第139回国会 農林水産委員会 第1号
本国会召集日(平成八年十一月二十九日)(金曜
日)(午前零時現在)における本委員は、次のと
おりである。
  委員長 石橋 大吉君
   理事 原田 義昭君 理事 松岡 利勝君
   理事 松下 忠洋君 理事 山本 有二君
   理事 北村 直人君 理事 実川 幸夫君
   理事 宮本 一三君 理事 小平 忠正君
      植竹 繁雄君    大島 理森君
      金田 英行君    亀井 善之君
      川崎 二郎君    瓦   力君
      木部 佳昭君    熊谷 市雄君
      栗原 博久君    鈴木 宗男君
      丹羽 雄哉君    野呂田芳成君
      牧野 隆守君    御法川英文君
      村岡 兼造君    井上 喜一君
      一川 保夫君    木幡 弘道君
      古賀 一成君    佐々木洋平君
      笹山 登生君    城島 正光君
      菅原喜重郎君    仲村 正治君
      矢上 雅義君    安住  淳君
      鉢呂 吉雄君    春名 直章君
      藤田 スミ君    前島 秀行君
      石破  茂君
    ―――――――――――――
平成八年十二月十二日(木曜日)
    午後一時三十一分開議
出席委員
  委員長 石橋 大吉君
   理事 原田 義昭君 理事 松岡 利勝君
   理事 松下 忠洋君 理事 山本 有二君
   理事 北村 直人君 理事 実川 幸夫君
   理事 宮本 一三君 理事 小平 忠正君
      石崎  岳君    植竹 繁雄君
      大島 理森君    金田 英行君
      亀井 善之君    川崎 二郎君
      河井 克行君    瓦   力君
      木部 佳昭君    熊谷 市雄君
      栗原 博久君   田野瀬良太郎君
      丹羽 雄哉君    野呂田芳成君
      牧野 隆守君    御法川英文君
      村岡 兼造君    茂木 敏充君
      井上 喜一君    一川 保夫君
      木幡 弘道君    古賀 一成君
      古賀 正浩君    佐々木洋平君
      笹山 登生君    城島 正光君
      菅原喜重郎君    達増 拓也君
      樽床 伸二君    仲村 正治君
      原口 一博君    堀込 征雄君
      矢上 雅義君    安住  淳君
      鉢呂 吉雄君    春名 直章君
      藤田 スミ君    前島 秀行君
      石破  茂君
 出席国務大臣
        農林水産大臣  藤本 孝雄君
 出席政府委員
        農林水産大臣官
        房長      高木 勇樹君
        農林水産省経済
        局長      堤  英隆君
 委員外の出席者
        大蔵省銀行局特
        別金融課長   佐藤 隆文君
        中小企業庁計画
        部金融課長   寺坂 信昭君
        参  考  人
        (全国農業協同
        組合中央会専務
        理事)     松旭 俊作君
        参  考  人
        (農林中央金庫
        副理事長)   田中 恒久君
        参  考  人
        (東京大学大学
        院法学政治学研
         究科教授)  岩原 紳作君
        農林水産委員会
        調査室長    黒木 敏郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
十二月十二日
 辞任         補欠選任
  金田 英行君    田野瀬良太郎君
  鈴木 宗男君     河井 克行君
  村岡 兼造君     茂木 敏充君
  井上 喜一君     古賀 正浩君
  古賀 一成君     原口 一博君
  佐々木洋平君     達増 拓也君
  城島 正光君     堀込 征雄君
  矢上 雅義君     樽床 伸二君
同日
 辞任         補欠選任
  河井 克行君     鈴木 宗男君
 田野瀬良太郎君     石崎  岳君
  茂木 敏充君     村岡 兼造君
  古賀 正浩君     井上 喜一君
  達増 拓也君     佐々木洋平君
  樽床 伸二君     矢上 雅義君
  原口 一博君     古賀 一成君
  堀込 征雄君     城島 正光君
同日
 辞任        補欠選任
  石崎  岳君    金田 英行君
    ―――――――――――――
十二月十二日
 農林中央金庫と信用農業協同組合連合会との合
 併等に関する法律案(内閣提出第一〇号)
 農業協同組合法等の一部を改正する法律案(内
 閣提出第一一号)
同月十一日
 新たな農業・農村基本法の制定に関する請願
 (桜井新君紹介)(第二〇一号)
 林野公共事業の促進に関する請願(桜井新君紹
 介)(第二〇二号)
 減反政策中止、安定的な米の供給に関する請願
 (藤田スミ君紹介)(第三四〇号)
 農畜水産物に対するセーフガードの発動に関す
 る請願(山原健二郎君紹介)(第三四一号)
 輸入のための減反上乗せ反対に関する請願(古
 堅実吉君紹介)(第三四二号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
十二月六日
 農業振興対策の充実強化等に関する陳情書外一
 件(水戸市三の丸一の四の五〇成毛平昌外二名
 )(第七〇号)
 国際化に対応した農業・農村対策の拡充強化に
 関する陳情書外五件(高知市丸の内一の二の二
 〇高知県議会内中平和夫外五名)(第七一号)
 新たな食料・農業・農村基本法制定に関する陳
 情書外二十一件(香川県坂出市室町二の三の五
 坂出市議会内下津昭三外二十一名)(第七二号
 )
 新食糧法での水田農業の安定対策に関する陳情
 書外一件(秋田市山王四の二の三北林哲雄外一
 名)(第七三号)
 学校給食への安全な国産米供給に関する陳情書
 外一件(岩手県岩手郡西根町大更三五の六二西
 根町議会内伊藤善悦外一名)(第七四号)
 かんきつ産地の体質強化策に関する陳情書(広
 島市中区基町一〇の五二藤田雄山)(第七五号
 )
 ミニマム・マクセス米の減反上乗せ反対に関す
 る陳情書外二件(岩手県上閉伊郡宮守村字下宮
 守二九の七七宮守村議会内阿部文右衛門外二
 名)(第七六号)
 野菜等農産物の緊急輸入制限の発動に関する陳
 情書外三件(宇都宮市旭一の一の五宇都宮市議
 会内早乙女俊夫外三名)(第七七号)
 輸入農産物の原産地表示品目の拡大に関する陳
 情書(広島市中区基町一〇の五二広島県議会内
 檜山俊宏)(第七八号)
 二百海里経済水域の早期全面設定・全面適用と
 漁業振興対策の推進に関する陳情書外二件(福
 岡市博多区東公園七の七福岡県議会内水戸栄樹
 外二名)(第七九号)
 食料・農林業・漁業政策の展開に関する陳情書
 外二件(新潟市新光町四の一平山征夫外二名)
 (第八〇号)
 中山間地域対策の充実強化に関する陳情書外三
 件(鳥取市東町一の二二〇鳥取県議会内井上万
 吉男外三名)(第八一号)
 国土保全奨励制度に関連する施策の充実に関す
 る陳情書(福岡市博多区東公園七の七福岡県議
 会内水戸栄樹)(第八二号)
 森林整備事業の拡充強化に関する陳情書外八十
 二件(甲府市丸の内一の六の一山梨県議会内相
 馬紀夫外百十二名)(第八三号)
 治山事業五箇年計画における大幅な事業費の確
 保に関する陳情書外八十二件(長崎県南松浦郡
 若松町若松郷二七七の七若松町議会内浜原善一
 外百十二名)(第八四号)
同月十二日
 農政の基本確立と水田農業対策に関する陳情書
 外十五件(京都市上京区西洞院通下立売上ル菊
 地泰次外十七名)(第二一六号)
 新たな食料・農業・農村基本法の制定に関する
 陳情書外一件(松江市殿町一島根県議会内石橋
 大造外一名)(第二一七号)
 食料・農業・農村基本法の制定と都市農業の確
 立に関する陳情書(大阪市中央区馬場町三の三
 五道工太刀雄)(第二一八号)
 農業振興対策の確立強化に関する陳情書(山形
 市松波四の一の一五早坂清)(第二一九号)
 農林漁業対策の推進に関する陳情書(松山市一
 番町四の一の二河内紘一外三名)(第二二〇号
 )
 農林水産業政策の確立に関する陳情書(静岡県
 清水市旭町六の八清水市議会内渡辺隆巳)(第
 二二一号)
 漁港・漁村及び漁港海岸整備予算確保に関する
 陳情書(高知市丸ノ内一の二の二〇高知県議会
 内西森潮三)(第二二二号)
 森林整備事業計画における大幅な事業費の確保
 に関する陳情書外三件(長崎県上県郡峰町大字
 三根四五一峰町議会内井上武外三名)(第二二
 三号)
 治山事業五箇年計画の策定と事業量確保に関す
 る陳情書外三件(松江市殿町一島根県議会内石
 橋大造外三名)(第二二四号)
 有害鳥獣・害虫による農林業に対する被害の防
 止対策の推進等に関する陳情書(山形市松波四
 の一の一五早坂清)(第二二五号)
 松くい虫被害対策特別措置法の継続と充実に関
 する陳情書(青森県弘前市大字上白銀町一の一
 弘前市議会内吉谷四郎左衛門)(第二二六号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 国政調査承認要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 農林中央金庫と信用農業協同組合連合会との合
 併等に関する法律案(内閣提出第一〇号)
 農業協同組合法等の一部を改正する法律案(内
 閣提出第一一号)
     ――――◇―――――
○石橋委員長 これより会議を開きます。
 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。
 農林水産業の実情を調査し、その振興を図るため
 農林水産業の振興に関する事項
 農林水産物に関する事項
 農林水産業団体に関する事項
 農林水産金融に関する事項
及び
 農林漁業災害補償制度に関する事項について、本会期中調査をいたしたいと存じます。
 つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○石橋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
     ――――◇―――――
○石橋委員長 次に、本日付託になりました内閣提出、農林中央金庫と信用農業協同組合連合会との合併等に関する法律案及び農業協同組合法等の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
 順次趣旨の説明を聴取いたします。農林水産大臣藤本孝雄君。
    ―――――――――――――
 農林中央金庫と信用農業協同組合連合会との合
  併等に関する法律案
 農業協同組合法等の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
○藤本国務大臣 農林中央金庫と信用農業協同組合連合会との合併等に関する法律案及び農業協同組合法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
 農協系統は、農業者の協同組織として、組合員が必要とする営農及び生活に関するサービスを提供し、農業の振興や農村地域の活性化に大きな役割を果たしてきたところであります。
 近年、農業、農村をめぐる状況が大きく変化する中で、農協の経営環境が厳しくなるとともに、我が国農業の競争力強化が要請されており、農協は、これまで以上に農業者に対して良質のサービスを低コストで提供できるよう、経営体質を改善することが求められております。特に信用事業につきましては、金融の自由化等が急速に進展する中で、他の金融業態との競争が激しくなってきており、一層の事業機能の強化と効率化、健全化を図っていくことが急務となっております。
 このような状況を踏まえ、信用事業を中心とする農協系統の事業、組織の改革を推進するため、この二法案を提出した次第であります。
 まず、農林中央金庫と信用農業協同組合連合会との合併等に関する法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
 農協系統の事業、組織の改革の一環として、単位農協の広域合併とあわせて、都道府県連合会と全国連合会の統合による組織二段の推進が大きな課題となっておりますが、農林中央金庫と信用農業協同組合連合会の統合は、根拠法が異なることから現行法上できないこととなっております。
 このため、農林中央金庫と信用農業協同組合連合会につきましても、農林中央金庫を存続法人とする合併及び信用農業協同組合連合会から農林中央金庫への信用事業の譲渡を行うことができることとし、合併、事業譲渡に関し、総会での承認、債権者の異議の申し立て、主務大臣の認可の手続等を定めることといたしております。
 次に、農業協同組合法等の一部を改正する法律案の主要な内容につきまして御説明を申し上げます。
 第一に、農業協同組合法の改正であります。
 農業協同組合の業務執行体制の強化を図るため、常勤役員等の兼職、兼業を制限するほか、経営管理委員会制度を選択的に導入できるようにすることといたしております。また、信用事業を行う組合の経営の健全性を確保するため、最低出資金制度の導入、法定準備金の積立基準の引き上げ等による自己資本、内部留保の充実を図るとともに、員外監事、常勤監事の必要、中央会監査の強化による監査体制の強化等を行うこととしております。さらに、農協貯金の健全な運用に資するため、資金運用規制を緩和することとしております。
 第二に、農業協同組合合併助成法の改正であります。
 農業協同組合の広域合併を推進するため、合併経営計画につき都道府県知事の認定を求めることができる期限を平成十三年三月三十一日まで延長することとしております。
 第三に、農林中央金庫法の改正であります。
 農協系統全体としての自己責任に基づく健全な資金運用を実現するため、農林中央金庫の非居住者向け貸し出しの規制緩和等を行うとともに、法定準備金の積立基準の引き上げを行うこととしております。
 このほか、農業信用保証制度の充実を図るなど、農協改革に関連して、関係法律の規定を整備することとしております。
 以上が、農林中央金庫と信用農業協同組合連合会との合併等に関する法律案及び農業協同組合法等の一部を改正する法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
○石橋委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
○石橋委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 両案審査のため、本日、参考人として全国農業協同組合中央会専務理事松旭俊作君、農林中央金庫副理事長田中恒久君及び東京大学大学院法学政治学研究科教授岩原紳作君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○石橋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
○石橋委員長 本日は、両案審査のため、参考人三名の方々に御出席をいただき、御意見を承った後、質疑を行うことになっております。
 この際、参考人に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお聞かせいただき、審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いをいたします。
 次に、議事の順序について申し上げます。
 まず、松旭参考人、田中参考人、岩原参考人の順に、お一人十分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対してお答えいただきたいと存じます。
 なお、念のために申し上げますが、発言の際は委員長の許可を得ることになっておりますので、御了承願います。また、参考人は委員に対して質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきいただきたいと存じます。
 それでは、松旭参考人からお願いをいたします。
○松旭参考人 全国農協中央会の松旭でございます。どうかよろしくお願いいたします。
 諸先生方におかれましては、日ごろから農業問題、農村問題を初めとしまして、我々系統農協の各般にわたりまして格別の御指導、御支援を賜っておりまして、心から厚く御礼を申し上げる次第でございます。
 私からは、今回の農協改革関連法案に関しまして、現在、我々JAグループが組織を挙げて取り組んでおります農協改革の取り組み方針と重点対策につきまして、要点を申し上げ、御参考に供したいと存じます。
 まず、我々が取り組んでいる農協改革の取り組みのねらいにつきまして、最初に申し上げたいと存じます。
 その第一は、組合員等の期待と信頼に十分にこたえていくとともに、地域農業の振興や農村の活性化に主体的に貢献し得る強い農協をつくり上げることであります。
 第二は、こうした立派な農協をつくり上げることによりまして、現在二段階制をとっておりますJAグループの事業、組織を二段階を基本として組みかえていくということであります。
 第三には、JAグループ全体の経営の合理化、効率化を図りますとともに、経営の健全性、透明性を向上させることでございます。
 言いかえますと、我々が目指しております農協改革とは、JAグループ全体の事業と組織と経営の三つの改革を志向しているものと言うことができると存じます。
 こうした改革を実現していきますために、今後の重点対策につきまして、三点に絞って申し上げたいと存じます。
 第一には、農協の広域合併を推進するとともに、合併農協の機能、体制整備を図ることであります。
 農協合併の将来構想といたしましては、現在二千二百四十二あります農協を平成十二年に向けまして五百四十八農協に合併することといたしております。このうち、既に全体構想の四三%に当たる二百三十三農協が合併を達成いたしておりまして、着実な進展を示しております。
 また、これとあわせまして、合併農協が組合員等の多様、高度なニーズを充足し得る高水準な事業機能を具備し、自己責任経営が可能な体制を確立することであります。
 言いかえますと、合併推進といういわば器づくりと体制整備という中身づくり、この両面の対策をあわせて講じていこうとしているものでございます。特に、合併農協におきましては、事業規模の拡大に対応いたしまして、これまで以上に経営のかじ取りや経営のチェックを的確に行う必要があります。また、我が国の金融システムを構成する一員として社会的な責任を果たす上からも、他の金融業態に劣後しない経営の健全性確保が求められております。したがいまして、農協の経営執行体制、監査体制の充実強化や自己資本の充実等が急務である、そういうふうに考えております。
 具体的には、このたびの農協改革関連法案に盛り込まれておりますように、代表理事、常勤理事等の経営専念体制の確保、員外監事、常勤監事の設置、中央会監査の義務づけ等を図っていきますとともに、経営執行体制の面におきましては、機動的な理事会運営や学識経験者の理事への登用促進を図る観点から、新しい業務執行体制の導入についても取り組んでまいりたい、かように考えております。
 あわせて、これからの農協を担っていく人づくりも重要な課題でありますので、連合会からの人的支援あるいは役職員の再教育対策等を講じていくことといたしております。
 また、自己資本の充実対策といたしましては、早期是正措置が導入されることに対応いたしまして、これまで以上に自己資本、内部留保の増強に努めていく所存でございます。
 なお、中央会監査の法定化に対応いたしまして、中央会の監査機能の充実、監査の独立性の強化、監査要員体制の整備と監査能力の向上を図っていきますとともに、外部からのチェックの目を導入しますために中央会に公認会計士を設置し、活用を図ってまいりたい、このように考えております。
 重点対策の二番目でございますが、事業二段、組織二段対策でございます。
 農協合併の進展等、条件が整った県から逐次合併農協と全国連との直接利用を進めてまいってきております。また、多くの県におきましては、県連と全国連の組織統合に向けての検討が進められておりまして、合併構想の達成を目前に控えています一部の県におきましては、既に連合組織の統合について個別協議に入っている、そういう段階でございます。
 この場合、信連と農林中金の統合につきましては、それぞれの根拠法が異なりますために、現行法制度のもとでは事業譲渡や合併が困難でございます。今回の制度改正の措置をとっていただきますようお願い申し上げる次第でございます。
 第三の対策でございます。
 JAグループ全体の経営の合理化、効率化を図るために、人、物、金の三つの改革を進めることでございます。
 まず人の面におきましては、平成十二年に向けまして三〇%の労働生産性向上を目標として、JAグループ全体の職員数を現在の三十五万人体制から三十万人体制へと五万人の削減を図ることといたしております。このため、採用調整や早期退職優遇制度の導入等によりまして、職員に雇用不安を起こすことなく円滑に進めてまいりたいと考えております。
 物の面であります。
 支所、施設の機能の見直しと統廃合を進めていきたいということでございます。
 農協合併によりまして、本所の数は急速に減ってはおりますものの、支所や施設の数は余り減っておりません。このことが、農協合併がなかなか経営の合理化、効率化に結びつかない原因になっております。また、経済事業等の事業収支の改善がなかなか進まない隆路ともなっておるわけでございます。
 したがいまして、今後、合併によるスケールメリットを生み出していきますために、組合員の理解を得ながら対策を強化してまいりたいと考えております。
 次に、金の面でありますが、事業管理費等の経費節減を徹底するとともに、欠損金の解消や不良債権の処理を計画的に進めていくことといたしております。
 以上、農協改革の取り組み方針と重点対策につきまして要点を申し上げましたが、JAグループを取り巻く昨今の厳しい情勢を踏まえまして、早急かっ確実な実践を進めますために、Jんグループの全組織が平成八年度から平成十二年度を計画期間とします経営刷新五カ年計画を策定しまして、組織ぐるみで推進を図ってまいりたい、かように考えでございます。
 どうか、諸先生方におかれましては、こうしたJAグループの取り組みにつきまして御理解をいただき、今回の農協改革関連法案につきまして特段の佃支援を賜りますようお願い申し上げまして、私の意見といたします。
 どうもありがとうございました。(拍手)
○石橋委員長 ありがとうございました。
 次に、田中参考人にお願いいたします。
○田中参考人 農林中央金庫の田中でございます。
 日ごろ先生方には、農協系統信用事業の各般にわたりまして格別の御支援、御指導を賜っておりますことを、この機会に改めて厚く御礼申し上げる次第でございます。
 特に、昨年来、住専問題につきましては、我が国金融システムの安定性確保という高い観点から御配慮を賜りまして、ようやく解決の段階に至りましたことに、重ねて厚く御礼を申し上げる次第でございます。
 JA改革の全般につきましては先ほど全国農協中央会の松旭専務理事から説明がありましたので、私からは、農協系統金融の面から、その諸課題と対応方向について申し上げたいと存じます。
 農協系統信用事業は、第一に協同組織の金融機関であり、第二に農業、農家のメーンバンクであり、さらには地域金融機関であるという原点を踏まえまして、第一に組合員等利用者のニーズに的確にこたえる事業推進の強化、第二に系統信用事業全体の資金運用力の強化、第三に審査、リスク管理の強化拡充等経営管理体制の整備強化による経営の健全化といった重要な課題に対しまして全力を挙げて取り組み、信頼性の維持向上に努めてまいる所存でございます。
 具体的には、系統信用事業としてみずから、第一点目は、組合員等利用者との結びつきを一層強化するとともに、認定農家等新しい農業の担い手層への十分な金融対応を行う等、利用者志向を徹底すること、第二点目は、地場産業や地方公共団体等への貸し出しを初め、地域の振興に資する金融対応を強化すること、第三点目は、自己資本の充実、信用事業担当理事、常勤監事の設置、資産、負債の総合管理の導入、定着化、経営情報の開示等経営管理体制を整備強化すること、以上の方策を進めるに当たりまして連合組織が連携して強力に支援していくこと、さらに農林中金といたしましては、みずからの運用力を強化し、系統団体の負託にこたえていくことを進めてまいることといたしております。
 次に、組織整備につきましては、その最大のねらいは、組合員等の信頼にこたえ得る農協をつくることにあると存じます。
 このため、農協系統信用事業におきましては、農協合併の推進等による金融機能の強化、高度化及びそのための体制を整備するとともに、事業運営方式を二段階とすることによりまして、効率的な事業運営を可能とするよう取り組んできているところでございます。
 その実践に際しましては、本年一月に組織決定されたJA改革要綱に基づきまして、厳しさを増す経営環境の変化に対応すべく、系統信用事業におきましても組織内の協議、検討を進め、農協、連合組織が一体となって組織整備への取り組みを加速させるとともに、みずからの経営の合理化、効率化を図ることとしているところでございます。
 こうした系統信用事業の自助努力に即した方向で、本年八月、農政審議会農協部会では、「信用事業を中心とする農協系統の事業・組織の改革の方向」と題する報告が取りまとめられました。この中で、信連と農林中金の統合を可能とする組織二段に向けた法律の制定の必要性、また、自己資本、内部留保の充実を含めた経営健全化確保に向けた制度的手当ての必要性、さらに農協系統資金の健全かつ効率的な運用のための資金運用規制の見直し等、農協系統信用事業にとりまして適切かつ有用な内容が整理されており、大いに評価いたしますとともに、御指摘いただきました点につきましては、厳粛に受けとめているところでございます。
 今般、行政庁におかれましては、こうした農政審議会農協部会の報告を踏まえて、農林中金と信連との合併等に関する法律案及び農協法等改正法律案を今国会に提出されましたことは、まことに時宜を得た措置であると考えております。
 系統信用事業といたしましては、今回の法改正に伴って、従来にも増して経営健全性の確保、機能の強化、経営の効率化を進め、組合員、利用者サービスを充実し、農業、農村、地域の発展に貢献してまいる所存でございます。
 農林中金といたしましても、今回の法改正により、組織整備への取り組み並びに付与された機能の十分な発揮に努める所存でございます。
 どうか、諸先生方におかれましては、我々農協系統の取り組みにつきまして御理解をいただきまして、今回の一連の農協改革関連法案の可決成立につきまして格段の御支援を賜りますようお願い申し上げまして、私の意見とさせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
○石橋委員長 ありがとうございました。
 次に、岩原参考人にお願いいたします。
○岩原参考人 ただいま御紹介にあずかりました東京大学大学院法学政治学研究科の岩原でございます。当委員会におきまして意見陳述の機会をお与えいただきましたこと、大変光栄に存じております。
 農協法等の改正法案及び農林中央金庫と信用農業協同組合連合会との合併等に関する法案の御審議に当たりまして、特に信用事業を中心とする農協の制度改革の必要性とその方向につきまして、農協等を含みます企業組織法及び金融監督法の研究者の立場から意見を申し上げ、御参考に供したいと存じます。
 先般、住宅金融専門会社の不良債権処理をめぐりまして、農協系統金融機関のあり方が大きな社会問題となったわけでございます。ここで明らかになりましたことは、農協を取り巻く環境が大きく変化して、農協の諸事業、とりわけ信用事業が大きな試練を迎えようとしていること、しかし従来の体制ではそれに十分対応ができず、大きな制度改革が求められていることであったように存じます。
 総合農協のいわゆる四種事業の中で、指導事業はもちろんのこと、経済事業も販売、購買の全分野で赤字でございまして、信用事業と共済事業だけが黒字であります。特に最近までは、信用事業の黒字にほぼ頼って農協は経営を行ってきたと言っても過言ではないように存じます。
 しかし、農業の産業としての比重の低下、農家の兼業化、農村の都市化、農村への一般企業の進出や都市とのアクセスの容易化、組合員の農協への依存度や帰属意識の変化等が進む中で、農協の組合員に対する農業資金貸し付けが非常に伸び悩んでおります。結果として、農協が受け入れた貯金に対します貸付金の割合、いわゆる貯貸率は低下を続けまして、現在では単位農協で二七・八%、信連で一九・九%、農林中金でも四〇%にすぎません。この農協資金の運用難こそ、農協にとって住専問題を発生させた根本問題だったというふうに考えられます。
 このような農協の信用事業も、高度経済成長期には企業等の資金需要が非常に強く、また他方、預金金利が低く抑えられていたために、貯金を集めさえすれば、インターバンク市場で運用するなどして農協は大きな収益を上げることができたわけでございます。しかし、高度経済成長が終わり、長引く不況の中で資金需要が冷え切るとともに、金利の自由化、金融の自由化、高度化が進んでおりまして、今申し上げましたような条件は失われたわけであります。資金の運用先が少なくなり、貸し付けリスクが高くなるとともに、極端に運用利回りが落ちております。その結果、農協全体の財政を大きく圧迫しているわけであります。
 このように、金融自由化、高度化が進み、他の金融機関との競争がますます激しくなっていく中で、独自の運用先が少なく、運用やリスク管理のノウハウ等に関する専門性が必ずしも十分ではない農協系統金融機関は大きな試練に立たされているわけでございます。産業が大きく変わり、規制緩和が強く主張され、経済のあらゆる領域で競争の促進が図られようとしている中で、問題は単に信用事業にとどまらず、すべての農協事業に共通していると考えられます。例えば共済事業につきましては、保険についても競争促進が図られようとしているわけでありまして、今後はその競争の激化が予想されるところでございます。
 それでは、農協制度の改革の方向はいかにあるべきでございましょうか。大きく三点申し上げさせていただきたいと存じます。
 第一に、農協はその各事業において、十分な専門的能力、競争力を有する責任ある組織になる必要があると存じます。農協は組織の合理化、効率化、その管理、監査能力、そして専門性において、従来必ずしも十分ではなかったように存じます。
 例えば、農業者の数は減り続けてきたわけでございますが、農協職員の数は平成五年まではふえ続けてきたわけでありまして、やっと平成六年に微減に転じたのにすぎません。農協の一担当職員当たりの貯金額は、他の中小金融機関と余り異なりませんが、貸出額では半分くらいであります。一店舗当たりをとりますと、信用組合と比べまして預貯金額で半分、貸出額では五分の一であります。これが都銀との比較になりますと、それぞれ預貯金額が十五分の一、貸出額は五十分の一というふうになっております。
 他方、一総合農協当たりの常勤理事数は一・六人でありまして、学識経験常勤理事は〇・一人、同じく学識経験監事も〇・一人でございます。要するに、ほぼ全員の理事、監事は正組合員たる農業者から選ばれておりまして、金融等の実務の経験はないということであります。しかも大部分は非常勤でございまして、常勤者は一人か二人にすぎないというのが実情でございます。これでは、専門性を発揮して一般企業、一般の金融機関等と競争することは至難のわざではないかというふうに考えられます。
 このような状況を改めるためには、農協系統みずからが推進されようとしております労働生産性の向上や職員数の削減がぜひ推進されるべきでございますが、また、単位農協の広域合併や組織二段への移行による合理化、効率化を制度的にも後押しする必要があるのではないかと存じます。そのためには、現在提案されております法案に含まれておりますような農協合併等に関する規定の整備神農林中央金庫と信連の合併法がぜひ必要と存じます。
 また、専門性を備えた責任ある業務執行体制を確立するためには、本法案にございますような経営管理委員会制度の導入、信用事業を行う組合における常勤役員等の兼職、兼業の制限や監査体制の強化、例えば員外監事や常勤監事の必置、中央会監査の強化、部門別損益の開示等の措置が必要と存じます。それが農協の信用事業、その他各種事業が広く世間の信頼を得る道と思われます。
 第二の改革の方向は、農協系統金融機関が一般の民間金融機関に匹敵する財務体質、すなわち自己資本比率を持ち、また、金融機関としてしっかりした監督体制のもとに置かれるということでございます。
 従来の農協系統は、組合員への利益還元を重視したことや、自己資本の調達手段が限られていたこと等もございまして、内部留保が薄く、自己資本比卒が非常に低いのが実情でございます。このことが農協系統の住専問題の打撃を大きくし、損失負担を困難にした大きな原因だったと存じます。しかし、農協が民間金融機関として活動していく以上は、他の民間金融機関と同様の財務の健全性を保ち、同様の監督体制のもとに置かれるべきだと思われます。それが競争の基礎でありますし、貯金者の信頼を得る道と存じます。その意味で、本法案にございます自己資本及び内部留保の充実や行政検査等の充実の規定をぜひ実現させていただきたいと存じます。
 最後に、農業資金供給という農協本来の機能が低下している中で、農業者のための協同組織金融機関という農協系統の基本原則は維持しつつも、その原則の柔軟化を図り、農協に地域金融機関としての性格を持たせる必要があるように存じます。この意味で、本法案に含まれております資金運用規制の緩和は適切な措置と考えられます。
 以上申し上げましたような制度改革の方向に対しましては、農協の非営利性あるいは協同組合原則から疑問を持たれる向きもあるいはあるかもしれませんが、非営利性は決して効率性を否定するものではなく、法律的に申しますと、農協の上げた経済的利益を組合員に金銭的な形で分配することが禁じられているというだけのことであります。むしろ、効率的経営を行うことによって、組合員に各事業のサービスの質の向上や低廉な料金の形で還元することは、組合員への最大の奉仕を目的とする農協の本来の目的にかなったことと存じます。一般企業と同等以上の効率性、専門性、競争力があって初めて農協はその本来の目的を達成することができると考えられます。
 以上のような理由から、本法案が採択され、改革が実現されることを強く望みたいと存じます。
 御清聴どうもありがとうございました。(拍手)
○石橋委員長 ありがとうございました。
 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
○石橋委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。金田英行君。
○金田(英)委員 御三人の参考人の皆さん、本当に御苦労さまでございます。
 農協改革二法案の審議に入るわけなのですが、松旭さん、それと田中さんについてはまさに当事者そのものでございまして、今決意のほどと申しますか、これからこういう改革をやっていくので改革二法案にぜひ協力してくれというお話と決意があった。十分に受けとめさせていただきますけれども、やはりこの問題につきましては、住専、あのことについての反省、六千八百五十億、あのことで、農協に対する救済ということではなかったわけですけれども、金融システム全体を守らなければならないということで、国民の皆さんがいたく心配したと申しますか関心を持たれた事案であります。農協の皆さん方としても相当の危機感を持ったはずでございます。五兆五千億につきましては何とか回収の見込みができたわけでありますけれども、本当にこの危機感をいつまでも持ち続けていく、持続するということがこれからの大きな改革のまさに基本であろうというふうに思います。この危機感のないところに今度の改革の成功はあり得ないというようなことで考えております。
 まさに、今回この法案を通したとしても、単なる改革のための一里塚と申しますか、一歩足を踏み出したにすぎないというふうに考えるわけであります。これから、合併の推進だとか職員の削減だとか、あるいは二段階方式等々の大きな改革、大変な苦労が予想されるわけですけれども、この危機をぜひとも乗り切ってほかの金融機関並みの体質をつくっていただかないと、農協がなくなるというふうに思うわけであります。もう一度その取り組みについて、松旭さんとそれから田中さんの決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。
○松旭参考人 お答え申し上げます。
 今御指摘のように、あの住専問題というのは本当に我々JAグループの歴史の中で一番大きな出来事でありました。大変遺憾でございました。ただ、私どもは、これをばねにしてこのJA改革をぜひともなし遂げたいというふうに思っております。
 特に、私ども今頭を痛めておりますのは、農協の貯金が、平成八年三月末から八カ月連続で対前年同月を下回っておるという状況でありまして、私はこれはまあ住専の影響も間接的にあろうかと思いますが、いずれにしても組合員の農協の信用事業に対する不安感がこういう数字にあらわれているのだろうというふうに私は思っております。
 また、こういった厳しい北風が吹いておりますけれども、まあどちらかというと今まで温室でずっとやってきたものですから、私どもは、この向かい風を、力いっぱい帆を張れば向かい風でも船は走るということでございまして、ぜひこういう厳しい状況を追い風にしてこのJA改革をなし遂げたいというふうに考えております。またどうかひとつ御支援を賜りますようにお願い申し上げます。
○田中参考人 住専問題につきましては、ただいま先生がおっしゃいましたように、大変系統の中で大きな問題でございまして、先生方にも種々御心配を賜ったところでございますし、また農家なり組合員の皆さんにも多大の御心配をおかけしたところでございまして、まことにそういう点では遺憾に存じているところでございます。
 御案内のように、住専につきましては、公共性の高い業務を行いまして、行政においても一定の政策的な位置づけが行われておりまして、さらに我が国の主要な金融機関が設立、運営に深く関与してきた機関でございます。こうした住専が今日のような形で処理されることは、従来の金融常識では予想しかたく、いわば不測の事態で生じたものではないかというふうにも考えるわけでございます。しかし、いかに不測の事態であったとはいえ、融資である以上、回収までの間のリスクを伴うことは当然でございまして、リスク管理の充実にはなお一層努めていく必要があると思っております。
 こうした経験に照らしまして、今後、審査能力の一層の向上なり経営管理体制の充実など体制の整備に取り組みますとともに、現在置かれております厳しい金融環境の中での事業の展開を行っていくために、組織、事業運営の合理化、効率化を図りまして、農家、組合員の皆さんの期待と信頼にこたえるよう全力を尽くすことが私どもの責務であると考えておりまして、そのように今後とも取り組んでいきたいと思っております。よろしくまた御指導を賜りたいと思っております。
○金田(英)委員 全中さんそれから金庫さんなんですけれども、だんだん改革を進めていくと協同組織という本来の組織目的がだんだん希薄になってくるのじゃないか。我々もよく全中さんについては農民の代表だという形でいろいろな農政について御意見もお聞きする機会もあるわけですけれども、農協の代表だから農民の代表だとは限らない、必ずしも農家の組合員の皆さん方の利益を代弁していない、組織そのものの存立のためにと申しますか、そういった形で農家のニーズと離れてしまうことがややあるのではないか。だんだんこういう改革が進んできますと、厳しい競争にさらされてきますと、全中さんの言っていることは必ずしも組合員農民のための意見ではないのだというふうに疑ってかからなきゃならないことが多々出てくるのじゃないかという意見があります。
 何といってもこの改革、組織目的に沿って、組合員の皆さん方に本当に喜ばれる、サービスも改善されてきた。サービスがすごくよくなったというようなところを基本に据えておかないと、やはり組織存立のために、あるいは組織維持のために、競争に勝つためにというだけで改革が行われていきますと、大変なことになるなという不安もあります。そういったことについて組合員の皆さん方の信頼を本当にから取るというか、しっかりと受けとめることができるのかどうか、具体的にそこら辺の考え方をお聞かせいただきたいと思います。松旭さん、お願いします。
○松旭参考人 私ども、このJAグループの事業、組織の改革の趣旨につきまして先ほど申し上げたのですが、もう少し補足して申し上げますと、私どもはこの組織整備の検討に入る前に、実は全中で組合員アンケートをとらせていただいたわけです。そのときに農協の正組合員が農協の活動にどういう不満を持っているかということを調査させていただいた。身内の恥をこういうところで申し上げるようでございますが、そのときのワーストスリーを申し上げますと、農協には必要なサービスとか商品が少ない、農協のものは高い、農協の事業推進の押しつけがきつい、これがワーストスリーでございました。
 私どもは、先生おっしゃるように、我々の組織改革の原点というのはこういった組合員の三つの不満を解消してあげたい、あげるべきだというところからスタートをいたしております。したがって、効率化とか合理化とか広域合併とかという言葉がひとり歩きしますと、ややそういう感じを持たれる、これは確かに組合員もそういう感じを持たれております。私は、やはりそういった原点の認識について我々が組合員にきちっと理解を求め、逆に組合員の側からのこれから新しいJAづくりはこういう農協をつくってほしいというような声を吸い上げて、合併推進なり体制整備をやるべきものだというふうに考えております。
 これにつきましては、片一方を推進していくと片一方の方がおろそかになるみたいなところがとかく出がちでございまして、そうパーフェクトにいく問題ではありませんが、行ったり来たりしながらきちっとした基本方向におさめてまいりたいというふうに考えております。
○金田(英)委員 田中さんにそこら辺の、そこら辺のといったら、先ほど、貯貸率が少ないとか、集金は何とかうまくいくけれども貸し付け能力が相当少ないとか、あるいはノウハウの蓄積が少ないとか、人材確保がなかなかできないというような状況があるわけですけれども、本当にこれからの改革の中で、他の金融機関に伍して、今までの農協体質と申しますか、公庫の体質を踏まえて、そんな改革が本当にできるのかどうか、そこら辺の御決意も伺いたい。
 不良債権も信連で相当抱えているというふうに聞いていますし、私も現地の農協を見て回っていますけれども、相当の不良債権が出てくる。農家の人たちが借りた金が返せないという状況が相当出てきております。不良債権の問題、これから本当に大きな山場を迎えていくのだろうと思いますけれども、まず田中さんにそこら辺の御決意をお尋ねしたいと思います。
○田中参考人 農協一の貯貸率がかなり低下をしてきているわけでございまして、今三〇%を割るようなところでございます。ただ最近、住宅金融を中心としまして個人金融にかなり力を入れておりまして、それは若干向上に向かいつつある、そういうふうな状況にございます。
 先生御指摘がありましたように、今、貸し付けの市場につきましては、金利の自由化が行われておりますし、それから金融機関の競争が非常に激しくなっております。そういう中で農協が対応します場合には、取り組む分野自体は存在するわけでございますけれども、そこに参入するに当たりましての金融機能を十分整備して当たっていくということと、それに対応するだけの体制、人材を確保する、そういうことが一番大事じゃないかというふうに思っているわけでございます。
 機能の整備の面につきましては、今回の法改正の中にもいろいろと入れていただいているところでございますし、そういうものを十分活用するということと、人材の育成、とにかく人づくりが大変大事でございまして、これがまた組合員との接点を強める要素になろうと思うわけでございます。特に、さきに岩原先生がお話しになりましたように、専門能力を持った体制が必要だという御指摘がございましたが、私どももJA信用事業人づくり運動ということを重点的に取り組んできているところでございまして、金融部門の人的ローテーションなり中期的展望に立ちました育成計画を進めていく、さらに連合会から私どもの方がトレーニーの派遣を受け入れるといった形で進めているところでございます。
 こうしたものを総合的に展開をいたしまして、私どもの、本来の農協の段階におきます組合員の皆様方のニーズにこたえる、あるいはニーズが大変多様化、高度化しておりますので、それにこたえていく体制づくりに取り組んでいるところでございます。
○金田(英)委員 岩原教授には本当に御苦労さまでございました。
 貴重な御意見なのですが、先ほどの御指摘の中で、要するに、金はあるんだけれども運用難の時代なので大変困るんだということなのですが、確かに六十七兆もの系統の資金の運用をどうするかということは大きな問題でございます。
 そこで、農林漁業金融公庫等々で財投の金も大分農業分野に入ってきているという状況もありますので、なるべく農協のお金は農業分野で使えるように体質も改革していきたいなというふうに思っておるのですけれども、そういったことについて感想があれば……。
○岩原参考人 ただいまの御質問、大変重要な点をついていると存じます。
 確かに、現在農協の貸付先が困難になっている一つの原因が公的金融との関係にあるということは十分考えられますので、今後その点は国会の場において十分議論していただければというふうに存じております。以上でございます。
○金田(英)委員 終わります。
○石橋委員長 次に、堀込征雄君。
○堀込委員 三人の参考人の方々、きょうはどうも御苦労さまでございます。ありがとうございます。限られた時間でございますが、二、三点、御指導をいただきたいと存じます。
 先ほども金田委員から御質問がございましたが、まず松旭参考人にお尋ねを申し上げます。
 住専問題、非常に大きな問題として起こったわけでありまして、私も、これをどう総括しながら進んでいくかということが非常に大事なのだろうと思います。あのときは、やれ母体行が悪いんだとか、農水、大蔵を含めた何か覚書、念書があったとか、政府案がよくて新進党案は悪いとかなんとか、いろいろな議論があったわけでございますが、私は、今ここで落ちついて、やはり農協内部にどういう問題があったのか、そしてなぜああいう問題を起こしてしまったのかという謙虚な反省が、組織内部で、特に役職員の全国末端に至るまでなされる必要があるのではないかというふうに、実は外側にいまして見ているわけであります。
 つまり、先ほど岩原先生からもございましたとおり、信用事業の貯金の伸び率も落ちている、貸し付けに至っては農村における占有率もどんどん下落をしてきている。販売、購買事業も少しずつではあるが着実にシェアが減っているという農協経営全体の危機があるわけでありまして、特に利益の源泉であった利ざやが、大体二%ぐらいあったのが一%前後になっているという極めて厳しい状況があるわけですね。そういうところへ政府保証つきの住専があったわけですから、これはばっと行ったということだろうと思うのです。
 やはり、事業の全体がそうなってきたのだ、だからあの事件が起きてしまったのだという総括をしながら、農協経営はそこまで危機に来ているのですよということを、全国連からJA末端まで、役職員の皆さんが総括をなさりながら、この二法案を契機に新しい出発をなさることが必要なのではないか、こういうふうに思いますが、いかがでございましょうか。
○松旭参考人 農林中金の田中副理事長が申し上げておりますので、重複は避けたいと思います。
 私は、基本的な問題は、今まで農協貯金というのは下から上に上がっていく道筋であった。農協貯金を集めればそれを信連に持っていく、信連は農林中金に持っていく。かつては信用事業の利ざやは相当ありましたから、地元で危ない思いをするよりも連合組織に預けていった方が安全で有利だったというようなことで、一つの反省といたしましては、資金の流れが下から上へ行く道筋でずっと来た。ここが私はやはりポイントの一つであろうと。したがって、私どもは、先ほども申し上げましたように、地域金融機関という役割を発揮するためには、やはり地域に基本的にお金を還元するという努力がこれからもっともっと必要なのではないか。
 ただ、そうはいいますものの、貸出先も他の信用金庫、信用組合に比べて、これまでは制約があった。あるいは信用補完措置につきましても、他業態がやっているような措置が農協の中に導入できなかった。いろいろな制約があったということで、私はその辺の両面があろうかと思います。
 信用事業自体のリスク管理とか、具体的にやることはたくさんありますけれども、基本的には、下から上に上げてくる資金の流れを一回ひっくり返して、農協で地域に還元していく努力を必死になってやっていくことがこの問題の一つの教訓であろうというふうに私は思っております。
○堀込委員 岩原先生にお伺いをしたいのです。
 私は今なぜそういう質問をしたかというと、この法案は通す、しかし問題は、農協事業を担い、農協運動を担っている農協役職員の皆さんが、一体、そういう危機感を末端までお持ちになって、さあやろうかという気になっているかどうかということが、やはり今極めて大切なのではないかというふうに思うわけでございます。先ほど岩原先生から今の農協の抱える問題の御指摘がございまして、私もそのとおりだというふうに思うわけであります。
 問題は、今私が申し上げましたようなことを実行するに当たりまして、だから大型合併をすれば物事は解決するんだよ、事業を二段階にすれば何か肥料も農業も安くなるんだよ、だから何かよくなるんだよというような、これではやっぱりうまくいかないんじゃないか。
 要は、現状の組織でももう本当に末端からの事業改革が必要になっているんですよという、そこが、実際に農協の事業をおやりになり、あるいは農協の運動をおやりになっている皆さんが、組織的に本当に確認されていくかどうかというところが大事だというふうに私にはどうしても思えるのですが、先生の御意見をお願いを申し上げたいと思います。
○岩原参考人 ただいま先生の御指摘されたとおりだと思います。
 今回の法案に盛り込まれております、例えば組織二段、あるいは合併のためのいろいろな手当てというものは、あくまで外側の入れ物をつくることでございまして、その中身をつくり上げていっていただくのは何よりも農協系統関係者の皆さんであると思います。何よりも、今御指摘のありましたように、農協系統の皆さんが問題点をよく認識し、そして危機がどこにあるのか、そして本当の意味で効率性を上げ競争力を上げるためには何をする必要があるかということを自覚されるということが一番重要だろうと思います。
 ただ、法律でもってできることは、そういう意識が改まったときに、農協系統の皆さんがその改革をやりやすいような外側の枠をつくってさしあげるということだろうと思います。その意味では、組織二段への改革の方向を法律でもってつくり、そして合併等をやりやすくするというのは意味があると思います。何といっても現在の三段階に比べて二段階にいくということは、いろいろな意味でむだを省くという意味があることは確かでございます。
 そういう意味では、そういう改革をやりやすくするための手段を与えるということでありまして、その中身をつくっていくのは農協系統の皆さんの御努力であるというふうに考えております。以上でございます。
○堀込委員 もう一点だけ松旭参考人にお尋ねを申し上げたいのですが、そういう状況の中で、農協、JAの中でもいろいろな議論がされておるというふうにお聞きをしております。何か大型合併すればいいんだよ、あるいは二段階こそこの経営の危機を突破できる方策なんだよ、こういう議論がある一方、そうかといっても片っ方で産地間競争も非常にこれある、例えば経済事業なんかは、いろいろ販売事業なんか、特にそういう産地間競争もある。
 これは報道によりますと、必ずしも当面二段階にしても先がきちんと見えるわけではない、とりあえず私どもは県で頑張りますよという県が二、三あるようにお聞きをしているわけであります。その一方で、一県一農協みたいにやっていこうという県があるというふうにもお聞きをしているわけであります。
 つまり、二、三の県は、要するに、二段階にしても先がよく見えないからとにかくこの苦しい時期をおれたちはおれたちで頑張ってみるよ、こうおっしゃっている県があるというふうにお聞きをするわけでありますが、こういう県についても、まあ構わないというか何というか、それはJAグループ全体として容認をし、それはそれでしっかり育ってほしいという立場でいかれるのでしょうか、感想をお聞かせください。
○松旭参考人 現在の組織二段の取り組みは、今先生がおっしゃるとおり、やや各県別にはまだら模様の部分がございます。私どもは、御承知のように、組織決定といたしましては、事業二段、組織二段ということを基本方向として決議しておりますが、ただ、これは多分、一律一斉にはいかないだろうということは当時から考えておりました。県の実情、例えば広域合併の進みぐあいとか、合併構想でも三農協のところもあれば二十二農協のところもありますから、そういうことで一律にはいかない。そういう中で、確かに一部の県連につきましては当分の間県連を存置する、こういう決議をしています。
 ただ、私どもは、いずれそういう県もその組織二段に向かって検討せざるを得ない時期に入ってくるんじゃないかというふうに思っております。したがって、私はよく申し上げることですが、我々の取り組んでいるこの組織二段対策というのは、大きな川に例えれば真ん中に遠い流れをつくって合いきつつあるんです。そういうところが平成十年でももう幾つかの県が統合してまいりますと、必ず周りの水は、時間がたてば川の流れに寄ってくるというふうに、これを信じて取り組んでおるということでございます。
○堀込委員 それでは、金融問題について田中参考人に二、三点お尋ねをさせていただきます。
 一つは、この二段階にすることによって、中金、信連の合併、事業譲渡、両方の方式があるわけでありますが、行われまして、単協のJAの預金が、信連である程度運用して今は中金へ来ているわけでありますが、これが全部集まってきて、中金さんは一体、日本の金融機関の中では大変な存在であるわけでありますけれども、資金運用の面で大丈夫かという心配が一つはよくしやばで、しゃばというか世間で言われますから、この辺はひとつどういうふうにお考えになっているか、この問題、これが一つ。
 それから、私も地元の長野なんかで調べてみますと、単協の利益よりも、現状は決算を見ますと信連からの奨励、特配の方がはるかに大きいのですね。言葉を変えますと、この信連の奨励、特配というのが二段階になって中金さんで確保できないと、ほとんどの単協は赤字になってしまう、こういう実態にあるわけでありまして、この辺はどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
 まだ時間が二、三分ありますので、もう一つ。ここで住専の五・五兆返済があるわけでありまして、二兆二千億ありますが、なかなか市場の方もそれを見越していろいろな動きもあるようでありますが、そのほか、これは去年まで四・五の金利収入があったものでございますし、さっき御指摘のありましたような不良債権の問題やらいろいろ抱えてなかなか大変だろうというふうには思うのですが、農協金融の現状のそういう見通しなどについて、簡単で結構でございますので、見解をお聞かせをいただきたいと思います。
○田中参考人 農林中金の資金運用は大丈夫かということでございますが、信連と統合いたしましても農協と直結してまいりますが、信連自体が現に資金を運用しているわけでございますので、その余裕金が統合によって金庫に集中をいたしますけれども、系統全体としてボリュームがふえるわけではないわけでございます。そういう資金に対する金庫としまして、やはり最終資金運用者といたしまして内外の金融市場におきまして幅広く運用していかないといかぬ、そういうふうに思っております。
 国内におきましては、私ども長年の市場運用をやっておりまして、また企業融資につきましても、一般の金融機関に伍して貸し出しを行っているところでございます。
 海外におきましても、現に三拠点に支店を出しまして、金融証券市場等におきましても運用を行っておりますと同時に、貸し出しにつきましては、海外の国際機関、外国政府、海外に進出しました日系企業等への貸し出しなどの優良資産の積み上げを図っているところでございます。
 大変厳しい情勢下ではございますけれども、これらの資金運用につきまして、今回の法改正に伴う規制緩和によってさらに一層充実するものでございますので、統合によって農林中金に集中する系統資金の運用につきましても十分に対応し得る、そういうふうに考えているところでございます。もちろん、リスク管理の徹底とかそういったことは十分に図っていく考えでございます。
 それから、五兆五千億につきましての運用方針いかんということでございますが、五兆五千億が住専から返済になりますけれども、住専管理機構への新たな融資及び系統の資金贈与等を除きますと実質三兆円の新たな運用を行うことになります。
 これの運用先といたしましては、基本的には農林水産業及び関連する事業、法人等への貸し出し、あるいは地方公共団体等の地域振興に資する貸し出しということではございますが、先生御高承のとおり、現下の金融経済情勢を考えますと、金融機関の貸し出し環境は厳しく、これに加えまして、新たな安全性の高い有価証券での運用やインターバンク市場の運用、また信連にありましては、当面、金庫に対する預け金による運用等も相当額に上るであろう、そういうふうに思っております。
 いずれにいたしましても、金庫といたしまして、また系統信用事業全体といたしまして、組合員等の利用者の負託にこたえるべく、計画を立て、みずからの運用ノウハウの向上、体制整備を図って取り組んでまいりたい、そういうふうに思っております。
 それから、先生がもう一つおっしゃいました単協経営の厳しさとそれに対する系統の中での対応状況ということでございますが、農協経営につきましては、先生御承知のとおり、農畜産物の輸入の自由化なり金融の自由化の進展に伴いまして、構造的に利ざや縮小になってきておりますし、農業、農協を取り巻く環境が激変する中で競争も激化しておりまして、農協の経営が厳しくなっておりますことは御指摘のとおりでございます。また、農協の余裕金運用の大宗を信連に依存し、そこからの奨励金の還元が基本的に農協の経営上の大きなウエートを占めていることも御指摘のとおりでございます。
 今後、単協の余裕金運用につきましては、連合組織の統合が行われました場合には基本的には農林中金が対応していくことになりますが、農林中金といたしましては、こうした実情も踏まえまして、適切かつ効率的な運用を行って還元に努めたい、そういうふうに思っているところでございます。
 全体にわたることでございますので、各般の方策を講じながら対応していく所存でございます。よろしくお願いいたします。
○堀込委員 ありがとうございました。終わります。
○石橋委員長 次に、鉢呂吉雄君。
○鉢呂委員 民主党の鉢呂吉雄でございます。
 大変緊急のお出ましをいただきまして、ありがとうございます。二、三、御質問をさせていただきたいと思います。
 岩原教授に御質問いたします。
 ただいまも、農協の性格ですけれども、いわゆる農民、農業者の組織から地域金融機関としての考え方、その両方を柔軟に組み合わせてやっていくというような趣旨の協同組合、いわゆる農協の協同組合の組織に関する考え方だというふうに思ってお聞きをいたしました。
 そこで、ジュリストのことしの八月号に、読ませていただきましたけれども、なかなかそこは岩原教授も悩ましいところで、結論を出しておらない気がいたしたのです。一つは、内外の自由化の関係あるいは規制緩和の関係で、とりわけ金融に関する大型化といいますか自由化という方向で、農協としての対応というのが問われておる。そのことと、もう一方では、営農に関するさまざまなサービスを含めて農協が求められておる。この点について、どこを主眼にしてやっていくのがいいのか、また今のように組み合わせだけでやっていけるのか、このことについてお伺いをいたしたいと思います。
○岩原参考人 大きく二点について御質問があったかと存じます。むしろ後者の、内外自由化に対する対応と今までの営農に対する金融の役割との調整というか、どちらを重視するかという御質問についてお答えしたいと思います。
 何と申しましても、農業協同組合というのは農業及び農業者のための協同組織機関でございまして、やはりあくまで営農のための資金供給ということが中心であろうと私は思います。ただ、先ほど申し上げましたように、非常に厳しい環境の中で、恐らくそれだけでは経済性を十分発揮することができないというふうに考えますので、あわせて、自由化に対応するための若干の活動の拡張が必要だというふうに考える次第であります。
 その意味で、第一の御質問の、農協の、農業者のための金融機関という性格と地域金融機関としての性格をどう調和するかという御質問、もう非常に難しい問題だと思いますが、農業者のためにということを中心としながら、現在は農村地域も大きく変化しておるわけでございまして、農村の混住が進み、そして農村地域においてもさまざまな産業が行われていることを考え合わせれば、この両者は必ずしも背反するものでなくて、地域金融機関としての性格をあわせ持つことによって、より金融機関としての効率性を発揮し、そして地域に大きい貢献をすることができるのではないかと思っております。
 確かに非常に矛盾を抱えておりますが、やはり基礎は農業にあって、それが周りの環境の変化に応じて、農協としてもやはり変化していかざるを得ないのが現状ではないかというふうに考えております。以上でございます。
○鉢呂委員 いわゆる地域金融機関という考え方もしていかなければならない。もちろん全国さまざまな農協がありますから、異なる面もあろうと思います。ただ、一般的に、混住、都市化。地域の農協においては、もう既に地域金融機関としての性格の方が強くなっておる、これはもう農業者においても、八割以上が農外の所得、そこと農協が結びついておるというような状況だと私は思います。
 そのような地域の農協において、一つは、今の金融の体制を整えるということで大きな形になって、一県一農協というような合併も志向しておるわけでありますけれども、そこで問題になるのは、農協の金融の最大の欠点が、貸出先がない、貯貸率が極めて低い。信組なんかもう八〇%以上いっているのに、二〇%台だ。これを克服するのはなかなか、先ほど言ったようなことだけでは融資先というものがない。決定的に違うのは、やはりそこの地域の企業等に対して地域農協が貸し出しをできるかどうかというところがあると私は思うのです。信金等は、もう百億程度の、中小企業と言えるかどうかわからないようなところまで貸し出しができるとか、あるいは業態転換で一般銀行になるというようなことが言われておるわけであります。
 その点について、大型化したときにも、いわゆる先生が言われております農業者としての協同組織の態様をとったときに、そこがネックにならないかどうか、そこを突き破るということができないのかどうか。いわゆる貸出先を極めて柔軟に、単に貯金量の二〇%とかということでなくて、もっと大胆に単協が融資をできるという道を開かなければ、なかなか難しいのではないか、ひとつ、そういうふうに思うわけであります。
 それからもう一つでありますけれども、大型化することによって農協と組合員の関係が、営農関係を中心に非常に希薄化する。これを克服するのは極めて難しい。
 これは私の持論でありますけれども、先生も言っておりますけれども、信用部門が他の経済事業の損失を補てんするということは困難になって、まさに信用部門でも生きるか死ぬかの状況にこれからなっていくという中で、他の部門に対して総合的に力量を発揮する――いろいろ総合農協としてのメリットは信用部門にはあります。これは貯金としてのコストが非常に低く集められるとかいうメリットはありますけれども、それ以上に問題点も大きくなっておる。でありますから、むしろきちっと部門ごとの損益を公開するというだけにとどまらず、実質損益ごとの経営上の責任を明確にするようなものがなければ、かなり難しいのではないかと私は思う。
 難しいという意味は、今回住専を契機としてこういう形に踏み出しました。二度とあってはならないようなことでありますけれども、それに向かっていくには、信用部門の段階からいっても非常な不安がまだ残る、さっき言ったようなことです。いわゆる運用先がないということで、問題が残る。
 それから同時に、農家との結びつきという観点で、今のこういう大型化を志向した中でどうするかということからいけば、やはりかなり問題が残る。そこを何とか将来にわたってどういう方向がいいのか。
 例えば持ち株会社制なんというのが今別の企業では大きな課題になっておりますけれども、そういう中で、経営責任もきちんとして、部門ごとといいますか、いわゆる共済を含めて金融部門とそれ以外のものという区分けの中で経営と農協の存続というような方向が考えられないかどうか。この点についての御意見をお伺いいたしたいと思います。
○岩原参考人 先生の御指摘なされました点、いずれも極めてポイントをついている点ではないかと存じます。
 先ほど申し上げましたような方向で改革を進めていってそれで十分かと言われますと、私も全く自信はございません。ただ、現在時点ではまだ先生のおっしゃいました根本的な制度改革を考える以前の状態ではないかというふうに考えております。
 例えば貸出先をもっと大きいところまで含めるように考えるという御示唆もあったわけでございますが、例えば信用組合等の地域金融機関におきましても貯貸率は大体七割を超えているようなわけでございまして、農協においても、地域金融機関としての性格を持っていった場合、そういう大型企業への融資ということを考えなくてもかなりのところまでやれるのではないかというふうに考えております。現在はそもそもそこまでにもまだ行っていない段階でありますので、とりあえずの改革としては今回のような法改正が考えられるのではないかと思っております。
 そして、部門ごとの経営責任を明確にする、これは私も全く賛成でございまして、なるべく明確化を図っていくことが必要であろう。その行き着く先は、先ほど御指摘のありましたような持ち株会社制のところまで行くのかどうかわかりませんが、現在のような総合農協の仕組みの中でも、まずそれぞれの部門別の経理を明らかにし、そして、それぞれが独立した採算で成り立つようにしていくという努力がぜひ必要だと私も考えております。以上でございます。
○鉢呂委員 系統の幹部のお二人にお聞きをいたします。
 私も、十八年間農協にお世話になりましたし、また、この十月まで大蔵政務次官として住専の処理に四苦八苦しながら何とか国会の同意を得たわけであります。
 今回の法の改正で、一つは三段階制を基本的に二段階にするということであります。これまでもこれはいろいろ法的な措置をとってきたのですけれども、例えば農協の合併についても必ずしも順調にやってきたとは言えないわけでありまして、松旭専務さんにおかれましては、三段階制を二段階制にするということの実現性、いわゆるどのぐらい行えるか。やはりこのことは、全中の指導性として、単にどのぐらいやれるかわからないというようなことでなくて、現下の金融に対する横並び的な是正措置というものを考えたときに待ったなしの段階ではないかなというふうに思いますから、これはきちっとやり切るのかどうか。
 そこから次の段階、今、岩原先生が言われたような、私も言った営農に関する大型化との関係というものをどういうふうに考えるかというのは、やはりきちっとやらなかったら、二段階と三段階が混在するようなことでは中金さんもなかなか全国的な展開をできないということもあると思いますから、その決意をぜひ専務さんにはお聞かせを願いたいというふうに考えます。
 同時に、農林中金の田中参考人さんには、今回、農林中金と県信連との合併あるいは事業譲渡という形で法的にも成立をさせました。その場合に、いわゆるこの認可基準を三つつくりまして、系統全体の経営の健全性に配慮するという形をとっておるわけでありまして、当然、今の県信連のいわゆる不良債権、固定化債権、あるいはノンバンクも含めて不良債権をどうするか。これは農林中金の方には引き継がないというふうには聞いていますけれども、ここのところを明確にして、系統全体の健全性を損なわないようにする必要があると思いますので、その辺の御決意もお聞かせ願いたいと思います。
○松旭参考人 お答えいたします。
 JA改革待ったなしという認識につきましては、もう私どももそのとおり認識をいたしております。
 そこで、組織整備の今後の見通しなり決意を述べろということでございますが、私はさっき一律一斉にはいかないということを申し上げましたけれども、これは農協合併が実現して、その農協がいわば自己完結型の農協になっていけば、組織統合、再編というのはもう待ったなしで進むというふうに私はそれは信じております。
 つまり、どういうことかといいますと、立派な農協ができまして、そこで機能、体制が整備される、人づくりもできたら、もうその農協だけで本来完結することがかなり出てくるではないか、私はそう思っております。ですから、農協がそう立派になれば、連合組織に依存する機能というのはだんだん縮小してくるはずだ。そうすれば、私は、そういった連合組織に期待されている補完機能を二つの重ねもちの段階で担いでいくという必要はなくなるのではないかというふうに思っております。
 私は、よくこういうことを言っているのです。仮に、農協が立派になったときに、連合組織が、おれのところは残す、おれはやるというようなことで、きちっとした対応をしないときには、多分合併農協は連合組織を離れていくだろう。私は、きちっとやらなければ、それは多分JAグループ解体の道につながるというふうに考えておりますから、合併さえできて農協さえ立派になれば、もう自然に下から改革が進んでくるというふうに確信をいたしております。
○田中参考人 今回の信連と農林中金の統合に当たりまして、先生の御指摘のございました信連の不良債権の扱いにつきましては、出資者間の公平性の観点から、県内処理を原則として、承継しないということといたしております。それは、不良債権をそのまま農林中金に持ち込みますと、他の出資者、これは水産、森林、土地改良、かなりいろいろな業態の出資団体に対する対応をしているわけでございますけれども、その出資者に負担を負わせることとなるため、あくまで県内で発生しました不良債権は県内で処理するのが公平であるという考えに基づくものでございます。
 なお、個別信連の不良債権につきましては、先ほど先生からノンバンクについてのお話がございましたが、系統のノンバンク貸し出しというもの全体を見てまいりますと、ノンバンクにつきましては、それぞれその業況は区々でございまして、これを全部一括して危険な企業とみなすことは不適切でございますし、この問題は、結局個別ノンバンクに対する融資にどういうふうな方針で取り組んでいくか、また個別のノンバンクの経営状態がどうなっているかということに帰するわけでございます。それぞれに融資機関として対応しました系統団体が、それなりに責任を持ってこれを処理していくということで進めているところでございます。
 そうしたものも含めまして、個別信連の抱えております不良債権につきましては、基本的にこれまでも県内で処理を進めてきているところでございますし、近年、各信連は経営の健全性を高めるため、回収に努力していることはもちろんでございますが、積極的に不良債権の償却等の処理も進めている状況にございますことを申し添えさせていただきます。
○鉢呂委員 時間が来ましたので。大変ありがとうございました。
○石橋委員長 次に、藤田スミ君。
○藤田(ス)委員 日本共産党の藤田スミでございます。
 参考人の皆さん、きょうは本当に御苦労さんでございます。
 今回の農林中金と信連との合併に関する法律案では、合併は行うことができるというふうにしておりますが、合併するかしないかは任意であって、強制力を持つものでないことは改めて言うまでもないことであります。現在、「JAグループは、二〇〇〇年には合併構想の実現と組織二段を基本とした新たな姿で出発する」、こういうふうに打ち出されまして、この組織再編の大きな柱にしておられるわけで、JA改革の取り組み指針の中では、経営刷新五カ年計画の策定を各連合会、中央会に要請しておられるわけでありますが、今回のこの法律の制定を契機にして、全中として、すべての信連に対して合併を推進していくための何らかの方策をとり、働きかけを行うことにしていらっしゃるのか、それともあくまでも信連が自主的な判断に基づいてこれを進めていく、そういう自主的判断を尊重するお立場にあるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○松旭参考人 私どもの立場としては、やはり基本方向としては、組織二段という方向を確認いたしております。したがいまして、その中で一律一斉にいかないというのは、まあ、時期は多少ずれるかもしれないし、そういう過渡的ないろいろな動きはあるだろうというふうに予測いたしております。しかし、私どもは、長期で見てみました場合に、やはりこれは三段階で生き残っていく条件は少ないのじゃないかというふうに思っておりまして、長期的には、私は組織二段に行くというふうに思います。
 ただ、おっしゃるように、これは県内で決めていただかないといかぬことですから、これは合併農協がそれぞれ自分の県連を今後どう位置づけていくのか、それは県内の事情できちっとやっていただきたい。ただ、だからといって、もうばらばらでいいとは私考えておりませんで、やはりそういうプロセスは踏みながらも、いずれやはり組織二段に向かって動かしてまいりたい、かように考えております。
○藤田(ス)委員 次に、信連の抱える不良債権の問題についてお伺いをしたいと思います。
 新聞報道によりますと、ことしの三月末現在の不良債権額の開示で、四十七信連の不良債権額は千二十三億。しかし、これは非常にディスクローズが不十分なものだというふうに言われているわけであります。住専向けの債権は含まれておりませんし、ノンバンク向け債権についても、先ほどいろいろ理由を述べていらっしゃったように思いますが、要するにその多くが不良債権に含まれておりません。
 そういうことで、私どもは、ノンバンク向け不良債権を千九百三十億円と推定されているものもありますし、さらに投資信託の含み損を約三千億抱えているとも伝えられておりますが、実際はどういうことになっているのかお示しをいただければ。これは農林中金の田中さんか、松旭さんか、どちらかちょっと判断しかねておりますが。
 それから、もう一つの問題は、多額の不良債権等、信連の経営悪化をもたらした原因、あるいはその責任というものをどういうように受けとめておられるのか。大事な問題ですので、重複すると思いますが、御答弁をお願いしたいと思います。
○田中参考人 信連自体が抱えております不良債権額につきまして、あるいはノンバンクに対する融資残高につきまして、私どもがこれを把握する立場にないわけでございますけれども、さきの通常国会におきまして、行政庁より報告されました額は、系統農協の住専以外のノンバンク貸し出しか、八年三月未現在で六兆六千億である旨を御報告されております。先ほど申しましたように、これはノンバンクに対する融資でございまして、これが直ちに、全体が危険な企業、不良なものだ、そういうふうに思うのは不適切でございまして、繰り返しになりますが、個別の問題として、それぞれの判断によるものであろうと思っております。
 ただ、各大手の銀行なりあるいは商社なりあるいは大きな企業なり、そういったものとの関連におきますノンバンクもかなりあるわけでございまして、私どもの方のノンバンク融資もありますけれども、それ自体が不良化したものだというふうには認識していない状況でございます。
 信連につきましても、全体として見れば、私どもがそういう認識をしているのと大体同じではなかろうかというふうに考えるところでございます。
 それから、先生の方で、信連の経営悪化、不良債権の発生によりまして、その背景をいかに認識するか、また、責任についてどう考えるかということでございますが、過去におきまして、一部の信連におきまして、バブルの崩壊に伴う株価の暴落等により保有する有価証券に評価損が発生し、その償却負担から経営が悪化した事例がございます。個別の信連経営につきましてその責任を云々する立場にはございませんが、当該信連におきましては、現在、単位農協の協力と支援を受けまして、また、行政庁の指導のもとに保有資産の処分など血のにじむような経営努力をしておりまして、着実に経営改善を図っているところでございます。
 農林中金といたしましても、県内の最大限の自助努力を基本としまして、系統金融の全国機関の立場から、引き続き当該信連の財務の安定化のために、その改善計画の遂行に対しまして、できる限りの支援、協力をしてまいる所存でございます。
 また、個別信連経営につきましての責任の問題につきましては、私どもはその責任を云々する立場にはございませんが、経営者として責任を持って、さきに申しましたような経営改善に努力しておられるものと拝察をいたしております。
○藤田(ス)委員 私は、農林中金と信連のこの問題については、合併のときの多額の不良債権の処理がどういうふうに行われるのかということが最大の問題だというふうに思っております。農政審答申は、経営不振の信連の救済を目的にするものではないのだということを言っておりますし、農水省も、合併の認可に当たっては、信連の不良債権は県内処理が前提であって、原則としては農林中金には不良債権を持ち込ませない、もっと平たく、身ぎれいになってから来てもらおうなんというような説明をされるわけです。
 そういうふうになりますと、信連が自力で不良債権の処理ができない場合は県内の農協に支援を仰ぐということになり、そしてそれは結果的には組合員に負担が及ぶということになるのではないかと。したがって、この信連の不良債権問題をどういうふうに処理されようとしておられるのか、これは松旭さんにお伺いをしたいわけであります。
○松旭参考人 統合に当たっての不良債権の扱いにつきましては、ただいま田中副理事長が申し上げたとおりでございます。そういう統合のスキームを基本としてやってまいりたいというふうに考えてございます。
 ただ、御指摘のように、自力でできないような場合というのが、これは将来出てこないかといえばそれは何とも言えませんで、そういう場合には、県で再建計画をつくっていただいて、それにいろいろ関係団体が協力していくみたいな話が、私はないわけではないだろうと思いますが、現状では今幾つか不振の信連が出てきておりますけれども、そういうところはやはり県内で再建計画をつくっていただいて、県内の農協一緒になって再建に協力していただいているというふうな状況でございます。
 ですから将来は、私は全然――信連が倒産するような場合どうするかというようなそんなようなことはちょっと今後の問題でございますから、そういう場合はあり得ないとは言えないということを申し上げておきたいと思います。
○藤田(ス)委員 大変難しい問題だと思いますし、事が長引けば長引くほどそういうふうに深刻な問題が出てきて、結局、農協に負担を押しつけたり組合員にツケを回すというようなことが出てくるのではないかと私も実は大変心配をしておりまして、そういうことのないよう責任を持った処理がなされなければならないし、そういう努力を本当に誠意を尽くしてやっていただきたいと思います。
 最後になりますが、先ほどから出ております営農指導等の後退を心配する問題であります。
 これはもう食糧自給率が先進国の中で最低という状態のもとで、なお日本の農業というのは非常にその存亡の危機とまで言われておりまして、そこを再建を進め、国民に安心な食糧を安定的に供給していくというその役割ということでは、農協の果たす役割というのは非常に大きいと私は思うわけであります。
 ところが、大型化すれば、例えば営農指導員の問題も後退してしまうんじゃないか、ここが本当に心配のところであります。これは、今後どういう対策を持っておられるのか、決意を込めてお聞かせをいただきたい。
 もう一つの問題は、先ほど三〇%の労働生産性を高めるんだ、だから三十五万を三十万にしていくんだ、ただし、採用制限や早期退職を促すという形はあっても、決して合理化、入減らしというような職員の皆さんのそういう立場での整理はしないというふうに私はお伺いいたしました。確認をしておきたいと思います。
○松旭参考人 第一の御質問は、営農指導の体制強化でございます。これは私ども、後退することがあってはならないと思いますし、もともと私どもの広域合併を進めていく趣旨の中に、やはり広域営農指導体制を整備しないと、これから小さい農協でかかりつけの医者ぐらいの営農指導体制しやだめだということが発想の原点にございます。
 ですから私どもは、これから広域合併をして広域営農センターというものを核にしまして、そこにいわば営農技術指導だけじゃなくて営農企画業務を持たせていこうじゃないか、さらに、かかりつけの医者から専門の医者まで高度な専門技術も置こうじゃないかということがもともとの発想でございますから、私は、質的には相当営農指導体制は高まっていくもの、こういうふうに考えており、それはそういうふうにお答えを申し上げておきたいと思っております。
 それから、御指摘の五万人の問題につきましては、私どもは雇用調整を行わないでとにかくやれるうちにやろうということが趣旨でございますので、私ども、もう先生御心配のように、ここで職員の方に不安を与えることは我々にとって大変無形の大きな損失だと思っておりますから、そういうことのないように十分留意して取り組んでまいりたいと思っております。
○藤田(ス)委員 農林中金の方はどうでしょうか。信連との合併の中でこれまた職員のリストラ、合理化という心配がございますけれども、私のスタンスは先ほど申し述べたとおりでございます。一言だけ。
○田中参考人 信連との統合につきまして、その人員は、信連の持っております機能が農協に移っていくものに対しましてそれ相応の人員を農協に移ってもらう、それから、農林中金に移っていく機能につきましては農林中金に移っていく、そういうことを基本に一応の整理はしてございます。
 ただ、全体の金融機能はそういうふうに分解をいたしますけれども、金融外のいろいろな機能がございます。例えば、コンピューターの施設でございますとかいろいろそういう機能がございますが、そうした中での人員の活用ということもございます。ただ、統合に際しまして、それの解雇とかそういったことではなくて、採用を中止するとか、そういう中での全体の対応を考えていくということでございます。
○藤田(ス)委員 終わります。ありがとうございました。
○石橋委員長 次に、前島秀行君。
○前島委員 参考人の三人のそれぞれの方、御苦労さんでございます。時間がありませんもので、結局主な点はそれぞれの皆さん聞かれていますので、具体的に、端的に聞きたいと思うんです。
 まず最初に松旭参考人に伺いたいのでありますが、住専問題、やはり農協並びに系統金融にとっては大きな問題であったし、また、いろいろな課題を農協並びに系統金融には与えたといいましょうか、含んでいるだろうと思います。同時にまた、国民の目から、我々外部の者から見ると、やはり一連の住専問題から見ると、農協に対して厳しい目が注がれているなということも、また率直な事実のような気もいたします。
 そういう面で、この住専問題と今後の農協運営、その辺のところをどうお考えなのか。率直な感想を最初に聞かせていただければありがたい、こういうふうに思っております。
○松旭参考人 住専問題につきましては先ほどもございましたが、私どもとしては、結果的にJA組合員に迷惑をかけたという意味では大変遺憾であったというふうなことを反省はいたしております。
 ただ、私、これからこれをひとつばねにしてどういうふうに立て直していくかということが我々の最大の責務だと考えておりますし、それから、住専問題だけじゃなくて、今はもう信用事業の全体的な利ざやが圧縮しているものですから、もう信用事業だけで食っていけないような時代にもなってきておりますから、ここで農協がやはり改めて地域金融機関としての役割をもう一回見直して、ここで地道な融資をやっていくことがもうこれからの基本じゃないかというふうに考えております。
○前島委員 今度の一連の中金と信連の合併の方向あるいは農協合併のいろいろな努力、これを多としますし、また、今度の法改正も必要なことであるし、我々も大いに賛成すべき課題だなとは思います。
 ただ、外部の者から見てみてますと、まだまだ農協内部といいましょうか、系統内部の枠の中の議論といいましょうか、そこの中を一歩も、一歩もと言うと語弊があるかもしらぬけれども、やはりその組織の枠の中でどうするかとか、組織の維持とか組織の対応とかという形で、もう少し外からといいましょうか、あるいは、いわゆる金融機関としてあるべきという観点が若干まだまだ薄いのかなということを率直に私感ずる点があるわけであります。
 先ほど松旭さんは、要するに組織の受け皿の問題と中身づくりの問題、二つの課題があるんだと。こういう意味で私は、やはり大型合併をやっていくこと、あるいは今回の統合を推進していくこと、これはやはり受け皿づくり、組織づくりとしてはいい方向だろうと思うのですが、これをどうなし遂げていくかという課題がたくさんあることは間違いないし、同時にそれ以上に大切なのは中身の問題だろうと思うのです。
 その中で、例えば今回の経営管理委員会、私は必要だろうと思うけれども、何かそのいわゆる選択性といいますか、つくっていいよという、ある意味では非常に中途半端なものではないだろうかなというふうにも思います。あるいは、常識的に言って監査体制、チェック体制ということが不十分だったなということは、別に農協に限らずさまざまな金融機関もそうでありますし、今日の行政改革、大蔵改革、一つの柱はもうこの観点で議論。されているから、この農協系統金融だけの問題ではないだろうと思います。
 その辺のところもやはり、今透明性を確保していく、あるいは信頼を確保していく、さらに私は農協が地域の金融機関として地域に密着していく、信頼を得ていくというためには、この監査体制、チェック体制、それによる地域金融としての信頼性をどう高めていくかということは、私はこれからの系統金融のあり方、農協の生きる道として重要なことだろうと思います。
 そのときに、やはり一般の人たちから地域の組合員までを含めて一番最大に安心するのは監視体制の強化、こういうことであります。そうすると、民間金融機関だから当然自立して独立した公認会計士のチェックを受けるというのは、私はある意味からいったら常識ですし、こういう状況の中ではより積極的に、農協がさらに国民から地域の人たちから組合員から信頼を高めていくためにとるべき姿勢ではなかったのかな、こういうふうに思います。
 あるいは、農協の組織の実態を見ると、准組合員といいましょうか、その位置づけというのもまた、いい悪いいろいろ議論があると思いますけれども、大きな比重を占めていることも間違いない事実だろうな、こういうふうに思っているわけです。
 そうすると、その辺のところ、経営管理機能も、選択でやるかやらぬかお任せしますとか、あるいはチェック機能としてより信頼を得るためにやはり公認会計士という自立した独立したものをそれぞれの単協がぴしっと入れて明らかにしていく、そういう点で、組織づくりと先ほど言われた中身づくりの中でまだまだ中途半端のような気も率直に私はしなくはないわけであります。
 そういう面で、過去平成四年に法を改正して員外理事の枠を広げてそのことによってさらに強化しようとしたけれども、実際は御案内のように、その法改正がほとんど生かされていないという点等々も過去にもあるし、また中央会がJAの推進の改革に当たっての指針を出して、早くその辺のところの合併の問題、統合の問題の方針を九月末をめどに出せ、こういう形のところが必ずしも十分な方向で受けとめられていない等々の状況だというふうに私は聞いているわけであります。
 そういう面で松旭参考人に、その辺のところの見通しと新たな決意みたいなものをお聞かせいただければと思っております。
    〔委員長退席、小平委員長代理着席〕
○松旭参考人 御指摘は二点あったと思うのですが、まず執行体制の問題でございます。
 新しい業務執行体制が今度法律の中に盛り込まれたわけでございますが、これは私どもとしましては、この制度のいいところを取り入れていきたい。そのいいところというのは、私どもとしては合併農協というのは理事が多過ぎましてなかなか機動的な理事会運営ができないものですから、これをひとつ活用する方法はないか。あるいは、御指摘のようになかなか学経理事といいますか、そういうものの導入が非常に難しい現実がありますので、こういう管理委員会制度の活用の中で学経理事をふやしていく手だてを講じたいというふうに考えております。
 ただ、これにつきましてはまだ組織の中で十分この制度の意義が理解されておりませんし、私どもとしてはこの制度の趣旨が生かされて、混乱のないように導入していかなければいかぬものですから、今回の法律を契機に私ども早急に指針づくりをやりまして、的確な対応を図ってまいりたいというふうに考えております。
 それから、外部のチェックでございますが、これは先生、公認会計士というようなお話でございましたが、まず御理解いただきたいのは、確かに信用金庫、信用組合という他の協同組織でも、一定規模以上のところには公認会計士の監査が義務づけられたわけでございます。
 ただ、我々は中央会監査制度という一つの仕組みをこれまで持ってきております。これは他の信金、信組にはない制度でございまして、しかもここ四十年余にわたってこの中央会監査というのは相当な蓄積と体制を持ってきておるわけでございます。したがいまして、私どもとしては、監査の強化に当たりましては、まずこの中央会監査制度という制度の中でやっていくべきだというのが我々の考え方です。
 ただ、だからといって中央会監査が今のままでいいかというと、私ども問題がたくさんあると思います。おっしゃるように、中央会監査というのは外から見ますとしょせん身内の監査だというふうに思われますし、事実県中の会長組合に県中が監査に行ってやることがどうなんだという話もあります。したがって、私ども中央会監査につきましては、これは機能、体制を相当強化していかなければいかぬということで、この体制も早急に改善してまいりたいというふうに思っております。
 それから、御指摘のように公認会計士の方のやはりいろいろお知恵をかりるということも私ども積極的に取り入れたいと思っておりまして、県中なり全中に公認会計士を必ず置くということもやりながら、外部のチェックの目をひとつ活用してまいりたい、こういうふうに考えております。
    〔小平委員長代理退席、委員長着席〕
○前島委員 やはり中央会監査とは、世間から見れば、外から見ればしょせん内輪の監査だということでありますから、やはり信用度を高めていくという意味ではその辺の努力をさらに積み重ねてほしいな、こういうふうに思います。
 岩原参考人にお聞きしたいのですが、今度の統合あるいは大型合併の努力、あるいはさまざまな監査体制の強化、これはみんな悪いことではないから大いにあれだろうと思います。ただ、これだけで、こういう積み重ねだけで果たして農協を取り巻く厳しい状況の中で今後の展望が開けるのだろうか、こういうことになってくると、それから先はまたなかなか厳しいな、こういうふうな気がいたします。御案内のような国際状況あるいは農村の実態等々を見ると、この努力は必要だし、またやればそれなりの前進もあるだろうけれども、ただこれだけでいいだろうか。もう少し長期ビジョン、長期展望の中での位置づけというものが今思い切って必要なような気がしますね。
 例えば、農協の地域その兼ね合いをもう一歩進めていくとか、今は何か中央へ中央へと行くような形で組織二段階論が行って、ある意味で地域とのあれは離れていくという受けとめ方になる。逆にそうではなくして、農協が地域の組合としてどうしていくかという形で、思い切ってそっちの方にシフトしていくという将来展望、あるいは信用事業、経済事業、さまざまな事業の中で分離論の中で生かしていくとかというふうな、地域に密着するものと中央に集中するというものを組織がえ、展望していく中で行く。こういう長期ビジョンの中で、当面するこの種の問題をどう処理していくかという観点がある意味では必要ではないだろうかなというふうにも思う側面もあるので、その辺のお考えについて岩原先生からお聞かせいただければありがたいと思います。
○岩原参考人 最も重要なポイントをついた。非常に難しい御質問だと思います。先ほどの鉢呂先生の御質問も、多分それと関連したことだったろうと思います。
 先ほども申し上げましたように、当面の改革としては、御指摘のとおり現在の法案というのはまず、ベストというかベターというか、望ましい改革だと思うのですが、それだけで十分か、より長い目で見た場合どうかという観点は、やはり持ち続ける必要があると思います。
 例えば、諸外国を見ましても、フランスのクレディアグリコールなどは、むしろ根本的な性格変更を行いまして、ある意味で言えば農業機関というよりは地域金融機関として純化するという方向をとったわけでございまして、まずとりあえずの今回の改革はこういう形で進めて、四囲の状況を見ながら、より長期的にはもっと望ましい、あるいはもっと根本的な改革が必要かということは問い続けていく必要があると私も存じております。以上でございます。
○前島委員 時間が来ましたのでありがとうございました。
○石橋委員長 次に、石破茂君。
○石破委員 本日はどうも御苦労さまでございます。
 参考人質疑も、六番目になりますと大体論点も出尽くしたかなという感じでございますが、ひとつ最初に岩原参考人にお尋ねをいたしたい。これは系統の方々に聞くわけにはいかないし、お役所に聞いても多分お答えはわかっておりますから、聞きません。
 住専問題の反省を踏まえてということが、いろいろなこういう関連法案のまくら言葉には出てくるわけですね。六千八百、五十はともかくとしても六千八百億、これを国民が負担するに至った。これが是か非か、いろいろな話がある。政府の御答弁は、金融システムを守るためには国民の負担はやむを得ない、こういうお話だった。
 確かにそれはそうだろうが、私は、責任のないところに負担はあるんだろうかと思えてならないんですね。確かに、あそこで公的負担を出さなければ金融システムはおかしくなっただろう。出さなければいけなかったのかもしれない。しかるに、何で何も責任のない国民が出さなきゃいけないのというところがどうしてもよくわからないし、そのことを詰めないままに、住専問題の反省を踏まえてという言葉が当たり前のように使われることは、私はいかがなものなのかなと思っておるのです。
 私の浅薄な理解かもしれないが、やはりあれは、政治、行政の失敗というのは国民にツケが回るというふうに、私は行政だけ間違えたとは思わない、もっと大事な責任は政治家たる我々にあったというふうに反省を込めて言っておるわけでありますが、あれだけバブルをあおるだけあおって、上がれ上がれ天まで上がれみたいなことで景気を過熱をさせて、一たび、サラリーマンが家が持てないね、株が上がり過ぎてよくないねということになって、突如として総量規制、三業種規制みたいな創業を投入した。
 そうすると、不動産屋というのは来月も再来月も銀行は金を貸してくれるという期待のもとに成り立っている商売ですから、単に土地だけ持っていて値上がるのを待っていたら余り優秀な不動産屋さんとは言えないので、ところが、来月から金融機関は不動産屋に金を貸してはいけないということになると、それは土地の値段がどたんと下がるのは当たり前のお話である。
 しかし、そこに住専そして系統という穴をあけておけば、そちらの方にだっと資金が流れ込んで、バブル経済というのは一種のばば抜きゲームですから、何と大蔵大臣の直轄会社であるところの住専だし、お互い金融機関同士だから、ある意味で系統が信じるのは当たり前の話であって、だからそういうことが起こってしまったのじゃないのか。
 だまされた方が悪いという話もあるが、だました相手はだれなのということをもっときちんと議論をしなければいけないし、やはり私は、政治の過ちの責任というものは、結局は住民というのか国民にかかってくるという部分もあるのではなかろうかなというふうに思うのですけれども、その点、先生いかがお考えでいらっしゃいますか。
○岩原参考人 私に十分お答えする能力があるかどうかわかりませんが、確かに、住専問題をある点だけつかまえてどこが悪い、ここが悪いというだけの問題ではないというふうに思います。
 そもそも最初にバブルを引き起こした。その前の大きい意味で言えば経済政策を含めて、あるいは国際関係への考慮等を含めたところから根本的には起きてきている。さらに言えば、先生御指摘のとおり、そういうことをもたらしてしまった政治のあり方といいますか、国民がそういう人たちを責任あるところに置いているということ自体が根本的な問題だといえばそうなんですけれども一そういう意味では、先生がおっしゃったような問題があるというふうに思います。今後の反省のためにはそういうところのまず反省から出発すべきであるというのは、先生の御指摘のとおりだというふうに思います。
 ただ、それはまたそれとして、まさに国会の場でこそ御議論いただいて、本当に何が問題であったのかということを解明していただく必要があると思います。
 ただ、それはそれとして、起きた問題の後をどう処理するかということもあるわけでありまして、それはまたそれとしてやっていかなければならない。その意味では、住専は一つのまさに苦渋に満ちた選択ではありましたけれども、当面の危機を回避するためのやむを得ない手当てだったとは思います。以上です。
○石破委員 松旭参考人にお尋ねをいたしたいのですが、住専のときに、これは農業問題だとか農協問題だとか、農協救済のために云々かんぬん、こういう議論がありました。私はそれは当たらないと思って、そういうような主張もしてきたつもりでございます。
 ただ、住専問題というのは、一つ、都市の土地問題ではないのかという意識が私にはございました。それで考えできますと、農協というもの、四十七都道府県あるわけですが、これを全部一緒くたにして考えることにはやや無理がありはしないかという気がして仕方がないのですね。住専でもそれは、貸して貸して貸しまくってえらいことになった信連というのは、大体都市の周りの信連というのが多い。別に誇るわけじゃないが、おまえのところは田舎だからと言われればそのとおりだけれども、鳥取県信連なんというのは全国で第四十七位なわけですよ。そうしますと、JAというのも四十七都道府県随分いろいろな差がある。経営形態も千差万別、全部違う。それを一括して論じるということには方法論として限界があるのではなかろうかという気がして仕方がない。
 これは最後にお尋ねをいたしたいと思っているわけですが、信用事業というものを分離することが是なのか非なのかということで、これほど百八十度見解が違った意見がわあわあとあちこちに出てくる問題は極めて珍しいと私は思っているのです一信用事業を一緒にやっているからどんぶり勘定なんだ、信用事業を切り離して経済事業もきちんと採算がとれるようにやるべきである、そうすれば経済事業もおのずからそういうふうになっていく、こういうように、かなり偉い学者が言っておられるわけですね。
 松旭参考人はある論文で、そんなことはない、農産物代金がちゃんと入ってくるから、したがって、営農事業のようにどちらかというと採算がとれない部門もやれているんだ、それを分離することはいかがなものか、こういうような御所論であったように私は思っておるけれども、地域差の問題、そしてまた信用事業の分離の問題、その点についてはいかがお考えでいらっしゃいますか。
○松旭参考人 確かに、先生御承知のように、四十七県四十七色の上に、各都道府県の中でも都市型の農協と農村型の農協が併存している、そういうのが農協の現実だと思います。
 しかし私は、確かにそれで、よく都市型の農協はもう信用金庫じゃないかというような位置づけをされるのですけれども、その組合員は、兼業の比率は高いが、やはり組合員の生活自体が都市化しながらも組合員として残っている限り、メンバーシップバンクである農協はやはり農協であり続けるべきであろうというのが考え方であります。
 それから、そういう延長線上に先生御指摘の信用事業分離論というのがございまして、これは今回の農政審の中でも大きな議論になったところでございます。ただ、農政審の中では、引き続き総合事業の一環として信用事業を営んでいくことが意義があるというふうに整理された。
 私は、今度農政審の、いろいろ御指摘いただきましたが、その中で大変私は心強い整理であったというふうに思います。なぜならば、私の書いたものを読んでいただいたようですが、農協というのは本来経済事業がやはり主流であるべきであって、そういう経済事業を通じて職能組合としてのやはり人的結束を持った組織なんだということ、これは私、原点だと思います。したがって私は、信用事業分離論というのは、極端に言いますと自殺行為であるというふうにかねがね考えてきておるところでございます。
○石破委員 時間がございませんから、今ここで演説をしても仕方がないんですが、要は、農業協同組合法、昭和二十二年にできておりますが、これは一つ戦時立法である食管法と、そしてGHQ立法である労働組合法と、これは三位一体のようなものだっただろうというふうに私は思っているのですね。全量買い上げで、そしてまた値段は政府が決めるのである。労働者はストライキをしてもいいが、お百姓さんはストライキしたって仕方がないからして、よって政府というものに対して米価運動というものが正当化される。そうでなければ、私、議員になりたてのころに米価は百姓の給料だと言われて何のことだかよくわからなかったのですが、よく考えてみれば確かにそうだ、食管法の理念からいえばそういうことになるだろう。
 しかしながら、食管法というのはきれいさっぱりなくなった。米価というのは御案内のとおり下がっているわけですね。そして協同組合の理念であったところの、恐らく昭和二十二年にイメージをされておった農家というのは、それこそ協同組合の原点であるように、お百姓さんはみんな中小零細で、それぞれは信用がなくて一般金融機関からお金を借りられないから預ける、そしてまた預けた見返りとしていつかは借り入れる、そういう相互金融の概念というものが協同組合法だったのであろう。
 しかしながら、先ほど申し上げたように、お米の値段はとんと下がる。農外収入によってかどうかは別にして、本当に昭和二十二年にイメージをしておった。貧しくて零細で一般金融機関からお金が借りられないという状況は一変したと言っても私は過言ではないと思っている。
 それから、先ほど来陳述に対する質疑の中で皆様方お述べのように、本法案はほかの改革法案とともに歩調を合わせるものですから、このことを私は賛成すべきものだというふうに理解をいたしております。
 しかしながら、本当によもの情勢がここまで激変した今日となっては、農業協同組合法自体を本当に抜本的に改正をしていかなければ、JAが地域に奉仕し発展する、そういうような組織としてさらに発展していくことは難しいのではなかろうかという認識を持っております。その法改正は、私は早ければ早い方がいい、農業基本法とあわせてでも急いで改正をしていかなければいけないというふうに思っておるところでございます。
 松旭参考人にその辺につきましての御見解、最後に承りたいと存じます。
○松旭参考人 大変な基本問題でお答えがなかなかまとまらないんですが、私、ちょっと角度を変えますと、日ごろ思っておりますことの一つに、我々農協の組合員自体のやはり意識が変わってきているということ、それから、農協の組織も五十年たって結構組織疲労みたいなものも起こしている、そういうことを前提に考えますと、農協法改正はともかくとして、私は、五十年たった農協のあり方というものをやはりきちっと我々自身考え直すという一つの契機かなというふうに思っております。
 ちょっとこれはまた私の所見になりますが、例えば我々はかってから協同組合理念というものを一つのバックボーンにしてやってきたわけですけれども、そういう建前としての協同組合理念の中にいろいろな矛盾が出ているんじゃないか。つまり、相互扶助理念というものがもたれ合いになって、自己責任が非常に不明確になっているようなことになっていはしないか。あるいは、非営利団体ということがコスト意識の欠落につながってはいないか。あるいは、組合員全利用ということが組合員マインドをやはり阻害してきているんじゃないか。
 そんなことをいろいろ思いますと、私、先生御指摘の、非常に意識的にそういった改革をすべきだという点については私も同感でございます。ただ、法改正の問題はちょっとまだよくわかりませんですが。
○石破委員 法改正というのは、立法者である我々が本当に皆様方の御意見をきちんと踏まえながら、実態に即して責任を持って行わねばならないものだというふうに考えております。またいろいろ御教導を賜りたいと思います。
 以上で終わります。
○石橋委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。
 この際、参考人各位に一言お礼を申し上げます。
 参考人各位には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。当委員会を代表して心から御礼を申し上げます。
    ―――――――――――――
○石橋委員長 これより両案について質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。栗原博久君。
○栗原(博)委員 先般の委員会で米価に関しまして質問させていただきました。その際に、お亡くなりになりました紀内祥伯食糧庁総務部長もおられたわけですが、本当に心からまず御冥福をお祈りしたいと思っております。
 さて、今まで各参考人の御意見を聴取した中で、大変ためになることもお話を承ったわけでありますが、私は、やはりこの農協が肥大化してまいった。金融はもちろんでございますが、協同組合組織の金融の存在意義あるいは基本理念というものが、かつては零細かつ社会的信用が低かった要するに農家の構成員の方々、そういう方がお互いに相互に資産を出し合ってそして融通し合うという、相互救援というものが実は出発だったと思うのであります。
 しかし、今農家の方々、土地の売却あるいはまた農外収入などによりまして、農家経済の実態は、実際は貯蓄が超過している、あるいはまたそれに対する借り入れの期待が大変低くなっているわけでありますが、そういう中で、やはり農協の単協だけでは金は消化できないということで、農協法のシステムの中から、上部信用団体、県信連あるいはまた農林中金に金が吸い上がっていっているわけであります。
 そういう中で、今回のこの住専の中で、農協関係が五千三百億の贈与ですか、あるいはまた二兆二千六百億の低利融資とか、あるいはまた金融安定化基金の二百億、あるいは新基金の一千五百億など、大変農家の負担が大きくなっているわけであります。
 贈与だけ見ましても、農家戸数三百四十四万戸で割ると、一戸当たり約十五万円の農家負担であると言われておる。さらにそこにまた財政支出で六千八百億、これらもやはり農家の方も税等でいろいろ負担するわけですから。そういう中で、私は今この住専問題、今回の農協二法の改革は、住専問題の処理の後始末のみならず、やはり農協のいわゆる不良債権等の問題をどのように処理するかということで、本改革法案の根本的な問題があると思います。
 先ほど、ある委員からもこの住専問題の責任問題が云々されておりますが、そのとおりで、いつの間にか責任が不明確の中で進んでいる、そこにこの農協二法の改革法案が通ることによってそのような責任問題が回避されるとしたらとんでもないことでありまして、私はやはり厳しく今後とも問わねばならないと思っておるわけであります。
 さて、今回の住専問題を見ましても、この農協二法の改革は、それは大変必要だと思います。しかし、忘れてはならぬことは、単協の方々あるいはまた信連の理事の方々がよく申すのでありますが、この住専のこういう問題は、約五兆五千億近い住専関連への貸し付けは、農林省、大蔵省の通達を信じて貸したわけでありまして、信連の理事なんてわからないうちにこういう問題が起きた。こういうことをまず忘れてはならない。まず農協、この改革をする場合、こういうことを忘れないでこの法案の審議を実はせねばならぬと私は思っております。
 さて、今回の法律は、特に農協の方の法律は、業務体制の強化をして常勤役員の兼職を禁止するとか、あるいはまた新しく農協の経営管理委員会というものを設置できるんだ、そして、この管理委員会が大きな役目を負うんだとか、あるいはまた自己資本の内部留保の充実を図らねばならない、農協にあっては一億円以上の最低出資金のものを導入するとか、そういう法律の改正のようであります。あるいはまた法定準備金の引き上げとか、特にまた監査体制についても大分法律の中に盛り込まれておるようであります。また、事業区分ごとの損益の状況を明らかにした書類を今度組合員に開示しなきゃならぬという、これは画期的なことだと私は思っております。
 特にその中で、私は、なぜ農協が、単協が信連中心にこのように金を吸い上げていったか。その中でこの資金の運用の規制の緩和をたびたび私は、実はここにきょうも石原審議官も堤経済局長もおられますが、この委員会でも主張してまいったわけであります。やはり員外貸し付けの枠を増して、農協の健全経営をやるべきだということも主張してきたつもりではあります。
 さて、その中で、今回のこの改正によりまして、農協系統、特に農協の事業基盤が強化をされるのかということを、大臣の御所見をひとつお聞きしたいと思うんです。
○藤本国務大臣 今回の法案では、栗原先生御承知のように、農協系統の組織再編、つまり、単協の合併であるとか組織二段を図るとともに、業務執行体制、監査体制の強化などによりまして、経営の健全化策を講じることにいたしております。それだけではございませんで、法律だけではなくて、農協系統自身も、法案を踏まえまして自己改革の努力をしようとしている、この点も非常に重要なことだと思います。
 今申し上げましたようなこの二つのことが、法案と系統の努力、これが相まちまして農協の事業の基盤が強化される、かように考えております。
○栗原(博)委員 私は、今農協の、単協の貯貸率等を見ますと、やはり貯貸率を高めねばならない、これが農協の健全経営につながると思っております。
 ちょっと資料を見てみますと、約十四年前に比べまして、農協が組合員に貸し付けしているのが約一・五倍ふえている一員外、地方公共団体等も含みますが、それが約三・七倍になっている。ところが、本当の純粋な員外、企業等が七・五倍であるわけですね。やはり、ふえておりますこの員外貸し付けをいかにふやすかということが、これが農協の健全経営になる、貯貸率の向上になる。例えば農協は、昭和五十五年は四二・三%の貯貸率だった。十四年たちました平成六年には二七・八%であるというふうに物すごく低下しておる。ほかの信用組合とかあるいはまた信用金庫あるいは地方銀行、都市銀行等はすべて八〇%台、大体七九から八〇%台で十四年前、昭和五十五年から今日まで推移をしておるわけであります。
 単協のこの貯貸率が落ちているのはなぜか。それはやはり私は、員外貸し付けに対する枠を広げてやらねばならぬということだと思うのであります。単協は約七十兆近い金を集めまして、そしてそのうち四十五兆を信連に持っていくということであるわけでありますが、問題は、この今回の改正を見ますると、指定農協の貯金等については、百分の十五までを今度は百分の二十にするという。しかし、農協は全国二千二百六十四あるそうでありますが、指定農協は二十五か三十しかないわけです。だから、これは今回の規制の緩和の中で入れましてもスズメの涙であるというふうに私は思うのであります。
 そういうことで農林省にお聞きしたいのでありますが、実際問題、農協の皆さんたちは、まだ員外貸し付けの粋はあるんだ、半分も使っていないというようなことを申されておるわけであります。今時点のこのままの形であったら私は員外貸し付けの枠は伸びないと思うのでありますが、この点について、農協の、単協の健全経営を図るためには、この員外貸し付け等についてどのように農林省はお考えであるかということを局長にお聞きしたいと思います。
○堤政府委員 今御指摘のように、農協につきましては非常に貯貸率が低いという状況になっております。そういう中で、今回私どもといたしましては、今おっしゃいましたように農協の貸し出し範囲を拡大していこうということで指定農協という形にしてはございますけれども、従来の一貯金量の百分の十五というものを百分の二十にしていくということに加えまして、地方公共団体への貸し付け制限、これも償還期限を外すという形で対応することによりまして、何とかそういった農協の六十八兆円の資金を地元の企業それから地元の農村の振興という形に使っていただきたいということでやってきているわけでございます。
 その際、今回は拡大を指定農協というふうにしたわけでございますが、現在のところ、農協につきましても、員外貨し出し条件、非常にここは区々になっております。おっしゃいましたように、まだ員外貨し出しの半分ぐらいしか使っていないというのが全体的なことでございますし、それぞれの業務体制、審査体制ということもございます。
 そういうことで、そういうことを外しまして一律に資金運用規制を緩和するということになりますと、これはこれとしてまた新たな問題が出かねないということがございまして、そういう意味で、指定農協につきましては百分の二十まで拡大したわけでございます。
 ただ、今回法律でお願いしておりますように、農協合併、単協合併ということを考えておるわけでございますが、単協合併、先々に向けて五百五、十というふうに徐々に拡大していきます。また、信連がなくなりますと、農協がその機能も承継いたします。
 そういう中では、いずれそういった指定農協に昇格してくる単協というものほかなり多いのではないか、そういうことも考えまして、とりあえず今回につきましては、今申し上げましたような措置を講じたということでございます。
○栗原(博)委員 その指定農協をふやすことはぜひひとつもう少し、五百億という枠を、指定の上限を下げるとかいろいろやってほしいと思うんです。
 問題は、今局長は審査体制と申しましたけれども、私は、農協が員外貸し付けをする場合はやはり危険負担があるということだと思うんです。中小企業信用保険法等あるわけですから、この中に、施行令の第一条の二には農林中金がこの保証対象になっている。信用組合、信用金庫などはすべて、中央の団体も対象になっているし、末端の信用組合もなっている。農協だけは、中央の農林中金はなっているけれども、農協はなっていないということがあるんですね。これは今回の農協法の改正の中でも、今度は常勤役員の兼職を禁止するとか大変厳しい規定を設けている。これは信用組合と同じような、同等の取り扱いをしているわけですから、やはり私は、農協の指導者である農水省は誇りを持ってこの中に入れるべきだと思うんです。
 こういうことについて私はやはり若干、特にこの保証はストックで二十九兆やっている。中小企業庁いると思うけれども、毎年フローで約十五兆保証しているんです。農協は、信用保証、員外貸し付け約一兆五千億しかないんです。わずかなんだ。それを私は、信用保証をこの中に入れるべきだと思うんです。そもそも現在一兆円の資本金があるわけですから、この公庫には。毎年約二百億円の金が国庫の一般会計から繰り入れられているわけですから。それなのになぜ農協だけが対象外であるかということについて大変疑問に思うのですが、この措置を中小企業庁はどのように今後考えるかということについてちょっと御質問したいと思います。
○寺坂説明員 御説明いたします。
 信用保証協会が行います債務の保証につきましては、原則として、中小企業信用保険法によりまして、中小企業信用保険公庫の保険が付保されることになっているわけでございますけれども、この保険の対象となります保証債務の相手方の金融機関が、中小企業信用保険法施行令によ川まして、銀行等と定められております。現在農協等がその対象に含まれていないということは、先生御指摘のとおりでございます。
 これは、農協等が行います貸し付けにつきましては、原則としてその組合員に対して行われるものでございますので、これらの貸し付けに係ります信用補完については、中小企業信用保証協会とは別の、農業信用基金協会による債務保証あるいは農林漁業信用基金によります再保険の付保、そういった制度が確保されていることによるものでございます。
 一方におきまして、中小企業信用補完制度は、中小企業者等に対します金融の円滑化を図り、その健全な育成発展に資することを目的としているわけでございますので、保険の対象となります中小企業者の借入金融機関、これは中小企業金融に広く結びついている銀行、それから中小企業専門金融機関等をその対象金融機関としているところでございます。
 こうした観点を踏まえまして関係省庁と検討していくべきものと考えておるところでございます。
○栗原(博)委員 ありがとうございました。
 一つだけ、あなたの答弁は、農協は組合員しか貸さぬとおっしゃったけれども、それは違うからね。組合員だけじゃないから。組合員以外にも貸すんだから。あなたはそっちを後でよく見ておいてください。
 時間がありませんから、あと熊谷委員の方に渡します。
○石橋委員長 次に、熊谷市雄君。
○熊谷(市)委員 私は、今度の選挙で農業団体を代表して出させられたということになるわけで、今までJA組織の内部におった立場でありますが、そういう立場からしますと、今回の国会に農協の組織改革を進める二つの法案が提出をされたわけでありますが、私の感じとしては、もう少し早目にこの法案というものを出してほしかったな、こんな思いをいたしているわけであります。
 と申しますのは、既仁農協系統では昭和六十三年の全国JA大会において、いわゆる本格的な金融の自由化とか、規制緩和であるとか、さらには組合員の多様なニーズにこたえていくために競争力のある、足腰の強い、そういう農協にしなければならないということで、当時は三千七百ぐらい
 の農協があったわけでありますが、これを一千ぐらいの農協に広域合併を進めましょう、そしてこれをベースにして、事業あるいは組織の二段階制というものに移行しながら経営のスリム化、合理化を目指しましょう、こういう決議をしたわけでございます。
 以来今日まで、こういう大会決議の精神というものがずっと流れてまいりまして、十二月一日現在ては、先ほどもいろいろ御紹介があったようでありますが、JA数は二千二百四十二、そして合併の構想とする目標というものが五百四十八JA、そして二〇〇〇年を目標にこれを達成しようという形で鋭意取り組みをさせていただいております。
 現在その合併の達成率が四二・五%まで進んできたということなり、あるいは一部の合併JAにおいてはもう既に事業の二段階に踏み切っているという、そういうケースもあるわけでありますから、今度の改正というもの、特に中金法の改正などについては、もう何年も前から要請を続けておったところであるし、一連の組織整備にかかわる法制化というものを待ち望んでおったという、そういう実態があるわけであります。
 ところが、何かこの農協改正の二法というものが、あたかも住専問題の落とし子のような形で提案されているというような声も聞かれるわけでありますが、私たちは、今までの一連の運動の流れからして当然これは、今自主的に取り組んでいるJAの組織改革、経営改革というものを行政サイドから支援するものである、農協の実態がもうそういう実態に至っているし、将来、新しい時代に即応した農協づくりを進めるためにこの法案というものがぜひ必要だという、こういう趣旨からお出しになっているのではなかろうかというふうに思うわけでありますが、その点についての大臣の御見解をまずお聞きしたいと思います。
○藤本国務大臣 御意見につきましては、私も大方の点は同様な考えております。
○熊谷(市)委員 それでは次に、内容の方に入らせていただきますが、まず先ほどからも、農協の理念ということについてかなりいろいろな論議がなされたわけであります。
 今度の法の改正にあっても、農協の性格、協同組合としての性格、理念というものをそのまま温存、継続をさせながら、さらに事業の効率化、合理化というものを目指すために企業的な一つの考え方というか、ビジネス的考え方というものに立っていろいろな要素、要件というものを農協に備えていこうという、そういう考え方が強くあるわけでありますが、当然、この農協というものは農業者あるいは農家の組織から成り立って、お互いに力を合わせて協力をし合っていくという相互扶助的なものもあるし、農協の事業は利益だけを追求するのじゃなくて、奉仕なり還元というものを大事にして行うのであるという大前提があるわけであります。
 そこにいわゆる企業体としての合理性あるいは効率性というものを組み入れていくというふうになるわけでありますが、当然、今の時代、いろいろな業態との競合、競争の中で農協というものを経営していくわけでありますから、それなりの合理化の必要性というものは大変大事であるというふうに思っております。
 ただ、一般的に考えますと、先ほど岩原先生もおっしゃったように、非営利性というものであっても営利というものを追求できないものではないので、十分そこには企業性的なものというものも加味され、それを実行して差し支えないのであるというようなお話もあったわけでありますが、今まで私たちもそういう考え方の中で農協の経営もやってきたつもりであります。
 しかし、よその会社、企業体と違って、純然たる利益追求というだけにもいかないものがある、これが何となくひっかかってくる問題でありますが、協同組合的理念というものと企業サイド的な効率性というこの両立を図っていくという、これは実際に非常に難しいと思いますが、この二つについての御見解をお聞きいたしたいと思います。
○堤政府委員 農協につきましては、御指摘のように、私どもも、協同組織性、あるいは金融機関について見れば地域協同金融機関というような位置づけということをベースにしながらも、最近のやはり金融をめぐります情勢の厳しさの中で、農協もこの日本の中で金融システムの一員として金融事業をやっていくからには、企業性という言葉をお使いになりましたけれども、効率性、業務執行体制その他につきまして、企業的な性格もきちんと備えていかなければならないだろう、そういう
 ことも私ども思うわけでございます。その点は、考え方によりましては、ある意味では企業性ということも当然でございますけれども、今申し上げましたように、日本の金融システムの一員として六十八兆円という膨大な受信を受けまして、大事なお金を預かって事業をやっていくわけでございますから、金融機関として最低限備えていかなければ、国民の皆様はもちろんのこと、組合員の方、その方々からも、信用の面や、あるいは御不安をお感じになられる、そういうような事態に今至っているのではないかという理解をいたしております。
 そういう意味で、協同組織性と企業性の問題はなかなか難しい問題ではございますけれども、今申し上げましたような形で、日本の金融機関の一員としてやっていくためには最低限このぐらいはきちんとしていくということが、国民の皆様、それから組合員の皆様の信頼のためにもベースになるものだ、そういう考え方で今回は整理をさせていただいているところでございます。
○熊谷(市)委員 これは非常にきめ細かな行政というものが、指導というものが大事になってくると思いますので、実際の法の運用に当たっては、特段にその点御要望申し上げておきたいというふうに思います。
 次に、時間も余りございませんのではしよって簡単に申し上げますが、今の問題とも若干関連しますけれども、部門別の損益というものを組合員に開示しなければならないということが、これは信用事業を営む農協にあってはという形の中で義務づけられてきていると思います。
 御承知のように、日本の農協というのは、発足以来、総合事業という仕組みの中で運用されてまいりました。いろいろな部門というものが有機的な連携、結合というものを持ち合いながら、その一体性という一つのうまみを出しながら経営をしてきたというふうに我々は考えているわけであります。部門別の損益というものを独立採算というふうに、あるいは言葉をかえれば解釈ができるのかなと思いますが、一つ一つそういう部門を抜き出して、採算性あるいは不採算性という形で、その数字の結果だけで評価をして適正云々ということを一概に論ずるということの難しさというものが一つ出てくるのではなかろうかなというふうに思います。
 先ほども大分営農指導事業の必要性というものが出てまいりましたが、現在の営農指導というものの大体八割ぐらいは一般会計の中から繰り入れをして補てんをしながら事業を強化している。この補てんというものは、収益部門である信用なり共済の方から回されてくるという性格もあるわけでありますが、一つ一つの独立採算性というものが要請されてくると、指導事業にできるだけ回さないというか、自分の部門を守るという、そういう殻に閉じこもってしまって、本来の総合性の発揮というものが薄れてきやしないかな、それが指導事業の中の足を引っ張ることにならないかなという心配というか懸念がなされるわけであります。
 部門ごとの収益性の開示というものをあえてここに取り上げられた意図と申しますか、そういうこと。それは、事業として、部門ごとにも採算性というものに努力をするんだよということの認識は私たちも持っておったわけですが、そこを余り強く打ち出されると、今言ったような弊害が出てくるというふうにも心配されるので、その辺どのようにお考えになっているか、お聞かせいただきたいと思います。
○堤政府委員 今もお話がございましたように、従来、農協は、信用事業、共済事業の黒字をもって経済事業、指導事業の赤字を補ってきたということだと思います。ただ、これからはやはり、非常に信用事業、厳しい状況が続きますので、そういった構造的な状態、これがまだ続くというふうに見るわけにはいかない。
 そういう意味で、農家の組合員の方々が、自分の農協はどういうふうになっているんだということで不断にやはり見直しをしていただくということが必要ではないか。そのためには、まずは部門ごとの赤字がどうなのか、黒字がどうなのか、不採算部門はどうなのか。例えば経済事業等についても、節減合理化できるような支所やいろいろな施設があるのかどうか。そういったことを不断に見直しをしていただく契機にするために、部門ごとの収支状況を組合員の皆さんに知っていただこう、こういうことでございます。
 したがいまして、基本的には、やはり当面は経済事業ということになろうかと思うのですけれども、指導事業というのはもともと赤字といえば赤字でございまして、もともと持ち出してございますから、かつそれは農協の本来の業務でございますので、そういう意味で、全体の事業の、農協の効率化を図ることによって本来の指導業務をきちんとやれる体制にするという意味を含めまして、全体的なそれぞれの部門ごとの状況を組合員みんなが知って、ではどこをどういうふうに改善していくか、そういうことの契機にしたいということで、今回部門ごとの状況を組合員に明らかにするということにしたわけでございます。
○熊谷(市)委員 時間が参りましたのでこれで終わります。ありがとうございました。
○石橋委員長 次に、堀込征雄君。
○堀込委員 二法案の質問をさせていただきます。
 最初に、今の質問で、実は住専なんかの反省ではなくして系統がやってきた改革の中でこの法案が出されたんだという、おおむねそのとおりだという大臣の答弁がございました。
 しかし私は、やはり今度の法案は、一つは、金融制度調査会で日本の金融システムについていろいろ議論をされて、金融健全化法案が前の国会で、前の前ですか、提案をされ可決をされた。そして系統関係につきましても、そのときは間に合わなかったけれども、農政審議会の答申を待ってここに提案をされた。こういうふうに理解をしているわけであります。日本の金融はいろいろな不祥事も起こしてきた。そして特に銀行、信組、いろいろな問題点が出たわけでありますが、そういうものをやはりきちんとしなければいけないということで金融健全化法案が可決をされたと思うわけであります。
 私は、今度の法案もそういうものを受けて、当然農協金融としての健全性、そして自己責任の原則、こういうものを確立をするために出された。しかも住専問題におきましては、よしあしはいろいろあるのでしょう、だれが責任があるとかいろいろな問題はあるのでしょうけれども、しかし、やはり大きな問題を露呈した。したがって、そういうことを含めてこの法案は出されたというふうに思っているわけでありまして、農協金融といえども日本の国内金融システムの一員として、あるいはまたもっと、国際金融システムの一員としても、その責任はきちっと果たしていかなければならないんだ。そのための今回の二法案の提案だ、こういうふうに理解をしておりますが、大臣の御見解をまずお伺いをしたいと思います。
○藤本国務大臣 この法案につきまして、提案をいたしましたその背景といいますか、考え方についてを含めた御質問でございます。
 金融の自由化等の農協を取り巻く環境が極めて厳しいことから考えまして、他業態と対等に競争し得る健全な、効率的な経営体制をまず確立することが必要である、また農業の生産性向上が求められている、それに対して支援体制を整える必要がある、それから今委員御指摘の、住専処理に絡みまして、この農協系統のリストラが各方面から強く指摘された。この三つがこの法案の提出された背景にあると考えております。
 御指摘の、住専問題についてどのように反省して今回の法案を提出したかという御質問でございますが、住専問題を契機といたしまして、農協系統は金融機関として不備な点があったのではないかとの強い指摘がされました。さまざまな面で見直しを行い、改革への努力をしていくことが必要であると考えた次第でございます。
 具体的には、三段階の信用事業体制が情勢に対応し得なくなっているのではないか、それからもう一つは、業務執行体制が不十分ではないか、三つ目は、自己資本、内部留保が薄いのではないか、こういうことが中心となっての御指摘であったわけでございまして、このような御指摘を踏まえまして、さまざまな見直しを行い、法案に盛り込んだところでございます。
○堀込委員 そういうことだろうというふうに思います。
 そこで、先ほども、私、参考人質疑で系統農協の方々に質問をしたわけでありますが、住専問題というのを総括をしてこの法案を出す以上、やはり新しい出発をしなければいけないのじゃないか。つまり、あのときは、一体だれが悪いのだ、母体行が悪いのだ、天下った大蔵省が悪いのだとか、何か責任論がいろいろありました。あるいは、大蔵省の三業種規制以降の金融政策についての批判などもございました。あるいはまた、大蔵、農水の例の覚書がもともとの問題ではないかとか、いろいろな議論があったわけであります。
 今、この時点に来てそういう責任論をほじくり返してもしょうがないわけでありまして、私は、この法案を出す以上、やはり農協系統みずからがああいうことを、特に八九年、九〇年ごろから、他の金融機関が住専からだんだんだんだん引き揚げつつあるときに、逆にどん、どん融資をふやしていったとか、いろいろな問題点があるわけでありまして、あるいは農水省の問題としては、やはりその検査・監督機関としてああいうことはきちんとできなかったのか。ああいうことをこれから二度と起こさないような体制整備はできるであろうか。それにも増して系統機関は、全国連、県連、単協通じて、あの問題をだれそれの責任じゃなくてみずからの問題として、やはりみんなで反省をしながら新しい金融システムの一員として再出発をしていこうとするような、そういうことが必要なのではないか。つまり、系統農協も必要ですし、それを指導監督する農水省としてもそういう意識が必要なのではないか、こういうふうに思うわけでございますが、農水省の見解をお伺いをいたします。
○堤政府委員 先生御指摘のように、住専問題の際には大変きまざまな意味で国民の皆様から厳しい御批判をいただきました。そういう中で、系統としましても、系統には系統の言い分があるわけでございますが、今おっしゃいましたように、五兆五千億という非常に大きな額を貸し込んでいったということについての貸付審査体制なりなんなりについて、いろいろな問題があったのではないか、それからこういうことが二度と起こらないように、今御指摘のように、抜本的なリストラを進めるべきではないかというような御指摘をいただいたと思います。
 そういうことが今回のこの農協二法という形になって、農協みずからも、自己改革をしなければ、まさに今おっしゃいましたように、日本の金融システムの一員として一人前として認めてもらえないのではないか、そういう危機感を非常に強く抱いていると思います。
 そういうことで、具体的に二〇〇〇年という区切りをつけまして、今二千二百あります単協を、この四年間でございますけれども、五百五十にしていくとか、あるいは戦後営々としてやってまいりました三段階を二段階に移行するとか、それから業務執行体制その他の整備をするとか、そういった自己改革に真剣に取り組んできているというふうに思っております。
 それから、私どもとしましても、今御指摘のように、農協全体を指導監督する立場にありました者といたしまして、こういった事態を招いたということについて、行政側としてもさまざまな意味での見直しをしなければならないということを強く感じたところでございまして、そういう意味で、住専の御審議が始まっております一月段階から既に農政審議会にこの農協問題、農協リストラ問題についてお諮りをいたしまして、それで検討を始めました。八月に答申をいただきましたので、私どもとしては、通常国会を待たず、大変短い期間で非常に恐縮に思ったわけでございますが、臨時国会にお願いして御審議を賜りたいということでお願いしているところでございます。
 いずれにしましても、こういった住専問題のいろいろな意味での見直し、反省の上に立ちまして、農協のリストラを系統ともども強力に進めてまいりたいというふうに思っているところでございます。
○堀込委員 そこで、行政の検査・監督の問題について一点だけお伺いをしておきたいわけでありますが、金融健全化法案以来、大蔵省改革という議論が起こってまいりました。そして、検査・監督を分離すべきではないかという議論が今盛んにいろいろな場所でされているわけであります。
 そこで、この農協関係、JA関係の検査は、あるいは監督は、一体これは大蔵省でやるのか農水省でやるのか。先ほど三塚大蔵大臣は、今の検査は一応農水省が主体であり、大蔵省とも連絡をとってやっておる、こういう答弁がございました。今大蔵省改革の中で検査・監督の分離問題が議論をされているわけでありますが、一部報道によりますと、その大蔵、農水の、あるいは労働省なんかを含めた。こういうものにしよう、一つのものにしようというような議論も進んでいるようでございますが、現状のこの進行状況、討議状況というものについてお教えをいただきたいと思います。
○堤政府委員 金融機関の検査・監督体制のあり方につきましては、現在議論がさまざまな意味で行われているわけでございますが、私どもの今の農協検査ということの実態からまず申し上げさせていただきますと、御案内のように、農協の場合は、信用事業のほかに経済事業ということをやっておりますので、そういう意味では総合事業体ということでございますし、かつ、信用事業と経済事業、信用事業と共済事業あるいは指導事業、なかなか切り離しがたいという裏表みたいな状況でございます。そういった二面性がございますので、農水省は従来から農政上の観点から、中金あるいは信連、単協といった農協信用事業についての監査、検査、監督をしてまいりました。
 他方、大蔵省はどうかと申し上げますと、大蔵省も、銀行、地銀その他の管理監督をしているわけでございますけれども、これは日本の金融システムの一員としての中金あるいは信連あるいは単協、それぞれ信用事業をやっております場合につきましては、これはやはり金融という側面から横断的に見なければいけないだろうという側面から、大蔵省もそういう意味では検査・監督権限を持っております。そういう意味では、今申し上げましたように、いわば共管という形になっております。
 したがいまして、私ども、新しい金融庁がどういう形になるかということについてはまだ予断を許さないわけでございますけれども、仮に検査あるいは監督がそういった形で新しい金融庁に大蔵省から移るということであれば、それは私どもと大蔵省との間で持っておりました共管関係がそのまま移行するということとしてとらえるべきではないか。そうでないと、金融の側面から見るものと、それから農政上の側面から見るものでは視点が違いますので、私どもとしては、そういう意味での考え方というものを基本に置いて、この問題には対処していきたいというふうに考えております。
○堀込委員 この辺は多少前の国会でも金融関係で議論があったところなのでございまして、今御説明があったとおり、共管というのは確かにそのとおりだろうというふうに思うのです。問題は、いろいろな、住専みたいな事件が起きたときに、これは検査・監督上、大蔵省の責任は一体どこまでで、農水省の責任は一体どこまでなのか、こういう問題について何か非常にあいまいになりやすい。そういう意味では、確かに金融システムとしては大蔵省なんでしょう。いろいろな問題上、やはり農水省が一方で主体はやはり持っていくのだろうというふうに思います。
 ぜひその辺は、共管というのがいいのだけれども、何か責任のなすり合いといいますか、そういうことになりはしないかというおそれを持つわけですが、いかがですか、ちょっと見解を。
○堤政府委員 共管ということの中で今御指摘のようなお話があったこと、私どもに対する御批判があったことを私も承知いたしております。ただ、この問題は、それぞれやはり農政上の観点から、単に信用事業だけでなしに、経済事業であるとか共済事業である。とか営農指導事業を見なければいけない、かつ、その関係が不即不離だということで分かれがたい面がございますから、農政上の観点から農水省が見るのはこれまた当然であろうと思います。他方、銀行とかそういった統一的な基準で、金融システムという観点から大蔵省が検査をしなければいけないということもこれまた理屈があると思っております。
 要は、両方の検査がやはりもっと連携をとりまして、具体的な検査の目的なりなんなりをお互いに話をしながら、どんな形で共同して入っていくのか、そういった形の中での工夫といいますか、そういうことを今後しっかりしていかなければいけないというふうに私どもは痛感いたしております。
○堀込委員 今議論をされている中で今のような問題をぜひ消化をいただきたいな、こういうふうに思います。
 そこで、先ほど以来議論をされていますJAの経営あるいは農協金融の経営というのは大丈夫なのかというのは、やはり国民的に関心のある方、非常に心配をされている面があるわけでありまして、やはりそういう意味でいろいろな点を明確にしておく必要があるのではないか。
 問題は、やはり不良債権の処理があるでしょう。これも金融特では、最初は五百五十億、ノンバンク向け融資があって、これは開示基準が違ったので最終的には三千億を超え、今五千二十一億円ぐらいですか、そういう状況になっているという状態がございます。ノンバンク向けでも、これはいろいろなものが中身としてはあるのでしょう。しかし、そういう数字が出ている。一方で、ここで五兆五千億の住専元本返済があり、そのうち二兆二千億、あれですか、いろいろ差し引きますと、三兆円ぐらいのものを運用しなければならないということになってくる。これは、去年までは四・五%の金利で大体年間二千四、五百億は農協系統の収入になっていたが、これも今の金利情勢、市場を見るとなかなか運用は難しいだろうという状況がございます。
 そして、平成七年の決算なんかを見ますと、これは住専関連を処理したということもあるでしょうし、いずれにしても信連の経常利益が六十六億ですか、というような状態になっておりまして、そういう状況と今のような状況を含めますと、なかなか、経営に対して先行き心配だという声はあるわけでありまして、この辺はやはりきちんと、不良債権は今の体力で処理していけるものだ、農協の経営はこの法案にもあるようなことをやりながら健全な経営へ持っていきますよということが、やはり農家組合員にも国民にもわからぬといかぬわけですね。この辺、いかがでしょうか。
○堤政府委員 前の国会におきましても農協系統の不良債権問題が非常に大きく取り上げられたわけでございます。先生今御指摘のように、ことしの三月段階での数字につきましては概数で申し上げたわけでございますが、その後よく調査するようにということでございましたので、私ども調査いたしましても、その概数とほぼ同じ五千億台の不良債権というふうになっております。最近、九月時点でもう一回見直していきますというと、不良債権の額が二千九百億ほどになっておりまして、二千億ほど減少しております。これはさまざまな、何といいますか、金利減免債権等の扱いの中で、経営再建のめどがついたので金利減免から外してくるというような対応措置がとられましたので、二千億円ぐらいの減というふうになっておるわけでございます。
 こういった形の不良債権というものが農協経営にとってはどうかということについての御心配を非常にいただいているわけでございますが、これは私どもとしましては、当然ながら、それぞれの経営において生じました不良債権でございますので、それぞれの経営の中で自己努力でもってきちんと処理されなければならない。その点につきましては、住専に対します財政資金との関係におきましても、今後のノンバンク等の処理については公的負担には一切迷惑をかけないということで対応されてきたわけでございますし、当然ながら農協信用事業関係者もそのことを胸に置いて自己処理という形の中で対応していくものと思っております。
○堀込委員 そこで、この法案を出された背景というのはさっきも御説明ございました。いずれにしても、農協がいろいろな面で危機に陥っているのではないか、危機的な大変な壁にぶつかっているときなのではないか、これをやはり支援しなければならないという背景であろうと私は思うのです。いろいろな数字、先ほどもどなたか挙げておられましたけれども、やはり農協にとって最大の強みであった組織力とか組合員農家の結集力といいますか、そういうものが相当低下をしてきているというふうに思わざるを得ないわけです。
 それから二つ目には、このままいきますと農協の経営というのはいろいろなところで難しさを増してくるだろう、結論的にそういう認識を持たざるを得ないわけであります。JAのシェアが、販売でも購買でも、それから信用事業、九〇年代に入ってじりじりと落ちてきているという現象が現実にあるわけでありまして、例えば農家貯金、七五年ごろは四三%もJAに集まっていたけれども、今はもう三〇%ちょっとぐらいになっているとか、農家が借り入れるのも、七〇年代には五割から六割の人が農協から借りておった。今は相当、これが二〇%台に下がっておるというような事情もございます。これは、別段信用事業だけではなくして、統計数字を見る限り、販売もこれは米を含めて少しずつ系統のシェアが落ちている現象が九〇年代に入って実は出ているわけであります。
 そういうことを見ますと、ここはやはり抜本的な事業改革というのがなされないと、将来の経営は大変なことになるのではないかという認識を持つ必要があるのではないか。
 つまり、農家組合員が徐々に徐々にJAから離れている、事業が伸び悩んでいる、そして、九〇年代初頭には二%ぐらいあった農協の最大の収入源であった利ざやも、今は一%ぐらいになって大変厳しくなっているという、こういう事情があるわけであります。先ほど参考人質疑でも申し上げましたが、そういうふうに苦しくなると、やはり利ざや稼ぎにどこかで走らなければいけない。まあ政府保証つきの債権、住専なんかに飛びつくのは、これはもうどうしてもそうなっていってしまうのではないかという気がするわけですね。やはり根の深い危機が進行しているのではないか。
 そういう意味で、私は、この法案は、じりじりシェアを下げ、経営の危機が進行しているJAを立て直す、そういうバックアップ体制をつくるためなんだ、こういう認識が必要なのではないか。つまり、単なる信用事業云々という話だけではなくして、この法案を切り口にしながら、JAにもそういう危機的な経営を打開するために本当に一丸となって頑張ってもらうというような指導監督がこれから必要なのではないかという認識を実は私は持っているわけでありますが、農水省としての御見解をお聞かせください。
○堤政府委員 今先生が、単に信用事業だけでなしにこれを切り口としてということをまさにおっしゃいましたけれども、私どもも全く基本的に同じでございます。
 農協の現下におきます状況というのは、単に信用事業の問題だけではないというふうに思っておりまして、先ほども御指摘ありましたように、経済事業部門におきましても、肥料でありますとか畜産の部門でありますとか、そういう部門につきましても、やはりシェアが確実に下がってきております。そういうことで、私どもとしては、やはり農家が非常に意識が多様化するということと、それから農村自体も非常に多様化するという中で、農協がどうやってそういう多様化した農家の方々や准組合員の方も含めまして引きつけることができるのかということが、非常にこれからは重要な問題だというふうに思っております。
 そういう意味で、それは単に信用事業の問題だけにとどまりませず、経済事業や、あるいは営農指導事業や共済事業や、全体としての農協のあり方ということに基点を置いて、その中での対応をしていくものというふうに思っております。
 したがいまして、今回の農協リストラにつきましても、今回、法律といたしましては農林中金と信連の合併ができませんのでその点お願いしてございますが、視野としましては、全農とそれから経済連との統合、あるいは全共連と共済連の統合も全体的に視野に置いて、要するに農協という、やや肥大化したという言葉がいいかどうかは別にして、三十五万人体制、もっとこれをスリム化すべきだ、農家の負担をもっと軽減化すべきだというような御批判もございますし、それから、そういう中で業務執行能力を高めるべきだというような、そういう二つの御要請に沿いながら対応していきたいというふうに思っております。
 この点につきましては、先ほどの参考人質疑の際にも参考人から話がございましたように、農協自体としても、もとより、単に信用事業の問題だけでなしに農協全体が問われている問題というふうに理解をしている、私どももそういうふうに理解をいたしております。
○堀込委員 そういう意味で、私は、この法案、系統の二段階、そして広域合併もやらなければならないという立場で、なおかつ心配をしながら申し上げたいのであります。
 一つは、大型合併農協、既に幾つかあるわけでありますが、経営状態を見ると、まだ、未合併といいますか中堅のJAと比べて、そう経営が改善されていないという実態が、統計を見る限りあるのではないか。先ほども、参考人の見解によれば、これはまだ農協はなかなか支所や出先の施設は農家の意向があって統合できないとか、あるいは合併するときに高い賃金のところに合わせるとかおっしゃっておりましたけれども、しかし、そういうことを含めてもなおかつ、なぜもう少し合併の効果は出てこないのだろうかという疑問を持たざるを得ません。
 それから、系統二段で、全農、単協、全農とJAで何か購買品の一部直接の取引を始められたというふうに聞いておりますが、これも果たして本当にメリットを生んでいるのかどうかということを見ますと、私が心配しますのは、そのことにお答えをいただきたいということと同時に、大型合併をすれば農協の危機は克服できるのだよ、系統を二段にすれば真ん中の手数料がなくなって安いものが自然に農家に供給できるのですよみたいな、何か安易なところがあるのではないか。
 やはり、先ほどの質問で申し上げましたような危機意識を持って末端からの事業革新をきちんとやっていく、そういう考え方に立ってやらないと、私は、今の農協の危機は克服できないのではないかという問題意識を実は持っているわけでありまして、その辺について、ひとつ御見解をいただきたいと思います。
○堤政府委員 私どもも、今先生御指摘のような認識とそう大きな差を持っておりません。
 基本的に、従来の合併の状況を見ますというと、やはり、先ほどもお話ございましたように、どうしても組合員やその地域のエゴといいますかそういうような気持ち、そういう、まあ大事にするという言葉があるかもしれませんけれども、そういうことの中で、合併して、コストを下げて、生産性を上げていくという意味での効果が必ずしも上がっていないという事例がかなりあるということについては、さまざまなところから御指摘をいただいております。それは、農協の方もそういうふうに基本的に認識をされているというふうに思います。
 それから、直接取引といった形で、試行錯誤的な形で単協と全農との取引というような形も行われつつありますけれども、こういうものが具体的にどんなメリットを生んでいくのか。これは、これからやはり実行段階をよく見てみなければいけない、楽観だけはしているわけにはいかないと私どもも思っています。
 そういう意味では、大型合併されれば何か効果がすぐ出て、あるいは統合されれば、例えば生産物販売価格が手取りがふえるとか、手数料が下がるとか、単純にそういう問題ではないという意識はかなり浸透してきていると思います。
 と申しますのは、今回のこの法案を契機に、農協自体もリストラに真剣に取り組んでいるわけでございますが、今まではやはり、農協陣が合理化とは言いながらも徐々に人が拡大をしてきたということで三十五万人体制になっているわけでございますが、今回は初めてその三十五万人体制に手をつけていこうという形で、組合員の、何といいますか、末端からの意思がそういう形でなし遂げられつつあるということだと思います。組織討議といいますか、そういうことでなし遂げられつつある。
 それから、合併に伴って、それぞれの地域をおさめるために、ここに整備工場、ここに支所、ここに何とかという形で残していたのでは全く効果が上がらないということも、皆さんがほとんど認識されてきている。そういう意味で、遊休的なもの、あるいは効果が上がっていないものについては、やはりこれを廃止していこう、統合していこうという形に、具体的な計画になりつつあると私は見ております。今回の部門別損益の開示ということもそういうことに役立ってくるかと思います。
 そういう意味では、私どもとしては、系統の人も含めまして今までにない厳しい事態に立ち至っているという状況の中で、過去の延長線上の統合あるいは合併ということではだめだということで、私どもも指導をしてまいりたいと思いますし、系統の方々もそういう認識を徐々に高めているというふうに私は認識いたしております。
○堀込委員 そういうことで進行してほしいなというふうに思うわけであります。
 何か広域合併してもなかなか合理化が進まない、だから職員の数も何となく減っていないとか、経営もうまくなっていない、あるわけであります。一方で、員外理事制度、員外理事なんかもなかなか進んでいかないわけですね。積極的に取り入れていくという農協は少ないわけでありまして、今〇・一ですか、そういうような状況である。私も農村地帯ですから、それはなかなか実行するのは難しいということはよくわかるのです。
 私は、広域合併への期待というのは、もう突き詰めれば一番やはりトップマネージメントの確立じゃないかというような、そのトップマネージメントのリーダーによる事業革新が進むというような、そういうことではないかと思うのですよ。
 そういう意味で、農協が今の御説明でそういう条件が整いつつあるという答弁ですから、いろいろな条件を既にそろえつつありますから、本当に農協のトップマネージメントを確立しながら員外理事を登用したり事業革新に進んでいくような指導をぜひお願いを申し上げて、次の質問に移らせていただきます。
 信用事業につきまして、農政審答申を受けてこの法案が出されたわけであります。合併と事業譲渡、二つの方式をしながら中金と信連を統合していこう、こういうことになっているわけであります。ただし、農政審答申にもありますとおり、計画の策定、実行に行政庁が計画認定等の形で関与していくことが必要だ、こうなっているわけであります。合併等は主務大臣の認可を受けなければならない、こうなっておりまして、三つほどの審査基準が掲げられているわけであります。
 まず、合併と事業譲渡というのは、具体的に私どもちょっとよくイメージできないところがあるわけでありますが、どのようなケースが合併で、どのようなケースが事業譲渡で、実際にはどんなふうに行われていくというふうに想定をされておりますでしょうか。
○堤政府委員 合併と事業譲渡という手段、二つの手段を今回用意しているわけでございますが、合併する場合には、基本的にはすべての営業財産と権利義務を包括的に合併法人に引き継ぐということでございまして、営業財産の一部を除外した合併とか、それから営業の一部の合併といったものは基本的にはないというふうに理解をいたしております。したがいまして、信連と中金ということから見ますというと、信連の出資金なり、あるいは内部留保というものが、農林中金がそのまま引き継ぐという形になってくるだろうというふうに思います。
 それから他方、事業譲渡ということになりますと、これは有機的に一体として機能いたします財産を、これは動産、不動産、債権、いろいろございますけれども、それを契約でもって移転するということでございますので、営業財産の一部を除外した譲渡でありますとか営業の一部だけを譲渡するという、そういうようなやり方がとれるということでございます。
 したがいまして、今回の法律におきましては、それぞれの信連あるいは農中で御議論がされると思いますけれども、事業譲渡という形をとられる場合の方が多いのではないかなというふうに今の段階では思っております。
○堀込委員 それで大体わかったのでありますが、最後に、事業譲渡の方が多いだろう、こういうふうに言われたわけであります。そうすると、農政審答申では、譲渡後の都道府県信連は電算、為替等のみを行うんだ、原則として貸し出し、預金は行わない、こういうふうに答申では表現をしておるわけであります。原則としてという意味と、その例外があるのか、それから、現実には関連会社、子会社とか、こういうケースはどういうふうに想定しておられますか。
○堤政府委員 この信連と農中の合併ということの趣旨は、農協信用事業を二段階にしていこう、要するに、単協があって県信連があって全国連という形、今三段階になっておりますけれども、県信連も全国連もいわゆる農協の、単協の補完機能であるわけですね。その補完機能が二つあったのではスリム化ができないということで、それを一つにしていこうということでございます。
 したがいまして、事業譲渡した後の信連が何かそのままの形で、例えば貯金でありますとか預金でありますとか、そういう形で残るということになりますというと、これは組織二段にならないわけでございます。そういう意味ではこの趣旨に反するということで、基本的には、やはり貯金とか預金とか、そういった信用事業はやらないという形で組織二段を貫いていこうという考え方がその農政審の答申に書かれております。
 その場合に、それでは信連はみんななくなってしまうのかということになると、必ずしもそうではございませんで、電算業務みたいなところは農協のいろいろな意味での業務を受け持っておりますので、そういったところについてはいわゆる信用事業じゃございませんので、そういった形で信用事業が残るということは十分にあり得る、こういうふうに思っております。
○堀込委員 そこで、主務大臣の認可基準の、信連の地区内における農業者その他の信用事業の利用者の利便に支障を生じないこと、これは多分、言っていることはよくわかるわけです。私どもが心配するのは、今信連が果たしているいろいろな役割、これ本当に中金さんでできるのかねというのは、ちょっと心配になるわけですね。
 ですから、単協の補完機能だということはそれでわかるのですけれども、しかし、現実に今、各県の信連は地域金融機関として重要なさまざまな役割を果たしている。これは中金でそのかわる役割がきちんとできなければ主務大臣は認可になりませんよということなんだろうと思うのですけれども、この判断基準は何かあるんですか。
○堤政府委員 今回の法律におきまして、今御指摘の三点、基準をつくっております。統合が系統信用事業全体の効率化及び健全な発展に資するものであること、統合を行う信連の地区内におきます農業者等の利便に支障を生じないこと、統合後の農林中金の業務運営の健全性が確保されることということで、全体としての農協の信用事業を弱めないようにしなければいけない、そういうことが貫かれておりますし、かつ、今おっしゃいました利用者に不便があってもいけないということでございます。
 そういう意味では、今回の統合法によりまして、農林中金が従来信連が貸し付けることができていて自分で貸し付けることができないものにつきましても、当分の間これを貸し出すことができる、そういうことの措置も講じておりまして、そういう意味では、信連の地区内における農業者等の方々に不便を生じないような措置をあわせて講じるということにしておりますので、そういったことがきちんととられているかどうかということを見ながら認可をしていくという具体的な形になってくるというふうに思います。
○堀込委員 そこで、もう一点だけ、農政審答申でも、決して経営の悪い信連の赤字救済ではない、こういうふうに言っているのですが、しかし、どうなんでしょうか。答弁として言いにくいかもしれませんけれども、現実に救済を必要としている、あるいは想定しなければならないというようなところもあるのですか、ないのでしょうか。例えば、決算承認団体になっている信連なんかも現にあるというふうにお聞きをしているわけでありまして、そういう意味では、農水省も組織対策室などでいろいろ御検討されたでしょうが、その辺ちょっと聞かせてください。
○堤政府委員 御指摘のように、決算承認団体という言葉がございましたけれども、信連の中にも経営が非常に厳しいものも確かにございます。今回、信連として農林中金と統合したいという形で既に手が挙がっている信連が十五ほどございますけれども、基本的に経営状況がいいものあるいは悪いもの、いろいろなものが入っているわけでございます。
 いずれにしましても、今回の統合といいますものが農協信用事業全体の力を弱めるということになってしまったのでは、これは本末転倒になってしまうのではないか。逆に、そういうことを安易に認めたら、信連の経営が、非常にモラルハザードといいますか、安易に流れてしまって、中金と統合すればいいんだ、こういうことになっては健全にやっておられる信連あるいは農林中金、その他の農協の方々、それから先ほどもお話ございましたように、農林中金をとれば、森林組合でありますとか漁協でありますとか、そういうところにも影響するわけでございますので、そういう意味で、安易な統合ということはやはり控えなければいけない。そういうことで、先ほど申し上げました基準が設けられているというふうに理解をいたしております。
 いずれにしましても、信連が農林中金と統合します場合に、先ほどお話しのように、不良債権等を抱えているような県信連におきましては、やはり保有資産を売却していただく、それから人員を削減していただく、あるいは施設の統廃合をしていただく、それから会員組合の御協力、御理解を得て、出資増資といった形で対応していただくということで、基本的には県内処理ということでなければいけないのではないかというふうに思っております。
○堀込委員 そういう心配やら、今申し上げましたように、果たして中金が、今信連が果たしている為替だとか現送だとか、いろいろな問題に対応できるだろうかという心配やら、実はいろいろあるわけであります。もう一つ心配があるわけでありますが、今信連から三十兆弱、二十八兆ちょっとですか、信連から中金への預金量、上がっているのはそうですね。ところが、信連が単協から預かるのは五十兆弱、四十六兆ぐらいあるわけでありまして、これは、中金としてはそれらを含めた資金運用ということを、体制をつくり上げていかなければならない。そういうわけでありまして、もしこれが、一挙になされることはないのでしょうけれども、将来的にはやはり市場への影響もあるのではないか。業務範囲の拡大の問題も提案をされているわけでありますが、そういうことを含めて、この二段階による系統資金の運用について心配がないかどうか、農水省、どのようにお考えでございましょうか。
○堤政府委員 御指摘のように、農協全体の預金が六十八兆円、それから信連に四十六兆円、それから中金に二十八兆円ということで預金がされております。そういったものを、例えば中金でありますというと、自分で貸付先を見つけて貸し出しをしていく、それから資金運用をしていく、それから海外へ使って、それでまた資金運用をしていく、そんな形の対応をしているわけでございまして、そういう意味で、統合が進んでくるということに伴いまして、御指摘のように、農林中金の資金量はやはり拡大する方向に行くというふうに思います。
 。したがいまして、今回につきましても、やはり農林中金がこの農協系統資金の最終運用者としての立場という機能を十分に果たせますように、非居住者と言っておるわけでございますが、海外におきます資金運用ができるように今回の措置を講じているということが一つございます。それから、他方、これから農協も単協合併等によって力をつけてくるということでございますので、やはり農協自身の貸付範囲の拡大ということも図っていく。両々相まちまして、資金の運用ということの遺憾なきを期してまいりたいというふうに考えております。
 いずれにしましても、やはり六十八兆円と大変大きな額でございますので、貸し出し、それから自己運用、それから上部への運用、この三つがバランスのとれた形で何とかできるように、今回の、先ほど申し上げましたような手当ても、そういった意味で改善を加えているところでございます。
○堀込委員 そういう点の心配やら、もう一つは、利ざやが縮小して経営の危機、経営の難しさが非常に進んでいるという問題があるわけであります。しかし、現実に今JA、単協経営は、県連からの奨励金とかいろいろなもので帯を結んでいるという面が実際には相当あるわけです。
 私も、あちこち資料を出していただけないかということをお願いしたのだけれども、なかなかどこも、この資料だけはつかんでいないのか、出していただけないのか、そんな感じでありまして、地元の長野県にお聞きをしてみました。長野県農協全体の当期利益金が平成七年度決算で六十一億円であります。そして、長野県信連からの奨励、特配等が百五十六億円実はあるわけでありまして、そういう意味では、もしかするとこういうものが保証されないと単組経営にとんでもないことになるのではないかという危惧も持つわけでありまして、この辺、農水省はどう見通しておるでしょうか。
○堤政府委員 これは御案内のように、大変難しい御質問でございまして、いろいろな前提を置いても恐らく確たるものは申し上げにくいわけでございますが、今先生御指摘のように、単協の経営にとりまして、農林中金から信連への各種の奨励金、それから信連から単協への奨励金、そういったものの水準いかんによって単協の経営ということが大きく左右されるであろうということはもう御指摘のとおりと思います。それぞれの地域によって差は若干あろうかと思いますが、基本的にはそういうことだと思います。
 いずれにしましても、今回の制度改正、リストラによりまして、組織二段ということを進めてくるということと、さまざまな意味での合理化努力ということをやることによりまして、言ってみれば従来の信連が保証しておりましたような還元水準が、信連がなくなって農林中金と単協というふうになりましたときに、そこは確保されるといいますか、そういうことが一番望ましいわけでございますけれども、そういった。今申し上げましたような努力に向けて、やはり関係者の方々が汗をかいていくということになるだろうということだけ申し上げさせていただきます。
○堀込委員 そういう答弁しかやはりできないのだろうというふうに思います。ただ、これは単協の経営にとっては死活問題になるわけでありまして、したがいまして、その辺は行政面からの適切な指導もいただきたいなということを要望させていただきたいと思います。
 次に、監査関係の問題に入らせていただきます。
 金融機関の経営の健全性確保のための法律、健全化法では、監事の機能強化、員外監事の登用、そして外部監査の導入等決定をされて、これらに基づいて信金、労金、信用組合、そして農林中金、これはもう外部監査制が導入をされたわけであります。今度の、ただいま提案をされている法律案も、当然この法律に横並びで提案をされたものというふうに説明もございましたし、私どもも理解をいたしております。
 ただ一点、この外部監査制の導入のところだけ、実は中央会監査を義務づけているというわけでありまして、ここだけ一点、他の法律と変えた理由は何でございましょうか。
○堤政府委員 全体的な農協の監査ということを考えましたときに、先ほどもちょっと御指摘ございましたけれども、やはりバブルの発生、崩壊の過程の中で、非常にリスクが生じたにもかかわらず、十分な監査体制ができていなかったのではないかという大変強い御批判がございました。
 そういう中で、今おっしゃいましたように、員外監事、常勤監事、それから外部監査という形の中での対応がそれぞれの金融業態の中でとられてきた。そのとおりでございます。
 私どもも、基本的にそういう対応をしているつもりでございますが、その際、一点、外部監査の問題につきましては、これは農協の特質といたしまして、昭和二十九年の中央会制度創設以来、中央会が監査という形での蓄積をしてきている。きょうの本会議でも一大臣からお答えを申し上げましたように、かつ、千三百名の監査士資格者の方々が人材として育成されてきているノウハウもある。そういうことでございますので、それを活用いたしまして、他の金融業態の外部監査と劣らない監査効果が何とか図れないものか、そういうことで、この中央会監査ということを考えたわけでございます。
 その際、単に中央会監査をそのまま持ってくるということではございませんで、ほかの金融機関に公認会計士の監査、まさに外部監査でございますが、入っておりますので、この中央会の監査に公認会計士を必ず置きなさいという形に、必置とした上で、そういう意味では、中央会の監査のレベルをうんと上げました上で監査を行うことによって他の外部監査と同等の効果をねらいたい、こういうことでございます。
○堀込委員 今答弁ございましたが、中央会監査を外部監査と同等のものとみなしてということであります。農政審答申で、「外部監査については、信用金庫・信用組合・労働金庫等、他の金融業態と同等の措置を講ずることが必要である。」よくいろいろな解釈をなされるのですが、私はやはり、中央会監査というのは外部監査と言えるだろうか、外から見た場合どうなんだろうかという問題を含めて、せっかく農政審答申も、農協の信用事業の信頼を回復し、そしてそのために「他の金融業態と同等の措置」と言っているので、ここはなぜ中央会監査をわざわざ義務規定に入れたのか、ここがどうしても理解できないのですが、もう一度答弁してください。
○堤政府委員 今回の私どもの法的な手当ては、基本的には農政審の答申に沿ったものというふうに理解をいたしております。員外監事、常勤監事については他と全く同じものを入れて、かつ、外部監査につきましては他と同等のといいますか、同等と見られるものを入れていく。そういう同等として見られるものとしては、やはり中央会監査を使いますけれども、先ほども御説明いたしましたように、従来置いておりませんでした公認会計士を必置するということで、公認会計士の方々のノウハウを使わせていただいて、そのレベルを上げた上で監査体制を強化する、こういう考え方で整理をいたしたものでございます。
 したがいまして、先ほど来参考人質疑のときにもいろいろ御指摘をいただいておりますが、私どもとしましては、こういった公認会計士を必置いたしておりますので、この公認会計士の方々の業務ということが、外部の方から見られましても、きちんとした監査が行われているな、外部の目がちゃんと入っているな、そういうような状態になれますように、公認会計士の活用ということにつきまして工夫をしていきたいというふうに思っております。
○堀込委員 レベルを上げた上でという条件つきなんですよ、今の答弁は。レベルが上がるかどうかわからないですよ。何で外部監査、ここだけやったかというのは、今の答弁、説得力ないのですよね。やはりここも、農政審答申では「同等の措置」と言っている。いや、同等の措置なんですよとおっしゃるけれども、それには今の答弁では、レベルを上げた上だと、こうなっている。レベルが上がらないところはどうするのですか。
○堤政府委員 レベルを上げてというふうに私申しましたのは、農協中央会に、ちゃんと農協中央会が公認会計士あるいは事務所の方と契約をして公認会計士を必置にする、そのことによって公認会計士の方々のノウハウを活用する、そういうことによって中央会の監査が従来に比べて格段にレベルアップするであろう、そういう意味で申し上げたわけでございます。
○堀込委員 そうすると、中央会に嘱託がなんかで来るかしれませんけれども、来られるであろう公認会計士が、信連と一定規模以上の農協、この監査はやらなければならないという意味ですか。
○堤政府委員 今申し上げましたのは、中央会が公認会計士あるいは会計事務所と契約を結びまして公認会計士の方を活用するということで、そういう意味での、公認会計士が持っておられますノウハウを活用させていただく、そういう意味でのレベルアップというふうに申し上げたわけでございます。
 具体的には、公認会計士の業務といたしましては、例えば組合監査に係ります指導助言という範疇がございます。それから、例えばこれも運用でいろいろやられるわけでございますけれども、中央会でその監査をしました後で、監査報告書の内容について検討する合議制の監査審議機関というものを設置する。公認会計士の方をそのメンバーに入れることによって監査報告書の作成過程に関与していただくとか、そういった意味で、公認会計士の目がかなり届いているなという形での中央会監査というふうに見れるような工夫ということにつきまして、私どもとしましても、いろいろ御指摘の点も踏まえまして、全中等に対する指導を考えていきたいというふうに考えております。
○堀込委員 そうするとあれですか、これから全中を指導して、やるのだけれども、中央会と契約するであろう、中央会に必置される公認会計士の目が届くような手法を考える、こういうことなのですよね。そうすると、必置される公認会計士の監査は、一定規模以上の農協であっても必要ない、全部行かれないですよな。だから中央会監査だけで済む、いわゆる従来の中央会監査だけで済む農協があっても仕方がないということになりはしませんか。
○堤政府委員 中央会監査は決算以外の業務監査をやっておりますので、これは従来どおり中央会の監査ということで、任意監査といいますか、ということができることは御存じのとおりでございます。
 今の問題は決算監査ということでございまして、これはほかの業態の場合もそうでございますが、出資金一千億円以上とか二千億円以上とか、そういうところの信金、労金等についての監査ということでございますので、そこは横並びはきちんと私どもも見ていきたいというふうに思っております。
 いずれにしましても、公認会計士を、今まで中央会の監査という中に必置という形になっておりませんでしたものを、きちんと契約で必置という形にしていくわけでございますし、かつ、必置というからには単に置けばよいというものではございませんので、先ほど申し上げましたような形で、十分外部の方の目が入っているな、そういう監査になっているなというふうにわかりますような形での活用の仕方ということにつきましても、これから系統の方とも十分話をしていきたいというふうに考えております。
○堀込委員 農協金融がこれだけ世間の注目を集め、しかもJAによっては幾つか不祥事も起きていることも事実でございまして、そういう意味では、きちんとした体制をつくることの方が将来のJAにとっていいのではないかという立場で、今申し上げているのです。
 大蔵省、お見えでございますか。――大蔵省として、この今の中央会監査で、信金、信組、労金など、これらの他金融並みの監査が期待できる、これで問題なしという見解でございますか。法案をつくるときに相談があったと思いますが、どうですか。
○佐藤説明員 ただいま御指摘いただきましたとおり、先般成立いたしました健全性確保法によりまして一定規模以上の協同組織金融機関に義務づけられました外部監査に当たるものとして、農林系統金融機関につきましては、今般の法案で中央会監査の強化等の措置を導入しているということでございます。これはいずれも、御案内のとおり、金融の自由化が進展する中で、自己責任原則の徹底、市場規律に立脚した金融機関の経営体制の確立が急務である、こういう問題意識に立っての話でございまして、そこは全く共通をいたしておるわけでございます。
 したがいまして、ここで中央会監査の今般の措置について重要なことは、一つは、先ほど農水省の方からもお答えございましたように、監査の質の確保、それからもう一つは監査を行う中央会と監査を受ける組合との間のある種の緊張関係、こういうものが確保されるということが大事ではないかというふうに考えた次第でございます。
 そういう視点から見ましたときに、今般の措置というのは、一つは先ほど来議論に出ておりますように、各中央会に公認会計士の設置が義務づけられ、かつ公認会計士が相当程度の関与を行うということ。それからこれも他の業態と並びでございますけれども、監査に当たる中央会に対しまして、一定のケースの場合には罰則が適用されるといったようなことがありまして、こういったことと組み合わされて導入されるものでございますので、全体として見たときに、監査の質の確保、中央会と監査を受ける組合との間の緊張関係、こういったものの確保が他の業態について導入されます外部監査と同様の効果を期待できるのではないか、こういうふうに考えた次第でございます。
○堀込委員 大蔵省、もう一つお願いします。
 一定規模以上の信用金庫、員外預金比率以上の労働金庫、信組、農林中金は、この公認会計士または監査法人の監査でなければならない。まあ中金も入っているんですけれども。一定規模以上の信連、JAは、そういう条件さえあれば中央会でよいとするその理由はどういうことですか。今おっしゃったことですか。もう一度言ってください。つまり、他は外部監査ですよ、こちらは中央会でも、なぜ容認できるのかということなんです。
○佐藤説明員 質問の御趣旨を取り違えていればお許しいただきたいのですけれども、他の協同組織金融機関、信用金庫等につきましても、一定規模以上のものについて外部監査を義務づける、こういう措置をとったわけでございます。これは、全体の金融システムに与える影響あるいは地域経済等に与える影響が相当大きいということで、そういう規模の大きな金融機関はより大きな責務があるであろうという考え方に立ったものであろうかと思います。
 それで、系統金融機関につきましても、これは今後法律が成立いたしました後、政省令等で基準を定めていくということになろうかと思いますけれども、その範囲につきましては、他の業態と比べて、これが狭い範囲になってしまう、緩いものになるということにならないように、そういう考え方で御相談を申し上げていきたいと思っております。
○堀込委員 よくわかりました。大蔵省としては、監査の質の確保、あるいは中央会とJAの緊張関係とか、そういうものが担保された上で、この中央会の監査も容認した。こういうことですね、早く言えば。つまり、大蔵省としては外部監査の方がいいんだけれども、しかし農林省の方で何かあって、まあこれでもよいということを認めたわけですよ。
 そこで、大蔵省、もう一つお願いします。
 一定規模以上の信連、JAが、もし、中央会監査は受けません、そのかわり監査法人、公認会計士監査を受けてきちんと書類を出します、こう言った場合、どうですか、大蔵省としては。
○佐藤説明員 仮定の御質問でございますので、断定的なお答えは申し上げかねるわけでございますけれども、今御提案申し上げている今般の法改正においては、中央会監査が義務づけられるという形になっているわけでございます。
 それで、御指摘のようなケースにつきまして、実際の個々の事情がそれぞれおありかと思いますけれども、そういった個々の実情を踏まえて、ケース・バイ・ケースで何らかの対応を工夫していくということがあるいはあり得るのかもしれません。この辺は私の独断で申し上げ得る話ではございませんので、農水省の方でお考えになって、また御相談を申し上げていき丸いと思っております。
○堀込委員 そのとおりなんですよね。大蔵省としては、他の金融機関と同じく監査法人の監査を受ければそれでいいです、こう言っているわけですよ。だから、中央会監査のここの規定につきましては、この法律はやはり欠陥を持っているわけですよ。会計監査人もしくは中央会監査を受けなければならない、こう法律に書くべきであったんですよね。そういう農協が現に出たら、それはケース・バイ・ケースになるのか、農水省でそれは対応することになるだろうという今大蔵省の課長の答弁です。
 もしJAが、他の金融機関並みに厳しい監査を監査法人から受けたい、公認会計士の監査を受けたいと言ったら、農水省、どうしますか。それでも中央会監査をさらに義務づけますか。この法律はやはり欠陥だと思うのですが、どうですか。
○堤政府委員 先ほどから申し上げておりますような理由で、私どもとしましては、外部監査と同等のものという形で中央会監査をレベルアップした上で、これを義務づけているわけでございます。この点につきましては、系統全体としてのさまざまな議論の中におきましても、そういうものとしてきちんと中央会監査を受けていこうという意思疎通といいますか、合意ができた上での対応というふうに思っておりまして、そういう意味では、中央会監査を受けないという組合が本当に出てくるのかどうか、ちょっと私のところはそこは今の段階ではわかりません。
 いずれにしましても、もし仮に、中央会監査をした上で、なおかつ公認会計士の監査を受けてみたいということであれば、これ自体は何も排除されているわけではございませんので、そのことは可能であろうかというふうに思っております。
○堀込委員 そこはやはり物事が逆でして、本来、他の金融機関並みの厳しい外部監査を入れるのですよ。これがあって、しかし系統農協には中央会監査というものが歴史的にあるから、これを生かしてもいいよという法律にすべきなのですよ。
 だから、今の答弁は、そこは系統農協の全体の合意ということでありますが、現実に、私は、ディスクロージャーの問題にしても、平成十年なんて言わないでもっと早めるJAも出るだろうし、信連も出るだろう。それから、もっと厳しい外部監査を自主的に受けようというJAも出ると思うのですよ。これらについて法的な措置をきちんとしておかないと、これはやはりこの法律の一つのミステーク、こういうふうに指摘せざるを得ないのであります。
 答弁ありますか。あったらそれで終わります。
○堤政府委員 いろいろ御指摘ございますけれども、私どもとしましては、監査制度につきまして、今の外部監査、中央会の監査でございますけれども、レベルアップをした上での外部監査ということのほかにも、員外監事、それから常勤監事という形で三つの監査制度、監事制度の改善をやっておりますので、この三つの強化されました監事、監査制度でもって農協の経営の遺憾なきを期してまいりたい、そういう運用をさせていただきたいというふうに思っております。
○堀込委員 また議論をさせていただくことにして、時間が来たので終わります。
○石橋委員長 次に、菅原喜重郎君。
○菅原委員 初めに申し上げますが、農業協同組合は、農業者の相互扶助を基本理念とする協同組織であり、農協法にも明記されているとおり、組合員に対する最大の奉仕を旨とし、営利を目的として事業を営んではならないとされています。
 すなわち農協は、株式会社のように最大利潤の追求を目的にするのではなく、各種の事業施設を設置し組合員にこれを利用させるという考え方で事業を営み、こういう手法で事業を行うことによって初めて組合員や地域社会の多様なニーズに即してきめ細かなサービスを提供することが可能となるものであります。例えば株式会社であれば見向きもしないであろう営農指導のような非採算部門であっても、組合員のニーズに応じて営んでいるのであります。言いかえれば、この非営利原則のもとで事業を営んで、農協制度が目指す農業生産力の増進と農民の経済的地位の向上の達成を可能にしてきたものであります。
 しかし他方、近年、農村社会の混住化の進展、道路網の整備、交通機関の発展等を背景に他業態の金融機関やいわゆる商系企業が農村社会にまで経済圏を広げ、店舗網の整備等を通じ濃密な事業展開を行って、農協系統との競合が強まっております。そして今後、金融、証券、保険、運送など、あらゆる分野で規制緩和が進展することが見通され、農協系統は、他業態との競合の激化やリスクの増大に見舞われることになりました。
 かかる状況のもとで、農協系統が自己責任の徹底を図り、健全な経営を維持発展させて。いくためには、経営能力の高い、企業力に強い人材により業務運営を行うとともに、利潤、余剰の確保を目指して収益性の向上や内部留保の充実を図るといった経営姿勢に転換することが必要だと思慮しております。
 今後、農協系統の経営に当たっては、組合員による農業協同組合原則に基づく業務運営の確保の要請と、今後予想される厳しい金融環境や経済情勢のもとでの経営の健全性の確保の要請という相反するような要請を両立させていくことが極めて重要であり、その意味で、今般の農協改革法案は、現在考え得るぎりぎりのものを盛り込んでいると受けとめております。
 しかし、二十一世紀にふさわしい農協とは、農家や地域社会に開かれ、その要望するサービスを十分かつ的確に提供し得る存在であるとともに、経済活動の基盤となる分野での徹底的な規制緩和が進む中で、自己責任のもと強いリーダーシップを発揮し、経営の活性化を促進する存在を常に心がけてもらわなければなりません。このような存在を目指すためには、やはり大胆な改革を通じてのみ実現可能と思われます。このような観点から、私は、農協改革法案について政府の見解をただしてみたいと思うわけでございます。
 まず大臣にお伺いいたしますが、繰り返すようでありますが、農協系統は、農業者の自主的な相互扶助組織として農協法等に基づいて設立、運営され、経済事業、信用事業、共済事業、指導事業等を総合的に行うことによって農業の振興や農村の活性化に大きな役割を果たしてきていました。
 しかしながら、農業、農村の変化、金融の自由化等の農協系統を取り巻く状況の変化の中で、農協系統が将来にわたってその役割を的確に果たしていくためには、その事業、組織の見直しか避けて通れない状況に立ち至っております。特に信用事業については、第一に、金融の自由化、国際化が進展する中で、一層の効率性、専門的業務能力、適切なリスク管理体制が要求される状況になっております。また第二に、バブル経済の発生、崩壊により金融機関の不良債権問題が顕在化する中で、経営における自己健全性確保が不十分であったこと等を踏まえ、金融機関全体として、自己責任原則の徹底と市場規律の十分な発揮を基軸とする透明性の高い金融システムの早急な構築が求められている状況であります。
 言うまでもなく、農協系統の信用事業も我が国金融システムの一部を構成していることから、改革に早急に取り組むことが必要であります。特に住専問題を契機に農協系統は金融機関として十分でない面があったのも強く指摘されており、さまざまな面での反省と改革努力が必要になっているとき、私たちも農協系統の健全育成に責任を感じておりますが、このような中で、今回、農協改革二法案を提案されました大臣のお考え方をお伺いするとともに、これらは一過的なものであってはならないと思いますので、あわせて農協改革に取り組む大臣の決意をまずお尋ねいたします。
○藤本国務大臣 御指摘のように、金融の自由化、他業態との競争の激化に加えまして、住専処理方策の策定を機会に農協系統のリストラが強く指摘されたところでございます。したがいまして、農協改革は農業及び農協系統の将来の展望を切り開いていくために避けて通ることのできない重要な課題であろうと認識をいたしております。
 そうしたことから信用事業を中心といたしました農協改革法案を提出したものでございまして、私どもといたしましては、この法案の成立を契機といたしまして改革を本格的に推進する、そのような所存でございます。
○菅原委員 そもそも今回の住専問題を引き起こした一因として、膨大な預金残高の運用が問題で、系統金融機関として貸出業務が組合法に縛られ制約されている中では、どうしても住専等特定業種への資金集中を見ざるを得なかったことによるものと考えております。もちろん、農協系統信用事業は農業者の協同組織としてその役割を果たすことが第一義であります。しかし、今申し上げましたように、農業も兼業化し、農村を取り巻く環境も変わってきているわけですから、抜本的な資金運用規制を緩和することでこのような問題を引き起こさないようにすべきだと思っております。
 それで、今回この法案による改革で従来と比べどこがどれだけ変わるのか、そして本当に適正な。運用が期待されていくことができるのか、まずこのことをお伺いいたします。
○堤政府委員 農協系統につきましては、御指摘のように六十八兆円、非常に大きな規模でございますけれども、貯賃率が非常に低いといったような状況にございます。したがいまして、今後資金運用を改善していくということで、六十八兆円に上ります農協貯金を健全に運用していくということが何よりも必要だと私どもも認識をいたしております。
 したがいまして、今回の改正におきましても、まず農協、単協でございますけれども、これにつきましては、良協、単協が地域金融機関として果たしている役割ということにもかんがみまして指定組合の員外貨し出し規制を緩和いたしております。貯金量の百分の十五となっておりましたものを百分の二十というふうにしております。それから、員外貨し出し規制の対象外となっております地方公共団体の貸し付けにつきまして償還期限の制限といったものがございましたので、これにつきましても廃止をしていきたいというふうに考えているところでございます。
 また、上部機関でございます農林中金につきましても、系統の資金の最終的な資金運用機関という位置づけにかんがみまして、規制を緩和していこうということで農林中金法を改正いたしまして、海外におきます貸し出し、非居住者貸し出しと言っておりますけれども、この規制緩和を今回の法律でお願いしておるところでございます。
○菅原委員 資金運用規制の緩和の中で、員外貨し出し規制の対象外となる地方公共団体等に対する貸し出しにかかわる政令の限定を廃止するとしておりますが、このことは借りられる地方公共団体の需要に応じて幾らでも対応していくというふうに今回の改正でなっていくのでありますか、どうですか。
○堤政府委員 最近におきます農協なり信連の地方公共団体等への貸し出しの推移を見ますというと、基本的には農協も信連も貸し出しの率が昨今の事情でございますので非常に低いわけでございますけれども、地方公共団体につきましては非常に高い伸びで伸びております。これはやはり系続から見ましても非常に安定、安心した貸出先ということで、優良な貸出先というふうに私どもも歓迎をするわけでありますが、そういう意味で、これからも地域金融機関といたしまして系統が地方公共団体等への貸し出しを伸ばしていくということは結構なことだと考えております。
 今回の、先ほどおっしゃいました償還期限の廃止ということにつきましても、そういうような考え方の上に立っての改善でございますが、今お話のございましたように、農協系統の資金というのはあくまでも農協の相互扶助組織としての性格、これが基本にあるわけでございますから、組合員に対します貸し付けに影響を及ぼして他にどんどん貸していくということは好ましくないわけでございます。逆に言いますれば、組合員に対しまして円滑な資金供給ができるということであれば、安全確実な地方公共団体への貸し出しということにつきましては伸ばしていってもいいのではないか、こういうふうに理解をいたしております。
○菅原委員 一応、地方公共団体にはやはり一つの認可等の規制がありますので、幾らでも貸し付けに応じるというわけには、相手側にもそういうことはできないことだとは思います。しかし、今回のような余剰預金の運用ということについては、やはり今後とも安全な運用ができるように指導していくことをまず望んで、次の質問に移りたいと思います。
 農協系統の事業改革の柱として、当然ながら農協の広域合併の推進が挙げられております。また、農協合併助成法に基づく助成措置も講じられて、平成元年度末は三千七百近い農協が、平成八年四月には二千二百六十四にまで合併されております。現在、さらにどの程度まで合併が進んでいるのか。
 さらに、このように合併がなされているわけでありますので、あわせて、このような広域合併が進むことでどのようなメリットが生まれていたのか、このことをまずお伺いしてみたいと思います。
○堤政府委員 今御指摘のように、農協につきましては、三十六年一万一千ございましたものが、平成八年ごとしの四月段階で二千二百六十四ということで、合理化が行われてきているわけでございますが、今後系統としましては、厳しい農協金融をめぐります状況の中で、全体として二〇〇〇年までに五百五十の農協に再編していこうという考え方を持っております。
 本年十月現在までの構想実現段階の実施状況ということで申し上げますと、二百三十二で統合が行われておりますので、約四割程度が既に全体の合併構想の過程にあるということでございます。
 農協系統としましては、二〇〇〇年までに必ず五百五十の合併を目指していこうということで、合併構想の前倒しと言っておりますけれども、そういうことで鋭意努力しているところでございます。
 私どもとしましても、このような農協系統組織の自主的な取り組みということを支援していく必要があるというふうに思っておりまして、今回の制度改正、法改正におきましても、農協合併助成法が、十年で切れますものを平成十二年度末までの延長ということでお願いをしているところでございます。その他、税制特例措置等につきましてもバックアップをしていきたいというふうに考えております。
 いずれにしましても、農協系統の合併のメリットということにつきましては先ほど来御議論があるところでございまして、それぞれの地域、それぞれの農協によって必ずしも同一ではございませんが、平たく申し上げまして、やはり一つには、銀行その他との、他業態との厳しい状況の中で農協として活動していくためには、規模拡大によります事業基盤の強化ということと、それから、規模拡大をすることによって、役職員等の活用、人材の活用といいますか、そういう意味での機能の強化、それから、合併を契機に、人員を合理化するところは合理化していく、あるいは、遊休施設あるいは余り有効に機能していない施設についてはこれを効率化するといったことによりますコストダウンという形で、それぞれの農協合併のメリットを追求していく必要があるというふうに理解をいたしております。
○菅原委員 今の質問は、合併した組織体にはメリットがあっても、利用する側の農民あるいは利用者にメリットが本当に出ているのかどうか、そういうことを知りたかったことと、もう一つ、私も町長時代、三農協の合併を手がけていますが、当時は高度経済成長期でしたから、資金の面倒を見てやっての事業、人員拡大型の経営で十二分に赤字解消ができていきました。しかし、今や時代が変わりまして、経済も厳しく、競争も激しくなっていますので、合併を進めることでの人員の削減、施設の統廃合、コストの低減は必須条件として、農家側、利用者側から見るときのサービスの低下という懸念にはどのように対応していたのか、またこれからについては対応していくつもりなのか、このことについてお伺いいたしたいと思います。
○堤政府委員 合併には、今も御指摘のような形でのメリットというものが考えられるわけでございますが、合併の裏側といたしまして、どうしてもやはり大型化、広域化することによりまして農協と組合員の方々との結びつきが希薄になるということについては、さまざまなところから御指摘をいただいているところでございます。
 ただ、希薄になるのが当然だということでは、私どもは必ずしもそう考えておりませんで、農協合併をさまざまに進めている地域におきましても、そういった希薄になりがちな組合員と農協との間の溝をできるだけ埋めていく努力をされている農協もあるというふうに理解をいたしております。
 例えば、農家組合員の方々の日常活動には支所というものが常日ごろ接触されるわけでございますけれども、そういった支所機能というものを合併を契機に活発化していこうということで、組合員ニーズの把握なり営農相談、生活相談といった形で支所機能を活発化されているところもあるというふうに聞いております。
 あるいはまた、全体が大きくなりますというとどうしても空疎化してくるということで、組合員組織を育成していこうということで、青年部でありますとか文化活動でありますとか、あるいは営農の面で申し上げますれば、作物別の生産部会といったものをできるだけ小まめにつくりまして、農家の方々の営農、生活のニーズにこたえていく、そういった活動をやっておられる農協もございます。それから、農協が広域化するということによりまして、普及センター等との連携強化、あるいは営農相談の充実、あるいは営農情報の提供といった形で営農指導を充実されている事例もあるわけでございまして、合併イコール組合員と農協との間が離れていくということでは必ずしもないと思います。
 そういった意味でさまざまな工夫をされている事例もございますので、それぞれの中でそれぞれの実情に合った工夫がこれからも行われていく必要がある、そのことによって組合員と農協の間の結びつきの希薄化というものが解消される、あるいは少なくなっていくというふうに思っているところでございます。
○菅原委員 広域合併の推進に当たっての障害となっている要因の一つに、固定化した不良債権の問題がありました。この赤字の処理の問題が大きな障害でありまして、特に、不良債権、赤字のない農協、あっても自己処理できる農協と赤字農協の合併、大きな赤字を抱えている農協との合併、その格差が大きいほど問題が難しくなっているわけでございます。このような合併に当たっての障害を除くために講じられる支援策は、今回の法案、改革の中でどのようになっているのか、お伺いしたいと思います。
○堤政府委員 合併の障害の要因の一つということで、今御指摘のように固定化した不良債権の問題があるということは、農協系統の関係の方々も認めておられますし、私どももそういうふうに思っております。
 この問題につきましては、平成四年に農協合併助成法を改正いたしまして、農協合併推進法人によります不良債権の償却を支援するための措置ということを講じております。さらに、七年の改正でその充実を図っているわけでございますが、これは、農協系統組織が拠出いたしました基金によりまして、合併に際しまして、一つには、固定化債権の償却のための利子補給を行うということと同時に、二つ目には、農協の固定化債権を買い取るといった事業を行っております。それぞれの実績も上がっておりますが、平成八年十月段階で、全国段階の農協合併支援法人と、それから二十一の都道府県におきまして県単位の農協合併推進法人が設立をされております。
 こういったものを活用しながら、非常に難しい問題ではございますけれども、固定化債権の問題に対応していかなければならないというふうに思っております。
○菅原委員 今の合併促進法の中では税制の優遇が重点的になっているように思いますが、それだけでは、現実の不良債権、赤字の問題を解消して合併に持っていくのにはほど遠い対応だと私は思っているわけでございます。
 そういう意味で、かつては高度経済成長期でございましたから、町の方で出資をいたしまして、同時に組合員にも町と同等の出資をさせ、再建事業計画を立てさせ、それを必死に守らせ実行させて赤字を解消して優良農協になっていった。そういう経験がありますので、私は、今お伺いしたような対応だけでは本当にこれは大変な問題だなというふうに考えております。
 それでは、次に移りますが、不良債権の取り扱いにつきまして、農協系統全体として五千億余の不良債権を抱えていると聞いておりますが、現状は本当にどうなっているのか、また、これらの整理も農地、山林原野の価格下落のもとではどうなるのか、心配でございます。本当に、地方の農協ほどこういう不良債権を抱えているわけでございますので。
 そこで、これらの現状をお伺いしたいし、また今回、統合法に基づき信連と農林中金の統合の道が開かれることになりますが、現在信連の抱えている不良債権についてはどのように処置されていくのか。はっきりこれも公表していただかないと、住専やノンバンクヘの焦げつきその他からして、預金者や組合員の信頼が今落ちております。この信頼を早く回復しておきませんと、これからこういうことの不信がどういう結果を生んでくるかはかり知れないものがあると思いますので、こういうこともあわせて質問しているわけでございます。このことについてお答えいただければ幸いでございます。
○堤政府委員 農協系統の不良債権につきましては、前通常国会におきまして本年三月時点の概数を御報告を申し上げたところでございますが、その後、確定値という形で調査をいたしましたところ、その概数とほぼ同様の五千億ぐらいの不良債権がございます。これは、破綻先債権、延滞先債権、金利減免等債権ということでございます。中身は、農林中金、信連、それから共済系統ということを全部込み込みで五千億ぐらいの不良債権でございました。
 さらに、本年九月末段階で調査をいたしましたところ、この不良債権は全体で二千九百十三億円という形になっております。この内訳は、破綻先債権が五百二十五億、延滞先債権千六百五十五億、金利減免等債権が七百三十三億円というふうになっております。
 いずれにしましても私どもとしましては、これらの不良債権につきましては、個々の経営の中におきまして、系統内部において処理されていかなければならないというふうに理解をいたしております。
 信連の不良債権につきましても、今申し上げましたこの数字の中に入っているわけでございます。個別にも、信連につきましてもディスクロージャーという形で不良債権をディスクローズしているわけでございまして、ことしからは破綻先債権という形になっておりますし、来年は、延滞先債権、金利減免等債権等につきましてもディスクローズをしていく運びになっております。
 こういうことによりまして、経営の中身を関係者、国民の方々、組合の方々にお知りいただくことによってそういった方々の信頼ということを回復していかなきゃならないというふうに理解をしているところでございます。
○菅原委員 次に、業務執行体制についてお伺いいたします。
 広域合併による単位農協の事業規模の拡大、農協系統の他業態との競争の激化、金融の自由化、国際化の中で農協及び連合会の業務執行体制の重要性は著しく増大しております。特に、バブル経済の発生、崩壊により金融機関の不良債権問題が顕在化する中で、責任ある業務執行体制が確立していなかったこともこの一因であり、金融機関全体として責任ある業務執行体制の確立が必要であります。今回の改正においても、業務執行体制の確立が一つの柱と考えられており、新たな経営管理委員会制度が選択的に導入されることになっております。
 そうなりますと、現在の理事会制との関連はどうなっていくのか。さらに、理事を経営管理委員会が選任するとなると、現行の選挙で選んでいる理事制度はどうなるのか。こういうことは屋上屋になるのではないかとも考えられますので、その点についてお伺いしたいと思います。
○堤政府委員 先生も今農協の業務執行体制の重要性についてお触れになったわけでございますが、私どもも全く同様の感じを持っております。これからの厳しい金融事情を乗り切っていく上で、業務執行体制がきちんとしていかなければ組合の方々の信頼を得ることが非常に難しい時代になってきているなというふうに理解をいたしております。
 そこで、今御指摘のように、現在は業務執行体制として理事会制度というのがございます。これは、三分の二以上の方々が組織代表、まあ農民代表という形になっておるわけでございます。選挙または選任によって選出をされるということでございます。私どもも、この理事会制度につきましては、今後ともきちんとこういう形で運用されていくということは、それはそれで結構だという理解をいたしております。
 と同時に、現在三分の二以上が組織代表、逆に申し上げますと、三分の一までは学経理事でありますとか、そういう専門家の方々が登用できるという道が開かれているわけでございますが、現実は、一農協当たり、先ほども出ておりましたけれども、〇・一名程度の学経常任理事ということになっておりまして、非常に現在の金融制度は高度化、複雑化しているわけでございますので、そういう意味で、専門家の方々がやはり日常の金融業務に当たるという趣旨から見ては今の農協の業務執行体制はいかがかという御批判が強いわけでございます。そういう状況でございますので、今回は、経営管理委員会制度と、その下に理事会制俊という二段の形にしてございます。
 これは決して屋上屋を重ねるということではございませんで、完全に機能を分化して、そのよさを両方とも引き出していこうということでございまして、経営管理委員会は、農協の協同組織性ということをおもんぱかりまして、すべて組合員農家から成ります、組織代表から成ります経営管理委員会というものをつくろう。で、そこの経営管理委員会におきまして業務執行に関します重要事項を決定していく、さらに理事を選んでいただく、そういう形にしていこうと。そういうことによりましてこの経営管理委員会というのは、いわゆる組織の方々の御意見が通っていく、そういうものだというふうに思っております。そういうもとに、具体的な高度化された日常の業務は専門家の方々にゆだねていこうということでこの理事会制度ということになっているわけでございます。
 もちろん経営管理委員会の方が任命をするわけでございますが、その資格は制限はしないということで金融の専門家の方々を登用しまして、非常に難しくなっております日常の金融業務に当たっていただく、そういうことによりまして、農協の協同組織性をきちんと堅持しながら、当面の非常に難しい日常業務、金融業務は組合員の負託にこたえた形で間違いなくやっていただこう、両方の目的を持った制度として選択肢として導入しているところでございます。
○菅原委員 今質問しておりました理事の選挙制度はどうなるのかという点について、もうちょっと詳しくお尋ねしたいと思います。
○堤政府委員 全体の説明の中に入れましたのでおわかりにくかったかと思いますが、経営管理委員会を選びました農協におきましては、この経営管理委員会が理事の方を任命するということでございます。従来は選挙または選任によって理事が選出されたわけでございますけれども、経営管理委員会を置きます組合におきましては、この経営管理委員会が理事を任命をするということでございます。
○菅原委員 そうすると、経営管理委員会制度を置くことにした組合では、理事の選挙はしなくともよくなるというわけでございますか。
○堤政府委員 その場合は、経営管理委員会のところはすべて組織代表でございますので、選挙という形になってまいります。
○菅原委員 それから、先ほど言いましたように、私は、やはりこういう委員会も専門的な人材が当たっていくようにしなければならぬ、このように考えております。
 しかし、経営管理委員会の委員はすべてが正会員でなければならないとあるわけですが、御承知のように、地方に行くほど専門的人材というのは少なくなる傾向であります。一方で、こういう経営管理委員会のような制度は、人材を活用していかなければならない、こういう要求があるわけでございます。
 ですから、そうなりますと、この正組合員でなければならないという規定とはどういう関連になるのか、その辺のことをもうちょっと詳しくお聞きしたいと思います。
○堤政府委員 経営管理委員会は選挙によって選出される、先ほど申し上げたとおりでございます。すべて組織代表、農民の方をもって構成するということでございます。そのことによって、農協の具体的な執行に協同組織としての農家の方々の意思の反映を確保していこうということでございます。
 他方、その経営管理委員会から選ばれます理事会の方々の資格は問いません。どういう方でも、要するに金融の事情にお詳しい方であれば、正組合員であろうと正組合員の方でなかろうと、こういうお詳しいと思われる方を経営管理委員会が任命という形で選出していくということはできる、こういうことでございます。
○菅原委員 そうしますと、実際的には専門理事を経営管理委員会が選んでいけるようになってくる、そう理解していいわけですか。
○堤政府委員 そのとおりでございます。
○菅原委員 どうもありがとうございました。
 経営の健全性確保の課題で、私たちの方の堀込委員も外部監査の導入等で厳しくお伺いしていたわけでございますが、監査体制の強化も重要で、今回の改正では、員外監事、常勤監事の必要をうたっております。
 ついては、農協の監査体制の現状をどのように認識し、どのように改善しようとしているのか、このことをもう一度私にもお伺いさせていただきたいと思います。
○堤政府委員 バブル経済が発生、崩壊する過程で金融機関の不良債権が顕在化したわけでございますけれども、これはやはり、金融の自由化ということによりまして金融リスクが非常に高まっているにもかかわらず、監査体制などの経営の健全性確保策が十分ではなかったのじゃないか、そのことが一因したのではないかという御指摘があったというふうに強く私どもも受けとめております。
 そういう認識のもとに、さきの通常国会におきまして金融健全化法が成立をいたしまして、信用金庫、それから信用組合、労働金庫につきまして、員外監事、常勤監事等の導入、外部監査の導入等が行われたわけでございます。
 もちろん、系統信用事業につきましてもこういう厳しい状況でございますので、かつ、リスクも高まっておりますので、他の金融業態と同等の監査体制をしきたい、こういったことが不可欠だという基本的な認識を持っているわけでございます。
 したがいまして、今回の法改正におきましては、員外監事一常勤監事等につきまして他の金融業態と同等の措置を講ずるということをやっておりますが、その際に、先ほども御議論ございましたように、外部監査の問題につきましては、系統内とはいえ第三者でございます中央会が、中央会ができました昭和二十九年以降監査を実施してきているという実績がございます。ノウハウも蓄積されております。かつ、千三百名の資格者もございます。そういうことでございますので、この人材を活用し、かつ、公認会計士の方々の目できちんと監査もレベルアップしていただこうということで、公認会計士を必置といいますか置くということを前提にした上で、現在任意で行われております中央会監査を一定規模以上の農協、信連に義務づけていこう、こういうことで今回監査体制の充実を図ったところでございます。
○菅原委員 一連の今までの農協系統への信頼を落としてきたことで、農協貯金も減少傾向になってきていることがデータでもはっきりしております。先ほども申しましたが、やはり早くこの不信を解消させないといかぬと思っているわけなのですが、今回の法改正を講じることによりこういうことに歯どめをかける可能性が十分に出てきたとは思いますが、この見通しについてお伺いしたいと思います。
○堤政府委員 農協貯金につきましては、この三月に対前年同月比という形で三角に転じまして、八カ月間、十月まで対前年同月比で三角という状態が続いております。
 こうした農協貯金の動向の背景というのは、なかなか一義的には言えないところもございますけれども、いろいろ考えてみますというと、やはり一つには農業所得の減少なり兼業収入の減少といった形で農家経済が非常に厳しいといったこともあろうかと思います。それから、土地売却代金が土地の値下がりといったことで近年大幅に減少しているということで、農家の貯金の財源というものが少なくなってきているということも影響していると思いますけれども、別途また、昨年来いろいろと金融機関の経営破綻とかあるいは住専問題というものが生じまして、金融機関の経営に対する不安感がある、そういうこともやはりこの農協貯金の減少ということに影響してきているのではないかなというふうに思います。
 私どもとしましては、そういった認識のもとに立ちまして、系統もそうでございますけれども、私どもも今回法律をお願いいたしまして、農協のリストラを強力に進めていこう、二〇〇〇年という期限を限って単協の合併、垂直統合、それから業務執行体制の強化と、さまざまな面で今考えられますことをやっていこう、手を打っていこうということをやっておりますので、こういった御審議をいただいております法案の執行、施行ということと農協系統の方々の自己努力、リストラに向かっての自己改善努力というものが相まっできますれば、こういった今申し上げましたような農協貯金の減少といったものにつきましても、国民の方々の、あるいは農家の方々の信頼を何とかつなぎとめていく方につながっていくものだというふうに期待もいたしておりますし、そういう形で努力をいたしたいというふうに思っております。
○菅原委員 金融自由化を視野に置いて本当にJAを改革していこうとするなら、組合法のメリットと、農林中金側が銀行並みの資金運用方法を行えるよう考え出せないものか。また、将来こういう考えが出てきても不思議ではないのではないかと思います。この点についてはどのような見解、所信を持っておりますか。
○堤政府委員 農林中金は、御指摘のように高い審査能力、貸し付け能力というものを持っておりますし、海外でも業務展開をいたしておりまして、海外の格付機関からも相当に高い評価を得ていることは事実でございます。
 そういう意味での中金をどういうふうに扱ったらいいのかということについての御議論だというふうに思うわけでございますが、今御指摘のように、銀行並みの扱いということについても一つのお考えかとは思いますけれども、やはり現状の農協信用事業ということを考えますと、これからは二段階というふうになってまいりますが、従来でありますと、単協と信連と農林中金ということの中で、農林中金が最終的な六十八兆円に上ります資金需要というものを受けとめまして、これを有効に貸し付け、あるいは債券等で運用して、それを農家の方々に還元をする、こういったことで農協系統信用事業が成り立っていると思うわけでございます。その基本的なスキームというのは当面大きく動くことはないのではないか、またそれを変えることばなかなか難しいのではないかというふうに私は思っておりますし、系統の方々も恐らくそういう御理解であろうと思います。
 そういう意味で、今回の御審議をお願いしております農協二法におきましては、中金も含めまして、農協の協同組織性ということを基本としながらも、先ほど来議論が出ておりますような形での日本の金融システムの一員として備えるべきものは備えていく、あるいはその協同組織性を踏まえながらも、系統資金をできるだけ有効に活用できる形での規制緩和をやっていく。そういう意味で、例えば農林中金につきましても、海外におきます貸し付けといったものをもっと自由にやれるようにしていこうということで、非居住者貸し出しといった新しい範疇を設けまして、農協信用事業の最終的な運用者としてこれを従来より広く活用できるようにしていこうということで整理をしたところでございます。
○菅原委員 全中やJA改革推進本部で出したJA改革の取り組み指針を見ると「資産・負債・資本の承継」の中で、統合連合組織に承継を基本とするということが書かれてありますので、このことも承知しているわけですが、しかし、承継しない資産、負債もあって、事前に分離、償却するとか、不良債権は承継しないとかいう文もうたわれております。そうすると、これらの処理方法はどうなっていくのか。先ほどもお聞きはしましたが、今回は経営責任が問われていくこともあるのか、この点に重点を置いて質問をしているわけでございますので、お伺いしたいと思います。
○堤政府委員 不良債権につきましては、先ほども参考人の質疑の中で参考人の方がお答えになっていたかと思いますけれども、農協系統といいましても一本ではございませんで、農林中金と信連の統合というふうに考えましても、農林中金は森林組合や漁協といった形のものも持っておりますし、それから、今回の統合自体が系統信用事業の機能の強化、弱体化でなしに機能の強化ということをねらいにしているというようなことから、信連が持っております不良債権は基本的にはやはり県内で処理をしていただくということでなければなかなか皆様の同意が得られないのではないか。ましてや、そういうことではモラルハザードといいますか、信連経営に対する不適正なこともあるいは起こり得る、そういうことも考えられますので、基本的には県内において処理されるべきだというふうに思います。
 そういうことについての経営責任がどうであるかというのは、これはその県、その県の事情なりあるいはそういう不良債権を派生するに至った事情なり背景なりということの中で、個別のこととして対応されるべきだというふうに思っております。
○菅原委員 それから、「県連・全国連は、統合連合組織の事業機能の発揮と経営確立がはかれる要員体制をめざし、新規・中途採用の抑制、早期退職優遇制度の導入」等を目指すということになっております。このことはよいことでございます。
 さらに、JAグループ全体の労働生産性三〇%向上を実現するため、全体の三十五万の職員数のうち五万人を削減目標とし、これを設定しております。このような際に有能な人間を取り逃してしまうおそれもあるわけでございます。さらに、新規採用も抑制するとなると、人材の確保には一層の注意が必要であると思うわけでございます。このような事態に対しましてどのような配慮をしていくのか。私は、勤務評定、これは反対ではないわけでございまして、こういうようなこともこういう中には盛られていくのかどうか。これは政府の問題とは離れているかもしれませんが、お伺いしたいと思います。
○堤政府委員 今御指摘のように、私どもの方で考えるということよりは、むしろ、どちらかといえばそれぞれの経営の問題として考えられるべき事柄だというふうに思います。
 いずれにしましても、人員として五万人削減する、新規採用を抑制するというようなことで厳しい対応をしていくと同時に、やはり農協信用事業のこれからを考えますと、良質な人材を確保するということは、これまた同時にやっていかなければならないわけでございます。そういう意味では、さまざまな意味でのリストラを進めて経営体質を強化していくということ自体が系統の信用事業に対する国民や組合員の方々の信頼の回復ということにつながって、また人材が集まってくるという問題でもあろうかと思います。
 いずれにしましても、六十八兆円という非常に大きな受信を受けて大事な信用事業をやっております農協としまして、さまざまな意味でのリストラあるいは経営の体質強化ということをやりながら、そういうことを通じて人材の確保ということにも同時に努めていかなければならない問題だというふうに認識をいたしております。
○菅原委員 「経営専念体制の確立」で、合併JAでは組合長、専務、常務、三層の常勤を基本とすることは、これは私も賛成でございます。理事等の兼職、兼業の禁止についても同様でございます。しかし、現実には、県の四連の会長、専務等は単位組合の組合長が選出されてこれに当たっているわけでございます。「JAの組織運営等の特性を踏まえつつ、原則として代表理事・常勤理事の経営専念を確保する方策について検討する。」となっておりますが、具体的にこれはどのようになっていくのか、今の四連の会長、専務などの兼職、兼業禁止とどのようになっていくのか、この点をお知らせいただきたいと思います。
○堤政府委員 さきの国会で成立いたしました金融健全化法等によりましても、信用金庫、信用組合等の常勤役員等につきましては、職務専念をしていただくということで兼職、兼業制限の規定が整備されております。これまで農協についてはこの種の規定がなかったわけでございますけれども、やはり今御指摘のように、農協の場合も、複数の県連の会長さんを同一の方が兼ねるとか単協の組合長さんが県連あるいは全国連の会長さんを兼ねるとか、いわゆる縦横の兼職ということがかなり広く行われているわけでございまして、そういう意味では、農協の信用事業が非常に高度化してきている中で本当にいいのかというような御指摘が国民の皆様やまた組合員の皆様からも寄せられているということであろうと思います。
 したがいまして、私どもとしましても、他の業態できちんとそういう手当てがなされているところにつきましては、今回全く同様の、同文の規定を兼職、兼業制限規定という形で導入をして御審議をお願いをしているところでございます。したがいまして、信用事業を行います農協あるいは信連の代表理事、常勤理事、参事さんにつきましては、他の組合や法人の常務に従事する、あるいはみずから事業を営むといったことにつきましては制限をされるという形になってくるということでございます。
○菅原委員 経済事業についてお伺いいたします。
 経済事業も事業、組織の改革を進めていくと考えられますが、私は、金融、信用事業は全国を一本にした強力なものにしていかなければならないと思っています。しかし、経済事業については、全国をブロックにしてそれを強化し、全農、経済運の統合を行うこともよいわけでございますが、むしろ地域の実情に応じた対応を行った方がよいと考えてきました。
 それで、経済事業の改革の方向はどうなると考えているのか、またこれによって農民にとってどのようなメリットが生まれるのか。例えば生産資材価格の低下等がどのくらい図られるのか。さらに今回、農協系統の系列が三段階から二段階になるといたしましても、全農批判もある同じ運営体制では、合併組織にメリットがあっても農民側、購買側にメリットがあるか不安でもあります。激しい競争原理が働く国際市場の中で全農の対応は、商社と比べ、農民から見ると高値安定の供給をやってきたようにしか思えない面もありました。
 私がかつて、肥料価格が国際価格より高かったのである肥料製造会社を視察に行ったとき、工場側では、原料は全農から決められた価格で供給されてつくっているので、利益を生むにしても値段を下げるにしても、自分たちはサンドイッチの中でしか努力できない、そういうことを言われたことを今記憶しております。こういうことも含めまして、以上のことをお伺いしたいと思います。
○堤政府委員 経済事業につきましても、基本的には、先ほど全体の農協の組織合理化というところで申し上げましたように、やはり事業二段、組織二段という形で対応をしてこなきゃならないだろうということで進められているというふうに理解をいたしております。
 具体的に、経済連と全農の統合によりまして、観念的ではございますけれども、メリットという形では、やはりその統合によって管理部門が集約化される、あるいは事業部門が経済連と全農に分かれていたものが重複業務が合理化される、あるいは合併農協への機能の移管なり連合会の施設の統廃合という形の中で物流のコストあるいは流通のコストが削減されていく、そういうことを通じまして、農産物販売の手取りの増加とかあるいは生産資材コストの低下ということにこれをつなげていかなければならないというふうに思っております。
 また、こういった全農と経済連の統合につきまして、先ほどブロック化という話についてもございました。これはどういう方法が一番いいかということについて役所がどうこう言う立場ではございませんけれども、現在のところ系統としては、全農と単協、単協ももちろん統合して力をつけていくということが前提でございますけれども、そういった意味での二段ということの方に志向しているというふうに理解をいたしております。
 ただ、御指摘のように、できるだけそういう場合におきましても地域の実情、地域のニーズを酌んだ具体的な販購買活動が行われることは望ましいことでございまして、全農の方におきましても、そういう経済連と全農の統合が進みました場合におきましても、例えば全農の中に県本部といったものを設置いたしまして、それぞれの地域のニーズを酌み上げた販購買を推進していこうという形で対応していこうというふうに私は聞いております。そういうことが好ましいことであるというふうに理解をいたしております。
○菅原委員 それでは、質問の結びといたしまして、現在、経済活動の活性化の促進という観点から経済構造改革が進められており、このため、金融・証券のみならず、流通、運輸、情報通信などあらゆる分野で徹底的な規制緩和が強く要請されていることは、冒頭申し上げたとおりであります。
 このため、農協系統の事業についてもかつて体験しなかった大競争時代に突入することとなり、農家であるからといって必ずしも農協を選ぶとは限らなくなると思われます。また、事業基盤を農村地域に置いているからといって、農村地域住民が農協を選択するとは限らない時代を迎えると思います。したがって、農協系統の将来展望を切り開いていくためにも、農協改革への流れを思い切って加速させることが必要です。農協系統の皆様方には、その与えられた使命を全うできるようにするためにも勇気を持って改革に取り組んでいただきたい、そのことを申し上げて、終わります。
○石橋委員長 次に、鉢呂吉雄君。
○鉢呂委員 きょうは、農協二法の審議でありますけれども、大変長時間にわたる審議で、夜をかけての審議となりましたけれども、藤本大臣、よろしくお願い申し上げます。
 民主党の鉢呂吉雄でありますけれども、選挙前までは、橋本第一次内閣の大蔵政務次官ということで、まさに住専処理に内閣の一員ということでかかわってまいりました。系統農協の五兆五千億にも上る住専への貸し込み、それらを含めて日本の金融システムを大きく揺るがしながら、今日まで解決する節目はあったと思いますけれども、なかなかそのことの糸口がつかず、村山政権の中で与党があのような枠組みをつくる中で、国民にお願いをするという形をとりました。六千八百五十億という大変大きな国民の血税を使う中で、将来にわたる日本の金融システムを維持するという一点であのような住専の処理を行ってきたところでありまして、その枠組みに基づいて、今、住専処理機構の中でそれぞれ具体的な処理が行われておるというふうに聞いておるところでございます。
 そこで、藤本新農林水産大臣はあの住専の問題について、率直なところ基本的にどのようなお考えを持っておるか、まずお伺いをいたしたいと思います。率直なところでよろしいのでございます。
○藤本国務大臣 村山内閣の大蔵政務次官とされまして、この住専問題、また農協関係実務に詳しい先生でございましたから、まさに適役であったと思いますし、十分に御活躍されたことはよく承知をいたしております。
 さて、お尋ねの住専問題につきましては、この問題を契機といたしまして、農協系統は金融機関として不備な点があったのではないかとの強い指摘がなされております。私どもといたしましては、このような指摘に対しましてさまざまな面で見直しを行い、改革への努力をしていくことが必要であろうというふうに考えておるところでございまして、これから全力を挙げてそういう考え方のもとにやってまいりたいというふうに思っております。
○鉢呂委員 今、大臣から不備があったのではないかという御答弁、率直な感想だというふうに思っております。
 私も今回、いわゆる金融機関横並びでこれからの日本の金融システムを本当の意味で国民のための金融としていかなければならないという立場で、金融三法については既に過般の通常国会で大蔵省が提出をして成立しております。農協系統が別の法律に基づくということもあり、農政審の審議をお願いしておったということで、今回になったわけであります。
 そういう意味では金融機関との横並びの関係もありますから、私は今回の法案については賛成をするという立場をとりながら、しかし、不備であったというあの住専の問題が単に一過性のものであったのか、あるいは農協信用事業の構造的な問題があるとすれば、やはり相当農水省の皆さんと真剣な論議を交わして、こういうことが二度と起こらないように、また農協という組織が今後とも農家組合員のために、あるいは地域のために有効に機能ができるように、そういった意味では大変重い、今の時点での今回の審議だろうというふうに思っております。
 そういう点で、皆さんから出された中身を、大変短期間でありましたから、私ども必ずしもそしゃくができない面があるわけでありますけれども、きょうは一時間五十分という長い時間をいただきましたので、それぞれ農水省の率直な考えをもらいながら、繰り返しますけれども、あのような不祥事に至らないように、農水省としても極めて重い責任が私はあると思いますから、そういう点で論議を進めていきたいというふうに考えておるところでございます。
 まず、農協はいわゆる協同組合組織という形態をとっております。これは信金ですとか労金ですとか信組ですとか、それらが入るというふうに思っております。この協同組合組織と、さまざまな自由化が今なされてきておりますが、い。わゆる金融の自由化もその大きな一つでありますけれども、自由化と、こういう構成メンバーを限定した協同組合組織というものとが今日の時点で存立をしていけるのかどうかという大変大きな課題があるというふうに私は考えております。
 農協あるいは協同組合の理念、運動というものは、特定の、農協ですと農業者あるいは農民が、みずからの経済的なあるいは社会的な地位の向上や農業の生産力向上をともに行うための組織としてっくっておるわけであります。したがって、不特定多数を相手にしておる事業体といいますか、そういうものではありません。
 そこにはいい面と――いい面もあるだろうと思っています。これは特定の人に民主主義的にやるわけでありますから、不特定なものに比べて事業の展開が極めてやりやすいといういい面はあると思うわけであります。しかし同時に、最近の自由化の方向ということになりますと、むしろそのことが障害になるといいますか、ネックになるということもまた歴然としておりますし、またそのことがさまざまな点で農協の存立基盤を侵すような事態に立ち至っておるというふうにも見えるわけであります。
 そういう点で、農水省は基本的に、これは言葉では、法律にも書いてありますから、農業者のための農業者による自主的な事業体だというふうに言えるわけでありますけれども、今日の時点に立ってどのように考えておるのか、あるいはどういう問題点があるのか、その現状認識というものを率直にお伺いいたしたいと思います。
    〔委員長退席、小平委員長代理着席〕
○堤政府委員 大変基本的な難しい御指摘だと思います。
 農協はほかの信組なんかと同様に協同組織性という形を維持してきているわけでございますが、こうした非常に高度に資本主義化された時代におきます、いわゆる相互扶助のもとにおきます協同組織性としての農協の使命がどういうふうに果たされるべきか。あるいは御指摘のように、他の自由化との関係でさまざまな意味での企業性等々を求められている中で、相当なネックになったり、あるいは非常に支障が生じたりといった形で、苦しみながらも、どういうふうに今後持っていったらいいのか、そういうような御指摘についてどういうふうに考えているかということであろうと思います。
 私どもは基本的には、さまざまな議論はございますけれども、事業者あるいは生活者の方々が、相互扶助のもとで協同組織として経済的社会的地位の向上を図っていくということにつきましては、高度に発達いたしました資本主義社会の中におきましても、それなりの存在意義がまだ相当にあるというふうに思っております。
 特に農業という観点で見ました場合には、家族経営ということを主体といたしておりますので、我が国のような、まだ一ヘクタール規模のような平均的な経営規模でございますか、そういった農業構造のもとにおきましては、やはり農協組織ということで、相互扶助ということで、経済あるいは共済あるいは信用という形の中で対応していくことによる、生産あるいは生活面の支えということは相当に大きいというふうに私は思っております。
 この点につきましては、例えばフランスやドイツにおきましても、それぞれ協同組織性を維持しながら、さまざまな工夫をしながら一定の使命を果たしている協同組織金融機関というものがあるというふうに承知をいたしているところでございます。
 ただ、御指摘のように、まさに全体的な規制緩和あるいは金融の自由化という形の中で、株式会社のような効率性ということ等は、組織形態が違いますので、例えば自己資本を充実させようということになりましても、株式であれば不特定多数の方々からそういう財源を集めることができますけれども、協同組合という非常にインナーグループ的な性格を持ちますというと、どうしても例えば、そのことを一つとりましても制限があるという形で、そういう意味で難しい面はあろうと思います。
 ただ、そういう中におきましても、今回の制度改正のように、さまざまな工夫を凝らしながら、特に日本の農業のような構造を持っておりますところについては、協同組織性としての役割、それから自由化、規制緩和ということを調和させた形で私どもとしては対応をしていきたいというふうに考えているところでございます。
○鉢呂委員 農民の相互扶助としての役割があるという局長の御認識であります。もちろん、内部的には、家族経営的な零細規模の農家という段階での相互的な協同組織というのは今日もまだ有効な意義を持っておるというふうに思います。
 ただ同時に、いわゆる外からのさまざまな自由化、金融もそうです。あるいはまた、経済事業と言われております購買物資の、いわゆる生産資材の供給あるいは生活物資の供給も、さまざまな規制が緩和されまして、出店が相次ぐ。きょうも参考人のお話がありましたけれども、むしろ、安い農業生産資材が外から、外からというのは農協以外の組織から、昔は、高度経済成長期もそんなことはなかったんですけれども、購入できるという時代を迎えています。
 あるいはまた、新食糧法でいわゆる農産物の販売についても、またこれは、去年から極めてトラスチックに規制緩和されましたけれども、米も相当自由化の方向が見込まれるという中で、今の状態の農協を農業者の相互的なものとして存立を見通す、ずっと将来ともできるということが果たして確固として言えるのかどうか。ここの点を、外からの規制緩和、自由化というところで、農水省としては本当にこの見通しをできるのかというところをもう一度お伺いをいたしたい。
 内部的には言えるわけでありますけれども、しかし、農業者みずからの組織ということがそれほど外の、規制緩和によるいわゆる企業からの供給、さまざまな事業の供給というものに対抗できるだけの有利性というものが、将来とも存在するのかどうか。地域によっても違いはあると思いますけれども、その辺をどのように考えておるのか、もう一度、済みませんけれども、御答弁願いたいと思います。
○堤政府委員 先生とそう大きな基本的な認識の差はないんじゃないかなという感じを持ちながらお答えしているわけでございますが、協同組織性の有用性ということについては、先ほど、私どもとしてはなおあるんではないかということを申し上げたわけでございますが、規制緩和あるいは他業態との競争、そういう状況の中で、協同組織の本来の趣旨といいますか、その目的を達成する上で、なかなかの意味での困難が増大してきているということは、共通の認識を持っております。
 ただ、そのことは未来永劫克服困難な問題であるかどうかということについて考えてみますというと、卑近な例でございますけれども、今回お願いをいたしております、例えば協同組織としての信用事業ということについて見ますというと、先ほど来御指摘ございますような協同組織性の基本をきちんと維持しながらも、日本の金融システムの一員として、日本で信用事業をやるからにはこれだけのものは備えなければ一人前とは見られない、思っていただけない。それは国民だけでなしに組合員の方からもそういう御認識が寄せられているわけでございまして、そういった対応というのはかなり可能なのではないかというふうに思っております。
 業務執行体制ももちろんそうでございますし、今回、思い切って単協の合併、それから、戦後営々としてやってまいりました組織三段を組織二段にしまして、とにかくスリム化して、今おっしゃいましたような他業態との非常に激化しております競争も何とか乗り切っていこうということの対応ということを今回お願いしているわけでございますが、そういったさまざまな工夫をすることによって、協同組織性を維持しつつ、今おっしゃいましたような状況にも対応していける余地は、私は十分あるという認識をいたしております。
 先ほどドイツの例を取り出しましたけれども、ドイツにおきましても、例えば、かつて信用事業につきましては、単協、県連、州でございますけれども全国という形で、三段階でやってきたわけでございますが、そのうち十五州につきましては既に二段階、三州が三段階で残っている。こういう状況の中で、それぞれもがき苦しみながらも、協同組織性のよさというものを維持しつつ、組合員の負託にこたえていく努力がなされている、こういうふうに理解をいたしております。
○鉢呂委員 それでは、現状の農協の性格といいますか、そこについてお伺いいたしたいと思います。
 今、全国の農協の正組合員が、昭和五十五年は五百六十四万人、平成六年が五百四十六万人ということで、ほぼ現状維持から漸減傾向になっています。それに比べて、准組合員というのが二百二十四万から三百五十一万ということで、正組合員に対して現状、平成六年は四〇%にもなっておるわけであります。正と准の組合員の全体からいきますと四〇%に、約半分近くは准組合員が構成しておるということであります。これは地域によっても若干違います。北海道と東海ベルト地帯、太平洋ベルト地帯とは大変大きな違いがあります。ですから、全国一律とは言いませんけれども、極めて准組合員が多い農協が存在しておる。
 また、正組合員についても、日本全体を見ても、農外所得が八割にも達しておるという農家が平均的な農家ということになっていますから、まさに、金融事業だけ見ても、農家組合員とはいいながら、非常に、農外といいますか、農業外の所得によって金融事業が賄われているということも一面言えるわけでありまして、そういう点で、現状の農家組合員のための組合組織であるという農協が、実際にはそこも含んでいますけれども、極めて厳格な意味での農業者というための組織には、もう既になっておらないのではないかというふうに思います。これは数字が示しておりますから、そのように理解してもいいと思いますけれども、その点、局長はどうでしょうか。
○堤政府委員 これも、農協の組織を考えますときに極めて基本的な難しい問題でございますけれども、農協はまさに農業者をもって構成する組織でございますから、農家でございますが、そういう意味で、正組合員といいますか、そのための組織、相互扶助組織であることは間違いないところだと思います。
 ただ、農村が非常に混住化する、あるいは兼業化が進むという中で、農村にもたくさんの非農業者の方々がお住まいになる、あるいは農業から離脱される方もおられるわけでございますけれども、そういう著しい社会経済状況の変化の中で、准組合員の方が非常に数がふえているということは、先ほどおっしゃったとおりでございます。
 この関係をどういうふうに考えたらいいのかというふうにいつも思うわけでございますけれども、こういう形で、本来組合員で構成されるべきところに、組合員でないといいますか、農家でない方々がたくさん入ってこられるということは、農協の協同組織性の変質を来しているというような御指摘もございます。そういう一面もあろうかと私も思います。
 ただ、協同組織性というふうに考えましたときに、例えば、金融機関というふうにとってみましたときに、農家の方々の生産、生活のために必要な資金を供給するということは、協同組織金融機関としてもちろんの仕事でございますけれども、その地域の発展のために、地域の企業でありますとか地方公共団体でありますとか、そこに住んでおられる方々にも資金を提供していく、いわゆる地域金融機関といいますか、そういう機能というのは、これは矛盾しないというか、両立し得ることなのではないかなというふうに思っております。
 もちろん、原点が農家をもって構成するということでございますから、主客転倒することになっては、これはまた違ってくると思いますけれども、基本がそういうことであれば、准組合員の方々がふえましても、協同組織としては地域金融機関的な色合いというのはやはり必然的に持っているし、持っていてもいいのではないか、そういう理解をいたしております。
○鉢呂委員 局長の認識でいいんですけれども、問題は、そのことがこれからの農協運営なりにどういった方向をもたらすのがいいのかという点にあろうと思います。ですから、准組合員というのはまさに農業者以外でありまして、はっきり言いますと員外と同じであります。今さまざまな、貯金量の百分の二十まで員外を認めるというふうに言っていますけれども、これはまさにそういった意味では、准組合員も厳密な意味では員外でありますから、そういった中で、そこに農業者あるいは農業があるから農協というものが存在する、しかし、農協の実質的な利用者というのは地域の協同組合的な性格が非常に強いというところが今日あると思うのですね。
 そこに、今後農水省としては、従来と同じように、これは農協なんだということで対応していくというか、農協の運営なり農協の事業というものをみなしていくのがいいのか、あるいは農協を運営するために、そういう利用者たる准組合員なり員外がなければこれからの自由化に対抗できていかないというようなことも含んで、積極的に地域協同組合的な性格というものをやっていく、積極的という意味はまさに無原則的にやっていくということについてもこのことを認めていくのか。そこら辺はやはりこれからの農協の方向を占うには大変重要なことだと思います。これを現状追認的にやっていくということについては問題が出てくるというふうに考えておりますから、その辺、どのようにお考えになっておるのか、お答え願いたいと思います。
○堤政府委員 これも大変難しい問題でございますが、先ほど来御説明いたしておりますような地域協同組合的な色合いを持つということがかなり今の状況では必然的でございますし、そこは否定し切る必要はないのではないかということを申し上げたわけでございますが、さらにそれを一歩進めまして、今御指摘のように、正組合員と准組合員の垣根を取るということまで踏み込むかどうかについては、私そこまでまだ考えは至っておりません。
 今の組合制度は、地域金融機関あるいは地域性をかなり色濃く持ちながらもやはり基本は正組合員、農業者の方々をもって構成するということで、その方々が執行権、議決権があって、准組合員の方々はそこの点は否定されている。そこの点まで、その垣根を越えるというところまで、私まだ今そこまでの思いは至っていないという段階でございます。
○鉢呂委員 それとの関係で、農協の金融機関として最大のネックはいわゆる貯貸率が停滞したまま、いわゆる貸出先が非常に限られておるということだろうと思います。やはり信組にしても八〇%以上とかという預貸率ですから、このことはこれからも今の状態を続けている限りそう変わらない、これは農協合併をしようとも、貸出先の拡大を図るということは、一〇〇近くにするということはかなり難しい。私、個々の農協を見ていませんけれども、所によっては一〇〇を超えているようなところもあるんだろうと思います、本当の都市農協は。
 そこで、やはり地域協同組合としての性格を持つということであれば、貸出先というものを大きく拡大するということになりますと、いわゆる事業者といいますか企業に対してどのくらい貸し出しをできるかということがあるのだろうと思います。その地域の企業をいわゆる准組合員として認めることができるかどうか、そういうことについても検討に値する事項だろう。
 これは、企業を入れることによって協同組合としての性格が変質するという問題もあるだろうと思っています。あるだろうと思っていますけれども、今のような状態、いわゆる預貸率の大幅な低下の中では、今の金融自由化、金融の内外の大変厳しい現状では、単協として生き残る道というのはなかなか難しいだろう。いわゆる農林中金で預け入れをしてそこで運用するという手法はまた別に私、後で問題にしますけれども、この点についてどんなものでしょうか。
○堤政府委員 六十八兆円という大変膨大な資金ができるだけ、地域の農業、農村のみならず、地域の振興のためにも貸し出されていく、そういう意味での活用がされることが望ましいということは私ども考えております。
 したがいまして、今何お願いいたしております法改正の中におきましても、そういった面での改善手当てをお願いしているところでございますが、かといって、組合員として構成されております今の農協の中に准組合員、これは個人の参加ということになるわけでございますが、ここに企業まで取り込んできて、准組合員として入れて貸し出しをしていくということは、かなり異質な議論をそこに入れてくることになるのではないかなというふうに現在思っておりまして、今のところ私どもとしては、准組合員に企業が入ってきて、そこも含めて貸し出しの拡大ということについてはややちゅうちょをしているということでございます。
 あくまでも企業につきましては員外利用という形の中で従来対応してきましたし、今回も対応をして、かつ、その部分を拡充していく、性格は変えずに量の拡大を図っていくということが当面とるべき道かな、こういうふうに思っております。
○鉢呂委員 次に、総合農協と信用事業との関係を御質問いたします。
 今回も、農政審の答申等を見ましても、総合農協の有利性といいますか、現状でも存在意義があるというような書き方になっておるわけであります。しかし、きょうの参考人の御意見も、信用事業、これは共済事業も含めて、金融事業の収益でほかの事業部門の損失を埋めて総合農協として存立をしていくということが大変厳しい現状、あるいは将来方向としてもそういう方向になるだろうというお話がありましたし、そのことは端的に、最近時の部門ごとの損益を見ますと、そういう方向になりつつあるというふうに考えておるわけであります。
 これまでは、高度経済成長期を初めとして、これは皆さんも御案内のとおりですけれども、日本経済全体が農協系統の資金を必要としておったということで、またあるいは、金利は規制の中にありましたから、そういう中で農協系統の資金が農林中金や県信連を中心に運用されていく、金融資本として運用されていく、その収益であるいは配当金という形で単協までおりてきて、このことが農協の総合農協として存立をしていくということはあったというふうに考えますけれども、今後こういう形でさらにいくというふうに農水省は見ておるのか、この点について端的にお伺いをいたしたいと思います。
○堤政府委員 見ているのかというよりは、私どもとしては、農協は農家の営農と生活を支える組織でございますから、信用、共済それから経済、販購買それから営農指導、そういった形のものをこれからも総合的にやっていくことが農家のために一番役に立つ組織だというふうにまず覚えております。
 そういうことを考えました際に、信用事業と共済事業につきましては、従来、その黒字でもって経済事業や一般営農指導の赤字を補ってきたわけでございますけれども、これからの厳しい金融事情のもとではそれはもう見込みがたいということも、これまたいろいろな方々が御指摘になっているとおりでございますし、農協の方々もそういう理解をされていると思います。
 したがいまして、私どもとしては、かといって、ではほかに収入の道があるのかといえば、これはないわけでございますから、信用事業や共済事業を大幅にリストラあるいはコストダウンを図っていくことによって何とか黒字体質を残すということの努力と、それから、従来赤字部門であった。それがある意味では当然だと言われておりました経済事業につきましても、先ほど来御説明しておりますような、部門別の収支状況を組合の方々にも御理解をいただいて、遊休の施設でありますとか、余り稼働していない自動車整備工場でありますとか、そういったところを縮小あるいは廃止する、そういう形で経済事業についても何とか黒字体質になるような形の努力をしていく。
 そういうことで、信用も共済も、そう従来のような大幅な黒字は見込めませんので、そこそこの利益を稼いでいただきながら、経済事業についても大幅な赤字という形でなしに、そこそこの事業をやはり展開してもらうべく精いっぱいのリストラをやっていただく。そういうことによりまして、農協の基本でございます営農指導ということ、これはもともと赤字部門でございますから、そこに回すお金が出てくる、こういう形で農協はやっていかざるを得ないのではないか、こういうふうに思っております。
○鉢呂委員 他部門との整合性があれば、そのことは、金融事業部門から持ち出しをするというのは今後とも永続性を持ち得ると思います。それは、例えば米の販売代金が一括して信用部門に入ってくる、営農指導なり販売事業というものをきちんとやっている中でそういうものが入ってくる、そういう意味ではこの信用事業のコストもかからない、その部分について、営農指導なり経済事業の方にこの収益分を回すということの整合性は、あっていいと思います。
 しかし、今日まで見られた。いわゆる貯金、共済部門が非常に安定しておるから安定した収益を得られて、そのことをもってほかの部門の穴埋めをするという姿をこれからはだんだんとれなくなるという点で、総合農協のメリットというか、そういうものについての厳密な解釈というものをしていかなければ行き着かなくなるというふうに懸念をするわけでありまして、その辺はそういう形で理解をしていいのかどうか。また、そういう方向に持っていくのか。
 今回は、事業ごとの収益を組合員に総会で明らかにするようにということしかったっておりませんけれども、これはむしろ部門ごとに、経済事業あるいは倉庫事業とかさまざまな購買事業とかありますけれども、それごとに収支は整うということを原則にしていかなければ成り立っていかないと私は思うわけでありますけれども、その点についてはいかがでしょうか。
○堤政府委員 先生の御認識とそう大きく違わないというふうな立場で私は御説明しているわけでございますが、ただ、総合農協のメリット性が従来のような信用事業や共済事業での大幅な黒字、そういうものが期待できにくくなってくる、そういうことは私も共通の認識でございますし、それから、米の販売代金等がそのまま信用事業等に入ることによってコストがかからない信用事業体質だということも、そういう認識は私も持っているわけでございます。
 おっしゃっている意味が、それぞれの部門ごとに黒字でなければならないという形で農水省が何か指導をするということまでを含めているかということであれば、私は今回はそこまでを申し上げているわけではございませんで、従来のような信用事業、共済事業のような収益が見込めなくなってきていることもございますので、それぞれの部門ごとの経営状況を農家の方々、組合の方々が知っていただいて、それでどこの部門をどう改善していったらいいのか、そういうことについての改善の契機に、今回の部門ごとの収支の状況というものを活用していただく、そういうことがまず大前提ではないかなと。それを、さらに進んで、部門ごとにそれぞれ黒字でなければならないとか、そこまで役所の方で言うということはいかがかというふうに思っています。
 もちろん、先生がそういう意味でおっしゃっているかどうか、ちょっと私わからなかったのですが、もしそういう意味であれば、私どもはそこまで思っていないということでございます。
○鉢呂委員 もちろん、あくまでも自主性に基づいてやることでありますから、農水省がこう決めつける、こうすべきだと言うことではないわけであります。ただ、将来の農協の組織というものを考えたときに、どういった方向を目指すのかということで私は聞いておるわけであります。
 それから、もう一つは、いわゆる金融がこういう形で大型化をしなければそのメリットは出てこない、他業態との競争もあるという中で大型化を目指す。これは、ある面では仕方ないという形で出てくると思います。ですから、一県一農協というようなことも、金融部門に着目をすれば、ああいう形も出てくる。しかし一方、農協と密接に結びついて営農指導とか、あるいは地場の農産物を地場のブランドで売るとかということになりますと、これはもう限界があるわけです。
 一県一農協ということで、まさか佐賀県のものを、そういう場面もあると思いますけれども、一括で米を売る。産地の特性ということからいきますと無理があるという点を考えれば、私もさまざまな合併農協を見ていますけれども、一合併農協で営農指導や販売事業というものがスムーズにいっているというのはなかなか見られないわけでありまして、難しい点があります。
 そういった。先ほど言った二つの面で、金融部門については大型化を志向せざるを得ない。しかし、その他については、大型化というのは即他部門のメリットになかなかなっていかないという点をどうするのかというのは、今後の農協の方向を定める前に大変大きな課題になるというふうに私は思います。
 それと同時に、部門ごとの経営責任ということを考えたときに、やはりこれから他部門の失敗は、例えばこの金融部門の損益に直結をしてくるということが出てくる。そういう面では、部門別の経営責任というものをしっかり踏まえた経営のあり方というものが出てこざるを得なくなるというふうに考えるわけであります。私が今言ったような考え方について、どういうような考え方をするか、お聞かせ願いたいと思います。
○堤政府委員 先生がおっしゃいましたことと、基本的に私も賛成でございます。
 ただ、信用事業については大型化しないとなかなかメリットが出てこない、しかし他の事業については大型化とは違うのではないかという感じをおっしゃったと思いますけれども、必ずしも信用事業が大型化、他の経済事業は犬型化はうまくいかないという認識は、余り持っておりません。
 もちろん、先ほど、佐賀県一県のブランドの話を出されましたけれども、ブランドというのがある程度広がりを持ちますと、ブランド力がなくなってくるということもございます。地域的特性を持ったブランドの方が、ブランドとして強いという場合もあろうかと思います。米について考えますと、そういうことがすぐわかるわけでございますが、そういう面もございますけれども、しかし、経済事業といえども、全体的な、全農と経済連の統合ということによりまして管理部門をお互い共通にすることによるメリット、それから、事業部門を、お互いダブっていたものを縮小しまして整理することによりますメリット、そういう意味では、それなりに大型化していくことによるメリットもあろうかと思います。
 ただ、そのことを申しますことは、一律的に大型化することがいいという意味で申し上げているわけではございませんで、それぞれの地域の実態に合った組織統合なり合併というものが基本であるということは、先生のおっしゃるとおりだというふうに私は思います。
○鉢呂委員 私の説明の仕方がまずいのかもわかりませんけれども、営農指導とか、あるいは米の地域的な特色を出すということになりますと、なかなか一県一農協という形では何々市のお米を売るといった場合に問題が起きてくる、あるいはコストにしても、あるいは利益配分にしてもなかなか難しくなる、そういう点では、もちろん大型化をした方がメリットのある部門もあると思います。しかし、農業生産に関するものについては、必ずしもそうなっていないというところのものをどういうふうに今後農協の組織という中で方向を見出していけるのか。
 私は、深くはまだ検討していませんけれども、例えば、持ち株会社制度というのがほかの事業体、企業に今大きな課題になっております。あるいは、ヨーロッパでも、そういう経営と所有を分離するというような形であるというふうにも聞いております。これは後の経営管理委員会等にもなりますけれども。しかし、もっとそこのところを別物としてというか、金融部門とほかの部門を分けて、しかし全体としては出資なり関係では一体だというような工夫をしなければ、先ほど言ったように部門ごとの、経営責任、やはり一本ではどうしてもほかの部門で補って、それでまあまあ経営はよかったということになりかねないわけです。
 ですから、その辺のことも絡んで、方向としては検討する段階に来ておるのではないか。これだけ金融部門についての方向というものが厳しく今問われておるわけでありますから、それと、営農指導を含めて本来持っている農業の側面に焦点を当てた農協のあり方と一致していかないというふうに私は思うわけでありまして、そういう点がなかなか合併がスムーズに促進していかないという面にもつながっておるのではないかというふうに思われますけれども、その点についてどうでしょう。
○堤政府委員 先生の御質問の趣旨をあるいは違えているかもしれませんけれども、子会社というか持ち株会社、そのことについての御指摘ということで受けとめて答弁させていただきます。
 全体の持ち株会社の話は、これはこれからどうなるか、どうするのかということは大変大きな問題でございますので、私がこの場で申し上げるには事が大き過ぎるわけでございます。
 そういう意味では、子会社の活用というふうにそれを置きかえて考えてみますというと、これから農協系統、今おっしゃいましたようにスリム化していったり地域の事情に応じて事業能力の向上を図っていくということの一方策として、農産物の加工、肥料販売、製造、そういった段階での、就業形態が異なるといったようなものにつきまして、本体と切り離した形で子会社方式をとるとか、あるいはAコープのように、農協が個々に経営する複数の店舗の経営を統一的な運営方針と共同仕入れの徹底、あるいは専門化、専門的、人的人事管理のもとに行った方がよい、効率的だというようなものについて例えば子会社方式をとっていくというようなことは、これから全体としての農協の事業のスリム化、あるいはリストラを進めていく上で、あるいはより事業能率の向上ということをはっきりさせる意味で十分使える手ではないかというふうに思っております。
    〔小平委員長代理退席、委員長着席〕
○鉢呂委員 次に、自己資本の充実の方に移ります。
 農協は自己資本が六%を目指すということになって、信連の四%、他業態の四%より二%上乗せをしております。この理由についてお伺いいたします。
○堤政府委員 信連につきましては御指摘のように四%、単協につきましては六%というふうになっておりますが、これは、信連の場合は信用事業を単営ということでございますので四%ということであろうかと思いますが、農協の場合は、先ほども先生御指摘のように、ほかの経済事業等々を営んでおりますので、それとの関係もあってやや高目に、六%ということが設定されてきた経緯があるというふうに理解をいたしております。
○鉢呂委員 実は、本年の十一月十八日付の経済局長の各都道府県知事にあてた通達文書でありますけれども、まさに、平成十年ですから二年後の四月に早期是正措置ということが行われることになります。それに向けて、経営の改善を要する農協に対する、経営改善計画の提出、経営改善計画を行うべしということで通達を出しておるわけでありますけれども、その内容について簡単に御説明願いたいと思います。
○堤政府委員 先生御指摘のように、早期是正措置という形で、金融機関の自己資本比率の区分に応じまして業務改善命令等を発出をするということで、このことによりまして金融機関の早期の経営改善を促す、こういうことを目的といたしまして、平成十年から導入されるという形になっております。
 そういうことでございますので、私どもとしましては、早期是正措置というのは大変系統金融機関にとりましても重たいものでございます。避けて通れないことでございますが、重たいものでございまして、そのためにはやはり、早期是正措置が導入されるまでの間、長い期間はございませんが若干の期間がございますので、内部留保の充実という形で自己資本の向上に向けた経営改善努力をしていかなきゃならない。こういうことで、自己資本の比率の低い農協に対しましてそういった意味での改善努力を促すということで、今回通達を発しまして経営改善努力を促そう、こういう趣旨で対応したものでございます。
○鉢呂委員 選定基準をつくって、この数値を案内をしたと思いますけれども、その選定基準についてお伺いをいたします。
○堤政府委員 これは、単協でございますと都道府県が所管をするわけでございますので、都道府県知事が、一つには自己資本比率が三・五%以下の農協、それから経営管理面に問題があって特に経営の改善が必要である農協を選定いたしまして、当該農協に対しまして、自主的な経営改善計画を策定していただく、こういうことをねらっているものでございます。
○鉢呂委員 三・五と六%ということで、六%に対する三・五%というのは、どういう基準でこういう基準をとったのか。
 あと、また同時に、このような自己資本比卒が著しく低い農協というのはどのくらい存在するのか、そこをまずお聞かせ願います。
○堤政府委員 自己資本比率でございますから高いにこしたことはないわけでございますけれども、現実問題として、かなり低い農協もございます。そういうことで、実現可能性として、やはり経営改善をまず促していこうというものとしてどの程度のものがいいかというのはいろいろ議論があるところでございますけれども、私どもとして、大体、現在農協が、これは平成六年度で見ますというと、二千六百ほどあったわけでございますが、その段階で三ないし四%未満の自己資本比率の農協が全体で二一%程度、三百二十農協ぐらいあるということで、そのあたりから経営改善の自己努力をしていただくということが適当なのではないか。そういうことで三・五という形で整理させていただいたわけでございます。
○鉢呂委員 またこれは、提出をすべきということで、九十日以内に改善すべき事項並びに期限九十日を示して経営改善計画の提出をさせるというふうに伺っておるところでありまして、やはり情報公開、ディスクロージャー、これを行っていく、これは待ったなしで来るわけでありまして、私は、大変厳しいわけでありますけれども、やはりこれに乗っていかざるを得ないというふうに思うわけですし、また、この三・五を下回る農協についてはどのような農協であるのか、やはりこれは、貯金者あるいは組合員という形でディスクローズをするものであるというふうに私は思いますけれども、どのようにお考えですか。
○堤政府委員 これからはさまざまな意味での規制がなくなってまいりますので、預金者保護、貯金者保護という観点に立ちましても、それから日本全体の金融システムの維持の観点ということから見ましても、やはり、金融機関としてディスクローズを基本的にやっていくということによりまして、関係者がその金融機関の経営実態を少しでも正しく知る。そのことによって、そこへの貯金をするかどうか、預金をするかどうかというビヘービアの重要な判断要素になるべきだという形の中で、全体の日本の金融システムの透明性、自己責任原則というものの方向に日本の金融システムが行っているというふうに思います。
 そういう意味では、今おっしゃいました自己資本等につきましても、基本的には明らかにしていくべき事柄だというふうに思っております。
○鉢呂委員 そのとおりだと思います。私は、これまではまだ通達で指導期間だからというふうなことで、六%になるまでは公開しないというふうなことであってはならないと思います。同時に、信連は四%ということでありますけれども、これに満たない、あるいは皆さんが指導すべきだという基準を設けてやっておる信連、あるいは最悪の、最低の自己資本率はどのくらいか、その辺についてやはりきちんとここで答弁していただきたいと思います。
○堤政府委員 信連につきましては、他の協同組織金融機関と同一の基準ということで選定をいたしております。欠損の補てん率でありますとか自己資本比率でありますとか総資産分類率でありますとか、そういうことを考えながら、他の協同組織金融機関と同一の基準という形で選定しながら対応をしているところでございます。
 信連につきましては、現在四%の自己資本比率ということでございますけれども、現状は三・七%、三・八%弱でございます。かつ、四%以上の信連が二十ぐらいということでございまして、これからまだまだ改善努力を大いにしていかなきゃならない分野というふうに理解をいたしております。
○鉢呂委員 今、よくわからなかったのですけれども、四%未満の信連が二十というふうに理解していいのですか。
○堤政府委員 全体の平均は、四十七信連の平均は三・七九でございますけれども、四%以上の信連が二十ということでございます。四%以上の自己資本比率を持っております信連が二十信連ということでございます。
○鉢呂委員 最低の自己資本比率、現状ですね、これはどのぐらいなんですか。また、二年間で四%にそれが積み増しをできる可能性というか、そういうものであるのですか。
○堤政府委員 従来、自己資本比率と申しますのは、国際的な部門で展開しておりますBIS基準と、それから国内的な事業展開をしております金融機関は国内基準という形でそれぞれ分けられてきたわけでございますけれども、先生冒頭御指摘ございましたように、この自己資本といった客観的な物差しでこれからの信用事業の経営をはっきりさせて是正措置とかそういうことをやっていこうということで、従来の自己資本よりは大変重たいことにこの自己資本というものがなってくるのじゃないかという認識をいたしております。
 現状を申し上げまして、かなり低い自己資本しか有していない信連も確かにございます。そういう意味では、そういった信連につきまして、これからはさまざまな意味での改善努力をしていただきまして、平成十年からは自己資本比率に基づきます。務改善命令等がかかるわけでございますので、それに何とか対応できるような形に努力をしていかなきゃならない、そういう信連も抱えながら対応しているということでございます。
○鉢呂委員 個別のパーセントは言わないわけでありますけれども、やはりかなり困難だといいますか、それだけ出資を積み増すとなると、それを構成する県下の単位農協なりに大変無理がかかると思わざるを得ない信連もあるやに私は聞いておるわけでありますけれども、いずれにしても、このことは待ったなしのものであるというふうに思っています。もちろん、自己資本が低いということに関しては、事業譲渡ですとか合併という道が残されていますから。不良債権とは違いますから。不良債権は、自己資本率の積算の分母と分子から控除されるので影響はありますけれども。そういう点で、これはきちっと農水省が指導することが必要だし、その場になって早期是正措置が求められるというようなことがないように、徹底した事前の指導をやはりしていただきたいと思うわけであります。
 そこで、自己資本調達手段の問題でありますけれども、良林中金には、最低出資法でなくて優先出資の制度が、前回でしたか、前々回の法改正のときに設けられたわけでありますけれども、信連ですとか単位農協については、外部に資本調達を求める手段がないような状態だと思います。農政審でも、このことについては、多様な資本調達をすべきだということが具体的な項目の中に掲げてあったというふうに思うわけでありますけれども、この点についてはどうでしょうか。
○堤政府委員 自己資本比率に基づきます措置から解き起こして、先生御指摘のとおりでございます。そういう意味では、まさに自己資本の充実が待ったなしという段階になっているというふうに私どもも認識をいたしております。これまでの自己資本の調達手段にとらわれずに、協同組織としての性格を踏まえながら、可能な自己資本対策を検討すべき段階に来ているというふうに私どもも認識をいたしております。
 先ほどちょっと御指摘になりましたけれども、配当率が他の出資より低い、いわゆる後記出資、これにつきましては、信連、農協段階におきまして現在導入されておりますが、これを一層活用していくということと、農林中金におきます導入ができるかどうか、そのあたりも検討をしていかなければならないというふうに思っております。
 それから、これ以外の新たな資本調達手段として、例えば劣後債務というようなことが言われているわけでございますが、そういったものができるかどうか。そういったことも含めて、現在、自己資本比率についての研究会の動きがございますので、そういった動きも見ながら、農協系統として自己資本をどういう手段で増強させていったらいいかということについて真剣に検討してまいりたい、そういう段階でございます。
○鉢呂委員 細かいことでありますけれども、農林中金の自己資本比率は系統三段階通算で行うということになっておりますけれども、これは認められている方法というふうに受け取ってよいか。今回、自己資本のさらに積み増しをするというふうな報道もあったかに新聞報道で見ていますけれども、それは事実なのかどうか。そこもお伺いしておきたいと思います。
○堤政府委員 中金につきましては、単協、信連、農中という三段階で資金を運用しておりますことは、御案内のとおりでございます。そういう意味では、農中だけを見ましての自己資本ということももちろんそれなりに意味があるわけでございますけれども、動態的に物を見ますれば、やはり単協、信連、農中と、全系統として資金が運用されているという実態がございますので、全体を統一しまして三段階通算で八%という形で認められているところでございます。
○鉢呂委員 系統農協の貸出先の充実の関係であります。先ほども申し上げましたけれども、先ほど、単協の企業に対する貸し出しというのは考えておらないと。そこで、午前中の参考人に対する質問の中にもほかの委員の皆さんからありましたけれども、いわゆる今財投で行われております農林漁業金融公庫の制度資金、公庫資金、これは貸付残高で四兆七千億になっておるわけでありますけれども、やはりこれだけ農林中金の余裕資金がある、県連にもあるという中で、やはり農業者の貯金によって生み出された資金を使うというのがこれからの基本になってくるだろう。いわゆる公庫資金を農林中金の資金に肩がわりをしていくというお考えをぜひこれはとるべきである。これはもういわゆる財投ですとか政府系の金融機関の役割については、今論議を政府全体としても我々もしておるわけでありますけれども、この点についてどういう考えをとるのか、お伺いいたしたいと思います。
○堤政府委員 その前に、何か先ほど企業に対する貸し出しについては考えていないという御指摘があります。そういう意味ではございませんので、先ほどは違う意味で申し上げました。
 それから、公庫資金と系統資金との関係についての御指摘でございます。これまた財投問題に直結する非常に大きな問題であろうと思います。現在農林資金、系統資金が六十八兆円ございますものですから、これを例えば財投資金的な活用ができないのかという御指摘があることも承知をいたしております。
 ただ、こういった民間金融機関の資金というものが財投的役割を果たすということがいいことかどうか、そこはちょっと私どもとしては踏み込めない、踏み込みがたい世界でございまして、あるいは私どもとしては、系統資金は系統資金として民間資金として自己運用なり貸し出しなり、あるいは海外業務を含めての資金証券的な運用ですね、そういった形で自己完結をすべきではないかな、そういうふうに思っております。財投についてそれを使っていく、財投的な使い方をするという考え方は現在持っておりません。
 なお、系統資金といえども、例えば政策性の強い資金につきましては、現在でも例えば農業近代化資金にございますように、国が一定の利子補給を図ることによって低利にしまして、農業経営の近代化でありますとか合理化でありますとか、そういった政策目的に使うという手段はこれまでもとられてきておりますし、そういったものとして系統資金を使うということは結構なことだ、そういうふうに思っております。
○鉢呂委員 最後の方に言われたことでありますけれども、そういう系統資金を従来のいわゆる制度資金というよりも公庫資金、例えば農地取得資金ですとか総合施設資金ですとか、そういうものを系統資金の中で制度として創出をしていく。今もやられ始めたということでありますけれども、もっと大々的にですよ、やる。これは一定の利子補給を国の一般会計から出すとかという手法になっていくわけでありますけれども、そういう手法をとって系統資金の中で従来の農林公庫資金のような商品というものを創出するということについて、ぜひこれは検討して実現をしていただきたいというふうに思うわけであります。
○堤政府委員 私先ほど農業近代化資金を例にとって申し上げたわけでございますが、これは農業近代化資金で比較的足の速い、償還期限の短いものについての活用ということが基本になっております。これはやはり系統資金自体が調達的には非常に期間の短い、足の速いものでございますから、その運用におきましても基本的に比較的足の速いものでないといわゆる調達と運用のミスマッチが生じて、非常に大きな損をかぶることになるということの中で対応されているというふうに思っております。したがいまして、近代化資金等につきましても、二年でありますとか三年でありますとか四年でありますとか、そういった償還期限のものに二足の利子補給という形の中で対応されていることが原則だというふうに思います。
 今おっしゃいましたような、例えば農地等取得資金ということになりますと、かなり金利も低うございますし、それから償還期限も二十五年とかそういう超長期になってまいります。これはやはり民間資金のそういった自己調達の構造から見まして、そういった長期のかつ超低利のものに使っていくということについては相当な障害、障壁があるのではないかなというふうに思っておりまして、そういうところは財投資金を活用して、従来と同じように公庫資金という形で、農地等取得資金でありますとか土地改良資金でありますとか造林資金でありますとか、そういった低利、長期のものにはそういったものが充てられていくべきだというふうに私は思います。
○鉢呂委員 農政審の八月の報告の中で、「信連の機能を農協に円滑に移管できるよう農協の貸出先を信連並みとすること」という報告が出されておるわけでありますけれども、具体的にはこういう方向でその答申、報告を実現するというものはどのようにこの法案の中に入っておるのか。単に資金の運営、規制緩和という形でなくて、融資先の拡大と貸出先を信連並みということではどういうふうに具体化をしているのか、お伺いします。
○堤政府委員 農政審で書かれておりますことは、今御指摘のような財投でありますとかそれから系統資金でありますとか、そういった大きな事柄について触れているものではございません。基本的には単協と信違の貸出先につきましてはそう大きな違いはないのでございますが、貸出先の資金規模などによりまして、例えば一億円以下とかそういう形で差がつけられている面がございますので、これから農協が合併をして力をつけていく、それから信連が中金と一緒になってなくなっていく、そういう中におきましては、従来県連がやっておりました業務を農協がやれるようにしていこう。そういう意味では比較的事務的な整理がそういう言葉で整理されたというふうに理解をいたしております。
○鉢呂委員 続きまして、兼業、兼職の禁止についてであります。これは農政審の答申でも「実態に即した措置」というような形で弾力的な報告をしておるわけでありますけれども、確認をしますけれども、行政庁の認可を受けた場合という行政庁の認可というのは具体的にどういうことを考えておるのか、この点についてお答え願いたいと思います。
○堤政府委員 端的に申し上げまして、この兼職、兼業の規定は、今お手元にございます規定は、他の信用金庫、信用組合、そういったものと全く同文の、同趣旨の規定を置いております。すべて一様に兼職、兼業を制限をしまして、その上で主務大臣の認可がある場合にはという形になっております。したがいまして、私どももそこは全くほかの金融業態と同様の手当てをさせていただいているということでございます。
 そういう意味で、具体的に行政庁の認可でどんな形で対応していくかということにつきましては、それぞれのケースに応じましてこれから少し検討させていただきたい。また、他の業態によりましてはこの種の規定が既に入っておりまして、そのための解釈通達といいますか、そういうことも出ているようでございますので、そういうものも参考にさせていただきながら、バランスのとれた対応を私どもとしてはさせていただきたいというふうに思っております。
○鉢呂委員 いろいろ聞くところによりますと、職務に専念するためということで兼業、兼職を、特に兼職ですね、禁止するのだという意味合いがあるんだというふうに言われていますけれども、その点についてはどうでしょうか。
○堤政府委員 そのとおりでございます。
○鉢呂委員 私は、職務に専念するということではそのとおりだと思います。ただ、もう一方、やはり兼業、兼職を禁止するというのはまさに複数の兼職なり兼業をすることによって、いわゆる農協の信用部門といいますか金融部門に対して不透明な介入をする場合が起こり得る。これは過去にも、信組の場合、理事長が自分の会社に違法な融資を多額に行うというようなことがしばしば見られたわけでありまして、そういう面もこの中に入っておるのか、お伺いいたしたいと思います。
○堤政府委員 この兼職、兼業は、ほかの業態と同様の手当てをしているわけでございますけれども、いずれにしましても、先ほど来お話がございますように、金融の自由化等によりまして農協の業務執行も非常に高度化し、専門化してきているという状況を踏まえまして、少なくとも常勤役員等についてはその職務に専念していただこう、そういうことでないと、大変大きな受信を受けて信用事業をやっているということから見まして、また、その破綻がいろいろな意味で大きな影響を与える、また組合の方々も不安を持たれる、そういう趣旨から、職務に専念をしていただいて、適正な職務執行が行われるようにという意味での趣旨から入ったものでございまして、先ほどおっしゃいましたような、いわゆる別の意味での考え方というのは、現実問題としてあるかどうかは別にいたしまして、法制度的な導入の理由としてそういう考え方を今持って導入したわけではございません。
○鉢呂委員 これから検討していくというこの行政庁の認可の内容ですけれども、例えば、系統で三段階、二段階の役職を兼ねるということは認められないというふうに聞いておりましたけれども、まだそこは決めておらないということでしょうか。
○堤政府委員 これはなかなか難しい問題でございまして、兼職、兼業禁止の規定をそのまま私ども解釈しますれば、現在の農協の職務体制というものが、往々にして、連合会の会長さんが横に幾つも兼ねられる、横の兼職ですね。それから単協の組合長さんが県連、全国連の会長さんを兼ねられる、縦の兼職という形のものがかなり広く利用されているといいますか、常態になっているという面があると思います。
 私どもは、基本的な考え方を申し上げさせていただきますれば、こういった状態をいつまでも放置していくことは好ましくないというふうに思っております。やはり、農協といえども、六十八兆円もの受信を受けて信用事業をやるからには、その職務専念をきちんとやってもらいたい、そうでないと、腰かけ的な農協信用事業がということでは、組合員の方はもちろんのこと、国民の方から見ましても、金融機関として一人前であるかどうかというような厳しい御指摘がある。こういうことで、私どもとしては、兼職、兼業禁止規定を入れましたのはそういう意味で、縦、横の今常態となっております状況を改善したいという気持ちを持っておりまして、そういう状況は基本的には好ましくないという考え方が基本でございます。
 ただ、これから二〇〇〇年に向けまして、農協の合併、それから垂直統合ということをやっていくわけでございますが、そのときに縦も横も一切、施行した途端に全部アウトということになりますというと、これはこれで混乱がかなり生じると思います。そういう意味で、何といいますか、農協のリストラの方に精力をこれから数カ年間割いていただく、そういう過渡期でございますので、そういうことについての配慮というのは一定の制限のもとで要るのかなというふうには考えております。
 例えば、ある単協の組合長さんが県連の会長さんを兼ねるという場合におきましても、その単協に別に代表の理事の方あるいは常勤の理事の方がきちんとおられて信用事業を見ておられる、そういう状況であれば例外的に縦の兼職ということがあってもいいのかな。そのあたりにつきましては今のところそういう考え方を持っておりますけれども、この兼職、兼業規定を入れました趣旨に照らしまして、なお私どもとしては検討を深めていきたいというふうに考えております。
○鉢呂委員 県連なり全国段階では、さまざまな役職といいますか、それと実際は兼職になっているのが実態だと思います、関連会社の取締役なんかも含めてですけれども。そういうものが兼職の禁止という条項になるのか。厳密に言えば農業経営をしているのも、局長、農業経営者も兼業に当たるわけでありまして、農業経営も譲って専念する、そういう形にもなるのかどうか。
○堤政府委員 この条文は、今お手元にございますように、代表理事、これは常勤、非常勤を問いませんけれども代表理事、それから常勤の理事あるいは参事、監事、こういう方々は他の事業を営んではならない、他の法人の常務に従事してはならないということでございますので、他の企業の常務に従事するということはできませんし、もちろん他の事業を営むということはこの兼職、兼業規定に反するという形になります。
 それから農業者の扱いについてでございますけれども、これについてももう少し私どもとしては検討を深めたいというふうに思っておりますが、言葉をそのままとります限りにおいては、この兼職、兼業の制限であります他の事業という中に農林水産業も基本的には入る、言葉上は入らざるを得ないと思います。
 ただ、農協は農業者をもって構成する団体でございますから、そこで農業者をそのまま兼業という形に指定するということをもう少し農協法の趣旨に照らしまして考えてみたいと思っております。今の段階で確たるものを持っているわけではございませんが、例えば通常の日本の農業の経営の実情でございます家族農業経営、そういうことを通常営んでおられるという場合に、他の企業とか他の法人と同様に兼職、兼業で一切まかりならないということが日本の現状に合うのかどうか、そのあたりをもう少し考えてみたいというふうに思っております。
○鉢呂委員 まさにもう、いつからこれは施行するのですか、二カ月後でしたか、その辺はもう明確になっておらなければならないことでありまして、信用事業を営む農協については、やはり私が言ったような牽制的な意味合いもある。やはりいろいろ兼業、兼職によって意図的に融資等が行われるということも今日まであったわけでありまして、そういう透明性の中で牽制的な意味合いもあるという点が私は大きいと思っています。
 そういう点で、横並びということであれば、私は、信組の理事長が自分の事業所の社長も兼ねる、取締役を兼ねるということはなくなるだろうというふうに思いますけれども、そういう点で厳格にこれはやっていただくことが必要だ。やはりこれからもこういうことが、不祥事というものが起きれば全く大変なことになるわけでありますから、そういう点ではやはり厳格にやることが必要ではないかというふうに思うわけでありまして、時間がありませんから次に行きたいと思っております。
 経営管理委員会制度の導入の件に関してであります。
 前回も理事の三分の一までは正組合員外からという法的な改正をしたわけでありますけれども、まさに遅々として学経理事の導入は図られない。〇・一人でしたか、そういう状態が続いておるわけでありまして、そのことに端を発してこういう経営管理委員会というものもつくったのではないかというふうに思わざるを得ません。
 しかし、これだけの、きょうの私どもの安住委員の本会議での質問にありますとおり、余りにも唐突に出てきた感と言ったら首をかしげるかもわかりませんけれども、農協なりあるいは組合員の皆さんに理解を得ておるのか。私どもも、何回聞いてもちょっとわかりにくいと言ってはおかしいのですけれども、だれが代表権を持つのか、あるいは、どこまで業務のきちんとした区分けを経営管理委員会と理事会がするのかわかりにくい。実際導入したときにはまさに屋上屋を重ねるようなものになってしまって、相変わらずやはり理事は組合員すべてということにもなりかねないし、また同時に、任免といいますか、この選任と解任をするのが違った機関で行われる。
 ある面ではわかりますけれども、解任を慎重にするという意味だと思いますけれども、しかし、通常からいけば非常に異なったやり方だというふうに思わざるを得ません。総会で選ぶのであれば選ぶ、経営管理委員会で選任、解任を行うのであれば行う。ヨーロッパでもそういうふうに聞いておりますけれども、なかなかこれは導入しにくい。導入しないところは選択制ですからということでありますけれども、やはりもっと、これが必要であるとすれば、一定の規模に必ずこれを入れる。
 農協で働いている方に聞きますと、これは必要なのだ、今の理事が、大規模な合併農協になりますと、いわゆる集落の代表者のような形で、まさに大変高度な業務をしなければならない農協の中で、必ずしも理事会というものが本当の意味で機能し得なくなっておるという点で、経営管理委員会といわゆる専任の日常的な業務をする理事会というものがきちっと機能するということは必要なのだ、こういう形で農協に働いている方が言われるところもあります。
 しかし、現状ではなかなか機が熟しているというふうにも見えないわけでありまして、私はむしろ、なかなか法的には難しい面があるだろうと思いますが、理事会でも学経理事の導入というものを法的に、強制感を伴いますけれどもやる段階に来ておるのではないかというふうに思いますけれども、この点も含めて見解をお聞きいたしたいと思います。
○堤政府委員 先ほど来先生のお話を聞いておりますと、業務執行という意味でそれを充実強化して。いくべきだということについては、御指摘のとおりだと私は思います。それから、業務執行の充実という意味で、専任の方が、例えば学経理事とかそんな形で農協の信用事業に従事するということも必要だということも、基本的に私は同じだというふうに思いながら聞いておりました。
 あとはこの手段の問題になるわけでありますけれども、今、例えば学経理事の登用の重要性ということを認めながらも、これを強制したらどうかということについては、やはりこれは、農協法の性格上、学経理事を強制するということについてはいかがかというふうに思います。むしろ、現在でも三分の二以上が組織代表ということは、裏を返せば三分の一までは学経の方がなっていいわけでございます。先ほどお話ありましたように、まだまだ一組合から〇・一名という状況でございます。
 そういう意味で、現行の理事会を選ばれます農協につきましては三分の一まで認められているわけでございますので、極力そういう形での登用をやっていただくよう、私どもも過去通達を出しているわけでございますけれども、任意の農協でございますから、そういった指導といいますか、強制ということはやや適当でないのじゃないかなというふうに思います。
 それで、私どもは、今回経営管理委員会制度をとろうと思いました理由は、まさに先生が先ほどおっしゃっておりますような共通の認識に立っておるわけでございまして、その際に、冒頭ございましたように、農協の協同組織性としての組織代表の意思をどういうふうに業務執行に反映させるかということと、それから、高度化しております日常の金融業務を、不測の事態を招かないようにどうこなしていただくかというこの二つの目的を両立させたいということから、経営管理委員会につきましてはすべて組織代表の方々がおなりいただいて、組合の業務執行に関する重要事項、基本方針をそこで決めていただく。そのことによって、協同組織性としての意思がそこで貫徹をすると私どもは思うわけでございます。
 そういう重要事項、基本ラインを組織代表の方が決めていただいて、その決められたラインの上に立って、デリバティブとかいろいろ言われておりますような非常に高度化し専門化した日常の業務執行は、経営管理委員会が選ばれた専門的な方になっていただく。専門の方というのは、これはもう特に組合員でなければならないとか、もちろん組合員の方がなっていいわけでございますけれども、組合員でなければならないとかそういうこともなしに、適任者を選んで、まさに日常の高度化した金融業務をやっていただく。
 こういう意味で組織性を維持しながら高度化した日常の業務をこなしていく、そういう両方の目的を持ったものとして考えたわけでございます。これはもちろん強制ではございませんで、その地域、地域の農家の方や農協の方々がこれを選ばれるという場合に選択肢として考えてみてくださいという形になっているわけでございます。
 なお、このことにつきましては決して拙速とかそういうことではございませんで、農政審議会でもかなり御議論を賜ってまいりました。農政審議会にも全中会長初め農協系統の方々もたくさん入っていただいておりますし、それから、農協それ自体も、総書と言っておりますけれども、そういう特別の審議会でこれをこなすという形の御議論もかなり深められたというふうに聞いております。
 もちろん理解が完全にいっているというふうには思っておりませんが、これからもそういう啓蒙普及ということを努めることによって、特定の、こういうことに関心を示しておられる単協、農協の方もおられますので、そういう意味では選択肢という形で、どちらをとりましても農協の職務執行体制を強化する、そういうことに資するように運用を心がけてまいりたいというふうに思っております。
○鉢呂委員 時間がなくなりますので、次に移ります。
 外部監査についてであります。これは、他の金融機関、他の業態と横並びの完全な外部監査というものは、農協の現状を考えれば大変いろいろな問題があろうとも、今回の住専の問題を大きな教訓として完全な外部監査というものはやはり必要ではないだろうか、大変必要だというふうに私は思います。
 中央会の指導監査は、やはりこれはこれとして継続的に農協に対して何か事があったときには指導を仰ぐという形もありますし、指導監査というのは三年に一回ぐらいしかなされておらない現状でありますから、これは徹底して行う。同時に、一定規模以上の農協については完全な外部監査、公認会計士ですとか監査法人による監査というものをやはりやるべきではないか、他の業態にきちっと合わせるべきではないかというふうに私どもも思うわけでありまして、今回はこういう形になったわけでありますけれども、これはやはり早急に実施をすべきであるというふうに思います。
 今までもその議論は出ておったのではないかというふうに思いますけれども、藤本大臣、この点についてどのようにお考えになるのか。今回はもうこういう法案が出ましたから、我々は修正案を出すことはしませんけれども、大臣としてこの点についてどのように基本的にお考えになるのか、将来の方向として、完全なる外部監査についてどのようにお考えになるのか、お聞きをしておきたいというふうに考える次第でございます。
○堤政府委員 先にちょっと御説明をさせていただきます。
 基本的に監査体制が非常に重要だということで員外監事、常勤監事とともに外部監査体制ということを今回手当てしたわけでございますが、その際、ほかの組合の場合と違いまして、系統につきましては昭和二十九年以来、農協中央会が中央会監査という形で蓄積をしてきているノウハウもある、かつ、千三百名の資格者もそれぞれ取りそろえているという意味で人材養成もしてきている、そういうことを踏まえまして、かつ、それだけで導入したわけではございませんで、公認会計士を中央会監査に必置するということによりまして、公認会計士のノウハウを中央会監査に導入をして、いわゆるレベルアップをいたしました上で、監査士制度を義務づけるということにしているわけでございます。
 決してそういう意味では、何といいますか、公認会計士そのものをというわけではございませんけれども、中央会が従来果たしてきました役割、それから人材を活用するということ、さらに、外部の目で物を見てもらおうという意味での公認会計士を必ず置く、それで、その方を必ず置いてその目を通していただく、そういうふうにレベルアップした段階での中央会監査ということで整理をいたしているわけでございますので、その点につきましては特段の御理解を賜りたいというふうに思っております。
○藤本国務大臣 今回の中央会の監査体制の強化によりまして、他の金融業態と同等の効果が期待できるものと考えております。また、そのような運用になるよう指導してまいります。
○鉢呂委員 信連の役割は今回大変大きかったというふうに思いますけれども、役割といいますか住専問題でですね。この信連についても、全中といいますか中央会の監査というのは同様になるというふうに聞いていますけれども、公認会計士を中央会の段階に置くということであるならば、信連については最低限直接、目を通すというようなあるいは教育的なということでなくて、直接、これも今までの実施率は年間一四%から二二%ということですから、まさに四、五年に一回やっているかどうかというような状況でありますけれども、やはりここは、そうであれば毎年この信連については監査を行う、外部監査ということでは、その際は公認会計士、監査法人による監査を行うということをぜひ強く求めておきたいと思います。いかがですか。
○堤政府委員 信連につきましても全く同様の形で全中の監査が入るということは同じでございます。
 それから、これは通常の業務監査とは違いますので、決算監査でございますので、毎年それぞれ信連、それから一定規模以上の単協につきましてきちんと監査をするということになっております。
○鉢呂委員 続きまして、金融機関の検査・監督業務の一元化の問題であります。
 この問題も既に出たかもわかりませんけれども、農林水産大臣から、今、与党なり内閣で検討されておると思われます金融機関に対する検査・監督の一元化の問題について、農水省としては、農水大臣としてはどう対応していくのか、御答弁を願いたいと思います。
○堤政府委員 大臣のお答えの前に、私の方から御説明させていただきますが、全体的な、金融庁をめぐります全体の検査、監査の問題につきましては、御案内のように、農協が総合事業体であるということで、信用事業のほかに共済事業その他の事業も持っておるわけでございまして、かつ、その信用事業と経済事業の関係が非常に、不即不離といいますか裏表みたいな形で、密接な関係になっております。そういう観点から、農水省としては、農政という立場から、他の経済事業をやっております団体でありますとか、あるいは共済事業団体をやっておりますものと同様に、信用事業につきましても農政の観点からの検査・監督をやっております。
 他方、大蔵省におきましても、全体の金融秩序の維持という観点から、銀行や何かと同様に、信用組合あるいは信連あるいは農中でそういった検査が行われているわけでございまして、そういう意味では、いわば共管という形でそれぞれの目的に応じた検査・監督が行われております。
 現在、この問題につきましてはそれぞれ御議論が進んでいるわけでございますけれども、私どもとしましては、今申し上げましたような基本的なスタンスでこの問題の解決が図られる必要があるという認識をいたしているところでございます。
○鉢呂委員 時間がなくなったので、それでは、私どもはこのことについては一元的に行うべきである。これは、信用部門以外の事業も行っていることはわかりますけれども、やはり金融事業が一番の課題ですから、検査・監督については別機関で、大蔵省からも分離をしたところで一体的に、一元的に行うべきだというふうに主張しておきます。
 時間がありませんので、もう二つあるのですけれども、いわゆる農林中金と信連との合併問題です。
 この合併に際しては主務大臣の認可が必要としておりますけれども、その審査基準として三つ挙げられておるのは法律に書いてあるところであります。しかし、この三つの審査基準は甚だ抽象的であります。私は、この合併に際しては、参考人の質疑でも申し上げましたけれども、信連にあります不良債権、固定化債権の問題が大変大きな問題になるだろうというふうに考えるところであります。
 農政審報告でも、あくまでも系統信用事業全体としての機能強化あるいは効率化が目的であって、経営不振の信連の救済を目的とするものではないと。この立場は農水省も立つわけでありますか。
○堤政府委員 先生が今御指摘になりました。行政庁の認可にかかわらしめておりますことのその基準でございますけれども、三つございまして、統合が系統信用事業全体の効率化及び健全な発展に資するものであること、それから、統合後の農林中金の業務運営の健全性が確保されることという規定が入っております。
 それで、これはまさに先生御指摘のように、経営不振信連の救済を目的としてこういう統合を行う趣旨ではないということをこの基準で明確にしたということでございます。
○鉢呂委員 農政審答申では、統合に当たっては「統合の当事者が要員・不良債権処理等に関する年次計画を作成し、その計画の策定・実行に行政庁が計画認定等の形で関与していくことが必要である」というふうにまで述べております。このことについては今回の法案には一切、そこは、省令、政令で行うとかいうことが書いておりませんけれども、この農政審の報告を厳密に、行政庁の認可の段階で行うのか。
 あるいは、認可をした後に不適当と思われるものが見られたときにはこの認可を取り消すということが条項にはないのですけれども、こういうことが必要になってくるというふうに私は思うのでありますけれども、認可を取り消すというものがあり得るのか。この二つについて御答弁を願いたいと思います。
○堤政府委員 これは当然ながら、経営破綻等を来しております、あるいは経営困難になっております信遠の救済を目的とするものではございませんので、したがいまして、主務大臣の認可の際に、そういった不良債権等はきちんと県内等の中で処理されているということを前提にしての認可という形になってくるというように考えております。
 それから、取り消しの話がございましたけれども、当事者が認可の内容どおりに統合を実施しないという場合には、もともと認可の要件を満たしていないということで、そもそも主務大臣の認可を得ていないということになるのではないかというふうに思います。
○鉢呂委員 農政審の報告には、国の支援措置についても書いてあるわけであります。統合の阻害要因を取り除くための支援措置、これは税の優遇措置、登録免許税の関係ですね。この優遇措置をとるのかどうか、それが一点です。優遇措置というのは、いわゆる税の課税負担の特例措置をとるのかどうか。
 それから、農協系統全体としての組織の二段階化の一部として信用部門への支援措置をとるべしというふうに言っておりますけれども、具体的にはどういう支援を考えておるのか、このことについてお伺いします。
○堤政府委員 統合につきましての国の支援措置ということで、登録免許税その他について税務当局に来年度予算で税制改正要求でお願いしているというところでございます。
 それから、統合全体の支援という形につきましては、例えば私どもとして、こういった税制のほかに予算の中におきましてもこういった支援を、何といいますか誘導していくような形の予算もお願いをいたしておりまして、そういった税制それから予算それからこういった法制度、そういうもろもろのことで統合への方向づけを確かなものにしていきたいというふうに考えております。
○鉢呂委員 不良債権を、固定化債権を合併の段階に持ち込まないということは、ある面では信連以下で処理をするということでありますから、大変な事態であります。
 この農協合併助成法には、合併推進法人ですね、これが設けられておるわけでありますけれども、こういったぐいの不良債権にかかわる支援措置というものを考えるのかどうか、この点について、これは信連と中金の合併についてですよ、お伺いいたします。
○堤政府委員 先ほどもちょっとお答え申し上げたところでございますが、農協合併助成法の中で、この合併推進法人ということで利子補給等あるいは不良債権の買い取りができる、かつ実績も上がっていることは御説明したとおりでございますが、これにつきましては、単協をベースに考えておりまして、信連とかそういうことについては、当面そういう制度はございません。
○鉢呂委員 もう時間がなくなりますので、早期是正措置の二年後に合わせるということになりますと、信連の、信連といいますか、系統の二段階化というのは避けて通れない問題もあろうと思います。
 基本的には、先ほど全中の幹部の皆さんも二段階ということを原則として志向するんだということでありますけれども、しかしこのことが必ずしもこの二年間に行われるとか計画的に行われるとかというようなめどは立っておらないやに聞いておるわけでありますけれども、これはなかなか、今度はもう市場原理と透明な行政庁の監督、指導という形で行われるわけでありますから、行き着けなくなった場合には業務停止までいってしまうというような厳しい状況が考えられるわけであります。
 いずれにいたしましても、農水省としては、二段階、信連、農林中金の合併ということについて、基本的にどういう考えをしておるのか。あるいは、合併推進法人のようなことは考えておらないということでありますけれども、この不良債権問題について国としてどういう支援の措置を今後検討していくのかどうか、この二点についてお聞きをしておきます。
○堤政府委員 農林中金と信連の合併、統合といいますか、二段階化につきましては、私ども法案をお願いをしているわけでございまして、私どもとしては、厳しい金融情勢あるいは住専の反省、そういうもろもろのことを含めましてこの法案をお願いしているところでございます。したがいまして、そういった方向に省を挙げて全力で私どもとしては推進をしていきたいという考え方が基本でございます。
 それから、不良債権の問題につきましては、先ほどからお話がございましたように、農林中金にそれを引き継いでいくということは基本的におかしいわけでございまして、県内の中できちんと処理していただくということが基本であろうと思います。そういう意味で、不良債権の問題につきましては、系統内部で、それぞれの経営内部で処理されていかなきゃならない課題、問題というふうに思っております。
○鉢呂委員 時間がありませんからかいつまんでお聞きしますけれども、いわゆる信連のノンバンク系の貸し付けについてであります。
 去る十月八日のある新聞の報道は、昨年の三月末の残高が四十七県信連で二兆一千億のノンバンク系のものがある、貸出残高の三六%に当たると。そのほかに、住専向けが三兆三千億あるとの、個別の信連のことを金額も記載しながらの報道があったわけであります。しかも、全貸付残高の五〇%以上にわたっておる県信連が十県信連あるという状況でして、そういった意味ではなかなか大変な状況があるのではないかというふうに推察をするわけであります。
 独立系のノンバンクの信連からの貸し付けについての懸念の報道もたびたびあるわけでありますけれども、これらについて、農水省としてどのようにこの現状把握をし、今後どういうような指導をしていくのか、基本的なところの御答弁を願いたいと思います。
○堤政府委員 系統金融機関が持っております不良債権あるいはその中におきますノンバンクヘの不良債権額等につきましては、国会等でさまざまな御議論をいただいてきたところでございます。
 先ほど御質問がございましたので、そういう意味では不良債権の数字等も申し上げたわけでございますが、いずれにしましても、これは国会で御議論ございましたように、ノンバンク等に対します不良債権につきましては、公的措置ということによらず、それぞれの経営責任の中で処理されるべきものということで対応すべきものと私どもは思っております。
○鉢呂委員 時間が来ましたのでこれで終わりますけれども、非常に厳しい方向での立場に立っての質問をしたというふうに私も考えておりますけれども、金融部門に限って見れば、そういった意味では住専の関係もあって、やはり相当厳しさを持って農協運営に当たる必要があるのではないか、そういうふうに思ったわけで、これは自主的な団体でありますから、まさに法の中で自主的に厳しさを持ってこの難局を乗り切るんだ、そういう姿勢であっていただきたいなというふうに思っています。
 また、きょうは聞きませんでしたけれども、農水省の指導監督、これらについても多々反省点はあるのではないかというふうに考えておるわけでありまして、そういう点も含めて、農水省の農協系統に対する指導監督が、あるいは検査も含めて問われておるというふうに思いますので、今後とも、この法案は必ずしも完成されたものでない、現状の農協の状況を踏まえて、そこで折り合った段階での法案のような気がしてなりませんので、これを最低限のものとして、金融システムの安定化というより高い見地で農協系統の金融機関としての役割を果たしていただきたい、このことを最後に申し上げまして、質問を終えたいと思います。
 ありがとうございました。
○石橋委員長 次に、春名直章君。
○春名委員 さきの委員会に続きまして質問させていただきたいと思います。大変お疲れだと思いますけれども、よろしくお願いします。
 最初に、住専問題についてお伺いをしておきたいと思います。
 この問題は、私たち日本共産党は、母体行の大変大きな責任ということを論点でも明確にしてやってまいりました。そして、足らない分は血税を投入するんじゃなしに、母体行がちゃんとやりなさいということも言ってまいりました。そして、大蔵省の責任ということも追及してまいりました。きょう、そのことを前提にしてまずお伺いしたいのですけれども、特に不動産業向けの貸し出しに関する総量規制通達が九〇年三月、出された。その三月以降、都市銀行とか地銀などは住専への融資を減らして資金を引き揚げていきました。農協系統の金融機関からの住専への融資は、それとは反比例して膨らんでいきました。このことはもう周知の事実ですが、これが命の信連の経営悪化を招く大きな要因になりました。
 この点で、ことしの二月に藤田スミ委員が政策誘導という問題で訴えをしました。大蔵、農水の行政責任は重いということを追及したわけです。今回の法改正は住専問題が一つの契機になっているということですから、この責任問題を避けて通るわけにはまいりません。その二月の藤田議員の質問に対して、当時の大原農林水産大臣はこう言っておられます。
 私も今大変反省をしているわけでございまし
 て、この平成二年の総量規制以後の住専へ貸し
 出しか倍増したという事実、これはやはり私は、
 大蔵が誘導したということを私の口から言うわ
 けにはまいりませんが、やはり信連、系統の融
 資の甘さというものも十分我々は反省しなきゃ
 ならぬと思っております。このように答弁をされておられます。ほのめかすということではありますけれども、事実上大蔵の責任ということにも言及がされましたし、それからまた信連や系統の融資の甘さということについての反省にも触れられておられます。
 しかし、農水省の政治的、政策的責任ということはまだあいまいなままです。この点で農水省の責任についても明確にしなければならないと思いますけれども、大臣、この点いかがでしょう。
○藤本国務大臣 住専問題に至った背景を点検、検討いたしまして、その結果を踏まえて今後の行政に的確に反映させることが行政の責任として最も重要と考えております。このため、こうした考え方のもとに、信用事業を中心とする農協改革法案を国会に提出した次第でございまして、検査体制のあり方につきまして、その充実について検討中でございます。
○春名委員 今のお話にかかわってもう少しお聞きしますけれども、不動産向けの貸し出しの総量規制が政策課題となっていたときに、信連の住専への融資拡大ぶりは熟知されていたと思うのですが、三業種規制の報告は信連協会への通達では求めなかったわけですね。他の銀行などにあてた通達では抑制効果をねらって報告を出すように求めていたわけですが、信連にはそれが欠落をしているというか、求めませんでした。これは、大蔵省の当時の銀行局長さんと農林水産省の経済局長さんの両名によってこれが出されたものでありました。その後も信連から住専への融資が増大し続けているということが出ていたわけで、承知をしていながら抑える措置が講じられませんでした。そして、いよいよ危ないという判断がされて、系統資金が引き揚げられようとしたときにも、大蔵や農水両省の覚書という形でこれがとどめられるということになりました。ですから、明確な政策意図に基づいていたことが非常にはっきりしているわけであります。
 ですから、今信連の改革ということで法案を出しているということが言われているのですが、その前に、そういう大蔵省の指導責任が問われるのであれば、それに乗った農水省の責任そのものを避けてはいけないし、そのことをまずしっかり反省をするということから始まらなければならないと思うのですが、その点ではどうでしょうか。
○堤政府委員 その点につきましては、ことしの当初からの予算委員会あるいは金融特委等で御議論があったわけでございまして、当時も申し上げましたように、さまざまな意味で、住専への貸し付けということにつきましては、農協の場合は住専自体の例えば創設あるいは経営に参画していないということで、経営責任そのものではないということではございますけれども、今御指摘のように、多額の金を貸し込んでいったということについて、金融機関としてどうであるかということの御議論がございましたし、私どもも、先ほど大臣が申し上げましたように、指導監督する立場だという意味での、さまざまな意味での見直し、反省もしなければならないということで対応してきたところでございます。
 そういった中で、二度とこういうことが起こらないように、今回のまさに農協二法という形でお願いいたしておりますのも、そのときの御指摘でございました。農協は系統金融機関として十分であったのか、リスク管理体制が十分であったのか、貸付審査体制は十分であったのか、そういったさまざまな御指摘をそのまま私どもとしては受けとめさせていただきまして、農協改革という形の中に結実をしまして今回御審議を賜っているわけでございます。そういう意味で、住専につきましても、さまざまな御議論をそういう形の中で対応させていただくということによって責任を果たしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○春名委員 今の話のちょっと続きになりますけれども、なぜこのことをしつこく言うかということなんです。やはり一つは、少なくない信連の経営危機、これと関連しているということは最初申しましたけれども、もう一つは、今お話も少し出ましたが、協同組合としての農協系統の資金運用のあり方が非常に大もとから問われるような典型的な重大問題になったからでした。
 農水省は、信連から住専に多額の貸し出しかなされたことについて、その当時、藤田議員への答弁で、公共性のある住宅の投資、もちろんそれは個人の住宅それから建設業者等を通じての住宅供給ということを促進するという点があった。つまり、公共性の高い融資だったということで釈明をされておられます。しかし、信連から住専に貸し出された資金がどういうところに流れていったのかという実態を見れば、なかなかそれは通用しない釈明になっているわけですね。
 それで、九一年から九二年にかけて、大蔵省が住専七社に対して第一次の立入調査をしております。これを全部一々紹介する時間もないですけれども、既に住専の経営が重大な局面に立っていたことが非常にリアルに示されております、きょうも持ってきておりますけれども。また、その住専からの貸付先にはどんな企業があって、どんな実態にあったかというのも、「個別貸付先の財務状況等」というものでかなりリアルになっていました。あの世間を騒がせた末野興産とか朝日住建とか、そういう地上げで名をはせたような企業が並んで、深刻な経営実態にあったということも報告をされているわけであります。
 そういう実態にあったことが大蔵省の立入調査ではっきりしていたのに、引き続き膨大な農協系統の資金が誘導されていくということになった。ここに大きな問題があると思うのです。農水省が根拠としていた高い公共性という問題ともかけ離れたような、そういう実態があったんじゃないかと思うのですが、その点はいかがでしょう。
○堤政府委員 この点につきましては、私何度も答弁をさせていただいてまいりましたけれども、釈明をしているというよりは、当時の系統の貸し付けがどういう状況であったのかということについて御説明をしております。
 当時御説明を申し上げましたのは、住専会社は、系統にとりましては国民に広く住宅資金の供給を行うという公共性、社会性の高いものと受け取られていたという事実があるということでございます。かつ、当時住宅向けの資金需要も極めて旺盛であったということで、系統資金をそういうふうに活用するということにつきましてはそれなりの意味があったというふうに受け取りながら対応をしたということを申し上げたわけでございます。
 それからもう一つは、農協の貯金量が増大するという中で、名のある母体行によって設立され事実上運営されております住専は、当時といたしましては安全な信用力のある貸出先として広く金融界の人が認めていたという事実がある。そういうような二つの事情から、先ほどおっしゃいましたような形での総量規制という通達が出ましたけれども、他の業態のようには必ずしもその効果が出なかったという形で認識されておったという事実を私申し上げたところでございます。
○春名委員 そういう点でいえば、総量規制というようなすごい手段も通達で出されているというわけですから、こんなひどい状況になっていたというのは、もうわかっているというか、二月の質問のときにもそのことを藤田さんが具体的に追及しているので、それを言い出すとまたそればかりになるので、時間がないのでやめますけれども、わかっていたと思うのですね。安心して大丈夫だとか、公共性が高いとかいうことは、その当時全然わかっていなかったということにはやはりならないと思うのですね。
 私言いたいのですけれども、そういう実態にあったことが今ではもう天下に明白になっています。ですから、系統資金が協同組合としての基本から大きく逸脱した資金運用がなされたことへの反省は、少なくとも今日はっきりさせておかなければなりません。
 それで、JAの中央が紹介冊子で、「新版一九九三年私たちとJA」という冊子で、農協の信用事業の基本的性格とは何かということで説明をしています。「一般の金融機関からは敬遠されがちな組合員が、お互いに貯金しあい、貸付けしあう相互金融によって営農と生活の改善、向上をはかろうとするのがJAの信用事業である」これが基本性格だ、こういうふうに言っているわけです。
 それと比べても、この住専への大量の流入というのは重大な問題を残したわけですから、これを本当に反省もし、教訓化もして、その上にやはり新しい方向を示していくということが本当に重要になっていると思いますので、改めてこの問題で最後に大臣の認識を伺っておきたいと思います。
○堤政府委員 大臣も先ほどお話し申し上げましたように、農協としましては、それぞれの言い分はございますが、しかし、住専に対しまして多額の資金を貸し込んだということについての、そういう意味での貸し手責任があるということは言わざるを得ない、そういう意味での金融機関として不備であったということは、大臣申し上げたとおりでございます。
 したがいまして、今回は、そういったことを真摯に受けとめまして、例えば組織三段という形で農協はずっとやってきたわけでございますけれども、こういう厳しい状況の中で、組織二段という形の中でリストラをやって、そういうことで農家の方々への良質のサービスを提供できるような、そういう事業体になっていこうということでありますとか、あるいは単位農協も合併をすることによって、質量ともに充実したサービスを農家の方にできるようにしようでありますとか、あるいは業務執行体制、それからリスク管理体制、監査体制、そういうことについてもさまざまな御批判を真摯に受けとめて、今回、法改正の中でお願いをしているということで、住専その他の金融情勢のことももちろん念頭にございますが、そういうことを受けとめまして、私どもとして対応させているということについては御理解を賜りたいと思います。
○春名委員 広域合併の問題とか系統事業、それから組織二段という問題などに触れられましたので、次の問題にちょっと入っていきたいと思いますけれども、そういう大きな流れの一環として、今度の二つの法案が出されていると思います。それで、農協合併助成法、これが合併期限を二〇〇一年三月まで延長するということが出されております。スケールメリットを追求する、合理化、効率化ということが強調されているわけであります。
 そこで私は、先ほど来の質問にもあるのですけれども、このことが強調される余りに、不採算部門が縮小されるとか、それから農協と組合員との希薄化が進んでいくとか、協同組合という性格にかかわる重大問題を現にはらんできているというように非常に感じているわけですし、特に営農指導事業、これが縮減されていけば、農協本来の機能がますます低下をしていくということにもなりかねません。そうした懸念は全くないと言えるでしょうか。その辺をちょっとお答えいただけますか。
○堤政府委員 先ほども実はお答えを申し上げたところでございますけれども、今回この農協関係の法案の審議をお願いしているわけでございますが、その中には、今御指摘のように、単協の統合ということで、単協の合併といいますか、そういうことによりまして、単協の力をつけて農家の方に対します営農と生活のサービスを充実させていきたいというねらいがあるわけでございますが、その際、例えば大型合併化をしていきますれば、農家の方々と組合員との間に希薄化が生じるのではないかという御心配がされております。現実に、さまざまな単協合併の中で、今御指摘のように、そういった事例がないというわけではございません。やはりそういう事態が起こっているところもあると思います。
 しかしながら、また他方で、大型化をやりながらも、しかし農協と組合員との関係を希薄化しないで対応しておられる単協合併ということもあるわけでございまして、先ほども御説明したわけでございますが、農家の方により近い立場にございます支所を活用いたしまして、営農指導、生活指導等を充実させておられる農協もございます。それから、支所等がなくなったりしたところの空白を埋めるという意味で、青年部会あるいは婦人部会、あるいはさまざまな営農の面での、作目別部会といいますか、そういうことによりまして、農協と組合員との肌のぬくもりが感じられるような、そういう意味での指導をされておられる農協もあるわけでございまして、やはり全体的には効率化を求めていかないと他の業態におくれをとる、農協の信用事業がおくれをとるということで。ございますので、そういう意味での合併は進めていかなければなりませんが、今申し上げましたようなさまざまな工夫をやることによって、農協と組合員の方の希薄化を防いでいく、あるいは逆に充実させていくということは十分できるというふうに思っております。
 それから、例えば不採算部門がこれでもって切られていくのではないかという御指摘もございました。これは先ほども御説明したところでございますが、今回も部門別の採算を明らかにしていこうという考え方をとっておるわけでございますが、これは、信用事業と共済事業が引っ張っていける時代であればよかったのですけれども、この厳しい状況の中でそれができないということで、例えば、経済事業はいつまでも赤字を垂れ流していくということでは農協経営として本当に行き詰まってくるのではないか、そういう意味で、農家の方々にそれぞれの部門がどういう経営状態にあるのかということをきっちりと、まさにディスクローズしていただきまして、それで農協としてどういうところを改善したらいいのかという意味での御議論をやっていただく、そういう契機、よすがにしたいということで、例えば部門別の採算、部門別の収支を明らかにするということを申し上げているわけでございます。
 つまるところ、こんな形をとることによりまして、農協の原点でございます営農指導というものをきちんと行えるような形にもっていくということも、今回のねらいの一つということを御理解いただきたいと思います。
○春名委員 ちょっとそこにかかわって、もう一回お聞きしておきますけれども、部門別の採算を明らかにするということですけれども、営農部門というのは採算が合うというふうになるのですか。最初から、指導する指導員が営農をしていくわけでしょう。それで採算するというのはどういうことになるのですか。
○堤政府委員 これも何度もお答え申し上げてきたわけでございますが、部門別の状況を明らかにすると申し上げましたときに私どもが考えておりますのは、信用事業や共済事業で、従来はその黒字で引っ張ってきたわけでございますけれども、それがうまくいかなくなってくるのではないかということで、経済事業が信用事業や共済事業の黒字でもってカバーできていた。そういうことでは今後はいかないという意味で、経済事業につきましても、信用事業につきましても、共済事業につきましても、部門別の収益を明らかにしていくということで、組合員の方々がどういう改善をしたらいいのか、例えば経済部門の自動車整備工場を、遊休しているから廃止していこうとか、そういう形での具体的な形につながっていくということを期待するわけでございまして、そもそも営農指導事業というのはもともと持ち出してございますので、それ自体が黒字を生むというものではございません。しかし、今の状態を放置しておきますと、農協の原点でございます営農指導事業もそういう面から縮小を求められてくる、余儀なくされるという可能性もございます。
 そういう意味で、経済事業につきまして、もっと事態を組合員の方々に御認識いただいて、改善の努力をしていただく、そういう全体の改善の中で営農指導という農協の原点の事業をしっかりとやっていただくということをねらいにしているということで申し上げたところでございます。
○春名委員 趣旨はわかりました。
 農水省の農協課の調査計画係長の石井さんという方が「総合農協の組織・事業の動向」という論文というか、調査結果を発表されておりまして、これは一つの指標だと思いますけれども、一九九二年の営農指導員の数が一万八千二百五十八人、一九九四年の、二年後の平成六年は一万七千七百四人、マイナス五百五十四人になっているそうです。
 この数字によりますと、職員数全体は多少ふえているということになっているので、これだけで別に営農が軽視されているというふうには僕も思いませんけれども、そういう傾向もあるということは認識をしていただかなければならないと思うのです。
 それにかかわって、ちょっと数字を確認しておきたいことがございますが、この営農指導員の数だけではなしに、規模拡大した農協だったら経営はうまくいくというようになかなか単純になっていない、現状はそういう面があるのじゃないかと思うのですね。
 それから、農政審の報告でも、営農支援をより的確に行えるようにするというのが改革の目標であるということが書かれているのですが、これにも十分そぐわないような面もあるのじゃないかと思っているのです。
 そこで、次の数字をちょっと確認をしたいわけですが、農協の規模区分ごとの利用実態というものですけれども、組合員の一戸当たりの販売品の販売高、それから購買品の供給高、それから貸出金の平均残高、この三つを、小規模農協、今は千戸以下というふうになっていると思いますけれども、小規模農協と大規模農協の比較ということで、数字的にお願いしたいと思っておるのですが、わかりますか。
○堤政府委員 今、私の手元にございますのは貯貸卒、それから販売品の取扱高、それから購買品の供給高ということでございますが、よろしゅうございますか。
 それによりますと、平成六事業年度でございますけれども、小規模な農協で貯貸率が三九%、大規模な農協で二六%、販売品取扱高で、小規模な農協で二百十万円、大規模な農協で百五万円、購買品供給高で、平成六事業年度で小規模な農協で七十七万円、大規模農協で六十万円……(春名委員「済みません、もう一回」と呼ぶ)購買品供給高で小規模な農協で七十七万円、大規模農協で六十万円というふうなことでございます。
○春名委員 これは農家二戸当たりですよね。
○堤政府委員 はい、そうでございます。
○春名委員 この数字は、規模が小さい農家ほどそれなりに数字は上がっているということですね。そういうことを示していますね、この数字の意味は。
○堤政府委員 これは総合農協数の一割を下回ります二百二十四の農協の調査結果でございますから、全体的なことで推しはかっていいかどうかはわかりませんけれども、ただ、言えますことは、小規模農協につきましては山村等、要するに、経済的あるいは社会的条件の不利なところに立地している場合が多うございます。そういうことになりますというと、基本的にはそういうところにつきましては農業への依存度が高いでありますとか、あるいは民間企業体の進出が少ないといったことから、農協への依存度は高くなるという意味で、一人当たりだとか、二戸当たりというふうに直せばこういう事態になるということはあり得ることだと思います。
○春名委員 その説明もわかりますが、私はこれは言えると思うのですけれども、やはり農家に密着して、先ほど支所を活用するとかいう話も出ましたけれども、身近な農協、親身になって営農指導もして相談もしてくれる、そういうところほど農家は利用しやすいという面がやはりあると思うのです。それがこの数字にも如実にあらわれている面があると思うのですね。
 だから、とにかく規模を大きくすればうまくいくんだという、経営も黒字になって前進するんだということに、単純にならない側面があるのじゃないでしょうか。そこのところをやはりよく認識して当たっていかないと、効率化や規模拡大ということで、広域ということでやるだけでうまくいくのか。私の印象では、合併せずに小さいところで頑張ってやっている方が農協、活力がありますよ。そういう印象があるのですね。そこのところを言いますか、別にいいのですけれども。そういうことですけれども、どうでしょうか。
○堤政府委員 私ども、何も大きいことがいいことだということでやっているわけじゃございませんで、今御指摘のように、山村とか離島とかそういうところを含めまして、小規模ながらも非常に組合員の信頼を得て、特色のある事業展開をされておられる農協も私どもも知っております。
 他方でまた、ほかの業態、都市銀行でありますとか地方銀行でありますとか相銀でありますとか、ほかの業態との競争が非常に熾烈になってきているということも事実でございまして、地域を問わず、そういったほかの業態との競争の中で、やはりある程度規模を拡大をして、人材を養成し、あるいはコストダウンを図る、その規模拡大する過程で不要不急の施設をある程度落としていく、そういうことで体質を強化する、そういうことをやっていかないと、結局はほかの業態に食われてしまう、組合員のニーズにこたえることができない、そういう地域があることも事実でございます。
 そういう意味で、それぞれの地域の中で頑張っていただくわけでございますけれども、いずれにしましても、今回お願いいたしておりますように、規模拡大をやろうと思っでもいろいろな支障がある場合に、それをどう誘導していくのか、それから、垂直統合をやろうと思っても、現に農林中金と信連については統合ができない、法的にできない。そういうことではやはり事態の推移に対応できないという地域もあるわけでございますので、そういった意味での支障を取り除いていくということは、行政としても当然やらなければならない事柄だというふうに理解をいたしております。
○春名委員 今のお話の中でリストラという言葉も出ましたので、そのことについてちょっと次に質問しておきたいと思います。
 五万人の人員削減ということがJAの計画としてされています。それで、まず最初にちょっとお聞きしたいのですけれども、複数の法人組織が合併するなどの場合には、労働契約関係は当然に承継されて、特定の労働者の承継、これは排除することはできない、こういう判断が裁判の判例でも一般的になっているということを私もちょっと調べてきたのですが、そういうふうになっています。
 したがって、局長、これは確認といいますか、あれですけれども、合併や事業譲渡を今度の法律でやるということになるわけですけれども、選択してやれるようにするということですが、そういうことに際しても、労働者の雇用保障はきちんとなされなければならないと当然考えるわけです。これは当然ですよね。その辺の御認識を確認しておきたいと思います。
○堤政府委員 雇用契約がその方について当然に継承されるかどうかということは、必ずしもそうではないのではないかというふうに思います。その点については私も専門家ではございませんので、それは当局の判断にまつしかないのでございますけれども、そういうような理解をいたしております。
 それで、この農協系統の合併ということをやります場合に、今回の合併、リストラの特色は、やはり三十五万人体制では農協としては大き過ぎて対応できないという理解がかなり系統の中に浸透しているということが一つの特色であろうかと思います。
 現在、従来までは、よく指摘されましたように、農協の合併はかなり進みながらも、先ほど御指摘のように、農協系統の人員が逆に少しずつふえていくということについて強い御批判があったわけでございます。結局農協系統の人といいましても、これを支えておられるのは農家でございまして、農家の方々が厳しいコストダウン等々を図っておられるときに、その中間組織でございます農協の系統組織が三十五万人を維持するということは非常に難しいという共通の認識のもとに、今回のリストラを積極的にやっていかなければならないという御理解になっているのじゃないかと思います。
 そういう意味で、この四年ほどでございますけれども、二〇〇〇年までに五万人を減らして三十万人体制にして、その分だけ農家の方々の御負担を少なくして、言ってみれば身をスリム化して、逆に農家の方々に対します営農と生活のサービスを強化していこう、こういう動きが今回の農協系統法のリストラの特色であろうと思います。
 もう一点は、先ほどから御指摘ございますように、そういう人的な削減と同時に、施設の統廃合を積極的にやっていかなければならないという意識がかなり高まっていると思います。
 先ほど大型合併、合併しても余り効果が上がっていないという御指摘がございましたけれども、そういった事例もございました。これはやはり、合併をいたしましても集落段階ごとへの配慮が働いて、それぞれにあります案出荷施設でありますとか、支所でありますとか、あるいは自動車整備工場でありますとか、そういったところを残したままの合併ということでございましたので、顕著な効果が上がらなかった面があったのだ、そういう御批判もございましたし、そういう反省もあって、今回につきましては、そういった施設についての統廃合を思い切ってやることによって目に見える形での合併の効果を農家組合員の方々にお示ししていこう、こういうような動きがかなり強まっているというふうに理解をいたしております。
○春名委員 判例で一般的になっているということについて、必ずしもそうなるかどうかはわからないと言われたのは結構重大な問題じゃないかと私は思います。五万人をじゃとにかく切っていくということしかないんだというようにしか聞こえないのですけれども、そういうことになるのですか。生首が切れるということになるのですか。その辺は重大問題ですよ。
○堤政府委員 当然に引き継がれるという意味は、首にするとかそういう意味ではございませんで、その人がそのままの地位を継承するかどうかはその人の判断もあるだろう、こういうことであろうと思います。
○春名委員 首にするということではないということですが、例えば出向という形で労働者を厳しい立場に追い込んで、結局退職を余儀なくさせるというような事例も聞いています。
 それから、ちょっと最初に言えばよかったのですけれども、合併合併ということで、一体自分はどうなるのだろうといって、先が見えないから仕事が手につかないというような農協職員の人も何人もおられます。そういう状況の中で本当にこの雇用を守るということは重要な問題になっていると思うのですね。
 出向という形で、今言ったような事例があるわけですけれども、出向についても労働者の立場を無視して強制できるというものではないということであります。労働者にとって不利益であることが明らかなのに、それを押し切って出向を強制することは使用者としての権利の乱用に当たるというのが、これも一般的な裁判の判例になっていると調べて確認してまいりました。この点は労働省の担当官にも確かめてございます。
 こうした諸点から、合併などが労働者の犠牲、不利益の上に進められるということが絶対にあってはなりません。農水省としてもこの点は十分に配慮して取り組む必要があると思いますが、改めて御確認をいただきたいと思います。
○堤政府委員 何か出向という形のものという理解を私どもはいたしておりませんで、今回系統の方でさまざまな意味での改革を進めていこうという中で、具体的な削減方法としましては、年間退職者の方が現在一万七、八千人毎年おられるということのようでございます。大体現行程度これからも続くというふうに見た上で、新規採用をその二分の一以下といいますか、四十数%ぐらいにとどめていこうということで、基本的には現行の雇用を守りながら採用調整という形の中で当面対応していこうというふうに私どもは聞いております。
○春名委員 それが中心的な方針だというのは私も聞いておりますが、なお本当に農水省としても、労働者に犠牲が覆いかぶさるようなことが絶対ないようによく配慮してやっていただきたいと思いますし、それで、農村地域では特に雇用情勢が厳しいわけですね。二〇〇〇年までに五万人という労働者をそういう形であっても減らすと、採用が減るわけですから、農村地域の疲弊にさらに追い打ちをかけることにもなってしまうわけです。
 政府は、昨年の十二月に第八次雇用対策基本計画というのを閣議決定をされています。その目標の中に、二つありまして、雇用の創出を図るために総合的な雇用対策を総合的かつ強力に実施する。もう一つは、これがちょうど年度が合致するんですが、平成十二年度、二〇〇〇年度の完全失業率は二カ四分の三%程度を目安としてできる限り低くするんだということを目標にしてやらなければならない、こういうことを雇用対策基本計画ということで閣議決定もしています。
 雇用の確保というのは、ですから今政治の重要課題の一つという状況になっていると思います。この立場からいっても、系統組織の合理化という観点のみで事を進めてはならないという点もあると思います。閣僚の一員といたしまして大臣の見解を伺っておきたいと思います。大臣、お願いします。
○堤政府委員 先ほども御説明いたしましたように、今回の農協のリストラ、組織の再編ということにつきましては、年間退職者数が現行程度ということで見込んだ上で新規採用をその二分の一程度にとどめようということで、基本的には現在の雇用を守りながら新規採用調整によって削減していくということでございます。
○藤本国務大臣 雇用の問題の重要性につきましては今さら申し上げるまでもございません。先ほどからの議論を聞いておりましてよく御理解いただけたと思うわけでございますが、新規採用を二分の一以下にすることによって調整をしていく、こういう考え方であることは御理解いただけたものと思います。
○春名委員 では続きまして、法案そのものについての質問をさせていただきたいと思います。
 まず、信連と農林中金の合併に関する法律案の質問です。
 それで、参考人の質疑のときにも藤田議員が確認をしておるわけですけれども、これはそれぞれの信連が自主的にやることだということだと思うのですね。そのことを改めて伺いたいわけですが、二〇〇〇年をめどに統合する計画を策定した信連は青森、宮城など現在十六、統合しないという方針が五億連、北海道、神奈川、静岡は独立経営を続けるというふうに聞いております。大半の県連が合併の方針を決められていないというのが現状と聞いております。
 ですから、あくまでもそれぞれの信連が、今回の法案は二つの組織をひっつけてできるようにするということだと思いますけれども、それぞれのやり方でそれぞれの信連が各地域や信連の実情、単協や組合員の意思を踏まえて自主的にこれは判断していく、このことを最大限尊重する、こういうふうに理解していいわけですね。
○堤政府委員 今回私どもが法案をお願いしておりますのは、先ほど申し上げましたように、農林中金と信連の統合は法的にできない、その道が閉ざされているということでございますので、その道を開いていただきたいということでございます。
 したがいまして、全体的なこれからの農協系統のあり方としまして合併や統合が進んでいくという場合もあると思いますけれども、それは基本的にはそれぞれの地域の実情、そういうことの中で判断されるべき事柄ということで、強制にわたるとかそういうものでは基本的にないというふうに思っております。
○春名委員 わかりました。
 それで、膨大な不良債権の、千六百五十億とかいろいろ言われていますが、投資信託の含み損が約三千億というふうにも言われています。本会議で藤田議員が質問いたしましたが、農協系統の組織は二〇〇〇年までに信連と農林中金との統合を行うとの目標を持っておりますけれども、不良債権を解決する、処理するということについて、先ほどから質問もいろいろ出ておりますけれども、非常に私自身も不安があるということなんであります。
 それで、本会議の答弁では、系統内で適切に処理されるだろうという趣旨のことをおっしゃっておられますけれども、実際これはどうなっていくのか。信連の不良債権は県内処理が前提、身ぎれいにしてから合併、こういう説明を受けているのですが、どうやって処理していくことになるのかということを再度伺いたいと思います。
○堤政府委員 これも先ほど参考人の方が述べておられましたけれども、農林中金と信連の統合ということを考えました場合に、農林中金は何も農協だけで構成されているわけではなくて森林組合や漁協の方々も入っておられる、また健全に経営をされている信連という方もおられるわけでございまして、そういう意味で、経営不振信連の救済を目的とした信連の統合ということは信連全体の力を弱めることになりますので、これは好ましくないということについては私どももそう思います。系統の方々もそういう御認識であるというふうに理解いたしております。
 したがいまして、信連が持っております不良債権は基本的には、先ほど来御答弁申し上げておりますように、農林中金に持ち込むことなく県内において処理されていかなきゃならないというふうに思うわけでございますが、その際に、例えば事業譲渡方式というこどをとれば、不良債権を、例えばでございますけれども、県組織に残しまして、その後時間をかけて処理するという道も可能でございます。
 また、具体的な不良債権の処理ということは、これは系統の中で自主的に検討されることになるわけでございますけれども、さまざまに信連が持っております保有資産を売却をしていく、あるいは先ほど来も御説明申し上げておりますような採用調整等によります人員削減、さらには施設の統廃合、それから会員の方々の御協力を得て会員組合に対する増資協力、そういった形の中で不良債権の処理が行われるべきものだというふうに理解をいたしております。
○春名委員 もう一つ確認しておきたいことですけれども、大臣が認可されるときの三つの基準というのがありまして、農林中金の経営の健全性が確保されることというのは承認基準として明記をされておりますけれども、改めて単協や組合員の経営の健全性確保ということについてはどういう考慮がされるのかということをちょっと確認しておきたいと思います。
○堤政府委員 今回のお願いをいたしております法律の中に書いてございますように、具体的な行政庁の認可に当たりましては三つの基準をお願いしてございます。
 一つは、統合が系統信用事業全体の効率化、健全な発展に資するものであることということで、これはやはり経営破綻信連等がそこに駆け込みまして、全体としての農協系統信用事業の力を弱めるということでは困るわけでございますので、そういう意味でのものでございます。
 それから二つ目に、統合を行います信連の地区内におきます農業者等の利便に支障を生じないということで、そこに住んでおられます信連や農協の貸付対象者も含めまして、農業者の方々の利便に支障を生じないかどうか。
 さらに、統合後、存続法人として農林中金を考えているわけでございますけれども、農林中金の業務運営が健全に確保されないと、農林中金の全国段階としての機能が果たせなくなってしまうということでございますので、そういった三つの考え方を持って対応していきたいというふうに考えております。
○春名委員 それじゃ時間があれですので、続いてお聞きしたいと思います。
 農協法の関連ですけれども、一番よく確認しておかなければならないことで経営管理委員会制度の問題です。いろいろ聞かなきゃいけないのですけれども、申しわけないのですけれども、経営管理委員会はまずどこで選ばれるかというのを確認しておきたいと思います。
○堤政府委員 経営管理委員会は、選挙または選任によって選出されるということになっております。
○春名委員 総会ですね。
○堤政府委員 総会または組合員の選挙または選任によって選出されるということでございます。
○春名委員 それから、経営管理委員会が選ぶ理事ですね。今度それが大きな目玉になるんだと思うのですけれども、それはだれがなってもいいということですね、要するに。済みません、それをちょっと確認をお願いします。
○堤政府委員 だれがなってもいいという意味があれでございますけれども、経営管理委員会制度と理事会制度を置いた趣旨からしますというと、経営管理委員会制度はあくまでも組織代表ということで、組織の意思を執行に反映させるというねらいがございますし、その組織の意思を反映された経営管理委員会から選ばれます理事は、最近非常に高度化し複雑化しております農協信用事業を適正にやっていただく方がこの理事として適当だという意味でのものでございます。
 ただ、今までございましたように、三分の二以上の方が組織代表でなければならない、今までの理事は。そういう意味での資格は要らないということでございますので、今申し上げましたような、信用事業等に対して十分な能力を持っておられる方がなられるという意味での制限はないということでございます。
○春名委員 ちょっと極端な話を言って申しわけないですが、銀行や大企業の経営に携わっていたような方でも、もちろん選べば構わぬわけですね。だれでもいいのですからね。そういう可能性もあるということですね。
○堤政府委員 あくまでもこの理事会の理事は組織代表から成ります経営管理委員会の方が任命されるわけでございまして、そういう意味で、今おっしゃいましたような方を、この経営管理委員会の方々が農協をそういう専門家にゆだねよう、農協の日常業務をゆだねようという場合にはそういうことは可能だと思います。
○春名委員 現行法では、代表理事は正組合員でなければならないと思うのですけれども、これは間違いありませんか。
○堤政府委員 代表理事はそれぞれの理事の中での互選ということでございますので、必ずしも今おっしゃいましたような形にはなっていないと承知いたしております。
○春名委員 員外理事というものですね、学識経験者とか、そういう人がなる可能性があるということですね。そういうことですね。
○堤政府委員 可能性としては現在でもあるということでございます。
○春名委員 実際はどうなっていますか。実際は正組合員でしょう、全部。
○堤政府委員 二千六百はあります農協でございますので個々に当たったわけではございませんが、そういう事例がないとは断定できないと思いますけれども、通常の場合は、農家組合員の方がなっている場合が私は多いのじゃないかと思います。
○春名委員 今回の改正では、正組合員、准組合員でもない方が、極端に言えば理事のすべてを占めても構わないということになります。理事会の互選によって、農協法の第三十九条の商法の規定を準用するというので代表理事を選ぶことになっていますから、今はほとんどそういうことはないだろうと言われていましたが、組合員でない人が代表理事ということになることもあり得るわけですね。
○堤政府委員 先ほどもお話を申し上げましたように、今までもそういうことはございますし、これからもあり得るということでございます。
○春名委員 それで、今までもあったのかどうかは僕は調べてないのであれですけれども、代表理事が、そういう形で代表権を持つ方が組合員でない人になることが往々にして起こってくるということになっていくと思うのですね。
 そうすると、ちょっと私の印象では、協同組合ですから、組合員がすべての主人公なわけですけれども、そういう原則からいって、それが逸脱していくというか、そういう方向に踏み出すのじゃないかという心配を非常に持っているのですが、その辺はいかがでしょうか。
○堤政府委員 この問題の私どもの考え方を申し上げますと、従来、執行機関として理事会というのが単一でございました。この理事会は組合員の方々が三分の二以上ということでございますから、そこにあらわれておりますように、組合員の意思を業務執行に反映させようということがここに入っていると思います。当然のことでございます。と同時に、理事会でございますので、非常に高度化した金融の業務も日常的にこなしていかなきゃならない、そういう宿命にあるわけでございます。
 ところが、現実は、高度化した金融業務を日々行っていくということは非常に厳しい難しい仕事になってきておりまして、そういう意味で、私どもはあくまでも農協の組合性ということを基本に置いて、経営管理委員会の方はあくまでも組織代表ということにしまして、その経営管理委員会が組合の業務執行に関する重要事項、これをここできちんと決定していただいて、その決定していただいたラインに沿って専門家の方々が日常業務をやっていただく。そういう意味では、組合員の意思の反映ということと、非常に高度化した金融業務もきちんと行わなければ組合の方に御迷惑をかけるという、この二つの要請を何とかこなしていこうということでいろいろ考えまして、こういう制度を考えたわけでございます。
 しかも、これは、いろいろ御心配のところがもしあるとすれば、強制に当たるわけじゃございませんで、従来の理事会制度で運用していただくことは何ら問題ないわけでございまして、地域によりましては、こういった形で協同組織性の基本を押さえながらも、しかし高度化した専門技術の形で任せていこう、そういった形で農協信用事業をやっていこう、引き続きやっていこうというところもあるわけでございまして、そこはそれぞれの地域の御判断というふうに理解をいたしております。
○春名委員 経営管理委員会は、業務の基本方針の決定、重要な財産の取得及び処分その他の定款で定める組合の業務執行に関する重要事項を決定するということをやるところです。そういうふうになっていますが、それに沿って専門家の集団といいますか理事が組合の業務執行を決するというふうになっていくという、二つを統合して分担してやるのだというお話だと思うのですけれども、実際の運営上、経営のプロの集団の人が先走ったりというか、そぐわないことが実際の現場ではやられてしまうというような懸念などはないのでしょうか。そういう場合はどうするのでしょうか。
○堤政府委員 これははっきりとしているわけでございますが、この経営管理委員会制度を設けましたところの理事会の理事は、あくまでも法律や定款やその他の規定にきちんと従って仕事をするということは当然でございますし、さらに加えまして、この経営管理委員会の業務執行に関する重要事項、基本方針、こういうことに沿って行うという形になっております。
○春名委員 それで、解任条項というのがあるのですが、解任は総会に請求することができるということになっておりますが、選任するときには経営管理委員会がやられるのです。解任する場合は直接の権利を持たないというふうにしておりますが、それはなぜかということと、なぜ選任と解任の手続を別のものにするのかということを御説明ください。
○堤政府委員 理事の選任につきましては、先ほど御説明いたしましたように、どういう方がこの組合の高度化した。専門化した職務に対応できるかどうかということを選ぶわけでございますけれども、その判断につきましては、組合員から委任を受けました経営管理委員の方がこれを行うということが、実務家の登用が確実になるというふうに考えまして、経営管理委員会が任命するという方針をとっております。
 一方、解任につきましては、経営管理委員会が直接理事を解任するということができるとなりますというと、これは理事の地位が余りにも弱くなってしまうのではないかということで、これではやはり安定して、きちんとした形で日常業務にいそしんでいただくという意味でやや問題が多いのではないかということで、そういう意味で、安定的な日常の業務に支障を来すおそれがあるために、理事が法令、定款等に違反していると認められる場合に経営管理委員会が総会に対しまして理事の解任請求を行えるということで、総会、組合員の意思ということに一応ワンクッション置くといいますか、そういう形で慎重を期した。こういうことでございます。
○春名委員 経営管理委員会の中で代表権を持つという人はおらぬわけですね。押しなべて同じということになるわけですね。要するにそこから組合長――今まで組合長と言っていましたけれども、だれか選ぶとか、今までは代表理事が大体組合長という形になっていたと思いますけれども、組合員じゃない人が代表理事になった場合は、その人は組合長とはなりませんね。経営管理委員会の中で代表権を持つ人はいないのでしょうか。
○堤政府委員 今回のこの新たな執行体制といいますものは、経営管理委員会という形で、ここに先ほどから御説明した形での執行権限を与えて、対外的には、この理事会のところで代表権を持って対外的な日常業務、要するに契約とかその他の業務をやっていただくということでございますので、今おっしゃったとおりでございます。
 それで、組合長ということでございますけれども、組合長という名称は、役職は、農協法上の正式な名称ではございません。模範定款例におきまして、理事会の取りまとめ役という意味で、「理事のうち一人を組合長とし、正組合貧である理事のうちから選任する。」という旨の規定が置かれているわけでございますけれども、今回の場合には、これはどういうふうに呼ぶか、まだこれからでございます。経営管理委員会の長は、例えば経営管理委員会の会長、あるいは理事会の長を理事長という形に呼ぶとすれば、従来使っていたような組合長という言葉はやや紛らわしいので、例えば避けるといった場合もあり得るのじゃないかというふうに思います。
○春名委員 時間が大分迫っていますので……。
 やはり御説明を聞いてわかった部分もあるわけですが、非常に企業的手法といいますか、利益をいかに確保するか、黒字をふやしていくかということに相当重きが置かれて、それもそれで大事なのでしょうけれども、そのことを追求する体制になってしまう危険性が非常にあるのではないかなというふうに思うのですね。合併の問題でも言いましたけれども、ますます農協の企業化を促進していくということにもなっていくし、協同組合の活動の基本的な原則を非常に大きく後退させかねないのではないかという気がしてならないわけですが、この辺で大臣自身にその辺の認識を伺っておきたいと思います。
○堤政府委員 何度も申して大変恐縮でございますけれども、経営管理委員会制度自体が農協の組織性といいますか協同組合性ということを色濃く反映して、そういうものとして重要な権限を付与されて、その範囲の中で具体的な日常業務をやっていただくということでございまして、決して企業的な何とかとか、そういう意味での利潤を追求とか、そういうことではむしろございませんで、協同組織性という基本を貫徹させながら、日常的に非常に高度な、専門的な能力を求められておりますので、そちらの方にも対応して組合員の期待にこたえていく、こういうことで今回導入をしようということでございます。
 しかも、それは強制にわたるわけじゃございませんで、そういったことをやりたいと思われている農協、組合員の方々が選択肢という形で選ばれるということでございますので、その点はよく御理解をいただきたいと思います。
○春名委員 時間が参りましたので終わりたいと思いますが、結びに当たりまして一言申し上げておきます。
 農協系統資金を――冒頭でも住専問題をお話しさせてもらいましたが、話ががらっと変わってしまうのですが、これを本格的に活用して貯貸率も上げていくということを考えたときに、従来から私たちずっと強調しておりますが、日本の農業全体にいかに活力を与えるかということが、決定的といいますか、将来これからの大きな課題だということで、それが大きいと思うのですね。現状は、やはり率直に言って、今農業から展望が奪われている政策が進められていると思うのです、農産物を総自由化するとか、とにかく規模を拡大するとか、広域合併というのもそういうことに関連していると思うのですよ、そういう問題。
 そういうところをやはりよく考えて、やはり大もとのところから政策転換もしていきながら、農協全体、農業全体が本当に活力に満ちた方向に進むようにしていくことが必要だと思います。そういう方向にぜひ政策転換が要るのではないかということも述べて、質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
○石橋委員長 次に、前島秀行君。
○前島委員 私も最初に経営管理委員会のことについて、不明な点といいましょうか、理解しにくい点がありますので、若干中身を質問をしたいと思います。
 というのは、その経営管理委員会の構想というのは非常に私は賛成ですけれども、ただし選択肢にしたということによって、余計目的が不明確になったといいましょうか意図が不明確になったということで、理解しにくい部分が出てきているわけであります。
 いわゆる正組合員の五名によって、組織の意思としての基本的なことを決める。そこに経営管理委員会の大きな任務があるのだ。その組織の意思として決まったものを日常の理事会が業務執行するのだ、こういう関係にある。この構造がびしっと確認されているということの意味が非常にあるのではないだろうかな。だとするなら、ここを何で選択肢にしたのだろうかなというところが非常におかしくなってしまって、この経営管理委員会をつくった趣旨というものが逆にあいまいになってくるし、何か目的がはっきりしないなという形で、理解に苦しむという点が実はあるわけなのであります。
 同時にまた、その経営管理委員会があって、それを選択した理事会の場合の役員はその資格を問わないということのまた不明確性ということを、私はその関係において非常に疑問を感ずるわけであります。
 やはり、平成四年の法改正のときにも、高度な知識を持った専門家が必要なんだ、そういう意味で員外枠を決めた。この重要性というのは、さらにさらに拡大されてきているのだ。この認識は変わらない。片一方で、経営管理委員会というのは組織代表の組合員だけで決めていながら、そのもとでやる理事会というのは、その資格というものを、専門的に執行する理事会は必ずしも専門家といいましょうか、それを問わないよ、資格はだれでもいいんだよということのあいまい性ということについて、非常にわからなく、理解に苦しんでいる部分があるわけなんです。
 そこで私は、経営管理委構想の導入ということは非常に賛成であるし、そこが基本的な意思決定をする、大事なことをする。それを理事会が日常的にぴしゃんと執行するということの重要性を認識しているものとすると、そこの理事会でも、やはり専門家の一定の割合というのは、私は、逆に必要ではないだろうかなとも思っているわけです。こういう構想をぴしっと確認しておく必要が今後重要だろうと思うのに、なぜそれなら選択制という形にしたのかというところが非常に私は理解に苦しむし、あいまいだな、中途半端だな、こういうふうに思うわけであります。
 そこで、なぜ選択制にしたのか。この基本的な構想は管理委員会で決めるのだ。それを、専門家の知識を持った。日常業務を執行する理事会が専門的にやるのだという構想になると、かなり私は具体的に、なるほどというふうにわかってくるのですが、理事会は資格は問わないよというふうになった上に、選択制になったということが非常に疑問を感ずるわけです。その辺の関係について説明をお願いをしたい。
○堤政府委員 今回の、経営管理委員会制度につきましての御理解を賜った上での御指摘でございますが、二千六百あります農協につきまして、従来の理事会制度を廃止して、すべて強制的に経営管理委員会制度と理事会制度を置けということに、先生の御指摘だとそういうふうになるわけでございます。それはそれで、今回の制度導入の趣旨が非常にはっきりするという意味では、御指摘のとおりだと私も思いますけれども、何せ二千六百もあります農協について、現実問題としてそこまで強制にわたるということはなかなか機能しないのではないか。逆に、いろいろな意味での問題が生じるのではないか。
 それから、こういう制度は日本では初めての制度でございますが、そういう意味で、これをある日突然に従来の理事会制度をすべてやめて、全部切りかえるということも、これまたなかなか現実的にはついてこれないところがかなりあるのではないか。
 そんなこともいろいろ考えまして、現行の制度とこの新たな制度を、選択肢として、それぞれの地域によってニーズが大分違うだろう。選択的に導入するようにしたというのは、そういう意味でございます。
 その際、この理事会の方の理事の資格ということについて、制限なしというふうに書いているものですから、非常にこれまた誤解を招いているわけでございますが、この制限なしという意味は、だれでもいいというよりは、むしろこの制度の趣旨からしますと、金融事情に詳しい方になってもらいたいということが、気持ちの上ではあるわけでございます。
 その資格制限なしというのは、従来の、現行の理事会が三分の二以上が組織代表でなければならない、そういう意味での資格がございましたので、そういう意味での資格はこの理事会には設けません、こういう意味でございます。あくまでも、金融に明るい方がそこになっていただくということを期待していることは、御指摘のとおりでございます。
○前島委員 私は、全部が全部という意味ではなくして、やはりこういうふうに体制を整備していく、執務実行体制を整備していくというのは、やはり合併との兼ね合いということは当然あるだろうと思いますね。この一連の改革というものを片一方で大型合併を推進していくということ、それから中金、信連等々の二段階組織の推進をしていく、こういう過程の中で、私は、経営管理委構想というのが出てきたのだろうと思いますね。
 だから、全部が全部直ちに一斉にするという形ではなくして、やはり今後農協がいろいろな形でもって組織的に運営されていく、そしてその決定機関が明確になっていく、それから透明性を発揮していく。そのことがまた、農協並びに農協の系統金融に対する信用度というものを高めていく。こういう形の中で、私は、経営管理委構想が導入されてきたというふうに理解をし、そこに意味があるのだろうな、こういうふうに実は私自身思っているわけなんです。
 だとすると、やはり大型合併を進めてくる。選択肢ではなくして、一定の組織が進んでいくとか、一定の規模のときにはこういう経営構想、執行機関としての理事なんだ、こういうぴしっとした。組織立った体制の準備をやっていく、こういうことの方が信用度を高め、それから透明性を発揮し、という形になっていくのではないだろうか。そこを選択制にしたり、片やこっちでは、本来は員外の専門家が必要だというものを外してみたりという、何か中途半端で継ぎ足したような形になるというのが率直な感じなんです。
 そういう面で、もう一度あれするなら、一定の規模、一定の農協には、この選択制じゃなくして義務づけるという方向、こういう考え方はどうですか。
○堤政府委員 これは、先生がおっしゃいますように、合併等を契機にしまして、規模が大きくなったということの中で、こんな形を例えば導入していくという場合は、非常にうまく組合の方々にも導入される場合が多いような気もいたします。
 しかし、一定の規模でもってこうでなければならない、それ以下はそうでないということも、これはなかなか切りがたいところがあるわけですね。では、一定の規模以下のところでも、こういう組織代表制を維持しながら理事会については専門家にゆだねていこう、そういう選択肢も当然あるわけでございますし、そういう意味では、なかなか一定の基準でもって一定のところで切りがたい面がございましたので、それぞれの実情の中で、現行制度をとられるか、新たな選択肢をとられるか、それぞれの御判断にお任せしようということでございます。
 そのことによりまして、先生何回も御指摘のように、この導入の趣旨がやや不明確になったという嫌いはあるかと思いますけれども、しかし、初めての制度でございますので、まずはこういう制度について御理解をいただいて、それぞれのところでぜひ導入について検討していただけたらな、そういうふうに思っております。
○前島委員 平成四年の員外枠の拡大が、法改正したにもかかわらず余り進んでいないということ等々を兼ね合わせますと、正直言って、制度をつくった。云々したけれども、なかなかそれが伴っていないというのは、外部から見ると不信感につながっているのだという点があると思うのです。したがって、制度とか仕組みというのは、ぴしっと組織的になって運営されていく、そこに、私は、透明性があり、信用性が拡大するということですから、あいまいな、中途半端なものは極力避けていった方が今後いいではないかという点は、ぜひ今後も考えて運営をしてほしいなという形です。
 次に、監査体制の強化のことについて若干質問したいのですが、中央会監査というのは、私はしょせん内部監査だと思いますけれども、どうですか。
○堤政府委員 内部監査じゃないかという御指摘があるということも承知いたしておりますが、しかし、経営体というふうにして見ますれば、監査を受けます単協、信連と、監査をいたします全中あるいは県中というのは、別の組織、経営体であるということも事実であろうかと思います。
○前島委員 大臣、今住専等々の中で一番求められているというのは、農協あるいは系統金融に求められているというのは、信用度という面も強いだろうと思いますね、これは一般論として。一この種の金融あるいは民間企業等々は、この信用度、透明度ということになってくると、やはり常識として、会計監査というものを外部に受けるということが、これは一般論ですよ、その企業あるいは業界の透明度、信用度をさらに確保、拡大していく、信用を得ていくということは言えるだろうと思いますが、大臣、一般論としては、そこはそう見ていいですよね。
○堤政府委員 一般論としての見方も確かにそうだと思いますけれども、ただ、農協の場合には、農協中央会が昭和二十九年にできまして以来、長い時間にわたりまして監査業務を手がけてきたということも、これまた事実でございます。そういう中で、千三百人という人材も養成されておりますし、そのノウハウも蓄積されている。そういった蓄積されたノウハウあるいは育成された人材を活用していくということによって外部監査と同等の効果を及ぼすようなことを仕組みとして導入することも、これまた外部監査のねらいと基本的には同じことを達成できるという面もあると思います。
 そういう意味では、従来の農協の中央会の監査に公認会計士を必ず置きなさいという形で必置を義務づけた上で、そういう意味では、公認会計士の方々の持っておられますノウハウを中央会監査として活用しレベルアップして、それで中央会監査を行う、そのことによって外部監査と同等の効果をねらうという手法も、私としては十分合理的な理由があるというふうに思っているところでございます。
○前島委員 中央会に必置を義務づけた公認会計士が直接単協の会計監査、検査にタッチするということじゃないんでしょう。
○堤政府委員 中央会に必置しました公認会計士をどんな形で活用していただくかというのは、この制度の趣旨から見ますというと、単に置けばいいというものではないというふうに思っております。要するに、外部監査と同等の仕事をしていただくということがねらいでございますから、そういう意味では私ども三つの考え方を持っているんでございますが、一つは、そういう具体的な公認会計士の業務としましては、組合監査に係る指導助言を行っていただく、これは当然のことでございます。
 それから二つ目に、中央会が監査をいたしました際にその監査報告書をつくるわけでございますが、その監査報告書をつくります際に検討合議制を設けます。その中に公認会計士の方がメンバーとして入っていただくことによりまして、具体的な監査報告書の作成過程に関与していただくということが二つ目に考えられます。
 さらに、必要に応じましては、中央会が公認会計士の方に対しまして組合の会計監査を依頼して、中央会は当該監査結果を踏まえて監査報告書を作成する、主体は形式上あくまでも中央会監査でございますけれども、実質は公認会計士の方にお願いをして監査をやっていただくという場合も当然あり得るというふうに思っております。
○前島委員 基本的には、中央会の監査業務についていろいろな意見、アドバイス、指導を受けるというのがこの中央会に必置する公認会計士の主要な任務だろうと私は思うんですよ。局長が受けることもあると言うなら、逆な意味で中央会における公認会計士の監査を受けることを義務づけるといいましょうか、あるいは一定の、これはすべてということになると二千幾つになりますからあれですけれども、やはり大きなというか、一定の農協等々は中央会の公認会計士の監査を受けるということを明確にするということは不可能じゃないだろうと思いますけれども、そこを明確にするということはできないんですか。
○堤政府委員 御質問の趣旨、ちょっと正確に理解をしていない面があろうかと思いますけれども、公認会計士を中央会監査に必置する、義務づけるということでございますから、その趣旨は、やはり外の目で監査が行われているんだ、監査の中に外の目が入っているんだ、そういう意味での外部からの信頼といいますか、そういうものはやはり必要じゃないかというふうに思います。
 その過程で、今おっしゃられましたように組合監査に関する指導助言を受ける場合だけという場合もございましょうし、もっと踏み込みまして、私が先ほど申し上げましたようなところまで踏み込んでやっていただいて、そういうことによって中央会監査というものをきちんとした形で外部の批判に耐えられるものにする、そこは、ある意味では運用の問題であろうかというふうに思っております。
○前島委員 行革がさまざまな形で議論され、大蔵改革が議論されているときは、その検査体制、チェック体制が最大のポイントになっているのでありまして、農協あるいは系統金融に対する信用度も、そこをぴしっとすることが私は最大の問題であり、そこをやっていくということが非常に大切なことだと思いますので、私は、いろいろな経過がある中で、中央会監査というものを余り重視、重視といいましょうか、そういうのじゃなくして、積極的に公認会計士の監査を受けていくという方向でぜひ監査体制の強化をさらに進めていただきたいとお願いをしたいというふうに思います。
 最後にもう一点。例の中金と信連の合併に伴う問題として、いろいろきょうの参考人の皆さん等々の意見の中でも答弁されていますが、やはり一番心配するのは、貯貸率が非常に低い中で、合併することによって中金に資金が集約される。今日でさえ二〇%、信連は一〇%台。ようやく中金も四〇%、五〇%を切っているというこの状況の中で、果たして集約して大丈夫なんだろうか、ここはどうしてもぬぐい去れない疑問なんですね。これが一つ。
 それからもう一つは、二つの合併の前提条件として、不良債権の処理というのが前提になるんだ。住専でも御案内のような議論になった。率直に申し上げて、ノンバンクが果たしてという問題もあることは事実ですね。これを条件にしてさらに合併を進めていくということになってくると、私はこの壁は簡単に越えられない。ひいては、統合ということは本当にできるのかなという疑問にぶつかるわけなんであります。
 そういう面で改めて、本当にこの中金に集約される資金が果たしてうまく運用されるのであろうかというこの問題、この不安、それから、債権処理ということを前提にしているけれども、ノンバンクを抱えたと言われる現実の債権処理を一体具体的にどうやっていくのかというところを聞いて、私の質問を終わりたいと思います。
○堤政府委員 具体的な統合に当たりまして、先生御指摘のようなことが非常に大きな問題であるということは私どもも認識をいたしております。
 特に不良債権の処理ということは大変大きな問題でございます。しかし、これまた他面において、これを中金に持ち込むということ自体は、先ほどから御説明しておりますような形でさまざまな問題が生じます。そういう意味で、県内処理という形の中で期間を置いて対応する手もございますし、そういう意味での財産を処分していく、あるいは系統の単協の方々の増資をお願いする、さまざまな意味での御協力、御理解をいただきながらやはり不良債権の処理というものは対応していかなきゃならない問題だというふうに思っております。
 中金に対します資金の集約というのは、これは避けられないと思います。その分、やはり中金が最終的な資金運用としての責任が大きくなるというふうに思っておりまして、貸し付けはもちろん、債券運用あるいは証券運用という形の中で、今回は海外業務の点もお願いしているわけでございますが、そういった形の中で最終的な資金の運用者として責任を持った形で対応していかなければなりませんし、それだけの対応体制は、私は中金にはできているというふうに思っております。
○前島委員 終わります。
○石橋委員長 次に、石破茂君。
○石破委員 もう大方十時でございまして、大臣、大変お疲れさまでございます。あとわずかでございますので、御辛抱いただきたいというふうに思っております。
 参考人質疑のときにお尋ねしたのと同様のことでございますが、基本的な問題についてお尋ねをしてみたいと思っております。
 要するに、日本の農業協同組合というものは、諸外国のそれに比べて幾つかの特殊性というのか、そういうものを持っておるだろう。一つは地域性が非常に強いということですね。もう一つは三段階制になっておるということ。もう一つは総合経営方式であるということ。もう一つは、これはもう賛否両論あると思いますが、非常に強い政治依存性を持ってきただろう。この四つが日本の農業協同組合の特殊性であったというふうに教わってまいりました。ただ、私思いますに、地域の特殊性というもの、そしてまた三段階制というもの、そして政治依存性というもの、これはもうここ数年の間に大きく変質をしてきたであろうというふうに思っておるのであります。
 参考人質疑のときにもお尋ねをいたしましたが、この農業協同組合法というのは、基本的にGHQ立法である、そしてまた食管制度というものと密接にリンクをし、そして労働組合法とも関連のあるものであったというふうに考えておりますが、爾来五十年もたちまして全部変わってきた。しかしながら、ただ一つだけ残るのはこの総合経営方式というもの、これだけはどうも牢固として残るらしい。本当にこれはこのままでよいのであろうかということが本法案を成立させました後の大きな問題点であろうというふうに私は考えておるのであります。
 恐らくこれは、総理もおっしゃっておられますが、農業基本法の抜本的な改正とあわせて、農地法や土地改良法やそういうものとあわせて農業協同組合法というものも抜本的に時代に合ったように改正されるのであろうというふうに考えておりますが、その辺につきまして、経済局長、政府の御見解はいかがでございますか。
○堤政府委員 農協の性格につきましては、先ほど来さまざまな御議論がございます。また、その農協の性格もさまざまな状況の変化の中で変わってきたのではないかという御指摘もございます。
 私どもは、農協の協同組織性ということと、それから先ほどもおっしゃいました地域性、地域協同性というのは両立し得るのではないかということを先ほど私も申し上げたところでございます。三段階制については、これではもたないということで二段階制への移行を考えているところでございます。
 あとは総合経営方式のところでございますけれども、この点については、当面私はまだ、農協の信用事業と具体的な米の販売、購買、そういった経済事業というのは裏腹の関係にございますので、そういう意味でそこを切り離していくということは現実的ではないという理解をいたしております。
 ただ、先生御指摘のように、農協も戦後五十年の中で大きなさま変わり、変化を受けていると私も思います。そういう中で、これからの農政を展開していきます上で農協のあり方論というのは議論としては当然になってくる問題だというふうに理解をいたしております。
○石破委員 ですから、そこのところを本当に議論していかなければ、この農協法の改正なくして農業基本法なんて改正したって意味がないと私は思っているのですね。農業基本法の理念というのが本当に生かされて昭和三十六年以来やってきたかというと、私はそれはそうではなかっただろうと思っている。選択的拡大というのが本当に成就したかといえば、それはそうではなかったし、ある意味で農協の存在というものが、もちろん大変な貢献をしてきたのだけれども、それが時代の変化に伴って農業基本法の精神というものによかれあしかれいろいろと影響を及ぼしてきたことは事実だろうというふうに思っている。
 政府として本当に農業基本法を、どういう名前になるか知りませんよ、農業・農村基本法になるのか何だか知りませんよ、そのときにあわせて農協法というものを抜本的に見直す考えありやなしやとお尋ねをしておるのであります。
○堤政府委員 基本法の見直しというか全体的な農政の基本のあり方を見直していく過程の中で基本法をどう扱うかということになろうかと思うのですけれども、私はその全体的な農政の基本を検討する過程の中で農協の性格論、あり方論あるいは農政としての位置づけ論、さまざまな意味での議論というものは素材として取り上げなければならないというふうに思います。
 ただ、今の段階で申し上げれば、今回の農協二法の後に農協法の改正を直ちに政策課題として取り上げるかということになると、今のところそこまでは思い至っていないということでございます。
○石破委員 この改正には当然賛成であります。賛成しなければ今までの話とつじつまがいませんので。ただ、本当にこれでやっていけるのかということになると、私はなかなか確信が持てない。これからビッグバンとか言われる時代がやってきますね。それで、このまま信用事業を総合経営方式の中にビルトインしたままで系統金融というのはこれから本当にやっていけるかといえば、私はそれは甚だ疑問だと言わざるを得ない。
 きょうも参考人のお話の中に、もしそういうものを分けてしまえばそれは自殺行為だよというお話がございました。それは傾聴に値するものであって、信用事業というものをやっていかなければほかのものはやれないよ、ほかのものは採算が合わないのだからね、信用事業の中で、共済事業の中でほかの部分をカバーしているんだよ、それは確かにそのとおりなんです。しかしながら、信用事業単体として分けていかなければ全部だめになってしまうのではないかという懸念が私にはどうしても払拭ができない。
 いろいろなものが相互乗り入れしていく、証券もそうなっていく、そういう中で本当にやっていけるのかな。それをいつ――まだそれを政策課題として考えておらないというお話でございましたが、やってみてだめだったからもう一回考えましょうという話にはこれはならないのですね、組合員の利益、地域の利益、そういうものを全部しょっておるわけでありますから。
 政府としては、やはりその辺を政策検討課題として考えておられるはずだと思います。本当にこれを分離するということはならないことでありましょうか。
○堤政府委員 農協全体の問題を、これから日本の農政を考えていきます上で、それも検討の一つとして検討していかなければならないという意味ではそのとおりだろうと思うのですけれども、その際に、先生おっしゃいますように、農協の総合事業の中から信用事業を分離していかなければ農協がこれからやっていけないという段階の理解には私どもまだ至っておりません。
 これから確かにビッグバンとかそういう形の中でのさまざまな大きな金融の変革があると思いますが、今回の法改正は、そういったビッグバンとかそういう大きな金融改革の言ってみれば前段階におき」まして最低限度の要件を備えさせていただきたいということでございますから、それを備えさせていただいた上で、これから来る大きな金融変革に農協がどう対応していくのかということで、そういう問題に直面することはそうだと思いますけれども、その際に信用事業を分離しておかなければ乗り越えられないという理解は今のところ私どもとしてはいたしておりません。
○石破委員 誤解がないように申し上げておきますが、私は信用事業を分離するべきだという所論を展開しておるのではありません。ただ、政策当局としてどのような御判断をお持ちであるかということをお尋ねをしておるわけでございます。
 日本農協の特殊性ということを冒頭申し上げましたが、このように総合経営方式をとっておるのは世界に類例のないことのはずであります。わずかに旧西ドイツが似ておったというふうなことを聞いておりますが、それもやはり日本のようなものではないはずでございます。これから本当に金融が国際化していく、ビッグバンということが起こる、そうでなければ国はもたないというふうに総理もおっしゃっておられるわけですから、それは政府の見解でありましょう。そういう中にあって、さて日本だけがこの総合経営方式というものをやれると考えて、私は何となく得心がいかないねというふうに思っておるわけでございます。
 ですから、住専ではありませんけれども、何か問題が起こって大変だというようなことをやっておると大変なことになります。これはそうそう時間があることだとは私は思いませんけれども、これから農林水産委員会の中でこのことをきちんと議論をしてまいりたい。そうでなければこれは私ども国会議員として、農協組合員の皆様方、そしてまた農民の皆様方、ひいては国民の皆様方に責任が立たない。
 何かこういうお尋ねをしますと、それはもう審議会で今審議中でございましてみたいな話になってしまう。国会の議論は何か形式的になってしまう。それは立法府の役割を果たしたことにならぬと私は思っておりますので、私もきょうのいろいろな参考人の御意見、そしてまた局長のお話、拳々服膺しながらみずからの案というものを考えてまいりたい、かように思っておるところでございます。
 以上で終わります。
○石橋委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
○石橋委員長 ただいま議題となっております両案中、まず、農林中央金庫と信用農業協同組合連合会との合併等に関する法律案について議事を進めます。
 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 農林中央金庫と信用農業協同組合連合会との合併等に関する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○石橋委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
○石橋委員長 次に、農業協同組合法等の一部を改正する法律案について議事を進めます。
 これより討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、これを許します。藤田スミ君。
○藤田(ス)委員 私は、日本共産党を代表して、農業協同組合法等の一部を改正する法律案に対して反対の立場から討論を行います。
 本法案では、経営管理委員会制度を新たに導入することにしていますが、この経営管理委員会は農協の代表権を持つ理事を選任することができ、しかもその理事の資格要件は全く問わないというもので、経営管理委員会が選任すれば、銀行や大企業の経営を手がけた人が農協の代表権を持つ理事になれるわけであります。これでは農協の企業化を一層促進するとともに、協同組合活動の基本原則を大きく後退させるものと言わざるを得ません。
 また現在、農協系統組織は、二〇〇〇年までに全国五百五十農協にする目標で広域合併を推進し、本法案は、農協合併助成法の合併期限を二〇〇一年三月まで延長するとしています。しかし、農協の広域合併は、農協と農協組合員との関係をますます希薄化し、日本農業を守り発展させる上で大切な役割を担っている農協の営農指導を後退させることが懸念されます。組合員こそ主人公であり、組合員の要求実現のための協同組合活動であるとする農協の原点を後退させることは許されません。
 最後に、農協合併、信連、農林中金の合併に当たっては、労働者に犠牲を押しつけてはならないということを重ねて申し上げ、私の反対討論を終わります。(拍手)
○石橋委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
○石橋委員長 これより採決に入ります。
 農業協同組合法等の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○石橋委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
○石橋委員長 この際、両案に対し、松下忠洋君外四名から、自由民主党、新進党、民主党、社会民主党・市民連合及び21世紀の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。宮本一三君。
○宮本委員 私は、自由民主党、新進党、民主党、社会民主党・市民連合及び21世紀を代表して、農林中央金庫と信用農業協同組合連合会との合併等に関する法律案及び農業協同組合法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
    農林中央金庫と信用農業協同組合連合会との合併等に関する法律案及び農業協同組合法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  最近における農業・農村の変化、金融自由化の急速な進展等農協系統を取り巻く厳しい状況に対処し、農協系統が組合員の多様化・高度化するニーズに的確に応えていくためには、その事業・組織の見直しと改革が喫緊の課題となっている。
  よって政府は、両法の運用等に当たっては、左記事項の実現に努め、組合員はもとより国民の目に見える形での早急かつ着実な改革の促進に遺憾なきを期すべきである。
      記
 一 農協系統の事業・組織改革の推進に当たっては、経営の合理化・効率化等によるメリットを組合員や地域社会に最大限に還元するという改革の趣旨を徹底するとともに、農協活動の原点である営農支援事業の充実や高齢者福祉事業など地域社会のニーズに即した事業への取組み強化を図ること。
 二 農協の広域合併の推進に当たっては、合併後の経営展望を明示すること等により、関係者の理解と納得のもとに行われるよう指導するとともに、組織二段の推進に当たっては、地域の実情等に配意しつつ、系統当事者の自主的な合意形成が円滑に進められるような環境の整備に努めること。
 三 農林中金と信連の統合に際しては、系統金融全体の効率的かつ健全な発展を阻害することのないよう不良債権の処理等を徹底するとともに、要員の処遇や再配置等にも十分配慮すること。
 四 新設される経営管理委員会制度については、その趣旨を役職員・組合員に周知徹底し、これが選択肢として導入されるような環境の整備に努めること。
   また、これと併せ、常勤役員等の兼職・兼業制限の的確な実施、学識経験者等の理事への登用促進等により、責任ある業務執行体制の確立が図られるよう十分指導すること。
 五 員外監事・常勤監事の必置等により、監査体制の強化が図られるよう十分指導すること。
   また、中央会による監査に当たっても、中央会に置かれる公認会計士を積極的に活用し、他業態と同等の監査となるよう指導すること。
 六 自己資本・内部留保については、組合員の理解と協力のもと、早急にその充実を図ること。
   また、部門別損益の開示等については、これが組合の経営体質強化に適切に反映されるよう十分指導すること。
  右決議する。
 以上の附帯決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通じて委員各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。
 何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)
○石橋委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 松下忠洋君外四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○石橋委員長 起立総員。よって、両案に対し附帯決議を付することに決しました。
 この際、ただいまの附帯決議につきまして、農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣藤本孝雄君。
○藤本国務大臣 ただいま御決議いただきました附帯決議の趣旨を尊重し、今後最善の努力をいたしてまいります。(拍手)
    ―――――――――――――
○石橋委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました両法律案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○石橋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
○石橋委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後十時十分散会
     ――――◇―――――