結論であるというふうに御理解をいただきたいと存じます。
○富田委員 実務的に難しいところがあるというのは理解しますが、この専門員の意見では、原則廃止を打ち出して、「その進め方、代替措置等については、適切な措置を検討する。」とか「執行に地方公共団体の協力を必要とする事務については適切な措置を検討する。」と別途検討の余地を残す方向があるのだということを明確に言っているわけですよ。基本方針としては原則廃止だというふうにうたっているわけで、その原則廃止が消えた理由は今の経過説明には全然入っていない。
 聞きようによっては、専門員の意見は尊重するけれども、官僚がよくよく考えたらこれはだめだ、専門員の意見はとらぬのだというふうに言っているとしか私には聞こえない。これはちょっとおかしいのじゃないか。専門員が一生懸命集まって議論されてきたわけですから、そういうことを繰り返していると、これからの推進委員会の方にまた考えてくださいとやっても、同じ結果になってしまうのじゃないかなというふうな危惧を感じます。
 また、今言われていましたが、今回の法案では、整理、合理化その他所要の措置を講じる、先ほどよりもまた後退した表現になっております。この後退した表現に対して、地方分権部会の専門員であられた鷲尾悦也連合事務局長はこういうふうに言われているようであります。条文の読み方によっては中央官庁は何でもやれる、分権は全くの骨抜きになる、このような新聞報道がございま
した。この点についてまずどう考えるのか。
 それと、午前中に新進党案の提出者であります冬柴委員の方からちょっと御紹介がございましたが、ことしの二月十七日に参議院の地方分権及び規制緩和に関する特別委員会で参考人を招致いたしまして議論がされました。その中で、立教大学の新藤教授がこのように言われております。
 ちょっと御紹介させていただきますと、
 分権推進に当たって最も基本的な焦点は何かと申し上げれば、私はやはり一つは機関委任事務であり、もう一つは補助金問題をいかに解決するかというこの二点にかなりの程度焦点が絞られ
 るんではないかと思っております。ということで、町づくりに地方自治体が全く権限を持っていないという点を具体的に挙げられて、その上でこのように述べられております。
 機関委任事務に関しましては、何も土地利用計画の問題のみではございません。しかし、その機関委任事務という方式が自治体の総合性を阻害しているという点、この点については大方多くの認識は共通しているであろう。この改革こそまず分権問題を考えるときの第一点ではないかと思いま
 す。こういうふうにも述べられております。本当にこのとおりではないかなと思います。
 また、新藤教授は続けてこのようにも言われております。
 現在あらわれております内閣の地方分権の推進に関する法律案なるものを報道の中から知る限りで申し上げるたらば、機関委任事務制度の廃止という点につきましては全く触れておりません。一体これは、本当に分権をやるつもりのある法
 律案なのか。最後に、
 私どもが皆様方にお願いをしたい点は、何よりも分権基本法あるいは推進法というものを時限立法とするのではなくて、分権推進計画を五年あるいは三年でもよろしい、ともかくそこをはっきりさせることと、それから機関委任事務の全廃ということに焦点を置いていただきたい、そのように思っておりますし、そこを不明確にした分権推進ということは実は羊頭狗肉にもなりかねない、そ
 のように私は考えております。このように、参考人として意見を述べられております。
 この鷲尾さんの批判、またはこの新藤教授の御提言について、両大臣はどのようにお考えになるか、御所見を伺いたいと思います。
○山口国務大臣 鷲尾事務局長は、地方分権部会の専門員のお一人でございます。したがいまして、この間、分権部会がどのような議論をしてこられたかということはよく存じておられるだろうと思います。
 私ども、村山内閣としては、地方分権を推進する、そうして機関委任事務につきましては、廃止というふうに閣法として出しました場合は、その他の法律との整合性の上からいって問題があるということをお答えを申し上げました。
 しかし、私どもとしては、機関委任事務につきましては積極的に整理合理化をしていこう、団体委任事務に移せるものは移す、廃止するものは廃止をする、そうして国の事務として残さなければならぬものもあるわけですから、この扱いは、機関委任事務として残すか、あるいは他の方法を考えるか、これらの問題については、地方分権推進委員会の御議論というものを十分踏まえて、地方分権推進計画でそれを決定していこうというわけでございまして、御懸念あるような、地方分権をサボっていこうなどという考えを、私ども内閣は決して持っているわけではございません。
 また、新藤さんの御批判につきましても、自治大臣からもお答えがありますように、税財源の再配分についても、やはり積極的にやっていく必要があるということを申しているわけでございますから、村山内閣としての姿勢は御理解をいただけるのではないかというふうに存じます。
○野中国務大臣 機関委任事務というのは、今回の地方分権の最重要課題であると私は認識をしております。それだけに、これからこの法案を早期に成立をしていただき、そして委員会におきまして鋭意御検討をいただきまして、集中的かつ計画的に五年間の時限をもって整理をいただいて、そしてこの存廃を含め、鋭意効率的に検討の成果をおさめていただきたいと考えておるところでございます。
 また、御指摘の新藤教授の御意見に対しましては、地方自治のあり方として、自主性、自立性を阻害しておるという御意見につきましては、傾聴に値する御意見であると考えておるところでございます。
 今後、この御意見を踏まえながら、私ども、地方分権の推進のために、より効率的に、機関委任事務等を含め、整理合理化を含めて、これを成功に導いていかなくてはならないし、この分権というのは、恐らくここで足とまりをすれば到底できないほど重要な現在の課題であると認識をしておるところでございます。
○富田委員 自治大臣から実に前向きた御答弁をいただきまして、ありがとうございます。
 総務庁長官にお尋ねしたいのですが、二十四次地方制度調査会の地方分権の推進に関する答申につきまして、ちょっと質問をさせていただきます。
 この答申は、「国から地方公共団体への権限移譲等の推進」という項目の中に、「機関委任事務の廃止」という一項目を設けております。そこではこういうふうに言っております。「機関委任については、この概念を廃止し、現在、地方公共団体の機関が処理している事務は、地方公共団体の事務とすべきである。」というふうに明確に言われております。
 長官は、三月二十四日の当委員会において、この点に関しまして、法律にあります整理合理化という表現は、分権大綱にあります「整理合理化を積極的に進めるとともに、機関委任事務制度について検討する。」という表現をきちっと踏まえた上での条文だというふうな、そういうふうに理解してもらいたいというふうに答弁をされて、また、村山内閣は、地方制度調査会の二十四次答申を素直に受け入れて、もちろん、言葉ではないのもありますけれども、この地方制度調査会の答申の趣旨はきちっと踏まえ、分権大綱も決定し、またさらに、分権大綱より前進した面を含めて法律案を閣議決定したもので、地方制度調査会の答申の歴史の中で、村山内閣は最も忠実に答申を尊重したというふうに答弁されております。
 これは、私は、ちょっと理解に苦しむ、このようにはとても思えません。答申では明確に概念の廃止というふうにうたっているのですから、この点ちょっと、素直に受け取ったとか、素直に尊重して法案ができたんだとはとても思えません。
 廃止という言葉と、整理合理化するあるいは整理合理化を積極的に推進する、検討するというのは、全然言葉としても違うのですね。それこそ概念が違う。内閣提出の法案では、とても地方制度調査会の答申の趣旨をきちっと踏まえたとは到底言えないと私は思います。
 地方制度調査会は、これまで、機関委任事務や国の関与等につきまして、少々前の段階では整理合理化ということを確かに言っておりました。ただ、今回、二十四次の調査会では、機関委任事務の概念の廃止を明確に打ち出してきているわけですね。
 事務方の方に伺いたいのですが、二十四次の調査会に至って概念の廃止ということが出てきた経過、経緯等おわかりでしたら、ちょっと御説明ください。
○吉田(弘)政府委員 二十四次の地方制度調査会で機関委任事務の概念の廃止という答申がなされたわけでございますが、これに至る経緯のお尋ねでございます。
 地方制度調査会は、これまでも機関委任事務制度につきまして種々検討をしてこられまして、過去の数次の答申におきましても、いろいろ提言が
なされてきたところでございます。
 この中で、第九次の地方制度調査会の「行政事務再配分に関する答申」でございますとか、あるいは第二十次の地方制度調査会の「機関委任事務等に係る当面の措置についての答申」等におきましては、機関委任事務の概念は廃止すべきであるというふうに述べられているわけでございます。
 今回の二十四次の地方制度調査会は、こうした地方制度調査会のこれまでの議論あるいは答申等を踏まえまして、委員の方々が活発にそれぞれのお立場で議論をされまして、その結果といたしまして、「機関委任については、この概念を廃止し、現在、地方公共団体の機関が処理している事務は、地方公共団体の事務とすべきである。」という結論に達して、その旨の答申がされたというふうに承知をしているところでございます。
○富田委員 今の御説明を伺って、両大臣は、この二十四次の調査会の答申について、どのような対応をとるべきだというふうにお考えですか。活発な議論がされた結果、概念の廃止ということが出てきたということですが、その点を踏まえて、どのようにお考えですか。
○山口国務大臣 法律上の用語としては、概念を廃止するというようなことを法律案に書くことは無理であることは、委員も御理解をいただけると思います。したがいまして、法律は、閣法はああいう形になっておりますが、考え方は、分権大綱における、積極的に整理合理化を進めていく、そうしてあり方についても検討するという分権大綱の考え方を踏まえておるということを繰り返し御答弁をしてまいったところでございます。
 私も地方制度調査会の委員を何年がいたしました。あのころ、地方制度調査会が答申いたしましても、なかなかそれが実行に移されぬ、悔しい思いを随分したことを私は今なお忘れることができません。そういった過去の地方制度調査会の歴史から見れば、私は、村山内閣は地方制度調査会のお考え方を十分尊重している内閣である、最も尊重している内閣だということは、過去の歴史を踏まえて申し上げることができると思います。
 具体的には、自治省の当局の方からその間は御説明いただければと存じます。
○野中国務大臣 今総務庁長官から答弁があったとおりでございますが、いろいろな紆余曲折を踏まえながらこの法案へのおまとめをいただいた総務庁に、私は、自治大臣として敬意を表しておる次第であります。
○富田委員 今の言葉の中に、この法案ができるまでのいろいろな苦労があったのだというのはよくわかるのですけれども、その苦労の中で廃止が整理合理化に後退してしまったのでは何にもならないのじゃないかなというふうに思います。
 総務庁長官は、三月二十四日の当委員会におきまして、新進党案は議員立法であるから廃止と書いても地方自治法の別表を全部直す必要はないということで提案されたと推察する、政府案は別表との整合性を抜きにしては考えられないのだという御趣旨の発言をされております。
 新進党の案は、何も別表との整合性を全く考えないで勝手につくった法案ではなくて、地方分権の推進を目的とする法律案に機関委任事務を廃止するのだと規定しても、規定されたことによってそれが直ちに機関委任事務が全廃されるということを意味しているわけでもありませんし、基本方針として廃止だというきちんとした方針をまずうたったものだということを御理解いただきたいと思います。
 新進党案の五条を見ますと、「国は、前条に定める国と地方公共団体との役割分担の在り方に即して、地方公共団体への権限の委譲を推進するとともに、機関委任事務制度及び地方事務官制度を廃止し、」「並びに地方公共団体に対する国の関与及び必置規制を法令で特に定める必要最小限のものとするほか、地方公共団体に対する国の負担金、補助金等の支出金の整理及び合理化並びに地方債の許可制度の弾力化及び簡素化を行う等、地方分権の推進を計画的かつ集中的に行い、おおむね五年を目途に、具体的成果をあげるものとする。」この五年の中で別表の問題、五百六十二あると言われる機関委任事務、またその根拠法令について検討していこうというのが、この第五条一項の趣旨だと思います。
 そういう意味で、衆法であるから、議員立法であるから他の法律との整合性を考えなかったというわけではないと思うのですね。閣法であっても、このような表現をとれば廃止というふうにうたうことは可能だと私は思います。この点は、十分これから議論していただいて、本当に廃止の方がいいのだということになれば、立法作業の中で十分対応できる問題じゃないかなというふうに思います。
 また、長官は、政府としてこの機関委任事務制度を廃止するという場合は大改正をも断行する決意でなければ困難というような御趣旨の発言もされております。まさにこのとおりだと思うのですね。大改正を断行する決意でなければ、ここで地方分権の法案をつくっても、それで一丁上がりみたいな、五年の間に何にもしないで、もう法案できた――首を横に振られておりますけれども、そういうことは決してないと思いますけれども、そういう決意がないと取り組みがここで終わってしまう、国民は本当にそういうふうに思っています。
 この法律は、地方分権の道筋を定めるものでありますし、真の地方分権への大きな一歩でなければならないというふうに思います。この観点からいっても、機関委任事務の制度についても地方分権推進委員会の方で考えてもらうのだというような姿勢は、若干問題があるのじゃないかな。
 先ほども答弁されておりましたけれども、地方制度調査会でいろいろな議論をされた、本当に慎重な審議をされて、答申がなされた、また、これを受けて地方分権大綱、そして今回の法案が作成されたわけですから、ここで本当に政治家が行政のあるべき姿、あるべき道筋をきちんと示さないと、国民の期待を裏切ることになるのではないか。
 私どもは一昨年七月の選挙で当選させていただいて衆議院に来ましたけれども、そのときみんな、地方分権を絶対にやるのだということを公約で言ったと思うのですね。街頭に出て、地方分権を進めますと、あのときは皆さん言われていたと思う。そういうことからいっても、いいかげんな姿勢ではいけないと思います。
 特に、閣法の体裁を見ますと、まず第二章の各条項で基本方針を定めて、第三章で政府に対してこの基本方針に即して推進計画を作成するということを義務づけております。第四章で規定される推進委員会は、推進計画作成のための具体的な指針を内閣総理大臣に勧告するというような法案の体裁になっております。
 そうすると、基本方針について推進委員会の方で検討してもらうというのは、法案の体裁からいってもちょっと逆転してしまっているのじゃないかな。基本方針は法律を成立させていく中でしっかり議論して、こういうふうにやるんだと本当に明確な道筋を打ち出して、その上で、具体的な手順等について、政府が推進計画を作成する参考になるような勧告を推進委員会にしてもらう、それが法案の体裁からいっても筋ではないかと思うのですが、その点、総務庁長官はどのようにお考えですか。
○山口国務大臣 たびたびお答えをしているわけでございますが、昨年の十二月二十五日に閣議決定いたしました分権大綱、ここでは「機関委任事務の整理合理化等」といたしまして、「機関委任事務の整理合理化を積極的に進めるとともに、機関委任事務制度について検討する。」こういう基本的な方針を示している次第でございます。この方針に沿って私ども推進計画を策定したいと思いますし、また、それに関連をいたしまして、推進委員会の御議論をいただき、勧告あるいは御意見というものをいただくということを私ども考えておるといううとでございます。
 私どもといたしましては、地方分権を推進するということについては強い決意を持っているつも
りであります。私も、この前の選挙におきましては、その前に地方分権推進に関する国会決議を推進したという立場もございましたから、そういう意味では地方分権推進ということを有権者の皆さん方に強く訴えました。そういう中で、今、歴史的な地方分権を私たちは何としても断行するという決意でおるわけでございます。
 私の、大きな決意が必要だ云々という言葉をお引きいただいたわけでございますが、地方制度調査会の答申でも、国が処理しなければならぬ事務があるよということはやはり書いておられるわけですね。したがいまして、この事務をどう扱うかということなしに一切これを廃止をするということをいたしますと、これは国政選挙の執行でありますとか、あるいは戸籍事務とか、あるいは旅券発行の事務とかいうことが大変困難なことになっては大変なことでありますから、そういう意味でこれは大変なことですと。
 したがって、国がどうしても処理しなければならぬ事務はどうするかということは考えていただく、そして、国が執行しなければならない事務でないものはできる限り整理合理化をしていったらどうかということは、もう繰り返しお答えしているわけでございますので、その点は御理解を賜りたいと存じます。
○富田委員 国が行わなければならない事務まで全部やめろといっているわけではありませんで、本当に新進党案では、五年を目途にそのあたりをどうすればいいのかをしっかり検討していこうと言っています。
 今の長官の御説明ですと、整理合理化、その整理合理化を一体どういうふうに、どういうような手順を踏んでやっていくのかというところがちょっとまだ見えません。何か原則廃止とか、ここで廃止ということをうたわない場合に、どうやって整理合理化していくのだ。先ほどの鷲尾さんの批判にもありましたけれども、どんなふうにでも自由になってしまうんじゃないか。仮に廃止ということをうたわない場合、整理合理化のプログラムなりそういう手順をどこかで明らかにしなければならないのじゃないか、そういうものがこの場で求められているのじゃないかと思うのですが、その点ほどのようにお考えなのでしょうか。
○陶山政府委員 法案におきましても、委員会の具体的な指針に基づいて推進計画を策定することになっております。その計画において具体的な手順等について定めることになろうと思っておりますが、御参考になるかどうかわかりませんけれども、過去、機関委任事務の整理合理化について、例えば一括整理法案というのを国会にお願いし、成立をさせていただいたことがございますが、この整理合理化の具体的な手法といたしましては、団体事務化、それから事務そのものの廃止、それから知事の権限の首長への移譲、あるいは事務内容の簡素化等々、各般の類型のものがございます。特に事務の廃止、あるいは権限の移譲、あるいは団体事務化といった内容につきましては、いずれも法律の改正を要する事項でございます。
○富田委員 法律の改正が必要であっても、一つ一つきちんと進めていっていただきたいと思います。
 機関委任事務にこだわった質問でしたが、ちょっと通告していた質問、何点か時間がなくてできませんでした。またこれは別の機会に譲りたいと思います。
 ありがとうございました。
    ―――――――――――――
○笹川委員長 この際、委員派遣承認申請に関する件についてお諮りいたします。
 ただいま議題としております両案につきまして、審査の参考に資するため、委員を派遣いたしたいと存じます。
 つきましては、議長に対し、委員派遣承認の申請をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○笹川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 なお、派遣地、派遣日時、派遣委員の人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○笹川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
○笹川委員長 次に、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 両案審査のため、来る四月十三日木曜日、参考人の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○笹川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 なお、参考人の人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○笹川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時三十二分散会