第145回国会 行政改革に関する特別委員会 第4号
平成十一年五月二十五日(火曜日)
    午前九時開議
  出席委員
   委員長 高鳥  修君
   理事 伊吹 文明君 理事 岩永 峯一君
   理事 杉山 憲夫君 理事 虎島 和夫君
   理事 山口 俊一君 理事 小林  守君
   理事 田中 慶秋君 理事 若松 謙維君
   理事 中井  洽君
      飯島 忠義君    岩下 栄一君
      衛藤 晟一君    大野 松茂君
      岡部 英男君    金田 英行君
      熊谷 市雄君    倉成 正和君
      河本 三郎君    実川 幸夫君
      砂田 圭佑君    谷  洋一君
      戸井田 徹君    中野 正志君
      桧田  仁君    細田 博之君
      牧野 隆守君    松本 和那君
      水野 賢一君    宮島 大典君
      宮本 一三君    森  英介君
      山本 幸三君    渡辺 博道君
      伊藤 忠治君    岩國 哲人君
      中川 正春君    中桐 伸五君
      鳩山由紀夫君    平野 博文君
      藤田 幸久君    山本 譲司君
      石垣 一夫君    石田幸四郎君
      佐藤 茂樹君    桝屋 敬悟君
      小池百合子君    佐々木洋平君
      西川太一郎君    三沢  淳君
      春名 直章君    平賀 高成君
      松本 善明君    矢島 恒夫君
      畠山健治郎君    深田  肇君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  小渕 恵三君
        法務大臣    陣内 孝雄君
        外務大臣    高村 正彦君
        大蔵大臣    宮澤 喜一君
        文部大臣
        国務大臣
        (科学技術庁長
        官)      有馬 朗人君
        厚生大臣    宮下 創平君
        農林水産大臣  中川 昭一君
        通商産業大臣  与謝野 馨君
        運輸大臣
        国務大臣
        (北海道開発庁
        長官)     川崎 二郎君
        郵政大臣    野田 聖子君
        労働大臣    甘利  明君
        建設大臣
        国務大臣
        (国土庁長官) 関谷 勝嗣君
        自治大臣
        国務大臣
        (国家公安委員
        会委員長)   野田  毅君
        国務大臣
        (内閣官房長官
        )
        (沖縄開発庁長
        官)      野中 広務君
        国務大臣
        (総務庁長官) 太田 誠一君
        国務大臣
        (防衛庁長官) 野呂田芳成君
        国務大臣
        (経済企画庁長
        官)      堺屋 太一君
        国務大臣
        (環境庁長官) 真鍋 賢二君
        国務大臣
        (金融再生委員
        会委員長)   柳沢 伯夫君
 出席政府委員
        内閣参事官
        兼閣総理大臣官
        房会計課長   尾見 博武君
        内閣審議官
        兼中央省庁等改
        革推進本部事務
        局長      河野  昭君
        内閣審議官
        兼中央省庁等改
        革推進本部事務
        局次長     松田 隆利君
        内閣官房内閣内
        政審議室長
        兼内閣総理大臣官
        房内政審議室長 竹島 一彦君
        内閣法制局長官 大森 政輔君
        地方分権推進委
        員会事務局長  保坂 榮次君
        金融監督庁長官 日野 正晴君
        総務庁長官官房
        審議官     西村 正紀君
        総務庁人事局長 中川 良一君
        総務庁行政管理
        局長      瀧上 信光君
        総務庁行政監察
        局長      東田 親司君
        北海道開発庁総
        務監理官    斎藤 徹郎君
        防衛庁長官官房
        長       守屋 武昌君
        防衛施設庁長官 大森 敬治君
        防衛施設庁総務
        部長      山中 昭栄君
        経済企画庁長官
        官房長     林  正和君
        経済企画庁総合
        計画局長    中名生 隆君
        科学技術庁長官
        官房長     興  直孝君
        環境庁長官官房
        長       太田 義武君
        外務省経済協力
        局長      大島 賢三君
        外務省条約局長 東郷 和彦君
        大蔵大臣官房長 溝口善兵衛君
        大蔵大臣官房審
        議官      津田 廣喜君
        大蔵省主計局次
        長       坂  篤郎君
        大蔵省主税局長 尾原 榮夫君
        大蔵省理財局長 中川 雅治君
        大蔵省国際局長 黒田 東彦君
        文部大臣官房長 小野 元之君
        文部省教育助成
        局長      御手洗 康君
        厚生大臣官房総
        務審議官    真野  章君
        厚生省生活衛生
        局長      小野 昭雄君
        厚生省老人保健
        福祉局長    近藤純五郎君
        社会保険庁次長 宮島  彰君
        農林水産大臣官
        房長      高木  賢君
        農林水産省構造
        改善局長    渡辺 好明君
        林野庁長官   山本  徹君
        通商産業大臣官
        房長      村田 成二君
        通商産業省環境
        立地局長    太田信一郎君
        資源エネルギー
        庁長官     稲川 泰弘君
        運輸大臣官房長 梅崎  壽君
        運輸省鉄道局長 小幡 政人君
        労働大臣官房長 野寺 康幸君
        建設大臣官房長 小野 邦久君
        自治省行政局長
        兼内閣審議官  鈴木 正明君
        自治省財政局長 二橋 正弘君
        自治省税務局長 成瀬 宣孝君
 委員外の出席者
        衆議院調査局第
        三特別調査室長 鈴木 明夫君
委員の異動
五月二十五日           
 辞任         補欠選任
  小野寺五典君     岡部 英男君
  大野 松茂君     飯島 忠義君
  松本 和那君     渡辺 博道君
  宮島 大典君     桧田  仁君
  中桐 伸五君     鳩山由紀夫君
  並木 正芳君     石田幸四郎君
  西川太一郎君     佐々木洋平君
  春名 直章君     矢島 恒夫君
同日               
 辞任         補欠選任
  飯島 忠義君     大野 松茂君
  岡部 英男君     小野寺五典君
  桧田  仁君     宮島 大典君
  渡辺 博道君     松本 和那君
  鳩山由紀夫君     中桐 伸五君
  石田幸四郎君     並木 正芳君
  佐々木洋平君     西川太一郎君
  矢島 恒夫君     春名 直章君
五月二十一日
 国民生活を重視した行政改革等に関する請願(石毛えい子君紹介)(第三四一二号)
 同(佐々木秀典君紹介)(第三四三四号)
 同(佐々木秀典君紹介)(第三四四九号)
 同(島聡君紹介)(第三五五三号)
 同(土井たか子君紹介)(第三五五四号)
 同(畠山健治郎君紹介)(第三五五五号)
 国立病院・療養所の廃止・民営化、独立行政法人化反対に関する請願(田中慶秋君紹介)(第三四一三号)
 同(田中慶秋君紹介)(第三四三五号)
 同(一川保夫君紹介)(第三四五〇号)
 同(熊谷弘君紹介)(第三四五一号)
 同(古賀一成君紹介)(第三四五二号)
 同(田中慶秋君紹介)(第三四五三号)
 同(石井紘基君紹介)(第三四七五号)
 同(一川保夫君紹介)(第三四七六号)
 同(鹿野道彦君紹介)(第三四七七号)
 同(北沢清功君紹介)(第三四七八号)
 同(熊谷弘君紹介)(第三四七九号)
 同(玄葉光一郎君紹介)(第三四八〇号)
 同(佐々木秀典君紹介)(第三四八一号)
 同(菅原喜重郎君紹介)(第三四八二号)
 同(田中慶秋君紹介)(第三四八三号)
 同(知久馬二三子君紹介)(第三四八四号)
 同(葉山峻君紹介)(第三四八五号)
 同(畑英次郎君紹介)(第三四八六号)
 同(畠山健治郎君紹介)(第三四八七号)
 同(前島秀行君紹介)(第三四八八号)
 同(松本惟子君紹介)(第三四八九号)
 同(松本龍君紹介)(第三四九〇号)
 同(吉田幸弘君紹介)(第三四九一号)
 同(石井紘基君紹介)(第三五一五号)
 同(上原康助君紹介)(第三五一六号)
 同(北橋健治君紹介)(第三五一七号)
 同(熊谷弘君紹介)(第三五一八号)
 同(坂上富男君紹介)(第三五一九号)
 同(菅原喜重郎君紹介)(第三五二〇号)
 同(田中慶秋君紹介)(第三五二一号)
 同(知久馬二三子君紹介)(第三五二二号)
 同(葉山峻君紹介)(第三五二三号)
 同(畠山健治郎君紹介)(第三五二四号)
 同(濱田健一君紹介)(第三五二五号)
 同(横光克彦君紹介)(第三五二六号)
 同(石井紘基君紹介)(第三五五六号)
 同(岩田順介君紹介)(第三五五七号)
 同(熊谷弘君紹介)(第三五五八号)
 同(小林守君紹介)(第三五五九号)
 同(今田保典君紹介)(第三五六〇号)
 同(坂上富男君紹介)(第三五六一号)
 同(島聡君紹介)(第三五六二号)
 同(田中慶秋君紹介)(第三五六三号)
 同(土井たか子君紹介)(第三五六四号)
 同(畠山健治郎君紹介)(第三五六五号)
 同(濱田健一君紹介)(第三五六六号)
 同(山元勉君紹介)(第三五六七号)
 同(横光克彦君紹介)(第三五六八号)
は本委員会に付託された。
本日の会議に付した案件
 地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第九一号)
 内閣法の一部を改正する法律案(内閣提出第九六号)
 内閣府設置法案(内閣提出第九七号)
 国家行政組織法の一部を改正する法律案(内閣提出第九八号)
 総務省設置法案(内閣提出第九九号)
 郵政事業庁設置法案(内閣提出第一〇〇号)
 法務省設置法案(内閣提出第一〇一号)
 外務省設置法案(内閣提出第一〇二号)
 財務省設置法案(内閣提出第一〇三号)
 文部科学省設置法案(内閣提出第一〇四号)
 厚生労働省設置法案(内閣提出第一〇五号)
 農林水産省設置法案(内閣提出第一〇六号)
 経済産業省設置法案(内閣提出第一〇七号)
 国土交通省設置法案(内閣提出第一〇八号)
 環境省設置法案(内閣提出第一〇九号)
 中央省庁等改革のための国の行政組織関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第一一〇号)
 独立行政法人通則法案(内閣提出第一一一号)
 独立行政法人通則法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第一一二号)
    午前九時開議
     ――――◇―――――
○高鳥委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律案並びに内閣法の一部を改正する法律案、内閣府設置法案、国家行政組織法の一部を改正する法律案、総務省設置法案、郵政事業庁設置法案、法務省設置法案、外務省設置法案、財務省設置法案、文部科学省設置法案、厚生労働省設置法案、農林水産省設置法案、経済産業省設置法案、国土交通省設置法案、環境省設置法案、中央省庁等改革のための国の行政組織関係法律の整備等に関する法律案、独立行政法人通則法案及び独立行政法人通則法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案の各案を一括して議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 伊吹文明君。
○伊吹委員 ただいま委員長からお示しのございました各法案について、これから総括審議が始まるわけでありますが、NHKが二日間にわたってこのテレビを放映いたします意味は、まさに国民の立場からすると、これからの行政サービスがどのような形で国民に返ってくるのかという大きな関心事であるからだと思いますので、まず私は、一時間二十分の持ち時間の中で、総理と四十分ばかり、どのような現状認識を持って、どのようなお考えで、そして、どのような将来社会を目指しながらこの改革に取り組まれるかという、政治家としてのお話をしたいと思います。
 民主党の御質問者である鳩山さんとも先般お話をいたしましたけれども、総括質疑でございますので、余り細かなことではなくて、政治家としての見識、歴史観をお伺いする、党としての違いが出てくるような質問にしようではないかという申し合わせをいたしておりますので、どうぞよろしく御協力をお願いしたいと思います。
 まず最初に、この地方分権の法律については、十二年の四月から施行ということで諸般の準備が進んでおりましょうし、また、新しい中央省庁の姿を示す省庁再編については、十三年の一月ということであろうと思います。そういたしますと、地方議会においては、当然のことながら、条例の整備をしなければなりません。また、新しい省庁の形に応じた予算を来年度予算、つまり、十二年の四月一日から十三年の三月三十一日までの予算を組むということになりますと、ことしの八月終わりまでには各省はそれに応じた概算要求を出さねばならない。したがって、この両法案は、私は、審議を急がなければ予定どおりやるのは大変難しい、こういう状況だと思います。
 そこで、国会議員の者はみんなそういう経験をしていると思うのですが、有権者の皆さん方から御希望がいろいろ参ります。しかし、それは市町村の事業、市町村のサービスであったり、県のサービスであったり、国のサービスであったり、国民の皆さんはそのあたりの区分は、率直に言って余り政治家ほどはおわかりにならないまま国会議員のところへ陳情が参ります。
 つまり、国民の念頭にあるのは、公たる、まあ官という言葉は余り適当じゃないと思いますので、公という言葉を使いたいと思いますが、地方自治体、国を抱合した公たるもののサービスと自分たちとの関係だけを率直に言えば考えていらっしゃる。その中央からの公のサービスと地方からの公のサービスの責任の分担、役割を今回は変えるという法律であり、同時にまた、それを受ける中央の役所の形、また、民との関係の中央の役所の形を考える法案でありますので、国民の立場からすればこの両者は混然一体となっているものであって、私は、各党の協議の中で、この両法案を御一緒に審議をして国民の前に国民の立場に立った姿を示していくこの審議方式は、非常に結構なまとまりであったと思うんですが、私の認識についてまず総理の御意見をお伺いしたいと思います。
○小渕内閣総理大臣 まさに伊吹委員御指摘のとおりだろうと思いまして、一個人、一国民として考えれば、いわゆる国の行政の分野であるか、あるいは地方自治団体の役割であるかということを区別して考えるわけではありませんで、要は、個人が生活をしてまいります上にいろいろな規範がございますが、そうしたものがみずからに顧みてよりよき生活を担保するという形のことでございまして、そういった意味で、政治の立場から考えれば、この辺を十分整理いたしまして、究極的には個々の国民の利益になるという観点に立って対応しなければならない、御指摘はまことにそのとおりと認識しております。
○伊吹委員 さて、なぜまず改革をするかということでありますが、現在の日本は、日本の近代史において第三度目の危機に瀕していると言われています。申すまでもなく、幕末の時期、開国を迫られた時期、それから、第二次世界大戦、太平洋戦争が終わって日本がこれからどうするかという時期、そして現在ということだと思います。
 前の二つは、外国とのかかわりの中で目に見えた圧力、現実を突きつけられて、私たちはどうしようかという事態に我が国の諸先輩は追い込まれたわけでありますが、今は、外国の圧力、外国からの要請というよりも、長い経済成長、繁栄の後でやや人心がうんで、そして、精神の荒廃のようなものの中から社会システムが少し難しくなってきているということであるだけに、国民の皆さんに危機感を訴えて協力を求めるというのは非常に、前二者よりもかえって私は具体的な姿がないだけに難しいと思っておりますが、しかし、これを切り抜けなければ、新しい世紀を日本の世紀にするというわけにはいきません。ぜひやらねばならない。
 そこで、私の現状認識を若干申し上げて、総理のお考えとすり合わせをしてみたいと思いますが、人間の歴史を振り返って、長い平たんの繁栄の時期を持った国はたくさんございます。しかし、その平たんな時期の間に、ごく当たり前の繁栄が続くんだと国民がみんな思い込んで、そして、本来その繁栄をもたらした根本的なエネルギーを忘れてしまったときに、惰性で続いている流れを断ち切った国はもう一度再生をする、しかし、それに失敗をした国は、いかに世界に覇を唱えていた国であっても必ず衰亡のときを迎える、これが歴史の必然だと思うのです。
 それで、明治維新後、富国強兵、近代化ということが進んで、列強の仲間に入って、そして大正リベラリズムを経て、やや有頂天になってやはり日本は失敗をしたと私は思います。
 そして、戦後、敗戦に打ちひしがれた後、従来の明治型の日本の社会システムに、アメリカで結局、最終的には時を得なかったリベラリストというのか、ニューディーラーが日本に来て、日本をモデルとして改革をしたいわゆる修正資本主義というのか、国家資本主義というのか、こういう社会システムができ上がって、これはこれで非常に私はうまくいったと思います。すばらしい経済成長を達成し、そのために生活水準が上がって、世界に冠たる社会保障制度ができて、女性が社会進出ができるだけの大きな経済をつくり上げて、女性もまた社会に出て異なる価値観に触れられるというような社会をつくって、国際社会の大きな国として認知をされるということになって、これはこれで私は大成功であったと思います。
 しかし、その間につくられたいろいろなシステムは、もちろんないよりあった方がいいわけですが、このシステムを真の弱者が使うのではなくて自称弱者が使い過ぎることが多くなって、結果的にほころび始めてきていた。それと同時に、経済成長万能型の中で、公に尽くすべきエリートが金もうけに狂奔をして、お金さえもうければいい、そして競争に勝てば立派だ、そういう社会ができて、言うならば、共同体への帰属意識というのか、家族、地域のきずな、国家と個人との関係、こういうものが非常に薄くなってきた、活力がなくなってきた。つまり、自己責任と自助努力がなくなって希薄になってきた。
 こういうものが平たんな繁栄の中で蓄積をされて、そして、象徴的にバブルということで噴き出して、何とかしなければいけないという形になっているというのが今だと思うんですが、危機の認識、そして危機の本質について、総理のお考えを伺いたいと思います。
○小渕内閣総理大臣 基本的には、全く伊吹委員の認識と同一のものだろうというふうに考えております。
 近世において江戸三百年の太平というものがあったわけですが、これは鎖国主義によってこれが可能になったと思いますが、その以前としては戦国の混乱の時代があって、国民自体がそれを求めたということがあり、また、三百年の安定と平穏そのものが、逆に言うと、明治維新というかなり革命的方式によって世を変えてこなければならないということであったかと思います。
 その後、近代史におきましては、今委員の御指摘のような経過をたどり、物の行き過ぎがあり、かつ、それの反省がありという形で経過し、戦後を迎えたんだろうと思います。戦後は特に、何といっても敗戦によってすべての財産を失ったと思われる我が国といたしては、あの廃墟の中に立ち上がるという意味で、何はともあれ経済的な発展ということを念頭に置いて処してきたわけでありますが、そういったこの五十数年の過程の中で、やはりそれだけでよいかという反省があって、今日、大きな改革の時期を迎えたということだろうと思います。
 あえて言えば、明治維新の改革、そして戦後の敗戦による改革、そして第三の改革の時期を迎えておるということだろうと思いますが、御指摘のように明治維新も、四杯の黒船が我が国浦賀沖に来られて以降、右往左往しつつ明治維新を達成してきたわけです。一種の外圧であったわけでありますし、また、戦後は、マッカーサー総司令官のもとにおける各種の改革も、いわばある種の外からの大きな力というものが背景にあったわけですが、今回は、我がみずから、国民の力によって改革をしなければならない。それだけに大変大きな仕事が残されておるというふうに思っております。
 そういった観点に立ちまして、行政のあり方も、明治のときに確立いたしました内閣制度がずっと経過してきたわけでありますが、今日、やはり戦後、この時期に至って大きくこれを改革しなければならないということで、省庁再編の大きな一つの仕事が残されておると考えておりますし、それから、地方と国との関係を考えますと、いわば中央集権的な形において地方との関係がございましたが、この点につきましても、これからはもっと中央、地方が横の関係といいますか、相協力して国民に対する政策を遂行するという形のものに変えていかなきゃならない。双方大きな変革、改革の時期を迎えておるということだろうと思いまして、そういう意味で、委員が御指摘いただいたような時代認識をともにするわけでありますし、また、今日、大きな改革を行わなければならない時期に立ち至っておるということだろうと認識をいたしております。
○伊吹委員 人間で、すべて欠点ばかりある人というのはいないわけで、しかし、すべてが立派だという人もいないわけですから、日本の戦後とってきた国家資本主義というか社会主義的資本主義は、いい点も非常にたくさん私はあったと思いますし、同時に、今、どちらかというと本来の市場経済、自由主義の方向へカーブを切り始めているのも、いい点と悪い点が当然あるわけで、そこをよくわきまえてやっていかねばならないと私は思うのですが、いずれにしろ、今総理からお話がありましたように、地方分権も省庁再編も改革の一つの形であるわけですから、どのような基本理念、哲学でこの改革をやるかということです。どうも日本でこの改革の基本になっているのは、国家資本主義的、社会主義的資本主義をナイーブな市場原理、自由社会に戻していくという流れが私は少し強過ぎるのではないかということを懸念しています。
 この下敷きになってよく言われるのは、アメリカのレーガンあるいはイギリスのサッチャーの改革であると言われていますが、彼らの改革のプロセスを詳細に勉強してみますと、確かに自助努力と自己責任ということを非常に強く、つまり市場原理万能ということを言っていますけれども、それは個人の責任を明確にするというために言っているわけであって、もっとさかのぼって言えば、サッチャーもレーガンも大切にしていることは、長い繁栄の中でうみ疲れてしまって失われている社会の、共同体の秩序というのでしょうか、あるいは目に見えない約束事というのか、面倒な言葉で言えば道徳というのか、こういうものを中心にして、もう一度きちっとした社会秩序のもとでの活力を取り戻したい、このことが原点になっているように私は思います。
 したがって、レーガンはミドルなアメリカということを言っています。ミドルなアメリカというのは、もちろん中産階級、汗を流し、努力をし、納税をしている人たちを決してつらい目に遭わせてはならないという意味だと思いますが、同時に、アメリカのミドル、つまり、中部のオハイオを中心とした助け合いの農村文化というのですか、こういうものをやはりしっかりとアメリカの改革の中に根づかせねばならない。サッチャーも、私の理想は、大英帝国を中流階級の国にするんだ、同時に、あのかつてのビクトリア時代の栄光を国家を中心に取り戻そうということを言っております。
 そういうことからすると、規制緩和とか競争重視というのは、戦後の社会主義的資本主義の欠点を、いいところもたくさんあるわけですが、欠点を補っていくためには私は必要なことだと思いますが、どうも競争原理、市場経済万能だけでは、拝金主義者と弱肉強食、そして精神の荒廃した社会を生み出す。それに気づいていたから、彼らは、レーガンやサッチャーは、そこに国の伝統的な精神文化のようなもので抑止力を入れておかなければならぬのだということを言っているんですね。
 アメリカの社会は、非常に繁栄したいい部分と、公につつましやかに尽くすべきエリートが金をもうけながら狂奔するという嫌な面と、弱者が放置されているという暗い面と、そういうのは、ラッシュという人の書いた「エリートの反逆」という本がありますが、この中に本当に生々しく書かれていますし、アメリカニズムというのが本当にいいのかどうかということを考えると、私は、日本のこれから取り組んでいく改革というのは、やはり日本が千年、千五百年という歴史の中で培ってきた日本人の連帯感、家族のきずな、地域の連帯感、国家への貢献、こういうものによって市場経済の欠点を補っていくという感覚がないと、嫌な社会になるように思うのです。
 その点、総理のお考えは、特に、総理が富国有徳という言葉をおかりになって自分の立場をあらわしておられるのは、私は我が意を得たと思うのです。金はもうけねばなりません。お金をもうけられないから自分が清貧だなどと言っても通用はしません。しかし、金をもうけるけれども、成金的に金を使わずに、そしてルールを守りながら、本当に必要なところにお金の値打ちを知りながら使っていく、これが私は本当の富国有徳だと思うんですが、市場原理万能の物質的な規制緩和論がまかり通る現状において、これからの日本の改革をリードしていかれる総理の御見識を伺いたいと思います。
○小渕内閣総理大臣 今、内外の歴史的な大転換期に当たりまして、我が国の制度や慣習の中で、今日の社会に不適合なものがふえております。これらを見直しまして、規制緩和を初めとする経済構造改革を抜本的に前進させることによりまして、経済社会システムを競争原理を重視した時代に適合したものに変えていくことは、重要な課題だと考えております。
 ただ、競争原理の積極的な導入が、本来資源の効率的な利用に資するとともに、自由な創意工夫を促すことにより、新たな商品サービスの提供を通じた生活利便性の向上、さらに良質の雇用機会の確保といった効果が期待できるものでありますが、こうした所期の効果を実現するために、競争がゆがめられたり情報が偏ったりする事態があってはならないと考えております。また、競争に勝ち残れない個人や企業に対し、予想を超えた厳しい事態を強いることになりかねないといった点に留意する必要があると考えております。
 このため、競争原理の長所を最大限に発揮させるべく、公正な競争のためのルールの形成や、適正な判断に必要となる情報の透明化などに取り組むとともに、適切な安全ネットを構築し、すべての人々に競争に参加する機会を与え、失敗しても再挑戦が可能となるような環境を整備することが必要であると考えております。
 こうした考え方に立ちまして、現在、経済審議会におきまして、経済社会のあるべき姿と経済新生の政策方針の御議論をいただいておるところでありまして、本年夏ごろを目処に答申をいただく予定でございます。
 そこで、委員が御指摘をされましたように、具体的に、いわゆる政治の世界で国際社会を見たときに、レーガン大統領を中心にしたアメリカのレーガン革命というようなものもありますし、またイギリスにおきましては、サッチャー首相の施策をサッチャー革命と言われておるようなことがございまして、いずれも、それぞれの国に適合した形での姿として、それぞれアメリカ、イギリスの復活のために政策を講じてきておるわけでございます。
 我々は、そうしたものに学ばなければならないとは正直思います。思いますが、我が国は我が国なりの一つの方法論があるべきではないかというふうに考えておりまして、今でも若干指摘をされておりますが、いわゆるこうした、お二方というわけではありませんが、この手法につきましては、いわばこれを遂行することが、グローバリズムの名のもとに我が国もそれをそのまま単純輸入したらいいかという御議論もかなりあります。もちろん学ぶべき点は学ばなければなりませんが、今委員御指摘のように、我が国の歴史と伝統、また国民性を背景にいたしまして、いかにこの革命的な改革をなし遂げるかというには、我が国なりの手法があってしかるべきではないかというふうな考え方をいたしております。
 そこで、御指摘ありましたが、私が総理に就任させていただいて以来の所信表明ないし施政方針でも繰り返して申し上げておりますことは、いわば富国有徳ということを申し上げております。
 若干御説明をさせていただければ、戦後だけを考えましても、どちらかといいますと、先ほど御指摘がありましたけれども、何はともあれ、国民が生きていくための三要素、衣食住、こういうものを充足させるということが政治の最大の責任だということで、先輩方々、与野党ともに、政治家が心得て取り組んできた課題だろうと思います。それはそれなりに、ある一定の程度においてこれが確立され、ある一定の程度というよりも、むしろ、世界的にいえば、衣食の点におきましては相当諸外国に比べても遜色のない形になっております。残念ながら、人間が生活し、二十四時間の中で大半を過ごすべき住宅につきまして、いまだ十分な状況になっておらないことは、我々も心しておらなきゃならぬことだと思っております。
 そこで、こうした経済的繁栄というものを追求することは当然のことでありましたけれども、一方では、それとバランスをとるといいますか、心の問題といいますか、そうした問題について、強いて言えば、教育の問題ということにもつながってくる問題だろうと思いますけれども、この二つのバランスをどのように考えるかということが極めて重要ではないかという認識を昨今強くいたしておるわけでございまして、実は、これは私が申し上げるのではありませんで、明治の先人の中に渋沢栄一という人がおられまして、この渋沢栄一の記念館というのが先般開設をされまして、私、行ってまいりましたら、結局、明治時代のこの方の言われたのは、そろばんと論語だということを言っておりました。要するに、経済と道徳の問題をバランスをとることが極めて必要なことだ、こう言っておりました。
 そういうことを言葉をかえて、実は富国有徳、こう申し上げておるわけでございまして、ごく簡単に、物心両面、こう言われますが、物と心との調和ある姿、これは、日本が世界の中で、憲法に記されておりますように、世界の国々から本当に信頼される我が国の国の形として、この姿が極めて調和ある形で発展されることが望ましいのではないか、ささやかながらそう考えて、お話を申し上げさせていただいておるところでございます。
○伊吹委員 総理、あと二問だけ伺いたいんですが、長い平たんの繁栄の間に出てくる危機というのは大体共通をいたしておりまして、一つは活力のなさ、うまくいっているから他人に頼る、他人の税金に頼るというのはごく当たり前だとみんなが思い込んでくるということ。これは、真の弱者のためにつくってある制度を自称弱者が簒奪して、納税者に過剰な負担を与えるということなんですね。これが一つ。
 それからもう一つは、共同体への忠誠心というか、きずなというのが非常に弱くなってくる。家族との関係、地域社会との関係、自治体と自分の関係、国と自分の関係、こういうものが非常に弱くなってくる。この二つは、今までお話があったこと。
 もう一つは、平たんにうまくいっていますと、健全な批判精神をエリートが失ってくるということなんですね。これは非常に危険なことであって、うまくいっているから時代の流れに沿うのがいいんだとか、あるいは某テレビのキャスターが言っていることに我が意を得たとか、新聞に書いてあることが正しいとか、有権者の希望に沿うことがすべて政治家の仕事だとか、こういうふうになったときには、大体社会はつぶれていくわけなんですよ。
 これは、言葉はいいか悪いかは、ある党によってはおれの党のことを言われているんじゃないかななんて思われると困るんだけれども、こういうことは一般にリベラルポピュリズムと言われまして、流れに沿っているのが立派だということは、私はやや遺憾だと思うんですね。政党政治であり、これからの省庁再編も政党主導で意思決定を行うということになりますと、政治家個人の資質も大切なんだけれども、政党の資質をやはりしっかりしないと私はいけないと思うのです。
 政党が物を判断する基準というものが、今、我が自由民主党ももちろん、私はちょっとはっきりしてないと思うのですよ。そして……(発言する者あり)いや、今かなりとおっしゃった民主党も、社会主義政党からお変わりになった方も市民運動家の方も、あるいは我が党から立候補を要請されたけれども枠がなくて他の党へお渡りになって、そして幾つかの後、移っていかれた方も、あるいは我が党のあり方にどうも飽き足らずに移っていかれた方も、いろいろな混合政党になっていますね。
 自由民主党も、私は、五五年体制と言われますが、東西対決が崩壊するまでは、自由と民主の旗を立てていた立派な対極軸のある政党だったと思うのです。しかし今や、民主党さんも自由党さんももちろん、みんな自由と民主ですよ。我が自由民主党は自由と民主のどの考えに立って国民に訴えていくのか。これが非常に不鮮明なんですね、各党とも。自民党はもっともっとだとおっしゃったが、私は謙虚に自民党もと言っております。他党のことを言う前に、我が党はどうだということを、みんながやはり一応考えてみる。
 率直に言うと、先ほど言った市場経済、自由社会の欠点を補うためには、少し弱者の立場に立ってと言えばいいんだけれども、だんだんそれが自称弱者の立場になってきて政府が積極的にどんどん介入していくという、アメリカで言えば、やや、一般的に言えば民主党ですよね。そして、いやそうじゃなくて納税者の立場に立って、努力をしている者の税をこんなに使うのは大変だ、市場経済重視でやっていくんだけれども、しかし、強い者がのさばらないように道徳をしっかりしながらやっていくという共和党ですよね。
 だから、アメリカはちゃんと言葉にあらわれているのですよ。民主党はデモクラットと言いますよね。デモクラットというのは個人という意味です。そして共和党はレパブリカンと言いますね。レパブリカンというのはフォー・ザ・パブリック、公益のためにという党なんですね。だから、アメリカの場合は、これは非常に鮮明に分かれている。
 今回、これから各論を私ずっと伺っていきますが、民主党は、やはり私はリベラル政党を標榜しておられると思うのだけれども、リベラル政党としては、やや、地方事務官の話なんかはそうじゃないんじゃないかなと思うようなところもあるし、我が自由民主党においても、随分どうかなと思うところもある。最大与党の総裁として、今後のこの日本の改革を保守の立場に立ってやっていくのか、リベラルの立場に立ってやっていくのか。ここは非常に難しいから、おれは富国有徳の立場だというのならそれも結構なんですが、簡単に総理の感想を聞かせてください。
○小渕内閣総理大臣 なかなか簡単にこれを申し上げることは難しいと思いますし、特に日本の戦後の政治史をひもとけば、長い間、いわゆる今の自由民主党を中心に政権を担当させていただいたということですから、どうしてもオールラウンドな、国民の各界各層の御意見をできる限り集約していこうという形でございましたので、そういう意味で、内閣によって随分、いわゆる大きい政府的なときもありましたし、小さい政府を目標にしたところもありますが、これはかなり柔軟に、悪いことを言う人は融通無碍だと言う人もおるかもしれませんが、私どもは、むしろ柔軟に、やはりその時々の要望にこたえながら着実に進んできた。
 そういう意味からいうと、今委員が御指摘のように、米国型あるいはイギリス型というような形での二大政党の中で、政権が交代しつつ、かなりその理念を明らかにしながら政治を行ってきたというスタイルとやや異なってきておるのではないかというふうに思っております。
 そこで、要は、国民のためにどういうことをなすかということに尽きるわけでありますし、また、これはもともと、話せば長くなることでありますけれども、政治とは一体何かということにも尽きるわけでありまして、これは有名なベンサムの言葉ではありませんが、最大多数の最大幸福ということであります。この幸福の概念というものも相当大きく変化してくる中で、国民の要望にどうこたえるかということでありますが、要望にこたえるという意味で、これが極端になってまいりますと、今委員が御指摘をされたようなポピュリズムの中で、また弱者を救済しなければならないことは政治の最大課題でありますが、それが行き過ぎてしまって委員の御指摘のような点になってしまったのではいけないということでありますから、現状を認識し、現状を改革しつつ、将来に目を向けて、どういうあるべき姿が望ましいかということを考えていくことが必要であると思っております。
 重ねてでありますが、そういった意味で、今回、この地方分権の問題と行政のあるべき姿というものを考える機会に、こうした諸点についても十分考慮して対応していく必要があるのではないか、このように考えております。
○伊吹委員 ちょうどこれで私の持ち時間の半分になりましたので、少し具体的な各論に入りたいと思いますが、まず、自治大臣にお伺いしたいと思います。
 地方分権の法案というのは、もちろん今の総理の御答弁にあったように、国家資本主義的なものをできるだけ民に移し、そして、中央にあったものでも住民の身近にある自治体の判断にゆだねていくというのが基本的な考え方だと私は思うのですね。
 前回だったですか、NHKの「日曜討論」で民主党の鳩山さんが、地方分権の法案が不完全なものであるということを認識するのであればこの省庁再編と一緒に論議をしてもいいというような発言をされたのを私は聞いておるのです。不完全という表現は私たちは受け入れるわけにはいかないのですが、これは基本法、理念法だと私は思うんですね。
 この基本法、理念法で、これから財源をどうしていくのか、地方の条例と国の法律との関係をどういうふうに整合性を保っていくのか、いろいろ法整備が引き続きたくさん必要な法律で、つまり、憲法というものがあるから国家は動くというわけじゃない。憲法があるけれども、他の法律をたくさんつくりながら国というものの運営がなされて、法治国家の運営がなされていくということと同じように、この法律のもとにいろいろな法律が整備されて新しい地方自治の形が出てくる、そう理解していますが、それでいいでしょうかね。
○野田(毅)国務大臣 二点申し上げたいと思うのです。
 憲法と他の法律との関係というのは、上下関係はもう明らかになっておるわけでございます。その中で、我々は地方自治法というのが地方自治に関する基本法であるという認識をし、その中で基本原則的なことを規定いたしておるわけでありますが、いわゆる憲法と他の法律との関係というのではなくて、他の法律と地方自治法との関係、そういう角度からの検討も必要であるというようなこともあって、おのずから、この地方自治法の中に規定される書き方というものが、ある程度の制約を受けざるを得ないという側面は一つございます。これは法体系の問題として、そういう側面はございます。
 それからいま一つ、今回の地方分権一括法、これは不完全であるという表現があったそうですけれども、これは、それぞれの政治家の主観の中で、いや、これはよくできた、いや、不十分だ、いろいろな評価があることは、私は、それはそれでやむを得ないことだと思います。
 ただ、少なくとも今日まで、いろいろな角度から地方自治の必要性ということが、長年、論ずることはたくさん論じられてきたのでありますが、こういう形で、一括して、具体的に前進をするということはなかったわけであります。やはり、そのことをどう評価していただくか、まずそこのところをぜひ考えていただかなきゃならぬ。
 時間をとって恐縮ですが、いま一つつけ加えさせていただくならば、先生が御指摘がございましたが、この地方分権一括法という国と地方の役割分担ということと同時に、中央省庁の改革の法案をあわせて御審議いただくということは、すなわち、その中で、先ほど来総理との議論の中で反映されておったと思うのですが、これはそれぞれ別個の発想の中で存在しているというものではなくて、いわば、明治以来の国、地方を通ずる行政システムをどのように改革をしていくか。ある意味では、官対民なり、あるいは国対地方なり、そういうトータルの中での大事な柱である。ここは、やはり相互、密接不可分の関係にあるということも、あわせてこの機会に申し上げておきたいと思います。
○伊吹委員 だから、これを具体的に動かしていく上で最大の問題は、やはりお金、つまり財源と人材だと思いますが、地方にお仕事を移しながら地方の有権者にサービスを提供するには、財源が要ります。
 自主財源ということがよく言われますが、税目を地方に移しても、人口、経済活動によって税収は当然偏在してきます。同じ日本国民であり、同じ税法のもとに納税をしているわけですから、基本的な公共サービスは同じでなければならないわけであって、そこに当然、調整をするという機能が出てくるわけですね。
 これは、よくよく考えてみると、今、いわゆる補助金を交付している省庁の役割と、トータルとしての調整をする省庁の役割、つまり、新しい法案では財務省と総務省、今の自治省ですね、それと補助金官庁との関係をどう調整していくか、これは一つの大きな問題だと思います。
 それから、ちょっと時間がないのでもう一つ一緒に話をしたいのですが、地方の自治、行政を担う人材が確保できるかどうか。これは、単に自治体の人員というだけではありません。地方議会の議員のレベル、質というものは非常に大切になってくると私は思いますが、この二つについて、自治大臣として、自信が持てなければとてもこの作業は進められないと思いますが、いかがですか。
○野田(毅)国務大臣 二点からの御質問です。
 一つは、地方自治体の、その自主的な仕事をどうやって保障していくかという上で、自主財源をどう確保するか、その際に、いわゆる税源の偏在をどう乗り越えていくかという問題があろうかと思います。
 その点で、確かに同じ日本国民でありますから、どこに行っても同じような基礎的な行政サービスを受けることができるようにすべきである、基本的にはこれはそのとおりでありまして、そういう身近な行政サービス、基礎的な住民に関する行政サービスを、より身近な自治体が責任を持ってやっていくという体制をつくるということは、これは非常に大事なことでありますし、そのための自主財源をつくるということは当然のことだと思っています。
 ただ、そのことと、では税源が均等にあるかということになると、必ずしもそういうわけにはいっていないというところが悩みであることも御指摘のとおり。そこで、あるいは交付税でやったり、そういう税源の偏在を是正する。しかし、その中で自主的に使える財源をどう確保するかということが大事なのであって、そういう意味で、交付税をも含めた一般財源、いわゆる自主財源をどう確保するかということに今腐心をいたしておるということでございまして、これは、これからも引き続きなお一層の努力をしていかなければならないことであるというふうに考えております。
 それからいま一つの、いわゆる地方自治を充実させていくためには、受け皿としての事務遂行能力というものをどうするか。そういう中で、市町村の職員あるいは議会の、大変僣越な言い方かもしれませんが、いわゆる議会の質ということについて言及がございました。
 こういう点では、最近は、特に市町村の職員の資質向上のために、共同で採用をやっていくとか、特に市町村に関しては、県が一緒に相談に乗ってやっていくような形式がかなりふえてきてもおるわけであります。あるいは、研修を重ねていくとかいろいろな努力を今現在やっておったり、中には最近は社会人の中途採用というような、いろいろな工夫をしてやっておることも一つでございます。
 ただ、その中で、人事交流もありますが、やはり市町村自身の規模というものが非常に大事なところがございます。二百万を超える市もあれば二百人程度の村もございます。そういった中で、同じように仕事を、役割分担を地方との間でやっていくということが本当にうまくいくんだろうかということもございまして、そういう点で、市町村の財政規模あるいは事務を責任を持ってやっていくための人材をどう確保するかという意味からも、市町村の合併ということもあわせて考えていかなければならないことであると思っています。
 議員のことに関しては、いろいろ言及ございましたが、この点につきまして、今回、条例制定権や調査権の範囲の拡大など、地方議会の果たすべき役割の増大に伴って必要な議会の機能強化の方策も講じておりますが、基本的に、地方自治を本当に動かしていくのは執行部と同時に議会の方々であります。その議会の皆さんを選ぶのは住民でございます。そういう点で、先般統一地方選挙は終わりましたけれども、これからも、地方議会の議員の選挙に当たって、住民の皆様が自己責任においてしっかりした目で議員を選んでいただきたい、私は、それに尽きるのではないか、そのようにも思います。
○伊吹委員 自治大臣とは大体私は考えを同じゅうしておりますが、そうであればあるだけ、やはり候補者となる者は明確な自分の考えを訴えて、時には住民の意見と違うことがあるかもわからないけれども、やはり言っていることは正しかったなと後で思われるということはたくさん私はあると思います。ですから、地方議員の方々は、多士済々、おのおの見識を持ってこれからの地方の分権の時代に取り組んでいただけることを私は確信いたしております。
 特に市町村の合併のお話がありましたが、これはやはり私もそのとおりだと思いますので、今作業もいろいろ進んでいるようですが、ぜひ推進をしていただきたいと思います。
 そこで、日本人である限りやはり同じ行政サービスを受ける云々というお話があって、私は、基本的な部分はそのとおりだと思うんですね。
 そこで、いわゆる地方事務官の問題について、各党いろいろな御意見があるようですが、労働組合だとか何かの利益はともかくとして、地域住民の立場に立って議論をすれば、私は、命とか健康とか生活にかかわることは、基本的には、日本人で日本の納税者である限りは、北海道にいようと沖縄にいようと東京にいようと同じ扱いを受けるべきだと思っています。
 したがって、であるからこそ、年金とか基本的な医療とかあるいは雇用対策、失業の仕事、こういうものについては国家公務員としてこれを行うというのは私はごく当たり前のことだと思うし、ILO条約などにおいても、国の責務としてやらねばならないということが、失業保険、職業紹介などについては書いてあるわけですね。
 ですから、地方事務官にするということは、地方の公務員にするということは、突き詰めていくと、この基本的なサービスについて地方において格差がついても構わないという前提でなければ私は筋が通らないと思うのです。
 長い間お待たせしたので長くお話しになりたいお気持ちはわかりますが、厚生大臣と労働大臣にこの点について簡単に、私の考えが間違っているかどうかを答えていただきたいと思います。
○宮下国務大臣 現在、厚生年金とか政管健保の社会保険の仕事は、御指摘のように今社会保険事務所を第一線機関として、これは三百十二ございますが、国家公務員の合格者から成る職員によってこれが一元的に運営されています。
 ただし、誤解のないようにしていただきたいんですが、国家公務員でありながら地方事務官という名前が冠せられている点は極めてわかりにくい点であろうかと思いますが、これは、自治法の制定のとき以来、暫時、政令で定める職種については地方事務官でいいということになってきておりますが、実際は国家公務員なんですね。
 そういうことで、今、社会保険事務者は一万六千五百人くらいおりますが、これは今回の第三次勧告によりましても、また閣議決定におきましても、また今回の提出した法案におきましても、国の事務として、地方事務官制度をやめまして国家公務員とするということを書いてありますが、なぜそうなるかということを簡単に申し上げますと、一つは、やはり厚生年金とか政管健保の健康保険とかそういうものは国が保険者として経営責任を負って、同時に財政収支、保険収支の均衡確保のための不断の経営努力が求められております。またもう一つは、全国的規模の事業体として効率的な事業運営を確保するためには一体的な事務処理がぜひ必要で、この点は委員の御指摘のとおりでございます。
 したがいまして、私どもは今回、地方事務官はこれを廃止いたしまして、厚生事務官として国のそういった保険行政、医療行政等について一元的に処理することが妥当であるということで御提案申し上げている次第であります。
○甘利国務大臣 国民の基本的な生活の部分にかかわることは国家が一元的に同じ行政サービス水準で行うべきである、全くそのとおりだと私も考えております。
 先生は今、職業紹介のお話を引き合いに出されました。憲法二十七条に「すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。」ということがございます。これを裏打ちするために、今、国家が一元的に職業紹介業務というのをやっているわけであります。これは諸外国もそのとおりでありまして、そうしたことを今後ともしっかり実現していくために、職業安定を行うハローワークと、それから本体部分と一連の業務として一体的に行うべきだと考えております。
 いずれにいたしましても、前任者が非常に優秀でありましたから、比較されて苦労はいたしておりますけれども、その趣旨にのっとって全力を尽くしたいと思っております。
○伊吹委員 先ほど来、私は総理といろいろやりとりをしたのは、長い平たんな繁栄の中で失われているものは健全な批判精神であり、そして共同体への参加意識だという話をしたのはまさにこの点にあるんですよ。分権であれば何でも地方へ移していいというものではないと私は思います。そして、基本的に大切なものはやはり国がやらねばならないのです。
 今まで地方事務官であった方が国家公務員という身分だけになられたとしても、その人たちがどこの労働組合に入るかはこの人たちの自由です。そして、その人たちが入った労働組合とは、当然交渉は厚生省なり労働省なりはすべきなのであって、一番大切なところは、私は、国民に対して公平に同じように提供すべき仕事や国家の安全保障というものは分権をしてはならないということだと思います。
 太田長官は、もう先ほどから待っておってうずうずしておられるのはよくわかるので、次々と、省庁再編に入ったらたくさん質問しますから、これは余り長くじゃなくてほんの短く答えてもらいたいのだけれども、あらゆるものをそういう形で地方に移すのではなくて、国に残すもの、地方に持っていくもの、基準がある。それはやはり政党の主張によってかなり違ってくると思うので、本来、地方公務員に残せという主張は、むしろ保守主義的な政党が強く打ち出す可能性がある主張であって、リベラル的な政党が打ち出すべき主張じゃないと私は思うのだけれども、どうですか。
○太田国務大臣 事務局を通じまして、たびたび答弁を短くせよという言明がございましたが、政治家同士のやりとりというのはあらかじめ管理することはできませんので、お許しをいただきたいと思いますが、今の件について申し上げれば簡潔にお答えできるわけでありまして、伊吹委員のような考え方でもって地方と中央の仕事をデマルケーションというか、それを図ったのが今度の地方事務官制度を廃して今の社会保険、そして雇用などの話については国がやるということになったんだということだと思います。
○伊吹委員 最後に、地方分権の関係で一つ締めくくりで伺いたいのですが、今度地方がおやりになる仕事というのは非常に整理をされて、地方自治の事務と法定受託の事務というふうになっていると私は思いますが、憲法の第三章には国民の権利と義務というのがあって、国民の権利というのは公益の範囲内で尊重されるという規定がありますし、地方自治というのが第八章にあって、これは法律に基づいて云々というくだりがやはりあるんですね。
 今回のこの法律の中に、法定受託事務について、国の方針、国の考えと違うものについて命令権がある云々というようなくだりについて、これは国の強権的な権限を発動するんじゃないかという批判があると私は思うのです。これは確かに一理がある主張なんですが、しかし、地方自治というのもまた国家の存立の中で当然認められるものであって、弱者に対する対策と自称弱者に対する対策は区別しないといけないと思うんですが、同じように、真の地方自治と国家と相入れない不法な地方自治とはやはり区別しなければならない。したがって、国の命令権は当然担保されるべきであって、それに対して不服な場合は裁判に訴えるという道が残されている。
 ただ、国がそういうものを乱用しないかどうかというのは、まさに我々国会議員が、失礼ですが、皆さん方内閣が乱用しないかどうかを監視するために国民に選ばれているわけであって、強権発動をするから、可能性があるからそういう条項はよくないというのは、国会の自殺行為だと私は思うのです。国会議員が見識を持ってそういうことをさせないということを担保しておかないと、真の地方自治を守るのじゃなくて、わがまま地方自治がまかり通る可能性があるからこそこういう規定が入っていると私は思うのですが、最後にこの点についてはいかがですか。
○野田(毅)国務大臣 基本的に、憲法には先生の指摘されたような条項があり、そういう形ででき上がっていると思います。
 御指摘のとおり、国と地方公共団体の関係というのは、必ずしも対立あるいは対峙をしているという関係でとらえるというものではなくて、まさに国民への福祉のために国と地方自治体が相協力、相共同して達成していくというスタンスで理解をすることが必要なのではないか。そういう点で、どういう役割分担の仕方をすることが一番うまく国民のためにワークするか、そういう角度でとらえるべきものではないか。
 そういう意味で、今回の法案の中で、国と地方の役割分担についての基本的な考え方について、国は国際社会における国家としての存立にかかわる事務その他の国が本来果たすべき役割を重点的に担い、住民に身近な行政はできる限り地方公共団体にゆだねるということを明らかにしたわけでございます。
 そういう点で、この協力関係の一環として、国が地方自治体に対して助言、勧告ということを行うことは有益なことでもあります。そして、一定のこういうような関与を行うということは、有益であると同時にまた一方で必要なことであるというふうに考えております。
 ただ、国の関与が強大になり過ぎてということになると、自主性、自立性を損なうということにもなるものですから、今回、自治事務と法定受託事務の区分に応じて関与の基準と手続をそれぞれ整理したということでございまして、先ほど先生が御指摘ございましたが、法定受託事務に関するものと自治事務に関するものとは内容を、関与の仕方を差をつけているということであります。
 細かいことは、また御指摘があれば御説明をいたしたいと思います。
○伊吹委員 ちょっと時間も大分逼迫してきましたが、省庁再編関係に移りたいと思います。
 新しい役所の国民とのかかわりの形を決めるわけですが、大きなポイントは、やはり政治主導ということがうたわれていることだと思います。
 先ほど申し上げたように、すべての制度には長所と欠点があって、人間も悪いことばかりじゃないし、いいことばかりじゃないというのと同じように、政治主導というのもやはり非常に難しい問題を含んでいると私は思うのです。大統領制じゃないのですから、議院内閣制なんですから、失礼ですけれども、自由民主党と自由党の内閣の皆さんは自由民主党と自由党の政策のもとで動いてもらわなければいけないわけですから、やはり政策を判断する基本的な尺度、理念というものを政党としてしっかりとしておかないと、政治主導というのは非常に難しい。
 それからもう一つ、そういう理念をしっかり背負いながら、公務員の皆さんに対して政策判断を示し、決まった政策については勇気を持って有権者の前へ出て説得をしていくという自信のある政治家でないと、私は、政治主導というのはできない、ただ単にポストをふやしただけだということになろうかと思うのですが、総理、その辺はどうお考えですか。
○小渕内閣総理大臣 本件も今伊吹委員のお説のとおりだろうという感じがいたしております。
 戦後の政治の中で、日本のビューロクラシーというものは非常に、それなりのきちんとした対応をしてきたことは事実であります。しかし、時がたち、ほころびが出、いろいろな諸問題が起きてきた、こういうことでございますので、そうした機会に省庁再編成を行うと同時に、いわゆる副大臣制度を含めました制度の改革を行いまして、要は、そうした形によりまして、政治家が政治を主導するという形の姿をともかくつくり上げていこうということでございまして、要は、そのことによって効果あらしめていかなければならないわけでありますので、政治家自身が、御指摘のように、きちんとした信念を持ち、国民に説得をいたさなければならないときには自信を持っていたしていかなきゃならぬということだと思います。
○伊吹委員 総務庁長官、政治主導の中で内閣機能の強化ということが言われています。ただ、内閣総理大臣は、失礼ですが、やはり直接選挙で選ばれる大統領ではないわけですから、総理大臣の見識によって議院内閣制が手足のように動く、これが一番大切なことだと思うんですね。内閣に官房長官と官房副長官と副大臣と副長官補、何かたくさん、これはおのおのどういう仕事をされるんですか。
○太田国務大臣 それは、内閣機能の強化というのは、結局は、総理大臣を中心とする政治家たる者が過半数を占める内閣が、行政全体を、行政改革を引っ張っていくということであります。
 今の内閣官房長官と副長官については、既に今、ここにもおられますし、制度としてスタートしておりますので、新たな制度というのは内閣官房副長官補になるわけですけれども、これは、従来の内政審議室長や外政審議室長のやっておった仕事をやるんだけれども、従来のように何か固定的な組織のようになるとまずいので、これを弾力的にするという意味で補というものをつくっているわけでございます。
○伊吹委員 あと二つ大切なことをお伺い申し上げたいと思うのですが、やはり、健全な批判精神が欠けているということの大きな問題は、この財政、金融の分離の問題だったんじゃないかと私は思うんですね。
 これは、いろいろな法律を通すときの政党間の話し合いがあったわけで、その政党間の話し合いについてはどういう内容であったのか、やはり信義を持って対応しなくちゃいけないと私は思いますが、同時に、国民のためにどういう財政と金融のあり方がいいかということをちょっと私聞いてみたいんです。
 柳沢大臣、大蔵官僚が、いろいろな長い間の自分たちの権力に対する思い込みや人心がうんだわけですね、結局。そのことによって道徳的な大失敗をしたということと、あるべき行政の組織がどうだということは、ちょっと私は違うと思うんですよ。
 私の一番の心配は、大蔵省が検査の権限と制度の企画立案と両方握っておって、そうした監督権を握っておって、検査の結果危ないな、だけれども、銀行の存立をしないと、役所として金融機関が存立をするのじゃないとまずいよということがあって、その中で、相互牽制、チェック・アンド・バランスができなかったと。ところが、今度、監督庁が金融庁になっちゃって、両方またもとの形に戻すということについてはどう思われますか。簡単で結構ですから。
○柳沢国務大臣 今伊吹委員おっしゃったように、日本の金融行政、特に、マクロ金融政策とは別の、いわゆる金融機関行政といったらいいでしょうか、この面について、バブルの崩壊後の後遺症の処理がうまくいかなかったということの反省から改革が求められたわけであります。
 その際、金融機関行政を、企画立案の機能と監督の機能、それから検査の機能と、この三つに仮に分けたときに、どこの関係に一体一番問題があったのかということについては、私ども国会議員の間で大変な議論がありました。
 ある人は、やはり、今回の一般の行政機関の改革と同じように、企画立案と執行との間を分けて、そこに緊張関係を設けることが最大の改革ではないかという意見もありました。
 しかし、よく金融機関行政プロパーを考えてみますと、そうではなくて、今ちょっと伊吹委員がサジェストされたとおり、むしろ検査と監督との間にいささかの問題がありはしなかったのか。つまり、検査の結果がありながら、監督のありよう、つまり金融機関を業務停止に追い込むとか、そういうようなことを心配する余り、検査の結果にふたを着せてしまうというようなことがあったのではないか、そういうことのためにバブルの後遺症の処理というものがおくれをとったのではないか、こういうような議論もありました。
 その結果、いろいろ論議があったわけでございますけれども、金融監督庁というものができまして、この両者を並列の関係に置く。しかも、今までの大蔵省の内部にあったような若干上下関係というものではなくて、完全に並列の関係に置いて、その間に一定の緊張を置く。あるいは、場合によってはファイアウオールのようなものを置いて、お互いの情報というものが余り過度に行き交わないようにする、こういうような原理のもとで金融監督庁ができ上がったということであります。
 そういうことを考えて、その上に、今回のこの中央省庁再編では、やはり金融の安定化を考えるには金融行政というものは一元的にすべきではないかということで、企画立案も危機管理あるいは破綻処理のものを除いてこれを一体化するということにいたしましたが、これは結局、並列に置いて、その間に一定の緊張関係を生んでいく、つまり上下関係に置かない、こういうことで今回の取りまとめを行ったということであります。
○伊吹委員 そのとおりだと思いますが、要は、これは運用の妙を得ないと大蔵省時代の失敗を繰り返すことになると思いますね。平成十三年一月の大臣はどなたかわからないけれども、ぜひ柳沢大臣の御指導を私はよろしくお願いしたいと思います。
 それから、宮澤大蔵大臣に一つ伺いたいんですが、今回の議論の中であるようなないような、結局どこに行っているかよくわからないというのは、私は本当は金融政策の根幹の問題だと思うんですね。
 日本銀行法が改正をされて、結局、金利とマネーフローの量的な規制、これの権限は日本銀行に行ったような、政策委員会にゆだねられているわけですが、しかしながら、日本銀行は独立で何をやってもいいというわけじゃなくて、有権者、つまり国会に対して責任を負わなければならない。やはり、その中間にあって調整をするという仕事が政府には実務的には必要なんじゃなかろうか。財政支出と税率変更とそれから金融、やはりこの三つをあわせて責任を持っておられる方が一人おられないと、これが経済諮問委員会という何か人の集まりであっては、最終的にはこれは総理だということになるんだと思うのですが、総理は大変な激務ですし、それだけのことは私はなかなか難しいんじゃないかと。
 これはやはり大蔵大臣のお仕事として残っている。だからこそサミットにも大蔵大臣は常に御一緒に行かれ、G5、G7等で国益を背負いながら景気対策の議論をなさっていると思うのですが、その辺の金融政策ですね、本当の意味での金融政策のこれからのやりとりについてどんなふうにお考えになっておりますか。
○宮澤国務大臣 数年間における大蔵省の金融行政に対して、国民から非常な抜きがたい御批判を受けました。また、それを受けて、国会においても、政党間においても、新しい仕組みについていろいろ御議論がありまして、それを反映してこのたびの御提案を申し上げております。
 したがって、金融に関するすべての企画立案、これは金融庁の所掌であります。危機管理等に関して、財政、国庫、通貨、外国為替なんかと関係いたします場合に、財務省にもこれを所掌するという、そこははっきりいたしたことになっております。と同時に、日本銀行が金融の量等々につきましてこれを主管するということも、これも明確であると思いまして、その間、財務大臣は、政策委員会の金融政策決定会合に出て意見を述べることはできる。そこに一つリンクがございます。
 しかし、結局最終的には、総理大臣が経済諮問会議というものを主宰されるわけでございまして、恐らくそのメンバーとして財務大臣も選ばれることになって、総理大臣の指揮を通じて、今おっしゃったようなことについての調整を行うということになるのであろうかと思います。
 いずれにいたしましても、新しい制度が発足いたしました際に、伊吹委員のおっしゃいますように、その各大臣の間で総理大臣の指揮のもとに緊密な連携をして、そして制度がともかくうまく動くようにしなければなりません。
 今としては、大蔵省として、率直に申しまして、世間に対していろいろ自粛自戒をしなきゃならないということを深く考えておりますから、そのことが失われるようなことがあってはならないということを強く考えておりますが、おっしゃいますように、国全体の問題については、そのような形で発言をする機会があろうかと思っております。
○伊吹委員 時間が参りましたが、実は、最後に私は伺っておきたい。
 もう時間がありませんから、答弁は要りませんが、今申し上げたような国の形をつくっていっても、最後は、やはり有徳な日本人をつくれるかどうかということで、私は、文部大臣がやってこられた中教審の答申だとか何かは非常に高く評価しております。
 明治維新を切り抜けたのは、明治維新の前の教育を受けた人たちです。敗戦を切り抜けたのは、敗戦の前の教育を受けた人です。そして、今こんな大変な状態になっているのは、今の前の教育を受けた人が社会の第一線に立っているということを考えれば、これから二十一世紀を背負っていくこの地方自治と省庁再編の形の中で、健全な有権者をやはり養成していかねばなりませんので、文部大臣のお仕事に私は敬意を払いながら、これからの御努力をぜひお願いしたい、そして質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
○高鳥委員長 次に、小池百合子君の質疑に入ります。
○小池委員 自由党を代表いたしまして、小池が質問をさせていただきます。
 今、同僚が持ってきてくれましたのが、こちらがこの二法案でございますが、国民の皆様にとりましては、この分量をまず見ていただきたいと思うわけでございます。合わせて二法案、地方分権そして中央省庁再編ということで、これで約七千ページありますかね、広辞苑三冊分は優にあると思います。
 そしてまた、非常に重要な法案であります。かといって、これをまた五年、十年かけて審議していては、まさに世界の十周おくれぐらいになってしまいますので、実のある審議を続けていきたいと思っております。
 ということで、今回のこの二法案でございますけれども、まさに二十一世紀の国の形をどう変えていくのか、そしてどう運営していくのかということで、極めて大きな歴史の転換点にも当たろうかと思います。単なる行政のあり方を変えるというのではなくて、国の仕組みそのものを変えていく、そういう位置づけがまず必要ではないかと思います。
 ちょっと振り返ってみますと、戦後の半世紀、この日本という国を成功に導いてきたシステム、これはある時期は大変有効に機能した。しかし、世界が変わり、そして、組織そのものというのはやはりどこかで寿命が来る。自己点検をし、自己改革をしていかなければどこかで寿命が来る。
 そういった意味で、この明治維新以来の、例えば廃藩置県であるとか、うんと古くなりますと奈良時代の大宝律令であるとか、それから、これまでいろいろな日本の変革というのは、戦争だとか、そして革命、まあ日本は革命らしきものはなかったのかもしれませんが、もしくは外圧であるとか、そういったいわゆる大きな大きな、また血を流すようなプレッシャーというよりは、今回は無血革命とでも申しましょうか、みずからを日本の意思でもって変えていくということでは画期的なことではないか、民主的に変えていくというのは画期的なことではないかというふうにとらえております。
 以前、以前というか、もうかなり古過ぎるのですけれども、まさに世界史をさらにさかのぼって考えますと、例えば恐竜の時代があった。しかし、恐竜は、長年生息していたけれども、結局、環境の変化に適応できないままで短期間のうちにすっと滅亡してしまったということもございます。
 また、これまでの文明の変遷などを見ましても、まあ最近ではポール・ケネディーの「大国の興亡」であるとかハンチントンの「文明の衝突」など、文明史ということ、それを教訓といたしましても、今回の変革というのはそれに匹敵する、さらにこれを肉づけをしていく必要はございますけれども、しかしながら、大きな転換点をみずからで迎えるという点が最大のポイントではないかと思っております。また、中国の清の末期はどうであったか。いわゆる官僚制が行き過ぎてしまった。そして結局滅亡に導かれたというようなこと。
 そうやって過去の歴史を振り返り、そして新しい日本の行く末を見据えた上で、この二法案に取り組んでいく必要があろうかと思います。
 今、企業も大変なリストラ、変革の時期でございます。自動車業界や石油業界などは、まさに国境を越えて、大陸を越えての大再編の時代でございます。そういった中で、日本の政治そして官僚制度だけがそのままで生き残るということはまずもって考えられない。そこをみずからで変えていくこの歴史の大転換の中での総理、小渕総理でございますけれども、こういった長い長い歴史を踏まえた上でのこの二法案、その時代的な必然性であるとか、そしてこれをみずからがやっていかなければいけないんだというその思いを、ぜひとも総理、政治家の言葉としてお語りいただければと思います。
○小渕内閣総理大臣 私は、先ほども御答弁申し上げましたが、現在を、明治維新、第二次世界大戦後に続く第三の改革の時期と位置づけております。今日の我が国の繁栄は、まさに明治以来の先人の努力のたまものであります。もっと言えば、今委員が御指摘されましたように、奈良時代、大宝律令、租庸調を初めとした国家としての形成をなして以降の日本人のたゆまざる努力の結果だろうと思っております。
 しかし、こうした上にいつまでも安住することは許されないわけでございまして、特に最近は価値観が非常に多様化し、世界が流動化いたしておりますことでございますので、これに迅速かつ的確に対応するため、新たなシステムをつくり上げなければならない時点に来っておるという認識でございます。
 行政について考えれば、戦後五十年間続いてきた従来の行政システムが時代に合わなくなり、縦割りの弊害や肥大化、硬直化などの問題が指摘されておるわけでございまして、このような認識のもと、今回、中央省庁等改革は、二十一世紀に向けて行政における政治主導を確立し、内外の主要課題や諸情勢に機敏に対応できるよう、行政システムを根本的に改めるとともに、透明な政府の実現や行政のスリム化、効率化を目指すものでございます。
 今委員御指摘のように、日本もいろいろ政治の大きな改革のときに、いわゆるクーデターといいますか革命といいますか、こういう形でするということは、なかなか、いわゆる二・二六も五・一五もそういう形での成功はなかったわけでありまして、そういう意味で、今回は実態的に言えばある意味では革命に近いことだろうと思いますが、力によるものでなくして、合意によってこれをなし遂げよう、民主的手法によってこれをなし遂げようということでありまして、そういう意味で大変重要な法律案でございます。
 これは、ひとえに政府がお預かりしておることで法律案は提案させていただいておりますけれども、国民的視野で御論議をいただきながら、将来、ちょうど二十一世紀を前にいたしておりますので、この省庁にいたしましても、二〇〇一年一月一日ということでございますことを考えますと、大きな大転換に当たってなすべき課題である、こういう認識でありますので、ぜひよろしく御審議をいただきたいと思っております。
○小池委員 ありがとうございました。
 私は、以前から堺屋太一さんのファンでございまして、むしろ経済企画庁長官というよりは、「組織の盛衰」という本も読ませていただいているんですが、ぜひとも、この著者の堺屋太一氏ということで一言いただければと思います。
○堺屋国務大臣 ただいま小池委員からいろいろと歴史的なお話がございましたので、このことについてもお話ししたいんでございますが、それをやっておりますと時間がかかりますので、組織の盛衰という面からだけお話をさせていただきたいと思います。
 組織というものには、みんなが仲よく暮らすことを目的とした共同体と、ある目的を達成するためにつくられた機能体とがございます。もちろん、官僚組織、役所というのは、この政治、行政の目的を達成するためにつくられた機能体なんでございますけれども、この機能体も、軍隊でも役所でも企業でもそうですが、時間がたちますと、だんだんそこに入っている構成員、軍隊でございましたら軍人、役所でございましたら官僚、会社でございましたら社員、その人たちのための組織になっていく。
 その人たちが一番心地よく、仲よく、競争原理がなくてやっていけるようになってまいりますと、組織というものが硬直いたしまして、お互いの内部もめとかあるいは欠点を隠す、情報の隠匿とかいうようなことが行われてまいります。これが一番組織の死に至る病、機能組織の共同体化という現象であります。
 正直に申しますと、日本の官僚組織にもそういった傾向が見られないわけではございません。この際、その組織がえをいたしまして組織に揺さぶりをかけるというのは、日本の硬直した官僚機構に適切な刺激を与えることになり、組織論としては前向きに評価されるんじゃないかと思います。
 こういった組織を変えるというリストラクチャリング、再構成とともに、もう一つ、やり方を変えるというリエンジニアリングの方を加えて、この残り一年半の間にそういったことも加えていけば、日本の新しい二十一世紀にふさわしい官僚機構をつくることにかなり貢献できるんではないかと考えております。
○小池委員 大変簡潔明瞭にお答えいただきましてありがとうございます。
 今おっしゃられましたように、仲間内の共同体ではなくて国民のために奉仕する、これは行政も政治もそうでございますけれども、機能体としてどう我々が変わっていくか、みずからが変わっていくかということが最大のポイントかと思います。
 今回のこの二法案でございますが、私ども自由党の政策もかなり取り入れていただきました。しかし、ここに自由党の「日本再興へのシナリオ」というのがございますが、この私どもの基本政策集に書かせていただいてきた地方分権、そして省庁再編、さらには政治が政治の力を取り戻すということを盛り込ませていただいたものでございますが、きょうはその以前の仲間も御一緒でございますけれども、新進党時代にもそれをうたってまいりました。そして、その前、こちらが何と日本新党の基本政策本でございまして、こちらにも地方分権と省庁再編、そして政治が政治の力を取り戻すということはずっと訴えてきているわけでございます。
 政党は変わりましたけれども、政策は変わっていない。そして、この地方分権、中央省庁再編問題というのは、私個人にとりましても大変思いは深いわけでございます。
 さて、この二法案でございますけれども、先ほど申し上げましたように、改革の一部というふうにとっていきたいと思っております。
 よく三権分立というふうに申しますけれども、(パネルを示す)立法、行政、司法。しかし、この情報公開法の成立によりまして、よらしむべし、知らしむべからずの時代から大きく変化をするということを期待いたしまして、今度はこの「国民」ということももっともっと大きな観点でとらえていくべきではないかということで、あえて四つにいたしました。
 そして、まず「立法」でございますけれども、立法府、国会、内閣法の改正で総理のリーダーシップがより発揮できるようにということで、この「立法」のところに「副大臣制度の導入」「政府委員制度の廃止」ということをうたいましたが、もちろんこれは、行政の一部として政治が動くということで、本来は「行政」のところに書くべきだったかもしれません。しかし、心は、「政治家が真に政治に責任を負うシステム」をつくるということでございます。
 そして、「司法」でございますけれども、「新たな法秩序の確立」ということで、これから司法制度改革、ただいま準備中でございます。そして、さらには「国民」、国民の意識改革も、これははっきり言って必要だと思います。そして、その上で、「個人の自立」「自己責任原則の確立」ということが必要かと思います。
 それで、今回はこの「行政」のところでございますが、目指すところは、「効率的で簡素な政府」、まさに国民に奉仕するための機能体を目指そうということ。そして、地方分権については、「地方のことは地方自身で」決められるようにしていきましょう、そういうことで、この四つがワンパッケージとなった考え方でもって進めていかなければならないというふうに思います。
 そして、その結果として何を目指しているかというと、フリー、フェア、オープンな社会を実現する、そして「国民ひとりひとりの能力が最大限に発揮される社会」ということを目指していく。これが日本を再興させるためのトータルシナリオと考えている次第でございます。
 中長期的には、この日本再興、この日本という国を二十一世紀にもサステーナブル、活力ある、持続性のある社会にしていこうということと、それから短期的には、実はこれは景気対策の一つでもある。つまり、構造改革なわけですから、日本の仕組みを変えるという、構造を変えるということから、短期中期的な景気対策にも結局はなるわけでございます。その大きな意味をまず踏まえた上で、それぞれの法案の御質問をさせていただきたいと思います。
 まず、地方分権でございますけれども、地方分権は、一言で申しますと、中央集権、言ってみれば霞が関と言いかえてもいいかもしれません、その中央に権限が、お金が、人が、すべてが集中していたのを、これから地方の方にまさに分権していきましょう、そして地方に主権を与えていきましょうということなわけでございますけれども、その上で、今度は地方が効率よく、まさに機能体として活動をし、そして納税者として地方税なども払いがいのある地方に変えていくというためには、どうしても市町村合併というのは非常に大きなテーマかと思います。この市町村合併につきましても、今回の法案の中にも幾つも項目として盛られているわけでございますし、また、私の地元であります兵庫県では、せんだっての四月一日、特例によりまして新しい市、篠山市が誕生したばかりでございます。
 そういった意味で、自治大臣にお伺いしたいと思いますけれども、この市町村合併でございますが、私ども自由党は、まず三百にしようということを訴えておりましたが、その前の段階として全国を千、現在約三千三百あるわけでございますけれども、それを千に集約していこう、そういう方向を目指しているわけでございます。自治大臣の方からは、この市町村合併をさらに進めるためにどういった新たな措置を考えておられるのか、この法案をベースにお答えいただきたいと思います。
○野田(毅)国務大臣 これからの市町村合併の手順等の前に、今、市町村合併の必要性について、若干かいつまんで申し上げておきたいと思うのですが、御指摘のとおり、本当に国と地方の役割分担をはっきりさせていく、そういう中で、住民に身近な事柄については自治体がみずからの責任において、そして自主的に物事を決定していく、これが一番大事なことだ。これは官対民という関係においても、国対地方という関係においても、そういう意味で受動的に物事をやっていくのではない、自分が主体的に決めていくんだという、これをつくるためにも、それができるような環境が必要だ。
 したがって、今現在、地方自治体の規模が、市町村においても二百万を超えるような市から、二百人ぐらいの村まで千差万別、そういったことも考えますと、やはりこの際、市町村が合併して、それなりの財政規模を持った財政力を身につけるということも大事なことでございますし、またそれだけの組織力というものも必要だろう、あるいはそれだけの背景がなければ人材も集まらない。
 そういうようなことをいろいろ考えますと、ぜひ市町村の合併ということは、いずれなればいいというのではなくて、かなり、ある程度政策誘導を用いながら積極的に進めていかなければ、本当の意味での地方自治の受け皿が育っていかないという思いをいたしておるわけです。
 そこで、本法案におきまして合併特例法の改正が一括法の中に入っておるわけです。たくさんありますが、その中で主な項目についていきますと、地域審議会、これは、小さな村や町が合併されると自分のところが置いてきぼりになる、廃れていくのではないか、そういったときに、そうはならないように、いわゆるコミュニティーとしての固まり、その意思を表現することができるような地域審議会というものを今回新たにこの中に盛り込んだということでございます。それから、逆に、財政力の強いようなところが弱いところを抱え込んだら損じゃないかというような議論も中にはあります。
 そういった点で、合併すること自体が両者ともにより優位な選択であるということを住民にわかっていただくために、合併特例債、現在あります過疎債に準じたメリットを与えた形で財政的にも支援をしていきたい。そのほか、都道府県知事が合併協議会設置を関係市町村に勧告をする制度やら住民の発議制度あるいは交付税の合併に関する算定がえの特例等々、こういった支援措置を講じていきたいというのが本法案の中に盛り込まれております。
 そこで、本法案が成立いたしますれば、ぜひ直ちに合併推進のガイドラインというものを地方公共団体にお示しをしたい。特に、市町村の合併については都道府県が積極的な役割を果たしてもらうということが非常に重要なことでありますので、都道府県に対して、市町村が合併を検討する際の参考や目安となる合併のパターンを作成して積極的に取り組んでもらうように要請をする予定でもあります。
 今、いずれ三百、当面千という数のお話がございました。それは頭の中に置きつつも、政府として今数だけを追い求めるよりも、今申し上げたような、合併が結局住民のためにもプラスだし必要なんだということをさらに理解してもらうような努力をし、そして支援策を講じて積極的に進めていきたい。できるだけ早期に今お示しになりましたような数が達成されるということを目指していきたいと思っています。
 なお、戦後一万ばかりございました市町村が第一回目の二十年代の後半からの再編の中で今日の姿になってきたというのも一つの参考になる数字なのかなというふうに思いますが、少し、今日に至るまでに随分時間がかかってきたのかな、これからやはりそんなに時間をかけていたのでは大変だなという思いもございます。
○小池委員 ヨーロッパではこの一月から例のユーロが出発、スタートしたわけでございますけれども、ユーロなどの場合は、まさに国境を越えて、一つの主権である通貨まで一緒にしようというその大変なエネルギー、努力があるわけですね。それを考えれば、通貨も一緒で、言葉も宗教も民族もみんな、ヨーロッパと比べれば全然日本の場合は明快でございまして、それができないはずはない。そのためには、自治大臣、今御指摘ありましたように、いろいろな方法でそれを推し進める。
 ちょっとおかしな話なんですけれども、地方自治というのは、むしろ自治、みずから治めるから自治なのであって、本来は地方からわいてくるような形というのがもっと推し進められなければならない。まさに地方の方にももっともっと頑張っていただきたいし、また、そういう頑張る人材が最近では地方にも数多くあらわれていることは頼もしい限りだと思っております。
 ただ、この地方分権法の中で、地方分権推進を踏まえてさらに強化していかなければならない点、やはり一点あると思うんですね。それは、あらゆる組織が必要な人、物、金、情報ということで言うならば、やはりお金の点だと思います。よく人間、財源、権限と言う方もおられますけれども、やはりこの財源ということを、地方みずからの財源をどう確保していくか。それはむしろ中央の方がどう手放すかなのか、どういう考え方なのかわかりませんけれども、このお金の面ではどういうことを自治大臣、考えておられますでしょうか。
○野田(毅)国務大臣 御指摘のとおり、本当に地方の自主性あるいは自立を保障していくためには、当然のことながら財政的な基盤、裏づけというものが伴わなければ、現実問題うまくいきません。そういう点で、一つは、何よりもやるべきことは地方税自身、これが一番大事です。
 ただ、地方税に関しては、行政サービスの量と、そこに存在している税源というものが、必ずしも地域において均等になっているものではない、偏在性がある。したがって、地方税を充実するだけでうまくいくかどうかについてはなかなか難しい。そういう点で、地域間格差をどう乗り越えていくか。しかも一般的に、一般財源として自主的に使えるような財源措置を講ずる必要があるという意味で、地方交付税ということで今それをさらに補完をしている。
 それからいま一つは、補助金等の問題も、昨年出されました地方分権推進計画、閣議決定をいたしたわけですが、その中でも、この負担、いわゆる一般財源化を図っていくという、個別の補助金等々を、そういった事柄をできるだけ統合補助金なりなんなりということ、これは第五次勧告に基づいて先般三月に政府として決定をいたしたわけでありますが、こういった補助金等の取り扱いについても、極力一般財源化を図っていくことができるような方策を考えていかなければならない、そう考えております。
○小池委員 ありがとうございました。
 さて、将来のこともそうなんですが、現在の地方自治体の財政状況でございますが、国も火の車でございますが、地方も大変な状況に陥っているわけでございます。最近、都知事の石原慎太郎さんも、バランスシート方式を取り入れて、その実態をもっと明らかにする必要があるのではないかというふうにも発言をしておられます。
 やはり、問題を解決するためには、例の銀行の不良債権の問題のときも同じでございましたけれども、問題がどれぐらい根が深くて、どれぐらい広がりがあってという、そういうまず把握をすることが必要であるということで、まずバランスシート方式。それから、企業会計の方も、最近の変化によりまして連結決算なども導入されておりますし、また、それによって時価会計ということなどで、むしろ企業年金が足りないということ、これまで氷山の下に隠れていた分がだあっと出てきて、これである意味では本当の問題がつかめるわけでございますね。
 こういった点を踏まえまして、自治大臣、そして国の財政も同じことでございますので大蔵大臣から、こういった会計制度の見直し、それも一本がらっと変えるのではなくて、幾つかの種類があっていいと思っているのですが、それについてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 手短によろしくお願いします。
○野田(毅)国務大臣 今御指摘のとおり、東京が今検討を開始しようということのようです。既に多くの地方自治体の中で、自主的にバランスシートをつくって、そしていわば財政運営上の参考にしておられるという自治体が現にございます。
 そういう点で、この客観的な統一基準というものを今すぐにというのはなかなか難しいかもしれません。しかし、言うなら、自分の財政をしっかり分析して、どういうふうに対応していくかという上で、私は、大変いい方向の考え方だ、こういう発想の中で、財政の効率化あるいは現状把握ということを的確に行っていただくということはいいことだと。
 自治省としても、今まで既に六十年ごろから何回かこの問題について検討いたしておりまして、さらにしっかりとした、オーソライズできるようなものをつくっていきたいものだというふうには考えております。行政評価システムということと並んで、このバランスシートあるいは企業会計的発想を取り入れるということは非常に大事なことだというふうに考えています。
○宮澤国務大臣 問題意識は私どもも持っておりまして、既に特別会計においてはかなり多くの会計でバランスシートを導入しておりますし、いわゆる独立行政法人でもそれが可能であるというふうに考えております。
 一般会計については、御承知のように、一般会計の目的というのが計数化することが困難であるところから、いろいろ問題に実は突き当たっておりまして、バランスシートをつくりますときには、例えば資産ということになりますが、一番大きな資産は厚生年金等の社会保障基金でございますが、これは実は資産であるとともに将来に向かっての債務でございます。また、道路とか港湾とかいうものも資産でございますが、これは公共財産であるというようなことがございまして、いろいろ問題はあります。
 ただ、一般的に、そうはいっても、コストとベネフィットの関係というのを、ベネフィットというものを何も計数的にばかり把握しようとしないで、もう少し広い意味で効果みたいなとらえ方をしたらコストとの関係が何とかできないかというようなことを、今アメリカなんかの例も勉強しながら、問題意識を持って検討いたしております。
○小池委員 ありがとうございました。
 ぜひとも、やはりまず問題の所在がはっきりする形を、まさにこういうことがアカウンタビリティーという言葉で表現されるわけだと思うのですけれども、いろいろ研究をした上で、国民にもわかりやすく、納税者にもわかりやすい会計制度、そして、将来にとっても、今後の計画が立てやすいような会計制度をつくっていく必然性があると思います。
 先ほど社会保障制度の話がございましたけれども、来年の四月からいよいよ新しい介護サービスがスタートするわけでございますが、各自治体、これに向けまして、準備にはみんな総出で大変大忙しでございます。また、中には、自分たちだけではできないから、近隣の市町村とともに広域連合を組んで一緒にやろうじゃないかということで、この介護のサービスが始まるということが、一種地方自体を揺り動かして、そして新たな方向、それが結果的に市町村合併につながるというのが最も好ましいというふうに思うわけでございますが、一方で、せんだっての新聞報道を読んでおりましたら、自分たちだけ、自分だけではできないところには、国がファンドをつくってその補助をしましょうというような新聞記事がございました。
 現在、地方自治体がそれぞれ知恵を絞って、何とか頑張ろう、踏ん張ろうと思っているときに、いや、だめだったら国が何とかしますよというのが出ちゃうと、自助努力の努力がそこでストップしちゃうわけですね。ですから、私は、これはむしろ地方にしっかりと、介護ということで、地方そのものを見直す最大のチャンスであり、また、それをみずからやろうとするその意気込みをむしろそぐことになるのじゃないかと思うのですが、厚生大臣、いかがでしょうか。
○宮下国務大臣 明年四月から実施を予定しております介護保険は、我が国の社会保障制度にとって極めて大きな転換になると存じます。そして、私どもは、ぜひともこれを四月から実施していきたいということで鋭意努力させていただいておりますので、何とぞこれを御理解いただきたいと思います。
 ところで、今御指摘のように、それにしても、保険者を市町村単位、行政単位にいたしておる制度になっておりますが、それぞれ市町村の差異がございます。例えば、介護保険料が高くなるというのは、一例を申しますと要介護者の比率を少なくする、つまり介護にならないような健康状態の高齢者対策が必要だということもございますから、国としては、そういう面をうんと重視してその自助努力をサポートしていきたいと思っております。
 なお、保険料が高いということがよく報道されておりますが、確かに、市町村ごと、つまり保険者ごとにいろいろバランスがありまして、例えば施設介護の非常に多いところは保険料は高くなります、在宅介護の多いところは保険料が少なくなるという一般的な傾向がありますが、報道されているような数字は、よく念査をして、私どもとしては正確に把握したいと思いますが、これは六月くらいまでには実態が全部報告されますから、明らかにしていきたいと思います。
 なお、次なる問題は広域化の問題でございます。認定作業が十月から始まります。多くの市町村では事務組合をつくりまして認定審査会を共同でやろうという動きがかなり加速して、多くの地域で行われますが、これも、委員の指摘しております事務組合、あるいは市町村合併に将来結びつくかどうか、機能的には広域化の一つの動きでございます。
 なお、保険者としても広域化した方がいいという動きがございまして、これは各地で見られますから、私どもとしては、保険料負担をなるべく余り格差が生じないようにするためには広域化が必要でございますから、広域連合その他を助成してまいりたい、このように思っておりますので、どうかこの介護保険制度、それぞれの市町村でそれぞれの差がございますけれども、我々としては平準化をなるべく図っていくような方向で努力をしていきたい、そして円滑な実施にこぎつけたい、こう思っておりますので、御了承いただきたいと思います。
○小池委員 それぞれ差があるというか、もちろん、福祉ということで介護ということですので、こういうのは高低が余りにも明らかになるとまずいというふうに思いますが、サービスにもそれぞれ自治体で工夫を凝らして、むしろ老後はあそこに住みたいとか、それぐらいの地域による変化があってもいいんじゃないかというふうにも思うわけでございます。
 ちなみに、この介護保険制度でございますが、自由党は、これは税方式で行うべし、さもなければ自治体がまずお金を集め切れないであろう、その先が見えているからこそむしろ税方式で思い切ってやるべきだということを改めて主張させていただきたいと思います。
 それから、自治大臣の方に、先ほどごらんいただいた、中央省庁は別ですけれども、下の方の地方分権法案は、CD―ROM一枚でまとめて、そして今後はホームページからダウンロードもできるようにするということで、これを三千三百に送るコピー代と、それから輸送費で約五千万円ですか、それがこれにすることによって一気にコストが削減されるわけでございます。これはぜひ新しい行政の制度として、こういった電子情報通信ということを使うことによって、私はある意味でこっちの方が革命的に地方もまた中央集権というのも変わってくるんじゃないかなというふうにも思っているわけでございまして、単に人減らしをするということを私ども言っているわけじゃない、それぞれが、企業が当たり前にやっているような努力を行政も国会もいたしましょうということを強く最後訴えておきたいと思います。
 残り時間、少なくなりました。省庁再編のことでこの一点だけ伺わせていただきます。
 省庁再編ももちろん重要な法案ばかりでございます。これまでも、副大臣制の問題であるとかの導入、そして政府委員制度の廃止、つまりこの国会の審議のシステムそのものが大きく変わるということで、お互い最初なれないうちは大変だと思いますが、頑張りましょう。そういった意味で、省庁再編も盛りだくさんでございますが、自由党といたしまして、一点伺いたいと思います。
 以前から訴えてきておりますのが、防衛庁の国防省への格上げの問題でございます。
 今回、時代の流れ、時代の要請ということで環境庁が環境省に格上げということになるのは、これは大変結構なことだというふうには思いますが、一方で、防衛庁はこれまでのような形で、一言で言えば隅に追いやられた存在になっており、私は、やはり国の守りというのは国の大きな柱であるべきだというふうに思うわけでございます。
 その意味で、このまま防衛庁のままで本当にいいんでしょうか。総理大臣、ここは自民党の総裁として、この問題を今後どうとらえていくのか、もう忘れちゃったのか、その辺のところを一言、よろしくお願いいたします。
○小渕内閣総理大臣 世界の主要国でいわゆるエージェンシーという形をとっておるという国は、私は承知いたしておりません。しかし、日本の場合に、この問題も、自由党もかねて強い御主張をしておりますし、また自由民主党にもそうした考え方を持たれる方も非常に多いかと思います。
 ただ、現在、私、総理大臣という立場でございまして、本問題については、前の行革会議最終報告におきまして、結局、今回の中央省庁の再編に当たりましては、防衛庁は現状どおりということにいたして提案させていただいております。
 いずれにいたしましても、国民の十分な理解が得られる形でこうした問題について議論を尽くしていただきたいというふうに考えておりますが、まさに、この日本における安全保障に対しての責任を持つ最大の役所としての防衛庁の呼称の問題については、いろいろと御議論があろうかと思います。したがいまして、これは最終的には国民の御判断をいただかなければならぬと思いますが、今般はこうした形で提案させていただいておりますので、ぜひ御理解をいただきたいと思います。
○小池委員 今回のこの省庁再編の中に、先ほども伊吹委員の方からも御指摘ありましたけれども、政治主導、その形をつくるということ、これは大変大きな目玉でございます。内閣法の改正によって総理大臣のリーダーシップをさらに、さらにというか、むしろこれまで封じ込められ過ぎていた、もちろん大統領制ではございませんが、サッチャーさんは議院内閣制の中でしっかりリーダーシップを振るわれたわけでございまして、これは個々人のまさに実力ということになろうかと思います。
 最近、地元の阪神が非常に好調でございまして、まさにトップがかわるとあんなにも変わるのか、だめトラとかなんか言われていたわけでございますが、最近いじめられているのは奥さんのサッチーさんぐらいで、監督の方はまさに監督としてリーダーシップを振るっておられるわけでございます。
 この省庁再編の中の内閣の強化、この意味をよくお酌み取りいただいて、今申し上げたことはまさに国の形の根幹の部分でございます。これを突っ走ってやってくださいなんということは言っておりませんし、我が国民はそんなに軽率ではございません。その意味で、支持率も上がっていることでございますし、しっかりと歴史に残るこの二法案を仕上げて、そしてその上でぜひともこの国防省への格上げということを、二十一世紀を迎えるか迎えないかは知りませんが、総理として、小渕総理の本当のリーダーシップを期待いたしているところでございます。
 ということで、本日は総括質問ということでございましたので、さわりの部分だけをさせていただきました。極めて重要な法案でございますので、その後も自由党といたしまして、先ほど申し上げたフリー、フェア、オープンな社会を実現するための法案であるという位置づけのもとでしっかりと審議をさせていただきたいと思っております。
 時間が参りましたので、これにて終了させていただきます。ありがとうございました。
○高鳥委員長 次に、鳩山由紀夫君の質疑に入ります。
○鳩山委員 民主党の鳩山でございます。民主党を代表して、まずは総括の質問を申し上げたいと思っております。
 先ほど自民党の伊吹先生が、できる限り大所高所からの立場で、日本の国の形の議論をしっかりとせいというお話がございました。私は、伊吹先生ほど頭がよくありませんので、どこまでそのような議論ができるかわかりませんが、やはり非常に大事な議論だと思っておりますので、私の方からも申し上げたいと思っております。
 まずは小渕総理、実は昨年、小渕総理が総理になられた直後に、予算委員会で質問申し上げたことがございます。そのときに、最初の質問は、失礼でございましたが、一体総理は何のために総理になられたんでしょうかという御質問を申し上げたところ、私には十分にそのお答えが理解できないところがございまして、三十五年間バッジをつけさせていただいて、とにかく国民のためにいよいよ汗を流したい、国民の生活のために頑張りますというお話でございました。
 むしろ私が伺いたかったのは、この経済的にも大変厳しい、また社会構造的にも大転換が要求されている、そういう状況の日本を、総理としてどのような理念で、強いリーダーシップで引っ張っていかれようとしておられるのか。その辺のところを、簡潔で結構でございますので、もう一度お伺いを申し上げたいと思います。
○小渕内閣総理大臣 私は、就任以来、国民を代表される国会議員、すなわち国会におきまして申し上げておることはただ一つでございまして、富国有徳ということをぜひこの国の姿として実現したいということを強く訴えさせていただいておることでございます。
 先ほども申し上げましたが、戦後の我が国の経済成長は目覚ましいものがありました。物と心とよく言いますけれども、心の面ということにつきまして、これからぜひバランスのとれた形をつくり上げて、ちょうどミレニアム、一千年の世紀のかわり目でございますので、ぜひそのことを日本のあるべき国の姿として実現いたしたいというふうに考えて、微力でございますけれども、最善を尽くしていきたい、このように考えております。
○鳩山委員 私も、富国有徳、特に徳のある国をつくる、国民をつくるということは極めて大事なことだと思っております。それだけに、国のリーダーたる皆さん方、特に閣僚の皆様方が徳をもって政治を行っていただきたいと思いますし、その思いをどのくらいそれでは省庁再編のプログラムの中に、あるいは地方分権の議論の中に皆様方が盛り込んでこられたか、これは大変大きな問題だと私は思っています。
 私も、今の日本、もっともっとよくなれると思うんです。ある意味で、何か自信を失わせてしまったような、そんな日本は本来の姿ではありません。もっと自信を持った、すなわち尊厳のある国、国民というものをいかにつくり出していくかということが問題なんだと思っています。
 そのために、今の日本の病理現象は何かと問われれば、やはり精神的にもまた経済的にも、自立心というものを、自己の尊厳というものを、国としてもまた個人としても、企業としても喪失をしかかってしまっているのではないか。
 外交、安全保障の議論も私はそうだと思っています。NATOの空爆、いろいろと難しい問題はあろうかと思いましたが、しかし簡単に、アメリカやあるいは先進国がやっているから、だから日本も当然ではないか、そんな議論は、日本人として、残念ながら、もっと日本人の心意気といいますか、自尊心というものを大事にするべきではないか、そんな判断が外交の中でも強く求められていると思っております。
 同時に、内政の問題もまことにそのようでありまして、今回の省庁再編の議論を拝見させていただいても、本当にどこまで閣僚の皆様方が、あるいは政府・与党が努力をされたのか、官僚の官僚のためのまさに官僚による、そんな行政改革に堕してはいないか、そんなこともしっかりと勉強させていただかなきゃならないと思っています。
 先ほど小池議員からのお話がございました。これだけの分量を皆様方に読んでいただくということ自体も大変なことだと思っていますが、これは合計、合わせますと八百六十八本の法律改正が皆様方の、いや国民の議論に今付されてきているわけでございますから、この八百六十八本を一挙に短時間に認めてくれというのもなかなか厳しい話。まさにこの中に、本当の意味で国の形を左右する議論がたくさん仕込まれているわけでございますので、ぜひ時間をかけて、勉強を国民とともにしてまいらなければいけないと思っております。
 大変失礼な申し上げ方をして恐縮ではございますが、総理は、この大変な分量はお読みになられたんですか。
○小渕内閣総理大臣 この全ページ、一語一句読んだかと言われれば、率直に申し上げて全部通読をいたしておりませんが、問題の諸点につきましては随時報告を得、この法律を提案いたします過程におきましての経過も承知をいたしておりますし、また、こうした大層の法律案となっておりますことにつきましての、それぞれの要点につきましてはしっかり把握をいたしておるつもりでございます。
 さすがに法治国家として、すべての法律にかかわることになることでございますので、多くの法律の形態をとっておりますけれども、その意図するところは集約されておるわけでございますので、十分心得ておるつもりでございます。
○鳩山委員 国のトップの方でありますので、当然そのように御配慮を願いたいと思いますし、私も、一ページ一ページすべてを総理にお読みいただければというふうに申し上げるつもりもございません。
 ただ、この中に、国の形をどう変えるべきかという大変大事な視点がたくさん含まれているわけでありますので、大事なところは特に、官僚の皆さん方も優秀でございますが、ともに自分自身の心に反すうさせていただいて理解を深めていただきたいと思います。
 委員長、資料をお配りしたいんですが、よろしいでしょうか。
○高鳥委員長 どうぞ。
○鳩山委員 私は、今申し上げたように、日本全体が、あるいは日本人の心が依存の塊で今日まで進んできてしまったことが大変大きな問題で、いかにこの依存心から離れて、それぞれ国も地方も、そして国民一人一人も自立する心を持って歩き、行動できるようになるか、自分の頭で判断できるようになるか、まさに尊厳のある国をどのようにしてつくるか、これが今一番問題になっている部分ではないかと思っています。
 まさに、国と地方のあり方もそのようでございまして、こちらに簡単な、国と地方の関係を図示を申し上げたわけでありますが、今までの発想は、国が地方に対して優位な立場から法的にも大変規制をかけ、また国の補助金ということで地方をある意味でがんじがらめにしてきた、そんな舞台があったと思います。そのことに対して、国と地方が対等、協力の関係になるべきだというのが一つの大きな今回の地方分権一括法案の要旨ではないかと思いますが、いかがなんでしょうか。
○野田(毅)国務大臣 基本的に、考え方としては、まさに国と地方の関係を、従来の主従と言うと語弊がありますが、上下の関係から対等、協力、ともに国民のためによりよき福祉を増進していくという、そのために相共同してやっていこうという関係に持っていこうという発想に基づいて形成をされておるわけでございます。
○鳩山委員 その発想は、私は大変大事だというふうに考えております。ある意味で、一歩も二歩も前進をしている考えだというふうに評価を申し上げたいと思っています。
 ただ、私ども民主党の考えは、さらに一歩進めて、先ほど小池議員も地域主権という話をされましたが、地域主権の国づくりというものをこれからもっと提唱していきたい。すなわち、地域でできることは極力地域で解決をする、そういう方向でございます。
 今まで、国でもできて地域でもできることは大体国が行ってきた、あるいは機関委任をしていた部分というのはたくさんあったかもしれませんが、一応の権限としては国が有していた。しかし、これからは、国でも地域でもできるぞという話であれば基本的に地域が行うべきではないかというくらいに、地域の自立性というものを高めていくことが私は非常に大事ではないか。
 その意味で、私どもが連邦の地域主権国家という方向にぜひ国を移行させていきたいと思っているのは、国が地方から優位、あるいは国と地方が対等、協力の関係というものをさらに一歩進めて、むしろ地域のことは地域に任せようじゃないかという方向での、地域が、地方が国にある意味での優位性を保てるような、当然のことながら、必要なこと、国家全体が決めなきゃならないことはこれからも国が最終的な判断をすることは当然だと申し上げたいと思いますが、それ以外のことに関しては地方が決定をするような仕組みに大胆に変えていくことだ。そのような方向に対しては、大臣、いかがでしょうか。
○野田(毅)国務大臣 方向性として、今御指摘のとおり、地域の住民に関連する事柄については、基本的に地域自身がみずからの責任において事務を処理していくという、そういう意味では地域主権なり、あるいは地方主権という言い方なりということが政治的に私は大いに結構な発想であると思いますし、そっちへ向かっていかなければならないというふうに考えております。
 ただ、事務全体の中で、先ほど伊吹議員にもお答えで申し上げたのですが、やはり外交関係等々国が責任を持ってやらなければならない分野であったり、あるいは国が絡まなければうまくいかないような分野であったりということももちろんあるわけでありまして、そういう点で、日本国という体系の中で、発想として地域の住民の自治にゆだねることが一番ふさわしいというもの、こういうものをどんどんと積極的に地域にお願いをして、自己責任の中で処理をしていただくという発想が必要だというふうに考えておりまして、大体の総量をこれによって、ごく大ざっぱな計算ですが、自治事務と法定受託事務とに地方の事務を分けて、その中でおおよそ県の場合に七対三ぐらいにはなっているのかな、あるいは、その辺は数え方にもよりますけれども、かなりそこまで、いわゆる地域が自主的、自立的にしていただくようなことになってきているというふうに思っています。
○鳩山委員 方向性として、自治大臣に地域主権の方向をお認めいただいたということは、私は大変ありがたいことだと思っています。その方向でぜひ強力なリーダーシップを発揮していただきたいと思います。
 ただ、そうは申し上げながら、実はこの法律案を幾つか拝見させていただきますと、これは後でも申し上げたいとは思っていますが、必ずしも国に対して地方が優位になったという状況を誇らしげに申すことができるものではないのではないかというふうに言わなければなりません。むしろ、ある部分において、今自治大臣が自治事務と法定受託事務の問題も申されたわけでありますが、その中においても、国の関与というものがむしろ今までよりも強くなってしまっているところも見受けられるのでございます。
 このようなところに対してやはり国のおごりというものがあって、いろいろと地域の方が、例えば三重県の北川知事などは大変な努力をされて、情報開示を求めていかれたり、事務事業評価制度などというようなものをどんどんつくられて、県の政策の評価というものを立派になし遂げていかれておりますが、そのように、県の方が、あるいは市町村の方がすぐれて行政を進めている部分があるにもかかわらず、ややもすると、まだ国と地方の関係において、地方に任せると危ない、まだ十分に育っていないから、だから国が守ってというか、守るという形で国が管理をしていかないと、監督していかないといけないということの思いがおごりの中から出てきているような気がしてならないのでありますが、いかがでしょうか。
○野田(毅)国務大臣 総論では、非常に地方自治の推進、地方分権あるいは権限移譲を積極的にやらなければならないという議論をしていく中で、個別具体的な事務に関して、さてどうかということになれば、各論編において、なかなかその点について難しい問題があるということは御案内のとおりでございます。そういう点で百点満点でないかもしれません。
 ただ、その過程の中で私は多少の問題提起はしておかなければならぬと思っていますが、いわゆる日常の行政の流れという判断をすれば、圧倒的に本当に地方自身にすべてお任せをするという形をつくるべきだろうと思っています。ただ、中には、非常事態といいますか緊急事態、いろいろな場合において、やはり国が何らかの形で助言なり勧告なりということを、その道はあった方がいいのではないかという部分があることは事実でございます。しかし、そういう場合であっても、極力地方のことは、基本的に自治体がみずからの責任によって自主的、自立的に事を判断し、処していただくという体制をぜひ強化いたしたい。
 そういう点で、国が何らかの形で関与する場合においても、関与のあり方について、やはりそこで自治事務というものと法定受託事務というものとに分けて関与をする。そして、いわゆる従来ありました国の機関委任事務というものは廃止をして、そして、国の機関委任事務に関して盛り込まれておりました総理大臣の全般的にわたる指揮監督権ということも、これもなくするような形をとったりということで、国の関与自身についてもルール化をし、基準を明確にしたということは大きな前進であるというふうに考えております。
○鳩山委員 今の自治大臣の御指摘に対して、実は後でもう少し細部にわたっての御議論を申し上げたいと思っておりまして、とりあえずは、ある意味での大所高所的な議論を少し進めてまいりたいというふうに思います。
 先ほど申し上げたように、例えば三重県あるいは宮城県、高知県、岩手県もそうかもしれません、大変に張り切ったいろいろな県がかなり自立的に行動してこられていることは、私はすばらしいことだというふうに思っていますし、それが日本の進むべき道だなというふうにも思っています。
 その反面、しかし、まだ国がその方向まで十分に行き着いていなかった部分もございます。情報公開の議論もようやく法案が成立をいたしましたが、多くの県や市町村ではその前に情報公開を進められているわけでございます。
 そのように、国よりも地域の方が進んでさまざまな改革路線が進められていくにもかかわらず、国が今日まで改革を、今ようやくその議論が中心的な議論になってきたわけですが、ここまでおくれてしまった原因、それは何だというふうに思われますか。できれば総理にお答えをいただければと思います。
○野田(毅)国務大臣 ここまで、地方分権なり、あるいは国の省庁の改編も含めての御議論かと思いますが、国としてきちんとした役割分担を整理していくなり自己改革をしていくということについて、その必要性が言われておりながらなかなか進んでこなかった。特に、今地方の方が進んでいるじゃないかという趣旨の御指摘でございまして、その点で、なぜ国の方がそれだけおくれてきたのかということであったかと思います。
 私は、この点は、率直に言って政治家自身、これは与党、野党を超えて、私たちはややもすれば、この国会においても、議論はするがなかなかアクションが伴っていないということがなかったかどうか、私は、そのことは党派を超えて反省をしなければならぬ一つであると。特に、時代の変化は待ってくれません。そういう点で、やはりこういうようなときには、的確に対応していくということがなければ、だんだんだんだんいびつな形に追い込まれていってしまうという危機感を持っております。
○高鳥委員長 太田総務庁長官。
○太田国務大臣 行政改革担当大臣でございます。
 今のおっしゃることは、要するに、政治主導が十分でなくて、行政主導であったということが改革がおくれた原因だと思います。
○鳩山委員 今お二人の大臣の申されたとおりだと思っておりまして、官僚主導に私ども政治家が任せ過ぎてしまったということを第一にやはり、これは与野党を問わず、政治家が反省をしなければならないことだと思います。基本的に、政官業の甘えた構造の中に私どもが浸りながら、既得権益というものをできるだけ守るという方向で議論を、どうしても選挙というものを目の当たりにすると考えてしまう私どもの体質がなせるわざではなかったかというふうに思います。
 それだけに、私ども政治家も大いに反省をする必要があるし、その中で、やはりリーダーシップをとっていただく閣僚の皆さん、そして、特に小渕総理にはさらなるリーダーシップを強く求めてまいりたいと思っています。
 私は、そう申し上げながら一方で、先ほどまさに小池議員も御指摘されたように、地方自体も大変な財政の危機に見舞われてしまっている。一生懸命先進的に努力をしながら、でも、それでは必ずしも解決をしてきていない。そんな状況を閣僚の皆さん方が、特に自治大臣ごらんになりながら、果たして、今回の地方分権一括法案やあるいは中央省庁再編の議論を通じて、地域の財政の危機、この問題に対しても体当たりで解決の道が必ず見出されるというふうに確信を持たれておられるでしょうか。
○野田(毅)国務大臣 結論から申し上げますと、地方財政の危機的な状況について、今回の分権一括法がこたえているという形にはなっておりません。
 それは、この法案の趣旨が、少なくとも国と地方の間の役割分担を明確にする、そういう行政システムの世界の中で、あるいは市町村の合併の促進であったり、むしろそちらに力点を置いた形での法案になっております。
 そこで、地方の自主性、自立性を担保するといいますか、それを裏づけるための基盤としての財政基盤、これをどうやって確立していくかということは、別途やっていかなければならないテーマの一つであると考えております。それには、先ほど来、何回か委員との間のやりとりの中でいろいろ申し上げたのですが、少なくとも、税源の偏在をどう乗り越えていくのかという問題はございます。
 いずれにしても、地方税を充実強化していくということは極めて大事なことであるし、その場合に、偏在性の少ないこと、あるいは税収が安定していること、そのほか受益と負担との対応関係、いろいろな地方独自の税のあり方ということも追求していかなければなりません。それから同時に、税源の偏在にどう対応するかという中で、地方交付税を含めた一般財源としてどう充実するかというテーマもあわせ考えなければなりませんし、補助金のあり方も考えなければなりません。
 いずれにせよ、もう一つ申し上げておかなければならぬのは、そういう中で、国、地方という両方とも実は、特に法人関係税を中心にして、今日の経済の低迷を反映して、税収全体が国、地方を通じて極めて落ち込んでしまっている。したがって、これをどうやって立て直していくか、そういう経済政策との絡みもございます。そういったことを念頭に置いて、基本として、地方の自主性、自立性の基盤を確立していくためにも、自主財源の充実のためにさらなる努力をしてまいりたいと考えております。
○鳩山委員 自治大臣のその強い意思は、大変私も評価を申し上げたいと思いますし、まさにおっしゃるとおり、この地方分権一括法案の中に解決策が見出されるわけではないというふうに思っています。
 一方で、地方の自立に向けてのさまざまな権限移譲やらあるいは機関委任事務の廃止というものも、その方向に向けての一つの戦術にはなろうかとは思っていますが、それが根本的な解決にならない。その原因が、財源の部分に関して、十分なというよりも全く手がつけられていない。補助金行政というものもこのままにしてしまっている中で、地方分権の議論をどこまで一括して行えるかということは、私は、そもそもかなり難しい議論ではなかったかというふうに思います。
 したがって、本来ならば財源も含めて、財源が移ることによって税源をうまく見出して、国から地方により財源を求めるようなシステムをつくって初めて、それならば安心してということで、権限移譲も進んでいく議論になったんだと思っています。それが中途半端になってしまっただけに、すなわち財源の議論が不発に終わってしまっただけに、地方分権の議論も、本当の意味では、今一番地域が困っている問題の解決にすら十分に役に立たないということになってしまったのではないかというふうに思います。
 それでは、行政改革は何のために行うのでしょうかということになります。すなわち、この膨大な分量の目指すべき目的は何なのか。
 私は、先ほどからお話を伺いながら、私自身も確信を持ってきたわけでありますが、国家が権力というものを集中させて、中央集権の国づくりが日本を発展させてきた有利な部分もあった。しかし、それが破綻を来して、これからは、国家よりも国民が主役になる政治というものを、あるいは社会の仕組みというものをどうやってつくり出すかということになるというふうに思っています。
 その流れの中で行政改革を、中央省庁再編の議論を行っていかなければならなかったと思っていますが、中央集権国家というものが必ずしも十分に解決をされずに、中央省庁の再編の議論が先回りして出てきてしまっただけに、十分な答え、国民にとって望ましい中央省庁の再編や地方分権にならなかったのではないかというふうに思われてならないのです。
 もう一度総理にお伺い申し上げたいのですが、それならば何のためにこの行政改革を行われるのか、その本旨の部分をお聞かせ願いたいと思います。
○小渕内閣総理大臣 今鳩山委員が御指摘をされた点については、十分考慮しなければならない重要な諸点と考えております。
 ただ、国家と国民を別にすること、あるいは中央と地方を異なるものとすることではなくて、これは相協力していくことでございまして、そういった点で調和のある形であり、この点については、やや、明治以来の機構からいいましても、中央集権的な状況が続いてこられたことに対しての限界が来ておるという意味で、今回大きく展開をし、組織にいたしましても、縦の関係から横の関係にできるようなシステムにしていこうということでございます。
 財源につきましての御指摘も私よくわかることでありまして、先ほど自治大臣から、今後考えていくべき問題についても、具体的にも随分勉強もされておられるわけでございますが、今の時点で、財源を十分満たすための法律あるいは財源を求めるための税制その他のことにつきまして、一括して御提案いたしておらないことについては、あるいは御指摘をいただいておるところでございます。
 何はともあれ、基本的な方向、方針を打ち出し、それに今後とも内閣としては、それを裏打ちのできるような財源対策につきましても今後具体的な提案をし、今回の提案しておりますことにつきまして、これを裏打ちしつつ財源を強化していくことにつきましては、できる限り早くこれは国会にも御提案しなければならぬ問題だろうという認識をいたしております。
○太田国務大臣 私は、この一年間近くずっと見てまいりまして、結局、今のようにおっしゃられると、何か地方分権だけが唯一の改革であって、それ以外のものは改革でないというふうにも聞き取れるものですから、そこははっきり申し上げたいのですけれども、これは、政治主導にするということも改革でありますし、また全体として中央省庁をスリム化することも改革でありますし、また整合性を図るために、整合性を確保するために調整の機能を持つということも改革でありますし、あるいは透明化を図るというのも改革であります。
 その中で、今挙げた四つの点についてはこの中央省庁改革でやっているわけでありますので、地方分権の方はどうかといえば、今地方分権推進委員会という審議会によって第四次までの答申があるわけでして、その第四次までの答申を法律にしたのがきょう皆様方に御審議いただいております一括法であります。
 一括法だから地方分権のことは全部一括してそれは入っているだろうというのは、これは言葉の使い方の問題でありまして、今提案しておられますのは、あくまでも地方と中央の間の今まであいまいであったデマーケーションを、区分をはっきりさせようということで、どこからどこまで国で、どこからどこまで地方かということをはっきりさせる、それが言ってみればのどに刺さった骨のようになっているわけでありますから、そののどに刺さった骨を取ろうということが今提案しているものでございます。
 ですから、今鳩山委員がおっしゃったものは、これから地方分権そのものの本体についてはかかわっていくべきテーマだろうと思っております。
○鳩山委員 ありがとうございます。これは大変いいお話を伺いまして、特に地方分権の本体はこれからというふうにお話をされました。
 多分、国民の皆様方には誤解が多いと思います。地方分権一括推進法案というような話になると、ここに地方分権全部凝縮されて、これをやったらおしまいではないかというくらいに思われている部分、これは明らかにあると思います。そうではないのだということを今高らかにお二人とも宣言をしていただいたわけですから、ぜひ、この地方分権推進計画、第五次答申も出ているわけですから、計画に基づいてしっかりとしたまた法律を私どもの前にお出しいただくことを心から願うわけであります。
 私どもが考えております、民主党の行革の流れ、特に中央省庁再編とそれから地方分権というものをあわせてここに書かせていただいたわけであります。
 ややもすると、私どもには、皆様方の議論が、中央省庁の再編の議論が先に出てきたような気がして、まず、先ほど自治大臣がおっしゃったように、国の役割というものは、外交、防衛だ、あるいは財政の一部であるとか、あるいは司法であるとか、国の極めて基本的に守らなければならない大事な取り決め部分というようなものに関しては国が行う、それ以外の部分に関しては、むしろ地方にゆだねたり、あるいは民の力にゆだねたりするべきではないかという方向が私たちの訴えなんです。
 しかし、どうも今日までの御議論を伺うと、省庁再編ありきで、まず幾つに分割をするかなどというような議論が国民の皆様方の前に華々しくあらわれたものですから、省庁、こことここを一緒にすればよくなるみたいな議論で終始してしまったような気がしてなりません。これは、むしろ最後にお決めになればいい話ではないか。
 最初はまず、政府が今までなさっておられたことでも、もう既に要らない事務事業というものがたくさんあるのではないか、そのような要らない事業はもう廃止する決断をされるべきではないか、まずここからスタートさせていただきますが、要らなくなった事務事業というのは、一体今回どのぐらいおありになったのでしょうか。
○野田(毅)国務大臣 要らなくなった事務という表現でいいかどうかわかりませんが、例えば、国の処理している事務のうち地方への権限移譲によって廃止されるものというのは、法律数で数えて九件ございます。例えば、森林法における重要流域以外の流域内に存する民有林に係る保安林の指定解除、下水道法における公共下水道事業計画の認可などというものがございます。
 それから、機関委任事務のうち事務自体が廃止されるものはどれくらいあるかということですが、これは法律数で数えて四十件ございます。具体的には、国民年金法における国民年金の印紙検認事務、外国人登録法における外国人登録原票の写し票の送付等に係る都道府県の経由事務などがございます。
○鳩山委員 地方へ権限を移譲して要らなくなったというのは、これは地方で、むしろ地方分権という意味で、地方にゆだねるという話でありますから、必ずしも事業自体がなくなったということではないと思います。
 今お話ありましたように、機関委任事務の中で四十の法律が廃止をされるということであれば、それはそれなりに評価を申し上げたいと思います。五百六十一ですか、そうすると、そのうちの八%ぐらいの事務自体がなくなるというふうに考えてよろしいわけですね。――ありがとうございます。
 ただ、そうはいっても、例えば三重県の北川知事、何度も北川知事の話をして恐縮ではございますが、三重県では事務事業評価制度という、評価をして、その評価制度のもとで、九七年度、九八年度、要らなくなった事務を県でやるのはやめようではないかという事務が何と二割あります。三千三百の事務事業を一つ一つ全部点検をして、数値的に調べて、目標を立てて、それを達成させる意味があるかないかということを点検して、そして二割近くのものをもう既に二年間で廃止をされたわけです。さらに、リニューアルといって別な形に変えたものも一割近くございます。全体の中で三割、三分の一ぐらいがもう既にこの二年間の中で大きく見直しをされ、不必要なものは県の仕事ではなくなったということでございます。
 それに対して、機関委任事務の部分においてはまだ八%。それなりにやっているなというふうに思えば思えないわけではありませんが、全体の流れとして、国の事業を、本当はもっと政策の評価というものをしっかり行っていただいて、その政策の評価に基づいて、要らない事務というものを、言い方が失礼になるかもしれませんが、もう既に世の中に合わなくなった事務と言ってもいいかもしれません。そういったものは大胆に廃止をするということが、まず本来あるべきではなかったのでしょうか。そこが割と、この辺を寛大に過ぎてこられてしまっただけに、中央政府の仕事の量というものが必ずしも大きく縮減をされてこなかったのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○太田国務大臣 物事を改革するという場合に、論理的に言えばこういう手順でやった方がいいということはあるかもしれない。しかしながら、政治的に、あるいは現実の段取りとして、ここからやった方がいい、早い、あるいは効果的であるということはあるわけでありますから、ともかく改革をやろうとする気持ちが大事であって、それについては、我々はよい切り口であったと思います。
 結果として、このような行政改革の環境整備を進めていく中で、中央と地方の関係についても、あるいは官と民の関係についても、みずから整理をしていく仕組みをビルトインすることが大事であるというふうに考えております。
○野田(毅)国務大臣 鳩山先生、大変いい御指摘をされまして、私も北川知事に、この分権一括法に先立っていろいろお話を直接伺いました。
 その中でなるほどなと思ったのは、つまり、システムとして仕事をどういうふうに再配分するかということももちろん大事なんですが、もう一つは、手法の面があったと思っています。
 北川さんは、単に仕事を移しかえたということだけじゃなくて、そこへ行くに当たって、県庁マンなり、あるいは一般の民間の県民を一緒に巻き込んで、言うなら平場でいろいろな議論をした中で結論を出していった。
 特に行政機構なり組織というものは、これは民間も同じかもしれませんが、どういう形に仕組んでいくかということと同時に、それを動かしていく人間の意識そのものが一緒に変わっていかないと、なかなか実効は上がっていかない。そういう点で、特に地方において、例えば、それぞれ国から言われたとおりに仕事をしていけばいいとかいうことだけでなくて、県において自主的に、市町村に譲ってもいい仕事はないのかどうかということを、みずから自分たちの中で相談をして結論を出していかれたということは、大変結構なことであります。
 特に、これからの地方の自主性、自立性をより力強くバックアップしていかなければなりませんが、同時に、その担い手である自治体の皆さん自身がそういう意識を持って自己改革に取り組んでいただくという意味でも、非常に大事なことだというふうに思います。
○鳩山委員 自治大臣申されたように、行政改革は一人一人の心の中の意識改革からスタートをしなければ実が上がらないというふうに言われていますし、まさにそのとおりだと思います。
 その意識を高めていくためにも、先ほど申し上げたように、政策というもの、一つ一つの事業というものを点検して、要らなくなっているか、あるいは必要なのか、さらにもっと強くしなきゃならないのか、そういう議論を大きく国民の皆様方に向けてする場というものが、本当は必要なのではないかというふうに思います。
 その思いの中で、私たちはかねてから、日本版のGAOというものを設置するべきではないかというようなことを申し上げてまいりましたし、今回の中央省庁の再編に当たっては、私どもは、首相府というものをつくり、その強力なリーダーシップのもとで、さらに内閣府というものを置いて、その内閣府に行政改革推進室というものを設ける。
 もし総理府の中に政策評価をする場所を設けるとしても、そこは、各省庁横並びのような話になると、なかなか事業の評価というものを純粋に行うことができないんではないか。むしろそれは、総理の補佐機構としての内閣府の中において、強力な権限をもって政府の業績の評価というものを行うべきではないか。
 そういうシステムをつくることについては、いかがなんでしょうか。
○太田国務大臣 民主党の御提案の名前のつけ方が違うところもございますので、もう一回申し上げます。
 その事後チェック、つまり政策評価というのは事後のチェックでありますから、事前の調整から事後のチェックへというのがこの行政改革の一番のテーマでありますけれども、事後のチェックをどこに設けるかということで、総務省にそれを設け、総務省が全省庁の政策評価を行うという権限を与えるわけでございます。そしてそれは、その結果として是正を求めなくちゃいかぬということになれば、内閣総理大臣に対して是正を求める意見を具申するという権限も改めて明記しておるわけでございます。
 そういうふうに、総務省というものにその役割を担わせようとするわけでありますから、そこは民主党の御提案とは違うわけであります。
 民主党は、そこは内閣府に持ってくるべきだ。私どもは、内閣府は企画立案、つまり事前の役割、事前調整というか事前のリーダーシップをとるのが内閣府であって、事後のチェックをするのは総務省であるというふうに二つに分ける。そうしなければ、企画立案をしたところが自分の過ちを認めるというのはなかなか難しいことでありますから、そこは私はほかの機関にした方がよい。
 それからまた、あわせて、先ほどのGAOのお話でございますけれども、こういう政策のチェックについては、内閣の中では総務省がいたしますけれども、議会の役割はまことに大きいということは、そのとおりでございます。
○鳩山委員 議会の役割の大きさを論じていただいて、ありがたいと思っています。
 太田大臣のお話の中で、ただ私がなかなか合点がいかないのは、総務省の中に政策評価をする、確かに、その権限を強めるということはできると思いますが、そこにかつての郵政省も入られるわけですね。また自治省も入っていかれるわけですね。自治省やあるいは郵政省が持っていた今までの権限あるいは政策というものが、同じ役所の中で今度は評価をされるということになると、私どもは、やはり同じ役所の中で自分たちを裁くということは、なかなか難しいということがあるものだから、内閣府というところに別の機関を置いて、そこでしっかりと政策の評価をしてもらいたいというふうに考えているわけでございます。御意見ございますか。
○太田国務大臣 総務大臣に与えられる内閣総理大臣に対する勧告権というのは、他の省庁にはない権限でございます。あとは特命担当大臣が持っておるだけでございますので、ぜひ、そこはきちんとできるのだ。
 ちょっと今総務省の構成についてお話がございましたけれども、今の構成についてはこれは基本法に定められて、我々もあらかじめ縛られた上でやっておりますので、そこは余り釈明もできないわけでございますけれども、それは十分に総務大臣は役割を果たせるように仕組んであるということでございます。
○鳩山委員 同じ役所の中でやりますと、どうしても、ある意味で温情というもの、情というものが動きやすくなってしまうものでありますから、あえて申し上げたわけでございます。
 話をちょっと進めさせていただいて恐縮でございますが、私どもの考えております中央省庁の再編の流れの中での行革、まさに今申し上げたように、政策の評価をしっかり行って、まず要らないもの、もう既に役割を終えたものは廃止するということ、これがまだ不十分だということ。それから、できれば民間でもう既にできるものは民間にどんどん任せようではないかという、まさに民間活力をもっともっと利用しようという、規制緩和とか規制撤廃をここでさらに行わなきゃならないということ。
 さらにその後、地方政府でできるものは何かということで、地方分権を、あるいはここで権限の移譲といったものがどんどん入ってくるわけでありますが、この議論を今一括法の中で御議論をいただいているわけであります。そういう意味では、地方分権の議論の方がある意味で先にしなければいけない話ではないかということで、委員会の中でも、できれば地方分権を先に議論をという話がありました。ただ、もうそれは力関係の中で、一括して議論をされていくことで私は結構だと思っておりますので、私も、両方の流れをあわせて提示させていただいております。
 さらに、このようにスリムになった中央政府の中から、もう既に民間に委託ができるものはないのかという議論をもう一度行っていただいて、外部からのサービスの購入などをここで行い、さらに、独立行政法人の議論も今回出ておるわけでありますから、実施部門をさらに企画立案と分離させて実施を行うという、その実施に関しては、必ずしも役所が行わなければならないということはないというものに関しては、極力、独立行政法人化を行うべきだ。こういう流れで中央省庁の再編の議論を進めるべきところ、私どもが感ずる中では、中央政府の役割がまだ十分にスリム化されていないまま、中央省庁の再編の議論に入ってしまったんではないかというふうに思われてならないのでございます。
 現実問題として、中央省庁の再編によってどのぐらい、例えば行政のスリム化が全体の流れの中で行われ得るのか、もし数値的なものでお示しいただくことができれば、お示しをいただきたい。例えば、局とか課とかいったものになって、そういうことで積算をしても結構でございますが、役所のスリム化あるいは行政のスリム化というものがどこまでこの中で達成をされるのか、御意見を聞かせていただきたいと思います。
○太田国務大臣 今お示しをいただいた手順というのは、まさに平時においてはそういう、今のような順番で整理をしていくことが大切であろうと思っております。間違いではない、正しいことをおっしゃっていると思います。
 ただ、ここで今やっていることは、皆様方は何か平時の改革をやっているようにとらえられるかもしれませんけれども、これはそうではなくて、事実上、臨時革命政府みたいなものなんでありまして、どこから壊していくかという、その部分に我々は頭を使ったということでございます。
 どれだけのものを整理したのかというと、局の数でいえば全体を四分の三にした、省庁の数は二十二を十二にした、それから課の数は、今進行中でございますけれども、千二百を約千にするというふうなことはやっております。しかし、それはこの仕組みの中に、そのようなみずからをスリム化していくようなものをビルトインしていく、仕組んでおくということが大事なのでありまして、流れをまずつくって、そしてその仕組みをつくって、流れと仕組みと別々ではなく、流れをつくって仕組みをつくって、そしてこれからみずから進んでいくようなことにいたしたいということが我々のねらいでございます。
○鳩山委員 実際にその流れに沿って御努力を願いたいと思いますし、法案、法律の中に、あるいは機構改革の中に、改革がさらに進んでいけるような状況にビルトインされているということを信じていきたいとは思っておりますし、太田大臣の大変な御努力でそれも実現できると私どもは期待を申し上げたいというふうに申し上げておきます。
 もう一つ、私どもが懸念を申し上げているのは、実は、先ほど自治大臣からのお話がございましたように、機関委任事務の中で、自治事務が六割程度でしょうか、あと法定受託事務がまだ四割程度残っているということ。本来、第一次勧告でしたでしょうか、八割あるいは基本的に自治事務になるのではないかというような話があったように伺っておりますが、八割とかあるいは基本的に全部というような議論を聞いたことがありますが、それが六割程度に圧縮をされた。それはこれから、先ほどお話あったようにビルトインされていくような中で、さらに三年か五年ごとにでも見直しをしていただいて、方向性としては自治事務の方向が流れですよというふうに、ぜひお取り扱いをいただきたいというのが一つございます。
 それとともに、実は先ほどから国と地方の関係で申し上げていたわけでありますが、国と地方が対等、協力だというふうにうたわれていながら、どうも幾つか細かいところというか、本質的なところなんでしょう。そこで私どもの疑いが晴れない部分がございまして、幾つかそれを御指摘申し上げたいと思いますので、簡潔で結構です、お答えをいただきたいと思います。
 その一つが、従来、自治体の事務だった二級河川に関しての管理が、基本的には国の事務である法定受託事務ということになっているということで、ある意味での、これは中央集権的な形がむしろ強化をした流れではないかというのが一つ。
 それから、法定受託事務の定義自身が、これは第一次勧告では、国民の利便性とかあるいは事務処理の効率性といったものが中にうたわれていたんですが、それが最後の、法案になると、国民の利便性、国民の方向を向かない法律になってしまったのかよくわかりませんが、その文言がなぜか消えてしまって、ここに国の御都合主義が入ってきているんではないかという気がしてならないこと。
 それから、地方自治法における国の関与なんですが、その中で、今まで、従来の現行法では、助言とか資料提出などの行政主導の範囲にとどまっていた。すなわち、非権力的な国の関与にとどまっていたものが、今度は九つぐらいの種類、代執行も含めて指示とか助言、勧告、是正の要求あるいは許可、認可、承認、こういった九つにふえてきて、しかもその中には命令行為が含まれていて、権力的な関与もこれからできるようになってしまうということ、こういった問題。まだございますが、是正の要求の中にもまた代執行の中にも、国の関与がさらに強まってしまうのではないかという懸念があるんです。
 そういったものは現実にないんだというふうにおっしゃっていただけるのか、やはりこれは必要なのだからむしろ強化したんだというふうにおっしゃるんでしょうか。
○野田(毅)国務大臣 幾つかの点について御質問がございました。そのうちの、特に国の地方自治体に対する関与の問題についての御指摘があったんですが、今回は、従来認められておりました機関委任事務に係る包括的な指揮監督権というものは、これは廃止をしたわけでございます。
 そして、先ほども申し上げましたが、関与の仕方というのは基本類型にのっとってやってもらう。自治事務そして法定受託事務、それぞれについて関与の仕方は異なる。特に自治事務については、是正の要求まではできるけれども、それどまりであるということでございます。一方で、法定受託事務に関しては、是正の要求ということではなくて、同意あるいは許認可、承認という事項であれば許認可、承認という事項になりますし、指示をする、命令ということではなくて指示。やはり物によっては代執行を行う、これはもう当然のことであると思っております。
 基本的に、これからいろいろな事務事業が、これからもそれぞれ中央の各省庁の中で新たな事務が行われていくようなことがあろうかと思います。そういうような新たな立法がなされる場合においても、基本的に法定受託事務というものもできるだけ制限をしていかなければならぬというのは、これは当然のことでございまして、極力、国から地方に対する関与の仕方というのは、より必要最小限のものにしていかなければならぬというのは、このとおりでございます。
 ただ、先ほど、それに先だって御質問のございました二級河川等については、それまでの経緯のことでございますので、事務当局の方から説明をさせていただきたいと思います。
○関谷国務大臣 二級河川の問題でございますが、これは、御指摘のように、平成十年の五月二十九日の閣議決定で決められました中の一つでございまして、指定区間内の一級河川及び二級河川の管理に関する事務は法定受託事務にする、そして準用河川の管理に関する事務につきましては自治事務に整理するということと、その時点でされておったわけでございます。
○鳩山委員 先ほどのお話を伺いながら、極力、国の関与をやめる方向でいきますというお話、それはぜひその方向で頑張っていただきたいというふうに思います。精神的という話になるかもしれませんが、皆様方がその決意で臨んでいただきたいと思っています。
 ただ、是正の要求にとどめるというふうなお話がありましたが、是正の要求というものが、これは自治省の見解ではありますが、自治省の見解として、是正の要求をする、それに対して自治体が従わなかった場合には、それは違法だというふうに解釈をせざるを得ないという話がございました。
 違法ということになると、例えば神戸の非核証明書などは、今までは、これは自治体のある意味での自由裁量で出そうと思えばできた。それは、出したことがいい悪いというものを今申し上げるつもりはありませんが、そういったことに対して、今度は、もし是正の要求が、是正の措置をしなさいという話になったときに、それを拒むことができなくなります。違法ということになってしまう。それはそれでよろしいのでしょうか。
○野田(毅)国務大臣 この是正の要求については、地方自治法に基づくいわゆる制裁的なものは、規定はございません。いわば、それぞれの事務についての根拠法令、関係法令に基づいて運用を行っていただくわけでございます。
 今御指摘の高知における問題は、いわばそのこと自体、港湾法の運用の中で果たしてそれが港湾管理者として適切な行政であるか否かということが問われたわけでございます。いわゆる制裁的な背景というものはございません。
○鳩山委員 時間が参りました。あと、また午後質問させていただきたいとは思っておりますが、午後は、財金分離の議論に関して、やはり皆様方に御意見をしっかりと伺わなければならないと思っております。その議論を残して、また本質的な部分に関しても、省庁再編の国土交通省とかあるいは総務省といった各省の議論に関しては、田中慶秋議員を初め同僚の議員にゆだねてまいりたいと思います。
 午前の質問はこれで終わらせていただきます。ありがとうございました。
○高鳥委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時一分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時開議
○高鳥委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。鳩山由紀夫君。
○鳩山委員 質疑を続けさせていただきます。
 これからは、財政と金融の分離問題に関して申し上げたいと思っています。
 私ども民主党は、あの忌まわしきバブルを引き起こし、そして、そのバブルの処理も残念ながら失敗をしてしまった大蔵省の責任というものを考えていく中で、財政と金融の分離、そして金融行政を一元化しなければならないという思い、大変に強めて行動してまいった次第でございます。
 昨年の九月の十八日、この写真でおわかりのとおり、総理と私ども民主党の菅代表との間の会談が行われて、「実務者協議で合意した事項については、共同して速やかに成立を図ることで合意した。」ということで、書面を「確認」という形で交わさせていただいたわけでございます。この第二項、御承知のとおり、「金融再生委員会の設置に伴う財政と金融の完全分離及び金融行政の一元化は、次期通常国会」今の通常国会でありますが、「国会終了までに必要な法整備を行う。」というふうに記されておるのでございます。この完全分離とか行政の一元化という言葉には、私は解釈の余地というものは入るはずがないというふうに思っております。
 また、その後、十月一日であったと思いますが、その確認をもとに、三会派、平和・改革さんも中に入られて、自由民主党と民主党、三会派で覚書を交わさせていただいた。その覚書の中にも、六項目めに財政と金融の完全分離、金融行政の一元化がうたわれており、「平成十二年一月一日までに施行する。」という施行日まで書かせていただくことができたわけでございます。
 このように、財政と金融の分離と金融行政の一元化に関しては、私たちは結論を得たものというふうに思っておりました。このことに関して、文言にどこか不完全なところがおありなのか。どう考えても、文言は文言として完全にでき上がったものだと確認され、覚書まで交わされたものだと私たちは理解をしておりますが、小渕総理、まさに自民党の総裁として、まさに総裁と我が党の党首、または総理としても責任を持ってこの確認をされたわけでございますので、それが今になって、金融行政が必ずしも一元化されないということは、どう考えても、覚書、確認書、それがほごにされたというふうに思わざるを得ません。
 総理、いかがでしょうか。
○小渕内閣総理大臣 財政と金融の分離、金融行政の一元化に関する問題は、そもそも、昨年、党首会談及び三会派実務者間での合意において取り上げられた問題でございまして、その内容の具体化について、政党間の合意であることから政党間協議の中で整理されてきたところでございます。
 政府といたしましては、政党間協議が合意に至らなかったことについて、まことに残念に思っておりますが、このような状況のもとで、政党間協議の経緯等も踏まえながら法案化を行ったものであります。何とぞ御理解をいただきたいと思っておる次第でございます。
○鳩山委員 御理解をいたしたいところでありますが、なかなかこの問題に関しては理解をすることができません。
 それでは、この内容を離れて、公党間の合意というものがそんな簡単に破られてよろしいものかどうか。総理あるいは一個の人間としての問題として、これは、官房長官にはかつて菅代表から二枚舌ということで失礼を申し上げたかもしれませんが、それはお許しをいただく中で、しかし、現実として結果は、皆様方の前にこの覚書や確認が守られなかったという結果は、結果として正直ではなかった、うそをついてしまったという話じゃありませんか。その件に関して何とぞ御理解をと言われても、そんな簡単に理解をすることができない問題でございます。
 もう一度御答弁をお願い申し上げます。
○小渕内閣総理大臣 昨年のいわゆる金融国会におきましての各党間の話し合いにつきましては、誠実にこれを実行してくる立場で努力をいたしてまいりました。
 本件につきましての経緯を若干申し上げますと、昨年の九月十八日に、自民、民主両党会談におきまして、さまざまなやりとりとともに、その一環として、金融再生委員会の設置に伴う財政と金融の完全分離及び金融行政の一元化は、次期通常国会終了までに必要な法整備を行うことが確認されましたことは事実でございます。
 ただ、その際、金融再生委員会の設置に伴う財政と金融分離及び金融行政の一元化の具体内容につきましては、当方から、実は具体的にはここにおられる宮澤蔵相からでありましたが、基本法で金融庁への移行が決まっておるので、それをできるだけ前倒しにすることだという発言が行われまして、その後も政府として、中央省庁改革の枠組みの中で検討する旨申し上げてきたところでございまして、そういった経過の中で、三会派実務者間の合意の内容の具体化について努力をされました。その結果、政党間の合意であることから、政党間で協議が行われており、それぞれ大変御苦労をいただいたわけでありますが、結果的に最終合意に至らなかったことについては、まことに残念に思っております。
 このような状況のもとで、政党間協議の経緯等も踏まえながら法案化を行ったものでございまして、繰り返してではございますけれども、ぜひその間の状況を御理解いただきたい、こうお願いをする次第でございます。
○鳩山委員 残念ながら、そう簡単に理解をできるという状況ではございません。
 この九月十八日の会談の様子も、実は私も会議録のメモを拝見いたしました。その中でも、小渕総理御自身がおっしゃっておられます。金融再生委員会の設置に伴う財政と金融の完全分離及び金融行政の一元化について、省庁再編の設置法を成立させとおっしゃいました。今ここで議論しております中央省庁再編の議論、この設置法を成立させ、可能な限り早急に実現をしたいというところまでおっしゃって、その後、確認が交わされたわけでございます。
 その確認の中に、まさに金融行政の一元化というのがうたわれているわけですが、残念ながら一元化ではなくて、金融庁と財務省との間の共管という線は、この主張が変わっていない。むしろ、大蔵省の大きな横やり、圧力がかかり、まさにある意味で中央省庁再編の一番大きな議論であるべき大蔵省改革に関しては、不完全に終わってしまったということじゃありませんか。これは、残念ながら許すわけにはまいらない。
 私たち民主党にとって、なぜこれを本当に大事にしているか。それは、皆様方には御承知のとおり、あの昨年の金融再生国会のときに、まさに金融パニックが今にも起きつつあった。長銀の破綻問題がまさに皆様方の議論の中で大変憂慮される事態であった。この問題を解決するために、政府が出されておられるような法案、ブリッジバンク法案では解決ができない。
 だから、私たちが提案している金融再生法案、これをしっかり理解をしていただきたい。それを理解していただければ、小渕総理、あなたの責任問題までは私どもは追及しない。野党にとって、ある意味で総理の責任を追及しないなどというようなことはおかしいではないかということまで、あえて覚悟に覚悟をして、国民の側に立った論理を張って、自民党さんの責任をとらなくてもいいから、だから金融再生法案を成立させてほしい、そういうふうに申し上げた。
 そこの意味で、私たち民主党としては、命の問題、自分たちの党を捨てても国民に協力をするための金融再生法案を成立させてほしい。そのために皆さん方に、我々の要求としては、財政と金融の分離、これは長いことの懸案事項、この問題も解決しようじゃありませんかということで理解をいただいた。理解をいただいたと思ったから、私たちもある意味で政府に協力をさせていただいたわけです。そういった党にとっての象徴の、原点の議論であるだけに、この問題に関して簡単に引き下がるわけにはまいらないと思っています。
 いま一度お答えを願いたい。総理自身も会議の中ではっきりとおっしゃってくださったことが、なぜできなくなってしまったのか。やはり、自分たちも努力したけれどもということは、別の圧力が強く働いてできなかったということとしか考えられない。いかがなんでしょうか。
○小渕内閣総理大臣 ただいま御説明申し上げたような経緯の中で、この金融と財政の問題については取り組ませていただいたわけでございます。その確認は確認としてでございますけれども、やはり、そうした方向に向かって三会派の話し合いが進められた結果、今日提案をいたしておりますような姿として、言葉のきちんとした解釈は別といたしましても、ほぼ一元的な形での金融監督庁と大蔵省との金融問題をめぐりましての整理はついておると認識をいたしております。
 そうした意味で、ぜひ、段々の経緯は経緯といたしましても、方向としては、この一元化についての、形としては共管とはなっておりますけれども、実際のところは、大蔵省としてのお仕事としてこれが正式にこの本法案で載せられておらないという事実をもって御理解をいただきたいと思います。
○太田国務大臣 中央省庁改革でもってこのテーマに取り組むということで、答えが出てきたものがそれであったわけであります。
 要するに、中央省庁改革の各省庁の任務という考え方を強く打ち出しております。それは、従来は権限の範囲というようなものでもって領域を定めていたわけですけれども、今回は、行政の目的としての各省庁の任務ということでもって省庁の設置を定めております。
 そういたしますと、金融庁の任務ということは、これは金融市場を管理監督することであります。それから財務省の方は、財政のみならず、通貨、国庫それから為替ということについて責任を持つ、そういう任務でありますので、おのずから一つの対象について複数の角度から光を当てる、あるいは見るということの必要が生じることに今までと違ってなり得るわけでありますので、結果として、非常事態あるいは破綻の際に二つの角度から光が当たるということは、中央省庁全体の考え方からすれば矛盾がないということは申し上げておきたいと思います。
○鳩山委員 それは総理のリーダーシップの問題でありまして、最終的な責任者はお一人でありますから、これは総理が一人で強くリーダーシップを発揮されれば済む話だと私は思っています。
 ちょっともう時間がなくなってきておりますが、公明党さんも、実際に今そこにございますように、三会派の合意に至る過程の中で大変努力をされてきた問題であります。公明党、平和・改革、その坂口先生が中に入っての議論、いろいろと私どもも伺っておりまして、最終的に落ちついた中で、公明党さんの意見は、むしろ、主務官庁は金融庁として、財務省は財政面からの企画立案だというふうにおっしゃって、そこで、わかったと皆さん方がおっしゃったんで、今、自自公というふうに言われておりますが、公明党さんも政府に協力をするというふうにこの財金問題では結論を出されたというふうに伺っています。
 ところが、法案の中には必ずしもそう書いていない。むしろ、健全な財政の確保、国庫の適正な管理、通貨に対する信頼の維持及び外国為替の安定の確保の任務を遂行する観点から行う、そういう非常に長い話になっておりまして、特に財政の面からということで、ある意味では財務省は財政の面から扱うのは当たり前だということで、公明党さんの主張は私どもある意味では理解できたんでありますが、最終的な法律になってみたときには、この解釈は極めてあいまいな話であって、公明党さんも憤りを禁じ得ないというふうに伺っています。
 このようにあいまいにしていく中で、官僚の言葉でずるずると戻されてしまうことを私たちは大変に憂慮しております。この中央省庁再編の議論のある意味で中核をなしている財金分離問題に関して、このように、表面的には何となく似ているなというあいまい性を持っていきながら、極めて危ないところに官僚はリードをして、自分たちの既得権益を守ってしまおうという発想が見え隠れしておるだけに、中央省庁の再編の議論は、私たちは今、このまま納得をするわけにはまいらないということを最後に申し上げて、私の時間が過ぎましたので、私からの質問といたします。ありがとうございます。
○高鳥委員長 ちょっと鳩山委員に申し上げますが、先ほどの自由党云々の発言について抗議がございましたが、ここで取り消されますか、それとも理事会に扱いを一任されますか。
○鳩山委員 理事会にそれは扱いを、どうぞゆだねます。
○高鳥委員長 それじゃ、理事会で検討させていただきます。
○鳩山委員 そうしてください。
○高鳥委員長 この際、田中慶秋君から関連質疑の申し出があります。鳩山君の持ち時間の範囲内においてこれを許します。田中慶秋君。
○田中(慶)委員 私は、民主党の立場から、この行政改革の問題等々について質問をさせていただきたいと思います。
 最初に、総理、この今日の少子高齢化の進展と、あわせてそれに伴う勤労人口がだんだん少なくなってくる、これは事実だと思いますし、また納税者の減少ということにつながっているわけであります。結果として、経済成長率の低下も招くことになるわけであります。このようなことにおいて、私たちは、一方においては、この高齢者の増加に伴う社会保険関係費の増大にもつながってきていることは事実であります。
 こういうことを考えたときに、この解決策として、一つは増税方法があるでしょうし、一つは行政改革の方法があるでしょう。しかし、日本の現状を考えたときに、これ以上増税を志向するわけにはまいりません。そこで行政改革が今この議題になっていることと、こんなふうに私どもは考えているわけであります。
 しかし、この行政改革についても、具体的に私たちは今回の法案の問題等々を検討させていただきながら、まず、行政改革の基本的な考え方について、総理にお伺いしたいのは、行政改革そのものが、財源、権限、さらには人、こういうものがワンパッケージにならなければいけないと思っております。もう少し具体的に言うならば、この行政改革は、かねてから行政のスリム化が要求されております。そればかりではなくして、わかりやすい行政、さらにはスピード感が要求されていることは事実だと思います。今回のこの中央省庁の問題等について、総理は、その私が今申し上げたようなことを含めて行政改革に当たったのかどうか、まず最初にお伺いします。
○小渕内閣総理大臣 行政改革につきましてのそもそもは、前内閣におきまして六大改革が大きな政治課題として取り上げられました。その第一にこの行政改革というものがあったことは事実でございます。私どももこれを引き受けまして、引き続いてこの問題について決着を図るべく努力をしておるわけでございます。
 行政につきましては、これは古今東西、いわゆる有名なパーキンソンの原則ではありませんけれども、そのままにいたしておけば常々行政というものは肥大化していくというのは、これは残念ながら、行政の必然性もそこにあると思います。
 したがって、政治がこれに対して、十年、二十年に一遍ずつかなり行政改革を行って、それをスリム化するという作業をとってまいったわけでございますが、今般は特に、今先生御指摘のように、少子高齢化を迎えて、今後日本の社会がどのようになるかということも検討しますと同時に、来世紀に向けて、日本のあるべき国の姿として、国の行政のあり方を抜本的に見直さなければならぬという趣旨から、今回こうした取り組みをさせていただいたのだろうと思います。
 それには、言うまでもありませんが、行政のスリム化、それは人員もそうでありますし、また予算の点でもそうでございますが、あらゆる面から検討して、この際、真に国民に理解をされる行政のあるべき姿ということを念頭に置きながら、今般この法案を出させていただいたということでございます。
○田中(慶)委員 総理から今スリム化という話も出ました。あるいは財源の問題が出ました。今回の例えば一府十二省という大くくりそのものがスリム化なんでしょうか。総務庁を見てください。三十一万人ですよ、このデータから見て。それがスリム化ですか。今、むしろ一府二十一省をそのまま継続した方が、そして内部の総点検をされた方が、むしろスリム化、あるいはまた行政の一つの流れに対しての対応ができるんじゃないんでしょうか。まず、総理。
○小渕内閣総理大臣 今回の改革におきまして、二十一世紀においての国の行政が担うべき機能や主要な行政課題に的確に対応するために、各省は、主要な任務を基軸として、できる限り総合性、包括性を持った行政機能を担うように編成すること、第二に、基本的な政策目的の対立する行政機能はできる限り異なる省が担うこと、三、さらには、各省庁の行政機能の均衡などを勘案して検討された結果、中央省庁等改革基本法におきまして一府十二省庁にすることが定められたものでございます。
 田中委員御指摘のように、現在の行政機構のままでそれぞれスリム化という手法もあったのかもしれませんけれども、この中央省庁改革基本法におきまして一府十二省庁という形で編成がえを行う。単に編成がえを行うということでなくて、その過程におきまして、真にこの行政改革の目的を達することができる、その目標を立ててこうした編成がえを行ったということについて、ぜひ御理解をいただきたいと存じます。
○田中(慶)委員 まず、基本的な問題ですから、総理、しっかりと認識をしていただきたいと思います。
 例えば、今の経済、どう言われているでしょう。戦艦大和的な経営はもうだめだ、モーターボート経営をしなさい。すなわち、回転をよくするために、このように言われながら民間企業はスリム化する。スリム化というのは拡大していることじゃないですよ。納税者が、すなわち自分みずからをスリム化し、リストラをして税金を納めているんです。一方においては、行政に携わるところが拡大して、物すごい、三十万もの要員を抱えた省庁をつくったことが行政改革なんでしょうか。そうじゃないと思うのです。
 今国民の間で、民間企業の間で行っているのは、税金を納めるために徹底したスリム化を図って、経営を持続するために努力をされているのです。ところが、現実には、この行政改革案そのもの、中央省庁についてはそのことがどこにも見られない。だから私は、今の経済、今の社会ニーズに逆行しているんではないか、このことを申し上げているのです。
○太田国務大臣 今のようなお言葉ではございますが、行政改革の大きな切り口というのは、これは従来の縦割り行政、二十二の省庁が割拠分立して、それぞれ自己増殖をしてきたということをどうするかという観点が一つあったわけであります。そして、それをどうするかということの中に、任務に基づいて再編成をしたということはどういうことかというと、競合するあるいは重複する任務を持っていると思われる省庁があれば、それを一つに大くくりにまとめる。そしてその中で、競合するあるいは重複する任務の中で優先順位をつけられるようにする。広い範囲で優先順位をつけられるようにする、そういう包括化ということが目的であったわけでございます。
 その結果、総務省自体については、いろいろな御意見があると思いますけれども、三十数万のお化けのような役所になるというふうな御指摘がたびたびあるわけでございますが、実際には、二十九万何千人は郵政庁の職員になるわけでありまして、五年以内に郵政公社になるということがわかっておるわけでございますので、それを差し引くと、残りは七千人にならないぐらいの数であろうと思います。そういたしますと、七千人で、あとは外に出るわけでありますので、七千人の省庁というのは、下から数えた方が規模としては早いような、そこそこの規模のものになるわけでございます。どうか、任務でまとめているということについては、ぜひ御理解をいただきたいと思います。
○田中(慶)委員 五年後に郵政省が独立行政法人になるから、今三十一万の膨大な省庁であっていいという理由はどこにもないと思います。まして、今回の大くくりの根拠はどこにあるのですか。関連するようなものだけを結びつければ、それが行政改革ですか。違うでしょう。
○太田国務大臣 それは、例えば国土交通省について見れば、一つの役所でもって、その地域について何のプロジェクトが優先するかということは定まりやすくなるわけでありますので、ひいてはそれはスリム化にもつながると思います。
 また、大きな省庁、三つか四つか一緒になった省庁については、単にそれを足しただけではありませんで、局の数も大幅に削減をいたしております。官房、局の数で言えば、国土交通省は、北海道開発庁のほかに二十の官房、局があったものを、結果としては、新しい姿では十四の官房、局に、三分の一以上カットをいたしておりますので、どうか、それはスリム化にきちんとなっておるのだと。
 さらに、局の数を減らしただけではなくて、課の数も今減らしておる最中でございますし、さまざまな方法でもってスリム化は実現するはずでございます。スリム化が目的であったわけではありません。
○田中(慶)委員 それは、あなたのマスターベーションじゃないですか。
 例えば、環境庁を見てください。環境庁は今度環境省に格上げになりましたよ。しかし、現実には一元化されていませんでしょう。環境庁は一元化されていますか。環境行政だったら、林野庁まで全部含めて、それだったらやったらどうなんですか。
○太田国務大臣 環境省の問題でいいますれば、任務によって分けたわけでございますから、例えば、下水道の整備あるいは上水道の整備という整備の仕事と、環境政策の観点からする水質の確保、安全性とか、あるいは環境政策上の問題というのは、これは、さっきも申しましたように、環境省の任務としてそちらの側から光を当てる。整備、国土建設という、国土交通という観点から見るとそちらの方から光が当たる。厚生省からいえばこちらの方から光が当たるというふうに、一つの対象に対して複数から光を当てるということが任務に基づく大くくり、再編成ということでございますので、そこは一貫しておるつもりでございます。
○田中(慶)委員 行政改革の基本には、わかりやすくということがあると思います。あなたの言ったことが国民はわかりますか。わかりにくいと思いますよ。幾らあなたが優秀であっても、そういうことじゃないと思いますよ。
 まして、少なくなればいいというものではない。少なくなって膨大な省庁にして、今でさえも中央省庁の縄張りがあるでしょう。例えば、そこに事務次官をつくる、局長をつくるというときに、省庁がたくさん集まることによって、省庁間の縄張りがもう既に起きつつあるということを言われているんですよ。それが今の行革ですか。
○太田国務大臣 縄張り争いが不毛であったことから、大くくりにしたということもあるわけでございます。当然、合併した会社と同じように、それぞれが、もとの会社が派閥のようになって相争うということは、それは起こり得るかもしれませんけれども、そこをきちんとやるのがまさに政治主導であって、大臣がどれだけの器の者であるかということが問われるんだと思います。
○田中(慶)委員 少なくても三十万とか、あるいは少なくても十万、七万とか、こういう省庁になって、中央省庁が本当に大くくりされて、現実にその指導性が本当に発揮できるんでしょうか。できるんだったら今でもできているでしょう。今の大臣は、それだったら全然無能ということですか。そうじゃないでしょう。
○太田国務大臣 今がどうかと、今の制度については、これはさまざまな改善をする点があったからこの行政改革をやったわけでありまして、その中で、政治主導ということがきちんと発揮できるように、さまざまな制度や仕組みをつくったということでございます。
 そうしたからといって、政治家があるいは大臣がリーダーシップを発揮しないということは、それはあり得るわけでございまして、そこは、可能性を高めておいて、あるいは道具を、武器を与えた上で、なおできるかどうかというのは、そのときの政治家が問われることだと私は思います。
○田中(慶)委員 そんな悠長なことを言っている時代じゃないと思いますよ。その政治家がその時点になって問われることと。今、行政改革の基本にスピード化が要求されているのはそのことなんですよ。いいですか。
 そして、今あなたが言っているように、一府十二省にしてマンモスな省庁をつくって、そしてそれが行革だといったら、確かに省庁は減ったけれども、現実には職員は一人も減らないということを言っても過言ではないんじゃないですか。
○太田国務大臣 職員を結果として減らすということは、これは一つの全体目標としては置いておるわけでありますけれども、行政改革の目標は、それ以前に、透明化もあれば、あるいは統合化というか、整合性を確保するために調整機能を与えるとか、さまざまな目的があって、その結果として、透明化、あるいは省庁の大くくりの今の再編成の結果として定員も減るであろう。そこは、二五%という全体目標を置いておるわけでございますけれども、結果としては、さまざまな方法でそういうふうになっていくだろうと思います。それは目的ではない。
○田中(慶)委員 少なくても、四月二十七日の中央省庁の改革関連法案の中には、中央省庁の改革の推進ということが一つと、もう一つは行政コストの削減に関する取り組み、このことが明確にうたわれているんですよ。そして閣議決定されたんでしょう。大きくなって行政コストが下がるんですね、はっきり申し上げて。膨大な組織をつくって、普通ならば大体スリム化をして、大くくりにするのではなくして、もっとスリム化して行政のコストというのは下げていくものだと私どもは認識しておりますよ。
 総理、いいですか。あなたは、そういう中で行政コストを十年間で三〇%削減すると言っているわけです。どういう方法で、具体的に、年次別に、そのことを明確にしないと、ただ三〇%削減する、そんなことだれでも言えるんですよ、五〇%とでも言えますでしょうし。そうじゃない。
 では、三〇%を削減するためにはどういうふうにするんですか、明確にしてください。
○小渕内閣総理大臣 行政コストの削減は、行政の生産性向上に全省庁を挙げて取り組むため、政策イニシアチブとして掲げたものでございまして、四月二十七日、委員御指摘のように、行政コスト削減に関する取組方針を閣議決定いたしたところでございます。
 この取組方針は、行政の減量化、行政の効率化、こういう両輪によりまして、行政コスト削減のための不断の努力を行っていく必要があるとし、当面、行政の減量化につきまして中央省庁等改革推進によりまして、また行政の効率化につきましては今回方針を掲げられた取り組みを中心として、全力を挙げて取り組むことといたしております。
 この方針におきましては、一、中央省庁が所掌する行政は、おのおの行政目的や手法を異にし、その効率化のための手法もさまざまであること、二、行政コストについては、単に人件費や事務費といった行政経費としてとらえるよりも、むしろ、広く行政全体の生産性向上に資する概念としてとらえる方が適切と考えられることから、各省庁が所掌する行政分野ごとに、時間、人員、経費等のさまざまな指標により計測される行政コストを、平成十一年度から十年間、三〇%削減することを目標としております。
 田中委員御指摘のように、数字だけであれば何十%もとおっしゃられますが、お気持ちとしておっしゃられることはわかりますが、しかし、目標を掲げませんと、実際はこれを実行するということは無理なことでございまして、そこで、具体的に一々とおっしゃられますが、まず目標を掲げて、そして、それぞれ省庁再編の中で、行政コストにつきましてもそれぞれ抽出をいたしまして、できる限りこの目標を達成できるように、これから行政コスト全体について見直しを常時図りながら、いたしていきたいということでございますので、ぜひ、三〇%目標ということは非常に厳しい数字だろうと思いますけれども、その実現方につきましては、これから十分検討して努力をいたしてまいりたいと思います。
○田中(慶)委員 総理、生産性向上とか減量化とか、非常に言葉はきれいですよね。ですけれども、行政のスリム化ということが最前提にならなければいけないんですよ。今スリム化どころか、先般出していただいた数字でさえも、国家公務員が、今まで八十二、八十三万幾らが、だんだんふえるようになっているんですよ。これは資料を出されたんですから、八十五万二千にふえるんですよ。従来よりもふえる。これが効率化なりスリム化になるんでしょうか。
 昨年のときに、いいですか、この基本法を審議されたときに、行政をスリム化しない、省庁を大くくりでという、こんな話も出ました。しかし、巨大な権限を持つ巨大な省庁が生まれるおそれがある、結果として、それは行政改革の方向に逆行することである、こういうことを昨年の中央省庁の審議のときに指摘をされております。そのことをどう思いますか。
○太田国務大臣 昨年の中央省庁改革の基本法の審議においてそういうふうな御指摘があったということでございますが、いずれにせよ、その時点で法律は、基本法ができちゃったわけでありまして、今言う大くくりの省庁の再編成ができた。その精神を私どもは体して、具体化の作業をしてきたわけでございます。
 さっきおっしゃいました、ふえるというのは、今度の地方分権一括法で地方事務官が国の事務官になるということで、ふえる。これは、つまり制度が変わるわけでありますので、それが何か肥大化とか、行政改革を怠ってきたからそうなるということではありませんので、分母、分子の話でございますので、ぜひそこは御理解をいただきたい。
 どういう枠組みで、どこからスタートして減らしていくかというときに、これは、今おっしゃった地方事務官がこういうふうに国の方になっておりますので、ふえたわけじゃない。これはもともと同じ国家公務員でございますが、ふえた減ったという話ではないわけであります。
○田中(慶)委員 少なくても、今長官が言っていることは、基本法が去年決まったのだからしようがないんだ、その決まったことに従って今やっているんだと。そうじゃないと思うんです。立法府なんですよ、ここは。そして、現状に問題が出てきていれば、それを直すこと、より国民に負担をさせないスリムな行政を行うこと。総理も言っているんじゃないですか、小さな政府とか。いろいろなところで言っていながら、現実にここに出てくるときには大きな政府じゃないですか。そのことを聞いているんですよ。
○太田国務大臣 基本法は、まさに立法府が決定されたことでありまして、それを尊重して従っているということでございます。
 もう一つ、今ずっとここ何問かの先生の御質問は、大きくなった大きくなったとおっしゃるんですけれども、それは、今まで二十二あったのが十二になったということをまずお認めいただいて、そうなれば、その一つ一つが大くくりで大きくなった、全体としてどうかというお話をしていただきたいわけでございますが、それは、全体としては百二十八あった局が九十六になっておる、そこが全体としてスリム化になっているのでありますと言っておるわけでございます。
○田中(慶)委員 大臣、少なくても、中央省庁が今のように一府十二省になったから行革じゃないと思うんです、はっきり言って。局を減らしたからとか。
 では、現実にどうなんですか。総理がこんな人事を発表しているんですよ。まず、橋本さんのときには人員を一〇%減らしましょう、小渕さんになったら二〇%、自自合意になったら二五%。大変すばらしいことでありますけれども、しかし、数字ではそういうふうに出ますけれども、新たな今行っているこのことには、どこにもあらわれていないんですよ、そのことが。十年で二五%、四分の一減らそうというときに、それがどこにもあらわれていない。ただ大くくりで一つにすればということでありますけれども、そんな行革は認められませんよ。
○太田国務大臣 毎年毎年の定員の管理というのは総務庁の行政管理局がいたしておりますけれども、それは最後の結末をつける段階でございますから、それ以前に、各省庁がさまざまな角度から、毎年毎年、これから十年間で二五%の削減になるように、それぞれの事務を減量化していくという努力があるわけでございます。
 そのような減量化の努力をしていけるためには、例えば省庁を大くくりにして、今でいえば、局の数だけでいえば四分の三になっているわけでございます。大体二五%ぐらい削減に局の数はなっているわけでございますから、そういうことを踏まえて各省庁が減量化に向けて努力ができる、そういう条件を整備しているわけであります。これは、十年間で私は達成できると思います。
○田中(慶)委員 十年間で二五%、ぜひしていただきたいと思いますけれども、現実には、中央省庁等の基本法のときに、自治大臣にお伺いしますけれども、この人員の削減やあるいは中央省庁の肥大化等について、あのときには反対をされておりましたよね。現実に、今回提案されている問題と、大分ギャップがあると思うんです、はっきり申し上げて。このことについてはどうお考えになりますか。
 私は、少なくても、自治大臣に、今までいろいろと、この行政改革の問題等々について同じプロジェクトとして御指導いただいた、その考え方が今でもずっと残っておりますし、これからも正しいと思っておるわけです。ところが、現実に、今打ち出されている問題はそれと大分ギャップがあり過ぎる。このことについてどうお考えでしょうか。
○野田(毅)国務大臣 当時、中央省庁改革法案、今回の法案に先立つ法案が国会で議論されました。そのときに、党として、今御指摘のとおり、賛成できないということであったことも確かであると思います。
 物事を、行政改革なり、いろいろな国、地方を通ずる行政システムのスリム化などということ、実はある意味ではワンパッケージのテーマである部分もあります。これは、午前、鳩山先生でしたか、おっしゃっていたと思うんですが、大事なのは、キーワードの一つは、どうやって自立という、非常に大きなキーワードだと思います。
 つまり、国対、あるいは官対民と言ってもいいかもしれません。つまり、民間の責任で、自己責任でやるべきところを、官なり公が過剰介入し過ぎてはいないかどうか。あるいは、地方が自分の責任でやるべきところに、国が過剰介入をし過ぎてはいないかどうか。そういった中で、これは国のあり方なり、個人のあり方なり、企業のあり方なり、自治体のあり方として、結果として、他人依存志向が強くなり過ぎてしまっているのではないか。そういったことをパッケージとしてやっていかなければならぬ。
 したがって、これは、単に財政的な効果を求めるということだけでもないし、公務員の数を云々ということだけでもない。国、地方を通ずる行政のあり方であり、あるいは意識改革そのものをも巻き込んでやっていかなければならないテーマであるというのが基本的なスタンスであり、今日それも変わってはいないと思います。
 できれば、全体を用意ドンで一斉にやれれば一番いいのは決まっております。しかし、なかなか、そうはいっても、おくれているものを待っていて、それまで待っていたのでは、何も進まないということも現実なわけであります。
 そういった点で、特に、昨年から今日に至るまで、この地方分権の推進の問題にせよ、午前、小池委員に対しても御説明を申し上げましたが、昨年決めました地方分権推進計画から、さらに合併等については、この法案の中では踏み込んで法案化をされておったり、さまざまな面でかなりの前進の努力が現にあるというようなこともあって、私は、今回、むしろ党としては、このまま停滞するよりも、百点満点ではないかもしれないが、大幅に前進をした部分もある。特に、政府委員制度の廃止やらあるいは副大臣制度の創設、こういった事柄が、今度の中央省庁改革の問題に関連して、国会と政府とのかかわりの問題についても踏み込んで反映をされているものであるというふうに認識もいたしております。
○田中(慶)委員 自治大臣が言われていることもわかりますけれども、ただ、それは時代とともに、もう少しそのことについてスピードアップが必要だと思っているんですよ。
 ということは、バブルが崩壊して、今日どういう状態になっているのか、この認識度合いが永田町と地方では大分違うんですよ、はっきり申し上げて。だから、私たちは、行政改革をするに当たって、ワンパッケージという問題がありましたけれども、財政も権限も人も含めてワンパッケージにすることが一番望ましいと思っておりますし、今後もそのことを貫いていかなければいけないだろう、こんなふうに思っておるのです。
 そこで、自治大臣の問題の中で、行政改革を行うときに、特殊法人の見直しをしなければいけないということをかねて主張されていたと思います。私もそのとおりだと思っているんです。
 ということは、今の、皆さん、この国家公務員八十二万人、いつの間にか特殊法人は五十二万人になってしまったんです。隠れみのなんです、隠れみの。そして、その特殊法人、役人の肩たたき、すなわち天下りですよ。天下りが毎年毎年ふえているんですよ、今。減っているんじゃない。
 そして、まず天下りの第一次のところに行って、民間であるならば、普通は親会社から子会社へ行くときにはお給料が安くなる。そうじゃないですか。ところが、今、特殊法人はお給料が高くなっているんです。それから、三年から四年、これを一つのサイクル、任期にしているんです。そして、そこでまた退職金が出るんですよ。民間企業のときに、退職金なんて、次の系列のところへ行ったとき出ませんよ。それが、大体一人が三回のサイクルになっているんです。やめてから十年は保障されているのですよ。平均の退職金が約三千万ですよ。これが現実なんです。
 ですから、行政改革をするときに、本丸に行くときに特殊法人をしなさいという、その理論はよくわかります。しかし、今回、特殊法人に対する取り扱いは何もしていない。それどころか、情報公開制度は、この特殊法人については、一体となってやるのじゃなくして、これから三年後、五年後、こういう形になっている。このことについて、どう思いますか。
○太田国務大臣 特殊法人につきましては、もちろん我々、問題意識を持っております。独立行政法人を制度設計する際に、特殊法人にかかわる現状の問題点ということを頭に置きながら、これが不透明であったり、あるいは事後評価の制度がなかったりするわけでございますが、そういう欠陥を持たないように独立行政法人の設計をいたしたわけでございます。そのぐらいですから、十分問題意識は持っております。
 ただし、特殊法人そのものについては、これは今国会に整理合理化の法案が出ております。例えば、国際協力についての合併でありますとか、幾つもの法人の合併、統合などが法案として出されております。そういう法案を出している中で、それが一応終わってからこれは取り組まざるを得ないということでございますので、ぜひ、中央省庁改革の後に、そのことの課題として我々は十分考えているということで御理解いただきたいと思います。
○田中(慶)委員 物には順番があることはわかっております。私たちは、この巨大な中央省庁の改革をやる前に、むしろその出先である、あるいは系列である特殊法人をすることが先ではないか、こんなふうに考えているわけです。
 特に、今この説明をさせていただきますが、基本的には、特殊法人でもう役割の終わったもの、それから民間でできるもの、さらに、どうしても国の将来やいろいろなことを考えて残さなければいけないのは、私は、それこそ独立行政法人として残せばいい、こういうふうに思っております。
 ところが、今回の中央省庁とあわせて、独立行政法人の方を先にやってしまっている。そのことは、強いて言うならば、二五%の人員削減の受け皿を改めてここにつくろうとしているのではないか、こんなふうに思われてならないのです。そのことについて。
○太田国務大臣 独立行政法人が、結果として、総定員法の対象になります国家公務員の総定員を減らすということになることは否定をいたしませんが、その御議論の前提に、何か独立行政法人の方が実現するのが楽だというふうな前提があるように私は思えてならないわけでございまして、定員削減というのは、例えば年間に四%ずつ国家公務員の方々が退職をしていかれているとすれば、それは年によって変わりますが、仮にそうであるとすれば、例えば二・五%ずつ、その分を不補充で、補充しなかったとすれば、十年間で二五%削減はできる。数字は、数学の話なのでちょっと違いますけれども、例えばそういうことができるわけであります。
 だから、各省庁の各機関ごとに、例えば全くやる気がなかった、仕事をきちんとやろうとか仕事を発展させようという気がなければ、実はこの定数削減というのはできるわけでございます。
 ところが、独立行政法人などというのは、経営形態が変わって、そして、どれだけのことをやったかというのを常にチェックされて、裸にされるわけでございますから、これは言ってみれば、生木を裂くような話が独立行政法人で、かんなをかけるような話が定数削減であるということでございますので、そこは、独立行政法人化ということの方がもっとドラスチックな改革であるということを御理解いただきたいと思います。
○田中(慶)委員 ですから、私は、独立行政法人よりも特殊法人の方が、そのドラスチックなやり方をここにしなければいけないでしょう。
 例えば、見てください。住宅公団にしても道路公団にしても、毎年国は補給金を出しているのですよ。ところが、その系列のところは、ともに生きる、こんな感じで、赤字じゃない、みんな黒字になっているんじゃないですか。民間ではそんなことは許されませんよ。それだったら、そこから手を入れるべきでしょう。
 いいですか、今から数字を申し上げますよ。特殊法人が、大体今五十二万人。あわせて、同じように公益法人というものがあるのです。これが現在二万六千団体。そればかりではありません。そこに出ている、特殊法人に平成十一年度の補給金や出資金を含めて出ているお金が二兆六千億。いいですか。公益法人等について約五千億。この厳しい財政のとき、特殊法人と公益法人だけでも約三兆円ですよ。何でここにメスを入れないで、中央省庁ばかりやろうとするのですか。物には順番があると私はさっき申し上げたでしょう。ここを先にやらなければいけない、このことを申し上げているのです。
○太田国務大臣 リンゴはしんから腐ってくるのか外から腐っているのかというふうな話にもなろうかと思いますけれども、どこから治療したらいいのかということは、先生のおっしゃるようなことは確かにそのとおりで、いろいろな問題があることはわかります。わかるけれども、その本体の中心部分、その外郭団体を、特殊法人をたくさんつくったのもそれぞれの省庁でありますから、原因はやはり中央の省庁にあるわけでありまして、全体を直そうとするときは本体から先に手をつける、メスを入れざるを得ないんじゃないですかね。
○田中(慶)委員 それでは、百歩譲りましょう。
 しかし、現実にはこの特殊法人に、何で情報公開制度を先送りしたのですか、なぜ評価制度を取り入れないのですか。
○太田国務大臣 それは、情報公開法のときにたびたび御説明をいたしましたけれども、要は、別にやめたわけではなくて、これは二年後に制度をつくりますと言っておりますから、もう早速準備に取りかかる段階でございます。これは、二年後には必ず、情報公開の特殊法人に関する部分はスキームを確立いたしたいと思っております。
 ただ、そこがなぜ二年間ずれたかというのは、つまり特殊法人はさまざまな形があって、これは半分民間企業のようなものもあるわけでございますから、そうすると、民間については情報公開は今はしないということが、これが世の中の建前でありますので、そこのバランスをどう図るかというところで少し余分に作業や研究が必要であるということは、ぜひお認めをいただきたいと思います。
○田中(慶)委員 そうじゃないでしょう。ここに天下りのOBが全部いるからじゃないのですか。
 いいですか。よく聞きなさいよ、大臣。この二兆六千億という配分はどうなっているのですか。そこに行っているOBの数によって割り当てされているのですよ。そのことをどう考えるのですか。あなたの言うこともわかりますけれども、現実にこのことを着手しないで、それを先送りして、あなたの言うように、リンゴの中が腐っているか外が腐っているか知らないけれども、そんな論議じゃないですよ。今国民がどれだけ困っているのか。三兆円のお金があったら、どれだけ中小企業の人たちを救えるのですか。そのことを言っているのですよ。
○太田国務大臣 私は、先生が御指摘になっている事実は大変重要なことだと思っておりますし、それは必ず近いうちに解決を迫られていることだと思っております。よくわかっております。
 ただ、今のお金の話で言えば、それは、それこそ行政改革の話というよりも予算の問題でございますので、それは財政当局の方にお聞きをいただきたいと思うわけでございます。
○田中(慶)委員 それでは、総理が一番責任者ですから、この論議を含めて、総理はどう思いますか。
 今の特殊法人も、私は先行しなければいけない。天下りが、まして給料が倍になる。そればかりじゃない。退職金も二回も三回も、民間だったら一回しか出ないのを三回も、トータルしてごらんなさい、十年で大体一億円ですよ。こういうことがざらに通っているのです。
 そして、なおかつ、今のような予算の問題等々を含めて、これを先行すべきじゃないか、このことが行革のスタートライン、このように、私は少なくても今日まで、まず行革をやるときは、これからやるべきだということも仕込まれてきました。そして仲間と一緒に、一年半以上かけて徹底的に特殊法人と公益法人を追及してきました。いろいろな意地悪もございました。おどかしもありました。しかし、それに負けずにやってきたんです。だから私は、今胸を張って国民の前にこのことを言えるんです。どうしますか。
○小渕内閣総理大臣 この問題については、先ほど答弁がありましたけれども、私は、確かに委員のおっしゃっていることの認識は深くいたしております。
 しかし、もとを正してといいますか、もとを整理整とんして、そこから派生しておりますそれぞれの特殊法人につきましても、順次この問題を処理していかなければならないという御指摘でございまして、順番が逆ということもあるかと思いますが、政府としては、まずもとを正して、行政庁をすっきりさせて、そうすれば、それぞれの特殊法人というのは今ありますそれぞれの行政官庁と関連が極めて深いわけでございますので、まずもって一府十二省という形での姿にして、できる限り早い機会に、今指摘されたような問題についても措置いたしていくということをお約束いたしたいと思います。
○田中(慶)委員 総理、みんな今苦しんで税金を納めていることはわかっていますでしょう、民間企業は。わかりませんか。
 その民間企業のスタイルを見てください。まず最初に整理するのは本社でしょうか。やはり、ともに生きてきた、今日まで支え合ってきた仲間ではありますけれども、みずから生きるためには、中小企業のそういう一連のところも含めて、この際お泣きをいただいているんですよ。だから失業率がこれだけ上がっちゃっているんじゃないですか。そういうことを含めて、本丸に全然手をつけないで、そしてこういう問題については先送りする。わからないんですよ。
 なぜかというと、皆さんの手元に許認可の問題の資料を上げましたけれども、この許認可は十年間ふえ続けているんですよ。あなたは先ほどいろいろなことを言っておりますけれども、現実には十年間で千件もふえているんです。
 こういうことを含めて、行政改革を真剣にやるのであれば、規制緩和も許認可も、そうでしょう、官から民へと言っているんですよ、それもあなたが言っているんですよ。そのことが現実にふえている現象はどうなんですか。
○太田国務大臣 許認可の数が結果としてふえておることは、そのとおりだと思います。
 それは、一番典型的には、規制緩和委員会から出てくる勧告だけでも、六百とか九百とか相当な数のものが出てきて、それは相当部分実行をいたしておりますから、一方で減っているわけであります。ところが、そこで認可の事務だった、認可とされていたものが届け出に移行したという場合には数がふえたりなんかするわけでございまして、結局、規制緩和を進めれば進めるほど、緩やかになればなるほど、数は、件数はふえてくるということが現に起こるわけでございます。そのことが一つ。
 それから、安全や環境の分野における社会の要請ということもあり、また国際条約が結ばれれば新たな規制が設けられるということがございますので、既存の、従来のいわゆる規制の項目というのは、その性格的な緩和というのはどんどん進んでおります。そこは間違いないわけであります。
○田中(慶)委員 僕は頭が悪いせいか、あなたの言っていることは理解できない。
 というのは、これだけ規制を緩和しなきゃいけない、あるいはいろいろなことをスクラップ・アンド・ビルドでやっていかなきゃいけないときに、ふえているんですよ、現実に。住民要望も、あるいは国際的なこともわかりますよ。しかし、現実にこの十年間で千幾つもふえているということ自体、そして、ここに、皆さんのお手元にお渡ししておりますけれども、減っているのはわずか三つの省庁だけじゃないですか。あなたの言っていることであるならば、全部の省庁が同じことだっていいでしょう。いいかげんなことを言っては困りますよ、そんなことは。
○太田国務大臣 いいかげんなことを言っておるんではなくて、認可から届け出に変わるということ自体が規制緩和であります。その際に、数が減らなかったり、あるいはふえたりするということがある。そのことが今減っていないということの非常に大きな要素であるということはぜひ、各省別に資料を、今は出せませんけれども、お出ししてもよろしいですよ、それは。
○田中(慶)委員 行政は継続性もあり、また、いろいろなそれぞれの時代の変遷によって起きているということは理解できますよ。ただ、減っているところとふえているところ、そして減るところが三省庁ぐらいしかないということ自体が、あなたが言っていることと行っている現場は違うということを言っているんですよ。どうなんですか。
○太田国務大臣 全体としてふえていることは否定をいたしておりません。全体としてふえていることは否定をいたしません。
 しかし、ふえている理由は、従来のような延長線上でふえているのではなくて、従来型のものは間違いなく減っているし、認可が届け出になったりしているということがあるわけでございますので、それは、従来型の方は減っているというふうに言って差し支えないと思いますけれども、新しいものがふえてくるということもまた仕方のないことでございます。
 省庁ごとにアンバランスが出るのは当然のことであって、その省によって、ふえるものが大きい、こっちは減るものが少ないということは大いにあり得るわけでございますから、省庁ごとのアンバランスがあることは問題ではないと思います。
○田中(慶)委員 そんな感覚で行政改革をやっていたらとんでもないことですよ。
 いいですか、省庁ごとに、現実に一つも減っていないところ――確かにアンバランスがあってもいいよ。本当に減っているところが出て、これで年次別にずっと追っても、全然増減のないところがあるんですから、そういうことを含めてちゃんとしなきゃだめなんですよ。ですから、素直にそういうことは認めて、やればいいじゃないですか。
○太田国務大臣 いや、田中委員のおっしゃることは私は認めているわけですよ、全体としてふえていますと。しかし、ふえているのはこういう事情であって、一方で減らす努力をしておるということを申し上げておるわけでございます。
 もし私の言うことが信用できないのならば、行政管理局長がおりますので、答弁をお聞きください。
○田中(慶)委員 大臣のことを信用していますから、役人のことよりもあなたのことを信用しましょう。
 では、次は建設大臣にお伺いしますね、暇そうですから。
 実は、本四公団が、現実に今赤字が七千二百四十二億円、こういうことですね。それで、これがずっと残ってきております。極端なことを言えば、百円の料金収入を得るために、現実には二百十一円かかっているんです。百円を得るために二百十一円かかっているんです。すなわち、百十一円がもう損失なんですね、初めから。
 そしてなお、これが今、準備金繰り入れをしたり、あるいはトータルして償還する償還年数が二百七十一年かかるんですね。ここにいらっしゃる人が二百七十一年生きていますかね。二百七十一年、こういうことを平気で書いて、そしてやっていて、これが行政改革になるんでしょうか。
 建設大臣及び総務長官、あなたに聞きますよ、このことを具体的に。
○関谷国務大臣 本四公団は、過般、五月一日に今治―尾道ルートの開通ができまして、三ルートが概成したところでございます。
 それで、今日までのバランスでございますが、平成九年度の決算によりますと、当期の損失金が約四百五十億円発生をいたしまして、累積欠損金が七千七百億円というところでございます。
 それで、三ルートの概成によります料金収入の増加が見込まれると私は思っておるわけでございますが、いずれにいたしましても、償還を確実にするためには、公団において、御指摘のように一層の経費の節減を図ること、また関係地方公共団体あるいは地元経済界と一体となって、積極的にその三ルートの利用促進をあらゆる角度からやっていきたいと思っております。
 今回の今治ルートが概成いたしましたときにも私は述べさせていただいたわけでございますが、今日までは、政府がこういうすばらしい橋をつくってきた、これからの利用は、この関連の島、九つの島もございますし、広島県、愛媛県もございますが、そういうようなところが鋭意アイデアを出して、利用者をふやしていくように努力をしていかなければならないということも言ったわけでございます。
 いずれにいたしましても、今はそういう欠損金が七千七百億円あることは事実でございますが、これを確実に償還が行われますようにあらゆる努力をしていきますので、いましばらくお待ちをいただきたいと思います。
    〔委員長退席、岩永委員長代理着席〕
○太田国務大臣 五月に、今月でありますけれども、行政監察局が特殊法人に関する財務調査をいたしておりますが、それによれば、本州四国連絡橋公団は、収支率は二一一、百円の収入を上げるのに二百十一円のコストがかかるという状態でございますので、先生がおっしゃるように、とてもちょっと考えられない悪い状態にございます。それは、交通量に関する大変楽観的な見通しを立てておったのが、現実によって裏切られたということでございます。
 さまざまな策を講じていかなければいけないということであろうかと思います。
○田中(慶)委員 今申し上げたように、みんなこれは特殊法人なんですよ、私が申し上げているのは、はっきり申し上げて。道路公団だって、もう既に九三年度末で二十二兆円、約二十三兆円ですね。こういう形で累積赤字を、債務を出しているのですね。ましてその償還がべらぼうな、二百七十年とかというこんな数字を出して、そして、この数字はだれでも書けるんですよ、そんなことは。だれも責任をとらないのですよ。
 あなたが言っているように、今度、独立行政法人は、責任をとるのでしょう。だから私は、特殊法人も、先ほど言ったように、不要となったものはもう廃止をする、民間でするものは民間にする、残って、どうしても必要なものを独立行政法人化する。そして、あなたが言ったように、みなし公務員でも結構。しかし、そこには五年とか三年とか、そして責任を明確にする。
 これだけの赤字を出して、二百七十年先のことを償還期限だといって平気でペーパーにまとめておくこと自体がおかしいでしょう。それが、行政改革担当がそのことに目も触れずに、これは二年後やればいいんだとかそんなことを言っているから、私はこのことについて集中的に言っているのですよ。
○太田国務大臣 おっしゃることはそのとおりでございます。
 ただ、それは、行政監察の仕事は、客観的に冷静に物事を分析して、その結果を国民に問う、こういうことですよということをディスクローズするのが仕事でございますので、その解決策というのはまさに企画立案の仕事になるわけであって、各省庁にそういうことを考えることを警告を発するわけでございます。だから、平然として、それで知らぬ顔しているというわけじゃなくて、そういう職分であるというふうにお考えをいただきたいのでございます。
○田中(慶)委員 それでは、まず総理と、これは長期償還ですから大蔵大臣、建設大臣に、今申し上げたことについて三人に同じ質問をしますから。
 まして最後は、このことは国民のツケになるんですよ。それを平気な顔して、二百七十年先のことをこのようにして資料に出す、こんな神経はよくわからぬ。ましてそれが、これから今行政改革をしようというときに、こういうことを平気で手をつけないで先送りして、そして屋上屋を次々とまた重ねる、これでいいんだろうか。そのことをまず総理と大蔵大臣と建設大臣に聞きます。
○関谷国務大臣 まず、本四公団のことでございますが、これは、先ほど言いましたように、現在、累積欠損金は約七千七百億円ございます。そして、償還をしなければならない総額は約四兆一千九百億円ございます。それで、平成九年十二月に策定した償還計画によりますれば、平成十八年度に単年度の黒字に転換をする、そして平成三十七年度に欠損金が解消いたしまして、平成五十八年に償還が完成する見込みでございます。ですから、二百何十年なんてはかからない……(田中(慶)委員「おかしいよ、それは」と呼ぶ)いやいや、これはちゃんと計算しておりますから。ですから、平成五十八年度には終わる予定でございます。(田中(慶)委員「トータルですか」と呼ぶ)トータル、すべてでございます。
 それと、もう一つ、先ほどの日本道路公団、これは確かに先生御指摘のようにいろいろな今問題がございましたが、そういうようなことで、あらゆるもの、随意契約できるものはそういうようなことをするとか、あるいはサービスエリア等の独占的な占用を改めまして、第三セクターにもこれを使用していただくというようなこと。それから、協会から公団に対します収益の還元でございますが、これも、平成十年度よりもその占用料を引き上げて、還元の金額を大きなものにして取り戻すというようなこと。それから、協会が保有しています民間会社の六十六社の株につきましても、平成十年の九月末までに全体の八五%の会社の株を一般に処分するというようなことで、先生の御指摘のように、民間に移行できるものは逐次移行をいたしておるわけでございます。
    〔岩永委員長代理退席、委員長着席〕
○田中(慶)委員 大分しつこくて申しわけございませんが、この償還金の問題というのは、これは私がつくった資料じゃないのですよ、これは総務庁がことしの四月三十日に出してくれた資料なんですから。それに基づいて、私、やっているのですよ。ですから、私、これは個人的な見解で申し上げているわけじゃありませんし、総務庁が出している資料と建設大臣が言ってくれている償還期限がまさしく違うのですね。これはおかしいでしょう。
 官房長官、その辺はどう思いますか。あなたは内閣全体を仕切ってやっているのですから。たまには官房長官の声も聞きたいですから。
○野中国務大臣 御指名でございますので申し上げたいと存じますが、償還期限の資料の問題につきましては、建設省、総務庁で精査いたしまして、お答えすることにさせていただきたいと存じます。
 委員が先ほど来御指摘になっております問題は、すべて私ども、この五十数年歩んできた歴史を振り返らなくてはならないと思うわけでございまして、国、地方を通じて、公務員が戦後のこの困難な国づくりに一生懸命励んできた、この足跡を私どもは高く評価するわけでございますが、しかし、さはさりとて、今日、肥大化した行政機構をつくり上げてしまったわけでございます。
 したがいまして、今、特殊法人の問題についてもお話がございますけれども、それぞれ省庁におきましては、委員御承知のように、四十歳余りを過ぎたら肩たたきが行われまして、そして、その受け皿のために特殊法人をつくらなくてはならない。そして最後、各省は事務次官一人が残って同期はすべてやめていくというやり方が今日この特殊法人を肥大化させていった原因になると私は思いますし、国、地方を通じてそういうことが今日の大きな問題になってきたわけでございまして、小渕総理は、昨年七月、総理として就任いたしました初閣議におきまして、特殊法人の給与のあり方について我々閣僚に強い指示をなさいました。
 そして、特殊法人の中には、各省事務次官を退任した後、特殊法人のトップについてなお事務次官以上の給与を取っておる者がおる、そういうものを早急に是正しなければならないという指示をなさいまして、これを受けまして、私ども、本年四月から、各特殊法人の給与の高い人たちについてはこれを事務次官以下の給与に下げることにして改善をしつつあるわけでございます。
 したがいまして、先ほど申し上げましたように、特殊法人だけでなく公務員のありようとして、同期がそれぞれ出世をしていく中で肩たたきをしてやめていって特殊法人に天下っていくというこのやり方全体を直すために、今行政改革にせっかく取り組もうとしておるわけでございまして、今回の行政改革、省庁再編、さらには地方分権というのは、そういう基本の上に立ってやっておるということをぜひ御理解いただき、この間我々が歩んできたことは、政治家を含めて反省をしなければならないと思っておる次第でございます。
○田中(慶)委員 官房長官の答弁が非常に的確に答えていただいたと思います。ただ、そういうことの前提もありますけれども、しかし現実に、まずこれからの特殊法人、同じようなもので独立行政法人ができるんですよ、はっきり申し上げて。中身は、評価基準があったり、その責任の分野とかそういうものはありますけれども、現実に同じようなものをつくろうとしているんです。
 そのときに当たって、この特殊法人が、現在問題になっている、例えばお給料の問題もあります。退職金を三回もらうなんて、だれが考えたって一回でいいんじゃないですか、こんな厳しいときに。ましてや、そこにOBが行っている数によって補助金が決まるなんというようなことは、余り聞いたことないですよ。普通は仕事量やいろいろな形のものによって決まってくると思うんです。
 しかし、現実には違いますから、そのことを含めて、これは大臣ですか、その決意を、私が申し上げたことを、是正するなら是正する。行政改革を今議論しているんですから、だからこのことが先だと僕は言っているわけです。皆さんは逆に中央省庁のそれが先だと言っておりますけれども、民間企業のやり方からすれば、私が申し上げたことを先行してやらなければいけない。まして税金を納める人たちがいる。そのことを考えたら、そのことを先に、むだ遣いとは言いませんよ、しかし、そういう今の乱脈なやり方を先に是正しないで中央省庁をやる、それだったら、これも同時にやってください。そのことを答えてください。
○太田国務大臣 今おっしゃる、特殊法人が今大変大きな問題を抱えているということは、そのとおりでございます。そして、それに対して、この中央省庁改革の問題が峠を越えたらば、我々は直ちに特殊法人の問題に取りかかるということになると考えております。
 ただ、今なぜ時間がずれるのかというと、今は、恐らく先生から見られれば中途半端なことだというふうに言われるかもしれませんけれども、特殊法人の統廃合について、あるいは閣議決定を何度もやって、その結果を法律にして各委員会で御審議をいただいて今国会で採決をいただくものが半分以上ありますので、そのことを終わってから本来の問題に取りかかることになるであろうということを申し上げているわけであります。
○田中(慶)委員 物にはタイミングというのがあると思うんです、はっきり申し上げて。病気は、治療がおくれて重病になってから手当てをしたって遅いんですよ。今まさしく重病なんですから、そのことはワンパッケージとしてやってほしいということを私はさっきから申し上げているんですよ。あなたが答えられなければ、総理、答えてください。
○小渕内閣総理大臣 ワンパッケージというのは、今ここに法案として出しておかなければならないので、それは御無理なことはひとつ御理解いただきたいと思います。
 先ほど申し上げましたように、極めて重要な問題でありまして、特殊法人につきましては官房長官が御説明したことが大変本旨だろうと思います。要するに、公務員制度のあり方に帰着する点もありますが、ただ同時に、そうした特殊法人に現業部門の役所がそうした形の仕事を仕分けしてきたというところもある。鉄建公団とか道路公団とかいろいろあるんだろうと思います。したがって、そういう事業体がどうあるべきかという問題についてもこれから検討していかなきゃならない。
 ただ、右肩上がりの経済の中で、予算的にも非常に余裕がありましたし、またその事業に対する目的も高かったという意味で、仕事がふえてきて今日を迎えているというような点もございますので、そうしたことも整理整とんしていかなきゃならないのではないかと思っております。
 本四架橋についてもお話がありました。
 確かに、じゃ、一遍にこの仕事を三橋が終わったからやめてしまうかということになりますと、これは、あそこでたくさん抱えておる立派な技師その他の問題もございまして、そうしたことも検討しなきゃならぬと思いますが、重ねて申し上げれば、今回のこの大きな大改革に伴いまして、特殊法人問題につきましても、十分今後スピーディーにこの問題についての考え方を取りまとめ、またこうした問題に対する対処もしていく、こう考えておる次第でございます。
○田中(慶)委員 ワンパッケージというのは、確かに今法律が出てないんですからそういう言い方はできないかもわかりませんが、私は、そのぐらい、同時ぐらいのスピードでやらないといけないということをかねがね、今も申し上げているわけですよ。ということは、いいですか、先ほど数字を申し上げたばかりじゃないんですよ、皆さん。
 例えば、特殊法人、認可法人、それから社団法人等々、総数を合わせますと、約三万近いんですよ。そういうものが今日の経済を支えるいろいろな形でできてきたけれども、しかし、それはもう役割の終わったものが相当数ある。だから、そのことを、本丸をやることも大切だけれども、その外堀をしっかりとちゃんとすることが大切じゃないですか。
 私は以前にこのことをさんざん野田大臣に仕込まれてきておりますので、私のずっと言ってきたことを、あなたは感想として、間違っているかどうか、どうか言ってみてください。
○野田(毅)国務大臣 先ほど来、大変感心をし、さすが田中議員がこの問題について新進党時代以来一貫して取り組んでやってこられたことに、改めて敬意を感じておる次第でございます。
○田中(慶)委員 もう時間もありませんが、最後に、地方分権について若干触れさせていただきます。
 地方分権で、特に私は、機関委任事務の問題やこの一連の中で、第五次答申のときに西尾さんが座長をやめられましたね。西尾さんのやめた理由というのは、極端なことを言えば、公共事業の問題やら、この肥大化される今の行政のあり方等々を含めてというようなことも聞いておりますけれども、これらについて知る範囲の中で教えていただけませんか。
○太田国務大臣 西尾教授が部会長をおやめになると辞表を出されていたわけでございますが、委員としてはお残りをいただいておりまして、引き続き、地方分権のことについて我々と一緒にお取り組みをいただいているわけでございます。
 部会長をおやめになるというときには、あるいは先生がお伺いのようなことがあったかもしれませんけれども、結果として、勧告を出されたことについては、もちろん西尾先生も十分納得をされて、いいものが出てきたというふうに考えております。
○田中(慶)委員 時間が参りましたので終わりますけれども、いずれにしても、この行政改革は大変なことであろうと思います。一番行政改革に望まれることは、総理のリーダーシップなんです。総理のリーダーシップを最後に聞かせていただいて、私の質問を終わります。
○小渕内閣総理大臣 全力を挙げて努力をいたしてまいりたいと思います。
○田中(慶)委員 終わります。
○高鳥委員長 次に、石田幸四郎君の質疑に入ります。
○石田(幸)委員 私は、公明党・改革クラブを代表いたしまして、質疑をいたしたいと存じます。
 私は、できるだけ個別の点を含めた個別問題を中心にして、私に与えられた時間は四十五分しかありませんので、各大臣、ひとつ簡潔に御答弁をお願い申し上げる次第でございます。
 まず、この委員会で省庁再編それから地方分権が一括的に今論議が始められたところでございます。この二つの大きな改革をやるのでございますけれども、この改革によって、国、地方の行政は質的にどう変化していくのか。また、この二つの大法案を通すことによって、国民の皆さんにどんなメリットを与えることができるのか。ここら辺をひとつ総理に、基本的な問題ですから、お伺いをいたしたいと存じます。
○小渕内閣総理大臣 今回の中央省庁改革は、行政における政治主導を確立し、内外の主要課題や諸情勢に機敏に対応できるよう、行政システムを抜本的に改めるとともに、透明な政府の実現や行政のスリム化、効率化を目指すものが目的でございます。
 しからば、石田委員おっしゃられますように、具体的にはどういう効果が生まれるかということでありますが、一つは、内閣機能の強化や、副大臣、政務官の導入によりまして、総理や内閣のリーダーシップが強化されるのではないか。また、このことはいろいろ政治の仕組みまで及んでいくのではないかという気がいたしておりますが、いずれにいたしましても、行政の中でしっかりとしたリーダーシップをさらに持ち得る体制になるのではないか。
 また、第二には、一府十二省庁への大くくりの再編成や省庁間の政策協調によりまして、縦割り行政の弊害が是正せられるのではないか。
 三番目には、独立行政法人制度の創設によりまして、行政運営の透明化、自己責任化、政策評価の結果等の公表によりまして、行政の透明化が図られてくるのではないか。
 四番目には、組織整理や公務員の定員削減などによりまして、行政がスリム化、効率化になるものではないか等々の効果が発揮されるものと確信をいたしておる次第でございます。
○石田(幸)委員 次に、予算編成に関連してお伺いをいたします。
 従来は、概算要求、本予算ともに、大蔵省が方針を作成して、閣議決定を経て各省庁に通達をされたという流れになっております。
 今回の改正点では、総理を議長とする経済財政諮問会議が設置されて、予算の基本方針が示される、このように伺っております。また、憲法八十六条には内閣が毎年度の予算を作成し云々とありますので、予算編成の責任は内閣、このように明確になっているわけであります。
 したがって、諮問会議の方針が必ず閣議決定を必要とする、こういうふうに読めるのではないかと思うのですが、まず、この点の確認をいたしたいと存じます。
○太田国務大臣 予算編成に関しましては、予算編成の基本方針を経済財政諮問会議で調査審議をして、そこで案をまとめるわけでございます。
 そして、この経済財政諮問会議は、内閣総理大臣が議長を務め、そしてまた、物によりますけれども、予算の場合には主要な閣僚が全部出席した上で、そこで決めるわけでございますから、それが今度は閣議にかかるときに、もちろんそこにいなかったメンバーもいるけれども、関係の主要な人たちはそこにいるはずでございますから、同じ人が決めるので、大体そのとおりになるだろうということでございます。
○石田(幸)委員 大体そのようになるでは困るのでして、ここは正確にしていただきたいわけでございます。
 しかし、諮問会議の問題について、いろいろ法案を見てまいりますと、この基本方針を答申した場合に、政府の尊重義務というのは法律の中にどこにもないわけです。その諮問会議の決めた方針というものが、いわゆる政府を拘束するという形にはなっていないのですね。
 その尊重義務を明記されないとするならば、この諮問会議の仕事というのは、調査審議のみを行う、こういうことになりかねないわけでございまして、そういうような形でありますと、諮問会議の存在意義及び影響力は極めて小さなものにならざるを得ない。場合によっては、余り意味がないんじゃないかというふうに極論する人もないわけではないので、私は、この尊重義務というものを明記すべきだと思う。
 しかも、かつて自民党におられた水野清さん、いろいろ行革関係の仕事をしておられましたけれども、その方も、やはり会議の意見を最大限尊重するというふうに明文化すべきだということをおっしゃっているわけなんです。
 ここは、どうお考えですか。
○太田国務大臣 おっしゃることはよくわかるわけでございます。
 ただ、予算編成の基本方針を、経済財政諮問会議で案をつくるわけでございまして、その文章に至るまで、これは経済財政諮問会議の委員が書くことになっております。そういたしますと、その文章がそのまま閣議に出てくるわけでございますから、閣議において、そこにいなかった閣僚は、そのときに当然異論を言うことはできるわけであります。それは、予算編成を決定する権限というのはまさに内閣そのものにあるわけであります。最終決定は、閣議でしかこれは決めることができない。
 しかしながら、実は、そこにいる重立った人たちは、その会議の中に入って案をつくる、まさに鉛筆をとって案を書く中にいるわけでございますから、これは審議会とは違います。
 審議会というのは、別の人が、決定権のある内閣のメンバーではない人が、学者や有識者が集まって決めることをどうするか、尊重する云々という話になりますけれども、メンバーの大半が同じなんですから、それはその尊重義務は必要がないということだろうと思います。
○石田(幸)委員 これは閣議とは一緒じゃないのですね。諮問会議というのは、総理が指名する大臣が二人、それから関係機関の長が二人、それで民間の方が四人、これに総理大臣と官房長官が入るわけでしょう。ですから、そういう閣議全体の意見がここに反映されるということはないのですよ。
 しかも、尊重義務がないというようなことになりますと、これはその方針の権威というのはないんじゃないですか。そう思いますが、いま一度御答弁をください。
○太田国務大臣 そこに予算編成の基本方針の案を書くというところが、これは当然その書く人がイニシアチブをとるわけでございます。極端に言えば、内閣総理大臣はその中にいて、その議事をまとめる議長役をしておるわけでございますから、閣議においては、当然、内閣総理大臣がリーダーシップを持って、基本的にその案のとおりになるように閣議を運営されることになると思います。
 ただ、先生、そういうふうに、ここに尊重義務を言えば言うほど、今度は閣議の方が形骸化してしまうわけでございますから、閣議は閣議として意味のある手続でありますので、案をつくるところをきちんと政治主導で案をつくるということと、それからなおかつ、まさに憲法の定めるとおり、予算について国会に対して内閣が責任を負うということの両方が立つようにしなければならないということだと思います。
○石田(幸)委員 しかし、今度はあなたは閣議の話を出されましたけれども、閣議のあり方そのものが問題じゃないですか。いわゆる各省庁の事務次官クラスが調整をして、そして最後は閣議で了解するというシステムになっているでしょう。では、今度はだれが各省庁との調整をやるんですか。諮問会議の皆様方がやるんですか。やったらやったで、またこれはおかしなことになりますよ。やはりそこで事前調整をしてなんということになりますと、諮問会議の基本方針というのは抜本的な力は持ち得ないと私は思う。御答弁いただきたい。
○太田国務大臣 今申し上げましたように、閣議で最終的に決めなくてはならないというのは、これは憲法や内閣法の考え方はまさにそのとおりでございますので、そこの手続を形骸化するわけにはいかない。閣議を形骸化することはできないわけですね。閣議を形骸化するような仕組みはつくることはできないわけでございますので、最終的に閣議の内容をその経済財政諮問会議が全部縛ってしまう、経済財政諮問会議が決めたらば、直ちにそれが閣議決定だということはできないわけでございます。
 そういたしますと、そこに出す案をだれがつくるかというのは、まさにその議論の主導権をだれが握るかということになるわけでございますから、その主導権は、内閣総理大臣やあるいは経済財政諮問会議担当大臣やあるいは官房長官や、場合によっては財務大臣が負うわけでございますから、そのようにして非常にこれはうまくできているんだと思うのでございます。
○石田(幸)委員 私は、うまくできていないのだから質問をしているわけで、もう少しここら辺は明確にすべきじゃないですか。明文化の必要はない、こういう御判断ですか。
 しかし、今、水野清さんの意見も開陳させていただきましたけれども、多くの学者に聞いてみますと、そこのところが問題になっているんですね。やはりこれは尊重義務を明確にすべきだと。それでないと諮問会議の権威というものはない。仮に財政事情が非常に厳しくなってきたときに、基本方針は方針だから、実際の予算を組むときにはこれはしようがないんだというようなことになったら、基本方針そのものが形骸化されるおそれだってないわけじゃないでしょう。明文化する気持ちはありませんか。
○太田国務大臣 この経済財政諮問会議がつくる基本方針はあくまでも案でありますので、それでもって内容が最後まで決まりということになった場合には、これはその閣議の決定権がなくなるということになるわけでございますので、そこは先生もいろいろな場合に御経験おありだと思いますけれども、案をつくって出すということは、決定的にその会議においては出す側が主導権をとれるということになるわけでございますので、そこのところで担保されている。審議をしてその案をつくるのがそこだということに、大きく見ていただきたいと思うんです。
○石田(幸)委員 そろそろこの議論はやめたいのですけれども、今もちょっと申し上げたように、いわゆる閣議というのは、もう調整が済んだ問題を閣議で決めていくわけでしょう。では、諮問会議の基本方針というもの、各省との詰めは一体だれがやるんですか。だって調整しなきゃならぬわけでしょう、調整したものが閣議にかけられるわけですから。
○太田国務大臣 各省との調整は、その案ができるまでに十分に取り入れられていると。長期計画、例えば社会保障の長期計画あるいは全国的な総合開発計画なども同時に取り上げられると。それらの五カ年計画などがつくられる場合に、前もってその経済財政諮問会議が関与できるようになっておりますので、そこで全省の整合性というのは、その案をつくる段階でそれは確保されるというふうに思っております。
 それから、閣議の事前の調整というのは、これは実質的な手続でありまして、閣議で、その場になって本当に議論をしたってちっとも構わないわけでございますから、事前に調整が済んでいなければいけないということは法制度上あるわけではありません。
○石田(幸)委員 それはしかし、おかしいですよ。
 一方、財務省になる場合の条文をずっと見てみますと、やはりこれは、予算及び決算を作成すること、こういうふうになっておるわけですね。だから、一見しますと今までと変わらない。今までの大蔵省と変わらない流れの中で予算、決算をつくっていくということですよね。
 そうすると、この諮問会議との関係性というのは、この尊重義務を明文化しない限りは、横並びの、そういうふうにも読めるわけです。この議論はいつまでもやっているわけにいきませんが、私は、そこに諮問会議の今後のあり方の問題として尊重義務を明記すべし、このことを強く御要求を申し上げておきます。この議論はこれまでにしておきます。
 それから、私は、地方事務官、厚生事務官の問題について、提言を含めていろいろ質疑をいたしたいと思います。
 総務庁長官、地方分権の基本方針というのは大ざっぱに分ければ二つあるだろうと思うんですね。できるだけ権限、財源を国から地方へ移譲することによって地方自治を進める、それからもう一点は、生活に身近な行政は主として地方自治体が担う、ここら辺が基本だと思うんですが、御確認の意味で答弁をいただきます。
○太田国務大臣 ちょっとよく的確に理解していないかもしれませんけれども、地方分権の中で今回一括法でやろうとしていることは、従来の機関委任事務を国と地方の間で分けて、そして地方事務官の制度というのは国の方で引き取ってやるということでございます。それは双方の、国と地方の間の仕事をきちんと区分するということにこの一括法は最大の意義があったと思います。
○石田(幸)委員 地方分権推進委員会の第三次の勧告というのは、国の直接執行事務にすると。片や地方六団体は、法定受託事務の上、地方公務員で処理すべきだ、こういうふうになっているわけですね、今までの議論は。
 それで、昭和三十五年ぐらいのある委員会のいろいろな議事録を読んでみますと、地方事務官というのは経過措置だ、このように一つありますね。本来は、当然、都道府県の職員になるべき者であるけれども、当分の間、一応そういう措置にするということで、本来の趣旨は都道府県の職員にするというのが法律的な解釈、後は臨時措置、経過措置、その経過措置がもう三十年も四十年も続いて今回の改革になるというようなことなんです。
 しかし、実際、聞いてみると、これらの人たちは県の身分証明書を持って市民と相対しているわけです。仕事をしておられるわけですね。これはいろいろな主張があるんだと思うんですけれども、問題は、今までの経過を見ても、例えば学校の職員の方々、学校の先生を含めたそういった人たちも、かつては地方事務官というんですか、国家公務員であったんですけれども、今は完全に地方の職員ということになっておる、こういう状況もありますね。
 そこで、問題の観点というのは、国でもう一遍国家公務員ということを明確にして、その影響を受ける市民、国民が一体どんなメリットがあるのかというところがこの問題の論争点ではなかろうかな、こう思っているわけです。私は、現在やっている地方事務官制度が地方公務員に変わっても何の実害もない、こういうふうに思うのでございますけれども、ここら辺はやはり厚生大臣でございましょうか。
○宮下国務大臣 今委員が地方事務官について御指摘のございました何点かの点について御答弁申し上げたいと思います。
 三十五年の三十四回国会におきまして、東京都知事をなされました鈴木俊一さんを参考人として呼ばれたときに、地方公務員であるべきではないかという意見の開陳がございまして、当時の保険局長が、社会保険行政の事務は国家の事務の色彩の強いものであって、全国的視野において、また全国的な画一性を保持しなければならない、したがって、これに従事する職員については国家公務員であることが適当である旨を答弁しております。
 それから、身分証明のことでございますが、確かに身分証明はそれぞれ一律でございませんで、簡単に申しておきますと、地方事務官に対して県職員と全く同一の身分証明書を発行している県が、東京都を含めて八都道県に及んでおります。それから、それ以外の三十九県は、地方事務官に対して県職員の身分証明書は発行されていない県でございますが、うちの七県は地方事務官である旨を明記している県がございます。そして、残りは、上記の者は社会保険職員であることを証明するという身分証明、これは私確認いたしましたが、そうなっております。
 それから、身近な仕事は自治体でどういうメリットがあり、変えてどういう実害があるんだという御指摘でございますが、国の年金業務、社会保険事務所でやっておりますのは厚生年金とそれから政管健保等でございます。これは国が一体的に運営しておりまして、これの経営的な努力その他責任がありますし、また全国的な視点でやらなくてはいけない、そういう視点に立って国の業務として行うことが適当ではないか、こう考えておるわけです。
 そして、実際上事務官は国家公務員なんですね。地方事務官という呼称だけで、今詳しく申し上げませんが、なかなかわかりにくいのでちょっと御説明しますと、身分は国家公務員でございます。採用も国家公務員です。それから国家公務員法の適用があります。給与も全部国が見ます。それから施設も国です。ところが、実際にはそれじゃ地方事務官はどういう特色があるかというと、県知事等が、指揮監督権限はございますが、ほとんど実効性はない、こういうことでございます。
 したがって、私どもは、今回これを国家公務員にしていただいた方が本来の筋ではないか、地方自治法の二十二年の制定当時の暫定的な姿を解消したいということで御提案申し上げておるわけでございまして、実際の運用については、確かに今のやっておることとそんなに事実上変わりませんが、今後統一的にやるためには、やはり例えば機械化、合理化その他を統一的にやる必要がございます。そういう場合に、法定受託事務で県ごとにばらばらでは非常に困るわけでございまして、そういった点等を含めまして今回お願い申し上げている、こういうことでございます。
○石田(幸)委員 教職員が地方公務員になって何らかそこに大きな誤りがあったか、不便性があったかというと、全くないわけでございますので、その横並びということも考えてしかるべきだろうと思いますし、また社会保険行政に対する地域住民のさまざまな要望等がありまして、そういったものが地方自治体のいわゆる議会でもいろいろ議論をされておる。国の直轄ということになればそこら辺の議論が低下してしまって、いわゆる国民の声が中央になかなか吸い上げられない、そういう現象もあるということを十分銘記の上、今後私も議論を継続させてもらいたいというふうに思います。
 それから次に、環境行政の問題についてお伺いをいたしたいわけでございます。
 まず一つは、総務庁長官に、環境省に昇格をするというのでございますが、いわゆる環境行政の軸になる役所が千人程度では、私は非常に寂しいんじゃないのかと。大気から、水質汚濁の問題あるいは産業廃棄物の問題、国土保全、もう産業、社会、万般にわたるわけですね。これは総務庁長官というよりは環境庁長官にお伺いした方がよろしいと思うんですけれども、環境省そのものを強化する、そういう方針はございませんか。
    〔委員長退席、岩永委員長代理着席〕
○太田国務大臣 環境庁長官からも後で答弁があろうかと思いますけれども、環境省につきましては、この省庁再編の中で最もそういう削減、スリム化という意味では優遇された官庁でございます。局が一つも減らなかったのは環境省と外務省の二つでございます。
 それを超えて、今の千人ではどうかというふうな御意見もあろうかと思いますが、当面はこういうことでもって出発をさせていただきたいということでございます。
○真鍋国務大臣 今総務庁長官からもお話がございましたけれども、今回の中央省庁再編成の問題につきましては、中央省庁等の改革推進本部とか総務庁から前回の行政改革の答申があった中での事の推移が行われておると思うわけであります。
 私は、今先生からお話ございましたように、環境省に昇格するのに際しまして、また今日的に課題が山積しておるわけでありまして、千人程度の問題では、私はこの環境行政をせっかく推進していくには人員不足だ、こう思っておるわけであります。人員は、私は、省庁再編成の中でございますので、リストラを要求されておるわけでありますから、多く望むことができませんけれども、各省庁内での整合性を図っていただいて、環境庁はやはり倍増計画でもって事の処理に当たらなければならない。
 これは一省の問題でなくして、バランスのとれた感覚でもって私はこのお答えをしておる、こう思っておるわけでありまして、御協力方をよろしくお願いしたいと思います。
○石田(幸)委員 そこで、昨年ですか、林野庁が大幅に方針を変えた。今まで国土保全が五〇%、それから営林関係が五〇%、それを、とてもじゃないけれども、このままでは赤字がどんどん増大をしてしまうので、また森林というものの考え方にもよるでしょうけれども、営利事業は二割に削減をするというふうになりました。いわゆる国土保全という目的が八〇%になっているわけですね。
 さらに、国有林の実態というものを概括的に見ますと、いわゆる木材というものは大体六十年から八十年経過しなければ売却の対象にならない。ところが、現在の国有林の中心は四十年程度の生育だと聞いております。したがって、売却するまでにさらに二十年、三十年はかかるわけで、そうなれば営利事業というよりは国土保全に力が入るのは、理の当然でなければならない。しかも、国有林というものは標高千メートル以上の高いところにある、その下は多く民有林であるというようなことになっているそうで、そういう標高千メートル以上に多く存在する国有林ならば、これはやはり大気の問題、水の問題等を考えてみても、あるいは国土という問題を考えてみても、本来切るべきではない。
 そこで、いわゆる方針転換を行われたわけですから、私は、この際思い切って環境庁が国土保全を軸とした新しい森林行政というものを担当すべきではないか、こういうふうに思います。
 時間がありませんから、まず官房長官、お答えをいただきたい。それから環境庁長官にお答えをいただきたい。農水を除外すると不公平になりますから、農水大臣にも答弁をちょうだいいたしたいと存じます。
○野中国務大臣 お答えいたします。
 石田議員が環境行政と特に林野のあり方について国土保全、環境保全の見地からただいま申されました意見は、非常に重要な意見だと考えるわけでございます。
 ただ、政府といたしましては、小渕内閣は中央省庁再編の基本法の枠の中で省庁設置法案を提出させていただきまして、林野行政は全体として農水省の所管事項になっておるわけでございますので、政府提案の立場から、私どもとしては、具体的に今委員の御意見に即答をさせていただくことはお許しをいただき、ぜひ農水省担当の原案を御審議賜りたいと存じておるところでございます。
○真鍋国務大臣 環境庁は、誕生いたしたのは昭和四十六年でありまして、いまだ二十八年の歴史しか持っていないわけであります。今までの縦割り行政の中においてやはり既得権の問題が生じてきておるわけでありまして、環境庁で環境、森林保全という面に着目いたしましても、それはなかなか着手できなかったのが現状でございます。私は、今、農林、森林関係の行政を見ましたら、やはり時代的な変革はあるわけでありまして、その中で対処していくのが今日的行政じゃないか、こう考えておるわけであります。
 そこで、私自身は、今回、中央省庁等の再編成の中でこれが論議されておるわけでありますが、先ほど申しましたように、一応答申は答申として承らなければならないけれども、そういうことを念頭に置いて、林野の部門と共管的な体制でもって事を進めていきたい、またそのようにもうたわれておるわけでありますから、その辺をしっかりした軸足でもって事の処置に当たっていけたらば、こう考えておる次第であります。
○中川国務大臣 国土の六割を占める森林そして日本の自然条件を考えたときに、森林を守っていくということは、国土保全あるいは人々の暮らしにとって極めて大事なことでございます。
 そういう中で、先生御指摘のように、昨年、国有林の公益的機能を四五%から八〇%に上げるということを決定いたしました。これはまさに国土保全という意味でございますが、そのほかにも、森林には多面的な機能といたしましていろいろな部分があるわけでございます。そういう意味で、森林をしっかり守っていくということは、やはり植林あるいは間伐、施業、いろいろな手間がかかるわけでございまして、特に民有林の方ではこれを一体的にやっていかなければいけないという問題もございます。
 それから、農地と非常に密接しておりますし、また農家と林家が一緒にやっておるという部分もありますし、また自然条件あるいはまた技術面あるいは土地利用の規制面等々、やはり農林一体でやっていくことによって農地そして林地が一体的に整備されていくというふうに考えております。諸外国でもほとんどの国々が農林一体の行政を行っているところであります。
 もちろん、環境行政の重要性も十分わかっておりますので、環境庁と十分密接な連絡をとり合いながらやっていくということで、ぜひ原案のとおりで御理解いただきますようにお願いいたしたいと思います。
○石田(幸)委員 私は、この問題をもう少し議論したかったのですが、時間が余りとれません。一般質疑においてもう一回やらせていただこうと思います。
 最後に取り上げる問題は、先ほどからもいろいろお話が出ているのですが、行政コストの削減の問題でございますので、総理並びに大蔵大臣にお伺いをいたしたいわけです。
 この省庁再編を閣議決定されたのと同時に、三〇%のコスト削減の方針を閣議決定されたわけですよね。総理、そうですね。それは前から総理はそういうふうにしたいとおっしゃっていましたから、指導性が発揮されてそういうふうになったんだと思うのですけれども、しかし、このコスト削減の内容を見てみると、これは全然だめですな。
 もちろん、各省庁が少しずつ努力をするというのは当然のことでございますけれども、それは、いわゆる従来の手法の延長線上に、電子化とかあるいは期間の延長であるとか、そういうようなことがずっと羅列されているのですね。ボクシングでいえば、ジャブを集大成したようなものであって、なかなか三〇%のコスト削減に対する必殺パンチにはならないわけですね。
 しかも、問題なのは、これらの方針が出て、では、二年やったときにこのぐらいの数値が出るでしょうと、三〇%のものが二五%になるとか、そういう数値は出せないでしょう。どうですか、総務庁長官、出せないんじゃないですか。
○太田国務大臣 本来総理がお答えすべきことかもしれませんが、これは一種の行政コストを削減する運動として、総理のイニシアチブで行政各部に対して指示をして、それに対して答えが返ってくるという、政策イニシアチブという言葉を使っておられますけれども、そういうことであろうかと思っております。それで、数字でもって合計した数が幾らというふうに出てくるものではないということだろうと考えます。
○石田(幸)委員 ですから、総理、これは非常に難しいわけですよ。だから、皆さんがおっしゃっているのを私は一〇〇%否定するなんという気持ちはないのですけれども、やはりこれだけ赤字国債を発行している中でございますから、そういった意味で、財政の、本当に国民に見える形で努力した成果というのは出てこなくちゃいけないんじゃないか。この方針を見ている限りにおいては、国有財産の売却等の問題というのは全然触れられていない。性格が違うといえば違うのでございますけれども。
 いわゆる政府税調の加藤先生ですか、あの方の試算したところによりますと、要するにこれは大変な対象金額ですよね。国の資産が大体四百十何兆ある、それを、減価償却したものが半分と見て、さらに、売れないものもあるだろうから、売れるものは百兆円ぐらいある、こういうふうに政府の税調の会長さんがおっしゃっているわけだから、これだけ赤字財政が続いて苦しんでいるときに、そういうものを積極的に処分するという決意が私は大事だと思う。
 総理も国有地の調査を命ぜられている。その処分の金額も、三十数兆円の国有地の中で、一兆円をはるかに下回ってしまうのですね、今の計画では。そんな消極的なことで私は今日の財政危機を乗り切ることはできないのじゃないかと思うのです。これは総理からまず御答弁をいただきたいと思います。
    〔岩永委員長代理退席、委員長着席〕
○小渕内閣総理大臣 まず、行政コストの三〇%削減につきましては、私、まだ総理になる以前に、党として選挙におきましてこのようなことを主張いたしまして、総理に就任いたしましたので、この実行方につきまして検討させていただいておるところでございます。
 石田先生御指摘のように、これを具体的に数値で直ちにあらわすということはなかなか難しいことでございますが、まずは単年度の予算におきましても、あらゆる角度からこれを各省庁検討させていただきまして、できる限りの削減をし、十年間に三〇%を目指していきたいというふうに思っております。
 それから、御指摘のありました国有地の問題につきましては、どのようなものが存在するかということにつきましては、就任当初これを検討させていただいておりまして、その具体的なものにつきましても順次明らかにさせていただいてきておるところでございますが、国が持つこの大きな財産をいかに処分をしながら、財政に対しましても貢献できるかということも含めまして御指摘がございました。十分これからさらに検討させていただき、結論に導いていきたいと考えております。
○石田(幸)委員 運輸大臣、政府が保有する株式の問題で、JR関係が全部で四百九十七万株あるわけですね。今まで、できるだけ近い将来に早く処分をしたいとは言うものの、答弁はいつもその繰り返しなんですけれども、単に市場だけを眺めていたのでは、これはなかなか処分できないということになりはせぬか。もう少し時期を明確にできませんか。これだけでも全体で二兆円やそこら辺は出てくるはずですからね。
○川崎国務大臣 JR株の売却の問題でございますけれども、二つの側面があると思っております。一つは、六十二年の国鉄改革の精神、完全民営化というものを早くなし遂げる。そのためには、株を売却し、そして国会に御承認いただいてJR法を改正していく、こういう作業が一つございます。
 もう一方で、先ほどから御指摘いただいております、株を売却して、結果としては年金の財源になってまいります。したがって、安定した年金財源という意味ではなるべく高く売りたいというのは本音としてございます。しかしながら、今申し上げました第一の要件から、なるべく早く売却をしたい、株式市場の動向を見ながらしたい、こう思っております。
 同時に、貨物と三島、これの上場問題、そうしませんと今言われた数になりませんので、何とか十三年には上場できるように、それまでに、逆に言えば本州三社の問題については、今申し上げた国会での承認ということまで、法の改正までこぎつけたいなという気持ちではおります。
○石田(幸)委員 もう時間が来たから終わりにしたいと思いますが、最後、大蔵大臣に、私は二月の予算委員会でもいろいろ申し上げたのですけれども、今地方の財政というのは非常に厳しいわけですよね。その都度その都度手当てをしながら来ているのでございますけれども、地方財政の基本というのはいわゆる地方税、交付税、それから補助金、それから起債、この四つの仕組みがそれぞれもう行き詰まっているわけですよ。これを改善せずして地方自治体が新しい時代に向かうことは私はできないのではないか。
 ここに希望がなければ、この財政の問題に希望がなければ市町村合併も進まないわけで、そんなことで、私ども公明党としましては、本格的なそういうような税制を含めた国と地方のあり方というのは非常に複雑で難しいけれども、今立ち上げなければ、二年後、三年後に立ち上げたのでは、この議論をしているうちにまた十年は過ぎてしまうな、こんな危惧を持っているのでございますけれども、何とか早く始められることはできないでしょうか。
○宮澤国務大臣 その問題についてはいつぞやもお尋ねがございましたのを記憶いたしておりますが、かつても申し上げましたように、我が国のこのような財政状態というのはとても長く続けられるものでありませんで、少なくとも我が国の経済の成長が正常になることが確実になった時点、せいぜい年二%ぐらいがサイクルとして続けていけるということになりましたときには、どうしても財政の根本改革をいたさなければなりませんが、そのときには税制も、中央と地方との関係、財政的な関係でございますが、これも一緒にやってしまいませんと二十一世紀に対応した形ができないであろうと思っております。
 殊に、財政のときにはよく行財政のと申しますが、行政の方がこのたびこういうふうに改革の道が開いてまいりましたので、次にはやはり財政がそれと一緒に行われなければならないと思っておりまして、それは早い方がいいとおっしゃいますことは御無理もないことですが、経済の姿が仮にもうちょっとはっきり成長路線に乗ってということになりましたら、早速それに取りかかるべきではないかというふうに思っております。
○石田(幸)委員 これで終わります。ありがとうございました。
○高鳥委員長 この際、若松謙維君から関連質疑の申し出があります。石田君の持ち時間の範囲内においてこれを許します。若松謙維君。
○若松委員 引き続き、石田委員の関連質問で、公明党・改革クラブを代表して質問させていただきます。
 昨年の中央省庁改革基本法の審議におきまして、特に行政評価、かなり重要な審議の課題となりました。その成果をもとに今回の設置法案にも、特に総務省、この行政評価というところを省の主な仕事ということで取り上げられました。その御努力には敬意を表する次第ですけれども、では、日本の行政改革の進捗状況はどうなのかというところをぜひともグローバルスタンダードから比較してみたい、そう試みて表をつくりました。
 ちょっと字が小さくてNHKの方には大変恐縮ですけれども、まず日本の場合には、法律に関しては、特に行政評価の中身を規定する法律がございません。総務省と各府省に所掌事務としての規定があるだけで、行政評価をやる、それだけです。それに対してアメリカ合衆国ですけれども、一九九三年に政府実施結果法というものをつくりまして、明確に今行われております。
 さらに、方針ということですけれども、既に米国は予算偏重から結果重視へと転換しております。いまだに日本は予算偏重ということで、予算を決定する大蔵省がその使い道をチェックしていない、そういう状況でございます。
 そして、対象ですけれども、アメリカは原則としてすべての政策が行政評価の対象となっておりますけれども、日本はまだまだ限定的なものでございます。
 実施者ですけれども、アメリカは、いわゆる日本で言う大蔵省、これからの財務省、そこが、予算編成権というものが既に行政管理予算庁に、いわゆるOMBというところに移っております。そこと監察総監、いわゆるゼネラルインスペクター、各省庁にこのゼネラルインスペクターが外部から任命されまして、その人がきちんと責任を持ってそれぞれの省庁の行政評価を、先ほどの一九九三年法に基づいて実施しているかチェックをしております。その報告は後で御説明いたしますけれども、それに対して、日本の場合には予算編成は財務省で、そして実際そのチェックは総務省ということで、どちらかというと一貫性がございません。
 さらに、報告ですけれども、日本の場合には白書というもの、それに対してアメリカは先ほどの九三年法に基づいた実施報告書、これをつくっております。
 では、その中身は何かということですけれども、アメリカにおいては、国民の知りたい行政目標と結果、ところが、日本の白書を見ますと、行政側が伝えたいサービスの内容の説明、簡単にこう説明できると思います。
 では、ちょっと具体的に、これが、一九九八年にアメリカでできました新しい社会保障省、SSAと言っておりますけれども、ここの実施報告書。これを、ことしのゴールデンウイークにアメリカに調査に行ってまいりましたので、そのときに入手してまいりました。そこの、先ほどの行政評価というところを、また事例を説明しながら御説明させていただきます。
 まず、先ほどの九三年法律によりまして、SSAとしては五つの目標を設定いたしました。時間に限りがありますので、そのうち一部を御紹介します。五十七項目、これがいわゆる国民の知りたい情報であろうというところでSSAが調査をして、それについて目標と実績、その比較を行った資料でございます。
 まず、2ということで、契約者への、契約者というのは、社会保障のいわゆる基金を、例えば日本で言う年金掛金、これを払っている契約者です。それへの迅速な対応と世界標準レベルのサービスの提供をするということで、顧客満足度、五十七項目のうちの二十一項目として、SSAサービスに対する国民評価、よい及び非常によいというのが、九六年実績七九%が九八年実績で八二%で、九九年計画で八七%にしよう、こういう形で、二十二番は、SSA職員の丁寧さに対する国民の満足度という結果及び計画。
 さらには二十三番は、SSA郵便の、いわゆるSSAから出る、例えば日本で言う年金の支払い額の通知書とか、そういった郵便の中身が、情報が明確かということで、それに対して満足であるまたは大変満足ということで、九八年実績で八一%の国民が満足している、こういう情報です。
 それでは、3ですけれども、社会保障省の制度管理が、不正、誤謬を生まず、最適な事業であること、これは三十八番、特に、老齢年金または遺族年金、障害年金、いわゆるOASIとあちらで言いますけれども、その支払い額が正確に行われたかどうか。いわゆる過大支払いがなかった、正確に行われたという意味です。それが九九・八%。これは九九年計画ですね。過小支払いなし、これも九九・八と、かなり正確です。
 御存じのように、日本は、日本の会計検査院は、特にこの過大支払いがなしということで、いわゆる過大支払いがある場合の金額を指摘しております。
 それはそれでいいのですけれども、その過大支払いの前に、四十四番を見ますと、未払い保険料、日本でもまだたしか三分の一が国民年金を払っていないという人がいる。それに対して徴収努力をどの程度行っているか。そういう観点から、年次増加率ということで、かなり増加しております。九八年実績が、やや特殊な事情がありましてこういういびつな数字になっておりますけれども、その説明もされております。
 四十五番ですと、過払い回収金額ということで、九九年計画では日本円で二千四百億円。これを、一度払った過払いの金額を戻そう、そんな努力。
 さらには五十七番は、社会保障制度の情報提供が非常によいまたはよいということで、アメリカの場合には約六割弱の人が満足している。
 では、これに対して日本の情報はどうなのかということで、これは日本の厚生白書です。日本の厚生白書は、ではどういったものかというと、これは、その社会保障部分に関するところの項目だけをピックアップいたしました。
 そうしましたら、社会保障の構造改革ということで、改革の必要性とか方向とか、そういう、行政が何をやっているかという情報は提供しているのですけれども、では、国民が知りたい情報はどういう状況なのかというところに対しては、何ら説明しておりません。
 ということで、簡単に比較しますと、ここにも書きましたけれども、まず、この行政評価に関しまして、要約いたしますと、アメリカは国民のニーズに合わせた報告内容をちゃんと出している。それに対して日本は、行政側からのサービス内容の説明報告なんですね。いわゆる行政側から、これを国民知ってくれと、一方的な情報提供とも言えると思います。
 こんな状況で、いろいろと私も考えたのですけれども、今回の中央省庁設置法ですけれども、やはり行政評価というのは今回の行革のかなりの目玉なはずです。それはずっと今まで議論してわかっていると思うのですけれども、やはり今の設置法での、行政評価をやりますだけではなくて、それを実効たらしめるアメリカのような、またイギリスではもう数年前からネクスト・ステップという数十に及ぶエージェンシーが、先ほどのアメリカの目標そして実績、これを比較して国民に提供しております。
 こういったものを担保させるような法律がやはり必要と考えますけれども、これは全省庁にまたがる話ですから、まず総理大臣に聞きますけれども、今の、日本のこれからやる行政評価、まだ見えないわけです。だけれども、アメリカの、いわゆる国民のニーズという観点から行政評価というものを行っていくということに対して、総理はどのようにお考えになりますか。評価されますか。やはり日本もそういった形の、国民のニーズに合わせた行政評価というものを定着させよう、そういう決意がおありですか。いかがですか。
○小渕内閣総理大臣 国民の税によりまして行政すべてこれを運営しているわけでございますから、そうした観点からこれを厳しくチェックし、以後、どのような行政が効果があったかということを検討することは重要なことだと思っております。
 一つは、行政内部でいたすこと、それからまた国会でも、予算についての決算に対しまして十分な目で見張っていただいておることでございますが、個々の具体的な行政行為について、今米国の例を御研究されましてお示しをされました。どのような形で我が国でいたすべきか、また、いたしておるのかにつきまして十分なことを掌握いたしておりませんけれども、方向としては、きちんとこうしたことを行いまして、そして、そのような成果について公正な判断を下し、そして、事後の行政に指針を示すということは必要なことではないかと考えております。
○若松委員 私の持ち時間が四十分しかございませんので、今のアメリカの制度の質問で十二分使ってしまいました。
 それでは、行政評価をだれが行うかですけれども、これも、日本の総務省の所掌事務には、先ほどのいわゆる行政評価委員会なりがやるのですけれども、各省庁に国会同意人事による外部からの人をつけて、その人がスタッフを持ってみずからの行政評価を行っていく、これは絶対に必要だと思うのですけれども、これについては太田長官で結構です。
○太田国務大臣 評価の主体をだれにするかということはあるわけでございます。
 今の中央省庁改革では、それぞれの省庁がみずからの政策を評価するということでございます。特に独立行政法人についてはそういうことになっているわけであります。その上に、そのような評価をしている各省庁を総務庁がダブルチェックする、総務省に設けられました行政評価の委員会がこれをチェックするということになっているわけでございます。
 それが国会同意人事でなくてよいのかということでありますが、委員も御専門でございますから、これは外部評価なのかどうか、外部監査なのかどうかということでございます。
 これは私は、内閣総理大臣にかわって、内閣総理大臣は内閣全体を見るわけでございますから、内閣総理大臣のもとで、例えば内閣府という役職は企画立案、総合調整の役割を担う。そして一方で、総務省というのは、同じく内閣総理大臣の気持ちを体して、行政全体が本当にうまくいっているかどうかということをチェックするという責任体制でございますから、むしろ内部チェックのようなことになろうかと思います。本来の外部監査に相当するところは、やはり立法府のお仕事ではないかというふうに思うのでございます。
○若松委員 今日本は、例えばこれだけバブルが崩壊して、なかなか日本の金融はよくならない。まず決算の世界で、損切りができないのですよ。それは、会計士も弱い。責任を感じています。大事なのは、いかに今第三者チェックを強化するかということなんですよ。ですから、それぞれの省庁で、省庁の人がみずから任命を受けて自分の政策をチェックしろといっても、しょせん限界があるのです。
 だからこそ、少なくとも各省庁のチェックをするいわゆる監察総監は外部から任命する。それも国会同意人事をする。さらに、アメリカの場合には、GAOも国会に帰属している。さらに国会の委員会のチェックもある。こうやって、三段チェックをやっているわけですよ。やはり、そのくらいしないと本当に国民が期待する真の情報は出てこない。そうじゃないですか。総理、どうですか、今の私の論理は間違っていませんか。
○小渕内閣総理大臣 先ほど申し上げましたけれども、厳正なチェックを行って、いやしくもむだなことが起こり得ないようにということのシステムとして、いろいろなことを考慮するということは当然だろうと思いまして、今般も日本におきまして行政監察局を行政評価局として改組し、その中で、今委員が御指摘のような点につきましてもより効果的な評価を行うことが可能となるように、これから努力していかなければならぬと思っております。
○若松委員 そのためにも、ぜひ行政評価法の設置、我が会派としては、早急に議員立法なりして、大勢の議員の同意を得て法案化したいと考えております。民主党さんも大変協力的だし、自民党の大変前向きな方も協力的ということを伺っております。それについてはいかがでしょうか。
 行政評価法、これはやはり法律をもって、ですから今回、行政評価は口だけであって、やりながら試行錯誤をするのでは何もできないのですよ。しっかりと戦略的に、こういうことをやるという枠組みをつくって、そのための法律をつくって、それで実施する。それしかこの行政評価が成功する、または欧米でやっている行政評価を中身あるものに、今から日本が始めるわけですから、十年、十五年おくれているのです、それをキャッチアップするためには早急に法律をつくる、それでやる。いかがですか。
○太田国務大臣 最終的に、そういう法律をつくる必要があるかということは考えなければならないと思います。今は、とりあえず今のこの中央省庁改革基本法の中で始めさせていただきたいということでございます。
 そのような法律について、必要があるということになればそれはつくることになるわけでありますが、アメリカの場合も、私も、まだ試行錯誤の状態ではないかと思います。もちろん、我々が何もないのに人のことを論評はできませんけれども、やはり今試行錯誤をしておるのだと思います。特に、数値化できるということがもしあれば、さまざまなことが確定的に言えるのですけれども、数値化できない部分が相当ありますので、そこは十分、先生、また各議員の御意見も伺いながら、よいものをつくっていかなければいけないということではないかと思います。
○若松委員 それでは、官房長官、もしよろしかったら。済みません、質問通告していないのですけれども。
 先ほどの白書、これは、さまざまな省庁が白書をつくっております。どこの白書も基本的には、行政が何をやっているかという行政情報の、悪い言い方をすれば押しつけ。そうじゃなくて、先ほどのアメリカみたいな、またはイギリスみたいな、国民がこういう情報を知りたいのだという形の情報を追加すべきではないか。せっかくこういうすばらしいものがあるわけですから、そういう観点から全省庁に大号令を発する御決意はございますか。
○野中国務大臣 私がお答えすべき立場にないと思うのでございますけれども、いずれにいたしましても、委員御指摘の、政策評価をいかに正確に取りまとめてこれを国民に開示するかというのは、行政に与えられた重大な責任であると考えるわけでございます。省庁再編の中で、私どもとしてもよく勉強をしてまいりたいと考えております。
○若松委員 では、総理は当然閣議の中心者ですから、そういう情報を出しなさいと。それは総務庁長官も立場にあるのでしょうけれども、失礼な言い方ですけれども、しょせんは調整なんですよ。
 ディスクロージャーというのは、後でまた触れますけれども、やはりリーダーシップの仕事なんですよ。財務部長がやるとか、財務担当取締役がやるとかじゃないのです。これからのディスクロージャーというのは、リーダーシップ、社長、会長がやる仕事なんですよ。そういう意味で、国民が、今の行政情報、いわゆる国民の側から見た、こういうものを知りたいというニーズが非常に高まっている。そこに対して総理大臣としてリーダーシップを発揮して、全省庁に、皆さん、議論しながら、検討しながら、本当に国民が必要とする情報を出しなさい、そういう大号令を出せる唯一の方なんです。
 そういった観点から、行政評価法の必要性、そしてこういう白書にまさに国民のニーズに基づいた情報の提供、いかがですか。
○小渕内閣総理大臣 行政評価法につきましては、総務庁長官のお話がございましたが、現時点において、直ちにこれを制定するという状況にはなかなか立ち至っておらないかと思います。がしかし、各省庁におきまして、十分そうした国民の要請にこたえ得るように、全力を挙げて努力をしなければならぬことも事実だと思います。
 また、白書についての御指摘がございました。
 すべて、白書というものが国民の目に触れた場合に、どういう見方ができるか。その中に政府としてのディスクロージャーの点で十分でないというような点があるとすれば、そのことについては、政府としては、より公開の原則に基づいていたしていかなければならないと考えております。
○若松委員 時間がありませんので、きょうは総括ですから大ざっぱに触れる程度ですけれども、いずれにしても、こういった形の行政評価の結果報告書、これはやはり、先ほど田中慶秋議員も主張されたように、独立行政法人とか特殊法人といったところにも、同じような観点からの報告書をつくらなくてはいけないと思っております。それについては総務庁長官は努力されますか。
○太田国務大臣 評価の結果をディスクローズして、それを国民が批判できるようにするということは、この仕組みの中で一番大事なポイントではないかと思います。
 おっしゃるように、白書のように、自分たちが国民にPRしたいことだけを書いておるというようなことがこれから許されるはずもない。そこは大いに、有価証券報告書のように、あるスタンダードにのっとって報告できるようにしていただかなければいけないし、そういう役割を、各省庁が出してくる白書ではなくて、今おっしゃる報告書のたぐいについては、新生の総務省がそこは厳しくチェックをすることになろうかと思います。
○若松委員 結局、説明しましたけれども、つくるのですか。何か努力されるような感じでしたけれども、これはしっかりやってくださいね。よろしくお願いしますよ。きょうは国民の皆さんがテレビで見ているわけですから、本当にそういう国民のニーズに基づいた報告がされるか、ちゃんと監視されていますからね。よろしくお願いします。
 それでは、あと時間が十六分しかございませんので、今度は、特に財務という観点からの行政評価、政府の決算制度について、またパネルを使いながら説明をさせていただきます。
 では、アメリカと日本の政府の決算制度を比較しますと、アメリカはまず、どういう基準で決算をするかという政府会計基準が明確にございます。約十年かけて、今は六つの会計基準を設定しております。しかし、日本はそういうものがございません。
 今度は決算開示方法ですけれども、アメリカは、六十の省庁、さらにいわゆる外庁、エージェンシー、これをすべて連結決算しておりまして、日本がつくっている単なる収支報告書だけじゃなくて、貸借対照表さらに純政府コスト表、さらにはGAO、会計検査院の監査報告書もついています。九八年度は残念ながら意見差し控えでしたけれども、努力しております。
 それに対して日本は、一般会計の収支報告書のみです。特別会計は個別に、ばらばらにやっている。結果的に、日本は統合的な、統計的な財務情報がないのですよ。
 では、今度は財務情報の基準ですけれども、日本は相変わらず現金の出入りの結果の、先ほどの収支報告書、一部、特別会計に貸借対照表がある。
 それに対してアメリカは、イギリスもそうなのですけれども、先進国はみんなそうですよ、発生主義で、政府が本来資産として計上すべき、例えば特殊法人の出資、融資した金額、それが今回収可能価値が幾らなのか、そういう再評価もしております。さらには将来負担の支出計上額も出ております。
 それに対して、では政府の決意はどうなのかというと、ここに一九九八年五月二十六日大統領令というのがございます。そういうことで、これが大統領令の覚書です。これに基づいて昨年の五月に大統領は、九九年度の政府の連結決算において私は必ず会計検査院から、GAOから適正な監査報告書をもらうすばらしい決算書をつくりますと、大統領みずからが覚書として国民に約束しております。これは総理の仕事ですよ。大蔵大臣のレベルではないのです、今は。大変失礼な言い方ですけれども。
 それについて、では具体的にどの程度日本とアメリカが内容が違うかということを、またそれを見てやりたいのですけれども、これがいわゆるアメリカの決算書です。連結決算です。五十数ページ。これは日本の概要で、決算書です。十数ページ。これのさらに厚いものがあるのです、一センチぐらい。これを見ると、何が何だかわかりません。ばらばらです。
 ここの一部を、重要な政策の一部を先ほどこのようにピックアップしました。それで、では政府の貸付金の不良債権金額、ちょっと単位が、実はこのポチは要らないのです。例えば回収不能額、これは五百四十六億ドルです。日本円で六兆六千億円。いわゆる特殊法人等が行っている貸付金額の約四分の一が回収不能ということで、回収可能な純貸付債権は一千六百六十八億ドル、こういう形で出ております。
 反対に、同じく政府保証、昨年二十兆円という政府保証を行いました。それに対してアメリカは、もう既に百兆くらいやっているのですね。それに対して、代位弁済額、もう既に保証した相手先がつぶれている、政府が保証しなければいけない、代位弁済しなければいけないというところでの発生主義による金額が四・五兆円。では、日本もこういう情報があるかと大蔵省に聞きました。ありませんと、自信を持って言っていました、大蔵省は。
 国家公務員の退職金、年金積立金、健康保険等の将来負担額、アメリカも国家公務員、連邦職員がいるわけです。それに対して、日本円で三百二十二兆円の負債があるのですよ。こういう人を雇うに当たって、アメリカの場合には退役軍人に対する将来の年金もあります。それの債務はどうかということで、三百二十二兆円。恐らく日本も、それを今発生主義で、将来の日本人が負担する金額というのは百兆円ぐらいあると思いますよ。それに対して、大蔵省に聞いたら、アメリカは積立方式で日本は賦課方式と、そんなの関係ないのですよ。
 日本は既に二〇〇一年の四月から、企業も年金会計、賦課とか積み立て関係なく、将来支払わなければいけない部分をちゃんと未払いとして載せなくてはいけないのです。これがグローバルスタンダードなんです。だけれども、大蔵省はまた自信を持って、そんな情報はありません、こう言っているのです。
 では、環境債務額、日本が今、先ほど言った、農水省、林野庁がかなり国土を、ある意味では、保全といいながら壊しています、環境を破壊しています。ところがカナダとか先進国は、そういう環境を破壊した場合のリカバーコスト、回収に必要なコストというところを負債として上げているのですよ。それを環境債務といいます。
 では、アメリカはどうなっているかというと、特にアメリカの場合には、御存じのネバダ州での核開発施設とかあります。そういう巨額なものがありますけれども、いずれにしても、今六ケ所村、高レベルの廃棄物、あれを本来適正な措置をするために何兆円かかるのですか。アメリカはこういうことで百七億ドル、約一・三兆円という負債を計上しています。ということで、合わせてアメリカの政府が抱えている総環境債務額二十七兆円、日本円で。
 では、日本はどのくらいになりますかということを聞いたら、自信を持って、大蔵省も環境庁も、ありませんと、こういう状況なのですね。果たして、日本の、二十一世紀の日本人が、国民が、本当に今の決算制度でいいのかどうか、これは大変不安だと思いますよ。だからこそ早急に、この程度の決算制度を早急に改善すべきだと思います。
 先ほど言いましたように、アメリカはクリントン大統領が決意しているわけですから、日本の総理も、どうですか。日本の総理はどういうお考えですか。
    〔委員長退席、岩永委員長代理着席〕
○宮澤国務大臣 先ほども一部お答えを申し上げましたけれども、若松委員のおっしゃっていらっしゃるような問題意識は、我が国、私どもも持っております。アメリカでやっているようなことも研究をしているのですが、特別会計なんかですとこれは比較的はっきりこういうものがつくれますし、特殊法人についてもつくれますので、それはかなりの程度やっております。
 一般会計について、いわゆる将来についての例えば環境債務、そういうものを計算することは、それはもう私は難しいが観念的にはできると思いますが、さて、そういうような負債に対して資産というものをどういうふうに考えるか。
 例えば、そういうことになりますと、厚生年金基金の積立金なんというものは、一応社会保障基金は資産でございますけれども、これは同時に債務でございますし、また国の持っておる大きな資産は公共資産でございますから、現実にそういうものをつくるとなると果たしてどういうものを取り入れたらいいのかというところで、実はいろいろ迷っておるというのが現状と思います。
○若松委員 よろしいですか。ちょうどこのゴールデンウイークのアメリカに行きました。先ほどの、会計検査院の副院長、そして財務省の財務情報部の部長と会いました。こういう情報を、アメリカの先ほどの決算書をつくる、連結をつくるためには、かなりの時間が必要です。コストもかかります。なぜここまで財務情報のディスクロージャーに力を入れるのですかと聞きましたら、担当者が言っていました。
 二十年前の米国の産業は、強いトヨタとか本田とか日産ではなくて、米国の自動車産業界とか、産業減退がひどかった。それを克服するために、企業の連結ベースで情報開示をして、そしてそれが投資家を呼んで、お金を企業が持って、余剰設備を償却して、そして今の強いアメリカの産業が戻ってきたわけですよ。
 今一万ドル台ということで、これは単なるバブルではなくて、アメリカの構造改革で産業界が全部変わったのですよ。だから一万ドルという指摘もあります。いいですか、ディスクロージャーですよ。このディスクロージャーにアメリカが力を入れてきたからこうなったのです。
 そして、では日本はどうか。公的資金を今回受けなかった金融機関はどこか、東京三菱だけです。ここだけがアメリカのSECルールによるディスクロージャーをずっと続けて、ほかの金融機関は、幾つかやりましたけれども、途中ディスクロージャーが大変ということでやめてしまいました。このディスクロージャーを続けてきたところだけが生き延びているのですよ。
 商社においても、三井物産、三菱商事、ここだけがSECをずっと続けて今、強い商社になっているのです。ディスクロージャーを怠った会社はみんなだめになっているのですよ。いいですか。
 ですから、日本の政府も、今ディスクロージャーがない、海外から見えない、だから日本の国債がレーティングが下がるのではないですか。
 総理、答えてください。いいですか。先ほど言いました、ディスクロージャーの仕事は、大蔵大臣の仕事ではないのです。社長、会長の仕事なんです。社長、会長の決意なんです。そして日本の総理の決意なんです。総理、こういう状況まで来ました。早く日本の国債、いわゆる国の評価というものを高めるために、ディスクロージャーをどんどんする。
 そのために、提案ですけれども、さっきの大蔵大臣みたいに悠長なことを言っていないで、この一年以内に――アメリカは既に六つの会計基準をつくっているわけです。先ほどの政府の貸し付けの評価とか環境債務の評価の仕方とか、議論して基準ができているのです。
 ですから、そういう基準づくりを行うための一つのボディー、団体というもの、例えばアメリカはFASABというボディーがあるわけですけれども、日本の場合には、大蔵省とか企業会計審議会、会計検査院、公認会計士協会、こういったところの知恵を絞って、それで結集して審議会をつくって、一年以内に政府会計基準をつくる、そして三年以内にアメリカ並みのこういう情報をつくるべきと、私は必要だと考えますけれども、総理のお考えをお聞きします。
    〔岩永委員長代理退席、委員長着席〕
○小渕内閣総理大臣 国の会計のディスクロージャーの充実を図ることは極めて重要であると考えております。
 先進的に取り組んでまいっております米国におきましても、政府会計基準に基づいて作成されているさまざまな情報については、会計監査を行っている会計検査院、すなわちGAOでありますが、から種々の問題点が指摘をされていると聞いております。先ほど委員から御指摘ありましたように、クリントン大統領の来年度についての指摘がされておりますが、そういったことも、実は、こういった種々の指摘をされておることについての観点から、いま一度見直すということではないかと認識しております。
 ただ、この問題は、長らく行われてまいりました会計慣行に大幅な見直しが必要になるような非常に大きな問題であり、先ほど申し上げましたとおり、技術的問題点も含め、幅広い角度から検討することが肝要であると考えられます。
 まずは、米国における事例等につきましても、大蔵省において先入観を持つことなく調査研究を行わせることにいたしたいと思いますが、若松委員みずから会計検査の専門でございまして、そういう意味で、企業に対する監査等のあり方、あるいはディスクロージャーのことについて御指摘があり、かつまた今、米国の政府としてのあり方についての大変な御勉強の問題でございまして、日本にこれを当てはめることができるかどうかということについて、私、正直申し上げて、専門家でありませんけれども、一般論的に言えば、広く公開すべきものは公開していかなければならないということは、これは当然のことだろうと思っております。
 また同時に、先ほど米国の例として、監察総監の外部任用の問題等に触れられまして御指摘がございましたが、そうしたことのでき得るような現在の日本の状況であるかどうかにつきましては、なかなか、一般企業におきましても会計に対する正直いろいろな問題が今ありまして、委員は大変みずから実務に当たられてこれを認識しておるわけでございますが、日本におきましても、ある意味で、そうした形でのこれからの推移について責任を持つ体制をつくり上げていかなければならないということはその方向であるというふうに考えております。
○若松委員 現在のいわゆるメガコンペティション、グローバルの時代では、国家は経営です。経営者は財務情報を読み取れないと経営者たり得ません。それが今の総理ですよ。何か秋の総裁選、自分のことが気になるのじゃないですか。そんなことを気にしているのだったらちゃんと勉強して、私は五、六年前から、議員になってずっと言っているし、私だけでなくて皆さん先生方言っていますよ、日本の決算はひどいと。何も勉強していないじゃないですか。だから、国民は怒るわけですよ。政治家は自分の身の安全ばかり。違いますか。決意してくださいよ、この場で国民の皆さんに。総理、どうですか。
○小渕内閣総理大臣 ですから、今申し上げましたように、これはその実務に当たられるのは大蔵省でございますから、その実態につきまして十分検討をしていただくように努力をいたすことを申し上げたわけでございます。
○若松委員 この問題は引き続き追及していきますけれども、私は、テレビを見ていただいた方ははっきりわかると思います。何が今足りないのか、何が政府として努力が足りないのか、そして今の日本のリーダーシップをとっている総理のレベルはどうなのか。またこれは引き続き主張してまいりますので、よろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。
○高鳥委員長 次に、春名直章君の質疑に入ります。
○春名委員 日本共産党の春名直章でございます。私は、地方分権一括法に絞って質問をさせていただきたいと思います。
 地方自治体や地域住民の皆さんが地方分権に期待していることは一体何か。一つの例ですが、読売新聞の一月二十二日付に、三千三百二人の自治体首長さんのアンケートが全部出ておりまして、その中で、「地方分権の条件は」という問いがあります。何と九〇%の首長が、税財源の強化、これを挙げているわけであります。
 ところが、今度の法案には、それを実現する、国から地方へ税財源を渡す、そういう措置はございません。今、多くの住民が、自分たちの地域の問題を自分たちで決めようということで住民投票条例などをつくる運動が全国で広がっています。しかし、それらの住民自治の拡充に役立つ、後押しするような内容もこの法改正にはありません。
 税財源を地方自治体に渡す、具体的な権限を渡す、憲法が保障した地方自治の本旨、団体自治、住民自治、これを拡充していくということこそ、地方分権の真の目的でなければならないと思います。ところが、今度の法改正には、こうした視点で見れば、こうした内容に資するものはほとんど見られないというのが実際の姿です。
 では、四百七十五本という法改正で政府は一体何をされようとしているのか。住民から選ばれた知事や市町村長を国の一機関と見立てて国の仕事をやらせるという機関委任事務を廃止するということになります。これは当然のことでありまして、地方自治の精神から見れば、むしろ遅過ぎたぐらいだと思います。
 そして、新たに、国が本来やるべき仕事だという法定受託事務、そしてそれ以外の自治事務、この二つに機関委任事務が振り分けられるということになりました。そして従来、機関委任事務以外の事務、これは区別するために旧自治事務と言ってもいいのですけれども、その機関委任事務以外の自治体が行ってきた事務も、今回すべて自治事務ということに振り分けられるわけであります。
 問題は、私はこの法改正をつぶさに見ておりまして、この新しい自治事務に国の統制の仕組み、とりわけ是正の要求というものが持ち込まれているということを非常に重大視しているわけであります。その点について議論をしてみたいと思うのです。
 この問題を議論しますと必ず出てくることがありますので、まず、念のために自治大臣に御確認をお願いしたいのですが、現行の地方自治法には、二百四十六条の二の第一項で、自治体に対する国の是正措置要求というのがございます。これができるのは内閣総理大臣お一人だけだと思いますが、その点の確認を願いたいと思います。
○野田(毅)国務大臣 現行の第二百四十六条の二に基づく是正措置要求の主体、これは内閣総理大臣ということになっております。
○春名委員 その是正措置の要求は強制力を伴うものではないということは周知のことであります。
 それで、今回の改正でこれはどういうふうになっていくのか、具体的な例でお聞きをしてみたいと思います。
 私の地元の高知県では、県が管理をしております港を、国是という非核三原則に沿って非核の港にしようということで、二月の県議会に条例改正案が提案をされました。ところが、政府・外務省の方々がこれに大変大きな圧力をおかけになって条例制定を阻止しようとしたことは、天下周知のことであります。
 しかし、この圧力といいますか介入は、現時点の法律では強制力は持っておりません。県からの照会に答えてということで、九八年十二月二十八日に、外務省が北米局長のお名前でこういう照会に対する回答文書を出しておりますけれども、これも、外交権の侵害に当たることになっていくので非核条例というのは適切でないということを書いてあるわけです。しかし、これも、この文書の性格からいいますと見解表明というものだというふうに思います。なぜなら、港の管理は知事や地方自治体の自治事務でありますから、現行の地方自治法では、強制力を持った、やめなさいという介入はできないからです。当然、従わなかったといって違法になるわけではないのです。
 そこで、今回、この例をとりまして、今度の法改正がどういうことをもたらすかということをお聞きしてみたいと思うのですね。
 まず、私が危惧をしておりますのは、非核条例制定をやめなさいという是正の要求を、所管の運輸大臣も、それから外務大臣でも出せるようになるのじゃないでしょうか。これが第一点。
 そして、一たんその要求を出しますと、それに従わなければならなくなる、そういう事態が生まれるのじゃないでしょうか。今度の改正はそういうものになっていると私は思いますけれども、自治大臣、いかがでしょうか。
○野田(毅)国務大臣 高知県知事が港湾を管理する、その管理をする基本になる法令は港湾法ということでありまして、その港湾の適正な管理及び運営を図るという観点から、港湾管理者としての地位に着目しての権限行使ということにとどまるものである。したがって、その権限行使の結果、いわば国の外交関係の処理に不当な影響を与えるということは、これはその権限を逸脱しているものである。
 特に外国軍艦の本邦寄港ということ、これは、外国の軍艦が日本に寄港するということは友好のために来るのであって、そのことに何らかの制約を与えようということは、そういう意味で港湾管理者としての地位を越えているということは、この前からたびたび申し上げてきたことであります。
 そこで、この法令に基づいて、是正措置の要求を運輸大臣が港湾法に基づいて行われるということは、それは、そういう制度の組み立てからして当然あり得る話であるというふうに思っております。ただ、今回多少、今度の法改正でこの点が、事務の内容が、いわゆる是正措置要求を――これは法定受託事務ではありませんので、いわば是正の指示や代執行ということを、そこまでいける事務ではないということになります。
○春名委員 いろいろなことをおっしゃったのですけれども、政治論をきょう展開するつもりはないのです。
 私も野田自治大臣と、質問させていただきまして非核港湾条例の問題を議論しましたね。そのときに、私は、地方の条例制定権をやはり認めるべきだという問題だとか、それから、外務省にこの証明を求めるのであって、外務省は非核港湾、非核三原則を厳守してやっているとおっしゃっているのだから、そのことを証明して地方にやはり信頼を与える、そういうものであるから何の問題もないんだという議論をさせていただきました。
 しかし、そういう政治論をきょうやるつもりはありません。今度の改正によって、どういうふうにこういう事態が変わっていくのかということを議論しているわけであります。
 先ほどおっしゃったように、今度のこの事務といいますのは法定受託事務ではなくて自治事務ですので、代執行をやるとかそういうようなことはできないということはおっしゃいました。そのことは当然であります。
 しかし、大臣、私は本当に今度の法案をもう一回つぶさに読んでみたのですね。そうしますと、二百四十五条の五の第一項、こう書いてあるのです。各大臣は、その担任する事務に関し、自治体に対して、違反の是正または改善のため必要な措置を講ずることを求めることができる。是正の要求の内容を読みました。そして、二百四十五条の五の第五項で、この是正の要求が出されると、地方公共団体は、「当該事務の処理について違反の是正又は改善のための必要な措置を講じなければならない。」こういうくだりになっているのであります。是正の要求というのが強制力、義務を持たせているという中身になっているわけであります。
 したがって、私、もう一度その条文に沿って素直にお聞きをしてみたいと思います。
 自分が担任をしている事務であれば、各大臣ですからね、総理大臣ではなくて各大臣全部、きょうお座りになっていらっしゃるすべての大臣が、自分のところが担任している事務であれば、是正の要求をこれから出すことができる。そして、その是正の要求は強制力を伴うものになる。二百四十五条の五の第五項「必要な措置を講じなければならない。」こういうふうになっているのです。現行法にないことなんです、これは。
 それで、私はもう一回聞きます。
 高知の非核条例の場合も、外務省もというふうに私言いましたのは、外務大臣いらっしゃいますけれども、外交政策は担任する事務だと言えば、堂々と是正の要求の対象にできるのじゃないでしょうか。そして、是正の要求を一たん出された自治体はそれに従う義務が生じるということに、この仕組み上ならざるを得ないのじゃありませんか。そうしますと、今までの自治法の中には強制力を持つそのようなものはなかった。しかも、総理大臣だけでした。今度の自治法改正によってこんなことが起こるのじゃないですか。このことを問うているのであります。
 もう一度御答弁をお願いしたいと思います。
○野田(毅)国務大臣 かなり細かいところにまで入ってきたのですけれども、是正の要求の主体についてのお尋ねがありました。
 これは、個別の法律において国の関与を規定する場合、行政事務を分担管理する各大臣の権限とするのが一般的であること、そして、個別法に基づく関与をできるだけ廃止、縮小しようとしたことから、その主体についても内閣総理大臣ということではなくて各大臣とすることの方が適当であるというふうに考えたわけであります。
 そして同時に、地方が国のかかわりに関していろいろと問題を意識するときには、係争処理機関を今回新たに設けることとしたわけでありまして、そういう関係からも、総理大臣を要求の主体とするよりも、各行政の所管担当大臣がそれに対応するということの方がより現実的であるという判断に基づくものであります。
 それから、是正の要求の効果について言及がありましたが、現行の地方自治法は、御指摘のとおり、是正措置要求という規定が第二百四十六条の二にありまして、これは、内閣総理大臣は「違反の是正又は改善のため必要な措置を講ずべきことを求めることができる。」こういう規定があるということです。
 それが、今回、各大臣が「違反の是正又は改善のため必要な措置を講ずべきことを求めることができる。」ということであると同時に、今回の改正案で、別途第二百四十五条の五の第五項において、その求めを受けたときは「違反の是正又は改善のための必要な措置を講じなければならない。」という規定をいたしたわけですが、このことは、是正措置要求の効果よりも強めたというものではなくて、今回新たに、是正の要求というのと同時に、是正の勧告という関与のあり方をルール化したわけであります。
 そういう意味で、この是正の勧告ということと是正の要求ということの違いを明らかにしようということがこの法案の趣旨でありまして、私は、むしろルール化されたことの方が、かえって地方分権の趣旨にのっとっておるものであるというふうに理解をいたしております。
○春名委員 いろいろ、三種類も四種類もお話をされましたけれども、一番大事なポイントを聞きます。
 野田自治大臣は五月十三日の本会議で、今度の是正の要求といいますのは、関与を受けた地方公共団体は是正改善すべき法的義務を負う、このように答弁されております。法的義務を負うんですか、負わないんですか、どっちですか。
○野田(毅)国務大臣 地方公共団体は、是正の要求を受けた場合には是正改善する義務を負う、これは、この法案に規定をしておるとおりでございます。同時に、是正の勧告、これについては、尊重すべき義務を負うという考え方で規定を整理されておるわけであります。これは、その違いを明らかにしていると今述べたとおりであります。
○春名委員 それでは、一番最初にお聞きをいたしました、現行の地方自治法の中の総理大臣の是正措置要求というのは、法的義務を負っているのでしょうか。あるのですか、そういうことが。ないと私は思っておりましたけれども、あるんですか、どちらですか。
○野田(毅)国務大臣 一般的に、今お話しのテーマは、かなり専門的な分野になるようですので、私はちょっと申し上げたいと思いますが、現行第二百四十六条の二の是正措置要求は、現行第百五十条の指揮監督とは異なり、国の自力執行の手段、これは現行の百五十一条の二の職務執行命令制度のような手段を言うわけですが、こういう国の自力執行の手段を伴うほど強力なものではないが、この求めは、単なる勧告のように相手方がこれを尊重する義務を負うというのみのものではなくて、地方公共団体等は、求めがあった以上は、その趣旨に従い、是正改善の措置を講ずべき法律上の義務を負うものと解されているということであります。
○春名委員 それでは、昭和三十一年の第二十四回国会でこの総理の是正措置要求というのが加わったんですね。自治法が最初できたときには、こういう総理大臣の是正措置要求自身なかったんです。それで、改正のときにこれができたんです。そのとき、できるときにも大変な議論になりまして、これは、地方自治という本旨からいって、こういうものを入れていいのかどうか、大変なことじゃないか、国家的な監督権になりはしないか、そういう論議がされたのです。
 そして、当時の自治庁の次長さんで鈴木俊一さん、元都知事ですけれども、この方が、あくまでもこれは当該団体に自主的にその違法なるところを是正してもらう、こういうことを求めているだけでございます、昭和三十一年四月二十六日の地方行政委員会でこのことが述べられております。
 また、逐条解説の地方自治法の中には、自治省の皆さん方の先輩で長野士郎さんが監修されている本ですけれども、総理の是正措置要求について、国の機関委任事務についての主管大臣の指揮監督権とは異なり、権力的な強制的な命令をその内容とするものではない、このようにもお述べになっておられます。
 つまり、今の総理大臣の是正措置要求というのが入ること自身も、地方自治にとっていいんだろうかと大問題になったんですね。そして皆さんは、これは強制力を持たせることになったら、そんなことになったらまずいからというような答弁、また文書もたくさん出していらっしゃるんですね。しかし、それを今覆そうというのかもしれませんけれども。
 そのことを、今度は各大臣に広げていくということになる。そして、先ほど言ったように、強制力を持たせるという条文が丁寧に入れてある、こういうことになっているんですよ。そういう問題として、私は今危惧を表明しているのであります。その一つの例として、非核港湾条例の問題を私は述べたのであります。
 どうですか。総理大臣、この点どう思いますか。
○野田(毅)国務大臣 何か、この前から何のためにここで議論をいろいろやりとりしたか、私も残念に思います。
 それは、その是正措置要求、現行法に基づく是正措置の要求であれ、これは、何も強制力なり制裁をこの法律に基づいて行うという背景はない。だけれども、法律的な義務は伴うけれども、しかし、それを強制力を持って担保するという制裁条項はないということは、この前からいろいろ、先ほどの条例、高知県の話についても、何度か私はあなたに直接御答弁を申し上げた記憶があります。
 だから、今何か、今までは強制力がなかったのが、今回の法改正によって、何か地方自治体に対して強制力を持って自治事務に至るまで規定しているようなイメージにお話しになるのは、まことに違った解釈になってしまっているのではないか、そのように思います。
○春名委員 それならば、問います。
 いいですか。この二百四十五条の五の第五項、「必要な措置を講じなければならない。」という一文は削除されますね。そういう問題じゃないですか。
 そして、各大臣がと。先ほど、各個別の大臣が個別法では関与を少なくしてきたので、それを、今度は地方自治法の中に各大臣というふうに入れたとおっしゃったけれども、地方自治の本旨、地方自治の全体像を統括しているこの地方自治法の中に、各大臣が是正の要求を出すことができるということを、関与の一般的なルールとして盛り込むというところに重大性があるのです。
 そして、それは、措置を講じなければならない、そういう義務の規定になっているというところに、そこに大きな問題があるということを私は先ほどから申し上げているわけです。
 今度の自治法改正の中の関与について、「国の自治体への関与」ということで割り振りをして、見てみました。
 機関委任事務があります。これは全部地方自治法です、ここまでは。地方自治法の中での機関委任事務。今度、法定受託事務にこういうふうに変わるけれども、法定受託事務というのは、一番強力な権限である代執行、この点々々の線ですね、代執行というのが一緒に横滑りしておりますので、国の関与の強さからいえば、ほとんど変わるものではないんですね、これを見ていただければわかりますように。
 包括的な指揮監督権がなくなるというけれども、法定受託事務には最後の手段としての代執行が残されておりますので、この赤い枠の部分が権力的な関与と言われている部分でありますから、こういうふうになっているんです。(発言する者あり)そうなんです、権力的関与というふうに言うんです。
 それから、機関委任事務以外の旧自治事務、これが全部新自治事務になる。それから、機関委任事務の中でも六割ぐらいが新自治事務になる。しかし、その中に今度は、今お話が出た是正の要求、それから、文章の中に、個別法では可能だという表現で、できるだけしてはならないとなっているけれども、代執行という言葉も初めて地方自治法の中に登場することになりました。こんな事態になっているんですよ。
 だから、私は総理大臣にお聞きをしたいと思います。
 総理大臣は、本会議の質問にもお答えになって、関与ができるだけ縮小された、最小限のものになった、こういうふうにおっしゃっています。機関委任事務の指揮監督権はなくなったでしょう。しかし、その後、こんなになっているじゃないですか。これは関与が縮小したととても言えないんじゃないかと私は思うんですね。その点について総理大臣の、根本問題ですので、御見解をお聞かせいただきたいと思います。総理大臣、お願いします。
○小渕内閣総理大臣 代執行につきましては、一般的な根拠規定として、地方自治法第二百四十五条の八の規定を設けることとしておりますが、これは法定受託事務のみを対象とするものであります。自治事務に関しましては、同法第二百四十五条の三第二項において、「関与の基本原則」として、できる限り代執行の制度を設けることのないようにしなければならないことを規定いたしておるところであり、今後の個別法の制定、改正もこの基本原則に沿って行われることとなるものであります。
○春名委員 もう一回見せますけれども。
 この代執行というのも、個別の法だったらつくってもいいですよという中身が初めて地方自治法の中に入るんですね。できるだけしてはならないと書いてあるけれども、そういうものがある。それから、「是正の要求」というものの中に、これを出した場合はしなければならない、実行しなければならないという義務規定、法的な義務が入る。
 だから、多くの学者の方々とかさまざまな人たちが、本当にこれで関与という角度から見て縮小されるのか、事務は分担されたけれども、関与という角度から見て本当に縮小されていくのか、対等、協力ということになっていくのかどうかという根本の疑問を呈しているのであります。私は、そのことを改めて厳しく指摘をしておきたいというふうに思います。
 私は、今度の地方自治法の中にもう一点非常に重大な問題があるということを、もう短い時間ですけれども、指摘しなければなりません。それは、地方分権一括法の中に、米軍用地特別措置法、この改悪が盛り込まれていること、このことの重大性であります。今回の改定は、米軍用地を確保するためにはその事務をなりふり構わず国が直接執行しようというものであります。それに邪魔な自治体の関与をなくしてしまおうというふうに私は思います。
 防衛庁長官にお聞きしたいと思います。これもパネルをつくってきました。ちょっと遠いから見えないかもしれませんけれども見ていただきたいのですけれども、これは、米軍用地に提供するときの仕組みです。ずっと最初から、測量の立ち入りが防衛施設局長から始まって、そしてずっと来まして、防衛施設局長が最後に、審理をして、権利の取得、明け渡しという流れを、皆さんがお出しになった資料をそのまま横にしただけのことです。そういう資料であります。
 それで、防衛庁長官に確認をしたい。
 今度の改正によって、県知事や市町村長の障害物の除去の許可、それから大田当時知事がこれを拒否して沖縄の闘いを激励しましたが、代理署名、この「署名押印の代行」というところですね、このピンクの部分です。それから「裁決申請書の公告・縦覧」、このピンクの部分です。この部分が、今回の改定ですべて国の直接執行事務になると思いますけれども、間違いありませんか。
○野呂田国務大臣 駐留軍用地特措法に基づく土地調書等への署名押印代行、裁決申請書の公告縦覧等の知事や市町村長の機関委任事務は、一定の要件を充足すれば必ず実施しなければならない事務であり、これは裁量の余地のない性格の事務であります。
 これについては、地方分権推進委員会の勧告において、国が国際的に負っている安全保障上の義務の履行に直接かかわるものであるとともに地域社会や住民生活にとっても重大な影響をもたらすものであることから、これを引き続き地方公共団体の担う事務とすることは、知事、市町村長に地方公共団体の代表者としての役割と国の地方行政機関としての役割の二重の役割を負わせ、知事や市町村長の立場を困難なものとするおそれが多い、むしろ、国と地方公共団体の役割分担を明確にする観点から、国は国が国際的に負っている安全保障上の義務の履行に全責任を負い、知事や市町村長は地方公共団体の代表者としての役割に徹することとすべきであるというのが地方分権推進委員会の勧告であります。
 こういう考え方を示した上で、署名捺印代行の事務については、これを国の直接執行事務とすることとされているわけであります。
 今回の駐留軍用地特措法の改正については、このような地方分権推進委員会の勧告に盛り込まれた内容に沿って、所要の法整備を行うものでございます。
○春名委員 勧告に沿ったからといって、何をやってもいいというものじゃないんですよ。何を言っているんですか。いいですか、今、答えは最後の部分だけでよかったんです、いろいろなことを説明されましたけれども。そうだというふうに言われました。
 これは全部取りますね。三つの市町村、県知事が関与をしていた部分が全部これでなくなりまして、オール青になりまして、国の事務になりました。測量の立ち入りから裁決申請書の公告縦覧まで、全部国の直接執行事務になりました。
 もう一点、今度は確認ですからね、長々と言わないでください。
 次に、裁決申請書の公告縦覧が終わって、県収用委員会の審理が始まります。そして、収用委員会の審理で、裁決をする、しない、これが決まっていく仕組みになっています。そのときに、この赤い点々ですけれども、今度の改正で、こういう仕組みが導入されることになろうとしています。収用委員会の事務が遅延をした場合ということで、緊急裁決の申し立て、そういう仕組みを今度つくろうというふうになっているわけであります。
 新しく米軍用地を確保しようとする際に、緊急裁決制度というのを創設する。まず、早く審理を終了して土地取り上げの裁決をしてほしいと、国、防衛施設局長が緊急裁決の申し立てを行います。その場合、県の収用委員会が原則二カ月以内という緊急裁決期間を経過しても緊急裁決をしなかった場合、この1でありますけれども、緊急裁決されない場合、その場合には総理大臣が、防衛施設局長の請求によって、収用委員会にかわって代行裁決をするという仕組みを導入しようというのが今度の改定であります。
 もう一点、きわめつきがあります。
 緊急裁決を申し立てられて審理した結果、県の収用委員会が土地の収用について却下するという裁決を下す場合があります。2のところです。却下するという裁決を下した場合であっても、その場合でも、その裁決の取り消しを求める審査請求に対する裁決とあわせて、防衛施設局長の請求で、総理大臣が収用委員会にかわって使用、収用の裁決を行うことができる、こういうものであります。
 この二点、1、2、改めて防衛庁長官、間違いありませんか。
○野呂田国務大臣 お話のとおりであります。
○春名委員 一体どういうことですか、これは。全部を取り上げるんですか、国民の財産を。国民の財産を米軍基地に収用する際に、地方自治体とか収用委員会という大事な大事な仕組みを全部取り上げてしまおうというのが今度のこれじゃないですか。どういうことですか、これは。これを地方分権という名前でやろうとするなんということは、もう言語道断と言わなければなりません。
 総理大臣、私は本当にこれはおかしいと思うんです。自治体の権限、自治体の機関委任事務でしたね。そういう問題について、自治体の長あるいは収用委員会がこれに入ることによって、関与することによって、国民の財産を米軍用地に渡すときに、慎重にも慎重を重ねてこれを審理しよう、そういう仕組みがこれじゃないですか。土地収用法というのはそういうものでしょう。その大事な大事な仕組みを全部取り除いてしまって、どんな場合でも総理大臣が最後に代行裁決をすることができる、却下した場合だって裁決して取り上げることができる、これを地方分権という名前で導入するということ自身が私は絶対に許せない。
 総理大臣、なぜこんなことをするんですか。地方分権の名前に値しないんじゃないですか。
○野田(毅)国務大臣 どうも、お話を聞いていると全然国家観が違うような気がいたします。
 やはり、我が国は、憲法にも書いてありますとおり、地方自治の本旨に基づいてやっていかなければなりませんが、基本的には法律に基づいてその辺を決めていくという建前になっています。いいですか。
 そして、何よりも大事なことは、国と地方公共団体をあなたのように敵対的な関係でとらえるのではなくて、国民のために、国と地方公共団体が、お互いの役割を自覚しながら、そして協調し合って対等に持っていこうということが大事なことなのであって、しゃにむに何か敵対させようということで議論されるのは非常に不愉快。
 それから、大事なことは、今沖縄の特措法の話がありましたが、この点について私は一言申し上げなければならぬ。
 これは、数年前に沖縄特措法の法案が国会で大きなテーマで出ました。そのときに、当時は新進党でありましたが、小沢党首と当時の橋本総理の間で、少なくともこういう安全保障に関する、これはまさに国自身の、地方にゆだねることのできない、国自身が直接責任を持って対応していかなければならない極めて大事な事務である、そういう形に近い将来に抜本的な法改正をするということを前提として当時賛成をしたという背景があるということも、あわせて申し上げておきたいと思います。
○春名委員 外交、防衛、軍事のためだったら地方自治でも何でも取り上げてしまおうという姿勢がよくわかりました。私の方が不愉快です、はっきり言いまして。
 何を言っているんですか。事業認定は国がやる、収用委員会が裁決をする、二重構造になった理由があるでしょう。憲法二十九条の財産権を守るという保障をつくるために、その手続をちゃんとやるために、そういう手続をやることになったんでしょう。それを全部なくすんですよ。憲法違反ですよ、そんなこと言ったら。何を言っているんですか。
 私は、最後に、こういう国民の財産を取り上げてしまうということが、地方分権という名前の地方分権一括法の中に含まれているということを重大問題として指摘しなければなりません。
○高鳥委員長 春名君、時間が来ておりますので、質疑を終わってください。
○春名委員 そして、関与という問題についても、統制強化がされるという事態があります。これは、分権ではなくて地方自治統制法じゃありませんか。そのことを申し上げまして、私の質問を終わります。
○高鳥委員長 次に、畠山健治郎君の質疑に入ります。
○畠山委員 私は、社会民主党・市民連合を代表いたしまして、いわゆる地方分権推進法にかかわる質問を、限られた時間のしかも総括でございますから、全部総理の御答弁をお求め申し上げたいというふうに思いますので、よろしくひとつお願いを申し上げたいと思います。
 まず第一に申し上げたいことは、九五年の地方分権推進法の制定から四年、ようやく地方分権にかかわる法律案を審議する運びになりました。まず、今度のいわゆる一括法について総理はいかなる評価をなさっていらっしゃるのか、お尋ねをいたしたいと思います。
○小渕内閣総理大臣 最重要課題であります行政改革を推進し、簡素で効率的な行政システムを確立するためにも、地方分権を強力に推進していくことが必要であると考えております。
 今回の地方分権一括法案は、地方分権推進委員会の四次にわたる勧告を最大限尊重して作成した地方分権推進計画の内容を具体化するものであります。
 具体化には、国と地方の役割分担のあり方を示すとともに、これまで我が国の中央集権型行政システムの中核的部分を形成してきたと言われる機関委任事務制度の廃止や、国の関与のあり方の見直し等の抜本的改革を行うことといたしております。これによりまして、国、都道府県、市町村という縦の関係である中央集権型行政システムを変革し、対等、協力の横の関係を構築してまいりたいと考えておりまして、そういう意味におきまして、今回の一括法案を提出させていただいた次第でございます。
○畠山委員 地方分権推進法との関係からすれば、ただいまの総理の評価は、すとんと落ちない部分がございます。
 この法律案の根拠法である地方分権推進法は、目的、理念を示すとともに、国及び地方公共団体の責務並びにその役割分担、地方分権の推進に関する国の施策、地方税財源の充実、地方行政体制の整備並びに確立と、地方分権の課題を定めております。法律に示されたこれらの課題とこの法律とが果たして合致しておるのかどうか。地方分権推進法の、ただのお題目ではないとすれば、当然のことながら、根拠法との関連でこの法律案を見なければならないと思うからであります。
 正しく評価したことにならないのではないのかと、改めて総理の評価についてお尋ねを申し上げます。
○小渕内閣総理大臣 今や実行の段階を迎えました地方分権は、二十一世紀にふさわしい我が国の基本的行政システムを構築いたしてまいるものでございまして、この法案を今国会においてぜひ成立させていただき、地方分権を具体的に進めてまいりたいと考えております。
 そこで、政府は、地方分権推進法に沿って、国民が豊かでゆとりのある、実感のできる社会を実現するために地方分権に取り組んできたところでありまして、今回提出いたしました地方分権一括法案を、平成五年の地方分権の推進に関する国会の決議以来の一つの到達点ととらえた上で、今後とも、地方分権推進計画を踏まえた国から地方への事務、権限の移譲や地方税財源の充実確保に積極的に取り組んでまいりたいと考えておりまして、一つの帰結として、今回この法律案を出させていただいた次第でございます。
○畠山委員 根拠法である地方分権推進法の認識が、どうも総理、ちょっと違うのじゃないのかというふうに思えてならないわけであります。
 この法律案は、地方分権推進法の四条並びに五条に関することが中心になっていますが、六条に至っては全くゼロというふうに言ってよろしいと思うし、七条については、市町村合併のみが目立ち、同条に言っておるところの行政の公平性の確保と透明性の向上及び住民の参加の措置については、皆無に等しいと言わなければならないと思います。
 これからしても、法律案は、冒頭の総理の評価とは異なり、地方分権推進法とは大きな隔たりがあることは間違いありません。このことは、第五次指針、勧告に基づく第二次地方分権推進計画が法制化されても、基本的には変わりません。総理、この点について、お認めになるでしょうか。
○野田(毅)国務大臣 今回御提案を申し上げておりますこの地方分権推進一括法、これは先生御承知のとおり、このもとになる部分は、昨年五月に閣議決定をいたしました地方分権推進計画、これを基本として法案化をしてきたわけでございます。もちろん、内容において種々追加をし、充実をしてきたことは確かでございます。
 その昨年五月に政府として計画を決定いたしますに先立って、先生御指摘の地方分権推進法、平成七年に制定されましたこの地方分権推進法に基づいて設置をされました地方分権推進委員会の数次にわたる、四次にわたる勧告、これをもとにしてつくられたのが昨年の計画でございます。
 そういう点で、基本的にこの地方分権推進法の流れをくんで勧告を国会に御提出いただいてきたわけで、その勧告を尊重するという形の中で計画が策定され、その計画にのっとって今日の法案に至っているというこの経緯を申し上げておきたいと思います。
○畠山委員 地方分権推進法に定める課題が、私から言わせれば、未達成である法案だと言わざるを得ないと思うのです。
 内閣は、法律に沿って、さらに実効ある措置を講ずる義務があろうかと思います、足らない部分については。でなければ、何のための推進法の制定をしたのかわからないからであります。推進法とこの法律案との内容上の格差を埋めないまま事態を放置すれば、内閣の法律違反あるいは法律の懈怠のそしりは免れません。
 そこで、総理にお尋ねをいたしますが、今後、推進法に定める課題をどのように達成なさるのか、展望についてお尋ねをいたしたいと思います。
○野田(毅)国務大臣 まず第一に、この法案を国会でできるだけ早く成立をさせていただいて、この分権関係、役割分担関係につきましては、来年の四月からの施行に向けて全力を挙げて進んでまいりたいと思います。
 そして同時に、昨年秋に分権委員会から出されました第五次勧告、これに基づいて、これは補助金等の部分にも入っておるわけでございます。そういったことも含めて、さらにこれの実施、推進に入っていかなければなりません。
 それから、法案に盛り込まれておりませんが、既に先ほど来からの議論の中でるる御答弁申し上げてまいりましたが、税財源の、いわば自主財源といいますか、そういったことを、基盤を強化するという意味においても、この辺の改革も今回は不十分なままでございますので、これも当然できるだけ早期に満たしていかなければならない。
 まだ、そういう意味で、今回の分権一括法が、少なくともこれで完了という部分ではないのであって、いわばこれが一つの大きなステップである、そして、引き続いてこれは完成に向けて努力をしていかなければならない課題であるというふうに考えております。
○畠山委員 ただいまの答弁からいたしますと、法律に定める課題達成の具体的な道筋は、必ずしも十分に定められておらない。特に税財源については、これからですとお認めになっていらっしゃるわけであります。
 そこで、総理に再度お尋ねをいたしますが、地方分権推進法に規定する課題について、未達成のものについては間違いなく実行なさるのですか、なさらないのですか。実行するならいつまで、このことを端的にお答えいただきたいと思います。
○小渕内閣総理大臣 確たるお約束はできかねますが、それぞれ貴重な、この分権推進法を初めといたしまして、それぞれ勧告がございますので、そうしたものを具現化できますように最善の努力をいたしたいと思っております。
○畠山委員 推進委員会の任務が、十条に示されておりますように、指針勧告とあわせて、推進計画に基づく施策の実施状況の監視という二点にありますね。ところが、推進法の効力は、来年の七月で早くも期限切れを迎えることになるわけであります。
 この点に関して、本会議の趣旨説明に対する私の質問について、総理は、平成十二年の七月の存置期限までは同委員会の活動を見守るべきものだと考えます、こういう御答弁をなさっております。どう見ても、総理が総理に御就任になられてから以降、諸井委員長等々を含めたこの問題に関する御議論の姿形が全然見えてこない。
 そこで、総理にお尋ねいたしますが、分権推進委員会とのお話をこの間どれだけなさっていらっしゃいますか。と同時に、現在の分権推進委員の員数は何人になっていらっしゃいますか。
○野田(毅)国務大臣 委員の人数について少し確認をいたしましたが、現在、七名が六名になっております。
 それから、あとの部分はまた総理から申し上げます。
○小渕内閣総理大臣 今、畠山委員御指摘のように、この推進法は七月に失効することになっておりますが、この前御答弁申し上げましたように、この存置期限、平成十二年の七月まであります。同委員会の活動につきましては、十分これを見守ってまいりたいと思っております。
 そういった意味におきまして、地方分権推進法の期限切れの後の体制につきまして、現時点でその状況を踏まえて判断すべきことであろうというふうに考えております。
○畠山委員 法定上、推進委員の委員は七名と定めておりまして、今お話しのように、一名欠員になっておられます。また、推進委員会の下に設けられておる行政関係プロジェクトの座長も、その辞任が申し出られておるやに伺っておりますが、課せられた任務の遂行を求めるためには、当然補充すべきものと考えます。
 任命権者としての総理の見解をお伺いいたします。
○小渕内閣総理大臣 残念ながら、長洲先生が、十一年の五月四日まで委員として所属されておられましたが、物故されました。
 したがいまして、できる限り早く、この問題につきましても、ふさわしい人がございますかどうかも含めまして、検討させていただきたいと思います。
○畠山委員 さっきも申し上げましたように、任期も一年余りとなっている現在、当然、今国会中に新たな委員の任命を行うべきと考えますが、改めて総理の見解をお伺いいたします。
○小渕内閣総理大臣 地方分権推進法第十三条におきまして、委員は内閣総理大臣が任命するとされております。したがいまして、内閣総理大臣としての責務の重要性は認識をいたしております。
 ただ、当委員会としてどのように考えておられるか、委員長もおられますので、政府といたしましては、その対応を見守っておるところでございます。
○畠山委員 先ほどの総理の御答弁から、推進委員会のメンバーと、総理在任になってからどれだけお話し合いをなさったのかというようなお尋ねをいたしましたが、お話ございませんでした。その辺のところを少しお聞かせいただきたいというふうに思うんです。
○小渕内閣総理大臣 正式に何回かということを記憶しておりませんけれども、委員長であります諸井虔委員長を初めといたしまして、委員のメンバーの皆さんにも時々官邸にもお出ましをいただいておりまして、それぞれの委員の皆さんのお話を承る機会を得ておったと思いますが、推進委員会の委員のそうした方々がおまとめをいただきまして、いろいろの経過についてのお話も、途中経過でお聞きさせていただいておるところでございます。
○畠山委員 特に私どもも注目しなきゃいけないというようなことは、来年七月で任期が切れるわけですから、その思いからすると、これから先、分権がこれで終わったのではなしに、始まりの始まりだというふうに言わなきゃいけないと思うんですね。先ほど来自治大臣がおっしゃっているように、まだ未達成の部分があるわけですから。
 そういうことからすると、委員の皆さん方、いろいろな意味でいろいろなお考えをお持ちかと思うんです。そういう部分を総理はお聞きになっていらっしゃいますかというようなことを、実はお尋ねしておるわけなんです。
○野田(毅)国務大臣 大変恐縮ですが、私から若干申し上げたいと思うんですが、確かに、この地方分権推進法、来年七月が期限切れになるわけでございます。
 この地方分権推進法は、理念的に、地方分権について、先ほど来御指摘のとおり、いろいろ国の施策等についての方向性を規定いたしております。
 しかし、一番大事なところは、実は推進委員会メンバーの先生方にお願いをして、その七人の委員によって、具体的な、いろいろな角度から地方分権の推進のための勧告を出していただいて、その勧告を尊重して政府は実行に移せということが、一番大事な本体部分でございました。
 そういう中で大作業をずっとやっていただいた結果、第一次から第四次にわたる勧告が出されて、それをもとにして法案化したのが今回御提案を申し上げておる事柄であり、第五次の勧告は、これは別途昨年秋に出されまして、それを受けて、本年三月に閣議決定をして、財政的な補助金等に関連する部分について、一応大作業を一通り一巡をしてきたという経緯がございます。
 したがって、これからあと一年ほどの間にどういう仕事を改めてお願いするのか、また、今までやってきた大作業を、もう一遍似たようなことをやるのかどうかということもどうかということもあって、当面、まず出していただいた勧告を実行に移すということに、今、今日は全力を挙げて臨んでまいりたい。
 しかし、これで地方分権の推進が完了するわけではないのであって、引き続き、先ほど来申し上げました税財源の問題を初め、まだまだ完成の域に達したというには遠いわけでございますので、引き続いて、これからどういう勉強をしていただくべきなのかどうかということをも含めて、これから一年の残任期間の間、先生方とも御相談を申し上げ、場合によっては、この委員会を、あるいは地方分権推進法そのものをどう取り扱うかということも含めて、検討させていただきたいというふうに思います。
○畠山委員 先ほどから、推進法に規定する課題について未達成のものが多々残っておるということを、具体的に指摘させていただきました。
 地方分権とは具体的に何なのか。その内容については、多くの識者や自治体関係者、あるいは住民運動、市民運動に携わる人々の間からは、いまだ多くの議論があります。しかし、少なくとも行政レベルでは、推進法の定める課題が具体化され、法制化されて、初めて地方分権の基盤は整備されたことになると考えます。
 その意味で、この法律案はその一里塚にすぎません。しかも、来年七月で効力を失う推進法のもとでは、残された課題の達成は困難であることは明らかでございます。総理も、この法律をもって地方分権は完結したとは考えておらないと思いますけれども、当然、次の措置を講ずるのが、政治に求められる先見性というものではあろうかと思うんです。
 その意味で、推進法の延長は、政治的構想にとって当然考慮されるべき課題と考えますが、総理の見解をお伺いいたします。
○小渕内閣総理大臣 ただいま野田自治大臣から御答弁申し上げましたとおりに、地方自治のすべての問題を、これをもって完結するということではありません。種々の問題がさらに惹起いたしてまいれば、これについて適切に対応していかなければならないとは思いますけれども、推進法によりまして、今日、地方分権に関係する一つの大きな問題解決の時期ととらえ、そして、これが提出をさせていただいておるわけであります。
 まずもって本法律案を通過させていただき、そして、もろもろの問題につきましては、真剣にさらに考慮していくべき課題だ、このように考えております。
○畠山委員 推進委員会の指針勧告が回を重ねるごとに後退し、五次勧告に至っては惨たんたる内容となった原因の一つは、実現可能性のある勧告を求めた前総理の一言にあったことは、衆目の一致するところであります。このことは、第三次勧告、特に社会保険、職業安定行政にかかわる地方事務官制度問題に端的にあらわれております。
 総理に申し上げますが、この問題について与野党の合意がない限り、総理が望むような速やかな法律の本院通過はないと言わざるを得ないと思います。この点、よく検討されることを強く要請いたし、総理の見解を求めたいと思います。
○小渕内閣総理大臣 政府といたしましては、既に提案をいたしておりますので、そのことにつきまして、ぜひ議員の御理解も得て、本法案を通過させていただくようにお願いいたします。
○畠山委員 時間が参りました。終わります。ありがとうございました。
○高鳥委員長 次回は、明二十六日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時一分散会