第140回国会 決算委員会第二分科会 第2号
平成九年五月二十七日(火曜日)
    午前九時開議
 出席分科員
   主 査 根本  匠君
      安倍 晋三君    奥山 茂彦君
      田邉 國男君    滝   実君
      石垣 一夫君    松浪健四郎君
      正森 成二君
   兼務 熊谷 市雄君 兼務 菅  義偉君
   兼務 山口 泰明君 兼務 玄葉光一郎君
 出席国務大臣
        文 部 大 臣 小杉  隆君
 出席政府委員
        防衛政務次官  浅野 勝人君
        防衛庁長官官房
        長       江間 清二君
        防衛庁防衛局長 秋山 昌廣君
        防衛庁経理局長 佐藤  謙君
        防衛施設庁長官 諸冨 増夫君
        防衛施設庁施設
        部長      首藤 新悟君
        外務政務次官  高村 正彦君
        外務省中近東ア
        フリカ局長   登 誠一郎君
        外務省経済協力
        局長      畠中  篤君
        外務省条約局長 林   暘君
        文部大臣官房長 佐藤 禎一君
        文部省生涯学習
        局長      草原 克豪君
        文部省初等中等
        教育局長    辻村 哲夫君
        文部省教育助成
        局長      小林 敬治君
        文部省高等教育
        局長      雨宮  忠君
        文部省体育局長 佐々木正峰君
        文化庁次長   小野 元之君
 分科員外の出席者
        防衛庁経理局会
        計課長     田中 正昭君
        防衛施設庁総務
        部会計課長   清水  繁君
        外務大臣官房審
        議官      大島 賢三君
        外務大臣官房会
        計課長     中村  滋君
        大蔵省主計局司
        計課長     田頭 基典君
        文部省学術国際
        局国際企画課長 井上 正幸君
        厚生大臣官房国
        際課長     金子  洋君
        水産庁海洋漁業
        部国際課長   海野  洋君
        労働大臣官房国
        際労働課長   播   彰君
        会計検査院事務
        総長官房審議官 関本 匡邦君
        会計検査院事務
        総長官房審議官 渡辺 孝至君
        会計検査院事務
        総局第一局長  深田 烝治君
        会計検査院事務
        総局第二局長  諸田 敏朗君
        決算委員会調査
        室長      天野  進君
    ─────────────
分科員の異動
五月二十七日
 辞任         補欠選任
  田邉 國男君     奥山 茂彦君
  滝   実君     渡辺 博道君
  西村 章三君     石垣 一夫君
  若松 謙維君     達増 拓也君
同日
 辞任         補欠選任
  奥山 茂彦君     安倍晋三君
  渡辺 博道君     滝   実君
  石垣 一夫君     一川 保夫君
  達増 拓也君     平田 米男君
同日
 辞任         補欠選任
  安倍 晋三君     田邉 國男君
  一川 保夫君     松浪健四郎君
  平田 米男君     武山百合子君
同日
 辞任         補欠選任
  武山百合子君     若松 謙維君
  松浪健四郎君     西村 章三君
同日
 第一分科員熊谷市雄君、玄葉光一郎君、第三分
 科員菅義偉君及び第四分科員山口泰明君が本分
 科兼務となった。
    ─────────────
本日の会議に付した案件
 平成六年度一般会計歳入歳出決算
 平成六年度特別会計歳入歳出決算
 平成六年度国税収納金整理資金受払計算書
 平成六年度政府関係機関決算書
 平成六年度国有財産増減及び現在額総計算書
 平成六年度国有財産無償貸付状況総計算書
 平成七年度一般会計歳入歳出決算
 平成七年度特別会計歳入歳出決算
 平成七年度国税収納金整理資金受払計算書
 平成七年度政府関係機関決算書
 平成七年度国有財産増減及び現在額総計算書
 平成七年度国有財産無償貸付状況総計算書
 〔総理府(防衛庁・防衛施設庁)、外務省及び
 文部省所管〕
     ────◇─────
○根本主査 これより決算委員会第二分科会を開会いたします。
 平成六年度決算外二件及び平成七年度決算外二件中、本日は、文部省、総理府(防衛庁・防衛施設庁)及び外務省所管について審査を行います。
 昨日に引き続き文部省所管について審査を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石垣一夫君。
○石垣分科員 新進党の石垣でございます。
 私は、まず最初に、平成六年度、平成七年度の文部省の体育局の概算決定額の概要に関連いたしまして、いわゆる学校体育を除くスポーツ関係の予算を調べましたところ、平成六年度が百七十五億五千五百万、平成七年度が百七十八億五千百万とほとんど変わっておりませんね。
 最近、スポーツに対する国民の関心は非常に高まっております。こういう中で、教育委員会月報を見ますと、昨年十二月に保健体育審議会に、「生涯にわたる心身の健康の保持増進のための今後の健康に関する教育及びスポーツの振興の在り方について」の諮問を行っておりますね。いわゆる体育・スポーツ施設の整備充実、生涯スポーツの推進、競技スポーツの振興、三点にわたって諮問を行っておりますけれども、この諮問と予算との相関関係についてはどのようにお考えになっておりますか。
○小杉国務大臣 私、文部大臣に就任いたしましてから、今御指摘のように、保健体育審議会に対しまして三分野の諮問をいたしました。それはまず、生涯スポーツ、それから競技力向上、それから学校における体育、こういう三点について諮問を行いまして、ことしの秋までに答申を得たいということで取り組んでおります。
 それで、今予算との関連ということですが、こういう三つの分野はそれぞれ今後充実させていか
なければいけないというときに、今平成六年度、平成七年度の予算を挙げられましたけれども、平成九年度においても百七十六億円ということで、ここ数年来ほとんどスポーツ予算が変わっていない、こういう状況では、こういった三分野のスポツの振興を図るという見地からしても、全く不十分である、こういう考えでおります。
○石垣分科員 巷間言われるスポーツへの関心と相まって、所管の文部省として、この予算がほとんど変わっていないことについては、政策順位の選択においていわゆる認識と現実が全然違う、こういう相矛盾したところが予算から見られるのですけれども、これについてはどうお考えですか。
○小杉国務大臣 私は、スポーツの価値というか、スポーツの効用というものをそう過小評価すべきではないと思うのです。やはり個人個人が心身ともにたくましく生きるということは、すなわちそれは国力にもつながっていると思うわけでありまして、最近社会構造がどんどん変化していく中で、こういう体力を鍛えるとかスポーツとかというところが少しおろそかにされてきている嫌いはないか、こういうことを考えますと、口ではみんなスポーツは大事だ、スポーツ振興だと言いながら、現実のスポーツ予算に対する扱いあるいはスポーツ行政全般に対する認識というものは必ずしもマッチしてないのじゃないか、そういう乖離というものを痛感しているものでございます。
○石垣分科員 そこで、大臣みずから日ごろスポーツを楽しんでおられる。現実にマラソンとかジョギングとかやっておられて、みずから体験をされておるわけでございます。そういう、みずからが相矛盾したことをお感じになっておるにもかかわらず、そのまま大臣の意思が予算面に反映されない、こういうことについては、いろいろと難しい今の財政の状況の中ではございますけれども、やはり二十一世紀の日本を見渡したときに、このスポーツ予算がどうなるということについて、大臣の決意はどうですか。
○小杉国務大臣 今までの経過がそういうことでありましたので、私は、今回保健体育審議会に三つの分野の諮問をして、ことしの秋までに答申を得たいということで、この答申を踏まえて来年度以降の予算要求についても精力的に努力をしたいと考えております。
○石垣分科員 大臣の積極的な取り組みを期待いたしたいと思うのです。
 ちなみに、「ヨーロッパ諸国のスポーツ財政比較」ということで、一九九〇年のデータでございますけれども、これは笹川スポーツ財団が発行している雑誌に出ております。ドイツでは、これは若干中央と地方との関係がありますけれども、日本円に直して約五千八百億、それからイギリスは大体二千六百億、それからフランスは二千六百億、それからイタリアが二千四百億、スペインにおいても千三百億、こういうデータが出ておるわけですね。こういうことを考えてみますと、非常に日本のスポーツ予算、現実面について寂しい限りだ、こういうことが言えると思うのです。
 そこで、今、きょうは本会議でどうやら提案され、可決されるというスポーツくじ、この問題が浮上してきた。これは、大体二千億売り上げて、そのうちの一七・五%をいわゆるスポーツ予算に回そう、大体三百五十億ですね。こういう粗い計算になると思うのですけれども、このスポーツくじについて、大臣としての所見はいかがですか。
○小杉国務大臣 この問題については、平成四年にJOCとか体協からスポーツ予算、スポーツ財源の確保という見地から大変強い要望が行われまして、超党派のスポーツ議員連盟を中心に議員立法でこのスポーツ振興くじの提案に至った。今まで何度か挫折をいたしましたけれども、今回は何とか提案にこぎつけて、衆議院の文教委員会では通過をして、本日本会議にかけられるということで、今後参議院の審議も残っておりますから、軽々にその展望は申し上げることはできませんが、これは青少年に与える影響ということも懸念がありますので、そういったことを十分配慮した案に今回の案は仕上げられているということを感じておりますし、もしこれが通過した後のこの資金の配分、こういうものについても透明性とか公正性というものを確保することが必要だというふうに考えておりまして、今後の審議を見守っていきたい、こういうことでございます。
○石垣分科員 このスポーツくじが可決されて、現実面に動いたといたしましょう。このときに、現状のスポーツ予算は、これをカットするというようなことはゆめゆめないと思うのですけれども、この点は、このスポーツくじと別個の問題として文部省みずからが、先ほど大臣がおっしゃったように、スポーツ関連予算については将来とも十分これを深く肝に銘じてむしろ増額の方に持っていく、こういう決意が大事だと思うのですけれども、大臣、いかがですか。
○小杉国務大臣 このスポーツ振興に関しては、国と地方と民間とそれぞれ役割分担があると思うのです。国としてやるべきことは、やはり人、物、金、国としてやるべき施設、例えばナショナルトレーニングセンターとか、今度の予算で計上されましたが、長年の悲願であったスポーツ科学センター、こういうものとか、やはり地方や民間ではなかなかできないものを国がやっていくということでありますから、仮に今度のスポーツくじが通ったとしても、その配分先は、それぞれ何百とあるスポーツ団体に対しての配分であるとか、そういうことで、これがもし成立したとしても、国がやるべき仕事はまだまだ無数にあるわけでございまして、これが成立したからといって、本来の文教予算の中でのスポーツ予算の確保はいささかも力を抜いてはいけない、一層充実に努めていきたいと私たちは思っております。
○石垣分科員 今大臣の決意をお聞きいたしまして、深く期待いたしたいと思います。
 次に、プロ・アマスポーツの交流問題なのですけれども、教育委員会月報にも記載されておりますように、「プロスポーツについても、これがスポーツの裾野を拡大し、アマ・ブロー体となった国際競技力の向上に貢献するなど大きな意義を有していることを踏まえ、アマ・プロスポーツ交流会議を開催するなどにより、今後とも我が国のスポーツ界全体の健全な発展が図られるよう支援していくこととする。」こういうことが書かれておるのです。現在、プロ・アマスポーツの、アマチュアとプロの連携の状態はどうなっておりますか。
○佐々木政府委員 先生御指摘のように、プロ選手の高度な競技水準は、我が国の競技力を向上させ、また、国民へのスポーツの普及を促進するなど、我が国のスポーツの振興を図る上で重要な役割を果たしております。そういった観点から、プロとアマとの適切な連携を図っていくことは極めて重要であると文部省としても認識をしておるところでございます。
 我が国においては、現在、例えばプロサッカーのJリーグの各クラブにおいてジュニア期からの選手の育成を図るなど、サッカー教室が開催されておりますし、また、テニス、ボクシング、自転車などの競技においても、プロからアマへの指導が行われておるなど、プロとアマとの適切な連携が図られている、そういう分野もございます。
○石垣分科員 「オリンピック競技におけるプロ・アマの連携等の概要」というものを実際にもらったのですけれども、野球、サッカー、テニス、自転車、ボクシング、陸上競技、フィギュアスケート、この中で、ほとんど野球以外は障害がないわけですね。野球のみが障害がある、こういうことなのですけれども、この現状についてはどうお考えですか。
○佐々木政府委員 文部省では、プロとアマとの連携の促進を図るために、平成六年度から、アマ・プロの関係者、指導者等の参加を通じて、アマ・プロ交流の成果や問題点について研究、協議をする、あるいは情報交換等を行うため、アマ・プロスポーツ交流会議を開催しておるところでございます。
 そうした中で、野球界におきましても、プロ・アマを問わず野球に関する団体が集まって、平成六年に全日本野球会議が発足をしておりまして、
この会議においては、プロ野球OBが講師となったアマチュア野球指導者への研修を行うなど、プロ・アマの交流について前向きに取り組んでおるところでございまして、文部省といたしましては、プロとアマとが適切な連携を図っていくことが今後のスポーツ振興において極めて重要であるというふうに考え、今後とも、アマ・プロの連携について、スポーツ団体の自主的な動きを見守りつつ、文部省としてもできる限り促進を図ってまいりたいと考えておるところでございます。
○石垣分科員 特に野球のプロ・アマの交流問題については、例の昭和三十六年の柳川事件、これが一つの大きなきっかけになりまして、いわゆるプロ・アマの大きな鉄のカーテンができた。これは、プロ側が協定を破って強引に日本生命の柳川選手を引き抜いたということに端を発したのですけれども、これははっきり申し上げてプロ側が悪い。しかし、その後今日まで、大方三十数年たっているわけですね。いまだにこの鉄のカーテンが閉ざされたままである。ようやくここに来まして、先ほどおっしゃったような、いわゆる全日本野球会議ですか、こういうものが開かれまして、雪解けムードがようやく出てまいった、こういうところなのですね。
 たまたま先日、テレビを見ておりましたら、タイミングよくこういう問題が出まして、いわゆる元プロ選手の高校野球の監督就任の問題が一点、もう一つは、社会人野球、ノンプロへの復帰問題、この二点についていろいろ検証されておりました。
 第一点の、元プロ選手の高校監督への復帰問題。これは、当然それぞれのルールを守ってやらなければいけませんけれども、このテレビを見ておりますと、十二年待ってやっと監督についた、もう一人の方は、現在は五年ですから、十年から五年になって、あと三年待っている、こういう報道をされたのですけれども、現状はどうなっておりますか。
○小杉国務大臣 確かに最近、国際的にもプロとアマの垣根が低くなっていることは事実であります。しかし日本では、社会人野球、大学野球、高校野球とそれぞれみんな歴史があり、また経緯を持っておりますので、それぞれが規定を持って一定の制限を加えてまいったことは仰せのとおりであります。
 高校野球におきましても、従来、プロ経験者は、五年間の教職を経験しないと指導者として活動できないとされてきたところでありますが、二年間の教職経験をすれば指導者になっていい、こういう短縮の方向で今検討を始めておりまして、今、そういう方向のブローアマ交流に関する結論を一つ出していただけるものと期待しております。
○石垣分科員 高野連の方で、教職二年で監督復帰できる、こういう方向で非常に前向きに現在検討されておる、こういうニュースが入りまして、我々としてはそれを非常に高く評価をしているのですけれども、もう一つのいわゆるノンプロ野球への復帰問題、これがいまだに壁ができております。
 昨年、両リーグを代表してセ・リーグの川島会長から、日本プロフェッショナル野球組織実行委員会議長川島廣守という名前で、一九九六年九月十日、日本野球連盟の飯田会長に要望書が出されております。これは、
 セントラル野球連盟およびパシフィック野球連盟に所属する全十二球団の総意として、貴連盟に退団選手を受け入れていただきたいとの切なる願いが出されました。
  この問題は永年の懸案でありますが、要望するところは一昨年発足した全日本野球会議が標榜する、広く日本の野球人が結束し、技術力の向上、指導者の育成、普及振興事業の充実を図って世界の頂点を目指すとのスローガンにも合致するものと確信しております。
  世界情勢および日本の野球環境の変化を御勘案いただき、貴連盟で上記の件を御検討いただく機会を賜われば、当組織としては誠に幸甚に存じます。
こういう要望書が出されております。その後、この経過について、どんな状況でございますか。
○小杉国務大臣 現在、社会人の野球チームを統括する財団法人日本野球連盟におきましては、今先生が御指摘の方向で検討中と聞いております。
 具体的には、ことしの二月に連盟の評議員会理事会におきまして、プロ野球選手の具体的な受け入れ基準、条件等を検討するということを決定しまして、平成九年七月、二カ月後ですけれども、連盟の理事会におきまして、具体的な受け入れ基準とか条件についての素案を提示する予定と聞いておりますので、そういう方向に進みつつあるということを御理解いただきたいと思います。
○石垣分科員 プロ野球の年度別の退団者を見ますと、この十年間、平均して大体九十五名なんですね。その中には自由契約と任意引退がありますけれども、例えば昭和六十二年には、自由契約が四十一名、任意引退が五十人、計九十一人。それから、六十三年が二十九人と六十九人で九十八人、先の方は自由契約でございますけれども。平成一年が二十七人と五十三人で八十人、平成二年が三十六人と六十二人で九十八人、平成三年は五十二人と四十八人で百人、平成四年が五十二人と五十二人で百四人、平成五年が七十二人と二十二人で九十四人、平成六年が五十一人と三十二人で八十三人、それから平成七年、五十九人と三十四人で九十三人、平成八年が六十九人と四十人で百九名、こういう退団者があるわけです。
 私も、実は昭和三十六年から四年間、ちょうど柳川事件が起きたときに南海ホークスの二軍のコーチをやっていたわけです。高校を卒業して十八歳で入ってきて、二、三年、いわゆるプロの壁に挑戦する、どうしてもやはり技術的に無理だという選手がおるわけです。これが、今までだったらそのままもう一遍ノンプロへ帰って、そしてチャンスをねらって再度挑戦する、さらにまた、そこで社会人として立派に社会に復帰する、こういう道が開かれておったのですけれども、柳川事件でシャットアウトされた。就職合戦に、非常に私たち現場の人間は困ったわけであります。同時に、ことしの退職者を見ましても、四十四人の中で二十二人がいまだに就職が決まっていない、こういう現状なんですね。
 だから、柳川事件の一つのアマチュア野球の制裁はわかるのですけれども、いまやもう国際化時代で、プロ・アマの壁がどんどんなくなっている。先般のオリンピックの問題にしても、プロ選手がどんどんオリンピックに参加してよろしいという判断が、これは出ているわけですね。例えば、国際野球連盟の総会では、加盟国百五カ国の中で、いわゆる投票数が六十五カ国で賛成が五十六カ国、もう過半数を得て、オリンピック競技にプロ選手が参加してもいいという結論が出ている時代であります。日本だけがいまだに柳川事件の傷を負って、こういう大きな壁をつくっているわけであります。
 今、日本野球連盟の小野専務は、このことについて非常に憂慮されまして、当然今の山本会長は、オープンにどんどんやはりそういう壁をなくすべきだと非常に積極的な意見をお持ちの方です。私は、この方が在職中にプロ・アマの壁を破らなければできないのだろう、会長の方針で運営が全部変わってしまいますからね。小野専務は、昨年この垂オ込みを受けて、ずっと全国的に回っていただいております。クラブチームについてはほとんど賛成、ただ、企業については若干いろいろの問題があるという調査の報告も、私聞いてまいりました。
 さらに、もう一度ことし調査をやりたい、できたら七月ごろにもう一遍この検討会をやりたいのだ、こういう非常に前向きなお話を承ってきたのですけれども、現在、大きく変化した社会情勢の中で、特に第二点で申し上げましたいわゆるプロ選手の社会人野球への復帰問題については、私は、先ほど申し上げたプロ野球実行委員会の申し出を受けたその流れの中で、当然この道が開けていくだろうと深く期待をしておるのです。及ばずながら、私たちもそういう方向に全力を尽くしたいの
ですけれども、所管の文部省としてはどういうお考えですか。
○小杉国務大臣 二〇〇〇年のシドニー・オリンピックから、野球へのプロ野球選手の参加が認められるということは決定しております。今、お話によりますと、毎年百名前後の人が退団をして、ぶらぶらしている人も中にはいっぱいいる、こういうことでございまして、私は本来、スポーツというのは、トップの選手ばかりじゃなくて、すそ野がやはりしっかり充実していくということが大事だと思いますから、プロの選手が社会人野球に移行するということも考えていいことだと思います。
 今お話しのとおり、野球連盟におきまして前向きに取り組んでいるということでありますから、私はそうした努力、これはあくまでも文部大臣が干渉すべき問題ではなくて、その団体の自主性とかあるいは主体性というものを尊重しつつも、そうした動きを見守っていきたいと考えております。
○石垣分科員 見守っていきたいという大臣の答弁ですけれども、もしそういう相談を受けるなり、チャンスがあれば、やはりこういう方向に大臣としての前向きな発言をぜひひとつお願いしたい、こう思うのですが、どうですか。
○小杉国務大臣 先ほど来委員が指摘されているような、そういう国際的な動き、特にオリンピック等でもプロ・アマの壁を取り払っているという状況、特に野球界におきましても、先ほど申し上げたようなシドニー・オリンピックの状況も踏まえ、また国内の状況とかそういうもの万般を勘案しながら、私の方としても相談があれば前向きに対処していきたいと考えております。
○石垣分科員 時間がございませんので、最後に一点だけお聞きしたいと思うのですけれども、アトランタ・オリンピックでさわやかな走りを見せました有森裕子さん、このプロ化について、プロ宣言についていろいろと物議を醸しておりますね。こういう一連の動きについて、大臣はどのようにお考えでしょうか。
○小杉国務大臣 これも、それぞれのスポーツ団体、競技団体の判断の問題だと思いますので、私が直接コメントすることは避けたいと思うのですが、それぞれの団体で見識を持って判断をされるというふうに期待をしております。もし、それ以上の答弁と言われても、今直ちにここでコメントすることはちょっと控えたいと思います。
○石垣分科員 彼女がマラソンが終わったときに発した言葉は、いわゆる自分で自分を褒めてやりたい、これは非常にさわやかな発言として日本じゅう大きな感動を呼んだのですけれども、さらにまた、その以前に彼女の発言の中で、もっと頑張れたのにというレースにしたくなかった、こういう発言があったのですね。彼女は、バルセロナで走って、その後故障して、それを見事克服してきて、それであのアトランタの見事な快走ぶりを示した。こういう努力に対して、やはりそれなりに社会として報いてやらなければいかぬ。こういう中でのプロ宣言でございますから、大臣としてもそういうことについてお話があれば、ひとつ幅広く、度量を大きく持ってこの問題を解消していただければ、こう思っておりますが、最後にひとつ答弁を。
○小杉国務大臣 国際的なプロ・アマの交流の緩和の方向という動き、あるいは選手と競技団体との関係を踏まえながら、JOCや各競技団体で検討する必要があると私は考えております。
 保健体育審議会で、今後こうした点も含めて審議を深めまして、六月の末までに中間まとめを行う予定になっております。文部省としては、こうした保健体育審議会の動きを見守りつつ、いい結論を出したいと考えております。
○石垣分科員 終わります。
○根本主査 これにて石垣一夫君の質疑は終了いたしました。
 次に、奥山茂彦君。
○奥山分科員 おはようございます。私も、昨年十月に当選をさせていただいてから文教委員会に入れてもらいたかったのですけれども、文教委員会はなかなか人気があるそうで、入れてもらえなかったので、こういう質問の機会が与えられたことに心から感謝申し上げたいと思います。
 ところで、最近は少子化がどんどん進んできたわけでありますが、子供が減ってきて、幼児教育施設というものが定員割れという状態が出てきておるわけであります。
 そういう中で、特に幼稚園教育、幼児教育ですか、これの今後のあり方ということを私の第一点目として聞きたいわけであります。
 かねてから幼保一元化ということが言われてきたわけでありまして、もう現場は、保育園と幼稚園が内容的に余り変わらない状態にどんどんとなってきておるわけであります。そういう中で、幼稚園と保育園の連携の強化、そして定員割れ施設の共用ということが言われてきておるわけでありますが、こういう方向の中で、基本的に、幼保一元化という、これは所轄の省庁が違うわけでありますが、同じ幼児の教育という立場から、これの協力関係というものがどういうふうにされていかれるのか、これを冒頭にお尋ねしたいのですが。
○小杉国務大臣 私は、幼児教育というのは、生涯の人格形成にとって大変重要な場だと思っております。そして、今御指摘のように、最近は都市化、核家族化、少子化、こういう中で、幼稚園の役割というのはますます重要になってきていると思います。
 今、教育課程審議会で、学校完全週五日制ということで、子供たちに生きる力をどうつけさせるかという観点から協議をしております。中でもこの幼児教育というのは、そういう生きる力をつけさせる一番基礎的な段階ですから、これの重要性、そしてその教育内容の改善に向けて今努力を、そして検討を続けているところでありますが、こうした成果を踏まえて、幼稚園教育の一層の充実を図っていきたいと思っております。
 幼稚園と保育所につきましては、過去、それぞれ長い経過があり、歴史があって、国民のニーズも、幼稚園に対するニーズと保育所に対するニーズとさまざまでありましたので、それぞれが充実に努めてきたところですが、今言われたように、地域によっては、施設を共用化したり、弾力的な運用を図っているところもあるわけでございまして、これにつきましては、たしか地方分権推進委員会の方でもそのようなことを示唆しておりますし、また、先般私どもでまとめた教育改革プログラムの中でも、幼稚園と保育園のあり方については両省で共同して検討していこうということで、本年四月にこの検討会を設置したところであります。
 今後とも、この両省の検討を踏まえて、施設の共用化を初め弾力的な運用について、あるいは施設のあり方について、幅広い観点から検討していきたいと考えております。
○奥山分科員 聞くところによりますと、ちょっと私も場所は覚えていないのですけれども、あるところでは、昼間は幼稚園の教育をし、そしてその後は保育に切りかえるとか、こういう施設もできておるようであります。実態がどんどん進んでおりますので、ひとつその辺を、できるだけ連携してもらって現場の実情に合うようにしてもらわなければならないかと思います。私も現場では特に保育園の方の仕事をしておるわけでありますが、子供の情操教育と人格形成の一番の基礎になります一番大事な時期でありますので、それをやはり間違いのないように進めていく必要があるのじゃないかと思います。
 幼稚園におきましても、どんどんと低年齢の子供たちの受け入れをするようになってきたわけであります。特に三歳児等の受け入れ、これを最近の幼稚園も積極的にやっておるわけであります。そこで、これからは幼稚園の受け入れの形をできるだけ弾力的に考えていく必要があるということで、実はこんな提案というか意見が出されておるわけであります。
 幼稚園の場合、週四日制ぐらいがあってもいい
んじゃないかとか、あるいは入園の時期も必ずしも四月でなければいけないということもないんじゃないかとか、また、子供が親から離れる最初の時期でありますので、場合によっては親も、自分の子供だけを見るということではなくして、いろいろな子供を見る機会ということで、そういう意味では、母子が一緒に幼稚園に出ていって、同じように教育の場でしばらくいるとか、まあ母子同時教育というのですか、こういうふうなことが言われておるわけであります。
 ここまでの試みをしておるところはまだ少ないと思うのですが、こういう考え方をどのように評価されるか、お尋ねしたいのです。
○辻村政府委員 ただいま、学校運営の弾力的な取り扱いということで、必ずしも小学校、中学校のように厳格に五日制、六日制ということではなしに、週四日制でどうか、あるいは入学時期というものも弾力的に考えてみたらどうかということでございますが、幼稚園も公教育の制度でございますので、制度としては、やはり小学校、中学校と同じようにきちっと整えておく。ただ、そこを活用する親の側が、例えば、四月でなく、中途、二学期からというようなことで、そのときに弾力的に受け入れるということはあるかと思いますけれども、制度としては、やはりきちっと窓口を開いておくということが適切なのではないかというふうに思います。
 それから、もう一点の、子供だけではなくて親についてもと、これは大変重要な御指摘だと思っております。
 私ども、いわゆる幼児教育センター的な役割を幼稚園にも果たしてもらう、幼稚園は、もちろん三歳、四歳、五歳の子供を預かって教育をするわけでございますけれども、それだけではなくて、その親に対しましても、教育相談の機能あるいは子育てに対しますさまざまな情報提供の機能というようなものを提供することが大切なことだと思います。
 その提供のあり方として、お母さん方、あるいはお父さんの場合もあろうかと思いますけれども、幼稚園に来ていただいて、そこで親同士が相談し合う、あるいは先生との相談をするというようなこと、こういう幼児教育センター的な機能を幼稚園が果たしていくということは大変重要なことで、我々も今、指定校等つくりまして研究をいたしておるところでございます。大変重要な御指摘だと思っております。
○奥山分科員 それから、幼稚園の現場でもう一つ大きな課題として出ておりますのが、やはり定員割れというのですか、いわゆる小規模園がどんどんふえてきておるわけでありまして、特に都心部においてはこういう傾向が非常に強い。余りにも小規模になり過ぎると、教育的な効果からいうとこれは非常に多くの問題が出てくるわけでありますから、こういう点について一つ。
 それから、先ほど幼児教育センターの話も少しいただいたわけでありますが、この幼児教育センターというのは、いろいろな育児相談とかそういう場合にやはり積極的に受けてあげなければ、今若い母親というのは子供の教育に非常に自信がない方が多いわけであります。こういうことで、幼児教育センターをこれからどういう形でどんどんとつくっていかれるのか。
 それから、いわゆる障害児の場合に幼稚園に行かせておらないケースもかなり多いわけでありますから、そういう方々への、特に保護者へのアドバイスをするような実際のそういう施設というのですか、制度というのですか、機能ですね、そういうものが今は不足しておるように言われておるわけでありますが、こういった点もあわせていかがでしょうか。
○辻村政府委員 ただいまの幼児教育センター、今後どのように整備していくかというお尋ねでございますけれども、従来、交付税措置でそのような機能を各幼稚園が持ち得るような措置はしてございます。ただ、それも、人的な問題、物的な問題、制限がございますから、すべての幼稚園ということにはまいらない状況が現実の状況でございます。同時に、親に対します教育相談と申しましても、一体どのような形でどんなふうにということにつきましては、これというようなものもまだないということでございます。
 そこで、我々としては先般、モデル的な、そういう幼児教育センターのあり方を探るということで特定の幼稚園にお願いをいたしまして、これからどんなふうにこれを充実強化していったらいいかということについての研究をしてもらおうということでスタートしたわけでございますが、私ども今考えておりますところでは、これからいろいろな専門家の御意見も聞きたいと思っておりますけれども、すべての幼稚園にそういった機能を持たせるというのは、これはなかなか大変なことだろうと思います。
 ですから、各市町村の中で幾つかの拠点幼稚園というようなものを設けまして、そういうところに集中的にそういった機能を持たせるようなことでどうだろうか。そこで教育相談が行われ、そのいろいろな成果がほかの幼稚園にも伝わっていく、そういう形でこの幼児教育センターというようなものを考えていってはどうかなというふうに思っております。
 それからもう一点、ちょっと長くなりますけれども、障害児の子供の扱いでございますが、これも大変重要な問題でございます。これにつきましては、私ども、幼児教育センターの中でもそういった相談にもあずかれるようにしたいと思っておりますが、あわせて、盲・聾・養護学校幼稚部というのがございますけれども、そういうところでもこういった障害を持った子供に対する教育相談が気楽に応じられるような、そういったことを考えてはどうか。もちろん教育センターとかあるいは保健所とかその他のいろいろな社会福祉施設や医療施設もございますけれども、こういった学校自体がそういった機能を持つということもこれからは積極的に考えていくべきなのではないかということで、考えております。
○奥山分科員 ひとつ前向きに、積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 ちょっとテーマを変えます。教職員の定数削減の問題についてお尋ねをしたいのですけれども、これはもう、国の行財政の効率化、構造改革、いろいろ言われておる中で、我々も一定の理解はしたいと思っております。
 しかしながら、これが実際にどういう形で行われるか、それぞれ地方の教育委員会にとってこれはもう大変な問題でありまして、国の方針がある程度は伝えられたわけでありますが、この削減が一気に進められるのか、あるいは漸減方式で進められるのか、この辺いかんによって教育委員会はこれからの職員の採用計画をつくっていかなければならない。その点、どういう方針でこれを進められるのか、お尋ねしたい。
○小杉国務大臣 この点が、まさに現在、財政構造改革会議で文教予算の中での最大の焦点となっているわけであります。
 現在、第六次の教職員配置改善計画というのが平成五年度から六年計画で進んでおりまして、平成十年度、来年度が最終年度ということになっております。
 これは、少子化の中で、今までは生徒がどんどんふえているということで量の拡大に追われてきたのですけれども、ここへ来て、そういう少子化の中で今までできなかった質の改善、例えばいじめとか不登校の子供たちに対してもう少しきめ細かな教育をやりたいということで、例えば複数の教員が教えるとか、そういうことをやっております。それから、今教育改革を進めようということで、一人一人の子供の個性に応じた教育をやっていこう、こういうことですから、そういうためにも従来と違った取り組みをしていかなければいけない。
 そういうことから、我々としてはこの配置改善計画を何とか予定どおり来年度で完結をさせたいということで一生懸命推進しているところでございまして、昨日、企画委員会から親会議の方へ報告した中では、この点は両論併記ということに
なっております。私どもとしても、国の財政状況が極めて深刻な状況にあることはよく承知しておりますが、さっき言った点、そしてさらに、これから教員の高齢化というのが非常に深刻な問題です。もしここで穴があきますと、将来の教員の年齢構成に非常なアンバランスが生まれるということで、やはり教育というのは、短期的ではなくて長期的な視点に立ってやっていく、こういう観点から精いっぱい努力しているところであります。
○奥山分科員 今大臣も申されましたけれども、最近は少子化で子供の数がどんどん減ってきて、ある程度自然に学級数を減らさなければならない。そんなところで、私もこの間地元に帰りまして、地元の教育委員会と随分いろいろな話をしました。
 例えば、私の地元は京都市なのですけれども、京都市は、十年前ぐらいの一番ピーク時には大体二百人ぐらい採っておったのです、毎年、小学校並びに中学校におきまして。それが今、十分の一に減らしておるのです。
 だから、そんな状態の中で、さっきもちょっと大臣がおっしゃいましたのですが、例えば年齢構成からいいますと、逆に言うと、五十歳代ですと、小学校の場合に、今は八・九%になっておりますが、四十歳代になると五四・三%になって、三十代になると三一・一%、そして二十代の教員になると五・七%しか今現場におらないわけです。そういうことになってくると、この状態が続いたとしたら、職員室には二十代の教員が一人か二人しかおらないという状態が確実に出てくる。
 しかも、いろいろ伝えられるところでは、教員の採用が場合によってはストップされるというようなことになってくると、これは確かにおっしゃったように、現場では非常にアンバランスな状態が出てきて、生徒指導の上においても非常に重大な問題が出てくるということが言われてきておるわけでありまして、逆に、こういう中で現在、複数の学級も中学なんかはあるわけですね。特に問題行動が多い学級なんかは、副担任がついてということで何とか指導の強化ということをやっておるけれども、これまで削られるということになってくると、もう現場ではどうにもならない状態が生まれてくるのじゃないか、そんなことがいろいろ指摘されておりますので、この辺は余り急激なことになったら困るというのが現場の声でありました。ひとつその辺は十分しんしゃくしてもらいたいと思うのです。
 それともう一つは、地元の教育大学の卒業者で実際に教職につけた者が三割なんですわ。ほとんど今は、教育大学を出ながら教職につけない、そんな厳しい状態になっているわけです。しかも、採用ストップということになってきたら、教育大学は一体どないしたらええのやと、今までたくさんの学生を抱えながら、これは大変な混乱状態にもなりかねないと思います。その辺についてもう一度だけお尋ねをしたいのです。
○小杉国務大臣 今でも毎年五千人ぐらいずつ減少させているわけですね。ほっておきますと一万人減るところを、改善計画で五千人穴埋めというか採用しておりますから、ですから六年間で三万人純減ということになるわけであります。
 それから、やはり教員養成課程の学生というのは、生徒指導とかそういう専門的な訓練を受けているわけですから、こういう方が本当に毎年就職する場がだんだんなくなってくる、こういうことは非常に国家経済から見たってもったいない話で、私は、そういう教職を志望して一生懸命勉強している学生の窓口をこれ以上狭めることには慎重でなければいけないと考えております。
 詳細あれば、補足説明させていただきますが。
○小林(敬)政府委員 ただいま先生御指摘がございましたように、私どもといたしましても、この改善計画を着実に進めたいと考えておりますが、もし仮に改善がストップしたというふうなことになりますと、全国的なレベルで申し上げますと、十年度で約五千一二百人くらいの採用、さらに十一年度になりますと三千五百人ぐらいの採用に落ち込むであろう。ちなみに、ことしの新採は一万一千人でございました。そういうふうなことでございますので、これが将来にわたりまして大きなくびれとなって、断層となってまいります。
 そういうことでございますので、私どもとしても、ぜひ将来のことも考えまして、この改善計画を着実に推進してまいりたいな、こんなふうに考えているところでございます。
○奥山分科員 ひとつそちらの方は、まあ行財政の効率化ということもありますが、慎重にまた考えていただきたいと思います。
 それから、別に私は組合の代弁をするわけでは決してないわけで、別の立場から我々も申し上げたいのですけれども、教職員の手当のあり方ですね、現場の。今はどちらかというと、教職員というのはほぼ一律の給与体系になっておりまして、一生懸命になって現場で頑張っても、別に手当がふえるわけでもあらへんし、まあ強いて言うならば、手当が特別打たれるとするならば、災害が発生したときに職員が臨時で出るとか、あるいは修学旅行のときとか職員会議とかで、この程度は一応手当が出るのですが、それ以外にクラブ活動で教師が何ぼ頑張っても手当は何もないわけですわ、何ぼ遅くまで居残りしましても、ない。
 しかし、教職は聖職だということで、かつて西岡文部大臣と槙枝日教組委員長のときに、本給の四%アップをするという扱いの中にすべて入っておる、こういうふうなことがあったわけであります。ただ、これも、その当時は一般のサラリーマンの給与よりはやや高めに設定されたのですが、今は逆に民間がどんどん上がってしまって、給与面からいうと教職は余りよい状態ではない。しかもクラブ活動等放課後実習とか、家庭訪問とか、これは中学なんかはやはり積極的にやらなければ問題行動がどんどん出てくるわけでありますから、そういう面で、給料そのものを全部アップせいとかそんなことじゃなくして、いわゆる奨励的な面をもう少し考える必要があるのじゃなかろうかということが、自民党の私が余り言うのもおかしな話になってくるかもしれませんが、そんな声をよく聞いてきたわけであります。
 だから、もう少し職能給的な面をこれからやはり教職の中でも考えていく必要があるように思いますが、こういう点はいかがでしょうか。
○小杉国務大臣 御意見はよくわかりますが、詳細につきましては政府委員から答弁をさせます。
○小林(敬)政府委員 ただいまの先生の御指摘の中で、超過勤務制度につきましては、御指摘のとおり四%の教職調整額という形になりましたので、超勤をたくさんやった人もやらなかった人も同じになったということは確かに言えようかと思います。これは多分、先生方の超勤というのがなかなか捕捉しにくいという点に着目した措置だと考えております。
 ただ、基本的には、やはり公立学校の先生方にも勤務評定というものがあり、それに伴う昇給というシステムになっておりますし、それから、御指摘いただきました部活動を担当したりした場合には、その金額については我々自身も多少不満を持っておるわけでございますけれども、手当が出るようになっておるわけでございます。ちなみに、今年度も、例えば部活動指導手当、これを七百五十円から千二百円に引き上げております。こうした努力は今後ともしてまいりたいというふうに考えております。
○奥山分科員 とにかく、頑張ってくれた先生にはやはりいろいろな面で積極的に評価をしてあげてもらいたい。これは非常に難しいのですけれども、口で言うほど簡単なことじゃないと思うのですが、ひとつできるだけそういう制度を取り入れていただきたいと思います。
 それから、もう時間がありませんので、最後に、最近はボランティアということがいろいろ言われておりまして、我々も、阪神大震災が起こったときにやはり若い人がどんどんボランティアに積極的に参加をしておったああいう姿を見たときに、しかも学生たちがどんどん出ていって活躍をしてくれた、この間の日本海の石油流出事故でもやはり学生が出ていってくれておる、こういうボラン
ティア活動を学校教育の中でどのように位置づけをしていくか。
 ある意味で言うと、ボランティアに積極的に取り組んでくれた子どもたちにもやはりある程度は評価をしてやるということでないと、どこかで頑張ってきました、福祉施設で頑張ってきました、ああ、そうか、それだけでは余りにもあっけないことなので、その辺の、ある程度の、学校の授業の中でいろいろな社会的体験としてボランティアに参加するということは、私はやはり教育上非常に重要なことでなかろうかと思いますが、最後にその点について、どういうふうに取り組んでいかれるのかをお尋ねします。
○小杉国務大臣 今度まとめました教育改革プログラムの中でも、ボランティアの重要性を指摘しております。
 特に、最近の子どもたちは生活体験が非常に希薄になっているのですね。そこで、できるだけ体験を通して勤労のとうとさを知ったり公のために尽くすという精神を養ったりするということは非常に重要だと思うので、今度この国会で、議員提案でありますけれども、教員免許を取る際には、社会福祉現場でボランティアの体験をするとか、そういうことを義務づけるような法案も出されておりますが、これからも、そうした学校の教育の中でボランティアに対する認識を深める教育、これは、生徒自身そして教員の方にもそういうことを私は強調していくべきだと考えております。
○奥山分科員 ありがとうございました。
○根本主査 これにて奥山茂彦君の質疑は終了いたしました。
 次に、菅義偉君。
○菅(義)分科員 自由民主党の菅でございます。
 早速、政治と宗教の問題を中心に質問をいたします。
 本年の四月二日に、いわゆる愛媛県の玉ぐし料訴訟で、最高裁は、愛媛県庁の靖国神社での玉ぐし料への公金支出は違憲とされる判決を下しました。宗教団体に国家機関、自治体がかかわってはならないという政教分離原則を確認した判決でもあったわけであります。
 私は、個人的には、靖国神社というのは本来戦没者の慰霊の場所、施設であって、何もそこまで考える必要はないのではないかと思っておる者の一人でありますけれども、しかし、この判決は判決として尊重しなければならないということもこれは事実であります。
 改めて、この判決について、大臣の御見解をお伺いをいたします。
    〔主査退席、滝主査代理着席〕
○小杉国務大臣 今のお話は、愛媛県に関する争訟事件であって、文部大臣として基本的にコメントする立場にはありませんが、これは国家と宗教のかかわりに関する重要な判決と受けとめております。
 今回の最高裁判決は、宗教団体の行う行事に公金を支出したことが憲法の禁止する宗教的活動に当たるという判断を示されたものであって、私としてもこの判断に従っていきたいと考えております。
○菅(義)分科員 政教分離原則という判断からこのような判決ということでありますけれども、この判決を見るにつれて、私はいつも大変大きな矛盾を感じているのです。巨大な宗教団体であります創価学会、私は、この団体はまさに政教一致の団体そのものである、こう考えておるものであります。
 私は、私自身の選挙戦をこの組織に所属している方と戦ったわけでありますけれども、それは大変熾烈な戦いでありまして、何でここまでするのかなとさえ実は思ったわけであります。
 そうした中で、実はこういう文書が出たのでありますけれども、これは内部資料なんです。これは、公明新聞じゃなくて、聖教新聞の印刷局から創価学会の会員のところにファクスが届いた。この内容、全部、時間等もあり日にちもありますけれども、それはまさにこの政教一致を裏づけるものなんです。若干読ませていただきますと、
 日本を動かした創価学会
  創価学会の戦いを抑圧するための「法改正」。逆に言えば、創価学会が日本の政界を震憾させ、政界を完全に動かしたのです。
  自民党対創価学会と言うのなら、勝手に言わせておけば良いではありませんか。
  大聖人は、当時の日本の権力者を「わづかの小島のぬし」と悠々と見下ろされております。
さらには、
  何と言われようとも、我々は「信教の自由」を守るため、「政治への監視」を一段と厳しくしてまいりたい
そして、おまけに
  一人しか当選できない小選挙区制導入により、向こうも必死です。自民党の息の根を止める思いで、絶対に勝つ戦いを繰り広げようではありませんか。これは聖教新聞の印刷局から創価学会の幹部の方に流れた内部文書なんです。
 一方では、五千円とか一万円、そうした公的資金が、政教分離ということで、これは憲法違反である。しかし、まさに政教一致を裏づけるようなこうした創価学会の運営する大学に対して、平成六年度に十六億三千八百三十七万円、平成七年度には十七億九千七百二十九万円、こうした莫大な金額が助成金として出されている。私は、このことはまさに憲法に違反するのではないか、こう考えますけれども、これについてはいかがですか。
○小杉国務大臣 詳細は政府委員に答弁させますが、私は基本部分だけちょっと申し上げたいと思います。
 創価学会と創価大学というのは、これは形式的には分離された存在であります。それで、私立学校はそれぞれ建学の精神に基づいて設置をされているわけでありまして、学校に対しては、学校教育法とか私立学校法あるいは私立学校振興助成法によってさまざまな監督規定が設けられておりますので、憲法八十九条に言う公の支配に一応属している、こういう理解でございまして、現行の私立学校に対する助成措置は憲法上問題はない、こう考えております。
 なお、今いろいろ御指摘がありましたけれども、それらの関連は、また別問題で考えなければいけない点だと思っております。
 詳細は、政府委員から答弁させます。
○雨宮政府委員 基本的には、今大臣から御答弁申し上げたとおりでございます。
 また、建学の精神といたしまして宗教上の理念を掲げる私立学校に対して助成する場合でございましても、私立学校の健全な発達に役立てるということを目的として一般の私立学校と同一の条件のもとに助成を行うということは、やはり憲法第八十九条に違反するというものではないというように考えておるところでございます。
○菅(義)分科員 冒頭、大臣に四月二日の愛媛の判決についての認識を伺いました。そして、今私は創価学会に対してのいろいろなことを申し上げましたけれども、ぜひこれはもう一度よく考えていただきたい問題でありますので、意見として申し上げていきたいと思います。
 今、政府委員の方から憲法八十九条ということでありましたけれども、宗教団体の所有する不動産やその収益と目されるべきものについて課税対象から外しておる。私は、政治と関係をするものについてもやはり憲法違反の疑いというのはあると思いますけれども、これについてはいかがですか。
○小野(元)政府委員 お話ございました政教分離の原則でございますけれども、これにつきましては、信教の自由の保障を実質的なものにするということがございまして、そのために国及びその機関が国権行使の場面において、宗教に介入し、あるいは関与するといったことを排除する趣旨だというふうに理解をされておるところでございます。
 お話ございましたように、創価学会さんもいろいろな活動を行っておるわけでございますけれども、一般に宗教法人は、その行う宗教活動につき
ましては他の公益法人と同様に公益性が認められておるわけでございまして、そういった観点から税制上の優遇措置が行われておるわけでございます。このことは、仮に宗教法人が一部政治活動を行っているといった場合であっても、原則としての公益法人並みの扱いということは変わりがないというふうに考えているところでございます。
○菅(義)分科員 私は一部でないと思っておりますけれども、この論議は避けます。
 次に、今、我が国全体が歳出削減の大合唱であります。文部省においても、さまざまな施設や教職員等が削減の対象となっておるわけであります。そうした中で、これは私は大蔵省にも質問しようと思っていますけれども、歳入についての見直し論議というのがこれから当然なされるべきであると思っております。その最たるものが宗教団体である、私はこう考えます。
 その宗教団体を所管をいたしております文部省としては、現在宗教法人にはさまざまな優遇税制が行われておりますが、法人税が宗教法人の行う一切の宗教活動については非課税、公益活動に対してもこれは非課税であります。また、通常の収益活動に対しても二七%の軽減税率が適用される。一般は三七%であります。さらにこうした収益活動による利益を三〇%まで宗教活動へ寄附することができる制度もありまして、結局は法人税が半分になる、こんな仕組みであろうと思います。
 私は、こうした中で、やはり宗教法人についての課税というものもこれから論議の対象になってくると考えますけれども、これについてはどのようなお考えでしょう。
○小野(元)政府委員 御指摘ございましたように、宗教法人といえども、もちろん法令に従った活動をきちんと行っていかなければいけないのは当然でございます。
 私どもといたしましては、仮に宗教法人が刑法その他の法令に違反するといった公共の福祉に反するような事態がございますれば、当該法令による厳正な対処を私どももしていかなければいけないし関係省庁とも協力し合っていかなければいけないと思っておるところでございます。
 ただ、一方で、お話にございました宗教法人全への公益法人としての税制上の優遇措置でございますけれども、これは、やはり宗教活動が人々の心を安らげる、あるいは社会を安定させる上で非常に大きな役割を果たしているということがございまして、他の公益法人と同様に公益性が今のところ認められておるわけでございます。そういった観点で、私どもとしては、宗教法人としてもこういった税制上の優遇措置が行われていることを十分認識した上でそれぞれの行動をしてほしいと希望しておるところでございます。
○菅(義)分科員 私がこの質問をしましたのは、このところ余りにも宗教法人のいろいろな疑惑絡みの事件が次から次へと出過ぎている点であります。本年の三月には法の華の代表者の方が申告漏れで追徴課税八億円、あるいは税制上の優遇措置を利用してこうした一部の幹部の人が財産を私物化し、また利用したり、あるいは巨額の寄金をその宗教法人の会員の方から強制的に集めている、こうした事例が、これは新聞報道ですけれども、次から次へと出ておるわけであります。
 果たしてこうした不祥事を起こした宗教法人に対してどのような処置を行ったのか、非常に私は疑問に感じておりますけれども、これについてはどのような対応をされておるのか、お尋ねをします。
○小野(元)政府委員 先ほどからお話が出ておりますように、宗教法人といえども法令に従った活動をきちんと行わなければいけないのは当然でございます。
 一昨年宗教法人法の改正をお認めいただきまして、若干所轄庁の権限といったものも明確になったわけでございます。今回の法改正に伴いまして私どもの方に県の所管から移されたものもあるわけでございます。
 いずれにいたしましても、私どもとしては、それぞれの団体で、例えば新聞等で問題になった、あるいは刑法等に違反しているおそれがあるといったようなことが類推される法人につきましては、法人の代表者の方に私どもの方にお見えいただきまして、いろいろな形で、法律上の権限としての意見聴取ということには必ずしも結びつきませんけれども、所轄庁の立場から、法人の運営を適正にやっていただくべくさまざまな形で事情聴取等を行っておるところでございます。仮に刑法その他に違反し公共の福祉に反するといったようなことがあれば、厳正な処置をとるべく私どもとしても努力をしてまいりたいというふうに考えるところでございます。
○菅(義)分科員 次から次へとこのような不祥事が続くと、果たしてさきの宗教法人法の改正は何であったのかなという疑問さえ私は今持っておるところであります。
 さらに、オウム事件以降、宗教法人の認可が問題となってきております。実際、事実上活動を停止しているような宗教団体もかなりあるのではないかと思います。徹底して調査をし、必要な措置はこうした団体に対してとっていくべきである、こう考えますけれども、これについてはどの程度掌握をしておられますか。
○小野(元)政府委員 お話のございました活動を停止しておりますいわゆる不活動の宗教法人でございますけれども、この数を、実は、今までは例えば定期的に書類を所轄庁に出していただくというようなことができなかったこともございまして、文化庁では必ずしも実数を完全に把握しているわけではございません。
 ただ、不活動となっております宗教法人に対してはきちんと解散命令を出して解散させていくということは、私どもも努力しておりますし、各都道府県にもお願いしておるところでございまして、過去十年間におきまして九十九件の解散命令を出していただいております。それから、過去十年間の任意で解散してもらった数もかなりございまして、四百九十五件あるわけでございます。
 こういった不活動法人に対しては、私どもといたしましても、例えば役所の文書を差し上げたものが返ってくるとか、あるいはそういった不活動の法人がほかに売却されそうだといううわさがあるというようなこともあるわけでございますけれども、そういったときには、具体的にその法人に対して綿密な追跡調査を行いまして、仮に不活動であるということが明確になりますれば、私どもとしても解散命令なりあるいはそういった措置をきちんととってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○菅(義)分科員 今次長からお話がありましたが、活動休止状態になっている宗教法人をほかの人が受け継ぐ形で節税対策に努める、こんなこともあるようですけれども、このような事態が発覚をした場合はどのような処置をとっていかれますか。
○小野(元)政府委員 宗教法人は、本来の宗教活動を行うということで法人格を与えられておるものでございますから、本来その法人が売買の対象等になるということはあってはならないことだと思うわけでございます。
 こういった違法な法人格の取得ということは許されるものではございませんので、所轄庁としては、これに対して厳正な措置をとるように各都道府県にも通知をいたしておりますし、各県の主管課長会議でもこのことは十分指導をしておるところでございます。
 なお、一昨年法改正をお認めいただきまして、毎年度例えば財産目録でございますとか収支計算書といったものがこれからは所轄庁に提出されるわけでございます。そういったものがきちんと出てこないということであれば、明らかにそれは不活動だということがはっきりするわけでございますので、今後さらに不活動法人の解散を進めていく上で前回の法改正というのはある程度役に立つと私ども思っておるところでございます。
 いずれにいたしましても、こういった不活動の宗教法人の売買等によりまして社会に不安を与えるというようなことはあってはいけないと思いま
すので、適切な指導をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○菅(義)分科員 私は、宗教団体といえども、やはり野放しであってはならない、疑わしい、そうした不祥事を起こしそうなものについて指導しても全くおかしくないことであると思っておりますし、政教分離についてもきちっとした形で取り上げていくべきであると思っております。意見として申し上げます。
 次に、英会話、英語教育についてお尋ねをします。
 実は、私は横浜の市議会議員を経験をした者でありますが、十数年前に市議会議員に出馬するときに、小学生からの英会話教育を私自身の選挙公約の一つとして掲げて戦いました。ますます国際化が進行する中で、まさに国際公用語と言われる英語を小さいときから子供たちに習得させるべきであると私は思っております。しかし、残念なことに我が国の国民は英語を話せる人が非常に少ない、そういうことから、英会話教育、英語教育そのものに欠陥があるのではないか、こういうことさえ指摘をされておるわけであります。
 文部省として、私は小学校から英語教育、英会話教育について取り組んでいくべきではないか、こう思いますけれども、これについてはいかがですか。
○小杉国務大臣 私どもとしても、国際化に伴ってこれからの話学教育をどう進めていくかということは、委員と同じような問題意識を持っております。今度の教育改革プログラムでもそうした観点から記述をしているわけですけれども、確かに従来の外国語教育ではなかなか、会話能力というのでしょうか、コミュニケーション能力が非常に乏しいということは国際社会の中でも我々は痛感するわけでございます。
 これからの国際化社会の中で、主体的に生きる子供たちを育てる、生きる力を育てるということは非常に大事なことでありまして、既に東南アジアとかはもう早くから、小学生段階から外国語教育を始めておりますし、韓国でも昨年から、小学校からの英語教育ということを始めたと聞いております。
 昨年七月の中教審の第一次答申では、小学校における外国語教育については、教科として一律に実施をする方法はとらず、地域や学校の実態等に応じて、総合学習の時間とかあるいは特別活動などで英会話に触れる機会などを持たせることができるようにするという提言が行われております。現在、研究開発学校というのを設けておりまして、四十七校においてその研究、実践を行っているところでございます。
 文部省としては、今後の中教審あるいは今までの中教審の答申も踏まえて、具体的な教育課程上の取り扱いをどうするか、これについては教育課程審議会で御検討いただきたいというふうに考えております。
○菅(義)分科員 私は、この中教審の答申を踏まえて、早急にこれは実施をしてほしいと思っています。
 というのは、横浜市で昭和六十二年に国際理解教室という形で出発をした。当時は教育課程になかったものでありますから、文部省とのいろんなあつれきもあったようですけれども、とにかくスタートした。当初五人でスタートしましたけれども、現在は七十一人、海外の外国人を採用して小学生にそういう外人に親しませる、そういう教育を行って、これは大変効果が上がっております。
 そして、まだ三百数校ある全校にはいっていませんで、現在、二百数校でありますけれども、地域の人からも学校からも、次はうちの学校という形で大変要請も多いわけでありますので、文部省としても、話せる英語教育というのですか、これにぜひ力を入れて、この答申に基づいて早急に取り組んでいただきたいと思いますけれども、大臣、いかがですか。
○小杉国務大臣 今までJET計画というのがありまして、ネーティブスピーカーを、英国、米国、カナダ、最近はオーストラリア、ニュージーランドまで含めまして、そういう国から今御指摘のような外国人教師を招くという計画をやっております。年々これがふえておりまして、今年度の予算では五千人になろうとしております。
 そのほかREX、このプログラムは、日本の英語教師を海外に派遣する、これはまだ数は数十人程度ですけれども、そういうことをやっておりますのと、それから、自治体レベルでもいろいろ工夫をされておりまして、小学校でそうした教育を行おうとしているところもあります。
 それから、私は、そういったいろいろな制度に加えて、さらにALT、アシスタント・ランゲージ・ティーチャー、これも今のところ中高だけで手いっぱいということで、なかなか小学校の方までは手が回らないのですけれども、そういうさまざまな工夫を凝らして、制度を新設する前に今あるいろいろな方法を講じて、できる限り国際化に即した教育を実行してまいりたいと思っております。
○菅(義)分科員 ぜひこれは文部省に御配慮をいただきたいのですけれども、例えば横浜市のように独自でこのような国際教育をやる場合に、裁量権というのは非常に少ないですよね。私は、やはり地方にはそれぞれ地方の特徴があるわけでありますから、地方が教育においても独自性を発揮できるように、そうした裁量権を自治体にある程度認めていいのではないか、こう思いますけれども、これについてはいかがですか。
○辻村政府委員 御案内のとおり、現在の小学校のカリキュラムにつきましては、どのような教科をどのような内容、どのような時間数ということをすべてにわたって国が基準として決めている。ですから、その時間以外に学校はいろいろな活動ができるわけでございますけれども、確かに、先生御指摘のとおり、学校裁量の時間というのが少ないと言われる点は当たっているかと思います。
 そこで、今大臣からも、教育課程審議会で次の改訂に向けて検討しているというお話がございましたが、そのもとになりました中央教育審議会でも、各学校の裁量をできるだけ発揮させるという意味で、教科等の時間以外に「総合的な学習の時間」、こういうふうに中教審は言っておるわけですけれども、それは各学校にその内容等については任せる、そういう趣旨の時間として「総合的な学習の時間」を設けるというような提言がございます。中教審で、英会話等についても活発に行ってはどうかというのも、その総合的な学習の時間を活用するということに関連して行われているところでございます。
 ということで、今御指摘の点は、次の改訂に向けての課題として我々は受けとめておるというところでございます。
○菅(義)分科員 地域ごとに個性のある子供を教育するためにもぜひ早急に実現をしてほしい、こう思いますし、特に、国際化の流れの中で、話せる子供たちを育てるために、大臣、とにかく一日も早くこれは実現をすべきであると思いますけれども、最後に大臣の御意見を伺っておきます。
○小杉国務大臣 これは、完全学校週五日制というのを二〇〇三年度までに実現をする、こういうことで、教育課程審議会では、授業時間数が大幅に減るわけですから、何を教えていくかということについて今慎重な検討を進めております。
 いろいろ時間が減らされると思われるような団体とか学会から相当陳情が来ておりまして、理数科だけは絶対これは充実させてくれ、ふやしてくれ、それから、子供の情操教育上、図画とか音楽の時間を減らすことは絶対まかりならぬ、こういうこととか、あるいは英語教育をもっとやってくれとか、さまざまなニーズというものがありまして、今、教育課程審議会でも、一体、どの科目を削るべきかということを非常に苦慮している段階でございます。
 しかし、今回の教育改革の中でも国際化というのは重要な柱でありますから、私は、国際化時代にふさわしい教育はいかにあるべきか、そういう見地から、先ほど来御指摘のありますような従来の話学教育でいいのかどうか、中には、中教審で
は、もう入学試験をやめてしまえ、英語の試験は入学試験によって相当スポイルされているんじゃないか、例えば文法中心の英語教育に余りにも偏り過ぎてコミュニケーション能力を育てる教育が少しないがしろにされたのじゃないか、こういうような指摘も出るくらい、非常に今、中教審でも、教育課程審議会でも、国際化の中での教育内容をどうすべきか、これはもう真剣に検討しているところであります。私自身もそうした認識に立って今、一生懸命取り組んでいるところでありまして、また、委員の方からもいろいろ具体的なそういったケース、横浜市の例を挙げられましたが、こういう全国で熱心に取り組んでいる自治体の例なども十分参考にしながら、外国語教育並びに国際化教育に一層力を尽くしてまいりたいと思っております。
○菅(義)分科員 御期待をして、終わります。
○滝主査代理 これにて菅義偉君の質疑は終了いたしました。
 次に、山口泰明君。
○山口(泰)分科員 期せずして、同期当選の大物、滝先生が委員長では、大変光栄でございます。また、日ごろは、私、文教委員会と決算委員会に所属しておりまして、小杉文部大臣の文教に関するいろいろの答弁、また本会議でも、ほかの大臣が悪いとは言いませんけれども、本当にまじめな態度で、私もずっと当選できれば小杉大臣のようなまじめな政治家になりたいと、今、滝委員長は笑っておられますけれども、ぜひ私もそういったことで、今後も大臣にはいろいろな面で頑張っていただきたい、こう思っております。
 また、新聞紙上、財政構造改革が山場になりまして、官邸、党執行部、そして部会というか、新聞では族議員などといろいろ書いてありますけれども、きのう、たまたま私も第四分科会に朝からずっと出ておりまして、これは建設省が多かったのですけれども、建設省への質問に関してそれぞれの地域の方が、簡単に言えば、公共事業を減らしてはいけない、ほとんどの方がこういう形の発言をなされているわけでございます。
 今、農林省等もいろいろ話題になっているところでございますけれども、私の尊敬する元参議院議長で今埼玉県知事の土屋先生は、常にあいさつの中に、子は国の宝だということを入れております。私も、まさにそのとおりだと思っておりまして、古い言葉を使えば、よく着のみ着のままとか食うや食わずというときに必ず、親であれば子に、おじいちゃん、おばあちゃんであれば孫に、自分は着なくても着せる、そして自分が食べなくても子供には食べさせる、私はこれはだれが聞いても、自民党から共産党さんまで、全部納得することではないかと思っております。
 そういった点で、何を正義だなんだと言われようが、文部大臣を筆頭にして、私はまだまだ微力ではございますけれども、そういった将来の子供の教育に関しては、予算を今までどおりというか、やはり必要なものにはどんどん投入すべきだということを、私はまず最初に意見として申し上げたいと思います。
 続きまして、まず大学の改革への取り組みについてお伺いしたいと思うのです。
 現在、各大学においてさまざまな改革に取り組んでいると承知しておりますけれども、今後も学術研究の推進、大学進学率の上昇、生涯学習ニーズの高まり等、大学を取り巻く状況が大きく変化をしている中で、大学改革こそが教育改革の骨格であるとの認識から、どのような大学改革を目指しているのか、大臣の所見を最初にお伺いしたいと思います。
○小杉国務大臣 大学教育は、社会や国民の、今お話しになられたような多数の要請に適切に対応しながらその役割を果たしていくためには、各大学がそれぞれの理念、目標に応じて不断の大学改革を進めていくことが必要でありまして、それぞれの大学が特色ある教育研究活動を展開していくことが必要だと思っております。
 今まで文部省では、そうした目標に向かって、大学設置基準を大幅に緩和して、大学の裁量権というものをできるだけ多くするとか、さまざまな制度改正を行ってまいりました。そして、これからも各大学の改革に対しての具体的な取り組みを支援していきたいと思いますし、また予算面でも、カリキュラムの改革とか大学院の整備充実のために経費等の措置に努めているところでございます。
 文部省としては、各大学が創意を凝らして個性豊かな教育研究活動が展開できるように、引き続き各大学に取り組みをしていただきたいと思うと同時に、今後の大学審議会の審議を踏まえながら大学改革を積極的に推進していきたいと思っております。
○山口(泰)分科員 最近いろいろなところで話題にもなっているのですけれども、通信制大学院制度のことで何点か御質問させていただきます。
 昭和六十三年十二月に答申をされました「大学院制度の弾力化等について」の中に、社会人の受け入れを積極的に進めていくために通信制大学院制度の設置を認め、今後研究指導のあり方等について調査研究を行う必要性があると記されております。この答申は、通信制大学院制度に門戸を開いたわけであります。この答申を受けて、現在大学審議会の大学院部会で、いわゆる通信制大学院のあり方について審議をいただいているわけであります。
 まず初めに、通信制大学院の設置に関する社会的要請とは何か、また通信制大学院の設置に関する社会的役割と意義についてお伺いをいたします。
○雨宮政府委員 先生御案内のように、大学の在学者というのは、学部レベルで申しますと高校を出た者を学部に受け入れ、また学部を卒業した者の一部を大学院に受け入れる、こういうことが伝統的な形であるわけでございます。しかし、先ほどお尋ねのあった大学改革の一つの要素でございますけれども、できるだけ大学教育の機会を、単にそういう伝統的な層だけではなくて、高等教育あるいは大学教育を受けたいと思う人、これは必ずしも高校から出て上に上がってくる、そういう学生だけとは限らないわけでございまして、そういう方々にも広く開こうというのが大学改革の大きな柱の一つであるわけでございます。
 一方で、現在、これまた御案内のように技術革新が非常に加速化しておりまして、一たん学校で得た知識というものもすぐいわゆる陳腐化していくと申しますか、古びたものになってしまう。そこで、常に知識、技能というものをリフレッシュしていかなければならないという社会人側の要請が一つあるわけでございます。また、広く一般に余暇時間の増大というようなことで、生涯学習ニーズというものも高まってきているわけでございます。こういうような背景のもとで、大学というものを社会にできるだけ広く開いていくということが非常に重要なことになってくるわけでございます。
 そういう観点に立ちまして、私どもといたしましては、大学設置基準等の法令改正を通じまして、例えば学生の都合に合わせまして、昼は勉強が困難だということでございましたらば、夜間にそれを開議するようなもの、例えば、月曜日から金曜日の間には夜に授業を受ける、それで土曜日の昼にかなりまとめて授業を受けるというような、いわゆる昼夜開議制でありますとか、あるいは夜間の大学院を設けるというようなこと、あるいは、通常の入試制度のもとで大学に入ってくるというのはなかなか難しい点がございますものですから、通常の選抜とは別の仕組みで入学していただくというような社会人特別選抜というような仕組み、こういうようなさまざまな仕掛けを通じまして、そういう方々が大学教育の機会を得やすくするような手だてを講じてきたわけでございます。
 ただし、なかなかそれだけでは不十分であるということで、やはり通信による大学院という構想も考えたらどうだというのが全体の背景になってきている、かように考えておるところでございます。
○山口(泰)分科員 私もいろいろな方のお話をお
聞きしましたけれども、その要点をまとめさせていただきますと、一番目に成熟社会に伴う生涯学習への対応、二番目に専門知識を習得する社会人学生、三番目に職業資格取得のための学習機会、四番目が広く知識を得たいという教員等からの要請など、通信制大学院の期待が非常に高いということであります。
 そこで、さらにお伺いしたいことは、実際社会人のために大学院を開設している多摩大学、早稲田大学の現状と課題点について、また私立大学通信教育協会の意向、設置に高い関心を示していると聞いておりますけれども、その意思はどういうふうになっているのか、この点について御説明を願います。
○雨宮政府委員 多摩大学それから早稲田大学についてのお尋ねでございます。
 いずれの大学におきましても、通信によるものではございませんけれども、夜間の大学院を設置いたしておりまして、そのねらいとするところは、やはり社会人を対象とするということでございます。
 若干細かく申しますと、多摩大学におきましては、経営情報学研究科というのを大学院レベルで置いているわけでございます。平成五年度に夜間の大学院として設置いたしまして、在学者全員が社会人だということでございます。平成九年度現在で、マスターのレベルで三十九人、ドクターのレベルで十三人が在学している、こういうことでございます。平日の夜間それから土曜日の時間帯ということでございまして、また、マスターレベルにおきましては夏の休業中にも開議している、こういうことでございます。
 早稲田大学の方におきましては、社会科学研究科ということで、平成六年度にやはり夜間大学院として設置されたものでございます。こちらの方は、多摩大学よりは若干規模が大きゅうございますけれども、マスターレベルで百十八人、ドクターで三十五人が在学しているということでございまして、このうちの四分の三近くが社会人、こういうことでございます。
 それで、両大学におきましては、ともに共通でございますけれども、入学定員を大幅に上回る志願者を集めております。こういうところからも社会人の大学院レベルの教育に対する期待の大きさというものがうかがえるわけでございますけれども、あえて問題点があるかということになりますと、昼間勤めてということである関係もございまして、所定の修業年限内に学位論文を仕上げて修了することはなかなか難しい。ある程度やむを得ない点であろうかとも思うわけでございますが、そんなことが指摘されておるところでございます。
○山口(泰)分科員 設置に至る課題はいろいろとあると思うのです。現在審議会で審議いただいていると思いますけれども、最大の課題は、通信制大学院が大学院設置基準に明確な位置づけがないと解釈する人もおれば、そうではない、本来の教育制度を純粋に考えれば教育内容は享受できるのではないかという識者の意見もある。この位置づけが定まらなければ通信制大学院の設置は難しいのではないかという疑問もあるのですけれども、このような制度化の課題、施策についてどのようなお考えなのかをお伺いしたいと思います。
○雨宮政府委員 さきのお尋ねの中でお答えしなかった部分が一つございますので、それを先に申し上げたいと思います。
 私立大学通信教育協会の意向はどうか、こういうお尋ねがございました。
 通信制の大学院につきましては、昨年暮れでございますけれども、財団法人私立大学通信教育協会が「「通信制大学院」の設置に関する提言」というものを大学審議会の会長あてに提出してございます。その中で、私立大学通信教育協会といたしましては、大学通信教育を受ける学部学生へのアンケートの中でも通信制大学院へのニーズが高いということなどを踏まえまして、通信制大学院を制度化することを求めている、こういう意向でございます。
 それから、ただいまのお尋ねでございます。
 現在、大学の学部レベルにつきましては、大学設置基準とは別に、大学通信教育設置基準が定められております。これに従いまして、現在、学部レベルで学校数が十六、短大レベルで十、合わせて二十六の学校で通信教育が実施されているわけでございます。一方におきまして、大学院において通信教育を行うということにつきましては、現在の制度の上で予定されていないと申しますか、そういうことを予定したそのような設置基準はないわけでございます。
 今後大学院において通信教育を行うことができることとする場合には、若干技術的なことでございますけれども、現在、大学院設置基準というのが文部省令でございます。その中に通信教育を実施するための規定を置くとか、あるいは、現在の大学院設置基準とは別に、独立の大学院通信教育設置基準といったものを策定する、いろいろなことは考えられようかと思いますが、いずれにいたしましても、設置基準上何らかの形で所要の規定を置くということが必要ではなかろうかというように考えておるわけでございます。
 現在、大学審議会におきまして、ここいらの設置基準上の位置づけを初めといたしまして、さまざまな課題がございます。例えば、マスターレベルはいいけれどもドクターはいかがかというような議論が一つございますし、また、専攻分野として、すべての分野についてそういうことを認めることがいいのかどうか。例えば、現在の学部レベルで申しますと、法文系、教育というようなものが通信教育として行われているわけでございますが、大学院レベルの通信教育というものを認める場合に、一体そういう分野なのかどうか。それから、授業とか研究指導のあり方をどうするか。例えば、面接授業の取り扱いをどうするかというようなこと、卒業要件をどうするか、必要な施設設備はどの程度のものとするかというようないろいろな課題があるわけでございまして、それらの課題につきましてさまざまな具体的な議論を行っていただいている、こういう段階でございます。
○山口(泰)分科員 米国、ヨーロッパなど諸外国では既に通信制の大学院が認められ、最近、日本からの問い合わせもふえていると聞いておりますけれども、諸外国の取り組みについてお伺いしたいと思います。
○雨宮政府委員 諸外国でございますけれども、高等教育制度そのものが多様なものがございまして、なかなか一口には言い切れないところがあるわけでございますけれども、アメリカなどにおきましては、大学院だけではなくて、大学の学部におきましてもかなり多くの社会人が在学しているというように承知しているわけでございます。
 通信制の大学院ということで申し上げますと、アメリカにおきましては、通信衛星を用いた大学院大学といたしまして、NTU、ナショナルニアクノロジー・ユニバーシティーという、全米工科大学というようなことでございましょうか、このNTUがよく知られておる大学でございます。これは、通信衛星によりまして、加盟四十七大学の授業を、百七十社の企業の社会人や加盟大学に在籍する学生などを対象にいたしまして、全米規模で大学院教育のプログラムを配信しておるわけでございます。工学系の十三の分野について修士号を授与しているというように聞いておるわけでございます。そのほか、ケーブルテレビと通信衛星を用いまして、大学及び大学院教育のプログラムを提供するものなどいろいろな形態の大学院が存在するというように聞いておるところでございます。
 ヨーロッパでございますが、例えばイギリスのオープンユニバーシティーが知られているわけでございますが、オープンユニバーシティーにおきましては、印刷教材による通信添削と、それからBBCとの提携、連携によりまして、ラジオ、テレビ放送、それからフェース・ツー・フェースの、いわば面接授業に相当するものであろうかと思うわけでございますが、そういうフェース・ツー・フェースの集合教育等を組み合わせた遠隔教育を
行っているところでございます。学部レベルの教育が中心ではございますけれども、一万人を超える学生が大学院レベルの学習も行っているというように聞いておるところでございます。
○山口(泰)分科員 我が国においても、平成八年七月に「マルチメディアを活用した二十一世紀の高等教育の在り方について」という報告書が提出されております。この中でも、結論は「マルチメディア技術の発達等により、通信衛星等を活用した形での通信教育の可能性が高まってきたことを踏まえ、その可能性を検討すべきである。」とされております。
 私は、通信制大学院は、広く生涯学習の意味も含めて、個人の再教育という社会的、質的向上を図るため、また、遠隔授業の促進等を考えれば、バーチャルユニバーシティーのように考える一人でありますが、それにはマルチメディアの通信技術の普及なくして社会人の通信制大学院の発展は難しいのではないかと考えますが、今後のマルチメディア施策の取り組みについてお伺いしたいと思います。
○雨宮政府委員 平成八年の「マルチメディアを活用した二十一世紀の高等教育の在り方に関する懇談会報告」におきましては、高等教育機関におきますマルチメディアの活用に関しまして、四つの点を提言してございます。
 一つは、基盤となるハードの整備。それから二番目には、活用に当たっての環境整備。教材の整備とか教員研修の充実というのが含まれるわけでございますが、それが二番目。それから三番目に、各高等教育機関を支援する中核的機関の整備。四番目に、通信制大学院制度の創設の検討を含む制度の見直し。この四点を提言しているわけでございます。
 文部省といたしましては、この提言に基づきまして、国立大学につきましては、平成七年度から衛星通信を利用した国立大学間の情報通信ネットワークを整備いたしまして、遠隔地の大学間の教育研究交流、それから、多様なメディア利用による教育方法の開発等を推進するためのスペース・コラボレーション・システム事業というのを始めてございます。既に今年度までに五十五大学、八高専、十大学共同利用機関に整備済みということでございまして、衛星通信を利用いたしまして、各種の研修でありますとかセミナーでありますとか、そういうことについて遠隔地同士の通信を活用しまして、A大学の研修なりセミナーのありさまがB大学でも受け得るというような状況になってございます。
 また、二大学六高専におきましても、マルチメディア教材等の研究開発、いわゆるソフト面の開発も進めておりまして、これはマルチメディア・ユニバーシティ・パイロット事業と称してございますが、これについての事業も実施しているわけでございます。
 私立大学につきましても、やはり私立大学衛星通信ネットワーク構築事業を創設するという事業も始めてございます。
 中核機関といたしましても、メディア教育開発センターというのを今年度から設けているというようなことで、提言のうちのかなり多くの部分に手をつけて推進しておるわけでございます。
 先生御案内のように、マルチメディアの通信技術自体は日進月歩ということでございまして、一体どこまで進むのかというのがなかなか見きわめ切れないわけでございますが、それらが完成するまで見ているということではなくて、それらの技術の発展状況も横目で見ながら、できるだけおくれないように、せっかくのマルチメディアという技術が大学教育の場に使えるようにということでそれらの努力をしておるわけでございまして、それらの動きとあわせて、やはり通信制の大学院の問題も検討されてしかるべきであろう、かように考えているところでございます。
○山口(泰)分科員 そこで、実務的なことでありますけれども、実際には、通信制大学院を開設すると大学の自主性に任せるということになると考えますが、門戸は開いた、しかし後は自主性に任せるというのでは、新制度は育たないではないかという心配もございます。
 だから、よくよく将来性を見据えた制度、施策の構築に取り組んでいただきたいと思いますので、大臣の決意、取り組みについてお伺いをできればと思います。
○小杉国務大臣 通信制大学院の制度化については、先ほどから御指摘のように、最近の高齢化に伴い社会人の学習ニーズ、特に生涯学習ニーズというものが高まっておりますので、そういった状況も踏まえて、現在大学審議会で今年度じゅうを目途に検討を進めております。マルチメディアの活用といった点も含めて、その具体的な方法等について精力的に審議をしているところであります。
 ただ、マルチメディア時代を迎えて、今大学あるいはそれ以下の学校におきましても、マルチメディアを活用した教育のあり方というのが非常に熱心に研究されておりますし、先ほど局長から答弁がありましたように、国立大学間ではスペース・コラボレーション・システムとか、私立大学ではジョイント・サテライトとか、私も何カ所か見ましたけれども、非常に積極的に活用してやっております。
 また、放送大学のところにありますメディア教育開発センター、そういうところもそういった事業をサポートするようなこともやっておりまして、まず大学における情報化時代の教育の充実ということに今全力で取り組んでいるところですが、まだスタートして日が浅いという点もありますし、通信制の大学院に一足飛びに行くかどうか、まずその前の段階の充実が先決じゃないかという気もしますが、しかし、社会人というのは時間的な制約もありますし、社会人の大学院教育に対する要望も強まっておりますから、先ほど申し上げたように、大学審議会の答申を得た上で速やかに措置を講じるようにしたいと考えております。
○山口(泰)分科員 時間が来ましたので最後の質問をさせていただきますけれども、私は、一番適切な大学は放送大学ではないかと考えているわけですけれども、放送大学は全国化を間もなく実施をすると聞いております。この二、三年は通信基盤整備で予算確保は大変だと考えますけれども、この基盤整備が終わると、通信設備といい、人材といい、最適候補であると考えております。
 その間に取り組む調査費として予算措置することに努力をしてほしいわけでございますけれども、大学院部会では、放送大学院の意向や課題について論議されていないのか、お伺いしたいと思う。また、通信制大学院の将来的施策にどう取り組むか、再度大臣の御意見を聞ければありがたいと思うのです。
○小杉国務大臣 放送大学は、設置をされましてから十二、三年たっていると思います。今までは関東地域を中心とした非常に限られた放送エリアであったものが、ことしからCSを利用して全国化を図ったわけでありまして、まず全国化をいたしますと、受講者も飛躍的にふえるだろうと思われるわけですし、そうなりますと、今までの各地にあります学習センター、地域のそれぞれの施設が非常に手狭になってきておりますので、そういった整備を今後四年計画で充実させていこうということをやっておりますし、教育内容についても大学で一生懸命改善をやっております。三百二十講座にもわたる大変広範な内容でありますので、こうした点の充実というのは非常に大切でございまして、私どもとしては、まずこの全国化への対応に非常に追われておりまして、まだ放送大学を、さらに大学院とかそういう声もありますけれども、そこまではとても手が回らないというのが実態です。
 ただ、今御指摘のように、放送大学のところにはメディア教育開発センターというのがありまして、いろいろとそういった各大学、先ほど申し上げたような事業に対してのサポートをやっておりますので、せっかく貴重な国費を使ってやっている放送大学でありますから、こうしたものと既存の大学との連携というのは非常に大事だと思いま
すし、今後とも積極的な放送大学の活用ということは十分考えていきたいと思っております。
○山口(泰)分科員 これで発言を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
○滝主査代理 これにて山口泰明君の質疑は終了いたしました。
 次に、安倍晋三君。
    〔滝主査代理退席、主査着席〕
○安倍(晋)分科員 本日は大臣、大変お忙しい中御出席をいただきまして、ありがとうございます。私は、教育問題、特に本年から中学校の新しい教科書が登場するわけでございますが、教科書問題について幾つか質問させていただきたい、こういうふうに思います。
 我が国の教科書問題というのは、それが外交問題にもなっているという、非常に特殊性があるわけであります。初めてこの教科書問題が大きな問題として取り上げられた、また、近隣諸国から大きな問題視されてきたという最初は、新聞等が、日本の侵略を進出と書きかえた、これは誤報であったわけでありますが、この誤報をもとに韓国あるいは中国から大変抗議がなされて、それによって政府も対応したということであります。また、我が国のこの教科書問題、また歴史認識の問題もそうなんですが、特徴の一つは、外国からその問題を提起されるというよりも、むしろ国内で、その問題をあおるという勢力によってこうした問題が国際化をしていくという、いつも同じパターンをとっていることではないか、このように思います。
 特に、この教科書問題におきましては、その傾向が顕著であるわけであります。初めて問題となった昭和五十七年でありますが、そのときの鈴木内閣の官房長官でありました宮澤官房長官が、官房長官談話を出したわけであります。これがいわゆる近隣諸国条項、このように言われているわけであります。「近隣のアジア諸国との間の近現代の歴史的事象の扱いに国際理解と国際協調の見地から必要な配慮がされていること。」という項目を検定の中の一項目として加えたわけでありますが、実際にこの項目を加えたことによって、検定作業にどのような変化があるのか、そのことについてまずお伺いをしたいと思います。
○辻村政府委員 ただいま先生御指摘のように、昭和五十七年に検定基準を改定いたしまして、ただいま御紹介されましたような、国際理解と国際協調の見地から必要な配慮がされることという一項が加えられたわけでございます。
 それ以降、具体的にどのように変わったかということでございますけれども、例えばでございますが、それまで、侵略という言葉につきましては改善意見を付していたところでございますけれども、この侵略といった用語につきましては改善意見を付さない。あるいは、当時の植民地時代におきまして、神社参拝あるいは創氏改名、日本語使用というようなことにつきまして、従来、全体の流れの中で強制といった表現につきましては検定意見を付していたわけでございますけれども、この条項が加えられまして以降、これについては検定意見を付さない。あるいは、南京事件等につきまして、数字につきましても一般的に許容される範囲のものであればこれについて検定意見を付さない。
 このような形で検定が、一言で言いますと、検定を付すにつきまして抑制的になった、執筆者の意向を酌んだ検定になったということは言えようかと思います。
○安倍(晋)分科員 今の答弁からも明確なように、むしろ検定が、そのことの事実よりもそれによって起こる国際的な問題の配慮、そちらの方に重点が移っていったのではないかと、私は極めて大きな懸念を持つわけであります。
 例えば、日中の戦いの犠牲者についても、最近は中国側は三千五百万人という数字を言ってきております。もし、これに対して、いやそうではない、科学的な検証のもとに低い数字を出したら、場合によっては国際協調という意味においては問題が起こるかもしれない。多ければ多々ますます弁ずの世界に陥っていくという危険性がかなりあるのではないか、私はこんなように思います。
 先ほど申し上げましたように、この官房長官談話も誤報から発したことであります。誤報であったにもかかわらず、火が余りにも大きくなったために、その火を消すために政府が反応したということではなかったか、このように思うわけであります。
 この項目が検定に入ってきたわけでありますが、しかし、検定をした後もたくさんの間違いが発見されるということが多々あるわけであります。今回、検定後、さらに教科書会社が自主的に訂正をするということで訂正をした数ということを、もし把握していれば教えていただきたいと思います。
○辻村政府委員 今回の中学校社会科の歴史教科書につきまして申し上げますと、検定を付しまして、その後、発行者は正規の教科書発行に向けて準備をするわけでございますけれども、その間、ほぼ半年ぐらいの期間がございますが、その間に、教科書会社の方から訂正申請がございました件数は、申請ベースで五百七十二カ所でございます。
 ただ、この中には、今先生も御指摘のございましたような資料の更新等もございますが、いわゆる漢字にルビを振るというようなものも含めましてでございますけれども、五百七十二件が今回の中学校歴史教科書につきましての訂正申請件数でございます。
○安倍(晋)分科員 これはもう既に同僚の小山議員が参議院の予算委員会で質問をしたことでありますが、その中に、これは朝鮮人強制連行を扱っている、東京書籍、二百六十四ページに写真が載っております。この写真は実は間違いであったということが、後で産経新聞の指摘でわかったわけでありまして、これについては差しかえられたのではないか、このように思うわけでありますが、これは極めて大きな間違いであった、しかもその間違いがやすやすと検定を通っていたということであります。
 実は、この写真が間違っているというのは、差しかえる前に私も知っておりました。そのときに、いろいろな意見がありまして、これはもう産経新聞等々で出さないで教科書にそのまま載せさせろ、できた段階でこれを訴えてやれば大きな問題になるということで、そう言う人もいました。しかし、それは余りにも恣意的な方法なので、やはりこれは指摘をしておいた方がいいということで、産経新聞等の指摘によって差しかわったということではないかと思うのですね。
 そのように、検定後にそういう問題が次々と発見される場合もありますし、先ほどおっしゃったように、この近隣諸国条項によって、喜んでもらう、日本がこんな残虐なことをしましたよということをやることによって、諸外国からは余り指摘がなくなるということであります。また、特定の思惑を持って行動する人たちにも歓迎されるということで、そちらの方面において日本が残虐な行為をやったということを強調する分にはどんどん検定を通ってしまうという問題が出てきているのではないか、私はこんなようにも思う次第であります。
 やはりそのときに、同僚の小山議員が大臣に質問をしたわけでありまして、こうした苦情、これは片山議員も質問しているわけでありますが、例えば教科書目安箱的な、国民から広くそういう意見を受けとめる、そういう場を設けてもいいのではないか、あるいは機関を設けたらいいのではないかという意見がございました。大臣の御答弁では、それは今すぐには難しいけれども、透明性を高める、そういう努力は今後とも続けていきたいという御答弁がございました。この透明性を高めるということは、私は極めて重要なことであると思っておりますが、これについて大臣、具体的にどういうことを考えておられるか、御答弁をいただきたいと思います。
○小杉国務大臣 具体的なことは政府委員から答弁させますが、私は、基本的に教科書のあり方というものは、その経過も含めてすべて国民にでき
る限り明らかにされる、そういうことで具体的にいろいろとやっておりますので、それは局長の方から答弁をさせます。
○辻村政府委員 二つ、私どもとしてはこれから前向きに取り組んでいこうと考えております。
 一つは、今先生も御指摘でございましたが、これまで、各界からさまざまに寄せられます教科書に対する意見、これは私どものところにもさまざまに参るわけでございますけれども、その際は、それは教科書出版社の方がまず対応することだからということで、そちらの方に意見は回付するというような形が一般的でございました。ただ、先般の予算委員会での御指摘もございまして、私ども、そうした教科書について寄せられました意見につきましては、まず私どもが受けとめる、それを、教科書検定を行います教利用図書検定調査審議会の方にその内容を紹介し、検定に当たっての参考に資していただく、そういう方向での取り組みを進めるということが一点でございます。
 それからもう一点。検定に当たりまして申請のあったものと、それから検定意見を付してその後どのように教科書が変わったかという、その申請前と検定後、これを公開するという形で検定の透明性を図っていく。大臣がおっしゃられた趣旨も、そういうものも含めた形で透明性をさらに進めていくということで私どもは考えておるところでございます。
○安倍(晋)分科員 先ほど申し上げましたように、特にことし、中学の教科書、七社の教科書すべてにいわゆる従軍慰安婦の記述が載るわけであります。この問題に絞って幾つか質問させていただきたいと思うわけであります。
 私も従来から我が国の歴史教科書の記述については問題点が多いな、こう思っておりました。しかし、この従軍慰安婦の記述については余りにも大きな問題をはらんでいるのではないかと私は思います。これは私だけではなくて、そういう問題意識を持っている議員はたくさんいるのですね。ことしになって、特にこの記述に疑問を持つ若い議員が集まって、日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会というのを発足いたしました。当選五回以下に絞っているにもかかわらず、自民党だけで六十名近い議員が集まって、勉強会を既に八回、文部省からも説明要員として御出席をいただいたわけでございますが、勉強会を重ねてきました。それぐらいたくさんの議員が問題意識を持っているということであります。
 それはなぜかといえば、この記述そのもの、いわゆる従軍慰安婦というもの、この強制という側面がなければ特記する必要はないわけでありますが、この強制性については全くそれを検証する文書が出てきていないというのは、既に予算委員会、先ほど私が申し上げました小山議員、片山議員の質問の中で、外政審議室長の答弁等々から明らかであります。唯一のよりどころは、十六名の元慰安婦の人たちの証言ということでありますが、これはやはり私どもの勉強会におきまして、石原元副長官に講師としてお越しをいただきまして証言をしていただいたわけでございますが、もう既に、これは十六名の人たちから聴取をするというときに強制性を認めるということで大体方針が決まっていた。それを否定するというのは、とてもそういう雰囲気ではなかった。これは実際の話としてお話があったわけであります。明らかにこれは外交的配慮から強制性があったということになってこの官房長官談話につながったのだ、私はこういうふうに思います。
 そもそも、この従軍慰安婦につきましては、吉田清治なる詐欺師に近い人物が本を出した。この内容がもう既にめちゃくちゃであるということは、従軍慰安婦の記述をすべきだという中央大学の吉見教授すら、その内容は全く根拠がないということを認めております。しかし、この彼の本あるいは証言、テレビでも彼は証言しました。テレビ朝日あるいはTBSにおいてたびたび登場してきて証言をいたしました。また、朝日新聞は大々的に彼の証言を取り上げて、勇気ある発言だということを新聞紙上で扱って、その訂正はいまだかつて一回もしていない。テレビ局も新聞もそうであります。
 しかし、今は全くそれがうそであったということがはっきりとしているわけであります。この彼の証言によって、クマラスワミは国連の人権委員会に報告書を出した。ほとんどの根拠は、この吉田清治なる人物の本あるいは証言によっているということであります。その根拠が既に崩れているにもかかわらず、官房長官談話は生き、そしてさらに教科書に記述が載ってしまった。これは大変大きな問題である、こういうふうに思っております。
 ただ、それならたくさん教科書があるのだからそういう教科書ばかりにはならないだろうと思っていたら、すべての教科書にこの記述が載ったということであります。当然、中等段階でありますから教科書は無償でありまして、国の予算も教科書全体として四百三十五億円ついております。歴史の部分については十億円がついているということであります。
 七社それぞれ記述が若干違うわけであります。慰安婦と書いてあったり、従軍慰安婦と書いてあったり、あるいは慰安施設をつくったということでありますが、実態は、最も多く売れている、十億円のうち四億円は東京書籍株式会社であります。この東京書籍に至っては四億円、十分の四ですね。「従軍慰安婦として強制的に戦場に送りだされた若い女性も多数いた。」強制性を堂々と書いております。
 そしてまた、次は大阪書籍、一・九億円であります。「慰安婦として戦場に連行しています。」という形で書いてありますが、これは強制性をかなり疑っている、強く示唆しているということではないかと思います。
 そしてさらに教育出版社、これは一億八千万円でありますが、「従軍慰安婦として戦地に送り出された。」と書いてあります。
 一社だけ、慰安施設をつくったということでありますが、これは清水書院であります。強制性については余り言及をしていないわけでありますが、これは結局三千万円だけであります。十億円のうち三千万円でしかないということであります。
 ということは、予算的には多くの、ほとんどの教科書が強制性を疑わせる記述になっているのだ、こういうふうに思います。
 問題は、私はこれは採択の現場にもあるのではないかと思うわけであります。我々は、この東京書籍の社長も含めて、教科書会社の人たちを呼んで話を伺いました。彼らが言うには、本音ベースで言えば、こういう教科書をつくらないと教科書を採択してもらえないということでありました。
 そのときに、大阪の現場の先生、大阪府の桜丘中学校教諭の長谷川先生にもお越しをいただいたわけであります。彼の証言でありますが、「採択権は現場の教師に実質的には握られている。枚方市では教師が投票し、その投票の上位となった教科書が教育委員会に報告され、それが採択される。」「教科書会社は教育委員会よりも現場教員、その思想傾向におもねるようになる。」ということであります。
 日教組の組織率は、今極めて低下をしているわけでありますが、残った先生方は大変先鋭化をしております。そして、思想的な傾向も強まっているわけでありまして、教科書会社は営利を上げるためにみずから内容を社会主義化することによって利益を上げているという大変皮肉な結果になっているということであります。
 さらに、この教科書の採択に大きな影響を持っているのが、労働組合、出版労連であります。共産党系の労働組合の出版労連というグループ、これは教科書執筆者がつくっている労働組合でありますが、それが極めて大きな影響力を持っております。そしてもう一つ、大阪の場合は大同協、つまり同和教育研究協議会という部落解放同盟系の組織であります。これらがいわゆる事前チェックを行いながら、こういう傾向でなければ採択はさせないという大きな圧力をかけているというお話
が現場の先生から、そういう生々しい証言があったわけであります。
 この現場の採択の状況について、文部省は問題点を把握しておられるのでしょうか。
○辻村政府委員 まず、採択についてでございますけれども、若干採択の基本的なルールを申し上げさせていただきたいと思うのでございます。
 現在の我が国の教科書の採択制度は、市、郡単位のいわゆる共同採択制度をとっております。これは各県が決めるわけでございますけれども、全国で四百七十八カ所ございます。責任はそれぞれの市、郡の教育委員会にございます。
 その採択に当たりまして、教育委員会がただ一方的に決めるということではなくて、その中での指導主事さんでありますとか、現場の先生でありますとか、さらにケースによりましては保護者なども加えているケースもあるわけでございますけれども、そういう採択地区協議会というものを設けて、そこでそれぞれの地域の教科書としてどれが一番ふさわしいかということを検討する仕組みになってございます。さらに、専門的な立場から、各教科ごとに専門員、これは現場の先生でございますけれども、置いて、共同の調査研究を実施するというような仕組みになっているわけでございます。
 その際に、学校現場の意向等を聴取しつつ、全体として自由に意見を交換し合いながら、最終的には、先ほど申し上げましたように市、郡単位の教育委員会が責任を持って行うというようになっておるわけでございます。
 そこで、ただいまの御指摘でございますけれども、私どもといたしましては、そのルールは、それぞれの地域地域に合った教科書が、真に教育的な観点に立ってどれが一番ふさわしいかという形で決定されるということが大切なわけでございまして、そのやり方の逐一につきましては私ども承知していないわけでございますけれども、ただいま申し上げましたような共同採択の趣旨が十分生かされるように、これからも教育委員会に指導をしてまいりたいというふうに思っております。
○安倍(晋)分科員 結果として、この従軍慰安婦の記述につきましても、強制性をにおわせ、日本の残虐性を強くにおわしている東京書籍が一番多く採択をされる、慰安所というような緩やかな表現を使ったところは三千万円しか売れないというのが結果であります。結果が実態を証明しているのではないか、私はこのように思うわけであります。
 出版労連は、教科書レポートというのを出すわけでありますが、その中に「最新日本史」採択校一覧表というのを載せるわけであります。その中で、自分たちの思想的傾向に合わない教科書を採用した学校には、これはもうみんなで押しかけるわけでありまして、こんな教科書を使う学校には生徒を送らないぞという圧力をかけているということであります。特に、私立学校等は、こういう圧力をかけられますと大変弱いわけでありますから、次々と採択する教科書を変えているというのが現状だと思うわけであります。しっかりその点を文部省もよく認識をしておいていただきたい、こういうふうに思うわけであります。
 私どもの勉強会におきまして、何回か文部省の方に来ていただきまして、お話を伺ったわけでありますが、こうした記述が載るという根拠になったのは、先ほど申し上げました宮澤官房長官の談話と、そして河野官房長官の談話であります。しかし、先ほども申し上げましたように、河野官房長官の談話の前提がかなり崩れてきているという大きな問題点があると思うんですね。ですから、その中で、もし官房長官談話が強制性はなかったというように修正をされたら、これは果たして検定の中身も変わってくるのかどうか、このことについてお伺いをしたいと思います。
○辻村政府委員 仮定の御質問でございますけれども、私どもが教科書の検定を行う際は、恣意的にこれを行うわけではもちろんございませんで、検定の時点におきます客観的な学問的成果あるいは適切な資料に照らしてこれを行っているわけでございます。ただいま先生がお取り上げになっておられます慰安婦の記述に関連いたしましても、これは平成五年八月の政府調査を適切な資料として採択して、検定を行っているところでございます。
 ただいまこの根拠が云々という御指摘があったわけでございますけれども、この政府調査、これ自体は何ら変更をされていないわけでございます。予算委員会でたびたび取り上げられておりますけれども、その際の政府答弁におきましても、強制性は認められているということで、この政府答弁も一貫をしているわけでございます。
 そういう状況でございますけれども、ただいま申し上げましたように、この検定の基礎になりますのは、あくまで客観的な学問的成果や適切な資料ということでございます。仮に、もしその資料にそごがあるというようなことでありますれば、これは改めて私どもとしては審議会の御判断にゆだねるというようなことになろうかと思うわけでございますが、万々が一の仮の御質問でございますけれども、あえて申し上げますれば、そのような段取りになろうかというふうに思います。
○安倍(晋)分科員 河野官房長官談話の中で、「官憲等が直接これに加担したこともあったことが明らかになった。」というこの文章、この文言なんですね。しかしながら、これは実際、資料においては全くそのことが証明されなかったということは、もう既に国会の審議の中でも明らかになっております。これは民間団体等も、何とかそういう資料が出てこないかといってウの目タカの目で探した結果でも出てこなかったということで、十六人の元慰安婦の人たちの証言に頼らざるを得なかった。
 しかも、この人たちはもちろん名前も公表していない、それはやむを得ないことでありましょうが、裏は全くとっていない。なぜ裏をとらなかったのですかと、これは副長官に私ども質問をいたしましたが、これはもうそういうことだった、とてもそういう裏をとるというようなことができる状況ではなかったということであります。
 しかも、ある人が調べたところによりますと、この十六人の中には、恐らく、韓国側が調べた、韓国側が補償を行っていますから、その中でこの人はいいかげんだと決めた人も何人か入っているんですね。韓国側ですらこの人の発言はちょっとおかしいじゃないかと言って落とした中にも入っているということであります。もちろん、実際にその人たち本人は、場合によっては中間に入った業者等にだまされたということによって強制されたのではないかと信じている人たちもいて、必ずしもうそを言っているとは限らないわけでありますが、しかし、そうした検証をすることは絶対に必要なんですね。
 インドネシアにおいて、例のアジアのための基金に対して、元慰安婦だった人たちを募ったところ、何と二万人も出てきたということであります。我が軍は一万人ちょっとぐらいしかインドネシアにいなかったにもかかわらず、二万人も出てくるというのは、これはほとんどの人が実態と違う、うそをついているということでありますから、常に、こういう歴史においては私は検証が必要になってくる、こういうふうに思うわけであります。
 そしてさらに、もう時間がなくなりましたので、最後の質問でございますが、どちらにしろこれは私は事実ではない。まだ今のところ問題点を含んでいるわけでありますから、歴史教科書に載せるというのは、これはもう全く大きな問題があると思うわけでありますが、そもそも歴史教科書、特に中学生段階ではどういう記述にするべきかということについてお話を伺いたいと思うわけであります。
 例えば、大阪書籍発行の、これは中学校ではなくて小学校六年生の教科書なんですが、その百六ページに、日本の軍人と思われる人が朝鮮人を木に、くいに縛りつけて、これはしかも裸にして、銃剣を乳首に突きつける、しかも乳房からは血がだらだら流れているという、まことにショッキングな絵を載せております。これはもちろん中学校
の教科書にも出ているわけでありますが、何とこういう絵が小学校の教科書にも出てきているということに私は驚きを禁じ得ないわけであります。
 しかも、これはあくまでも絵なんですね。やったという事実ではないんです。そして、これには廣西学生軍という人たちがこの絵をかいて回ったんですね。反日キャンペーンをするためにかいて回った。しかも、広西省から来たわけでありますから、華北から見ると大変遠いところから、札幌と鹿児島ぐらいの距離があって、実際に何が行われていたかということはもちろん経験をしていなかった人たちが後から入ってきて絵をかいて回る。これはまさに反日キャンペーンでありますから、あったかどうかも極めて疑問だ。しかも、この絵もたくさん間違っているところがありまして、日章の腕章をつけていたりとか、日本の軍人はそんな日の丸の腕章をつけるということはないわけでありますから、そういう点でもおかしいところがたくさんあるわけでありますが、こういう記述等々まで行っているということであります。
 そこで、大臣にお伺いをしたいわけでありますが、小学校段階はもちろんそうなんですが、中学校段階においても、おのずと日本人として誇りが持てる、そしてそれによって自分自身がこうあるべきだという目標を持ち、そういう誇りの持てる人間になろう、切磋琢磨していけるような教え方をするべきなんじゃないかな、私はこういうふうに思うわけであります。
 私ども、よく小学校、中学校の段階でいろいろな人の伝記を読みながら、その伝記というのはその人の負の側面というのは余り書かないわけですね。しかしながら、そうありたい、私はそういう人物になりたいという目標を持って、しかし、だんだん年を重ねていくごとに、人間というのはそんな単純なものじゃないんだ、人生の中ではいろいろあるから、やはりそういう中で、いろいろな知恵も経験も加わってくる中でいろいろな事実を知っていく。しかし、その段階では、そういう物事も消化をできるということになっていると私は思うわけでありますが、大臣に、中学の歴史教育、歴史記述は果たしてどうあるべきかということを最後にお伺いをして、私の質問を終わりたいと思います。
○小杉国務大臣 歴史教育におきましては、先ほど局長が答弁したように、学問的、客観的な研究成果を踏まえて、事実は事実として教えていくということが大事だと思います。
 その際、過去の歴史の中には、光の部分と影の部分があるわけでありまして、当然影の部分も児童生徒に教えていかなければいけない。しかし、同時に光の部分ももちろん教えていくことが大事であります。
 日本の学校教育の中でも、国を愛する心、郷土を愛する心、そういうものを育てることはやっているわけであります。今お尋ねの慰安婦の問題につきましては、再々お話に出てまいりました平成五年八月の政府調査団の結果というものを根拠にして対処しているところですが、この問題については、既に大きく社会的にも取り上げられ、マスコミでも報道されているところでありまして、中学生にも歴史的事象の一つとして理解することは十分可能であるというふうに考えております。今後とも、光の部分、影の部分含めて、児童生徒が正しい歴史理解を持って、これからの国際社会の中でもしっかり生きていくことを期待しております。
○安倍(晋)分科員 これで私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
○根本主査 これにて安倍晋三君の質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして文部省所管の質疑は終了いたしました。
○根本主査 これより防衛庁・防衛施設庁所管について審査を行います。
 まず、概要説明を聴取いたします。浅野防衛政務次官。
○浅野政府委員 平成六年度における防衛庁関係歳出の決算につきまして、その概要を御説明いたします。
 まず、(組織)防衛本庁の経費につきまして御説明申し上げます。
 当初の歳出予算額は四兆一千四百十九億五千三百万円余でありまして、これに高空における放射能塵の調査研究のため、科学技術庁から移しかえを受けた額二千九百万円余、平成六年度総合防災訓練のため、国土庁から移しかえを受けた額百万円余、南極地域観測事業のため、文部省所管文部本省から移しかえを受けた額二十億九千三百万円余、前年度からの繰越額二百八億三千万円余を加え、既定予算の不用等による予算補正修正減少額三百二億一千百万円余を差し引きますと、歳出予算現額は四兆一千三百四十六億九千六百万円余となります。
 この歳出予算現額に対して支出済み歳出額は四兆一千四十億七千三百万円余、翌年度へ繰り越した額は百九十七億一千五百万円余でありまして、差し引き不用額は百九億六百万円余であります。
 次に、(組織)防衛施設庁の経費につきまして御説明申し上げます。
 当初の歳出予算額は五千四百十三億五千九百万円余でありまして、これに前年度からの繰越額百五十億二千三百万円余、横田飛行場騒音損害賠償等請求事件第二審判決に伴い生じた損害賠償金を支払うために必要な経費として予備費を使用した額七億二千四百万円余を加え、既定予算の不用等による予算補正修正減少額十五億百万円余、防衛施設周辺の障害防止事業等に要する経費として移しかえをした額、農林水産省所管農林水産本省へ七億六千八百万円余、建設省所管建設本省へ十四億四千三百万円余を差し引きますと、歳出予算現額は五千五百三十三億九千三百万円余となります。
 この歳出予算現額に対して支出済み歳出額は五千三百三十億七千四百万円余、翌年度へ繰り越した額は百六十三億一千六百万円余でありまして、差し引き不用額は四十億二百万円余であります。
 なお、主な事項につきましては、お手元に配付してある資料のとおりでございますが、委員各位のお許しを得まして、御説明を省略させていただきたいと存じます。よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
 引き続き、平成七年度における防衛庁関係歳出の決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 まず、(組織)防衛本庁の経費につきまして御説明申し上げます。
 当初の歳出予算額は四兆一千五百五十六億一千万円余でありまして、これに地震災害等の防止のために緊急に対応すべきものとして行う情報収集・伝達機能等の強化を図るための通信機器、車両その他器材の購入等及び阪神・淡路大震災により被害を受けた自衛隊施設を復旧するための予算補正追加額三百八十三億七千百万円余、高空における放射能塵の調査研究のため、科学技術庁から移しかえを受けた額二千九百万円余、平成七年度総合防災訓練のため、国土庁から移しかえを受けた額百万円余、南極地域観測事業のため、文部省所管文部本省から移しかえを受けた額二十億四千四百万円余、前年度からの繰越額百九十七億一千五百万円余を加え、既定予算の不用等による予算補正修正減少額二百六十七億六千四百万円余を差し引きますと、歳出予算現額は四兆一千八百九十億九百万円余となります。
 この歳出予算現額に対して支出済み歳出額は四兆一千五百五十六億二千万円余、翌年度へ繰り越した額は百十四億一千百万円余でありまして、差し引き不用額は二百十九億七千七百万円余であります。
 次に、(組織)防衛施設庁の経費につきまして御説明申し上げます。
 当初の歳出予算額は五千六百七十七億六千三百万円余でありまして、これに前年度からの繰越額百六十三億一千六百万円余を加え、既定予算の不用等による予算補正修正減少額十二億八百万円
余、防衛施設周辺の障害防止事業等に要する経費として移しかえをした額、農林水産省所管農林水産本省へ六億一千八百万円余、建設省所管建設本省へ十四億二千三百万円余を差し引きますと、歳出予算現額は五千八百八億二千八百万円余となります。
 この歳出予算現額に対して支出済み歳出額は五千六百四十六億六千九百万円余、翌年度へ繰り越した額は百四十七億七千五百万円余でありまして、差し引き不用額は十三億八千三百万円余であります。
 なお、主な事項につきましては、お手元に配付してある資料のとおりでありますが、委員各位のお許しを賜りまして、御説明を省略させていただきたいと存じます。
 よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
○根本主査 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院諸田第二局長。
○諸田会計検査院説明員 平成六年度防衛庁の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。
 検査報告に掲記いたしましたものは、本院の指摘に基づき、当局において改善の処置を講じた事項一件であります。
 これは、艦船製造請負契約における建造保険料の計算に関するものであります。
 艦船製造請負契約における建造保険料の計算に当たり、官給品の付保対象額を通知する海上幕僚監部からの事務連絡において、複数の同型艦について艦船別に記載されておらず、調達実施本部においてその内容が正確に把握できない体制になっていたため、艦船四隻について官給品の付保対象額の算定を誤り、建造保険料が過大に計算されていました。これについて指摘したところ、改善の処置がとられたものであります。
 次に、平成七年度防衛庁の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。
 検査報告に掲記いたしましたものは、本院の指摘に基づき、当局において改善の処置を講じた事項一件であります。
 これは、航空自衛隊のレーダー基地等の光伝送装置の製造請負契約に関するものであります。
 航空自衛隊のレーダー基地等の光伝送装置の製造請負契約において、装置に使用する光ファイバーケーブルに、光ケーブルメーカーの製品のうち、経済的なテープ形の光ファイバー心線を用いたものを使用しても支障がないのに、装置の製造会社がみずから心線を製造し、加工会社が加工して製造するものとして費用を積算していたため、積算額が過大になっておりました。これについて指摘したところ、改善の処置がとられたものであります。
 以上、簡単でございますが、説明を終わります。
○根本主査 ただいまの会計検査院の指摘に基づき講じた措置について説明を聴取いたします。浅野防衛政務次官。
○浅野政府委員 平成六年度の決算検査報告において掲記されております処置済み事項におきましては、会計検査院の御指摘に基づき、平成七年十一月に、海上幕僚監部から調達実施本部に対して官給品の付保対象額を通知する文書の改善を図る処置を講じたところであります。
 今後このようなことのないよう適切な事務処理に十分注意する所存でございます。
 平成七年度の決算検査報告において掲記されております処置済み事項におきましては、会計検査院の御指摘に基づき、平成八年三月以降の製造請負契約に当たり経済的な光ファイバーケーブルを使用することとして積算するなどの処置を講じたところであります。
 今後とも予算のより効率的な執行について努力する所存であります。
○根本主査 この際、お諮りいたします。
 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○根本主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ─────────────
   平成六年度防衛庁関係歳出の決算に関する概要説明
                防 衛 庁
 平成六年度における防衛庁関係歳出の決算につきまして、その概要を御説明いたします。
 まず、(組織)防衛本庁の経費につきまして御説明申し上げます。
 当初の歳出予算額は四兆一千四百十九億五千三百万円余でありまして、これに高空における放射能塵の調査研究のため、科学技術庁から移替えを受けた額二千九百万円余、平成六年度総合防災訓練のため、国土庁から移替えを受けた額百万円余、南極地域観測事業のため、文部省所管文部本省から移替えを受けた額二十億九千三百万円余、前年度からの繰越額二百八億三千万円余を加え、既定予算の不用等による予算補正修正減少額三百二億一千百万円余を差し引きますと、歳出予算現額は四兆一千三百四十六億九千六百万円余となります。
 この歳出予算現額に対して支出済歳出額は四兆一千四十億七千三百万円余、翌年度へ繰り越した額は百九十七億一千五百万円余でありまして、差し引き不用額は百九億六百万円余であります。
 平成六年度の予算の執行に当たっては、国際情勢の変化等を受けて修正された「中期防衛力整備計画(平成三年度〜平成七年度)」の第四年度として計上された予算を効率的に使用して計画を着実に実施し、実質的な防衛力の整備を進めることを主眼といたしました。
 以下、陸・海・空各自衛隊別にその主な内容を申し上げます。
一 陸上自衛隊につきましては、九〇式戦車二十両、八九式装甲戦闘車七両、七三式装甲車十三両を取得し、新たに平成七年度以降取得予定の九〇式戦車二十両、八九式装甲戦闘車六両、七三式装甲車十三両の購入契約をいたしました。
 また、航空機は、対戦車ヘリコプターAH−1S四機、観測ヘリコプターOH−6D九機、多用途ヘリコプターUH−1J十三機、輸送へリコプターCH−47J三機、練習ヘリコプターOH−6D四機合わせて三十三機を取得し、新たに平成七年度以降取得予定の対戦車ヘリコプターAH−1S二機、観測ヘリコプターOH−6D十一機、多用途ヘリコプターUH−1J十三機、輸送ヘリコプターCH−47J二機、練習ヘリコプターOH−6D五機合わせて三十三機の購入契約をいたしました。
二 海上自衛隊につきましては、平成二年度計画の護衛艦七千二百五十トン一隻、平成三年度計画の潜水艦二千四百五十トン一隻、平成四年度計画の掃海艇四百九十トン三隻、平成四年度計画のミサイル艇五十トン一隻、平成四年度計画の練習艦四千五十トン一隻、平成四年度計画の試験艦四千二百五十トン一隻、平成五年度計画の支援船四隻、平成六年度計画及び調達に係る支援船二隻合わせて十四隻を取得し、新たに平成七年度以降に竣工予定の護衛艦四千四百トン型二隻、潜水艦二千七百トン型一隻、掃海艇四百九十トン型二隻、掃海母艦五千六百トン型一隻、支援船五隻合わせて十一隻の建造契約をいたしました。 また、航空機は、対潜哨戒機P−3C二機、救難飛行艇US−1A一機、訓練支援機U136A一機、試験評価機UP−3C一機、初級操縦練習機T−5三機、対潜ヘリコプターSH−60J五機、掃海ヘリコプターMH−53E一機、救難ヘリコプターUH−60J二機合わせて十六機を取得し、新たに平成七年度以降取得予定の対潜哨戒機P−3C一機、電子戦訓練支援機UP−3D一機、対潜ヘリコプターSH−60J五機、救難ヘリコプターUH−60J一機合わせて八機の購入契約をいたしました。
三 航空自衛隊につきましては、要撃戦闘機F−
15八機、中等練習機T−4二十四機、輸送機・救難機等基本操縦練習機T−400三機、救難捜索機U−125A三機、飛行点検機U−125一機、救難ヘリコプターUH−60J二機合わせて四十一機を取得し、新たに平成七年度以降取得予定の要撃戦闘機F−15四機、早期警戒管制機E−767二機、中等練習機T−4九機、輸送機・救難機等基本操縦練習機T−400二機、救難捜索機U−125A一機、救難ヘリコプターUH−60J二機合わせて二十機の購入契約をいたしました。
 また、地対空誘導弾ペトリオットは、一個高射群分(三FU)を取得し、新たに平成七年度以降取得予定の定期修理予備用一セットの購入契約をいたしました。
 なお、これらの装備品に係る国庫債務負担行為及び継続費の契約額等について申し上げます。
 まず、国庫債務負担行為については、
一 戦車、装甲車、誘導弾等の購入契約に要した事項武器購入の本年度の契約額は一千五百十九億四千四百万円余でありまして、このうち本年度の支出額は二億七千九百万円余、翌年度以降への後年度負担額は一千五百十六億六千四百万円余となります。二 航空機の購入契約に要した事項航空機購入の本年度の契約額は二千九百五十七億八千八百万円余でありまして、このうち本年度の支出額は十億三千万円余、翌年度以降への後年度負担額は二千九百四十七億五千七百万円余となります。
三 掃海艇等の建造契約に要した事項艦船建造の本年度の契約額は四百七十二億八千百万円余でありまして、このうち本年度の支出額は二億五千四百万円余、翌年度以降への後年度負担額は四百七十億二千七百万円余となります。
 次に、継続費の契約額等について御説明いたします。
 平成六年度の新規継続費の総額は一千八百十五億五千六百万円余でありまして、このうち本年度の契約済額は一千五百七十六億六千七百万円余であります。
 この契約済額に対して、本年度の支出額十億一千三百万円余を差し引きますと、翌年度以降の後年度負担額は一千五百六十六億五千四百万円余となります。
 また、翌年度以降の契約予定額は二百三十八億八千九百万円余であります。
 平成六年度の防衛本庁の職員の定員は、自衛官二十七万三千八百一人、自衛官以外の職員二万二千十人でありまして、これを前年度の定員に比べますと、自衛官については同数であり、自衛官以外の職員について百三十四人の減員となっております。
 また、予備自衛官の員数は、前年度と同数の四万七千九百人であります。
 次に、翌年度への繰越額百九十七億一千五百万円余は、計画及び設計に関する諸条件等のため、工事等が遅延したことによるものであります。
 また、不用額百九億六百万円余は、長期給付に要する費用の負担金が予定を下回ったこと等により、国家公務員等共済組合負担金を要することが少なかったこと等のため生じたものであります。
 続いて、(組織)防衛施設庁の経費につきまして御説明申し上げます。
 当初の歳出予算額は五千四百十三億五千九百万円余でありまして、これに前年度からの繰越額百五十億二千三百万円余、横田飛行場騒音損害賠償等請求事件第二審判決に伴い生じた損害賠償金を支払うために必要な経費として予備費を使用した額七億二千四百万円余を加え、既定予算の不用等による予算補正修正減少額十五億百万円余、防衛施設周辺の障害防止事業等に要する経費として移替えをした額、農林水産省所管農林水産本省へ七億六千八百万円余、建設省所管建設本省へ十四億四千三百万円余を差し引きますと、歳出予算現額は五千五百三十三億九千三百万円余となります。
 この歳出予算現額に対して支出済歳出額は五千三百三十億七千四百万円余、翌年度へ繰り越した額は百六十三億一千六百万円余でありまして、差し引き不用額は四十億二百万円余であります。
 支出済歳出額の主なものは、調達労務管理費につきましては、アメリカ合衆国軍隊等が使用する駐留軍等労務者の離職者対策、福祉対策、従業員対策等に要した経費一千二百六十七億九百万円余、施設運営等関連諸費につきましては、「防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律」等に基づき、自衛隊施設及び「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定」等に基づく提供施設の維持運営等に関連し必要な土地の購入及び借上げ、施設の整備、各種の補償、障害及び騒音の防止措置、飛行場等周辺の移転措置、民生安定施設の助成措置等に要した経費三千七百三十九億四千八百万円余、提供施設移設整備費につきましては、「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定」による日米間の合意に基づき、現在提供中の施設及び区域の返還を受けるため、当該施設及び区域を集約移転するのに要した経費七億七千百万円余等であります。
 平成六年度の防衛施設庁の職員の定員は、三千三百二十人でありまして、これを前年度の職員の定員に比べますと、十人の減員となっております。
 次に、翌年度への繰越額百六十三億一千六百万円余は、計画及び設計に関する諸条件、補償処理の困難、用地の関係等のため工事等が遅延したことによるものであります。
 また、不用額四十億二百万円余は、事業計画の変更等により、提供施設等整備費を要することが少なかったこと等のため生じたものであります。
 以上をもって、平成六年度における防衛庁関係歳出の決算の概要説明を終わります。
 何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
   平成六年度決算防衛庁についての検査の概要に関する主管局長の説明
                会計検査院
 平成六年度防衛庁の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。
 検査報告に掲記いたしましたものは、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。
 これは、艦船製造請負契約における建造保険料の計算に関するものであります。この艦船製造請負契約は、調達実施本部が海上幕僚監部の要求に基づき、艦船を製造させるため、製造会社と締結しているもので、艦船建造中の事故による損失をてん補するため造船会社に建造保険を付させているものであります。そして、この艦船製造請負契約の予定価格は、製造原価に一般管理費及び販売費等の総利益を加えて算定した価格にこの建造保険料を計上して計算価格を算定するなどして決定されております。
 この建造保険料の計算に当たっては、船体及び艦船に搭載される主機関のほか、防衛庁が調達して造船会社に支給し、艦船に搭載される武器類、ぎ装品等の官給品の価額を加えて保険価額とし、この保険価額と同一の保険金額に所定の料率を乗じて行っております。このうち、官給品の保険価額につきましては、調達実施本部では、海上幕僚監部へ建造保険に付すべき対象額、すなわち付保対象額を問い合わせ、これに対し、海上幕僚監部から事務連絡による通知を受けて付保対象額を査定するなどして計上しております。
 このように、艦船製造請負契約につきましては、この予定価格の計算価格に建造保険料が計上されていることから、計算価格の算定に誤りがありますと予定価格に、ひいてはこの予定価格を基に決定されております契約金額に影響するため、建造保険料の計算が適正なものとなっているかどうかについて調査しましたところ、同型艦の護衛艦二隻及び同型艦の掃海艦二隻合計四隻の建造保険料の計算につきまして、それぞれ官給品の付保対象
額が二隻分であるのに一隻分であると誤ってこれを算定し、建造保険料を過大に計算しておりました。
 これは、海上幕僚監部からの事務連絡が、複数の同型艦の場合に艦船別に記載されておらず、調達実施本部におきまして、その内容が正確に把握できない体制となっていたことによるものと認められましたので、当局の見解をただしましたところ、調達実施本部では、七年度からの艦船製造請負契約における建造保険料の計算を行うに当たり、官給品の付保対象額は、複数の同型艦の場合には一隻ごとの金額とするなどの注意事項を新たに加えた海上幕僚監部からの事務連絡により決定するなど、建造保険料の計算を適切に行うための処置を講じたものであります。
 以上をもって概要の説明を終わります。
    ─────────────
   平成七年度防衛庁関係歳出の決算に関する概要説明
                防 衛 庁
 平成七年度における防衛庁関係歳出の決算につきまして、その概要を御説明いたします。
 まず、(組織)防衛本庁の経費につきまして御説明申し上げます。
 当初の歳出予算額は四兆一千五百五十六億一千万円余でありまして、これに地震災害等の防止のため緊急に対応すべきものとして行う情報収集・伝達機能等の強化を図るための通信機器、車両その他器材の購入等及び阪神・淡路大震災により被害を受けた自衛隊施設を復旧するための予算補正追加額三百八十三億七千百万円余、高空における放射能塵の調査研究のため、科学技術庁から移替えを受けた額二千九百万円余、平成七年度総合防災訓練のため、国土庁から移替えを受けた額百万円余、南極地域観測事業のため、文部省所管文部本省から移替えを受けた額二十億四千四百万円余、前年度からの繰越額百九十七億一千五百万円余を加え、既定予算の不用等による予算補正修正減少額二百六十七億六千四百万円余を差し引きますと、歳出予算現額は四兆一千八百九十億九百万円余となります。
 この歳出予算現額に対して支出済歳出額は四兆一千五百五十六億二千万円余、翌年度へ繰り越した額は百十四億一千百万円余でありまして、差し引き不用額は二百十九億七千七百万円余であります。
 平成七年度の予算の執行に当たっては、国際情勢の変化等を受けて修正された「中期防衛力整備計画(平成三年度〜平成七年度)」の最終年度として計上された予算を効率的に使用して計画を着実に実施し、実質的な防衛力の整備を進めることを主眼といたしました。
 以下、陸・海・空各自衛隊別にその主な内容を申し上げます。
一 陸上自衛隊につきましては、九〇式戦車二十両、八九式装甲戦闘車六両、七三式装甲車十三両、一五五ミリりゅう弾砲FH70二十六門、多連装ロケットシステムMLRS九両、八七式自走高射機関砲二両、八八式地対艦誘導弾八両等を取得し、新たに平成八年度以降取得予定の九〇式戦車二十両、八九式装甲戦闘車七両、七三式装甲車十三両、一五五ミリりゅう弾砲FH70二十四門、多連装ロケットシステムMLRS九両、八七式自走高射機関砲二両、八八式地対艦誘導弾八両等の購入契約をいたしました。
 また、航空機は、対戦車ヘリコプターAH−1S二機、観測ヘリコプターOH−6D十一機、多用途ヘリコプターUH−1J十三機、輸送へリコプターCH−47J二機、練習ヘリコプターOH−6D五機合わせて三十三機を取得し、新たに平成八年度以降取得予定の対戦車へリコプターAH−1S二機、観測ヘリコプターOH−6D十一機、多用途ヘリコプターUH−60JA二機、多用途ヘリコプターUH−1J十三機、輸送ヘリコプターCH−47J二機合わせて三十機の購入契約をいたしました。
二 海上自衛隊につきましては、平成三年度計画の護衛艦七千二百五十トン一隻、平成三年度計画の護衛艦四千五百五十トン一隻、平成六年度計画の支援船五隻、平成七年度計画及び調達に係る支援船三隻合わせて十隻を取得し、新たに平成八年度以降に竣工予定の護衛艦四千四百トン型二隻、潜水艦二千七百トン型一隻、掃海艇五百十トン型二隻、掃海母艦五千六百トン型一隻、支援船三隻合わせて九隻の建造契約をいたしました。
 また、航空機は、哨戒機P−3C一機、哨戒ヘリコプターSH−60J七機、電子戦データ収集機EP−3一機、救難飛行艇US−1A一機、救難ヘリコプターUH−60J二機合わせて十二機を取得し、新たに平成八年度以降取得予定の哨戒ヘリコプターSH−60J六機、電子戦データ収集機EP−3一機、電子戦訓練支援機UP−3D一機、救難飛行艇US−1A一機、救難ヘリコプターUH−60J一機、初級操縦練習機T−5二機、初級操縦練習ヘリコプターOH−6D三機合わせて十五機の購入契約をいたしました。
三 航空自衛隊につきましては、要撃戦闘機F−15七機、中等練習機T−4九機、輸送機・救難機等基本操縦練習機T−400二機、救難捜索機U−125A一機、救難ヘリコプターUH−60J一機合わせて二十機を取得し、新たに平成八年度以降取得予定の要撃戦闘機F−15五機、輸送機C−130H一機、輸送ヘリコプターCH−47J一機、中等練習機T−4九機、輸送機・救難機等基本操縦練習機T−400一機、救難捜索機U−125A二機、救難ヘリコプターUH−60J二機、多用途支援機U−4二機合わせて二十三機の購入契約をいたしました。
 また、地対空誘導弾ペトリオットは、〇・二五個高射群分及び定期修理予備用一セットを取得し、新たに平成八年度以降取得予定の〇・二五個高射群分の購入契約をいたしました。
 なお、これらの装備品に係る国庫債務負担行為及び継続費の契約額等について申し上げます。
 まず、国庫債務負担行為については、
一 戦車、装甲車、誘導弾等の購入契約に要した(事項)武器購入の本年度の契約額は一千六百六十六億二千万円余でありまして、このうち本年度の支出額は二億二千八百万円余、翌年度以降への後年度負担額は一千六百六十三億九千二百万円余となります。
二 戦闘機等の購入契約に要した(事項)航空機購入の本年度の契約額は二千百八十四億四千二百万円余でありまして、このうち本年度の支出額は五億一千三百万円余、翌年度以降への後年度負担額は二千百七十九億二千八百万円余となります。
三 掃海艇等の建造契約に要した(事項)艦船建造の本年度の契約額は六百四十億三千七百万円余でありまし、このうち本年度の支出額は二億九千九百万円余、翌年度以降への後年度負担額は六百三十七億三千七百万円余となります。
次に、継続費の契約額等について御説明いたします。
平成七年度の新規継続費の総額は一千七百八十七億四千四百万円余でありまして、このうち本年度の契約済額は一千五百三十九億四千六百万円余であります。
 この契約済額に対して、本年度の支出額七億三千二百万円余を差し引きますと、翌年度以降への後年度負担額は一千五百三十二億一千四百万円余となります。
 また、翌年度以降の契約予定額は二百四十七億九千七百万円余であります。
 平成七年度の防衛本庁の職員の定員は、自衛官二十七万三千八百一人、自衛官以外の職員二万一千八百八十人でありまして、これを前年度の定員に比べますと、自衛官については同数であり、自衛官以外の職員について百三十人の減員となっております。
 また、予備自衛官の員数は、前年度と同数の四万七千九百人であります。
 次に、翌年度への繰越額百十四億一千百万円余
は、計画及び設計に関する諸条件等のため、工事等が遅延したことによるものであります。
 また、不用額二百十九億七千七百万円余は、退職者が少なかったことにより、退職手当を要することが少なかったこと等のため生じたものであります。
 続いて、(組織)防衛施設庁の経費につきまして御説明申し上げます。
 当初の歳出予算額は五千六百七十七億六千三百万円余でありまして、これに前年度からの繰越額百六十三億一千六百万円余を加え、既定予算の不用等による予算補正修正減少額十二億八百万円余、防衛施設周辺の障害防止事業等に要する経費として移替えをした額、農林水産省所管農林水産本省へ六億一千八百万円余、建設省所管建設本省へ十四億二千三百万円余を差し引きますと、歳出予算現額は五千八百八億二千八百万円余となります。
 この歳出予算現額に対して支出済歳出額は五千六百四十六億六千九百万円余、翌年度へ繰り越した額は百四十七億七千五百万円余でありまして、差し引き不用額は十三億八千三百万円余であります。
 支出済歳出額の主なものは、調達労務管理費につきましては、アメリカ合衆国軍隊等が使用する駐留軍等労務者の離職者対策、福祉対策、従業員対策等に要した経費一千四百四十五億九千三百万円余、施設運営等関連諸費につきましては、「防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律」等に基づき、自衛隊施設及び「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定」等に基づく提供施設の維持運営等に関連し必要な土地の購入及び借上げ、施設の整備、各種の補償、障害及び騒音の防止措置、飛行場等周辺の移転措置、民生安定施設の助成措置等に要した経費三千八百七十二億二千三百万円余、提供施設移設整備費につきましては、「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定」による日米間の合意に基づき、現在提供中の施設及び区域の返還を受けるため、当該施設及び区域を集約移転するのに要した経費九億百万円余等であります。
 平成七年度の防衛施設庁の職員の定員は、三千三百八人でありまして、これを前年度の職員の定員に比べますと、十二人の減員となっております。
 次に、翌年度への繰越額百四十七億七千五百万円余は、計画及び設計に関する諸条件等のため工事等が遅延したことによるものであります。
 また、不用額十三億八千三百万円余は、電気料が予定を下回ったこと等により、合衆国軍隊特別協定光熱水料等支出金を要することが少なかったこと等のため生じたものであります。
 以上をもって、平成七年度における防衛庁関係歳出の決算の概要説明を終わります。
 何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
    …………………………………
   平成七年度決算防衛庁についての検査の概要に関する主管局長の説明
                会計検査院
 平成七年度防衛庁の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。
 検査報告に掲記いたしましたものは、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。
 これは、航空自衛隊のレーダー基地等の光伝送装置に使用する光ファイバケーブルの費用の積算に関するものであります。この光伝送装置製造請負契約は、調達実施本部が航空幕僚監部の要求に基づき、光伝送装置を製造させるため、製造会社と締結しているものであります。本件光伝送装置は、航空自衛隊のレーダー基地において、山上のレーダー装置に隣接して設置されていたレーダー運用室を山麓の庁舎地区へ移転するのに伴い、レーダー装置と運用室との間を、光ファイバケーブルで結び、情報の交換を行うなどのために導入されているものであります。
 光伝送装置に使用する光ファイバケーブルの費用の積算につきましては、調達実施本部では製造会社が心線を自ら製造した後に、ケーブル加工会社において束ねるなどの加工を行って製造するものとして算出することとしていたものであります。
 光ファイバケーブルは、伝送距離による信号の減衰が少ないなどの利点から、近年、その使用量が増大しており、心線の製造からケーブルの加工まで一貫して行う光ケーブルメーカーによる製品も広範に使用されるようになっております。このような状況を踏まえ、本件の光ファイバケーブルの実際の製造方法、規格や性能等について調査しましたところ、本件の光伝送装置で要求されている光ファイバケーブルの規格、性能は、一般的なものであり、光ケーブルメーカーの製品で十分満たせるものであることが判明いたしました。これらの製品の中には、調達実施本部が想定した製造方法による場合に比べて相当安価で、既に一般に広く使用されるようになっているテープ形心線を用いた光ファイバケーブルがございます。
 したがいまして、光ファイバケーブルにつきましては、これを心線から製造することとせず、テープ形心線を用いた製品を使用することとしても支障がなく、これを使用することとして積算することにより、積算額の低減を図る要があると認められましたので、当局の見解をただしましたところ、調達実施本部では、八年三月以降の光伝送装置の製造請負契約に当たり、光ケーブルメーカーの製品のうち、経済的なテープ形心線を用いた光ケーブルを使用することとして積算するなどの処置を講じたものであります。
 以上をもって概要の説明を終わります。
○根本主査 以上をもちまして防衛庁・防衛施設庁所管の説明は終わりました。
○根本主査 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。熊谷市雄君。
○熊谷(市)分科員 私は自由民主党の熊谷と申します。
 この間、沖縄県道一〇四号線越え、例の米軍の砲撃演習場移転問題で揺れ動いたのが私の地元であります。予想以上に住民の反対運動が強くて、いろいろ紆余曲折を経た形の中での苦労などもしたわけでありますが、最終的には、久間長官が国の方針を伝えて、寄り切ったという形の中で決着を見たという状況であったわけであります。そういうことからして、国と地方との間に、国防とか日米安保とかという問題についての温度差というか、考え方の格差というものを痛切に感じ取ったわけであります。
 私は、防衛問題についてはごく一般的な常識程度のことしか知ってないという立場でありますけれども、今度の問題というものを経験して、これではいかぬな、やはりもっと国会議員としては国の防衛のことについてきちんとした考え方というものを持っていなければならないなということを痛切に感じたわけであります。
 そういうことから、きょうは決算委員会ということでありますので、いろいろ予算、決算上の問題にかかわりを持ちながら、これからお尋ねをしてまいりたいというふうに考えますので、ひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。
 まず最初に、今度の一連の実弾砲撃射撃場移転問題というものの取り組みを通じて、今申し上げたように、国民あるいは地元市町村との間にかなりの乖離があった形の中で決着を見たわけでありますが、国論がまだ、最も大事な国防というものについて形成されていない、これは非常に残念なことであるし、日本の国にとっては不幸な現実ではなかろうかな、こんなふうに考えているわけであります。
 したがって、将来、実弾射撃場というのはこれからもずっと続いていくことであろうと思います
ので、こういったギャップというものを残しておったのではこれからの基地のあり方というものに悪影響を及ぼしてくるのではないか、何とか溝というものは修復をしていかなければならないなというふうに考えているわけであります。
 直接こういった問題の衝に当たられた防衛庁という立場から、今度のこの問題に取り組まれた全体的な印象というか感想というか、そういうことについて、まず浅野政務次官にお尋ねをしたいと思います。
○諸冨政府委員 お答えいたします。
 王城寺原演習場への移転問題等につきましては、熊谷先生を初め地元のいろいろな関係の方々の御理解を得まして、ようやく地元の理解を得られたということで、私ども大変感謝して、ありがたく思っておるところでございます。
 ただいま先生御指摘のいわゆる基地問題といいますか、日米安全保障体制というものを維持していく上に当たって、この基地の、いわゆる施設・区域の提供とそれの安定的使用というのが一番基本だというふうに考えておるところであります。したがいまして、基地所在の市町村あるいはその周辺住民の方々に対しましては、そういう意味で、私どもの防衛上の必要性の理解と同時に、地元の方々の信頼関係といいますか、こういうものが一番基本にあるというふうに考えて、私どもかねがね基地行政を地元施設局を通じてやっておるところでございます。
 今先生御指摘のように、どうしてもこういう具体的な問題になりますと、イデオロギー的な反対の方も一部おられます。しかしながら、地元の方々に対しまして、私ども、常日ごろからこういう問題の重要性について御説明をしたり、あるいはいろいろな形で地元の御要望に対して対処しておりまして、法律的にも、防衛施設の周辺の生活環境の整備に関する法律というのがございまして、実際に基地の運用に当たっていろいろ障害を与えておるような場合につきましては、例えば河川の改修であるとか住宅の防音であるとか、いろいろな形でそういう障害の緩和に努めておりまして、そういう理解を得ながらこういう基地行政を進めさせていただいておる、こういうことでございます。
 今回の一〇四号線の移転につきましても、一応地元の方の、そういう厳しい住民の声の中で最終的には大多数の方の御理解を得られたということについて、私ども、冒頭申し上げました先生方のいろいろな御苦労を初め、そういう御理解を得ながらこういう難しい問題を処理させていただくということで、今後ともこういう姿勢で貫いていきたいというふうに考えているところでございます。
○熊谷(市)分科員 今度のいろいろなぎくしゃくした問題から、こういう大事なことについての国と国民の間あるいは政府と基地を抱える市町村の間にぎくしゃくした違いがあるということであっては、これは大変なことになるわけでありますから、この埋め合わせというものを、どのようにして溝を埋めていくかということについて、我々も真剣に考えたいと思いますし、ひとつ国としても十分な対応というものをこれからお願いを申し上げたいというふうに思います。
 一般的に、国防という問題については、問題なく国論というものが統一されるというのがこれは世界の常識だと思うのですね。どこの国でもこういう大事な国防という問題については、問題なく国論が統一されるという形ができ上がっていると思います。したがって、我々も、やはり国防という意識というものをより広く国民に定着させるような、そういう努力をしていかなくてはならない、これは国会議員としても非常に大事な任務じゃないかな、こんなふうに思うわけで、したがって、これからもう少し我が国の国防の実態というか、こういう問題についてお尋ねをしてまいりたいと思います。
 まず、予算的な面でありますが、どちらかというと防衛予算というものは今までは聖域扱いにされて、少しずつではあるけれどもふえてきたなという感じもしているわけであります。六年あるいは七年度の決算内容については私たちも内容をよく熟知しているところでありますけれども、少しくさかのぼった状態から現在までに、防衛予算というものが国の予算の中でどういう位置づけをされてきたか、いわゆる全体の額に対する比率がどのようになっているか、そういうことについてお伺いしたいと思います。
○佐藤(謙)政府委員 数字の関係でございますから、私の方から御説明させていただきます。
 近年の防衛予算の動向でございますけれども、対前年伸び率で申しますと、五年度が対前年一・九五%、六年度が〇・九%、七年度が〇・八六%、こうなっておりまして、八年度が二・五八%、九年度が一・九八%でございます。この九年度予算を実額で申しますと四兆九千四百十四億円ということでございまして、一般会計全体に占めます割合が六・四%、こういう数字になっているところでございます。
○熊谷(市)分科員 大体純増しているという形、全体の額の中ではふえてきているということですが、GDPというかそういう面から比較検討してみると、大体〇・九六%から〇・九八ぐらいの間で推移してきたということも言えるわけで、そうしますと、これはかなり前のことでありますが、防衛予算というものはどれぐらいの額が適正であるかという議論の中で、GDPの一%以内ぐらいという基準のようなものが、これは不文律であったかどうかわかりませんが、あったような気がするわけであります。
 そうしますと、この〇・九六から〇・九八というのは、一%を超えない範囲の中で抑えてきたというような印象があるわけですが、そのように解釈してよろしいわけでございますか。
○佐藤(謙)政府委員 今先生お話しのように、五十年代の初めに、防衛関係費につきましてGNPの一%以内、こういうふうな考え方が決定をされておりました。その後、いろいろな推移がございまして、実は、六十二年それから六十三年、平成元年度と、これはGNPの一%を予算段階でオーバーをしているわけでございます。このような状況を踏まえまして、昭和六十二年の予算編成の際に、このGNP一%以内という閣議決定を廃止することにいたしまして、そのかわりに、世に言います総額明示方式ということで防衛費全体のコントロールをしていく、こういう考え方に至っているところでございます。
 そういうことでございますが、私ども、引き続き防衛力の整備につきましては節度を持って整備を行っている、こういう状況でございます。その状況が、今先生お話しのように、この平成九年でございますと約〇・九六%程度、こういうふうな水準にとどまっている、こういうところでございます。
○熊谷(市)分科員 今御説明のようでありまして、そういう一つの考え方なりあるいは決め方というものが、事国防という予算を設定する上において適切であるかどうかということについては、いろいろ問題というか疑問も残るところであろうというふうに思うわけであります。
 我が国の防衛費というものが、国周辺の状況なりあるいは国全体の予算の中あるいは経済力、そういうものに比して適当であるかどうかという一つの判断をしていく中で、まずもって日米安保の相手国であるアメリカなりあるいは極東周辺の他の国々の国防費というかそういうものがどういう状態になっているかということも、これは大いに参考にしていかなければならない問題であろうと思います。これは時間がありませんので、全体的な傾向でよろしゅうございますから、各国の状況ということになるとかなり時間もかかってくると思います。ある程度の資料を私持っておりますが、全体的なこの比較検討の中で諸外国はどんなような予算というものになっているか、その現状についてお伺いしたいと思います。
○浅野政府委員 全体の物の考え方でございますので、私から答弁をさせていただきます。
 各国の国防費の定義とか範囲が必ずしも明らかではないものですから、我が国の防衛関係費と各
国の国防費を単純に比較することは、通貨換算を行う場合に、その方法をどこをどういうふうにとるかというような問題もございまして、大変難しい点がございます。
 あえて我が国の防衛費と各国の公表している国防費をドル換算した上で、単に金額だけを比較することではなくて、実態の比較に当たり、より適当と思われる購買力平価を用いて欧米先進主要国と比較をしてみますと、一九九五年度の我が国の防衛関係費は、アメリカ、イギリス、フランスを下回るものとなっております。
 欧米諸国においては、冷戦時の厳しい軍事的対峙を前提として構築されていた戦力の再編や合理化が行われておりますけれども、その一方では、アジア・太平洋地域においては、冷戦終結後も依然として核戦力を含む大規模な軍事力が存在しておりますし、多くの国々が経済力の拡大などとあわせて軍事力の拡充、近代化ということに努めております。そうした中で、我が国においては、独立国として必要最小限度の基盤的防衛力を保有するとの考え方で、節度ある防衛力の整備に今後とも努めていく必要があろうか、そんなふうに考えております。
○熊谷(市)分科員 ちょっとこの資料は、お持ちになっていると思いますけれども、今、予算的な面からいろいろお聞きしたわけであります。今度は、兵力の配備というか、各国のそういう比較したもの、これは私もいただいたものを参考にさせていただくわけでありますが、日本の周辺諸国、北朝鮮あるいは韓国、それから中国、台湾、さらには極東ロシア、そういう国々の兵力というものを見ましても、これはもう隊員の数から艦艇それからいろいろな正面装備、そういう面からしても問題にならないくらいの違いというものがあるわけで、数字的な面で一概に比較できない、機能的な、質的なものもあるということは十分私もわかっておりますが、常識から考えて、てんでこれは問題にならないんじゃないかな、こういう実感を持つわけであります。
 したがって、このことについてどうかということもお伺いしたがったわけでありますが、時間がかなりたっております。こういういわゆる貧弱な防衛力というか、私からすれば貧弱な防衛力というふうに言わざるを得ないわけですが、そういうことからして、いろいろな国際間の問題に対するさまざまな対応の中で、日本という国がどうも頼りがいのないというか、弱腰な面があったり、主権国としてどうなんだろうかというような疑問などもあるわけであります。
 一つは、今いろいろ問題になっている尖閣列島なりあるいは竹島の問題、きのう、おとといあたり、これは新聞でもかなり堂々と一ページに大きく報道されております。いわゆる領土権というものに対する、やはりこれは人間の本能からして非常に敏感な、そして重要な感情なり認識なりというものを示していくということになるわけで、尖閣列島にしても、あるいは竹島にしても、本当に問題は、地図の中で見たらどこにあるのかという、顕微鏡で見なければわからないようなものであるけれども、領土ということになると、これは違うんですね。
 そういうことからして、いろいろ新聞紙上でも出ているように、日本の固有の領土だということを言いながらにして、本当にそのことが相手に伝わっているのかどうか、相手もまたこの島はうちの島なんだという主張をしているわけですね。どっちがどうなのか、全然その見当がつかないということになるわけですが、この竹島なり尖閣諸島の領土権というものに対して、きょうはせっかく外務省からもおいでいただいておりますので、そのことについての認識を再確認しておきたいと思います。
○大島説明員 ただいま、尖閣諸島、竹島の領有権の問題でございます。
 改めまして申し上げるまでもないかと思いますけれども、尖閣諸島につきましても、日本の固有の領土である、明治二十八年でございますので既に百年たっているわけでございますが、沖縄県に編入をされまして、以後日本が合法的かつ有効に支配を続けているということでございます。サンフランシスコ条約後沖縄返還まで、南西諸島の一部ということで尖閣諸島につきましては二十年間直接支配はできないという事態はありましたけれども、返還後今日に至りましても有効に支配されている。先ほど御言及のありました、昨日、一昨日のいわゆる抗議船の来襲に対しましても……(熊谷(市)分科員「済みませんが、詳しいことはわかりますので、日本の領土として認めているかどうかということだけ聞いておるわけです」と呼ぶ)そういうことで、有効に支配し、国際法上も歴史上も疑いのないという確固たる姿勢を持っております。
 同じ問題は、竹島につきましても同様でございます。
○熊谷(市)分科員 間違いのないという確認のお答えをいただいたわけですが、だとすれば、例えば竹島にはもう既にレーダー基地であるとかあるいは警備隊の宿舎とか、そういう施設までつくっているわけですね、韓国では。これはだれが許してつくったのですか。なぜそういう状態が起きてきたのでしょうかね。これはお答え、難しいわけですか。もしわかっておったら、ひとつ。
○大島説明員 竹島につきましては、戦後一時期占領下にありました時期に、日本が直接的な支配を及ぼすことができない期間がありました。その間に、韓国の漁民等が移り住むというようなことがございまして、その措置がさらに実力でもって固められていくという、我々としては大変に遺憾な事態がございました。その後、国交正常化交渉の過程を通じ、この問題については非常に毅然たる姿勢で臨んでまいりましたことは、御案内のとおりであります。その後もあらゆる機会に、ハイレベルも含めまして、申し入れを重ねてきておるということでございます。引き続きこういう態度で臨みたいと思います。
 もちろん、一方、こうした領有権の問題というものはよほど慎重に対応することもございますので、そういった全般的な両国間の関係ということももちろん配慮するわけでございますけれども、引き続き粘り強く外交的な対応を続ける、こういう姿勢で臨んでまいりたいと思っております。
○熊谷(市)分科員 ひとつ毅然とした形で、主権国らしく、主張するところはするという形で、これは積極的にお取り組みをいただきたいというふうに思います。
 そういうことがうやむやになっているという形の中で、今、漁業関係ですね、これは領海権というものも含まれて、双方の考え方に違いがあるということで、大変なトラブルが起きているわけですね。これは漁民などもえらい損害を受けているわけでありますが、この漁民の韓国あるいは中国から受けている損害というものを、かいつまんでひとつ水産庁にお答えいただきたいと思います。
○海野説明員 漁具の被害の問題でございます。
 韓国漁船によります漁具の被害は、まず北海道周辺、平成七年、韓国トロール船による沿岸漁具の被害が、全漁連の調べによりますと、九十七件で被害金額が六千三百万円でございます。また、平成七年の西日本周辺水域における韓国底びき網トロール漁船における沿岸漁具の被害は、同じく全漁連の調べによりますと、七百九十六件で被害金額が四千五百万円となっております。
 他方、中国漁船による漁具の被害でございますが、中国漁船の方は主に西日本周辺水域で漁業を行っております。その被害は、長崎県漁連によりますと、平成七年には二件で、被害金額は六十二万円ということになっております。
 以上でございます。
○熊谷(市)分科員 大変な被害、損害を受けているという実態が今の数字でもありありであります。その領域で漁業をなさっている日本の漁民は、暴走族に荒らされて、それに対して何らの対応もできないという日本の実態を見ながら、非常に悲しい思いでこの現実というものを見守っていると思います。さらには、早く漁業協定というものを結んでほしいという切なる叫びも、漁民の間から、
本当に血の出るような叫びの中から出されているわけであります。
 過般、与党三党の方針の中では、これら韓国なり中国との漁業協定というのは九年度中には何とかするというような方針というか考え方も出しているわけでありますが、果たして今年度中にこの漁業協定なるものが見通してできるのかどうか、その辺、外務省なり水産庁の考え方をお尋ねしたいと思います。
○大島説明員 韓国、中国との新しい漁業協定を締結する交渉は、現在も精力的に進めております。連立与党三党から、昨年、一年ぐらいをめどに交渉を完結すべしという申し入れを受けております。政府としてもこれを重く受けとめて、全力をもって取り組んでおるところでございます。
 韓国との間につきましては、現在のところ、協定案文を日本側から提示をいたしまして、条文ごとの協議を行う、こういう段階に差しかかってきております。ただ、幾つか一致が見られつつある点もありますが、なかなか難しい点も一、二残っておりますので、こういった点を含めまして見通しについてはなお予断を許しませんが、私どもとしては、十分に国内の意見、漁業者の利益、それからもちろん国連海洋法条約の趣旨等も踏まえながら、できるだけ早くこの協定締結を完成させたいということで、最後の努力を傾けたいと思っております。
○熊谷(市)分科員 水産庁も以下同文というふうに解釈してよろしゅうございますか。何か変わった考え方、見通しがありますか。
○海野説明員 水産庁といたしましても、基本的に同じ考えでございますが、特に漁業関係につきましては、我が国の排他的経済水域内で本年一月からTAC制度を実施しておりますので、その完全な適用をしていくためにも、日韓、日中間でさらに協議を行い、海洋法条約に則した新たな漁業協定ができるだけ早い時期に締結できますように一層努力してまいりたいと思っております。
○熊谷(市)分科員 時間が終了しましたというメモが今入ったのですが、政府委員としておいでになっている外務省と水産庁、午前中というお願いで来たので、一つだけ肝心なことでお伺いしたいと思います。
 そのように、なかなか交渉事というのはうまくいかない、そしてまた、漁民なり国民からすれば非常に歯がゆい気持ちでいると思うのですが、言うならば弱腰というか、積極的に強力にできないというその日本外交の背景の中に防衛力という問題が一体あるのかどうか、私は、やはりこれは決して関係ないというものではないと思うのですね。防衛力が貧弱だからなめられているという一面も確かにあるのじゃないかという気がするのですが、このことについて、一言だけ外務省からお伺いしたいと思います。これは政府委員としての立場から非常に難しい質問だと思いますが、差しさわりない範囲で結構でございますから、お答えいただきたいと思います。
○大島説明員 私の方から今の御質問にお答えすることは必ずしも適当でないのかもしれませんけれども、申し上げるまでもないと思いますけれども、外交といいますものは国力全体を背景に進めるべきものでございまして、防衛力ということだけでなく、あらゆる意味での日本の持っている力というものが当然外交の背景になってくる。これは日本だけでございません、世界共通のことだと思いますので、そういうことで、私どもは国益の実現に向けていつも努力をしたい、こういうふうに思っております。
○熊谷(市)分科員 若干時間が超過して申しわけありませんが、午前中の分はこれで終わりにさせていただきます。午後、またよろしくお願い申し上げます。
○根本主査 午後一時三十分から本分科会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時十六分休憩
     ────◇─────
    午後一時三十分開議
○根本主査 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。熊谷市雄君。
○熊谷(市)分科員 前段、午前中は、防衛力の強化というものが極めて大事だという確認を深めるためにいろいろお尋ねをしてまいりました。
 そこで、もう一点これに関連して、日米安保にかかわる問題として、日米防衛協力のいわゆるガイドラインというものが今いろいろ検討、作成されていると思います。来月の半ばごろには中間報告が出されるのではないか、そういう形の中で進められているようであります。
 その中で、一点確認をしておきたいと思います。シーレーンの防衛というものが極めて大事な柱になるものではないか、こんなふうに認識をしておりますが、この点について、防衛庁のお考え方をひとつお伺いしたいと思います。
    〔主査退席、滝主査代理着席〕
○浅野政府委員 航行の安全の確保は、四面を海に囲まれた我が国にとって死活的に重要でありますから、日米防衛協力に欠かせない基本的な課題だと考えております。
 ただ、指針の見直しにつきましては、現在中間取りまとめ、さらにこの秋を目途とした作業の最終的な取りまとめに向けて検討中でございまして、その内容が確定しているわけではございませんので、現時点で具体的に申し上げることは差し控えさせていただきたいと存じます。
○熊谷(市)分科員 今の段階ではそういう答弁であろうと思いますが、ひとつ抜かりのないような慎重な対応をお願い申し上げておきたいと思います。
 それから、きのう財政構造会議の企画委員会のまとめというものができ上がって、総会においても検討された内容がけさ一斉に新聞で報道されたようであります。それによりますと、防衛費についても思い切った見直し、削減をするというような方針が出されたようであります。
 具体的な内容を見ますと、中期防衛力整備計画について、厳しい財政事情を踏まえた量的縮減目標を設定し、本年度中に見直す。二つ目としては、集中改革期間中の防衛関係費については思い切った抑制を行う。これは人件、糧食、そういった物件費的なものなども節減をする、抑制をするという考え方のようであります。さらには、装備品の調達補給体制の合理化、効率化で調達価格の抑制など、取得改革に努める、こういう内容。さらには、SACO関連事業については着実に実施をする。要約すると四点ぐらいの内容になると思います。
 先ほど前段に私も、国家の威信あるいは国民の主権者としての自覚、そういう立場を確保するにおいて防衛力の強化というのは欠かせないものだと、いろいろなお尋ねの中から確認をさせていただいたわけであります。さらには、今申し上げましたように、日米間の協調体制、二国間の関係というものをよりよい形で堅持をしていくということからすれば、防衛力というのは強化こそすれ、これを後退させるということでは決して国益というものに結びつかないのではなかろうか、こんな感じがしてならないわけであります。
 今申し上げました財政構造会議の中で云々されている考え方について、防衛庁のお考えをお伺いしたいと思います。
○浅野政府委員 今御指摘のような点は防衛庁といたしましても十分踏まえて、防衛力整備につきましては我が国の安全保障上の観点と経済財政事情等を勘案して節度ある整備を行うことが必要だという政府の方針を踏まえて、真剣に検討してまいります。しかし、中期防の所要の経費は、人件費、糧食費、教育訓練費等、自衛隊を組織してまいります、維持運営していくための経費として、財源が一般会計国費のみでもございますし、既に必要最小限度の切り込みの中で中期防を決定させていただいております。
 その縮減等に当たりましては、例えば公共事業の長期計画といったような、その時々の経済財政事情に基づく政策判断に応じて、目標を伸ばしたり縮めたりというようなことが比較的柔軟にやり
やすい分野と一概に同列に論ずることはいかがなものかと考えてもおりますので、政府の方針の中でぎりぎり精いっぱいの真剣な検討をさせていただきたいと考えております。
○熊谷(市)分科員 今次官が申されましたように、内部的にもそういう余地がないという実情のようでありますし、さらには、前にも申し上げましたが、国防という性格からして一般の事業というものと同列に考えるというものではないというふうに私は認識しておりますので、そういったことについては十分に、防衛の必要性、役割、任務、その立場から、誤りない対応をなさっていただくようにお願いを申し上げておきたいと思います。
 次に、これは私のきょうの本論にしたいところだったわけでありますが、前段で時間を大分食ってしまったわけでありますけれども、基地周辺対策について、これからいろいろとお尋ねをしてまいりたいというふうに思っております。
 基地というのは国防上非常に大事なものであるということは、言をまたないわけであります。ただ、その基地というものが、それを有している地元にとってはいろいろな面でえらい迷惑をかけていく、生活なりあるいは生産行動についても支障を来している、そういう形が多くなっているわけであります。それに対していろいろ手当てを施していくというのが周辺対策ではなかろうかなというふうに私なりには思っておりますが、この周辺対策事業そのものをどういう目的なり性格で行っておられるのか、改めてお伺いしたいと思います。
○浅野政府委員 防衛施設を安定的に使用させていただいていくためには、防衛施設と地域社会との調和を十分図りながら、周辺地域住民の生活に及ぼす影響をできるだけ少なくするように配慮させていただいていくことが重要であると認識しております。
 このため、防衛庁におきましては、防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律などがございまして、これらの法律に基づきまして、防衛施設の設置、運用に伴って生ずる障害の防止、軽減のためには、障害防止事業や、特に住宅防音事業、民生安定助成事業などの諸施策を鋭意講じさせていただいているところでございます。
 しかし、日ごろ努力はさせていただいておりますけれども、防衛施設周辺地域においては、防衛施設が周辺地域の振興開発の推進や環境保全等に支障があるのではないかというようなさまざまな基地問題が提起されておるのも事実でございまして、防衛庁といたしましては、これまで以上に防衛施設と周辺地域との調和への努力が必要であると認識させていただき、一層の努力を傾けさせていただいてまいる所存でございます。
○熊谷(市)分科員 かなり多面的というか多岐にわたった形で予算というものを配分しながらおやりになっているというふうに思うわけであります。そういうことからして、現在の基地周辺対策費なるものが十分に、潤沢に供給されているのかどうかということもまた問題になってくると思いますが、その辺いかがでしょうか。
○諸冨政府委員 御指摘のように、いろいろと財政状況の厳しい中でございますが、私どもは、やはり基地の安定的使用というのが一番大事なことであるということで、周辺の住民あるいは市町村からの御要望に対しましては、精いっぱいの努力をさせていただいているところでございます。
 一応、数字的な点で申し上げますと、現在、私ども平成九年度予算では、大体事業ベースで千六百十六億程度の基地周辺対策費を計上してそれぞれの基地所在市町村の御要望にできるだけこたえさせていただいている、こういう状況でございます。
○熊谷(市)分科員 千六百億という金額、これが大きいか小さいかということは、また内容によってくるのではなかろうかな、こんなふうに思うわけでありますけれども、国の予算としては一千何百億という額になりますけれども、これが関係市町村に配分されてくると、非常に微々たる額というふうに言っていいかどうかわかりませんが、そう大きな金額にはならないという実態があるわけです。
 例えば、宮城県の王城寺原演習場を抱える関係三町村の予算というものが、総額にして六年度では五億七千万ぐらい、七年度になってくると五億五千六百万ぐらいというふうになります。これは、今申し上げましたように三町村に分配されるということになるし、それから、その一町村当たり一つの事業ではなくて四つかあるいは五つぐらいのそれぞれの事業にまた再配分されるというふうになってくると、非常に小単位の金額というふうに事業からすればならざるを得ないという実態があるようであります。
 例えば、道路関係の整備に対する費用などを見ましても、額が小さいということで一年に数百メートルぐらいずつ何年も継続してやるというような、そういう対応をせざるを得ないような形になってくるし、全体的に見ると、予算の効率化ということからすると合理性に欠けている面も多分に出てくるのではなかろうかな、こんなふうに思うわけであります。
 もちろん、今申し上げましたように予算そのものの制約が出てくるということと、それから、それぞれの市町村からたくさんの、多種多様な要請が出てくるという実態の中で対応するわけでありますから、そういう形はやむを得ないのかなというふうにも思うわけでありますけれども、何かこれから、そういう細切れ配分という形ではなくて、もっと効率を上げるような方法があってしかるべきではないかなと思うわけであります。
 その点、そういう地元の実情というものを考えて、これからどのように対応すればいいかということで検討していることがあったら、ひとつお聞かせいただきたいと思います。
○諸冨政府委員 先生御指摘のように、地元からのいろいろな、多種多様な御希望に対して限られた予算の中で対応していくわけでございまして、御指摘のような面があることは私ども承知しております。
 しかし一方では、私どものいわゆる基地対策経費は、一〇〇%国が負担するものではなくて、一部地元負担がございます。したがいまして、そういう地元の各市町村の財政状況等も踏まえながら実施していくわけでございますので、先ほど道路の御指摘等ございましたが、そういうことについても、一応地元のそういう計画に沿って、できるだけ地元の要望を取り入れつつやらざるを得ない面がございまして、そういう数百メートルというようなところで若干御不満な点もあることは否定できませんが、一部地元負担、あるいは用地買収に時間がかかるとか、そういういろいろな事情等も一方ではございます。
 もちろん、予算の効率的な使用ということを考えますと、いたずらに時間をかけてやればいいというものではございませんが、あくまでもそういう地元の一部負担、それから、一方ではできるだけ地元の企業といいますか、地元発注というのも一応私ども基地対策として考えておるところでございまして、余り関係のないといいますか、中央から大手企業が行って大きな注文をどんどんとるというやり方よりも、地元にございます企業にできるだけ受注をしていただきたいというような気持ちもございます。
 そういう点をいろいろ考え合わせながら、できるだけ効率的な予算の使用に取り組んでおる、こういう状況でございます。
○熊谷(市)分科員 いろいろな制約があると思いますが、基地を抱えているということは、例えば沖縄のあの問題、悩みというもの、本土の中の一つの仕事として基地というものを抱える、こういう形になると思いますので、そういう点では十分にひとつ御配慮いただいて、手厚い、適正な予算措置をしていただきますように御要望申し上げておきたいと思います。
 次に、地元としては、今度米軍がやってくるということについていろいろ不安というものを持っているわけであります。今までも自衛隊と合同で演習をしたという経緯は何回かあるわけでありますが、米軍単独で演習をするというのは今度初め
てのことでもあるということで、いろいろ沖縄で起きているような問題なども憶測の中に入れながら心配をしているという実態があるわけであるし、言うならば、住民が今度の射撃場の移転問題に対して反対をしたという大きな理由の一つもそういうところにあるわけであります。
 したがって、今まだ具体的な訓練計画というものが示されていないというところにまた地元でも不安を抱えている。久間長官がああいう一つの方針を出してから久しいわけでありますが、その後何ら具体的なものが見えてこないということで、地元の人たちは不満に思いながらいろいろ心配もしているということなので、早めにやはりそういうものは出して、不安の解消に当たるべきではないかな、こんな感じもしているわけです。訓練計画というものが具体的にどういうふうに進んでおるのか、場所とか、それから訓練の規模であるとか、そういうことについて今米側と交渉中であるということも篤とわかっているわけでありますが、現段階で見通しがどうなのかということでお尋ねしたいと思います。
○諸冨政府委員 現在、まさに先生御指摘のように、訓練計画についてアメリカと事務的に調整をしておる段階でございます。私どもは、今年度中に、五カ所の演習場のうち、大体一回十日ぐらい、それで四回、年度内に四回やるということで、昨年の八月、米側と調整済みでございます。したがいまして、地元の御了解を得たのが、実は最終的には五月の連休中でございまして、それ以降、現在、どの場所でどういう時期にどの程度の人員というようなところを検討しながら、米側と早急に結論を出したい、一日も早く沖縄における負担を本土の五つの演習場で御負担いただきたいということで、今、米側と調整中でございまして、もちろん、調整のめどが立ち次第、地元の方には御連絡を差し上げまして、演習の整々とした実行に向けて、今後とも地元の方の御理解、御協力をお願いしたい、このように考えておるところでございます。
○熊谷(市)分科員 できるだけ早目に、そういう連携というか緊密化を図りながら、ひとつ対応していただきたいというふうに思います。
 それで、今までの絶対反対だという形から、これは不本意ながらというか、あるいは場合によってはやむを得ないというか、そういう形の中で、移転されるというものを前提に置いて、地元ではその対応をどうするかという方向に考え方が変化してきていると思いますね。
 それで、宮城県などでは、王城寺原演習場対策連絡会議という会議をつくって、これは県サイドの中ででありますが、関係する部局であるとかあるいは警察であるとか、そういう構成の中で、言うならば米軍が来た場合に問題が起こらないようにどうするか、そして地元民が今一番不安に思っているものをどう解消するかということで、前向きに検討する機関としてこういう会議などが設定されたわけですね。
 今回は一番最初という段階でもあるし、最初というのは非常に肝心なことであるし、これはやはりスムーズに、米軍のこの移転というものが何ら支障がなかったという形をつくらないとこれからも大変だというふうに思いますので、そういうことからすると、今一番大事な時期ではないかな、こんなふうにも考えているわけであります。
 こういう県サイドの対策連絡会議というものの中に、もう一つは、住民も参加するという形が出てくれば、これは本当に申し分のない機関というか、協議機関になるのではないかな、こんなふうに考えております。どうか、防衛庁としても、そういう地元の対応のあり方というものについては、非常にいい方向に流れるように、善導していただくというか指導していただくというか、そういう対応をぜひお願いをしたいというふうに思っておりますが、何かそのことについてのお考えがあったらお聞かせいただきたいというふうに思います。
○諸冨政府委員 去る五月十九日に、王城寺原演習場におきます米軍の実弾射撃訓練の実施に関しまして、県の対策の連絡調整を行い、県民の生活の安全と福祉の向上を図るということで、県庁内に宮城県王城寺原演習場対策連絡会議というのが設けられ、その後、五月二十六日に、こういう実施に関しまして諸対策の協議及び関係機関との連絡調整を行い、地域住民の生活の安全と福祉の向上を図るために、県の副知事、三町村長で構成されます王城寺原演習場対策協議会という、この二つの連絡会議及び協議会が設置されておるということは、もう先生御承知のとおりだと思います。
 私どもも、こういう形で国側と地元の県及び関係市町村の間で緊密な連絡を保ちながら、訓練の実施が整々と行われるように、これからもこういう形で何とか御支援をいただきたいというふうに考えておるところでございまして、今先生御指摘の、個々の住民の方という御意見もあろうかと思いますが、これは私どもも、局あるいは事務所を通じまして、いわゆる町内会長さんであるとかあるいは農業協同組合、こういう関係の方々とのいろんな連絡調整については密に連絡しながら、地元の御要望あるいは御不満等をよくお聞きして実施をしていきたいというふうに考えておりますので、今後とも、ぜひ御理解のほどお願い申し上げたいと思います。
○熊谷(市)分科員 基地対策というか、演習場問題については、一番やはり、防衛庁と県と市町村の連携というものが極めて緊密になっているという形が非常に大事であるし、さらには、住民とのコミュニケーションというか、そういう形も極めて大事じゃないかな。そういういい形をつくりながら、やはり基地の運営というものが今後スムーズにいくような、そういう方向にぜひ持っていきたいというふうに願っておるし、我々も、国会議員という立場からそういう点に一生懸命汗を流していきたいな、こんなふうに思っておりますので、ひとつ万全を期してお取り組みをいただくようにお願いを申し上げておきます。
 ちょっとだけ時間があるようでありますが、私は今度のこの基地対策について、いろいろの経験をさせていただきました。その中で、特に感銘を受けたというか、感心したことが一つあるわけですが、施設局の職員、職員といっても部長さんですが、昨年の夏ごろだったでしょうか、この移転の問題が具体化されたときから、もうせっせとその地元の集落に足を運んで、地元住民との話し合いというものを本当に一生懸命やっていたようであります。今度、米軍が来るということに対して、その必要性はこういう必要性からなんだということなり、国防の問題、防衛の問題、絡めながら、日米安保というものがいかに大事であるかということを極めてわかりやすくお話をされておった。住民も非常にそれを信頼して、あの部長さんということでかなり尊敬をしておったようであります。そういう素地があって、私が乗り込んでいって一つの部落、三十五戸あるのですが、三十五戸から全部賛成の署名をいただいたということにもなるわけでありますが、そのように、職員の方々が地元の人たちと極めて密接なコミュニケーションをつくっておるということの大事さをしみじみ痛感いたしましたので、これなどもいい例にして、これから基地対策に取り組んでいただきたいということを御要望申し上げて、時間でございますので、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
○滝主査代理 これにて熊谷市雄君の質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして防衛庁・防衛施設庁所管の質疑は終了いたしました。
    ─────────────
○滝主査代理 これより外務省所管について審査を行います。
 まず、概要説明を聴取いたします。高村外務政務次官。
○高村政府委員 平成六年度外務省所管一般会計歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 歳出予算現額は八千四百七十七億七千八百八十五万円余でありまして、支出済み歳出額は七千百
九十九億千七百四万円余、翌年度繰越額は千二百二十三億一千八百九十四万円余、不用額は五十五億四千二百八十七万円余であります。
 歳出予算現額の内訳は、歳出予算額七千百十億七千四百八十二万円余、前年度繰越額千百八十億三千五百七十八万円余、予備費使用額百八十六億六千八百二十四万円余であります。
 以上、平成六年度の外務省所管一般会計の決算につきまして、その概要を御説明申し上げました。
 何とぞ、よろしく御審議のほど、お願い申し上げます。
 平成七年度外務省所管一般会計歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 歳出予算現額は八千六百三十八億八千七百三十九万円余でありまして、支出済み歳出額は七千四百六十一億七千三百九十二万円余、翌年度繰越額は千百二十八億二百五十二万円余、不用額は四十九億千九十三万円余であります。
 歳出予算現額の内訳は、歳出予算額七千四百十五億六千八百四十五万円余、前年度繰越額千二百二十三億千八百九十四万円余であります。
 以上、平成七年度の外務省所管一般会計の決算につきまして、その概要を御説明申し上げました。
 何とぞ、よろしく御審議のほど、お願い申し上げます。
○滝主査代理 次に、会計検査院の検査概要説明を聴取いたします。会計検査院深田第一局長。
○深田会計検査院説明員 平成六年度外務省の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
 次に、平成七年度外務省の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
○滝主査代理 この際、お諮りいたします。
 お手元に配付いたしております決算概要説明等のうち、ただいま説明を聴取した部分を除き、詳細な説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○滝主査代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
   平成六年度外務省所管一般会計決算に関する概要説明
                外 務 省
 平成六年度外務省所管一般会計歳出決算につきまして、その概要をご説明申し上げます。
 歳出予算現額は八、四七七億七、八八五万円余でありまして、支出済歳出額は七、一九九億一、七〇四万円余、翌年度繰越額は一、二二三億一、八九四万円余、不用額は五五億四、二八七万円余であります。
 歳出予算現額の内訳は、歳出予算額七、一一〇億七、四八二万円余、前年度繰越額一、一八〇億三、五七八万円余、予備費使用額一八六億六、八二四万円余であります。
 次に、支出済歳出額の主なものは、経済協力の一環として、青年海外協力隊派遣、開発調査、センター協力、機材供与、保健医療協力、農林業協力、産業開発協力、開発協力、専門家養成確保等の事業、アジア諸国等の開発途上国に対する経済開発援助及び国連開発計画等の多数国間経済技術協力のための拠出等に要した経費四、九八一億二五〇万円余、エネルギー対策のため国際原子力機関に対し同機関の憲章に基づく分担金及び拠出金として三七億三、九二一万円余並びに各種国際機関に対する分担金等として五三二億三八六万円余であります。
 次に、翌年度繰越額について申し上げますと、財政法第十四条の三第一項の規定による明許繰越のものは一、二〇三億四、一八六万円余でありまして、その内訳は、外務本省施設費八億五、六六五万円余、経済開発等援助費九〇五億八、三一七万円余、食糧増産等援助費二七八億七、六〇六万円余、在外公館施設費一〇億二、五九七万円余及び財政法第四十二条の規定による事故繰越のものは経済開発等援助費一四億七、七〇七万円余、食糧増産等援助費五億円であります。
 不用額の主なものは、経済協力費の項で、経済開発等援助費を要することが少なかったこと、国際分担金其他諸費の項で、国際機関分担金を要することが少なかったこと、並びに国際協力事業団事業費の項では、国際協力事業団交付金を要することが少なかったこと等のためであります。
 以上、平成六年度の外務省所管一般会計の決算につきまして、その概要をご説明申し上げました。
 何とぞ、よろしく御審議のほど、お願い申し上げます。
    ─────────────
   平成七年度外務省所管一般会計決算に関する概要説明
                外 務 省
 平成七年度外務省所管一般会計歳出決算につきまして、その概要をご説明申し上げます。
 歳出予算現額は八、六三八億八、七三九万円余でありまして、支出済歳出額は七、四六一億七、三九二万円余、翌年度繰越額は一、一二八億二五二万円余、不用額は四九億一、〇九三万円余であります。
 歳出予算現額の内訳は、歳出予算額七、四一五億六、八四五万円余、前年度繰越額一、二二三億一、八九四万円余であります。
 次に、支出済歳出額の主なものは、経済協力の一環として、青年海外協力隊派遣、開発調査、センター協力、機材供与、保健医療協力、農林業協力、産業開発協力、開発協力、専門家養成確保等の事業、アジア諸国等の開発途上国に対する経済開発援助及び国連開発計画等の多数国間経済技術協力のための拠出等に要した経費五、二九四億四、二八六万円余、エネルギー対策のため国際原子力機関に対し同機関の憲章に基づく分担金及び拠出金として三八億二、四五六万円余並びに各種国際機関に対する分担金等として三三八億八、六〇一万円余であります。
 次に、翌年度繰越額について申し上げますと、財政法第十四条の三第一項の規定による明許繰越のものは一、一二八億二五二万円余でありまして、その内訳は、外務本省施設費一〇億三、五一九万円余、経済開発等援助費八五一億四、九六五万円余、食糧増産等援助費二六一億六、四〇〇万円余、在外公館施設費四億五、三六七万円余であります。
 不用額の主なものは、経済協力費の項で、経済開発等援助費を要することが少なかったこと、外務本省の項で、退職手当を要することが少なかったこと、並びに在外公館の項では、職員諸手当を要することが少なかったこと等のためであります。
 以上、平成七年度の外務省所管一般会計の決算につきまして、その概要をご説明申し上げました。
 何とぞ、よろしくご審議のほど、お願い申し上げます。
    ─────────────
○滝主査代理 以上をもちまして外務省所管の説明は終わりました。
○滝主査代理 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松浪健四郎君。
○松浪分科員 松浪健四郎でございます。
 外務省関係のことについて質問させていただきますのは初めてでございます。この機会を賜りましたことを心から厚くお礼申し上げます。
 昨日、関西国際空港の目の前に田尻町という町がございますが、その町に国際交流基金の関西国際センターが完成し、その開所式が行われました。この施設は、諸外国から、外交官やジャーナリストを初め、優秀な人材を集め、そこで日本語の習得、研究をしてもらうという施設でございます。
 過日、私たち新進党の国会議員団と、東京にございます各国の大使館員の懇談会がございました。驚いたことに、そこに出席されました外交官の皆さんは、流暢な日本語で我々と会話を交わすことができました。私は感心いたしましたが、その多くは、この国際交流基金の話学研修のプログラムで日本語を磨いたということであります。
 外交というもの、あるいは国際交流というもの
は、何やかんやいいましても、言葉ができるかできないか。私も外国で長いこと生活してまいりましたが、日本語という言葉は特殊な言葉であり、外国人からすれば、もしかすれば難しい言葉ではないのか、つまり外国人に対して普及のしがたい言葉に、言語になってはいないのか、私自身、そういう認識を持っておりますけれども、まず高村次官に、日本語は外国人からすれば難しいとお思いなのか、易しい言語だとお思いなのか、そのことをお尋ねしたいと思います。
○高村政府委員 きのう、英国大使とお会いして、日本語はぺらぺらなのですけれども、私が、日本語は世界で一番易しい言語だからと申しましたら、漢字が一体幾つあるのだと反論されました。
 二十八文字のアルファベットを覚えれば、文字としてはそれでいい国の方から見れば、日本語というのは大変難しい言語であるというのが客観的なところではないかと思っております。
○松浪分科員 そこで、我が国政府は、近代化を進めていく上において、明治以来、先進国の言語を学び、そしてその文献を読みあさり、我々はいろいろな情報や知識を身につけてきた、これが我が国の学問研究の礎であったような気がしますけれども、これをいつまで続けるのか。日本語は難しいから、外国の人たちに理解してもらうのはもう困難であるがゆえに、我々が逆に外国語を学べばいいではないか、この一方通行に陥り過ぎていたのではないのか。
 私の申したいのは、もちろん我々日本人も諸外国の言葉を勉強しなければなりませんけれども、同時に、私たちのこの言語を、つまりこれは日本文化であるわけですけれども、これも諸外国の人たちに身につけていただきたい、学習していただきたい、そういうふうに思わなければならない。けれども、政府の今までの文化協力、経済協力のあり方から見たときに、どうもその考え方が欠落していたのではなかったのか、弱いのではないのか、そういう気がするのですが、次官はいかがお考えでしょうか。
○高村政府委員 欠落していたとは思いませんが、十分であったかどうかと言われれば、反省する点もありますので、政府としても、これからますますそういう方面でも取り組んでまいりたい、こういうふうに思います。
○松浪分科員 そこで、国際交流基金の存在というもの、ちょっとJICAの後ろに隠れて、それほど目立たないわけですが、この文化交流、人物交流、語学の研修というもの、これは大変重要だと思っているのです。それゆえにもっともっと交流基金に力をつけてもらいたいし、外務省が応援しなければならないし、行動を活発にしていっていただきたい、こう思います。
 きのう、この関西国際センターが、立派な施設でオープンしましたけれども、あそこにぽつんと一つ、国際交流基金の施設ができた。
 言うまでもなく、私たちの社会は都市化し、高齢化し、情報化し、そして国際化している中でもっと国際化を進めていくのならば、JICAなどのODAの援助も、この国から出ていくということと同時に、人材を育成するという上において、諸外国からもうちょっとたくさんの人を受け入れるべきではないのか。そして日本の場合、生活をしていく上においていろいろなものが高い。そこで、民間レベルでは非常に難しいし、そのことは留学生の数が横ばいであるということも如実に教えてくれているところですが、国であるならばもっとたくさんの優秀な外国人を迎え入れることができる、そのように思っております。
 そこでお願いしたいことは、あそこにぽつんと、そういった交流基金の施設だけにとどまらず、ODAのあり方として、人物を、人材をこの国に招き入れ、日本語であるとか高度な技術であるとか、いろいろなものをこの国で研修させるということに本気になっていただきたい、こういうお願いがございますが、いかがでしょうか。
○高村政府委員 基本的に目指す方向とすれば、委員のおっしゃることはまことにもっともなことだ、こういうふうに思っております。
 これは政府だけがやってもだめでして、例えば留学生にしても、日本に来て学べばその将来が、損得で言ってはいけませんけれども、得をするんだよ、将来が開けるんだよ、こう多くの人が思えるような日本全体の社会をつくっていかなければいけないと思いますし、政府としてもそれについて具体的にやらなければいけない点というのはいろいろあるのだろう、こういうふうに考えております。
○松浪分科員 次官から前向きの答弁を賜りましたので、安心しております。
 私自身も三年間、国際交流基金を受けてアフガニスタンという国に行きました。そこで教育と研究に従事させていただいたわけでございますが、そのアフガニスタンがここ数日来、大変な変化を来しているということを伺っております。
 五月二十五日以来、タリバーンという勢力が全土を制圧しつつある。今現在、アフガニスタンの状況がどうなっているのか、外務省がどこまで掌握をしているのか、お教えいただきたいと思います。
○登政府委員 先生御承知のとおり、昨年の秋以来、アフガニスタンにおきましては、タリバーンがカブールを制圧して他の三派を地方の方に追いやっていたわけでございますが、その三派の中で最も軍事的にも強力だと伝えられておりましたドスタム将軍のドスタム派の中で、先週、五月十九日でございますけれども、仲間割れがございまして、その中の有力な将軍がタリバーン派に寝返ったということから一気に反タリバーンの勢力の力が弱くなりました。そこに乗じて、タリバーンがドスタム派の本拠地であるマザリシャリフに侵攻いたしまして、そこからドスタム将軍を駆逐したというのが現状でございます。
 同じようにタリバーンに抵抗しております他の二派、すなわちハリリ派ともう一つの、マスード将軍が残っておりますけれども、ラバニ派、この二派はまだタリバーンに対して、きょう現在では抵抗を続けておるというふうに私ども承知しております。
○松浪分科員 それで、大変な変化を来してタリバーンがどんどん攻撃しておる。ところが、小和田国連大使のアフガニスタンの和平に向けて日本が仲介に立つべきだという趣旨の演説があり、それに基づいて外務省が和平の仲介に立とうということで行われたと思いますが、わずか二カ月前にタリバーンを除いた三派を東京に招かれました。そのときにこの状況を外務省は予想することができなかったということなのかどうか、お聞きしたいと思います。
○登政府委員 先生今御指摘のとおり、三月に三派の代表を日本に招きまして、アフガニスタンの現状を十分日本政府としてお聞きして承知し、今後アフガニスタンの和平の促進のために日本として何ができるかということをいろいろと私たちもその三派の代表から聞いて学んだわけでございます。
 そのときに日本政府としては、停戦が一日も早く実現され、アフガニスタンの平和的な解決が実現されるように三派側の協力をお願いしたわけでございますけれども、三派の方からは、自分たちもそれを願っておる、そのために今後とも努力をしていきたいと。ただし、そのとき言っておりましたのは、タリバーンは軍事的には大変優勢である、四月になると雪も解けて、戦闘がさらにしやすくなるという状況になると、ますますタリバーンが勢力を強めてくるのではないかということはやはり恐れていることであるということは申しておりましたので、私どもも、四月あるいは五月になると軍事情勢が一層緊迫化するということは考えておりました。それを回避するためにも、一日も早く国連が中心になって和平の促進が必要だということを強く認識し、国連とも協調して、各派に対する働きかけをいろいろなそれなりの方法でやってきたわけでございます。
 そういう状況の中で、先週から今週にかけましてこういう状況になったということを、大変現状を心配して注視しておるところでございます。
○松浪分科員 外務省の認識が甘かったというふうに言われてもやむを得ないと思いますけれども、今回の外務省の失敗、つまり、タリバーンがやってこなかった。和平交渉では一番力のあるタリバーンをまず最初に招聘して話を聞かなければ成功しないということは、既にパキスタンが失敗をし、イランが同じように失敗をし、そして同じことを我が国外務省も失敗した。非常に認識が甘かった、私はこのように理解しておりますし、また、ある意味においてはやむを得ないという認識も私は持っております。なぜならば、局長よりも私の方がアフガニスタンのことについては詳しいというふうに私自身認識しておりますから、こういうこともあろうかと思うわけですが、しかし、政府として、アフガンに対していかなる基本政策を持たなければいけないか、それを持って臨むか、このことが大事だと思うのです。
 そこで、外務省の基本政策、我が国がアフガニスタンに対して持っている基本政策、これについてお尋ねしたいと思います。
    〔滝主査代理退席、主査着席〕
○登政府委員 基本政策と申しますと、私どもは、まず、アフガニスタンという国あるいはその地域が日本にとって大変重要であるというふうに認識しております。
 その理由は幾つかございますけれども、二つだけ例を挙げて申しますると、やはりアフガニスタンという地域はアジアと中東の接点でございまして、昔から、先生よく御存じのとおりシルクロードが通っておりましたし、そういう文化の交流の一つの発祥地でございます。そういう地で、一九七九年のロシア、旧ソ連軍の介入以来、アフガニスタンの国民の皆様が大変苦しい状況に置かれていたということは、国際社会の重要な一員であります日本としても看過できないことであるということから、アフガニスタンの和平のために微力を尽くしてきた次第でございます。
 二番目は、日本にとっての直接の意味合いは、やはりあの地域は、その奥に後背地としまして独立諸国家群、いわゆるCIS諸国がございまして、その国々は大変天然資源にも恵まれておるわけでございます。資源の大部分を海外からの輸入に依存せざるを得ない我が国といたしましても、この中央アジアの諸国の天然資源というのは非常に重要でございますけれども、それを効率的に、あるいはその地域で別な紛争が起きておりますイランあるいはイラクのあたりを経由しないで直接南に持ってくるということが可能であれば、それは我が国の資源政策の上からも非常に有意義であるということから、やはりそのちょうど中間点にございますアフガニスタンの安定というのは我が国の直接的な国益から考えても重要だということから、これを重視し、今まで申し上げてきたような基本的な方針で臨んできたわけでございます。
 より具体的には、まずこの紛争につきましては、紛争の一日も早い解決のために、先ほども御指摘ございましたけれども、国連における活動、それからさらには、タリバーンも含めた会合を東京で開催するということを日本はいち早くオファーしておりますし、さらに、その和平が達成しました暁には復興ということが大変重要でございます。その復興ということをあらかじめ、現在アフガニスタンで戦っている人たちにも復興の重要性を認識していただくということから、復興も念頭に入れた国際会議を開くことが必要だということを日本でも国連の場でも強く訴えております。
 先般、三派を日本に招きましたのもそういうものの準備ということでございまして、タリバーンが来なかったのは失敗でないかという御指摘がございましたけれども、私どもは、この四派を順次呼ぶということにしておりまして、実は昨年の二月にタリバーンの代表をいち早く日本に呼んでおります。今回はそれに続きまして他の三派を呼んだということでございまして、そのときの状況では、その後状況が許せば、将来、タリバーンも含めて他の派も徐々にまた順次日本にお招きしていろいろと意見交換をしようということを考えたやさきでございます。
 現在はこういう軍事情勢になりましたので、そういうことが直ちに可能かどうかわかりませんけれども、国連の特使、それから国連の特使の補佐官として、先生御存じのとおり政務官を一人日本から出しております。そういうルート、チャネルを通じて日本政府の考え方も十分各派に伝え、各派がこういう状況にもかかわらず、今残っておりますのは有力な派としてはラバニ派でございますけれども、あるいはこのラバニ派とタリバーンの会合というものが持たれるように日本としても側面から支援していきたいというふうに考えております。
○松浪分科員 今局長のお話を伺っておりますと、ラバニ派のマスード前国防大臣の勢力はまだ強いというふうに認識されているようですけれども、彼はパンジシールという限られた地域の中で閉じこもっておりまして、要塞のような地形になっておりますので、なかなか攻めていきにくい、そのかわりまた出ていきにくいという地域であります。
 ラバニ大統領ももう既に亡命したというふうな情報がありますし、ドスタム将軍もトルコに逃れたという情報が伝わってまいります。ということは、実質的にはタリバーンがおおむね全土を掌握しつつある。私は、間もなく、バーミヤンを中心にして活動しているシーア派のハリリ派、これらもタリバーンの手のうちに落ちるだろうというふうに踏んでおりますけれども、外務省はそのあたり、どのようにお読みでしょう。
○登政府委員 現実を見ますと、タリバーンの勢力が圧倒的な強さでアフガニスタン全三十一州のうち、タリバーン側によりますと二十五州ぐらいをもう勢力下におさめているということでございます。今先生御指摘のとおり、ラバニ派は確かに要塞のようなところへ立てこもっておってなかなかそこを攻めにくいということは、私どもまさにそう認識しております。
 しかし、ここまで流れが進んだ以上、これを軍事的にもとに戻すというのは、これはもう至難のわざであるということはそのとおりでございます。したがいまして、流れはタリバーンに大変有利に働いているということは事実です。しかしながら、そのタリバーンが最後まで軍事的に全国を制圧するということは、やはり追われたグループというのはゲリラ化する、あるいは周辺諸国の介入を巻き込みかねないということは十分予想されます。
 私どもは、そういうことではなく、今からでも何とか最終的な段階で和平という形で、タリバーンが優勢であるのですから、今度はタリバーンが中心となった和平交渉であることはそのとおりになると思います。何とか最終的に、軍事的な解決ではなくて平和的な解決を望みたいというふうに考えております。
○松浪分科員 私たちは近代教育を受け、そしておおむね我々の常識というもの、国際感覚というものは先進国のそれと同一である、私はそのように認識しておりますが、我々の発想の物差しを、イスラム諸国、とりわけイスラム原理主義でもって国を治めようとする人たちに当てはめるということは我々の予想を裏切ることになるかもしれませんので、外務省に言っておきたいことは、あらゆるケースで対応できるように柔軟な形で身構えていただきたいということであります。
 いずれにしましても、和平の仲介に立つということは非常にすばらしいことでありましたけれども、タリバーンがジャララバードを支配したそのときであるならば、なかなか世界的に好感を持たれてうまくいったかもしれませんけれども、これだけ力に歴然とした差があるということがわかった今日、もはや日本が和平の仲介に立って活躍するというのは、私は、残念ながら遅きに失した。
 しかも、そのことは、あのCIS諸国に天然ガスや油がある、そしてパイプラインの施設についてどうのこうのと国際的に言われてから日本が乗り出した。ちょっと遅かったなという印象を持っておりますが、いずれにいたしましても、この国の人々は日本に対して非常に好感を持っており、
一人一人の国民は親日的であります。一九七三年には、現在の天皇、皇后両陛下も訪れた美しい国であります。外務省は、見放すことなく、この国の推移を見守りながら、時期を見て最大の協力をお願いしておきたい、こういうふうに思います。
 そこで、コンゴ民主共和国ができた。いち早く南アフリカが承認をいたしました。そして、総理も、公式な発言ではありませんけれども、記者団の問いに対して、承認する方向である、こういうふうに素早く対応する姿勢を見せておられます。私は結構なことだと思っておりますけれども、タリバーンがこういう形でアフガニスタンを制圧しつつある。一番近くにある、隣接するパキスタンはいち早くこのタリバーン政権を承認しました。我が国は、どういう状況になればこのタリバーン政権を承認するのか、そのことをお尋ねしたいと思います。どういう状況になればということでございます。
○高村政府委員 先ほど、全土を掌握しつつあるとおっしゃいました。全土を掌握しつつある可能性は確かに強いんだろうと思いますけれども、また一部にそうでないところもある。全体を掌握するということがまず第一の要件だろうと思います。
 それから、政策的に、政策的にと言っても、そんなすべて日本がかなうようなということを言っているわけじゃありませんが、余りそれほどの、特にタリバーンに対して私たちが危険性を持っているということではなくて、一般的な要件で言えば、国際法を遵守するとか、そういったその二つの要件が一般的に言えば必要である。特に、今のアフガニスタン情勢は、まだ全土を掌握しているというところまで至っていない、こういうふうに考えております。
○松浪分科員 私の懸念しておりますのは、タリバーンのとっているイスラム原理主義、これでもってアフガニスタンを治めようとしている。我々の思考からすれば、我々も受け入れがたいし、危険なやり方である、こういうふうに我が国政府、外務省がとらえるのも無理からぬ話だと私は思っております。
 ところが、いろいろな勢力が群雄割拠し、乱れに乱れてまいりました。特に乱れているのは農業であります。不毛地帯となったアフガニスタンにありましては、農作物を植えるというよりも、ケシを植えたり大麻を植えた方がお金になるし、自分たちは豊かに生きていくことができる。また、残念なことに、大麻やケシが一番育ちやすい風土にあるのも確かなのです。
 ところが、これをやめさせようと思いますと、一時的には、女性の教育問題あるいは就労の問題など受け入れがたい問題はありますけれども、イスラム原理主義でそれらをやめさせなければいけない。教育の普及していない国にありましては、一時的には、我が国も、あの国の状況から推して、イスラム原理主義のタリバーンのやり方を容認する必要があると私は思っておりますけれども、局長、いかがお考えでしょうか。
○登政府委員 タリバーンがこの世の中に出てからまだ三年ぐらいでございまして、私どももその当初からこれは非常に注目すべき存在であるということを認識しておりまして、私どものところの課長レベル以下の人間が今までも何回か接触しております。そういう過程を通じて、タリバーンの物の考え方というのを正しく理解していこうというふうに考えております。
 御指摘のとおり、イスラム原理主義というのは、我々普通の日本人から見ますとなかなか理解しがたい、取っつきにくいという点もございますけれども、そういう主義がその国民の大宗の支持を得ているということであれば、私たちはそれはそれとして尊重して、先ほど政務次官から御説明のありましたとおり、全国的な支配それからさらには国際法遵守というような国際社会の仲間入りをするという条件と意図を表明されれば、私どもも正常な関係に入って、過去二十年間、戦争、内乱あるいはソ連の占領を通じて疲弊している国土を復興するために、日本との主義主張、考え、習慣、風習の違い等は乗り越えて、できるだけ積極的に協力していきたいというふうに考えております。
○松浪分科員 もう時間がございませんので質問できませんけれども、一つだけ、どうしても外務省の皆さんに理解しておいていただかなければならないことがあります。
 一九七八年の四月に共産革命が起こりました。その直前まで我が国政府がODAで援助をしておったのは、テレビの放送施設であります。テレビが放送されることによって、西側諸国のことが国民に知らされる、また西欧化していくということに、共産主義者また隣接する当時のソ連が危機感を覚え、そして革命が起こりました。日本政府が援助してテレビ施設をつくりましたけれども、それを使って最初に放送したのは、ソ連に後押しされた共産主義の人たちでありました。もしあの援助がテレビでなければ、革命がなかったかもしれないという可能性があります。ODAの援助は、その国民のレベルと社会とすべてをよく吟味された上で、国民たちに有効な形でお願いしたいということを最後に申し上げまして、時間が参りましたので、私の質問を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。
○根本主査 これにて松浪健四郎君の質疑は終了いたしました。
 次に、玄葉光一郎君。
○玄葉分科員 民主党の玄葉光一郎でございます。
 きょうは、ODAの構造改革の問題並びにそれに関する情報公開の問題について御質問をさせていただきたいと思います。
 最初に、政務次官が御出席でございますから、まず二言いただきたいというふうに思いますが、昨日、政府・与党の財政構造改革会議で歳出削減策の原案の報告がございました。それによれば、ODAは九八年度で思い切って抑制する、中期目標を廃止する、おおよそそんな内容だったのだと新聞報道で読ませていただきました。
 基本的に今求められることは、額が減ったとしてもそれを構造改革で補う、その姿勢が基本的に極めて大切だ、そのように考えております。仮に額が減っても、構造改革によって日本のODAの存在感を低下させない、場合によってはそれによって高めるということまで必要だというふうに思いますが、まず、政務次官御出席ですから、構造改革についての基本的な姿勢についてお伺いをしたいと思います。
○高村政府委員 今の財政危機の中で、ODAというのは日本の外交手段としても大変役に立っているわけでありますが、そのODAといえども聖域ではないというのは、これはいたし方のないことだと思います。
 そういう中で、まさに今委員御指摘のように、額が減ってもかえってより効果的にというのはなかなか難しいわけでありますが、それでも、量よりも質ということで、今までに負けない効果、金額単位にすれば今まで以上の効果を上げるということは、私たちが目指していかなければいけないことだと思いますし、そういった中で今、ODAというのは外務省だけでやっているわけではありませんが、できるだけ各省庁間で連絡調整をきっちりやって、むだがないように、そして相手国に対して本当に役に立つような援助、そしてそれがまた、情けは人のためならずということで、日本にとっても利益がある、そういったことを目指していかなければいけない、こういうふうに考えております。
○玄葉分科員 それでは、構造改革のあり方について幾つか申し上げたいと思います。
 まず一つは、一部被援助国が、ある意味では既得権益化しているのではないかというように見られてしまうことがございます。ちなみに、参考までに教えていただきたいのですが、例えばフィリピンの過去五年間ぐらいの無償資金協力というのはどのくらい行われているか、今手元に資料がありますれば、ここで教えていただきたいと思います。
○高村政府委員 九六年度が約百七億円でありま
す。その前の九五年度が百三億円、九四年度が百十五億円、九三年度が百六十六億円、九二年度が百四十六億円、大体そういうことであります。
○玄葉分科員 今のは政府委員でも結構ですから。
 ということは、過去五年間百億以上ということでございます。そして、どうやら順位を見ると、これはどうでしょうか、ほとんど一位じゃないでしょうか。それで、もちろんフィリピンというのは親日的な国でもありますし、私も連休中に参りましたが、これはもう貧困層が四割ぐらいいて、間違いなく大切な被援助国だというふうに思いますけれども、これだけの額が毎年毎年投じられて、しかも被援助国としてはずっとナンバーワンだというのは、これは幾らどう説明されても、既得権益になっているのではないかというふうにどうしても思ってしまうのですね。
 そこで、ODAの基本理念というのが幾つか挙げられております。その中の一つに自助努力というのがございます。これはもう外務省も何度も何度も強調される点でありますけれども、有償だったらわかるのですけれども、無償が五年ほとんど一位だというのは自助努力に反するのではないかという気持ちが私にはございます。
 ちなみに、調べましたら、インドネシアとかもこの五年間ぐらいずっと上位ですね、ずうっと上位です。ですから、私は、自助努力ということをもう少し重要視をすべきではないか、そのように考えておりますが、その点について、よろしいですか。
○高村政府委員 ずうっと一位であるから幾ら説明されてもわからぬと最初に言われちゃいましたので、説明する意欲がなえるわけでございすけれども、フィリピンに対する無償資金協力については、八六年二月のアキノ政権誕生を機に、フィリピンの民主化に対する支援の観点から、多国間支援構想のもと援助を強化しているわけでありまして、さらにその後、ルソン島大地震、ピナツボ火山噴火、レイテ島台風災害といった自然災害からの復旧のための援助を実施してきたことから、九三年度まで無償資金協力が増大していったという事情があったわけであります。
 そこで、一番最初に申し上げましたように、九三年が百六十六億ということで、九六年百七億と約三分の一減っているという、そういう事情がありながらも三分の一減っているということも見ていただきたいと、こう思うわけであります。九三年の百六十億というのはぶっちぎりの一位でありますけれども、今はほとんどベトナムなんかと、一位ではあるけれども肩を並べるところまで来ているわけで、また、その間のフィリピン経済が今すばらしいパフォーマンスを示していることを考えれば、この日本の援助というのは、その自助努力ともどもそれなりの効果を上げてきたと私は考えております。
○玄葉分科員 私は、有償、無償、技術協力一律削減というのにくみするものではございませんけれども、常に、これから構造改革をする際に、これはフィリピンの問題を私も行きましたので突っ込んで議論してもいいのですが、インドネシアにしてもこの無償部分もしっかり点検する、ある国は既得権益化していないかということについてしっかりと検証するということをぜひやっていただきたいのですね。これは、毎年毎年百億円以上援助するということになれば、当然相手国もそれを当てにした予算をつくります。私は、もちろん単純に、一位だから、額がこうだからと言うつもりはないのです。でもこれだけ続くと、確実にリストラしなくてはいけない部分が、きょうは突っ込みませんけれども、私はあると思っています。甘えを呼んでしまっているというのも私は事実だと思いますから、ここのところをしっかり検証していただきたいということが一つでございます。
 それともう一つ、今、既得権益化という言葉を使いましたけれども、その関連で申し上げれば、関係各省庁、外務省と合わせて十九省庁体制と言われていますけれども、関係各省庁の既得権益化という問題でございます。
 これは、先ほど政務次官も、我が省だけでODAを行っているわけではないというような発言がございました。先般、ある時期に外務大臣とも議論したことがございましたけれども、例えば技術協力は四つあって、そのうちの一つは各省庁独自予算というのを持っているわけでございます。九六年度の予算で千二百七十八億円という数字になっています。それで、先般局長に各省庁の過去五、六年の予算の推移というものを聞きましたらば、これは決して否定はなされませんでしたけれども、ほとんどODAの予算の伸びに比例して大体伸びているというところがある。また、同時に、JICAから各省庁に依頼して行う専門家派遣の配分比率もお聞きをしました。これは確かに、よく見ると若干工夫の跡はあるのですね。しかし、大同小異かなと言えないこともないと思うのです。
 これは古くて新しい問題だと思いますけれども、この政策の一元化という問題を今度の構造改革ではきちっとしないと、私は、もうODAに対する国民の目というのは非常に厳しくなるというふうに、むしろODAを大切に思うからこそ、そう申し上げたいというふうに思うのですね。
 きょうは政務次官がいらっしゃっておられますから、この政策の一元化の問題についてどのようにお考えになられるか、お伺いをしたいと思います。
○高村政府委員 先ほどの既得権益化の問題については、今までもそういうことのないようにやってきたつもりでございますが、これからも、委員から御指摘がありましたので、さらに厳しく見てまいりたいと思います。
 それで、今一元化の問題についてお尋ねがありましたが、外務省といたしましては、これまでも、ODA事業予算あるいは実績、事業内容に関し、外交政策との関連で政府全体のODAの規模、形態等を把握するとの観点から取りまとめを行ってきておりまして、これらを「我が国の政府開発援助の実施状況に関する年次報告」に掲載して公表しているわけであります。
 行政改革のもと、ODAの効率的、効果的実施に努力し、質の改善に努めていかなければならないという観点から、これまでも、円借款についての四省庁協議あるいは技術協力についての十九省庁間の連絡会議の開催等、関係省庁間の連携等努力してきたところでありますが、関係省庁間の連携にはなお改善の余地があると思われます。今後とも、外務省と他省庁との連携調整に向け、一層努力を強化していきたいと考えております。
 経済協力は我が国にとって重要な外交の実施手段であり、我が国の安全と繁栄を確保するために不可欠なものであります。援助の効率的、効果的実施の観点から、援助関係省庁を一元化する場合には、外交政策との整合性が確保できるよう、援助の政策、方針が外交政策の重要な一環として決定される体制を確保する必要があると考えております。
 ただ、一元化したとしても、実際の援助の実施においては、各分野における専門家の育成、適切なリクルート等の面から、依然として各省庁が有する人材、知見等を必要とする場合があることは変わりがない、こういうふうに考えております。
○玄葉分科員 例えば技協だけでも一千三百億円弱の外務省以外の各省庁独自予算があって、率直に申し上げて、十二分に外務省は把握をし切れていないというのが私は実情だというふうに思いますので、ここは本当に今度の構造改革では私はやっていただきたいと思うのです。
 ちなみに関連して申し上げますけれども、外務省とかJICAについては、例えば外務省は経済協力評価報告書、そしてJICAは事業評価報告書という形で外部に評価を報告をし、公表しているわけですけれども、これも縦割り行政の弊害、あるいは一元化がなされていない弊害でもあるのですけれども、他省庁の、いわゆる関係十八省庁の実態が、率直に申し上げて国民の目には届かないというのが今の実情かなというふうに思っています。
 きょうは決算ですから、この分科会は、文部、厚生、労働は所管でありますから、それぞれ、例えば労働省であれば、これは六年、七年の決算ですから、六年度が五十四億、七年度が五十四億、文部省は八年度が五百八十五億ですが、六、七と四百九十二、五百三十三億、厚生省は二十三億、三十九億というふうに六年、七年と使っているわけですけれども、その中身についてしっかりとした公表がなされていないというふうに思っています。それぞれ担当者の方に来ていただいているので、一言これについてございますれば……。
○播説明員 お答え申し上げます。
 先生おっしゃったまさにその額の技術協力を労働省はやってございます。私どもの技術協力というのは専ら人づくりでございまして、なかなか地味なものでございますが、その実施に当たりましては我々役人だけで済む話ではございませんでして、例えば日本にお招きして現場で実務をやっていただく、あるいは日本の現場で労働者を指導した、訓練をした方を派遣するとか、こういうことでございまして、我々役所だけでは済まない、企業あるいは場合によりますと労働組合の御協力も得なければできないODA、技術協力でございますので、我々といたしましては、何よりも国民の御理解を得るために先生御指摘のそういった、何をやっていくのか公開しておくということが必要であることは重々承知してございます。
 これまでも先生の御指摘の実施状況につきましては外務省にデータを提出しておまとめいただいてございますが、今後とも、そういう地味な形態である、しかも国民の御援助が必要だ、国民の御理解が必要であるということを肝に銘じまして、事業のありさまを国民に公開していくという点、心してまいりたいと思います。
○玄葉分科員 時間がありませんから、大変恐縮ですが、文部省、厚生省も来ていただいたのですが。要は、文部省にも厚生省にも申し上げたいし、これは外務省にも申し上げたいのですけれども、中身についてJICAとか外務省の報告書並みにしっかり公表するというふうに他省庁もぜひしていただきたいのです。
 これは率直に申し上げて、国民がこの中身について実態を調べるといったら、もうほとんど無理と言ってもいいぐらいの状況だと思います。さっき政務次官が連絡会をつくったという話ございましたから、その連絡会できちっと徹底していただいて、多分その連絡会もことしが初めてじゃないですか、ことしが初めてだと思うのですね。その辺の役割をきちっと、やはり外務省がリーダーシップをとってでも、あるいは政府としてきちっと取り組んで、他省庁分も同じぐらい公表するということをぜひやっていただきたい。これは本当は私は委員長に資料請求したいぐらいなのですけれども、私、ここで強く意見を申し上げておきますので、ぜひその点をお願いを申し上げたいというふうに思います。
 それと、これも構造改革の一環で申し上げますけれども、この間も外務委員会で議論したことがありまして、答弁をいただいていませんでしたのでお願いをしたいと思いますが、この各省庁別の体制の縦割りの弊害を除去するための一つの方策は、国別にきちっと援助計画プログラムをつくるということだと思います。一年に二つ三つつくっていることはわかっておりますけれども、率直に申し上げて、ピッチが遅い。これは、さまざまな問題があることも承知しております、例えば人の問題だとか、予算の問題だとか。ただ、私は、仮にほかの予算を削ってでもこのことについては重要視すべきだというふうに考えておりますが、いかがでありましょうか。
○高村政府委員 国別援助方針でありますが、これはそれぞれ縦割りの援助の中で、どうしたらその国のために最も役に立つかということでやっているわけで、ただつくればいいというものではなくて、本当にその国にとって役に立つものをつくるということですと、今のペースが現時点ではやっと、こういうことなのでありますが、委員からの指摘もございますので、内部的に、これは外務省だけでやれるわけじゃありませんけれども、さらに検討してまいりたい、こういうふうに思います。
○玄葉分科員 私、この行政監察結果というのを一読したのですけれども、ここにも平成七年の四月に既にしっかりと指摘されているのですね。
 例えば、我が国が最大の援助国になっている国は平成四年でもう既に十八カ国あって、これらの十八カ国の多くについては、経済・開発政策を進める上で、我が国の援助の方針、動向が大きな影響を及ぼすことになることから、国別の援助方針を早急に策定するということが監察結果にも出ているのですけれども、残念ながらまだ十分につくられていないというふうな状況なので、ぜひこの点お願いをしたいし、確かに政務次官がおっしゃるように、つくればいいというものではないと思うのですね。つまり、その中身が非常に問題だというふうに思っています。
 その中身のことについて、例えば、先ほども若干申し上げましたが、今私は一番大事だなと思っているのは、開発専門家というものを、これも急ピッチで養成をしていく必要があるなというふうに思うのです。できれば発展途上国ごとにしっかりと専門家がいる。つまり、当然ですけれども、自分の国の地域開発計画だってつくるのは大変ですから、これはしっかりとした専門家が常にその途上国を見ているという状況にないといけない。それが残念ながら、私は危機管理のペルーのときもそう思いましたけれども、結局、せっかくある程度専門家になったなと思ったら人事配置があったりしていなくなってしまう。それは人事配置があってもペーパーでは蓄積されると思いますけれども、しかし人的蓄積とは私は全然違うと思うのですね。
 ですから、国ごとにやはり開発専門家をつくっていくということは極めて大切だ。そういうところに予算を、むしろこういうところはふやしていくというふうにしていくべきだと思いますが、いかがでありましょうか。
○高村政府委員 委員の御指摘は極めて正しいのだろう、こういうふうに思います。
 ただ、在外公館の過半数が極めて勤務条件の悪いところにあるというようなことが一方である。また、専門家は確かに必要なわけでありますが、外務省の仕事の中では、スペシャリストとして幾ら優秀でも、やはりゼネラリストとしての素養もある程度備えていなければいけない。委員のおっしゃったことはそのとおりなんですけれども、それと一方にそういう事情もある。
 そのことを両方考慮しながら、できるだけ委員がおっしゃった方向で、的確な援助体制にできるように外務省としても努力してまいりたい、こういうふうに思います。
○玄葉分科員 きょうはちょっと総花的になってしまいますけれども、じゃ、中身をつくることに関連してもう一つ申し上げたいと思いますが、NGOの問題がございます。
 何で私がNGOに今強く関心を持っているかというと、ODAについて、例えばアメリカなんかは援助疲れもあるし、財政赤字削減だということで削減をしているのが現状だと思います。しかし、アメリカの存在感というのは、もちろん違う意味でのパワー、存在感というのがあるからだとは思いますけれども、もう一方で、やはりNGOがしっかりと各国で、実際の予算、いわゆるODA予算そのものは減ったとしてもNGOの実績があるということで、アメリカの顔がきちっと見える。アメリカはたしかODA予算の四分の一ぐらいの実績がNGOにあると思うのですね。
 もちろん今のNGOの状況は、例えば財政基盤が弱いとか歴史が浅いだとかいう実態は私も承知をしているつもりでありますけれども、しかし、だからということで放置しておいてはいけない。その基盤整備を進めるのも私は外務省の大切な仕事だろうというふうに思います。
 NPO法案の動きもあって今機運も高まっているわけでありますけれども、顔の見える援助にするために、このNGOの活動をどう外務省として
支えていくおつもりか、その点をお伺いをしたいと思います。
○高村政府委員 外務省としましても、NGOを開発の重要なパートナーとして位置づけて、NGOとの定期協議会の開催や調査団にNGO関係者を参団させる等を通じて、NGOとの間で広い意味での意見交換を積極的に行って、援助実施に当たってNGOの視点を反映させるべく努力しているわけであります。
 現地レベルにおいても、現地で活動しているNGOと意見交換を行う等しているところでありまして、政府としては、今後ともこうした努力を強化していきたい。委員の御指摘よくわかりますので、今までもしていたつもりですが、より一層そういう方面に力を注いでまいりたい、こういうふうに思います。
○玄葉分科員 今お答えいただいたように、私は、国別援助計画、プログラムをつくるときから、NGOはというふうに余り敬遠しないで、できるだけ広く参加できるような環境をぜひつくっていただきたいし、NGOに補助金を出していますよね、十億出していますけれども、この十億の使い方も、確かに財政当局からすれば、かなり縛りをかけて、これに使ってはいけません、これに使ってはいけませんというふうにおっしゃるのは私はわからないでもないのです。ただ、足腰が弱いときに足腰を強くするために実はその十億が使えないのですね。具体的にどういうことかというと、人件費に使えないとか、事前調査費に使えないとかですね。
 ですから、私は、これは決算で、本当はシビアにいろいろな問題を見ていかなければいけない委員会なんですが、逆に、このNGOは、育てるという観点で、柔軟性を持ってその補助金についても交付していくということは大事なことじゃないかなというふうに思うのです。もう終わりましたので、最後にこれは具体的にお聞きをしたいのです。これはもっと柔軟性を持って、やわらかく交付をすべきだというふうに思いますが、その点、どうでしょうか。
○畠中(篤)政府委員 NGOの活動を今後とも政府として支援していくことにつきましては、先ほど政務次官から申し上げましたとおりでありますが、その内容につきましては、先ほど御説明しましたNGOとの定期協議、連絡会、その他の場で、NGOからもいろいろ意見を聞きながら、毎年改善をしてきております。
 ただ、NGOはNGOとしての性格といいますか、そういったものもございますので、その辺のバランスも考えながら、今後ともNGOをパートナーとして育てていくという観点からいろいろ考えてまいりたいと思っております。
○玄葉分科員 これは、敬遠しているとは私は申し上げません。ただ、よりこっちから積極的に、本当に育てるという、ぜひ心からそういうふうに思っていただいて、アプローチをしていただきたいなというふうに思うのですよ。これはやはり、私もいろいろな関係者の方々から聞くと、しっかりとしたパートナーシップになっているかといったら、ちょっと疑問なんですね。ですから、ここは外務省の方でしっかりやっていただきたいというふうに思います。
 きょうは総花的になりましたが、一部、被援助国の既得権という指摘並びに他省庁、十八省庁の既得権という問題、あるいは情報公開という問題、あるいはNGOとの連携、そして国別プログラムという問題を指摘させていただきました。今ODAを見る国民の視線というのは、これは冷たいと言ってもよいのではないかというふうに思いますから、ぜひ思い切った、むしろ今の逆風を活用してリストラをするということで頑張っていただきたい。私たちも頑張らせていただきたい、そのように思います。
 終わります。ありがとうございました。
○根本主査 これにて玄葉光一郎君の質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして外務省所管の質疑は終了いたしました。
 これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。
 この際、一言ごあいさつ申し上げます。
 分科員各位の御協力を賜りまして、本分科会の議事を無事終了することができました。ここに厚く御礼申し上げます。
 これにて散会いたします。
    午後三時九分散会