第142回国会 科学技術委員会 第13号
平成十年六月五日(金曜日)
    午前十一時十一分開議
出席委員
  委員長 大野由利子君
   理事 小野 晋也君 理事 河本 三郎君
  理事 三ッ林弥太郎君 理事 山口 俊一君
   理事 吉田  治君 理事 斉藤 鉄夫君
   理事 菅原喜重郎君
      石破  茂君    奥山 茂彦君
      木村 隆秀君    杉山 憲夫君
      田中 和徳君    平沼 赳夫君
      村井  仁君    目片  信君
      望月 義夫君    近藤 昭一君
      佐藤 敬夫君    鳩山由紀夫君
      太田 昭宏君    吉井 英勝君
      辻元 清美君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      谷垣 禎一君
 出席政府委員
        科学技術庁長官
        官房長     沖村 憲樹君
        科学技術庁科学
        技術政策局長  近藤 隆彦君
        科学技術庁科学
        技術振興局長  宮林 正恭君
        科学技術庁研究
        開発局長    青江  茂君
        科学技術庁原子
        力局長     加藤 康宏君
        科学技術庁原子
        力安全局長   池田  要君
 委員外の出席者
        国土庁防災局震
        災対策課長   岡山 和生君
        外務省総合外交
        政策局科学原子
        力課長     遠藤 善久君
        資源エネルギー
        庁長官官房原子
        力産業課国際原
        子力企画官   長谷川直之君
        気象庁地震火山
        部管理課長   春日  信君
        気象庁地震火山
        部地震予知情報
        課長      吉田 明夫君
        参  考  人
        (動力炉・核燃
        料開発事業団理
        事)      菊池 三郎君
        科学技術委員会
        専門員     宮武 太郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
六月五日
 辞任         補欠選任
  奥山 茂彦君    目片  信君
  村井  仁君     石破  茂君
  近江巳記夫君     太田 昭宏君
同日
 辞任         補欠選任
  石破  茂君     村井  仁君
  目片  信君     奥山 茂彦君
  太田 昭宏君     近江巳記夫君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 科学技術振興の基本施策に関する件
         
     ――――◇―――――
○大野委員長 これより会議を開きます。
 科学技術振興の基本施策に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。奥山茂彦さん。
○奥山委員 おはようございます。
 自由民主党を代表いたしまして、谷垣長官並びにまた理事者の皆さん方に、一つは、原子力政策、特にプルサーマルの計画についてこれからどういう形で進めていかなければならぬか、そういうことについてお尋ねをいたします。それからさらにもう一点は、過日、宇宙開発の中で、HUロケットが失敗をしたわけでありますけれども、これがある意味で言うと不幸中の幸いというか、低い位置で打ち上げられた軌道が後ほどかなり修正されまして、ようやく一万七千キロのところまで到達したということでありますので、それに関連してお尋ねをさせていただきたいと思います。
 初めに、原子力政策についてでありますけれども、この間からインド並びにパキスタンで核実験が強行されたわけであります。この核実験は、これまでから潜在的な核保有国と言われる国々を刺激をいたしまして、次々と核保有が広がっていくのではないか、このようなことが心配されておるわけであります。
 潜在的な核保有国と言われる国々は、いわゆる原子力発電等を通じて、特にプルトニウムの蓄積があるわけであります。それとともに、その運搬手段であるロケット等の開発が進められてまいりますと、これは潜在的な核保有国、そして先日のインド並びにパキスタンが核実験を強行した、こういうことになってくるわけであります。
 先日も、私は特に英国と韓国の留学生の方とたまたま会う機会がありまして、いろいろ話をしておりまして、インドの核実験の話になったわけであります。そのときに、核、核兵器を保有できる可能性がある国、これらの国々の中で、韓国の留学生の方も、また英国の留学生の方も、いずれ日本も核兵器を持つのではないか、このようなことを彼らは言ったわけであります。
 日本が、これまでから非核三原則並びにまた原子力基本法に基づいて、あくまでも平和利用に徹する、このように決めていて、我々も当然そのように思っているわけでありますが、外国から見るとなかなかそうは見えないわけでありまして、我が国自身もそういった意味においては潜在的な核兵器保有国と見られかねない状態にあるわけであります。まして、我が国も非常に科学技術が進んでおるわけでありますし、その運搬手段のロケットも、衛星をどんどん打ち上げられる、このような技術を保有しておるわけでありますので、こういう中において、我が国がこれからも原子力政策においては平和利用に徹するということを国際世論にこたえていかなければならないわけであります。
 今日は、我が国の原子力発電所がどんどん稼働して、日本の総発電量の三分の一を占めるということでありますから、一方において、核廃棄物、そしてその中からプルトニウムを取り出して、今回のプルサーマル計画の中で発電を実施しようとしておるわけでありますが、こういう中において我が国が国際世論で核保有国と見られかねない懸念があるわけでありますので、この国際世論にどのように我が国はこたえていくかということは、これは非常に大事なことでなかろうかと思いますので、そのあたりにつきまして、長官のお考えを示してもらいたいと思います。
○谷垣国務大臣 今回のインドとパキスタンの核実験につきましては、私どもは二つの意味から大変遺憾なことだと思っております。
 一つは、我が国は唯一の被爆国であるということがございまして、核兵器の究極的な廃絶ということを願っている国である、そういう国からして大変残念なことだというのが一つございます。
 それと同時に、今度の核実験というものが、国際的な核不拡散体制というものに重大な挑戦と申しますか、問題を提起したという点においても私は大変遺憾なことであったと思っているわけでありまして、原子力委員会としても直ちにこれに対して委員長談話を出す。あるいは、今まで原子力委員会声明というのは出したことがなかったのでありますけれども、今回は、事の重大さにかんがみまして、原子力委員会声明というものを出させていただいて、これに対して明確な意思を表示した、こういうことでございます。
 我が国は、今までの原子力発電の実績なりあるいはその科学技術力などから見て、潜在的に核兵器を保有する能力があるじゃないかという疑問を諸外国から持たれる、それをどうやって払拭していくかという奥山先生の問題意識であろうと思いますが、まず第一に、我が国の原子力利用というものは、これは申すまでもございませんけれども、原子力基本法というものに基づいて、平和目的に限られている。それから、今おっしゃった核兵器ということに関しては、本委員会で御答弁することかどうかわかりませんが、非核三原則というものが我が国の政策の根本にあるということは、これはもう御承知のとおりでございます。
 国内法の体系は、原子力基本法というもので安全を貫徹していくということでありますけれども、同時に、国際的には、核不拡散体制の維持強化に積極的に協力していくということで、核不拡散条約、いわゆるNPTに基づく一AEAの保障措置を全面的に受け入れている。それから、IAEAに対する保障措置の技術支援も行っている。もちろんのことでありますが、きちっとNPTに署名し批准をしているということであります。
 それからもう一つは、いわゆるCTBT、核実験の禁止の条約でございますけれども、これについては、既に我が国は批准も終えまして、早期批准及び国際監視制度の確立に向けた協力を行っているということであります。
 それからさらに、我が国の原子力活動について国際的な理解を得ていくためには、透明性の確保ということが大変重要であろうと思います。そのために、プルトニウムの管理状況それからプルトニウム需給見通し、こういったものを公表している。それからもう一つは、プルトニウム管理に関する国際指針の検討へ積極的に参加して、策定された指針はこれを遵守していく、こういうことをやっているわけであります。
 今後ともこういう原子力平和利用の姿勢をきちっと持っていくということが一番肝要なことである、このように考えているところでございます。
○奥山委員 我が国がCTBTに加盟し、そして日本のプルトニウムの保有等につきまして逐次国際機関へ報告をしておる、これはこれで非常に意義があって、また我が国の情報を公開するという点から非常に大事なことでなかろうかと思います。
 ただ、一つだけ私は気になるのは、日本が、ある意味で言うとアメリカの核兵器の傘の下にある。日本とドイツがちょうどそういう形になっておって、それでまた我が国が、核兵器を持たない、また使わない、こういう非核三原則の堅持、維持ができるわけなんですけれども、ただ、それによってアメリカから核の平和利用についてもいろいろ制限が加えられたり、そういうことがないのかどうかということを念のためにお尋ねをしておきたいと思うのです。
○谷垣国務大臣 我が国の原子力エネルギーの平和利用ということは、先ほども申しましたように、核不拡散体制というものと極めて密接な関係がございます。したがいまして、国際的な核不拡散体制というものが大きく変わってきますと、そのことが我が国の原子力平和利用にどういう影響が及んでくるかということは、常に私どもの関心事でございます。
 したがいまして、今回のような事態が、今アメリカということを具体的に例に出されたわけでございますけれども、実はちょっと今の御答弁は準備しておりませんでしたので、過去の日時などは正確ではございませんけれども、かつてインドが核実験をしたときに、アメリカの原子力利用政策といいますかエネルギー政策というものが大きく転換をして、いわゆる高速増殖炉などを使っていた政策からワンススルーという政策に転換したときに、そのことが日本の原子力平和利用の政策にもいろいろな影響があったということもございました。
 したがいまして、私どもは、今回のこの事態が我が国のエネルギー政策にどういう影響が及んでくるのかこないのか、そのことも、注意を持って、いろいろなことも考えながら注意を持って見守らなければいけない、こう考えております。
○奥山委員 そこで、本来のプルサーマル計画についてお尋ねをしてまいりたいと思うのです。
 日本の国内外でいろいろな市民団体があるわけでありますし、反核のNGOもあるわけでありますし、政党によっては、核の平和利用にもやはり懸念を示される政党があるわけであります。そこで、このプルサーマルの計画についても非常に危険視される方々もおられるわけでありますので、これには、特に安全上の問題についてはきちっとこたえていかなければならないわけであります。
 それとともに、このプルサーマルの計画が経済的な面から見てこれでよいのかどうか。特にウラン燃料の利用と今回のプルトニウム、特にプルサーマル計画が単価的に経済面においてどうなのか。なぜかというと、最近ウラン市場というものが、冷戦が終わった後は、最近は余り核兵器がつくられないということもあるのかどうかわかりませんが、ウラン燃料が市場価格からいうと非常に低落している、こういうこともあります。そういう点からどうかと思います。
 それから、さらに重ねてお尋ねをしたいんですけれども、我が国が六ケ所村で再処理を進めようとしておるわけでありますけれども、これまではどちらかというと海外での再処理に依存をしておったわけであります。今後は海外での再処理よりも国内の再処理に重点を移していくようでありますけれども、核燃料の安全保障というのですか、未来永劫ずっと安定した供給を受けるためには、やはり国内における再処理というものが特にこれから必要になってくるのでなかろうかと思うわけでありますが、そのあたりについて御答弁いただきたいと思います。
○加藤(康)政府委員 大きく二点御質問ございましたが、一つは、プルサーマルに関します安全性一とか経済性についての御質問がございました。
 プルサーマルと申しますのは、もう既に現在あります軽水炉をそのまま使える、そういう利点がございますので、運転自身については、今のウラン燃料を燃やすのと全く同じでございますが、現在の原子力発電所でも実はプルトニウムが燃えたエネルギーが三分の一ぐらい既にもうございまして、実際、ある意味では、プルトニウムが原子炉の中で燃えているわけでございますし、海外でも千七百体を超えるような燃焼の実績がございます。日本でも「ふげん」で約七百体ぐらい燃やしたことがございます。
 特に安全性につきましては、原子力安全委員会の方で技術的な検討をされまして、プルトニウムとウランの酸化物燃料、その特性というのは従来のウラン燃料と大きな差がなくて、ウラン燃料と同様の設計が可能でありますとか、安全評価に当たりましては、従来の方法にプルトニウムの特性を加味した、そういう安全評価手法が適用できるということから、技術的には問題がないというふうに言われております。
 ただ、技術的には問題はなくても、皆様方の御理解を得るということは必要でございますので、その辺、今三県でとりあえずプルトニウムを燃やしたいということがございまして、三県で、地元の方を含めまして、いろいろな技術的な説明もしているわけでございます。
 それから、経済性につきましては、これは我々の持っているものとしましては、OEcDの国際機関、NEAという国際機関が核燃料サイクルのコストに関する試算をしたものがございます。そこでの試算では、プルトニウムとウランの混合酸化物燃料と、今使われていますウラン燃料の取得費は大体同じ程度であろう。
 と申しますのは、ウラン燃料は、ウランを買ってきてそれを濃縮する、そういうような経費がかかりますが、プルトニウムの燃料は、もともとプルトニウムを電力会社が持っているわけでございますから、それはそのまま加工すればいい。そういうことを考えますと、ウラン燃料の取得費と同じ程度ではないかということになっております。
 そして、再処理をせずにそのまま使用済み燃料にしておく場合と、再処理をしてプルトニウムを使う場合、リサイクルコストと言っておりますが、そういう場合も、ウラン燃料を直接処分するよりも若干高い程度、試算では一割程度ということになっております。片や、そういう核燃料サイクルのコストは、発電コストのうち今一五%から二五%ぐらいでございます。ほかは建設費の償却とか運転費、それから核燃料サイクルコストでございますので、その核燃料サイクルコストの一五%から二五%が若干、一割程度高くなるということでございますから、まあ一、二%ぐらい高くなるかなということでございます。
 いずれにしても、発電コストを考えれば本質的な差はなくて、石炭と原子力とか石油とかの違いが一円程度発電コストに差があるのに比べれば非常に少ないわけでございまして、国のエネルギー政策等によって判断されるものかと考えております。
 それから、六ケ所の再処理工場の計画がどうかということもございましたし、また国内で再処理すべきであるという話もございました。
 先生御指摘のように、我が国では、核燃料サイクルをなるべく国内で完結したい、その方がエネルギーのセキュリティー上いいということで、現在は大きな再処理工場はございませんので海外に再処理をお願いしておりますが、これからはできるだけ国内で再処理するということで六ケ所の工場も鋭意つくっているわけでございます。
 六ケ所の工場につきましても、使用済み燃料受け入れの装置はできておりまして、それが使用できるように事業者と県等で話し合いが進められているところでございますので、我々としてもその使用済み燃料の運搬が早期にできることを期待しているところでございます。
○奥山委員 福井県の方の高浜で、今回初めて一定の地元の理解が得られる見通しがついたということでありますけれども、福島県の方並びにまた新潟県の東電の方はなかなかまだそのような形で進んでおらないわけであります。それからまた、二〇一〇年までに各電力会社が逐次プルサーマル計画にこれから入っていく、こういうことでありますが、我が国は本来、基本的には、ウラン燃料の利用からその後は引き続いて高速増殖炉に移行していく、こういう手順であったように聞いてきたわけであります。そして、プルサーマルはその中間的な措置として採用される方法であるというふうに聞いておるわけでありますが、相変わらず「もんじゅ」はいまだもって停止されたままで、原子力委員会でもまだこれから相当突っ込んだ議論をされて、その安全性等まだ技術的にもいろいろ問題があるというふうなことも聞いておりますが、これからその高速増殖炉にどういう形で移行をしていくのか。簡単で結構です、後のことがありますので。
○加藤(康)政府委員 先生御指摘のように、高速増殖炉でプルトニウムを燃やすというのは、再生産可能でございますから、非常に理想的な形態でありますので、我々としては将来必ずやそういうものは必要だろうと思っている次第でございます。しかしながら、当面は、プルサーマルが非常に確実な方法でございますので、それを進めまして、高速増殖炉は研究開発を一生懸命させていただくということでございます。
 導入されるかどうかということにつきましては、そのときのエネルギー事情とか、それこそウランの需給の問題、当然高速炉自身のコスト、そういうものを勘案されて導入されるものと考えますが、いずれにせよ、将来的には必要なものだと考えている次第でございます。
○奥山委員 我が国にとっては、ウラン燃料の効率化ということになってくると、やはり高速増殖炉に移行していく形がいいのじゃないかと思うのですが、しかし、これは現在はまだ研究段階で、実用段階まではなかなかまだ移行できない実態がありますので、ひとつその辺は早急に一定の結論を出してもらうように努力をしてもらいたいと思います。
 引き続きまして、宇宙開発の問題で、特にHU五号機の打ち上げの失敗があったわけでありますけれども、何とかアポジェンジンを使って一定の軌道まで打ち上げるということができたわけであります。
 ただ、私は、その前の段階で一つどうしても気になるのは、一部マスコミ等で伝えられておったわけでありますが、特に品質管理、工程管理ですか、人事管理の問題も含めて非常にずさんであったというような新聞報道が一部あったわけであります。非常に厳しいなと我々思いながら見ておったわけでありますが、こういうことも含めまして、今回、一定の原因が、大体二通りか三通りぐらいの可能性の中で一番強い可能性というものも大体推定されておるわけであります。そういうことも考えてみたときに、その品質管理あるいは工程管理、それがきちっとできておったならばああいう事故は起こらなかったという報道がありましたので、その辺にきっちり答えていただく必要があるのじゃなかろうかと思います。いかがでしょうか。
○青江政府委員 お答え申し上げます。
 先般の五号機打ち上げの失敗に係ります原因究明につきましては、今宇宙開発委員会におきましてその原因究明のための調査検討が進んでいるという途上で、今先生御指摘のとおり、かなり絞られてきっっあるというところでございますけれども、まだ最終的な状況には立ち至っていない、こういう状況にございます。
 その段階におきまして、新聞等では、見出しを見ますと、例えば空だきでございますか、そういったことが報道されたようなことがあったわけでございますけれども、その原因究明の作業の中におきまして、空だきと言われておる低圧燃焼という状態というものを生ぜしめておる事態というものも現実にございました。それから、エンジンの燃焼室の壁面を構成してございます、液体水素を流します細管、ここのところのろうづけ部のばらつきというのが相当あったのではないかというふうな指摘もございました。
 こういったことが要因として出てきておるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、その一つの要因だけでもちまして今回のエンジン破損ということに立ち至るということはどうしても解析の結果出てまいりませんで、そういった特殊な要因というものが複合的に重なり合って、結果としてそういうことになったのではないかというふうなことが議論としてなされているわけでございます。
 とりわけその過程の中におきまして出てきてございます低圧燃焼という問題につきましては、これはフライトの前に三回燃焼試験を行いますが、四十秒、百秒、百秒と行いますが、二回目の燃焼試験の頭におきましてそういうふぐあいを生ぜしめたわけでございますけれども、これにつきましては、相当入念な事後の特別点検というのをきちんとやっておりまして、それでもって漏えいというものもないというのも確認をし、それからその後しかるべき燃焼試験というものを百秒やって、きちんと確認をしてフライトまで持っていっているというふうなことも事実関係としてございました。
 事実関係の推移というものはそういうふうな状況にございますが、いずれにしましても、宇宙開発委員会の技術評価部会におきまして、さらに原因究明をファイナライズさせるべく調査審議を進めていきたい、かように考えてございます。
○奥山委員 今回、幸いにも六回の噴射によって遠距離が一万七千キロ、近距離が五百キロですかの軌道に投入できたということであります。もともと三万九千キロの軌道に打ち上げる予定であったわけでありますから、なかなか当初の目的どおりの利用ができないわけでありますけれども、幸いにも一万七千キロまで打ち上がりましたので、この衛星「かけはし」の利用がどの程度までできるのか、あるいは、今まで当初考えられなかったような試みもこれによって不幸中の幸いでできたということもあるのじゃなかろうかと思いますので、その辺についてもう少し詳しくお尋ねしたいのです。
○青江政府委員 お答え申し上げます。
 三月中旬から五月末にかけまして七回の作業を行いまして、とりあえず予定どおり今御指摘の一万七千七百キロという遠地点まで持っていったわけでございます。今後、七月中旬から十一月ごろにかけまして、もちろん静止軌道ということではないわけでございますので、当初予定しておりますものに比べまして量的にはかなり少ない、質的にもかなり低いというものと言わざるを得ないわけでございますけれども、幾つかの、高度衛星放送のための実験、移動体通信機器の機能試験、そういったさまざまな実験ができるのではないか、このように期待をしておるわけでございます。
 さらに加えて、これだけの軌道変更というものを行います前には、例えば太陽電池パドルというのが本当に七回にもわたって収納し開くことができるだろうか、現実に、若田さんが回収しましたSFUのあのときには回収に失敗をしているわけでございまして、そういったことが本当にできるだろうかとか、それから、「きく六号」のときにアポジエンジンというものが本当にふぐあいを起こしたわけでございますが、それが七回にもわたって正確に噴くことができるだろうかとか、非常に地球近傍の低軌道という状況下におきまして、自分の位置それから姿勢というものを制御しなければ正確な軌道修正はできないわけでございますが、そういう低い位置の機能というのはこの衛星は持っていないわけでございます、それにもかかわらず、それをやりつつ正確に持っていけるだろうかとか、地上からコマンドを打つに際しまして、日本だけのいわゆる地上局でもって打つことができない、NASAの局それからESAの局、そういったものを全部総動員をしながらコマンドを打っていく、リレーでもって打っていく、そういった複雑なオペレーションができるだろうかとか、いろんな心配事があったわけでございます。それは幸いにいたしまして、七回、まさに今申し上げたような幾つかの問題点をすべて克服し持っていくことができたということで、まさにノーマルな状態では得られないところのいろんな技術知見といいましょうか経験といいましょうか、得ることができた。言ってみれば、転んでもただでは起きないといった経験というものは獲得できたんではなかろうかというふうに思っているところでございます。
○奥山委員 何かことしの十一月ごろまでこの衛星は使えるということでありますから、それまでできる限りのひとつ成果を上げてもらって、我が国の宇宙開発が余りおくれることがないように進めてもらいたいと思います。
 ありがとうございました。
○大野委員長 吉田治さん。
○吉田(治)委員 民主党の吉田治です。きょうは一般質疑ということで、科学技術というといつも大体原子力というのが中核になってくるんですけれども、今回、私の方は、原子力以外の科学技術の部分、時間があれば、産業として見た原子力というふうなものの質問をさせていただきたいと思っているのです。
 きょうは官房長がおいでですのでちょっとお聞きしたいのですけれども、科学技術庁の事務次官で、今まで原子力局長とか、原子力に関係なしに事務次官になられた方というのはおいでになられるでしょうか。記憶の範囲で結構でございます。
○沖村政府委員 お答え申し上げます。いらっしゃいます。
○吉田(治)委員 原子力ばかりやっているのがよくないということじゃないんですけれども、やはり国の予算をつけた場合には、科学技術立国というふうな一つの国の国是もあると思うのですけれども、これまで我が国というのは科学技術を基盤とした産業に支えられて発展してきたというのはもう御承知のとおりですし、バブル経済崩壊後の景気低迷というので、ここで、総理がいいとか悪いとか、内閣がいいとか悪いとか、自民党がいいとか悪いとか^そういうことは別に言うつもりはないんですけれども、なかなか先が見えない。
 また一方、国自身は、もう大臣御承知のとおり、天然資源にも乏しい。私たちの小学校時代というのは、日本という国は、戦前の発想で言うなら、天然資源もないし、人口も多いから外へ出ていこうかという形で海外進出、一方的に言うと帝国主義的なこともしてきたと言うのですけれども、日本は戦後、ない中でうまく科学技術によってここまで伸びてきた。しかしながら、一方、人口の急速な高齢化を迎えようとしている我が国で、産業の空洞化また社会の活力の喪失、そして、これはある意味では生活水準の低下というんですか、これは雇用にかかわってくるのでここの委員会の案件ではないですけれども、そういうふうな事態の憂慮。そういうふうなものを回避して明るい未来を切り開くためには、まさに本年度予算でも科学技術庁さんが第一項目にされているような次の産業のシーズ、つまり種というふうなものを発掘して、新産業の創出につながる独創的な一また先端的な科学技術を振興していくということがもう非常に大事なことではないかと強く思っています。
 よく言われていますように、物まねの日本からやはり世界をリードしていく。何か半導体が終わってしまうと、次、日本はもうキャッチアップの目的もない。そうならないために新産業の創出などに資する科学技術というふうなものが必要になってくるんですけれども、具体的にその取り組みについてどういうふうになっているのか、まず大臣の方から御答弁をいただきたいと思います。
○谷垣国務大臣 今吉田委員が示されました認識は、私も基本的に全く同感でございます。
 直接御答弁になるかどうかわかりませんが、最初に官房長に、原子力局長を経験していない次官はあるかというお問いかけでございました。確かに我が科学技術庁は、原子力とかあるいは宇宙開発とか巨大プロジェクトを中心に発展してきた役所で、現在もそれが大きなウエートを占めている実情でございますし、それはそれでまた決して間違ってはいないと思っております。
 ただ、科学技術基本法をつくっていただきまして、その後科学技術創造立国ということで予算面でも大きな配分をいただいているという状況の中で、そして、今行革を御審議いただいているわけですが、私は、これは科学技術庁が事前に準備した答弁ではないのですけれども、もっと大きな意味での政策官庁に脱皮していくということを今科学技術庁は求められているのではないか、こういうふうに思っております。
 そういう中で、今吉田先生がおっしゃったように、今までも科学技術基本計画を引用しまして本委員会でもたびたび御答弁をさせていただいているのですが、幾つかの柱を立ててやってまいりました。その中で新産業の創出ということもうたっているわけであります。もちろん、新産業を創出していくというような研究開発だけではなくて基礎研究ということもこれはやっていかなきゃいけないわけでありますが、新産業創出というのは一つの目標であることは間違いございません。そして、そのためには研究環境の強化といいますか、柔軟で競争的な研究開発システムというものをつくっていかなきゃならないということもあわせて目標にしているわけであります。
 こういう取り組みでいい成果が出てまいりましたら、さらにどういうふうに成果を民間に移転していくかということがあわせて大事ではないかと私は思います。ですから、科学技術に関するデータベースの整備とかあるいは特許に関する制度の整備、こういうのは科学技術を進展していく上での一種のインフラ整備みたいなことにも当たるのではないかと思います。そういう点にも今後力を入れていく必要があるのではないか。
 そういうことを通じて日本の科学技術というものが、新産業の創出ということによって今の不透明な状況に風穴をあけられる役割を果たすことができれば、もって瞑すべしなんと言ってはいけないのですが、我々の目標というのはそういうところにあるということであろうと思っております。
○吉田(治)委員 まさに大臣の最後のポイントのところは、さきの研究交流促進法案の審議過程でも随分成果の民間への移転ということを申されまして、そのときに詳細な答弁をいただいておりますので、私は具体的に、ここ数年の科学技術庁の予算と具体的な研究というふうなものについて、現状というものについてお伺いをさせていただきたいと思います。
 平成九年度予算から平成十年度予算にかわった段階において一つ気になるというか、ちょっと変わったなと思うのは、新世紀構造材料研究というんですか、鉄鋼材料の研究という形で、我が国の社会インフラとしてのビル、橋を初め非常に鉄鋼材料というのは広く使われておりますし、また、日本の鉄鋼技術というのは随分海外でも評価をされ、韓国の急迫というんですか肉薄があってもその技術力でカバーをしている。ですから、安いだけでは、値段では勝負はっかないけれども、内容で随分勝負がついているというふうなことを聞いております。
 昨年からことしを比べたら、この今申し上げました新世紀構造材料研究の予算が減らされているというのか、ある意味で、ひょっとしたらある程度の具体的な成果ができたので余りふやす必要もなくほかに回したと言えるのですけれども、この辺の現状と、どういうふうな観点からの取り組みなのかというふうなことについてお聞きをしたいと思います。
○青江政府委員 お答え申し上げます。
 予算につきましては、減ではございません、増でございます。拡充をいたしてございます。
 本件の研究でございますけれども、非常に端的に申し上げまして、現在の鉄鋼材料というもの、これの強度と寿命をそれぞれ二倍に持っていこうというものでございまして、昨年度から本格的にスタートさせたものでございます。もちろんその前に金属材料技術研究所に研究のポテンシャルがあったわけでございますけれども、それで昨年度からスタートさせたわけでございますが、現時点におきまして、試験片レベルではございますけれども、これまでの一般鉄鋼材料に比べまして強度を二倍にするということでもう既にデータは出てございます。また一方、溶接部の疲労強度というものにつきまして、これはつい最近のデータでございますけれども、既存の方式に比べまして三倍という強度も出してございます。
 このように、着実にデータが出てきてございまして進展をしておるというものでございますけれども、これは、先生今御指摘のとおり、確かに建築材料ないし橋梁材料等々として使われておるわけでございますが、単にそれの強度が倍になる、寿命が倍になる、そこの側面のみならず、いわゆる環境問題といいましょうか、二酸化炭素の削減効果、省エネルギー効果、ここのところがまた大変大きいものではないかというふうに思ってございまして、研究の加速を図ってまいりたい、かように考えてございます。
○吉田(治)委員 局長、今、最後ちょっと聞きづらかったのですが、環境への負荷の低減、省エネというのは余りまだ進んでいないという現状ですか。
○青江政府委員 今申し上げましたように強度と寿命を倍にいたしますと、例えば鉄鋼の生産量というものを、そのニーズとの関係におきまして、マーケットとの関係におきまして、今後日本としてどのように維持をしていけばいいのか。そういたしますと、生産工程から生じますCO2の量というものもかなり削減が期待できるのではなかろうか。それから、自動車等に使われるということになりますと、自動車から出てまいりますCO2の排出量といいますものが、例えば鋼板の厚さが二分の一になるということになりますれば、その削減効果というのも期待できるのではないか、こういう意味でございます。
○吉田(治)委員 もう少し詳しくお聞かせいただきたいのは、今局長、生産量それからコストの問題を申されましたけれども、例えばこれを導入することによって、極端なことを言ったら、粗鋼生産量を半分にしてもいいのではないかとか、またもっと極端なことを言ったら、そこで働く人たちの雇用というふうなこともやはり視野に入れていく必要がそろそろ出てきたのかなという感じもするのです。その辺は、例えば民間の鉄鋼各社であるとか、そういうふうなところと、単なる費用面のコストだけではなくてさまざまな部分も含めての研究というか、共同研究みたいなのを今なされていると理解してよろしいのでしょうか。
○青江政府委員 高炉メーカーとの間の議論というのは、この研究をスタートさせる段階からもう進めてございまして、それでかなり、いわゆる人材面といいましょうか、鉄鋼各社にも非常に優秀な人材がございますので、そういった方々にも金属材料技術研究所の一種のプロジェクトチームに御参画をいただくというふうな形で、連携をとりつつ進めてございます。
 当然のことながら、パブリックセクターが行います研究というのは、あるところまで持っていくということであろうと思うわけでございますが、その先というのは、いわゆる高炉メーカーにきちんと引き取ってもらわなければならないということがございますので、そういうふうな手を打ちつつこの研究プロジェクトというものの進捗を図っておるというところでございます。
 その過程の中におきまして、今の粗鋼生産量が理論的には二分の一になるじゃないか、そうすると雇用にどうというふうなところまで詰めた議論というのはいたしてございません。
○吉田(治)委員 その辺までこれから先必要になってくるのかなと思うのですけれども、それと同時に、構造材料のみならず、目玉がいろいろある中で、脳科学研究というのですか、生命の神秘というのですか、ニューロンだとかいう言葉もこのごろ出ているように、重要な課題であります。これについては、大学、国立研究所等で出された成果をまさに実用化につなげるための産学官の有機的な連携というのも大変重要ではないかなと思うのですけれども、この辺の連携の方策、また特に、本年度予算における目玉というのですか、この脳科学研究自身の状況も含めてお答えをいただければと思います。
○青江政府委員 お答え申し上げます。
 脳科学につきましては、これはまさに人類に残された最後のフロンティアだというふうな言われ方もあるわけでございます。昨年度から私どもが最も力を入れております分野のうちの一つであるわけでございますが、本分野の研究というものに着手をする以前に、日本の脳科学の研究者、代表する方々に集まっていただきまして、それでオールジャパンとしての脳科学というものをどういうふうに持っていったらいいかというふうな議論を非常にインテンシブにやっていただきました。
 その結果が、科学技術会議のもとに設けられました脳科学委員会というところでもちまして、脳研究に関しましての長期的な総合プログラムというものを最後に結実させたわけでございますが、関係機関みんなでこぞってこのプログラム達成をやろうじゃないかということで、科学技術庁、厚生省、農水省、通産省等々の研究機関のみならず、大学もそのベースというものを構成しましようということでもって、脳というものにおおよそ関係いたします機関というのは、極端に申しますとほとんどの機関がこの脳研究の総合プログラムというものを全体的に担っていくというふうな形というのができ上がってございまして、そういう意味で、産官学連携というのが非常にうまくいった典型的な例じゃないかというふうにも思っておるわけでございます。
 今後、そういう枠組みというものをさらに強化して、研究の推進を図ってまいりたいというふうに思っておるところでございます。
○吉田(治)委員 この脳科学の研究については、よく言われておりますように、欧米においては非常に、特にアメリカにおいては予算も人も日本の想像以上に、日本の現状以上に随分手当てをしてというのですか、対応してされている、どうも日本はおくれているのじゃないかなというふうなことが言われているのですけれども、その辺の認識。
 それから、これは単に国威発揚というのですか、何でも日本だけでという発想はやはりよくないと思うのですけれども、後ほどの質問等にもかかわるかもしれませんけれども、海外との連携というのですか、研究交流促進法のときも随分大臣の御答弁の中で、日本に海外の研究者が来たい、来てやれるというふうな、これは、民族、国籍を抜きにしてそういう方々が集まってできる一つの研究ではないかと思うのですけれども、その辺は今どういうふうになっているのか、また今後どういうふうに対策を立てられるのか、お願いしたいと思います。
○青江政府委員 脳研究につきましては、特にアメリカというものが言ってみれば突出しているという状況にある、そういうふうに申し上げても過言ではないというふうには思ってございます。御案内のとおり、アメリカの中核機関はNIHでございますけれども、そこの研究者のスタッフにしろ、割かれている予算の額にいたしましても、これは圧倒的なものという状況にはございます。
 しかし、先ほど申し上げましたような形でもって昨年度からスタートさせました脳研究、これが徐々に拡充しつつございまして、日本の、特に理化学研究所の伊藤先生を中心にしましたグループというものを充実させていく。昨年の秋には、理化学研究所のもとに脳科学総合研究センターというものを設けたというところでございます。
 国際協力といいましょうか、競争と協調といいましょうか、これはもちろんあるわけでございますけれども、脳につきましては、極力協調協力ということでもちまして臨みたいというふうに思ってございまして、昨年の秋の日米のコモン・アジェンダの議論をいたしましたときにも、NIHと理研との間で何らかの協力というものを進められないかというふうな話もございました。
 と同時に、先般でございますけれども、谷垣大臣が訪米いたしました際に、マサチューセッツ工科大学の学長とお話をさせていただく機会がございましたときに、脳研究を中心にしまして理研とマサチューセッツ工科大学との間でその協力というものをより強化していこうではないかというふうな議論というものを進めてございます。
 と同時に、理化学研究所の中のセンターの中には外国研究者というものが相当数入ってきてございまして、そういう形で、国際協調、展開というものも強化してまいりたいと思ってございます。
○吉田(治)委員 今の局長の答弁が、例えば昨年度予算の科学技術振興調整費を活用した目標達成型脳科学研究推進制度の創設というふうにとらえてよろしいのでしょうか。
○青江政府委員 お答え申し上げます。
 それは一部でございまして、先ほど申し上げましたように大きなオールジャパンとしての総合プログラム、これは科学技術庁だけが担うわけではございませんで、先ほど申し上げました各省庁も、厚生省も農水省も、こういうことでございます。
 科学技術庁が担当いたしますところにつきましては、理化学研究所に一つの大きな、伊藤先生を中心にいたします推進母体といいますか、研究センターというものをつくりまして、そこが中心でございます。それと同時に、その理化学研究所の拠点のほかに、振興調整費を活用しての各省庁にまたがります総合研究というものも強力に推進していくという方途も講じます。
 それから、戦略的基礎研究推進事業という科学技術振興事業団におきましての枠組みというものがございますが、その中に脳というものも一つのジャンルとして設けまして、そこでもちまして非常に多分野の研究者の発意というものをくみ上げていくというふうな手も打っていく。
 そういう多様な手を脳科学推進につきまして打って、総合的に持っていきたいというふうに思っているわけでございます。
○吉田(治)委員 この質問ばかりしていてもあれなのですけれども、先ほどの鉄鋼の部分と今の脳の部分、それぞれ大体めどというのですか、俗に実用化、毎年毎年予算を突っ込んでいつまでも永遠にということはないと思うのですけれども、大体どれぐらいをめどにされていますか。
○青江政府委員 お答えを申し上げます。
 鉄につきましては、第一期、とりあえず十年というものをめどにしてございます。
 それから、脳につきましては、かなり多様といいましょうか、幅が広うございますので、それぞれあるわけでございますが、例えば、アルツハイマー等の脳疾患系のメカニズムというものを明らかにして、その対応というものをとっていくというのは、大体十五年。脳につきましては、いわゆる脳型のコンピューターというものをターゲットに置いての、チップをどういうふうに持っていくかとか、それぞれかなり細かくターゲットというのが時間的にめどとして置かれてございます。
○吉田(治)委員 わかりました。
 やはり時間というのですか、その中で一生懸命やるというのも大事だと思います。
 そういうふうなさまざまな科学技術、私は二点しか取り上げませんでしたけれども、科学技術の振興というのは、単に技術者のみならず、オールジャパンというのですか、私たち自身もそれならやらなくちゃという気持ちになることが非常に重要ではないかと思います。
 しかも、それは単に東京であるとか研究所があるところのみならず、各地域においてもそういう研究開発活動、これも後ほど大臣に御答弁いただきたいと思いますが、そういう科学技術だったら夢があって、自分たちもそこで活動しようという、そういう人材育成の長い目で見る広報活動にもなると思うのですけれども、科学技術庁における地域の科学技術振興の取り組みと今後の方策について、具体的に、科学技術の振興についてどうしているのか、それについての支援活動というのですか、その辺についてまずお聞かせをいただきたいと思います。
○宮林政府委員 お答えさせていただきます。
 科学技術振興における地域の取り組みでございますが、これは地域の科学技術の振興という観点だけではなくて、先生先ほど御指摘がございました新産業創出などのいわゆる産業の活性化、こういうふうなこととか、あるいは地域のニーズにフィットした、適合したような研究開発を地元でやっていただく、こういうふうなことのねらいを持ちまして、重要な施策であるということで進めさせていただいております。これらにつきましては、科学技術基本法においても地方公共団体の責務が明定されている、こういうことなので、非常に大事なことだと思っております。それで、具体的には、私どもが進めておりますのは、一つは、地域結集型の共同研究事業という、これはいわゆるプロジェクトでございますが、五年程度の期間、毎年四億円程度の費用で地域に適合した研究をやっていただくというふうな制度。
 あるいは、先導・基盤的研究開発施設整備事業ということで、それぞれ特に地域においてふさわしい研究開発の施設をつくろうとされるのを支援する制度。
 あるいは、地域研究開発促進拠点支援事業といいまして、これはどちらかといいますと、地域全体の科学技術の総力を挙げていただくシステムをつくる。したがって、一種のコーディネーションのメカニズムをつくる、あるいは地元の大学あるいは試験研究機関あるいは民間、そういうところがみんなが一緒になってやろう、こういう形をつくっていただくといったようなこと。
 あるいは、生活・社会基盤研究ということで、それぞれの地元のもう少し小さな研究といったような、例えば岡山県などにおいては心臓血管系の解析といったようなことをやっております。
 そういうようなことをやっておりまして、私どもとしましては地域の科学技術の振興を進めさせていただいております。
○吉田(治)委員 その中で、局長、生活・地域科学技術研究施設整備事業というふうなものを地方公共団体の支援施策としてなされてきたと聞いているのですけれども、現状というのですか、今後それはどういうふうな展開をなさっていくのか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
○宮林政府委員 これでやっております中身は、まだそんなに数が多くございませんで、一つは、岩手県におきまして、超電導技術を初めとするような独創的、創造的な研究を推進する基盤的施設ということで、先端科学技術研究施設というものをつくろうということに対して支援をしている。
 あるいは、兵庫県においては放射光研究施設、これは、いわゆるSPring8がありますけれども、それのもっと小さな、簡易に使えるような、そういう施設でございます。
 あるいは、沖縄で深層水を利用する施設、こういうふうなことを現在進めさせていただいております。
○吉田(治)委員 今、具体的な新産業にかかわるもの、また地域ということも考えていった場合に、やはり新産業のシーズの発掘に資する科学技術の重要性と人材の育成というふうなものも、やはり人がなければこれは成り立たないことで、機械だけあっても仕方がないことなのです。
 実際、研究開発に携わる優秀な人材があって初めて可能になるということで、創造的かつチャレンジ精神あふれた人材を、育成するだけじゃなくて、今度は確保するというふうなことも非常に重要になってくると思うのですけれども、これはさきの法案審議でも大臣何度も御答弁されたと思うのですけれども、改めて、この科学技術創造立国における人材というふうなものについての位置づけというのですか、お考えというものをここで賜れればと思います。
○谷垣国務大臣 結局、幾ら予算をつけても、やっている人が意欲に満ちて、優秀な研究者が育っていかないというようでは、これはどっちが卵で鶏だということもあるのだと思いますけれども、人の育成、確保というのはやはり一番大事だろうと思います。
 その点ではまだいろいろなことを考えなければならないわけでございますけれども、この前の研究交流法の御議論のときでも申し上げたところでありますけれども、それから先ほど脳研究のところでも先生にお触れいただいたところでありますけれども、私は、やはり日本人だけでやっていたのでは、発想も固定してしまったり、刺激が少なくなってしまうのではないか、こう思っております。
 日本に外国のすぐれた研究者が来ていただくことももちろん必要でしょうし、我が国の優秀な研究者や何かが海外へどんどん出かけていって、一緒に研究をしたり、あるいは情報を交換したりすることも基本的に必要じゃないか。人材育成、確保という観点と、それから研究水準の向上という両方の観点から国際交流ということを考えていかなければならないのではないか、私はこう思っております。
 やや具体的な細かなことになりますが、こういうために、研究公務員の長期派遣制度とかあるいは若手研究者の長期在外研究事業等の実施、それから科学技術振興調整費を使って国際学会への参加とかあるいは国際ワークショップの開催、こういうようなものにも力を入れていく必要があろうかと思っておりますし、それから、科学技術庁のSTAフェローシップ制度などを使いまして、外国の若手研究者を国立試験研究機関にどんどん受け入れていくというようなことを積極的に進める必要があると思います。
 それから、研究者全体に対して、日本の研究機関の場合に外国人研究者をどのぐらい入れてきたらいいか。これはいろいろな意見があると思うのですが、実質的な戦力として効果を上げるためには、三分の一程度は外国の研究者を入れるということを目標にすべきだという意見もございます。先ほどから御議論が出ております理化学研究所などでは、流動的研究体制を目指した国際フロンティア研究システムというようなことで、ここは大体三割程度を達成しているということでございます。
 今後とも、人材確保のためには、そういう違った背景で、違った研究方法、発想、こういうものを積極的に取り入れていくということを考えていきたいと思っております。
○吉田(治)委員 今、大臣に答弁いただきましたように、まさに日本人だけではなくということも大事ですし、国際研究交流という形も必要だということですけれども、ここで二点ほど聞かせていただきたいなと思うのは、まず一点は、担当局長もおいででございますので、理系教育というのですか、私は、もともと家が町工場で、ひょっとしたら理系の人間だったかもしれませんが、気がついたら法学部を出ていたということで、なかなか疎いのですけれども、やはり理系をやるというのは少数です。一つには、青少年のときからやる必要もあるでしょうし、ある程度年がいってから、いや、やはり理系も勉強しなくちゃという形でスイッチしていく場合もあるでしょうけれども、この辺については、例えば文部省と協議をしているとか、また地域においては、宣伝活動というのか広報活動というのか、そういうことをしているのかどうかということ。これは科学技術基本計画に示されているのですけれども、その辺が一点。
 もう一点は、大臣も言われました国際シンポジウムの開催の方ですね。参加だけではなくて、日本でやはり開催するということが大事で、いっときバブルのときには、メッセ、コンベンションが次世代の地域振興だという形で、国際会議場、ばかでかいのがあちこちできているのです。一部には筑波においてもそういうのが必要じゃないかという声もあったのですけれども、やはりそういう会場もあるという中で、どう誘致してくるのか、持ってくるのかというのも大事なことだと思うのですけれども、この辺は現状どういうふうになっているのかということ。この二点はどういうふうになっているのでしょうか。
○宮林政府委員 お答えさせていただきます。
 まず、文部省とのお話でございますけれども、教育そのものについてどうするというお話まで今いっている段階ではございません。しかしながら、文部省とは私どもいろいろな形で連携を今しようということで努めてきておるところでございまして、実際に文部省とは、いろいろな意見交換の場を設けたり、あるいは議論をする場を設けたり、あるいは施設を相互に見学をしたりというふうなことも進めております。そういうふうなことを通じまして、今後、先生御指摘のような問題についても議論していきたい、こういうふうに思うということをまず申し上げたいと思います。
 それから、第二点目といたしましてワークショップといったようなことについて御指摘がございましたが、これにつきましては、平成九年度で三十二件、平成十年度では同じく三十二件程度、政府が費用を支弁をして行うものとしては予定をしております。
 それ以外にも、各学会とかそういうところは非常に努力をされておりまして、それにつきましても、私ども、御相談があった場合は、お手伝いできるときはお手伝いをする、公費をもってするということはなかなか難しいのでございますが、いろいろな財団なんかにお願いをするとかというふうなことも現実にいたしております。
○吉田(治)委員 まさに人をどう育て確保するかというのが大事な側面ですけれども、これが今後の課題とするなら、時間が少しございますので、私は、原子力政策というよりも、産業として見た原子力というものについてちょっとお聞かせをいただきたいなと思うのです。
 これは政策局長に聞くのがいいのか、原子力局長がいいのかわからないのですけれども、産業として原子力産業を考えた場合に、割と成熟産業だ、技術的にも研究開発的にも随分成熟していっている。また、原子力発電所自身の建設も、これは通産省の所轄になるかもしれませんけれども、今後を考えていった場合には余り多くを望めない。しかし、そういう中でも、核融合であるとかバックエンド体制の中において、産業として見た場合の原子力というふうなものに対しては可能性が秘められているのではないかなというふうに言われておりますが、産業として見た原子力についての位置づけというのですか、国家としての見方というものについてまずお聞かせいただきたいなと思います。
○加藤(康)政府委員 原子力の産業につきまして、日本原子力産業会議という社団法人がございまして、毎年実態調査というのをやっておるわけでございますが、例えば原子力産業の鉱工業における売り上げ、そういうもののデータが発表されております。これは平成八年度でございますが、二兆三百九十一億円の売り上げでございまして、前年に比べては〇・〇二%しかふえておりません。大体横ばいでございます。内容的には、その中の原子炉の機材の部門、そういうものがやはり、最近の原子力発電所の建設がスローダウンしておりますので、減っておるわけでございますが、核燃料サイクル部門とかその他の部門が伸びておりまして、大体横ばいになっているところでございます。
 また、今後につきましてのアンケートもついていたわけでございますが、それによりますと、当面は少しそういう売り上げは減るかもしれないのですが、例えば平成十三年ごろになりますと約一割ぐらいはふえるであろう、そういうような予想もあるわけでございます。
 いずれにしましても、原子力産業というと、先生おっしゃいましたけれども、いろいろな分野が含まれるわけでございまして、非常に広範な企業群に支えられました総合的な装置産業ということでございます。しかも、特色といたしましては、研究開発投資が売り上げの中に占める割合が非常に多い、平均よりかなり多いということでございまして、それが三・九%。全産業の平均は二・七七%ということでございますから、それを五割近く上回っている、それも特徴でございます。
 そういう意味で、原子力産業が健全に発展するということは、国民経済とか雇用、そういうものにも好影響を及ぼすものがあると考える次第でございます。
○吉田(治)委員 伸びが〇・〇二%というのはまさに成熟と言っていいと思うのですね。
 ただ、今の局長の答弁の中で、平成十三年一割増予想というのは、そのころに何か科技庁として――これは向こうの産業会議さんが勝手に考えたことだと言い切っていいのか。その辺はいかがなんですか。
○加藤(康)政府委員 私、詳細に知りません。ただ、私の想像でございますが、COP3等を受けまして、これから原子力発電所ももう少し建設したい、そういう電力会社の意欲がございますので、そういうものを想定してふえるのではないかということを期待しているのではないかと考えている次第でございます。
○吉田(治)委員 知らないというふうにはっきり言われたのですけれども、たしか原子力産業会議には科技庁のOBの方か何かが派遣されているのではなかったかな。そういうことはないのですか。そういうことがなければいいのですけれども。
 ただ、その中でも、局長が言われた、研究開発が三・九%で、ほかの産業に比べて五〇%多い。五〇%と聞けば大きいのですけれども、結構あるというその一つに、やはり使用済み燃料を有用資源として使っていくというふうな研究開発も大きな割合を占めると思うのですけれども、現状、平成六年の長期計画においては国の責任というのが明文化されていた、しかしながら、昨今の原子力委員会等ではそれは議論中だというふうにお聞きしているのですけれども、この辺の責任所在と言ったら語弊がありますけれども、最終的には、使用済み燃料の有用資源化というふうなことについては、どこが責任というのか、対応するというふうに今後はなっていくのでしょうか。
○加藤(康)政府委員 国が責任を持って行うというのは、多分高レベルの廃棄物の処分対策であろうかと考えております。使用済み燃料の再処理につきましては、当然電気事業者が自分たちの責任で再処理したり処分をするわけでございますが、国民に対して最終的に高レベルの問題をどうするか、これはやはり国が責任を持っていかなければいけないと思います。
 その責任と申しますのも、分解いたしますと、やはり発生者としての責任というのもございますし、国が安全規制をきちっとやるという責任もございますし、あるいは処分事業がきちっと育っていくように指導したりする責任もございますので、大きくはそういうことでございますが、具体的な責任になりますと、個々のそれぞれの責任あるところに分かれていくということになるかと思っております。
○吉田(治)委員 そこのところが、いろいろな原子力に関する議論の中で、責任の所在というのが、おれじゃない、おれじゃないという形になっていくというのがちょっと残念なところではないかなというふうに思うのです。
 もう一点は、これからの、よく言われております、バックエンドというのですか、これは、単にそれをどうするかというよりも、発想の一つの中に、多分局長の中にはおありだと思うのですけれども、単にお金をかけてこうすればいいというだけじゃなくて、最終的には、このバックエンドに関しては随分費用もかかるでしょうし、それはだれが負担するのかというふうなことも必要ですし、その中で、例えば、産業として見るのがいいのかどうかわからないのですけれども、一つの仕事というか、ビジネスという言い方はよくないかどうかわからないのですけれども、産業が異れば産業廃棄物の問題が起こるように、原子力の問題があればバックエンドの問題が必ず起こってくる。そこに一つの、産業としての可能性と言ったら言い過ぎかもしれませんけれども、そういう部分があると思うのですが、その辺の認識というのはいかがなのでしょうか。
○加藤(康)政府委員 バックエンドの費用と申しますのは、一般の廃棄物と同じように、発生者の負担というのが原則でございますので、その発生者負担の原則の経費をどのように集めるか、集め方はいろいろあるかと思います。原子力の中で大きなものは、やはり原子力発電所からの廃棄物、特に高レベルの問題というのはこれからまだ対策を講じなければいけませんが、その費用につきましても、現在我々が使った電気から発生するものでございますので、使った人たちがやはり費用を負担しておかなければいけない、そういう考え方に基づきまして、その費用の負担の仕方を、現実に今通産省で検討が始まったところでございます。電気料金の中から一部それを充てておく、そういうようなシステムになるかと思いますが、その具体的な検討が始められているわけでございまして、使った人たちがきちっと費用を払う、そういうシステムをつくらなければいけないと考えております。
 それから、そういうバックエンドが産業かという話でございますが、少なくとも一つの事業ではございますので、そういう事業が起きますれば雇用も当然ございますし、いろいろなことがあるかと思っております。
○吉田(治)委員 もう時間ですので、最後に一点だけお聞かせいただきたいのです。
 先ほど科学技術系人材の育成ということを申し上げましたけれども、今度は成熟産業として見た場合の原子力における人材育成というか、特に今、炉の関係の機材が、売り上げというのですか、売り上げと言うのはよくないのだな、そういう部分がだんだん減ってきているというふうになってきますと、それに携わる、まあ職人さんと言ったら語弊がある、技術者と言った方がいいと思うのですけれども、その人たちの技術承継というのですか、伝承というのですか、そういうふうなことも、特殊な原子力という技術の中でそういう部分をどう引き継いでいくかというのがやはり一つの問題になってくると思うのですけれども、その辺は何らかの措置というのですか、考えというのですか、それはされておられるのでしょうか。
○加藤(康)政府委員 国として何か措置をとっているということではございませんが、メーカーの人から聞きますと、やはり新しい発注がない、そうしますと、その人たちを食わせなければいけない、新しい仕事に向けなければいけないということで、メーカーとしては非常にいろいろ苦労されて人の配置とかをされています。それから、また新しく発注があったらまた少し戻すとか、それなりに産業界では御苦労いただいていると思います。
 いずれにせよ、そういう人材がきちっと維持されることとか技能が維持されることはやはり非常に重要なことでございますので、その辺はそういう産業界に期待したいと考えている次第でございます。
○吉田(治)委員 やはりそこのところはちょっと、問題意識というか、持たれていると思いますけれども、強く持っていただきたいと思いますね。やはり、日本の産業、単に科学技術関係のみならず、よく言われていますように、技能とか技術というもの、職人さんというふうなものがだんだん減ってきたというのが二十一世紀に向けてどうか。特に原子力は、先ほど申し上げましたように、本当に特別な技術というか、特別な産業と言ったら語弊があるかもしれませんけれども、ほかとは違うという意味で特別ということの中においては非常に重要かと思うのです。
 今後その辺については特別の御配慮をしていただくことをお願い申し上げまして、時間になりましたのでこれで終わらせていただきます。
○大野委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時二十六分休憩
     ――――◇―――――午後一時開議
○大野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。質疑を続行いたします。近藤昭一さん。
○近藤委員 民主党の近藤昭一でございます。
 先般、五月十一日、十三日にはインドにおける核実験、そして、二十八日、三十日におきましてパキスタンの核実験が行われました。大変に遺憾なことでありまして、日本政府としても幾つかの対応をされているわけでありますが、よく谷垣大臣もおっしゃっておりますように、技術というものは、我々この日本に住む一人一人、また、世界じゅうのこれからの将来を担う若い人たちにとっても夢であるべきだ。つまり、せっかく、小さいころといいますか若いころから学校へ行って勉強し、それを大学あるいは研究所において科学技術の発展のために寄与していく、ところが、その科学技術の発展が、今回のような核の、これはやはり核兵器につながっていくということであると思います。こういった兵器開発につながっていくこと、これは大変に残念なことであると思います。
 インドあるいはパキスタンにも、立場というか、それぞれの国の考え方もあるでしょうし、そのほかにも核保有国ということがあるわけでありますから、いろいろな考え方はあると思うのです。ただ、やはり私としては、日本としては、科学技術の発展というのは、こういった戦争につながるような核兵器の開発につながってはいかぬと思うわけであります。
 ところで、こういった技術がこういう兵器につながっていくようなことに使われていくこと、こういった観点から今回の一連の核実験に対して大臣はどういうふうにお考えになるか、御所見を伺いたいと思います。
○谷垣国務大臣 先ほど奥山委員の御質問にもお答えしたことでございますけれども、私は科学技術庁長官であるとともに原子力委員長という立場も兼ねているわけでありますけれども、我が国は、もちろん平和利用ということで原子力を利用している、平和利用に限るということでやっておりまして、そして、私のやっていることが我が国の外交政策や安全保障政策に直接かかわるわけではありませんけれども、私が所管しております仕事も核不拡散政策というものと密接な関係があるわけでございます。それだけに、非常な関心を持って今度のニュースを見守ったわけございますが、そこで感じたことを一言で申し上げれば、残念ということに尽きるわけであります。
 先ほども申し上げましたが、二つございまして、一つは、やはり核廃絶に向けた日本の姿勢、日本国民の希望。パキスタンの首相もあの記者会見で被爆国である日本のことにも触れたわけでありますけれども、どうも日本人の受けとめ方と方向が逆ではないか、こういう意味での残念さを感じました。それと同時に、今まで、日本もそうでありますが、世界が核不拡散あるいは核実験禁止ということで努力をしてきたけれども、それに対する真っ向からの挑戦でもあるし、その体制に大きな傷といいますか亀裂を入れるものになった、こういう意味でもまことに残念なことでございました。
 これに対してどうこたえていくかというのは、なかなかこれ難しい問題でございまして、今すぐ確定的な結論が出せるわけでもないところがございます。G8の議論もあり、あるいは安全保障理事会の常任理事国の議論もあろうかと思いますが、そういうことを通じて、私どもは核不拡散体制をもう一回再構築する努力というものをしていかなければならないと思いますし、また、私どもももう一回原子力基本法に定められている平和利用という原点に立って、私どもがやってまいりました核不拡散や核実験禁止というその流れの努力を、国際的にも立場をもう一回はっきりさせていかなければならないのではないか、こんなふうに思っております。
○近藤委員 ありがとうございます。
 今大臣もおっしゃられたように、基本的には外交の問題というか、外交が今回の実験に対しては占める割合が多いと思うのです。ただ、これからちょっと質問させていただく趣旨といいますのは、やはり科学技術は平和に利用していくべきであろう、そしてそのために、以前この委員会でも質問させていただいたのですが、日本もいわゆる国際科学技術交流というところで随分と予算も使っておると思います。そういった中で、そういった技術交流も一つの考え方、大きく外交の一分野と私はとらえることができると思います。
 例えば、外国から、日本のフェローシップというか留学制度で日本に来る、あるいはその他の技術交流で日本に来る、そして、日本で技術を学ぶ。もちろんそれがいわゆる核開発に直接つながらない分野であっても、日本に来て、例えば、そういったことをあえてするとかという意味ではなくて、たまたま日本に来て勉強していた、そして広島と長崎というものがあることを知った、余暇の一つというか空き時間に広島、長崎に行ってみた、そこで核の恐ろしさを知る。それが核開発に携わっている人であるかあるいはそうでないかわかりませんけれども、そういった人たちも、日本にはこういうことがあったのだ、日本というか世界ではもうこういう核爆弾が落とされた事実があった、そして、本当に悲惨な結果を招き、それが今なお尾を引いている、こういったことを学ぶということは、科学技術というものが平和利用されていく、平和利用に向かっていくという意味で、私は、ある一定の役割を果たすのではないかなというふうに思うわけであります。
 あるいは、日本に来て、そういった留学生が谷垣大臣と直接話をする、それで、万が一将来そういった科学技術、核開発に携わるようなことがあったら、そのときに谷垣大臣の顔を思い出して、やはり技術というものは夢を与えなくてはいけない、そんなふうに思うこともあるのだと私は思うわけであります。
 ところで、やはり日本の科学技術は夢がある方に向かっていってほしいと思うわけでありますが、インドの核実験あるいはパキスタンの核実験というものがテレビでも放映をされております。実験の爆弾が爆発する。かつてはムルロアの環礁でフランスの核実験も行われましたが、そのときも、海がばっと盛り上がる。そういったテレビの画面を見ておりまして、その恐ろしさとともに、こういったものがどういった影響を与えるのだろう、遠いところ、あるいはインド、パキスタンになりますとかなり近くなってくるわけですけれども、こういったことが環境に何か影響を与えるのではないかなというふうな漠然とした不安を私は感じるわけであります。
 こういったことに対して、日本の監視体制といいますか、今回の核実験の影響が日本にもあるのではないか、あるいは、日本だけではなくて地球規模であるのではないか、そんなことを日本として観測なさっているのか、そういう事実があるのかどうか、あるいはそういった体制があるのかどうかということをちょっとお伺いしたいと思います。
○池田政府委員 まず、核実験によりまして一番心配しますのは、その放射能の影響ということになりますけれども、我が国におきましては、科学技術庁長官を本部長といたします放射能対策本部という組織がございます。この組織のもとに、科学技術庁はもちろんでございますけれども、気象庁は測候所のモニタリングポスト等を活用いたしますし、防衛庁は定期的に航空機を上空に飛ばして放射能のちりを集めて測定するようなことをやっております。こういった関係省庁、それから都道府県におきまして、環境放射能調査を実施しているところでございます。平素からこれを実施しております。
 そして、海外で今回のように核実験が実施され、その放射能の影響が日本に及ぶおそれがあるといったような場合には、この放射能対策本部のもとに、まず外交ルートなどを通じまして情報の収集に努めます。それから、関係機関によります放射能調査の強化を図ることによりまして、その影響の有無というものを把握しようということになります。今回、インドそれからパキスタンによりまして一連の地下核実験が行われたわけでございますけれども、直ちに当庁から、こういう放射能対策本部を構成します関係省庁に対しましてこの観測体制の強化の呼びかけをいたしまして、それぞれの放射能調査結果を迅速に入手するなど、この観測を行ってきております。現在までのところ、今回の一連の地下核実験に関しまして、これら関係機関の測定結果から、我が国が知る限り、我が国への放射能の影響というものは確認されておりません。以上でございます。
○近藤委員 ありがとうございます。
 今のところそういった影響は日本には来ていない。しかしながら、今おっしゃられましたように、放射能対策本部というものが設置され、各地の観測所というか、観測をするところでデータを収集するということだと思います。
 くどいことになるのですが、科学技術を本当に有効に使っていく、そして日本という国をそういう科学立国として進めていくということで申し上げますと、そういった日本の観測技術というようなものは、世界的にはやはりレベルが高いのでしょうか。
○加藤(康)政府委員 放射能の監視という観点からいたしますと、今安全局長から話がございましたように、日本には、かつて中国が大気中で核実験をしたときにかなり日本に放射能の影響がございましたから、そのときに結構緻密な観測網も設けまして、立派なシステムができていると思っております。
 あと、核実験に関連いたしましては、CTBTという包括的核実験禁止条約、これがこの前署名のために開放され、我が国は批准しているわけでございますが、そちらの方で、核実験をやっているかどうかを監視するといいますか、やった後の観測というよりも、したかどうかを監視する、そういうようなシステムもございます。
 そういうようなCTBTの監視システムというのは、これは国際的にやるわけでございますけれども、そこで、技術的には四つのものを見ることになっております。一つは地震学的な監視で、振動を見る。それから、放射性の核種、水中の音波、微気圧振動観測。この四つの監視施設を置いてこれから監視しようということでございます。その中で、日本といたしましては、地震の方につきましては気象庁が、それから放射線の監視につきましては高崎研、原研の方でやる、それからもう一点、微気圧の振動につきましても我が国で監視するということでございまして、水中の音波にだけはどうも日本は入っておりませんが、そういうところで国際的な監視システムに参加するということになっております。
○近藤委員 ありがとうございます。
 局長おっしゃるように、CTBTに基づく核実験を探知するための国際監視制度があって、私の手元にあります資料では、その中の十カ所ほどを日本が担うといいますか、日本の国内でも十カ所ほどそういった施設、今局長がおっしゃったような地震、放射性、それと水中音波というか波動ですか、水中のことに関しては日本ではないようですが、微気圧振動について、それぞれの監視所を設置するというふうに聞いております。
 それで、今ちょっと質問させていただきましたのは、地理的に、やはり日本でもこれぐらいの、十カ所ほどのそういった監視所を設置してくれという側面もあると思うのですが、また別の側面として、日本は非常にそういった観測技術、いわゆるデータを集める技術が高いから、日本はこれぐらいの数を担ってくれ、そういうような側面もあるのではないかと思うわけであります。そういった面で、そういった観測、データ収集技術が世界でどの程度のレベルにあるのか、それをちょっとお知らせいただきたいのです。
○春日説明員 お答えいたします。
 条約では、地震学的観測所としましては、気象庁の松代などが、国際監視制度の観測網を構成する観測点として指定されておるということは先生も御承知だと思います。
 気象庁は、従来から、全国的な地震観測網を敷きまして、津波の予報あるいは地震の情報の発表をするといった高い地震観測の技術を持っております。そういった点から、国際監視制度におきましても、技術的な観点からこれに協力していきたいというふうに考えております。
 具体的には「松代の群列観測システム、これは、地震学的観測所としましては世界で五十指定されているうちの一つでございます。あるいは、その他に補助観測点といたしまして百二十世界で指定されておりますが、そのうちの五つ、これは北海道から沖縄までの観測点で、そこで得られましたデータをオーストリアのウィーンに設置予定でございます国際データセンターへ提供するということにしております。
 これらのデータは、世界じゅうの、百七十になりますけれども、観測点の地震データとともに、核実験の探知のために利用されるというふうに承知しております。
○近藤委員 技術がいいのかどうか、多分いいのだと思うのです。
 それで、日本の、特に気象庁さんの方で、今お答えの中にあったのは、国内の観測点で収集されたデータを、国際監視機構というのでしょうか、ちょっと名前は今おっしゃられたのを正確に記憶しなかったのですけれども、そういった核実験を監視するところにデータが収集されるのだという手順だと思うのです。どこかで核実験がある。それは宣言してやる場合もあるでしょうし、宣言しないで本当にひそかに小さな核実験というのがあるのかもしれませんが、そういった実験が行われる、それを監視していくという全体のシステムだと思うのです。日本で集めたデータが一中央というか、コントロールしているセンターに行く。そうすると、そのセンターで多分分析をして、どこかで秘密裏に核実験が行われたのではないか、そういった分析もされるのかなという推測をするわけですが、そういったことをやっているのかどうか。そして、それがそこで分析されて、世界に、どこどこであったとか、そういうようなデータの、情報の公開がどういうような形でされるのか。それがわかればちょっと教えていただきたいのです。
○加藤(康)政府委員 CTBTはまだ発効していませんので準備段階でございますが、CTBTの事務局長が、半年以上前でしょうか、いらっしゃったときにその点を少しお話ししたのです。各国から情報がそちらに入る、CTBTの事務局でそれを解析される、各国の方には同じような情報がいただけるのかどうかとか、そんな質問もしたわけでございますが、何せこれから準備をする段階でございますから、その辺につきましては内部でもよく検討し、また相談しながら決めていくということで、データの取り扱いをどのようにしていくかにつきましてはまだ必ずしも確定していないような状況かと考えております。
○近藤委員 わかりました。多分今局長がおっしゃった意味は、ぜひそういう情報を提供してほしいけれどもどうかということに対して、今のところまだ決まっていないというようなやりとりがあったのかなというふうに思うわけです。
 そうすると、先ほど地震学的な監視あるいはたしか放射性核種監視というのがあったと思うのですが、この放射性核種というのはどういったものなのか、ちょっと教えていただきたいのですけれども。
○加藤(康)政府委員 普通の原子力発電所ですと、放射性の廃棄物の中にコバルト60とかセシウムとか、そういうものが多く出てくるのですが、核実験の場合ですと、核分裂、分裂片でございますから、ストロンチウムとかそういうようなものが多く出るわけでございますので、核種が何かによりまして、これは核実験の影響なのかとか、そういうこともわかるのではないかと思います。概してそういうことだと思っております。
○近藤委員 そうしますと、地震学的な監視は気象庁の方で担われて、多分今ある日本の中の地震の観測所を幾つか指定して、それがデータを集めるということだと思うのです。
 そうすると、放射性核種の監視については日本において三カ所だというふうに聞いておるのですが、これは既存の施設でデータを集めるのでしょうか。それとも、新たにそういう観測施設をつくるのか、それをちょっと教えていただきたいと思います。
○加藤(康)政府委員 この辺のことはすべて、CTBTの事務局の方で、どういうようなスペックのものというのはこれから多分決められるのかと思います。そういうところと相談しながらこれから設置するということになるかと思います。
○近藤委員 そうすると、CTBTとの関連もあると思いますので、これがいつごろまでに整備されるとかということはまだまだこれから先の話でありましょうか。
○加藤(康)政府委員 ただいまCTBT内部でも議論中でございますし、我々も議論をさせていただいている段階かと考えております。
○近藤委員 CTBTとのかかわりもあるでしょうから、その議論の段階だということはわかるのです。ただ、それがいつごろできるのか、いつごろつくるのか。これから議論、そうすると、そういう経費というか費用についてはどういうふうな処理をされるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○加藤(康)政府委員 基本的にはCTBTの方が出すということになっているようでございます。
○近藤委員 わかりました。CTBTの方が負担をする。それで、今後議論をしながら、日本の国内においては三カ所、それは既存の施設を一部利用しながらとか、そういうこともあるのだと思います。
 ところで、そうしますと、放射性核種監視のほかに、先ほどお答えになりました微気圧振動というのでしょうか、何か気圧の振動だと思うのですが、これについてもやはり気象庁の方で観測するのですか。
○春日説明員 微気圧の振動につきましては、我が国におきましては筑波に設置するということが条約で指定されております。これにつきましても、気象庁としましては技術的な観点から協力してまいりたいというふうに考えております。
○近藤委員 筑波に設置する。これもまだまだ、いつごろとかどれぐらいの費用がかかるかというのはこれからの議論でありましょうか。
○春日説明員 先生おっしゃるとおりでございます。
○近藤委員 CTBTとの関係でそういった国際監視制度の施設を日本が十カ所分担する。それは、既存の施設を使う部分と新たに設置する部分、ただ、その新たに設置する部分についてはまだまだこれからの議論だということだと思います。
 多分日本の技術はそういった部門でも、特に地震に関しては、日本も地震が大変に多い国なので、そういった意味では経験の蓄積、そしてそれに関連しての技術の開発というのは随分進んでいるのだろうというふうに推測するわけであります。ただ多分、これは事が核実験ということなので、ある意味でデータの解析等は非常に軍事的といいましょうか、そういった側面があり、データを収集する技術はあるけれども、データの解析ということでいうと、そういう核実験ということで日本ができるのかどうかというのはちょっとまた別問題かなというふうに思うわけであります。
 ただ、そういったデータを収集する部分では非常に日本はすぐれていると思います。そういった面で日本は、本当に何回も繰り返しになるわけですが、日本のそういった技術、地震観測とか今の放射性核種の監視もあると思うのですが、こういったことに関する国際協力みたいなものは行われているのかどうか、ちょっとお知らせいただきたいと思います。
○加藤(康)政府委員 放射性核種の問題では、国際的な、IAEA等で研修とかいろいろございますから、そういうところで技術の交流というのは当然やっているかと思いますし、地震の分野でも、科技庁に地震の調査推進本部ができまして以来予算もいただきまして、なるべく国際協力をやるように、そういうことで働きかけております。
○春日説明員 地震波形のデータ交換に関しましては、一九八〇年代から、関係国におきましてこのデータの交換をどういうふうな手順でどうやったらいいかということを実験してまいりまして、日本、気象庁もこれに積極的に参加してきております。
○近藤委員 ありがとうございます。ぜひとも、日本がそういった技術ですぐれている分野におきましては、技術交流という面、また先ほど申し上げましたように、そこの技術交流を通しての人的交流という面の促進のために積極的に進めていただきたいと思うわけであります。
 今回のこの実験に関連しましてちょっと振り返りまして、日本の科学技術が安全に平和利用に使われるために何か具体的なことがされているのかなと思って今年度の予算をちょっと改めて見させていただきました。そんな中で、原子力の安全対策の充実強化、核不拡散対応の充実強化ということで約七十億円ほどの予算が組まれております。これは具体的にどういうふうに使われているのか、お教えをいただきたいと思います。
○加藤(康)政府委員 平成十年度の予算で約七十億五千万円でございますが、具体的な内訳は、大きく三つで使っておりまして、科技庁自身が使っているのと、日本原子力研究所、動燃事業団、この三カ所で使っているわけでございます。
 まず、科技庁自身といたしましては、IAEAとの協定に基づきます保障措置の実施、科技庁の職員が現場に行きまして、平和利用をきちっと、在庫をきちっと把握する、そういうような保障措置のための経費、それから、核物質防護の関連の、これは事務的な経費でございますが、そういうもの、あるいはそういうことに付随する技術開発、そういうものに約三十億円使っております。
 それから、日本原子力研究所では、主として研究でございます。保障措置のための測定等の研究、そういうものに約六億五千万円ぐらいを使っております。
 それから、動燃事業団は、核燃料サイクル等いろいろございますので、やはりそういうところの保障措置を向上させるような研究とか、あるいは核物質防護、これはプルトニウムとかいろいろなものがございますからきちっと防護しなければいけない、これは実務もございますが、そういうものとか、あるいは長期的な研究としまして核拡散抵抗性のあると申しますか、変に利用しにくいような核燃料サイクル、そういうような技術開発を含めまして約三十三億円計上しております。
 そういうことによりまして、核不拡散の維持強化、それに努力してまいりたいと考えております。
○近藤委員 今局長がおっしゃったように、三つの大きな柱といいましょうか、三十億、三十三億、六・五億でしょうか、大きなところに使われているということであります。そうすると、日本もいわゆる核を平和利用にきちっと使っていますよというための自己申告というようなことなのでしょうかね、これは。どういうふうに、幾つきちっと保管されている、あるいは、今のお答えの中にもありましたが、そういったリサイクルのシステムとして、まあプルトニウムということになってくるのだと思いますが、そういったものが核兵器の開発には使いにくいようなシステム等々だというふうに思うわけでありますが、日本はそういうふうにかなりの予算を使って、IAEAに報告をしている。
 そうすると、ちょっとシステムを教えていただきたいのですが、日本から一AEAに報告する、そうすると、IAEAの本部で各国の状況を集積というか収集してまた各国に、どこの国はこうだ、あそこの国はこうだ、そんなシステムなのでしょうか。
○加藤(康)政府委員 先ほどの保障措置というのは、建前として、日本は日本なりに国内のものをきちっとやります、そしてまた一AEAとの協定で、IAEAも、日本がやっているものを、オブザべーションと言っていますが、よく見ます、IAEAもよく調べるわけでございます。そういうデータが一AEAの本部に集まりまして、それをIAEAの中で解析いたしますが、基本的には、どの施設にどれだけプルトニウムがある、こういうような情報でございまして、ある意味では機微な情報、国際的には機微な情報でございますので、IAEAでいろいろな分析をいたしまして、この国の査察はこうだ、非常によくできているとか、何かちょっとまずい点が、こういう点があった、そういうような感じの概要報告が出されます。
○近藤委員 なるほど。
 それについては、ブラックボックスという言い方はちょっと適当ではないかもしれませんけれども、かなりそれぞれの国の機密の部分もあるでしょうし、万が一、核ジャックではないでしょうが、この間、私も映画で見ましたけれども、核兵器をつくるためのもとを盗まれてはいけないということで、そういった秘密の部分もあるのは理解をいたします。
 そうしますと、この核不拡散対応の充実強化の予算の中で、やはり一AEAそのものに対する負担金などもこの中から支払われているのでしょうか。
○加藤(康)政府委員 IAEAは国際機関でございますので、そちらに対する出資金は、外務省が国際機関に一応全部出しておりますので、外務省の予算から出されておりまして、今の中には入っておりません。
○近藤委員 わかりました。外務省を通してこのIAEAに日本からも国際的な監視がうまくいくように負担金が出されているのだと思います。
 そうしますと、この科学技術庁関連の予算の中では、特に我が国だけの監視のための費用だけであって、例えばこれを、どういう言葉で言ったらいいかわかりませんが、国際的に核不拡散を進めていくために科技庁自身が特にやっているというような具体的な事象がございましたら教えていただきたいと思います。
○加藤(康)政府委員 先ほどの七十億の中には、日本が一AEAを支援するプログラムというのがございまして、IAEAは国際機関でございますから、必ずしも、お金を自由に使えるというか、研究をするというのはなかなかできないものですから、日本とIAEAで、こういうことをすれば査察技術が向上するだろう、結果的に査察の精度もよくなるしあるいは事業者の負担も軽くなるだろう、そういうようなものにつきまして共同の研究のようなものをやっております。
 したがいまして、先ほどの中からそういうIAEAに貢献するというのはかなりの金額があるかと思いますし、そういうところで採用されますと、それをまたほかの機関にも一AEAが使えばほかの国も便益を受ける、そういう意味で貢献しているプログラムというのがございます。
○近藤委員 ありがとうございます。
 そうすると、その研究の形態というのはどういうものですか。例えば、外国からの研修者、IAEAの関連の研修者が日本に来て一緒にやるのかあるいは日本から出かけていってやるのかとか、どれぐらいの規模といいましょうか、人数的には何人か日本に来てやっているのかとか、その辺はいかがでありましょうか。
○加藤(康)政府委員 さまざまな形態が含まれておりまして、研修という格好で申しますと、日本で研修をする、これは必ずしも日本人だけを相手ではなくて、例えばアジアの国々の人たちに来てもらって保障措置の研修をするといったこともございますし、あるいはIAEAでやる研修にお金を出すようなものもあります。あるいは研究も、先ほどのプログラムは、最初に共同研究のプログラムを日本と一AEAで相談してっくります。そして、ではこういうような機器を開発しよう、そうして、その機器は国内のメーカーに発注したりあるいは原研とか動燃でやったり、そういうようなことで共同して進める、内容的にはいろいろなものがあるかと思います。
○近藤委員 ありがとうございます。
 随分と日本のそういった関連の技術が一AEAを通して、あるいは直接アジアの国というか外国にも共同研究という形をとって提供されているのだなというふうに思うわけであります。
 そこで、また予算を見ましたときに、国際研究交流の総合的推進という中に、科学技術庁のフェーロシップの制度の予算が約三十七億でしょうか、そしてまた国際協力プロジェクトの推進ということで、アジア・太平洋諸国、旧ソ連等に対する科学技術協力・支援の推進強化ということで約四十六億というような、とにかく科学技術交流を推進していくための予算が組まれていることにちょっと気づいたというか注目したわけであります。
 これは、具体的に、三十七億、四十六億というとかなりの予算でありますし、細かいことは多分いろいろなことがあると思うのですが、私の質問の趣旨としては、技術交流を通して、また人的交流を通して、科学技術が平和に利用される、そういう推進にぜひなってほしいと思うわけでありますし、そういったものはぜひ有効に使っていただきたいという意味で、そういった観点から、特にわかればで結構なんですが、大きなもので、この三十七億、四十六億の中でこういったことに使われているよというようなことがありましたら、お教えをいただきたいと思います。
○加藤(康)政府委員 今の先生のお話の国際交流の中で、原子力でない普通のフェローシップもいっぱい入っているかと思います。
 今先生おっしゃいましたロシアの支援とかそういう問題も入っておりますが、実はロシアの支援というのは、ロシアとか東欧の原子力発電所、古くなったものとかそういうものに対するいろいろな支援をしているわけでございますが、先ほどの七十億の中の内数でございますので、そういう国際交流という目で見ると、その中のものが先ほどの四十数億の中に入るということでございます。
 ロシア関係、ロシア、東欧支援の方は原子力でございますので、そこは先ほどの七十億の中に入っているということを、ちょっと……。
○宮林政府委員 ちょっと補足させていただきます。
 まず、三十七億という数字は、STAフェローシップというふうなことで、今約五百三十名だと思いますけれども、そういうくらいの外国人研究者の方に来ていただく、その費用として計上されている分だと思います。
 それから、四十数億の部分につきましては、ちょっとその内訳を、詳細を今御説明する資料を持ち合わせておりませんけれども、科学技術関係におきまして、海外と共同研究をするとか、あるいはいろいろと情報交換をするための旅費のたぐいのものでありますとか、あるいはそれぞれの、知的触発プラザと言っておりますが、海外の方なんかと共同でいろいろな仕事をしたときに、先ほども出ておりましたシンポジウムをやるとか、そういうことも含めてその数字の中に入れているのではないかというふうに思います。
 したがいまして、こういうふうなことを通じまして、海外の研究者の方々と緊密な連係プレーができるようにする、あるいは人材の交流をすることでもって日本の国内の科学技術の活性化、あるいはもう一歩踏み込めば研究者の皆様方の意識におけるある種のインパクトといいますか、影響といいますか、そういうことも期待をしているということでございます。
○近藤委員 ありがとうございます。
 今加藤局長がおっしゃった、ロシア、旧ソ連に対する支援がある、それについては核不拡散のプ
 ログラムみたいなものもあるというふうにおっしゃられたわけですが、ただ、先ほど私が申し上げた四十六億というのは、アジア・太平洋諸国、旧ソ連等に対する科学技術協力・支援の推進強化ということで、別の項目だと思います。
 ただ、それはまた別として、やはり、今加藤局長がおっしゃられたような、旧ソ連が崩壊して、旧ソ連には随分と核兵器、核の保有があるわけですから、そして、今決して経済状況がよくないということを考えますと、日本としても、核不拡散という観点からは、こういう科学技術庁が関連するような予算の中でもそういった対応ができるんだというふうに思います。そしてへそういったことが頭の中におありになるので、そういうようなお答えがあったと思います。
 それで、質疑時間も終了しますので、最後に、本当にくどいことになるのですが、パキスタンの核実験におきましても、今回の核実験の中心であったアブドルーカーンという博士ですか、この方は、核実験をやったということ、成功させたということで国民的な英雄になっている。そして、パキスタンが生んだ、ノーベル物理学賞も受賞した、もう亡くなられた方でありますが、アブダス・サラムさんという博士ですか、この方は、そういった核実験に対して反対を唱えておられて、ある意味で、祖国では少々、完全にではないと思いますが、忘れられたような存在になってしまっておる。
 ただ、その反対されたサラム博士はイギリスに留学して、イギリスは核保有団でありますが、そのイギリスの経済発展を見たときに、やはりそういった科学技術というものを社会の発展のために使わなくてはいけない、そしてまた、税金というか国の予算というものは、そういう兵器の開発ではなくて、もっと違う方面に使わなくてはいけないということを大変に強くお感じになったという話を伺っております。
 そういった方面といいますか、平和のために科学技術が利用できるように、日本としてもさまざまな場面で協力をしていっていただきたい、そういうふうに述べまして、終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
○大野委員長 太田昭宏さん。
○太田(昭)委員 新党平和の太田昭宏です。
 きょうは、同僚議員の御配慮をいただいて、質問の機会をいただきました。
 私は、かねてから、特に地震につきまして、防災の観点、あるいは耐震の改修、補強、さらに科学技術的というか、国の全体からいいますと、土木構造物とそれから運輸省関連の港湾あるいはダム、そして原子力施設、さまざまなものが耐震基準というものが実は違っている、そしてまた、一番そこの基準となっています入力というのをどういうふうにとらえるかということについても、それぞれが非常にばらばらであるというようなことについても質問を行って、統一ということについて強い要請をして今日まで来ました。
 きょうは、科学技術関係でいいますと、特に地震の調査研究、基盤研究といいますか、基盤観測といいますか、それが非常に大事であるということについて、去年の六月二日ですが、質問主意書を出させていただいたり、あるいは去年の十月二十八日だというふうに思っておりますが、谷垣長官に直接、データを集めるというのが、私はかなり充実してきたと思いますが、それがもう少し一元化できないかというような質問をして、前向きの御答弁をいただいたことがございます。
 実は、私は、学生時代、まだ土木方面では非常に草分け的な存在だったのですけれども、耐震工学の研究をしまして、先ほど話に出ました松代群発地震なんかは、橋の下で観測をずっとして、蚊に襲われたりしてたたきながら観測をしたり、発光現象というのがありまして、山がぱっと光る、そういうようなことをずっと調べてきたりしたことがございます。
 阪神大震災のときに、私の同僚や先輩から、とにかく太田君、やろうとしても、地震計は配備されていないし、どうやって調査をしていったら、またデータを集めていったらいいかわからない、基盤的な調査というのは物すごくおくれているということを、非常に悔しい思いを私聞きまして、何とかそういう予算をつけたり配備をしなくてはいけないと。
 その中で、地震法に基づいた地震調査研究推進本部、これが総理府に設置をされて、推本という呼び名で言われているのですが、推本の本部長でもある科学技術庁長官がリーダーシップをとって、特に基盤観測調査ということについて充実ということをお願いをしたいと思っているわけなんです。
 まず冒頭、この観測網の状況というのが、私の学生時代の同僚で今も教鞭をとったり研究をしている人間も悔しながらということで私に言ったような、その辺の体制がこの三年間でどの程度推本のもとでも充実してきたかどうかということについて、いろいろな官庁が実は担当していまして、これも非常に私は気になるのですけれども、どんな観測網をそれぞれの官庁が担い、それが具体的にはどういうふうに前進をしてきているのかということについて、まずお聞きをしたいと思います。
○青江政府委員 お答え申し上げます。
 観測施設の整備につきましてでございますけれども、御案内のとおり、昨年の八月の段階でもちまして、推本が地震に関する基盤的調査観測計画というものを立てまして、これに従いまして関係機関が整備を進めておる、こういう状況にあるわけでございます。
 さらに具体的に申し上げます。
 微小地震を観測いたします高感度地震観測施設につきましては、現在、気象庁、防災研等、大学を含めましてでございますけれども、約五百数十の既存施設が配備されてございます。それを、水平距離にいたしまして十五から二十キロメートルのメッシュでもちまして全国展開をしていく。十五から二十キロのメッシュでもって全国展開をしようとしますと、千必要なわけでございます。そうしますと、残り四百強がさらに配備が必要とされる、こういう状況にございます。それを順次配備をするということでもちまして、科学技術庁に予算措置を講じまして、本年度は三十四億円ということで八十三施設を整備する予定になってございます。したがいまして、向こう五カ年ぐらいの間でその目標を達成いたしたいということでもって、順次それを拡充してまいりたい、かように考えてございます。
 その次に、強震計の整備でございます。今、千六百の既存施設がございます。これは地上に配備されておるものでございますので、地上ということだけから申しますと、大体千六百で強震計の配備につきましては大体よかろうという一つのあれがあるわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、高感度地震観測施設というものをさらに四百数十持っていくわけでございます。これは地下でございます。したがいまして、地下に強震計を併設していくということでもちまして、さらに充実を図っていきたいということでございます。
 それから、広帯域の地震計ということでございますけれども、これは今二十五整備が進んでございます。これを、水平距離で百キロメートルメッシュ、これでいきますと全国で大体百ということになるわけでございますが、あと七十五必要ということになるわけでございます。それを今後順次持っていくということでもちまして、科学技術庁にも予算措置というものを講じて、順次持っていくという状態になってございます。
 それから、GPSの方でございますけれども、これは水平距離にいたしまして二十から二十五キロ間隔で全国的に設置をしていこうということでもってやってきたわけでございますけれども、国土地理院等によりまして、既に一千カ所の整備というものが完了してございます。
 こういうふうな状況にございまして、今後とも、先ほど申し上げました推本の方針に沿いまして、関係機関と力を合わせまして整備を進めてまいりたい、このように考えてございます。
○太田(昭)委員 そうしますと、高感度地震計、これが五百数十カ所、約六百。これは千カ所ということになると、いつごろまでに、どういう計画になってそれは実現できるという予算措置がとられようという流れになっていますか。これは科学技術庁長官に頑張ってもらわなくてはいけないのですけれども、その辺を。
○青江政府委員 ちょっと繰り返しになりますが、今、本年度当庁にその関係の施設整備費といたしまして三十四億円、八十三施設分が予算措置されてございます。これをそのまま向こう五カ年間持ってまいりますれば一千カ所まで持っていけるというふうに思ってございまして、この予算は頑張ってまいりたいというふうに思ってございます。
○太田(昭)委員 もう一つ大事なのは、データの処理、流通、分析なんですね。
 これは、いろいろな機関にそれぞれ体制があって集めるわけですから、そこに集めて、そしてデータベースを作成する、そして今後の取り組み方について地震調査委員会がいろいろ研究をしたりする。これからの課題としては、研究データというものを一般の研究者にどういうふうに返していくかということが私は一番課題であろうというふうに思っておりますが、その辺がどうもちょっと足りないのじゃないかと思いますが、いかがですか。
○谷垣国務大臣 去年十月二十八日に太田先生に御質問をいただいて、そのときの御質問は、各官庁が一緒になって推本をつくったけれども、各官庁から集まってくる情報をきちっと推進本部で集めて一元的に処理をして、指令をしているのかという御質問でありました。
 そのときに、科学技術庁とかあるいは気象庁とか国土地理院等関係の情報は一元的に収集しており、定時にきちっと評価をしているという御答弁をしたわけですが、太田先生の御指摘は、まだちょっと弱いのじゃないかというので、もうちょっとよく勉強してみるという御答弁をした記憶があるわけです。
 その後、十月以降なんでございますが、要するに今おっしゃったデータの流通と申しますか、もっと広く研究者に開放された体制をつくらなければだめじゃないかということを認識いたしまして、去年の十月以降、データベースの構築のあり方とか、あるいはデータ提供の方法、インターネットなども使ってどう提供していくか、あるいは関係機関の役割分担はどうあるかというようなことを専門家によって御議論をしていただいているところでございます。
 私も、そこらの議論がどこまで行ったかは、実はまだ十分聞いていないのでございますが、必要があれば後ほど政府委員にもう少し補足をさせますが、そういう形で観測データの流通の方にも今力を入れてきているところでございます。
○太田(昭)委員 前進をして、また、長官みずからがいろいろリーダーシップをとっていただいているということは大変感謝をいたしますし、またさらに推進をしていただきたいというふうに思っております。
 かなり中身も詰まってきたと思いますが、大学やそういうところの、その部分だけで結構ですから、補足があったら答弁してください。
○青江政府委員 補足して御説明をさせていただきたいと思います。
 いろいろなところの観測施設からとられたデータを、まずは一元的にいわゆる推本に集めまして評価をするという仕組みというのは、これはもう完全にでき上がったわけでございます。今度は、それだけ集められたすべてのデータというものを全国の研究者、ユーザーでございますが、そこにフィードバックしていろいろな研究に役立てていただく、ここのところの仕組みというのがまだ十分に確立していない、こういう状況でございます。
 まず、出発点といたしまして、気象庁と防災科学技術研究所、これがいわゆるデータ取りの非常に大どころでございますけれども、ここのデータにつきましては、非常に近い将来におきましてすべて一元的にデータベース化いたしまして、すべての我が国の研究者にインターネットを通じましてアクセスができるという状態に持っていきたいというふうに思ってございます。そのめどというのは徐々につきつつございます。
 あと、大学の研究者が集めましたデータというものをどこまでそのルートに乗せていくことができるかというものが、若干まだ未調整で残っておる、こういう状況にございます。
○太田(昭)委員 その辺は、ぜひとも推進をしていただきたいというふうに思います。
 地震の長期評価、予知研究といいますか、そのあたりで、新しい予知研究でVAN法とか電波による予知法などさまざまなものがあったり、民間でもいろいろなことが言われているわけなんですが、特に柱になるのはやはりプレート理論ということと同時に、最近特に地震波というものを使って地球内部の断層撮影をする地震波トモグラフィーということがかなり前進をしているというふうに聞いているわけなんですが、それで地球内部の温度分布といいますか、熱対流運動というものがよくわかる。今まではプレートの沈みとかあるいは接点での問題というのがあるのですが、その下のところのマントル自体の熱対流運動、そういうものを調べるいわゆるプリュームテクトニクス、プリューム理論ということ、私もこれは注目をしているわけなんです。
 そういうことについて、まあこの場は学問の世界じゃないわけですから、評価というよりも、私はそういう方向への応援体制というようなものについてぜひともやっていただきたい、こう思いますが、その辺はいかがでしょうか。
○青江政府委員 お答え申し上げます。
 今の先生御指摘のございましたプリュームテクトニクスの一つの仮説でございますけれども、これは非常に注目をされているといいましょうか、大学等での先端的な研究が進んでいるということにつきましては了知しておるわけでございます。それと同時に、私どもといたしましては、科学技術振興調整費、私どもの一括計上してございますお金がございますが、これを使いまして、平成八年から十年、本年度まででございますが、三カ年計画でまず研究の緒をつけたところでございます。本年が最終年でございますので、第一期が終了年でございます。そこでもちまして一度評価をいたしたいというふうに思ってございます。
 そこで、その評価を踏まえまして、今後その研究のサポートをどのように持っていくかというのを考えてまいりたいというふうに思ってございます。
○太田(昭)委員 大変結構なことだと思いますが、阪神大震災のときに一番注目されたのは活断層ということなので、活断層の調査というのはその後三年間ぐらいでどういうふうに展開されて、現在どのような状況にあるのかということについて御報告いだだきたいと思います。
○青江政府委員 お答え申し上げます。
 活断層調査につきましては、先ほども触れさせていただきましたが、基盤的な調査観測計画の中におきまして、我が国といたしましてはまず九十八の断層というものから手をつけるべしということで、九十八を選定してございます。その九十八の断層につきまして、科学技術庁の方でもちまして交付金を用意をいたしまして、地方自治体にいわゆる調査の実施に当たっていただいておる。その際に、工業技術院の地質調査所等が連携してそれに加わって調査を進める、こういうふうな仕組みでもって進めておるわけでございます。
 これまで、今先ほども申し上げました九十八のうち七十七の断層につきまして一応調査の手がついてございます。その七十七のうち二つにつきまして一応の評価をし得るというところまで調査データが整いましたので、それを地震調査研究推進本部の地震調査委員会に持ち上げまして、それで評価をいただいてございます。
 具体的には、糸魚川−静岡構造線活断層系、これが一つでございます。それからもう一つは、神縄・国府津−松田断層帯、この二つにつきまして一応の評価をいただきまして、その評価結果というものを取りまとめ、公表してございます。インターネット等で皆さんにごらんをいただけるという体制をとってございます。
○太田(昭)委員 阪神のとき、これは活断層が動いた、ずれを生じたわけなんですが、その影響が、ちょうど地震波が六甲に当たって返ってくる、そこに第二の地震波が行く、そこに、横にちょうど同じように活断層が走っていて、それがさらに影響を与える。その活断層上そのものにということよりも、いわゆるぶつかって返るという、そこの行った波、行く波というのがぶつかり合ったという、なぎさの潮、寄せて返すという、いわゆるなぎさ理論というのがあるわけなんです。そこでまた次の波が行ってぶつかって、そこが影響が強いというのです。
 このなぎさ理論というものと活断層の関係について、政府というのか、どこなのかわかりませんが、一つの行政としては、阪神大震災については理論的にどこまでどういう判断をしているのでしょうか。簡単で結構です。
○青江政府委員 お答え申し上げます。
 なぎさ理論ないし焦点効果といいましょうか、そういったことにつきましての評価といいますものまで私どもの方でまだ立ち至ってございません。しかしながら、阪神大震災のときの一つの教訓といたしまして、いわゆる地震の被害が生ずるのは地上で生ずるわけでございますから、その揺れがどうなるんだというのが一つのポイントでございますので、それを考えるに当たりましては、地下構造の三次元的な形状というものをきちんと見ていく必要があるんじゃないか。今先ほどの理論をも含めまして地下構造の三次元的形状というものをきちんと見ていく必要があるんじゃないかというふうな認識に立って、そこのところに着手をしようということでもちまして、本年から予算措置を講じまして、これは具体的には三億二千五百万という数字でございますけれども、地下構造を見ていく。とりあえず人口桐密地帯の平野部、ここから手をつけていこうじゃないかということで、先ほどの数字で三カ所ぐらいことし手がつけられるのじゃないかなというふうに思っておるのでございますけれども、弾性波探査等によりまして地下構造というものを順次これから見ていきたいというふうに思ってございます。
○太田(昭)委員 具体的な日本列島の観測体制という全体のことでいいましても、やはり東海地震、それから切迫しているという指摘があってもう六年にもなります南関東直下地震、あるいは石橋先生なんかが指摘するには小田原地震、あるいは琉球大学の木村先生たちが火山との関係の中で言っている房総沖の地震、こういうようなさまざまなものがあるのですが、そのうちの幾つか、時間が許す限り聞きたいのですが、第一の東海地震。
 この東海地震発生のメカニズムは、もう言うまでもなく、駿河トラフから北西に向かってフィリピン海プレートが沈み込んで、その上にこれは陸のプレートを引きずり込んでいく、巨大なひずみエネルギーがプレート境界で炸裂していく、限界に達して固着域というものの中で要するにはがれていくということが東海地震なんですが、そこで非常に気になる現象が幾つかあるわけです。
 この間の伊豆の群発地震、これはプレート上ですから、この東海地震の、今私が申し上げた骨格とは違うわけなんですが、何か場所が近いものですから関係があるのかなというような心配があったり、特に九七年三月十六日の愛知県東部の地震、私のふるさとなんですが、ここでマグニチュード五・八、これはかなり私は重要な要素ではなかったかと思うんです。その次に五月二十四日遠州灘の地震、マグニチュード五・九、それから十月二十一日静岡県中部の地震がマグニチュード四・三。これらはプレート固着域の周辺を囲むように起きているということで非常に気になる地震ですが、その後こういう地震がほかにもあったのか。
 また、私が指摘したようなものが、プレート境界の固着域というところがはがれていくというような動きの中で位置づけられるのかどうか。
 これについての認識をお聞きしたいと思います。
○吉田説明員 ただいま御質問の中にございましたように、固着域という考え方が最近重要視されてきています。
 それで、御質問の中にありました、昨年三月十六日の愛知県東部の地震、それから五月二十四日の遠州灘の地震、推定されている固着域の周辺で発生したわけですけれども、その前に、平成八年十月五日に川根付近で地震が発生しましだ。この地震の規模はマグニチュード四・三と、それほど大きいものではなかったのですけれども、それまでほとんど地震活動の見られなかったところで発生したこと、それからプレートの沈み込んでいるフィリピン海プレートと陸側のプレートの境界面に非常に近いところに震源があったこと、それからその地震のメカニズムが通常その付近で発生している地震とは違っていたということがありまして、最近この周辺の固着域の状況が変わってきていたのではないかという考え方が研究者の方から出されました。その後、御質問にございましたように愛知県東部の地震、遠州灘の地震と発生しまして、それから昨年十月十一日には御前崎の沖合でもマグニチュード四・九の地震が発生しました。
 そういったことがありまして、私ども気象庁としましても、固着域の周辺で発生する地震の特徴、それから地震活動の変化ということは、東海地震の予知の監視で非常に重要なものであるというふうに考えております。そうした観点も含めまして、気象庁ではこの地域の地震活動の変化を注意深く監視しているところです。
○太田(昭)委員 これは科技庁になるのか気象庁になるのか、どちらでも結構ですからお答えいただきたいのですが、科技庁の防災科研が一月に、静岡県とその周辺で観測された微小地震を分析して、防災対策強化地域判定会というところにこういう資料を提出をしているわけです。これについて、「掛川市付近で微小地震が集中して起こる。地震の巣があることが判明した。そこの地震数は九二年を境にして五倍に急増をしている。」
 これが、やはり、固着域のはがれとかいうことと、掛川という位置が位置ですから、その辺について、これも気になる一つのデータなんですが、これと東海地震の関係性についてはどういう認識をされておりますか。
○吉田説明員 御説明させていただきます。
 防災科学技術研究所から、ただいま御質問の中にございましたように、掛川付近で一九九二年ごろから地震活動が活発化しているという報告がありましたことは、私どもも承知しています。ただ、これはごく小さな地震でありまして、これが直ちに東海地震に結びつくとは考えていません。
 それから、このような小さな地震が、クラスター的にと申しますか、比較的狭い領域で割合固まって発生する場所というのは、この掛川付近以外にも幾つかございます。そういった各区域における地震活動の変化も含めて、東海地域及びその周辺の地震活動を注意深く気象庁としては監視しているところです。
○太田(昭)委員 もう一つ、国土地理院が一月に行った水準測量、静岡県の御前崎の沈降の度合いが鈍化している、こういうことがあるわけですね。これは、隆起においても沈降においても、トラフのところにプレートが沈み込むわけですから、当然、この上下というのは非常に微妙な、ここは判定の大事な基準になっているわけなんですが、この御前崎の沈降の度合いの鈍化ということについて、やはり同じように私は大変気になるデータなんですが、どういうお考えでしょうか。
○吉田説明員 御前崎の沈降の鈍化が東海地震の中期的な前兆現象として生じる可能性があるということは、そういった考え方があるということは、私どもも認識しています。先ほどの御質問の中にございましたように、最近の国土地理院の御前崎と掛川間における水準測量の結果、御前崎の掛川に対する沈降傾向に鈍化が見られるというふうなことが報告されていることも知っています。そういうことで、気象庁としましても、今後の推移を注意深く見守ることとしています。
 現在、地殻変動の観測データとして、水準測量は国土地理院で年に四回実施されているわけですけれども、連続的な地殻変動データとして、気象庁には岩石ひずみ計、傾斜計等のデータが来ていますけれども、そういったデータには、今のところ異常な変化は観測されていません。
○太田(昭)委員 そういう幾つかの点で、東海地震について、あるいはこの関東地域全体の地震について、かなりこれは注意する必要があるというデータが幾つも出ている。これは、いたずらに不安感をかき立てるというのではなくて、やはり、政府としてはしっかりと、特に東海地震については見ていく必要があるし、これは予算措置もとらなくてはいけないと私は思いますが、現実に予算措置がとられてきているのかどうなのか、また、大丈夫かと聞かれたって答えようがないでしょうけれども、万全の体制で取り組むように力を入れていただきたいということを、これは気象庁にとりあえず要望しておきたいと思いますが、簡単に、二十秒ぐらいで結構ですから、答弁をください。
○吉田説明員 気象庁では、これまでも、東海地域にさまざまな観測網を展開しまして、種々の観測データが監視に使われてきているわけですけれども、東海地震予知の確度を一層高めるために、昨年、平成九年度に地殻岩石ひずみ計を増設して、監視体制の強化を図ったところです。また、今年度、平成十年度には、建設省国土地理院の協力を得まして、汎地球測位システム、いわゆるGPSですけれども、GPSのデータを活用して、それを監視に使っていきたい、監視機能の強化を図っていきたいというふうに考えております。今後とも、東海地震の前兆現象をとらえるために最善の努力をしてまいります。
○太田(昭)委員 南関東直下地震の切迫性ということを、平成四年、国土庁の中央防災会議が発表しておりますが、その内容は、直下地震がそろそろ静穏期から活動期に入りつつあるので、東京都などに、直下地震についての被害想定など地震対策を呼びかけた、こういうことになっているわけです。
 これから、大綱から六年経過をしているということになりますと、どういうシミュレーションが現在行われ、切迫性というのが一体いかなる理由で言われ、現在どういう認識をしているのか、それから、どんなメカニズムでそれらを想定しているのか、それらについて、南関東直下地震についてお聞きをしたいと思います。
○岡山説明員 お答えいたします。
 南関東地域におきましては、昭和六十三年に中間報告、それから平成四年に最終報告が出されておりますけれども、中央防災会議の地震防災対策強化地域指定専門委員会、ここからそういう報告が出されております。南関東地域「直下の地震の発生は、ある程度の切迫性を有している」、先生おっしゃるとおりの指摘がなされております。
 この地域におきましては、相模トラフ沿いの巨大地震、いわゆる一九二三年の関東大震災のような地震に先立って、プレートの潜り込みによって蓄秘されましたひずみのエネルギーがプレート境界面でマグニチュード七程度の直下型地震というような形で放出される可能性が高いというふうなことがその中で言われております。そして、関東大震災から既に七十年たっているというようなことから、その後、その切迫性が高まっていることは疑いないというふうにその報告の中で言われておりました。
 それを受けまして、中央防災会議では、平成四年に「南関東地域直下の地震対策に関する大綱」というものを決定いたしまして、震災対策を総合的に推進するということにしております用地震に強い都市づくりあるいは防災体制の充実強化といったことを進めてきておるわけでございますけれども、その後も、現在においても、そのプレートの沈み込みというのは年に数センチということで着実に進んできているということから、その直下の地震の切迫性は高まっていると考えられます。
 こういったことで、阪神・淡路の大震災の教訓を踏まえまして、各省、各機関でいろいろな対策が講じられてきているところでございます。これらを踏まえて、あわせまして、現在、南関東地域の大綱の見直しも進めているところでございます。以上です。
○太田(昭)委員 私は、東海地震もさることながら、この南関東直下型、これは、二十四時間防災体制というか、そういうシフトを東海地震並みにとれとは申し上げませんが、しかし、ある程度それに準ずるといいますか、そろそろそういう体制をとっていかなければ、人口が集中しているということもありますから、さまざまな意味から、もう一歩観測等の強化をする必要があると思いますが、これはどこが答えるのかわかりませんが、いかがですか。
○吉田説明員 関東地方におきましては、関東地域における特殊性と申しますか、堆積物が厚くたまっていること、それから、プレートが、太平洋プレート、フィリピンシーブレートと二つ潜り込んでいて、非常に複雑な地震発生の場になっているということで、なかなか観測が困難な面もございますけれども、気象庁に各データを集めて監視する方向で考えていきたいというふうに考えてございます。
○太田(昭)委員 最後に、谷垣長官、私は今なかなか理解できなかったのは、これは気象庁でございます、これは国土地理院でございます、これは科学技術庁でございます、そういうのが皆さんはよく理解をしているのかもしらぬけれども、私はこういうのを調べるのに大変実は苦労します。やはり科技庁長官が中心となっている推本がしっかりと、気象庁、国土地理院、大学も含めて統括しながら、その調査網を千カ所、あるいはさまざまなレベルでやりながらという、ここのところに強いリーダーシップをとって監視をしていくという体制が私は非常に必要な気がするのですね。
 これは科学技術庁でございます、これは気象庁でございます、これは国土地理院でございます、そういうことは皆さんはすっきりしているかもしれないが、我々国民の側からいくと、やはり一本化してがっちりした体制ができているということが必要なので、その辺も踏まえて、どうか科学技術庁長官がしっかり推進本部というものを軸にしながら地震というものに対する全体的な指揮をとっていただきたい、このことを最後に要望したいと思いますが、一言御答弁をお願いしたいと思います。
○谷垣国務大臣 実は、委員の御質疑を聞いておりまして、私もそのような印象を持って聞いていたわけであります。もちろんそれぞれの地域の観測体制というのは、それぞれの歴史、沿革等もあって、ここは気象庁が力を入れていたとか、いろいろそれはあるのだろうと思います。ただ、現実にでは地震はどうなっているのだと関心を持つ人にとっては、やはり一元的な司令塔というものの必要性を感じておられるのではないか、そのことを旨としてもう少し頑張りたいと思っております。
○太田(昭)委員 ありがとうございました。
○大野委員長 斉藤鉄夫さん。
○斉藤(鉄)委員 平和・改革の斉藤鉄夫でございます。
 私の質問は予定表よりおくれておりますが、これは私の質問時間を同僚の太田委員に譲ったせいでございまして、終わる時間は予定どおり終わりますので、御安心をいただきたいと思います。
 まず最初に、私は、現下の景気情勢と技術革新の問題についてお伺いをしたいと思います。
 現在の不景気、これは今ここで私がいろいろな統計指標を挙げて説明するまでもないことだと思います。かなり厳しい状況でございます。この不景気、橋本政策不況だという声もございますが、その内閣の一員として、大臣、この声をどうお聞きになっているか、また、今の不景気の原因をどのように考えていらっしゃるかお伺いいたします。
○谷垣国務大臣 科学技術庁はエコノミスト集団でもございませんし、私もエコノミストとしての訓練を受けたわけではございませんので、いささか素人答弁になるかもしれません。
 私は、三つやはり側面があるのではないかと思っております。
 一つは、いわゆるバブルの最中に、例えばホテルは建てる、マンションは建てる、事務所は建てるというようなことで、ある意味でその間に集中的に投資をして、言うなれば需要をそのとき使い尽くしてしまって、その後なかなか需要がないというか、在庫調整みたいな問題が一つやはり今の不況の背景にあったのではないかと思います。
 それからもう一つは、バブルの最中にいろいろそれぞれが投資をしたようなものがバブルがはじけると同時に不良債権になってしまって、不良資産になってしまって、言うなればそれぞれのバランスシートというものが物すごく悪くなっている。典型的にあらわれているのは金融機関のいわゆる不良債権問題だろうと思います。これをどうやって取り除いていくかという問題がやはり大きな問題としてあろうかと思います。
 それから三番目は、いわゆる構造改革と言われているものではないかと思います。市場構造の変化や、あるいは高齢化とかいろいろなことが相まちまして、今のままの体制ではやっていけない、護送船団方式もいかぬ、金融の自由化も進めなければならぬというようないわゆる構造改革の問題が、あるいは構造改革のおくれといった問題があるのではないかな。
 三つぐらい側面があると思っております。
 それで、一番目の問題は、ある程度在庫調整ができてきた段階でいろいろな銀行等の倒産みたいなことがございまして、心理が余計冷えてしまって、そこの在庫調整の後なかなか需要が起きてこないということがやはり現実の問題として今もあるのかな。
 それから二番目の、いわゆるバランスシートの問題、特に金融機関の不良債権の問題は、いろいろ金融システムの各対応策をとってまいりましたけれども、やはり今もう一回そこのところに焦点を当てなければならないというふうに議論は来ているのだろうと思います。
 それから三番目のところは、橋本内閣で言っております六つの改革というのがいろいろな部分でこれは対応していると思いますが、私は、科学技術庁に今職を奉じております者として、やはり科学技術にきちっと投資をして、先ほどからの御議論にもありますように、新しい産業を興したり、技術革新を起こしていくというようなことが、長期的に見た場合に、今普通に言われている構造改革だけではなくて、このことが非常に大きい意味を持っているのではないか。
 大変大ざっぱでございますけれども、そんなふうに見ております。ある程度今まで政府で手を打ってきたことも事実でございます。いろいろな、減税の問題あるいは緊急経済対策、また補正予算もお願いをしている、こういう状況でございます。
 政府として、内閣としてどう責任を感じているのかという御指摘でございますが、今のような施策、特に今補正予算等もお願いをしているわけでありますけれども、こういうものを一刻も早く現実に執行して、何とか先に明るい見通しをつけていきたい、こんなふうに思っているところでございます。
○斉藤(鉄)委員 私も経済に詳しくありませんので、素人同士でこれ以上経済の議論をしていてもしようがないので一つ議論を進めたいと思うのですが、大臣お答えの、構造改革の中の一つとして位置づけられました科学技術立国の問題について御質問させていただきたいと思います。
 私も聞きかじりですが、経済の成長というのは、資本の成長、労働力の成長、それから技術の成長、この三つが要因なのだそうです。資本、労働力については、日本は今逼迫している状況ではない。資本についても千二百兆という貯蓄残高がございますし、また労働力も決して逼迫している状況ではない。結局、三番目の技術の成長がとまっているから日本の今の経済成長がとまっているという見方もできるのではないか。もちろん、短期的には、個人消費の低迷ということで、将来に対する不安がその個人消費を抑えていて、それが景気の停滞の直接的な原因かもしれませんけれども、中期的、長期的に見れば、私は、ここ数年来の技術革新のなさが日本の景気低迷の一つの側面ではないかなというふうに思います。この点についてどのように大臣としてはお考えになるか。
 また、では不安を取り除けば、例えば雇用の不安、老後の不安、そういう不安を取り除けば、先ほどの不安という側面ですけれども、景気が回復するかといいますと、私は、現在、ビッグバン、そしてグローバルスタンダードでのビジネスということを日本が選択した以上、簡単な不安の除去ということはあり得ないと思うのです。そういう意味でも技術革新を進める以外日本の経済の再生はないと思いますけれども、その点も含めて大臣の所見を例えればと思います。
○谷垣国務大臣 不安の除去という点に関しては、私も、今斉藤先生がおっしゃったような、これからはやはり変革の時代と申しますか、今までのような、キャッチアップといいますか追いつけ追い越せという時代を終えて、大きく言えば、明治の初め、近代国家をつくって以来の目標というものがこの十年ぐらい前の間に大体達成できたという段階で、新しいものを求めていかなければならないわけですから、新しいものを求めていくのは緊張感があって、なかなか不安を簡単に解消するわけにはいかないと思います。
 ただ、この不安を解消する方法としては、やはり、我々がどっちの方向に向かって船出をして、何を目標としてこれから進んでいくのかというのをもう少し政治としても明確に打ち出して、こういうところに我々は進んでいるのだという方向づけをしっかりやっていけばある程度取り除いていける面があろうかというふうに私は思っているわけです。
 それで、もう一つは、しかし、不安を取り除いてうまくいくかという面になりますと、今おっしゃったような技術革新という問題が当然なければ、不安を取り除いたからそれでいけるというものでは私はないと思います。この技術革新のなさということを経済低迷の原因に挙げられましたけれども、私もその認識は共通でございます。
 先ほど在庫調整みたいなことを素人診断で申し上げましたけれども、ある意味では、今までの技術と今までの技術をもってつくった生産物だけではもう日本の生産力は、それを賄い得る市場というものを十分に持っているんだろうか。やはり技術革新をやって新しいニーズを起こし、新しい産業を興していくことによって産業構造を変えていくというようなことがなければなかなか問題は解決していかない、こう思っております。
○斉藤(鉄)委員 その点では認識が私も同じでございます。技術革新というのは、第一義的には民間の問題であって、国レベルで、また政治家が議論すべきものではないと思うのですけれども、しかし、技術革新の種、シーズを提供する義務が、やはりたくさんの税金を基礎研究に費やしている国立研究機関や大学にはあるんではないか。そういう意味では、あくまでも技術革新というのは民間企業のレベルの話ですけれども、私たちにも責任がある、このように思います。
 そのシーズについて二つの問題があると思うのです。一つは、日本の場合、国立研究機関や大学に投資をしているその割にシーズそのものが出てこないということ。それからもう一つは、シーズが出てきたとしても、先ほども吉田委員の質問にもありましたけれども、民間への技術移転や、それそのものを技術革新の機動力にすることができないという制度上の問題。この二つがあると思うのですが、第一の、シーズそのものが日本の場合少ないんじゃないか。アメリカなんかは、国立研究所や大学からもたくさん特許が出て、それがベンチャービジネスとして育っている、シーズそのものが日本は少ないんじゃないかという指摘についてはどのようにお考えでしょうか。
○宮林政府委員 お答えさせていただきます。
 ただいま先生から御指摘がありました、シーズが少ないんではないか、こういうことでございますが、シーズとして実際に出てきて使われているものは、科学技術庁のケースを挙げましても、例えば超電導の分野でございますとかチタン酸繊維の話でございますとか金属粒子を使ったハンダであるとか、いろんなそういうものはございますが、総じて、特にアメリカと比較をいたしますと問題なしとしないというふうな認識は私ども持っております。したがいまして、これにつきましては、やはりシーズの提供が少ないということについての改善措置ということは非常に大事なことであろう、こういうふうに思っているところでございます。
 まず、シーズを生み出すということになりますと、研究をちゃんとやるということだろうと思っております。そうしますと、研究をちゃんとやるというためには、やはり基礎研究の推進に力を入れるということ、それからまた、研究者がやはり競争的な条件でハッスルしてやる、こういうふうなことも非常に大事ではないか。したがって、競争的資金の導入とかあるいは研究者の流動化、こういうふうなことも進めさせていただいております。
 あるいは、研究者が自分自身ではなかなか、国研なり大学の研究者がシーズであると認識することそのものがなかなかその育ちからいって難しいというケースがございますので、そういう意味では、産学官で共同研究をするということを通じて、あるいは民間といろいろ交流をすることを通じてそういうふうなことを触発していただく。あるいは設備の近代化なども進める。
 こういうふうなことで一生懸命やっているわけでございますが、特に、基本法ができ、基本計画ができて一生懸命そういう努力はしているつもりでございますが、なかなか先生の御期待に沿うような形にまだなっていないということは、私もそういうふうに思っております。
 今後ともこういう努力をさせていただきまして、ぜひ先生の御指摘のような形、シーズを生み出せるような科学技術システムにしていきたい、こういうふうに努力したいと思います。
○斉藤(鉄)委員 シーズをたくさん生み出すもう一つの要素である、一つの種が生まれたときにそれを芽とし、実と結ばせる、それを側面から援助する制度も必要かと思うのですけれども、この点についてはいかがでしょうか。
○宮林政府委員 今先生から御指摘があった点については、全く先生の御指摘のような問題を抱えているという認識から、科学技術庁といたしましても、研究成果の情報を広く流布させる、そのためにはデータベースを整備していく、こういうことでございますとか、国などの研究成果についての企業化を進めるために、中堅なり中小企業の技術ポテンシャルと国などが持っております研究開発成果を融合しまして新技術のコンセプトを試作品の形でつくっていく独創的研究成果育成事業とか、大学なり国研から出てきました成果を委託開発をする制度でございますとか、あるいは開発をあっせんする、こういうふうなことも進めております。
 あるいはまた、むしろ地域などにおきましては、国研あるいは地元の研究所、大学、そういうものがよりうまく融合してできるんではないかということで、地域結集型の共同研究事業などという形で産官学が連携をしてプロジェクトを進めていただく、こういうふうなこともさせていただいております。
 さらには、本年度からは、国の研究成果の特許化をもっと進めなきゃいかぬということで、特許化の支援事業というふうなことも進めさせていただいております。
 そのほか、理化学研究所においてはいわゆる理研ベンチャーというふうなことも試みさせていただいておるということで、先生御指摘のような問題意識は私ども十分持っておりまして、今後ともそういう努力をさせていただきたい、こういうふうに思っております。
○斉藤(鉄)委員 先ほど局長の答弁にも特許、ベンチャーという言葉が出てまいりましたが、いずれにせよ、日本とアメリカを比較しますと、特許にしてもベンチャーにしても国立研究機関から出てくるものは二けた少ないと言われております。これをぜひ改善する必要があるのではないか。アメリカの今の経済の好況は技術革新に一つの原因があるとも言われております。
 そういうことで、今の議論をお聞きになって、大臣、今後、科学技術創造立国、科学技術庁が率先して技術革新の種を生んで、それが日本経済の長期的な繁栄をもたらして、科学技術庁のおかげで日本経済が助かった、再生した、科学技術庁がそこまで経済分野で出てくるのがいいのかどうかわかりませんけれども、そう言われるぐらいに頑張らなきゃいけないかと思うのですが、この点についての所感をお伺いいたします。
○谷垣国務大臣 今の気宇壮大な御質問をいただいたにしては、先ほどエコノミスト集団ではないなんという御答弁をして、しまったなと思いながら立ち上がったわけでございますが、私は、議員立法で科学技術基本法をつくっていただき、それが科学技術基本計画になり、科学技術創造立国ということを目標として進む、こういうことになってきました。それはまさに、技術革新がなければ、そしてそれを支える幅広いインフラ、科学技術研究、科学技術開発に対する幅広いインフラというものがもっと整備されていかなければだめだという認識はやはりあったんだろうと思います。
 私もこの委員会で、科学技術基本計画をたびたび中身をパラフレーズしながら、こういうことをやっていくんだ、新しい産業を創出したり情報通信を飛躍的にやるんだとか、地球規模のいろんな研究をしなきゃいけないんだとか、防災や疾病対策といった生活のニーズに基づく研究をしなきゃならないんだというようなことを申し上げたり、あるいは、それだけではだめで、基礎研究も同時にやるんだ、その周辺の、先ほど局長が申し上げた特許とかベンチャーの支援とか、あるいは戦略的な競争的な研究開発環境をつくっていく必要があるんだというようなことを申し上げてきたわけでありますけれども、それは同時に、先ほども御答弁したところでありますけれども、科学技術庁にも新たな覚悟を迫るものじゃないかと思っております。原子力とか宇宙開発とかいうビッグプロジェクトをやってきた役所から、もちろんそれも大事なんですけれども、さらに大きな、科学技術全体をどう振興させていくかという政策官庁に、この行革という場を通じて脱皮をしていくことが迫られているのかなと思っているわけであります。
 それで、総合経済対策で、平成十年度補正予算案ということで今御審議をお願いしておるわけでありますが、関係各省庁の科学技術関係経費というのが約六千二百億円計上をされております。これは、今度の当初予算と比しましても約二〇%に相当する、単一の補正予算としては過去最大規模の補正予算なわけですよね。その中で六千二百億というあれをいただいているということでありますので、これは技術革新の促進に大いに寄与していくものであると思っておりますが、同時に、先ほど申しました科学技術庁も脱皮をしていかなければならぬという課題を抱えているな、こんなふうに改めて思っております。
○斉藤(鉄)委員 ぜひよろしくお願いいたします。
 次の質問に移ります。がらっと変わりますが、スペースデブリの観測施設について御質問させていただきます。
 動燃改革法の審議に先立ちまして、我が党は、ここにいらっしゃる科学技術委員長、大野由利子委員長ともども人形峠へ行ってまいりました。ウラン濃縮研究施設がございます。これが今後撤退をするということで、地元の市町村の首長さんとも話をしてきました。地域振興のためにも科学施設をぜひこの人形峠跡地に誘致をしたいというふうな話もございました。人形峠、地元の人は、東海村と並ぶ日本の原子力発祥の地だ、こうおつしゃつているわけです。その誇りからも、新たな科学技術研究施設をここにつくりたいという要望がありましたので、私もそれを本会議で質問をし、また委員会の中で提案をさせていただいたわけですけれども、それにこたえていただいたのかどうかわかりませんが、この人形峠にスペースデブリ観測施設が建設されることになったということについては一高く評価をしたいと思います。
 そこで、もう時間がありませんので、このスペースデブリ観測施設の意味合い、目的と、なぜ人形峠がその目的のために適していたのかということを簡単に御説明願いたいと思います。わかりやすく。
○青江政府委員 お答え申し上げます。
 スペースデブリにつきましては、もう先生御案内のとおり、今、軌道上に十センチ以上のものが八千漂っているといいましょうか、そういう状況にある。これから先、人類が宇宙活動というものを多様に展開していこうということになりますと、これは大きな障害でございますので、その軌道上の状況等をきちんと把握をして、そして防護の策を講じていくということが大変重要ではないかというふうに思うわけでございますが、当然のことながら、いわゆる日本起因のスペースデブリというのもあるわけでございます。少なくともそういったものは、日本がきちんとそこはフォローしていくということは大変必要なのではなかろうか。
 また、近々宇宙ステーションが上がるわけでございますけれども、そのような活動を展開していくということになりますと、たちまちの問題としまして安全問題というのが生ずるわけでございますので、そこのところをきちんと把握をして対応していくというふうなこと、そして、そういうものを通じましての国際貢献、こういう意味合いがあろうかというふうに思ってございます。
○斉藤(鉄)委員 人形峠が選ばれた理由は。
○青江政府委員 失礼申し上げました。
 人形峠につきましては、先生先ほど御指摘がございましたとおり、今後の業務の縮小というふうなことに直面しておるわけでございますけれども、地元からの御要望というものを踏まえ、地域振興策の一環といたしましてこういう施設の設置というものを考えたわけでございます。
 もちろん、レーダー施設というものを考えましたときに、一般的に周辺に人家がないこと、それから周囲を遮る障害物がないといった立地条件ということを考えますと、人形峠といいますものはこれらの条件にそぐうものであるというふうな判断もいたしたわけでございます。
○斉藤(鉄)委員 人形峠に行きますと、一番高いところですから、周りに全く山はありませんし、空気はきれいですし、人はおりませんし、確かに最適なところだと思います。
 また、先ほどの目的の一つに地域振興ということがございました。今は千人規模の事業所があるわけですが、このスペースデブリ施設がどの程度の人員なのか。多分少ないと思うのですが、地域振興ということであれば、スペースデブリ観測施設を核にした新たな宇宙研究施設等を計画されているのか、今後の関連施設計画についてお伺いします。
○青江政府委員 お答え申し上げます。
 本施設の運用に要します人員につきましては、今後の詳細なスペックにもよるわけでございますけれども、現時点におきましての見込みといたしましては二名程度といったふうな数字でございます。
 今後、そういったものを核にいたしましてというふうなことですが、同種の施設ということにつきましては、当面、私ども今具体的なものを持っているわけではございません。
○斉藤(鉄)委員 千名から二名ということで、地域振興ということも考えれば、今後これを核にした施設についても御検討いただければと思います。
 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。
○大野委員長 菅原喜重郎さん。
○菅原委員 前回も原子力利用に関連する廃棄物処理処分の問題について質問しておりましたので、今回もまずこの点について質問したいと思います。
 御承知のように、豊かな生活の基盤であるエネルギーについては、今後とも需要が増大していくところであり、原子力がその供給源として大きな役割を果たしていくことは当然であると考えます。しかしながら、トイレなきマンション、便所のない家と比喩されるように、放射性廃棄物の処理処分についてはまだ具体的な対応策ができていないところであります。この問題の早期解決は、原子力利用推進に当たっての国民社会の強い要請となっています。
 本年三月、青森県六ケ所村の返還ガラス固化体輸送船の接岸に際して、青森県知事からも、高レベル放射性廃棄物の最終処分問題を早期に解決することについての要望がなされたところであります。そこで、既に使用済み燃料貯蔵量がそこの貯蔵容量に近づき、施設の増設に手をかけているところもある状況にかんがみまして質問しますが、まず、現在の使用済み燃料の量と、ガラス固化体の量、これらの今後の増加の見通し及びこれらを収納する貯蔵施設の容量の現状を報告してもらいたいと思います。
    〔委員長退席、斉藤(鉄)委員長代理着席〕
○加藤(康)政府委員 まず、原子力発電所から発生します使用済み燃料でございますが、再処理されるまでの間は適切に貯蔵、管理することが必要でございますけれども、現在、使用済み燃料は毎年九百トン発生しておりまして、一九九七年度末時点で各原子力発電所敷地内に合計六千七百トンが貯蔵されております。なお、実際の貯蔵の容量は約一万八千トンでございますから、三分の一強が使われているということでございます。
 使用済み燃料の今後の発生見通してございますが、当庁及び通産省、電気事業者で設置しました使用済燃料貯蔵対策検討会の報告書では、年間の発生量見通しが、二〇一〇年ごろには約千四百トン、二〇三〇年ごろには千九百トンということでございまして、使用済み燃料の累積ということを考えますと、二〇一〇年時点で六千トン程度、二〇二〇年で一万五千トン程度の発電所外の貯蔵能力の確保が必要であるというふうに試算されております。
 それから、先生御指摘のもう一方の高レベル廃棄物のガラス固化体でございますが、青森県六ケ所村にございます日本原燃の貯蔵管理センターには、フランスから返還されましたガラス固化体が現在百二十八本ございます。それから、東海村の動燃の再処理工場には六十二本、合計百九十本が現在存在しております。それぞれの貯蔵容量は、六ケ所村が千四百四十本、東海村が四百二十本でございます。
 なお、今後の発生量の見通しでございますが、先般出ました高レベル放射性廃棄物処分懇談会の報告書におきまして、これまでに原子力発電所から発生したものをすべてガラス固化体にしたと換算した場合に、現在約一万二千本に相当すると言われております。
 それから、今後どのように将来発生していくかということでございますが、原子力長計の原子力発電規模の見通しに基づいて試算いたしますと、二〇三〇年までにガラス固化体に換算して約七万本になるという試算となっております。
○菅原委員 今、報告を受けた状況にかんがみましても、この問題はもう先延ばしをしてはいられない、早急に国民の理解、論議を起こして対応しなければならない緊急の問題だと思っております。
 そこで、使用済み燃料の貯蔵については、科学技術庁、通商産業省、電気事業連合会が使用済み燃料の対策についての検討会を設け検討してきたところでもあり、本年三月、その報告書がまとまっています。
 報告書によれば、二〇一〇年には使用済み燃料の量は発電所の貯蔵能力を超過するとされ、原子力発電所における使用済み燃料の貯蔵が限界に達するおそれがあることから、二〇一〇年までに発電所外においてもリサイクル燃料資源の貯蔵を確実に開始できるよう、国及び電気事業者は直ちに所要の制度整備、立地地点の確保等に取り組むことが必要であるとされています。
 そこで、この検討会報告書についての見解及び発電所外における貯蔵を行うための制度準備の状況について伺います。どうなっておりますか。
○加藤(康)政府委員 三者で行いました使用済燃料貯蔵対策検討会の報告の概要は、今先生がお述べになったとおりかと思います。
 この報告書は、この三月に一応取りまとめられましたが、御指摘のように、二〇一〇年ごろには貯蔵能力が足らなくなる、それまでには発電所外の貯蔵施設をつくろう、そういうことでございます。
 そのような貯蔵施設は、既に内外の実績から安全性とか技術は確立されておりますので、新しく法体系を整備するとか、それから事業主体、これは必ずしも電気事業者に限定する必要がない、そういうような報告書の内容になっております。いずれにしても、そういうものに早急に着手しなければいけませんが、先ほどの報告書は、科技庁、通産、電気事業者、三者の検討会の報告でございますので、それをもう少し幅広く御意見をいただくという意味で、今、通産省の総合エネルギー調査会原子力部会でそのフォローアップ、検討をいたしております。
 当庁といたしましても、通産省と連携をとりながら、そのための体制整備、そういうものにつきまして努めてまいりたいと考えている次第でございます。
○菅原委員 次に、高レベル放射性廃棄物ガラス固化体の最終処分問題を取り上げたいと思います。
 我が国は、核燃料リサイクル政策をとる以上、ガラス固化体の最終処分は早期に解決を要する課題であります。これまで動力炉・核燃料開発事業団を中心にいろいろな研究が進められていることは理解していますが、最終処分場、処分の事業者等について計画が具体的にまだなっていません。これについては、二〇〇〇年に事業主体の設立、二〇一〇年に処分候補地の選定、二〇三〇年から四〇年に事業開始のスケジュールで検討を進めるとも聞いております。
 五月に、原子力委員会高レベル放射性廃棄物処分懇談会が報告書、「高レベル放射性廃棄物処分に向けての基本的考え方」を取りまとめたところであります。そこで、この報告書の概要についてまずお伺いいたします。
    〔斉藤(鉄)委員長代理退席、委員長着席〕
○加藤(康)政府委員 先ほどの懇談会は、平成七年九月の設置以来約二年半、三年弱かけまして、幅広い審議をしてまとめていただいたわけでございます。
 報告書におきますポイントは、三十年余にわたりまして既に我々は原子力発電による便益を享受してきました。そういう我々の世代にとって、後世代に廃棄物の処分の負担を残さない、それが我々現在世代の責務であります。ところが、我が国の取り組みは諸外国と比べて必ずしも十分とは言えないわけでございまして、このため、まず国民の間でこの問題について議論が行われ、一人一人がみずからの身に迫った問題であるという意識を持つことが必要であるということを指摘しているわけでございます。
 そうした基本的な認識に立ちまして、処分についての社会的理解の重要性、それから実施主体のあり方とか事業資金の確保方策等の諸制度の整備、それから、当然どこかに立地するわけでございますので、立地地域との共生、それから処分地をどのように選んでいくかという処分地選定プロセス、そういうことについて具体的な施策が取りまとめられておりました。
 特に、実施主体を早急につくるとか、それから事業資金を早急に確保するとか、あるいは深地層の研究施設、それから安全確保の基本的な考え方、そういうものを早急に具体化すべきだということが提言されているわけでございます。
 先ほども申しましたように、本問題は国民の方々にもよく御理解をいただかなければいけないということで、この報告書の案を昨年の七月に取りまとめられましたが、その後、地方五カ所、東京を入れますと六カ所で意見を聞く会を開くとか、いろいろな媒体を通じましてその報告書に意見を求める等、なるべく国民の皆さんの間でも議論をしていただきながら報告書に反映する、そういう努力もしてまいった次第でございます。
○菅原委員 そこで、報告書の中では、実施主体はあらかじめ処分事業の計画について公表し、これに基づいて地元から誘致のあった地点の中から処分候補地を選定する公募方式とともに、処分候補地として適切であると判断する地点について地元に申し入れる申し入れ方式も考えておく必要があるとされているところであります。
 情報公開を基本とし、最終処分地の選定に当たっては、とりわけ地元の理解、国民の理解が必要と考えるところであります。この報告書に示されているように開かれた候補地選定を行うことが肝要と考えますが、そこで質問いたします。
 報告書に提案された候補地選定の進め方について、今後、具体的な選定作業においてどのように取り入れていくのか、この点をお伺いいたします。
○加藤(康)政府委員 報告書におきまして、選定のプロセスそれからスケジュールにつきましては、先ほど先生も一部お話しされましたように、二〇〇〇年を目途に処分の実施主体を設立して、その実施主体が、処分候補地の選定あるいは処分予定地の選定を経まして、処分地を決めていくわけでございますが、片や国の方は、それぞれ選定の各段階におきまして、事業計画とか選定過程を確認しながら、また安全性の審査もする、そういう役割を担うわけでございまして、二〇三〇年代から遅くとも二〇四〇年代半ばまでには処分事業を開始したいということにしているわけでございます。
 これも先生御指摘のように、処分地の選定を行っていく上では、関係自治体あるいは関係住民の意見の反映に努めることが必要でございまして、立地地域の理解や信頼を得ていかなければなりません。選定の各段階におきまして、地元の意見を反映するために、自治体とか関係住民の意見を聞く機会を設けるとか、あるいは実施主体とか関係住民などが参加して検討する場を設ける、そんなことも提言しております。
 また、特に処分地選定の重要な第一段階でございます候補地の選定に当たりましては、先生御指摘のように、実施主体が地元から誘致のあった地点を処分候補地と選定するような公募方式、それから、処分候補地として適切であると実施主体が考える地点について地元に申し入れるという申し入れ方式、その両方がございますが、その辺は、これから実施主体ができましてから、そのときの状況に応じて進めていくかと思います。
 いずれにせよ、このような報告書に示された方針に基づきまして、とにかく、二〇〇〇年を目途に設置されます実施主体が、誘致要請等地元の意向に十分配慮しながら処分地の選定を進めていくものと考えております。
○菅原委員 こういう処分地の選定に当たりましては、今までは申し入れ方式のパターンで、ややもするとどうも、ディスクロージャー、情報公開がおくれ、不要な論争の種を巻き起こしてもいるように思われます。公募方式をとるに十分な法的な整備といいますか、そういう手続もとれるように、ぜひ配慮をしていっていただかなければならないと思いますので、この点もぜひ考慮して、これから法整備を進めていっていただきたいな、このように思います。
 次に、高レベル放射性廃棄物の最終処分問題の解決は原子力利用を進める上で焦眉の急となっているのはもちろんですが、このため、高レベル事業推進準備会、いわゆるSHPが設けられ、二〇〇〇年の処分事業の実施主体の設立に向けて種々の活動を進めていると聞いているので、その役割と、SHPに対する期待及びこれに対する国の積極的な支援を私は望んでおりますので、見解をお伺いいたします。
○加藤(康)政府委員 高レベル対策を進めるために、平成三年になりますけれども、当庁と通産省、電気事業連合会、動燃事業団、この四者が、高レベル廃棄物処分に係る当面の具体的な推進方策を検討するために、高レベル放射性廃棄物対策推進協議会という会合を持つことになりました。そして、その会合のもとで実務をしていただくために、高レベル事業推進準備会、これは電力を中心につくっていただいているわけでございますが、そういうような準備会を置きまして、先ほど申しました四者の協議会のもとで、高レベル放射性廃棄物に関します調査研究とか、それからその研究成果の普及、活用、そういうものを通じまして国民の方々の理解を得るような努力、それから、先ほど先生御指摘のありました高レベル放射性廃棄物処分事業の実施主体の設立のための準備、そういうことを図ることで、これも平成五年につくったわけでございます。
 それ以降、準備会はそのための作業をいろいろやっているわけでございますが、今後とも、その準備会におきましては、処分懇談会の報告書を受けまして、処分事業の具体化に関する調査研究、それから高レベル放射性廃棄物の処分に関する国民の理解を増進するような広報活動、そういうことを中心にやっていただくこととなっております。
 当庁といたしましても、準備会の活動と連携しながら処分事業の早期具体化に取り組んでまいりたいと考えております。
○菅原委員 前回の質問でも、大臣に、便所のない家を原子力政策はつくっているようなものだという私の質問を取り上げていただきましたので、ぜひこの便所づくり、これは全く俗的な比喩の表現ですが、これを何としてでも法整備のもとに実現させていきたいという思いから、二年後には高レベル放射性廃棄物の最終処分に向けた実施主体が設立される計画となっておりますので、この最終処分問題の速やかな解決に向けて、大臣の決意をお聞かせいただきたいと思います。
○谷垣国務大臣 菅原先生から、高レベル放射性廃棄物についていろいろ御議論をいただいたわけでございますが、先生御指摘のように、便所のない家なんていうのは、これはとてもうまく使うわけにはまいりません。この問題は大変難しい問題でございますけれども、避けて通れない、そういう認識のもとに、原子力委員会としても、この間、なかなか精力的に仕事をしたと思っておりますが、今週の火曜日でございましたか、六月二日に原子力委員会として決定をいたしました。実施主体の設立や事業資金の確保など、各般の施策を総合的に進めて、処分事業の早期具体化に取り組む、こういう内容であります。
 ですから、今後はこの原子力委員会の決定で示された方針に基づいて仕事を進めていくわけでありますけれども、まず第一に、処分に関する研究開発というものに鋭意取り組んでいかなければなりません。そしてその中で、技術的な信頼とか、あるいは安全確保というものに何が必要かということをはっきりさせて、国民の皆様の不安感を取り除くといいますか、信頼をいただくということがやはり何といっても必要であろうと思います。
 それと同時に、二〇〇〇年を目途にということをずっと言ってきたわけでありますけれども、実施主体を設立するというような処分事業の具体化というものもあわせて行っていかなければなりません。こういうことをやっていきますについては、政府がばらばらでやっているというようなことでは、これは断じて進まないと思います。政府一体になって今のような取り組みをしていかなければならない、こんなふうに思っているところでございます。
○菅原委員 大臣、ぜひそういう決意でこのことの推進を図っていただきたいことをお願いして、次の質問、私も核実験について移らせていただきたいと思います。
 先般のインド、パキスタンの地下核実験は、世界で唯一の被爆国である我が国としてはまことに遺憾とするところであります。
 我が国は、原子力基本法により、原子力の研究、開発及び利用は、平和利用に限りこれを行うとされており、持たず、つくらず、持ち込まずの非核三原則を厳守し、平和利用に徹するとの立場を明言しているところであります。しかしながら、我が国は、平成八年末現在、使用済み燃料中のものも含め、約五十六トンに上るプルトニウムを保有しています。技術力、資本力、すべての面において実質の力を持っているのですから、我が国が核兵器を保有するのではないかとの疑惑の目で見られる向きのあるのも当然であります。
 そこで、世界で唯一の被爆国である我が国は、原子力の平和利用に徹すべきであると考えるが、そのためには、核を持たないとの単なる宣言だけでなく、具体的な転用防止の措置が必要であり、現在この措置はどのようになっているのか、さらに、原子力平和利用に対する大臣の決意をお伺いいたします。
○谷垣国務大臣 私は、科学技術庁に参りましたときに、原子力の平和利用なんというのは、これはもう当たり前のことじゃないか、日本人の常識から考えてみて、今さら平和利用、平和利用と強調する必要もないぐらい当たり前のことではないかというぐらいの気持ちで実は科学技術庁に来たわけでございます。しかしながら、今回、今回に限りませんが、このような核不拡散体制というものに大きな挑戦が突きつけられますと、やはり私どもは、原子力の平和利用というものを、もう一回原点を確認して、このことは何度でも確認をし、主張をしなければならないのではないか、こんなふうに今感じております。
 そして、宣言だけでなく、そのための措置はどうなっているのかというお問いかけでございますが、まず、何といいましても原子力基本法というものが平和利用ということをきちっと規定しているということが第一であろうと思います。それと同時に、安全保障政策の上で、先生が御指摘になりました非核三原則というものを基本的な政策としてとっているということもあわせて確認をしなければならないだろうと思います。
 それと同時に、国際的にも、いわゆるNPT、核兵器の不拡散に関する条約に日本は加盟をしておりますし、それから、いわゆるCTBT、包括的核実験禁止条約も日本は批准をしている。こういうことによって、国際的にも我が国は原子力を平和利用していくのだという姿勢をはっきりと打ち出し、また、国際的に約束をし、国際法に縛られているわけであります。
 さらに、国内法でどうなっているかということを申しますと、原子炉等規制法二十四条というものが、原子炉の設置許可に当たって「原子炉が平和の目的以外に利用されるおそれがないこと。」というものを許可の条件としております。これは原子炉の設置許可の場合でありますけれども、そのほかに、再処理事業の指定や核燃料物質の使用許可についても、原子炉等規制法は同じように、平和利用を侵すものではないことというのを許可の条件につけている、このような法的な縛りがございます。
 それから、核物質が平和目的以外に転用されていないということを確認するために、NPTに基づきまして、我が国のすべての核物質に対して一AEAの保障措置を受け入れているという形もとっております。
 さらには、イラクの秘密裏の核開発等を契機に取りまとめられましたIAEA保障措置の強化効率化方策について、積極的に対応することとしているわけであります。
 こういうふうにいろいろな形で、原子力基本法の精神を実際に体現するような法といいますか、施策をとっているわけでありますけれども、今後とも、こういったことを再三再四確認しながら進んでいかなければならない、こう思っております。
○菅原委員 この措置は、やはり法治国家でありますので、法の十分な整備の配慮は当然のことですが、同時に、原子力の平和利用に対しましては、世界に向かって日本が積極的に貢献していけるような措置も考えて、ひとつ大臣の決意のほどを今後とも発揚できるように努力していただきたい、こう思います。
 それでは、次に、宇宙ロケット、特に小型ロケットの件について質問を移したいと思います。
 四月二十七日に発表された総務庁の宇宙開発に関する行政監察結果によれば、宇宙開発事業団の開発したJTロケット一号機は価格が約四十八億円で、海外の同種のロケットの二倍から三倍であることから「具体的な価格低減化等の方策を策定すること。」とし、その「実現が困難な場合には開発を中止すること。」との報告がなされております。
 一方、五月二十九日の日経新聞によりますと、石川島播磨重工業と日産自動車が、米国ロッキード・マーチン社との技術提携によりJTロケットの改良型を共同開発し、また、三菱重工業も、米ボーイング社との技術提携により、HUロケットエンジンの改良型を用いたJTクラスのロケットの開発を進めるとの報道がなされています。そこで、まずお聞きしたいのは、この報道の事実関係についてでございます。
 この記事では、民間も進めるのか、事業団がどうなっているのかあいまいな点がございますので、この点についてまずお伺いします。
○青江政府委員 お答え申し上げます。
 JIロケットについてでございますけれども、先生今御指摘のような行政監察の指摘を受けておるわけでございますが、確かにJIロケットは、海外のものに比べまして大変割高という状況にあるわけでございます。
 そこで、宇宙開発事業団におきましては、その具体的なコスト削減、その技術的なフィージビリティーというものを詰めるという作業に着手をいたしてございます。これは、開発に着手するとかそういった性格のものではございませんで、あくまでも今の状態というものを脱却すべく技術的なフィージビリティーというものを詰める、そういうフェーズにあるものでございますから、そういうことに着手をいたしておるわけでございます。その中におきまして、宇宙開発事業団から日本のロケットメーカーに対しまして、今のような目的にそぐうということでもってのアイデアがあらば、そこはプロポーザルとして提出しなさいという呼びかけをいたしてございます。それを受けましたメーカーの中でいろいろな検討があったようでございますけれども、私ども聞くところによりますれば、確かに石播と日産というものの技術分野におきましての提携といったお話し合いもあった、かつ、そのあたりの延長の問題としまして、米国のメーカーとの間の話し合いも進んでおるという報告というのは私ども受けてございます。
○菅原委員 今の報告で、大体記事の内容の正確な理解ができてまいりましたが、何はともあれ、さきの総務庁の勧告にあるように、今後の小型ロケット開発についてはコストの低減というものが非常に重要な要素になります。もしコスト低減が困難であるとすれば、小型ロケット開発そのものを進める必要はなくなると考えます。
 そこで、事業団として、JTロケットのコスト低減を含め、今後のJTロケット開発をどのように図っていくのか、その考えをお伺いします。
○青江政府委員 お答えを申し上げます。先ほど、今宇宙開発事業団におきましてコスト低減のための技術的な側面からのフィージビリティーというものを詰めておる、そういう作業に着手をしておるというふうに御説明を申し上げました。そういうふうな作業というものをこれからさらに一年超をかけまして詰めていきたい。
 そうした作業とともに、並行いたしまして、例えば小型ロケットを低軌道に一トン程度のものを上げるというニーズというものはどういうふうに将来的に展開していくのであろうか。これはマーケットにおきましてのニーズだけではなくて、我が国として、我が国が宇宙開発活動というものを展開していくというときに、そのような宇宙活動というものを本当に将来的にどういうものとしてメニューとして用意をしていくのか、こういったことも当然検討の中に入ろうと思うわけでございますが、そういったものを含めまして小型ロケットに対するニーズというものも見きわめる。それで、コストの問題というものも見きわめる。こういう諸素材というものを取りそろえまして、それで我が国としまして小型ロケットというものを用意するのかしないのかというデシジョンメークをしなければならないというふうに思っているわけでございます。
 その選択肢の中には、当然のことながら、それはコストの面でどうしても海外との関係からすれば引き合わないというふうな理由をもちまして開発を中止するという選択肢というのも当然私どもの視界の中に入ってございます。
○菅原委員 コストの問題で開発中止も選択肢の中にあるということをお聞きしまして、一応私も質問した意味が出てきたのじゃないかなというふうに考えております。
 次に、科学技術一般について質問を移します。五月十二日に国会に提出された平成九年度科学技術の振興に関する年次報告は「変革の時代において」をテーマとして取り上げています。各省庁が出しているいろいろな白書に取り上げられているテーマは、それぞれの時代を反映したものであり、興味深いものがあります。中でも、昭和三十一年の経済白書のテーマとなった「もはや戦後ではない」は最高のヒット作品であったと記憶をしています。
 科学技術の分野でも、科学技術の振興に関する年次報告の前身である科学技術白書の時代からいろいろなテーマが取り上げられ、最初の白書である昭和三十三年には「外国依存から自主発展へ」が取り上げられ、その後、四十三年には「自主技術開発の推進」、五十六年には「創造性豊かな科学技術を求めて」、六十二年には「我が国科学技術の国際化に向けて」と変遷し、平成七年度には「研究活動のフロントランナーをめざして」がテーマとされたところであります。このようなテーマの流れを見ていくだけで、技術導入に始まり、自主技術開発の推進、我が国独自の科学技術の振興を進め、さらに国際貢献を念頭に置いて世界のフロントランナーとしての役割を求められるに至った我が国の科学技術分野の足跡が読み取れるところであります。
 そこで、この白書のテーマを決めるにはいろいろな苦労があったと思いますが、今回の年次報告でのテーマを「変革の時代において」とするについてはどのような時代の認識があったのか、お伺いいたします。
○谷垣国務大臣 今菅原先生がお触れになった各時代の白書のタイトルと申しますかテーマを伺いますと、確かにその時代時代の特徴がそれなりに浮かび上がっているような気がするわけであります。
 今度の「変革の時代において」というテーマが今の時代を願わくはうまく取り上げたものであってほしいと思っているわけでありますが、この背後にある時代認識は、一つは、冷戦が終わりまして、今までは社会主義圏それから自由主義圏というふうに分かれておりましたけれども、そういう垣根が取っ払われて、グローバル化というのでしょうか、あるいはメガコンペティションというのでしょうか、そういう今までにない世界的な経済社会の環境の変化が見られるということが一つあろうかと思います。
 それと同時に、これは世界が全部そうというわけではないでしょうが、少なくとも日本においては少子・高齢化というようなものが、それぞれの生活においても、経済においても、あるいは意識においても、いろいろな意味で大きな変化を迫っているという認識もございました。
 それからもう一つは、高度情報通信社会、この背後にもいろいろな技術革新やら、あるいは、あえて申し上げるならば、今まで冷戦時代は、どちらかというと軍備のために使われていた費用が、平和の配当みたいな形で高度情報通信社会に向けて大規模な資本が投資されるというようなこともあったのではないかと思いますが、そういうような時代の変化もある。そういう経済社会全体の変化があると思います。
 それに対応する人間の側の気持ちといたしましては、これは特に日本において顕著でございますけれども、バブルがはじけて何となく先行きが見、えないという元気のなさがございます。それは、先ほども斉藤委員の御質問のときにちょっと申しましたが、あるいは近代日本がずっと追い求めてきた、追いつき追い越せ、西欧の国に何とか追いつきたいという目標を一応達してしまった目標の喪失感かもしれません。それで、何となく周りに壁があるような、閉塞感というのでしょうか、そういう状況がある。これを何とかして打破して先に明かりを見出さなければいかぬというのが変革の時代の一つの意味だろうと思います。
 もう一つは、地球環境とかあるいはエネルギーとか食糧とか、単に一国だけで解決できない地球規模の問題に取り組んでいかなければ、二十一世紀のどこかでは必ず破綻を来すだろうと思われるような状況がある。そういうことを合わせまして「変革の時代」というタイトルになったと私は理解しております。
 そうして、こういうタイトルをつけました、そのまた背後にある私どもの気持ちというのは、やはりこういうところを打破して進んでいくためには、壁に穴をあけていくためには、あるいは地球規模の問題を解決していくためには、科学技術というものが大きな役割を果たすべきであるし、果たせるのではないか、また果たさなければいけない、こういう認識があったと申し上げることができると思います。
○菅原委員 この変革の実現に向けた積極的取り組みが求められるとされているのに、現在の行政組織を見ますと、多くのジレンマ、トリレンマヘの対応については各省庁に所管が分かれ、例えば人口問題は厚生省、食糧は農林水産省、エネルギーは通商産業省等となっており、このため総合的に状況を把握することが難しく、その結果として総合的な対応が検討できる体制にあるとは言いがたいと思います。
 そこで、この変革の実現に向けて科学技術の重要性が増加しているとの認識に立つならば、科学技術への取り組みを検討していくに当たっては、これからどのような行政改革により取り組んでいったらよいのか、またいこうとするのか、その体制ができるのかどうか、まずこのことをお伺いいたします。
○谷垣国務大臣 行政改革の中で変革に積極的に取り組むためにはどういう形をつくっていけばよいのかということでございます。
 これは今、行革の基本法案の中でも御議論をいただいているところでございますけれども、私ども、科学技術行政を確立しなければならないという立場からいたしますと、一つは科学技術の目的、科学技術が何を求めていくか、何が今必要かということに対して、戦略的というのはよく使われる言葉でありますけれども、そういうことを時代時代の要請において目標をきちっきちっと定めていけるような体制というものがやはり必要なのではないかな、このように思います。そのことが今回総合科学技術会議と言われるものをつくろうということにつながってきているわけであります。
 それと同時に、私は、先ほどからの御議論でございますけれども、科学技術が進んでいくためには制度も必要でございますし、設備も資本も必要であろうと思います。もちろんそういうことに力を入れなければならないのでありますけれども、特に申し上げたいのはやはり人の問題であろうと思います。みずから研究意欲を持って進んでいけるような人材をつくっていかなければなりません。
 今度は教育科学技術省という中で、本当に教育と科学技術というものが目標が同じなのか、両立できるのか、いろいろな議論がございますけれども、私どもは何とかして教育と科学技術、要するに科学技術を支える意欲的な人を教育の中でつくれるような形というものを追求しなければなりませんし、学術行政と研究開発行政というものがびしっと平仄が合うような形を求めていかなければならないだろう、こういうふうに思っております。
 そしてまた、これも先ほどからの繰り返しになりますが、科学技術庁は教育科学技術省となっていくわけでありますけれども、その中で、科学技術全体について振興を追求していけるような脱皮というものを、今までも努力してきたつもりでありますけれども、これから大きな脱皮を求められているのではないか、こんなふうに思っております。
○菅原委員 次に、白書関連でクローンの問題について質問したいと思います。
 これまでの科学技術白書のテーマの中には、「人間性豊かな生活環境に向けて」といりた環境問題の反省や、「我が国科学技術の国際化に向けて」といった、海外からの我が国の技術ただ乗りに対する非難への反省をテーマとしたものが見られます。反省のある場合には率直に反省し政策転換を図ることは当然でありますが、科学技術政策の立案に当たっては、できれば将来に禍根を残さないような政策を立案し、これを推進してもらいたいと思います。
 そのためには、研究開発側からの要請のみならず、国民や社会の要請が何であるか、また人文社会科学的な視点を含めて多角的に検討を行い、進めていくことがますます重要になっていると考えます。
 このような立場に立って考えると、最近のクローン技術をめぐる状況は特に重要ではないかと考えています。近年、科学技術会議は、ライフサイエンスに関する基本計画に関する答申において、ヒトのクローン個体を生み出すことについてはこれを実施すべきではないとの指摘を行い、当面ヒトのクローンに関する研究に対する政府資金の配分を差し控えることが適切である、また国以外においても、当面そのような研究を差し控えることを期待するとしております。
 そこで、この問題についても、長期的視点に立ち、幅広い視点からの検討を進め、将来に禍根を残さない対応が必要と考えますので、現在、科学技術会議クローン小委員会で検討を行っていると聞きますが、検討状況について、特にその結論がヒトのクローン研究を行うべきではないということであれば、政府資金の配分を差し控え、国以外においてはそのような研究を差し控えることを期待するといったあいまいな対応で済ませるのではなく、禁止の措置を法制化することも検討すべきであると考えますので、御見解を伺い、質問を終わりたいと思います。
○青江政府委員 お答え申し上げます。
 クローン技術につきましては、まず、科学技術会議生命倫理委員会におきまして、生命倫理をめぐりますいろいろな問題というのを議論しておったわけでございますけれども、その中でとりわけクローンというものを取り上げまして、そのもとに小委員会でもって議論を進めてきた。
 先般、クローン小委員会におきまして中間的なとりまとめがなされたわけでございますが、そこにおきましては、ヒトのクローン個体の産生については国による公的な規制が必要であり、そのため法律による規制または国のガイドラインによる規制、いずれかが必要であるとする考え方、こういうふうな方向というものをとりあえずまとめたわけでございます。
 もう少し敷得して申しますと、禁止はする、しかしながら規制を、法律による規制をもってするのか、国のガイドラインというものによってやるのか、このあたりにつきましては少し議論の幅があったということでございます。
 ということでもちまして、その受け取りました中間報告をベースにいたしまして、これから先、国民各界各層の幅広い意見というものも聞いてみなければいかぬのではないか。また、日本弁護士会でございますとか産婦人科学会でございますとか、いろいろな特別な専門家の集団があるわけでございますが、そういった方々の御意見というものもいろいろ聞いてみなければいかぬのではないかというふうなことでもちまして、幅広く意見を聞こうという作業にこれから着手いたしたいというふうに思ってございます。
 そういった作業というものも踏まえて、今後、先ほど先生がおっしゃいました法規制というふうなものがいいのか、それともガイドラインでもって対応していくのがいいのか、その辺を見きわめつつ対処していきたい、かように思ってございます。
○菅原委員 以上をもって終わります。ありがとうございました。
    ―――――――――――――
○大野委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 本件調査のため、本日、参考人として動力炉・核燃料開発事業団理事菊池三郎さんの出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
○大野委員長 吉井英勝さん。
○吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。
 日本の原子力基本法におきましては、原子力の研究、開発、利用について、平和目的に限るというふうにしていること、また、平和利用のため、あるいは原子力の持つマイナスの要素、国民の安全とか健康障害とか、そういうことにかかわるものについて、そういうことを防ぐためにも、自主、民主、公開と、公開ということを非常に大事にして、平和利用の点でも安全を守る上でもその点を特にうたっているというのは、日本のいろいろな法律の中でも非常に大事な法律だなというふうに私は思っているわけです。
 それで、これまでから、一般的に公開ということを議論する、主張するだけではなくて、具体的な問題で原子力研究開発の公開を求めて論じてまいりました。その成果として、昨日、六月四日から「もんじゅ」の設置及び工事の方法の許可申請書が、約一%の非公開部分を除いて九九%公開された。三万五千ページ中、三割の一万ページが、これまで全くの白紙というものがたくさんあったわけですが、その設工認がほぼ全面公開に近く、まだ非公開はありますが、公開されたというのは、これは遅過ぎたけれども前進だというふうに思っているわけです。私も昨日、動燃本社のインフォメーションルームへ行って公開図書を見てまいりました。
 ところで、ここに至るまで、科学技術庁と動燃の秘密主義に発していた問題というのは、本当に異常と思えるものがたくさんありました。この十年を振り返ってみても、例えば一九八八年といえば私は参議院議員のときでしたが、動燃東海工場を訪ねたときに、私に同行していった公設秘書のウラン濃縮工場の見学は一吉井先生は結構ですが秘書は困るというようなことを言い出したり、そういう態度をとられて本当にびっくり仰天したことがありました。
 それから、九〇年に、私が今度衆議院議員にかわってからですが、原子力船「むつ」の調査に行ったときに、原研むつ研究所長も原子力船「むつ」の船長さんも、私と一緒に行った科学者の方もどうぞ乗船していただいて結構だと、乗船を認めると言っているのに、科学技術庁の本庁の方から派遣されてきた、本当にうんと若い人なんですが、本省の方と電話連絡をとって、吉井議員は認めるが同行した科学者の乗船は絶対に許可しないと言い張って年配の研究所長やら船長さんを困らせてしまう、科学者の方に対しても随分失礼な態度をとるということがありました。
 当時の科学技術庁長官は大島さんでして、大島さんと私は参議院の清水谷宿舎で一緒であって、毎晩だべりながらよく飯を食べたりして、非常に親しくおつき合いいただいていた方ですから、当時の大島長官の方から、吉井さんには大変失礼なことになって済まぬ、うちの連中はわしの言うことをよく聞かないのだよということで、そういうおわびの話をいただいたりしました。科学技術庁もそれぐらい秘密主義が非常にきつかったのです。
 だから、「もんじゅ」のナトリウム漏えい火災事故があったときに、当時マスコミ等でも動燃の秘密主義とか虚偽体質とか随分問われていたころですが、本当は動燃以上に科学技術庁の体質にこそ問題があるではないか、私はそこを非常にシビアに見ておりました。
 一九九二年五月の衆議院科学技術委員会でプルトニウム輸送の非公開問題を取り上げたこともありましたし、同じ年に「もんじゅ」へ調査に行ったときには、今度は私に同行した福井の県会議員の方が、そういうこともあろうかということで県議会議長から「もんじゅ」出張命令書までわざわざ書いてもらって、それまで持っていったのだが、これも門前から中へ入れないということもありまして、これまた私はびっくりしました。
 それから、九二年十二月の委員会では、スーパーフェニックスの貸料を隠すことはないではないかということを取り上げたこともありました。九三年二月の委員会では、プルトニウム輸送容器の設計承認申請書が、五百二十五ページの中で四割の二百十六ページが丸ごと白紙という問題。この設計承認申請書の目次まで、目次だけでも二十三ページあったのですが、一ページ分は丸々白紙。さらに、原型試験結果についての百二十二ページのデータが全部白紙ということなど、国会と国民が安全について議論をするにしても白紙の書類なので何も検討することもできない、そういう問題を取り上げたこともありました。またこのとき、青森県六ケ所村に建設される再処理施設の申請書も一ページ丸々白紙、そういうページがいっぱいあるという問題も取り上げました。
 それから、九五年十一月には、「もんじゅ」の設工認が、約三万ページの三割が完全白紙のページであるという問題を取り上げまして、この「もん〃じゅ」の申請図書の公開というのは、その後も、九五年十二月、九七年三月、十二月、そしてことし三月、四月と、私はずっとこの秘密主義を批判し、原子力分野での情報公開を主張してやってきました。だから、ようやく「もんじゅ」の設工認が約九九%まで公開されたということについては、特別の感慨を覚えるものであります。
 そこで、この十年で大きな変化があったということは本当に実感しているのですが、これから原子力基本法の原点に立ち返って公開というものを進めていくときに、私が少し歴史的に長々とお話ししましたのも、やはり振り返って検討をしておくことが大事なときではないかというふうに思うからです。
 そこで、科学技術庁の方に伺っておきたいのですが、この「もんじゅ」の設工認の三割を公開しなかったというのは、結局どういう理由からであったのか、科学技術庁の方の見解を聞いておきたいと思います。
○池田政府委員 お尋ねでございますけれども、「もんじゅ」の設工認の申請書、これ自身が大変大部なものでございます。先生ごらんになったとおりでございます。
 この申請がございまして認可に至りますまでの審査の過程では、当然ながらそのような、例えば升目に囲ってその中の数字がないとか、そういうものでは審議のしようもございませんから、役所での審査の過程では当然ながらそういうものは全部埋めてもらった上でやっているわけでございますけれども、今の先生の御指摘は、それが済んだ後でこの書類等は公開をすべし、そのときにどこまでを公開していいかといったことになるわけでございます。
 今までは、原子力の施設につきましては、これは現在でも考え方は大筋は変わっていない点はございますけれども、核物質の防護の観点から、例えば「もんじゅ」のようにプルトニウム燃料を使うような施設、これは核物質の防護上、特別な配慮が必要でございます。
 それから、核不拡散、こういった特殊な原子力施設の設計あるいは工事にかかわります情報がそのまま第三国に流れていいかどうか、あるいは不心得者に流れていいかどうかというような、なかなか難しい議論がございます。
 それともう一つは、財産権の保護という問題がございます。これは、設計、建設に携わりますメーカー側にまでさかのぼっての知的情報、こういったものの権利を侵すことがないかどうかといった点がございます。こうした点からこれまでは慎重な扱いがされていたのは事実でございます。
 ところが今回は、そういったことではございますけれども、最近に至りまして、安全についてのいろいろな議論の高まり、関心の高まり、そうしたことから、今までのこういう物差しは、基本的な点は注意をしようというのは変わりませんけれども、この物差しの運用ぶりについて相当見直すことが必要だといったことは、私どもも認識してまいりましたし、事業団の側でもそういう認識は当然のことながら持つようになってきた。
 ですから、こういう申請書あるいは認可されました書類等を外部の方に見ていただくような場合にも、可能な限り公開をしよう、そういったことで、むしろ公開が原則であるといったことから踏み切ってまいりました。
 ただ、大部なものでございますから、既に審査から認可まで終わりました書類を全部目を通しまして、今申し上げましたような支障がないかどうかといったことを見ますには、かなりの手間暇、時間がかかります。こういった作業を今まで懸命にやってきたということでございます。
 今回、先生御指摘のように、私も昨日見てまいりましたけれども、こういう格好で公開できるということになりました。その結果は、動燃事業団自身が公開という観点からの見直しを行って、今回公開していない部分というのは、メーカーにまでさかのぼっての財産権の保護の観点からやむを得ず非公開とせざるを得ない部分に限って非公開とさせていただいている、そういったものに限って、そのほかはすべて公開に踏み切ったといった状況を昨日、吉井先生にもごらんいただいたところでございます。
○吉井委員 九五年に審査後の文書を公開されて、それで、これまでの科学技術庁の答弁というのは、今と同じであったわけです。九五年十一月にこの問題を取り上げましたときにも、要するにPP、核物質防護、核不拡散のことと、それから企業の知的財産権保護、この二つに、こういう整理をいたしましたというのが当時の宮林原子力安全局長の答弁でした。
 昨日、新しく公開された文書を見てきたわけですが、例えば、これは九五年に文書を写真撮影したものでして、確かに抜けているわけですね。それで、写真をコピーした方がこれなのですけれども、こっちの方が見やすいかと思いますが、これは長官、ごらんになってもおわかりのように、こういうふうに抜けているところがいっぱいあったわけです。
 そこで、昨日見せてもらいました。例えば等価フィッサイル富化度ということについてのべレジなのですが、前の抜けているところを見てみると、「等価フィッサイル富化度を次式で定義する。」要するに式の定義なのですね。この式に出てくるそれぞれの係数について説明書きがあるだけなのです。
 さらにその後は、「燃料製造に当たっては、」ブランクになっておったところに書き込まれているのは、「プルトニウム同位体組成比が異なっていても、炉心装荷時に常にこの等価フィッサイル富化度になるよう、プルトニウム241の崩壊を考慮してプルトニウム富化度の調整を行う。」
 それから、ごくわずかに下の方に抜けているところがあるのですが、「なお、燃料製造時には」、ここから埋めた部分「炉心装荷までの期間」というのが入って、それを「考慮してプルトニウム富化度を設定する」云々、こういうふうに非公開部分が書き込まれているわけです。
 今回の公開で、今の式とそこに出てくる係数の説明というのは、実はこういうものは特に秘密のものではなくて、あるいは財産権保護だ、ノウハウだ何だというようなものではなくて、「FBR広報素材資料集」においてもフィッサイル富化度のことはよく記載されておりまして、空白にする理由はなかったのです。それで、別段、特にこれを読んでみても空白にする理由は全く見当たらないのですよ。
 そこで、科学技術庁に私改めて伺っておきたいのですが、なぜこういうことまで知的財産権保護ということにしたのか。動燃から出てきても、科学技術庁の方が今おっしゃった二つの要因で、これが方針だということでフィルターを通されて、なるほどそれは知的財産権保護ということで、こういう普通の式まで、出してはいけない、マスクをかけておきなさい、こういうふうに判断されたのは一体何なのか。その理由を伺いたいと思います。
○池田政府委員 先ほど申しましたように、結果的に公開をさせていただいた資料の中にマスクをしている部分があるといったところにつきましては、核不拡散ですとか核物質防護、それから財産権の保護、いろいろな物差しの当て方がありますということは申し上げました。今回は、そういうものから考えましたときに、事業団自身が、財産権の保護といった観点からやむを得ず非公開にせざるを得ない部分を除きまして、すべて公開に踏み切ったといったことでございます。
 私ども、こういう物差しの当て方についてはいろいろ議論をしてございます。例えば核物質の防護ですとか核不拡散ということにつきましては、事業者だけの範囲ではできない部分がございます。事業者の勝手なと申しますか、事業者のいかに自主的な判断といえどもそれにゆだねられない部分がございますから、これはむしろ役所の側からいろいろ注文をつける場合もございます。
 ただ、財産権の保護の部分となりますと、これは事業団自身が機器の設計、製作に当たりまして企業との間での契約等ございますから、この部分についての判断、これは私どもからは公開を原則ということでいろいろなそういう示唆をしておりますけれども、事業団側から、それについては事業団あるいはメーカーとの間の約束事に照らしたときに財産権の保護等支障がありますと言われれば、それは尊重せざるを得ないといったことでございまして、結果的に、今先生が御指摘のような点は、過去においてはそこの公開に踏み切るまでの用意ができていなかったのだろうと思います。
 今回は、そうしたことについても格段の見直しを行った結果、公開に踏み切る条件は整ったといった結果、そうなったというふうに理解しております。
○吉井委員 要するに、今の話は、申請者である動燃の方が財産権保護の観点から非公開とする必要がある、そういう話で来たから、それを認めて尊重して非公開にしたのだということなのですよね。科学技術庁の方針として知的財産権保護の観点から非公開、こういう整理をしたのですということがあの当時の安全局長の答弁だったわけです。
 だから、そういうふうに、国の方針はこうだと言いながら責任は動燃に押しつけていることになってきて、私は全く非常にずるいやり方だと思うのですよ。国の方針で非公開にさせておいて責任は動燃に押しつける。それはちょっとないのじゃないでしょうか。原則は公開で、しかし非公開基準は財産権保護だ、これは厳密に考えなければいけないということであれば、動燃が仮に財産権保護の観点から非公開としたいと言ってきても、科学技術庁は科学技術庁としての立場で物を言わなければいけない。それを言わないで、国の一般的な方針はこうだ一動燃の方が財産権保護の観点から非公開が必要と言っているからそれをそのとおり認めたのだということになれば、これは本当に私はずるいやり方だと思いますよ。
 そんなずるいやり方をするのだったら、ちょっと言葉がきついかもしれぬけれども、科学技術庁から動燃へ天下っている人も出向している人も全部引き揚げなさい。僕はそれぐらいのことを考えなければいかぬと思いますよ。やはり、国が方針を決めて出したからには、それに本当に合うかどうかということをきちっと一つ一つチェックするというのが、私は本来のあるべき姿だと思いますよ。
 それで、別にまた持ってきているのがあるのですけれども、これは「等価フィッサイル富化度及び核分裂性プルトニウム富化度の評価結果」という表で、数値が全部ブランクであったのです。昨日から全部公開されたわけなんです。
 私はなぜこれを一例として挙げるかといいますと、実はこれも九五年十一月七日に質問で取り上げたのですが、内側炉心と外側炉心の「等価フィッサイル富化度及び核分裂性プルトニウム富化度の評価結果」というこの表の持つ意味でもあるのですが、これを公開する必要性を主張したのです。きのう公開されたものでちゃんとこの数値の入っているのを見て、確認できましたけれども。原子炉の中というのは見えないのです、当たり前の話ですが。だから、FBRで反応度が出ないという場合には、炉心に異常があるのではないか、あるいは、それがFBRの事故につながるものではないかという心配もすれば、それはなぜなのかというのを考えるのは当然のことだと思うのですよ。
 それが炉心設計のミスによるものか、核燃料の製造の失敗によるものか、炉内の中性子の効率が悪くなっていて反応度が出ないのか。この中性子の効率が悪くなるということに関しては、それは炉内の反射効率がよくないのか、あるいは遮へい効果が悪くて中性子線が漏れている、だからこそまた、中性子線計測器の位置がどこにあるかというのが問題になるわけなのですが、それで反応度が出ないのかとか、何かはかに問題はないのか、あるいは原子炉の何か異常な反応につながらないのかということを考えるときに、こういう表も一つの考える素材になってくるわけです。だから公開に意味があるのです。
 もし、企業が開発した計算コードの公開を求めているような話であれば、それは企業の財産権保護という話も出てこようかと思いますが、計算結果の数値の公開なのですね。どうしてこれがメーカーの知的財産権の保護で非公開にするべきだと科学技術庁は考えられたのか、私はこれもあわせて聞いておきたいと思うのです。
○池田政府委員 ただいま御指摘のありましたような部分につきましても、実際に私どもが設計工事方法の審査をいたしまして、その過程で、例えば外部の専門家を招いていろいろ意見を聞きながら審査をするというものもございます。こうした場合には、すべてそれは当然ながらブランクではない状態で作業をしているわけでございます。この辺は御理解いただきたいと思っております。ただ、今先生の御指摘は、その審査が終わった後、その結果をどれだけ一般の方に見ていただくか、そういったことをする場合にどれだけの配慮をするかといったことでございまして、私どもは、現在規制の立場ではございますけれども、こういう結果について、あるいは審議の過程についてもできるだけ透明性を高める、結果についても、いろいろ世の中で関心を持っている方々にはそれをつぶさに見ていただくといった観点からできる限り公開すべきであるといったことから、踏み切ってまいりました。その結果は先生に見ていただいたとおりでございます。
 その過程での物差しの当て方につきましては、私どもだけが、この膨大な設工認、設計・工事方法認可の申請書、これはキャビネットいっぱいぐらいあるものでございますけれども、それにつきまして一部始終を全部役所の目だけで見ているということはこれは当然ながらかないません。むしろ、事業団自身が、それぞれの数字の意味するところ、それから、その数字が、例えば過去の経験に基づくもの、あるいはノウハウ、あるいは企業のそれこそ技術的な蓄積、経験によるものであるか、故事来歴まで考えて、それについての公開の是非、これを議論されているわけでございますから、その事業者側での一義的な判断というものは、我々は尊重せざるを得ない。
 ただ、先生が御指摘のように、その資料の公開の様子を一般の方がごらんになったときに、その論理性あるいは全体の施設の設計のあり方についての理解をしようというときに、やはりそれが欠けているとどうにもならない、むしろこれは何としてでも見たいといったような要望があるとすれば、それについてはまた格段の配慮をして、どうやって見ていただくかといったことについての配慮はせざるを得ないんだろうと思います。
 今そこまで詰めた議論というのはなかなか難しゅうございますけれども、基本的に私ども、事業団もこれは同じような理解になっていると思いますけれども、安全についての理解をいただくためには可能な限り公開するといった観点から、今回事業団においても独自に格段の努力をされた、私どもは、その結果を見た上で、その判断についてそれをよしとして公開に踏み切っているといったことでございまして、事業団の判断に対して我々から何か今回特段の注文をつけたといったことではございません。
 むしろ一吉井先生がごらんのように、公開された状況について、またこれの非公開になっている部分についていろいろ疑義がある、これはなぜ非公開にしなきゃいけないのかといったようなことで特段の疑義があるとすれば、それは、私どももそれをつぶさにまた受け取って検討させていただくということだと思います。
○吉井委員 こういう資料をごく普通の市民の方が、幾ら公開されたからといって、見てすぐわかるわけじゃない。そこは私もよくわかるのです。しかし、普通の市民の皆さんが専門家と相談して、炉心に問題ないのか、大丈夫なのかというときに、全く何も数字の入っていないような表を幾ら眺め尽くしてみたって、どんな専門家だってこれはわからないのです。そこに国民の安全を守るという点で情報公開というのは非常に大きな意味を持っているわけです。
 そのときに、今回公開にうんと前進があったわけですが、三割の非公開部分、とりわけ全くの白ぽてというふうなことになってくると、それについてはやはり科学技術庁の方だって、あなたの方だって、見られたら、これじゃおれだってわからないじゃないかと。だから、もっと公開をするべきだというお話を指導されたなら話はわかるのだけれども、言ってきた、出てきたものをそのまま追認しただけでは物事は進まないということを私は言っているのです。
 たしか昨日も見せていただいて、以前全くのそれこそ真っ白けのページだったところ、それが、例えば検討用地震力というのは全面的に表が出てました。ですから、これは全面的に真っ白けから、公開されたわけですよ。
 それで、私は、ちょうどこの公開があったときも、阪神大震災のあった年の秋でしたけれども、やはり阪神大震災の経験を経て、大きな地震に耐えられる原発、研究用も含めて原子力施設ということが国民の非常に大きな関心事に上っていたときに、なおかつ、今全面的に公開されているものが全くの真っ白けのページのままという異常なことがあったことについて、やはり科学技術庁の方が、それは公開という方針を持って、非公開にするのはあくまでもメーカーの知的財産権にかかわるものということを言うからには、そこを厳しく見て当たるべきだったと思うのです。
 今はまだ、耐震設計上の建屋、配管、機器類の固有振動数の問題とか、ブランクになっているところがあります。これらについては、動燃は動燃としてメーカーと折衝していらっしゃるようなことを昨日も現場の人から私は聞いてきました。その努力は努力として、頑張ってはるんだなと。大体私から言われたことと同じようなことを今度は自分たちがメーカーに対してばんばん言っているんですという話ですから、その調子で頑張ってくださいと言っておきました。
 しかし、だからこそ科学技術庁としても、阪神大震災の経験を経て、原発の耐震性がこれだけ問題になってきている時代ですから、先ほど太田委員からもお話が出ておりましたけれども、固有振動数の問題などについてもまだマスキングされている部分がありますが、全面的な公開に踏み切るように、私は、これは科学技術庁としてよく実情も調べもし、そしてそういう指導をしていかれる必要があると思いますが、もう一言聞いておきたいと思います。
○池田政府委員 阪神の地震がございました直後には、原子力施設、押しなべてこういう耐震設計が問題になりますような施設につきましては、従来の耐震設計の考え方、これが妥当かどうかということについては、直後に安全委員会自身が専門家同士で検討させていただきましたし、「もんじゅ」の設計についてもそのチェックはさせていただいております。
 今、吉井先生の御指摘は、そういうチェックが行われるような施設の情報であるから、むしろ率先して公開すべきであるといった御指摘だと思っております。この点につきましては、まだ現在ブランクにあると言われた部分、そういった点につきましても一先ほど申し上げましたような財産権の問題、その理由があって今はまだ公開できないということでございますけれども、御指摘でございますから、私どもも調べさせていただきたいと思います。
○吉井委員 次に、動燃の方に伺いたいと思います。
 あなたは、私が「もんじゅ」へ行ったときに、うちの県会議員は入れさせないということを言ったときの所長さんじゃないから余り気を使わぬで答えてもらったら結構なんですが、ことし四月一日に近藤理事長は、一%未満の空白というところまで来ております、実はきょう公開したいと考えておりましたけれども数日ちょっとおくれますと答弁をされたわけです。それが数日じゃなくてニカ月おくれたわけですね。
 動燃の方では、今回の公開についてはことし二月から取り組んできて、科学技術庁に審査書類を出したものとして、相談も科学技術庁に持ちかけて公開の準備をしてきたはずなんですが、それが、この四月一日に公開できるはずだったものがニカ月間おくれたわけですね。なぜおくれてしまったのか。ここは、公開ということについてやはり抵抗といいますか妨害といいますか、さまざまな公開に対する否定的な動きがあったのかどうか、それでこんなにニカ月もおくれてしまったのかどうか。そこを率直に伺っておきたいと思っているのです。
○菊池参考人 お答えいたします。
 特に妨害とか公開しちゃいかぬとか、そういう動きがあったわけではございません。むしろ、我々としては、監督官庁である科学技術庁の方からも、公開を原則にして、できるだけ一〇〇%に近い形でやれ、こういう御指導のもとに努力してきたわけでございますけれども、やはりまだまだそういうメーカーのノウハウという部分で公開が難しいということがございます。そういった面での調整とか、あるいは、いわゆる核不拡散というふうな観点で、ロンドン・ガイドライン等も変わっておりますので、そういったものに問題がないかどうかというような確認をする作業の時間とか、そういった、最終的に公開するまでに十分吟味するというのにがかったのが主な時間でございまして、特にそういった障害があったということではございません。
 我々としても、最大限やってまいりましたし、初めての経験でありますので思ったより時間がかかったということでございます。
○吉井委員 ただ、今のお話はお話として、四月一日には理事長は、一%未満に抑えて、公開できる、一日に出すんだ、そこまでいっているんだというお話だったのですね。それ以外の一%未満のものをさらに限りなくゼロに近づける努力は今おっしゃったようにニカ月ぐらいかかったとしても、それはわかるのですが、そうじゃなくて、既に四月一日現在で出そうとしたものについてなぜニカ月もおくれてしまったのか。そこがやはり遅過ぎたということは問題だというふうに私は思っているのです。
 それで、あわせて、一%も見直していくというのが理事長の答弁でした。全面公開のときも来るとおっしゃいました。今、全面公開の時期は大体いつを目途にして取り組みを進めていらっしゃるのか。二つのことを聞きたいと思います。
○菊池参考人 お答えいたします。
 繰り返しになりますけれども、思ったよりおくれた理由は、やはりそういった最終的な吟味をする時間ということと、当然一%以下の部分というのはなかなか、もともと難しい問題であったわけですから、そういったものに調整の時間がかかったということが主なところでございます。
 今後の見通しでございますけれども、我々としては一〇〇%目指してやってまいりますけれども、一つは、前回公開した、二年半前、「もんじゅ」の事故の前でございますけれども、先生おっしゃるように三〇%という部分があった。やはりそこは、我々も当然情報公開指針のようなものを持っていたわけではございませんので、どうしても保守的になっていたということと、それからもう一つは、先生るる十年間のことを御説明になりましたけれども、やはり時代の変化とともにノウハウの部分というものは変わってまいります。そういったことから、今回は情報公開指針を昨年の七月に定めまして、厳密に情報公開、原則情報公開ということに努めてまいりました。
 今後もそういったことでやってまいりますけれども、いつかということについては、そういう環境の変化ということも考慮しながらということになりますので、しばらくはかかるのではないか。少なくとも、一年以内とかそういう範囲ではないだろうというふうに私は考えております。
○吉井委員 一年以内ではまだ難しそうな話なのですが、しかし私は、これは本当に早く限りなくゼロに近づけていく必要があると思うのです。全面公開を早期に実現する、その取り組みについて、決意だけ伺っておきたいと思います。
○菊池参考人 先ほど申し上げましたように、情報公開指針、それから情報公開課というものも設けまして、かなり専門的にそういう意味での努力をし始めておりますので、一日も早くできるように頑張っていきたいと思っております。
○吉井委員 それで、私かなりしつこく繰り返して言ってまいりましたのは、本当に、昨日の公開されたものを見て、逆に不思議に思ったのです。
 これは大臣の所からはちょっと遠いから見にくいかもしれませんけれども、これが公開前の分です。わずかにページ数とか若干のことは載っていますが、ほとんど一ページ丸々白紙なのです。
 昨日公開されたものがこれなのですけれども、これは、よく見てみますと、高速増殖炉「もんじゅ」「原子炉本体の原子炉容器上部プレナム試験用熱電対プラグの工事フロー図」、工事がどう
 いうふうに流れていくかというだけの話なのです。それで、まず素材の入手、機械加工、組み立て、こん包、現地搬入、据えつけ、据えつけ完了、このフローだけなのです。
 こんなものは企業の財産権保護にも何にも当たらないのです。私も昔メーカーにおりましたときに製作設計もやりましたけれども、これはそれ以前のものですね。何ということもないのですよ。こういうものが本当に三割の非公開ということでやられてきたのです。余りにも異常なのです。
 もう一つ御紹介しておきますと、こちらの方は認可申請で、高速増殖炉「もんじゅ」の、要するに制御棒案内管とか制御棒とか制御棒要素をどういう順番でどういうふうに集めてどう作業していくかという、それだけのことなのです。それが全くの白紙状態だったのです。今度それが書き込まれたのですが、こんなものは何も知的財産権保護だ何だということに当てはまらないのですよ。そういうものが、ここに白紙のページがありますけれども、これは、写真を撮ったって白紙だけだから全然おもしろくないものを三年ほど前には撮ったわけなのです。
 私は、この二つを比べてみて、やはり一ページ丸ごと白紙の公開というのは公開に値しないと大臣もごらんになって率直にお感じになられると思うのですが、公開の話をもう少し進める前に、今の御感想だけ先にちょっと聞いておきたいのです。
○谷垣国務大臣 先ほどから原子力に関する情報公開について大変詳細な御議論をいただいておりますが、私も伺っておりまして、先生の御議論を伺うと、なるほどという気も一方するのですが、今伺った一つ一つの具体的事例、立て板に水のように先生お話しになりますと、果たして何に問題があるのか、ちょっとそれだけではわからないところがございます。
 ただ、私申し上げたいのは、過去が適切であったのか不適切であったのかはいましばらくおきまして、やはりここまで持ってきた努力は評価をしていただきたいと思いますし、そのことが、いろいろな事故等があった中で、国民の信頼を取りつけていくには何が必要かというのを我々も学んできたというふうに私は思っております。
○吉井委員 では、大臣にもう一言重ねて伺っておきたいと思うのです。
 この「もんじゅ」の公開までの長い歴史的経過とか、国民の厳しい批判とかそれから情報公開要求があって、ようやく昨日、一%未満の白紙を例外にして基本的に公開するというところへ来ました。
 原子力基本法では当初から自主、民主、公開の原則がうたわれていながら、この公開の原則が実際には実現されていなかった。原子力の情報が公開されるか、秘密主義がとられるかというのは、これは国民の安全に直接かかわる重要な問題だとして公開の原則を貫く。一般的、抽象的によく議論されるのですけれども、私は、まさになぜこれぐらいやってきたかといいますと、問題は、やはり具体的に公開というものに取り組んでいかないと、余り意味のあるものにならないと思うのです。
 ですから、抽象的な決意じゃなくて、いまだほかの分野でも、さっきも少し触れました多くの分野の白紙の公開図書というのはあるのです。これは、今回の「もんじゅ」のように、ほぼ全面的に公開させていくことに具体的に取り組んでいく。私は、それは谷垣長官の政治的決断によって、「もんじゅ」の一%の話もまだありますけれども、しかし基本は、「もんじゅ」で九九%実現してきたように、他の原子力安全委員会に係ってくるものについて、具体的に公開に向けて進めと号令を発していただいてやっていくべきだと思うのですが、その点、もう一度聞きたいと思います。
○谷垣国務大臣 原子力政策を我々が進めていく上で、積極的に情報を公開して、理解と信頼を得ながら進めていく、そのことが安全と安心につながっていく。これは、私どもがこのしばらく何年かの間に、やはりかなり高い授業料を払いながら学んだことではないかと私は思っております。
 それで、そのための取り組みも、例えば原子力委員会におきましても、あるいは科学技術庁におきましても既に進めているところであります。やってみますとなかなか難しいところもあるとは思いますが、不退転の決意で進めなければならないと思います。
 ただ、一言申し上げておかなければならないことは、その中に、やはり核物質防護とか、あるいは核不拡散とか、それから先ほどもお触れになりましたけれども知的財産権等の問題、あるいは外交交渉というような機微な情報があると思います。そこはなかなか公開できない部分がある。
 そこで問題は、先ほどの御議論からでも、言ってみますとそのアローアンスをどのぐらいのものにとるのかというのが実際は非常に重要なところなんだろうと思います。みんなが一律に全部核防護だとか知的財産だと言ったら、場合によっては全部真っ白になっちゃうということもあるかもしれません。
 私は、この問題は、抽象的な原則というか、原則はみんなで納得し合意するということが必要でございますけれども、抽象的な原則を定めた後に実はやはり問題があるのだろうと思います。具体的に一歩一歩きちっと取り組むという覚悟がなければいけないのだろう、私はこう思います。
 この前御議論をいただいた動燃の改革法、核燃料サイクル開発機構法二十六条にも、業務の運営にも公開を規定しているところでありますけれども、法案審議の過程でもあるいは本委員会の附帯決議でも、公開という点については特に盛り込まれているところでございますので、私は、そういうことをきちっと受けて進めていきたい、こう思っております。
○吉井委員 それでは、時間が参りましたので終わりたいと思いますが、今ごらんいただいたように、本当に知的財産権にも何にも当たらないもの、これは後ほど大臣も局の方からごらんいただいたらよくわかる話ですから、よくごらんいただいて、だから、二つの原則と言いながらその原則を拡大してしまって、今まで三割が全くの白ぽてという状態だったのです。そういうことのないように、他の文書についても公開を本当に思い切って進めていくように大号令を発してやっていただきたいということを申し上げまして、時間が参りましたので質問を終わりたいと思います。
○大野委員長 辻元清美さん。
○辻元委員 社会民主党の辻元清美です。
 先般、インドとパキスタンの核実験が行われまして、世界じゅうに衝撃が走りました。それで、日本政府としましても強い抗議を二国に対して行っているというような状況ですけれども、このような世界の情勢の中で、核物質の開発利用の透明性や、それから核物質の防護や保護が今まで以上に重要になってきているのではないかというふうに私は考えるのです。
 といいますのは、プルトニウムを扱うということに対しての世界の疑念というものも我が国に絶対向けられないという保証はないわけで、こういう中でのこの透明性の確保、防護、保護が今まで以上に重要になってきているという御認識は長官いかがでしょうか。
○谷垣国務大臣 疑念と申しますか、私は、かなり我が国が平和利用に徹しているということは広く認められているのではないかなとは思っているのです。この間のパキスタンの核実験の後、パキスタンの首相が記者会見をされたのを拝見しましても、日本を引用されて、ちょっと結論は反対のことをおっしゃっているわけですが、ある程度日本の立場というものも、御理解といいますか意識をしておられるからああいう発言になったのだろうと思います。
 ただ他方、いろいろなことを聞きますと、もう少しまたあっけらかんとした議論もあるわけでありまして、日本ぐらい科学技術もあり、原子力発電もやっているのなら、すごく高性能の核兵器を持っているだろうなんというようなナイーブな御意見もないわけではないのだろうと思います。
 私は、これはもう今さら申し上げる必要もありませんが、日本の原子力は平和利用ということが第一でありますし、その平和利用ということでエネルギーをやっているわけでありますけれども、それは核不拡散政策というものと、一体とは申しませんが、不即不離のものだろうというふうに私は思いますので、今辻元先生がおっしゃった認識はきちっと持っていく必要があると思います。
○辻元委員 といいますのも、使用済み燃料の再処理で生まれるプルトニウムは、何者かによって悪用された場合、これは核兵器への転用が可能であるということは国際的な認識ですし、また既に契約済みの海外再処理分、日本の場合は三十トンというふうになっておりますけれども、これを、プルトニウムについてのいろいろな種類がございますけれども、単純に広島型の原爆何発分かと計算しますと、三千七百五十発分。これは私の計算ですけれども、そのように私は計算しているわけなんです。
 そういうような状況がありますので、私自身は、やはり核に関してはさらに日本はこれから敏感にならなければいけないし、核物質の取り扱いについては綿密になっていかなければいけないと思います。
 そういう中で、これもちょっと長官にお聞きしたいのですが、我が国の姿勢としては、プルトニウムの余剰を持たない、これを徹底して国際公約として日本は掲げているので、再処理で生まれてくるプルトニウムすべてを原発で燃やしていくというような方向で進んでいるんだという認識はこれでよろしいのでしょうか。
○谷垣国務大臣 我が国は余剰の核物質を持たない、余剰のプルトニウムを持たないというのは、事あるごとに諸外国に対しても明言してきたところでございます。
 そういうことになれば、それはやはり、もちろんMOX燃料として燃していくということはあるわけでありますけれども、きちっとした需給の見通しといいますか、先の利用計画というものを明らかにしていかなければならないわけだと思っております。
○辻元委員 需給計画を明らかにしていかなければならない、これはある意味で義務だというふうに私は考えるわけですが、その点についてちょっとお伺いしたいと思うのですけれども、一九九七年二月四日のプルサーマル推進の閣議決定を受けて、二十一日に電気事業連合会がプルサーマル計画というのを発表しております。これによると、一九九九年に二基、二〇〇〇年に二基、二〇〇〇年代初頭、ちょっとあいまいですけれども、五基。これは、初頭というのはいつでしょう。そして、二〇一〇年に七から九基でプルサーマルを実施するというような発表を私は見ました。
 さて、そういう中で、しかし具体的には、現在では東京電力の福島三号機、柏崎三号機、それから関西電力の高浜四号機、三号機での利用しか明らかになっていないと私は認識しているわけなんです。こういう中で、今需給計画という御発言が長官の御発言にもありましたけれども、このような電気事業連合会の発表、現状を見て、余剰を持たないという日本政府の国際公約を守るためには、どのような需給計画、そして見通しを現在のところ持っているのでしょうかというのが質問です。
○加藤(康)政府委員 プルトニウムの需給見通しと言っておりますけれども、これは一九九五年八月に作成したものが現在までとりあえず生きております。
 この中で、国内において回収されますプルトニウムの需給の問題と、海外で再処理されまして回収されるプルトニウムの問題につきまして述べているわけでございますが、この中の特に国内の問題につきましては、例えば「もんじゅ」の事故、東海再処理工場の事故、それから高速増殖炉の実証炉、これの計画が少し定かでございませんので、そういう研究開発に関連したところは少し狂っているわけでございますけれども、研究開発の関係のところは、東海の再処理工場でできたものを「もんじゅ」に使う、こういうようなところが両方ともないわけでございますので、需給の方にはそれほど大きな影響はないのではないかと考えております。
 いずれにせよ、国内のものにつきましても海外のものにつきましても、現在の軽水炉のプルサーマルで燃やす、そういうことになっていくと思うわけでございます。
○辻元委員 いや、それはわかっているのですけれども、その見通しや計画の部分をしっかり公表していかなければならないと長官も先ほどおっしゃったところなのですが、それは政府の方ではどのように、具体的な話なのですね、お答えいただけますでしょうか。
○加藤(康)政府委員 先ほど申しました需給見通し、これを公表しておりまして、白書にも出しているわけでございます。例えば、軽水炉での利用につきましては、これは二〇〇〇年から二〇一〇年の間では二十五トンから三十トンぐらい、それから海外の再処理の三十トンにつきましても軽水炉で利用される、そういうことで一応公表しておりますが、先ほどの研究開発の関係のところにつきましては、「もんじゅ」の運開の時期というのはまだはっきりしませんし、東海の再処理工場もまだ再開しておりませんので、それらに関するところにつきましては、見通せる状況では現在ございません。
○辻元委員 先ほど、私、具体的に四基についてその利用が明らかになっているということですけれども、需給の見通しというのは、これはそれぞれ事業者と、このような計画で、そしてそれに対して政府がしっかり確認をとっていくというような作業が必要なのですけれども、ということは、今この四基以外につきましてもそういうふうな作業は政府はなさっているということで、その上での今の御発言でしょうか。
○加藤(康)政府委員 少なくとも、現在海外に、イギリス、フランスに、我が国から使用済み燃料を運んだものを再処理されましたプルトニウムがございます。したがいまして、先ほどの四基につきましてはそのプルトニウムを使って燃料にするというわけでございまして、その四基に引き続きますものを二〇〇〇年代初頭にプルサーマルするということにつきましても同様でございます。海外で再処理されたプルトニウムが現にあるわけでございますので、それを使うということでございます。
○辻元委員 ということは、今この四基以外のものにつきましても、具体的な使い方、海外にあるものを使うということはわかっているのですけれども、それについても計画を立てているということでしょうか。
○加藤(康)政府委員 先ほど先生御指摘になりましたように、二〇〇〇年までの四基は今御説明申しましたが、あと二〇〇〇年代初頭に五基でございますね、それにつきましても、どの電力会社が何基というのは決まっておりますが、どの発電所で燃やすかにつきましてこれから順次具体化が図られると思います。
○辻元委員 そうすると、これから順次具体化を図っていく際には地元の御理解ということが前提ということはこの委員会でも審議してきたわけですけれども、その地元の理解がない限りはなかなか推進できないという状況に今なっておりますが、そういう中での見通しということでしょうか。
○加藤(康)政府委員 当然のように、地元の御理解が得られる前提での計画でございます。
○辻元委員 さて、そういう今の需給関係の話なのですが、地元の理解を得られて、そしてまた見通していくという、非常に不安定な見通しになっているのではないかというふうに現在私は思うわけです。それをまず指摘させていただきたいこと。
 引き続きまして、そうしますと、海外でのプルトニウムの移送についてなのです。
 実際、同じ社会民主党の清水澄子参議院議員がこの間質問主意書を出させていただきました。これは、プルトニウム等の移転に関するECとベルギーとの平和利用における取り決めというのを日本政府は結んでおりますけれども、この内容についてです。
 原子力協定とせずに、この場合取り決めとしたのは、長期ではなく短期的、限定的なものである、答弁書をいただいた中にはこういうふうなくだりがありまして、そしてさらに、原子力協定と取り決めは同様の法的拘束力を有する国際約束であり、効力に相違はないという御認識も示されました。
 具体的内容には、プルトニウム二百二十一キログラムを一九九七年九月以前に、二百六十二キログラムを一九九八年の七月以前にベルギーに移転されるというようなこともこの取り決めの中には明記されております。加工されたMOX燃料は、さらにフランスを経由して日本に返還されるというような約束になっております。
 さて、フランスからベルギーに移されるわけなのですけれども、御回答の中に、フランスからベルギーとベルギー国内のプルトニウム、ウラン燃料の移転に関してはEC及び関係諸国から政府への連絡はない、このベルギー国内の移送について質問させていただいたところ、質問主意書ではそのようになっているのですが、これはこのとおりでよろしいのでしょうか。
○遠藤説明員 お答え申し上げます。
 御質問のフランスからベルギーへの移転につきましては、関係政府等から政府に対しまして報告が行われることにはなってございません。
○辻元委員 ということは、ベルギーに移されてからの核物質、プルトニウムに対しては、ベルギーに行ってからどこでどうなっているかということは日本政府はわからないということでしょうか。
○遠藤説明員 お答え申し上げます。
 本件プルトニウムにつきましては、ベルギーにおきましてMOXに加工されるということでございまして、先ほど御指摘になりました取り決めによりまして、ベルギー国内におきまして平和的利用等が担保されておるということでございます。
○辻元委員 そうしますと、ちょっと細かいことを幾つか確認させていただきたいと思うのです。これは大事なことだと思うのですね。移動の問題で、先ほど、核の防護や移動、開発利用の透明性ということが大事だと指摘させていただいたのですが、そうしますと、その際、いつどれだけフランスからベルギーに移送されたかということは日本政府は把握するのでしょうか。
○遠藤説明員 お答え申し上げます。フランス政府は、フランスからベルギーへのプルトニウムの移転につきましては、日仏原子力協定の関連規定に従いまして、我が国政府の同意を事前に求めてきております。
○辻元委員 ということは、フランスからどれだけ移送したという連絡を受けて、ベルギーからは受けないというふうに確認してよろしいのでしょうか。
○遠藤説明員 お答え申し上げます。そのとおりでございます。
○辻元委員 それぞれの国の協定のあり方とか取り決めのあり方ということなのですけれども、私は、やはりこれは、フランスと協定を結んでおりますけれども、ベルギーとも取り決めを結んでいるということで、ベルギーと日本政府のやりとりもあってもいいのじゃないかというふうに考えているのですね。という点を一点ちょっと最初に指摘させていただきたいのです。
 さて、そういう取り決めなのですけれども、これは取り決めということで、国会の承認を得ることは必要ではない、これは日本政府が義務を負うものではないから、この取り決めを取り結ぶときには国会の承認は必要ではないということで、行政府内の手続によって締結したというのは、これはこのとおりでしょうか。
○遠藤説明員 お答え申し上げます。
 御指摘の取り決めは、我が国からベルギーに移転される当該核物質についてのベルギーにおける防護措置の適用をベルギー政府が我が国政府に対して約束するものでございまして、政府としては、ベルギー政府に対して特段の義務を負うものではないいわゆる行政取り決めてございまして、したがいまして、国会の承認を経ることなく、行政府内の手続により締結したものでございます。
○辻元委員 そうすると、さらにこの取り決めの内容についてもう一、二点御質問したいのですけれども、この取り決めの内容は事業者のMOX燃料加工委託契約に沿ったものであるというふうに聞いております。MOX燃料の事業者が加工を委託して契約するわけなのですけれども、この場合はどこになるのでしょうか、条約は外務省が結ぶわけなのですけれども、通産省になるのでしょうか、この契約について取り決めを結ぶに当たって、MOX燃料についてこの会社とこういうふうな契約をしましたというような届け出は、事業者からどういう形で日本政府に示されるのでしょうか。
○長谷川説明員 お答えいたします。事業者の加工契約の締結に関しましては、届け出等といった法的手続は必要とされておりません。
○辻元委員 ということは、事業者の契約したものを政府に届け出て、それをもってベルギーと日本の間で取り決めを普通私なんかは決めると思うのですけれども、そういうことは一切なしにベルギーと、MOX燃料の加工についての、核物質の取り扱いについての取り決めを決めたということは、事業者からは一切届け出がない場合は、事業者からその実態について事情聴取したり聞いたりしたことでこの取り決めの内容を決めていくのでしょうか。その関係はどのようになるのですか。
○長谷川説明員 お答えいたします。ただいま申し上げましたように、加工契約の締結に関しましては、あらかじめ届け出等といった法的手続は必要とされておりません。
 ただし、本件行政取り決めが行われる以前の段階から、政府は、電力会社からこの加工契約の締結についてその前後に話を随時聞いております。
○辻元委員 この取り決めは、先ほど最初に申し上げました原子力協定と同様の法的拘束力を有する国際約束であり、効力に相違はないということを確認させていただいたのですが、このような取り決めを結ぶのに、事業者から契約の事情を聞いて、これは伝聞と言ったらよろしいのでしょうか、このような国際的な取り決めを結ぶというのは私には理解できないのですが、どう思われますか。これは要するに、同じような効力を発するという取り決めですね、他国と日本との。ところが、それを結ぶ根拠で、事業者から話を聞いて、それを参考にして取り決めを結んでおるということになるかと思うのですけれども^私はちょっとそのやり方は、しっかりと書類で審査するなりチェックをかけていくということは非常に重要ではないかと思うわけですが、いかがでしょうか。
○遠藤説明員 先ほど通産省の方から御答弁がございましたけれども、事業者が、契約によりましてベルギーに御指摘の核物質を移転する。したがいまして、こういった核物質が移転されることを前提といたしまして、これらの核物質につきまして、我が国政府が、ベルギー国内における諸般の平和的利用等の保証を得る必要があるということで、行政取り決めによりましてベルギー政府からこれらの担保を得たということでございます。
○辻元委員 だから、それはわかるのですけれども、事業者から伝聞によって聞いて国家間の取り決めをするということは、私はこれはちょっとやり方を変えていただかなければ、再検討をしていただいた方がいいのではないかと考えているわけです。これは事プルトニウムを扱うものでありますから。
 それと同時に、この取り決めについては国会での審議なくやっている。これは義務がないからだということなのですが、しかし、これもプルトニウムにかかわることであると思います。ですから、私たちは今、国会でこれを議論しておりますけれども、私も何かおかしいなと思ってこれを調べていったのですが、私たちの知らないところで各国と取り決めという形で結ばれ、その取り決めは、事業者からその状況を聞いて、そして国と国で結んでいるという状況については再検討していただきたいと思いますし、私はこの問題については、さらにいろいろこの後、各省庁と話をさせていただきたいと思っております。
 さて、もう一つきょうは質問したいことがありますので、これは引き続き、いろいろ取り組ませていただきたいと思うのです。
 そういう中で、各国とのプルトニウムの移動に関して、やはりこれはしっかりとこれからチェックしていく、もしくは把握していかなければ、このプルサーマルの計画というのは崩れてしまうと私は思うのですね。そのもう一つの重要な点が輸送だと思います。
 この輸送につきまして、MOX燃料を運んでくるわけなのですけれども、実際には、関西電力の発表によれば、来年の四月に予定している定期検査を利用して、MOX燃料を高浜四号炉に装荷する。とすれば、それ以前に、イギリスから日本へのプルサーマル燃料の輸送が予定されることになるわけですね。この際、具体的な輸送方法については、日米の原子力協定に基づいたアメリカの事前同意が必要だというふうに聞いております。今、実際にはアメリカとどういうふうな交渉状況で、輸送については政府はどのように取り組んでおられるのか、お聞きしたいのです。
○遠藤説明員 お答え申し上げます。
 日米両国政府は、さまざまな意見交換の機会をとらえまして、一般的に核物質の輸送についても意見交換を行っておりまして、将来のMOX燃料輸送につきましても意見交換を非公式に行っておりますが、まだ非公式な意見交換の段階でございまして、具体的な輸送方法についてはいまだ確定している段階ではございません。
○辻元委員 そうしましたら、今のは日米の交渉の状況ですけれども、事業者との間では、政府はこの輸送については何回ぐらい話し合いが行われて、どういうふうなことを話し合ってきたのでしょうか。
○長谷川説明員 お答えいたします。
 ただいま外務省遠藤課長から、日米原子力協力協定の手続との関係でお話がございましたけれども、事業者との間で意見交換をこれまで随時行っております。どの程度かということについては承知しているところではございませんけれども、いずれにしましても、輸送の方法に関しまして、アメリカ政府と非公式な意見交換を行っている状況にございますけれども、これと並行いたしまして事業者との関係でも意見交換を行っている、こういう状況でございます。
○辻元委員 その内容をちょっと聞きたかったのですけれども。
 といいますのは、では一つだけ伺いたいと思いますが、護衛船はっけるのですか、つけないのですか。
○遠藤説明員 お答え申し上げます。
 将来のMOX燃料輸送の護衛方式につきましては、先ほど申し上げましたとおり、いまだ非公式な意見交換の段階でございまして、具体的な輸送方法については確定してございません。
 いずれにいたしましても、MOX燃料輸送につきましては、日米原子力協定の関連規定等に従い、関係省庁と連携のもと、適切な輸送が行われるよう今後努めてまいりたいと考えております。
○辻元委員 では、その際、この点については現在検討されているかどうか。
 アメリカはどうも、護衛船をつけるようにというような要望が来ているというような報道も出ております。この護衛船をつける場合の費用の負担はどこになるのかという問題なのですね。これは一般の企業、要するに事業主が払うのか、それともそれ以外の可能性もあるのか、この点についてはいかがでしょうか。
○長谷川説明員 お答えいたします。
 先ほどの御答弁にございましたけれども、現在アメリカ政府との間でいまだ非公式な意見交換を行っている、こういう状況にとどまっている段階でございます。したがいまして、具体的な輸送方法につきまして確定する以前の時点でございます。これに関連する費用の負担の問題につきましてはコメントできる段階にはないかと存じます。
○辻元委員 最後になりますけれども、普通は、一般の企業は、お金を輸送する際はガードマンをその企業が雇って運ぶわけですね。今回の場合も、事業主の負担になるのか、それ以外の方法であるならば、税金を使うということも全く否定されなかったわけなんですね。
 ということで、今まで幾つか、輸送についても現在まだお答えできないということで、それから、先ほどのベルギーとの取り決めについても私は非常に不十分ではないかというふうに考えております。そして、このプルトニウムの需給のバランスについても、地元の御理解やその他、各事業者がどのようにこれから取り組むかによって、それによって検討していくというような御答弁だったのではないかというふうに思うのです。こういう段階で私はこのプルサーマル計画を推進していっていいのかしらというような疑問を抱かざるを得ないのですが、最後に長官、いかがでしょうか。
○谷垣国務大臣 今こういう段階でプルサーマルを推進していっていいのかと辻元先生はおっしゃいましたが、ちょっと私、御真意のあるところをよく把握していないのかもしれませんが、確かに輸送方法をどうするかというような議論は、今も御答弁がありましたように、まだ確定していないのはこれは事実だろうと思います。
 しかし、それはプルサーマル計画を進めていくかどうかというのとはまたちょっと別な話なのではないかなというふうに思います。輸送方法をどうしていくかというのは、私は、またそれはそれで検討していいのではないかと思います。
 あるいは今の辻元先生の問題意識をとらえ損ねたのかもしれません。
○辻元委員 ちょっととらえ違えてはるかもしれないのですけれども、全体的なことを申し上げたのですね。
 というのは、最初に申し上げました核不拡散の問題です。核物質についての取り扱いというのはこれからの焦点になってくると思います。そういう中で、このプルトニウムを扱っていくということについての取り決めであったり、それから輸送であったり、それからプルトニウムを残していかないということについての見通しがちょっと甘いのではないかというふうに私は考えているということを今の質疑の中で主張したかったわけなのです。
 時間がありませんので、これは主張にとどめさせていただきまして、今後また審議で触れさせていただきたいと思います。以上です。
○大野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時五十二分散会