第147回国会 本会議 第27号
平成十二年四月二十日(木曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第二十三号
  平成十二年四月二十日
    午後一時開議
 第一 行政機関の職員の定員に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第二 公益法人等への一般職の地方公務員の派遣等に関する法律案(内閣提出、参議院送付)
 第三 地方公共団体の一般職の任期付研究員の採用等に関する法律案(内閣提出、参議院送付)
 第四 防衛庁設置法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第五 預金保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第六 保険業法及び金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第七 電波法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第八 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第九 国際原子力機関憲章第六条の改正の受諾について承認を求めるの件
 第十 国際移住機関憲章の改正の受諾について承認を求めるの件
 第十一 千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定の譲許表第三十八表(日本国の譲許表)の修正及び訂正に関する千九百九十九年十二月二十日に作成された確認書の締結について承認を求めるの件
 第十二 児童手当法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第十三 都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案(内閣提出)
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○本日の会議に付した案件
 日程第一 行政機関の職員の定員に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第二 公益法人等への一般職の地方公務員の派遣等に関する法律案(内閣提出、参議院送付)
 日程第三 地方公共団体の一般職の任期付研究員の採用等に関する法律案(内閣提出、参議院送付)
 日程第四 防衛庁設置法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第五 預金保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第六 保険業法及び金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第七 電波法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第八 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第九 国際原子力機関憲章第六条の改正の受諾について承認を求めるの件
 日程第十 国際移住機関憲章の改正の受諾について承認を求めるの件
 日程第十一 千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定の譲許表第三十八表(日本国の譲許表)の修正及び訂正に関する千九百九十九年十二月二十日に作成された確認書の締結について承認を求めるの件
 日程第十二 児童手当法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第十三 都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 商法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び会社の分割に伴う労働契約の承継等に関する法律案(内閣提出)並びに企業組織の再編における労働者の保護に関する法律案(日野市朗君外四名提出)の趣旨説明及び質疑
    午後一時三分開議
○議長(伊藤宗一郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 日程第一 行政機関の職員の定員に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(伊藤宗一郎君) 日程第一、行政機関の職員の定員に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。内閣委員長植竹繁雄君。
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 行政機関の職員の定員に関する法律等の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔植竹繁雄君登壇〕
○植竹繁雄君 ただいま議題となりました行政機関の職員の定員に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、さきに成立した中央省庁等改革基本法の趣旨を踏まえ、いわゆる総定員法において定める行政機関の職員の定員の総数の最高限度を五十三万四千八百二十二人とすること等を内容とするものであります。
 本案は、去る三月三十日本会議において趣旨説明及び質疑が行われ、同日本委員会に付託されたものであります。
 本委員会におきましては、四月十三日続総務庁長官から提案理由の説明を聴取し、去る十八日質疑を終了し、討論を行い、採決いたしましたところ、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
 なお、本案に対し附帯決議が付されました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(伊藤宗一郎君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(伊藤宗一郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第二 公益法人等への一般職の地方公務員の派遣等に関する法律案(内閣提出、参議院送付)
 日程第三 地方公共団体の一般職の任期付研究員の採用等に関する法律案(内閣提出、参議院送付)
○議長(伊藤宗一郎君) 日程第二、公益法人等への一般職の地方公務員の派遣等に関する法律案、日程第三、地方公共団体の一般職の任期付研究員の採用等に関する法律案、右両案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。地方行政委員長斉藤斗志二君。
    ―――――――――――――
 公益法人等への一般職の地方公務員の派遣等に関する法律案及び同報告書
 地方公共団体の一般職の任期付研究員の採用等に関する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔斉藤斗志二君登壇〕
○斉藤斗志二君 ただいま議題となりました両案につきまして、地方行政委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 まず、公益法人等への一般職の地方公務員の派遣等に関する法律案について申し上げます。
 本案は、地方公共団体が、人的援助を行うことが必要と認められる公益法人等の業務に専ら従事させるために職員を派遣する制度等を整備することにより、公益法人等の業務の円滑な実施の確保等を通じて、地域の振興、住民の生活の向上等に関する地方公共団体の諸施策の推進を図り、もって公共の福祉の増進に資することとするものであります。
 次に、地方公共団体の一般職の任期付研究員の採用等に関する法律案について申し上げます。
 本案は、公設試験研究機関における研究活動の活性化を図るため、公設試験研究機関の研究業務に従事する職員について、任期を定めた採用及び任期を定めて採用された職員の勤務条件の特例を定めようとするものであります。
 両案は、参議院先議に係るものであり、四月四日本委員会に付託され、同月十三日保利自治大臣からそれぞれ提案理由の説明を聴取いたしました。去る十八日両案に対する質疑を行い、討論の後、順次採決をいたしましたところ、いずれも賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(伊藤宗一郎君) 両案を一括して採決いたします。
 両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(伊藤宗一郎君) 起立多数。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第四 防衛庁設置法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(伊藤宗一郎君) 日程第四、防衛庁設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。安全保障委員長西村章三君。
    ―――――――――――――
 防衛庁設置法等の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔西村章三君登壇〕
○西村章三君 ただいま議題となりました防衛庁設置法等の一部を改正する法律案につきまして、安全保障委員会における審査の経過及び結果について御報告申し上げます。
 本案は、自衛隊の任務の円滑な遂行を図るため、防衛庁設置法、自衛隊法及び防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部を改正するものであります。
 その主な内容は次のとおりであります。
 まず、防衛庁設置法の一部改正に係る部分については、陸上自衛隊の自衛官の定数を三千八百七十九人削減し、海上自衛隊の自衛官の定数を六十人、航空自衛隊の自衛官の定数を三十人、統合幕僚会議に所属する自衛官を百二十五人、それぞれ増員して、自衛官の定数を総計二十六万二千七十三人に改めることであります。
 次に、自衛隊法の一部改正に係る部分については、第一に、陸上自衛隊の機関として研究本部を置くことができることとすること、第二に、即応予備自衛官の員数を五百十七人増員して、四千八百八十九人に改めること、第三に、第十二師団を第十二旅団に改めることであります。
 最後に、防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部改正に係る部分については、第一に、特別警備隊員手当を新設し、その所要事項を定めること、第二に、防衛庁の職員の給与等に関する法律に定める一定の事項について、政令等の制定または改廃をするときは、審議会等で、政令で定めるものの意見を聞かなければならないものとすることであります。
 本案は、四月十二日本委員会に付託をされ、十三日瓦防衛庁長官から提案理由の説明を聴取し、十八日質疑を行いました。質疑終了後、討論を行い、採決いたしましたところ、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
 以上、御報告を申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(伊藤宗一郎君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(伊藤宗一郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第五 預金保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第六 保険業法及び金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(伊藤宗一郎君) 日程第五、預金保険法等の一部を改正する法律案、日程第六、保険業法及び金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。大蔵委員長金子一義君。
    ―――――――――――――
 預金保険法等の一部を改正する法律案及び同報告書
 保険業法及び金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔金子一義君登壇〕
○金子一義君 ただいま議題となりました両案につきまして、大蔵委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 初めに、預金保険法等の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案は、我が国の金融の機能の一層の安定化及び破綻金融機関の的確な処理を図るため、金融機関の破綻処理のための恒久的な制度を整備するとともに、交付国債の増額及びいわゆるペイオフ解禁の一年延長等を行うものとし、さらには、協同組織金融機関の資本増強の拡充等の措置もあわせて講ずるものであります。
 次に、保険業法及び金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案は、生命保険契約者保護機構の借り入れに対する政府保証の恒久化等により、保険に対する国民の信頼を確保するとともに、相互会社から株式会社への組織変更を容易にする等の措置を講ずるものであります。
 両案は、去る三月二十四日宮澤大蔵大臣から提案理由の説明を聴取した後、質疑を行い、参考人の意見聴取を行う等慎重な審査を進め、去る四月十八日質疑を終局いたしましたところ、預金保険法等の一部を改正する法律案に対し、岡田克也君外二名から、民主党の提案に係る修正案が提出されました。次いで、修正案について内閣の意見を聴取した後、討論を行い、順次採決いたしましたところ、修正案は否決、両案はいずれも多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 なお、両案に対しそれぞれ附帯決議が付されましたことを申し添えます。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(伊藤宗一郎君) 両案中日程第五につき討論の通告があります。これを許します。末松義規君。
    〔末松義規君登壇〕
○末松義規君 私は、民主党を代表し、預金保険法等の一部を改正する法律案に反対する立場から、また、保険業法及び金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案に賛成する立場から討論を行います。
 まず、預金保険法等の一部を改正する法律案に反対する理由を申し述べます。
 前政権で華々しく発足しながら、提言をつまみ食いされて捨てられた不幸な経済戦略会議は、ペイオフが猶予される二〇〇一年三月までの二年間をバブル経済の集中的清算期間と位置づけ、不良債権処理に迅速かつ集中的に取り組むべきだと主張しました。もちろん、これは我々民主党が一貫して主張し続けてきたことであります。しかし、二〇〇一年三月までにペイオフが実施できないという事実は、金融不安がいまだに解消されていないことを如実に証明するものであります。
 民主党は、二〇〇一年四月のペイオフ実施という大原則は決して崩さず、その間に金融不安を一掃すべきであることを、まずもって強く申し上げます。
 一昨年の金融国会以降を振り返ると、金融再生法が成立し、長銀、日債銀などが次々と金融再生法に基づく破綻処理に移行した結果、金融危機はひとまず去りました。六十兆円という巨額の公的資金枠が用意されたこともあり、二〇〇一年四月のペイオフ凍結解除という最終期限に向かって、銀行業界の再編も加速されました。一昨年のどん底から見れば、明らかに改革のスピードは上がりつつありました。
 しかし、海外のマスコミから守旧派と言われた越智氏が金融再生委員長に就任したころから流れは変わりました。越智前金融再生委員長は改革の流れに待ったをかけ、金融行政は、時計の針が逆回りするかのように、かつての護送船団方式に戻ってしまいました。金融機関経営者を集めての会合で、金融検査に手心を加えようという発言を行ったことは、まさにその古い体質をあらわしたものであります。この手心発言は、我が国の金融行政に対する国際的な信用をも失墜させました。
 これに追い打ちをかけたのが宮澤大蔵大臣であります。宮澤大蔵大臣は、ペイオフの凍結は予定どおり二〇〇一年四月に解除することを繰り返し公言していました。昨年の十二月二十八日も、予定どおり実施してもまず心配はないだろうと述べられています。しかしながら、翌二十九日の与党政策責任者会議において、この国際公約は簡単にひっくり返され、宮澤大蔵大臣は、いとも容易にその受け入れを表明しました。あいた口がふさがらないということはまさにこのことを言うんだろうと思います。いやしくもかつて総理大臣を務めた宮澤大蔵大臣が、いとも安易にみずからの言を翻すことは、理念ある政治家としては厳に慎むべきものではありませんか。(拍手)
 以下、預金保険法等の一部を改正する法律案に反対する主な理由を述べます。
 第一に、ペイオフ実施を先送りすることは、金融不安の解消と金融システム改革そのものを先送りすることであります。
 金融業界のみならず、世界は目まぐるしいスピードで変革を続けており、改革を先送りすることは、我が国金融業界の国際競争力を決定的に失わせることになりかねません。
 第二に、預金保険法改正前の九四年から九五年に破綻した東京都の三つの信用組合の破綻処理に伴う損失処理を改正案にこっそり埋め込んでいることであります。
 政界との癒着も取りざたされたイ・アイ・イ・グループが関与した東京協和信組と安全信組を含む三信組の破綻処理に伴う損失は一千億円に上るものであり、監督官庁であった東京都との間で処理策が協議されてきました。しかし、東京都が負担を拒否するや、十分な議論もせずに、この法案を通じて全国民に負担を押しつけることは、全くおかしいではないでしょうか。
 第三に、いわゆるシステミックリスクの際の対応です。
 そのときに、例外的措置として、いざとなれば政府が何でもできるような内容になっていることです。特に、二〇〇二年三月で廃止するペイオフコストを超える資金援助をシステミックリスクの際に認めることは、大銀行については、事実上永遠にペイオフを実施しないことを意味します。つまり、ペイオフ実施は一年先送りされたのではなく、永遠に先送りされたということです。まさに、金融危機を招く原因となった護送船団行政への先祖返りと言うほかはありません。
 第四に、危機対応業務に対する財政措置についてです。
 この財政措置を今後も続けるということは、国民負担が際限なく膨らむということにつながります。国と地方の借金が六百四十五兆円に達し、財政破綻の危機が刻一刻と迫りくる今日、そんな余裕が一体どこにあるのでしょうか。
 第五に、金融当局や金融機関経営者の責任追及が全く手ぬるいことであります。
 金融システム不安の解消のために巨額の公的資金が投入されているにもかかわらず、責任を追及されているのは、破綻した長銀の旧経営陣などごく一部の関係者にすぎません。七兆四千五百億円もの公的資金によって救済された大手銀行の頭取に至っては、だれ一人として責任をとっていないではありませんか。しかも、彼らは、投入された公的資金をみずからの体力強化のためだけに使っております。このようなことでいいのでしょうか。
 さて、民主党は、民主党提案の修正案の中に、日本版ペコラ委員会ともいうべき金融問題監視院の設置を盛り込んでいます。一九三〇年代の米国では、金融犯罪の解明を目的として上院にペコラ委員会が設置され、多くの関係者が責任を問われました。また、八〇年代後半のSアンドLが大量破綻した際にも、金融機関経営者の責任が厳しく問われました。九〇年代の日本経済を底なし沼に陥れた金融危機を二度と起こさせないためにも、この間の金融行政を総括し、けじめをつけることが必要であります。
 次に、保険業法及び金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案に賛成する理由を述べます。
 現在、生命保険業界は年間一兆六千億円もの逆ざやに苦しめられておりますが、その原因がバブル崩壊後の銀行救済のための超低金利政策にあることは、火を見るより明らかであります。今回の法改正に伴う措置として、政府は四千億円の公的資金を投入することとしておりますが、生命保険が国民の重要な生活の保障手段であることを考えれば、それもやむを得ない措置だと思います。
 しかし、そもそも、金融当局が不良債権の実態を隠し、低金利政策で銀行に利ざやを稼がせて、こっそりと問題を解決しようとしたことが、問題を先送りし、それが結局問題を大きくしたのであります。その意味で、金融当局の責任は重大であり、公的資金投入の大前提として、政府はみずからの責任を明確化すべきではありませんか。また、生命保険各社の経営実態が不透明なままでは、公的資金の投入額が四千億円で済むのか、大きな不安があります。政府は、国民負担のさらなる増大を招くことがないよう、生命保険各社の経営実態のディスクロージャーの徹底に努めるべきであることを申し上げます。
 最後に申し上げます。
 我々が提案した金融再生法や六十兆円という公的資金枠が用意されたにもかかわらず、いまだに金融不安を解消することができず、ペイオフの実施を先送りしなければならない政府の責任は極めて重大であります。まさに政権担当能力が欠如していると言わざるを得ません。森総理は、直ちに国民の信を問い、政権担当能力のある我々民主党に政権をゆだねるべきであることを申し上げ、私の討論を終わります。
 どうもありがとうございました。(拍手)
○議長(伊藤宗一郎君) これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
○議長(伊藤宗一郎君) これより採決に入ります。
 まず、日程第五につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(伊藤宗一郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
 次に、日程第六につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(伊藤宗一郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第七 電波法の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(伊藤宗一郎君) 日程第七、電波法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。逓信委員長前田武志君。
    ―――――――――――――
 電波法の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔前田武志君登壇〕
○前田武志君 ただいま議題となりました電波法の一部を改正する法律案につきまして、逓信委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、電波の有効利用の促進と無線局の免許手続における透明性の向上等を図るため、無線局の免許手続等について所要の改正を行おうとするもので、その主な内容を申し上げますと、
 まず第一に、郵政大臣は、固定業務、移動業務等の無線通信の業務別の周波数の割り当てに加えて、電気通信業務用、公共業務用等の無線局の目的別の周波数の割り当て等を定める周波数割り当て計画を策定し、公示することとしております。
 第二に、無線局免許における競願処理手続を整備するため、電気通信業務用の人工衛星局等について、免許の申請期間を設けて、公示することとしております。
 また、携帯電話の基地局のように、広範囲にわたって多数開設される必要があるという特質を有している電気通信業務用の基地局については、多数の基地局全体を対象とする開設計画の認定制度を導入することとし、当該認定について申請期間を設けて、公示することとしております。
 第三に、事業譲渡の場合においても、許可を受けて無線局の免許人の地位を承継できることとするほか、無線従事者免許に関する規定の合理化等を行うこととしております。
 本案は、去る四月十一日本委員会に付託され、十三日八代郵政大臣から提案理由の説明を聴取し、昨十九日質疑を行い、討論、採決の結果、本案は賛成多数をもって原案どおり可決すべきものと議決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(伊藤宗一郎君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(伊藤宗一郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第八 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(伊藤宗一郎君) 日程第八、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。商工委員長中山成彬君。
    ―――――――――――――
 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔中山成彬君登壇〕
○中山成彬君 ただいま議題となりました法律案につきまして、商工委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、我が国経済社会を、より開かれ、自己責任原則と市場原理に立つ自由で公正なものとしていくとの観点から、規制緩和の推進とともに、競争政策の積極的展開を図るため、
 第一に、電気事業、ガス事業等に固有の行為に対する適用除外規定を廃止すること、
 第二に、消費者、事業者等が、不公正な取引方法により著しい損害を受け、または受けるおそれがあるときは、みずから裁判所に差しとめ請求訴訟を提起し、不公正な取引方法の停止または予防を求めることができること、
 第三に、公正取引委員会の審決が確定した場合の無過失損害賠償責任制度について、その対象に事業者団体の違反行為等を追加すること
等の措置を講じようとするものであります。
 本案は、去る四月十七日本委員会に付託され、翌十八日青木内閣官房長官から提案理由の説明を聴取いたしました。昨十九日質疑を行い、採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決いたしました。
 なお、本案に対し附帯決議が付されました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(伊藤宗一郎君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第九 国際原子力機関憲章第六条の改正の受諾について承認を求めるの件
 日程第十 国際移住機関憲章の改正の受諾について承認を求めるの件
 日程第十一 千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定の譲許表第三十八表(日本国の譲許表)の修正及び訂正に関する千九百九十九年十二月二十日に作成された確認書の締結について承認を求めるの件
○議長(伊藤宗一郎君) 日程第九、国際原子力機関憲章第六条の改正の受諾について承認を求めるの件、日程第十、国際移住機関憲章の改正の受諾について承認を求めるの件、日程第十一、千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定の譲許表第三十八表(日本国の譲許表)の修正及び訂正に関する千九百九十九年十二月二十日に作成された確認書の締結について承認を求めるの件、右三件を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。外務委員長井奥貞雄君。
    ―――――――――――――
 国際原子力機関憲章第六条の改正の受諾について承認を求めるの件及び同報告書
 国際移住機関憲章の改正の受諾について承認を求めるの件及び同報告書
 千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定の譲許表第三十八表(日本国の譲許表)の修正及び訂正に関する千九百九十九年十二月二十日に作成された確認書の締結について承認を求めるの件及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔井奥貞雄君登壇〕
○井奥貞雄君 ただいま議題となりました三件につきまして、外務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 まず、国際原子力機関憲章第六条の改正について申し上げます。
 国際原子力機関におきましては、近年、機関の加盟国が増加してきたことを踏まえ、理事国数の増加も含め、理事会の構成を見直す必要性が認識されるようになりました。
 これを受け、平成十年六月、当時理事会議長国であった我が国が提出した改革案を基礎に協議が行われました結果、平成十一年十月、理事国数を実質的に八カ国増加させる憲章改正案が総会において採択をされました。
 本改正の主な内容は、任期の終了する理事会が指定する理事国の構成について、現行では、原子力技術の最も進歩した十カ国及び世界八地域の中でこれら十カ国が含まれない地域のそれぞれにおいて原子力技術の最も進歩した一カ国とされているところを、原子力技術の最も進歩した十八カ国に改めること、総会が選出する理事国の数を二十二カ国から二十五カ国に改め、再選禁止の規定を廃止すること等であります。
 次に、国際移住機関憲章の改正について申し上げます。
 国際移住機関は、難民の輸送等に係る業務を全世界的に行うこと等を目的として平成元年に発足いたしましたが、東西冷戦終結に伴い、民族的または宗教的対立が各地で表面化したことにより世界の難民数が急増したことを受け、憲章の改正により機関の組織及び運営を抜本的に改革する必要性が認識されるようになりました。これを受け、憲章の改正が検討された結果、平成十年十一月、憲章改正案が理事会において採択されました。
 本改正の主な内容は、分担金の支払いが延滞している加盟国は、未払いの額が当該年度に先立つ二年間の分担金の額以上となる場合には、理事会が通報を受けた後一年で投票権を失うこと、事務局長及び事務次長の再選を一回に制限すること、執行委員会を廃止すること等であります。
 最後に、日本国の譲許表の修正に関する確認書について申し上げます。
 ウルグアイ・ラウンド交渉の過程において、主要国の間で医薬品の関税撤廃についての交渉が行われ、我が国を含む二十二カ国は、WTO設立協定が発効する日から特定の医薬品等について関税を撤廃することに合意しました。その後、平成八年に一回目の見直しが行われたのに続き、平成十年四月から二回目の見直しについて交渉が行われ、同年十月に、追加される対象品目について原則合意いたしました。その結果、我が国の譲許表の修正及び訂正案がWTOにおける所要の手続に従って確定し、平成十一年十二月二十日付で、WTO事務局によって本件修正及び訂正に関する確認書が作成されました。
 本確認書の主な内容は、関税撤廃の対象となる医薬品等について規定する我が国の譲許表の附属書に今回追加される産品を掲げる付表を加えること、追加される主要な産品は、付表ICに掲げるシゾリルチン等二百二十一品目及び付表IVCに掲げるチミジン等三百五十五品目とすること等であります。
 以上三件は、四月十三日外務委員会に付託され、翌十四日河野外務大臣から提案理由の説明を聴取し、十九日質疑を行い、引き続き採決を行いました結果、三件はいずれも全会一致をもって承認すべきものと決した次第であります。
 以上、御報告を申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(伊藤宗一郎君) 三件を一括して採決いたします。
 三件は委員長報告のとおり承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、三件とも委員長報告のとおり承認することに決まりました。
     ――――◇―――――
 日程第十二 児童手当法の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(伊藤宗一郎君) 日程第十二、児童手当法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。厚生委員長江口一雄君。
    ―――――――――――――
 児童手当法の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔江口一雄君登壇〕
○江口一雄君 ただいま議題となりました児童手当法の一部を改正する法律案について、厚生委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、総合的な少子化対策を推進する一環として、子育てを行う家庭の経済的負担の軽減等を図る観点から所要の措置を講じようとするもので、その主な内容は、
 第一に、当分の間、三歳以上義務教育就学前の児童を養育する父母等に対し、現行制度の給付に相当する給付を行うこととすること、
 第二に、三歳以上義務教育就学前の児童に対する給付の額及び所得制限等は、現行制度と同様とすること、
 第三に、三歳以上義務教育就学前の児童に対する給付の費用は、被用者及び自営業者等については、国が六分の四、都道府県が六分の一、市町村が六分の一を負担することとし、公務員については、所属庁が全額を負担すること
等であります。
 本案は、去る三月二十八日の本会議において趣旨説明が行われ、同日付託となり、四月十二日丹羽厚生大臣から提案理由の説明を聴取した後、質疑に入り、十八日には参考人から意見を聴取し、昨日の委員会において質疑を終了し、討論の後、採決の結果、多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 なお、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(伊藤宗一郎君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(伊藤宗一郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第十三 都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(伊藤宗一郎君) 日程第十三、都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。建設委員長大口善徳君。
    ―――――――――――――
 都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔大口善徳君登壇〕
○大口善徳君 ただいま議題となりました都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案につきまして、建設委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、都市計画制度を、今日の安定、成熟した社会に対応し、地域が主体となって、地域ごとの課題に的確に対応し得る柔軟性と透明性を備えたものとなるよう、全般にわたって見直しを行おうとするものであります。
 その主な内容は、
 第一に、市街化区域及び市街化調整区域の区分を原則として都道府県の判断にゆだねることとするとともに、都市計画区域の整備、開発及び保全の方針を充実し、あわせて開発許可制度について地域の実情に応じた適正かつ合理的な土地利用が実現できるよう見直しを行うこととすること、
 第二に、区域の区分をしていない都市計画区域のうち用途地域が指定されていない区域において、特定の建築物等の用途を制限する特定用途制限地域制度を創設するとともに、商業地域内の高度利用を図るべき一定の区域内において、未利用となっている建築物の容積の活用を促進するための特例容積率適用区域制度を創設することとすること、
 第三に、都市計画区域外において用途地域等の指定を通じ土地利用の整序を行うことを目的とする準都市計画区域制度を創設するとともに、都市計画区域及び準都市計画区域以外の区域においても大規模な開発行為について開発許可制度を適用することとすること、
 第四に、都市計画の案の作成における都道府県と市町村の役割を明確化し、また、都市計画の案の縦覧に際しその理由を記載した書面を添えることとするとともに、国及び地方公共団体は都市計画に関する知識の普及及び情報の提供に努めなければならないこととすること
であります。
 本案は、去る三月三十一日の本会議において趣旨説明が行われた後、同日本委員会に付託され、加藤建設政務次官から提案理由の説明を聴取し、四月五日質疑に入り、参考人から意見を聴取する等慎重に審査を行い、昨十九日の委員会において質疑を終了、討論、採決の結果、賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
 なお、本案には附帯決議が付されました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(伊藤宗一郎君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(伊藤宗一郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 商法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び会社の分割に伴う労働契約の承継等に関する法律案(内閣提出)並びに企業組織の再編における労働者の保護に関する法律案(日野市朗君外四名提出)の趣旨説明
○議長(伊藤宗一郎君) この際、内閣提出、商法等の一部を改正する法律案及び会社の分割に伴う労働契約の承継等に関する法律案並びに日野市朗君外四名提出、企業組織の再編における労働者の保護に関する法律案について、趣旨の説明を順次求めます。法務大臣臼井日出男君。
    〔国務大臣臼井日出男君登壇〕
○国務大臣(臼井日出男君) 最初に、商法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 この法律は、会社をめぐる最近の社会経済情勢にかんがみ、会社分割の制度を創設するため、商法、有限会社法及び株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律を改正しようとするものでありまして、その要点は、次のとおりであります。
 まず、商法につきましては、第一に、会社分割の形態として、分割によって設立する株式会社に分割をする株式会社の営業を承継させる新設分割の制度及び既に存在する他の株式会社に分割をする株式会社の営業を承継させる吸収分割の制度を創設することとしております。
 第二に、分割によって設立する株式会社または分割によって営業を承継する株式会社が分割に際して発行する株式を、分割する株式会社またはその会社の株主のいずれにも割り当てることができることとしております。
 第三に、株式会社が分割を行うには、分割計画書等を作成して株主総会の特別決議による承認を受け、また、事前に分割をする株式会社の貸借対照表、分割計画書等を本店に備え置いて株主及び債権者の閲覧等に供すべきこととするとともに、分割に反対した株主に株式買い取り請求権を認め、さらに、債権者に対しては債権者保護手続を経ることとして、株主及び債権者の保護を図ることとしております。
 第四に、分割によって設立する株式会社等が分割をする株式会社から承継する財産の価額がその会社の総資産の価額の二十分の一を超えないとき等には、その会社は、分割計画書等につき株主総会の承認を要しないこととし、分割手続の簡素化を図っております。
 第五に、分割によって設立した株式会社等は、分割計画書等の記載に従い、分割をした株式会社の権利義務を包括的に承継することといたしております。
 第六に、分割の手続等に瑕疵があった場合等には、株主、分割を承認しなかった債権者等は、分割無効の訴えを提起することができることとしております。
 次に、有限会社法につきましては、分割によって設立する会社を有限会社とする新設分割を有限会社または株式会社が行うこと及び吸収分割を有限会社と他の有限会社または株式会社との間で行うことができることとし、分割計画書等の社員総会の特別決議による承認、分割計画書等の開示、債権者保護手続等について、株式会社の場合と同様の規定を設けることとしております。
 最後に、株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律につきましては、会社分割の制度の創設に伴い、所要の改正をすることとしております。
 以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(伊藤宗一郎君) 労働大臣牧野隆守君。
    〔国務大臣牧野隆守君登壇〕
○国務大臣(牧野隆守君) 会社の分割に伴う労働契約の承継等に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 この法律案は、会社をめぐる最近の社会経済情勢にかんがみ会社分割の制度を創設するため今国会に提出された商法等の一部を改正する法律案に合わせ、これと一体のものとして、会社分割に伴う労働契約の承継等について、商法の特例等を定めることにより労働者の保護を図ることを目的とするものであり、その概要は次のとおりであります。
 第一に、分割をする会社は、分割によって設立する会社等に承継される営業に主として従事する労働者及びそれ以外の労働者であって労働契約を設立会社等に承継させる労働者に対し、事前に分割に関する情報を書面で通知しなければならないこととするとともに、労働協約を締結している労働組合にも同様に通知しなければならないこととしております。
 第二に、労働契約の承継に係るルールを定めております。
 その一として、設立会社等に承継される営業に主として従事する労働者の労働契約について分割計画書等に設立会社等が承継する旨の記載がある場合、分割の効力が生じたときに、当該労働契約は設立会社等に承継されることとしております。
 その二として、設立会社等に承継される営業に主として従事する労働者の労働契約について分割計画書等に設立会社等が承継する旨の記載がない場合、労働者は分割会社に対して異議を申し出ることができることとし、異議を申し出たときは、その労働契約は設立会社等に承継されることとしております。
 その三として、設立会社等に承継される営業に従として従事する労働者の労働契約について分割計画書等に設立会社等が承継する旨の記載がある場合、労働者は分割会社に対し異議を申し出ることができることとし、異議を申し出たときは、その労働契約は設立会社等に承継されないこととしております。
 第三に、分割会社と労働組合との間で締結されている労働協約について、労働組合の組合員である労働者に係る労働契約が設立会社等に承継されるときは、分割の効力が生じたときに、設立会社等と労働組合との間において同一の内容の労働協約が締結されたものとみなすこととしております。
 また、労働条件その他の労働者の待遇に関する基準以外の部分について分割会社と労働組合との間で設立会社等に承継させる旨の合意があったときは、合意部分については分割計画書等の記載に従い設立会社等に承継されることとしております。
 第四に、労働大臣は、分割会社及び設立会社等が講ずべき労働契約及び労働協約の承継に関する措置に関し、必要な指針を定めることができるとしております。
 なお、この法律は、商法等の一部を改正する法律の施行の日から施行することとしております。
 以上が、この法律案の趣旨でございます。
 以上であります。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(伊藤宗一郎君) 提出者城島正光君。
    〔城島正光君登壇〕
○城島正光君 民主党の城島正光でございます。
 ただいま議題となりました企業組織の再編における労働者の保護に関する法律案につきまして、提出者を代表して、その提案理由及び内容について御説明申し上げます。
 経済のグローバル化が進む中、純粋持ち株会社の解禁や産業活力再生特別措置法の制定など一連の立法が行われ、政府は、企業組織の再編を容易にするための施策を講じてきております。
 殊に、産業活力再生特別措置法案の審議においては、企業組織の再編における労働者保護に係る問題が繰り返し取り上げられ、衆参両院の附帯決議において、「労働関係上の問題への対応について、法的措置を含め検討を行うこと」としております。
 にもかかわらず、政府は、会社分割制度を創設するための商法の一部改正案にあわせ、ようやく会社分割に伴う労働契約承継法案を提出した次第であります。しかし、その内容は会社分割に特定した労働契約承継法でしかなく、数多くの裁判で争われている営業譲渡あるいは合併については、何ら法的措置が講じられておりません。
 また、会社分割に関しても、企業組織の再編を理由とする解雇の禁止、労働契約承継の不同意権、労働組合あるいは過半数労働者との事前協議の規定はなされておらず、政府案は、労働者保護について極めて不十分であると言わざるを得ません。
 また、企業組織の再編の際に労働契約が自動的に承継されることを法律上の効果として保障した規定が整備されているヨーロッパのEU指令と比較すれば、政府案の不備は明確であり、これを整備することが今国会における最も重要な課題の一つであると思われます。
 そこで、民主党は、企業組織の再編に係る企業の社会的責任を明確にする必要があるとの観点から、会社分割のみでなく、営業譲渡、合併にも対応して労働契約、労働協約などの承継を規定するとともに、国が、事業主に対しても適切な承継を図るため助成等の措置を講ずることなど、労働者の保護を図ることを目的とする法案を提出した次第であります。
 この法律案の主な内容は以下のとおりでございます。
 第一に、この法律の目的は、政府案のように会社の分割に限らず、企業の合併、営業の譲渡、分割による企業組織の再編に際して、労働者の雇用や労働条件の保護を図ることにしております。
 第二に、事業主は、企業組織の再編を理由として労働者を解雇してはならないこととしております。
 第三に、企業組織の再編に際して、労働契約は原則として承継されるものとしております。
 合併と営業全部の譲渡の場合は、労働契約については新会社に包括的に承継されることとしております。ただし、労働者は新事業主との労働契約を解除できることとしております。その際、労働者が労働契約を解除して退職することとなっても、それは、事業主による企業の合併及び営業全部の譲渡がその理由であることから、事業主の都合による非自発的失業であると考えております。
 また、営業の一部譲渡と分割の場合は、その営業の主たる従事者の労働契約は新会社に承継されることを原則といたしますが、その承継に同意しない労働者は旧会社に残れる余地を認めております。また、労働者が同意しないことを理由にして、事業主は解雇等の不利益な取り扱いをしてはならないこととしております。また、それを行った場合には罰則を科すことにしております。
 第四に、新事業主は、企業組織の再編を理由として労働者の労働条件を不利益に変更することのないようにしなければならないとしております。
 第五に、労働協約の承継についてでありますが、合併の場合は、承継労働者が組合員であるときは、労働協約は新会社にも承継されるものとしております。また、営業譲渡と分割の場合は、当該営業を譲り受けた事業主等は、当該労働組合と旧事業主との間において締結されていた労働協約と同一の内容の労働協約を締結したものとしております。
 第六に、新事業主は、旧事業主が労働者との間に労使協議機関を設置していた場合は、設置するよう努めなければならないとしております。
 第七に、事業主は、企業組織の再編を行おうとするときは、あらかじめ、その雇用する労働者の過半数で組織する労働組合がある場合は労働組合、労働組合がない場合は労働者の過半数を代表する者と協議をしなければならないとしております。その際、事業主は、労働条件に関する情報や労働者の保護に関する必要な情報を提供しなければならないとしております。
 第八に、労働者からの申告についてであります。事業主がこの法律やこれに基づく命令に違反する事実がある場合に、労働者はその事実を都道府県労働局長、労働基準監督署長、労働基準監督官に申告できるようにいたしました。また、事業主がその申告をしたことを理由に解雇その他の不利益取り扱いをしてはならないこととし、それを行った場合は罰則を科すことにいたしております。
 第九に、国は、企業組織の再編に際して労働契約の適切な承継を図るために、事業主に助成その他必要な援助等の措置を講ずるとともに、労働者の能力の開発及び向上を促進するための措置を講ずるものとしております。
 以上、この法律案の提案理由及び内容につきまして御説明申し上げました。
 何とぞ、御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。(拍手)
     ――――◇―――――
 商法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び会社の分割に伴う労働契約の承継等に関する法律案(内閣提出)並びに企業組織の再編における労働者の保護に関する法律案(日野市朗君外四名提出)の趣旨説明に対する質疑
○議長(伊藤宗一郎君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。中桐伸五君。
    〔中桐伸五君登壇〕
○中桐伸五君 民主党の中桐伸五でございます。
 私は、民主党を代表し、ただいま議題となりました商法等の一部を改正する法律案並びに会社の分割に伴う労働契約の承継等に関する法律案について質問をいたします。
 本年二月の失業率は過去最悪の四・九%を記録し、完全失業者は三百二十七万人にも達しました。特に、倒産やリストラによる非自発的失業者が百十五万人にも上ったことは、極めて深刻な事態と言わざるを得ません。
 その結果、国民の雇用不安と苦痛はますます増大しており、三代にわたる自民党政権の責任は極めて重大であります。
 政府は、この間、一九九七年の純粋持ち株会社の解禁を皮切りに、金融持ち株会社の解禁、産業活力再生特別措置法の制定、金融再生法の制定、株式交換に関する商法の改正、民事再生法など企業の再編法制の整備を実施してきましたが、連合など労働団体からは、企業組織再編によって大きな影響を受ける雇用や労働条件への配慮に欠け、雇用不安をいやが上にも増大させてしまうとの批判が出されておりました。このため、第百四十五回国会における産業活力再生特別措置法案、第百四十六回国会における民事再生法案の衆参両院の委員会審議において、「企業組織の再編に伴う労働関係上の問題への対応について、法的措置を含め検討を行うこと」との附帯決議が付されたのであります。
 そこで、まず、牧野労働大臣と深谷通産大臣に、こうした企業組織の再編に伴う労働関係上の問題に対する法的措置の必要性に関する御見解をお尋ねいたします。
 さて、ヨーロッパのEUでは、一九七〇年代に企業組織再編に伴う労働者保護法制が整備されておりますが、我が国では、営業譲渡等をめぐって企業組織再編に伴う労働問題が多数発生してきていたにもかかわらず、労働者保護の法制整備は極めて不十分なまま今日に至ったと言わざるを得ません。特に、我が国においては、経済のグローバル化や産業構造の転換、厳しい現下の経済情勢などを考慮するとき、今後も企業組織の再編成の機会は増加していくものと予想されますが、この点において、通産大臣の御見解をお伺いいたします。
 多様な企業組織の再編成の機会がこれからもふえていくという想定に立つとき、企業組織の再編法制の総仕上げと言われている今回の会社分割に関する商法の一部を改正する法律案を審議するこの時点において、営業譲渡、合併を含む多様な企業組織の再編全般に幅広く対応できる労働者保護のための基本法を制定する必要があると考えますが、労働大臣の御見解を伺います。
 しかるに、企業組織の再編に伴う労働者保護に関する今回の政府の対応は、対象を会社分割に限定している点で極めて不十分であると考えますが、この点に関する労働大臣の見解をさらにお尋ねいたします。
 また、労働契約承継に関する政府案は、審議会での検討が行われておらず、労使との十分な意見交換を経ないまま策定されたという経過をたどっております。既に、持ち株会社の解禁のときに、労働団体等から労使関係法制を扱う審議会を設置するよう要請があったと聞いておりますが、政府はなぜ、労使との十分な話し合いを経た後に法案を策定するという手続を踏まなかったのか、法案策定手続に基本的な問題があったと言わざるを得ません。この点に関する労働大臣の明確な答弁を求めます。
 次に、法案の具体的な内容に関する質問をいたします。
 まず、労使の事前協議についてお尋ねいたします。
 会社分割などの企業組織の再編は、労働者の地位と職場のあり方に重大な影響を与えるものであると考えます。このため、事前の労使協議は不可欠であり、また、この協議を通じて円滑な企業再編と労働者保護の両立を図ることができると考えます。労働省が設置した企業組織変更に係る労働関係法制等研究会の報告書には、労使の事前協議についての記載は全くなく、検討された形跡が認められません。ちなみに、ヨーロッパのEUの企業組織再編に伴う労働保護法制においては、労使協議は主要な規定の一つであり、労働契約承継に関する政府案における事前の労使協議の欠落は、この法案を基本的な欠陥を有する法案にしてしまっていると言わなければなりません。
 今回の商法改正法案では、株主については、会社分割の場合、承認のための株主総会の特別決議を要件とし、かつ、反対株主には買い取り請求権を付与しているにもかかわらず、労働者に労使協議の機会を保障する措置を欠いている点は公平を欠くと言わざるを得ないと考えますが、労働大臣の明快な答弁を求めます。
 また、法務大臣にお尋ねいたします。
 分割計画書等に労働契約の承継について商法に明記すべきであると思いますが、いかがでしょうか。
 次に、労働契約承継に関する政府案の第二条第一項及び第二項について、労働者及び労働組合への事前通知期間が二週間となっている点について質問いたします。
 この二週間という事前通知期間は、民法の雇用契約の解約規定に準拠していると考えられますが、労働基準法における労働契約の第二十条には解雇通告期間として三十日間を規定しており、民法の特例規定となっております。企業組織の再編は労働者にとって雇用面で重大な影響を及ぼす点を考慮するならば、労働基準法の解雇予告期間に準拠して、事前通知期間を三十日とすべきだと考えますが、労働大臣の御見解をお伺いします。
 次に、労働契約承継に関する政府案では、営業譲渡や合併にかかわる労働関係の承継等に関する規定が欠落しており、企業組織の再編に伴う労働者保護法としては不十分であり、十分に機能しないと思いますが、この点についての労働大臣の明確な答弁を求めます。
 実際の企業再編は、会社分割のみではなく、営業譲渡、合併など、多様な選択の中で発生いたします。会社の分割だけを規制したとしても、ゆがんだ形の営業譲渡や合併その他の企業再編が発生した場合、ルールに基づく対処ができません。また、営業譲渡について、労働省の研究会報告は、判例があり法制化は不要との判断を示しておりますが、法規定によるルール化を図ることにより、裁判に訴える資力のない労働者にも有効であり、労働者保護の実効性が高まることは疑う余地はないと思います。
 また、判例ではカバーのできないケースとして、日大病院事件のように譲渡の連続のような複雑な譲渡のケースや、労働者を全く引き継がない営業譲渡のケースがあることが研究者から指摘されており、法律によるルール化の努力が求められていると考えられますが、このようなケースに対して政府はどのように対処していくおつもりか、あわせて労働大臣の見解をお伺いします。
 また、今回の労働契約承継に関する政府案の内容は、これまで営業譲渡について判例が築いてきたもの、すなわち営業譲渡において原則として労働者を承継すべきとする労働契約保護のレベルより低いものとなっております。これは大変大きな問題であると思いますが、労働大臣の見解をお伺いいたします。
 次に、企業組織の再編に伴う解雇の禁止に関してお尋ねします。
 企業組織の再編に伴う労働関係問題の中でも、労働保護の観点から見て最大の課題は解雇の問題であると言えましょう。労働省の研究会報告書では、最高裁判所の判例があるとして逃げていますが、確立した判例があれば立法化は容易であると考えられますが、労働大臣並びに法務大臣の明確な御答弁を求めます。
 次に、労働契約承継に関する政府案では、設立会社等に承継される営業に主として従事する者については民法上の本人の同意条件を否定しておりますが、実際には、不採算部門の分割など、労働者の不利益が発生する可能性も決して少なくないと考えられます。このようなケースの場合、民法上の規定に準拠して、労働者の同意を前提とする措置をとるべきと考えますが、あわせて労働大臣の明確な答弁を求めます。
 ヨーロッパのEU諸国は、一九七三年の第一次石油危機後の不況を契機にリストラに着手をしましたが、同時に、労働者保護のためのEU指令を策定いたしました。そのころ日本では、労働側が労働条件面では大幅に譲歩をして、雇用を守る対応を優先し、EUのようなリストラに対応した労働法制がつくられてこなかったと聞いております。しかし、最近になって、従来の日本的雇用慣行に対する再検討が始まって、ややもすると労働保護を軽視したむき出しの、ルールなきリストラが推進されるおそれが強まってきていると言えます。この間の規制緩和の一環として、企業組織の再編に関する法制の整備が求められてきましたが、この規制緩和の措置と同時に、関係労働者の雇用や労働条件の保護措置の見直し、適正化が急がれていると考えます。
 最後に、労働大臣並びに通産大臣、法務大臣に対して、企業組織の再編は労働者の雇用や労働条件に重大な影響を及ぼすという認識に立って、今回の会社分割に関する商法の改正の審議については、企業組織の再編にかかわる労働関係法の整備と不可分のものとして対処いただきますよう強く要望して、私の質問を終わります。(拍手)
    〔国務大臣牧野隆守君登壇〕
○国務大臣(牧野隆守君) 初めに、企業組織再編に伴う労働関係の法的措置の必要性についてのお尋ねですが、産業活力再生特別措置法、民事再生法の国会審議における附帯決議を踏まえ、検討を行った結果、会社分割については、労働者の保護を図るため、今御審議いただいている法案を提出したところであります。また、合併、営業譲渡等については、現行法や判例法理等の周知の徹底により対応することが適当であると考えております。
 次に、合併、営業譲渡を含む労働者保護のための基本法の制定についてのお尋ねですが、合併、営業譲渡等については、従来より現行法や判例法理により労働者保護が図られていることから、今後ともこれら法律や判例法理の周知徹底に努めることが適当であり、新たな立法を行う必要はないと考えております。
 次に、企業組織の再編に伴う労働者保護の対象を会社分割によるものに限定している点についてのお尋ねですが、先ほどお答えしたとおり、合併、営業譲渡等については現行の法律、判例法理の周知徹底に努めることが適当であると考えており、会社分割について労働者保護のための法整備を行うことで十分であると考えております。
 次に、法案策定手続についてのお尋ねですが、本法律案策定に当たっては、労働法、商法等の専門家による研究会において十分御検討をいただいたところであります。また、研究会においては、労使からの意見を聴取したほか、諸外国の法制、判例、事例等を総合的に勘案した検討がなされており、法案策定手続に特段問題があったとは認識しておりません。
 次に、労使協議の機会の保障についてのお尋ねですが、我が国の労使協議制は、労使自治に立脚しつつ、各企業の労使の創意工夫のもとにさまざまな形で発達してきたものであります。企業組織の再編の場合といえども、一律に義務づけることには種々検討すべき課題があると考えております。労働契約承継法案におきましては、商法における株主の保護とは異なる観点から労働者について保護措置を講じており、労使協議の機会を法律上保障していないからといって公平を欠いているとは考えておりません。
 労働者及び労働組合への事前通知期間についてのお尋ねですが、労働者にとっては、雇用の確保が前提とされた上で移るか残るかの判断をする期間であること、商法の規定により分割計画書等の備え置きや株主総会招集通知が株主総会の開催される日の二週間前までに行われることとの均衡を考慮して、株主総会等の開催される日の二週間前までに通知することとしたものであります。
 次に、政府案は企業組織の再編に伴う労働者保護法としては不十分とのお尋ねでありますが、合併、営業譲渡等については、現行法や判例法理の周知徹底により対応することが適当であると考えており、政府案が不十分なものとは考えておりません。
 次に、営業譲渡についての法律によるルール化についてのお尋ねですが、日大病院のようなケースについては、対象となる企業組織再編をあらかじめ法律により規定することは困難であり、個別に対処することが適当であると考えております。また、労働者を全く引き継がないケースについては、整理解雇の判例法理等により対応することが適当であると考えております。
 次に、政府案の内容は営業譲渡についての判例のレベルより低いのではないかとのお尋ねでありますが、政府案は、会社分割に際して原則として労働契約が承継されることとしており、御指摘の、労働契約の保護のレベルが営業譲渡における裁判例より低いものになっているとは認識しておりません。
 次に、企業組織の再編に伴う解雇の禁止についてのお尋ねでありますが、解雇に関する裁判例が確立しているため、特段の立法措置がなくても、解雇に関し、労働者にとって不利益は生じないと考えております。また、個々の解雇の具体的事情は千差万別であるため、判例が確立しているからといって、立法化するには多くの問題があると考えております。
 次に、承継される営業に主として従事する者についても同意を前提とすべきとのお尋ねですが、会社分割は合併と同様、包括承継であり、これらの労働者については、合併と同様に雇用及び労働条件の維持が図られていること、承継後もほとんどの場合に分割以前についていた職務と同じ職務に引き続きつくと想定されていること、この条項から、実質的には不利益ではなく、また円滑、容易な会社分割の必要性が要請されていることをかんがみれば、労働者の同意を前提とせず、当然承継として差し支えない、このように考えております。
 以上でございます。(拍手)
    〔国務大臣深谷隆司君登壇〕
○国務大臣(深谷隆司君) 中桐議員の私への質問は二問であります。
 企業組織再編に伴う労働関係上の問題に対する法的措置の必要性についてのお尋ねでございます。
 我が国の経済の生産性の向上を図るためには、企業組織の円滑な変更を行うことが大変必要であります。その際に、労働者の理解と協力を得るということは必要なことであります。このために、国会審議における附帯決議を踏まえ、検討しました結果、今御審議をいただいている法案を提出したところでございます。
 次は、企業組織の再編成の動向についてのお尋ねでありますが、こうした動きは景気回復の進展に伴って一層強まっていくものと考えます。ただし、単に不採算部門の合理化といった取り組みにとどまらずに、経営資源を得意分野に集中し、新分野も切り開いていくという前向きな取り組みを行っていくことが必要だと考えます。
 通産省としては、こうした企業の選択と集中に向けて、その取り組みが円滑に進んでいき得るように、今後とも産業再生法の運用等を通じ、事業環境の整備を進めていく考えであります。(拍手)
    〔国務大臣臼井日出男君登壇〕
○国務大臣(臼井日出男君) 中桐議員にお答えを申し上げます。
 まず、分割計画書等の記載事項についてのお尋ねがございましたが、労働契約上の地位も、分割計画書等に記載されればその記載に従って承継されることになります。
 次に、企業組織の再編に伴う解雇の禁止についてのお尋ねがございましたが、いわゆる整理解雇につきましては、裁判例の積み重ねによりその要件が明らかにされているところであり、立法化の必要はないものと考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
    〔議長退席、副議長着席〕
○副議長(渡部恒三君) 佐々木陸海君。
    〔佐々木陸海君登壇〕
○佐々木陸海君 私は、日本共産党を代表して、いわゆる会社分割法案並びに労働契約承継法案について質問をいたします。
 まず最初に、本日、森首相が出席しないまま、労働者の雇用と国民生活にとって極めて重要な影響を及ぼす法案、いわゆる重要広範議案であるこの二法案の審議が強行されることは極めて遺憾であり、厳しく抗議をするものであります。(拍手)
 政府が発表した二月度の完全失業率は四・九%、完全失業者数は三百二十七万人と、雇用失業情勢は戦後の混乱期を除けば最悪の状況になっています。学卒未就職者が失業者としてカウントされる四月度以降さらに悪化すると経済企画庁長官も認めざるを得ない状況であります。
 このような深刻な雇用失業情勢は、自民党政権並びに自民党、公明党などの連立政権の相次ぐ失政によってもたらされたものであると同時に、今、独占大企業がリストラの名目のもとに大規模な雇用破壊を進めていることから生じているものであります。大企業の合併、営業譲渡は、毎日の新聞やテレビの報道に見られるように、枚挙にいとまがありません。
 このような大企業のリストラの強行に対して、政府は一切の規制を行わず、それどころか、財界のトップを集めた産業競争力会議を設けて、そこで出された要求を無条件に受け入れ、産業活力再生法の制定や、株式の交換、移転のための商法改正、労働者派遣法と職安法の骨抜き改悪などを次々と行ってきました。今回の商法の改正案と労働契約承継法案は、大企業のリストラ促進法制の総仕上げとして提出されたものであります。
 まず、法務大臣に、いわゆる会社分割法案について聞きます。
 本法案は、会社法制に新たに分割制度を創設することを柱としているものであります。従来、商法には会社分割についての規定はなく、そのため、分割部門の営業譲渡、現物出資、財産引き受けなどの手法がとられてきました。これらの手法については、裁判所が選任した検査役による調査や、債務引き受けについての債権者の個別同意など、慎重な手続と審査が求められていました。これらの規定を必要とした理由は何だったのでしょうか、まずこのことについて答弁を求めます。
 今回の会社分割法においては、会社分割を行う場合、株主総会の決議がありさえすれば、今述べたような今まで必要とされた手続を一切不要だとしています。それはなぜですか、その具体的な根拠の説明を求めます。
 この法案では、会社の営業の全部または一部を新しく設立する会社に承継させる新設分割と、会社の営業の全部または一部を既存の他の会社に承継させる吸収分割を認めています。どちらの分割にしても、分割計画書、分割契約書に記載された権利義務に関する事項しか承継されない仕組みになっている上、記載される権利義務に関する事項については分割する会社が自由に取捨選択することができるようになっています。
 そこで聞きます。分割する会社が労働契約、労働協約について分割計画書、分割契約書に記載をしなければ、労働者の権利義務は承継されない事態となるのではありませんか。会社の判断だけで自由自在に権利義務関係が切断できるとなると、雇用の保障はどうなるのですか。会社と有機的に一体の関係にある労働者の権利は非常に不安定なものになってしまうのであり、断じて認めるわけにはいきません。その上、分割計画策定に際して、労働組合との協議を義務づけていないのは重大であります。これでは会社の思うようにリストラが強行されることになるのではありませんか、そうではないと言えるのですか、明確な答弁を求めます。
 また、労働者の雇用だけでなく、下請企業に対しても、承継する記載がなければ権利関係の切断が有無を言わさずになされることになるため、本法案は、下請企業の切り捨て、単価買いたたきの道具として利用されることになるのではありませんか。分割会社が下請中小企業との取引契約を解消する場合または不利益変更をする場合は、営業に対する一定の保護を行うなどの配慮義務を明確にすべきではありませんか。なぜ本法案で分割計画書、分割契約書の権利義務の承継の記載事項について何らの規定も設けなかったのか、明確な答弁を求めます。
 また、法案では、分割する会社が分割計画書、分割契約書に記載しさえすれば、営業や事業などを構成する労働者を含む個々の財産を、会社が自由に別法人に承継させることが可能となります。これは、労働者の同意なき移籍の禁止を定めた基本法である民法の六百二十五条の大原則を骨抜きにし、同意なき移籍を合法化する道を開くものであります。なぜ会社分割法制で労働者の本人同意による移籍の規定の適用を除外するのか、その理由と根拠は何ですか、納得できる答弁を求めます。(拍手)
 さらに、分割によって設立される会社の資産が分割をする会社の資産の二十分の一を超えないときは、株主総会の決議を必要としない簡易な分割の手続が可能となるため、安易な会社分割が行われる危険があります。分割する規模が大きかろうと小さかろうと会社分割には変わりがないにもかかわらず、小さい場合はなぜ株主総会の決議を経ずに分割することを認めたのか、答弁を求めます。
 重要なことは、法案では、生身の人間である労働者が一切考慮されていないことであります。この簡易分割制度を使えば、仮に、分割をする会社の大半の労働者が働いている事業部門であっても、資産額が二十分の一以下であることを理由に、株主総会の議決もなく分割が決定されてしまうことになります。簡易な会社分割で不採算部門を分割することによって、大量の労働者との雇用関係の切断、労働条件の切り下げを行うことが可能となるのではありませんか。このような危険を規制する規定はあるのですか、また、何ら規定がないのであれば、なぜないのか、明確な答弁を求めます。
 不採算部門の切り捨てを認めないというのであれば、分割後も一定期間事業を継続することを会社分割の要件として規制すべきではありませんか。明確な答弁を求めます。
 会社分割法案は、一個の有機的結合体である会社を事業部門ごとに自由自在に分割することを可能にするため、そこで働く労働者の地位に重大な変更を与えることになります。本法案は、会社分割の手続に最初から最後まで一貫して労働者が関与することを排除しています。労働組合または労働者代表と、会社の分割計画書、分割契約書の作成時に話し合うなどの規定も全くなく、労働組合の存在自体を否定する立法だと言わなければなりません。分割計画書、分割契約書の作成に当たっては労働組合との協議を義務づけるべきではありませんか。
 また、本法案では、会社の有機的構成部分であり、憲法二十七条の人間らしく働く権利を持つ労働者に対しての説明や協議をなぜ義務づけていないのか、明確な答弁を求めます。(拍手)
 次に、労働契約承継法案について、労働大臣にお聞きします。
 最初に、端的に聞きます。
 なぜ、この法案を必要としたのですか。労働者を保護するためにですか。それとも、会社分割を遅滞なく進めるためにですか。本法案でわざわざ、民法六百二十五条の移籍は本人同意の原則を空洞化させるのは、会社分割を促進させるため以外には考えられないのではありませんか。答弁を求めます。
 現在、大企業のリストラは、合併、営業譲渡などの形で進められています。金融業界では、政府の政策によって大々的に合併や譲渡が進められています。大阪の不動信用金庫の例では、支店ごとに別々の金融機関に営業譲渡が行われ、お得意先つきで会社の資産が売却されましたが、従業員は全員解雇され、譲渡先の会社には一人も採用されていません。
 このようなことが横行する状況のもとで、今求められているのは、分割の場合だけでなく、合併や営業譲渡の場合を含む総合的な労働者保護法ではないのですか。答弁を求めます。
 次に、具体的にお聞きします。
 まず、今回の立法過程についてであります。
 労働者の雇用上の身分や労働条件に大きくかかわる法案でありながら、労働者、労働組合の代表が参加する審議会の意見すら全く求めていません。一体なぜなのか。この点について納得できる答弁を求めます。
 次に、分割に当たっての問題です。
 第一に、労働者への通知は、分割計画書を承認する株主総会の二週間前までとなっています。労働者が人生と生活の全体にかかわる決断を求められる、そういう問題であります。最低でも一カ月以上前の通知が必要だと思いますが、二週間でなぜ十分と考えるのか、その理由を説明していただきたいと思います。
 また、分割会社に承継される労働者だけに通知することになっており、それ以外の労働者への通知義務はありません。労働者全員への通知は必要ではないという、その理由を伺いたいと思います。
 第二に、労働組合への通知義務も、労働協約を締結している場合だけであり、その通知も二週間前までとなっています。労働協約を結んでいない労働組合の場合は通知さえされないのであります。このような労働組合への扱いは、これまでの労働関係法にはなかったのではありませんか。答弁を求めます。
 労働協約のあるなしにかかわらず、労働組合への一カ月前の通知義務を設ける、労使間に存在することが明らかな労使慣行についても労働協約とみなし、承継の対象とする、このようにすべきと考えますが、いかがですか。明確な答弁を求めます。(拍手)
 第三に、今度の法案では、分割で設立される会社に承継されるべき主たる営業に従事する労働者が承継されない場合と、従たる営業に従事している労働者が転籍される場合だけ異議申し立て権を認めていますが、すべての労働者の同意を求めることは当然ではありませんか。なぜ、それをやろうとしていないのか、その理由の説明を求めたいと思います。
 労働大臣、御承知のように、既にヨーロッパ各国では、一九七七年のEU指令によって、会社組織の再編に当たっては、一つ、労働契約並びに労働契約に基づく権利義務は原則としてすべて承継する、ただし、本人の同意が得られない場合は原則としてそれまでの契約を継続する。二つ、企業組織の再編を理由とする解雇は禁止する。三つ、賃金、労働条件は原則として承継する。四つ、労働協約は従前の水準を維持するなどが義務づけられております。その他にも、労働組合との事前協議義務など、労働者の既得権を保護する規定が定められております。
 私たち日本共産党は、このような外国の立法も参考にしながら、日本の現実に照らして、去る三月二十八日、企業組織の再編を行う事業主に雇用される労働者の保護に関する法律案並びに新解雇規制法案、サービス残業根絶法案の三法案を衆議院に提出いたしました。これらは労働省にも届けてあります。
 日本共産党が提出した、この企業再編に伴う労働者保護法案への見解を最後に求めて、質問を終わります。(拍手)
    〔国務大臣臼井日出男君登壇〕
○国務大臣(臼井日出男君) 佐々木議員にお答えを申し上げます。
 まず、営業の現物出資等の場合の検査役の調査等についてのお尋ねがございましたが、検査役の調査は、資本充実の原則の要請によるものでございまして、債権者の同意は、営業に含まれる債務の承継が個別的な債務引き受けによるものであることから必要とされるものであります。
 次に、会社分割に検査役の調査等を不要とした理由についてのお尋ねがございましたが、これは、会社分割が合併と同じく組織法的な行為であることによるものでございます。
 次に、会社分割によるリストラ強行のおそれについてのお尋ねがありましたが、労働契約上の地位も、分割計画書等に記載することによりそのまま承継されることとされており、また、労働契約承継法案によって適切に労働者の保護が図られますので、御懸念には及ばないと考えております。
 次に、会社分割法制の下請企業に対する配慮についてお尋ねがございましたが、会社分割は営業を単位として行われるものでございまして、分割計画書等の記載に従い、その営業を構成する下請企業との間の契約関係もそのまま承継されるものとなっております。
 次に、会社分割に民法第六百二十五条の適用がないこととした理由についてのお尋ねがございましたが、これは、会社分割においては、合併と同様に、権利義務が法律上当然に承継されることによるものでございます。
 次に、簡易な会社分割手続を認めた理由についてお尋ねがございましたが、これは、分割により承継される財産の総資産に占める割合が小さい場合には、株主に与える影響が軽微であることによるものであります。
 次に、簡易な分割手続による不採算部門の分割についてのお尋ねがございましたが、改正法案においては、分割をする会社、営業を承継する会社のいずれもが債務超過となるような会社分割を認めないとする趣旨の規定を設けているところでございます。
 次に、分割後の事業継続を会社分割の要件とすべきであるとの御指摘がございましたが、そのような要件を設けることは適当でないと考えております。
 次に、事前の労使協議についてのお尋ねがございましたが、会社が、分割を行うに当たり、労働組合等と自発的に協議をすることは会社分割の円滑な実施に資するものであり、そのような労使慣行が形成されることが望ましいものと考えております。
 以上でございます。(拍手)
    〔国務大臣牧野隆守君登壇〕
○国務大臣(牧野隆守君) 初めに、労働契約承継法案を必要とした理由に関するお尋ねでございます。労働契約承継法案は、目的規定にありますように、会社分割に際して労働者保護を図ることを目的とするものであります。
 次に、総合的な労働者保護法についてのお尋ねですが、合併、営業譲渡等については、従来より、現行法や判例法理により労働者保護が図られていることから、今後ともこれらの法律や判例法理の周知徹底に努めることが適当であり、御指摘のような立法を行う必要はないと考えております。
 次に、立法過程についてのお尋ねでございます。
 本法律案策定に当たっては、労働法、商法等の専門家による研究会において十分御検討いただいたものです。また、研究会においては、労使からの意見を聴取したほか、諸外国の法制、判例、事例等を総合的に勘案した検討がなされており、法案策定手続に特別問題があったとは認識しておりません。
 次に、労働者への事前通知期間についてのお尋ねでございます。
 労働者にとっては、雇用の確保が前提とされた上で移るか残るかの判断をする期間であること、商法の規定により分割計画書等の備え置きや株主総会招集通知が株主総会の開催される日の二週間前までに行われることとの均衡を考慮して、株主総会等の開催される日の二週間前までに通知することとしたものであります。
 次に、労働者に対する通知義務についてのお尋ねですが、労働契約承継法案は、設立会社等に承継される労働者に加え、承継される営業に主として従事している設立会社等に承継されない労働者にも通知を行うこととしております。労働契約承継法案において、その他の労働者は雇用労働条件等が分割により影響を受けることがほとんどないため、通知を義務づけすることは必要ないと考えております。
 労働組合への通知義務についてのお尋ねでございます。
 会社分割は労働協約の適用範囲や効力に影響を及ぼす場合があることから通知義務を課したものであり、労働協約のない場合にはその必要はないものと考えております。また、その時期につきましては、分割計画書等の備え置きや株主総会招集通知との均衡を考慮して、株主総会等の開催される二週間前までに通知することとしたものであります。さらに、労使慣行は権利義務とは言えず、承継の対象とすることは適当でないと考えます。
 次に、すべての労働者に対し同意を求めない理由についてのお尋ねですが、本法案におきまして異議申し立ての機会を与えていない労働者は、分割後も雇用及び労働条件が維持されること、ほとんどの場合に同じ職務につくと想定されることから、実質的な不利益はなく、御指摘のように同意を求める必要はないと考えております。
 次に、日本共産党が提出した企業再編に伴う労働者保護法案についてのお尋ねですが、この法律案において対象となっている合併や営業譲渡については、現行法や判例法理等の周知徹底により対応することが適当であり、立法化することは適当でないこと等、種々の問題があると考えております。
 以上であります。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(渡部恒三君) 保坂展人君。
    〔保坂展人君登壇〕
○保坂展人君 私は、社会民主党・市民連合を代表いたしまして、ただいま議題となりました商法等の一部を改正する法律案並びに会社分割における労働契約の承継等に関する法律案に関し、臼井法務大臣と牧野労働大臣にお尋ねいたします。
 まず、商法改正について、臼井法務大臣にお聞きいたします。
 この法案は一般的に会社分割法案と言われているので、私は、以下の質問では会社分割法案と呼ぶことにいたします。
 ところで、この法案は、過去四十年間、私たちが見てきた日本の企業のあり方を大きく変える影響と効果を持つだろうというふうに言われています。そこで働く労働者の雇用や下請中小企業の経営などにも重大で、また深刻な影響を及ぼすのではないか、そして雇用情勢や労働者の働き方、ひいては社会のあり方にも深い影響を与えるに違いない、そんな懸念が労働組合や弁護士、ジャーナリスト、学者の間で広がっていることを深く受けとめたいと思います。
 実際、会社分割法案が成立すると、戦後日本の産業界にはなかった、持ち株会社型の企業グループ経営が始まるのは間違いないだろうと思います。株式だけを保有し、労働者の雇用や下請業者との取引関係を持たない、専ら利潤追求のために子会社の経営効率化を指揮するのが持ち株会社です。その持ち株会社の判断、指示に基づいて、傘下のグループ子会社や系列関係会社の間で、あるいは企業グループの垣根をも越えて、企業の事業部門の切り売りや集約再編が自由自在かつスピーディーにできるようになると言われています。
 しかし、反面、企業という存在は、営業活動を行うための生産設備などの事業用資産だけで成立しているのではなく、企業の細部にわたるオーダーにこたえてきた中小下請企業もその土台を支えておりますし、何よりも、その仕事に心血を注いで職場をつくり上げてきた労働者、かかる存在が一体となって結びついて企業をなしているものであります。
 この有機的一体の組織、これを地域の祭りに例えるなら、みこしを担ぐ人、音頭をとる人、山車に乗る人、引き手の人、のぼりを掲げる人あるいは鳴り物を持つ人など、大変多くの一体となって動いていく人の輪を類型別に選別して、いわば分割をしてこれをもう一回くっつける、こういう荒療治をする法律をつくるわけですから、間違いがあれば大きな犠牲と混乱をもたらしかねません。
 私たちは、今日の規制緩和の大合唱のもとで大型店が出店して大変なにぎわいを持つ一方で、地域をつなぐ血管の役割をしている商店街の小さなスーパーがその影響を受けて次々とつぶれていく、そして商店が閉鎖をしているところが半分ほどもあるといった、商店街が大打撃を受ける中で、地域のいわばコミュニティーとしての力も低下をしていくという状況を見るときに、政治の意思決定の場に一方的な立場にくみする議論だけではやはりいけないというふうに思います。
 私は、大企業や金融機関が国際競争に勝ち抜くために会社分割が必要だという声だけに耳を傾けることはできません。企業側には無制限な組織再編の自由を与える一方で、当の企業を支えている労働者や下請中小企業の雇用や権利を守りたいという立場で、この法案を深刻に受けとめています。
 その観点から、具体的にお尋ねをしていきたいと思います。
 まず、会社分割法案は、これまでの企業組織変更手続である営業譲渡や分社化と比べてみると、利用する企業にとってどんな点に特徴があり、どのようなメリットが新たに生まれることになるのか、御見解をお示しいただきたいと思います。
 次に、労働者に与える影響についてです。
 企業組織の変更は、労働者の雇用や労働条件に重大な影響を与えるケースが多いと言われています。特に営業譲渡の場合は、単純化して言えば、利害が反する企業間での事業の売買ということになりますから、買い手側としては、安い値段で、しかも賃金の高い労働者はできるだけ引き継がずに営業を譲り受けたいと思うのが自然であります。したがって、譲渡される営業に従事していた労働者の雇用が新会社に承継されずに、解雇事件や労使紛争となる場合も大変多いようです。分社化の場合も、会社が子会社化されるので、当然のように労働条件は引き下げられる、こういうケースが目立ちます。
 ところで、会社分割法制の場合はどうなのでしょうか。
 営業譲渡や分社化と比べると、会社分割は、有機的一体性を持つ企業の営業を、その営業に伴うさまざまな権利義務をそのまま維持しながら丸ごと会社から切り離す手続と言われていますから、理屈からいえば、分割される営業にかかわっている労働者は、そのまま労働条件も丸ごと引き継がれるはずです。むしろ、会社分割の場合には労働者の雇用には比較的否定的な影響を及ぼす事態が想定しにくい、こういうふうにも考えられそうですが、ここのところ、明確な答弁をお願いするものであります。
 次に、会社分割法制を利用して人員整理や労働組合つぶしが行われる危険はないかという点についてお聞きをしたいと思います。
 会社分割の具体例として、会社の優良部門を別会社化する一方、残った不採算部門は早晩清算してしまうケースがあり得ると言われています。そうすると、法を悪用して、専ら人員整理を主な目的とする会社分割が行われたり、場合によっては労働組合の切り崩しや弱体化に乱用するおそれがありはしないかという指摘があります。この点について、率直なお考えをお願いしたいと思います。
 この法案の問題点を考えるに当たって避けて通ることのできない問題があります。日本経済を支える大多数の下請中小企業への影響について、政府は一体どのように考えているのでしょうか。
 御承知のとおり、日本の物づくりは下請化が進んでいて、主な産業、企業のほとんどで、実際の生産現場の仕事は専属の下請中小企業や系列子会社が行っているのが実態でありましょう。会社分割は、明らかにこれら下請中小企業の営業継続に重大な影響を及ぼします。
 実際、会社分割法制を利用して、複数の企業が重複する同一事業部門の集約化を行うケースを考えると、経営の効率化を目的に行う以上、各企業が抱えていたすべての下請中小企業との取引を新会社が丸ごと継続していくとは考えられないのではないでしょうか。むしろ、分割を機会に、これら下請中小企業を整理淘汰して下請取引も効率化を図る、つまり、一方的な契約解除や取引条件の不利益変更が大がかりに行われることが予想されます。
 契約について、大きな企業と下請中小企業との間で対等な協議が行われる例はまずありません。この点は、法整備がない、空洞である、こういうふうに指摘したいと思います。そこで、これら下請中小企業の保護策をどう整備するか、本法案の審議において十分にその用意がおありか、お聞かせいただきたいと思います。
 私ども議員がこの議場に入るときに、国会ケーブルテレビの工事が今行われていて、電気工事が行われておりました。今もう少し進んでおりますが、この中間業者の倒産に伴って、中小の工務店幾つかが、国会の工事をしたのだけれども工賃がもらえない、国会の工事だから安心だと思っていたらお金が払ってもらえないという、とんでもないことが起きている。これは、実際上、本当にわずかな、十数%の工賃しか回収できなかったそうですが、こういう声を受けているだけに、下請中小企業の保護策は待ったなしという思いで、この点、特にお聞きしたいと思います。
 次に、労働契約承継法に関して、以下、牧野労働大臣にお尋ねいたします。
 労働契約承継法が提出されたのは、会社分割のような大がかりな企業組織変更法制を新たにつくるのであれば、労働者の雇用や労働条件を守る仕組みが一体的に必要だという労働団体などの声に一応政府がこたえたものだと認識しております。
 そこで、この目的に本当に合った法案にしていくために、幾つかお尋ねをしたいと思います。
 労働契約承継法は、確かに、会社分割を行う、その瞬間の局面だけをとってみると、労働者の雇用や労働条件を最低限守る仕組みを整えてあると考えられます。しかし、会社分割によって生じる雇用問題は、何も会社分割の瞬間だけにとどまるものではありません。新会社に承継される労働者はいいとしても、分割と同時に、あるいは分割に相前後して、会社分割を理由とした人員整理が野方図に行われるおそれがあるのではないかという疑問に答えていかなければなりません。したがって、法案にしっかりとした修正を加えて、会社分割を理由とした整理解雇は強く規制すべきだと考えますが、いかがでしょうか。明確な御答弁をお願いしたいと思います。
 次に、会社分割の実際の司令塔となる持ち株会社の団交応諾義務についてお聞きをいたします。
 会社分割は、持ち株会社が系列子会社グループの再編統合のために行うケースが多数想定をされています。言いかえると、分割のあり方自体は、分割を行う会社が方針を決めるのではなくて持ち株会社がこれを決めるのですから、分割子会社で働く労働者は、直接の雇用関係に当たる子会社の経営陣とだけ交渉しても、子会社の経営陣は十分な裁量権を持たず、団交を行うことができないということが想定されるわけです。
 したがって、子会社の労働者が、事実上の支配権を有する持ち株会社に対して、会社分割に伴う雇用労働条件に関して団体交渉を申し入れた場合、持ち株会社は団交を応諾するように措置すべきではないでしょうか。御見解を伺いたいと思います。
 また、同じように、会社分割を行う会社の下請中小企業の労働者の団交権についても検討する必要があると思います。分割で仕事が打ち切られてしまうような場合、その分割会社の下請労働者は直接の雇用関係を持つ下請会社だけと交渉してもらちが明かないのは明白なことです。下請労働者が会社分割に関して団交を申し入れた場合、会社はその団交申し入れを応諾するように法制度を整備すべきではないでしょうか。第一義的に労働者の権利擁護に努めなければならない労働省、労働大臣としての、それはそうだと思えるような前向きの御答弁をお願いしたいと思います。
 最後に、労働者保護法をおまとめになった民主党案の提案者にお尋ねいたします。
 この法案を提出した理由は、ずばりどこにあるのでしょうか。そして、会社分割のみに限った政府案と異なり、営業譲渡を含めているのはなぜなのか。また、営業ばかりではなく事業も含めているのはなぜなのか。この点についての御見解をお示しいただくことをお願いして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
    〔国務大臣牧野隆守君登壇〕
○国務大臣(牧野隆守君) 初めに、会社分割を理由とした整理解雇についてのお尋ねですが、整理解雇については四要件を満たすことが必要であるとの判例法理が確立しております。したがって、現在でも、会社分割のみを理由とした解雇はこの判例法理に照らして許されない、このように考えております。
 次に、持ち株会社に対する子会社の労働者の団体交渉の申し入れに関するお尋ねであります。
 一般的には、団体交渉応諾義務を認めることは困難であると考えております。ただし、判例において、雇用主以外の事業者が、基本的な労働条件等について、雇用主と同じ程度に現実的に支配、決定することができる地位にある場合には使用者性が認められ、団体交渉応諾義務が生ずる場合もあるとされております。このことは、持ち株会社と子会社の場合にも適用されるもの、このように考えております。
 次に、下請中小企業の労働者の団体交渉に関するお尋ねでございます。
 一般的に、労働交渉応諾義務を認めることは困難であると考えております。ただし、先ほど述べましたように、判例において、雇用主以外の事業者であっても、使用者性が認められ団体交渉応諾義務が生ずる場合もあるとされており、このことは元請企業と下請中小企業の場合にも適用されるもの、このように考えております。(拍手)
    〔国務大臣臼井日出男君登壇〕
○国務大臣(臼井日出男君) 保坂議員にお答えを申し上げます。
 まず、会社分割制度のメリットについてのお尋ねがございましたが、営業譲渡や分社化と比べたメリットとしては、持ち株会社のもとにある子会社を事業別に再編成することにより企業の再編成を促進することができること、営業の現物出資等によって行っていた分社の手続を合理化することができることなどを挙げることができます。
 次に、会社分割の労働者の雇用への影響についてお尋ねがございましたが、労働契約上の地位も、分割計画書等に記載することによりそのまま承継されることとされており、また、労働契約承継法案によって適切に労働者の保護が図られると期待できますので、分割自体が雇用に悪影響を及ぼすものではないと考えております。
 次に、会社分割が人員整理等に乱用されるのではないかとのお尋ねがございました。この点につきましては、現行の労働関係法規、雇用、解雇に関する判例法理などにより適切に対応し得るものと考えております。
 次に、会社分割の下請企業への影響についてお尋ねがございましたが、分割により、下請企業との間の契約関係は営業とともに承継され、理由なく一方的に解除したり契約条件を変更したりすることはできないこととされているのでございます。
 以上でございます。(拍手)
    〔日野市朗君登壇〕
○日野市朗君 保坂展人議員から、我が党が提出しました企業組織の再編における労働者の保護に関する法律案、この法案提出の理由はずばり何かというお尋ねでございます。ずばりお答えを申し上げたいと思います。
 一九九七年の純粋持ち株会社解禁以後、我が国においては、経済界の要望に基づいて、企業組織の再編を促進する立法が相次ぎました。しかし一方、これに対応する労働者保護法制の整備が行われていないために、営業譲渡などに伴う労働問題が深刻化しております。
 産業活力再生法などの審議の際に、附帯決議で、労働関係上の問題への対応について、法的措置を含め検討することが盛られておりますが、けだし当然と言うべきでありましょう。
 そして、今回の商法改正で企業組織の再編がさらに加速され、雇用や労働条件に大きく影響があるものと考えます。
 そこで、我が党は、企業再編を理由とする解雇の制限を初めとする労働者保護の必要性の観点から、本法案を提出した次第であります。よろしく御賛同のほどをお願いいたしたいと思います。
 政府案と違って営業譲渡を含めた理由についてお尋ねがございました。
 企業組織の再編は、持ち株会社を軸として、営業譲渡や分割その他さまざまな手段を用いて行われるものであります。でありますから、会社分割だけに特化して労働者保護を図るということは、政策上均衡を欠くものと考えております。これが営業譲渡をも含めてすべての問題をカバーしようという考えに基づくものであります。
 営業ばかりではなくて事業をも含めた理由は何かとのお尋ねでありますが、政府案のように株式会社、有限会社に限らず、そのほかのケースも種々に想像されます。例えば信用組合等においてもこれはあり得ることでありまして、株式会社や有限会社だけに限って起こるものではないと考えるから、このような事業をも含めた法案を作成した次第であります。御理解をちょうだいしたいと思います。
 ありがとうございました。(拍手)
○副議長(渡部恒三君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
○副議長(渡部恒三君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後三時十一分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        法務大臣    臼井日出男君
        外務大臣    河野 洋平君
        大蔵大臣    宮澤 喜一君
        厚生大臣    丹羽 雄哉君
        通商産業大臣  深谷 隆司君
        郵政大臣    八代 英太君
        労働大臣    牧野 隆守君
        建設大臣    中山 正暉君
        自治大臣    保利 耕輔君
        国務大臣    青木 幹雄君
        国務大臣    瓦   力君
        国務大臣    続  訓弘君
 出席政務次官
        法務政務次官  山本 有二君
        労働政務次官  長勢 甚遠君