第140回国会 農林水産委員会 第14号
平成九年五月二十二日(木曜日)
    午前十時二分開議
 出席委員
  委員長 石橋 大吉君
   理事 原田 義昭君 理事 松岡 利勝君
   理事 松下 忠洋君 理事 山本 有二君
   理事 久保 哲司君 理事 矢上 雅義君
   理事 小平 忠正君 理事 藤田 スミ君
      石破  茂君    植竹 繁雄君
      大島 理森君    大野 松茂君
      金田 英行君    亀井 善之君
      瓦   力君    木部 佳昭君
      熊谷 市雄君    栗原 博久君
      実川 幸夫君    鈴木 宗男君
      丹羽 雄哉君    牧野 隆守君
      御法川英文君    村岡 兼造君
      茂木 敏充君    山本 公一君
      井上 喜一君    一川 保夫君
      木幡 弘道君    佐々木洋平君
      城島 正光君    菅原喜重郎君
      仲村 正治君    宮本 一三君
      安住  淳君    菅  直人君
      鉢呂 吉雄君    春名 直章君
      北沢 清功君    前島 秀行君
      堀込 征雄君    北村 直人君
 出席国務大臣
        農林水産大臣  藤本 孝雄君
 出席政府委員
        農林水産大臣官
        房長      堤  英隆君
        農林水産省構造
        改善局長    山本  徹君
        農林水産省農産
        園芸局長    高木  賢君
        農林水産省畜産
        局長      中須 勇雄君
        農林水産省食品
        流通局長    本田 浩次君
        農林水産技術会
        議事務局長   三輪睿太郎君
        食糧庁長官   高木 勇樹君
 委員外の出席者
        農林水産委員会
        調査室長    黒木 敏郎君
委員の異動
五月二十二日
 辞任         補欠選任
  野呂田芳成君     大野 松茂君
  村岡 兼造君     茂木 敏充君
  安住  淳君     菅  直人君
  前島 秀行君     北沢 清功君
同日
 辞任         補欠選任
  大野 松茂君     野呂田芳成君
  茂木 敏充君     村岡 兼造君
  菅  直人君     安住  淳君
  北沢 清功君     前島 秀行君
    ―――――――――――――
五月二十二日
 輸入水産動物種苗の防疫・検疫制度の早期確立
 に関する陳情書(福岡市博多区東公園七の七福
 岡県議会内水戸栄樹)(第三二六号)
 豊かな森林づくりのための国有林野事業の発展
 と機構の充実・強化に関する陳情書外一件(仙
 台市青葉区本町三の八の一宮城県議会内高橋健
 輔外一名)(第三二七号)
 国有林の民営化に反対し、国有林の再生に関す
 る陳情書外一件(北海道旭川市六条通九の四六
 旭川市議会内大西正剛外一名)(第三二八号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 繭糸価格安定法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第五一号)(参議院送付)
 製糸業法及び蚕糸業法を廃止する法律案(内閣
 提出第五二号)(参議院送付)
     ――――◇―――――
○石橋委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、参議院送付、繭糸価格安定法の一部を改正する法律案及び内閣提出、参議院送付、製糸業法及び蚕糸業法を廃止する法律案の両案を議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山本有二君。
○山本(有)委員 大臣におかれましては、連日御苦労さまでございます。特に、公共事業悪玉論、最近とみに厳しいものがございます。その中にありまして、日本の農業が誤ることのないように、ぜひ、事業の推進、UR対策、中山間の支援、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 さて、繭糸、蚕糸の法律の改正でございますが、私は、実は自分の娘、長女に「まゆ」という名前をつけました。そのゆえんは、日本の古来から、にしきの御旗とか錦秋の候とか申しますが、にしきすなわち絹、身も心もきれいな絹のようにやがては育ってほしい、こういう思いを込めまし
 て「まゆ」という名前をつけたわけでございます。したがいまして、私は、日本の伝統の絹織物、これが廃れていくということに対しましてはひとしおの思いがございます。その意味におきまして、ぜひ、この改正によりまして、なお一層日本の桑畑が存続し、また絹織物がなお興隆していくということをまずお願いさせていただきたいと思う次第でございます。
 さて、養蚕業等々は、まさに日本の中山間を支える、あるいはもっと極端に申し上げれば、日本の農業の屋台骨、どこへ行きましても日本は農業が盛んである、こういうことに対しまして下支えになっておったというように思います。
 日本の全国土、それの六六・六%が森林でございます。また、過疎地域、過疎の面積は四八・四%。その人口はわずか六・四%でありますから、いよいよ中山間、過疎地域は疲弊しつつございます。それに拍車がかかっておるのが、いわば絹糸づくりの養蚕農家が減っておる、こういうことでございますが、この原因は、とりもなおさず、いわば農産物輸入の影響でございます。そして、輸入によりまして価格が低下し、それによって採算の合わない、効率の悪い中山間の農業が打撃を受ける、そして、打撃を受けることによって中山間に人がいなくなるというような因果の連鎖があるわけでございます。この因果の連鎖をどこかで断ち切らなければ、ますます日本の農業は非常に重苦しい雰囲気から脱却できない、こういうわけでございます。
 さて、現在、財政再建のもと、先ほど申し上げましたように、効率の悪いものは事業をどんどん削減していくという傾向にございます。今後、中山間農業に対する財政支援、こういうものがますます必要だと思いますけれども、世の中は逆風でございます。そこで、中山間に対する支援策、今後どうあるべきか、どうお考えでございますか、大臣にお伺いいたします。
○藤本国務大臣 中山間地域の農業の重要性につきまして、委員、地元の事情もよく御承知の上で御質問をされたと思いますが、私も、今後の日本の農業の基本的な課題の一つに、中山間地域の農業をいかに振興を図っていくか、この問題は極めて重要な問題だと思っております。今後、我々が今取り組んでおります新しい農業基本法の改定の中の非常に大きな問題として、中山間地域の農業の振興、こういう問題について我々も大きな問題としての認識を持っております。
 先ほど言われましたように、農家数、耕地面積、また農業粗生産額、いずれをとりましても全農業の四割を占めている、極めて大きな立場であることは申し上げるまでもありません。ただ、この地域が条件的には極めて厳しい条件にあるということもおわかりのとおりでございまして、そういう厳しい条件の中で中山間地域の農業を振興することにより、また地域のいろいろな問題や、都市との格差を解消することにより、ここに定住を図り、また自然環境の保全、国土保全という問題についても大きな役割を果たしていただきたいというふうに考えておるわけでございます。
 なかなか財政状況が厳しい中でございますけれども、今申し上げましたような、中山間地域に住む方々の、国土保全であるとか自然環境保全であるとか、また農業全体の中の四割を占める地域の農業の振興のために果たしている役割につきまして、国民の皆様方の御理解を得た上で、今後、例えて言えば、デカップリングの問題等を含めてこれから対応していくという、そういうことも念頭に置きながら十分に我々としても取り組んでいきたいと思っております。
○山本(有)委員 ますます元気を出して、中山間支援に取り組んでいただきたいと思います。
 さて、ことしの三月、本制度のもとにおいて最後の繭糸の価格が決定されたわけでございますが、三月と申しますと、この法案の改正準備も並行的にされておったわけでございます。そう考えましたときに、本制度下における最後の決定でございますが、いかなる方針を持っていかに決定したかということをまずお伺いさせていただきます。
 その後、もう時間がありませんので、あと三つ質問を一緒にさせていただきますが、今後、国境調整措置だけで価格の安定が十分図られるということになるのかどうか、非常に疑問が残るわけでありますが、それはいかがか。
 さらに次の質問は、価格安定帯が廃止された後、四者合意に基づく取引指導繭価が維持される保証が一体あるのかどうか。四者の皆さん、必ずしもそうでないと思いますが。
 それから最後の質問で、安定基準価格をもとに算定される基準繭価が示されなくなったならば、製糸業者が支払う額はどうやって決定されるのか、それをお伺いいたします。
○高木(賢)政府委員 順次お答えをいたします。
 まず、本年三月の価格決定、いかなる方針のもとにどのような内容になったかというお尋ねでございます。
 平成九年度の繭糸価格につきましては、去る三月十九日に蚕糸業振興審議会の答申を受けて決定をいたしました。
 この決定に当たりましては、関係方面のさまざまな御論議を踏まえまして、蚕糸、絹業の一体となった発展を図る、こういう観点に立ちまして、まず養蚕農家の手取りになります取引指導繭価につきましては、養蚕農家の経営安定を図るということから決めております。それから安定基準価格と安定上位価格につきましては、生糸価格が低落傾向を示す中で取引指導繭価の確実な実現を図るということと、もう一つは生糸の内外価格差のもとでの絹業の経営安定にも配慮する、こういう観点でございます。三つ目に、基準繭価につきましては、製糸業者の合理的な製糸加工賃を確保して製糸業の経営安定を図る、こういう考え方に立ちましてそれぞれ決定をいたしました。
 内容は、取引指導繭価が千五百十八円、前年度と同様でございます。安定基準価格五千五百円、安定上位価格八千七百円、それぞれ前年度から五百円引き下げということでございます。基準繭価は五百円、前年度から九十二円の引き下げということでございます。
 それから次に、国境調整措置だけで生糸価格の安定は図られるのかというお尋ねでございました。
 現行の繭糸価格安定制度は、御案内のように二つの柱から成っております。しつは、安定価格帯制度の設定とこれに伴う国産糸の売買操作でございます。もう一つが、生糸の実需者輸入制度でございます。この二つの措置で生糸の価格安定を図るという仕組みになっております。
 しかしながら、近年、生糸需要が減少いたしました。また、生糸の輸入価格も低下をいたしまして、国産生糸の価格は長期的には低下傾向にございます。したがって、制度が予定しておりました、高騰のときもあれば下落のときもある、こういった循環的な価格変動が期待できないという状態になりまして、国産糸の売買操作の措置が効果的に機能しにくくなっておるという状況にございます。
 それから一方では、海外からのまさに輸入糸の割合が、例えば昭和六十年、一割にすぎなかったものが、平成九年では五五%というふうに輸入糸の割合がふえておりまして、生糸の実需者輸入制度の役割が重要性を増しておる、こういう状況でございます。
 したがいまして、需給と価格の安定の基本的な対策というものは、生糸の実需者輸入制度を効果的に運用するということがポイントであろうと思います。
 具体的には、生糸の実需者輸入制度につきましては生糸需給の均衡を失することがないように運用しろということが法定化をされております。今回の法案でもそれを引き継いでおります。したがって、この実需者輸入の割り当て数量につきまして、これまで年間を通じて一本であったものを、運用として四半期ごとに、需給・価格の動向に応じて弾力的に調整するということで生糸の価格の安定を図っていく考えでございます。
 なお、需給調整措置といたしましては、これに加えまして製糸業者が行う調整保管への助成などの措置も講じまして、これらの措置も必要に応じ活用して、生糸の価格と需給の安定を図っていく考えでございます。
 それから三番目のお尋ねは、価格安定帯が廃止された後、四者合意に基づく取引指導繭価が維持される保証はあるのかということでございます。
 取引指導繭価の仕組みは、御案内のように、養蚕、製糸、絹業、流通、この四者の合意によりまして平成六年度に導入されました。それ以来今日まで、関係者の合意を得て長く定着をしてきております。養蚕農家は、取引指導繭価の基礎の上で生産に取り組みまして、さらには品質の向上努力によりましてこれを上回る水準での繭代の支払いを受けております。
 農林水産省といたしましては、これまで生糸価格の安定を通じまして一定の製糸の支払い繭代を確保する、これを基本としながら、さらには輸入糸調整金を活用した事業団交付金の交付事業、さらには国費による繭安定供給体制整備事業の実施を通じまして、取引指導繭価の実現を図るということで万全を期してきたところでございます。
 今回の法改正で安定価格帯制度は廃止されるということになりますけれども、取引指導繭価での農家手取りを確保する、そして蚕糸業の経営安定を図るということは、「蚕糸業の経営の安定」ということは特に法律の目的にも明記してございますが、引き続き蚕糸行政の基本であるというふうに考えております。
 したがいまして、改正法の施行に当たりましては、関係者とも十分協議する必要もございますが、取引指導繭価の運用ルールなどにつきましては、これは要綱などの形で明確化をいたしまして、この仕組みを維持していく考えでございます。
 それから、新しい制度におきましての製糸業者が支払う額はどのように決めることになるのかというお尋ねでございます。
 これは、蚕糸業の経営安定という目的のもとに生糸の輸入調整措置の運用などが行われるわけでございますが、これはやはり一定の目安がなければいけないだろうということで、輸入量の増減調整を行うための価格指標を設定するということが第一点でございます。生糸の価格指標を基礎にいたしまして、製糸業者が加工に要する費用、これは合理的に幾らかかるかということを勘案をいたしまして製糸業者が支払うべき繭代を算定する、こういう今と基本的に同一の方法によって製糸が支払うべき繭代の算定をするという、こういう考え方でおるわけでございます。このような運用のルールにつきましては、先ほど申し上げましたように、要綱などの形で明確化をいたしたい、このように考えております。
○山本(有)委員 どうもありがとうございました。ぜひ、養蚕農家がなお元気で頑張れる、そういう体制を今後とも努力をいただきたいと思います。
 さて、いよいよ農畜産業振興事業団、これが一つの役割を、蚕糸部門の役割を解かれるわけでございます。いわば現在の行政改革、冗費節減、こういったものに即する一つの合理化案ではないかということが言えようかとも思います。
 そういう意味で、事業団の合理化策、一体どういうものがあるのか、そして職員の削減、人員配置、こういうものの計画についてお伺いいたします。
○高木(賢)政府委員 農畜産業振興事業団につきましては、この今御提案申し上げております法律によります国産糸売買操作業務の廃止、これによって業務量が縮小いたしますが、これに伴いまして、平成九年度から平成十一年度の間に蚕糸部門の大幅な合理化を図るということにいたしております。
 具体的には、八年度の蚕糸部門の人員が三十人ということでございますが、今年度、九年度にまずその三割に当たる九人を減らしまして、二十一人ということでございます。その後、十年度、十一年度の二年間をかけましてさらに定員削減を進めまして、平成十二年度には定員を六人程度にするということを予定いたしております。
 ただし、その際には雇用の安定に十分配慮をいたしまして、事業団の畜産・砂糖部門への振りかえなどの措置を講じてこれを実施するという考えでございます。
○山本(有)委員 ありがとうございました。
 中山間について関連した質問を最後にさせていただきたいと思います。
 先ほど申し上げましたように、いわば効率の悪い農業生産でありますから、輸入品目によっては、ひとたまりもない、そういう作物もございます。
 その中の一つにショウガがございます。このショウガは、私の選挙区だけで全国シェアの五七%ございます。高知県の西部、特に窪川町、土佐市、こういったところで五七%、残りは熊本が一六%のシェアでございます。こういう大変特徴的な、一部で生産されておりますショウガ、それが危機に瀕しておりました。
 平成七年の状況でございますが、輸入量は平成二年以降一貫して増加して、平成七年には三万六千百二トン、こういったことで、かつての、平成二年の八・三倍の輸入量と、急激に輸入が増加したということが一つ。輸入品の国内市場占拠率も、平成二年の七・五%が平成七年には五二・三%、いよいよ半分を超えた、輸入がもう国内生産を上回るということになった。国産品の卸売価格は、輸入が急増した六年は前年に比べ三四・三%低下。さらに、作付面積は輸入の増加とともに減少傾向、特に七年は、前年の卸売価格の急落を反映して二七・七%の減少。さらに、農家所得は六年には赤字になった。もうショウガ農家はさんざんでございました。
 私の選挙区を回りますと、もうショウガでは食えない、中国は本当に我々の敵だというようなことまで言っておりました。(「ニンニクもだ」と呼ぶ者あり)青森のニンニクもありましたが。
 そこで、農林省にいよいよ立ち上がってもらいました。昨年の秋、藤本農林大臣の指令のもと、局長も頑張るし、また二木審議官あるいは課長さんも、中国へ行ってもらって一生懸命二国間交渉をやっていただいた。そのことによっていよいよ輸出にブレーキがかかった。私は、これは日本農業の輝かしい、農林省の大きな白星、これで本場所は、次は横綱というぐらい頑張っておられたというような、そんな、私は非常に助かったという思いでございました。
 私はもう農家の人たちに本当に感謝されまして、私がやったことのように言われるとますます農林省の人たちに感謝でありますし、ぜひ今度、藤本農林大臣におかれましては高知県のショウガ農家の実情調査にも来ていただきたい、こうこいねがうわけでございますが、しかし、ここまでやっていただいたことを、いわば画竜点睛を欠かないように、二国間交渉でつくり上げたものをさらに実効あらしめていただきたい、こう願うわけでございます。
 そこで、本当に去年、おととしまでは価格が暴落しておりましたが、現在の価格そして今後の価格の推移を今教えてもらいたいというように思いますし、それに伴いまして、作付実態、これが一番大事でございますが、この作付のことを教えてください。
 それから、もう時間もありませんので、次に輸出管理体制、これを中国の方につくっていただいたわけでございますが、数値目標を示していただいたかどうか。ここらあたり、願わくは二万トン以下というような数値目標があれば、我々も、作付の農家の方も安心するわけでございますが、そういう数値目標があるのかどうか。
 さらには、今後、国内のショウガ農家の足腰を十分鍛えて海外に対処しなければならぬわけでありますが、基盤整備がその意味では重要でございます。最近の基盤整備、しかられております。特に、私有財産に金を使うななんということを新聞で言ったりするわけでありますが、その実情と今後、これをお教えいただきたいと思います。
○本田政府委員 ショウガの関係の御質問でございますけれども、価格の見通しの点とそれから輸出管理体制、輸入管理体制の問題について、最初の二間について私からお答えさせていただきます。
 まず、ショウガの価格の動きでございますけれども、先生御指摘のとおり、平成六年には大幅に下落をしてきたわけでございますけれども、昨年の五月以降は国産品の卸売価格は、キロ五百円を超える高い水準で推移しておるところでございます。
 平成九年の作付につきましては、先生御案内のとおり、作付は四月から五月上旬にかけて行われているわけでございますけれども、高知県、熊本県などの主産県からの聞き取りによりますと、最近におきます国産価格の高値もございまして、増加に転じているというふうに見込んでいるところでございます。
 今後の価格の見通しでございますけれども、今後の価格の見通しにつきましては、中国側も大幅に増産したという情報もありまして、予断を許さない状況にございますけれども、この後で御説明いたします中国側の輸出の自主管理措置の適切な実行に期待をしているところでございます。
 それから、第二点目の中国の輸出管理体制の問題でございますが、本年一月のニンニクとショウガの輸入に関する我が国との協議の結果を踏まえまして、中国側では、ショウガにつきましては、本年五月から輸出入商会によります輸出価格事前審査制度を実施しているところでございます。
 この制度は、中国政府の委託を受けまして、対外貿易経済合作部の関係団体、聞くところによりますと日本の特殊法人のようなものでございますけれども、中国食品土畜輸出入商会という団体がございます、ここで事前に輸出価格の審査を行いまして、この審査を受けたものでなければ通関できないという制度でございます。この制度によりまして一定価格以下のものは輸出できないことになるということでございます。
 また、日本側といたしましても、中国側の自主管理措置の実施状況を確認するために、輸入貿易管理令に基づきまして、六月一日から輸入業者に対し、輸入数量、価格、輸出者名などを報告させることにしております。
 農林水産省といたしましては、このような措置の実施によりまして安定的な輸入が行われることを期待しているところでございます。
 それから、ショウガの輸出数量についてでございますけれども、数量を具体的に明確に数字で示すということはなかなか難しゅうございますけれども、この日中間の協議によって合意を見ました両国間のショウガその他、野菜の需給に関する定期協議の場におきまして、ショウガの需給状況について緊密に話し合いを行うことによりましてその見通しを明確にしていきたいというふうに考えているところでございます。
○高木(賢)政府委員 ショウガの産地対策についてでございます。
 これまで、単収の増加を図るという観点から有機物の供給施設などの生産基盤の整備、それから、省力化を図るという観点から機械化などの新技術の普及、それから、消費啓発ということで展示会の開催などをやってまいりました。
 さらに、平成九年度におきましては、ショウガをめぐる事情にかんがみまして、特別対策ということでショウガの産地基盤の整備強化対策ということを講ずることといたしました。
 その中身は幾つかありますが、中国産に少ない大ショウガの割合を増加させるということで輸入品との差別化を図るとともに、収量を一層増加させるということで、大型タンクを持ちます機動的なかん水施設の整備を図るというのが第一点でございます。
 第二点は、収量の増加と品質の向上につながる優良種苗の生産、増殖体制を確立するということで、種苗の貯蔵施設の整備を進めることにいたしております。
 それから三番目には、収穫作業をより効率化するために作業機の改良を進めるということで、特別対策を講ずることとしているところでございます。
 今後とも、この特別対策を実施いたしまして、国内ショウガ産地の生産体制の強化に努めてまいりたいと考えております。
○山本(有)委員 藤本農林大臣に対しまして、今後とも国内ショウガを守るという姿勢で、そしてまた、養蚕農家のようにならないためにも、しっかりとした農村基盤をつくっていただきたいということを御要望申し上げまして、質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
○石橋委員長 次に、久保哲司君。
○久保委員 新進党の久保哲司でございます。
 藤本農林水産大臣並びに関係者に、今回提案されました繭糸価格安定法の一部を改正する法律案並びに製糸業法及び蚕糸業法を廃止する法律案について御質問をさせていただきます。
 この二法の今回の改正というのは、ある意味で、時代の要請といった観点からも当然のことかなという感じがするわけでございますけれども、そんな中で、御承知のように、この繭糸、繭あるいは生糸、また、それによって生産される絹というものが我が国の中でどういう役割を果たしてきたのか、そんなことを考えましたときに、ある種の寂しさを感ぜざるを得ないような部分もございます。
 明治以降、昭和初期に至るまで、我が国の輸出産業の花形として、言うならば、外貨の獲得あるいは経済の発展に寄与してきた、その最先端が生糸であり絹製品であったわけであります。日本は、いろいろな産業分野において、みずからが生産をしみずからが輸出をするといった部分は非常に少ないわけでありますけれども、そんな中で、ある意味ではこれが突出をしてそういった役割を担ってきた、そんな一分野であります。
 もちろん、明治以降、昭和初期に至る中で、日本がいわゆる富国強兵一あるいは西欧諸国に追いつき追い越せということでやってきた一面があったことも否めませんし、その背景には、言うならば、かつて映画にもなりました女工哀史といいますか、女工さんの悲しい歴史、そういったことが隠されておったこともあるのだろうと思います。
 しかし、いずれにしろ、ある種、日本の農業の花形、また輸出産業の花形としてやってきたこの歴史が、太平洋戦争の勃発と同時に、いわば販路を喪失し、また食糧確保のために桑畑がどんどんつぶされていった、その結果、非常に悲しいというか、残酷な運命をたどらざるを得ない状況になりました。さりとて、戦後、戦争が終わったわけでありますけれども、それでは、日本がすぐに手をつけられる産業があったのかといえば、決してそれはなかった。したがって、戦後、再びもとの夢をというようなことも含めて、もう一度その疲弊の中から立ち上がって、輸出農産物の中での王座を占めるに至ったわけであります。しかし、その後、昭和三十七年から貿易自由化されたその最初の品目でもあったわけでございまして、どんどんと衰退の一途をたどってまいりました。
 今思い出しますと、私なんかも、昭和三十年代前半、小学生から中学生時分、友達とよく遊んだのは、蚕を買ってきて、それで、家の周りに自生している桑をとってきて、ぬれておったら蚕死によるでというわけで、一生懸命ふいて乾かして、それで、小さい箱に、蚕が何匹かうようよおるところへ葉っぱをほうり込む。最後まで見届けるというのはまずなかった。最後は結構大きくなって糸を吐き出して、繭の形ができ上がってくる。うっすらと中でまだ蚕が一生懸命糸を吐いているのが見えている、そのぐらいになったら、もう遊びは通り越して、後ほどないなったんか知らぬという、こんな状態で遊んだことも覚えております。
 今はまさに、関東に主流があって、一部東北等にもありますけれども、まさに関西の方ではまるで見ることのない産業になったのかと思いますが、当時我々が、子供すらそういうことをやっておったということを考えますと、まさに日本の産業だったのかなと懐かしく思い出すような次第であります。しかし、近年は、中国あるいはブラジルといったところの外国産に押されて日本産はどんどん衰退をしておる、こんな状況でございます。
 そこで、まず最初、冒頭藤本大臣にお伺いをいたしたいのですが、繭糸価格安定法そのものが、今日まで十回にわたる改定を繰り返して今日に至ったわけでございますけれども、これが、言うならば、繭糸あるいは生糸の価格安定にどのような役割を果たしてきたのか。すなわち、昭和二十六年にこの法律が制定されて以来、いよいよ今回大がかりな改正ということになるわけでありますけれども、四十年余りの歴史の中でこの法律が果たしてきた役割、これを一体どのように総括され、また評価しておられるのか、この点をまず伺いたいと思います。
○藤本国務大臣 繭糸価格安定法につきましては、今委員御指摘のように、昭和二十六年に制定されまして、その後、数次の改正を経ながら今日まで来たわけでございますが、基本的には、生糸についての国境調整措置及び事業団の国産糸売買操作を定める法制度として、生糸の需給価格の安定に大きな役割を果たしてまいったと思います。そして、生糸の需給・価格の安定と蚕糸業の経営の安定に大きく寄与してきたと考えております。
 しかし、最近、御承知のように、着物の需要の減退であるとか、海外からの安い絹製品の流入などの影響から、国産糸売買操作の機能が低下をしてきております。このような、蚕糸業をめぐる情勢の変化、また行政改革等の要請も踏まえまして、今回の法律改正を御提案した、そういう次第でございます。
○久保委員 まさに、ある意味で、数字だけを見れば衰退という、こういう歴史かと思いますけれども、しかし一方で、この歴史そのものが、日本の伝統であり、貴重な文化であるという一面もございます。残念ながら、一番根っこである養蚕農家の戸数というのはどんどん減り続けております。資料によりますと、昭和三十五年ごろには約六十五万戸あったというのが、昭和五十年ごろには二十五万戸、そして昭和六十年には約十万戸になり、今日、平成八年度の統計によりますと、七千九百八十戸という、まさに激減という状況でございます。もちろん、当然のことながら、それに伴って、収穫される繭の量も、昭和六十年と比しても約十五分の一になっておりますし、それに伴う生糸の生産量も四分の一、一方、逆に輸入量は約三倍に膨れ上がるという、こういう状況でございます。
 私は大阪なんですけれども、大阪の泉州と言われる地域、堺から南の方ですけれども、この泉州というところは、大阪の中にあっては、いわゆる織物の町、昔、小さいときに親類の家に行ったりしたら、近くでガッチャガッチャという織物の音が四六時中鳴っていました。その後、私は大阪府庁に勤めて、大阪区域のことの仕事をさまざまやらせていただいたのですけれども、まさにあの織物の町と言われた泉州からも、ほとんどその機織りの音が聞こえなくなってしまった。昔は、昭和三十九年、東京オリンピックのときに東洋の魔女と言われた、あのユニチカのバレーボールチームがあったような、まさにそれに象徴されるような、そういう町であったわけですけれども、それすらが、今ほとんど消えてしまった。もちろん、今回の生糸と直接関係ないわけでありますけれども。
 しかし一方で、ある意味で、大阪にあっては、この泉州、大阪を大きく三万にしたときの一つの町である泉州の町が持っておった歴史、またその文化、伝統を守るということで、そこでつくっておった毛布あるいはタオルといったものをどのようにすればより大きく産業として育てることができるか、また、特殊なものとして、特徴あるものとして育てることができるか、このようなことをさまざま検討してまいりました。幸いにして、関西国際空港が数年前にオープンをいたしました。そこには世界各国のエアラインが乗り入れをしております。成田には乗り入れておらないようなエアラインもまた乗り入れる。こういったことを契機に、飛行機の中で使うおしぼりから始まって寝るときにひざの上にかける毛布までを何としてもこの泉州の品物でもって売り込もうではないか、そして泉州をもう一度世界にアピールしようではないか、こんなことを大阪府においてはやっておられるようであります。
 そんなことを含めて考えたときに、冒頭申し上げましたよりこ、生糸あるいま絹製品というものが持っておる日本を代表する文化あるいは伝統、これについては、当然のことながら、我が国としても守り育てていかなければならない。一方、農家は減少を続けているとまいえ、養蚕業はいわゆる中山間地域における重要な作目であることに変わりはございません。
 そういった点から、今後この減少に歯どめをかけることができるのか、また、歯どめをかけ、養蚕業をどのようにして守り育てていくのか、また、どのように振興を図っていくのかといったことについてお伺いをしたいと思います。
○高木(賢)政府委員 我が国の養蚕業は、先生御指摘のとおり、中山間地域などの条件不利地域を中心に、複合経営の基幹作物の一つということで、依然として重要な地位を占めておると考えております。
 これからの方向でございますが、やはりユーザーと結びついていかなければいかぬということが基本であろうと思います。したがいまして、我が国の養蚕に求められている高品質な繭あるいは生糸の生産ということを絹織物の世界と結びつけまして、これを推進していくということが重要であろうと思います。すなわち、これを私どもではいわゆるブランド化と呼んでおりますけれども、繭の生産農家と製糸業者、絹織物業者が連携をいたしまして、品質が高く特徴のある繭づくりを推進する。そしてそれを用いた絹製品をつくる。付加価値の高い絹製品をつくるということで、製糸・絹業、蚕糸・絹業一体となった取り組みが必要であろうと思います。
 そういう中で、養蚕の世界におきましても、生産性の向上を図るための先進的な技術の導入とか、あるいは養蚕と野菜とか米とかを組み合わせた経営の複合化の推進などによりまして、それぞれの地域の実情に応じた養蚕産地の育成を図る、こういう考え方で対処してまいる考えでございます。
○久保委員 今のお話では、高品質で特徴ある繭をつくり、それによっていわゆるブランド化といいますか、そういったところにある種特化をしていきたい、それによって特徴を出したい、こういうことかと思います。
 先ほど来申し上げておることと重なりますが、最近の繭生産量というのは、農家戸数の減少に伴って、二戸当たりの生産量というのは技術の革新によってふえておるようでありますけれども、繭の生産量というのはその減少が著しいものがございます。そういう意味では、この制度が廃止されることによって、かろうじて、必死になって頑張っておられる繭生産業者、ここががたがたっとなって崩壊していくのではないか、そういうおそれも一面あるわけであります。それを今おっしゃったようにブランド化あるいは特徴ある繭づくり、そういうことでもって支えていこうということであろうかと思います。
 とはいえ、絹製品の一番代表的なものというのはいわば和装、特に女性の着物でございますね。しかし、繭の原料から生糸をつくり始めて、最後、女性が着物を着ておられる姿を見れば、それはきれいたし、いいなと思いますけれども、ところが、あの着物一枚、きれいなものを身につけていただこうとすれば、これは何十万というお金になるわけで、そういう意味では非常に高価といいますか、お金の面でも高い。
 一方、だんだん世代交代が進んで、最近は結婚式に行っても、女性でもほとんどがドレスが多くて、着物を着ている人というのはよほど高齢の方でないと見かけない、こういう状況。そうすれば、需要も結構しんどいのではないかな。といいながら、生糸の用途別消費量ということで見ると、平成六年度のデータでは和装用が約八二%、すなわち、大半をほとんど和装用が占めておる。その和装そのものが減ってくると一体どうなるのだろうという心配がございます。
 一方で、若者が求めているブランドというのは、なぜか、海外旅行がどんどんふえているように、海外へ行っていわゆる海外ブランドを買い求めるという、日本国内にあってもなお海外ブランドを追っかける、こういう傾向もございます。そういった意味では、今おっしゃったブランド化、一つの方策かと思いますけれども、一体どういった層を対象にこのブランド化というものをお考えなのか。また、これが本当に可能なのだろうか、こんなふうなことを思います。
 そこで、このブラノド化といりのも、何年かもうチャレンジをしてこられているのだろうと思いますけれども、具体的なプランド化着手の事例というのはあるのかどうか。また、それにかかる生糸の生産量は果たして追いつくのかどうか。決してそんなに多くは望めないのかなという、ある意味で悲観的な見方もできるわけでございますけれども、改めて今のブランド化ということについて今後の見通しをお伺いしたいと思います。
○高木(賢)政府委員 繭のブランド化につきましてのお尋ねでございます。
 これは関係者寄り寄り相談をいたしまして、この方向が最もいいのではないかということで、平成七年度から特に行政としても取り組みを開始をいたしました。繭ブランド産地育成事業というものを発足をさせまして、推進してきているわけでございます。
 既に幾つかの先進的取り組みがあらわれてきております。大きく三つのタイプがございまして、特別な蚕品種を用いた特別な生糸によります高級織物の生産という形が一つでございます。それから、品種ではなくて、技術として特殊な繰糸技術を用いた生糸による特別な絹製品というものをつくるというのが二つ目のタイプでございます。それからもう一つは、繭から生糸から絹製品加工まで一貫化した高付加価値化をするという三つのタイプができておりまして、平成八年度で試行中のものを含めまして十五事例というものが出ております。率直に言って、取り組みを始めてそれほどの時間でもございません。八年までで、繭につきまして約八%がこれに投入をされておるという状況でございます。
 ただ、これにつきましては、関係者一同やはりこれからはブランド化でやっていく以外にないのではないか、こういう合意が強まっておりまして、関係者による繭ブランド化に向けた全国的な運動が展開されております。各地域におきましても、ブランド化に対する気運の盛り上がりが見られておりまして、今後、養蚕団体とも十分連携して、面的、量的拡大を期したいと考えております。
○久保委員 今、平成七年度からブランド化に着手し、既に十五事例あるというお話でございました。いずれにしましても、日本の伝統文化、これをやはり、文化遺産ではないですが、残すという観点からもさらにチャレンジを続けていただきたい、そんなふうに思います。さて次に、今度は、養蚕農家あるいはそれに関連する方々の生活を支えるというか、その原点にもつながります、いわゆる価格の問題について触れさせていただきたいと思います。
 この法律、繭糸価格安定法が制定されたその背景も、実は、戦後間もなくの、法制定前二年ぐらいの間に大変な価格の暴騰あるいは下落があった。そういったことを受けて、関係者から何とか安定をというような時代背景の中で制定された、このように聞いております。そういう意味では、価格の安定が養蚕を支え、製糸を支えるといったこういう考え方は、時代は変われど、また農家戸数は多少減ろうとも、基本的には変わらない、そんなものではないか、このように思うわけであります。
 そういったことから考えますと、この制度が廃止された後、いかにして養蚕業、製糸業の経営の安定を図っていくのかということが大きなポイントになってまいります。
 今までは、毎年三月に、国産の糸の安定価格帯、すなわち安定上位価格と安定基準価格というものが定められて、その安定価格帯が設定された。その基準価格を参考にして基準繭価というのが決められている。そして、その基準繭価に輸入調整金から持ってきた奨励金等が加算されて、いわゆる取引指導繭価が決まる、こういう仕組みで今日まで来られていた、このように承知をしておりますが、今回の改正で、この安定価格帯制度あるいは事業団による売買操作業務というものが廃止されますと、養蚕農家の手取りを確保するために、また手取りを確保するための繭代補てん措置である取引指導繭価というもの、これを維持していかなかったならば、養蚕農家の経営あるいは維持というのは非常に困難になってしまう、ひいては、我が国の養蚕は滅びてしまう、こういう危惧を持つわけでございます。
 そこで、安定基準価格をもとに算出される――今までの仕組みでいえばそうなっているわけですけれども、安定基準価格をもとに算出される基準繭価というものが示されなくなってしまったならば、製糸業者が支払う額というのはどのような仕組みで決められていくのか、そういったことも含めて、農家の不安は尽きないのではないか。この意味から、取引指導繭価、この仕組みは今後とも維持していくべきである、そのことが養蚕農家の安心、また、精を出して頑張ろうということにつながっていくのではないかと私は思うのですけれども、いかがでございますか。
○高木(賢)政府委員 御指摘のように、取引指導繭価の仕組みが維持されるということが養蚕経営にとって非常に大事なことだと思います。
 これは御案内のように、平成六年度に、養蚕、製糸、絹業、流通の関係者、いわゆる四者合意がありまして、導入されております。したがって、これは法律に根拠を置いているものではございませんけれども、関係者の間並びに私ども、並びに通産省等におきましても定着をしている、こういう仕組みでございます。養蚕農家は、こういった取引指導繭価の基礎の上で生産に取り組んでおりまして、さらには、品質向上努力により、これを上回る水準での繭代を得ておるわけでございます。
 この重要性は、法改正後においても変わりませんむ法律におきましても、「蚕糸業の経営の安定」ということを「目的」に掲げまして、法律上どうしても必要な措置ということで、国境調整措置などの規定を置いておるわけでございますが、それに加えまして、取引指導繭価の仕組みあるいは製糸が支払うべき繭代についての仕組みなどにつきましては、これは毎年三月にきちんと決めていきたい、このように考えております。
○久保委員 今のお話は、法律上の事項ではないけれども、取引指導繭価は今後も毎年三月に決めるというか、維持していく、こういうことでございますね。そういうことで、まずは一安心なのですけれども。法律事項でないという部分で、今おっしゃったことは何としても守っていっていただきたいと思います。法律事項であれば外れることはないのでしょうけれども。よろしくお願いをしたいと思います。
 そこで、農林水産省の統計情報部が出しておられる資料によりますと、繭の生産費、これがキログラム当たり三千円以上、このようになっているのを見ました。一方、取引指導繭価、これはたしか平成五年の四者合意で決められたキログラム千五百十八円というのが今もたしか続いておると思います。
 これはまさにある意味で同じ、同じと言ったら変な言い方ですけれども、片や実態として統計情報部が発表しておられるのではキログラム三千円以上だ、なのに現実の取引指導繭価は千五百十八円だということになりますと、単純に倍近く違うわけであります。このことだけ見ても、やはり養蚕農家の経営は非常に大変なのではないか。しかも、平成五年からですから、ことしは九年ですけれども、そういう意味では、四年間据え置かれているとも言えるわけであります。
 今指導繭価制度そのものというか、その仕組みそのものはこのまま残していくよというお話でありますけれども、制度、仕組みが残ったからといって、金額がそのままずっと残ったのでは、これまたかなわぬ話で、そういう意味では、適正な見直しを行うとともに、また農家の経営が成り立つような形でもってやっていただかなければいけないのではないか。
 そういう意味では農林水産省が指導なさっておられる農林水産にかかわる作物というのは、種々さまざま、多くあるわけでありますけれども、他の作物に比べても、収益性という点で問題があるのではないかと思いますが、この水準、このままでいいとお考えなのでしょうか。
○高木(賢)政府委員 統計情報部の発表しております繭生産費につきましては、これは規模の大小を問わず、総平均の数値でございます。その中では、御案内のように、物財費が三割弱ということで、労働費の占める割合が極めて高いという特徴を持っております。そこのところがどうかというお尋ねかと思いますが、現実には、機械とか施設の効率的活用によりまして省力化をいたしますと、これはコストの大幅な低減につながるわけで、大規模な養蚕農家では、この取引指導繭価程度の水準に見合う生産費を実現している例もございます。
 それからもう一つは、やはり養蚕は労働の季節性が強いものですから、他作物との複合により農業経営が営まれているというのが一般的でございます。したがいまして、養蚕からの所得だけでなくて、年間を通じた農地の有効利用とか労働力の周年活用、こういったことで、他作物を含めた総所得を確保していくということがポイントになっていると思います。
 こうした中で、千五百十八円というのは、御指摘のとおり、取引指導繭価としては六年度から今日までですが、それに先立ちまして、平成元年度から五年度までの農家手取りであります基準繭価、これも千五百十八円、それはその前の千四百四十六円から引き上げた水準が今日続いているわけでございます。
 ただ、現実には、この千五百十八円ですべてが取引されているというよりは、むしろ品質のよいものはそれを上回って取引されておりますので、平均的に言えば、昨年の例で申し上げれば、千七百円近い価格が現実には実現をされているという状況でございます。
 こういった事情のもとで、養蚕団体も毎年価格要求というものをお出しになりますけれども、第一の要求というのが千五百十八円の維持ということでございまして、これまではそれを踏まえて取引指導繭価を決定してきたところでございます。
 いずれにしても、これは何年かまとめて決定するということではなくて、その年度その年度の事情によりまして決めようということでございますので、来年、また三月にそのような決定の時期というのが参るということでございますが、その時々の事情で適正に取引指導繭価を決定してまいりたいと考えております。
○久保委員 ぜひ、その時々ということでよろしくお願いをしたいと思います。
 さて、先まど来ずっと申し上げていますように、生糸そのものは最近とみに需要が、まず一つは減退しておる、さらには、絹製品の輸入の増加ということもこれあり、結果として国際競争力が失われ、構造的に価格低下の傾向になりつつある。そうなってまいりますと、最近よく聞いたりするのは、事業団の売買操作によって生糸価格を安定させようというこのこと自体に無理があるのではないか、このような声も聞きます。
 しかし、今日までこの事業団の売買操作が一定の役割を果たしてきたこと自体は事実でございます。そのことを評価しつつも、今回この法案が、審議の後、最終的に成立をいたしましたならば、生糸の価格安定について事業団が今日まで行ってきた売買操作による安定価格帯制度という仕組みが廃止されることにつながるわけでありますけれども、その後の価格安定というのは一体どのように図っていくつもりでおられるのか。現行法から価格安定措置という部分がなくなることによって、法律の題名そのものも、繭糸価格安定法という名前から生糸の輸入に係る調整等に関する法律へと、まさに輸入に係る調整等という、これが法律の題名であるよりこ、まさこ目的そのものが輸入に係る調整となって、価格の安定という部分はある意味でその目的からは外れてしまうわけであります。
 そこで、農水省としては、実需者割り当て量の増減調整といういわゆる国境調整、この措置のみで需給あるいは価格の安定は図っていけるというふうに自信を持って言えるのかどうか、この点についてお伺いをしたいと思います。
○高木(賢)政府委員 御案内のように、現在の繭糸価格安定制度は、二つの措置、すなわち、生糸の輸入の実需者輸入制度と、国産糸につきまして安定価格帯を設定して国産糸の売買操作をするという二つの措置で生糸の価格安定を図るということになっております。
 しかしながら、提案理由等でるる申し上げておりますように、最近は構造的な生糸価格の低下傾向にございまして、上がったら売る、下がったら買うということでサイクルが循環的に回る、こういう事態ができにくくなっております。買った場合には、事業団の在庫としてデッドストック化する、こういうようなおそれが極めて高くなっているわけでございます。その一方で、現実問題として、輸入糸の割合が大変ふえておりまして、既にことしては五五%、輸入糸の割合がふえているということになっているということでございますから、この輸入調整をしっかりやるということが需給と価格の安定の基本だというふうに私どもは考えております。
 そこで、これまでは生糸の実需者輸入、年間一本で何万俵、こういうふうに決めてきたわけでございますけれども、一応年間の数量は決めますけれども、現実に、輸入の数量は、これは四半期ごとに決める。つまり、価格が一定以下に下がっているという場合には、その次の四半期におきまして数量を減らす。それから、価格がその前の三カ月において一定ラインを超えている場合には、これは輸入量をふやすというように、弾力的に輸入量を調整するということによりまして、需給調整をすることによって価格の安定を図ろうということでございます。
 なお、それだけでは必ずしも十分ではないではないかという御指摘でございますが、加えて、需給調整対策といたしましては、製糸業者が調整保管を行うということにつきましては必要な助成を行いまして、国産糸についてのストレートな価格・需給安定措置という補完措置も講じまして、これらによって生糸の価格・需給の安定に努めていく考えでございます。
○久保委員 続いて、農水省が、また関係者が、また養蚕農家、製糸業者がまじめにやれば、今おっしゃっていただいた仕組みの中で動いていくのだろうと思いますが、そんなことに、言うならば横やりを入れるというか、どんな世界でも常に邪魔する者はおるわけでありますけれども、そんなことについて二、三点、実情をお伺いしたいと思います。
 株の世界にもいろいろありますけれども、仕手と言われる、こういう仕手による不当な買い占めとか、あるいは取引所における不当な取引行為、こういったものが需給の安定を阻害しているのではないか。また、こういうものが存在する以上、生糸の需給の安定は難しいと言わざるを得ない面があるわけでありますけれども、こういった不当な取引行為、これについて、農水省としてはその防止対策をいかがお考えか伺いたいと思います。
○本田政府委員 生糸取引所の不当な取引行為の防止対策についてのお尋ねでございます。
 生糸取引所につきましては、御案内のとおり、リスクヘッジの場と商品の価格の先行指標の提供という機能が適切に果たされていくことが重要であると考えているところでございます。
 このため、私どもといたしましては、取引所の市場管理能力の向上、経営基盤の安定などを図りますために、繭糸関係取引所の合併を推進しているところでございます。これに加えまして、不公正な取引などを防止し、公正な価格形成を確保するために、まず第一点といたしまして、取引状況などを注視して、売買枚数の制限、委託証拠金の増徴等の措置を講ずること、それから二つ目には、取引員の受託業務の状況等を監査しまして、必要があれば改善を図ること、それから三つ目には、不公正な取引が行われた場合には、過怠金の徴収、取引の停止、除名を含めて厳しく対処するなどによりまして、市場管理措置が適切に行われるよう取引所を指導してきているところでございます。
 特に、最近におきましても、おとつい、五月二十日でございますが、横浜生糸取引所の理事会、総会におきまして、市場管理措置の改善につきまして再度周知徹底するなど、取引所の指導に努めているところでございます。今後とも、このような取り組みによりまして、生糸取引所の機能が適切に果たされるように努めてまいりたいと考えているところでございます。
○久保委員 次に、先ほどの私の言葉で言えば横やりの二つ目でありますけれども、今までの歴史というか、過去、いろいろお伺いしますと、結構密輸といったことが摘発された、こんなふうに聞いております。これもまたいつの時代にも絶えない出来事かとも思いますけれども、しかし、こういった密輸みたいなことで品物が入ってくるということになると、それこそ根本的に需給が乱される、こんなことにつながる。そこで、生糸価格の安定のためには、当然のことながら、密輸といった行為の防止は必要であろうと思います。
 もちろん、このためには、海上保安庁、税関あるいは警察、こういったところとの連係プレーというものが必要であろうと思いますし、日本は周り全部海ですから、密輸となれば、基本的には大体船で来るのでしょう。そうなれば、海上保安庁は、昨年の海洋法の改正によって、守らなければならないところが非常にふえておるわけですし、そして海上保安庁の船、人員がそれに応じてふえているかというと、ふえておりません。裏を返せば、網の目が広がったような部分もあるわけでございますが、こういったことについて、農水省として、その対応をどのようにお考えか。
○高木(賢)政府委員 生糸の密輸につきましては、御指摘のとおり、国内におきます生糸の需給あるいは価格に及ぼす影響が極めて大きいわけでありまして、厳正に対処する必要があるというふうに考えております。こうした見地から、関係機関と連携して密輸の取り締まりに努めているところでありまして、本年一月には、魚粉にまぜて輸入された生糸の密輸が摘発されたところでございます。
 また、生糸の密輸防止につきましては、密輸したものを使う人がいるわけでございまして、流通、消費に携わる関係者が一致協力してその防止に努めるということが必要であろうと思います。当省といたしましても、通達を出しまして、流通、消費関係者に、その糸が正規の輸入糸であるということの確認とか、もし疑義がある場合は速やかに情報提供をしてくださいといりことでお話を申し上げているわけでございます。
 今後とも関係当局と連携を密にいたしまして、こういった取り組みによりまして生糸の密輸の防止ということに万全を期してまいりたいと考えております。
○久保委員 密輸防止、ある意味で大変な作業だと思います。今問題になっております密入国、いわゆる蛇頭による密入国も、こっちで受け入れる人間がおる、こんな話でありますし、そういう意味からも、この間法務委員会の方ではそれを厳罰に処すための法改正が行われたと聞いていますけれども、そのような観点も含めて、よろしくお願いをしたいと思います。
 最後に、三つ目ですけれども、生糸の価格の安定のためには、需要に見合った繭の秩序ある輸入ということが前提になると思われます。ところが、昨年、本来生糸には用いられないと言われているプレス繭なるもの、いわゆる押しつぶした、ぺちゃんこにした、こういう繭が大量に輸入されて繰糸され、市場に出回った、その結果、国産糸の品質の低下の大きな原因になった、こんなふうに聞いております。これは、いわゆる密輸ではなくて輸入されたということでありますけれども、この実態は一体どうだったのか、また、今後こういったことについてどのような対応をお考えなのか。
○高木(賢)政府委員 いわゆるプレス繭につきましては、御指摘のとおり、くず繭が大量に輸入されまして、年間輸入量が前年の約四倍に相当する千五百トンという量になりました。今お話ありましたように、くず繭の輸入自体は違法でも何でもないのですが、くず繭というのは、そもそも繰糸に適しない、糸にならないというものであるわけですが、実際にはどうもこれが生糸の原料として使われたのではないかという疑いが強いわけでございます。
 したがって、くず繭であっても糸は引ける、こういうことではいけませんので、やはり、くず繭の基準を改めましてきちんとした基準にする必要があるということで、先般来、くず繭に関する各種データを収集いたしまして、試験もやりました。その結果を踏まえまして一この五月一日にくず繭の関税分類基準を改正いたしました。
 これは、くず繭というのは、今重さが〇・六六一グラム以下のものというふうになっているのですが、それでは糸が引ける繭が入り得るということでございますので、今度は、〇・六六一グラムを〇・二八九グラム以下ということで、非常に小さいものしかくず繭という分類にしないということでございます。これを、六月一日から輸入される貨物から適用するということにいたしております。これによって、糸の引ける繭でなくて、本来のくず繭にふさわしいものがくず繭ということに分類されるということになるわけでございまして、その効果を期待をいたしているわけでございます。
 また、製糸業者に対しましても、みずからの問題として、くず繭は買わないということについて、組織を挙げた取り組みを指導しているところでございます。
○久保委員 わかりました。
 いずれにしろ、今お尋ねをした、本来やるべきでないこと、そういうことが起こるというのは、まさにまじめにその作業に携わっておられる方々にとって最も余計なことなわけですから、そのいろいろな対策方よろしくお願いしたいと思います。
 次に、農畜産業振興事業団に関して二点お伺いをしたいと思います。
 まず、今回この繭糸価格安定制度を見直す際に、近年の養蚕業あるいは製糸業等をめぐるさまざまな情勢にかんがみて、言うならば適正な行政経費、いわゆる行政の側が種々お金をかけるわけでありますけれども、それのあり方についても議論があったというふうなことを聞いております。
 そこで、今回の改正によって、事業団が行う繭糸価格安定業務は縮小されることになるわけでありますけれども、事業団の蚕糸部門はどの程度の合理化がなされるのか。この際、今橋本政権が必死になって進めておられる行政改革を遂行するその一部門、そういう観点からも、この蚕糸部門は廃止してもいいのではないか、そんなふうな感じを持つわけでございますけれども、この点についていかがお考えか、お尋ねをしたいと思います。
○高木(賢)政府委員 御提案を申し上げております法律案によりまして、国産糸の売買操作業務は廃止をするということでございます。一方、では廃止されないで残るのは何かということでございますが、これは実需者輸入制度におきます輸入糸調整金の徴収業務と、その調整金を使って養蚕農家の所得確保のために奨励金を交付する、こういう事業などが残るわけでございます。
 これは、関税化に伴う措置といたしまして、ガット・ウルグアイ・ラウンドの農業合意関連対策大綱に基づきます業務ということで、先般法律改正をしていただきまして事業団の業務ということに位置づけられたものでございまして、生糸に関する国境調整措置というものがないと、やはり裸で海外から生糸が入ってきますと日本の養蚕、製糸はひとたまりもないということで、最小限の国境調整措置としてこの業務は必要であるというふうに考えておりますし、また、それを原資とした奨励金の交付は、取引指導繭価の実現という養蚕農家の経営安定のためにとっても必要であるというふうに考えておりまして、国産糸の売買業務は廃止をいたしますけれども、この輸入糸調整金の徴収業務並びこ奨励金の交付業務、これは最低限維持していく必要があるというふうに考えております。
○久保委員 同じく事業団に関連してですけれども、昨年の百三十六回国会において農畜産業振興事業団法の審議が行われたわけでありますけれども、その審議の中で職員削減について議論があったように聞いております。
 そこで、今回の蚕糸部門、これを合理化していくことによって職員削減に拍車がかかる、拍車がかかるところまでいかないかもわかりませんが、それがさらに進行するのか、人員配置等、今後の削減計画はどのようにお考えなのか、この点についてもお伺いしたいと思います。
 業務の変更に伴う蚕糸業の大幅な減少という実態を踏まえますならば、思い切った大幅な合理化を行うべきである、私はこのように思うわけであります。また、削減するとなれば、当然のことながら事業団職員、荒っぽい言葉で言うといわば首になる方もあるかもわからない。その方の雇用の安定を図ることはもちろん必要なことでございますけれども、こういったことについては今農水省としてどのようなお考えをお持ちか、お伺いしたいと思います。
○高木(賢)政府委員 良畜産業振興事業団の職員につきましては、国産糸売買操作業務の廃止に伴います業務量の縮小に応じまして、平成九年度から十一年度の間の三年間に大幅な合理化を図ることにしております。平成八年度に三十人という職員でございますが、三年後には六人程度にするということで、九年度は、そのうちまず九人を減らして二十一人ということにいたしております。その後二年間をかけてさらに定員削減をやりまして、平成十二年度には六人程度にするという考えでございます。
 その際には、雇用の安定に十分配慮するということが重要だと思います。既に本人の御納得ずくでほかの組織に行っていただいた方もございますが、事業団の畜産部門あるいは砂糖部門への振りかえなどの措置を講じていくということを考えております。
○久保委員 行政改革、大いに進めていただかなければならないですし、あわせて、もちろん職員の雇用の安定ということにも引き続き御配意を願いたいと思います。
 この後蚕糸業関係で二つ、三つお伺いしょうかと思っておりたのですが、持ち時間の中で同僚の矢上さんとの調整のこともございますので、最後に農水大臣にお伺いをしたいと思います。
 冒頭こも申し上げましたけれども、養蚕業は千七百年近くにわたって続いてきたいわば日本に根づいた一大産業である、このように言えると思います。また、絹そのもの、これはいわば繊維の女王と言われるものでもございますし、そういう意味ではまさに日本が世界に誇れる民族衣装である着物の文化、これを支えてきたものでもございます。
 しかし、先ほど来私自身も申し上げ、また農水省の方の答弁の中にもございましたように、まさにつるべ落としの感があるほどに、劇的なといいますか、そういう減少傾向をたどってきた養蚕業の現状からかんがえますと、全国に広がっておった養蚕業が今や言うならば関東に集中する、こういったことから考えても、かつての栄耀栄華の時代を思い起こすことができないほどの状況でもございます。
 そういったことから、昭和三十七年に自由化されたわけでありますけれども、四半世紀を経て、今回の法改正や法廃止によって、言うならば日本の養蚕業、生糸、絹そのものが新たな時代を迎える、新たな状況の中に突入をしていく、このような状況こあろうかと思います。このこと自体、時代の変遷の結果であり、その産物、あるいはまた時代そのものの要請といった面が大きく、やむを得ないものであろうと思うわけでありますが、だからこそ今後、この伝統と文化を守るという観点からも養蚕業及び製糸業にどのような活路を見出そうとするのか、また蚕糸業全体の振興を図るために政府はどのような施策を講じようとしておられるのか、藤本大臣の率直なお考えまた決意のほどをお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
○藤本国務大臣 委員御指摘になられましたように、確かに養蚕業また製糸業というものは非常に大きな曲がり角、転換期にあると思います。
 私は、率直に申し上げまして、これからの養蚕業、製糸業は、価格の勝負ではなくて品質の勝負、こういうところに重点を置いていくべきであろう、こう考えておるわけでございまして、まさに高品質な絹織物分野からの需要にこたえる高品質な繭、生糸の生産を推進していく、ここに重点を置くべきであろうというふうに考えております。
 また、この方向に対しましては、私どもといたしまして、コストダウンを図るための先進技術、そういうものの導入に対しましてはできる限りの助成も行うわけでございますし、また経営の安定のために他の複合的な経営ということについても十分に考えていただくということも大事であろうかと思っております。
 さらに、高品質、特徴のある繭、生糸づくりによる繭、生糸の品質向上、これを促進するために、我々といたしましても力を入れていきたいというふうに考えております。
○久保委員 終わります。
○石橋委員長 次に、矢上雅義君。
○矢上委員 新進党の矢上雅義でございます。
 まず第一番目に、繭糸価格安定法の一部を改正する法律案についてお伺いしますが、繭糸価格安定法が果たしてきた役割と評価についてでございます。
 御存じのように、繭糸価格安定法は、この四十年余りの間、繭及び生糸の価格安定に非常に大きな役割を果たしてきましたが、この四十年余りを総括し評価することとともに、今回価格安定帯を廃止するに至った理由及び本改正案を提出するに至った理由をお伺いいたします。
○高木(賢)政府委員 繭糸価格安定法につきましては、昭和二十六年に制定されました。その後、何回か改正はありましたけれども、基本的には需給と価格の安定を図る、またそれを通じて蚕糸業の経営の安定を図るということで、大きく二つの柱で構成されてきたと思います。
 一つは、事業団の国産糸の売買操作を定めること、それからもう一つは、生糸の国境調整措置を定めるということでございます。その制度の運営を通じまして、この四十年余、我が国蚕糸業の経営の安定に大きく寄与してきたというふうに総括できるのではないかというふうに考えております。
 ただその後、制定当時の事情とは異なりまして、この十年来特に顕著になっておりますけれども、国産生糸の主な需要先でありますいわゆる着物の需要が非常に減退をした。大体、十五年間で着物の購入量が半分になったということが言われておりますが、そのぐらい大幅に需要が減退したということが一つでございます。それから、海外からは安い絹製品、これは二次製品はもうとうに自由化されておりますし、絹織物も中国などからかなり安いものが入ってくる、こういうことで、国産糸の価格が長期的に低下傾向になってきたという状況でございます。
 したがって、安いときに買って高いときに売ってということで一定の価格安定帯の中に生糸の値段をおさめる、こういう仕組みが維持しにくい、機能しにくい、こういう状況になってきたというのが私どもの判断でございまして、国産糸の売買操作業務がいわば機能しなくなったということでございます。
 また一方では、行政改革推進の観点ということから、特殊法人の業務の効率的な運営を図る、これが求められているわけでございまして、こういった事情を踏まえまして今回の法律改正を御提案申し上げた、こういう経過でございます。
○矢上委員 補足してお聞きしたいのですけれども、今回この繭糸価格の安定帯制度が廃止されることになりますが、この価格安定帯制度というものは、高木局長も御存じのように、畜産、酪農すべての分野において行われております。そうすると、この繭の問題、繭糸等の問題がこういう形で崩れるということは、では同じ制度をとっておるほかの分野の制度にも影響が及ぶのじゃないかと私は考えておる次第でございます。
 例えば、先ほど局長答弁の中にありましたが、どんどん下がり続けていくと、製品を事業団が買い続ける一方で、在庫がたまっていく。そうすると、財政的にパンクしてしまいます。御存じのように、売ったり買ったりすることによって一定の財源の中でその価格安定帯を維持していくわけですから、国産糸が長期低落傾向の中にあって下がり続けて、いわゆる安定基準価格を下回り続ければ、永久的に買い続ける一方である。そこで結局、価格安定帯制度は機能しなくなるというお答えでございますし、まさしくそのとおりでございますが、これは繭糸等だけではなく、ほかの製品にも思い当たる部分が多いわけでございます。
 外国から多量にいろいろな品物が輸入されることが一点。そして、また仮に多量に輸入されないとしても、今は現実、経済の社会では価格破壊が進んでおるわけでございますから、その二つの要素からこういう問題が出てくると思っておりますが、繭糸だけに限ったことではないものがこの価格帯制度の中に内在しておると思っておりますが、局長はどのようなお考えでおられますでしょうか。この法案の問題だけでなく、この法案が、さらにさかのぼって他の分野にまで波及するということは当然考えられることだと思いますので、よろしかったら感想でも結構です。
○高木(賢)政府委員 私が申し上げましたのは、やはり繭、生糸の世界でございまして、他のものがどのような事情にあるかということは、事情が異なりますので、直ちに右へ倣えということにはならないとも思います。
 ただ、輸入量がふえたりということになってまいりますと、国産糸という世界だけで価格の安定を図ろうとしてもなかなか難しい事情になってくる、こういう背景はあるというふうに思っております。
○矢上委員 私も急に質問したので申しわけございませんが、私がここで言いたいことは、繭糸価格安定法の安定価格帯の廃止の問題とか、その他の、製糸業法及び蚕糸業法を廃止する問題についてでございますが、日本を代表するこの業界を守るためにつくっておった法がなくなるということは、余りそれだけをとらえて議論しても結局なくしたことをずっと嘆くばかりでございますので、この法がなぜ廃止されるに至るのかとか改正されるに至るのかということをきちんと農林水産省としても分析していきませんと、今後、新農業基本法におきまして、価格支持制度がいかにあるべきか、どこまで持ちこたえられるかという議論に波及することでございますので、どうか検討のほどをよろしくお願いいたします。
 続きまして、繭糸価格安定法の制定に至った背景からも明らかなように、価格の安定が養蚕、製糸を支えるものであったということは間違いありませんが、現行法から価格安定帯が廃止されることに伴い、本法の題名も生糸の輸入に係る調整等に関する法律と変更されますが、現在行われている国境措置のみで価格の安定や需給調整は可能なのでしょうか、お伺いいたします。
○高木(賢)政府委員 現実の生糸の需給の世界を見ますと、やはり外国産の生糸がウエートを増してきておりまして、平成九年では五五%程度になるというふうに見込まれます。したがって、ここのところの需給の安定ということをやりませんと全体の需給の安定ということにつながらないわけでございまして、生糸の実需者輸入制度を効果的に運用するということがまさにキーポイントになるというふうに考えております。
 そこで、具体的には、これまで年間一本で、実需者割り当て数量といりのを決めたらそれで、需給とか価格の動向のいかんにかかわらずそういう運用をしておったわけですが、これからは、九年度から、生糸年度ですけれども、四半期ごとに需給と価格の動向に応じて輸入量を調整していくとうことにいたしたわけでございます。それをさらに十年度以降もやっていこうというのがその趣旨でございます。これは、具体的には、一定の価格より高くなって実需者が高くて困るという場合には輸入数量をふやす、それから、低くなって今度は製糸業者の方が困るということになるとこれは実需者輸入量を減らす、こういう調整を弾力的に行うということによりまして価格安定を図ろうというものでございます。
 なお、需給調整対策といたしましては、輸入生糸の実需者割り当ての数量の調整のほかに、国内の糸につきましては、製糸業者の行う調整保管、これへの助成を行うことによりまして生糸の需給、価格の安定を図る、これをあわせて講ずる考えでございます。
○矢上委員 続きまして、価格安定帯の廃止と取引指導繭価の維持についてお伺いいたしますが、先ほど久保議員よりも質問がございました。すなわち、取引指導繭価千五百十八円はまさしく養蚕農家の生命線でもある。ところで、価格安定帯が廃止された後でも四者合意に基づく取引指導繭価が維持されるという保証があるのか。また、安定基準価格をもとに算定される基準繭価が示されなくなるならば、製糸業者が支払う額はどのように決定されるのか等、お伺いいたします。
○高木(賢)政府委員 取引指導繭価の仕組みは、御指摘のとおり、平成五年に、養蚕、製糸、絹業、流通、この四者から成る合意によりまして導入されたわけでございます。関係業界のみならず、私ども農林水産省の関係の役所の中におきましても当然定着をしておりまして、六年度以降毎年、取引指導繭価を決定し、公表し、それを基礎としてもろもろの助成措置も行われる、こういうふうに運営されてきているわけでございます。もちろん養蚕農家も取引指導繭価の基礎の上で生産に取り組みまして、さらに、いわばこれが下支え的な意味を持つわけでございますが、品質の高い繭ができればそれを上回る繭代を取得をしている、こういう実情にございます。
 こういった仕組みはこれからも維持しなければならないのは当然でございまして、これを一関係者の合意が基礎にあるわけでございますが、改めて法改正に伴う施行までに、この取引指導繭価の運用ルール、それから製糸が払うべき繭代は幾らにするのかということにつきましては、毎年度末にきちんとこれを決めて、これを公表し、運用していく、こういうことにいたしたいというふうに考えております。
○矢上委員 ところで、蚕糸業法の廃止の中で、繭価協定に対する独占禁止法の適用除外措置というのがありますが、蚕糸業法が廃止されると、この繭価協定に対する独占禁止法の適用除外措置も外れるわけですね。お答えください。
○高木(賢)政府委員 そのとおりでございます。
○矢上委員 となりますと、繭価協定に対する独占禁止法の適用除外措置が外れるとなると、結果的に純粋な民間の取引になるであろうと推定されます。また、もう一つ、今までは四者合意ということで、農林水産省、通産省も間に調整役みたいな形で入っておられて、きちんとしたテーブルをつくって四者合意として取引指導繭価等を決めておられたと思うのです。
 今回、繭価協定に対する独禁法の適用除外措置が外れるとなると、何がその四者合意なるものの内容を担保するのか、それについてお聞きしたいのですけれども、実際今まで何らかのテーブルで行われておられたものが、継続してまた同じテーブルで行われるのか、それとも一回そのテーブルはっぷしてきちんとしたテーブルをつくりますよということをもうきちんと腹の中にお持ちなのか、その辺をお聞きしたいと思います。
○高木(賢)政府委員 繭価につきましては、もう養蚕、製糸の当事者間で積み上げられてきております。したがいまして、もう改めてみんながそろってやらなくても十分養蚕農家の利益は確保できると思います。ただ、どうしてもというのがあるとすれば 奨励金などが当然 一定の額を支払わない製糸業者には出ませんから、そういったことが裏打ちになると思います。
○矢上委員 この辺、価格安定帯の廃止後の養蚕農家、また製糸業者さんたちの所得の問題にも直接かかわってきますので、十分努力して、調整と言ったらおかしいですけれども、民間の問題ですが、努力していただければと思っております。
 続きまして、ちょうどあと二十分ですから。農畜産業振興事業団の繭糸価格安定業務の縮小等について関連して質問いたします。
 生糸について、近年需要の減退、絹製品の輸入の増加等構造的に生糸が価格低下の傾向にあるということは先ほどお伺いしました。その結果、今回の法改正により、事業団が行う繭糸価格安定業務は縮小され、事業団の蚕糸部門は、輸入生糸の輸入調整金徴収とこれによる蚕糸業振興のための助成が主要な業務となると言われておりますが、行政改革の論議を踏まえて、蚕糸部門の合理化がどのように行われるのか、お伺いいたします。
○高木(賢)政府委員 蚕糸部門の定員につきましては、国産糸売買操作業務の廃止に伴いまして、平成九年度から平成十一年度の間に大幅な合理化を図ることといたしております。
 現在、八年度の定員が三十人でございますが、既に九年度には九人減らして二十一人という定員にいたしておりますが、さらにその後、十年、十一年度と二年度をかけまして定員削減を進めまして、平成十二年度におきましては六人程度とするということを予定しておるところでございます。
○矢上委員 続きまして、製糸業法の廃止の問題について質問いたします。
 本法制定後約半世紀の長きにわたり、製糸業者の乱立抑制及び生糸の品質向上に十分な役割を果たしてきたと思いますが、その役割の評価、さらに、本法廃止に伴う製糸業への影響をどのように考えるのか、また今後どのような形で関係業界の振興等を図っていかれるおつもりなのか、お伺いいたします。
○高木(賢)政府委員 製糸業法につきましては、御案内のように、製糸業の免許制とか製糸業者に対する統制命令といったことを規定をしておるものでございまして、製糸業者の乱立防止とか製糸業の体質改善ということにつきましては非常に役に立ったと思います。そして、我が国の主要な輸出産品であった生糸の生産なり品質の安定に役割を果たしたと思います。
 しかし、今や製糸業を取り巻く状況は大きく変化をいたしております。昭和五十年で四百二十九製糸業者が操業していたわけですが、平成八年にはもう六十三業者になったということで、その昔のように、製糸業者が乱立していろいろな糸をつくって製糸業界が混乱した、こういうような事態が発生するということは想定しがたくなっております。したがって、本法廃止によって、製糸業者に悪影響をもたらすということはないと思います。
 それから、製糸業界の振興につきましては、基本的には、やはり製糸業者がやっていける、製糸の支払うべき繭代を適正に設定するということが一番の基本でありますし、またその上に立って一定の生糸価格が実現されるということが大事な点であろうというふうに思っておりまして、改正後の法律の運営をしっかりやるということが非常に大事な基本的な点だというふうに考えております。
○矢上委員 続きまして、繭検定制度の問題ですね。
 繭検定制度が今まで強制検定になっておりましたが、繭検定制度の廃止も今回うたわれております。繭取引の円滑化の観点というのですか、どういう品質であるとか、品質評価というものが繭取引においては非常に重要な要素を占めておりますので、今まで繭の検定制度というものがあったわけでございますが、今回、その検定制度が廃止になると、養蚕農家、製糸業者双方が困るのではないか。
 そこで、仮に任意検査となって残るとしても、養蚕農家や製糸業者の方の要望を反映した全国一律のガイドラインがなければ、繭取引の円滑化に支障を来すのではないかという指摘もされておりますが、この点についてはどうお考えでしょうか。
○高木(賢)政府委員 繭の品質の評価につきましては、繭の生産者側と繭を使う製糸業者の側で必ずしも意見が一致しないというか評価が一致しないということがあり得るわけでございまして、公正な第三者による評価が必要だ、こういう実態はあろうと思います。
 そこで、繭検定の合理化をするわけですが、そのための新しい低コストな評価方法が求められておりまして、現在、実用化に対応できる幾つかの標準的評価方法、例えば、糸を繰って評価するけれども簡易な手法をとるとか糸を繰らないで評価する手法とか、こういった幾つかの手法を、指導通達などでガイドラインを示すという方向で今検討をいたしております。
 現在はどういう段階かというと、そういう考えられる幾つかの手法につきまして試験結果をまとめております。これを取引当事者である養蚕団体あるいは製糸団体、さらには都府県とも協議した上で取りまとめまして、なるべく早い時期にガイドラインという形でお示しをしたいというふうに考えております。
○矢上委員 今の局長の答弁の中にもありましたが、低コストな体制をつくる、確かにおっしゃるように、調べて驚いたのですけれども、繭の日本の産出額が五十億円程度で、それにかかわる検定の経費が四十億円、物すごい産出額に対する検定の経費の割合、普通の業界では考えられないぐらいの状況でございますので、養蚕農家、製糸業者にもわかりやすくしかも低コストな検査体制を念頭に置かれて、頑張っていただきたいと思います。
 時間がございませんので、この繭糸、蚕糸等の問題について、最後に大臣に、今後の蚕糸業等の振興等についての御意見等をお聞かせ願えればと思います。
○藤本国務大臣 今後の蚕糸業のあり方についてのお尋ねでございます。
 先ほどもお答え申し上げましたけれども、これからは、価格から品質へと考え方を変えていく必要があると思います。このために、繭の生産性の向上を図るためにコストを下げることを先ほどから申し上げておるわけでございますが、そのための先進的な技術を導入する、そのための助成もございますし、また、養蚕と野菜や米などの複合的な経営を図る、そういうことによりまして経営の安定ということも大事であろうと思います。
 さらに、繭の生産農家、製糸業者、絹織物業者の連携のもとで、高品質、特徴のある繭、生糸づくりということも大事でございますので、そのようなことについての必要な施策を推進してまいりまして、養蚕経営や製糸経営の安定と絹織物業者のニーズに応じた繭や生糸の品質の向上を図っていくことに力を入れていきたいというふうに考えております。
○矢上委員 ただいま、農水大臣より、従来の農業の面からの、どうあるべきかというお答えをいただきました。
 実は、去年つくばの方に、農水関係の研究所に行きまして、非常に技術者の方が勉強されておられました。これから、蚕を利用してインターフェロンをつくって、がん等の薬等の世界に踏み込もうとしたり、またクリーム等の成分に使えないか、また、ある意味では生糸が安くなってきたわけですから、単に高級な着物に使うという用途だけではなくて、今度は逆に、綿と匹敵するような、寝具等を初めいろいろ着物に限らず需要をふやしていこうではないかとか、また、プラスチック類にも応用して、今、プラスチックは捨てると自然に戻らずに非常に苦労しておりますが、生糸を利用することによって自然に戻る分解力の高いプラスチックをつくっていこうとか、さまざまな需要を掘り起こしておられますので、そういうことによって日本の養蚕農家、関係業界が生き残っていけるよりな配慮をぜひお願いいたしたいと思います。
 続きまして、これは別の問題でございますが、遺伝子組み換え農作物についてお伺いいたします。
 実は、これも同じ農水関係のあれですが、農林水産省農林水産技術会議事務局の資料の中で、遺伝子組み換えというものがどういうものかという説明があるのです。今まで行われていた交配などと同じような、いわゆるかけ合わせてやってきた品種改良と結果的には同様であり、中身も大して変わりはない、延長線上なんだみたいなことでさらりと書いてあるわけですが、一般人の感覚からしても、専門家の考え方からしても、DNA組み換え技術と昔の苗木屋さんがやっておったような交配技術とは全く別のものでございますので、きちんと責任を持ってそこを定義していただきたい。
 すなわち、遺伝子組み換え技術の定義と交配などによる品種改良の定義及びそれぞれのプロセスというものをきちんと明確にしていただきませんと、人間にも裏表があるように、薬にも作用、副作用がございます。それと同じように、遺伝子組み換えについても作用、副作用があるわけですから、これを正面から見据えずに逃げてしまいますと、原子力関係と同じような対応に陥ってしまいますので、きちんとまず定義をお願いいたします。
○三輪政府委員 品種改良がその作物が持っていない新しい遺伝子を導入して行うという点では、従来の交雑育種と遺伝子組み換えは全く同等でございますが、従来の交雑育種は導入する遺伝子の供給先が極めて近縁な植物とか同じ作物という範囲に限定されておりました。それに比べまして、遺伝子組み換えは、人為的に遺伝子を単離して導入するために、幅広い植物あるいは微生物等に拡大することができる、そういうメリットがございます。そのために、従来の育種技術ではっくることが困難であった新しい作物の開発が可能となります。また、同じ理由によりまして、作物の長所は変えずに短所だけを改善するといったようなこともできることになります。
 そういう点で、先生の御指摘のように、一般の方にこの技術の持つ意味、定義、そういったものが正しく伝わるように今後とも努めていきたいというふうに思っております。
○矢上委員 この問題について、いわゆる交配による品種改良と遺伝子組み換えが違うのは、種の壁を越えるということですね。普通だったら交配とか生殖があり得ないもの同士が種の壁を越えて行われるということ。
 あともう一つは、よく医食同源と言われるように、中国あたりでも四千年、五千年の歴史と言われますが、食の歴史というものは、今食べられるものと食べられないものを選別できる人間の能力というものは、ある意味では、フグとかにもありますように食中毒を起こしながら、長い歴史をかけて人体実験を行ってきた結果だと思います。そういう長い時間をかけて、結果的に多くの方々が犠牲になってきて選別されてきた食物の歴史に対して、この遺伝子組み換えの歴史というものは、急に種の壁を越えて、また時間の壁を越えて行われるものでございますから、食生活における大きな転換期に来ているのではないかと思っております。そこをきちんと認識されて安全性等についての調査を行われることを期待いたします。
 あともう一点、環境に対する影響に配慮しておるということで、パンフレットにいろいろなことが書いてあります。環境に対する影響の中で、例えば病気に強いトウモロコシや、ほかのトウモロコシと交配しにくいとか、交配したとしても育たないとか、いろいろ書いてあって、野生化しないということだけが環境に対する影響ということでうたわれておるわけでございますが、環境に対する影響とは何なのかということを具体的に特定して初めてその対策が立てられるわけでございます。
 しかし、残念ながら、このパンフレットには、環境に対する影響をきちんと具体的に指定も対象の特定もせずに、ただ対策だけを書いてあるものですから、読んだ人になかなかわかりにくい。この辺について、具体的に何を意味するのか、お伺いしたいと思っております。
○三輪政府委員 環境に対する安全性につきましては、当省が平成元年に定めました農林水産分野等における組換え体の利用のための指針に基づきまして、試験圃場におきまして安全性の確認をしております。
 御質問の具体的な項目でございますが、作物の花粉の飛散状況、それから雑草化の可能性、さらに土壌微生物の分布への影響、あるいは有毒物質の産出があるかないか、こういった点につきまして、遺伝子を導入する前のもとの作物とどう違うのか、違いは何かという点の確認をしております。
 パンフレット等につきまして、やや記述があいまいなためにかえって御心配をかけるということがございますので、その点についても正確な記述で事態を正しく認識していただけるように努力をしていきたいと思います。
○矢上委員 野生化することによる危険というのは、除草剤が効かない農作物がどんどんふえていくと、薬に強い種類だけが残ってしまうと、結局自然の生態を壊すのではないかとか、また、逆に、未知の毒性がまだ発見されない場合に、それが野生化してどんどんふえていって、その毒性を持った植物が広がり過ぎて、しかもそれに対して薬が効かないとか、そういう非常に未知の部分があることが一つでございますので、何をもって環境に対する影響というのか、その辺をきちんと把握していただきたいことが一つ。
 もう一つは、これに対応しまして、消費者にとって安全と安心を持っていただくためにきちんと農水省が対応するということを今回表明しておりますので、その内容について簡潔に御説明いただければと思っております。
○本田政府委員 遺伝子組み換え食品の表示についての検討会でございますけれども、消費者、生産・流通業者、学識経験者の皆様にお集まりをいただきまして、五月末を目途に発足をさせたいと考えております。
 この検討会におきましては、有識者などから広く意見を求めますとともに、消費者の要望、生産・流通の実態、国連食糧農業機関及び世界保健機関合同の食品規格委員会、いわゆるコーデックス委員会でございますけれども、ここの食品表示部会での検討状況との整合性などを踏まえながら、遺伝子組み換え食品の表示のあり方について検討していきたいと考えております。
○矢上委員 最後の質問になりますが、今回蚕の価格安定帯の問題を勉強しながら徐々に遺伝子組み換えの問題に自分自身整理されていったのですけれども、実は、蚕があれだけ有力な産業だったのがやられたということは、結局鮮度が必要でないわけです。日本の主要な産物である野菜類、今力を持っている野菜や花にしても、鮮度が命ですから外国からなかなか入ってこれない。しかし、蚕製品というか繭糸関係は、繭にしても乾いた形で持ってくるわけですから、いつでも保存がきいて、すぐ持ってこれる。それでこの業界がやられたわけでございます。
 ほかの例えばトマトであるとか花であるとか肉関係は、冷凍技術がしつがりしていれば別ですけれども、日もちがしにくいわけですから鮮度という部分で勝っておったわけです。値段では外国の農産物に日本の農産物は負けておりましたが、いわゆる鮮度と食味が武器として日本の農産物を支えておるわけでございます。
 この遺伝子組み換え、特に欧米から輸入されようとする遺伝子組み換えの農産物の特徴は、日もちがすることと食味がいいことだそうです。日もちがいいということは、言いかえると鮮度がいいということでございますので、消費者の健康にとって安全か否かという問題と同時に、新鮮でおいしくて安いものが入ってくるとなったら、最後のとりでである日本の野菜とか花とかいうものは将来的に一気こ壊滅状態こなるのでまないかと思っております。
 日本の農業を守るという立場にある農林水産大臣として、この遺伝子組み換え作物について、この辺の御認識、どうお考えでしょうか、最後に御質問いたします。
○藤本国務大臣 重要な御指摘であると思いながら承っておりました。
 今の野菜におきましても現実に輸入をされておるわけで、野菜などは輸入されるなどということは、実は頭の中にはなかったわけでございますけれども、現に既に輸入をされているというようなこの実態、そういうことからいたしますと、今委員が言われましたような懸念、心配は大いにあると思うわけであります。
 ただ、野菜などについて、国内の消費者のニーズ、安全性であるとか、おいしさであるとか、品質、そういうものに的確に対応できる、そういうことが大事でございまして、それができておれば、仮に今言われましたような遺伝子組み換え技術により開発された農産物が我が国に輸出されるというようなことになりましても、消費者ニーズに我々が対応する努力をしておけば十分に対抗できるというふうに考えておるわけでございます。
○矢上委員 以上で質問を終わらせていただきます。
○石橋委員長 この際、休憩いたします丁
    午後零時一分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時四分開議
○石橋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。菅直人君。
○菅(直)委員 きょうは、農水委員会で繭糸価格安定法などの議論がされるという日程の中で、今いろいろと議論を呼んでおります土地改良事業、あるいはその中での諌早湾干拓事業について、私の方から少し質問をさせていただきたいと思います。
 まず藤本大臣、昨年の選挙、自民党の皆さんも三%の消費税を五%に引き上げるということで戦われて苦労されたと思います。私たち民主党も、やはりこれまでの経緯からいって三%を五%にせざるを得ない、国民の皆さんに負担をお願いして選挙戦を戦いました。それだけに、この国民の皆さんからいただいた税が本当に必要なものに使われているのかどうか厳しく歳出を見直していく、そのことを強く訴えて、私たちも選挙戦を戦ってきたわけであります。
 そういった意味で、いよいよ行財政改革、財政再建問題が与党や政府の方でも大きな正念場を迎えておりますが、私たちも、これから歳出の内容について、ばらまき予算というような批判がされないものにできるかどうか、非常に厳しく取り組んでいかなければならない、こう思っているところであります。
 そこで、まず最初に、平成五年四月九日に閣議決定をされた土地改良長期計画について大臣にお伺いをいたします。
 この内容を見ておりますと、平成五年から十カ年の間に総額四十一兆円の費用をかけて、そしてその中の事業を見ておりますと、この十カ年に農用地約十万ヘクタールの造成を行うものとする、このように決定をされております。
 しかし、現在どういう状況にあるのか。私が農水省から聞いたところでは、全国の耕作放棄地が十六万ヘクタール、減反面積は六十七万ヘクタール、合わせれば八十三万ヘクタールが減反や耕作放棄の対象になっている。こういう中で、新たに十万ヘクタールの農地の造成が果たして必要なのか。四十一兆円といえば、消費税二%引き上げたものの何と八年分に相当する、十年間で八年分に相当する。もちろん国費とかいろいろなものがあることは承知しております。しかし、単純に言えばそういう大きな金額です。
 今回の諌早湾の埋立事業、干拓事業も二千三百七十億と言われておりますが、まさに二%引き上げた消費税でいえば、その一年分の二十分の一、こういった事業を二十やれば一年分の引き上げ分はそれに使われるという、一般の国民からいえば大変巨額な事業費になっております。
 そういった意味で、まずこの土地改良事業の長期計画、私は大きく見直す必要があると思っておりますけれども、農水大臣の見解を伺いたいと思います。
○山本(徹)政府委員 土地改良長期計画では、先生ただいま御指摘のように、農用地十万ヘクタールの造成をいたすことにいたしておりますけれども、世界の食糧需給を見ますと、中長期的には逼迫傾向にあるということは世界の一致した見方でございますし、この中で、我が国は世界最大の農産物輸入国でございまして、自給率は年々低下し、四二%と主要先進国で最低となっております。
 我が国の農地は、約五百万ヘクタールございますけれども、昭和四十年ころには約六百万ヘクタールでございまして、三十年間で百万ヘクタール、約二割減少いたしております。現在も宅地への転用等により毎年四、五万ヘクタール、農地の一%に相当する面積が減少しておりまして、優良農地の確保は農政上の重要な課題でございます。
 したがって、これから食糧自給率の維持強化を図っていくためには、農用地の拡大を含めた土地改良長期計画の着実な実施が必要であると考えております。
○菅(直)委員 農水大臣、自分の言葉で答えてください。こんな本格的な閣議決定がされた内容について、なぜ局長に答えさせるのですか。
○藤本国務大臣 農用地の確保につきましては、先般、委員といろいろ議論いたしましたときに申し上げましたけれども、農政のこれからの基本的な方向としては、やる気のある農家を育成することと優良農地の確保である、こういうことを申し上げました。
 優良農地を確保するために、我々としては、先ほど局長が答弁しかかっておりましたように、戦後、昭和三十六年には六百万ヘクタールあった農地が現在は五百万ヘクタール、約二〇%減少しておる。自給率も下がっておる。先進国で最低である。また、海外で千二百万ヘクタールの農地に依存をした今の日本の食糧事情、こういうことからいたしますと、我々としては、優良農地を確保するということは農業政策上極めて基本的な問題であるというふうに考えておりますし、このことは、我が国だけではなくて、昨年の秋の食料サミットにおきましても、結論として、各国ともこれから長期、食糧需給の逼迫傾向からいたしますと、各国ともに資源を活用して増産に取り組むというのが結論であったわけでございまして、これは我が国だけではなくて……(発言する者あり)黙って聞いてください。委員長注意してください。委員外の不規則発言はやめてください、まじめに議論しているのですから。
 そういう次第でございますから、我々としては、農地の造成については、我が国の農政上基本的な、必要な問題である、こういう認識で取り組んでおるということでございますので、御理解いただきたいと思います。
○菅(直)委員 今ので国民の皆さんが私の質問に農水大臣が答えたというふうに果たして感じられるでしょうかね。
 土地が足らなくて自給率が下がったから土地が必要だ、あるいはこの諌早湾の計画を立てた当時の西岡知事はそう思われたかもしれませんし、当時はそういう事情があったかもしれません。しかし、今私が大臣に申し上げたのは、現在耕作放棄地が十六万ヘクタールあるじゃないですか。減反で、あの諌早湾のそばへも行きましたけれども、草ぼうぼうの土地がたくさんありました。そういうのが全国でいえば六十七万ヘクタールあるじゃないですか。
 こういう状態の中で、先ほど六百万が五百万になったというのも、つまり土地がないから五百万になったのではない。まさにいろいろな事情で農地が減っているわけですよ、耕作する人が。そういう中で二千三百七十億かけて今回の埋め立てをして農地をつくる。あるいはこの計画では四十一兆円もの巨額の費用を、すべてこれに充てるとはいいませんが、そういう枠組みの中で十万ヘクタールを十年間でつくる。これは政策の整合性がないのではないですか。
 千二百万ヘクタールがなければ自給ができない。つまりは、安くていい食糧が日本でできれば自給率は多分上がるでしょう。しかし、残念ながらコストが余りにも高いものであるから、従来日本でとれたものまで外国から輸入しているわけでありまして、そういう構造改革をやらなければいけない。それを単純に、自給率が何%だから、千二百万ヘクタールを外国に依存しているから、それだから農地が必要だ、こんなことを言うんだったら政策にならないじゃないですか。
 あえてこれ以上申しません、これは聞いている皆さんが判断していただければいいわけですので。
 私たちは、まずひとつこの問題については、来週早々にも公共事業コントロール法案というものを提出をすることで今準備をしております。
 つまりは、閣議決定という形で土地改良事業の長期計画が決まっている。国会の承認もないままこんな巨額の、そして根本的な政策が決まっているというのは、私は、国民の意見を反映するのにはふさわしくない。そういう点で閣議決定事項ではなくて、この土地改良、この決定を、長期計画の決定をまず国会承認事項にすべきだ。そして、五年なら五年たったときにその計画の進捗状況なりを再評価をして、見直すべきものは見直すべきだ、こういった法律を今準備しておりますが、これも農水大臣、直接お聞きしたいのですが、そういった法律について一だめですよ、局長は。農水大臣にこの法律についての見解を伺いたいと思います。
○藤本国務大臣 その前に、耕作放棄の問題についてお尋ねでございましたけれども、これは、委員の御理解は表面的でございまして、その耕作放棄の農地がどういう農地であるかということを十分お調べいただければ、この耕作放棄に至る理由がおわかりいただけると思うのでございまして、これは非常に条件の悪い中山間地域の農地が、また後継者の問題等もありまして耕作放棄になっている、こういうことでございますので、その点については十分内容を御理解いただきたいと思うわけでございます。
 それから、今の法律の問題につきましては、これは国会で議論されるべき問題でございまして、我々が関係する問題でまございません。
○菅(直)委員 閣議決定を国会が承認するように変えるべきだということについて、閣僚の一人である農水大臣が見解を述べられないというのもちょっと変ですよね、現在、閣議で決定している事項ですから。それでいいのか悪いのか。それをあえて言いません。
 それから、耕作放棄地のことは、いろいろなケースがあるのはよくわかっております。しかし、減反はさらにそれの数倍あるわけでありまして、平らな土地が減反にたくさんなっているわけですから、そういうことも含めて、もう一度この土地改良長期計画は、これは党派を超えて、やはりこういうやり方でいいのかどうか、再検討すべきだということを申し上げて、次に移ります。
 今、総務庁が大規模農業基盤整備事業に関する行政監察を行っている。そして、農水省に勧告を出しているわけです。
 この報告書を見ますと、例えば、平成七年現在、全国で干拓事業は四地区で行われている。千七百四十二ヘクタールとかと書いてありますね。ちょっと飛ばしますが、「しかしながら、このような農用地造成事業については、昭和四十四年に開田抑制策に転じた際、その在り方を見直す必要があったと考えられる。」この開田抑制策というのは農水省が進めた政策です。こういうふうに、同じ政府の中で、これまでの開田のやり方について、つまり行政監察としては、あり方を農地造成については見直す必要があったと考えられる、こういうことを含めた勧告をいたしているわけであります。
 農水大臣、この勧告についてどうお答えになるのですか。
○山本(徹)政府委員 開田抑制策を実施して以来、干拓によって造成いたします農地は、野菜、麦、大豆等の畑作物を生産するための畑地を造成しているわけでございまして、これは先ほど御指摘ございましたが、中山間地域の耕作放棄地、これはいろいろな、まだ用排水路が未整備であったり、傾斜地でなかなか効率的な農業生産ができない、あるいは農業の生産条件が悪いといったような事情によるものでございまして、効率的な農業生産を実施するための……(菅(直)委員「干拓地のことを聞いているの」と呼ぶ)したがいまして、干拓地については水田以外の作物、これを効率的に生産するための事業として実施しているものでございます。
○菅(直)委員 いいですか。言っていることにちゃんと答えてくださいよ。今、中山間地の農地のことを私、聞きましたか。ここの十七ページに書いてあるのは、「平成七年度現在、全国で、干拓事業は、」と書いてあるのですよ。その中で、この干拓事業についても、昭和四十四年の開田抑制策から見直す必要があったのではないかと勧告しているのですよ。中山間地のことなんか言っていないのですよ。そういう中で、勧告が出ているのに対して大臣としてどう考えるか。局長が別のことを言わないで、大臣が直接答えてください。
○藤本国務大臣 静かに話をすればわかることだと思いますので、よろしくお願いします。
 この今回の行政監察において、諌早湾干拓事業については、行政監察庁の勧告は、「環境に十分配慮し、事業の進ちょく状況に応じ、土地利用、営農等の確実性について確認しつつ、所要の検討を行い、必要に応じ事業計画の変更を行い、適切に対処すること。」この勧告を受けておるわけであります。
 我々としては、この環境問題も十分検討しておりますし、またこれからもいたしますし、営農等の確実性についても今確認をしておりますし、また、いろいろな問題についての検討も行った結果、この事業をこれまでどおり推進していく、こういう結論で回答をしよう、こういうことでございます。
○菅(直)委員 聞いていただいている皆さんは、私の質問に農水大臣が答えていないというのがよくわかると思うのですよ。まだ諌早湾のことまで言っていないのですよ、私は。
 こういうふうに言っているのは、何回も言いますが、昭和四十四年に開田抑制策に転じた際に、こういった全国の干拓事業については見直すべきではないかと一般的にまず言っているのですよ。そういうことについて答えられないわけですよ。ですから、いよいよ次の問題に、今大臣が話された問題に移っていきます。
 それでは、この諌早湾の事業、これを進めるに当たって二千三百七十億かかるというふうに言われていますが、あと幾らかかるのですか。逆に言えば、現在幾らかかったのですか。あるいは、あと幾らかかるというのは、従来のように、当初の予定はたしか千億ちょっとだったのが二千三百七十億にふえているわけですよ。ふえるようなことはないのですか。あと幾らお金がかかるか、まずその数字を、これは局長でもいいですよ。
○山本(徹)政府委員 ただいまの数字の前に、開田抑制通達が実施されて以来、干拓については、水田を造成する目的で実施しておりませんで、畑地を造成する目的で、効率的な農業生産、効率的な水田以外の農作物の生産をする目的で実施いたしております。
 それから、ただいまの事業費でございますけれども、諌早湾の干拓事業の事業費の総額は二千三百七十億円でございまして、平成八年度まで、昨年度まで千五百七十億円を実行いたしております。今年度、平成九年度以降、残り八百億円でございます。
 これまで、この千五百七十億円のうちで、潮受け堤防の建設こ千三百三十五億円使っております。残りが、潮受け堤防の二百十億円及び内部堤防、地区内整備等の事業費でございます。
○菅(直)委員 この勧告の中に、営農状況がありますね。関係市町の中核農家の数が、予定されていた当時の昭和六十年、四千二百九十七人だったのが、平成七年には二千百七十人と半減している。
 また、農地の売却価格、今十アール百十万というふうに伝えられておりますが、これで計算すると全部で幾らになるのでしょうか。百五十億程度でしょうか。しかし、この百十万というのがもし正しいとすれば、九州の畑地、畑の土地の十アール平均が五十五万だと、これも農水省のデータです。長崎県の平均が七十二万というふうに、きょう朝、農水省から報告を受けました。
 確かに、平らな土地ですからもう少し高くなるのかもしれませんが、本当にこの値段で買う人が出るのか、また、買ったときに採算が合うのか、また、それによって幾ら収入があるのか、端的に、簡単に答えてください。
○山本(徹)政府委員 事業計画を決定した昭和六十一年度の時点で営農計画をきちんと策定いたしておりまして、具体的に、この諌早の干拓予定地では、バレイショ、タマネギ等の野菜経営、それから……(管(直)委員「金額のことを言ってください、時間がないのだから」と呼ぶ)これを現在の価格体系に引き直しますと、おおよそ七、八百万程度の所得が得られる見込みでございます。
 この地域への入植の希望者でございますけれども、私どもはかねて周辺の農業者等にアンケートをとりましたところ、これは抽出でございましたけれども、四割程度の農家は、これから積極的に規模拡大したいと。また、この地域は春バレイショの日本一の産地でございまして、野菜あるいは畜産等の大変優秀な農業者が育っておられまして、若手の農業者でこういった地域に入植したいという御希望の方が大勢いらっしゃいますので、この地域でモデル的な、模範的な、効率的な農業経営が実現できるものと考えております。
 それから、農地の価格でございますけれども、ただいま私ども十アール百十万程度で配分する予定にいたしておりますけれども、これは、全国農業会議所の調査に基づきますと、この諌早湾周辺地域の平成七年度の畑地の売買価格は十アール百二十一万七千円程度でございまして、この近傍類似の価格で干拓地の農地を取得される希望者は多数出られるものと想定いたしております。
○藤本国務大臣 若干補足させていただきますけれども、干拓によって造成される農地の十アール当たりの価格について、これが高いとか安いとか、いろいろ議論があると思うのです。
 我々も長崎県とも今相談しておりますし、政府部内でも今検討しておりますことは、せっかく干拓によって大型の優良な平たん地の農地ができるわけでございますので、例えばこれを県が一括して購入して希望者にリースをして、非常に生産性の高い、コストの安い、そういう農業をぜひモデルとしてやってみてはどうか、こういうような構想もございまして、営農計画については従来よりも一歩も二歩も今進んでおる、こういう状況でありますことをぜひ御理解いただきたいと思います。
○菅(直)委員 八郎潟も減反の対象になって、いろいろ造反も起きているわけです。あの諌早湾のすぐそばも減反の対象になって、草ぼうぼうのところやあるいはハス池も拝見させていただきました。ですから、それは安い値段にすれば、つまりは税を投入しているわけですから、国民全体の負担で安い値段で売れば、それは売れるかもしれない。しかし、それもまた減反の対象になる。
 そこで、この勧告では、「農地として有効活用されないと判断される場合には、必要な手続を経た上で、他用途への転用を図る必要がある。」県の報告の中でも、他用途の問題も含まれているわけですね。つまりは、本当に農地として使われるのであろうか、そういう疑いも一部からは出ております。
 そこで、きょうは余りたくさん時間がありませんので、問題点の指摘をしたということで、次の問題に移りたいと思います。
 つまり、先日、私は藤本農水大臣に直接申し入れをさせていただきました。その中で私が申し上げましたのは、つまりは、こういった事業全体を再検討されたらどうですか、諌早湾の事業全体をもう一度見直すことが必要じゃないですか。まだ総務庁の勧告に対する正式な答弁もしていない段階で、既成事実のように、あのギロチンと言われる潮どめをして、そしてマイナス一メートルに内側を維持させる、まだ工事の途中なのにそれを強行するというのは、そういうやり方ではなくてもう一度議論したらどうですか。
 その議論するに当たっては、内側の水のレベルを常にマイナス一メートルに維持しておかなくても、週に何回か海水を入れて、そしてまた水面を下げておけば、排水の問題も、あるいは洪水の問題も一この六十一年の計画が正しいとすればですよ。正しいとすれば、そうした貯水容量も十分満たされるではないですか。まだ内堤防はできていないのですから、七千二百万立米と言われるものは内堤防がない段階ではもっと入るわけですから。そういう両立、つまりはこの計画をもう一度再検討する間は干潟の生物が死滅しないように週何回か海の水を入れること、それによって周辺農家の洪水のおそれやあるいは排水をしやすくするということは、この計画が正しいとすれば両立するではないですか、こう申し上げて、この間ずっと事務方の皆さんと議論をしてまいりました。
 昨日もいろいろ議論しましたが、私が提案したこの排水門運用について、なぜおかしいのかという最終的な反論はいただいておりません。逆に言えば、そういうやり方が可能であるということをいろいろなデータが示しております。余り細かい数字は申し上げませんが、いかがですか。両立した運営が可能ではありませんか。
○藤本国務大臣 先般、大臣室におきまして委員からいろいろ御意見ございまして、私はその段階でお答えを申し上げたことをもう一度申し上げなければなりません。
 この諌早湾の干拓事業というのは、干拓事業によって優良農地の造成と災害防災対策というのが二つの目的であります。その目的に沿って防災効果を発揮する、防災機能を発揮するように、潮受け堤防によって外からの高潮を遮断し、また中におきましては、流れてくる雨による洪水を貯水池をつくることによってここでためて防災効果を、機能を発揮する。
 それからもう一つの、この干拓事業によりまして優良農地をつくる場合には、これは淡水化をすることが優良農地をつくるためにはぜひ必要であるわけでございまして、この潮受け堤防をあけたり閉めたりすることによって海水が入ってくるということは、淡水化をすることによって優良な農地をつくるということに対しては大きな問題がある。
 また、これは地元の国会議員の方の御意見でございますけれども、潮受け堤防を開くということになれば海水が入ってくる、地元の事情をわかっておる者からすれば、これは漁業民の絶対に賛成できないことであるにもかかわらず、その水門をあけることを言っておるのは地元の事情をわかっていない意見ではなかろうか、こういうことでございます。
 私は、この防災上の見地、また淡水化による優良農地を確保するということ、またこの水門をあけることによって漁業関係者の方々が大変な被害を受けることを防ぐ、こういう意味におきましては、私の立場においてこの水門をあけるということはできない、かようなことを申し上げたわけでございます。
○菅(直)委員 言葉も気をつけられた方がいいですよ。水門はしょっちゅうあけているのでしょう、つまり内側から水を出すために。ですから、水門のあけ閉めはしょっちゅうやっているのですよ。
 今言われたこともだんだんこの数日間でも変わっております。当初は、洪水のおそれがある、マイナス一にしておかなければ七千二百万立米の貯水量が維持できない、こういうことを言われました。そこで、本当にそうかと思って農水省の担当者といろいろ議論をいたしました。先ほど申し上げたように、完成時には千七百十ヘクタールのこの調整池、これに対してマイナス一からプラス三・二一という許容幅、計算すると確かに七千二百万立米になります。これだけあれば大丈夫だと皆さんは計画で言っている。しかし、今内堤防はないわけですから、あの潮受け堤防からこちらは三千五百五十ヘクタールある。もちろん水深の問題はありますけれども、少なくとも同じ三・二一という許容量を考えればマイナス一メートルにしなくてもこの七千二百万立米が確保できるということは、ついきのうも担当者を呼んで計算したら、そうですと答えているのですね。ですから、そういう意味では、この最終的な計画が正しいとすれば、まず最終的な計画で想定している、計画高水位というのだそうですね、計画高水位までは大丈夫ではないですか。
 そしてまた、今言われました淡水によることのメリット、まだ今から内側堤防つくるのではないですか。内側堤防つくって、今から内側の農地をつくるのではないですか。一カ月、二カ月あるいは半年間ぐらい、海の水が来たからといって、淡水化が行われなかったからといって、今から造成しようとするところの農地の問題に何か支障が起きるのですか。
 つまりは、私が言っているのは、永久的にこの事業をやめることを今決めろと言っているのではないのです。意見はありますけれども、いろいろな意見があるのを議論する間は干潟を生かすように海の水を入れたらいいのではないですか。その結果、もしかして、議論して皆さんの言われる方が国民の圧倒的な多数が賛成されれば、それは計画どおり淡水化されればいいではないですか。その間のことを言っているのです。ですから、淡水化をしなければいけないという議論も全く的外れであります。
 また、漁業の問題。昨日漁業担当者も来られました。いろいろな方とお会いしました。いろいろなことはあるでしょう。今だって、この潮受け堤防を締め切ってから、あの排水門から流速は最高どのぐらいいきましたか。データを見たら二メートル数十、三メートル近い数字が出ていますよ。つまりは、どのぐらいの流速になったらどういうことになるのかはいろいろなケースがあるでしょう。それも私は担当者に言いましたけれども、排水門の運用の仕方によって、天気のいいときにはゆっくり水を入れてゆっくり水を抜いたって間に合うわけです。急に大雨が降ってきたというときは、これは緊急時ですから急いで水を抜けばいい。そういうやり方をすればこの問題も十分解決できる。
 そういう意味で、今の大臣が言われたことはすべて、今のままでやらなければ地元の皆さんとの約束が守れない、この昭和六十一年の事業計画どおりにやらなければ守れない。しかし、この事業計画だって最後の場面のことを言っているのですよ、マイナス一メートルというのは。途中でマイナス一メートルというのがどこか書いてあるかと思って調べたけれども、どこにも書いてない。
 そういう意味では、今申し上げたような運用をやって、ちゃんと国民があるいは国会があるいはいろいろな関係者がもう一度再検討する時間を干潟を生かした形でつくる、このことが可能でもあるし、やるべきだと思いますが、大臣、どうですか。
○藤本国務大臣 いろいろ委員の御議論をお聞きしておりまして、一番のポイントは水門をあけるあけないの問題のよりこ承るわけであります。
 我々は過去の、仮に例えて言えば昭和三十二年の諌早大水害、死者八百名、浸水戸数四千戸から五千戸、この大水害を見ますときに、あの地域の特殊性、極めて短時間の間に予測しがたい雨が降ったという記録は、二年に一度ぐらいの記録で証明されているわけでございまして、やはりこの事業は防災効果が非常に大きな目的であるし、今度の潮受け堤防を完成したことによって地元の人たちがいかに喜んでおるかということもこの防災効果の証明になっておるわけであると思うのです。
 委員は東京工大の御出身で、極めて技術的な理論を展開されて、それはそれなりに一つの御意見と思いますけれども、しかし私どもの立場からすれば、少なくとも住民が過去何十年にわたってこの諌早湾のゼロメーターまたはマイナス一メーターの地域に住んで、雨が降れば、また外からの高潮に悩まされて、一年に二回も三回も稲を植えざるを得ない、こういう苦しみに耐えてきたこの地区住民の不安、憂いというものを解消するということが、我々行政の立場で最もまず考えなきゃならぬことだと思っております。
 そういう観点からすれば、防災対策上、委員が御指摘のようなことが理論的に仮に可能であったとしても、その防災問題を、危険に瀕するようなことは、我々としてはこれは到底できない、これが我々の考え方であります。
○菅(直)委員 私も、現地の皆さんに何度か、特にきのうはたくさんの方とお会いしました。私に現地の推進派の代表の方からの公開質問状も以前いただいておりました。ほとんどの方が言われるのは、今藤本農水大臣が言われたことなんですよ。つまり何か。今の既存の農地、今ある既存の農地の排水の問題や冠水の問題なんですよ。新たな農地が必要だ、こう言っている近隣の皆さんの話は私は一度も聞いたことありません。それは、いろいろ世論調査をしたらあるかもしれません。
 今の既存の農地の、確かに排水が悪いのですよ。もともとが水準がゼロメートルとか、場合によったら若干低いとか、しかも、確かに潟がたまっているわけですから排水しにくいとか。ですから、私はこのことは何らかの対策は当然打たれるべきだと思います。もちろん、その中には陸先干拓、つまり、今回のような潮どめ干拓ではなくて、少しずつ前に出していくという干拓のやり方も長年やってこられたわけです。また、きちんとした堤防と排水施設を持てば、これは当然水はけは確保されるわけです。何も三千五百五十ヘクタール潮受け堤防ではさっと切って二千三百七十億円の巨額の費用をかけないでも、今の既存の農地の排水とかあるいは洪水対策とかを確保する上では、ほかのやり方でもっと効率よく、もっと経済的にやれるはずなんですよ。
 それなのに、この計画しかだめだ、だめだと言っているのは、まさにこの六十一年の計画を変えたくない。さっき、論理的には正しくても変えられない、それはどういうことなんですか。論理的に正しくて変えられないというのだったら、論理的に間違っていても仕方ないということですか。
○藤本国務大臣 どうも、私の言うことを素直にとっていただきたいと思うのですが、それは、一つの考え方として、いろいろ提案された問題について考え方としては成り立つかもわからぬけれども、しかし、私が申し上げているのは、防災効果を、仮に少しでもマイナスになるような、防災機能を損なうような、そういうことには農林水産省としてはできない、こういうことを申し上げておるわけでございますし、また、中央が地方が反対している事業を推し進めるということではなくて、この事業は、地方が熱望しておる事業を我々が協議をし、合意をして進めておるわけでございまして、地方分権というのは地方の声を生かすということが地方分権でございまして、そのことを我々も念頭に置いてやっておるわけでございまして、地方のそういう意見を全然取り上げないという、仮にそういうことであれば、地方分権の今の風潮に逆行するのじゃないか、そういうことを私は考えます。
○菅(直)委員 地方分権一般については全く同感です。
 ただ、公共事業については、多くの場合、現地は賛成なんですよ。私が十数年前取り組んだ石垣島の白保の埋め立てによる飛行場の問題も、現地の市長、市議会ほとんど全員賛成でした。しかし、あの白保のサンゴ礁についてどう考えるのか、いろいろな意見があって海の埋め立てば中止になって、まだ今議論は残っておりますが、陸の方の計画変更になっているのです。ですから、地方分権ということで現地が賛成しているから。それは、公共事業においては現地にいろいろなお金が流れる仕組みができていますから、そういう点では、一たん賛成した以上はなかなか反対しにくいというのはあるでしょう。しかし、そういうことを含めて今大きな見直しが必要じゃないか、そういう時期じゃないのですか。
 そして、先ほど、今既にマイナス一メートルで運用して大変効果があったという言われ方をして、私に向けての公開質問状にもそういう記載がありました。私はよくわからないのですね。
 何がわからないか。昨日いろいろな地元の関係者が来られて、きょうはこんな写真もたくさんついたものを送ってこられました。これを見ると、確かに従来よりよかったところもあるけれども、従来、いわゆるあの潮受け堤防が締め切られるよりも悪くなったところも、ついこの間の雨で、ある。いろいろな写真がここに出ております。ぜひ一度皆さんとよく議論してみてください。
 つまりは、農水省は、よくなったところだけをピックアップして、悪くなったところは報告していないのじゃないですか。現実に、あの内側の今の堤防のすぐ外にはたくさん土がたまっているわけですから、逆に言えば、水をマイナス一に下げたからといってなかなか水が出にくいというところが現実にあるのじゃないですか。そういうふうに、何か結論を導くために、つまりは自分たちが一たん決めたものを絶対変えたくないという、その方針に沿ってすべての理屈をそろえるというやり方は、私は、日本の政治をおかしくしている。つまりは行政というものが変えられないものだということを国民に押しつけようとしている。
 私も厚生大臣をやったときにそれに近い経験をしましたけれども、そういうものを変えることが私は政治家としての閣僚の役目だと思いますので、どうか藤本農水大臣にも、ぜひそういったトータルな判断から、従来の農水省の方針が正しいのならいいですけれども、時代において間違っているという判断をするならば、思い切って変える、そのことをぜひ勇断をもって行っていただきたいことを申し上げて、あとは質問を譲りたいと思います。
○藤本国務大臣 一般の公共事業、これについての見直しの問題は、総理からもお答えがございましたように、私まそれは当然のことだと思います。しかし、本件に関して言えば、たびたび申し上げておりますように、この問題を見直すということには当てはまらない、かように考えております。
 また、農林水産省の職員の問題について、都合のいいところだけの報告というふうなお話がございましたけれども、私は、我が農水省の職員に関してそういう職員は一人もいない、かように考えております。
○菅(直)委員 それでは、私は終わります。
○石橋委員長 次に、安住淳君。
○安住委員 我が党の持ち時間はあと六分でございますので、蚕糸とそれから生糸価格安定法の一部を改正する法案について、二つほど質問をさせていただきます。
 これも行政改革と絡んだ話でございますが、千七百年に及ぶ絹の歴史が我が国にありますが、今現在、私どもの国の繭の総産出額というのは、これは一体幾らであって、それに対する行政の経費というのが大体幾らぐらいになっているのか、そこを簡潔にお答え願えますか。
○高木(賢)政府委員 平成八年度で申し上げますと、繭の粗生産額五十一億円でございます。
 蚕糸行政の範囲は、これに生糸の部分がございまして八年度百八十九億円であります。蚕糸関係の行政経費は、都道府県まで含めまして、これは、都道府県の分は厳密に私どもできちんと積み上げるというわけにいきませんで若干試算部分が入りますが、七十一億円というふうに試算しております。
○安住委員 今のお話を聞いてもわかるように、繭という産業は、歴史的な経緯がありますけれども、しかし、実際には五十一億円の産業であります。それに対して行政の経費というのを七十一億円もかけている、こうしたところに行政というものに対する不信というか、私は、やはりこれは遅きに失したのではないか、そういう感を強くしておるわけでございます。
 それでは、実際に生糸の検査そして検定というものに対してどれぐらいの職員が関与しているのか。全国平均で見ますと、四百三十一人でございます。そして国の職員の定員数、生糸の検査ですが、八十八人もいらっしゃる。これは農水省、今回改正をすることによって削減をしていく方向にあると思いますが、果たして五十一億円の総産出額の産業に対して、これほどの行政経費というものが必要なのかどうか。これは常識で考えても、五十一億円の産業に対して七十一億の行政経費を使うというこの問題をやはり私は無視できないと思います。
 藤本大臣、このことについての意見と、それからこれをどういうふうに改善していくおつもりなのか、これをお聞かせ願えますか。藤本大臣、時間がないので、どうぞ大臣の答弁でお願いします。――大臣、時間がないので。
○藤本国務大臣 どうも失礼しました。
 今御審議をいただいております法律案につきましては、農畜産業振興事業団の国産糸売買操作業務の廃止、繭の強制検定や生糸の強制検査の廃止などを盛り込んでおりますが、これによりまして蚕糸関係の行政組織については簡素合理化が可能になり、行政経費の縮減に資するものと考えております。
○安住委員 いずれこの農畜産業振興事業団等の削減、ことしは九人減らしたということでございます。これは大変悲しい残念な話であります。しかし、我が国に八千人の農家の方々がいらっしゃいますが、これに対しての行政の経費のあり方が今まででいいはずがないと私は思います。
 さはさりながら、長い歴史と伝統を持っているこの絹織物そして繭の産業が、付加価値を高める形で品質というものにこだわって、本当に生き残っていくために、では農水省としてこれからどういうことを考えていくのか。
 行政の経費の問題と、そして同時に伝統産業を残していくという、一方で非常に矛盾する話で、難しい話でございます。しかし、それを両立をさせていかなければならないのがこの問題の一番難しいところだと思いますので、そこのところをどうするのか、最後に農産園芸局長と大臣、お二人のお話を聞いて質問を終わりたいと思いますので、よろしくどうぞ。
○高木(賢)政府委員 御指摘のありました行政経費の節減につきましては、ただいま御審議いただいている法律の施行によりまして、大幅に縮減が可能となると思います。もちろん、関係者の雇用の安定ということに十分配慮しながらそれを進めたいと思います。
 一方で、振興策ということは、やはり繭は生糸製糸業者に使ってもらわなければいかぬ、生糸製糸業者のつくった糸は機屋さんに使ってもらわなければいかぬということで、製糸、蚕糸、絹業が一体となった取り組み、いわゆるブランド化ということを各地域地域で進めていってお得意さんを確保していく、こういう方向だろうと思っております。
○藤本国務大臣 午前中も御答弁申し上げましたけれども、今後の進め方としては、高品質のものをつくっていくということに尽きるかと思います。そのためにいろいろな助成があろうかと思うわけでございまして、先進的技術の問題だとか、それからまた経営を安定するということが必要でございますから、複合化の問題もあると思いますし、いろいろな面についてこれからも力を入れて、振興のために頑張っていきたいと考えております。
○安住委員 終わります。
○石橋委員長 次に、藤田スミ君。
○藤田(ス)委員 私は質問に入る前に、まず委員長に要望しておきたいと思います。
 本日は蚕糸二法案の審議でありますが、先ほど他の委員からも諌早湾の水門を一刻も早くあけるようにという質問がございました。私ども日本共産党も、党委員長みずからが現地調査を行い、そして諌早湾干拓事業が農地造成や防災効果の点でも、さらに環境破壊という点でも大きな問題を抱えているということを明らかにしたわけであります。
 農地造成の問題や防災上からも、きょう水門を締め切らないとあしたから大変なことになるといった、一日、一刻を争うような話ではないわけであります。ところが、水門を締め切って干潟の生物を死滅させるか、それともそれを生かすために水門をあけておくかという問題は、それこそ時間との勝負であります。一刻も早く水門をあけるべきであります。
 その点で、水門を開くことに大変かたくなな大臣の姿勢は強く非難されなければならないというふうに考えるわけでありますが、私は、当委員会においてこの諌早湾干拓問題での集中審議を一刻も早く行うことを強く委員長に要望するものでございます。お答えいただきたいと思います。
○石橋委員長 御要望はよく承りましたが、別途また理事懇ででも相談を、協議をさせていただきたい、こういうふうに思います。
 以上です。
○藤田(ス)委員 それでは、法案の質疑に入ってまいります。
 養蚕農家は、わずかこの五年間で四万四千戸から八千戸と、五分の一以下に激減いたしました。とりわけ九五年から九六年の一年間だけで約四割も減少し、主産地群馬では、九五年度四千七百三十戸が九六年度には二千七百九十戸と、二千戸も減っております。このままでは日本から養蚕業の灯が消えてしまう、その瀬戸際にあると言っていい状態にあるのではないかと私は思っています。
 大臣は、こうした状態をどう認識され、そしてまた養蚕業がここまで急速に減退した原因をどのようにお考えか、お聞かせください。
○藤本国務大臣 養蚕の農家数、生産量の減少につきまして委員が今言われました状況は私もよく承知をいたしておりますし、まことに残念なことだというふうに認識をいたしております。
 ここに至る経緯につきましてはよく御承知のとおりでございまして、一方において需要が落ちる、それから安い製品また生糸が入ってくる、後継者難、いろいろな原因によりまして今日に至っておる、そのように認識をいたしております。
 しかし、この養蚕の問題は、中山間地域におきましても非常に重要な作目でもありますし、また日本の伝統的な文化であります絹織物ということも考えあわせますと、政府としてはでき得る限りの振興策は講じていかなければならないものだというふうに思っております。
○藤田(ス)委員 私は、この法案の審議に当たりまして、産地の農家やJA、行政関係者のお話を伺ってきましたけれども、やはり農家が養蚕をやめていく最大の要因というのは価格の問題にあるというふうに見ております。
 生糸の輸入、プレス繭の大量輸入、一部投資家による生糸相場への乱入が糸価を乱高下させている影響から生糸価格が低落し続けて、基準繭価も引き下げられる。そして生糸の相場の価格によって繭価が決められるという制度のもとで、再生産を保障するにはほど遠い繭価の水準では、経営を続けることができずにやめていくというのは当然のことであります。
 繭糸価格安定法は、生糸の価格ひいては国産繭の価格の安定を図ることによって蚕糸業の経営の安定を図ることを目的にしてきました。農水省が昨年の十一月に出しました農産物価格安定制度の概要の中でも、制度の果たす役割についてこう書いています。「糸価・繭価は変動が激しいという性格を有するため、当制度により糸価の安定、繭代の確保等を図ることで製糸業・養蚕業の経営の安定に資している」、こういうふうにしているわけであります。
 今回の法改正で法の「目的」から価格の安定を削除することは、養蚕経営の安定を図ることを農水省が放棄するということではありませんか。
○高木(賢)政府委員 御提案を申し上げております法律改正後の新しい法律におきましても、第一条に「蚕糸業の経営の安定」ということを目的規定に明記をしておりまして、そういう放棄する考えは持っておりません。
○藤田(ス)委員 それならば、どういうふうにして農家の所得の確保を図っていこうとしておられるのか、お聞かせください。
○高木(賢)政府委員 新しい法律、制度におきます核といたしまして、これは生糸の実需者輸入制度というものを位置づけております。これは、海外からの安い生糸がそのまま裸で入ってきたのでは国内の蚕糸業に重大な影響を受けるということで、実需者輸入制度ということで、一定量に数量を絞るということが第一点でございます。それから第二点は、輸入に伴いまして輸入糸調整金というものを徴収をする、これが第二点でございます。それから第三点は、その輸入糸調整金を活用いたしまして、養蚕農家の所得の確保に充てるために、事業団を徴収者として、製糸業者を通じて養蚕農家に助成をする、こういうことの規定は法律上持っているわけでございます。
 ただ、それだけでは足りない事態がございます。平成五年に四者で合意されまして、六年から実施されました運用上の制度でございます、その当時から、法律上の制度ということではないのですけれども、取引基準繭価の制度を設けておって、それを養蚕農家の収入の最低の目安とする、こういうことをやっているわけでございますが、これは、改正後におきましても引き続き実施する考えでございます。
○藤田(ス)委員 結局は、国境措置やあるいはまた取引指導価格を堅持していきたいということをおっしゃるわけでありますが、これらが将来にわたって継続することには、何ら確約がない、非常に脆弱なものだと言えないでしょうか。
 農水省が取引指導価格を堅持して所得を確保していくようにするとおっしゃっても、これはあくまでも四者合意によるものであって、法的な裏づけがないわけであります。政府の単年度ごとの予算措置も、将来にわたり確保できる確約はありません。財源とされている輸入調整金についても、ことしも百円の引き下げが行われています。また、国境措置自体についても、WTOの再交渉でどうなるのか、大変これは難しいことであります。
 当面のところ現在の国境措置を維持する、そういうことを先ほどからも、参議院の審議の中でも農水省はおっしゃいますけれども、当面のところ、これが農水省の姿勢ではないでしょうか。
 現在の養蚕農家にとっては、取引指導繭価千五百十八円の保証が最低の生命線とも言うべきものであります。それすらも、そうした継続の根拠のない当面の措置ということであれば、それで将来を見通して安心して経営が続けられると考えられますか。
○高木(賢)政府委員 先ほども申し上げましたが、新しい法律の「目的」におきましては「蚕糸業の経営の安定」ということを明記してございます。その目的のもとで、この仕組みの核となります国境調整措置、すなわち実需者輸入制度並びにその調整金を徴収する仕組み、そしてその調整金を活用して蚕糸業振興業も行う仕組み、こういう核になる事柄はきちんと法律上明記しているというふうに考えております。
 取引指導繭価は、先ほど申し上げましたが、従来から、法律上の仕組みということより、関係者の合意にまず立ちまして、それから、当然政府部内でもそれを妥当として必要な助成措置を講じてきているわけでありまして、今後とも取引指導繭価の仕組みは堅持をしていく、こういう考え方でございます。
○藤田(ス)委員 だから、質問は、堅持していくと言っても、本当にそういうふうに確固としたものがないじゃないかということを申し上げているわけです。違いますか。だから、あなた方は二言目にはブランド化の問題も持ち出されて、ブランド化によって価値の高い製品をつくって繭の価格を実現する方向を追求していきたい、そういうふうに言っていらっしゃるんでしょう。違いますか。
○高木(賢)政府委員 取引指導繭価につきましては、これは堅持をしていくということで、いわば最低限の価格の実現の措置として考えております。
 ブランド化は、それともう一つ、さらに高い収入を得るために、質の高い繭あるいは他と差別化された繭、生糸の生産によりまして、特定の絹織物などの需要と結びついたより付加価値の高い繭、生糸の生産によりまして、さらに高い価格の実現を目指す、こういうことでいろいろと関係者と相談し、運動としても推進しているところでございまして、取引指導繭価と何か代替するものとしてブランド化ということを言っているわけではないわけでございます。
○藤田(ス)委員 大体千五百十八円自身が、生産費が三千五百三十円と言われている中ではその二分の一にも満たないという点では、大変な価格になっているわけです。そういう中で、もう経営が続けられないということになってきているわけです。しかも、そういう取引指導繭価の継続ということについても大変根拠が怪しいということは、今の御答弁でも明らかではありませんか。
 私は、価格の維持がブランド化にかわるものだなどと言っているわけじゃありませんが、しかし、あなた方がブランド化ということを二言目には持ち出される。そのこと自身は私は評価しています。ブランド化そのものを否定しているわけじゃありません。
 せんだっても春名議員が愛媛の野村町を訪問しておりますが、ここでは町が建設した絹織物館を中心にして、生繭から糸をつくる、塩蔵の復活だとか、座繰りなどの古い製法で糸をつくるなど、ほかにない糸、織る側が望む糸をつくって、織物業者がキロ一万八千円から二万円で買い取る見通しをつけています’そしてまた、一方では、生産者に二千五百円の手取りを保証して、全量買い取りをする仕組みもつくっています。技術指導もして、織り、染めまで一貫した産地にしていこうと取り組んでいるわけでありますが、大変涙ぐましい取り組みであります。
 私自身は、先日京都の福知山に参りましたけれども、ここでも、京都の繭で京都の織物をという呼びかけ、取り組みが始められようとしています。
 そこで、私は改めてお伺いしたいのですが、農水省はこのようなプランド産地育成を支援すると言っておりますが、現在の進捗状況はどういうふうになっているか、お聞かせください。
    〔委員長退席、小平委員長代理着席〕
○高木(賢)政府委員 繭のブランド産地につきましては、平成七年度から国の予算で繭ブランド産地育成事業ということで推進を始めました。平成八年におきましては、二十五地区四十一市町村がブランド化の取り組みをされております。試作品を含めて、製品ができ上がったものもこの中でできてきております。
 こういう取り組みの中では、川下業者との連携のもとで高級絹織物用の糸の太さの細いもの、そういう生産に必要な高品質の繭づくりに地域ぐるみで取り組んでいる事例など、既に先進的な事例があらわれてきております。
 御指摘の野村町につきましても、そうした取り組みの一環としてお取り組みをされているというふうに承知しておりまして、この予算措置の中で、野村町が必要とする施設についてもその整備についてお手伝いをしたわけでございます。
 九年度はさらにその予算を拡充いたしまして、新製品の試作とかアンテナショップの設置とかマーケティングやPR活動の充実でありますとか、あるいは良質繭づくりと低コスト化を図る生産体制の整備とか、こういうことに今取り組んでおります。これはただ役所が何か唱えるということでなくて、養蚕団体、関係者含めまして、やはりこの道が活路を開く道であるということで一体となって取り組んでいる、こういう状況にございます。
○藤田(ス)委員 ブランド化に取り組んでいる産地がどれだけの生産者やあるいは生産量をカバーしているのか、この点も聞かせてほしいのです。
 もう一点は、ブランド化することで養蚕農家の所得の向上を図っていこう、こういうことでありますが、現在ブランド化に取り組んでいる産地で、生産者の手取りの確保はどうなっていますか。野村町のように、一定の高い水準の価格が安定的に生産者に保証されている産地がどの程度ありますか。そこを明らかにしてください。
○高木(賢)政府委員 ブランド化に着手した産地の中で、既に試作品を含めまして製品をつくっているというのが十五事例ございます。これは、八年産繭ベースでいいますと、およそ二百五十トン、八%ということでございます。先ほども申し上げましたように、まだ緒についたところでありますので、これを推進したいということで考えております。
 それから、実際にどの程度の値段になっているかということにつきまして、率直に申し上げまして、申しわけありませんが、まだ調査が行き届いておりませんが、これは当然どこに使うか、だれを顧客にするかという全体の計画を立てて進めておるわけでありますから、いわば契約栽培的な意味合いも持っておるわけでございまして、関係者の間では、価格については大体取り決めが行われた上で取引が行われておるというふうに承知をいたしております。
○藤田(ス)委員 野村町のような例は、結局所得保障という点では見られないということですよね、端的に言えば。それはないわけでしょう。ブランド化によって所得保障していく、そういう例はないわけでしょう。簡単で結構です。
○高木(賢)政府委員 野村町のように町とか農協が助成しているということは余り伺っておりません。
 むしろ、需要者たる製糸業者、織物業者が相応の値段をつけて、それで繭生産者につくってもらう、こういう値段ならやっていただけますかということでつくっているということで、かなりの値段、例えば二千円とかそれ以上の値段で引き取りが行われている、こういう実例はございます。
○藤田(ス)委員 養蚕農家がこれならやれるという繭の価格を実現する体制を地域でつくるということは、実際にシステムづくりが始まった産地でも実はなかなか大変なことであります。
 もう御説明がありましたが、野村町でも、第三セクターである地域振興センターが全量二千五百円で買い取ってもペイする価格で販路の確保ができたのは、野村町の長い歴史を持つ伊予生糸の産地としての技術、ブランド、つながりがあったから見通しが立ったのだ、そういうことです。その上に、町が百五十万円持ち出しで価格保証制度を確立しているわけであります。
 福知山では、京都の繭は京都の織物にと活路を見出そうとしますが、京都には製糸工場がもう一カ所もありません。そこで、島根の第三セクターの製糸工場まで繭を送っているわけですが、そこでは、県が負担している工場でなぜよその糸をつくらなければならないのかというような意見も出ていて、製糸工場を確保するのさえ安定しているとは言えない状況にあるわけであります。
 また、ブランド化で良質の繭をつくろうとすれば、お蚕さんの種の値が高くなるし、それから、とれる糸も当然減ってしまいます。結局農家の手取りは変わらないんじゃないかという点ではなかなか農家自身も踏み出しにくい。おまけに、年六回の繭づくりのうちに、平均して高品質で値の高いものを生産できるかというと、それがまだそういうわけにはいかない。だから、意欲を持っていても非常に大変な状態であります。
 しかし、伝統ある産地、技術を残すために関係者は必死の努力をしているわけでありますから、ブランド産地の育成支援の強化はぜひに求めておきたい、私はそう思います。後ほど大臣の御答弁を求めておきます。
 なお、繭の価格を実現するという点は、ブランド化によってそれを実現するというのは大変なことでありますが、今、日本の養蚕業に幾らも時間は残されていない、私はそういう危機感を持っています。その点からも、農家の手取り確保の措置、価格支持制度が別途とられなければ、産地の努力にもかかわらず、ごく限られた産地の限られた生産者以外は結局やめざるを得ないところに追い込まれてしまうのではないかというふうに考えますが、御答弁を求めます。
○高木(賢)政府委員 既に養蚕の産地は、北関東あるいは東山というような背骨をなす地帯、あるいは中国地方、四国地方といいますか、そういった背骨をなす地帯にかなり限られてきてはおります。ただ、それぞれの地域におきましては特産物的な位置づけにもなっておりますし、各県、特に群馬県などは相当県としても力を入れて、主力の振興を養蚕、製糸、絹織物を通じて図られておるというふうに承知をいたしております。
 このような現地の取り組みの動きを支援するというのが私どものブランド化の推進の考え方でございまして、これにつきましてはさらに力を入れていきたいというふうにも思っておりますし、また、新たに特産物として養蚕に取り組むという構想を持っておられるところもございます。そういったところに対して必要な支援をしてまいりたい、このように考えておるわけでございます。
○藤本国務大臣 先ほどからいろいろお答え申し上げておりますけれども、今後の我が国養蚕業につきましては、生産性の向上を図りながら、高品質の国産繭、生糸の生産を推進していくことが肝要であるというふうに考えます。
 そのために、いろいろな先進的技術を導入するための助成であるとか、また経営安定のために複合経営を図っていくとか、さらに川上、川下との連携を図りながら、高品質で特徴のある、そういう製品をつくっていくということが大事だろうと思っておるわけでございまして、私どもも、委員御指摘のように、この伝統的な産業がこれからも頑張っていっていただけるようにできる限りの応援をしてまいりたい、かように考えております。
○藤田(ス)委員 私は、伝統的なこの産業、しかも非常に少なくなってしまった産業をなお本当に維持していくために今一番やらなければならないのは価格支持制度、それを別途とらなければならないということを申し上げているわけです。
 野村町の経験から何よりも学ばなければならないのは、一九七〇年の七百八十五戸から二十戸まで養蚕農家が減ってしまったこの野村町で生産者が話し合いをし、価格が最大の問題だ、養蚕を続けられる価格としてどうしてもキロ二千五百円が必要ではないかということでこれを先に設定し、それで全量買い取りをする価格保証制度をつくっていった、私はここが非常に大事と思います。それでも、なおかつ、この二十戸の農家は生産継続で踏みとどまってはいるわけですが、農家に聞くと、お蚕さんに生コンを食わしている。何を言っているのかというと、日ごろは土方だとか日雇いなどで養蚕を続けられるように別に稼ぎをとっている、そういうふうにして頑張っておられるわけです。みんな畑は守りたい、三千円なら何とか後継者を入れようかということになるが、というのが圧倒的な養蚕農家の声であります。
 そこで日本共産党は、繭の適正な生産費をもとに保証基準価格を設定し、繭の標準販売価格がこれを下回った場合は生産者補給交付金として国の負担で生産費を補償する不足払い制度を設ける修正案を提出いたしました。
 本気で養蚕を維持しようとすれば、生産費を償い、再生産を保障する価格保証が不可欠であって、法的裏づけがある不足払い制度をつくるべきだと考えますが、いかがですか。
○高木(賢)政府委員 蚕糸関係の制度の運営に当たっております私どもといたしましては、やはり関係者の合意を得た取引指導繭価の仕組み、これによって対応するのが一番いいというふうに思っております。これは先ほど来言っておりますが、単に業界の方々だけが賛同しているわけではなくて、政府部内におきましても、関係省庁とともにそういった仕組みをとるということについては合意してやってきております。そういったことでありますので、それ以上の措置というものは要しないものと考えております。
○藤田(ス)委員 この問題は、JAの皆さんに聞きましても、要するに日本の養蚕業の幕引きではないか、そこまでおっしゃっておられるわけです。そして、事は養蚕だけの問題ではない、ほかの農産物価格にも影響する。つまり、行革の名のもとに、養蚕が突破口になるのではないか、そうなれば日本の農業、農村が崩壊するのではないか、そういう非常に深刻な受けとめをしているのです。だから、私はどうしても、やはり経営が続けられる価格の保証ということを求めておきたいと思います。
 最後に、繭の検定制度、これを一問だけ質問をいたしますが、要するに、今回の措置で生産者は大変強い不安を持っておりますから、最低限ブロックごとに検定所を残す、あるいは、検定を希望する農家の要請にこたえられる体制を公的に確立することが必要であります。検定を継続する府県に対しては国が財政措置をとるなど、検定料金が引き上げられて農家負担が増加しないような具体的な措置を明らかにしておいていただきたいと思います。
○高木(賢)政府委員 任意制度化された後の繭品質の評価につきましては、生産者と需要者がみずから行うということが基本であるとは考えられますけれども、依然として、やはり取引に当たりまして第三者による公正なる繭品質評価を求めるニーズは強いと思います。そこで、引き続き繭検定体制を継続する都府県、それから繭品質評価能力を有する民間の機関、これらによりまして、これらのニーズに対応していきたいというふうに考えております。
 都府県の対応方向を聞き取りで調査をいたしますと、現在繭検定をみずから実施している二十四県のうち、任意化に伴い廃止すると回答した県は六県、やる、維持すると言っているのが三県、十五県がやる方向で検討するといこことでございまして、繭の品質評価を求めるニーズには対応が可能であると思います。
 ただ、ブロックで一つの機関とか、必ずしもそういうことではなくて、もしそういうやめるような県の養蚕農家がどうかということになれば、評価体制を引き続き維持する県あるいは民間機関へのあっせん調整とか、こういった労は私どもとしてとっていきまして、その繭品質評価を必要とする取引当事者のニーズにはおこたえしていきたいと思います。
 それから、財政負担ということでは、なかなか難しいというふうには思っておりますが、評価方法の開発とか、それに基づくガイドラインの提示とか、そういったことで取引の関係者の方々の便宜にできるだけ合うような、そういうことでの御支援は申し上げていきたい、やっていきたい、こういうふうに思っております。
○藤田(ス)委員 時間が参りましたので、これで終わります。
○小平委員長代理 次に、北沢清功君。
○北沢委員 私は、社会民主党の北沢清功でございます。
 久々の農水委員会への出席、発言の機会を与えていただいたわけですが、率直に申し上げて、私自身非常に複雑で、心の中に何かぐっと上がるような感じがいたすわけでございます。
 というのは、私は山国の長野県の出身でございまして、かつては長野県岡谷市は、地方の製糸業や、日本の近代国家を形成するための、当時の輸出産業である生糸というものは、まさに日本の、今の自動車産業に匹敵するような実は立場でございました。そういう中で、戦後の高度成長のなかでは、私は、一つには、葉たばこの生産と養蚕の業というのは、ある面では生活保障の方法であり、ある面では山村における社会保障を担っているんじゃないか、そういう感じがしたわけですが、ここへ来ましてぐっと生産が落ち、戸数が今では八千戸を割るというような、極めて悲しむ事態になっております。
 私は、このたびの繭糸価格安定法の一部を改正する法律案、さらには製糸業法、蚕糸業法の二法の廃止等でございますが、これは、この法律が現状に即さなくなって制定当時の意義がなくなったということであろうかというふうに実は思うわけですが、しかし、ここ平成五年からの低落傾向というのは実に厳しいわけでございます。今もお話がございましたように、平成七年度から八年度の前年対比というのは四四%の減でございます。これは果たして構造的な面での減であろうか。いわゆる生糸の内外価格差の開き、それから山村地域における労働力の老化というものであろうというふうに思いますけれども、私は、やはりそれ以上に何かあるのではないかという思いを実はしております。その点について、どういう認識を持たれているかということについて、ひとつ局長さんから御答弁を煩わしたいと思います。
○高木(賢)政府委員 繭糸価格安定制度は、もともとはやはりある一定の水準の国産糸の価格が実現されることを前提にいたしまして、その糸の値段に見合う繭の値段を養蚕農家に払うということで動いてきたわけでございます。
 ただ、海外から絹製品、ネクタイなりブラウスなりその他織物等々が、安いものが入ってまいりますと、機屋さんの方は安い値段でなければこれは対抗できない、したがって原料たる糸も値段を下げてくれ、こういう御要請が強くなってきたわけでございます。機屋さん自身の経営が非常に不安になるということになりました。そして、糸の値段が低くなりますと、繭代として払える値段も低くならざるを得ないということで、ぎりぎりの値段が設定されてきたわけでございます。
 その後さらに、その糸の値段ではまだ機屋さんはやっていけない、こういうことでございまして、それより下がった低い値段でなければやっていけないということで、織物業者さんの御了解も得まして、織物業者さんも協力金という形で養蚕農家の所得補てんにお金を出す、こういう仕組みが平成五年の合意によって六年から実施されたわけでございます。
 このように、一定の糸の値段を維持して、それによって繭の値段を確保する、こういう仕組みがとれなくなってきたわけでございまして、一定のサイクルで糸の値段が上がったり下がったりする、これが機能しなくなったわけでございます。これはひとえに、そういった海外の需給なり価格の動向を反映しました国内の構造的な糸価の低下傾向によるものでございます。それに対しまして、取引指導繭価という概念を導入いたしまして、これに必要な補てんをしている、七年度からは国費による助成事業も開始したということでございます。
 そういった事情でございますので、国産糸の世界が狭くなりましたので、買ったり売ったりして糸の値段を支えるという事業団の仕組みも、これも今の時代にとって適切でない、こういうことに判断をされまして、この際、廃止ということで御提案申し上げているわけでございます。
 そういう過程で、繭の生産量も減少し、また繭生産農家も減少をいたしました。特に、平成七年から八年にかけて大幅に減少をいたしましたが、これは糸の値段がその当時大変低迷をいたしまして、製糸業者の方がもう繭は引き取れないとか、もう清算してお金を払うのはやめだとか、こういう事態が生じまして、それが広く養蚕農家の意欲を喪失せしめた、それによってリタイアや他作物への転換に拍車がかかったというのが実情かと存じます。
 なお、ことしは、平成八年こ繭の所得確保の措置を強化したということもありまして、平成九年産につきましてはそれほどの、若干減少はするようですが、それほどの減少にはならないというふうに見込んでおります。
○北沢委員 減少しているという御答弁ですが、私はやはり、平成七年における、繭を引き取らぬよという製糸家の皆さんの問題等の混乱がございまして、当時生産農家の皆さんが非常に不安であったわけですね。ですから、そういう意味で、将来に対する見通しを失い、意欲を失ったというのが偽らざるあの当時の状況じゃないかということを私は感じます。
 それで、問題は、今この法案が廃止をされ修正をされる中で、考えられることは、やはり国境調整措置の調整金、それからいわゆる最低繭価の取引の指導価格であり、またいわゆる四者のスムーズな協議による価格の決定が、それだけが実はこれからの養蚕業の皆さんに対する望みの綱である、頼りの綱であるというふうに私は感ずるわけでありまして、ここら辺を、やはり農水省としては相当強力な指導性を持っていかないとなかなか、法的には保障されておりませんので、さらになりわいとしての養蚕がなくなりはしないかという実は思いをしております。そんなことで、そのことは強く皆さんに御要望申し上げたいと思います。
 もう一つ大事なことは、じゃ生き残る道はあるのかということでありますから、さあ生き残る道は何かということは、そのことは、やはり浮揚策といいますか、養蚕業を浮揚させるための道筋というものをもっとはっきりお示しにならなければならないわけでありまして、先ほどからいろいろとそのことについてはお話がございましたので、改めてそのことについてお尋ねを申し上げます。
○高木(賢)政府委員 やはり養蚕の振興のためには、蚕の製品たる繭を使う製糸業者、それからその糸を使う機屋さん、これらが一体となって当たらなければ、今の外国からのいろいろな輸入攻勢には勝てないと思います。そこではやはり高品質のもの、差別化されたものということで、特質を持った製品を、関係者が一同意見を交換し、合意をいたしまして、これで取り組み体制をつくるということが一番肝心であろうと思います。関係者一同、これをブランド化と呼んで、この取り組みを今進めているところでございまして、全国の養蚕主産県並びに養蚕団体、皆さん方一体となってブランド化による活路を開くということで取り組んでいただいているところでございます。
○北沢委員 ブランド化については、実は、例として、私の町は天蚕というのが日本一の実は産地でございます。たったの十六キロぐらいしか産出しませんけれども、いわゆる繭のダイヤと言われるものであって、非常に美しい繭でございます。
 また、綿布でも、最近は非常に極細の繊維で織る織物が非常に受け入れられておったり流行になっておるわけですが、生糸も、やはり極細ということになると、生産者の繭の品質そのものもそうですが、やはりそれを織る、または製糸をする工場の技術力といいますか、そういうことも非常に私は重要になってくると思いますので、先ほどお話がございましたようなプランドの振興策とあわせて、これらの工場とか絹織物等についても積極的な開発の資金なり援助をしていく必要がありはしないか、そういうふうに感じますが、いかがでしょうか。
○高木(賢)政府委員 補助事業なりでは、やはり、地域としてお取り組みになるということであれば、これはいろいろな面で御支援申し上げたいと思います。それから、個人としてまたお取り組みになるということであれば、農業改良資金などの制度融資によってこれは支援をしていきたいと思います。
 いずれにしても、今養蚕産地の推進員というものも設置をしておりますので、そうした人の技術力も活用しながらこの取り組みについての支援をしていきたいと思っております。
    〔小平委員長代理退席、委員長着席〕
○北沢委員 私は、今残っている製糸会社というのは、規模はそう大きくないし、また合理化が非常に進んでおります。そういう中でやはり生き残るためこ、技術力や機械を改良して積極的に取り組んで生き残りの道をかけておるわけでありますし、また養蚕家もそれにこたえるような繭の生産をする、そのことによって高付加価値を出すというようなことになっております。そこら辺の、非常に製糸業者も大変苦しんでいるということを御理解をいただいて、個人だとか地域だということでなくて、地域は地域ですが、そのものずばりやはり取り組むような施策が考えられなければならないのではないか、そういう思いをしておりますので、この辺については強くひとつ実現に向けて要請をしておきたいと思います。
 それともう一つ、今までの養蚕を取り巻く背景というものは、生糸も含めて、非常に大きな、巨大な組織を持っていると言っても過言ではないと私は思います。先ほども民主党の方からお話がございましたけれども、縮小したからあっさりということにはいかないわけです。現状の研究機関などは世界に冠たる養蚕の研究を持っていると私は思いますので、そういうものを含めて、今後、都道府県の繭検それから養蚕産地育成推進員、それから都道府県の部局がありますし、またそのほかに事業団がございます。そういう皆さんの今後における方向性というものは相当はっきり示していただきながら、しかもその雇用については、安心して働けるような条件、安心して転換できるような条件をやはり進めていかなければいけないのではないか、そういうことを強く実は要請をいたしたいと思いますし、また、この面についてのお考えもお聞きをしたいと思います。
 これは事業団に絞って申し上げますが、先ほど定数の問題については御答弁がございました。合理化の段階的計画の中で発生する余剰人員の雇用は一体どうするのか。また、雇用が確保されたとしても非常な労働条件の低下になってはならないわけでございます。それからもう一つは、実際の事業団で働く労働組合の皆さんとも十分協議をして、やはり納得のいくような形で実行する必要があると思いますが、時間がありませんので、そこら辺を含めて御答弁を煩わしたいと思います。
○高木(賢)政府委員 農畜産業振興事業団につきましては、国産糸売買操作業務の廃止などの業務量の縮小に応じまして、平成九年度から十一年度の間に蚕糸部門の大幅な合理化を図ることとしております。八年度三十人、これを九年度から十、十一年度、三年度におきまして減じまして、平成十二年度には六人程度にするということを予定しております。その際には、当然のことですが、雇用の安定に十分配慮して、事業団の畜産、砂糖部門などへの振りかえとか、本人の御納得が得られれば、他機関への異動というようなことで実施をしていくつもりでございます。
 さはさりながら、雇用が確保されたとしても、労働条件の低下ということについてどうか、こういうことでございますが、基本的に事業団の職員でありまして、事業団の方でお考えになるべき問題ではありますけれども、合理化によって他部門へ配転するに当たりましては、その職員の労働条件が低下することのないように事業団を指導していく考えでございます。それから、組合との関係でございます。
 今、事業団には蚕糖労働組合、畜産労働組合と二つの労働組合がありまして、従来から一節目節目に、随時団体交渉とか事務折衝を通じまして状況を説明してきております。今回の蚕糸部門の合理化につきましても二つの労働組合に対し説明しておりまして、理解と協力が得られるような対応をしているというふうに承知をいたしております。
 農林水産省といたしましても、健全な労使関係のもとに蚕糸部門の合理化が円滑に進められるよう、今後とも事業団を指導していく考えでございます。
○北沢委員 最後に、大臣に御決意についてお尋ねを申し上げたいと思いますが、私が冒頭申し上げましたように、養蚕業は、日本の今日あるのを支えて発展をさせた基礎でございますし、また、着物を含めて、伝統的な文化を持っておるわけでございます。私は、効率が悪くても地域にそれを志す人がある以上、これはなりわいでございます、業でございます。そういうものがやはり存続できるように、どんな辺地であろうとも地域に生きていく道をつくるのが政治の大きな目標でありますが、最近、非常に効率主義が言われている中で、この面については、積極的に振興策や養蚕業のきちんとした、不安のないような見通しが示されるように、大臣から改めて御決意のほどをお願いいたしたいと思います。
○藤本国務大臣 先ほどから委員が御指摘になられましたように、私も、養蚕業のこれからの振興につきましては、できる限りの助成をしていかなければならないというふうに思っております。
 高品質のものをつくる方向に向かって、そしてまた、先進技術を導入したり複合経営によって経営の安定を図ったり、さらには、川上と川下と連携をいたしまして高品質な製品をつくっていく、こういう点についてできる限りの助成を図ってまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○北沢委員 よろしくお願いします。
 終わります。
○石橋委員長 次に、堀込征雄君。
○堀込委員 二法案が提案をされたわけでありますが、この法案によって、この処理によって、先ほど来お話がありますように、明治、大正、昭和と日本経済を引っ張ってきたこの日本の養蚕業の歴史的な撤退というような感を受けるわけでありまして、そういう意味では、一抹の寂しさも感じますし、感無量なところもあるわけであります。
 そこで、この法改正で、あと農水省の仕事としては主として国境措置ということになるわけでありますが、言葉をかえますと、撤退をしていきますが、農水省としての仕事というのはあと何をやるのか。つまり、残された養蚕業というものにどうかかわってどういうふうにするのかという基本的なところをひとつ明らかにしておいていただきたい。
 それからもう一つは、千五百十八円という取引指導繭価というのがあるわけでありまして、これは当面、きちんとこの仕組みを守っていただかないとどうもうまくいかないし、残った生産者のよりどころにもなっているわけであります。この仕組みはきちんと守ってほしいというふうに私は思うわけでありますが、その辺をまず、見解をお聞かせください。
○高木(賢)政府委員 これからの蚕糸政策の基本的な枠組みに関する御質問だと思います。
 私どもは、御指摘のありましたように、蚕糸業の経営の安定ということが大目的でございまして、そのための中核的な手段が国境調整措置であるというふうに認識をいたしております。
 まだまだ海外の繭なり生糸の方が大幅に安いものですから、そのままダイレクトに入ってきたのでは、これはもうあすにでも倒れてしまう、こういうことでございますから、国境調整措置を堅持する。それは、輸入数量の問題とストレートな価格に調整金ということで上乗せをするという二つの措置が堅持をされるべきであるというふうに考えております。
 そういう状況のもとで、一定の糸価水準、糸を使う側の方からすればできるだけ低い方がいいということにもなりますが、やはり製糸業者が成り立つだけの生糸価格の水準というものを維持しなければいけないというふうに思っております。そのために輸入量の調整を弾力的に行うということを考えているわけでございます。
 その上で、製糸業者が一定の繭代を払う。しかし、その繭代だけでは到底養蚕農家はやっていくわけにはいかない。九年度の価格の決定のベースで申し上げますと、製糸業者は一キログラム五百円払えばいいということですけれども、これでは養蚕農家は到底やっていけませんから、取引指導繭価ということを関係者の合意のもとに設定しておりますが、千五百十八円、最低それだけはお払いくださいということで、農家の手取りになるようにということで設定しておりまして、その間を調整金を原資とする助成措置あるいま国費を原資とする助成措置で対応する、こういうことにいたしているわけでございます。
 したがいまして、この取引指導繭価は、各種の助成措置のいわば前提となるものでございますので、これは四者の合意に基づくものでもあり、政府の関係者の合意でもあり、そういうことでこれを定着させて進めていきたい、このように考えております。
○堀込委員 そこで、国境措置でございますが、事業団による一元輸入、そして輸入調整金の徴収業務、それから、それを財源にしながら流通円滑化奨励金事業をやっている。お聞きをするところによると、大体平成八年で約三万四千俵、十九億ほどだ、それから奨励金交付事業が十四億弱というようなことをお聞きしているわけであります。そういうことでこれからも続けていく、そして千五百十八円の養蚕農家の所得も確保していくという答弁でございました。
 さはさりながら、この仕組みはやはり養蚕農家、絹業、蚕糸、それぞれいろいろ意見があるのだろうというふうに思いまして、そこはやはりきちんと調整をしながら、理解をいただきながらやっていかないともっていけない仕組みになる可能性がある。したがって、その辺、絹業、蚕糸の皆さんの御意見もおありでしょうし、将来にわたってどんな状況なのか、それをひとつ見解をお伺いしたい。
 それからもう一つ。国境措置で一番問題は、やはりプレス繭の問題なのでしょう。これを何とかきちんとルールに乗せたものにしないと、せっかくの国境措置が危うくなる、こういうことでございますから、この二点について農水省の見解を伺っておきたいと思います。
○高木(賢)政府委員 国境調整措置の一環といたしまして、輸入糸調整金を絹業者からいただいているわけでございます。これはやはり絹業者にとっては負担でありますので、なるべく低い方がいいというふうに当然おっしゃるわけでございますが、さはさりながら繭の生産者が倒れては困る。繭の供給源、糸の供給源が一国になるとかえって価格がつり上げられるおそれもあるということで、日本の養蚕農家にも残ってもらいたいというのが絹業者の立場でございます。
 そういう点で御協力をいただいて輸入糸調整金の制度ができ上がっているわけでございますが、ただ一点、その輸入糸調整金が事業団の人件費で多くをとられるのはいかがなものか、こういう御意見もございまして、養蚕農家にできるだけ行くようにしてください、こういう御注文は率直に言っていただいているところでございますが、基本的にはこの輸入糸調整金の仕組みそのものについては御理解を賜っておりまして、平穏裏に納入をしていただいている、こういう状況にあるわけでございます。
 それから、もう一つのプレス繭対策でございますが、まさにここの辺に穴があきますと、いろいろ輸入調整といっても、それこそ穴のあいた措置になってしまう、しり抜けになる、こういうことになりますので、やはりくず繭の本来の定義にふさわしいそういった基準にしなければいかぬ。こういうことで 関税当局としばらくの間濃密に試験をしたりして話を詰めてまいりました。
 その結果、五月一日に基準を改正いたしまして、これまで繭の重さが〇・六六一グラム以下のものをくず繭ということで認めていたわけですが、それでは糸の引ける繭がこの中に潜り込んでしまうということでございますので、〇・二八九グラムということで、従来の四四%の重さのもの以下をくず繭ということに分類をし直すということを決定いたしまして、かりそめにも糸が引けるような繭がくず繭という形で合法的こ入ってくる、輸入されるということのないように措置をいたしたところでありまして、これは六月一日から適用されるということになっておりまして、これを厳正に運用してまいりたいと考えております。
○堀込委員 そういうことで、特にプレス繭については分類の見直しによって六月一日からきちんとされるということでありますから、ぜひその対応をいただきたいというふうに思います。
 そこで、さっき実情を、国の仕事として養蚕業からの撤退に近い法律になるわけでありますが、今、行政改革がいろいろ議論されておるわけでありますが、とりわけ歴史ある農林業、農水省あるいはその関連に対して、風当たりは相当厳しいわけであります。しかし、改革すべきは率先して改革しながら、守るべき日本の農林業はきちんと守っていくということが大切ではないかというふうに私は思うわけであります。
 そこで、この法改正によって、率直に言って、本省を初め地方局、それから検査部門、それから各県には繭検定所がございまして四百人弱の皆さんが実務についておられる。それから、そのほか事業団の話も先ほど出ていましたが、こういうものについておよそどういうふうに改革をしていくのかというのが一つであります。
 それから、そうは申しましても、先ほどから議論のあります養蚕ブランド産地活性化対策事業、それから養蚕産地育成推進員、全国でこれも三百六十人ほどですか、今もって助成措置を講じている、こういう実態があるわけであります。こういうものについて、これから機構、組織、人員をどういうふうにしていくのか、事業をどういうふうにしていくのか、この二点について伺っておきたいと思います。
○高木(賢)政府委員 まず、組織や機構の問題についてお答えを申し上げたいと思います。
 国の行政組織としては、生糸検査部門を持っているわけでございます。これは、蚕糸業法の廃止に伴いまして今の強制検査を任意化するということになりますと、業務量の減少が見込まれます。これに見合った組織、定員の合理化を進めていく考えでございます。この際には、他部門への振りかえなどの措置で、雇用の安定に配慮しながら進めてまいる考えでございます。
 それから、事業団の組織は、平成八年度で三十人の人員がございますが、三年間で二十四人程度減らしまして、平成十二年度には六人程度にするということでこれを進めてまいりたいと存じます。
 それから、都府県の行政組織、これは繭検定所が実は一番人数が多くて、この人件費が五十億近くかかっているというのが蚕糸関係のうちの行政経費の大半を占めております。これは、強制検定の廃止後、任意化するということでございますが、同時に、検定方法の合理化といいますか低コストなやり方をする、あるいは、今糸を引いて検定をしているわけですが、糸を引かないで検定する方法を開発するということで、コストの低い検定方法に移行するということをあわせてやることによりまして、相当大幅な人員の減が可能になるというふうに思っております。
 これは各県で取り組まれることでありますので、今ここで何人にするとかという計画は申し上げられないわけでございますが、それぞれの県におきまして、やはりこれも他部門への振りかえなどで、雇用の安定に配慮しながら合理化が進められるというふうに考えております。
 それから、補助事業として置いております養蚕産地育成推進員でございますが、これは平成十五年度までに段階的に合理化を推し進めまして、養蚕農家が推進員に依存しない体制づくりを進め、一般営農指導体制への計画的な移行を図るという考えに立っております。
 お話ありましたように、平成八年度で三百六十七名の推進員が設置されております。平成十五年度までのこの推進員の活動につきましては、国の予算措置による計画的な資金造成を通じまして、引き続き農畜産業振興事業団から助成を行うことにいたしております。
 これが組織、人員の関係でございます。
 これに対しまして、繭や生糸のブランド化の推進ということではどうかというお尋ねでございます。
 繭の生産農家、製糸業者、織物業者、これらの方々が連携をいたしまして、品質が高い、特徴のある繭づくり、その繭を用いた絹製品の高付加価値化を促進することにいたしております。
 そのために、川下ニーズに的確にこたえるための推進体制を整備する、それから、特に新しく始めますのは、新製品の試作だとかアンテナショップの設置など、マーケティングの充実を図るということでございます。
 さらには、基盤たる良質繭づくりと低コスト化を図るための生産体制の整備、さらには、場合によっては、複合経営で農家の所得を確保していこうという方につきましては複合経営の推進についての手助けをする、こういった総合的な内容でもって養蚕ブランド産地活性化対策事業というのを本年度からスタートさせておりまして、これらの取り組みにつきまして、一層加速化させるべく現在取り組んでいるところでございます。
○堀込委員 ちょっと提案されている法律から離れて恐縮でございます。
 最近、行政改革、財政再建ということで、農林公共事業、ラウンド対策、あるいは国有林野の問題、連日報道機関をにぎわせているわけであります。
 そのことはまた議論させていただくことにしまして、一つだけ、今、養蚕の検定をなくすわけでありますが、ここ一日二日、米の検査、食糧検査の民営化、そして食糧事務所の統廃合、これもいろいろ報道されているわけでありまして、報道を見る限り、従来の縮小方針ではなくて全部民営化してしまうのだというような報道がなされておりますが、その点だけ、もう時間がありませんので、一点だけ確認をさせていただいて、質問を終わります。
○高木(勇)政府委員 お答え申し上げます。
 今、米の検査のお尋ねでございますが、米の検査それ自体は、米のように大量かつ広域に流通する、また、国民の主食でございますから、それ自体は、やはり公正中立な第三者によって検査が行われるということが必要かと思います。
 ただ、検査の実施部門につきましては、政府の役割をさらに限定し得る分野ではないか、つまり、民間に移行し得る分野ではないかというふうに考えておりまして、そういった方向で今後検討してまいりたいということでございます。
 それから、組織でございますが、これにつきましては、新しい食糧法の制定、施行を機会に、政府の役割の限定なり市場原理の活用といったことで国の関与を可能な限り限定いたしまして、それとあわせまして、平成七年度から、例えば食糧事務所につきましては、五年間で十一の事務所を統合するといり計画で今進めております。
 さらに、今後のことといたしましては、農政全体の動きを踏まえながら、また、米なり主要な食糧の生産、流通、消費の実態というものを十分見きわめながら、機能的、効率的な体制への再編整備ということを進めてまいりたいというふうに考えております。
○堀込委員 終わります。
○石橋委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
○石橋委員長 ただいま議題となっております両案中、まず、繭糸価格安定法の一部を改正する法律案について議事を進めます。
 この際、本案に対し、藤田スミ君外一名から、修正案が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。春名直章君。
    ―――――――――――――
 繭糸価格安定法の一部を改正する法律案に対する修正案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
○春名委員 私は、日本共産党を代表して、繭糸価格安定法の一部を改正する法律案に対する修正案の提案理由を説明いたします。
 我が国の養蚕業は、特に近年になって急激な衰退の一途をたどっています。九三年二万七千戸の養蚕農家が、今では八千戸、三年前の三分の一以下に激減し、収繭量も一万一千トンからわずか三千トンに落ち込んでいます。
 こうした事態に至った主な原因は、繭価の相次ぐ値下げによる農家所得の激減にあります。農家の手取りを確保するために、キロ当たり千五百十八円という取引指導繭価が設定されていますが、それでも、九六年産の上繭一キロ当たりの生産費三千五百三十円に対して、平均の繭取引価格はキロ当たり千六百七十二円で、半分にも達していません。これでは、現行法に示された目的、「繭及び生糸の価格について、その生産条件、需給事情等からみて適正な水準における安定を図ることにより、蚕糸業の経営の安定に資するとともに、生糸の需要の増進に寄与する」を果たすことはできません。
 日本共産党は、我が国の養蚕業が直面している存亡をかけた危機的な状況から抜け出し、中山間地域における重要な基幹作物の一つとの位置づけを明確にして、一層の振興を図る立場から、修正案を提出するものです。
 その内容は、生産費を償い再生産を保障するため、繭の適正な生産費をもとに保証基準価格を設定し、繭の標準販売価格がこれを下回る場合には、生産者補給交付金として国の負担で生産費を補償するものであります。これを九六年の繭生産費及び平均繭価格、収繭量に当てはめれば、国の負担として必要とする経費は、およそ五十六億一千三百万円です。
 委員各位の御賛同をお願いいたしまして、提案理由の説明を終わらせていただきます。
○石橋委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。
 この際、本修正案についく国会法第五十七条の三の規定により、内閣の意見があれば発言を許します。農林水産大臣藤本孝雄君。
○藤本国務大臣 ただいまの修正案につきましては、政府としては反対であります。
    ―――――――――――――
○石橋委員長 これより原案及びこれに対する修正案を一括して討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、これを許します。藤田スミ君。
○藤田(ス)委員 私は、日本共産党を代表して、繭糸価格安定法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
 我が国の蚕糸業は、低迷する生糸、繭価格と生糸の輸入増加、さらにはプレス繭の輸入等により、その経営は極度に悪化しています。養蚕業は、中山間地域における重要な基幹作物の一つであるにもかかわらず、養蚕農家はこの一年間に六千戸近くも激減するという、極めて危機的な状況にあります。今日の蚕糸業危機を打開するためには、生糸、絹製品の輸入を規制し、価格安定機能をさらに強化することであります。
 ところが、改正案では、本法の目的について、これまでの価格の安定という文言を削除し、新たに「輸入に係る調整等」に変え、事業団による国内産生糸の売買操作等による繭及び生糸の価格安定帯制度を廃止しようとしています。また、制度廃止後の農家手取り価格を保証する仕組みや法的裏づけは何ら明らかにされていません。これでは養蚕農家及び製糸業者の経営をさらに衰退させるものと言わなければなりません。さらに、規制緩和の議論の中で、財界等から農産物価格安定制度については廃止を含む見直しが求められていますが、こうした見直しには断固反対するものです。
 最近の繭生産費はキロ当たり三千五百円を上回っていますが、さきに決定された九七年産の基準繭価はキロ当たり五百円、取引指導価格は千五百十八円です。これでは到底生産を続けることはできません。
 日本共産党は、養蚕農家の経営を守り、生産費を償い再生産を保障するために、不足払い制度の導入など新たな価格支持制度を確立するよう強く要求し、反対の討論といたします。
 以上です。(拍手)
○石橋委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
○石橋委員長 これより採決に入ります。繭糸価格安定法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。
 まず、藤田スミ君外一名提出の修正案について採決いたします。
 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○石橋委員長 起立少数。よって、藤田スミ君外一名提出の修正案は否決されました。
 次に、原案について採決いたします。
 原案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○石橋委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 次に、製糸業法及び蚕糸業法を廃止する法律案について議事を進めます。
 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 製糸業法及び蚕糸業法を廃止する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○石橋委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
○石橋委員長 この際、両案に対し、松下忠洋君外四名から、自由民主党、新進党、民主党、社会民主党・市民連合及び太陽党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。矢上雅義君。
○矢上委員 私は、自由民主党、新進党、民主党、社会民主党・市民連合及び太陽党を代表して、繭糸価格安定法の一部を改正する法律案及び製糸業法及び蚕糸業法を廃止する法律案に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
    「繭糸価格安定法の一部を改正する法律案」及び「製糸業法及び蚕糸業法を廃止する法律案」に対する附帯決議(案)
  政府は、今回、三法を改廃するに当たっては、無用の混乱を回避するとともに、最近の蚕糸業をめぐる情勢にかんがみ、左記事項の実現に遺憾なきを期すべきである。
     記
 一 繭及び生糸の国境調整措置については、需給・価格動向に十分配慮しつつ弾力的運用を行い、蚕糸業・絹業双方の健全な発展に資するよう努めること。
   また、くず繭輸入について、国産生糸の品質の低下、生糸需給の混乱を生じさせないよう輸入管理の一層の徹底を図ること。
 二 養蚕農家の手取り繭価の安定的確保が図られるよう、今後とも十分な措置を講ずること。
 三 養蚕業及び製糸業の経営の安定を図る観点から、特徴ある繭づくりの推進や川下と連携したブランド産地の育成、実需に結びついた高品質生糸の生産・流通体制の整備等に必要な各種施策を着実に実施すること。
 四 繭検定及び生糸検査が強制から任意へ移行すること等に伴い、円滑かつ公正な取引に支障を来さないよう十分配慮すること。
 五 これまで長い歴史と伝統に培われた蚕種その他の蚕糸類に係る高度な技術が今後も保持されるよう努めること。
 六 農畜産業振興事業団等の蚕糸関係業務が縮小されることにかんがみ、これらの組織の合理化と業務の効率的運営が図られるよう適切な指導を行うこと。また、組織の合理化等により職員の雇用こ不安が生じないよう十分配慮すること。
 七 和装等絹文化の維持、新製品の開発・普及、絹製品の流通コストの削減等により、絹需要の拡大を図ること。
 八 生糸取引所において、適切な市場運営が行われるよう指導すること。
  右決議する。
 以上の附帯決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通じて委員各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。
 何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
 以上であります。
○石橋委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 松下忠洋君外四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○石橋委員長 起立総員。よって、両案に対し附帯決議を付することに決しました。
 この際、ただいまの附帯決議につきまして、農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣藤本孝雄君。
○藤本国務大臣 ただいま御決議いただきました附帯決議の趣旨を尊重し、今後最善の努力をいたしてまいります。
    ―――――――――――――
○石橋委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました両法律案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○石橋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
  〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
○石橋委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時十六分散会
     ――――◇―――――