第143回国会 本会議 第6号
平成十年八月二十五日(火曜日)
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  平成十年八月二十五日
    午後一時 本会議
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○本日の会議に付した案件
 議員請暇の件
 裁判官弾劾裁判所裁判員及び同予備員辞職の件
 裁判官訴追委員及び同予備員辞職の件
 裁判官弾劾裁判所裁判員及び同予備員の選挙
 裁判官訴追委員及び同予備員の選挙
 検察官適格審査会委員の選挙
 国土開発幹線自動車道建設審議会委員の選挙
 北海道開発審議会委員の選挙
 国土審議会委員の選挙
 日本ユネスコ国内委員会委員の選挙
 不動産に関連する権利等の調整に関する臨時措置法案(内閣提出)及び金融機能の安定化のための緊急措置に関する法律及び預金保険法の一部を改正する法律案(内閣提出)並びに債権管理回収業に関する特別措置法案(保岡興治君外三名提出)、金融機関等が有する根抵当権により担保される債権の譲渡の円滑化のための臨時措置に関する法律案(保岡興治君外三名提出)、競売手続の円滑化等を図るための関係法律の整備に関する法律案(保岡興治君外四名提出)及び特定競売手続における現況調査及び評価等の特例に関する臨時措置法案(保岡興治君外四名提出)の趣旨説明及び質疑

    午後一時五分開議
○議長(伊藤宗一郎君) これより会議を開きます。
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 議員請暇の件
○議長(伊藤宗一郎君) 議員請暇の件につきお諮りいたします。
 若松謙維君から、八月二十七日から九月三日まで八日間、請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、許可することに決まりました。
     ――――◇―――――
 裁判官弾劾裁判所裁判員及び同予備員辞職の件
 裁判官訴追委員及び同予備員辞職の件
○議長(伊藤宗一郎君) お諮りいたします。
 裁判官弾劾裁判所裁判員中山正暉君から裁判員を、裁判官弾劾裁判所裁判員の予備員中川昭一君から予備員を、また、裁判官訴追委員相沢英之君及び山花貞夫君から訴追委員を、裁判官訴追委員の予備員杉浦正健君から予備員を、辞職いたしたいとの申し出があります。
 右申し出をそれぞれ許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、許可することに決まりました。
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 裁判官弾劾裁判所裁判員及び同予備員の選挙
 裁判官訴追委員及び同予備員の選挙
 検察官適格審査会委員の選挙
 国土開発幹線自動車道建設審議会委員の選挙
 北海道開発審議会委員の選挙
 国土審議会委員の選挙
 日本ユネスコ国内委員会委員の選挙
○議長(伊藤宗一郎君) つきましては、裁判官弾劾裁判所裁判員及び同予備員、裁判官訴追委員及び同予備員の選挙を行うのでありますが、この際、あわせて、検察官適格審査会委員、国土開発幹線自動車道建設審議会委員、北海道開発審議会委員、国土審議会委員及び日本ユネスコ国内委員会委員の選挙を行います。
○岸田文雄君 各種委員等の選挙は、いずれもその手続を省略して、議長において指名され、裁判官弾劾裁判所裁判員の予備員、裁判官訴追委員の予備員の職務を行う順序については、議長において定められることを望みます。
○議長(伊藤宗一郎君) 岸田文雄君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決まりました。
 議長は、裁判官弾劾裁判所裁判員に葉梨信行君を指名いたします。
 また、裁判官弾劾裁判所裁判員の予備員に笹川堯君を指名いたします。
 なお、予備員の職務を行う順序は第二順位といたします。
 次に、裁判官訴追委員に
      保利 耕輔君 及び 畑 英次郎君を指名いたします。
 また、裁判官訴追委員の予備員に平林鴻三君を指名いたします。
 なお、予備員の職務を行う順序は第二順位といたします。
 次に、検察官適格審査会委員に瓦力君を指名いたします。
 なお、予備委員河村建夫君は瓦力君の予備委員といたします。
 次に、国土開発幹線自動車道建設審議会委員に
      深谷 隆司君 及び 池田 行彦君を指名いたします。
 次に、北海道開発審議会委員に北村直人君を指名いたします。
 次に、国土審議会委員に
      瓦   力君 及び 藤井 孝男君を指名いたします。
 次に、日本ユネスコ国内委員会委員に栗本慎一郎君を指名いたします。
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 不動産に関連する権利等の調整に関する臨時措置法案(内閣提出)及び金融機能の安定化のための緊急措置に関する法律及び預金保険法の一部を改正する法律案(内閣提出)並びに債権管理回収業に関する特別措置法案(保岡興治君外三名提出)、金融機関等が有する根抵当権により担保される債権の譲渡の円滑化のための臨時措置に関する法律案(保岡興治君外三名提出)、競売手続の円滑化等を図るための関係法律の整備に関する法律案(保岡興治君外四名提出)及び特定競売手続における現況調査及び評価等の特例に関する臨時措置法案(保岡興治君外四名提出)の趣旨説明
○議長(伊藤宗一郎君) この際、内閣提出、不動産に関連する権利等の調整に関する臨時措置法案及び金融機能の安定化のための緊急措置に関する法律及び預金保険法の一部を改正する法律案並びに保岡興治君外三名提出、債権管理回収業に関する特別措置法案及び金融機関等が有する根抵当権により担保される債権の譲渡の円滑化のための臨時措置に関する法律案並びに保岡興治君外四名提出、競売手続の円滑化等を図るための関係法律の整備に関する法律案及び特定競売手続における現況調査及び評価等の特例に関する臨時措置法案について、趣旨の説明を順次求めます。国務大臣柳沢伯夫君。
    〔国務大臣柳沢伯夫君登壇〕
○国務大臣(柳沢伯夫君) 不動産に関連する権利等の調整に関する臨時措置法案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 この法律案は、我が国における金融の現状にかんがみ、関係者間の合意に基づき、不動産の効果的な処分を通じて債務者の事業の再建を図ることにより、その債務の弁済可能性を高めつつ金融機関の不良債権の処理を促進することとし、そのための臨時の措置として、不動産に関連する権利等の調整について調停及び仲裁を行う制度を設けること等の措置を講じ、金融の機能の健全化、これに対する信頼の回復を図るものであります。
 次に、その要旨を御説明申し上げます。
 第一に、債務者、金融機関その他の利害関係人の間における不動産に関連する権利等の調整等について調停及び仲裁を行う機関として、総理府に不動産関連権利等調整委員会を設置することとしております。委員会は、内閣総理大臣が、両議院の同意を得て、人格が高潔で高い識見を有する者のうちから任命する委員長及び十人以内の委員をもって組織することとしております。
 第二に、債務者、金融機関、担保権者等は、委員会に対して不動産に関連する権利等の調整等について調停を求めることができることとしております。委員会は、当事者間において、債務者の事業の再建を通じてその債務の弁済可能性を高めるとの観点から、公正かつ妥当で遂行可能な合意の形成を図るため、調停を行うこととしております。
 なお、債務者に係る権利等の調整を円滑に進めるために必要な場合には、委員会は、所定の当事者の申し立てにより、債務者がその債務を保証している所定の子会社等に係る債務等の調整につき、あわせて調停を行うことができることとしております。
 第三に、債務者及び金融機関の全部または一部を含む利害関係人が仲裁に付する旨の合意をした場合に、これらの者は、委員会に対して仲裁を求めることができることとしております。委員会は、仲裁を行うに当たっては、債務者の事業の再建を通じてその債務の弁済可能性を高めるとの観点から、公正かつ妥当で遂行可能な仲裁判断を行うこととしております。
 さらに、以上の委員会が行う調停等に関し、当該調停等により当事者の合意等が得られる場合における債権放棄等による損失の損金算入、債務免除益の累積欠損金との相殺等税制上の措置を定める等、所要の措置を設けることとしております。
 なお、この法律は、政令で定める施行の日から起算して五年を経過した日に効力を失うこととしております。
 以上が、本法案の趣旨であります。(拍手)
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○議長(伊藤宗一郎君) 大蔵大臣宮澤喜一君。
    〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま議題となりました金融機能の安定化のための緊急措置に関する法律及び預金保険法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 金融機関の破綻に際して、その業務の適切な管理及び円滑な承継を図ることにより我が国における金融の機能の安定化を図るため、緊急の特例措置として、破綻した金融機関の業務及び財産を金融管理人に管理させる制度を創設するとともに、預金保険機構がその特例業務として、金融管理人の管理に係る金融機関の業務を承継する銀行を確保するための銀行持ち株会社の設立等の業務を行うことができることとするなどの措置を講ずるほか、預金保険機構の体制の整備等を行うことにより、信用秩序の維持と預金者等の保護を図る必要があります。このため、本法律案を提出することとした次第であります。
 以下、その大要を申し上げます。
 第一に、内閣総理大臣は、平成十三年三月三十一日までを限り、金融機関が破綻した場合において、その金融機関に対し、金融管理人による業務及び財産の管理を命ずる処分をすることができることとしております。
 被管理金融機関の業務を執行する権利等は金融管理人に専属し、金融管理人は、被管理金融機関が管理を命ずる処分を受ける状況に至った経緯等を調査し、内閣総理大臣に報告しなければならないことといたしております。
 また、内閣総理大臣は、金融管理人に対し、資金の貸し付けその他の業務の暫定的な維持継続に係る方針、営業譲渡等を円滑に行うための方策を含む業務及び財産の管理に関する計画の作成を命ずることができることとしております。
 金融管理人は、被管理金融機関の取締役等及び取締役等であった者に対し、その業務及び財産の状況につき報告を求め、またはその帳簿、書類等を検査することができることとするとともに、金融管理人は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発に向けて所要の措置をとらなければならないこととしております。さらに、株主総会等の特別決議等に関する特例などの規定を設けております。
 第二に、預金保険機構が、その業務の特例として、破綻した金融機関の業務承継等に係る業務を行うことができることといたしております。
 預金保険機構は、銀行持ち株会社として承継銀行等の経営管理を行うことを主たる目的とする株式会社を設立、出資し、当該株式会社と基本協定を締結し、協定持ち株会社とすることとしております。協定持ち株会社は、金融危機管理審査委員会の決議があったときは、平成十三年三月三十一日までを限り、承継銀行を子会社として設立するための出資をすること、または被管理金融機関である銀行を子会社とするための株式の取得をすることを実施するものとしております。
 また、預金保険機構は、協定持ち株会社に対し、貸し付けまたは債務の保証を行うことができることとするとともに、基本協定の定めによる業務の実施により生じた損失の補てんを行い、協定持ち株会社から納付される金銭の収納を行うことができることとしております。
 金融危機管理審査委員会のもとに置かれた審査判定委員会は、金融危機管理審査委員会があらかじめ定め、公表した審査判定基準に従い、被管理金融機関の貸出債権その他の資産の内容を審査し、承継銀行等が保有する資産として適当であるか否かの判定を行うこととしております。
 協定持ち株会社は、融資審査委員会を設置し、その委員会において承継銀行等の資金の貸し付けその他の業務の指針を審査判定基準との整合性に配慮しつつ作成し、公表することとしております。
 また、協定持ち株会社は、被管理金融機関に対する管理を命ずる処分の日から二年以内に、承継銀行等の合併、営業の全部の譲渡等により承継銀行等の経営管理を終了するものとし、ただし、やむを得ない事情によりこの期限内に経営管理を終了することができない場合には、預金保険機構の承認を受けて、一年ごとに三回までを限り、この期限を延長することができることとしております。
 第三に、預金保険機構の体制の整備等を行うこととしております。
 以上、金融機能の安定化のための緊急措置に関する法律及び預金保険法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)
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○議長(伊藤宗一郎君) 提出者保岡興治君。
    〔保岡興治君登壇〕
○保岡興治君 議員提出四法案について、提案者を代表して、その趣旨を御説明いたします。
 我が国経済を立て直し、再活性化させるためには、金融システムの安定化、再生が何よりも重要であります。このためには、金融機関の抱える不良債権を早急に処理しなければなりません。
 自由民主党では、土地債権の流動化を促進するための総合的な施策であるトータルプランを発表いたしておりますが、このプランを具体化、法律化したものが、このたび提出いたしました四法案でございます。
 まず、債権管理回収業に関する特別措置法案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 この法律案は、金融機関等が有する不良債権の実質的な処理の促進等を図ることが喫緊の課題となっている現状にかんがみ、弁護士法の特例として、一定の要件を満たす民間会社が業として債権の管理、回収を行う制度を新たに設けるとともに、必要な規制を行おうとするものであります。
 この法律案の要点は、次のとおりであります。
 第一に、法務大臣の許可を受けた債権回収会社は、弁護士法の規定にかかわらず、金融機関の有する貸付債権等の一定の金銭債権について、その管理及び回収を行うことができる旨の規定を設けることといたしております。
 第二に、債権回収会社の業務の適正な運営の確保を図るため、その取締役の一名以上に弁護士の選任を義務づけるとともに、暴力団員等の参入を防止するための措置を講ずる等の規定を設けるほか、業務を遂行するに当たって相手方を困惑させる等の行為を禁止し、また、債権回収会社が一定の裁判上の行為を行うには弁護士に追行させるなどの行為規制に関する規定等を設けることといたしております。
 第三に、法令に違反するなどした債権回収会社に対する許可取り消し処分や業務改善命令などに関する規定を設けるとともに、監督者である法務大臣の立入検査等の規定を設けるほか、暴力団支配排除の観点から、警察庁長官による債権回収会社への立入検査や債権回収会社の回収に当たっての援助等の措置についても規定をすることといたしております。
 第四に、所要の罰則規定等を設けるとともに、その施行については、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において行うことといたしております。
 以上が、債権管理回収業に関する特別措置法案の趣旨であります。
 次に、金融機関等が有する根抵当権により担保される債権の譲渡の円滑化のための臨時措置に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 この法律案は、金融機関等の不良債権の処理が喫緊の課題となっている状況にかんがみ、金融機関等が有する債権はその多くが根抵当権つきの債権であるので、その譲渡の円滑化を図るための臨時の措置を定めようとするものであります。
 この法律案の要点は、次のとおりであります。
 第一に、金融機関等が、根抵当権により担保される債権を共同債権買取機構、整理回収銀行、サービサー等の債権回収機関に売却しようとする場合において、債務者に対し、売却する旨及び新たに元本を発生させる意思を有しない旨を書面により通知したときは、民法の定める元本の確定事由に該当するものとみなすこととしております。
 第二に、これにより元本が確定した場合の登記は、根抵当権の移転の登記とともに申請する場合に限り、債務者等の根抵当権設定者と共同で申請しなくても、根抵当権者のみで申請することができるものといたしております。
 以上がこの法律案の趣旨であります。
 次に、競売手続の円滑化等を図るための関係法律の整備に関する法律案についてであります。
 この法律案は、不動産競売手続において不当な執行妨害行為により手続の遅延が生じている等の現状にかんがみ、手続のより円滑かつ適正な遂行を図るため、民事執行法等の一部を改正しようとするものであります。
 この法律案の要点は、次のとおりであります。
 第一に、執行妨害を排除する観点から、不当な執行抗告の制限、買い受けの申し出をした差し押さえ債権者のための保全処分の制度等を新設するとともに、執行官等の調査権限を強化することといたしております。
 第二に、手続の迅速処理を図る観点から、配当期日の呼び出し状の送達方法の改善等のほか、売却の見込みのない場合の特別の措置を定めることとしております。
 第三に、競売を利用しやすいものにする観点から、買い受け人が銀行などから融資を受けた場合の代金納付による登記の嘱託方法を改善し、買い受け人が銀行ローンを活用する道を開くことといたしております。
 第四に、抵当不動産に対する競売手続の開始等があったことを知ったときから二週間を経過したことにより根抵当権の担保すべき元本が確定した場合の登記について、債務者等の根抵当権設定者との共同申請を必要とせず、根抵当権者のみでこれを申請することができることとしております。
 以上がこの法律案の趣旨であります。
 最後に、特定競売手続における現況調査及び評価等の特例に関する臨時措置法案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 この法律案は、預金保険機構、整理回収銀行、住宅金融債権管理機構が申し立てた競売手続について、その円滑な実施を図るため、同機構等の資料を利用できるよう、現況調査及び評価に関し民事執行法の特例を臨時に設けようとするものであります。
 この法律案の要点は、次のとおりであります。
 第一に、執行裁判所は、預金保険機構、整理回収銀行、住宅金融債権管理機構が申し立てた競売手続について、同機構等から不動産の現況を明らかにする書面の提出を受けた場合において、相当と認めるときは、民事執行法の規定にかかわらず、執行官に現況調査を命じないで、これを現況調査報告書にかえる取り扱いを可能にすることとしております。
 第二に、執行裁判所は、預金保険機構等から不動産の評価を記載した書面の提出を受けた場合において、相当と認めるときは、民事執行法の規定にかかわらず、評価人を選任することなく、その書面に記載された評価に基づいて最低売却価額を定めることができることとしております。
 以上が、この臨時措置法案の要旨であります。
 これをもちまして、議員提出四法案の説明とさせていただき、今後の国会審議における議員各位の御理解と御協力をお願い申し上げまして、趣旨説明を終わります。(拍手)
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 不動産に関連する権利等の調整に関する臨時措置法案(内閣提出)及び金融機能の安定化のための緊急措置に関する法律及び預金保険法の一部を改正する法律案(内閣提出)並びに債権管理回収業に関する特別措置法案(保岡興治君外三名提出)、金融機関等が有する根抵当権により担保される債権の譲渡の円滑化のための臨時措置に関する法律案(保岡興治君外三名提出)、競売手続の円滑化等を図るための関係法律の整備に関する法律案(保岡興治君外四名提出)及び特定競売手続における現況調査及び評価等の特例に関する臨時措置法案(保岡興治君外四名提出)の趣旨説明に対する質疑
○議長(伊藤宗一郎君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。津島雄二君。
    〔津島雄二君登壇〕
○津島雄二君 私は、自由民主党を代表し、ただいま議題となりました、いわゆる金融安定法の改正法案初め六法案について質問をいたします。
 小渕内閣は、日本経済の再生を目標に掲げて発足いたしましたが、その成否は、我が国金融機関が再生できるかどうかにかかっております。経済の血液循環をつかさどる金融システムが、本来の機能を一日も早く取り戻す必要があるからであります。
 バブル経済の後遺症もあって、我が国の金融機関は今なお巨額の不良債権を抱え、資産、負債両面が不当に膨れ上がり、国民が額に汗して蓄えた資金を預けられても、これを有効に活用できない体質に陥っております。
 この体質は、長い間、護送船団方式とも言われる規制に守られ、内外の競争から隔離されてきたことによってもたらされました。金融機関の中には、資金の運用に当たって、新しい企業を育てるよりは、土地本位制ともいうべき値上がり神話に寄りかかった安易な経営が横行しました。これこそがバブルの背景であり、企業家精神をはぐくみ、銀行も貸出先とともにリスクを負いながら、収益を上げ、新時代を開く気概も失われがちでありました。
 我が国金融機関の体質が劣化しているという疑念は海外にまで広がり、邦銀等がニューヨークやユーロ市場で資金調達する上で、大きな障害となりました。これが、世界一の外貨準備や対外債権を保有する我が日本の金融機関が、不名誉なジャパン・プレミアムを要求されるもとであり、最近では、上位三行を除いてほとんど海外で資金がとれないところまで追い込まれてしまいました。必要なドル資金は日本から送られる円を売却して調達するほかはなく、これが最近の円安の一因となっていることも忘れてはなりません。
 減税や歳出の追加など、財政面からの景気対策を講ずるのは当然としても、民間資金が国内では有効、有利に活用されないため、大量に海外に流出する傾向が続けば、国内面での景気対策の効果はおのずから減殺されてしまうのです。我が国の金融システムの信認を取り戻すことが、国民全体にとっていかに大切であり緊急の課題であるかは、同僚議員もひとしく理解しておられるものと信じます。
 政府におかれても、本院における立法措置と相まって、六月二十二日に発足した金融監督庁のもとに、従来の護送船団方式の行政に決別し、銀行の資産内容の自己査定、外部監査、検査監督、早期是正措置等、公正で透明性の高い金融行政の整備を進めてこられました。
 しかしながら、我が国金融システムに対する信認はなお揺らいでおり、不良債権の解消と担保不動産の有効利用の取り組みが不十分で、システム再生への見通しも甘かったという指摘がなされていることに対して、我々は率直に耳を傾けなければなりません。
 もはや、一刻の猶予も許されぬところに来ておりますが、まず小渕総理、あなたは、おおむねいつごろまでに不良債権問題を解決し、金融システムの再生を果たす御方針か、その決意のほどをお伺いいたします。
 こうした中で、かねて注目を集めてきた日本長期信用銀行と住友信託銀行の合併の問題について、先週二十一日、長銀から、その不良債権の抜本処理を含む経営合理化策が発表され、同時に、公的資本注入の要請が行われました。
 総理は、この報告に接して、両行が合併を推進することについて合意したことは、金融システムの安定に資するものと高く評価し、最大限の支援を行っていきたいと述べておられます。
 この場合、当該合併が、本当に市場の信認を取り戻し、金融システムの安定につながるためには、不良債権の額とその処理方法について、適切に情報が開示される必要があります。金融監督庁には守秘義務が課せられ、一般的には検査の内容を公表するのに困難が伴うのは理解いたしますが、何らかの形で現下の要請にこたえる必要があると考えます。
 さらに、一般的に言って、金融機関の不良債権の処理の問題に取り組んでいくに当たっては、まずはその実態の把握が重要です。現在、大手十九行に、金融監督庁、日銀がともに協力して検査、考査を行っており、近いうちにその結果が明らかになりますが、今後、金融機関の不良債権のディスクロージャーをどのように拡充していくのか、検査の結果をどのように有効活用されるのか、お伺いをいたします。
 また、長銀は、去る三月、金融システムの安定と貸し渋り対策の一環として、自己資本充実のための公的資金一千七百七十六億の注入を受けております。今回、同銀行は、前回の額をはるかに上回る公的資金の注入を要請すると予想されますが、前回の資本注入との関係をどう考えておられるのか。また、そもそも同銀行の経営が破綻しているのではないかとの疑念を持つ向きもありますが、その実態はどうなのか、お伺いをいたします。
 公的資金をもって民間銀行の資本充実を図るについては、国民の理解を得るため、当該銀行の厳しい業務改善の努力や経営陣の責任の明確化が求められるのは当然のことであります。さらに、その資本注入が金融機能の安定に不可欠なもので、これを怠るならばいわゆるシステミックリスクの問題に波及し、雇用問題、中小企業の困難など、国民生活に大きな影響を及ぼすおそれのあることをわかりやすく示す必要があります。
 また、いわゆる公的資金の注入とは、国民の税金そのものを使うわけではなく、資金注入により取得された優先株などについて、発行銀行の経営が健全に推移して損失が生じない限り、国民に対する負担は生じないということも一般に理解を深めてもらう必要があります。これらの点について、政府の御見解をお示しください。(拍手)
 日本長期信用銀行は、金融機関の破綻のケースとしてでなく、住友信託銀行との合併を自主的に進めることで、より健全な金融機関への再編を目指すことになりましたが、今後生ずる可能性のある金融システムの問題、わけても新たに金融機関の破綻のケースが発生したときに、これが広く信用秩序全体の混乱や、善意の第三者の困難を生ずることを極力防止する必要性はいささかも減少するものではありません。
 ここに審議が始められた六法案は、金融システムの安定や、預金者、善意の借り手保護に万全を期すためのセーフティーネットを整える等、現下の緊急の課題にこたえる重要な法案であります。我々は、与野党で率直な議論を行い、早期に金融再生への道筋をつけ、景気の速やかな回復に資する使命を担っております。万が一にも我が国から世界恐慌の引き金になる危険な状況を引き起こすことのない決意を、同僚議員の皆さんと共有しながら、審議に参加したいものと存じます。(拍手)
 そこで、まず、金融安定化二法の改正案で提案された枠組みについて、お尋ねいたします。
 これによれば、破綻状態に陥った金融機関が生じた場合、業務執行と財産管理の適正を図るため、金融管理人を指名して公的管理に移行することができるとされています。そのような処分を行うことのできる要件は規定されておりますが、実際に公的管理に移すかどうかは裁量にゆだねられておりますが、この点に問題はないかを伺います。
 このような処分が銀行等の安易な救済につながるとする批判を招かぬためにも、処分の適正を担保する基準の設定、情報の適切な開示、経営責任の追及などが当然必要でありますが、これらについて原案で十分に対応できるか、大蔵大臣にお尋ねいたします。
 次に、金融管理人のもとでリストラをした金融機関については、極力民間の引受先を探して営業譲渡するわけですが、引受先が出てこないときは公的な承継銀行、いわゆるブリッジバンクに引き継ぐこととされます。ブリッジバンクは、原則二年以内に別の民間銀行との合併や営業譲渡によって役割を終了することとされておりますが、果たしてこれですべてのケースに対応できるか、疑問を呈する向きがあります。大蔵大臣の御見解を求めます。
 政府案に対して、野党から、破綻した金融機関を直ちに国有化して国営銀行としてリストラを進め処理をするという考え方が提案されております。スウェーデンなどで行われた方式で、傾聴に値する点もあると思いますが、そのような方法ではかえって国民の負担が重くなるとの指摘もあるほか、この方式をとったスウェーデンには預金保険機構の仕組みがなかったことにも留意しなければなりません。
 また、破綻の処理に当たっては、政府の通常の行政部門と切り離された第三者機関を設置するか、司法部門の判断にゆだねるべきであるとの意見も出されておりますが、それでは行政責任の所在が不明になってしまうとの懸念も持たれます。
 これら野党側の提案に対して、我々も真剣に耳を傾け、論議を尽くして最善の結論を導くべく努力しなければならないと存じますが、政府側のお考えをお示しください。
 次に、不動産に関連する権利等の調整に関する臨時措置法についてお伺いします。
 不良債権を抱える金融機関側も、借り手の企業側も、担保となっている不動産の処分を望んでおりましても、多数の担保権者が存在するため、その処分が容易に行えないケースが少なくありません。これらのふくそうした権利関係を整理し、関係者の合意を引き出して、問題不動産の効果的処分を促進するための権利調整委員会を設置して、調停、仲裁を行う制度の導入を提案するものであり、広く各方面から期待が寄せられております。
 しかし、一部からは、この制度が業績の悪化したゼネコンを助ける徳政令になるとする論がなされておりますが、制度の趣旨は、既に発生している損失を確定して、不良債権の処理と事業の再建に資することであります。法案は、その趣旨に即した内容を備え、その運用にも誤りなきを期することができるか、お示しください。
 次に、議員提出による四法案についてお伺いします。
 これらは、不良債権処理の環境を整備するため、いずれも重要な役割を担うものでありますが、政府提案でなく議員提出とした理由について、提案者からお答えをいただきたい。
 また、四法のうち、債権管理回収業に関する特別措置法案は、債権管理回収を業として民間に道を開くものでありますが、弁護士法の趣旨に背くことはないか、弁護士会との意見の調整はどうなっているか、伺います。
 また、債権の回収に当たって、暴力団の排除、不当な取り立て等を防ぎ、債務者に配慮する必要性もあります。この法案で、これらの点にどのような手当てがなされているか、お伺いいたします。
 ところで、金融機関がリストラを迫られる中で、貸し渋りの問題はますます深刻の度を増しております。大手、中堅企業については、ほかの先進国の例にも倣い、社債等直接金融市場で資金調達を行う方向に向かうのが自然であり、その環境整備のため、店頭登録市場の機能強化、未上場、未登録株式市場の整備等の改革が行われつつあります。
 我が国企業の社債発行額は、先月一兆円を超え、本年に入ってから累計八兆円を超えると言われている上に、外国銀行からの借り入れも逐次増加しているとされますが、このように我が国銀行の役割が低下していくことに問題はないか、大蔵大臣にお伺いをいたします。
 いずれにしましても、我が国経済の再生のためには、産業基盤を支えている中小、中堅企業や時代を開くベンチャー企業の資金需要に十分にこたえる必要性は一層増しておりますが、総理は最近、中小企業の借り入れ保証枠の思い切った拡大などの検討を指示したとされますが、その検討の現状と見通しについて御答弁願います。
 また、我が国の金融機関の再生を促進するため、もう一度原点に戻って考えてみますときに、今回の改正案によって、銀行などの破綻した場合に、善意かつ健全な借り手に配慮しつつ再生させるセーフティーネットが提案されておりますが、銀行などが不良債権の問題などに適切に対応しなかったため事態をさらに悪化させるのを、どのようにして未然に防ぐかもまた重要だと考えます。
 すなわち、破綻を避けつつリストラを強く促す仕組みが金融行政上必要なのですが、現行法の枠組みで十分か、さきに述べた長銀の合併と資本注入も参考にしながら、与野党で真剣に検討し、早急に結論を出すべきだと考えます。
 このような破綻前の監督行政のあり方について、まず総理から基本的な考え方をお聞かせください。
 そこで、若干各論に入りますが、銀行等の財務内容の健全化を促進するために、銀行等の分類債権の自己査定について、さらに厳格な基準を公表し、これに基づく一定の開示を求めるべしという意見があります。
○議長(伊藤宗一郎君) 津島雄二君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。
○津島雄二君(続) また、アメリカ等の金融監督に見られるように、破綻には至っていないが自己資本比率が著しく低下した銀行に対しては、予防的に公的管理を行うことが望ましいとの意見があります。
 また、不良債権処理やリストラ計画の実施状況について常時監視する一方、必要に応じて資金繰り支援や、資本注入の組み合わせを行うことはどうかとする意見もあります。
 さらに、金融監督庁の認定により、必要に応じて資本過少銀行に対して、破綻後にとられる措置に準じた措置が行い得るようにすることがよいとする意見もございます。
 このような傾聴に値する提案に対して、大蔵大臣の御感想を承りたいと思います。
 最後に、日本経済の再生の処方せんに関する経済政策上の論点について、堺屋経済企画庁長官にお尋ねしたい。
 それは、日本経済がいわゆるデフレスパイラルの状態にあるか否かという点であります。私は、日本経済はそのような危機的状態に陥っていないと考えておりますが、最近におけるロシアの通貨切り下げ、世界的な株式市場の値下がり、アジア経済の不安定などの国際的な要因も念頭に置いて、堺屋長官はどのような御見解をお持ちか、最悪のシナリオを回避するため、現在検討中の対策で十分と考えられるかという点とあわせて、率直な御意見を賜りたいと思います。
 私は、与野党の敷居を越えて、同僚議員諸氏とともに、私たちに課せられた重大な責任と使命感を共有しつつ、真剣な討議を行って、速やかに所要の立法措置を完結すべきことを強くお訴えをいたしまして、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣小渕恵三君登壇〕
○内閣総理大臣(小渕恵三君) 不良債権問題についてまずお尋ねがございましたが、金融は、経済活動に必要な資金を供給するという、経済全体にとっていわば動脈ともいうべき重要な役割を担っております。金融機関の不良債権問題の早期処理は、喫緊かつ重大な課題であると考えております。
 政府といたしましては、不良債権の抜本的処理を促すことによりまして、金融システムの健全性を確保しつつ、金融の本来の機能を回復させ、我が国経済を再活性化する必要があると考えており、このため、金融再生トータルプランに盛り込まれた総合的な施策を早急かつ一体的に進めてまいりたいと考えております。
 金融機関の不良債権のディスクロージャーの拡充についてお尋ねでございましたが、本年三月期から、全国銀行におきまして、米国証券取引委員会と同様の基準により開示を開始するなど、従来よりその拡充に努めているところでございます。
 しかしながら、個別金融機関の検査結果の公表につきましては、取引先に不測の損害を与えたり、場合によって信用秩序維持に不測の影響を及ぼすおそれがあることなどから、公表することは適当でないと考えております。
 また、検査結果の活用につきましては、検査の結果把握した問題点等を金融機関に通知し、そのフォローアップを行うとともに、必要に応じて早期是正措置や業務改善命令を発出するなど、事後チェック型の厳正な監督に努めてまいりたいと思っております。
 長銀につきましては、公的資金注入についてお尋ねがございましたが、本年三月における資金注入は、金融危機管理審査委員会におきまして、金融機能安定化緊急措置法及び審査基準に基づく厳正な審査を経て、適切に行われたものと承知をいたしております。
 その後、同行は住友信託との合併を表明し、去る八月二十一日には、住友信託との合併を前提に抜本的な経営改善策及び不良債権処理策を発表したところでありますが、その際、同行は、不良債権処理に伴う一時的な過少資本に対処するため、公的資金注入を申請する旨を表明しております。
 また、同行の経営実態につきましては、現在、金融監督庁におきまして検査中でありますが、いずれにせよ、同行は通常どおりの営業を行っており、破綻金融機関ではございません。
 公的資金の投入を受ける民間銀行の業務改善努力や、経営陣の責任の明確化についてお尋ねでございますが、公的資金の投入に対する国民の理解を得るためにも、資本注入を受ける銀行におきましては、一層のリストラ等の業務改善努力や、責任ある経営体制の整備に努める必要があると考えます。
 資本注入に対するお尋ねですが、資本注入策は、仮に自己資本が充実されなければ、我が国における金融の機能に対する内外の信頼が大きく低下し、例えば内外の金融市場において資金調達をすることが極めて困難になるなど、我が国における金融の機能に著しい障害が生ずることとなる状態を未然に防止するために、金融機関の自己資本を充実させることによりまして金融システムの安定化を図るものであり、このことは法律にも明記されており、国民の理解をより求めてまいりたいと考えております。
 公的資金により取得された優先株等につきましては、できる限り早期に処分を行うものとされ、御指摘のとおり、この処分を通じて投入された公的資金の回収がなされ、最終的には国民の負担の軽減が図られることとなっております。
 公的資金に関するこのような仕組みにつきましては、これまでも国民の理解が得られるよう努めてきたところではありますが、今後とも、国民に対してその理解が得られるよう、十分説明してまいりたいと思っております。
 破綻金融機関を直ちに国有化するという提案につきましてお尋ねがありましたが、金融再生トータルプランの実施は、我が国経済の喫緊の課題である不良債権問題を解決するために不可欠なものであり、その関係法案を早期に成立させることが必要であります。野党に対しましても、その提案に耳を傾けながら、関連法案の早期成立に向けて、今後とも理解と協力を求めてまいりたいと考えております。
 行政部門と切り離された第三者機関の設置につきましてのお尋ねでございますが、金融は、経済の根幹、すなわち国民生活の安定、発展に直結する分野でありまして、議院内閣制のもとで、内閣みずからが国会ひいては国民に対して明確な責任を負うべき性格のものでございます。
 いわゆる三条委員会設置構想につきましては、三条委員会は内閣からの独立性が認められる行政組織形態であり、金融行政のような、内閣みずからが責任を負うべき性格の行政にはなじまないものと考えております。
 不動産関連権利等調整法案の内容、運用についてお尋ねでございますが、本法案におきましては、不動産の効果的処分を通じた債務者の事業の再建等によりまして、不良債権の実質的処理を促進するため、調停等によりまして関係者の合意を形成すべく、所要の規定を設けておるところであります。
 また、運用につきましては、適切な委員長及び委員の方々により、公正、妥当に行われるものと考えております。
 金融機関破綻前の監督行政の基本的考え方についてのお尋ねでございますが、金融機関の監督につきましては、金融機関の破綻を未然に防止することが基本であることはもちろんであり、このため、早期是正措置の導入やディスクロージャーの充実の枠組みのもと、明確なルールに基づく、透明かつ公正で、国民に信頼される金融行政の確立に努めてまいりたいと考えております。
 次に、金融監督庁の体制の強化につきましてでございますが、金融機関に対する検査監督機能の強化を図っていくとの観点から、厳正で効率的な行政手法の確立に努めるとともに、検査監督体制の計画的な強化を図ってまいりたいと考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕
○国務大臣(宮澤喜一君) 最初のお尋ねは、金融の管理につきましてこの程度の規定で大丈夫かというお尋ねでございましたが、金融管理人による業務、財産の管理を命ずる処分の要件につきましては、具体的に法文に書いてございますし、また、経営責任の追及につきましても、取締役などに対する調査をいたしました結果、犯罪行為があったと考えられる場合には、告発に向けて所要の措置をとらなければならないと規定をいたしました。また、情報開示につきましては、来年の三月期からは連結ベースで米国SEC基準と同様の開示を義務化することにいたしましたので、まずまずここらで大丈夫であろうかと思っております。
 それから、ブリッジバンクのことでございますが、二年以内に合併、譲渡をやる、それで役割を完了すると考えておりますが、せっかく話が進行しておりまして、もうちょっとというところでありましたら、一年ごとに三回までを限り延長しようか。これは、やはりブリッジバンクというのは、御承知のように一種のつなぎでございますから、時限的な存在と考えておりまして、なるべくそれは民間金融機関に引き継いでいくのが本来であると考えておりますからでございます。
 次に、最近、我が国の企業の社債が非常に多くなっているし、外国銀行からの借り入れもふえておって、いわば日本は、銀行はちゃんとやっているのかねというお尋ねでございます。
 確かに、市場原理に基づきまして競争が高まってまいりました。利用者にとっては非常にいいことでございますが、我が国の金融機関も、こういう利用者のニーズにこたえまして、サービス等を提供する枠組みの中で大いに創意工夫を凝らしてもらいたい。私も、御指摘のような感を同じくしておりまして、創意工夫を望みたいものでございます。
 それから、かなり具体的に財務内容の健全化を促進するための措置についてお触れになりました。
 現在、SEC基準での開示あるいは早期是正措置、金融安定化法による資本注入などを実施しておりますことは御承知のとおりでございますが、御指摘になりました幾つかの点は、それに加えまして、財務内容の健全化を促進するための諸措置、それから政府がそれについて講ずべき施策、御指摘の点は同感するところが多いのでございますけれども、しかし、例えばアメリカにおいては破綻に至る前の予防措置を講じている、我が国は破綻が条件であるといったようなことは、やがて事態が成熟いたしましたらそういうことが考えられるかもしれませんが、ただいまとしましては、行政の余剰介入があるという強い反省がございますので、なるべく事前の指導行政のようなものは避けることが適当ではないか、こう考えて、このような規定をいたしております。
 あるいは将来、御指摘のようなところまで行政が、成熟いたしましたらやれるかもしれないと思いますが、現在といたしましては、そういう弊害の方を考えております。
 それから、貸し渋りについてお話がございまして、信用補完制度の一層の拡充あるいは政府関係金融機関の融資制度の拡充等につきまして、これは総理大臣から、今月末までに具体的な対策を各省庁が、改めて、心を新たにして考えろという御指示がありました。それにつきましては、大蔵省としても、予算あるいは財政措置につきまして最大限の施策をいたしたい、こう考えております。(拍手)
    〔国務大臣堺屋太一君登壇〕
○国務大臣(堺屋太一君) 現在の日本経済はデフレスパイラル状況になっているのではないか、また、最悪のシナリオを回避するのに、現在検討中の対策で十分と考えているかという御質問であったかと思います。
 まず、いわゆるデフレスパイラルというのは、物価と需要と雇用が相乗的に減少いたしましてどんどんと縮小する状態だと思います。
 最近の景気状況を見ますと、低迷が長引きまして、需給が緩和し物価にも低下傾向が出ていることは事実でありますが、この物価の低下傾向の大きな要因が、輸入物価の値下がりであるとか規制緩和によります生産性の向上でありますとか、むしろ好ましい要因での物価の値下がりがかなりの部分を占めておりますので、現在の状況ではデフレスパイラルになっていると私は考えておりません。しかし、その危険が、やがてデフレスパイラルになる危険が全くないとは言えない状況でございます。
 御指摘のように、世界経済は、アジア経済の低迷が長引き、ロシアにおきます通貨の混乱等もございまして、要注意な状況になってきたという感じがいたします。
 我が国といたしましても、今後、総合経済対策の効果が徐々にあらわれてくるでしょうし、金融システム安定のための方策が講じられることや、事業規模で十兆円を超える追加補正予算、あるいは六兆円を相当上回る恒久的な減税が予定されておりまして、これらの大規模な対策を次々と打っていく予定でございます。現段階では、金融再生トータルプランを初めとするこういった政策を進めていけば、十分この事態に対応できると考えております。
 しかし、世界経済にさらに大きな変動があった場合には、大胆なかじ取りが必要になる可能性もないとは言えません。いわば今は、見張りをふやして用心深くこの針路を続けていく、そんな状態の時期だと私は考えております。(拍手)
    〔保岡興治君登壇〕
○保岡興治君 議員提出四法案について、政府提案ではなく議員提出とした理由についてお尋ねがございました。
 自由民主党では、不良債権処理を促進して経済を再活性化させるためには、弁護士法の特例として、債権回収会社が業として金銭債権の回収などを行う制度を設ける緊急の必要性があって、また、競売手続の迅速、円滑化を図るとともに、金融機関の有する不良債権の譲渡の円滑化のための措置を講ずることが喫緊の要請であるとの認識のもとに、土地・債権流動化促進特別調査会、これは後に金融再生トータルプラン推進特別調査会ということに改組いたしましたが、党のこの機関で鋭意検討を進めてきたものであり、内閣提出の法律案としての手続を経ることは、その過程において、弁護士会との調整、関係各省との調整、また法制審議会の手続など時間がかなりかかるため、議員が中心になって、関係機関、関係当局の意見も十分に聴取して取りまとめたところでございます。
 今回の議員立法は、こうした経緯にかんがみて、政治主導のもとに具体的な立案をした議員立法として提出したものでございます。
 本法律案と弁護士法との関係や弁護士会との意見調整の問題についてもお尋ねがございましたが、弁護士法が弁護士以外の者が債権の回収を業として行うのを規制している趣旨は、事件屋などと称される者が他人の事件に介入し不当な権利要求を行うなどして、国民の公正な法律生活を侵害することを防止しようとする点にあります。
 本法案は、このような弁護士法の趣旨を最大限に尊重しつつ、民間活力を導入することによって不良債権の回収を促進しようとするものであり、このような観点から、債権回収会社の取締役に弁護士の選任を義務づけ、内部から業務の適正を監督させるとともに、一定の裁判上の行為について弁護士による追行を義務づけることなどによって、弁護士法の趣旨を没却することがないように配慮いたしておるところでございます。
 なお、日弁連は、自由民主党の特別調査会にもオブザーバーとして全部出席をされました。そして意見を述べられてまいりまして、最低資本金額を五億円とすることや、既に申し上げた弁護士関与の義務づけなどの点については、日弁連の意見も十分に踏まえて立案したものであって、日弁連としても本法案に対しては一定の理解を示しておられるものと承知いたしております。
 また、暴力団を排除して、不当な取り立てを防止する具体的な手当てについてもお尋ねがございました。
 こうした懸念を除去するために、本法案では、暴力団員等が事業活動を支配する会社、取締役等のうちに暴力団員等がいる会社などには営業許可を与えないこと、債権回収会社に対する行為規制として、暴力団員等を業務に従事させることなどを禁止することを規定しております。
 これらを実効あらしめるため、法務大臣の警察庁長官に対する意見聴取、債権回収会社への立入検査などの仕組みも設けており、債権回収会社の業務に対する暴力団等の排除については、これによって十分対処することができるものと考えております。
 以上のような諸措置に加えて、取締役として弁護士一名の選任を義務づけ、内部から業務の適正を監督させるとともに、債権回収に関する詳細な行為規制を施すことによって、不当な取り立ても十分に防止できるものと考えております。
 以上、お答え申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(伊藤宗一郎君) 畑英次郎君。
    〔畑英次郎君登壇〕
○畑英次郎君 私は、民主党を代表し、ただいま議題となりました金融六法案のうち、特に、金融機能の安定化のための緊急措置に関する法律及び預金保険法の一部を改正する法律案について、質問をさせていただきます。
 まず、法案の質問に入ります前に、今月二十一日にアメリカがアフガニスタンとスーダンのテロ施設等に対しましてミサイル攻撃を行いました。戦争への懸念を世界じゅうに広げている件について、お尋ねをいたします。
 米国は、ケニアとタンザニアの米国大使館連続爆破テロに対する報復であるといたしております。確かに、テロは断じて許されるものではありませんが、一方で、米国の攻撃も、国際法等々に照らしまして、果たして正当なものであったかどうかという疑問が残ります。既に米国側から支持表明に向けての期待が寄せられているとのことでありますが、本件に関する、小渕総理にこの問題についての見解をお尋ねをしたいと思います。
 さて、同じ二十一日、日本長期信用銀行が、公的資金の投入を前提として経営合理化計画を発表しました。小渕総理は談話の中で、この話はあたかも我が国にとって歓迎すべきものであるということを述べられております。その裏では、二十日に、長銀の合併交渉先である住友信託銀行の社長を総理公邸に呼んで圧力をかけ、合併合意を急ぐように促しております。とんでもないことであります。
 しかも、長銀は、本年三月、金融危機管理審査委員会により健全な銀行であるとのお墨つきを得て、千七百六十六億円もの税金を投入されたばかりであります。その上、政府は、長銀が破綻したとは一言も言わず、国民の皆さん、事情は言えないけれどもとにかく税金で長銀を救済しましょう、国民一人当たり五千円程度ですが、それが皆さんにとってもよいことなんですよといったような調子で、すべて国民に押しつけようとしているのであります。
 年金生活者の方々などの毎日の生活に多大な打撃を与えながら、異常なまでに長く続いております超低金利政策も、もともと金融機関を救済するためのものと言っても決して過言ではありません。直接間接を問わず、政府は、金融機関救済のために国民の税金を恐ろしいまでに流用してまいっております。
 もちろん、このような形で救済を受けて平然としている金融機関の経営者は、どう考えているのでありましょうか。不良債権問題については、なぜか金融機関経営者の声が聞こえてまいりません。みずからは何も努力せず、政府の銀行優遇政策を喜んで受けることしか考えていないのでありましょうか。まさにモラルハザードのきわみであります。隠ぺい、ごまかし、責任逃れ、先送り、そして国民への負担の押しつけ。政府の対応は、まさに国民に対する背任、背信行為と言わなければなりません。(拍手)
 今回の政府の対応は、我が国に対する海外の見方をも決定的にするでありましょう。日本という国は、政府がみずからの失敗をすべて国民に押しつける国だ、責任逃れをするためには国民に幾ら払わせてもよいと考えていると。
 政府は、長銀を救済したことが我が国の金融システムにとって好ましいことだと思っているのでしょうが、銀行救済に公的資金を青天井でつぎ込むような国は、海外マーケットの評価が大きく下がり、それがジャパン・プレミアムの引き上げを招き、銀行の資金調達コストの増大となって間違いなくはね返ってくるところであります。つまり、我が国の銀行の経営を一層困難にさせることは、火を見るよりも明らかと言わざるを得ません。
 小渕総理にお尋ねしますが、長銀が破綻していないと断言されるのであるとすれば、長銀に公的資金による救済が必要であると判断した根拠を、わかりやすく具体的にお示しをしなければなりません。一体、国民を犠牲にしてまで長銀を救わねばならないのはなぜなのでしょうか。今まで自民党が銀行業界から多額の政治献金を受けていたからでありましょうか。今後さらに別の大手銀行が破綻しても、また国民に負担を押しつけるのでしょうか。総理の明確な答弁を求めます。(拍手)
 次に、本法案を提出した理由についてお尋ねをいたします。
 本法案の提案理由の冒頭に、「金融機関の破綻に際して」という文言があります。政府は、これまでに何度も不良債権処理は順調に進んでいると発言し続け、大手二十行は破綻させることはないと公約してまいりました。昨年十一月、拓銀が都市銀行としては初めて経営破綻をするに至り、その公約は物の見事に破られました。
 今、この時点で本法律案を提出するということは、長銀以外にも破綻の危機にある金融機関が存在するということなのでありましょうか。よもや、本年三月に健全な銀行であると判定され、総額一兆八千億円もの公的資金による資本注入を受けた二十一行の中には、長銀以外にも破綻の危機にある銀行があるとは考えたくありませんが、そのような銀行は本当にないのでありましょうか。小渕総理の認識を明確にお示しください。
 不良債権の抜本的な処理を行うためには、不良債権の実態について徹底した情報開示を行い、責任を負うべき者を明確にし、問題を先送りにしないことが大前提であります。米国の連邦準備理事会のグリーンスパン議長も、日本は金融問題への対処で、従来の文化や慣行にとらわれない劇的な措置が必要だと述べております。
 しかし、政府は、大手銀行を破綻させる気は全くないと表明いたしております。つまり、実質的に経営破綻状態にある大手銀行に対しては、破綻が表面化しないように税金を投入して救済をするわけであります、今回の長銀のように。そうすれば、だれも責任をとらなくて済みます。しかし、それは抜本的な解決には到底なり得ません。既に何度も失敗して、わかっているはずではありませんか。
 我々民主党は、税金による銀行救済には一貫して反対してまいりました。そのため、それを可能とする金融機能の安定化のための緊急措置に関する法律は、直ちに廃止すべきだと考えております。小渕総理の御見解をお伺いをしたいと思います。(拍手)
 次に、だれが不良債権や破綻の認定をするのかということについてお聞きいたします。
 既に金融監督庁が大手銀行に対する検査を開始いたしておりますが、金融監督庁が検査を行うことについて、私は重大な問題があると考えております。それは、金融監督庁、いわば金融機関との癒着が次々と明らかになった大蔵省が、不良債権の実態を隠ぺいし、問題の先送りを続けてきた当事者であるからであります。
 金融監督庁が不良債権の分類基準を恣意的に操作すれば、不良債権の金額は幾らでも変えることができます。同様に、破綻の認定基準を恣意的に操作することにより、実質的に破綻しているはずの銀行も健全であるというお墨つきをもらえることになります。いや、金融監督庁と大蔵省がそんなことをするはずがないと言い切れるのでありましょうか。現在の長銀に対する取り組みの姿勢が、この辺については極めて大きな疑問を生むわけであります。
 今、最も重要なことは、銀行に対する徹底した検査と、その結果の公表であります。検査結果の速やかな公表について言を左右にする金融監督庁を、私どもは信頼できるのでありましょうか。
 我々民主党は、不良債権問題を今度こそ本当に解決するためには、もはや金融監督庁や大蔵省に任せておけないと考えております。第三者が公正な立場から解決に当たることが必要です。そのような考え方から、民主党は、金融再生委員会という新たな機関の設置を提案いたしております。我々が示しております金融再生委員会とは、金融監督庁や大蔵省がそっくり移行するものではなくて、むしろ過去の大蔵行政を断罪するものであるわけであります。
 小渕総理にお尋ねしますが、不良債権の分類も銀行と御相談、早期是正措置の発動も銀行と御相談などという、監督官庁の役割を放棄するようなことを平気で言う金融監督庁に、銀行の検査をさせることが適当と考えているのでありましょうか。国民の信頼が寄せられていると受けとめていらっしゃるのでございましょうか。しかとした御答弁をお願いいたします。
 次に、大手銀行の破綻に際してブリッジバンクは使えるかという点についてお尋ねをいたします。もっとも、政府は大手銀行は税金を投入して救済をするわけでありますから、あるいはナンセンスな質問ということに相なるかもしれませんが。
 政府案では、金融機関が破綻すると、第一段階として、金融管理人が破綻銀行を管理することに相なっております。しかし、この時点では他の金融機関への営業譲渡がうまくいくかどうかわかりませんから、預金者や優良な債務者は、みずから他の金融機関へ取引を移したいと考えるのは当然のことではないかと思います。大手銀行の場合、営業地域は大都市周辺でありますから、周囲に他の金融機関は幾らでもありましょう。
 したがって、大手銀行の場合、第一段階で多くの優良な顧客は逃げてしまいます。すると、残るのは不良債権や要注意債権ばかりということになりますから、営業譲渡は困難になるわけであります。第二段階として公的ブリッジバンクを設立いたしましても、優良な顧客がいない銀行を、どこに営業譲渡しようというのでありましょうか。
 したがって、政府のブリッジバンクを大手銀行に適用することは非常に困難です。大手銀行の破綻に適用されないのであれば、本法案そのものが金融不安解消には役に立たない法案であると言わざるを得ません。宮澤大蔵大臣の御見解をお伺いいたします。
 このように、政府案は、実際には役に立たない代物であることは既に明々白々であります。しかも、経営者等の責任追及があいまいなため、国民の負担も際限なく膨らむ可能性を含んでおります。
 それに対して、民主党案では、不良債権問題の解決に正面から取り組むための新たな機関、金融再生委員会が中心となります。それに加えて、強力な権限を持つ公的債権回収機構、いわゆる日本版RTCを設立し、かの中坊公平氏が率いる住宅金融債権管理機構のように、不良債権の回収を全力で進めていかねばなりません。
 宮澤大蔵大臣は、ハードランディングならだれでもできる、ソフトランディングをしなければならないんだとおっしゃいますが、政府・自民党のやり方では、そもそも着地ができない。つまり、ネバーランディングと申すべきではないかと思います。そのうち燃料が切れて墜落するに違いがありません。ここまで不良債権問題が深刻になった以上、着地することが極めて重要であるわけであります。
 政府・自民党は、不良債権問題の迅速かつ抜本的な解決を可能にする民主党の金融再生計画を正しく評価し、総理自身の決断をもって受け入れ、実行すべきであります。総理の御見解を求めます。
 最後に、本年二月に成立したばかりの金融機能安定化法を、わずか半年足らずで改正しなければならなくなった責任について、自民党総裁としての小渕総理にお尋ねをいたします。
 あの財政構造改革法も、昨年十一月に成立したばかりでありながら、やはり半年で改正を余儀なくされました。重要な法案が猫の目のようにくるくると変わる、これは、まさに自民党に政権担当能力が欠如していることを如実に証明いたしております。(拍手)
 小渕内閣は、ブリッジバンク法案を成立させることができずに解散に追い込まれるか、我々民主党の、よく小渕総理がおっしゃっております、いわば鬼手仏心とも言える金融再生法案を全面的に受け入れて総辞職するか、選択肢は二つしかありません。そのどちらを選択するかをお尋ねして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣小渕恵三君登壇〕
○内閣総理大臣(小渕恵三君) 畑英次郎議員にお答え申し上げます。
 まず最初に、アフガニスタン、スーダンへの米国のミサイル攻撃に関しましてのお尋ねでございましたが、米国の軍事行動につきましては、我が国といたしましても、テロに対しては断固たる対応をとるべきものと考えております。テロリストに対する米国の断固たる姿勢は、理解できるものであります。
 また、米国は、連続的なテロ行為が米国及び米国民に対して向けられており、また、同様のテロ行為が再度計画されていることにつき確証を得ておるため、国連憲章第五十一条で認められている自衛権の行使として行ったものであり、行動後直ちに安全保障理事会に通報したと承知をいたしております。
 長銀の経営状況及び公的資金の投入に関するお尋ねでございますが、本年三月期の長銀の自己査定及びそれに対する日銀考査によれば、債務超過でないと承知をいたしております。
 今回の合併構想につきまして政府として支援すると申し上げておりますのは、あくまでも金融システム安定確保のためでございまして、個別銀行の救済を念頭に置いたものでは決してありません。
 長銀以外に破綻の危機にある銀行はないかとのお尋ねでありますが、まず、今回の長銀の合併構想は破綻処理ではありません。また、公的資金の注入を受けた他の二十行につきましても、自己査定結果を踏まえ、外部監査によるチェックを経まして公表された本年三月期決算で、自己資本比率はいずれも八%を確保しているなど、現時点におきましては、破綻の危機にある銀行があるとは認識いたしておりません。
 金融安定化法を廃止してはとのお尋ねでありますが、この法律は、金融の危機的状況に対処するための緊急の措置として、金融機関の発行する優先株式等を引き受け、金融機関の自己資本を充実させる、金融システムの安定化を図るものでございます。我が国金融システムの不安が払拭されていない状況を踏まえまして、引き続き、自己資本充実策により金融システムの安定化を図ることが重要であると認識をいたしておりまして、この法律を廃止することは考えておりません。
 金融監督庁が行う検査に対する国民の信頼についてのお尋ねでございましたが、金融監督庁は、金融機関の自己責任の徹底と市場規律の発揮を前提に、事前調整的な行政から事後チェック重視型の金融行政への転換を図り、公正で透明な金融行政を実現するために、金融検査監督を専門的に行う行政機関として設立されたものであります。
 こうした中で、厳正で実効性のある検査の実施により、金融機関の実態を的確に把握するとともに、我が国金融行政に対する内外の信頼の回復に努めてまいりたいと思います。
 民主党の提案を受け入れるべきとの御指摘もございますが、今般取りまとめました金融再生トータルプランの実施は、我が国経済の喫緊の課題である不良債権問題を解決するために不可欠のものであり、その関連法案を早期に成立させることが必要でございます。野党に対しましても、その提案に耳を傾けながら、関連法案の早期成立に向けて、今後とも理解と協力を求めてまいりたいと思っております。
 金融機能安定化法改正につきましての責任に関するお尋ねでございますが、今回の改正案は、金融機関の破綻に際して民間の引受金融機関が登場しない場合でも、預金者保護及び金融システムの安定性確保、さらには、善意かつ健全な借り手に対する適切な配慮に万全を期するためのブリッジバンク制度の導入を図るため、本年二月に成立した金融機能安定化法の十三兆円の枠組みを活用することとしたものであり、御批判は当たらないと考えます。
 今般取りまとめた金融再生トータルプランの実施は、我が国経済の喫緊の課題である不良債権問題を解決するために不可欠のものであり、ブリッジバンク法案を含む関連法案を早期に成立させることが必要でございます。
 最後に、内閣として、解散か総辞職か選択肢は二つと申されましたが、私といたしましては、ひたすら、金融関係諸法を成立させるために今後とも理解と協力を求めてまいり、一日も早く関係法案を成立させることが、現下の私の任務と心得ておる次第でございます。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁いたさせます。(拍手)
    〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕
○国務大臣(宮澤喜一君) 私に対しまして、ブリッジバンクは大手銀行の場合には実際役に立たないではないかというお尋ねが、お名指しで、ございました。
 この点は委員会等におきましても御質問があったところでございますが、ブリッジバンクの一つの目的は顧客の保護ということでございますが、そういう意味では、その必要は大中小銀行、変わりませんので、いかなる銀行にも適用が法律上はもちろんあるものと考えておりますが、事実問題として、これは全く仮定のことで、ケースがあるという意味ではございませんが、ある大手銀行が別段合併等の構想がないままに破綻してしまったということは、ケースとして起こり得るわけでございますが、そういたしますと、その銀行は破綻しておりますから、資本に公的資金を導入することは禁じられております。したがいまして、そのままにいたしますと、その銀行はいわば解散する、預金者は保護せられますけれども、顧客は保護せられないという状況になろうと思われます。
 その場合に、ブリッジバンクの適用がございますと、その銀行はいわゆる公的な管理のもとに置かれますが、その間、預金はもちろんですが、いいお客さんの保護もできる。そうして、二年間は合併のチャンスが与えられるわけでございますから、この銀行が公的管理のもとに内容がよくなってまいりますと、その間に合併を求める相手方が出てくるチャンスは、私は決してないとは言えないと思っておるわけでございます。
 そういう意味で、このブリッジバンクは、大手が合併等の用意がなく突然破綻いたしましたときに、顧客を救い、さらに将来合併をするチャンスを与えるという、そういう役目を果たすものと考えておりまして、したがいまして、この法律案の中でも、いわゆる金融管理人の任命につきまして、預金保険機構自身が金融管理人になることも想定をいたしておるようなことでございます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(伊藤宗一郎君) 木村太郎君。
    〔木村太郎君登壇〕
○木村太郎君 私は、改革クラブの木村太郎です。平和・改革を代表し、ただいま議題となりましたいわゆる金融六法案につきまして、小渕総理と関係大臣並びに提案議員に質問いたします。
 金融機関の巨額な不良債権の存在は、我が国の金融を貸し渋りなど実質的な機能不全に陥らせているだけでなく、日本経済の足かせとして、日本発の金融恐慌の誘発要因として、世界から厳しい不信の目が注がれています。これまでに不良債権問題を悪化させたのは、政府が経済失政によって不況を一層深刻化させ、さらには行政及び金融機関が責任の追及を恐れ、処理を先送りしてきたためであります。
 いわゆるバブル崩壊後、いたずらに時間をむだに費やし、構造的な処理策を放置したまま、その場しのぎのびほう策に終始してきたのであります。金融機関の不良債権に関する情報開示については、いかに不良債権の実態を隠ぺいするかということに心血を注ぎ、隠し切れない中小金融機関についてのみ、大蔵行政当局の裁量によって、いかにも整理をしたかのように振る舞ってきました。不良債権問題の本質であった大手銀行については、官民を挙げて実態を隠し、銀行は毎年の決算発表の都度、不良債権処理は峠を越えたと繰り返し表明してきたありさまです。
 その間、バブルのもとを築き、不良債権処理という難問を押しつけたもとの経営者たちは、その中にあって、今その処理に国を挙げて大問題となっている銀行の元頭取が、三十五年間勤務したとはいえ、実に九億七千万円という退職金を受けていたことなど、非常識きわまりない巨額な退職金を受け取り、責任もとらずに悠々と逃げうせているのであります。
 この点に適切かつ迅速に対応してきたのかどうかの政府の責任は極めて重大であり、小渕総理の見解を賜りたいと思います。
 金融当局の対応は、後手後手であったと言わざるを得ません。公的資金の投入については、住専処理では、当初の預金者保護の目的とはかけ離れ、農林系金融機関の救済のために投入し、次には信用組合などの破綻処理のみに使うとの姿勢に変えました。また、大手銀行はつぶさないと断言したものの、昨年十一月には都市銀行の一角、北海道拓殖銀行を破綻させ、巨額の公的資金の投入を決定するなど、都合よく理由づけをしてきました。
 三洋証券、拓銀、山一証券、徳陽シティ銀行が約一週間おきに立て続けに破綻し、これに対し、タイミングよく行政は金融危機を演出し、住専処理の失政で公的資金導入を非難していた世論を誘導し、巨額の公的資金を投入する法案を成立させました。山一証券の自主廃業に関する社内調査報告に記載してある、大蔵省の手のひらを返したような自主廃業を迫る対応。拓銀よりも先に経営危機が言われ、不十分な情報開示によってさえ二二%以上の不良債権比率を示しながら、過去に政治家の関与がうわさされていた銀行は、事業が継続されています。
 不良債権処理に公的資金投入やむなしの世論を誘導するために、山一や拓銀はいけにえにされたのではないでしょうか。総理の見解をお尋ねします。
 金融六法案について述べる前に、日本長期信用銀行への公的資金投入の問題をお伺いします。小渕内閣の金融処理政策の象徴として、また、世界じゅうが注目している問題であります。
 今回の長銀の合併は、通常の合併なのか救済なのか、それとも破綻処理なのか。金融検査によって、長銀は債務超過に陥っているのではないでしょうか。今回の合併では何の権限に基づいて公的資金を投入できるのか、総理並びに大蔵大臣に明確な答弁を求めます。
 最近の政府の考えは、大手銀行が巨額なデリバティブ取引を有しているため、破綻すると国際金融市場に連鎖するとの理由づけで、大手銀行はつぶせないとの見解に立っています。しかし、信用力が低下した長銀に、デリバティブ連鎖の危険性が本当にあるのか、総理並びに大蔵大臣に答弁をお願いいたします。
 今回の長銀の合併案では、我々が極めて不明瞭な法律であるとして反対した、いわゆる金融システム安定化法における金融危機管理勘定の公的資金枠を流用するとのことです。法案審議の際、政府は、健全な銀行に投入する、不良債権の処理には使わないと明言していました。また、本年三月に佐々波委員会が大手銀行に横並びの資本投入をしたときには、それらの大手銀行は健全であるという認識に立っていたはずです。
 長銀に対しては、大手銀行の中で最大の千七百六十六億円の資本投入を実施しながら、それが半年もたたないうちに五千億円を超える巨額の資金が、事実上不良債権処理のためにさらに投入されようとしています。今後の合併交渉次第では、さらに第三次の公的資金投入がないと言い切れるのでしょうか。また、今後仮に他の大手銀行が危機に陥った場合、この方式を使うのでしょうか。一度たがを外してしまうと原則なしで公的資金を投入しようとする、無節操な対応と言わざるを得ません。
 公的資金を不良債権処理へ流用することを認める法的根拠をどうとらえているのか。このような処理を強行するのであれば、今回提出されたブリッジバンク関連法案は審議に値しなくなるのではないでしょうか。総理、国民に説明をお願いいたします。(拍手)
 昨年十一月の北海道拓殖銀行の破綻は、北海道経済に壊滅的なダメージを与えました。拓銀の株主は権利を失い、役員は解任され、従業員は全員解雇されました。公的資金の投入を受けるからには、当然の責任をとったことになるでしょう。
 しかし、今回、緊急的かつ例外的な措置として、表面的には破綻に至っていない長銀に対し、破綻銀行と同じように公的資金を使おうとしています。このような形で救済するにもかかわらず、甘い責任追及しかしておりません。破綻銀行の責任のとり方と比べて、著しく不公平と考えます。役員を初めとする長銀の関係者に対し、破綻していた場合と同様の厳しい責任追及を求めるべきであります。これをしないとすれば、公的資金による銀行救済にほかならないことであり、絶対に認めるわけにはまいりません。この点につき、総理の見解を賜ります。
 また、このような不明瞭な形での公的資金投入を強行するのは、内外の金融システムへの影響を回避するためとのことですが、どのように影響が発生するのか、その仕組みについて、国民にわかりやすいように、具体的な説明を総理に求めます。
 さて、いわゆるブリッジバンク法案については、多くの問題があります。
 まず第一に、今不良債権処理に求められているのは迅速な処理でありますが、政府案では最大で五年もの期間が設けられています。さらには、金融機関の破綻の認定については金融監督庁が行うこととなっており、まさに行政の裁量が入り、本来破綻すべき金融機関を生き延びさせる可能性が多分にあると思われます。大手銀行への一斉検査に取りかかる前から、大手銀行には債務超過はないと断言してきたことが、裁量が疑われる何よりもの証拠と言えます。
 私は、このたびの長銀への対応から見た場合でも、大蔵省、金融監督庁主導の護送船団方式をなお引きずっていると言わざるを得ません。総理の見解を求めます。
 第二に、政府案では、金融機関の不良債権の全容については、時々の恣意的な基準によって公表され、しかも、公表される都度その額が変わり、九八年三月より実施したアメリカのSEC基準とのふれ込みの情報開示でも、我が国においては、表面的には運転資金を装ったいわゆる追い貸しなどの手段により、幾らでもごまかしがきくことになり、信頼に足るものとは思いません。
 政府案では、まかり間違えば、不透明な情報開示のもと、善良で健全な借り手という甘い言葉に紛れて、不良銀行を救済し、際限なく公的資金を投入するという危険性が多分にあると指摘できます。私は、情報開示については、少なくとも個別銀行ごとに厳格な基準に基づいた分類債権ごとの情報開示が不可欠であると考えますが、総理の見解を求めます。
 情報開示と同時に、銀行破綻に関する経営責任の追及が不可欠です。バブルの不良債権のもとを築き、その後始末として巨額の償却負担の原因をつくった旧経営陣を、いまだに厚遇しているような金融機関もなお存在しています。国民の不満は、実態がわからないままに巨額の税金が投入され、一方では関係者の責任が極めてあいまいにされています。これは到底容認できません。総理の見解を求めます。
 第三には、政府案では、善良かつ健全な借り手へも公的資金を導入することになっていますが、この基準があいまいと思います。このままでは、結果として、善良かつ健全な借り手保護という名目で、破綻に至るような不良銀行をつくり出した不良企業を、まさに税金で救うということになります。
 総理、善良かつ健全な借り手の定義について明確にお答えください。
 関連法案として、不良債権処理の促進のため、複雑な権利関係を解きほぐし土地取引を動かそうとの目的で、不動産関連権利等調整委員会を設置し、裁判なしで権利を解きほぐす法案が提出されました。関係者の責任を極めてあいまいにしたまま、借り手には借金の踏み倒しを公的に許し、また、貸し手には自動的に無税償却を認めることになると解釈します。
 しかし、不良債権処理は、客観的で公平かつ法的な整理を中心に考えるべきです。関係者の複雑な権利関係の整理ならば、法的整理の方がより効果的であり、責任の所在も明らかになるはずです。時間がかかるというのであれば、特別に不良債権処理のための司法制度を充実させるような方法で迅速化を実現すべきです。この点、総理に答弁を求めます。
 また、さきの通常国会で我々の反対を押し切って成立させた、公的資金による銀行への資本投入については、いわゆる佐々波委員会が、たった数日の審査で約一兆八千億円もの資本投入を認定しています。しかし、五カ月もたたないうちに、長銀がそもそも健全な銀行であったのかという重大な疑念が発生したことは、その審査の判断自体がでたらめだったのではないでしょうか。まず護送船団的に全面救済しようという恣意的な目的があり、事後的に権威づけするためのかいらい委員会だったと言わざるを得ません。(拍手)
 今回、政府案の不動産関連権利等調整委員会についても、まず問題ゼネコン等を救済する恣意的な目的があり、それを事後的に権威づけする意味でのかいらい委員会になるのではないでしょうか。この点につき、総理にお尋ねいたします。
 次に、いわゆるサービサーに関する法案でありますが、これは法務大臣の許認可業種の創設であります。巨額の最低資本金額、取締役への弁護士の就任義務は、参入障壁と呼べるものであり、時代の流れに逆行するものであります。暴力団の排除が目的であれば、暴力団の関与に関する厳しい罰則規定があれば十分であります。
○議長(伊藤宗一郎君) 木村太郎君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。
○木村太郎君(続) 提案議員にお尋ねいたします。五億円以上の資本金と、取締役に弁護士がいなければ暴力団を排除できないわけを明確にお答えください。
 また、競売手続の円滑化等を図るための関係法律の整備に関する法律案では、不良債権の処理がどのような仕組みで進んでいくのか。わざわざ制定するに当たり、現行法制に比べてどの点にメリットがあるのか、提案議員にお答え願います。
 いずれにしましても、不良債権の処理は待ったなしであります。我々も、単に反対するだけではなく、明確な対案を提示し、この緊急課題に対処していくことをここに表明し、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣小渕恵三君登壇〕
○内閣総理大臣(小渕恵三君) 木村太郎議員の御質問にお答えいたします。
 まず、不良債権処理への対応についてのお尋ねでございますが、長期化する景気の停滞とも相まって、多額に不良債権を抱える事態が生じているものの、債権償却特別勘定への積み増し等の努力がなされております。金融機関に対する信頼を一日も早く回復し、金融システムを健全に機能させることが、我が国経済の再生にとって極めて重要であり、そのためにも、金融再生トータルプランに基づき、金融機関の不良債権の抜本的処理に取り組むことが政府の責務であると考えております。
 山一や拓銀をいけにえにしたのではないかとのお尋ねでございました。
 山一や拓銀等の金融機関は、それぞれ個別の事情によりまして破綻に立ち至ったものと考えておりますが、相次ぐ金融機関の破綻により、我が国金融システムに対する内外の信頼が大きく揺らぐという危機的な状況にかんがみ、公的資金の活用により預金の全額保護の徹底及び金融システム安定化を図る体制を整備したものであり、御指摘のような批判は当たらないと考えております。
 長銀の検査についてのお尋ねでございますが、長銀に対する検査につきましては、現在鋭意実態把握に努めているところであり、いまだ終了に至っておりませんが、本年三月期の長銀の自己査定及びそれに対する日銀考査によれば、債務超過ではないと承知をいたしております。
 また、長銀は、本年九月に、合併を前提とした不良債権の抜本的な処理を行うことにより、一時的に過少資本となることから、資本注入を申請する予定であると聞いており、申請がありますれば、金融危機管理審査委員会が、金融機能安定化緊急措置法及び審査基準に基づき判断することとなると思います。
 デリバティブの連鎖の危険性についてお尋ねがございましたが、長銀は、多様なデリバティブ取引を行い、その取引先数も多いなど、国際的に広範囲に業務展開を行っております。今回の合併構想につきましては、日本発の金融恐慌は決して起こさないとのかたい決意のもと、政府としても最大限の支援を行っていきたいと考えております。
 長銀への公的資金投入は不良債権処理のためのものではないかとのお尋ねでございますが、長銀は、本年九月期に抜本的な不良債権処理を行うことにより、一時的に過少資本となることから資本注入を申請するものであり、今後、金融危機管理審査委員会が、金融機能安定化緊急措置法及び審査基準に基づき判断することとなります。
 また、ブリッジバンク制度は、破綻ではない長銀のケースとは異なり、金融機関の破綻に際しては、迅速に金融の危機管理が行える体制を整備して万全を期するためのものであり、導入が必要と考えます。
 長銀の役員等に対する責任追及についてお尋ねでございますが、今回は、長銀が公表したリストラ策におきまして、取締役全員の辞任、役員報酬の削減、役員の退職金の支給停止、旧経営陣からの退職金の返還要請など、経営責任の明確化が図られているものと承知いたしております。
 いずれにせよ、今回の合併構想につきましては、政府として支援すると申し上げているのは、あくまでも金融システム安定性確保のためでありまして、個別銀行の救済を念頭に置いたものではありません。
 長銀への公的資金投入と金融システムへの影響についてお尋ねがございましたが、長銀は、資産規模、取引先数とも大きく、また国際的にも広範囲に業務を展開しておりますことから、仮に不良債権処理に伴い長銀が過少資本ともなれば、市場の厳しい評価を受けることにより、長銀のみならず、金融システム全体に対する内外の信頼が大きく低下する等の問題が生じるおそれがあると考えております。
 行政の恣意性と護送船団方式についてお尋ねですが、公的ブリッジバンクの存続期間は原則二年以内である上、破綻認定の要件につきましても法文上列挙されているなど、ブリッジバンク法案の適用に行政の恣意性が入るとの御指摘は当たらないと考えております。
 また、長銀への対応につきましては、今回の合併はあくまでも両当事者の自主的な判断によるものでありまして、また金融システムの安定化に寄与するものでありまして、護送船団方式であるとは考えておりません。
 不良債権額の開示につきましては、本年三月期から全国銀行が米国証券取引委員会と同様の基準による開示を開始するなど、従来からその拡充を促してきております。しかしながら、自己査定による債権の分類は、適正な償却、引き当てのための金融機関の内部手続であり、金融機関に対して個別にその開示を求めることは、問題があると考えております。
 銀行破綻に関する経営責任の追及が不可欠であるとのお尋ねでございますが、金融機関が破綻に至った場合には、これまでも、経営者は退任し、さらには民事、刑事上の責任を厳格に追及していくとの方針に従いまして対応してきたところであり、今後とも同様の方針により対処していくことといたしております。
 善意かつ健全な借り手の定義につきましてのお尋ねでございますが、公的ブリッジバンクに継承される善意かつ健全な借り手であるか否かについての判定をする基準につきましては、金融危機管理審査委員会において定められ、債務者の債務の履行状況及び債務者の財務内容の健全性に関する基準を含むものでなければならないとされております。したがいまして、悪質で不健全な借り手を公的資金によって救済するといったことにはならないものと考えております。
 不動産関連権利等調整委員会による不良債権処理についてのお尋ねでありますが、債務者の事業の再建等につき関係者の合意が成立し得る場合には、できるだけ合意ベースで弾力的、予防的に措置を講ずることが、再建の可能性を高めることになり、不良債権の迅速な処理に資することから、法的処理以前における合意形成の努力を促進するため、本委員会を設けるものであることを御理解いただきたいと考えております。
 不動産関連権利等調整委員会は、ゼネコン等の救済を権威づける機関となるおそれがないかとのお尋ねですが、本委員会の調停等は、企業の再建等による不良債権処理につき、公正かつ妥当で遂行可能な合意の形成を促進するためのものであり、特定の業種等につき一方的に債務を免除させるというものではありません。また、合意は、本委員会の仲介のもと、利害関係の異なる関係者の経済合理的な判断に基づき形成されるものでありまして、御懸念は当たらないと考えます。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕
○国務大臣(宮澤喜一君) 長銀に対する公的資金の投入の問題につきましては、先ほど総理からお答えがございましたので、省略をいたします。残りました問題は、デリバティブについてのお尋ねでございました。
 長銀の場合、伝えられるところでは、デリバティブの元本は五十兆を超えると言われております。また、取引先数も多いことで、国際的にかなり広い業務と認められます。
 それで、デリバティブにつきましては、いろいろまだルールも完成しておりませんし、先例も乏しいわけですが、例えば、先年、シンガポールで支店長が私的にデリバティブをやりましたために英国のベアリング銀行が倒産したことがございますので、金額の大きさからいいますと、非常に注意をしなければならないことだと思っておりまして、万一のことがございましてこれに支障が生じますと、デフォルトになる危険性はございます。
 そうしますと、日本全体の信用にかかわりまして、総理の言われます日本発の金融恐慌に発展しかねない、そういう種類の問題だというふうに考えております。(拍手)
    〔保岡興治君登壇〕
○保岡興治君 木村太郎議員にお答えいたします。
 債権回収業務は、これまで暴力団員等の反社会的勢力が介入してきた分野と言われておって、今回、債権回収会社を創設するに当たっても、こうした勢力が参入することを防止しようということが最大の眼目でございます。
 したがって、これがニュービジネスで、参入の障壁を設けることとの調和も十分考えた上、最低資本金を五億円とさせていただきました。この金額がある程度高額であること、そして、そのことによっていわゆる会計監査法人による外部監査を受けることになります。
 また、弁護士を関与させることにいたしましたのは、弁護士会の推薦や意見を伺って選ばれる、そういった弁護士の高い法曹倫理に支えられた、専門家としての弁護士が会社の業務に携わることによって、不当な社会的勢力を排除できることに資するものというふうに考えて、このような規定にさせていただいた次第でございます。(拍手)
    〔石原伸晃君登壇〕
○石原伸晃君 私からは、木村議員お尋ねの競売についてお話をさせていただきたいと思います。
 不良債権を実質的に処理するためには、担保となっております不動産を売却いたしまして、その代金から債権の回収を図る必要がございます。競売手続は、裁判所におきまして担保不動産を売却して債務の弁済に充てますとともに、その不動産をめぐる権利関係を強制的に清算する手続でございます。その円滑化、迅速化を図ることは、担保不動産の流動化並びに不良債権の実質的な処理の推進に極めて重要と考えている次第でございます。
 また、現行制度に比べてどのようなメリットがあるのかというお尋ねでございますけれども、委員も既に御承知のように、現行の競売手続制度というものは、手続が遅滞をいたしまして、関係者のニーズというものに十分こたえていないという批判があるところでございます。
 そこで、今回の法律案では、不当な執行妨害行為による手続の遅延を防止するための措置や、手続の簡素化、迅速化を図るための措置、競売市場を広く一般の国民に開かれたものとするため、買い受け人の銀行ローンの活用を図るための措置等を講ずることといたしまして、円滑かつ迅速な競売手続を実現しようとするものでございます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(伊藤宗一郎君) 仙谷由人君。
    〔仙谷由人君登壇〕
○仙谷由人君 私は、民主党を代表し、金融安定化関連六法案のうち、不動産権利関係調整法案等五法案を中心に、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 小渕総理、柳沢国土庁長官、中村法務大臣、宮澤大蔵大臣、あなた方は何をしようとしているのですか。
 私は、この権利調整法の法案を一見したときに、この提案の真意をはかりかねました。明治憲法によって成立させた近代国家の仕組みの中で、大津事件以降、曲がりなりにも維持してきた司法の独立をないがしろにしかねない一大事を、なぜにしでかそうとしているのか。極めて一般的な社会的な病理現象であります担保つき消費貸借契約に基づく債権の回収にかかわる紛争の解決機能を、裁判所からもぎ取って、行政の権限内になぜに取り込もうとしているのか。
 このような司法の独立、つまり司法権の及ぶ範囲を侵すことによって失うものは余りにも大きく、国家の背骨ともいうべきものを打ち砕いてしまうことになるとの危惧を禁じ得なかったのであります。
 しかし、去る八月二十一日に発表された日本長期信用銀行の住友信託銀行との合併に向けた経営改善策と、これを受けた総理及び大蔵大臣、金融監督庁長官、この各談話を拝見いたしまして、ようやくこの恥知らずな企図を感得したのであります。
 すなわち、長銀救済のスキームは、長銀は株主の責任及び負担をほとんど問うことなく、日本リース、日本ランディック、エヌイーディーに対する債権計五千二百億円を放棄し、あるいは他の債務者に対する分を含め、合計七千五百億円を引き当て、償却するなどと、国民にとってもあたかもいいことであるかのようにうたい上げ、これを受けて政府は、相当部分、担保権で担保されたこの債権の放棄を税の世界でも不良債権償却として認めた上に、加えて、五千億円を超えて一兆円にも達する国民の税金を資本注入名目で与える支援をするなどと言明したことで、この法案の本質を理解することができたからであります。
 総理、そもそも長銀の日本リース、日本ランディック、エヌイーディーへの貸付金債権は、九八年三月期決算では何分類の債権であったのですか。約定利息は、長銀に対して支払われていたのでしょうか。長銀は、これらの債権回収につき、従来どのような努力をしていたのでしょうか。
 大蔵大臣、この七千五百億円の債権償却を、当然のことのように、税務会計上も損金算入を認めるのでしょうか。また、その受け手である日本リース等については、債務免除益の発生の認定をしなければならないと思いますが、どうお考えでしょうか。
 結局、長銀の改善策は、政府との結託によって、国民の税金を資本注入という口実のもとに長銀がもらい受けるという裏づけを得て、バブルのユーフォリアの中で長銀の代役として踊らせた系列ノンバンクに、たまりにたまった不良債務の支払いを免除するものであります。
 そして、長銀改善策の発表によって、国民の税金投入という裏打ちのもとで、権利調整委員会の調停というお墨つきを得ることができれば、銀行、債務者、株主も何のとがめも受けずに、銀行は税を減免され、債務者は銀行からの借金を支払わなくてもいいという制度、換言すれば、借金棒引きと税の減免にお墨つきを与える機関が、ここに権利調整委員会として創設されようとしていることが明らかになっているわけでございます。
 そこで、質問をいたします。
 総理、このような特典を受けることのできる債務者は、何らかの資格が必要なのでしょうか。
 つまり、自然人であろうと法人であろうと、制限はないのでしょうか。その借り手が、サラリーマンであろうと個人営業者であろうと、株式会社であろうと有限会社であろうと、差別はされないのでしょうか。資本金額の別で、あるいはゼネコンであろうとノンバンクであろうと不動産業であろうと、その業種にも関係なく適用されるのでしょうか。残債務の額の大小、借金をした原因や、調停までに完済をしなかった理由にも全く関係なしにこの法律は適用されるのでしょうか。
 もし仮に、右の質問のすべてにイエスとお答えになるのであれば、債務者にとってはこんないい制度はありません。
 まずは、阪神・淡路大震災という天災によって、住宅ローンの残った家屋やマンション、それらの家屋やマンションが壊れた方々の残債務の免除を一斉に行うべきであります。次には、バブルの渦中に住宅ローンを借りて、このデフレの中で弁済に苦しむ多くのサラリーマンの残債務をすべて免除したいという調停に、銀行等が応ずるべき旨の施策を直ちに行うべきだと考えますが、いかがでしょうか。明確な答弁をいただきたいのであります。(拍手)
 政府が、サラリーマンや阪神・淡路大震災の被害者についてはこの法律は適用されないというのであれば、その規定及び適用において、差別を定めたものとなります。また差別的運用を行うということになります。明らかに憲法第十四条に違反することは、極めて明瞭だと思います。総理のお考えを伺います。
 ごく常識的に考えますと、銀行から借金をしている人の債務、不動産担保ローンに限りましても、これを全部免除するということによって発生する事態は、想像するだに恐ろしいことであります。まず銀行業は成り立ちません。国民の税金を銀行に投入するとすれば、財政は完全に破綻します。
 債権放棄の対象となる債権と、対象外のものを、どこで一線を引いて分別をすることができるのでしょうか。結局のところ、貸し手側である銀行が、申請された債務免除の調停に応ずるか否か、いかなる金額につき債務免除をするか、銀行の恣意、もしくは調停委員や権利調整委員会事務局の強制や、資本注入というえさをぶら下げての裁量にゆだねる以外にはないのであります。
 銀行がバブル期に得意先に慫慂し、そして共犯者として勧めた不動産や株式やゴルフ会員権あるいは絵画の購入のためのその融資の相当部分を、銀行の好みでカットするということになりましょう。極めて恣意的な裁量に満ち満ちた、アービタリーな制度というべきであります。
 バブルに踊った者たちが何らの社会的な制裁を受けず、特別利益を得、とがを受けるいわれのない国民がこの補てんを強いられるということなど許されないという常識を放てきするおつもりなのですか。総理、御見解をお伺いいたします。
 そして、何よりも憂慮すべきことは、主としてゼネコン、ノンバンク、不動産業を対象にして債権放棄をするということが予測をされるわけでありますが、これらの人たちが、借りたものでも返さなくてもよい、返済にきゅうきゅうとしなくてもハッピーに生きていける、経営者としてその地位を追われることもなく、出資者も株主もその出資金を毀損されることもない、こんな世界をつくっていいのでしょうか。(拍手)
 借りたものは返すということは、コモンセンスではないでしょうか。これは、近代契約法の成立をまつまでもなく、日本において、貨幣の出現とともに確立した社会生活上初歩的な規範であります。
○議長(伊藤宗一郎君) 仙谷由人君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。
○仙谷由人君(続) 総理、この権利調整法が行おうとするものが、日本人と日本の経済社会の倫理と精神を、そしてこんな初歩的なコモンセンスさえも投げ捨て、何でもありの社会をつくることになるとはお考えになりませんか。見解をお示しいただきたい。
 総理が、裁判所の調停や債権回収機能につき、その処理スピードに懸念を抱いているとするならば、時限を限ってでも、予算上の配慮を十二分に行った上で、各地方並びに簡易裁判所に、特別部の開設や担当職員の増員等の措置をすることこそ急務だと考えますが、いかがでしょうか。
 この権利調整委員会の守備範囲は、余りにも一般的な担保つき金銭消費貸借という、法律関係上の紛争を取り扱うというものにすぎないのでありまして、既に述べたところから明らかなように、こんな制度をつくり運用することによって、国家の背骨をぐちゃぐちゃに砕いて、加えて日本人にモラルハザードを蔓延させる、それは日本の将来に極めて大きな禍根を残すと深刻に憂えております。
 総理、このような司法権の独立を侵し、人に対する差別的そのもので、二重の憲法違反である法案、そして施行するや日本じゅうをモラルハザードの大波に巻き込むこと疑いようのないこの法案を直ちに撤回されるように要求いたします。(拍手)
 次に、保岡興治君外三名提出の債権管理回収業に関する特別措置法案について質問いたします。
 国家公安委員長にお聞きいたします。
 関西地方を中心に、取り立て屋、整理屋が多く存在することは御存じでしょうか。いわゆる私的整理のうち相当のパーセンテージがこの者たちに仕切られているということを知らないはずはありますまい。そして、この者たちが暴力団構成員や準構成員であったり、企業舎弟と呼ばれたり、この者たちが既に大きな資金量を有していることを御存じだろうと思います。債権回収会社、いわゆるサービサーが、取り立て屋や整理屋の活動に合法性の衣を与え、悪質な取り立てを防止する、そのためには、弁護士を役員にするだけでは不十分であると考えます。
 サービサーが新たな暴力団等の資金源となる可能性について、どのようにお考えでしょうか。
 以上をもちまして、金融五法案に関します私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
    〔内閣総理大臣小渕恵三君登壇〕
○内閣総理大臣(小渕恵三君) 仙谷由人議員にお答え申し上げます。
 長銀の貸出先の状況についてのお尋ねでございましたが、個別金融機関の個別の貸出先に関する分類の状況、約定金利の支払い状況、債権回収の状況等につきまして開示することは、取引先に不測の損害を与えるとの問題があるほか、場合によって信用秩序維持に不測の影響を及ぼすおそれがあることなどから、これらを開示することは差し控えさせていただきたいと思います。
 不動産関連権利等調整委員会の調停等の対象につきましてのお尋ねでございましたが、本委員会は、企業の再建等による不良債権処理のため、関係者の公正、妥当な合意を形成するよう調停等を集中的に行うためのものであり、調停等の成立は関係者の合意に基づくもので、特典というべきものではありませんが、調停等の対象となる企業につき、事業の規模や業種その他による制限はありません。
 不動産関連権利等調整法案が住宅ローンに適用されるかとのお尋ねでございましたが、本法律案は、現下の経済情勢にかんがみ、債務者の事業の再建によって債務の弁済可能性を高め、不良債権処理の促進を図るべく、集中的に調停等を行うものであり、事業を営まない個人の債務は対象としておりませんが、これは法目的に照らして合理的な取り扱いであり、憲法の平等原則に反するとの御指摘は当たらないと考えます。
 債権放棄の対象についてのお尋ねでありますが、不動産関連権利等調整委員会による調停における合意等は、関係者の経済合理的な判断に基づく公正かつ妥当で遂行可能なものであり、これによる債権放棄等については、合理的な経済取引というべきものでありまして、特定の者に特別の利益を与え、国民にその補てんを強いるものとの御懸念は当たらないと考えております。
 不動産関連権利等調整法案が、借りたものは返すという規範を否定するとの御指摘でありますが、債務者への支援は、その事業の将来性等を踏まえ、債権者、債務者双方にメリットがある場合に、合意に基づきなされるものでありまして、債務者においても自助努力を行って再建を図っていくものでありまして、本制度が初歩的なコモンセンスを否定するとの御指摘は当たらないと考えております。
 裁判所の担当職員の増員等の措置が急務ではないかとのお尋ねでありますが、本法案を提出した趣旨は、金融の現状にかんがみ、金融機関の債権処理の促進のため、担保不動産等に関連する権利等の調整を適切に行うことにありまして、裁判所の調停等の処理期間に懸念を抱いたことにあるものではありません。
 不動産関連権利等調整法案は撤回すべきとの御主張でございますが、委員会が行う調停等は、当事者間を仲介し、双方の互譲に基づき合意の形成を図るものであり、司法権の行使とは異なるものであります。本法律案は、さきに述べましたとおり、差別的なものでも、モラルハザードを招くものでもなく、撤回することは考えておりません。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁いたさせます。(拍手)
    〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕
○国務大臣(宮澤喜一君) 私には、長銀のリストラ策の中で債権放棄をした場合の課税関係についてお尋ねがございましたが、これは、現実にはまだ起こっておりませんので、一般論として申し上げることをお許しいただきたいと思います。
 法人が子会社あるいは取引先等に対して、一定のリストラ計画、再建計画に基づきまして、債権放棄等を行いました場合には、これを寄附金であると考えるのはいかにも現実には酷であろう。リストラの一部でございますから、その場合には、法人税の所得金額の計算上、損金に算入するのが普通であろうと、一般論でございますが、思います。
 他方で、そのような債務免除を受けました側は、これは一般論で申しますと、やはり債務免除益を受けたものと考えるのが普通と思います。その場合は、益金として課税されます。(拍手)
    〔国務大臣西田司君登壇〕
○国務大臣(西田司君) お答えをいたします。
 取り立て屋及び整理屋が多く存在することについてのお尋ねでありますが、債権回収については、御指摘のような形での暴力団の不当な介入が見られると認識しております。警察において所要の取り締まりを行い、適切に対応しているものと考えております。
 次に、サービサーが暴力団や総会屋の資金源となる可能性についてのお尋ねでありますが、暴力団等が債権回収に介入し、これを資金源とすることが懸念されるところであり、このため、この法律案においては、暴力団関係企業等を許可の対象から外すなどの措置が講じられているものと承知しております。
 そこで、警察としてはこの法案で十分であるかというお尋ねでありますが、この法案においては、暴力団排除に警察庁長官が協力する仕組みが整えられており、これにより暴力団排除の目的を達成できるものと考えております。私といたしましても、その適用の万全を期するよう警察庁を督励していく所存でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
    〔議長退席、副議長着席〕
○副議長(渡部恒三君) 加藤六月君。
    〔加藤六月君登壇〕
○加藤六月君 私は、自由党を代表して、政府提出、金融再生トータルプラン二法案に対し、質疑をいたします。
 質疑に先立ち、先般、ロシアの大統領が、下院における辞職勧告の可決を受けて、全閣僚を退陣させました。しかも、みずからの手で解任したチェルノムイルジン氏を首相代行に任命し、さらにルーブルの切り下げなども伴い、ロシア情勢は混乱をきわめております。
 総理は、前内閣の対ロシア外交方針を継続すると述べられましたが、総理の方針にお変わりないか、まずもってお伺いいたします。
 さて、政府は、長銀に公的資金を投入することを決めました。長銀問題については、自民党に対する四千二百万円もの政治献金疑惑や、かつて退職した役員に二十五億円とも報道されている退職慰労金を支払った問題等について、大蔵委員会において解明のための開会を強く要求いたしましたが、政府・与党はこれを拒否し続けてまいりました。
 しかるに今回、八月二十日、総理公邸に住友信託銀行の社長を呼びつけ、総理、大蔵大臣、官房長官が合併を強要するなど、余りにも露骨な政治介入であり、もはや法治国家の体をなしておりません。これは超法規的措置であり、国民を愚弄し、国会を軽視するものであります。これでは、いつまでたってもわが国金融システムの安定は望むべくもありません。(拍手)
 法案の質疑に先立って、お伺いいたします。
 第一に、政府は、本年三月に、健全な銀行として長銀に公的資金千七百億円を資本注入いたしましたが、果たして審査基準はクリアしていたのでしょうか。今日、長銀が破綻寸前までに追い込まれていることについて、責任をどのようにお考えですか。
 第二に、長銀に新たな公的資金を投入するのは、現行法上でも可能なのですか。また、金額は幾らなのでありますか。
 第三に、長銀は債務超過ではないのですか。関連企業に債務を隠し、飛ばしている実態は絶対にありませんか。関係会社を通じて、有名な不動産屋歌手に多額の融資をしていたという報道もあります。これらは不良債権になっていないのですか。
 第四に、このような従来型の救済合併、護送船団方式を今後も続けるおつもりでございますか。
 第五に、総理、大蔵大臣は、さきの予算委員会においても、大手銀行に対してはブリッジバンクは適用できない、あるいは適用すべきではないといった趣旨の答弁をしておられます。実際には使えないものを、なぜ国会に提案されるのか。ブリッジバンク法案が必要かどうかにかかわる重大な問題であります。ブリッジバンクは、現実の問題として、規模の大小を問わず適用できるのですか、明確にお答えいただきたい。
 第六に、大蔵大臣、日本銀行総裁は、国際的影響とたびたび述べておられますが、国際的影響が大きいのは大銀行に限ったものではありません。国際的影響が大きい各種大企業すべてを公的資金で救済するおつもりでございますか。ツー・ビッグ・ツー・フェール、つまり、大き過ぎてつぶせないということをどのようにお考えですか、答弁を求めます。
 政府みずからの法案不備の責任を国会に押しつけて、この法案が通らないと大変なことになる、一刻も早く成立させていただきたいと言われますが、これは、まさに二年前の住専国会と同じ構図であります。
 住専国会においても、政府・自民党は、この法案が成立しなければ金融システム不安が起こると言い、預金を取り扱わない住専の処理に六千八百五十億円の血税を投じました。しかし、不良債権処理の見通しは全く外れ、北海道拓殖銀行や山一証券が破綻しました。住専処理以降の政策は、隠ぺい、場当たり、先送りの連続であり、これらの失政が積み重なって今日の金融不安を招いているのであります。(拍手)
 我々自由党は、不良債権問題に決着をつけた上で、金融ビッグバンを開始せよと主張してきました。政府の政策手順は、明らかに誤っております。
 金融システムの安定とは、金融機関の健全化ということにほかなりません。優勝劣敗による淘汰、自己責任と市場原理を生かして、我が国金融機関の体質強化を行わなければなりません。市場メカニズムを尊重し、預金者保護、金融システムの維持に万全を期すのが正しい政策態度であります。また、行政介入を減らすことこそ、透明性を高め、信頼を取り戻す唯一の方策なのであります。
 政府・自民党が提案しておられる金融再生トータルプランは、自己責任に基づく金融行政、護送船団行政からの脱却という方向性とは全く逆であります。ブリッジバンクは、破綻金融機関に生命維持装置を取りつけ、公的資金を際限なく投入する道を開くものであります。
 お尋ねいたします。
 第一に、現在、金融監督庁と日本銀行が大手十九行に検査、考査に入っております。この検査に基づき、具体的な不良債権償却や引き当てのめど、海外業務からの撤退やリストラを促すような業務改善命令を示すおつもりはあるのかどうか。加えて、長銀のリストラ計画の発表と今回の検査は関係があるのですか、ないのですか。
 第二に、この検査結果に基づいて破綻認定を行うのですか。また、公的資金を投入する場合には、検査結果を公表するべきであります。
 第三に、五年もの存続期間を設定してしまえば、預金者は急速に預金を引き出す一方、本当に健全な借り手は他の金融機関へ移り、結局、不良債権や問題債権ばかりがブリッジバンクに残るのではありませんか。
 第四に、生きているのか死んでいるのかわからないような金融機関を五年も公的資金により存続させたり、弱い金融機関を合併などで無理やり存続させても、健全金融機関に害を与え、市場から拒絶反応が起こされるのではないですか。
 第五に、これらの問題債権は、ブリッジバンクが閉鎖された途端、つまり政府が融資を打ち切った途端に倒産し、不良債権となってしまうのではありませんか。
 以上、明確な答弁を求めます。
 次に、不動産関連権利等調整委員会等について、お伺いいたします。
 委員会を隠れみのに、債権債務関係を談合により帳消しし、無税償却範囲を拡大するのは、形を変えた公的資金の投入にほかなりません。安易な債権放棄の促進は、借り手のモラルハザードを生じさせます。
 総理にお伺いいたします。
 第一に、錯綜した権利関係を調整するというのなら、なぜ強制力を持たせなかったのですか。
 第二に、調停等の対象を企業の再建を目指す場合としておりますが、不良債権問題の大半は、再建困難な企業に係る担保不動産であります。案件が余りにも限定されてしまうのではないですか。
 第三に、債権を放棄された企業は、実質破綻認定を受けたも同然であり、その後も経営を続けていけるとお考えでしょうか。
 第四に、調停が不調であった場合、その案件は解決不可能ということになり、塩漬けになってしまうか、結局、倒産法によって解決する事態に追い込まれるのではありませんか。
 本来、我が国の金融システム安定のための議論が行われなければならないはずのこの臨時国会が、破綻金融機関処理のみの議論に終始していることはまことに残念であり、憂慮すべき事態であると言わざるを得ません。
 預金者は、預金保険により全額保護されております。また、公的受け皿銀行をつくっても、決済システムの維持に国や日本銀行が責任を負って、デフォルトを起こさないようにするのは当然であります。借り手は、信用保証協会と中小企業信用保険公庫などを拡充強化することによって支援することが十分可能です。つまり、ブリッジバンクは、逆に問題点の方が多く、つくるべきではありません。破綻金融機関は例外なく清算するべきであります。
 また、政府は、不良債権問題を処理すれば景気が回復すると言われますが、その考えは誤っており、むしろ逆であります。これまで不良債権の処理が進まなかった最大の原因は、欧米の例を見るまでもなく、政府・自民党が景気回復最優先政策をとらなかったからであります。景気が回復すれば、第二分類と言われる債権は健全債権となります。また、金融機関の体力が回復すれば、償却するなり売却するなり、処理することが可能となります。不良債権そのものや担保となっている不動産の買い手も、景気が回復すれば続々あらわれてきます。
 我々自由党は、不良債権を抜本的に処理する、そのために、消費税を三%に、行革減税により所得税、住民税を半分に、法人税を国際水準に、民法上の特例や刑事訴追権を付与した強力な不良債権回収機関の設立、これらのことを一貫して主張してきた唯一の党であります。(拍手)
 金融再生トータルプランには、競売手続の迅速化やサービサー設立のための法案も含まれておりますが、これらはすべて、景気が回復しなければ機能しないものばかりであります。
 最後にお伺いいたします。
 この金融システム不安は、政府を初めとする監督当局や金融機関に対する信用不安が原因であります。国民から信任を得ていない小渕自民党内閣に、金融システム不安解消ができるわけなどありません。総理の御所見を伺い、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣小渕恵三君登壇〕
○内閣総理大臣(小渕恵三君) 加藤六月議員にお答え申し上げます。
 対ロ政策についてまずお尋ねがございましたが、今回のロシア内閣の総辞職は、基本的にロシアの経済金融情勢の混乱を受けた内政上の問題が原因であると考えられ、ロシアの対日政策に大きな変更はないと考えております。我が国といたしましては、日ロ関係の今までの流れを変えるつもりはなく、ロシア側との間で、さきのクラスノヤルスク及び川奈会談での合意に基づいて、関係の前進を図っていく考えでございます。
 本年三月の長銀への資本注入についてのお尋ねでありましたが、資本注入に当たりましては、審査基準に基づき、金融危機管理審査委員会の厳正な審査を経て決定されたものと認識しております。また、長銀につきましては、破綻ではなく、本年九月に合併を前提とした抜本的な不良債権処理を行うことに伴い、一時的に過少資本となることから、資本注入を申請するものと承知をいたしております。
 長銀に対する公的資金の注入についてでございますが、公的資金の注入及びその額につきましては、金融機関からの申請を受けまして、まず金融危機管理審査委員会において、金融機能安定化緊急措置法及び審査基準に基づき判断されるものでございます。政府といたしましては、本合併構想が我が国の金融システムの安定と国民経済の円滑な運営に資するとの観点から、最大限支援を行っていきたいと考えております。
 長銀は債務超過ではないかとのお尋ねでございますが、本年三月期の長銀の自己査定及びそれに対する日銀考査によれば、債務超過ではないと承知いたしております。また、長銀を含め主要十九行に対する今回の検査におきましては、被検査金融機関のみならず、当該金融機関を通じ、関連会社についても、その資産内容の的確な実態把握に努めておるところでございます。
 今回の長銀支援についてのお尋ねでございますが、住友信託と長銀の合併構想は両行の経営戦略に基づいた合併であり、また、これを円滑に実施するために長銀が申請することとなる資本注入に対しても、政府として、金融機能安定化緊急措置法の趣旨を踏まえ、審査基準に沿って適切に対応するものであり、従来型の救済合併、護送船団方式との御批判は当たらないと考えております。
 ブリッジバンク制度の適用についてのお尋ねでありますが、ブリッジバンクの制度は、金融機関の破綻に際して、民間の引受金融機関が登場しない場合でも、金融システムの安定と預金者保護を確保し、迅速に金融の危機管理が行える体制を整備して万全を期するためのものであり、預金保険法上の金融機関であれば、規模の大小にかかわらず適用対象となります。
 国際的な影響が大きい銀行はすべて公的資金で救済するつもりかとのお尋ねでございますが、今回の住友信託と長銀との合併構想につきまして政府として支援すると申し上げておりますのは、個別行の救済を念頭に置いたものではありません。いずれにせよ、内外の金融システムに重大な支障を生ずることのないよう対処することを基本に、法令にのっとり、最善と思われる措置を講ずる所存でございます。
 検査報告に基づいて業務改善命令を発出するかとのお尋ねでありますが、現在行われておる主要十九行に対する検査の結果、必要がありますれば、早期是正措置に基づく業務改善命令等、厳正な対応を行うことといたしております。
 また、今般発表されました海外業務からの撤退等の長銀のリストラ計画につきましては、住友信託銀行との合併に向けた取り組みの一環としてのものであると認識しており、現在行われている同行に対する検査と直接関係するものではございません。
 検査結果に基づいて破綻認定を行うかとのお尋ねでありますが、先ほども申し上げましたとおり、検査の結果、必要がありますれば、早期是正措置に基づく厳正な対応を行うことといたしております。
 他方、個別金融機関の検査結果の公表につきましては、取引先に不測の損害を与えたり、個別私企業の経営内容を当事者の意に反して開示することになる等の問題があるほか、場合によりましては信用秩序維持に不測の影響を及ぼすおそれがありますので、公表することは適当でないと考えております。
 公的ブリッジバンクには不良債権ばかりが残るのではないかとのお尋ねでございましたが、公的ブリッジバンクは、善意かつ健全な借り手に係る債権のみを引き継ぐことなどから、基本的に健全な財務内容を持った金融機関であり、原則として二年以内に民間金融機関への速やかな移管を図ることといたしておるところでございます。
 金融システムの安定についてのお尋ねでございました。
 今般のブリッジバンク法案は、個別金融機関の救済ではなく、預金者保護や、善意かつ健全な借り手の対策に資するものでありまして、金融再生トータルプランのその他の項目の実施と相まって、不良債権の抜本的処理及び金融システムの安定化に万全を期するものでございます。
 公的ブリッジバンクの問題債権についてのお尋ねでございましたが、公的ブリッジバンクは、善意かつ健全な借り手に係る債権のみを引き継ぐことなどから、基本的には健全な財務内容を持った金融機関として、民間金融機関への速やかな移管が期待されるところであります。
 不動産関連権利等調整委員会に強制力を付与しないのかとのお尋ねでございました。
 本委員会は、不動産の効果的な処分を通じた債務者の事業の再建等を図りますが、これは同時に、債権者の債権を健全なものとする効果があります。こうした案件は、本委員会の仲介を得て、関係者が経済合理性に基づいて判断し、任意の合意に基づき解決することがふさわしいと考えております。
 本委員会の対象案件が限定されるとの御指摘でございますが、事業の再建の見込みのある債務者については、さらなる経営悪化による債務の一層の不良化を防止するためにも、集中的に早期処理を図る必要があります。また、このような債務者に係る事案につき、中立的な第三者の調整が求められるケースも相当あると考えております。
 債権を放棄された企業がその後も経営を続けられるかとの御質問でございましたが、本委員会の調停等は、企業の再建等を通じて不良債権の処理を図るため関係者間の合意を促進するものであり、また、従来におきましても、事業の再建のため、関係者の債権放棄等の支援を受けつつ、債務者が自助努力で再建を図るという例が見られるところであります。
 調停が不調の場合についてのお尋ねでしたが、本委員会は、再建可能性のある企業につき、倒産法制の適用に至る前に、関係者間の合意に基づき、不動産の任意処分を可能にすること等により、できる限りその再建等を図っていこうとするものであることは御理解いただきたいと考えます。
 最後に、政府といたしましては、経済、金融の状況が大きく変動する中で、金融システムの安定性確保を図るため、これまで、その時々で必要とされる施策をとるべく努めてきたところでございます。今後、行政のあり方として、裁量的な事前指導行政からルールに基づく事後チェック型行政への転換の流れが徹底されることとなると考えます。
 政府といたしましては、金融再生トータルプランに盛り込まれた措置の早期かつ一体的な実現に努めることによりまして、金融機関の不良債権問題の解決に取り組んでまいりたいと思っております。
 以上、お答えを申し上げました。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕
○国務大臣(宮澤喜一君) 大部分総理が御答弁になられましたので、一、二点申し上げます。
 本年三月、長銀へ資本注入したときのことでございますけれども、審査基準がございまして、それに基づきまして、金融危機管理審査委員会が厳正な審査を経て決定いたしました。その間、問題はなかったと承知をいたしております。
 それから、ブリッジバンクのことでございますが、私どもは、委員会におきましても、これは大小にかかわらず適用があるということを申し上げてまいりましたが、御質問の中に、それは形式的なことであって、実務的には大は無理であろうというお尋ねがございましたのですが、先ほど畑議員にこれは申し上げたことでございますが、仮に、仮にでございますが、大銀行が別に合併などの構想がないままに破綻してしまいました場合には、実は救済の方法が極めて少ない。破綻しておりますから、公的な資本を投入することができません。預金者は保護されますけれども。結局、そうなりました場合には、だれも合併相手がおりませんから解散せざるを得ないということになろうかと思いますが、それは大変ゆゆしい事態でございます。
 これに対して、ブリッジバンクの制度を発動いたしますれば、これは公的管理のもとに入りまして、そして優良なお客さんが保護されるのみならず、二年間は少なくとも内容がよくなりますので、というのは、不良財産を回収銀行が買えますので、内容がよくなりますので、二年間の間に合併の相手、それを買おうという人があらわれるチャンスはかなり大きいと思われます。
 そういう意味で、そういう不幸な場合にはブリッジバンクが大銀行にも適用されて、非常に意味がございますし、また実際、そういう場合に、恐らく預金保険機構自身が金融管理人になることもあり得る。法律はそれを認めておりますので、そういう意味で大銀行に対しても適用がある、こういうふうに考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(渡部恒三君) 佐々木憲昭君。
    〔佐々木憲昭君登壇〕
○佐々木憲昭君 私は、日本共産党を代表して、いわゆる金融再生関連六法案に関し、総理並びに大蔵大臣に質問をいたします。
 前提としてただしたいのは、長銀に対する税金投入問題であります。
 自民党政府の失政によって引き起こされた消費不況のもとで、中小企業の多くは、手形が落ちなければ首をくくらなければならないと悲痛な声を上げ、実際痛ましい自殺者が相次いでおります。ところが政府は、それを放置したまま、なぜ、冷酷な貸し渋りを行っている大手銀行、長銀に対して、六千億円とも一兆円とも言われる莫大な税金を投入するのでしょうか。金融システムの安定のためと言いさえすれば、何をやっても許されるのか。多くの国民が怒りの声を上げております。
 長銀や関連ノンバンクの不良債権が一体なぜつくられたのか、だれに責任があるのか、肝心かなめのこれらの点について、情報公開も責任追及も一切ありません。乱脈に乱脈を重ねた日本リース、エヌイーディーなど、関連ノンバンクに対する長銀の融資を棒引きにしてしまえば、不良債権の実態をやみからやみに葬ることになるではありませんか。まさにノンバンク徳政令であります。しかも、それを税金で穴埋めする、こんな暴挙は絶対に許すわけにはまいりません。国民が納得できる説明を求めます。(拍手)
 宮澤大蔵大臣は、住友信託銀行の高橋社長に対し、必要なら資金は幾らでも出します、こう述べて、合併を説得したと言われています。一体、何を根拠にそのようなことが言えるのでしょうか。長銀は、もはや健全銀行ではありません。このような銀行にそもそも資本注入ができるのでしょうか。政府が否定していた個別銀行の救済に当たるのではありませんか。また、不良債権の償却に公的資金を充てることがなぜ許されるのでしょうか。答弁を求めます。
 政府は、税金投入を決めたわけではないと言い逃れをしています。しかし、大蔵大臣や日銀総裁、金融監督庁長官の談話は、長銀への資本注入について、金融システムの安定に資するので申請があれば適切に対応していくと判を押したように述べています。これは事実上の公的資金投入のゴーサインではありませんか。明確な答弁を求めます。
 住友信託銀行の社長は、正常債権しか引き取らないと述べ、合併後に改めて資本注入の申請を出すと言われています。これでは、税金の二重取り、三重取りになるではありませんか。どんな乱脈経営をやっても最後は税金で面倒を見てくれるということになれば、銀行の甘えをますます増長させることになり、結果として金融システム全体の弱体化につながることになります。金融システムを守るというなら、銀行の甘えを正し、厳格なルールに従わせることこそ求められているのであります。
 昨年十一月に発表されたアメリカ財務省リポートは、モラルハザードの防止について言及し、もし市場関係者が、自分たちが誤りを犯しても常に政府が救済すれば、彼らは失うものは何もなく、どのようなリスクを冒しても得るものばかりとなってしまう、このように述べ、納税者に負担をかけない原則を強調しているのであります。総理、アメリカのこの到達点から真剣に学ぶべきではありませんか。
 次に、法案の内容についてお聞きをします。
 この仕組みの最大の特徴は、さまざまなルートで公的資金の投入を可能にしていることであります。宮澤蔵相はマスコミのインタビューで、足らなければ幾らでも積むと述べています。これは、三十兆円にとどまらず、事実上無制限に公的資金を投入しようとするものではありませんか。一体、幾ら投入するつもりでしょうか。
 この点について小渕総理は、我が党の不破哲三委員長の本会議質問に対し、今後の不良債権の処理に伴う公的資金の額を現時点で予測することは困難と答弁をいたしました。全く無責任であります。公的資金を投入する仕組みはつくるけれども、その額がどんなにふえても構わないというのでしょうか。改めて明確な答弁を求めます。
 第一の問題は、国民に三十兆を超える負担を押しつけながら、銀行業界に一円も新たな負担を求めていない点であります。多少でも負担をさせるというなら、銀行業界に幾ら負担をさせるのか、具体的に答弁をしていただきたい。
 破綻した銀行の預金者を守り、まじめな借り手を保護することは当然であります。しかし、そのためのコストはあくまでも銀行業界が負担すべきであります。これは、政府・自民党が手本とするアメリカのブリッジバンクでも、戦前の金融恐慌のときに受け皿銀行として設立された昭和銀行でも貫かれた当たり前の原則であります。
 みずからの責任と負担で処理する原則を確立してこそ、金融業界の中にこの問題に真剣に取り組む姿勢が生まれ、コストも最小限に済ませるという自己規律も働くのであります。その決意は全くないのか、答弁を求めます。
 第二は、ブリッジバンク法案の最大の眼目としている借り手保護の問題についてであります。
 この問題で重大なのは、どこまでが処理を急ぐべき不良債権か、この点をはっきりさせることであります。ノンバンクやゼネコンなどへの投機的目的の融資かそうでないかは、稟議書などを見ればすぐにわかることであります。不況のもとで赤字経営に陥っている中小企業を一律に不良債権として扱うことは、厳に戒めなければなりません。
 ブリッジバンクは、破綻銀行の債権のうち、善意、健全な借り手のものだけ引き継ぐとされています。しかし、その判断基準は極めて不明確であります。法案には善意という言葉は一言もありません。経営の健全性、すなわち赤字か黒字かという資金回収の可能性のみが重視される仕組みになっているのであります。
 これでは、融資をきちんと返済し、まじめに働いている中小企業を、財務内容が赤字だという理由だけで不良債権として扱い、切り捨てることになるではありませんか。七割以上が赤字の中小企業は、融資の継続を受けられなくなることは明らかであります。
 この点について指摘した我が党の質問に対し、宮澤蔵相は、実はその点は私も憂いを同じくしていると述べました。しかし、憂いで済む問題ではありません。善意の借り手保護の保障のない本法案は、看板に偽りありと言わざるを得ないのであります。(拍手)
 大手金融機関は、金融ビックバンに対応して、国際舞台で新たな大もうけを上げるため、中小企業への資金提供という公共的役割を放棄し、中小企業がつぶれても海外で資金の投機的運用を行えばよい、こういう立場に立っているのであります。
 先日、我が党は、血税を投入された大手銀行が、翌月には、順調に返済中の貸出先に対しても資金回収を指示していたことを示す内部文書を明らかにし、露骨な中小企業つぶしだと追及しました。このような大手銀行の横暴を正す強力な行政指導こそ政府に求められているのではありませんか。答弁を求めます。
 第三は、不動産関連の権利等調整委員会についてであります。
 その目的は、関係者が合意し、合理的な再建計画が策定されれば、金融機関が放棄した債権を損金として扱って税金をまけ、その一方、借り手の方も、本来益金となるべき債務免除を過去の損失と相殺できるようにし、ここでも税金がまけられるようにするものであります。これは、ゼネコン、不動産、ノンバンクなどの借金の棒引きであり、まさに形を変えた税金の投入ではありませんか。バブルに踊ったゼネコンなどへの徳政令にならない保証は一体どこにありますか。
 また、調停や仲裁などの内容は公表しないとされています。これでは、密室で公金を配分するに等しいではありませんか。納得いく説明を求めます。
 景気対策を重視するなら、このような銀行支援策ではなく、冷え込んだ国民生活への支援こそ優先されるべき課題であります。最近のIMFの対日経済審査報告でも、何人かの理事からは一時的な消費税率の引き下げも検討すべきだとの意見が出た、と述べられているではありませんか。
 不良債権の処理も、銀行経営の危機も、せんじ詰めれば、消費不況を打開し、実体経済を立て直す思い切った対策いかんにかかっていると言っても言い過ぎではありません。消費税を三%に戻すこと、社会保障の充実や雇用対策など、国民の将来不安を取り除く対策を緊急に断行することを改めて求めるものであります。(拍手)
 最後に、法案審議に関連して、一言申し上げます。
 審議の前提として、日本共産党はもちろん、野党はこぞって関係資料の提出を求めております。処理すべき不良債権が一体幾らあるのか。経営の実態はどうなっているのか。これらの資料を何も明らかにしないまま、法案だけ早く通せというのは、金融機関の乱脈経営の責任を免罪するものであり、とても納得できるものではありません。関連資料を直ちに提出するよう強く求めて、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣小渕恵三君登壇〕
○内閣総理大臣(小渕恵三君) 佐々木憲昭議員にお答え申し上げます。
 長銀につきましての経営責任と情報開示についてのお尋ねでございましたが、長銀が今回発表した経営合理化策では、取締役全員の辞任、役員報酬の削減、役員の退職金の支給停止、旧経営陣からの退職金の返還要請など、経営責任の明確化が図られていると承知をいたしております。また、長銀に関する情報開示につきましては、取引先への影響、信用秩序維持に与える影響等を勘案しつつ、国民の理解の得られるよう努力したいと考えております。
 事実上の公的資金投入のゴーサインではないかとのお尋ねでありますが、公的資金の注入につきましては、資金の注入を受ける金融機関からの申請を受けて、まず金融危機管理審査委員会において判断されるものであります。政府といたしましては、本合併構想が我が国の金融システムの安定と国民経済の円滑な運営に資するとの観点から、最大限の支援を行っていきたいと考えております。
 資本注入が銀行の甘えを増長させるのではないかとのお尋ねでありますが、資本注入が公的資金の活用であることにかんがみ、資本注入を受ける金融機関におきましては、一層の経営の合理化や責任ある経営体制の整備に努めるべきことは当然であると考えております。このような観点から、金融危機管理審査委員会におきましては、議決の前提として、経営の健全性の確保のための計画を提出させ、これを公表しているものであります。
 米国の破綻処理についてお尋ねがございました。
 米国では、一九八〇年代後半に大量のSアンドLが破綻したことを受けまして、多額の公的資金を導入し、金融の危機に対処したと承知しております。その後、一九九一年の法整備で、破綻金融機関の処理方法のコスト基準の厳格化や特別保険料の導入等が措置されたと承知しておりまして、この背景として、九〇年代前半に金融機関の利ざやが拡大し、保険料の引き上げを十分負担できたという事情が存在したと聞いております。
 我が国におきましても、金融システムの安定化が迅速に図られるよう、できる限り努力を傾けてまいります。
 ブリッジバンク法案につきまして、公的資金がどの程度必要になるかについてのお尋ねでございましたが、今般のブリッジバンク制度を活用することとなる金融機関の破綻を現時点で予測することは困難であるということは、御理解願いたいと思います。いずれにしても、さきの国会で認められた十三兆円の枠組みの中で基本的に対応してまいりたいと考えております。
 大手銀行の中小企業への融資についてのお尋ねでありますが、金融機関は、その公共的性格を踏まえ、健全な中小企業等に円滑な資金供給を行うべきであることは言うまでもなく、金融機関の融資動向につきましては、今後とも注視してまいりたいと考えております。
 不動産関連権利等調整委員会についてのお尋ねでございましたが、本委員会の調停等は、債務者の事業の再建につき、関係者の経済合理的な判断に基づく公正かつ妥当で遂行可能な合意の形成を促進するためのものでありまして、これによる債権放棄等も合理的な経済取引というべきものでありまして、本法律案では、これに則して税制上の取り扱いを明確化しておるものであります。したがいまして、徳政令あるいは形を変えた税金投入との御指摘は当たらないと考えております。
 さらに、調停等は当事者の譲歩等を前提として合意を得るもので、一般にその手続は非公開が相当とされており、また、個別企業の財務等にかかわる内容につきましては、公表は適当でないと考えております。
 国民の将来不安を取り除く対策についてのお尋ねがございました。
 政府といたしましては、日本経済再生のため、まず、総合経済対策の実施や金融再生トータルプランの早期実現に全力を挙げてまいります。その上で、事業規模で十兆円を超える第二次補正予算を編成することとし、また六兆円を相当程度上回る恒久的な減税を実施することにより、一刻も早い景気回復を図ってまいります。
 なお、消費税の減税についてお尋ねがありましたが、消費税率五%への引き上げを含む税制改革は、少子・高齢化の進展という我が国の構造変化に税制面から対応するものであり、我が国の将来にとって極めて重要な改革であったと考えております。したがいまして、消費税の引き下げは考えておりません。
 関係資料の提出につきましては、国権の最高機関である国会の、開かれた審議の確保や関係法案の審議の促進等の観点から、秘密に属する資料等であっても、やむを得ない場合を除いて、可能な限り協力を行ってきているところであり、今後ともその方針に従いまして対処してまいる考えであります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
    〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕
○国務大臣(宮澤喜一君) すべて総理が御答弁なさいましたので、残りましたのは、私が何か言った言わないということに関してでございます。
 私が、住友信託の社長に、必要な資金は幾らでも出すと言って合併を説得したというようなことはございません。そんな大それたことは申しません。
 それから、ブリッジバンクにつきまして、私、こういうことを申しました。新聞のインタビューでございましたが、現在の金で十分だと思う、しかし法律が施行された結果、金融システムの安定とかあるいは善良な顧客のために本当に必要な資金がさらに要るんだといえば、それは要る金はつくらなければならないじゃないかということは申しました。
 ただ、私としては、今の十三兆、大きな金でございますから、それが足らなくなるということはめったにないだろうとは思っております。
 それから、最後に、私が共産党の議員の委員会における御発言に、憂いを同じくしていると申し上げました。めったにないことでございますが。
 それは、実は、管理銀行ができましたときに、いいお客さんは何とかして救ってやろう、そういうときの法律上掲げております条件は、財務内容の健全性、債務の履行状況と書いてございまして、それには違いありません。
 違いありませんが、例えばベンチャーキャピタルとか中小企業にも一生懸命やっているところがあって、こういうことだけで、何かやはりきつい運営になるのではないかなということを自分が感じで感じるものですから、やはり善良で本当に見込みのある人にはやってあげるような運営が必要じゃないかなという気持ちを持ちまして、そのように申しました。今もそう考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(渡部恒三君) 濱田健一君。
    〔濱田健一君登壇〕
○濱田健一君 私は、ただいま議題となりましたいわゆる金融再生トータルプラン関連六法案のうち、特に、閣法であります金融機能の安定化のための緊急措置に関する法律及び預金保険法の一部を改正する法案、不動産に関連する権利等の調整に関する臨時措置法案の二法案に対し、社会民主党・市民連合を代表して、質問をいたします。
 まず、前者の法案を論議する前提として、明確にしておきたいことがあります。
 それは、民間の受け皿銀行があくまで主体であるべきということであります。つまりは、仮にブリッジバンク方式を導入するとしても、最後の安全弁としての意義しか有していないことを明確に認識するべきだというふうに思うのでございます。民間の受け皿銀行が登場しにくい現状があるならば、その打開のための施策こそが優先されなくてはならないと言えます。
 北海道拓殖銀行の破綻を受けた受け皿銀行としての北洋銀行が直面している課題から見ても、いわゆる要注意先債権に係る二次ロス問題への対処策が早急に確立されなくてはならないのではないでしょうか。仮に、このまま放置されるならば、当該債権の将来の損失リスクを懸念し、民間金融機関の積極的な名乗り出を阻害する要因にもなりかねません。
 したがって、社会民主党としては、金融監督庁の検査等によって認められた債権であるという条件を付して、第二分類債権に係る二次ロス問題の懸念解消は健全な借り手対策とも重なり合う部分が多いとの認識に立ち、公的保証の付与及び優先株の購入など、民間の受け入れ側の資金調達や自己資本充実策にこそ前向きに取り組むべきだと考えるところです。
 小渕総理の御見解をお伺いいたします。
 また、この問題に関連して、今春実施された大手銀行などに対する資本注入がどのような成果を上げてきたと判断するのかもお答えください。
 改めて触れるまでもなく、この措置は、金融安定化特別措置法に定められた十三兆円の金融危機管理勘定によって行われたものです。中核的な手法には、我が党の主張を受け入れ、受け皿金融機関の自己資本比率回復策が大前提であることが鮮明になるとともに、重大な雇用不安につながりかねないといった国民的な評価にたえられる発動基準も整備されました。
 端的に言うならば、金融危機管理勘定が審査基準を満たす金融機関の優先株等を引き受けることによって、貸し出し余力の増加に直結する各銀行等の自己資本比率を高め、結果としての貸し渋りの解消を目指す内容であったはずでございますが、所期の目的を十分に果たしているのか、国民の皆さんの理解を促すことのできる説得的な御説明を賜りたいと思います。
 十三兆円の適正な使途のありようについては、社民党も責任を共有するものであります。それゆえにこそ、横並び申請に警告を発するでもなく、劣後債の利回りに若干の差別化を施しただけで一律承認するという結果に終わった第一回目のような適用事例は、率直に言って、抵抗を覚えざるを得ませんでした。不幸にして、この危惧は、現在の長銀問題の深刻化として顕在化することになりました。
 金融危機管理審査委員会に対する国民の信頼をいかに回復されようとするのか、審査のあり方に抜本的なメスを入れる必要性があるとお考えか、率直な御答弁をお願いするものであります。
 同時に、適用銀行に関し、経営責任の明確化や合理化について、これまでのような微温的な対処方針の変更を求めていくお考えがおありかどうか、伺います。
 さらには、当該銀行等が株主への配当を従来どおり行うことを認めてよいかという疑問も浮上しつつあります。少なくとも、公的資金の注入が行われた決算期の配当は慎むべきだという考えも成り立つと思慮するところですが、総理の御見解をお示しいただきたいと存じます。
 また、世界標準に合致する情報開示及び自己査定の基準の早期の確立に向け、どのような取り組みを進めていこうとされるのか、お聞かせください。
 日本の金融機関のバランスシートは国際的な信認を受けておらず、それが必要以上の疑心暗鬼を生む結果にもなっていることは、残念ながら、否定できない事実でありましょう。規模的には世界に冠たる都銀等の不良債権に係る自己査定額に関して、内外の市場の信認が得られていないという現実は、信用を旨とする金融機関にとっては致命的な欠陥とさえ言えます。
 個々の金融機関が認識しているリスクの大きさと、それに対する処理が適切に行われていることを積極的に市場に示し、説得的な説明を行っていくことこそが、金融機関にとってはもとより、我が国金融システム全体に対する信頼を回復していく上で極めて重要ではないでしょうか。正しい情報を多く与えられれば与えられるほど、市場は安心して判断を下せることになることを忘れてはならないと思います。
 したがって、現下の最大の懸案事項である長銀への公的資金投入問題についても、まずはその不良債権の詳細を含めた財務内容の徹底的な開示が求められていると考えるところですが、金融監督庁を統括する責任者の立場から、情報開示に向けどのような指導性を発揮する用意がおありか、総理の御決意をお示しください。
 もとより、健全な借り手問題の解決が不良債権問題の到達点ではございません。日本経済再生の足かせとなっている不良債権を早期かついかに処理させていくかが第一義であり、その促進のために不可欠な金融機関の再編、淘汰の過程で生ずる看過できない課題として、健全な借り手に対する融資継続問題が重視される必要性があったにすぎないという見方もできます。この位置づけを忘れた論議は本末転倒であります。
 不良債権処理をシステム的に促す方策の確立は焦眉の急と言えます。例えば、第二分類債権については、金融機関個々の判断による引き当て率で事を済ませるのではなく、二年間程度の時限的措置としての強制引き当て率の適用も検討されてよいのではないでしょうか。
 このような、みずからが血を流さざるを得ない措置が同時に講じられなくては、各銀行等の経営を圧迫している供給過剰が単に是正されるだけに終わってしまうという可能性もあります。この最低限の一線さえ守れないようなら、それは、銀行などの不良債権を国民の血税をもって国のバランスシートに移したにすぎないという、笑って済ますには余りにも罪深い結末さえ待っているのではないでしょうか。
 強制引き当て率の適用の是非に対する認識もあわせて、宮澤大蔵大臣の明快な御答弁をお願いしたいと存じます。
 さらに、ブリッジバンク方式の最終的な目的である引き受け手の登場を促していく環境をいかに整備されようとしているのか、お聞きしたいと存じます。
 広く知られているところともなっておりますが、本場の米国では、貸出債権も、事業収益等を担保にする事業融資が主流であったために、転売しやすい土壌がありました。つまりは、まず最初に破綻銀行等の資産を市場で売買できる制度基盤があった上での、より高く売るための工夫としてブリッジバンクが生まれたという経緯があったことを冷静に踏まえなくてはなりません。
 このような市場が未整備のままで見切り発車されるとすれば、米国の成功例は何の参考にもならないと考えるからでありますが、大蔵大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
 次に、不動産に関連する権利等の調整に関する臨時措置法案についてお尋ねいたします。
 同法案の眼目は、不良債権処理のネックとなっている複雑な権利関係を、つまりは不動産担保つき不良債権をめぐるトラブルを解きほぐすことを目的とする臨時不動産関係権利調整委員会にあると考えます。
 これまでの競売という法的制度を活用する手段では、時間がかかるし回収額も大きく目減りすると、金融機関には二の足を踏む傾向が顕著であったという認識は、私自身にもあります。結局、いつまでたっても土地は動かず、不良債権は帳簿から消えない。こんな状況を打開するための何らかの方策の必要性は理解できるところでもあります。
 ただし、細心の注意を払うべき対象が、議論の成熟化も見ないうちにセールスポイントとして奉られたことについては、拙速の感がぬぐえないところでございます。
 一例としては、関係者間の合意がまとまれば、債権者は、債権の一部を放棄するかわりに損失分を無税償却でき、債務者も、債務免除で生じた利益を累積欠損金として相殺できるようになっている部分が挙げられます。面倒だった非課税措置が調整委員会の認定さえあれば決まるため、銀行などにおいては、不良債権を迅速に処理できるメリットが確かにあると言えます。
 しかし一方、調整委員会の調停等への関心を集めるとともに、機能の確立を図りたいという思いが優先され過ぎているのではないかとの疑念も呈されております。債務免除によって不振をかこつゼネコンを救済することが真のねらいではないかとの批判については、謙虚に耳を傾けるべき必要があります。
 ゼネコンが抱え込んでいる懸念は、何も有利子負債問題だけではないはずです。旧態依然たる、量が質を上回るという巨艦主義の幻想から脱却し、発注量に柔軟に応じていけるような、徹底した経営合理化も同時に追求されなくてはならないのです。
 経営陣の退陣などの経営責任の厳格化や株主への配当の停止問題を含め、債務免除方式を適用するための不可欠の前提として整備すべきことは山積していると思料するところですが、柳沢国土庁長官の明確な答弁を伺って、質問の締めくくりとさせていただきます。(拍手)
    〔内閣総理大臣小渕恵三君登壇〕
○内閣総理大臣(小渕恵三君) 濱田健一議員にお答え申し上げます。
 民間の受け皿銀行についてのまずお尋ねでございましたが、民間の受け皿銀行が存在しており、破綻した銀行の受け皿となることで悪化した自己資本を改善しなければ、信用秩序の維持及び地域経済の安定に大きな支障を生ずるおそれがある場合には、公的資金による資本注入の対象といたしておるところでございます。なお、ブリッジバンク制度は、金融機関の破綻に際して民間の受け皿金融機関が登場しない場合にも適用されるものであります。
 資本注入策の貸し渋り解消への効果のお尋ねでありましたが、金融監督庁が各行から聴取したところでは、安定的な資金供給の継続に寄与しているなど、資本注入には一定の効果があったとの報告を受けておりますが、借り手企業からは、なお融資態度は厳しいとの見方があることも否定できません。いずれにせよ、金融機関の融資動向につきまして、引き続き注視いたしてまいります。
 金融危機管理審査委員会に対する信頼回復と審査のあり方に対するお尋ねでございますが、いわゆる資本注入に当たりましては、あらかじめ公表された審査基準に基づき同委員会の厳正な審査手続を経て決定されるなど、法律に規定する手続に従い適切にその決定が行われたものと承知いたしております。今後とも資本注入に当たりましては、国民の信頼にこたえるべく、厳正な審査手続を経て決定していくことが重要であると考えております。
 優先株の引き受けの対象となりました金融機関の経営責任の明確化と合理化につきましてのお尋ねでありますが、当該引き受けが公的資金の活用によることにかんがみ、当該金融機関の経営が責任ある体制のもとで行われるべきことや、経営の合理化に努めるべきことは当然であります。このような観点から、金融危機管理審査委員会は、議決の前提として、経営の健全性の確保のための計画を提出させ、これを公表しているものであります。
 公的資金を投入した金融機関の配当につきましてのお尋ねでありましたが、金融システムの全体の安定化を図る資本注入の制度の趣旨や、投入した公的資金は回収が前提となっていることにかんがみますと、基本的に配当政策については各行の経営判断にゆだねるべきものであり、公的資金が投入されることをもって配当が行われることを妨げる理由はないと考えます。
 金融機関の情報開示についてのお尋ねでありますが、本年三月期から、全国銀行につきまして、米国SEC基準と同様の基準によるリスク管理債権額の開示が開始されました。来年の三月期からは全金融機関につきましても、これが連結ベースにより罰則つきで義務化されることになっており、これにより金融機関のディスクロージャー制度は国際的に遜色のない水準のものとなると考えております。
 また、自己査定の基準につきましては、各金融機関が、当局が示しております資産区分概念に沿いまして自己査定基準を作成するものとされておりまして、現在実施中の検査におきましても、この基準及びその運用について不適切なものがないか、実態把握をいたしておるところでございます。
 長銀の情報開示につきまして、同行が公的資金注入を要請する予定であることを踏まえ、取引先への影響、信用秩序に与える影響等を勘案しつつ、国民の理解が得られるように努力をいたしたいと考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕
○国務大臣(宮澤喜一君) 強制引き当てについてお話を伺いました。
 私は実はこう思うのでございますが、今までの護送船団方式から、今度、金融監督庁の検査が行われ、それもやがては、マニュアルによるといいますか、一つの基準に従っての検査が行われるようになりますと、おのずから銀行自身は、どのぐらい自分のところがいいのか悪いのかわかるはずである。昔と違いまして、いいところはいいとやはり自分で言うようになるだろうと思います。
 そこで初めて優劣がついてまいりますし、市場がそれを株価で受け取る、顧客は提供される金融商品のいい悪いで受け取る、そういう状況になりますと、おのずから区分と引き当てというものが、やはり銀行の優劣を分けることになるだろう。
 おっしゃいますことは、強制の引き当て率を考えろということですが、日本は本当に競争に入ったところでございますので、ただいまのところは、自由競争の中からそういう関係が生まれることが好ましいのではないかというふうに私としては思っております。
 それから次に、ブリッジバンクにしても最終的な目的は環境の整備だと言われましたのは、そのとおりと思います。ブリッジバンクに入りました銀行は、整理回収銀行が不良債権を買いますから、中身はかなりよくなるはずでございますが、その上に、不良債権等の流通市場、あるいは先般の国会でSPCをつくっていただきましたので、証券化等々もそれに資してまいるであろうというふうに考えております。(拍手)
    〔国務大臣柳沢伯夫君登壇〕
○国務大臣(柳沢伯夫君) 濱田議員から、不動産に関連する権利等の調整のスキームについて、そもそも自分御自身が、何らかの方策が必要であるというふうに感じていたというふうな一定の御理解をいただきつつ、幾つかの点についてお尋ねをいただきました。
 まず、税制上の措置でございますが、これについては、既に議員の御質疑の中にもありましたように、全く新たな創設的な恩恵というわけではありません。現行の税法におきましても、税務当局の事後の認容でもって確定するということではありますが、経済的に合理的な取引によっての債務の免除等であればこれは損金として認めるというようなことが既にあるわけでございます。
 今回、私どものこのスキームにおきましては、八条委員会の合議制の行政委員会というものがこれにかかわるという事実に着目しまして、これを明確に、いわば事前的に税法上の措置を認めるということを明らかにしたというものにとどまるわけでありまして、この性格については御理解を賜りたいと思うわけでございます。
 それから第二に、ゼネコンの救済が目的だというような批判もあるけれどもどうなのだというようなお話があったかと思うわけでございますが、これは、総理の答弁にもたびたびお触れいただいているように、このスキームの適用される債務者というのは、特定の業種に属する方ということになっておりません。すべての業種にかかわる方がすべて対象でございます。
 さらに申しますと、御指摘の中に、何か債務者だけが非常に得をするスキームかというような傾きの御発言が多々見られたわけでございますが、これも、企業の再建を通じて自分自身が持っている残余の債権の健全化が向上する、こういう債権者の側にとっても利益があることによって、そこに合意が成立するというわけでございまして、この点についての御理解も賜っておきたい、このように思う次第でございます。
 それから最後に、債務免除をするときの前提というようなことで、経営者の進退等を含めますところの経営の合理化というものがあってしかるべきではないかというお話でございましたが、これについては私どもも同感でございます。
 私的な合意に基づく再建策あるいは債務の免除等におきましても、こうしたことは多くの場合起こることでございまして、今回のスキームにおきましては、その合意が公正で妥当でしかも遂行可能である、特に公正という点に触れているわけでございまして、したがいまして、この合意の前提としては、今仰せられたような経営のリストラあるいは経営者の進退等も当然その前提として話し合われることが多くなるであろうというような理解を私どもとして持っておるという次第であります。
 どうもありがとうございました。(拍手)
○副議長(渡部恒三君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
○副議長(渡部恒三君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後四時四十四分散会