第142回国会 本会議 第6号
平成十年一月二十八日(水曜日)
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  平成十年一月二十八日
    午後二時 本会議
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○本日の会議に付した案件
 平成九年度一般会計補正予算(第1号)
 平成九年度特別会計補正予算(特第1号)
 平成九年度政府関係機関補正予算(機第1号)
 地方税法及び地方財政法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 平成十年分所得税の特別減税のための臨時措置法案(内閣提出)


    午後二時四分開議
○議長(伊藤宗一郎君) これより会議を開きます。
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○議長(伊藤宗一郎君) 御報告することがあります。
 さきにノーベル化学賞を受けられ、特に院議をもってその栄誉をたたえた日本学士院会員工学博士福井謙一君は、去る九日逝去されました。まことに哀悼痛惜の至りにたえません。
 福井謙一君に対する弔詞は、議長において昨二十七日既に贈呈いたしております。これを朗読いたします。
    〔総員起立〕
衆議院は 化学の分野においてすぐれた業績をのこし さきにノーベル化学賞を受けられた日本学士院会員工学博士福井謙一君の長逝を哀悼し つつしんで弔詞をささげます
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○田野瀬良太郎君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。
 平成九年度一般会計補正予算(第1号)、平成九年度特別会計補正予算(特第1号)、平成九年度政府関係機関補正予算(機第1号)、右三案を一括議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます。
○議長(伊藤宗一郎君) 田野瀬良太郎君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。
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 平成九年度一般会計補正予算(第1号)
 平成九年度特別会計補正予算(特第1号)
 平成九年度政府関係機関補正予算(機第1号)
○議長(伊藤宗一郎君) 平成九年度一般会計補正予算(第1号)、平成九年度特別会計補正予算(特第1号)、平成九年度政府関係機関補正予算(機第1号)、右三案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。予算委員長松永光君。
    〔松永光君登壇〕
○松永光君 ただいま議題となりました平成九年度一般会計補正予算(第1号)外二案につきまして、予算委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 まず、補正予算の概要について申し上げます。
 一般会計予算については、歳出において、災害関係経費の追加、中小企業等金融対策関係経費、臨時福祉特別給付金のほか、義務的経費の追加など、特に緊要となった事項について措置を講ずるとともに、既定経費の節減並びに地方交付税交付金及び予備費の減額を行うこととし、歳入においては、特別減税の実施と租税及び印紙収入の減収等を見込む一方、前年度剰余金の受け入れを計上するほか、公債金及び特例公債金の増額を行うこととされております。
 この結果、平成九年度一般会計補正後の予算の総額は、歳出歳入とも当初予算に対し一兆千四百三十二億円増加して、七十八兆五千三百三十二億円となっております。
 特別会計予算については、一般会計予算の補正に関連して、国債整理基金特別会計、道路整備特別会計など十八特別会計において所要の補正を行うこととされております。
 政府関係機関予算については、国民金融公庫など四政府関係機関において所要の補正を行うこととされております。
 なお、一般会計及び特別会計において、所要の国庫債務負担行為の追加を行うこととされております。
 また、金融システム安定化のための措置に関し、一般会計予算総則において、新たに、預金保険機構に設けられる特例業務勘定及び金融危機管理勘定の借入金等について、それぞれ十兆円の政府保証限度額を定めることとされております。
 そのほか、別途、預金保険機構に対し、預金保険法の一部を改正する法律案の規定により七兆円、金融機能の安定化のための緊急措置に関する法律案の規定により三兆円、総額として十兆円の国債を交付することとなっております。
 この補正予算三案は、去る一月十二日本委員会に付託され、同月十四日三塚大蔵大臣から提案理由の説明を聴取し、十六日から質疑を行い、二十六日に質疑を終局し、本日討論、採決をいたしたものであります。
 質疑は、補正予算編成のあり方、我が国経済の現状認識と景気対策の必要性、特別減税等の景気対策と財政健全化政策との整合性、金融システム安定化対策のあり方、経済及び金融政策等に係る過去の政府答弁と新政策との整合性、貸し渋りの実態と対応方針、アジア通貨危機が我が国経済に与える影響、沖縄米軍基地問題及び沖縄振興策のあり方、阪神・淡路大震災の被災者に対する公的支援問題、政治倫理、公務員倫理のあり方等、国政の各般にわたって行われたのでありますが、その詳細は会議録により御承知願いたいと存じます。
 なお、本日、民友連及び平和・改革両会派の共同提出により、また、自由党から、それぞれ平成九年度補正予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議が提出され、五島正規君及び中井洽君からそれぞれ趣旨の説明がありました。
 次いで、補正予算三案及び両動議を一括して討論に付しましたところ、自由民主党を代表して石川要三君から政府原案に賛成、両動議に反対、民友連を代表して高木義明君から民友連及び平和・改革両会派共同提出の動議に賛成、政府原案及び自由党提出の動議に反対、平和・改革を代表して上田勇君から民友連及び平和・改革両会派共同提出の動議に賛成、政府原案及び自由党提出の動議に反対、自由党を代表して鈴木淑夫君から同会派提出の動議に賛成、政府原案及び民友連及び平和・改革両会派共同提出の動議に反対、日本共産党を代表して矢島恒夫君から政府原案及び両動議に反対、社会民主党・市民連合を代表して上原康助君から政府原案に賛成、両動議に反対の意見が述べられました。
 討論終局後、採決の結果、両動議はいずれも否決され、平成九年度補正予算三案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
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○議長(伊藤宗一郎君) 三案につき討論の通告があります。順次これを許します。原口一博君。
    〔原口一博君登壇〕
○原口一博君 私は、民友連を代表いたしまして、ただいま議題になりました平成九年度一般会計補正予算外二案につきまして、反対の討論を行います。
 本日、三塚大蔵大臣は、大蔵官僚の金融検査による汚職事件の責任をとって辞任いたしました。私は、今回の汚職事件は、単なる一部の官僚の不行跡という問題ではなく、長年にわたって培われた大蔵官僚の構造的な思い上がりと汚職であると思うのであります。景気の低迷や金融不安、橋本内閣の経済失政が相次ぐ中で、経済、財政のかなめにある大蔵省が長年にわたってこのような不祥事を平然と行ってきたことは、許されるものではありません。行政に対する国民の不信と怒りは限りなく大きいものがあり、深刻に受けとめるべきであります。
 今回、三塚大蔵大臣の辞任で一件落着とか、補正予算の成立がおくれるからとかといった次元の問題で処理されてはならないことを、私は強く申し上げておきたいと思います。(拍手)
 特に、橋本総理の責任は極めて重いものがあります。また、今回の事件の真相、構造を徹底的に解明し、再発防止に真剣に取り組まなければ、国民の行政に対する信頼を回復されないことを指摘しておくものであります。
 さて、補正予算に対する反対の第一の理由は、現在の深刻な景気の低迷、金融の不安にほとんど役立つことができず、不十分のきわみであるということであります。
 橋本内閣は、昨年来、消費税を五%へ引き上げ、特別減税を打ち切り、さらには国民医療費の引き上げ等によって九兆円にも上る負担を国民に押しつけたのであります。これによって、個人消費を中心に景気は急激に悪化し、株価下落が進行いたしました。
 さらに、株価下落が引き金になって、昨年十一月には三洋証券、北海道拓殖銀行、山一証券など大手金融機関の相次ぐ破綻が起こりました。これを背景に、内外の投資家からいわゆる日本売りが進み、大幅な円安、株安が加速したのであります。
 さらに、景気回復への道筋が見えない中で、金融機関の不良債権処理は進まず、貸し渋りにより中小零細企業は深刻な経営危機に立ち至っているのであります。デフレ経済の渦中に緊縮財政を進めてきた橋本内閣の政策の行き詰まりは、既に明らかになったのであります。(拍手)
 我々は、三兆円の所得税、住民税の恒久化、法人税率の引き下げ、有価証券取引税の廃止、土地住宅等の政策減税で合計六兆円規模の減税を要求してきておりますが、橋本総理はこれまで、財政改革の手を緩めることによって仮に多少の刺激が可能となったとしても、それはその手を引いた瞬間にむしろ経済はおかしくなってしまうというふうに述べられました。また、特別減税の財源が赤字公債であったことも御存じのとおりであります、この特別減税を継続するために赤字国債を増発し、地方財源を含めた消費税率を引き上げずにそのままでいき、さて、それで我が国の経済にはプラスがどこまで出るのでしょうか、私はより被害が大きいという気がしてなりません、この御発言は、昨年二月四日の総理の衆議院予算委員会での答弁であります。
 すなわち、総理は、所得税減税をやれば経済がおかしくなってしまうといったことを繰り返しておっしゃってきたわけであります。
 今回の補正予算案は、明らかに橋本内閣の政策転換であります。にもかかわらず、総理は、この経済失政に対して、きちんとした国民に対する謝罪と政策転換に対する明確な説明をなさっていないのであります。
 しかも、減税は、我々の主張とかけ離れた二兆円の一回限りの特別減税であります。これでは景気回復に大きな役割を果たすとは到底考えられません。しかも、余りにも遅過ぎるのであります。いわば証文の出しおくれであります。こうした補正予算の内容は、今の深刻な経済情勢に極めて不適切であります。
 第二に、今回政府が示した金融システム安定化対策は、預金者保護にとどまらず、金融機関の救済に公的資金を導入するという極めて納得のできない内容をはらんでいることであります。
 少なくとも、公的資金を投入するにしても、まず第一に金融機関の経営責任と行政の監督責任を明らかにし、かつ、不良債権や金融機関の経営内容などの情報開示を徹底することが大前提でなければなりません。
 そして、公的資金、すなわち国民の税金は、金融機関の破綻処理に伴う預金者保護のみに限定されるべきであります。しかし、政府の金融安定化対策のための緊急措置に関する法律案は、一般金融機関の優先株等を整理回収銀行が引き受けるスキームを含んだ金融機関救済のための法案であると言わざるを得ません。
 我々は、予算総則第七条二十五項に関して、預金保険機構による十兆円の金融危機管理勘定への借入金等の政府保証に係る記述を削除すべきことを主張いたしております。
 さらに、預金保険機構による借り入れ等の政府保証はできるだけスキームを単純化すべきとの観点から、「預金保険機構債券及び」の記述を削除することを要求いたし、私の反対討論を終わらせていただきます。(拍手)
○議長(伊藤宗一郎君) 西田司君。
    〔西田司君登壇〕
○西田司君 私は、自由民主党、社会民主党・市民連合、新党さきがけを代表して、ただいま議題となっております平成九年度補正予算三案に対し、賛成の討論を行います。
 今回の補正予算等は、財政構造改革を着実に推進する中で、当面の経済情勢に対する配慮を行うためのものであり、まことに時宜を得た適切な補正予算であると評価することができるものであります。(拍手)
 以下、賛成する主な理由を申し述べます。
 賛成の第一の理由は、今回の補正予算等においては、当面の経済情勢に対する配慮が行われており、緊急かつ真に必要な経費等をその内容としていることであります。
 税制面については、平成十年分の所得税、個人住民税等の二兆円規模の特別減税を行うこととしております。
 金融システム安定化のための措置についても、今後いかなる事態が生じても預金の全額保護が可能となる体制を整備するほか、金融危機の際の対応として、金融機関の発行する優先株等を一時的に引き受ける制度を設けることとしております。これらの措置に関し、三十兆円の公的資金を活用できることとしております。
 予算面に関しても、中小企業等の事業活動を支援するため、中小企業金融公庫等に新たな融資制度を創設することなどにより、深刻な貸し渋り問題に対応することとしております。また、事業規模約一兆円の災害復旧事業等の追加、さらには事業規模一兆五千億円の国庫債務負担行為の確保等を行うこととしております。
 これらの諸施策は、経済を下支えし、我が国経済の景気回復軌道への復帰に大きく寄与し、我が国経済の自律的な安定成長につながるものと確信をいたしております。
 賛成の第二の理由は、我が国財政にとって喫緊の課題である財政構造改革の推進を踏まえるものとなっていることであります。
 すなわち、今回の補正予算においては、平成八年度に発生した新規剰余金のうち、財政法第六条の純剰余金の二分の一を公債の償還財源に充てるため国債整理基金特別会計へ繰り入れるほか、その残余の額については、いわゆる特例的歳出削減措置の返済に充てることといたしております。
 以上申し述べましたように、私は、本補正予算が必要かつ不可欠なものであるとして賛成の意を表明するものであります。本補正予算を初めとするさまざまな取り組みなどが相乗効果をもって我が国経済の力強い回復をもたらすものであり、そのためにも本補正予算の速やかなる成立を期するものであります。(拍手)
○議長(伊藤宗一郎君) 西川知雄君。
    〔西川知雄君登壇〕
○西川知雄君 平和・改革の西川知雄でございます。
 私は、平和・改革を代表して、平成九年度補正予算案に反対の立場から討論を行うものであります。
 まず初めに、大蔵省をめぐる一連の不祥事について申し述べます。
 国民は、景気回復がままならない中で、リストラにおびえ、また生活防衛のために消費を抑制し、中小企業は金融機関の貸し渋りで資金繰りに大変困っている、これが今の日本経済の置かれている実情であります。
 そうした中、相次いで大蔵省、しかも銀行、証券会社を所管する部署の現役及びOBの官僚が接待におぼれ、収賄の容疑で逮捕される事態に至ったことは、言語道断、言葉もありません。金融検査部職員の場合、銀行側と共謀して検査を隠ぺいしたり、最高機密であるべき検査報告書を銀行側に横流ししたりと極めて悪質であり、公僕たる官僚にあるまじき振る舞いであります。
 こうした中では、政府が進める金融機関への公的資金導入など、到底国民の理解を得られるはずがありません。
 このたびの事件は、大蔵省の強大な権力を背景にした業界指導のまさに陰の部分が表面化したものであり、こうした状況を放置してきた内閣の責任は重大であります。本日の三塚大蔵大臣の辞任は、当然の結果であります。
 事は、三塚大蔵大臣の辞任で済むものではありません。平和・改革は、橋本内閣の責任を引き続き追及するとともに、徹底的な真相の究明に全力を挙げる決意です。加えて、政府に対して、公務員の綱紀粛正を徹底し、行政に対する国民の信頼回復に全力を挙げることを強く求めるとともに、早急に公務員倫理法を制定するよう主張します。
 以下、補正予算の主たる問題点並びに反対の理由を順次申し述べます。
 反対する第一の理由は、補正予算案の重要な柱である二兆円規模の特別減税は、余りにも遅く、またその金額も極めて少なく、景気対策としての効果はほとんど期待できないという点であります。
 我々は、昨年の通常国会において二兆円の特別減税を継続することを主張し、法案を提出したにもかかわらず、政府・与党はこれを一顧だにもせず、廃案といたしました。
 その後の日本経済がどうなったかといえば、特別減税の廃止と消費税率の引き上げ、医療費の値上げといった九兆円に上る国民負担増の影響、さらには金融ビッグバンを目前にしての金融システム不安の顕在化とアジア各国の経済危機が追い打ちをかける形で我が国を直撃し、緩やかな回復基調どころか景気後退状態になり、深刻な事態に陥ってしまったのであります。
 それを今回、橋本内閣は、一年おくれで我々が主張したものと全く同じ規模の減税を前提とした補正予算を組み、減税法案を提出いたしましたが、これは余りにも遅過ぎると言わざるを得ません。こうした橋本内閣の経済政策に対する認識の甘さ、反応の鈍さは、現在だけでなく将来の国民に対しても多大な損失をもたらすもので、橋本内閣の責任は極めて重大であると断じざるを得ません。(拍手)
 また、減税規模が二兆円と少ないこと、単年度限りの特別減税であり、来年度には再び増税となること、そして減税の効果が五月雨的にしかあらわれない仕組みであることなどから、景気対策としては余りにも不十分であります。我々は、特別減税は恒久減税として制度化するとともに、その規模は、所得税、法人税減税等を合わせて六兆円規模とすべきと考えます。
 減税に関してさらに問題なのは、橋本内閣が、昨年の臨時国会では、減税は景気対策として効果がない、景気対策として財政出動は行わない旨を再三にわたり公言していたものを、いとも簡単に政策を変更しておきながら、国民に対して何ら十分な説明も、一言の謝罪もないことです。しかも、みずからの経済失政にはほおかむりし、アジアにその責任を転嫁しようとする手法は、余りにも無責任、無節操きわまりありません。このような国民無視の対応には、日増しに国民の怒りが高まっております。
 第二の理由は、今回の補正予算が、政府の進めてきた財政構造改革路線を明らかに転換するものであり、政府の財政政策に一貫性がないということであります。
 昨年、橋本内閣は、我々の反対を押し切って、二〇〇三年までに特例公債の発行をゼロにすることを一つの柱とする財政構造改革法を成立させ、いわゆる緊縮財政路線を選択しました。ところが、今回の補正予算は、二兆円規模の特別減税を初め、約一兆円規模の公共事業を盛り込むなど、その考え方は財政出動そのものであります。また、平成十年度予算案を見れば、今回はまたまた大幅な緊縮路線へと逆戻りとなっております。
 さらには、額賀官房副長官がアメリカで、早期の平成十年度予算の補正が必要であると言ったという報道があったとか、自民党首脳が特別減税の継続や恒久減税化に言及したり、きわめつけは、財政構造改革法の二〇〇三年の目標年次の先送りを検討するとの発言があったりと、政府・与党の議論は全く迷走し切っております。企業、国民は、一体何を信じて行動すればよいのでしょうか。政府のふらふらした経済政策は、日本のみならず、世界からの信頼をも失うものであるということを総理は深刻に認識すべきであります。
 第三の理由は、一般の金融機関の優先株等を引き受けるため、公的資金を使うための財政的な手当てが予算総則の中に盛り込まれていることであります。
 別途、政府が法案として提出している金融機能の安定化のための緊急措置法案に基づく十三兆円規模の公的資金による優先株等の買い取りのスキームは、金融不安の解消という名のもとに、実際は銀行救済以外の何物でもなく、従来の護送船団方式そのものであり、金融ビッグバンとは全く矛盾するものであります。また、金融機関の経営にモラルハザードを引き起こしかねないと同時に、優先株等の購入に際しての審査委員会の審査基準も極めてあいまいであり、大蔵省の裁量はますます高まることになります。
 破綻金融機関の預金者保護のために限って公的資金を導入することについては、我々も主張してきたところであり、基本的にその方向性は容認できますが、一連の大蔵省と金融機関の腐敗の構造を見るにつけ、優先株等の買い取りを含む金融不安解消の名のもとでの金融機関救済に、どうして国民の血税を投入できるでしょうか。断固容認できません。私は、金融安定化法案は撤回し、それに関する予算措置を即刻削除すべきであることを強く主張するものであります。
 最後に、第四の理由は、緊要性に乏しい緊急米関連対策経費と称した、いわゆるウルグアイ・ラウンド対策経費が含まれていることであります。
 補正予算は本来緊要性のあるものに限定されるべきものであり、不要不急の政策経費については本予算においてまず計上するべきものであります。今回の緊急米関連対策経費は、従来どおりのウルグアイ・ラウンド経費以外の何物でもなく、三塚前大蔵大臣が補正ではやらないと再三言ってきたものであり、また財政構造改革法の公共事業抑制路線とも明らかに矛盾するものであり、削除されるべきものであると考えます。
 以上、主な反対の理由を申し述べましたが、最後に大蔵省の一連の不祥事の徹底的な究明を強く求め、私の反対討論を終わります。(拍手)
○議長(伊藤宗一郎君) 一川保夫君。
    〔一川保夫君登壇〕
○一川保夫君 自由党の一川保夫でございます。
 私は、自由党を代表いたしまして、平成九年度補正予算案及び関連予算に反対する立場から討論をいたします。
 平成十年を迎え、我が国の金融システムは崩壊寸前であり、信用収縮が倒産の多発を招くなど、恐慌寸前とも言える経済状況であります。国民は、今深刻な経済危機を憂い、金融不安、生活不安におびえているのであります。
 平成八年度に三・二%成長まで回復した日本経済は、景気、財政中立型予算が執行されれば、少なくとも四%に近い成長率となり、民需主導型の持続的成長軌道に回復したはずであります。
 しかるに、橋本内閣は、経済の見通しを誤り、我々の、財政再建のためにまず経済再建、日本経済を回復軌道に乗せるために減税という主張を全く無視して、特別減税の打ち切り、消費税率の引き上げなどの約九兆円の国民負担増を柱とするデフレ型の平成九年度予算を強行し、国民の夢と希望を打ちつぶしたのであります。
 その結果、九年度の経済成長率はほぼ〇%成長に落ち込もうとしております。これは、第一次石油ショック以来例を見ない三%以上の成長率の落ち込みであり、倒産多発、失業率上昇、超低金利持続に伴う金利・年金生活者の困窮、金融機関の破綻とそれに伴う預貯金、保険金の不安など、国民生活の安定は根底から脅かされているのであります。
 橋本内閣の失政は、日本国民に取り返しのつかない経済的ロスと苦渋をもたらしており、海外からも我が国に内需拡大を求める非難、批判が上がるのも当然であります。橋本内閣の無策、先見性のなさが今日の不況を招き、日本の権威を失墜させたのであります。
 橋本内閣の政治姿勢は、場当たり、先送りの連続でありまして、この補正予算案も欺瞞に満ち満ちております。
 以下、反対の理由を申し述べます。
 まず、国民不信の最たるものは、大蔵省金融検査部の不祥事であります。
 もとより、我が国の不良債権総額には内外から疑惑が持たれておりますが、このような贈収賄、なれ合い検査のもとで報告された不良債権額を一体だれが信用するのでしょうか。金融行政、銀行業界への信頼など、今や一かけらもありません。三塚大蔵大臣の辞任は当然であり、遅きに失しておりますが、大蔵大臣の辞任程度では行政への信頼回復などあり得ません。
 金融システムへの不安を解消するための第一歩は、事前指導型の裁量行政から事後チェック型のルール行政へと改革し、透明さを増して、市場の信頼を取り戻すことであります。つまり、問われるべきは橋本内閣の政治姿勢そのものであり、橋本総理のもとでは市場から信頼を受ける改革など到底不可能であることが改めて明らかになったのであります。
 場当たりの最たるものは、特別減税の復活であります。
 みずから招いたこの不況、金融危機に全く反省もなく、橋本総理は昨年十二月に特別減税の復活を突如表明いたしました。我々が昨年の通常国会に提出した特別減税継続法案を廃案にしておきながら、まさに支離滅裂であります。また、我々の幾度にもわたる減税要求を無視し続けながら、臨時国会が終了した直後に、しかも外圧によって減税を復活するなど、議会軽視、国民無視も甚だしい橋本内閣の体質は目に余るものがあります。
 我々の主張どおり特別減税を継続しておれば、この恐慌寸前とも言える経済状態は回避できたはずでありますが、今さら二兆円の特別減税復活では規模も小さく、本気で日本発世界恐慌を回避するのであれば、全く不十分であります。また、特別減税である限り、期限が来れば増税が待ち構えております。景気浮揚効果は期待できず、まさに増税予告つき減税であります。この特別減税と臨時福祉給付金は効果の少ないばらまき型景気対策であって、かえって財政を悪化させるのみに終わるに違いありません。真に景気への影響を考え、庶民の困窮を救うためであるならば、平成十年分特別減税は恒久制度減税とすべきであります。
 今回の特別減税は、税体系に対する理念、哲学もなく、まさに行き当たりばったりなものであって、無論、恒久化する際には最高税率の引き下げ、税率構造のフラット化、簡素化を実現し、すべての税率を引き下げて、抜本的な税制改革を行わなければならないのは当然であります。
 先送りの最たるものは、金融システム安定化策と称するものであります。
 銀行に優先株等を発行させ、公的資金により引き受けるのは、悪名高い護送船団行政の拡充強化でしかありません。市場原理という理念は看板倒れに終わり、国際世論から理解が得られるはずがないのは当然であります。安易な救済は金融機関の経営努力を怠らせるのみであり、総理により過保護にされた我が国の金融機関は、ビッグバンを迎えたときに再度深刻な危機に直面するに違いありません。まさに先送りであります。
 また、金融機関だけを救済するのはまことに不公平であり、モラルハザードは銀行だけではなく、日本全土に蔓延するに違いありません。
 大蔵省金融検査部と銀行業界の癒着に見られるような政官業癒着の構図、事前指導型行政が改まらない限り、公的資金による金融機関救済は、まさに盗人に追い銭であります。
 橋本総理はこの補正予算と関連法案によって力強く景気が回復してくると述べられましたが、金融危機のそもそもの原因は景気の悪化であります。つまり、橋本国民負担増内閣が不況を深刻化させているのであり、金融危機の拡大を抑えてみても不況はおさまりません。金融対策にたとえ三十兆円を積んでみても、早期是正措置を弾力運用しても、その抜本的解決にはならないのであります。
 抜本的な景気対策が、今この際必要であります。橋本総理の九兆円国民負担増が今日の経済危機を招いたことが明白である以上、九兆円と同程度の減税により、自律的な景気後退のメカニズムに歯どめをかけなければ景気回復はありません。金融機関救済のために三十兆円を用意するのではなく、そのほとんどを景気対策、中小企業対策、真に必要な公共事業対策等を積極的に推進する経費につぎ込むべきであります。
 橋本総理は、金融機関の不良債権処理は着実に進んでおり、住専、信用組合の破綻処理以外には税金は使わないと述べ、財源を特例公債に求めなければならない減税は実施できないとたびたび答弁してこられたはずであります。政治の最高責任者の発言がこれほどにころころと変わっていては、政治に信頼など生まれるものではありません。
 そもそも、ここまで景気が悪化し、いかなる政策も評価されない事態が生じているのは、橋本総理自身の信用が失墜しているからであります。もはや橋本内閣にはこの経済危機に対する能力も責任も持ち合わせておらず、橋本内閣の編成する予算にあすの日本に対するビジョンを見出すことなど全く不可能であります。
 以上、補正予算及び関連予算に反対する理由を述べ、私の討論を終わります。(拍手)
○議長(伊藤宗一郎君) 木島日出夫君。
    〔木島日出夫君登壇〕
○木島日出夫君 私は、日本共産党を代表して、九七年度一般会計補正予算外二案に対し、反対の討論を行います。(拍手)
 反対の最大の理由は、本補正予算が、預金保険法一部改正法案、金融機能安定化緊急措置法案と相まって、当初予算の約四割、三十兆円という巨額な公的資金を銀行業界支援のためにつぎ込む仕掛けづくりのかなめの役割を担おうとしていることであります。
 橋本総理は、住専処理のための六千八百五十億円の税金投入が厳しく問われた一昨年の国会において、金融機関の破綻処理は金融システム内の負担により賄われるのが原則、住専処理と信用組合の破綻処理以外に税金投入はしない、税金を使うのはこれが最後と繰り返し明言しました。これは、橋本政権の国会と国民に対する重大な公約であります。本補正予算がこの公約を乱暴にじゅうりんするものであることは余りにも明らかです。国民に信を問うことなしに公約をほしいままにねじ曲げることは、議会制民主主義に対する許しがたい挑戦であり、断じて容認できるものではありません。
 一昨日、東京地検特捜部は、大蔵省金融検査部室長ら二人の大蔵官僚を収賄容疑で逮捕しました。第一勧業銀行、あさひ銀行、三和銀行、北海道拓殖銀行に対する大蔵検査の検査日や対象店舗を事前に漏えいしたり、問題のある融資を見過ごすなどの便宜を図った見返りとして、飲食などの接待を受けたというのが容疑事実であります。金融検査が不正を隠ぺいする場となっていたというゆゆしい事件の発覚であります。
 三十兆円の公的資金をつぎ込むのは、銀行業界の抱える多額の不良債権を早期に処理して、金融システムを安定化させるためだというのが橋本政権の基本的立場でしたが、今回の事件は、大蔵省から公表された銀行の不良債権額それ自体の信憑性を根本から失わせるものであり、まことに重大であります。投入される公的資金額と公表される不良債権額とは密接不可分の関係にあることを考えれば、この問題の真相の徹底的解明なしに本補正予算の審議を終結させることができないことは明らかです。
 私は、この問題の解明を初め、政官財の醜悪な癒着にまともにメスを入れようともせず、極めて短時間の委員会質疑のみで本補正予算の議決を図ろうとする政府・自民党の暴挙に対し、厳しく抗議するものであります。(拍手)
 政府の公約破りの口実の第一は、三十兆円のうち十七兆円は金融機関の破綻に対する預金の全額保護のためだ、今、税金を投入してでも預金を全額保護しなければ、国民の金融システムに対する信頼を回復することはできないというものであります。
 しかしながら、政府・大蔵省は予算委員会の質疑の中で、我が党議員の質問に対して、金融機関が、全体として見た場合、不良債権に対する十分な償却財源を持っているということをはっきりと認めました。預金保険機構に対する金融機関の保険料率がアメリカの三分の一の水準であること、大銀行ほど利益に対する保険料負担率が低くなっている実態も明らかとなりました。
 今起こっている金融機関の破綻は、金融機関みずからが引き起こしたバブルの不始末の結果であります。その穴埋めをする力が金融業界全体としてはあるというのですから、金融業界共同の負担と責任で後始末をするのは当たり前のことではありませんか。
 銀行業界の自己責任の原則を貫かせるどころか、逆に税金投入で銀行を支援しようというのでは、我が国金融業界の無法な体質を温存、助長し、金融システムに対する内外からの不信をますます拡大させるだけではありませんか。
 政府の公約破りの第二の口実は、三十兆円のうち十三兆円は銀行業界の体力増強のためであり、それによって銀行に対するBIS規制、自己資本比率八%をクリアし、中小企業に対する貸し渋りを解消させるということであります。
 しかしながら、こんな身勝手な理屈はありません。今全国各地で引き起こされている大銀行の貸し渋り、資金回収は横暴きわまるものでありますが、政府・大蔵省は、これに対してまともな指導もせず、事実上野放しにしてきたことが、予算委員会の審議を通じて明らかとなりました。
 金融機関が本来果たすべき公共的責任は、資金を求める企業に対して必要な手当てをきちんとすることであります。みずからの不始末でつくり出した不良債権のおもしのために、この基本的な責任を全うすることができない、税金の助けをかりなければ国際基準を達成することができないということ自体、金融機関の存在理由をみずから否定することでありませんか。
 結局、十三兆円もの公的資金を投入しようとする本当のねらいは、世界的規模で行われている巨大銀行間のマネーゲームの中で、巨額の利益をほしいままにすることができる巨大な多国籍銀行を国民の税金で支援しようということにほかなりません。
 阪神大震災の被災者の公的支援を求める叫びに対しては振り向こうともしない政府が、大銀行のためには国会と国民に対する公約も投げ捨てて恥じない、こんな逆立ちした政治を認めるわけにはいきません。
 本補正予算に反対する第二の理由は、本補正予算が、米軍による沖縄県の県道越え実弾射撃演習を本土に移転、拡張するための追加経費を含むSACO関係経費七十二億円を計上していることです。
 既に、北富士、矢臼別、王城寺原では実弾演習が行われ、二月には東富士での演習が計画されています。これら米軍による実弾演習が、地元住民の平穏な生活を脅かしているだけでなく、米軍が我が国周辺地域で起こす軍事行動に対し、国民総動員の後方支援体制をしこうという新ガイドラインの先取りとなっていることが重大であります。SACO関係経費は、その財政的なてこの役割を果たすものにほかなりません。
 本補正予算には、一回限りの二兆円の特別減税が盛り込まれています。今日の深刻な不況は、政府が強行した九七年度一般会計当初予算による九兆円もの国民負担増、一九二九年大恐慌時のアメリカのフーバー大統領による世紀の大失政にまさるとも劣らない橋本内閣の大悪政によるものであることは明らかであります。
 深刻な不況打開のためには、二兆円所得減税を継続、恒久化すること、消費税率を三%に戻して五兆円の即効性のある減税措置をとること、社会保障制度や労働法制の改悪をやめて、国民の将来の所得、雇用、健康、生活への不安を取り除くことなどが求められています。そのためには、大銀行、大企業の利益第一の橋本自民党政治の根本からの転換が必要であり、日本共産党はそのために全力を挙げて奮闘することを表明して、反対討論を終わります。(拍手)
○議長(伊藤宗一郎君) これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
○議長(伊藤宗一郎君) 三案を一括して採決いたします。
 三案の委員長の報告はいずれも可決であります。三案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(伊藤宗一郎君) 起立多数。よって、三案とも委員長報告のとおり可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
○田野瀬良太郎君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。
 内閣提出、地方税法及び地方財政法の一部を改正する法律案、地方交付税法の一部を改正する法律案、右両案を一括議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます。
○議長(伊藤宗一郎君) 田野瀬良太郎君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。
    ―――――――――――――
 地方税法及び地方財政法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(伊藤宗一郎君) 地方税法及び地方財政法の一部を改正する法律案、地方交付税法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。地方行政委員長加藤卓二君。
    〔加藤卓二君登壇〕
○加藤卓二君 ただいま議題となりました地方税法及び地方財政法の一部を改正する法律案及び地方交付税法の一部を改正する法律案につきまして、地方行政委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 まず、両案の要旨について申し上げます。
 地方税法及び地方財政法の一部を改正する法律案は、当面の経済状況等を踏まえ、個人住民税について平成十年度限りの措置として定額による特別減税を実施するとともに、その減収額を埋めるため、地方債の特例措置を講じようとするものであります。
 次に、地方交付税法の一部を改正する法律案は、地方財政の状況にかんがみ、今回の補正予算による国税の減収に伴う地方交付税の減少額について、当初予算に計上されました地方交付税の総額を確保するため、平成九年度分の地方交付税の総額の特例として、二千二百二十一億円余を地方交付税の総額に加算する措置等を講じようとするものであります。
 以上の両案につきましては、去る一月二十三日本委員会に付託され、上杉自治大臣からそれぞれ提案理由の説明を聴取しました。
 昨二十七日両案について質疑に入り、本日質疑を終了いたしましたところ、地方税法及び地方財政法の一部を改正する法律案について、日本共産党からこれに対する修正案が提出され、原案及び修正案については、採決の結果、修正案は賛成少数をもって否決され、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 次いで、地方交付税法の一部を改正する法律案について、採決の結果、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上、御報告いたします。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(伊藤宗一郎君) 両案を一括して採決いたします。
 両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(伊藤宗一郎君) 起立多数。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
○田野瀬良太郎君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。
 内閣提出、平成十年分所得税の特別減税のための臨時措置法案を議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます。
○議長(伊藤宗一郎君) 田野瀬良太郎君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。
    ―――――――――――――
 平成十年分所得税の特別減税のための臨時措置法案(内閣提出)
○議長(伊藤宗一郎君) 平成十年分所得税の特別減税のための臨時措置法案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。大蔵委員長村上誠一郎君。
    〔村上誠一郎君登壇〕
○村上誠一郎君 ただいま議題となりました法律案につきまして、大蔵委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、当面の金融経済情勢に対応するため、平成十年分の所得税について、定額による特別減税を実施するものであり、その額は、本人について一万八千円、控除対象配偶者または扶養親族一人について九千円の合計額としております。ただし、その合計額が、その者の特別減税前の所得税額を超える場合には、その所得税額を限度としております。
 その実施方法は、給与所得者については、平成十年二月一日以後最初に支払われる主たる給与等に対する源泉徴収税額から特別減税額を控除し、控除し切れない部分の金額は、以後に支払われる主たる給与等に対する源泉徴収税額から順次控除することにより実施し、最終的には、年末調整の際に精算することにしております。また、事業所得者等については、原則として、平成十年分の所得税として最初に納付する平成十年七月の予定納税額から特別減税額を控除し、控除し切れない部分の金額は、第二期の予定納税額から控除することにより実施し、最終的には、確定申告の際に精算することにしております。
 本案は、去る二十三日三塚大蔵大臣から提案理由の説明を聴取した後、質疑を行い、同日質疑を終局いたしました。
 次いで、本日佐々木陸海君から日本共産党の提案に係る修正案が提出された後、採決いたしましたところ、修正案は否決され、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(伊藤宗一郎君) 討論の通告があります。順次これを許します。佐藤茂樹君。
    〔佐藤茂樹君登壇〕
○佐藤茂樹君 私は、自由党を代表いたしまして、ただいま議題となりました平成十年分所得税の特別減税のための臨時措置法案を初めとする特別減税関係法案に対し、反対の立場から討論を行うものであります。(拍手)
 反対の第一の理由は、今回の政府の特別減税の復活は、景気対策としては余りにツーレイト、ツーリトル、つまり遅過ぎる上に規模が小さ過ぎることであります。
 我々は、新進党時代、昨年の通常国会において、恒久化を視野に入れた特別減税の継続を主張し、法案として国会に提出いたしました。しかるに、政府・自社さ連立与党に加え、野党の民主党の反対により廃案となってしまいました。その結果、日本経済は壊滅的打撃を受けたわけであります。また、その後も、橋本総理、そして三塚大蔵大臣は、財源を特例公債によらざるを得ない特別減税を実施することは適当でないと繰り返して答弁し、否定されてきたのであります。
 しかるに橋本総理は、昨年末、ASEANの会議からお帰りになり、アジア経済が予想外に悪いということを口実に、突如として特別減税の復活を表明されたのであります。それまでの総理、蔵相、自民党幹部の言を信じていた人々にとって、まさに青天のへきれきでありました。総理は、我が国の危機的な経済状況にそれまで全く気づかなかったのであります。
 そもそも、今になって赤字公債を財源とする特別減税を財政構造改革法成立後に実施せざるを得なくなったのは、橋本内閣が日本経済のかじ取りを誤ったからにほかなりません。我が国の経済が大変な状況にあることは、国民のだれもが実感としてわかっていたことであります。それに対し、景気は回復していると強弁していたのは橋本内閣だけであったと言っても過言ではなかったのであります。今さら、アジア経済が予想外に悪いとか、日本発の世界恐慌は起こさないという理由で減税を実施するのは、みずからの無能を全世界へアピールするのと同じであります。
 また、今回の特別減税実施ほど、橋本内閣の支離滅裂さを露呈したものはありませんでした。こういうことなら、なぜ昨年四月に特別減税を継続しなかったのでしょうか。我々が一昨年の臨時国会と昨年の通常国会で主張したとおり、消費税率の引き上げを延期し、特別減税を継続していれば、日本経済はこれほどまでに落ち込まず、金融機関の経営はこんなに悪化せず、拓銀、山一の経営破綻を初めとする金融危機は発生せず、アメリカからの内需拡大要求も出なかったはずであります。我々は、一年以上も前にこの事態を予見して、警告を繰り返してまいりました。まさに、現在の景気の低迷は、橋本総理の経済見通しの甘さ、先見性のなさを如実にあらわしております。
 年初の継続決定と年度末の復活決定では、経済に対するインパクトが決定的に違います。経済は生き物であり、一度景気後退に弾みがつけば、それを逆転させるには当初の景気を続ける以上の大きなエネルギーが要ります。既に、在庫減らしの生産調整が進行しており、時間外手当とボーナスの落ち込み、失業の増加で自律的な需要減退が始まっています。その経済的なロスはまことに膨大であります。
 九兆円の国民負担増を強いておきながら、減税規模が今さら二兆円では、景気を逆転させ、回復に向かわせるには不十分であることは明白であります。海外でよく言われるように、ツーレイト、ツーリトル、遅過ぎる上に規模が小さ過ぎるのであります。
 反対の第二の理由は、中長期的視点から経済構造改革を進めるため、恒久的制度減税を実施すべきであるにもかかわらず、今回の特別減税は一時的ばらまきにしかすぎないということであります。
 総理も明言しているとおり、今回の特別減税は、臨時の一時的措置であって、特別減税が終われば十年度中に同額の増税が待ち構えており、加えて、十年度は、財政構造改革法により本年度以上の歳出削減のデフレ予算が強行されようとしております。たとえ特別減税で、本人二万六千円、扶養家族一万三千円の税金が還付されても、目前に同額の増税が迫り、歳出削減のデフレ効果が迫ってくれば、だれが消費に回すでしょうか。増税や不況に備えて貯蓄に回すのではありませんか。
 最近の経済学では、人々の期待、不安の役割を重視します。増税や不況の予想があれば限界消費性向は低下し、景気刺激効果は極めて限られるというのは現代経済学の常識であります。自民党の山崎政調会長はNHKの討論番組で、景気が回復しなければ来年度も特別減税を実施すればよいと言われましたが、何回繰り返しても、直後の増税が予想される限り効果は限られます。
 今回の特別減税は、望ましい中期的な税体系に対する理念、哲学もなく、まさに行き当たりばったりなばらまきであります。減税は、望ましい中期的税制に向かって制度を変える恒久減税でなければなりません。二兆円の財源を使えば、最高限界税率を国際的に例のない高率の六五%から五〇%へ引き下げ、税率構造のフラット化と簡素化を実現して、すべての税率を下げることができます。特別減税の二兆円を使って恒久的な制度減税を実施すべきであります。そうすれば、増税の予告つきがなくなり、景気刺激効果はずっと大きくなります。
 今のままでは、特別減税は増税予告つきばらまき減税であり、厳しい財政事情のもとで、貴重な税金のむだ遣いになることは明白であります。
 また、恒久的制度減税を実施することは、対応として、恒久的な財源措置が必要となり、徹底した行財政改革の実施を不可避といたします。したがって、恒久的制度減税は、景気対策の効果のみならず、行政のあり方の見直し、肥大化した機構の整理、裁量行政の根本的見直しを含む過剰な権限の縮小など、行財政改革を推進する大きなてことなるのであります。特別減税では、一時的な措置であり、行政改革にも財政改革にもつながらず、単なる予算のばらまきと終わってしまうのであります。財政状況の厳しき折、我が国にその余裕がないのは明らかであります。したがって、減税をやる以上、恒久的な制度減税により、行政のスリム化、効率化、財政構造の改革に直結させる必要があります。
 これが、我々が特別減税に反対し、恒久的制度減税の実施に組み替えることを求めた理由の大きな一つであります。
 以上、大きく二点の反対の理由を申し述べ、さらに最後に、大蔵省の一連の不祥事の徹底的な解明を強く求め、自由党を代表しての私の討論を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
○議長(伊藤宗一郎君) 北脇保之君。
    〔北脇保之君登壇〕
○北脇保之君 民友連の北脇保之でございます。
 私は、民友連を代表して、平成十年分所得税の特別減税のための臨時措置法案に対し、賛成討論を行います。
 まず初めに申し上げておきたいことは、我々は、当面の景気対策として今回提案の二兆円特別減税に賛成するものの、これだけでは景気対策としても経済再建策としてもまことに不十分であると考えているということであります。
 我々は、統一会派結成に当たっての六党政策合意文書にあるとおり、財政再建を中期的に重要な政策目標としつつ、短期的には景気対策、経済再建を優先する立場に立ち、今回の特別減税に引き続き、三兆円の所得税、住民税の恒久減税並びに法人税率引き下げ、有価証券取引税、取引所税の廃止、土地住宅等の政策減税により、合計六兆円規模の減税実施を目指すものであることを明らかにしておきます。
 ただいま日本経済は、金融システム不安と不況により大変深刻な状況にあえいでおり、日本発の世界恐慌が懸念される事態に陥っています。国民は先の見通しが立たず、たんす預金で自己防衛を図る状態でございます。このような事態を招いた大きな原因は、財政政策及び金融政策におけるたび重なる政府の失敗にあり、消費の低迷も金融システム不安もその根底には政府に対する不信があります。
 そのような折も折、金融財政運営の責任を負う大蔵省の腐敗が次々に明るみに出ています。大蔵省OBの道路公団理事が証券会社からの収賄容疑で逮捕され、また、大蔵省金融検査部の現職幹部職員が、都市銀行の担当者から高額の接待を受けた見返りに、検査日程を事前に漏らすなどの便宜を図った疑いで収賄容疑で逮捕されました。これは国民を裏切る背信行為であり、到底許されざることであります。
 明らかにされつつある事実からして、これが単に一部の職員の逸脱行為ではなく、大蔵省に巣くう腐敗の一端であることは明らかです。背景には、大蔵省が財政、金融にわたる強大な権限を持ち、政界、業界と癒着し、思うがままに振る舞ってきた構造があります。このような構造ができ上がったことについては、大蔵省自身の責任はもちろんですが、長く政権の座にあって、大蔵省と持ちつ持たれつの関係にある与党自由民主党の責任もまことに重大です。国会は、十分に時間をかけて、大蔵省を中心とする政財官の癒着構造を徹底的に解明し、解体するために全力を挙げなければなりません。それこそ、選挙で選ばれた我々が国民に対して負う責務であります。
 また、政府みずからも、腐敗の根を断つ方策を明らかにすべきであります。しかしながら、この点、橋本行革は、財政、金融完全分離を先送りするなど、大蔵省の腐敗根絶を期待させる成果は何ら生み出しておりません。国会主導による行革論議を提唱するゆえんであります。
 現状のように国民の政治不信が極限に達し、金融システムに対する信認以前に政府に対する信認が失われている事態を招いたのは、政財官の癒着構造に加えて、橋本内閣が国民に対して数々の大きなうそをついてきたからであります。この際、それを指摘いたします。
 まず第一に、住専に対する六千八百五十億円の税金投入が国民の大変な批判を招いたとき、政府は金融三法を通し、今後信用組合の破綻処理以外には公的資金は使わないと約束しておきながら、今回は、一般金融機関への資本注入を含めて、何と三十兆円の公的資金投入を持ち出しています。金融三法成立時の見通しのどこに間違いがあったのか、政治、行政の責任はどこにあるのか、三十兆円もの公的資金の投入以外に金融システム対策の方法はないのか等々が明らかにされなければ、国民は到底納得できるものではありません。
 第二のうそは、金融機関の不良債権の額であります。
 大蔵省は、つい先ごろまで、不良債権の処理は順調に進んでおり、平成九年三月期には二十八兆円まで減少したと言っていましたが、今回の金融システム安定化策にあわせて発表された金融機関の自己査定による問題債権の額は、七十六兆円強に膨らんでいます。算定基準が違うとの小手先の弁明は無用です。超低金利策に泣かされてきた庶民にとって、自分たちがこんなに犠牲を払っても不良債権の処理が何にも進んでいないというのでは、全く救いがありません。政府及び金融機関はこの責任をどうとるのでしょうか。
 第三に、金融システム安定化に関するうそです。
 政府は、大銀行はつぶさないのが国際公約にも相当するものだとして、昨年春先の金融不安に対しては、大蔵省の行政指導による日債銀と拓銀の救済策を発表し、これで金融対策は山を越したから大丈夫だと言いました。しかしながら、一年もたたないうちに拓銀は破綻し、山一証券の自主廃業等が続き、事態は昨年春当時よりはるかに深刻になっています。
 第四のうそは、経済見通しに関してです。
 政府は、昨年の経済動向について、消費税率引き上げの影響は四月―六月期で吸収されるから年度後半は消費も上向くと言って消費税率を引き上げましたが、実態はそれどころか、特別減税の廃止、医療保険自己負担の引き上げと相まって、消費は低迷が続いています。また、景気動向について、昨年秋以降、民間の景況感は明らかに悪化してきたにもかかわらず、政府は、景気は緩やかに回復しつつあるとうそをつき続け、景気対策のおくれを招きました。
 第五のうそは、さきの臨時国会中、財政再建を果たすため赤字国債をふやす特別減税はできないと明確に言っておきながら、臨時国会閉会後間もない十二月十七日に、総理が突如として特別減税を打ち出したことです。
 十一月下旬の時点で既に、日本経済の停滞、山一証券などの金融破綻は起きており、東南アジアの通貨不安に起因する世界同時株安も起きていました。特別減税を必要とする判断材料は既にそろっていたにもかかわらず、減税はしないと言っていたのを翻したのですから、特別減税をしないというのはうそだったと言われても反論はできないはずです。
 第六のうそは、大蔵省の金融検査にまつわる汚職に関するうそです。
 大蔵省は、昨年、第一勧銀の総会屋への利益供与事件に関連して、検査官が検査期間中にゴルフや飲食の接待を受けていたことが発覚したとき、省内には軽微な違反行為しかないとして戒告や口頭注意のみで済ませていましたが、今回の検査官逮捕で、実態ははるかに悪質で構造的であることがだれの目にも明らかになりました。大蔵省がうそをついていたことは明白です。
 第七のうそは、山一証券の飛ばしに関する大蔵省のうそです。
 大蔵省証券局は飛ばしの存在を山一証券自主廃業決定の直前に知ったとしていますが、業界ではその存在が広く語られており、検査に当たっている大蔵省が知らなかったとは信じられません。今回、金融検査のなれ合い状態が明らかになったことで、ますます疑惑は深まっています。飛ばしの刑事責任を追及する中で、事実関係が明らかにされることを望みます。
 以上、政府の数々のうそを指摘しましたが、たとえ直接的には大蔵省の役人が責めを負うべきものであっても、最終責任は、所管大臣である大蔵大臣、内閣、そして内閣の主宰者である総理大臣に帰属することは言うまでもありません。その意味で、今回大蔵大臣が辞任に至ったのは当然であると考えますが、同様の責任が総理大臣にもあることを橋本総理にはよくお考えいただきたく存じます。
 最後に、今後の経済運営について一言申し上げます。
 現下の金融経済情勢から見て、政府は一刻も早く、財政再建優先路線から景気対策、経済再建優先路線に明確に転換すべきです。総理は財政再建と景気対策は二者択一ではないとたびたびおっしゃっていますが、財政構造改革法に縛られて新年度に緊縮予算を余儀なくされている以上、目の前に既に財政再建か景気対策かの二者択一が生じていることは明らかです。明敏な総理にこのことがおわかりにならないはずはないと信じます。
 現在の株価の上昇は、既に政府が発表している以上の追加景気対策への期待によるところが大であることを読み間違えることのないようにお願い申し上げまして、私の討論を終わります。(拍手)
○議長(伊藤宗一郎君) これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
○議長(伊藤宗一郎君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(伊藤宗一郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
○議長(伊藤宗一郎君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後三時三十分散会