第146回国会 大蔵委員会 第5号
平成十一年十二月一日(水曜日)
    午後五時十一分開議
 出席委員
   委員長 金子 一義君
   理事 衛藤征士郎君 理事 鴨下 一郎君
   理事 根本  匠君 理事 渡辺 喜美君
   理事 上田 清司君 理事 北橋 健治君
   理事 石井 啓一君 理事 鈴木 淑夫君
      石原 伸晃君    大石 秀政君
      大野 功統君    河井 克行君
      桜田 義孝君    塩谷  立君
      下村 博文君    砂田 圭佑君
      高市 早苗君    谷畑  孝君
      林  幹雄君    宮本 一三君
      村上誠一郎君    吉川 貴盛君
      渡辺 博道君    岩國 哲人君
      生方 幸夫君    岡田 克也君
      河村たかし君    仙谷 由人君
      中川 正春君    大口 善徳君
      谷口 隆義君    並木 正芳君
      若松 謙維君    安倍 基雄君
      一川 保夫君    佐々木憲昭君
      矢島 恒夫君    横光 克彦君
    …………………………………
   大蔵大臣         宮澤 喜一君
   大蔵政務次官       大野 功統君
   厚生政務次官       大野由利子君
   政府参考人
   (総務庁人事局長)    中川 良一君
   政府参考人
   (大蔵省主計局次長)   藤井 秀人君
   政府参考人
   (厚生省年金局長)    矢野 朝水君
   参考人
   (年金福祉事業団理事長) 森  仁美君
   大蔵委員会専門員     田頭 基典君
    ―――――――――――――
委員の異動
十二月一日
 辞任         補欠選任
  塩谷  立君     谷畑  孝君
  西川 公也君     吉川 貴盛君
  末松 義規君     生方 幸夫君
同日
 辞任         補欠選任
  谷畑  孝君     塩谷  立君
  吉川 貴盛君     西川 公也君
  生方 幸夫君     末松 義規君
    ―――――――――――――
十一月二十六日
 酒販免許制度に係る需給調整要件の復活・見直しに関する請願(遠藤武彦君紹介)(第一八三号)
 不況打開、消費税廃止、商工ローンなどの規制強化に関する請願(大森猛君紹介)(第一八四号)
 同(金子満広君紹介)(第一八五号)
 同(木島日出夫君紹介)(第一八六号)
 同(児玉健次君紹介)(第一八七号)
 同(中島武敏君紹介)(第一八八号)
 同(中林よし子君紹介)(第一八九号)
 同(平賀高成君紹介)(第三一六号)
 消費税率を三%に戻すことに関する請願(児玉健次君紹介)(第一九〇号)
 同(矢島恒夫君紹介)(第一九一号)
 同(志位和夫君紹介)(第三一七号)
 同(平賀高成君紹介)(第三一八号)
 中小自営業者婦人の自家労賃の税制等に関する請願(中西績介君紹介)(第一九二号)
 同(吉井英勝君紹介)(第三一五号)
 相続税抜本改正・恒久減税に関する請願(松永光君外一名紹介)(第三一二号)
 消費税の減税に関する請願(金子満広君紹介)(第三一三号)
 同(矢島恒夫君紹介)(第三一四号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案(内閣提出、第百四十五回国会閣法第一二一号)

    午後五時十一分開議
     ――――◇―――――
○金子委員長 これより会議を開きます。
 第百四十五回国会、内閣提出、国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、参考人として年金福祉事業団理事長森仁美君の出席を求め、意見を聴取し、政府参考人として厚生省年金局長矢野朝水君、総務庁人事局長中川良一君、大蔵省主計局次長藤井秀人君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
○金子委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上田清司君。
○上田(清)委員 民主党の上田清司でございます。
 またきょうは、大野厚生政務次官、ありがとうございます。
 早速ですが、今回、年金改正法案の議論が進んでいるところでありますが、大蔵委員会では国家公務員共済の法案でございますが、いずれにしても、どの年金も、運用が十分収益を上げていけば当然年金財政が豊かになり、運用が失敗すればその分だけ何らかの形で国民負担がふえるという、この構図だけははっきりしております。そういう点で、どうしても年金財政という観点から年金福祉事業団における運用の問題について論点を明らかにしておく必要がある。とりわけ、新しい基金に衣がえをするという仕組みが関連法案で出されている以上、私どももこれを明らかにしていく必要があるということを考えているところであります。
 早速御質問をさせていただきますが、大野政務次官、平成十年度の運用実績は、衆議院の調査局の厚生調査室の資料を見ましたところ、明らかに欠損、赤字になっております。時価で三千九百五十億円、そして簿価で四千五十億円という欠損が出ております。昭和六十一年度から年金福祉事業団の年金の運用が始まったわけでございますが、この間の成績について、よく何勝何敗という話がございますが、プラスを出したときには何勝でマイナスを出したときは何敗、この十三年間の成績を明らかにしていただきたいと思います。
○矢野政府参考人 お答え申し上げます。
 これは市場運用をやっておるわけでございまして、市場によって非常に影響を受けます。それから、この資金は資金運用部から年金福祉事業団が借りているということで、その金利との間に逆ざやが生じているわけでございまして、トータルで見ますと、ただいま御指摘にございましたように、十年度末で時価ベースで見ますと一兆二千億の累積欠損、簿価ベースで見ますと一兆八千億の累積欠損となっております。これは、単年度で見ますとプラスの年もあり、マイナスの年もございますけれども、現在の累積で最終的には評価すべき問題である、こう思っております。
○上田(清)委員 そういう累積で評価するという意見もありますが、予算の組み立ては単年度でやっておりますね。五年間でやっているとか十年間でやっているとかということはございませんね。だから、単年度単年度の評価というのもやはり明らかにされていかなければなりません。そういう点で、十三年間の成績を明らかにしてくださいということを申し上げました。
○矢野政府参考人 単年度で何勝何敗というようなことは本来いかがかと思いますけれども、単純にそういう借り入れコストと収益との比較をいたしますと、四勝九敗ということになっております。
○上田(清)委員 そのようにお答えしてほしかったんです。
 つまり、十三年間でプラスを四回しかできなかったということでございます。そして、当然、こういう年金福祉事業団の運用について当初から危惧するところがございまして、当時も国会の議論の中で年金局長が、預託金利を下回るようなそういうことにはなりませんというような御答弁もされた結果が実はこのとおりであります。なかなか世の中うまくいかないものでございまして、当初は少なくとも預託金利を下回るような事態になるとは夢にも思わなかったということでございますが、現実はそうでなかったということでございます。
 したがって、こういう問題を丁寧に検証して、新しく衣がえする年金資金運用基金ではどういう運用ができるのかということについての具体的なプランというのが、相当丁寧に丁寧に、練って練って練りまくって準備をされているというふうに私は思っておりますので、その点について丁寧に今から伺っていきます。
 ところで、マイナスになったとき、時の理事長以下役員の方々とかというのは、これは申しわけないと思って給与を減額したり、あるいは手当を減額したりすることはされるのでしょうか。
○矢野政府参考人 結論から申し上げますと、手当とか給与を減額したということはございません。
○上田(清)委員 私も資料をいただきましたけれども、給与が減ったことはなくてふえるばかりですね。四勝九敗でもずっと年度ごとにふえてきているという、極めて私にとっては理解できないことでございます。
 どんな形で責任を明らかにされたんでしょうか。少なくとも今度衣がえをするに至って、簿価で一兆八千億、時価で一兆二千億と平成十年度末の損失の数字が出ておりますが、これをどんな形で損失処理されるのか。国民に負担を求めるのか、それとも年金福祉事業団の職員の方全部で負担をされるのか。どんな形で負担をされようとしているのでしょうか。
○矢野政府参考人 まず、年金福祉事業団の市場運用の仕組みというのを申し上げたいわけでございまして、これは一度年金の積立金を資金運用部に預けまして、その預けた中の一部を借りてきて市場運用しているわけでございます。したがって、借り入れの期間というのが七年とか十年の固定金利で借りておりまして、これまで借りた、高い金利のときに借りた金がまだ相当残っております。そういうことで、現在でも四%を超えるような金利を支払って運用しているわけでございます。しかし、資金運用部からの借り入れコストというのは最近急速に低下しておるわけでございます。そういうことを考えますと、この一兆二千億の時価ベースで見ました累積欠損といいますのも、これからの運用努力によって十分解消できるものと思っております。
 ちなみに、昨今金融市場は非常に改善を見ております。したがって、これは十月末で見ますと、この一兆二千億の累積欠損は約四千億円まで減少いたしております。そういうことで、これからもこの累積欠損をできるだけ早く解消するように努力をしていきたい、こう思っておるわけでございます。
○上田(清)委員 今株価が上がってきておりますので含み益がふえている、こんなことだというふうに思いますが、一方では逆ざやもあり得るわけですね。それも含めて、衣がえするときこの損失処理はどういう形で処理をされるのかということを伺っております。
○矢野政府参考人 これは、ただいま申し上げましたとおり、七年とか最長十年で資金運用部からお金を借りてきております。これは元本と金利、これをちゃんと返済しなきゃいけません。そういうことで、新しく今度は年金資金運用基金というのを設立するわけでございますけれども、この基金におきまして、これまでの年金福祉事業団の運用資産を引き継いで最長十年間利払いをしながら、元利を返しながら運用するということにいたしております。
 そこで、その場合におきましても、これは、新しくできます仕組みとしましては、年金特会から基金に資金を寄託するわけでございまして、この新しいお金と合わせて合同運用をいたすわけでございます。しかし、経理は別経理をいたしまして、これまでの年金福祉事業団の借りてきているお金と新しく特別会計から拠出しますお金、これの経理区分はきっちりいたしまして運用していきたい、そういう全体計画になっておるわけでございます。
○上田(清)委員 次官、お話を聞いておわかりになったと思いますが、新しい年金資金運用基金にそのまま年福の損失部分を移行して、そちらで何とか、何年間かで処理をしていきたい、つまりプラスに転じたいという話ですが、その間にしても、先ほど聞かれましたように、四勝九敗、これが適切な表現かどうかはともかく、単年度、単年度を見ていけば多くの失敗があった。そして累積でこのような形になってきておる。そして同時に、給料だけはずっと上がってきた。給与額を私は報告してもいいんですが、資料をいただいておりますが、これは極めて一般常識では考えられない、こんなことで本当にいいのだろうかというふうに私は率直に思っております。
 厚生政務次官として、こんなことが本当に許されていいのかどうか、率直な御感想をお聞きしたいのですが、いかがでしょうか。
○大野(由)政務次官 今参考人からも若干お話がございましたけれども、資金運用部からの借入金利との逆ざやでいろいろとマイナスになっておりました。しかし、過去十年間の年金福祉事業団の総利回りは四・四%でございまして、信託銀行等々よりもいい実績を上げている、こういう事実がございます。
 今回、年金福祉事業団が解散をいたしまして年金資金運用基金になるわけですが、自主運用をするようになりますので資金運用部から高い金利でお金を借りるということがなくなりますので、従来のようなことはなくなるのではないか、このように思っております。
○上田(清)委員 大野政務次官とも思われません。信託銀行は土地信託を中心にして運用している機関でありますから、土地が下落している今日、運用利回りが低くなっているのは当たり前でありまして、低いところに合わせてそれよりましだという議論は国民に通用しません。もっと責任ある立場で責任ある発言をしていただきたいというふうに思います。
 それから、ちょっと私も申し上げますが、この理事長、理事、監事の各年度の給与で下がったことは一度もありません。平成八年度と九年度だけ一緒で、あとは全部上がってきています。こういう無責任体制というのが同じような形で新しい基金に継続されるかと思うと、そら恐ろしいというか、身の毛もよだつ感じが私はいたします。どういう責任を本当にとろうとされているのか。
 後でまたいろいろ問題点を指摘しますが、少なくとも、政治家としてあるいはまた一国会議員として、庶民の中に日夜入って本当に国民の隅々の声をお聞きされている公明党出身の大野政務次官からすれば、私も同志としてやってきたこともございます、このような観点から責任問題を感じてもらうという仕組みを、当然思っておられると私は思っておりますが、年金福祉事業団の役員に全く責任はないのでしょうか。
○大野(由)政務次官 過去の教訓を今後しっかり生かしてまいりたい、このように思っております。(発言する者あり)
○上田(清)委員 それでは、すっと視点を変えます、私も紳士ですので。
 当然、これまでの失敗を踏まえての改革案だというふうに私は思っております。お昼の厚生委員会でも、菅政調会長が新しい改革案で国民にとってどんなプラスになるんだということについて、厚生大臣も御答弁されておりましたけれども、どうもクリアに聞こえなかったのです。大野厚生政務次官、どんなプラスがあったのでしょうか。今度の改革案は、どのようなプラスを出そうとされているのか。
○大野(由)政務次官 委員も既に御存じのように、昨年六月に成立いたしました中央省庁等改革基本法におきまして、財政投融資制度の抜本的な改革の一環として年金積立金等の資金運用部への預託義務を廃止する、こういうふうな方針が決定された次第でございますし、恐らく委員も、現在の財政投融資の制度についてはそのまま続行すべきとお考えなのかどうかお伺いをしたいと思うのですが、財政投融資制度を廃止するということで今回こうなりましたが、では今の委員の御質問からいえば、財政投融資にちゃんと預託制度というものは残すべきだというお考えなのかどうか、伺いたいと思います。
○上田(清)委員 私の質問に答えてからの質問であったら私もお答えしますが、私の質問にお答えにならないうちに質問されるのはルール違反です。
○大野(由)政務次官 現在の預託制度につきましては、国債金利と同様の水準の利子が付される、そういう運用方法しか認められておりません。そして、本来なら長期運用が可能な年金資金の運用手段としては必ずしも適切ではない、こういう状況でございまして、現在は七年もしくは十年とか預託が限定されているわけですが、年金資金というのはもっと長期で運用することも可能な原資も持っております。運用期間や運用資産を多様化することができるようになります。そういうメリットがあります。
 それから、現在、保険料拠出者の意向が運用に必ずしも反映をされておりませんで、どういうふうに運用されているかがわかりにくい面がございますが、その辺がもっとクリアになっていくのではないか、こう思います。
○上田(清)委員 おっしゃるとおりだと思います。年金運用の部分が必ずしも情報公開されていない。したがって、今度の年金資金運用基金の中でどのような形できちっと情報公開されるのか。御承知のとおり、百三十四兆とも言われます極めて巨額の年金積立金、これは新しい基金はある意味では世界最大の投資家になると言っても過言ではありません。したがって、どのような運用の仕方をするかによっては、場合によっては世界経済も動かすことが可能になる、失敗も成功も国際経済に影響を与える、そういう局面もあるはずです。したがって、過去の四勝九敗という事例を見ると極めて心配だというのが識者の意見で、公述人のお話からも相当ございました。私も実のところ心配しております。
 したがって、相当練りに練って議論をされて、積み上げて積み上げて新しくこの基金の案が、法律案にはちょっとしか書いてありません、具体的なことは余り書いてありませんから、これは相当煮詰まったプランがあるのだろう。そうであればいいのですが、もし煮詰まっていなければ、御承知のとおり、この百三十四兆というのは半端な金額ではありません。今までの二十六兆あるいは二十五兆も半端な金額ではないのですね。我が党の吉田公一さんが言われましたように、百万円ずつ毎日使ったら、一兆円は三千年だ、十兆円だったら北京原人の時代になっちゃう、そのぐらいの金額でありますし、十兆円を超えるような予算額を持った国家は世界の中にそう幾つもありません。そういう意味においても大変大きな金額でありますから、この運用については相当慎重に図られるべく準備がなされていると思います。
 ちなみにお伺いしますが、先ほど情報公開の話もございました。今まではそういう形では明らかにされていなかった。私もきょう細かい資料を初めていただきました。どこかで見る機会もなかった。あるいは少し関心が薄かったのかもしれませんが。相当細かく、いろいろとさまざまな機関に分かれて運用されていて、なかなかこれは一般の人が見ることはできない。したがって、これからもう少し見えるような仕組みをつくるということに関しては、政務次官の言うとおり私は正しいと思います。
 そういう情報公開の仕組みをどのような形でプランになさっているのか。これは政務次官、そこまで細かく知らないよということで結構でございます。しかし、百三十四兆という大きな運用金額全額をどんな形で振り分けをされようとしているのか、これはやはり政務次官のお仕事だと思いますから、それはお聞きしたい。
 それから、局長、どのような形で情報公開をされるのか。後でまた資料も出してもらいたいのですが、どんな形で論点をすっきりさせて情報公開をしようとしているのか。そのことを答弁された上で、後日で結構ですので、プランの資料も下さい。
 二点、お願いいたします。
○大野(由)政務次官 新しい年金積立金の自主運用の仕組みにつきましては、厚生大臣が定めます運用の基本方針に従いまして各種資産に分散投資を行う、こういうふうになっておりまして、安全、確実を最も基本に、かつ効率的な運用ができるように、こういうことでやってまいりたい。そして、当然のことながら、公的年金積立金の性格を考えたときに、国債等の安全性の資産が中心となって運用対象資産に位置づけられる、こういうふうに思っております。
 詳細は今後委員によって決められるわけですが、現在は五・三・三・二等と、ハイリスク・ハイリターンは三割以下、今の年金福祉事業団はそういう運用の仕方をしておりますが、これからの年金資金運用基金につきましては、ハイリスク・ハイリターンなものに関してはさらにもっと割合を減らす。今、一〇%前後というようなことも検討の中に出てきておりますが、決定は今後の検討課題の中で決まっていく、こういうことでございます。
○矢野政府参考人 私どもは、情報公開というのは最も大事だ、こう考えております。今回の新しいスキームをつくるに当たりましては、責任体制の明確化を図る、それから情報公開を徹底する、これを基本的な考え方に据えておるわけでございます。
 情報公開につきましては、今でも年金福祉事業団のこういった運用状況につきまして、六十二ページにわたりまして相当詳しい情報公開を行っております。新しい形態になりますとさらにこれを徹底いたしたい、こう思っているわけでございます。
 例えば、運用につきまして基本方針を決める、その際には保険料拠出者の代表ですとか専門家の意見を聞いて決めるということにしておりますけれども、この運用の基本方針を具体的に中身を明確にする。それから、それに基づきまして年金資金運用基金で中短期の運用方針、投資方針を決めます。そういったものも明らかにいたしますし、それから、どういった運用機関に任せておるのか、その選定基準はどうやっているのか、任せた後どういう成績を上げているのか、これをいろいろな角度から分析する。そして、その運用の実態を明確にする。さらに、こういった運用が年金財政とどう関係があるのか、こういう運用をした結果年金財政にこういう影響があった、その結果年金の保険料にこういう影響を及ぼした、そういった分析もあわせて行いたいと思っております。
 そういうことで、年金運用に当たりましての透明性を確保していきたいと考えております。
○上田(清)委員 この委員会でもやりましたけれども、苫東開発で大きな損失を生んで、新しい会社でこれから二十年でたくさんの利益を出すというようなペーパーも出されたこともあるのですが、過去にいっぱい失敗した人が気楽に今度はうまくいきますというようなことを言っても、なかなか信用できないのですね。これが普通の世界なんです。
 だから、どんな形で責任をとるのかということもきちっと明らかにしてほしいのですが、それも明らかにならない。損失については新しい機関で何とか処理していきたい、これは一方わかります。しかし、これまでのことについての責任はだれもとらない。いいでしょう、そういうお話ですから、一生懸命やることが責任だとあなた方は常に言うから。
 その上で言いますけれども、では、今度新しい仕組みの中で、国と年金資金運用基金とそして受託金融機関と、当然三つ関連しているわけですね。この三つの責任分担というのはどんな形になるのですか。具体的に言えば、収益を上げなかったとき、こういうときはどうなるのですか。
○矢野政府参考人 今回、法案で新しい年金運用のスキームをお示ししているわけでございますけれども、その中で、今御指摘のございました厚生省の職員、それから新しくできます年金資金運用基金の役職員、こういった人たちの忠実義務、それと専門家としての注意義務、これを法律にも盛り込んでおります。違反した場合には懲戒処分等を即座に受ける、こういうことになるわけです。それからまた、受託機関につきましては、年金資金運用基金と各受託機関との間の契約書においてそういった責任を明確に盛り込みたい、こう考えております。
 これは要するに、欧米で、プルーデントマン・ルールというのがこういった年金資金運用の世界で言われております。まず忠実義務、つまり運用のためだけに全精力を尽くす、ほかのことは考えない、こういう忠実義務。それから専門家としての注意義務でございます。
 ただ、これは結果責任を問うものではございませんで、各運用の各場面場面、各プロセスにおいていかに専門家としての注意義務を果たしたか、こういうことによってその責任を追及するものでございまして、運用の成果といいますものはマーケットによる影響も非常に大きいわけでございまして、ある意味ではマーケット次第、こういうところがございます。したがって、結果責任を問うというものにはなっておりませんで、これが世界の常識といえば常識でございます。
 私どもは今回、そういったプルーデントマン・ルールを法案に盛り込み、それに基づく厳正な執行を進めていきたいと思っております。
○上田(清)委員 結果責任については問わないというのが世界の常識というのは、それは非常識ではないですか。責任はちゃんととりますよ。手数料が減額になるとかリーダーの給与が減るとかあるいはやめるとか、当然そういう仕組みがあるんですよ。それについてはどうなんでしょうか。
○矢野政府参考人 私が申し上げておりますのは法的な責任ということで、今回法案に盛り込みました責任体制について申し上げておるわけでございます。
 それから、道義的責任といいますか、社会的責任といいますか、これはまたおのずから別でございます。いかにマーケットが悪いといったとしても、それに対して責任がないということには必ずしもならないわけでございまして、そういった場合にどういった責任をとるかというのは、その時々の責任者の、そういった立場の方の判断によろうかと思います。
 私が申し上げているのは、あくまで法律的な意味での責任体制ということでございます。これは、欧米でもそういう解釈が一般的でございます。
○上田(清)委員 局長がいみじくも申されたように、社会的、道義的責任があると。では、年金福祉事業団の理事長以下役員の人たちはどういう道義的、社会的責任をとったのですか。
○矢野政府参考人 まず申し上げたいのは、先ほど政務次官もちょっと申し上げましたけれども、年金福祉事業団のこれまでの運用実績、これはほかの機関投資家、例えば年金基金ですとか、それから信託銀行も、先ほど申し上げましたのは土地とかそういうことではございませんで、あくまで年金分野での信託銀行の成績でございます。そういうことで、決してほかの運用機関に比べて遜色のない運用実績を上げてきておるわけでございます。
 そういうことで、私は、これはやはり、その時々の担当者あるいは理事長以下そういった方々が判断を間違ったというよりも、今の仕組み自体に問題がある。年金の金を集めてきて、一遍預けまして、預けた金を十年なり七年なりの固定金利で借りてくる。そういう中で、バブル崩壊以降一貫して低金利が続いていったわけです。借りてきたコストが非常に高いということで、そういった構造的な問題があるわけでございます。
 今回私どもが提案いたしておりますのも、確かに今の制度のままでも精いっぱい努力いたします。ただ、やはり今の制度に無理があるということでございまして、年金の積立金にふさわしい運用の仕組みをぜひお願いしたいということで今回法案を出させていただいたわけでございます。
○上田(清)委員 局長、バブル崩壊後と言っているけれども、バブル以前でもうマイナスなんですよ。そうでしょう。だから、言いわけなんですよ、そういうのは。だから、責任をとらない仕組みができ上がっている。後でまたいろいろ問題点を指摘しますけれども、全然だめなんですよ。だから、もう少し細かいことを聞きます、本当にできているか心配でしようがないから。
 受託金融機関の選考基準というのは、ペーパーでできているのですか。
○森参考人 私ども、年金資金というのが大変長期資金の性格を持っていること、言わずもがなでございますが、かつ、貴重な国民の資金ということでありますので、慎重の上にも慎重を期して受託機関の選考を行い、かつ、その選考した機関につきまして、その後のフォローというのもできる限りのことをやっております。
 ただいまお尋ねの、どういう点を注意して、あるいはどの点が選考基準であるか、ペーパーに載っているのかということでございますが、まず、ペーパーというものは、つくって外部に公表するということはいたしておりません。
 それから、考え方の基本は、通常言われておりますように、定性的な評価、すなわち、その受託機関が信用に値するものかどうか、不測の損害等を生じさせるようなことがないのかどうか。それから、これまでの実績から見て、我々の期待にこたえてくれるような運用成績を上げられるだろうか、これは定量の部分でございますがこういう二点を中心にいたしまして、書面審査それからヒアリングというのを行った上で、採用する運用機関を決定いたしております。
○上田(清)委員 これも局長に聞きましょう。
 運用実績が悪くても、そのまま受託している金融機関がずっとありますね。この事実は間違いないですか。
○矢野政府参考人 運用機関の評価でございますけれども、これはやはり中長期的な観点から行うべきだと考えております。具体的には年金福祉事業団で判断していただいておるわけでございまして、三年から五年の実績を見まして、下位のところは入れかえる、こういうことをやっておるわけでございます。
 ただ、確かに、この制度ができまして十数年たったわけでございますけれども、当初は、運用機関としまして信託銀行と生命保険会社、これしか認められておらなかったわけでございます。そういう中で信託銀行は限られておりまして、そういったところにバランス型運用ということでかなり巨額の運用をお願いしております。これは、日本の運用機関の中でもそれしかなかったということで、そういう選択をせざるを得なかったわけです。
 ただ、御指摘のように、信託銀行でゼロにしているというところはございませんけれども、私どもは、この評価をして、評価の悪いところには追加資金はお願いしないとか、そういった形で、ずっと当初からお願いしている運用機関にもおのずから差をつけて、競争原理を働かせるように留意いたしております。
○上田(清)委員 委員長、かように非常に不安定な御答弁でしょう。
 十三年間の受託金融機関の運用実績を大蔵委員会に資料要求いたします。委員長においてお取り計らいをお願いします。
○金子委員長 取り扱いは、理事会で協議させていただきます。
○上田(清)委員 あわせて、受託金融機関の選考基準、内規で何らかの形であるはずです、それがないと言われるようじゃ困りますから。それから、委託手数料の基準、これについても資料を要求したいと思います。
 それでは、政務次官にもぜひ見ていただきたいのですが、私が提出しております資料の三です。
 今、受託金融機関のお話が出ました。委員の皆様方も御承知だと思いますが、年金福祉事業団が運用の責任を持っておりますが、実は、どういう基準で運用したらいいかということを、年金保養協会という財団法人にこれまたお願いしております。その中にまた、年金資金運用研究センターという内部の組織があります。財団法人年金保養協会というのは、厚生省の下でいわゆるグリーンピアの大型保養地の運営をやっている団体でありますが、その中に年金資金運用研究センターというのがありまして、事実上、年金福祉事業団の年金の運用に関してはここがやっております。ここが具体的なアドバイザーになっております。
 そこに派遣金融機関から出向で七名来ておりますね。どうして受託する金融機関からこういうメンバーを仰ぐのか。そして、年金福祉事業団への金融機関出身者が、下のところに書いてありますように、第一勧銀二名、日本興業銀行一名、長銀一名という形で出向をさせております。そしてまた、先ほど申し上げました年金資金運用研究センターの母体であります年金保養協会の方にも、資料の四ですが、こちらの理事の中にも第一勧銀頭取と富士銀行の顧問の方が入っております。
 こういうのは癒着というのですね。受託手数料をいただいて、当然それが企業の収益に結びつく金融機関が、どういうところに受託させればいいかということを決める研究センターの方に派遣をする、出向させる。あるいは、その大まかなことを決める理事が受託金融機関の銀行の出身者であったり、あるいはまた年福の事業団そのものの中に金融機関の出身者が出向している。こういうのは癒着というのですよ、普通は。覚えておられるでしょう、道路公団のあの事件を。思い出したくもない大蔵の皆さんですけれども、OBの方が、証券あるいは銀行などの争いの中に巻き込まれて、接待攻勢を受けて、野村に主幹事を任せるというような、そういう事件がございました。まさに、こういうことが行われているじゃないですか。接待が行われたとは私は申し上げません。しかし、タクシー券を一枚もいただかなかったとは私は言わせませんよ。そういうつまらない癒着関係をつくっているではないですか。
 だからこそ、受託金融機関の選考基準もペーパーにない。先ほどはないと言いましたけれども、内規もないのか。それでは困るのです。世間から見れば、むちゃくちゃじゃないですか。決める人たちが、決められて受託するような人たちから派遣されてきている。
 厚生政務次官、この構図はだれが見てもおかしいと思うでしょう。改めますか。
○大野(由)政務次官 年金資金の運用の分野は、大変高度な、専門的な金融資産運用の知識が求められる、こういうこともありまして、そういうことに精通した人材を民間から受け入れるということで、今まではこの事業に賛同する企業から職員の派遣を受け入れていた、こういう経緯がございます。
 しかし、委員御指摘のような御懸念もあろうか、このようにも思っておりまして、これから年金積立金の自主運用に当たって、その重い責任を果たしていくために、調査研究体制の整備を図るとともに、民間の専門性を活用することも求められておりますが、今後、官民の透明な関係をどのようにつくっていくか、大事な検討課題としてさらに検討をしてまいりたい、このように思います。
○上田(清)委員 この法案を廃案にして新しい法案をつくるとか継続審議にするというのだったら今の答弁でわかりますけれども、もう現に法案が出ているんです。新しい基金へ衣がえをするということも出ているのです。したがって、こういう癒着関係を許すのか許さないのかということを私は聞いているのです。許しちゃいけないと言っているんです、私は。御答弁をいただきたいと思います。
○大野(由)政務次官 御指摘の面、しっかり検討をしてまいります。
○上田(清)委員 今申し上げましたように、検討する時間がないんです、法案を通すつもりであったら。通さないということだったら、検討で結構ですよ。では、通さないつもりですか。
○矢野政府参考人 まず、年金資金運用研究センターの問題でございますけれども、これは今政務次官が答弁申し上げましたように、こういった事業を昭和六十一年に始めたわけでございますけれども、年金運用の世界というのは日本はまだまだ非常にレベルが低いといいますか、特に……(発言する者あり)いや、私が申し上げるのは、まず、厚生省にはそういう人材は残念ながら育っていなかった。それからまた、こういう分野というのは、日本の金融界全体はまだまだ欧米と比べますと随分おくれている。そういうことで、この分野を官民挙げてレベルアップしていかなきゃいけないということで、こういうセンターをつくり、調査研究をここに委託をしてやってきたということでございます。
 ただ、これは今度新しい体制に移るわけでございますので、年金資金運用基金、こういったところの調査研究レベルを整備する、これが第一でございます。そしてまた、このセンターにつきましても、今のままでいいということは必ずしも私どもは思っていないわけでございまして、このあり方につきましても、今政務次官が答弁申し上げましたように、これは見直ししなきゃいけないということで、そういうことをやっております。
 それから、年金福祉事業団に金融機関の出身者が出向しております。これも、民間の知恵、ノウハウ、仕事の進め方、こういったものも活用するといいますか、学ぶということで受け入れておるわけでございます。ただ、一番大事な問題というのは、どこの金融機関に幾ら預けるか、これは非常に、一番大きな問題でございまして、こういう出向者という方々は、そういった仕事から一切シャットアウトしまして、主に調査研究部門でやっていただくということで、そういう点は十分注意してやっておるわけでございます。
 こういった民間とこういう公的機関との関係、李下に冠を正さずと言われますけれども、そういった精神でこのあり方につきましても今後見直していきたい、こう思っております。
○上田(清)委員 いみじくも、年金運用がレベルが低いなんて、自分たちでそんなことを言っていいんですか。今の答弁、取り消した方がいいんじゃないですか。
○矢野政府参考人 表現が不適切だったら取り消しますけれども、私が申し上げたかったのは、昭和六十一年から始まっておりますけれども、これを始めた当時は、この年金の運用問題というのは、実は日本の金融機関も余りこの分野ではノウハウの蓄積がなかった。もちろん役所にもそういうのがなかった。これを早く官民挙げて日本の年金運用のレベルアップを図らなきゃいかぬということでこういうのをつくったわけです。
 今や、これは御案内のとおり、投資顧問会社もどんどんできてきましたし、こういう分野では日本のレベルも最近随分上がってきております。したがいまして、おのずからそういう実態に合わせた新しい官民のあり方、これは当然見直さなきゃいけないわけでございまして、今回新しい体制に移るということでございますので、それを機会にこのあり方についてはしっかり見直しをしていきたいと思っております。
○上田(清)委員 さっき私が申し上げたのは、疑われるよと。しかし、ちゃんと運用する部門と、それを責任決定する部門と研究部門は違います、だから研究部門で人材を出向してもらいます、そういう言い方をされております。
 では、なぜ財団法人年金保養協会、事実上の年金資金運用研究センターを抱えて調査研究をさせるのか。この年金保養協会に賛助会員で金融機関から八十五社、何でお金をもらうんだ。それじゃたかりじゃないか。
○矢野政府参考人 これは、先ほど来申し上げておりますように、年金運用というのは、我が国は残念ながら欧米に比べて、これまでこの分野というのは非常に官民ひとしくおくれておったということでございまして、この分野を、これから非常に大事になるわけでございまして、公的年金だけでなく企業年金とか個人年金、いろいろな分野がございますけれども、年金積立金の運用ということについてもっともっと日本全体のレベルを上げなきゃいけない、こういうことで、御賛同をいただける金融機関に会員になっていただきまして、こういったセンターを設立して調査研究をお願いしてきたということでございます。
○上田(清)委員 そういうのが不明朗というんですよ、普通の世界から見ると。あなた方は不明朗だと思わないところに世間とのずれがあるんですよ、はっきり言って。年金保養協会、もともとはグリーンピアの母体だった、そこにいつの間にか年金運用の研究センターをつくって研究者を集めて、そこに金融機関の賛助会員を集める、こういうのはたかりというんですよ、普通は。入りたくもないのに入ってしまう。何で入るか。手数料をいただく受託金融機関になりたいからじゃないですか。これがいわゆる官民の癒着なんですよ。あるいは官官の癒着なんですよ。
 なぜそれをきちっとやめようとしないんですか、今度新しく衣がえするときに。この際、そういう不明朗な部分はきっぱりやめますと、それで初めて国民が信頼するんですよ。そういうことがあってだれが信用しますか。しかも、過去は失敗だらけじゃないですか。
 大野政務次官、政治家としてきっちり、きっぱり答えてください。
○大野(由)政務次官 国民の皆さんから疑惑を招くようなことは、見直してまいりたいと思います。
○上田(清)委員 具体的に、少なくとも関連金融機関、受託金融機関から出向はさせない。雇えばいいんです、世界じゅうから。しっかりした収益を出せばまた雇えるんです、優秀な人が。そして、収益を出せば出すほどまた優秀な人を集められるんです。そしてまた、たくさんの収益を出して国民に還元する。この仕組みにすればいいんですけれども、官官で食い物にしているじゃないですか。そういう構図なんですよ、これは。
 だから、二度と受託金融機関から出向させませんという答弁こそが、さわやかな大野由利子厚生政務次官の答弁であります。
○大野(由)政務次官 官民の癒着がないようにしっかり透明性を高めて、疑惑を招くようなところは改めてまいりたい、このように思います。
○上田(清)委員 抽象的で余りよくないんです。
 最後に、政務次官、グラフがあります。これは運用手数料の推移ですね。当然、各金融機関はこの運用手数料がいわば収益になっていくわけです。逆に言うと、国民のお金である厚生年金を運用していただく場合、この手数料は少なければ少ないほどいいんですね。もちろん、収益をたくさん上げていただければそれに見合った形での手数料を差し上げる、これは当然、やぶさかでないですね、議論上。
 しかし、このグラフを見てもわかりますように、何らかの形で、マイナスのときに手数料が下がっていくというような仕組みが私には余り見えないんです。だから、先ほど、十三年間分の運用実績、そして手数料を資料としてきちっと出していただきたいということを申し上げました。あるいは、受託金融機関の選考基準も出してくださいと。
 委員長、これは確認ですが、いずれも資料としてきちっと出していただきますように再度確認させてください。
○金子委員長 先ほど申し上げたように、理事会で取り扱いを協議させていただきます。
○上田(清)委員 それで政務次官、この表を見てどうでしょう。その関係は、いえ、この表ではこうですけれども、きちっと収益に合わせた手数料の関係はでき上がっていますよというような御答弁が可能なんでしょうか。いや、私はよく知らないということであれば振られても結構です。ただ、このグラフを見る限りそう見えないということだけは確認してください。大変重要な問題であるということも、やはり政務次官として確認してください。
 きょうは、大変重要な問題がいろいろな形で提案されました。私も、きょう朝レクでしたので、三時ごろまでこの資料を手に入れることができませんでしたので、実は年度年度の精査ができませんでしたので、大きな流れだけしかきょうは言うことができませんでした。
 もし年度年度で大きな問題があれば、これは相当丁寧にやらなくちゃいけませんし、法案の中で一括してぽんと出されておりますけれども、これは国民に返ってくる話ですから、損失を出せば当然国民がそれを負担しなくちゃいけない。収益ができれば年金の受益金というか受ける年金がふえる、これはいいことですから、できるだけ基金をいいものにしなくちゃいけない。いいものにするには余りにも準備不足という感じが私はしますから、無理に成立させなくてもいいんじゃないか、こんな思いがあります。
 政務次官、含めて御答弁できればしていただきますし、振っていただくんだったら振っても結構ですから、手数料と受託金融機関との関係について、きちっと御答弁いただきたいと思います。
○矢野政府参考人 手数料の低減というのは、年金福祉事業団がこれまで一貫して取り組んできた課題でございます。そういうことで、ここにございますように、金額も若干減っておりますし、何よりも運用資産額に占める手数料の比率というのが近年かなり低下してきているわけでございます。手数料を安くと、しかし、手数料が幾ら安くても運用自体がおかしくなっては困りますので、運用と手数料というのはやはり一体として考えるべきですけれども、その中でも特に手数料は低減させるということで努力をしてきております。
 そういう観点から、例えば、運用の中でアクティブ運用とパッシブ運用というのがございますけれども、パッシブ運用の比率を高めていくとか、それから競争原理を活用する、投資顧問会社も、昔はできなかったんですけれども、投資顧問会社の活用もできるようにする、しかもコストを低くするようないろいろな工夫をするということで努力をしておりますし、今後ともこの問題については努力していきたいと思っております。
○上田(清)委員 時間が参りました。
 大蔵大臣、実は日銀の審議委員の補充でございますが、私が巷間聞くところによりますと、日銀の方でこの人はどうだろう、あの人はどうだろうと言ったら、ほとんど断られて、大蔵から押しつけられた、こんなうわさも聞くのですが、そういうことはあるのでしょうか、ないのでしょうか。
○宮澤国務大臣 詳しいことを知っているわけではございませんが、そういうことはないと思います。
○上田(清)委員 日銀が、新しい法律改正をこの委員会で審議をして、より独立した中央銀行としての機能と権能を果たしていただきたいということで、年に二回の報告もいただいて、極めてしっかりやっていただいているというふうに思っておりますが、日銀の審議委員は極めて重要な権能を持っておりますので、できましたら、政府の人事案件は、本会議で決める前に、大蔵委員会で意見を陳述していただき、各党間から一名ずつぐらい出て議論をして、なるほどというような部分を聞いてするような仕組みをしたらいかがかなということを提案させていただきますので、ぜひ理事会で諮っていただきたいと思います。
○金子委員長 御提案として受けとめさせていただき、後日理事会でテーマとして議論をしていただきます。
○上田(清)委員 どうもありがとうございました。政務次官、ありがとうございました。
○金子委員長 次に、中川正春君。
○中川(正)委員 民主党の中川正春です。前回の質問の続きが残っておりますので、引き続きやらせていただきたいというふうに思います。
 この週末があったものですから、地元に帰りまして、今回の厚生委員会での紛糾も含めて、国民の声を聞いてまいりました。やはりこの共済だけじゃなくて、厚生年金、あるいは年金そのものを含めて、最後の姿を見せてほしい、最終的にどうなるんだと。部分的に、給付条件を下げていく、あるいは給付の年代を六十から六十五歳にしていく、こういうことを今の時期に言ってもらったら、何だ、これは五%だけじゃなくてもっと下がるんじゃないか、あるいは、六十五歳と言っているんじゃなくて、最終的には七十歳にこれはなっていくんじゃないかという、その不安だけが募って、やはりそういう意味では、現在の政府の説明責任といいますか、最終的にこうなるんだ、そういう絵を見せる、それで納得してもらうという、その努力が全く足りない。それで、逆に不安をあおっているのが現実なんだということがよくわかりました。
 そういう前提に立って前回の懸案をただしていきたいんですが、あのときの話で、特に、この共済は、行政改革ということを前提にした、そうした将来の姿というのを描いておいて、その中で今の改革を決めていく、これは考えようによっては、今の厚生年金に横滑りということはこの共済に限ってはできないんだというぐらいにしっかりした観念を持って検討すべきであったということですね。それが、たまたま財政再計算が出てまいりまして、その資料を見たら、その中に何にも行政改革が入っていない。人口比でどうだということと、厚生年金に対して一律の形にしていったらどうだ、あるいは、もう一つ言えば、公務員定数を一定にした場合にこんな数字が出てきますよ、そういう前提でしか議論が進んでいない、そういうところを指摘させていただいた。だとすれば、現実の問題というよりも、これまでの引き延ばしの中にしかこの改正議論がなかったということでありました。
 なものですから、もう一回再計算を要請しまして、行革を入れたときにはこれはどうなるんだという資料を出していただきました。恐らく大臣も政務次官も目を通していただいたと思うのですが、その結果を踏まえてどういうふうにこの法案自体を見直していくのか。これは前提が変わってきたわけですから、その考慮を入れていなかったということですから、それをどういうふうに認識されるのか、まずそこからお話を聞きたいというふうに思います。
    〔委員長退席、根本委員長代理着席〕
○大野(功)政務次官 まず、将来の我々の生活、年金がどうなるか、はっきり説明すべきである、はっきりできるところははっきりすべきである、アカウンタビリティーの問題でございますが、全く同感でございます。
 それから、前回の大蔵委員会で、中川先生、今の財政再計算の中には行政改革の考えが全然入っていないじゃないか、今おっしゃったとおりでございまして、それに対して、私の方からは、年金というのは長期間にわたって負担と給付をバランスさせていく、これが一番大事なことだ、十年間の問題は六十年の間に飲み込まれている、こういう説明をさせていただいたのでありますが、やはり国家公務員の削減問題を入れて計算してみろ、こういうお話でございました。ただ、その計算をする場合に、どういう前提で計算したらよろしいのでしょうかと伺いましたら、それは任せる、こういうお話でございましたので、我々の方で一定の前提を置きまして、そして国家公務員共済連合会の方に計算をしてもらったわけでございます。
 ただ、その前提に入る前に、ぜひとも御理解をいただきたい、むしろ先生十分御理解のことだとは思いますけれども、この財政再計算というのは、今回の国家公務員共済年金の法案提出の前提にはなっていない、こういう問題でございます。財政再計算は前提条件にはなっていない。
 では、なぜ財政再計算を五年ごとにやるのか。それは、保険料率を計算するためにやることになっている。もっとわかりやすく言いますと、この国家公務員共済組合の法案は本年の七月に出ております。財政再計算をやりましたのは十月でございます。そういうことで、財政再計算はやるんだけれども、法案の中で財政再計算は前提となっていない。したがいまして、今度我々が前提を置きまして計算してみたものも、決して財政再計算の内訳の問題でない、このことをまず御理解いただきたいと思います。
 ただし、それから次に、前振れが大変長くなって恐縮なんですが、ここを御理解いただかないとおわかりいただけないと思いますので、まことに申しわけございません。
 まず一つは、行政改革で一〇%を削減する、こういった場合に、国の行政機関というふうに閣議決定ではございます。では、国の行政機関の職員というのはだれだ、今共済年金でカバーされておりますのは、国家公務員、郵政現業、国会、裁判所、会計検査院、自衛官等でございます。国の行政機関一〇%削減の対象となりますものは、国及び郵政現業でございます。しかし、いろいろ考えました末に、やはりもう全体、百十二万でございますが、百十二万を一〇%カットする、こういう計算をやってみよう、国の行政機関の職員となりますと八十四万人でございますが、これの一〇%ということじゃなくて、もうちょっと厳しいことでやってみよう、こういうことでございます。
 それからもう一つの前提は、新しいニーズというのがやはり行革の中でもうたわれておりますけれども、この新しいニーズはちょっと無視しておきましょう、ふえる方は無視します、これも厳しい条件でございます。
 それから三つ目の前提は、十年目には一〇%削減なんだけれども、では、毎年定額で減らしていくのか、どういうふうに減らしていくのか、こういう問題があります。
 これも、毎年一定、定額で減らしていこう、こういう前提で計算いたしまして、ようやく本題に入りますが、まずそういう計算でやってみますと、二〇六〇年には今の百十二万人が六十八万人になります。したがいまして、四割減になるわけでございます。
 それから、厚生年金被保険者数の比率を一定として計算した場合、これは前回よく御検討いただいておりますが、約三割でございます。ですから、四割減というのは非常に厳しいことになるわけでございます。
 それに応じて、先ほども申し上げましたが、財政再計算というのは保険料率を定めるものだということを申し上げましたが、では、保険料率は一体どうなるのか。これを見てみますと、今、五年先から二・八%ずつ階段を上っていくとしまして、五段目で終了することになっております。こういう四割減の計算でも五段目で終了する、同じ二〇二五年で終了する、こういう形になっておる次第でございます。
 したがいまして、最終保険料率は、二〇二五年で、厚生年金被保険者数比率でいいますと二九・八%、今回の仮定、前提に基づきました計算で行いますと三一・四%というふうになりまして、その差は一・六%でございますが、いずれも最後の五段階目の階段の二・八%の間に入っている。五段階上ったらそこで終わりである。こういうことでありますから、長期的に見ますと、要するに負担と給付の中にのみ込まれている、こういうふうに感じる次第でございます。
 長くなりまして恐縮でございます。
○中川(正)委員 質疑時間が終了いたしましたというメモが入ってきました。どうせこういうふうに一方的にお話をされるのだろうとは思っていたのですが、これはやはり議論を尽くさないと。
 あと、独立行政法人の問題とか、あるいはもう一つは、さっきお話の出た郵政事業庁、これだけで二十九万七千人、こういう郵政事業関係の定員がありますね。これは、法律ではこの共済に入れていこうと言っていますが、これは長期的に見たら、それぞれ問題をはらみながら独立していく団体なんですよね。そういうのが見えている限り、一つは、今のような手直しではもう全然話にならない。これはだれが見ても感じるところでありますね。
 それからもう一つ、全部これは負担と給付の間にのみ込まれている、こう言いましたが、大体この段階そのものが国民のコンセンサスとして受け入れられているかといったら、そうじゃないのですよ。これは本格的に二・八%ずつ上げていったら、国民は大変な反発を出してきますよ。
 そういう意味からいっても、このこと自体が破綻しているというものに対して、さっき再計算で、一〇%分を上乗せしただけでも階段が一階段多くなるというぐらいの効果を持っているわけですよ。それはやはり前提がもう全然違う。二九%をターゲットにするのと三一・四%をターゲットにするというのは、これは階段がほぼ一段階違ってくるということなんです。それを同じようなものだというふうなアバウトな話じゃないのですよ、これは。国民の一人一人の懸念の中で政府がどう説明するか、そういう話なんですよね。それをそういうアバウトに切り返すということは、これは納得できない、結果的にはそういうことになるのだろうというふうに思います。
 時間が来ましたということなので、これはこの時間の範疇の中では議論し尽くせないということを指摘しながら、しっかり時間をとって、さっきの上田さんの話も出ていたわけですから、これは全体の年金の話として国会で結論を出していく、そういう流れにしていただきたい。そのことを改めて申し上げておきたいというふうに思います。
○根本委員長代理 次に、佐々木憲昭君。
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。国家公務員の共済年金問題について、きょうは法案の内容について基本問題をただしたいと思います。
 五年前の九四年度改正では、今六十歳から満額支給されている退職共済年金の一階部分に当たる定額部分の支給開始年齢を、二〇〇一年から二〇一三年にかけて段階的に六十五歳に引き上げたわけであります。今回の法案の内容というのは、この二階部分に当たる報酬比例部分、この支給開始年齢を二〇一三年から二〇二五年にかけて六十歳から六十五歳に段階的に引き上げるというものであります。最終的に、六十五歳にならなければ満額は受け取れない、こういうことになるわけですね。
 そこで、基本的な考え方についてお聞きしたいのですが、宮澤大蔵大臣、国家公務員の定年は六十歳ですね。年金の受給は六十五歳。素朴な疑問でありますが、この五年間の空白をどのように埋めるのか、どう保障するのか。この点について、基本的な考えをお伺いしたいと思います。
○宮澤国務大臣 これは、我が国が少子・高齢化になったということに密接に関係があることだろうと思いますけれども、今のように年金との関連でおっしゃるならば、まさにこういう問題がありますと、六十歳代の最初の何年間、その間のいわゆる退職後の所得というものをどうやって保障していくかという問題が当然出てまいると思います。
 しかし同時に、高齢者をどうやって再就職あるいは再任用するかという問題が同時にあるわけでございますから、公務員制度調査会で、そういう高齢化社会において六十五歳まで働くことのできる社会、そういうことをやはり考えるのが本当ではないか、公務部門における六十五歳までの雇用に積極的に取り組むべきだということを答申で言っておるわけでございます。
 ですから、この両方の問題は密接に関連いたしますけれども、年齢の引き上げと高齢者の雇用の確保というものは、非常に密接に関係した国のこれからの政策課題の重要な一つになるだろう。それは、少子・高齢化社会になることからくる、おまけに高齢化社会という言葉の中に生存期待年齢が非常に高くなるということは当然あるわけでございますから、そういう社会における一つの課題だろうというふうに認識しています。
    〔根本委員長代理退席、委員長着席〕
○佐々木(憲)委員 再任用制度については後でお伺いします。
 六十歳を超えた場合に年金をどうしてももらいたいという場合には、減額で支給ということになるわけであります。藤井主計局次長にお聞きをしたいのですが、新たな減額率はどの程度の減額率を想定しているのか、具体的な数字を示していただきたい。
○藤井政府参考人 お答え申し上げます。
 今先生おっしゃいましたように、今回の改正におきましては、厚生年金とほぼ同様の内容でございますけれども、退職共済年金の報酬比例部分、これにつきまして、支給開始年齢を段階的に六十五歳に引き上げるということでございます。ただ、その場合、本来の年金額を減額した額、これを六十歳から受給できる仕組みということで、繰り上げ減額支給制度というものを設けることといたしております。
 そこで、今先生の御質問でございますが、この減額率をどのようにするかということであろうかと思います。これにつきましては、報酬比例部分、この支給開始年齢の引き上げが開始されます二〇一三年度、平成二十五年度でございますが、それまでの間に厚生年金等、他の公的年金制度における取り扱い等々を勘案しながら最終的には判断していきたいというように考えております。まだ具体的な定量的な数字を申し上げるような状況にはない、これは厚生年金も基本的にはそうではないのかなというように思っております。
○佐々木(憲)委員 これは極めて重大な問題でありまして、こういうところをきちっとしないとこれは非常に不安が大きいわけであります。新たな減額率をこれから考えていきたい、まだ決めていないと。ところが、二〇〇一年度から始まる定額部分の繰り上げ支給制度の減額率、これすらまだ示されていないわけです。つまり、一階も二階もどうなるかわからない、実際に減額するのは。
 日本の繰り上げ支給率、国民年金ですが、六十歳支給の場合には五八%ですよ。ドイツは八二%、スウェーデン七〇%、アメリカ、六十二歳で八〇%。ですから、日本の場合は既に非常に低いわけですね。ですから、将来さらに下げられたらどうしようか、こういう不安も当然広がるわけです。これでは本当に生活を守ることはできないと思うんですね。
 先ほど定年の問題について大蔵大臣にお聞きした際、六十歳を超えても働けるような条件をつくっていきたいというふうにおっしゃいました。しかし、一部の特権的な高級官僚の場合は別として、再就職というのは非常に容易じゃないわけであります。
 藤井主計局次長にお伺いしますけれども、国家公務員で退職後に再就職した方、現状で何%いるか、具体的な数字を示していただきたい。
○藤井政府参考人 大蔵省におきましては、国家公務員共済年金制度、この運営を預かっているところでございまして、その共済年金制度の参考に資するために、年金の受給者を無作為に抽出いたしましてアンケート形式による実態調査を行っております。
 その結果を申し上げますと、平成八年度の数字でございますが、退職共済年金受給者のうち仕事をしている人の割合、これが二六%程度。ただ、六十歳代の前半にこれを限ってみますと四〇%程度というような数字になっております。
○佐々木(憲)委員 退職をした後、実際に就職をされている方は四人に一人であります。つまり、七四%は再就職をしていないわけですね。今は年金があるから何とかなるわけですが、この法案が通って、一定期間たちますと空白が生まれる、その場合に年金がなくなる、あるいは受給しようとして繰り上げ支給を申し出ても大幅に削減される、こういう状況ですね。これは、国公労働者のまさに生存権にかかわる非常に重大な問題であります。
 再就職をしていない七四%、四人に三人の方々は、年金に頼らなくても生活できるという認識なのかどうか、藤井次長にお聞きをしたい。その根拠は何か。
○藤井政府参考人 お答え申し上げます。
 今先生おっしゃいましたように、厚生年金も同様だと思います。公務員の共済年金、これにつきましても、定額部分あるいは報酬比例部分ともども、現在の制度で申し上げますと六十歳からの支給ができ得るようになっているわけです。これが、先生御承知のとおり、定額部分につきましては平成十三年度から、それから報酬比例部分につきましては平成二十五年度から、順次一歳ずつ引き上げられていく、六十五歳にかけて段階的に引き上げられる、こういうことでございます。
 したがいまして、今現在の状況で、四人に三人の方々、全体でございますが、六十歳代前半の方は特に約半分程度の方、この方々は仕事はしていらっしゃらないという数字が出ているわけでございますが、現行の共済年金制度のもとでは何とか対応ができるのかなということかと思います。
 ただ一方で、今回の国家公務員共済組合法におきましても、全体として、中長期的にこの共済年金制度を維持し得る、このような制度設計のためには、先ほど来お話ございますような定額部分、あるいは今回の改正におきまして報酬比例部分の段階的な引き上げというものがぜひ必要であるわけでございます。そういう意味からいいまして、今後、大臣からも御答弁申し上げましたように、六十五歳の最終的な報酬比例部分の支払いというものを念頭に置いた場合、六十歳代前半の公務員に対する雇用問題というものは大きな問題であろうというように考えております。
○佐々木(憲)委員 その答弁は、現在の仕組みでは何とか対応できるが将来はどうもはっきりしない、そのうち何とかなるだろうという姿勢だと思うんですね。私は、ここに非常に重大な問題があると思います。
 六十五歳まで支給開始年齢を繰り延べるとすれば、当然それに対応する具体的な生活保障の提案がなければならない。具体的なことは将来そのうち何とかなるだろうということで棚上げして、ともかく法案だけ通せ、これでは本当に無責任だと思うんですね。
 再任用制度ということを大蔵大臣がおっしゃいました。それでは、総務庁の中川人事局長にお聞きしたいわけですが、この再任用制度というのは、再任用をしていただきたい、こういう希望のある方々は全員再任用されるという仕組みになっているんでしょうか。
○中川政府参考人 ことしの七月に成立いたしました国家公務員法等の一部を改正する法律におきましては、新たな再任用について、任命権者が従前の勤務実績等に基づく選考の方法により行うということにいたしております。したがいまして、再任用を希望する職員が当然に全員雇用されることを保障するというものではございませんけれども、総務庁といたしましては、できる限り雇用の機会が拡充されるように、各任命権者とも連携を図りつつ、この改正法が施行されます平成十三年四月に向けて準備を進めてまいりたいというふうに考えております。
○佐々木(憲)委員 結局、全員再任用されるという保証はないわけであります。選考するわけですから、選ぶわけですね。再任用を保障するものではない、そういう制度なんですね。ですから、大蔵大臣がおっしゃいましたように、再就職あるいは再任用、そういう制度があるから保障されるだろうという保証はないんです。
 私は、今の議論で、今政府は省庁再編をやり、十年間で二五%の定数削減という話も進めているようですけれども、そういう状況ではますますこの再任用の実効性が疑わしい。再任用という制度ができても、実際には絵にかいたもちになるんじゃないか。ですから、年金を六十歳から六十五歳までの間前倒しで支給してもらう場合の減額率がどうなるかさえはっきりしない、再任用についても具体的に保証はない、そういう状態でどんどん法律だけ通してしまう。これは本当に私は無責任だと思いますし、国家公務員の生活の保障の基盤をやはり掘り崩すものだと言わざるを得ないと思うんです。
 もう一つの重大な問題は、賃金のスライド制を廃止するという点であります。今回の改正案では、六十五歳以降は賃金スライドを行わない、物価上昇のみで改定すると。
 藤井次長にお聞きしたいんですが、本来、この賃金スライドというものは、どのような趣旨で実施してきたか、その内容についてお聞かせいただきたい。
○藤井政府参考人 裁定後の年金額、これにつきましては、これまで五年ごとの財政再計算におきまして、厚生年金と同様に、現役世代の方々の賃金水準、この上昇分を年金額に反映させるということで、具体的には、その算定の基本となります平均標準報酬月額、これに現役世代の手取り賃金の上昇率を乗ずるという、いわゆる賃金スライドというものを行ってきたところでございます。
 あるいは、お尋ねの域をさらに超えるかと思いますけれども、この賃金スライド、これは現役世代の生活水準が向上した場合に、年金受給者も現役世代と同程度の向上が図られるように、年金額の改定を行うというものであります。
○佐々木(憲)委員 今の答弁のように、物価スライドというのは年金の実質価値を維持するものであります。そして、賃金スライドというのは国民全体の生活水準の上昇分を年金受給者にも配分する、こういうものですね。そうすると、この賃金スライドをやめるということは、年金生活者は生活水準の向上ということは全く必要がない。今までは必要だという基準でこれを実施してきたけれども、これからはそういうことは必要がなくなったのだと。なぜそういうことになるのですか。理由は何ですか。
○藤井政府参考人 今般の改正におきましての考え方でございますけれども、今後とも少子・高齢化が進展していくという中で、今までと同じような賃金スライドを行っていくということは、翻って言いますと、現役世代の負担というものがさらにさらに重くなっていくということであろうと思います。したがいまして、今までのように、実質賃金上昇の伸び分まで所得移転をする余力というこのものが、現役世代においては今や限界に達しつつあるのではないだろうかというようなことが言えようかと思います。そこで、将来世代の負担を過重なものとすることのないよう、そのための一つの方策といたしまして、この年金額について、六十五歳以降、これにつきましては賃金スライドは行わないということといたしたわけでございます。
 ただ、物価スライドというもの、これは当然のことながら改定で行ってまいります。そういうことからいいまして、物価スライドの改定によりまして、年金受給者の購買力、これはきちっと確保されるということでございます。
○佐々木(憲)委員 物価スライドを行うのは当たり前ですよ。それをやらなければ価値がどんどん下がって、実質的に水準を低めるということになるわけですね。この年金の水準を賃金スライドによって、生活水準を国民全体が上昇するのに合わせて引き上げていく。この部分をカットするということは、今まで掲げてきた基準を放棄する、年金生活者はもう生活水準の向上なんかは問題にならないのだという姿勢に立つということになるわけで、幾らいろいろな理由で説明しても、今までの基準からいいますと、明らかにこれは後退であります。このほか、年金水準、比例報酬部分の五%の引き下げ、こういう問題など、本法案で幾つも重大な改悪が含まれております。
 そこでお聞きしたいのですけれども、厚生年金の場合は、夫が二〇二五年に退職する夫婦への影響額として、現行では五千三百万円給付を受けられますけれども、改悪後は四千三百万円に引き下げられます。おおよそ一千万円の減額だ。これは厚生省が試算をしておりますが、藤井主計局次長、国家公務員に当てはめた場合にどのぐらいの減額になるか、数字を出していただきたい。
○藤井政府参考人 お答え申し上げます。
 今先生おっしゃいましたように、厚生省におきましては、一定の前提を置いた上で、具体的には二〇二五年に六十歳となる平均的なサラリーマンということのようでございますが、いずれにいたしましても、大前提を置いた上で、モデルを使い、簡易な試算を行われたということで聞いております。
 共済年金におきましては、特定の標準的な公務員を想定いたしまして、そのような一定の前提を置いたその者の生涯年金受給額というものがどのように変化するかということにつきましては、試算はいたしておりません。ただ、今回の共済年金制度の改正といいますものは、厚生年金制度改正、これをある意味で踏まえました制度改正でございます。その結果といたしまして、財政再計算、いろいろ御議論ございましたけれども、その結果におきましても、将来の給付率は二割程度調整されるということでございますので、そのような考え方をいわばそのまま適用するということにいたしますと、支給開始年齢の引き上げ等によりまして、生涯の年金受給総額、これはやはり二割程度減少するのではないだろうかというように考えております。
 ただ、一点だけあえて申し上げますと、厚生省の試算も同様でございますけれども、これは生涯の年金受給総額、これが六十五歳への引き上げ等によりまして二割程度減少するということでございますので、先生十分御承知だとは思いますけれども、月々の年金額の水準、これが二割減少するということではないということをあえて申し添えておきます。
○佐々木(憲)委員 全体として約一千万、約二割、総体として減るということになるわけです。私は今までの議論で非常に明確になったと思いますが、国家公務員の生活設計、これを根本から脅かす内容のこういう法案は、極めて重大な改悪であり、我々は反対であるという点を明確にして、質問を終わりたいと思います。
○金子委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
 次回は、来る三日金曜日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後六時四十七分散会