第134回国会 議院運営委員会 第18号
平成七年十二月六日(水曜日)
   午後一時開議
出席委員
  委員長 谷垣 禎一君
   理事 額賀福志郎君 理事 金子原二郎君
   理事 武部  勤君 理事 坂井 隆憲君
   理事 森本 晃司君 理事 岡島 正之君
   理事 木幡 弘道君 理事 石橋 大吉君
   理事 小沢 鋭仁君
      蓮実  進君    福永 信彦君
      山口 俊一君    山本 有二君
      横内 正明君    井奥 貞雄君
      小坂 憲次君    高木 陽介君
      樽床 伸二君    西村 眞悟君
      野田 佳彦君    池田 隆一君
      今村  修君    山崎  泉君
      東中 光雄君
 委員外の出席者
        議     長 土井たか子君
        副  議  長 鯨岡 兵輔君
        事 務 総 長 谷  福丸君
    ―――――――――――――
委員の異動
十二月六日
 辞任          補欠選任
  山田  宏君      樽床 伸二君
同日
 辞任          補欠選任
  樽床 伸二君      山田  宏君
    ―――――――――――――
十二月六日
 侵略戦争の国家責任明確化の国会決議に関する
 請願(岩佐恵美君紹介)(第一一八三号)
 同(穀田恵二君紹介)(第一一八四号)
 同(佐々木陸海君紹介)(第一一八五号)
 同(志位和夫君紹介)(第一一八六号)
 同(寺前巖君紹介)(第一一八七号)
 同(中島武敏君紹介)(第一一八八号)
 同(東中光雄君紹介)(第一一八九号)
 同(不破哲三君紹介)(第一一九〇号)
 同(藤田スミ君紹介)(第一一九一号)
 同(古堅実吉君紹介)(第一一九二号)
 同(正森成二君紹介)(第一一九三号)
 同(松本善明君紹介)(第一一九四号)
 同(矢島恒夫君紹介)(第一一九五号)
 同(山原健二郎君紹介)(第一一九六号)
 同(吉井英勝君紹介)(第一一九七号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 議員山口敏夫君の逮捕について許諾を求めるの
 件
 本日の本会議の議事等に関する件
     ――――◇―――――
○谷垣委員長 これより会議を開きます。
 まず、議員山口敏夫君の逮捕について許諾を求めるの件を議題といたします。
 本件につきましては、昨五日、委員会を秘密会とし、宮澤法務大臣並びに則定刑事局長から説明を聴取した後、各党から質疑を行い、慎重な議論を行いました。
 その主な論点を申し上げますと、十二月十五日の会期終了を待たないで逮捕許諾を要求してきたが、逮捕の必要性及び緊急性があるのかどうか、当初の在宅起訴の方針を強制捜査に変えたのはなぜか、融資を受けた側が刑法第二百四十七条の背任罪の共同正犯に当たるのはどういう場合か、六月十七日の予算委員会における山口議員の証言は偽証の疑いがないのかどうか、議員会館等の捜索・差し押さえは業務上横領と背任になっていたが、今回の被疑事実に業務上横領が入っていないのはなぜか等であります。
 また、本人から身上弁明の申し出があり、これを許可して、聴取いたしました。
 本日は、本件について許諾を与えるべきか否かについての各党の態度を表明願います。
 額賀福志郎君。
○額賀委員 山口敏夫君逮捕許諾請求に対しまして、自由民主党の態度を表明させていただきたいと思います。
 我が党は、山口敏夫君の逮捕の許諾につきまして、応ずる考え方であります。
 本件は、憲法第五十条に定められた国会議員の身分に関する問題であります。したがって、慎重審議の上、冷静沈着に判断し、態度を決定した次第であります。
 憲法第五十条及び国会法第三十三条は、国会開会中における不逮捕の特権を国会議員に与えているものであります。
 この趣旨は、第一に、議院内閣制のもとで、法務省や検察を初め政府の権力により逮捕権の乱用となる不当な逮捕から議員の身柄の自由を守り、議員の活動が不当に拘束されないよう保護することであります。第二には、院の活動にとって、具体的な支障があってはならないということであります。
 この両者は不可分のことであり、これらを総合的に判断いたしますと、逮捕の正当性、逮捕の必要性、それに国会の会期終了を待ち得ない緊急性などが認められなければならないのであります。
 また、議院内閣制のもとでの政治的権力による不当な逮捕というのは、現代におきましては、議会における多数派の横暴を阻止するという意味もあり、直前まで野党の新進党幹事長代理で、現在は無所属会派という少数勢力の立場にある山口敏夫君の逮捕許諾請求であるだけに、与党を占める自民党といたしましては、より一層慎重な議論を重ねたことは論をまちません。これは、言ってみれば、立法と行政が健全な良識と抑制を持ちつつ、我が国議会制民主主義の発展に責任を持つ議会人として当然のことであるからであります。
 しかし、この精神は、決して犯罪容疑者を保護するものではありません。
 既に本件につきましては、令状裁判所によって逮捕状発付を妥当とする判断がなされておりますけれども、当委員会における各党と法務当局との質疑におきましても、山口敏夫君にかかわる背任罪の容疑内容は、疑うに足りる相当な理由があるものと判断をいたします。
 特に、十四社に及ぶ山口ファミリー企業の事実上の統括責任者と思われる山口敏夫君と、既に背任などで逮捕されている高橋治則、鈴木紳介両氏は親密な関係にあり、両氏が責任者となっている二つの信用組合から、国民の一般常識をはるかに超える多額の融資がほとんど無担保で行われていたなどの事実が明らかになっていることであります。
 その上、本件はおよそ山口敏夫君の政治活動上の行動に関連したものではなく、あくまで個人的、私的な活動にすぎず、バブル経済の中で、経済合理性を欠いた無謀な事業展開を行った、言ってみれば軽率のそしりを免れ得ない利欲的行為でありました。
 加えて問題とすべきは、山口敏夫君は、政治と金にかかわる事件が多発し、政治改革が争点となって行われた平成五年の総選挙で当選したにもかかわらず、その直後の平成六年にこの行為が行われていたという嫌疑があることであります。
 この際、山口敏夫君は、司法当局の要求に応
じ、一日も早い真相解明のため事実関係を明らかにすべきだと判断した次第であります。
 さらに、罪証隠滅のおそれもあります。なぜなら、本件にかかわる主要な関係者は、山口敏夫君の親類、秘書、親しい友人など密接なつながりのある方々ばかりであるほか、書類等、被疑事実などから口裏合わせをする可能性が高い上、検察当局の任意による事情聴取の要請を拒否しているからであります。
 したがって、その他万般の事情を勘案考慮いたしましても、許諾請求に応じることが妥当と考えた次第であります。
 以上から、自由民主党は、山口君の逮捕許諾を認めるものであります。
 国民は、この事件に関しまして、真実が明らかにされることを望んでおります。政治家に対する国民の不信感を払拭するためにも、許諾に応じるべきだと考えたわけであります。
 政府におきましては、憲法第五十条の精神を真摯に受けとめ、国民に真実が明らかになるよう努力をされることを期待し、我が党の態度表明といたします。
 終わります。
○谷垣委員長 森本晃司君。
○森本委員 本件に対する新進党の態度と、その決定理由を申し述べます。
 私どもは、山口敏夫君に対する逮捕許諾請求について、許諾を与えることに賛成いたします。
 今回の山口敏夫君に対する逮捕許諾請求の理由は、昨年、元東京協和信用組合理事長高橋治則、元安全信用組合理事長鈴木紳介、むさしの厚生文化事業団代表取締役山口仁枝らと共謀の上、十分な担保余力、返済能力のないむさしの厚生文化事業団に対し、回収が危ぶまれる状態にあることを熟知しながら、東京協和信用組合から十九億一千九百万円、安全信用組合から八億一千万円を貸し付け、両組合に対し損害を与えたことに対する背任の被疑についてであります。
 憲法五十条に定められた議員の会期中の不逮捕特権は、政治的動機に基づく捜査当局からの不当な介入から自由な議会活動を守るものであると理解しております。同時に、不逮捕特権は議員の刑事責任追及を阻むものではないことも十分考慮に入れておかなければなりません。
 昨日行われました議院運営委員会における法務当局の説明は特に問題があるとは認めがたく、また、同委員会での審議を通じ、今回の逮捕許諾請求が政治的動機に基づくものでないことは明らかにされたものと考えます。
 したがって、本件の逮捕許諾請求に対し、同意を与えることに賛成をいたします。
 最後に、本件の捜査に当たり、検察当局の厳正で公正な対応と、一刻も早い真相の解明がなされることを望みます。
 以上です。
○谷垣委員長 石橋大吉君。
○石橋(大)委員 議員山口敏夫君の逮捕許諾請求に対する日本社会党の態度を表明します。
 まず、結論から申し上げますが、日本社会党といたしまして、議員山口敏夫君の逮捕許諾請求に対しましては、以下の理由により、これを認めるべきであることを表明いたします。
 まず第一点は、憲法第五十条による議員の不逮捕特権が保障されているもとで、検察当局があえて逮捕許諾請求に踏み切ったことについては、既に逮捕、勾留されている本件関係被疑者の取り調べや証拠調べを通じて、犯罪を犯したと認めるに相当な理由があるものと判断されることであります。
 第二に、昨日の本委員会における宮澤法務大臣及び則定刑事局長の説明によりますと、議員山口敏夫君の被疑事実の取り調べについては、当初、国会議員としての身分も考慮した上、在宅のまま取り調べを行うべく本人の協力を求めたところ、それが拒否されたのでやむを得ず強制捜査に踏み切らざるを得なかったと言われております。私たちは、国会議員たるの重責に照らし、身の潔白を明らかにするためには、むしろ進んで取り調べに応ずるべきであったと考えますので、それが拒否された以上、逮捕許諾の請求はやむを得ないものと考えるのであります。第三に、昨日の本委員会における質疑の中で、議員山口敏夫君については、逃亡のおそれはもちろん、証拠隠滅のおそれもなく、強制逮捕の理由に乏しいのではないかという質問もありましたが、昨日の刑事局長答弁によりますと、山口氏がファミリー企業の経営方針の決定、対外折衝、資金づくりをすべて掌握していたこと、経営方針や資金繰りなどについて山口氏がみずから行うか、親族、秘書を指揮して中心的に行ってきたこと、山口氏がファミリー企業十四社全体を事実上支配していたことなどが指摘されており、山口氏がファミリー企業全体の総帥的な立場にあったこと、また、近く高橋被告と安全信組元理事長鈴木紳介被告の保釈の可能性があることなどを考えると、証拠隠滅の可能性は十分あり得るものと考えられますので、逮捕許諾はやむを得ないものと考えるのであります。
 最後に、ここ十数年来、政治家の不祥事件が相次いで表面化し、政治家に対する国民の信頼が低下し、国権の最高機関たる国会の権威もまた著しく傷つけられているかの実態を考えるとき、一日も早く真相が明らかにされ、政治不信の解消に向けて格段の努力がなされなければならないと考えますので、本件逮捕許諾はやむを得ないものと考えるのであります。
 以上です。
○谷垣委員長 小沢鋭仁君。
○小沢(鋭)委員 本件に対する新党さきがけの態度を申し上げます。
 新党さきがけは、議員山口敏夫君の逮捕の許諾請求につき、許諾を与えることに賛成をいたします。
 本件は、憲法五十条の不逮捕特権との関係で院の判断を求められているわけですが、我が党の当条文に対する解釈については、かねてから申し上げているとおり、政治的意図に基づく次心意的な逮捕権の乱用から議員を守ることにあるのであって、逮捕の理由が正当である場合までこの特権を唐にとり逮捕を免れるものではないというものであります。この趣旨に照らせば、国会法三十三条の院の許諾の判断基準は逮捕の理由の正当性にあるのであって、この正当性が認められる以上、院はむしろ進んで逮捕を許諾すべきものと考えます。
 本件における正当性の判断については、昨日、議院運営委員会において宮澤法務大臣、則定刑事局長の説明を聴取し、さらには質疑を行ったところでありますが、背任罪としての被疑事実に関し相当な事実関係があったことが明らかにされ、かつ、逮捕がなされない場合の証拠隠滅についてもその可能性もあることから、逮捕は必要な措置と判断するものであります。
 したがって、新党さきがけとしては、国会が司法当局の真相の究明に対し必要な協力を行うことは、国民の政治への信頼を回復していくための第一歩であるとの認識に立ち、許諾につき賛成をするものであります。
 以上です。
○谷垣委員長 東中光雄君。
○東中委員 私は、日本共産党を代表して、本件逮捕許諾について、本院は速やかに逮捕許諾をすべきものであるとの態度を表明いたします。
 議員の不逮捕特権は、全国民の代表として、国権の最高機関の構成員である議員が、自由、独立に活動し、その職員を果たすことができるように保障するためのものであります。政府行政、司法などの権力が、政治的動機を持って議員の活動を妨害するために議員の身体の自由を拘束するということは断じて許されないというのが憲法第五十条の趣旨であります。政府が政治的意図を持っての議員逮捕を要求しているものであれば、院は、そのような要求に対しては断固として許諾を拒否しなければなりません。
 本件許諾請求について見ますと、逮捕許諾を求める要求書に記載している被疑事実は、山口ファ
ミリー会社むさしの厚生文化事業団は、債務の返済能力がなく、担保余力もないものであって、十分な担保を徴求することができず、貸し付けを行えば貸付金の回収が危ぶまれる状況にあることを熟知しながら、あえて東京協和、安全の二億組から同事業団に対して合計二十七億二千九百万円を貸し付け、もって両信用組合に同額の財産上の損害を加えたものであり、山口議員はこの背任罪に対し身分なき共犯としてその責任が問われているものであります。
 その容疑の内容、容疑事実の背景、容疑事実を認めるための相当な理由、逮捕の必要性については、昨日の秘密会において法務当局から相当詳細な説明がありました。
 本件逮捕の理由、動機が、政府権力が政治的動機によって山口議員の議員活動を妨害するためにその身体の自由を拘束しようとしているものでないことは、この経過に照らして極めて明白であります。山口議員に不逮捕特権を発動する余地は全くないのであります。もしこうした状態で許諾をしないとすれば、まさに不逮捕特権の乱用となり、国会の行為によって司法、裁判に重大な悪影響を及ぼすことにもなりかねず、断じて許されないのであります。
 相次ぐ金融機関の不祥事に関し、国民は、政治家、官僚と金融機関の癒着、腐敗の問題など重大な疑惑を持っているのであります。国会はその全容を解明し、捜査当局は徹底的に捜査追及すべきであります。山口議員に対する二億組への背任容疑、二財団に対する業務上横領容疑等は、徹底的に捜査追及さるべきものだと考えます。
 なお、本年六月十七日、本院予算委員会において、東京協和、安全の二億組問題での証人喚問で、山口議員は二億組の不正融資問題については全く関与していない旨の証言をしていますが、本件捜査によって同証言が偽証である疑いが極めて濃厚であります。院の権威の問題としても、偽証告発を検討すべきものと考えます。
 以上の理由により、速やかに本件逮捕を許諾すべきであることを申し述べ、意見表明といたします。
○谷垣委員長 これにて各党の態度の表明は終わりました。
 それでは、本件について採決いたします。
 本件について、許諾を与えるべきものと決定するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○谷垣委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
 この際、お諮りいたします。
 本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○谷垣委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
○谷垣委員長 次に、ただいま議決いたしました議員山口敏夫君の逮捕について許諾を求めるの件は、本日の本会議において緊急上程するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○谷垣委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
    ―――――――――――――
○谷垣委員長 それでは、本日の本会議は、午後一時五十分予鈴、午後二時から開会いたします。
    ―――――――――――――
○谷垣委員長 次に、次回の本会議の件についてでありますが、次回の本会議は、来る八日金曜日午後一時から開会することといたします。
 また、同日午前十一時理事会、正午から委員会を開会いたします。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後一時十九分散会