第136回国会 商工委員会 第7号
平成八年四月十日(水曜日)
    午前九時三十六分開議
出席委員
  委員長 甘利  明君
   理事 逢沢 一郎君 理事 自見庄三郎君
   理事 塩谷  立君 理事 古賀 正浩君
   理事 西川太一郎君 理事 増子 輝彦君
   理事 小林  守君 理事 石井 紘基君
      浦野 烋興君    小此木八郎君
      尾身 幸次君    岸田 文雄君
      熊代 昭彦君    谷川 和穗君
      中山 太郎君    丹羽 雄哉君
      野田 聖子君    野田  実君
      石井 啓一君    上田  勇君
      川端 達夫君    小池百合子君
      佐藤 茂樹君    豊田潤多郎君
      宮地 正介君    山名 靖英君
      吉田  治君    石井  智君
      大畠 章宏君    佐藤 泰介君
      松本  龍君    吉井 英勝君
      後藤  茂君    牧野 聖修君
 出席国務大臣
        通商産業大臣  塚原 俊平君
 出席政府委員
        通商産業大臣官
        房総務審議官  白川  進君
        通商産業大臣官
        房商務流通審議
        官       大宮  正君
 委員外の出席者
        警察庁生活安全
        局生活環境課生
        活経済対策室長 園田 一裕君
        法務省刑事局刑
        事課長     麻生 光洋君
        文部省初等中等
        教育局中学校課
        長       加茂川幸夫君
        商工委員会調査
        室長      石黒 正大君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月十日
 辞任         補欠選任
  星野 行男君     川端 達夫君
同日
 辞任         補欠選任
  川端 達夫君     星野 行男君
    ―――――――――――――
四月九日
 訪問販売等に関する法律及び通商産業省設置法
 の一部を改正する法律案(内閣提出第四八号)
三月二十九日
 著作物の再販制度維持に関する請願(田中昭一
 君紹介)(第一一四一号)
 同(斎藤文昭君紹介)(第一二〇一号)
 同(金子徳之介君紹介)(第一二六〇号)
 同(坂本剛二君紹介)(第一二六一号)
 同(渡部恒三君紹介)(第一二六二号)
 新聞の再販売価格維持制度の継続に関する請願
 (山下徳夫君紹介)(第一一四二号)
 同(愛野興一郎君紹介)(第一二〇二号)
 同(緒方克陽君紹介)(第一二〇三号)
 だれにでもわかる洗剤・洗浄剤の明快な表示に
 関する請願(粟屋敏信君紹介)(第一二〇四号
 )
 同(岩佐恵美君紹介)(第一二六三号)
 同(佐藤泰介君紹介)(第一二六四号)
四月五日
 著作物の再販制度維持に関する請願(荒井広幸
 君紹介)(第一三一六号)
 同(衛藤晟一君紹介)(第一三一七号)
 同(佐藤剛男君紹介)(第一三一八号)
 同(田中直紀君紹介)(第一三一九号)
 同(根本匠君紹介)(第一三二〇号)
 同(畑英次郎君紹介)(第一三二一号)
 同(穂積良行君紹介)(第一三二二号)
 同(増子輝彦君紹介)(第一三二三号)
 同(村山達雄君紹介)(第一三六三号)
 同(自見庄三郎君紹介)(第一四五六号)
同月九日
 だれにでもわかる洗剤・洗浄剤の明快な表示に
 関する請願(輿石東君紹介)(第一五〇八号)
 著作物の再販制度維持に関する請願(木幡弘道
 君紹介)(第一五五七号)
 同(小坂憲次君紹介)(第一五五八号)
 同(玄葉光一郎君紹介)(第一六二一号)
 同(小坂憲次君紹介)(第一六二二号)
 同(錦織淳君紹介)(第一六二三号)
 同(細田博之君紹介)(第一六二四号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 訪問販売等に関する法律及び通商産業省設置法
 の一部を改正する法律案(内閣提出第四八号)
     ――――◇―――――
○甘利委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、訪問販売等に関する法律及び通商産業省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより趣旨の説明を聴取いたします。塚原通商産業大臣。
    ―――――――――――――
 訪問販売等に関する法律及び通商産業省設置法
  の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
○塚原国務大臣 訪問販売等に関する法律及び通商産業省設置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
 消費者取引をめぐるトラブルにつきましては、近年、就職難等を背景にした資格取得への関心の増大等に伴い、資格講座を中心として電話勧誘販売に係るトラブルが急増をいたしており、全国の消費生活センター等には、契約の解除等に係る苦情相談が殺到している状況にあります。
 また、悪質な連鎖販売取引による被害が再度急増する傾向にあり、規制の対象者の範囲が狭いこと等により有効な取り締まりができない現状にあります。
 政府といたしましては、こうした現状にかんがみ、これらの取引の公正及び購入者等の利益の保護をさらに図るため、本法律案を提案することといたした次第であります。
 次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。
 第一に、電話勧誘販売について、氏名等の明示義務及び不実の告知の禁止等の販売業者等に対する規制を設けるとともに、購入者等による申し込みの撤回等の制度を導入することとしております。
 第二に、連鎖販売取引について、禁止行為等の対象者の範囲を拡大するとともに、契約の解除に係る期間を延長することとしております。
 第三に、主務大臣に対し、だれでも適当な措置を求める申し出ができることとしております。
 第四に、訪問販売等に関する法律に係る諮問審議会として、消費経済審議会を設置することとしております。
 以上がこの法律案の提案理由及び要旨であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○甘利委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
○甘利委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 本案審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○甘利委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
    ―――――――――――――
○甘利委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野田聖子君。
○野田(聖)委員 自由民主党の野田聖子でございます。
 本委員会に付託されております訪問販売等に関する法律等の改正の議論に先立ちまして、まず初めに、現行法の生い立ちとか考え方をここでもう
 一度確認したいと思います。
 まず初めに、日弁連の「訪問販売法改正に関する意見書」という資料がございまして、それを読みますと、「連鎖販売取引」のところで、連鎖販売取引規制というのは、昭和四十九年七月の国民生活審議会消費者保護部会の中間覚書、または同じ年の十二月の産業構造審議会流通部会の中間答申の「基本的には、マルチ商法が上述のような種々の問題を抱え、社会的トラブルの原因にもなっていることに鑑み、その活動を実質的に禁止するよう厳しい規制を行うべき」との方針に基づくものであるというふうに述べられております。
 つまり、昭和五十一年に制定されている一番最初のこの法律というのは、マルチ商法というのができ始めてさまざまな被害が増大したから、これは実質悪であるという前提に立って、とりわけ連鎖販売取引というのが実質悪いものである、だから取り締まっていくというようなベースにあるのではないかと思っています。
 ところで、今非常にわかりづらいのは、訪問販売というのと連鎖販売取引というのの違いが非常にわかりづらい。むしろそれはリンクしているのではないかという感じがいたします。
 ただ、現実問題、この法律に基づいて、世間的に連鎖販売取引というのは悪名が高いものですから、その名を名乗るよりも、むしろその要件のうちの特定負担二万円以上にかからないものは、実態は連鎖販売取引であっても訪問販売ということを名乗れるわけですから、そちらの方が世間一般の通りがいいということで、多くの業界が、実質は連鎖販売取引の形態があるにもかかわらず、特定負担金が二万円以上でないということを理由に訪問販売という形をとらざるを得ない。訪問販売という名前の方が連鎖販売取引よりも世間の消費者の受けがいいというような、そういうねじれ現象を起こしているのではないかということを感じております。
 そこで、つまり私が申し上げたいのは、連鎖販売取引というのがあらかじめ悪質であるという前提に立ってこの法律が制定されているのではないか、そして、その連鎖販売取引というのはすなわち訪問販売の取引の一部の形であるということで、訪問販売というのと連鎖販売取引というのは別個のものではなくて、ほとんど同じものになってくるのではないかということを確認しなければならないと思います。
 そこで、これは昭和四十九年にそういう中間の答申があって、五十一年にできた法律ですけれども、平成八年の現在、訪問販売とか通信販売という業界はもう極めて日常的な消費活動になっているのではないかと思います。私自身、何か物を買うときも、デパートや商店街に行くことと同じぐらいの頻度で通信販売のカタログを利用したり、やはり友人がやっている訪問販売によって商品を買うということが日常茶飯事、当然のことのように行われている現在になってきている。
 また、それはただ感覚だけではなくて、実際に数字の上でもあらわれているわけで、例えば調査室が出してくださったこの資料を見てみましても、法律ができた当時、昭和五十一年の売り上げというのが六千八百億円であった訪問販売は、平成六年には三兆一千億円になっている。あわせて通信販売の方も、昭和五十一年、二千八百億円であったものが、平成六年においては二兆円を超える額になっている。非常に、消費者にとって通信販売とか訪問販売というのが当たり前の消費活動になっている中で、今回、その法律の改正が改めて行われることになりました。
 ところで、それとは別な話として、最近の日本の国における産業政策、これはまあ大臣も所信でおっしゃっておられましたけれども、やはり今までの産業構造では行き詰まってしまうから、新たに抜本的に変えていこうという意見が大であります。そんな中で、ベンチャービジネスとかアントレプレナーを育成していこうということに力点が置かれています。
 私はここで、訪問販売、これは連鎖販売取引の形をとっているものが多いわけですけれども、この業界こそいわゆるベンチャービジネスのさきがけとして存在しているのではないか。そうであれば、今までの連鎖販売取引イコール悪であるというような考え方を大きく転換しまして、この際、日本の次代の産業を支えるいわゆるベンチャービジネスの一つ、新産業としての認知をし、かつその業界の健全な発展を支援するというふうな立場で、これからはこの法律を通じて国は取り組んでいくのではないかということを考えております。
 それにつきまして政府のお考えをお尋ねしたいと思います。
○大宮政府委員 ただいま野田委員から御質問のありました、いわゆる新しいビジネスとしての取引のあり方ということでございます。
 我が国の例えば通信販売でございますけれども、今御指摘ありましたように、非常に景気が悪い状況でございますけれども、通信販売については売上高ベースで四、五%の成長を維持しておりまして、平成六年度にはその売上高が二兆円に達する、これは先生御指摘のあったとおりでございます。
 また、訪問販売につきましても、近年その伸びは鈍化はしておりますけれども、売上高は約三兆円でございまして、世界第一位の水準になっているところでございまして、私どもとしては、こういう訪問販売、通信販売は今後とも有望な産業分野であるというふうに考えております。
 また、規制緩和の流れの中で、消費者にも、自己責任の原則のもとに、みずから商品、サービス等の質、性能、効用を適切に評価、判断することが求められておりまして、いわゆる自己責任というものもこれから求めていかなければならないというふうに考えております。
 ただ、ただいまお話ありました連鎖販売、訪問販売等につきましては、大多数の事業者は非常に健全にやっておるわけでございますけれども、片一方にあっては、消費者が適切な評価、判断を行うために商品等の正確かつ十分な情報提供がないとか、あるいは、契約締結に際して冷静な判断環境が確保されねばならないというような状況がございまして、実際には、消費者と事業者の間で、情報量とか契約に至るまでのイニシアチブ等の面で非常にある程度の格差があるわけでございます。
 こういった観点から、訪問販売法では、これら消費者の適切な判断を阻害する悪質な勧誘行為を禁止するとともに、書面交付、クーリングオフ等の規定を置きまして、事業者と消費者の間のこういったギャップを是正し、消費者が適正に判断できる環境整備を図るというのがこの法律の趣旨でございます。
 今回の改正におきましても、電話勧誘販売等につきましては、事業者からの巧妙かつ執拗なアプローチに対応するため、電話勧誘販売につきまして訪問販売法と同様のルールを適用するということを考えているものでございます。
○野田(聖)委員 ただいまの御答弁ではっきりされなかったことは、昭和四十九年当時に日本国内で、いわゆるマルチ商法とか連鎖販売取引というのは悪いものであって、これはもう全面禁止していかなきやならないという基本的な考え方があったんだと思うんです。それについては、この平成八年の現在はそうではないということをおっしゃっていただけるのでしょうか。
○大宮政府委員 いわゆるマルチ商法といいますのは非常に業種、業態が多様でございまして、一体これをどういうふうに定義するか非常に難しい問題がございます。
 今御指摘ありましたように、昭和五十一年の訪問販売法の制定のときに、これについてもこの商工委員会で大変な議論がございまして、いわゆる悪質なマルチ商法については、これは法的に全面禁止してはどうかという議論もあったわけでございます。これについては、仮に悪質なマルチ商法を全面禁止にしょうとした場合には、罪刑法定主義の観点から非常に構成要件を厳密に、かなり狭く規定せざるを得ない。その結果、悪質業者による脱法行為が行われまして、取り締まりの観点から見てかえって適当ではないんじゃないかと、こういう判断が行われました。したがって、実は現行法体系では、悪質なマルチ商法を全面禁止するというよりは、むしろある程度緩やかな要件で定義を行いまして、網をかけた中で勧誘方法が不当である場合にはこの行為を規制し、それによって悪いマルチ商法を実質的に禁止するというのが有効ではないか、こういう考え方に立っております。
 この考え方は実は六十三年の改正時においても引き継がれておりまして、現在も我々としてはこういう考え方に立って、悪質なマルチ商法については広い網をかげながらその中で行為を規制していく、こういう考え方に立っております。
○野田(聖)委員 今の御答弁で、つまりマルチ商法とか連鎖販売取引という言葉自体は悪質ではない、正当な業であると、ただし、悪質なものと良質なものを区別してこれからは対応していくというふうに理解させていただきたいと思います。
 そんな中で、今回、禁止行為の対象が拡大されております。これは、今まではいわゆるリーダー格の人を罰するわけですけれども、今後は末端の人たちにまでその規制というか罰を、ペナルティーを科すというような大網をかけるやり方になっているわけです。
 確かに、これだけマーケットも大きくなり、悪質な業者が実際存在するということで、それらの人たちに対して厳しく取り締まりをしなければならないことは十分承知しておりますが、かえってこの方法をとることが一番いいことなのか。むしろ、例えば田んぼにある雑草を農薬で駆除しようと思ったら、いい作物まで枯れてしまう、そういうようなことになりかねないのではないかということを懸念しております。
 なぜならば、例えば、今回禁止行為の拡大をするものの一つに威迫行為というのがあります。これは、その相手をおどかして無理やり買わせたり、そういうことをしてはいけないということなのですが、ただ、この威迫という言葉は極めてあいまいで、非常に感情的だと思います。例えば、私がそういう意思がなく依頼したとしても、受け取った側には非常に威迫であったというようなことが人間社会の中で間々あるわけでございます。身近な例ではセクシュアルハラスメントがそのいい例で、男性からするとそんなつもりではなかったけれども、そのことをされた女性からするとこれはセクシュアルハラスメントであるという不毛の議論が、実際に今、日本で起きていて、それに近いものがこの威迫という言葉にも含まれているのではないかと思います。
 もし末端の人たちにまで禁止行為の対象を拡大させるとするならば、もう少し懇切丁寧に、具体性のあるものを提示していかなければならないのではないか。これは非常に感覚的なもので、あいまいではないかということが心配されるところです。むしろ、あいまいであるがゆえに、良質な活動を行っている人たちが非常に不安を感じたり、せっかく一生懸命頑張ろうと思っても、何だかちょっとしたことで自分たちは捕まるかもしれないというような、そういうおそれを抱かせて、せっかくこれから伸び行く良質のマーケットがしぼんでいくということは、これは非常に残念なことではないかと思います。
 そこでむしろ、現行法の規制の統括者へのペナルティーというのはさらに厳しくしたとしても、私たちは今後、消費者保護という、またこれもわかりづらい言葉なんですけれども、消費者を危ないものに近づけないという考え方よりも、やはり賢明な消費活動ができる国民を育てていくという方向に、少なくとも通産省は進んでいかなければならない。なぜならば、通産省が推進している規制緩和というのは、消費者等の自己責任が表裏一体であるわけです。
 そういうことで、むしろこの場合は、国が公権力を介入することによって大網をかけるというよりも、業界を発展させて、その中での自主規制とか商道徳を育てていくような、そういう支援を振り向けていくことはできないのか。また、消費者保護ということであれば、一たん受け取ったものに対して不満があれば、それを完璧な形で返品できるような、そういうものを担保した方が具体的な消費者保護につながっていくのではないかということを思っていますが、いかがでしょうか。
○大宮政府委員 ただいま御指摘ございましたように、まさに先生のおっしゃるとおりでございまして、基本的に消費者行政というのは、規制は最小限にしまして、いわゆる消費者の自己責任あるいは事業者の自主規制というものをベースに我々は基本的に考えたいというふうに思っております。
 ただ、今回我々が提案をしております、特に連鎖販売についての下位加盟者への規制の拡大でございますけれども、これは実は前にも、国民生活センターの統計によりますと、昭和六十三年ごろから一時鎮静化していた連鎖販売取引に関する苦情がここ数年非常に急増しておりまして、その実態の一つが、いわゆる統括者あるいは勧誘者と言われるリーダーだけを現在の法体系では縛っておるわけでございますけれども、むしろ実際には、下位加盟者が悪質な勧誘行為を行ってマルチ販売を行っておるという問題点が指摘されておりまして、そういった観点から、やはりそこを押さえなければ悪質なマルチ商法を取り締まれないという観点に立ちまして、今回法改正を提出したものでございます。
 それから、今御指摘ありました威迫困惑、これは禁止行為ということになっておりますけれども、確かに、この威迫行為、困惑行為というのは一体どういうものを指すのか。これは状況によって非常に変わるわけでございまして、私はいつも例で申し上げますけれども、おれは臭い飯を食って出てきたところだというふうに私が今申し上げてもだれも驚かないわけでございますけれども、夜、例えば電話でひそかに申し上げると驚く人もいるということでございまして、おっしゃるとおりでございますが、これは実は今回連鎖販売だけで取り入れたわけではございませんで、前から訪問販売法にも入っておりますし、政府のほかの法律体系、幾つかの、ゴルフ場事業法等にもございますけれども、そういう法律体系で、一つの法律概念としては確立した概念でございます。
 これは、具体的に判断するときは、今先生おっしゃったように個々のケースによって判断をするということでございますけれども、法律規定としてはこういった書き方でやむを得ないかなというふうに判断をしております。
○野田(聖)委員 時間がなくなりましたのでこれで終わりますが、この訪問販売には随分女性がかかわっております。そういう女性が健全な活動ができるように、なるべく厳しくするのではなくて育て上げていくような、そういう政策を考えていただきたいとお願い申し上げまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。
○甘利委員長 理事間の協議により、質疑順序を変更いたします。
 次の質疑者、川端達夫君。
○川端委員 大臣、よろしくお願いいたします。新進党の川端です。
 今回の法改正の中の一つの大きな特徴として、電話勧誘による販売というものがクローズアップされ、それに対する手当てをとろうというふうにされておるのですが、確かに電話というのは随分普及をした。実は私、今ポケットに携帯電話を持っているのですけれども、最近は特に携帯電話が非常に発達していますけれども、昭和三十年には百人に二台の電話敷設であった。それが平成六年の調査では百人に五十二台という、二人に一人という割で電話が普及してきている。そういう部分で、経済的な影響として電話が果たす役割というのが非常に大きくなってきた。そこに間隙を縫って、というよりも当然の商活動として電話利用というのは広がっていると思うのです。
 その中にいわゆる電話勧誘販売というものが広がり、そこに悪質なものがはびこってきたという状況だと思うのですが、特に若い人、あるいは御婦人層というのが非常に被害に遭われる、あるいは苦情を言ってこられるという部分ですし、当然ながら、それは商売しておられる方もそこをターゲットにしておられるということだと思うのです。私も地元の消費者センターに行きましたけれども、やはりこの部分での苦情が圧倒的に多いということなんですが、経済的な背景として、電話の発達、それに伴う電話を利用した商活動というのが広がっているということ以外に、電話でのトラブルという部分での何か原因というか背景というのをどのようにおとらえになっているか、まずお伺いしたいと思います。
○大宮政府委員 お答えいたします。
 現在、御承知のように、我が国の経済につきましては、景気の本格的回復や新規産業の創造等に向けて内外とも取り組むべき課題が非常に山積しておるわけでございますけれども、こういった課題に積極的に取り組み、我が国が持続的で安定的な経済成長を遂げられるよう、各般の施策を講じていく必要があると考えております。
 ただ、こういった経済情勢、特に最近でございますけれども、景気の状況が非常に悪うございまして、そういった中で若い人たちが新しい職場を求めるといったような動きが出てきております。そうした若者たちに、例えば職場に電話がかかってきて、いい資格が取れますよ、資料を購入してはどうですか、あるいは、講座を受けてはどうですか、こういった誘いがあります。そういった経済情勢が、若者等に対してこういった被害を発生させる大きな原因の一つということだと思います。
 それから、まさに先生おっしゃいましたように、電話がどんどん普及して、みんながそういうものを持っている。それから経済活動も、電話を利用する取引というものが非常にふえておる。こういったことが一体となりまして、電話勧誘に対する被害が急増している、特に若い人たち、男性の大体二十代から三十代の方々に被害が急増している、こういうふうに私ども理解しております。
○川端委員 私は、電話というもののいわゆる秘匿性というのですか、一対一でないしょ話みたいな状況で話ができるということと、それから不意打ち、突然電話がかかってくるという部分等々、電話というものの特徴があると思うのです。
 ちょっと一般的な部分として大臣にお尋ねをしたいのですが、今審議官おっしゃったように、今大変不況である、景気が悪い。就職難、就職氷河期と言われて久しいわけですけれども、仕事が少ない、就職できない。あるいはしても、これしがなかったからということで仕事についた。そういう部分に例えば電話がかかってきて、いわゆるきちっとした行政書士とか一般旅行業務取扱主任者、あるいは宅建の主任者等々の資格も含めて、もっとちょっとインチキくさいのも含めて、いろいろな資格を取りまぜんかと。あるいは主婦であれば、今までパートに行っていたのがパートがなくなった、ローンは返さなければいかぬという部分でいうと、こういう資格の研修を受けてくれたら仕事をセットで差し上げますよと。
 例えば資格講座の勧誘で、合格したら仕事を保証するということを言われて、大枚払って資格を取ったけれどもナシのつぶてで、仕事も何もない、ただその教材を買わされただけであった。資格もほとんど何の意味もないものである。解約しようと思ったら、契約は成立しているから解約できない等々の被害が続出しているという部分では、やはり一つは大きな不況というものが背景にある、だろう。
 被害が続出するというので今回こういう法改正をされるということは、行政の立場では当然のこととして意義のあることでありますけれども、こういうものが起こってきたから、ただ罰則を厳しくする、あるいはいろいろな消費者保護の政策を考えるということも当然一つの柱として大変大事なのですが、こういうものを生み出している社会環境、背景というものに対して、政治あるいは行政がどういう認識を持って対応するかということを間違わないでいただきたいというふうに私は思うのです。
 一つは、やはり景気が悪いということ。それからもう一つは、最近の若い人にいわゆる青い鳥症候群というのですか、自分は就職してこの仕事をしているけれども、本当は自分はもっと違う仕事が向いているのではないか、何かはわからないけれども今のではないのではないかというふうにいつも思っている。あるいは、仕事というのは、自分が生活するという部分で楽しい人生を送るためにたまたま仕事をしている、だからよりお金が多くもらえた方がいい、お金さえたくさんもらえればいいというふうに、私たちが子供のころ育った社会の通念、倫理観、あるいは仕事に対する意識というものと随分さま変わりをしてきている。
 そういう部分で、やはり少しでもお金がたくさんもうかればいい、あるいはいい資格を取ったらもっとほかの仕事ができますよと、仕事がないときに何かそう言われると、要するに、おいしいごちそうが目の前にあると、いとも容易にそっちへ移ってしまう。仕事に対して、金銭の多寡ではなくて、やりがいがある、あるいは世の中の一つの大きな支えになっているという誇りがあるということがお金にもかえがたい大変大事なものであるというふうな要素、社会を支える要素がどんどん希薄になっているということに、私は大変な危機感を持っています。
 私は工学部を出ました。いわゆる技術屋です。当時、技術屋というのはやはり日本の工業社会を支えるんだという思いで、私の仲間はほとんどがそういう分野に就職をした。ところが、十年ほど前に大学へ行きましたら、半分以上は自分の専攻と違う、いわゆる金融、証券、保険という当時のハブリーなところへ全部就職する。先生、これはどうなっているんですかと言ったら、給料が全然違うんだと。そうすると学校というところは、ただいいところに就職する、いいところというのは給料が高いところに就職するということのために学校へ来ている、それは何学部でも何でも関係がないのだというふうなことを聞いて、愕然としたことがあるのです。そういう部分で日本のこれからの人材が育っていくということで、極端に言えば、日本の産業社会を支える人がいるのだろうかというふうな思いを持ちました。
 そういう部分で、こういう電話の勧誘等々も含めた、悪質商法と言われるのですが、商売の原則で言えば、よしあしは別にして、お客さんがいれば商売がそういう部分にざあっと展開されることは当然だと思うのです。悪いことをするのはけしからぬよと言うのも大事だけれども、そういうことにならないという部分で言うと、根源的に、やはり間近に言えば今の経済対策、それから今の社会、若者を支配している社会の倫理観、これはさかのぼれば教育とかいう問題にもかかわるのだと思うのですが、先ほどの野田先生の御質問で、賢い消費者ということにしなければいけない、これは大きな柱だと思うのです。
 そういう部分で言えば、世の中的に、こんなことで商売をやってもだれも食いつかないしもうけにもならないと思ったら、こんなものは法律で規制しなくてもやらなくなるのですよね、極端に言えば。そういう意味で、私は、通産省というもの、それから政府というものとして、いろいろな社会のひずみの部分の、何かできものができた部分の一つにこういう悪徳商法というのがはびこっているということであって、根っこの病原として、今社会に政治がやらなければならない課題というのは大変大きいのだなという認識を、どのようにお考えになっているのかということを、まず一番初めに大臣にお伺いをしておきたいと思うのです。
○塚原国務大臣 まず、世代間の考え方、感覚の違いというのは常々感じるところでございます。五年違えばもう全く考えることが違うわけでございまして、同じ職場で話をしても意見がすれ違うということがございます。
 ただ、私の浅い経験だけでいきますと、やはりその人たちが五年たつと結局五年前の私と同じになっていくわけで、私も結構若く国会に出まして、情熱を持って出てきたわけでございます。自由民主党をしっかり改革をしょうと思って、ロッキード事件のときに出てきましたけれども、今は何とかこの自民党を守らなくてはいけないということで、改革のカの字もなくなっているというようなことを考えますと、やはり人間は年相応になっていくのかなというような気がいたします。
 いずれにいたしましても、今一番若者にとってあるいは主婦にとって不安感がありますのは、一つは、御指摘がございましたように雇用の不安の部分だと思います。いわゆる現在の雇用ですね。それからもう一つは将来の雇用、終身雇用に対する不安というものがあるのだと思います。
 これは私どもの世代、戦後、昭和二十二年ですから、昭和四十三、四、五年に社会に出た連中は、まだまだ定年まで会社にいられるとそのとき思っておりました。ただ、今新入社員の方々とお話をしていただければ同じような話題が出てくると思いますけれども、まず、自分自身が会社にいたくても、果たして最後までいられるかという不安は大変にあるのだと思います。そういった背景は、資格等の勧誘がありましたときには、やはり飛びつきやすい要素の一つになっていると思います。
 それから主婦にいたしましても、仮に専業主婦のことを考えてみますと、御主人が果たしてずっとその職場で安定的にいられるのだろうかという不安は、今日は常に奥様方は考えております。私どもの世代は、余りその面の不安はなかったのだと思います。ですから、御自身がパートにお出になる、あるいは御自身が手に職をつける、そういう中に資格の勧誘があれば非常に乗りやすい状況というものが現在あるのだと思います。そういった面では、私どもの二十代と今とでは、やはり環境の変化というものがあると思います。
 そうすると、そこの原点を考えてみますと、国の政策の中で、やはり雇用の安定というものが日本の国の繁栄の一つの大きな要因だったような気がいたしますけれども、そこの部分に不安感を持たれてしまう。それは世界の中で、例えばコストの問題等々、大変に日本の国が大きく発展をしてきた中で難しい問題はあるのだと思いますけれども、逆に、働く方々に将来に対して不安を持たせるというのは、やはり行政の責任は大変に大きい。これは痛感をしなければいけないというふうに思っております。
 ですから、今先生の御指摘の中で、前の質問者の方がおっしゃったように非常にすばらしい企業も訪問販売の中にはあるわけでございますけれども、このような形で現在非常に大きなトラブルを起こしている一つの背景に今日の社会情勢があるということは、素直に認めなければいけないことだというふうに私ども認識をいたしております。
○川端委員 大臣は閣僚の中で一番お若い閣僚で、若い時代との接点といいますか、感覚的には新しい人のことがよく理解できる大臣だというふうに思います。通産省という、いわゆる産業雇用構造の大転換期という時代にこういうことのトラブルも多発をしているのだと思うのですが、そういう要請という部分で、ただ単に訪問販売等々、マルチあるいは電話勧誘というものではない根っこの部分に、ひとつ新しい感覚でしっかりと御尽力を願いたいと思います。
 終身雇用に対する不安というものは確かにそうなんですけれども、現実には終身雇用というのをもともと望まないという風潮にもなってきているのかなという感じもします。
 冒頭おっしゃいました自由民主党に関しては、守るのではなくて、ぜひとも改革して、日本の政治のために頑張っていただきたいというふうに思います。
 次に、ちょっと技術的なことになるのですが、いわゆるマルチ商法、連鎖販売というものについてお尋ねをしたいのですが、先ほども御議論がありましたけれども、この連鎖販売業というものの定義をもう一度ごく簡単に教えていただきたい。
○大宮政府委員 ただいま御質問のありました連鎖販売取引の定義でございます。法律上は非常に複雑な書き方になっておりまして、私どもあちこちからいろいろと御批判を受けておるわけでございますけれども、基本的には、いわゆる商品あるいは役務の再販売あるいは委託販売、販売のあっせんというものも含んでおりますけれども、こういった、他の者を特定利益を収受し得ることをもって誘引する。要するに、ある一定の利益がありますよと言って商品の販売を消費者の方、一般的には消費者の方に勧誘をする。それからまたその人に、加入するためには一定の加入料を払ってください、あるいは一定の商品を買ってくださいというような特定負担を求める。この特定利益をもって誘引し、特定負担をすることを条件とするという取引がいわゆる連鎖販売取引というふうに定義をしております。
○川端委員 これは法の十一条と細かくは政令七条ということで、特定利益を得るということと、特定負担というのはいわゆる二万円という部分で、そういうものに合致して商売するものだ。
 先ほどの御議論にもありましたけれども、このごろは消費者の生活態様というものが随分変わってしまった。正直言って、私も東京で単身で暮らしておりましていろいろなものが要るとなると、かなりマニアックに通信販売なんかの本をいっぱい送ってきまして、いろいろそういうもので間に合わせる。買いに行く時間もない。ということでいうと、そういう部分の消費者構造は随分変わったなというときに、通信販売は割合はっきりしているのですが、マルチであるのか訪問販売であるのかというのは非常にあいまいになる。今伺いましたように、定義でいうと、特定の利益を得るために特定負担をして云々と、これは何のことかよくわからぬなということであります。
 しかもそのときに、マルチの悪徳商法はけしからぬということで法律規制をしょうというときに、いろいろな大議論があってこういう法律ができた。それで今の構成要件ができた。そうすると、当然ながら、私たちはマルチではありませんよという部分でいうと、その構成要件さえ外れればいいんだなという議論になって、二万円というのは初めに特定負担ということで入会金とかなんとかで、それを一万五千円にしておくと全部そこから外れてしまうというふうになっていく。結局そうすると、後でそれも、幅も見て、時間的経過も見て二万円になっていたらだめなんだとか、いいとかということになると、どういう解釈なのかはっきりしないじゃないかというふうなことが今まで随分議論になってきたし、解釈自体もそれなりに、実態は消費者を守るという観点でしょうけれども、後でだんだん解釈が変わってくるということで、余計混乱する。
 しかも、今回は対象が拡大をされる。実際、ピラミッドでいうと上だけではなくて下の方もするというと、本当に、いわゆるマルチという言葉で言われる、消費者が被害に遭うのが圧倒的であるというふうなもの以外の、例えば、この商品がいいな、会員になると二割引きで買える。例えばこの化粧品は私に非常に合っている、だからこれをずっと買おう。会員になっておいたら普通で買うより安く仕入れられる。それで、友達の奥さんにこれいいよと言ったら、私もそれ使いたいと言うからその人にも売るということはマルチなんだと。あなた二万円以上払ったな、負担をして利益も得ておるなということで、これもだめなのかということになると、ちょっと問題が起こってくるのじゃないかということです。
 本来、悪徳商法、マルチと言われる部分というのは、要するに物を売るのが目的じゃないんですね。そういうシステムをつくって会員になれば、子会員、孫会員という仕組みの中で、要するに、物を売るということに主眼があるのではなくて、システムによるお金が入ってくるということに血道を上げるという部分と違う部分にどんどん悪影響も及ぼしかねない。そういう意味では、個々の消費者保護をするという部分で言うと、このマルチ云々という部分の解釈というものが経時的にも随分変わってきているという部分で、もう一度しっかりとした解釈というものを確定させてほしい。
 今伺った中でも、要するに、通達も別にはっきりしているわけでもないしということの中で、解釈自体は変化してきているわけです。その点に関してはどういうふうに対処されようとしているのか。それから、そういうものが出たときに、要するにきっちりと徹底されないと意味がないということだと思うのですが、その点に関してちょっとお尋ねをしたいと思います。
    〔委員長退席、逢沢委員長代理着席〕
○大宮政府委員 ただいま御質問のあった点は、いわゆる連鎖販売取引に関する特定負担の問題であろうかと思います。
 この特定負担につきましては、今先生も御指摘のございましたように、連鎖販売取引の条件となる商品等の対価の支払いまたは取引料の提供であって二万円以上の負担を言うというふうに法令では規定されております。この特定負担の解釈につきましては、具体的にどのような負担が特定負担に該当するのか、特に、時間差を経て負担が行われた場合に、それが特定負担に該当するか否かといった点について解釈がわかりにくいとの御指摘を受けていることは事実でございます。
 このような時間差をもって行われる負担でありましても、実は現在の法体系のもとで、例えば契約を結ぶときに商品の引き取りを義務づけるというケースもございますし、それから、一定の期間を置いた後に例えば二万円以上の商品の引き取りが事実上義務づけられるというようなケースもございまして、これが一つの脱法的なケースになっておるというケースもございます。したがいまして、私ども今回もいろいろと検討したわけでございますけれども、今申し上げたように、時間差をもって行われる負担であっても、事実上連鎖販売取引の条件として行われるものであれば特定負担に該当するというふうに判断をしておりまして、こうした時間差をもって負担が行われた場合も含めて、特定負担の解釈については解釈通牒等におきまして極力明確化をして周知徹底を図っていきたい、こういうふうに考えております。
 それから、今後の周知策でございますけれども、この法律は公布後、前例でいきますと六カ月後に施行するわけでございますが、その六カ月後か、公布、施行のタイミングはまだ決まっておりませんけれども、できるだけ早くやりたいと思っております。その間に私ども、いろいろな消費者団体あるいは関係の業界団体、地方自治体、それから商工会議所等でいろいろなPR活動をしておりますので、またラジオ、テレビでもやっておりますけれども、そういった場を通じて、こういった解釈が明確になるようにPRに努めていきたい、こういうふうに考えております。
○川端委員 関連して、二万円というのは昭和五十一年に決まったままなんですけれども、この二万円というのは何なんだろうということ、まあ二十年たっておるわけですけれども、どういうものなのかということなんですね。
 事前にお伺いしたら、その当時で二万円というのは、ちょっと損したら痛いなというふうに普通の人が感じる、一般的な小遣いをちょっと上回るぐらいの額を負担するということで、ちょっと痛いけれども思い切って出そうかという額なんだ、こういうふうなことやに伺っておるのですけれども、そういうことで何か今の相場でいえば、普通のサラリーマンだったら、二万円ではないですね、多分五万円ぐらいかなというふうになる。
 しかし、実際にこういうものを金額で判断するんだろうか。むしろこういうものは、とにかく悪徳マルチみたいな部分にするのだったら、こんなものは金額なんて関係ないんじゃないか、もうなしにしてしまえという議論も一方ではあるのですね。この部分に関してはどういうふうに考えておられますか。
    〔逢沢委員長代理退席、塩谷委員長代理着席〕
○大宮政府委員 まず、二万円の根拠でございますけれども、これは平成六年現在で昭和五十一年と比べた物価上昇率、一七〇%でありまして、昭和五十一年当時の二万円は現在の三万四千円に当たるというふうになっております。したがいまして、今おっしゃいましたように、これは当時の若者のサラリー等を根拠にして計算したものでございまして、現時点で引き直せば三万四千円ということになるわけでございます。
 したがって、今御指摘ありましたように、それをやめたらどうかという議論もあるわけでございますし、もっと引き下げろという議論もございますが、やはり連鎖販売の一つの大きな要素は、要するに特定の加盟料、特定負担を求めるというところが普通一般の取引と違う一つの法律的な特徴でございまして、この特定負担をやめるということは、むしろちょっと連鎖販売というものを特徴づける一つの重大な要素でございますので、これはなかなか難しいかというふうに考えております。
 それから、むしろこの金額を下げたらいいんじゃないかという議論はあるわけでございます。これは先ほど申し上げましたように、本来ならば上げるべきということになるわけでございますけれども、現在の二万円という水準は現状を維持するというのが適当ではないかということでございます。
○川端委員 今までちょっと技術的なことをお伺いをしたのですが、結局、マルチの定義をしょうと思うと、そういう何か、えも知れない世界に入っていくのですね。
 二万円というのを引き上げるべきだというか、そういう特定負担というのは、ないと構成されないという部分ではお金が要るんだ。しかし、そういうものを設定すれば、そこを少し下げた形で入会金を取るということで、おれたちは違うんだと言われる、逃げようとする。そうすると、そこに今度は、いやいや一回目の入会金じゃなくて、後まで見て、初め一万五千円で後で一万円で二万五千円取ったものもだめなんだと解釈を変えましたとかいうふうに、変な議論になる。これは何のためにやっておるのか。
 これは、たまたま日本訪問販売協会の「マルチ商法 トラブルに遭わないために…」という。パンフレットを見たのですけれども、「はじめに」とあって、「マルチ商法って、なに?」「確実に儲かる夢のビジネスがある」「人を紹介するだけで何もしなくても紹介料がもらえる」「人を誘って商品を売り、その人がさらに他の人を誘って商品を売る…これを繰り返すことによりどんどん儲かり、年収一千万円は確実」とか、こういうことでやるのがマルチですよと書いてある。
 こういう部分で言うと、要するに、さっきもいろいろな化粧品の例とか言いましたけれども、本当にいい商品をいろいろな人に売るのに、会員という仕組みをとって、お店も持たずにネットワーク化していって商売するというのは、今の時代に非常に適応した一つのビジネスであることは間違いないのです。これはやはり、商品というのがメーンに流れていくのを前提にした本当の商売なんです。
 一方で、いわゆるマルチというのは、さっきちょっと言いましたけれども、システムなんですよ。物は何でもいいのですよ。いいものであるか悪いものであるか、使おうと使うまいと関係ない。それを売る人間を自分がいかにつくるかということになっている。根本的にはそういうものはやってはいけないんだということにならない限り、これをやってもいいけれどもその前提として二万円とか利益がもらえるとかいうことにするから、ややこしい話になる。
 冒頭言われましたけれども、法定何とか主義というのですか、ちょっと忘れましたけれども、経済原則でいったら、こういう商売をやってはいけないと言うのはいかぬのだということから大議論になってこういうことになっていると言うけれども、やはり根源的にはそこに行き着くのですよ。そういうシステムを持っているものを、変なところだけ規制をして、やるのを認めてしまった限りは、いつまでたってもイタチごっこになる。ここに踏み込まない限り、私はこれは解決できないのではないかと思う。
 そういう意味で、今回のときもいろいろ審議会でも御議論はあったんだと思いますけれども、やはり私は、そこにもう一度踏み込む議論を抜本的にやっていただきたい。今回の法改正というのではないですけれども、ここをどうするかということでないと、二万円が三万四千円ですか、するのか、せぬのか、まあしないのでしょうけれども、解釈も通達を出す、そんなものを公報に載せてもだれも見ませんよ、正直言って。
 そういうことで、私は、これだけのいろいろな問題が起こってきている、特に最近またふえてきているという部分で言えば、ここに問題意識を持って踏み込んでいただきたい。いま一度、いかがでしょうか。
○大宮政府委員 先生からも御指摘がございましたように、確かに悪質なマルチ商法というのはここ数年またふえてきておるわけでございます。
 ただ、これは先ほどちょっと野田先生のときにもお答えをいたしましたけれども、法律の制定以来、これにつきましてはこの委員会でも大変な御議論をいただいておりまして、仮に悪質なマルチ商法を全面的に法律で禁止しようとした場合には、いわゆる罪刑法定主義と言っておりますけれども、構成要件を非常に厳密に、これはもう罰則とかあるいはいろいろな規制をかけるわけでございますから、かなり狭く規制をせざるを得ないわけでございまして、その結果、悪質な業者による脱法行為といいますか規制回避が行われて、むしろ取り締まりの観点から見てかえって適当ではない、こういうふうに判断したわけでございます。
 したがいまして、先ほど先生から御指摘ありましたけれども、二万円という特定負担等が一つのキーになっておるわけでございますけれども、そういうものをベースにしましてある程度緩やかな要件で定義を行って、その場合、ちょっと御指摘ありましたように、例えば重要な事実を告げないとか、不実の告知といってうそをつくとか、威迫困惑といって人を困らせるような行為をする、こういった悪質な行為があったときに、これを広く網をかけた中から取り締まっていくというのが一番有効ではないかというふうに考えて、現在のような法の仕組みになっているというふうに我々も考えております。
 私どもとしましては、現在においても、こういった訪問販売法における連鎖販売取引あるいは悪質なマルチの規制の体系というものは、今後も変更することなくこれを維持していきたい、こういうふうに考えております。
○川端委員 実際には取り締まりの摘発件数等々も含めてなかなか難しい状況であるという実態の中で、やはりふえているという部分で、理屈で言えば今おっしゃったようなことというのはわからないでもないのですが、やはりいろいろな角度でもう一度検討をしていただきたいと御要請をしておきたいと思います。
 時間が余りありませんので、いろいろあるのですがまたほかの方にしていただくことにして、先ほどもありましたけれども、基本的には、賢い消費者であればこういうものにはひっかからない。いろいろな被害者の方の声を聞いても、マルチと聞いていたら入らなかったのにとかいろいろなこともある。しかし、かなり巧みにあるいはいろいろな形でこういうものが商売としてやられ、被害者も増加しているという中で、要するに消費者にいろいろなことを知ってもらうという啓蒙、啓発というものがやはり大きいのではないか。
 それで、通産省もいろいろなパンフレットをおつくりになって、新成人、新社会人に「悪質商法にご用心!!」とか、成人式あるいは新入社員に配られたらいかがですかみたいなことで御努力されているというのは承知をしておるのです。やはり今非常にメディアの発達した時代に、特に消費者の意識というものを本当に喚起するという部分で、私は、こういう各協会とかいろいろな団体がつくっておられるものを見ると、やはりそういう観点であれなのかなと思ったのは、日本消費者協会が出しておられる漫画ですね。シリーズになっていて、展示会商法とか霊感・霊視商法とか催眠商法、キャッチセールス商法云々というのがそれぞれにイラストというか漫画チックに書いてあるということで、いろいろ工夫してなかなかいいなと思うのですが、残念ながら、要するにこういうものを今の若い人が読む機会が少ない。だから、中身の問題と、それからそういうものに触れるチャンスというものとセットにならなければ実際には広がらない。
    〔塩谷委員長代理退席、委員長着席〕
 それで、後で大臣にも一部差し上げますけれども、私は、上京する折あるいは帰郷する折とか新幹線に乗るときには、駅売りの新聞を買うのです。夕刊フジと日刊ゲンダイというのが一番よく売れている筋なんだそうです。日刊ゲンダイに「連載サラリーマンまんが」というのがあります。「負けてたまるか」、さかもと瓢作構成・作画で、原作ほしの雄一、どんな人か知りませんけれども。
 それで、あるときに「電話勧誘にハマつた男の巻」というのが載っていまして、これは平成八年の一月五日から一月二十七日まで、土日を除いて十六回にわたっている。サラリーマンの職場に、一流企業にお勤めの方十万人の基礎データを収集して、その中でさらに優秀な方を千人ほどピックアップして、つまりあなた様は選ばれたというわけですよと言って電話してきて、物すごくきれいな若いおねえさんが一回お会いをしたいというので、ずっとるんるん気分でいて、最後にえらい目に遭うというのが載っているわけですね。
 実は私もサラリーマンをしていましたけれども、朝出勤するときというのは非常に時間が少ないのですね、少しでも遅くまで寝ていますから。せいぜい新聞の一面ぐらいちらちらと見て、電車に乗って、きのうジャイアンツが勝ったかタイガースが勝ったかというのでスポーツ新聞を買って、それで出勤する。帰りには大体夕刊フジか日刊ゲンダイをまた読んで、新進党のピサは何やらというのがどんと書いてあって、それを見ながらというわけで、実はサラリーマンとかの世論というのに非常に大きな影響力を持っている。これは私も、読んでいておもしろいのですよ。
 この人は別に通産省に言われたわけではなくて、やはり社会問題としてこの作者はこういうものにアンテナを張りめぐらせた中で、どこかで取材されたのでしょうけれども、やはりこんなことは気をつけなければいかぬなという非常に説得力のある、物語としておもしろく読めるのですね。こっちをいろいろ見ますと、漫画チックにいろいろ書いてあっても、あれもこれも書かないかぬ、教えないかぬという意識がどうしてもあるから、かた苦しい説明ばかりの漫画を使ってもということになる。
 こういうものを政府としてどう使うかというのはなかなか難しい問題だろうけれども、やはり実はそういう部分に非常に影響力があるのだという認識から取り組んでいただきたい。伺うと、こういうものだったら、これは今やっている局でどこかに頼んでこんなパンフレットをつくろうかというようなことをやっておられるようだけれども、例えば大臣も一番若い人ですから、役所の外部の、全くプライベートなアドバイザーみたいな若者を集めて、こんなことだけれどもおまえらだったらどうするということでやってみることも含めて、いろいろ、お役所だからこそ今のメディアの時代に切り込んでいただきたい。
 インターネットで通産省を見ますと、もうとてもじゃないが読みたくないですね、別に通産省だけではなくてどこを見ても。官邸を見ても、総理の所信表明演説が延々と載っていて、あんなものはだれも読まないのですよ、文章として、視覚に訴えるものではないですから。若い世代の大臣ですから、そういう部分を含めて、これは一部差し上げますから後でお暇なときにお読みいただきたいのですが、ひとつ、おっ、通産省もなかなかやるなというふうにぜひともしていただきたいと思うのですが、御所見があればお伺いをして、最後にしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○塚原国務大臣 私もその漫画を、日刊ゲンダイではない方の漫画を拝見いたしましたが、とても肩が凝って、余りおもしろい漫画だとは思いませんでした。
 それで、政府広報全体について言えることですが、どうしても当然これは集団討議になりますし、それから、どこからも文句を言われないようにということがやはりつくる一番の基本になります。例えばこれは自由民主党の話ですが、この前の選挙で非常にユニークなポスターをつくりました。私はとてもいいと思ったのですが、結局その。ポスターのおかげで負けたという話になりまして、やはりふだんの、太陽があって野原があってというポスターでなくてはいけないんだということになりました。だけれども、今の先生の御指摘でもそうですけれども、やはり本当にその対象の方々にしっかりそれを見て理解をしていただくということになりますと、どうしても今文章よりも絵だと思いますし、絵であってもやはり興味のある漫画が一番いいんだというふうに思います。
 私の在任中に、ともかく集団討議、あるいはどこかでこういうことをしたと批判されることなく、塚原が大臣だから通産もこんなものを出したのかといって、ある部分からはおしかりを受けるぐらいのPRのものをつくっていきたいと思います。どうせ私は、日刊ゲンダィ紙上において、大臣に就任したときに、体重は重いが人間は軽いと書かれた者でございますから、そういうようなことでは結構PRなどでいろいろなものをつくるのは割に、塚原が大臣のときだったからこういうようになったというので役所も説明がつくと思いますので、かなりいいものをつくってお示しをしてみたいと思います。
○川端委員 ありがとうございました。どうぞよろしくお願いいたします。
○甘利委員長 次に、小池百合子君。
○小池委員 新進党の小池でございます。
 この衆議院商工委員会での質問は実は初めてでございまして、参議院時代から商工にかかわらせていただきましたが、特にこの一年間は災害対策の方で大変忙しゅうございました。ということで、きょう初めての質問でございます。
 大臣におかれましては、復興問題特に現時点では特に商工業者の方々、御自宅の解体そして再建という段階から、これもアイ・エヌ・ジー形でございますけれども、今度は自分の店を仮設から本当の店にしていかないといけないというようなことで、実は金利の減免などこれまでも各種お願いしたわけでございますが、どうもそこで時期が切れてしまいまして、現実にその人たちのニーズがあるときにはそういった措置が行われない、もしくは、将来実際にそれが行われるのかどうかまだまだ不安でいっぱいであるというようなことがあるのですが、大臣いかがでしょうか。この復興に対しましての新たな今のお気持ち、そして今後のそういう商工業者に対してのさまざまな措置についての御所見を伺いたいと思います。
○塚原国務大臣 昨日も兵庫県の知事さんがお見えをいただきまして、通産に関しては、ライフラインの復旧を初めといたしまして、先生方の御指導も得まして、一生懸命頑張ったという御評価をいただきました。さらに、新規企業の誘致等につきまして、施策を充実をして、ある程度兵庫県独自の緩和された規制等もつくって対応をしていただきたいということで、私どももできる限りの検討をするという約束を現在いたしております。
 震災復興につきましては、非常に重要なことでございますし、復旧時は国が全面的にやるけれども、復興時になるとやはりそれぞれが負担をしなければいけないというような不安感も現在地元に出ているというようなことも承知をいたしております。一つ一つ、先生のこの前の予算委員会の質問等も参考にさせていただきながら、できるだけ不安感を与えないような、そして復興しようという気概が政府の制度の運用の悪さ等でそがれることがないように、これから精いっぱい政策の遂行をしてまいりたいというふうに考えております。
○小池委員 現実に御商売をやっておられる方は気概だけではなかなかやっていけませんので、ぜひとも金利減免等の継続をお願いしたいと思います。
 さて、今回の法案につきまして質問させていただきたいのでございますが、まず電話勧誘販売です。
 最近は、まさに電話勧誘販売というのが、先ほどの川端議員も指摘ございましたように、無店舗でできるとか、それから新しい商品の販売にむしろ向いているとか、そういったことからまたまた普及しているわけでございます。また、この電話勧誘販売についての問題といたしまして、いわゆる資格販売、そして商品取引、不動産取引、会員権の売買といったもの、まあバブルのこういった不動産絡み、有価証券絡みのものについては若干下火なのかもしれませんけれども、どんどん新しい電話勧誘販売の商品が出てきているわけでございます。
 そこで、売る方は、とにかく売らんかなの精神で、時代をいろいろとマーケティングをして、新しい商品を次から次というふうに出してくるわけでございます。基本的に、訪問販売にいたしましても電話勧誘販売にいたしましても、ルールとマナー、これをきっちりと守っていくならば、また消費者側も自己責任というのを貫徹するのならば、これは一つのビジネス形態として認めるべきではないかというふうには私は思っております。
 また、その意味で、今回指定商品制ということを従来どおり残しておられるわけでございますけれども、そもそもこの指定商品というのが、事細かに指定しているわけでございますね。例えば「超音波を用いてねずみその他の有害動物を駆除する装置」であるとか「れんが、かわら及びコンクリートブロック」というような感じで、一つ一つ細かく、五十三項まで羅列しているわけでございます。ただ基本的には、いろいろな商品も出てくるわけでございまして、ですから本来は、ポジリストというよりも、これはだめだというようなネガリストに変えるべきではないか。これは郵政省の審議会の方でもそういう指摘があったようでございますが、なぜこのポジリストのままでいくのか。この指定商品についての考え方を、通産省、お聞かせください。
○大宮政府委員 ただいま御質問のございました指定商品制度でございます。
 これは、実は今度の電話勧誘販売だけではなくて、もともとこの訪問販売法自体の規制対象をどうするかというときに、指定商品制にすべきなのか、あるいは原則禁止をしてネガリストで書いていくということの是非が議論されたわけでございますけれども、実は、これは先ほども御議論ございましたように、やはり経済の活性化といいますか営業の自由といいますか、そういう観点からもこういった規制は必要最小限度であるという基本的な考え方に立っておりまして、問題となるようなケースにつきましては順次指定商品制をとっていくということで、これが今度の電話勧誘販売につきましても、あらゆるものをすべてまず規制の対象に加えてそれから逆にネガリストでこれを摘出していくということになりますと、例えば御承知のように、これは訪問販売のケースでございますけれども、生鮮食料品とか冷凍品というような御用聞きとか、あるいは昔の薬の販売とかいろいろな形態、最近新しいものが出てきておりますし、そういったものを次から次と全部除外するのは非常に大変な作業でございます。
 そういったこともありまして、規制をできるだけ最小限にするという観点、それから実際には問題のあるものを順次指定していくということで、現在までのところ、問題となるようなもので指定商品にされていないものはないということでございます。また、必要があれば我々はどんどん追加をしていくということで、電話勧誘販売につきましても、従来問題となっております資格商法とかあるいはいろいろな商品につきまして、これは訪問販売とほぼ同じ類型になると思いますけれども、そういったものを指定商品制として規制の対象に加えていく、こういうふうにしたいと考えております。
○小池委員 この規制の問題というのは、確かに非常に難しい点がございます。
 新たな産業を育てる、もしくは拡大するという点では、むしろ自由な競争に任せてということもございましょうし、また一方で、ここで論議されているのはさまざまなルール違反の販売ということでございますので、ここはむしろ規制するべきではないか。それがちょうど鳴門の渦潮のようにぐるぐると回って、なかなか判断のつきにくいところではございますけれども、私は、これはむしろネガリストの方向でやっていくべきではないかというふうに思っております。
 さて、時間がありませんので、次の点に移らせていただきたいのでございますが、消費者側といたしまして、実際にこの電話販売で何が困るかというと、再三再四電話がかかってくる、また、時間を全く無視して、こちらの都合は関係なしに電話がかかってくる。これこそが、まさに電話販売の不意性であるとか、そういった問題点であろうかと思います。
 ドイツの場合ですと、電話販売を公序良俗に反するとして原則禁止、そしてアメリカでは、早朝の八時以前、夕刻九時以降の電話勧誘は禁止というふうになっております。業者の中には自主規制のような形でそれを既に実施しているところもあろうかと思いますけれども、一方で貸金業法の通達では午後九時以降は禁止しているというふうに、これはきちっと通達でもって明記といいましょうか、はっきりと出ているわけでございますが、例えばこの電話販売については、やはり時間制限を設けたらどうか。ベストは業者の自主規制といいますか、それが徹底すればよろしいわけでございますけれども、この電話販売というのがこれからも非常に広がりを見せるということにつきましては、まあほかのインターネットとかファクスとか、音が静かに伝わるものであるならばまた別なのかもしれませんが、しかしながら電話というツールを使う場合には時間制限を設ける。これについて、通産省の御見解を伺います。
○大宮政府委員 ただいま御質問のございました電話勧誘に関する時間制限の問題でございます。実は、深夜とか早朝における電話勧誘というのは、それ自体が消費者に非常に不快の念を抱かせるものでございますので、嫌がらせは別でございますけれども、いわゆる勧誘行為としては一般的に行われているものではございませんで、被害実態もそれほど多くないというふうに我々は考えております。また、国民の生活様式が非常に多様化しておりまして、いわゆる二十四時間生活のライフスタイル、こういうふうになっておるわけでございまして、生活時間帯が深夜、早朝に及ぶ場合もございますので、一律に電話勧誘を一定の時間禁止するというようなことは非常に難しいか、こういうふうに考えております。
 このため、この法律では、迷惑を覚えさせる仕方での勧誘を行ったような場合などを通産大臣の指示の対象行為といたしまして、相手方を困惑させること等を規制いたしまして、深夜・早朝電話勧誘についても、個々の事例に即して、その時間帯に電話することはその消費者にとって迷惑となるか否かということを柔軟に判断したい、こういうふうに考えております。
○小池委員 基本的には、それぞれの業者のルールもしくはマナーを守るという姿勢、これの徹底をぜひともお願いしたいというところでございます。
 続きまして、連鎖販売についてお尋ねしたいわけでございますけれども、もともとこの訪問販売法は、行為規制法ではあるけれども、悪質なマルチ商法を実質的に禁止するという目的で制定された法律であるということが、これは七六年の法審議の際に通産省当局から述べられているわけでございますが、この点については何ら変更はないわけでございますか。今回についても同じことが言えるわけでございましょうか。
○大宮政府委員 今御質問のございました悪質なマルチ商法に関する規制でございますけれども、これは法制定時あるいは昭和六十三年の法改正時に、この商工委員会で大変な御議論をしていただいたところでございますが、悪質なマルチ商法を法的に全面禁止しようとした場合には、罪刑法定主義と言っておりますけれども、きちっとこれは罰則をかけたり規制をかけたりするわけでございますので、構成要件を厳密にかなり狭く規定せざるを得ません。この結果、悪質業者による脱法行為というものを容易に許すことになりまして、取り締まりの観点から見てかえって適当ではない、こういう判断がされたわけでございます。
 したがいまして、全面禁止するよりも、ある程度緩やかな要件で定義を行いまして、網をかけた上で、先ほども申し上げましたけれども、不実の告知、うそをついたり、あるいは重要な事実を告げない、あるいは威迫困惑行為をするといった行為を規制しまして、それによって悪いマルチ商法を実質的に禁止するという考え方をこの法律ではとっているわけでございます。
 これが法制定時の立法趣旨でございまして、現在においてもこのような考え方を変更するつもりもなく、また今後ともこれを維持していきたい、こういうふうに考えております。
○小池委員 ということで、これまで以上にといいましょうか、ある意味では緩やかな形をもってというお答えでございましたけれども、しかしながら、前の、七六年の法審議、そして八八年の法改正ということを経まして、それぞれ強化されているのにもかかわらず、現実には苦情相談数にいたしましても、国民生活センターの調べでも平成二年度が四千七百八十八件、そして平成五年度が八千二百四十五件というふうに、これはずっとふえ続けていると言ってもよいかと思います。
 かつて通産省の審議官であられました、お亡くなりになりましたけれども、天谷直弘さんも七六年の法審議のときに、この法律が施行された後は悪質なマルチが残存する余地は全くないというふうな言葉が残っているわけでございます。
 ですから、今お答えいただいたわけでございますけれども、じゃ、実際にこの法律が改正されて、実際にどれぐらいなくなるのかということについては、これは甚だ疑問の余地があるわけでございまして、それについては、やはり法律の問題点、それから罰則の問題、後ほど触れさせていただきますけれども、やはりこの辺にまだまだ今回の法案でも問題が残るのではないかというふうに思っております。
 ちなみに、天谷さんには大変私もお世話になりまして、むしろ官僚時代よりも官僚をやめられてからの方がはっきりと物をおっしゃっていて、あの発言はなかなか在任中にはされにくいのかなという、これは当然のことかもしれませんけれども、そんな思いを抱いていたわけでございます。
 それで、この法改正でございますけれども、現実的には、法律を改正しても、これまでのところ被害が減少するどころか、摘発が相次ぎました九三年、九四年を経ましても、相変わらず数千件の被害の訴えが消費者センターに寄せられているのは、先ほど申し述べたとおりでございます。ところが、苦情とか相談に来る人というのは氷山の一角といいましょうか、ほとんどが泣き寝入り、どこにどうして相談に行ったらいいかわからないという人々が、実は数倍どころか十数倍とかおられるんじゃないかというふうに思います。
 今回の法案が法律として施行された後ですけれども、これでもまたこのように被害がふえるのではないか、そういう疑問を抱いているわけでございますけれども、当局としてはこの法律で実効が上がるというふうに考えておられるのか、また、法案のどこの部分にそれを最も期待しておられるのか、お聞かせください。
○大宮政府委員 今小池委員から御質問がございましたように、昭和五十一年の法律制定時に、当時の審議官でございます天谷さんが、今お話があったように、実質的に全面的に禁止するというようなことをおっしゃいまして、これは、実は六十三年の法案審議のときに、商品は法律で規制をしておったわけでございますけれども、例えば役務提供とかあるいは別の分野でいわゆるマルチ商法が出てまいりまして、マルチまがいとかそういった呼び方で呼んでおりましたけれども、そこで、法律の網をまたそういう分野まで広げて規制を強化したわけでございます。
 それで、先ほどもちょっとお話がありましたように、法律の施行後、相談件数、クレームも、現状維持というか横ばいでございましたけれども、ここ数年またふえておる。私どもは、このふえた原因としては、先ほどちょっと川端先生からの御質問にもございましたけれども、特定負担のところが非常にあいまいであるというか、時差、時間的に、連鎖販売取引をやった時点で同時に例えば商品の引き取りを義務づけられるというようなケースもございますが、そういうケースだけではなくて、その前後、時間的にもう少し後にそういうものをやるというようなケースもございますし、そこのところが一つのポイントであろうかというふうに考えております。
 そこで一つは、要するに、定義を通達でもう少し明らかにしていこうということ。それからもう一つは、これも先ほど質問に出ておりましたけれども、いわゆる統括者と勧誘者だけをこの規制の対象にしておりまして、警察当局の取り締まりの実態を見ますと、いわゆる下位加盟者、こういつた方々がいろいろな、悪質なマルチといいますか、あるいは不実告知といいますか、そういった法律に違反するような行為をしておられる。しかし、ここは先ほども申し上げましたように法律の規制の対象になっておりませんので、そういったものをカバーしていこう。
 これは、警察当局と我々、相談をしながら今回の法律の改正を提出したわけでございまして、今先生御指摘がありましたように、これによって完全に悪質なマルチ商法を取り締まれるかどうかということを、今ここではっきり答えを出せと言われてもすぐには申し上げられませんけれども、私どもとしては、警察当局なりあるいは地方自治体とも連携をとりながら、規制を下位加盟者まで広げ、また特定負担のあり方も新しく通達で明確にしていく、こういったやり方で取り締まりを強化していきたい、こういうふうに考えております。
○小池委員 時代の変化とともに、またツールの変化、そして商品の変化等々によりまして、業者の方がどんどん巧妙化するわけでございまして、ですから、その意味でいつもイタチごっこということは考えられるとは思います。しかしながら、今回、そういう将来のことも考えての法改正というふうに考えるわけでございますけれども、警察庁の方にそれでは伺いたいと思います。
 今、通産省の方が連携をとってというお話でございましたけれども、今回のこの改正によりまして、現行法に比べてより摘発が可能になるんでしょうか、お答えください。
○園田説明員 お答えいたします。
 御質問の趣旨は、改正によってどのくらい摘発がしやすくなるかということでございまして、まず現状の問題点等について申し上げますと、警察では平成五年以降、電話勧誘によります資格商法に係る事犯につきましては、八事件五十五名、それからまた、いわゆるマルチ商法、連鎖販売取引に係る事犯につきましては、二十八事件二百名を検挙しておるところでございます。警察といたしましては、いろいろと苦情等も増加しておったということで、これらの事犯につきまして重点的な取り締まりを現在まで行っているところであります。
 しかしながら、電話勧誘によります資格商法に係る事犯につきましては、問題点といたしまして、電話を利用しまして被害者と直接面接をしないままで勧誘する手口である。また、これに加えて、この事犯につきましては、詐欺とかあるいは恐喝等の刑法の規定を適用せざるを得ないという問題点がございます。
 それからもう一つ、いわゆるマルチ、連鎖販売取引に係る事犯でございますけれども、これにつきましては、実際に勧誘行為を行っている者、これと、上の方におります統括者あるいは勧誘者、これとの関係の結びつき、その他連鎖販売業全体の組織の全容を解明する必要があるということ、こういうことなどから、非常に捜査が長期化あるいは極めて難しくなっておるということでございます。
 こういう問題点につきましては、最前から通産省さん等にも申し上げてまいったところでありますし、この改正によって少しでも捜査がやりやすくなればというふうに考えておるところでございます。
 以上です。
○小池委員 大分希望的観測で最後締めくくられたようでございますけれども、実際にこの禁止、今回罰則も強化された面がございます。第十二条、そして第十四条違反に対し懲役期間が延び、罰金額がふえたりというようなことで、精神的な抑止力にはこれはまあつながるであろうというふうには思うわけでございますが、今いみじくも御指摘ありましたように、なかなかこれが立件が難しいという点が一番の問題ではなかろうかと思うわけでございますね。
 その辺のところで、現行法では、特定負担や商品ですね、特定負担や特定利益に関する事項等が書き込まれてきたわけでございますけれども、また、そのほか「連鎖販売業に関する事項であって、連鎖販売取引の相手方の判断に影響を及ぼすこととなる重要なもの」というふうにございます。
 なかなかこの辺の立件が難しいのかもしれませんけれども、今申し上げた点につきまして、これは一体具体的にはどのようなことを想定しているのか、お答えいただけますでしょうか。法第十二条の「禁止行為」の中でございます。
○大宮政府委員 ただいま御質問のございましたのは、法第十二条の「禁止行為」、連鎖販売行為に関する禁止行為でございますけれども、これは実は、まさに先生のおっしゃっておられますように、現在の法律の中で禁止行為の中身は必ずしも明確ではないじゃないかという御指摘もございまして、これは産業構造審議会消費経済部会でも議論をいたしまして、改正法、御承知と思いますけれども、具体的にその禁止行為の中身を今回の法律改正で明確にしたということが、一つの法律改正の具体的な内容になっております。
 その具体的な中身は、例えば商品の種類及びその性能もしくは品質または施設を利用しもしくは役務提供を受ける権利及び役務の種類、その内容に関する事項、それから先ほどお話ありました特定負担に関する事項、それから、契約の解除に関する事項、特定利益に関する事項というようなこと、こういったものについての不実の告知を、あるいは故意に事実を告げないといったようなことをした場合には、ちゃんと罰則がかかりますよというようなことを規定したわけでございます。
 具体的には、先ほどちょっと話ありましたけれども、必ずもうかるとか、一定の期間で一千万もうかりますよとか言えば、これは当然、特定利益に関するいわゆるうそをついたといいますか、不実の告知をしたということになるわけでございますから、当然規制がかかってくる、罰則がかかってくる、こういうことになります。
○小池委員 実は、消費者側の方から見まして、一番最後におっしゃった部分が最も重要なことではないかというふうに思うわけですね。この人をだましてやろうという人が、これはマルチですよということを堂々と最初から名乗ってくれればそれは問題ないといいますか、あとは判断をすべきことでございますけれども、しかしながら、もしそれを聞いていたら組織に入会しなかったであろうというようなこと、まさにその一番最後に述べられた点にかかってくるわけでございます。
 それで、消費者側とすれば、これが一体どういうものなのか。まず第一に、この組織はマルチ商法をやってます、もうかるのは組織加盟者のごくごく一部で、その率は二、三%以下であります、ピラミッド型になった組織はどういうクラスの地位があって、それぞれ何人がいてどうのこうのなんということはなかなか言わないのがマルチ商法なのかもしれませんけれども、私は、そのマルチ商法という、商法などという言葉がついているがために、これは犯罪であるということの認識が薄くなってしまうのではないかと思うのですね。ですから、むしろマルチ商法などときれいな言葉で言うよりも、または英語をそのまま訳すよりも、これはマルチ犯罪であるというようなとらえ方をすべきではないかというふうに思います。
 そこで、私は主張させていただきたいのは、これは行き過ぎだというふうにおっしゃるかもしれませんが、マルチ商法で現実にはほとんどの方が泣く羽目になってしまう場合が多いわけでございますから、マルチ商法についての書面の交付といいましょうか、法第十四条の部分に危険の明示ということをはっきりさせるべきではないか。むしろ、これは危険ですよということも明示させるべきではないかというふうに思います。
 そんなむちゃなというふうに思われるかもしれませんけれども、業者の中には、一つだけですけれども、これはこういう危険がありますということをはっきりと明示している業者も実際にはあるわけなんですね。例えば、これは例が違うかもしれませんけれども、たばこでございますが、たばこの箱の横に「あなたの健康を損なうおそれがありますので吸いすぎに注意しましょう」とわざわざ書いてあるわけですね。
 ですから、このマルチ商法ということにつきましては、またその間隙を縫っていろいろな方法をやってくるかもしれませんけれども、やはりここはせっかくの法改正でありますから、また、先ほど申し上げましたように、天谷審議官がこれは実質的に禁止すると言いながら、結果的にはむしろマルチの問題がふえてしまったというようなこともあります。ですから、ここはむしろはっきりと明記させるということを義務づけるという考え方はいかがでしょうか。
○大宮政府委員 まず、マルチ商法という定義でございますれども、これは先ほども申し上げましたけれども、業種、業態、さまざまでございまして、それから、天谷審議官の答弁でも述べておりますけれども、悪いマルチ、悪質なマルチ、よいマルチ、灰色のマルチということで、まず言葉の使い方が非常に難しいわけでございます。我々としては、いわゆるマルチ商法というのは連鎖販売取引というふうに法律的には定義づけておるわけでございます。
 まあ、そういうものに当たる、だろうというふうに考えておりますけれども、それでは、今おっしゃったように、書面の中にそういう危険なものですよとか、あるいはマルチ商法ですよという警告的なものを書かせたらどうかという御指摘でございますけれども、私どもといたしましては、連鎖販売取引そのものが基本的に危険であるというのは、これはちょっと行き過ぎでございまして、むしろ先ほど申し上げました広い範囲で網をかけまして、その中で不実の告知とか、あるいは事実の不告知とか、あるいは威迫困惑といったような行為を行った場合にこれを規制していく。こういったことを規制するために、例えばちゃんと書面を交付して、先ほど申し上げましたように特定負担とかあるいは特定利益といったようなこと、あるいは取引の商品の内容、そういったものをきちっと消費者に知らせなさいよということを法律でルールとして義務づけているというわけでございます。
 したがいまして、おっしゃいましたように例えば警告ということであれば、これはむしろ私どもとしては、そこまで書いて、それを罰則まで、いろいろな営業停止とかあるいは指示行為の対象にするというのは法律の規制としてはいかがなものかな。むしろそれについては事業者団体が自主的にやるというケースはあると考えられると思いますけれども、法律でそこまで踏み込むのはどうかなというのが私どもの考え方でございます。
 それから、先ほど私ちょっと申し上げました中で若干修正をさせていただきたいのでございますけれども、必ずもうかるよというようなことを言った場合、これは直ちに直罰ということじゃございませんで、この法律では第十五条の「指示」というのがございまして、この「指示」の第一項の第二号に「利益を生ずることが確実であると誤解させるべき断定的判断を提供してその連鎖販売業に係る連鎖販売取引についての契約の締結について勧誘をすること。」ということで、この規定に反しておりまして、これに該当する場合には、まず指示行為があって、その指示行為を受けた上で罰則がかかる、こういう仕組みになっておりますので、直罰ではないことについてだけちょっと訂正をさせていただきます。
○小池委員 その罰則面の方でもう少し伺いたいのでございますけれども、今回強化されました第十四条違反の場合ですと、五十万円以下の罰金から六カ月以下の懲役刑が追加ということで、これは一つの抑止力になるかとは思います。
 しかしながら、実際に、マルチの商法で一もうけしてやろう、後の下位の加盟者たちはどうなってもいいというような、もともとそういうことをたくらんでいるような業者、例えて言うならば、九四年一月に警視庁が摘発しましたサンフラワー事件でございますけれども、これは一第十二条の禁止行為違反、そして十四条の違反容疑ということで幹部二十名が逮捕された事件でございます。送検もされましたけれども、結局東京地検の方は、第十二条違反では起訴しなかった、十四条違反のみの略式起訴で済ませてしまっているわけでございます。なかなか立件が難しい等々の問題がございますでしょうけれども、結局、会社そして幹部二十名の罰金総額わずか八百七十万円でございます。この幹部の中には、一人一億円、中には三億円ももうけたという人がいまして、それが、二十名で合わせてわずか八百七十万円で済ませてしまった。これだったら、結局やり得というようなことになってしまう。
 それと、もう一つこの問題点は、悪質なマルチ商法をやった人たち、幹部はまた繰り返しているのですね。ですから、その面で、非常に罰則罰則と言うけれども、立件の問題点、実際どうなのでしょうか。法務省の方にむしろ伺った方がいいかもしれません。これまで警察庁から送られてくるのが、第十二条、第十四条、どちらだったのでしょうか、これまでの多くの件。法務省の方、いらっしゃいますか。
○麻生説明員 訪問販売法につきましては、第二十二条から第二十四条までに刑事罰則の規定がございます。あいにく、検察庁の方におきましては、違反態様別の統計がございません。したがいまして、そのような観点からどうなっているかということについては、今お答えできない状況でございます。
○小池委員 私、ちょっと日本語がよくわからなかったのですけれども、これまで警察の検挙数というのは、先ほども警察庁の方が述べられました数字、それから、平成二年度が三件、三年度が四件、そして四、五、六、七と、七年度はちょっとわかりませんけれども、五年、六年で八件、八件というふうに検挙はされているわけなのですけれども、これを検察に送る場合は、第十二条で送っておられるのではないでしょうか、警察庁の方。
○園田説明員 お答え申し上げます。
 今の御質問の件でございますけれども、これまで、五年、六年で申し上げますと、二十四事件を検挙しているわけでありますけれども、このうち、十二条、十四条、いわゆる禁止行為と書面不交付事犯、これが認められたのが八事件ございます。それから、書面不交付事犯のみというのが十五事件あるわけでございますけれども、これについては、それぞれ違反について捜査して送致しておるというように考えております。
○小池委員 今言われた数字で送っておられるわけですけれども、法務省側の方では、検察の方ではその数字がないというのは、一体どういうことなのでしょうか。
○麻生説明員 先ほども申し上げましたように、検察庁の統計と申しますのは、訪問販売法違反という大まかなくくりの統計がございます。警察庁の方から御答弁になりましたように、十二条の違反とか十四条の違反というような統計がないことをまず御理解いただきたいわけでございます。
 訪問販売法違反という大まかなくくりでの統計はあるわけでございますので、それについて申し上げますと、平成四年から六年までの三年間の統計をいたしてきております。まず、通常受理人員でございますが、平成四年が百九十六人、平成五年が百九十四人、平成六年が二百三人となっております。それから、処理の状況でございますけれども、平成四年が、公判請求が十四人、略式請求が八十三人、不起訴が六十人、平成五年が、略式請求が百二十三人、不起訴が九十一人、平成六年が、公判請求が三人、略式請求が百三十九人、不起訴が六十七人となっております。
 冒頭申しましたように、違反態様別の統計が私どもございませんので、今警察庁の方から御答弁になった、十二条なり十四条の違反についてはどういう処理がなされているかということは、私どもでは承知していないということでございます。
○小池委員 統計がないというお返事でしたけれども、今警察庁の方がおっしゃったのは、平成五年、六年で件数として二十四件だということでございました。たった二十四件のことでございます。調書があるはずです。ですから、第十二条なのか第十四条なのか、そういったことはやはりきっちりと明記されているのは当たり前ではないかと思うわけでございますので、これをお調べの上、資料として後ほど提出していただくことをお願いしてよろしいでしょうか。
○麻生説明員 警察庁の方から具体的にどのような事件でいつ送致になったものかということがわかれば、調査することは可能でございます。
○小池委員 それでは、警察庁の方のお答えを聞かせてください。
○園田説明員 お答え申し上げます。
 それでは、これにつきましては、法務省の方とそれぞれの事件についてお話ししたいというふうに考えております。
○小池委員 第十四条ではございませんが、書面でお答えいただきたいと思います。
 この件、今最後の方でいろいろとお聞きいたしましたのは、今回はこのようにして訪問販売法の罰則の強化、そして被害者が広がらないようにといろいろな面が出ているわけでございますけれども、やはり罰則を幾ら強化してもなかなか立件ができない、そして起訴できない。結局略式起訴で、もうけた人はそれでよしというふうなことになってしまうと困るわけでございます。ですから、罰則の面についてもう少し考える必要があるのではないかということは、ぜひとも指摘しておきたいと思います。
 それから、予算措置として一億二千五百万、テレビコマーシャル、それからパンフレット等をつくるということでございますけれども、これはマルチ商法等、それから電話の方もそうでございますけれども、大体、ひっかかるのは若年層が多いという、これこそ統計に出ているわけでございますよね。ということは、いつも新しい若年層がこういう犠牲といいましょうか、その対象になってしまいがちである。であるならば、子供たちというのは常に悪質なマルチなどにひっかかる予備軍としているわけであって、一過性のテレビコマーシャルであるとか。パンフレットだけというよりは、私はむしろ小学校ぐらいからずっとそういう消費者教育をすべきではないかというふうに思っております。
 文部省の方から提出していただきました中学校、高校のそれぞれの教科書を見せていただきました。確かに、中学校の、こちらの公民的分野、教育出版から出ている分でございますが、これについては見開きで四ページ、なかなかわかりやすくはできております。それから、高等学校公民の東京書籍の分では見開きで二ページということでございますけれども、私は、これは単に試験のときのマークシートにどういうふうにつけるかというような教育ではなくて、実際に模擬的なドラマをやってみるとか、それからビジュアルに訴えるビデオを制作するとか、そういった形で、次なる予備軍である危険性をはらむそういう子供たちに対しての消費者教育ということを徹底されたらどうかというふうに思います。
 ちなみに、アメリカの場合でございますけれども、クレジット教育関連の授業などとして、消費者経済、アダルトリビングという言葉で言うそうでございますけれども、こういったことを必須科目の中にも加えている高校、これは州単位でそれぞれ教育の制度が違いますので、それぞれの高校によって異なるシステムをとっておりますけれども、小学校から株の売買というものはどういうものであるか、それから例えば政治の分野では、模擬的な大統領選のディベートを小学校のころからやるとか、非常にそういった消費者教育というもの、社会人教育というものが小学校、中学校、高校等を通じまして一貫してずっと行われているわけでございます。
 最後に、中学校の教科書でございますけれども、教育出版の中にきっちりとこういうふうに書いてあります。「アメリカのケネディ大統領は、議会において、消費者の権利として、「安全を求める権利」「知らされる権利」「選ぶ権利」「意見を聞いてもらう権利」を尊重すべきことをうったえた。」というようなこともきっちりと教科書には書いてあるわけでございますけれども、しかしながら、それをもっと徹底した教育を、もっともっと小さな子供のころから、小学校のころからやるべきではないかというふうに思います。さもなければ、いつも売り手側の方は巧妙化する一方でございますし、新しいツールも使うでしょう。ということで、イタチごっこになってしまう。その問題点の本質というのをまさに子供の新鮮な感覚に訴えるような教育を、科目としてではなくて人間教育としてぜひともやっていただきたいと思いますが、最後に文部省からその点についての御所見を伺って、終わりたいと思います。
○加茂川説明員 消費者教育についてのお尋ねでございます。消費者として、例えば契約などについての知識を深め、主体的に判断して行動できる自立した当事者となることができる、そういった教育が求められているという御指摘でございまして、私ども、これは学校教育における重要な課題の一つと受けとめておるところでございます。
 先生のお話にございましたように、既に中学校、高等学校では学習指導要領上で教育内容として位置づけられておりますし、適切に教科書にも反映されておるところでございます。特に、若い段階、小さい段階からの消費者教育につきましても、現行の学習指導要領によりますと、小学校の既に第三学年で、消費生活の特色の理解、消費者の立場からの考え方ということを教育内容として位置づけておりますし、小学校六年の家庭科でも、「物の選び方や買い方を考えて、適切に購入することができること。」といったことが指導内容として位置づけられておりまして、小学校の段階から、また中高を見据えて消費者教育が進められておるところでございます。ますますこういった教育内容を充実してまいりたいと考えております。
○小池委員 ということでございますけれども、私は、要は先生、教師の側の教育ということをまずやらないと、教え子にとって説得力を持たないのではないか。マルチ商法等々にひっかかる中には先生方もかなりおられるというふうに聞いております。ぜひともその辺なども徹底していただきたいということを申し述べさせていただきまして、私の質問を終わります。
○甘利委員長 次に、山名靖英君。
○山名委員 新進党の山名靖英でございます。
 私もきょうが商工委員会での初質問でございます。ふなれでございますが、どうぞよろしくお願いをしたいと思います。
 さて、今回の法改正の問題についてでございますが、これは昭和五十一年に訪問販売法が成立をいたしまして三回目の法改正になるわけでございまして、前回の改正からはおおよそ七年がたったわけでございます。そもそもこの訪問販売法は、民法の特例法、特別法という位置づけでもございますし、訪問販売を通じての消費者の被害というものを防止するため、消費者保護の観点から消費者に特別の権利を付与した法律でございます。
 前回の改正から今日まで七年余り、当然いろいろな形で流通革命が起こり、また商慣行の大きな変化というのも当然あるわけでございますが、まず最初に、今回の改正に至った社会的情勢の変化といいますか、どのような認識の上に立って今回の改正に至ったのか。産構審の答申を受けての改正でもありますけれども、従来の法律から今日のそういう変化の中で、現行法でやる取り締まりといいますか、消費者保護というものができ得なかった法的限界はどこにあったのか等々含めて、またこれからのそういった意味での消費者保護の観点から、この問題についてはまず大臣にお伺いしたいと思います。
○塚原国務大臣 長引く景気低迷、それから厳しい就職事情、終身雇用に対する先行きの不透明化、先ほどちょっとお答えさせていただきましたが、そういうことを背景に、若年層に資格に対する関心が高まっている。また、これらの者の多くが社会的に経験の浅い若年層であることもございまして、悪質業者が強引な電話勧誘によって契約を迫ることにより、資格講座を中心とした電話勧誘販売に係るトラブルが急増しているというような実態の認識をいたしております。
 電話勧誘販売は、通信販売の一類型としてこれまでも広告規制等が課せられていたものの、これのみでは電話勧誘販売の悪質行為に対する規制としては不十分であり、事業者からの電話による巧妙かつ執拗なアプローチに対応するため、今回の改正において訪問販売と同様の消費者保護ルールを規定することというふうにいたしました。
○山名委員 社会的情勢の変化という観点につきましては、当然いわゆる流通の変革といいますか、こういうさま変わりが今日あるわけでございますが、消費者の立場から考えますと、やはり意識も大きく変化をしてきていると私は思います。
 最近、百貨店へ行って物を買うという、景気の低迷そのものも当然原因はあるわけでございますが、百貨店の売り上げが落ち込み、また新商品が余り出ないということもあるわけでございますが、消費者ニーズに合わないという面も含めて、百貨店へ行って、あるいはスーパーへ行って物を買うという志向がかなり減少してきている、こういう傾向にもあるわけです。その点、いわゆる訪問販売、通信販売というのは、家庭にいながらある面で商品が選択できる、そういう意味で消費者にとっては都合がいい販売形態かもわかりません。しかし、そういう中で、我が国におけるこういった訪問販売の形態というものが、諸外国と比べてその対応というものがまだまだふなれである、不十分な面も私は否めないのじゃないかと認識をしておるところでございます。
 ところで、今回の法改正はいわば新たな規制をつくるわけでございますが、今規制緩和が叫ばれ、その流れが大きく進行している中で、こういった規制を新たにかぶせることはある面での時代逆行ではないか、こういう声も一部あるわけでございますが、その辺の規制緩和の流れに対する今回の法改正の認識、この辺についてお伺いしたいと思います。
○大宮政府委員 ただいま山名委員からの御指摘でございますけれどもまさに現在、政府でも規制緩和問題に取り組んでおるわけでございまして、この法律を改正する過程におきましても、今御指摘のあったような御質問がございました。
 それで、私どもは、最初に申し上げましたけれども、この法律の改正あるいは厳格な運用といったことだけではなくて、一方で、消費者のいわゆる自己責任の問題、そのためにはいろいろな情報開示をやらなければいけないわけでございますけれども、そういった情報開示とあわせた消費者の自己責任の問題、それから、それぞれの事業者が自主規制によっていろいろな社会的な責任を果たしていくというような問題この三つ、がうまく一体となって消費者行政というものを進めていく必要があるということでございます。
 ただ、いわゆる消費者が適切な判断、評価を行うに当たりまして、例えば商品等の正確かつ十分な情報が提供されているかどうか、それから、契約締結に際して冷静な判断ができるような環境が整っているかどうかというような問題がございますし、これは要するに、プロである事業者といわゆる素人である消費者との間には、相当いろいろな意味で、そういう仕事、商売のやり方、情報等にギャップがあるわけでございます。この訪問販売法は、こういった消費者が適正に情報を入手、例えばこれは書面の交付とかそういったことでございますけれども、情報を入手できるとか、あるいはプロである事業者が悪質な行為をしないということを最小限ルールを規定した、そういう法律体系でございます。
 したがいまして、例えばよく言われることでございますが、訪問販売法というのは、例えば事業者を全部登録制にしたらどうかとかあるいは許可制にしたらどうかという議論も、実は法律の制定あるいは改正過程でございましたけれども、あくまでもこれは、参入は、皆さんルールさえ守ればみんな自由に事業ができる、こういう法律体系になっておりまして、そういった考え方に基づいて、今回の電話勧誘販売の創設あるいは連鎖販売取引の規制の強化ということを行った次第でございます。
○山名委員 ところで、この法改正に至る過程の中で、先ほども出ておりましたが、平成五年、六年、この二年かけて、警察では一斉摘発をされたようでございます。その摘発の状況、事犯ごとの内容についてお教えをいただきたい。特にその中で、法改正に至るだけの根拠ともいうべき事犯があったのかどうか、お聞かせをいただきたいと思います。
○園田説明員 お答え申し上げます。
 電話勧誘販売についての摘発状況でございますけれども、電話勧誘による資格商法につきましては、平成五年以降、八事件五十五名を検挙しておるところでございます。
 御質問の法改正のきっかけ、悪質な事例ということでございますが、事件すべて悪質な事件でございますけれども、この中で特に被害規模の一番大きかった事件、これを申し上げます。
 これは、中小企業経営者等を対象にいたしまして、企業内務診断士という、これは架空の資格でございますけれども、この資格を使いまして、将来これが国家資格になる予定もございませんのに、中小企業経営者等に対しまして、近くこの企業内務診断上が国家資格となる、今回に限り、講習を受講すれば簡単に資格が取れて、月々二十万円の副収入が得られるというような、こういう偽りの文言を使いまして講習の受講を勧誘した。これによって、約二千人の被害者から、この講習受講料の名下に約七億四千万円をだまし取っていた。これを詐欺事件で検挙いたしております。この事件につきましては、五人を逮捕いたしますとともに、十九人を検挙いたしておるという事件がございます。
○山名委員 それでは、もう少し具体的な問題について、何点かお伺いしたいと思います。
 まず、クーリングオフの問題でございますが、特に電話勧誘販売につきましては八日ということでございます。
 これは、どの時点から八日というものを積算するのかということでございますが、書面を受け取って、それを受け取った時点なのか、それを記入して送った時点なのか。最近は、大変ダイレクトメール等がはんらんしておりまして、いろいろなところがらいろいろな書類が来るわけでございまして、我々もそういう点では見過ごすケースが極めて多いわけでございますし、そういう点で、どの時点を基準にしてこの八日というものを積算するのか、お教えをいただきたいと思います。
○大宮政府委員 ただいまの御質問にございましたクーリングオフの起算日の問題でございますけれども、これは訪問販売法では、電話勧誘販売に限らず訪問販売等につきましても、消費者が書面を受領した日というものを起算日にしております。
 この起算日について、もう少し別の、例えば商品が届いたときからにしたらどうかとか、いろいろな御意見があるわけでございますけれども、実はこれは、まず事業者の立場から見ますと、実際に書面を送った、しかし、いつまでたっても、例えば消費者も、多くは気がつかなくてそれを持っておった場合に、実際にはキャンセルする意思がなくてむしろ買いたいと思っているケースも非常に多いわけでございますが、その場合に、事業者の立場から見ましても、品物を送っていいのかどうかわからない、非常に取引上不安定な状態に置かれます。
 また、消費者の立場から見ました場合にも、例えば商品を電話で売った、買ったというのはしょっちゅう行われているわけでございまして、そのときに、電話で確かに注文したにもかかわらず、実際に物が届くのはそのクーリングオフをきちっと確認してからでなければならないということになりますと、今度は消費者の側も、電話で契約が成立したと思っている消費者にとっても非常に不利になる。
 こういうことでございまして、そもそもこのクーリングオフ制度というのは、要するに、購入意思、物を買うという意思を形成する過程におきまして非常に不安定な状況にあった、あるいは意思形成に瑕疵があった、これを治癒するために、民法の特例としていわゆる契約の申し込みの撤回とかあるいは解除を認めよう、こういう特例制度でございまして、私どもとしては、書面を受領した日から八日間という現行の制度は適切なもの、こういうふうに考えております。
○山名委員 それに関連しまして、いわゆる連鎖販売取引については、今回、十四日から二十日に延長をされたわけでございます。従来、クーリングオフで十四日間というふうに規定されておったのが二十日に延長された、その辺の理由についてお教えをいただきたい。十四日という期間の中でそれなりの問題が発生したがゆえに二十日ということにしたのか、その辺はいかがでしょうか。
○大宮政府委員 連鎖販売取引におけるクーリングオブの日数でございますけれども、実は私ども、一般消費者等からの相談の実態を見ますと、契約締結後十四日以降に相談が寄せられるケースが非常に増加しておりまして、このため、先ほどもありました産業構造審議会の消費経済部会において、クーリングオフの延長が強く要望されたところでございます。
 その際、クーリングオフの延長と、それから先ほど申し上げました、いつまでも延ばしますと、今度は事業者の方で、いつ物を渡していいかどうか、契約が成立したのかどうかわからない非常に不安定な状況にございます。そういった取引の安定といったものは、お互いに相反するわけでございまして、こういった両者のバランスをとりながら適切なクーリングオフの期間の設定を図るべきであるというふうに指摘をされまして、具体的には二十日間というふうに延長したわけでございます。
 これは二つ理由がございまして、一つは、二十日間程度であれば取引関係が、これはマルチの場合、連鎖販売取引の場合に、親から子、子から孫というふうに広がっていきますので、取引関係が親子以上に拡大し、クーリングオフを行使した際に法律関係が非常に複雑になる可能性が二十日以上だとあるということで、二十日以内にしよう。それから、海外の事例でも韓国の二十日間が最長であるというようなことがございまして、今回の改正ではクーリングオフの期間を延長しまして、より多くの被害者が救済されることを我々期待するものでございます。
○山名委員 ところで、先ほども出ておりましたけれども、いわゆる指定商品の問題でございます。
 電話勧誘販売につきましても、訪問販売と同じく指定商品制というものを今回とっているわけでございますが、実際、そこに指定された五十三品目の中に含まれない商品、あるいは宅地建物取引等、こういった新たなトラブルというのが今発生しているやに聞いております。
 そこで、こういった新商品に対する対策を今後どうするのか。五十三品目という極めて細かい指定をしておるわけでございますが、新手商品に対する対策ということについてはどのように考えているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○大宮政府委員 訪問販売法に指定をされております指定商品以外の商品等で苦情相談件数が多いものは、マンションなどの宅地建物取引と商品取引でございます。これらにつきましては、それぞれの業法が存在しておりまして、その業法における事業全体の適正化とのバランスを踏まえて、電詰勧誘についても規制が行われることが適当であろうかと考えております。
 具体的には、宅地建物、マンション等につきましては、宅建業法において本年の四月一日より建設省令を改正いたしまして、電話による長時間の勧誘、その他相手方を困惑させる方法による勧誘が禁止されたところでございます。また、商品先物取引につきまして、これは私ども通産省商務流通部局で担当しておりますけれども、商品取引所法、海外先物取引所法にかかわる省令の改正によりまして、同じくことしの四月一日より、契約締結拒否者に対する再勧誘、電話において迷惑を覚えさせるような時間帯に行う勧誘等が禁止されているところでございます。
 これ以外のものにつきましては、基本的に規制を講じなければならないほどの被害実態はないものと承知しておりますけれども、今後、被害実態が生じた場合には、必要に応じて関係行政機関とも連携を密にしながら適切な対応を図ってまいりたい、こういうふうに考えております。
○山名委員 今後の状況を見ながら適切に対処したいということでございますが、この問題については、やはりネガリスト方式の方がいいのではないかというふうに私は思っております。先ほども小池委員の方から御意見がございましたけれども、これは本当に、これからの産業の新しい進展、ベンチャービジネス等のそういったいろいろな進展の中で、新商品というものは当然出てくる。イタチごっこのような形でそのたびごとに対応するということではなくて、初めからネガティブリスト方式という形をとって、全商品を指定し、その中で特別なものだけ除外するという方式の方が、一々法改正の必要もないし、そういう点での対応としてはより有効ではないかというふうに思う次第でございまして、そのネガリスト方式も含めて今後ぜひ御検討いただきたい、そのように要望をしておきます。
 ところで、近年、技術開発等が大変進みまして、電話もいわゆる人工音声だとかあるいは録音音声、こういう電話によって、特に携帯電話を活用した、移動電話といいますか、その移動電話での勧誘、そういう手段もかなり出ておるようでございます。
 今回の改正の中で、電話を用いた電話勧誘対策、こういう新たな技術開発に基づく事犯についてはどのように対応されていくのか。いかがでしょうか。
○大宮政府委員 今般規制対象となります電話勧誘販売につきましては、電話とは必ずしも肉声のものだけではございませんで、人工音声とか録音音声による電話も対象としているところでございます。また、お話ありました携帯電話等の移動電話につきましても、事業所等に備えつけられている電話と同様に規制対象としているところであり、書面交付義務あるいはクーリングオフの規定の適用がございます。
 改正法の成立後は、これらの機器の開発普及によって安易に電話勧誘販売が行われ、消費者被害が増大することのないよう、法律の厳格な運用に努めてまいりたい、こういうふうに考えております。
○山名委員 特にパソコン通信、これはパソコン通信を使っての取引というのが大変話題にもなっておるわけでございますが、今後ますますこのパソコン通信という市場は拡大をしていくと思われますけれども、これに対する規制はどのようにお考えでしょうか。
○大宮政府委員 お答えいたします。
 御指摘のありましたパソコンあるいはファクス等もそうでございますけれども、こういったパソコン、ファクス等の手段を用いた取引につきましては、既に訪問販売法上、通信販売として広告規制が行われていたところでございます。
 現在の規制に加えまして新たな規制が必要であるか否かにつきましては、これらのパソコン等を用いた取引の実態を踏まえて検討することが必要であると考えておりますけれども、現在までのところ、ファクス、パソコン等による販売の勧誘は、電話による勧誘販売のように、消費者がそれによって物を買うという自分の意思形成に影響を受けるというようなことがないのではないか、それから、契約意思が不安定なまま取引を行ってしまうというような実態にはないのではないか、こういうふうに判断しております。また、消費者からの苦情相談も非常に僅少であることから、電話勧誘販売と同様の規制は必要がない、こういうふうに判断しているところでございます。
 実は、この点につきましては、産業構造審議会でも議論になりまして、今申し上げたこととダブりますけれども、一つは、大きな消費者被害が発生していないということと、第二番目には、電話による勧誘における場合のように、消費者がそれによって物を買うという意思形成に影響を受け、契約意思が不安定なまま取引を行ってしまうという実態がない。こういうことから、現時点においては現行法以上の規制を行う必要はない、こういう判断がなされたところでございます。
 ただ、先生御指摘のように、世の中はどんどん変わっておりまして、産業構造審議会からも、消費者保護の観点から、注意深くこういったファクスなりパソコン等における取引の動向を見守っていく必要があるというふうに指摘を受けておりまして、今後こういったものの取引実態、被害実態等を踏まえて、必要に応じて適切に対応してまいりたい、こういうふうに考えております。
○山名委員 ところで、郵政省の電気通信利用の適正化に関する法制度研究会、こういう研究会がございまして、そこでの報告がまとまりました。いわゆる規制の対象となる商品、サービスを定めないで、いわゆる電話勧誘全体を規制対象とするとか、あるいは、さっきもありましたファクスやパソコン、これも規制の対象とする、あるいはNTTなど第一種電気通信事業者に対して、迷惑電話をつながないとか、あるいは発信番号を通知するとか、こういったことでの訪問販売トラブルに対する規制というものを提言をされておるようでございます。
 当然、通産省としても、郵政省の電気通信法制度研究会との連係プレーといいますか、そういったものも加味しながら今回の法改正に至ったかとは思いますが、その辺の整合性の問題そして、この研究会がこのような提言をしていることに対して、それぞれどのように生かされておるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○大宮政府委員 ただいま先生からも御指摘がございましたように、郵政省においても、電気通信利用の適正化に関する法制度研究会という研究会でいろいろ勉強をしておられるようでございます。したがいまして、私ども訪問販売法改正法案につきましては、政府部内で郵政省と十分に議論をいたしまして、調整をした上で閣議決定を行い、国会に提出させていただいているところでございます。また、その過程におきまして、本法の改正の趣旨につきましては、郵政省にも十分に御理解をいただいているものと考えております。
 ただ、郵政省の具体的な中身については、まだ私ども具体的に承知しておりません。今後、郵政省さんもいろいろなことを御検討だと思いますけれども、そういったものが出た段階で政府の中でいろいろと議論をしていきたい、こういうふうに考えております。
○山名委員 今回の法改正に伴って、当然各業界団体の側も、やはり消費者に迷惑をかけない、そういうトラブルを発生させない、そしてよりよいみずからの業界の発展のために、自主規制あるいは協会内の倫理綱領をつくってそれなりの努力をしておるようでございます。
 当然、いろいろなトラブルに対する業界側の自主規制というものは今後とも続けていかなければならないと思いますが、問題は、協会等に加入をしていない、いわばアウトサイダー的な、そういう事業者が極めて多いということ。そういうアウトサイダー事業者に対しては、その辺の効力がなかなか発揮しづらいわけでございます。そういう点で、行政指導という中でこのアウトサイダーについてどのような取り組みを考えているのか、されておるのか、その辺についてお聞かせをいただきたい。
 それとともに、電話をかけてくる名簿というのは、今市販をされているんですね。いとも簡単にいろいろな名簿が手に入る、好きな名簿が手に入るということのようでございますが、そういう意味での顧客名簿管理というのは、やはりこれから個人のプライバシーの問題も含めて極めて重要な課題ではないかと私は思います。そういう意味では、入手あるいは使用に係る基準というもの、こういったものもやはり一方で考えていかなければならない、こういうふうに思っております。
 業界の、いわゆる自主的努力、自主規制はどのように進めているのか。それから、その手から漏れてしまうアウトサイダーについてはどのように対応するのか。そして、顧客名簿等の入手、使用基準についてはどのように考えているのか、あわせてお伺いいたします。
○大宮政府委員 今先生から御指摘の業界の自主規制といいますか自主基準、これは法律の規制あるいは消費者啓蒙とあわせて非常に大事な点であると私ども考えておりますし、そういった立場から所要の指導を行ってまいっております。
 例えば電話勧誘販売を行う企業、販売業者についてでございますけれども、これは例えば日本テレマーケティング協会というのがございまして、そこで「テレマーケティング倫理ガイドライン」あるいは「テレマーケティング業務に関する実施基準」というようなものをつくっておりますし、また「個人情報保護ガイドライン」といったことで、妥当な時間における電話勧誘とかプライバシー及び個人情報の保護といったようなことを自主基準で定めておるわけでございます。
 それから通信販売関係でも、日本通信販売協会におきましても、同じように、消費者利益の保護と通信販売の健全な発展ということを目的といたしまして、「通信販売倫理綱領」「通信販売倫理綱領実施基準」「個人情報保護ガイドライン」といったような自主基準を定めているところでございます。
 それから、御指摘のありましたアウトサイダー対策でございますが、これはなかなか難しい点もあるわけでございますけれども、例えば日本通信販売協会でございますが、毎年全国の九地区におきまして、訪問販売法を周知し取引の適正化を図るために、アウトサイダー説明会というものを実施しております。こうした機会を活用することにより、自主基準が広く取り入れられるよう努めているとともに、できるだけそれぞれの協会に加盟してもらうようにというような活動をしておるわけでございます。
 それから、顧客名簿の取り扱いの適正化でございますけれども、これも業界の自主的な取り組みが重要であると考えておりまして、実は平成八年度の予算におきまして、業界の自主的な取り組みを促す基盤整備として、顧客名簿の取り扱いに関する基準の作成というものについて検討するための委託費を、これは国の方で計上しております。今後、関係機関において検討のための委員会を設けまして、学識経験者、消費者等の参加を得ながら、名簿の入手、保管等に関するルールづくりについて検討を進めたい、こういうふうに考えております。
○山名委員 ぜひとも今後とも、各業界団体がそういう自主的努力をさらに進められるよう、そしてまた、そういう法の網から漏れてしまうアウトサイダーに対する対策をしっかり講じていただきたいと思います。
 ところで、法改正を行っただけでは必ずしも消費者保護には十分ではないわけでございます。それとともに、やはり体制の整備というのは私は大事な観点だと思います。実際、今回の法改正によって、極めて細部にわたるチェックといいますか、今回はいわゆる統括者のみならず、この連鎖販売取引については、いわゆる事業者として一主婦までがそれに加わっているわけですから、それが今回その責任の規制の範囲に入ってしまう。そういうことを一々、どこまでが法に抵触するのかということも含めてチェックをしなければならない。そういう意味でも、やはり十分な体制というものは必要ではないかと思います。特に、今後の課題としては、迅速な対応、苦情の処理、こういう行政措置というもの、これが必要でありますし、厳格な法運用というものも必要でございます。
 通産省として、今後のそういった消費者保護の観点に立って、そういう処理に対する体制をどのように整えようと考えているのか、お伺いをいたします。
○大宮政府委員 ただいま御指摘ございましたように、訪問販売法の運用を含めまして、消費者行政の体制をしっかりつくるべきだという御指摘はそのとおりでございまして、我々もぜひ今後ともそういうふうに進めていきたいと思っております。
 御承知のように、私どもの現在の体制は、本省及び全国八カ所の通産局に消費者相談室を設置しておりまして、いろんなところがら先ほどの苦情とかクレームが来たら即座に受け付けて、これを通産省の場合ですと関係の部局につないで対応策を考えるというような整備をとってきております。それからまた、これは通産省だけじゃございませんで、企画庁の国民生活センター、それから各都道府県、これは消費生活センター、これもございますし、それから、取り締まりという観点では警察等とも十分連携をとりながら体制を整えていきたい。
 ただ、具体的に体制と申しますと、人員の増とかそれから機構の拡大というようなことにつながるケースもあるわけでございますけれども、御承知のように、政府の中では、なかなかそういった人をふやしたり組織を大きくするというのは、いろいろ必ずしも御賛同を得られない部分もございますので、我々としては、現在の組織をできるだけ効率的、機動的に使いながら、この法律の運用が的確にかつ厳格に行われるように引き続き努めていきたい、こういうふうに考えております。
○山名委員 今もお話がありましたように、通産省の体制整備とともに、やはり大事なのは具体的な地方自治体の体制だと思います。消費生活センターあるいは国民生活センター等の連携をこれから今まで以上に強めていかなければならない、こういうふうに思います。その辺は、取り締まりの当局等も含めまして、そういう体制の整備と拡充をぜひともお願いをしたいと思う次第でございます。
 私は京都なんですが、京都府の場合は、生活科学センターで「センターだより」というチラシを発行しておりまして、この中にいろんな苦情の中身だとか、あるいは気をつけてくださいよ「悪質商法の落し穴」、こういったいわゆるPRをやっております。
 消費者団体もこういったものを参考にしながら、また市民運動的に進めているわけでございますが、消費者と事業者、この間に立って、いわばパイプ役の形で存在をされている、いわゆる消費生活アドバイザーという制度がございます。これは、消費者の意見を代表する形で企業にそれを伝達する、あるいは、企業の考え方、商品やサービスについて、その改善に反映をさせていく。こういうことで、昭和五十五年にこの制度がスタートいたしまして、今日までおよそ五千五百人のアドバイザーがいらっしゃるわけでございます。
 こういった制度も、やはり今後の中で、人材として積極的に組み込んで活用すべきではないか、こういうふうに思っておりますが、その辺の御見解についてお聞かせいただきたいと思います。
○大宮政府委員 ただいま先生から御指摘いただきましたように、消費生活アドバイザーという制度がございまして、これは、消費者と企業のパイプ役として、企業等における消費者からの各種相談に応じるとともに、また、消費者の意見を企業に伝えまして、商品、サービスの改善に反映する、そういう役割を果たしておられる方々でございます。現在、消費生活アドバイザーの有資格者は正確には五千四百四十三名でございまして、多くの行政や企業の消費者相談部門、企業の調査・広報部門、商品開発・企画部門で御活躍でございます。
 通産省といたしましても、こうした消費生活アドバイザーの活躍は、企業と消費者との間のトラブル解消に大きな役割を持つものというふうに大いに期待をしておりまして、今後とも消費生活アドバイザーの最大限の活用を図ってまいりたい、こういうふうに考えております。
○山名委員 ともかく、消費者保護という観点、それとともに、この訪問販売法を含める今回の法改正の問題につきましては、新しい流通革命ともいうべき今の流れの中で、店舗を持たず、あるいはそんなに資格も要らず、そんなにまた能力も要らず新規参入が容易にできる、いわばベンチャー的な精神を持って、新たな販売形態というものが今存在しておるわけでございます。
 マルチという言葉の裏に、ネズミ講とリンクさせて悪のような印象を持たれてはいるものの、やはりそれなりに業者というものは自主努力をしておる。それを多としながら、法規制が、社会常識を持ってそういう流通形態の新たな体制の中で事業として発展をしょうとする芽を摘んではならないと思いますし、それとともに、やはり一番大事なことは、消費者がそれによってトラブルに巻き込まれて被害をこうむる、また、その被害者がまた加害者となっていくような連鎖的なものも、一方でなくしていかなければならない、こういうふうに思います。
 そういう意味では、先ほども審議官がおっしゃったように、規制というものは極力最小限にとどめて、自由選択、自由裁量の中で、消費者のいわゆる自己責任という原則を重んじていく、こういうことでありますし、そういう点では、これからの流れというものをまた見ていかなければならないと思いますが、消費者が自己責任をしっかりと持って、これから賢い消費者として正確な判断といいますか冷静な判断、これをやっていくための環境づくりというものは、私は一方では欠かせないことではないかと思います。そのためには、きちっとした情報提供をしてあげる。消費者教育といいますか、あるいは啓発、これは、学校教育のみならず社会教育上もこういう啓発はこれからの大きな課題ではないかと思います。
 そういった面で、今後のトラブル防止のためにも、消費者保護のためにも、新たな流通変革を推進するためにも、こういった啓発についてどのように考え対応されるのか、最後にお伺いをしておきたいと思います。
○大宮政府委員 ただいま山名委員から御指摘のありましたように、やはり消費者の啓発あるいは啓蒙ということが非常に大事でございまして、先ほどから何度か御説明をしておりますように、私どもいろいろな機会を通じて、業界団体あるいは地方自治体、商工会議所、それから文部省さんを通じまして学校教育、いろいろな場で消費者の啓蒙あるいはPR、法律、制度の紹介ということをやっておるわけでございます。
 今回のこの法律の改正がもし国会で御承認いただけますなら、またそういった中身を含めまして対外的にわかりやすい方法でPRしていくように大いに努力したい、こういうふうに考えてございます。
○山名委員 時間が参りました、終わります。ありがとうございました。
○甘利委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時六分散会
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