第139回国会 本会議 第7号
平成八年十二月十七日(火曜日)
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  平成八年十二月十七日
    午後一時 本会議
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○本日の会議に付した案件
 国会法の一部を改正する法律案(菅直人君外三
  名提出)、行政監視院法案(菅直人君外三名
  提出)及び総務庁設置法の一部を改正する法
  律案(菅直人君外三名提出)の趣旨説明及び
  質疑
    午後一時三分開議
○議長(伊藤宗一郎君) これより会議を開きます。
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 国会法の一部を改正する法律案(菅直人君外三名提出)、行政監視院法案(菅直人君外三名提出)及び総務庁設置法の一部を改正する法律案(菅直人君外三名提出)の趣旨説明
○議長(伊藤宗一郎君) この際、菅直人君外三名提出、国会法の一部を改正する法律案、行政監視院法案及び総務庁設置法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。提出者末松義規君。
    〔末松義規君登壇〕
○末松義規君 ただいま議題となりました国会法の一部を改正する法律案、行政監視院法案、そして総務庁設置法の一部を改正する法律案につき、提案者並びに賛同者を代表して、趣旨と内容の概要を御説明します。
 私は、初当選直後からこの二カ月間、本法案の作成に先輩議員や同僚議員とともに没頭してまいりましたが、本法案の趣旨説明をやらせていただくことを心から光栄に思います。
 私たちは、三本の法律案を提案しております。行政監視院法案と国会法の一部を改正する法律案は国会に行政監視院を設置するための権限、手続を定めるもので、この行政監視院法案と国会法の一部を改正する法律案は一体のものであります。一方、総務庁設置法の改正案は、行政監視院の設立により、所掌事務が重複する総務庁行政監察局を整理しようとするものです。
 まず、行政監視院法案から御説明します。
 明治以来、我が国は官僚主導国家と言われてきましたが、その体制はかなり制度疲労を起こし、最近の官僚の一連の不祥事に対し国民は大きな怒りを覚えております。私たちは、さまざまな行政の不祥事が再発しないよう、また、新しい時代に合った行政改革がなされていくように、行政全般に対して不断の監視を行っていく必要があります。その点で、現在の行政監視システムは十分に機能しているのかと問われれば、否と言わざるを得ません。
 例えば今回の厚生省の不祥事について述べますと、まず、厚生省内部でのチェックは全く機能しておりませんでしたし、総務庁の行政監察局が行政監察をして平成四年に勧告を出しておりますが、その勧告は厚生省によって十分には実施されてこなかったわけです。つまり、総務庁が行った行政監察は結果としては機能しなかったということでございます。行政自身による行政の監視には限界があることが明白になったわけであります。
 それでは、我が国の仕組みから考えて、行政全般に対し行政監督を行うべき権限と責任はどこが負うことになるのか、これが問題となります。
 一部の行政関係者によれば、三権分立の観点から、国民の代表者から成る国会であったとしても行政監督権はないのだとの誤った主張もありました。この点につきましては、今国会の予算委員会で、菅民主党代表の質問に対し、橋本総理が、国会は行政全般について行政監督を行う機能を有しているということを明らかにされました。すなわち、国会は、立法府としての立法権限のみならず、国会に対する内閣の連帯責任や国会による内閣の不信任決議等、行政全般に対する監督権を持っているのであります。こうした考えに基づいて、憲法は国会を国権の最高機関と規定しているのではないでしょうか。
 むしろ、今の我が国の大きな問題は、国会が行政全般を監督するのに必要なシステムあるいは体制が十分には整備されていないこと、そのことだと思います。特に、専門的で膨大な事務量があり、情報公開が十分ではない行政活動を常時監視する必要な体制が今の国会にないことを素直に認めざるを得ません。国会を構成する私たち国会議員には、行政監視を常時補佐する機関、つまり手足となってくれるものがどうしても必要であります。
 この観点に立って、私たち民主党は、米国の会計検査院を初めさまざまな関連制度に関する研究を行い、その成果を本法律案の中に取り入れてまいりました。そして、私たちは、行政監視制度の確立を図るため、ここに本法律案を提出することになったわけです。
 次に、本法律案の内容の概要を御説明します。
 第一に、この法律は、国会の附属機関として行政監視院を設置し、両議院の委員会や一定数の議員の要求に応じて監視を行い、その監視結果に基づいて、行政監視院が国会に法律の制定、改廃、予算審査に関して意見具申できるようにし、国会の立法機能向上を図ることを目的としております。この行政監視院の権限は、両議院や委員会が有している国政調査権とは別に、この法律によって付与した特別の権限であります。
 第二に、行政監視院は、監視または意見具申に必要な資料を求めることができ、国の行政機関等が資料提出を拒む場合は、議院証言法にあるような内閣声明を要求するよう各議院の議長に求めることができることとしております。
 第三に、行政監視院は、必要と認めるときは、あくまでも任意のものではありますが、立入調査や参考人の出頭を求め意見を聞くことができることとしております。
 第四に、行政監視院は、国の行政機関等の職員が立入調査や参考人の出頭を拒否した場合は、内閣に対し、当該職員の懲戒処分を要求するよう各議院の議長に求めることができることとしております。なお、この内閣声明の要求や懲戒処分の要求を求められた各議院の議長は、議院運営委員会やその理事会に諮って、その要求の要否を判断することになろうかと思います。
 第五に、行政監視院は、国の行政機関の業務に関し、幅広く国民の意見を把握することに努めることとしております。
 なお、行政監視制度の早急な必要性を考慮し、施行期日は平成九年四月一日としております。
 次に、総務庁設置法の一部を改正する法律案について御説明します。
 現在の行政監視の制度は、まず、基本的に各省庁の内部で自己チェックを行っており、各省庁の外部においては、行政の枠組みの中で、各省の内部チェックと重複する形で総務庁の行政監察局が行政を最終的に監視するという制度をとっております。つまり、この現行制度は、行政の中だけで二重に監視を行うシステムになっており、行政の外部では、何ら行政を総合的に監視するシステムをとってはおりません。したがいまして、さきに述べました厚生省の不祥事のように、行政監察局が幾ら勧告をしても、行政内部の甘えや綱紀の緩みにより、しっかりとした是正措置がとられないという事態が構造的に生じてしまうのです。
 行政監視院法案では、行政の外部すなわち国会に行政監視院を置くことで、国会と行政との間の健全な緊張関係のもとに、国民の代表者たる国会が行政を最終的にチェックするというものであります。その意味で、行政監視院の業務と現在の行政監察局の業務はかなりの部分重複することになります。各省内部での行政チェックを国会が最終的に監視することになれば、行政監察局による監察はほとんど意味がなくなり、不要になると思われます。
 ただし、現行の総務庁行政監察局の業務のうち行政相談業務につきましては、行政内部で実施することが望ましいと判断し、本法案ではその業務を総務庁に残すこととしておりますが、さきに述べた観点から総務庁の行政監察局は廃止し、国家公務員の総定員の上限を八百人削減することとしております。
 なお、行政監視院を国会の中に設立することとなっても、総務庁の行政監察局を廃止することとなれば、経費の観点から出費が増大するという心配は必要ございません。
 最後になりましたが、この行政監視院の設置は、国会の復権をかけた試みであり、新しい時代を切り開く若々しい魂をお持ちの皆さんの党派を超えての力強い御支持をいただきますよう切に切に希望いたしまして、趣旨説明を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
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 国会法の一部を改正する法律案(菅直人君外三名提出)、行政監視院法案(菅直人君外三名提出)及び総務庁設置法の一部を改正する法障案(菅直人君外三名提出)の旨説明に対する質疑
○議長(伊藤宗一郎君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。虎島和夫君。
    〔虎島和夫君登壇〕
○虎島和夫君 ただいま上程されました法律三案に関し、自由民主党を代表して質問いたします。
 初めに、国会法の一部を改正する法律案及び行政監視院法案の両案に関して申し述べます。
 今日、行政改革は国の命運にかかわる緊急の政治課題であり、橋本総理は本国会冒頭、行政改革は不退転の決意のもとに断行する旨所信を表明いたしました。その実現に対する国民の期待が日を追って高まりつつあることは御高承のとおりであります。我が党も、二十一世紀をリードし得る政治課題の構築に取り組む中で、行政の改革をその中心に据えながら施策の展開を図っているところであります。
 しかしながら、御提案の法案の内容につきましてはその趣旨を問いたいものがありますので、以下に申し述べるものであります。
 第一に、国会の有する国政調査権は当然に行政権の行使に関する監視を含むものでありますが、本法案では、常任委員会等の要求によりという条件つきながら、常任委員会等が有する国政調査権を三人の委員から成る行政監視院という別組織に実質的に移しかえることとなるのではないのか。あるいはまた、国会の国政調査権は衆参両院または委員会が合議体として有しているものであって、個々の議員には存在しないと解しておりますが、第二十条の「議員による監視の要求」の効果は、第十八条に言う「各議院の常任委員会若しくは特別委員会又は参議院の調査会」と同列のものと解すべきでありましょうか。このことは憲法を含め法制上どのように理解されるのでありましょうか。
 第二に、我が国は政党政治を根幹とする議院内閣制をとっており、その政策の決定には、国民の意思の集約、政策の展開、実施面での点検などとあわせ、各政党の理念の導入など多岐にわたる措置の結果にまつのであり、監視委員会議の運営の公正性の確保と評価の基準をいかに定めるかは極めて大切であり、その判断を三名の監視委員固有の価値観にゆだねることは避けなければならないと考えますが、そのことの検討につき伺いたいのであります。特に、個別的でない包括的な調査に際してその懸念なしとしないが、御所見はいかがでありましょうか。
 第三に、議員集団の要求に応じて監視を行う場合があり、調査拒否等の場合に内閣声明を求めること、懲戒処分の要求などが盛り込まれているが、慎重な配慮が必要と存じます。さらに、地方自治の原則の尊重との整合性、または民間人に対して、同様趣旨の取り扱いであるのか、お伺いをいたします。
 第四は、衆参二院制の意義から見て、何ゆえ両院それぞれの設置でないのか。同時に、議員による監視の要求は何ゆえ衆議院二十名の連署であり、参議院は半数の十名をもって処理するのか、御説明ください。
 第五に、既に国会内にある行政監視や立法活動を行うための補助機関である両院常任委員会調査室、議院法制局、国会図書館立法考査局などの組織の見直し、運用の改善による活用方法の御所見を承るものであります。
 なお、国会法の一部を改正する法律案は、行政監視院法案と一体をなすものであり、この際、質問は省略をいたします。
 次に、総務庁設置法の一部を改正する法律案につきお伺いいたします。
 提案者においても年間二十三万件に上る行政相談件数処理を評価していることは、その窓口であり、全くの名誉職である行政相談委員の御苦労を知る者として喜びにたえないところであります。しかしながら、本法案の志向するところ、すなわち監察業務の行政府での執行を廃止する提案については同調できませんので、提案者の意思を承り、今後の検討の資料といたしたいと存じます。
 第一に、行政府がみずから行政監察の機能を持つことは必要であり、業務を計画し、実行し、その効果を判定し、たゆみなく制度運用の改善に資する行為は一貫して行われるべきであります。ただ、従来の監察が国民から見て満足すべき状態にないことは明らかであります。従来の総務庁の監察が何ゆえ不徹底であったのかは深く究明されなければなりません。
 第二に、監察の指摘を受ける各省庁の自己改善努力を具体化する体制の整備強化が急を要する施策と考えます。ちなみに、各省庁における内部考査体制の中で、みずから監察を行うと明記された制度を持っているものは、郵政省、建設省、警察庁、防衛施設庁、海上保安庁など数省庁のみであることを指摘して、御見解を求めるものであります。
 終わりに、制度の創設に向けて申し上げます。
 行政の改革への国会の機能強化は、国内的にはもちろん、国際的にも大きな期待の存するところであり、一刻の遅滞も避けなければなりません。我が自由民主党は全力で事に当たります。さらに、平成八年十月三十一日の自民、社民、さきがけ三党の合意、十一月一日の自民、民主の合意も踏まえ、次期通常国会中に協議を進め、趣旨に合致する結論を得るよう努力しようではありませんか。
 今、行政改革に向けられた国民の目は極めて厳しいものがあります。しかし、行政組織にしても、果たして腐木は彫るべからざる状況でありましょうか。一部不詳の者を除けば、公務員は皆国を思い国家の仕事を愛する人々です。この人たちを生き生きとさせること、それはまさに政治の責任であります。国会と行政が常に緊張関係を保ちながら、政治を活性化し、幸せな国民の生活を具現化する責務を果たしたいと存じます。
 提案者皆様の行革日本への決意を改めてお伺いするとともに、今や国民期待の改革へ始動すべきときとの認識のもとに、我が党の烈々たる決意も表明しながら、質問を終わります。(拍手)
    〔安住淳君登壇〕
○安住淳君 虎島議員御質問のうち、私の担当の行政監視院の業務に関してお答えをいたします。
 便宜上、大変恐縮ですが、第四の質問からお答えをいたします。
 まず、議員集団の求めによる監視の場合、行政監視院は調査拒否に対して内閣声明や懲戒処分の要求に慎重であるべきではないかという御指摘でございますけれども、本法案は、あくまでも議長を通じて行政に対して内閣声明や懲戒処分の要求をすることとしておりまして、議院としての判断による権限の行使であると考えております。
 なお、本法案においては、行政監視院は、行政機関の職員が職務上の秘密に当たるとして資料の提出や調査を拒否した場合に、まず所属機関や監督庁の長に対して資料の提出や調査の同意を求め、さらに監督庁が拒否した場合は、その理由の疎明を求めるという手続が規定されております。その際、行政監視院が行政機関の拒否理由を受諾できない場合においてのみ内閣声明や職員の懲戒処分を要求するよう議長に対して求めることができるものであります。また、いかなる調査要求に対しても行政監視院が行政機関との関係において公平かつ妥当な判断を下すよう求められていることは、言うまでもございません。
 続きまして、地方自治の尊重との整合性についての先生の御指摘でございますが、本法案においては、行政監視院はあくまで国の行政機関の業務の監視を目的としておりまして、補助金を受けない地方自治体固有の業務は行政監視院の権限の外にあり、何ら地方自治の尊重との関係で問題を生じるとは考えておりません。国の委任を受けて地方自治体が行う機関委任事務等が行政監視院の監視対象であることは当然でございますが、問題はむしろ、地方自治体の独自の権限と財源で行い得る業務の範囲が現状では限られており、一向に地方分権が進んでいないことに問題があるのではないかと考えております。
 また、これに関連して、民間人も調査対象となり得るかとの御質問でございますが、国の行政機関の業務に関することが明白な場合には、民間人や民間の企業、団体についても行政監視院の調査の対象とはなります。しかし、これはあくまでも任意の調査でありまして、対象者の同意を前提としております。
 次に、なぜ両院それぞれに設置をしないのかという御質問でございますが、行政監視院は、国会が国権の最高機関としてその行政監督権限をより効果的に果たすことを目的としているものであります。二院制のもとで、議院の独立を前提に、衆参各議院の機能を個別に補佐する議院法制局や議会事務局とはおのずから機能を異にするものと考えております。むしろ、現行の国立国会図書館と同様に、両院を含めた国会それ自体に国会の附属機関として設置されることが適切であると考えております。
 次に、いわゆる少数者調査権の要件につきましては、国会法第五十六条の定めによる議案の発議要件等に準じることとしております。すなわち、衆議院においては二十名以上、参議院においては十名以上の賛成を要することとしておるわけです。これは、法律案の発議に必要な要件を持つ議員集団については、法律案の作成に必要な調査や意見具申を行政監視院に要求できるようにするのが、いわゆる立法機能の向上の観点から適切であると考えたからであります。
 次に、国立国会図書館の調査やその他の組織の見直し、運用の改善による活用方法の所見についてでございますが、国立国会図書館調査及び立法考査局は既存の資料をもとにしたいわゆるレファレンス機能を担うものであります。各議院法制局は、具体的に法案を起草する際に、その政策の法的整合性を純粋に法制的観点から補佐し、助言等を行う機関であります。いずれも行政監視院とは目的も異なりまして、所掌事務や権限の重複はあったとしても、事実上のすみ分けが図られるものと考えております。
 また、各常任委員会調査室については、その目的は委員会の立法活動の補佐であります。行政監視院との間で調査等の一定の業務の重複がありますが、常任委員会調査室の業務内容は法律事項ではございませんので、本法案においてその所掌事務の整理を図るのは適当でないと判断したものであります。
 なお、常任委員会調査室のあり方につきましては、土井前衆議院議長からも、行政機関との間の人事交流が国会の独立性の確保の観点から問題があるのではないかという指摘がありまして、次期通常国会までに各党間で国会改革の課題として議論をし、結論を導き出していただくことが適当であると考えております。
 残余の質問については、担当の同僚議員より答弁いたします。(拍手)
    〔枝野幸男君登壇〕
○枝野幸男君 お答えをさせていただきます。
 まず最初にお尋ねの常任委員会との関係についてお答えを申し上げます。
 本法案において行政監視院に付与することとしている権限は、憲法六十二条の規定する国政調査権を行政監視院に授権したものではございません。この法律によって創設した特別の権限として構成いたしております。すなわち、両議院の国政調査権とは緊密な関連を持ちつつも、あくまでもこれとは別個の権限として行政監視院に認めたものであります。したがいまして、国政調査権が行政監視院に実質的に移しかえられることとなるものとは考えておりません。
 次に、個々の議員集団の要求に応じる形で行政監視院が監視等を開始するものとしている点に関するお尋ねでございますが、今述べましたとおり、行政監視院の有する権限は国政調査権とは別個の権限であります。個々の議員集団の要求に応じる形で行政監視院が行います監視の権限は、個々の議員に与えられている質疑権あるいは質問権等と同様の、議員としての活動を補佐するための権限であります。
 すなわち、例えば、「議員に役立ち得る資料を提供する」との規定のあります国会図書館立法考査局の権限、あるいは「議員の法制に関する立案に資するため、」とされる議院法制局の権限などと軌を一にするものであると考えております。したがいまして、憲法上の国政調査権が両議院やその委員会、調査会等にしか認められていないこととの関係で、憲法上の問題を惹起するものとは考えておりません。
 次に、行政監視院による調査や評価の基準について、行政監視委員三名の価値観にゆだねるのは避けよとの御意見をいただきました。私どもも、御指摘の視点から、行政監視委員の任命に当たって、両議院の承認を必要とし、その職務が公正不偏、誠実に行われるよう制度的な担保をしているところでありぎす。
 また、そもそも行政監視院の任務は、私たち国会議員の立法活動を支えるための行政の監視と国会への報告、意見具申でありまして、それをどのように生かすのか、また殺すのかも、私たち国会議員自身が、国会においてそうした職務を受け、立法活動に取り組むかにかかっているのであります。
 御指摘の包括的な調査の問題につきましては、どの程度具体的な調査の依頼をするのか、その仕方については委員会あるいは議員集団の判断にゆだねられておりまして、私たち国会議員の見識と行動によって御懸念のような問題は生じないと考えております。
 次に、総務庁の監察が不徹底であるということに関連する御指摘でありますが、私どもは、そもそも行政機関同士の監察では健全な緊張関係をシステムとして保つことはできないと考えております。例えば、予算の査定権を持つ大蔵省に対して総務庁が十分な監察をできているのかどうか。住専問題などが監察の対象にさえならなかったことから見ても、疑問と言わざるを得ません。総務庁は各省庁の行政執行上の問題点を指摘して改善策を勧告することはできますが、例えば、私が本院の厚生委員会及び行政改革に関する特別委員会における質疑で指摘を申し上げましたとおり、勧告には法的拘束力がなく、また、勧告後の法律の改廃の起案まで責任を持つまでの権限はございません。
 実際に、平成四年、社会福祉法人に関する行政監察と勧告を行っているにもかかわらず、いわゆる岡光・茶谷問題の発生を事前に防止することはできませんでした。そして、その理由について、総務庁行政監察局は、勧告の趣旨全体が末端まで浸透していればこういうふうな問題というのは防げたのではないかというふうに考えておりますと国会で答弁をされております。
 こうしたことを考えますと、フォローアップの体制が十分でなく、言いっ放しになってきた事実は否めません。行政内部における省庁を横断した指揮命令が認められず、また、政府部内での最終的な法律の制定、改廃の起案権を所管省庁が握っている現在の法体系のもとでは、総務庁がいかに調査と勧告を行っても、行政自身による行政のスリム化は行われにくく、行政の改善を求める民意が反映されません。だからこそ、私たちは、行政監視院のような、国会による行政の監視監督をサポートする機関が必要だと考えるものであります。
 また、各省庁の内部監察体制についてのお尋ねですが、基本的には、国の事業及び行政事務を一体的に遂行する責任を負った単位であります各省庁内部において、行政監察の専門部署を設置し、監察に係る専門的な人材を配置して、みずから必要な監察を行うべき責任を負っているものと考えております。
 例えばアメリカでは、日本の行政監察局のような集中した組織ではなく、行政を遂行する各省庁ごとに、その内部監察機能を担う専門家を配置する監察総監の制度があると聞いております。監察総監は上院の承認を得て大統領によって任命されますが、弁護士や会計士などの資格を有する人材が任命され、そのもとに各省内に百名程度以上の監察官を据え、内部監察を実施しているそうであります。しかしながら、我が国の現在の各省庁の内部監察体制は不十分と言わざるを得ず、総務庁行政監察局という法的強制力を持ち得ない二次的な組織の存在をもってこの不十分さをあいまいにしてまいりました。
 私たちは、行政監視院という外部監察機能を強化する一方で、本来あるべき内部監察の姿である各省庁内での監察体制については、政府みずからが責任を持って対応していただきたいと考え、また、対応していただけるものと確信を持っております。
 残余の質問については、担当の提案者から答弁をさせていただきます。(拍手)
    〔菅直人君登壇〕
○菅直人君 虎島先生から、行政改革の推進についての強い決意の披瀝をいただきました。また、あわせて行政の改革へ向け国会の機能強化が必要との旨の御意見をいただきました。私たちが本法案を提出いたしましたのも、国会が国民を代表する国権の最高機関としていかにすれば行政を監督できるかという観点からでありまして、虎島先生のお考えと全く同感だと申し上げたいと思います。
 また、虎島先生より、次期通常国会中に趣旨に合致する結論を得るよう努力しようとの呼びかけをいただきました。私たちも、国会における議論はもとより、政党間の協議も含め幅広く議論が展開されることを望んでおります。ぜひとも自民党と民主党との両党間でも協議をさせていただきたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。(拍手)
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○議長(伊藤宗一郎君) 山本幸三君。
    〔山本幸三君登壇〕
○山本幸三君 新進党の山本幸三であります。
 新進党を代表いたしまして、ただいま趣旨説明のありました行政監視院法案及び関連二法案につきまして質問いたします。
 まず、具体的な質問の前提として、行政改革、特に橋本内閣の行政改革について、一言触れておかなければなりません。
 今や行政改革が最大の政治課題となったことについては、どなたも異論がないことと存じます。だからこそ橋本総理は、第二次橋本内閣を行革火の玉内閣と位置づけ、矢継ぎ早に大号令をかけておられます。なかなか威勢のよいかけ声でありますが、問題はその中身であります。橋本行革が本当に国民のためになるのか、その実効が上がるのか否かを見定めなくてはなりません。これこそ国会が果たすべき大きな役割でありましょう。
 私は、橋本行革には以下の三つの大きな特徴があると考えます。
 第一に、それが平面的なアプローチにとどまっているということであります。
 橋本総理は繰り返し、金融システム改革、財政構造改革など五つの改革を提唱しておられますが、それらの相互の関係、あるいは立体的な秩序づけ、優先度というものが全く示されておりません。これは、最終的な政策目標として何を目指そうとするかの理念が欠如しているために起こる問題点でありますが、橋本行革の大きな欠陥であります。
 第二に、静態的なアプローチであることであります。
 橋本総理には、短期の問題なのか中長期の問題なのかの区別、あるいは循環的な問題なのか構造的な問題なのかの区別がつかないようであります。例えば、さきの消費税凍結法案の審議のときでも、短期の景気対策と長期の財政赤字対策とをごちゃまぜにした議論しか聞くことができませんでした。まして、財政赤字にも、構造的財政赤字と循環的財政赤字とを分けて考えるなどということは、ついぞ一言たりとも聞くことがありませんでした。こんなことで、まともな対策が出てくるとは到底思えません。
 そして第三に、タコつぼ的アプローチであることであります。
 今日の行政は縦割りに、タコつぼが並ぶように並立して制度として定着しています。それぞれの現存の制度の枠内で何とか改善、効率化を図ろうというのが橋本行革に目立ちます。例えば、新たな目標値を定めて財政再建を図ろうとしていますが、税収が拡大し国債依存度が低下したとしても、そのことをもって財政危機が克服されたと評価することはできません。それは、単に一時的に危機の姿を埋め込むことに成功したにすぎません。危機を生み出す政治行政を通じた意思決定のプロセスにまで踏み込まなくては、本質の解決にはならないのであります。
 金融の分野についても、今、与党三党において、金融機関の検査・監督権限を大蔵省から分離するとの議論が行われているようでありますが、驚くべきことは、この議論の中で、郵便貯金の取り扱いについて何も触れられていないということであります。国民貯蓄の二二%に当たる郵便貯金を外しておいて金融システム改革とは、笑止千万であります。
 以上、橋本行革の特徴というか限界について申し述べました。今国会も残すところあと一日だけとなりましたが、今国会の最大の成果は、橋本行革なるものが、言葉の割には中身の乏しいもの、実効が上がるとは到底思えない代物であることが明々白々となったということでありましょう。
 そこで、私たちは、真の行政改革を実現するためには何が必要かを考えなければなりません。今回、民主党が提案された行政監視院法案もその一つの試みだと思います。国民の立場に立って行政をチェックしようという観点から、国会に、行政機関の監視を行い、法令の制定、改廃まで提言する権限を持つ行政監視院を設置しようというまことに意欲的な試みであります。私どもも、国会が行政を監視統制することは当然で、それを実効あらしめるために何が一番有用かを検討しているところであり、本提案には大きな関心と期待を寄せるものであります。(拍手)
 問題は、本法案が私どもの期待に十分こたえ得るものかどうかということでありますが、一読したところ、かなりの疑問点が浮かび上がってまいりましたので、この際、率直にお伺いいたしたいと存じます。
 第一に、当初、私どもは、この構想はアメリカの会計検査院、GAOの日本版だと聞いておったのですが、本法案では会計検査院の機能は一切入っておりません。それはなぜなのか、また、それで十分な監視、政策評価ができるのか、お伺いいたします。憲法上の限界があるというなら、憲法改正も提案するくらいの意気込みがあってもいいと思うのですが、いかがでありましょうか。
 第二に、会計検査院を取り込まないとしても、検査院から国会に勧告させるということについて検討されなかったのかということもお聞きしたいと存じます。この点、検査院には協力依頼ということだけになっており、もっと緊密な関係を持つべきではないかと考えるからであります。
 第三に、対象が国の行政機関だけになっていますが、特殊法人及びその子会社、地方公共団体あるいは公社などはどうして外れているのでしょうか。私は、従来、民主党の皆さんは、そうした隠れた分野にメスを入れることが必要だと主張しておられたと承知しているのですが、本法案では不十分と言えるのではないでしょうか。現行の会計検査院の対象よりも後退しているように思えますが、いかがでしょうか。いや、解釈で大丈夫だということなら、将来疑問の生ずる余地がないよう明文で規定すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 第四に、行政監視院は基本的に総務庁の行政監察局を吸収する形になっていますが、その調整がうまくいくのでしょうか。例えば現状の行政監察では、対象も特殊法人等も含め広く、また各省に勧告できることになっていますが、行政監視院ではそうなっていないようであります。これでは現状よりも後退してしまうのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 第五に、監視という言葉は何を意味するのでありましょうか。調査とどう違うのでありましょうか。また、業務の評価という場合、そのもととなった政策の適否まで行おうと考えておられるのかどうか、お伺いいたします。
 第六に、行政監視院は国会の要求がなくても独自に行政の監視、報告を行うことができるとは書かれていないようでありますが、この点、いかがでありましょうか。
 第七に、法律の制定または改廃等に関する意見具申は、国会の要求に係る監視の結果を踏まえてと条件づけられていますが、監視という行為がなければ意見具申もできないということでありましょうか。そうであるとすると、相当限定されてしまうのではないかと思いますが、いかがでしょうか。また、法律ではない行政指導についての意見具申はできないのでありましょうか。
 第八に、行政監視委員の任命につき両院の意見が食い違った場合はどうするのでしょうか、念のためお伺いいたします。
 第九に、職員の報酬及び身分の保障について、国会職員並みと考えているようでありますが、それで本当に能力のある人材を採用することができるのでしょうか。特に、政策の評価をするには相当高い能力が要求されると思いますが、このような人材を集めることができるのでありましょうか。
 第十に、資料の提出の要求は、本法案第二十三条で「国の行政機関、地方公共団体その他の者」に対してできることとなっていますが、これはだれに対してもできると解釈してよろしいのでしょうか。もしそうなら、この資料要求のところだけ急に強権的になっているように感じますが、いかがでありましょうか。
 また、第二項では、二十日以内に提出しなければならない対象に「その他の者」は入っておりません。この区別はなぜ設けられたのでありましょうか。「その他の者」は出さなくてもやむを得ないということでしょうか、お伺いいたします。
 第十一に、資料提出を拒んだ場合に、直ちに内閣声明まで行ってしまう構成になっていますが、これは少しやり過ぎではないでしょうか。その前に、委員会での参考人招致、証人喚問などの手続をとった上で、なおかつ拒否する場合にというぐあいにすべきではないかと考えますが、いかがでありましょうか。そうでなければ、国会法、議院証言法の規定が意味をなさなくなるのではないかと思うのですが、いかがでありましょうか。
 第十二に、立入調査は官公署その他必要な場所に対してできることとなっておりますが、これはどこでも立ち入れると解釈してよいのでしょうか。例えば銀行とか郵便局でも大丈夫でしょうか、お伺いいたします。
 以上、多少細かい点も含めてお伺いしてまいりましたが、国会の行政に対する復権を図るということでは思いは一つであり、ぜひともよりよいシステムに仕上げていきたいものだと願っております。私どもといたしましても、本日の質問に対する答弁を聞かせていただいた上で、できるところは大いに協力してまいりたいと考えております。(拍手)
 民主党の皆様のこれまでの御努力に対し深甚なる敬意を表するとともに、私どもも本提案に真剣に取り組んでまいりますことをお誓いして、時間も参りましたので、私の質問を終わります。(拍手)
    〔枝野幸男君登壇〕
○枝野幸男君 山本議員より、私どもの提案に大きな関心と、そして期待をいただきましたことに、まずはお礼を申し上げます。私どもの答弁をお聞きいただければ、ぜひ御理解をいただいて御賛同いただけるものと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
 まず、会計検査院との関係に係る第一及び第二の御質問に対してお答えを申し上げます。
 まずそもそも、例えば現行の総務庁行政監察局におきましても、必要に応じ帳簿調査等会計的見地からの検査は行われております。したがいまして、現状の総務庁と会計検査院との間でも、実際の業務における調査手法が重なることはあり得ることでありまして、これは相互の目的の違いの中で、現実の現場における調査手法が一致をすることがあっても、別組織であることが合理的であるという理由に基づいているものと考えております。
 ところで、行政監視院は、国会が憲法上行政監督権を有することに基づきまして、現行の行政システムの問題点や行政執行の効率性、許認可行政のあり方、行政指導、行政計画の適切性等につきまして、現行法規の適否も含めて監視を行うことを目的といたしております。一方、会計検査院は、主として会計処理上の不正、不当を現行法体系を前提として検査することを目的といたしておりまして、双方の目的には大きな差異がございます。
 こうした形で調査の目的や調査内容が大きく異なるわけでありますから、むしろ別組織としてそれぞれに仕事をしていただいた方が効率的ではないかという判断をさせていただきました。そして、両機関の調査の対象あるいは調査の技法が重複する場合には、本法案の三十一条に定めましたとおり、会計検査院に対して適切な協力要請を行うという形で、実際の協力を緊密にしていただく、この実務の運用の中で相当程度にその効果は発揮できるものと私どもは考えております。
 次に、総務庁行政監察局を吸収した場合の業務の調整等の御質問がございました。
 私どもは、先ほど虎島議員からの質問にお答えしましたとおり、行政の内部監察は、本来、監察結果について強制力を持ち得る各省庁ごとの監察機能こそが重要であり、これを拡充すべきであると考えております。
 なお、特殊法人等の問題について申し上げますと、従来の総務庁行政監察局の権限は、特殊法人に対して勧告はできますが、あくまでも勧告どまりであります。私どもが提案をいたしました本法案によれば、意見具申を国会が取り上げれば、管轄下にあります特殊法人はもちろんのこと、そのもとになっている設置法の制定、改廃によって、省庁の組織の存在にまで影響を与えることが可能とされております。こうした形で法の改廃によって存立そのものまでしっかりとしたメスを入れることができる行政監視院制度の方が、より実効性が担保できるものと考えております。
 残余の御質問につきましては、担当の提案者よりお答えをさせていただきます。(拍手)
    〔安住淳君登壇〕
○安住淳君 山本先生の御質問にお答えをいたします。
 まず、第三の調査の対象についての御質問でございますけれども、行政監視院の権限につきましては、第十八条におきまして「国の行政機関の業務に関し、必要な監視を行うこと」としており、限定がなされているところであります。しかし、調査の対象につきましては、何ら法案上限定をしておりません。したがいまして、「国の行政機関の業務」という観点から行う調査の対象というものは、当然、特殊法人を初めその子会社、公社等にも及ぶものであり、御指摘をいただいた点についてはこの法案では十分配慮をしているところであります。
 次に、監視と調査、評価の意味についてでございますが、この法律案における監視というものは、国の行政機関の業務が違法そして不当または非効率なものになっていないかどうかを常時注目して、情報を精査することであります。次に、調査とは、国の行政機関が行う各種の業務について、その実態を明らかにするための資料の要求、参考人の招致、調査員等の派遣、国民の意見の把握、公開資料の収集等を意味するものであります。次いで、評価とは、監視及び調査から得られた情報を分析し、監視結果の報告書または法改正等の意見書を作成することであります。
 次に、独自監視は可能であるかどうかという御質問でございますが、行政監視院は国会の附属機関であるという位置づけでありますから、あくまでも、どのような内容につき行政を監視し調査するかにつきましては、国会あるいは委員会、国会議員がみずから決すべきものであると考えております。したがいまして、国会の要求がないまま、行政監視院が独自に行政の監視、報告を行うことはできないものであります。
 また、法律の制定、改廃に関する意見具申につきましては、監視を前提としているところであります。法律の改廃は、国の組織や人の権利義務にかかわる重大な問題でありますから、慎重な手続を置いているところではありますが、法律の制定または改廃等に関する意見具申が監視の要求以上に限定されることはないものと考えております。
 さらに、行政指導についての御指摘もいただいているところでございますが、法律に基づかない行政指導はあり得ませんので、必要であれば、該当する法律の改廃によってその目的を達することができるものと考えております。
 続いて、行政監視委員の任命についてでございますが、行政監視院は国会の附属機関とされているところであり、両院は対等であります。したがいまして、両院の意見が食い違う場合には、行政監視委員には任命はできません。新たに委員を任命する必要が生ずることとなります。これは、現在でも、国会の附属機関である国立国会図書館の館長を任命する場合と同様でありまして、実務上特段の問題が生ずるとは私どもは考えておりません。
 次に、人材の確保でございますが、事務局の職員につきましては、行政監視院が国会の附属機関であることから、国会の職員そのものになるところであります。ところで、現在の国会の職員の皆様方におかれましても、十分に能力のある人材が採用されているところであると考えております。ただし、特別の分野において民間に専門的な知識を有する人材が存在するということもあり得ると認識しておりますので、そのような人材を登用するために、本法においては、第十六条におきまして専門調査員の制度を創設しているところであります。
 続いて、資料提出要求についての御質問でございますが、資料提出要求の相手方は、本法案では「国の行政機関、地方公共団体その他の者」とされており、その対象について限定はありませんから、御指摘のように、だれに対しても原則として要求はできるものであります。しかし、これは、あくまでも国の行政機関の業務に関する監視または意見具申のために必要があると認められたときに限られるというふうに認識をしております。また、あくまでも任意のものでありますから、決して強制的なものとはなっておりません。
 次に、同条二項において、要求された資料を二十日以内に提出しなければならない者の中から「その他の者」が除かれているとの御質問でございますが、これは、資料要求が、基本的には任意の資料要求ではありますものの、相手方が国の行政機関や地方公共団体である場合には、これを最終的には内閣声明という制度によって担保しようとするものだからであります。
 続きまして、内閣声明に関する御質問でございますが、資料提出を拒んだ場合に直ちに内閣声明に行ってしまうとの御指摘でございますが、国の行政機関や地方公共団体に対する資料要求に対しては、確かに最終的には内閣声明を要求できるものとしております。しかし、直ちに要求できるというものではありません。当該要求を受けた国の行政機関または地方公共団体が職務上の秘密であることを申し立て、その監督庁においても承認を拒むときに、疎明された理由が行政監視院において受諾できないとき初めて要求し得るものであります。
 また、行政監視院がみずから要求するものではなく、あくまでも当該常任委員会等の属する議長に対し要求するよう求めることができるのみであります。しかも、各議院の議長は、その権限行使について、議院運営委員会あるいはその理事会に諮って、その権限を行使することになるわけでありますから、やり過ぎであるという御批判は当たらないものと考えております。
 最後に、立入調査についてでございますが、本法案の立入調査権は強制的なものではございません。あくまでも任意の調査権を規定したものであります。したがいまして、立入調査の必要があって、相手方の同意が得られるのであれば、どこにでも立ち入ることは可能であります。御指摘をいただきました銀行や郵便局につきましても、国の行政機関の業務の監視に必要であり、なおかつ相手方の同意が得られれば、立入調査を行うことは可能であると考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(伊藤宗一郎君) 木島日出夫君。
    〔木島日出夫君登壇〕
○木島日出夫君 私は、日本共産党を代表して、提案されております行政監視院法案外二法案について、提出者に質問いたします。
 高齢者福祉、医療行政を舞台とした厚生省汚職は、政官財の底知れない醜い癒着によって、国民のための福祉行政と税金が長期間にわたって食い物にされてきた驚くべき事件として、かつてない激しい怒りを国民の間に巻き起こしています。
 今国民が求めていることは、真相の徹底的解明と政治行政責任の追及、そして政治行政と業財界との癒着を断ち切って、政治や行政の仕組みを国民のために働くように抜本的に改革することです。そのために肝心なことは、業財界と政官界との癒着を金と人の両面から断つことであります。そのための実効ある第一歩が企業・団体献金の全面禁止と天下り禁止であり、加えて、政治や行政を国民の日常的な監視のもとに置くために行政情報公開制度を確立することであると考えますが、提案者の行政改革の根本についての考えは何か、お聞かせいただきたい。
 この点に関し、本法案の提案者の一人であり民主党代表の一人でもある菅直人氏は、さきの総選挙の直前、企業からの献金は許容し受け入れていくと明言し、鳩山由紀夫代表とともに財界の総本山経団連に支援要請に赴きましたが、これでは「市民が主役」は看板だけで、相変わらず財界が主役となってしまうのではありませんか。民主党は、新党結成に当たり、そして総選挙費用として一体幾ら企業献金を受けたのかも含め、明確な答弁を求めます。
 また、本年九月、厚生省業務担当の前審議官が、製薬企業でつくる社団法人東京医薬品工業協会に理事長として天下りましたが、これは、菅直人氏が厚生大臣として本年六月七日、本院厚生委員会で、特別認可法人の場合、営利企業の場合と性格を異にすると答弁し、これを容認した結果でした。これでは、民主党が総選挙のときに掲げた天下り規制の強化も羊頭狗肉ではありませんか。答弁を求めます。
 日本共産党は、国民に奉仕する公正で民主的な行政を実現するために、十二月十二日、企業・団体献金の全面禁止を柱とする政治資金規正法の一部を改正する法律案など三法案、業財界と行政との人的癒着を断ち切って国の行政機関の職務の公正な執行を図るために、国の行政機関の職員等の営利企業等への就職の制限等に関する法律案、いわゆる天下り規制法案、そして行政情報の国民への公開を保障するための情報公開法案の、いわゆる行政改革関連三法案を本院に提出いたしました。
 今、国会に対し国民が求めていることは、国民に信頼される行政をどうつくるのか、国会が審議を尽くし具体的な改革に踏み出すことだと考えますが、提案者のお考えを尋ねます。
 次に、政官財癒着を断ち切って国民に奉仕する行政にするために、国会の果たすべき役割と機能についてであります。
 日本共産党は、今から二十年前、ロッキード事件等が重大な政治問題になっていた一九七六年、国会に行政監視官制度を創設すべきとの政策を発表しましたが、それは、国会の国政調査権、行政監督権の充実と機動的な発動が、政治行政の腐敗を断ち切る上で重要だと考えたからであります。本法案にある行政監視院の設置も、基本的にはそのような立場から提案されたものと思います。そうであるとすれば、行政監視院の設置いかんにかかわらず、国会の国政調査権の一層の強化のために今何が問題なのか、国会はどうあるべきかが問い直されなければなりません。
 以下、二つの点について質問いたします。
 第一点は、小選挙区比例代表並立制についてであります。
 今回の総選挙の結果、小選挙区制が国民の民意を議席に公正に反映せず、大政党に極端に有利となる一方、膨大な民意が切り捨てられ、少数政党が排除されていくものであることが改めて実証されました。小選挙区制で三八・六%の得票の自民党が五六・三%の議席を占有したこと、これに対し、一二・六%の得票を得た日本共産党が〇・六%の議席しか得られなかったこと、議席に結びつかない死票が五五%に達していること等に顕著にあらわれています。小選挙区制は直ちに廃止すべきであります。
 ところが、民主党の鳩山代表は、議員定数をさらに削減し、二百の比例代表部分をなくして完全小選挙区制にすべき旨発言を繰り返しています。議院内閣制をとる我が国において、政府・与党一体となって運営される行政権の行使に腐敗が生じたときに、これを追及する役割が主として野党に負わされている現実を考えたとき、その主張は、行政監視院を設置して国会の機能を強化しようという基本的立場と全く逆であると考えますが、明確な答弁を求めます。
 二点目は、国会の国政調査権、行政監督権の最大の柱である委員会審議の形骸化についてであります。
 今国会では、税制特別委員会の審議がわずか一日に切り縮められたり、行革特別委員会に至ってはたったの三時間半しか質疑が行われず、しかも、多くの委員会で質問時間はドント方式なるものによって配分され、衆議院規則第四十五条で保障されている「委員は、議題について、自由に質疑し及び意見を述べることができる。」という議員の質問権が不当に侵害されています。行政監督の最も重要な場の一つである各委員会の一般質疑の開催回数は、十年前に比べて半分、二十年前に比べて四分の一ほどに激減している委員会がほとんどです。審議時間も十年間で半減しています。行政への監視を強める上でも、国会審議の充実は焦眉の課題です。この点での提案者の見解を求めます。
 次に、法案の内容について、二点質問します。
 第一点は、行政監視院が行政への監視に入る要件についてであります。
 本法案では、常任委員会、特別委員会の要求または衆議院で二十名の賛同を得た議員の要求によって監視業務が行われると定められています。しかし、既に述べたように、議院内閣制をとる我が国で、しかも少数政党が排除されかねない小選挙区制が導入されたもとで、これではせっかく設置する行政監視院がその機能を発揮しにくくなってしまうのではないですか。なぜ議員個人にこの権限を与えないのですか。アメリカのGAOで指摘されている乱用のおそれなどは、運用によって幾らでも解決することが可能ではありませんか。答弁を求めます。
 第二点は、本法案では、国会に行政監視院を設置する一方、現在の総務庁の行政監察局を廃止することとしていますが、不断の自己点検を行い、みずからの誤りを正していくための内部監察は不要という根拠は何でしょうか、答弁を求めます。
 最後に、日本共産党は、政官財癒着を断ち切り、国民に奉仕する、真に公正で民主的な行政改革の実現のために全力を尽くす決意を表明して、質問を終わります。(拍手)
    〔菅直人君登壇〕
○菅直人君 木島議員にお答えを申し上げます。
 まず、行政改革の根本についての考え方ということでありますが、私たちは、社会が大きく変化し、国民のニーズが変化する中で、行政がそれに対応できなくなっている、そういった意味で、そういった社会の変化に行政がきちっと対応できるように不断に改革をしていくことが必要だと考えております。
 そして、民主党としては、そのまず第一弾として、今回提案した行政監視院、さらには情報公開法の早期の制定、さらには副大臣制を含む政治機能の強化、さらに予算編成を省庁別の積み上げ方式から大きく課題別に変えていく、こういったことについて提案をし、順次法律としても出していきたいと考えているところであります。
 第二点、民主党の企業献金についての御質問であります。
 民主党としては、将来の方向として、個人による献金と政党助成によって政党運営をできるようにしていきたい、こういう目標を持っておりますが、民主党設立後まだ期間がたっておりませんで、政党助成等がまだ受けられない段階で、現時点では団体献金も受けているのが現状であります。また、その内容についてでありますが、十二月いっぱいまでの収支については政治資金規正法の法律に基づきまして収支報告をする予定になっております。それが公開されることになりますので、ぜひそれをちゃんとごらんいただきたいと思っているところであります。
 次に、天下りに関しての私の厚生大臣時代の答弁が東京医薬品工業協会への天下りを招いたといったような御発言がありましたが、全く私の発言を歪曲して言われているものでありまして、それについて私から申し上げたいと思います。
 私が厚生大臣のときに申し上げましたのは、まず、前審議官の天下りにつきまして、国民感情に反すると批判をしたことは、よく御承知のとおりであります。
 また、本年六月七日の厚生委員会で共産党委員の質問に答えましたのは、役所の仕事の一部を分担しているような、そういった特別な公益法人があります。例えば医薬品機構とか厚生年金基金連合会とか、こういったものを特別認可法人といいまして、厚生省が管轄しているものには四つあるわけであります。日本赤十字社、そして石炭鉱業年金基金、そして先ほど申し上げました厚生年金基金連合会、さらには医薬品機構、これらを特別認可法人と称しているわけですけれども、これらについては、現役の厚生省の職員も出向したり、あるいは守秘義務などをかぶせて業務の一部をそこでやっているケースもあるわけでありまして、そういった機関に対して、一概にすべていわゆる厚生省のOBが行くことについて禁止することは必ずしも望ましくないのではないか、このことをその委員会で申し上げたのであります。
 そういった意味で、公益法人全般について天下りを許容するということを申し上げたわけではないわけでありまして、そういった歪曲をした発言は慎んでいただきたいと思っております。
 いずれにいたしましても、天下りの問題につきましては、五十代の前半で退職をするという現在のキャリアシステムの是非や公務員の定年制のあり方など、公務員制度全般の改革を含めて、天下りがなくてもやっていける、そういう体制をつくらなければいけない、こういう考えでぜひ改革を進めていきたい、このように考えていることを申し添えたいと思います。
 さらに、共産党が出されております三法案につきましては、これから十分に検討させていただきたい、このように考えております。
 さらに、鳩山民主党代表の選挙制度に関する発言につきまして、いろいろと見解が述べられました。これにつきましては、小選挙区がいいのか比例代表がいいのか、長年の議論があるわけでありますけれども、そのことと国会の機能強化とは全く別次元の問題であると考えております。
 私は、せんだってイギリスに視察に行ってまいりましたけれども、イギリスにおいては小選挙区制でありますけれども、NAOという機関やあるいは国会の機能が非常に強くて、ある意味では官僚の機能は日本よりは圧倒的に弱いのが現実でありまして、選挙制度の問題と国会の機能強化の問題を同じ次元で議論することはできない、これが私たちの見解であります。
 また、最後に、今国会でのいろいろな審議のあり方についての意見の表明がありました。今国会では、制約された日程の中で、それぞれの委員会あるいは理事会の中で、精いっぱいの国会審議が行われたと私どもは理解しておりまして、それぞれの理事会で御判断をいただいたものと考えております。
 以上、残余の質問につきましては、同僚の提案者からお答えをさせていただきます。(相手)
    〔末松義規君登壇〕
○末松義規君 木島議員にお答えいたします。
 木島議員より、議員個人に調査等の要求権限を与えるべきではないかとのお尋ねがございました。
 行政監視院の主な役割は、国政監視機能としての国会の機能を補佐することにありまして、その具体的な成果については、最終的には国会で議員立法として反映されることが期待されているものでございます。
 その議員立法の提案の手続につきましては、現在、衆参それぞれに一定数以上の議員による提案であることを条件といたしておりますが、その趣旨は、できるだけ多くの議員の主張を取り入れたいという面と同時に、国会での討議の場を一部の議員による恣意的な主張から守るということも意図しておるわけであります。行政監視院の調査要求につきましても、この議員立法の手続の趣旨を参考にさせていただいたわけでございます。一定数を満たせば調査要求ができる軽易な条件にとどめているものでございます。
 次に、木島議員より、行政監察局を廃止するとしているが、行政の内部監察は必要ではないかとの御指摘がございました。
 木島議員の御指摘のとおり、行政みずからがその行いを正していくための内部監視機能は必要であると私どもも考えております。ただし、それが実効性あるものとなるためには、その行政を直接担当している各省庁そのものの内部に監視部門を設置もしくは強化すべきものと考えております。なお、現行のいわば中二階的な行政監察局の仕組みが最も適当な仕組みであるとは判断しておりません。
 どうもありがとうございました。(拍手)
○議長(伊藤宗一郎君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
○議長(伊藤宗一郎君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後二時二十二分散会
     ――――◇―――――