第142回国会 本会議 第27号
平成十年四月九日(木曜日)
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 議事日程 第十六号
  平成十年四月九日
    午後一時開議
 第一 地方自治法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第二 オウム真理教に係る破産手続における国の債権に関する特例に関する法律案(法務委員長提出)
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○本日の会議に付した案件
 日程第一 地方自治法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第二 オウム真理教に係る破産手続における国の債権に関する特例に関する法律案(法務委員長提出)
 金融システム改革のための関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)、特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律案(内閣提出)、特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)及び金融機関等が行う特定金融取引の一括清算に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑

    午後一時四分開議
○議長(伊藤宗一郎君) これより会議を開きます。
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 日程第一 地方自治法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(伊藤宗一郎君) 日程第一、地方自治法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。地方行政委員長加藤卓二君。
    〔加藤卓二君登壇〕
○加藤卓二君 ただいま議題となりました地方自治法等の一部を改正する法律案につきまして、地方行政委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、地方制度調査会の答申にのっとり、大都市の一体性及び統一性の確保の要請に配慮しつつ、特別区の自主性及び自立性を強化するとともに、住民に身近な事務を都から特別区へ移譲する等、都区制度に関する改正を行おうとするものであります。
 その主な内容は、
 第一に、都道府県と市町村の役割分担の規定に準じて、都と特別区の役割分担の原則に係る規定を設けることといたしております。
 第二に、特別区の廃置分合・境界変更手続の見直し、いわゆる区長委任条項等の廃止、都区財政調整制度の見直し等、特別区に係る地方自治法上の特例措置を改正することといたしております。
 このほか、都から特別区への事務及び税財源の移譲等に関し、関係法律について所要の改正を行うこととしております。
 本案は、去る三月三十一日本委員会に付託され、四月二日上杉自治大臣から提案理由の説明を聴取した後、質疑に入り、今後の特別区改革の方向、都区財政調整制度のあり方、清掃事業の移管に係る条件整備等について論議が行われました。
 四月七日質疑を終局し、採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 なお、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
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○議長(伊藤宗一郎君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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○議長(伊藤宗一郎君) 日程第二は、委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。
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 日程第二 オウム真理教に係る破産手続における国の債権に関する特例に関する法律案(法務委員長提出)
○議長(伊藤宗一郎君) 日程第二、オウム真理教に係る破産手続における国の債権に関する特例に関する法律案を議題といたします。
 委員長の趣旨弁明を許します。法務委員長笹川堯君。
    〔笹川堯君登壇〕
○笹川堯君 ただいま議題となりました法律案について御説明をする前に、地下鉄サリン事件、松本サリン事件、坂本弁護士一家殺人事件、仮谷公証役場事務長拉致傷害致死事件、浜口さんVX殺人事件など、一連のオウム真理教関連事件でとうとい生命を失われた方々や御遺族に謹んで哀悼の意を表したいと思います。また、傷害を負われた方々にはお見舞いを申し上げるとともに、今なお重傷害の後遺症に苦しんでおられる方々に対しては、一日も早い全快を祈念いたします。
 それでは、本法律案について、その提案の理由及び内容を御説明申し上げます。
 平成七年三月二十日に発生した地下鉄サリン事件等は、世間を震撼せしめた犯罪史上類例を見ない無差別大量殺傷事件であり、凶悪な集団殺人事件と言わざるを得ない犯罪であります。これらにより無辜の人々多数が、不慮の死を遂げ、死の恐怖を伴った重傷害を受け、あるいは今なおその後遺症に苦しんでおられます。このような極めて悪質な犯罪により不慮の被害を受けた被害者、その遺族の救済を図る必要は格別に大きいものがあります。その手続として、現在、オウム真理教という教団に対する破産手続が進行しているところでありますが、被害者への配当金額は著しく低額とならざるを得ない状況にあります。
 本法律案は、このような状況を踏まえ、オウム真理教に対する破産申し立て事件において債権を届け出た被害者の救済を図ることの緊要性にかんがみ、その被害者への配当金額を少しでもふやすため、当該破産申し立て事件における国の債権に関する特例措置を講じようとするもので、その主な内容は、オウム真理教に対する破産申し立て事件においては、国が届け出た債権のうち労働者災害補償保険法その他の法律の規定に基づき国が取得した損害賠償請求権及びオウム真理教の清算人選任申し立て事件における予納金に係る償還請求権は、国以外の者が届け出た債権のうち生命または身体を害されたことによる損害賠償請求権におくれるものといたしております。
 本法律案は、昨八日の法務委員会において全会一致をもって委員会提出の法律案とすることに決したものであります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。(拍手)
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○議長(伊藤宗一郎君) 採決いたします。
 本案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。
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 金融システム改革のための関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)、特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律案(内閣提出)、特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)及び金融機関等が行う特定金融取引の一括清算に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明
○議長(伊藤宗一郎君) この際、内閣提出、金融システム改革のための関係法律の整備等に関する法律案、特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律案、特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案及び金融機関等が行う特定金融取引の一括清算に関する法律案について、趣旨の説明を求めます。大蔵大臣松永光君。
    〔国務大臣松永光君登壇〕
○国務大臣(松永光君) ただいま議題となりました金融システム改革のための関係法律の整備等に関する法律案、特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律案、特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案及び金融機関等が行う特定金融取引の一括清算に関する法律案の趣旨を御説明申し上げます。
 まず、金融システム改革のための関係法律の整備等に関する法律案につきまして、御説明申し上げます。
 本法律案は、我が国内外の社会経済情勢の変化に即応し、諸外国との調和を図りつつ、自由かつ公正で内外の利用者に資する金融システムを構築するため、証券取引法、証券投資信託法、銀行法、保険業法等関係法律の整備等を行うものであります。
 以下、その大要を申し上げます。
 第一に、投資者の多様化するニーズにこたえ、国民のよりよい資産運用を可能にするため、証券投資法人制度の創設や私募投資信託の導入のほか、金融機関に証券投資信託の受益証券の募集の取り扱い等を可能とする等の措置を講ずることとしております。
 第二に、活力ある仲介活動を通じた魅力あるサービスの提供を可能とするため、証券業について現行の免許制を原則登録制に改めるとともに、その専業義務を見直し、幅広い業務を行うことを可能とするほか、株式売買委託手数料の完全自由化、保険会社と銀行及び証券会社との間の相互参入の促進等の措置を講ずることとしております。
 第三に、投資者や資金調達者にとって多様な市場や取引の枠組みの利用が可能となるように、証券業協会が開設する市場を店頭売買有価証券市場と定義し店頭登録市場の機能強化を図るほか、いわゆる私設取引システムを証券業として整理する等の規定整備を行うこととしております。
 第四に、利用者が安心して取引を行えるように、企業内容の開示を連結主体に移行することや金融機関及び証券会社に説明書類の公衆縦覧を義務づけること等のディスクロージャーの充実、公正取引ルールの整備や、銀行及び保険会社の子会社の範囲の明確化並びに破綻の際の備えとしての投資者保護基金及び保険契約者保護機構の創設等の措置を講ずることとしております。
 次に、特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律案及び特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案につきまして、御説明申し上げます。
 これらの法律案は、証券の発行による資産の流動化が資産保有者の資金調達の円滑化、投資商品の多様化等に資することにかんがみ、特定目的会社が業として特定資産の流動化を行う制度を確立するとともに、発行される証券の購入者等の保護を図ることにより、一般投資者の投資を容易にするものであります。
 以下、その大要を申し上げます。
 第一に、特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律案につきましては、特定資産の流動化をその業務とする特定目的会社を新たな法人として創設し、特定資産を裏づけとした有価証券を発行する仕組みを創設するとともに、投資者等の保護を図るため、コーポレートガバナンス機能を活用した措置等を講ずることとしております。
 第二に、特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案につきましては、特定目的会社が発行する優先出資証券及び特定社債券を証券取引法上の有価証券に位置づけるとともに、これらの取り扱いを証券会社のほか、銀行、保険会社等の金融機関にも認める等の措置を講ずることとしております。
 次に、金融機関等が行う特定金融取引の一括清算に関する法律案につきまして、御説明申し上げます。
 本法律案は、特定金融取引の決済の安定性の確保と取引の活性化を図ることにより、我が国の金融の機能に対する内外の信頼の向上等に資するためのものであります。
 具体的には、銀行、証券会社等の金融機関を一方の当事者とするデリバティブ取引等について、当事者の一方が倒産した場合、当該取引に関する多数の債権債務を一括して清算した後の一本の債権を破産手続または会社更生手続上の債権として取り扱う旨を規定することにより、いわゆる一括清算ネッティング契約の法的有効性を明確化することとしております。
 これらの法律案は、金融システム改革の一環として、金融の基本的枠組みの整備を図るものであります。
 以上、四法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)
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 金融システム改革のための関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)、特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律案(内閣提出)、特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)及び金融機関等が行う特定金融取引の一括清算に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
○議長(伊藤宗一郎君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。中川正春君。
    〔中川正春君登壇〕
○中川正春君 中川正春でございます。
 私は、民友連、おかげさまでやがて民主党を代表いたしまして、一連の法案に対して質問を行っていきたいというふうに思います。
 今、私たちの経済が立っているところは、デフレスパイラルのがけっ縁であります。本来、私たちが目指していたものは、表面を取り繕う改革ではなくて、構造変革を前提にした社会経済の革命でありました。それは、政治がまずリードして基本的な社会の権力構造を変えること、このことがあって初めて内からの本物の改革ができるのであります。しかし、現実は、二年前に私たち野党が敗北をし、自社の連立与党として五五年体制を基盤に橋本政権の続投となりました。結果はどうであったか。行政改革、財政改革は言うに及ばず、教育や福祉の分野まで、橋本内閣が目指した改革は、今すべてが挫折と失敗の連続であったことがはっきりしてきました。
 そうした中で、なぜこの金融改革だけがこんなにも先鋭的に実現していくのか。しかも、この改革が本当に日本の国家やさらに国民にとって正しいものかどうかということにだれ一人として確たる答えは出せない状況のままで、厳しい現実がひとり歩きしているのであります。世界の金融市場が日本を取り残して大変革を遂げていった、このままでは日本はつぶされてしまうという危機感が、何にも増して権力の中枢である大蔵省を突き崩し、業界の経営体質までをも鋭くえぐり出し始めております。
 私たちにとって肝に銘じておかなければならないことは、ここで働いている力はデファクトスタンダード、もっとはっきり言えば、アメリカの制度を基本にした国際金融市場の圧力であります。それは、私たちにとっては、またしても外圧による改革ということなのであります。
 以上のことを前提にして、具体的な質問に入っていきたいと思います。
 四月一日からの外為法の自由化と今回の法令改正で、ビッグバンもいよいよ本格化していきます。しかし、国内の経済情勢は前にも増して非常に厳しいことになってまいりました。最悪の状況の中での自由化ということになります。しかし、政府は、このような状況の中でも、あえてビッグバンに踏み切るという判断をしたわけであります。そのことは、国民に対して、この判断によってもたらされる結果に責任をとるということは当然でありますが、それ以上に、現時点で、これから先予想される事柄について事前に説明すること、これもまた重要なことであります。
 今予想されることは、三つの可能性に分かれます。第一のケースは、千二百兆円の個人資産を初め日本の金融資産が海外に流出をして、市場も業界も収縮の道をたどる。第二の可能性は、英国のようにウィンブルドン現象が起きて、市場は活性化されるがプレーヤーは外国勢にかわる。第三には、日本の景気も金融業界も見事に復活して、企業も市場も世界に向かって活性化する。私は、橋本総理には、ぜひ最後の可能性を目指してこの改革をするのだという説明を期待しております。
 しかし、それには大前提があります。まず、総理が、失敗続きのこれまでの政策運営に対して責任をはっきりさせること、そして、これまでの政策を大転換することが今必要なのであります。その前提がなければ、総理がここで幾らバラ色の夢を語っても、国民は絶対に納得しないのであります。そうした政策根拠も明らかにして、今回のビッグバンの目指す世界を説明をしていただきたい。
 次に、金融システム改革法案について質問をいたします。
 今回出された法案は、証券取引法や銀行法を初め既存の業法を一度に二十三本、それぞれの基本形態はそのままにして、部分的に改正していく手法をとっております。
 これまで日本の業法は、政令、通達、指導等を通じて、監督官庁の裁量を最大限に生かしながら業界をコントロールしていくという本質を持っております。世界のスタンダードが護送船団方式の裁量行政からルール行政への転換だとすれば、具体的な法体系が従来の裁量行政のもとである業法の延長線上では、システムに魂が入りません。なぜ、この際新たな出発点に立って、包括的な市場ルールを定める市場法であるとか、あるいは預金者や個人投資家保護の視点の入った金融サービス法というルール型の体系をつくらなかったのかということであります。
 次に、国民の側からの不安と問題点を指摘したいと思います。
 第一は、情報開示がどこまで保障されるのかということであります。
 例えば、一方で、現在のように投資先の企業や金融機関の経営体質に大きなモラルの欠陥があるわけでありますが、これに対しても、国際会計基準による企業会計の透明化もできていない現実があります。また、保険会社は、銀行の自己資本比率に相当するソルベンシーマージンの公表さえも義務づけられていないではありませんか。
 こうした問題と同時に、もう一方で、金融機関の格付をどのように受け取っていくかということが問われます。現状のように、アメリカを中心とした海外の格付機関が絶大な影響力を持って我が国の金融機能の評価そのものにかかわってくる状況は、決して正常なものだとは思えないのであります。情報開示と同時に、このような格付システムに対する見解もお聞かせをいただきたいと思います。
 第二には、利益相反の問題であります。
 銀行、保険、証券の業務の相互乗り入れは、これまで互いの利益相反を防ぐ意味から、それぞれの業法によって禁止されてきたことであります。それでもバブルの時代には、銀行のあっせんにより無理な借り入れをしながら、どれだけの人々が実際に株やゴルフの会員権、また土地の投機に走ったことか。ファイアウオールを撤廃していくことがスタンダードであるにしても、その反対側で起こることは自己責任だけで片づけることができない、構造的なゆがみがあります。ここに対する法整備をどうしていくのか、答えていただきたいと思います。
 次に、業界サイドからこの法案を見ていきたいと思います。
 先般のトラベラーズとシティコープの合併は、世界に大きな波紋を残しました。さらに、続報の中では、次の大型再編はチェース・マンハッタン銀行を軸に動いていくだろうということさえ出てまいりました。日本の金融、二十年に及ぶおくれに改めて背筋の寒くなるところであります。今回の法案改正によって、このような大型の業界再編と金融機関の多機能展開は、日本でも十分可能になったのでしょうか。もし日本ではできないとすれば、どこに問題点があり、また、将来どのような条件が整ったときにこれを可能としていくのか、お尋ねをしたいと思います。
 問題はそれだけではありません。全体としての自由化のペースが遅過ぎるのではないかということであります。どうして銀行の証券子会社の業務完全自由化や株式売買手数料の完全自由化が平成十二年や十一年までかかるのですか。さらに、新しい商品の許認可についても、これまでの限定列挙方式から包括的な定義へと改正し、個別事案については判例主義をとるという抜本改正をしないと、時代の要請についていけないということではないでしょうか。ここでも、大蔵省の裁量権をかたくななまでに守ろうとする姿勢に、改めてその業の深さを痛感するところであります。
 さらに、安全の問題であります。
 契約者保護機構と投資者保護基金の創設について質問をします。今回の改正において、日銀の借り入れとさらに政府保証までも可能にすることが追加されました。二〇〇一年までの緊急措置とはいっても、ここはしっかり議論をする必要があります。
 この問題についての解釈は、大きく二通りできます。
 まず第一には、銀行分野での預金保険機構への公的資金の導入に伴い、保険と証券の業界が悪乗りをしたということであります。そのねらいは、基金の積み立てに対するそれぞれの企業の負担分の限度を確定したいということであります。これはモラルハザードであります。
 第二の解釈は、こうした公的資金の枠をつくらなければならないほどに、各種の不良債権を抱える業界の状態が深刻なものだということであります。同時多発的に起きる倒産を想定するならば、このケースでは、政府も、また公的資金を望む業界も、どのような現状を踏まえてその可能性を想定するのか、説明する義務があります。
 情報開示が十分でない今の状況では、どちらの解釈であっても国民の十分な理解は得られないと思いますが、どうでしょうか。
 最後に、SPC、特定目的会社による特定資産の流動化の法案について質問をいたします。
 債権や不動産などを資産対応証券によって金融商品として流動化させる試みには基本的には賛成であります。さらに、これによって現在塩漬けにされている不良債権の流動化が多少なりとも進むのであれば、現在の日本経済にとって好ましいことであります。しかし、こうした枠組みはできたが、本当に現実の金融市場で思惑どおりにスキームが働くのかといえば、以下、何点かただしておかなければならないことがあります。
 まず第一の問題は、日本の場合、こうした資産対応証券の市場が存在しない、そうした中で、現実問題どのように流動化できるかということであります。その中でも、特に不良債権を対象にした証券化については、今の日本の民間市場では受け入れられないのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
 さらに、第二の問題は、不良債権の問題に本気で取り組むためには、強力な債権回収のメカニズムがシステムの根幹に内蔵されていなければならないということであります。アメリカでいうRTCにしろ、民間の専門家集団のサービサーにしろ、日本の社会ではいまだ本格的に導入されていないのであります。我々野党がこぞって不良債権問題に対して日本版RTCを早期に導入すべきだと訴えてきたのは、現在の日本経済の裏側に潜むやみ経済に対してもビッグバンを契機に果敢に立ち向かっていき、不良債権というバブルの負の遺産をここで清算することが必要だと思うからであります。
 最近、自民党内部で、この不良債権の買い取りに郵便貯金や簡易生命保険の財投資金を活用すべきという議論が出ているようでありますが、これこそ真の問題解決を先送りするだけで、日本の経済全体にとっても信頼性を大きく損なうことでしかありません。株価に対する政府のPKOや自民党幹部による口先介入と同質のものであって、これ以上日本の経済に麻薬を打てば、逆にそれが真の改革をおくらせていく結果にしかならないと思うのですが、総理、いかがでしょうか。
 最後に、日本の金融の世界に生きる人々に国民の声を届けたいと思います。
 先般、大蔵委員会に重立った都市銀行の頭取九人に参考人として来ていただきました。公的資金を受けるということは、国による管理を受けるということであります。日本の経済の頂点に君臨し、世界に冠たる日本財界のトップの人々の姿にしては、まことに情けない限りでありました。それぞれの給与水準から、官僚や政治家に対する過剰接待と癒着、果ては政治献金に至るまで、なぜこのような屈辱的な場で自分たちの弁明をしてまで、公的資金による資本注入を受けなければならないのか。しかも、その額たるや、相変わらずの横並びであり、大蔵省や自民党の顔色を眺めながらの護送船団には目も当てられません。そんなことで、どうしてビッグバンの荒波を乗り越えることができましょう。どうか、ここで、自立して胸を張ってたくましく時代を生き抜いてもらいたい。日本の国民はそこのところをじっと見ております。
 今の金融市場が、官も民も含めてそうした気骨にあふれた人たちによって、自由な競争原理と本当に公正な仕組みで運用されるときには、必ず日本の国民はこの市場に戻ってくることを私は信じております。しかし、現状を見ている限り、今はまだそのような状態からはほど遠いということを憂いを持って指摘をしなければなりません。日本で今問題になっているのは、官も民もそして私たち政治も、国民に対するそうした信頼を失った状態が社会の深刻な危機につながっているのだということを心からの自戒の気持ちを込めて申し上げ、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 中川議員にお答えを申し上げます。
 まず、金融システム改革の目指す世界についてのお尋ねがございました。
 金融システム改革は、個人金融資産のより有利な運用や成長産業への円滑な資金供給を図るために、我が国の金融システムの効率性、利便性を高めることを目指す我が国金融市場の根本的な改革であり、こうした改革は、経済の血液である金融・資本市場の活性化を通じて、我が国経済の活性化に資するものと考えております。
 次に、改正法案の体系についてお尋ねがございました。
 包括的かつ総合的な金融システム改革を実現すべく、証券、銀行、保険等すべての分野にわたる法律を一括して改正することといたしておりますが、いわゆる金融サービス法につきましては、我が国の金融関連法制全般等を視野に入れた総合的な検討を必要といたしますため、中期的な視点に立って幅広く理論的な検討を行っているところであります。
 次に、格付機関についてのお尋ねがございました。
 今後、投資判断に際しての格付情報の役割というものは高まっていく、そう見込まれておりますが、格付機関自身がみずからの格付に対する市場の評価を高めるためには、的確な情報分析能力を有し、適切な情報提供を行っていくことが重要だと考えております。
 次に、保険契約者保護機構や投資者保護基金の創設に関しての情報開示についてお尋ねがございました。
 保険会社、証券会社の情報開示につきましては、従来から各社においてその充実に努めてきたところでありますけれども、経営の透明性を高めるためにも、公的支援の有無にかかわらず、引き続き一層その充実に努めていくべきものだと思います。
 次に、不良債権証券化の市場に関するお尋ねがございました。
 特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律案において、株式型の証券を通じた資産の流動化を可能にしておりますこと、広い意味でのディスクロージャーが適切に行われるようさまざまな措置を講じ取引市場の環境整備を図ること等によりまして、内外の投資家に十分受け入れられるものと期待をいたしております。
 次に、不良債権問題についてのお尋ねがございました。
 政府におきましても、住宅債権等管理機構や整理回収銀行の強力な債権回収のための措置を講じております。
 なお、SPCの発行する証券への公的資金活用につきまして、これは与党においても現在検討されている問題ではありますが、いずれにしても、問題解決を先送りするという趣旨のものではなく、この点は御信頼をいただきたいと存じます。
 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣松永光君登壇〕
○国務大臣(松永光君) 中川議員にお答えいたします。
 まず、企業会計における情報開示についてのお尋ねですが、今回の法律案においては、国際的な動向を踏まえた企業集団主体のディスクロージャーへの転換を行うこととしたところであります。また、今回の法律案のほか、企業会計の整備に関しましても、企業会計審議会において金融商品の時価評価等の重要課題について審議を進めているところであります。
 次に、保険会社のソルベンシーマージンの情報開示についてのお尋ねですが、保険会社のディスクロージャーについては各社が従来からその充実に向けて努力してきたところであり、ソルベンシーマージン比率については現在保険業界で開示の方向で検討が行われており、保険会社のディスクロージャーの充実が図られるものと期待しているところであります。
 次に、ファイアウオールについてのお尋ねですが、金融機関の相互参入を進める中で、利益相反等による弊害は当然防止しなければならないと考えております。したがって、本法律案においても所要の規定の整備を図るほか、今後のファイアウオールの見直しに当たっても、必要最小限の実効性のあるファイアウオールを確保していくことといたしております。
 次に、ユニバーサルバンクについてのお尋ねですが、我が国では、銀行経営の健全性確保等の観点から、金融機関が本体で銀行業、証券業をあわせ営むことが、米国と同様に制限されているところであります。
 他方、御指摘の合併構想に見られるような銀行グループとしての業務の多角化については、これまでの業態別子会社に加え、先月施行された銀行持ち株会社等関連二法や今回の法案による銀行等の子会社規定の整備により、一層多様な金融業務を展開することが可能になるものと考えております。
 次に、全体としての自由化のペースが遅過ぎるのではないかとのお尋ねですが、今回の法案では、二〇〇一年には我が国金融・資本市場がニューヨーク、ロンドン並みの国際的市場になるよう、金融システムの安定にも万全を期しつつ、可能なものからできる限り早急に規制を緩和して自由化を推進し、市場原理の働く活力あふれる金融システムの実現を図ることといたしております。
 次に、新しい商品の許認可についてですが、今回の法案では、例えば投資信託の信託約款について承認制を届け出制に改めるなど、投資家や資金調達者の多様化するニーズに対応して市場仲介者が創意工夫を発揮し、さまざまな金融商品やサービスを提供することができるよう、投資家保護にも配意しつつ所要の措置を講ずることといたしております。
 以上でございます。(拍手)
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○議長(伊藤宗一郎君) 河合正智君。
    〔河合正智君登壇〕
○河合正智君 新党平和の河合正智でございます。私は、平和・改革を代表して、ただいま提案のありました諸法につきまして、総理大臣及び関係各大臣に質問をいたします。
 ここに、昨年十二月一日衆議院予算委員会の議事録がございます。宮澤喜一元首相の質問です。昨年十一月三日に三洋証券が倒産し、十一月十七日に北海道拓殖銀行が破綻、十一月二十四日山一証券の自主廃業、十一月二十六日徳陽シティ銀行の破綻が進行しておりました。そうした状況の中でいわゆる貸し渋り現象が起きていることについて、宮澤元首相は「本来は自己資本を充実すればよろしいのですけれども、それは難しゅうございますから、資産の方を何とかして切りたい。資産を切ることによって、自己資本比率の、国内でいえば四%、BISならば八%ですが、それを実現をしたいということから、」「貸し渋りというものが進行しております。」と発言されております。
 つまり、資産である株価が下がると分子の含み益が減り、したがって分母の貸出金を減らすために貸付金を貸し渋りで回収をしている。すなわち、資産不況が根本にある、BIS八%と貸し渋り現象は一体であるとの認識でございます。
 そうであるとすれば、政府は、BIS八%を守ると決めたときから、貸し渋りによる中小企業を中心とした倒産が起きることを想定すべきでありました。橋本総理大臣はどのような見通しを持ってBIS基準の早期是正措置という政策決定をなされたのでしょうか。その結果起きていることについての政治責任を問いただしたいと思います。
 ところで、宮澤元首相は、先ほどの質問に次いで、BISのルールによらない「もう一つの貸し渋りということをちょっと申し上げておきたいと思うんでございますけれども、これは具体的にはたしか三洋証券の倒産のときでございますけれども、普通、毎日、金融機関はインターバンクの金をやったりとったりする、コールのようなものでございますけれども、三洋証券の最後の瞬間というのは、実はコールの一部にデフォルトが起こった、債務不履行になった」「これがありましたものですから、その後どこかの金融機関が危ないということになると、コールがとれない、コールを出さない。こういうことはかつてなかったことでありまして、いわば患者から突然酸素マスクを取ってしまうようなことでございますから、」とん死する、サドンデスになるという現実があったと指摘されました。
 御案内のように、インターバンク市場の資金供給の調節は、日銀によるコール市場への流動性の適切な供給によって円滑に行われます。特定の銀行が支払い不能になりましても、日銀が最後の貸し手となって流動性を供給して危機を防いでまいりました。しかし、三洋証券の場合は、その最後のとりでたる日銀が金を出さなかったからサドンデスになった、日銀によって息の根をとめられたと宮澤元首相は判断、質問されております。
 この質問に対して、当時の三塚大蔵大臣は、患者から突然酸素マスクを取ってしまったという宮澤元首相に全く反論せず、このように申されております。日銀総裁ともこの辺のところは十分に相談させていただきました、日本銀行により十分な流動性を市場に提供することでインターバンク取引の安全を確保すると答弁しております。松永大蔵大臣も、四つの大型金融機関の倒産は日銀の貸し渋りによるものと認識されておりますか、質問させていただきます。
 さらに、私は、日銀が、今までやったことのない日銀の貸し渋りによる四つの大型金融機関の倒産というサドンデスを昨年十一月になってどうして行ったのか、橋本総理大臣及び大蔵大臣に質問いたします。
 実は、日銀総裁にもこのことを質問いたしたく、本年四月一日施行の改正日銀法第五十四条第三項により日銀総裁の本議院への出席要求をいたしましたが、実現しませんでした。私は、日銀総裁は本議院に出席し説明すべきであると強く問題提起をさせていただきます。
 さらに、日銀が貸し渋りをした背景には、橋本内閣が財政構造改革法を無理やり通してしまったことがあるのではないかと、京都大学名誉教授である宮崎義一先生は指摘されております。つまり、単年度財政赤字を国内総生産の三%以内に抑え二〇〇三年度までに赤字国債をゼロにする緊縮財政を決定した、このことが、日銀はコール市場に対する流動性にブレーキをかけるとの日銀総裁の判断の決め手になったのではないですか。しかし、その結果、三洋証券のサドンデスになり、四つの大型金融機関の連鎖倒産となった。そこで、宮澤発言をかりて、サドンデスの連鎖、インターバンク取引の破綻を回避するために政府は方針の大転換を図ったのではないですか。この点についてもあわせてお答えいただきたいと思います。
 その財政改革法を、橋本総理大臣は改正しようとされております。わずか五カ月後さえ見通すことができない先見性のなさもさることながら、全野党の反対にもかかわらず財革法を強行成立させたことによって生じた日銀の貸し渋りによる金融機関の破綻、及びBIS基準早期是正措置による貸し渋りから生じた全国津々浦々に起こっている倒産による悲劇に思いをいたしますと、橋本総理大臣の政策決定はまことに万死に値する、退陣を要求せざるを得ません。(拍手)
 さて、二〇〇一年日本版ビッグバンは、バブル後遺症ともいうべき不良債権処理と同時進行で行われます。今日の厳しい日本経済はバブル経済の崩壊が原因と言えますが、この苦境を脱出するためには、バブルの発生と崩壊の過程を検証する必要がございます。
 一九八四年六月、円転換規制の撤廃という金融自由化が行われました。さらに、財政赤字と貿易赤字という双子の赤字を抱えていたアメリカに対し、日本は五百六十億ドルの貿易黒字を計上、日米貿易摩擦解消という切実な状況にあった日本は、一九八五年九月二十二日、プラザ合意に加わりました。中曽根総理大臣、竹下大蔵大臣によってなされました。
 ところが、この合意には、実は為替市場への介入と同時に、政策協調の合意もなされておりました。それが内需拡大要求となり、具体的には、宮澤当時大蔵大臣に対するカウンターパートナーであったベーカー財務長官からの、円高圧力をてこにした減税と公共投資と公定歩合下げの強い要求となったのであります。これに対して早急になし得るものとして当時の日本の政権が選択した、史上最低の三%そして二・五%という公定歩合の下げが、バブルに点火をしたわけでございます。金は有利な投資先、土地、株等を求め、あふれていったわけでございます。
 ここに、日米の将来の明暗を分ける分水嶺がありました。今日の深刻な日本経済に対し、アメリカにおいては、ニューヨーク株式市場はダウ九千ドル台に乗せ、財政赤字も解消されようとしております。そもそも、日本のバブルを発生させた政策決定における政治責任こそ問われるべきであります。さらに、金融引き締めによりバブル経済を崩壊させた政治責任も問われるべきであり、その上にデフレ政策をとり政策不況を招いた一連の自民党歴代内閣の政治責任についてどのように認識されているのか、橋本総理大臣に伺います。
 このバブル崩壊後、日銀は公定歩合を一気に〇・五%に下げてしまいました。本来国民が得るべき預金金利を犠牲にして、中小企業救済のためではなく、専ら不良債権にあえぐ金融機関救済のために行われたのであります。一橋大学の中谷巌教授は、日銀の金融政策は政治と行政の圧力にゆがめられ、長く財政の犠牲になってきた、その結果バブル経済が発生し、日本はバブル崩壊後の後遺症からいまだに抜け出せずにいると指摘されております。
 景気対策として有効な手段である金利下げの手をみずからの手で封じてしまったため、残された唯一の景気対策として、赤字公債の発行しか道がなくなってしまったのではないでしょうか。一九八九年十二月、大蔵大臣であったとき、公定歩合は上げさせないと言明、日銀の独立性を否定された橋本総理大臣の見解を伺います。
 ところで、金融の自由化以前のリスク管理方式でもあった護送船団行政にかわりまして、国際的なリスク管理方式ともいうべきBIS規制が合意されましたのは、一九八八年七月十一日でありました。
 今回の改正法では、証券会社の自己資本規制比率の公表を四半期ごとに義務づけ、一〇〇%を下回り、かつ三カ月以内に回復できない場合には登録を取り消すことができるとしております。また、保険会社のソルベンシーマージン、支払い能力余力については大蔵省が一九九三年度に導入したところでございますが、来年度中にも業務改善命令を出す保険版の早期是正措置の導入が図られていると言われております。
 しかし、BIS規制がバーゼル委員会という合議体で決められたのとは異なり、この二つの基準はグローバルスタンダードとは言えず、省政令の運用に任せると大蔵省は再び巨大な権限を手にすることになり、ビッグバンの精神に逆行いたします。大蔵大臣はどのようにお考えか、質問いたします。
 ビッグバンにより、銀行や信託、保険などの垣根が取り払われ、銀行が証券業務を行えるようになります。しかし、日産生命の経営破綻にいみじくも露出されたように、ビッグバンが金融機関の生き残りのためだけで、預金者、投資家、保険者保護が口実にだけ使われるものであってはなりません。
 イギリスにおいては、一九八六年、証券市場におけるビッグバンを敢行し、翌年には金融サービス法を施行いたしました。金融システム改革法はいわば業法改正と言えます。速やかに金融サービス法を制定するように私は提案申し上げます。
 この法律で、一、預金者及び投資家の保護、二、市場機能を支える公正で透明な取引ルールの確立、三、ディスクロージャーの徹底、四、ルール違反に対する厳格なペナルティーの整備を図るべきと考えます。以上、大蔵大臣に質問いたします。
 続いて、担保不動産証券化について、大蔵大臣に質問いたします。
 一、取引市場の環境整備をどのように行うのですか。二、不良債権を証券化した商品から個人の投資家をどのように守るのでしょうか。
 さらに、厚生大臣及び郵政大臣に質問いたします。
 SPCを立ち上げるため公的資金を使って証券を購入する構想があり、厚生年金及び郵便貯金、簡易生命保険の名前が挙がっております。購入するお考えはありましょうか。
 さて、昨年末、橋本総理大臣が検討を指示されたと言われる郵貯、簡保資金によるPKOは、三月三十一日取引終了直前に投入されたと報道されました。二千億円規模と言われる公的資金は、四月一日には前日比二百八十五円五十一銭安で取引を終えた市場でわずか一日ではげ落ち、早くも含み損を抱えたと言われております。このことについて、橋本総理大臣及び郵政大臣はどのようにお考えか、質問いたします。
 政権を維持するためには何をしても構わないというお考えがあれば、それは間違いです。権力の座にある者は絶えず自制すべきであります。まして、郵貯、簡保は国民の汗の結晶であることを思えば、むしろ恐れを抱くべきであると申し上げたい。郵貯、簡保に託する国民は、まさかPKOに使われるとは夢にも考えていないでしょう。また、市場原理にも逆行するとのそしりを免れないと私は考えます。
 以上、代表質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 河合議員にお答えを申し上げます。
 まず、早期是正措置の導入についてお尋ねがありました。早期是正措置は、金融システムの健全性確保と金融行政の透明性確保の両面から、不可欠な制度であると考えております。
 早期是正措置の導入に関連して、貸し渋りへのお尋ねもございました。貸し渋りの問題が深刻であることは、政府としても重大な問題と認識しておりまして、先般成立を見た金融安定化二法を含め、可能な限りのあらゆる方策を講じております。
 次に、金融機関等の破綻と日銀の資金供給についてのお尋ねがございました。
 政府、日銀としては、個別金融機関の経営問題が金融システム全体に波及しないよう、インターバンク取引の安全の確保を含め市場への流動性供給に万全を期してきたところであります。したがいまして、財政構造改革法の制定等を原因として日銀が円滑な資金供給を行わず、その後になって方針を大転換したとの御指摘は、私は異なった感じを持っております。
 また、バブルの発生等に関する政治責任等についての御意見がございました。
 政府としては、さまざまな時期におきまして、我が国が置かれた状況を踏まえながらそのときそのとき適切と考えられた政策を講じてきたものと理解しており、バブルの発生から崩壊、その後のプロセスにおいても同様だと考えておりますけれども、その後振り返ってみて、実体経済への影響について的確な認識が不十分であったという御指摘は受けなければならないと思います。今後、政府としては、バブルの教訓を十分肝に銘じながら責任を持って経済運営に当たってまいります。
 次に、低金利及び景気対策の手段についてのお尋ねがございました。
 公定歩合の操作等の金融政策は日本銀行の所管事項でありますから、公定歩合に関し、議員から私の発言として御指摘を受けましたが、そのような報道があったかもしれませんけれども、お調べをいただきますと、この点は事実と異なっておると私は記憶をいたしております。
 経済対策について、与党の総合経済対策の基本方針もあり、政府としてどういう景気対策を打ち出すべきか、国内の状況と先行き、アジアあるいは欧米等の現状、我が国への期待などを見きわめながら検討をしているところであります。
 最後に、郵貯、簡保資金の株式運用に関するお尋ねがございました。
 郵貯などの公的資金によります指定単を通じての株式への運用、これはそれぞれの公的機関の資金運用手段の多様化と長期的、安定的な資金運用という観点から行われているものであり、短期的な株価変動をとらえてその是非を考えておりません。
 公的資金による株式の運用につきまして、政府による株式市場の操作となるようなことは好ましくないのは当然でありまして、指定単におきましては、委託者は、いつ、どのような株を、どれぐらい売買するのか指示できない仕組みになっていると承知をいたしております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣松永光君登壇〕
○国務大臣(松永光君) 河合議員にお答えいたします。
 昨年十一月の四つの金融機関の破綻と日銀の資金供給についてでございますが、これらの金融機関等の破綻の原因はさまざまな要因によるものでありますが、大蔵省、日銀としては、金融システムの安定を確保するため市場への資金供給に万全を期してきたものと考えております。
 次に、自己資本規制やソルベンシーマージン基準についてのお尋ねですが、自己資本規制は英米の制度を参考に平成二年に、ソルベンシーマージン基準は米国の制度を参考に平成八年に導入されたものでありまして、これらの基準は国際的かつ客観的なものであります。今後、詳細な基準の策定は主として金融監督庁において行われることになり、制度の運用も金融監督庁において適切に行われるものと考えております。
 次に、金融サービス法制定と投資家保護等についてのお尋ねでございますが、金融システム改革法案では、利用者が安心して取引を行うための枠組みの整備として、ディスクロージャーの充実、公正取引ルールの整備拡充、金融機関等の行為規制の拡充、投資者保護基金や保険契約者保護機構の創設等の施策が盛り込まれており、利用者保護や取引の公正性確保について万全の対応を期してまいりたいと考えております。
 次に、取引市場の環境整備についてのお尋ねですが、御指摘のとおり、担保不動産の証券化においては取引市場の環境整備が不可欠であり、特に取引に関連する情報が投資家に適切に提供されることが最も重要と考えられます。このため、特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律案においては、対象不動産等に関する情報のディスクロージャーを十分なものとするよう種々の措置を講じ、取引市場における自由かつ透明な価格形成が確保されるよう環境整備を図っているところであります。
 担保不動産証券化における投資家保護措置についてのお尋ねですが、特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律案において、投資家が適切な投資判断を行うことができるよう広い意味でのディスクロージャーが適切に行われるために種々の措置を講じるほか、コーポレートガバナンスの機能を活用して、投資家が特定目的会社の役員の法令、定款違反の行為等を監督、是正することを可能とするよう所要の措置を講ずることとしております。
 以上でございます。(拍手)
    〔国務大臣自見庄三郎君登壇〕
○国務大臣(自見庄三郎君) 河合議員に答弁をさせていただきます。
 SPCが発行する証券を郵貯、簡保の資金で購入することについての御質問でございますが、現行法上は、郵貯、簡保の資金でSPCの発行する証券を購入はできないことになっております。
 簡保、郵貯の資金運用は、確実で有利な方法により事業の経営を健全ならしめ、また預金者等の利益の向上を図ることが目的でございますので、今後、この証券を資金運用の対象とすることについては慎重に検討してまいりたいというふうに思っております。
 次に、郵貯、簡保資金の株式運用に関する御質問でございますが、今回の郵貯、簡保による指定単の運用額の拡充は、預金者等の利益の向上を図ることを目的としたものであり、株価対策を目的としたものではありません。このことは、指定単運用における株式の購入が信託銀行の投資判断によるものであり、売買する銘柄、数量、時期については国が指示できないことからも明らかであります。
 株式は適正なポートフォリオを構成するため保有するものであり、短期的な株価変動をとらえましてその是非を問うべきものではないというふうに考えております。
 以上でございます。(拍手)
    〔国務大臣小泉純一郎君登壇〕
○国務大臣(小泉純一郎君) 年金資金を使って特定目的会社が発行する証券を購入することに対するお尋ねだと思いますけれども、年金資金は公的な資金でありますので、これは確実、有利に運用しなければならない。年金福祉事業団やあるいは委託した民間金融機関がそういう面を考えて証券投資を行っているはずでありますので、厚生省が年金資金を使って株価操作をするというようなことは全く考えておりません。(拍手)
    ―――――――――――――
    〔議長退席、副議長着席〕
○副議長(渡部恒三君) 谷口隆義君。
    〔谷口隆義君登壇〕
○谷口隆義君 私は、自由党を代表して、ただいま議題となりました金融システム改革のための関係法律の整備等に関する法律案外三法案について、総理並びに大蔵大臣に質問を行うものであります。
 四月一日より改正外為法及び新日銀法が施行され、我が国の金融状況が一変しようといたしております。金融業界は、従来の金融鎖国で諸外国との間をシャットアウトされていた状況から大きく踏み出し、外国金融機関との間で真の国際競争力が問われようといたしております。先ほども出ておりましたが、先日のシティコープとトラベラーズ・グループの合併の結果、総資産が九十四兆円、顧客は世界百カ国以上で一億人を上回る金融機関が誕生するようであります。今回の合併は、我が国の個人金融資産千二百兆円の取り込みに照準を合わしているとの報道もあります。もう既にビッグバンは始動したのであります。しかし、それに対し、橋本内閣のビッグバンに対する政策は積極的な戦略性が全くありません。我が国のビッグバンは、全般的な状況を考慮に入れない、まさに表面的に取り繕った帳じり合わせそのものであります。
 そこで、お伺いをいたします。
 まず第一に、バブル崩壊により我が国経済がこうむった痛手はいまだいえておりません。加えて、橋本内閣のとった九兆円国民負担増加が深刻なダメージをもたらしております。小石につまずいてこけたぐらいにしか思っていなかったのではないですか。その証拠に、昨年四月以降景気は悪化し続けたにもかかわらず、また七月にアジア通貨危機、十一月に山一証券、北海道拓殖銀行が経営破綻した中でも、財政構造改革法を成立させたのであります。しかし、ここに来て全く景気が回復しないことで、我が国の体力がいかに弱体化しているかがわかったようでありますが、経済改革の見通しの甘さはここに来て決定的な景気悪化を引き起こし、それどころかデフレ突入の前兆すら出ております。それにつけ加え欧米からの外圧もあり、今般の政府の経済政策は全く支離滅裂かつ小手先の対応としか言えません。バブル崩壊がもたらした多額の不良債権はそのまま民力の衰えとなっており、日本経済自体を弱体化させたのであります。
 また、橋本内閣は、不良債権問題に対し抜本的対策をとることなく、隠ぺい、場当たり、先送りを繰り返し、つい半年前まで不良債権処理は順調に進んでいると答弁していたのであります。結果はどうですか。本年に入ってみずから三十兆円もの公的資金を投入することになったではありませんか。そのうち十三兆円は、預金者保護とは全く関係のない金融機関救済のための資本注入であります。公的資金による資本注入を行ってビッグバンを乗り切ろうなどというのは、フリー、フェア、グローバルのいずれにも該当しない護送船団行政の復活であり、何の解決にもならないびほう策であります。不良債権問題は早期に顕在化させ、一刻も早く処理しなくてはなりません。隠ぺいしていては、内外からの信用回復などできるわけがないのであります。
 早期是正措置とは、本来、健全金融機関が再び不良化しないように早期警戒のためのものであるにもかかわらず、橋本内閣は不良債権処理の見通しを誤った上、早期是正措置をビッグバンと同時並行させたために、貸し渋りなど信用収縮を招き、経済を混乱させてしまっております。総理が大手銀行の経営者を呼びつけても、貸し渋りがやむわけではありません。
 さらに、自民党の政策責任者は、郵貯を初めとする公的資金により株価をつり上げるなどという不見識な発言をしておりました。全く論外であり、市場を無視した発言であります。公約であった三月末の株価も一万八千円に乗せることはなく、市場の評価も得られていないのは当然の流れでありましょう。
 橋本内閣は、経済政策運営の資格を喪失しております。まず不良債権問題を解決し、次にビッグバンを成功させ、その上で財政再建を実現するという手順を踏むことなく、不良債権問題も未解決のまま財政デフレ政策と早期是正措置を強行し、我が国経済を先行き見通しの立たない深刻な状況に陥らせております。ビッグバンを行う資格などありません。総理の御所見をお伺いいたします。
 以下、順次お伺いをいたします。
 金融システム改革法では、保険業に早期是正措置を導入しようとしております。目先の財政の帳じり合わせのみを優先する橋本内閣が経済対策をすべて金融政策にしわ寄せをしているため、異常な超低金利は既に三年目に入っております。超低金利政策もせいぜい一年ぐらいであればカンフル剤としての効果がありますが、もはや深刻な弊害をもたらすのみであり、金利や年金に頼る人たちを圧迫し、年金基金を破綻させ、税収をも落ち込ませ、経済をゆがめております。中でも、民間生命保険業の経営が圧迫されていることは論をまちません。政府は、銀行の過ちを保険でも繰り返すおつもりでしょうか。株価も低迷する中、早期是正がもたらす影響をどのように考えておられるのか。
 また、透明性、公平性を確保する観点から、政令事項である早期是正発令基準、ソルベンシーマージン算定基準を、法案審議に先立って明らかにすべきであります。これらの基準を国会で審議することが重要なのであります。今般、大蔵省と業界の癒着による不祥事が頻発しておりますが、これらの基準を政令により策定すること自体、癒着の温床となりかねないと危惧するわけでありますが、以上について大蔵大臣の答弁を求めます。
 昨年来、金融機関の破綻が相次ぐ中、保険契約者が不安感、不信感を持つのは当然のことであります。保険契約者の保護に対するスキームが未整備であったことがそれを助長していた感は否めません。しかしながら、既に金融ビッグバンの第一波が始まっている現時点において、保険会社が保険契約者保護機構の負担金に耐え得るのでしょうか。改革には常に痛みが伴います。改革の痛みを和らげるためには経済対策が必要でありますが、橋本内閣は財政構造改革法によってみずからを縛っているのであります。
 また、金融システム不安がいまだ払拭されない中、十年間で四千六百億円の資金は果たして十分な額と言えるのか。基金の不足分について、二〇〇一年三月までの間、政府保証と日銀借り入れによるとしておりますが、これも財政負担につながりかねません。橋本内閣が銀行業において犯した誤りを顧みるとき、不安に駆られるのは当然でありましょう。
 また、保険業は直接決済システムにリンクしてはいないものの、今後、直接金融市場が拡大していく中、保険業の破綻は金融全体にどのような影響を与えるとお考えなのか。大蔵大臣の答弁を求めます。
 三洋証券、山一証券の破綻に見られるよう、証券会社が多額の負債を抱えて倒産するのは極めて異常な事態であります。今回、連結ベースにディスクロージャー制度を見直すこととすると同時に、証券会社の自己資本規制比率を見直すこととしておりますが、証券会社の自己資本比率のみで早期是正効果はあるのでしょうか。大蔵大臣の答弁を求めます。
 次に、SPCについてお伺いします。
 不動産の証券化についてはかねてより我々も主張していたことであり、橋本内閣の対応は遅過ぎると言わざるを得ません。
 しかしながら、与党自民党の総合経済対策基本方針によれば、特別目的会社が発行する証券の流通市場育成のために郵貯、簡保など公的資金を使用するとしておりますが、これは言語道断であります。SPCは、不動産その他の証券化、流動化に資するものではありますが、しかし、公的資金でSPCの証券を買い上げるのであれば、公正な市場育成の観点からまさにへんぱな対応と言わざるを得ません。マーケットは、その参加者が魅力を感じて初めて投資を行い、成立をいたします。公的資金により無理やり需要を創出して、それが果たして市場育成になるとお考えなのでしょうか。橋本総理の明確な答弁を求めます。
 不良債権処理も不完全なまま早期是正措置だけ先行させて信用収縮を招き、貸し渋りで経済を混乱に陥れてしまった中、迎える金融ビッグバンに、大きな期待を持つことはできません。国民は、資産運用の多様化どころではなく、あすの生活に不安を感じているのであります。行うべきは、不良債権の一掃、金融システム不安につながらないセーフティーネットの強化、改革の痛みを吸収するための経済対策と構造改革であり、これがビッグバンを迎える正しい順序であります。口先介入と公的資金による市場操作でビッグバンをスタートさせた橋本内閣にはこれらの視点が一切なく、全く支離滅裂であり、悔いを千載に残すことは間違いありません。総理の御所見をお伺いいたします。
 冒頭申し上げたように、経済見通しの間違いの結果、先日の日銀短観にもあらわれておりますように、今やデフレ経済に向かってスパイラル的に落ち込んでおります。このような中で昨日成立いたしました平成十年度の緊縮予算では、日本経済を失墜させることは間違いありません。今求められているのは、方向がはっきりしない小手先の経済政策ではなく、景気活性の足かせとなっている金融機関の不良債権処理を大胆に推し進め、財政構造改革を棚上げもしくは廃止し、景気回復を優先した経済対策をとり、同時に構造改革をやり遂げる覚悟であります。
 かつて、イギリスとアヘン戦争を戦った清国の曾国藩は、世間の乱れる前兆として次の三つを挙げております。第一、政府も個人も、何事によらず白黒がはっきりわからなくなり、特に善悪の区別がはっきりしなくなり、悪に対して抵抗力が弱まり、その結果逃避的、迎合的な卑しい精神が生まれる。第二、世上の不安をよいことに、ふだんはこそこそとしている無頼のやからが、このときとばかりに制令を乱し、腕力でのさばり始める。第三、政府は自信を喪失し、何でも中途半端な容認を与えてしまい、真の決断ができなくなる。
 金融業界のモラルハザードを初め、我が国は既にこのような前兆が出ておるのではないでしょうか。今こそ、政治のリーダーシップが問われているのではないでしょうか。
 昨日の株式市場は、橋本総理の辞任のうわさにより株価が上昇したそうでありますが、日増しに悪化しておる現下の経済状況の中で、一刻も早く、橋本総理の失政に対する明確な責任をとられることを求め、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 谷口議員にお答えを申し上げます。
 まず、不良債権問題と金融システム改革、そして財政再建の手順についての御指摘がありました。
 財政構造改革は、我が国の将来を見据えて安心で豊かな福祉社会、健全で活力ある経済の実現などの課題に十分対応する財政構造を実現するためのものであり、その必要性は何ら変わるものではないと私は思います。また、金融市場の空洞化が懸念されており、欧米市場の革新やユーロの誕生を踏まえれば、金融システム改革をおくらせることはできません。
 なお、不良債権問題につきましては、現在、各金融機関は経営合理化等を行い、不良債権の早期処理のための努力が進められていると認識をいたしております。
 次に、SPCの証券への公的資金による投資についてのお尋ねがありました。
 与党で現在検討中の問題でありますが、公的資金による投資といっても、無理に投資需要を創出するのではなく、市場における投資家としてみずからの投資判断による投資を行うという原則のもとに検討が進められているものと理解をしております。
 次に、金融システム改革の推進に関して、施策の順序に対しての御意見をいただきました。
 我が国の金融市場及び経済の活力向上のため、改革の推進は喫緊の課題だと考えています。改革関連法案には、金融機関等の競争力強化のための施策のほかに債権等資産の流動化策、破綻の際の利用者保護の充実策等も盛り込んでおり、政府としては、改革を着実に実行するとともに、引き続き金融システムの安定性確保に万全を期しながら適切な経済運営に努めてまいります。
 曾国藩の言葉を例に引きながら、我が国では世間が揺れている、乱れている、小手先の経済政策により不況を招いたという御指摘を受けました。
 経済の停滞から一日も早く脱却をし力強い日本経済を再建するため、金融システムの安定と景気の回復を図るとともに、経済構造改革を初めとする構造改革を推進してまいりました。
 今後とも、御協力を心からお願いを申し上げ、残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣松永光君登壇〕
○国務大臣(松永光君) 谷口議員にお答えいたします。
 まず、保険版早期是正措置が保険業界に与える影響についてのお尋ねですが、現在の株価水準や金融経済の状況は保険会社にとっては厳しいものであることは承知しておりますが、既に保険会社各社は、これらの状況に対応するため、自己資本の充実等によりソルベンシーマージンの増強に努めているところであります。早期是正措置の導入は、むしろ保険業に対する信頼性の向上につながるものと考えております。
 次に、ソルベンシーマージン基準についてお尋ねですが、早期是正措置に用いるソルベンシーマージン算定基準は、平成八年度から施行された現保険業法の省令等において既に明らかとなっています。また、ソルベンシーマージン比率の水準に対応しどのような措置が適当かについては、今後、透明性等にも留意しながら検討を進めてまいりたいと考えております。
 次に、保険契約者保護機構への保険会社の負担についてのお尋ねですが、業界全体の年間負担額として、平成十二年度までの間は生命保険の場合は四百六十億円程度、損害保険の場合は六十五億円程度を考えております。これは、新たな制度に対する保険契約者の信認の確保という側面とともに、保険会社の経営の健全性の確保という側面につきましても考慮したものであります。
 次に、保険契約者保護機構の必要資金についてのお尋ねですが、今後発生し得る保険会社の破綻を現時点で予測することは困難であり、御指摘の金額につきましては、あくまで制度創設に当たっての考え方ですが、複数の破綻への対応をも考慮したものであり、御理解いただけるものと考えております。
 次に、公的支援と財政負担との関係についてでございますが、保険会社の破綻処理に要する費用に充当するために行う資金調達に対しては、その円滑化を図るため政府保証や日銀借り入れを可能とすることとしていますが、調達した資金については、保険会社の負担金拠出により返済することを基本としております。
 次に、保険業の破綻による金融全体への影響についてのお尋ねですが、確かに保険会社は決済機能こそ有していないものの、金融市場における資金の出し手として極めて重要な地位を占め、金融機関の一角として金融仲介機能を担っていることから、その破綻は信用秩序の混乱をもたらし、金融全体に大きな影響を及ぼすおそれがあるものと考えております。
 最後に、証券会社の自己資本規制についてのお尋ねですが、証券会社の抱えるさまざまなリスクを自己資本規制比率により適切に反映させることによって、今後とも自己資本規制が早期是正措置として十分に機能するものと考えております。
 以上でございます。(拍手)
○副議長(渡部恒三君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
○副議長(渡部恒三君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後二時二十九分散会