第140回国会 大蔵委員会 第18号
平成九年五月七日(水曜月)
    午前九時二十四分開議
出席委員
  委員長 額賀福志郎君
   理事 金子 一義君 理事 坂井 隆憲君
   理事 保岡 興治君 理事 柳本 卓治君
   理事 北側 一雄君 理事 谷口 隆義君
   理事 池田 元久君 理事 佐々木陸海君
      飯島 忠義君    今村 雅弘君
      衛藤征士郎君    木村 隆秀君
      小林 多門君    菅  義偉君
      砂田 圭佑君    田中 和徳君
      田中 昭一君    中野 正志君
      山中 貞則君    吉川 貴盛君
     吉田六左ヱ門君    渡辺 喜美君
      上田 清司君    木村 太郎君
      北橋 健治君    北脇 保之君
      鈴木 淑夫君    中川 正春君
      並木 正芳君    藤井 裕久君
      前田  正君    宮地 正介君
      川内 博史君    末松 義規君
      田中  甲君    佐々木憲昭君
      中川 智子君    吉田 公一君
      新井 将敬君
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 三塚  博君
 出席政府委員
        内閣法制局第三
        部長      阪田 雅裕君
        大蔵政務次官  中村正三郎君
        大蔵大臣官房金
        融検査部長   中川 隆進君
        大蔵大臣官房総
        務審議官    武藤 敏郎君
        大蔵省主計局次
        長       林  正和君
        大蔵省理財局長 伏屋 和彦君
        大蔵省証券局長 長野 厖士君
        大蔵省銀行局長 山口 公生君
        大蔵省銀行局保
        険部長     福田  誠君
        大蔵省国際金融
        局長      榊原 英資君
 委員外の出席者
        内閣官房内閣内
        政審議室内閣審
        議官      松川 忠晴君
        会計検査院事務
        総局第一局大蔵
        検査課長    石野 秀世君
        参  考  人
        (日本銀行総裁)松下 康雄君
        参  考  人
        (日本銀行副総
        裁)      福井 俊彦君
        大蔵委員会調査
        室長      藤井 保憲君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月七日
 辞任         補欠選任
  村井  仁君     北橋 健治君
  秋葉 忠利君     中川 智子君
同日
 辞任         補欠選任
  北橋 健治君     村井  仁君
  中川 智子君     秋葉 忠利君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 日本銀行法案(内閣提出第六五号)
     ――――◇―――――
○額賀委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、日本銀行法案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。谷口隆義君。
○谷口委員 新進党の谷口隆義でございます。
 本日は、日銀法のこの法案に入ります前に、この連休前に発生しました日産生命の経営破綻の問題についてお聞きいたしたい、このように考えております。よろしくお願いいたします。
 これは新聞記事でございますが、これを見ておりますと、日産生命の米本社長が、今回のこの経営破綻は、もう既に三年から四年前から債務超過に陥っておった、この間の、この債務超過が続いておるという状況も、大蔵省はその事実を知っておったというようなことを言っております。九五年九月の大蔵検査の際にも、資産内容が極めて悪化していると指摘され、改善勧告を受けておるというような状況のようでございました。このような事実を大蔵省当局は御存じであったわけでしょうか。よろしくお願いします。
○福田(誠)政府委員 お答えいたします。
 平成七年の検査によりまして、日産生命が、含み益の減少など、かなり資産内容が急激に悪化したことを確認しております。また検査後におきまして、行政当局におきましては、当該日産生命会社から財務の内容を聴取いたしまして、その少し前から既に財務内容が悪いということは承知しておりました。
 私どもといたしましては、そういう財務内容の悪化を確認いたしましたところでございますが、その検査以前の平成七年の五月には、既に収支改善計画を作成させております。新契約費の削減とか安定的収益の確保等を柱とした計画を作成させておりまして、さらに、その七年九月の検査結果を踏まえまして、一層強く財務の改善を指導したところでございます。平成七年度決算におきましては、単年度収支において黒字を計上するなど、経営改善の効果も認められたわけでございます。
 また、八年度からは、一層のリストラによる事業費の圧縮、グループ企業支援による基金の増強、営業力の強化等を柱とする経営改善計画を策定させまして、実行を強く求めてきたわけでございますが、この八年度末におきましては、市場金利の低下とさらなる株価の低下等の影響を吸収できずに、事業の継続が困難な状況に至ったものでございます。
○谷口委員 この債務超過が、先ほども申し上げましたように、三年から四年前からもう継続して債務超過が続いておった。それで、この社長のお話によりますと、配当についても、実は債務超過の状況であるが配当の認可をお願いしてきた、このようにおっしゃっております。
 先ほど私が質問しました、この債務超過という事実を御存じであったのかどうかということを、もう一度御答弁をお願いいたしたいと思います。
○福田(誠)政府委員 実質的な債務超過の状態にあることは承知しておりました。
○谷口委員 生保の業界が四十四社あるのですか、ちょっと私調べますと四十四社あるということで、このような経営が悪化されておるような生保がこの日産生命以外にあるというようにお聞きいたしておりますが、そのあたりの状況について御答弁をお願いいたしたいと思います。
○福田(誠)政府委員 御指摘のとおり、昨今大変厳しい状況にある中で、生保各社におきましては、人員や事業費の削減、基金の増強、営業面の強化など種々対応を行っておりまして、厳しい経営環境のもとではございますが、徐々に経営改善の効果もあらわれてきております。この平成八年度決算につきましては、まだまとまっておりませんので、最終的な、確定的なことは申し上げられませんが、最終損益が赤字となるような会社はないと予想しておりまして、日産生命以外の会社においては今のところ心配しておりません。
 いずれにしましても、経営の自己責任のもとで各経営者が自助努力を行うことが基本でございまして、当局としましては、法令等に基づき、契約者の保護の観点から適切に対処してまいりたいと存じております。
○谷口委員 金融機関においては自己資本比率というような指標があって、来年からそれに基づいた早期是正措置が行われるというようなことになっておりますが、この生保業界においても、昨年、保険業法の抜本的な改正があって、ソルベンシーマージン比率という経営体力をはかる指標と申しますか、このような指標がございますが、このソルベンシーマージン比率において、一つのこの指標を用いて、日産生命は経営破綻したわけですが、このような経営が極めて悪化しておる、これに近いような生命保険会社があるのかないのか、御答弁をお願いいたしたいと思います。
○福田(誠)政府委員 お答えいたします。
 今御案内のとおり、ソルベンシーマージン基準につきましては、昨年四月に施行されました新保険業法に基づいて、この平成八年度の決算から適用されるものでございます。したがいまして、各生保会社は、この基準に当てはめてソルベンシーマージン比率をこの三月末の数値をベースに算出することとなっておりまして、現在、決算数値をもとに作業中でございます。当局に対しましては、七月末に報告されることになると考えております。
 この各社が算出いたしますソルベンシーマージン比率につきましては、個別会社の事案に係るものでございまして、大蔵省の側から公表する性格のものではなく、将来各社が自発的に開示していくべきものと考えておりますが、仮に現時点でソルベンシーマージン比率だけを開示することといたしますと、保険会社の経営状況はこのソルベンシーマージン比率だけで判断できるものではございませんので、無用の混乱や誤解が生じるおそれも十分考えられるところでございます。したがいまして、ソルベンシーマージン比率の開示問題につきましては、保険契約者の理解を得ながら、今後いずれかの時点で、経営に関する情報開示全般の充実とあわせて行うことが適当ではないかと考えております。
○谷口委員 仮に死に体の生命保険会社があるとすれば、それはその段階でこれを指摘し改善をさせなければ、契約者、国民が大変大きな被害をこうむることになるわけでございます。先ほど申し上げましたように、金融機関においては来年から早期是正措置というようなことになっておるわけでございますが、先ほどおっしゃったソルベンシーマージン比率を用いて、経営の極めて悪い生命保険会社に対して改善勧告を出すなり業務停止命令を出すなり、そのようないわゆる生命保険会社の早期是正措置を近々やられる御予定はございますか。
○福田(誠)政府委員 基本的な考え方といたしましては、委員御指摘のとおりでございます。保険会社の経営の自己責任、行政の透明性が求められておりますので、銀行の場合と同様、保険会社の早期是正措置制度の導入の必要性も指摘されているわけでございます。
 一方で、ソルベンシーマージン基準につきましては、保険会社が直面するいろいろなリスクの増大に伴いまして、監督上、早期のチェックを行うために、保険会社の健全性を判断する基準の一つとして、この八年度決算から導入されたばかりのものでございます。
 そこで、保険分野におきます早期是正措置の内容につきましては、まだ決まっているわけではございませんが、今御指摘のソルベンシーマージン基準のほかに、収入保険料や解約の状況あるいは流動性の状況、資産の状況等種々の要素を勘案しまして、総合的な健全性に関する判断を行っていくことになるのではないかと考えております。
 いずれにしましても、今後、保険会社の支払い保証制度の検討状況なども勘案しながら、早期是正措置制度の導入については検討を進めてまいりたいと存じております。
○谷口委員 金融機関は、先ほども申し上げました自己資本比率を一つの指標として行うわけですが、債務超過になれば、あの阪和銀行のように業務停止命令が下るわけであります。生命保険会社の場合は、今の御答弁をお聞きしておりますと、実質的な債務超過ということはもう認識しておったというような御答弁でございましたが、これが業務停止命令まで結びつかないのでしょうか。
○福田(誠)政府委員 お答えいたします。
 銀行の早期是正措置とのアナロジーはございますが、生命保険の特殊性を申し上げますと、極めて長期の契約が多うございまして、通常言われている景気変動の短期サイクルもこの契約期間に何度も訪れるものと思っております。この間に金利や株価の水準は一般的に高低する状況が繰り返されるのが常と認識しております。
 他方で、生命保険会社は、長期の資産運用の一環として、売買目的でなくて保有目的の資産を多く持っているわけでございます。そういう状況の中で、生保会社が、ある一時期に、評価性資産の市場価格の下落によりまして資産評価額に対して債務が超過状態になった場合に、当局といたしましては、その債務の超過の水準が一過性のものなのか否か、あるいはそれが縮小していくことが可能なのかどうか等々を判断していくことになるわけでございます。
 相互会社たる生保会社の特徴といたしましては、相互会社形態の基本理念であります実費主義に基づきまして、剰余は原則としてすべて契約者に還元しなければならなかったわけでございます。その結果、自己資本が僅少であるわけでございます。また、株式や土地の含み益に依存する度合いが非常に高い、いわば自己資本等の不足をオフバランスの含み益に依存してきた面が歴史的にございます。このために、特に株式の保有割合が高い会社については、株価がたまたま下落した場合の収支に与える影響が大きい反面、上昇する局面になりますと急激に回復するなど、他の事業会社にはない特徴がございます。
 したがいまして、一時的な市場価格の下落がありまして収支が悪化した場合でありましても、将来の回復の見込みが十分あれば、財務の健全化を図ることも可能でございますし、その際、経営者がリストラ努力など経営全般に及ぶ改善を行い、事業継続に伴い単年度で経常黒字が出せる見込みが立てば、事業継続をさせることが適当であると考えられるわけでございます。
 そういうことから、日産生命につきましても事業継続を可能と判断して事業を継続してきたものでございまして、当局におきましても、同社の実質債務超過状態を知ってからも強力な経営改善指導を行ってきておりまして、その当時は経営再建への努力は可能ではないかと判断したものでございます。
○谷口委員 今の保険部長のお話によりますと、持っておる資産の含み損益が影響して債務超過になる場合があるというようなお話でございました。これは大蔵省当局が一番よく御存じでございますが、バブルの時期に大量契約した個人年金保険を中心にして、現行の超低金利の状況の中で非常に高い予想利率、予想配当がつけられておるわけで、そういう意味においては、構造的赤字体質と申しますか、業界全体がそういうような状況にあるという観点に立ったときには今おっしゃったようなこともあるでしょうが、これは業界全体がそういう体質を今持っておるんだという、その認識のもとでの判断をする必要があるのではないか。立ち直るのではないかというような状況は、これからも大変厳しいのではないかと私は思っております。ですから、そういう観点が大事なのではないかというように思います。
 また、この日産生命は、九六年三月期の決算資料を報告する際に、公社債、株式、外国証券といった投資分野ごとの時価情報を開示しなかったようであります。この開示しないことが極めて不自然なのでありますが、このような状況を踏まえて、さっき私が申し上げたことも踏まえて、もう一度御答弁をお願いいたしたいと思います。
○福田(誠)政府委員 お答えいたします。
 今のディスクロージャーでございますが、日産生命におきましては不良債権もディスクローズしておりますし、市場性のある有価証券に係る時価情報についてもディスクローズを行っておりますし、当局に対しても報告がなされております。
 したがって、報告を怠っていたのではないかという御指摘は当たらないと考えておりまして、市場性のある有価証券に限って時価情報をディスクローズしておりますが、この取り扱いは、一般の株式会社等においても同様の取り扱いになっていると承知しております。
○谷口委員 実は、ちょっと新聞記事があるんですが、今生命保険業界で、金融機関とタイアップして提携ローンをつけてやっておる、ああいうような変額保険が大変話題に上っております。
 一方、今回、この日産生命の高利回り年金に提携ローンをつけてやっておった。この日産生命の一九八七年から三年間の総収入保険料一兆三千九百億円のうち個人年金は六割弱の八千億円、そのうち九割を超える七千三百億円が保険料を一度に支払う一時払い型で、これが金融機関の提携ローンをつけてやっておったというようなことのようでございます。先ほども申し上げましたように、この個人年金の商品は五・五%という大変高い予定利率でございまして、この提携ローンをした金融機関の金利も大体四%台ということでやっておるようでございまして、金融機関から見ると大変利回りのいい貸し出しと申しますか、融資になっておるというようなことが言われております。
 そのような状況の中で先日日債銀の経営危機がございまして、それに対して各生保業界、損保業界に負担をお願いしたというような形になっておるんですが、今、生保業界においても金融機関に幾分かの負担をこれはやってもらわなきゃ困るというような意見もあるようでございます。これは、先ほども私が申し上げました金融機関の提携ローンでやっておって、この金融機関の提携ローンが極めて収益が上がっておる、貸し出しの利回りがいいということで金融機関が幾ばくかの利益を受けておる、こういうことで、今回、この生命保険業界に対して銀行業界から資金負担をお願いしたいというようなことも言っておるようでございますが、これについてどのようにお考えでございましょうか。
○福田(誠)政府委員 ただいま、保険契約の移転につきましては、保険管理人の方で各界関係者の協力を得るよう努力中であると存じております。提携ローンを取り扱っていた銀行がこの問題につきまして資金援助を行うかどうかは各行の経営判断に属する事項であると存じますが、いずれにしましても、私どもといたしましては、契約者の保護ができるだけ図られるよう、その方向で保険管理人に対しても指導してまいりたいと存じております。
 なお、提携ローンそのものについての御質問がございましたが、バブル期におきまして、個人年金保険への加入に際して一部に保険料ローンが利用されたことは承知しております。一般論として申し上げますと、保険契約者がそれぞれの事情のもとで保険料を銀行借り入れで調達することもあると考えられますので、保険料ローンを一律に当局が禁止することは適当でないと考えられます。
 ただ、大蔵省としましては、昭和六十三年の五月に、一時払い養老保険の保険料ローンに代表されるようないわゆる財テク等の保険本来の趣旨を逸脱した提携は自粛するよう要請しておりまして、その後も引き続き遵守するように徹底してまいっております。
 この指導の趣旨からしますと、個人年金保険につきましても、専ら財テクを目的とする場合のように、保険本来の趣旨を逸脱した目的で加入が行われた場合につきましては、保険料ローンを生命保険会社と銀行等が提携して行うことは自粛されるべきことと考えます。
 しかしながら、当局としましては、個別の個人年金保険の購入がどのような目的でなされたのかまでは必ずしも承知しているわけではございません。
○谷口委員 保険契約者保護基金というのがありまして、ファンドが現在二千億ぐらいというようなお話を聞いておりますが、日産生命にこのファンドを使うということで、このファンドがどうも足りない可能性があるというようなことで、引き受けをするような受け皿会社も採算が合わないということで契約者に対して全額保証を断念したというような話も聞いておるんですが、このあたりはどうでしょうか。
○福田(誠)政府委員 日産生命の破綻につきまして当局が日産生命から聞いているところでは、二千億円前後の実質債務超過となっております。現在、大蔵省検査が実施されておりますので、そこの中で資産状況の把握に努めているわけでございます。
 先ほど申し上げましたように、現在は保険管理人が処理スキームの策定を行っておりまして、今後、契約者保護基金への支援の要請、関係業界への支援要請も行われると聞いておりまして、当局としては、現段階で処理スキームについて確たる見通しを申し上げることは差し控えたいと存じます。
 いずれにしましても、当局としては、可能な限り契約者保護が図られるよう努力してまいりたいと存じます。
○谷口委員 九六年十二月末現在の生保四十四社の総資産が百八十七兆二千億というようなことのようでございます。このうち九十四兆六千億、約半分が有価証券のようであります。先ほど私申し上げましたように、この時価情報の開示と申しますか、これが極めて大事だと思うんです。この九十四兆の有価証券のうち十六兆七千億は外国証券になっております。このような時価情報を今後どのように進めていかれる方向なのか、御答弁をお願いいたしたいと思います。
○福田(誠)政府委員 御指摘の点でございますが、保険会社に限らず一般の株式会社におきましても、市場性等がなく合理的に時価等が算出されない有価証券につきましては、時価情報開示の対象外とされております。
 およそあらゆる資産項目について時価評価をすべきではないかという話になりますと、一保険会社の問題ではなくて、企業会計全般の話ではないかと考えておりまして、その辺につきましては今後の検討事項ではないかというふうに考えております。
○谷口委員 いずれにしましても、さっき私が申し上げておりますように、生保の業界は体質的に極めて赤字体質になっておるというようなことで、第二、第三の日産生命が続かないとも限らないわけでありますから、そのあたりの状況も踏まえて、先ほどの、私がお話ししたような銀行業界における早期是正措置が来年から行われるわけでありますので、早々にそのような生保業界における早期是正措置を確立していただきたい、このように思います。よろしくお願いいたします。
 それで、次に日銀法の改正の問題に入りますが、今回この日銀法が改正される大きなきっかけと申しますのは、今までの、バブルの発生があって、また崩壊があった、それ以降我が国の経済が大変苦況を呈しておるというような、もともとの原因がどこにあったのかというようなところから一つはきているのではないか、私はこのように考えております。
 それで、ちょっとこれは山一証券経済研究所特別顧問の吉野俊彦氏の論文なんですが、元日銀の理事をされていらっしゃった方の論文でございますが、一部読み上げたいと思います。
  今回の中銀研による日銀法改正論議は三回目となる。その発端は八五年のプラザ合意にあり、日本の貿易黒字を抑制するために内需を拡大すると共に、円高に誘導する政策がとられた。内需拡大の一環として、公定歩合が五回連続で引き下げられ五%から二・五%となった。三回目まではマネーサプライの増加率と経済成長率とはほとんど差がなく、通貨価値に大きな変化は見られなかった。ところが四回、五回と引き下げていくうちに、マネーサプライ一二%増に対し、GDPは六%増と大きな開きがでてしまった。
 その差はどこに行ったか。戦前だったら商品相場に向かい、その結果物価上昇に繋がっただろう。しかし、今回のバブル期には株式≠竍貴金属≠竅A見たこともない絵画≠ノ流れ、最終的に土地≠ノ流れた。このように書いてあります。
 このようなバブル問題をひき起こした最大の原因は、日銀が金融を緩和し過ぎたことにある。三回目までの公定歩合の引き下げは正しい金融政策だった。しかし、外部から見ていると四回、五回目は日銀が嫌々引き下げたことは明白である。政府が外交の一環として利下げ要求をしたのだ。ドイツはバブルの兆候を見るや日本より十一カ月も早く利上げをした。一方、B本は下げ続けて、最後の二・五%は二年三カ月も放置してしまった。日本とドイツは一緒に金利を下げ始めたがドイツではバブルは起こらなかった。日本は今もバブルの後遺症で苦しんでいる。その原因は一体何か。「ブンデスバンクは強い独立性を持っている」が「日本銀行は大蔵省に従属している」、この差ではないか。これが今回の日銀法改正の発端だと私は理解している。
このようにおっしゃっております。
 私もこのように考えておるんです。このような原点を見失って、今回の日銀法の改正、また金融監督庁の法案はないと思うんです。私はこのような観点でお話をお聞きしたいんですが、まず、今私が読みましたこの吉野氏の論文に対して、大蔵大臣、日銀総裁の御見解をお願いいたしたいと思います。
○松下参考人 いわゆるバブルの発生につきましては、非常に複雑な原因が絡み合っているものでございますが、端的に申し上げれば、自由化、国際化などの経済環境の変化、あるいは首都圏への一極集中、あるいは土地取引に関します税制、法制など様々な要因が相互に影響をし合う中で、経済全体の中にいわゆる右肩上がりの幻想というものが生まれたということではないかと思います。ただ、その際に、最期にわたります金融緩和にもその原因の一端があったことは否定はできないところでございます。
 ただ、当時を振り返ってみますというと、景気回復が強まってまいる中で、なお物価の安定基調は維持されておりました。また、その前、円高不況と言われていたように、為替円高のデフレ的な影響は強く懸念をされておりまして、国の経済政策面でも大幅な経常黒字の是正や円高の回避が最優先的な課題とされていた時期でございます。そういった中で、金融政策運営面でもぎりぎりの選択を迫られたものであると理解をしておりますが、結果としまして、長期にわたるこの金融緩和がバブル発生の一端となったということであろうと思います。
 このような経験を踏まえまして、私どもとしましては、金融政策の運営上非常に大事な点は、為替相場の安定やあるいは対外不均衡の是正ということのために過度に金融政策に依存した対応をとるということは適切でなく、あくまでインフレなき持続的な成長を目標としていくことであり、また資産価格やマネーサプライの動向などにも十分留意をいたしまして、早目早目の対応をとることなどであろうと考えております。
 日本銀行といたしましては、こうした点を十分念頭に置きまして、今後とも適切な金融政策の運営を行ってまいりたいと考えております。
○三塚国務大臣 総裁から段々のお話がございました。
 ロングで見ますと、その都度の国際金融、国際経済の中における日本経済という、この観点を踏まえて通過をしてきたものだというふうに思います。その時々によりまして、早い遅いのギャップが経済の運営に、また成長率にいろいろな要素をもたらしたと言えるかと思うのでございます。
 ブンデスバンクがというお話もありました。そのとおりであります。その他の先進国は、やはり為替管理政策はまさに政府の専管としてこれを行っておる、こういうことであり、中央銀行は物価をにらみながらこれをどうコントロールするかという金利、これを専管として行っておるところ、しかし経済は、物価と金利、そして同時に貿易国家、経済国家である我が日本であれば、なおさらのこと為替というものに対して最大の分析をしながら対応するということで、為替管理は大蔵省、政府の専管、こういうことの中で両々相まって今日の経済国家としての世界における信認を得ておるものと考えます。
○谷口委員 私がお聞きしたことの答弁にはなっていないんですが、要するに日銀の独立性というのは極めて大事だ。この論文からもですよ。かつて日銀が大蔵省に従属しておったということから、今回のバブル以後の日本のこの長期にわたる不況が続いておる、こういうことを繰り返してはいけない、日銀は今や独立して金融政策を行うべきである、こういう観点で今回のこの法改正の機運が盛り上がってきて、現実、この出てきた法案には私は極めて問題がある、このように考えております。
 日銀は認可法人であります。ですから、日銀は大蔵省の認可法人という観点で、法令・定款違反に関する監査であるとか、報告、改善要請などに限定した監督権であるとか資料請求権であるとか、こういうような一般的監督権を限定的に残しておるわけであります。また予算認可権も残しておりますし、議決延期請求権も残しておる。これで果たして日銀の独立性があると言えるのかどうかということが今言われておるわけであります。また同じような失敗をしてはいけない、こういうような観点で考えるときに、日銀の独立性を、今上がっておるこの法案は十分そのあたりを明確にしておらない、私はこのように考えております。
 それと、この法案ができる前に、金融制度調査会の審議の記録によりますと、これは新聞報道でございますが、議事録の内容を報道いたしておりまして、大蔵大臣による一般的監督権をめぐる議論では、多くの金制調の委員から監督権は不要という意見が出たのに対して、大蔵省側は日銀は国会や内閣から独立した存在ではあり得ないと法律論を盾に押し切るなど、日銀の独立性をめぐって激しい綱引きが繰り広げられた。また予算認可権を廃止するかどうかという問題では、大蔵省が、廃止は憲法に違反するおそれがある、憲法改正にまで踏み込むのかとやり返すなど、生々しい議論の過程が浮き彫りになったというようなことで、金制調の委員の多くは今回一般監督権をめぐる議論では好ましくないと言っておったにもかかわらず、大蔵省が押し切ったというような形の議事録が出ておるわけでありますが、これに対しまして、大蔵大臣、どのようにお考えでございますか。
○山口政府委員 事務局を務めさせていただきました関係上、私の方からお答え申し上げますと、金融制度調査会は広範な分野の有識者から構成されておりまして、これまでも中立、公平な立場から御審議をいただいておりますが、この日本銀行法の改正につきましては、日本銀行法改正小委員会を設置させていただきまして、それに先立つ中央銀行研究会報告書の示した基本的な指針を踏まえまして、この法改正に向けた諸問題について御審議をいただいて、金融制度調査会総会において取りまとめられたところでございます。この小委員会におきまして、中銀研のメンバーの方や日本銀行の責任者などにも御参加いただいておりまして、活発に御議論をいただいたものでございます。
 確かに、答申を取りまとめるに当たりましては、さまざまな議論が行われたことは事実でございますけれども、最終的に、委員の皆様が十分な議論を尽くし、その御意見を集約して取りまとめられたものでございます。したがいまして、今御審議願っております法案は、中銀研報告書並びに金融制度調査会の結論を踏まえて御審議をいただいているものでございます。
○谷口委員 そのような御答弁はわかるのですが、どうもいろいろ情報をお聞きしておりますと、日銀独立封じ、強引に大蔵省がやった、こういうようなことでありまして、私は大変そのあたりを危惧しております。冒頭お話をさせていただきましたように、日銀の独立性を行うことの原点、もともとその議論はどういうところから発生したのかということをもう一度考え直す必要があるのではないか、このように考えるところでございまして、今回のこの法案については、そのあたりが極めて不十分だというように認識いたしております。
 また一方、日銀の方で見ますと、日銀の強い独立性をかち取るということについては、一方で重い責任が生じるというようなことになるわけでございますが、日銀の今までの体質が果たしてそういうような体質であったかというと、旧態依然とした日銀の体質が今問われておるところでございまして、今後、この独立性とともに、日銀自体の体質を改善していっていただかなければならないというように思うわけであります。日銀の金融政策だけではなくて、収支であるとか給与水準、これは前回もいろいろ質問が出ましたが、給与水準までの説明義務を負わなければいけない。国会や市場において、そのような説明義務を負わなければいけない。
 また、今現在、日銀としてどうしてもやっていただきたいというようなことを何点か私は持っておるわけであります。
 一つは、日銀の経理基準を一般企業と同様な企業会計に合わせて、公認会計士、監査法人の外部監査を導入する等の一層の透明化を図る必要があるのではないかということと、現在、途中入社、中途採用なんかの状況を聞いておりますと、まだそんなにいないということでございますが、例えば今問題になっておりますデリバティブズ、金融派生商品の知識であるとか、そういう意味では専門的知識が要るわけでありますが、そういう新しい人材をどんどん中途採用していくようなことも必要ではないか。また機構改革においても不断の見直し、大きく変わる金融状況に合わせての機構改革を根本的にやっていく必要があるのではないか、このようなことを思うわけでございますが、これに対しまして日銀総裁の御答弁をお願いいたしたいと思います。
○松下参考人 今回の改正法によりまして、日本銀行の金融政策上の独立性が著しく強化をされるということは、私どもも大変望ましいことであると存じております。また、その独立性の強化に伴いまして、私どもは従来以上にいろいろの努力を重ねまして適切な金融政策を遂行してまいりますと同時に、また一つの企業体としての日本銀行というものの内容も、より合理的、効率的なものとすべく努力をしなければならないところであるというふうに感じているところでございます。
 ただいまいろいろと御指摘をいただきましたが、一、二の点につきまして考え方を申し上げますと、まず一つは、日銀の経理につきましての外部監査の導入の件でございますが、この点、日本銀行は、御承知のとおり、現在、会計検査院が必ず毎年検査しなければならない法人の中に入っているわけでございます。これは日銀の資本金一億円のうちの五五%につきまして国の出資でございますから、検査院の検査対象として毎年の検査を義務づけられているわけでございまして、この点は、そういう第三者機関の検査を受けるという点で、例えば民間の監査法人等の監査に匹敵するようなチェックを現在も受けているということであろうと存じます。
 それからまた、企業会計原則的な考え方につきましては、私どもも、これまで日銀の経理につきまして、中央銀行としての特殊性には配慮しながら、原則として、商法、企業会計原則あるいは銀行経理基準などの民間の経理基準を十分に踏まえるように行っていくべきものと考えてまいりましたが、新しい法律制度のもとにおきましても、こういった考え方に基づいて経理を行っていく考えでございます。この点、金制の答申におきましても指摘をせられているところでございます。
 なお、機構組織の改革あるいは人材の強化という点での御指摘がございましたが、日本銀行も一つの経営体といたしましての効率的な業務・組織運営は重要なことであると思います。これまでも常に組織の見直しも行い、また中途採用などを含みます人材の有効活用にも意を用いてきたところでございますけれども、今後も日銀といたしましては、変化の激しい金融経済環境に即応いたしまして、今回の法律改正の趣旨を十分に踏まえて質の高い中央銀行業務を効率的に行っていきますように、さらに一層組織の整備や人材の強化向上を図り、合理化、効率化の努力を続けてまいりたいと考えております。
○谷口委員 その次に、為替介入についてお聞きしたいと思います。
 中長期の為替相場は、経済のファンダメンタルズによって市場がこれを決定するということは当然のことでありますが、問題は、ごく短期の為替相場の乱高下に対するスムージングオペレーション、このような場合の為替介入の問題は、今回は政府の専管事項というような形になっておるわけでありますが、なぜ政府の専管事項になるのかというような理由を御答弁お願いいたしたいと思います。
 ちなみにアメリカでは、財務省はニューヨーク連銀に指示を出して為替介入ができる、同時にニューヨーク連銀も自己勘定で為替介入ができる、このようになっておりますが、先ほど私が申し上げました、政府が為替介入を行う、それが専管事項になっておるというような理由について御答弁をお願いいたしたいと思います。
○榊原政府委員 お答えいたします。
 通貨の対外価値の決定というのは政府の経済政策上の最も枢要なものの一つであるというふうに考えておりまして、そういう趣旨に沿って、為替介入については、現状どおり政府が一元的にこれを管理するということでございまして、中央銀行研究会の報告もそのようになっております。
○谷口委員 政府の為替介入の資金が、政府の発行する政府短期証券、FBによって極めて低い金利で調達されておる。市場ではそういう低い金利で調達できないものですから、日銀がそれを引き受けておるというような状況でございます。今見ておりますと大体三十兆以上の残高になっておるというようなことで、これは日銀が財政の下請と化しておるのではないかというような議論があります。
 これは、本来、市場にこの資金調達をゆだねるべきではないか、日銀が全部引き受けるというのはよくないのじゃないか、このように考えますが、これについてはどのようにお考えでしょうか。
○伏屋政府委員 お答え申し上げます。
 今委員の御指摘の政府短期証券でございますが、いわゆる大蔵省証券、蔵券と、食糧証券、糧券と、為券があるわけでございますが、これは財政法を初めといたしました法律に規定されておりまして、例えば大蔵省証券の場合でございますが、財政法七条におきまして、国会の議決を経た額の範囲内で、国庫金の出納上必要があるときは、いわゆる資金繰り債として大蔵省証券を発行しまたは日本銀行から借入金をなすことができるという旨の規定があるわけでございます。これらに基づいてやっておりまして、適切な、いわゆる法律に基づいた行為だと考えております。
○谷口委員 対政府信用供与の禁止というのは、これはイギリス、アメリカはもちろんのこと、欧州統合に際して各国中央銀行が義務づけられたいわばグローバルスタンダードということであります。しかし我が国は、先ほども申し上げましたように、為替資金を日銀から調達しておる。このようなFB方式の発行形態を今後も続けていかれることを考えていらっしゃるのか、今後はこういうような発行形態をやめる、変形するといいますか変えていく、このように考えていらっしゃるのか、このあたりを御答弁お願いいたしたいと思います。
 つけ加えまして、これは六日の金制調でもこのような議論があったようでございますが、そのようなことについて御答弁をお願いいたしたいと思います。
○榊原政府委員 お答えいたします。
 各国の例を見ましても、為替の介入資金というのは中央銀行または国庫から提供するというのが通常のパターンになっております。為替介入の性格からして、これを市場から調達するというのは極めて難しい。つまり、市場から調達いたしますと、為替介入をやるということがわかってしまう。それから今度は逆の介入、例えばドル売り介入というようなことをやりますと、これは期前償還をしなければいけないということで、マーケットで発行するものを政府の意思によって期前償還するということになるとマーケットの商品が傷つくというようなことでございまして、介入資金については通常中央銀行または国庫が提供するというようなことになっておるということをまず指摘させ一でいただきたいと思います。
 それからまた、非常に低い金利でいわば利子補給をしているのじゃないかというような御指摘がございましたけれども、日銀が通常民間に貸し出す金利は公定歩合でございますから、それに政府の信用というものを加味して、今は公定歩合マイナス〇・一二五%になっておるわけでございます。ちなみに政府がマーケットに発行しております最短の国債は三カ月物でございますけれども、三カ月国債の残存期間が二カ月のものと比較いたしますと、必ずしも〇・三七五%というのは低い金利ではございません。例えば三月の初めには、残存期間二カ月物の国債の金利は〇・三七五%を下回っていたということでございまして、私どもとしては、不当に低い金利で日銀から資金の供与を受けているというふうには考えてございません。
 ただ、全体として、FB、これは為券のみならず蔵券、糧券、そういうものの発行をどうするかということにつきましては、今、実務ベースで日銀、大蔵省でいろいろ議論をしておるところでございます。
○谷口委員 そのような低い金利でないというなら、これはもうむしろ市場で調達すればいいわけでありまして、ですから、非常に調達しやすい、低金利だということがFBで安易にそこから調達する一つの理由になっておるのだろうと思います。まさに今、国金局長言われましたように、利子補給をしておるということになってしまう。日銀の収益は、御存じのとおり通貨発行益であります。この通貨発行益は、基本的には国民に帰属するわけであります。本来国民に帰属すべき通貨発行益を、一部低金利を補給することに流用しているのじゃないか、こういうようなことも言われておるわけでありますが、これについてもう一度御答弁をお願いいたしたいと思います。
○榊原政府委員 お答えいたします。
 先ほどの繰り返しになりますけれども、二カ月物の市場金利に比べて現行の公定歩合マイナス〇・一二五%が低い金利だということではないというふうに理解しております。現実問題として、大体残存期間二カ月の市場金利は〇・四%前後で今推移しておりますので、公定歩合マイナス〇・一二五%というのは決して市場金利に比べても低い金利ではないというふうに理解しております。
○谷口委員 だからこれは水かけ論ですが、そうするなら市場で調達すればいいわけでありまして、これは金利が低いというのが一つは大きなメリットというか、その使われている大きな理由だと思うのです。ですから、そういう意味において、FBの発行形態については、今検討されておるというような話もございましたが、ぜひ見直しをしていただきたいというように思います。
 次に、日銀考査についてお聞きしたいのです。
 この日銀の考査というのは従前からやっておられたわけでありますが、現行法においてはこれに対する法的根拠がなかったわけでありますが、今回は日銀考査について法的根拠も与えられたというようなことになっております。住専の議論のときに、大蔵省銀行局の検査のデータを出してもらいたいというようなことでやりとりがあったわけでありますが、そのときに、同じく日銀の考査の結果についても出してもらいたいというようなことがありましたが、それは法的根拠のないものでというふうな話で結局出されなかったわけであります。
 一つは、これからこの考査の重要性は極めて大きいものになってくるのではないかと私は思っております。金融機関が今までのように継続企業の前提でなくなる可能性が出てきた、ゴーイングコンサーンでなくなる可能性が出てきた、いつその経営破綻が起こるかもわからないというような状況の中で、今までの平時における日銀の考査一例えば三年に一遍やるとか五年に一遍やるとかというようなやり方ではなくて、弾力的に考査を行う必要があるのではないか、このように思います。また、日銀の考査と大蔵省の検査との間で緊密な情報交換もやっていただく必要があるのではないか、このように思っております。
 また一つは、欧米の状況を聞いておりますと、中央銀行の検査は義務を課せられていると申しますか、必ずやらなければいけないものだというようなことになっておるわけでありますが、一方、我が国の方は任意契約になっておりまして、この文言を見ますと、考査を受ける立場は拒絶することができるというようなことになるわけでございます。このようなことについて、日銀総裁の御意見をお願いいたしたいと思います。
○松下参考人 日銀の考査は、現行法でまいりますと信用制度の保持育成と申しましょうか、そういう条文がございますが、信用秩序の維持に資するという中央銀行の目的達成のために行っているものでございます。
 ただ、これは金制の答申にも触れられておりますが、日銀の行います考査は行政権限の行使として実施されるものではございませんので、あくまでも相手金融機関との任意の契約に基づいて行うということが適当であるとされております。したがいまして、今回の法改正で考査を法定化いたします趣旨は、日銀がこれまで契約に基づいて行ってきております考査に関する規定を法律上設けることによりまして、日銀の業務内容を明確化するという点にあるわけでございます。
 ただ、そのような法律化という事態を踏まえまして、やはりこの際、私どもとしましても、大蔵省検査と考査の重複を避けるというような見地から、いろいろと改善すべき点を考慮しているところでございます。それは、例えばただいま御指摘がありましたような時期的な問題、あるいはリスク管理状況に応ずる考査の時期の弾力化の問題、あるいは各種の資料の大蔵省検査との間の交換の問題等でございます。
 これらの点につきまして、私どもは現状の改善に努めながらやってまいりたいと思いますが、その点で非常に重要なのは、最近の銀行業務が非常に高度化いたしておりますから、考査の内容におきましても、従来の一方的な書類のチェックその他ということから一歩出まして、銀行内におきますそれぞれの内部的なリスク管理のあり方が適正であるかどうかというような点に重点を置いて、これを行うように考えてまいりたいと思っております。
○谷口委員 済みません、今ちょっと聞いておりましたが、なぜ考査が任意契約になっておるのかというようなことについて、もう一度御答弁をお願いしたいのですが。
○松下参考人 ちょっと申し上げましたように、日本銀行の性格が国の行政機関ではございませんで、行政機関が有しておりますような強制的な措置を伴ういろいろの権限に基づいて行うというものでなく、あくまでも任意の協力を得ながら考査も行い、また、その結果につきましても任意の説得をもって対処をしていく、そういう建前から発しているところでございます。
○谷口委員 建前はそうですが、今の現状をお聞きしますと、実態はほぼ強制的に日銀考査が行われておるという状況のようでございますが、今後、この新しい日銀法においても、建前は任意契約ということでございますが、ほぼ強制的に考査が行われると予測されていらっしゃいますでしょうか。
○松下参考人 私どもといたしましては、法律の趣旨に従いまして、民間との契約に基づいて考査を実施し、また、その内容につきましても民間に過度の負担を持たせるというようなことのないよう、その上で実効が上がってまいりますように十分検討してまいりたいと思っております。
○谷口委員 時間が参りましたので、最後に一つだけ今の問題についてお聞きしたいのですが、信用秩序の維持という観点で考査が行われるとすると、これはやはり任意で行われるべきではなくて、対象となるべき金融機関すべてに考査が行われるべきであるというように私は考えておりますが、日銀総裁の御見解、もう一度お願いいたしたいと思います。
○松下参考人 信用秩序の維持のためにリスクの所在を的確に探知をし、早期に、必要に応じましてその是正を求めていくという役割を果たすことは私どもの重要な仕事でございますけれども、申し上げましたような、日本銀行の性格という点からいいまして、それは強制的な方策をとらず、任意の方策をとりながら十分の実効を上げてまいるように工夫をしてまいりたいと存じております。
○谷口委員 以上で終わります。
○額賀委員長 次に、上田清司君。
○上田(清)委員 新進党の上田清司でございます。きょうは総裁御苦労さまでございます。早速ですが、日銀法の法案について質問をさせていただきます。
 十九条の、政府からの出席の点でございますが、これは一般に欧米の中央銀行の事例を見てみますと、政府からわざわざ出席をさせてはおらないという現況の方が多いのではないかという中で、なぜ出席させるのか。また、職員を出席させて意見を述べさせることができる。私に言わせれば、細かいことはそばにいていただいて資料とか提出していただければいいのであって、意見は責任者である大臣や次官が述べればいい。職員に、あるいは局長とか審議官だと思いますが、そういう方に述べさせなきゃいけないほどのよくわからない大臣や次官じゃ使い物にならないわけでありまして、そういう意味で、わざわざ職員を出席させなくてもいい、こんな考え方を持っております。
 また、議決の延期を求める権利を政府側に持たせること、あるいは議案を提出させる考え方、政府のいわばある意味での日銀に対する強いかかわりという形になるのではないか。いわば独立性の確保という、今までの大蔵コントロール型の日銀ではない、極めて強力な独立性を持つ日銀の体制をつくるという法の趣旨からしてもかなりこれには疑問があると思いますので、この点について大臣並びに日銀総裁に、現場の責任者としてこういうことに関して一体いかがなものか、御感想あるいは考え方を述べていただきたいと思います。
○武藤政府委員 日銀政策委員会に対する政府からの出席についてのお尋ねでございますけれども、まず、政府との連絡を密にして政策の整合性を確保する、あるいはその過程の透明性を高めるということから、必要に応じまして政府から政策委員会に出席できることとするのが適当であるというのが、金融制度調査会におけるいろいろ御議論の結果、答申に盛り込まれておることでございます。こうした議論を踏まえまして、この法案におきましては、政策委員会に政府から出席できるという規定を設けておりますけれども、これは、今申し上げましたような経済政策との整合性を確保する、あるいは政策調整の透明性を高めるためにも必要なことと考えております。
 また、お尋ねの、大臣、政務次官以外の職員がなぜ出席するのかということでございますけれども、大蔵大臣または経企庁の長官がその時々の状況に応じて適切と認める職員を出席させて意見を述べさせるということが具体的な運用については適当であるというふうに考えられるわけでございます。政府からの出席者を出す理由が、今申し上げましたような整合性を確保するということでございますから、大臣、政務次官以外の職員が出席をし発言をするということは制度の趣旨にかなったものというふうに考えております。
 また、議案の提案あるいは議決の延期を求めるということと独立性との関連についてのお尋ねでございますけれども、いずれにいたしましても、政府からの出席者は議決権を有しません。最終的には、議決の延期を求めた場合でも採否の決定を政策委員会がみずから行うということでございますので、独立性が阻害されるということはないというふうに考えております。
○松下参考人 日本銀行の金融政策は政府の経済政策と相まって国民経済の健全な発展に寄与するものでございますから、日本銀行は常に政府と連絡を密にして、十分な意思疎通を図ってまいることが必要でございまして、仮に両者の金融政策に関します意見が異なったような場合に、政策の整合性を確保するための明確な、そして透明性の高い仕組みを用意することが適当であると考えております。
 お尋ねがございました政府の政策委員会への出席等の考え方は、こういった基本の方針に基づいたものと思っておりまして、どういう場合にどういう方が政策委員会に出席するかどうか、それは今後の運用にまつ面が大きいと思いますが、こういった制度の趣旨を踏まえまして、政府側において適切な運用がなされるものと期待をいたしております。
 なお、議案の議決延期を求める権利につきましては、その内容が一部の外国に見られましたような一方的に議決の延期を政府側が決定できるということではございませんで、そういう提案が行われました後、審議の結果の決定は日銀政策委員会の採決にゆだねられているところでございますので、適切な処置が可能であると思っております。
○上田(清)委員 ただいまの日銀総裁のお話を聞いていますと、十九条の条文の趣旨というのは何ら日銀の独立性を阻害するものではないというような解釈ではなかったかなというふうに私は受けとめております。
 ただ職員の部分について、なぜ職員の方を本当に出席させなければいけないのか、なぜ企画庁長官や大臣が出ているにもかかわらず職員の人が出なくてはいけないのかということについて私は非常に疑問があります。そういう専門分野の細かい部分は日銀の政策委員会で大臣があるいは次官が発言するような中身ではない、そういう性格の場ではないというふうに私は思っておりますので、その点について、総裁、いかがでございますか。
○松下参考人 出席者は大臣、政務次官が原則と申しますか、大臣、政務次官が出席することができるが、またその方の指名される職員が出席することもできるというふうになっておりまして、それは例えばいろいろの日程の都合上でありますとか、また政策委員会におきまして政府側が発言をしたいとお考えの事柄の内容とかに応じまして、弾力的にそこを決定できるような仕組みを用意してあるものであると理解をいたしております。この点につきまして、私どもは日銀のいわゆる独立性に関する特段の問題点があるようには受けとめていないところでございます。
    〔委員長退席、柳本委員長代理着席〕
○上田(清)委員 私は、政治が行政に対してきちっと責任を持つという意味において、いたずらに代理の者をよこして発言をさせるというような、説明をさせるというような議論は好ましくない、基本的にそういうことをしないような仕組みをつくっていくということが政治的に大事なことだ、そういう信念から申し上げますので、この点について、例えば細かい数字ならともかく、日銀の政策委員会はそういう細かい数字を議論する場ではないというふうに私は思っております。高度に政府と日銀が政策調整をするという中身に、まさしく政府を代表して大蔵大臣や経済企画庁長官あるいは次官が出席するのでありますから、そこにいたずらに専門家であるところの職員の皆さんが参加すべきではないというふうに考えておりますので、この点について、ぜひ大臣から御答弁をお願いしたいと思います。
○三塚国務大臣 御趣旨は十分に体得をいたしたところであります。
 そんなことで、その都度その都度、大蔵省は責任を持って物事を進める立場。中村政務次官、御案内のような形でおります。政策マンであります。また、それぞれの国際金融分野では御案内のとおり、国内金融分野ではごらんのとおりであります。所管大臣が法令に定められたとおり出てまいるというのは原則でありますから、御質疑の趣旨は踏まえてまいります。
○上田(清)委員 この十九条の部分で、その部分をぜひ削除したらいいのではないかということをとりあえず申し上げまして、そこで次に移ります。先般、二月二十一日の大蔵委員会で渡辺喜美議員と中村政務次官とのやりとりの中で非常に興味深い議論がございました。個人的にということで、丁重に個人的な発言という前置きで次官も御説明をされておりましたが、私どもが尊敬する山中先生などは時々大蔵大臣が個人的にというような発言をされようとされますと、そちらから、大臣に個人があるか、こういうやじを何度か飛ばしておられまして、まさしく至言だな、まさしくこれは名言だなというふうに政治家としてのありようについて学んでいるところでございますが、さりとて人間でもあり、個人の部分もあるかと思います。
 現実に、中村大蔵政務次官はまさしく専門家の委員長の経験もございますし、私も遠目に大変尊敬をする人間の一人でありますけれども、政務次官という立場ではないとしても、日銀は政府の代行機関であるべきだというような御答弁を渡辺喜美議員の質疑の中でされておられますが、そうなってきますと、日銀法の改正の趣旨ということからすると、どうもかみ合いが悪いのではないか、あるいはある意味では全く趣旨が大蔵省の議案の説明あるいは大臣の趣旨説明から逸脱するものではないか、こんなふうに私は思わざるを得ません。この点について、今回は個人的発言ではなくて次官として御説明をいただきたいと思います。
○中村(正)政府委員 前の私の答弁についての御質問でございますので、お答えさせていただきますが、あのとき政治家として申し上げましたのは、ちょうどあのときはまだ法律が提出されておりませんで、大蔵省そして与党で検討を進められているところでございました。そういうときに、大蔵省の次官である私がとやかく言うのはぐあいが悪いのではないかということで、個人的な意見ということで申し上げさせていただいたわけでありますが、答弁の最後をごらんいただきましたらおわかりいただけると思いますが、しかしながら、今これは中央銀行研究会また金融制度調査会の答申を受けて政府・与党で案を検討しているところでございますということをお含み置きいただきたいという答弁をさせていただきました。その後、大蔵省の中でも意見を統一いたしまして、そして閣議決定を経て法案が提出されたわけでありまして、今は、今提出された法律案を、その後の検討におきまして最善のものとして御審議をいただいているわけでございます。
○上田(清)委員 大変立派な御説明だったというふうに思います。さすがだなというふうに思います。この点について若干の懸念がございましたけれども、次官としてきっちり、ただいまの政府案について何の異論もなく、堂々と論議を進めておられるということを確認させていただきましたので、この点について了解させていただきたいというふうに思います。
 それで二十条でございますが、相当期間の経過後に議事録を公表するという中身の条文がございます。地方自治法にも「当分の間、」と言って既に、地方自治法は昭和二十三年でしたか、それで「当分の間、」と言って、いまだに「当分の間、」で過ごしているような事例もありますので、「相当期間経過後」なんというわけのわからない言葉を使っていると、相当期間が五十年後というふうな話になりかねない。この「相当期間経過後」という相当期間というのはどんなイメージなのか。例えば半年なのか、一年なのか、三カ月なのか、一週間なのか、これを明確にしないと、地方自治法みたいに「当分の間、」が五十年続くというような形になりかねない。
 そういうことでございますので、この点について、政府として相当期間というのは一体どのくらいのことをイメージしておられるのか。むしろ、イメージというよりはきちっと数字で出した方がいいんじゃないか、法案として。大体、抽象的な法律案というのはよくないんです。きちっと意味がわかるようにするのが法律です。そういう意味でも、法律上の欠陥もある。
 また、総裁として、現場の責任者として、公表すべきだという立場の中でどのくらいのタームがあれば望ましいのか、この点についても御意見を賜りたいというふうに思います。よろしくお願いします。
○山口政府委員 金融調節事項を議事といたします政策委員会の会議の議事録につきましては、その公開の時期を政策委員会が適当と認めて定める相当期間経過後といたしましたのは、金融制度調査会答申におきまして、政策委員会での自由な討議の妨げとならないよう配慮すべきとの指摘を受けたものでございます。この議事録公開の時期につきましては、このような趣旨や外国の例等を踏まえまして、政策委員会自体の判断において適切に決定されるものと期待しております。
 ちなみに、諸外国におきます議事録の公開の時期は、アメリカのFOMCが五年後、ドイツの中央銀行委員会は三十年後というふうになっております。
○松下参考人 ただいま銀行局長からもお答えがございましたように、この議事要旨、議事録が改正法のもとでどのようなタイミングで公表されるかにつきましては、新しく選任をされる政策委員会が決定する事項というふうになっておりますので、現段階、私からその具体的な運用につきましての意見を申し述べることは適当でないというふうに考えられます点を御理解をいただきたいと思います。
 この検討に際しましては、やはり議事録の詳細を公表するということから、率直で自由な討議を確保するためにはどうあるべきか、また他方で、しかし情報に対しますところの詳細正確なディスクロージャーを行う必要性というものはどうあるべきか、この組み合わせから、新しい政策委員会ができましたときに、まず最初にこれを審議いただいて決定をしていただくということになると思います。
○上田(清)委員 総裁、新しく政策委員会が設置されてメンバーがきちっと決まってからというお話ですけれども、過去の経験の中で私はお伺いしたいというふうにお尋ねしたつもりでございます。差し控えたいじゃなくて、最小限度、この程度の期間は内部にとどめておかないと自由な議論ができないとか、そういう現場の声としてきちっとそれを言うことによって、国会での記録が残り、その中で初めて、オープンな部分とクローズしなくちゃいけない部分というものとがきちっとなっていくというふうに私は思っておりますので、むしろ総裁の基本的な、過去の経験の中での議論を発表することは非常に大事なことだというふうに私は思っております。差し控えるというのは非常に困る、私はそう思います。もう一度お願いします。
○松下参考人 ただいま申し上げましたような自由な御審議をいただきますために必要な配慮というのは、我が国でいろいろの審議会等の議論の内容公表についての論議が起こります都度、いろいろとこれまでも議論をされてきたところでございます。ただ、私どもは、そういう議論の中から、まだ客観的、一般的な何らかの基準といったようなものが出てくるところまでいろいろの議論は煮詰まっていないのではなかろうかというふうに考えるわけでございます。
 これから後、まだ実際にこの決定が行われますまでには相当の時間もございますので、私どもも決してこれは安易に放置をして、新政策委員会にすべてげたをお預けするということではございませんけれども、その間になお検討を深めまして、私どもの適正と考えられる期間についても考え方をまとめてまいるようにいたしたいと思います。
○上田(清)委員 日銀の百年近い歴史の中の経験をもってしてもまだ議論だと言うのは、私は余り納得のできない結論だというふうに思います。じゃ、何年たではそういう結論が出てくるのか。過去に政府との独立の関係あるいはそのオープンの部分あるいはクローズの部分、さまざまな形が日銀の歴史の中であったはずです。その経験則を踏まえて、こういう改正時期にきちっとしたことが出せないようじゃ、何のために日銀が百年近い歴史と運営を誇ってきたかということになりかねないというふうに私は思いますので、これはぜひ政策委員会の設置云々ではなくて、本来ならば、きちっとその辺は政府の立場の中でも法案の中に明記するくらいじゃないといけないというふうに私は思っております。
 それから若干法案として何か不備だなというふうに思うのは、例えば三十一条の給与等の支給、社会一般の情勢を踏まえてというような形で出ております。
 とかく日銀総裁の給与が高いというのは今世の中の批判の的になっておりますけれども、そのことはともかく、「社会一般の情勢に適合したもの」となるようにというような、じゃ、この「社会一般の情勢」とは一体何なのか。民間給与なのか、国家公務員の給与に準ずるのか、あるいは全く違うものか、こういう点について明快に法律の中で本当は書かなくちゃいけない。こういう抽象論ばかり書いてちゃだめなんですよ。その時々、あなたたちの都合で勝手にやっていくということじゃないですか。この点について承りたいと思います。
    〔柳本委員長代理退席、委員長着席〕
○山口政府委員 お答え申し上げます。
 日銀の役職員の給与につきましては、その公的な性格にかんがみまして、国民の理解を得られるようなルールを定め、これを公表するということが適当だと考えております。このような基本的な考え方に基づきまして、日銀の役職員の給与の基準を、今御指摘のように社会一般の情勢に適合するよう作成、公表しなければならないというふうにさせていただいておりますが、この場合、日本銀行の性格の公的な側面を強調して見た場合には、特別な公務員の給与というのを参考にしていくという考え方もございます。また一方、日本銀行のいろいろな業務の民間的な部分ということを強調して見た場合に、他の金融機関とのバランスということもございます。その他諸情勢を勘案し、政策委員会によって自主的に基準を決めていただき、また、それを公表することによって国民の皆様の目に触れていただくというような形にしておるわけでございます。
 したがって、法律に、きっちりそこに書いていないということは、逆に政策委員会で自主的にお決めいただき、また、そこに国民の皆様の御批判を仰ぐ機会というもの、批判あるいはサポートかもしれません、そういったものを仰ぐ機会をつくってもらうという趣旨でございます。
○上田(清)委員 それでは、その点はわかりました。公表にゆだねるということでございますね。
 五十一条経費の予算について、経費については認可を受けるというような趣旨の条文がございます。大蔵大臣の認可を受ける。これは日銀のいわば事業年度の経費について一々大蔵大臣がチェックしなければならないという部分も出てきますし、なおかつ、日銀の日常業務について大蔵省が一つ一つチェックするということにもなりかねない、私はそんなふうにひねて解釈をさせていただきましたけれども、この点について総裁、お困りになることはございませんか、こんな日常業務までチェックされるというような形は。
○松下参考人 日本銀行の性格が公的な認可法人という性格でございますので、この認可法人に関します我が国の制度的な共通の制約と申しますか、これがございまして、経費予算につきましても、これについての政府の認可という規定が入っているものと受け取っております。
 ただ、この場合に、日本銀行の中央銀行としての特殊性から申しまして、やはり金融政策の決定、遂行上の自主性というものを阻害しないように、認可というようなものについても配慮を行うべきである、そういう趣旨から、この五十一条の中におきましても、通貨及び金融の調節に支障を生じさせないものとして政令で定める経費に限って予算の認可を受けるということになっているところでございますし、また、それでもなおその上に経費の予算の認可が適当でないと認める場合には、大蔵大臣においてこの理由を日本銀行に通知をし、またその詳細を公表するということで、私どもはそういう条件の中で経費の決定というものが行われていくのでありましたらば、公平性の確保あるいは本当に必要なものに対する資金の充足、また金融政策の独立性の維持といったような点から考えまして、相当の制度であるというふうに受けとめております。
○上田(清)委員 松下総裁、お人柄が大変穏やかでございます。私が総裁ならば、ばかなことを言うな、日銀の単年度の予算の経費についてまで大蔵大臣の認可を仰がなくてはいけないなんという、それでは独立性なんか保てるかと私だったら申し上げたい。大臣に報告するで十分ではないか。また国会にも報告の義務があるわけですから、そこでもコントロールはできるのですから、私は今の答弁というのは余りにも穏やか過ぎる、余りにも物わかりがよ過ぎるというふうに考えているということだけ申し上げます。他の議員もまた日銀のこの改正法案についてはいろいろ議論があると思いますので、私はちょっと他の問題について、続いて質疑をさせていただきます。
 早速ですけれども、住宅金融債権管理機構のその後の状況についてお尋ねをしたいと思います。
 先般もお尋ねをしたのですが、どんな債権の回収状況かということをきちっと公表してほしいということでございましたが、山口局長は、検討課題として重く受けとめたいと、大体そういうのは余り重く受けとめていない場合が多いということを私は言いながら、大臣、よろしくお願いしますということをさきの大蔵委員会で申し上げました。大臣もいろいろ、何か議事録を読むと全くわけのわからない答弁でございましたけれども、要するにしっかり公表のシステムをつくるというふうに私は勝手に受けとめさせていただいているのですが、幸いもう六月決算で大体中身が出そろったと思いますので、初年度の、平成八年度の回収状況、それから今後の公表システムについてどの程度重く受けとめて検討されたか、局長お願いいたします。
○山口政府委員 先般の当委員会でも、委員から御質問をいただきました。そのときには、平成八年度の回収予定額二千七百四十三億円を目標に置き回収に努めておりますというような趣旨を申し上げたと思うわけでございます。その後、社長の指揮のもと、債権回収の実を上げていくべく預金保険機構と一体となって取り組んでいただいた結果、平成八年度の回収額は、目標額をわずかでございますが上回りまして、二千七百五十六億円となる見込みというように聞いております。
 それから、あわせてその際、委員の方から御指摘ございました回収状況を公表するシステムをつくるべきではないかという件でございますが、先般の四月九日の御指摘を踏まえまして、早速私の方から当事者であります住宅金融債権管理機構及び預金保険機構に趣旨を伝えまして、検討を依頼しておるところでございます。両機構におきましては、国民の皆様への情報提供の重要性にかんがみ、回収状況についてできるだけ情報提供するということに賛同しておりますが、事務負担がかなり今大変な状況にあるということにも配慮しつつ、例えば半期ごとには取りまとめて公表するということについて今検討をしております。
○上田(清)委員 ありがとうございます。
 先般もちょっと申し上げましたけれども、住専の国会の中で二次損失を一兆二千億予定し、民間から九千億、日銀から一千億拠出させて、新金融安定化基金の運用の中で十五年間で六千億ほどつくり出して穴埋めに使う、残った部分は国民負担だというような、要は税金で穴埋めをするというお話でございましたけれども、四%の運用利率を予定されていたはずですね、十五年で六千億ですから。これは間違いないですか。
○山口政府委員 正確には今手元に持っておりませんが、四%を切って三%台だったと思っております。
○上田(清)委員 計算上六千億という数字ですからね。そうすると、四%だと十五年で六千億の運用益が出てくるという計算ですが、実際、三%台でも四%でも、四%に近い三%台でも、そういう金利の運用ができているのですか。ちょっと気になったもので。
○山口政府委員 現在の金利情勢からいいますと、それはなかなか難しい状況だと思います。ただ、期間がかなり長うございます。十五年という期間もございますので、この低金利がずっと続けば委員の御懸念というのが現実になってしまうわけでございますが、今の段階ではまだ今後のことはわかりませんので、何とも申し上げられないという状況かと思います。
○上田(清)委員 そこで、日債銀のために、日銀から八百億出資するということが決定したわけですが、この八百億部分は、実は新金融安定化基金の中から、日銀が一千億出した部分から取り出すということになっているかというふうに私は解釈しておりますが、もしそうだとすると、住専国会で、いわば二次ロスの穴埋めのために、六千億の運用益を出す一兆円の基金、その中に日銀の一千億が入っていて、それを八百億出していきます。そうすると、運用益がまた減っちゃうね、そうするとまた国民の負担がふえるねという議論になりかねませんし、第一、この日債銀の日銀からの八百億、この新安定化基金、住専勘定の部分から出せるのですか。どういう根拠で出せるのですか、これは法的に。
○山口政府委員 委員の御質問の中で、ちょっと私の方から御説明申し上げなければいけないと思いますのは、例の六千八百億の国費の、つまり一次ロス分のできるだけ圧縮ということでこの新金融安定化基金の、民間、系統からの拠出八千億という基金があるわけでございます。これを今委員御指摘のように運用をして、国庫にそれをできるだけ返していく、こういうことでございます。その二次ロスの方の話ではございません。それをちょっとつけ加えさせていただきます。
 それを前提にお話し申し上げますと、この新金融安定化基金には、そういう一次ロスで国庫から支出していただいたものをできる限り後で返済していこうというお金、これが第二勘定八千億円ございます。これは民間の拠出でございます。
 そのほかに、第一勘定として一千億円という日本銀行からの拠出があったわけでございます。これは何のためかというと、これはこの一次ロスの六千八百億の穴埋めをできるだけやろうというものに使うものではございませんで、この定款を見ましてもわかりますように、我が国の金融システムの安定化あるいは内外からの信頼性確保に資するために行う事業にやる。例えば金融機関の資本基盤の構築等を支援する事業ということに使うというふうになっておりまして、今回日債銀のケースでこれを使わせていただこうというのは、まさにこの目的に沿ってのものでございます。
 したがって、委員の御指摘のような、この基金の運用益の前提となっている一千億ではないということでございます。
○上田(清)委員 わかりました。それは答弁の記録に残っていると思いますから、もう一回確認した上で、後日論議をさせてもらいます。
 それでは、先般予算委員会の質疑の中で、国の借金は五百二十一兆六千億ということを小村主計局長が私の質疑に答えていただきまして、大体最近では、五百兆近くだとかそういういいかげんな数字ではなくて、五百二十一兆という数字が出てきておりますが、これについて、本当にこれだけなのですかという議論をもう一度させていただかなければならないというふうに思っております。
 先日決算委員会で、同僚の若松議員が、九年度の予算書の短期証券四十兆分、また七年度の決算をずっと拾っていきまして、ちまちまと数字を挙げるのは面倒くさいので一括して申し上げますが十二・一兆、そういうものをきちっと把握すると、実は五百七十三兆になるのではないか。特に政府の短期証券、IMFの暫定委員会では国の借金に入れている、そういう考え方もあるわけですから、国、地方の債務が四百七十六兆だ、隠れ借金が四十数兆、合わせて五百二十一兆という考え方もありますが、厳密に短期証券四十兆を入れればどうなるのだと。これはIMFの基準でそうだ。それから、政府間でいろいろな貸し借りがまだまだ残っているわけですね。
 これは七年度決算で若松議員が出してきた数字で、この間、数字は合っていますというようなことで、生意気なことを言っているなんということで、数字が合っているというような答弁があるかということでわざわざ橋本総理がおしかりになりました。一生懸命衆議院議員が数字を調べてきて、それは合っていますよなんて言ってはいかぬとわざわざおしかりをされておりましたけれども、文字どおり決算書から拾って、歳出予算の繰越債務負担額が三・九兆、まさしく未払い金とか未払い費用ですね。継続費による債務負担額が〇・四兆、国庫債務負担行為七・三兆、住宅金融公庫交付金未払い金が〇・五兆で十二・一兆。これも一つの借金じゃないか。これは七年度の決算です。
 そうすると、九年度の予算の見込みだってある程度数字が出ていると思うのですよ。そういうのも、広い意味で、というのは厳密な意味では借金になる。そうなってくると、五百七十三兆。
 もっともっと議論を広げていけば、例えば政府が保証している保証債務あるいは政府補償債務負担額、こういった金額も、例えば住都公団に貸して債務保証をしている。住都公団がパアになれば政府が負担をしなくてはいけない、政府が保証人ですから。そういう考え方でいけば、それも広義でもって、広げていけば借金になっていく。それがまた四十七兆もある。そうすると、本当に広げに広げた国の借金というのは一体どのぐらいあるのかということも、私は、オープンな議論でもう出していかないと、本当の意味でこれからの財政再建にならないのじゃないかというような考え方を持っておりますので、この短期証券四十兆の考え方、IMF暫定委員会では国の借金に入れておりますけれども、この点について、まずいかがでございますか。
○林(正)政府委員 国の財政事情を示す場合にどういう数字を出すかというのは、さまざまな考え方があるのだと思います。
 委員御指摘の五百二十一兆という数字でございますが、これは委員会での御答弁でも申し上げているかと存じますが、まず基本的に国、地方の長期債務残高、これが四百七十六兆、それに「今後処理を要する措置」これは委員御案内のとおりさまざまな性格のものがございますので、合計して一つのものとして考えることには問題がございますが、あえて単純に合計すると、九年度末累計額で四十五兆。これは今申し上げましたように一つのものとして考えることには問題がありますが、またこのほか、基本的には国の内部の措置である点におきまして、広く市中等から資金調達を行っている国債とはその性格を異にしておりまして、長期の政府の債務残高と一緒にすることは適当ではないと思いますけれども、あえて単純に合計すると五百二十一兆ということでございます。
 今のお尋ねは、この中には、短期の政府債務でございます食糧証券、外国為替証券、これは私どもは、国庫の一時的な資金繰りのために発行されるものであるということで、御指摘のように通常の債務には合計はしてございません。
 御指摘は、国際的にそういう点はいかがかということだと思いますが、国連が定めてございます国際的な統計基準といたしましては国民経済計算SNAがございますが、その体系におきましては、政府及び政府の代行的性格の強い機関の債務を国及び地方の債務としておりまして、その中には短期債務であります外国為替資金証券も含まれてございます。ただ逆に、このSNAの体系におきましては、例えば我が国におきます郵便貯金特別会計あるいは国有林野特別会計のように、独立の運営主体となっておりまして、民間企業によっても提供され得る財貨・サービスを提供している公的企業の債務については除外されているという事情もございます。
 ただ、御質問でございますので、国民経済計算ベースに従った国及び地方の債務について平成九年度末の推計をいたしますと、九年度末で四百七十兆、対GDP比で九一%というように推計されているところでございます。
○上田(清)委員 御説明は長かったのですが、正確に質問に答えていただかなかったと思います。短期証券も物の見方によっては借金にもなるんだよということも言われたような気がいたします。そういう受けとめ方を私はちょっとさせていただいて、この問題についてはまだ時間のあるときに突っ込んで議論をさせていただきます。
 先ほど、決算委員会で同僚の若松議員が出してきた七年度の決算の中で、いわゆる繰越金だとか未払い金だとか、そういう部分も広い意味で借金の範疇に入るのじゃないかという議論についてはいかがでございますか。
○林(正)政府委員 直接ちょっとお答えになるかどうかわかりませんが、平成七年度の決算に添付してございます「国の債務に関する計算書」におきましては、公債、借入金及び短期証券残高に加えまして、御指摘ございましたその他の国の債務負担額約六十兆をも含めてお示ししているところですが、ただ、その他の国の債務負担額は保証債務等でありまして、金銭債務と言えるものではございません。金銭債務として確定した長期債務残高と合算して論ずるというのは、本来いかがなものであろうかという感じがいたしております。
○上田(清)委員 せっかく資料もつくってきたものがあるので、これをやっていると時間がなくなりそうですので。しかし、申し上げたいことは、そういうちまちましたものをこれまでずっと隠されてきているというような感じが私はいたします。できるだけ見えないように見えないようにという感じで、ふたをあけてしまったらたくさんあったというようなことになってきたような気が私はいたします。ぜひ大臣におかれましては、この保証債務額にしても私は広義な意味での借金だというふうに理解しておりますから、実際的には五百七十三兆に四十七兆を足すと六百二十兆ぐらいある、こういう計算の仕方もありますよということを申し上げておきたいと思います。
 それから、六十年で国債を償還するという基本的な考え方でございますが、もう時間がないので最初に申し上げますけれども、六十年公共物がもつかというと、経企庁なんかの指数を見ていますと、平均で三十二年、多いところで四十五年、短いところでは十五年とか、それぞれしております。なぜ国債発行で六十年償還にしているのかと、いろいろ当時の理財局の中川国債課長ですかの本を読んでみますと、何か根拠らしい根拠を書いているのはありませんでしたけれども、六十年で償却できるというのはどういう根拠なのか。経済企画庁は逆に、平均で三十二年、長いところで四十五年、どこかに書いてありました。どの道路が何年で、下水道が何年でという数字も出しておりますけれども、そういうことも含めて、なぜ六十年償還のルールになっているのか、これについてお答えを願いたいと思います。
○林(正)政府委員 この建設国債の六十年の償還ルールでございますが、昭和四十一年当時に建設国債を発行することになった際に、建設公債の見合いの資産、これの平均的効用発揮期間を税法の耐用年数等に従って計算いたしましたところおおむね六十年であったということから、これを一つの目安として、六十年で償還を図っていくべきであるというルールとして採用されたものでございます。
 なお、最近では、平成元年度予算につきまして改めて建設国債の見合い資産の平均的な効用発揮期間というものについて試算を行ったところ、やはりおおむね六十年となっておるわけでございます。
 こうした六十年償還ルールの趣旨から見まして、公債発行の対象経費の支出により形成されました個々の資産の耐用年数、これが六十年である必要はないのではないだろうかというように思われます。
 先生御案内のとおり、例えば見合いの資産の中には土地のように永久的な資産も含まれておりまして、この六十年はこうしたものをいわば加重平均をいたしましてやったものでございます。こうした土地、これらの耐用年数を百年と有限に抑えているということも踏まえれば、六十年という期間が一概に長過ぎるものとは言えないものというように考えております。
 また、御案内のとおり本制度創設から三十年を経ておりまして、制度として定着しているということも御理解賜りたいと存じます。
○上田(清)委員 更地の部分まで入れて六十年というのだったら、千年だってもつじゃないですか、土地は永久ですから。それはインチキというのですよ、そういうのは。道路なら道路というのは三十年なら三十年、下水道だったら十五年なら十五年、学校だったら四十五年とか、これは鉄筋コンクリートで何年だと決まっているのですよ。勝手に更地を入れて、それを加重平均すれば六十年もちますなんて、冗談じゃない。十五年たってぼろぼろになって、あと四十五年残っていて、いや、下に更地が残っていますと言えますか。そういう議論というのはおかしいのですよ。千年だってもちますよ、そういう議論をすれば。千年償還だっていいでしょう。おかしいのですよ。それだけはちょっと言っておきます。
 その六十年償還だってできませんよ。六十年できれいに償還できますか。中川さんの本ではちゃんと、きちっと六十年後にはゼロになっている、償還できると書いてありますけれども、ならないですよ。定率繰り入れは一・六%でしょう。これは間違いありませんね。国債の一・六%は間違いありませんね。それを確認しましょう、償還ルールで。
○林(正)政府委員 定率繰り入れにつきましては、残高の一・六でございます。
○上田(清)委員 そうすると、理事会の御承認をいただきまして、ちょっとカレンダーの裏を使いましたもので雑で恐縮ですけれども、仮に六百億のものを六十年で償還する。そうすると、国債整理基金に繰り入れで〇・〇一六、一・六%を掛けて十年間ためると九十六億しかならないわけですね。だれが計算しても九十六億。これはもう詭弁では済まされない、数字だから。そうすると、これで一期分返す、十年たったらぽんと。そうすると、残りが五百四億になりますね。
 二期目、私も二期目ですが、五百四億にまた一・六%の国債整理基金の繰り入れをやっていく。十年たって八十三億、これを二期目の分としてぽんと払う。そうすると、残りはまだ四百二十一億。同じような繰り返しをやっていくと、三期目は六十八億しか払えないね。同じように四百二十一億から六十八億引く。そうすると、三百五十三億。これにまた国債整理基金繰り入れを、一・六%掛けて十年掛けると五十七億、これをぽんと返す。この繰り返しで、五期目で同じように二百九十六億残って、それから償還分が四十八億、これをぽんと返す。
 それで六期目、いよいよ最後の六十年目。そうすると、二百四十八掛けるの〇・〇一六掛けるの十で四十一億。これで四十一億ぽんと返したら六百億がなくなるかというと、なくならない。二百七億残っている。実際償還ができないのですよ。
 それに何か一・六%じゃない数字があるのだったらいいですよ。一・六%でずっとやっていたら終わらないじゃないですか。償還できないんだ、この六十年ルールというのは。全くうそじゃないですか。そうじゃないですか。これは逆の数字からも出せますよ、試算で。いいですか。
 今まで、一九六五年から国債が発行されてきた。それで三十年という数字の方がわかりやすいので、あえて一九九四年末にします。これでちょうど三十年。このときの赤字国債の新規発行額は二百二十二兆六千二百億、累積残高で二百一兆。これでいくと、二十一兆が償還部分で、約一〇%返したということになる。三十年間で一〇%しか返していない。三十年たったら五〇%返さなければいかぬわけですよ。そうでしょう。そういう計算になりますね。もちろん、ちょうど八二年から八九年、それから九三年と九四年、国債基金の繰り入れ停止をしたので十年間分浮いていますから、実質的には二十年間。二十年間だとすると、大体三三%ぐらい償還できていなければいけない。しかし、実際は全然三三%なんか償還できていない。一〇%しか償還できていない。
 この理屈でいくと、半永久的に償還できないのです。だから、どこかで穴埋めしなければいけない。だから、六十年間償還ルールというのは虚構なのですよ。これについて御意見ありますか。
○林(正)政府委員 六十年償還ルールに対応いたしました一般会計から国債整理基金への償還財源の繰り入れ方式としては、今先生御指摘の国債残高に対する百分の一・六、これは六十年償還ということを前提に六十分の一でいたしますと一・六六六六、こうなりますが、それを一・穴としている。これが基本でございますが、このほかに、一般会計の純剰余金の二分の一以上の繰り入れをもってこれを補完するという剰余金繰り入れ、それからさらに、必要に応じて予算措置による繰り入れを行うことによって総合的な減債を図っていく、こういう制度に御案内のとおりなっております。
 今お説のように丁六、六十分の一ですと丁六六ということでございますが、一・六としておりますのでその差額の分と、それから、今の計算を拝見いたしますと、発行額ではなくて残高に一・六が掛かっているということから、一本一本の公債を抜き出して考え、かつそれが途中で順次償還されていくということを考えますと、償還額に足りないという計算になりますけれども、冒頭に御説明申し上げましたように、こうした定率繰り入れのほかに、一般会計剰余金の二分の一繰り入れあるいは予算繰り入れ、こうした規定も置いているところでございます。したがって、一・六%で不足するというような事態はないというように思っております。
 現に、六十年償還ルールで、先ほど申し上げましたような償還方法をとっておりますが、例えば十年債で申し上げますと、満期ごとに六分の五を借りかえて六分の一を現金償還する、そして全体として六十年で完全に現金償還をするということでこれまでもやってきているというところでございます。そこは御理解いただきたいと思います。
○上田(清)委員 今説明があったように、いみじくも六十年では返せないということを証明したじゃないですか。この本にはちゃんと六十年で返せると書いてあるよ。大蔵省ですよ、これは。ちゃんと責任を持って書いたのでしょう。大蔵省理財局国債課長、ちゃんと前書きに大蔵省銀行局長寺村信行さん、余り評判のよくなかった人だな、この人。ちゃんと名前が全部書いてありますよ。大蔵省挙げて書いた本ですね。ちゃんとゼロになると書いてありますよ、一つ一つ返せば。
 これはうそなのですよ、この書いてあるのは。いろいろなものを品さないと返せないのでしょう。六十年で返せないのですよ、この部分に関しては。だからいろいろなものを出してくるわけでしょう。国債そのものでは返せないじゃないですか。だから繰り入れをどんどんやっていくわけじゃないですか、借りかえしたり。私に言わせると、これは虚構ですよ、六十年で償還できるルールなんというのは。このこともやはりきちんと説明しなくてはいけないのですよ、六十年では返せないと。だからいろいろ繰り入れしているわけじゃないですか。国庫からほかのお金を出しているわけじゃないですか。それで返すわけでしょう。そういうことをきちっと国民に対して、議会に対して説明をしなくてはいけないと私は思います。
 二百七十九ページに私と同じような説明をしていますけれども、ここでゼロになってしまっているのですよ、こっちの本は。ゼロにならないですよ、〇・一六掛けていくと。この人はなぜか〇・一六掛けていくとゼロになってしまう。ならないですからね。そのことだけきちっと申し上げますよ。ちゃんと大蔵省が編集した国債のまさしく専門書の中で、そういうことを書いている。だから、わけのわからない繰り入れをごちゃごちゃやっているのです。ずっと詐欺師的なことをやっているのですよ、政府は。もうずっと、あっちから借りたり出したり入れたり。
 大蔵大臣に申し上げますけれども、特別会計は三十八本あります。それで、一般会計よりも多いのですね……
○額賀委員長 上田委員、十二時半から参議院の本会議がありますので、短縮にお願いします。
○上田(清)委員 はい、わかりました。申しわけありません。
 それでは、時間になりましたので、終わります。ありがとうございました。
○額賀委員長 午後一時に委員会を再開することとし、この際、休憩をいたします。
    午前十一時二十六分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時四分開議
○額賀委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。北側一雄君。
○北側委員 新進党の北側一雄でございます。日本銀行法案につきまして質疑をさせていただきますが、きょう午前中に我が党の谷口委員が日産生命の破綻の問題で質疑をさせていただきましたが、若干補足の質疑をさせていただきたいというふうに思っております。
 福田保険部長いらっしゃっていますよね。これは福田保険部長にお聞きするよりも山口銀行局長に聞いた方が当時のことはよくおわかりかなと思うのですけれども、それはさておき、若干重複するかもしれませんが、この日産生命の実質的な債務超過額でございます。今大蔵省検査に入っておられると思いますが、どの程度あるのでしょうか。
○福田(誠)政府委員 お答えいたします。
 四月二十五日に日産生命で取締役会で事業継続断念の決議をいたしまして、私どもその決議の報告を受けたわけでございますが、その日におきます日産生命側からの報告によりますと、債務超過の額は約二千億円というふうに聞いておりまして、この金額につきましては、今御指摘のように、また大蔵省の検査におきまして精査をしているところでございます。
○北側委員 約二千億、今検査に入っておられて、これはもしかするとまだふえるかもしれないという状況ですね。さらに言えば、これから低金利が続けば二次損失と言われるものが出てまいりますので、さらに膨らんでぐるということになるわけでございます。
 きょう午前中も谷口委員から確認しておりましたが、もう一遍確認します。大蔵省は日産生命の実質的な債務超過を、債務超過に陥っていることをいつお知りになったのか。
○福田(誠)政府委員 たびたび御答弁申し上げておりますが、平成七年九月の検査を実施した段階で、実質的な債務超過状態であるとの事実を把握したところでございます。
○北側委員 平成七年九月ですから、ことし九年だから、一年半前ですかにお知りになった。それまではわからなかったのですか。それまでは債務超過に陥っているのかもしれないという状況はわからなかったのでしょうか。
○福田(誠)政府委員 お答えいたします。
 検査以前につきましては、そのような状態については承知しておりませんでした。
○北側委員 日産生命の社長のお話によると、九四年の三月期ですから平成六年ですか、平成六年の三月期から実質的な債務超過に陥っておったというお話でございました。それで、この平成七年九月の実質的な債務超過に陥ったことを大蔵省が知った、その後、大蔵省はこれまでどういう対応をとっておられたのでしょうか。
○福田(誠)政府委員 お尋ねの点でございますが、検査によりまして実質的な債務超過状態であるという事実を確認したわけでございますが、当社につきましては、バブル崩壊後の平成四年度くらいから収益状況がやや不調になってきたこともありまして、その当時から経営改善計画について策定方指導してまいりました。
 それで、特にこの平成七年九月の検査結果を重視いたしまして、さらに職員の削減等々、新契約費の削減等を内容とします経営改善計画を強力に進めるよう指導したわけでございまして、この検査で発見されました平成七年度自体は単年度黒字を達成するなど、債務超過額の縮小の傾向も若干見られたわけでございますが、平成八年度、さらに厳しい経営改善計画を策定いたしましたが、残念ながら、これまで申し上げているような事情により経営が成り立たなくなったということでございます。
 この間、したがいまして、当局は放置していたわけではございませんで、日産生命に対しまして経営改善計画を強力に推し進めるよう指導してきたところでございます。
○北側委員 しかし、平成六年の三月期から実質的な債務超過に陥っておる、平成七年九月の大蔵省検査でそのことがわかった。にもかかわらず、単に経営改善計画を強力に指導しただけで、大蔵省の責務を果たしたと言えるのかということですが、私はそうは思わないのですね。平成七年が何か黒字になったようにおっしゃっているけれども、それはあくまで帳簿上のことでございまして、帳簿外の損失がたくさんあったわけです。そのこともお知りになっているわけですから、単に経営改善計画をすればそれで済むのか、消費者に対する責任は果たせるのかというと、私はそうではないのではないかと思うわけでございます。
 現実問題、この平成七年九月の検査以降も日産生命は新規契約者の募集をしておるわけでしょう。募集をして、それに応じている消費者の方がたくさんいらっしゃるわけですね。そういう方々はまさかそんな事態だとは知らないで契約をなされておるわけで、大蔵省は、こういう事態を知りながら日産生命が新規契約者の募集を続けるのを黙認しておったというふうに言わざるを得ないわけですが、いかがですか。
○福田(誠)政府委員 この点も、御答弁申し上げていますように、平成七年九月の時点では残存する含み資産等もあり、さらに経営改善計画も策定されておりまして、経営努力による再建は可能と考えていたわけでございます。結果として、八年度の株式投資の失敗もあり、この計画は達成されなかったわけでございますが、あくまで一般論として申し上げれば、免許会社たる保険会社におきましては、経営が悪化した場合でも、その会社の抱えている多数の保険契約者の保護等にかんがみれば、自主努力に基づき最大限経営立て直しを図るべきでございます。私ども当局の方も、そのような経営努力を要請し、指導していく立場にあると考えております。
 今後、どういう場合に保険会社の事業継続を認めるのか認めないのかというような点につきましては、銀行におきます早期是正措置等の考え方も踏まえまして、今後の課題として検討していきたいと考えております。
○北側委員 今後の話はまた次の機会にしっかりさせていただくとして、再建は可能と判断したというふうにおっしゃっているわけですが、大臣、ここのところは私は一遍検証してみる必要があると思うのですよ。平成七年の九月の大蔵省検査で、当局は日産生命の再建は可能と判断した。ただ、その判断が誤っておったわけですね、今となってみれば。では、本当にそのときの行政の判断が誤りがなかったのか、今からして反省すべきところがなかったのかどうか、今後のためにも、ここはしっかりと私は検証をしておくべきだろうというふうに思いますが、大蔵大臣、いかがでしょうか。
○三塚国務大臣 ただいまの件ですが、七年度は再建可能、こういうことで指導監督をしたことは事実であります。何せ経済の急激な変化の中で高利率の商品を出しておるということ等もございましたが、こういう経済状況で行き詰まり、急速にそのことが再建が難しいという状況になったと報告を受けておるわけであります。いろいろな要素があろうと思いますが、経済変革期の中の大きな出来事の一つ、これはこれとして今後にその経験を生かしていかなければならないことではないか、こう思っております。
○北側委員 今後にこの経験を生かしていくためにも、実際、当局は再建は可能というふうにその当時判断されたのですね。それもそんな昔の話ではなくて、平成七年九月ですから、一年半前の話なんですよ。その時点で既に超低金利状況は始まっているわけでございまして、また逆ざやも大きくなっているわけでございまして、景気の状況を見ても先にそんないい見通しは立たないわけでございます。なぜ当局が再建は可能と判断したのか、そこのところを、この一年半前のことを私は政治の責任としてやはりきちんと洗い直してみるべきなのではないだろうかと思うのです。だれが悪いとか、そういうことではありません。そうではなくて、やはりそうしたときに適切な判断といいますか、再建は可能というふうに今から見れば誤った判断をしたわけでございますので、なぜそのような判断になったのかというところを、私はきちんと検証をやはり大臣が指示をすべきである。間違っていたのですから。結局、そういうことによってそれ以降の新規契約者は不測の損害をこうむるかもしれないわけですね。大臣、いかがですか。ぜひこの検証作業を指示してください。
○福田(誠)政府委員 大臣の御答弁の前にちょっと補足させていただきますが、一般的に生命保険会社の経営環境につきましては、低金利や株価低迷等で厳しい状況にあることは確かでございます。各社はリストラなどの経営改善努力を進めて、このような現状を乗り切るように努力をしておられるわけでございます。
 ただ、日産生命の場合には、大きく申し上げれば二つの要因で今回の事態に陥ったわけでございます。
 一つは、先ほど来申し上げていますように、バブル期に高予定利率の商品販売に傾斜したために平均予定利率が他社に比べて特に高くなり、その結果、いわゆる逆ざやが拡大したということがございます。これが基本的な要因でございますが、これに対しまして、日産生命は、新規契約の拡充とか社内の人員の削減等々で乗り切るべく経営改善計画を策定していたわけでございます。
 ただ、二番目の要因としまして、この平成八年度一年間に限ってみますと、同業他社はリスク資産を極力減らすべく資産運用に心がけたわけでございますが、この日産生命につきましては、逆に株式の含み益を期待しまして株式投資を積極的に行ったわけでございまして、これがこの一年間にさらに傷口を決定的にした要因でございます。すなわち、資産運用面で株式投資の失敗等によりこの八年度に多額の損失が生じたということがございます。こういうような状況に対して、従来から有効な対応策が社内的に打たれなかったということでございまして、この一年間における急激な悪化ということも一つの要因であったのではないかと考えております。
○三塚国務大臣 ただいま保険部長言われたように、株式の失敗は前段申し上げましたとおりであります。よって、今後、今日の事態を反省材料として、さらに今後の各会社に対する対応というものについて万全の体制をとるようにということで、ただいまそういうことに相なっておるわけでありますが、検証ということについて、ただいまやっており、かつそういう方向で明示をしておるわけでありますが、さらに将来に備えてもう一度検証を、こういうことで取り組むということにさせていただきます。
○北側委員 では、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 ついては、この問題につきましては、大蔵委員会でこれからもぜひ、恐らく処理の枠組みも決まってくるでありましょうから、さらに質疑をさせていただきたいと思いますので、そのために、この平成七年九月の大蔵省検査の検査結果の資料を当委員会の方にぜひ提出いただきますよう、委員長に要望いたします。
○福田(誠)政府委員 恐縮でございますが、検査結果につきましては、従来よりこれは公表を差し控えさせていただきたいということで、よろしくお願いいたしたいと存じます。
○額賀委員長 今、保険部長、何と言ったのですか。もう一回。
○福田(誠)政府委員 恐縮でございますが、検査結果というものにつきましては、従来から公表は差し控えさせていただいておりますので、今回につきましてもよろしくお願いいたしたいというふうに申し上げました。
○額賀委員長 北側委員、いかがですか。
○北側委員 いや、しかし、住専問題のときに出しているわけですよ。ですから、もちろん資料の中で、全部とは言わなくても、やはり今後当委員会の審議の参考になるものは出していただく必要があるわけでございまして、全く一〇〇%出せないよ、そういうことでは到底納得できません。
○額賀委員長 この問題につきましては、どの程度のものが出せるかどうか、理事会で相談をさせていただいて、後で北側委員に御報告を私がします。よろしいでしょうか。
○北側委員 では、そういうことで理事会の協議に任されたということで、それでは、日本銀行法案の内容につきまして質疑をさせていただきたいと思います。
 今回の法案の一番大きな柱は、日本銀行の独立性を強化するというところに一番の大きな眼目があるかと思います。そこで、議論の前提として確認をしたいわけでございます。
 これは大蔵大臣また日銀総裁に確認をしたいわけでございますが、この中央銀行の独立性というのは一体何なのか。その独立性を強化する必要性というのは一体どこにあるのか。独立性とは一体何なのか、その意義は何か、その強化する必要性というのは何なのか、ここのところを、これは一番肝心な部分だと思いますが、大蔵大臣また総裁に御答弁をお願いしたいと思います。
○三塚国務大臣 また総裁からも御答弁があろうと思いますが、日銀の金融政策につきましては、インフレ的な経済運営を求める圧力を受け最終的に決定されるのではないかとの懸念があります。これは、マーケットに持たれるようなことは大変でありますから、ありませんように、金融政策の独立、これを確保することが望ましいということはかねがね言われてまいったところでございますし、私どもも、日銀のノウハウ、積み上げとノウハウと言った方がいいのでしょうか、それと、世界的な経済の動向、日本の経済の動向を分析して金融政策を決定するということが極めて重要でございますから、独立性が望ましいということであります。
 こうした考え方につきまして、日本銀行法案におきましては、日銀の政策委員会を強化したわけであります。そこにおきまして金融政策の判断を行うことを明確にしました。その最高政策の決定の経過は公開をしていくという透明性、こういうものをそこで維持する、こういうことで、両々相まってその使命を果たしていただこう、こういうことであります。
○松下参考人 私どもの立場からの中央銀行の独立性についてお答えをいたしますが、金融政策にとりまして重要なことは、インフレなき持続的成長を図るという中長期的な視点に立ちまして、短期的な種々の利害に偏らないで中立的に政策運営を行っていきますことと、金融、経済のメカニズムに関する専門的な知識経験や、政策運営の現場での実務能力を生かしていくことにあるというふうに考えられます。
 このために、主要国でも、中央銀行と政府、議会との適切な関係を前提としながら、個々の政策判断につきましては、中央銀行の中立的、専門的判断にゆだねて政策運営の独立性を尊重するとともに、責任の所在を明確にする仕組みとすることが適当であるという考え方が一般的となっております。
 今回の法改正におきましては、そうした考え方に立って、市場化、国際化の進展という金融、経済の環境変化に即しまして、来世紀、金融システムの中核となるにふさわしい中央銀行制度としますために、この独立性と政策運営の透明性を高めることを軸とした制度改革が提案されているものと認識をいたしております。
○北側委員 金融政策については中立的な政策運営が大事だ、またその内容自体が専門的なわけでございますので、そうした専門的能力を生かす、実務能力を生かしていくという側面もある。ですから、個々の判断については、中央銀行の独立性を強化して中立的な政策判断をするということだと思うわけでございますが、大蔵大臣、独立性といった場合は、当然何か対象あっての独立性なわけですね。何々からの独立性なわけでございます。これは何に対する独立性なんでしょうか。
○山口政府委員 日本銀行法案において理念として考えております独立性というのは、特定の主体からの独立性を規定しているものではございませんで、日本銀行の政策委員会の委員が金融政策に関する議決権を有しまして最終的な判断を行うということを明確にするという意味でございまして、組織としての、あるいは何か対象としての独立ということではなくて、自主的にそこが判断される、こういう趣旨でございます。
○北側委員 銀行局長もまたうまいことをおっしゃるけれども、自主性とか独立性というのは、やはりそれは歴史的、経験的に、そういう政策判断の過程で、あるところから侵害をされた歴史経験があるから独立性というわけでございまして、自主性というわけでございまして、これは当然政府からの独立性ということを念頭に置いているわけであるというふうに思うわけですが、大臣、いかがですか。
○三塚国務大臣 対象があるから独立性という、言わんとする論拠はわかります。
 しかし、この場合は、認可法人でありますが、日銀法に基づいた特別の役目をお与えをいただいておる、こういうことで今日までやってまいりました。今日、自主性、独立性、中立性というようなことの中でスタートを切らせていただくということでありまして、行政機関ではあるように――行政機関ではありませんが、行政機関ではないのかという、そういう世間の判断もありますね。しかし、行政機関ではない行政機関。こういう言葉は余り当たらぬのかもしれませんが、なぜこんなことを申し上げたかというと、政府と日銀、日銀はまさに金利政策、金融政策を通じて物価の安定。まあ最近は物価の安定というのが基本的な使命、理念、そして国民生活の安定、このようになっております。そして為替は政府、大蔵省、こういうことであり、これが両々相まって成果が出るのだと思うのです。
 そういう意味で、政府に特定をして独立をしておるというのではなくして、決定のプロセス、総裁も言われましたとおり長い経験とノウハウと国際的な流れ、G7、そして中央銀行総裁の会議が少なくとも年四回持たれる、必要があれば直ちに招集をされて行われる、こういうことでありまして、政府代表の私と、日本の銀行の中の銀行、センターである日銀総裁といつも御一緒させていただくわけでございますが、そういう意味で、金利政策決定についての専管事項と私どもはいつも申し上げておるわけでありますが、そういう点において、物価政策そして金利政策。金利政策についての日銀の決定業務は政策委員会がありますが、御案内の新しい仕組みもできたわけですから、そういう点で独立性、自主性、当然それだけ重い責任がさらに出ます、こういうことで御理解をいただきたいと思います。
○北側委員 ここのところの認識が、私は、当然これは政府からの独立性を意味するのであって、単なる独立性というのは、概念的には意味があるかもしれませんけれども政治的には何の意味もないわけでございまして、これはやはり政府からの独立性を示している。例えばこれからこの辺の議論を詰めて、独立性の程度は別ですよ、独立性の程度は別にして、ここの独立性というのは政府からの独立性を指している。
 例えば独立行政委員会というのがございます。公取とかですね。日銀は独立行政委員会ではございませんが、この独立行政委員会というのも、やはり職務の性格、職務の事柄からいって、これは内閣、政府からある程度独立させた方がいいんだという意味での独立行政委員会なんですね。それと同じ意味でございます、この独立性と言っているのも。これは当然政府からの独立性、程度問題は別にして政府からの独立性、金融政策の判断に当たっては日銀が政府から独立して中立的に判断するのだというのがあくまでここの独立性の意義、意味であるというふうに理解をいたします。
 総裁、これで間違いないでしょう。
○松下参考人 私どもの金融政策を遂行してまいります際の金融政策に関する独立性が担保されてまいることが重要であるということは、先ほどからの御議論のとおりでございますけれども、また顧みますと、同時に、日本銀行が、例えば国会あるいは政府から完全に独立した別個の存在であるということではあり得ないということも当然でございます。
 こういう点で、日銀法改正案では日銀と政府との関係に関しましていろいろと規定を置いているところでございますけれども、これらを見ましても、日本銀行は自主的に金融政策の決定ができる、がしかし、同時に政府との政策判断上の調整は行う必要がある、そういう関係を全部含めまして、金融政策の独立性という言い方で表現をさせていただいているのでございます。
○北側委員 だから総裁のおっしゃっているのは、まさしく政府からの独立だという趣旨をおっしゃっているわけでございます。
 そこでこれから、きょう政務次官来ていただいたのも、お忙しいところ済みません、政務次官もこの辺の独立性の問題については当委員会でも御発言をされ、私はそれは一つの見識であるというふうに思っておるわけなんですけれども、ぜひ議論に参加をしていただきたいわけでございます。
 これからの議論は、この独立性の問題について二つの議論をぜひさせてもらいたい。一つは憲法との関係なんです。もう一つは、憲法との関係はクリアされているんだけれども、適合しているんだけれども、独立性の程度をどこまで確保することが立法政策上いいのかという判断。この二つは違うと思うのです。憲法に適合するためにはこれだけのものは必要ですよ、これだけコントロールできることは必要ですよ、そうしたら憲法に適合できますよ、それ以降の話です。それ以降の立法裁量として、政策判断として中央銀行の独立性の程度をどの程度認めることがいいのかという問題、これは別問題でございますので、この前者と後者を立て分けてちょっと議論をしたいと思っているのです。
 まず、憲法との関係についてお聞きをしたいと思うのですが、これは言うまでもなく憲法六十五条に「行政権は、内閣に属する。」とございます。また六十六条三項で、「内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。」さらには七十二条で、内閣総理大臣の職務として、内閣総理大臣は行政各部を指揮監督するんだ、このような議院内閣制の日本の憲法秩序、統治行為に関する憲法秩序が規定をされているわけでございます。これとこの日本銀行の独立性の問題との関係を、私はやはり当委員会できちんと議論しておく必要があるだろうと思うわけでございます。
 きょうは法制局に来ていただいておりますので、しばらく法制局と議論をさせていただきたいのですが、この新しい日本銀行法案の中で規定されております日本銀行の行う業務の中で、憲法で言う行政に含まれるものはあるんでしょうか、御答弁をお願いいたします。
○阪田政府委員 御案内のように、行政とは何かというのを積極的に定義するということは大変困難であります。したがいまして、行政とは国家機能のうち、立法及び司法という二つの機能を除いた残余の部分であるというのが従来の公法学上の一般的な理解であるというふうに承知をしております。
 そうした目で日本銀行の行っております業務を見ますと、まず、日銀券の発行、これは現在の法案の第四十六条に規定されておるわけでございますが、これは国の通貨発行権に基づくものであり、そういう意味で行政であるということはまず間違いがない。さらにまた、市中の銀行等に対して無利子での預金を義務づける準備預金制度というのがございますけれども、その準備預金制度の中で準備率を決定する機能、これも日銀が有しております。さらに、この準備率の決定であるとかあるいは通貨発行権を前提とした公定歩合操作等を通じて行いますところの通貨、金融の調節実施といった業務、これら一連のものは少なくとも行政に当たる、日銀が行う場合には行政権限の行使になるというふうに考えております。
○北側委員 今のお話は、通貨発行権、これはもともと国が持っているものだ、それを日本銀行が代行しているんだ、これはだから行政をやっているんだ、それから準備率の決定、これも強制的にやりますので、これも行政だ等々おっしゃっているわけでございまして、日銀の大事な業務の中に行政である側面があるということをおっしゃっているわけでございます。
 とすると、この憲法六十五条や六十六条三項等に違反しないのかという問題が出てくるわけですね。ここは法制局いかがなんでしょう。
○阪田政府委員 先ほど先生の方からも御指摘がございましたけれども、従来、公正取引委員会など、その所掌する事務について内閣ないしは主任の大臣の個別具体の指揮権が及ばない仕組みになっておりますいわゆる独立行政委員会でありますが、これの憲法適合性について国会の場でも何度か議論をされているというように承知しております。
 これらの行政委員会につきましては、私どもとしましては、次の二つの条件を満たす場合には憲法上許容されるというふうにお答えをしてきたわけであります。
 すなわち、第一に、その所掌する事務が政治的中立性の確保、専門的、技術的な知識または対立する利害の調整が必要とされ、公正かつ中立に行われることが特に要請される行政事務であることという、その業務といいますか事務の性格が第一点であります。それから第二に、内閣が、あるいは内閣のもとにある主任の大臣がということでありますけれども、その行政委員会に対して人事、財務等を通じて一定の監督権を行使できる仕組みになっているということ。この二つの条件が必要であるというふうにお答えしてきておりますし、こうした考え方は学説上もおおむね通説であるというふうに考えております。
 日本銀行は行政機関ではもとよりないわけでありますけれども、先ほど申し上げましたような意味で、行政権限を行使する主体であるということは間違いがない。そういう意味で、日本銀行につきましても、独立行政委員会と同様にこの二つの条件を満たすということが憲法上必須の要請であるというふうに考えております。
 そこで、今回の日本銀行について見ますと、まず第一に、その業務の性格でありますけれども、これは先ほど委員からも御質問があり、大蔵大臣、日銀総裁がお答えになったように、政治的な中立性を確保して行っていく必要があることだということで、そこはまあ是認されるであろう。
 それから、第二番目の問題として、じゃ、内閣による監督権についてどうなっているかということがあろうかと思います。
 現在御審議いただいております日本銀行法案におきましては、現行の日銀法に比べますと大蔵大臣の関与の程度というのは相当に後退しているといいますか、限定されておるわけでございますけれども、なお、例えば総裁、副総裁及びその他の政策委員会の委員の任命権、これは内閣において保有しております。また、法案の五十一条でありますけれども、その経費の予算は大蔵大臣の認可が必要であるとされておりますし、さらに大蔵大臣には日本銀行に対する違法行為等の是正措置を求める権限等を付与しております。
 こうした一連の監督権限に照らしますと、内閣が日本銀行の業務について責任を負い得ると言えるだけの枠組みが整えられているというふうに考えられますので、憲法六十五条等との関係では、従来の独立行政委員会の対比におきまして、問題がないというふうに判断しておるわけでございます。
○北側委員 日本銀行についても独立行政委員会と同様に考えればいいという御答弁でございます。そして一つは、事務の性格上、公正、中立の要請があるということ、二番目に、人事、財務を通じて一定の監督ができるということ、この二つの要件が担保されていればいいのだというお話でございまして、それからすると、日本銀行法案は憲法に適合しておるというお話でございます。
 それで、ここでお聞きしたいのは、今回の法案の中で、政府と日銀との間の関係、特に日銀と大蔵大臣でございますけれども、さまざまな関係を規定しておるのですね。
 ちょっと私が、私なりに分類をしましたら、漏れていると思いますけれども、日本銀行の組織とか、日本銀行の意思決定とか日本銀行の業務とか、それから日本銀行に対する監督とか、三つに類型を分けまして条文をずっと見てみますと、日本銀行の組織という側面からは、例えば大蔵大臣の認可によって支店等の設置ができますよという規定がございます。これは七条ですね。それから大蔵大臣の認可によって定款の変更ができますよ、これは十一条です。それから政策委員を初めとする役員の任命権をやはりこれは内閣もしくは大蔵大臣が持っておる。こういう日本銀行の組織という面から、大蔵大臣がコントロールできるようになっておるわけですね。
 次に、日本銀行の意思決定とか業務という側面では、例えば大蔵大臣等が政策委員会への出席、意見陳述、議案提出、議決延期請求等々ができるという規定が十九条にございます。また大蔵大臣の認可によって資金決済の円滑に資するための業務ができるという規定、これが三十九条にございます。これは意思決定や業務に関して政府が日銀をコントロールしていく手法でしょう。
 そして、三つ目の日本銀行に対する監督という側面で、これはたくさんございまして、例えば給与基準、服務準則の大蔵大臣への届け出、これが三十一条、三十二条にございます。それから経費の予算を大蔵大臣に提出、認可、これが五十一条。さらに財務諸表等の大蔵大臣への提出、承認、これが五十二条。金融調節業務の報告書を大蔵大臣を経由して国会に提出する、これは五十四条。違反行為等に対する大蔵大臣の是正命令、これは五十六条。大蔵大臣の求めによって日本銀行の監事に対して監査を求める、これが五十七条。さらに大蔵大臣の求めによりまして日本銀行から報告、資料提出を求めることができる。こうした日本銀行に対する監督機能が規定をされておるわけです。
 私、以上十二項目について今整理をしてお話をしたわけでございますが、法制局、日本銀行が憲法六十五条等に適合しているためのミニマムの、必要最小限の要件としてはこれとこれがあれば憲法に適合するというふうにどこで線を引くのかということなんですけれども、先ほどの話だと人事、財務ということをおっしゃいましたが、また、この人事、財務は両方とも必要なのか。だから、恐らくこの政策委員を初めとする役員の任命権を持っているということが、これはまず憲法適合性の大前提なんでしょう。それ以外には、今回の日本銀行法案の中でどこまで憲法上これは求められるところなんでしょうか。
○阪田政府委員 大変難しい御質問でありますけれども、今先生が御指摘になりました大蔵大臣の持っている種々の監督権というもののうち、一つは、日本銀行が内閣の組織ではない、国家行政組織法に規定されている組織ではなく、国とは別の法人であるという部分に由来しているものが相当あるということはまず御留意いただきたいと思います。
 例えば今の組織の問題でありますけれども、これは国の中の機関であれば、例えば公正取引委員会といえどもその新しい組織の設置については総務庁なりあるいは大蔵省なりの予算査定を受ける、国会の御審議をいただくというようなプロセスをたどるわけでありますが、日本銀行はたまたま国の機関ではありませんので、そういう手当てがないというようなこと。
 それから業務につきましても、国の機関であれば、これはもう直接法律で書かれてしまっていて、それより以上に広がりようがないわけですけれども、民間の法人でありますから、そこはまた違う。
 あるいは給与につきましても、国家公務員の場合であれば、給与法があって、それに外れた運用をすることはあり得ないわけでありますけれども、日銀の場合の給与というのは法定されていないというような違いがあるというところは一つ前提として申し上げたいと思います。
 御質問の件でありますけれども、従来問題になりましたのは、この種の組織ではなくて、専ら独立行政委員会でありますものですから、独立行政委員会について何を持っているかというと、要するに人事と予算の機能であるということで、人事、予算、いずれか一方しかないような独立行政委員会があったという例はこれまではないわけであります。そういう意味で、従来、私どもとしましては、内閣が人事、財務等を通じて一定の監督権を行使し得るという条件が満たされる場合には合憲であるというふうに申し上げてきたところであります。
 それで、日本銀行について、これは通貨発行益を主たる収入源としているわけでありますけれども、その日本銀行の経費予算について、仮に御指摘のように行政府が全くチェックできないというようなことでもいいのか、あるいは今挙げられましたいろいろな権限のうち一部がなくてもいいのかというところは、なかなか個別具体に判断することは難しいわけでありますけれども、つまるところは、果たして与えられたこれだけの権限でもって適切な業務の監督が大蔵大臣においてあるいは内閣において行い得るのかどうか、またその結果として、行政をつかさどる内閣が日本銀行の行う業務に国会に対して責任を負うことができるのかという点に帰着するのであろうかと思います。
 こうした観点から見ますと、どの部分が欠ければ直ちにいけないということを今すぐに申し上げる自信もないわけですけれども、どの部分は欠けていいと申し上げる自信もないということでお許しいただきたいと思います。
○北側委員 じゃ私の意見を言いますと、憲法との関係だけ言いましたら、役員の任命権を政府が持っておる、これは絶対必要であると思いますね。もう一点、予算の問題です。今回の法案は、経費の予算を大蔵大臣に提出し認可を求めるということになっておるわけでございますが、例えばこれについて国会の方に決算を報告する、会計検査院の検査を受けるというふうな形であっても、恐らく憲法上は議院内閣制の趣旨からいうと適合するのであろうというふうに思われまして、先ほど申し上げた十二項目のうちこの二項目を除きましては、これは憲法適合性の問題ではなくて、恐らく立法裁量、政策判断の問題なんだろう。だからこの部分については、独立性の程度としてどこまで認めるのが妥当なのかどうかという、まさしくそういう立法裁量の問題であるというふうに思うわけでございます。
 そこで、ちょっと時間がなくなってきましたけれども、個々的に聞いていきますが、例えば政策委員会の位置づけの問題でございます。金融政策の決定に当たって政府と日銀との間で緊密な連携が必要なのは当然な話でございますが、この政府関係者の出席、意見陳述権の問題でございます。
 まず大臣、この法文上は大蔵大臣が出席するということになっておるわけでございますが、大臣、この法が施行されるときに大蔵大臣かどうかわかりませんが、仮に在任中であったとしたならば、大蔵大臣は可能な限り出席する意思があるというふうに考えてよろしいですね。
    〔委員長退席、柳本委員長代理着席〕
○武藤政府委員 基本的考え方だけちょっと御説明させていただきます。
 すなわち、大蔵大臣及び経企庁長官がみずから出席する必要があると判断したとき及びその代理の者を出席させると判断したときに政策委員会に出席いたしまして意見を述べるということでございますので、常に大臣が出るわけではございません。やはり政府としての立場から専門的な意見を述べる必要がある場合も十分考えられるわけでございまして、政府の一般職の公務員が出るということが十分考えられるわけでございます。
○北側委員 私、そんなことを聞いていないのです。大臣、これは十九条の一項で、大蔵大臣は必要に応じて出席して意見を述べることができるというふうにあるのですが、可能な限り出席する意思がございますかということを大臣に聞いているわけなんです、毎回出ろなんということを言っているわけじゃなくて。
○三塚国務大臣 大変大事なときというとちょっと、それはどういうときだ、金融危機、こうなるわけです。そういうときには出ますし、またできる限り大臣として、国会との日程が調整できたとか、外国会議の調整がうまくいったとか、そっちは出なくちゃいけないというときは代理を決めさせていただく、こういうことです。
○北側委員 そこで提案なんですが、大臣、この法文からすると、原則はやはり大臣がしっかり出なさいよという趣旨だと私は思います。そうしますと、大臣は可能な限り出席する、仮に諸般の事情で出席ができない場合には、政治家である政務次官が出席するんだというふうに私はすべきだと思うのですが、いかがでしょうか。
○三塚国務大臣 私はそうしますけれども、その都度大蔵大臣が、本件はかくかくしかじかで○○君、かくかくしかじかで○○局長、可能性は排除できないと思うのですね。ですから、原則は大臣が出ます、しかしやむを得ない場合には指名をします、そこで御信頼をいただく、こういうことじゃないでしょうか。
○北側委員 いや、だから職員の人が行くのはいけないと言っているのじゃないのですよ。大臣が出席できなければ、そのために政務次官が大蔵省は二人いるわけですから、そういうときにこそ政務次官が大臣にかわって出席すればいいのじゃないか、そこをしっかりやるべきだということを私は申し上げているわけなんです。まだこの法案の審議は続きますから、ぜひこれは検討していただきたいと思いますね。
 本当は質問したいことがたくさんあったのですが、政務次官がいらっしゃっているのでちょっと政務次官にお聞きしますが、結局憲法上の問題としては、先ほど申し上げたように、人事権の問題と、それから財務、予算を何らかの形でコントロールできれば憲法上は適合するわけでございます。あとは立法裁量の問題なんです、どこまで独立性を認めるかというのは。私が思うには、やはり今回の日銀法案というのは、独立性の強化と言っている割には、日本銀行のことが心配なのかどうかわかりませんが、まだちょっと政府がおせっかいをやき過ぎじゃないのというふうに私には思えるところが幾つかあるわけなんですね。
 政務次官、ただ一方では私は、政務次官がおっしゃっているように、中央銀行に対する独立性を強化して、ほっておいたらいいのか、それはそうじゃないと思うのですね。やはり民主的なコントロールというのが何らかの形でされていく必要があるのだろう。それが大蔵大臣だとか、また政府がやるのがいいかどうかは別にして、何らかの形での民主的コントロールを確保していくということがやはり大事なんだろうというふうに思うわけでございます。そのためには私は日本銀行の自主的な努力というのも極めて大事だと思うのですけれども、中村政務次官、その中央銀行に対する民主的コントロールのあり方がどうあるべきなのか。前も大蔵委員会で種々、私は見識のある御意見だと思いますけれども、御意見を述べられておられます。いかがですか。
○中村(正)政府委員 前の私の答弁にも関係しての御質問でございますので、大臣がいらっしゃるのできょうは大臣が答弁するのが本当だと思いますが、答弁させていただきたいと思います。
 先ほどから独立性の問題とかいろいろな問題が出ておりましたけれども、独立性を持たせるという意味で国家行政組織法の三条委員会の話が出ておりましたけれども、一つ、行政の中の三条委員会であるか、そうでない法人であるかという問題の仕切り方と、それから今言った、憲法違反であるか違反でないかという法制局の御答弁がありました、そうした仕切り方とあると思うのですね。
 やはり何のための独立性かと言えば、インフレ圧力的な金融政策が行われてはいけないから、中立な立場から、その専門的知識を持って公共の利益になるような金融政策をやるための独立性ということだと思うのですね。しかしながら、それはすべて国民のために、国民の公益のためにやることでありますから、そこで今先生のおっしゃられました民主的コントロールとか国民との関係というものが大切になってくるのだと思います。
 ですから、大蔵省からの独立とか政府からの独立とかいうこととともに、行政は内閣が行って、その内閣は連帯して国会に責任を持ち、我々議員は国民に対して責任を持つという、この民主主義のルート、これをどういうふうに確保しておくかということ、そして日銀の政策にどういうふうに国民の意思が反映されるのだというところが、この独立性の関係といつも論じられるところだと思うわけでございます。
 そういう意味で、今度の提出させていただいております法律案の中にははっきりと規定が盛り込まれているわけでございまして、国民経済の健全な発展に資するためという目的があり、そのために物価を安定させるということであります。そして、通貨及び金融調整が経済政策の一環、日銀の行う行政的な仕事が政府の経済政策の一環をなすものであることを踏まえて、政府の経済政策の基本方針と整合性を持つように、常に日銀と政府が協議をしなければいけないということになっているわけでございまして、そういう面から、日銀が、今度の法律案では国会に出て説明する義務を負うわけでございまして、そうした国民の代表たる国会に対する責任のとり方、説明、アカウンタビリティーといいましょうか、そういったものがきちっと法律案に盛り込まれているわけでございまして、そうした民主的なコントロールという意味では、前の法律から比べれば、全くきちっとした規定が盛り込まれたというふうに思っております。
 ただ、国民と中央銀行の関係ということにつきましては、世界各国の中央銀行それぞれの思いがあり、それぞれの形式があり、またそれぞれのいろいろな疑問と申しますか議論もあるところのようでございますが、私どもといたしましては、金融制度調査会の答申に基づきまして、こうしたシステム、さっき大臣が御答弁されたような独立性の確保とそして民主的なルールの融合ということで、この法律案をまとめさせていただいたということでございます。
○北側委員 これからまだ委員会の質疑が続きますので、各論の問題、ちょっといろいろ準備してきたのですけれども、これはまた来週にでも質問をさせていただき、明確にしたいと思います。
 今回の法案の中で、政策委員会十五条の三項でございますが、政策委員会が日銀の役員の職務執行に対する一般的な監督権を規定されております。これの立法趣旨というのは、私はやはり日本銀行の自主的な監査監督機能というものを強化しようとするその一環だと思うのですね。一つは、監事制度を充実して、そしてこれも本当はお聞きしたいのですけれども、一人は外部から引っ張ってきたらどうなのだというお話がございます。こういう外部監事を招く。さらには、こういう自主的な監査機能の強化を図っている。さらに、政策委員会による監督規定というのを設けた。これも自主的な監査体制の強化、監督機能の強化でございます。
 そしてきょうは、本当に済みません、会計検査院に来てもらっておるのですけれども、会計検査院による検査も、私は独立性が強化されればされるほど充実をしていく必要があるのだろうというふうに思っているのです。この会計検査院による検査の充実を図るべきである。さらに、国会への報告がなされる。これも国会への報告を強化していくというふうな、日本銀行の業務とか財産状況に対するチェックというのをできるような仕組みがあるわけですね。それ以上、先ほど私十何項目か申し上げましたけれども、果たしてここまで大蔵大臣のチェックが必要なのかねと思える部分があるわけでございまして、これはまた来週にでも各論の議論をさせていただきたいと思います。
 私、最後に、総裁に御答弁を求めますが、独立性の強化というのは、一方でやはり今申し上げましたような自主的な監督監査機能を強化していくということが私はこれから極めて大事になると思いますし、それをきちんと国会や国民にわかりやすく報告をしていくということ、透明性の強化も極めて大事だと思います。そういう意味におきまして、日銀総裁が、今回の日銀法の改正に伴いまして、こうした自主的な監査機能等をどうされようとされておられるのか、その辺の御答弁をいただいて終わりたいと思います。
○松下参考人 今回の改正によりまして、金融政策の決定、遂行における中央銀行の独立性が高められるということは、あわせて当然に政策決定の透明性も高めなければならない。また、この中央銀行が政策決定に対して持っております責任が非常に加重されることを自覚いたしまして、自主的な努力をしなければならないということであると思います。
 したがいまして、この日銀法の改正に加えて、日銀自体が国民に対して重大な責任を負うということを自覚いたしまして、適切な政策業務運営に向けて努力をいたしますと同時に、また内部の規律の維持、効率の向上といったような点につきましても格段の努力を行っていく責任があると考えております。
○北側委員 時間が参りましたので、以上で終わります。また改めて、次の機会にさらに質問をさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
○柳本委員長代理 次に、鈴木淑夫君。
○鈴木(淑)委員 新進党の鈴木淑夫でございます。
 引き続きまして、日本銀行法案について、主として大蔵大臣並びに日本銀行総裁に質問をさせていただきたいと思います。
 御案内のとおり、現行日本銀行法は昭和十七年、戦時下に制定されたものでありまして、ナチス支配下のドイツの中央銀行法を範にしておりますので、まことに時代おくれのものになっております。戦後、政策委員会の規定が木に竹を接ぐようにくっつけられましたが、その結果、政策委員会の権限と大蔵大臣の指示権のどっちが強いのかわけがわからぬというような、いわば欠陥を含んだ法律になっておりますので、今回政府が御提出になりました日本銀行法案、これは、これから御質問申し上げますように、まだ問題点はあると思っておりますが、現行法に比べれば格段の改善でございます。むしろ遅きに失した改正という感じを皆様方お持ちだと思いますので、この改正の意義は高く評価いたしますし、方向性、特に金融政策の独立性、日本銀行の独立性を強化するという改正の方向性につきましても全く賛成でございます。
 ただ、よく見ていきますと、私も今質問をしておりました北側委員と同じように、もう少し日本銀行の、あるいは金融政策の独立性を強化した方がいいのではないかなというふうに思っておりますから、そういう角度からの質問になります。
 初めに、三塚蔵相と松下総裁に基本的なことをお伺いさせていただきたいんですが、それはもう今まで何度も答弁したよとおっしゃりたいかもしれませんが、なぜ金融政策の独立性が必要なんだということなんです。特に私がお伺いしたいのは、独立性というのは一体何からの独立性が必要なのかという点にウエートをかけてお尋ねをしたいと思います。蔵相、お願いいたします。
○三塚国務大臣 独立性、対象は何か、こういうことでありますが、基本を申し上げますと、議院内閣制のもとにおける行政は、すべて国会のチェックを受けることは御案内のとおりであります。日本銀行が行政機関なのか、行政機関ではないのか、こういうことでありますと、前から見ると認可法人としての特殊法人かな、後ろから見るとやはりこれは政府と一体となって時に業務を行う、こういうことを見ますと、やはり行政機関かな。それと、この業務内容が極めて公的色彩の強いものであり、日本の経済、金融の基本的なキーを握っておるということで極めて重要ということで、議院内閣制の基本を踏まえて、国会への出席義務、報告義務、こういうものが明示されたことは、そういうことであります。
 しかしながら、どれから独立するのかということで特定して、それは国会からであるということは国会からは言えない立場にあるわけでありますし、しからば政府が。政府といえども完全に独立するかということであれば、協調、連携のもとに自主性を保ちながら、金利という専管の項目を物価政策の基本として、最終的には国民生活の安定のためにこれに立ち向かうということでありますと、自主的な判断をしていただくということで、鈴木委員が言われましたとおり、数々の分野において独自にやれる分野を決めたわけでございますから、そこで担当していただく、こういうことになっておると思います。
○松下参考人 若干繰り返しになりますが、金融政策にとりまして重要なことは、インフレなき経済の持続的成長を図るという中長期的な観点に立ちまして、短期的な特定の利害に偏らずに中立的に政策運営を行ってまいりますこととあわせて、金融、経済のメカニズムに関する専門的な知識経験や政策運営の現場での実務能力を生かすということ、ここにあると考えられます。
 こういう次第で、主要国におきましても、中央銀行と政府、議会との適切な関係を前提としながら、個々の政策判断につきましては、中央銀行の中立的、専門的判断にゆだねて政策運営の独立性を尊重するとともに、責任の所在を明確にするという仕組みにすることが適当であるという考え方が一般的でございます。
 今回の法改正もそのような方向に向かっての大きな改革であると思いますが、そういうことでございますので、日本銀行が市場からの信認を得て金融政策を行うための金融政策の独立性というものが求められておりますけれども、そのことは、政府なりあるいは国会なりから完全に独立した存在としての日本銀行をつくることかということになりますと、そうは言えないわけでございまして、政府と日本銀行との間の、あるいは金融政策と経済政策との間の調整、あるいは一つの組織としての、広い意味での行政の分野の中にある組織としての制約というものもございますので、ここはやはりその間の調整に関するもろもろの規定を備えたものになっております。
 したがいまして、どこからの独立ということが重要と申しますよりも、中立、公正な金融政策を行っていく上での独立性というものが私どもは重要であるというふうに理解をいたしております。
○鈴木(淑)委員 どうもありがとうございました。
 私は、今お二方のお話を伺いながら、特に松下総裁がおっしゃった中長期的な観点から物価の安定を通ずる経済成長、あるいは総裁はおっしゃいませんでしたが信用秩序の維持を図る。この中長期的な観点というのが大変大事なんだと思います。
 もちろん日本銀行が完全に独立した存在ということはあり得ないわけでありますが、一定の期間、任期中は政策委員は金融政策の理由で罷免されないわけですね。だから、その期間、五年なら五年というものは、これは完全に独立しているというのが今度の政府提出法案の考え方で、私もこれは大賛成でございます。
 ですから、三塚蔵相おっしゃいますように完全な独立というのはないんですが、しかし、一定期間は本当に独立している。金融政策の決定に関する限りは独立している。これは金融政策を理由に指示したり罷免したりできない。
 それじゃ、なぜ一定期間に区切って独立させてやるのか。これはもう長い間の主要先進国の歴史の中から出てきた知恵だと思うんですが、私は、ずばり申しまして、時の政府、あるいは議会制民主主義でありますからそのバックにいる議会の多数派、そういう意味では政治家からの独立だと思うんですね。政府あるいは政治というものは、どうしても目先の問題にとらわれがちであります。目先の経済情勢、場合によっては目先の政治的な配慮といったものにとらわれて判断をいたします。しかし、長い経験から、そういうものに金融政策が振り回されるとえらいことになるということが、さまざまの失敗を通じてみんなわかったわけですね。
 というのは、金融政策というのは効果が波及していくまでに、財政政策よりもはるかに時間がかかる。大体、モデルを使ってシミュレーションしますと、二年は間違いなく波及しているんですね。はっきり効果が出てくるまでに半年ぐらいはかかるというのが普通でございます。ですから、少なくとも半年、一年先の経済動向を一生懸命予測しながら、予防的、早目早目の政策をとっていかなきゃいけない。
 ところが、これは金融政策の専門家ではない人、特に目先の問題でぱっぱっと判断して動いている政府あるいは政治家にはなかなか理解しがたいところがある。だから、ついうっかり制約を加えていく。ああしろ、こうしろと言う。しかし、そういう短期的な配慮で制約を加えた結果、各国ともいろいろ失敗を重ねたあげくに、金融政策に関する限りは、一定期間の完全な独立を与えてやるというのが知恵として出たんだと思います。
 そういう意味ですから、もちろん日本銀行と政府は大いに意見交換をし、話し合い、政策の調整を図らなければいけないが、しかし、その調整という意味が政府あるいは政治からの要請に耳を傾けて金融政策を曲げるということであってはいけないのであって、自信を持って中長期的観点から物価安定あるいは信用秩序の維持を図る、そういう金融政策をとるということが肝要だと思います。
 しかし同時に、その金融政策をとったときは、常にその背後にある考え方、こういうふうに考えて場合によっては政府が言っていることと違う、あるいは政府の政策方向と短期的に見ると違うことをとるかもしれませんから、その理由をしっかりと国民に明示するという意味で、透明性のある独立性でなければならない。いわゆるアカウンタビリティーを確立しなきゃならない、こういうことになるのだと思います。その意味では、今回の日本銀行法案には国会に対する最低年二回の報告というのがありまして、そこでなぜ日本銀行はこういう金融政策をとったかということを御説明申し上げるということでありますので、私はこの考え方は大変結構だと思います。
 ただ、なぜ最初にこういう質問をしたかといいますと、ついつい、やはり日本銀行だって政府と話し合ってください、金融政策だってほかの経済政策と調和させてくださいと言いますが、実は一定期間に限っては金融政策は完全に独立しているんだということ、これを忘れないでいただきたい。それは、中長期的観点というのはすごく大事だということから出ているというふうに思います。
 長い歴史の中の知恵として出てきたと申し上げましたが、そういう意味では日本の知恵は大分立ちおくれていたところがあると思うんですね。というのは、第二次大戦後だけ見ても、私は、戦時立法の日本銀行法下にあったために金融政策の独立性が脅かされまして、日本経済の運営に失敗したことがあると思います。私自身三十四年間日本銀行におりましたから自分自身の反省を込めて言うわけでございますが、少なくとも二回、大変国民に迷惑をかけるような失敗をしたと思っております。私、そのことは率直に実は本にも書いておりまして、私事にわたって恐縮でございますが、ここにあるのは岩波新書でございます、この「日本の金融政策」という私が書きました本の中でも、二度大失敗をしたということを書いております。しかし同時に、その理由は、現行日銀法のもとで金融政策の独立性が脅かされたからだというふうに私は書いているんでありますが、これは私の見解です。
 三塚大蔵大臣、それからまた松下総裁、私はやはり現行日銀法のもとでは独立性が脅かされていて、そのために失敗したということがあったと思いますが、もしそういうお気持ちをお持ちでしたら、もう法律は改正されるんですから、この際ひとつ、あのときのこういう点はまずかったが今度の法律のもとではああいうことは起きないということを御説明いただければありがたいと思います。三塚蔵相いかがでございましょうか。
○松下参考人 御指摘のように、現在の日銀法は昭和十七年の制定でございますから、政府の広範な監督権限など、法の制定当時の雰囲気を色濃く反映したものとなっております。ただ、このような法律上の制約にもかかわりませず、これまでのところは、戦後の時代におきまして各方面からの理解を得ながら制度の運営は注意深くなされてまいっておりまして、その点で、日本銀行は基本的にあくまでみずからの判断と責任で金融政策を行うように真剣に努力をしてまいった、そういうふうに考えております。
 ただ、先行きを展望いたしますというと、経済の市場化あるいは金融の国際化が一段と進展いたしますもとで、中央銀行に対する信認を維持しながら適切な政策運営を確保していくというためには、やはり現在の法律では十分に対応し切れない場合が生じるおそれがあると思います。今回の改正案は、まさにこの点を踏まえまして、二十一世紀にふさわしい中央銀行制度の整備を目指す内容となっているものと考えております。
○武藤政府委員 ただいま委員から御指摘のありました二度というお話は、恐らく過剰流動性の一九七〇年代の初めとバブルのときというような御指摘かと思います。
 ただそのときに、いろいろなことを今の時点になりますと反省されるわけでございますけれども、御指摘のように財政政策との関係でそういうことが起こったのか、あるいは独立性ということが特に問題となってそういうことが起こったのかということについては、いろんな考え方があるのではないかと思います。
 確かに御指摘のありましたように、現行日銀法は大変古い体裁のものでございますが、戦後の運用の長い期間の学習によりまして、最近におきましては、日銀の実質的な独立性というものが私どもとしては十分確保されたような、自主性の確保されたようなそういう運用がなされてきているのではないかというふうに考えております。
 今後また、改正日銀法のもとではそれを一層高める、あるいはディスクロージャー等を通じてそれが透明なものになるというふうに変わっていくものというふうに理解しております。
○鈴木(淑)委員 総裁のお立場では、やはり昔の総裁が失敗したよと言うわけにはいかないので、どうしても今のようなお答えになるんだろうと思います。
 それから武藤さんが言われるように、二回の失敗についていろいろな解釈があり得るということは、そのとおりですね。ただ、私自身は日本銀行の内部におっていろいろ経験もし、それからエコノミストとしてほかの方の書いたものを分析したり数字をいじったりした上での結論として、今本にも書き、国民の皆さんに言っておりますのは、過剰流動性のとき、あれは、御承知だと思いますが昭和四十七年に田中内閣ができたですね。四十七年に物すごく大きな補正予算を組みました。それから四十八年度は福祉元年予算と称して、これもたがの外れたようなすさまじい予算を組んだんですね。そういう列島改造計画に乗って物すごい勢いで財政を膨らましている田中内閣のもとで、実はもう四十七年の終わりごろから卸売物価が上がり始めたんです。
 本来なら、本来ならというか私は日本銀行の内部におりまして、これはえらいことになってきた。その前の、円切り上げが四十六年にありまして、切り上げのためのデフレが来るかと思ってびくびくしたんですが、それどころじゃないぞ、この財政政策で内需をあおられたらインフレが心配だねということで日本銀行の内部ではもう四十七年の終わりにその議論をして、四十八年の初めにはしようがないから準備率をちょっといじって上げたりしているんですが、公定歩合の引き上げがとうとう四十八年の四月になるんですね。ところが、もうその間インフレ率はぐんぐん上がってくるし、名目成長率も物すごく上がってくるわけでございます。
 このときなぜあんなに公定歩合の引き上げがおくれたんだろうかということについては、やはり現行法のもとで、総裁に対する罷免権も内閣が持っておりますし、政策の指示権も持っておる、そういうものがある。まあちらつかされてと言うとちょっと語弊があるかもしれませんが、私はちらつかされたんだと思っております。そういうもとでは、あのときはこういう金融政策のおくれ、これが例の過剰流動性の発生と大インフレ、あげくの果てに、不幸にしてさらに第一次石油ショックが来たものですから狂乱物価という状況になってしまったわけであります。
 それから二度目の失敗は八〇年代後半、ついこの間のバブルの発生とその崩壊に伴う現在に至るまでの金融システム不安、これに伴う経済の長期停滞であります。あのときも、八〇年代後半、特に四十六年、七年に、金融政策だけに内需拡大、それによる過度の円高防止という役割がかかった、この結果だということは、実は非常に控え目な表現ですが、ここに「資産価格変動のメカニズムとその経済効果」という分厚い報告書があります。
 これは、大蔵省の財政金融研究所において資産価格変動のメカニズムとその経済効果に関する研究会というのが持たれまして、座長は館龍一郎東大名誉教授でございます。あとは、野村総研理事長の私と日経センター理事長の香西さんを除くと全部大学教授で全部で八人、館さんを入れて九人になるんですね。これはあくまでこの九人の専門家の意見です。大蔵省の意見ではありません。しかし、大蔵省の財政金融研究所で、その研究所長さんの私的諮問機関みたいな格好でやっていますから、当然大蔵省の影響が明らかにありましたが、それでも僕はこのとき御立派だったなと思うのは、このときの次官は尾崎次官です。尾崎次官が、これはもう自由に学者たちに議論させろ、歴史の証言として残せということをおっしゃったものですから、各省からえらい圧力がかかったのですが、控え目ながらこういうことを書いております。
 八五年末から八七年前半にかけての期間は、明らかに金融政策にウエートがかかってしまったよと。これは、財政改革が強力に推進されていた、それ自体は財政体質改善のためにやむを得なかったんだけれども、しかし、そういう要請がポリシーミックスを決める上で金融政策に非常なウエートをかけてしまったという我々専門家の評価がございます。
 私は、ですから二度目の失敗も、今出ている日本銀行法案のもとでは起こり得ない、やはり政策に対する指示権と総裁に対する罷免権が内閣あるいは大蔵大臣にあることから生まれたと思っております。実は、私はこのときはもう既に理事でございますから、かなり詳細に動きを知っておりますが、そんなことはまだしゃべっちゃいけないと思って、具体的なことは書いたりしゃべったりしておりませんが、これは明らかに圧力があったと私は感じているのであります。
 ですから、大蔵大臣あるいは日銀総裁は過去の失敗を認めるわけにはいかないかと思いますが、しかし、歴史の証言という意味では、明らかに現行日銀法のもとでは、そういう金融政策の独立性が脅かされたがゆえに国民に大迷惑をかけるような大インフレーションやバブルの発生、崩壊が起きている。全部がそうだとは言いませんが、金融政策の独立性喪失からきた金融政策の失敗が大きな原因になっているということはやはり認識しておかなければいけない。そうでないと、今出ている法案の意義を十分に評価できないというふうに私は思います。
 さて、しかしながら、今出ている法案は、そういう現行法の最も問題のあるところが全部直っているという意味では私は評価をするものでありまして、例えば金融政策の目的が、とんでもないナチスばりの、国家総力のどうのこうのという話ではなくて、物価の安定と信用秩序の維持ということになっておりますし、それから大蔵大臣の指示権はなくなって議決延期請求権になっている、それから内閣は金融政策の理由で政策委員を総裁を含めて罷免できない、それから政策委員会そのものが利益代表のような現行の制度から識見を有する者ということに変わって、恐らく非常に活力のある政策委員会に変わるのではないかと思いますから、この四点は非常に評価するものであります。
 御記憶にあるかと思いますけれども、実際は、この指示権をちらつかせた一番最近の例は橋本総理なんですね。八九年十二月に、当時の橋本大蔵大臣が、公定歩合引き上げを白紙撤回させると言ったわけですね。これはもう明らかな指示権であります。実際に、しようがなくて日本銀行は一度、そのときの総務局長が白紙撤回すると記者会見でしゃべった。これは指示権をこういう形で使ったということだと思います。それから首切る方の話は、例の有名な話は金丸さんですね。言うこと聞かない日銀総裁なんか首切っちゃえということを大っぴらに言った。
 ですから、今言った四点の改正というのは、抽象論で、ああ、よかったねなんという話じゃない。現実に金融政策の独立性が脅かされた事例がついこの間にもあったということですから、その意味では、大変結構だというふうに思っているわけであります。
 しかし、ここに出ている日本銀行法案でも、私はまだちょっと金融政策の独立性が脅かされる懸念ありと思うような、大蔵大臣の監督権が残っているんですよね。定款は、大蔵大臣の認可が要りますね。支店をつくるのも認可が要る。それから年に二回の日本銀行の国会に対する報告も、直接国会に報告に来ればいいものを大蔵大臣経由になっているのですね。これはやはり日本銀行が認可法人であり、それが大蔵大臣の監督下の認可法人だから、法律の構成上どうしてもこうなってくるのだろうというふうに思います。
 しかし、私ども新進党は、もう少し日本銀行の独立性を強めるために、そしてさらには中央省庁の整理統合を含む大きな行政改革という流れの中で考えますときに、いま一歩踏み込んで日本銀行の独立性を確保するような組織があり得るというふうに考えております。それは、昨日も、橋本総理それから三塚大蔵大臣も御出席をいただきました行政改革の特別委員会で私申しましたが、日本銀行の政策委員会を国家行政組織法上の三条機関にしてしまうという案でございます。
 そういたしますと、これは政策委員会というものは大蔵省と対等の立場になりまして、一々大蔵省の認可を受けない、大蔵省の監督下には入らない対等の立場で、内閣で総理大臣の下に入るということになります。これは日本銀行全体を三条機関にしてしまえなんと言っているのじゃないんですね。政策委員会だけを三条機関にする。そして、この三条機関としての政策委員会の監督下に執行部隊としての日本銀行を認可法人として入れる。ですから、日本銀行の執行に対して、政策的な見地からああやれ、こうやれということを指示していくのは、三条機関としての政策委員会であるという形であります。これですと、日本銀行の独立性がいま一段、組織面からも強められる、少なくとも大蔵大臣の監督は必要がなくなってくるということになります。
 この考え方について、三塚蔵相並びに松下総裁
のお考えを伺いたいと思います。
○武藤政府委員 三条委員会の技術的な問題について、まず私の方からお答えさせていただきます。
 御承知のとおり、昨年、監督庁の設置法の議論の中で、三条委員会にしてはどうかという議論がいろいろございました。三条委員会は、政治的中立性あるいは準司法的手続といったような非常に特殊な目的のあるものでございます。業の監督というのは金融業以外にもいろいろあるわけでございますけれども、そういうものを三条委員会でやるかということになれば、そもそもその行政というものの基本的なあり方がどうなのかということがまず問題になろうかと思います。そういういわば慎重な準司法的手続によって決定すべき事柄と、金融機関の監督のような、国民の財産を守るという、まさに議院内閣制のもとで内閣が国会ひいては国民に対して責任を明確に担うべきそういう仕事こそ、これは内閣が直接やるべきなのではないか、こういうことで今日のような結論が出たというふうに私どもは考えております。公権力の行使を三条機関がやるというのは、やはりいろいろな問題があるのではないか。
 今、日本銀行が三条委員会のもとで実務を行うというようなことがございましたけれども、三条委員会の事務局をもし日本銀行がやるとすれば、これは明確に行政機関であるべきだというふうに思われます。今のような日本銀行が三条委員会の少なくとも事務局をやるわけにはまいらない。そういうことになれば、やはり三条委員会は相当独立した、いろいろな組織を持って、二元的な行政になるおそれもあるのではないか。
 それから、恐らくその三条委員会には、きのうの御議論でも監督とそれから金融政策両方行うというようなことでございますけれども、これは御承知のとおり、物価の安定を最終的な、究極の目的とする金融政策と金融機関の検査・監督という間にはいわゆる利益相反が生ずるのではないかという指摘がございます。
 そういうことで、いろいろ考えますと、お説のような三条委員会というのは、私どもは適切ではないのではないかというふうに考えております。
○鈴木(淑)委員 大蔵大臣、お願いします。
○三塚国務大臣 鈴木委員のいろいろな情勢分析の中の質疑、きのうも承りました。本日も承っておるところでございますが、行政改革の今日、やたらに新行政機関をつくることの是非は、政治家として分析をし判断をしなければなりません。
 これはこちらに一応おくといたしましても、一般に独立行政委員会とはいいましても、行政機関化することにより内閣の統括下に入ることは間違いありません。さまざまな面で内閣のコントロールが行われる。このことを考えてみれば、日本銀行の外部に置くことについては、金融制度調査会答申にも指摘をされておるところであり、政策委員会と業務執行部門となる日銀の間の連携が支障なく行われるのであろうか。なかなかここは、こちらも大専門家の集まりであります、こちらもどういう人選にするか、学識の徒を、見識の人をそこに配置するということになりますので、支障なしとは言い切れることはないと私は思っております、政策委員会の事務局と日本銀行の二つの事務局が存在するなどという非効率なことが、行革の今日、あってよろしいのでしょうか。こんな点も考えられる点であります。
 かような諸点をかんがみれば、政策委員会を行政機関化することの方が問題が多く、適当でない。よって、鈴木先生から前段お褒めをいただきました、ようここまで独自性、中立性を発揮されて、過去の失敗をすることのない体制に相なったなとお褒めいただいたことが私が申し上げていることと大変共通するものでございますので、今回はこれでスタートをさせていただけますれば、私は、物価の安定、国民生活の安定という観点で、一流の見識者がそろう政策委員会、こういうことで、総裁を中心に立派な決定が行われていくものと存じます。
○松下参考人 政策委員会の性格づけにつきましては、金融制度調査会におきましても種々議論があったと聞いております。その議論を重ねました結果、政策委員会をもしも日銀外部の機関といたしました場合には、この政策委員会と業務の執行部門になります日本銀行との間の連携が果たして支障なく行われるかどうかという問題がございますほか、政策委員会の事務局と日本銀行の二つの事務局が併存することになりまして非効率ではないかといったような問題の指摘がございまして、金融制度調査会の答申におきましては、政策委員会を日銀内部の機関とすることが適当であるということになったというふうに聞いておるところでございます。
 私どもも、日本銀行の最高意思決定機関でございます政策委員会につきましては、経済また金融に関して高い識見を有する人材を幅広く求めてまいりますとともに、業務執行との有機的なつながりをも確保していくということが重要であると思っておりますので、この原案のような日本銀行内部の機関とすることが適当ではないかと思っておる次第でございます。
○鈴木(淑)委員 ありがとうございました。
 今の御答弁に関して、私が違う意見を持っているところを幾つか大急ぎで申し上げます。
 まず第一に、武藤審議官、第三条第二項の独立行政委員会は準司法的なものであってこういうものにはなじまないと言いましたが、少なくとも衆議院の法制局の見解はそうではないことをお断りしておきます。
 それから、日本銀行に検査・監督を持っていった場合に、物価安定という金融政策の目的と利益相反があるかのごときことを申されましたが、とんでもない話でありまして、そんなことを言ったら、日本銀行に何で考査があるのでしょう。しかも今度出てきた政府の案だって、日本銀行の目的、よく見れば物価の安定と信用秩序の維持の話がありますね。信用秩序の維持ということは、具体的には、検査をして、そして預金取扱金融機関の資産内容を見たり経営状況を見たり、そしてルール違反がないかも見たりして、それで早目早目に手を打っていくことによって初めて信用秩序が維持できるわけですから、これは検査・監督と物価の安定を図る金融政策の間には利益相反は基本的にはない。
 それどころか、信用秩序の維持を図って、金融システム、なかんずく決済システムが安定していなければ、金融政策がうまく機能しないのですよ。金融政策の効果というのは安定した健全な金融システムを通じて波及していくわけであって、その金融システムが揺れたら金融政策の効果も思うように発揮できなくなります。むしろ両者は基本的には補完関係であるということであって、利益相反という考えは全く間違っていると思います。
 それから、三条機関にした場合に政策委員会の事務局云々の話でありますけれども、これは別に大蔵省から来ていただく必要は全くない。政策委員会の事務局は、現在の日本銀行の一部の組織を切り離して政策委員会の事務局にすればいいわけですし、建物だって日本銀行の中にいて全然差し支えはないというふうに思っています。
 そういう場合に、蔵相も総裁もちょっと言われましたが、三条機関としての政策委員会、それに若干事務局がついている、それと日本銀行本体と二つの組織があってうまくいくのだろうかとおっしゃいましたが、これは今言いましたように、本来、今の日本銀行の中の企画部門が政策委員会の事務局としてつくわけですから、恐らく人的には、政策委員会の事務局側の人間と執行部隊の日本銀行側の間では人的な交流もあり得ることだと思っております。
 そういうものが効率悪いとおっしゃるが、それでは、蔵相、アメリカは効率悪いのですか。ワシントンの連邦準備制度理事会というのは、あれは政府機関であります。かわいそうにと言ってはあれですが、完全に公務員としての強い制約を受けて、給料も公務員並みに低いのですね、あのワシントンにいるグリーンスパン議長を初めとするガバナーたちは。これに対して、ニューヨーク連銀以下の地域連銀といいますか、一般に連邦準備銀行と言っている、あれは民間が一〇〇%出資した株式会社の組織をとっておりまして、公務員じゃない。あの連中は給料は民間銀行並みの給料を取っているのですね。それでいて極めてスムーズに政策決定が行われている。なぜかと言えば、執行部隊の長であるニューヨーク連銀の総裁とか、その他幾つかの主要地域連銀の総裁がワシントンへ出かけていって一緒に会議をしているからであります。いわゆるFOMCというのをやっているからであります。また、ワシントンの事務局のエコノミストと地方連銀のエコノミストの間でも一もう友達づき合いというか、同じ組織の本店と支店みたいな調子でいつでも意見交換をしている。だから、これが組織として二つに分かれると効率的でない、行革に反するという御懸念は無用であります。
 それどころか、私は、そういうことを言うなら、きのうも橋本総理と三塚蔵相、あるいは武藤長官にも申し上げたけれども、これはここで議論する法案ではないから短く言いますが、金融監督庁こそ無用の長物だと思いますよ。あんな検査・監督をするために一つの省庁をつくるとは何ですか、大きな行革の流れの中であんなものは日本銀行にくっつけてしまえば日本銀行がやれますよ、検査・監督は。特にこれからの金融行政というものは、事前に明らかにした市場法のようなところに書かれた預金者保護、投資家保護、そして公正な取引というルールにのっとってみんなが行っているかどうかを検査することが、すなわち監督になるわけですね。恣意的に密室に呼び込んで話を聞いて、はしの上げおろしまでいろいろ注文する、業法にのっとったそういう今までの金融行政はしないのですから。
 そうすれば、検査・監督というものは今の日本銀行のもう明治以来の伝統的な考査の機能と一緒にして大丈夫というふうに私は思っておりまして、大きな行政改革の流れの中でとおっしゃるなら、私は、金融監督庁こそ問題だね、どうしてこの段階で、一生懸命十五省庁にしよう、十省庁にしようと言っているときにあんな無用の長物を一つふやすのというふうに申し上げたいのですが、これは日銀法と関係はありますが、ずばりそのままではないから、これはこの辺にしておきます。
 それで、さっき三塚蔵相が、今回のところはひとつこの政府の日銀法案を通してください、これだって大変な進歩だとおっしゃいました。もちろん、私もこの法律がつぶれてしまったら大変だ、現行法に戻ったら大変だと思っています。
 しかし、今度のだって問題はまだ幾つか残っているのですよ。大急ぎで幾つか申しますと、まず第一に、大蔵大臣や企画庁長官が指名した職員が政策委員会に出席できるという仕掛けになっていますね。これは職員だったらもう張り切ってしまって毎回出てくるでしょうから、現行の政府委員を廃止したということの意味がなくなってしまう。政府委員と実体は同じになってしまうと思いますよ。どうして職員なんというのを任命できるとしたのですか。私は、大臣が本来いらっしゃって堂々と意見をお述べになって、必要なら議決延期を請求される。それがお忙しくてできないときは、当然大臣の代理というのは政務次官ですから、政務次官がいらっしゃればいい。職員を任命してしまったら、職員はそれが仕事だと思ってしまうからべたっと張りついてしまって政府委員の復活になる、これは私は改めていただきたいというふうに思います。
 それからもう一つは、さっきも言いましたが、年に二回の日本銀行の報告をどうして大蔵大臣経由でないと国会に出せないかということなのですね。私ども新進党が考えておりますように、政策委員会を三条機関にしてしまえば、この問題はなくなります。三条機関たる政策委員会が直接国会に報告するということで、国会のコントロールを一般に行政府が受けているのと同じ意味で受けるという形がとれると思うのですが、今出ている法案のままでいきますと、この大蔵大臣を経由させなければいけない理由はどこにあるかということなのです。
 これを質問していると時間がなくなってしまいますから、私、答えを言ってしまいますが、それはなぜかというと、今の議院内閣制のもとで行政府というのがあって、あらゆる組織がその行政府の監督下に入るからだという理屈を言うわけですね。ただ、総理のもとに置かれた中央銀行研究会に憲法学者が一人入っておりましたね。京都大学の佐藤先生であります。あの佐藤先生の学説によりますと、行政権の範囲というのは時代とともに変わってくる、行政権の範囲を決めるのは国会だ、だから国会は国権の最高機関だと規定されているというのですね。
 それは、確かにそうです。行政権の範囲は国会が決めれば変わるのだというふうに解釈しなければ規制緩和なんかできないじゃないですか。規制緩和というのは、行政権に属していたものを、もうこれは。行政権に属さない、もう民間が自主ルールでやれよ、こういうのが規制緩和ですから、行政権というのは国会がその範囲を決めるものなのですね。だから、何か行政権というのは絶対だという考え方はおかしい。ですから、国会がオーケーと言って、直接こっちへ報告せいと言えば、これは私は現行憲法のもとで直接報告を受けるという形はとれるのだというふうに思います。
 この点については、まだこの後、同僚議員も含めて意見を申し上げなければいけないというふうに思いますが、若干時間がありますから、御見解を承りたいと思います。なぜ大蔵大臣を通さなければいかぬのでしょう。
○三塚国務大臣 先ほども北側議員から、政務次官をして代理とし、慣行化しろということでありますが、お話は拝聴しておきます。そのときそのときの大蔵大臣の判断であろうと思います。私は、続いておる限り、そのときは出てまいるつもりでございます。それで御理解をと思います。
 それから国会報告でありますが、これは議院内閣制をとっておる我が日本において、慣行として樹立をされておるわけですね。法律によって設立をされ、法律によって主管大臣となる者に提出をし国会に出す。これはまさにイギリス型議院内閣制を日本がモデルとしたところの一つの問題、こう思います。
 それともう一つ。先ほど日銀法について今回はよろしくと申し上げましたが、その意味は、いろいろ論議がありますけれども、ベストなものとして中銀研及び調査会、審議会等の答申を受けて法律をつくり、提出をいたしておるものであります。その点を独立性、自主性、中立性で鈴木先生からは大変御評価をいただいたわけですから、御評価いただいた以上、新進党各位におかれましても御賛同を賜りたく、これが趣旨であります。中央銀行であります以上、決定をいただければ積み上げて、さすが日本銀行、さすが世界の銀行と言われるように御健闘をいただくということであれば、最低やはり半世紀はいかなければならないのではないでしょうか。
○鈴木(淑)委員 お気持ちはわかりますが、しかし、中銀研の学者さん、皆さん立派な方だと思いますが、十何人ですか、中には金融論の専門家じゃない人もおります。これに対して日本の金融学者数十人が集まって、あの中銀研の報告に対してもっと中央銀行の独立性、金融政策の独立性を強めなければいけないという角度からの意見書を出しているのですよ。これは何十人という金融論の学者です。代表者は神戸大学の名誉教授の三木谷さんですけれども、広範な金融論の学者が入っております。
 ですから、三塚大臣のお気持ちもわかりますが、全く同じように私も三塚大臣に対して、ほかの意見にもよく耳をかして、せっかくここまでよくなったのだから、もう少しよい日本銀行法案をつくるにはどうしたらいいかということを一緒に考え、議論をしていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 では、時間になりましたので、これで私の質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
○柳本委員長代理 次に、田中甲君。
○田中(甲)委員 質問させていただく前に、四月の中旬に同じく大蔵委員会で日銀総裁の出席を求めました。その際、私自身の時間配分の過ちの中で御質問をする機会を逸してしまいまして、せっかく貴重な時間を割いて御出席いただきましたが、大変に失礼をいたしました。おわびを申し上げて、質問に入りたいと思います。
 口の悪い人は、大蔵省銀行局日銀課と言うそうであります。これまで日銀は、重要事項をいわゆるマル車と呼ばれている理事を中心とする役員会で決定をして、政策委員会はお飾りにすぎなかったと聞いていますが、本当でしょうか。
○松下参考人 今御質問のマル車は、日銀の理事の会議体のことを指しているところでございますけれども、私どもは、現状、日銀政策委員会におきまして、政策の決定はもとより、業務運営に関しましても最も基本の方針の決定を行う建前になっております。したがいまして、行内の役員が形成をいたしております役員の集会の会議といたしましては、例えば政策委員会に提案すべきいろいろの事務的な案件等につきまして、その内容を審査をして、その準備を行うということもございますし、また政策委員会で決められました業務の運営の基本の方針に従って、それをどういう形で実施してまいるかという点の方針の決定、実行の監視というようなことを行う場合もございます。
 しかしながら、実際に政策決定に当たりましては、政策委員会に十分御説明の上で論議を尽くして御決定をいだだいているところでございまして、それは日銀のマル車の機能とは全く違った機能を果たしていただいているところでございます。
○田中(甲)委員 今回の政府提出法案、これは中央銀行研究会報告書並びに金融制度調査会の答申を踏まえて、中央銀行の独立性と政策運営の透明性の確保を基本とする内容となっているわけであります。この趣旨、私は大いに賛同するものであります。特に大蔵大臣の総裁を初めとする役員の罷免権を廃止し、従来に比べて独立性が確保された点を初めとしまして、従来の役員集会を廃止して政策委員会に金融政策決定を一元化、政策委員会の議事録の公開、日銀総裁に国会への出席義務が加えられる等政策運営の透明性が図られた点、加えて特殊法人程度に給与等の基準を設けた点など一定の前進をしたと評価をさせていただくものであります。
 しかし、法案を読んでまいりますと、政策当局である大蔵省が金融政策に直接介入する余地を多分に残しているということが、この法案を見てまいりますと言えるのだろうと思います。日銀の独立性の観点からは、そういう点で大いに疑問を抱かざるを得ない。法案の総則の第四条でありますが、この趣旨のように、財政当局と金融当局が健全な緊張関係を保ちながら財政と金融の利益相反を回避しつつマクロ経済政策を調整していく仕組みとして機能するかどうかは、正直申し上げて甚だ疑問であります。これでは従来どおりの、冒頭失礼を申し上げましたが、口の悪い方々は大蔵省銀行局日銀課、いまだにそう言うのをやめないのではないかという思いを持つのであります。
 さらに、この法案には日銀役員の天下りについて制限が盛り込まれていません。つまり、日銀自身の問題が放置されたままであるという指摘もさせていただきたいと思います。来るべき日本版ビッグバンに備え、世界標準に則した中央銀行の姿、その姿をつくり上げることが肝要である。にもかかわらず、今回の改正案はそれが十分にはなされていないのではないかという思いを持つのであります。
 今回、私の質問は、出されている法案の問題点を指摘しながら、責任を持った建設的な対案を示すことができれば、そんな思いを持つ姿勢で質問をさせていただきたいと思います。
 冒頭に政策委員会のことを質問させていただきましたが、今回の改正により役員集会は廃止されますが、理事制度は温存されたままであります。政策委員会に金融政策のすべてを任せるということではありますけれども、この役員集会の復活のおそれというものを感ずるのですが、この点はいかがでしょうか。
○松下参考人 今回の改正法案におきましては、金融制度調査会の答申を受けまして、業務の執行の基本方針に関します事項の議決及び役員の職務の執行を監督することは明確に政策委員会の権限とされております一方で、理事につきましては、政策委員会の定めた方針に従いまして、政策委員会の監督のもとで業務執行を行うということが明確に位置づけられているわけでございます。こういった考え方のもとでは、理事段階で実質的な意思決定が行われるというような運営はあり得ませんし、また、そのような誤解を招く形での役員集会は制度として廃止されることになっております。
○田中(甲)委員 日銀の独立性というものに向けて、少しでも私たちが協力をし、あるべき姿に向いていくことが、向けていくというほどそんなおごった気持ちはありませんけれども、そんな気持ちで質問をさせていただきますので、どうか御理解をいただきたいと思います。
 改正案の第二十三条、「理事及び参与は、委員会の推薦に基づいて、大蔵大臣が任命する。」大蔵省に任命権が残りました。どのような理由によるものでしょうか。御答弁をいただければと思います。
○山口政府委員 日本銀行の業務は大変多岐にわたりますし、かつ、それぞれが極めて重要でございます。総裁、副総裁に加えまして、多岐にわたる業務執行を分掌し、それぞれに責任を持つ役員として理事を置くことといたしております。また、国民経済に重要な影響を与える日銀の業務につきましては、広く意見を聞く観点から参与を置くということとしております。このような役員としての理事、参与の職責の重さ、従来の取り扱い等を踏まえまして、大蔵大臣の任命によることとしております。
○田中(甲)委員 大蔵省が理事の任命を通じて間接的に日銀を操作するというようなおそれはありませんか、こういう質問が以前されたときに、松下総裁は、運用面の工夫により不都合は生じない、このようにお答えになられています。この発言は、逆に受けとめますと、運用次第では不都合が生じるということになるのだと思います。本当に日銀の独立性というものは保たれると現在もお考えでしょうか。
○松下参考人 ただいまの理事、参与の任命の件でございますけれども、今回の改正案におきましては、これは政策委員会の推薦に基づきまして大蔵大臣が任命するということとされておりますので、御指摘のような懸念はないものと考えております。
○田中(甲)委員 改めてお伺いをしたいのですが、その参与の職務の実態というものが明確に私たちには見えません。その点をお聞かせをいただきたいと思います。
 先ほど答弁の中に含まれておりましたけれども、理事と同じく参与も大蔵省に任命権を残していますけれども、この点においても日銀の独立性が極めて疑問に思われます。再度、御答弁をいただければありがたいと思います。
○松下参考人 現行法におきましては、参与は、日銀の業務に関する重要事項につきまして、総裁の諮問に応じてまたは総裁に対して意見を述べることができるということになっておりまして、これを受けまして、現在は定期的に月一回程度参与会を開催し、各界から選出された参与の貴重な御意見を直接お伺いすることといたしております。
 改正法案におきましてもこういう参与の基本的な性格は変わらないわけでございますが、政策委員会が名実ともに日銀の最高意思決定機関ということになることを踏まえまして、参与は総裁に対してでなく、政策委員会の諮問に応じまたは政策委員会に意見を述べるということにされております。
○田中(甲)委員 参与の人数を教えてください。
○松下参考人 定数は十名でございます。
○田中(甲)委員 金融検査監督庁設置の法案で企画立案部門を大蔵省に残したのはどういう理由かということを、改めてこの場でもお伺いをしたいと思います。
 できれば設立準備室の方から。
○松川説明員 金融監督庁に企画立案機能も移すべきではないか、大蔵省に企画立案機能を残したのはなぜかというお尋ねでございます。
 今般の金融行政機構改革は、住専問題等を契機といたしまして国民の各層から金融行政に対しましていただきましたさまざまな御批判を重く受けとめまして、与党内での御議論をも踏まえました結果、民間の金融機関等に対します検査・監督という執行面の機能を総理府に設置をいたします金融監督庁が担い、企画立案という政策面の機能を大蔵省が分担することが、今求められております市場規律を基軸とした透明かつ公正な金融行政への転換に資するどの趣旨、考えにより実施しようとしているものでございます。
 このように執行面の機能と政策面の機能を金融監督庁と大蔵省が機能分担を行いまして、金融監督庁長官と大蔵大臣がそれぞれの機能を適切かつ効率的に発揮していくとともに、両者の間で適切な連携を図ることによりまして、市場規律を基軸とした透明かつ公正な金融行政の実現に資するものと考えている次第でございます。
○田中(甲)委員 私は、今回の金融監督検査庁の設置にあわせて金融政策及び信用秩序の維持等に関する権限は内閣総理大臣に移管をする、そして金融庁長官に委任をすべきではないかと考えます。すなわち、日銀の理事及び参与の任命権者を内閣総理大臣とすべきではないかと考えるのですが、大蔵大臣、いかがですか。
○山口政府委員 日本銀行の所管につきましては、日本銀行が我が国の中央銀行として銀行券を発行し、通貨及び金融の調節を行うことをその本質的任務とするものでございます。したがいまして、民間金融機関等の検査及び監督を所掌する予定の金融監督庁ではなく、通貨及び金融に関する行政事務を遂行する責任を負う行政官庁であります大蔵省が所掌することが適当であるということで、日本銀行の理事、参与の任命は大蔵大臣によることということで御提案申し上げているわけでございます。
○田中(甲)委員 大蔵大臣の御所見がありましたら、お聞かせをいただきたいと思います。
○三塚国務大臣 それぞれの審議会の答申を得て、それを尊重しながらスタートを切ったベストな案であります。それで、総裁からもお話ありましたとおり、局長からもお話のあるとおり、本件は、委員会の推薦等を受けて、形が大臣任命であります。ほぼ成熟した政治形態の中では、大きな欠点のない限り、学識経験者であり日銀の運営に見識を寄せていただく各位に対して要請をして御就任をいただくということで出てくるものと存じますので、その点はベストなものとしてそういう構成にさせていただきました。
○田中(甲)委員 わかりました。
 二月六日の話をちょっと思い返していただきたいんですけれども、金融制度調査会の答申においては、必要に応じて政策委員会に政府代表、大蔵省、経済企画庁が出席できるというものでありました。しかし、今回のこの法案を見てまいりますと、第十九条「必要に応じ、金融調節事項を議事とする会議」という文言に変わっています。このことに変わられたその理由というものを大蔵大臣の方から御説明いただければありがたいと思います。
○武藤政府委員 二月六日の金融制度調査会答申によりますと、「必要に応じ政府から政策委員会に出席できることとすることが適当である。」というふうになっておるわけでございますけれども、その政策委員会は、いろいろな議論が行われる場でございますけれども、金融調節を議論するときに政府からの出席が現実に必要になる、なぜなら、政府から出席する理由が政策の整合性を確保することであるということでございます。それによりまして議論の過程の透明性を高めることもできるということでございまして、基本的に、金融制度調査会の答申と今回の法律とは同じことだというふうに考えております。
○田中(甲)委員 私は決してそれを否定したものではありませんで、つまり、日銀の独立性の確保のためには、拡大解釈を防ぐために限定をしたんだということだろうと思っておりました。
 しかし、この文言では独立性を保つためには不十分と私は考えるんですけれども、総裁の方ではいかがですか。
○松下参考人 ただいまもお答えがありましたように、私どもの金融政策は、政府の経済政策と相まちまして国民経済の健全な発展に寄与するものでございます。そういったところから、お尋ねの、政府に対して政策委員会への出席等を認めるということにつきましては、こういった考え方に基づいて制度化をされたものでございますので、これが適切に運用を行われてまいりますことには、日本銀行といたしましても適切な枠組みであるというふうに受けとめております。
○田中(甲)委員 第十九条第一項「大蔵大臣又は経済企画庁長官は、必要に応じ、金融調節事項を議事とする会議に出席して意見を述べ、又はそれぞれの指名するその職員を当該会議に出席させて意見を述べさせることができる。」としているわけでありますけれども、主語を日銀政策委員会議長に修正することを提案したいと思います。つまり、この修正案によって、条文は、「日銀政策委員会議長は、必要に応じ、金融調節事項を議事とする会議に大蔵大臣又は経済企画庁長官、又はそれぞれの指名するその職員の出席を求めて、意見を求めることができる。」この提案に対していかがお考えか、御所見をいただきたいと思います。
○松下参考人 政策委員会へ政府が出席をいたしますことは、政府の意見が政策委員会に直接に伝えられますとともに、政策委員会において表明をされました政府の意見とそれをめぐる議論とが議事要旨の公表等を通じて公開され、政策決定の透明性を高めるというための制度でございます。
 こういった制度の趣旨から考えますというと、私どもといたしましても、政府の方で必要に応じて出席をするという、現在の改正法案で提案をされている枠組みによって行うことが適切であると考えております。
○田中(甲)委員 武藤さんの方で何かありましたら。
    〔柳本委員長代理退席、委員長着席〕
○武藤政府委員 基本的に、今総裁が御答弁されたとおりでございますけれども、仮に御提案のように議長が求めた場合にのみ政府から出席できるという仕組みにされた場合には、もともと政府の経済政策と日銀の金融政策の整合性を確保するということが目的でございますので、政府としてそういう必要があるときに出席できるということでないと目的が達成されないのではないか。政策委員会の方から政府に出席を求めるということができるのは、これはいわば当然のことでございますけれども、政府の方からもできるということが必要であり、また、それで結果的に議論の過程の透明性が確保されるのではないかというふうに考える次第でございます。
○田中(甲)委員 いや、これでは独立性が確保されないというふうに私は思います。
 さらに、この政府代表には議案の提出権まで与えられているというものでありますから、これは欧米の中央銀行ではほとんど見られない。あるいは、現在あっても廃止の方向で議論がされている。さらには、この点は金融制度調査会でも異論というものが相次いだと聞き及んでおります。
 この点について、私はきっぱりと廃止をすべきだと思うんですが、大蔵大臣、いかがお考えでしょうか。
○三塚国務大臣 いつも意見がぶつかってしようがないんですけれども、私は提案者でありますから、これがベストということで提出をさせていただいております。
 具体的な説明は、政府委員からさせます。
○武藤政府委員 中銀研等の議論の過程でいろいろな議論がございました。現在提案されている形は、議案提案権と議決延期請求権でございます。
 ドイツ連銀におきましては、延期請求権ではなくて議決延期権がございまして、政府が議決延期をすべきであるということを発言しますと、当然に次回まで延期されてしまうわけでございます。しかし、御提案しているこの案におきましては、政府は議決を延期するという請求をいたしますが、それをどうするかは、最終的な意思決定は政策委員会にゆだねられております。そういうことでございますので、議案提案権におきましても、議決延期請求権におきましても、最終的な意思決定は政策委員会が行うということでございますので、日本銀行の独立性を阻害するといったようなことにはならないというふうに考えております。
○田中(甲)委員 重ねて御質問させていただきます。
 政府代表に議案の議決延期の請求権も認められています。今答弁にもあったとおりです。これも議案の提出権とあわせて、改正法案第十九条第二項を丸ごと削除すべきだというふうに私は考えますが、御答弁できる方で結構です。
○武藤政府委員 私ども、金融政策とその他の経済政策というものが矛盾するものであってはいけないということが基本にあろうかと思います。政策の整合性を確保するということが、この提案されております法案にも盛り込まれているわけでございます。そういうことでございますので、政府として何を考えるかということの提案は当然してもよろしいのではないか。それを採用するかどうかは政策委員会が御決定されることでございます。政府の代表は議決権を持っておりませんので、そういう意味でも、日本銀行の独立性というものを十分尊重した上で、政府の全体の経済政策との整合性を確保するということのためにこういう仕組みを提案している次第でございます。
○田中(甲)委員 整合性という言葉が随分と答弁の中に出てくるわけでありますが、あくまでも独立性ということをまず前提に置いた上での整合性ということだろうと思うんです。その点を十二分に検討をさらに進めていただきたい、この点は御要望にさせていただきたいと思います。
 次に、日本銀行の天下りについて質問をさせていただきます。
 この日本銀行の、銀行を初めとする金融界への天下りは大変に多いと聞いております。聞くだけではなく、一連の不祥事で減少した大蔵省の官僚を現在では上回っているということも言われているわけでありますけれども、正確な天下りの人数をお聞きしたいと思います。
○松下参考人 日本銀行の役員を含みます局長クラス以上の昭和六十二年以降過去十年間におきます民間再就職の状況を申し上げますと、この間の退職者六十三名のうち民間金融機関の役員についている者は、この三月末時点で二十名となっております。
○田中(甲)委員 この実態について総裁はどのようにお考えでしょうか。
○松下参考人 日本銀行の役職員の民間への再就職につきましては、私ども、これまで個人の識見や能力を期待して金融機関等が人材を求めてきました場合に限って、世間からいたずらに批判を招くことのないように慎重に対応してきているところでございます。
○田中(甲)委員 慎重に対応されているという御答弁をいただきました。そのことはしっかりと受けとめておきたいと思いますが、これまでの証券会社を初めとする金融機関の不祥事に対して行政処分が甘いのは、大蔵省や日銀が多くのOBを送り込んでいるためではないか、こういう声が聞こえてまいります。そして、そのことを国民の大勢の方々が思っているのだろうと思うのですけれども、大蔵大臣、その辺に対する御所見があればお聞かせをいただきたいと思います。続いて総裁にも、御所見があればお聞きをしたいと思います。
○三塚国務大臣 その責任を問うときには、職員がおりますし、株主がおりますし、開かれたマスコミ社会でございますから、マスコミの皆さんが注目をしておる中で行われるものでございますから、厳正に行われておると私は思っております。仮にそのことが手心を加えておるのではないかなどということになれば、国民代表をもって任ずるマスコミ各位は黙っておらぬわけでありますし、国民的な糾弾ということになるのではないでしょうか。
○松下参考人 私どもが金融機関の不祥事を知りました場合には、金融機関のリスク管理という観点から、早急な原因の究明、再発防止策の策定を促してきているところでございます。こうした対応を行いますのは、不祥事を引き起こしました金融機関に日本銀行役職員が再就職を行っているかどうかということとは全く関係なしに、厳正な運用に努めてまいっております。
 なお、処分についてのお尋ねがございましたが、私ども、銀行法等の業法に基づいて行政処分を発動する主体ではございませんが、金融機関の不祥事に対しましては、リスク管理の観点から、今のように原因究明、再発防止策の策定を求めてまいっているわけでございます。
○田中(甲)委員 最大限そのことには努めていただきたいと思います。私は、この天下りというものが非常に大きな弊害を与えているというふうに考えます。
 ビッグバンの先輩国でありますイギリスを初めとする欧米の先進国においては、金融危機、金融不安が高まったときのみ、ラストゾーンとしての、最後のとりでとして、よりどころとしての中央銀行が登場する、金融機関に介入するというその常識があるようであります。
 ところが日本では、日本銀行や大蔵省が常日ごろから銀行等の経営の細部にまで口を出して、ここで今申し上げて指摘をしているところでありますが、経営方針や大事にまで介入しているということが言えるのではないでしょうか。金融市場参加の自己責任の原則からは、かけ離れていると私は思うのです。大蔵省並びに日銀が真剣に総理の言われている日本版ビッグバンの実現を目指すのであれば、やはりこのやり方を改めていかなければならない、つまり法案でも天下りについて一定の規制を設けるべきと私は考えます。このことについて、日銀総裁、いかがでしょうか。
○松下参考人 今般の日銀法改正案におきましては、政策委員会が、再就職制限を含めまして、服務の準則を定めて公表をするということにされております。この意味するところは、これまで以上に役員の再就職につきまして慎重な対応が求められているものであると認識をいたしております。
 私どもといたしましては、そういった立法の趣旨を踏まえまして、再就職に関します自主ルールを制定すべく具体的に検討をしてまいりたいと考えております。
○田中(甲)委員 積極的な御答弁をいただけたものと受けとめます。
 大蔵大臣、いかがですか。
○山口政府委員 お答え申し上げます。
 御指摘の点につきましては、第三十二条「服務に関する準則」というところで、「日本銀行は、その業務の公共性にかんがみ、その役員及び職員の職務の適切な執行を確保するため、役員及び職員の職務に専念する義務、私企業からの隔離その他の服務に関する準則を定め、これを大蔵大臣に届け出るとともに、公表しなければならない。これを変更したときも、同様とする。」ということで、今総裁がおっしゃったことは、この法文上も明確にしてございます。
○田中(甲)委員 少しお話をさせていただきたいと思うのですけれども、かつて、平成三年の秋だったと思いますが、東海銀行が日銀出身者の副会長に不正融資の責任を問い辞任させたことがありました。そのときに日銀は不快感を明確に表明して、一千億円もの日銀貸し出しを引き揚げた事件がありましたね。その後しばらくして日銀は一千億円貸し出しを再開しましたけれども、貸し出し再開の裏には日銀と東海銀行との間で何らかの取引があったと推測されても不思議ではない、極めてわかりにくい、とても疑わしい事件だったと私は記憶しています。海の向こうから、海外からもしこのことを見ていた方々にその感想を聞くことができれば、日銀と金融機関の関係は極めて不透明というふうに受けとめられたと私は思います。
 先ほど申し上げました、橋本総理が日本版ビッグバンというもの、自由で透明で国際的な金融市場を目指すと言われていますが、従来のこのような姿を繰り返しているのでしたら、不自由で不透明で非国際的な金融市場ということではないでしょうか。役員について、国家公務員法第百三条の天下りの禁止規定あるいは百九条の罰則を準用して、改正法案にも条項を追加することを提案いたしますが、日銀総裁、いかがでしょうか。
○松下参考人 ただいまお触れになりました件につきましては、当時の金融機関のいろいろな問題がございましたことに関連をして、金融機関がみずから襟を正すということでいろいろと内部処分を行った例はございますけれども、それはそれで当然のことであると受けとめております。
 その結果につきまして私どもがどうこうと申し上げることもできませんし、また、その後に日銀の民間金融機関に対する貸出額が減額をされたという点につきましては、そういう問題とは全く関係なしの、金融操作の結果によるものであるというふうに当時の話を聞いております。
○田中(甲)委員 大蔵大臣、その点いかがでしょうか。
○山口政府委員 今御指摘の法律上の義務としての再就職制限という御趣旨かと存じます。
 その点につきましては、日本銀行の役職員は身分上は公務員ではございません、刑法上のみなす公務員ではございますけれども。したがいまして、これを対象に公務員と同様に人事院規則による規制を受けたり、あるいはその承認を義務づける等については、より慎重なスタンスで臨むことが適当ではないかというふうに思うわけでございます。
○田中(甲)委員 日銀の独立性ということをさらに高めていくためには、やはり日銀みずからが今までの問題点や改善点ということを進んで行っていかなければならないのだろうということを、私、改めてこの場所で申し上げて、しっかりと検討していただきたい、そのような旨を伝えさせていただきます。
 日本銀行の信用秩序の維持、その役割について引き続き御質問をしていきたいと思います。
 これまで、現行法の第一条、信用制度の保持育成という使命を遂行するために銀行や証券会社に対して実際に出向いて調査を行ってきた、これが日銀考査でありますね。日銀の方は内心は大蔵省の検査よりも正確性に自信を持たれているようにもお見受けをするのですけれども。そこで、今回、金融検査監督庁設置法案にも実はもう盛り込まれているということを聞いておりますが、日銀考査の情報、結果というものを金融検査監督庁に生かせるような仕組みで、その考えられている法案を具体的に御説明をいただければありがたいと思います。
○松川説明員 日本銀行のいわゆる考査資料と金融監督庁設置との関係についてのお尋ねでございますが、今国会に別途提出申し上げております金融監督庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案第五十八条におきまして、ただいま委員の御指摘にあった事項に関連をいたします改正日銀法案の第四十四条第三項を改正いたしておりまして、その改正後の規定によりますと、日本銀行は、金融監督庁長官から要請があったときは、その考査の結果を記載した書類その他の考査に関する資料を金融監督庁長官に対し提出し、またはその職員に閲覧させることができる旨規定されているところでございます。したがいまして、日本銀行の考査資料について金融監督庁も利用できるという形になっております。
○田中(甲)委員 次の質問に移りますが、平成二年、日銀創設以来初めての大きな組織改革を行いましたね。その際に、柱の一つとして信用機構局というものを創設したわけでありますけれども、法文上の設置というものがされていません。極めて不明確であると思います。
 建前としては、日債銀問題の処理スキーム、これは日債銀が自主的にそのスキームというものをつくって協力をしたということになっていますけれども、これをうのみにする方というのはほとんどいないと思います。こういう場合に、大蔵省の銀行局と信用機構局が一緒になってこれを作成しているという見られ方を当然しているわけでありますけれども、さっきの質問に戻ります。法文上での位置づけが極めて不明確であるという、その点、これは日銀の信用機構局長、御答弁をいただければありがたいと思います。
○山口政府委員 改正案におきましては、信用秩序の維持に資するための業務第三十八条を初めとしまして、業務に関する規定の整備を行わせていただきました。それによりまして、日本銀行の行う業務等を最大限明確化したところでございます。
 他方、御指摘の日銀の組織につきましては、日本銀行が国家行政組織法上の行政機関ではないという位置づけをしております。したがって、金融情勢の変化により機動的な組織変更が求められる可能性も否定できないということもありまして、組織の法定化はなじまないという判断をしております。
 なお、他の特殊法人、認可法人等につきましても、その内部部局の所掌事務まで法定化したものはないものと考えております。
○松下参考人 ただいま御質問の日銀の信用機構局でございますけれども、法律的には、これは私どもは、現行法の第一条の日本銀行の目的の中にあります信用制度の保持育成という一つの目的に基づく意味での業務を行っているものと理解をいたしておりますが、具体的な内容は私どもの日本銀行の内規で定まっているものでございます。
 内容的には、そういう信用制度の保持育成に関連がございます、例えば金融機関間の決済システムの問題でございますとか、また金融機関におきましていろいろ問題が生じましたときの対応の問題でありますとか、そういった問題を日常取り扱っているところでございます。
○田中(甲)委員 答弁に日銀の信用機構局長ということでたしか御要請をしておいたと思うのですけれども、いらしていないようですね。
 日債銀に対して少しお聞きをしたいと思います。御答弁をしていただける方、よろしくお願いしたいと思いますけれども、日債銀に対して日銀が公的資金を投入したことに対しての批判があります。このことに対して、現在どのように受けとめていらっしゃるかをお聞かせいただきたいと思います。
○松下参考人 日債銀の経営再建策におきましては、同行の経営問題への対応を誤りました場合には内外金融市場において大きな混乱が生じる懸念がございまして、こういった事態を未然に防止いたしますために、同行の経営再建策を取りまとめて市場の信認回復を図る必要があったわけでございます。こういった事情を踏まえまして、同行単独の努力では困難な資本基盤の再構築につきまして、住専処理に関連して日本銀行が資金拠出を行っております新金融安定化基金の活用を図ることといたした次第でございます。
 この基金は、我が国金融システムの安定化及び内外からの信頼性確保に資することということを目的の一つとしておりまして、金融機関の資本基盤の構築のための事業を行うということとされております。したがいまして、先般のように、日債銀の経営再建策におきまして、基金が民間金融機関からの出資によって調達し切れない必要資本を供給することは、十分その目的、趣旨に沿ったものと考えるわけでございます。
 この新金融安定化基金の資金自体、もともと日本銀行が拠出をした一千億円の基金からの支出でございますから、その意味では、日銀資金活用に当たっての中央銀行としての規律を維持することが必要でございます。この点につきましては、私どもかねて申しております、金融システムの安定のために日銀資金を活用いたします場合に四つの原則があると申しているところでございますけれども、これらの原則に照らしましても、内容的に問題はないというふうに考えております。
○田中(甲)委員 問題がないという最後の言葉で、どうも指摘をしておかなければいけないなという気持ちにまたなってしまいました。
 株式市場の反応を見ても、他の株式銘柄が比較的好調なのに対して、日債銀株というものは依然として低迷していますね。この対応が今の答弁のように的確なものであるならば、こういうような状況にはなっていないはずだろうと思うのです。あえてお聞きをしたいと思いますけれども、市場は明らかに評価をしていないというふうに私は判断をしておるのですけれども、その点はいかがでしょうか。
○松下参考人 日債銀のリストラの計画自体は非常に思い切ったものでございまして、私の感じでは、これまでに我が国の金融機関があえて踏み込まなかったような非常に厳しい措置を講じていると思います。
 例えば海外部門からの撤退でございますとか、本店を含めたもろもろの店舗の売却でございますとか、また人員の削減、給与の切り下げ等、非常に厳しい措置をとって再建を図っているところでございます。
 それに加えまして、海外業務に関して、今度は撤退後の顧客のサービスを図りますためと、それからこれは前向きの話でございますけれども、日債銀が持っております、例えば不動産資産の流動化、証券化というような技術を今後よりよく生かして前向きの業務を拡大をしますために、バンカース・トラストと業務提携をすることを取り決めたということもございます。
 そういうことでありますので、その結果、不良債権の償却を、四千八百億円だったと思いますが、今回の決算で実行する。このために自己資本が非常に減少いたしまして千億円程度にまで毀損をいたしますので、これを補充するために、現在、関係取引銀行あるいは生保というようなところに自己資本の充足の協力の依頼をしているところでございます。私どもも、その点の対策の一環として、先ほど申し上げました日銀資金を用いての八百億円の優先株の取得ということに踏み切った次第でございます。
 これらの思い切ったいろいろの措置の内容がよく知られてまいりますとともに、またそれと同時に、日債銀がそうやって決められた方針に沿って全行を挙げての十分な努力をしますことによって、私どもはこの銀行が市場の信認をこれから回復してまいることを強く期待をいたしております。
    〔委員長退席、柳本委員長代理着席〕
○田中(甲)委員 徐々に上向きになっていく、信用の回復というものは今後行われていくんだろうというお話でありました。
 劣後ローンの出資への切りかえは生命保険会社側は全く納得がいかないというように、生命保険会社協会会長も発言をしておりました。このことに対して今どのようにお受けとめになられていますか。実態もお聞かせいただければありがたいと思います。
○山口政府委員 日債銀は再建策をまとめまして、現在、大株主銀行、今御指摘の劣後ローン提供生損保、長期信用銀行等に依頼に回っておるところでございます。
 劣後ローンを提供しております生損保に対しましては、劣後ローンの一部を資本の方へ振りかえていただけないかという要請をしておりますが、生損保におきましては、それを真剣に検討していただいているというふうに聞いております。
○田中(甲)委員 日銀総裁は、この劣後ローンの切りかえの問題に関連して、日債銀への出資を拒否した金融機関の分も出資を引き受けるつもりというのを現在お持ちですか。
○松下参考人 出資の要請につきましては、現在日債銀自体が具体的な内容等につきまして説明を行い、なお、いろいろとお願いをしているところであると聞いております。
 私どもといたしましては、こういった同行の努力が結実をいたしまして、経営再建及び出資協力についての民間金融機関の理解が得られ、資本の増強策を含めて再建が遂行されることを強く期待している次第でございまして、現在、御指摘のような増資が不調に終わるといった事態にはならないものと考えております。
○田中(甲)委員 その関連でありますが、将来、現在うわさされているような金融機関が危機に瀕したとき、そのような状況がいつ起きるかわからない、その際に、日銀の公的資金投入を今後も続けていくお考えでしょうか。
○松下参考人 中央銀行といたしましては、金融機関が仮に問題を起こしましたときに、その問題をみずからの努力で切り抜けるためにあらゆる手段を使って真剣な努力をしているという状態がございましたときに、その金融機関自体がいわゆるソルベンシーがないと申しますが、債務超過の状態で再建の見込みがないという場合は別でございますけれども、流動性の問題において非常な困難に逢着をしているけれども支払い能力があって将来の再建が期待できる状態であると認定をされますときには、最後の貸し手、よりどころの貸し手として流動性の供給は行ってまいる考えでございます。
○田中(甲)委員 その際、際限のない日銀資金の投入ということになりますと、日銀のバランスシートの悪化ということも当然起こり得るわけであります。日銀自身の経営の健全性を損なうことにもなるということ、その点に対する何か御所見がありましたら、また加えて、今後、日銀特融も考えていらっしゃるのか、あわせてお聞きをしたいと思います。
○松下参考人 私どもは、日本銀行の資金を投入いたします際には四つの原則があるということを申しました。それは、関係の金融機関の破綻が金融システムの不安につながるというような場合であり、また日本銀行が資金を投入するということがやむを得ない、他にかわるべき方策がないという場合、かつ関係者、責任者について十分な責任の追及が行われるという場合、そして最後に、そのことが日本銀行の中央銀行としての財務の健全性を傷つける心配がない場合というふうに考えている次第でございます。
 そういった場合におきましては、私どもは資金の供与に踏み切る準備があるわけでございますけれども、ただいま申し上げましたような原則の中でございますから、際限がないというようなものにはならないと思っております。
○田中(甲)委員 今回の場合、果たしてその一つ、四項目の一項目に挙げられましたけれども、経営者の経営責任の追及ということが十分に行われたのでしょうか。
 それと私自身は、公的資金の導入の際には、経営情報の開示、経営実態の解明、さらに金融機関の破綻、こういうものがルールにして最低限でも置かれていないと、今後、十分に理解される金融当局の対応ということが行われないのではないかというふうに思います。御所見をいただければありがたいと思います。
○松下参考人 ただいまのディスクロージャーの点につきましては、私どもも、再建努力を行っております金融機関がみずからの努力を行うに当たりまして、内容の開示を行いながら市場の信認回復に努めるということが非常に肝要のところであると思っております。
 なお、今回の日債銀の件につきましての経営者の責任につきましては、一つは、同行の役員の給与は思い切った削減をこの際行うということを聞いております。また、その他の責任につきましては、適切な時期に適切な措置がとられるものと理解をしております。
○田中(甲)委員 さまざまな点で総裁にお聞きをさせていただきました。
 最後に、この問題に関しまして大蔵大臣、日銀のお金は最終的には国民のお金だと大蔵大臣は以前発言をされておりますし、今も同じお考えをお持ちだろうと思いますけれども、今後、状況いかんによっては公的資金の導入ということを考えておるという発言が日銀総裁からあったわけでありますが、大蔵大臣は、今後どのようにお考えになられているか、御意見を伺いたいと思います。
○三塚国務大臣 国民の財産と申し上げました。日本銀行の利益の大宗は、国から付与されました銀行券の独占的発行権に基づく通貨発行益によるものであります。すなわち、日銀は、日銀券というコストのかからない負債を見返りとして、国債等の利息を生む資産を得られる仕組みとなっておるわけでございます。この通貨益は、本来、国民に還元されるべきものであり、法制上も原則として国庫納付されておりますことから、日銀の資金を国民の財産、こう申し上げたわけであります。
 国民の財産の融資であり、対応でございますから、ただいま総裁が答弁をされました、その場面場面で運営の原則に基づいて適用するということはけだし当然であろうと思いますし、私どももそのことについては、御要請を申し上げるときも、あるいは先々あるのかなというときは、その視点をしっかりと踏まえながら申し上げる、こういうことになります。
○田中(甲)委員 ありがとうございます。
 最後に、数点、日銀の独立性確保のために質問をさせていただきたいと思います。
 法案の第七条第二項であります。「日本銀行は、大蔵省令で定めるところにより、大蔵大臣の認可を受けて、支店その他の事務所を設置し、移転し、又は廃止することができる。」となっております。また第三項では、代理店について同様の規定を設けていることが、この規定の趣旨が理解できません。この第七条は、私は削るべきであると考えます。この点について御所見をいただきたいと思います。
○山口政府委員 お答え申し上げます。
 日本銀行の業務は、本来、今大臣が申し上げた通貨発行益を利用して行われるわけでございます。そういった特性に照らしまして、適正かつ効率的な店舗設置の担保のために公的なチェックが必要だということで、こういう条文になっておるわけでございます。
○田中(甲)委員 限られた時間であります。数点御質問させていただきますが、総裁、日銀支店の業務については、正直申し上げましてむだな部分が多いのではないかという指摘があります。この点について、支店の業務の実態はどうでしょうか。また、もっと民間銀行に業務の委託をして、民営化、簡素化というものを考えられないでしょうか。
○松下参考人 日銀の業務といたしましては、銀行券の発行業務を初めとして、各種金融機関との預金・貸出業務、国庫あるいは国債業務など大変多岐にわたっておりまして、こういった業務は本店のみならず各支店でも行っているところでございます。
 こういった業務の中で、国庫・国債業務につきましては、現在、代理店を指定しまして民間金融機関に委託している部分がございますし、また発券業務につきましても、銀行券の保管事務等の一部は民間の金融機関に委託をしているところでございます。しかしながら、中央銀行の業務は信用制度の中核でございますから、正確であること、公平であること、また個別の取引につきまして機密を維持する必要があることというような点を考えますと、基本的に申せば中央銀行自身が行うべきことでございまして、民間に委託できる部分には限りがあるように考えられます。
 ただ、さきに述べましたように、でき得る限りの民間への業務委託は行っているところでございますし、今後もなお、そういった方針で臨んでまいりたいと思います。
○田中(甲)委員 質問は以上で終了いたしますが、改正案第五十一条であります。大蔵大臣に日本銀行の予算を事前に認可する権限を与えています。これを改めて、国会における予算、決算の承認の仕組みに切りかえてはいかがかという提案をさせていただきます。
 金融政策は財政政策を含む経済政策と整合性を保たなければなりませんけれども、公定歩合操作は日銀の専管事項でおります。今後、金融政策をつかさどる日銀が、大蔵省から独立性を持って対等な関係に立つのが筋だと思います。今回の改正案は、大蔵省の影響力保持の意図が、残念ながら見え隠れしている、その部分があると私は思います。中途半端な改正は必ずや将来に禍根を残すことになると思いますので、委員各位の今後さらなる御努力というものを期待し、そして民主党としても修正案というものを出す考えをお伝えし、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○柳本委員長代理 次に、末松義規君。
○末松委員 民主党の末松義規でございます。私も、田中議員が質問したのに引き続きまして、幾つかの点について質問させていただきます。
 この日銀の改正案を見ますのに必要な視点というのがあるかと思うんですが、そのうち私の方は、大きく分けてまず二つの視点から見ていきたいと思います。
 今提案されております日本銀行法案で、国際化と市場化、この二つが大きく進む中で、二十一世紀の日本の金融システムの中核を担う中央銀行として日銀が今後ふさわしいものになっていくかどうか、これがまず第一点でございます。
 先ほど田中議員からも指摘がございましたが、政府のあるいは大蔵省の日銀に対する監督権がまだまだ非常に大きいんじゃないかというふうなことで、日銀の独立性が損なわれているんじゃないかという懸念は、私自身も持っております。
 例えば、きょうの日本経済新聞のニュースにもございましたけれども、政府が中央銀行を監督している国のうち、本当に最後ともいうようなイギリスの大蔵大臣が、今度英国の中央銀行のイングランド銀行の独立を明確化したという記事がございました。したがって、日本もそういった形で、今回の改正を機に、日銀の独立性、金融政策は日銀に任せるんだというふうなことをきちんとここで定める必要があろうということがございます。
 また、もう一つの視点としましては、この新しい制度のもとで日銀が、関連しますけれども、大蔵省の陰に隠れることなく、日銀自身の手で金融政策をきちんとやっていけるような、そういう日銀マンが育っていって、金融政策のプロとして本当の意味でのプロの仕事をしていただくという、その仕事をしていく上でどういうふうに育てていくかという形で、障害を除いてやるということが必要であろうと思います。そういった観点に立ちながら、今後の国際化、市場化にふさわしい法の制度をやっていかなきゃいけないというのが私の基本的な立場でございます。
 その中で、それをもうちょっと具体化した視点として、きょうは四点の観点から問題提起をさせていただきます。
 一つが、金融の国際化に日銀がきちんと対応できるものとなっているか。例えば日銀の国際的な役割、そういったものを配慮したものとなっているかどうかについて後でお伺いいたします。
 二番目に、政府の経済政策と一定の連携を保ちつつも、金融政策運営の独立性といったものがきちんと担保されているのかという点。
 そして三番目に、情報公開の仕組みがきちんと整備されているか。
 そして四番目に、多分いろんな銀行の倒産あるいは生命保険の業務停止とかいうさまざまな事態が今後もっと深刻化するんじゃないかというふうに言われておりますが、そういった金融危機に対して、日銀の対応力というものは十分確保されているものになっているかということについての観点からも質問をさせていただきたいと思います。
 まず、金融の国際化について、日銀の国際的な対応、この役割についてお伺いをいたします。
 例えばヨーロッパでは、欧州中央銀行の設立ということで、大きな協力体制のもとにさまざまな銀行間の連携とかあるいは協調体制が進んでおります。アジアでも今後、アジア圏の著しい成長を見ますと、同様な動きになるのではないかと思いますが、そういったときに、今、日銀は、例えば世界の主要国の中央銀行やアジアの中央銀行との間でどういうふうな連携関係あるいは関係が保たれているのか、それをお伺いしたいと思います。
○福井参考人 お答えを申し上げます。
 ただいま末松委員から御指摘のとおり、金融、経済の国際化あるいは市場化に伴いまして、各国の中央銀行の間におきましては、国際金融市場の安定を図ったり、さらにはその発展を促すというふうな立場に立ちまして、さまざまな協力関係が構築されております。
 日本銀行の場合も、各国中央銀行に対しまして、例えば円の預かり金などのサービスを日常的に提供しておりますほかに、国際金融危機に際しましては、ブリッジローンのような対応を先進国中央銀行等と共同して行うこともこれまでもしばしばございました。また、中央銀行が直面いたしますさまざまな問題につきましても、常に意見交換を相互に欠かさないように心がけております。
 そのような意見交換の場といたしましては、先進国を中心とする中央銀行間の意見交換の場としての国際決済銀行だけではなくて、私どもがかねてより提案して、現に設立されておりますアジア諸国の中央銀行間の会合もございます。EMEAPという俗称をつけておりますが、これは平成三年に設立をいたしまして以後、その中身がだんだん充実してきておりますが、そういうものがございます。
 このように中央銀行間の協力は、その内容がやはり時の経過とともに多岐にわたってまいってきておりますし、また、実質的な中身も従前に比して緊密の度を増してきているわけでございますけれども、日本銀行といたしましては、こうした具体的な協力を一つずつ着実に今後とも積み重ねていきたい、そしていつでも率直に中央銀行間で意思の疎通ができる関係を定着させていきたい、こういうふうに考えております。
○末松委員 今のお言葉、なかなか頼もしいお言葉なんですけれども、その際、意見交換の場合は大蔵省の関係者と一緒に出席しているわけですか。それとも中央銀行そのものが単独で実際に意見交換を行っているのか。幾つかの場合があると思いますが、一般的にはいかがなものでしょうか。
○福井参考人 ただいまの御質問につきましては政府の方からもお答えがあると思いますが、日本銀行の立場でお答えいたしますと、さまざまな国際協力の場面がございまして、政府と中央銀行が一体になって問題解決を要すべき場合と、それから主として金融市場の中における問題解決ということで中央銀行間の話し合いが中心になる場合と双方ございます。したがいまして、私どもが国際的な協力の場に出ていく場合には、政府と一緒に参加をさせていただく場合と中央銀行だけで単独に出ていく場合と双方のケースが、ございます。
 国際決済銀行におきます協力の場に関しましては、基本的に中央銀行だけの協力の場ということになっております。
○榊原政府委員 今副総裁からおっしゃられたとおりでございますけれども、日銀と大蔵省が連携をしながら国際的なネットワークをつくっているというものの中に、例えばG7というのがあるわけでございます。あるいはG10。これは大蔵大臣と日銀総裁が出席をするということでございます。またアジアにつきましては、この三月でございますけれども、六市場会合というのをつくりまして、これはやはり各国の大蔵省と中央銀行が参加しているということでございます。またEMEAPあるいはBISのように主として中央銀行が参加する、こういうフォーラムもあるわけでございます。
 これは、問題によって中央銀行のみの協調、あるいは大蔵省、中央銀行が協調して対応するというものがあるわけでございます。
○末松委員 私どもは、今後のアジアの市場の展開を考えますと、円の通貨圏の確立を重視すべきじゃないかというふうな立場をとっているわけですけれども、これに向けての御努力を、前にここで、大蔵委員会で一度聞いたこともありますけれども、一応大蔵省と日銀の役割の分担というような形、実際にどうやって来ているのか。あるいは、例えば日銀もそういうふうな円の通貨圏の確立ということに向けて戦略を提示するような、そういう自主的な動きがあるのかどうか、そういう点も含めて御答弁いただきたいと思います。大蔵省、日銀、両方にお聞きしたいと思います。
○榊原政府委員 お答えいたします。
 私ども、円通貨圏の確立というような戦略を現在持っているわけではございませんけれども、円というものが国際通貨として取引されるような、そういう環境を整えるべきだということについてはおっしゃるとおりだと思っております。
 ただ、これは政府が意図的に誘導するというよりも、円というものが使い勝手のいい通貨になるということ、東京市場というのが非常に使い勝手のいい市場になるということ、こういうことによっておのずから円の国際化というようなものが促進されるのではないかというふうに考えております。
 大蔵省といたしましては、これまでも国内の短期金融市場の整備あるいはユーロ円取引の規制の緩和、健全な外為市場の育成など、円の国際化の環境整備に努めているところでございますけれども、今回お願いしております外為法改正というのも、円の国際化ということに向けての非常に大きなステップだというふうに考えております。
○福井参考人 日本銀行の立場からも同様のことを申し上げますれば、円の通貨圏の確立というふうな感覚よりも、むしろ金融、経済の国際化、市場化の進展に伴いまして、世界各地の金融・資本市場が一つの大きなネットワークを形成していく、そういう中で、日本の通貨であります円あるいは日本に所在いたします東京市場というものが、日本の実力に見合ってそれぞれ国際的な役割をしっかり果たしていくということが大事だ、こういうふうにとらえております。
 しかも、その円というお金あるいは東京ないし日本全体に所在いたします日本のマーケットというものがそういう役割を果たしていくためには、日本の実体経済が大きくて力も強い、効率的だというだけではやはり十分ではなくて、マクロ経済の安定ということと、一方、東京市場のインフラ整備と申しますか、市場をきちんと整備する努力が大事でありますし、そして、そういう市場に内外のいろいろな取引者が市場参加者としてあらわれるわけでありますけれども、その市場参加者が円という通貨に対する信認をしっかり持っていただくということが大事だ、こういうふうに考えているわけであります。
 そういうふうに考えました場合に、日本銀行の役割はやはりそこにしっかり一つあるということでございまして、もう既にお気づきのとおり、第一に、金融政策を的確に遂行することによりまして市場経済の基盤となる物価の安定に努める、つまり円に対する信認を強めるということが第一の役割だと思います。第二は、マーケットのインフラ整備の面でも日本銀行の立場でいろいろできることがございます。そういう努力を尽くすことによって土台を築いて、その上で、いわゆる我が国の決済システムの円滑な運営を確保する。これはお金が使いやすくなるということでありますし、マーケットが世界じゅうのどの人から見ても使いやすくなるということであります。
 そういった方向で、中央銀行として果たすべき責務はしっかりと所在するわけであり、現在の法律のもとでもそうでございますが、新日銀法のもとで一層の努力をいたさせていただきたい、そういうふうに考えているわけでございます。
○末松委員 そういった中央銀行の国際化に向けて、この日銀法の改正にも国際化という視点が幾つかあるかと思いますが、改善と思われる点について御指摘をいただければと思います。
○榊原政府委員 お答えいたします。
 今回の改正で国際化ということについて改善をしたというのは、新日銀法の四十条から四十一条、四十二条でございます。四十一条につきましては、今までも行われていた業務ではございますけれども、これは二十七条の他業の禁止のただし書き規定を使って大蔵大臣の承認を得てやるということでございましたし、四十二条につきましては、二十四条で同じように大蔵大臣の承認を得てやるということでございましたけれども、今回四十一条、四十二条に明記いたしまして、日銀が独自の判断でできるということになっているわけでございます。
○末松委員 例えば四十二条でしたか、メキシコや中南米の累積債務の問題で一時期いろいろと大きな問題になりましたけれども、そういう場合というのは大蔵省と日銀、それぞれどういうふうな対応をされましたか。あるいは、今度そういうふうなところの反省の上あるいは教訓を学んだ上での条文の改正ということになっておりますでしょうか。
○榊原政府委員 お答えいたします。
 九四年のメキシコ等の国際金融危機というものの対応については、国際的に主として大蔵省、財務省等がイニシアチブをとり、IMF等と相談し、これはもちろんイニシアチブをとる場合、各国とも大蔵省なり財務省なりが非常に緊密に中央銀行と相談をしながらやるわけでございますけれども、例えばメキシコ危機のときにはアメリカ財務省がイニシアチブをとったということで、各国大蔵省がそれに協力をし、IMFが協力をする。
 それからまた、短期的な資金繰りというのがどうしても出てくるわけでございます。中長期のリスケジュールというのをやらなければいけないのでございますが、これは短期的にどうしても資金が要る。こういうときには各国の中央銀行がBIS、国際決済銀行を通じて短期的な、我々ブリッジローンと言っていますけれども、ブリッジローンをやるというようなことになっておりますので、大体そのパッケージはIMFと大蔵省、財務省がつくる、その中で短期的な金融については各国の中央銀行がBIS等を通じて協力する、そういう形になっているわけでございます。
 この四十二条もそういうものを想定して書かれておるところでございまして、こういう国際的な金融危機、金融協力というのは、各国政府が当然関与するわけでございます。大蔵省、財務省が関与するわけでございますので、大蔵大臣からの要請あるいは大蔵大臣のあらかじめの承認を得て、各国の中央銀行はそういう国際金融危機に対応できるというような形に四十二条は書かれておるわけでございます。
○末松委員 そうしますと、大蔵大臣からの要請に基づき、またはあらかじめ大蔵省の承認を得て、日銀もイニシアチブをとってやるという意気込みがあればやれるという仕組みにはなっておるという理解でよろしいですね。
○榊原政府委員 もちろんそういうことではございますけれども、先ほども申し上げましたように、国際的にはやはり大蔵省なり財務省がイニシアチブをとって国際金融危機に対応する、そこにIMFなり、場合によれば世界銀行などが入ってくる、そして短期の資金繰りを中央銀行がやるというのが仕組みになっております。
 ただ、当然のことながら我々も緊密に中央銀行と相談いたしますし、中央銀行から何かサジェスチョンがあればそういうことをやっていただく余地は十分にある、そういうふうに考えております。
○末松委員 実態はよくわかりました。
 次に、関連がありますけれども、いわゆる日銀の独立性というのと政府との関係、それについて質問させていただきます。
 この関係で一番最初に目につくのが、三条に「日本銀行の通貨及び金融の調節における自主性は、尊重されなければならない。」と書いてありますね。それで四条に「日本銀行は、その行う通貨及び金融の調節が経済政策の一環をなすものであることを踏まえ、それが政府の経済政策の基本方針と整合的なものとなるよう、常に政府と連絡を密にし、十分な意思疎通を図らなければならない。」三条で日銀の金融政策における独立性が定められていて、四条で政府の経済政策と一体となるように努めろというふうなことが書かれてあるわけですけれども、これは実際にこの日銀の独立性、金融政策における独立性が本当に保たれるのかなという疑問が素朴にあるわけなんですが、その辺についてちょっと解釈をお聞かせいただきたいと思います。
○福井参考人 お答え申し上げます。
 日本銀行の立場から、現在御審議いただいております日銀法の改正案、今御指摘の二つの条文というものを読ませていただきまして理解させていただいておりますところは、日本銀行の行います金融政策は、物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に寄与していく、こういうことでございます。したがいまして、その目的を達成していくために、金融政策の最終的な意思決定機能をこの新しい改正法案は日本の中央銀行であります日本銀行に付与しようという内容になっている、こういうふうに理解しております。
 その一方で、日本銀行の行います金融政策も、広い意味での日本国全体としての経済政策の一環ということは間違いのないところでございまして、金融政策と政府の全体としての経済政策の整合性が図られている方が政策としての効果はより高い、国全体としての目的も達成されやすいということは当然のことでございまして、二つの条文をあわせて読みますと、そうした趣旨がかなり明確に規定されているというふうに理解しているわけでございます。
 よく俗に、中央銀行は独立した存在でなければならない、だけれども糸の切れたたこのように政府と無関係なものであってもならない、こういうふうなことが言われておりますけれども、それは、新日銀法改正案の中には御指摘のような条文が一つの表現形態として出ているということだろうと思いますし、そのほかにも、金融調節事項を審議いたします政策委員会への政府の出席についての規定とか、あるいは議案の提出権、議決延期を求める権利といったような制度も具体的に盛り込まれておりますが、これらは、いずれも日本銀行が独立的に決定いたします金融政策と政府の経済政策との整合性に関して、そこにそごが生じないよう制度的に十分工夫がなされた上で盛り込まれたものだというふうに理解しているわけでございます。
    〔柳本委員長代理退席、保岡委員長代理者席〕
○末松委員 そうしますと、日銀の金融政策の独立性というのは、物価の安定を主眼としたところの、ある一定の範囲の制限的なものでの政策について決定の権限を持つということ、そういう理解でよろしゅうございますか。
○山口政府委員 日本銀行の金融政策の独立性を尊重しながら、経済政策の一環として政府の経済政策との整合性が求められているというところで今お読みいただいたような文章になっているわけでございますが、いずれにせよ、この日本銀行法案におきましては、日本銀行の金融政策は政策委員会が最終的に決定するということが明確になっております。したがいまして、金融政策の独立性は阻害されないということで御理解いただきたいと思います。
○末松委員 抽象論をここで幾らぶってもしようがありませんし、実態論は、いずれにせよ、日銀もあるいは政府もいろんな議論の中で一つの方向性を見出すということでございますが、ただ日銀の独立性といっても、非常にある意味じゃフラジャイルといいますか、もろいという位置づけはおかしいんですけれども、なかなか独立性と言えるようなものでもないという気もいたすわけです。
 ただ、日銀の職員の皆さんが物価というものを考えますときに、物価というのは基本的に、経済のさまざまな事象がさまざまな関連を通じてその中で物価というのが出てくるわけでしょうから、単に物価というものの、やれ公定歩合だ、やれ通貨供給だという幾つかの要因だけで経済が動いているわけじゃございませんから、その意味で、本当に複雑多岐にわたる関係の中で物価の安定というものが出てくるんであろう。そういった中で、私は、日銀の社員の皆さんですか、日銀の職員の皆さんが独立の気概を持って、経済政策のプロとしてやっていただきたい、金融政策のプロとしてやっていただきたいということから申し上げるんですが、ぜひ日銀のプロとしての自覚を、気概を確認したいと思うんですが、お願いします。
○福井参考人 ただいまの末松委員のお言葉をかりますと、日本銀行法という法律の体裁を幾ら整えても、中央銀行の独立性の実態というものは中央銀行みずからの努力がなければしょせんフラジャイルである、大変貴重な警告をちょうだいしたつもりでございます。
 まさに御指摘のとおりでございまして、物価の安定を基軸としてマーケットの信認を得ながら中央銀行がしっかりとした政策運営を行い、かつ実績を上げていく、そうしたことがなければ、いかに法律が立派に整備されても信頼の寄せられる中央銀行にはなり得ないわけでございます。私どもといたしましては、この点を十分自覚して、今後さらに一層努力して適切な金融政策の運営に当たりたいということでございます。
 具体的には、金融政策の運営に当たりまして、今、物価というものはもろもろの経済現象の一つの集積的な現象としてあらわれるんじゃないかとおっしゃいましたけれども、まさにそのとおりでございます。したがいまして、金融政策の運営に当たりましては、金融経済情勢に関する非常に広い範囲の、マクロ的あるいはミクロ的な情報を十分集めて、それを経済の理論面及び実計画から十分研究を深めるという作業が前段階として非常に重要でございます。そうした作業を十分行って的確な情勢判断に努める、そしてその上に政策的な対応というものを、さらに誤りなき判断を積み重ねていくということでございます。そうした政策判断のための基礎データや情報あるいはその際の考え方、さらには政策決定の過程につきまして議事要旨の公表などを通じて国民の皆様の前に明らかにして説明責任を十分に果たしながら、こうした重要な仕事を私どもとして果たさせていただきたい、こういうふうに考えている次第でございます。
○末松委員 そういった今の副総裁の気概につきまして、本当に私もぜひそうあっていただきたいということを切に望むわけですが、そのときに、昔のボスといいますか、法律的にも日銀が少し弱い立場に置かれているというのは事実だろうと思います、これは大蔵省との関係で。
 したがいまして、大蔵大臣に質問をさせていただきたいんですが、日銀の金融政策の独立性を尊重するといった意味でのしっかりとした哲学、日銀にもっともっと金融政策を独立してやってくださいというその哲学についてあるいは方針について、言いただければと思います。
○三塚国務大臣 今回の改正法案につきましては、日本銀行の金融政策の独立性及び政策決定過程の透明性に資するさまざまな措置を講じたところであることは御承知のとおりであります。具体的には、議事録などの公表、そして政府の広範な業務命令権の廃止、日銀役員の解任事由の限定、そして預金準備率の変更に係る大蔵大臣の認可の廃止などの措置を講じたことは御案内のとおりであります。
 このような措置によりまして日銀の金融政策の独立性が確保されると考えており、従前の長い経験とノウハウがさらに生かされて、物価安定という最大の目的、いわゆるそこには利率の問題もあります。国民生活の安定確保のために貢献できるものと信じております。
○末松委員 何回もくどいようですけれども、本当に大蔵省、大蔵大臣を初め、日銀のプロの意識をもっともっと育てていただけるような、そういった意識をお持ちいただければと思います。
 そういった観点からちょっとまた細かい点を質問させていただきますけれども、政府と日銀との意思疎通を図る一つのフォーマルな仕組みとして、政府からの政策委員会への出席と議案提出権というものが規定されております。こうした仕組みは諸外国にもあるようですけれども、政府からの出席が政策委員会を常時監視するようなものになると、やはりなかなか独立性確保の観点から問題があるんじゃないかという指摘もございます。
 必要があれば出席するという文言がございますけれども、これはだれが判断し、どのような場合に政府から出席することとなるのか、何回か質問があったかと思いますけれども、改めてここで質問をしたいと思います。
○武藤政府委員 政府委員の政策委員会への出席の判断はだれがするのかということでございますけれども、これは大蔵大臣または経済企画庁長官が必要と認める場合、まさに大臣、経企庁長官が要否を御判断するということになるわけでございます。
 具体的に議案提案を判断するのは、出席した者がその場で、日銀の金融政策と政府の経済政策との整合性を図るために何らかの提案が必要であるということを判断した場合に、その出席者の判断によって議案提案を行うということになろうかと考えております。
○末松委員 この場合、前にも指摘があったかと思いますが、日銀の独立性という観点からいけば、日銀が判断するというわけにはいかないでしょうか。
○武藤政府委員 政府委員の政策委員会に対する出席の目的は政府の経済政策との整合性という観点でございますので、その判断はやはり政府の方がする必要があろうかと思います。
 ただ、御承知のとおり、政府の出席者には議決権がございませんし、議案を提案した場合におきましてもその判断は政策委員会が行うということでございますので、政策委員会の独立性は阻害されないというふうに考えます。
○末松委員 日銀の御判断は、今の私の、日銀が必要性について判断するということに今御答弁がございましたけれども、日銀の個人的な見解で結構ですけれども、その辺についてちょっと御意見をお伺いできればと思います。
○福井参考人 お答えを申し上げます。
 政府と中央銀行との関係につきまして、一方で中央銀行の独立性を確保しながら、同時に経済政策全般と中央銀行の金融政策との整合性を保つという上では、各国の中央銀行法を見ましても、さまざまにその国の状況にも照らしながら工夫が加えられているということでございます。ただ、そこに共通すると申しますか、近代的な中央銀行法として貫かれているグローバルスタンダードは、最終的な意思決定権というものが中央銀行の政策意思決定機構、今度の法律で申しますと政策委員会に所在するという点が共通項でございます。
 そういう意味からいきますと、今回の改正法案で、必要に応じて政府の代表の方が日本銀行の政策委員会に出席されて意見を述べられる、あるいは議案を提出される、あるいは議決延期を求められるというふうなことがあるわけでありますが、いずれのケースにつきましても最終的な決定機能は政策委員会そのものに残されているということでございますので、中央銀行が独立的に金融政策を運営していく上で最終的な支障になるものではない。むしろ、そうした政策委員会の場における政府の意見陳述あるいは議案の提出の内容、議決延期を求める趣旨等は、後ほど議事録要旨等で公開されるということでありますので、客観的な世間の吟味も得るということでございます。したがいまして、中央銀行の独立性といわゆるアカウンタビリティー、これに抵触するものではないというふうに理解できると思っております。
○末松委員 では、もうちょっと具体的に話を進めてみましょう。
 政策委員会に今大蔵省の代表委員がおりますけれども、大蔵省の代表委員が公定歩合の変更というものについて反対意見を述べたということはございますか。
○武藤政府委員 御指摘のとおり、現在大蔵省の日銀政策委員が政策委員会に出席しておるわけでございますけれども、日本銀行と大蔵省の間におきましては、それぞれの政策運営に遺漏がないように当局間でいろいろ常日ごろから意見交換をしておるところでございまして、そういうお互いの見解についての議論を交わすということはあるわけでございますけれども、公定歩合の操作等の金融政策に対します最終判断は、現行法のもとにおきましてもあくまでも日銀政策委員会にあるというふうになっておるわけでございまして、御指摘のように政府が反対意見を述べたことはないというふうに承知しております。
○末松委員 これ以上質問してもそれほど出てこないかもしれませんので、次に行きます。
 透明性の確保、情報公開について今度はお尋ねいたします。
 まず、二十条の議事の要旨の公表の内容とそのタイミングについて、よくここも問われておりますけれども、もう一度答弁をお願いします。
○山口政府委員 金融調節事項を議事とする会議に関しまして議事録を公表するというふうになっておりますし、議事録はできるだけ早期にそれを行うというふうになっております。
○末松委員 この公表の内容なんですけれども、要旨と言われると百のものも十にまとめられるか、あるいは三十にまとめられるか、五十にまとめられるか、その判断によってどんどんまとめ方が違ってくるのですけれども、この場合、今度は政策委員会で決められるという答弁になるかもしれませんが、例えば発言者名は載るのか、あるいは判断材料というような資料も公表されるのか、決定したという理由についてもかなりの程度述べられることになるのか、その辺はいかが考えておられますか。
○福井参考人 お答えを申し上げます。
 ただいまの日本銀行法改正案の御審議の状況を十分拝聴しながら、一方で私どもは、議事録要旨の公表の中身いかにあるべきやということを内部的には少しずつ検討を進めているところでございます。したがいまして、どういう中身になるか、おっしゃいましたとおり、最終的には政策委員会での決定事項でございますし、今の段階では内部的な検討も完了しておりませんので申し上げられません。申し上げられませんが、いろいろ海外にはモデルがございます。
 例えばアメリカの連銀の場合のFOMCの議事録要旨というものが公表されておりますが、そうしたものを拝見いたしますと、まず政策判断の前提となった経済情勢についてのデータ及びその分析、それからそのデータ及び分析の内容に対する政策委員会のメンバーの方々のいろいろな意見の開陳、ディスカッションというふうなものがやはり記録されているようであります。そうした議論を経て、ある政策決定事項について賛成か反対かという議決が行われるわけでありますけれども、その議決の内容につきましては、個人名まで入れて賛成である、反対であるというふうな記録がまとめられて公表されているようでございます。こういったことは、今後私どもが内容を検討してさらに詰めていきます場合に、一つの重要な参考材料になるというふうに考えております。
○末松委員 今副総裁がお答えになられたことは、基本的に、今、政令、省令の中でこういった基準でこれは公表するのだというのが実は整えられて、この場で発表できる程度にやっていかなければいけないのだと思うのですね。そうじゃないと、公開というものをします、それは皆さん賛成でしょう、どの委員の方も。ただ、この要旨が一カ月か一カ月半後になるとして、本当にこれぐらいに薄っぺらになっちゃった、それは後で検討しますといったら、ある意味では詐欺的な行為と言ってもいいような感じになるわけですよ。その辺は、今副総裁がおっしゃられたような形で、その程度は少なくとも出るのですねという印象を私は持ったのですが、そういう印象でよろしゅうございますでしょうか。
○福井参考人 私が個人としてそういう印象をエンドースするという立場にはないことはよく御承知いただきたいというふうに思いますが、私どもはやはりアメリカの例などを非常に真剣に参考にしているというふうにお答えさせていただきます。
○末松委員 議事録が何か三十年後だとかいううわさも聞きますけれども、そういった意味で、この要旨についてはできるだけ詳しく、そして国民にわかりやすい形でやっていただくようにあえてお願い申し上げます。
 それから二十条に、公表するアイテムというんですか、これが「金融調節事項」ということで書いてあるんですね。じゃ金融調節事項というのは何なんだというと、十五条の第一項に書かれたものを指すというふうにございまして、十五条を挙げていくと、幾つか、公定歩合から始まって第六号まであるんですけれども、私はちょっと疑問を持ちましたのは、例えば緊急事態が起こったとき、日銀特融ですね、そういったものは公表されるのかといったら、これは十五条第一項にない、金融調節事項ではないんだということで、これについての議事要旨は公表されないんだという解釈があったんですが、そこのところはどういう解釈になっておられますでしょうか。
    〔保岡委員長代理退席、委員長着席〕
○山口政府委員 金融調節事項を議事とする会議以外の政策委員会の議事録の公開に関しましては、金融制度調査会の答申では、次のようにも述べられております。金融調節事項を議事とする会議以外の政策委員会においては、
 信用秩序の維持に関する事項、国際金融に重大な影響を与える事項、私企業の秘密に関する事項等が審議されることから、公開に当たっては、その審議内容等に応じ、慎重な取扱いを要する場合があると考えられる。したがって、これらの議事録等については、法的に一律に要件を定め公開を義務づけるよりも、政策委員会の判断により取扱いを決定することが適当である。
というふうにされております。
 この議論を踏まえまして、御審議いただいております改正法案におきましては、金融調節事項を議事とする会議の議事録のみ、その公表を義務づけたものでございます。それ以外は義務づけていない、こういうことでございます。
○末松委員 済みません、ちょっと頭の回転がのろいものですから、今の最後の発言、ちょっと私自身が把握できなかったんですけれども。
 つまり、信用秩序の維持に関するものとか国際的に重大なもの、これについては政策委員の方の判断に任せる。それはある意味では、むしろ日銀特融の場合なんかは非常に国民生活にとって重要で、しかも広範囲な影響が出てくるものだと思うんですけれども、それについては逆に、あえて議事要旨から抹殺するという判断をやられるということは、国民との情報公開の関係からどういうふうにそれを、その金融制度調査会の報告はわかりましたが、それを大蔵省の方はどういうふうに見ているのですか。
○山口政府委員 金融調節事項を議事とする会議、いわゆる金融調節、公定歩合をどうする、あるいはオペレーションをどうするというような、マーケットに大変な影響を及ぼす事項を審議する会議、この会議の議事要旨及び議事録の公開というのは、法律上義務づけたわけでございます。それは法律で義務づけたわけでございまして、それはなぜかといいますと、(末松委員「何条にありましたか」と呼ぶ)これは二十条でございます。二十条は、「公表しなければならない。」というふうに書いてございますように、その議事録等の公表を義務づけたわけでございます。
 これはなぜかといいますと、結局、これからマーケットを中心とした経済、金融になってまいるわけでございます。マーケットは、中央銀行のこういった金融政策の動きというのをいつもウォッチするわけでございます。あるいは予測するわけでございます。したがって、正確な情報を与えていくということが、これからマーケットを中心とした行政としても大変大事になってくるわけでございます。したがいまして、金融調節事項を議事とする会議につきましては、その公開を義務づけたわけでございます。
 それ以外の事柄につきましては、義務づけるのではなくて、「政策委員会の判断により取扱いを決定することが適当」というふうな答申をいただきましたので、法律上、それを義務づける規定を置いていない、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
○末松委員 だから、日銀特融のような場合は金融調節事項じゃないわけでしょう。そして、そういうものについては政策委員会は公開しなくていいわけでしょう。もしそういうふうな判断に立てば、公開しなくていいということであれば。でもそれは国民生活にとって大きな、あるいはマーケットにとっても大きな情報になるわけですけれども、それをあえてなぜそこで除外しなければいけないのか、その理由についてどう思っているんだというのが私の質問なんです。ですから、金融制度調査会がそう言っているから、もう大蔵省、全くそれと同じでやっているということしか出てこないんでしょうか。
○山口政府委員 繰り返しになりますが、金融制度調査会では、この辺はかなり綿密に御議論いただきまして、信用秩序の維持に関する事項、国際金融に重大な影響を与える事項、私企業の秘密に関する事項等が審議されることから、その公開に当たっては、その審議内容に応じて考えなさい、こういうふうになっているんです。私どもは、それは至当な考えだというふうに思っております。したがって、この法案で義務づけておりますのは、そういうマーケットにインフォメーションを与える金融調節事項を議事とする会議というものにしたわけでございます。
○末松委員 例えばその第二項、つまり公開の義務がない事項について、日銀特融の話以外に、例えば決済サービスの提供に関する重要事項とか国際金融業務の実施等についての事項とか、例えば日銀の支店等の設置について、そういうふうなこともその他ということになっていますけれども、その辺についても、非常にセンシティブで機微なものですから公開義務を外したという位置づけなんでしょうか。
○山口政府委員 あくまで、御説明しておりますのは、その会議の議事録あるいは議事要旨、つまりプロセスを公開するかどうかの問題でございます。したがいまして、個々の事柄によりまして、その結果を日本銀行の方から、あるいは政策委員会の発表という形で公表されるということは、それは通常行われることだと思うわけでございます。どういう議論が、だれがどういう発言をしたのかということまで義務づけておりますのは、この金融調節に関する部分というふうに御理解いただきたいと思います。
○末松委員 そうしますと、だれがどういう議論をしたのかということについては、金融調節事項としてもう明記するということを今銀行局長がおっしゃったわけですけれども、この点について、必ずしもちょっと私自身がその理由そのものを納得しておりませんので、これはまた後の段階で質問をさせていただくことになるかと思います。
 時間がないんで、次に参りますが、日銀も、このような公開ということと同時に、国会に出てきて説明をするということで、自分のやった金融政策について、実際に答弁を行って、その説明責任というものを負っていくということでしょうけれども、この辺について日銀のスタンスを問いたいということと、それから、もっと国民に対して直接説明をするような、そういったことはお考えではございませんか。
○福井参考人 お答えを申し上げます。
 御審議中の改正法案の中を拝見さしていただきますと、金融政策に関する報告書を年二回国会に提出いたしますとともに、その報告書に関する説明をするように努めること、それから業務及び財産の状況についても、説明のため出席を求められた場合には出席しなければならないということが規定されております。
 国会に対して報告書を提出する年二回の機会というのは、日本銀行といたしましては、金融経済情勢に関する基本的な判断とか金融政策運営の考え方についてまとまった御説明をさしていただく非常に貴重な場と認識いたしております。十分に説明さしていただきたいし、かつ十分に議論もさしていただきたい、そういうふうに考えているところでございます。
 なお、対国会、対政府以外の対一般の国民の皆様に対しましても、私どもはいろいろなメディアを使いまして積極的な広報活動に努めてまいりたい、こういうふうに考えております。
○末松委員 もう時間がなくなりましたので、ちょっと最後の質問で、金融危機に対する対応ということについて御質問させていただきます。
 金融危機については、条文で、信用秩序の維持に資するための業務について、政府から要請があった場合にこの対応をとるというふうに書いてございます。また、その要請というものが条件になっているわけですけれども、金融政策について責任を負う日銀自身も、さまざまなところでこの情報をキャッチして、信用秩序の維持についてさまざまな情報を得ていろいろな判断ができるだろうと思いますけれども、条文上、政府からの要請がないとできない。あるいは逆に、ちょっと意地悪い解釈をすれば、政府の要請があっても、政策委員会でそれが拒否されたらそれまでだという話にもなるかもしれません。
 そういった意味で、日銀自身が非常にその辺で信用秩序の維持に資するために必要だと思う場合もあるだろうと思いますが、そういうときでも大蔵大臣の要請がなければだめだというんじゃなくて、例えばさっき国際業務のところでありましたけれども、あらかじめ大臣の承認を得て、そういうふうな文言が本当は入るべきなんでしょうけれども、ここについては入っておりませんが、その辺はどう解釈しているわけでしょうか。
○山口政府委員 信用秩序維持における役割に関する政府と日本銀行との関係につきましては、中央銀行研究会報告書におきまして、
  信用不安が生じた場合の対応については、金融機関の破綻処理等には行政的手法を要することから、最終的責任は政府にあるが、日本銀行は「最後の貸手」として重要な役割を担う必要がある。
 その際の日本銀行の役割は、基本的には、信用秩序維持の観点から、適切な流動性を供給していくことである
との指摘がなされているわけでございます。
 こうした指摘を踏まえまして、信用不安を生じた場合の対応につきましては、政府が最終的な責任を有する一方、日本銀行法案におきましては、日本銀行の特別業務として一時貸付業務、信用秩序維持に資するための業務を行うことができるとしております。
 その際の手続でございますが、今申し上げたような、政府が破綻処理等については最終的な責任を有するというふうにされておりますので、政府が責任を持ち、イニシアチブを持って対処していくということから、特融等は大蔵大臣からの要請でもって行うというふうにしておるところでございます。
○末松委員 もう時間がなくなりましたので、これで終わりますが、フラジャイルな独立性かもしれませんけれども、日銀の皆さんが独立の気風を持って金融政策、厳として今後政策をやって、そして国民に公開する、そういった点をぜひ頑張っていただくようエールを送りまして、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
○額賀委員長 次に、佐々木憲昭君。
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。本日最後の質問でございますので、お疲れでしょうけれども、よろしくお願いをいたします。
 日銀法の改正案についてでありますが、現行の日銀法は、第二次大戦中の昭和十七年、一九四二年に国家総動員体制のもとでつくられたものであります。その手本となったのは、ナチス・ドイツのライヒスバンク、帝国銀行法でありました。ライヒスバンクはヒトラーによりまして自立性を完全に剥奪されたという経過がございます。これを手本といたしまして改正されたわけでありますから、現行の日銀法というのは戦時立法的色彩が極めて強く、かつ独立性がほとんど認められていないという、こういう体系になっているわけであります。これを改めるというのは当然のことでありまして、今までこのような法律を放置してきたということ自体が問われるわけであります。
 先ほど独立というのはどこからの独立かという話がありましたけれども、例えば世界銀行が五年ほど前にエコノミックレビューというのを出しまして、その中で中央銀行の政府からの独立性の順位、これを明らかにいたしました。先進二十一カ国の中で日本の地位は十九番目、下から三番目であります。まさにこういうグローバルスタンダードという角度からいいましても、大きく外れているのが現行法だと言わなければならないと思うんです。
 このような事態に対しまして、重要なのは、日銀自身がどういう姿勢で改革を行うのか、つまり日銀が独立性を獲得するために積極的に改革の先頭に立つということが大変重要なことであろうというふうに思うわけであります。
 そこで、日銀総裁にお聞きしたいわけですけれども、これまで日銀法の抜本改正というのは、一九五七年から六〇年にかけまして一度議論をされました。それから二回目は、一九六四年から六五年に行われているわけであります。試みがされたわけです。しかし、これは実現をしなかったわけですね。その理由を、振り返ってみまして、どこにあるとお考えか、この点についてお聞きをしたいと思います。
○松下参考人 日銀法につきましては、戦後、昭和二十四年に政策委員会制度を導入します制度改正が行われました後、ただいま御指摘のように、昭和三十年代半ばと昭和四十年の二回、法改正の動きがございました。
 昭和三十年代半ばの動きについて申し上げますと、昭和三十二年から約三年間にわたりまして金融制度調査会での議論が行われたところでございますが、このとき、日本銀行と政府との関係につきまして、二つの意見が実は両論併記となりまして、これを一本化することができませんでしたために、法改正に至らなかったものでございます。
 また、昭和四十年の場合には、昭和三十五年の金融制度調査会の答申を参酌をしまして、政府部内で日銀法改正案の作成が検討されましたけれども、これも法改正には至らなかったというふうに承知をしております。
○佐々木(憲)委員 結局、二回とも実現をしなかった。第一回目は、政府の側と日銀の側といいますか、A案、B案というのが出されまして、結局、池田勇人総理大臣によりまして、立法化は急がないのだということで、これは実現しなかった。二回目は、自民党の財政部会の採択が得られなかったというふうにお聞きをしておりますけれども、結局これも国会提出が見送りになったわけですね。それから三十年間、現在まで経過をしているわけであります。
 昭和三十二年、一九五八年ごろに金融制度調査会の委員でありました円城寺次郎氏はこう言っているわけです。独立性などというものは他人に頼んでもらえるものではない、自分で血を流してから取るものだ、こういうふうに日銀関係者に語ったということが紹介されていますけれども、この間、抜本的な改革の声が日銀の中から上がってこなかったというところに大変大きな問題があったのではないかというふうに私どもも思っております。この間、政府、大蔵省のいろいろな形での要請あるいは圧力、こういう形で日銀の政策にゆがみをもたらしたということが幾つか指摘されております。
 日銀総裁にお聞きしたいわけですけれども、日銀法改正の眼目は、日銀の専管事項にかかわる金融政策につきまして、政府、大蔵省からの独立だというふうに思うわけですけれども、この点についてはどのように認識をされておられますか。
○松下参考人 今回の法律改正の最大の眼目は、金融政策の決定並びにその実施につきまして、日本銀行が中央銀行として持つべき独立性というものを強化をいたすことに伴いまして、政策決定につきましての透明性を高め、その内容につきまして広く一般に公表、公開をしてまいることによりまして、より強く中央銀行の責任を果たしてまいる。そういう考え方が基本であると考えております。
○佐々木(憲)委員 今、独立性と透明性、こういう二つの柱が大事であるというふうな御発言がありました。これがなぜ必要かという点なんですけれども、従来、日銀独自の政策判断が、政治的圧力といいますか大蔵省の圧力といいますか、そういう中でゆがめられた、そしてその結果として日本経済の全体としての健全な発展にマイナスをもたらした、そういう苦い経験がしばしばあったのではないかというふうに思うわけであります。
 そこで、日銀総裁にお伺いしますけれども、例えば、日銀の専管事項であります公定歩合の決定について、その際、大蔵省あるいは政府の側から要請あるいは圧力というものを受けたことが、過去、戦後あったかどうか、これについてお聞きをしたい。と思い、ます。
○松下参考人 戦後の金融政策決定に関します独立性に絡むこの法律改正につきましては、長年の間実現をしなかったわけでございますけれども、しかし、その間におきましても、二十四年の日銀政策委員会制度の導入を目的とする法律改正後におきましては、金融政策の決定を日銀政策委員会の責任において行っていくという方式ができましたので、その後におきましてのいろいろな機会における金融政策、特に公定歩合の決定に関しましては、それは日銀としての自主的な判断に基づきまして、自分の判断と責任でこれを決定してまいるように最善の努力を重ねてまいったわけでございます。政府、大蔵省との間におきましては、当然、一般金融経済情勢等につきまして、日ごろから意見の交換、情報の交換等を行っておりますけれども、あくまでも最終の判断、決定というものはみずからの責任で行うということでやってまいったつもりでございます。
○佐々木(憲)委員 日銀総裁としてはそういうふうにお答えになると思っておりましたが、今のお答えの中にも、独立して判断をするよう努力をされてきたということを言われましたし、それから、最終的には政策委員会で決めた、こういうわけでありますから、その過程でいろいろなことがあったということは既にいろいろな形で指摘されておりますし、例えばこの「中央銀行 危機の時代」、最近幾つか本が出ております。「目録・秘められた「反乱」」、こういう本の中でも、かなり具体的な調査、取材のもとで、過去の公定歩合政策について、どのような具体的な干渉があったかということが紹介されているわけであります。
 よく知られていますのは一九八九年十二月十九日の事件でありまして、三重野総裁の就任直後のことでありますが、当時大蔵大臣でありました橋本龍太郎現総理大臣ですけれども、その日、朝刊各紙が、週内に公定歩合引き上げ、こういうことを報じまして、これに対して記者会見で大蔵大臣は、日銀に白紙撤回させるという爆弾発言をしまして、大変三重野総裁は驚かれまして、直ちに担当者に白紙撤回するという釈明の記者会見をさせました。そしてまた、日銀幹部が大蔵大臣のところに出向いて陳謝をしたということがあったそうであります。このことが大変大きな大蔵省批判を招きまして、ある新聞は社説で、公定歩合はいつから蔵相の権限となったのかという手厳しい論陣を張ったことがあります。
 ここで三塚大蔵大臣にお伺いいたしますが、公定歩合の決定というのは日銀の専管事項であるというのが戦後の慣行でありますが、大蔵省が公定歩合の決定に際して圧力をかけるというようなことがあってはならないと思いますが、どのようにお考えでしょうか。
○三塚国務大臣 今日の日本銀行法案におきましても、金融政策の独立性を高める観点から、日銀政策委員会を強化いたしたのであります。金融政策の最終的判断を行うことを明確にいたしたのがこの強化策であります。ただし、公定歩合の操作等の金融政策は、政府の経済政策と相まちまして国民経済の健全な発展に資するよう両者の整合性が確保される必要があると考えておるところでございます。このため、今回の日銀法改正法案におきましては、日本銀行は、常に政府と連絡を密にし、十分な意思の疎通を図ることとされております。また政府からは、必要に応じ、金融調節事項を議事とする政策委員会の会議に出席をいたし、意見を述べることができるところとしたところであります。
 なお、政府からの出席者は議決権を有さないこと、政府が議決の延期を求めた場合でも政策委員会が最終的にその採否を決定できることなどから、政策委員会の金融政策の独立性は害されないものと考えておるところでございまして、この日銀法が成立するまでの金融政策は、おまえさんはどうする気か、こういうことなんでしょう。違いますか。(佐々木(憲)委員「金融政策じゃなくて公定歩合について」と呼ぶ)ですから、公定歩合について、専管でございますから、日銀の決定するところ、こういうことであります。
○佐々木(憲)委員 いろいろおっしゃいましたが、最終的には日銀の専管事項であり、最終的にはそこで決められるものだと。
 しかし、問題なのはその過程であります。その過程でこれまでもいろいろな圧力がかかり、今も大蔵大臣がおっしゃいましたが、調整をする、緊密な連絡をとる、ここがいろいろ問題を生んでくるわけでありまして、例えば今まで、これは現行法でもありますけれども、五年前に、当時の金丸副総裁の有名な日銀総裁首切り発言というのがありまして、これは九二年二月二十七日でありますが、竹下派総会で、公定歩合をあと〇・五%下げたい、これは金丸副総裁がみずから率先してこういうことを言ったわけですね。首相はオールマイティーだ、首相の言うことを聞かない日銀総裁は首を切ってでも下げさせるべきだ、こう言ったわけであります。その六日後には、自民党の経済動向調査に関するプロジェクトチームというのがありまして、その会合に福井副総裁を呼びまして、これを激しく追及し、ある紹介によりますと、つるし上げた、こういうふうにも言われているわけであります。
 こういう日銀に対する最終決定に至る過程の圧力が問題でありまして、これが日銀の金利政策をゆがめ、その結果、日本経済の健全な発展に重大な障害を与えるということになりますと、これが問題になるわけであります。
 先ほども質疑の中で、七〇年代初めの狂乱物価の問題、それから八〇年代末のバブル経済、こういう二度の失敗があったという話も紹介されていました。とりわけ現在の長期的な景気の低迷、その原因となったバブルの崩壊、それに、そのバブルをつくった長期にわたる金融緩和政策、その金融緩和政策の非常に重要なかぎ。になっていたのが、公定歩合の長期低金利であります。
 この点を振り返りますと、八六年、ちょうど円高の時期でありますが、一月、三月、四月、それから十一月、さらに八七年の二月と、一年間で五回連続的に公定歩合が引き下げられました。当時としては史上最低の年二・五%、これが二年三カ月延々と続いたわけであります。
 松下総裁にお伺いしますけれども、この長期にわたる超低金利、金融緩和政策がバブルを生み出す大きな原因になったと思いますけれども、一九八六年の十一月の第四次引き下げ、それから八七年の二月の第五次の引き下げ、この二回の引き下げについて、大蔵省から具体的な強い要請があったでしょうか。
○松下参考人 初めに申し上げますが、先ほど私、日銀みずからの判断と責任で公定歩合の決定を行うように努力してまいったと申し上げました。これは、平素の私どもの心構えを申し述べたものでございまして、個々の具体的な決定につきましては、あくまで私どもみずからの判断と責任で実行してまいったものでございます。
 そこで、ただいま御指摘の八六年、八七年当時の金融政策の運営でございますが、今当時を振り返ってみますというと、景気回復が強まってくる中で、まだ物価の安定基調は維持されておりました。また当時、為替円高のデフレ的影響が強く懸念されていたというような時期でございまして、国の経済政策について見ましても、大幅な経常黒字の是正、あるいは円高の回避ということが最優先の課題とされていた時期でございます。
 そうした中で、金融政策の運営面におきましても、私どもぎりぎりの選択を迫られたのでありますが、この選択の結果が結果的に長期にわたる金融緩和としてバブル発生の原因の一端となったということは、否定できないところであろうと思います。もちろん、バブルそのものの発生につきましては、非常に複雑な原因の絡み合いによってできるものでございますから、その原因を一つに特定することはできないところでございます。首都圏の一極集中でありますとか、税制、法制の問題でありますとか、その他いろいろと心理的な問題その他が絡んでのものでございますけれども、その一端となったということはあったかと存じます。
 ただ、そのような経験を踏まえまして、その後、私どもとしましては、金融政策の運営上大切なこととして、まず為替相場の安定あるいは対外不均衡の是正のために過度に金融政策に依存した対応をとるということは適切なことではなく、あくまでもインフレなき持続的な経済成長を目標としていくべきであるということ、それからまた、資産価格とかマネーサプライの動向などにも十分留意をして、早目早目の対応をとることが重要であるということ等が大事であると考えている次第でございます。
 したがいまして、日本銀行としましては、こうした点を十分念頭に置きまして、今後とも適切な金融政策の運営を行ってまいりたいと考えているところでありまして、当時、政府の方から具体的に公定歩合の問題について何らかの要請を受けたというようなことは、私は承知をいたしておりません。そういうことはなかったと考えております。
○佐々木(憲)委員 今のお話の中で、物価は安定していた、消費者物価、卸売物価の点では安定していたと。しかし、当時はマネーサプライが急増していまして、資金の流れが不動産に集中した、投機的な動きが非常に激しくなったというのが実態でありまして、それがいわゆる資産インフレに火をつけたわけであります。一九八六年十一月の四次引き下げ、八七年二月の五次引き下げというのがそれに一層輪をかけたというのはもう今や定説でありまして、こういう公定歩合の引き下げの背景に何があったのかというのがいろいろと今議論されているところであります。
 当時を振り返りますと、プラザ合意後、円が急騰したために、宮澤大蔵大臣がベーカー財務長官に対しましてアメリカの為替変更を求めたということがありました。ところが逆に、そのときアメリカ側から日本に対しまして、日本の景気刺激を一層進めるようにという要請があったそうであります。そのときに日銀の中では、これ以上金融面での刺激というのは必要がない、こういう考えが一般的であったとされているわけであります。しかも、これ以上金利を下げるということになりますとこれは問題だということで、抵抗感が非常に強かった。しかし、当時の中曽根首相は日米関係を配慮しまして執拗に日銀に利下げを迫って、永田町では、利下げに余り抵抗すると三重野を総裁にしない、こういううわさも流されたと言われているわけであります。
 こういう圧力の中で、八九年の五月までの、そのときに初めて利上げがされたわけですけれども、二年三カ月という長い間――ドイツはもう先に公定歩合の引き上げをやっていたわけであります。そういう長い期間この二・五%が維持され、それが一因となって大変なバブル経済がつくられたというふうに言われているわけであります。もはや大体こういう見方が定着をしていると言っていいと思うのです。
 こういう誤った選択をしない、先ほどもいろいろ再検討して考え直してみる必要があるというふうにおっしゃいましたけれども、こういう選択をしないためにも、やはり日銀の独立性ということを制度的に確立するということが大変重要であります。そしてまた日銀自身が、仮にそういう政治的な圧力があった場合に、日常的にそういうものと戦っていく、こういう気構えが非常に大事だろうというふうに思うわけであります。
 昨年の六月十四日に日銀総裁が日本記者クラブで講演されまして、通貨価値の安定という目標を持った中央銀行が他の政府部門との関係において相対的な独立性を確立することによりまして、権力の分立が図られ、チェック・アンド・バランスが有効に働くというようなお話をされたようでありますけれども、これはそのとおりでありましょうか。
○松下参考人 私が昨年六月に行いました講演では、中央銀行の業務はどういう性格のものであって、その基本的な役割は何か、また政府と中央銀行の関係をどう考えていくのかということ、すなわち、いわゆる中央銀行の独立性とはどういうことであるかということ、それからさらに民主主義のもとでの中央銀行制度をどう位置づけるのかというような観点から、中央銀行のあり方についての基本的な考えを述べたものでございます。
 その当時は、まだ日銀法改正に関する議論につきましても、中央銀行研究会の審議も始まっていない段階の時期でございますから、あるいはその具体的な細部につきましては、その後の展開どおりになっていない点もあったかもしれませんけれども、基本的な考え方につきましては、現在も変わっていないところでございます。
○佐々木(憲)委員 ところが、その後の具体的な改正案づくりの経過を見ますと、日銀の側からのこの改正案の提起というのは具体的にはなかったわけであります。もちろん方向性は出されましたけれども、大蔵改革が叫ばれていたこの大蔵省の側がいわば主導権を握ったといいますか、そういう経過になっているわけですね。まないたのコイが包丁を持った、こういうふうに言われているわけですけれども、日銀の独立性が十分に確保されない、そういう内容がいろいろ今指摘されていますけれども、それはこういう改正案の作成経過にも問題があったのではないかというふうに私は思っております。
 具体的な点で申し上げたいわけでずが、一つは、政策委員会の問題であります。
 確かに役員集会は廃止をしまして、最高意思決定機関として政策委員会に一本化される、ワンボードになったということであります。しかし、法案では、大蔵大臣または経済企画庁長官が必要に応じて出席をして意見を述べることができる、それからそれぞれ指名する職員を会議に出席させ意見を述べさせることができる、こういうことが書かれています。それから大臣または職員に議案提出権を認めた。さらに政策委員会の議決を延期することを求める議決延期請求権、これも認めているわけであります。これでは政策の決定の時点で政府の関与を認めるということになるものでありまして、日銀の独立性という点からいいますと、かなり制約要因になるのではないかというふうに思うわけです。
 松下総裁は、昨年の十二月十八日に、この議決延期請求権について、これは不要であるというふうに発言されています。今の中央銀行の独立性を尊重するということからいえば、そこまでの保険を考える必要もないのではないかというふうにおっしゃったようであります。ところが、この発言に対していろいろ圧力があったというふうな報道もありますが、政府の圧力を受けたという事実はありますでしょうか。
○松下参考人 御指摘の私の発言は、当時の記者会見で述べたものでございますけれども、その当時は、まだ議決延期請求権に関するいろいろの議論がまとまってきておりませんで、内容もはっきりしない点があった時期でございます。
 それはどういうことかと申しますと、政府の議決延期請求権というものが、それを発動いたしますとそのまま議決の決定になるという、一時のドイツ方式でございますが、そういったものであるのか、あるいは議決の延期を請求する権利であって、それは政策委員会なり何らかの場で別途それに対する決定が行われるというものであるのか、そのあたりがわからなかったわけでございます。私は、議論の中には二通りの議論があるようであるが、どちらになっていくのかまだわからない、ただ、政府の議決延期決定権のようなものであれば、それは必要がないのではないだろうかということを申した次第でございます。
 その申しました後、どこかから、それに対して、けしからぬことを言ったとか何かというようなことは一切ございませんでした。
○佐々木(憲)委員 専門紙によりますと、松下総裁は、十二月十八七にこの日銀法改正で初めて公式発言をして、議決延期請求権は不要との見解を表明した、この見解に橋本首相、梶山官房長官が激怒した、中銀研で決めた話を日銀は何でだめだと言うのかとしかった、それで日銀幹部が真っ青になった、こう書かれているわけですけれども、本当にこういう事実はありませんでしたか。
○松下参考人 私としては、そういうことを直接に言われたこともございませんでしたし、部内でそういう話も聞いたことはございませんでした。
○佐々木(憲)委員 それでは次に、この議決延期請求権の問題ですけれども、ドイツの中央銀行ブンデスバンクでも、現時点では議決延期請求権がある。これはかなり強力な命令権でありますが、このドイツの議決延期請求権については、今後の取り扱いというのはどのようになっているか、これは大蔵省の方からその見通しについて回答いただきたいと思います。
○山口政府委員 現行のドイツ連邦銀行法上、政府はドイツ連邦銀行に対して議決延期権を有しておりまして、これは、政府が議決の延期を求めた場合、自動的に議決が二週間を限度として延期されるというものでございます。ただ、これまで行使されたということは聞いておりません。
 今般、欧州中央銀行が発足しました後、欧州中央銀行に金融政策の決定権限が委譲されること等に備え、ドイツでは、政府のドイツ連邦銀行に対する議決延期権を廃止することを含む法律案を閣議決定したところであると聞いております。
○佐々木(憲)委員 ドイツでは議決延期請求権は廃止だということであります。確かに日本の議決延期請求権の場合は命令権ではなくて求める権利というものでありますが、しかし、国際的な流れでいいますと、ドイツの事例にありますように、議決延期請求権はもはや廃止の方向というのが流れであります。したがいまして、命令権ではないにしても、全体の流れからしますと、逆行する方向に、日本の日銀法改正の議決延期請求権を盛り込むということが実際にそういう方向になるわけでありますから、これは世界の流れからいって、こういう規定をわざわざ入れる必要はないのではないかというふうに思いますけれども、この点はいかがでしょうか。
○山口政府委員 ドイツ連邦銀行が政府に対して有しております権限は、先ほど申し上げましたように議決延期権でございまして、これは先ほど申し上げましたように、二週間を限度として自動的に議決が延期されるという、ある意味では強権でございます。今回の日本銀行法の御審議いただいております案におきましては、政府が議決の延期を求めるということでございまして、その場合一政策委員会がその採否をまず決定いたします。したがって、ドイツ連邦銀行の議決延期権とは全く違うものでございまして、日本銀行の金融政策の独立性が損なわれることはないと思っております。
 今般の法改正における議決の延期を求める仕組みにつきましては、政府と日本銀行の政策の整合性を確保する観点から、政府として政策委員会の議決について一定期間の検討や政策委員会に対して十分な説明を行う機会を確保するために必要な仕組みとして、金融制度調査会答申を受けて採用したものでございまして、むしろ政策決定の透明性に資するものであるというふうに考えておるところでございます。
○佐々木(憲)委員 ドイツでは廃止ということでありまして、日本はドイツのような命令権ではないが、しかし請求権という形でこれは残す、残すといいますか、入れてくる、こういうことになりますから、世界の大きないわばグローバルスタンダードといいますか、独立性という方向を考えますと、日本が近づいたと思いましたら向こうの方がさらにもっと向こうに行ってしまって、格差が一層開くということになるわけで、こういう点でも、ここはやはりぜひ再検討をする必要があるという点を申し上げたいと思います。
 それから二つ目の問題は、日銀予算の認可問題でありまして、この点は今までも質疑の中で取り上げられておりますけれども、日銀予算というのは、通貨及び金融の調節に支障を生じさせないものに限定してということで、引き続き大蔵大臣の許可制というふうになっております。これは五十一条。
 認可の対象を金融政策に関連しない部分に限定するということになっていますけれども、その範囲は明確ではないわけであります。人件費あるいは交通通信費、一般事務費などがその例として挙げられていますけれども、それも直接、間接に金融政策に関連する部分がないとは言えないわけであります。仮に金融政策に関連しない経費であっても、大蔵省がそれに対する認可権というものを持って、それをちらつかせることによって金融政策に一定の影響力を行使するということもあり得ないことではないというふうに思うのです。(三塚国務大臣「ありません」と呼ぶ)
 今、ありませんという声がありましたけれども、アメリカのグリーンスパンFRB議長が昨年十一月十九日にこういう話をしているわけです。米国では中央銀行の予算を議会の配分に任せたり政府の管理下に置いたりすることに反対してきた、予算権を一〇〇%掘らない中央銀行は独立性を一〇〇%確保できないと述べているわけであります。
 こういう点で、日銀予算については、例えば政策委員会がこれについて決定をし、決算を国会に報告する、あるいは会計検査院の検査を受ける、こういうことで十分でありまして、認可権というものは必要がないというふうに思いますけれども、この点はいかがでしょうか。
○山口政府委員 お答え申し上げます。
 予算の認可制度につきましては、日本銀行の経費が通貨発行益によって賄われていることなどの日本銀行の公的性格から、その経費を事前にチェックする必要がある。そのため政府による認可制度を継続することとしたわけでございますが、認可に当たりましては、金融政策に影響しないものに対象を限定するほか、大蔵大臣が認可しない場合、その理由を公表するといった措置を講ずることとしておりまして、金融政策の独立性及び運営の自主性を阻害するものではないというふうに考えておるところでございます。
○佐々木(憲)委員 公的性格があるから認可権が必要だというふうに直結するのかどうかというのが問題でありまして、公的性格があるというならば、それは、国会に決算報告し、会計検査院の検査を受けるということで十分担保されるというふうに私は思います。
 次に三つ目の問題でありますが、一般的監督権のことですが、法案によりますと、違法行為の是正命令、監事による監査とその報告命令、報告・資料提出命令というのが規定されております。一定の制限つきでありますけれども、一般監督権が残されているわけであります。これもやはり問題になるというふうに私は思うのです。
 財政当局は、資金の点からいいますと、いわば借り手ですね。プレーヤーといえばプレーヤーになるのですね。日銀は貸し手で中立的な存在と言われておりまして、アンパイア、レフェリー、こういうことですね。そうしますと、この法案は、監督という点でいうと、借り手が貸し手を監督するという非常に奇妙なことになっているわけでありまして、やはりこういう監督権というのはできるだけ排除すべきだというふうに思うわけです。つまり、対等、平等の関係で対応するというのが本来のあり方だと思いますけれども、この点についてはどのようにお考えでしょうか。
○山口政府委員 お答えいたします。
 監督権限につきましては、主務大臣の広範な業務命令権をまず廃止いたしております。それから日銀監理官、これは実は私が監理官になっておりますが、この制度を廃止することといたしております。それから立入検査権も廃止することといたしております。日本銀行の独立性の確保に配慮した必要最小限のチェックであります法令・定款違反等の適法性の監督に限定するというふうにいたしたところでございます。
○佐々木(憲)委員 今までよりは確かに一般監督権の範囲が限定されてきているということは言えると思いますけれども、しかし、依然としてこのような形で残っていること自体が日銀の独立性について阻害要因になるというふうに思いますので、私はこれはぜひ是正をしていただきたいと思います。
 よく憲法上の問題があるということで、先ほどの議論の中でも憲法六十五条行政権という角度から議論がありますけれども、憲法上、行政権とは何かという点を判断するのはこれは国会でありまして、憲法四十一条は国会が唯一の立法機関であり、最高権力機関だというふうに定めているわけであります。したがって、行政権が発動されるためには当然その根拠となる法律というのが必要であり、その法律の制定権は内閣にあるのではなくて、国会にあるわけであります。したがって、行政権という点を考える場合は、当然四十一条との関連で見なければならないと思うわけであります。先ほどの質疑の中で、憲法六十五条から見て、政府としては、司法、立法権に属さないものはすべて行政が担当するという解釈、これは行政控除説ということだそうでありますが、これは大陸法、独仏法の流れをくむものでありまして、戦前のかなり古い考えを引き継いでいるというふうに思うわけです。今は現にドイツも英米法に次第に切りかわっているということであります。
 こういう点で、この日銀法改正に当たりまして、このような憲法の問題についての議論、これは大変重要だと思うわけですけれども、法律専門家の意見の集約ということがどうも行われていないというふうに思うわけですけれども、なぜ法律の専門家の意見の集約を行わなかったのか。この点についての御見解をお聞かせいただきたいと思います。
○山口政府委員 御審議いただいております日本銀行法案は内閣提出法案でございまして、内閣が提出する段階におきまして、内閣法制局のいわゆる法律の、私どもから専門家と申し上げるのは失礼かと思いますが、そういった担当者の審査を経て出させていただいております。そのときに、この法案が憲法上問題にならないようにというような配慮をして御提出申し上げているということを御理解いただきたいと思います。
○佐々木(憲)委員 内閣法制局という御答弁でしたけれども、昭和三十五年の金融制度調査会の「答申ならびに説明書」というのがここにありますけれども、この時点では、この当時はかなり専門的に法改正の問題について憲法上のいろんな説について議論をして、法律の専門家の意見の集約なども行ってこのような答申と説明書が出されているわけであります。
 ところが、今回は非常に議論が短時間で、そして極めて大蔵主導といいますか政府主導の形で法案作成が行われ、かつ法律専門家の意見の集約が十分行われていない、そういうことで提出をされているわけでありまして、憲法上のいろいろな問題については、いわば積み残してあります。そして、いわば先送りにしているわけです。したがって、そういう点では、今後ともこの問題についてさらに議論が私は必要だというふうに思うわけであります。この点は、そういうふうに私自身が思っているという点について申し上げておくことにとどめます。
 さて、次に日銀特融の問題についてお聞きをしたいと思います。
 日銀特融の場合、一時的かつ緊急の流動性不足のような場合にこの日銀特融を発動するということは、私は当然だというふうに思います。しかし、これが無制限に拡大解釈されるということになりますと、これは重大な問題になるわけであります。
 そこで、改正案の内容ですけれども、大蔵大臣は、日本銀行に対して、「金融機関への資金の貸付けその他の信用秩序の維持のために必要と認められる業務を行うことを要請することができる。」こうなっております。日銀は、要請があったときには、それを判断して業務を行うというふうになっているわけですね。これは、最後の貸し手である日銀の機能、決済システムを維持する機能を超えて、「必要と認められる業務」というふうに範囲を広げ、かなりいろんなことができるという含みを持たせた条文になっていると思うのですね。
 中銀研の報告書では、明白な回収不能のケースに損失補てんのようなことは行うべきではないというふうに書かれております。一定の歯どめがあったわけであります。しかし、今度の法案の内容を見ますと、この歯どめは外されております。なぜこういう歯どめがなくなったのか。損失補てんのようなこともできるようにというので、これを外してしまったのか。この点について、その理由をお聞かせいただきたいと思います。
○山口政府委員 今の御指摘の点につきましては、いわゆる特融というものにつきましては、こういうふうに中銀研では言っております。「信用不安への対処においては、政府の行う金融システムの安定化策と日本銀行の政策との整合性を確保する必要があり、政府のイニシアチブで、日本銀行との合意を経て、必要な措置が実行される枠組みを用意すべきである。」というふうに言っております。
 今、先生が明確な規定のもとと申されたのは、恐らく、「他方、金融機関の一時的かつ緊急の流動性不足のような場合には、明確な規定の下、日本銀行独自の判断で流動性の適切な供給を行いうることとすべきである。」というように、事柄を分けて書いてございます。その点を御理解いただきたいというふうに思っております。
○佐々木(憲)委員 質問にお答えにならないのですが、私がお聞きしたのは、中銀研の報告書の中で、貸し付けを、融資を行う場合、明白な回収不能のケースに損失補てんのようなことは行うべきではない、こういう規定がありました。それが、金制調の報告それから今回の改正案の内容を見ますと、そのことについては全く触れていないわけです。つまり、中銀研の報告書で触れていた一定の歯どめ策というのがなくなっているということでありまして、なぜそうなったのかということをお聞きしているわけです。
○山口政府委員 失礼しました。
 中銀研の報告では「日本銀行の役割は、基本的には、信用秩序維持の観点から、適切な流動性を供給していくことであり、明白に回収不能なケースについての損失補填は、金融機関のモラルハザードを避けるためにも行うべきではない。」というふうになっております。これは、この考え方自身は今度の金制調でも同じ考え方でございますし、この法案のもとに流れている考え方でも同じでございます。
○佐々木(憲)委員 ところが、その考え方が背後に流れているという説明だけであって、それが法案の条文上は明確ではないわけでありまして、この点は今後さらに明確にしていきたいというふうに思いますが、何かありますか。
○山口政府委員 最終的なこの日銀特融等の判断は、大蔵大臣の要請を受けまして日本銀行の政策委員会の同意でもって決まるわけでございます。したがって、こうしたモラルハザードを避けるための考え方というのは、その政策委員会において担保されるというふうに考えます。
○佐々木(憲)委員 しかし、法文上はこういう歯どめがないわけでありますから、政府が要請し、日銀政策委員会がその要請に応じたとすれば、これは可能になるわけであります。
 中銀研の報告書で指摘をされた、いわばロスを補てんする、こういう内容について、これはもう今後はそういうことはやってはならない、こういう考えで日銀の側も運営をするということになるわけでしょうか。これは明確にお答えをいただきたいと思います。
○松下参考人 中銀研報告やあるいは金融制度調査会の報告にも示されておりますように、日本銀行の資金供与につきましては「明白に回収不能なケースについての損失補填は、金融機関のモラルハザードを避けるためにも行うべきではない。」という考え方でございまして、この法律の運用に当たりましても、当然そういう考え方は維持されるべきものと考えております。
○佐々木(憲)委員 これまでも日銀特融が頻繁にこの間繰り返されてきておりまして、その残高が一兆円をはるかに超えるという状況になっております。その中には乱脈経営によって経営が破綻した東京協和、安全の東京二信組、ここに二百億円を出資したということを初めとして、責任があいまいなままに破綻処理に日銀資金を投入していく、こういうことが繰り返されては私はならないというふうに思っております。
 金融行政全体としてバブルを生み出し、そしてバブルが崩壊し、その結果、金融機関の破綻が幾つか生まれている。そういうときに、それをしりぬぐいするために無制限にこういう形で出されていくというふうになりますと、これはもう事実上の公的資金であります日銀資金が、国会審議を経ずに次々と投入されるという危険性がある。こうなりますと、金融秩序が野方図になってしまう。しかも、インフレの原因にもなりかねない。
 特融は、事実上、担保なしに実施できるわけであります。このため、万一貸し倒れが発生するというふうになりますと、日銀からの国庫に入る納付金がその分減りまして、結果的に税金で補てんするということと同じことになるわけであります。結局これは国民負担というふうになるわけで、ぜひそういう点を招かないように明確な法文上の規定を設けるべきだというふうに私は思うわけでありますが、いずれにしましても、この点は今後とも質疑の中で深めていきたいというふうに思います。
 きょうは日産生命の問題も取り上げようと思いましたけれども、もう時間がありませんので、別の機会にさせていただきたいと思います。
 時間が参りましたので、終わります。
○額賀委員長 次回は、来る九日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することにし、本日は、これにて散会をいたします。
    午後六時七分散会