第136回国会 本会議 第30号
平成八年五月三十日(木曜日)
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 議事日程 第十九号
  平成八年五月三十日
    午後二時開議
 第一 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関
    する法律の一部を改正する法律案(内閣
    提出)
 第二 地方自治法第百五十六条第六項の規定に
    基づき、公正取引委員会事務局の地方事
    務所の管轄区域の変更及び支所の設置に
    関し承認を求めるの件
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○本日の会議に付した案件
 議員請暇の件
 日程第一 私的独占の禁止及び公正取引の確保
  に関する法律の一部を改正する法律案(内閣
  提出)
 日程第二 地方自治法第百五十六条第六項の規
  定に基づき、公正取引委員会事務局の地方事
  務所の管轄区域の変更及び支所の設置に関し
  承認を求めるの件
 郵便貯金法の一部を改正する法律案(内閣提
  出、参議院送付)、郵便振替の預り金の民間
  災害救援事業に対する寄附の委託に関する法
  律案(内閣提出、参議院送付)及び簡易生命
  保険法の一部を改正する法律案(内閣提出、
  参議院送付)の趣旨説明及び質疑
    午後二時三分開議
○議長(土井たか子君) これより会議を開きます。
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 議員請暇の件
○議長(土井たか子君) 議員請暇の件につきお諮りいたします。
 谷川和穂さんから、六月五日から十二日まで八日間、請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(土井たか子君) 御異議なしと認めます。よって、許可することに決まりました。
     ――――◇―――――
 日程第一 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案 (内閣提出)
 日程第二 地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、公正取引委員会事務局の地方事務所の管轄区域の変更及び支所の設畳に関し承認を求めるの件
○議長(土井たか子君) 日程第一、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案、日程第二、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、公正取引委員会事務局の地方事務所の管轄区域の変更及び支所の設置に関し承認を求めるの件、右両件を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。商工委員長甘利明さん。
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 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書
 地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、公正取引委員会事務局の地方事務所の管轄区域の変更及び支所の設置に関し承認を求めるの件及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
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    〔甘利明君登壇〕
○甘利明君 ただいま議題となりました法律案及び承認を求めるの件にっきまして、商工委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案は、最近における経済情勢等にかんがみ、公正かつ自由な競争の促進による国民経済の一層の発展に資するため、公正取引委員会の機能の強化を図ろうとするものでありまして、その主な内容は、
 第一に、現行の事務局にかえて事務総局を置くこととし、その内部組織として事務総長を置き、その職務を定めるほか、官房及び局を置く等所要の措置を講ずること、
 第二に、公正取引委員会の委員長及び委員の人選をより幅広い範囲から行う観点から、今後任命される委員長及び委員の定年を六十五歳から七十歳に引き上げること等であります。
 また、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、公正取引委員会事務局の地方事務所の管轄区域の変更及び支所の設置に関し承認を求めるの件は、公正取引委員会の機構改革の一環として、同事務局の地方事務所を合理的に再編することにより事務の効率性等の向上を図るため、近畿事務所の管轄区域を変更し、近畿中国四国事務所とするとともに、同事務所の支所を広島市及び高松市に設置することについて、国会の承認を求めるものであります。
 両案件は、いずれも五月二十二日当委員会に付託され、去る二十八日梶山内閣官房長官から提案理由の説明を聴取した後、両案件を一括して質疑を行い、終了いたしましたところ、法律案については、自由民主党、社会民主党・護憲連合、新党さきがけの三会派から、施行日を公布の日に改める修正案が提出され、採決の結果、修正案及び修正部分を除く原案はいずれも全会一致をもって可決すべきものと議決いたしました。また、承認を求めるの件は、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり承認すべきものと議決いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
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○議長(土井たか子君) これより採決に入ります。
 まず、日程第一につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(土井たか子君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり修正議決いたしました。
 次に、日程第二につき採決いたします。
 本件は委員長報告のとおり承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(土井たか子君) 御異議なしと認めます。よって、本件は委員長報告のとおり承認することに決まりました。
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 郵便貯金法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)、郵便振替の預り金の民間災害救援事業に対する寄附の委託に関する法律案(内閣提出、参議院送付)及び簡易生命保険法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)の趣旨説明
○議長(土井たか子君) この際、内閣提出、参議院送付、郵便貯金法の一部を改正する法律案、郵便振替の預り金の民間災害救援事業に対する寄附の委託に関する法律案及び簡易生命保険法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。郵政大臣日野市朗さん。
    〔国務大臣日野市朗君登壇〕
○国務大臣(日野市朗君) 郵便貯金法の一部を改正する法律案、郵便振替の預り金の民間災害救援事業に対する寄附の委託に関する法律案、簡易生命保険法の一部を改正する法律案、以上三件につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 初めに、郵便貯金法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
 この法律案は、要介護者である郵便貯金の預金者の利益の増進を図るため、要介護者が預入する定期郵便貯金について利率の特例を定めようとするものであります。
 次に、この法律案の概要について申し上げます。
 要介護者が省令で定めるところにより預入する定期郵便貯金について、利率の特例を定めることとしております。
 なお、この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。
 次に、郵便振替の預り金の民間災害救援事業に対する寄附の委託に関する法律案につきまして御説明申し上げます。
 この法律案は、天災その他非常の災害に際して行われる民間の発意に基づく被災者の救援の充実に資するため、郵便振替の加入者がその口座の預かり金の寄附を郵政大臣に委託する制度を実施しようとするものであります。
 次に、この法律案の概要を御説明申し上げます。
 まず第一に、郵政大臣は、天災その他非常の災害があった場合において寄附の委託を受けることを必要と認めたときは、寄附の委託を受けることができる期間を定めることとするものであります。また、郵便振替の加入者は、その期間内に、その口座の預かり金の全部または一部について払い出しの請求をするとともに、その払い出しに係る金額を、民間の発意に基づく被災者を救援する事業を行う団体に寄附することを郵政大臣に委託することができることとするものであります。
 第二に、郵政大臣は、寄附の委託があった場合は、寄附の委託を受けることができる期間が経過した日において、加入者の口座から払い出しの請求に係る預かり金を払い出し、当該払い出した金額を取りまとめ、民間の被災者を救援する事業を行う団体を公募してその申請を受けた上、寄附金を配分する団体及び配分する金額を決定することとするものであります。
 なお、郵政大臣は、寄附金を配分すべき団体に対し守らなければならない事項を定めることがでさることとするとともに、寄附金を配分すべき団体等の決定をするには、関係行政機関の長と協議し、かつ政令で定める審議会に諮問しなければならないこととするものであります。
 また、郵政大臣は、寄附金を配分した団体に対し配分した寄附金の使途について監査を行うこととするとともに、寄附金を配分した団体が守らなければならない事項に違反したときは、配分金の全部または一部の返還を求めることとするものであります。
 第三に、郵政大臣は、寄附金を配分団体に交付するまでの間、資金運用部に預託することができることとし、預託した結果生じた利子は寄附金に充てることとするものであります。
 また、郵政大臣は、寄附金に関する経理状況を公示することとするものであります。
 なお、この法律の施行期日は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日からとしております。
 最後に、簡易生命保険法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
 この法律案は、近年における保険需要の動向にかんがみ、簡易生命保険の加入者に対する保障内容の充実を図るため、所要の改正を行おうとするものであります。
 その内容は、主たる被保険者または配偶者たる被保険者のいずれか一方が死亡した日から年金を支払う夫婦年金保険を設けること、この夫婦年金保険については、加入申し込み時に被保険者の健康状態について告知を受けるようにすること等であります。
 なお、この法律の施行期日は、公布の日から起弄して一年を超えない範囲内において政令で定める日からといたしております。
 以上が、これら三法律案の趣旨であります。(拍手)
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 郵便貯金法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)、郵便振替の預り金の民間災害救援卒業に対する寄附の委託に関する法律案(内閣提出、参議院送付)及び簡易生命保険法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)の趣旨税明に対する質疑
○議長(土井たか子君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。古賀一成さん。
   〔古賀一成君登壇〕
○古賀一成君 新進党の古賀一成でございます。
 ただいま提案のありました郵便振替の預り金の民間災害救援事業に対する寄附の委託に関する法律案、いわゆる災害ボランティアロ座法及び郵便貯金法の一部を改正する法律案、この二法案につきまして、新進党を代表し、総理及び郵政大臣に質問をいたします。
 本法案は、言うまでもなく、昨年一月に発生いたしました阪神大震災において、これまで行政が意義を軽く見ていた民間ボランティア団体の大活躍を目の当たりにし、これを踏まえ、また国際ボランティア貯金の成功に倣い、郵政省より提案をされたものであります。趣旨、目的にだれしも異議を挟むものではございませんが、より大きな視点でこれを評価するとき、ボランティア行政全体に関する戦略、理念、とりわけボランティアの基本的な法的位置づけを欠いたまま、ひとり郵政行政が先行し、資金の交付を行うだけの制度になっている点に疑問を持つものであります。
 これからの日本社会を支え、変えていく可能性を秘めた、重要でかつすそ野の広いボランティア活動というテーマに、一省庁の施策が突出してスタートすることに疑念なしとしません。さらに言えば、我々新進党が提案しているNPO法案のようなボランティア支援の基本法制をたはざらしにしたまま、従来の縦割り行政の中で、はらばらに法制がっくられるのではないだろうひ。結果として、活力ある多元的地域社会の旗手として今後期待されるボランティア活動が将来縦割り行政に翻弄されることになりはしないかとも危惧するものでございます。
 まず、ボランティア団体の概念、そして人格付与のあり方、寄附金に対する税制上の位置づけを明確にする基本法制たるNPO法案を成立させるべきではないか。百歩譲っても、本法が提案された以上、速やかにNPO法案の審議を開始し、その成立を図るべきではないか。この筋論に対しどう答えられるか、総理の御所見をお伺いいたします。
 次に、阪神大震災を教訓として提案された本法の審議に際し、この際、災害対策基本法の全面改正の可能性についてお伺いをいたしたいと思います。
 六千三百名余のたっとい人命の犠牲の上に我々が得た教訓は極めて重く、真摯に後世に伝えるべきものであります。その教訓とは何であったか。
 阪神大震災発生時の総理であった村山総理は、その後の国会答弁で、今後は総合的に万全の対策を講じると幾度となく弁明をされました。しかし、その後の震災対策に係る補正予算の編成、災害対策法制の整備のあり方を見ても、約束された総合的・万全の対策にはほど遠い措置と言わざるを得ません。
 今回、災害ボランティアロ座法が提案されたところでありますが、これは災害対策としてはごく一部の対応にすぎません。また、ボランティア沖制度としても総合的法制と言うにはほど遠いものであります。阪神大震災の重い教訓を受け、政府は約束された総合的災害対策をどのように構築しようとしておられるのか。「のど元過ぎれば熱六忘れる」では許されません。私は新しい災害対策基本法を制定すべきと考えますが、総理の御見解を伺います。
 災害対策は全省庁にまたがる問題であるだけに、政治とりわけ内閣の長たる総理のリーダーシップなしに新しい総合災害法制は構築し得ないのであります。所信表明演説以来今日まで、総理の答弁を聞くに、官僚主導の感を否めません。総理としてのリーダーシップ感あふれる御答弁を期待するものであります。
 次に、本法案の内容に移らせていただきます。
 本法は、災害発生後に国民の善意を郵便振替により寄附金として集め、郵政大臣、具体的には郵政省貯金局が審議会に諮った上でボランティア団体に交付するというものであります。ボランティアに国が援助をするという点において一歩前進と評価したいのでありますが、私はこの制度に潜む幾つかの問題点を指摘せざるを得ません。
 第一点は、本制度は、国民の善意たる寄附金を全国津々浦々から中央に集め、霞が関で配分の決定を行うというこれまでの中央集権型補助金行政と全く同じ発想、手法がとられていることであります。
 災害対策は、緊急を要するという意味で即時的であり、災害現場が最も重要という意味で極めて即地的な問題であります。一方、ボランティア団体は中央官庁と最も遠い存在とも言えます。現地での生の声と生の姿が反映されるシステムが必要ではないでしょうか。審議会に諮る手法も従来どおりであります。果たして血の通った敏速な対応になるのであろうかと危惧されます。
 なぜこのような中央集権的な手法を採用したのか。まさに災害ボランティアこそ地方分権に最適の問題ではないでありましょうか。今後地方分権の一歩をさらに進めるためにも、本制度のシステムを地方が主体性を持つ仕組みこ今後変える考えはないか、郵政大臣に所見をお伺いするものであります。
 次に、本法の運用の問題について指摘をいたしたいと思います。
 本法の仕組みによれば、ボランティアが走り回っている災害の最中に、ボランティア団体に配分申請を求めることになるのであります。申請手続にたけている団体のみが交付を受けることになるのではないか。また、資金に当然限界があるとすれば、交付の対象にならなかったボランティアは、勇気づけられるどころか、逆にディスカレッジ、すなわちやる気を傷つけられることにはならないか。このような問題について、郵政省はどう認識し、運用において配慮しようとされておられるのか。
 また、あわせて、国際ボランティア貯金のような恒常的でより公平で緻密な審査ができる制度に組みかえることもこの際検討すべきではないかと思いますが、郵政大臣の御所見をお伺いいたします。
 次に、提案されているもう一本の法律案、郵便貯金法の一部を改正する法律案について質問を行いたいと思います。
 本改正案は、要介護者を対象に、すべての定期郵便貯金について利率の二割上乗せを行うとともに、ゆうゆうローンの貸付利率を軽減しようとするものであります。
 超高齢化・少子社会の進展の中で要介護者に政策の目が向けられる、このことに基本的には賛意を表するものであります。しかし、本件についても、災害ボランティア口座の創設と同様、政府全体で総合的な施策体系が十分論議されぬまま郵便貯金の利率上乗せというごく限られた施策が先行することに疑問を呈せざるを得ません。
 要介護者に対する支援策は、まず社会保障政策全体の中で論議すべきではないでしょうか。厚生省をさておき、郵政省単独で要介護者への金利の優遇措置を先行させた理由を郵政大臣にお伺いいたします。
 公的介護保険制度についての国民的論議の山で、公助、共助、自助の全体的バランスのあり方をどう考えるか、保険者のあり方、民間セクターの役割はいかにあるべきか等を十分に検討し、それを踏まえた上で本制度を導入しても遅くないのではないかと指摘せざるを得ないのであります。
 老人保健福祉審議会報告においては、高齢者介護問題について、従来の医療・福祉制度のリエンジニアリング、つまり発想と運営方法の転換がうたわれておりますが、今回の改正は発想の転換に欠ける、縦割り行政そのものというそしりを免れません。この二つの指摘に郵政大臣はどう答えられるのか、お伺いをいたします。
 次に、本改正案によれば、利率上乗せの対象、なる貯金は総額五百万円の制限が設けられております。また、利子についても課税されることとなっております。現在の一年定期を例にとれば、低金利時代ゆえに下限措置である〇・二%の上乗せが適用となるわけでありますが、限度額五百万円でも年間一万円、課税後は八千円、月に換算すれば六百七十円に満たないのであります。介護者優遇をうたいながら、余りにも優遇が小さ過ぎるのではないか。
 その改善の一環として、上乗せ利率分の利子についてせめて非課税とし、あわせ要介護者の郵便貯金の非課税限度額を拡大すべきとの声もありますが、郵政大臣の考え方はいかがでありましょうか。
 また、郵便貯金事業は平成八年度に七千三百五十億円の単年度黒字を計上し、累積利益も三兆円を突破するやに聞きます。この主原因は著しい低金利情勢によるものであり、国民はこの低金利により利子の目減りを余儀なくされているのであります。
 今般の要介護者への利率上乗せにより、幾らの還元が国民にされるのでありましょうか。少なくとも要介護者には単年度黒字のある程度は還元寸べきと思いますが、本スキームで今年度利益の何%が還元されるのか、説明を求めます。
 最後に、質疑の総括を兼ねて、縦割り行政を超えた総合的政策の確立の必要性について、総理及び郵政大臣に見解をお伺いいたします。
 今般、政府より提案のあった災害ボランティア口座の創設及び要介護者への郵便貯金の利率上乗せはともに、ボランティア法制のあり方、介護支援システムのあり方という大きな視野から総合的に、有機的に検討すべきものであります。しかるに、「よいことならいいではないか」のやり方で、総合的な施策体系が検討構築されないまま、断片的に各省庁が個別に施策を打ち出し、政治が追認をする、これが今日までの官僚主導の政治、縦割り行政のやり方であります。
 これまでの高度経済成長の時代、制度そのものが十分でなかった時代はそれでよかったのかもしれませんが、今や日本は身動きがとれないほど制度や利害が錯綜する社会となり、一方で地球上未曾有の高齢化社会を目前にしながら、世界有数の財政赤字国に転落をしているのであります。
 今こそ、省庁を超える大きな政策について、縦割り行政、縦割り族政治を総合化していく努力が求められていると言っても過言ではありません。縦割りという小世界、小さな縦割り社会の政策から、縦割りを超えた総合的、体系的な政策、すなわち大世界の、大きい世界の政策ともいうべきものが、今の政治と行政に求められているのではないでしょうか。国民の怒り渦巻く住専問題もエイズ問題も、まさに縦割り化し小世界化した金融行政、薬務行政、そしてそれに従属する族政治の所産ではないでしょうか。
 私は、政治ひいては行政のダイナミズムを回復するためにも、国会が縦割り行政に縛られず、総合的に政策論議を行う場の拡大が不可欠と考えるものであります。そのために、総合的論議を行うべき重要政策課題について、例えば高齢化社会総合特別委員会あるいは経済構造改革総合特別委員会といった、縦割りの壁を超え多数の省庁が参画をいたし総合的に政策を論ずる総合特別委員会を国会に設置する、さらに、そこでのすべての政策論議がテレビの中継を通じて国民に生の姿で伝わる、こういう新しいシステムを設けるべきと考えます。そうするならば、政治は国民の心に復権し、行政も新しい活力の源を得ると確信するものであります。
 今般の二法の提案を機に、ますますその意を強くしたところでありますが、この国会に長らく議席を置く議会人として、また行政をつかさどる総理として、あるいは大臣として、この提案にどのような所見をお持ちか、最後にお聞きいたし、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 古賀議員にお答えを申し上げます。
 まず、NPO法案についてのお尋ねがございました。
 既に新進党から法案が提出されておりますほか、与党においても、現在、今国会に提出されるべく鋭意検討をされていると聞いております。いずれにいたしましても、高齢化の進展など我が国の経済社会を取り巻く環境に大きく変化が生じている。これに適切に対応していくためには、ボランティアあるいは市民活動団体が行う市民活動の活発化が重要でありますし、今後十分御議論をいただくべき課題だと考えておりますが、いかなる手順で議論をすべきかは、これは立法府で御検討いただくべきことだと思います。
 次に、新しい災害基本法の制定について御意見がございました。
 阪神・淡路大震災の教訓を踏まえて、昨年十二月、災害対策全般に係る基本的な法律である災害対策基本法を大幅に改正し、緊急災害対策本部の設置要件の緩和、組織の強化並びに本部長の権限強化などを行ったばかりであります。政府としては、改正後の災害対策基本法に基づいて総合的な大害対策を推進していくことが重要と考えて、今仮とも努力をしていくべき課題だと考えております。
 次に、縦割り行政に縛られない国会のあり方について見解を求められました。国会が重要な問題について総合的な観点から御蔵論を行われる、そしてそれを国民に広く知っていただくことは、議会制民主主義の健全な発展と国民の国政参加という観点から極めて大切なことだと私も思います。必要に応じて、現在におきましても、特別委員会を設置されたり、あるいは国会テレビがその範囲を順次拡大するなどされておられますけれども、今後とも国会において議論が尽くされ、範囲が拡大していくことに我々も異論のあるものではございませんということを申し上げておきたいと存じます。
 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣日野市朗君登壇〕
○国務大臣(日野市朗君) 古賀先生に御答弁させていただきます。
 ボランティア貯金について、中央集権型、補助金行政に似た制度ではないかという御質問がございました。
 ボランティアの支援、ボランティア活動促進のための施策につきましては、政府だけが一元的に行うのではなくて、各地方公共団体や個人、企業も含めた社会全体で、それぞれの特質を生かした方法により多元的に取り組むことが望ましいと考えております。このような観点から、非常災害時において、ボランティア団体に対して国民の善意を広範囲にかつ同時に募るという要請にこたえるために、全国津々浦々にある郵便局のネットワークを活用する一方、寄せられた国民の善意をボランティア団体に公平、公正、迅速かつ効率的に届けるためには、審議会に諮問した上、寄附金の配分を一元的に行うことが適当であると考えたものでございます。
 また、この災害ボランティア口座は、いわゆる補助金制度のような公的な補助とは異なりまして、国民一人一人が社会的な活動に参加しようという共助の精神を側面から支援し、ボランティア活動の芽を育てていこうとするものでございます。
 なお、本制度の運用に当たりましては、被災地の地方公共団体、社会福祉協議会等とも連携を図って、被災者のニーズにも十分こたえていく考えであります。
 本制度がボランティアを差別しディスカレッジする、そういう可能性があるのではないかという御質問でございますが、ボランティア団体の公募に当たっては、全国の郵便局において公示するほか、被災地の地方公共団体、社会福祉協議会等の関係機関に広く周知することとしております。
 また、寄附金の配分に当たっては、被災地の地方公共団体を初め関係行政機関と協議を行うとともに、郵政審議会の審議を経ることにより、公平かつ公正に配分団体及び配分金額を決定することといたしております。具体的には、非常災害発生時におけるボランティア団体の主体的な活動の円滑化に資するよう、できるだけ多くの団体に配分することとするなど、むしろボランティア団体をエンカレッジするよう制度の適切な運用を図ってまいる考えであります。
 本制度は、国際ボランティア貯金と異なりまして、非常災害の発生という緊急事態において機動的に対応する必要があることから、送金手段として郵便振替口座を利用することにより、寄附者の善意を速やかに伝える仕組みといたしました。すなわち、非常災害が発生して国民のボランティア活動に対する支援の機運が高まっているときをとらえて、効率的、効果的に実施することが国民のニーズにもかなうと考えたからでございます。
 要介護者の支援策についてでありますが、郵貯が要介護者への支援策を単独先行する理由いかん、及び従来の縦割り行政そのものとの批判にどうこたえるかという御質問でありました。
 少子・高齢社会の進展に伴い、寝たきりの高齢者等要介護者を抱えた家庭の経済的、精神的負担は大きく、その軽減措置を講ずることは重要な政策課題でございます。このような中で国民が豊かで安心して暮らせるようにするには、昨年末に閣議決定されました経済審議会の報告書において指摘されているように、各人が課題をみずから解決すること、つまり自助でございますね、それから社会的な助け合い、共助を支援していくこと、また公的なサービスを充実することを適切に組み合わせた社会的支援システムを構築することが必要とされているところでございます。
 要介護者に対する金利の優遇は、郵便貯金として企業努力によりできる範囲内で、要介護者が預入する定期郵便貯金について一般の預金者よりも優遇した利率をつける等の措置を講ずることにより、その経済的負担を幾ばくかでも軽減させるものであり、自助努力に対して一つの選択肢を提供するものと考えております。
 介護問題の解決に当たっては、自助、共助、公助の適切な組み合わせにより総合的に取り組む必要がありますが、本施策は自助の分野における国民のニーズにこたえるものであり、このように実施可能なところがら支援策を一つ一つ積み重ねて、現実的な解決に向けて前進させていくことが何よりも重要でございます。そして、このような積み重ねが全体として介護問題の解決に資することになるものと考えております。なお、この施策の策定及び実施に当たっては、厚生省等関係省庁とも密接な連携をとりながら行うことといたしております。
 実際の優遇が余りにも小さいのではないか、また制度改善の一環として非課税限度額の拡大等を要望する声もあるという御質問でございます。
 要介護者に対する金利の優遇等の施策内容について具体的に申し上げますと、預入総額は、主たる対象者になると思われる七十歳代の高齢者の方の貯蓄ニーズをおおむね満たす額になっていると考えているところであり、また、金利の上乗せ幅については、一般の預金者とのバランスをも考慮して決定したところでございます。適正なものと考えております。
 なお、当然のことながら、今後における介護費用の動向や要介護者をめぐる環境の変化については、これを十分見きわめて、必要に応じこの制度の改善充実に取り組んでまいりたいと考えております。
 また、税制の関係で申し上げますと、今回の施策の対象者の多くは非課税制度を利用している方と考えられ、その場合、当然、上乗せ利率分の利子についても非課税扱いになるところでございます。なお、非課税限度額の拡大等については、昨今の厳しい財政状況等にかんがみまして、慎重な検討を要するものと考えております。
 優遇は全体でどれくらいの規模か、それは郵便貯金事業の黒字のどのくらいを還元することになるのかという御質問にお答えをいたします。
 本年度に郵便貯金特別会計で負担する経費は、定期郵便貯金の利率の優遇について約四・九億円、また預金者貸し付けの貸付金の利率の軽減については約三・六億円、両者を合わせて約八・五億円になるものと見込んでおります。これは、本年度予算における黒字予定額約七千五百六十三億円の約〇・一%に当たるものでございます。
 国会の改革の問題について御質問がございました。
 縦割りを超えた総合政策の確立のための国会改革についての御提案でございますが、委員会の設置、運営を初めとする国会のあり方にっきましては、国会を構成する政党、各会派において議論されるべきものと理解をいたしております。(拍手)
○議長(土井たか子君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
○議長(土井たか子君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後二時四十二分散会