第140回国会 農林水産委員会 第4号
平成九年二月二十七日(木曜日)
    午前十時開議
 出席委員
  委員長 石橋 大吉君
   理事 原田 義昭君 理事 松岡 利勝君
   理事 松下 忠洋君 理事 山本 有二君
   理事 北村 直人君 理事 久保 哲司君
   理事 小平 忠正君 理事 藤田 スミ君
      植竹 繁雄君    大島 理森君
      亀井 善之君    川崎 二郎君
      瓦   力君    木部 佳昭君
      熊谷 市雄君    栗原 博久君
      栗原 裕康君    実川 幸夫君
      鈴木 宗男君    谷畑  孝君
      丹羽 雄哉君    野呂田芳成君
      牧野 隆守君    御法川英文君
      村岡 兼造君    茂木 敏充君
      井上 喜一君    一川 保夫君
      木村 太郎君    佐々木洋平君
      斉藤 鉄夫君    城島 正光君
      菅原喜重郎君    仲村 正治君
      福岡 宗也君    宮本 一三君
      矢上 雅義君    安住  淳君
      辻  一彦君    鉢呂 吉雄君
      春名 直章君    前島 秀行君
      堀込 征雄君    石破  茂君
 出席国務大臣
        農林水産大臣  藤本 孝雄君
 出席政府委員
        農林水産政務次
        官       保利 耕輔君
        農林水産大臣官
        房長      堤  英隆君
        農林水産省構造
        改善局長    山本  徹君
        農林水産省農産
        園芸局長    高木  賢君
        林野庁長官   高橋  勲君
        林野庁次長   福島啓史郎君
 委員外の出席者
        建設省住宅局住
        宅生産課長   松野  仁君
        農林水産委員会
        調査室長    黒木 敏郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
二月二十七日
 辞任         補欠選任
  金田 英行君     栗原 裕康君
  村岡 兼造君     茂木 敏充君
  木幡 弘道君     斉藤 鉄夫君
  城島 正光君     福岡 宗也君
  安住  淳君     辻  一彦君
同日
 辞任         補欠選任
  栗原 裕康君     谷畑  孝君
  茂木 敏充君     村岡 兼造君
  斉藤 鉄夫君     木幡 弘道君
  福岡 宗也君     木村 太郎君
  辻  一彦君     安住  淳君
同日
 辞任         補欠選任
  谷畑  孝君     金田 英行君
  木村 太郎君     城島 正光君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 森林病害虫等防除法の一部を改正する法律案
 (内閣提出第四五号)
 森林組合法及び森林組合合併助成法の一部を改
 正する法律案(内閣提出第四六号)
     ――――◇―――――
○石橋委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、森林病害虫等防除法の一部を改正する法律案及び森林組合法及び森林組合合併助成法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。矢上雅義君。
○矢上委員 新進党の矢上雅義でございます。
 本日は、森林組合法及び森林組合合併助成法の一部改正について質問いたします。
 今回の森林組合法の一部改正は、事業範囲の拡大、また指定森林組合制度、そして理事会等の執行部の法定化を初め、非常に多くの内容を含んでおります。また、森林組合合併助成法におきましては、経営基盤の強化を進めるためからも、合併の期間を平成九年三月三十一日から平成十四年の三月三十一日まで延長するということで今回法案の一部改正が提出されておりますので、それについて順次質疑させていただきます。
 まず、森林組合法の一部改正についてでございますが、今回、森林組合の事業範囲が拡大されましたが、どのような観点からこの事業範囲の拡大が行われておるのか、農水省にお聞きいたします。
○高橋政府委員 森林組合につきましては、制度発足以来数次の改正を経まして、林業関係については、森林造成から木材の加工、販売、住宅建設等各般にわたる事業ができるようになっているわけでございます。
 しかしながら、森林組合の事業運営の実態を見ますと、多くの組合は法律上与えられた事業能力を十分に活用していない一方、子会社の設立等によって事業の多角化を図って、経営基盤の強化に努めている組合も出現してきております。経営基盤の脆弱な森林組合の多くは、補助事業関係の既存の森林施業中心の事業展開にとどまっておりまして、木材価格の長期低迷のもとで収益が上がらず、本来行うべき組合員のための森林施業にも支障が生じかねない状況となっております。
 こうした状況の中で、今回の改正は、組合系統の要請を踏まえまして、学識経験者を集めた検討会の結論を受けて、農協系統の合併の進展等山村地域における諸情勢の変化を勘案しまして、森林組合が経営基盤の強化を図るとともに、地域協同組合としての役割を今後とも十分果たしていけるよう制度的な手当てを行うものであります。
 具体的には、地域の実情に応じて、森林組合が組合員の生産する物資一般の加工、販売等を行い得るよう加工販売事業の対象を拡充するとともに、森林組合の有する作業班を、林業関係に限らず、農作業や生活面において積極的に活用する観点から、共同利用施設事業の対象を拡大するものであります。
○矢上委員 最近におきまして、総合農協ですか、いわゆるJAの広域合併化が進んできまして、かつては山村の隅々までJAの組織網がありましたのが、今だんだんサービス機関として変容してきまして、平場に移ってきております。そもそも、中山間地として本来ならば農業者団体がカバーするべきところが、先ほど申しましたように、広域合併で平野部、平場におりてきておる。非常に中山間地域が手薄になっております。しかも、森林組合がある、また森林組合がそこになければならない山村におきましては、過疎化、高齢化が進みまして若い人がいない。お年寄りしかいなくて非常に地域が寂れてきておる。
 その中で、今各地の森林組合におきましては、特産物を加工、販売したり、また鍾乳洞等の観光ルートの設定、観光施設の設置など非常に努力しておられます。ある意味では、農林業者団体の中で一番自助努力でやっておられるところが、特徴的なのが森林組合ではないかと思っております。そういう村おこし、それを先鋭的にやっておられる森林組合、そういう森林組合の役割をきちんと認識して、改めてこれからの政策の中に森林組合の役割を明記すること。
 また、作業班についてでございますが、非常に高齢化が進んできております。作業班の年齢構成が、昭和五十年では三十九歳以下が二一%、六十歳以上は一五%でございましたが、平成六年におきまして作業班の年齢構成は、三十九歳以下が九%、六十歳以上が四八%です。つまり、作業班の二人に一人は六十歳以上の方でございます。全国に三万六千七百九十八人の作業班員の方がおられます。一組合当たり二十五人でございます。また、この人たちの年間の就労日数が、統計によりますと、百五十日以上働く人が二万三千人。三万六千人のうちの六三%が百五十日以上働く人です。それ以外の四割の方は百五十日未満です。まあ私たち一般人が年間約二百五十日働いて生活費というかサラリーをもらっているわけですけれども、作業班の人たちにおきましては、百五十日以上勤めれば幸せの方に入っております。
 作業班の方々の雇用をこれからどうやって維持していくか。それは 過疎化を食いとめ、若い人たちを引きとめていくためにも大変大事なことだと思っております。特に、去年、ことしと三十歳未満の作業班員の方々の就労率が増加しております。そういう中できちんと作業班が通年雇用できるようにその活用を図っていただきたいと思います。
 これについての御決意を農水省からお聞きしたいと思います。
○高橋政府委員 作業班の活用ということで、今回の改正におきましては共同利用施設の拡充というふうなことを行う考えでございます。作業班を、林業関係だけに限らず、農作業それから生活面、そういうところで積極的に活用して、通年雇用といいますか、そういうふうな形態ができるように考えているわけでございます。
 共同利用施設は、建物を伴う物的施設のほか、ある作業を組合員のために行うために人を設置する、いわゆる人的施設も含むものでありまして、森林組合の事業の発展に応じて多様なものが想定されていまして、現在、すぐやれるような作業としましては、雪おろしとか除雪とか造園工事、こんなふうなものまでができるようこ考えております。
○矢上委員 続きまして、森林組合の執行体制の整備についてお聞きいたします。
 特に理事に関する規定の整備の項目で、理事と使用人の兼職が認められることになりました。ただし、昭和五十三年の改正時におきましては理事と使用人の兼職禁止があえてうたわれております。なぜ、昭和五十三年にあえて兼職禁止の項目を設けたのに、今回急に理事と使用人の兼職禁止を撤廃したのか。その理由についてお聞きしたいと思います。
○高橋政府委員 これまで、株式会社とか農協、漁協につきましては取締役、理事と使用人の兼職が認められているんですけれども、森林組合については、両方の地位を兼ねると責任が不明確になるという懸念があったためにその兼職を認めていなかったわけであります。
 しかしながら、作業班の設置の拡大が進む中で、組合に精通した者を登用する観点から班員を理事に選任する実態が出てきております。現在、理事と使用人との兼職は禁止されているために、作業に対する報酬を含めて、給与はあくまで理事報酬としてのみ支払い、使用人ではないという建前を維持せざるを得ないなど、法制度と実態が乖離をしている状態でございます。
 それから、組合の合併の際に、合併前の旧組合の本所を合併組合の支所とするというふうなケースが出てまいりますが、その支所長の地位に旧組合の地区を代表する新組合の理事を充てるということによって円滑な組合の運営ができるということがあると思われます。
 そういうふうなことで、昭和五十三年当時とは状況が異なっておりまして、今回の改正によりまして、理事会の設置など執行体制が整備され、理事の地位とか権限、その内部牽制体制が明確化されるということを機に、理事と使用人の兼職禁止規定を解除するということとしたものでございます。
○矢上委員 今回の改正で、理事会の法定化、そして商法の準用によって監査機能の強化が進むことになり、お手盛りが避けられる。そういう意味で、兼職禁止が撤廃されたと理解いたしております。
 さらに、そもそもの理事についてでございますが、農業協同組合法の改正におきましても、学識経験者等の員外理事の活用をきちんと図って、そもそも理事会自体をきちんとした正常化を図り、また監査機能も強化する、それが本筋であるとうたわれておりますが、森林組合におきましても総合農協同様に、員外理事の活用がほとんどなされていないとお聞きしております。その状況と、これから先、確実に員外理事の登用を促進するための施策についてお聞きいたします。
○高橋政府委員 平成六年度におきまして、員外理事の数は、全理事数一万七千八百三人中、九十七人でございまして、御指摘のとおり、員外理事制度は十分活用されていないという実態でございます。
 今度の合併による組合の広域化、大規模化に伴いまして対外取引が拡大するということを踏まえ、今回の改正で経営管理体制を整備するところでありますけれども、その組織の活性化を図るために、確かに、学識経験者とか実務の精通者、経営能力の高い企業経営の経験者、これを役員に登用するということはぜひ必要なことと思われます。
 これまでも、その登用に努めるということを指導してまいりましたけれども、これからもぜひ、業務の執行に有能な才能を持つそういう方を、あるいは組合の本質をよく認識されている員外理事の登用の促進を指導してまいりたいと考えております。
○矢上委員 ぜひ員外理事の活用については積極的な促進をお願いいたします。
 続きまして、森林組合合併助成法の一部改正について一点お聞きいたします。特に、林業労働力の確保の促進に関する法律の特例についてお聞きします。
 他産業に比較して労働条件が劣る林業労働者薫対して、今回の改正でいかなる配慮がなされているのか。つまり、先ほど申しましたようにい林業労働者は非常に作業の年間日数が少ない。しかも、日給とか出来高払いとか、日にちが少ない上に日給であれば非常に大変でございます。また、雇用契約も不明確であるとか、けがをした場合の補償条件も不明確であるとか、いろいろな問題が現場で噴出しております。今回の合併助成法におきましてどういう配慮がなされているのか、お聞きいたします。
○高橋政府委員 山村地域の過疎化、高齢化を背景としまして、林業労働者が減少しております。その確保が急務となっておるわけですが、昨年、林業労働力の確保の促進に関する法律を制定しまして、林業事業体が雇用管理の改善と事業の合理化を一体的に図るための計画の認定を受けた場合に、新規就業者の研修費等について無利子資金を貸し付ける等の支援措置を講ずる制度を創設しております。
 森林組合の合併に当たりましても、合併後の森林組合が森林施業を安定的かつ効率的に実施するためには、森林施業の実際の担い手であります林業労働者を確保する体制が整っていること、すなわち、合併を契機として雇用管理の改善と事業の合理化とを一体的に進めていくことが確かに重要なことでございます。このために、合併及び事業経営計画に雇用管理の改善に関する計画を盛り込むこととするとともに、その認定を受けた森林組合を林業労働力確保法上の認定事業主とみなし、同法のメリットを受けることができる仕組みを新たに設けることによりまして、林業労働者の雇用の改善に資することとしております。
○矢上委員 今回、合併に伴う事業計画の認定におきましては、雇用管理の改善目標が設定されて都道府県知事が認定するということでございますから、雇用条件をどのように文章で明文化するか、また、明文化する際の、けがをした場合とか賃金体系についてとか、きちんと客観的な基準を設けて認定に臨まれることをお願いいたします。
 続きまして、次の質問に移らせていただきます。改正案とはまた別の質問でございますが、御了解ください。
 まず、農地法の関連についてでございますが、きのうの新聞で、世界最大の生鮮野菜、果物の生産供給会社、アメリカのドール・フード・カンパニーが、九八年一月をめどに日本の農家との間で契約農園制度を導入するという記事が出ておりました。とりあえず千戸、多分専業農家だと思いますが、千戸の農家を組織するということで、日本でもこうした企業による農業の規模拡大が現象としてあらわれてきております。千戸の専業農家といいますと、町の規模にあらわすと、十万から二十万人の地方都市の抱える農家数ではないかと思っております。
 それほど大きな地域に対してアメリカのドールが進出してくる、そういう状況を前提としまして、実は、武藤総務庁長官が二月十四日の記者会見で、規制緩和推進計画改定に、現行の農地法で認められていない株式会社の農業経営参入を盛り込みたいという意向を表明されました。それに対して、農林水産省は、農政の根幹にかかわるということで反発されておるという一部報道がなされております。
 なぜ、ここまでの過剰な反応がされておりながらもきちんとした議論がされておらないのか、農水省としてのお考えを農林水産大臣にお聞きいたします。
○藤本国務大臣 武藤さんの発言は、規制緩和という観点から、個人的に記者懇という立場で発言されたように承っております。その後、私も仲間でございますから、いろいろ武藤さんのお考えも聞きました。詳細はこの場では差し控えますけれども、彼の意見も十分承っております。
 我々としては、この株式会社の農業経営の参入という問題については、農地法で今認められていない問題でございまして、これは極めて我が国の農業にとっては基本的な、農地法という問題は基本的な問題で、将来非常に大きな問題であるというふうに認識をしておるということがまずございます。
 今、状況を申し上げますと、平成八年の三月に規制緩和推進計画という閣議決定が出されまして、それに基づいて、平成八年度中に関係者からこのヒアリングなど幅広い検討を行うように、こういうことになっておりまして、現在は、関係者から意見を伺っているというのが今の現状。
 我々は、新しい農業基本法というものをつくって、これは、日本の農業が非常に大きな転換期に来ている、これも、今政府が取り組んでいる行政改革、財政改革、経済構造改革、そういう問題にもかかわる、そういう大きな改革に新しい農業基本法をつくるということはなるわけでございまして、そういう観点からも、新しい農業基本法をつくるということで農水省としては取り組んでおるわけで、平成九年、十年にかけまして、これについての審議会をつくり、意見をまとめ、そして結論を出す、こういう考え方で今進めておるわけでございまして、その中で、この株式会社の農業に対する参入という問題は一つの大きな課題、柱でございますので、十分に今いろいろな方々の意見を承りながら研究、検討しておる、こういう状況でございます。
○矢上委員 幾つか大臣の御意見をまとめますと、武藤長官が個人的におっしゃったことであるということと、議論に時間が少しかかる。ただし、武藤総務庁長官が個人的におっしゃったことといいましても、現実問題として、平成七年の規制緩和小委員会におきまして同様の意見を受け、昨年の春から農林水産省におきましても農業生産法人制度検討会というものが催されているわけでございます。十分な議論の時間があったのではないか、今突然唐突な印象を受けて慌てる必要がないのではないかということが一点。
 それともう一つ、農地法上、農業経営への参入が認められないと言いますが、要するに、株式会社が農地を直接持てないということだけでございます。株式会社が農業経営に参入することは禁止されておりません。例えば、株式会社が山林等を購入して開拓して農業経営を営むとか、例えば農地を転用してコンクリートを張って水耕栽培等を営むとか、またドール社のように委託契約を結んで日本の農業に積極的に参入するとか、あらゆる方法で、もう既に門戸は開かれておるわけでござ
 います。
 しかし、それに対しまして、例えば今農業をやっておられる方々が、有限会社だけでは対応できずに株式会社をやりたい。例えば、農民の方々がたくさん集まって土地を出資し合って、都市部の方から現金を出してもらって株式会社をつくろうとすると、農業者は農地を持っていますから、本来の農業者が株式会社をつくろうとするとできない。しかし、外国の資本が、あらゆる形で株式会社をつくり農業経営に参入することができるという非常に矛盾した現象ができております。
 そういう点を踏まえまして、平成七年の規制緩和小委員会を受けてできた農業生産法人制度検討会におきまして、株式会社におけるどのような評価がなされているか、農林水産省にお聞きしたいと思います。
○山本(徹)政府委員 先生御指摘のように、日本の国内の量販店あるいはスーパー等でも、契約栽培という形で、先進的な農家と契約して優良な野菜、果物等の農産物を直接安定的に購入される、農業者にとっては安定的に販売をするというような方法がございますし、また農地を所有しないという形でございますと請負耕作の形、あるいは施設園芸等の形で株式会社が農業経営に携わっておられるのも事実でございます。
 農地を株式会社が所有するということにつきましては、閣議決定でも平成八年度にこの問題を検討するというような課題をいただいておりますように、大変多面的な問題から検討すべき問題がございます。
 これまで十二回にわたりまして御指摘の検討会は進めてまいりまして、土地問題あるいは農業問題の学識経験者、それから農業経営者、さらに全国農業会議所、全国農協中央会、経団連等から御意見を承り、いろいろな検討を進めさせていただいておるわけでございますけれども、大きな論点として大まかに言いますと三つございます。
 一つは、日本の農業のこれからの担い手をどういう姿として私どもは描き、この担い手の育成に努力すべきかという点でございます。これについては、株式会社に農地を持たせた方が効率的な農業経営が実現できる、農業の活性化ができるという御意見がある一方では、これはどちらかというとアメリカ型でございますけれども、ヨーロッパの大陸型のように、やはり日本は狭い国土でこれを十分に利用した農業経営を実現するという形を考えると、家族農業経営を中心として担い手の育成方策を考えるべきであって、現在も認定農業者に農地の利用の集積を図ろうとしているわけでございますが、いわば農地という貴重な日本の生産手段が、株式会社と家族農業経営者との奪い合いになる場合がございます。どちらを日本の農業の理想として考えるのかという、大きな担い手のあり方についての議論がございます。
 それから二番目には、農村の活性化に役立つのではないか。株式会社が農村に進出してくれれば、資本力とか企画力、情報力を豊富に持って、いろいろな農業あるいは農村の活性化のアイデアが実現されるのではないかという意見がある一方では、農地は御案内のように内地で十アール、三百坪二百万が平均でございます。北海道では十アール五十万程度でございます。したがって、数億円程度の資金力があれば一つの集落の農地を理屈としては全部買い占めることが可能になります。このような、例えば東京の大きな食品会社とか株式会社が、ある地域の農地を買い占めるというような事態が生じた場合に、農村の今の社会に大きな混乱、あるいはかえって停滞をもたらすのではないかというような意見もございます。
 それから三番目に、土地利用の問題でございます。株式会社に農地を持たせても、きちんとこれを活用して効率的な農業経営が行われればこれはこれでいいわけです。このためには、農業経営以外にこれを転用してはならないというような土地和用規制をきちんどかければ、そういう投機的な取得は排除できるのではないかという意見がございます。耕作放棄地などもふえておるので、こういったところの有効利用にもつながるのではないかという意見がある一方では、現在の憲法二十九条のもとで、農地法、農振法等で、あるいは都市計画法等で計画的な土地利用、土地利用の規制を行っておりますけれども、農業経営を行うという理想、名目のもとに、将来にわたって資産保有あるいは投機、投資を目的に農村の農地を所有されて、農業経営を一応表面的には行っている。本当にそこで一生懸命農業に従事していただければいいのですが 例えば牧草をつくるとかレンゲをつくるとか、あるいは永年生作物の梅とかカキを植えて、一応農業経営をやっているよという姿、いわば偽装工作といいますか、そういった形で農地を保有して、将来の有利な転売、転用に備えるというようなことは、なかなか今の日本の憲法のもとでの土地利用規制の法制では限界があるのではないかというような意見もございます。
 私ども、これは農政の基本にかかわる問題でございますので、先ほど農林大臣から御答弁もございましたように、いたずらにいつまでも検討を続けているわけではございませんけれども、そういった多面的な視点から関係者の御意見を十分承りながら、適切な方向を見出してまいりたいと考えている次第でございます。
○矢上委員 ただいまの山本局長の御意見に対して、幾つか私なりの意見を述べさせていただきます。
 まず、買い占めの件です。例えば一集落が全部株式会社の手に入る。実は私が地元を歩いて農家の方からお願いされるのが、土地改良をやったけれども息子も帰ってこない、負担金も払う能力がないから農地を買ってくれる人を紹介してくれ。あともう一つは、年金が国民年金で月四万円ぐらいしかもらえないから、サラリーマン並みの年金を支給してくれ。この二点でございます。
 あともう一つ、土地について聞きますのは、私の妻の実家が千葉県でございますが、圃場整備をしていただくと大変有利になる。銀行にお金を預けるよりも国から圃場整備をしていただいて道路をよくつくっていただくと、住宅、工業用地に転用できる。今宅地、工業用地転用の期待のみが圃場整備を進めておって、現実に農地を売りたい、つまり子供さんがあと帰ってこない人たちのところにおきましては、非常に圃場整備に対して危機感がございます。
 そういう点が株式会社だけでなく農業者の中にも存在すること、また将来の担い手をどう想定するかという中におきまして、認定農業者の問題がございます。認定農業者が長期資金の融資を受けようとしますと、非常に厚みのある膨大な資料が必要となりますし、まず資料をつくって持っていっても、中山間地におきましては、あなたの農地はいわゆる資産価値、担保価値がありませんということで融資を拒否されてしまいます。もともと、中山間地の農地に担保価値があるほどの資産価値があるわけではございません。二千万、三千万借金しようとするときに、田舎の農地はそんな高く担保能力があるわけではございませんので、そこをどうするかという問題。
 またもう一つ、今あります有限会社とか農事組合法人とか、農林水産省の施策に基づいた法人を仮にやったとして、例えば年金が少ないからどうしてくれるんだと言われるときに、商売人と同じように有限会社をつくってきちんと社会保険に入ってくださいと言いますと、実はみんな有限会社を一回やりましたと。しかし、家族経営でやっておるような有限会社でありますと、天候のリスク、また市場における農産物価格のリスクにより、年によってはお金がなくて払えない、つまり赤字のときには社会保険の掛金を払えない。では黒字のときはどうですかと言ったら、黒字のときは税金で持っていかれますと。となると、家族単位を想定した今の農地法の有限会社等の組織では、これからの後継者の福利厚生を充実させることができないのではないか、そういう問題が指摘されております。
 いずれにしましても、天候のリスク、市場のリスク、いろいろなことを分散させる意味でも、広域型の、また家族経営からある程度壁を乗り越えた形での株式会社論というのが、今すぐやれとは言いませんが、これからの議論として国会でも表舞台に乗せていただければと思います。
 最後に、大臣にお願いでございます。
 武藤長官がおっしゃった自給率の向上と規模拡大の二点についてでございますが、日本の国内農産物の自給率を向上させようとすると、つくった以上は売らなければなりません。また、規模拡大についても同様でございます。低コストで大量の農産物をつくるということは、それをさばく必要があります。売れる品物をつくり出すための情報力、企画力、そして自分の力でそれを売りさばく流通力が必要になってまいります。
 改めて申しますが、今の体系の中での法人化におきましては、私の知り合いも農事組合法人を農協を窓口にして補助金をもらってつくったのですが、流通が限定されてしまいます。農協に半分、残り半分をほかの民間に卸そうとしますと、目に見えない圧力がかかってなかなか流通の自由ができない。
 つまり、今農地法が認めておる法人制度の中には、流通を阻害するような要素も入っております。できるならば、せっかくお金と手間をかけてつくった法人ですから、よくできたものは少しでも高く売れる努力を農家がするときに、そういう流通を阻害するような要素があるようであれば、それはぜひ改めていただきたいと思います。
 そういう意味で、今後の後継者の雇用体制、福利厚生の問題にも波及しますが、今後の議論の展開につきまして、大臣の決意をお聞きしたいと思います。
○山本(徹)政府委員 先生、具体的に現地の農業者のいろいろな悩みのお話を御指摘いただきました。
 私どもも貴重な御意見として承りましたが、農業者の福祉の問題、これは、農業者年金制度、これは国民年金と併給されるわけでございますけれども、こういったものの積極的な活用とか、あるいは、農地をだれかに譲りたい、これは農地保有合理化法人の制度あるいは農業委員会のあっせんの制度等々、いろいろな制度がございますし、また、融資の円滑化、さらに有利な販売先の開拓、拡大、いろいろな農業経営の現場の御意見でございます。これらについては、私ども、それぞれの制度の改善あるいは活用といったことをこれから考えたいと思っております。
 ただ、そういった問題を解決するために株式会社に農地を持たせるのがいいのかどうかというのは、これはかなり慎重に考えるべき問題であると思っておりまして、先生の御意見も承りながら、私ども十分検討させていただきたいと思っております。
○藤本国務大臣 いろいろな実情につきまして委員から御意見がございまして、私もこれから、今言われました現場の状況については十分に調査をしていきたいと思っております。
 それから、先ほども申し上げましたけれども、これは新しい基本法の制定の中で、今、農地法で株式会社が土地を持つということは禁止されておるわけでございますが、その問題も含めて農地法全般の問題について、新しい基本法をつくる、その中で検討していくという大きな柱として問題意識を持っておりますので、十分に考えていきたいというふうに考えております。
○矢上委員 私も、今、株式会社の農地保有の問題について早急に出すべきであるとか、私自身明快な答えを実際持っておりません。ただ、法人化というものが本当の意味で農業のため、農民のために役に立つような議論をオープンな形で、早目に議論は進めていただきたい、そしてより多くの選択肢を農民の方々に持っていただきたい、そういう要望でございます。
 続きまして、また別の問題でございますが、生産調整の問題について質問いたします。
 橋本大二郎高知県知事が、年頭所感におきまして、生産調整目標実現のための市町村、農協に対する指導を行わないとの意向を示されました。これに対しまして、農水省初め農業関係者、例えば高木食糧庁長官の、橋本知事の拒否は法律違反につながるというコメント、また、農水省農産園芸局の、都道府県が市町村、団体への指導を拒否することは農政をやらないことにつながるという大きな反応なり反発がございました。
 これにつきまして、橋本知事の発言に対して農水省はどのような受けとめ方をしておられるのか、率直な御意見をお願いいたします。
○高木(賢)政府委員 橋本高知県知事の発言についてでございます。
 基本的には今後の生産調整のあり方についての御提言の一つかなというふうに思っておりますけれども、私どもとしては知事とは見解を異にしておりまして、約三割の需給ギャップがあり、全国の三百万にも及ぶ稲作農家を対象として生産調整をやっている、これは、言うまでもなく、価格の大幅な低落を防ぎ稲作経営の安定を図るということと、これを通じまして、主食である米につきまして、消費者に対して安定的な量を安定的な価格で供給するということを目的としているものでございます。
 したがいまして、こういう重要な意義を有する生産調整につきましては、生産者団体の主体的取り組み、これは重要な点でありますけれども、それとあわせて、国、都道府県、市町村の行政、それと生産者団体が一体的に取り組むということによりましてその着実な推進に努めていく必要があるというふうに考えております。
 橋本知事も生産調整の必要性自体については御理解をいただいていると思っておりますけれども、やり方といたしまして、報道がどこまで正確かわかりませんが、県が手を引くというような趣旨であるとすれば、これは、食糧法で定められた県の仕事、これは講学上の用語で団体委任事務ということで整理されているわけでございますが、そこから外れる可能性があるな、こういうふうに考えているわけでございまして、その点につきましては、各県の担当の皆様方に改めて都道府県の会議の場におきまして御説明を申し上げ、御理解を求めているところでございます。
○矢上委員 持ち時間があと一分になりましたので、この問題について私の意見を大臣に申し述べて、終わらせていただきたいと思います。
 私も、生産調整、いわゆる減反というものは、原理原則上は必要不可欠なものだと思っております。私自身、減反以外に何があるのかと聞かれたら答えられませんが、しかし、選挙区に戻って農家の方から何で米をつくらせないんだと言われますと、私も、そうですね、やはりつくる自由は大事ですね、減反はなくす方向で頑張りますと答えてしまいます。多分、きょうここにおられる皆さん方も内心同じ状況ではないかと思います。農家の目の前で、減反をやらないあなたが悪いとなかなか言えません。
 ということは、なぜそうなってきているか。減反は原理原則上いいのに、なぜ減反というシステムが崩壊しつつあるのか。いわゆる減反が悪いというよりも、減反を行うためのプロセスですね。
 これはもう当たり前のことですが、生産調整の過程というものは、国が目標を決めて、徐々に、県、市町村、そして地元農村社会の人間関係までおろすわけです。農村社会の濃密な人間関係をもとに生産調整を割り当てるわけでございますが、この濃密な人間関係というものは、かつての、戦前戦後の、機械化が進まなくて、人力で、部落単位でやっておった農業の時代には濃密な人間関係というものは存在しておりましたが、現在の農業社会におきまして機械化が進んだおかげで、濃密な人間関係というものは崩壊しつつあります。また、中央集権国家から地方分権という流れの中で、橋本大二郎知事もおっしゃっておりますが、行政の権力の執行ではなくて、地方自治体と住民との契約主義に基づくものだという、その二点でございます。契約主義に移行する中で、当然生産調整のプロセスというものは崩壊していくわけでございます。
 あと、さらにもう一つ、今外国産米が入ってきておりますが、これから徐々に外国産の比率がふえてきて、関税化が進んでいきますと、幾ら減反を生産調整でやっていても、外から入ってきてぼろぼろこぼれる。システム自体に疲労が起きてきておるわけでございますので……(藤本国務大臣「関税化になることは決まっていません」と呼ぶ)決まっていませんか。じゃ、今でもどっちみち三百万トン以上残るわけですから、今の状態でいくと、余るわけです、米が。生産調整は今でも足りないぐらいだ、もっと厳しくしたいのだという声もございます。ただ、今以上に厳しくするというのは大変難しい状況ですが、この減反、生産調整の仕組みというものをタブーにせずに、やはり、先ほどの法人化の問題と同じように、表に出すきっかけを橋本高知県知事はつくってくれたわけでございますので、どうか、今後とも、橋本知事の申し入れが大臣にありましたら、ぜひ積極的な議論をお願いいたします。要望として、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
○石橋委員長 次に、斉藤鉄夫君。
○斉藤(鉄)委員 新進党の斉藤鉄夫でございます。
 きょうは、私は、森林病害虫等防除法の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。
 松くい虫の被害が現在でもおさまっておりません。日本全国でこの被害の深刻な状況が続いております。私は広島でございますが、広島で高速道路を走りますと、その両側は、まさに死の山が続いている。枯れた松の山が延々と続いております。広島空港ができましたけれども、新広島空港、国際便もたくさんございますが、外国から来られた方が、広島空港におり立って、高速道路を使って広島市に入ってくる。その間じゅう、両わきはもう死の山が続いております。まさに、日本の一番恥ずかしい部分を外国から来られた方に見られているよりな、そういう気がするわけでございます。
 森林というのは、海洋と並んで我々の生存を根底で支えているものでございます。その森林が今や死に絶えようとしている姿をそこに見るわけですが、我々の将来の姿を二重写しで見るような気がいたします。そういう意味で、何とか、我々の生存を根底で支えている森林を守りたい、こういう観点からきょういろいろ質問をさせていただきます。
 まず、今回、この森林病害虫等防除法の一部を改正する法律案、これは、松くい虫特別措置法、昭和五十二年、五年の時限立法でできたわけですが、三回延長されまして、二十年間続いてきました。この時限立法である松くい虫特別措置法を廃止して、その内容を森林病害虫等防除法、恒久法であるこの防除法の中に取り入れるということでございますが、この松くい虫特別措置法二十年の評価、総括、これをまず農水省としてどういうふうに考えていらっしゃるか、お聞きしたいと思います。
○高橋政府委員 松くい虫の被害対策につきましては、森林病害虫等防除法に加えまして、昭和五十二年に御指摘のように松くい虫防除特別措置法を制定しまして、五十七年、六十二年、平成四年と改正してまいったわけであります。
 五十四年度に二百四十三万立方に及んでいた被害が、平成七年度には四割程度の百一万立方にまで減少しております。それから、被害地域の著しい拡大、これも停止してきておりまして、あと、保全すべき松林においては激しい被害の抑制が進む、こういうふうに、松くい虫の被害の鎮静化に一定の成果を上げてきたと思っております。
 しかしながら、松くい虫の被害量ば、なお百万立方という高い水準でございますので、それから、一たん被害が軽微になった地域におきましても、気象要因等によっては再び激しい被害状態に陥る危険性がある、そういうふうに認識しておりまして、引き続き被害状況に対応した適切な対策が必要であるというふうに考えております。
○斉藤(鉄)委員 二十年間それなりに効果があった、被害材積二百四十三万立米が百一万立米になった、鎮静化に役立ったんだ、この法律の存在意義はあった、こういうお答えかと思います。しかし、当初は、一回のこの五年の時限立法で二、三年も空中散布をすれば、特別防除をすればなくなる、こう言われていたのが、結局二十年もかかって被害は半分ぐらいにしかなっていない。また中国地方では、逆に被害はふえております。一生懸命空中散布をした割こま、被害はふえております。そういうことで、私が評価、総括しているのは、ちょっと林野庁の評価、総括と違いますけれども、その点についてはまた後で質問をさせていただきます。
 今回、まだ被害材積として百一万立米ある、おさまっていない、そういう状況にありながら、この時限法を延長するのではなく、恒久法の中に組み入れて対応した理由でございますけれども、前回の延長、五年前の延長からこれまでに何か五年前と違う情勢の変化があったのかどうか、また、終息に向けてどのような見通しを持っているのか、その点についてお伺いいたします。
○高橋政府委員 前回に改正してからの変化と申しますと、やはり被害量がある程度終息といいますか、百万立方の水準に落ちてきたこととか、それから、被害地域の著しい拡大が停止しているというふうなことで、緊急に防除を行うための時限的な特別措置として認められてきた特別防除の直接実施の必要性、これが乏しくなったというふうなことが情勢の変化でございまして、しかしながら、それで放置しますと、一たん軽微になったところでもまた数年後に被害が再激化する可能性もある、そういうことで、被害木の破砕ですとか焼却、そういうものを内容とするような特別伐倒駆除命令、こういう特に効果の高い措置を必要に応じて機動的こ発令し得るというふうな制度は整備しておくことが必要であると思っております。
 そういうことで、特別措置法は延長しないということで、松くい虫に対する特別な措置のうちの今後とも必要なものを、恒久法である森林病害虫に取り込んで実施していきたいというふうに考えているわけであります。
 今後は、特別伐倒駆除、樹種転換、そういう防除に加えまして、被害木の早期発見のための対策や、感染源を除去するための森林の適切な整備、これを一層拡充して推進しまして、激しい被害のさらなる抑制と再激化の防止を図ることによって被害の終息が早期に図られるように最善を尽くしていきたいと考えているわけであります。
○斉藤(鉄)委員 特別措置法を恒久法の中に組み込むその理由についてはよく理解ができました。
 この特別措置法、松くい虫被害をなくすために二十年間非常な御努力をされてきた。その二十年間の努力にもかかわらず、松くい虫被害といいましょうか、松の枯れ死、松林の荒廃、これを防ぐことができなかった。その主な理由はどういうふうに総括をされておりますでしょうか。
○高橋政府委員 終息させるという目標に向かって、達成できなかった大きな理由としましては、高温少雨、風雪害、そういうマツノマダラカミキリとマツノザイセンチュウの増殖の加速を招くような気象状況が発生したということ、それから樹種転換、これが停滞しております。それから、除間伐のおくれ等に伴いまして、マツノマダラカミキリの繁殖源の増加というものが見られております。それから、被害木の見落としということで、駆除措置が徹底していない、こういうことが、要因が重なってなかなか終息に至らないということが理由と考えております。
○斉藤(鉄)委員 被害を終息することができなかった理由は、一つは気象その他、被害木を見つけられなかった、いろいろ理由がございました。
 それも一つの原因かと思うのですけれども、最近、新しい学説が出てまいりました。それは、松くい虫被害の主犯は松くい虫ではない、この言葉自体ちょっと矛盾しております。松くい虫被害の主犯は松くい虫ではないという言葉、ちょっと矛盾しているのですが、要するに、広がった松の枯れ死、松林の荒廃、その主犯は松くい虫である。松くい虫がマツノザイセンチュウという非常に小さい線虫を運ぶ。その松くい虫が松を食べているときに、マツノザイセンチュウが松の中に入って、その中で繁殖をし、それが松枯れを起こすのだ。これが松くい虫主犯説でございます。この松くい虫主犯説によってこの二十年間、松くい虫特別措置法という法的裏づけを置いて、主に特別防除、つまり農薬の空中散布が行われてきたわけでございますが、この特別防除を本当に一生懸命やってきながら効果が上がらなかったその原因は、松くい虫主犯説そのものが間違っていたのではないか、こういう学説が出てまいりました。
 その学者の方にも私お会いして、いろいろ学説、また実験場等見させていただきました。その学者の方の説によりますと、環境主因説といいましょうか、大気汚染、酸性雨であるとかそれからディーゼルエンジンの微粒子が松の気孔に入る。松の葉っぱというのは構造上非常に大気汚染に弱い構造になっているのだそうですが、そういう微粒子の影響等によって、また酸性雨による土壌の劣化、こういうことによって、松の体力そのものがなくなる。松の体力がなくなったところに松くい虫が行ってマツノザイセンチュウを運び、マツノザイセンチュウが体力のなくなった松に繁殖をする。ですから、マツノザイセンチュウが松枯れの原因ではなくて、そもそも大気汚染が原因なのだ、環境の方が主要因なんだという学説でございます。
 実験結果を見ますと、確かに元気な松に松くい虫を巣くわせてマツノザイセンチュウを繁殖させようとしても、元気な松ではマツノザイセンチュウは繁殖しないそうでございます。そういう実験結果が出ております。また、情況証拠的にも、例えば高速道路に面している山は松林が本当に枯れている、頂上を過ぎましてその裏側に行きますとほとんど松枯れが見られない。広島県も確かにそういう状況でございます。
 こういうことを考えますと、ここで学術論争をするつもりはありませんが、松くい虫主犯説でこの松くい虫特別措置法、特別防除をやってきたその主犯説そのものが、根底が間違っていたから効果が上がらなかったのだ、こういう説に対してどのようにお考えでございましょうか。
○高橋政府委員 松くい虫被害の原因は、そういう最近の学者の説もございますが、やはりマダラカミキリが運ぶマツノザイセンチュウであるということが森林昆虫学とか森林樹病学、そういうところで国の内外を問わずに学説、定説となっているわけであります。
 全国的にも発生している状況を見ますと、葉が秋口から急激に鮮やかな赤褐色に変化するという松くい虫の被害の共通した特徴を示しておりますし、それから多くの地域においては枯損した松からマツノザイセンチュウが検出されておりますし、それから都市近郊のほかに、大気汚染の考えられないような島など、そういう大気汚染の考えられないような状態のところでもやはり発生している。それから、大気汚染が問題となっていなかった昭和二十年代にも、百万立方に及ぶような松枯れが発生している。それから、大気汚染であればほかの、松以外の多くの樹種があるわけですけれども、しかも、松と同じような気孔といいますか、そういう松の葉っぱの形状を持っているような針葉樹には被害が出ていない。こんなことから、特定の環境要因というものによるというのは考えられないというのが学説でございます。
 今御指摘のような、環境主因説を主張されている方も、その実験状況、そういうものをきちんと明らかにして、科学的に合理的な検証を行って、広く研究者に認知されているという状態ではありませんで、そのようなしっかりした論文といいますか、そういうふうな論文がきちんとした場所に発表されているというふうには理解していないわけでございます。
○斉藤(鉄)委員 林野庁としては松くい虫主犯説が正しい、これからもその説によって松くい虫特別防除、空中散布を行っていくということのようでございます。学術の世界ではまだこの学説は全く認められていない説である、ですから、今までの定説の方が正しいのだということでございます。
 確かに最近の知見でございますので、学会の中で大きな一つの流れになってきているということはありません。しかし、いろいろな学会での発表、また実験場等が公開されておりまして、それを見る限り一つの説得力を持ちますし、先ほど申し上げましたように、情況証拠的には我々住民に対しては非常な説得力を持ちます。つまり、大気汚染が現実に起こっているところに松くい虫の被害が激しい。
 広島には三次盆地という盆地がございます。霧の都として有名な盆地でして、霧が非常にきれいなところでございます。そこに中国自動車道が開通をしてから、その霧が酸性霧になったということで非常に有名でございます。山が四・五、四・六のそういう酸性霧。酸性霧の霧の都になってしまった。その霧がたまる三次盆地に面した山の松枯れが非常にひどくなった、その盆地の山の頂上を越えた部分についてはほとんど松枯れが見られない、こういう調査結果もございます。
 また、先ほど瀬戸内海の島の山の頂上、こういうところで松枯れがひどい、これは大気汚染と関係ないのではないかということでございますが、地上部で発生したいろいろな大気汚染物質、酸性降下物、こういうものは、地上から大体三百メートルから四百メートルの間を対流していると言われております。それ以上こま行かない。風が強ければ別ですけれども、普通、平穏な気象状況ではこういう対流層を形成している。その対流層に相当する三百メーター、四百メーターの、島の山の頂上部で松枯れが発生しているということであって、大気汚染に関係のない島で発生しているから大気汚染と関係ないのだというのはちょっと言えないのではないかというふうな説もございます。
 いずれにせよ、ここで学術論争をする気はないのですけれども、環境影響ということも非常に大きな説得力を持っている以上、そういうものについてもきちんと研究評価をしていく、そういうおつもりはございませんでしょうか。
高橋政府委員 そういう点から研究を進めるということは非常に大事なことと考えております。
 ただ、現在の、こういうふうに非常にしようけつをきわめておりますこの松枯れの原因は、学会的には定説となっているわけでありますけれども、それに対して、さらに大気汚染ですとか酸性霧ですとか、いろいろそういうものが、ある意味で関与しているケースもあるのではないか。そんなふうな研究も、きちんとした前提を置いて、学会の内部で発表できるような論文を出していただければ、そういう面で、我々もそういう新しい論文を見せていただきたいというふうに思っております。
○○斉藤(鉄)委員 では、この話は一たんこれで終わりまして、特別防除、空中散布ですね、空中散布がもたらす環境影響についてちょっとお伺いしたいと思います。
 環境庁の国立環境研究所が、農薬散布が環境、生態系に与える影響という研究発表をしております。平成元年から平成五年度までの研究成果でございます。この研究所に聞きましたところ、あくまでも水田の農薬散布が環境、生態系に与える研究であって、松くい虫の特別防除の空中散布について、この限りではないということでございますけれども、しかし、昆虫を殺す農薬散布ということで、ある程度の共通性、普遍性はあるのではないかと思います。
 この研究によりますと、農薬の散布が水中微生物の生態系をかなり破壊する、こういう研究結果になってきております。松くい虫の特別防除により、森林ですから、私たちが飲む水のまさに水源地にこういう農薬がまかれているということで、非常に心配をするわけですけれども、この二十年来続いてきました特別防除、空中散布、それの環境影響、環境、生態系への影響、これについてはどういうふうに評価をされておりますでしょうか。
○高橋政府委員 特別防除の、生活環境とか自然環境に及ぼす影響につきましては、昭和五十二年度以降、毎年十県程度の箇所で実施しております。この調査におきましては、林木、下層植生、野生鳥類、昆虫類、土壌中の動物及び水生動植物への影響、それから土壌及び河川における薬剤の残留状況、こういうものについて継続して実施しております。
 この調査によりますと、生物への影響につきましては、昆虫類の生息数等が散布後に減少する場合があるものの、約一カ月後くらいにはほぼ回復するという状況でありまして、河川水につきましては、薬剤の残留量が厚生省や環境庁が定める指針値を超えることは少なく、また超えても、遅くとも五日目にはそれを下回り、また土壌についても三カ月後にはほとんど検出されなくなっておりまして、自然環境等に大きな影響があるという結果は得ていないところでございます。
○斉藤(鉄)委員 環境上、また生態系を破壊するという観点からも問題ないというお答えでございますが、先ほど長官がお答えになったのはかなり短期的な環境影響ではないか、こう思うわけです。長期暴露による影響ということについては非常に大きな影響があるというのがこの研究論文の結果でございまして、長期的な生態系の変化についても今後調査をしていただきたい、このように思います。
 いずれにせよ、生態系についての心配もある。これが二点目でございます。
 三点目は、住民の健康被害ということについてお伺いをいたします。
 前回、五年前の特別措置法の改正のとき、附帯決議がつきまして、空中散布をするかどうか、その地域住民の声を反映できる協議会をつくるべきだ、こういう附帯決議があったわけでございますが、実際にこういう協議会ができたのか、その状況。それから、この協議会の話し合いの結果、特別防除が中止になったりしたことがあるのか。また、その協議会に健康被害――中国地方では、島根、広島あたりでは、頭が痛くなったとか、目がちかちかするとか、そういう苦情がよく寄せられるのですけれども、そういう苦情がこの協議会に上がって、その協議会の意見の反映として、それに対して何らかの対策がとられたことがあるのか等についてお伺いいたします。
○高橋政府委員 協議会につきましては、やはり特別防除の実施に当たって地域の方の理解と協力ということが必要でございますので、推進連絡協議会というものを開催することにいたしておりまして、平成七年度までの間に、特別防除を実施するすべての府県、市町村で、数でいいますと四十四府県、六百六十九市町村で協議会が設置されております。
 その協議会におきましては、いろいろ実行に当たりましての協議をしたわけでありますが、その協議をした結果、そこに実施を計画した後、特別防除が中止になったことがあるかどうかというお尋ねに関しましては、平成四年度以降の四カ年で、計画面積が二十七万六千ヘクタール実行しよう、こういうふうに提案をしたことに対しまして、一部中止したものを含めまして四千四百ヘクタールが中止ということになっております。
 その中止した理由としましては、松林の周囲の生活環境や自然環境の保全に配慮したものどか、あるいは農業、漁業の事業に対する影響に配慮したものとか、あるいは地域住民の理解が得られなかった、あるいは実施予定の松林が山火事で消えてしまったというふうなこともありまして、今申し上げたように、計画した面積の二十七万六千ヘクタールのうち四千四百ヘクタールが、そのうち一部をやめたものもありますけれども、中止ということになっております。
 それから、被害の状況でありますけれども、やはりその被害もそういう協議会等を通じまして把握しておるわけでありますが、やはり平成四年度から八年度までの五年間におきまして、薬剤が風に流れたというふうなことによりまして、自動車の塗装が変色したというふうな被害が七件発生しているという報告を受けております。
○斉藤(鉄)委員 今住民の健康に対する心配、その協議会でそういうことが話題になったことがあるかという質問をさせていただきましたが、これまで述べてきました住民の健康への影響、これは現実に心配されている方がたくさんある。それから、環境への影響、森林生態系を破壊するのではないか、また、森林とつながっている河川等の水中の生態系を長期暴露によって破壊するおそれがあるということ。それから、何よりも最近の学術論争で、松くい虫そのものが原因ではないのじゃないか、環境主因説というものが起きてきたこと。
 こういうことを考え合わせますと、今回特別措置法を終結するに当たって、一たん空中散布を中止し、見直してみる。本当にこの農薬の空中散布が、松くい虫被害といいましょうか、松林の枯れ死の増大を阻止するのに有効なのかどうか、もう一度検討し直して、研究をし、その後にもし本当に有効であるということになれば復活をする、こういう声もあるわけでございますが、この点についてはいかがでございましょうか。
○高橋政府委員 特別防除だけでなくて、ほかのいろいろな対策をやることを進めるべきではないかという御指摘と思いますけれども、やはりマツノマダラカミキリを駆除するということが被害防止対策の基本であるということは、私どもそう思っておりまして、特別防除以外でも、その繁殖源となる枯死木、こういうものを除去するとか、あるいは樹種転換、そういうものを進めたり、新たに造林事業というふうなことでそういう不用木を伐採する、健全な松林を整備する、こういうことを充実していきたいというふうに考えております。
 特別防除を一たん中止してというふうなお考えをお示しいただきましたけれども、地形によって人が行けないような非常に危険な急斜地があったり、ある程度広い面積を一斉に防除したりというふうなケースで、やはり効果的な防除を行うには特別防除をやらなければならないというふうな実情もございますので、そういう状況も踏まえて、地域の状況に応じましていろいろな防除方法を組み合わせるということで、今後対応していきたいというふうに考えております。
○斉藤(鉄)委員 議論がちょっと平行線になってまいりましたけれども、もちろん伐倒駆除や手入れ、樹種転換、こういうものは大事でございます。これを徹底的に進めていただきたいと思います。
 しかし、非常に効果に疑問があると言われるようになってきた空中散布については、先ほど申し上げましたように、健康被害や環境生態系への影響ということも考えると、一たん中止して考え直すべきではないかと思います。空中散布にこれまでかけてきた費用、国費、大体どのぐらいになるのでしょうか。
○高橋政府委員 昭和五十二年度から平成七年までに松くい虫の特別防除に要した国費は、四百七十六億円となっております。
○斉藤(鉄)委員 四百七十六億円。多分、地方自治体負担分も含めますと一千億円を超えるのではないかと思います。大変な予算でございまして、いろいろな学説があるにもかかわらず、また環境、住民の健康被害、そういう問題があるにもかかわらずこの特別防除をあくまでも進めていこうとするのは、既得権があって、その既得権を守ろうとするからではないかという声もございます。
 聞くところによりますと、農薬会社、それから空中散布をする会社、そういうところへ農水省から天下っている方もいらっしゃる。今度ちょっとその数を調査していただきたいと思いますが、そういう天下り先の仕事を確保する、そのためにいろいろな問題点が指摘されているこの空中散布を何とか続けていく。今回、これは間違いだということは先ほどの御説明でわかりましたが、特別措置法を恒久法に入れるのもこの空中散布の既得権を恒久的にするためだ、こういうことを言った人もいるぐらいでございます。そういう見解があるわけでございますが、その見解に対してはどのようにお答えになりますでしょうか。
○高橋政府委員 特別防除を実施するに当たりましては、御承知のとおり、地元説明会、先ほどの協議会、そういう手続を踏みまして、被害状況の変化等に応じて弾力的に実行するものでありまして、予算そのものも近年一貫して減少を続けております。そういう意味から、特別防除予算が既得権化しているというふうなこととは考えておりません。
○斉藤(鉄)委員 昨日の新聞でございますが、広島県知事は「農薬空中散布に反対」「県知事が明言」という新聞が出ております。効果が上がっていない、住民への健康被害、生態系への心配、こういうことで、広島県としては、県知事として農薬空中散布に反対する、どうしてもやりたいという自治体があればそれは別だけれども、こういう記事が出ておりました。
 また、こういう知事の方針のもと、これまで空中散布を続けてきた広島県内の二市五町が、もう来年からは空中散布をしない、こういうことを決定したわけでございますけれども、こういう自治体に、農水省は特別防除法の精神からどのようにかかわっていかれるのでしょうか。
○高橋政府委員 特別防除につきましては、市町村とか地域住民、そういう関係者の理解が得られる見込みがあるところで実施するということが基本だと考えております。現在、広島県で行われております特別防除は市町村が実施主体でありますから、市町村が反対していれば、これは特別防除は行われないことになると思っております。また、広島県につきましては、詳細を承知しておりませんけれども、また県の考え方などもお聞きしながら対応したいと思っております。
○斉藤(鉄)委員 松くい虫特別措置法の終了、そして森林病害虫防除法の中にこれを組み入れるということについてちょっと議論をさせていただきました。大臣、森を守るという観点から、先ほどの議論をどのようにお聞きになりましたか。また、これからの森林を守る決意についてお伺いをして、私の質問を終わりたいと思います。
○藤本国務大臣 委員とは、予算委員会でもこの松くい虫の問題、いろいろ議論させていただきました。私の選挙区の香川県でも森林の四割がたしか松であったと思いますけれども、随分被害を受けております。
 この松くい虫の対策については私も非常に関心を持っておりまして、先ほどの議論を承りながら、その防除の方法についてはいろいろな方策を組み合わせていくことが一番必要ではないかなというふうに思いました。ですから、私どもは決して特別防除にこだわっているわけではありません。その地域、地域の住民の皆さん方の意見を十分にお聞きした上で対応、対策は立てていくべきであろうというふうに思いますし、一言つけ加えますと、特別防除については地形が一つの原因になるのではないか。人手でできないような地形もあるわけでございまして、そういうところはそういう特別防除が有効になるのではないか。しかし、非常に平坦なところで、特別防除をすることによって周囲に非常に大きく影響するというようなところでは、十分に住民の皆さん方の御意見も聞いて、そしていろいろな方法、方策を組み合わせて対応すべきであるなというふうに感じました。
 いずれにしましても、森林というのは経済的な機能と公益的な機能をあわせ持っておるわけでございまして、国土の保全であるとか水源の涵養であるとか経済的な機能を持っておるわけでございまして、これらの森林を守るということについては私どもも重大な使命を持っておるというふうに認識しておるわけでございまして、いろいろな施策を通じてこれから頑張っていきたいと思っておりますので、どうぞひとつ御鞭撻のほどをお願い申し上げます。
○斉藤(鉄)委員 ありがとうございました。終わります。
○石橋委員長 次に、辻一彦君。
○辻(一)委員 私は、森林組合法の改正案、また合併助成法の改正案、そして松くい虫の法案について二、三質問いたしたいと思います。
 同時に、森林組合の関連で中山間地対策、その点でウルグアイ・ラウンドの対策の問題についても若干触れて論議をしたいと思っております。
 まず第一に、戦後、植林した山は四十年前後、もう十年前後でいずれも、国産材の新しい時代といいますか、伐採をやらなければならない、そういう時期を迎えておると思いますが、こういうときに国産材が有効に国内で活用できないということになると、林業関係では壊滅的な打撃を受ける心配があります。
 そういう中で、今日のこの森林組合が果たしている役割というものは大変大きいと思いますが、こういうときにおける森林組合の位置づけ、それから森林組合の現状、それからそれが持つ課題、こういうものにつきまして、まず大臣の方から基本的にちょっとお伺いいたしたいと思います。
○藤本国務大臣 まず、森林組合の位置づけでございますが、森林組合は地域林業の中核的な担い手であると考えております。
 森林組合の現状でございますけれども、現状は経営基盤が非常に脆弱でございまして、今後、森林組合が役割を十分に果たしていくためには、合併の促進であるとか事業範囲の拡大を図りながら、その強化が不可欠であるというふうに認識をいたしております。
○辻(一)委員 もう一つ、林野庁長官に伺いたいのですが、ここ近年、流域管理のシステムということが確立をされつつある。そういう中で、範囲がかなり広範にわたっておりますが、森林組合のこの流域管理システムの中における位置づけあるいは役割、こういうものをどういうように認識をされているか、まず、この点をひとつ長官にお伺いしたいと思います。
○高橋政府委員 御指摘の流域管理システムは、流域を単位としまして、川上から川下までの関係者の合意によりまして森林の整備とか木材生産を効率的に推進しようというものでございまして、森林組合は、民有林の造林の約九割、それから間伐の約六割を実施しております地域林業の中核的担い手でございます。ですから、森林の流域管理システムを推進する上でも、まず、流域内の森林整備を実施する担い手として重要な役割を果たすことが期待されております。
 それから、流域内の木材生産の効率的な実施との関連につきましては、森林組合がその事業活動を通じまして、木材の生産、加工、流通等の活動の中核として、流域における素材生産の実施、木材の加工、住宅建設、こういうものを行う第三セクターへの出資、流域内関係者の話し合いの場への参加というふうなことを行うことが期待されております。
○辻(一)委員 今度の法改正によって森林組合の業務の範囲を拡大するというのが非常に大きな、大事な点ではないかと思いますが、その場合、やはり今までの森林組合自体は強いとはなかなか言いにくい、弱体な点が多いのですが、全体として設備投資の必要がぜひあるのではないか。そういう点に対する支援の道というものは合併後考えるのかどうか、この点をちょっとお伺いしたい。
○高橋政府委員 森林組合の活動が森林の整備の促進、山村地域の活性化等の要請に資することから、森林組合の設置する共同利用施設に係る税制上の優遇措置、林業構造改善事業による補助等の助成を行ってきているところであります。例えば林業構造改善事業においては、林産物に限らず、地域特産物の利用加工施設等を森林組合が設置する場合に補助を行うことが可能でございます。
 林野庁としましては、今後とも、これらの事業の要件に該当するものについて必要な助成を行ってまいりたいと思っております。
○辻(一)委員 現在の森林組合で、林道を自前でちゃんとやれるというような、それはおよそどれぐらいありますか。詳しい数字はいいですが、およそ。
○高橋政府委員 森林組合が実行している林道の数値の手持ちは今ございませんけれども、林道の助成といたしましては、補助林道という形で国費を約二分の一補助するという制度がございます。
○辻(一)委員 林道の予算というのが相当あるし、それから、自治省の方の予算等も随分活用されておりますが、せっかくの林道をつくる予算が具体化したときに、できるだけ山村の森林組合がこれらを引き受けてやるということは、雇用の面からもいろいろな面からも大変大事だと思うのです。森林組合が林道に取り組んでいけるというような、そういう設備を持つぐらいの支援が大事ではないかと思いますが、これらはどういう考えか、ちょっとお尋ねしたい。
○高橋政府委員 確かに、林道が地域の林業生産活動の基盤でございまして、これのネットワークをつくるということが一番重要でございます。その役割を森林組合がみずから担うということも大切でありまして、これは林業構造改善事業でも、補助林道でも、それからただいま御指摘の地財措置によりますふるさと林道というふうなことも予算上は可能でありますので、ぜひ森林組合がそういう林道建設の担い手になる、そういう立派な森林組合を、今回の考え方では合併によって経営基盤を強化して、そういう森林組合を育てていきたいというふうに考えているわけでございます。
○辻(一)委員 法律を改正して森林組合の業務がかなり広くなって広範にわたりますが、その活動が広がれば、また山村等においては農業協同組合あるいは地場の産業等々の競合問題ということもこれから起きてくると思いますが、それらに対する指導の考え方というものをお尋ねしたい。
○高橋政府委員 農協を含めた地域の関係者との関係につきましては、山村地域は今人手不足というふうな状況でありますので、事業の競合というよりは、むしろ地域の持つ物的あるいは人的資源をより有効に活用するというふうに機能分担が進むのではないかというふうに考えております。
 林野庁としましても、森林組合の組合員の大部分が農協の組合員と重複しておるわけでありますので、組合員の便宜や地域の共存共栄という観点に立ちまして、農協等の行う事業との調整がおのずから図られるような、そういう必要があると考えておりまして、組合員のニーズを十分に見きわめた上で事業を実施していくように指導していきたいと考えております。
○辻(一)委員 今、農業協同組合も合併問題というのが最大の課題であろうと思います。進んでいない面もありますが、それでも農協の方は状況を見るとかなり合併が進んでいる感じがしますが、それに比べて森林組合の合併は必ずしも速いとは言えない、おくれがちになっておりますが、森林組合の合併がおくれがちであるという原因というか、そういうものをどういうふうにお考えか、お尋ねしたい。
○高橋政府委員 森林組合、もともとは三千五百ぐらいありまして、現在それが合併等を進めて千四百という数字になってきております。遅々とした歩みではありますが、合併が促進されているなと思っておりますが、それがなかなか進まなかった理由というのは幾つかあると思います。
 やはりそれぞれの森林組合の経済活動の差といいますか、比較優位にある組合と比較下位にある組合が合併したら抱え込むことになって損をするというふうな経済的な問題とか、あるいは、合併すると、市町村が面倒を見てくれていたのが、市町村を超えた組合になってしまうとなかなか市町村との密接な結びつきがなくなってしまうというふうないろいろな心配というふうなこともありまして、そういうことが合併の阻害要因になっているのではないかなというふうに思っております。
○辻(一)委員 森林組合を合併をするときに、またその事業計画の延長があるわけですが、これらについての具体的な条件とかモデルを示す考えはないか、いかがですか。
○高橋政府委員 森林組合はあくまで森林所有者の協同組織ということですので、そのモデル像というのはそれぞれの地域の実情を踏まえながらそれぞれが描くべき課題ではないかなというふうに思っております。
 我々といたしましては、このような自主的な取り組みを助長する観点から、税制上の支援を引き続き措置するとともに、九年度予算におきましては、森林組合広域合併等促進対策事業によりまして、都道府県が森林組合の広域合併のための関係者の合意形成を図る協議会を設置するということに助成をすることにしておりまして、やはり地域の特性に応じた組合のあり方、これをそういう協議会の場で検討してもらうという考え方でいきたいと思っております。
○辻(一)委員 では、ちょっとこの機会に、森林組合に非常にかかわりの深い中山間地の対策の問題について若干お尋ねしたいと思います。
 まず、山がどこでも荒れて、国有林を見ても、表を見ると緑がきれいな山だけれども、中に入ると、間伐や除伐が不十分だからもう下草が消えてしまう。そういうことで非常に土肌が出ている、そういうような国有林も間々見受けるのですが、全般的に国有林も民有林も山が今荒れていると言わざるを得ない。
 そういう中で、山村人口がだんだんと減ってきて、基幹になる労働力が非常に少ない。そういう中で、森林組合が持つ作業班等の役割というのは非常に大事だと思います。近年、山村において、山荒れ、また山村の間にある水田の耕作放棄、こういうことが随分見られるわけですが、こういうものに対して、森林組合、農業協同組合、それから役場等が一つになって第三セクター等をつくってこれらに対応している、こういう姿がだんだんと見えております。これに対してもう少し強い支援をやることが必要でないかと思いますが、この点、いかがでしょうか。
○高橋政府委員 私どもも大切なことと考えておりまして、第三セクターの設立を支援する、そしてまた、その健全な育成を図るために、森林保全事業等を行う第三セクターに対しまして、山村振興法に基づく税制上の特例措置並びに出資及び立ち上がり経費の一部に対する地方交付税措置を講じているほか、林野庁としても、第三セクターを対象にしまして、林業労働力確保支援センター、これを通じまして、林業就業促進資金の貸し付けを初めとする支援措置、それから林業構造改善事業の補助事業による、林業生産施設や労働環境施設等の整備を推進しているところであります。
 こうした総合的な施策を推進することによりまして、地域の実情に応じた第三セクターの活動を支援してまいりたいと思っております。
○辻(一)委員 スイスやドイツあたりで、欧州では中山間地の対策として、デカップリング、直接所得補償という方式を取り入れておりますが、耕地一ヘクタールに幾らとか、山手の方に飼う乳牛一頭に幾ら、こういう助成を行っています。そして国土の保全や環境の維持ということに力を入れている。
 我が国の場合、採算の合わない中山間地帯が食糧の生産とともに国土、環境の保全に果たす役割は非常に大きい。しかし、一人一人にすれば面積がそう多くないわけですから、そこに幾らかの助成金あるいは所得補償を出しても、あるいは飼っている乳牛やまた肉牛等に一頭幾らという形で出してもなかなか十分な成果が上がるかどうか、こういう点が問題があるということで、直接所得補償のやり方というのはなかなかなじまないという批判があります。
 そこで、私は直接所得補償に道を開くべきであると思いますが、まず第一弾として、今の第三セクタ一等に山村の山の荒れ、それから耕作放棄地等々の維持管理、こういう仕事を支援をして、言うならば、前にもここの委員会で論議をしたことがありますが、平成の屯田兵を置くというような考え方で山を守り、それから山村の耕作放棄地を守っていくという、こういう対策をぜひ考えるべきでないか、そういうことがこれからの新しい中山間地対策の一つの大きな柱に据えられるべきではないかと思いますが、これらについてちょっと大臣に、どういう御見解かお尋ねしたい。
○山本(徹)政府委員 先生ただいま御指摘の、第三セクターを活用して、山村の水田あるいは耕作放棄地を高度に利用して農業生産等の場として活用するという御提言でございますが、私ども、このような仕事も大変重要な課題だと思っております。
 ただ、先生も御指摘のとおり、人件費の直接補助というようなことになりますと、これらの第三セクターの活動が、農地という私的な財産の保全あるいは活用に係るものであるとか、予算の硬直化を招くというような問題もございますので、私どもとしては、平成九年度予算案におきまして、第三セクターが実際に農作業の受託をする、あるいは職員の資質の向上のための研修をするというような事業活動に新しく助成することにいたしますとともに、第三セクターが農地保有合理化法人の資格を持っております場合には、耕作放棄地等の、あるいは老人農家等の請負の依頼を受けて耕作をする場合に、機械購入経費に対して無利子資金を提供するような事業、また、山村振興対策事業等で第三セクターの施設整備費、これは流通加工施設とか都市農村交流施設等も含みますけれども、そういった施設整備費に対する助成等も行わせていただいておるところでございまして、山村の就業機会の確保あるいは所得の確保のための第三セクターの活用に対しては、いろいろな面で助成を拡充し、またこれを活用させていただきたいと思っております。
○辻(一)委員 今、構造改善局長の答弁でいろいろなことをやっているのは、それは私も大体わかりますが、しかし、もう少し太い柱を中山間地対策として出せないかということであります。
 それで、林野庁長官にもあわせて伺いたいんだけれども、私の歩いた北陸、福井県に池田町というところがあります。調査に国会議員団に何回か来てもらったこともありますが、やはり山村で人口が減っていく、若手の労働力がない。そこで、緑の館運動というので全国に若手の人を公募した。その条件というのは、土地と家を、初めは月一万円ぐらいで安く貸す、そして、二十年間山仕事をやり、居住をしてくれれば、そのまま差し上げますというか、まあ無料というわけにいかぬですから極めて低い価格で払い下げをする、こういうことの呼びかけをしたところ、十倍近い応募者があって、今は十家族ほどが入っております。随分いろいろなところから来た方ですから、なかなか地域になじんで溶け込んでいくという点の難しさがあるのですが、それでもなかなかよくやって、相応な成果を上げておると思うのですね。
 こういう山村の活性化ということを考えると、このような動きが、いろいろ法的に縦にはいろいろなやり方があると思いますが、中山間地対策としてもっと太い柱になって、この大事な中山間地を守っていく、こういうことが考えられないかどうか。これは林野庁長官と、大臣にもひとつそこらの所信をお尋ねしたい。
○高橋政府委員 各地で、山村に定住化ということで、住宅の提供とか、あるいは土地の提供というふうな事例も見られることは承知しております。
 ただ、私どもで今現在やっております事業は、やはり林業とか木材産業をまず振興し、それからその地域のレクリエーション施設を整備するというふうな経済活動を推進して、あるいは集落排水施設というふうなことでの定住条件の基盤整備、それから労働力雇用を確保するという意味で就業準備のための無利子資金の貸し付け、こんなふうなことでいろいろと山村に人が来て労働力としてきちんと働ける体制をつくるというふうなことを考えておるわけでありますが、なかなか住宅あるいは土地というところまでは手が及んでおりませんので、その辺は今後の検討課題ではないかというふうに承知しております。
○藤本国務大臣 中山間地域の対策は、ウルグアイ・ラウンド対策の中で六割が平場で、こちらの方は生産性の向上であるとかコストダウンを図っていくという非常に大きな柱がございますから対策としてま見やすいわけであります。しかし、この四割の中山間地域対策というのは、すべてこうだというような対策はなかなか難しい。地域、地域によって状況が違うと思うのです。それだけに、この四割の農地面積を持つ中山間地域対策というのは、私は、非常に重要であると同時に、非常にまた難しい面を持っておる、そういう基本的な認識を持っております。
 先ほど池田町の例も挙げられました。非常に私も興味を持って承ったわけでございますが、もし機会があればぜひ私も見てみたいなと思っておるぐらいで、中山間地域の対策については非常に私自身が問題意識を持っておるということを申し上げたいと思うのです。
 今我々が取り組んでおるのは、中山間地域の発展のために、また住民の方々の生活環境をよくしたり所得を上げるために、いわゆる周辺整備的なものに力を入れている。農道、道路をつくったり、それから生活環境をよくするための集落排水事業であるとか、それから、情報の面で不便なところもあるわけでございますから、CATVの問題も郵政と話し合ってそういう事業も進めていったり、それから、その地域、地域の持つ資源を有効に使うために、そういう資源を使って施設をつくるのであればそういう補助対象にもするし、そこで施設ができれば都会からも人が来る、またその施設に雇用のチャンスも生まれるというようなことで、いろいろと中山間地域対策というものは考えておるわけでございます。
 しかし、なかなか決め手というのがございませんで、この問題は、新しい農業基本法をつくるために今私ども取り組んでおるわけでございまして、その中で中山間地域対策というものをぜひきちっとしたものに仕上げていきたい、そういうふうに今思っておる次第でございます。
○辻(一)委員 ウルグアイ・ラウンド対策費が平成五年に出発しましたが、あの中に、今大臣の御答弁のように、中山間地対策というのは大きな柱になっておると思うのですね。ところが、ウルグアイ・ラウンドの対策費を削減しろ、あるいは見直しをやれ、こういう論議が今随分とあちこちで聞かれるのですが、私もこれについてはいろいろ意見がありますが、政府として、農林水産省としてどう考えておるか、ちょっと大臣の見解をまずお尋ねしたい。
○藤本国務大臣 このウルグアイ・ラウンド農業合意によりまして、まず、農業、農村が受ける影響を最低限に食いとめるということ、それから、新しい国際環境のもとで足腰の強い農業を築いていくという、そういう考え方のもとに、一年かかって各方面の意見も承りながら、政府・与党が責任を持ってあの六兆百億という数字を決めた、こういういきさつがございますし、また、衆議院におきましても、平成六年の十二月には、六兆百億の金を使ってしっかりした日本の農業をつくっていけ、こういう御決議もいただいたわけでございまして、そういう当時の状況を思い出しましたら、今のこの議論というのは私は非常に残念なことだというふうに思っておるわけでございます。
○辻(一)委員 私も、平成五年の十二月にウルグアイ・ラウンド対策費が確立されたときに、前後に深いかかわり合いがあるものですから、私の意見も申し上げ、また、大臣の見解も二、三、お尋ねしたいと思います。
 当時、食糧の自給率が、穀物ベースで二八%を割り、カロリーで四六%、今はもう四二%に下がっておりますが、非常に自給率が低下をしている。その中で、国会ではしばしば米の自給ということを決議をしている。この中で、国会決議に反してやむを得ない苦渋の選択として、当時、ウルグアイ・ラウンドの協定を受け入れたと思っております。
 当時、ある意味では国論を二分し、私も当時は社会党の農政の担当者でありましたが、この決定のときに、連立政権から離脱をしろ、それから閣僚を引き揚げろと言っては随分と論議をした記憶があります。そういうように、国論をまさに二分をしたその中で、政府は、やむを得ないものとして、農業国内対策に万全を期すという声明を出し、それから、国会もまた、WTOの審議の後、この国内対策には万全を期する、こういう決議を改めてやったと思っております。
 そうして、予算編成も、閣議の了解、決定があって、それは、予算編成の過程で別途にウルグアイ・ラウンド対策費を編成する、こういう確認がなされて平成五年の暮れに補正予算が組まれた、こういう経緯があり、そこから本予算が組まれている経緯があります。私は、当時、日本政府のこれは重大な政治決定であり、しかも、国民、農家、農民に対する非常に大事な約束事であると思うのです。その上に立って六兆円があったと思いますが、大臣としてはどういう認識でいらっしゃるか、ちょっとお尋ねしたいと思います。
○藤本国務大臣 委員とまさしく同じ認識でございまして、この六兆百億を六年間で、ウルグアイ・ラウンド農業合意から受ける被害を最小限度に食いとめる、また足腰の強い農業を築いていく、こういうために、ぜひ必要なものとして政府与党が責任を持って決めた。こういう経緯からいたしますと、できるだけ早くこのウルグアイ・ラウンド対策を推進して、足腰の強い農業を築いていく、こういうことが私どもにとっては一番大事なことだというふうに思っておりますし、また、当時の状況を思い出してみれば、この六兆百億という数字は、国民に対する政府の公約の柱の一つであったというふうに私は思っております。
○辻(一)委員 財政が困難な中ですから、財政上、いついつに公共事業費をある程度削らなければならぬというふうな問題があればこれは別として、やはり今ウルグアイ・ラウンドの対策費の削減というか、そういうものが象徴のようにターゲット化されておる。こういう中で、これだけの大事な政治的約束に切り込んでいくということ、削ろうということは、これは私は農家や農民に対する重大なる背信行為になりかねないと思いますが、そこらの見解はいかがでしょうか。
○藤本国務大臣 このウルグアイ・ラウンド対策を決めましたときの基本的な考え方というのは、まず、生産力を維持する、強化する、それから、国民の皆さん方に対して良質で適正な価格の農産物を供給する、それから、農村の活性化を図るということがこの基本的な考え方であったわけでございます。こういう基本的な考え方に基づいて、先ほどから申し上げておりますような経緯で、この六兆百億円という数字が決まったわけです。
 私ども、反省をする点があるとすれば、やはりこの事業ということについては、実施の状況それから要望等を踏まえて十分に効果が上がるような見直しは、これは不断にやっていかなきゃならぬ、それは当然のことだと思っておるわけです。
 しかし、総額については、これはしばしば申し上げておりますように、当時、六兆百億という数字が決まったときの経過を思い出してみれば、これは、総額は総額としてこれからも続いていかなければならない、そういう問題だ、考え方としてはそういうことだと思っておるわけでございまして、要は、中身の問題がこれから議論されるべき問題だというふうな認識を持っておる次第でございます。
○辻(一)委員 ウルグアイ・ラウンドの対策費は補正予算から出発しましたが、補正予算の編成期においても、今これだけの緊急性があるのかどうか、こういうことがいろいろと批判があったと思いますよね。しかし、ウルグアイ・ラウンドの対策費の中身は、今大臣の答弁にもありましたが、やはり日本農業の体質を強化をし、農村の体質の強化と活性化を図るということをねらいにしたものであると思います。そういう意味では、六年間かかつてこの目的を実現するというので、必ずしも今すぐに、緊急性という意味での尺度だけではかるべきものではない、こう思っていますが、いかがでしょうか。
○藤本国務大臣 御指摘のように、六年間で六兆百億の事業を行う。それから六年間という期間は非常に大きな意味を持っておるわけでございまして、二〇〇〇年に向かって、その六年間に足腰の強い農業が達成、実現できるようにやっていかなきゃならぬ、こういう一つのタイムスケジュールがあるわけでございまして、そういう点からいえば、着実に、しかも効果が早く出るように、スピードを上げて推進していくということは必要なことだというふうに思っております。
○辻(一)委員 このウルグアイ・ラウンドの対策費をことしも、先ほど申し上げましたが、補正に組むということについての御意見があって、本予算に組むべきだという意見が随分とありました。
 しかし、当時の状況を振り返ってみると、本予算に、毎年六分の一ですから、一兆円、その半額としても、国費を急に増額をする、六年終わったらこれを落としてしまう、こういうことは今の日本の予算の編成上やはり非常に難しさがあるということで、まずは補正予算に計上して出発した、こういう経緯が私はあったと思うのですね。だから、補正予算に組むことが筋が通らないと言われるのは過去の経緯を知らざる方々が御批判になるのであって、今費においても補正に組むということは不思議ではない、こういうふうに思いますが、この見解、いかがでしょう。
○藤本国務大臣 私も委員のお考え、非常にありがたいお考えだと思っております。これはまあ大蔵大臣の所管でございますから、私から申し上げることもいかがかと思うわけでございますが、当初予算で、ある予算を組む、しかし、この一年を通じまして、なお追加的に事業が実行できるというような状況であれば、これは先ほど申し上げましたように、六年間でやはりこのウルグアイ・ラウンド対策というのは終わらなければならぬわけでございますので、追加的に事業が達成できるという場合には、これは当然補正予算を計上するという、そういうことにつながっていくというふうに思っております。
 それから、公共事業という問題の中で、六年間、六兆百億という数字が非常に大きく私はアピールされていると思うのでございまして、この一年間のこの六兆百億のうちで、これは事業費ベースでございますから、国費は二兆八千億で、二兆八千億ということであれば、六年間に直せば約五千億のそういう数字になるわけでございまして、その点も正確に御理解をいただく一つの問題かなというふうにも私は思っております。
○辻(一)委員 基本的に大臣の、また政府の考え方はわかりますが、これはしっかりひとつやっていただきたいと思いますね。
 そこで、三年たったので、今も御答弁にもありましたが、これは見直しをする一つの時期である、これは当然であろうと思いますね。私は「激動時代の農政三十年」という書物をおととしの暮れに出版しました。あの中に、当時を振り返って、三年たったら、折り返しになれば、一遍内容を総点検して、より重点を置かなくてはならない、効果を上げなくてはならない、そういうところに重点を向けて、この六兆百億をもっと有効に活用していくということが大事だということを、おととしそういう指摘をしておいたのでありますが、これはあの予算が、事業費が、六兆百億が確立されたときに私たちもそういう論議をして、三年後は見直すべきだということを確認して出発をしている。
 そういう意味でこの見直しを、政府の方も内容についてはより効果あらしめるためにやる必要があるという御見解でありますし、私たちもこれは何年か前から同じような考えを持っておりますが、では具体的に、農林水産省としてはどういう見直しを、いつ、どういう手続をもって具体的にやる考えなのか、このことをお尋ねしたい。
○堤政府委員 見直しの考え方でございますけれども、これは現在、予算的には三年目を計上しているわけでございますが、実行ということから見ますというと、七年度予算の実行が終わっている段階でございます。まだ二年目の、八年度目の事業を現在実行している。そういう意味では、事業完了という意味では、まだ一年度だけということでございます。そういう中にありましても、このウルグアイ・ラウンド対策につきまして、さまざまな地域から御意見もございます、それから各方面からの御意見、いろいろございます。
 そういう中で、私どもとしましては、やはり先ほど大臣申し上げましたように、平場地域におきましては、やはり生産性の向上、コストダウンということの中で、厳しい国際環境の中で耐えていけるような農業をどういうふうにつくり上げていくかということが一つございます。それから二つ目は、やはり中山間地域等につきましては非常に条件が不利でございますから、そういう中で創意工夫を生かしながら、何とか中山間地域の活力を戻したい、この二つがこの対策の視点でございますから、この点は変える必要がないと思います。この点はきちんと据えていく必要があると思います。
 そういう視点を据えながら、各地域での実情をもう少し私どもとしてもよく見、各方面の御意見をいただきながら、具体的にどこをどういうふうに手直しをしていったらいいのか、これは各方面とも御相談をし、また御意見もいただきながら、精力的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○辻(一)委員 時期的にはどういう段取りをつけようとしているのか、お尋ねしたい。
○堤政府委員 九年度予算につきましては、今申し上げましたような考え方に沿いまして予算を計上させていただいているわけでございますが、平成七年度、それから現在進めております平成八年度の実行状況を見ながら、平成十年度の予算に向けまして、どういった形で見直しをすることがこの対策の一番効果的な、かつ農家の方々からも喜ばれ、効率が上がるかという観点から対応させていただきたいというふうに思っております。
○辻(一)委員 各政党もそれぞれに検討の機関を設けておると思います。与党側の方もそういう準備をされておるし、各政党ともどもにあると思いますが、私どもの民主党におきましても、ウルグアイ・ラウンド検討のプロジェクトを設置して、ここでひとついろいろと勉強をして、重点をどうするかこれから検討していきたいと思っております。これからそういう段階がいろいろあろうと思いますから、適宜ひとつ情報を聞いて、我々もさらにひとつ努力したい、こう思っております。
 ちょっと時間をとりましたが、松くい虫の問題にまた返りたいと思います。
 先ほどから論議がありましたように、昭和五十四年には二百四十三万立方メーター、平成七年は百一万立方メーターと被害は半減をしたということは、これは事実でありますが、しかし薬剤散布、空中散布をもってしてもなかなかなくなるというわけにはいっていないということもまた事実であろうと思います。相応な成果は上げたものの、なお被害は横ばいの状況にありますが、百万というのは相当大きな数だと思うのです。これをなくすようにしなくてはならない。しかし、今も論議を随分されましたように、人体や環境に影響のある薬剤の空中散布、空散、特別防除はやはりやめるべきだ、避けるべきだという声は非常に強いわけであります。私もそのように思いますが、できるだけ空中散布を少なくしながら、一面では環境保全型の松枯れ対策ということに力を入れていかなくてはならないと思います。そこらについての見解をちょっと大臣からお尋ねしたい。
○藤本国務大臣 その前に、ウルグアイ・ラウンド対策につきまして、委員が非常に積極的な御意見をお持ちで、そのことについて私も大変ありがたいことだと思っておりますし、けさの新聞も拝見いたしまして、大変ありがとうございます。
 それから、この松くい虫対策として空中散布から環境保全型の松枯れ対策というのですか、それに移行したらいいのじゃないか、こういう御主張でございますけれども、基本的には私はそのような考え方で今後推移するのではないかなというふうに思っております。
 いずれにいたしましても、これは地域がこの松くい虫の松枯れ対策としてどういう方策が一番効果があるか、また地形にもよると思うのですけれども、そういうことで十分議論していただいて、そういう中で我々もいろいろと協力していく、そういうことになるのではないかというふうに思っております。
○辻(一)委員 今日、国産材の中では杉、ヒノキ等が中心であって、松は木材生産のための造林ということは余り多くないというように思いますが、景観の維持、観光、防風林あるいは防潮林というふうな面で松林の果たす役割は非常に大きいと思うのです。日本の三大松原、私のところには敦賀の気比の松原がありますが、そういうところは保全すべき松林として直ちにわかるわけであります。多くの松林の中で保全すべき松林を厳重に選定する、特定する必要があると思うのですが、どういう基準でこういう特定をやるのかお尋ねしたいと思います。
○高橋政府委員 保全すべき松林といたしましては、まず保安林として指定している松林を考えております。それから、保安林以外でも、公益的な機能が高い松林であってまかの樹種から成る森林ではその機能を確保することができないというふうな松林を対象として考えております。それから、そういう松林と調和を保ちながら、防除措置を実施する必要があるものとして市町村長が地区実施計画で定めた松林、こういうものに特定して被害対策を重点的に実施してきているところであります。
○辻(一)委員 今一番確実な成果があるのは、伐倒駆除、そして焼却するか樹幹に薬液を注入する、こういうことであろうと思いますが、今まで私の歩いたところでも、かなりこの松くい虫にやられておった。面の被害があったのですが、かなり終息をして半減をしてきた。そういう中で、被害は点の方に移っている。
 今まで、面ならかなりまとまっていますから、そこへ労力をかけ、あるいはいろいろな経費をかけ、それから後の材のいろいろな使い方もある。だから、助成も幾らかあればある程度何とか採算が合うというのでやれたと思うのですが、点の、何本かに点在する松くい虫の被害ということになりますと、なかなか大変だと思います。
 私の行った森林組合でも、双眼鏡を持って、そしてあるところから地点を決めてずっと見る。今は非常に精巧な双眼鏡ができて、見るとそこの場所が特定できる。どのように行くかヘリコプターで上から見たのではなかなかわからないのですが、下から見るとそこがよくわかる、そういうふうな場所が特定できる。
 しかし、一本の松を切りに行くのに、山主はとてもそんな採算の合わぬことをやってくれない。森林組合が行くにしても、点在しているのに目を配って、それを伐倒するというのはなかなか簡単ではない。放っておけばそれはずっと周辺に広がっていくのだから、やはり伐倒しなくてはいけない。これは、点の駆除というものは今までよりも経費がいろいろかかる。しかし、やらなければいけない。
 何か、こういう点の駆除に対してより効果的な支援の道がないだろうかということを率直に聞くのですが、これらについての考え方があったらお伺いしたい。
○高橋政府委員 確かに御指摘のとおり、だんだん微害化してまいりましても、そこに何本か被害木を残しておきますと、それが感染源になってまた何年後かに激害になってしまう、そういうふうな可能性がありますので、そういう点在木あるいは単木、そういうものを早期に発見しまして、それを駆除するということが大変大事なことであります。
 先生おっしゃるように、双眼鏡で発見する方法とか、それからGPS、それからヘリコプター、そういうふうないろいろなことでまず早期に発見する、こういうことを対策として助成をしたいと思っております。
 それから、被害木を含めました不用木の除去とか焼却、破砕というものも、松くい虫対策というよりも、造林事業というふうな性格もありますので、そこで松林保全健全化整備というふうな形で助成をしたいと思っております。
 それから、地上散布で単木でできる箇所はいいのですが、できない場所でぜひとも被害木を処理しておきたいというふうな場合は樹幹注入という方法もあるのですけれども、この方法につきましても助成する事業を拡充していきたいというふうに考えております。
○辻(一)委員 先ほども松枯れの原因がどこにあるかという論議がありましたが、有力な要因というものがこの松くい虫、そしてそれを運ぶところにあるということは理解できると思います。昆虫の世界には天敵というのが大体必ず対応してあるものですが、この場合は天敵を生かすというふうな研究段階は発展していないのかどうか、もうかなり時間が限られていますから端的に答えていただきたい。
○高橋政府委員 天敵の利用の研究も進めておりまして、マツノマダラカミキリの幼虫の天敵鳥類でありますアカゲラ、これに関しまして、それを松林に誘導するための巣箱を開発するというふうなこととか、そのアカゲラが定着しやすい森林施業を行う技術の開発ということとか、あるいは、天敵菌類でありますボーベリア菌に関しましては、マツノマダラカミキリに感染させる方法を開発したところでありまして、さらに効果的な使用方法を開発したい。それから、天敵昆虫でありますオオコクヌストに関しまして その人工飼育法を確立したところでありまして、今後はそれを大量に飼育していく技術開発を行っていくというふうな研究開発を進めております。
○辻(一)委員 時間の点もありますからちょっと急ぎますが、抵抗性のある松の育種の見通しはどうなのか。
 私もこれに非常に関心を持って、中国に馬尾松等の松くい虫に強いのがある。それは花粉交配で和華松ができておりますが、もっと北の方、雪に強いそういう中国の松がないか、中国の林業部というと林業省になりますが、随分出かけて申し入れをし、一時は日中閣僚会議の懇談会のテーマにまで上がったのですが、なかなかそういうのが実を結んでいないのですね。
 そこで、選抜育種によるところの育種はかなり合成果を上げつつあるというふうに聞いておりますが、その実態、それから、そういうものによって将来海岸の大事な松林は保全できる可能性があるのかどうか、そこらをちょっとお尋ねしたい。
○高橋政府委員 交雑育種でなくて選抜育種の方でございますけれども、被害を受けずに生き残った木から選抜した抵抗性個体を用いまして、昭和六十年度から現在までに約十七ヘクタールの採種園を造成しておりまして、平成四年度からここで生産された抵抗性松の苗木の供給を行っております。
 その供給量につきましては、平成七年度末までに六万本余りを供給したところでありまして、今後、西日本地方等における植裁に必要な抵抗性松の需要量は、その採種園をふやすという形で充足することが可能というふうに考えております。
○辻(一)委員 これは、抵抗性の松というのは時間がかかりますが、一番有効な感じもしますから、ぜひひとつ研究開発にこれからとも力を入れて、強い松をつくって、松林をしっかりと保全してほしいと思います。
 そこで、薬剤の問題ですが、特別駆除、薬剤の空中散布は極力避けるべきであるというのが私の考えでありますが、やむなく実施の場合に、地域の主体的な防除体制の確立を図るために公聴会等公の場でちゃんと意見を聞くということが大事なのです。それから、総合的な対策をつくる、こういう中で環境団体等からもきちっと意見を聞くということを確実にやってほしい。今まで附帯決議もついて、そして地域の協議会も何百かできてきているということもさっき伺いましたが、しかしそこに出てくる住民の代表は、自治会の会長さんとか、大体そんな難しいことを、批判的なことをおっしゃらない場合が間々多いのではないかと思うのですね。だから、実質的にそういうような公の場で広くひとつ皆さんの意見を聞いて、そして地域で取り組む、こういうことがきちっとできなければならないと思うのですが、ちゃんとやれるめどはありますか。やり方が。
○高橋政府委員 特別防除につきましては、事前に周囲の土地あるいは水面の利用状況、そういうものを調査しまして、必要な危被害対策を講じた上で地域住民等の関係者の理解が得られる見込みのある松林について実施することとしておりまして、松くい虫被害対策推進連絡協議会、地区ごとの説明会の開催、こういうものを通じまして、環境の保全に関する地域の有識者を含め地域住民等の意向の反映に努めているところでございます。
 今後とも、自然環境保全及び生活環境の保全に配慮しまして、薬剤の安全使用、危被害防止対策の徹底等に努めるとともに、より幅広い意見が十分に反映されるようにその構成員等につきましても配慮するなど、連絡協議会の運営方法について指導していきたいと考えております。
○辻(一)委員 形はそれで結構なんですが、実際はもう限られた人が来て、お役所と同じようなことを言ってしまうという場合が間々ありますので、ひとつこういう協議会をやるとか、公の場で皆さんの意見をきちっと聞くようなことをぜひ保証して取り組んでもらいたいと思います。
 それから、空散、空中散布、特別防除がやむを得ないというときに起こる可能性のある健康被害の症状、例えばこういう症状が出たらすぐ知らせてください、地域にはこういう医療機関がちゃんと用意してありますということをやはり知らす必要があると思うのですが、間々現地では異常があるといって訴えても余り取り上げてくれないという場合もあるというのです。散布後、何カ所かで周辺の住民の健康にどういう影響を与えておるのか与えていないのかということを影響調査を行う必要があると思いますが、これはやる考えはないのか。どうですか。
○高橋政府委員 特別防除の実施に当たりましては、その旨事前に地元の住民の皆さんに周知徹底を図るとともに、最寄りの保健所、病院等の地域医療機関にその日程とか使用薬剤とか十分に連絡をしまして、万一に備えた医療救急体制を整備を依頼しているところであります。
 今後、これに加えまして、人によって影響の程度が異なるということもあることに配慮しまして、これまでの危被害防止対策の一層の徹底を図るとともに、万一被害が発生した場合の的確な対応措置についても地域医療機関への周知を図り、危被害の懸念がより少なくなるように努めてまいりたい。
 それから、特別防除に係る危被害等の状況につきましては、従来から、都府県を通じましてその発生状況の把握に努めているところでありまして、これまで住民の健康被害が報告されたことはないのですけれども、今後ともその把握に努めまして、万が一危被害が発生した場合、直ちに特別防除を中止し、原因究明に努め適切な措置を講ずることとしたいと考えております。
○辻(一)委員 幾つかありますが、ちょっとまとめて質問したいと思います。
 一つ、時限立法である特別措置法が廃止になる、そこで空中散布、特別防除は半永久的に行われるのだという一部末端での受けとめがあるのですね。これは全く間違った受けとめで、松林保全対策懇談会のまとめを見ると、特別防除がなくなるような条件を整備するということが大事だということを強調しておるので、この趣旨をひとつ行政の末端にもよくよく徹底させていただきたいということが一つ。
 それからもう一つは、今まで五年ごとに特別措置法の法案審議というものがあって、そのときに人体に及ぼす問題、特に特別防除のあり方等について論議が随分されてきたのですが、これが森林病害虫等防除法の中に組み込まれてしまうと、そういう機会、五年ごとのチェックの機会を失うということになるんですね。国会はもちろんこれは適時このチェックをやるべきでありますが、政府としても五年ごとに一遍総点検をやって、この状況を確認する、点検をする、見直しをしていく、こういうことが必要であると思いますが、それについていかがでしょうか。
○高橋政府委員 特別防除につきまして、これを恒久化するということではなくて、特別防除は、先ほど申し上げましたように、必要なところで地域住民の理解のもとに万全の措置をとりながら実行する、そして可能な限りそれが特別防除の必要性がないように、激しい被害の抑制と再激化の危険性を低下させる、そういう防除努力を行いまして特別防除を実施する必要がなくなる、こういう趣旨を我々もぜひ徹底していきたいというふうに思っております。
 それから、特別防除を実施した場合のチェックといいますか報告等でございますけれども、特別、防除を実施するに当たりましては、環境の保全とか地域住民の意向を十分に配慮して防除を実施する必要性から、農林水産大臣それから都道府県知事がその実施に当たって基準を定めまして、その策定、変更に当たりましては、それぞれ中央森林審議会あるいは都道府県森林審議会の意見を聞くこととしておるわけでありまして、その内容につきましては、科学的知見の集積とか社会的情勢の変化等を踏まえまして、必要に応じて随時に見直して適切なものにしていく、こういう考え方でございます。
○辻(一)委員 まだ一、二間残していますが、本会議があるということで気になりますので、これで切り上げたいと思います。終わります。
○石橋委員長 午後二時から再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時二十八分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時開議
○石橋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行をいたします。北村直人君。
○北村(直)委員 まず最初に、農林大臣どうぞ御退席、よろしいです。
 それでは、午前中から引き続き、森林組合法の一部改正について、私の方から質問をさせていただきます。
 一つ目は、今回の組合法の一部改正、組合の事業範囲が拡大される。改正案では、運搬ですとか加工、あるいは保管または販売の事業の対象を拡大することとしておりますね。そうなると、新たな事業の対象となるものは、主として農産物等が想定されると私は思います。
 御承知のとおり、森林組合の存在する地域というのは、おおむね森林所有者は農業者である、あるいは、森林組合の組合員はまた同時に農業協同組合の組合員でもあるというのが一般的ではないかと思います。こうした中で、この森林組合が組合員の生産する農産物の加工や販売等を行うことができることによって、地域の農協、つまり農業協同組合と森林組合の関係はどういうふうに位置づけされていくのかな。あるいは、農協の事業展開ですとか合併の推進の中で、地域におけるこの二つの組合の役割分担というのをどういうふうに農林省の方は明確にしていくのかな。あるいは事業が競合するというようなことが出てくると思いますね。そういうものの連携はどういうふうに図っていこうとしているのか、そこら辺をひとつ御説明をお願いいたします。
○高橋政府委員 森林組合と農協との関係につきましては、平成五年に制定されました特定農山村法におきましても、農林地の保全とか地域特産物の加工、販売について、相互に連携を図りながら協力するように努めているところでありまして、今回の法改正はその線に沿ったものと考えております。
 農協を含めた地域の関係者との関係でございますけれども、山村地域における人手不足というふうな状況を考えますと、改正の趣旨に即した森林組合の事業の展開というものを通じて、事業の競合というよりも、むしろ関係者の連携とか機能分担が進みまして、その地域の持つ物的、人的資源のより有効な活用が図られるというふうに考えているところであります。
○北村(直)委員 なかなかはっきり私には理解ができないのですが、そうなると、政務次官、逆に、森林組合と農業協同組合というのを合併させてはどうなのかな。この森林組合法並びに森林組合合併助成法というのは今回改正することになるのですけれども、今の説明からすると、私は、その地域によっては合併させてしまった方がより地域のためになるのではないのかなという気がするのですが、保利政務次官、今回のこの改正の何が受益者のためになるのか、地域のためになるのか、その辺についてお聞かせいただきたい、こう思います。
○保利政府委員 大臣が予算委員会に出席をいたしましたので、お許しをいただいて、かわって私から答弁をさせていただきます。
 ただいま委員から御指摘がありました農業協同組合と森林組合との合併、これは現在、私どもの頭にはありませんが、委員からの御指摘というのは、これはごもっともな点もあろうかと思います。したがいまして、今後の課題として私どもは視野の中に入れつつも、当面は、森林組合の力をつけていくというような意味で、森林組合法の改正、そしてその活動内容について充実させるということを御提案申し上げておりますし、さらに合併助成法を延長していただいて、さらに今、規模、活動範囲を広げていくような合併についての措置をお願いする、そういう合併助成法の延長についてのお願いを申し上げておるわけでございます。
 的確な御回答、御返事になるのかどうかわかりませんが、地域によっては、確かに委員御指摘のように、農業協同組合との連携のもとに販売事業等を一体化していくということはあろうかと思いますけれども、森林組合が成立をしたそのように来るゆえんのもの、それから、農業協同組合が組合として発足したその発生した理由が、それぞれ歴史があり、またその原因がありますので、その辺のところの基本的な組合の使命というものを考えながら、委員の御提案というのも研究をしていかなければならぬのではないかといふうに考えております。
○北村(直)委員 政務次官から大変前向きの御答弁をいただきましたが、今政務次官がおっしゃったとおり、それぞれの組合、目的があり、歴史もあるわけであります。しかし、戦後五十年たった現在、あるいはそれぞれの法律ができてから、今の、現代の社会にだんだんとマッチしなくなったものが出てきているのではないのかな。地域によっては、午前中に矢上委員の方からも御質問がありました、中山間地域によってはほとんど農協がなかったり、あるいは森林組合だけだったとか、そういうようなところもある。また逆のところもある。そうなると、その地域にとって、受益者、つまり、一次産業に従事されている方々が自分たちの精神でつくり上げていく組合というものが、新たな展開を迎えているのではないかなという感じがいたします。
 そういう面では、今回の森林組合法の一部改正、これを契機に、林野庁ばかりではなくて、農林水産省を挙げてこの森林組合あるいは農業協同組合、もう一つ場合によっては漁業組合、こういうところも巻き込んだ、地域の農漁山村を活性化するという意味では、それぞれの組合を一つに持っていくというのでしょうか、そういうことが今後大きな課題になってくるのではないかな、このように私は考えております。先ほど政務次官から将来の課題としてという御答弁をいただきましたが、農林省を挙げてぜひその方向を模索をしていただきたいな、このようにお願いをする次第でございます。
 さて、今回、組合法が改正されることは、これは地域の方々は非常に望んでいることであります。そして私も、北海道の山に関係する業者の方々、あるいは組合員の方々のところをずっと回っておりますと、昨年の経営基盤強化法、つまり林野三法、これは大変待ち望んでいた、そしてこのことによって将来の展望が開けてきた、あるいは経営の中でこれらの法律に沿って経営の安定化を図り得る道が出てきた、こう言って喜んでおられる方々が大変多い、こういうふうに思います。
 ただ、その中で、今私が言ったように、経営が非常に多面的に、そして将来の展望が見えてきているのとは裏腹に、これはもう農林水産省、政務次官御承知のとおり、地域においては、農業者の離農ですとか、あるいは森林組合から離職される方、あるいは水産からどうしても陸に上がらざるを得ないとか、いろいろな問題を抱えて、森林、つまり山を所有をしている方々というのは農業者であり、あるいは漁業者であるということが非常に多いわけであります。そういった中で、今回の林野三法できちっと経営基盤の強化がなされる道筋をつけていただいて、この林地取得資金、これも八十ヘクタールの上限が解除されたり、貸し付けの限度額が個人七千万あるいは法人二億五千万に拡大したとか、いろいろなことがあるのですが、実は、貸し付けの対象となるところが、今、私が先ほど申したとおり、農業者あるいは漁業者、こういうところが実は抜けておりまして、離農されたその後の山をどう管理をしていくか、こうなると、そういう農協やあるいは漁業協同組合というのが、今の法律ではこの林地取得資金を借りられない。つまり、やりたいのだけれどもそういう道がない、こういう事態が実は山のところでは出てきている。
 これは、林業及び林産工業協同組合というのは、二十一世紀の世界的な木材の供給不足に対応するため、みずから林地を求めて造林あるいは育林したいと思っても、市中銀行では運転資金の手当てしかできず、五十年や八十年の超長期にわたる投資活動は不可能である。あるいは、先ほど申したとおり、農業協同組合は農家やあるいは林家を多く抱えておりまして、離農や廃業によるその後の造林や育林の資金手当てがみずからできない。あるいは、漁業協同組合においても、前浜の漁場をよくするためには背後の森林の造林が必要と理解し、行動を起こし始めております。しかし、資金調達の道がなくて森林の拡大整備に参加できないということが実は現場の方では出てきている、すべてではありません。
 そういう面では、どうでしょうか、この林地取得資金、対象は個人や株式会社あるいは有限会社、森林組合、森林整備公社、こういうところに限られておりますけれども、今すぐやれといっても難しいでしょうけれども、近い将来、漁業協同組合や農業協同組合あるいは林産工業協同組合、こういうところにも道を開く、こういうことを林野庁としてはお考えではないでしょうか。
○高橋政府委員 もう先生御承知のとおり、林地取得資金、これは経営規模の拡大による林業経営の改善ということで、今おっしゃった林業を営む個人、法人、森林組合というふうな林業者に対して融通する制度、そもそもそういう制度でございます。
 八年に改正したこの基盤強化法、林野三法でありますけれども、これもやはり意欲的な林業者に管理不十分な森林を集積するというふうなことによって、不在村森林所有者がふえているわけでありますけれども、そういうところを集積して林業の経営基盤を強化したり、あるいは森林整備を 図ったりというふうなことで、そういう目的で償還期限の延長等を実施した特例措置を設けたわけでございます。
 そういう性格の林業経営基盤の強化等の促進のための措置として設けられたものでございますので、農協や漁協については、どうもしゃくし定規で申しわけありませんけれども、本資金の対象とすることは困難であるというふうに考えております。
○北村(直)委員 多分、困難という言葉しか行政の中では出てこないと思うのですけれども、どうでしょう、政務次官。今は長官としては、行政とすればこれはできない。しかし、私はすぐやれとかというのではなくて、こういうことも考えておかなければ、つまり離農したりあるいは廃業したりするその山を、ではだれが造林したり育林をするのだろう。しかし、育林、造林をするにしても年数がかかる。その超長期な投資ができる道というのはそういうところにはない、いや借りるお金はありますよ、それは金利も高いのがあるでしょう、あるいは何十年というのがあるでしょうけれども。
 ですから、ここは政治判断というような形で、これについて、将来というよりも、何とか道が開けるような議論を含めて、協議をしていくというふうなことの御答弁はいただけませんでしょうか。
○保利政府委員 森林組合というのは、御承知のように、森林の整備というのを一番大きな目的にしているわけでありますので、また農業協同組合の場合は農業の振興というのを図っていくという、目的が現在ちょっと違うということもございます。
 今委員御指摘の、農業協同組合を通じて農業協同組合員に林地取得資金を貸せないかということでございますが、前提として先ほど委員が御指摘がございましたのは、森林組合と農業協同組合両方に入っているというようなお話がございまして、それが地域的にダブっている。したがって、将来としては森林関係とそれから農業関係とを統合していく道について考えてもいいけれども、現在は森林の整備を主たる目的にして活動している森林組合と農業協同組合があって、しかもダブル加盟をしておられる方が多い。ダブル加盟をしておられるならば、森林の整備のために使う資金であるならば、それはやはり森林組合を通して借りていただくというのが現在の行政上の整理になろうかと思います。そこをごちゃごちゃにいたしますと行政に混乱が起きますので、これは役所流に言ってまことに申しわけないと思いますけれども、今林野庁長官が答弁いたしましたような線で整理して考えているということでございます。
 ただ、先ほど委員が御指摘の、農協と森林組合の合併ができないだろうかという、そういう御指摘を研究する中で研究していく課題かなと思っておるわけであります。
○北村(直)委員 私もそこのところを実は強調したかったわけでございまして、政務次官から、将来の方向として森林組合と農協との合併、あるいは漁業協同組合との合併、こういう議論の中でこういう林地取得資金も、そういうシステムができれば、多分これはおのずとついてくるのではないか、こう私も思います。ですから、そういう面では、林地取得資金のことは別として、またもとに戻ってしまいますが、農、林、水の三つの協同組合の合併ができる仕組みをつくっていただける議論をぜひ役所の中で行っていただきたい、このように思うところでございます。
 さて、もう一つ。実は、ずっと受益者あるいは業界等々を回っておりますと、この林業の経営基盤強化法に基づく特別の償却一五%割り増しが認められた、これは大変いいことである、こういうお話を聞きます。
 特に、経営改善計画を樹立したところは、これは林業の機械については一五%の特別償却が認められるということでありますが、ここまで来たのであれば、先ほど申したとおり、林業を含めて、山を含めて、木にかかわるところというのは零細企業等々、北海道ではある程度の大きなところも、工場等々もありますけれども、非常に御苦労されている。そして、使命を持ちながらやっておられる方々も非常に多い。そうなると、今回はこの林業機械等に限定はされておりますけれども、どうでしょう、林野庁として、この経営改善計画を樹立した企業のほぼすべての償却に割り増しの範囲を広げてやる、こういうような考えはお持ちでしょうか。
○高橋政府委員 この点につきましても、やはり森林施業を受託して規模を拡大する、そして林業経営基盤を強化したい、そういう林業者に対しまして、森林施業の受託規模を拡大する場合に、林業経営が軌道に乗るまでの一定期間、林業用の機械とか装置に対する負担を軽減するという意味で創設された割り増し償却制度でありまして、この特例措置は、あくまでも林業経営の改善というふうな意味で税制上支援するものでありまして、認定された計画に従って受託規模を拡大するというふうに制限のある税制上の支援措置というふうに考えておりますので、その対象を林業用資産以外に拡大するということは大変困難であるというふうに思っております。
○北村(直)委員 確かにそういうことだと思いますが、そういう声が現地では強いということを林野庁も頭に置いていただいて、これは税制の問題ですから、一ことしの秋以降またあろうと思います。政務次官にもそのことを頭に置いていただきながら御指導もいただきたいな、このように思います。
 それで、もう一つ。例えば北海道の場合ですと、植林や育林の期間というのは、カラマツで約四十年、トドマツで八十年の時間を必要といたします。補助による育林やあるいは植林を導入しても、自己負担というのは実は三〇%以上となるのですね。補助にも年度枠があったり、あるいは地域割り当て等もありまして、場合によっては全額自己負担によるものも実はある。しかし、こういった投下資金というのは、ある面では国家や国民のため、あるいは国や自治体にかわってそういう植林や育林を会社や個人が行っている、こういうふうに見ても私は差し支えないのかなと。
 本来なら、この命を守る山、これはある面では国家がきちっと責任を負うというのも基本的な考え方にあるのでしょうけれども、しかし、今までの歴史的な背景の中からそうでもない。そうすると、先ほど申したとおり、全額自己負担というときもある、あるいは自己負担が三〇%以上になるときもある。そうなると、この森林の投資の一定割合を所得控除する道を探るということもある時期必要ではないのかな、こういうふうに私は思うわけであります。
 森林が日本の文化だという公論を背景に、森林づくりをする人々に希望を持たせるという意味では、今言ったように一定の割合の所得控除というようなことも大切なことではないのかな、こう思うわけでありますけれども、林野庁としてはどのようなお考えをお持ちでしょうか。
○高橋政府委員 我が国の税制におきましては、投資の経費は、それに対応する収入が発生した時点で収入から控除することが原則とされておるわけでありまして、これを林業に当てはめますと、造林のための投資額は、その立木の伐採、譲渡時に得られる収入から控除するということになっております。
 この場合、個人につきましては、立木の伐採、譲渡時に、概算経費控除という方式で投資額の控除が現行の制度として行われております。山林所得としまして、ほかの所得と切り離して、分離五分五乗課税方式という非常に優遇された措置で累進税率の緩和を図りまして、それから、二〇%の森林計画特別控除等によりましてさらに課税の大幅な軽減がなされております。先ほどの概算経費控除率につきましては、平成九年度の税制改正で、それまで四〇%でありましたのを四五%に引き上げるという措置がとられる予定でございます。
 それから、森林施業計画の認定を受けている法人につきましては、特例として、植林した年度に植林費の二五%を損金参入することが認められておりまして、これにつきましても平成九年度の税制改正において三〇%に引き上げるということが予定されております。
○北村(直)委員 そういうきちっとした森林づくりのために、税制の改正というのはさらに突っ込んだ議論が必要だと思います。議論の基本になるのはやはり役所の事務方の皆さんのところでやっていただくということになりますので、ひとつ林野庁としてましっかりした対応をお願いしたい、このように思います。
 そして、もう一つ。先ほどの林地取得資金にかかわる問題ではございますけれども、実は北海道の方としても、例えば道庁の方もどのくらいの、農林漁業金融公庫の林地取得資金にかかわる意識調査というのも何かやっているように私は聞いております。それは、現場の人方の意向を踏まえて、特に林産関係事業協同組合を対象に何とか国にお願いできないだろうか、こういう取り組みもしているやに実は聞いております。
 そこは林野庁の方々も情報として入っておるのではないかと思いますが、先ほど来なかなか難しいというお話がありましたけれども、農協や漁組というのは難しいでしょう。しかし、この林産関係の事業協同組合、ここの対象ということについては、私はその対象の枠を広げていく余地は残っているのではないのかなという気がいたします。いま一度、この林産関係事業協同組合の対象というのはどのようにお考えでしょうか。
○高橋政府委員 林業を営む者というのが本筋なものですから、林産関係をやっているそういう協同組合等が林業経営を同時に営んでいるというふうなことで、ウエートもあるでしょうけれども、そういう場合には可能性があると思います。ただ、林産協同組合という形でそれでは単独でその人たちが林地取得資金が得られるかというと、今の段階では無理だというふうに考えております。
○北村(直)委員 ぜひ地方の声を率直に聞いていただいて、やはり林野庁がリーダーシップをとりながら日本の国の森林、林野を引っ張っていっていただきたいな。それには、そういった現場の生の声というものをよく理解をしていただいた上で、いろいろな対策を前向きに検討していただきたい、このようにお願いをする次第でございます。
 さて、もう一つ、私は北海道出身なものですから、どうしても北海道というのが質問の中身になってしまいますことをお許しをいただきたいと思いますが、実は、北海道ではエゾシカによる森林の被害が非常にふえているのですね。特に、国有林も含めて、例えば北海道の東の方の阿寒国立公園ですとか、こういうところは見るも無残な姿であります。国有林等々、阿寒国立公園の山奥の方に入っていきますと、食べるものがなくてシカがたくさん死んでいます。そして、食べるものがないものですから、我々の空気をしっかりつくってくれている木をほとんど食べてしまっている、皮を食べている。しかし、それでもおなかがいっぱいにならないですから、くぼみにある水飲み場におりていって、そこからもう上がれないというのでしょうか、雪も冬場深いということでそこで死んでしまう、そういうのがもう何百頭、あるいは場合によっては何千頭、こう言っても言い過ぎでないぐらい、実はあります。
 しかし、先ほど言った、そういうところで死んでいるシカはほとんどやせ細り、皮と骨だけになっています。やせております。しかし、人家のそばに来るエゾシカは丸々太っています。これは、林野庁の管轄ではありませんけれども、いろいろなものを、農作物を食べたりしながら丸々太っているんだと思いますが、実は先ほど申したとおり、山、つまり林野庁が所管する山について、林野庁は北海道のエゾシカによる森林被害というものを今の段階でどのように認識しておりますでしょうか。
○高橋政府委員 北海道におきますエゾシカによる森林被害が年々ふえているというふうに認識しております。道庁とか道内の営林局、支局を通じまして、森林病害虫や動物による森林被害の発生状況を毎年把握しておるわけでありますが、平成三年度あたりからふえ始めまして、年々被害面積が増加しておりまして、平成七年度には約二百ヘクタールが被害を受けているという現状を承知しております。
○北村(直)委員 認識はいただいていると思いますが、これはかなりの被害でありまして、例えば東北海道の津別町という町がありますが、全農地約三百キロをぐるりと金網で囲ってしまおう、エゾシカを防ぐ長城をつくってしまおう、こういう計画も実は出てきてしまっている。これは、地方団体の、地方行政の予算の中で三十二億円を使って、町の中にある全農地を三百キロを金網で囲ってしまってシカがもう入ってこないようにしよう、ここまで決断させるぐらい実はシカの被害がふえてきております。
 きょうは林野に対する質問ですから、そうなると、間違いなく林野の、森林の被害というのは相当なものになっております。これを食いとめるためのいろいろな政策的なもの、あるいは予算的なものというのは今までも農林省挙げてやっていただいてはおりますが、それではとてもとてももう太刀打ちできない、こういう状況になっているわけでありますけれども、きょうは林野庁として、この森林に対する被害を食いとめるための対策はどのように講じておるでしょうか。
○高橋政府委員 従来から、森林をエゾシカの被害から守るというふうなことで忌避剤を散布したり、今先生おっしゃったような防護さくの設置というふうなことで防除対策を講じまして、あるいは被害跡地の復旧を行っておるわけですが、平成八年度には、環境庁とも連携をとりまして、野生鳥獣との共存というふうなことで、広葉樹林を造成したり、あるいは下層植生を回復したりというふうなことを、造林の助成でそういう事業をやっております。
 九年度はさらに地元の関係者によりまして、そういう被害を受けている連絡体制、そういう地図とかエゾシカの出現のマップをつくって、それに対する対策をいち早く立てられるようにというふうなことで工夫をしまして、あるいは新しく工夫された遮光ネットとか食害防止チューブ、こんなものの普及というふうなことに努めております。
○北村(直)委員 シカもなかなか利口でございまして、馬とシカがいればちょっとおかしなことになるのですが、シカも非常に利口で、例えばどこに逃げ込めば撃たれないかとかということは十分わかっているんですね。
 例えば一例として、これは野生鳥獣の有害駆除ということで銃で撃ってもいいことになっているのですけれども、ある国立の大学が持っている演習林というのでしょうか、ここは本当は大学にお願いをして許可をとれば撃たしてもらえるのですけれども、そこの国立大学は、実はそのまま残したいということで人も入れさせない。そうすると、シカはよくわかっていまして、追われればそこに入ってしまう。夜そこから出てきていろいろな悪さをする、日中はそこに入っている。有害駆除をする人方はそこに行けない。こういう、これは一例でありますけれども、しかし、その大学が悪いとは私は言いません、大学は大学の持っているいろいろな考え方があるのでしょう。
 ですから、これは政務次官の御答弁をいただければと思いますが、林野庁ばかりではなくて、これは農林水産省とすれば畑作物、あるいはこれから春先になればビートですとか、あるいは牧草地、ここでシカが食べて、おしっこや何かする。そこには全く牛は食べに行きません、においで。ですから、そういう被害というのが物すごく広がっているわけであります。抜本的な対策をしなきゃならぬ。
 そこで、一番問題となっているのは、実はシカというのは、ではだれが所有をしているのだ。所有者がいないのですね。これは無主物ということになっていますね。民法では無主物だ。ですから、そういう面では、鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律の改正というのをやらなければならぬと私は思います。この無主物というだれも所有をしていない、これが一番の根っこであります。
 しかし、これは民法だとかいろいろな形で難しいところがあります。ですから林野庁は、自分の山を守るという意味では、先ほど長官がおっしゃったように、それぞれの省庁との連携を深めながら、特に環境庁等々との連携を今以上に密接な関係をとりながら そして法の改正に向けてぜひ御努力をいただきたい。
 それと、政務次官、最後に、これは民法ですから、無主物を今さら所有物にせいと言っても政務次官は御答弁いただけないと思いますが、今私が話をしたようなことで、政務次官としてのシカに対するお考えがもしあればお聞かせをいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
○保利政府委員 今御指摘の問題は大変難しい問題で、私も山村振興関係の仕事をしておりまして、そこで果てしもなく議論が続いたわけでございます。環境庁、林野庁、そのほか関係省庁、いろいろお集まりをいただきまして、現状分析からいろいろさせていただいたのですが、一説によりますと、日本のオオカミを退治した、そのことによってそのような野生動物が繁殖をしやすいいい条件ができてきたというようなことが言われておりまして、それではどうするというところの議論までなかなか進まなかったわけであります。
 今御指摘のような問題は、林野庁としても先ほど長官がちょっと御答弁をされましたけれども、それでは木の皮なり芽なりを食べないようにするためにはどうするかということになれば、それはある程度のえさをやることになるであろう。そのえさを供給するものは何かということになれば、それは濶葉樹林であるかなというような気もいたしておりまして、そういう意味で複層樹林の造成というのが非常に大事だと思っておるわけでございます。
 そのほか緊急的には、網を張って入らないようにするとか、これは猛獣のいないオーストラリアでウサギの繁殖で非常に困っておりまして、そのために網を長々と張ったという例もあるわけでありますけれども、同じようなことを考える。しかし、これは一時的な問題だと思います。
 生態系の保持と、それからそうした機能、環境をどう守るかというようなこと、これは国民的な課題として、国民の間で大きな議論として提起されることを私は期待をいたしておりますが、我々もできる範囲での努力をして日本の森林を守ってまいりたいという気持ちであることを申し述べたいと思います。
○北村(直)委員 終わります。
○石橋委員長 次に、山本有二君。
○山本(有)委員 自民党を代表いたしまして質問をさせていただきます。
 高知県の仁淀川流域に森林組合が幾つかございます。特に、ことしの四月一日、もう間もなくでございますが、仁淀川森林組合という組合が新たにでき上がります。高岡郡、吾川郡にございます佐川町、越知町、仁淀村、池川町、吾川村、この五ケ町村の四森林組合が対等合併いたしましてでき上がるわけでございます。その合併する各組合の組合長さん、そしてまた新たに発足する仁淀川森林組合の組合長さんでございます日浦郷一氏、この方々から御意見や現状をお伺いしてまいりました。
 特に、日浦初代組合長は吾川村の人でございまして、竹炭、竹によります炭をつくりまして、におい取りとかあるいは殺菌効果を利用していろいろな商品を開発をしようと意気込んでおる大変立派な人でございます。その人から、新しい組合を発足するについて一体どういうことが悩みで一体どういうことを解決したらいいんだ、こうつぶさに聞いてまいりました。そこで、その不安や期待をもとにいたじまして質問をさせていただきます。
 まず不安として列挙してもらったことが四つばかりございます。
 まず第一に、林業就労者の高齢化、後継者不足、これが一つ。第二番目に、木材の低迷の原因である外材の輸入と国産材の振興。三番目に不在村地主林、これがますますふえてくるが、この対策。さらに、森林労働者の現状、さらには四十時間労働制の導入において今後どうなるのかという点でございます。
 そしてまた、今度は期待という面でございますが、期待は仁淀川森林組合の初年度の事業方針案の中に掲げられておるわけでございます。これも四つばかりございますが、合併によって林家所得が向上するであろう。さらにサービスも向上するであろう。さらに、三番目に、生産、販売、加工、流通まで一貫した事業を行うことができる。四番目に、森林組合事業の運営と行政施策の一体化ができることによってますます林業が活発化するというようなことが掲げられてございます。
 不安を解消し、期待に沿うというのが政治の基でございましょう。その観点からまず合併の意義を尋ねたいと思います。
 昨年の暮れに当委員会でも法律をつくって農協合併を達成いたしました。けれども、あの合併と森林組合の合併とはそもそも趣旨、理念が違うのではないか、こう思っております。
 あのときは住専の問題がございました。金融の問題もございました。合理化の問題もございました。いわば住専の反省のもとに立った合併でなかったか、こう思います。しかし、今回の森林組合の合併というのは、住専の問題はございません。したがって、外部監査とか金融の専門性を導入するというようないわば金融事業は森林組合事業のわずか二%でございまして、それに主眼が置かれているとは思えません。また、信連と農林中金が一体となるというような信用事業強化、こういうことでもないわけでございます。
 そうならば、これは一体どういう意味を持つのか、この合併の意義は何なのかということをまず問いたいと思います。
○保利政府委員 先生が現地こお出向きになられまして現在の森林組合の持っている問題点、四点御指摘になられましたけれども、そういう調査をされましたことにまず敬意を表したいと思います。
 森林組合の合併の目的やいかんということでございますが、私の記憶では、昭和三十年代の後半から四十年代の初めごろ、森林組合の数というのは全国で大体二千七百ぐらいであったろうと思います。現在大体千四百ぐらいまで来ておりますから、半分ぐらいまで合併が進んできたというふうに考えております。
 その千四百ぐらいの現在あります森林組合の中で状況を分析をしてみますと、上位百の森林組合におきましては大体取り扱いが約十億近いものでありまして、平均九億七千三百万ぐらいであります。同時に、事業利益も約四・七%上げておるというのが上位百の実態である。それから、下位の百をとってみますと、下位百の取扱高というのは一億弱、十分の一でございます。平均値九千四百万という数字がございますが、そのくらいの規模である。そして、事業収益、事業利益が〇・三%。四・七に対して〇・三という形になっておる。これは、まさに企業といいますか組合の規模の小さいところが、やはり事業成績がそれだけ上位に対して劣っているという形が歴然と出ております。
 したがいまして、森林組合をできるだけ小さいものを大きく合併をさせていく、あるいは大きいものと小さいものを合併させていくというようなことを政策的にとりまして、そして森林組合が健全な姿で仕事ができ、そして、中核的な担い手でありますとか、あるいは企業体質、経営基盤が整備されていくということを私どもは望んでおるわけでございます。そのことが、日本の山を守っていく、森林組合の主たる事業は造林でありますとかあるいは間伐でありますから、そういうものがきちんと行われていくようにするために森林組合の体質を強化をしていく必要がある。
 先ほど数字で御説明を申し上げましたようなものを考え、この森林組合法の改正とそして合併助成法の延長、さらに改正をお願いをしておるということでございます。
○山本(有)委員 ぜひ、この合併によりまして体質が強化され、森林組合の事業が市場経済に合致する、そういうような時代を迎えられるきっかけとなればと期待するところでございます。
 さて、森林組合の作業班の状況を見ますと、高齢化が進んでおります。
 林野庁の森林組合統計によりますと、昭和五十年度、六十歳以上、これが一五・二%、五十五年、五年後には一七・九%、六十年には二四・〇%、平成二年には三七・六%、平成六年には四七・九%。すなわち、山で働く人の半分がもう既に六十歳以上、こういう現状に来たわけでございます。そうすると、あと五年たてば、恐らく、これはもう年齢オーバー、ともかく働く人がないというような時代がやってくることは、火を見るよりも明らかでございます。
 さらに後継者不足でございます。特に、後継者不足は世界中でそうであるようでございまして、スウェーデンなどでは、新規就労者、これに国が四千万円以上貸し付けをして、住宅を確保したり林野事業が円滑にいくように国が新規就労者に援助するというような制度もあるようでございます。
 そんなことを考えまして日本も、林野庁は林業労働力確保法をつくりましてこの対策に臨んでおるわけでございますが、現在の状況、さらに後継者対策、これをひとつお伺いいたします。
○高橋政府委員 林業労働力の高齢化、大変厳しい状況が全国であらわれているわけでありますが、最近、林業に従事したいという若い人も都会の中にふえているというふうな話もございます。
 現実的に、地方の森林組合が若い人を作業班ということで募集しますと、大勢その募集に応じてくるというふうな実態もあるわけでありまして、そういう希望者とそれからそれを受け入れる側と、そこをうまく結びつけるということが大事ではないかと思っておりまして、今委員御指摘の林業労働力の確保の促進に関する法律、これを昨年四月に成立させていただき、その後、この法律に基づきまして、林業労働力確保支援センター、これを各県に置くようにしております。
 その支援センターを拠点にいたしまして、林業に就業したい、そういう新規の人たちに対しては研修を実施する、そういう方には就業準備のための無利子の資金の貸し付けをする、そんなふうなこととか、あるいは林業事業体、これがしっかりしないと、やはり林業の後継者を、作業班を構成したり、それがなかなか十分にできないということで、林業事業体を改善計画をつくってそれを認定しようというふうなことで実行しておりまして、平成九年度につきましては、新たに、都道府県が小規模な事業体についても認定事業主になれるように協業化を促進するような事業も助成するということをしております。
 それから、林業後継者ということで、経営者の人たちの後継者、親の後を継ぐというふうな人たちを育てることも大変大事な話なわけでありますが、これは林業普及指導事業というふうなことで、地域林業のリーダーを育てる、その人たちを研修するというふうな事業をやっておりまして、平成九年度には新たに女性の林業への参入拡大を図ろうというふうなことでその対策も講じておりまして、そういういろいろな方策で林業後継者の確保に努めていきたいと考えております。
○山本(有)委員 ぜひ、実を上げるように頑張っていただきたいと思います。
 次に、四十時間制が導入された後、森林組合等の経営に支障がないかということでございます。
 山で働くのは、現場が遠いわけでありまして、また、急傾斜であったりアブやハチがいたりして労働環境というのは本当に酷なものでございます。仕事に当たるまでに準備作業も大変時間もかかるわけでございまして、架線を張る作業、力仕事でございます、そんないろんな意味でホワイトカラーとは違う苦労がございます。その意味で、四十時間制導入に対して林野庁の考えを聞きたいと思います。
○高橋政府委員 平成五年の六月に労働基準法が改正されまして、林業も平成六年四月一日から基準法の全面適用ということで、一週の法定労働時間四十時間とされたわけでありますが、経過措置として、平成九年の三月三十一日までは週四十四時間、こういう体制で来たわけであります。
 それで、いよいよ平成九年四月一日から週四十時間ということに変わるわけでありますけれども、確かに林業は、事業量が季節的に変動が大きい、季節ごとの事業量の変動があるというふうなことで、変形労働時間制を採用するというふうなことで週四十時間労働制への移行に対応していこうという考え方でございます。
○山本(有)委員 林野庁が発表いたしました資料、「国有林事業の状況」という資料の二ページ目に、国有林の事業の経営の困難さ、その原因が述べられております。その冒頭に、「外材輸入の増大等による材価の伸び悩み」という文句がございます。まさに材の価格低迷、これが今日の林業衰退につながっておるわけでございますが、木材自給率、特に製材用用材自給率、これで見ますと、昭和四十一年が六七%であったものが、平成七年には二〇%と三分の一ぐらいになっております。それぐらい国内材で製材する方々が少なくなったわけでございまして、外材輸入というのが、とりもなおさず森林組合の皆さんの一つのテーマでもあるわけでございます。
 そこで、伐採量と成長量の推移を見ましたときに、昭和五十四年にはいよいよ成長量が伐採量を超えまして、伐採をせず成長している、いわば日本の国内の林、森には多くのすばらしい木が育っているということがわかるわけでございますし、また、翻って考えてみますと、外国におきましても、材木の輸出国にいたしましても、いつまでも輸出できる環境にあるのかどうか、これも不安なしとしないわけでございます。そんなことを考えましたとき、いわば外材を輸入するより国内材を出荷した方が、これが一番適当だという時代が来ることを私は念願しておりますし、数値で見ますとそれが不可能でもないような気がいたします。
 そんなことを考えましたときに、国産材の将来の見通し、これを今どう考えておられるか、お伺いをいたします。
○高橋政府委員 現在人工林の面積が一千万ヘクタールということで、これは戦後いろいろな木材需要に対応した跡地を林業家の方が植えて育ててきたわけでありますが、その森林もいよいよ成熟してきつつあります。地域によってその成熟度にいろいろの変化がありますけれども、もう既に九州地方などでは次の生産がサイクルに入っておりまして、供給量もだんだんふえてきております。
 現在のところは完全自由化商品ということで木材の自給率は二割程度ということでありますが、そういう資源の成熟の状況、そしてその資源を有効に活用していくために、昨年の林野三法で対応いたしましたように、素材生産コストを低減させるとか、品質の安定したものを生産するとか、あるいは消費者ニーズに合った商品を開発するとか、そういう努力によって国産材を供給していく、そういう体制をとれば、今後やはり国産材はふえていく、増加させていくことができるというふうに考えております。
 昨年十一月に改定しました需給の長期見通しがあるわけでありますが、そういう資源の成熟度を見まして、将来的には製材品につきましては需要量の半分ぐらいは国産材でやりたい、それからパルプとかそういうものを入れたものとしては三割ぐらいの自給率にまず持っていくというふうな計画で考えております。
○山本(有)委員 次に、日本の過疎地域は面積にして四八・四%、約半分が過疎でございます。その地域に人口にしてわずか六・四%の人々が頑張って暮らしておるわけでございます。そういうような状況の中で不在地主が出てくるのは、これはもう必然でございます。都会に出ていった息子さん、あとに残された老夫婦、やがて両親が亡くなり山だけが残る。国破れて山河ありではないですが、そういういわば不在地主がどんどんこれから出てくるだろうと思います。
 そういうときに、不在のままで管理をしない、ほったらかしというと、これはいわば国の宝の持ちぐされてございます。それこそ森林組合の作業で整備をし、管理をしていくというような物の考え方が必要だろうというように思います。特に、流域管理になりまして、各流域の市町村が連携をとることによって、下流域が不在林を買い、そして上流域の組合がこれを管理して、それで費用を下流から上流へ支払っていくというようなことのいわば連携でもあれば私はすばらしいことになるのではないかというように思いました。
 そこで、私はことしの一月の下旬に、仁淀川組合の傘下の町村、池川町、吾川村、仁淀村、この町長さんや村長さんに出てきてもらって高知市長と会わせまして、これから川の管理というのはお互いがやっていかなければならぬのだというようなテーブルをセットしたわけでございます。今後、こういうことが私はうんと大事になってくるだろうと思いますので、林野庁といたしましても、不在村地主林、こういう問題に対して真っ向から取り組んでいただきたいと思いますが、その対策をお伺いいたします。
○高橋政府委員 御指摘の不在村の森林面積が、昭和四十五年には二百二十万ヘクタールございまして、これが平成二年には三百万ヘクタールになっております。不在村森林ということでやはり管理が十分には行われないという懸念があるわけでありますが、一方森林組合が不在村森林所有者と契約を結んで、その管理とか施業を受託しているという事例がふえてきております。こういう取り組みを一層促進するということで、平成六年度から森林組合がそういう不在村森林所有者を対象に林業経営意欲を喚起してやっていく受託制度、そういうものの取り組みについて助成を行ってきております。
 今回の改正で合併の促進が行われ、さらには指定森林組合というふうな制度を確立していく段階で、やはり森林組合による不在村者所有森林の管理というものが適切に行われるように指導をしていきたいと思っております。
○山本(有)委員 川の水はどんどん減っております。枯れてきております。アユも遡上が難しくなってきております。したがって、我が仁淀川でも、よそから稚魚を買ってきて放流するということを余儀なくされておるわけであります。
 過疎、高齢化で悩む池川町に行ってまいりますと、橋本町議会議長と岡崎森林組合長が、山本さん、この小川の水量は、自分たちが子供の時代すなわち三十年、四十年前は十倍あった。それがどんどん少なくなって今十分の一しか、ちょろちょろしか流れていない。これで下の高知市でどんどん水道として仁淀川の水をくれとか言われても、我々は出したいけれどももう水がないんだ、こういうようなことを切実に語っておられます。
 まさに私は、手を尽くしても尽くし切れない、議会で頑張り森林組合で頑張っても、水の量をふやそうとしても全く無理だというような、あきらめに近い叫びを聞いたわけでございます。水源を涵養し保水能力を向上するということは、まさに焦眉の急であろうと思います。この対策をどんどんやっていただきたいと思いますが、この状況いかん、お聞きいたします。
○高橋政府委員 森林には渇水や洪水を緩和する、あるいは水源林として公益的な機能を果たすという機能があるわけでありまして、ダムの上流の水源地域につきましては、積極的に水源涵養保安林というふうな指定を行います。そこで治山事業とか造林事業を適切に行うということでその機能を計画的に高める、あるいは森林開発公団によりまして、水源林造成事業ということで制度的に実施しております。
 最近では、委員御指摘のように上下流の市町村、こういうところが提携をいたしまして森林整備協定というふうなものを結んで、上流は下流を、下流は上流を、お互いに思いやる、こういうふうな形での運動を推進していきたいと思っております。
○山本(有)委員 高知県の木材協会長に門田成耕さんという人がおりまして、この方が木材振興について一家言を持っていらっしゃいます。彼の問題意識から質問させていただきます。
 廃棄物処理法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律という法律ができております。その廃棄物処理法の十条には、「事業者は、その産業廃棄物を自ら処理しなければならない。」こう書いてあります。つまり、これからは廃棄物を出す、そういうような事業をする人は自分で始末しろ、こういうわけでございます。またさらには、廃棄物の処理場を建設することが非常に困難になっておる現状もございます。
 そういう中で、住宅あるいは建設の構造物、コンクリートや鉄筋、こういったものをどんどん処理しようにも処理し切れない、こういった時代がやってまいります。そのときに住宅は一体何でつくるのがいいのかというと、もう鉄骨やコンクリートでつくるよりも材木でつくれ、そうでないと日本は廃棄物処理法上もう難しいぞ、こういう時代が来るのだ、こういうことで、いましばらく待て、冬の時代は、我慢すればもう春が来るというような観点から、門田会長は、もう少し、もう少しといって勇気づけ合いながら木材産業を推進しておるわけでございます。
 その意味におきまして、今後こういう住宅資材として木材をどんどん奨励していく、そういうことの覚悟がおありになるのかどうかということを、建設省の住宅の関係の課長さんにお伺いしたいと思います。
○松野説明員 お答えいたします。
 住宅、建築の解体に伴います建設廃棄物の排出量あるいは再利用率等につきまして、その構造別のデータは把握しておりませんが、平成七年度に建設省が実施いたしました建設副産物実態調査の速報値によりますと、建設廃棄物全体の再利用・減量化率は約五八%になっております。住宅・建築に関する建設廃棄物についてはやや低くなっておりまして、約四二%となっております。これは、住宅、建築の建設あるいは解体が他の建設工事と比べまして小規模あるいは個別散在的に行われることによるものと考えております。
 今後は、地球規模の環境問題、あるいは廃棄物の最終処分場の残余の容量の減少等を考えますと、住宅分野における環境対策の一環として、建設廃棄物対策を一層推進することが重要と考えております。
 これにつきましては、現在、住宅生産関係者の横断的な組織団体でございます社団法人住宅生産団体連合会におきまして、建設廃棄物の排出量の推計やリサイクル及び適正処理のあり方を含みます住宅産業環境行動ビジョンの策定が進められております。
 今後は、これらの成果も踏まえまして、民間の住宅生産者等とも協力しながら、住宅の構造別の特性にも配慮いたしまして、建設廃棄物の再利用と適正処理の推進に努めてまいりたいと考えております。
 なお、建設省では従来から、地域材の活用促進の必要性、あるいは国民の木造住宅に対する強いニーズにかんがみまして、地場産材を活用した木造公営住宅の建設の促進を初めといたしまして、地域特性を踏まえました良質な木造住宅の供給の促進を図ってきているところでございまして、今後ともその積極的な推進を行ってまいりたいと考えております。
○山本(有)委員 木材産業、森林組合の繁栄を祈りつつ、質問を終わります。どうもありがとうございました。
○石橋委員長 次に、春名直章君。
○春名委員 日本共産党の春名直章です。
 私も山本先生と同じく高知県出身でして、森林面積が八四%と日本一の県です。私も、二月三日、四日に、同じ合併する仁淀川森林組合や県森林組合の連合会、それから高知営林局長、こういう方々から、藤田スミ委員と一緒にいろいろ実情や国への要望を聞かせていただいてまいりました。それも踏まえながら御質問をさせていただきたいと思います。
 その一つの仁淀村森林組合がまとめた資料をここにいただいたのですが、これを見て私びっくりしたのです。一九七〇年から一九九五年の二十五年間ですが、林業労働者の一日当たりの男性賃金は千八百円から七千八百円と四倍以上にこの間なっている。ところが、同じ間に、一立方メートル当たりの木材価格は二万九百十七円から一万九千二百円へと下がって、最高時で比べれば五八%になっているという状況をお聞きをしました。これでどうやって林業を成り立たせるのかという悲鳴にも似た声を聞きました。杉の造林投資の利回り率が、一九六五年には六・五%あって、何とか産業としては成り立っていましたが、九二年の調査では〇・九%、一%を切るような状況になっているので、まさに林業として成り立ちようがないようなところに追い込まれています。
 私は、この最大の要因の一つは、外材の洪水のような輸入にあると考えます。これを本気で解決しなければ林業としての展望は開けないと思いますが、そのことについては大臣にお聞きをしたいので最後に回して、もう一つ大きな問題は、国産材の需要拡大がどうしても必要だということであります。
 今、地方自治体では、林業の活性化に向けて地元材を活用する各種の対策がとられ始めております。岐阜県では、県の各部局の二十六課が参画をして間伐材対策研究会を設置して、土木事業などの公共事業に県産材を積極的に活用する、こういう体制をとっています。新潟県では、林業土木事業で三%を間伐材の活用とする、こういうことを目標に利用促進を進めている。さまざまな努力がやられています。
 政府においても、お聞きしましたところ、各省庁で国産材の活用対策が進められていると思いますが、この際思い切って、例えば国が進める公共事業施設などでの国産材の活用目標を設定するとか、本格的に国産材の活用体制の整備を国として推進していくという点でぜひ努力をしていただきたいと思いますが、この点での見解をぜひ聞かせていただきたいと思います。
○高橋政府委員 私どもも、国産材を利用してもらうことが、林業が振興し、森林の整備につながるという認識でございまして、まさに、その場合に国や地方公共団体、こういう組織が国産材を率先して利用する、これは大変必要なことだというふうに思っております。
 私どもの組織で申し上げますと、平成四年二月に帯広営林支局の庁舎を建設いたしましたけれども、これも基準法からいうと規模的にはちょっと難しいところがあったのでありますが、その辺をクリアいたしまして、まさに国産材による三階の木造の庁舎を建設いたしております。
 そういうふうな例に見られますように、政府ベースといたしましても、林野庁が呼びかけ人といいますか、建設省、文部省、いろいろな省庁にもお願いをしまして、国の施設、補助対象施設、そういうものについて国産材を使っての木造化ということを推進するようにお願いをし、そのための会議というふうなことも常々実行している状況でございます。
○春名委員 その方向を一歩進めて、新潟のように三%ぐらいは目安にするとか、ぜひ一生懸命やっていただきたいというふうに思います。
 それからもう一つ、お話を聞いている懇談の中で強い要望として出されてきた問題で、作業路、作業道への助成という問題があります。
 林業振興には役立たないような大規模な林道開設、これには巨額を投ずる事例があるわけですが、その一方で、木材を伐出するための林道につながる作業道、これをもっと今から重視をしなければいけないわけですが、ここには不十分であるという訴えでありました。
 例えば、山形県に真室川―小国という大規模林道事業というのがあります。そのルートの一部に当たる朝日―小国区間というのは六十四キロメートルだそうです。ところが、七六年度からこれを始めて、この工事は二十年たちましたが、進捗率は二二%にすぎない。しかし、この間に投資した額は、当時の計画事業費百四十五億円の半分近い六十八億円が既に投入をされているそうであります。ルート周辺でクマタカの巣が発見されるとか、また、その場所は、深層風化地帯で崩壊しやすい地盤であるということで事故が続いて、修復の事業費あるいは保全工事費、これに九六年度一年間で三億八千万円程度かかると言われております。集落のない山岳地帯で、山林振興にもなかなか役に立たないという地元の声も出ているそうです。地元の方々の声でも、どこから見てもむだと自然破壊を繰り返しているという声があります。そして、九六年の末に、林野庁の方々は、保全工事以外は新たな予算化をしないというところになったとお聞きをしておりますけれども、こういう事態も一方ではあります。
 それで、先ほどの議論の中で、戦後植林した木が今後十年で伐採期を迎えていくということになっています。その点でいいますと、林道に続く作業道や作業路、これを今整備していくということが極めて重要な時期に来ているというふうに思います。一ヘクタール当たり五十メートル程度は必要じゃないかと言われておりますけれども、この際、林業振興の必要性から乖離したような、あのような大規模な林道建設についてはしっかり見直すとともに、作業道の整備の助成強化、これをしっかりと国として検討していただきたいというように思いますけれども、この点ではいかがでしょうか。
○高橋政府委員 大規模林道につきましては、問題のある箇所等もございまして、そういうところは休止をするというふうな対応も必要かと思っております。ただ、多くの大規模林道は、それぞれの山村住民の生活上の利便性や安全性、あるいは林業の活性化を図るという意味で大変に必要とされ、その地域で本当に期待をされている林道が多いということの御認識もお願いをしたいと思います。
 もちろん、作業道が、今の森林の整備をしたり、木材生産のためにその素材生産コストを下げる、あるいは造林作業を適切に行うための道ということで必要なことも十分承知しておりまして、この作業道につきましては、造林事業等の補助対象ということで整備を推進したいと思っております。
 そういう大規模林道を含めた林道と、それから作業道、こういうものをバランスよく配置してネットワークをつくって森林を整備し、林業を振興していくということが適切なのではないかというふうに考えております。
○春名委員 そうした作業路の整備について、先ほど、造林とか間伐作業と一体とした事業の部分としての一定の補助があるというのは私も存じ上げておりますけれども、さらに突っ込んで、今、先ほど言ったような時期に来ているわけですので、支援策を考えていただきたいということを要望しておきたいと思います。
 次に、今度の改正案の内容について幾つかお尋ねをいたします。
 森林組合の事業範囲が拡大されることになりました。組合の経営状態を改善するとか、高齢化が進む山村地域の組合員や住民の生活ニーズにこたえるということで事業を多角化していくということは理解できるものであります。
 ただ、確認をしておきたいことがありますが、経営基盤の強化ということが大事だということで、森林組合の必須事業である森林施業とか、組合員のための森林経営指導などの事業がなおざりにされるということは絶対にあってはなりませんし、先ほどのお話でも、そういうことをやるためじゃないんだ、そうじゃないんだということをおっしゃっておりました。
 森林組合法には、森林所有者の経済的、社会的地位の向上、これとあわせて、森林の保続培養及び森林生産力の増進を図るということが明記もされていますので、この改正の趣旨を、後継者も確保する、森林施業などの本業を行う足腰を強める、ここに役立つものとして改正するということ、こういうふうに私も理解をしたいと思いますが、その点でのねらいですね、もう一度確認をさせていただきたいと思います。
○高橋政府委員 今回の森林組合法の改正のねらい、これは、国産材価格が低迷しておりますし、林業経営コストも増加しております。林業就業者も減少、高齢化、こういう状態で、林業をめぐる情勢が大変厳しい。こういう中で、森林組合は地域の中核的な担い手でございます。その担い手がしっかりした役割を果たすためには、やはり経営基盤を強化しなければならない。現在、多くの組合が植林中心で事業能力を十分に活用していないという一方、木材の加工、販売とか住宅建設とか、そういうことで事業の多角化を図って、経営基盤の強化に努めている組合も出現してきております。そういう実態を踏まえまして、森林組合の本来業務である森林施業を適切に実行していくためには、施業対象面積の拡大はもとより、多面的な事業展開、これによる経営基盤の強化が必要と思っております。
 今回の合併の推進と事業範囲の拡大ということを内容といたしまして経営基盤の強化が図られれば、森林組合の本来業務である森林施業への取り組みも充実していくものというふうに考えているわけであります。
○春名委員 山村地域では資金力のより強い農協が、既にといいますか、さまざまな事業展開をされている。先ほどどなたかの質問でもありましたが、私がお話を聞いたところでも、後から参入する森林組合がその中に入って太刀打ちできるのだろうかという不安の声も出されました。この点で、農協との連携などを図っていくことが非常に大事になると思いますけれども、行政としてどういう対策をこれからとっていくかということで、お伺いしたいと思います。
○高橋政府委員 おっしゃるとおり、地域には農協というふうな組織もありますが、農協の組織もまたいろいろ合併等の動きがありまして、森林組合と競合するかどうかということになりますと、競合というよりは、お互いに連携をし合っていく方が望ましいのではないか。現在でも、森林組合が農作業を実施したり、附帯事業を活用して農協との業務提携も行っているわけでありまして、山村地域における人的な活用という面から見ますと、今回の合併を促進することによって事業範囲を拡大して、農協とも業務提携を推進していく、そういうふうなことで、望ましい姿に持っていくということを指導してまいりたいと思っております。
○春名委員 この改正案に、最後にお聞きしますが、一県一組合を想定した規定が盛り込まれていますが、この関連で聞いておきたいと思います。
 流域管理システムの範囲をも超えた大広域合併ということになりますと、それは無理があるのではないかと思います。森林計画上では、一県一流域とされているのが、埼玉県、神奈川県、大阪府、香川県の四府県になっています。計画の区名として一くくりにされていますけれども、組合を同じように一つにくくるということには、もちろん無理があると思います。
 林野庁として、そういう一つの方向に合併していく、大合併していくといいますか、そういう方向を目指すお考えなのかどうか、この点をお聞きしておきたいと思います。
○高橋政府委員 森林組合の合併というのは、あくまで組合の自主的な取り組みによってなされるものでありまして、林野庁が全国一律に、あるいは特定の地域を対象にして一県一組合というふうな指導をする考えはございません。
 しかしながら、現在の実態を見ますと、数次にわたる合併を経まして、大変規模格差というふうなことも生じておりまして、県全体の森林組合の事業規模がほかの県の一つの広域森林組合にも及ばないという事態も生じております。ですから、こういう地域については、合併のメリットを見出し得るような適正な事業規模を確保するために、一県一組合となる場合も視野に入れまして、県下系統全体での取り組みが必要になっていると考えておるわけであります。
 こういう状況で、一県一組合となる地域が誕生する可能性も考慮した規定の整備ということで考えておるわけであります。
○春名委員 それでは、大臣がいらっしゃいましたので、私一番聞きたかったことですので、最後にこれをお話しさせてもらいたいと思います。
 先ほどの、私も聞いてきた中で一番強く声が出ていたのは、なぜ輸入で一次産品ばかりが犠牲になるのかどうしても理解できないという怒りの声が非常に強かったわけです。木材の自給率が二〇・五%、大変な事態です。昨年四月の当委員会で、当時の大原農水大臣が、実際問題として、この輸入の問題がやはり基本的なプレッシャーになっている、いろいろの機会に、関税率を下げろとかゼロにしろとか、そういった問題については、国内産業のことを考えながら積極的に発言していかなければならなぬなと思っている、こういうふうに述べておられます。
 そこで、藤本大臣にお聞きをしたいと思います。今日の林業の困難の根底に、やはり外材のとどまることを知らぬ輸入増大があるというふうに私は思いますが、その点はお認めになっていただけるでしょうか。その点に立つならば、この問題にどのように向き合って対処しようとしているのか。野方図な木材輸入に対し規制ができるように、国際的なルールでも認めさせるように力も注いでいくということが今本当に大事になっていると思います。ぜひ見解を伺いたいと思います。
○藤本国務大臣 まず、委員が御指摘ございました、我が国の木材需給の現状でございますが、確かに外材が八割を占めている。これは今の為替事情であるとか、また国内の木材資源が若いというようなことも大きな原因でございます。しかし、長期的に、森林資源に関する基本計画であるとか、また林産物の需要及び供給に関する長期の見通し、こういう見通しによりますと、長期的には国産材の漸増が見込まれる、こういう状況であります。
 そういう現状を踏まえて国産材の供給を図っていくということが何よりも大事であるわけなので、昨年成立しました林野三法、これを活用して、林業であるとか木材産業の体質強化に努めていくということが、これは一つの基本的な対策であると思います。
 それから、最初に御指摘がありました外材の問題、これは価格の問題で、つまり、安く外材が入ってくれば国産材は押される、また大量に入ってくれば価格が下がって、国産材の方も結局引き合わない、こういうことになるわけでございまして、この外材が国内にどれだけ入ってくるかという、そこのところが非常に大事で、価格に大きな影響を及ぼすわけでございますので、需要に見合った秩序のある輸入、それが図られるように十分に我々としても注視していく必要があると思っておるわけでございまして、この木材輸入の動向の状況の把握に努めていかなければならぬ。私も、個人的なことで恐縮でございますけれども、私のおやじは木材関係者でございましたので、よくわかっておると思います。
○春名委員 私は、このことを現場の方から聞いて、本当にこれに立ち向かわないといけないというのを痛感させられてきて、いろいろその後調べてみたのです。
 例えば、世界の木材輸出国、アメリカやカナダ、それから南洋材のマレーシアとかインドネシアとか、こういうところでは、丸太での輸出禁止など、そういう輸出規制措置が次々ととられていっていると思うのですね。そういう輸出国の規制措置という実情をひとつ明らかにしていただきたいということ。それからアメリカでは、一九九〇年八月に森林資源保護及び不足緩和法が発効をしまして、西経百度以西の連邦森林からの丸太輸出禁止の恒久化、州有林からの丸太輸出制限などが行われるということになりました。それらのねらいなのですが、森林資源の保護ということはもちろんあると思いますが、国内の木材産業の保護ということもあるのではないかと思います。その点もちょっとお伺いしておきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○高橋政府委員 木材の供給国におきましては、やはり自然保護とかいろいろな動きによりまして、森林の扱いが持続可能な経営というふうに向かっているのが世界的な大勢でございます。そういう中にありまして、アメリカ、カナダなども原木の輸出というものにはやはり制限的に規制をしておりまして、確かに国内の木材資源で付加価値を高めて製品で輸出する、こういう傾向にございます。それから、南洋材等につきましても、インドネシアを初めやはり原木の輸出禁止というふうなことで、やはりこれも製品で輸出したい、こういう形態をとっております。
 ですから 最近では日本に輸入されてくる木材製品も、原木で来るというよりは製品で来るという形態が確実にふえてきております。ということは、今まで外材を丸太で輸入して日本で加工していた製材業とか合板工場とか、こういうところがなかなか今度はそういう外材の原木が手に入らないという事態になりまして、こういう方たちはそれでは原料の転換というふうなことで、国産材の方に目を向けてきているというふうな状況であります。
 我々としましてま、やまりそうやって国産材に目を向けてきた木材工業、そういう方たちに適切に間伐材を初めとする国内の資源を供給をして生産コストを下げ、よりニーズに合った製品をつくって、外国から入る製品とも競合できるような体制をつくろうではないか、それが国産材の振興につながるのではないか、こんな考え方でいるわけでございます。
○春名委員 最後に、この問題で、この間関税率がどんどん下げられていきました。一九九〇年六月には日米林産物協議がやられて、アメリカの林産物協会、大きな組織でありますけれども、その林産物協会の要求にも押されるという形で木材製品の関税率の大幅引き下げとか、アメリカ産の住宅の市場拡大のための建築基準法の改正。それから、御承知のように、ウルグアイ・ラウンドの合意では木材製品の関税率も約三〇%程度下げられるということになりました。ですから、残念ながら政府は次々と外材輸入に道を開くということに結論的にはなっているわけであります。
 しかし、今大臣もおっしゃいましたけれども、本当に今日本の林業がどうなるのかという事態に立ち至っている。それから輸出国においても、乱伐などによる深刻な弊害でいろいろな規制も加えなければならない、こういう事態もあります。そして、国内の森林というのは三十九兆円と言われるぐらいの水資源涵養機能とか国土保全機能、非常にかけがえのない役割も果たしてきています。こういう価値に見合ったやはり施策をとってもらいたいということが本当に関係者の大きな要望であり、声であります。
 今、林政審を中心にして、困難に立ち至っている我が国の森林・林業をどうするかが議論をされているとお聞きをしております。しかし、その中に、公的な支えを一層少なくしていく、外していくというような議論も聞こえてまいります。そんなことは絶対にあってはなりません。
 大臣、その基本姿勢、そして本当に林業をこれから外材のそういう圧力にも負けないで守っていくという立場をもう一度最後にお聞かせをいただきたいというふうに思います。
○藤本国務大臣 森林の持つ経済的機能、また公益的機能、御指摘のとおりでございまして、そういう機能を考えますと、森林に対して、政府としてこれからもなおいろいろな施策を組み合わせながら、発展のために、振興のために努力していくということは至極当然のことでございまして、これからもぜひ御理解をいただきまして、私どもも努力をしてまいりますので、よろしくお願いいたします。
○春名委員 終わります。
○石橋委員長 次に、藤田スミ君。
○藤田(ス)委員 私は、森林病害虫等防除法の一部改正案についてお伺いをいたします。
 私ども日本共産党は、前回の期限延長の折にも、特別措置法の役割はもう終わっており、森林病害虫等防除法での対応に移行すべきだと主張してまいりました。特措法の廃止は、その点では当然のことだと思います。しかし、これまでも数多くの不安や反対の声が出されていた特別防除は、命令・代執行という強制力を持った措置として引き続き実施されることになったわけであります。
 特措法が制定され二十年間、特別防除を続けてきたが、結局松の被害を終息させることはできなかった。今回の改正は、五年間の時限立法ではもう松くい虫対策はできないとの判断から出されてきたものだと思いますが、松林保全懇談会の報告書では、特別防除について、将来被害水準が低下するなど、実施する必要がなくなるような条件を整備していくことが必要であるが、それまでの間は主要な防除措置の一つとして特別伐倒駆除等の他の措置を適切に組合わせつつ実施していく必要があるとしているわけであります。
 そこでお伺いいたしますが、この特別防除を永久に続けられるおつもりなのか、そして「実施する必要がなくなるような条件」とはどういう状態であり、その条件整備をどのように行おうと考えていらっしゃるのか、お答えを下さい。
○高橋政府委員 特別防除を永久に実施するという考えかどうかというお話でありますが、必要に応じてやはり特別防除というものは実行さるべき手段というふうに考えておりまして、報告書でもそういうふうな考え方でございます。松くい虫の現在の対策としては、危険地であるとか急傾斜地、人の行けないところ そりしりところを防除するのには、やはり特別防除、空中散布というのが有効な手段、こう考えております。
 ただ、いつまでもそれだけに頼るということではなくて、やはり保全すべき松林における徹底的な駆除を行って、その中にある衰弱木というふうなものの除去も行い、マツノマダラカミキリの繁殖源を減少させて、その保存すべき松林自体からはもうマツノマダラカミキリは出てこない、そしてその周辺にある松林も、樹種転換というふうなことで、そこが感染源になるような危険性もない、こういうふうな状態になると、松くい虫の被害というものは出てこないような状態になるわけでありまして、条件整備というのはそういう状態に持っていくということを考えているわけであります。
○藤田(ス)委員 私は、特別防除について、もう見直しの時期に来ていると思うわけです。被害が広域化し全国に定着した現状では、特別防除の効果には限界性があり、現段階で特別防除によって松の被害を防止する可能性は非常に低いと言わざるを得ません。
 特別防除は、ヘリコプターの運航計画によって散布時間が左右されますし、そのときの気象などで、マツノマダラカミキリの飛び出し時期にあわせた防除、つまり適期防除、そういうことにうまくならないという事例もたくさん出されています。また、散布後の気象条件、雨や強い風で散布薬剤が流出、飛散した場合もあるわけであります。そういう場合は、その効果はもちろん大きく減少していくでしょう。
 その一方で、生態系への影響や人への被害が出ているという報告は全く後を絶ちません。農水委員に配付されております日弁連の意見書でも、そのことは数多く報告されております。
 結局、松という一つの樹種を守るということだけではなく、ほかの生物や生態系、水、大気を生み出す森林環境を守っていくのだという視点から、特別防除は見直さなければならないというふうに考えるわけです。地域で、松林についてよく理解を深め、松林として守るべきなのかどうかということを話し合い、必要に応じて広葉樹など他の樹種への転換をしていくことや、守るならどのような方法をとるのかも含めて、地域合意を進めていくことが大事だと考えるわけです。
 そこで、大臣にお伺いいたしますが、私は、特別防除が、いわんや農水大臣、都道府察知事の命令・代執行という形で、国や自治体が強制力を持ち、恒久的に実施されるというやり方は見直すべきだと考えますが、大臣いかがでしょうか。
○藤本国務大臣 先ほどの委員のいろいろな御意見、御指摘につきまして、この松くい虫対策、特別防除に限らずに、いろいろな各方策を組み合わしてやるべきだという御意見は、私は全く同感でございます。その上に立ちまして、この命令・代執行の問題について廃止すべきと考えるがという御質問でございますが、特別防除ですべての松くい虫対策をやろうというふうには考えておりません。
 しかし、地形上の問題などから考えまして、これはどうしても空中散布をしなければならぬ、こういうような判断をされる場合もあると私は思うのです。特別防除しか使えない、そういう箇所について、常に自主的な防除が行われるということは、必ずしもそのとおりにならない、そういう場合に限って、この大臣、知事による命令・代執行というのは必要な対策ではないだろうかというふうに思っているわけでございます。
○藤田(ス)委員 急傾斜以外のところは、特別防除をやらなくても組み合わせでずっと進めていけば十分駆除できるというように考えます。そして、急傾斜地というような、非常こ困難なところについては、果たして松という一つの樹種を守るということだけでいいのかという立場から、やはりもっと広く目を配って、特別防除というものについては見直しをかけなければならないというのが私の意見であります。
 私は、きょうここに、どれほど多くの皆さんがこの特別防除はもうやめてよという声を持っていらっしゃるかということを全部披露したいわけですが、なかなか時間がありませんので、限って申し上げます。
 大臣、御出身の香川県高松市、御承知かもしれませんが、生活協同組合オリーブコープ、ここから要望書が届いております。今回の改正は、「今まで行われてきた薬漬けによる松枯れ対策の問題点を、何ら考慮したことになりません。」こういうふうに批判をしながら、「住民への健康被害は出ております。私たちが把握しているかぎりでは、喘息、アトピーの悪化、風邪や花粉症のような症状、またある小学校のクラスでは二十二人中七人という高率の近視」、そういう問題が出ている。「散布がちょうど学校のプール開きの時期と重なっていたり、登校時間帯にかかるという不安もあります。」ということで、切実な訴えを出していらっしゃいます。
 この人への影響というのを裏づけるような例示を壷べているのが、先ほど御紹介した「松枯れ対策としての農薬空中散布の廃止を求める意見書」、日弁連のそれであります。
 ここでは、同じ香川県の医師会の会誌に発表された富田医師らが調査をしたところで、小豆島の空中散布で、散布境界から三百五十メートル地点の小学校で、MEP、散布した農薬の名前ですが、それの大気汚染が見られ、また、散布後三カ月から五カ月にわたって伝法川でMEPが検出され、その水源汚染によって水道水からも検畠されているということが例示として書かれているわけであります。
 だからこそ日弁連の皆さんも、もう「農薬の空中散布を廃止し、」「特別伐倒駆除や樹種転換などを中心とした被害対策に切り替えつつ、総力をあげて被害原因の究明に取り組むべきである。日本弁護士連合会はそのことを強く要請するものである。」という要請文書を出されているわけであります。
 そういう立場からも、私は、特別防除を強制力を持つ大臣、知事の命令一代執行という形で実施するというやり方はやめるべきだということを重ねて申し上げておきたいと思います。
 また、林野庁は常に、特別防除は効果的な手段なんだということをおっしゃいますけれども,特別防除の効果調査を行っていないじゃありませんか。確かにあなた方は、森林一カ所一ヘクタールの定点調査というのを継続して行っていらっしゃいます。そして、そこで被害本数が下がったから効果があるということも言われてきました。しかし、ここでは他の防除方法もあわせて行われているということを、実は私は担当の皆さんから聞いて驚いています。それでは特別防除の効果を示したことにならない調査になるわけであります。効果調査を見直すべきだということをお約束いただけませんか。
○高橋政府委員 これまでのそういう効果調査におきましては、定点を設定いたしまして、空中散布を実行したところでの効果を実績で調査をしているところであります。その箇所は、特に調査をするためにというよりも、やはり保全すべき松林というふうなことで防除を優先しておりますので、伐倒駆除等も行って、特別防除とあわせてそこの松くい対策を実行したわけでありまして、その意味では、その特別防除の効果とそういう伐倒駆除の効果とが相乗作用というふうな点になっていることもあると考えられます。
 そういう点もありますので、今後、さらに必要な調査方法の改善、これは検討してまいりたいと思っております。
○藤田(ス)委員 特別防除の根拠になっているのは、マツノザイセンチュウ単独の原因によって松が枯れるとする研究結果であります。これには、調査研究をもとにした異論が多く出されております。
 午前中も出ておりましたが、最近、広島大学の中根周歩教授らは、昨年、実際に松の苗木に線虫を持ったマツノヤダラカミキリを放し摂食させる食害実験の結果、健全な松をマダラカミキリが摂食しても、マツノザイセンチュウは松に侵入することができず、また、侵入したとしても増殖させることができず、松がこれによって衰弱したり枯死したりすることは極めてまれであること、また、松の葉の寿命の調査あるいは葉の上のpHの測定調査を行った結果、多量の酸性降下物質が松の上葉や幹、枝に付着し、霧や露それから小雨によってこの樹体上で強い酸になり、それが松の活力と寿命を低下させると考えられるといったようなことを述べられています。これらの実験データにより、松枯れは複合要因で起こり、松の活力が大気汚染などによって落ち、そして衰弱したところに、いわば最後のとどめとしてマツノザイセンチュウが入り枯死させるものである、そういう結果を発表しているわけであります。あわせて、マツノザイセンチュウ単独要因説に基づく特別防除の効果は弱く、中止すべきだという見解も出されています。
 マツノザイセンチュウによる被害と環境要因を指摘する実験結果はこれまでも幾つも発表されてきました。これらが立証されれば、私は政府の松くい虫防除対策の根幹を揺るがすものになるというふうには思いますけれども、調査研究は重視されなければなりません。中根教授らは、共同研究を林野庁は受け入れるべきだ、共同研究をやりましようということを呼びかけておられるわけです。
 お伺いしたいのは、林野庁は一貫して環境要因を否定してこられています。しかし、それならば、呼びかけに応じて、今回共同研究にきちんと対応し、そのことによってあなた方の根拠というものをきちんと立証するべきだと私は考えるわけです。いかがでしょうか。簡潔にお答えください。
○藤本国務大臣 その共同研究につきましては検討いたします。
 それから、この森林病害虫などの防除対策を進めるに当たりましては、対策の内容を科学的な知見に基づく効果的なものとしていくのは当然のことでありまして、新たな科学的知見が明らかになれば、それに基づいて必要な対策を講じていくことになる、そう考えております。
○藤田(ス)委員 共同研究は検討するという大臣の御答弁を私は重く受けとめていきたいというふうに思います。
 中根教授らが共同研究を呼びかけているのは、林野庁等のマツノザイセンチュウ単独原因説の根拠になっている接種実験への批判もあるわけです。接種実験では、自然界ではあり得ない、材線虫の接種頭数をふやして人為的注入したものであって、自然界で起きていることは立証できないというふうにその実験方法についても批判があります。当時の研究に当たった研究者も、テレビで問いかけられて、確実に枯らすための頭数を接種しているというような答弁をしているわけでありまして、だから、本当に、同じ方法で共同研究をしようという呼びかけにぜひ一日も早くこたえてください。
 七〇年代以降全国的に拡大した被害に対して、徹底した原因の究明が求められてきました。当委員会でも、何度も附帯決議に上っています。九二年の附帯決議でも 「松の枯損メカニズムについて、」「徹底究明に努める」「松の枯損被害についても、手入れ不足等による松の不健全化や酸性雨等の影響について調査研究を推進すること。」こういうふうに――委員長、首を振っていますが、思い出しますね。そういうふうに附帯決議がなされたわけであります。
 また、保全松林の総合的管理手法の開発調査報告書、この皆さん方の報告書を見ましても、樹勢の衰えは松くい虫被害を増大させる主な要因の一つであるといりふりこ書いております。だとしたら、樹勢を弱める大きな原因になっている環境汚染との関係を徹底して調査研究するべきだと考えます。簡潔にお答えください。
○高橋政府委員 委員の、広島大学の先生の研究成果をいろいろ御披露、御披瀝いただきましたけれども、その研究と同じレベル以上の研究をもう既に昭和四十六年から、マツノザイセンチュウとマダラカミキリの共生関係ということで、森林昆虫学とか病理学、こういう先生方が千数百編の論文を発表されているわけであります。そういう論文の世界、学会の中にまずはその広島大学の先生にも参加していただいて、そういう論文を出していただきたい、その上で共同研究も検討していきたいというふうに思っております。
 それから、環境要因影響調査、これは私どもももちろん必要というふうに考えておりまして、今後さらに環境要因が松くい虫被害に及ぼす影響、こういうものについて改めてこれまでの調査研究を収集、分析いたしまして、必要な現地調査、マツノザイセンチュウの接種試験、こういうものを行いまして、今後の松林の保護対策に資していきたいというふうに考えております。
○藤田(ス)委員 大臣の先ほどの御答弁では、要するに科学的知見が進展すれば防除対策の見直しを行うのは当然だというふうにお答えいただいたと思いますので、私はもう重ねて質問をいたしません。そういう大臣の御答弁も重く受けとめておきたいと思います。
 最後に、松枯れ対策の基本は、特別防除に頼るのではなく、徹底した伐倒駆除、特別伐倒駆除と樹種転換の促進であるということを私は先ほど来申し上げてまいりました。しかし、それらの施行を地域で担っている森林組合は、作業班員の八割近くが五十歳以上、六十歳以上でも半数近く占めているというような状況でありまして、その実施が大変困難になっているのが現実であります。広島県に参りまして、森林組合へお伺いしましたときも、高齢化や労力不足の悩みとともに、樹種転換の希望は多いが助成がなければ進まない、造林補助金が足りないという訴えを強くいただきました。
 先ほど春名議員が言いましたように、根本的には外材輸入の規制、また林業従業者の確保等、林業振興のための対策が必要なことは言うまでもありませんが、現状では伐倒駆除、樹種転換を促進させるための抜本的な対策が不可欠であります。樹種転換に対する助成を思い切って引き上げるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
○高橋政府委員 保全すべき松林の最終的な保全のためにその周辺の松林を樹種転換していく、これが決め手になるわけでありますが、樹種転換を強制するわけにもいきませんので、その所有者の負担がやはりかかります。それはやはり造林事業による助成でありますとか補助事業で拡充していきまして、対応をしていきたいと考えております。
○藤田(ス)委員 大臣、今この関係の予算の大半は特別防除の方で使われているのです。局長、そうですね。大半の部分を特別防除、薬剤散布の方で使われているのです。そういう予算を少し組み替えていくという発想に立てば、私はこの関係の予算はもっと大きくすることができるじゃないかと。先ほどシカの話もありましたけれども、今本当に広葉樹をもっとふやして複層化しようということも切実な問題になっています。そういう点からも私はこの予算をもっと大きく広げるために、大臣、ひとつこの任期の間に実績として残していただきたい。最後に大臣にお伺いします。
○高橋政府委員 予算の関係で申し上げますと、松林保全総合対策、合計で約七十五億、平成九年度で計上しておりますが、この中で特別防除は十三億九千万を予定しております。
○藤本国務大臣 平成九年度の問題は御承知のようなことでございますが、それから先の課題として私も十分、高松はこの松くい虫で非常に困っておりますので、そういう対策も頭に入れながら頑張っていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○藤田(ス)委員 終わります。
○石橋委員長 次に、前島秀行君。
○前島委員 最初に、先ほど北海道の北村委員から出ましたシカの問題は、我々静岡の富士のすそ野でも同じような現象が起こっています。東名高速に飛び出したり、あるいは国道に飛び出して事故等々も起こっていますので そういう面では、北海道や我々の地域を含めてさまざまな被害が起こっているという現状でありますので、ぜひあわせて、私の方からも御検討をお願いをしておきたいと思います。
 私は、これからの森林・林業に対する国民の期待というのが非常に大きくなってきているわけでありまして、それを下で支える一番大切な流域管理システムというのをどうつくり上げていくべきなのかという点、そういう角度から今度の改正点をどう生かしていくのか、あるいは昨年の林野三法との関係でどう労働力を確保していくか等々の観点を中心に質問をさせていただきたいと思います。
 たしか六年前だったと思います。森林法の改正で、流域管理システムという、流域を中心としてこれから施業を実態的にやっていこうではないかという方向が打ち出されたと思います。このことは我々大賛成であり、この方向がこれから山を守っていく一つの基本的な方向だろうというふうに思って、今日までこの流域管理システムが定着してきているのか、どういう効果を上げているのかということを期待をしてきたわけでありますが、必ずしも期待どおり上がっていないというのが率直なところではないだろうかなと思っています。
 やはり、流域管理システムをつくり上げていく目的というのは、川上、川下が一体になるということ、あるいは民有林、国有林が一体的になって取り組んでいくということ、あるいは行政のサイドも積極的にそれに参加していく、こういう体制がどうしても、今日特に森林・林業に対して、材の提供というだけではなくして、やはり公共的機能という期待が大きければ大きいほどそういうものに総合的に、一体的に取り組んでいくんだと。そういう面で、流域単位でもってそういう川下、川上、そして国有林、民有林、あるいは行政が加わって、一体的にやっていくということの方向が打ち出されたのだろうと思います。
 六年たちました。私たち静岡の地域でも四つの流域があるのでありますが、静岡の営林署の方から過日四つの状況が報告がありましたけれども、一つのところはまだまだ全然進んでいないという状況ですね。四つのうち、あるところはもう実行計画まで行ってかなり議論が進んでいるのかなというところも率直に言ってあるし、また、現場の人たちの声を聞くと、必ずしもそういう、官民がといいましょうか、一体になって施業をやっているという実感を感ずる点は少ない、こういう意見も聞くわけであります。
 そういう意味で、六年たった今日、百五十八の各流域がどんな状況に進んでいるのか。私の感じでは定着をしているとは言い切れない。だとすると、そこにはどんな問題点があるのか、原因があるのか、その辺を林野庁としてどうとらえているのか最初にお尋ねをしたい、こういうふうに思います。
○高橋政府委員 確かに平成三年度の森林法改正以来、流域管理システムというのが、林政の推進方策といいますか、林業も振興し、それから木材産業も発展させるというふうなことで合い言葉になってきたわけでありますが、なかなかこれが実態として定着していないということは、先生のお話にあるような面がございます。
 ただ、我々から見ますと、百五十八の流域があるわけでありますが、それぞれの流域が、地域の資源の成熟度合いとか、木材の工業のそれまでの発展度合いですとか、あるいは山の方でいいますと、森林組合のリーダーシップですとか、あるいは国有林地帯とか民有林地帯とか、こういうふうないろいろな地域的な条件の差によって取り組み状況に相違が出てきているなというふうに思っております。
 中で、数でそう言っていいかどうかちょっとわかりませんが、二割ぐらい、二十から三十ぐらいの流域が既に下流の木材工業を大型化して回転し始めておりまして、そういう製材工場なりプレカット工場なり、そういう利用者サイドの発展がありますと、どうしても原料としての木材を上流に求めなければいかぬ。そのためには、何とかこの流域管理システムを使って上流にもまとまってもらわなければいかぬというふうな動きも出てきておりまして、この二、三十カ所の流域は先導的な流域ではないかなと我々は認識しておるところでございます。
○前島委員 確かに、かなり進んでいるという話も聞きます。
 そういう面で、それぞれの地域の事情だとか条件に合わせたシステムづくりということであろうと思うのですけれども、そこを、だれがといいましょうか、どこが、ある意味で引っ張っていくか、新しい仕組みだとか、それぞれ経過が違っているところを。民有林の世界と国有林の世界というのは、そもそも流れも違うし、資金の流れも違うわけでありますし、それから、経過も違うわけです。それと、地方自治体との絡み合いとか、あるいは流域といっても、行政区がまたがったり、ましてや県がまたがったりすると、いろいろな関係というのも、かってなかったという関係で、いろいろ地域地域によって違うわけでありまして、そういう面では、そういうシステム、新しいものをつくり上げていくときに、どこがリードしていくのかというのもまた一つの重要な問題だろうと思います。
 そこを、一概に国が、林野庁が、あるいは具体的には営林署の側が引っ張っていけ、こういうふうに言い切れない部分もあるけれども、やはり積極的にそこをリードしていく部隊といいましょうか、側というのが必要ではないだろうかな。そういう面では、やはり林野庁が、余り出過ぎてもいけないだろうとも思いつつも、あるいは一方的に形式的に言えないにしても、大きな役割があるのではないか。とりわけ、この仕組みをつくってていったり、基本計画をつくっていったりとかいう過程での役割はあるのかなということを一つ感じます。
 同時にまた、現実に施業をしたり、作業をしたりしていくという形になってくると、やはり民間の部分の存在というのが、これは絶対に無視できない現場の意見ということもあるだろうと思います。そういう面で、今回の森林組合の合併の新たな延長等々含めた対策ということは、私ら、大きな意味もあるし、そこに期待もあるだろう、こういうふうに思っているわけです。
 そこで、具体的な流域管理システムを現場でうまくやっていかせるためにはどうしても民有林部門の、特に森林組合の存在ということは無視できないとすると、この流域管理システムにおける森林組合の役割というものはそれなりのものがあるだろうし、それをまた行政の側が期待をして積極的に引っ張り出していくということも、重要な役割ではないだろうかな、こう思うわけであります。
 そういう面で、この流域管理システムをつくり上げていく上で、この森林組合の役割、期待というものをどう位置づけているのかという点を、ぜひお聞かせいただきたいと思っています。
○高橋政府委員 やはり、森林組合がしっかりしてその流域で活動しているところは、この流域管理システムが生き生きとして発動している、こう
 いう実態にあると思っております。
 全国的に見ますと、やはり森林組合の仕事の中身は、造林事業九割、間伐事業の六割、こういうものを担っているわけでありますけれども、さらにそういう森林組合が、木材の生産、加工、流通――最近の木材では、やはり乾燥をして大量に供給する、こういう施設がないとなかなかうまくいかない、外材に負けてしまう。そのためにもそういう施設が必要だ。そういう施設をするとなれば、みんなが個別にやるのじゃなくて、やはり林業構造改善というふうな事業を使って、そこの中核的な森林組合などがそういうふうな事業をしていったらどうか。
 我々考えておりますのは、一流域に三あるいは四ぐらいの森林組合がしっかりと形成されて、その人たちがその流域の流域管理システムの担い手になる、こういう目標で、現在千四百ある森林組合が将来的には六百というふうなことで、これは我々が決めたのじゃなくて、組合系統がそれぞれ全国的な組織として集まって、こういう方向でいこうじゃないか、我々が流域管理システムをそういう形で担っていこうじゃないか、こういうことで進めているというふうに認識しております。
○前島委員 その森林組合の役割という意味で、流域の中での新しい合併の仕組みといいましょうか、数ですけれども、今言われたように、五年前のこの法案の議論のときの政府の方の説明は、当時千六百あって、それを千ぐらいにしていくんだ、流域には一カ所ぐらいの広域森林組合、こういうふうな構想というイメージが説明されているわけですね。そういうことから見ると、現在は約千四百ですね、という形もあるし、またあるいは流域管理システムで、地域にもよりますけれども、もっと広域森林組合の存在と、そうではない問題というものがうまくかみ合わないといかぬような気がするわけです。
 というのは、それは森林組合の企業体質強化という側面から今度は逆に見ますと、ただ合併すればいいとか、ただ大きくなればいいというものでもないという側面も、片っ方にあるような気がいたしますし、流域システムを引っ張っていくためには、どこか中心になるものがあって、それが引っ張っていって全体を支えていく、そういうふうな形、そんなふうなものがうまく組み合わさってこの流域のシステムが生きてくる。同時に、そこに森林組合としての活性化というものもできてくるのかな、そんな感じを、イメージを私は持つわけなんであります。
 そういう面では、今度の新たな五年間の延長に伴う合併という目標が、この千という、あるいは業界は八百という形をたしか打ち上げていると思いますけれども、それと広域との組み合わせ、流域管理システム、それと体質改善という意味で、私はどうしてももう一方の問題としては、労働力の確保という問題が絶対に必要になってくる、こんな気がするわけなのです。
 それで、各森林組合の体質強化のためにはいろいろなことを言われましたね、共同化の問題だとか等々言われて、それを労働力確保という観点から見ると、どうも大体言われているのはやはり時間の問題というふうな感じ、労働基準の問題というのが大きなウエートを占めてきているような気が私はするわけでありまして、いろいろなことをやった結果として労働力が確保されるという意味よりか、何か一つ集中的に対策を練ることによって労働力を確保していくということの方が具体的な成果を上げるのじゃないかなというのを私は実感として感ずることがあるわけなのです。
 といいますのは、同じとは言い切れませんけれども、建設業界、建設で働いているいわゆる大工さんとか左官屋さんの組合で、全建総連という、そんなに違わないで働く人たちの集まりがあるのですが、そこが今すごく組織結集が進んでいるのですね、全国的に。その組織結集の大きな目玉というか理由が健保の問題、健康保険の問題なのですね。一般で、個人で云々するのじゃなくして、組織化されて、それが組合健保という形でいく中において、そこの結集というのが大きく今進んでいるという現象を私たちは感じている。
 そういう面で、私は、森林組合の体質強化、いろいろなことがあることは私もよく知っています。それもいろいろやってもらわなければいかぬのですが、そのうちの大きな柱として、時間帯の問題、要するに労働基準という問題とかに何か絞った労働力確保対策というものが必要ではないか。昨年の三法が存在されたということは私も知っていますけれども、その中での具体的な問題として何か絞ってやることが労働力確保に通ずる、具体的な道に近づいていくのじゃないかというふうな気がするわけです。
 私は、そこが労働基準の適用の問題であり、時間の問題なのかな、こう思っているのですが、そういう意味での対応をどう基本的に絞ろうとしているのか。あるいは、体質強化のためのさまざまな課題をもう何回も言われています。毎年毎年、毎回毎回、同じようなことを言われているわけなので、そういう面で何を中心にやろうとしているのか、その点をちょっと聞かせていただきたいと思います。
○高橋政府委員 確かに他産業並みというふうな収入の目標あるいは労働条件、こういうことをやはり打ち出さないと、若い労働力、それも都会から山の方に入ってくるというふうなことは望めないだろうというふうに思います。ですから、今回労働基準法による四十時間労働、平成九年四月からはそういう形になるわけでありますけれども、いろいろと林業界でもこの受け入れにつきまして議論があったところでありますが、やはり他産業並みの就労条件という一つをクリアする意味で、労働時間をそうやって四十時間にしていこうと。
 若い人に言わせますと、やはり青い空の下で林業をやるということも楽しいものだというふうな、そういう情報を与えるということもまた人を呼んでくるためには必要なのではないかな。そういう状況をインフォメーションを与えるという意味では、昨年の労働力確保法によります支援センター、これが十分な働きをするように今県の方では一生懸命やっているという段階でございます。
○前島委員 その支援センターの建設も、まだ一年ですから、具体的にどこまで進んでいるかというのを聞くのは酷かなとは思いますけれども、ともかく二十一世紀は国産材の時代だといっても、その国産材を生産する労働力が果たしてあるのかなという心配をするわけでありますから、この労働者対策、とりわけ、若い者の今の共通の要求というのはやはり労働時間なのですね。これは林業に限らず、一般の若者の就職等々での選択の大きな基準はやはり労働時間ということであると思いますので、この林業労働者、とりわけ若い者の確保のためには、そこに大きな力点を置いて労働者対策をぜひお願いをしたい、こういうふうに思います。
 その中でひとつぜひ流域管理システムというものをつくり上げていく、定着させていく、そのことがまた民有林、国有林一体となって森林を守っていくことであり、今国民の大きな期待にこたえていくことだろうと私は思っていますので、ぜひその点の御努力を重ねてお願いをしたいと思います。
 もう一つ、私はどうしてもお聞きしておきたいのは、やはり、二十数%である、民有林などを含めて三百万ヘクタールと言われている不在村の地主の対策ということなのですね。今回もまた、員外利用の拡大ということも一つの適用になるでしょうし、森林組合の業務の拡大ということになるだろうと思いますけれども、その点をかなり意識的に対策を練らないと、私は、特に国民の期待する公益的機能に対してこたえるという面でおくれがどんどん目立つと。
 私たちは、富士山ろく地域で、年に何回か、みんなで山を見る会という形で林野庁の労働者と一緒に歩くわけですね。荒れているとか、おくれているというところを見ると、地域の人たちは、ここが不在村なんだというのが指摘されるわけでありまして、そういう面ではその点の対策というものはすごく私は重要ではないだろうかなと。さまざまな制度があるということは知ってはいるのですけれども、それに対する強力な対策というものがどうしても求められるな、こういうふうに思っているところでありますので、その点の考え方をちょっと御披露いただきたいと思います。
○高橋政府委員 御指摘のように、不在村の森林の面積が私有林の二二%、三百万ヘクタールということになってきておりまして、やはり不在村の森林は管理が十分でないというふうに思っているところであります。
 これまでも、森林組合がそういう不在村の森林所有者と管理契約を結んで、森林組合としての経営基盤を広げるというふうな活動をしておったわけでありますけれども、これまでの取り組み以上に、これからやはり不在村の森林所有者の方に、そこを手入れをしてくれ、しかるべきところに管理の委託をしてくれ、こういうふうな話を、市町村段階でもあるいは地域段階でも、まさに先ほどの流域管理システムの中でも訴えていかなければいかぬな、こう思っているわけです。
 ただ、そのときに、それではそこをやってくださいよという話になったときに、実は森林組合の方に受ける能力がない、作業班もない、これでは困ったということになりますので、指定森林組合というふうなものを今回の法律で設立するような形をとりまして、そこは、そういうふうな依頼があれば、少し地域が離れていてもそういう不在村の森林の管理も出かけていってやるよというふうな制度に考えておりまして、こういう形で不在村の森林の管理をさらに充実したいというふうに思っております。
○前島委員 受ける側として、今度業務を拡大したとか員外利用を広げたとして、それはいいのですけれども、不在村地主の方が委託するという手だてがないとだめなのであり、それに対する手だてということもさらに強化が必要なのかという感じがしますので、ぜひその辺は御検討のほどをお願いをしたいと思います。
 それから、最後に松くい対策の方をちょっと一、二聞きたいのです。
 先ほどから意見があったように、確かにかなりの、二十年間の特別措置で減ってきたことは事実だけれども、終息はしていない。面的な面はかなり少なくなってきたけれども、まだ箇所的、部分的なという面で今日まだ松枯れがあることは、松くい現象があることは間違いない事実なのですね。
 私たちも、特措法を中止して新たな方向でいくということについては大いにいい方向だろうとは思っているのでありますが、そういう意味で対策というのは、いわゆる薬剤散布、とりわけ空中散布を中心とした対策はもう後退させるべきではないだろうかなという感じが非常に強いわけなのです。樹種の転換だとか伐倒とか、空散からそっちの方向に対策の重点をこれから置くべきではないだろうか、こういうふうに思っているわけであります。
 そういう面で、今度の特措法の廃止から新しい方向へ行くに当たって、対策の具体的な力点を空散から樹種転換等々に変えていくということがこれからの道ではないだろうかなと思いますが、その点を具体的に今後どうしていくのか。先ほど、予算と数字という点で言われましたけれども、長官、具体的に今後の方向を できるものなら数字をもって提示をしてもらえばありがたいと思いますが、その辺の、これからの新しい具体的な方向というものをお示し願えればありがたいと思います。
○高橋政府委員 先ほど、予算的な関係では、平成九年度で、松くい虫対策、造林事業の公共事業等を含めて七十五億の予算の中で特別防除が十三億九千万、約十四億でございますが、そういう数字になっております。
 現実問題、空中散布、特別防除のシェア、ウエートは年々減ってきております。直接実施、大臣や知事が直接に実施するというのはもう本当にわずかな数字になっておりまして、現在行っておりますのは命令防除と奨励防除ということで、市町村とか森林所有者が自発的にこの森林はやはり空中散布、特別防除でなければ守れない、そういうふうな形で地域の住民の人の合意を得た上でやっている、そういう箇所があるわけであります。
 しかしながら、今後の見通しとしましては、やはり特別防除にウエートを置くのでなくて、徹底した対策という意味で、樹種転換とか特別伐倒駆除というふうな形にウエートは移っていくものというふうに考えているところでございます。
○前島委員 私たちの党のところにも、やはり特別防除、空散ということの対する反対の意見というのは数多く寄せられていることは間違いないわけでありますから、ぜひこれからの対策の柱を、樹種転換あるいは伐倒駆除等々の方に大きなウエートを置いて、ぜひこれからやっていただきたいということをお願いを申し上げたいと思います。
 最後に、大臣、そういう空散、特別防除はやめろというさまざまな意見の人に対して、現実にまだ全面的に空散、特別防除が否定できない部分もあるので、だとするならば、いかにしてその地域の人たちの意見を聞くかということを非常に大事にすべきであるし、そこは大切にすべきだろう、こういうふうに私たちは思っていまして、特別防除実行における住民の意見をどう尊重していくか、そこをどう保障していくか、それを仕組みの中でどう確保していくかというところがびしつとしないと、今後住民、地域における合意が得られないのではないだろうかな、こういうふうに思っているわけであります。
 そういう面で、大臣、今後特別防除等々を地域的にやっていく場合には、こういう住民の意見をどう保障していくのか。とりわけ、反対者の意見まで含めて大きな中で、協議会等々で処理をしていく、合意を得ていく、こういう努力が必要だろう、こういうふうに私たちは思っています。せめてそういうところまでは、ぜひ、約束をする中で、保障する中で今後の対策を具体化してほしいというのが私たちの気持ちであり、願いでもあるわけであります。どうしても特別防除というものをやらなくてはいかぬ場合も、住民の意見をどういう形で保障していくのか、最後に大臣の御所見を伺って終わりにしたいと思います。
○藤本国務大臣 住民の理解と協力を得つつ進めてまいるということがこの特別防除の場合非常に重要であることは、これは無論のことでございます。これまでも市町村段階におきまして、松くい虫被害対策推進連絡協議会、地域ごとの説明会の開催を通じまして地域住民の意向の反映に努めてきております。
 先ほど言われましたように、反対の方の意見も十分にこの協議会で反映できるように、これは指導してまいらなければならぬ、さように考えております。
○前島委員 終わります。
○石橋委員長 次に、堀込征雄君。
○堀込委員 二法案が提案をされておるわけでありますが、私ども、林政の問題、あるいは森林、山が大事だということでずっとやってまいったわけであります。今、しかし一方でマクロの問題をやはり考えざるを得ないと思うわけでありまして、膨大な資金投入も要るだろうし、いろいろなこともやらなければいけないけれども、しかし、国全体の財政は一方で大変厳しい状況だ。行政改革が今徹底的に求められている。つい先日、二月十七日の新聞には、林野庁解体論まで実はある新聞には提案をされているというような状況の中で、一方で私どもはそういう状況を踏まえながら、林野行政というものもどうしても考えざるを得ないのではないか、こう思うわけでありまして、そういう視点から、これから森林組合の問題などの質問をさせていただきたいと思います。
 一つは、六百三十兆円の公共投資計画、この見直し論議を政府全体で行おう、こういう動きがある。それから、行政改革委員会では、中長期計画の見直し作業を進めようというようなことがあるわけでありまして、一方では、私どもに、この農水委員会に関連するラウンド対策どうだこうだという議論もあるわけであります。
 そこで問題は、中長期計画、何本かあるわけでありますが、この計画の見直しというのは一体どういうふうに今論議をされて、ことしの林野行政にどのようにかかわっているのかという点をまずただしたいわけでありまして、第二次森林整備事、業計画、これは昨年の十二月、全国森林計画の閣議決定を踏まえ、多分ことしから実行するということになるだろうと思いますが、これはそういう意味で、第一次計画と比べてどういうアクセントをつけ、どういう改革をしながらやるのか、今私が申し上げてきましたような全体的な行政改革の議論の中で、この第二次整備事業計画についてどういう考え方で進めようとしているか、まず伺いたいと思います。
○高橋政府委員 第一次森林整備事業計画は平成四年度から八年度、第二次森林整備事業計画、九年度から五カ年間を考えておりますが、この第二次森林整備事業計画におきましては、昨年の十二月に策定しました全国森林計画に基づきまして、その方針を実現する意味で、第二次森林整備事業計画を予算的に額を確保するという形で計画しているわけであります。
 その全国森林計画の中身でありますけれども、やはり考え方としましては、今まで以上に森林の公益的な機能を重視するというふうな意味で、国土保全と水源涵養を合わせて水土保全というふうな新しい表現をしておるのでありますが、そういう水土保全あるいは森林と人との共生あるいは資源の循環利用、一千万ヘクタールを擁します人工林もだんだん成熟度を増してきております、そういう資源の循環利用を重視して森林を整備していこう、こういうことを中心に森林整備事業計画を予定しておりますが、これは平成九年度から始まるわけですので、この九年度の予算は新たにつくる第二次森林整備計画の初年度という位置づけで考えております。
 ですから、中長期計画の見直しとかいろいろあるわけでありますが、一応は、第二次森林整備計画というものをつくりたい、予算的にも、昨年の暮れに財政当局と考え方をすり合わせまして、五カ年計画というものの案をつくっている段階でございます。
○堀込委員 そこで、この行革論議と林野行政の問題であります。
 昨年十二月十二日、総理から恐らく大臣に、林野公共事業を含めた農林関係全体の公共事業の見直しについて指示があったと思うわけであります。農林水産省、それにつきまして、昨年末に効率的実施についてという文書も発表されているわけであります。
 いずれにしても、今公共事業批判というのは非常に強いわけでありまして、従来の林野公共事業をどのように反省をし、どういうふうに改革しようという考え方を現時点で持っているか、これも直接伺いたいと思いますし、関連しまして、もう一つは特殊法人の改廃問題、これはどうしても遅かれ早かれ議論になるわけでありまして、実行が急がれるわけであります。森林開発公団、これがあるわけでありまして、スーパー林道だとか水源林の造成だとか、そういう事業をされているわけでありますが、この改廃について検討しているのかいないのか、しているとすればどんな状況にあるのか、伺いたいと思います。
○高橋政府委員 最初の御質問の公共事業の見直しの関係でありますが、これまでの林野の公共事業は、治山、造林、林道というふうに目的別に区分しておったわけでありますけれども、今回の見直しで、そういう事業の目的でなくて、森林をどういうふうに取り扱っていくのかというふうな観点に立ちまして、森林保全整備事業それから森林環境整備事業というふうに再編しまして、保健、文化、教育的な森林の利用とか生活環境の整備、そういうものを重点的に推進していくように考え方を変えた次第であります。
 それから、投資効率の向上、事業の効率化というふうな意味で、事業のコスト削減、それから事業の効果を早期に発現するための事業実施箇所の削減、そんなふうな考え方を取り入れているわけであります。
 それから、森林開発公団につきましては、その実行している仕事が、一つは水源林の造成事業、これは民有林の森林所有者がなかなか植林も困難だ、上流の水源で、山も荒れているというふうなところに水源林を造成する仕事であります。以前は、分収造林というふうな考え方もあって、ヒノキ、杉等の針葉樹を主にしておりましたが、最近は、さらにブナとかナラとか、そういう広葉樹も入れた水源林造成をやっておりまして、将来的に五十万ヘクタールぐらいの水源林を造成しよう、今四十万ヘクタールぐらいまで造成をし、それの維持管理をしているわけでありますが、そういう仕事を一つしております。
 それから、山村の定住促進とか生活の利便性とか、あるいは林業を振興するという意味で大規模林道を実行しておりますけれども、大規模林道につきましては、大多数のところでは、そういう山村生活の定住条件に不可欠ということで評価されておるわけですが、一部自然保護等の問題のあるところもございます。そういうことで、環境アセスというふうなものを積極的に導入いたしまして、保全工法を取り入れながらやっているということで、森林開発公団はそういう意味で、山村振興でありますとか地域の定住化というふうなことで、大変重要な仕事をしているという認識で取り組んでいるところでございます。
○堀込委員 きょうは時間がありませんから、また議論させていただきますが、いずれにしても、内閣全体の行革方針がありまして、その中で特殊法人も当然全体としてこれから検討されていくわけでありますから、重要な仕事をしていることはよくわかりましたけれども、ぜひ今後ともまた議論させていただきたいと思います。
 そこで、今回の法律で、森林組合でございますが、従来の林政というのが、国から都道府県、そして森林組合、造林事業であれば造林者というような仕組みが、縦型の行政がずっとあった。この森林組合の事業内容を見ましても、森林造成事業が圧倒的に、半分ぐらいですか、半分以上を占めているわけでありまして、これも、造成補助金といいますか、そういうものが大きく作用している。見ていて、経営はなかなか大変だと思うのですね。だから、そういう意味では、非常に御苦労されながら経営をしている。しかし、その中身を見ると、やはり造林なりいろいろなことで補助金とかそういうものがないと、なかなか経営が立ち行かないという実態があると思うわけであります。
 私は、この林野行政というのは、あくまで林野庁、そして都道府県、そこから森林組合という縦一本の系列でずっと来たわけでありまして、そこにすぽっと抜けているのがやはり市町村の役割だったのではないかな、こう思うわけであります。
 八八年に森林法が改正されまして、森林整備計画制度が導入された。特定整備市町村の整備計画が義務づけをされたということはあります。それから、先ほどもございましたように、九一年の森林法改正で流域管理システムというのが導入をされて、市町村の役割はかなり重要にようやく実は位置づけがこの林野行政の中でされてきたわけであります。
 どうも流れとしては、ずっと林野庁直轄で、都道府県を経由して森林組合、そこで仕事が行われる、こういうことの流れがずっとあったのではないか。私は、これからそういう意味で山に接している市町村にもっともっとこの林野行政について重要な役割を果たしてもらうような仕組みをつくらなければいけないのじゃないか、こういうふうに思うわけであります。
 確かに、森林組合の組合長さんに市町村長さんがなっているのは大変多いわけでありますが、どうも森林組合さんの会議に行ったり監査に行ったりはするけれども、自分の町村で予算をつけてその山の仕事をやろうという市町村は少ない。私、長野県の例を見ても、五市町村しかないのですね、独自予算を持ってやっているのは。
 だから、そういう意味で私は、せっかくこの森林組合法、これから広域合併して、法律改正するわけでありますから、森林組合の役割はそうなんですが、それをサポートする市町村に対する財源措置を含めたいろいろな体制ということをやはり考えていかなければならぬじゃないかな、こういう感じを持っているのですが、長官、いかがでしょうか。
○高橋政府委員 確かに、過去の林野行政の中で市町村の役割というのが欠如していたというか、そういう時期があったと思いますが、考えてみますと、やはり市町村が一番身近に自分たちの住んでいる周辺の森林を管理して、目も行き届いているわけでありまして、森林組合をとりましても、やはり市町村が一体的にやっているというところが多いわけであります。
 平成三年の森林法の改正では、市町村森林整備計画制度というものを市町村がつくりまして、その中で、森林施業の共同化ですとか担い手の育成ですとか、そういう計画をつくる計画樹立主体に市町村を位置づけているわけであります。その市町村森林整備計画を実行するために、今度はこの森林組合の経営基盤が強化されて、合併を助成をし、あるいは指定森林組合になった、そういう森林組合が一役果たせるのではないか。市町村の森林整備計画と経営基盤が強化された森林組合が一体になってその森林の整備に大変な力を発揮していくのではないかなというふうに期待をしているところであります。
○堀込委員 ところが、市町村長さんは、話してみると、やはり山の仕事は森林組合の仕事だと思っているのですよ。おれのところの役場の仕事ではないと言う。組合長さんをやっているような市町村長さんは別ですけれども。市町村に大体森林予算なんというのはないわけでありますし、そういう意味で、私、この法案はこれでいいと思うわけでありますが、森林組合が広域化することによってどうもそういう傾向を強めるのではないかと実はちょっと心配をしておりまして、今自治省、国土庁なんかとも共管のいろいろな仕事も始まったわけでありますから、この受け皿はやはり市町村なんですよね。
 そこで、そういう意味でも、山や緑を守る予算というのを市町村に何とか心配をしていく、市町村にも考えてもらうという風潮をやはりつくり上げていく必要があるのではないか。緑と山の仕事は林野庁の仕事だ、森林組合の仕事だということではなくて、各市町村みんな、例えば福祉なんかはこれは自分でやっているわけでありますから、これはまさに、市町村に隣接する山や水源の問題を、これから地方分権の時代を控えて、市町村長が真剣に考えるようなそういう風土をつくっていく必要があるのではないか、こういうふうに思うわけであります。
 どうなんでしょうか。そういう意味でもう一度、私は、この法律の、広域化することによるそういう心配のなきような措置をぜひとってもらいたいと思いますが、見解がありましたら……。
○高橋政府委員 確かに、合併を促進する際のネックということで、市町村を離れて広域で合併してしまうと市町村が面倒を見てくれる部分が少なくなるという心配をする森林組合もあるわけですが、しかしそれではいつまでたっても森林組合としての独立、自立もあり得ない、経営基盤の強化もあり得ないわけでありまして、森林組合は森林組合としてきちんと自主的にそういう事業を拡大していただき、それに対して流域管理システムの中での市町村の役割ということで、市町村もその丸抱えではない新しい森林組合が生まれたにしても、それと事業の提携というふうなことで一体的に進んでいただきたいなと期待をしております。
○堀込委員 そういうことで、そうは言ってもこれは財源ということをある程度心配をしないとできないわけでありまして、かつて水源税構想という目的税的な構想もありましたし、今一部の市町村長さんを中心に森林交付税交付金制度というような運動も実は起こりつつあるわけでありまして、大いにやはり検討されるべきことではないかなと思うわけであります。
 私は、そういう意味で、日本の将来の山の問題を考えると、従来の林野庁、都道府県、森林組合、この造林者を初めとしたそういう仕組みから、もう一つの市町村の役割という太い軸を入れるためにも交付税構想なりそういうことをやはり検討せざるを得ない、そういう措置を講ずるべきだ、こういうふうに思っておりますが、最後にお伺いをして質問を終わりたいと思いますが、どうぞ。
○高橋政府委員 今森林交付税という構想が、現在の地方交付税とは別に森林面積等に応じて市町村に対して交付するべきだというふうな構想があるわけですが、私どももそういうことで森林や林業に対しまして地方財政措置が多様になるということは望ましいとは思いますが、その一つの動きとして、御承知のとおり、平成五年度から森林・山村検討会の結果によります地方財政措置が施されておりまして、これが平成八年には約二千九百六十億にもなっております。ですから、そういう形での地方財政措置が既に拡充されている中で、今の考え方のような森林交付税ということでいけるのかどうか、財源とか使途等の面でやはり慎重な検討が必要ではないかなという認識でございます。
○堀込委員 まあ検討は検討でいいのですが、大事な山の問題を抱えていますから、少し大胆に荒っぽくというところも必要なんだというふうに私は思いますので、ぜひそんなことを、そういう対応で市町村のバックアップをする、森林組合のバックアップをする、そういう体制をつくっていただきたいということを要望して、終わります。
○石橋委員長 次に、石破茂君。
○石破委員 お疲れさまでございます。
 議題になっております二つの法律の改正案につきましては、朝からの議論で問題点も出尽くしたと思いますし、時宜を得たというのか何というのか、特に反対すべき積極的な理由も見当たりません。私としては、賛成をするに依存はないところでございます。そのことを申し上げました上で、何点か、新しい大臣、新しい長官でいらっしゃいますから、御所見を賜りたいと存じます。
 山をどうするかというお話を延々と何年もしてきておりますが、余り好転したというお話を聞きません。改善計画も出ますが、どうもその数字にはかなり無理があるのではないかなという気がしておるのは私だけではなかろうと思っております。
 最近聞きます議論に、国有林野というのはもうこれはとてももうかりそうにない、人件費だって出るのか出ないのかわからない、だから特別会計から一般会計に移したらどうかね、こういうような議論があるわけでございます。このことは行革との関連性で何人かの議員からもお尋ねがあったことでございます。しかしこれは、守るべきものは一般会計で守らなければいけないということも説得力がないわけではありません。
 ただ、似たようなお話で、選挙のときになるとよく直接所得補償をやると叫ぶ人がいるのですね。直接所得補償をやる。それは、その場に行けばとても受けるわけですが、それが現実化したという話を私は寡聞にして知らない。余りうまい話というのはよくないのじゃないかと思うのです。直接所得補償というのはヨーロッパでもやっているじゃないかというふうによく言われるが、ヨーロッパの農業の形態と日本の農業の経営の形態は全然違うわけでありますし、兼業の機会のあるなしというのも全然違うわけですし、それはゾーニングをきちんとやった上でやっていかなければとてもじゃないが納税者の理解が得られるものではない。
 選挙のときに調子のいいことを言ってはいけない、私はそう思ってきておるのでありますが、この一般会計にしなさいという議論、それはそれなりに傾聴に値するものだと思います。しかしその前に、やっておくべきこと、やらねばならないこと、それがたくさんあるのではないかと私は思います。
 その昔のおとぎ話に、おじいさんは山へしば刈りに、おばあさんは川へ洗濯にというのがありましたが、今はしば刈りにも行きませんし川で洗濯もしないわけでありまして、とてもじゃないが山村を維持するという状況にもなかなか乏しいわけであります。
 さて、何をすべきかということでございます。よく国産材時代が到来する、国産材時代が到来する、こう言われるわけですが、それは伐期が到来する木がいっぱいあるよというだけのお話でありまして、それをいかにして高く売るか。労働者の確保というものも、要は木が高く売れなければ仕方がないわけでありまして、どうやったら高く売れるのかということについて、御所見を賜りたい。
 すなわち、今まで日本の材の問題点としては三つあって、質が均一ではないということ、価格が振れるということ、量が一定ではないということ、この三つの問題があって、それを改善するためにいろいろな策が講ぜられてきたわけであります。しかしながらそれを全部講じたとしても外材に対抗するのは非常に難しいというふうに私は言わざるを得ないと思っているわけです。だとすれば、国産材で家を建てた方が得ですよというお話にしないと、そういうインセンティブを家を建てたいなと思っている人に与えないとこれはなかなか難しいことではなかろうか、端的に言って私はそう思うのです。
 だとすれば、何ができるか。ラウンドに反しない範囲で何ができるかということであります。金融の面において、税の問題において、さらに言えば土地供給の面において何ができるか、どのようにお考えでありますか。
○高橋政府委員 確かに御指摘のとおり、今の段階で外材と比較すれば、樹種によっても違いますけれども、建築用材というふうな面では大変苦戦をしている実態だと思います。
 しかしながら、国産材の資源の充実度、これは地域によっても違いますが、杉で五十年生を迎えるような山がどんどんふえてきている箇所もございます。そういうところが実態的に外材とコスト的にも対抗できて、供給できるような体制をどうやってつくれるか、そこをねらいとして、実は昨年の林野三法、これを成立させていただいたわけであります。
 ここでねらいとしておりますのは、やはり量をまとめる、そして原木の不安定さをなくす、その大量にまとまった原木を、下流の木材生産業界はその需要者ニーズに合ったものに加工をしていく、しかもその加工は、きちんとした乾燥をして、立派な品質管理をやって、外材にも負けないものを時期的にも間に合わせる形で需要者に届けられる、そういう体制をつくることがまさに必要だということで、そのために私どもの林野行政の施策としましては、林業構造改善事業もあります、その拠点施設を使いまして、木材乾燥施設を大規模なものをつくろうじゃないか、あるいは加工施設の整備に利子助成や運転資金を融通しようじゃないか、木材産業の経営基盤強化に資するような税制の改善をやろうじゃないか、そういうことで取り組んでいるところでございます。
○石破委員 私がお尋ねをしたのは、つまり、消費者の側に国産材で建てた方が明らかにプレハブよりも外材よりも得ですよというような気持ちを与えるために何ができるかということをお尋ねをしたのです。それは、林野をめぐる税金の議論というのは、相続の問題であったりグラーゼルの方式がどうしたとか、そういう話は延々としてきたわけでありますが、要は、消費者の側が国産材で建てた方が、ぎりぎりコスト削減をしようとされておられることはよく理解できます。しかるが後にというか それと並行してというか、どういうようなインセンティブを与えることができるであろうかということをお尋ねをしたわけでございます。
 それは、林野三法のときも申し上げたことでございますが、一方で土地の供給というものをやらなければおうちは建たないわけですね、当たり前の話ですけれども。住宅何万戸計画なんて言いましたって、土地の供給がなければうちは立たぬわけです。そうなりますと、これは規制緩和の論になりますが、市街化区域と市街化調整区域の見直しというものはやはりしていかねばならぬことではなかろうかということでありまして、それによって底地というか宅地というか、これを供給をしていかなければ、土地の値段も安くならないし、家も建たないしということの施策を総合的に勘案をしていかないと、いつまでたってもなかなか山はよみがえらないのではなかろうかというふうに思っておるわけでございます。
 その点で、優遇税制であるとか優遇金利ですとか、そういうことをやりますと、すぐにこれはラウンドに反するというようなことを言われかねないわけでありまして、そうすると、それを国が直接やるのではなくて、地方公共団体がやるような形もしくは基金を積むような形、そういうような形が今、若干散見をされることであります。
 ただ、例えばある人が、私は国産材で家が建てたいというふうに一念発起したといたしましても、これはだれに相談に行ったらいいんでしょうね。建築工務店に相談に行けばいいのか、どこに行けばいいのか。どの雑誌にも何々ホームとかそういうような美麗なる広告がたくさん出ておることでありまして、それはやはり、国産材業者、建築業者というもの、森林組合もそうかもしれません、資本力も弱い、宣伝力も弱い。だとするならば、そういう人たちを何かエンカレッジしてあげることを考えなければいけないが、一念発起してもどこへ行っていいのかわからないということでありまして、行政でどこまでバックアップできるか、大資本に対抗するためにはどのようにやるかという施策をどのようにお考えであるかということをお尋ねをいたしたのであります。
○高橋政府委員 お尋ねの件につきまして直接答えになっていなかったわけでありますが、その件につきまして、やはり、コストダウンを図る、それでメリットを生じさせるということが一つありますが、やはり、国産材のよさをPRする、国産材で建てたらこんなにいい家が建てられるというふうなものを知ってもらう必要があります。今、住宅展示場などを見ますと、民間でみんな経営しているわけですが、やはり外材のツーバイフォーですとかプレハブですとか、そういうものが主流を占めていまして、国産材の住宅は数えるほどしかないわけであります。
 そういう点に着目して、平成九年度に、建設省とも相談いたしまして、国産材でつくった住宅の展示を図るとか、それから、どこに行ったらそういうような国産材が手に入るのかというふうなことを回答できるような木材利用相談センターというふうなものを各県単位で設置し、あるいは営林局、営林署等にも相談窓口をつくりまして、そういう点で国産材がより有効に使われるような体制づくりをしたいというふうに考えております。
○石破委員 時間が参りましたので終わりますが、要は、余り残された時間はないだろうと思っているのですね。いきなり一般会計に移れとか言われましても、それはなかなか納税者の御納得が得られるものではないであろう、あわせて、この危機的状況にある山村それから山、零細なる労働者、企業体、森林組合、それをどうやって守っていくか、助けていくかということを、これは政治の責任において私どもも考えねばならぬというふうに思っております。
 以上で終わります。
○石橋委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。
 次回は、来る三月六日木曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時七分散会