第147回国会 大蔵委員会 第5号
平成十二年二月二十五日(金曜日)
    午後四時一分開議
 出席委員
   委員長 金子 一義君
   理事 衛藤征士郎君 理事 鴨下 一郎君
   理事 根本  匠君 理事 渡辺 喜美君
   理事 上田 清司君 理事 北橋 健治君
   理事 石井 啓一君 理事 鈴木 淑夫君
      石原 伸晃君    大石 秀政君
      大野 功統君    河井 克行君
      坂本 剛二君    桜田 義孝君
      塩谷  立君    下村 博文君
      砂田 圭佑君    高市 早苗君
      西川 公也君    野田 聖子君
      林  幹雄君    村井  仁君
      山本 公一君    渡辺 博道君
      岩國 哲人君    岡田 克也君
      河村たかし君    末松 義規君
      仙谷 由人君    中川 正春君
      池坊 保子君    並木 正芳君
      若松 謙維君    安倍 基雄君
      一川 保夫君    西田  猛君
      佐々木憲昭君    矢島 恒夫君
      横光 克彦君
    …………………………………
   議員           上田 清司君
   大蔵大臣         宮澤 喜一君
   金融再生政務次官     村井  仁君
   大蔵政務次官       大野 功統君
   政府参考人
   (金融再生委員会事務局長
   )            森  昭治君
   政府参考人
   (大蔵省主税局長)    尾原 榮夫君
   政府参考人
   (国税庁課税部長)    河上 信彦君
   大蔵委員会専門員     田頭 基典君
    ―――――――――――――
委員の異動
二月二十五日
 辞任         補欠選任
  塩谷  立君     坂本 剛二君
  宮本 一三君     山本 公一君
  村上誠一郎君     野田 聖子君
  谷口 隆義君     池坊 保子君
同日
 辞任         補欠選任
  坂本 剛二君     塩谷  立君
  野田 聖子君     村上誠一郎君
  山本 公一君     宮本 一三君
  池坊 保子君     谷口 隆義君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 平成十二年度における公債の発行の特例に関する法律案(内閣提出第一号)
 租税特別措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二号)
 法人税法の一部を改正する法律案(内閣提出第三号)
 租税特別措置法の一部を改正する法律案(大畠章宏君外三名提出、第百四十六回国会衆法第一五号)

    午後四時一分開議
     ――――◇―――――
○金子委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、平成十二年度における公債の発行の特例に関する法律案、租税特別措置法等の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び第百四十六回国会、大畠章宏君外三名提出、租税特別措置法の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 各案審査のため、本日、政府参考人として金融再生委員会事務局長森昭治君、大蔵省主税局長尾原榮夫君、国税庁課税部長河上信彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
○金子委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐々木憲昭君。
○佐々木(憲)委員 越智大臣にお聞きをしたいと思っておるのですが、まだお見えにならないようですが、どうされましたのですか。
 向かっていますか。すぐ来ますか。ちょっと待ちます。とめてください。
○金子委員長 ちょっと速記をとめてください。
    〔速記中止〕
○金子委員長 速記を起こして。
 お待たせして恐縮であります。
 一たん委員会を休憩させていただきます。
 理事会を再開させていただきまして……(発言する者あり)委員会を休憩させていただきまして、理事会にて説明を金融監督庁からいただきます。
 恐縮でありますけれども、休憩させていただきます。(発言する者あり)
 理事会にて説明を聞いた後、委員の皆様方には御説明をさせていただきます。
 休憩をさせていただきます。
    午後四時十七分休憩
     ――――◇―――――
    午後六時五分開議
○金子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。佐々木憲昭君。
○佐々木(憲)委員 突然の金融再生委員長の辞任という状況がありまして、再生委員長に対する質問を準備しておりましたが、それはきょうは取りやめて、新大臣に対してまた改めて質問させていただきたいと思っております。
 きょうは共産党の分として一時間質問をさせていただきますが、私と矢島議員二人で、その一時間の範囲内で質問をさせていただきます。
 まず、現在の財政危機の問題について、宮澤大蔵大臣にお聞きをしたいと思いますが、財政状況というのは極めて深刻でございまして、二〇〇〇年度末で国と地方の借金残高六百四十五兆円、GDP比で一二九%、これは大変な事態だと私は認識しております。
 そこでお聞きしたいのですけれども、これまで日本の歴史の中で、これほどの莫大な借金を抱えた事例はかつてあったでしょうか。また、現時点で先進国の中でこのような債務残高を抱えている、GDPに対する比率にしても、これほどの高い比率で抱えている事例というのはあるでしょうか。まず、大臣の見解をお聞きしたいと思います。
○宮澤国務大臣 急なお尋ねでございまして、計数的に私も申し上げることができませんが、普通考えまして、まずこういう例は極めてまれであると思います。
 第一次世界大戦の終わりごろのドイツは、これはまあそうであったと思われますけれども、こういう正常なときでない話をしましても仕方がありませんし、最近でいえば、先進国に入るかどうか、かつてのソ連はそれに近かったかもしれません。
 それから、我が国自身も第二次世界大戦の終わりのころには、実はあのころにはGDPというようなものもございませんから何とも正確には申せませんけれども、あのときの赤字の額というのはちょっとなかなか――結局は、戦争が終わりましたときに、戦時補償打ち切りで、全部一〇〇%税をかけて打ち切ったようなことをいたしましたが、これはそうであったと思います。
 しかし、これも平常時の例でございませんので、正常の経済においてこれだけのものをしょったというのは、私もどうも寡聞にしてよく存じません。ないのじゃないかというぐらいに思います。
○佐々木(憲)委員 おっしゃるとおりでありまして、この水準というのは、戦前と比較いたしますと、第二次世界大戦が終了する直前の一九四三年とほぼ同じではないかというふうに指摘をされておりまして、当時の国の債務残高は一三〇・一%。これはGDP統計でございませんで、GNPの統計で計算をいたしますとそうなります。地方債の残高を入れますと、一三五・二%でございます。終戦の年、一九四五年には国の債務残高は二〇〇・四%、こういうふうになります。また、地方を加えますと二〇五・五、こういう数字が出てまいります。
 国際的に見まして、現時点ではイタリアの長期債務残高が一一五%、これは国、地方合わせてですから、特別会計の債務を加えた政府統計でいいますと、推計で一三二・九%となるそうであります。そういう点でいいますと、現在の日本の債務残高の大きさというのは、第二次世界大戦末期、あるいは国際的に見ましても、現在イタリアにほぼ匹敵をする。
 そういう非常に深刻な事態になっているということでございまして、平時でこのようなことがあるというのは日本の歴史の中ではない、これはもう宮澤大蔵大臣のおっしゃるとおりでございます。
 平成十一年十二月十七日、昨年の十二月に出されました財政制度審議会の平成十二年度予算の編成に関する建議というのがございますけれども、そこではこのように指摘がされております。「先進諸国においては、かつては我が国と同様に財政赤字の問題を抱えている国が多かったが、近年では、財政赤字の拡大が中長期的に経済の阻害要因となるとの認識の下、財政再建に果断に取り組んできた結果、米国が」一九九八年に「財政黒字に転ずるなど、いずれも財政状況を顕著に改善させてきている。こうした中で、ひとり我が国の財政は、フロー面でもストック面でも極めて深刻な状況にある。」このように指摘をされております。これは大変重要な指摘であると私は思います。
 財政赤字がこれだけ大きくなると、さまざまなマイナス要因が生まれてまいります。そういう点で、財政制度審議会が九五年の十二月に出した財政の基本問題に関する報告、これによりますと、こういう表現で危険性を指摘しております。「現状は、例えて言うならば、近い将来において破裂することが予想される大きな時限爆弾を抱えた状態であり、かつ、その時限爆弾を毎年大きくしていると言わなければならない。」こういうふうに指摘されていたわけであります。
 そこで、当時と比べまして、現在の国債発行高あるいは債務残高、そのGDPに占める比率、これはもう九五年当時と比べましても大変な事態でありまして、一つとして改善されたものはございません。九五年の段階では債務残高のGDP比は八八・九%でございました。ところが、今や一三〇%にほぼ達しようとしているわけであります。ですから、この時限爆弾はまさに爆発寸前にあるのじゃないかというぐらいの事態でございます。
 宮澤大蔵大臣にお聞きしますけれども、当時、つまり九五年よりも事態というのは一層悪化しております。財政に関する財政制度審議会の時限爆弾になぞらえた危機認識というのは、現在一層深刻な事態だと思いますが、そういう認識を大臣自身はお持ちかどうか、これをお聞きしたいと思います。
○宮澤国務大臣 そういう認識を持っております。
 先ほど、かつて歴史上というお話がございまして、我が国の第二次大戦の最後のころの状況についてもお触れになりましたし、私も申し上げましたが、ここで、これは弁解のつもりで申し上げるのではございませんけれども、当時の国債というのはいわば戦費のために発行されましたので、その使途というのは、極めて経済的には非生産的な使途に使われたばかりでございます。そうでない使途は大変小そうございました。それに比べますと、決してそれをもって安んじようというつもりで申し上げているのではございませんが、今の赤字というものは、かなりの部分が生産的な目的のために使われつつある。
 もとより、これはちょっと語弊があるかもしれませんが、例えば社会保障といったようなことを仮に生産的という部分から除きましても、かなりの部分が生産的に使われておる、不況脱出のためにといったようなことでございますから、そういう意味では、今使われているものが将来に向かってプロダクティブであるとは私は思いますけれども、それにしても全体が大き過ぎる。
 殊に、この不況脱出のために、平成十年でございますか、小渕内閣以来顕著にそうなっておりますことは、まことに、むだをしているとは思いませんし、これしか方法がないという感じはいたしますけれども、極めて危機的な状況にあることは御指摘のとおりだと思っています。
○佐々木(憲)委員 戦費調達のために国債がどんどん発行されたというあの戦争末期の異常な事態、それと同じほどの債務残高を抱えている。今大臣は、生産的ではなかったが現在は生産的だとおっしゃいましたが、私どもの見方で申し上げますと、現在の公共事業そのものが果たして生産的かどうかというのは、また後でこれは議論させていただきたいと思っております。
 そこで、そのような危機的な認識を、大変深刻な認識をお持ちだということでありますが、ところが、小渕総理の御答弁をお伺いしておりますと、これまで財政再建については、景気が回復してから考える、あるいは取り組む、こういうふうにおっしゃっております。一昨日も総理は、クエスチョンタイムのときに、財政再建計画については今は申し上げられないという答弁でございました。つまり、財政再建計画は今はないのだと。これは、私は、現状についての危機感が非常に希薄ではないのか、大変責任感の感じられない御答弁だというふうに受け取りました。
 宮澤大蔵大臣に、議論の前提としてお聞きしますけれども、景気が回復してからというわけですけれども、その場合の景気回復というのはどのような状況を言うのか、何を目安にして景気回復と判断されるのか、その点をお聞きしたいと思います。
○宮澤国務大臣 まず、小渕総理大臣が景気回復ということを第一に言っておられますのは、私は正しいことだと。総理大臣は、一番高い立場からはそう言われることが合っておると私が思いますのは、これはもう御承知のとおり、内閣成立後、大きな補正予算、大きな十一年度予算、さらにこのたびこれだけのいわゆる景気刺激的予算案を組みましたのは、御承知のように、民需による経済発展というものがどうも十分でない、ここで手を引くわけにいきませんので、最後のつもりでこういうことをいたしました。
 これは、確かにその結果債務は増大しますけれども、これをした方がよかったでしょうか、しない方がよかったでしょうかといえば、大方の方が、それはやはりやむを得なかったろう、もちろん佐々木委員のように、その中身が悪い、公共事業のようなものは間違っているよとおっしゃるにしても、ここはもう一つ景気刺激をしなければ日本経済が自律の成長の軌道に乗らないという、その認識までは、私は、多くの方が、先を心配しながらやむを得ないなという御判断だと思っています。
 ですからそこは、小渕総理大臣がお迷いにならないというところで、判断が合っておると私自身は思っておりますが、さて、その次のお尋ねは、景気回復の、いつになって将来のことを考えるのかという、これは、本会議では、考えようにもやはりフレームがありませんと先々の経済の見通しが立たないのではないかということを申し上げたわけでございます。そのフレームのためには、二%でも何でもとにかく民間の経済活動、設備投資と消費でございますが、これが経済を動かしていくということにならないとこれは軌道にならないということも申し上げました。
 それで、これは私は実はだれにも相談したこともありませんし、我が国でも経験がないことでございますけれども、考えてみますと、ここで財政再建というのは、財政だけの問題にはもうとてもとどまることはできないだろう。税制、地方財政、中央、地方の関係ということをもっと超えまして、二十一世紀の初頭における日本の経済社会というのはどういうものなのか、そういうところに入っていかないと、財政だけで再建のプログラムをつくることは、私は国民的に説得力がないし難しいのではないかという思いがしていまして、逃げるという気持ちでありませんし、大蔵省が責任を放棄するという意味でもございません。
 そうでなくて、ここはどうしても数量的にプログラムをつくるとすれば、やはり計数的にマクロのモデルをつくってその中でいろいろな要素を決めていく、そういう方法しか国民に対して説得力のある計画はないのではないかとひそかに、だれにも相談しないのですが、ひそかに思っていまして、財政だけでちょこちょこっとやれるような状況ではございません。
 全部を大きなマクロモデルの中で、仮に五年でしょうか十年でしょうか、そういう中で計算をしてつくり上げて、だから正確だということは実は申し上げられないのですが、少なくともそういうものでありませんと、計数を伴った計画としては説得力がないのではないかというふうにひそかに思っています。
 そういう意味では、共産党を含めまして国民的な議論の中で、つまり、日本のあり方の問題になるように思いますので、あるいは日本と世界との関連のあり方になると思いますので、そういう議論がベースになりませんと、本当の、国民がわかったという計画はできないのではないかということをひそかに考えるにつきまして、それは経済が軌道に乗るということが確実になるころから、もう恐らく一年ぐらいの作業が必要であると思いますから、その辺から考え始めなければならないのではないか。
 それは恐らく、ここで行政改革がございますので、何省の仕事になる、何庁の仕事になるということを超えまして、新しい行政改革後の政府が全部で取り組まなければならない、官民といった方がいいのかもしれません、そういうベースで考えざるを得ない。
 財政だけが逃げて申し上げているのではなくて、そういうふうに考えませんと、恐らく佐々木委員が思っていらっしゃることは、いろいろやってみてもこれだけの大きな債務は返せるのかい、そういう計算は立たないだろうというふうにおっしゃるのだと思いますが、私も、もっと大きなベースで考えませんと、なかなかわかったという計画はできないのではないかというふうに思いますので、いつからというのは意外に早く、そういうモデルのようなものを官民でつくっていくという物の考え方は、比較的早く展開しなければならぬのではないか、これはもうだれにも相談いたしませんので、ひそかにそう思っております。
○佐々木(憲)委員 ひそかに思っておられることを、今表明されているわけですけれども。
 私がお聞きしましたのは、景気回復ということを確認してから次のステップに進むとおっしゃったので、それではその景気回復というのはどのような状況なら景気回復と言えるのか、何を目安に判断されるのかということをお聞きしたわけでございます。
 今、大変全般的に御答弁をいただきまして、その点については我々も財政再建全体の見通しについて近々政策的な発表もさせていただきたいと思いますし、また日本の二十一世紀を見据えた将来の社会全体の改革の方向というのも提起をしてまいりましたし、今後とも大いに議論をしていきたいとは思います。いずれにしましても、当面、今お聞きしておりますのは、景気回復というのはどういう状況をいうのか、これをお聞きしているわけです。
○宮澤国務大臣 仮に実質で二%の成長の軌道に乗るということが確実になった、乗り始めたといったようなことになりましたら、将来のいろいろなフレームワークが私はできるのではないかと。この二%というのは、これも私の勝手な言葉でございますが、少なくともそういうあたりではないかと思います。
○佐々木(憲)委員 そうしますと、プラス成長になっても、一%程度ならまだそういう状況とは認識できない、二%程度のところまでいかなければ、次の財政再建といいますか、そういう方向には行けない、そういう認識だということになりますか。
○宮澤国務大臣 仮に消費のシェアが六二、三%といたしまして、設備投資のシェアが、本当にいいときには二〇%近くあったわけでございますから、一七、八%、両方合わせて八〇%になりますが、それだけが堅調になりましたら、少なくとも設備投資は一年で終わるということはないはずでございますから、それでサイクルがかけるだろうと。あとのことはシェアとしては実は大したことはないわけでございますから。
 むろん財政が怠けるとかなんとかいうことは簡単なことではございませんけれども、輸出入も、これだけ貿易黒字が出ておりますから、ここで国際収支が危なくなるということは多分考えなくてもいいと思いますから、結局設備投資と個人消費ということになるかと思います。
○佐々木(憲)委員 一番大きな要因としては、GDPの六割を占める家計消費がプラスになると。今のように家計簿がマイナスの状況が続くということでは、なかなか景気回復というふうにはなっていかないわけであります。消費がプラスになり、同時にそこへ設備投資が加わってさらに前進して、長続きするような経済の自律的回復につながっていくという考え方だというふうに受けとめました。そしてまた、二%の水準が一つの目安になると。
 そうなっていきますと、なかなか簡単には、そういう事態に到達するというのが難しいのではないかと思いますけれども、大臣はいつごろそうなるというふうに考えておられますか。
○宮澤国務大臣 わからないことを言えとおっしゃるような感じはしますけれども、少なくとも機械受注から見る限り、昨年の暮れぐらいから機械受注がプラスに転じておりますから、これが小一年、七、八カ月の先行指標だと考えますと、設備投資は秋過ぎにはプラスに転じるだろうと。それも製造業と非製造業、大小の区別はありますが、全体としてマクロには、秋ぐらいからは設備投資がプラスに転じるのではないか。突然大きくなりませんが、少なくともマイナスがプラスに転じるのは大きいですから。
 そうしますと、それまでに消費というものが、やや賃金水準が安定してきて、企業の利益が多少でも出て、それを設備投資が後押しする、そういう動きになりますと、これはもうしばらくの間それで回転するのではないか、こう思います。
○佐々木(憲)委員 消費が回復するきっかけというのは、収入がふえるというのがまず第一条件ですよね。残念ながら、現在はリストラが非常に激しく進んでおりまして、歯どめがかかっておりません。こういう点で考えますと、家計消費がプラスになるという状況はそう簡単には展望できないような事態であります。
 私たちは、特に大きな企業の責任でリストラに歯どめをかける、それから賃金の引き上げを行う、そして同時にまた、政府自身が個人消費を刺激する具体的な政策を実行する、将来安心して社会保障の展望が見えるような事態に持っていく、こういう状況がそろって初めて安心して消費が拡大していくのではないだろうか。ところが、なかなか現状ではそういう展望が描けない、それが非常に景気回復にとって大きな足かせになるのではないかというふうに私は感じております。
 そうしますと、大臣がおっしゃるように、消費がふえ、設備投資がふえ、自律的回復の軌道に乗り、二%という展望というのはなかなか見えてこない。そうしますと、財政再建という方向もずっと先になってしまいまして、どうもますます先送りになるのではないか、そういう心配を持つわけであります。
 しかも、その間に国債は、財政の中期展望を見ましても、これは単純計算といえばそれまでかもしれませんけれども、しかし、毎年毎年三十兆円の新たな国債の発行を続けていくということになりますから、それが債務残高にさらにプラスになっていきます。地方債もふえます。そうなってきますと、財政にとっては、マイナス要因は非常に積み上がっていくけれども、どうも改善の兆しというのがなかなか見えない、あるいは、財政再建がどんどん先送りになって、その間にマイナス要因だけが積み上がっていくという危険性があるのではないか、私はそういう心配をしております。
 それで、では少し角度を変えてお尋ねをいたしますけれども、景気が仮に回復をするとしますと、景気回復でどの程度の税収が入るか。総理はクエスチョンタイムで、経済成長があれば財政はよくなるというふうなことをおっしゃいましたけれども、宮澤大蔵大臣は、成長の軌道に乗った場合、どの程度の税収が入ってくるというふうに見込んでおられるのか、これをお聞きしたいと思います。
○宮澤国務大臣 今の家計消費が本当にそんなに早く回復するかしないかというところは、これは本当に今一番大事なポイントだと思いますので、あるいは佐々木委員のおっしゃることの方が結果としてそうなるかもしれない。私はそうではないと思いますけれども、これは実はなかなかわからないところで、これが今の一つの大きな分岐点だと思うのでございます。
 こうやって常雇用がパートタイムになっている、けれども、だんだんそこへオーバータイムペイなんかが出てきている傾向もあります。なかなかしかし、それでも常雇用へ戻すということにはなりませんが、オーバータイムなんかが出てきているし、企業の期間利益はふえてきていますから、この賃金交渉が終わりました後、何か一つの落ちつきが出て、そして四―六月、ですから、あらわれるのは九月になるわけですが、そのときには家計簿のプラスが出るのではないか、そういう計算をしているわけで、そのころに設備投資が落ちついてくる、こういうふうに思うわけでございますけれども。それで、そうなりましたら、まず経済のプラスの成長の循環が生まれるのではないか。(佐々木(憲)委員「税収の見通しは」と呼ぶ)
 それで、これはちょっといろいろ申し上げなきゃなりませんが、中長期的に見ればやはり一・一というのが経験値だと思いますけれども、ブームのときに三・幾つという数字がございましたし、そのときには税収にしまして前年対比たしか一六%ございましたから、そういうときもある、こう申し上げた方が穏やかかもしれません。一・一でしたら、五十兆の税収として、名目が二%で一・一では一兆何がしでございますから、全くどうも心細いような話ではあります。しかし、その年によってうまくいくところもある。
 ただ、私は、先ほど申しましたような新しい財政あるいは新しい日本の経済社会を考えますときに、この委員会でもせんだってから御議論がありますが、今の税法のままでは、なかなかやはり五十兆とかなんとかいう税収からそんなに飛躍することはきっと難しいのだろう。
 と言いますと、すぐ消費税かというお話が出てきますが、必ずしもそうではなくて、所得課税そのものがかなり課税最低限が高いのでございますから、税率は低くてもいいからもう少し課税最低限の低いところから始められれば、これはかなり違ってくる。しかし、そのようなことは、全体のマクロで考えた日本経済というもののピクチャーを国民に見ていただいた上で、納得をしていただきませんとなりませんが、先のことはやはりそういうことも考えなければならないのではないかと思いますので。
 今の制度でございますと、一・一というようなことは、ちょっとならしてみると、余りそれ以上の平均を高望みすることは難しいのじゃないかと思います。
○佐々木(憲)委員 租税弾性値が一・一の場合は一兆円程度の増収だと。最近の事例ですと、マイナスもありますし、プラスといってもそう高くはない。仮に弾性値を三としても三兆円程度でございます。
 こうなりますと、今、利払いだけで十兆円を超えているわけでありまして、今はゼロ金利なので、それでも国債の利払いは少なくて済んでいるわけです。この十年間、大体十兆円強というところであります。平均そういう状況が続いております。これは、十年前に発行した国債の借換債の金利が大幅に低くなっておりますし、国債の利払いが、ここ数年、そういう意味でほとんどふえていないわけであります。
 しかし、国債残高はどんどんふえているわけですね。景気が回復していきますと、必ず金利が現在の状況では済まないわけであります。景気回復とともに当然これは上がっていきますから、国債の支払いの金利は猛烈に増加しまして、国債費が急増する、こういうおそれがあると思いますけれども、大蔵大臣、そういうおそれはお感じになりませんか。
○宮澤国務大臣 加えまして、国債の消化という観点からも、個人にも買ってもらえるというような観点も含めまして、額面の低い、期間の十年でない、仮にもう少し短い期近の国債も出したりいたしますから、そういうものは借りかえが早く来るわけでございます。
 おっしゃいますように、どうしても、金利がこんな状況では日本経済はどうにもなりませんので、民間の経済活動が盛んになれば、金利が上がってくれなければ困るわけでございますから、そういうところへもってきて借りかえの期間の早いものが発行されるということになり、今平均の借りかえ期間というのは五年とかなんとかいうことなんでございますけれども、それが四年とかなんとかへいきますと、金利が上がっている上に借りかえが多くなるということになりますから、どうしても佐々木委員のおっしゃるようなことは私は避けられないだろうと思っております。
○佐々木(憲)委員 金利が上がることは避けられない。そうなりますと、当然国債の支払い金利は急増する可能性が高まるわけであります。利付国債の平均金利が一%上がっただけでも、約四兆円負担がふえるわけであります。ですから、先ほどおっしゃいましたように、税収が一兆円、二兆円というふうに増加しましても、もう新たな金利負担で全部吹っ飛んでしまう、いきなりなくなってしまう。
 ですから、景気回復というのは決して財政にとってプラスになるとは限らない。大臣も、二月九日の記者会見で、この不況から出たら何が起こるだろうか、いいことばかりとは限りませんよという御発言をなさっていますね。それはこのことを想定されているのじゃないかと思いますけれども。そればかりか、これは物価の上昇も当然伴いますから、歳出もそれに伴ってふえざるを得ない。
 ですから、経済が回復しても、決して財政にとって明るい展望が見えるということにはならないのではないか、そういうふうにお思いになりませんか。
○宮澤国務大臣 ただ、今御審議中の予算に、四兆五千億円でございますか、御承知のように、国債整理基金にいわば国民の預金支払いのための金を入れておりますが、この仕事はもう大体おしまいでございますからこの金は落ちると思いますし、いろいろな意味での失業対策費もかなり落とせるものがあるだろう。
 当面、景気が好転し始めれば落とせる部分がかなりあるという期待は持っておりますけれども、金利が上昇をするということは、これは避けられないし、それから、やはり、社会保障費についてのコンセンサスが生まれておりませんから、これがどうしても財政を圧迫するというそのぐらいのところが一番心配なことで、結局これは、だからどうということではありませんけれども、国債費と公債金収入が並んでしまうという状況は一遍はあるいはあるかもしれない。そのぐらいのことは考えておかないといかぬかなとは思っております。
○佐々木(憲)委員 ですから、景気回復をしてから財政の再建に踏み出す、あるいは財政再建計画をつくり始める、これでは遅過ぎるのではないか。つまり、今の時点、現段階でもうつくり始めないと。景気回復を始めますと負担の方も逆にふえるわけですから、しかもまた国債が積み増しされていくわけですから、先になればなるほど困難が増していくわけであります。今まさに財政再建の計画に着手する、これをしないと大変大きな禍根を残すことになるのではないか。
 大臣、今すぐこういう計画を、先ほどマクロのいろいろな考え方もおっしゃいましたけれども、そういうものも含めまして、現段階で直ちに着手する、このことの必要性はお認めになりませんか。
○宮澤国務大臣 私も気のせいておる一人ではございますけれども、現実の問題として考えますと、まず税収等々の歳入はどうだろうと考えましても、今の税制を動かさない限りは、先ほどからお話しのように歳入の増というのはもう知れたものでございますし、それから、地方財政を考えない限りやはり全体の計画はできませんし、確かに早く考えたいのですけれども、どうも基礎になる数字が、つまり簡単に申しますと、先ほどから御指摘のように、二%のポジティブの軌道に本当にそんなに早く乗るのかいと御疑問があります。そう思っていらっしゃる方も少なからずいらっしゃるわけですから、そのときのはじいた税収というのは直ちにうそになるわけでございますので、少なくともそういう土台だけがわかってこないと計画の立てようがない。
 私は、もっと大きな計画になると思いますが、税収と歳出だけを考えましても、経済がとにかくプラスの税収を生むということになりませんと、計画の立てようが難しいということを申し上げておるわけです。
○佐々木(憲)委員 なかなか、今すぐ取りかかるというふうな決意がどうも見えないわけでございまして、現在の危機的な状況に対する認識、先ほど深刻にお感じになっているというふうに言われましたけれども、どうも実際の行動はそのような深刻な事態に対応することになっていないのではないか。直ちにやはり私は財政再建計画に着手すべきだと。
 その場合、税の空洞化というのも今起こっております。つまり、法人税をこの間ずっと下げてきまして、国際的にも大変低い水準になっております。あるいは、所得税の高額所得者に対する減税が大変大幅に行われたという事態もあります。ですから、そういう点も抜本的に見直す。あるいは、歳出面では、公共事業のあり方、この点についてもむだをばっさり削るというぐらいの大胆なことをやる。そして、全体として圧縮しながら、庶民のための生活密着型の福祉型公共事業という点に中身を振りかえていくとか、もっと大胆な、国民の立場に立った財政再建を私どもは期待したいと思いますが、期待できないのであれば、我々自身がこの計画を練り上げて近々発表していきたいというふうに思っておりますので、そのときはまた議論をさせていただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。
○宮澤国務大臣 期待を申し上げております。
○金子委員長 次に、矢島恒夫君。
○矢島委員 私、きょうの質問の大部分が金融機関の破綻処理の問題、長銀あるいは日債銀などでありました。しかし、再生委員長が辞任されるという状況の中ですので、それらの問題についてはまたの機会ということで、次の残りの時間が与えられますのでそこで質問をするということで、きょうは租特の改正案、特に同族会社の留保金課税の問題を中心に、大蔵省あるいは国税庁、大蔵大臣等にお尋ねしたいと思います。
 まず大蔵省に聞きますけれども、今回の租特の改正案によりますと、その中に、同族会社の留保金課税を二年間不適用にするというのが入っているわけです。ただし、これを適用するのは、一つは、新事業創出促進法の中の中小企業者に該当をする同族会社の設立後十年以内の事業年度というのがあります。もう一つは、新事業創出促進法の認定事業者に該当する同族会社で同法の認定計画に従って新事業分野開拓のための事業を実施している事業年度、この二つがあります。
 そこでお尋ねするわけですが、この二点目、この方は大企業も対象になり得るのだというふうに理解してよいかどうかということです。
○尾原政府参考人 お答えします。
 今先生からお話がございますように、二つの法人タイプに分けて、今回、留保金課税を二年間適用しないこととしているわけでございます。
 お尋ねは、二番目の、新事業創出促進法の認定事業者に大企業が含まれるかということでございました。
 まず、この留保金課税の対象でございますが、同族会社でない大会社の子会社の場合は、もともと留保金課税の対象にはなっていないということに一点御留意いただく必要があろうかと思います。
 その上で、この新事業創出促進法の認定事業者でございますが、制度上といいますか法律上、確かに中小企業者に限定しているわけではございません。成長のために資金調達が必要な者が主務大臣の認定になってまいりますので、制度的には同族会社でもある大企業に対しても、この特例措置が適用される場合も可能性としてはあると考えております。
 ただ、もう一点申し上げさせていただきますと、新事業創出促進法の前身にも同じようなタイプの法律がございましたが、その認定実績によりますと、ほとんどが中小企業者であったわけでございまして、通産省の考え方によりますれば、この傾向はこの制度になっても変わらないのではないかというふうに聞いているところでございます。
○矢島委員 そこで、国税庁にお聞きしますけれども、資本金が十億円以上の法人のうち、同族会社は何社あって、そのシェアは何%程度か、お答えいただきたい。
○河上政府参考人 国税庁が実施しております平成九年分の会社標本調査結果によりますと、資本金十億円以上の同族会社は八百三十一社でございます。それで、同じ年につきまして、同族会社全体でございますが、数字を丸めて申しますと、二百三十三万でございます。
○矢島委員 続いて、国税庁に聞きますが、この租税特別措置法の改正によって大企業の同族会社で留保金課税を適用されない事例が新しく出てくると思うのですけれども、国税庁はこのことについてはどう見ていますか。
○河上政府参考人 現在のところ、何社程度というような推計等はしておりません。
○矢島委員 きょうは通産省を呼んでいませんので質問できないのですが、この新事業創出促進法に言う創業という概念、これには大企業の子会社だとか、あるいは分社化、こういうようなものも含まれることになっているわけです。現に、日本鋼管の分社化計画では、四件が認定事業に含まれていると聞いております。
 そうすると、今後、今お答えにありました同族会社の大企業八百三十一社、約八百社前後、このうちの何社になるかわかりませんけれども、大企業の同族会社が新事業創出促進法の認定事業に参画するという可能性も大いにあり得ると思うのです。そうすると、同族会社の留保金課税を免れる道も開かれるのではないだろうか。
 そこで、大蔵大臣にお尋ねしたいわけなんですが、新事業分野開拓を行う認定事業者には、ストックオプションの枠を十分の一から三分の一に引き上げるなどの特例もあります。その上に、今私が申しましたように、分社化だとかあるいは子会社だとか、もう既に出ていますけれども、そういう形での同族会社という形で留保金課税を免れるという者も出てくる。そうすると、そういうストックオプションによって特例を設けている上に、さらに留保金課税というものを課さないという恩典が大企業に与えられるのではないだろうか、この辺についての大臣のお考えをお聞きしたい。
○尾原政府参考人 一言お話しさせていただきますと、今、日本鋼管が出ているというお話がございました。私は現に出ているかどうか知りませんが、仮に日本鋼管であるといたしますならば、その子会社はもともと同族会社には当たらないわけでございますので、そもそも留保金課税の対象になっていないのではないかというふうに思うわけでございます。
 つまり、この留保金課税の制度といいますのは、個人の所得税と法人税との関係の問題でございますので、そこで恣意的に配当を小さくしたり大きくしたり……(矢島委員「それはわかっていますから」と呼ぶ)はい。それが一つ、申し上げたいと思います。
 それから、なお制度的に排除し得るものではないと申し上げましたが、平成二年以降、通産省のこの新事業創出促進法の前身に当たる新規事業法のもとにおける認定状況を申し上げますと、同族会社かどうかは別といたしまして、平成二年以降、二百件認定されておりますが、うち大企業が二件、大企業の子会社は二件あったというふうに報告を受けております。この傾向はまず変わらないのではないか、こういうふうに聞いておるわけでございます。
○矢島委員 留保金課税というものが一定の条件を満たせば廃止されるというような状況の中で、今お話は聞きましたが、新たに子会社とかあるいは分社化する。今まで留保金課税をしていなかったというお話ですけれども、この法律をそのとおりやれば、そういう方向もとり得るのだと。ですから、そういうように、さらに大企業に対しても、先ほど二番目の条項については大企業も含まれる、また、それは現在のところは非常に少ない。しかし、この法律ができたということで、そういう方向が出てくる可能性もあるわけですね。そのことでお聞きしたわけですよ。
 そういう意味では、ストックオプションに加えて、大企業に対しての、一つの留保金課税を課さないという恩典を与えることになるのではないか、そういう意味での質問です。大臣、ありましたら。
○宮澤国務大臣 先ほど日本鋼管云々とおっしゃいましたのは、今主税局長の申し上げたことで尽きていると思いますけれども、物事の考え方としまして、いわゆる新事業創出促進ということが目的でございますから、その認定業者であった場合にはできるだけこの法の目的を達成してほしいということ、それが私どもの主たる関心事であって、たまたまその中に一つか二つ規模の大きな企業がありましても、別にそのことを何も目のかたきにすることはないだろう、こう思っています。
○矢島委員 私は、その一つや二つ、現状はそういう状況であることを認識する中で、さらにこの法律ができたことによっての将来の問題を取り上げてみたわけです。
 そこで、これは大蔵省ですか国税庁かな、中小企業の同族会社の中で、法人所得は赤字というふうになっている事業年度で、この留保金課税によって法人税が課せられた例というのはどの程度ありますか。最近のデータを示していただければと思うのです。
○河上政府参考人 先生御承知のとおり、留保金課税制度におきましては、留保所得金額の計算上、加算項目となるものがあるわけでございます。こうしたことから、幾つかの特例の規定の適用等々がありました場合には、所得金額がゼロあるいはマイナスといったような、いわゆる赤字の事業年度につきましても留保金課税が行われることがあり得るわけでございます。
 私ども、具体的な数字として何社がということでは把握しておりませんが、実務に携わっております税務署において、実際に課税した事例があるというふうに承知をしております。
○矢島委員 今お答えがありましたように、同族会社の場合、赤字になっても留保金課税によって法人税を納付しなければならない場合もあるわけです。これが中小同族会社に非常に重荷になっているわけです。だから、そういう点も検討をすべく、大蔵省なり国税庁にはもう少ししっかりしたデータを示していただければと思ったわけです。
 日本税理士会連合会が、毎年のように中小企業の同族会社への留保金課税を廃止すべきということを大蔵省や国税庁に要望していると思います。同族会社の留保金課税について検討する場合に、やはり現状がどうなっているかというのをもう少しきちんと把握した上でやってもらいたいということを要望しておきます。
 そこで、中小企業の六〇%、七〇%は赤字法人という状況にあります。しかし、赤字であっても、しかも累積赤字が繰り越されているという事態であっても、その法人が同族会社であって留保金があれば留保金課税が課せられるという場合があるわけです。そういう意味からすれば、民主党の案が出ているわけですが、その面で聞くわけですが、政府提案の同族会社に対する留保金課税の不適用措置というのが極めて部分的だと私は思うのですね。不公平税制を拡大すると言ってもいいのじゃないか。その点について、民主党の法案の中身と、それから現在の中小企業の同族会社というものについての、非常な不況の中での大変な状況での努力をしているわけですが、そういうことについての見解などがありましたらお述べいただきたい。
○上田(清)議員 お答えします。
 矢島議員から二点のお尋ねでありますが、必ずしも共産党の理念や政策に同意するものではありませんが、鋭い切り口に敬意を表したいと思います。
 政府案は、創業十年以内の中小企業、新事業創出促進法の認定ベンチャー企業に限定して留保金課税を撤廃することとしておりますが、ここまで対象を狭めることで不公平を拡大するという考え方に関しては全く同じであります。特に、新事業促進法による認定という手法は、新たなる行政の裁量拡大につながるものだというふうに私どもは感じております。我々が提出した法案のように、中小企業基本法が定める中小企業者に適用する方が経済効果も大きいということは、昨日、金額においても十倍ぐらい開きがあるということも含めて申し上げたとおりであります。
 また、二点目でありますが、中小ベンチャー企業の九六%が同族会社であるというこの状況の中で、私も御指摘をさせていただきましたように、中小企業向けの金融が十分行き渡っていないどころか、マイナスの傾向がある。あるいは、各種調査でも中小企業の回復状況は極めて悪い。株価でいろいろ好調な部分もありますが、まさしく二重構造になっている現況から見ても、こうした政府の認識は甘いのではないかというふうに思っております。
 もともと外部資本あるいは外からの資本流入が大変難しいということを考えれば、やはり新規投資や研究開発のためには内部留保をしっかりやっていく、そういう視点においても、中小企業同族会社が置かれている立場を踏まえて、きちっと対応していくべきだというふうに私どもは考えております。
 以上です。
○矢島委員 政府税調の答申の中にもこの問題が取り上げられているわけです。「法人課税の議論の中で、同族会社の留保金課税制度について、個人所得課税の最高税率が引き下げられ法人課税の実効税率との較差が縮小したことから、これを廃止すべきではないか」という意見もあったと。それから「留保金課税制度については、中小企業対策の面から何らかの配慮が必要ではないか」とか、いろいろ税調の中で意見が出されていると思います。
 ぜひこの点も十分踏まえながら、中小企業の育成、発展という意味から、そういう部分について大いに恩恵が行くような状況、一部の条件をつけて矮小化しないというような方向での検討を強く望んで、質問を終わります。
○金子委員長 次に、横光克彦君。
○横光委員 社民党の横光克彦でございます。大臣がちょっと席を外しておりますので、政務次官にお聞きしたいと思います。
 今回の税制改正、租特法の法案についてちょっとお聞きしたいのですが、税制改正で、十六歳未満を対象とする年少扶養控除を昨年の水準まで引き下げた上で児童手当の拡充が行われることになったわけですね。この年少扶養控除は、三十八万円を昨年こそ十万円上げた。それが一年たってもとに戻った。場当たり的手法これにきわまると言っても過言ではないのじゃないかと思うのですが、ただし、私たちも従来より実効ある子育て支援策は歳出措置によるべきである、こういう方針を鮮明にしてきたところですから、その方向性については一定の評価はできるわけでございます。
 しかしながら、適用税率が高くなるにつれて高額所得層に実質的には有利に働く、そういったものが現行の所得控除方式ですね。この問題点に関する切り込みはまだまだ不十分だと私は思うわけでございます。給与所得から扶養控除など各種所得控除を引いたものに一〇%から三七%の四段階の所得税率を掛けるわけでございますが、結果的には、各種所得控除の効用は税率が高まるにつれて、つまりは高額所得者ほど有利になるという形なわけでございます。
 昨年、ごり押しとも言える形で最高税率の引き下げが行われました。このことによって、所得税、住民税合わせますと引き下げに要した金額は五千億に上るわけでございます。その引き下げによって、現行の所得課税、とりわけ所得税の平準化は確かに進んだと言えるわけですよ。税務当局がかねてから主張してまいりました、所得に適切に対応した税額を求める物差しとしてこの所得控除方式が適当である、こういうふうにずっと言われてきました。これをもっと言うならば、高額納税者の納得を得るためにも納税額に見合うメリットが確保できる所得控除方式が不可欠である、こういう理屈であろうと思うのですが、平準化が進んだことによって、この理屈もかなり弱まったのじゃないかと思うのですね、税務当局がこれまで言ってきたことは。
 ですから、現行の所得控除方式は、厳格な所得要件を設定しないとどうしても高額所得者をより優遇する結果に終わらざるを得ないわけですから、したがって、厳しい財政状況下にあればあるほど、必要とされるものに適切な措置をする、これを貫くためにも、この際、歳出措置に置きかえるにふさわしい控除については整理を図るべきではないか、こういう思いを持っているのですが、いかがお考えでしょうか。
○大野(功)政務次官 ただいまの、政策目的によっては、歳出面でやるのかそれとも税制面でやるのか、もう少し整理をしてはっきりさせたらどうか、こういう御議論でございました。税でやる場合の論点も、先生おっしゃるとおりかと思います。
 ただ、この問題は、まず少子化対策でございますが、これは政策的に大変重要であるということについては御異論はないと思います。この問題を税でやるのか歳出でやるのか、これはやはり家族構成をどうしていくのか、こういう問題が含まれているわけでございます。家族構成がどうなるか、例えばおじいさん、おばあさんと一緒に住んだ場合、特にそういう控除をどうするか、こういう問題にもかかわってくる問題でございます。したがいまして、控除というのはもう一度整理してみなければいけないという面もありますけれども、いろいろな観点があろうかと思います。
 国際的に見ましても、例えばドイツでありますと、手当で始まったものが、歳出面で始まったものが、今は歳出と税と両方でやっている。それからアメリカでは税の面だけでやっている。イギリスの方は御存じのとおり、ほとんど所得控除の制度をやめたけれども、今度やはり税の面でやっていこうか、こういう問題が含まれております。
 したがいまして、歳出化にふさわしい所得控除というのは何か。所得控除を廃止してすべて歳出化することについては、やはり今申し上げましたように世帯構成等に配慮した税負担、こういうことを慎重に検討していく必要があるのではないか。ちょっとはっきりしない答弁で申しわけございませんが、そのように思っております。
○横光委員 いろいろ確かに税は非常に難しい部分があるわけですけれども、いろいろと可能なところは取り組んでいく必要があるのじゃないかという思いはしております。
 大臣がお見えになりましたので、改めてまたちょっとお尋ねし始めるわけですが、御案内のように、大蔵委員会、大変な、かつてないような状況でこうして今開かれているわけです。辞任されたということですから越智前委員長、前大臣になるのですか、この発言について、大臣、また金融担当の村井政務次官にもお聞きしたいと思うのです。
 金融監督庁の金融機関への検査は、国税の査察のように権限がないわけですね。強い権限がない。それだけに監督庁の職員にとりましては、一番大事なことは金融機関の信頼なんですね。協力なんです。それで成り立っている制度だと思うのです、この検査制度というのは。いわゆる資料の提出や協力姿勢、こういったものが非常にウエートを占めるわけですね。そういったところが今回の問題によって大変揺らいできた。
 さらに、金融検査結果は国民には公表しないということになっている。それだけに、国民に不信を抱かれないようにすることが最も大事なことである。それも今回のことでかなり揺らぎ始めたと思うのですね。つまり、金融監督庁の仕事というのは国税庁と同様、あくまでも中立でなければならないし、厳正でなければならないし、とりわけ政治家の圧力だけは絶対に受けてはならない部署だと思うわけですね。
 ところが、今回辞任されたということは、やはりそういった発言があったということをお認めになった上での行動だと私は思うわけですね。ですから、そのテープを見ますと、検査を甘くする、あるいは配慮する、手心を加えるような印象を多分に与えます。これは十人が読めば十人そういった印象を受けるでしょう。それぐらいはっきりしている。ですから、本当に今回私は残念な事態になったと思う。金融行政の信頼が本当に地に落ちてしまったのじゃないかという気がしてならないわけでございます。
 そこで、大臣にお聞きいたします。御意見を伺いたいのですが、いわゆる金融破綻処理制度あるいは金融危機管理に関する企画事務等を金融再生委員会と共管しているわけですので、今回の越智氏の発言に対しまして大蔵大臣はどのような御感想をお持ちか、お聞かせください。
○宮澤国務大臣 越智さんがどういう発言をせられましたか、私はちょっと、時間の関係で十分それを読むことができないままでございますし、それもありまして、発言そのものについて批評をすることを差し控えますが、いわゆる昔の大蔵省の銀行検査というものが最近になりまして非常にその有効性に疑いが持たれるようになりまして、金融監督庁ができ、その銀行検査が行われ始めた。
 これは非常に、従来と一変して、一変してと言っては従来がかわいそうですが、確かに一変したものになってきていることをお互い知っておりますが、そのためにマニュアルをつくって、恣意的にならないようにひとつやろうではないかということでマニュアルができて、それでみんな検査官がやっておりますけれども、いわゆる大銀行と一番小さい方の信用金庫、今度は組合も入るわけですが、一様でございませんから、マニュアルは大事なんだが、四角四面にどこでも同じように適用するものではないぞ、現実の事態をよく見ながらマニュアルを使えということは、マニュアルに示してあるようでございます。
 示してあるようでございますが、ともすれば四角四面になりやすいということについて、恐らく越智さんとしてはそういう意味での、マニュアルにも書いてあることであるが、そのことは十分に検査する人も心得よと。だれを甘くするというようなことでなくて、市中銀行、大銀行と地方の信用組合とは確かにいろいろ違うわけでございますから、そこは実情に合わないようなことをしてはならぬぞということを、多分、ずっと行政の長として言っておられるのだろうと私は思いますので、そういう気持ちが出たのかなと思っています。詳しく読んでおりませんので、越智発言につきましては批評を差し控えますけれども、そういうことだったのかなと思います。
 しかし、こういうふうにこのことが議論されました結果は、恐らく検査に当たる人たちは逆に非常に緊張して、緊張してと申しますか、それは諫言心得なければいけないのですが、むしろ自分たちの仕事が非常に責任の重いものであるという自覚を持って仕事をされる結果になるのではないか。私は、結果はむしろ、委員のおっしゃいますのと反対になるのではないかと思っております。
○横光委員 お忙しいお体ですから発言の内容はまだ読まれていないということですが、恐らく、読まれたら相当びっくりされると思います。今おっしゃられたことが大分、今度違った意見に変わるのじゃないかというぐらいのことを発言されているのですね。私はそう思うのです。
 それで、先ほど言いましたように、国民にとって膨大な公的資金を注入している金融サイドのこういった行政が、そのトップがそういった発言をしたということは、国民にとっては相当これは怒りに近い感想を持つのじゃないか。なぜならば、要するに注入される公的資金は回収をされるかどうかわからないわけです。当然のごとく回収をされなければならないわけですが、回収されない可能性だって残っているわけですね。そうしますと、その回収されない部分はだれが負担するのか。国民なんですよ。国民の税金で補うしかないわけでしょう。
 ですから、そういった意味で、先ほど私が申しましたように、金融機関にも行政にも厳正でなければならない、中立でなければならない、政治家等の圧力を受けてはならない、そういったことを国民は望んでいると思うのですね。それを根底から今回の発言は覆したと言っても過言ではない、私はそのように思うわけです。
 ですから、政務次官どうですか。あなたの直属の上司がこのような発言をしたということは、恐らくいたたまれない思いではないかと思いますが、恐らく発言の要旨は読まれたと思いますが、どのように思われますか。
○村井政務次官 ただいま宮澤大臣からもお言葉がございましたけれども、越智大臣の発言の内容でございますけれども、この趣旨は、越智大臣御自身、地域の中小零細企業に対して金融を行っております信用組合あるいは信用金庫、こういった機関のありようというものにつきまして大変懸念を持っておったというような背景もございまして、金融行政一般に責任を持つ立場としまして、金融機関を監督する上で、金融監督庁の検査、これがどんな形で行われるべきかということに非常に関心をお持ちで、そこでたびたび、いわゆる金融検査マニュアルでございますが、これは私ども金融監督庁から通達として出しているわけでございますけれども、このマニュアルの中でも、要するにしゃくし定規にならないようにということを非常に繰り返し言っている。要するに、金融機関の規模ですとか特性とかを十分踏まえて、機械的、画一的な運用にならないように注意しろと、こういうことを書いているわけでございますが、そういうところも念頭におありになって、そして、端的に申しまして、せっかく金融関係者とお会いになった機会にいろいろ話を聞いておきたい、そういう趣旨で御発言になったものだと私は理解をいたしております。
 しかしながら、もう一つ申し上げておかなければなりませんのは、金融再生委員会というものの立場でございますけれども、民間金融機関に対する検査その他の監督権限でございますが、これは御案内のとおり、金融監督庁長官に委任されておるわけでございまして、金融監督庁長官がみずからの責任において個々の金融機関の検査その他の監督を行っている、こういうことでございます。したがいまして、金融再生委員会は、日常の金融機関の検査その他の監督の内容について、逐一報告を受けたり逐一指揮したり、そういうようなことはないわけでございます。
 ただ、金融監督庁は金融再生委員会に置かれているわけでございます、外局でございますから、金融再生委員会は個別具体的な重要な事項について適宜報告を受け、あるいは指示を発するということはあるわけでございますが、その場合においても、このような指揮監督に係る権限の所在というのは、委任者である合議体としての金融再生委員会であるということを御理解をいただきたいと存じます。(発言する者あり)
○横光委員 今、大臣そして政務次官のお話を聞いて、私は国民に聞いてもらいたいと思った。やはり、自分たちでつくったルールを完全に無視したようなことを、皆さん方は好意的にかばうような発言しかされない。
 先ほどやじが飛んでいましたが、ではなぜやめられたのですか。そういう思いであるならば、やめる必要はないわけなのですよ。そういった、信金や信組の状況はもちろん勘案しなければなりませんが、決して踏み込んではならないことをやってしまったということでしょう。ですから辞任されたわけでしょう。それを政務次官が、支えていく立場の人がかばうような、同じような思いを持っていたのでは、これからも金融行政は立ち直れないような印象を国民に与えてしまうじゃないですか。
 前の柳沢金融委員長は、私は、金融再編あるいは金融機関の健全性の確保のために懸命に頑張ったと思いますよ。そういった流れが、トップがかわるだけでこれだけ変わってしまった。国民は期待していたのですよ、そこを。
 私は、もういろいろ申しません。ほかの法案のことについてお聞きしたかったのですが、きょうは時間が半分になりましたので、途中で切れますので、きょうはこれで終わります。ありがとうございました。
○金子委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後七時二十五分散会