第145回国会 本会議 第47号
平成十一年七月二十二日(木曜日)
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 議事日程 第三十六号
  平成十一年七月二十二日
    午後一時開議
 第一 持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律案(内閣提出、参議院送付)
 第二 肥料取締法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 第三 家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律案(内閣提出、参議院送付)
 第四 国旗及び国歌に関する法律案(内閣提出)
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○本日の会議に付した案件
 日程第一 持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律案(内閣提出、参議院送付)
 日程第二 肥料取締法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 日程第三 家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律案(内閣提出、参議院送付)
 日程第四 国旗及び国歌に関する法律案(内閣提出)
 産業活力再生特別措置法案(内閣提出)及び起業家支援のための新事業創出促進法等の一部を改正する法律案(中野寛成君外四名提出)の趣旨説明及び質疑

    午後一時二分開議
○議長(伊藤宗一郎君) これより会議を開きます。
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 日程第一 持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律案(内閣提出、参議院送付)
 日程第二 肥料取締法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 日程第三 家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律案(内閣提出、参議院送付)
○議長(伊藤宗一郎君) 日程第一、持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律案、日程第二、肥料取締法の一部を改正する法律案、日程第三、家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律案、右三案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。農林水産委員長穂積良行君。
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 持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律案及び同報告書
 肥料取締法の一部を改正する法律案及び同報告書
 家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
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    〔穂積良行君登壇〕
○穂積良行君 ただいま議題となりました三法律案につきまして、農林水産委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 初めに、各法律案の主な内容について申し上げます。
 まず、持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律案は、環境と調和のとれた農業生産の確保を図るため、持続性の高い農業生産方式を導入する農業者に対し、農業改良資金の償還期間の特例等の措置を講じようとするものであります。
 次に、肥料取締法の一部を改正する法律案は、最近における肥料を取り巻く諸情勢の変化にかんがみ、肥料の品質の保全を図るため、特殊肥料の品質に関する表示の適正化等の措置を講じようとするものであります。
 次に、家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律案は、畜産業を営む者が行う家畜排せつ物の管理に関し必要な事項を定めるとともに、家畜排せつ物の利用の促進に関する国の基本方針及び都道府県計画について定め、都道府県計画に従って施設の整備を図る者に対し、農林漁業金融公庫から資金の貸し付けを行おうとするものであります。
 三法律案は、去る四月十六日参議院から送付され、七月十二日本委員会に付託されました。
 委員会におきましては、翌十三日中川農林水産大臣から三法律案の提案理由の説明を聴取し、昨二十一日質疑を行いました。
 質疑終局後、まず、持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律案及び肥料取締法の一部を改正する法律案について順次採決いたしましたところ、両法律案はいずれも全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 次いで、家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律案について、日本共産党から、国及び地方公共団体は、処理高度化施設の整備を促進するため、必要な財政上の措置を講ずる旨の規定を追加する修正案が提出され、採決いたしましたところ、修正案は否決され、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
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○議長(伊藤宗一郎君) 三案を一括して採決いたします。
 三案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、三案とも委員長報告のとおり可決いたしました。
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 日程第四 国旗及び国歌に関する法律案(内閣提出)
○議長(伊藤宗一郎君) 日程第四、国旗及び国歌に関する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。内閣委員長二田孝治君。
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  国旗及び国歌に関する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
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    〔二田孝治君登壇〕
○二田孝治君 ただいま議題となりました国旗及び国歌に関する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、我が国において、日章旗及び君が代が、それぞれ国旗及び国歌として国民の間に広く定着していることにかんがみ、成文法にその根拠を明確に規定しようとするものであります。
 本案は、去る六月二十九日本会議において趣旨説明及び質疑が行われ、同日本委員会に付託されたものであります。
 本委員会におきましては、七月一日野中官房長官から提案理由の説明を聴取した後、質疑に入り、同月六日及び七日には委員派遣によるいわゆる地方公聴会、翌八日には公聴会、十六日には参考人からの意見聴取を行い、さらに、昨二十一日には文教委員会との連合審査会を開催したほか、連合審査会終了後、本案に対し民主党から修正案が提出され、提出者から趣旨の説明を聴取した後、本案及び修正案について、小渕内閣総理大臣等に対し質疑を行うなど、幅広い角度から、極めて慎重かつ熱心な審査を行ってまいりました。
 その質疑の主な内容は、国旗及び国歌を法制化することの是非、法制化のあり方、君が代・日の丸に関する歴史認識、君が代の解釈、教育現場に対する強制への懸念などでありますが、その詳細は会議録により御承知願いたいと存じます。
 かくて、昨二十一日質疑を終了し、討論を行い、採決いたしましたところ、民主党提出の修正案は賛成少数をもって否決され、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
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○議長(伊藤宗一郎君) 本案に対しては、菅直人君外二名から、成規により修正案が提出されております。
 この際、修正案の趣旨弁明を許します。鳩山由紀夫君。
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 国旗及び国歌に関する法律案に対する修正案
    〔本号末尾に掲載〕
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    〔鳩山由紀夫君登壇〕
○鳩山由紀夫君 私は、民主党を代表し、国旗及び国歌に関する法律案に対する修正案について、その提案理由及び概要を御説明いたします。
 今、多くの国民が、窒息しそうなほどの息苦しさを感じています。数に物を言わせ、国家の管理を強化しようという政権が誕生しようとしているからです。まさにこのようなときに、日の丸を国旗に、君が代を国歌に定めるという法案が提出されました。
 その審議に際して、我が党の石井一議員の質問に対し、野中官房長官は、まさに恫喝とも思えるような答弁をされました。それはまさに、国民に対して、国民に言われる筋合いではないと開き直っているのと同じであります。ここ数年来の長官の変節とも言える言行不一致と無責任発言は、到底許容しがたいものであり、次世紀の我が国のあり方にもかかわる本法案が、そのような大臣の主管のもとで審議を進めなければならないことは、日の丸・君が代はもとより、日本国民にとってまことに不幸なことであります。
 日の丸・君が代が国旗・国歌として定着していることは、多くの国民が認めるところであります。だから、わざわざ法律にすることもないという意見もあるほどです。しかし、日の丸・君が代が国旗・国歌として定着していることと、日の丸・君が代を法制化することとは、全く別の問題です。現実に、日の丸の法制化については多くの国民が賛成しておりますが、君が代に対しては、歴史観の相違や世代間の受けとめ方の違いなどから、さまざまな意見があり、法制化することについては慎重論がふえております。
 それにもかかわらず、政府が、通常国会冒頭ならまだしも、延長された国会の中で本法律案を提出したことは、余りにも唐突であると言わざるを得ません。その上、政府が本法律案を提出した動機も、教育現場の混乱を押さえつけるためだけとしか考えられず、不純なにおいが感じられ、また、結果として、残念ながら、教育現場もさらに混乱する懸念すらあります。
 すべての国民の内面に深くかかわる国旗・国歌の問題を、国民的な議論もせずに、数合わせの政権が牛耳る国会で、わずか二日間、十三時間ばかりで成立させようという政府の姿勢に、国民は不安と不信感を募らせています。この経緯からすれば、日の丸・君が代を最も軽視しているのは、ほかならぬ政府であると言わざるを得ません。(拍手)
 私たち民主党議員一人一人の心中も、正直言って揺れ動きました。そして、他の多くの政党とは異なって、私たち民主党は、愚直なほど何度も何度も議論を重ねてまいりました。その結果、多くの国民の心情を酌み取りながら、国旗については法制化を認めるものの、国歌についてはもっと時間をかけて議論をすべきと考え、今般、政府案に対する修正案を提出いたしました。
 以下、修正案の内容の概要を御説明申し上げます。
 第一に、題名を「国旗法」とするものとします。
 第二に、国旗に関する規定中、「国旗は、日章旗とする」こととあるのを、「国旗は、日章旗である」ことといたします。
 第三に、国歌に関する規定を削除するものとします。
 以上が、修正案の内容の概要です。
 私たちは、五五年体制のもとでの、国家主義的な保守でも、また平和主義、国際主義的な革新でもありません。国民主権を主張する戦後日本の世代であります。したがって、日の丸に対しては、国家に立脚した保守の賛成論でも、国家を批判する革新の反対論でもなく、国民国家に立脚をした戦後日本の象徴として、国旗としての法制化に賛成をいたします。
 君が代については、象徴天皇制に戦前の天皇制をダブらせる保守の賛成論にも、天皇制を否定する革新の反対論にもくみせず、戦前の天皇制ではなく、国民主権の立場から象徴天皇制を認める考え方に基づいて、もっと時間をかけて国民的な議論の中で結論を出すべきものといたしました。
 私たちは、この国が大好きです。日本に生まれ育ったことに誇りを持っています。国を愛する心は、強制されるものではなく、真に内面からわき上がってくるべきものでなければなりません。私たち政治家の役割とは、過去のさまざまな歴史を乗り越え、遠い未来の子孫たちに、彼らが真に愛することのできる国をつくり上げ、受け継がせていくことにあるのではないでしょうか。そして、そのときにこそ、すべての国民が自然な感情で国歌を歌い上げることができるのだと思います。
 私たち民主党は、そのために存在していることを肝に銘じ、一層の努力をすることを国民にお誓い申し上げます。
 各会派の御賛同をお願い申し上げ、国旗及び国歌に関する法律案に対する修正案の提案理由及び概要の説明を終わります。ありがとうございます。(拍手)
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○議長(伊藤宗一郎君) 討論の通告があります。順次これを許します。植竹繁雄君。
    〔植竹繁雄君登壇〕
○植竹繁雄君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となっております国旗及び国歌に関する法律案に賛成し、民主党提出の修正案に反対の立場から討論をいたします。(拍手)
 まず第一に、今日、日の丸・君が代が我が国の国旗・国歌として広く国民の間に定着していることは明らかであります。
 国旗日の丸につきましては、既に江戸時代の末期に我が国の国旗として定められ、自来、一貫して国旗として取り扱われてまいりました。また、国歌君が代につきましては、明治十三年に現在の曲を持つ君が代が完成して以降、国民の中に国歌として定着してまいりました。
 このことは、政府の行った過去の世論調査や最近の報道各社が行った世論調査の結果を見ても明白であり、また、オリンピックやワールドカップサッカーなど各種の国際競技大会においても、多くの国民が日の丸の旗を振り、表彰式では、日の丸が掲揚され、君が代が演奏されております。
 ところが、このように既に定着している日の丸・君が代について、なお一部では、法的根拠がないとして、国旗と国歌であることを認めないというまことに残念な意見もあり、去る二月にみずから命を絶たれた広島県の石川校長は、まさにこのことの犠牲となられたもので、まことに痛ましい限りであります。このような悲劇を二度と繰り返さないためにも、国旗・国歌の法制化を行うことは、大きな意義があると考えます。
 二十一世紀を間近に控えた今日、我が国の歴史、文化、伝統を反映した国旗日の丸と国歌君が代を、成文法で定めるという形できちんと次の世代に引き継いでいくことが、激動の二十世紀を生きてきた私たちの責務であると考えております。
 以上で、私の賛成討論を終わります。(拍手)
○議長(伊藤宗一郎君) 山原健二郎君。
    〔山原健二郎君登壇〕
○山原健二郎君 私は、日本共産党を代表して、日の丸を国旗とし、君が代を国歌とする本法案に断固反対の立場から討論を行うものであります。(拍手)
 今、新聞紙上での討論に見られるように、国旗・国歌をめぐって、我が国で史上初めて国民的討論が開始されています。日の丸を国旗と認めるという意見や、日の丸を見ること自体嫌悪を感じるという意見や、君が代は絶対歌いたくないなどの多種多様の意見であります。法案が提出されるや、国民的論議と法案の慎重審議を求める声が大多数となっていることは、御承知のとおりであります。
 六月三十日の朝日新聞における世論調査では、今の国会での成立にこだわらず、十分議論を尽くすべきだとの声が六六%に達し、また、七月十四日付の毎日新聞の世論調査においても、もっと時間をかけて議論をすべきとの声と法制化反対の声を合わせますと、五八%に達しているのであります。今や国民の多数が国旗・国歌について国民的討論を求めていることは明らかであります。
 そうした声にこたえ、国民的討論を保障し、合意形成に努めることこそ、国会と政府に課せられた責務であります。この責務を放棄し、あまつさえ国民的論議を封殺し、しかも、国旗・国歌という国のシンボルを決める法案をわずか十三時間の実質審議で強行するがごときは、言語道断であり、我が国の憲政史上に汚点を残す暴挙と言わなければなりません。(拍手)
 また、この間の世論調査の大きな特徴は、国会の審議が行われ、政府答弁の矛盾が露呈するに従って、今国会での法制化反対がふえていることであります。NHKが行った六月初めの調査では、法制化賛成が四七%で反対が四八%と、ほぼ拮抗しております。しかし、六月末に行われた朝日の世論調査では、反対が六六%で賛成二五%、七月中旬の毎日の世論調査で、君が代で反対五八%、賛成三六%であり、今や国民の半数以上が法制化反対の声を上げておる事実をどう見るか。
 政府は、これまで日の丸・君が代は国民に定着しておると説明をしてきました。しかし、この間の世論調査は、見事にその根拠が崩れ去ったことを白日のもとにさらしておるのであります。
 この間の地方公聴会、中央公聴会、そして参考人質問で述べられた意見は、反対、賛成がほぼ伯仲するなど、世論が二分されていることが明らかとなりました。国民的に定着しているというのではなく、日の丸・君が代の法制化をめぐって世論が二分されておるのであります。こうした虚構の定着論の破綻を前にして、これを取り繕うために、今度は数を頼りに法律案を通し、しゃにむに国民に押しつけるというのでは、国民を愚弄するにもほどがあると言わなければなりません。
 ある新聞がいみじくも「君が代狂騒曲」とやゆしたように、君が代の政府による新解釈も笑止千万であり、不可解きわまるもので、到底国民的合意を得られるものとはなっておりません。「君」は天皇を指し、「が」が所有の格助詞、そして「代」は国、つなげば天皇の国となり、その歌詞の意味は、天皇の国が永遠に栄えることを願うということになり、国民主権と両立し得ないものであることは明白ではありませんか。いかに装いを凝らそうとも、天皇統治礼賛の君が代の本質は変えることはできないのであります。
 二千数百万のアジアの人々と三百万を超える日本国民が犠牲となった戦争遂行のシンボルとなったのが君が代であり、日の丸でありました。あの凄惨な国民の苦しみを忘れることはできません。あの戦火をくぐり抜けた国民の日の丸・君が代に対する批判を無視し、圧殺することは断じて許されないことであります。
 この法制化が明らかになると、アジアの諸国の有力紙が一斉に、軍国主義の亡霊はなくなっていない、憂慮せざるを得ない右傾化の現象と書きました。国際的に認知されているどころか、国際的に警戒されていることを思い知るべきであります。
 私は、国会議員として一貫して文教委員会に所属しておりました。教育に対する君が代・日の丸の押しつけは、余りにも異常なものがありました。とりわけ、一九八五年に公立小中高等学校における特別活動の実施状況における調査についてという通知が出されてから、教育への押しつけは厳しくなりました。ビデオで教師の口元を写し、写真で恫喝を加え、職務命令の形で実施を迫ったのであります。
 広島の高橋信雄公述人は、教師がみずからの思想、良心を偽って子供の前に立つことほど惨めなことはございません、みずからの教育的良心を偽ることを強制されることは、教師たる資格を剥奪されるに等しいことですと述べました。
 一たん教師になると、憲法に保障された内心の自由が保障されない、そのような事態に教師たちを追い込んだのであります。そして、子供も内心の自由が奪われました。子供たちにとって楽しく晴れがましい舞台である入学式、卒業式が、重苦しいものに変えられていったのであります。教師みずからが自由であるときのみ自由の教育ができるという言葉を引くまでもなく、学校教育において自由と創造性を回復すべきであります。
 先進諸国のサミット参加国の中で、学校の入学式、卒業式で国旗・国歌を強制しているのは我が国だけであります。憲法に保障された良心の自由、内心の自由を保障するために、学校教育に対する押しつけは断固としてやめるべきであります。
 「君が代は国歌ではない、是は天子の徳を讃へるための歌である、国歌とは其平民の心を歌ふたものでなくてはならない、」これは主権在君の時代、絶対制、天皇制のもとにおける内村鑑三の言葉であります。今や主権在民の時代であります。その主権在民の国にふさわしい国旗と国歌が求められておるのであります。
 このために、今からでも遅くはありません、この日の丸を国旗とし、君が代を国歌とする法案を廃案にすることであります。そして、国民的討論による、国民的合意に基づく、国民みずからによる、国民のための国旗・国歌の創造に踏み出すべきであります。これが、二十一世紀の民主日本、平和な日本にふさわしい国歌・国旗になることは想像にかたくありません。日本共産党はそのために全力を尽くすものであります。
 なお、民主党の修正案につきましては賛成しがたいものがあります。したがって、賛成できないことを申し添えまして、討論を終わります。(拍手)
○議長(伊藤宗一郎君) 河合正智君。
    〔河合正智君登壇〕
○河合正智君 私は、公明党・改革クラブを代表して、議題となっております国旗及び国歌に関する法律案について、賛成の立場から討論を行うものでございます。(拍手)
 小渕総理は、六月二十九日の衆議院本会議で、我が党の幹事長の質問に対し、今回の法制化は、日の丸と君が代が国旗・国歌として国民の間に広く定着し、新しい世紀、二十一世紀を迎えることを一つの契機として、成文法にその根拠を明確にするためとされましたが、共感できるところでございます。
 一方、沖縄、広島等の地方公聴会及び中央公聴会においても明らかにされましたように、さきの大戦による被害者、犠牲者に対する傷跡は、国の内外においてなお深く、いやされていないこともまた事実でございます。
 我が党は、さきの冬柴幹事長の質問の中で、昭和二十年八月十五日の敗戦の日以前に生じた、暗い悲しい出来事に対する認識と評価は、歴史認識もしくは歴史観の問題として整理すべきものと主張し、小渕総理はこれに同感され、日の丸や君が代はこれと区別して考えていくべきであると答弁されました。
 また、君が代の「君」の解釈について、小渕総理は、日本国及び日本国民統合の象徴であり、その地位が主権の存する日本国民の総意に基づく天皇のことを指すと答弁され、国民主権との関係を強調されたところであります。
 さらに、冬柴質問に答えて小渕総理は、君が代の歌詞は、現日本国憲法では、日本国民の総意に基づき、天皇を日本国及び日本国民統合の象徴とする我が国の末永い平和と繁栄を祈念したものとされました。
 一方、国旗・国歌の教育現場での取り扱いについては、七月二十一日、衆議院文教委員会との連合審査会において、我が党の委員からの、平成六年十月十三日の政府統一見解の三項目は法制化後も変更ないかとの質問に対し、野中官房長官から、また同日午後の総括的質疑での私の質問に対し小渕総理から、ともに、法制化後も変更ない旨明言されました。
 すなわち、総理は、学習指導要領に基づいて、校長、教員は国旗・国歌の指導をする、このことは児童生徒の内心にまで立ち入って強制しようとする趣旨のものではなく、あくまでも教育指導上の課題として指導を進めていくことを意味すると断言されました。さらに、野中官房長官から、この総理答弁を、文部行政はもとより政府全体に徹底する旨決意の披瀝がございました。一国の総理と官房長官の発言として、これ以上の重みはないと受けとめさせていただきました。
 地方公聴会四会場、中央公聴会、参考人質疑、連合審査会及び内閣委員会での質疑の中で、論点はほぼ議論し尽くされたと実感いたしております。
 とりわけ沖縄の公聴会において、沖縄戦の上陸地点であった読谷村に生まれ育った沖縄社大党元書記長の御発言は、私の脳裏に焼きついて離れません。このようにおっしゃいました。
 国旗・国歌の法制化問題は、価値観や歴史認識に加え、論理構造も非常に複雑多岐にわたる難問ですけれども、戦後五十有余年にわたって、文字どおり積年の課題ですので、二十世紀の課題は二十世紀中に区切りをつける、この法制化で区切りをつけて、そこから派生する問題は、二十一世紀の課題としてまたさらに追求していく方がよいのではないかと述べられました。
 あの方のお受けになった歴史の風雪をうかがい知るべくもございませんが、その言葉を引用させていただきまして、賛成討論といたします。
 以上。(拍手)
○議長(伊藤宗一郎君) 濱田健一君。
    〔濱田健一君登壇〕
○濱田健一君 私は、社会民主党・市民連合を代表しまして、ただいま議題となっております政府提出の国旗及び国歌に関する法律案並びに民主党提出の修正案に対して、反対する立場から討論をいたします。(拍手)
 さて、通常国会末になって、政府からいわゆる国旗及び国歌に関する法律案が国会提出され、日の丸・君が代法制化がにわかに延長国会の焦点となるに至りました。私は、今なぜ日の丸・君が代を法制化するのか、その十分かつ相当な理由はないと考えるものであります。
 まず、法案提出に至る経過及び審議にかかわって問題点を指摘いたします。
 当初、小渕総理は、現時点では政府として法制化は考えていないと明言していたのであります。それが、六月二十九日、衆議院本会議における我が党の中西績介議員の質問に答えて、よくよく考えてみて、我が国は成文法を旨とする国であることなどから法制化するとおっしゃるのですから、あいた口がふさがりません。日本が成文法の国であることに、よくよく考えてみて気づくなど、それだけで総理の資質が問われるというものではないでしょうか。
 また、今回の法制化については、国民世論が分かれており、慎重な国会審議が求められていたところであります。しかし、地方公聴会、中央公聴会、参考人招致や文教委員会との連合審査は行われたものの、内閣委員会の審議はわずか二日間、九時間半しか行われておらず、極めて不十分であります。社会民主党は、審議に当たって、十分な質疑日程の保障を求めましたが、内閣委員長の職権によって、昨日委員会で採択され、本日を迎えたことは極めて遺憾であります。
 以上を申し上げた上で、法制化の問題点について指摘してまいります。
 まず第一には、これまでも、学習指導要領を盾に学校現場で国旗掲揚、国歌斉唱が強制されてきたという事実に関してであります。
 広島県では、学校現場のさまざまな意見を無視して、卒業式での国歌斉唱を強制するよう県教育委員会が強く命じたため、県立高校の校長が自殺するという痛ましい事件が起こりました。人の命すら奪う事態が起こっているのですから、まずそれを回避するために強制を行わないことが先決でございます。それが、逆に法制化によって強制に法的根拠を与えようというのですから、本末転倒しているばかりか、日本国憲法が保障する内心の自由を侵害するものであると言わざるを得ないのであります。
 今後、日の丸・君が代の強制が、法制化をてこにして、教育の場に限らず、地域や社会の隅々までに掲揚、斉唱を当然のごとく強いることになれば、内心の自由を侵害する危険があることは言うまでもありません。
 第二は、日の丸・君が代をどう認識するかについてであります。
 いまだに日の丸・君が代の問題が指摘されるのは、明治以降、日本が歩んだ侵略と植民地支配の歴史に深く関連していることは言うまでもないことでございます。日の丸・君が代をどう認識するかは、基本的には個人の内心の自由にかかわる問題でありますが、過去の侵略戦争、植民地支配のシンボルとして、アジアの人々に強制してきた歴史的事実をも踏まえなければならないのではないでしょうか。
 戦後、我が国は、過去の侵略戦争、植民地支配を真摯に反省し、日本国憲法のもと、平和国家、民主主義国家たるべく不断の努力を積み上げてきたはずであります。しかし、アジア諸国とその国民に対して、歴史的清算と真の政治的和解が不十分なままであることに思いをいたすとき、法制化は余りにも拙速と言わざるを得ないのであります。
 第三は、果たして日の丸・君が代の法制化が国民世論として定着しているのかという問題であります。
 最近のある報道機関による世論調査を見ますと、もっと時間をかけて論議すべきだという意見と法制化に反対との意見を合わせれば六割近くに達していることからしても、国民世論は法制化に消極的と判断すべきではないでしょうか。しかし、政府は、長年の慣行により定着していると言うのみで、何らその根拠を示していないのであります。むしろ、長年の強制により強制という手法が定着していると言うべきでありましょう。
 第四は、君が代の歌詞の解釈についてでありますが、政府は、日本国憲法のもとでは、天皇を日本国及び日本国民統合の象徴とする我が国の末永い平和と繁栄を祈念したものとの公式見解を明らかにしております。しかし、君が代は、古今和歌集に収録された和歌が起源とされる文学作品であり、その解釈についてもさまざまな見解が示されております。にもかかわらず、政府が特定の解釈を施すことは適切と言えるでしょうか。極めて疑問であります。
 以上、指摘いたしましたとおり、日の丸・君が代は決して我が国の国旗・国歌としてふさわしいものとは言えず、もちろん法制化すべきではありません。言うまでもなく、日の丸・君が代は戦前、侵略のシンボルでありましたし、君が代は戦前、主権者たる天皇をたたえる歌として解釈されてきたのでありますから、主権在民をうたった日本国憲法のもとでふさわしいものではないのであります。その立法動機すら明確に示されておらず、当然踏まえるべき国民的論議も十分なされていない国旗及び国歌に関する法律案に対して、私は反対であります。
 なお、民主党提案の修正案に対しても反対いたします。
 最後に、我が国における国旗・国歌のあり方については、それを法律で定めるべきものであるかどうか、日の丸・君が代が国旗・国歌としてふさわしいものなのかどうかを初めとする、数多くの重要な論点について、広く国民的論議をその合意を得るまで行い、その上で慎重に検討すべきであることを申し上げ、討論を終わります。(拍手)
○議長(伊藤宗一郎君) 三沢淳君。
    〔三沢淳君登壇〕
○三沢淳君 自由党の三沢淳でございます。
 私は、自由党を代表して、政府提出の国旗及び国歌に関する法律案に賛成し、民主党提出の同法案に対する修正案に反対の討論を行います。(拍手)
 政府案に賛成する第一の理由は、国旗・国歌の法制化により、自立した責任ある国家日本の精神的基盤を築くことであります。
 世界において、国家を構成せず、国家に所属しないいかなる個人もなく、民族もありません。世界の人々は、当然のこととして自分の国を愛し、誇りを持っております。自由主義の発展も、民主主義の発展も、また人権の擁護も、健全な愛国心に支えられてこそ可能であります。
 我が国においては、戦前の軍国主義の反省から、愛国心イコール偏狭なナショナリズム、反動として敵視され、国家形成の基本であり人格形成の基本である国民の愛国心の涵養がないがしろにされてまいりました。その結果、道徳教育の軽視と相まって、他を思いやる心、社会や国を大切にする心が見失われ、利己主義、享楽主義が蔓延するなど、日本人としてのアイデンティティーを完全に見失うという精神的混乱に陥っております。このままでは、二十一世紀日本に未来はありません。
 歴史上の誤りは率直に認め、反省するとともに、我が国が世界に誇るべきすぐれた文化、伝統は堂々と後世に受け継いでいかなければなりません。かつてドイツが、日本と同じ敗戦国ながら、戦勝国から要求された文化、教育方針の変更を断固としてはねつけ、二千年の歴史の中ではぐくんできた教育と文化を断固として守り抜いたことを想起すべきであります。
 我が国の歴史と伝統を受け継いだ国旗日の丸、国歌君が代を抱くことは、我々の誇りであり、明治以降、日の丸・君が代が日本の独立の象徴として、日本人を励まし、勇気づけ、苛烈な国際社会を生きる力となってきました。国旗・国歌の法制化を契機として、日本人としての誇りと希望を取り戻さなければなりません。(拍手)
 第二は、日の丸・君が代ほど、日本の伝統と文化を体現し、日本の国柄をあらわしているものはないことであります。
 国旗の日章旗日の丸は、七世紀の初めの遣隋使が中国へ持参した国書には日出る処と記し、みずから日本という国号を使用して以来の由来があり、日本という国号を如実にあらわしております。
 国歌君が代の歌詞は、我が国の最も伝統的な国語表現である五七調の和歌であり、しかも敬愛する君の長寿と繁栄を祈る賀歌として、十世紀初めの古今和歌集に由来します。君が代の「君」である天皇は、君臨すれど統治せず、権力ではなく権威の象徴として国民に親しまれてきた、まさに日本が世界に誇るべき歴史と伝統の象徴であります。それは現行憲法にも明確に受け継がれております。また曲も、日本の伝統音楽である雅楽の旋律を受け継いでおります。
 その国の独特の伝統、文化が国旗・国歌にこれほど生かされているのは世界に例がありません。我々は、かかる国旗・国歌を持つことを誇りとすべきであります。
 第三は、我が国の文化、歴史、伝統を次の世代に正しく継承していく必要からであります。
 かつて日本人は、勤勉、忍耐、質素倹約、親孝行、兄弟愛、郷土愛、愛国心といった徳目を賛美し、それを教育の原点として人間形成に努めてまいりました。また、日本という国に生きる自分たちを誇りとしてきました。
 しかし、戦後は、日本の伝統、文化を軽視し、自虐的歴史観に基づく教育のもと、子供たちは日本人として生まれてきたことを恥じるような教育を受けてきたのであります。国旗・国歌をめぐる今日の教育現場の混乱は、かかる教育がいまだ根強く残っている証拠であります。自虐的歴史観からは国を愛する心は生まれません。自分の国を愛することができなければ、誇りや希望も生まれません。
 日の丸・君が代に法的根拠を与え、現状を正し、学校教育のみならず家庭、地域社会においてその意義を伝え、教えることを通じ、日本の文化や歴史、伝統を次代を担う若い世代に正しく継承していかなければなりません。
 第四は、国旗・国歌の法制化は国際的常識であるということであります。
 現在、世界には二百近い国家がありますが、それぞれ独立国家として、その国の歴史や風土、あるいは多くの国民が信ずる宗教など、その国をあらわす国旗・国歌を持っております。しかも、英国など慣習法の国々を除き、ほとんどが法的措置をとっております。この意味で、国旗・国歌の法制化は、国際的視点から見ても当然のことであります。
 最後に、国歌君が代の法制化を認めない民主党の修正案については、日本の伝統、文化を軽視したものであり、断固反対であることを申し述べ、私の討論を終わります。(拍手)
○議長(伊藤宗一郎君) これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
○議長(伊藤宗一郎君) これより採決に入ります。
 まず、菅直人君外二名提出の修正案につき採決いたします。
 菅直人君外二名提出の修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(伊藤宗一郎君) 起立少数。よって、修正案は否決されました。
 次に、本案につき採決いたします。
 この採決は記名投票をもって行います。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参されることを望みます。――議場閉鎖。
 氏名点呼を命じます。
    〔参事氏名を点呼〕
    〔各員投票〕
○議長(伊藤宗一郎君) 投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開票。――議場開鎖。
 投票を計算させます。
    〔参事投票を計算〕
○議長(伊藤宗一郎君) 投票の結果を事務総長から報告させます。
    〔事務総長報告〕
 投票総数 四百八十九
  可とする者(白票)        四百三
  否とする者(青票)        八十六
    〔拍手〕
○議長(伊藤宗一郎君) 右の結果、国旗及び国歌に関する法律案は委員長報告のとおり可決いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
 国旗及び国歌に関する法律案を委員長報告のとおり決するを可とする議員の氏名
    安倍 晋三君    相沢 英之君
    逢沢 一郎君    愛知 和男君
    赤城 徳彦君    浅野 勝人君
    麻生 太郎君    甘利  明君
    荒井 広幸君    井奥 貞雄君
    伊藤 公介君    伊藤 達也君
    伊吹 文明君    飯島 忠義君
    池田 行彦君    石川 要三君
    石崎  岳君    石破  茂君
    石原 伸晃君    稲垣 実男君
    稲葉 大和君    今井  宏君
    今村 雅弘君    岩下 栄一君
    岩永 峯一君    植竹 繁雄君
    臼井日出男君    江口 一雄君
    江渡 聡徳君    江藤 隆美君
    衛藤征士郎君    衛藤 晟一君
    遠藤 武彦君    遠藤 利明君
    小川  元君    小此木八郎君
    小里 貞利君    小澤  潔君
    小野 晋也君    小野寺五典君
    小渕 恵三君    尾身 幸次君
    越智 通雄君    大石 秀政君
    大島 理森君    大野 松茂君
    大野 功統君    大原 一三君
    大村 秀章君    太田 誠一君
    岡部 英男君    奥田 幹生君
    奥谷  通君    奥野 誠亮君
    奥山 茂彦君    加藤 紘一君
    加藤 卓二君    嘉数 知賢君
    梶山 静六君    粕谷  茂君
    金子 一義君    金田 英行君
    亀井 静香君    亀井 久興君
    亀井 善之君    鴨下 一郎君
    川崎 二郎君    河井 克行君
    河村 建夫君    瓦   力君
    木部 佳昭君    木村 隆秀君
    木村  勉君    木村 義雄君
    岸田 文雄君    岸本 光造君
    北村 直人君    久間 章生君
    久野統一郎君    鯨岡 兵輔君
    熊谷 市雄君    熊代 昭彦君
    倉成 正和君    栗原 博久君
    栗原 裕康君    小泉純一郎君
    小坂 憲次君    小島 敏男君
    小杉  隆君    小林 興起君
    小林 多門君    古賀  誠君
    古賀 正浩君    河野 太郎君
    河野 洋平君    河本 三郎君
    高村 正彦君    左藤  恵君
    佐田玄一郎君    佐藤 孝行君
    佐藤 静雄君    佐藤 信二君
    佐藤 剛男君    佐藤  勉君
    斉藤斗志二君    坂井 隆憲君
    坂本 剛二君    阪上 善秀君
    桜井 郁三君    桜井  新君
    櫻内 義雄君    桜田 義孝君
    笹川  堯君    自見庄三郎君
    塩谷  立君    実川 幸夫君
    島村 宜伸君    下地 幹郎君
    下村 博文君    白川 勝彦君
    新藤 義孝君    菅  義偉君
    杉浦 正健君    杉山 憲夫君
    鈴木 俊一君    鈴木 恒夫君
    鈴木 宗男君    砂田 圭佑君
    関谷 勝嗣君    園田 修光君
    田中 和徳君    田中 昭一君
    田中眞紀子君    田邉 國男君
   田野瀬良太郎君    田村 憲久君
    高市 早苗君    高鳥  修君
    高橋 一郎君    滝   実君
    竹本 直一君    武部  勤君
    橘 康太郎君    棚橋 泰文君
    谷  洋一君    谷垣 禎一君
    谷川 和穗君    谷畑  孝君
    玉沢徳一郎君    近岡理一郎君
    中馬 弘毅君    津島 雄二君
    戸井田 徹君    虎島 和夫君
    中川 昭一君    中川 秀直君
    中曽根康弘君    中谷  元君
    中野 正志君    中村正三郎君
    中山 太郎君    中山 利生君
    中山 成彬君    中山 正暉君
    仲村 正治君    長勢 甚遠君
    丹羽 雄哉君    西川 公也君
    西田  司君    額賀福志郎君
    根本  匠君    能勢 和子君
    野田 聖子君    野中 広務君
    野呂田芳成君    葉梨 信行君
    萩野 浩基君    萩山 教嚴君
    橋本龍太郎君    蓮実  進君
    浜田 靖一君    林田  彪君
    原 健三郎君    原田昇左右君
    原田 義昭君    桧田  仁君
    平沢 勝栄君    平沼 赳夫君
    平林 鴻三君    深谷 隆司君
    福田 康夫君    福永 信彦君
    藤井 孝男君    藤波 孝生君
    藤本 孝雄君    二田 孝治君
    船田  元君    古屋 圭司君
    保利 耕輔君    穂積 良行君
    細田 博之君    堀内 光雄君
    堀之内久男君    牧野 隆守君
    増田 敏男君    町村 信孝君
    松岡 利勝君    松下 忠洋君
    松永  光君    松本 和那君
    松本  純君   三ッ林弥太郎君
    三塚  博君    御法川英文君
    水野 賢一君    宮腰 光寛君
    宮澤 喜一君    宮路 和明君
    宮下 創平君    宮島 大典君
    宮本 一三君    武藤 嘉文君
    村井  仁君    村岡 兼造君
    村上誠一郎君    村田敬次郎君
    村田 吉隆君    村山 達雄君
    目片  信君    持永 和見君
    望月 義夫君    茂木 敏充君
    森  英介君    森  喜朗君
    森田 健作君    森田  一君
    森山 眞弓君    八代 英太君
    矢上 雅義君    谷津 義男君
    保岡 興治君    柳沢 伯夫君
    柳本 卓治君    山口 俊一君
    山口 泰明君    山崎  拓君
    山下 徳夫君    山中 貞則君
    山本 公一君    山本 幸三君
    山本 有二君    与謝野 馨君
    横内 正明君    吉川 貴盛君
   吉田六左エ門君    米田 建三君
    渡辺 具能君    渡辺 博道君
    渡辺 喜美君    綿貫 民輔君
    安住  淳君    伊藤 英成君
    石井  一君    上田 清司君
    岡田 克也君    奥田  建君
    鹿野 道彦君    鍵田 節哉君
    川内 博史君    川端 達夫君
    神田  厚君    北橋 健治君
    熊谷  弘君    玄葉光一郎君
    木幡 弘道君    古賀 一成君
    今田 保典君    佐藤 敬夫君
    島   聡君    島津 尚純君
    城島 正光君    仙谷 由人君
    田中 慶秋君    田中  甲君
    高木 義明君    玉置 一弥君
    樽床 伸二君    中川 正春君
    中野 寛成君    中山 義活君
    永井 英慈君    羽田  孜君
    畑 英次郎君    鳩山由紀夫君
    平野 博文君    藤田 幸久君
    藤村  修君    古川 元久君
    堀込 征雄君    前田 武志君
    松崎 公昭君    松沢 成文君
    吉田  治君    吉田 公一君
    渡辺  周君    青山 二三君
    赤羽 一嘉君    赤松 正雄君
    井上 義久君    池坊 保子君
    石井 啓一君    石垣 一夫君
    石田 勝之君    石田幸四郎君
    市川 雄一君    上田  勇君
    漆原 良夫君    遠藤 乙彦君
    遠藤 和良君    小沢 辰男君
    大口 善徳君    大野由利子君
    太田 昭宏君    近江巳記夫君
    長内 順一君    河合 正智君
    河上 覃雄君    神崎 武法君
    木村 太郎君    北側 一雄君
    旭道山和泰君    久保 哲司君
    草川 昭三君    倉田 栄喜君
    佐藤 茂樹君    斉藤 鉄夫君
    坂口  力君    白保 台一君
    田端 正広君    谷口 隆義君
    冨沢 篤紘君    富田 茂之君
    中野  清君    並木 正芳君
    西  博義君    西川 知雄君
    東  順治君    平田 米男君
    福島  豊君    福留 泰蔵君
    冬柴 鐵三君    前田  正君
    桝屋 敬悟君    丸谷 佳織君
    宮地 正介君    山中あき子君
    若松 謙維君    安倍 基雄君
    青木 宏之君    青山  丘君
    東  祥三君    井上 一成君
    井上 喜一君    一川 保夫君
    岩浅 嘉仁君    江崎 鐵磨君
    小沢 一郎君    岡島 正之君
    加藤 六月君    海部 俊樹君
    小池百合子君    権藤 恒夫君
    佐々木洋平君    笹山 登生君
    塩田  晋君    鈴木 淑夫君
    武山百合子君    達増 拓也君
    中井  洽君    中西 啓介君
    中村 鋭一君    二階 俊博君
    西川太一郎君    西田  猛君
    西野  陽君    西村 章三君
    西村 眞悟君    野田  毅君
    藤井 裕久君    二見 伸明君
    松浪健四郎君    三沢  淳君
    吉田 幸弘君    米津 等史君
    鰐淵 俊之君    笹木 竜三君
    園田 博之君    武村 正義君
    粟屋 敏信君    栗本慎一郎君
    土屋 品子君    中村喜四郎君
    渡部 恒三君
 否とする議員の氏名
    赤松 広隆君    伊藤 忠治君
    家西  悟君    池田 元久君
    池端 清一君    石毛えい子君
    石橋 大吉君    岩國 哲人君
    岩田 順介君    上原 康助君
    生方 幸夫君    枝野 幸男君
    小沢 鋭仁君    大畠 章宏君
    海江田万里君    金田 誠一君
    河村たかし君    菅  直人君
    北村 哲男君    桑原  豊君
    小平 忠正君    小林  守君
    五島 正規君    近藤 昭一君
    佐々木秀典君    佐藤謙一郎君
    坂上 富男君    末松 義規君
    辻  一彦君    土肥 隆一君
    中桐 伸五君    中沢 健次君
    葉山  峻君    鉢呂 吉雄君
    原口 一博君    日野 市朗君
    肥田美代子君    福岡 宗也君
    細川 律夫君    前原 誠司君
    松本 惟子君    松本  龍君
    山元  勉君    山本 譲司君
    山本 孝史君    横路 孝弘君
    石井 郁子君    大森  猛君
    金子 満広君    木島日出夫君
    児玉 健次君    穀田 恵二君
    佐々木憲昭君    佐々木陸海君
    志位 和夫君    瀬古由起子君
    辻  第一君    寺前  巖君
    中路 雅弘君    中島 武敏君
    中林よし子君    春名 直章君
    東中 光雄君    平賀 高成君
    不破 哲三君    藤木 洋子君
    藤田 スミ君    古堅 実吉君
    松本 善明君    矢島 恒夫君
    山原健二郎君    吉井 英勝君
    伊藤  茂君    北沢 清功君
   知久馬二三子君    辻元 清美君
    土井たか子君    中川 智子君
    中西 績介君    畠山健治郎君
    濱田 健一君    深田  肇君
    保坂 展人君    前島 秀行君
    村山 富市君    横光 克彦君
     ――――◇―――――
 産業活力再生特別措置法案(内閣提出)及び起業家支援のための新事業創出促進法等の一部を改正する法律案(中野寛成君外四名提出)の趣旨説明
○議長(伊藤宗一郎君) この際、内閣提出、産業活力再生特別措置法案及び中野寛成君外四名提出、起業家支援のための新事業創出促進法等の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を順次求めます。通商産業大臣与謝野馨君。
    〔国務大臣与謝野馨君登壇〕
○国務大臣(与謝野馨君) 産業活力再生特別措置法案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 我が国経済を自律的な成長軌道に乗せるためには、需要面での対策のみならず、経済の供給面の体質強化に取り組むことが不可欠であります。しかるに、我が国経済の供給面における現状を見ますと、経済の潜在的な成長力を大きく左右する生産性の伸び率が近年大きく低下しており、国際的に見てもOECD加盟国の平均を下回るなど、憂慮すべき状況にあります。
 その最大の原因は、我が国企業の多くが、効率性の低い設備、負債等を抱え、収益性を低下させていること、さらには、失業率が依然高水準にあること等に見られるように、景気低迷の長期化に伴い、労働や技術などの経営資源が有効に活用されていない状況が生じていることにあります。加えて、国際的産業再編の進展、資本市場による企業の評価の一層の厳格化、会計基準の国際基準への変更など、企業を取り巻く環境が一層厳しくなっており、こうした状況を早急に打開する必要があります。
 そのためには、各事業主体がその営む事業についての選択と集中を進め、経営資源を生産性の高い分野に重点的に投入することを円滑化するとともに、創業や中小企業者による新事業開拓に対する支援を抜本的に強化することにより、十分活用されていない経営資源の発掘と有効利用を図ることが不可欠であります。
 さらに、事業者が新たな事業の種となる技術に関する経営資源を最大限活用できるような事業環境を整備することにより、事業者による研究活動の活性化を図ることも、我が国の生産性の向上にとって極めて重要であります。
 以上のような認識のもと、我が国の生産性向上のための一連の施策を講じ、我が国産業の活力の速やかな再生を実現するため、本法律案を提案した次第であります。
 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。
 第一に、事業者が選択と集中を進めるために行う合併、分社化等の組織再編や、新商品の開発等を事業再構築としてとらえ、その円滑化のための措置を講ずることとしております。
 具体的には、事業再構築に係る計画について、主務大臣の認定を受けた者に対し、会社の設立等に際しての検査役の調査、一定の要件を満たす子会社の取締役や使用人に対するストックオプションの付与、営業の全部譲り受け等について商法上の特例措置を講ずるとともに、金融、税制面からの支援を行うこととしております。あわせて、事業再構築によっても活用できない経営資源を有効に活用して事業を行う者に対しても、支援措置を講ずることとしています。
 第二に、創業者及び新事業の開拓を行う中小企業者に対して、信用保証制度の拡充、都道府県による無利子融資制度の拡充などの金融支援措置を講ずるとともに、行政機関や中小企業支援団体によるソフト面からの支援、官公需における配慮等の措置も設けることとしております。
 第三に、技術に関する研究活動を活性化し、及びその成果を効率的に活用することを促進するため、国等の委託研究開発から生じる特許権等を受託者に帰属させることを可能とするとともに、大学における研究成果の民間事業者への移転を促進するため、大学技術移転機関に対する特許料の減免等の措置を講ずることとしております。
 なお、このような新たな制度が施行されることにあわせて、現行の特定事業者の事業革新の円滑化に関する臨時措置法を廃止することとし、所要の経過措置を講ずるものとしております。
 以上が、本法律案の趣旨であります。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(伊藤宗一郎君) 提出者松沢成文君。
    〔松沢成文君登壇〕
○松沢成文君 民主党の松沢成文でございます。
 私は、ただいま議題となりました起業家支援のための新事業創出促進法等の一部を改正する法律案について、民主党を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
 今、我が国は深刻な長期不況に陥り、国民は不安な気持ちで毎日を送っております。ことし一―三月の国内総生産はプラス成長となりましたが、本物の景気回復と言えるものではありません。雇用情勢は依然として厳しい状況が続いております。
 長い好景気が続いている米国においては、八〇年代後半以降、開業率が一貫して一二%を超える高い水準を維持してきました。他方、我が国では、廃業率が開業率を上回る傾向が続いております。民主党は、国民にビジネスチャンスが十分与えられ、容易に新規企業を起こすことのできる社会の建設こそが、政治に課せられた最重要課題の一つであると確信をしております。
 民主党は、およそ四十項目のメニューから成るデモクラット起業家倍増プラン99を提唱しております。その中から今日的課題である重要項目を選び、第一段階として法案を取りまとめることといたしました。私たちの法案は、新規雇用を創出し、活力ある経済社会を構築するためには、個人による創業、新技術の企業化、新たな事業の創出を推進することが重要であることにかんがみ、起業家支援を一層強化することを主たる目的としております。
 以下、法案の概要を説明いたします。
 私どもの法案は、大きく分類して四つの柱から成っております。
 第一の柱は、新事業創出促進法の一部改正による女性起業家に対する支援策であります。
 女性による創業等を促進し、女性に対してその機会が均等に確保されるようにするため、資金調達の円滑化に資するための措置などを講ずるよう、国に対して責務を課すことといたしました。また、国や公庫等に対して、物品等または役務の調達のための契約を締結する際には、女性起業家に配慮して受注の機会の増大を図るように努めるべき責務を課しております。
 第二の柱は、新事業創出促進法の一部改正による本格的なSBIR制度、つまりハイテク中小企業多段階支援制度の確立であります。
 特定補助金についての通商産業大臣の総合調整的役割を高め、申請の手続の簡素化を図るなど、SBIRをより機動的で、国民にとって利用しやすい制度に充実させることとします。また、特定補助金の研究成果を利用した新商品、新技術開発等を推進する措置を盛り込み、さらには、国や公庫などが、物品等または役務の調達の際に特定補助金等の成果利用につながるように配慮すべきとの義務を明記しております。
 情報公開法が成立したこととも関連し、私たちは、制度の公正化、透明化に重点を置くこととし、特定補助金が受けられなかった人に対しては、はっきりとその理由を示すという条項を盛り込みました。
 以上の施策を推進するとともに、実験段階、試作品、商業化、政府調達と段階に及ぶ本格的なSBIR制度の確立に努めていきたいと考えております。
 第三の柱は、大学等における技術に関する研究成果の民間事業者への移転に関する法律の一部改正による、国立大学等の教官が民間企業等の役員を兼務できるように措置を講ずることであります。
 任命権者である文部大臣等の許可が得られれば、国立大学の教員等が、研究成果を生かして技術移転機関、いわゆるTLOの役員や民間事業者の役員を兼職できることといたしました。
 第四の柱は、租税特別措置法の一部改正によるベンチャー企業支援税制の抜本的強化であります。
 ストックオプション税制につきましては、権利行使による株式の取得に係る経済的利益の非課税限度額を現行の一千万円から三千万円に引き上げるとともに、待機期間を現行の二年から一年に短縮いたします。
 また、新規に上場または店頭登録された株式等に係る譲渡所得については課税の特例が設けられていますが、要件とされている保有期間を現行の三年から二年に短縮するとともに、課税対象とされる部分の割合を現行の二分の一から五分の一に引き下げることといたします。
 いわゆるエンゼル税制に関しては、特定中小企業者に該当する株式会社の株式の譲渡損失をほかの所得からも三年間繰り越して繰越控除ができることとし、その限度額を三千万円と定めます。
 以上が、起業家支援のための新事業創出促進法等の一部を改正する法律案の趣旨でございます。
 今後の国会審議における議員各位の御理解と御協力をお願い申し上げまして、趣旨説明を終わります。(拍手)
     ――――◇―――――
 産業活力再生特別措置法案(内閣提出)及び起業家支援のための新事業創出促進法等の一部を改正する法律案(中野寛成君外四名提出)の趣旨説明に対する質疑
○議長(伊藤宗一郎君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。岩浅嘉仁君。
    〔岩浅嘉仁君登壇〕
○岩浅嘉仁君 私は、自由民主党並びに自由党を代表して、ただいま議題となりました産業活力再生特別措置法案について質問いたします。
 戦後我が国は、重厚長大産業を初めとする基幹産業に対し、税制、金融等あらゆる分野で手厚い保護を与え、その育成を図ることによって高度成長を遂げてまいりました。これは、官主導、行政主導による効率性重視の経済政策でありました。この日本型経済システムが行き詰まりを迎え、未来への発展に対する本質的な障害となっております。経済主体を本当の意味で民間中心に変革するため、フリー、フェア、オープンな社会を構築しなければなりません。
 我が国産業が構造改革を迫られている背景には、これらのほかにも、急速に進展する経済のグローバル化、少子高齢化があり、バブル期の負の遺産ともいうべき過剰債務、過剰人員、過剰設備等の解消が重要な課題となっております。人、物、金を生産性の低い分野から高い分野へ円滑に移行させること、あわせてその受け皿として二十一世紀の日本を担う新たな産業を育成しなければなりません。
 今回提出された産業活力再生法案は、政府関係部局の昼夜を分かたぬ努力のたまものではありますが、これを第一歩として、引き続き抜本的な構造改革に取り組まねばなりません。産業構造改革が必要な時代背景と、目指すべき社会についての総理大臣の基本的な御所見をまずお伺いいたします。
 申すまでもなく、我が国の最大の政治課題は、不況からの脱出、産業の再生、活性化であります。帝国データバンクが去る七月十四日に発表した九九年上半期の全国企業倒産件数は、約七千件と、前期比二二%減となりました。負債総額で見ると、九兆一千七百億円で二三%増という厳しい数字になっております。半期ベースでは、過去最高記録を更新いたしました。このまま推移すれば、ことしの企業倒産は、負債総額で戦後最悪になる可能性が大きくなっております。
 こうした状況の中で、小渕総理のリーダーシップにより、本来次期通常国会に提出を予定していた緊急雇用対策、産業競争力強化対策を今国会中に成立させるべく大車輪で準備をし、本日の衆議院本会議にこぎつけられました。総理の並々ならぬ熱意に深く敬意を表するものであります。緊急措置として打ち出されるこの対策が、我が国産業の活性化、中小企業の来世紀に向けた新たな発展に展望を開くものになるよう期待しつつ、質問を続けてまいります。
 この法案は、低迷する生産性、下落を続ける国際競争力、深刻化する過剰債務など、産業界の厳しい現状を打開するための方策として、今後二、三年をかけて、事業再構築に向けて努力する企業に対し、主務大臣が認定した事業再構築計画にのっとり、商法の特例措置、債務の株式化のための環境整備、ストックオプション付与の対象及び上限の拡大、金融、税制上の措置などを講じようとするものでありますが、果たしてこれらの対策がどのように有効に機能して、生産設備の革新並びに経営手法の改革、ひいては企業の再生に寄与していくものになるのか、通産大臣の御見解をお聞かせください。
 もとより、この再構築支援制度は、大企業のみを優遇するものであってはなりません。自由党は、政府案決定に際して注文をつけ、その結果「国は、活力ある中小企業者の事業再構築が我が国産業の活力の再生を実現するために重要な役割を果たすことにかんがみ、その円滑な実施のために必要な施策を総合的かつ効果的に推進するよう努めるものとする。」こういう条文が新たに追加されることになりました。
 政府は、今後、この趣旨にのっとって、中小企業の事業再構築に向けた格段の支援措置を講じていくべきであると考えますが、総理並びに通産大臣の御決意を承りたいのであります。
 また、各計画の認定に当たっては、その基準の客観性、公平性に万全を期すべきであると考えますが、通産大臣はいかがお考えでしょうか。
 私は四国徳島に在住をいたしております。四国の経済はよくジャンボジェット機の後輪に例えられます。つまり、景気が悪くなるときは全国レベルより着地が早く、逆に、よくなるときには一番最後になるということであります。本法案が厳しい状況にある地方経済の活性化にいかに資するものであるのか、また、経営資源活用新事業計画の認定について都道府県の自主性を最大限尊重することが重要と考えますが、通産大臣の御所見をお伺いいたします。
 最後に、新たにこれらの対策を講じることにより雇用創出にどのような効果をもたらすことになると考えておられるのか、労働大臣にお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣小渕恵三君登壇〕
○内閣総理大臣(小渕恵三君) 岩浅嘉仁議員にお答え申し上げます。
 産業構造改革につきましてまずお尋ねでありました。
 国際的な大競争時代が到来し、経済の成熟化や少子高齢化が進む中、これまでの我が国の経済成長を支えてきたさまざまな仕組みが、残念ながらほころびを示していることがその背景にございます。こうした中、我が国の事業環境を国際的に遜色ないものにし、我が国経済が自律的に発展していくため、新事業の創出や生産性向上などによって経済の供給サイドの体質強化を図る経済構造改革を進め、活力ある経済社会を創造することが重要であると考えております。
 中小企業の事業再構築に向けた支援措置についてのお尋ねでありました。
 中小企業者の事業再構築計画を円滑化することは、まさに岩浅議員が御指摘されるように、我が国産業活力の再生のために極めて重要であると認識をいたしております。このため、政府としては、御指摘の条文の趣旨を十分に踏まえ、中小企業については、施策の総合的かつ効果的な推進に努めてまいる覚悟でございます。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣与謝野馨君登壇〕
○国務大臣(与謝野馨君) 岩浅議員にお答えいたします。
 本法案の効果についてのお尋ねでありますが、本法案は、内外の厳しい経済環境の中、我が国経済の中長期的なトレンドを決するとも言える供給面における競争力が、バブル期後大きく落ち込んでいるという現状を踏まえ、我が国経済全体の生産性を抜本的に改善していくことを目的とするものであります。
 このため、民間企業が、御指摘の生産設備の革新、経営手法の改革等を含む事業再構築に真剣に取り組むような環境を整備するための総合的な施策を講ずることとしております。これらの施策を講ずることにより、事業者自身がみずからの構造改革や事業革新に真剣に取り組むこととなれば、本法案の所期の目的が達せられ、我が国産業活力の早期再生が図られるものと考えております。
 次に、政府は中小企業の事業再構築に向けた格段の支援措置を講ずべきであるとの御指摘ですが、本法案では、自由党のお考えを十分に踏まえ、中小企業者の事業再構築が円滑に実施されるよう、政府として十分な配慮を行う旨の明確な規定を設けたところであります。本規定の趣旨を十分に踏まえ、我が国産業活力の源泉である中小企業者の事業再構築に対して、本法に基づく支援措置を初め、必要な施策が総合的かつ効果的に適用されるよう努めてまいりたいと考えております。
 次に、事業再構築計画の認定基準についての御質問ですが、客観的な指標を設け、恣意性のない透明な運用を行ってまいりたいと考えております。指標の策定に当たっては、経済実態や専門家の意見を踏まえつつ、関係省庁間で十分協議を行うとともに、パブリックコメントを募集する手続を経た上で作成し、これを公表する考えであります。
 次に、本法案の地方経済への影響についての御質問ですが、本法案では、第一に事業者による事業再構築の円滑化、第二に創業や中小企業者による新事業開拓、第三に研究開発の活発化を支援するものであり、これらの施策は特に地域性を有するものではなく、全国の事業者等に等しく適用されます。したがって、本法案は、地域における経営資源の有効活用を通じ、地域の産業活力再生にも大いに寄与するものと考えております。
 また、本法案における中小企業の経営資源活用新事業計画の認定については、最低限の要件を法定するにとどめ、都道府県の自主性を最大限尊重することとしております。
 以上です。(拍手)
    〔国務大臣甘利明君登壇〕
○国務大臣(甘利明君) 緊急雇用対策及び産業競争力強化策による雇用創出効果についてのお尋ねであります。
 緊急雇用対策におきましては、従来からの雇用の維持安定を中心とした対策に加えまして、雇用機会の創出を最大の柱とし、厳しい雇用情勢の影響を強く受けている中高年の非自発的失業者等を重点に、七十万人を上回る規模を対象とした雇用・就業機会の増大策を実施することといたしております。
 また、産業競争力強化策につきましては、雇用創出効果の高い創業等への支援策も盛り込んでおりまして、緊急雇用対策と相まって、経済活力再生と、それを通じた良好な雇用機会の創出を実現するものと考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
    〔議長退席、副議長着席〕
○副議長(渡部恒三君) 渡辺周君。
    〔渡辺周君登壇〕
○渡辺周君 私は、民主党を代表して、ただいま議題となりました起業家支援のための新事業創出促進法等の一部を改正する法律案について提出者に、産業活力再生特別措置法案について総理及び関係大臣に質問いたします。
 我が国産業界は、バブルの傷跡の中で産業構造の転換を余儀なくされ、大きな閉塞感と将来に対する不安感に満ちております。国民が将来への確信と希望を持つためには、従来我が国経済をリードしてきた大企業のみならず、将来に無限の可能性を持つ中小企業や、これから事業を起こされる方々への支援策を早急に構築することが急務であります。
 このような意味で、今回、創業及び中小企業者による新事業開拓の支援を内容とする議員提案、政府案が並行して審議されることは、複数の案を国民に対して提示し、国民の評価の中で、よりよい成案を得ていくために非常に有意義なことであると考えます。
 まず初めに、民主党案について質問をいたします。
 昨年八月、我が党は、雇用・新産業育成プロジェクトチームを設けて研究、検討を重ね、多くの専門家の協力と指導をいただき、体系的な政策を盛り込んだデモクラット起業家倍増プラン99を取りまとめました。今回はその一部が法案として提出されたものでありますが、まずお尋ねしたいのは、起業家精神の涵養についてであります。
 スイスの経営開発国際研究所が二百八十八の評価項目に基づき毎年発表している世界競争力報告によれば、一九八九年から九三年まで世界一の競争力を有するとして評価されてきた我が国が、現在では第十六位と、その凋落ぶりは大変に際立っており、とりわけ起業家精神において、報告対象となっている四十七カ国すべての中で、日本は最下位にとどまっております。大変残念なことと言わざるを得ません。
 これは、制度のおくれや画一化教育の弊害など、さまざまな要因が挙げられますけれども、法案の成立とあわせて、国民の起業家精神を育てていく重要性について提出者はどうお考えか、まずは御見解を伺います。
 続いての質問は、女性起業家に対する支援についてであります。
 総務庁の統計によれば、我が国の雇用者に占める開業希望者は、男性で二五・七%、女性で六・七%と男女間で大きな開きがあり、実際の開業者も四十歳前後の男性に集中しております。一方、アメリカを見てみますと、一九九六年現在で、女性起業家は八百万社を超え、全米の会社の三六%を占めております。日本の現状では、起業の絶対数に限度があることは明らかであり、女性起業家の育成は今後の経済社会において一層重要な意味を持つことになると考えますが、提出者のお考えはいかがでしょうか、御所見を伺います。
 質問の第三は、SBIR制度の充実についてであります。
 昨年、新事業創出促進法が成立し、いわゆる日本版のSBIR制度が一応スタートしましたが、制度としては質、量ともに不十分と言わざるを得ません。また、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律においては、補助金の交付が決まった際、申請者に通知しなければならない旨が定められておりますが、補助金が交付されない人への規定は盛り込まれておりません。
 民主党案では、申請手続の簡素化を促進すること、交付されなかった申請者へはっきり理由を示すことなどの措置が盛り込まれており、高い評価に値するのではないかと考える次第であります。今後、SBIRだけでなく、補助金すべてについて、交付されなかった人に明確な理由が示されるような仕組みを確立すべきと考えますが、お考えはいかがでしょうか、お伺いをいたします。
 質問の第四は、国立大学等の教官の民間企業等への役員兼務解禁についてであります。
 政府はこの問題について対応を先送りしておりますけれども、民主党案ではこれを解禁することとなっております。理科系の教官だけを対象にしておりますが、先般問題となりました前一橋大学教授中谷巌氏のソニー役員就任のようなケースは適用にならないのかと考える次第でありますが、この点についての説明を求めるものであります。
 続いては、ベンチャー支援税制の抜本的強化についてであります。
 今、ビジネスは国境を越え、世界的規模で動いております。金融改革や税制改革で対策を後手後手に回せば、一夜にしてマネーや株式が日本から逃げていくという可能性も否定できません。とりわけベンチャー税制についてはそのタイミングが重要と考えられるわけでありますけれども、提出者のお考えはいかがでしょうか、お伺いをいたします。
 最後の質問は、法案成立の見通しについてであります。
 この法案は民主党単独の提出となりましたが、新規事業、ベンチャー企業育成については与野党の垣根を越えて推進すべきものであり、どの政党もベンチャー育成には熱心に取り組んでいると確信をするものであります。今国会は議員提出法案が多数成立しており、ものづくり基本法に続き、この起業家支援法も成立させて、日本経済再生のために重ねて政治がリードしていくべきと考えますが、法案の成立の決意と見通しについてお聞かせ願いたいと存じます。
 次に、政府提出、産業活力再生特別措置法案について質問いたします。
 政府案も民主党の起業家支援法案も方向性を一つにするものであると考えられますが、事業再構築計画を事業者に策定させ、主務大臣が認定すれば事業者に支援措置を講じるという法案のかなめの部分については、懸念される事項も多いと言わざるを得ません。政府がお墨つきを与えた事業者にのみ支援措置を講じるという枠組み自体が、官庁の権益を増大させ、癒着を温存し、恣意的に法が運用されるという印象は否めません。この点についての総理、通産大臣の御答弁をいただきたいと存じます。
 今必要な政策は、普遍的な競争ルール確立や税制改正の実施であり、欠損金の繰越制度については、米国で二十年、イギリスやドイツでは無制限で、原則すべての企業に適用されております。だとすれば、日本でも同じ制度の導入を考えるべきではないでしょうか。それを、機械装置、建物の廃棄だけに絞って、しかも認定事業者だけに適用するというのは、度量が狭いと言わざるを得ません。総理、通産大臣の見解を求めます。
 さらに、この法案については、経営責任を明確にせず、企業による労働者のリストラを促進するいわゆるリストラ首切り法案ではないかとの不安も広がっており、これを払拭するためにも、法案の目的に雇用安定確保をはっきり記すとともに、事業再構築計画の実施に当たって、雇用や労働条件に影響を与える場合には、労働組合、労働者側と協議を行うことを明確化するなどの措置を盛り込むべきであります。
 さらに、債務の株式化が経営のモラルハザードにつながることがないよう、また、株式取得による一連の事業継続への支援、分社化の特例等が勤労者いじめにつながる企業整理に悪用されないような歯どめが必要であります。
 私たちは、事業再構築計画の認定、認定事業者への支援措置という枠組みそのものに批判的な見解を持っており、こうした枠組みをつくるのであれば、経営責任の明確化を絶対条件にするべきであります。バブルに踊った経営の責任は見逃され、まじめに働いてきた勤労者にリストラのしわ寄せが促進されることが許されてはならないのであります。
 以上の点について、総理並びに通産大臣の明快な御所見を求めます。
 また、法案には、公正取引委員会との連絡調整に関する事項という部分の趣旨が不明であり、公正取引委員会は当惑しているとの情報も漏れ伝わってきております。これらの点についても、総理、通産大臣の答弁を求め、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣小渕恵三君登壇〕
○内閣総理大臣(小渕恵三君) 渡辺周議員にお答え申し上げます。
 まず、政府による計画認定には問題があるとの御指摘でございますが、本法律における計画認定は、法令に定める基準に照らし、計画が各種支援を適用するのにふさわしいものかを確認するために必要なものであります。計画の認定に際しましては、客観性のある基準に基づいた透明な運用を図ってまいりたいと考えております。
 次に、欠損金の繰越制度についてのお尋ねに関しましては、今回の税制改正は、我が国産業活力の再生の速やかな実現に資するため、税制上の措置を講ずるものでありますが、我が国と諸外国の制度では、帳簿の保存期間、除斥期間、挙証責任といった基本的な法制が異なっており、同一に論ずることはできず、また、制度の適用対象につきましては、法目的から、全くの任意で一般的に行われるような設備廃棄を対象とすることは適当でないと考えます。
 雇用の安定及び労働組合等との協議に係る措置についてお尋ねがありましたが、事業再構築を行おうとする事業者が、その労働者の雇用の安定等に努めるべきことは当然であります。そこで、本法案につきましても、雇用の安定等に配慮する旨を目的に明記するとともに、事業再構築を労働者の理解と協力を得つつ行うよう努めることを認定事業者の責務として規定するなど、労働者に十分配慮した内容としておるところであります。
 経営のモラルハザードや企業整理への悪用のおそれについてお尋ねでありますが、債務の株式化については、利害の対立する債権者との合意のもとに実行されるものであり、株式取得による事業継続への支援等につきましても、雇用の安定等に配慮しつつ講じることとしており、御指摘のような懸念は当たらないと考えます。いずれにせよ、政府としては、これらの措置が経営のモラルハザードや企業整理への悪用のおそれにつながらないよう、本法律を運用してまいる所存であります。
 最後に、経営責任の明確化についてのお尋ねがありましたが、今回の事業再構築計画に係る認定事業者への支援措置は、生産性の向上に向けて、既存の中核的事業の拡大や、新たな商品や生産方式の導入など、将来に向けた経営上の努力を行う事業者に対して行うものであり、この法案において経営責任を問うことは適当でないと考えます。
 また、公正取引委員会との連絡調整に関する規定は、認定された事業再構築計画に従って事業者が行う行為が、独占禁止法との関係で問題が生じないようにすること等を目的とした規定であり、御指摘の点は当たらないと考えます。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣与謝野馨君登壇〕
○国務大臣(与謝野馨君) 渡辺議員にお答え申し上げます。
 まず、欠損金の繰越制度についての御質問ですが、ただいま総理大臣が御答弁をさせていただいたとおりでございます。
 次に、雇用の安定等に係る規定についてのお尋ねでありますが、事業再構築を行おうとする事業者が、雇用面にしわ寄せをしないよう、その従業員の雇用の安定等に努めるべきことは、言うまでもないことであります。
 そこで、本法案においては、雇用の安定等に配慮する旨を目的に明記するとともに、事業再構築を実施する場合には、さらに、事業再構築計画の認定に際しても、従業員の地位を不当に害するものでないこととの条件を設け、雇用に影響がある場合には、労使間で十分に話し合いを行ったかどうか、労働者に対する配慮を十分に行って計画を実施しようというものであるかを確認することとしております。
 次に、債務の株式化に伴う経営のモラルハザード、株式取得による一連の事業継続への支援、分社化の特例等が勤労者にしわ寄せするのではないかとのお尋ねであります。
 債務の株式化につきましては、利害の対立する債権者との合意のもとに実行されるものであり、御指摘のような懸念は当たらないと考えております。また、株式取得による事業継続に係る支援対象を従業員等の意思に基づくものに限定するなど、事業再構築への支援措置については、雇用の安定等に配慮しつつ講じることとしております。いずれにせよ、政府としては、当該措置が経営のモラルハザード、勤労者いじめにつながらないよう、本法律を運用してまいる所存であります。
 次に、経営責任の明確化についてのお尋ねであります。
 本法案の事業再構築計画に係る措置は、負の遺産の救済を行おうというものではなく、生産性のより高い分野への経営資源の移動を図り、選択と集中によって、あすを切り開こうとする事業者に対し、そのような前向きの取り組みの円滑化を図るものであります。また、具体的な支援措置の内容も、欧米諸国でも広く取り入れられている会社組織の見直し手続や税制措置であり、あくまでもグローバルスタンダードの範囲内のものであります。このような本法案の支援対象及び支援措置の内容にかんがみても、経営責任を問うのは適当でないと考えております。
 また、公正取引委員会との連絡調整に関する規定は、認定された事業再構築計画に従って事業者が行う行為が独占禁止法との関係で問題が生じないよう、計画認定前及び計画認定後に、必要に応じて主務大臣が公正取引委員会との連絡調整を行う手続を定めたものであり、御指摘の点は当たらないと考えております。
 以上です。(拍手)
    〔島津尚純君登壇〕
○島津尚純君 渡辺周議員にお答えをいたしたいと存じます。
 各施策の実施とともに、あわせて国民の起業家精神を育てていくことが重要ではないかとの質問がありましたが、私も全く同感であります。私どもの法案に盛り込んでいませんが、デモクラット起業家倍増プラン99には、起業家教育についての提言も多く打ち出しております。初等から大学に至るまでの起業家教育を推進し、生徒が成功した起業家と接触する機会をふやしていくべきである、このように考えているところであります。
 もちろん、起業家精神の涵養は、単に制度面のみから解決できる問題ではありません。どんなに制度が整いましても、社会に起業家を重んじる風土がなければ、私どもが打ち出している政策も画餅に終わってしまう可能性があります。若い人たちが、いたずらに公務員や大企業の社員ばかりを目指すのではなく、起業家にあこがれるような社会をつくりたいと考えているのであります。今回は、第一弾として法案を提出いたしましたが、今後は、国民の起業家精神を喚起する政策についてもさらに研究をしていく所存であります。
 女性起業家を育成することは、今後の経済社会において一番重要な意味を持つことになるのではないかという御指摘がございましたが、まさに的を射た御質問と受けとめさせていただきたいと存じます。
 憲法などにおいても男女平等は徹底されておりますが、現実に女性が起業することにはさまざまなハンディがあると考えております。金融機関からの融資が典型的な例でありますし、男性に比べると、一般論になりますが、女性はビジネスの経験も少ないと言えます。あくまでも機会均等の確立という観点から、女性による創業を支援することは重要な施策であります。
 議員の御指摘のとおり、女性による起業は今後大きな可能性を秘めていると思います。これは将来の雇用創出にもつながる問題であり、国として積極的に支援をしていくべきである、このように考えておるところであります。もう一つの御指摘であります、女性の感性を生かした新ビジネスへの支援も、未来の産業構造の基礎を築くことになるものであると確信をいたしております。
 しかし、私たちは、女性だからこの分野でなければならないというような硬直的な発想に基づいているわけではありません。男性が主動的な立場を占めている部門においても、将来、女性起業家が活躍できるようなところはたくさんあると考えるのであります。いずれにせよ、議員が御指摘のように、男女共同参画社会基本法の実施とあわせまして、効果的に女性起業家支援を推進していきたい、このように考えているところであります。
 SBIR制度の充実についてのお尋ねがございました。
 議員御指摘のとおり、申請手続の簡素化を促進すること、交付されなかった人へははっきり理由を示す措置を盛り込んだことは、情報公開を推進する民主党にふさわしい改革案と自負をいたしておるところであります。
 SBIRだけではなく、補助金すべてについて、交付されなかった人に明確な理由が示されるような仕組みを確立するべきであるとの質問でございますが、私も同じ考えを持っておるわけであります。しかし、起業家支援だけではなく、日本の行政制度全般にもかかわる問題でありますので、党のしかるべき機関で今後検討していくということになると考えておるところであります。
 以上でございます。(拍手)
    〔島聡君登壇〕
○島聡君 渡辺周議員にお答えいたします。
 いわゆる理科系の国立大学等の教員だけに民間企業等の役員兼務を認める仕組みとなっていることについての質問がございました。
 当面の措置としまして、大学等における技術に関する研究成果の民間事業者への移転に関する法律の一部改正という形で今回は仕組みをつくっております。今御指摘の、文科系も含めた広く国立大学の教員についての兼職の特例を認めるかどうかにつきましては、国立大学の教員の知識の活用、国立大学における教育研究の活性化等の見地から、別途検討すべき問題であると考えております。
 税制改正についてでございますが、必要があれば、これは年に何度でも行うべきでありまして、ベンチャー税制につきましては、とりわけタイミングが重要との御指摘がございました。全くおっしゃるとおりでございまして、それがゆえに、私たちは、年度の税制改正に先んじて、エンゼル税制の拡充など一連の措置を打ち出した次第でございます。
 御指摘のとおり、現在のように世界の市場が一つになった時代においては、政策決定のおくれが取り返しのつかない影響を与える可能性もございます。政策決定の遅い国は、国際競争から取り残され、活力を失っていくおそれさえあります。今般、私どもが提唱しているベンチャー税制の強化も、一日も早く実施すべきものと位置づけております。
 最後の質問でございます。法案成立の見通しについての御質問をいただきました。
 私は、この法案成立につきましては、他党の協力がいただけるという楽観的な見通しを持っております。七月十四日、本院予算委員会の補正予算審議におきまして、政府や他の政党の皆様は、我々の提言を含むベンチャー育成に積極的な姿勢を見せておられます。
 自民党の委員の方の質問に、総理御自身、エンゼル税制の問題で通産省も非常に苦心をしておりますが、率直なことを申し上げますと、今アメリカでやっておるようなものに比べますとまだまだ足りないのではないか、もっと民間の資金が活用できるようにと、はっきりと述べられておられます。
 先月のケルン・サミットのG8コミュニケでも、各国は、起業家精神及びイノベーションの促進の強化を図ることで合意しています。小渕総理も国際公約の実施に真剣に取り組まれるものと私は期待しております。
 七月十四日の予算委員会の質問、公明党の皆さんでございますが、公明党の議員の方も、今踏み込まなくてはいけないのは、まさにこの中小ベンチャー企業を育成して、大きく拡大をしていく、そういう戦略に今日本は転じなくてはいけないというふうに思っておりますと力説されておられました。明後日、公明党大会があると聞いておりますが、その基本政策案にも、女性の起業家支援という項目を設けられております。全く私どもの法案の趣旨に沿うものでございます。
 自由党でございますが、自由党の日本再興へのシナリオも、ベンチャー企業の資本調達を可能にする税制、金融上の支援、その他の必要な施策を推進するとうたっておられます。
 日本経済は、現在三百三十四万人の失業、連続のマイナス成長等、政府の政策の失敗による不況に苦しんでおりますが、私は、日本は、日本経済はもっとよくなるはずだし、よくならなくてはならないと思っております。その最初の方策が、日本をイノベーション精神あふれる起業家社会にすることであります。この法律が他党の皆様の御賛同を得て成立し、日本経済が再生の道を歩み始めることができると確信をいたしております。
 以上です。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(渡部恒三君) 大口善徳君。
    〔大口善徳君登壇〕
○大口善徳君 私は、公明党・改革クラブを代表し、ただいま議題となりました産業活力再生特別措置法案につきまして、小渕総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 さて、我が国経済は、バブルがはじけて景気後退が始まる一九九一年からの年平均実質経済成長率は一%に達せず、二十世紀最後の十年が、失われた十年で終わってしまうおそれがあります。
 特に、雇用情勢は深刻です。本年五月の完全失業率は四・六%、完全失業者数は三百三十四万人、前月に比べ幾分改善が見られるものの、厳しい状況であり、また、右失業者数のうち世帯主が前月比四万人増の九十七万人、有効求人倍率は〇・四六倍と過去最悪を更新し、新規求人数も一五・一%の大幅減であり、昨日、雇用対策を柱とする総額五千四百二十九億円の補正予算が成立したとはいえ、依然として予断を許さない状況であります。
 こうした中、六月に発表された一―三月の国内総生産は前期比一・九%、年率で七・九%増となり、七月の経企庁の月例報告では、六月の下げどまり、横ばいという総括判断が、このところやや改善している、に変化をしております。しかし、こうしたプラス面は、昨年十一月の緊急経済対策や本年度の公共投資、住宅対策の政策効果によるものであり、公共投資が減少する年度後半には、景気は息切れするのではないかとの考えも有力であります。
 総理は、現在及び今後の景気について、底打ち時期を含め、どのように認識しておられるのか。また経済再生のため、政策課題として、供給サイドの取り組みと需要対策についてどのように進められようとされているか。さらに、第二次補正予算について、堺屋経済企画庁長官は、GDPの一%超、五兆円規模の第二次補正、十五カ月予算が必要である旨発言されていますが、総理はどうお考えか、あわせてお伺いします。
 次に、産業活力再生特別措置法案についてお尋ねします。
 まず、本法案が景気にいかなる影響を与えるかであります。
 本法案は、第一条の「目的」の中で「雇用の安定等に配慮しつつ」と規定していますが、事業再構築には過剰設備の廃棄等のリストラ推進的な面があり、この法律を契機に労働者の解雇が促進され、雇用不安に拍車がかかり、これがGDPの六割を占める個人消費を一段と低迷させ、景気回復を遠のかせるのではないかと危惧するのでありますが、総理は、この点、どのように認識されているのか、お尋ねします。
 次に、この法案は、選択と集中によって、生産性の高い分野へ経営資源の移動を図るという前向きの取り組みであると説明されていますが、本来、過剰設備等は経営ミスにより生じたものであり、負の遺産の処理は経営者のみずからの責任で行うべきであり、それを国が支援し、処理を後押しすることは経営のモラルハザードを生み、自己責任を放棄するものであるとの批判があり、また、公的支援をするに当たっては経営責任を明確にすべきだとの指摘がありますが、総理のお考えをお聞かせください。
 また、土地流動化対策として、工場跡地など過剰な土地について、有効活用が困難であるのに、企業救済のため公的資金で買い取りを行うようなことをやるべきでないと考えますが、総理の見解を求めるものであります。
 次に、企業の事業再構築計画を主務大臣が認定するというやり方は、行政の産業への介入の排除、行政の透明性の確保、ルール重視の事後チェック行政への転換等の観点から問題があるのではないか、裁量行政の復活につながるのではないかと懸念しております。主務大臣の計画認定に当たり、いかにして客観性を担保し、恣意性を排除するのか、むしろ第三者委員会が認定を行うべきとの考えもありますが、総理の見解を求めるものであります。
 さらに、債務の株式化についてお尋ねします。
 債務の株式化、すなわち金融機関と事業会社の株式と債務の交換は、問題があるとされている金融機関の株式保有をさらに助長するものであります。金融機関の経営が株価に一段と左右されることになり、昨年、株価の下落が金融不安の一因となった経緯からも、商法の規定を拡大してまで債務の株式化を行うことが果たして妥当性があるのか、疑問です。
 また、債務の株式化は、経営者、株主のモラルハザードを招くことはないのか、さらには、金融機関への公的資金の投入が、結果として債務の株式化を容易にしているのではないかと思いますが、総理はこれらの問題についてどう考えておられるか、お尋ねします。
 また、平成十三年三月三十一日までの措置として、認定企業は、特別償却、買いかえ特例、譲渡益課税の繰り延べ、欠損金の繰り越し、繰り戻し、登録免許税、不動産取得税の軽減等、税制上の恩典を受けることになりますが、税制措置によって企業が受ける減税額及び全体としての国の減収額について、通産大臣及び大蔵大臣にお尋ねします。
 次に、この法案に関する雇用問題との関係についてであります。
 本法案の第三条六項六号で、企業の事業再構築計画の認定に当たっては、従業員の地位を不当に害するものでないことを条件に挙げております。また、十八条一項で、認定企業に対し、事業再構築においては、労働者の理解と協力を得るとともに、失業の予防その他雇用の安定を図るため必要な措置を講ずるよう努めなければならないと努力義務を定めていますが、この規定で失業の予防等が確保されるのでしょうか。
 そこで、事業再構築計画の策定及び計画実施の各段階において、労働組合や従業員代表との労使協議を具体的に義務づけるべきだと思いますが、労働大臣のお考えをお伺いします。
 次に、中小企業、ベンチャー企業対策についてお伺いします。
 アメリカでは、八〇年代にフォーチュン五〇〇でリストアップされた大企業が三百五十万人の雇用削減を行っているのに対し、小規模企業は一千七百万人の雇用創出を行っております。また、アメリカの開業率は一九八四年からの十年間、一三から一四%であるのに対し、一九九四年から九六年で我が国の開業率は、廃業率を下回り、一九七〇年ごろの七・〇から三・七%へ低下し、とりわけ製造業の開業率は低く、一・五%にすぎません。
 今回の法案においても、個人の創業や中小企業、ベンチャー企業に対しても特別の措置を講じるとしていますが、市場の活力源であり、雇用の創出、イノベーション、地域経済発展の担い手である中小企業への支援策の抜本的な強化こそ、現在の日本経済の再生のために最も強く求められていると考えますが、総理の見解を求めます。
 また、二十兆円の貸し渋り特別保証制度は来年三月三十一日で期限が切れます。金融機関の貸し渋りは依然として続いております。むしろ、一年間延長し、信用保証強化をさらに十兆円程度追加するほか、返済期間の弾力的な対応が必要と思いますが、総理に明確なる答弁を求めます。
 また、我が国では、女性の創業への意欲は高いものの、資金調達やマネジメント専門技術や情報不足等で、困難に直面しているのが実情であります。さきに成立した男女共同参画社会基本法の精神に基づき、女性創業者や創業を希望する女性に対し、創業や経営に役立つ実践的な講習や総合的な情報提供を行うとともに、エクイティーによる投資、公的融資並びに融資の特別保証枠を設けて創業支援を行うべきと考えますが、総理の見解を求めます。
 今回の法案においても、創業支援、ベンチャー企業対策を講じていますが、抜本的強化というより、従来の複雑な施策の焼き直しであり、その実効についてどう考えているか、通産大臣の見解をお伺いします。
 また、法案では、融資や保証を考えているようでありますが、特にアーリーステージにあるベンチャー企業にとっては、エクイティーによる資金調達、すなわち出資こそ有効であって、当面の資金繰りに日々悩むことなく新しい事業に取り組んでいけるのではないかと思います。ベンチャー企業育成政策として、資金の性格から見ても最も適している、出資による支援を抜本的に拡充すべきではないかと思いますが、通産大臣はどう考えているのか、お伺いします。
 最後に、ベンチャー企業は、すぐれた技術を持って立ち上がっても、事業拡大期に入って、物的な担保がないため、担保主義に立つ民間金融機関からの必要な資金を借りることができません。このため、事業拡大のチャンスをみすみす逃すことにもなりかねません。そこで、差し当たって、政策金融としては、物的担保の多寡にとらわれず、企業の状況に応じた大胆な融資を行っていくべきであり、さらに、ディスクロージャーを条件に私募債に公的保証を付す制度を創設すべきと考えますが、通産大臣の見解を求めます。
 以上で、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣小渕恵三君登壇〕
○内閣総理大臣(小渕恵三君) 大口善徳議員にお答え申し上げます。
 現在また今後の景気と経済再生のための対策について、まずお尋ねがございました。
 現下の我が国経済は、民間需要の回復力が弱く、厳しい状況にあり、底打ちしたと言うには時期尚早だと考えておりますが、各種の政策効果が浸透し、このところやや改善いたしております。本年一―三月期の実質国内総生産速報も、こうした景気判断を需要面から裏づけたものと考えております。政府といたしましては、十一年度予算の着実な執行に努めておるところであり、今後はその効果も本格的にあらわれてくることが期待されます。
 また、経済を自律的成長軌道に乗せるためには、雇用対策及び経済の供給面における体質強化に思い切った対策が必要であるとの観点から、先般、緊急雇用対策及び産業競争力強化対策を取りまとめたところであります。現在の深刻な雇用情勢に対する対応を初め、諸施策を速やかに実施していく考えであり、雇用対策については、昨日成立いたしました補正予算の迅速かつ適正な執行に努めてまいります。産業競争力強化対策につきましては、産業活力再生特別措置法案を今国会に提出いたしたところであります。
 本格的な経済の回復に向けては、今まさに正念場であり、今年度のプラス成長を確実にすることに向け、引き続き不退転の決意で臨む考えであります。
 次に、第二次補正予算についてのお尋ねがありました。
 政府といたしましては、現在、平成十一年度予算の着実な執行に努めているところであり、今後はその効果が本格的にあらわれてくることが期待されます。さらに、先般、緊急雇用対策及び産業競争力強化対策を取りまとめ、現在喫緊の課題となっております雇用対策について、五千億円を超える規模の補正予算が成立したところであり、これについても、今後着実に効果があらわれてくるものと考えております。
 今後の日本の経済の動向につきましては、さらに追加的な財政支出及び施策を必要とするかに関しましては、本年四―六月期の経済指標、QE等を見た上で判断すれば十分であると考えます。
 本法案の制定を契機に雇用不安に拍車がかかるのではないかとのお尋ねであります。
 本法案は、事業再構築のための環境整備を通じ、人材等の経営資源の有効活用を図るとともに、未来産業の創造に向けた技術開発の活性化、創造的な中小企業、ベンチャー企業の振興などの施策を講ずるものであります。こうした取り組みは、経済の自律的発展を図り、新たな産業と雇用を生み出すものであり、経済再生を目指す上で不可欠なものであります。
 次に、経営責任の明確化についてのお尋ねがありました。
 今回の事業再構築計画に係る認定事業者への支援措置は、生産性の向上に向けて、既存の中核的事業の拡大や新たな商品や生産方式の導入など、将来へ向けた経営上の努力を行う事業者に対して行うものであり、この法案において経営責任を問うことは適当でないと考えます。
 また、企業救済を目的といたしました工場跡地等の過剰な土地の公的資金による買収についてでありますが、企業救済のために土地を公的資金で買い取ることは適当でないと考えております。
 事業再構築計画の認定についての御質問ですが、本法案による計画認定は、法令に定める基準に照らし、計画が各種支援を適用するのにふさわしいものかを確認するためのものであり、裁量行政の拡大などの御指摘の懸念は当たらないと考えます。具体的な認定基準につきましては、客観的な指標を策定、公表することとし、恣意性のない、透明な運用を図ってまいります。
 次に、債務の株式化についてのお尋ねでありました。
 債務者、債権者の合意に基づき債務の株式化を活用できることとするための環境整備を図ることは、企業の自助努力を前提としつつ事業再構築を図る上で重要であると考えます。その際、債務の株式化は、経営者や株主のモラルハザードを招かないよう、利害の対立する債権者との合意のもとに実行されるものであり、金融機関の公的資金投入につきましては、厳しい経営健全化計画を求めているところであり、これによって安易な債務の株式化につながらないよう留意することは重要であると考えております。
 次に、特別保証制度についてのお尋ねでありました。
 臨時異例の措置として実施いたしておりまして、多くの中小企業の皆さんに御利用いただいております。二十兆円の保証枠につきましては、必要かつ十分な額を追加する用意がある旨既に申し上げているところであります。また、返済期間の取り扱いにつきましては、保証協会に対し、個々の中小企業者の事情に応じ弾力的に対応するよう中小企業庁から指示をいたしております。
 最後に、女性創業者に対する支援についてのお尋ねでありました。
 我が国経済の活性化のためには、女性を含む多様な事業者による創業、すなわち業をつくる、あるいは業を起こす、こうした活動が行われることが重要であります。私自身、女性の創業者、経営者の方々の活躍に大いに関心と期待を持ち続けているところであり、既に全国で約六万社の企業が女性により経営されておられることを承知いたしております。また、私は、去る四月、商工会議所婦人会の創立五十周年記念式典に出席し、女性経営者の方々を激励させていただいたところであります。
 政府といたしましては、新事業創出促進法に基づく支援策や、商工会、商工会議所等による情報提供等、各種の創業支援策を講じておりますほか、本年度より、女性等の開業支援のための政府系金融機関による貸付制度を創設いたしたところであります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣与謝野馨君登壇〕
○国務大臣(与謝野馨君) 大口議員にお答え申し上げます。
 企業が税制措置によって受ける減税額及び全体としての国の減収額についてのお尋ねでございますが、今後の経済情勢の変動等の不確定要素もありますが、今般の法案に関連する個別項目の企業等が受けるプラスの影響額を申し上げれば、三百億円程度になると考えております。
 なお、国としての減収額について、例えば、新たな税制度の創設によって初めて取引が生ずるといったケースについては減収額に計上しない等、本試算とは差異があるものと認識をしております。
 次に、本法案の、創業者と中小ベンチャー企業に対する支援策についてでございますが、我が国産業の活力の再生が喫緊の課題であることから、既存施策に加えて、この際特別に強力な措置を講じようとするものであります。
 具体的には、創業者と中小ベンチャー企業についての信用保証の限度額を拡大し、貸し渋り対策の二十兆円の保証枠を適用いたします。また、都道府県の無利子の設備資金貸し付けについて、創業者を対象に追加するとともに、中小ベンチャー企業への貸し付け条件の拡充を行います。さらに、本法案では、創業者は認定等が不要であり、また、特定の既存法などの支援対象である中小ベンチャー企業は本法案の認定を受けたものとみなして支援対象とする等、支援対象の方の負担軽減を図ります。
 こうしたことから、本法案は、創業と新事業開拓の促進に相当程度の実効性を持つものと考えております。
 次に、御指摘がございましたとおり、中小ベンチャー企業は、担保力、信用力に乏しいことが多く、その資金調達円滑化のための環境整備は重要な政策課題であります。
 そのため、これまでも政府としては、各県のベンチャー財団が民間ベンチャーキャピタルを通じて中小ベンチャー企業の株式等を引き受ける支援制度や、投資家の有限責任を法的に担保する制度等の整備を行ってきたところであり、さらに、中小企業総合事業団による投資事業有限責任組合に対する出資枠を増額する等の取り組みを行っております。今後とも、中小ベンチャー企業に対する資金供給の円滑化のため、施策の一層の充実を図ってまいります。
 次に、中小企業金融公庫等においては、これまでもソフトウエア等を担保の対象としたり、ベンチャー企業等に対して一定の条件のもとで担保徴求を免除する等の対応をしてきましたが、今後、担保免除の条件や限度額等について中小企業のニーズに、より一層こたえるべく鋭意検討してまいります。
 また、中小企業の私募債への公的保証の付与については、直接金融市場の健全な発展を阻害しないようにする必要があること、ディスクロージャーへの対応から、比較的規模の大きい中小企業層に事実上限定されること等に十分留意しつつ、引き続き検討をしてまいりたいと考えております。
 以上でございます。(拍手)
    〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕
○国務大臣(宮澤喜一君) この法律案の実施に伴う減収、税収の減はどのぐらいかというお尋ねでございまして、ただいま通産大臣は、いろいろ試算すると三百億円ぐらいではないかというふうに言われました。また、国の方は違う計算があるようだということも言っていただいたわけですが、私どもの方で把握できるのは、平年度で四十億円ぐらいかなということを言っておるわけでございます。
 この違いは、通産大臣の計算されましたのは、このたびの税制改正によって受益をする、一つ一つの受益がございますが、その総体が三百億円ぐらいと御計算になられたと思います。私どもの方は、この制度が行われることによって、この制度がなかりせば生ずるであろう税収とどのぐらいの減があるかということを実は申し上げなければならないわけです。
 例えば、買いかえ特例というのを設けておりますが、これは土地に関するものでございますので、従来から買いかえを考えておられた方はこの特例で受益をされますが、この制度ができましたために新たに取引が起こる可能性がかなりございまして、そうなりますと、それはむしろ、私どもからいうとやや増収になるという要素がございます。その辺のところが、土地税制については常に問題がございまして、はっきり減収分、増収分というのは申し上げられないのであります。
 また、ストックオプションにつきましては、また別の理由で、どれだけ広くストックオプションが行われるか、またどの段階でその権利を行使、権利行使の、株が売られた段階で所得とするという特典を設けておりますので、その点が一義的に決められませんで、どうもしっかりしたことが申し上げられない。まことに明快なことを申し上げられないのでございますけれども、そのような理由によるものでございますので、御理解を賜りたいと存じます。(拍手)
    〔国務大臣甘利明君登壇〕
○国務大臣(甘利明君) 事業再構築計画の策定、実施段階における労使協議の義務づけについてのお尋ねであります。
 産業の競争力を強化するに当たりましては、企業が安易に人員削減をするのではなくて、労働者の能力向上と生産性の向上等を図ることによりまして、これを実現することが必要であると考えているわけであります。
 このような観点から、先生の御指摘のとおり、事業再構築計画の策定及び計画実施の各段階において、労働組合等と必要な協議を行うことなど、労使間で十分に話し合いを行うことが非常に重要であるというふうに認識をいたしております。この法案におきましても、計画の実施段階において労働者の理解と協力を得るとともに、失業の予防その他雇用の安定を図るため必要な措置を講ずることが事業主の努力義務として定められているところであります。
 なお、企業組織の再編に当たりまして、労働条件の変更等を伴う場合も予想されるわけでありますが、このような場合には、労使の団体交渉が必要であることは当然のことでありまして、このことは既に憲法第二十八条及び労組法により確立をされているところであります。
 以上です。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(渡部恒三君) 吉井英勝君。
    〔吉井英勝君登壇〕
○吉井英勝君 私は、日本共産党を代表して、産業活力再生特別措置法案について、総理並びに関係大臣に質問します。
 今、日本経済は、二年連続のマイナス成長、完全失業者は三百三十四万人、完全失業率は四・六%という戦後最悪の状況の中にあります。これに対して、総理は、日本経済の再生、経済の自律的回復を達成するには供給側における効率性の向上と競争力の強化を図ることだとして、本法案を出してきました。法案では、企業が生産性向上を目的に、中核事業への経営資源の集中とその他不採算部門の廃棄、縮小を事業再構築、すなわちリストラと定義し、その支援策を盛り込んだものとなっています。
 ところで、ことし二月の予算委員会で、私の質問に与謝野通産大臣は、リストラは合成の誤謬を生む、全部の会社がリストラをやることは全部の会社で不況大運動をやっているのと同じだと答弁し、堺屋経企庁長官も甘利労働大臣も同様の見解を示しました。総理も同じ見解か、確認したいと思います。深刻な不況のもとで、この法律によって大企業が安心してリストラを推進すれば、大量の失業者を生み出し、不況をさらに加速することになるのではありませんか。はっきりお答えいただきたい。
 そもそも産業再生法案は、ことし一月に産業再生計画を閣議決定し、三月からは、総理ら閣僚と経団連会長を初め財界、大企業のトップとの意見交換の場である産業競争力会議を設けて、そこでの議論をもとに法制化したものであります。
 本来、日本経済の再生を言うのなら、企業の数でいえば九九%を占めている中小企業の代表をメンバーに加えて意見を聞く、リストラと雇用の問題については労働者の代表を入れて意見を聞く、それが当然ではありませんか。総理はなぜ中小企業や労働者の代表を排除したのか、明確に答弁されたいと思います。
 今回の法案は、ことし五月の経団連の、わが国産業の競争力強化に向けた第一次提言の内容をそのまま丸のみしたものではありませんか。これほどまでに露骨に政府と財界が一体になって法律をつくった例はありません。大企業偏重のきわみであります。総理の答弁を求めます。
 次に、法案そのものについて質問いたします。
 第一に、リストラ、解雇を推進する法律だということについてです。今日、大企業のリストラ計画は、ソニー一万七千人、三菱電機一万四千五百人削減など、すさまじいものです。そのやり方は、日立製作所家電部門の分社化、日本鋼管京浜製鉄所の事業部門の分社化などに見られるように、いずれも、転籍、出向による人減らしと、賃金三割カット、労働時間延長など労働条件の切り下げ、及び下請、中小企業へのしわ寄せと切り捨てを伴っているのが特徴です。
 本法案によって国のお墨つきを得た大企業は、安心してリストラ、人減らしを推進することになるのではありませんか。そうならない保証があるのか、はっきり答えられたい。また、法案で言う事業再構築とは、中核事業への集中、不採算部門の整理、縮小、廃止としておりますが、これは、大企業の利益拡大を中心に、人減らし、賃下げ、下請いじめを進めるものではありませんか。
 第二の問題は、政府が法案を出す背景として、企業の抱えている三つの過剰が企業の競争力を低下させているとして、そのために大規模なリストラを国が支援するとしていることです。しかし、設備と債務の過剰の原因が、バブル期の大企業の過剰投資と、本業以外の財テクなどの投機に走って失敗したことにあることは明確です。
 ところが、法案によると、企業が事業再構築計画を出してきたときに、国が認定七基準で判断して計画を承認すると、リストラを進める企業に対して、国は、設備廃棄などに税の還付を含む税制上の優遇措置をとること、産業基盤整備基金による債務保証や出資を行うこととあわせて、債務の株式化を認めることにしています。これは、銀行が企業の債権の一部を放棄するかわりにその企業の株式を受け取るというもので、これは、銀行支援六十兆円の公的資金が、迂回して借金の一部棒引きという大企業救済に回されるものです。
 一体、バブルに踊るなどして経営に失敗した当該企業に対して、法案は、企業の責任を不問に付して、専らリストラ支援だけではありませんか。
 与謝野通産大臣は、日経のインタビューに、公的資金による資本注入で金融機関が助かり、今度は金融機関が面倒を見る番だと語っています。マスコミも、公的資金が入ったことで銀行に償却余力ができ、企業がそのおすそ分けにあずかろうと動き出した面を否定できないと指摘していますが、総理は、このような国民の税金によるてこ入れを当然のことと考えているのか、伺うものであります。
 ハーバード大学のガルブレイス名誉教授は、崩壊したバブル対策で政府のやるべきことは、投機に走った企業に責任をとらせること、一方、バブルの被害者である罪なき人々に公的支援でカバーすべきだと指摘しています。これは、だれもが共感できる当然の指摘です。ところが、総理が本法案でやろうとしていることは、こうした方向とは全く正反対のことではありませんか。
 第三に、大企業のリストラ支援ばかりに熱中して、雇用を守るという政府の役割を放棄しているということが問題です。今、総理がなすべきことは、現に行われている、物置に閉じ込めての退職強要などの、人権侵害を伴う大企業の猛烈なリストラ、解雇のあらしから労働者、国民を守ることであります。
 ヨーロッパでは、解雇規制法とともに、企業または事業の全部または一部が譲渡された際に労働者の既得の権利を保護することを目的として、適用対象、労働者の請求権の保護、解雇の禁止、労働者代表の地位、情報提供と協議などを規定した既得権指令があります。その目的や内容、また英仏独各国での導入状況について、外務大臣に伺います。総理、せめてヨーロッパ並みの労働者保護のルールを制定するべきではありませんか、答弁を求めます。
 法案第三条では、企業のリストラ計画の認定に当たって、その計画が従業員の地位を不当に害するものでないことを条件に挙げていますが、その認定条件とは具体的にどのような基準であるのか、具体的に示していただきたい。
 かつての特定不況産業安定措置法でも、また八七年の産業構造転換円滑化法でも、雇用の安定をうたい、リストラ計画の承認基準の中で、労働者の地位を不当に害するものであってはならないとしており、通産省は、これを根拠に、そうした事態は起こらない、心配ないと答弁してきました。ところが、現実はどうであったか。この法律廃止までの九年間に、新日鉄など鉄鋼大手五社は、全従業員の四三%に当たる六万九千人もの人減らし、大リストラを強行しました。
 総理、この鉄鋼産業を含む承認企業の中で、従業員の地位を不当に害する事態は生じなかったと言えますか。答弁を求めます。本法案の認定基準では、労働法に違反する企業は認定しない、あるいは認定を取り消すという立場をとるのか。総理は、そのことを明言されますか。はっきりお答えいただきたいと思います。
 産業競争力会議参加メンバーであるトヨタ、ソニー、日立製作所、富士通、新日本製鉄を含む輸出上位三十社で日本の輸出総額の五〇%を超えていて、大企業の競争力は十分にあります。また、同メンバーである大企業十五社だけで、六年間に十五万九千人の雇用削減を行ってきました。
 これら大企業の多くは、多国籍企業となり、グローバルな合併を進めて、さらに巨大企業への道を進んでいます。そういう大企業に、産業競争力の名で、本法案によってリストラ、人減らしを支援することは、今日の深刻な不況の打開にも、日本経済の再生、発展にもプラスするものにはなり得ません。
 大企業に対する民主的規制を行って、リストラ解雇の規制、労働時間短縮による雇用の拡大、教育、福祉、防災など公的部門での雇用の確保と、消費税減税など個人消費の拡大で、中小企業と地域経済が活力を取り戻せるようにすることこそ、今一番なすべきことであります。
 日本共産党は、日本経済の民主的再生に全力を尽くすことを述べて、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣小渕恵三君登壇〕
○内閣総理大臣(小渕恵三君) 吉井英勝議員にお答え申し上げます。
 まず、本法案が大量の失業者を生むのではないかとのお尋ねでありましたが、本法案は、事業再構築のための環境整備を通じ、人材等の経営資源の有効活用を図るとともに、未来産業の創造に向けた技術開発の活性化、創造的な中小企業、ベンチャー企業の振興などの施策を講ずるものであります。こうした取り組みは、経済の自律的発展を図り、新たな産業と雇用を生み出すものであり、経済再生を目指す上で不可欠なものであります。
 産業競争力会議のメンバーについてのお尋ねがありましたが、御指摘の中小企業からも構成員として御参加をいただいております。さらに、中小企業につきまして議論を行った第五回会合におきまして、構成員以外にも中小企業代表の方に特に意見陳述を行っていただきました。また、政府におきましては、政労使雇用対策会議等の場で労働側の意見を伺っており、こうした意見を踏まえ、法案は雇用の安定に配慮し作成したものとなっております。
 法案と経団連の提言との関係についてお尋ねがありましたが、本法案は、産業競争力会議における議論を踏まえつつ、あくまで政府として必要と判断した施策を盛り込んだものであり、経団連の提言を丸のみしたとの御指摘は全く当たらないものと考えます。
 リストラの実態及び本法案がリストラを進めるものではないかとのお尋ねでありますが、完全失業率や非自発的失業者は引き続き高水準で推移するなど、雇用情勢については依然厳しいものと認識をいたしております。また、事業再構築を行おうとする事業者が、雇用面にしわ寄せしないよう、その労働者の雇用の安定等に努めるべきことは言うまでもないことであり、本法案におきましても、事業再構築を実施する場合には、その雇用する労働者の理解と協力を得つつ行うよう努めることをその責務として規定いたしておるところであります。
 事業再構築が人減らしそのものではないかとのお尋ねでありますが、事業再構築は、企業の選択と集中による中核的事業の拡大、効率化、新事業の開拓などの取り組みを通じ、我が国産業の競争力を高めるとともに、雇用機会の創出にも資するものであると考えます。なお、事業再構築を進める際には、雇用面にしわ寄せすることのないよう、雇用の安定等に最大限配慮すべきことは言うまでもないことであります。
 債務の株式化に当たっての経営責任についてのお尋ねですが、事業者の将来へ向けた事業再構築の円滑化を図るという基本的考え方のもと、本法律案におきまして経営責任を問うことは適当でなく、債務の株式化についても、あくまで、みずから債権者との合意に達した企業に対し、当該合意を実現する際の障害を除去するための措置を講ずるものであります。
 債務の株式化についてのお尋ねですが、債務者、債権者の合意に基づき債務の株式化を活用することとするための環境整備を図ることは、企業の自助努力を前提としつつ、事業再構築を図る上で重要であると考えます。この際、債務の株式化が経営者や株主のモラルハザードを招かないようにしたり、また、金融機関の公的資金投入については厳しい経営健全化計画を求めているところであり、これによって安易な債務の株式化につながらないよう留意することは重要であると考えております。
 本法案は経営方針を誤った企業等にみずから責任をとらせるということと正反対のことをやろうとしているのではないかとのお尋ねでありますが、本法案は、あくまでも事業者の自主的努力を前提としつつ、将来へ向けた事業再構築を円滑化するための環境整備をするものであり、失敗した経営者の救済を行おうとするとの趣旨ではないと考えております。
 EC指令並みの労働者保護ルールの制定についてのお尋ねですが、営業譲渡の際の解雇や労働条件の変更については、労使間でよく話し合われるべきものと考えておりますが、解雇規制を含めた営業譲渡に係る規制につきましては、一律にこれを設けることは適当でないと考えます。
 産業構造転換円滑化法についてお尋ねがありましたが、主務大臣が計画を承認する際には、当該事業者が関係の労働組合の意見を十分に聞くとともに、労働者の地位を不当に害することのないことを確認するなど、適切な法運営に努めてまいったところであります。本法案におきましても、同様の認定基準のもとで運用することといたしており、労働法に違反していることが明らかな事業者を認定することはないものと考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣与謝野馨君登壇〕
○国務大臣(与謝野馨君) 吉井議員にお答えいたします。
 産業活力再生特別措置法案中、従業員の地位を不当に害するものではないこととの基準についてのお尋ねでありますが、本基準は、事業再構築計画が雇用に影響がある場合には、労使間で十分に話し合いを行ったかどうか、労働者に対する配慮を十分に行って計画を実施しようというものであるかどうかという点を確認するための基準であります。
 以上です。(拍手)
    〔国務大臣高村正彦君登壇〕
○国務大臣(高村正彦君) EUのいわゆる既得権指令についてのお尋ねでありますが、この指令は、欧州における市場統合の進展に伴う企業合併等の増加を背景に、企業または事業の全部または一部が譲渡された際に、労働者の権利を保護することを目的として、一九七七年に制定され、一九九八年に改正されたものであると承知をしております。この指令は、企業譲渡等の際の労働者の権利義務の移転、企業譲渡等を理由とした解雇の禁止、労働者に対する事前の情報提供等について規定をしております。
 七七年に制定された指令の内容は、英独仏を含むすべてのEU加盟国において法制化され、実施済みであり、また、九八年改正指令の内容については、遅くとも二〇〇一年七月までにEU加盟国において法制化され、実施されることとなっていると承知しております。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(渡部恒三君) 横光克彦君。
    〔横光克彦君登壇〕
○横光克彦君 私は、社会民主党・市民連合を代表いたしまして、ただいま議題となりました産業活力再生特別措置法案及び関連する税制改正案について、総理及び関係大臣に質問をいたします。
 本法案は、産業競争力を強化するため、企業の事業再構築の支援を目的に掲げております。しかし、企業が抱える雇用、設備、債務の三つの過剰の解消を国として後押しするとの姿勢は、まさに企業が中心であり、生活の視点が極めて希薄であると言わざるを得ません。
 今回の不景気、つまり我が国の生産性の低迷は、将来の生活不安から生じた消費不況が最大の原因であります。社会民主党は、健全な日本経済の本格回復のため、安心して暮らせる社会のセーフティーネットの整備がまずもって重要であると考えておりますが、総理の御所見をお伺いいたします。
 加えて、この事業再構築関連の支援策は、リストラ誘因となる側面を持たざるを得ないということを指摘しておかなくてはなりません。工場撤退などの設備廃棄が進められれば、地域経済に与える影響、なかんずく雇用問題は深刻な直撃を受けざるを得ません。また、分社化等は、不採算部門の人件費抑制も視野に入れられており、大規模な人員整理は必至の情勢であります。リストラの加速は失業率の悪化を呼び、景気への悪影響を引き起こすという悪循環に陥ることは明白であります。
 設備廃棄を景気回復の呼び水にという考え方自体、いささか楽観的過ぎないでしょうか。現在、失業率が史上最悪の水準で一進一退を繰り返す中、政府の緊急雇用対策は、五千億円という規模にすぎず、雇用不安の解消という国民的要請には到底こたえられていないものでした。政府の雇用対策と今回の事業再構築支援のセットが、雇用創出と景気回復という前向きな相乗効果を望み得ないことは明らかであると考えますが、総理の御所見をお伺いいたします。
 また、今回議論を呼んでいるのが、過剰設備、資産の廃棄、つまりバブルの清算であります。過剰設備や過剰債務とはいわば経営ミスの産物であり、本来自己責任である設備廃棄を国として支援することについては、企業経営者のモラルハザードの懸念が絶えません。産業界自身からもその是非論が巻き起こっており、優遇税制を求める経営者トップは一割にも満たないとのアンケート結果も出ております。
 一体、だれが設備廃棄に対する国の支援を期待しているのか。既に血のにじむ思いで設備、債務の廃棄を実行してきた企業も少なくないと聞いております。特定の企業、業界にのみ光を当てる施策に陥っているのではないでしょうか。総理の御所見をお伺いいたします。
 次に、事業者の提出する事業再構築計画が、第三条において、従業員の地位を不当に害しない、このことを認定基準に挙げております。
 先ほど申し上げましたとおり、この法案には、不合理なリストラや大規模な人員整理の懸念が絶えずつきまとっております。雇用不安が頂点に達していることをかんがみれば、この認定基準には、労働者の合意のない不当なリストラを完全に否定する旨を法律上明確に規定してしかるべきだと考えます。
 従業員の地位を不当に害しないとは、具体的にはどういった事例を想定しているのか。従業員との十分な話し合いは保障するが、雇用削減はやむを得ないといった解釈も喧伝されます。この認定基準について、通商産業大臣の明快な御説明をお願いいたします。
 法案にはさらに、事業者に対して、再構築を実施する際、労働者の理解と協力を得、またその労働者の失業の予防その他雇用の安定を図るよう努力義務が第十八条において規定されております。しかし、この規定もまたあいまいであり、雇用不安をいたずらにあおるだけであると言わざるを得ません。労働者の理解と協力と言うならば、再構築計画を策定する段階から労使協議を行い、合意を得る旨を、また失業の予防を掲げるならば、再雇用の義務づけや具体的な再雇用の設定などを、法律で明確にする程度のことは当然かと思われます。
 本法案で雇用に十分な配慮が見られない規定ばかり並べ、あとは労働法制にお任せという無責任な姿勢では、到底雇用不安は解消されません。通産大臣の御見解をお伺いいたします。
 他方、今回の法案には、創業者、中小ベンチャー支援策が盛り込まれており、環境や福祉など二十一世紀を展望できる新規産業創出の一助となり得ましょう。政府は今後幾つかの支援策を検討中のようでありますが、今回いち早く取りまとめられた事業再構築の支援策に比べ、新規産業の支援策は極めて迅速さに欠け、取り組む政府の決意すら疑われます。中小企業やベンチャー企業の創業や第二の創業に対して、人材、資金、技術の総合的な支援の確立が急務であると考えます。通商産業大臣の御見解をお聞かせください。
 そもそも中小企業は、大企業との圧倒的な規模の格差を前提とせざるを得ません。代金支払いのストップや単価の引き下げ要求などの下請いじめが激増していることは、その象徴であります。中小企業が不況のしわ寄せを受けている今こそ、中小企業の経営基盤強化策を抜本的に見直し、拡充しなければなりません。中小ベンチャーの創出に国として取り組むとしているならば、なおさらのことと思われます。
 通商産業大臣に御見解をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣小渕恵三君登壇〕
○内閣総理大臣(小渕恵三君) 横光克彦議員にお答え申し上げます。
 まず、消費不況の解消と生活密着型の経済対策についてお尋ねがありました。
 現下の我が国経済は、各種の政策効果が浸透し、このところやや改善いたしておりますが、本格的な経済再生には、民間設備投資や個人消費を初めとする民需の回復が不可欠であると考えております。政府といたしましては、十一年度予算におきまして、当面の景気回復に全力を尽くすとの観点から、個人所得課税の恒久的減税を実施するほか、公共事業や中小企業対策、雇用対策に最大限配慮するとともに、住宅ローン減税を行うこととするなど、人々の生活基盤の安定化につながる施策を積極的に講じているところであります。
 また、経済を自律的成長軌道に乗せるためには、雇用対策及び経済の供給面における体質強化に思い切った対策が必要であるとの観点から、先般、緊急雇用対策及び産業競争力強化対策を取りまとめたところであります。現在の深刻な雇用情勢に対する対応を初め、諸施策を速やかに実施していく考えであり、雇用対策については、昨日成立いたしました補正予算の迅速かつ適正な執行に努めてまいります。産業競争力強化対策については、産業活力再生特別措置法案を今国会に提出したところであります。
 本格的な経済の回復に向けては、今まさに正念場であり、今年度のプラス成長を確実にすることに向け、引き続き不退転の決意で臨む考えであります。
 事業再構築の円滑化の効果等についてお尋ねがありましたが、設備廃棄も含め、企業の事業再構築を通じた体質改善を円滑化することは、新たな投資を誘発し、我が国の自律的発展を実現する上で不可欠であります。あわせて、本法案は、雇用創出効果の高い創業等への支援策も盛り込んでおり、先般の緊急雇用対策と相まって、経済活力の再生と、それを通じた豊かな雇用機会の創出を実現するものと考えております。
 過剰設備の廃棄等への支援の対象についてお尋ねがありました。
 本法案は、我が国経済全体の生産性向上を実現するため、事業再構築の円滑化や創業などを支援するものであります。その一環として、御指摘の設備廃棄を含め、企業の事業再構築を通じた体質改善に向けた自助努力等を円滑にするための環境整備を図ることといたしており、特定の企業、業種のための措置を講ずるものではありません。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣与謝野馨君登壇〕
○国務大臣(与謝野馨君) 横光議員にお答え申し上げます。
 事業再構築計画の認定基準中、従業員の地位を不当に害するものではないこととの基準についてのお尋ねでありますが、本基準は、事業再構築計画が雇用に影響がある場合には、労使間で十分に話し合いを行ったかどうか、労働者に対する配慮を十分に行って計画を実施しようというものであるかどうかという点を確認するための基準でございます。
 次に、雇用の安定等に係る規定についてのお尋ねでありますが、我が国においては、従来より、事業者が事業再構築等を行う場合には、その雇用者の理解と協力を得つつ行うよう努めることにより、雇用への悪影響を防止し、かつ、事業の円滑な実施を図ってきているところでございます。
 このような実態を踏まえ、認定事業者に対し、事業再構築を実施する場合には、その雇用する労働者の理解と協力を得つつ行うよう努めることをその責務として規定するとともに、国または都道府県に対しても、雇用の安定等に関し必要な措置を講じるよう努めるべきことを責務として規定しております。こうした規定により、雇用への悪影響を防止し、雇用面にしわ寄せしない形で事業再構築の円滑化を図ることができるものと考えております。
 次に、中小企業、ベンチャー企業の支援策についてのお尋ねですが、我が国経済の再活性化等の担い手として、中小ベンチャー企業活性化対策は非常に重要と認識しております。そのため、法案に係る措置以外にも、中小企業総合事業団において、新事業の開拓に対し、出資、助成等の積極的な支援を行うほか、人材データベースの設置及び企業経営に必要なアドバイザーの派遣事業等を推進していくこととしております。
 今後とも、中小企業、ベンチャー企業が活発に活動できるよう、人材、資金、技術に対する施策を総合的に推進するとともに、施策のさらなる充実を図ってまいる所存でございます。
 次に、中小企業の経営基盤についてのお尋ねですが、下請いじめ等の不公正な取引の強要に対し、公正取引委員会と連携して、下請代金支払遅延等防止法に基づき厳正に対処しております。また、中小企業金融公庫等政府系金融機関による設備資金、運転資金の低利融資等の資金供給の円滑化を図る等の措置も講じているところでございます。
 さらに、中小企業の新たな取り組みによる経営革新に対しては、先般施行された中小企業経営革新支援法等により、経営環境の変化に対応した新たな事業活動による経営の向上等を支援してまいります。今後とも、経営基盤の強化等、中小企業対策を強力に推進してまいります。
 以上です。(拍手)
○副議長(渡部恒三君) これにて質疑は終了いたしました。
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○副議長(渡部恒三君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後四時八分散会
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 出席国務大臣
        内閣総理大臣  小渕 恵三君
        外務大臣    高村 正彦君
        大蔵大臣    宮澤 喜一君
        農林水産大臣  中川 昭一君
        通商産業大臣  与謝野 馨君
        労働大臣    甘利  明君
        国務大臣    野中 広務君
 出席政府委員
        通商産業省産業政策局長  江崎 格君