第143回国会 金融安定化に関する特別委員会 第14号
平成十年九月十一日(金曜日)
    午前十時一分開議
出席委員
  委員長 相沢 英之君
   理事 石原 伸晃君 理事 藤井 孝男君
   理事 村田 吉隆君 理事 保岡 興治君
   理事 山本 有二君 理事 池田 元久君
   理事 中野 寛成君 理事 坂口  力君
   理事 谷口 隆義君
      愛知 和男君    伊藤 達也君
      伊吹 文明君    江渡 聡徳君
      大石 秀政君    大島 理森君
      金田 英行君    河村 建夫君
      倉成 正和君    佐田玄一郎君
      田中 和徳君    田村 憲久君
      滝   実君    津島 雄二君
      中谷  元君    蓮実  進君
      原田 義昭君    桧田  仁君
      宮本 一三君    矢上 雅義君
      山口 泰明君    山本 公一君
      山本 幸三君    渡辺 喜美君
      上田 清司君    枝野 幸男君
      岡田 克也君    海江田万里君
      北村 哲男君    仙谷 由人君
      古川 元久君    石井 啓一君
      上田  勇君    大口 善徳君
      西川 知雄君    小池百合子君
      鈴木 淑夫君    西川太一郎君
      西田  猛君    木島日出夫君
      佐々木憲昭君    春名 直章君
      濱田 健一君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 中村正三郎君
        大 蔵 大 臣 宮澤 喜一君
        労 働 大 臣 甘利  明君
        国 務 大 臣 柳沢 伯夫君
 出席政府委員
        内閣審議官   白須 光美君
        内閣法制局第三
        部長      阪田 雅裕君
        金融監督庁長官 日野 正晴君
        金融監督庁検査
        部長      五味 廣文君
        金融監督庁監督
        部長      乾  文男君
        法務大臣官司
        法法制調査部長 房村 精一君
        法務省民事局長 細川  清君
        大蔵省金融企画
        局長      伏屋 和彦君
        労働大臣官房長 渡邊  信君
        労働省労政局長 澤田陽太郎君
        労働省労働基準
        局長      伊藤 庄平君
        労働省職業安定
        局長      征矢 紀臣君
 委員外の出席者
        議     員 杉浦 正健君
        議     員 村井  仁君
        衆議院法制局第
        二部長     窪田 勝弘君
        最高裁判所事務
        総局民事局長  石垣 君雄君
        参  考  人
        (預金保険機構
        理事長)    松田  昇君
        参  考  人
        (金融危機管理
        審査委員会委員
        長)      佐々波楊子君
        衆議院調査局金
        融安定化に関す
        る特別調査室長 藤井 保憲君
    ―――――――――――――
委員の異動
九月十一日
 辞任         補欠選任
  大野 松茂君     田村 憲久君
  大野 功統君     田中 和徳君
  河村 建夫君     矢上 雅義君
  砂田 圭佑君     桧田  仁君
 吉田六左エ門君     大石 秀政君
  西川太一郎君     小池百合子君
同日
 辞任         補欠選任
  大石 秀政君    吉田六左エ門君
  田中 和徳君     原田 義昭君
  田村 憲久君     山口 泰明君
  桧田  仁君     砂田 圭佑君
  矢上 雅義君     河村 建夫君
  小池百合子君     西川太一郎君
同日
 辞任         補欠選任
  原田 義昭君     大野 功統君
  山口 泰明君     大野 松茂君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 不動産に関連する権利等の調整に関する臨時措
 置法案(内閣提出第一号)
 金融機能の安定化のための緊急措置に関する法
 律及び預金保険法の一部を改正する法律案(内
 閣提出第二号)
 債権管理回収業に関する特別措置法案(保岡興
 治君外三名提出、衆法第一号)
 金融機関等が有する根抵当権により担保される
 債権の譲渡の円滑化のための臨時措置に関する
 法律案(保岡興治君外三名提出、衆法第二号)
 競売手続の円滑化等を図るための関係法律の整
 備に関する法律案(保岡興治君外四名提出、衆
 法第三号)
 特定競売手続における現況調査及び評価等の特
 例に関する臨時措置法案(保岡興治君外四名提
 出、衆法第四号)
 金融機能の再生のための緊急措置に関する法律
 案(菅直人君外十二名提出、衆法第五号)
 金融再生委員会設置法案(菅直人君外十二名提
 出、衆法第六号)
 預金保険法の一部を改正する法律案(菅直人君
 外十二名提出、衆法第七号)
 金融再生委員会設置法の施行に伴う関係法律の
 整備に関する法律案(菅直人君外十二名提出、
 衆法第八号)
     ――――◇―――――
○相沢委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、不動産に関連する権利等の調整に関する臨時措置法案及び金融機能の安定化のための緊急措置に関する法律及び預金保険法の一部を改正する法律案並びに保岡興治君外三名提出、債権管理回収業に関する特別措置法案及び金融機関等が有する根抵当権により担保される債権の譲渡の円滑化のための臨時措置に関する法律案並びに保岡興治君外四名提出、競売手続の円滑化等を図るための関係法律の整備に関する法律案及び特定競売手続における現況調査及び評価等の特例に関する臨時措置法案並びに菅直人君外十二名提出、金融機能の再生のための緊急措置に関する法律案、金融再生委員会設置法案、預金保険法の一部を改正する法律案及び金融再生委員会設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案の各案を一括して議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。金田英行君。
○金田(英)委員 本当に連日の御審議御苦労さまでございます。また、大蔵大臣には、大変お忙しいところこうやっておつき合いいただきまして、恐縮に存じます。
 金融システムの安定化、信用秩序の維持、安定ということを目がけていろいろと与野党で大変な御論議が進んでいること、本当に一日も早く、この法案、妥協案と申しますか、成案を得て、国民の皆さん方にこれぞ金融システムの安定化のための政策であるぞということをお示しできる日が一日も早からんことをお祈りしております。
 つきましては、昨年の十一月に、都市銀行である北海道拓殖銀行が破綻いたしました。私も、北海道出身の代議士としてこの未曾有な混乱を目の当たりにしてきたわけであります。単によくない銀行は淘汰されればいいということを超えて、大変な事態が発生したわけであります。あれから十カ月経過いたしておりますが、まだその混乱は安定しておりません。
 北海道拓殖銀行というのは、北海道で最大の金融機関でありました。道内に網の目のように各種の金融のも細血管を張りめぐらして、地域の金融をしっかりと支えておったわけでありますが、破綻という事態になって大変なことになったわけであります。九千社に及ぶ取引の会社がありましたし、また、その融資を受けている個人は十五万を超えておりました。そういった拓銀との取引先は、破綻したんだからあすにでも取り立てがあるんじゃないかというようなことで、戦々恐々としたわけであります。
 おかげさまで、受け皿銀行は北洋銀行ですよというようなことが示されまして、また、預金については国を挙げて保護してまいりますというようなことがあったわけでありますが、大変な事態になったわけであります。まさに、北海道の金融地図が一夜にして塗りかえられるというようなことになったわけであります。
 どんなことが起きたかということを概略取りまとめてみたいわけでありますが、拓銀の資金供給がぴたりととまったというようなことになりまして、昨年の十一月から三月にかけて、その資金の供給がとまったがための倒産が各企業で起きてまいりました。大体三月までに百十二の倒産が相次ぎまして、そして、その負債総額は何と一兆二千億を超えるというような倒産劇が発生したわけであります。大変な事態でありました。多くの失業者が世にあふれたわけであります。
 また、預金は保護されていると言っておりましても、拓銀の抵当証券を持たされてなけなしのとらの子を失ってしまった多くの人方が大変な事態になって、今でも訴訟だとかなんとかという形でがたがたしているわけであります。
 また、この拓銀の債務の中には、信用金庫が相当のお金を劣後債という形で持たされております。何百億というような劣後債を信用金庫が持たされておったわけであります。ある信用金庫に至っては百二十億というような劣後債を持たされていた、それの弁済にもしものことがあれば、信用金庫も巻き添えで倒産しなければならないという事態にあったわけであります。大変な騒ぎになりました。多くの、六つぐらいの信金の倒産がまさに現実のものとなったわけであります。
 しかし、いろいろな調整、そしてまた大蔵当局におかれていろいろな配慮ある措置によりまして、何とか他の信用機関、金融機関の連鎖倒産までは防げたわけでありまして、本当にこの点につきましては、大蔵省の御措置、御査定に対して、心からお礼を申し上げなければならないというふうに思っているわけであります。
 たくさんの企業が倒産いたしました。何で倒産したか。それはやはり、ルーズな貸し付け等々がきわまったんだという形で簡単に片づけられない点があるんだろうというふうに思うわけであります。やはり地域の企業を何とかして起こしたい、新しい産業をこの北海道内で起こすためにインキュベーター的な融資機能も持っていて、そういった融資もたくさんあったわけであります。倒産という、破綻という結果ではありましたけれども、やはり単なる安全な貸し付けだけでは金融機関の機能を果たし得ない。やはり地域の企業をしっかりと起こしていこうというような形でやった投資が結局日の目を見なかった、不良債権の山を築いたというようなことになるんだろうと思います。
 また、拓殖銀行は、たくさんの市町村の指定金融機関としての機能も果たしておりました。そういったことで、それの受け継ぎをどうするか、今でもその指定金融機関の扱いをめぐってまだ調整が続いているところであります。
 そしてまた、会社等々においては、メーンバンクを失ったという形で大変な騒ぎになったわけであります。九千社に及ぶ取引企業が、拓銀がつぶれたので何とかして新しいメーンバンクを見つけなきゃならないという形で奔走いたしました。しかし、道内における金融機関というのは、拓銀がまさにガリバー型のトップ金融機関でありまして、その次にというと、道銀さん、北洋さんあるいは北陸さんというような零細な、資金のネットワークが道内隅々までネットワークされていない弱小の金融機関でありまして、なかなかメーンバンクも見つからない。私は優良な企業だから何とかメーンバンクになってくださいといっても、なかなか、はいわかりました、というように簡単にはいかないわけであります。
 私もいろいろの依頼を受けまして、この企業さん困っているから何とかメーンバンクになっていただけないだろうかというようなことをお願いしても、会社に行って一週間も二週間も会社の経理内容を審査して、残念ながら、もうこういう経済情勢、早期是正措置等々が行われているこの段階で、メーンバンクはお引き受けいたしかねますというような回答が相次いで、まさに優良企業についてもその引き受けが拒否されて、第二分類債権、今現在で、大体引き継ぎの見通しがついておるわけでありますが、いまだ二百社については整理回収銀行に回さざるを得ない、約一千億の金だというようなことになっているわけであります。この二百社については、大きな建設業あるいはまた流通業が含まれておりまして、それが資金謀りが困ってしまうと何万人というような失業者を北海道内であふれさせてしまうというような実情でございます。
 また、北洋銀行さんは、七%の自己資本比率が、拓銀の受け皿銀行となったばかりに三%から三・五%ぐらいに落ちてしまう。そういった、受け皿銀行になったばかりに、北洋さんまでも、受け皿までもつぶれてしまうというような危機的な状態の中で、何とかして円滑な債権の引き継ぎを受けようという形で、必死に今もがいている状況でございます。
 そんな状況でありまして、今北海道の失業者は十四万人と言われております。一昨年は七万人でありましたから、失業者は倍になっているわけであります。私も時々そのそばを通りかかるわけでありますが、まさに残業安定所は芋を洗うような騒ぎでありまして、大変な状態になっている。雇用保険等々で手当てはされておりますが、相当の失業者が、十四万という失業者が世にあふれている。また、こういう雇用情勢でございますので、有効求人倍率は日本の中で一番悪い。〇・三八というような極めて劣悪な雇用状態が今北海道で続いているわけであります。
 こういった状況を考えてみますときに、拓銀というそういった一つの金融機関をつぶすということは経済的に、社会的に大変なロスをもたらすものだというふうに思うわけであります。北海道経済は大変な事態になって、拓銀ショックからいまだ抜けやらないという状況でございます。
 拓銀が破綻したときの債務超過額は約五千億か六千億ぐらいじゃないかというふうに言われていたわけでありますが、劣後債の処理をしなければまた波及が大変なことになる等々で、いろいろな、日銀特融等々の措置を講じて、まさに現時点で二兆円になんなんとする金が拓銀整理のために投下されている、そういったことでありますし、またこれから、引き継がれた預金の払い出しのために約一兆円にも及ぶ資金の手当てが必要である。また、自己資本比率が劣化した北洋、受け皿銀行に対する自己資本比率向上のための公的資金の注入も相当額予定されているわけでありまして、一つの銀行がつぶれて新しい金融秩序をつくり上げるためには大変な血と汗が必要だということ、拓銀の破綻についてしっかりと我々は今後の金融システム安定化のために学んでいかなければならない。この反省をしっかりと、これからの長銀の問題、あるいは、これから出てくるであろういろいろな金融システムの安定化のために生かしていかなければならない経験だと思っております。
 そこで、職業安定局長に確認させていただきますけれども、北海道の失業状態はまさに、管内、ブロックで一番悪いという状況になっているわけでありますが、これと拓銀の破綻との関係について、どのような関連を考えておられるのか。
○宮澤国務大臣 その前に、一言発言をお許しいただきたいと思います。
 ただいまいろいろお話を承りました。北海道拓殖銀行は、その誕生の歴史からしましても、また現在北海道民の中における存在感の大きさからいたしましても、あの倒産が容易ならない影響を生むだろうということは想像もできますし、また、いろいろお話も承っておりましたが、ただいま委員から詳細に、ごらんになっていらっしゃいますことを承りまして、まことにそうであろう、さぞかし北海道の方はお困りであろうということは、如実によくわかりました。
 大変に参考になるお話をいただきましたが、殊に、先ほどのお話の中で、従来優良企業と言われるものが新しい銀行に向かって取引をやってくれと言われても、いろいろな、バランスシートなどを見て、残念ながらというような話は、やはり優良企業なんというものは何十年培われた信用の上に立っておるものでございまして、ある日突然、バランスシートをちょっと切って見たら優良であるかないかなんという、そういう簡単な話ではございません。そういうことすら実際起こしておるということを今承りました。
 もちろん、政府としてもできることは精いっぱいいたさなければなりませんが、御指摘のように、大きな銀行が倒壊したときの社会的なコスト、それはまことに想像のできないほど大きなものでありまして、これを防ぐためのコストに比べれば比較にならないほど大きいということは、いろいろ私ども大切に考えなければならないことだと思いつつ、お話を伺いました。
○金田(英)委員 ありがとうございます。
○征矢政府委員 ただいま御指摘ございました北海道におきます雇用失業情勢でございますが、御指摘のとおりでございまして、最近時点、七月の有効求人倍率が〇・三八倍、あるいは四−六月の完全失業率で見ますと四・七%と、全国平均に比べまして相当厳しい状況にございます。特に、昨年十一月に北海道拓殖銀行が破綻して以降、雇用失業情勢が急速に悪化しておりまして、地域におきます有力な金融機関の破綻が経済、雇用に与える影響、これは、私どもの立場から見ましても大変大きなものがあるというふうに認識いたしております。
○金田(英)委員 拓銀の破綻によって我々が学んだこと、まだまだ言葉不足で、そしてまた意を尽くせておりませんけれども、本当に北海道経済、拓銀の破綻で、この混乱から立ち直るまでにはさらに四年も五年もかかるであろうなというふうに思うわけであります。
 金融地図ががらっと変わってしまったということ、そして、それぞれの企業者が新しい金融の相手先を求めて、相手先といっても選択の幅はほとんどなくなっておるわけであります。田舎で銀行から金を借りるといっても、そこに支店を持っているのはたった一行しかない。こっちがだめだったらまた別の銀行にというような、そういった選択の幅が全くなくなってしまうような地域もたくさんあるわけでございます。
 そういったことで、新しいこれからの金融システムの安定化、信用秩序の回復、そういったものに目がけて、この拓銀の破綻をしっかりと踏まえた形での新しいシステムづくりをぜひとも御検討いただきたいものだというふうに思うわけであります。
 それと、もう一点でございますが、金融行政の一元化と言われて久しいわけであります。いろいろな金融機関の監督、そして制度の企画立案等々については一本化すべきであるということが随分と言われておりましたし、また議論が盛んなところであるわけでありますが、果たして金融機関といっても皆一律であっていいんだろうかというような金融機関もまたあるわけであります。
 例えば、労働金庫であります。労働金庫というのは、労働団体の資金を預かりながら、そして、労働団体の活動のためにいろいろな低利融資等々も行っておりますし、勤労者のお金を集めているわけでありますから、住宅資金あるいは生活安定資金等々について、特段の面からいろいろなそういう金融制度あるいはシステムをつくり上げているわけであります。
 そしてまた、農協さんあるいは漁協さん等についても、零細農家あるいは零細の漁民からお金を集めて、そして、一般金融機関とは異なった融資制度を持っているわけであります。一般金融機関ではなかなか融資をしづらい、農村や漁村の皆さん方のいろいろな経営資金を提供し、そして、なかなか金の届かないところにまで、かゆいところに手の届くような農村金融、漁村金融を行っているわけであります。
 そういった、一概に金融機関といっても、生まれも育ちも違う金融機関がその中に散在しております。そういった中で果たして、金融行政の一元化というにしきの御旗の中で、その金融機関の本来の目的あるいは使命、そういったものを何ら振り返ることなく、一律な金融機関、自己資本率がどうだとかこうだとかというような、そんな形で果たしていいのであろうか。
 また、融資制度の企画立案、指導監督についても、金融行政として一括してやるのも結構でございますが、またその金融機関は独自の目的を持っているわけでありまして、そういった面についての、金融機関の育成についての面からしっかりとした金融行政というのもまた必要だろうというふうに思うわけであります。
 金融というのは、今、新しい行政の中ではまさに政策の枢要な部分を占めております。単に予算措置等々だけでいろいろな産業行政が展開できるわけではありません。財投のお金、あるいはまたいろいろな関係者から集めた、金融行政の中で、しっかりと農山漁村を支え、あるいは勤労者の生活を支えていくというような特殊な生まれ、育ちを持っている金融機関もあるわけであります。これは金融機関だから、一律に金融行政の中に一括して取りまとめてやっていくぞというようなことについては、果たしてそれでいかがなものか、随分と乱暴な論理だなというふうに私は考えているわけであります。
 きょうは労政局長に来ていただいておりますが、労働金庫について、これからいろいろな金融行政の一元化が図られていく中にあって、労働省として、労働金庫についてのこれから、生まれも育ちも自分たちでつくり上げてきた金融機関だろうと思うわけでありますが、そういったことについて、金融行政の一元化という論理がにぎやかに展開されておりますが、その点について、労政局長なり、お考えがあれば述べていただきたいと思います。
○澤田政府委員 御指摘ございましたように、労働金庫は、労働組合を主な構成員といたします協同組織の金融機関でございまして、労働者福祉の増進を最終的な目的としております。
 したがいまして、労働金庫制度の企画立案、検査監督、そして破綻処理に至るまで、労働金庫を監督いたしております他の共管官庁とともに、労働行政としてもそれについて関与し、労働行政としての責任を果たしていくべきである、こう考えております。
○金田(英)委員 ありがとうございます。
 まさに金融行政の一元化、確かに、我々がねらうべき方向の一つであるということで、いろいろな議論を党内でも展開してきているわけでありますし、いろいろな議論経過があったことも承知しております。
 しかし、やはり生まれも育ちも違う金融機関、そしてそれなりに目的を異にしている機関、そういった機関については、従来どおり、その行政分野からの指導監督、あるいは金融制度の企画立案等が行えるようにしてやることが、その金融機関の本来の目的を果たすためにぜひとも必要なところだ。まさに、農協あるいは県の信連、そして農林中金というような形で一定の系統資金が運用されているわけでありますが、それが金融行政一般と何ら変わらないんだというようなことになってくれば、農協あるいは県信連あるいは農林中金との連携が崩れてしまいまして、その本来の目的である農林漁業の振興というような形の農林金融の目的が生かされなくなってしまう。
 この点でやはり、まさに農協系統資金等というのは、お母さんが農家であり、そしてお父さんが漁師でありというようなところでありまして、他の金融機関と一律に扱う、そして偏差値で画一的に他の一般金融機関と同じように御していくというようなことには、大変なこれからの農政の展開、あるいは労働行政の展開、さらにはまた通産所管のいろいろなものがあるわけでありますが、そういった形で、本来の金融機関の目的をしっかりと伸ばしてやるというような形での行政システムをつくり上げていくことがぜひとも必要だろうというふうに考えております。
 この点について、確かに金融機関の一定の監視、監督、そして金融行政の立場からいろいろな制約、これからつくられるであろう金融庁、あるいはいろいろな三条機関等々で検討が進んでいるわけでありますが、ここら辺についての行政としての配慮、立法府としての配慮がぜひともなされるべきであるというふうに感じているところであります。
 この点につきまして、要求しておりませんけれども、大蔵大臣、何かありましたら御感想なりお聞かせいただきたいと思います。
○宮澤国務大臣 おっしゃるとおりだと、お話を伺っておりまして思います。
 大蔵省の過去における金融行政が、結果としていろいろ適当でない結果を生みました。そのことは十分に反省をいたさなければなりませんし、また、批判を浴びて、新しく金融監督庁が発足をいたしました。そのことは大蔵省としても十分反省をいたさなければならないことでございますが、同時に、何庁何省ということに関係なく、やはりいろいろな金融機関はいろいろな成り立ちの歴史を持っておりますし、また、地域あるいは業界とのおのおのの特色のある関係を持っておりますから、そういうことは行政をする上で常に大切に考えていかなければならないという御指摘は、私は、どの省庁であれ同じことであろうというふうにお話を伺いました。
○金田(英)委員 ありがとうございます。
 いろいろとやらなければならないことが、行政としてやらなければならないこと、立法府としてやらなければならないこと、そして大胆な改革もやらなければならないこと、それについては、我々与党、そして野党の皆さん方も真剣に考えていてくれているわけであります。とにかく、いろいろなことに余りにも理想を追求し過ぎて、現実と隔離した、あるいは現実離れしたと申しますか、現実に適合できない、そのような改革では、多くの混乱を強い、あるいはむだな社会的なコスト、そういったものを引き起こすという結果になることを本当に、この拓銀の破綻ということを現実に見て、いまだまだ混乱が続いております。
 整理回収銀行に回される債権、多分回されるであろう債権というのが、二百社、一千億という債権、拓銀の貸付債権がまだ宙に浮いているわけであります。整理回収銀行に回したときに、まさに、メーンバンクはどちらさんですか、整理回収銀行がメーンバンクですというような企業はなかなか、名称も悪いわけでありますが、存続できないことになってしまいます。もう少しお金を融通していただけばさらにまた再起の機会もあるに違いないのに、どうしても、この金融制度の改革の中で倒産を余儀なくされてしまうという事態がまだ、十カ月過ぎた今でも、社長さん方が大変な東奔西走をしているわけであります。二百社といっても、また連鎖倒産も相当引き起こるでありましょう。一万人になんなんとする失業者が、またさらに北海道内にほうり出されるわけであります。
 そしてまた、地域をしっかりと支えてきた、地域のまさにメーン企業であるそういった企業の倒産が、小さな町の存亡にかかわる大きな混乱を引き起こしたという事例もあります。三千人や四千人の人口の町で、大きなその町の基幹企業が拓銀の倒産に伴ってつぶれてしまった。そうしたら、六十人も七十人もの世帯主が失業してしまった。それを何とかしなければならないという形で、町を挙げて、あるいは道の地方公共団体を挙げて、あるいは国を挙げて、その支援、あるいはそのショックを最小限に食いとめるためのいろいろな手当てをまさに総力を挙げて取り組んできた、そして、いろいろな対策を講じながらその混乱がいまだにおさまっていない事態であるということ、拓銀という大きな金融機関の破綻が北海道経済に大きな混乱を引き起こして、いまだそれがやみ終わっていないということを御報告しまして、これからの金融システムの改革についての御参考、あるいはこの点の経験をぜひとも生かし得るような改革にしていただきたいということを申し述べまして、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
○相沢委員長 これにて金田君の質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
○相沢委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 各案審査のため、本日、参考人として預金保険機構理事長松田昇君及び金融危機管理審査委員会委員長佐々波楊子君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○相沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
○相沢委員長 次に、海江田万里君。
○海江田委員 おはようございます。民主党の海江田でございます。
 まず、金融監督庁にお尋ねをしたいのですが、きのうの当委員会で、長銀に対する検査、これはまだ立入検査をやっている最中で、終わっていないというようなお話がございました。また他方で、これはきのうもお話があったと思いますが、第一勧業銀行でありますとかあるいは富士銀行でありますとか、長銀に検査が入りましたのは七月十三日で、それからおよそ十日おくれて、七月の二十四日に入りました今私が名前を挙げました金融機関、これは八行でございますけれども、この立入検査はもう既に八月の末で終わっているということだろうと思いますが、長銀に対する検査が何でそんなに長引いているのか、その理由をお教えいただきたいと思います。
○五味政府委員 長期信用銀行につきましては、当初、三月期決算を十九行検査の一環として資産査定をしていく、こういう方針で入りましたけれども、途中で合併の話が出まして、その中で公的資金の投入を申請する予定があるということで、九月の中間期にいろいろ引き当てを行った上でそうしたことをなさるという話が出ましたので、三月期の決算の自己査定分のチェックに加えまして、その後起こりましたさまざまな事象をできるだけ実態把握をいたしまして、そして最終的な検査結果といたしたい、こう思いまして時間がかかっておるということでございます。
○海江田委員 おおよそいつごろこの検査が終わるということは、今の段階でお話しいただけませんですか。
○五味政府委員 まことに、申し上げられれば申し上げたいのでございますけれども、やはり現場に出ております検査官にできるだけきちんと実態を把握してもらいたいということで、急ぐようにという指示は出してはおりますけれども、逆に、いつまでにということになりますと、それでできる範囲でしかできないということにもなりかねません。そこで、いつまでにというめどをなかなか申し上げにくい状況にございます。
○海江田委員 他方で、これは宮澤大蔵大臣も、この長銀の頭取とそれから総理の首相公邸での深夜の会談というものに立ち会っておられるわけでございますが、そして、申請があれば資本注入をしようという方針を既に固めておられるようでございますが、この動きとそれからこの検査の動きでございますね。
 今のお話ですと、検査がいつになったら終わるかわからないということでございますので、もう片一方で、この長銀の資本注入に向けての、これはもちろん内部的な手続等もございますけれども、これは着々と進んでいるかに思いますが、よもや検査が出なくても、長銀から申請が出ればこれは資本注入はあり得るのか、それとも、やはりここは検査をしているところでありますから、検査の結果を見てからその資本注入には答えを出そう、こういうお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○宮澤国務大臣 それは私がお答えすべき問題かどうかという点はございますけれども、たまたま、総理公邸に住友信託の社長が来られましたときに私もおりましたので、その関連で申し上げます。
 長銀と住友信託との合併のシナリオによりますと、海江田委員の言われましたようなシナリオが書かれておりますし、またそれとの関連で、長銀は極めて厳しいリストラ計画を金融監督庁に明らかにされたというふうに承知をいたしております。
 そこで、ただいまのお尋ねでございますが、金融監督庁の、これは特に長銀をということではなく、発足されて最初の十九行中心の検査が行われておりまして、終了したものもあり終了しないものもございますけれども、このことが、たまたまと申しますか、その時期において長銀が危機管理審査委員会に対して申請をする意図を持っておると言われている時期と関連をして検査があっているということでございます。
 恐らく、危機管理委員会のお立場からしますと、できるだけアップ・ツー・デートな、しかも正確なデータが当然のことながら望ましいとお考えになるのであろうと思います。したがいまして、そういうデータがあればそれをぜひ利用したいときっとお考えになっておるであろうと存じますけれども、両方の時期が非常に近接地点であるか全くそうでないかということもございますと思いますので、そこは終局的には私は危機管理審査委員会の御判断になるだろう、こう思っております。
 ただ、それとの関連でもう一つ、住友信託の側は、この合併のシナリオの中で御自分の方の責任においていわゆるデューデリジェンスをやりたいと考えておられるように存じますので、恐らくそのデューデリジェンスというものは、これとまた金融監督庁の検査の結果、それは何かの形で、恐らく住友信託銀行は多分合併の相手方からでしょうか、知り得る立場におありになるのかなと思いますが、それとの関連でデューデリジエンスをおやりになるという問題があろうかと思います。そうでないかもしれませんが、そうかもしれない。そこでまたもう一つタイミングの問題があるかもしれない。
 私は、よくわかりませんので、こんなふうに見ております。
○海江田委員 住友信託の方は、私はちょっとこの際切り離しをして考えたいのですが、危機管理委員会佐々波先生からお尋ねをしたいのですが、きょうはまだお見えになっておらないようですので、預金保険機構からお答えをお願いしたいと思います。
○松田参考人 お答えいたします。
 まだ申請が出ておりませんので、一般論になりまして恐縮ですが、申し上げたいと思います。
 資本注入の審査に当たりまして、申請銀行の実態をどう把握するか、これは非常に重要でございますし、先ほど来お話ございましたように、通常の三月期末じゃなくて、さらにその後の合併を踏まえた実態を今金融監督庁でいろいろ検査をされているということであれば、なおさらのこと、審査委員会で資本注入の是非を決める有力な、重要な資料でございますから、それを活用するのはもちろんのことだと思っております。
 ただ、申請自体は申請行の自由でございますので、あらかじめ先に申請が出てきますと、これは、私審査委員の一人でございますから、その一人の意見としてお聞きいただきたいのでございますが、金融監督庁の検査の結果が出て、我々が審査委員会の席上でそれを審議するという時期までは恐らく承認の決議などはしない、それは決めがたいことだ、そのように思っております。
○海江田委員 今非常にはっきりと、預金保険機構の方から、検査の結果が出るまで許可をしないということのお話があったと思いますが、その意味でもこの検査というものは大変重要になってくる。
 実は、きのう、これは金融監督庁の長官が、長銀の債務超過の問題について、従来の債務超過はないという発言から一歩後退をしたような発言があったというふうにテレビで報道をされている、私自身そのテレビを見ておりませんで、そういう話を聞きました。それから、私自身きのうできるだけこの委員会に座っていたわけですけれども、私自身の耳ではそういう発言は聞かなかったんですが、ただ、改めまして、ここで、金融監督庁の長官あるいは検査部長でもよろしゅうございますが、長銀の債務超過の問題、これが今現在でどういうふうになっておるのか、お答えを願いたいと思います。
○日野政府委員 お答えいたします。
 私は、従前から御答弁申し上げていることは一貫しているつもりでございます。後退も前進もしていないと思います。
 お尋ねに対してお答えするということになりますと、いつも同じような御答弁で大変恐縮でございますが、三月の自己査定の結果それから日銀が考査で把握された結果、それらを踏まえて考えますと、私どもとしては、長銀が今債務超過に陥っているといったような証拠は持ち合わせていない。現在、私どもは、その三月期の自己査定の結果を中心に資産の査定を検査で行っております。
 あと、後発事象等の問題がございますが、これは先ほど、先日来検査部長からも御答弁申し上げているとおりで、そういったことも含めまして若干時間がかかっているということだと思います。
○海江田委員 きのうは参議院に長銀の頭取が参りまして、それからたまたまきのうの新聞に、長銀の頭取代行が朝日新聞の記者に対して記者会見をやっておるわけでございますが、長銀は債務超過でないかという疑念が絶えないという記者の質問に対して、決算書の上では事実ではないということを言っておりまして、そして、それと同時に、破綻して清算した場合を想定した計算でいうと債務超過という指摘もある、こういうことを言っておるわけですね。
 破綻して清算した場合ということでいうと、破綻に至る過程でのランニングコスト等もかかるということは十分わかるわけですが、ただ、この債務超過というものが、今生きている間の債務超過という問題と、それから破綻した後の債務超過というのがそんなに大きく違ってくるものなのかどうなのか。破綻した、そのコストがかかったときに債務超過になるけれども、今現在、動いている間は債務超過にならないということがあるものなのかどうなのか、その両者の間に大きな乖離があるものなのかどうなのかということについてお尋ねをしたいと思います。
○日野政府委員 お答えいたします。
 企業の決算は、どこでもそうだと思いますし、そうでなければならないわけですが、ゴーイングコンサーンということでやっているわけでございます。つまり、期間利益を計算するという立場から、その企業は倒れないということが前提になっておりまして、いろいろな、そういった意味で、動態的な立場から恐らく決算がなされるものと承知しております。私どもの検査も、そういった意味で、その企業が継続しているということを前提にしてやっております。
 ところが、今海江田委員が御指摘になりました破綻とかあるいは清算とか倒産ということになりますと、従来、会計学上は、まあ大昔は、恐らく一つの企業というのは、例えば中世でいいますと、港を出た船が帰ってくるまでの間に稼いだ利益を、帰ってきた後は全部倒してしまって、それを出資者に対しておつりをつけてお返しするといったような会計手法、極めて静態的な会計手法ではなかったかと思いますが、恐らく清算とか、合併もあるいはそうかもしれませんが、ということになりますと、極めて輪切りにしたといいますか、つまりその企業がもう継続しないということを前提にいたしますので、例えば営業権とかのれん代といったようなものは一切考慮に入れないで、つまり、くず鉄と言ってはなんですが、くず鉄が古物市場で売れるような価格で恐らく評価するということになりますと、企業の評価というのは非常に低下することはもう間違いない事実ではないかと思います。
○海江田委員 あともう一つ重要な問題がありまして、それはやはり第二分類の引き当て率の問題なんですね。
 この第二分類の引き当てについては、この長銀の頭取代行の会見では、これは梶山さんなんかが言っているような、第二分類を二〇%、それから第三分類の七五%はそれほど問題ないと思うんですが、第二分類二〇%引き当てすると、約一兆四千億円の資金が必要となり、自己資本を大きく上回るということについては、頭の中の計算ではそうなるが、現実の問題として採用は難しい、過去の損失率の実績に従って第二分類債権に対して妥当な引当金を積んでいる、しかし、その比率は公表できないということを言っているんですね。
 そうしますと、過去の引き当て率ということで計算をしますと、囲えば先ほどもお話が出ました北拓銀行の破綻でありますとか、あるいは山一証券の破綻でありますとか、そういう大規模な破綻にかかわってくる債権の不良化の引き当てというものは、不良化した債権というものは除外をしまして、何もない平時のときの引き当て率で計算をすると、それこそたしか一・何%とかそれくらいの数字になるんではないだろうかというふうに私は考えているわけですけれども、今の時期に一・何%の引き当てで本当にいいのかどうなのか。
 これは実は日銀の中にもそういう議論があるわけでございますが、ここでやはり第二分類の引き当てを一%台にしているということで、そしてそれを公表できないということを言っているというのは、私は大変大きな問題があるんじゃないだろうかというふうに考えているわけでございますが、金融監督庁の検査というのは、第二分類の引き当ての問題についても、これは当然早期是正等々の関係でも出てくるわけでございますけれども、どのように見ておられるのか。一%ぐらいでいいということなのかどうなのか、お聞かせいただきたいと思います。
○五味政府委員 債務者を、要注意先でございますとか破綻懸念先でございますとか、こういった相手先ごとに分類をいたしまして、それごとに引き当ての考え方というものを適用していくということになります。これを引き当て基準と呼んでおりますが、この適切性を私どもの検査ではチェックをするのが一つございます。
 この引き当てにつきましては、公認会計士協会がおつくりになりました、俗に実務指針と呼ばれておりますが、「銀行等金融機関の資産の自己査定に係る内部統制の検証並びに貸倒償却及び貸倒引当金の監査に関する実務指針」、こういうものでございます。この中で貸倒償却なり貸倒引当金の計上に関する扱いが定められております。それによりますと、要注意先債権に対する引き当てと申しますのは、「貸倒実績率に基づき貸倒引当金を計上する。」こういうことになっております。
 そこで、この貸倒実績率をどう算定をしたのか、それは合理的であるのかということがポイントに御指摘のとおりなってまいりますので、この点を今回の検査におきましてもチェックをいたしておるということでございます。その個別の結果についての御発表というのはちょっと、なかなか問題があると存じますけれども、そこはチェックをいたしております。
○海江田委員 この検査の問題で、日野長官は、当委員会ではありませんで、予算委員会の横路委員の質問に対しまして、日付が八月十七日、最初の日ですから、最初に菅代表が質問をして、その後、横路委員が質問をしたわけでございますけれども、検査をしまして「実態把握いたしました事項、問題点等につきましては、それを取りまとめた検査結果通知書の交付によって、当該の金融機関に交付いたします。」これはいいのですけれども、そうすると、それが自己検査とは「必ずしも一致しませんし、あるいはまた金融監督庁のその検査結果に対しては、必ずしもそれを是としない可能性も十分にあるわけでございます。したがいまして、通知書にいろいろな結果が出たからといって、それに基づいていきなり何か強権発動をするとかあるいは早期是正措置を発動するということにはならないかと思います。」という発言をしました。
 これはとりようによっては、一応通知は出すけれども、相手の金融機関といろいろ相談をしながらその後のことについては決めていくのだよというふうに受け取られるわけです。この検査の過程で、もちろん責任ある立場の方から聞き取りをするとか、向こうの事情をいろいろ聞くということはあると思うのですけれども、一たんこの通知書が出た後、何で相談をしなければいけないのですか。そういう必要があるのですか。
○日野政府委員 お答えいたします。
 通知書が出た後、何か相談するというふうには申し上げていないと思います。つまり、検査の過程で、例えばある債務者がどれに分類されているか、あるいは引き当て率が幾らかについては、検査を受ける金融機関との間でちょうちょうはっしがあるということを、相談といいますか、とにかく話し合いが行われているということを申し上げているわけで、結果を書面によって通知する場合には、これは私どもの判断をお示ししているわけですから、その後、引き続いてどうのこうのということは、あとは正式の行政訴訟とか不服の申し立てとか、そういった手続が行われれば格別ですが、その後、何か私どもがやるということはないことになります。
○海江田委員 そこのところが、まさに今説明いただいたような話でありまして、これは通知書が出ましたら、後は粛々と手続に従って事を運んでいけばいい話であって、そこのところでも何かまた、それを是としないというようなこともある、必ずしもそれを是としない可能性も十分にあるわけでございますというようなことで、通知書が出てからの相手の立場を大変おもんばかる発言があるわけでございますが、私は、それはそこまでおもんぱかる必要はないと思うわけでございますから、若干この発言ではそういう意味では誤解を受けると思いまして、実は、そういう誤解を受けるということで関連をしまして、やはり今の長銀の検査の問題も引き延ばしがあるのではないだろうかというふうに見られるわけですよ。
 特に、この第二分類の引き当て率なども、長銀はそういう意味ではごれは絶対に公表できないということを言っているけれども、私は、場合によっては、これは公表させなければいけないというふうに考えている。とりわけ、やはり公的資金の注入についての申請があれば、この第二分類の引き当てがどうなっているのかということは公表させることが必須の条件であるというふうに考えておりますが、いかがでしょうか。
○日野政府委員 お答えいたします。
 通知書を発した後、今度はどういうことになるかということを若干付言して御説明したいと思います。
 私どもといたしましては、今度は改善状況をフォローアップするために、銀行法に基づきまして、指摘した事項について、一体それがどういう理由でそうなっているのかということを報告させることになっております。その報告を求めるということが、その金融機関に対する私どもの認識をしっかりと守ってもらうということの一つの担保になっておりますし、それからさらには、今度はその金融機関が監査法人と協議を行って見直しを行った結果として、もし自己資本比率に変化が生じた場合には、今度はいよいよ早期是正措置を発動する、こういうことになります。
 それから、その結果を公表するかどうかということですが、これは早期是正措置が発動されて、実際問題として、例えば海外の支店を撤去するというようなことになりますと、これはすぐディスクローズされることになりますので、当方からそれをあえて公表しなくても、自然と世の中には知れ渡るのではないかというふうに思います。
○海江田委員 早期是正措置との絡みでお話をしているのではなくて、私は公的資金の注入との話で、これはむしろ審査委員会の方でそこは当然議論になると思いますので、きのうの当委員会で、議事録、これは一定期間を置いてから公表するということですが、きのうの発言を聞いておりましたら、前向きに議事録の公表というものを考えたいというようなお考えがあったのですが、この前向きにということの意味するところ、どのくらいのタームでということでお考えになっておるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○松田参考人 昨日でしたか、前向きに、相当の期間というものをどう考えるかという答弁をさせていただきました。
 今のところ、何年ぐらいをタームにするとか、そういうことまではまだいろいろ決めておりません。それで、私自身も、まだここで何年ぐらいが基礎の考え方になるということを申し上げるまでの審査委員会としての合意ができておりませんので、次回の審査委員会で私は私なりに意見を申し上げて努力してみたい、このように思っているところでございます。
○海江田委員 これは前向きにということを言った意味が全くないですね。
 やはり前向きにというのは、普通だったら相当の期間というのはまあ三年ぐらいだけれども、そこのところをこういう時期だから半年で公表したいとか、一年でしたいとか、それが前向きにという話であって、相当の期間というのがどのぐらいかもまだわかっていないからそこを議論したいというのでは、これは全く前向きどころか、後ろには戻っておりませんけれども、立ちどまっている、立ち尽くしているというのが現状じゃないかなと私は思います。
 ここはやはり、要約を御紹介いただいておりますが、要約だけではわかりませんので、きのう前向きにとおっしゃったのなら、やはりその言葉に責任を持っていただいて、一年ぐらいで、これは本当は半年と言いたいところですけれども、それは相当期間というのがございますから、そこに前向きをつけ加えられたのなら、一年ぐらいでそれはぜひやっていただきたい、そういうふうに思いますが、いかがでしょうか。短くお答えください。
○松田参考人 お答えいたします。
 私、審査委員の一人でございますので、今、私の考えは個人として持っているのですけれども、審査委員会としてまとまるかどうか、はっきりしませんので、先生の御意見は御意見として承って、参考にさせていただきたいと思います。
○海江田委員 それは個人のお考えを言っていただいて構わないのですね。それは独立した一人一人ですから、決議は全員一致ですけれども、お一人の考えを言っていただいて構わないわけですが、口がかたいようですから。少なくともきのうの前向きというのはなかったということにしませんと話が進みませんが、法案自体の中身について少しお尋ねをします。
 一つが、不動産に関する権利等の調整に関する臨時措置法案についてでございますけれども、ここで特定債務者というのがございますね。この特定債務者ということにつきましては、事業を行っている者、そして金融機関等の債権の放棄があれば、その後、その事業者というものが本来の事業を順調にやっていくことができるということでございます。この特定債務者の中に、例えば不動産共同投資や変額保険によって個人債務者がたくさん出ているわけですけれども、こういう人たちが、これは何も今度の法案についてではなしに、何とか自分たちの窮状を救ってほしい、窮状を救うような調停の委員会のようなものをつくってもらえないだろうかということをずっと前から言ってきているわけですね。
 それが今度、この不動産に関する権利等の調整に関する臨時措置法案の中で、調停ですとか、あっせんでありますとか、そういうことをやるような機関ができるということで、自分たちもこれによって救われるのではないだろうかということを大変期待をしているわけでございますが、この特定債務者の中に、今私が言いました不動産共同投資や変額保険による個人の債務者というものは入るものでしょうか、どうなんでしょうか。お尋ねをしたいと思います。
○白須政府委員 お答え申し上げます。
 不動産権利調整法の特定債務者の定義に、主といたしまして事業を行わない個人の方が入るかという御質問かと存じます。
 この点につきましては、結論的に申しますと、次の理由によりまして、答えは入らないということでございます。
 と申しますのは、この法律につきましては、現下の経済状況のもとにおきまして、一方で多額の債務の存在によりまして経営が不活発となっている債務者がいる。これが所有する不動産を処分するという場合につきまして、これがなかなか容易に行えないというような状況、こういうもとにおきまして、このような企業の保有する不動産の売却等によりまして債務の一部を弁済させ、必要な範囲で債権の一部放棄、金利減免等の支援を行うことによって事業の再建を図る。これによりまして、全体といたしましての当該債務者の債務の弁済可能性を高めまして、不良債権の実質的な処理を促進するということを目的としているわけでございます。
 他方、事業を営まない個人ということでございますと、この債務につきましては、先ほども申しましたような、債権者が譲歩をすることによってその弁済可能性が高まるといったような可能性が生ずるというような関係は一般的にはなかなか成立しないと考えられますし、また、何らかの可能性が存在する場合におきましても、債権管理等の理由から、なかなか本委員会によります合意にはなじみにくいかと考えられます。また、概して、そのような場合につきましては、多数の債権者がいて調整が難しいというようなことにもなかなかなりにくいということかと存じます。
 したがいまして、御指摘のような事業を営まない個人の方につきましてはこの法律案の対象といたしませず、この委員会は、金融機関の不良債権の多くの部分を占めております事業者向けの貸し付けにつきまして、その調整に集中的に取り組みまして、短期集中的に不良債権の処理を図るということを目的といたしているところでございます。
○海江田委員 今のお話は予測をしておったのですが、中でも多くの債務を負っている事業者はどこかということになると、やはりこれは建設業等になるので、そこがゼネコン徳政令であるとかゼネコン救済令であるというふうに言われるゆえんだろうと私は思うわけですね。
 ひとつ視点を変えまして、今、もちろん法人の抱えております債務が金融機関にとって不良債権の圧倒的な多数でございますけれども、もう片一方で見過ごされてはならないのは、やはり個人の債務者が抱えております債務、それが結果的には不良債権となっている部分が全体の中でどのくらいあるのだろうかということが、ほとんどこれまでデータが出てきていないわけでございますね。
 これは例えば主要十九行でよろしゅうございますけれども、主要十九行が抱えております分類債権の中で、個人債務者による分類債権というのが一体どのくらいあるのか。資料があったらお示しいただきたいと思います。
○日野政府委員 お答えいたします。
 金融機関の検査はこれまでおよそ三年の周期で実施されておりますために、同じ時点で統計をとった集計値は存在いたしませんが、時期は九四年から九八年まで、まあ四年間になりますので、そういうことで御理解いただきたいと思いますが、そういう結果で機械的に集計したものでは、分類債権の中で個人債務者の分類額の構成比はおおむね四%ということになっております。ただ、この事務年度の検査では、事務負担にも配慮いたしまして、特に十九行についての法人、個人、債務者別の分類債権額については報告を求めておりません。
 ただ、四%といいましても、やはりそれは銀行の特色によって、かなり低いところと高いところがございます。低いところは〇・何%というところもありますし、高いところになりますと二〇%ぐらいのところもございます。
○海江田委員 二〇%ぐらいというのはかなり私は大きな問題だろうと思うのですね、不良債権の中で二〇%ぐらいというのは。
 それで、実はこれは大臣にぜひお願いといいますか、それから大臣のお考えもお聞かせいただきたいのですが、これはきょうの主要なテーマではございませんけれども、やはりこれだけビッグバンの時代で、消費者の保護といいますか、きのう岩國さんのお話で、これからは銀行だとか証券会社だとかいう名前はもうなくなって金融サービスの提供者だよという話がありました。そうすると、我々というのは、一般の人というのは、そういう意味では金融サービスの提供を受ける消費者でございますね。
 今の消費者の保護の仕組みというのは、それぞれに業法がございますから、その業法の中でできるだけ、例えば銀行業法の中での銀行からの融資を受けた人の保護はどうだろうかとか、実はそこのところが一番抜け落ちているわけです。証券業法なんかですと、やはり投資家ということですからそれなりのリスクも伴わなければいけないけれども、同時にそれなりの保護もされなければいけないとか、保険業法でもとか、業法ごとにまたがって、そういう意味ではそれぞれに保護の立場というものを出しているわけですけれども、これからの時代というのは、もっと業法の枠を超えた、金融サービスの受け手の、金融サービスの消費者の保護法のようなものをつくるべきではないだろうかということ。
 私自身もそう考えておりますし、それからこれまでの各種の審議会、総理をやっておられたころの金融問題の審議会等でも、やはりそういう議論があのころからそろそろ出てきていたと思うわけでございますね。そういうことに対する大臣のお考えというもの。まさにビッグバンが、私はもう始まっていると思いますし、そういう中でやはりそういう問題が一番、これも大きな焦眉の課題ではないだろうか。
 今、監督庁長官もお話がありましたけれども、ある銀行は不良債権の中の個人の債務者のあれが二〇%にも当たるということになると、これはもちろん自己責任の部分もありますけれども、金融機関が幾らディスクロージャーをやったところで、やはり一般の金融サービスの受け手と提供する側とでは、知識の絶対量とかあるいは判断する能力とかが全く違うわけですから、そういう人たちに対する保護法の制定のようなものはお考えでないだろうか。今すぐでなくてもいいですけれども、将来的にそういうものの必要性というものをお感じになるかどうか、お聞かせを願いたいと思います。
○宮澤国務大臣 おっしゃっていることは、私は大変賛成でございます。
 我が国も戦後ここまで五十年余り、だんだん消費者というものの考え方が進んでまいりましたし、消費者基本法であるとかあるいは製造物責任法であるとか、少しずつできてまいりましたけれども、一、二の先進国を見ておりますと、そういうことではなくて、企業は消費者の方を向いて仕事をすべきなんだというふうに社会全体の観念が変わってきているように私は思っております。
 我が国も恐らく二十一世紀はそういう世紀になる、その過程に今おると思うのでございますが、そういう意味では、銀行も企業の一つでございますから、それは基本的に消費者の方を向いて仕事をすべきである、そういう世の中に私はなっていくに違いないと思いますし、また、なっていかなければならないと思います。
 したがって、法制も、一つ一つの企業についての、それも大事かもしれません、心構えではなくて、世の中のあり方についての関係が変わってくるのではないか、私はそう思っております。
○海江田委員 大蔵当局の意見をかなり前から聞いておったのですけれども、どうしても従来の業法、業法がありますから、その中で何とか手直しができないだろうか、できるだけ利用者の保護というものを図ることができないだろうかというふうにお考えになっておられるようですけれども、まさにビッグバンの時代で、もうそういう枠というのは取っ払われようとしておりますので、私は、ぜひ金融サービス消費者保護法のような法律を一日も早く準備をしていただけるようにということを心からお願いをしておきます。
 時間がなくなりましたので、あともう一点だけ。不動産関連権利等調整委員会の特別委員については人数は別途定めるということになっておりますが、委員会の委員は委員長及び五人から十人という人数になっておりますね。この特別委員は何人ぐらいを想定しているのか。
 何人ぐらいかということによって、私は、これは、本格的に動き出すとすぐにそういう件数がふえて、余り少ない数では実際に機能しないのではないだろうかというふうに考えますので、そこの考え方を、そちらのお考えを、何人ぐらいの規模にするのか、それで機能できるのかどうなのかということを最後にお尋ねをします。
○白須政府委員 お答え申し上げます。
 特別委員につきましては、法律におきましては、基本的に人数の枠という形で定めていないところでございます。
 この特別委員につきましては、いわば一般職の非常勤の公務員という形になっておりまして、職務といたしましては、委員会の個々の調停に参与するということでございます。特別委員の方々につきましては、委員会が推薦をいたしまして、それに基づいて内閣総理大臣が任命する、そして実際にそれぞれの調停に当たっていただくときには委員長が指名するということでございますので、言ってみますと一種のリストのような形になるわけでございます。
 人数ということでございますが、これは不動産権利等調整委員会が推薦するということでございますので、委員会が発足いたしませんと確定されないわけでございますけれども、現在私どもの感じといたしましては、発足後一定期間が経過した段階、つまり、委員会から推薦が行われまして人選がある程度の段階になった段階におきまして、数十名程度の方々には少なくともお願いをすることになるものではないかというふうに考えているところでございます。
○海江田委員 どうもありがとうございました。
○相沢委員長 これにて海江田君の質疑は終了いたしました。
 次に、北村哲男君。
○北村(哲)委員 民主党の北村でございます。
 私は、主として衆法についての質問をしたいと思います。
 まず最初に、競売手続の円滑化等を図るための関係法律の整備に関する法律案が提出されておりますが、それに関連しまして、法務大臣それから労働大臣に、若干の関係することについてお伺いをしたいと思います。
 というのは、今世間では不況の真っ最中で、多くの倒産が起こっておりまして、その中で、経営者がお困りになるのはもちろんなんですけれども、それよりも、働く者の立場が極めて弱く、あすの生活も脅かされているような状態が多くあります。ところで、今般の民事執行法の改正は、いかに早く不動産の換価処分を行えるかとの観点に立った改正でありまして、これは債権者の立場から、資金回収をいかに早くするかということの問題だと思うのです。その目的はもちろん是とするのですが、一方、その企業で働く者の立場が、この改正によって権利を制限されるのではないかということも考えなくてはならぬわけです。そういう観点からの質問でありますので、よろしくお願いしたいと思います。
 ところで、直接の改正案ではありませんので少し説明させてもらいたいと思いますが、民事執行法の五十五条に「売却のための保全処分」という条項がありまして、そこには、債務者または不動産の占有者が不動産の価格を著しく減少する行為をするときは、執行裁判所は、担保を立てさせて、その行為をする者に対して価格減少行為を禁止することを命ずることができるという規定を置いているわけです。
 この中の、不動産の占有者、債務者と不動産の占有者と二つ主体があるのですけれども、その占有者について、これは民事執行法ができた昭和五十四年の制定の際には、政府提案の法文の中には占有者というのがあったのですけれども、その審議の過程で、企業倒産などの場合に労働組合が労働債権の確保をするために時々職場なんかを占拠することがある、それは労働組合法の正当行為なんだということで問題になりまして、占有者については削除された経緯があるわけです。
 そして、この条文は、五十四年は削除されたのですけれども、その後、二年前の平成八年に改正されました。住専処理の一環として、占有者がないというのは不便だ、いろいろと不法な人間が占拠して、そして換価ができないという経過がありまして、また再び占有者が対象になるという改正が二年前に行われました。すなわち、法務省案が復活したわけですね。それで、しかし、その復活の際には、労働組合活動その他正当な活動に対しては十分な配慮がなされなければならないという特別な趣旨説明がなされているわけです。
 このときの法務委員会の中では、五十四年当時と同じく、労働債権確保のための正当行為が制限されるとの主張に対して、労働組合がこの問題に反対するのは労働債権の位置づけが低いためであって、これを解決するためには労働債権の配当順位の引き上げが必要であるということが確認されて、それは当時の与党プロジェクトの中でも合意されたというふうに聞いておるわけです。
 ところで、今回の改正案では、その問題については、一方の、執行を早くするという問題については二つの改正案が出されておりますけれども、片や、あのときからずっと懸案になっている労働債権の確保の問題については何ら前進が見られない。ですから、直接法案に関係ないのですけれども、そういう意見が多く出されておりますので、従来の、五十四年からの経過をずっと踏まえて、今の時点で法務大臣に対して次の点をお伺いしたいわけです。
 というのは、企業が倒産した場合、企業の有する財産から債権回収が図られるのですけれども、その際の配当の順位は、公租公課なんかが第一でありまして、抵当権が第二順位、そして労働者の賃金とか退職金はその後にされるわけで、法律どおりだとほとんどその債権は入ってこない。労働者は捨てられてしまうわけです。
 そのような場合の労働債権の配当順位の引き上げについてはどう考えるかということなんですけれども、その背景事情としまして、こういうふうな労働債権の位置づけは、今や先進諸国ではかなりいろいろと配慮されておって、我が国についてはまだ取り残されているという事情があるようですし、またILOの中でもこれが検討されておるという問題があります。また、現在、法制審議会の倒産部会でも倒産法制の改善と並行して検討が進められているというふうに聞いておるわけです。
 そういう事情を背景に、今法務大臣は、この倒産部会なんかの進捗状況なんかとも関連して、その点についてどのようにお考えなのか、御説明をいただきたいと思います。
○中村国務大臣 委員が大変重要な問題の御指摘をしていることはよくわかりますし、今までの民事執行法の改正されてきた経緯も存じております。そのときそのときのいろいろな事情があって、一遍外れてまた入ったというような経緯も伺っております。
 ただ、そうした民事執行法上の不法な占拠を正当な手続において排除しようというようなレベルの問題と、確かに法律は関係ないといって御質問いただきましたのでよくおわかりの上だと思いますが、同列で議論するとなかなかちょっと無理があるような気がいたしております。
 その上で、私どもが倒産法制を審議しますには、実体法、民法三百六条、御専門だから御存じのとおりでありますけれども、先取権があるわけですけれども、その先取権はもうほとんど今は役をなさない。なぜかといえば、後から後から実体法をつくって、労働債権に優先する債権ができてしまったわけですからだめだと。そこで、実体法にある労働債権のあり方を考えに入れながら、倒産した場合の手続をどうするかということで倒産法制をつくってまいりますので、倒産法制の面から労働債権の順位がどうあるべきかという議論をする問題ではないと思うのでございます。
 それでは、労働債権がどういう位置にあるべきかという議論は、これは当然やらなければいけない問題であると思います。御存じでおっしゃっていると思いますが、批准されていない条約もございます。そういう中で、やはり政府全体として考えなければならない問題だと思いますが、それを考えたときに、法務省だけではこれは考えられない。やはり労働行政はどうあるべきだと考えるような役所が中心になって、労働債権が他の債権と比較してどういう地位にあるべきかという議論をして、その中で私どもも議論に加わって、そして決めていかなければいけない問題ではないかと思います。
○北村(哲)委員 ただいまのお話でありますが、倒産法制を考える際には、やはり労働者の保護という点も当然必要となっておりますし、また、法制審議会にはそのために連合の代表もお入りになっているということでありますので、ぜひ、それとあわせて改善についての御検討をお願いしたいと思っております。
 さらに、労働大臣にお伺いします。
 今のような状況を踏まえて、労働大臣は労働債権の順位引き上げについてどのような御見解をお持ちでしょうか。
○甘利国務大臣 労働省の立場で申せば、労働債権の順位はもちろん上であった方がいいというふうに思います。私自身もそう思いますし、主張させていただいております。
 ただ、それぞれの債権順位、所管する役所がありますから、どこでその順位の調整をするのか。その場を設定していただいた場合には、私は労働債権の順位を上げてほしいという主張はさせていただきたいと思います。
○北村(哲)委員 続いて労働大臣にお伺いしたいと思います。
 平成八年の民事執行法の改正の際には、その方策の一つとして、通称賃確法と言われているのですが、賃金の支払の確保等に関する法律、いわゆる賃確法の拡充によって実質的に賃金や退職金もカバーできないかということが検討されたわけです。しかし、賃確法というのは、本来中小企業の倒産に対する緊急避難的な対策であって、本格的な労働債権確保としては不十分というふうに言われております。
 そこで、私は、大規模な保険制度か、あるいは特別法制による労働債権の順位引き上げが必要というふうなことが抽象的には考えられるのですけれども、しかし、なかなかそれは大変な問題でありますので、当面は、賃確法を改正して、実質的に退職金もカバーできるように支払いの限度額の大幅な引き上げをするとともに、支払い保証の保険制度なんかを創設する必要もあるかと思うのですけれども、その点について労働大臣はいかようにお考えなんでしょうか。
○甘利国務大臣 北村先生は、今までの御経験の中で恐らくこの種の事件現場に直面をされて、その苦悩といいますか、そういうものを肌身で感じられての御主張だと思いますので、その御意見は真摯に受けとめさせていただきます。
 御案内のとおり、賃確法によります労災保険の中に、未払い賃金立てかえ払い制度というのが設定されているわけであります。そして、今のお話のとおり、これは一定の賃金と一定の退職金はその対象としておりますけれども、いわゆるボーナスはしておりません。それはなぜしていないのだろうかと私も考えておったところなんですが、本来、賃金は恒常的な働きに対する対価として当てにできてずっともらえる。ところが、賞与に関しては業績その他企業間の格差が随分あるので、それは一応外して、賃金それから退蔵金を対象として算定をしているのであろうというふうに思うわけでございます。
 それで、要は上限設定が適切になされているかということだと思うのです。
 これは適宜見直しをいたしておりまして、直近でいいますと本年度から早速その額を引き上げたというところでございまして、これが実際に手にできる金額との乖離がどのくらいあるか。つまり、本来会社側が支払っているならば手にできた金額と、会社が倒産することによって立てかえ払い制度で手に入った金額の落差がどのくらいあるか。これは小さいほどいいのでありますが、本来これだけもらえるのがその分もらえたという人ベースでいいますと、従来が八三・三%。これが、本年度からの引き上げによりまして、八四・九%の人が本来手にすべきものをこの立てかえ払い制度によって手に入れることができた。
 それで、本来、法律要件に上限金額の八割ということが設定されておりますが、これも、給与の支払いでありますと税とか社会保険料がかかりますけれども、この立てかえ払い制度によりますとそれらがすべて免除をされますから、手取りという感覚でいうとかなり近いものになるのではないかというふうに考えておりまして、御指摘のように、上限額については実情を見ながら適宜改正をしていきたいというふうに思っております。
○北村(哲)委員 詳しく説明していただきまして、どうもありがとうございました。
 なるべく現状の法律を拡大して労働者保護、働く者の立場の保護をお願いしたいと思いますが、ただいまの支払い保証保険制度の創設の方向というのはお考えになったことはありますか。
○甘利国務大臣 現在は、現在持っております制度の適宜適切な見直しで対処したいと思っております。
○北村(哲)委員 ぜひそのような制度もお考えをいただきたいと思います。
 もう一つ、労働大臣に国際関係についてお伺いします。
 労働債権保全の強化というのは今や国際的な課題になっておりまして、欧米諸国、アメリカとかフランス、イギリス、ドイツなどは、一九七八年以降相次いで倒産法制を改正して労働債権の確保を厚くしておるようであります。
 ILOは、一九九二年に労働債権条約、すなわち百七十三号条約を採択しておりまして、そこで、労働債権は各種債権の中で高い位置を占めるべきであること、労働債権を保証するための機構を持つべきであることという二つの原則を掲げております。
 そういう意味で、我が国においてもこれらの原則を実効ある形で実現する必要があると思いますけれども、この条約の批准手続の状況について大臣はどのようにお考えか、今後どうするおつもりなのかということについて、御見解をお伺いしたいと思います。
○甘利国務大臣 北村先生御指摘のILO第百七十三号条約は、現在八カ国が批准をしているわけでありますが、現状で申し上げますと二点の問題がございます。
 先ほどの私へ、あるいは法務大臣への冒頭の御質問で述べさせていただいておりますが、一つは債権の順位でございまして、これをどう解決するかということが一つあります。
 もう一点は、労働債権の保証対象範囲ということが我が国の実情と若干乖離をしておりまして、これはもう先生御承知のとおり、この百七十三号条約で言いますところは、倒産等の場合以外でも、例えば景気が悪くなったから払えないという場合でもその対象にするということでありまして、そうしますと、使用者側が払うべき責任、その責任はどうなるんだろうか、こういう制度があるということを当てにしてモラルハザードに陥らないかということ等を懸念しております。
 この二点の問題をどうしていくかということでありますので、現状では批准が困難でありますが、このような二点の問題をどう詰めていくかということを含めて、慎重に検討していかなければならぬと思っております。
○北村(哲)委員 ぜひこのあたりの批准の問題についても検討を重ねていきたいと思っております。
 それではお二人の大臣、ありがとうございました。次は、もう衆法に移りますので。
 それでは、杉浦先生、村井先生、どうも御苦労さまです。サービサーの問題についてお伺いしたいと思っております。
 まず最初に、先日、既に濱田委員の方から若干の質問がありまして、そこで杉浦議員は、今必要なのはということで、「破綻金融機関あるいは住専以外の一般の金融機関、多額の不良債権を抱えておるわけでございますが、そういう不良債権の回収、これは今金融システム再生の大きなかぎになっていることは皆さん御案内のとおりでありますが、それに導入したらどうかというのが立法の直接の動機でございます。」というふうに言われました。
 私がそこでお伺いしたいのは、ところがお出しになったこのサービサー法は、第二条の中に管理、回収の対象となる特定金銭債権というものの定義がありまして、それは第一に、金融機関や農水産業協同組合云々という、いわゆる金融機関の債権が対象になると言い、第二号、第三号で、特定債権等に係る事業の規制に関する法律に言う特定債権、すなわちクレジットやリース、いわゆる分割払いの債権が対象になり、三番目に、貸金業の規制に関する法律の債権、すなわちいわゆる消費者金融、サラ金の債権も対象になるというふうに言っておられますけれども、こうなるとこのサービサー法は、一般私人間の貸し金とか企業間の貸し借り以外のほとんどすべての債権が入るというふうに思います。
 それで、しかし、いわばリースとかクレジットあるいはサラ金業界というのは非常に今好況でありまして、しかも逆にこれはもう被害者、債務者の方が払い切れなくてサラ金地獄に陥ったりなんかということで、先日申し上げましたけれども、平成五年には四万五千件ぐらいあった自己破産も、去年はもう七万五千、ことしは十万件に達しようとしているというふうな事態。これは裏返せば、サラ金業界なんかは非常に今厳しい取り立てが現実に行われておって、その裏返しであって、むしろ取り立てを受けている者がえらい被害を受けているというふうな状況ではないかと思うんです。
 そういう意味で、今そういう状態なのに、現に困っているのは不良債権の回収が困難である金融機関、これがまさにこの金融特別委員会で問題になっているし、その回収のためにまたいわゆる権利調整委員会もつくろうとしておる、それならば、それにあわせてこの回収銀行もその債権に限定してやったらどうだろうか、そういうふうに思うんですけれども、それをなぜゆえに、余り関係ない、非常に好況な事業のところまで広げようとしておられるのか。そこが私にはよくわからないというよりも、むしろ問題があるんじゃないかと思いますので、そのあたりの御見解をいただきたいと思います。
    〔委員長退席、村田(吉)委員長代理着席〕
○杉浦議員 北村先生の御質問にお答え申し上げます。
 先生が御指摘のとおり、この立法の第一の動機と申しますか、スタートは、私ども先回答弁いたしましたし、先生おっしゃったとおりでございます。
 ただ、ほかにも幾つか理由がございます。一つは、不法、黒い世界の人たちですね、そういう人たちが現実に、日本の場合長い歴史的背景があるわけですけれども、特にバブルがはじけて以降そういう人たちが、それまではずっと経済関係のところに浸透して、正業とすれすれのものを営みながら犯罪行為と密接に関連のある金を稼ぐという傾向があったわけですが、バブルがはじけて以降いろいろ出てきておる。明治時代は三百代言とか、昭和に入ってから事件屋とかいろいろ名前があったわけですが、それが暴力団関係者等でいろいろ利用されまして、先生も御案内のとおり、最近は損切り屋とか、いろいろこの債権回収にまつわって出てくる。
 それから、住専等いろいろ、中坊先生努力されておるわけですが、占有妨害等、債権回収の正当な行為を妨害する、それによって利益を得るというようなこともやっておるというわけでございまして、債権回収について弁護士法で業としては弁護士しかできないという事態を放置しておきますと、ますますそういう世界がこの事態をバックにしてはびこるんではないか。だから、むしろ弁護士法の精神のもとに、住専やら整理回収銀行のように会社組織できちっと法に従った対応ができるというふうにした方がいいのではないかという意見が強うございました。これは弁護士会も含めてですが、ある。
 幸いと申しますか、住専、整理回収銀行は、あれも公的サービサーでありますが、非常にいい実績を上げておられる、御案内のとおりであります。弁護士も適正に関与し、それぞれのプロ集団も参加いたしまして、会社組織で非常にいい実績を上げておられる。あの公的サービサーの場合はもう限定されておりまして、住専は住専の不良債権ですし、整理回収銀行は破綻した金融機関の不良債権の回収に限られておるわけですが、そういうものを、破綻していない金融機関、あるいはもっと広く金融機関以外のところでもやれるようにしたら、この債権回収、これから将来に向かって需要が減るとも思えませんし、弁護士法の精神を踏まえてやれるようにした方が社会全体としていいのではないかという考えが、一番、二番とは言いませんが、大きくあったのも事実でございます。
 それから、これは副次的かもしれませんが、中坊先生からは、中坊先生、整理回収銀行のトップの方に来ていただいてヒアリングをやったんですが、あの方々は不良債権回収が終わったら会社がなくなるわけですね。そうすると、今いる、住専ですと五、六百人従業員がいるはずです。整理回収銀行は何千人とおります。今度北拓だけで七百人ぐらい採用される。要するに北拓の不良債権回収をやるわけです。そういう方々が任務を終わった場合には解雇しなきゃならない、あるいは転用ということもあり得ますが、そういう方々、せっかく育てたプロ集団を活用できれば、この終わった後サービサーに、そういう人たちが中心になってつくっていく。雇用対策と言ったら語弊がありますが、優秀なプロ集団を生かしていく道をつくってくれということを強く要望なさっておられました。
 そういったもろもろのことを考えて、金融機関の不良債権に限らない、日弁連さんはそう言っておられたわけです。日弁連の御主張は不良債権に限れ、しかも五年間の時限立法にしろ、そういう御主張があったわけですが、営利を目的とする会社をつくる以上、時限というのもいかがなものか。また、債権を限定するのも一つの考えではあるけれども、しかし、実際のニーズ、そういったもろもろの背景を考えますと、少し広げた方がいいのではないかということになったわけであります。
 リース、クレジット、貸金業の関係なんですが、これはもう本当に議論のあったところでした。プロジェクトチームの中でも、関係官庁を含めての議論の中でもございました。いろいろあったわけですが、そこで一応線を引いたのは、リース、クレジットは、我々クレジットカードを使っておりますが、金融機関に類する機能を現実に持っておりますし、トラブルがないとも言えないわけでして、リース業の方も、いわゆるまともな意味のリース業ですね、最近のリースはバブルと関連したいろいろな業態に手を出していますが、本来のリース業ですと実質は金融であります。そういう機能に着目して、やはりこれも排除するのはいかがなものか、ニーズとしてはある、実際の要望もございます。
 貸金業は、悩ましいのですが、これは登録制でして実態は正確に把握できないのですが、町金融の悪いのもかなりおるわけですが、まともな貸金業者も随分おるわけでございまして、これも一切外すというのはいかがなものか。これも随分議論があったのですが、商法特例法でディスクロージャーの義務のあるぐらいのところは入れてもいいのじゃないかというようなところで、限定して入れたという実情があるわけです。
 これはもうどこで線を引くかという問題だと思いますが、私どもの意思としては、一つの営利会社としてサービサーを生む以上、やはり経営が成り立たなければいかぬ、債権を限ればそれだけ営業範囲が狭くなるわけで、できるだけ全体の調和を図ってどこで線を引くかということで苦心惨たんしたわけでありますが、そこで引かせていただいたということでございますので、御理解賜りたいと思います。
○北村(哲)委員 もうたくさんの説明を受けまして、いろいろなことを言われたのですが、この中で非常に示唆に富むというか、いいお話をされたのですが、例えば中坊さんのところの住管機構が非常にいい成績を上げておられる、いわゆる公的サービサーですね。ではこれを民間にしたらよくなるかというと、私は、日本ではまだその整備が難しい。だから、公的サービサーをまねるならば、この回収法を公的ということに、枠にはめたらどうだろうかという考えもあります。
 それから、今サラ金の問題あるいは裏の世界も言われました。このサービサーを一番期待しているのはサラ金業界だという話も聞いております。しかもサービサーについては、アメリカなんかの例では、裏の世界とは全く結びついてなくて健全に育っているといいます。ですから、日本では、裏の世界との結びつきをどう切るか、今のお話の中でも随分ありましたけれども、そのあたりを切るについて、この法制が私はまだ完全だとは思いません。
 そういう意味では、金融機関の債権に限るならば、私は、そうなると公的機関に近いサービサーでまず出発するならば、それは整備された段階でいずれ民間に開放していくにしても、それならそれでいいと思うのですが、とりあえずの出発としては、まだこれでは窓口が広過ぎるのではないか。心配事の方が先に立って、そっちの方ばかりまた弁解をされなくてはならぬことになりますので、そういうふうな気がします。
 ところで、このサービサー法というのは、アメリカの制度が参考になっていると思われているのですけれども、もちろん多く勉強されたと思います。弁護士会なんかの調査報告書を見ますと、アメリカなんかは機能による分類が、非常に多く分かれている。例えば、プライマリーサービサーとかマスターサービサー、スペシャルサービサー、それからバックアップサービサーですか、それはすなわち一の、機能の分類では、例えば正常債権の管理業務をするものと、スペシャルサービサーのように不良債権の回収を専らとするものというふうな機能分類とか、あるいは、取扱債権による分類というふうな意味では、コマーシャルサービサーあるいはレジデンシャルサービサーあるいはコレクションエージェンシー。それは、第一のコマーシャルサービサーは事業用債権、すなわち特に今問題になっているものを取り扱いをする。それから、レジデンシャルサービサーは個人住宅のローンなんかを取り扱うものとか、あるいは今言う消費者金融とかローンとかそういうクレジットを扱うコレクションエージェンシーのようなものに分かれている、こういうふうに言っておられます。
 特にコマーシャルサービサー、今こういうところで問題になっているものについては、一九八〇年代にSアンドL、すなわち貯蓄貸付組合が相次いで破綻する中で、八九年にRTCが設立されたということがあります。これを機にコマーシャルサービサーが一気に出て、一時は千社に及んだというけれども、しかし九五年にRTCがその目的を達して解散したらどんどんなくなって、今は数十社というか、さらにそれは減少の一途をたどっているというふうな報告もあります。
 こうしてみると、私の言いたいのは、いろいろ言いましたけれども、すべての機能を包含するような幅広いものを今ここでしてしまうのは拙速ではないだろうか。すなわち、機能とか機能分類あるいは取扱債権によって少しずつつくり上げて、それで法整備をそれなりに変えていく。例えば、不良債権を扱うものについては行為規制を非常に厳しいものにする会社をつくるとか、あるいは、金融機関のものについては、行為規制なんかはっきり言って関係ないわけですよ、そういうものを予定してつくるとか、そういうふうな考えに基づいてやったらどうかと思うのですけれども、そのあたりはどのようにお考えでしょうか。
○杉浦議員 御質問に答える前に、考え方として、金融機関の債権に絞るべきだという考えは議論の中でもあったところでございまして、いろいろな考え方があった、先生のお考えも非常に有力な一つの御意見だということだけは申し上げておきたいと思います。決して否定している意味ではございません、ただ我々としてはこうまとめたということで。
 それから、アメリカのサービサーについては、私も日弁連の報告書をちょうだいいたしましたが、私自身は行って調べる時間がなかったものですから調べておりません。
 それから、金融機関等からいろいろな情報を集めて検討して参考にさせていただいたわけですが、もちろんアメリカだけでなくて、イギリスにもドイツにもフランスにもあるというふうに聞いております。これはそれぞれの背景と申しましょうか歴史と申しましょうか、文化的、社会的風土と申しましょうか、そういうところから生まれてきておる、もちろんそういうわけでございまして、先生がおっしゃったことはそのとおりなんです。日弁連も二度にわたって派遣されてお調べいただいて、かなりまとめられている。
 ただ、わからない点もまだ随分あるというふうに聞いております。例えば数にしても、これは州単位でレジスターしているものですから正確にはわかりがたいとか、非常にたくさんふえて、減ってきているけれども、どの程度かは全体像は把握できないとか、あるいはSアンドL倒産の前からどうもあることはあったらしいのですね。ただ、あれを契機にわっとふえたということも事実なんですが、日弁連の方にお伺いしても、十分な調査は、あの方々自身完全なものとは思っていないとおっしゃっているわけなんです。ただ、アメリカの場合には、弁護士に関するレギュレーションというのはいろいろあるわけですけれども、日本の弁護士法のようなストリクトな法律、連邦法はありませんし、そこでの七十二条、七十三条のような規制、いろいろな形で規制している部分は、部分的にはあるようなんですが、ない。
 したがいまして、日本の場合には、いわゆる不良債権の回収を業としてはできない。ファクタリングですとか、それから組合方式で債権を回収しようとか、弁護士法違反だといって起訴されたこともあるような、そういういわゆる正常債権の回収というような意味での会社的なものはございましたが、本格的なサービサーのようなものはなかったということでございます。
 これはゼロから出発するわけですので、先生がおっしゃるように、どういうものが育つだろうかというのは、いろいろ考えますと、悪い方へ行くのじゃないかというおそれは常につきまとう、現実にはありませんから。それは否定できないところだと思いますが、先ほど申されました黒い世界等のあれを断ち切るためにこれは許可制にする。それから、常務を執行する弁護士さんを一名以上取締役に入れる、法令等のコンプライアンスを中心に弁護士さんにやっていただこうとか、あるいは許可条件に、暴力団並びに関係者、疑わしい者まで含めて排除する、警察庁に意見を聞く、そういう規定を設ける。それから、業務改善命令とか取り消しもできるようにするとか、さまざまな安全弁を入れまして、しかも、警察庁にはいろいろな段階で関与をしてもらう、立入検査も場合によってはやってもらうというようなことで、黒い世界との関係を断ち切るような、考えられるあらゆる方策を導入するとか、設けまして、ともかくいいものを、お手本は住専とか整理回収銀行などがあるわけですが、それを小さく、けれども余り小さくては経営が成り立ちませんから、いいものを生もうということで、我々本当に能力ないわけですが、全力を尽くして生み出したつもりではおるわけです。
 ただ、懸念ということで御追及を受けますと、ないものですから、動いていないもので、御指摘を受けても、最善を尽くして、運用でも法務省所管でやってまいるつもりでおりますので、懸念は全く払拭し切れるとは言えないと言われますと、否定できなくなるわけでございます。
○北村(哲)委員 私も、御努力というか、とにかく生んでみよう、出発してみようということについては賛成なんです。それで、特にSPC法ができまして不動産なんかも債券化する、それを受けるにはサービサーが必要だということもよくわかります。そういうことはわかるのですが、とにかく生んでみようという生み方の問題で、私どもはややちょっと幅が広過ぎるのではないか、最初から大きいのじゃないだろうかということで、いずれよくしていこうという姿勢は同じですし、出発についても考えは同じでございますので、そのあたり、まだまだ調査も不十分といいますか、このところ、今拙速に、拙速という言葉も失礼なんですが、生んでみようという気持ちは一緒ですから、問題のところを、なるべく心配なところはそぎ落として、これでいいというところで出発するということを私は望みたいと思います。
 まだいろいろと細かい点については、法案はこれから先質問したいと思いますけれども、時間が参りましたので一応終わりますけれども、よろしくお願いします。
○杉浦議員 大変申しわけありません。申し落としましたが、背景の事情として、立法動機として、債権の流動化、SPC、九月一日にできるようになったわけですが、そういうものを図っていくということもあり、それをサービサーでやっていくということもあったことを申し添えさせていただきます。
 また、野党三党の方から修正案の御提示がいただけるというふうに承っておりますので、修正協議の過程を通じまして御意見を承って、よりよいものを生み出すようにやってまいりたい、こう思っております。よろしくどうぞお願いいたします。
○北村(哲)委員 終わります。
○村田(吉)委員長代理 これにて北村君の質疑は終了いたしました。
 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。
    午前十一時五十三分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時開議
○相沢委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、お諮りいたします。
 最高裁判所石垣民事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○相沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
○相沢委員長 質疑を続行いたします。西川知雄君。
○西川(知)委員 平和・改革の西川知雄でございます。
 この審議も随分長い間いろいろな議論が出ておりますが、思い起こすと約一カ月ぐらい前に、政府また自民党の方から、破綻後の処理ということについて法制度が整備を十二分にされていない、したがって、これをほっておくともう大変な国際問題になって世界恐慌の引き金にもなりかねない。そんな話で、これは国民の皆さんも本当かなと思ってきたわけでございますが、その後長銀問題が発生をして、もともとから問題自体はあったわけでございますけれども、取り上げられて、これは破綻前の話ですから、これが今度は随分と情報公開の面とかで非常に問題となってきた。そしてまた、今度は三条委員会の問題が出てきて、財政と金融の分離とかそういう問題が出てきた。
 そうすると、一番初めに政府が、これは世界恐慌の引き金にもなりかねない、破綻後の処理について的確に早く決めないといけないと言って、我々はそういう、ある意味での恐怖観念にも襲われて、もしそうであれば早くいろいろな対案を出して審議をやっていかないといけないというふうに思っていたわけでございますが、きょう現在、もう一カ月もそれからたちます。
 しかしながら、まだその破綻後の処理の方策について合意が見られないということによって、別に世界的な金融不安が一カ月前と比べて非常に増したとか、そういうことは全然ない。むしろ、その長銀問題さえ片づいてしまえば、しばらくその破綻後の処理の問題についてはゆっくりと検討しても大丈夫だというような雰囲気になってきたのではないかと思うのですが、その点についての大蔵大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○宮澤国務大臣 的確に、お尋ねのところが私は受け取っていないかもしれませんが、政府・与党が案を提出して御審議を願い、また皆様方も案を御検討、御提出で御議論していただいておるわけですので、そういうこと自体が、片っ方では早く結論が出ないから暗いというふうに考える人もいますけれども、いや、そういうことを国会が御議論になっているということは、やはり将来何かあるときに国民的な関心を、御議論があって備えようとしていらっしゃるということでもありますので、私は、これだけ御検討いただいているということは、国民の間にこの問題についての意識を高めているという意味で有意義であろうというふうに思います。
○西川(知)委員 橋本内閣でもそうだったのですけれども、財政構造改革法、これを一日も早く成立させないととんでもないことになるというふうに我々は言われてきて、反対したわけですけれども、凍結をした方がいいというふうに言ってきたところ、いやそうではない、早く成立させないといけない、こういうことをずっと主張されて、小渕内閣になって急にまた凍結に変わった。こういうことのように、どうも最初に言われていることと現在起きていることとが実際にちょっと違うのじゃないかなというふうに私は思えてならないわけですが、その一つとして、具体的に本法案に関連して、私の意見と、そして質問をさせていただきたいと思います。
 たしか、議事録がありますので、私は、予算委員会で総括質疑をいたしましたときに、実はこの金融問題について、八月十八日に取り上げました。そのときに、小渕総理も宮澤大蔵大臣も、野党の方からこの金融機関の破綻に関していろいろな提案があれば、いいものであればどしどしと取り入れていきたいというふうな御意見を述べられたところでございます。
 ところで、二日ぐらい前ですか、新聞によると、〇・五次案とか、一次案にも満たないような案が、野党の我々が出した法案四本に対しての回答メモのような形で自民党の方から打診という形で出されてきたというふうに聞いておりますし、そのメモを私はここに持っておるわけですが、それは宮澤大蔵大臣はまず御存じですか。
○宮澤国務大臣 政府・与党と申しましても、こういう場合には、緊密な連絡はいたしますけれども、必ずしも常に同じことを考えて同じ案を持ち回っているというわけでもございませんので、その案は、私はたしかある新聞の夕刊で見たあの案をおっしゃっていらっしゃるかと思いますが、そのことは、夕刊読みましたけれども、私どもが直接のかかわり合った案ではございませんでした。
○西川(知)委員 そこで、大蔵大臣にお伺いしたいのでございますが、その夕刊の記事というのは、具体的に申し上げますと、例えば、金融再生問題担当の特命相を置く。ただし、三条委員会に金融行政を担わせることは適当でない。
 また、金融機関が破綻した場合において、金融管理人による管理から公的ブリッジバンクヘの暫定的な業務承継という政府案と、破綻銀行の普通株式の即時強制取得を直接行うというプロセス、このいずれか適当な方法を選択することを可能とする。
 また、迅速な行政処分と厳正な司法審査を実現するため、行政機関限りの判断で、管理を命ずる処分及び特別公的管理の開始決定をし、これに対する事後的なチェックは、当該処分等に対する行政訴訟によることとする。
 また、資本注入や特定合併は、金融機関が債務超過状態に陥るまで放置せず、早期に合併、再編を促進していくために必要な手法であり、廃止すべきではない。
 三番目に、公的管理期間を合計三年に短縮する。
 四番目に、個別行ごとの分類債権の状況等の公表義務づけは、貸し渋りや債権回収の激化につながるおそれがあり、法文化することは適当でない。
 五番目に、整理回収銀行の整理回収機構、日本版RTCへの改組はこのようなメリットを失わせるというような趣旨のことが、夕刊、今大蔵大臣がそこで読まれたことと同じ内容で書かれていると思うのでございます。
 この内容は、政府というか大蔵大臣の見解といたしましては、八月十八日に小渕総理なりまた宮澤大蔵大臣が、野党の意見も十分に参照させていただいて、いいところはどんどん取り入れていくというような御趣旨の発言をされたところでございますが、宮澤大蔵大臣の見解からいたしますと、今のような内容というのは、我々の野党三会派が提案している内容と大分違う、ほとんど選択肢を取り入れていないというふうに私は思うんですが、大蔵大臣の御所見はいかがでございましょうか。
○宮澤国務大臣 かねてから、このいわゆるトータルプランにつきましては、非常なイデオロギー的な要素はそうあるわけではございませんし、また今までやったことがございませんから、政府が考えたことがすべてベストであるとも思わない、したがいまして、野党の御提案もぜひ聞かせていただいて、そしていいものをつくってまいりたい、こういうことは申し上げておりまして、そのスタンスは今日も全く変わっておりません。今日もそうでございます。
 それで、先ほどお話しになられました某新聞の夕刊に出ました案というのは、そういうところの与野党の折衝の中でどなたかがきっと一つ考えられた案であろうと思いますけれども、先ほど申し上げておりますとおり、政府がそれに直接かかわったというわけではございません。そういういろいろな案を御討議の中できっといいものができ上がってくることを、私は与野党の御協議に期待を申し上げているわけでございます。そういう今真っただ中でございますから、特定の案について、私がそれをいい、悪いと申し上げることは、実は百害あって一利なしと思いますので、御遠慮をさせていただきます。
○西川(知)委員 ちょっと具体的に観点を変えて御質問させていただきたいんですが、いわゆる野党会派案というのは、国有化ということも当然言っておりますが、それは、例外的な場合に国有化をするということを言っております。基本的には、金融整理管財人という、政府案の金融管理人という概念に近いわけでございますが、この金融整理管財人が破綻金融機関の清算をしていく、それが原則である。しかし、そうでない、もっと破綻の影響が大きい場合には、国有化ということもオプションとしてある、こういう構成になっているわけでございます。
 そういうようなオプションが、今野党案では二つあるわけですが、このオプションを置くということについてはいろいろな、これからどういうような状況において破綻をしていくかはわからないわけですから、そういうオプションを置いておくということは極めて事態にフレキシブルに対応する意味でいいというふうに、私はこれはとてもいい提案だと思うんですが、その点に限っては大蔵大臣の御意見はいかがでしょうか。
○宮澤国務大臣 かなり広範囲の、全体について与野党で御検討をしておられると伺っておりますので、その中で、今の部分のメリットということをお尋ねになりましても、ちょっと私にははっきりわかりかねますし、また、先ほど申しましたと同じ理由で、その部分についてだけ意見を申し上げることは私としては差し控えたいと思います。
○西川(知)委員 与野党で話し合っているのはこれは国会の中であって、当然話し合っているということでございまして、今大蔵大臣に私がお尋ねしたいのは、内閣としてどういうふうにお考えなのか。すなわち、これは閣法としてお出しになっている。内閣の提案である。それに対して野党の方は、今言ったような、例えば二つのオプションを考えておいた方がいいんじゃないかという提案でございます。自民党は自民党さんでそれぞれの御意見があるということで、それは結構だと思うんですが、内閣として、大蔵大臣としてはどういうふうにお考えかは、これはお答え願えると思うんですが、いかがでしょうか。
○宮澤国務大臣 政府は政府といたしましてこれが最善という御提案をいたしたつもりでございますけれども、しかし、国会の御審議の過程で、それは必ずしもそうではないという御意見であれば、私どもはそれは謙虚に承らなければならないと思います。
○西川(知)委員 最善だというふうにおっしゃいましたが、これからどういうふうにしてどんな機関が破綻するかということは、実は大蔵大臣もおわかりにならないし、私もわかっておりませんし、だれも正確にはわからない。こういう状況のときに、そういう事態に備えるために今のブリッジバンク方式だけでいいかというと、私はそうではないと。それが最善ということは、どういうふうな根拠で最善であると言われるのかは私はわかりかねるのでございますが、宮澤大蔵大臣は、どうして今のブリッジ法案が、いろいろなこれからわからない事態で、どんなふうにして破綻が起こるか、どんな機関が破綻していくのかわからない状態で、最善だと言われる根拠はどの辺にございますのでしょうか。
○宮澤国務大臣 私の申し上げようとしておりますのは、政府が御提案をいたしました以上、もっと、こうあれ、あああれということはもちろんございましょうけれども、政府としてはやはりこれでお願いをしたい。
 それは当然のことだと思います、だれでも最善を尽くすということは。しかしながら、何度も申し上げておりますとおり、この問題は初めての問題でありますし、私どもにも考えが及ばない点もいろいろございましょうから、国会の御審議におきまして、新しいものをおつくりいただくなり、あるいは修正をしていただくなり、それは政府は謙虚にそのことについては承らなければならない、こう申し上げておるわけであります。
○西川(知)委員 もう一回お尋ねしますが、これは閣法として、内閣の提案として出された法律でございます。そこで、このブリッジバンク方式が最善の方式であるというふうに内閣としては思われて、また所管の大臣である大蔵大臣もこの方法がベストであるというふうにして出されたということでございますが、先ほど申しましたように、八月十八日に小渕総理も宮澤大蔵大臣も、いい提案であればこれを取り入れていきたい、お聞きしたいと。
 聞くということは、単に聞いているだけじゃなくて、それを取り入れるということであると思うんです。先ほどから申しておりますように、この我々が出した案、すなわち、金融整理管財人を置いて清算するのを原則として、特定の場合、特別の場合に国有化をするという案というものは、これは私は、先ほどから申し上げていますように、いろいろな事態に対応するために非常に適切な案であると思うんですが、内閣としては、先ほどから申していますように、その案についてどういうふうに思われるのか、また、それを聞いていただけるのか。これはまた、与野党の話し合いとは別であると思いますので、内閣としての御意見をお聞かせ願いたいと思います。
○宮澤国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、このプラン全体がかなり広範なシステムについて立案をしようとしておりますから、その中の今の部分だけを評価せよと言われましても、それは本来非常にお答えしにくい問題であろうと思います。
 いろいろ御苦心をされてお考えになられたということは容易に想像いたしますが、全体の中のその部分の評価というのは、本来非常に申し上げることが難しゅうございますし、また先ほども申し上げましたが、各党で御検討のところへ政府が何かそれについて物を申し上げるということは、私は余り有益なことでない、こう思っております。
○西川(知)委員 ちょっとまた後で御質問します、そういう点に関しましては。
 これは多分法制局に聞くのがいいと思うのですが、自民党の方かちのプロポーザルとして、「迅速な行政処分と厳正な司法審査を実現するため、行政機関限りの判断で、「管理を命ずる処分」及び「特別公的管理の開始決定」をし、これに対する事後的なチェックは、当該処分等に対する行政訴訟によることとする。」こういうふうに何か新しい提案のような形で書かれておるのでございますが、私の行政処分、行政訴訟法に関する理解によりますと、その管理を命ずる処分とか特別公的管理の開始決定、政府案でも、例えばブリッジバンクを新しくつくるのではなくて、前の銀行の、破綻した銀行の株を国が、預保なり平成何とかいうところがそれを取得するということ、これは行政処分であるというふうに理解しておるのです。
 まず、その理解でいいかどうか、お答え願いたいと思います。
○阪田政府委員 お答え申し上げます。
 今の委員のお尋ねは、多分、行政事件訴訟法第三条第二項に規定する取り消し訴訟の対象となる行政処分かという御趣旨であろうかと思いますが、少なくとも、政府案で提案しております金融管理人の管理を命ずる処分につきましては、これはいわゆる行政行為である。すなわち、行政機関の行う公的行為であって単独行為だという意味で、従来の講学上の概念に照らせば行政処分に当たるというふうに理解しております。
 株の取得というのは、政府案にはございませんので、ちょっとコメントを差し控えたいと思います。
○西川(知)委員 政府案にもあるのですけれども、そこは結構でございます。
 そうすると、管理を命ずる処分というのは行政処分である、したがって、これに対して事後的なチェックというか、不服がある場合は、当然、それに対する行政訴訟によることになるというのが今のお答えであったというふうに思います。
 そうすると、ここで、野党の委員もいらっしゃいますし、与党の委員もいらっしゃいますので、そこでちょっと明確にしておきたいことがございますが、それは、この間こういうふうに出た「迅速な行政処分と厳正な司法審査を実現するため、行政機関限りの判断で、「管理を命ずる処分」及び「特別公的管理の開始決定」をし、これに対する事後的なチェックは、当該処分等に対する行政訴訟によることとする。」というのは、これは今の当たり前の原則を書いただけの話であって、何の新しい提案でも、何の新しい譲歩でもないということをちょっと指摘しておきたいというふうに思います。
 そこで、最高裁にお尋ねをいたしたいと思うのですが、この間野党案の審議のときに、裁判所の手続というものは倒産法制において非常に遅いというような指摘をする過程において、申し立てから二カ月ぐらいかかるというような指摘がございました。
 しかし、これは私の理解するところでは、会社更生法の手続においては、一体この会社は本当に更生をしていくのだろうかどうだろうかということで、そういう理由もあって、申し立てから二カ月間ぐらいかかるという事例が最近見受けられるということであったと思うのですが、破産手続、いわゆる清算をしていこうという手続において、例えば日債銀系のノンバンク、クラウン・リーシングを含めまして、拓銀抵当証券とかそういうものが最近倒産、破産手続に入ったわけでございますが、そういうような事例については、現在申し立てからどれぐらいの程度で破産宣告がなされているか、ちょっとお答え願いたいと思います。
○石垣最高裁判所長官代理者 破産事件についてお尋ねでございますので、平成九年に破産の申し立てがあった大型事件として、ココ山岡宝飾店、日債銀系ノンバンク三社、拓銀抵当証券、山一土地建物、こういうものがございますが、これらについては、申し立てから一週間程度以内に破産宣告がされておるようでございます。
○西川(知)委員 そこで、現在東京地裁では、破産部とまた会社更生商事部とかいう特別部があるのですが、これは東京であれば破産部でやられているということでございますが、現在その東京地裁の破産部、これは裁判官は何名で、それを支える職員というのは何名ぐらいいるのか、ちょっとお答え願いたいと思います。
○石垣最高裁判所長官代理者 東京地裁で破産事件を取り扱っております部は、御案内のとおり民事第二十部といいますが、破産と和議事件を取り扱っております。裁判官数でいいますと九人、その他の職員が三十八人ということになっております。
○西川(知)委員 そこで、クラウン・リーシングの件でございますけれども、これは、私もリース関係の仕事を弁護士のときやっておりましたので、この名前には非常に何回も出くわしているところでございまして、大変大きなリース会社であって、例えば日債銀が直接貸せないようなところ、これらに対して、クラウン・リーシングに例えば日債銀が貸して、そしてクラウン・リーシングが最終の債務者に貸しているというようなことで、ノンバンクとは申しますものの、極めて金融機関に近いような機能を果たしているところでございますが、この倒産手続、破産手続において、もしそのクラウン・リーシングの債務者の数とか債権者の数とかそういうことがわかれば、最高裁からお聞きしたいと思います。
○石垣最高裁判所長官代理者 御指摘のクラウン・リーシングの事件でございますが、債権者数はおおよそ五百五十人、債務者数はおよそ七千人ぐらいというふうに聞いております。
○西川(知)委員 債務者数は七千人ということは七千社というのと、個人も入っているでしょうから、非常に大きな数である。しかし、これが破産をした場合でも、裁判所の関与において、申し立てから一週間程度で破産宣告がなされている、こういうことでございまして、裁判所の関与ということが我々野党三会派案でもなされておりますが、これについて、迅速じゃないというような御意見がありますけれども、例えば東京地裁の破産部は、こういういろいろな事件があっても、裁判官はたった九人でございまして、これを例えば増員をして、そしてその体制を十分強化して、そしてどういう点を審査するのかまた認定するのかについて、法律上明確な基準というものを設けておけば、これは十二分に早急な措置をとることが私は可能であると思います。この点について御意見を求めるつもりはございませんが、今の事実に基づいて私はそういうふうに考えるということを主張しておきたいと思います。
 そこで、あと十分しか時間がございませんので、情報公開のことについて若干、八月十八日、私予算委員会で質問をしておりまして、そのときに実は宮澤大蔵大臣にもお尋ねして、御回答を、御返事をいただいているのですが、それは、善良かつ健全な借り手、債務者というもの、これに対して、法律の案では二十四条の二の二項に、健全性等に関する基準を審査判定基準ということで審査委員会がつくるということになっておりまして、私は、その判断をするための材料として、現在のSEC基準または自己査定の方法だけで十分かというふうに申し上げましたところ、これに対しては、宮澤大蔵大臣は、国会議員といたしまして、それも十分考えさせていただきたいと思っております、こういうふうに御答弁をいただいたのでございますが、現在、どういうふうに考えて、その結論として、新しい基準が必要じゃないか、そういういろいろなまた別のアイデアがあるんじゃないかというふうにお考えをいただいておりますでしょうか。
○宮澤国務大臣 今基準と言われましたのは、ディスクロージャーのような基準でございますか、それとも……。
○西川(知)委員 二十四条の二の善意かつ健全な債務者ということがだれかということを判断するための基準、そのための必要な情報開示というのは、SEC基準と自己査定の基準とは若干違うんじゃないかということを私が申し上げたときに、それは十分考えさせていただきますと御答弁いただいたので。
○宮澤国務大臣 失礼いたしました。それは、SECも少なくともミニマムの基準だと私は思っておりますから、それで満足というわけにはいかないだろうということはやはり思っております。
○西川(知)委員 私が主張しているのは、そのほかのもっと違う基準もあるんじゃないかということから言っておるのでございますが、ちょっと金融監督庁長官にお尋ねしたいのですが、例えば政府案で、善意かつ健全な債務者、これに対してはお金を貸さないと、公的資金を出さないといけないということになったと。そうした場合に、その人の個別の名前、どの人にお金を貸したのかということは言う必要はないと思いますが、幾ら貸したのか、またその人の担保状況はどうだったのか、どういう取引先であったのかというようなことについては、私、ちょっと監督庁長官の今までのずっとこの委員会での答弁を聞いていますと、何となく否定的な感じであるというのは想像できるのですが、もう一度、その点についてはどういうふうにお考えなのか、ちょっと御答弁願いたいと思います。
○日野政府委員 お答えいたします。
 何か答える前から答えを予定されたようで大変恐縮でございますが、今政府・与党が提出している案と、それから野党三会派案がそれぞれ当委員会で御審議されているわけでございます。金融監督庁は、もう御案内のとおり、与えられた法律を誠実に実行するという機関でございまして、また、金融監督庁がもし何か不備があって法律をつくってもらいたいと思うときにはへ大蔵省の金融企画局にお願いする、こういう仕組みになっているわけでございます。
 したがいまして、法律案が国会で御審議の結果、きちっとした法律になった暁には、その法律をよく勉強させていただきまして、それに従った私どもの方針を打ち立てて、それに従って行動したいと思っております。
○西川(知)委員 記録のために申し上げておきますと、やはり八月十八日に、宮澤大蔵大臣とそして小渕総理が、この点については肯定的な答弁をされております。肯定的な答弁と申しますのは、これは議事録の八月十八日の七十四ページに書いてございますが、私の質問に対して、こういう公的資金を使った場合には、総理、どこに幾ら、どういう対象に使ったか、こういう点について、債務者の名前は当然挙げることはないけれども、それを明らかにするというのが宮澤大蔵大臣の御答弁であったというふうに理解してよろしゅうございますねと申し上げたところ、さように存じますというふうに総理大臣は答えられておりますので、今の状況でも、もしそういう公的資金を使うようなことがあれば、債務者の名前は出す必要はないけれども、どこに幾ら、どういう種類に使ったのか、どういうところに使ったのかというようなことは出すということになっておりますので、それは記録のために申し上げておきます。
 それから、経営者の責任について、やはりこれも私が八月十八日に、法案の四十六条、虚偽申告をした、債務超過が実はあるのにないというようなことを言った場合に、これについて百万以下の過料に処するというふうに原案はなっているので、これは非常に軽過ぎるんじゃないか、刑事上、民事上の責任を追及するということが言われているのに、それは少な過ぎるということに対して、宮澤大蔵大臣は、やはりよく素人にはわかりにくい従来のいきさつだとか横並びだとかいうものがございまして、一つ一つ見ると、いかにも甘いという感じがしないこともないけれども、そういうような観点があるようでございますので、一度専門の政府委員を私のところ、西川のところへ説明に伺わせるようにいたします、こういうふうに御回答願っているのですが、八月十八日から今、九月まで、まだだれも来られていないのですが、この辺はいかがなものでしょうか。
○宮澤国務大臣 それは失礼いたしました。
 私の申し上げようとしましたのは、罰則というのは実は、いわゆる横並びというのが非常に難しい問題のようでございまして、それから過去と現在とのバランスというものがまたございますようで、これは法務省でございますかね、ちょっと私のような素人がうっかり物を申せない世界なものでございますから、そちらの方にお願いしようと思っておりまして、それはうかつをいたしました。私の方からお願いを申し上げるようにいたします。
○西川(知)委員 そこで、今度は金融監督庁長官にお尋ねしたいのですが、預金保険法の第二条の四項の規定ぶりと同じような規定がありまして、それが破綻の要件になっている、こういうことでございます。預金の払い戻しの停止またはそのおそれがあるということが破綻の定義なんでございますが、これは金融監督庁が、ちょっと時間がないので申し上げますと、議事録の七十五ページに、こういう規定になっているので、決して裁量の余地がないというふうに――私は、行政機関が余りにも自由裁量的なことで、例えば預金の払い戻しの停止のおそれがあるということを自由裁量的に判断してもらうと困るというので、この点について第三者がチェックをする必要があるんじゃないかと申し上げたときに、要するに、預金の払い戻しの停止は裁量の余地はないと思うのですが、そのおそれがあるというのは、私は極めて裁量の余地があるというふうに実は思っておりまして、議事録を読み返しまして、裁量の余地がないというふうに長官はおっしゃっているのですが、またきょうも時間がなくなったのですが、今でもそういうふうに思っていらっしゃるのか、また、全然裁量の余地が本当にないのかどうか、御答弁願いたいと思います。
○日野政府委員 お答えいたします。
 この第四項は、「この法律において「破綻金融機関」とは、」と定義がございまして、いきなり「預金等の払戻しを停止するおそれのある金融機関又は預金等の払戻しを停止した金融機関」とはありませんで、その前提として「業務若しくは財産の状況に照らし」というのがございます。これはソルベンシーのことを多分言っているのかなというふうにも思いますけれども、私どもは、法案が作成される途中で、今委員が御指摘になりましたように、金融監督庁が従来の裁量をできるだけ排して透明な行政を行うためには、できるだけ裁量の余地がないようにということは大蔵省の金融企画局の方にはもう随分お願いしてございまして、その結果でき上がった法律案であると思いますので、私どもとしては裁量の余地のない法律案であるというふうに信じております。
○西川(知)委員 時間が来ましたので、これで私の質問を終わります。
○相沢委員長 これにて西川君の質疑は終了いたしました。
 次に、小池百合子君。
○小池委員 自由党の小池百合子でございます。
 本日は、またお忙しいところを佐々波委員長にもお越しいただいております。前回、おとといでございますけれども、ことしの三月に行われた都銀二十一行に対します二兆円規模の資本注入の際の審査委員会の審査につきまして、改めてもう一度伺わせていただきたいと思っております。
 まず、最大の問題は、審査の過程、そして内容、結果におきまして、これまでの御答弁を振り返ってみますと、非常にいわゆるクレジビリティーというものが欠如していると言わざるを得ないと思います。そんなことで、委員長の方から、前回はその審査の過程がどういうものであったかということを細かく御説明があったわけではございますが、極めて短時間の中で非常に難しい審査であったことは否めないことではございますけれども、しかし今、あの三月の時点での公的資金の資本注入から、現在の例えば長銀の惨たんたる状況等々を考えますと、あの審査は一体、本当に審査をきっちりなさったのかどうかということが改めて問題となっているわけでございます。
 同僚議員の方からもいろいろと御質問がございました。また、九日の質疑でございましたでしょうか、共産党の佐々木憲昭委員が大変細かに計算なさいまして、各行をきっちり審査をしたというふうにおっしゃっても、計算上、全体が二十時間の審査があったとしても、全体の物理的な計算をいたしますと、各行で約十五分から二十五分ぐらいしか審査の時間が、物理的にそれしか無理ではなかったのかというような指摘もございました。
 そういう非常にきつい中で、どのような審査がどのような根拠を持って行われたのか、一つ一つ伺わせていただきたいと思っております。
 御答弁の中で、これは松田理事長も含めてでございますけれども、いろいろとバランスシートだ、ラインシートだというふうな、そういうお話がそのたびに変わってきているわけでございますけれども、結局、委員長はその各行のラインシートなるものをごらんになったのでございましょうか。また、それはどれぐらいつぶさにごらんになったのでございましょうか。
 まず、この最後の質問のところのみお答えいただければと思います。
○佐々波参考人 お答えさせていただきます。
 申請銀行の資産内容、状況につきましては、審査委員会としては当然非常に大きなチェックポイントであると考えました。それで、委員長より大蔵大臣、日銀総裁に、事実関係について各行ごとに質問を行いました。それを受けて、大蔵大臣、日銀総裁には、そのため、急遽各行から全体で百箱にも及ぶ与信明細表を徴収され、十数人のベテラン検査、考査マンが数日間にわたって昼夜兼行の精査をされたというように承知しております。与信個々の事情は、審査委員会における大蔵大臣や日銀総裁の御意見に集約されているものと考えております。
 以上でございます。
○小池委員 今いただいたお答えは、おとといの私の質問に対する御答弁と寸分違わないものでございました。同じ答弁要旨を読まないようにしていただきたいと思います。
 それで、じゃ一体、百箱云々の話ですが、御自分では見られなかったということでございますが、見るお気持ちにもならなかったのでしょうか。
○佐々波参考人 では、続けてお答え申し上げます。
 この回答と頭取ヒアリングその他の資料の突き合わせを行いまして、審査委員全員が審査行の業務内容、収益動向などを厳正に審査させていただきました。資本注入というのはその是非に基づいて決定したものでございます。
 以上です。
○小池委員 資本注入、その是非ということでございますが、あのころの大蔵委員会でのやりとりなども振り返ってみますと、結局あれは各行の要請に応じて額が決められ、そして金利については、その上乗せ額がムーディーズの格付であるとかそういったことをベースにして決められたというふうには伺っておるわけでございますが、当時はとにかく、三月末の決算、これがBIS規制をクリアするか否かというのがまさにその当時の至上命題でございました。そしてまた、現実には、政府・与党の皆様方が各行を回られて、とにかく要請をすべきであるということを強く主張なさっておられたのは、各行から聞こえているところでございます。
 また、ある金融機関などは、例えば都銀が一千億資本注入を要請したわけでございますけれども、各行が行ったわけでございますが、当時は、そういった状況の中で政府・与党からのお申し出に断るということはなかなかできなかった、だから、あのときは横並びで一千億でみんなまとまって頼んだというような話は、その当時からも問題視をされ、まさに今もって護送船団方式をまたよみがえらせるのかといったような議論も、実は大蔵委員会の方で再三再四行われていたわけなんですね。
 ですから、今、公的資金注入の是非ということを御審査なさったと委員長はおっしゃいましたけれども、是非という点でいうならば、どこの銀行が本当に悪いのかをカバーアップするための各行の一千億円でありまして、その是非については、これこそはっきりと委員長の権限でもってノーと言うべきであったのではないでしょうか。
 特に、この審査委員会の基準とその法的な背景には、全員一致というふうになっております。ですから、委員長お一人でも、それぞれ都銀横並びに一千億の注入ということについては、これはおかしいのではないかといったような御発言があったのでしょうか、なかったのでしょうか。
○佐々波参考人 御質問にお答えしたいと思います。
 金融機関が公的資金による優先株の引き受けを申請するかどうかということ、またどの程度の金額を申請するかというのは、金融機関みずからの判断によって決定されるべきものというふうに存じております。
 審査委員会といたしましては、各行の判断に基づく申請を受けて、申請内容と健全性確保計画などをもとに、個別行ごとに審査基準に合致するかどうかを判断し、資本注入を決定させていただきました。
○小池委員 各行からの要請があったから、それは委員長として受けたということではございますが、あのときはマスコミでもこの問題は随分問題視されていたわけでございます。よって、そこで委員長がしっかりとこの本質の問題をとらえて御発言なり、そしてまた会のおまとめをしていただかなかったことが、かえって今にこの審査委員会の問題点がクローズアップされていると言わざるを得ないと思っております。
 また、各行の格付がもちろん違うわけでございますし、また審査委員会が大変注視なさったというそれぞれの各行の資本の問題等々につきまして、それぞれつぶさにごらんになったと信じたいところでございますが、例えば、Aa2の東京三菱の永久劣後債の上乗せ金利が〇・九%となっております。一方、同じ〇・九%の住友については、格付が実は二段階低いA1になっていますね。さらに、東海でございますけれども、これは格付はさらに低いA2になっている。だけれども、その上乗せ金利は〇・九%となっているわけでございます。それぞれの格付が違う各行の上乗せ金利でございますけれども、一体どういう根拠に基づかれて計算されたのでございましょうか。
○佐々波参考人 お答えしたいと思います。
 発行条件などを決めるに当たりましては、客観性、公平性を担保の一環といたしまして、内外で経験と実績を持っております複数の専門機関に評価を依頼いたしました。審査委員会では、その評価結果を参考にして審査を尽くした上で決定したものでございます。
 今、評価を依頼しました専門機関というのは、各社とも相当数のスタッフを動員して、市場から見ての評価を下すために最大限の努力を払ったというふうに承知しております。
○小池委員 では、同じような質問でございますけれども、この上乗せ金利、東海と同じあさひが一・〇〇%となっている。それについては、多分お答えは同じことを繰り返されると思いますので、もうパスをさせていただきたいと思います。
 それからまた、外部の専門家たちにお願いをされたというのですが、まだ私これはちょっと納得できないのですが、三菱信託、住友信託、例の住友信託でございます、東洋信託、それぞれ同じ格付なんですが、業績には差がある。ところが、一・一〇という同じ上乗せ金利で承認がされているわけです。この根拠についても、今のページと全く同じところをお読みになるのでございましょうか。
○佐々波参考人 審査内容につきましては、先ほどお答えしたとおりです。
○小池委員 例えば、ラインシートを見た、見ないの話があるわけでございますけれども、ラインシートというのは一体どんなものなんでしょうか。私見たことがないんですが、委員長、どんなものか教えていただけませんでしょうか。何が書いてあって、どうなっているのか。
○佐々波参考人 私の知っている限りでは、各金融機関の与信についての調査だというふうに承知しております。
○小池委員 それは何ページぐらいございましたでしょうか。
○佐々波参考人 与信表のことですか、それを現実に見たかどうかというお話ですか。
 先ほどお話ししましたように、百箱に及ぶものを取り寄せての精査というふうに聞いております。
○小池委員 そうすると、結局ラインシートはごらんになっていない、百箱もあったんだよという話をお聞きになったということでございますね。確認させてください。
○佐々波参考人 先ほど申し上げたとおりです。精査の結果だということです。
○小池委員 今のこれまでのお答えで、結局ラインシートはごらんになっていなかったというふうに私は理解して、そのまま進めさせていただきます。
 それで、本当に委員長はここを行ったり来たりで、まことに――まだ何も聞いていないのです、行ったり来たりで申しわけないということを申し上げようと思ったのですけれども、一日の御答弁で、委員長としての私自身の責務は円滑な審査委員会の運営だというふうにお述べになっているわけでございますが、委員長としての最大の務めを一つ挙げるとなると、審査委員会の運営なんでしょうか、それとも正確な審査なんでしょうか、それとも結果責任なんでしょうか。一つだけお答えください。
○佐々波参考人 私自身としては、公正でかつ中立な立場の審査だ、それが円滑に行われるようというふうにお答えしたつもりなんですけれども。
○小池委員 御答弁では最初の部分は抜けておりましたが、いずれにせよやはり、公正、正確とおっしゃいましたか。済みません、エクササイズさせてください。
○佐々波参考人 ここへずっと立っている方がいいですか。運動になってよろしいのですけれども。
 公正かつ中立的な立場での審査の円滑な進行というふうに存じております。
○小池委員 それじゃ、立ったついでということはないですけれども、先ほどの件なんですけれども、またちょっと戻りますけれども、要請があった各行の資産状況であるとか格付であるとか、そういったことを考慮なさって、そして今回の三月の時点での結果を出された。そのときに、大体要請に基づいて結果は出てきているのですが、金利の点については上乗せがかなり多かった。各行の方では、むしろそういうばらつきについて若干不満を持っていたりもするわけでございますけれども、そのときに、一番要請額を減らされたのは長銀と日債銀なんですね。この減らされた理由は一体何だったんでしょうか。
○佐々波参考人 今回の注入に関しましては……
○相沢委員長 佐々波委員長。発言は許可を求めてください。
○佐々波参考人 よろしゅうございますか。今回の注入の目的なんですけれども、いわゆる各行の自己資本比率の充実ということに資するという目的から、申請内容と決定とが違ったのだというふうに存じております。
○小池委員 私が思いますに、あのとき劣後ローンの方の問題があったのですが、むしろあのときは、値切るというよりは逆の形で資本注入をやっていった方が私は効果があったのではないかというふうに思うわけなんです。
 それじゃ、ちょっと委員長、今回の任命の件についても若干お伺いしたいと思っておるのです。
 例えば先ほどのラインシートのこと、結局ごらんになっていなかったという話で受け取っておりますけれども、私は、委員長の大変な御功績、お書きになりました「国際分業と日本経済」を国会図書館の方からお借りしてまいりました。若干数学の方が苦手なもので、わかるページと全くわからないページとあって、これまでの御功績ということを改めて感じさせていただきました。また、これまでの御経歴というのは、本当に女性としても非常に誇らしく思うような大変な御功績がおありになるわけでございますが、今回、この委員長への御就任に際して、いつ、どなたから、どういうことでこのお話があったんでございましょうか。
○佐々波参考人 非常に個人的なことにも関しますので、お答えできないというふうに思います。
○小池委員 では、逆に、個人的なお話なのでということでございますが、お受けになった最大の理由、佐々波教授を委員長の職につくということに動かした最大のモチベーションは何だったんでしょうか。決意に至る最大の理由。
○佐々波参考人 こういう公の場で個人的なことを一々お答えしなきゃいけないんでしょうか。
○小池委員 いや、決意ですよ、委員長としての。
○佐々波参考人 委員長としての、公務の決意については先ほど申しましたとおりです。公正で中立な審査というものに私の経験を生かしたいというふうなことをつけ加えれば、これは個人的な思いになりますし、先ほどのお答えは公式のお答えです。
 以上です。
○小池委員 先ほどから委員長の個人的なお話まで伺わせていただいて非常に恐縮には思っているんですが、しかし事は、やはり三月の資本注入、そして、これからの大きな決断であったり、そこに至るまでのデュープロセスがどのようにして透明性が確保され、そして、それに対してのアカウンタビリティーが実際あるのかどうかというのは、これからの流れに重要な影響も出てくると思うんですね。だからこそずっとお話を伺っているわけでございます。
 私、委員長の御経験は本当に、こういった書物を通じたり、また、私のおじが慶応の経済学部の学部長をやって、詳しくは父のいとこなんですが、経済学者のいろいろな取り組みであるとか、本に埋もれてどのような研究をなさっておられるのかは想像がつくわけでございます。しかし、先生が御専門になっておられるのは各国のマクロ経済の方ではなかろうかと思うんですね。各銀行それぞれの例えばラインシートをぱっと見せられても、はっきり言ってわからないのではないかというふうにも思うわけでございます。
 こういった、言ってみれば、先生のこれまでの御経験、そして分野ということについては、若干ずれがあるのではないかという説があるのでございますが、それについてはどうお答えになりますでしょうか。
○佐々波参考人 審査会の役割ともかかわる問題ですけれども、いわゆるラインシートの精査その他は、検査官その他専門スタッフというものの結果を踏まえて公正な審査を行うというのが審査会の役割だというふうに存じております。
 それから、私の経験をいろいろ、本まで借りてきていただきまして、ありがとうございました。お礼を申し上げた上で申し上げますと、マクロ経済というのは金融部門と非常に大きな、深い関連がありまして、マクロ経済、殊に私の場合には計量経済学もいたしますので、いわゆるデータを見るというのは長い間の経験があるというふうに存じております。その経験の限りでは、今後もこの経験を生かしていただきたい。これはプライベートの発言でございます。
 以上です。
○小池委員 データを読むのはこれまでのお仕事の一環であったと。それならば、どうしてラインシートを御自身でごらんにならなかったんですか。
○佐々波参考人 先ほどからのラインシートの御質問でございますけれども、ラインシートというのは各企業のものでございまして、これはスタッフの精査というものが役割というように存じております。
○小池委員 委員長の職責というのは、下から上がってきたものに対して信頼を置いて、そしてその上でイエス、ノーということをはっきりと決める、その組織論的な話はわかるわけではございますが、例えば、今不良債権の回収等々でやっておられる中坊さんの場合ですと、私は、一つ一つごらんになっているのではないかと思います。
 時間的な開きであるとか、そういったことは違うとは思いますが、長である者というのは、やはり会社なんかでもそうなんですよね、下から上がってくるものに、勘であるとか長年の経験であるとか、それから経営者としての責任であるとか、ぱっとつぼをつかむということは当然長としても必要なわけでございますよね。
 ですから、今回、しつこいようでございますけれども、この金融安定化法に基づいての審査委員会そのものを私どもは反対をさせていただいたわけでございますけれども、この一番最初に書いてあるのが、とにかく、信用の確保だったかな、総則の「目的」で、「金融機関の破綻が相次いで発生している状況の下で、我が国における金融の機能に対する内外の信頼が大きく低下するとともに信用秩序の維持」云々と書いてあるわけでございますが、この審査委員会そのものも、大きな内外の信頼であるとか信用の中に組み入れられている、むしろ心臓部ではないかと思うんですね。そこに対してのクレジビリティーが今揺らいでいるということを私は何度も指摘させていただいているわけでございます。
 それから、これはまことに個人的なことになるわけでございますけれども、きのうでしたか、国連の統計で、人間開発指数というのが、我が国が七位から八位に低下したというのがございました。この低下の原因というのが、女性の政治経済活動への参加という、ジェンダーエンパワーメント測定というのがまた落ちてきているというようなことなんですね。
 基本的に、今回の、佐々波委員長、私、マスコミを読んでおりまして、いつも腹立たしいんです。委員長の御就任云々の話、個人的なことだから言えないということでございましたが、まず慶応であるということ、それから女性であるということを言われているんですね。これは腹立ちませんか。
○佐々波参考人 女性であることというのと慶応であることと、両方お答えするわけですか。
 慶応義塾に関しましては、長いこと教えておりましたので、今回の公的資金活用につきましても、最も本質的な部分、つまり、金融機関の自己資本の充実というような枠組み、学問で言えばいわゆるフレームワークというものを活用していくということが非常に大切である。いわゆるベーシックスな、ベーシックスというのは、基本的なことの重要性というのは、長いこと私も教えさせていただいたものの基本でありますので、慶応義塾での経験というのを生かしていただけるというふうに考えております。
 女性の点でございますけれども、その点について支援してくださる方というのが大勢いることは事実です。ただ、私本人といたしましては、八割方は男子学生を教えましたので、特に教えている上での意識というものはございません。
 以上です。
○小池委員 私は、佐々波委員長のかわりに怒っているんです、マスコミに対して、書き方に対して。
 それで、不思議なことに、最近は、急にここへ来て、金融危機がばあっと起こってから、日本版SECの委員長に、これまた労働省のベテランで、ケニア大使を御経験なさった方が今委員長を務めておられる。それから、日野長官にはきょうもお越しいただいていますが、その候補者の前に挙がっていたのもやはり女性なんですね。
 これはだれに言っていいのかわかりませんけれども、何か状況が危機的状況になると急に女性に鉢が回ってくるというのはいかがなものかというふうにも思うわけなんですね。逆に言えば、サッチャーさんだって、保守党の候補者が乱立して、落としどころがないというので女にやらせろみたいなところがあって、それを彼女はこれまでためたエネルギーでもって、そしてサッチャリズムというのを活用していくわけでございます。
 ですから、チャンスはチャンスなのですね、ある意味で女性とすれば。しかしながら、ある意味で、今回の委員長もそうやって、女だからなどと言われて、そしてまた、この委員長の職に限るわけではございませんけれども、今肝心な男性たちはどこかへ行ってしまっていて、みんなだれも責任をとろうとしないのですよね。急にそこに女性を持ってくれば事足れりというようなことで、私はそういうふうにも感じるところがあるわけでございます。であるならば、この審査委員会の委員長のポストはずっと女性にしてほしい、それからSECの証券監視委員会の方も、であるならばずっと女性で割り当ててほしいというくらいの気持ちを持っているわけでございます。
 いずれにいたしましても、これに出ている、人間らしさ、日本七位から八位にというようなことなどを見まして、今全体的な経緯を見て私は非常に大きな疑問を抱き、また、だからこそチャンスではないかというふうにも思っているところでございます。
 さて、本題にまた戻らせていただきますが、日野長官、長銀の調査でございますけれども、一体いつ出るのでございましょうか。最初、盆明けというお話がございましたが。
○日野政府委員 御答弁申し上げます。
 ただいま長銀の立入検査を行っておりまして、まだ立入検査から戻ってきておりません。検査と申しますのは、立ち入りを開始してから立ち入りが終了するまでをいうのではなくて、立ち入りが終了してから戻ってきまして、そして平たく言いますと整理といいますか、いろいろな文書を起案したりする作業がございます。これは金融監督庁の内部で意思を決定して、そしてそれを金融機関に通知するということをもってこの検査は終了いたします。
 これは何回もお尋ねで御答弁申し上げておりますが、いつ終了するかということは、今のところ申し上げられないことをお許しいただきたいと思います。
○小池委員 それから、日野長官のこれは九月二日の時点での御答弁でございますが、「私どもが行っている検査を住友信託が、」「デューデリジエンスをかけて、さらに住友信託が合併という観点から改めて資産の内容を検査されることになるだろうと思います。恐らくは、それは物差しが大分違ってくるのじゃないか」というふうにお答えがあるわけでございます。
 外部の会計監査法人が入って、そして住友信託をクライアントとして精査していくということでございますね。その物差しは大分違うということなのでございますけれども、住友信託は、長銀との合併話が出て、そして今長銀の中身を精査しなければ、これはある意味で住友信託の株主に対しましても被害が及ぶといいましょうか、これは長銀の方の話でございますけれども、実際に今回の不良債権の切り離し、放棄ということについては、ニューヨークでも既に株主代表訴訟が起こっているところでございます。それだけに、また住友信託にしたって、やはりこの金融危機においては万全な健康状態とも言いがたい。であるからこそ、いろいろな条件を出して、そしてまた相手方の家柄、健康、血液型そのほか、すべてを精査して真剣に考えるというのは、これは住友信託の経営者としては当然のことだと思うのですね。
 であるならば、公的資金云々、長銀の話でございますけれども、五千億、六千億超、この超がわけわからないのでございますけれども、そもそも物差しが違ってくるのはおかしいのじゃないか。公的資金でいうならば、住友信託の生き残りと日本の納税者のお金と、私は真剣度は基本的に同じである。よって、物差しがどっちが厳しくてどっちが緩いというふうにおっしゃるのかわかりませんけれども、私は本来は物差しが違ってくるのはおかしいと思うのでございますが、長官、いかがでしょうか。
○日野政府委員 ただいま委員は男女の結婚に例えられてお話しされたように理解いたしますが、私は物差しが違うと思います。
 それは、私どもの行っている検査は、ゴーイングコンサーンということを前提といたしまして、三月に行った自己査定、これを今検査しているわけでございます。これは通常、企業の場合には期間損益を前提といたしまして、これをはかるために会計の決算をやり、あるいは監査をやる、こういった物差しでありまして、この期間損益という立場から見ますと、いろいろな意味で、住友信託がこれから実行するというふうに言われておりますデューデリジェンスというのとは、やはり物差しが全然違うのじゃないかと思います。
 つまり、合併といいますのは、釈迦に説法で大変恐縮でございますが、長銀の株主が長銀という企業価値をお金で売却するわけでございます。住友信託はそれを買うわけでございますから、言ってみれば商品でございますね。そうすると、それをできるだけ安く買おうというのは、これは当然でございます。それから、売る方はできるだけ高く売りたいということになろうかと思います。そこで、両方の間の意思が合致したところで商品の値段がつくわけでございますが、結局、できるだけ安く買おうとする住友信託としては、非常に厳しい物差しを使わざるを得ないのではないか。
 つまり、合併とそれから清算とかあるいは破産というのはまるきり違いますけれども、つまり、清算とか破産といいますとこれは完全にくず鉄を売り払うような感じになりますが、それとはちょっと違いますが、普通なら、ここで企業を全部やめにしてしまうということになりますと全部費用になるはずですけれども、ゴーイングコンサーンですと、それが必ずしも全部が費用になるわけじゃなくて、翌期あるいは翌々期にその資産として繰り延べることができるわけですね。
 そういったことからしますと、つまり物差しがやはり違ってくる。どちらが厳しいかというふうに言われますと、やはりデューデリジェンスの方がより一層厳しい物差しになってくるのではないかというふうに思います。
○小池委員 時間が参りましたので、これで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○相沢委員長 これにて小池君の質疑は終了いたしました。
 次に、春名直章君。
○春名委員 日本共産党の春名直章です。きょうも長銀問題について御質問させていただきたいと思います。
 言うまでもなく、長銀は、一九五二年の長期信用銀行法の制定に基づきまして、産業界に設備投資などに必要な長期資金を供給することを重要な使命にして設立をされました。その使命を果たすために、特別に金融債の発行が認められるということになりました。
 債券を発行して資金調達を行って長期資金を貸し付けるという性格上、融資に当たっては、貸付金の万全な保全、確実な担保、これを徴することが特別に重要だということだと思います。その精神が長期信用銀行法の第七条で、その保全及び回収の確保を図るために、確実な担保を徴し、または分割して弁済させる方法をとるなど特別の考慮が必要であるという文章で明記をされているというふうに私は認識しておりますが、この理解で間違いございませんね。どなたでも結構ですから。
○伏屋政府委員 お答え申し上げます。
 長期信用銀行法には今先生の言われたような規定がございます。
○春名委員 そういう精神で第七条で書かれております。
 安全にかたく仕事をすることが厳しく要請される特別の銀行である。その銀行である長銀がなぜ破綻寸前になったのか、吸収合併と言われるような事態にまで陥っていったのか、そこが問題でありまして、きょう議論をしてみたいと思います。
 きょう、五種類のグラフをつくってまいりました。大蔵大臣にもぜひごらんいただけたらと思います、このようなことはもう御存じかもしれませんけれども。
 上から、長銀の業態別の貸出残高の比率でございます。二ページ目は、貸出残高の額でございます。その歴史的推移。三ページ目は、第二地銀まで含んでいるのですが、長銀と全国銀行の不動産業への貸出比率のそれぞれ比較でございます。同じく四枚目は、金融・保険業への貸出比率の比較でございます。最後に、製造業への貸出比率の比較でございます。それぞれ有価証券報告書とか日銀の経済統計月報から作成をさせていただいた資料でございまして、確かな数字でございます。
 この資料をつくってみまして、私は大変驚きました。その特徴を私なりにまとめてみますと、第一に、貸出比率も貸出額も、本来の製造業への貸し出しは一貫して減り続けながら、建設、不動産、金融・保険、こういうバブル関連業種への貸し出しが、率だけではなくて額も増大をしているということであります。
 第二は、九〇年のバブルが崩壊した後もその傾向が顕著であるということであります。崩壊して以降もそういう傾向が顕著だということであります。
  三番目は、全国銀行との比較を見ますと、三ページ目、四ページ目、五ページ目ですが、不動産業、金融・保険業への貸出比率は、最初から長銀は高いわけですが、その差がこの間さらに開いてきているということでございます。八五年から九八年の十三年間のグラフでありますけれども、最初から不動産業、金融・保険業への貸出比率は高いのだけれども、その差がさらに広がっている。特に、不動産業への貸し込みですけれども、ごらんください、三ページ目の資料で、九三年以降激増しております。大変な問題です。
 四つ目に私が特徴だと思うのは、長銀が本来一番貸し出しすべき製造業の部門では、その低下の比率を見てみますと、全国銀行以上にこれは大きい、著しい、こういう結果があからさまに出てしまいました。
 長銀の全体の貸出量に占める割合で、製造業を見ますと、八五年は二二%でしたが、九八年にはわずか九%へと減少いたしまして、金額も一・九兆円から一・三兆円です。一ページ目の表でわかると思います。かわりに、不動産、金融・保険、建設への貸出比率は、八五年が二七%だったのが四六%まで激増いたしまして、二兆一千億円だった金額が六兆八千億円と、約三倍であります。
 預金を集めるという苦労をしないでも資金がある意味ではぜいたくに入ってくる、その運用先をバブルの業種にねらって次から次へと貸し込むというゆがんだ実態が余りにも一目瞭然であります。
 この推移を見て私は非常に驚きましたが、大蔵大臣、きょう初めてお渡しするものですけれども、こうした業務の方向性というものが、さきに申しました長銀法の規定、精神に照らして一体ふさわしいのだろうか、どのようにお考えでしょうか、御意見を聞かせてください。
○宮澤国務大臣 今チャートをいただいて拝見しておりまして、おっしゃったような傾向が見えますが、これは、私、決して間違っているとかいうことを申し上げているのではありませんが、全国のマネーセンターバンクスの傾向はどうなのか、傾向としてはきっと同じなんであろう、ただ、それが長銀の場合により顕著だということかなと思って今拝見しておりました。
 創設当時、一九五二年、昭和二十七年でございましょうか、日本の工業化が急速に進展していく中で長銀の果たした役割、あるいは長期信用銀行に期待された役割というのは、それはここにございます後の年度よりははるかに高かった、そのとおりだと思います。そして、だんだん競争が激しくなってまいりますから、長期信用銀行としては、本来の務めであったそういう務めの比重は減る、あるいは、マネーセンターバンクスがむしろそういう長期の貸し出しもするということになりましたから、長期信用銀行としては、新しい分野を見つけるのに非常に苦労があった、あるいは非常な努力をしたということもまた言えるのではないか。ちょっとそんな感じがいたします。
○春名委員 こういう長銀法から大きくゆがんだ方向というのが、きのうきょうではなくして、延々と続いてきているという状況なんですね。そして、乱脈経営で破綻と言われるような状況が生まれてきているわけでありまして、本当にこれは重大だと思うのですね。こういう経営によりまして債権が焦げついて不良化をし、今日の事態を生み出したことは明らかです。
 九月七日に当委員会に長銀から資料が提出をされました。それを委員の皆さんもごらんになったと思いますけれども、私もこれを見て驚きました。正常債権を含む全債権の中で占めている灰色債権、二分類、この比率が一二・七%なんですね、ごらんになっていると思うのですけれども。
 これも高いわけですけれども、もっとすごいのは、バブル業種の占める灰色債権の割合が異常に高いということでございます。計算してみますと、不動産業ではその割合が二六%でございます。リース業では三〇%。三割が第二分類、灰色債権だ。建設業では三三%。大変な高率なわけであります。また、この不動産や金融、リースの三業種への灰色債権が、灰色債権全体、二分類債権全体の七〇%を占めている。これもすごい数字ですね。私は驚きました。
 こうした数字はひどい実態の一端を示すものだと私は思いますけれども、金融監督庁はそもそもこういう数字はつかんでいらっしゃったのでしょうか。つかんでいたのなら、どのような是正の指導を行ってきたのか、明確に答弁をいただきたいと思います。
○乾政府委員 議員御指摘になりましたような計数の基本的なところは、大蔵省時代あるいは金融監督庁を通じて把握をしていたと思います。
 それに対しまして、大蔵省時代、金融監督庁はまさに検査を今やっているわけでございますけれども、長銀に対します検査を通じましてそうした実態を把握するとともに、最近議論されておりますようなそうした問題点、例えば審査管理体制の充実強化、あるいは不良債権の適切な処理について、指導あるいは改善状況のフォローアップをその時々において行ってきたと承知しております。
○春名委員 抽象的でよくわからないので、具体的に聞いていきます。
 金融監督庁は、長銀への検査は、バブル崩壊後、いつ、どのような日程で行ってきたか、お答えください。
○五味政府委員 最近の日本長期信用銀行に対する検査は、前回が平成八年四月十七日から六月十二日まで、その前は平成四年の一月十三日から二月二十一日まで、こういう日程で検査に入っております。
○春名委員 そのときの検査で何を発見されて、長銀に対してはどんな指導をやったのでしょうか。
 先ほど、管理体制を強化するとか適切な不良債権処理をやるとかいう抽象的なことを言われましたけれども、これだけの数字が如実に示されているのであって、不動産業界やノンバンクヘの融資に傾斜している点について、あるいは長銀の融資のあり方そのものについて、どのような忠告あるいは勧告を行って御指導されてきたのか、具体的に答えてください。
○乾政府委員 長期信用銀行におきましては、バブル期におけるその旺盛な資金需要の高まりから、先ほど議員御指摘のありましたような不動産にやや結果的にウエートが高まった貸し出しというものが急増してまいりまして、その結果、その後のバブル崩壊、あるいは地価の下落に十分な対応ができずに不良債権が増加した。これは長期信用銀行に限らず、日本の金融機関が多かれ少なかれ直面している問題でありますけれども、長期信用銀行の場合にはその傾向が、先ほどのグラフでお示しのように、やや顕著であったのかなと思います。
 それで、こうした事態に対しまして、先ほどもお答えいたしましたように、これは大蔵省当時からでありますけれども、検査結果等を踏まえまして、必要な与信における審査管理体制の充実強化、不良債権の適切な処理について、その指導を行ってきたところでございます。
○春名委員 先ほどと同じ答えでございまして、そういうことをやっていて、なぜこういう数字になるのかということを私は問うているのであります。あなた方は、実はそういう乱脈経営の実態はつかんでいるということは言われましたが、まさに指摘までされてきたわけです。
 それで、第四十一回銀行局の金融年報というのがあります。平成四年版のコピーですけれども、長期信用銀行は三社ありますけれども、平成三年度、平成四年の一月ですからね、検査をやったのは。この平成三年度に検査を行っているのは三社の中で長銀だけです。だから、このやった検査の結果がここに具体的に書かれてあるわけです。第四十一回銀行局金融年報、平成四年版であります。この結果と特徴をここでこう述べているのですね。これは重要なことが書いてあるのです。具体的に言います。
 「貸出金は不動産関連融資やノンバンク向け融資の増加などにより堅調な伸び」である。堅調な伸びといって評価すべきことなんでしょうかね。「不動産関連融資やノンバンク向け融資の増加などにより堅調な伸び」であるというふうに言った後に、貸出金の内容はこう言っているのです。「不動産業、ノンバンク等の分類額が増加した結果、分類率が上昇している」、つまり、不良債権が増大しているということをはっきりこの時点で指摘をされていらっしゃいます。
 また、その上に立って、審査管理面の留意点というのが三点書いてありまして、第一点が「債務者の過信や他行追随から、実態把握等不十分なまま貸し進み、資金の固定化が見込まれるもの」、第二点が「子会社経由で不動産業へ転貸融資を行ったものの、転貸先の事業の悪化及び財テク失敗により資金が固定化しているもの」、第三、「具体的な事業計画等の検討不十分なまま期日延長を繰り返し、値上がり期待による土地の長期保有を容認しているもの」「など、審査管理が不十分な事例がみとめられている」のである、はっきりとこう指摘をしています。このままではだめだ、不良債権がふえている、子会社経由で不動産業者へ転貸をしたけれども、その不動産業者の事業が悪化したり、財テクに走ったりしていて、その資金が固定化しているということまで分析をしている文書があるわけであります。
 重大なことは、その検査後も相も変わらずノンバンクや不動産業への貸し込みがふえていることであります。グラフの三枚目をそういう目でもう一回見てください。この指摘をした九二年以降、不動産への貸出率はさらに増大しているじゃないですか。一体どうなっているのですか、これは。本当にまじめに検査をし、正していく、本来の長銀法に基づく方向で正しい是正をしていく、そういう具体的な指導はどういうふうにやったのでしょうか。全く今の答弁では私はわかりません。そのことをもう一度お答えいただきたいと思いますが、いかがですか。
○日野政府委員 今朗読なさいました平成四年のその指摘でございますね。その当時の長銀の経営内容、あるいは貸し出し状況を踏まえた上での指摘ではなかったかと思います。
 それは、当時の大蔵省の金融検査の立場から見て、ベストの指導といいますか指摘をしたものと思います。ただ、それに従うかどうかということは、またこれは別な問題でございまして、行政機関としては、その当時のやったこととしては、それに従ってもらえるものと思って恐らく行われたものというふうに思っております。
○春名委員 そんな無責任なことを言って、後で公的資金投入ですか。とんでもない話ですね。私は本当に許せないと思う。
 この検査をやったのが平成四年一月であります。調査の評価を出したこの文書、この本になっているのはたしか十一月か十二月だったと思います。それで、この平成四年なんですけれども、失礼ですけれども、宮澤大蔵大臣は、その平成四年、当時はどういう役職、お仕事をされていたのか、思い出して言ってください。
○宮澤国務大臣 平成四年は私は総理大臣でありまして、不良債権の問題を取り上げて、これは公的な関与をしないといけないということを申したころだと思います。
○春名委員 九一年の十一月から九三年の八月まで総理の要職につかれて頑張っておいでだと思います。ですから、九二年ですので、当然総理大臣のときだと思います。
 それで、その総現在職のときに、今大変話題をさらっておりますけれども、杉浦さんとか、何度か幹部ともお会いされていますよね。その御記憶はありますか。
○宮澤国務大臣 ございます。
○春名委員 総理大臣になりますと、首相動静というのが毎日出ますが、あれをいつも私たちも拝見しているわけですけれども、それをめくってみますと、杉浦当時相談役なんですけれども、杉浦さんとこの期間に十二回お会いになっております。(宮澤国務大臣「どの期間ですか」と呼ぶ)九一年の十一月から九三年の八月でございます。十二回お会いになっております。第一回目が九一年十一月十四日で、総理におなりになった直後、官邸にお呼びして、杉浦さんと面談をされております。それを皮切りにしまして十二回やられているわけでございますけれども、会食あるいはゴルフなどが中心でございます。こういうふうに、何度も杉浦さん自身にお会いになっている、この一年数カ月の間ですね。そして一方では、これだけひどい方向が進んでいるから経営の改善をということも検査では言っている。そういう事態をお知りになる立場にもちろんあったわけでございまして、この杉浦さんを通じてでもそういう話をされたのでしょうか。どういうことになっているのかという話をされた記憶はありますか、いかがですか。
○宮澤国務大臣 長い友人でございますからよく会っておりました。しかし、仕事の話は私は一切いたさない。
○春名委員 それでは、会食やゴルフの代金ですが、どなたがお払いになりましたか。相手側がお払いになったのでしょうか、御本人ですか。
○宮澤国務大臣 それは記憶ございません。
○春名委員 指導すべき立場にある、そして九二年の検査で、これだけ大事な今日の公的資金投入かと言われるようなところまで今破綻の道を歩んできた、そして検査の結果も出た、そういうときに十二回、総現在職期間中十二回お会いになっているわけですね。仕事の話はされてないと言うかもしれないけれども、それだけ大きな問題だったわけでしょう。まあ私に言わせていただければ、言葉がきついかもしれないけれども、接待を受けていたのかもしれない。接待でしょう。指導監督しなければならない立場にありながら、これでは接待漬けじゃありませんか。一番長銀を甘やかしているのは実は宮澤大蔵大臣かもしれないと言われても仕方がないような事実ではないでしょうか。そういう御認識であるのかどうか、私は非常に大事だと思うんです。いかがですか、大蔵大臣。
○宮澤国務大臣 この間も、赤旗に何かそんなことが書いてございました。しかし、当時長銀が何か、悪い銀行だとか、間違ったことをしたとかいうんじゃございませんし、相談役でいらしたんでしょう、杉浦さんは。それは、二つのことは一緒にお答えするのはどうも、ちょっと難しいんじゃないかと思います。
○春名委員 当時、悪いことをしていないんじゃないんです。しているんです。
 長銀は、九六年から、イ・アイ・イ・インターナショナルグループの海外リゾート、ホテル、ゴルフ場、さまざまなプロジェクトに対して、長銀グループノンバンクとともに・・(宮澤国務大臣「何年からですか」と呼ぶ)八六年以降です。足早にお金を貸し込んでいきましてね、プロジェクトファイナンスというやり方で、事業ごとに、担保をとらないで、将来の収益性を担保にするというようなやり方でどんどん貸し込んでいく。ピークのときには六千億円貸し込んでいたとも言われております。イ・アイ・イ・グループはもう御存じのとおりです、そして、堀江頭取に言わせれば、三千八百億円だと言っておりますけれども。その後バブルが崩壊をし、イ・アイ・イ・グループとの関係も破綻をするんですね。縁を切るというのが九三年の七月です。一番ひどいことをやっていたんですよ、そのときにも。そして九二年には検査に入っておる、こういう時系列があるわけであります。
 そのときに、十二回お会いになって、仕事の話はされなかったと言われるけれども、今日のこういう破綻が導き出されるような重大な波乱の中にあったわけでありますよ。そして、このようなことを全く不問に付したままで、公的資金の申請をされればそれは投入しましょうという立場に立っていらっしゃるというのは、だれが考えても納得できないと私は思います。――いいです。時間もありませんので。
○宮澤国務大臣 ただいま、ひどいとおっしゃいましたが、ひどいというのは、聞きようによっては何か不道徳なことがあるとか法律違反があるとかいうふうに聞こえますので、あなたのおっしゃいましたのは、恐らく、経営がどうもうまくなかった、そういうことをおっしゃったわけでございますね。それはそうかもしれないんです。そうかもしれませんが、だからといって、友人は友人でございますから、何も犯罪人とつき合ったというような話じゃございません。
○春名委員 そんな極端なことは言っておりません。しかし、会食をされて、交流もされておりました。そして、その中で、今日の事態をつくり出してきた、結果もわかっていた、検査もやっていた、その事実を私は具体的に指摘をしているのでございます。
 そして皆さん、九七年の政治資金収支報告が出ました。きのう、自由党の西川委員もおっしゃいましたけれども、長銀から、九七年、千八百四十八万円という政治献金、引き続きもらっております。
○相沢委員長 質疑時間が終了しておりますので、御協力願います。
○春名委員 国民は、こうしたあなた方の姿勢、そうした癒着した姿にやはり憤りを覚えているんだと思います。公的資金投入は私は断じて許せないということを申し上げ、質問を終わらせていただきます。
 以上です。
○相沢委員長 これにて春名君の質疑は終了いたしました。
 次に、濱田健一君。
○濱田(健)委員 前回に引き続きまして、国土庁長官に不動産の権利等の調整法についてお尋ねをいたしたいと思います。
 八月二十五日の本会議における私の代表質問に対しまして、ゼネコン救済を目的にしたものではないか、ないという答弁が、この調整法についてございました。
 しかし、この質問を聞いた何人かの人たちから、不動産を媒体にして、貸し借りの関係は当然あるわけでございまして、その土俵にかかわる問題なんだから、世上言われているとおり、ゼネコン等が結果として多くの恩恵を享受できるのではないか、やはりゼネコン救済の傾向が強いんじゃないかという批判的な声が寄せられているわけでございますけれども、その辺、大臣、いかがでございましょう。
○柳沢国務大臣 この法律が通りまして、制度が発足したときに、この調整制度の対象になるものは、当然、不動産の投資とかあるいは保有をしている業種が勢い多くなってくるということは、先生御指摘のとおりだろうと思います。しかし、私どもが今いろいろなところの情報を総合してみますと、メーカーさんの場合であるとか、あるいは流通業に携わっている方々の場合にもこういうケースに当たるとして対象になるものが想像されるということでございまして、あくまでもこれは業種を限って対象とするという制度ではないということを申し上げたし、また、きょうも申し上げたいと思うわけでございます。
 そもそも、何か債務者だけがこの制度の場合に得をするというようなことに傾きがちな議論がちょっと多く見られるように思いますけれども、これはあくまでも貸し手である、債権者である金融機関が自分たちのバランスシートを最終的によくして、それで自分たちの残された債権についても健全化を図っていくということも目的になっているということをぜひ御理解を賜りたい、重ねてお願いを申し上げる次第であります。
○濱田(健)委員 大臣が今お答えになったとおりであるとしても、国民の感情というのは複雑なんですよ。
 それで、一定水準以上の巨額な債務免除が許される、施されるという言葉は言い過ぎかもしれませんが、そういうゼネコン等については、国民の理解を得るためにも、経営陣の退陣、経営責任の厳格化、減資等の株主責任の明確化、しょっちゅうこれを言っているようでございますけれども、債務免除方式を適用するための環境の整備、条件の整備、何らかの、こういう額以上はこういう責任をとれよというような仕組みを考えてあげることが国民の感情的な部分を和らげるのではないかという思いもしているわけでございますけれども、いかがでしょう。
○柳沢国務大臣 本制度を適用するに当たって、国民の理解をより一層深めていただくために、一つのガイドライン的に、ルールというかそういうものでこの制度を働かせていくというか、機能させていったらどうかというお話でございますけれども、やはりたびたび私申させていただいているわけでございますけれども、譲り合いの中で一つの、双方がメリットを見出すような解決策を見出していくという場合に、余り固定的に枠組みを決めてしまって、その中でというようなことにはちょっとなじみにくい事態を相手にすることになるのではないか、こういうように思うわけでございます。
 それから、経営責任の問題あるいは株主責任の問題の御指摘がありました。
 株主責任について、先生は今減資というふうにおっしゃられたわけでございますが、ここで私はちょうちょう減資について議論をしようとは思いませんけれども、減資そのものが、何か株主責任をとるところにつながるというようには、実は私ども考えておりません。外部から新しい資本が入ってきたときにそのシェアをどのように決めるかというようなときに初めて、実は株主責任が、その会社の持つ資産に対するシェアが縮まるという意味で実現していくということはあるかもしれませんけれども、単純なる減資が即株主責任に結びつくというようなことはちょっと考えにくいなという思いをしながらこの議論を聞いているわけであります。
 いずれにせよ、企業を再建しながら債権債務の整理をしていくという場合には、経営責任というようなことが話題になることはほかの私的な、任意な再建話の場合にも往々にして見られるところでありまして、この新しい調停制度あるいは調整制度におきましてもそういうことが前提になって、そして、前から申し上げておる三原則、つまり、公正、妥当、遂行可能という合意が見られることになるということは、私どもも多くの場合そうなるだろうなと思って想定しているところでございます。
○濱田(健)委員 大臣は、ガイドライン的なものはふさわしくないということでございますが、国民感情は、やはりこれまでのさまざまな問題、事件等々の中で厳格化された責任のとり方というものを強く要求をしておりますので、行政の責務としてもその辺の指導は強化をしていただかなければならないということを申し上げておきたいと思います。
 大臣、どうぞお引き取りください。
 次に、競売手続の円滑化法について一点だけお尋ね申し上げます。
 競売手続は、担保不動産を強制的に売却し債務の弁済に充てる手続であり、担保つき不良債権を、帳簿だけではなくて実質的に処理する上で、いわば最後の手段だというふうに思っております。競売手続が円滑にかつ迅速に進められることは、不良債権処理を促進するために不可欠の要因になると私自身も心得ているところでございます。
 ところで、現在の競売手続は時間がかかり過ぎる、一般国民が近づきにくいということなどが指摘されております。この法案に対して、提案者としては、競売手続に関してどのような問題が存在し、これに対してどのような解決をしようとするのか、またその結果どのくらい手続が迅速化されるのか、国民の皆さん方にその辺の具体的な部分をお知らせいただければ幸いでございます。
○村井議員 濱田委員にお答えいたします。
 競売手続につきましては、確かに先生御指摘のとおりの性格を持つ大変重要な制度でございますが、同時に、民事上のさまざまな争いをある意味では最終的に解決する手段でございますので、そういう意味で、私どもとしてこういう根本的な制度につきまして若干慎重に対応していかなきゃならないというふうにも思っております。
 現在競売制度の抱えております問題点、委員御指摘のとおり、一つは、非常に時間がかかっている。実は、ここに持ってまいりましたのは、ちょうどきのうの日本経済新聞の夕刊に載っております東京地方裁判所の競売にかかわる公告でございます。これを見ますと、平成元年、平成二年に事件になった物件というのが幾つか載っておる、こういう実態でございます。一方で、平成九年、平成十年のものも相当多数載っておるわけでございますから、決して、七年も八年もかかっている、こういうふうには言えないわけでございますが、現在、御案内のとおり十二万件を超える一応吹きだまりといいますか、たまりがあり、年間六万六千件ほど平成九年の場合でしたら申請が、新しい案件として出てくる。それを超えるものが処理されておるわけでございまして、そういう意味ではピークを越えているわけでございますけれども、しかし一般の受けとめ方としましては、大変時間がかかる、このように受けとめられていることは事実でございます。
 一方でまた、いわゆる占有屋とかあるいは抗告屋というように呼ばれる連中がこの問題に絡みまして悪質な執行妨害をやっているという問題もございます。それから、執行裁判所がこれを処理する体制が果たして十分かどうかという問題がございます。それから、執行官や評価人による物件の調査あるいは評価、これに時間がかかるというような問題も指摘されております。それから、申し上げるまでもなく、不動産市況が非常に低迷しておりまして、なかなか売れにくいというような問題がございます。
 そこで、私どもは、これらの問題をいろいろ検討いたしまして、どういう解決をしようかということで今度私どもの議員立法の案をお出ししているわけでございますけれども、まず私どもとしましては、執行妨害に対しまして対策を強化するということを考えまして、目的物件、問題になります物件につきましての執行官あるいは評価人の調査権限を強化いたしました。それが一つでございます。
 それからもう一つ、買い受けの申し出をした差し押さえ債権者のための保全処分の制度の新設等を行いまして、これによりまして非常に事案の処理がスムーズに進行することになるのではないかと思っております。
 それから、手続の簡素化、円滑化を図るために、税金の滞納処分と競合した場合の調整手続でございますが、これの簡素化を図るという措置をとることにいたしました。
 さらに、競売物件はあらかじめ現物を見ることができないことが多いものでございますから、ローンを組みにくいという問題がございます。そこで、俗に横浜ローン方式と呼ばれている方式でございますが、これを法律的に可能な体制をつくりまして、一般の方々が参加しやすくするために、買い受けた方が銀行ローンを活用するための措置を講ずる、こんなようなことをいたしたわけでございます。
 そのほかには、例えば預金保険機構等が関与しました案件につきまして調査等を不要とするというような制度も用意しております。
 こういった制度を総括いたしましてどのくらい手続が迅速化されるかということにつきまして概略申し上げさせていただきますと、申し立てから、売却され、配当に至って終結するまで、これが一連の競売手続でございますが、概して二、三年というところがある程度円滑にいきました場合の期間でございます。非常に円滑にいきました場合、もちろん一年で片づいているケースもございますが、今まで二、三年程度の期間を要していた案件であってもおおむね一年で処理することを可能にいたしたい、こういうふうに考えておりまして、これによりまして迅速な競売手続を実現することに資すればと、こんなふうに考えている次第でございます。
 以上で御説明を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○濱田(健)委員 円滑化法という形でございますので、今先生がお答えいただきました部分、期待している声もたくさん聞こえてまいります。ただ、これがどのような運用をされるのかということについて、今説明してくださってよくわかったわけでございますけれども、これからの、今提案されている金融安定化法と一体となって、今いろいろな論議がなされておりますけれども、一緒になってその機能が生きてくるんだろうというふうに理解させていただきたいと思います。
 もう一点は、根抵当に関する臨時措置法についてでございますけれども、今お話ありました競売手続によって担保不動産を実際に売却するという不良債権処理の方法、このほかに、金融機関が共国債権買取機構などに債権を売却して処理するという方法も一つでございます。したがって、その譲渡の手続の円滑化を図り、障害があればそれを取り除くことの必要性、私も本当に大事だというふうに思います。
 ただ、この根抵当権の臨時措置法、趣旨は理解できるんですが、国民にとってみると、この法案の構成が技術的な面が物すごく多いということで、わからぬなという声がたくさんやってまいります。この法案によってどのような仕組みで根抵当権つきの債権の譲渡の円滑化を図ろうとするのか、国民の理解を促すことができるように、ぜひわかりやすく説明を求めたいと思います。
○杉浦議員 濱田委員の御質問にお答えいたします。どれだけわかりやすく説明できるかどうか自信がないのですが。
 登記法というものがございまして、登記をする手続が決まっております。実は、この手続が非常に厳格でございまして、しかも機械的にやらなければいけないということで、民法上は、取引の終了等によって元本が確定したら、もうそれは根抵当権じゃなくて抵当権になるんだというふうに言ってもいいと思いますが、その根抵当権の元本が確定したということを登記しなければいけないわけです。そのときに、債務者が、例えば協力が得られないとか、あるいは所在不明になったとか、しばらく見つからないというような、極端な場合ですよ、そういう場合に、確定登記は共同申請しなければならないという登記法の定めがあるものですから、スムーズに登記できないという登記手続上の問題があります。登記官が受け付けてくれないんですね。
 ですから、ここのところを改善しようということでございまして、元本、根抵当権では、御承知のとおり、極度額の範囲内で借りたり返したり、変動するのを極度額でカバーしょうというわけですが、金融機関の方で、取引の期限の定めがあるのは別ですが、定めがない場合には、もう取引はやめます、これ以上お貸しいたしませんということを書面できっちり通知したということだけで確定して、その書類を添付して登記所に出せば元本確定の登記を受け付けてくれるというふうにしたわけでございます。
 もし共同で申請できない場合には、競売の申し立てをしなければいかぬとか、場合によっては訴訟も起こさなければいかぬ。お金もかかりますよね、時間もかかる。それを短縮化しようという趣旨で、先ほど村井先生が御説明なさったような競売その他債権処理を速くしようという趣旨で法改正をお願いしているわけでございます。おわかりいただけますでしょうか。よろしゅうございましょうか。
○濱田(健)委員 私は乏しい知識で聞いておりますが、国民の皆さん方から、この法案が出ていろいろなことを尋ねられる。先生みたいに本当に実務に携わった方がもっと詳しく具体的に説明してくださればわかりやすいんだけれども、国民一般の皆さん方がこのことに実際に携わるということは少ないかもしれないんですけれども、この法案を見てわかりにくいなというようなことがあるということで説明をいただいたわけでございます。
 最後に、時間が来ましたので、簡単に一点だけ。特定競売手続の臨時措置法、特定債権者に預金保険機構、住宅金融債権管理機構及び整理回収銀行、この三者を特定されたその理由だけお聞きしたいと思います。
○村井議員 時間の関係もございますので、簡単にお答えさせていただきます。
 住宅金融債権管理機構、整理回収銀行、それから預金保険機構、これはいずれもいわゆる公的債権回収機関あるいはみずから債権回収を行うことができる機関ということでございまして、それに、預金保険機構の場合は法律上特別の調査権限を持って債務者の資産に調査を加えることができるということでございますし、そういう意味で、いわゆる公的なサービサーというような言い方もできるのではないか。
 また、住管機構や整理回収銀行は預金保険機構の支援を受けることができる。そればかりじゃなくて、いろいろな専門知識をお持ちの職員も多数抱えているというようなことでございますので、法律の実態をよく考慮いたしまして、競売に関しまして必要とされる調査あるいは評価、こういうような手続につきましては、これらの三機関に関しては、その行った調査あるいは評価をそのまま競売の手続に採用する道を開いた、いわばバイパスを認めたということでございます。これによりまして時間が短縮できるのではないか、このように考えたわけでございます。
○濱田(健)委員 ありがとうございました。
○相沢委員長 これにて濱田君の質疑は終了いたしました。
 次回は、来る十四日月曜日午後零時五十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時六分散会