第140回国会 厚生委員会 第31号
平成九年五月三十日(金曜日)
    午前十時二分開議
 出席委員
  委員長 町村 信孝君
   理事 佐藤 剛男君 理事 住  博司君
   理事 津島 雄二君 理事 長勢 甚遠君
   理事 岡田 克也君 理事 山本 孝史君
   理事 五島 正規君 理事 児玉 健次君
      安倍 晋三君    伊吹 文明君
      江渡 聡徳君    大石 秀政君
      大野 松茂君    大村 秀章君
      奥山 茂彦君    嘉数 知賢君
      河野 太郎君    桜井 郁三君
      鈴木 俊一君    田村 憲久君
      根本  匠君    能勢 和子君
      松本  純君    山下 徳夫君
      青山 二三君    井上 喜一君
      大口 善徳君    鴨下 一郎君
      坂口  力君    島   聡君
      並木 正芳君    福島  豊君
      桝屋 敬悟君    矢上 雅義君
      米津 等史君    家西  悟君
      石毛 ^子君    枝野 幸男君
      小林  守君    瀬古由起子君
      中川 智子君    土屋 品子君
      土肥 隆一君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 小泉純一郎君
 出席政府委員
        厚生政務次官  鈴木 俊一君
        厚生大臣官房長 近藤純五郎君
        厚生省生活衛生
        局長      小野 昭雄君
        厚生省児童家庭
        局長      横田 吉男君
        厚生省保険局長 高木 俊明君
 委員外の出席者
        警察庁生活安全
        局生活環境課生
        活経済対策室長 園田 一裕君
        環境庁大気保全
        局大気規制課長 飯島  孝君
        環境庁水質保全
        局企画課海洋環
        境・廃棄物対策
        室長      太田  進君
        大蔵省主税局税
        制第二課長   森信 茂樹君
        文部省初等中等
        教育局中学校課
        長       加茂川幸夫君
        通商産業省生活
        産業局窯業建材
        課長      福水 健文君
        資源エネルギー
        庁長官官房鉱業
        課長      揖斐 敏夫君
        自治省行政局公
        務員部公務員課
        長       飛弾 直文君
        厚生委員会調査
        室長      市川  喬君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月三十日
 辞任         補欠選任
  田村 憲久君     大石 秀政君
  桧田  仁君     河野 太郎君
  吉田 幸弘君     島   聡君
  米津 等史君     並木 正芳君
  枝野 幸男君     小林  守君
同日
 辞任         補欠選任
  大石 秀政君     田村 憲久君
  河野 太郎君     大野 松茂君
  島   聡君     吉田 幸弘君
  並木 正芳君     米津 等史君
  小林  守君     枝野 幸男君
同日
 辞任         補欠選任
  大野 松茂君     桧田  仁君
    ―――――――――――――
五月三十日
 医療等の改善に関する請願(赤城徳彦君紹介)
 (第三三二四号)
 同(桜井新君紹介)(第三三六一号)
 同(小澤潔君紹介)(第三三九三号)
 少子化対策の充実に関する請願(富田茂之君紹
 介)(第三三二五号)
 同(富田茂之君紹介)(第三三六三号)
 同(富田茂之君紹介)(第三三九六号)
 肝がん検診の制度化とウイルス肝炎の総合的な
 対策に関する請願(青山二三君紹介)(第三三
 二六号)
 同(坂口力君紹介)(第三三二七号)
 同(山本孝史君紹介)(第三三二八号)
 同(家西悟君紹介)(第三三六四号)
 同(石毛^子君紹介)(第三三六五号)
 同(江渡聡徳君紹介)(第三三六六号)
 同(大口善徳君紹介)(第三三六七号)
 同(佐藤剛男君紹介)(第三三六八号)
 同(住博司君紹介)(第三三六九号)
 同(津島雄二君紹介)(第三三七〇号)
 同(桧田仁君紹介)(第三三七一号)
 同(矢上雅義君紹介)(第三三七二号)
 同(山下徳夫君紹介)(第三三九七号)
 同(菅直人君紹介)(第三四五四号)
 同(瀬古由起子君紹介)(第三四五五号)
 同(大村秀章君紹介)(第三四八七号)
 同(深谷隆司君紹介)(第三四八八号)
 公的介護保障確立のための基盤設備に関する請
 願(今田保典君紹介)(第三三六〇号)
 療術の法制化に関する請願(藤本孝雄君紹介)
 (第三三六二号)
 同(藤本孝雄君紹介)(第三三九五号)
 公的介護保障制度の早期確立に関する請願(不
 破哲三君紹介)(第三三九二号)
 同(矢島恒夫君紹介)(第三四五三号)
 山西省残留犠牲者の救済措置に関する請願(中
 島武敏君紹介)(第三三九四号)
 重度戦傷病者と妻の援護に関する請願(持永和
 見君紹介)(第三四八五号)
 医療と介護の拡充に関する請願(大口善徳君紹
 介)(第三四八六号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 児童福祉法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出第七一号)(参議院送付)
 廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改
 正する法律案(内閣提出第八〇号)(参議院送
 付)
     ――――◇―――――
○町村委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、参議院送付、児童福祉法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。青山二三さん。
○青山(二)委員 新進党の青山二三でございます。
 皆様、おはようございます。きょうもよろしくお願いを申し上げます。
 まず初めに、本格的な少子化対策についての大臣の決意をお聞きしたいと思います。
 国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口」によりますと、少子・高齢化は一段と深刻になる見通しでございます。現在、合計特殊出生率は一・四二という史上最低を更新し、このまま低出生率が変わらない場合、百年間に何と人口が半減するという、そういう事態も予想されております。経済全般への影響が懸念されるところでございます。人口構造の推移はあらゆる施策の基盤でありまして、二十一世紀への社会づくりは少子・高齢化の将来図を直視することから始めなければならないと思いますが、厚生省の少子化対策への甘さから、平成元年には一・五七ショック、そしてさらに今回は一・四二ショックヘと、歯どめがかからない状況でございます。
 そこで、いよいよ厚生省としても本格的な少子化対策に取り組まなければならないときがやってきたと私は考えますけれども、まず、そういうことから厚生大臣に、少子化対策に取り組む御決意をお聞きしたいと思います。
○小泉国務大臣 高齢化の一方で少子化の傾向が進み、この対策にどう取り組むかということは、厚生省だけの問題ではないと思っております。この少子傾向というのはどういう理由で起こってくるかというのは一様ではないと思いますし、先進国といいますか、生活水準が上がった国では共通して発展途上国よりも少子化傾向にある。特に、少子化の影響というのは、これから社会保障全体を考える場合においても大変深刻な影響を及ぼしてきますので、厚生省としてはできるだけ、お子さんを持ちたいという方のためにどういう対策をとればいいのか、また、既にお子さんを持っている家庭で、仕事と子育てを両立させたいという家庭に対してどういう支援体制をとっていくかということを主眼として、いろいろ対策を講じたいと思いますが、もとより、雇用問題やら教育問題やら、関係各省庁と連携をとりながら各識者の意見も伺い、総合的な施策が必要だと思っています。
 ただ、最近は、晩婚化あるいは結婚しない非婚化、これが大変大きな理由の一つになっているのではないかと言われますが、少子化傾向にあるからといって、政府が産めよふやせよというようなことの旗振りをすると、これまた、個人の問題、家庭の問題に何で余計なお世話をやくのかという批判も出ると思います。
 その点も気をつけながら、いかに子を持つことの喜び、苦労だけじゃない、苦労にまさる喜びがあるのだ、同時に、子供はこれから将来の社会を担う、重要な役割を担う社会の宝であるというような観念を理解していただきまして、各省庁と連携をとりながら、総合的な施策に真剣に今後取り組んでいきたいと思っております。
○青山(二)委員 まさに大臣のおっしゃるとおり、子供を産むか産まないかということは、これは個人や夫婦の選択の問題でございまして、子供を産まない自由を保障することは大切なことであると思いますけれども、その上で、おっしゃるように、産みたくても産めない現実、また、育てたくても育てられない現実をどのように支援していくのかということが問題であると思います。そして今、大変大きな問題になっておりますのは、子供を育てるということ、産み育てるという作業が、何となく社会から感謝されない時代であるということにあるのではないか、こんなふうに思うわけでございます。
 大臣おっしゃるように、本当に子供というのはかわいいものでございまして、育てるということは楽しいものであると思っております。しかしながら、出産とか子育てには大変に経費がかかります。子供を一人産んで大学を卒業するまでには、ある統計によりますと、大体、平均二千万円はかかると言われております。貴重な時間も奪われ、体力も消耗いたしまして、それでは合わないな、報われないなというようなことを感じている母親が多くなっているのも事実でございます。そして、子供は自分でつくらないで、他人に産んでもらって育ててもらって、そして年をとったらその子供たちに公的年金などで世話になる、こういうことが今最も得な生き方で、楽な生き方であるというような選択になっていることが一部見られるわけでございます。ですから、出生率は低下いたしまして下げどまる気配を見せていない、こういうのも現実であろうかと思います。
 今必要なことは、子育てをする親が自信や喜びを持って子育てができるような環境づくりと、出産や子育てに対しまして、社会全体が敬意を払い感謝する仕組みを早急につくることであり、さらに、出産や子育てに伴う障害をできる限り取り除いてあげる努力、そういうことが大切でなかろうかと思っております。
 そこで、今回の改正案でございますが、改正の趣旨といたしまして、子育てしやすい環境の整備ということが挙げられております。まさに、少子化対策への第一歩となり得るものでなければならないと思うわけでございます。安心して子育てができる支援策は大変重要でございますので、ここでもう一度確認したいのでございますが、今回の改正内容で十分な環境が整った、このように大臣はお考えでございましょうか。
○小泉国務大臣 よりよきものを目指すという場合に、これでいいということはないと思うのであります。十分過ぎるということはない。一歩でも二歩でも前進させようということを考えますと、私は、今回の改正法案におきましても、保育所の面に関しまして、むしろ親御さんが選べるような、範囲を広くした方がいいのじゃないか、また、児童自立支援対策にいたしましても、今までのいろいろな批判も踏まえて、より気配りできるような対策を講じるべきではないか。
 そして、社会の状況も五十年前と違って随分変わってまいりました。五十年前と現在を比べまして、国民の考え方も習慣もそして産業構造も変化してきた。そのような中で、将来を見据えての、一歩でも二歩でも前進しようという改正案になりまして、もとより、これで全く問題ない、もう十分だという気持ちはありませんが、少しでも、今後、状況をにらみ、そしてその時代に合ったような対策を講じなければいかぬ。今までに比べて、私は前進したものではないかというふうに評価しております。
○青山(二)委員 そういう大臣の御答弁でございますので、さらに一歩でもこの施策が進むように質問をさせていただきたいと思います。
 平成八年度の厚生白書によりますと、結婚している妻が理想とする子供の数は二・六人、そして、産みたいと予定している数が二・二人となっております。このように、理想と予定の間には〇・五人の開きがあるわけでございます。ですから、理想としては三人産みたいけれども、実際には二人ということになっていることがこの統計からわかるわけでございます。そして、この理由は、先ほども申し上げましたように、子供の養育費あるいは教育にお金がかかるという経済的な理由が最も多いということが、子供を産むことを選択するその潜在的な力がありながら、そういうことが障害になっている、こういう数字ではなかろうかと思います。
 そこで、現実の政策として考えられますのが、現在審議中のこの保育制度の改革はもちろんのこと、さらに育児休業制度、児童手当制度の拡充、そして、私は従来言い続けておりますけれども、乳幼児の医療費助成制度など、そういう各制度の確立と拡充が必要であると思うわけでございますが、具体的な子育て支援策として、大臣の御所見を伺っておき.たいと思います。
○横田政府委員 子育てへの支援につきましては、家庭におきます子育てを地域初め社会全体で協力し合って支えていくというのが基本であると私ども考えておりまして、この支援のためには、御指摘いただきましたように、福祉だけでなくて、雇用制度あるいは教育、住宅等、さまざまな分野に関係しているわけであります。
 厚生省といたしましては、関係省庁とも協力いたしまして、エンゼルプランを策定し、さらに保育につきましては緊急保育対策等五か年事業を策定し、その推進を図っているところでございますけれども、今後とも、そういった関連分野、関係省庁等とも協力いたしながら、安心して子供を産み育てられるような環境づくりにつきまして努力してまいりたいと考えております。
○青山(二)委員 それでは、子育て支援策の一つとして考えられます乳幼児医療費の助成制度について、何点か伺っておきたいと思います。
 安心して子供を産み育てられる子育て支援策の柱の一つといたしまして、現在、全国各地で乳幼児医療費の無料制度が推進されております。乳幼児の医療費の負担割合の軽減や無料化ということにつきましては、私は以前から何度も主張してまいりましたが、国としては、なかなか難しいということで、いまだに何らの対応もなされておりません。
 そこで、まず、乳幼児の医療についてちょっと考えてみたいと思います。
 赤ちゃんは、生まれて半年間は、お母さんの免疫がありまして、余り病気にはかかりません。しかしながら、この六カ月を過ぎた後が大変でございまして、免疫がありませんので、いろいろな病気にかかります。これは私も体験済みであり、ちょうど孫ができまして、もう半年を過ぎまして、しょっちゅう医者に通っているという実態がございますので、何よりもそれが明確に物語っていると思うわけでございます。
 就学前の乳幼児の実態を見てみますと、その受診率は、お年寄りは除きますけれども、他の年代に比べますと、やはり二倍、三倍、そして四倍とも言われております。このように受診率が大変多いわけでございます。そして、急性疾患が多くて、ちょっと我慢するとか、ちょっと様子を見てみましようというわけにはいかないものでございまして、したがって、医者にかかる回数も多くなっているのでございます。そして、使用する薬や検査は少ないわけではございますが、処方については年齢や病状の経過によって多種多様でありまして、特に乳幼児の場合は、その発育や発達に十分留意しなければならないなど、技術的には大変難しいところがございます。
 その一方で、年齢別の医療費を見てみますと、ゼロ歳から十四歳の人口は全人口の二八・三%にもかかわらず、その医療費は、総医療費の二十一兆五千七百六十五億円のうち六・三%の一兆三千六百九十九億円にすぎません。ですから、こうしたことから考えますと、乳幼児の医療費を無料化にいたしましても医療費の高騰の要因とはならないと考えますけれども、いかがでございますか。
○高木(俊)政府委員 現在、子供さん方に対する医療費の助成という意味では、難病の子供さんとか未熟児の方あるいは障害児の方といった、医療面においても一部負担について公費で助成をいたしておるわけであります。それ以外の子供さんにつきましては、これは、医療保険の中では通常の一部負担を御負担いただいておるという状況でございます。
 そこで、今先生御指摘のとおり、仮に乳幼児、三歳以下というふうに考えますと、平成七年度で見ますと約一千億程度ということでございまして、全体の医療費が二十七兆円ということで比べますと、これをどう考えるかという問題はありますけれども、金額的にはその程度の額ということでございます。
○青山(二)委員 一千億円をプラスできないものかと、私はいつもいつも考えているわけでございます。
 そして、先般、健康保険法の改正が衆議院を通過いたしまして、薬剤費の自己負担が導入されることになりました。急性疾患が多くて診療回数の多い子供たちにさらに大きな負担がかかる、そういうことが懸念されるわけでございます。これは少子化対策の障害となるのではないか、私はこのように思っているところでございます。さらに、乳幼児の親というのは、二十代あるいは三十代といった比較的若い世代でございまして、所得や貯蓄率も高齢者よりも低いという、そのような統計もございます。
 これらのことを考えますと、せめて就学前の乳幼児の保険給付は十割にしてもいいのではないか、医療費の無料化を考えてもいいのではないかと思うわけでございます。今こそ、子育て支援という観点からも、乳幼児の医療費助成制度について、厚生省としてもいつも同じような答弁ではなく真剣に考えていただきたい、このように思うのでございますけれども、大臣はいかがでしょうか。
○小泉国務大臣 私もお気持ちわかりますし、できるならそうしてみたいなと思っているのですが、いざ現実の予算を見ますと、やらなければならないことがたくさんあって、全部増額要求ですね。しかし、そうなると、この財政はどうなるのか。
 今、厚生省予算でも、前年度からいかに減らすことというのが主眼になっている。一千億円ぐらい大したことないじゃないかと思えば、確かに全体の十四兆円の中でと思えばそうかもしれませんが、これは一つなりますとほかも全部そうなりますね。そこで一千億認めたのだったらこっちでも認めろということで、増額する予算は楽ですけれども、減額する予算というのはいかに困難かということを、今、毎日感じております。
 確かに、財政が豊かならば、経済成長の伸びの分は増額を認めますよという、今までの二十年前ぐらいの状況だったらばこれも可能だと思いますし、要求にこたえてやってみたいというのが政党、政治家の常だと思います。しかし、そうでないところに難しいところがあると思いまして、これは、乳児に対してはやはり特別の計らいがあってもいいのじゃないかという気持ちは十分わかります。将来の財政状況を考えて、その点は今後とも検討課題として考えさせていただきたいと思います。
○青山(二)委員 役所言葉で、検討するとか慎重に検討とか検討課題といろいろ御答弁ございますが、ずっと私の長い経験では、検討課題というのは、これはやらない、こんなふうに受けとめてまいりましたけれども、大臣のおっしゃる検討課題というのは、これから前向きにそのように検討していく、このように受けとめさせていただきたいと思います。
 国では難しいという御答弁でございましたので、それでは地方で一生懸命にやっております乳幼児医療費の無料化の制度が、国が大きな障害にならないでほしいと私は思うわけでございます。
 それは、乳幼児医療費助成制度を利用する際に、病院の窓口での支払いが一時必要なところと、それからいわゆる現物支給方式、窓口で払わなくていい、その二通りがあります。払うのと払わなくてもいい、現物支給方式、償還方式という二通りがあるわけでございまして、現在、現物支給方式を採用いたしておりますのは二十七都道府県、ほかの二十の自治体は償還方式でございます。利用者の立場から見ますと、現物給付の方が便利であるということは言うまでもありません。
 私の住んでおります栃木県では、やっと要求がかないまして、三歳までの医療費の助成制度を行うことになりまして、自己負担、月に千円だけでいい、こういう制度ができたわけでございます。しかしながら、これは償還方式をとっております。ですから、県民の皆さん、お母さんたちは、窓口で支払いをしないようにできればどんなにいいだろう、どんなに便利だろうという声がたくさん上がっております。
 こうした声に対しまして、栃木県は、現物支給方式を採用いたしますと、国民健康保険への国庫負担金が減らされるという仕組みがあります。これを私たちはペナルティーと呼んでおりますけれども、これが十億円を超えるわけなんですね。ですから、県としては、現状の償還方式ならこの十億円がほかの福祉に使えるということで、なかなか現物給付へ切りかえるということに対しまして二の足を踏んでいるという状況でございます。なぜ厚生省はこの国民健康保険への国庫負担金をカットするのでしょうか、減額の根拠とその理由について伺いたいと思います、
○高木(俊)政府委員 現在の国保の国庫補助の取り扱いでありますが、これは、決して自治体に対して意地悪をしているわけでございませんで、考え方としましては、一部負担の割合がどうかということによりまして、これまでの経験則上からつくられた一定の算式がございまして、それによりますと、一部負担の割合が現物給付として低くなりますとその分医療費がふえるという、いわゆる波及的な効果というのがあるということでございます。
 私ども、全国の国民健康保険に対しまして国が一定の国庫負担をしているわけでありますけれども、そういった中で、私どもとして、やはり国民健康保険の国庫負担の公平な配分といいますか、これが必要であるというふうに考えておりまして、そういった視点から、この一部負担を地方の単独事業ということで現物給付の形で軽減している場合については、その分の調整をさせていただいている、こういうような考え方でございます。
○青山(二)委員 今の御答弁でございますと、現物給付にいたしますと自治体間の不公平があると。それじゃ、償還方式と現物方式がどちらがいいかというと、全部、現物給付がいいので、ずっと全部の自治体が現物給付になれば不公平はなくなるわけでございますね。
 それから、現物給付にすると波及効果がある、そういう難しい言葉で今おっしゃいましたけれども、たびたび受診するということですね。
 赤ちゃんは病気になったら我慢はできないわけですよ。小さな生命体ですから、熱が出たら、お母さんは心配です。一刻も早く治してあげたい、こんな気持ちになるわけでございますが、現物給付にするとしょっちゅう病院に足を運ぶ、それを抑えるためにこういうことをするということは私は納得がいかないわけでございます。
 ですから、せめて、国で乳幼児の医療費の無料化をやらないというのならば、そのペナルティーはやめていただきたい、せめてもの私の願いでございます。
 私はかつて、この委員会で、医療費の節約に大いに貢献しているところには何らかの評価をすべきではないでしょうかということを申し上げました。一生懸命努力して医療費を節約しているところには何にも評価せずに、医療費がふえないようにペナルティーを科すというのは、どうしてもこれは私は納得がいかないわけでございます。ですから、この少子化に歯どめがかからない中にあって、一層の子育て支援を目指す自治体に対しまして、絶対に負担のカットというペナルティーを科すべきではない、こんなふうに私は思っておりますけれども、大臣はいかがでしょうか。
○高木(俊)政府委員 言葉の使い方の問題になってしまいますが、私ども、これはペナルティーとかそういうようなことで考えているわけでございませんで、現行の医療保険制度、国民健康保険については七割給付ということで三割の自己負担をお願いしておるわけでございます。
 そういった制度の中で、子育て支援というような観点から、医療保険がどういう形で支援していくべきかという問題は別途あろうと思います。先般の本委員会における健保法の附帯決議におきましても、子育て支援というような観点等を踏まえて、今後、抜本改革の中で検討するようにという附帯決議をいただいておりますけれども、そういった意味で、先ほど大臣も御答弁されましたように、私どもとしても、この子育て支援というような観点から、医療保険サイドからどういう支援ができるかということは検討課題として検討していきたいというふうに考えておりますが、現行制度における国民健康保険制度を前提として考えますと、ただいま申し上げたようなことで、国の国庫補助の公平な配分ということで考えておりますと同時に、それならば全都道府県が現物給付したらいいじゃないかというふうにおっしゃるかもしれませんが、それは結局、国民健康保険全体の医療費が波及的にふえるということになりますから、そういった中で国あるいは保険料の負担がふえるわけでありまして、現行制度というものの仕組みというものを考えてみた場合に、やはり先ほど申し上げたような形での調整ということはやむを得ないのではないか、別途、子育て支援というような観点で制度というものを考えるということであればこれはまた別の公平なやり方ということはあり得ると思いますけれども、現行制度を前提とする限りにおいてはこのようなやり方が公平であるというふうに考えております。
○青山(二)委員 それでは、お母さんたちが安心して医者にかかれるような仕組みになりますことを希望して、これからもこの問題はさらに追求してまいりたいと思っております。
 いろいろな質問を用意しておりますので、それでは、この問題をここで終わりにさせていただきまして、次の問題に移らせていただきます。
 この少子化への歯どめ策といたしまして、エンゼルプラン、緊急保育五か年事業あるいは育児や介護の休業制度など、働きながら育児に従事する母親対象の対策がいろいろありますが、それらはまだまだ十分に浸透しているとは言えず、エンゼルプラン策定から三年、育児休業法の成立からは六年目となっておりますが、この間の出生率には全く改善が見られておりません。
 そこで、子育て支援システムの基本となるこのエンゼルプランについてお伺いしたいと思います。
 これを具現化いたしました緊急保育対策等五か年事業はことして三年目を迎えたわけでございますが、その目標達成が難しくなっているようでございます。
 例えば、最も達成割合が高い低年齢児の保育でさえ、九年度予算で五十一万人に拡大されることになっておりますが、目標達成するには残り二年で九万人、年平均四・五万人ふやさなければなりません。しかし、現状のような年二万人増のペースでは目標に届かないという現状であり、さらにそのほかを見ますと、目標の五割に達しない事業が半分以上あるという、何とも心もとない状況でございます。強力な財政措置が必要であるということは目に見えております。
 果たして、本当に緊急保育対策五か年事業の目標は達成されるのでしょうか。現在の予算レベルで見る限り大変疑問でありますけれども、その点はいかがでしょうか。
○横田政府委員 平成七年度にエンゼルプランが策定されたことを受けまして、その一環として緊急保育対策等五か年事業を進めておりまして、ちょうど二年目を終わりまして、九年度で三年目に入ったということでございます。
 この進捗状況を見ますと、延長保育あるいは放課後児童クラブというように、ほぼ計画どおり順調に進捗しているものもございますが、一方におきまして、地域子育て支援センター、一時的保育事業というように、必ずしも進捗していないものもあります。
 低年齢児につきましては、毎年二万人ずつ受け入れ枠の拡大を図っておりますけれども、これもほぼ計画どおりいっているわけですが、七年度から育児休業制度も創設されまして、ゼロ歳児について育児休業をとられる保護者の方もかなりふえているという状況にございますし、私ども、十一年度六十万人という目標を掲げておりますが、この目標自体は、平成四年度の人口推計をもとに過去の低年齢児の増加率あるいは低年齢児の待機者の解消ということを含めて出しているものでございまして、その後の人口変化等を踏まえて今後どうなるのか、推移を見守っていく必要があるのではないかと思っているところでございます。
 いずれにいたしましても、私どもといたしましては、地方公共団体に対しましてこの事業の周知徹底を図りまして、種々工夫をしながらその目標達成に向けて今後とも努力してまいりたいと考えております。
○青山(二)委員 それでは、この延長保育などの特別保育事業でございますが、今回の改正によってどのような対応をとることになるのか、お伺いしたいと思います。
 これらの延長保育、乳幼児の保育は特に働く母親のニーズが高いものでございますけれども、定員の弾力化また規制の緩和などを考慮いたしていろいろと前進させていただきたい、こんなふうに思うわけでございます。
 しかし、ここでもまた懸念されますのが保育料の問題でございます。補助金を出さずに、規制を緩めてそれぞれの保育所の自主的な運営に任せるということなのかどうか、これは検討中のようでございますが、制度の改正によって保険料が大変高くなったり利用しにくくなるというようなことがあってはならないと思います。また、例えば補助金の裏づけがなくなりますと、延長保育をやめてしまおうなどということがありますと、これは利用者のニーズにこたえられないことになってしまうわけでございます。
 これらの諸問題を含めまして、特別保育事業については、制度改正後、どのような対応を考えておられるのか、具体的にお示しいただきたいと思います。
○横田政府委員 現在、一般的な保育事業のほかにさまざま特別保育事業を行っておりますけれども、その費用負担につきましては、定型的、一般的、通常の保育ということにつきましては負担金で、それから、そうでない、一般でない保育につきましては特別事業ということで補助金で対応してきているところでございます。
 私ども、今後、就業形態の多様化等に伴いまして保育需要も多様化してくるということで、今回、入所方式につきましても措置方式から利用契約型に変えるといりよりな改正を行おりとしているところでございまして、これによりまして、できる限り利用者のニーズに沿った保育が行われるようになることを期待しているわけであります。
 費用負担につきましてはさまざまな御意見がございまして、審議会におきましても、定型的、一般的な保育に重点的に公費を投入いたしまして、選択的、付加的な保育サービス等につきましてはできる限り施設の自主性に任せるべきであるというような御提言もいただいております。
 それから、延長保育について申し上げますと、これも現在、補助金の事業で実施されているわけでありますけれども、市町村事業というようなことでございまして、一つ一つ市町村の承認が必要であるということで、市町村によりましては、施設側が延長保育を実施したくてもなかなか承認をしていただけないというような事情もお伺いしております。また、利用者の方でも、あらかじめ半年なり一年通じて延長保育を申請するというような形になっておりますので、いきなり三十分、一時間残業が生じまして延ばしていただきたいというような突発的な状況にも対応しにくいという御不満をお伺いしているところであります。
 私どもといたしましては、そういった利用者のニーズに合った保育が柔軟に提供されるようなシステムづくりを目指しまして、今後の改正を踏まえてこの問題を検討してまいりたいと考えているところでございます。
○青山(二)委員 多様なニーズにこたえる保育ということで、もう一点、日曜日とか祭日の保育がございますけれども、この点についてちょっとお伺いをしたいと思います。
 第三次産業あるいはサービス関連産業の進展に伴いまして、女性の働く形態も大きく変わってまいりました。平成七年度にNHKが行いました国民生活時間調査によりますと、仕事を持っている女性で平日に働く女性は八八%、土曜日は五九%、日曜日は三七%となっておりまして、土曜日、日曜日に就労することは例外的な働き方ではなくなっていることがこの統計からわかるわけでございます。また、そうした女性の日曜祭日の公的保育に対するニーズも極めて大きくなってまいりました。
 しかしながら、日曜日や祭日の公的保育は国の対策としては行っておりません。財政措置も、一部の地方自治体では行われているようなところもあると聞いておりますが、国は今のところ全く行っていない、こういう状況でございます。
 そこで、今回の児童福祉法の見直しにおきまして、こうした日曜日や祭日の公的保育サービスについてどのように検討がされたのか、また、ぜひともこうした多様なニーズにこたえるためにも日曜、祭日の保育サービスの提供を行うべきときが来たと私は考えますが、いかがでしょうか。
○横田政府委員 先生御指摘いただきましたように、就労形態が非常に多様化してきておりますので、保育ニーズの方も、土曜、日曜の保育も含めまして、非常にふえてくるのではないかというふうに考えております。
 土曜、日曜の保育につきましては、私ども、従来、事業所内保育施設ということで、その施設の整備につきまして助成を行ってきておりますし、また、事業主がみずから保育所を設置するのでなくて、保育所を設置しております社会福祉法人等に土曜、日曜等の保育を委託する、いわゆる企業委託型保育サービスというのを補助事業としてやってきております。
 この土曜、日曜における保育を一般的に保育化するかどうかということにつきましては、お母さん方が働いている場合があるかと思いますけれども、父親も含めまして土曜、日曜働いているようなケースがどの程度あるのか、そういった土曜、日曜の保育需要に対しまして、事業所内保育施設等で企業もある程度御努力いただくことによりまして対応ができないかといったような問題を、この法案策定の過程におきましても検討いたしたところでございます。
 現在、この土曜、日曜の保育につきまして、地域によりまして保育所が自主的に行っているところもございます。今後、保育所の入所方式が利用契約方式に変えられるということで、各保育所の創意工夫が求められるという中で、今後、私どもといたしましては、各保育所におきまして、こういった保育ニーズに対しましても自主的な取り組みが拡大していくことを期待しております。
○青山(二)委員 確かに、産業構造が大変変化いたしまして、保育のニーズがどんどん変わってくるわけでございます。今局長がおっしゃられましたように、そういうニーズがあるということで、国の方からも自治体に、積極的に検討するようにとか、しっかりやってほしいというようなお声を一言かけていただければ、そこから少しずつそういう展開が開けてくると思いますので、今後ともよろしくお願いを申し上げます。
 それでは、また、男女雇用機会均等法の改正に伴う労働基準法の改正作業がただいま行われておりまして、女子保護規定が撤廃されようとしております。これに対応いたしまして、保育所や放課後児童対策事業がいろいろと整備を具体的に検討されているのかについても伺いたいと思います。
○横田政府委員 今回の男女雇用機会均等法等の改正によりまして、女性の時間外、休日あるいは深夜業の規制の禁止というのが廃止されることになるわけでありますので、これに伴いまして、保育ニーズの方も今後出てくるのではないかというふうに考えているところでございます。
 私どもといたしまして、先ほども申し上げましたように、こりいった保育ニーズに対しまして、企業においても労働者への配慮というようなことで、事業所内保育事業の実施、あるいは、みずから実施しない場合におきましては、保育所等に委託するという形での企業委託型保育サービスの実施というようなことで対応を図ってまいりたいと考えております。
 また、地域におきまして特に夜間における保育需要が高いところもございますが、こういったところにおきましては、夜間保育所、現在、全国で三十八カ所でございますが、そういった設置を進めてまいりたいというふうに考えております。
○青山(二)委員 この保育所の制度改正につきまして、この委員会でもいろいろと議論をされてきたわけでございますが、保育所運営の公的負担を減らして国の財政負担を軽減するねらいがあるのではないか、どうしてもその懸念がぬぐい切れないというところがあるわけでございます。
 実際、平成九年度の予算におきましても、公的保育ではこたえられない多様なニーズにこたえるために、駅ビルや駅に隣接するオフィスビルにおきまして、駅型保育施設ということで助成を行っております。平成九年度で十億八千九百万ですか、民間の保育サービスのそういう事業に対しまして大きな力を入れているわけでございます。
 しかしながら、保護者や児童の立場から見ますと、保育所につきましては、それが公立であるのか、あるいは私立であるのかというよりも、その全体を含めて、保育の質がどのように向上し、そして担保されているかということが一層重要なことであると思います。
 それは、児童の保育がそういう劣悪な条件であってはいけないということでもあり、また、そうしたことを考えますと、ごく一部の駅型保育のようなところに多額の補助金が交付されているという実態よりも、全体のレベルアップが期待されているのではないかと思うわけでございます。
 そして、本来ならば、多様なニーズにこたえる公的保育所がたくさんあるということが理想なわけでございますが、全国の保育所の五九%を占めております公立保育所で、ニーズの高い乳児保育や延長保育を行っておりますのは、それぞれ、乳児保育は二〇%、延長保育は九%にしかすぎません。これに対しまして、私立では、それぞれ、乳児が五五%、そして延長は二四%行っております。
 このように、公立保育所の対応は大幅におくれておりまして、こうした現状を変えていくことがこれからも大きな課題であろうと思います。今後の対応につきましてどのように考えておられるのか、お伺いをしたいと思います。
○小泉国務大臣 公立と民間とのサービス競争を、私はどんどんやってもらいたいと思います。
 金が来るからやる、金が来ないならやらない、これは公立の悪いところであります。民間は、金がなくても、創意工夫を発揮していろいろサービスをやってくれる、延長保育にしても乳児保育にしても。今後、そのサービス競争を促していく。
 今回は、保育所でも、休日でもやってもいいことになっていますから、いかに利用者にいいサービスを提供するか、私は、そういう保育所が生き残れる、さらには、利用者の信頼をかち得ると思います。お金を出すからサービスをしないのだという時代ではないと思います。限られたお金の中でどうやって創意工夫を発揮してサービス競争をするか、そこに民間の活力が生まれる。
 今回の改正法案においても、利用者がむしろ選ぶような形に変えていくということによって、保育所がいかに利用者の要求にこたえ得るようなサービスを提供するか、そのサービス競争によって保育水準の向上を期待したいというふうに考えております。
○青山(二)委員 今、大臣がおっしゃったように、今回の制度改正におきまして、保育所を選択ができるというようなことのようでございますけれども、やはりそれが理想でございまして、とりわけ、需要の高い延長保育とか低年齢児保育などの充実は欠かせないわけでございますが、この整備は今のところ大変不十分でございまして、選択できるほどの条件が整っているとは言えないわけでございます。
 また、保育所の実情を見ますと、大都市と過疎地ではその実態に大きな差がございまして、東京では一万人に近い児童が入所を待っている、こういう状態でございまして、選べる保育所というものがかけ声で終わるのではないか、こんな心配もあるわけでございます。そして、これらの待機児童につきまして、本当に自由な選択ができるのかどうか、お母さんたちも心配いたしております。
 そして、地方自治体では、こうした乳幼児の待機児童に対応するために無認可保育を利用しようとしておりますが、この点は問題はないのでしょうか。無認可保育の実態についても、あわせてお伺いをしたいど思います。
○横田政府委員 このたびの改正によりまして、保育所を自由に選択できるようになるということは、逆に、保育所の側から見ますと、いいサービスをいたしませんと選択されないということになるわけであります。
 待機児等の問題がございますが、全体として百九十万の定員に対しまして、現在百六十万人、東京のように待機者が一万人いるというところにおきましても、定員のあきが二万人ある状況でございます。
 私どもとしては、当面、こういったミスマッチがなぜ生じているのか、それぞれの地域ごとにより細かく見まして、できる限り現行の認可保育所におきましても受け入れが進むようにしてまいりたいと考えておりますし、さらに、定員の弾力化等によりまして、定員をオーバーしても、最低基準を満たす範囲におきまして受け入れが可能なような、そういう規制の緩和というものも含めまして、この問題に取り組んでまいりたいと考えております。
 それから、無認可保育所の状況でございますが、現在、施設数で九千三百十カ所ございまして、利用児童数が二十二万人というふうになっております。このうちのかなりの部分を病院等における院内保育所というものが占めておりまして、全体で三千四百二十五カ所、利用児童数五万二千七百人ということでございます。それから、僻地保育所、これが千五百七十七カ所、利用児童数三万九百人。いわゆる無認可と言われておりますのは、その他の無認可施設が中心だと思いますが、この施設が四千三百カ所、利用児童数十三万七千人ということになっております。各地方の実情に応じまして、これらの無認可保育所もこういった方々に利用されているということでございます。
 これがどうなるかということでございますけれども、今回、先ほど申し上げましたように、利用方式が選択されるということになりまして、全体としては八三%の入所率でございますので、認可保育所ができる限り効率的に使われるようになる、また、弾力化によりまして定員と入所者数のミスマッチができるだけ少なくなるというふうにしてまいりたいと考えているところでございます。
○青山(二)委員 この無認可保育につきましては、いろいろ最低基準を決めているということでございますが、今回の制度の改正に伴いましてそういう基準の改正をするということがあるのかどうか。そして、無認可保育所での事故などの例は、以前ベビーホテルで大きな事故がございましたけれども、そういう事故などはどのように掌握されているのか。それから、今回の制度改正で保育所の情報開示ということがございますけれども、こういう無認可保育所におきましても情報開示をさせるのかどうか。まとめてお伺いをしたいと思います。
○横田政府委員 認可外保育施設の指導基準につきましては、五十年代半ばにベビーホテル問題が生じましたときに、職員の配置なり構造設備につきまして基準を設けております。実態は非常にばらつきが多いわけでございますが、私ども、この指導基準を満たすように、都道府県を通じまして指導、立入調査等を行ってきております。今後とも、この面におきまして、その水準の維持を図ってまいりたいと考えております。
 それから、事故が起こった場合でございますが、認可外保育施設での死亡事故が平成八年に三件あったというふうに報告を受けております。これは、ベビーホテル問題が発生いたしました五十五年当時は二十五件でございましたので、それと比べますと減少しているわけでありますけれども、私ども、事故発生につきましては、なるべく出ないようにということで、生じた場合には、原因等事実関係の確認あるいは報告徴収、立入調査を行いまして、施設に対して指導をしているところでございます。事故の防止につきましては、今後とも力を入れてまいりたいと考えております。
 それから、無認可保育所についても情報公開をすべきではないかという点でございますが、今回、認可保育所につきましては一定の情報公開を義務づけておりますけれども、認可外につきましては、法律上は義務づけはないわけでありますが、御指摘のように、利用者のチェックが可能となりますように、私ども、その設備なり運営状況につきまして、認可保育所に準じた情報公開が行われるように都道府県を指導してまいりたいと考えております。
○青山(二)委員 今回の改正を契機といたしまして、本当に子供の人権が守られ、生き生きと生活ができるような、そして、安心して子供を産み育てることができるような、そういう保育制度にしていかなければならないと思っております。
 大臣の、将来像、保育行政はどうあるべきかという将来像をお伺いいたしまして、時間が参りましたので、質問を終わらせていただきます。
○小泉国務大臣 本来、子育てに第一義的な責任を持つのは親でありますが、そうでない、どうしても仕事とか特別な事情で自分で世話ができない場合、あるいはできない時間があるという場合に、保育所を初め社会全体が子育てをどうやって支援していくか、この仕組みを構築するということがこれから大事なことでありまして、社会の中にはいろいろな環境に置かれた方がたくさんあります。その多様な要請にどうやって政府なり自治体が関与していくか、また、地域の皆さんが子育てに、あるいは地域の子供たちに大きな関心を払ってもらって、お互い助け合っていくのだというような意識をどのように涵養していくかということもあわせて大事なことだと思います。
 そして、世の親御さんに対しても、できるだけ子育ての喜びを感じてもらう。子供から見れば、ある場合においては、自分たちのそばにいてくれないのは親の勝手じゃないかと思うお子さんも中にはたくさんいると私は思います。そういう意味におきまして、まず第一義的に、最初にお子さんに対して自分はしっかりと愛情を持ってお子さんをはぐくんでもらいたい。そして、保育所関係者も、自分の子供を世話するのも大変なんですが、人のお子さんを預かるというのはなおもっと大変な御苦労があると思います。そういうお互いが支え合う中に感謝の気持ちを持って、この変化の激しい世の中に、子供も高齢者も、親も子もお互い支え合ってこの世の中を生きていくのだという気持ちを持って、何とかこれからの日本を発展させていきたいなというふうに考えております。
   〔委員長退席、佐藤(剛)委員長代理着席〕
○青山(二)委員 大変ありがとうございました。時間が参りましたので、終わらせていただきます。
○佐藤(剛)委員長代理 山本孝史君。
○山本(孝)委員 新進党の山本孝史です。
 きょうは、児童福祉法の審議にかかわる質問をさせていただく前に、一問、健康保険の改革についての大臣の御答弁をひとつお願いいたしたいと思います。
 さきの健保法審議の折に懸案となりました医療改革のプログラムについてでございますが、答弁におきまして、厚生大臣並びこ津島先生は、まず厚生省が医療改革案をまとめ、その後、健保法の改正案が施行されるまでに、すなわち八月末までに与党と協議して最終的に医療改革案をまとめるとの考えをお示しになっておられます。
 そうしますと、厚生省としての案をまとめる時期が七月中ぐらいでないと間に合わないのではないかというふうにも思うわけですけれども、七月中に厚生省が案を発表できるような状況で今事務が進んでいるのかという点が一点。
 もう一点は、御確認でございますが、厚生省案がまとまり次第、本委員会にもお示しをいただくという御答弁をいただいておりますけれども、この点についての御確認をお願いいたしたいと思います。
○小泉国務大臣 医療制度全般にわたる改革につきましては、今回御審議いただいております健保法改正法案等成立し次第、早急に総合的な構造改革案をまとめるよう努力をしたいと思います。
 その際に、九月一日に施行されます現在御審議いただいている法案、それまでに、いわゆる八月中に案を示せということでありますので、与党におきましてもその厚生省案を議論する時間も必要だと思います。となりますと、今、八月中には、九月一日までにはというお答えをしていたわけでありますが、できれば早いにこしたことはない。七月中に出した方が、審議する間に一月は欲しいという声もあります。でありますので、今国会閉会直後、精力的にこの取りまとめ作業を進めて、できれば七月中には厚生省案というものを出したいなというふうに今考えております。
 そして、その案に対してどういう御意見があるか、当然、案を出すためにはいろいろな、各界各層の関係者の御意見も伺いますし、この委員会で審議された意見も踏まえて案を取りまとめるわけでありますが、出た際に、委員会で聞きたいとか、何かしろというのは、委員会の指示に従って対応したいと思っております。
○山本(孝)委員 ぜひ精力的にお願いいたしたいと思います。
 今、委員会の理事会の中でも、我が党からも各党の皆さんに、ぜひ閉会中であってもこの社会保障問題あるいは医療改革問題についての審議を委員会でしていこうではないかという呼びかけもしておりまして、津島先生からもそのような御意向を承っておりますけれども、ぜひ我々も一生懸命取り組みをさせていただきたいと思っています。
 それで、児童福祉法の改正に当たりまして、最初に、大臣に一問お伺いをさせていただきたいと思います。
 今回の改正で、児童の自立支援を厚生省としてはお打ち出しになったわけですけれども、自立した児童とはどのような状態だととらまえて今回の法改正に臨まれておられるのか、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
○小泉国務大臣 自立とは、読んで字のごとく、みずから立つということでありますので、これは精神的にも経済的にも社会的にもみずからこの社会を生き抜いていこうという気持ちを持ってもらわなければならない。そうした本人の、この世の中で生きていくのだという気持ちを持った上で独立的に、経済的にも社会的にも社会に伍してこれからの世の中を生き抜いていこうという、その自立を支援していこうということでありますので、今までの、児童であるから単に保護すればいいのだ、養育すればいいのだということではない、それだけでなくて、自分から積極的に社会に向かって立ち向かっていくのだというような支援をしていくという気持ちにおいて自立という言葉を使っているわけであります。
○山本(孝)委員 今、精神的、経済的、社会的な自立というふうにおっしゃいました。児童ということだけでなく、一人の人間として、みずから決定していく、自分の人生を決めていく、あるいは選択していく、そういった中で人間としての尊厳あるいは誇り、自信というものの持てるような形で、ぜひ国がいろいろな施策の中でも子供たちへの対応をしていただきたいというふうに思います。
 きょうは、児童虐待の問題と養護施設等の問題についてのお伺いをさせていただきたいと思っています。
 児童虐待につきましては、日本でも全国の児童相談所に寄せられる相談件数が年々ふえております。また、東京の子どもの虐待防止センターの子どもの虐待一一〇番に寄せられる電話相談は、九一年五月の発足以来一万六千件に上っておりまして、昨年は年間に三千五百件、電話が鳴りっ放しで、全体の七割ぐらいは二十代から三十代の母親からの電話相談であるというふうに聞いております。
 虐待というものは世代間伝承だというふうに言われておりまして、虐待された子供が大人になつたときに今度は自分の子供を虐待するという頻度が極めて高いというふうに言われているわけで、その意味でも十分な対応策が講じられるべきだというふうに考えています。
 まず第一点は、児童福祉法の二十五条の虐待にする通報についてでございます。
 二十五条は「保護者のない児童又は保護者に監護させることが不適当であると認める児童を発見した者は、これを福祉事務所又は児童相談所に通告しなければならない。」と定めています。しかし、国民だれもが通報すべきとなっているために、だれもしないというのが実情で、余り実効性が上がっていないというふうに言われています。
 この規定を知らないお医者さんや教師が多いのではないかとも言われていますし、この際、子供と接する機会の多い専門職、小児科医あるいは教師、ソーシャルワーカー等には、虐待についての事実を発見したときはそれを通報するのだということを義務づける、このことを検討すべきではないか。あわせて、間違って通報しても名誉毀損等に問われることはないのだということで、免責規定も明定すべきではないかというふうに考えますが、この点についての厚生省のお考えをお願いします。
○横田政府委員 保護者のない児童なり、監護させることが不適当であるという児童が見つかった場合には児童相談所なり福祉事務所の方に通告しなくてはならないという規定を二十五条で定めているわけであります。御指摘のように、すべての国民がこの義務を負っているということでございます。
 これまでもさまざまなところを通じまして児童相談所の方にはこういった通告が行われてきておりますけれども、さらに、期待されているよりも進まない要因があるとすれば、それは虐待に対するいろいろな社会的な認識の度合いというのもあると思いますし、医師、弁護士等の方における職業上の守秘義務というようなものもあるいはあるかもしれませんし、さまざまな要因があるのではないかと考えておりますけれども、私ども、通報義務の制度そのものにつきましては、現行の規定で十分対応がされているのではないかと考えておりまして、ただ、御指摘いただきましたように、職務上、虐待を受けている児童を発見しやすい立場にある方々に対しまして、一層の御協力、注意を喚起するように指導してまいりたいと考えております。
 それから、この義務との関連におきまして、通報した者が名誉毀損等に問われるのを防止するための免責規定を置くべきではないかということでございますが、通報を受けます児童相談所なり福祉事務所の職員につきましては、それぞれ守秘義務が課されておりますし、業務遂行に当たりまして関係者のプライバシーが十分守られるように指針等において指導してきているところでございまして、私ども、善意の者が通告をしてきたことによりまして刑法上の名誉毀損なり民法上の名誉侵害というようなことには当たらないのではないかというふうに考えているところでございます。
 また、医師や弁護士等はそれぞれ刑法等によりまして守秘義務を課されているわけでありますけれども、こういった方々が通報するということにつきましても、秘密漏えい罪あるいは守秘義務違反には当たらないのではないかというふうに考えておりまして、この点につきましても、今後の指導啓発活動の中で明確にしてまいりたいというふうに考えております。
○山本(孝)委員 きょう、文部省にも来ていただいておりますけれども、虐待について、アメリカでは、地域の機関や施設で認知されたものすべてを合計したよりも多くの虐待事件が学校からの通報によって認知されております。今、横田局長おっしゃいましたように守秘義務という問題がありますけれども、日本では、公務員としての守秘義務を盾に校長が児童相談所と連携をしないというふうに言われております。
 文部省は、こういう事実をどのようにお受けとめになっているのか、あわせて、教師が家庭内での児童虐待に気づいて児童相談所等に通告するなどの適切な措置をとるべきだという点についてのどのような指導を学校関係者にしておられるのか、お伺いしたいと思います。
○加茂川説明員 お答えをいたします。
 教師が子供からの切実な訴えに例えば耳をかさない、あるいはそういった訴えがあるのに見て見ぬふりをする、そういうことはあってはならないわけでございますし、まずあり得ないものだと私どもは現状を認識しております。
 ただ、教師または学校は、児童生徒からのさまざまな悩み事の相談を受けた場合に、まず学校の問題として受けとめまして学校と家庭の連携のもとに解決できないかと考える、第一にそう考える傾向にございます。しかし、御指摘のように、第二十五条の通告義務は、国民としてはもとより教育公務員としての立場からもこれを守るのが大原則と考えておりますし、実際に学校からの通報もなされてございます。これは厚生省の調査結果でございますが、学校等から児童相談所への報告件数は全体の一三%を占めておると承知をいたしておるところでございます。
 今申しました、教員についても通告義務がかかっておることから考えまして、学校が児童相談所等と密接な連携を図りまして、子供の人権尊重あるいはこういう虐待に対する適切な対応を図っていくことは大変大事だと思っております。学校におきましても、生徒指導上さまざまな問題を抱えておりますが、児童相談所を中心とする関係機関との連携については、十分これを図っていくようにこれまでも折に触れて指導しておるところでございます。
○山本(孝)委員 十分ではないというふうに申し上げているわけで、何回も守秘義務、守秘義務という話が出てきますので、そこは積極的に、一三%というのは外国に比べればはるかに少ない数字であるという点、あるいは学校の中で逆に教師による体罰が多いという点も踏まえて、ぜひ児童相談所との連携をよくしていただきたいというふうに思います。
 横田局長、もう一度お伺いしますが、指導していきたいというふうに思うとおっしゃいました。改めて、通告義務について厚生省として各関係機関に通知を出すお考えはありましょうか。イエス、ノーでお答えをください。
○横田政府委員 今回の改正後におきまして、地方公共団体に対しましてさまざまな説明の機会等がございます。私ども、そういった説明の機会あるいは施行通達、あるいはその他の通達になりますか、方法につきましてはいろいろあるかと思いますが、文書等におきましても、今御指摘いただきましたような点につきましては明確にしてまいりたいと考えております。
○山本(孝)委員 民法との関係で厚生省にお伺いをします。
 児童虐待の救済は親権との熾烈な闘いだというふうにも言われております。虐待が起きている家庭への公的介入がそのために難しい。親権を盾にされるわけですけれども、厚生省として、民法で虐待を禁ずる条項を設けることを法務省と協議したことはございますか。
○横田政府委員 民法上は、一条におきまして「権利ノ濫用ハ之ヲ許サス」とされております。また、八百三十四条におきましては、「父又は母が、親権を濫用し、又は著しく不行跡であるときは、家庭裁判所は、」「親権の喪失を宣告することができる。」というふうにされているところでございます。
 私ども、児童福祉施策の推進に当たりましては、これまでも法務省初め関係省庁と十分連携を図りながら進めてきたところでございますけれども、御指摘の、民法で虐待を禁ずる条項を設けるかどうかということにつきましては、これまでの中では法務省と具体的に協議したことはございません。
○山本(孝)委員 ぜひ協議をしていただきたいというふうに思っておりますし、あわせて、今お触れになりました三十四条の児童保護のための禁止行為、この中に、親またはその他の保護者による身体的、心理的、性的虐待及び遺棄ということは禁止するのだということを明確に書くということをぜひ検討していただきたいというふうに思います。この点はどうでしょうか。
○横田政府委員 児童虐待につきましては、これは何よりもその防止あるいは早期発見・早期対策が重要であるということで、私ども、今回の改正に当たりましても、児童家庭支援センターを創設するなど、あるいは児童相談所の機能強化を図るというようなことによりまして、これに取り組んでいるところでございます。
 三十四条の禁止規定に虐待の禁止を加えるべきであるという点についても御議論を伺っているところでありますけれども、この点につきましては、虐待そのものについては現行体系上も、刑法上の暴行罪なり傷害罪等の適用にもなってくると思いますし、児童福祉法におきましても、こういった虐待を受けている児童につきましては、先ほどから問題になっております二十五条の通告義務、それから親権分離規定等、手続が一定程度確保されているところでございますので、私ども、こういった現行法を運用することによりまして、迅速的確な対応を図ってまいりたいと考えております。
 これに加えまして、さらに今御指摘受けましたような規定を加えるかどうかにつきましては、虐待の定義をどういうふうにするか、罪刑法定主義との関連でどう考えるか、それから民法の親権との関係もございますし、今後、関係省庁とも協議しながら慎重に検討すべき課題であると考えております。
○山本(孝)委員 参議院での御答弁あるいは衆議院での御答弁の域を今のは出ていないというふうに思いますけれども。
 確かにおっしゃっているように、民法の大きな部分とかかわる部分がある、その他もろもろ大変難しい規定と絡んでくることはよくわかってはいるのですけれども、この三十四条を読みましても古色蒼然たる規定になっておりますし、今回は単に字句の修正だけで終わっているという点も踏まえて、確かに刑法の問題として取り上げられるところはあると思いますけれども、児童福祉法の枠の中できっちりとした、児童虐待というものをなくしていくのだという姿勢からも、この三十四条というのをもう少し考え直した方がいいのではないか。三十四条の九項の規定も、何か、保護者が子供に不利益を与えても介入できないという形にも読み取れるところがありますので、三十四条の問題をぜひもう一度考え直していただきたいというふうに思います。
 文部省にもう一度お伺いをしたいと思います。
 どうも法律は子供をうまく守ってくれないような感じがするわけですが、そうしますと、学校教育を通じてぜひ本人に、虐待からの保護を申し出る権利があるのだということ、あるいは被害を受けたときはどこへ申し出ればいいのだということを教えてあげる、そういう児童虐待についての知識を深め、みずからの身を守るすべを子供たちに持たせてあげることが大切ではないかというふうにも思いますけれども、文部省の見解を承りたいと思います。
○加茂川説明員 児童虐待について学校で取り上げるべきではないかという御質問だと受けとめました。
 これまでも学校におきましては、子供たちが困ったこと、あるいは悩み事がありますれば、これは虐待による被害も含めてでございますが、教師を含めたさまざまな大人、あるいま友人でもいいわけですが、周りの人に相談することがまず第一に大切である、学校におきましても、そういった観点に立ちまして、まず自分自身を大切に考えることや、または周りには守ってくれる人が大人も含めているのだ、まず相談をすることが大切だということを折に触れて指導してきておるところでございます。いわゆるいじめの問題など、子供たちにとって他人に話しづらい悩み事があるわけでございますが、そういった事柄については、自分だけでその問題を抱え込むのではなくて必ずだれかに相談してほしいということを、これまでも折に触れて相談するよう指導してきておるところでございます。このことが、今先生申されました、子供にとって虐待を受けたときにどうしたらいいのかという対応の仕方に通ずるものがあるのではないかとまず考えるわけでございます。
 ですから、教育相談ということを私ども申しますけれども、子供がさまざまな相談機会をとらえて悩み事を訴えるように指導する中で、まず対応の第一がとれるのではないか、また、そう期待をしたいと思うわけでございます。
 ただ、何が児童虐待に当たるのか、また、そのときに具体にどういう対応をとったらいいのかを学校でどう教えたらいいのかについては、課題が少なくないと思っております。一つには、家庭教育について保護者の考え方はさまざまでございますし、また、子供の発達段階によりましては、虐待についての説明についての理解の程度がさまざまでございます。したがいまして、学校でどう取り上げたらいいのか、多分、個々の学校が判断に迷うのではないかと私ども思っております。
 しかしながら、虐待を受けてどう対応したらいいのかということについての問題、課題につきましては、学校だけではなくて、児童相談所等関係機関との連携のもとに、個別事案ごとに、または必要に応じて、密接な連携が図られることが大切だと思っておりまして、この点には十分意を用いてまいりたいと思っております。
○山本(孝)委員 しつけと虐待との見分けが非常に難しい、親権に属していることだからなかなか口を出しにくいのだ、あるいは虐待というものの定義がどうだこうだというふうに今おっしゃいましたけれども、要は、親の立場に立つのではなくて、子供の立場に立って、子供の利益とか権利をどうやって守ってあげるかということを考えた上でどういうふうに対応していくかということだと思うのですね。そのときに親がどうだからという話をし始めると、これは非常に難しいことになるのじゃないか。
 そういう意味で、性教育もそうですけれども、どうやって子供たちに教えていくのかというのは、難しい、難しいと言っているままでは物事は進まないので、もう少し前向きに考えていくということが必要なのじゃないかと思いますが、文部省、もう一度しっかり取り組むという姿勢を見せていただきたいと思います。
○加茂川説明員 お答えをいたします。
 先ほど申し上げました教育相談あるいは生徒指導を十分に行っていく中で先生御指摘の対応をしてまいりたいと思っておりますし、さらには、もっと広い観点から申しますと、人権教育といったことも学校教育では道徳あるいは関係する教科で行われておりますので、そういった関連でも取り上げることは検討課題になるだろうと思っております。
○山本(孝)委員 児童福祉の問題を考えるとどうしても教育の問題との絡みが多いですから、文教委員会でしっかり議論すべき点が多いのかとは思います。ぜひ、学校カウンセラーの配置のことも含めて、しっかりと取り組みをしていただきたいというふうに思います。
 厚生省への御質問に戻ります。
 三十三条の一時保護の規定の問題ですけれども、この三十三条に定められた一時保護について、その適用をすることを、児童相談所も、緊急分離した後の親との関係をどうやって保っていくのかという点について自信が持てないものだからちゅうちょしているというふうにも聞いているわけですね。そういうふうに厚生省としても御認識をしておられるのか、もしそうであるならば今後どのように対応していこりといりお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○横田政府委員 平成七年度に全国の児童相談所に一時保護された児童は一万六千三百九十三人というふうになっておりまして、全体の相談件数に占める割合が五・二%ということでございます。このうち、虐待ケースを含む養護相談という分類でとっておりますが、これが二万九千九百二十四件、約三万件ございますが、そのうちでこの一時保護の割合を見ますと、二二・四%というふうになっておりまして、全体の相談件数におけるウエートよりも四倍程度になっているわけであります。
 一時保護というのは、緊急保護を必要とする場合に行うわけでありますが、この場合にも親や本人の同意を得て行うことが望ましいということで、やむを得ない場合には、児童の保護を最優先にいたしまして、親権者の同意がなくても一時保護を行うということになっているわけでありますけれども、先生御指摘いただいたように、親権との関係がありまして、これが、親が反対しているのにあえて入れることにつきましては、児童相談所としてもそれなりの決断というものが必要になってきていると思います。
 そういう意味で、どこまでこの一時保護を活用していくかということは、保護のケースについて見ますとなかなか難しい問題があると思いますけれども、私ども、虐待の問題に関する社会的な意識というものも変わってきているのではないかというふうに考えておりまして、児童の安全確保というものをあくまで最優先といたしまして、必要がある場合には保護者の同意がなくても一時保護を行うというようなことで対応できるように今後指導してまいりたいと考えております。
○山本(孝)委員 しっかりとした御対応をお願いいたしたいと思っております。
 先ほど文部省の方にも申し上げました、やはり子供の利益ということを考えて、親権をどうこうするということを考えてみますとなかなか難しいことになりますから、子供がそのときにどういう状況に置かれるのが一番子供の利益になるのかという点での対応をしていただきたいと思っています。
 親権の問題は、期間も設定しないで全面的に親権を制約するというような形で、なかなか対応が難しいということになっているのじゃないかと思うのですが、この二十八条で家裁の承認を得て施設に入所させるという方法は、親権の一部であるところの居所指定権を制約するということになっています。ところが、これこま期間の設定がありません。そこで、その親権はずっといつまでも停止されるという状況になってしまう。これは期限を設定した方がいいのではないか。そうすると、期限を設定しますと、それを更新するときに必ず親はカウンセリングを受けなければいけない、子供を戻せる状況であるかどうかをチェックしなければいけないというようなことで、親がカウンセリングを受ける、立ち直るということの一つのインセンティブにもなるのではないかという意見があるわけですけれども、こういう点についてはどのような御見解でいらっしゃいましょうか。
   〔佐藤(剛)委員長代理退席、委員長着席〕
○横田政府委員 家庭裁判所等の承認を得まして入所措置を決定する場合、入所期間を設定すべきかどうかという点でありますけれども、どういったケアが必要になるのか、あらかじめ期間を設定する方がいいのかどうか、これは入所後の状況等も見まして適切に判断していく必要があるのではないかというふうに考えておりまして、入所措置を決定する場合に一律に入所期間を決定するのが適切かどうか、十分な検討が必要ではないかと私ども思っております。
 ただ、いずれにいたしましても、家庭との調整というのは大変大事だと思っておりまして、これにつきましては、通例、児童相談所の職員がカウンセリングあるいま保護者との相談を行っているわけでありますが、そのほかに養護施設入所児童早期家庭復帰促進事業、ちょっと長い名称でございますけれども、そういうようなことによりまして、施設のベテランの指導員等が家庭調整を行っているところもございます。
 親が虐待を行うというその心理的状況等を含めますと、非常に多様でございまして、カウンセリング等、一律に義務づけるのが適当かどうかということもあるかと思いますので、私ども、義務づけについては十分な検討が必要だと存じておりますけれども、家庭との調整、保護者のカウンセリング等につきましては、こういった方法を通じまして今後充実していくのが一つの大きな課題ではないかと考えております。
○山本(孝)委員 今おっしゃいましたように、家族へのケアをどうするかというのが大きな課題になっているのですね。とにかく子供を一時避難させるという形で親子を分離するということはあっても、子供の方はその施設の中で十分にケアをする手だてがある。ところが、実際、親の方にどういう形でケアをしていくのかというあたりが、児童相談所の人たちも、措置をしてしまえばそこで大体途切れてしまうということが多いと聞いています。やはり、分けることが目的であるのではなくて、家族が一緒になって生活をしていける状況を再びつくり上げていく、家族を再統合させるということが目的であるわけですから、ぜひ家族へのシステムを組み上げていくということを考えていただきたい。
 一つとして、そういうふうに期間を設定して親がカウンセリングを受けなければいけないというインセンティブを与えたらどうですかというのも一つの考えですし、あるいはそういう義務づけをすることもできるでしょうし、親子を一緒の施設に住まわせて、そこでカウンセラー等が一緒に生活をする中で、親も含めたカウンセリングをしていくというような、そういう施設の体系のつくり方もできるのではないかと思うのですね。そういう点で、ぜひ考えていただきたいというふうに思います。ここは指摘だけにとどめておきたいと思います。
 もう一点の問題は、施設に措置した後に、親御さんが子供を引き取りに施設に来るといったときに、施設側としてそれを拒否することができるのかという、二十八条で拒否できるのかできないのかという点について、現場で大変に混乱をいたしております。見解をお示しいただきたい。並びに、その見解を現場にきちんと御通知をしていただきたいというふうに思います。お考えをお示しいただけますか。
○横田政府委員 二十八条によりまして、家裁の承認を得て入所措置をした児童について保護者が引き取りに来た場合の措置でございますが、先生御指摘いただきましたように、施設の現場における対応というのは必ずしも一定していなかったというふうに私ども承知しているところでございます。
 ただ、私どもといたしましては、この点については、家庭裁判所の承認を得て入所措置を決定しているわけでありますので、保護者との分離が必要な児童であるということでありますから、家庭環境等の調整が行われない場合におきまして、家庭に児童を返すのは適当ではないのではないかというふうに考えているところでございます。
 ただ、この問題につきまして、保護者の親権との関係というのが当然ございますし、関係省庁とも協議をしながら検討しているところでございます。私ども、この結果を踏まえまして、あくまで児童の最善の利益の確保という観点から、解釈についても明確にしたいと思っております。
○山本(孝)委員 今の御答弁で、現場での混乱があるという事実を認めておられて、しっかりとした解釈をつくって、それを通知していかなければいけないという考え、その意味は、最高裁なり法務省等との、親権という問題についての協議をしなければいけないのだというお考えだと思いますが、これはいつごろまでにその協議をされて、御通知をしていかれることができるのか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
○横田政府委員 今回の改正を踏まえまして、できるだけ早くというふうに考えているところでございます。
○山本(孝)委員 せっかく、親の手元から保護をして、その子供を守ってあげようと思っているにもかかわらず、全然改善されていない親の状況のもとにまた再び引き戻されてしまうということになりますと、子供の利益が守られないということは指摘するまでもないことであって、現場では大分混乱をしております。ぜひしっかりとした回答を、しかも子供の権利を守るという点で決めていただいて、回答を出していただきたい。それにつけても、三十四条なりのところをどう変えるのかというあたりも踏まえていかないと、こちら側の、児童福祉法の枠内でのきっちりとした考え方ができていないと、現場でやはり混乱するだけだと思いますので、その点を踏まえて、ぜひ早急に御協議をいただきたいというふうに思います。
 もう一点、これは何人かの方が御質問になられました、施設の中における体罰の問題です。
 教育関係者にとっては、学校教育法の十一条で体罰が禁止をされております。この条項がきっちり生きているかどうかというのは、最近、学校内における教師の体罰が年々ふえているという点からいって、必ずしも法律をつくればいいという点にはならない一つの見本かとは思いますけれども、やはり児童福祉法の中にも、学校教育法に倣って、施設関係者はその子供たちに体罰をしてはいけないのだということをきっちりと法律の中に書くべきではないか。書くことで何ら支障は起きないというふうにも思うのですけれども、こういうお考えはないのでしょうか。
○横田政府委員 学校教育法におきましては、親権をもともと有しない校長なり教員に対しまして、この法律によって、教育目的を達成するための懲戒権というものを創造的に規定したものというふうに私ども考えておりまして、体罰の禁止は、その懲戒権の限界を規定したものというふうに考えております。
 これに対しまして、児童福祉法におきましては、入所中につきましては、施設の長が親権を行う、あるいは親権者がいる児童につきましては、「監護、教育及び懲戒に関し、その児童の福祉のために必要な措置をとる」ということで規定しているものでございまして、私ども、あくまでも、懲戒権というのは児童の福祉の向上を図るための必要な措置として認められているということであります。この中に、体罰等は当然に入らないというふうに考えているところでございます。したがいまして、改めてここに規定を設けるまでもなく、含まれていないと考えているわけであります。ただ、規定いかんにかかわらず、施設における体罰というものがあってはならないのは当然でございますので、従来から、通達等によりまして、この旨、再三指導もしてきております。
 にもかかわらず、いろいろ体罰事件の事例も出ておりますけれども、こういった事例を見ますと、どういう原因で出てきているかということでございますが、基本的には、職員と児童の間における信頼関係が十分確立されていないとか、あるいは職員の経験が未熟であるとか、施設の中における管理体制が不十分とか、そういったところに起因いたしましてこの問題が生じてきている例がほとんどではないかというふうに考えておりまして、私ども、個々具体的な事例に即して、その原因を究明し、その是正を図っていくということが一番重要ではないかと思っております。この点につきまして、今後とも、私ども、職員の研修とか体制のあり方等につきまして、都道府県等を指導してまいりたいと考えております。
○山本(孝)委員 体罰はしてはいけないのだというふうに否定をしておられる点はわかるのですけれども、学校教育法の中でも、「児童に懲戒を加えることができる。ただし、体罰を加えることはできない。」と、ただし書きでわざわざ書いてあるわけですね。
 施設長が親権を持っている、親権の中に懲戒権というものがある、それと、体罰はもちろんだめなんだと言ってはいるわけだけれども、当然のことなんだ、指導はしているのだとおっしゃるわけだけれども、学校教育法ですら、「ただし、体罰を加えることはできない。」とわざわざ書いているというのは、そういう状況になりやすいのだということを言っているわけであって、その意味でも、児童福祉法の中できっちりと、施設関係者は体罰はしてはいけないということを、禁止をする規定を明確に書いて、それは指導していることの、今まで通達をしている範囲の中だから、わざわざ書く必要はないとおっしゃるのだろうけれども、ここはしっかりと書いた方が子供たちの権利は守られるのじゃないですか。
 福岡の事件も千葉の事件も、そうすれば防げたかもしれない。わかり切っている話だけれども、それをちゃんと書いた方がいいのじゃないかという点でやはり書くべきだと思いますけれども、もう一度御答弁いただきたいと思います。
○横田政府委員 施設における体罰があってはならないということは、たびたび申し上げているとおりでございますし、にもかかわらず、こういった事態が間々生じますのは、先ほども申し上げましたように、明文の規定があるなしというよりも、現実に、その施設の中における実態というものに一番大きな原因があるのではないか。
 先ほども申し上げましたように、施設職員の経験年数が未熟でありまして、児童の処遇を適切になすだけの知識、ノウハウがないような場合、あるいは職員間の相互の連絡体制、それから管理体制というものもあると思いますし、児童相談所との連携がうまくいっているかどうか、そういった事柄も関連してくると思っております。
 したがいまして、私どもといたしましては、そういった事態を、できるだけふだんから児童相談所等との連携を強化することによりまして防いでいくのが、現実にこの問題を防止し、少なくしていく重要な事項ではないかと考えているところでございます。
○山本(孝)委員 そういう施設の中で体罰が起き得る状況にあるからこそ、当たり前のことだけれども、わかり切っている話だけれども、ちゃんと法律の中に書いてあれば、それをもとにして皆さんは施設運営なり処遇をしていかれるのだろうから、その方がはっきりしていいのじゃないかということを言っている。大臣、どうですか、そうだと思いませんか。
○小泉国務大臣 私もそう思います。以後、検討させていただきます。
○山本(孝)委員 予防のための措置について、児童相談所が十分に役割を果たしているのかという厳しい御指摘があります。敷居が高いのではないか、全国百七十五カ所は少ないのではないかという点ですが、児童虐待への取り組みでは、民間団体の方が一歩はるかに先行しておりまして、例えば私の地元の大阪では、平成二年に、前年の大阪児童虐待調査研究会の調査を踏まえて、被虐待児童の処遇が適切かつ迅速に行われ、早期発見と予防に役立つようにと、被虐待児童の早期発見と援助のためのマニュアルが発行されました。
 同時に、民間機関である児童虐待防止協会が設立されまして、子どもの虐待ホットラインが活動しております。大阪府の方でも、平成八年度から、子どもSOSフリーダイヤルを二十四時間体制で運営しております。二十四時間体制が必要であるというふうに思いますし、あわせて民間団体との連携が極めて大切である、こういうふうに思っているわけです。
 今回の改正で、児童家庭支援センターというのを創設される。これもそういう一つの取り組みだと思っておりますけれども、その権限について、児童福祉司の指導の一部を委託するが、行政処分はできないというふうに理解していいのかという点が一点。
 それから、配置の人員については、施設とは役割が異なるので、別に専門職を雇用するのだ、目標数は来年度の予算次第というふうに理解をしておりますが、こういう理解でよろしいのでしょうか。
○横田政府委員 できるだけ身近なところできめ細かい相談、支援を行うという児童福祉施設といたしまして、今回の改正で、児童家庭支援センターを設けることにいたしております。
 その内容といたしましては、専門スタッフによる助言、相談、それから児童相談所の指導措置の委託を受けまして行う指導、それから児童委員あるいは母子相談員との連携による問題の早期発見・早期対応等でございます。この児童家庭支援センターそのものは行政機関ではございませんので、行政処分そのものではないわけですけれども、行政処分として行われた指導というものは、委託を受けてこのセンターが行うこともあるということでございます。
 それから、専門スタッフにつきましても、ソーシャルワーカーあるいは心理判定員、心理技術職というような方が必要になると考えておりますけれども、具体的には、今後、審議会の検討を踏まえまして、来年度予算で決定してまいりたいと考えております。
 箇所数につきましても、同様に、基本的には児童相談所を補うような配置が望ましいと考えておりますけれども、来年の予算編成の問題として検討してまいりたいと考えております。
○山本(孝)委員 法改正で入れ物はつくりました、あとは平成十年度の予算次第で専門職の雇える人数も箇所数も決まるということで、しっかりとした予算獲得をしていただいて、せっかく制度をつくったわけですから、それが機能していくように運営をしていただきたいというふうに思います。
 今、専門職の点でおっしゃいました。きょう自治省の公務員課長にも来ていただいておりますけれども、私の友人なども、市役所に入りますと、卒業している学部にかかわらず、大概、福祉事務所からまずスタートするというような形で生活保護のケースワークを担当しているのだという友達が多いわけですね。ぜひ市役所の中で福祉事務所関係には専門職の方を採用していただきたい、専門職としての採用をしていただきたい。
 四月十日の審議の中で、実際は県の人事ローテーションで一般の人も入っているのが実情であるというふうに厚生省も認識をしておられるわけですけれども、自治省としても、この職員採用あるいはローテーションの中で、福祉はより専門職、専門知識が要求をされてきているわけですから、そういう人員配置ができるような形、採用それから配置ということを考えていただきたいというふうに思います。御見解を承りたいと思います。
○飛弾説明員 地方公共団体の福祉に携わる職員のあり方につきましては、高度化、多様化、専門化する福祉ニーズに対しまして、サービスをどのように効果的に提供していくかという視点が重要であると認識しております。地方公共団体におきましては、社会福祉事務所の現業を行う所員等につきまして、先生御指摘のように、福祉の専門化の流れに対応して福祉専門職種として採用する団体がある一方で、他の行政分野に在籍したことのある職員の経験や視野を福祉の分野で活用したり、また、一般行政職の全体的な人事管理の中で、適材適所の観点から、必要な資格を取得させた上で福祉に携わる職員の確保、育成を図っている団体もあると伺っております。
 いずれにいたしましても、この問題につきましては、採用の方法、配属の仕方を含めまして、基本的には地方公共団体の判断にゆだねられているものと考えておりますが、自治省といたしましては、それぞれの団体におきまして、専門性の確保の必要性と、幅広い視野や行政経験の重要性、また職員の人事管理のあり方など、さまざまな観点を十分踏まえまして適切な対応が図られるべきものと考えております。
○山本(孝)委員 職員の視野を広めるというか、いろいろな領域を見ていただきたいという点で福祉の現場をも知っていただきたいとは思うのですが、あわせて、専門職がやはり必要だというふうに思います。ローテーションで回ってきてその仕事をさせられているという形でやられたのでは困りますので、いろいろもう少し現場をよくごらんいただきまして今後の指導をしていただきたいというふうに思います。
 質問の時間が短くなってきましたので要望と御検討いただきたいことをいろいろと申し上げないといけないと思っておりますが、児童虐待のホットラインあるいはフリーダイヤルに入ってくる相談内容の中で、育児に関連しての点が非常に多いわけですね。育児不安に陥っているという点で子供を非常に虐待してしまう。自分でも認識しているのだけれども、やめようと思ってもやめられないという悲痛な声が聞こえてくるわけです。
 そういう点で、育児相談など福祉サービスの充実が急務であろうというふうに思っておりまして、厚生省も母親の育児不安の解消等をねらって、子どもの心の健康づくり対策をことしの十月から実施されるというふうには聞いております。ただ、実施主体が市町村となっておりまして、実際は保健婦さん等が担当するとすれば、市町村というよりは都道府県が実施主体になった方がいいのではないかというふうな思いもします。
 あわせて、保健婦さんをもっと増員して相談に乗っていくという体制づくりが必要ではないかというふうに思っておりますが、この点についてのお考えをお示しいただきたいと思います。
○横田政府委員 虐待の問題につきましては、単に一機関というようなことではなくて、できるだけ広範囲な機関、関係者が連携協力してやっていくことが必要ではないかと思っております。
 そういった意味で、単に福祉サイドだけでなくて保健サイドも協力してやっていくことが重要だということでございまして、今回、私ども、育児に関連しての虐待防止対策といたしまして、子どもの心の健康づくり対策事業というものを市町村事業として開始することにいたしておるわけでありますが、現在、こういった母子保健関係の業務につきましては、市町村の保健センター等市町村に事務が移譲されて行われております。虐待等に関する情報もそういったセンターあるいは保健婦活動の中においてとらえる場合も多いわけでありまして、必要に応じて児童相談所の方に連絡をしていただくというようなことを通じまして、全体として虐待防止対策を推進してまいりたいと考えているところでございます。
 それから、市町村における保健婦につきましても、これまでも増員されてきておりますけれども、今後とも、ニーズに応じましてそういった点でも努力してまいりたいと考えております。
○山本(孝)委員 私の友人が岡山で保健婦をしておりますけれども、岡山は全部の市町村に最低一人ずつは保健婦を配置する、これは知事の方針でそうなったそうでありますけれども、そういう形もしておりますので、ぜひ保健婦さんの役割、高齢者介護の点でも大きいと思いますので、増員に取り組みをしていただきたいというふうに思います。
 何点か要望を申し上げて最後に大臣の御所見をお伺いをしたいと思いますけれども、京都市の児童福祉事務所等では、児童の施設の選択権を認める処遇をしております。ぜひこういう先例を踏まえて、この点を考えていただきたいということが一つ。
 それから、子供たちにぜひ意見表明の機会を与えていただきたい。要望ですので、ぜひお受けとめをいただきたいというふうに思います。施設利用者の権利のガイドブックというようなもの、欧米では随分つくられておりますけれども、こういうガイドブックを施設に入所する際に子供たちに渡して、何らかの意見を表明したいときはということで、受取人払いの封筒のようなものを中に入れて、そして、施設長を通じないできっちりとした意見の表明ができるようなルートをつくってあげるということが大変必要ではないかというふうにも思います。
 それで、養護施設の問題について、余り今回の審議では触れられませんでした。いろいろ論文を読んでおります中で、津崎哲雄先生の論文、「社会福祉研究」に載ったものですけれども、大変に興味深い点がありまして、採決間近で皆さんお集まりですので、ぜひ、長文ですけれども読ませていただいて、御検討いただきたいというふうに思います。
 これは、オックスフォード大学のグドマンという先生が、一九九一年に日本に来まして、八カ月間、我が国の養護施設に関するフィールドワークを行って、欧州との比較において日本の養護施設を特徴づける問題提起を行ったというふうになっております。十四項目ありますけれども、読ませていただきたいと思います。
 いわゆる欧米の国と比較しての日本の養護施設の特徴という意味でとらえる。
 @児童の平均入所期間は何故そう長いのか。各施設間の入所期間に大きな違いがあるのは何故か。
 A施設から里親や養子縁組に出される児童が何故そんなに少ないのか。
 B施設職員は何故そんなに少ないのか。
 C施設にヴォランティアが何故そんなに多いのか。
 D多くの施設が施設祭・バザー・後援会に熱心になるのは何故か。
 E民間施設の多くが同族経営であるという事実の意味(重要性)は何か。
 F全般に条件や設備がより劣悪な民間施設ではなく、現在閉鎖されつつある施設に公立が多いのは何故か。
 G親と子の権利の衝突をめぐる法律上の争いが何故そんなに少ないのか。
 H児童相談所のケースワーカーと彼らが施設措置した児童の関わりが欠落していることの意味は何か。
 I児童福祉施設における規制・体罰の問題に関する公の議論が実質上なされないのは何故か。問題が発覚しても制度を変えるべきであるとうたう調査報告や提言が出されず、原因を個々の職員の個人道徳に帰する傾向が強いのは何故か。
 J家族ソーシャルワークや家族支援ケースワークがほとんど実施されていないのは何故か。
 K養護施設長が日本の児童人口全般の減少やその施設入所児童数への影響をなぜそんなに心配するのか。
 L単純に言うと、日本の児童人口が劇的に減少しているのに、施設児童数が過去二十年間に非常に安定していた(約三万人)ことは、どのように説明され得るのか。
 M厚生省が措置として不登校児童を養護施設に入所させようとする意味は何か。
という十四の指摘を、欧州、ヨーロッパの養護施設との比較の中で、日本の施設を八カ月回ったオックスフォード大学のグドマン先生は指摘をしているわけですね。
 厚生省にすれば、当たっている点も、あるいは当たっていないというふうに御主張されたい点もあるのだろうと思います。ただ、私、聞いておりまして、かなり日本の養護施設全般について当たっているのじゃないかと思いました。
 今回、残念ながら、この審議の中で保育問題等に意見が集中しているように思うわけですけれども、衆議院の厚生委員会としては児童福祉施設の見学に行く時間が若干ありませんでした。今、理事会の協議の中では、ぜひ、この法案審議がきょう終わっても施設を見に行って、児童福祉体系全般について考えていこうということを考えているわけです。
 教護院と不登校問題についても随分取り上げられました。私、友人が北海道家庭学校で働いておりますけれども、ぜひ教護院ということについてのイメージを変えていただきたい、ぜひ現場を見ていただきたい、現場を見てからこの児童福祉施設をどうするのだということをぜひ考えていただきたいというふうにこの友人も言っておりました。ぜひ、施設全体をもう一度見直す中で児童福祉施設の考え直しをしていかないといけないのじゃないかと思います。
 特に施設の最低基準の問題について、一人二・四七平米という形で最低基準が設けられている、すなわち、六畳の部屋に四人を入れるという形になっているわけです。最低基準の中では、もちろん個室はありませんし、学習室も娯楽室も食堂もありません。こういう中で今、高校進学率、養護施設は六〇%というふうに聞いておりますけれども、こういう劣悪な生活環境、学習環境並びに大学へ進学するという夢を持てないという中において、一般の高校進学率が九〇%を超える中で、養護施設、ようやく上がってきたといってもまだ六〇%台の進学率しか持ち得ない、この点は大いに反省すべきだというふうに思います。
 四八年にこの法律ができて、今回、大改正になるわけですけれども、この点は残念ながら改正されていない。施設最低基準について、余り見直しに積極的でなかった厚生省は大いに責められるべきだと思いますし、国会の側も、そういう状況を放置してきたということについては率直に不明を恥じ、関係者にわびなければいけないのじゃないかというふうにも思っています。
 そういう点においても、ぜひ施設の現場を見るところからもう一度、この児童福祉法についての体系全体を見直さないといけないのじゃないか。今回の審議は、そういう意味で、私は、残念ながら極めて不十分であったというふうに思っています。
 厚生省としても、今後、審議会等を踏まえて政省令を定めていかれるというふうに思いますけれども、細部については、先ほどの法務省との協議であるとか、あるいは通知の内容をどうするのかという点も含めて、まだまだ検討課題が残っているというふうに思うのですね。そういう意味では今回の改正ですべてが終わるわけではなくて、さらなる見直しが必要であることは間違いない。
 大臣に最後にお伺いをしたいわけですけれども、法律は改正をすればそれで終わりではなくて、問題があればいつでも改正していけばいいではないかというのが大臣の基本的なお考えだと思いますけれども、今回の児童福祉法の審議を踏まえて、本当に五十年来の改正、大改正になっているわけですから、施行状況を見ながら、期限を切るのはなかなか難しいでしょうけれども、三年程度のところまでの間にはもう一度見直しを厚生省としてもしていくのだ、その中で、子供の権利をしっかり守っていきます、子供の自立支援もしっかりと応援していきますという姿勢を、最後、ぜひ大臣からお伺いをさせていただきたいと思います。
○小泉国務大臣 五十年ぶりの改正でありますから、保育所においても、また児童自立支援施設におきましても、この五十年間の大きな変化に対応していかなきゃならない。しかし、今回の改正ですべて終わったということではありませんで、今後、よりよき改善を目指して、さらに手直ししなきゃならないところはしていかなければならないし、今御指摘の十四のなぜですか、十四問のなぜ、疑問、これにどう対応していくかということも踏まえて、今後、不断の見直しが必要だと思います。
○山本(孝)委員 ぜひ厚生省としてもしっかりと取り組みをしていただきたいと思います。
 残念ながら、時間がなくなりました。父子家庭の問題についても触れたかったと思いますし、こども未来財団の現在の運営状況についてもしっかりチェックをさせていただきたいと思っておりましたけれども、時間がなくなりましたので、ぜひ児童福祉法、もう一度の見直しをお願いいたしたいと思います。
 ありがとうございました。
○町村委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
○町村委員長 これより討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、これを許します。児玉健次君。
○児玉委員 私は、日本共産党を代表して、児童福祉法等の一部を改正する法律案について反対討論を行います。
 ことしは、憲法施行五十年、児童福祉法制定五十年という節目の年であり、子どもの権利に関する条約が批准された後の児童福祉法の改正として、子供の最善の利益が尊重され、施策の充実が図られるものと期待されていました。とりわけ、子供を取り巻く環境の大きな変化の中で、夫婦ともに働く家族は今や一般的であり、公的保育が質、量とも拡充されることが求められています。
 ところが、本改正案は、全体として国民の期待にこたえるものとはなっていません。
 以下、反対の理由を述べます。
 その第一は、保育所の措置制度を改めることに関してです。
 現行第二十四条では、市町村に、保育に欠ける子供を保育所に入所させて保育する措置を行う公的な義務を課しています。本改正案では、父母の申し込みに市町村が応諾する義務に変わります。これは、保育所入所に関する法的義務を後退させるものと言わざるを得ません。厚生省は、措置制度では父母の多様なニーズにこたえられないと申しますが、措置制度に問題があるのではなく、多様なニーズに応じるよう措置制度を発展的、弾力的に運用することを拒んでいる厚生省の態度にこそ問題があります。
 第二に、保育所が措置施設から利用施設へと変更されることに伴い、保育料徴収も、保育コストの父母による負担が原則となります。応益負担の明文化は、保育料の高額均一化、低所得者層の負担増を招くおそれがあります。
 第三は、保育行政に競争原理を持ち込むことです。
 保育所への競争原理の持ち込みは、父母負担の増大、保育所間の格差拡大、保育労働者の労働強化、保育所の淘汰に道を開くものです。
 今日の保育所をめぐる最大の問題は、全国四万三千人を上回る入所待機児童の解消、劣悪な定員、施設基準の改善です。学童保育への国の責任の明確化と公的補助の拡大が急務です。保護を要する児童の施設における体罰を完全になくし、子供の権利を全国のすべての施設で確保することが重要です。
 これらの諸課題への国の対策の抜本的強化こそ、二十一世紀を担う子供たちへの私たちの責務であることを強調して、私の反対討論といたします。(拍手)
○町村委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
○町村委員長 これより採決に入ります。
 児童福祉法等の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
     〔賛成者起立〕
○町村委員長 起立多数。よって、本案は原案の
 とおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
○町村委員長 この際、本案に対し、長勢甚遠君外六名から、自由民主党、新進党、民主党、日本共産党、社会民主党・市民連合並びに21世紀の六派及び土肥隆一君共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。福島豊君。
○福島委員 私は、自由民主党、新進党、民主党、日本共産党、社会民主党・市民連合、21世紀及び土肥隆一君を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。
 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。
    児童福祉法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について、適切な措置を講ずべきである。
 一 少子化問題の重要性にかんがみ、長期的展望に立ち、社会保障、教育、産業、雇用、住宅など幅広い見地から、少子化対策の総合的な検討を進めるとともに、子育てに対する支援の強化を図ること。
 二 「児童の権利に関する条約」の趣旨を踏まえ、児童福祉法の理念及び在り方等について早急に検討し、その結果を踏まえて必要な措置を講ずるとともに、施策の実施に当たっては、児童の最善の利益を考慮した取扱いが図られるよう努めること。
 三 保育料は現行水準を後退させないよう配慮し、また、低年齢児及び中間所得者層に十分配慮するとともに、保育費用等に対する公的責任を後退させないこと。
 四 利用者の側に立った施策の推進、民間・公立を問わず施設の自主性の発揮等の観点を踏まえ、乳児保育、障害児保育、延長保育等多様な保育需要に即応した質の高い保育サービスの提供を図るとともに、国の定めるエンゼルプラン及び緊急保育対策等五か年事業の着実な推進に努めること。また、地域の実情等により保育需要や子育て環境等は異なることを踏まえ、都市部を中心とした乳児保育等の待機児童の解消、保育所と老人福祉施設等との連携や共用化の推進など地域の実情等を踏まえた施策の展開に努めること。
 五 放課後児童健全育成事業の全国的な拡充について、国としても所要の努力を行うとともに、公共施設の一層の活用を図ること。
 六 各児童福祉施設の運営については、児童が適性を伸ばし、社会的自立を確保できるよう配慮すること。また、児童や家庭をめぐる問題の複雑・多様化に対応するため、今回の改正の趣旨も踏まえ、教育行政とも十分連携の上、今後とも要保護児童福祉施設の体系及び各施設の機能等の検討を行うこと。特に、児童自立支援施設については、児童が速やかに学校教育を受けられるよう努めるとともに、不登校であることを理由として児童自立支援施設への入所措置が行われることがないよう、児童相談所、都道府県児童福祉審議会及び児童自立支援施設への周知徹底を図ること。
 七 児童相談所や児童福祉施設の人材確保と資質の向上に一層努めるとともに、国民の生活水準の向上、地域の実情、施設運営の自主性確保のための基準の弾力化といった観点等を踏まえ、施設の要員配置、施設設備等に関する最低基準の見直しを図ること。また、児童家庭支援センターの設置に当たっては、要保護児童の早期発見・迅速かつ適切な対応ができるよう、児童相談所等との有機的な連携に配慮するなどその目的が十分達成されるよう努めること。
 八 児童相談所が入所措置等を行うに当たって都道府県児童福祉審議会の意見を聴くこととした趣旨・目的が十分達せられるよう、審議会に法律・医学の専門家や児童福祉関係者等からなる部会を設けるなど運用上適切な配慮を行うこと。
 九 児童の人権の尊重という観点から、虐待、買春、性的搾取等に関する規制の強化等について検討を進めること。また、児童虐待に関する児童福祉法の運用基準の明確化等を図り、その防止及び児童の保護に万全を期するとともに、児童福祉施設において体罰が生じることがないよう施設等に対する指導の徹底等を図ること。
 十 母子家庭施策については、就労支援を中心に総合的な施策を講ずること。児童扶養手当については、民法における扶養責任との関係等を含め総合的に検討すること。また、父子家庭に対する支援等の拡充に努めること。
 十一 虚弱児施設の児童養護施設への移行に当たっては、現在入所している児童の処遇等に支障が生じないよう適切な配慮を行うこと。
以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○町村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
     〔賛成者起立〕
○町村委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
 この際、小泉厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。小泉厚生大臣。
○小泉国務大臣 ただいまの附帯決議につきまし
 ては、その御趣旨を十分尊重して努力いたします。
    ―――――――――――――
○町村委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○町村委員長 御異議なしと認めます。よって、
 そのように決しました。
    ―――――――――――――
     〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
○町村委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時十六分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時二分開議
○町村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 内閣提出、参議院送付、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松本純君。
○松本(純)委員 自民党の松本純でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。
 産業廃棄物の総排出量は年々ふえ続け、昭和六十年度に約三・一億トンだったものが平成五年度には約四億トンにもなっており、さらに、最終処分場の残余容量は逼迫しており、全国平均で約二・三年分とのことでありますから、速やかなる対応をしていかなければならない大切な時期を迎えております。しかも、いかに地域住民の理解を得て新規の処分場の設置を進めることができるかということになりますが、まさに信頼性と安全性の向上を抜きにしては考えられません。この緊急かつ重要な法案により、信頼の上に秩序を取り戻し、適正な処分場の設置が進み、減量化・リサイクルが推進され、不法投棄がなくなることを願うところであります。
 このたびの廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、まず全体から、確認も含め、数点御質問をいたします。まず初めに、廃棄物処理施設の設置に当たって関係住民等の意見を聞くことになっておりますが、聴取した意見をすべて反映させることは現実的には困難なことが予想されます。このような場合、どのような調整機能を想定されているのか、専門家の意見に従っておれば住民との調整がつかなくても設置することとなるのか、お尋ねをいたします。
○小野(昭)政府委員 施設の設置許可に当たっての住民の意見聴取についてでございますが、施設の設置や維持管理につきまして、生活環境を保全するという観点からの意見を求めるものでございます。
 住民の方から提出されました意見につきましても、生活環境保全上の御意見ということでお願いをしたいと考えておりまして これらの御意見につきましては、専門的な知識を有する方の意見も踏まえまして、その妥当性について判断をした上で、施設の許可の審査の際に、生活環境保全上適正な配慮がされているかどうかの観点から、住民の皆さん方の御意見というものについても審査に適切に反映されるものというふうに考えております。
○松本(純)委員 次に、名義貸しというのは現行でも違法行為なのではないかと思うのでありますが、今回の改正でわざわざ名義貸し禁止の条項を設けて明記した理由は何か、逆に言えば現行法では違法ではないのか、お伺いをいたします。
○小野(昭)政府委員 現行法におきましては、処理業の許可を有していない者が許可業者から名義を借り受けて処理業を行いました場合には、名義を借り受けて処理を行った者は無許可営業で罰せられますけれども、名義を貸した者には罰則の適用はございません。
 このような名義貸し行為は、無許可営業を助長いたしますとともに、廃棄物処理業について許可制度を設けていることを無意味にする行為でもございますので、今回の改正では、これを禁止いたしまして、違反者には無許可営業と同様に直罰を科することとしたものでございます。
○松本(純)委員 次に、産業廃棄物処理業者あるいは厚生省令で定める者以外は現行法でも産業廃棄物の処理処分を受託してはならないはずでありますが、第十四条と第十四条の四にそれぞれ第九項を設けて明記した理由をお伺いいたします。
○小野(昭)政府委員 他人から産業廃棄物の処理の委託を受けまして、実際にはみずからは処理をせずに第三者に再委託をするという、いわゆるブローカーが介在をいたしまして、その結果、第三者による不適正な処理が行われる例が見られることが指摘されておりまして、廃棄物処理に関する国民の不信感を高める一因ともなっております。
 このため、こうしたブローカーに責任追及できることとして国民の不信感を払拭し、適正処理の確保を図りますために、産業廃棄物処理業者以外の受託を明記いたしまして禁止する規定を設けたところでございます。
○松本(純)委員 次に、欠格条項の中で、相談役、顧問等の名称にかかわらず、実質的な支配力を有すると認められる者も役員の範疇に入れるとのことでありますが、そのような確認が可能なのかどうか、どのように確認するのか、お伺いをいたします。
○小野(昭)政府委員 現行法におきましては、実質的に経営の実権を掌握する者が欠格要件に該当しているとしましても、役員でなければ処理業の許可を取得することができることが指摘されておりまして、廃棄物処理に関する国民の不信感を高める一因ともなっているわけでございます。このため、処理業者の質の確保を図りますためにいわゆる黒幕規定を設けたところでございます。
 なお、欠格要件の審査に当たりましては、警察当局と十分に連携を図ること等によって対応してまいりたいと考えております。
○松本(純)委員 ありがとうございました。
 それでは次に、大都市圏の廃棄物処理施設の建設につきまして数点御質問をさせていただきたいと思います。既に参議院での審議の際にも質問をされておりますが、本日までにさらに検討が進んだ事項などあれば、お答えをちょうだいできればと思っております。最終処分場等の廃棄物処理施設の建設に当たっては、住民の反対等により円滑に進められない実態にかんがみ、今回の改正がなされるわけでありますが、設置手続の明確化等の措置が講じられたとしても、この大都市圏での新設は、設置場所などを考えますと大変難しい仕事になるのではないかと思っております。特に、最終処分場については、土地の制約から首都圏での新設は極めて困難だと思っているのでありますが、一方、最終処分場の残余年数は〇・八年しかなく、このままでは首都圏の産業廃棄物の行き場がなくなってしまう、そんな状況になっております。
 そこで、厚生省では、大都市圏の廃棄物の最終処分についてどのような対策を講じていらっしゃるのか、まず初めにお尋ねをいたします。
○小野(昭)政府委員 首都圏あるいは近畿圏等の大都市圏域におきましては、廃棄物の排出量の増大、土地利用の高度化等から、個々の市町村によります最終処分場の確保が大変困難になっております。このため、厚生省といたしましては、昭和五十六年に制定されました広域臨海環境整備センター法に基づきまして、運輸省と共同いたしまして国の補助を行いまして、いわゆるフェニックス計画を推進しているところでございます。
 このフェニックス計画は、地方公共団体及び港湾管理者が出資いたしまして広域臨海環境整備センターというのを設立いたしまして、都府県の県域を越えまして共同利用する広域的な一般廃棄物及び産業廃棄物の最終処分場を港湾区域内の海面に整備するものでございまして、現在 近畿圏で大阪湾フェニックス計画として事業が行われているところでございます。
○松本(純)委員 大阪湾フェニックス計画では、円滑に事が進み、広域的な廃棄物の最終処分が行われているとお伺いをしておりますが、具体的にはどのような状況になっているのか、お尋ねをいたします。
○小野(昭)政府委員 大阪湾フェニックス計画につきましては、昭和五十七年に百八十一の地方公共団体等が出資して設立されました大阪湾広域臨海環境整備センターが、尼崎沖及び泉大津沖の管理型及び安定型の処分場で、それぞれ平成二年及び四年から廃棄物の受け入れを開始しておりまして、近畿圏におきます廃棄物の安定的な処分のために極めて重要な役割を果たしております。
 例えば、平成九年三月末現在で申しますと、産業廃棄物につきましては約六百十万立米、一般廃棄物につきましては約三百三十万立米を受け入れておりまして、その他のしゅんせつ土砂等を含めまして、全体の埋立容量四千五百万立米のうち約五割の埋め立てが終了いたしております。
 特に、管理型区画の埋め立てが平成十年度に終了すると見込まれておりまして、このことから、大阪湾広域臨海環境整備センターにおきましては、神戸沖に新たな管理型処分場を整備いたしますために、平成九年三月に厚生大臣と運輸大臣の認可を受けまして、現在、着工の準備を進めているというところでございます。
○松本(純)委員 首都圏については、最終処分場の残余容量は大阪湾に比べてさらに危機的な状況にあり、東京や神奈川といった住宅密集地域では、最終処分場を陸上に確保するということは不可能に近いものと考えられます。
 首都圏でのフェニックス計画はどのようになっているのか、お尋ねをいたします。
○小野(昭)政府委員 首都圏のフェニックス計画につきましては、近畿圏と異なりまして、関係都県市のみでは実は計画策定のめどが立たなかったわけでございまして、厚生省では、昭和六十二年に、運輸省と共同で「東京湾フェニックス計画の基本構想」というものを取りまとめまして、関係都県市に示したところでございます。
 この「東京湾フェニックス計画の基本構想」は、東京都心からおおむね半径四十キロ以内の市町村を対象といたしまして、約一億一千万立米の廃棄物を五百ないし六百ヘクタールの処分場で処分するものとなっております。
 しかしながら、この基本構想につきましては、自治体によりまして処分場の逼迫状況等ごみ処理をめぐります事情が異なりますことから、合意が得られなかったところでございます。
 その後、知事及び市長をメンバーとする首都圏サミット、首都圏サミットについては、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、横浜市、川崎市、千葉市の各首長がメンバーでございますが、この首都圏サミットにおきまして、約十年にわたりましてこの問題について調査検討が行われてきたところでございますが、平成七年六月の首都圏サミットにおきまして、平成十年を目途に広域処理について総合的なまとめを行うとされたところでございます。
○松本(純)委員 昭和六十二年以来検討を重ねているにもかかわらず、平成十年まで結論が出ないというのは、時間がかかり過ぎではないかと思われるところであります。首都圏の危機的な状況を考えれば、もっと早期に計画を進めるべきであり、東京都を初め関係都県市の努力が強く求められるところだと思いますが、それ以上に、厚生省がもっとリーダーシップを発揮し、調整を図る必要があると考えられます。
 首都圏フェニックス計画について、厚生省は、今後、どのように推進をしていくのか、お尋ねをいたします。
○小野(昭)政府委員 先生御指摘のように、私どもも、首都圏のごみ処理につきましては、大変重大な問題意識を持っております。
 産業廃棄物の処理につきましては、できる限りその排出地域に近いところで適正処理することが望ましいわけでございまして、首都圏におきます安定的な廃棄物の処理と、地方への不必要な産業廃棄物の拡散というものを防ぎますためには、厚生省といたしましては、環境に十分配慮した上での東京湾におきますフェニックス計画の実現がぜひとも必要というふうに私どもとしても考えております。
 フェニックス計画の推進に当たりましては、関係地方公共団体の合意というものが前提でございます。厚生省といたしましても、本年度当初から改めて関係都県市を呼んでその意向を聴取する等、東京都を初めといたします関係都県市の早期合意に向けまして、所要の調整に努めているところでございます。
 我が国におきます産業廃棄物の適切な処理という観点から、大局的な見地に立って、関係地方公共団体が積極的に協調していただきまして東京湾フェニックス計画が実現されるよう、強く期待をしているところでございます。
 なお、関係自治体につきましては、本年五月二十七日から、関係都県市からのヒアリングを行っております。今のところ、この六月六日に終了する予定になっておりますが、この段階で、各地方公共団体の本問題に対する御意見、御見解等を十分承りながら、先生御指摘のように、必要な支援と申しますか、促進といいますか、そういったものを考えてまいりたいと思っております。
○松本(純)委員 ありがとうございました。
 それでは次に、角度を変えまして、感染性廃棄物について御質問をさせていただきます。
 改正案第十二条の三は、産業廃棄物管理票、いわゆるマニフェストについて規定をしておりますが、これまで特別管理産業廃棄物に対して求められていたマニフェストが、すべての産業廃棄物に求められることとされております。
 そこで、御質問いたします。
 医療機関等から排出される医療用廃棄物はまことに多様でありますが、このマニフェストは、当然、いわゆる医療機関等から排出される医療用の廃棄物にも求められることとなるわけでありましょうか、お尋ねをいたします。
○小野(昭)政府委員 現在、医療機関等から排出されます感染性の産業廃棄物につきましては、これまでも、特別管理産業廃棄物といたしまして、平成三年度の法改正以降、既にマニフェスト制度の対象とされているところでございます。
 今回の改正におきましては、今先生の御指摘のございましたように、特別管理産業廃棄物に加えましてすべての産業廃棄物にマニフェスト制度の適用を拡大することといたしておりまして、これによりまして、医療系の廃棄物につきましては、特別管理産業廃棄物に限らず、例えばレントゲンフィルムあるいは薬瓶等の通常の産業廃棄物に該当するものにつきましても、マニフェスト制度が適用されるということでございます。
○松本(純)委員 ところで、厚生省は、平成三年に、感染性廃棄物処理マニュアルを制定され、医療機関等の廃棄処理等について定められておられます。
 このマニュアルにおいて、医療機関の定義として「病院、診療所、衛生検査所、老人保健施設、助産所、動物の診療施設及び試験研究機関をいう。」とされておりますが、この定義では、薬局はこの中には入らないということになりますが、そのとおり理解をしてよろしゅうございましょうか。
○小野(昭)政府委員 感染性廃棄物処理マニュアルにおきましては、平成三年の廃棄物処理法改正に伴いまして特別管理廃棄物として指定されました感染性廃棄物の適正処理を確保するために定めたものでございます。
 現在のところ、特別管理廃棄物でございます感染性廃棄物につきましては、当時の実態を勘案いたしまして、日常的にまとまった量を排出する病院、診療所等の特定の施設からのものに限定をいたしているところでございます。このため、今御指摘のございました薬局といいますものは特定施設に該当いたしておりませんで、現行のマニュアルにおけてま対象となっておりません。
○松本(純)委員 そこで、最後に、厚生大臣にぜひお考えをお伺いさせていただきたいと思っていることなのでありますが、病院で治療を受け、注射を打ち、薬を与えられという治療がされます。そして、それが、実際に患者さんが使用されて出てきたものは感染性廃棄物という医療系の廃棄物として処理がなされるわけでありますが、患者さんが、例えば自分の病気のためにインシュリンの注射器、薬を投与され、自宅でみずからが打つというようなケースもこれは出てくるわけでありますが、実際には、片方は感染性の廃棄物になりながら、投与されて自宅に持ち帰った薬剤、医療器具というものが突然そこで一般廃棄物に変わってしまう。同じものであるにかかわらず、そんな状態が現実には生まれてきているのが実態であります。
 そこで、高齢化社会をこれから迎えて、さらに在宅介護を進めていかなければならないというような状況、時期を迎えているわけでありますから、このような状況がさらにふえてくるということが心配をされるところでありまして、この高齢社会の医療体制として、医療法改正をするなどして在宅医療を推進しているところでありますが、医療保険において、病院、診療所だけでなく、薬局についても在宅医療が認められているところであります。
 最近、この在宅医療で用いられる輸液のセットや注射針などの医療廃棄物について、患者が処理に困るような例がふえつつあります。そのいろいろな悩みというのが薬局に持ち込まれてきているということであります。また、抗がん剤のようないわゆる細胞毒性の強い薬剤や、抗生物質などの耐性を生じやすい医薬品が飲み残された場合、その廃棄処理は大変重要なところであるわけであります。
 産業廃棄物、一般廃棄物、いずれにも人の健康などに被害を生じるおそれのあるものとして感染性廃棄物が位置づけられておるわけでありますが、高齢社会に対応する在宅ケアが進めば進むほど、この感染性廃棄物が問題になってくることは間違いのないことと思います。
 平成五年度の感染性廃棄物の排出量は十八万二千トンで、産業廃棄物の約四億トンと比べれば量は非常に少ないのでありますが、これはマニフェストにより確認されたものだけでの比較だと思います。
 医療法を改正するなどして在宅医療を推進している現在、患者さんのお宅では、医師、看護婦、薬剤師等によってさまざまな治療や指導が行われております。すると、そこには、持ち帰るもののほかに、置いていく、あるいは患者さん自身が購入し使用する医療器具や、服用し切れず残置された医薬品等が残されてしまう状況が生まれてきます。
 このように、まさに患者さんの御自宅そのものが診療所化してしまうことを考えるとき、御本人や御家族が医療廃棄物をむやみに一般ごみと一緒に出してしまうことがないよう、法的な扱いは一般廃棄物だとはいえ、これは大変危険であることを周知徹底することが大変重要だと思います。また逆に、私たちはこの実態を放置することができない問題としてとらえ、対策を講じていかなければならないと思います。それも、今回のような改正のタイミングをとらえて議論を進め、検討していかなければならないことだと思うのであります。
 例えば、私の住む横浜でありますが、市の環境事業局に問い合わせたところ、大事には至りませんが、年に五回程度の針刺し事故、つまり、一般ごみに捨てられた注射針を刺してしまう事故が起きているそうであります。また、都会のカラスは、うちの方では大変太って豊かでありますが、食べ物がどこにあるのかよく知っているようでありまして、ビニールのゴミ袋をかみちぎって、中のごみそのものを路上に散乱をさせてしまうという、そんな光景もよく見られるところであります。高齢化対策として在宅医療が進めば、表の数字にはなかなか出てこないものかもしれませんが、大変危険がそこには秘められておることだと思います。
 このように、在宅医療の一層の進展に伴って排出されてくると予想される、家庭から出る医療廃棄物の危険から地域や住民を守り、環境を大切にし、また悪用を防ぎ、さらにプライバシーを保護しつつ、安全で安心な、事故のない処理に努めていかなければならないと思うのであります。
 このような状況から、在宅医療における医療廃棄物、感染性廃棄物の処理のあり方について、法的な取り扱いも含め、基本的なお考えを小泉大臣にお尋ねをいたしたいと思います。
○小泉国務大臣 ただいまのお話を聞いておりまして、在宅医療を推進するに当たって、今後大変重要な課題だと思っております。医療系廃棄物をどのように適正に処理していくか、今後、早急に検討して、適正処理のためのあり方を進めていきたいと思います。
○松本(純)委員 ありがとうございます。
 どうぞ、この問題、大変重要な問題と思われますし、また、私の生まれ育った横浜市中区の薬剤師会の方々もこういった取り組みに懸命になっているわけでありますが、さまざまな法的な手続がクリアされずに、思いはありながらも、例えば医療廃棄物の回収ということ一つ考えても、法的になかなかできないという実態もそこにあるわけでありますので、御理解をいただき、これは本法だけではなく、さまざまな法を駆使する中での対応になろうかと思いますが、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 以上、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○町村委員長 田村憲久君。
○田村委員 自由民主党の田村でございます。
 先ほどは、児童福祉法、大変御苦労さまでございました。委員長も連日大変御苦労さまでございます。大臣もお疲れさまでございます。
 本当にこの厚生委員会、次から次へと大変重要な法案が出てまいりまして、処理をさせていただいておるわけでありますが、どうもお疲れのようでございまして、席が少し、ぱらぱらと野党の方に空席が目立つのかな、そんな感じもするわけでありますが、先ほどから比べますと傍聴人席も大分人が減り、大変寂しいのですけれども、気を取り直しまして御質問をさせていただきたいと思います。
 それでは、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案に関しての御質問でありますけれども、我が国におきまして、経済の成長また国民の生活の質の向上等々によりまして、またいろいろなニーズの多様化ということで、大量生産・大量消費、そして利便性の追求などで、使い捨て文化といいますか、そういうものが国民に浸透してきておるわけであります。昭和六十年以降においては廃棄物の量も増大の一途をたどっておるわけでありまして、ともに質的にも大変有害な物質等々が廃棄されるというような、そんな重要な問題も起こってきております。
 しかしながら、一方では、最終処分場等を含めまして廃棄物処理施設の確保難、また、不法投棄などの社会問題化も起こってきておるわけでありまして、もちろん、最終処分場等の廃棄物処理施設の設置については、近隣の住民の方々、そういう方々にはいろいろな不安とか不信感というものがあるのも事実であります。場所によっては、地方、地域でいろいろな争い事が起こっておるわけでもありますし、私の地元の方でもあるわけでありますけれども、かといって、もちろん、設置できないというような状況が続きますと、これまた廃棄物が増大化する中で対応ができないわけであります。
 そこで、今回の法の改正となったわけでありましょうけれども、まず、基本的認識といたしまして、現在の廃棄物の現状、発生量でありますとか施設、また残余年数、そのようなものに関しましてお聞かせをいただきたいと思います。
○小野(昭)政府委員 最初に、一般廃棄物についてでございますが、平成五年度におきましては、排出量が五千三十万トン、すべての種類の処理施設の許可総数は六千六百九十八となっておりまして、また、最終処分場のいわゆる残余年数は八・一年というふうになっております。
 次に、産業廃棄物についてでございますが、同じく平成五年度におきまして、排出量は三億九千七百万トン、すべての種類の処理施設の許可総数は一万三千七百五となっておりまして、最終処分場の残余年数は二・三年というふうになっております。
○田村委員 大変本当に厳しい状況、現状というものを今お聞かせいただいたわけでありますけれども、それに対して、今回の法改正でありますけれども、もちろん、ごみの減量化・再生利用等々、この中にも含まれておると思うのですが、ずばり、その趣旨といいますか目的というものを改めてお聞かせください。
○小野(昭)政府委員 廃棄物の処理をめぐりましては、最終処分場の逼迫、あるいは施設の設置や維持管理をめぐります地域紛争の多発、あるいは不法投棄等のさまざまな問題が生じておりまして、国民の皆さん方に産業廃棄物に対する根強い不信感が生じておりますとともに、生活環境や産業活動に重大な支障が生じかねない深刻な状況にあると認識をいたしております。
 そこで、今回の改正法案でございますが、このような廃棄物処理をめぐります状況を踏まえまして、国民の廃棄物処理に対する信頼を回復いたしますとともに、その適正な処理を確保するために、大きくは三つの柱で構成されております。
 第一の柱が、廃棄物の減量化・リサイクルの推進のための措置でございます。第二の柱が、施設の設置手続、維持管理に関します規制の見直し。第三の柱が、いわゆるマニフェスト制度の拡充、罰則の大幅な強化、あるいは原状回復の措置等の不法投棄対策の充実という三つの柱でございまして、これらによりまして総合的な対策を講ずることとしたところでございます。
○田村委員 それでは、内容の方に入ってまいりたいと思います。
 今回の法改正で、例えば第十二条の五項または十二条の二の六項などにおきまして、都道府県知事は多量排出事業者に対して、産業廃棄物及び特別管理産業廃棄物の処理のみではなく、その減量化の計画の作成を指示できるようにということが追加をされております。
 ある意味では、改正というものの中でこのようなことが入ったというのは評価できるわけでありますけれども、あくまでも指示でありますから罰則が多分ないのであろう、そのように思うわけでありますが、改正の趣旨から考えましても、それによって減量化に実効性が伴わなければこれは意味がないというわけでありまして、そこら辺のところを、どのように減量化をさせていくのか、どのような仕組みをお考えになられておられるのか、また、減量化のイメージというもの、数値等々なかなかこれをあらわしにくいのかもわかりませんけれども、厚生省が今考えておられるイメージ等々についてお聞かせいただきたいと思います。
○小野(昭)政府委員 今回の改正におきましては、多量排出事業者の作成いたします処理計画につきまして、産業廃棄物の減量に関する事項が盛り込まれることを明示することによりまして、事業者における減量化のための取り組みを一層推進していくこととしたところでございます。
 この処理計画につきましては、業態の違いあるいは事業者の事情の違い等によりまして減量化への取り組みに差があることから、事業者がみずから減量の目標を設定いたしまして、その目標の達成に向けて努力することが基本と考えております。
 しかしながら、各事業者が目標を設定するに当たりまして参酌できます具体的な目標値等があることが望ましいと考えておりまして、リサイクルの数値目標等を定めようとしております産業界の自主的な活動が現にあるわけでございますが、こういう活動状況も踏まえまして、今後、国としても減量のための目標等を定めることができるかどうか、検討してまいりたいと考えております。
 また、廃棄物の減量化・リサイクルの重要性にかんがみまして、多量排出事業者の作成いたします処理計画につきましては、定期的にフォローアップを行うことなどによりまして、事業者の減量化への努力を促すよう都道府県等を指導してまいりたいと考えております。
○田村委員 ぜひともよろしくお願いいたしたいと思います。
 さて、今回、都道府県が行ういろいろな施設の設置許可とは別に、一定の廃棄物の再生利用に関して国の認定制度を設けられた、そのような趣旨があるわけでありますけれども、多分、中間処理業者でありますとか収集業者また運搬業者等々がここに入ってくると思うのですが、あえて、都道府県が今まで設置許可を行っていたものに国が認定制度を設けた、このねらいといいますかメリットを、どのような部分をお考えになられておられるのか、お聞きいたしたいと思います。
○小野(昭)政府委員 廃棄物の再生利用に関してでございますが、再生利用というのは廃棄物の処理に該当いたしますために、これを行うに当たりましては、市町村や都道府県ごとに処理業や施設の設置許可が必要になるわけでございますが、廃棄物の再生利用というのは地域的に非常に狭い地域ということでなくて広域的に行われることが多うございまして、市町村ごと、あるいは都道府県ごとの許可を受けなければならないことが再生利用の推進を図る上で支障となるケースが見られるところでございます。
 今回の再生利用の認定制度につきましては、このような問題を踏まえまして、生活環境保全上の支障が少ない再生利用に限りまして、国の認定を受ければ、今申しました市町村や都道府県ごとの許可を必要としないという規制緩和措置を講ずることによりまして、再生利用の推進を図ることとしたところでございます。
○田村委員 このような形で国の新たな認定制度というものをお設けになられたわけなんですけれども、当然、認定されただけで後はほったらかしては、これは問題が起こってくるわけでありまして、後のフォローもいろいろとお考えになられておられるのだろうと思います。
 特に、不適正な処理が認定をした後行われないようなチェックのシステムというものをお考えになられておられるのだろうと思いますけれども、都道府県の場合は、立入検査でありますとか、また報告義務などを設けておると思うのですけれども、国の場合、一体いかなるチェック制度というものをお考えになられておられるのか、お聞かせください。
○小野(昭)政府委員 生活環境の保全を図りますために、リサイクルの名をかりた不適正処理が行われるようなことがあってはならないというふうに認識をいたしております。
 このため、今回の再生利用の認定制度の対象といたします廃棄物につきましては、その廃棄物の性状あるいは再生利用の内容が生活環境保全上支障を生じないものを対象とすることを想定しておりますが、さらに、再生利用の認定を受けた者につきましても、廃棄物処理基準を守っていただく、あるいは立入検査、あるいは報告をしていただく等、必要な規制は適用することとしておりますこと等によりまして、生活環境保全上支障がないように十分配慮してまいりたいと考えております。
○田村委員 ここは規制緩和になっておると思うのですけれども、ある意味で国の方に行ったらチェックが甘かったよというようなことが起こらないようによろしくお願いをいたしたいと思います。
 それでは、続きまして質問をさせていただきますけれども、今回、第八条の二第一項及び第十五条の二第一項などで、廃棄物処理施設の設置手続の明確化というものが明記をされております。今、松本先生のお話からもそういう部分があったと思うのですけれども、そのねらいというものを具体的にわかりやすくお聞かせいただきますようお願いします。
○小野(昭)政府委員 廃棄物処理施設につきましては、いわゆる迷惑施設と言われるわけでございますが、そういった施設というイメージが非常に強いこと、あるいは近年の住民の皆さんの環境意識の高まり、あるいは廃棄物処理に対します住民の不信感の増大といったような状況のもとで、施設の設置あるいは運営に伴います地域紛争が多発するなどの問題が生じているところでございます。特に現行法では、施設の設置手続が明確でないことが施設の設置をめぐります紛争の原因ともなっておりまして、円滑かつ適正な施設の設置が困難となっているところでございます。
 そこで、今回の改正法におきましては、施設の設置手続といたしまして、生活環境影響調査の実施、申請書等の告示縦覧、それから住民、関係市町村長の意見の聴取、専門家の意見聴取等を盛り込みますとともに、許可要件といたしまして、新たに、地域の生活環境への適正な配慮という要件を求めておりまして、これによりまして、住民の皆さんの意見を適切に踏まえつつ、地域の生活環境の保全に適正に配慮された施設の確保が図られるものというふうに考えております。
○田村委員 今、専門的知識を有する者というようなお話もあったわけでありますけれども、今回、この手続を明確化する中で、当然、設置計画及び維持管理計画が周辺地域の生活環境の保全に適正な配慮がなされているかというようなことに関して、このような専門的な知識を有する者の意見を聴取することになっておるわけでありますが、この専門知識を有する者というのは、あくまでも知事が任命といいますか、意見を聴取できるような形になってこようかと思います。
 そこで、そのような専門家の方々にもさまざまな立場の方々がおられる、いろいろなお考えをお持ちの方々もお見えになられると思うのです。その中で、恣意的にある一方に偏った専門知識を持っておる方々だけからいろいろな意見を聴取するということになりますと、これは場合によっては住民はますます不信感を生んでしまう、そういうおそれも十分に考えられるわけであります。
 今、地方でもそれぞれこのようなことをやられておられる地域があると思うのですけれども、厚生省といたしましては、この部分、不公平感が生まれないように一体どのように担保していくのか、そのような部分をお話をお聞かせいただきたいと思います。
○小野(昭)政府委員 専門的な知識を有しておられます方の意見聴取につきましては、御意見を聞く範囲と申しますのは、生活環境影響調査の結果あるいは住民の皆さん等からの意見を勘案しつつ、施設の構造あるいま維持管理につきまして、生活環境保全の観点から科学的に審査するという範囲で専門家の御意見を聞くということを考えております。
 それじゃ、どう運用するのかということでございますが、実際には、都道府県等の状況に応じまして、例えば都道府県環境審議会というのがございますが、そういったものの活用でございますとか、あるいは廃棄物処理や水質の専門家などから個別に御意見を聞く等々、多様な運用が可能でございまして、いずれも科学的な知見や判断をそういう方から求めるというものでございますので、客観的かつ中立的な立場から意見をいただけるように都道府県知事によって適正に運用していただきたいというその趣旨につきまして、十分、法施行の段階で都道府県にも御説明をし、御理解もいただきたいというふうに考えております。
○田村委員 どうか、住民に開かれたそのような議論といいますか、そういうのがなされる場で、そのような方々からの意見というものを聴取できるようにお願いいたしたいと思います。
 いずれにいたしましても、手続等々の明確化、いろいろな部分で住民の方々に御理解をいただこうというようなことが今回の法改正の中でいろいろと見えてくるわけでありますけれども、しかし、だからといいまして、この廃棄物処理施設、特に最終処分場等々はなかなか住民の方々から御理解をいただけないというのも、これは一方事実であるわけであります。
 今回、法改正をすることによってどこまで改善されるのかなというような感じもいたすわけでありますけれども、その中で不安感、不信感というものを消していくためには、やはり最終処分場等の安全性の強化という部分が重要ではないのか、そのように思うわけであります。規制緩和と言われている時代ですが、こういう部分は規制を強化していかなければいけない部分であるのだと思います。この安全面を考えた規制の強化に関しては一体どのようなことをお考えになられておられますか。
○小野(昭)政府委員 厚生省といたしましては、平成八年の十一月に、生活環境審議会廃棄物処理部会に廃棄物処理基準等専門委員会という委員会を設置いたしまして、廃棄物処理に関します各種の基準の見直し、あるいは基準の強化について検討をいただいているところでございます。
 最終処分場につきましては、遮水性の向上あるいは排水処理の高度化、処理廃棄物の種類の見直し、搬入管理の強化など、施設の構造設備の強化や維持管理の充実を図りますとともに、最終処分場のすそ切りを廃止いたしまして、すべての最終処分場を許可対象とすること等が検討されているところでございます。
 これら専門委員会におきます検討の結果を踏まえまして、先生御指摘のございましたように、安全性を高める方向での基準の設定というものを図ってまいりたいと考えております。
○田村委員 よろしくお願いいたします。
 さて、先ほどもお話があったわけでありますけれども、今回の法改正、第七条の第三項におきまして、処理業の欠格要件といたしまして、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の違反者を追加するとともに、欠格要件に係る法人の役員に限らず、実質的なオーナーも含むとしている改正点があるわけであります。
 不適格な処理業者を排除していく、これは、どのようにそれが不適正な不適格な業者なのかというのを調べるのは大変難しい問題もあると思うのですけれども、やはりこの問題というのが不法投棄等々にも絡んでくる一つの要因でもありましょうし、また、この業界のある意味ではイメージの悪化にもつながっておる部分でもあろうかと思います。
 このような今回の法改正を踏まえまして、この不適格業者等々を排除していくためにどのような取り組みを考えておられるのか、お聞かせをいただきますようお願いします。
○小野(昭)政府委員 今回の改正におきましては、廃棄物処理に対します国民の皆さんの不信を払拭いたしまして、処理業者の質の確保を図りますために、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の違反者、あるいは許可を取り消された法人の役員を欠格要件に追加いたしますとともに、いわゆる黒幕規定というのを設けまして、法人に対しまして役員と同等以上の支配力を有すると認められる者は役員と同様に欠格要件に該当すれば排除できるということとしたところでございます。
 今後とも、警察当局と十分に連携をとりながら、不適格な処理業者の指導、取り締まりに努めてまいりたいと考えております。
○田村委員 十分に警察とも連携をとられまして、このような業者を排除していただきますようにお願いをいたしたいと思います。
 それでは、情報交換の促進等に関して御質問させていただきたいと思うのです。
 第二十三条の二で、「国は、」「都道府県知事が行う産業廃棄物に係る事務が円滑に実施されるように、国と都道府県及び都道府県相互間の情報交換を促進するとともに、当該事務の実施の状況に応じて必要な措置を講ずることに努めるものとする。」ことというような旨が書かれておるわけであります。書いてあればそうなのかなと思うわけでありますが、具体的にちょっとイメージがなかなかわかない部分でもあるわけなんです。このイメージがわきますように、具体的にどのようなことをお考えになられておるのか、詳しくお聞かせをいただきたいと思います。
○小野(昭)政府委員 産業廃棄物につきましては、都道府県の県域を越えて広域的に処理されているという状況にございます。そういう状況でございますので、都道府県が対応に困るというふうな事案もふえているわけでございます。今回の改正におきましては、今先生から御指摘のございましたように、新たに国の責務として、国と都道府県との間及び都道府県相互間におきます情報交換の促進を図りますとともに、都道府県の事務の実施状況に応じて必要な措置を講ずるよう努めることを明記することとしたところでございます。
 具体的にはどうかということでございますが、これは当然、都道府県の県域を越えて移動するというふうなこと等を考えますと、日常的な行政情報の交換というふうなこと、あるいは関係者間の連絡会議等の開催を通じまして、広域移動あるいは行政処分の対象となった処理業者、それから問題事案に対します対応等に関します情報交換を緊密に行っていきたいと考えておりますし、その結果、必要があれば、係官の派遣あるいは所要の連絡調整等を行うことによりまして、国と都道府県間、都道府県相互間の連携の強化を図ってまいりたいと考えております。
○田村委員 ぜひとも実効性の伴う、そのような情報交換のシステムをおつくりいただきまして、有効にこの法律の改正が適用されるようにお願いをいたしたいと思います。
 今回、法改正の中でいろいろな重要な点があるわけでありますけれども、その中で一つ、十三条ですか、産業廃棄物適正処理推進センター、これを何か全国を通じて一個に限り指定することができるというような項目がございます。
 この中で、不法投棄等の原状回復のための基金を設立する、それに対して事業者からその基金への出捐の協力を求めるよう努めることとしているというような文章があるわけでありまして、なかなかちょっとわかりづらいのですけれども、具体的にその基金の費用の徴収の仕組みというものを少しばかりお話をお聞かせいただきたいと思います。
○小野(昭)政府委員 廃棄物が不法投棄されました場合には、汚染の原因者、すなわち不法投棄の実行者に原状回復を行わせることが原則でございますけれども、投棄者が不明の場合、あるいは投棄者がわかっていても資力がないというふうな場合には、原因者に費用負担を追求することができないために、その費用をだれが負担するかということが問題になるわけでございます。
 今回の基金への拠出につきましては、適正に処理をしている事業者に対しまして第三者の不法行為の結果に対する負担を求めるというものでありますため、生活環境審議会の答申も踏まえまして、産業界の自発的な資金の拠出を求めることといたしまして、産業界と行政との協調によりまして原状回復を行う仕組みを確立したものでございます。
 今回の制度は、あくまでも産業界の自主的な協力を前提とする制度ではございますけれども、厚生大臣から産業界に対しまして拠出を要請する規定も設けているところでございまして、産業界に対しましては、本問題の解決を求める社会的要請につきまして十分な御理解の上での積極的な拠出を期待しているところでございます。
 原状回復制度の具体的な実施方法や費用負担等につきましては、原状回復措置が行政と産業界の理解のもとに円滑に行われますように、関係者間の協議の場を設けることを考えておりまして、このような協議の場を通じまして、関係者の理解のもとに決定をしてまいりたいと考えております。
○田村委員 今のお話ですと、関係事業者等々に出捐を求めるけれども、これは義務ではないという話であります。ただ、義務ではないけれども、そのような不法投棄等々社会的問題が起こってくる中で、廃棄物等々を出しておるそのような業者には、ある程度御協力をください、積極的に基金への拠出をお願いするという話であったと思います。
 そうなってきますと、基金へ出捐をする事業者等々も、今回の拠出金に関して、出捐するお金に関しては、ぜひとも非課税にというようなことになってくると思います。これは大蔵に本来お聞きした方がいいのかもわかりませんけれども、これからその点等々も、厚生省、お詰めになられると思います。私は、非課税にしていく、課税対象外にするのがいいと思うわけでありますけれども、そこら辺のところを一点お聞きさせていただきたい。
 それと、これは確認なんですけれども、あくまでも、この法改正が行われて、これから起こるいろいろな不法投棄等の問題に関して、原状回復にこの基金からお金を使うということになるのだろうと思います。ということは、今までの不法投棄事件に関して、それを原状回復するためにここからお金を使うということはないのでしょうか。
 この二点、お聞かせいただけますでしょうか、お願いします。
○小野(昭)政府委員 今回の法改正で導入を予定しております、投棄者不明等の場合に速やかに原状回復事業を行いますための基金制度を円滑に実施していくためには、先生から御指摘ございましたように、原状回復基金への資金の拠出につきまして、事業者の協力が極めて重要でございます。厚生省といたしましては、この基金への出資金を税法上損金扱いとする方向で税務当局に要望してまいりたいと考えております。
 第二点目の原状回復基金の適用でございますが、この制度につきましては、法改正後のものを対象として考えておりまして、法施行以前の事案につきましては対象としておりません。法施行以前の事案につきましては、個別の事案ごとの事情に応じまして対応してまいりたいと考えております。
○田村委員 いろいろ多岐にわたって今回法改正をされたわけでありまして、ぜひとも廃棄物の問題に関して、今回の改正によってこの問題が根本的に解決するというのはちょっと難しいかなという気がするのですけれども、しかし、少なくとも少しでもいい方向に行っていただきたいな、そのようにも思うわけであります。
 そこら辺のところを踏まえまして、厚生大臣の方に、今回の改正において、難しい質問なのかもわからないのですけれども、この廃棄物処理の現状といいますか状況というものがどれぐらい改善をしていくものというふうにお考えになられておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○小泉国務大臣 具体的にというよりも、考え方としてどういうことを期待しているかといいますと、今回の改正案は、リサイクル、いわゆる循環型社会を推進していこう、施設設置手続を明確化する、維持管理の適正化、産業廃棄物管理票制度、いわゆるマニフェストの拡充、罰則の大幅強化、原状回復制度の導入など、いわゆる総合的な対策を講じておりますので、これによって産業廃棄物処理に対する国民のさまざまな不信感を解消したい、産業廃棄物の適正な処理が今後進むように期待している法案であります。
 もとより、この法案ができたからすべて今までの問題が解決されるというものではありませんが、この山積する廃棄物処理の問題、これからますます大きな問題になりてくると思います。この問題が国民全体の協力によって、何とか、循環型社会といいますか、廃棄物を処理すればいいというのじゃないのです、できるだけごみの減量化、これにも意を砕いてもらいたい。そして、この施策が充実され、お互い、地球環境、生活環境の保全により多くの注意を払ってもらうようという形で、多くの方に理解され、廃棄物処理の施策が充実していけばいいという期待を込めた法案であるということを御理解いただきたいと思います。
○田村委員 時間の方が終了いたしました。大臣の熱意というものを十分に私もこの肌で感じさせていただきました。どうか、この法案、通させていただいて、そして厚生省の方も、この法案にまたのっとりまして、十分な廃棄物に対する対策というものを組んでいただきますようによろしくお願いをいたしまして、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
○町村委員長 並木正芳君。
○並木委員 新進党の並木正芳でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 最初に、大臣にお聞きさせていただきます。
 一九六一年、ユーリ・ガガーリンが宇宙に飛び立って以来、今日まで三百五十四人、延べにしまして五百二十四人、それぞれが深い感動と思いを込めて、地球に対する、私たちにメッセージをこうした宇宙飛行士が送ってくれております。
 有名な言葉でもありますけれども、ガガーリンの言葉に、「空は全くの暗黒である。そして、この真っ黒な空を背景にして、星が幾分明るく、ずっとくっきり見える。地球は、実に特徴的な美しい青色をしている。」「地球は、緑と青を基調とする神秘的な色をたたえて浮かぶ、唯一の美しい惑星である。」こうした言葉を語ってくれております。
 そして昨年、ミッションスペシャリストとしてスペースシャトルに乗り込んだ埼玉県出身の若田光一さんは、「人類が一つになって、地球環境の保全を初め数多くの問題を解決していかなくてはいけない。」と万感の思いを込めて、宇宙のかなたから全人類への警告と提言を発信しております。
 また、ポスト・クリントンとも言われるアメリカのゴア副大統領は、その著書で、地球上の全人類が共通の危機感を持って立ち向かうべき最大のテーマが環境問題であることを、多面的な角度からの分析と具体的なデータ、情報、数多くの事例をもとにして提言しております。
 廃掃法の審議に当たり、巷間指摘をされておるところでありますけれども、環境問題の悪化が私たち人類自身が私たちのライフサイクルの中でつくり出したものであるならば、迫りくる環境破壊の危機に際し、ともに英知を振り絞り、省庁間のあつれきも、党派も、産業間の利害、確執も乗り越え、日本みずからが変革のモデルとなって、世界をリードし得る環境先進国へと脱皮していくことが必要であると思います。廃掃法の改正に当たり、小泉大臣の御所見と御決意のほどをお聞かせください。
○小泉国務大臣 地球環境をいかに保全するかということは、周りの我々の生活環境を保全するということと密接に結びついていると思います。
 私は、動物の生態の映画とかフィルムが好きなんですが、動物の世界、植物の世界というのは実に絶妙のバランスが図られている。もう人知を超えたといいますか、神の摂理というか、自然界の摂理というのま全くむだがない。一面、残酷な場面もありますが、生まれてから死ぬまで、もうすべてがうまく循環されている。
 あの動植物の世界を見ていますと、むしろ人間の方が異常じゃないかなと。この人類が地球上に生まれてきてから、人類の、万物の霊長であるという、確かに他の動物にはないすぐれた知能、技術によってここまで文明は発展してきたわけでありますけれども、同時に、そのような自然界を征服しようというおごりが、今の環境破壊の面にも出てきているわけであります。しかし、ここまで技術を発達させてきたわけですから、この環境破壊の悪い面が、同じような技術の進歩によってまた改善されるという希望も持ちたい。そして、これからお互いの環境をどうやってよりよくしていくかという大きな視点から、この廃棄物処理の問題にも取り組んでいかなきゃならないと思っております。
 幾ら廃棄物処理施設をつくっても、今みたいにどんどん大量生産・大量消費の状況を残していけば、私は足りっこないと思うのです。廃棄物処理の技術、また廃棄物処理に対する人間の注意というものを喚起すると同時こ、お互いできるだけ、環境の破壊の加害者であり被害者であるという今の人間の立場を考えますと、今後とも、この廃棄物処理に関しましては、お互いが注意して、それぞれの廃棄物をいかに少なくしていくか、減量していくか、そして、その後の処理をどうやっていいかということを、関係省庁あるいは関係企業、そして住民一体となって取り組んでいって解決すべき問題である、そう考えております。
○並木委員 今大臣の言葉にも語っていただいたわけですけれども、我々は、この地球環境を保全し、次の時代へとしっかりと手渡していかなければならないということは、言をまたないことだと思います。
 しかしながら、今の日本は、かつて白砂青松の地と言われたわけでもありますけれども、今や汚染列島あるいは廃棄物紛争列島、そういうことも言える嘆かわしい残念な現状にあると思います。豊島、唐津、いわき、そして長野県豊野町、栃木県那須町など、廃棄物の不法投棄や不適正処理の問題が横行する例は枚挙にいとまがないほどであります。
 そこで、お聞きいたしますけれども、警察庁の方になるかと思いますが、昨年、全国の警察が検挙した産業廃棄物事件の件数について、そして、最近その手口が悪質巧妙化していると伺うところですけれども、いかがでしょうか。具体的なそうした顕著な事例があれば、お話をいただきたいと思います。また、昨年のみならず、ことしになっての状況はいかがでしょうか。この辺をまとめてお答えいただければと思います。
○園田説明員 お答え申し上げます。
 昨年、平成八年中の、警察において検挙いたしました産業廃棄物に係ります廃棄物処理法違反事件でございますが、これは七百二十九件、人員にして九百七十三人の検挙でございます。
 それから次に、手口でございますけれども、御指摘のとおり、手口が年々悪質巧妙となっておりまして、例えば昨年では、産業廃棄物処理会社がブローカーを介しまして多数の県の不法処分場に大量の建設廃材等を運搬廃棄、運搬投棄させておった事件、それから、投棄場所の手前に検問所を設けまして見張りをつけて不法投棄していた事件、それから、不法投棄した廃棄物の上に土をかぶせてまして造成地を装っていた事件、こういうものを検挙いたしております。
 それから次に、本年の傾向でございますけれども、本年につきましては、現時点まで検挙件数などを取りまとめたものというのは今のところございませんけれども、検挙した事件といたしましては、許可業者が許可を受けた処分場以外で廃棄物を受け入れて処分いたしまして、許可を受けた場所で処分したように装っていた事件、それから、行政当局の指導警告に従わずに許可を取り消された収集運搬業者が許可証を偽造して産業廃棄物の処理業を続けていた事件、こういう事件の検挙の報告を受けておりまして、依然として悪質化、巧妙化の傾向が見られておるというところでございます。
 以上です。
○並木委員 有害廃棄物ほど処理の料金が高くて、そして不法処理した場合、今もいろいろな例をお話しいただいたわけですけれども、もうけが大きくなるということだと思うのですけれども、こうしたことに暴力団が、今回の法律でもその一文が入ってきたわけですけれども、具体的に暴力団が介入するケースもあるとお聞きするところですけれども、そうした事例についてはいかがでしょうか。
○園田説明員 お答え申し上げます。
 御指摘のとおり、産業廃棄物事犯に対します暴力団勢力の関与は次第に強まる傾向にございまして、昨年におきましても、暴力団組長が無許可で産業廃棄物処分業を行っていたという事件などを検挙いたしておるところでございます。
○並木委員 残念なことに、そのような暴力団まがい、あるいは暴力団そのもの、こうした悪質な業者が後を絶たないというふうなことですけれども、これはなぜなんでしょうか。こうした事犯が続いているのに、行政が、先ほど許可証を偽造したというお話もありましたので、偽造されてしまっては何ともということですけれども、行政が的確に厳しい対応をとっていないから事件が続いていくのかどうかということなんですけれども、こうした検挙されたような事件でも業者の許可取り消しなどといったケースがどのぐらいあるのか、その辺、大変興味のあるところなんですけれども、これについていかがでしょうか。
○小野(昭)政府委員 まず、なぜこのような悪質な業者による不法投棄等が起こるのかということでございます。
 私どもといたしましては、不法投棄等が後を絶たない背景といたしましては、現行法におきます罰則が低くて、いわゆる捨て得が生じているということが指摘をされておりますし、また、改善命令等の行政命令の発動に当たりまして、基準が明確でないこと等のために行政命令の発動をちゅうちょする場合もあるというふうに聞いております。
 このため、今回の改正におきましては、産業廃棄物の不法投棄に対します罰則を、一千万円以下の罰金または三年以下の懲役、さらに法人の場合には一億円まで罰金を加重できるようにするなど、罰則を大幅に強化することとしております。さらに、これとあわせまして、行政命令の発動要件の具体化、明確化を図ること等によりまして、業者に対する指導監督の充実強化に努めてまいりたいと考えているところでございます。
 また、警察が検挙したうちで業の取り消しが行われたケースについてのお問い合わせでございます。
 把握できております直近の、平成五年度までしかちょっと把握できておりませんが、平成五年度におきましては、廃棄物処理業の許可の取り消しの件数は二十二件というふうになっております。このうち、警察が検挙した事案に係るものが何件であるかについては把握をいたしておりませんが、許可業者が廃棄物処理法違反を犯した場合には許可の取り消し事由等に該当することから、それぞれの事案に応じまして、許可の取り消しや業の停止など適切な処分が行われているものというふうに考えております。
○並木委員 罰則が軽いということも言われてきたわけですから、今回、そういった意味で罰則が重くなった、その効果にも期待したいところでもあります。また、許可云々をめぐって、今後厳しい措置の中で、少しでもこうした事犯が減るようにぜひお願いしたいと思うわけです。
 排出事業者についての点を少しお聞きしたいのですけれども、処理を委託する排出事業者は、こうした悪質な事例が続いているのに、処理業者に委託してしまえば確実に適正処理がされる、そういう認識であれば、いささか常識的に考えても疑わしいのではないかと思います。ですから、そういう意味では排出事業者も、処理業者の質によってはこういうことが起こり得るということも当然考えてしかるべきであり、そういった点で処理業者はあくまで排出事業者の代行である、そういう位置づけを明確にし、責任をともに負わせる、こういう考え方をしっかりと持っていくべきではないかと思うわけです。
 基金云々で今後負担するというような業界側の対応もあるわけですけれども、その辺、明確に、処理業者、排出事業者ともに責任あるということを今後とも強く打ち出していくべきと考えますが、いかがでしょうか。
○小野(昭)政府委員 産業廃棄物につきましては、排出事業者がみずから排出した廃棄物を適正に処理することが原則でございます。産業廃棄物の適正な処理を確保いたしますためには、排出事業者責任の徹底を図るということが、先生御指摘のとおり、基本であると考えております。
 このため、今回の改正におきましては、排出事業者が廃棄物を処理業者に委託した場合には、処理終了後に、産業廃棄物管理票によりまして適正に処理されたことを確認することといたしておりますほかに、今後、政令を改正いたしまして、委託者の業の範囲や所有する施設の能力等を確認すること、それから、委託する廃棄物の適正処理に必要な情報を提供することなど、委託基準を強化することを検討しているところでございまして、これらによりまして、安易な委託が行われることがないよう、排出事業者責任の一層の徹底を図っていく考えでございます。
○並木委員 警察庁の方にせっかくおいでいただいているので、最後に、香川県の豊島の事件でありますけれども、これは一挙に不法投棄が、ある朝、山盛りになっていた、そういうようなことではなく、兵庫県警が摘発する平成二年十一月まで約十年間にわたって五十万トンに及ぶ産廃で埋め尽くされたわけであります。こういうことを考えますと、なぜこうまで十年も手をこまねいていなければならなかったかということが疑問になるわけですけれども、警察として、この間どのような対応をされていたのか、その一つのケースについてお聞きしたいと思います。
○園田説明員 お答え申し上げます。
 お尋ねの事件でございますけれども、この事件は、昭和五十三年に事業範囲を限定された産業廃棄物の収集運搬及び処分の許可を受けました産業廃棄物処理会社が、その後、昭和五十八年ごろから、この許可を隠れみのにいたしまして、許可を受けていない廃油とかあるいは廃酸などを大規模に処分をしていた事件であるというふうに承知しております。
 この事件につきましては、このような処分が行われておったわけでございますけれども、平成二年に兵庫県警が、姫路港におきまして廃油とか汚泥などを大量に積み込んでいる、フェリーを改造した不審な船舶を発見したということで、これを追及いたしまして、綿密な捜査をした結果、平成三年一月、この会社の役員など六人を廃棄物処理法違反で逮捕したのを初めといたしまして、これらの産業廃棄物の処分を委託した排出事業者についても同法違反で検挙いたしたものでございます。この不法な処分を行っていた産業廃棄物処理会社の役員など五人につきましては、懲役刑または罰金刑に科せられたというふうに承知しております。
 なお、この産業廃棄物処理会社につきましては、その後、香川県知事によってなされました汚水を防止するための止水壁の設置命令に従わなかったということで、同県知事の告発を受けまして、平成六年の九月、香川県警がこの会社の役員などを再び検挙しておるところでございます。
 以上でございます。
○並木委員 ありがとうございます。
 次に、また大臣にお聞きしたいわけですけれども、豊島の原状回復には、コンクリート壁で覆うなどの不完全な解決策でも経費は約六十億円、有害物質の除去など環境に配慮した処理処分をすれば二百億円にもなると言われております。悪質な処理業者の責任は言うまでもございませんが、悪質な処理業者に委託している排出事業者の責任、あるいは不法投棄を放置し続けてきた、十年にもわたるわけですからそう言わざるを得ない香川県の責任、同時に、これほどまでに無責任な県の廃棄物行政を指導監督できなかった国の責任、住専のケースではありませんけれども、結局、最後は国民の税金で負担せざるを得ないような事態となったことを厚生大臣はどう考えていらっしゃるのでしょうか。
○小泉国務大臣 私も、豊島のごみの問題をテレビの報道で拝見しまして、なぜここまでほっておいたのかなと大変残念に思いました。これは、もとより厚生省の責任もあるでしょう。県当局の責任もある。事業者はもちろん、第一義的には事業者が最大の責任を負うべきものでありまして、住民が怒るのは当然だと思います。
 豊島の問題につきまして、今、公害等調整委員会の調査報告でも、これはこのまま放置すれば大変、生活環境上大きな影響を残す、支障を生ずるおそれがあるということで、早急な対策を講じよということでありますが、当然、これも厚生省としては大きな関心を持って、今どういう解決策があるかということを検討しておりますが、現在、調停が進められておりますので、関係者間で合意がなされた場合には、厚生省としてできるだけ必要な支援をしていきたいというふうに考えております。
○並木委員  そのような話でありますけれども、今回の法改正でよ、基金は遡及して使われないわけであります。今の豊島の問題を初め、最初にいろいろな名前も挙げましたけれども、あまたある、処理業者に負担能力のない不法投棄問題の解決策について、今後どのような方針で――あちらこちらにそういう状態がある意味では放置されているような状態もあるわけです。今、調停という話もありました。そういう意味ではケース・バイ・ケースということもあろうと思いますけれども、基本的な方針をぜひ大臣から、その見解をお聞きしたいと思います。
○小泉国務大臣 今回の法案が成立したとしても、原状回復ということは、法施行以前の事案については対象となりませんから、そのため、今までに起きた不法投棄にかかわる問題については、その事案、事案といいますか、個別の問題ごとに対応していかなきゃいけないと思っております。
 しかし、今回の法案が成立すれば、今よりも責任体制の明確化とか罰則の強化とか、あるいはまたそれぞれが、企業にしても地方自治体にしても厚生省としても、廃棄物処理に対する不信の解消について今までより以上な、積極的な体制がとられると思いますので、私は、処理に対する支援強化策は格段に進歩していかなきゃならない、またその措置を厚生省としても、厚生省がやるべきこと、また地方自治体に指導すること、その点については鋭意、今以上の努力を傾注していかなきゃならないと思っております。
○並木委員 方針を基本的に決めるというのはなかなかケース・バイ・ケースで難しいのかと思いますけれども、とにかく、豊島の問題でも六十億から二百億、この二百億が必要と見た方がいいかと思いますけれども、そういうことを考えますと、今後大変、資金的な問題でも厚生省中心になって頭を悩まさなきゃならないということが多いかと思いますけれども、ぜひ一日も早い解決のためによろしくお願いしたいと思います。
 今のような問題、あるいは、ちょっと聞きたくないことかもしれませんけれども、薬害エイズの問題、こういうことでもそうですけれども、いつも結果を見ると、予見できたのじゃないかというようなこと、後の祭りという状態になって責任を云々し、いつも後手後手の対応をせざるを得ない。非常に無念さを感じるわけであります。そしてまた、そういうことができてしまって後は、この代償というのは極めて大きいわけであります。
 先ほど大臣のお言葉にもあったわけですけれども、大量生産・大量消費の社会構造が、大量のごみを生み出し、産業廃棄物の最終処分場の逼迫や不法投棄、不法処理などの問題を引き起こすというのも自明の理ではないかとさえ言えるわけです。また一方、大量のごみを減らそうとすれば、燃やしてしまう、焼却することがいわば一番手っ取り早い減量法、そういうことで、日本では廃棄物の七五%が焼却処理されている、こういう状態でもあるわけです。
 今のいろいろな我々が使っているものを見ましても、工業製品から繊維、建材、おもちゃ、生活日用品に至るまで、ありとあらゆるものに塩素系の有機化合物が含まれている、こういうものでつくられているわけです。そういうことから考えますと、極端な話、たばこを燃やしてもダイオキシンは発生する、こういうことさえ言われているわけですから、先ほどのようなものを焼却処理すればダイオキシンが発生するのはこれまた自明の理ではないかとも思うわけです。しかも、なかなか管理が行き届かないというか、野焼きや、許可が要らない五トン以下の炉で燃やしている、こういうことを考えれば、より大量に発生することは確実であります。こうした状態でありながら、人類史上最強の猛毒物質と言えるダイオキシンヘの対応については、正直なところ、立ちおくれてきたというのが実感であります。
 しかしながらであります。ダイオキシンの問題について、三月三日、私も質問をさせていただいたわけですけれども、その際、大臣は、しかるべく必ず対処をすると、これはテレビ等の番組にもそうした場面が映されたわけですけれども、そういうお答えを大臣からいただきました。このたび、省令に、焼却場の設備基準や焼却方法を盛り込み、ダイオキシン発生削減のための法的規制がなされますことに、さすがは小泉大臣と、心から敬意を申し上げる次第であります。
 具体的には、焼却炉の煙を集める最終集じん機の設置、あるいは燃焼温度を八百から八百五十度以上に保つ、炉を冷やさないための連続運転化、不完全燃焼の指標となる一酸化炭素濃度を三〇から五〇ppm以下にする、年一回のダイオキシン測定の実施などを施設に義務づける、こういった内容とお聞きするわけでございますけれども、この省令改正の今後のタイムスケジュールについてお聞きしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○小野(昭)政府委員 ごみ焼却施設に対しますダイオキシン対策を含めました焼却処理のあり方につきましては、現在、生活環境審議会の廃棄物処理基準等専門委員会においてさまざまな観点から御検討いただいているところでございます。
 専門委員会の報告についてでございますが、本年の秋ごろを目途に取りまとめるという予定で進んでいるところでございますが、ダイオキシン問題につきましては、その対策の緊急性にかんがみまして、この部分につきましては前倒しをいたしまして、本年の夏を目標に必要な政省令改正等の措置を講ずる方向で現在検討いたしているところでございます。
○並木委員 ぜひ期待するところですけれども、この辺、どの程度把握しているかあれですが、この改正によりまして、自治体が運営する一般廃棄物焼却場を初めとして廃プラスチック類の焼却施設が今日本で約二千カ所、あるいは廃油、汚泥の焼却施設がそれぞれ約五百二十カ所ぐらいあるということですが、この省令によって改善の対象となる、そうしたものはどのぐらいあるのか、見込みをお持ちでしょうか。
○小野(昭)政府委員 現在、許可の対象になっていないいわゆる小さな施設等々もございまして、ちょっと正確な数を把握してはおりません。
 それから、一言つけ加えさせていただきますと、その許可の対象とすべき処理能力というものを、すそ切りの基準をどの程度下げるかといいますか、その点につきましても、いわゆる実行可能性のある措置を講じなければいけませんものでございますから、今、専門委員会で御検討いただいておりますので、その御結論に基づいてきちっと対応したいと考えております。
○並木委員 ぜひ、ダイオキシンの問題は大変関心がございますので、その辺の早急な措置をお願いしたいと思います。
 もう一つ、四月に公表されましたけれども、緊急対策が必要とされる、いわゆる排出基準値の八十ナノグラムですか、これを超えている全国の既存のごみ焼却場、これが七十二施設あったということですが、まだ日が浅いわけなんですが、その後の改善対策がもう始まっているのか、その辺についてお聞きしたいのと、そして、今後の見込みについてはどうなっているのか、あわせてその両方をお聞きしたいと思います。
○小野(昭)政府委員 七十二施設につきましては、どのような対策を講じるかということにつきまして、ヒアリング等を行いまして、平成九年度において施設の改良をする計画、あるいは平成十年度にする計画、あるいは燃焼管理を徹底する等、七十二施設につきまして、すべての施設で改善をする方向でプランがつくられ、実行に移されているというふうに承知をいたしております。
 それから、ダイオキシン対策の徹底を図りますために、先ほど先生御指摘になられましたように、いわゆる連続炉で恒常的に、一定の定常状態で運転させるというようなことは非常に重要でございます。そういうことを考えますと、いわゆる広域処理という――人口規模の小さい市町村でございますと、どうしても炉が小さくなりますので、連続運転にはなりません。したがって、できるだけ私どもとしては、広域処理をすれば二十四時間連続運転が可能になります。そうすると、それはダイオキシン対策に資することになりますので、そういった方向、あるいまRDFという施設、いわゆるごみを燃料にしてしまう施設等々によりまして、できるだけダイオキシンの排出量を減らす長期的な計画を策定するように、今、都道府県等とも協議をして進めてまいりたいと思っております。
○並木委員 次に、これは大気の問題だから環境庁ということで、おいでいただいているようでございますけれども、実は厚木の米軍住宅地でございますが、その隣接焼却施設から、その排煙にダイオキシンなどの有害物質が検出された、そういう問題が巷間ニュース等になったわけです。これについてはその後どう対処されたのかということなんです。
 この問題というのは、厚木の米軍基地住宅の南側に民間の廃棄物焼却施設があり、以前から排煙が問題となっていた。いろいろ、息が苦しいとか、目がしみるとか、そういうことが問題になっていたわけです。そのことから、米軍が平成六年の七月から九月にかけて七十四の大気サンプルを集めて分析した。その結果、施設の風下で採取した大気から、ダイオキシンを初めベンゼン、四塩化炭素、トリクロロエチレンなど十二種類の有害物質が検出された。そして、これらの物質によって引き起こされるであろう発がんの危険性を評価しますと、この空気を三年間吸い続けた場合、成人では百万人当たり四十人、子供では百十人、こういう確率でがんがふえるだろう、そういう結果が得られた。
 アメリカでは、発がんリスクとして百万人当たりに一人だとこれが許容範囲、そういう目安になっております。そうしますと、この大人で四十人、子供で百十人というのは、この基準に比べて極めて高いということで、米軍が、いろいろなほかに公害を出しているような、騒音公害とかありながら、皮肉でありますけれども、再三この付近の日本住民の健康も含めて解決の要請をしている、そういう事案であります。
 もう既に三年ほど前になるわけでありますけれども、当時の環境庁は、日本の法令に違反していなかったら対応は困難だ、そういう見解で押し通した、そういうふうにも聞いております。こういうことからすると、このダイオキシンなど有害物質に対する認識が大変甘かったのじゃないか、そういうことも言わざるを得ない実感でありますが、今日までもそうした対応が続いているのか。今先ほど厚生省の方からも、ダイオキシン等への対策について一歩も二歩も踏み出そうというお話もあったわけですけれども、この辺の対応はいかがなっていますでしょうか。環境庁でしょうか、よろしくお願いします。
○飯島説明員 先生御指摘の神奈川県の米軍厚木基地に隣接する産業廃棄物の焼却炉周辺の環境問題でございますが、御指摘のとおり、日米環境分科委員会という場におきましてこれまで議論されてきたところでございます。
 御指摘のダイオキシン問題につきましては、先生お話のあったとおり、平成七年の十月に米軍側から、厚木基地の中で実施した大気環境調査の結果、ダイオキシンなどの発がん性物質にかかわります健康リスクが高いということで、この施設のばい煙の排出停止を要求したという経緯がございます。
 これを受けまして、環境庁では、神奈川県と共同いたしまして、平成七年の十二月かち昨年の九月にかけまして計四回、同基地内外の大気環境調査を実施してまいりました。この大気環境調査結果につきましては現在解析中でございますけれども、今後、この調査結果も踏まえまして事業者を指導していきたいと思っているところでございます。
 また、これと並行いたしまして、神奈川県に対しまして、当該事業者のばい煙の状況がどうなっているかよく調査の上、当該事業者の大気汚染防止対策を徹底させるよう指導助言しているところでございます。
 また、発がん性等の長期的な暴露による健康影響の懸念がございます有害大気汚染物質につきましては、健康リスクという考え方が重要であるわけでございますが、こういった考え方も取り入れまして、昨年五月に大気汚染防止法の改正を行ったところでございます。この有害大気汚染物質の対策の枠組みにつきましては、この法律、新しい法律で決まっておりまして、この四月から施行がなされております。
 ダイオキシンにつきましては、この有害大気汚染物質の一つである、中でも優先取り組み物質であるという認識を私どもしておりまして、この問題は、この厚木の問題であると同時に、全国的なレベルで対策を急がなければならないと考えております。
 今月の初めに環境庁のダイオキシン排出抑制対策検討会の報告が出ておりますが、これを受けまして、現在、大気汚染防止法に基づきます具体的な排出規制につきまして中央環境審議会の大気部会において御審議をいただいているところでございます。環境庁といたしましては、この答申を速やかにいただきまして、所要の制度改正等をこの夏にも行うこととしております。こうした措置も含めまして、厚木基地周辺の環境の改善にも努めてまいりたいと考えております。
○並木委員 ぜひよろしくお願いします。
 ダイオキシンについては、先ほどもお話ししたように、対応がおくれてきたということですね。その危険性については、日々違った角度からいろいろなものが明らかになっていっているような状態であります。今でも問題提起とか研究がなされているわけでありまして、今後とも、こうしたさまざまな研究事例等を注意深く見守っていく必要があるのじゃないか、そういうふうに思います。
 実は、五月の十七日ですか、九州大学医療技術短期大学部の長山助教授の研究例でございますけれども、九州地区の出産後二、三カ月の母親、これは約三十五人からということでございますが、母乳の提供を受けて調査した結果、母乳からのダイオキシンの推定摂取量が多いほど、甲状腺ホルモンの一種でありますチロキシンの濃度が低くなる傾向があり、このホルモンは非常に体の発達とか脳細胞の発達に関与しているということで、こういったところに影響が出る可能性が懸念されております。また、ダイオキシン推定摂取量が多い子供ほど、アトピー性皮膚炎等の際に観察されますサプレッサーT細胞の減少傾向、あるいはヘルパーT細胞の増加が見られ、こうした免疫系の働きにも悪影響を与えているのじゃないか、こうい可能性が示唆されて、大変注目される事例であるかと思います。
 ダイオキシンというのは、かねてから言われているわけですけれども、ホルモン様化掌物質といいますか、エストロゲンとかそういうものと同じような、まがいの作用をするということで、動物実験では、雄が雌化するとか、巣をつくらないワシだとか、雌同士一緒のカモメとか、「奪われた我々の未来」ですか、アメリカの方でベストセラーが、そんな本が出ましたけれども、こういうように生殖器や生殖能力あるいは性行動に影響を与える、そういうことが確認されております。そういう意味で、今後もダイオキシンの危険解消のため、より厳しい規制措置を検討していく必要があるのじゃないかと私は考えるわけであります。
 この規制措置ということもそうでございますけれども、そういったところに客観性を与えていく、あるいは積極的に国がそうした問題をとらえていく、そういう意味で、もう既にある程度行われているということでありますけれども、母乳の検査、分析、こういうものについても、今もお話ししたわけですけれども、対象数をふやしていく必要があると思いますし、母体の健康診断、あるいは新生児死亡が私の所沢あたりでも高まっている、こういうふうなことをいろいろ事例を挙げてお話しする方もいます。そういう新生児死亡とかあるいは発がん、これも、WHOでも発がんが確認できるということですけれども、こういう健康統計調査などをさらに拡大していくべきではないかと考えるわけですけれども、これについてお答えをいただければと思います。
○横田政府委員 ダイオキシンの母体への影響につきましては、母子保健上、私ども重要課題の一つと考えておりまして、これまでも母体の母乳中のダイオキシンにつきまして調査研究を行ってきております。昨年におきましても、母乳中のダイオキシンに係る検討会におきまして報告をいただいているところでございますが、この中におきましては、現在の知見からは直ちに問題となる程度ではないという考えが示されているところでございます。
 私ども厚生省といたしましては、母乳の安全性を確保するために、母乳中のダイオキシンにつきまして、今後とも、詳細な情報収集なり調査研究を進めてまいりたいと考えております。
○並木委員 本当に母乳というのは大変大切なあれで、免疫等もお母さんから引き継ぐ、そういう点でそれの有用性というのは申すまでもないことなんですけれども、そういう考え方から、優劣をあれすると母乳をとめるほどじゃないというふうにはなりがちなんですけれども、今お話ししたような事例で非常に危険だ。しかも、母乳中に含まれるダイオキシン量というのは日本はかなりハイレベルである。大阪あたりでも五十一ピコグラムですか、あるいは福岡あたりでも四十幾つ、そういう例もあります。厚生省自身が行ったのは、この間何かお聞きしましたら二十六ピコグラムぐらいの例があった。そういうようなことではありますけれども、どんどん研究の新しい事例というのが出てきて、しかも世代がまたがって影響が出てくるということですから、一つの流れだけでいかないで、常に、先ほども申し上げたわけですけれども、注意深く、修正するものは直ちに修正する、命と健康の問題でございますので、そういう対応でぜひお願いしたいと思います。
 埼玉県のこと、私の出身のところで言って恐縮なんですけれども、埼玉県、ダイオキシンの問題が所沢周辺等で大変大きな問題になったので、約七千万円を投じまして、ダイオキシンを検出するためのガスクロマトグラフィー、ガスマス、こういう検査機器を購入したわけです。いつもダイオキシンの問題だと、サンプリング等がかなり少な過ぎるのじゃないかと言うと、お金がかかります、検査体制がなかなか整っていない、一検体当たり四、五十万かかるとかいうことなんですけれども、そういうことがいつも言われるわけです。ぜひ国というレベルで、国民の今、先ほど厚生大臣の方からもそういうものに大変前向きなお話等もいただいたわけですけれども、そういうことも考えますと、予算がないからできませんというようなことでなく、国においてもこの検査研究体制をぜひ整備していただきたいと思うわけですけれども、この辺についてはいかがでしょうか。
○小野(昭)政府委員 ダイオキシンの検査に際しましては、ガスクロマトグラフ質量分析計等の特殊な検査機器が必要とされますし、それに加えまして、ダイオキシンの有する毒性の強さを踏まえました特別な管理が必要なことから、試験室自体を他から隔離するなどの施設整備があわせて必要となるものでございます。
 ダイオキシンの検査につきましては、国におきましては国立環境研究所において実施しておりますほかに、検査需要の高まりを踏まえまして、民間の検査機関において機器、施設の整備を行って検査を実施するところがふえてきておりまして、現在のところでは、その体制に支障が生じていることはないと考えてはおりますが、対策の強化等々に伴いまして検査の需要というものが伸びることも考えられますので、そういった需要動向といったものも踏まえながら、国としてどう対応するかということは検討してまいりたいと考えております。
○飯島説明員 ダイオキシンの検査モニタリング体制の整備でございますが、環境庁といたしましては、現在、ダイオキシンを含めまして低濃度長期暴露による健康影響が懸念される有害大気汚染物質のモニタリング体制を整備充実するために、地方の公害研究所におきますがスクロマトグラフ質量分析装置の整備に重点的に補助を進めているところでございます。今後とも、分析者の教育訓練などを含めまして、検査機関体制の整備充実に努めてまいりたいと思っております。
○並木委員 期待したいと思います。
 ダイオキシン発生源の、先ほど有機塩素系の化合物というお話があったのですけれども、いわゆるPETボトルとかプラスチック素材、こういうものは、これまで回収ルートが確立されていないということで、焼却埋め立てルート、こういうところで処理されている。そういうことで、恐らくというか確実にダイオキシンの発生源となっている、こういうことでさまざまなトラブルが起きてきているわけであります。
 四月からですか、いわゆる容器包装リサイクル法が施行されて、缶や瓶とか牛乳パックあるいは食品トレー、そしてPETボトル、こういう容器を分別回収することが自治体に義務づけられ、さらに再生品化することがメーカーに義務づけられているわけでありますけれども、回収ルートの整備、確立のこの辺の見通しというか進捗状況、これはいかがなのでしょうか。
○小野(昭)政府委員 ごみ焼却施設におきまして焼却されるごみの種類とダイオキシン発生との因果関係というのは必ずしも明らかでない部分も多うございまして、プラスチック類を分別収集して焼却しないことといたしましても、それによるダイオキシン削減の効果というものは必ずしも明確ではございません。
 また、プラスチックを含みますごみを焼却いたしましても、先ほど先生も御指摘ございましたように、高温での完全燃焼など必要な対策を講じますと、ダイオキシン類の排出濃度を十分に削減することが可能でございます。
 しかしながら、今御指摘のございました、本年四月から施行されております容器包装リサイクル法に基づきまして、PETボトル以外のプラスチック類の容器包装につきましても、平成十二年度から分別収集を開始することとしておりまして、今後は、多くの自治体におきまして、他のごみと分別して適正なリサイクルが進められていくものというふうに考えております。
○並木委員 あらゆる面からダイオキシンの、ダイオキシンというのは代表されているわけですけれども、さまざまな、ダイオキシン類でも百三十五ぐらい種類があったり、その周辺の有害物質は数限りなくあるわけなんですけれども、ぜひこういった有害物質対策に積極的に取り組んでいただければと思います。
 少し法案にもう一回戻らせていただきますけれども、今回、先ほど田村委員の方からも質問あったようですけれども、廃棄物の減量化・リサイクルを推進するための規制緩和措置として、改正案にいわゆる再生利用認定制度を設けているわけであります。
 しかし、先ほどの豊島の例等でも、いわゆる隠れみのにしてあれだけの、十年間続いてしまった、そういうことが警察庁の方からもお話があったわけですけれども、こういうものを悪用されると、今申し上げたように、リサイクルを隠れみのにした不適正処理がむしろ助長されてしまう、そういうおそれもあるわけであります。
 例えば、これは現実に問題になりましたけれども、焼却灰とセメント、特殊セメントですか、これをまぜて練り合わせて、固めて、そして盛り土材、その名目で再生品にして、それを一般土壌に埋めてしまう。普通は一般土壌に埋められないものをそういう形にして埋めてしまった、こういう例もあるのです。汚泥だとかなんとか、分け方の分野も大変難しいわけです、リサイクル品とその線引きというのは。そういうことからして、間違えると環境に悪影響をむしろ与えかねないということで、これらを防ぐために、その基準についてどのようにお考えになっているか、その辺をお聞かせください。
○小野(昭)政府委員 生活環境の保全を図りますためには、先生御指摘のように、リサイクルの名をかりた不適正処理が行われるようなことがあっては絶対ならないというふうに認識をいたしております。
 このようなことがないように、今回の再生利用の認定制度の対象といたします廃棄物や、再生利用の内容等の認定の基準につきましては、生活環境保全上支障を生じないものとしてまいりたいと考えておりますし、さらに、業や施設の許可については認定により不要とする一方で、適正な再生利用が担保されますように、廃棄物処理基準を守っていただくこと、あるいは立入検査を行うこと、あるいは報告を徴収すること等所要の規制は適用することといたしておりまして、その運用に当たりましても、生活環境保全上の支障が生じないよう十分留意してまいりたいと考えております。
○太田説明員 廃棄物の減量化の観点から、リサイクルを積極的に推進することというのは極めて重要でございますが、一方、リサイクルの過程で新たな環境負荷を生じないようにするという配慮が不可欠でございます。このために、環境庁といたしまして、環境に配慮したリサイクルのあり方につきまして現在検討を進めております。
 特に、御指摘ございました、廃棄物を路盤材や盛り土材として使用する場合、特に一般環境中で利用する場合には、土壌や地下水への二次的な汚染の防止に留意する必要があるというふうに考えておりまして、このための環境保全上のガイドライン等の検討を早急に実施しておるところでございます。
○並木委員 もう一つ、施設の信頼性あるいは安全性の向上ということについてですけれども、処分場等三類型の中でなされて、それぞれにいろいろな問題があるというような中で、今回の法案でもその整備に向けてという一定の進歩が見られるわけなんですけれども、実は、大変有名な話であります、この処分場をめぐって町長が襲われてしまった、そういう事件があったあの御嵩町です。
 この処分場、今、町民投票にかけるとかいう話もあるのですけれども、しかしこれは、計画地というのは木曽川の水源となっておりまして、そういうことからして、木曽川の水を利用している下流域の方は五百万人くらいいるのじゃないか、こういう場所だということです。どうしても、余り住民の住んでいる近くに処分場をつくれないので、山に山にと日本の場合は行ってしまいまして、そして、山合いの沢のところが埋めやすいということで、そういうところが使われている例が多いわけです。そして、そこはいわゆる水源ということになってしまう。この管理状態が悪いということでは、汚水が、いろいろ汚染の物質が出たりとか、そういうものもたくさん起きているわけです。
 この際、全部廃止というのはなかなか現実には難しいのだと思いますけれども、こうした水道水源保護地というか、こういうものをある程度指定していくとか、そういう中で、こういうところには処分場はつくらないように、そういう基準を示すべきじゃないかと思うわけですけれども、これについてはいかがでしょうか。
    〔委員長退席、住委員長代理着席〕
○小野(昭)政府委員 今回の改正案におきましては、最終処分場等の廃棄物処理施設の設置に当たりましては、周辺の生活環境影響を調査させますほかに、地域住民等から生活環境保全の観点から意見を聴取いたしまして、専門家の意見も踏まえて審査することとしておりまして、この審査基準といたしまして、「地域の生活環境の保全について適正な配慮がなされたものであること。」という要件を求めているところでございます。
 こうした措置によりまして、水源地等におきます施設の設置につきましては一律には禁止いたしておりませんけれども、地域の実情を踏まえた生活環境の保全に適正に配慮されたものでなければ設置が認められないものというふうに考えております。
 また、維持管理の段階におきましても、許可申請時に施設の設置者みずからが定めます維持管理計画に従いまして適切な維持管理を行りことが義務づけられるとともに、維持管理状況に関する記録を行いまして閲覧に供することが求められておりますことから、水源地等での生活環境保全は従前に比べまして格段の強化が図られるものと考えております。
○並木委員 そういう点でのいろいろな対応における行政への信頼というのが今後きちっと醸成されていかなきゃならないわけですが、前回、一九九一年の法改正の際、いわゆる不法投棄対策等の受け皿として廃棄物処理センターという第三セクター計画が示されたわけでございます。しかし、今の行政への信頼という中で、香川県の問題などもあったわけですけれども、どうも余り信頼関係が確立していない。そういうことで、このセンター計画も大変厳しい状況にあるようですが、その辺の現状と今後の見通しはいかがでしょうか。
○小野(昭)政府委員 平成三年の廃棄物処理法の改正によりまして、第三セクターであります公益法人を、各都道府県に一つに限り廃棄物処理センターとして指定する制度が創設されまして、このセンターによりまして、公共の信用力、民間の人材やノウハウ等を活用いたしまして、産業廃棄物等の適正かつ広域的な処理を進めることといたしているところでございます。
 平成五年の一月に第一号の財団法人クリーンいわて事業団を指定して以来、現在までに八県で指定が行われております。このうち、二カ所では、最終処分場等の施設を開設しておりまして、一カ所で施設が建設中でございますし、その他におきましては地元住民に対する説明等計画が進行中でございます。このほかに十七県でセンターの指定に向けた具体的な作業が進められているというふうに承知をいたしております。
○並木委員 時間がないようですから、最後に、せっかく大蔵省の方にも来ていただいていますので、すぐにイエスかノーかという問題ではないと思いますけれども、環境対策の財源確保ということでの一案でございます。
 今回、マニフェスト制度ということでの不法投棄防止を考えているわけですけれども、一方、例えば埋立処分税、こういうものを導入してはどうかということです。税というと我々政治家は余り芳しくないということになるのですが、このシステムというのは、いわゆるライセンスを持った埋立地の事業者が埋立地に入ってくるごみの重量を計測、記録し、運搬処理業者から埋立処分税を預かって、その分を別会計として設け、税務当局へ納めるというシステムです。そして、廃棄物を運搬処理する者にライセンスの取得を義務づけ,データベースに登録する。したがって、不法投棄をすると、この埋立処分税を支払っていないということになって、脱税として厳罰に処せられたり、あるいはライセンスを取り消される、そういうことで業を続けることができなくなる。管理体制が行き届いてくるということで、不法投棄が減少して、優良な事業者が活動する場がふえてくるのじゃないか。こういう考えです。そして、この税を、業界の育成とか公害防止設備の整備充実、こういう環境対策に活用することで、業者サイドにとっても長期的にメリットがあるというふうに考えるわけです。
 時間がありませんので、そういう提案で、お答えがあればあれですけれども、最後に、この廃棄物処理の行政は、大臣もおっしゃったようにこれだけですべて事足れりではないということで、今後ともぜひ積極的な取り組みをお願いしておきたいと思います。
○森信説明員 簡単にお答え申し上げたいと思います。
 ただいま御指摘の埋立処分税でございますが、この内容は必ずしも明らかではございませんが、一般的な考え方だけを申し述べさせていただきますと次のとおりでございます。
 環境に負荷を与える物質の排出量を抑制するために、税を含むいわゆる経済的な措置を活用する、こういった国内外での議論がございます。このことにつきましては十分承知しておりますが、他方で、税制等の経済的措置よりも、廃棄物が不法に投棄されるという社会的な問題を防止する手段としては、むしろ規制的措置の方がなじむのではないかといりふりな考え方を持っておるところでございます。
 いずれにしましても、環境関連税制につきましては、いろいろな問題提起もございますので、国内外での幅広い議論の進展を見守りながら、今後とも勉強を続けてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○並木委員 ありがとうございました。
○住委員長代理 次に、小林守君。
○小林(守)委員 民主党の小林守でございます。
 環境委員会の方から差しかえで質問の機会を与えていただきましたことをまず感謝申し上げたいと思います。
 今回の法改正につきましては、平成三年の十月に改正された廃棄物処理法が平成四年七月に施行されたわけでありますが、それから五年たっての改正ということになります。前回の法改正に際しまして、私自身もかかわっておりましたものですから、そんなことで感慨深いものもございますけれども、今回の法改正につきましては、五年前に議論され、さまざまな問題点として指摘されておった宿題といってもいいような問題が一歩前進の形で改正されるというふうに受けとめているところであります。
 特に、廃棄物最終処分場の信頼性とか安全性とか、こういう問題についても相当議論がなされてまいりました。安定型処分場が一番危ないというような国民、住民の感覚、これは間違いない実態を持っているわけでありますけれども、それらに対する規制のあり方等についても宿題としてずっと抱えてきたものであります。
 また、不法投棄防止の対策としてマニフェストシステムが五年前にも導入されましたけれども、その時点では、すべての産廃に適用させるべきだというような議論が強くあったわけですが、しかし、産業界等のさまざまな事情もこれあり、特別管理産業廃棄物だけに限ってマニフェストを法的に義務化して、あとについてはガイドラインでやるのだ、そういう試行的な時代を経て、五年が経過して、今度の法改正では全産廃にマニフェストを適用することに踏み切ったという点では大きく評価していいというふうに思っているところであります。
 さらに、不法投棄の原状回復の措置、これらについても、当時からアメリカのスーパーファンド法的なものに合わせたような日本のシステムも必要ではないかとこれまた強く議論された経過がございますが、今度の法改正でも、何かちょっとよくわからない、どれだけの実効性が伴うものかどうかはわかりませんけれども、一定の踏み込んだ、原状回復措置のための基金づくり的な仕組みが提案されているというふうに受けとめているところであります。
 そこで、これらの観点に立って、具体的な事例をもとに、今度の法改正の実効性、そしてさらに、その実効性が不十分であるならば、それらをしっかりと確保するための政省令の取り組みというか、政省令の改正に向かってどのように政府が取り組んでいこうとしているのか、その辺をただしていきたい、このように考えているところであります。
 実は、具体的な事例と申しますのは、本年の三月に発覚した問題でありますが、私の地元であります栃木県、そして宇都宮市の西北部の農村地域なんですが、篠井という地域に、三千平米を若干下回る安定型処分場がございます。そこの安定型処分場外の西側の水路から、白く濁った水が、しかも異臭を伴って出ているというような周辺住民の発見によって、宇都宮市がその水質検査を実施したわけであります。そうしましたら、その結果、環境基準をオーバーする砒素が検出されたというような問題が明るみになったわけであります。
 本来、そこの処分場というのは、八割方が建設廃材である石こうボードの処分場として、今日まで大体三千トンぐらいのものを捨ててきているというふうに言われているわけですけれども、石こうボード、材料である石こうそのものは安定した物質というふうに聞いておりまして、まさに安定五品目の中のものだというふうに思うのですけれども、その安定型処分場から砒素が出るというとんでもないことになっておるわけであります。
 これらについて、その水路そのものは農業用水に使われるわけでありますし、すぐ隣は田んぼであります。それから、その地域に住んでいる農家の人たち、もちろんその辺は上水道はありませんから地下水に依存しているわけでありまして、大変な住民不安をもたらしているというような現状であります。
 業者といたしましては、その処分場の設置に際して住民とのさまざまな協定を結んでいて、廃棄物を全量撤去する、そして、もちろん、浸出水、しみ出した水については処理をして無害化を目指すというか、環境への悪影響を防止するというような手段をとるという約束がしてあるわけでありますから、今、宇都宮市が、相当、撤去を勧告したり、住民との話し合いを続けているというような状況であります。
 まず、この辺の問題について、厚生省はどのようにこの事実を把握されているのか、なおかつ、特に砒素というものはどういう毒性を持ったものなのか、共通認識の上に立って議論できるように御説明をお願いしたいというふうに思います。
○小野(昭)政府委員 平成九年の三月に、宇都宮市の安定型最終処分場の周辺の水路で、今先生お話ございましたように、悪臭を発する浸出液が流出しているという苦情がございましたために、市におきましてその検査を行いましたところ、周辺の地下水からは砒素は検出されなかったわけでございますが、処分された廃棄物や浸出液等からは砒素が検出されたところでございます。
 このため、市は処分業者に対しまして、廃棄物の搬入の停止あるいは全量撤去等を指導したところでございまして、これを受けまして、処分業者におきましても、現在、廃棄物の搬入を停止するとともに排水処理設備の設置作業を行っておりまして、今後、廃棄物の全量撤去を行う予定というふうに聞いております。
 また、厚生省といたしましては、この原因を究明いたしますために、社団法人石膏ボード工業会を通じまして、関係メーカーに対しまして各社の石こうボード製品の試験を行うよう要請したところでございまして、その結果、一部の工場で生産されました製品から判定基準を超える砒素が溶出することが判明をいたしました。
 なお、砒素についてでございますが、砒素は、一般に地中に広く存在いたします金属でございまして、商業的にも、半導体の材料、染料、医薬品など、さまざまな分野で使用されております。
 健康影響についてでございますが、急性毒性といたしましては、嘔吐、下痢、腹痛などの消化器症状や、気管支炎、急性肺水腫が挙げられますし、慢性毒性といたしましては、皮膚の角化症、皮膚がん、肝機能障害などが知られているところでございます。
○小林(守)委員 今、既にそういう対策がとられているというようなお話、事実関係については私も新聞等では理解をしているところでありますが、まず、マニフェストの観点から、なぜその石こうボードが主な原因だろうというような、八割方が石こうボードを処分している処分場だからそこを調査したというようなことだったというふうに思うのですけれども、腐った、異臭というか、この問題は、恐らく何かはかの有機物が混入した結果なんだろうというように思います。砒素というのはにおいはないものだろうというふうに思うのですね。ですから、この安定型処分場には、残念ながら、安定型ではない、五品目ではない有機物が混入をしていたという事実は間違いないというふうに思うのですが、これは決してあってはならない話ですけれども、よくある話でもございます。
 しかし、砒素が出たということは、さらにこれは重大な問題だろうというふうに思いますし、また、これは、たまたまそこでにおいがしたから検査をした、その結果、砒素が入っているというのがわかったわけでありまして、普通、においや悪臭がなければ検査はしないわけでありまして、安定型処分場でありますから検査がないわけですね。浸出水の検査は義務づけられていないわけでありますから、今回はたまたまわかったということ。また、住民との協定によって水の検査、監視井戸を二カ所掘ってあるそうでありますが、その監視井戸からは砒素は出ていないということでありますので、たまたま見つかったということなんですね。そこに私は事の重大性があるというふうに思います。
 また、今の法体系では、少なくとも、この業者は建設廃材の処分ですから、マニフェストを使わないで済むはずであります。ガイドラインでやりますから、使わなくても責任は問われないということなんですが、その辺についてはどのように厚生省は認識しておられるか。
○小野(昭)政府委員 産業廃棄物に関しますマニフェストの制度につきましては、現行法上は、その適用は特別管理産業廃棄物に限定をされておりますが、しかしながら、行政指導によりまして、その他の産業廃棄物につきまして、その普及を図ってきたところでございます。特に、建設工事の際に発生する廃棄物につきましては、平成六年に実施要領を定めまして、その普及を指導してきたところでございます。
 今回の宇都宮市の最終処分場に搬入されておりました産業廃棄物のほとんどにつきましては、帳票方式によりますマニフェストは添付されていたというふうに聞いております。
    〔住委員長代理退席、委員長着席〕
○小林(守)委員 それで、マニフェストはついているということになりますると、排出事業者から処分業者までの経路が確認できるわけでありますが、この石こうボードの排出事業者から国土環境開発という処分業者、このところがさかのぼって調べていけるものなのかどうか、調べたものなのかどうか。
 石膏ボード工業会が調査したらば、何か結果が出た、含まれている石こうボードをつくる会社の名前が特定されたということなんですが、その石こうボードが製品として売られ、いずれかの住宅に使われ、そしてその住宅が壊されて廃棄物業者のところまで運ばれてきた、それで処分されたということなんだと思いますが、要は、処理業者から排出事業者まではさかのぼれると思うのですね、マニフェストがあるから。そういう形でさかのぼっているのだろうと思うのですが、では、排出事業者からなぜ製造メーカーまで特定できるのかということなんですよ。それはマニフェストのシステムはないはずでありますから、なぜ特定できるのかということを聞きたいと思います。
○小野(昭)政府委員 今回のケースにつきましては、処分場に搬入されておりました廃棄物に添付されておりましたマニフェストによりまして、陶磁器くずや建築廃材を排出いたしましたハウスメーカーなどの排出事業者を把握することに役に立ったというふうに聞いております。しかし、排出事業者に納品した石こうボードの製造メーカーや種類までは、当然ながら、マニフェストによって把握はできなかったということでございます。
○小林(守)委員 マニフェスト制度、全量管理システムにしたとしても今のシステムでは非常に不十分ではないかと思えてならないのは、それじゃ今回、排出事業者にも全部調べろというふうにできるのかどうか。例えば厚生省の方では、都道府県を通して処分業者に、石こうボードを処分している処分場の業者は調べてみなさいというようなことを恐らく指令を出したのだというふうに思いますけれども、それと同時に、排出事業者に対して、このメーカーのものはどこに行ったのだ、どこの処分場へ持っていったのだということを全部調べろということはしていないのだと思うのですよ。それはいかがですか。
○小野(昭)政府委員 石こうボードをつくっているメーカーが排出事業者に該当するのではなくて、家を建てている、そこの切れ端が出た、したがってハウスメーカーが実は排出事業者でございますから、石こうボードの切れ端を産業廃棄物として処分業者に委託するという形になれば、当然これは、ハウスメーカーから最終処分業者にマニフェストが行くという形になるわけでございます。
○小林(守)委員 そのとおりだと思うのですね。ですから、今回、厚生省なりで、このように砒素の入った石こうボードがどこに処分されているか、ほかにですよ、宇都宮ではたまたまわかりましたけれども、ほかに処分されているところがたくさんあるはずであります。そこを調べるのには、ハウスメーカーからマニフェストは出るわけでありますから、処分業者から最後には戻ってくるわけでありますから、ハウスメーカーにも指令を出して調べさせないとだめなんじゃないかというふうに思うのですよ。そこはどうなんですか。
○小野(昭)政府委員 いわゆるマニフェスト制度が平成三年の改正で制度化されましたが、今御指摘のように、石こうボードについてはその対象となっておりません。先ほど御答弁申し上げましたように、行政指導によりましてできるだけそういうものを発行していただくということにしたわけでございますから、さらに、今回の法改正ですべての産業廃棄物にこの制度を拡大いたしますので、これはもうおっしゃいますように、そういう産業廃棄物の流れがマニフェストで確認できるわけでございますが、過去の事例、この石こうボードはかなり前から既に使われていたというふうに私ども聞いておりますので、過去の事例につきましては、マニフェストそのものもございませんし、個々の事例を全部、企業の、ハウスメーカーの個々のケース、記録を全部探さなきゃいけないというようなことにもなります。それは可能かどうかというのは、ちょっと今ここでなかなかお答えしづらいわけでありますが。
 いずれにしましても、確認できなければ、それじゃほっておいたらいいのかということではないと考えておりまして、ここの工場の石こうボードは主として北日本、東日本に出回っておりますので、そこの安定型処分場のうち、記録等から石こうボードがかなり多く最終処分されているようなところにつきましては、周辺環境の調査をしてチェックするということも検討しなければならないことと考えております。
○小林(守)委員 今日のガイドラインレベルのマニフェストというのは極めて不十分だということは実証できるというふうに思います。
 今度の全産業廃棄物に対してマニフェストをかけていくということは大きな前進だというふうに思いますし、このような間違いというか、不法投棄も含めて不適正処理があった場合にも、原因究明とか、さまざまなその責任を明らかにしていく、そういうためにもマニフェストシステムは大変有効だというふうにも言えるわけでありますから、そういう点で、今度の法改正については極めて重要なポイントになっているというふうに思っているわけであります。
 さらに、この問題について、既に石膏ボード工業会の方では、関係業者、余り量が多くないようでありますからすぐにその特定ができたと思いますが、石こうボードの業界の中で製品を全部検査してもらったら、まず小名浜吉野石膏、いわきにあるこの吉野石膏、小名浜の吉野石膏株式会社の製品に砒素が検出されたということが明らかになりました。それからもう一つ、八戸にある日東石膏ボード、ここにカドミウムが検出されたということが明らかになりました。それ以外の会社の石こうボードについては検出されなかったというような報告でありました。
 これは石膏ボード工業会が厚生省の指示を受けて自主的に検査をした結果を公表されたわけでありますけれども、なぜこの小名浜の吉野石膏の石こうボードには、石こうには、石こうを原料にして石こうボードをつくって出荷をするわけでしょうけれども、なぜそこに砒素が入ったのか、これの原因究明については既にされているのかどうか。
 なおかつ、この小名浜の吉野石膏株式会社は昭和四十八年から製造しているというふうに聞いております。ということになると、それ以降の生産されたものについては全部入ってしまっているのかどうか。大変なことになるわけでありますね。
 また、原因によっては、特定のところからの原料に入っていたということになるならば、その原料を使い出した時点からの品物には全部入っているということになるわけでありまして、それがどこに売られて、そしてそれを使ったハウスメーカーがどこの家に使ったのか。これからだんだんに解体が進んで出てくるわけでありますから、これは相当長期間にわたって調査をしていかないと問題が出てくるわけですね。そんなことも含めて、大変な問題なんですよ。
 そういうことで、なぜ、いつごろ、どうして砒素が石こうボードの中に製品として混入してしまったのか、その辺の原因究明は極めて重大だ、今後の対策のために重大だというふうに思うのですが、いかがでしょうか、
○揖斐説明員 御説明申し上げます。
 銅製錬におきましては、原料鉱石中に硫黄分が含まれておりますために排ガスの脱硫対策を実施しているところでございますけれども、一般的な製錬所におきましては、排ガス中の硫黄濃度が高いことから、脱硫対策といたしまして硫黄分を硫酸として回収しております。こうして回収されました硫酸と炭酸カルシウムを反応させまして石こうを生産しているわけでございます。この工程の場合におきましては、硫酸等の不純物は除去されております。
 他方、小名浜吉野石膏に原料石こうを供給いたしました製錬所におきましては、製錬方法の特徴によりまして排ガス中の硫黄濃度が低いことから、脱硫対策といたしまして、排ガスと炭酸カルシウムを反応させまして、副産物として石こうを回収しております。この反応の過程で砒素が混入したものというふうに考えております。
 こうした製錬方法に起因する、脱硫方式の違いが原料石こう中への砒素混入の原因というふうに理解しております。
 以上でございます。
○小林(守)委員 よくわかりませんけれども、そういう製錬方法の違いの中に混入する原因があったというようなことなんでしょうが、それを改めることはたやすいことなんですか。それと、その方法で今までできたものは全部入っていたというふうに考えなければならないのですか。
○揖斐説明員 今回の場合、原料石こうを供給いたしました製錬所サイドとしても事態を重く受けとめているわけでございまして、問題発生後、直ちに出荷を停止いたしまして、砒素含有量等の検査を実施いたしますとともに、砒素の少ない鉱石への転換、安定化剤の混入などによります改善措置を講じまして、石こうボード段階でリットル当たり〇・〇一ミリグラム程度またはそれ以下の溶出に抑制されることを確認の上出荷する体制に切りかえたものというふうに承知しております。
 また、ほかの製錬所で生産されております石こうにつきましても、プロセスが違いますので砒素は混入していないというふうに考えておりますけれども、また、現に石こうボード製品の溶出試験結果を見ても特段の問題は生じておりませんけれども、万全を期す意味で調査を行うように、先般、日本鉱業協会を通じまして関係各社に要請を行っております。
○小林(守)委員 このような品物をつくって、入ってはならないものを製品として売っていたわけですね。それで、そのプロセスに問題があったということなんですが、普通、製品として売るからには、環境基準とか――これは入ってはならないものでしょう。〇・〇一以下に抑えていなかったら売れないものなんじゃないですか。それを今まで売ってきた責任はどうなんですか。
 会社の方は、石膏ボード工業会の方で品質管理強化策という形で、この石こうボードの調査の結果、品質管理の不備によるもので甚だ遺憾であったということがあるのです。甚だ遺憾であったと。しかし、何年にもわたって砒素の含まれた石こうボードを売り飛ばしてきたわけですから、売り飛ばしたと言ったら語弊がありますが、売っていたわけであります、プロセスに問題があったのを容認していたというか、そのプロセスは、これは民間の事業所ですから、どうなんですか、その辺に対する、環境基準として容認できないものをやっていた、それが、最後の廃棄物処分場で、その問題が指摘されるような事態になって初めてそのプロセスが問題であったというふうになるというのは、全くとんでもない話ではないかというふうに思うのですが、通産省になるのでしょうか。
○福水説明員 お答えいたします。
 先生御指摘のように、昨日付で、石膏ボード工業会といたしましては、「製品等の分析調査結果と品質管理強化策について」というふうなことを発表しております。原料石こうの品質基準を定めまして定期的に検査をする、あるいは石こうボード製品の品質管理基準を自主的に定めまして定期的に検査をする、そういうことをして、今後万全を期する予定にいたしております。
 なお、先生おっしゃいました今回の宇都宮の件でございますが、当該製品を製造したメーカーには、直ちに法的責任というふうなものは、廃棄物処理法上は現在のところはないというふうに思われるわけでございますが、処分業者が今後の対策を今検討いたしております。これに対しまして可能な限り製造業者としての協力を行う、これが非常に強く期待されるところでございます。
 既に先生も御存じのように、小名浜吉野を含めまして、宇都宮市当局あるいは廃棄物処理業者の話し合いが持たれているというふうに承知いたしておりまして、通産省といたしましても、厚生省と連携をとりながら対応していきたいというふうに考えております。
○小林(守)委員 少なくとも、当然の責務としてやってもらわなければならない最低のことだというふうに思っておりますが、まず、私はやはり、製品の製造、出荷段階で、少なくとも、市販されるものをつくって売るわけでありますから、その段階で品質の検査というものがあってしかるべきなのではないかというふうに思うのです。
 その辺について、さっき言ったように、廃棄物処分場で、たまたまそのメーカーの名前が書いてあったから、ボードの切れ端にそのメーカーの番号があったからわかったという話です。それがなかったら、どこのなのかわかりませんということになって、みんな、ほおかぶりしてしまうのじゃないですか。少なくとも出荷段階で、環境基準とかそういうものに対して容認できる範囲のものでなかったらば出荷してはいけないのじゃないですか。これはどうなんですか。環境庁、いますか。1問題は検査体制がどうなっているのかなんですよ、ここは。
○太田説明員 当然、最終的にこういう最終処分場に来るわけでございますが、現在、御存じのように、石こうボードは安定型処分場に搬入されています。したがいまして、製品の中に含まれて、また、溶出しやすい形で含まれている場合には、当然、環境中に出てくるおそれがあると思っております。そういう観点から、そのようなものが最終処分場に入ってこないような措置を講じていくことが必要だと思っております。
 現在、環境庁では、安定型処分場に関します各種最終処分の基準等の見直し作業を行っておりますので、そういう中で、搬入物質のいろいろな、厳格な搬入を管理するというようなことも含めまして、今後検討してまいりたいと思っております。
○小林(守)委員 環境への配慮が極めて足りない業界のスタイルがここにあらわれたのではないかと思えてならないわけでありまして、そういう点で、環境への配慮というものを製造段階からやはりしていただくように、これは民間の事業活動ですから余り規制をするのもいかがかというところはありますが、少なくともそれは自主的に企業倫理としてやらなければならない最低限の責務じゃないかというふうに思うのですが、その辺の徹底については通産行政の方でさらに詰めていっていただきたいというふうに考えております。
 そこで、もう一つの問題は、この石こうボードは、安定五品目で、安定型処分場に捨てられたわけです。たまたま砒素が入っていた、大変だということになりまして、その撤去したものは、しようがないからそれじゃ管理型処分場へ持っていってくれというような指導をしています。ところが、残念ながら、栃木県では管理型処分場がありません。結局、福島や秋田や山形、その辺の他県にお願いしているような実態でありまして、これまた大変難航しているというふうに思います。これはまた別の問題になりますけれども、少なくとも安定型処分場は一番安全ではないという実例が示されてしまったと言わざるを得ないのですね。
 そういうことで、安定型処分場は、今後、今度の法改正では原則廃止すべきではないか。入ってはならないものが入ってしまうのですね。しかも、悪意じゃないにしても、例えばプラスチックについては可塑剤の問題があるから、これは別に、管理型にすべきだと思います。しかし、そのほか、ガラスくずにしても、安定品目なんだけれども、それを壊して入れるときにはほかのものも一緒にまじって入ってしまうということなんですね。これをきれいに分別して処分するというのは極めて困難なのも事実だと思うのです。
 そういう点で、安定型処分場、安定五品目というのは、実際に運用するのは極めて困難だということを考えるならば、また、今回のように入ってはならないものが入っているなんということもあるわけでありますから、やはり基本的には、安定型処分場は原則廃止して、すべて管理型の体制でいくべきではないか、このように思うわけでありますが、いかがでしょうか。
○小野(昭)政府委員 安定型処分場につきましては、今御指摘のございましたように、安定型の廃棄物以外の廃棄物が混入すること等によりまして、安全性や信頼性に問題が生じているというふうなことでございます。
 このため、現在、安定型処分場のあり方につきましては、生活環境審議会に廃棄物処理基準等専門委員会を設けまして検討を行っていただいているところでございます。その中で、安定型処分場に搬入される廃棄物の種類、性状の見直し、搬入される廃棄物が汚水を発生させない廃棄物であることを確認するための搬入管理の方法の検討、それから、複数の廃棄物が混合して排出された場合は、これらの廃棄物を一定の選別施設で選別したもの以外は受け入れを禁止するなどの規制の強化を検討しております。
 安定型処分場につきましては、このように徹底した対策を講じることによりまして安全性の向上を図ってまいりたいと考えておりますし、御指摘のございました、いわゆる現在の安定型五品目につきましては、この専門委員会におきまして、生活環境保全上支障が生じないように、安定型廃棄物以外の廃棄物の付着あるいは混入の防止や、適切に分別し得るか否かといったような観点から、その見直しについて検討を行っているところでございまして、これらの検討結果を踏まえまして、これに対処してまいりたいと考えております。
○小林(守)委員 安定型処分場、安定五品目の中で一番問題になっているのはプラスチックだと思うのですよ。これは日の出処分場の問題、また別の大きな問題になっておりますが、あそこの地下水汚染の問題というか、中でプラスチックの可塑剤が溶け出したというようなことが報道されまして、それが大きな問題に発展してきているわけであります。
 プラスチックそのものをきれいに分別して安定型処分場に処分するというのは非常に困難だと言われております。また、一定程度の形のしっかりした、混入していないプラスチックというのは、燃料というか、リサイクルが十分できるものでありますから、すべてプラスチックはリサイクルをするか、最低、混入してしまったものについては、安定型でなくて管理型の処分をしなきゃならない、そういうふうにすべきだというふうに多くの人たちが言っているわけですけれども、それに対しては厚生省としては今後どういうふうに考えていこうとしているのか、お聞きしたいと思います。
○小野(昭)政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、現在の安定型五品目が妥当かどうか、それから、今御指摘のございましたように、例えば何かが付着をしているような廃プラスチックの扱いをどうするか等々につきましては、具体的な実態を十分調査しながら専門委員会で御議論をいただいているところでございますので、この専門的な御検討の結果を踏まえて適切に対処してまいりたいと考えております。
○小林(守)委員 大分時間も迫ってまいりましたので次に移りたいと思いますが、先ほどのマニフェストの問題にもう一度戻りたいと思います。
 今回の改正で、全産業廃棄物にマニフェストが適用されるということになったわけでありまして、そういう点では、全産業廃棄物がどのように流れているのか、しかも、日本ではどのくらいの量がどこへどう流れているのかとか、そういうものを瞬時にしてわからなければ産廃対策というのはとり得ないというふうに言われております。そういう点で、データベースをしっかりと把握しておく、つくり上げるということがまずは先決なんだというふうに廃棄物行政の担当の方々はどこへ行っても言うわけですよ。
 そういう点で、少なくとも電子化というかコンピューター化がこれはぜひとも必要であろうというふうに思います。そのことによって、少なくともこの排出事業者から出た品物はどこへどう行っているというものが瞬時にして発見できる、わかるというような仕組みがつくり上げられないと、本当の意味での不法投棄の防止対策にもならぬということになるわけであります。
 そういう点で、不法投棄はあってはならないのですけれども、香川県の豊島のように、もう何年も放置されていたような、長年かかって一たんああなってしまったものについては百億、二百億の金がかかってしまう、原状回復のために大変な金がかかるというような問題があるわけですけれども、早期に発見されて早期に対策、措置がとられるならば、これは原状回復のための費用、コストは少なくて済むというふうに言えると思うのですね。
 そういう点でも、廃棄物の流れをきっちりと追いかけ、そのためには電子のマニフェストが義務化されるべきではないか、このように思います。ただ、すぐに全国ネットワークをつくれと言っても、これは時間のかかる話だろうと思いますので、近い将来、すべて電子化をして、ネットワークですべての産廃についての動きは、県をまたがって流動するわけでありますから、動くわけでありますから、その辺についての管理も、県を越えたシステムとしてやっていく考えがなければならないと思うのですけれども、厚生省、いかがでしょうか。
○小野(昭)政府委員 広域的に移動いたします廃棄物の処理の流れを的確に把握いたしますために、管理票の電子化を推進することは極めて重要だと私どもも考えてはおりますけれども、現在のパソコン等の端末機の設置状況のもとでは、中小企業も含めて、すべての事業者に電子化を義務づけるというのはなかなか困難なことであろうと考えております。
 しかしながら、私どもも電子化の推進は非常に重要と考えておりますので、今回の改正におきましては、電子化の場合におきましては、都道府県への報告や記録の保存は情報処理センターがかわって行うということによりまして、事業者の負担を軽減するというメリットも設けているところでございまして、今後さらに、関係業界の協力も得ながら周知徹底を図ること等を通じまして、電子化の促進に努めてまいりたいと考えております。
○小林(守)委員 それでは、時間も参りましたので、あと一つ二つにしたいと思います。
 先ほどの宇都宮の国土環境開発株式会社のあの問題、砒素検出の問題については、実は県の環境整備課の職員をやっておった方が職をやめまして、みずからモデル的な産業廃棄物の処分場をやりたいという形で始まったのですね。
 そういうことを考えますると大変残念でならないのですよ。しかし、現実にまさか石こうボードの中に砒素が入っているとは思いません。その砒素が出てしまったわけでありますから、なおかつ住民とは、撤去しなくちゃならぬという約束をしていますので、一トン当たり三万五千円ぐらいかかるそうです。大体三千トン以上ですから一億円ぐらいかかるというようなお話を聞いております。恐らくつぶれてしまうのではないかというふうに思うのですが、本人は自分の責務だからやるというふうに言っているようでありますけれども、今度の原状回復措置には適用にはならないのだろうというふうに思うのですよ、趣旨からいって。間違っていないですね。
 排出事業者もわからなかった、処分業者もわからなかったのですよ。しかし、結果的には大変な問題を起こしているわけです。メーカーも責任を問われないのですね。だれがこれは一体責任をとってくれるのだということなんですよ。いかがでしょうか、大臣にひとつ御見解をいただきたいと思うのです。
○小泉国務大臣 こういう問題、だれが責任をとるかわからない。この問題というのは、製造段階そして排出事業者、処分場、一貫して責任の所在がわかるような対応をとっていかないと後を絶たないと思うのであります。メーカーにしても、環境基準というのが大して問題ではないということでは、これから似たような事件も出かねませんので、ただいまの議論を聞きながら、一貫した責任体制と対応策をよく検討させていただきたいと思います。
○小林(守)委員 ありがとうございました。
○町村委員長 次回は、来る六月四日水曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時五十分散会