第142回国会 本会議 第16号
平成十年三月十二日(木曜日)
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  平成十年三月十二日
    午後一時 本会議
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○本日の会議に付した案件
 厚生委員長辞任の件
 厚生委員長の選挙
 上杉自治大臣の平成十年度地方財政計画についての発言並びに地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明並びに質疑

    午後一時四分開議
○議長(伊藤宗一郎君) これより会議を開きます。
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 厚生委員長辞任の件
○議長(伊藤宗一郎君) お諮りいたします。
 厚生委員長金子一義君から、委員長を辞任いたしたいとの申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、許可することに決まりました。
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 厚生委員長の選挙
○議長(伊藤宗一郎君) つきましては、これより厚生委員長の選挙を行います。
○田野瀬良太郎君 厚生委員長の選挙は、その手続を省略して、議長において指名されることを望みます。
○議長(伊藤宗一郎君) 田野瀬良太郎君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決まりました。
 議長は、厚生委員長に柳沢伯夫君を指名いたします。
    〔拍手〕
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 国務大臣の発言(平成十年度地方財政計画について)並びに地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
○議長(伊藤宗一郎君) この際、平成十年度地方財政計画についての発言並びに内閣提出、地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。自治大臣上杉光弘君。
    〔国務大臣上杉光弘君登壇〕
○国務大臣(上杉光弘君) 平成十年度の地方財政計画の概要並びに地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の趣旨について御説明申し上げます。
 まず、平成十年度の地方財政計画の策定方針について御説明申し上げます。
 平成十年度においては、当面の経済状況等を踏まえ、所得税及び個人住民税の特別減税が実施されることに伴う影響を補てんするほか、財政構造改革の推進に関する特別措置法等を踏まえ、歳出面において、経費全般にわたる徹底した節減合理化により地方一般歳出を抑制し、歳入面においては、地方税負担の公平、適正化の推進と地方交付税の所要額の確保を図ることを基本としております。
 第一に、地方税については、個人住民税において特別減税を実施するほか、法人事業税の税率の引き下げ、特別土地保有税における所要の見直し、非課税等特別措置の整理合理化等の所要の措置を講じることとしております。
 第二に、地方財政の運営に支障が生じることのないようにするため、所得税及び個人住民税の特別減税に伴う影響額について地方交付税の増額及び減税補てん債の発行により補てんするとともに、それ以外の地方財源不足見込み額についても、地方交付税の増額及び建設地方債の発行により補てんすることとしております。
 第三に、地域経済の振興や雇用の安定を図りつつ、自主的、主体的な活力ある地域づくり、住民に身近な社会資本の整備、災害に強い安全な町づくり、総合的な地域福祉施策の充実、農山漁村地域の活性化等を図るため、地方単独事業費の確保等所要の措置を講じることとしております。
 第四に、地方行財政運営の合理化と財政秩序の確立を図るため、定員管理の合理化及び一般行政経費等の抑制を行うとともに、国庫補助負担金について補助負担基準の改善を進めることとしております。
 以上の方針のもとに、平成十年度の地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出の規模は八十七兆九百六十四億円で、前年度と同額程度となっており、公債費等を除く地方一般歳出は七十三兆三千六百二十五億円と、前年度に比べて一兆一千五百六十七億円、一・六%の減となっております。
 次に、地方税法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 平成十年度の地方税制改正に当たりましては、最近における社会経済情勢等にかんがみ、地方税負担の軽減及び合理化等を図るため、法人事業税の税率の引き下げ、住民税の土地譲渡益課税の見直し、三大都市圏の特定市における特別土地保有税の免税点の特例措置の廃止等の措置を講じるほか、地方分権を推進する観点から地方団体の課税自主権を拡充するための所要の見直しを行うとともに、帳簿書類の保存方法等の特例の創設、非課税等特別措置の整理合理化等を行い、あわせて国有資産等所在市町村交付金に係る交付対象の見直しを行う等所要の改正を行うこととしております。
 次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 平成十年度分の地方交付税の総額につきましては、交付税特別会計における借入金の償還方法を変更するとともに、地方交付税法第六条第二項の額に、平成十年度における加算額三千億円、交付税特別会計借入金一兆九千四百五十七億円及び同特別会計における剰余金二千億円を加算した額から、同特別会計借入金利子支払い額四千九百七十四億円を控除することとした結果、十七兆五千百八十九億円となっております。
 また、平成十年度分の普通交付税の算定につきましては、地方団体が必要とする経費の財源を措置するため、単位費用を改正するとともに、個人住民税の特別減税に伴い基準財政収入額の算定方法の特例を設ける等の所要の改正を行うこととしております。
 以上が、地方財政計画の概要並びに地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の趣旨であります。(拍手)
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 国務大臣の発言(平成十年度地方財政計画について)並びに地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
○議長(伊藤宗一郎君) ただいまの地方財政計画についての発言及び二法律案の趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。松崎公昭君。
    〔松崎公昭君登壇〕
○松崎公昭君 南関東ブロック、千葉県柏市出身、民政党の松崎公昭でございます。
 ただいま提案されました平成十年度地方財政計画の概要及び地方交付税法等の一部を改正する法律案並びに地方税法等の一部を改正する法律案につきまして、民友連を代表して質問の機会をいただきましたことに、先輩、同僚の皆様に心から感謝を申し上げ、質問に入らせていただきます。(拍手)
 私は、二十二年間にわたって市議、県議を務めてまいりました。それ以来、一貫して地方自治の確立こそ日本の民主主義の進展のもとであると言い続けております。ようやく、今まさに地方分権が現実のものとして語られつつあることに喜びを感ずる一人であります。
 私は、地方分権が、今日の日本の社会構造システムを根本から改革する方策として最大のものの一つと考えております。
 それは、戦後日本が先進国へキャッチアップするために挙国一致体制を強化することとし、中央集権化を進めました。しかし、その肥大化、固定化が制度疲労に至り、多くの矛盾、問題点が噴出しております。それを象徴しておりますのが、大蔵、日銀のキャリア組連日の逮捕という事件であります。それが今日の日本の姿です。
 それを改革するには、社会全体の仕組みを変えながら中央集権体制の縮小、つまり徹底した行革で小さな政府を実現することが急務です。規制緩和と地方分権の推進により、国と民間、国と地方の役割分担を抜本的に見直さなければならないということであります。
 地方分権の流れは、平成五年の国会での決議を経て、平成七年五月の地方分権推進法の成立のもと、地方分権推進委員会が発足し、国と地方の新しい関係、対等、協力の関係へ精力的に作業を進められ、平成九年十月までに四次にわたる勧告が出されました。
 しかしながら、五年間の時限立法のため、どうしても幾つかの重点、例えば機関委任事務の廃止、国の関与や必置規制の解除、補助金、負担金の整理合理化、地方事務官の廃止などに絞らざるを得なかったわけであります。
 同時に、明治以来百三十年続いた中央集権体制の変革は、官僚の抵抗もあり、中間報告の意気込みより後退を余儀なくされたと諸井委員長も述べられており、最初の目標にはかなり距離を残す形になりました。
 中でも、地方が最も望んでいる財源の問題はほとんどと言っていいほど手つかずで、これでは、今国会終了までに作成、国会報告をされる予定の分権推進計画がどのようなものになるのか、懸念を禁じ得ないのであります。
 本年、橋本総理は、さらに推進委員会に五次勧告を諮問されました。これは、四次まででは不十分であった権限の移譲、財源の移譲が内容なのでありますが、勧告は夏ごろとのこと、それでは国会が閉会した後になってしまい、分権推進計画に間に合わないことになります。
 しかし、五次勧告の中身となるさらなる権限の移譲や財源の移譲は、これなくしては地方分権が成り立たない中心課題であり、いよいよ本丸攻めと期待しているところであります。
 当然、この勧告は分権推進計画に盛り込まなければなりませんが、五次勧告をどのように尊重して分権推進計画に反映されますか。また、そのために勧告を早めていただく必要があると考えますが、総理の見解をお聞かせください。
 地方分権推進法は、今も申し上げたように、平成七年七月三日から平成十二年七月二日までの五年間の時限法であり、既に折り返し点を過ぎております。
 他方、中央省庁の再編は、今国会に改革基本法が提出され、平成十二年度中に新たな体制への移行を目指しております。新たな中央省庁機構では、自治省はなくなり、総務省に合流されます。主な任務の中に分権推進の文字は見当たりません。
 地方分権はあと二年余りで実現できるような簡単な話ではなく、地方分権推進法の失効の後と中央省庁の再編を考え合わせますと、本当に地方分権が実現されるのか心配です。まさに総理のリーダーシップ発揮がかぎであります。第二次の取り組みを考える必要があるのではないでしょうか。また、地方分権実現に向けた今後の見通しはどのようになるのでしょう。総理の見解を伺います。
 昨年十二月、全国青年市長会の「地方分権実現のための最善の方策について」という提言が出されました。国庫補助負担金を段階的に廃止し、地方分権推進交付金を創設し、一般財源化により段階的に地方分権を実現しようというものです。推進委員会の第四次勧告の終わりに書かれているように、地域住民や議員、首長、職員の自己決定と自己責任の発露で初めて分権型社会は現実のものとなると結ばれておりますが、このような、諸井委員長の、地方自治体の声、応援がないという印象にもこたえた動きが全国に出てくることが重要でありますが、総理はどのように受けとめられておりますか。
 次に、当面する地方財政及び地方税制に関する諸問題について伺います。
 財政における集権から分権が実現しなければ、地方分権の実現もありません。財政における分権とは、依存財源を中心とした財政から自主財源を中心とした財政への転換でなければなりません。言いかえれば、依存財源である交付税交付金と地方債、補助金等、さらには自主財源であるが幾つかの制約のある地方税を自主財源化して初めて達成できるのであります。
 しかしながら、地方自治体は深く依存財源に依存しているのが実態であります。ですから、自主財源の強化には、例えば地方交付税に依存しないということも一つの考え方であります。つまり、地方自治体の交付税不交付団体化であります。現在私が居住しております柏市を初め百四十三団体しかない不交付団体のような、分権の先駆け的勢力を拡大させていくような戦略的発想が必要ではないでしょうか。そのような発想を総理がお持ちであれば、具体的にお聞かせください。
 また、その際にも議論となるのは、税財源の移譲とともに、自治体の適正な規模でありましょう。画一的な基準では対応できない各地方の実情を反映しながら、自治体の再編、合併が必要となりますが、合併促進への認識と新たな方策について、あわせて総理の所見をお聞かせいただきたい。
 地方財政については、平成十年度の通常収支の不足が四兆六千五百億円という、平成六年度以来五年連続の巨額な財源不足となっております。これこそは、地方交付税法第六条の三第二項に従い、地方財政もしくは地方行政に係る制度の改正または交付税率の変更が必要な事態であります。
 しかるに、これに対する政府の補てん措置は、簡単に言えば一般会計から三千億円を加算し、残りは国と地方の借金で賄うというやり方をもって制度改正と称するものであり、とても制度改正などと言えるようなものではございません。
 しかも、交付税特別会計の借入金残高は、今年度には十九兆円を突破するのです。九一年度の四十二倍という急激な膨張ぶりであります。
 また、集中改革期間中においては、交付税特別会計借入金の償還を平成十三年度以降に繰り延べる制度改正を行うとするのは、単なる借金返済の延長であり、これもまた制度改正などと称するようなものではありません。
 地方財政の健全化は特例的な借入金に依存する財政構造の改革が不可欠であることは、財政構造改革の推進方策でも明記されているところであります。それは、交付税制度そのもののあり方、分権社会における財源保障機能のあり方について根本から再検討することを迫っており、制度改正ができなければ、税率の引き上げを実施すべきであります。
 今回のような小手先の制度改正ではなく、抜本的制度改正について、自治大臣の御所見をお聞かせください。
 次に、二兆円減税と地方の行財政改革との関係についてであります。
 政府が実施した二兆円特別減税では、根拠の不明確な車の両輪論によって、住民税についても六千億円程度の減税が実施された結果、地方財政を著しく悪化させるに至っております。
 景気対策のために実施される特別減税は、行政サービスに対する応益課税である住民税に手をつけずに、国の責任において所得税減税のみで実施すべきであり、行財政改革に取り組んでいる地方を巻き込むべき筋合いではありません。あくまで政策判断を誤った中央政府の責任において行うべきであります。
 ちなみに、民友連が主張しております六兆円減税では、所得税だけで三兆円の制度減税の実施を盛り込んでおります。
 住民税減税の実施による地方財政への悪影響についてどのように認識されているか、また、今後もこの手法をとり続けるのかどうか、自治大臣、お聞かせください。
 次に、地方税の充実確保と課税自主権の拡大についてであります。
 いわゆる三割自治からの脱却を図り、サービスと負担のあり方についても住民の意思により決定するシステムを確立していかなければなりません。
 最も重要なことは、地方における歳出規模と地方税収入の乖離を縮小することであり、課税自主権を尊重しつつ、国と地方の税財源配分のあり方を根本的に改めることであります。つまり、三割自治から、実際の仕事に見合った七割自治への転換であります。税財源配分の転換の必要性について、自治大臣の御見解を伺います。
 次に、GDPを上回る国と地方の借金についてであります。
 本年の地方債発行額は十一兆三百億円で、対前年度比マイナス一兆一千億円、率にしてマイナス九・一%となり、財革法集中期間に当てはめ、無理やり財政の改善化に努めているふりをされております。ところが、交付税特別会計借入金を新規に一兆九千五百億円も起こしております。これは単なる目くらましであり、差し引きすれば八千五百億円のプラスになっているのであります。
 さらに申し上げれば、平成十年度末における国と地方を合わせた借金は五百二十九兆円となり、GDPの五百二十兆円を初めて上回ることになります。そのうち地方分は百五十六兆円で、GDPの三〇%に当たり、国民一人当たりの借金は約四百三十万円、地方分で約百二十五万円と、かつてない危機的状況に陥っております。バブル崩壊後、九二年度以降五回にわたる景気対策を目的とした起債増発が響き、地方債残高はこの間百十五兆円と倍増しました。公共事業を積極的に消化してきたツケが借金を雪だるま式に膨張させた形であります。
 地方の起債は、地方自治法第二百五十条で、「当分の間」許可制をとるとして、約半世紀にわたり中央の管理のもとにあったのであります。地方分権推進委員会はこの許可制の廃止を打ち出しましたが、国の財政再建路線により、集中改革期間中は許可制を維持することとなりました。これは分権に逆行する措置であり、「当分の間」の延長でもあります。また、何よりも、それによって借金をとめられるとは到底考えられないという点が問題であります。なぜ、直ちに許可制を廃止できないのですか。自治大臣の見解をお聞かせください。
 また、硬直化した財政の象徴として、本年度発行される地方債の約九割相当額の公債費で借金返済されている現実があります。この、借金による借金返済の実態をどのように受けとめ、地方財政計画の策定に当たったのでしょうか。地方債の発行においても、金融市場の合理性に従い、地方の自己決定、自己責任によってなされることで自主性を高めることが時代の要請であります。これらの点について自治大臣はどうお考えでしょうか、お伺いをいたします。
 最後に、景気対策の追加策と地方財政について伺います。
 政府の四次にわたる景気対策にもかかわらず、日本経済の低迷は一向に改善の兆しが見えてきません。そこで、大型補正による第五次の景気対策の動きが出ているようでありますが、その中身が公共事業中心とならざるを得ないということは、地方にとってはさらなる負担増が予想され、財政の悪化につながるのではありませんか。何よりも、今国民を苦しめている不況は平成九年度における九兆円の国民負担増が原因であり、これを公共事業で補おうとすること自体が筋違い、的外れの対策ではないでしょうか。
 補正論議に対する国民の受けとめ方は、五月の先進国サミット向けであり、七月の参議院選挙向けの業界へのてこ入れだというものであります。つまり、この手法では景気浮揚への心理的効果もゼロということです。
 今必要な景気対策は、所得税を中心とした大型減税により、国民の懐から取り上げたものは直接国民の懐へ返すことであります。そして、国の役割、責任である景気対策はあくまで国が専ら負うべきであり、安易に地方を連動させるシステムはもうやめて、地方分権を尊重すべきであります。
 私どもが主張する所得税を中心とした大型の制度減税実施のお考えはないか、総理にお伺いをいたしまして、質問を終わらせていただきます。(拍手)
    〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 松崎議員にお答えを申し上げます。
 分権推進委員会の五次勧告と推進計画についてお尋ねがございました。
 政府としては、まず、地方分権推進委員会の四次にわたる勧告を最大限に尊重し、今国会が終了するまでのできるだけ早い時期に推進計画を作成し、確実にこれを実施してまいりたいと考えております。
 さらに、昨年末、地方分権推進委員会に対しまして、私の方から、市町村への権限移譲を含む国及び都道府県からの事務、権限の移譲などの問題につき、さらなる検討をお願いいたしました。今後、推進委員会に作業いただきますものを、当然ながらこれは受けて努力をしていく、私どもとしてはそう考えております。
 次に、地方分権の実現に向けた今後の見通しについてお尋ねがございました。
 第二次の取り組みを考える必要があるという御指摘でありますが、政府としては、まずやはり地方分権推進計画を、今までちょうだいをいたしました第一次から第四次の勧告を最大限尊重し、今国会中に作成し、確実に実施することに全力を挙げていきたいと思います。その実現のために強い決意で取り組んでいく考えで、ぜひお手助けをいただきたいと考えております。
 次に、地方分権の推進についてさまざまな声をというお尋ねがございました。
 これは、全国青年市長会ばかりではなく、私は、広く地方行政に携わっていただいている方々から、地方分権のためにより濶達な御議論や分権についてのさまざまな提言をしていただけることは大変重要だと考えております。
 次に、依存財源に頼らない地方団体をふやすべきである、そういう御指摘をいただきました。
 少しでも多くの地方団体が、国からの財源に依存することなく、地方税を中心とする自主財源によって自立的に財政を営むことができるようにすること、議員御指摘のとおり、目指すべき地方自治の方向であると考えます。このような観点を踏まえながら、今後とも地方税源の充実確保に努めてまいりたいと考えております。
 次に、市町村合併の促進への認識、また新たな方策というお尋ねがありました。
 実行の段階に入りました地方分権の成果を上げるとともに、行政を取り巻く環境の変化に適切に対応するために、市町村合併等の手段によりまして行財政基盤を強化することが重要です。
 政府としては、機運の醸成に努めるとともに、地方制度調査会の御意見などを伺い、実効ある方策を取りまとめ、自主的な市町村合併を積極的に支援していきたいと考えております。
 次に、大型の制度減税について御意見をいただきました。
 この実施は、後世代への負担の先送りである特例公債の大量発行を伴うという問題があります。また、我が国の租税負担率が欧州諸国に比してかなり低い水準にある中で、税負担のあり方としても問題があると考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣上杉光弘君登壇〕
○国務大臣(上杉光弘君) 松崎議員にお答えをいたします。
 まず、平成十年度の地方財政対策における制度改正についてでありますが、極めて厳しい地方財政の現状、地方交付税法第六条の三第二項の趣旨及び財政構造改革法を踏まえ、集中改革期間における必要な地方交付税を確保するため、三年間の制度改正を行うこととしたものであります。これに基づき、地方財政の運営に支障が生じることのないよう対処してまいります。
 次に、個人住民税減税による地方財政への影響と今後の住民税減税についてのお尋ねであります。
 個人住民税の減税に伴い地方税収の減が生じることは御指摘のとおりでありますが、個人住民税は、地域社会の費用を住民がその能力に応じて広く分担するという性格を有する税として、所得税と共通する税源により負担していただいている税でもありますので、今回の特別減税におきましては、当面の経済状況等を踏まえまして、国、地方を通ずる政策として必要があるとの考えのもと、個人住民税につきまして六千億円規模の減税を行ったところであります。
 また、同時に、このことに伴い生じる地方税源の減収については、地方財政法第五条の特例として、減税補てん債を発行し、地方団体の財政運営に支障を来すことのないよう適切に対処することとしたところであります。
 所得減税を行う場合においての個人住民税のあり方につきましては、減税の目的、規模、必要性、個人住民税の負担の現状等を踏まえながら判断をしていくものと考えております。
 次に、国と地方の税源配分のあり方についてのお尋ねですが、地方分権推進委員会第二次勧告は、地方税について、「地方における歳出規模と地方税収入との乖離をできるだけ縮小するという観点に立って、」「その充実確保を図っていくべきである。」と指摘しております。
 今後とも、このような考え方に立ちまして、地方税の充実確保に取り組んでまいる所存であります。
 次に、地方債許可制度についてのお尋ねでございますが、地方分権推進委員会より、地方債の許可制度を廃止し原則として事前協議制度に移行するに際して、「少なくとも財政構造改革期間中においては、国及び地方の財政赤字の縮小のため財政健全化目標が設定され、地方公共団体の歳出の抑制が求められていることに鑑み、許可制を維持する」との勧告をいただいているところであります。
 自治省といたしましては、地方分権の理念に立って、地方団体の自主性を高めることを基本とするとともに、国及び地方の財政の健全化の早期達成が重要であることにも十分留意し、勧告に沿って、新しい地方債制度のあり方、内容について検討を進めているところであります。
 最後に、平成十年度の地方財政計画についてのお尋ねでございますが、極めて厳しい地方財政の状況を踏まえ、地方一般歳出をマイナス一・六%に抑制し、地方債依存度を前年度比一・二%減の一二・七%に改善させるなど、地方財政の構造改革を推進したところでございます。(拍手)
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○議長(伊藤宗一郎君) 白保台一君。
    〔白保台一君登壇〕
○白保台一君 私は、平和・改革を代表いたしまして、ただいま議題となりました平成十年度地方財政計画及び地方税法等の一部を改正する法律案、地方交付税法等の一部を改正する法律案について、総理並びに関係大臣に対し質問を行うものであります。
 我が国の経済社会の構造は、少子化、高齢化、グローバル化、情報化に加えて、産業構造の転換などに見られるように、加速度的に変化をする一方、国と地方の財政状況は、先進諸国の中で最悪と言われる環境にあります。そこで、このような状況を踏まえて、地方行政に対する国の認識と具体的な方向性について、順次伺います。
 初めに、地方財政の再建についてであります。
 平成十年度の地方財政については、所得税、個人住民税の特別減税による影響額を除いても、四兆六千四百六十二億円の財源不足額が生ずる見込みであり、平成六年度以降、五年度連続して大幅な財源不足となり、今年度も地方交付税法第六条の三第二項の規定に該当する事態に陥っております。
 地方交付税法第六条の三第二項では、大幅な財源不足が三年度目以降も継続する場合には、交付税率の変更、または地方行財政制度の改正を行うこととしています。
 このため、財政構造改革の集中改革期間である平成十年度から平成十二年度の三年間の地方行財政制度の改正として、この間に予定されている交付税特会借入金の償還を繰り延べるとともに、この間の財源不足のうち地方交付税の増額分については、国と地方が折半し、補てんする措置等をとることにしています。しかし、これは新たな借金であり、それを先送りするにすぎないことであります。
 今回の地方行財政制度の改正として行われた措置は、交付税特別会計借入金の新規借入と借入金の償還繰り延べを含み、これは地方の借金体質の放置、悪化であり、交付税法の本来想定する地方行財政制度の改正ではありません。
 地方行財政制度の改正であるとするならば、中央と地方の役割分担を見直し、行政そのものの抜本的な見直し等が急務であると考えますが、総理の地方行財政の再建に対する御所見を伺います。
 次に、財政構造改革との関係について伺います。
 第一点は、地方交付税制度の見直しに当たっての基本的スタンス及びその具体的内容についてであります。すなわち、地方分権委員会第二次勧告は、地方交付税の総額の安定的確保、算定方法のあり方の検討、簡素化、簡明化、各自治体の課税努力、行革努力等を積極的に促し、また市町村合併を支援していく観点からの財政需要などに強く反映させることが大事であると指摘されており、地方交付税については、国の一般会計を通すことなく、国税収納金整理資金から直接地方交付税特会に繰り入れるべきとの直入論等については、どのように検討され具体化されたのか、総理並びに自治大臣の取り組みを伺います。
 第二点は、財政構造改革法においては、財政赤字対GDP比の削減を目標とされております。今回の地方財政対策では、交付税特会借入金の新規借入や借入金の償還の繰り延べが行われており、これらは財政赤字を増大させる要因となっております。したがって、今回の措置は財政構造改革に逆行するものではありませんか。総理の御所見を伺います。
 次に、地方財政の硬直化に関連して伺います。
 御承知のとおり、自治省では地方自治体の平成十年度当初予算の編成状況を把握していることと思いますが、自治体の台所事情は火の車で、基金の取り崩しも限界に来ており、大変に厳しい調査結果が出ています。
 前年度と比較可能な四十四都道府県のうち、三十六都府県の一般会計が実質的にマイナスになっています。この財政難で、各自治体とも事業を絞り込んでおります。これまで発行した地方債の元利償還負担が膨らみ、今後とも厳しい財政運営が続くことになり、限られた財源をどの分野に振り向けるかが問題であります。事業見直しのため、評価制度の導入をする自治体も急速に広がってきております。
 また、地方単独事業の推進に加え、住民税等の減税、地方財源の不足、景気対策等に対処するため地方債の積極的活用が図られ、地方債依存度は平成六年度以来一〇%を超える水準が続いております。
 地方債残高と企業債残高に交付税特別会計借入金を加えた地方の借入金残高は、平成十年度末で百五十六兆円を超えると見込まれており、巨額の借金体質により、地方財政の硬直化が急速に進んでおりますが、このような状況をどう考えるか、総理の御所見を伺います。
 さらに、近年の地方単独事業の増加は、地方債の償還金について交付税に算入するという方式により推進されたものであり、地方税、地方交付税などの地方一般財源の充実によるものではありません。この地方債に頼った地方単独事業の拡大は、現在の地方財政悪化の重大な要因ともなっています。
 財政構造改革特別措置法において、地方単独事業を対前年度比マイナスにすることとされ、平成十年度地方財政計画においては対前年度比八千億円減、四%減とされております。しかしながら、一方で、地方単独事業は、住民に身近な生活関連施設を整備するなどの住民密着の事業が多く、地域経済を下支えする事業としても重要な役割を果たしております。地方分権が叫ばれている時代に、個性ある地方単独事業の促進は重要であり、抑制するだけでは地方の納得が得られないのではないか、財源を含めた地方単独事業のあり方を考えるべきであると思いますが、総理の御所見を伺います。
 また、これまでも国の公共事業の財源不足を単独事業で代行してきた面も強く、公共事業費の削減による補助事業の大幅な縮小が予想される中で、地方単独事業も抑制されるならば社会資本の整備が大きく立ちおくれる心配がありますが、この現状について総理の御認識を伺いたい。
 次に、地方分権と地方財政制度について。
 まず、地方分権に伴う権限の移譲に対応した地方財源の確立の必要性について、地方分権推進委員会第二次勧告は、「国から地方公共団体への事務・権限の委譲が行われた場合には、地方公共団体が事務を自主的・自立的に執行できるよう、」「地方税・地方交付税等の必要な地方一般財源を確保することとする。」としていますが、この勧告では税財源の移譲というところまでには至っていません。いわゆる三割自治からの脱却のため、偏在性、安定性、そして地方の税財源を充実していかなければなりません。
 政府は、今回の地方税法の改正案を提出するに当たり、どのように検討され、今後どうなされようとするのか、自治大臣に伺いたいのであります。
 また、地方債の許可制度については、これを廃止し、国または都道府県と事前協議を行うこととするが、財政構造改革期間中においては許可制を維持するという地方債の許可制度についての検討状況はどのようにされているのか、自治大臣に伺いたいのであります。
 次に、新たなる景気対策のため大型補正額の話がマスコミなどでも報じられています。それならば、当初予算に対応して策定された地方財政計画についてもその妥当性が問われることになります。国の予算案を改めるとともに、地方財政計画についても修正の必要があるのではないか、総理並びに自治大臣の御所見を伺いたい。
 次に、減税についてであります。
 平成六年度は五兆五千億円、平成七年、八年度はそれぞれ二兆円の規模で特別減税が年度当初から実施され、平成九年度は、当初見送られたものの、依然として続く景気停滞等を無視できず、補正予算で二兆円の特別減税が行われました。しかしながら、現在の深刻な経済情勢を打開するにはこれでは不十分であり、特別減税の規模を拡大し恒久化することが何よりも必要と考えますが、総理の御所見を伺いたいのであります。
 次に、沖縄振興に係る地方財政上の措置について関連して伺いたいのであります。
 今回の改正案に、県の要望も含め新たな自立の道を示していますが、これは沖縄振興開発特別措置法と一体であります。しかるに、沖振法改正の提出をめぐって、基地の新たなる建設や選挙と絡めて提出をおくらせるなどという疑念を抱くのは、私だけではないと考えます。
 総理、基地は過重な負担です。この問題の解決の道はただ一つ、整理縮小しかありませんし、この責任は国にあります。同時に、本土との格差是正と経済の自立が急務であります。振興策を県民の立場に立って火急に進めなくてはなりませんが、総理の御所見を伺いたい。
 最後に、十九年八月二十二日、魚雷攻撃を受けて沈没した対馬丸は、学童七百三十七人を含む千五百二十九人が戦争の犠牲となり、深く寒い海底に沈みました。戦後五十年余、船体が確認され、去る三月七日、初めてその洋上で慰霊式が行われました。総理は追悼の辞の中で、対馬丸事件は私にとって沖縄とのかかわりの原点ともいうべき重要な意味を有していると述べられています。
 遺族の方々の声は、対馬丸の内部の調査、船体の引き揚げ、遺骨の収集を強く望んでいます。当然の肉親の強い思いです。悲願でもあります。遺族の方々の五十年余に思いを込めて、総理の御所見を伺い、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 白保議員にお答えを申し上げます。
 まず、地方行財政の再建についてのお尋ねがございました。
 財政構造改革法を踏まえ、平成十年度の地方財政計画におきましては、地方一般歳出をマイナス一・六%に抑制したところであります。今後におきましても、国と地方の役割分担を踏まえながら、国、地方双方の歳出抑制につながる施策の見直しを進めるとともに、地方公共団体に徹底した行財政改革を要請するなど地方財政の健全化を進めてまいりたいと思います。
 次に、地方交付税制度の見直しについてお尋ねがありました。
 地方分権推進委員会から、算定方法の簡素化、総額の安定的確保などについて勧告をいただいたところでありまして、地方団体がより自主的、主体的な財政運営を確立することができるよう、地方分権推進計画に位置づけた上で、所要の法改正を行うなど適切に対処していきたいと考えております。
 次に、地方交付税の交付税特別会計への直入についてもお尋ねがございましたが、平成十年度の予算編成過程におきましても、地方分権推進委員会の勧告を踏まえ、関係者において論議が行われてまいりましたが、今後引き続き検討をすることになっていると承知をいたしております。
 次に、平成十年度の地方財政対策についてお尋ねがありました。
 財政構造改革法などを踏まえ、徹底した節減合理化によって地方一般歳出の抑制を図ることとし、地方財政の運営に支障が生ずることのないよう所要の地方交付税総額を確保するために、集中改革期間三年間における制度改正を行うことといたしました。
 地方財政の現状についてもお尋ねがありましたが、現下の地方財政は、多額の財源不足が響き百五十六兆円の借入金残高を抱えるとともに、個別の団体における財政の硬直化も進み、極めて厳しい状況にあると理解しています。
 したがいまして、財政構造改革を着実に進め、先ほども申し上げましたように、地方財政についてもその健全化に取り組んでまいりたいと考えております。
 また、地方単独事業について御意見をいただきました。
 議員御指摘のように、地方単独事業が生活関連施設の整備や地域経済の下支えに重要な役割を果たしており、地方分権の推進に伴ってその役割は増大すると考えています。
 こうした点を踏まえながら、平成十年度の地方財政計画におきましては、国の公共事業などにおける補助対象の重点化や採択基準の引き上げへの対応、地域経済への影響等をも勘案し、前年度比四%減にとどめて十九兆三千億円を確保いたしました。
 また、平成十年度予算及び地方財政計画の修正が必要ではないかというお尋ねをいただきましたが、政府としては、平成十年度税制改正など幅広い措置を盛り込みました十年度予算、地方財政計画及び関連法案を提出させていただいております。これらを九年度補正予算に引き続いて早期に成立をさせていただき、実施に移すことこそが景気対策のためにもぜひとも必要だと考えております。平成十年度予算及び関係法案の一刻も早い成立に向けて、何とぞ御理解を賜りたいと考えております。
 また、十年度予算に関連して、さまざまな方々が言及しておられる点に対しても御指摘がありましたが、私どもは、いずれにいたしましても、さまざまな施策を盛り込んでおります平成十年度予算を九年度補正予算に引き続いて早期に成立をさせていただき、実施に移すことが今何より必要だと考えておりまして、一刻も早い成立に何とぞ御理解を賜りたいと思います。
 これに関連し、大規模な恒久減税が必要ではないかという御指摘もいただきました。
 私は、今回の特別減税を含む財政、金融両面にわたるさまざまな措置は、相乗効果を持って、我が国経済の回復に寄与すると考えております。大規模な恒久減税の実施につきましては、本院におきましても何回か御答弁を申し上げましたが、我が国の租税負担率が欧州諸国に比してかなり低い水準にある、そうした中にあって、税負担のあり方として問題がある、そのように思います。
 次に、沖縄の米軍の基地の整理、統合、縮小と振興策についてのお尋ねがございました。
 私どもは、全力を挙げてこの二年間、基地問題解決に向け最大限の努力を払ってまいりましたし、また振興策についても努力してきたつもりであります。今後とも、SACOの最終報告に盛り込まれた措置を着実に実施していくともに、こうした基地問題の進展を踏まえながら、振興策について、国民の御理解と協力をいただきながら最大限努力していくことは当然だと考えております。
 最後に、学童疎開船対馬丸に関するお尋ねが、お尋ねといいますか、御要望がございました。
 私は、御遺族の心情は議員から御紹介をいただいたとおりだと思います。私どもと同じ世代の方々が多く亡くなられた、そして私自身が沖縄というものを知る、学生時代に初めて遭遇したこれは事件でありました。それだけに、長年その船体の所在すら確認のできない状況が続きましたことを、遺族の方々のお気持ちをも考え、何とか捜せないものかという思いでまいりました。
 今般、沖縄開発庁長官、また科学技術庁長官以下関係者の努力により船体を発見することができ、その船体の眠る洋上で、先日、ようやく慰霊祭を行うことができました。
 しかし、その御遺族のお気持ちは私は十分理解できるつもりでありますが、残念ながら、今の科学技術の水準ではその御要望にこたえることができません。これだけの深さの中に沈んでおりますもの、極めて技術的にも困難のありますことを、どうぞ御理解を賜りたいと存じます。
 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣上杉光弘君登壇〕
○国務大臣(上杉光弘君) 白保議員にお答えいたします。
 まず、地方交付税制度の見直しについてのお尋ねでございますが、総額の安定的確保を図るとともに、その算定はできるだけ簡明な方法によることが重要であると考えております。算定方法の簡明化につきましては、公信力のある統計数値を十分に確保できないなどの難しさもありますが、地方団体がより自主的、主体的な財政運営を確立していくことができるよう、適切に対処してまいる所存であります。
 次に、地方交付税の交付税特別会計への直入についてでありますが、地方の固有財源である地方交付税の性格を明確にする上で、その実現を図ることが望ましいものと考えております。このため、平成十年度の地方交付税の概算要求に当たっても要請したところであります。国の一般会計において、主要税目の状況を一覧性ある姿で示せなくなるなどという意見があり、国庫当局との合意を見るに至らなかったところであります。地方分権推進委員会の勧告においても、こうした状況を踏まえ、さらに検討していく必要があるとされており、今後ともその実現に向け努力してまいりたいと考えております。
 次に、地方税財源の充実確保についてのお尋ねですが、今回の地方税制改正においては、地方分権推進委員会第二次勧告を踏まえ、税源の偏在性がなく、税収の安定性を備えた地方税体系の構築や課税自主権の拡大について検討したところであります。特に、税収の安定化の観点から、事業税の外形標準課税の問題について議論がなされたところでございます。この問題については、来年度において、さらに検討を進めてまいりたいと考えております。
 次に、地方債許可制度についてのお尋ねでございますが、地方分権推進委員会より、地方債の許可制度を廃止し、原則として事前協議制に移行するに際して、「少なくとも財政構造改革期間中においては、国及び地方の財政赤字の縮小のため財政健全化目標が設定され、地方公共団体の歳出の抑制が求められていることに鑑み、許可制を維持する」との勧告をいただいているところであります。
 自治省といたしましては、地方財政健全化の早期達成に努めることにあわせ、地方分権推進計画に盛り込むべき新しい制度のあり方、内容について検討を進めているところであります。
 最後に、地方財政は極めて厳しい状況にあり、財政構造改革を推進することは重要でございますが、経済金融情勢に応じた臨機応変の措置も必要なことでございます。先ほど総理からもお答えがございましたが、このような観点から、二兆円の特別減税の実施について関連法案を成立させていただいておりますが、さらに、法人関係税の減税等を盛り込んだ平成十年度予算や地方財政計画、関連法案を提出いたしております。これらを早期に成立させていただきまして、早急に実施に移すことこそ、我が国経済の回復に何よりも必要であると考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(伊藤宗一郎君) 鰐淵俊之君。
    〔鰐淵俊之君登壇〕
○鰐淵俊之君 私は、自由党を代表いたしまして、また、地方の首長を長く経験した者といたしまして、ただいま提案のありました地方税法等の一部を改正する法律案、地方交付税法等の一部を改正する法律案、平成十年度地方財政計画につきまして、総理並びに関係閣僚に質問をいたします。
 現行憲法におきましては、第八章で独立した章を設け、地方自治に関する諸原理と基本的な制度を保障しており、地方自治の本旨に反する一切の立法化は禁止するという、明確で積極的な内容を示しております。しかし、制度的には保障されておりますが、必ずしも地方の自立性が尊重されているとは思いません。すなわち、中央集権的な行政システムが温存され、地方分権のシステムにはほど遠く、本当の意味での地方自治を確立する必要があると思います。
 この問題につきましては、さまざまな議論がなされておりますが、その議論で共通していることは、我が国の地方自治を正しく発展させ、真に住民の身近なものとするために、中央集権的行政のあり方を見直し、思い切った地方分権型社会を目指すべきと考えます。
 このことは、もとより衆参国会の決議もあり、また地方六団体の要請もございます。そして、国民がひとしく望んでいるところであります。しかし、総理並びに政府が、必ずしも地方自治を十分尊重しているとは到底思われません。総理、閣僚の方々は、いつも地方自治の推進を行うと声高に唱えておりますが、実態は異なっていると言わざるを得ません。
 至近な例を言いますと、国政選挙などにおける与党議員の皆さんの声高々と訴える中央とのパイプという言葉、また、応援に行かれる閣僚の、堂々と訴える、候補当選の暁には何々事業の実現を約束するとか、あるいは省を挙げて応援するなどという言葉の連発。さらには、某団体が、政府に対する要求の住民集会で、与野党一致協力してその実現を図ろうと努力しているにもかかわらず、ある与党幹部が横やりを入れ、野党議員の出席を事前に阻むというまことに傲慢な態度は、言語道断で許されるものではないと存じます。
 まさに、民主政治を理解しない、利益誘導型政治そのものであります。しかも、総理が目指す地方分権型社会を否定した中央集権政治の姿を如実にあらわしているものであります。
 総理、本当に地方自治を尊重し、地方分権を進めるのであれば、そのようなことを否定する選挙応援を慎み、また、破廉恥な与党議員の行為についてどのような御所見であるか、まずお伺いしたいと思います。(拍手)
 さて、本題に入りますが、地方自治の確立は、何といっても地方財政を健全化することであります。
 そのためには、まず地方財源を充実することが必要です。財源がなくては地方自治の健全な発展は望めません。現在、地方財政も破綻の危機に瀕しており、地方自治体の自立性は弱体化するばかりであります。
 今や地方自治体の借金は、地方債等を合わせ、約百五十兆円、また、隠れ借金と言われる地方交付税特別会計借入金は、平成十年計画では十六兆四千億円になる見通しです。
 これは、財源配分が国に偏り過ぎていることにも一因があります。平成八年度決算では、全租税の六一・六%を国が徴収し、残り三八・四%を地方自治体が徴収することになっております。
 地方財政を健全にするためには、税財源の見直し、税収の適正化を図るべきであります。その意味で、総理並びに自治大臣、大蔵大臣の御答弁を求めるものであります。
 あわせて、地方財政健全化のためには、地方分権を阻む補助金制度を抜本的に改革する必要があります。
 今全国三千三百の地方自治体は、それぞれ規模の大きさ、地域の特徴、特殊性、財政状況が異なっております。
 にもかかわらず、これらの状況を無視した画一的な補助金制度のあり方は、自治の健全な発展をゆがめる大きな要因となっております。
 霞が関には、多くの地方団体の関係者が、予算獲得のためにこぞって陳情に訪れ、官僚に頭を下げる姿を閣僚の皆さんはどうお思いでしょうか。もちろん、私は、補助金制度をすべて否定するものではありません。
 しかし、現行の補助金制度は、算定基準が低く、地方に超過負担を余儀なくさせていること、交付時期が遅く、事業が速やかに遂行できないこと、また、一件当たりの補助金額が小さいものも多く、その補助効果が期待できないこと、さらに、補助金にかかわる事務手続が煩雑で手間暇がかかり過ぎること、そして、補助金交付に伴い、国が地方に強く介入することなどであります。
 このような縦割り行政のむだを排除し、地方が自主性を発揮するためにも、例えば公共事業補助金の一括交付とか、また、ささいな補助金の一般財源化等の改善を行うべきと考えますが、総理並びに自治大臣の見解をお聞きしたいと思います。
 さて、私はさきに申し上げましたように、地方分権を阻む要素は、一つは補助金制度、二つは省庁の膨大な通達、三つは許認可権限などであると思います。
 これまで歴代内閣は、地方自治の尊重と地方分権の推進を題目としてきました。しかし、先ほどから私が述べてきましたとおり、現実には実行されているとは到底思われません。
 国の許認可件数の総数は、行政監察局の調査によりますと、昭和六十年十二月末の一万五十四件が現在では一万一千三十二件と、実に九百七十八件も増加しております。地方分権と行革推進を唱える歴代内閣のもとで許認可件数がふえ続けていることは、分権型社会に逆行していると言わざるを得ません。
 総理、中央省庁の持つ許認可権限がどれほど地方の自主性を阻害しているのか御認識でしょうか。
 分権推進委員会の四次にわたる勧告案も、大変な労作と思いますが、本当にまだまだ基礎自治体の意向を反映しておりません。独立した市町村が自分の町の発展を考えるとき、自分たちで決め、自分たちで責任をとるという真の自治を望んでおります。にもかかわらず、国などの許認可権が弊害になり、一々都道府県や国にお伺いを立てなければならないのは、まさに民主主義や自治の否定にもつながるものと考えます。
 総理、あなたが政治生命をかけて行革の推進をするのであれば、総理の強力なリーダーシップのもと、許認可権限の大幅な移譲を断行すべきと考えますが、総理の行革に対する決意と明快な御答弁を求めるものであります。あわせて自治大臣の御見解もお願いいたします。
 最後になりますが、総理、あなたは今国会の施政方針演説の中で、地方分権に関しては、今国会中に政府の推進計画を作成し、確実に実施するとともに……(発言する者あり)
○議長(伊藤宗一郎君) 鰐淵俊之君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。
○鰐淵俊之君(続) 市町村へのさらなる権限などの移譲、市町村の自主的な合併の積極的な支援、国と地方の役割分担に応じた地方税財源の充実確保、地方の課税自主権の拡大を図りますと述べていらっしゃいます。決意は大変立派であります。ぜひ実行していただきたいと思っております。
 なお、総理、思い起こしてください。昨年、また今年の施政方針演説でも同じようなことを言っているのでありますが、私たちにとりましては、どうも総理の施政方針はそらぞらしく聞こえるのでございます。どうか、施政方針に言われたとおり速やかに実行されますよう、以上、総理の猛反省を求め、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 鰐淵議員にお答え申し上げます。
 まず、地方分権の推進と利益誘導型の選挙応援などについての御意見がありました。
 地方分権の推進は、行政改革を進めていくに当たり、規制の撤廃、緩和と並んで取り組むべき重要な課題であることは御指摘のとおりであり、その実現のために全力を挙げてまいります。
 また、予算の作成を初めとする行政の執行は、その政策目的、緊急度などにより厳正に行われるべきことは当然であり、今後もそうしてまいります。
 次に、税財源の見直し等についてのお尋ねがありました。
 地方税財源の充実確保は、地方分権の推進にとって重要な課題であることは御指摘のとおりです。地方分権推進委員会第二次勧告におきましては、地方税財源の充実確保の方向について示されたところでありまして、今後とも国と地方の役割分担を踏まえながら、税財源配分のあり方につき真剣に検討してまいりたいと思います。
 次に、補助金制度についてお尋ねがございました。
 すべての公共事業について地方公共団体に財源を一括して交付するというのは、多少私は問題があるように思いますけれども、基本的には国の事業を限定し、できる限り個別の補助金などにかえ、適切な目的を付した統合的な補助金などにしていく必要があります。
 また、平成十年度予算におきましては、補助金などにつき、地方分権推進委員会第二次勧告などを踏まえ、聖域なく見直しを行い、一般財源化など整理合理化を積極的に進めてまいりました。
 次に、行政改革の決意とあわせ、地方への権限移譲についてのお尋ねがございました。
 政府としては、国が果たすべき役割を根本から見直し、規制の撤廃、緩和、官民の役割分担の徹底、地方分権の推進などを着実に進めて、それを前提に中央省庁等の改革を断行し、行政改革を進めてまいります。
 特に地方分権につきましては、第一次から第四次までの勧告を受け、今国会が終了するまでの間できるだけ早い時期に御指摘の地方への権限移譲を含めた推進計画を策定し、確実にこれを実施いたします。
 地方分権について、繰り返し最終でもお尋ねがございましたが、今申し上げましたように、四次にわたる勧告を最大限に尊重し、今国会できるだけ早い時期に地方分権推進計画を作成し、実施していきますとともに、その後における分権推進委の作業にも期待を申し上げております。
 残余の質問につきましては、関係大臣からお答えを申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣松永光君登壇〕
○国務大臣(松永光君) 鰐淵議員にお答え申し上げます。
 地方財政を健全化するため税財源の見直し等を図るべきであるとのお尋ねですが、国と地方の間の税財源の見直し等の問題については、国と都道府県、市町村の事務配分に応じた国税と地方税の税源配分、地方交付税や個々の補助金等種々の制度のあり方にかかわる問題であり、国と地方の財政状況等を総合的に勘案し、幅広い見地から検討を行っていくべき課題であると考えております。
 これらの問題を含め、今後、国と地方の役割分担の見直しや、補助金等の整理合理化に応じた地方税財源の充実確保を図っていくことが重要であると考えておるところであります。(拍手)
    〔国務大臣上杉光弘君登壇〕
○国務大臣(上杉光弘君) 鰐淵議員にお答えをいたします。
 まず、税財源の見直し等についてのお尋ねでございますが、地方税財源の充実確保は地方分権の推進にとって重要な課題であると考えております。地方分権推進委員会第二次勧告におきましては、地方における歳出規模と地方税収入との乖離をできるだけ縮小するという基本的考え方が示されており、今後ともこの考え方を踏まえ、地方税の充実確保に取り組んでまいる所存であります。
 次に、国庫補助負担金の整理合理化についてでありますが、地方分権を推進する上で重要な課題であり、少額な補助金等の一般財源化を初め、その整理合理化に積極的に取り組んでまいります。
 なお、すべての公共事業について補助金等を一括して交付することには慎重な検討が必要と考えますが、できる限り細部にわたる補助条件を付さず、包括的、総合的な補助金等としていく必要があると考えております。
 最後に、地方への許認可権限の移譲についてのお尋ねでございますが、地方分権は、住民に身近な行政はできる限り住民に身近な地方公共団体が担っていくことを基本として進めていくことが重要でございます。総理からもたびたびお答えをされておるとおりでありまして、今後、許認可権限の移譲を含めて、地方への権限の移譲を一層進めていかなければならないものと考えております。(拍手)
○議長(伊藤宗一郎君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
○議長(伊藤宗一郎君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後二時二十二分散会