第147回国会 大蔵委員会 第12号
平成十二年四月四日(火曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 金子 一義君
   理事 衛藤征士郎君 理事 鴨下 一郎君
   理事 根本  匠君 理事 渡辺 喜美君
   理事 上田 清司君 理事 北橋 健治君
   理事 石井 啓一君 理事 鈴木 淑夫君
      石原 伸晃君    大石 秀政君
      大野 功統君    河井 克行君
      坂井 隆憲君    桜井  新君
      桜田 義孝君    塩谷  立君
      下村 博文君    砂田 圭佑君
      高市 早苗君    西川 公也君
      林  幹雄君    桧田  仁君
      宮本 一三君    村井  仁君
      村上誠一郎君    渡辺 博道君
      岩國 哲人君    岡田 克也君
      河村たかし君    末松 義規君
      仙谷 由人君    中川 正春君
      谷口 隆義君    並木 正芳君
      若松 謙維君    安倍 基雄君
      一川 保夫君    西田  猛君
      佐々木憲昭君    矢島 恒夫君
      横光 克彦君
    …………………………………
   大蔵大臣         宮澤 喜一君
   国務大臣
   (金融再生委員会委員長) 谷垣 禎一君
   金融再生政務次官     村井  仁君
   大蔵政務次官       大野 功統君
   政府参考人
   (金融監督庁監督部長)  乾  文男君
   政府参考人
   (大蔵省金融企画局長)  福田  誠君
   政府参考人
   (文部省高等教育局私学部
   長)           石川  明君
   参考人
   (全国銀行協会会長)   杉田 力之君
   参考人
   (社団法人全国地方銀行協
   会会長)         平澤 貞昭君
   参考人
   (社団法人全国信用金庫協
   会副会長)        長野 幸彦君
   参考人
   (社団法人全国信用組合中
   央協会会長)       網谷  敏君
   参考人
   (社団法人生命保険協会会
   長)           森田富治郎君
   参考人
   (日本銀行総裁)     速水  優君
   大蔵委員会専門員     田頭 基典君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月四日
 辞任         補欠選任
  河井 克行君     桧田  仁君
  塩谷  立君     坂井 隆憲君
同日
 辞任         補欠選任
  坂井 隆憲君     塩谷  立君
  桧田  仁君     河井 克行君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 預金保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三五号)
 保険業法及び金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五七号)

    午前九時開議
     ――――◇―――――
○金子委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、預金保険法等の一部を改正する法律案及び保険業法及び金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
 本日は、参考人として全国銀行協会会長杉田力之君、社団法人全国地方銀行協会会長平澤貞昭君、社団法人全国信用金庫協会副会長長野幸彦君、社団法人全国信用組合中央協会会長網谷敏君、社団法人生命保険協会会長森田富治郎君、以上五名の方々に御出席をいただいております。
 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。
 次に、議事の順序について申し上げます。
 まず、杉田参考人、平澤参考人、長野参考人、網谷参考人、森田参考人の順序で、お一人五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えをいただきたいと存じます。
 それでは、まず杉田参考人からお願いを申し上げます。
○杉田参考人 全国銀行協会会長の杉田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は、預金保険法等の一部を改正する法律案等の御審議に際しまして、私どもの意見を述べさせていただく機会を設けていただき、感謝申し上げます。
 さて、ここ数年間を振り返りますと、銀行を取り巻く状況は、我が国だけではなく他の先進諸国におきましても、これまで経験したことのないような非常に厳しいものであったと思います。多額の不良債権が銀行経営に重くのしかかり、内外の市場から厳しい御評価、あるいは国民の皆様からの非常に厳しい御批判を受けてまいりました。
 このように、我が国金融システムに対する内外の信認が大きく揺らいだ中、金融システムの安定を保つための施策として、先生方には、平成八年以降、預金保険法の改正、あるいは金融再生法や早期健全化法などのさまざまな措置を導入していただきました。金融界に身を置く者の一人といたしまして、こうしたお力添えをいただきましたことに、この場をおかりしまして厚く御礼を申し上げます。
 国際的な競争がますます激しくなっていることを考えれば、今後の道のりは決して平たんなものではないことは重々承知しております。私どもといたしましては、公的資金をできるだけ早期に返済するとともに、経営の健全化やお客様へのサービスの充実を徹底し、我が国経済の活性化に少しでも多く貢献したいとの決意を新たにしているところであります。
 なお、本日は各業態の代表の方々がお見えでございますので、以降につきましては、都・長銀、信託のいわゆる大手行の立場で意見を申し述べさせていただきます。
 改正法案の内容のうち、まず最初に、いわゆるペイオフ解禁の問題について一言申し上げたいと思います。
 私ども大手行は、政府の当初方針どおり、平成十三年四月にペイオフが全面的に解禁されることを前提として、財務内容の強化等、ビッグバンを生き残ることのできる強い経営体質の構築に努めてまいりました。
 今回の改正法案では、特別資金援助等の特例措置を平成十四年三月末まで一年延長する内容になっておりますが、これは政府案の取りまとめに際してぎりぎりの総合的な御判断があったものと理解しております。私どもといたしましては、ペイオフ解禁が一年延期となるか否かにかかわらず、手綱を緩めることなく、強固な経営基盤の構築に引き続き邁進していく所存でございます。
 次に、私ども大手行は、平時の金融システムのあり方を考えた場合、モラルハザードをできるだけ小さくすることが望ましく、特例措置終了後の恒久的制度としては小さな預金保険制度を目指すべきであると主張してまいりました。金融審議会の答申にもその基本理念が盛り込まれております。今回の改正法案はこの答申に沿うものとなっていると理解しており、私どもといたしましては、改正法案の方向性は基本的に望ましいものというふうに考えております。
 時間の関係から、改正法案の具体的内容について申し上げられませんが、金融機関の破綻処理の望ましい基本形についてのみ申し上げます。
 特例措置終了後の恒久的な枠組みでは、問題金融機関の早期発見、早期是正が行われ、それでも回復の見込みがないと判断される場合には、債務超過の程度が極力小さい段階で早期に処理されるのだと理解しております。
 改正法案では、事前準備を行った上で、破綻公表と同時に公的な管理人が選任され、公的な管理人により、譲り受け金融機関に破綻金融機関の営業の譲渡を行うという、破綻処理の望ましい基本形の実現を図るべく、破綻処理の迅速化や多様化に関する手当てが行われており、私どもとしては大いに評価しているわけでございます。
 最後に、私どもは、お客様である預金者を保護する基本は、みずからが健全で収益力の高い経営を実現していくことに尽きると考えております。本格的なビッグバン時代の到来を目前に、経営の健全化に向けて懸命の努力を重ねているところでございます。引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。
 なお、今回、預金保険法等の改正法案について、当委員会で参考人として意見を述べる機会をいただきましたので、かねてより当委員会で御議論されております、中小企業向け貸し出しの三月末の見込みについて資料を配付させていただいております。
 以上でございます。
○金子委員長 どうもありがとうございました。
 続きまして、平澤参考人にお願いいたします。
○平澤参考人 地方銀行協会で会長を務めております横浜銀行の平澤でございます。本日は、このような機会を設けていただきまして、まことにありがとうございます。
 本日は、預金保険法の改正法案に関する参考人招致ということでございますが、改正法案について意見を述べます前に、まず、ペイオフ解禁につきまして一言申し上げたいと存じます。
 私ども地銀界では、これまで、当初方針どおりの二〇〇一年四月のペイオフ解禁を前提に、ペイオフ解禁後も取引先の皆さんが安心して取引いただけますよう、個別金融機関による不良債権の処理、財務内容の改善促進等による経営体質の強化、ディスクロージャーの拡充による透明性の確保など最大限の経営努力を払ってまいりました。
 したがいまして、今回のペイオフ延期につきましては、残念だと感じておられる頭取方も多いようでございますが、いずれにいたしましても、私ども地銀界といたしましては、ペイオフ解禁の時期にかかわらず、金融機関の社会的、公共的責任を強く認識し、それぞれの金融機関が経営体質の強化やディスクロージャーの拡充等につきまして、引き続き全力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。
 次に、今回の改正法案につきまして意見を申し上げさせていただきます。
 そもそも預金保険制度につきましては、私ども地方銀行は、少額預金者の保護といった預金保険制度創設時の趣旨やモラルハザード防止の観点を踏まえ、恒久的な制度といたしましては、小さな預金保険制度を目指すべきであると主張してまいったわけでございます。
 そうした小さな預金保険制度の趣旨は、基本理念として最終答申においても盛り込まれておりますし、今回の改正法案におきましても、特例措置終了後の恒久的な制度においては、基本的には破綻処理の迅速化、多様化により、破綻コスト、ひいては社会的なコストの最小化を図るための手当てがなされております。私どもといたしましても、これまでの地銀界の主張も取り入れていただいたものと理解しておる次第でございます。
 続きまして、ペイオフ解禁後一年の流動性預金の保護について申し上げたいと存じます。
 私ども地方銀行といたしましては、パブリックコメントにおきましても、決済の問題は、可能な限り、破綻処理の迅速化と民間による多彩な決済サービスの提供等、保険金の支払いとは別の制度的工夫によって解決すべきであるというふうに申し上げてまいりました。
 その理由といたしましては、流動性預金に対する金融機関経営者、預金者双方のモラルハザードを助長するおそれがあることなどでございます。
 そして、最終答申では、迅速な破綻処理が確実なものとなるまでの間は「流動性預金に関して何らかの特別な措置を時限的に講じることも止むを得ない」という方向感が示されておりましたが、改正法案では、全額保護される預金の金利に上限を設けるほか、保険料負担についてもそれ以外の預金よりも重い保険料を課すなど、先ほど申し上げましたモラルハザードを抑制するための手当てがなされております。
 また、全額保護される流動性預金の範囲につきましても決済性の預金に明確化されておりますし、期間につきましてもペイオフ解禁後の一年に限って保護されるなど、この点も、私どもがこれまで申し上げた点を取り入れていただいたのではないか、そのように理解している次第でございます。
 最後に、恒久的な制度の中での例外的な措置である金融危機への対応について申し上げます。
 改正案では、危機的な事態が予想される場合、内閣総理大臣は、金融危機対応会議の議を経まして、資本増強やペイオフコスト超の資金援助、特別危機管理銀行としての国家管理の例外的措置を講じる必要がある旨の認定が可能となっております。
 しかしながら、早期発見、早期是正が徹底されますと、信用秩序の維持や国民経済、地域経済に重大な支障が生じる場合はまさに例外中の例外であると認識しておりますし、アメリカにおきましてもシステミックリスクエクセプションの規定があるように、可能性はゼロではない以上、国家の危機管理としては必要な制度整備である、そのように理解している次第でございます。
 また、すべての破綻処理方式の決定においても同様でございますが、このような措置が発動される場合には、十分なアカウンタビリティーが確保されることが必要であると認識しております。
 以上、預金保険法の改正案につきまして、重立った点でございますが、地銀界としての考え方を述べさせていただきました。今後とも、引き続き御指導のほど、よろしくお願い申し上げます。
 以上でございます。
○金子委員長 どうもありがとうございました。
 次に、長野参考人にお願いいたします。
○長野参考人 全国信用金庫協会副会長の長野でございます。
 平素は、私どもの事業運営に対しまして、温かい御理解、御支援を賜っておりますことを、改めて御礼を申し上げたいというふうに思っております。
 本日は、預金保険法等改正案について、私どもの考えておることを申し述べさせていただきたいと存じますが、大きく分けて三つについて申し上げたいと思います。
 まず第一は、法案全体についての私どもの受けとめ方、第二点は、個別事項について私どもが考えておりますこと、三番目は、協同組織金融機関としてこの問題についてどう考えているか、以上三点についてお話し申し上げたいというふうに思っております。
 まず、今回の法案全体につきましては、昨年秋に開催されました金融審議会の審議内容を踏まえた、内容のある法案であると高く評価するとともに、これによって金融システムの安定性が一段と増すものと期待いたしております。
 次に、個別的事項のうち主なものについて業界の意見を申し述べます。
 まず第一は、ペイオフ解禁の一年延期についてでありますが、昨年末の諸会合において、私どもは、ペイオフの解禁については延期することが望ましいといった主張を繰り返してまいりました。
 これは、私どもの実感として、中小企業はまだまだ業況不振が続いており、地域経済に回復感が見られないからであります。仮にこのような状況下でペイオフが実施されますと、郵貯等への資金移動が生じ、預金減少に伴う信用収縮が起こって、地域経済を一段と冷え込ませるといった悪循環に陥ることを憂慮したからであります。
 もとより私ども信用金庫といたしましては、ペイオフ延期の有無にかかわらず、不良債権を早期に償却して経営の健全性を高めるとともに、ディスクロージャーの徹底や合併の推進等によって業界の信頼性を確保すべく努力を重ねてまいる所存であり、これが延期されたからといって、経営改善努力を怠るようなモラルハザードは絶対に生じないと確信いたしております。
 第二は、いわゆるシステミックリスクについてでありますが、御高承のように、私ども信用金庫業界は、さきの預金保険法案の改正によって預金保険料が従来の七倍に引き上げられた後も、経営破綻等については業界内の相互援助資金制度を使った合併等によって対処してまいりましたが、次第にそれが困難となりまして、昨年から預金保険機構の資金援助を仰ぐことと相なったわけでございます。
 業界として見た場合には、支払った保険料を上回る資金援助を受けることのないように、これからも万全の体制整備等に努める所存でありますが、万が一連鎖的な破綻が生じて地域経済が危機にさらされるような場合には、銀行に準じた資金援助の特例等を適用する必要があると存じております。しかし、これは本当に例外中の例外のことであると存じております。
 第三は、可変保険料率の導入についてでありますが、私どもは、預金保険料は金融システム維持のための共通の費用であり、平等、公平に一律に負担すべきであると考え、これに反対してまいりました。
 経営の健全性の定義や尺度によっては、中小企業貸し出しを抑制する要因になりかねない面もありますので、たとえ法的に導入が可能となりましても、その実施につきましては慎重に御検討していただきたいと考えております。
 次に、協同組織金融機関特有の事項について触れたいと存じます。
 その第一は、優先出資の発行についてであります。
 私ども信用金庫は、協同組織金融機関であるため、株式会社の銀行のように多様な自己資本の調達手段がないことから、これまで優先出資や劣後債の発行を可能とすることを要望してまいりましたが、今回の法案には、このうちの優先出資の発行を可能とすることが盛り込まれております。長年の私どもの要望の一つが実現するものと高く評価しております。
 第二は、公的資金による資本注入についてであります。
 これまでのところ、この注入を受けた信用金庫はありませんが、昨年四月に制定された金融検査マニュアルを適用した金融検査の結果によっては、自己資本比率が大幅に低下する事態が生じないとも限りません。したがって、そのような場合には、昨年六月に公表された地域金融機関への公的資金に関する方針に準ずるとともに、協同組織金融機関にふさわしい、きめ細かな資本注入が行われることを期待いたします。
 最後に、私ども信用金庫は、地元で集めた資金を地元に還元する地域金融機関であり、地域内の中小企業の育成、発展を目指す中小企業専門の金融機関であります。昨年春以降、次第に景気回復への期待が高まっておりますが、一般に、中小企業や地域経済がその恩恵に浴するのは多分におくれるのが実態であります。いましばらくは信用金庫にとって非常に厳しい状況が続くものと覚悟いたしておりますが、このような信用金庫の社会的役割につきまして何とぞ御理解を賜り、今後とも信用金庫業界に対しまして温かい御支援を賜りますようお願い申し上げたいと存じます。
 以上であります。
○金子委員長 どうもありがとうございました。
 次に、網谷参考人にお願いいたします。
○網谷参考人 全国信用組合中央協会会長の網谷でございます。
 本日は、信用組合業界を代表いたしまして、預金保険法等の一部を改正する法律案につきまして意見を述べさせていただきたいと存じます。
 その前に、平成六年の東京協和、安全の二信組以来、信用組合の中から多くの経営破綻が生じ、国民の皆様並びに我が国金融システムの安定化等に関しまして大変なる御迷惑をおかけいたしておりますことにつきまして、まことに申しわけなく、この機会をかりまして深くおわびを申し上げます。
 御高承のように、信用組合は、地縁、人縁を経営の基盤といたします協同組織の金融機関でありまして、中小企業、特に零細企業者及び勤労者等の組合員に対する資金の円滑化に資することを使命といたしているものでございます。
 当業界といたしましては、我が国金融システムの一翼を担うものといたしまして、その安定化のために最大限の努力を払っていかなければならないという認識のもとに、経営の健全化に向け、また課せられました使命を果たしていくために、目下懸命な努力を行っているところでございます。どうぞよろしく御理解賜りますようお願いを申し上げます。
 さて、本法案に対する私どもの意見でございますが、本法案に盛り込まれております措置のうち、時間の関係もございますので、二点に絞って意見を述べさせていただきたいと存じます。
 最初に、信用組合の経営基盤強化に関する措置についてでございます。
 目下、信用組合業界は、金融ビッグバンが進む中で、不良債権の早期処理や自己資本の充実など、健全性の確保に向けて懸命の努力を重ねているところでございます。
 このような状況下において、今後、新しい金融検査マニュアルに基づく厳正な自己査定と償却、引き当てなどによりまして、自己資本比率は一段と低下を余儀なくされることが予想されております。このことは、信用組合が担っている中小零細企業への融資を抑制せざるを得なくなることも招きかねない問題をはらんでいるものと懸念をいたしておるところでございます。
 信用組合が健全性を維持しつつ、本来の使命であります中小零細企業金融への貢献という役割を果たしていくためには、自己資本の充実が喫緊の経営課題となっている状況にございます。しかしながら、信用組合におきましては、現行法制上、株式会社の銀行のように多様な自己資本の調達手段がないため、不良債権の処理等によって低下した自己資本比率の回復を図ることが非常に困難な状況にございます。
 本法案では、個々の信用組合においても優先出資の発行を可能とするとともに、金融機能早期健全化法に基づく信用組合への資本増強を行いやすくする措置が盛り込まれております。当業界としましては、現下の厳しい状況下におきまして、経営基盤の強化のためにこの資本増強の制度を積極的に活用し、課せられている使命を果たしていきたいと考えておるところでございます。本法案の一日も早い成立を強く望むところでございます。
 次に、ペイオフ解禁への条件整備に資する点でございます。
 この法案の早期成立は、ペイオフ解禁への条件整備に大いに寄与するものと期待をいたしております。当業界では、かねてより、ペイオフ解禁は預金者一般の金融システムへの信頼感が確立されることが前提であると主張し、現状では解禁を行えるような状況にないとの認識のもとに、その解禁について慎重な御判断をお願いしてきた経緯にございます。
 本法案では、解禁一年延期の特例措置が盛り込まれておりますが、信用組合業界といたしましては、それに気を緩めることなく、従来にも増して経営の改善に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
 当業界としましては、本法案で手当てをされております種々の措置につきまして、適切に対応できるよう体制整備に努めますとともに、今後とも、業界全体といたしまして、中小零細企業金融の円滑化並びに金融システムの安定化に資するよう、懸命かつ着実に取り組んでまいりたいと存じておるところでございます。
 したがいまして、この法案の早期成立につきまして、何とぞ特段の御高配を賜りますようお願い申し上げまして、意見とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。
○金子委員長 どうもありがとうございました。
 次に、森田参考人にお願いいたします。
○森田参考人 生命保険協会長の森田でございます。
 本日は、保険業法等改正案の御審議に当たり、意見を申し述べる機会を与えていただきましたことに対し、お礼を申し上げます。
 お手元に、御理解を賜りたい点を整理した資料をお配りしておりますが、時間の関係によりまして、全体の説明は控えさせていただきますことを御了承ください。
 現在、生命保険業界におきましては、長期に及ぶ歴史的低金利に起因する逆ざやの状況が続いております。業界全体の逆ざや額は、平成四年度から平成十年度まで七年間の累計で十兆円を突破しており、生保各社は徹底したコスト削減と運用収益向上に取り組んでおりますが、自己資本も拡充途上にある生保にとりまして、この逆ざやは激しく経営を圧迫しております。
 逆ざやを一気に解決する根治療法はなく、実体経済の回復に伴う金利上昇を初めとする運用環境の好転以外に手段がないというのが実情であります。加えて、保険営業面におきましては、個人保険新契約の低迷と解約・失効額の増加が続いておりまして、その結果、平成九年度以降、史上初めて保有契約高が減少するという事態を迎えております。
 こうした状況下、日産生命、東邦生命の破綻という事態も受け、生命保険業界は信頼の確保を最重点課題に掲げ、財務体質の改善やコスト効率の向上等による経営基盤の強化に全力を挙げて取り組んでいるところでございます。さらに、業界をめぐる環境は、金融ビッグバンに象徴される規制緩和、自由競争の流れがますます勢いを増している状況であります。そうした中で、契約者及び保険会社の自己責任原則重視の一方で、セーフティーネットの整備が喫緊の課題となっております。
 以上のような現状の中で、今般、保険相互会社の株式会社化、保険会社に係る倒産法制の整備に関する法律案が上程されており、また、当局による早期是正措置、モニタリングの強化の方策が進められているところであります。
 お手元の資料の一ページをごらんいただきたいと思います。生命保険契約者の保護のための制度の課題と対策について整理しております。
 まず、保険相互会社から株式会社への組織変更規定の見直しにつきましては、経営基盤強化につながる資本調達手段の拡充、提携、再編等を含む事業展開の自由度の確保といった面で経営の選択肢が広がりますことから、今回の改正の意義は大きいと考えます。
 次に、保険会社に係る倒産法制の整備につきましては、今回の法改正により、保険相互会社への更生手続の適用、債務超過に陥る前の早期の手続開始等が可能になります。
 これらの法整備に加え、会社自身によるリスク管理の充実を図るためのさまざまな仕組みの見直し、監督当局における検査、モニタリング機能の充実強化や早期是正措置の適時適切な運用によりまして、今後の生保のセーフティーネットにおける事前的な対応と、万一の場合の破綻コストを最小限にするための条件整備が進むものと心強く受けとめております。
 しかしながら、これら諸手当ての実効性発揮と定着には一定期間を要するであろうと思われ、今回、あわせて、生命保険契約者保護機構の財源対策についての法案が、平成十五年三月までの破綻を対象とする緊急措置として上程されております。
 昨年、東邦生命の破綻処理に伴い、保護機構の財源がほとんど底をつくという問題が発生いたしました。業界内では、平成九年の日産生命の破綻処理分と現行保護機構における負担限度額の合計六千六百億円という既定の負担額が、業界にとっての限界とする議論も根強くありましたが、保護機構の機能停止による混乱は何としても防ぐべきであるとの判断から、一千億円の業界による追加負担を含め、この緊急措置を求めることを保護機構の総会において決定いたしております。
 世帯加入率九割を超えて、ほぼ全国民に浸透し、私的生活保障の中核を担う生命保険事業の安定と国民の安心感を支えるには、保護機構の信認維持が非常に重要であり、そのことには大きな社会的価値があると考えております。
 法案に関する意見は以上でございますが、最後に、最近発生いたしました保険金等の詐取を目的とした犯罪、または犯罪が疑われる事件につきまして、一言述べさせていただきます。
 これは、一部の悪意を持った者が起こした事件であり、全く生命保険本来の趣旨から逸脱したものでありますが、これにより生命保険に対する信頼が揺らいでいることにつきまして、大変遺憾に思っております。
 生命保険協会及び生保各社は、モラルリスク契約の排除に努力をしておりますが、結果として排除できなかったことに関しまして、深く反省いたしますと同時に、体制の見直しを鋭意推進し、再発防止に向けた一層の対応策を講じつつあるところでございます。
 特に、生命保険協会の契約内容登録制度につきましては、平成十一年四月に続き、平成十二年四月にも登録する保険金額の基準を引き下げる等、チェック体制の強化を図っております。こうした対応により、例えば埼玉県本庄のケースがマスコミ報道にありますような実態とすれば、このような例は確実に捕捉されるものと考えております。今後は、こうした手当てが抑止力として働き、モラルリスク契約の排除に大きな効果を発揮するものと考えております。
 以上をもちまして、私の意見陳述とさせていただきます。私どもといたしましては、法案が今国会において成立いたしますことを強く期待する次第でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○金子委員長 どうもありがとうございました。
 以上で参考人の皆様方の御意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
○金子委員長 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。下村博文君。
○下村委員 自由民主党の下村博文でございます。
 参考人の皆様方には、早朝よりまことにありがとうございます。時間が限られておりますので、全国銀行協会の杉田会長を中心に御質問をさせていただきたいと思います。
 まず最初に、今回の預金保険法の一部改正について、これはペイオフの一年延期等、我が国のビッグバンに向けて、また護送船団方式に戻るのではないか、これからの状況の中ではかえって逆行になるのではないか、こういう意見も一部ございますが、これについては、杉田会長としてはどのようにお考えでしょうか。
○杉田参考人 お答えいたします。
 冒頭に申し上げましたとおり、大手行の立場で申し述べさせていただきたいと思います。
 私ども大手行といたしましては、政府の当初方針どおり、平成十三年四月にペイオフが全面的に解禁されることを前提に、財務内容の強化等、金融ビッグバンを生き残ることのできる強い経営体質の構築に努めてまいったところでございます。
 今回の改正法案では、特別資金援助等の特例措置を平成十四年三月末まで一年延長する内容になっておりますが、これは政府案の取りまとめに際しまして、もろもろの総合的な御判断があったというふうに理解しております。
 私どもといたしましては、ペイオフ解禁が一年延期になるか否かにかかわらず、手綱を緩めることなく、強固な経営基盤の構築に引き続き邁進していく所存でございます。
 以上でございます。
○下村委員 いわゆる大手銀行に対して公的資金が注入されて一年、約七兆四千六百億円が注入されたわけでありますが、経営健全化計画の中で、特に中小企業向けの融資の上積みが求められていたわけでございまして、そういう意味では、きょう、「中小企業向け貸出の見込み」を急遽出していただきまして、大変に御苦労だったと思いますが、せっかくでございますので、先ほど出された内容について、簡単に御説明をしていただけますでしょうか。
○杉田参考人 今回は、資本注入行十五行の三月末の中小企業向け貸し出しが達成できるかどうかにつきまして、当委員会でも御議論をいただいている中にありまして、ちょうど三月末が明けました本日、私がこの場で意見を述べる機会をちょうだいいたしましたので、本来、全銀協の会長が他行の数字等につきまして申し述べる立場にはございませんが、今回各行から自発的に見込み数字をいただきました、それを取りまとめたのがお手元に差し上げました資料でございます。
 この表のd欄並びにdマイナスb欄が、今回各行から見込みとしていただいてきた数字でございます。d欄は十二年三月末残高の見込み、dマイナスb欄は十一年三月末の残高実績対比の増加見込みでございます。三月期末が明けたばかりでございまして、これはあくまでも実績見込みとして幾ら幾らというような、幅を持った形でお示しさせていただいていることを御理解いただきたいと思います。
 一番右のcマイナスa欄は、当初健全化計画においてお示しした四月から一年間の計画上の増加目標でございますが、これとその左欄のdマイナスb欄、つまり一年間の増加見込みを比べていただきますと、全行がこの増加目標を達成する見込みであります。
 私どもといたしましては、早期健全化法の趣旨にのっとりまして、信用供与の円滑化、とりわけ中小企業向け融資の拡大に向けまして、さまざまな施策を講ずる等、最大限の努力を払ってまいりましたが、今後も引き続き積極的に取り組んでいく所存でございます。
 以上でございます。
○下村委員 この中小企業向け貸し出しについては、一年間の増加目標額が三兆円であるのに対して、十一年九月期には七千億円しか増加をしていないわけであります。また、中には三月期実績よりも減少している銀行もございまして、これは先週の金曜日、三月の三十一日の日経新聞でも、中小企業向け融資は計画を下回るのではないかということが報道されておりました。
 しかし、今回の資料を見ますと、各行とも増加目標額が達成される見込みということになっておりまして、このとおりにいけば大変にいいことでありますけれども、今回達成される見込みとなったその要因についてお伺いしたいと思います。
 また、これは見込みということでありますけれども、確定計数はいつごろまでに集計できるのかどうか、あるいは、dマイナスbがございますけれども、これを下回るということはないのかどうか、あわせてお聞かせ願いたいと思います。
○杉田参考人 お答えをいたします。
 まず、最初のお尋ねでございますが、私ども民間金融機関は、円滑な資金を供給していくという社会的な使命がございます。企業の資金需要に円滑にこたえていかなければならないというふうに考えておるわけでございますが、特に資本注入をいただきました銀行としましては、早期健全化法の趣旨にのっとりまして、信用供与の円滑化、とりわけ中小企業向け融資に向けてさまざまな施策を講ずる等最大限の努力をしているところでございます。
 具体的な施策を申し上げますと、各行さんともそれぞれいろいろな知恵を絞りまして、工夫を凝らして取り組んでいるわけでございますが、私どもの銀行の例で申し上げますと、融資拡大のポイントというのは、顧客のニーズにこたえた最適商品の提供、それも迅速に行うということだというふうに思っております。固定金利商品の拡充、これの小口化とか、それから中小向け融資商品のラインナップをいろいろ充実をさせておりますほか、営業店サポートのための専門スタッフを本部内に設置する、あるいは新規開拓専任のスタッフを百余名も設置する、あるいは審査の過程をスムーズに自動的にやるという自動スコアリングのシステムを開発する等々、もろもろの施策を実施してきているところでございます。
 下半期は、上半期にいろいろとそのような施策を実施したわけですけれども、その効果があらわれ始めたことや、各行とも計画達成に向けまして積極的に取り組んできた成果が出てきたのではないか、このように思っております。
 次に、お尋ねの確定計数についてでございますが、計数が確定しますのは、所要の精査の作業を経まして確定するわけですが、五月の中下旬ごろになる見込みでございます。金融再生委員会に御報告の上公表をすることになろうか、このように思っております。
 それから、最後のお尋ねの点の下振れする問題、リスクはないのかということでございますが、確定作業をやってまいりますが、今の時点では、お手元に差し上げた資料のように、各行さんとも達成するというふうに伺っております。
 以上でございます。
○下村委員 杉田会長は全国銀行協会会長というお立場でもございますから、特に、大手銀行全般に対してリーダーシップをとっていただく中で、中小企業向け融資、貸し出しについて注視をしていただきたいと思います。
 あわせて、今、特に公的資金を導入されている大手銀行がどのようなリストラ策をしているかどうかということに対しては、大変に国民の皆様方が関心を持っていらっしゃるわけでございます。これについて、いろいろと、店舗の統廃合だけでなく、従業員のこれからのリストラ等を含めまして、計画についてあるいはその進捗状況については、もっともっと明らかにしていく必要があるのではないかというふうに思いますが、このリストラ策についてはいかがでしょうか。
○杉田参考人 リストラへの取り組みについてのお尋ねでございますが、まず、過去五年間、平成六年三月末から平成十一年三月末までの全国銀行の役職員の削減の実績について申し上げますと、役員の数がマイナス一二%、従業員数はマイナスの一五%というふうになっております。
 また、資本注入されました十五行の経営健全化計画では、平成十一年三月末から平成十五年三月までの四年間の役職員の削減計画を一年ごとの削減計画とともにお示しをしているわけでございますが、それによりますと、資本注入十五行におきましては、四年間で役員数について約三四%、従業員数については約一三%削減することとしております。役員数については、十一年九月末までに既に二六%削減されておりまして、十二年三月末までの二〇%という計画を大幅に上回る実績を上げております。
 十二年三月末時点での実績について、他行につきましては承知しておりませんので、私ども第一勧業銀行の状況について申し上げますと、役員数は健全化計画どおり着地をしておりますほか、期末の従業員数につきましても、一万五千五百九十人の計画に対しましては一万五千五百四十人と五十人を上回る削減実績を達成いたしました。
 また、人件費につきましては、千五百六十八億円の計画に対しまして千五百二十億円と計画を五十億円上回る削減となる見込みのほか、物件費につきましても、二千百四十七億円の計画に対しまして千九百四十六億円と約二百億円計画を上回る見込みでございます。
 すべての項目におきまして、当初計画どおりもしくはそれを上回る削減実績となる見込みでございます。
 以上でございます。
○下村委員 私は、東京選出の議員でございますし、また都議会議員もしておりましたから、今回の石原新税、外形標準課税について、日ごろから地域の都民の方々と接する中で、もうほとんど圧倒的にこの外形標準課税については賛同し、都議会でもほとんど全員の賛成のもとに可決されたのはよく御承知のとおりだというふうに思います。
 これに対して、全国銀行協会が訴訟するというふうな対応をされるそうでありますが、これは、東京都だけでなく、ほかの道府県にも広がっていく、地方分権とかいろいろな観点もあります。確かに、税の公正、公平なことから考えればいろいろな問題点はあるかと思いますが、しかし、これはそれだけ今の銀行に対して一般の国民が厳しい目で見ているということでもあるというふうに思いますし、そういう中で、ぜひ今後とも、中小企業の融資について、徹底した各銀行に対する配慮、またリストラ策も行うことによって、本来の銀行業務が達成されますようにお願い申し上げたいと思います。
 質問時間が終わりましたので、答弁は結構でございます。よろしくお願いいたします。終わります。
○金子委員長 次に、石井啓一君。
○石井(啓)委員 公明党・改革クラブの石井啓一でございます。
 本日は、参考人の皆様方には大変御苦労さまでございます。
 先ほど全国銀行協会さんの方から出していただきました、公的資金注入を受けた十五行の「中小企業向け貸出の見込み」の表を見ますと、意外と言っては大変失礼になるかもしれませんけれども、中小企業向けの貸し出し増加目標の達成は難しいのではないかという事前の報道から比べますと、なかなか頑張ってやっていただいているのだなということを確認させていただきました。当初の増加目標の約三兆円に対して、見込みが四兆八千億から五兆三千億ということでありますから、全体としては非常に頑張っていただいたのだな、こういうふうに思います。
 ただ、日銀等の統計資料によりますと、金融機関全体の中小企業向け貸し出しを見ますと、やはりその残高は減っているという状況がございます。また、私ども、いろいろ個別の中小企業からの御相談も伺いますけれども、そういった個別の状況を伺いますと、やはりまだまだ貸し渋りといいますか、融資の姿勢が厳しいという御相談をよく受けるところでございます。
 特に、中小企業が、例えば新しい機械を購入するとか新しい施設を設ける、そういうふうに事業を強化しよう、また新しい分野に事業を進出しよう、そういったときになかなか銀行から貸していただけない、こんな御相談を受けるところでございます。
 そこで、杉田会長それから平澤会長、長野副会長、網谷会長、それぞれにお伺いをしたいのでございますけれども、こういう中小企業から御相談を受けるとき、何が銀行から融資を受けるときのネックになっているかといいますと、やはり担保でございます。中小企業の方はもう大体不動産を担保に入れていらっしゃる、あるいは社長さんの個人資産ももう担保に入れていらっしゃるという状況の中で、担保価値も減っているという中において、新しい事業をやろうというときに新しい担保を入れることができない、したがって、なかなか融資を受けられない、こういうことがございます。
 やはり、中小企業がこういった新しい事業展開をするとき、また場合によっては、最近はベンチャーがはやりでございますけれども、新規創業、こういう際には担保主義からぜひ脱却をしていただいて、そういう新しい事業の計画の中身を御審査いただいて、その確実性とか将来性を見て御融資をいただく、こういう方向にぜひ転換をしていただきたい、こういうふうに私は思っておるところでございます。
 とはいえ、これまで担保をとって融資していたということでございますから、そういう事業の中身をきちんと分析して、リスクをはじいてという審査のノウハウといいますか、能力といいますか、それがすぐに身につく、蓄積されるということはなかなか現実問題は難しいのかもしれませんけれども、基本的な方向としては、そういう事業の内容を見て審査をする、こういう方向にぜひ転換をしていただきたいな、こういうふうに私は思っておるところでございまして、それぞれの御参考人から御意見を承りたいと存じます。
    〔委員長退席、根本委員長代理着席〕
○杉田参考人 お答えいたします。
 バブルの時代には、資産の価値が右肩上がりという状況があったわけですけれども、物的担保のみに注目いたしまして融資を行う面があったということについては否めないというふうに思っております。
 私どもといたしましては、この反省を踏まえまして、事業内容を十分に把握しまして、事業のキャッシュフローを重視した考え方に基づいて融資対応を行うように努めているところでございます。
 また、審査能力を強化する等によりまして、みずからのリスク管理能力を高める努力を行っておりまして、それからまた中小企業に対する信用供与の拡大には意を持って取り組んでいるところでございますが、先生の御指摘の点につきましては、まさにそのとおりであるというふうに思っております。
 さらに、創業間もないベンチャー企業に対しましても、関連会社のベンチャーキャピタルと共同出資で設立いたしました投資事業組合によりまして、積極的な出資も行っておりますほか、さまざまなサポートをしております。
 なお、手前どものことを申すようで恐縮ですが、みずほグループといたしましては、三行共同で総額三百億円程度のベンチャーファンドを設立いたしまして、二十一世紀を担うニュービジネスベンチャー企業、それから技術力のある企業等の発掘、支援を積極的に行っていくという方針を経営ビジョンにうたうところでございます。
 以上でございます。
○平澤参考人 今お話しのとおりでございまして、おっしゃるように、バブル期、担保があればという融資を随分積極的にやったわけでございます。その結果、幾つか大きな問題に直面したわけであります。
 一つは、とっているというか、いただいている担保が四分の一、五分の一に下がってしまったために、非常に不良債権を今抱え込んで苦しんでいるということが一つございます。もう一つは、担保さえあればということですから、相手の企業というものを十分に勉強しないで貸してきたという点、これはもう金融機関にとって大変大きな問題でございます。
 そういう反省のもとで、現在、先ほど杉田会長もおっしゃっておられましたように、金融機関としては、相手、融資先の内容、将来性その他を十分に知って、その上で信用でお貸しするという方向に急速に今切りかえておりますので、いわゆる無担保主義で貸す、そういう方向へこれからも金融機関は進んでいくのではないか、そういうふうに思っている次第でございます。
○長野参考人 担保は、もとより債権保全の中心だというふうに思っておりますが、御案内のように、最近は一時に比べますと担保価値というものも三分の一、場合によって、場所によっては五分の一になっておりまして、現在御融資している点にかかわる担保価値ももう完全に貸出金を下回っている、こういうような状況にあるわけであります。
 私どもが対象としている中小企業の方は、前向きの資金需要というのはもうほとんどございません。後ろ向き的な資金需要が圧倒的であります。しかもなおかつ、お客様の七割近くは赤字決算でございます。そういうような状況の中で、この資金がない場合におれのところはもう倒産してしまうのだ、こういうような状況でのやりとりが毎日続いているというのが実は現状でございます。
 私どもといたしましては、ただ単に担保ということだけでなく、それじゃこれから、今はこういう状況だけれども、社長、来年どうするのですか、再来年どうするのですか、あるいは商品計画というものをどういうふうに考えている、時代にマッチしたような、あるいは業務計画をどう考えておられるのかというようなことが一つ。さらには、その社長の御人格、識見、力量、手腕、従業員に対する教育の姿勢、そういうようなもの等を見て、現在の企業内容というものは非常に赤字であり、財務内容は悪いけれども、これは将来どうなのかということを見きわめて、その融資の申し込みに対処したいというふうに思っております。
 ただ、一つだけ申し上げておきたいことは、融資はすればいいというものでは決してないというふうに思っております。しなかった方がよかった、貸してくれたがゆえにとことんまで体力が弱ってしまったのだと。そういうようなことを十分に見きわめながら、貸さぬも親切、そして、事業を終えんするという必要がある場合には、せめて従業員の退職金それから親子で生活をしていける、そういうような余地というものを残すような形でその企業の幕を閉じる、そういうようなことを我々金融機関も社長と一緒になって相談しながら進めていく、こういう必要もあるのじゃないか、以上のように考えております。
○網谷参考人 お答え申し上げます。
 ただいま信用金庫の副会長さんがおっしゃいましたことにすべて尽きる、私は同じような考えでおります。
 御案内のように、信用組合のお取引者は小零細企業がほとんどでございまして、その方々は、現在はほとんど赤字企業というふうな状況が続いておりまして、また資金の需要につきましても極めて少ない、むしろ、借入金は返済してでも身を軽くするというのが現在の、特に設備に関しましてはそういう状況だというふうに思っております。
 また、過去におきましては、そういうふうな中小零細企業に関しましては、事業計画並びに財務諸表につきましては極めて不備の点が多うございまして、奥さんが財務諸表であるというようなのが零細企業でございます。
 したがいまして、田舎の金融機関へ、信用組合へ行けば行くほど、地縁、人縁ということを最初に申し上げましたけれども、人にお金を貸すんだということが、一目瞭然、わかってまいります。そういう意味では、今までの担保主義等々から脱皮をいたしまして、計画性に基づいたもろもろの融資を今後大いに進めていく必要があるというふうに思っております。よろしくお願いいたします。
○石井(啓)委員 ぜひよろしくお願いをいたしたいと存じます。
 それでは、続いて生保協会の森田会長にお伺いをいたしますが、今回の保険業法の改正によりまして生命保険契約者保護機構の財源が強化をされるわけでございますが、今回、財政資金を入れることが可能な措置にいたしまして、協会としての追加負担も一千億、さらに財政資金を最大四千億まで入れられる、そういう枠組みを新たにつくったわけでございます。
 この財政資金を投入するようなことを可能にした措置について、また、あえて言えばプラス五千億というこの増加額について、また財政資金については平成十五年三月末までという時限措置でございますけれども、このセーフティーネットの強化について、生命保険協会としてはどういうふうに評価をされているのか、お伺いをいたしたいと存じます。
○森田参考人 まず、今回の財政資金の措置については、一言で申し上げますと、大変ありがたいといいますか、本来、こういう問題については業界の中で解決すべきだという御意見も多いと思いますけれども、そもそも、その本質的な問題を申し上げますと、契約者保護のレベルというものを定めますと、そこから破綻のコストというものがどのくらいかかるのかというのは事前には限定できないということになりまして、これに対してすべて業界で賄うという話は、業界の負担は無限にしますということを前提にしなければいけなくなる、これは非常に物理的にも思想的にも困難な話でございまして、おのずと業界の負担というものには一定の限度というものが設けられざるを得ない。
 率直に申し上げて、東邦生命の破綻処理で保護機構の金を三千八百五十億使うということになりまして、それから日産生命の破綻対応で業界は二千億借金をしておりますから、合計で大変な金額がもう出ておる。結局、保護機構に対する負担の限度、これを四千六百億と想定しておりますけれども、六千六百億の負担というものが既に業界としては限界である、こういうふうに考えておりまして、片や保護機構の財源がほとんど底をつくという中でこれをそのまま放置することはできない、したがって、そこに対して財政資金、財政の支援というものを仰がざるを得ない、こういうことでございます。
 それから、金額についてどうかということでございますが、当局の御説明で、もともと負担限度四千六百億ということで走ってまいりまして、この財源がほとんどなくなった、したがって、また同様の機能というものをまずは回復する必要があるということで五千億という数字、まあその中で業界負担をさらに千億、財政資金で四千億、こういうことになったわけでありまして、私どもとしては、この金額の中で今後のセーフティーネットというものが支えられることを強く期待しておるわけでございます。
 それから、破綻の問題というのは、すべて保護機構にゆだねられますと、結局、コストが幾らかかるかわからないという状態になってしまうわけですから、大事なことは、破綻コストを最小限に食いとめるということだろうと思っておりまして、今回の諸法案の中で、更生特例法の適用であるとか、株式会社化による経営基盤の強化策であるとか、あるいは当局によるモニタリング検査等の強化であるとか、こういうもろもろの条件整備というものを含めて、今後、破綻コストというものを最小限に抑えていく、そういうものが整えられるということについて大変心強く感じております。
○石井(啓)委員 時間でございますので、終わらせていただきます。
○根本委員長代理 次に、西田猛君。
○西田(猛)委員 西田猛でございます。
 参考人の皆様におかれましては、きょうは早朝からお疲れさまでございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 では、数点お聞きを申し上げたいと思いますが、まず、これは、皆様方、公的なお立場でございますけれども、個人的な意見でも結構でございます。
 この数年にわたる金融危機に当たって、金融再生法それから金融の早期健全化法というふうないろいろな法律を我々はつくったりいたしました。その中で、特に大きな長期信用銀行の処理の問題がございましたが、金融再生法に基づいて公的資金を注入いたしました。この公的資金は、残念ながら、丸々国民の税金でございますけれども、これは返ってくることのない税金注入となってしまったわけでございます。そしてそれを、今般のような形でリップルウッド・ホールディングスから成るニュー・LTCB・パートナーズに売却をしたということでございました。
 このような処理について、民間企業のお立場として、この処理は民間企業に対する措置のあり方として果たしてどのようにお考えになられるのか。私も方向性は申しませんが、個人的にどのようにお考えになっておられるか、皆様方、お一言ずつお願い申し上げたいと存じます。
○杉田参考人 長銀、日債銀の譲渡につきましては、金融再生委員会などの関係の方々が、金融再生法に掲げます金融システムの安定化を図るという趣旨に基づきまして、最大限の御努力をされたものというふうに理解をしております。
 以上でございます。
○平澤参考人 私も、今杉田会長のお話しなさったとおり、やはり大変な激動期でございますから、そういう中でこういう措置をおとりになられて、結果として、金融界、現在何とか小康状態を保ちつついい方向へ向かってきていると私は個人的に思っておりますので、そういう意味では、これまでの措置が十分にその効果を発揮しておるのではないか、そのように理解しております。
    〔根本委員長代理退席、委員長着席〕
○長野参考人 甚だ申しわけありませんが、私自身といたしましては理解に苦しんでいるところでございます。
 本件につきましては、それなりの今までの歴史というものがあったのかな、あるいはその直前におけるいろいろな問題についての処理というようなものが大変だったのじゃなかろうかな、その結果としてこうなったというようなことだろうという気がするわけでありますが、私ども、十分知識を得ておりませんので、よくわからないというのが実感でございます。
 以上であります。
○網谷参考人 日本という世界に冠たる金融大国の中で、我々のような組織が語る資格がないような大きな話でございまして、私には論ずる資格なしというふうな感じでございます。むしろ私は、常に個人的に申しておるのでございますが、これは歴史が結果を出すであろうというふうに思っておるところでございます。
 返答になりませんけれども、お許しいただきたいと思います。
○森田参考人 ちょうどこの長銀、日債銀の処理というのは、まさに混乱期の中で、いろいろな御意見のぶつかりの中で、その都度最善の答えを手探りで見つけ出してきた、そういうことだろうと思います。
 ですから、各論といいますか、個別の問題についてはいろいろな御意見というものがあったと思うのですが、関係者の大変な御努力で一応の決着を見た。結果としては、今、金融システムというのは非常に安定化の方向に向かいつつあると思っておりますので、このことには大きな意味があった、そういうふうに理解しております。
○西田(猛)委員 各参考人におかれての御発言、非常に重く受けとめさせていただきました。それぞれ個々人の意見としてではございましょうけれども、大変貴重な重い御発言をありがとうございました。
 その上でお尋ねをしたいのでございますけれども、私どもの地元にも立派な信用金庫がございまして、そこの理事長さんが常々言っておられるのですね。自分たちは、地場の産業あるいは地域の中小企業の皆さん方が十全に経営を行っていけるように信用の供与をし続けることに自分たちの機関としての存在意義を感じている、もちろん、自己資本比率の充実なども自分たちとして必要だけれども、それを超えても、いわば第二分類以下の貸し出しというふうに見られようとも、やはり続けていくということに生きがいも感じるし、それこそが自分たちの使命ではないかというふうな御発言もあったのでございます。私は、非常に重い言葉だったと思いました。
 そこで、信用金庫の副会長にお尋ねしたいのですけれども、このあたりの事情についてどのようにお考えでございましょうか。
○長野参考人 私どもの中小企業に対する金融の姿勢については、先ほど来申し上げているとおりでございます。
 具体的に、例えば私どもの取引先は、先ほど申し上げたようにもうほとんど赤字でございます。融資した途端に、不良債権、第二分類、少なくともそういうことに分類されてしまうわけであります。第二分類ということになりますと、当然それ相応の引き当てをしなければいかぬ。そして、第二分類の中でも第三分類に近いものということで、さらなる引き当てというようなものが要求されるわけであります。
 したがって、そうした場合には融資ができないじゃないかというような事態になるわけでありますが、私ども信用金庫といたしましては、お客様と我々とは運命共同体なのだ、中小企業の繁栄、発展があってこそ我々の使命が達成できるのだ、我々の存在があるのだというようなことを考えてやっております以上は、融資して、たとえその瞬間に二分類になった、したがって、それについての引き当ては必要だよ、その結果として自己資本比率が減少することになるよ、そういうようなことがあっても、そのことについて本当に必要とし、その資金が生きるということであれば、できる限りこれは御融資したい、こういうような姿勢でいることは事実でございます。
○西田(猛)委員 加えて、信用金庫協会の長野参考人と信用組合中央協会の網谷参考人にお聞きしたいのですけれども、二つの質問でございます。
 まず一つは、先ほど来、多様な自己資本充実方策がないというお話がございました。それで今回の改正をするのですけれども、今のままの法制で、貴機関におかれては劣後債の発行は可能とお考えになっておられるかどうかがまず第一点の質問です。
 それから、第二点目の質問が、金融監督庁の検査マニュアルと申しますか、検査の基準について、いわば都市銀行、地方銀行と貴機関等との基準が今のところ同一のもので行われるようでありますけれども、この辺についての御意見をお聞きしたいと思います。簡単にお願い申し上げます。
○長野参考人 おかげさまで、優先出資を発行する、そういう方向をつくっていただいたということについて本当にありがたく思っております。ただ、できれば、おっしゃった劣後債の発行ということをぜひひとつ御検討いただきたいなということでございます。ぜひお願い申し上げたいと思います。
 それから、検査につきまして、銀行と同じような基準でいいかどうかということでございますが、銀行さんの取引対象で中小企業と言っているのは、どちらかというと中規模企業、中堅企業。我々が中小企業と言っているのは、中小、なかんずく零細企業、これがそれぞれの対象になっているわけでありまして、そういうところに融資している実態について同じような基準でということについては、いかがかという気がはっきりいたしております。
 もとより、経営の健全性を維持することは重要でありますし、そのことについて、不良資産の内容あるいは自己資本比率を大きな基準にする、これは当然であります。ただしかし、取引対象というようなものがそういうことである以上は、先ほど来申し上げているように、融資の対象の実態、相手方の状況がそういう状況でございますから、同じような基準で判定をするということにはいささか無理があるのではなかろうか、いろいろそういうことは言われているわけでございます。
 金融検査マニュアルの中で、地域の特性とか、その金融機関の条件、状況ということは配慮するというようなことを言われておりますので、ぜひひとつそういう点の配慮をお願い申し上げたい。
 あわせて、検査あるいは経営の健全性を見る尺度として、ダブルスタンダードはないのだ、銀行さんも信用金庫も全部一つの基準でやっていかざるを得ない、これはよくわかるわけでありますけれども、中小企業の実態を見る、その結果として信用金庫の経営の健全性を見る尺度として、自己資本比率、これだけで果たしていいだろうか、こういう気が非常に強くいたしております。
 以上であります。
○網谷参考人 一番目の劣後債の問題でございますが、劣後債の発行については、現在できないという状況になっております。
 また、検査マニュアルの問題でございますが、検査マニュアルにつきましては、私、創立約五十年になりますが、一外交員から入組をいたしまして、今日まで来ております。本当に我々の取引先は零細企業がほとんどでございまして、言うなればほとんどが税金を納めていないような赤字企業である。しかしながら、何も不足を言っておれないわけでございまして、働けど働けどではございませんが、きょう一日が働ければよろしいという方々のほとんどが我々の対象ということでございます。
 しかしながら、赤字企業を黒字企業に転換させて育成していくということの喜びというものは、我々金融マンといたしまして最上の誇りというふうに思っておるところでございます。
 話が長くなりますが、検査マニュアルにおきまして、監督庁はこの四月からでございまして、具体的には恐らく検査が七月というふうになっておりますからそのようになろうと思いますが、特に検査マニュアルの中で、金融機関の規模や特性を踏まえ、機械的、画一的な運用に陥らないように配慮するようにという文言がございますので、その適切な検査を我々は本当に希望をいたしておりますけれども、大手さんと同じような、言うなればしっかりした財務諸表等々、また資金繰り表等々もセットで、同じ列で判断できるかなというふうなことが一番心配の種でございます。
 したがいまして、私どもといたしましては、中小企業を対象とします協同組織用の金融マニュアルができればいいなというふうなことは、かねがね我々のうちでも期待をいたしておるところでございます。
 以上でございます。
○西田(猛)委員 それでは、生命保険協会の森田会長にお聞きしたいと思いますが、業界負担の限界がここまでだというお話で今回の措置をつくるわけですけれども、果たして、業界の負担の限界がここまでだということについて、国民の皆さんからどのような理解が得られるかということはしっかりと考えていかなければならないと思います。
 他方、株式会社であれば、株主であればどのような方でも、もちろん数とか身分期間の要件はあるとしても、株主総会に出てチェックできるわけですが、ただ、総代会の場合は、総代になりたいと言ってもなかなかなれないという話がよくありまして、特に、総代候補者選考委員会という、事前に選んでしまう委員会というのができていてというお話をよく聞きます。
 そのようなことの中で、こういうものがあって、それで国民の皆さんの理解が得られるような透明な経営開示ができるものなのかどうかということをお聞かせいただけますでしょうか。
○森田参考人 なぜ総代会なのかというところをまず御説明したいと思うのですが、例えば、当社の例で言いますと、契約者が一千万人ございまして、本当は社員総会というものもあり得るわけですが、それは一千万人、しかも全部平等に一票ですから、これはちょっと成り立ちにくいということで、日本の場合は総代会というものを設けておるわけです。
 その場合、総代会に、例えば定員とかあるいは任期とか、選出の方法といったものを定款で定める、こういうことになっておりまして、当社で言いますと、百四十五名ということになりますが、つまり、一千万人の契約者の中から百四十五名の総代を選出する、この百四十五名が意思決定の中軸となる、こういう仕組みでございますので、今の立候補ということをこの制度の中で無制限に行いますと、実は非常に偏った意思決定機関ができ上がってしまう可能性があるわけです。
 株式会社の株主総会のように、累積投票というようなものがあって、一人一票ということでない場合にはまた話は違ってくると思いますが、一人一票で、総代会が、百名とか百五十名とか、そういう中で自発的に総代を選ぶ話というのは、仮に特定の意図を持って相当数の人が立候補するというようなことになると、非常にそれは意思決定機関としてはひずみが出てしまう。
 そういうことがあって、総代会の人選というものについて、やはり一定の職業とか年齢とか、そういうものによるバランスというものを考慮するのが公正であろう、そうは言っても、会社が全く一方的にというのも問題がありますので、これは昭和四十年三月の保険審議会で総代候補者選考委員会の設置というものが提言されまして、それを受けて、各社が定款でそういう存在を定めた、こういう歴史がございます。
 それから、選考委員会で選考していただきました総代の候補者につきまして信任投票というのをやっておりまして、これは、否認するものが一〇%以上なければ総代になる、そういう制度でございます。
○西田(猛)委員 貴重な御陳述ありがとうございました。以上で終わります。
○金子委員長 次に、上田清司君。
○上田(清)委員 民主党の上田清司でございます。
 参考人の皆様におかれましては、本日、御多用中のところ、早朝からありがとうございます。
 早速ですが、国民の関心の深い部分でございますので、率直にお尋ねをし、また率直にお答えしていただきたいと思います。
 まず、信金の長野副会長にお伺いしたいと思いますが、先ほど石井議員のお話の中でも、大体取引企業の七割が赤字だというふうな話を承りましたが、特に昨年度、四月から九月までと、そして十月からことしの三月末までの後半の部分で、景気が、政府によれば上向きだというようなことでございますが、融資の状況に関して、ふえてきているのかどうか、信金全体で。どのような状況でしょうか、中小企業向けの融資というのは。
○長野参考人 結論から申し上げますと、私ども信用金庫業界における融資の残高も、前年対比、減少をいたしております。
 それから、先生御質問ございました最近における中小企業の景況、なかんずく倒産の状況はどうだと。御案内のように、一昨年の十月以降、ほぼ一年間にわたって倒産は件数、金額とも一たん減少しておりましたが、昨年の十月から、また倒産は激増いたしております。
 企業の状況はそういう状況でございまして、それに対する融資申し込み受け付けに対する私どものスタンスにつきましては、先ほど来お話し申し上げているとおりでございます。
 以上です。
○上田(清)委員 網谷信用組合中央会会長にお尋ねしますが、同じことでございますが、いかがでございますか。
○網谷参考人 残念でございますけれども、我々の業界も減少いたしております。
 これは余談でございますが、大手銀行さんが中小企業向けの融資拡大というふうなことで、それを余り言われますと、我々の領域が、パイが大きくなっておるわけじゃございませんから、優良中小企業はむしろそちらの方に流れていくおそれありと。全体のパイがふえておればお互いにふえてまいりますが、そこらにもいろいろと問題があろうかなというふうに思っておるところでございます。
 減少いたしております。
○上田(清)委員 他の金融機関はわかりませんが、国民金融公庫などはやはり減っております。融資が減っております。
 それから、地銀の平澤会長にお伺いしたいのですが、地銀協会、地銀全体で、細かい数字は別にして、上半期と比べて下半期、後段の部分ではどのような融資状況でございますか。
○平澤参考人 昨年ぐらいまでは、地銀全体の融資は若干対前年プラスでございましたが、この一年ぐらいは少しマイナス、一%、二%マイナス、その状況が現在も続いている、こういうことでございます。
○上田(清)委員 都銀の杉田会長にお伺いしますが、都銀の中における中小企業向け融資、これは拡大の傾向でしょうか。
○杉田参考人 本日冒頭に御説明しましたような資料で見ていただきますと、増加するということになっております。
 他行の状況につきましてはつぶさに存じ上げませんので、私どもの例で申し上げますと、十一年三月から十二年三月までは、六千四百から六千九百というふうにお示ししておりますが、これは、上下で見てみますと、上が二千五百三十、下が三千五十二ということで、若干下期が好転しているという状況にございます。
 要因といたしましては、先ほども御説明いたしましたが、いろいろな工夫をしておる中で、それが実ってきた部分があろうかというふうに思っております。
 以上でございます。
○上田(清)委員 それでは、第一勧銀の事例でも結構ですけれども、融資を求めてこられる中小企業は、漠とした数字でも結構ですよ、お断りされる方が多いのか、それとも受ける方が多いのか。
○杉田参考人 申しわけありませんが、そのようなデータはただいま持ち合わせしておりません。
○上田(清)委員 それでは、先ほど半期で分けられましたけれども、月別で、とりわけ十月から、融資額の金額を教えていただけないでしょうか。第一勧銀で結構でございます。もちろん、すべてわかるのだったらすべて教えてほしいところですけれども。
○杉田参考人 ただいま月別の展開につきましては手元にデータがございません。
○上田(清)委員 月別のがないとおっしゃるのでしょうか。これは、当然月別のを合算して数値が出てきたものだと思われますので、後ろの方、持っておられないでしょうか。御指摘してください。
○杉田参考人 月別の展開ということでございますが、私ども、このたびお出ししております数字の考え方でございますが、貸出金の償却など不良債権の処理等の決算作業が必要でございますが、それを処理した数字ということで、期末、期末で比較するのが実態的な意味があろうかということで、期末ベースの比較をお示しした次第でございます。
○上田(清)委員 今申し上げたのは、各行別の月々のものを出していただきたいと言ったのですが、後ろの方、持っていませんか。
○杉田参考人 そのようなデータは持ち合わせしておりません。
○上田(清)委員 やや私は不快感を持っております。こういう機会でございますので、丁寧に、各行の資料を用意していただきたいというふうに思っておりましたし、とりわけ、せめて第一勧銀だけは用意をしていただきたいというふうに思っておりました。
 と申し上げますのは、言うまでもなく、たまたま第一勧銀は上半期の部分に関しては優良な状況を示しておられますが、御承知のとおり、金融監督庁からいただいた資料では、昨年の三月末においては貸付予定額二兆九千九百二十一億、中小企業向けの部分ですが、二三%の六千八百七十三億しか達成されていないということで、私ども大変、これは与野党問わず危機感を持っておりました。
 資本注入を、皆様方の御要望あるいはまた国民の合意のもとにやってきたわけでありますし、金融システム全体を守るという認識のもとにそうしたことをやりました。しかし、経営健全化計画書を提出されて、それを確実に実行していただけるということが前提になっておりましたので、当然その中に示された中小企業向け融資をきちっと実施していただける、もちろん諸般の事情があってできない場合もあるでしょうし、それはそれなりの理由があると思いますので、その理由を堂々と述べていただければそれに尽きるというふうに私は思っております。
 しかし、余りにもペースが低いので心配しておりましたし、金融監督庁も、昨年の十二月にわざわざ文書で提出もされております。残された期間にきちっと達成できるように努力を促していくというような文書も皆様方に出されておられますし、そしてことしの一月には越智大臣が、業界の皆様方を集めて、間違いなく達成できるように努力してくださいというようなことを申し上げられたということもこの委員会で報告されております。
 そういうことを考えて、きょう出していただいた数字が、余りにも大きな数字が達成見込みだということでありまして、最低でも四兆八千億の見込みだ、予定を上回ること一・五倍という形になりますので、九月末とどうしてこんなに違うのかなと。それぞれ、信金あるいは信組、地銀の皆様方、これは大手行の、いわば都銀の中小企業というところは定義でも違うのですか。
○杉田参考人 下期に数字が増加するということにつきましては、先ほども御説明を申し上げましたが、それぞれ各行が知恵を絞りまして、工夫を凝らして取り組んでいるわけでございます。
 繰り返すようで恐縮ですが、当行の例で申し上げれば、商品のラインナップとかお客様のニーズに迅速にこたえていくという、一種のそういうこたえられる体制をしくなり商品を拡充するというようなことが、やはりそれぞれ融資をふやす上での差別化といいますか、そういったことがきいてくるんだというふうに思っておりまして、また、これは死に物狂いでやっておるところでございまして、本部に新規開拓班、大部隊を設置いたしまして、資金需要の動向を事前に分析して取り組んでいくとか、いろいろな施策を講じておりまして、このような数字を達成しようということでございます。
 信金さん、信組さんのお客様の層と私どもが言う中堅、中小企業の層と、これはもちろん重なる部分もございましょうし、重ならない部分もあろうか、このように思っております。
○上田(清)委員 会長は一貫して余り質問にお答えになっておられない。
 もう一度確認いたしますが、漠とした数字でも結構なのです。例えば、少なくとも昨年の十二月に金融監督庁から文書で、頑張っていただきたいということを皆様方にきちっと申し入れ書を送っておられますね。その上で、また一月に、越智大臣の言葉がもし本当であるとすれば、皆様を集めて檄を飛ばした、こういうことも委員会で報告をされておられますから、十二月末の時点でも結構でございますが、大体、二兆九千億の予定額のどのぐらいまでいっていたのですか、その時点で。
○杉田参考人 当行につきましては先ほど申し上げたとおりでございますが、ただ、きょう御提供させていただきました十五行の集計ベースでの十二月時点の数字は持ち合わせしておりません。
○上田(清)委員 私はずっと前提をつけております、漠とした数字で結構だと。協会長として責任を持って来られたのですから、それ相応にきちっと答えていただかないと、大変これは、私どもはわずか四十名の委員会でありますが、それぞれ十万人あるいは二十万人、三十万人という有権者を抱え、そして十万人という人たちの支持を受けて出てきた人間ばかりですから、この後ろには何百万人という人たちがいるということを考えていただきたいと思います。
○杉田参考人 十二月の数字につきましてはヒアリングをしておりませんので、御容赦いただきたいというふうに思います。
○上田(清)委員 先ほど会長のお言葉の中にぽろっと出たんですが、工夫をしてとかと言っておられますが、何か工夫してこういう数字を出されたのでしょうか。
○杉田参考人 工夫と申しましたのは、商品の拡充でございますとか、いろいろな施策について工夫をする、そういう意味で申し上げました。
○上田(清)委員 御承知だと思いますが、私どもには日銀の統計もいただいております。昨年十二月までの正確な数字しかいただいておりませんが、中小企業向けの数字は前年同月比でマイナス八%になっております。正確に言うとマイナス八・六。ずっと下がってきておりますが、こういう状況からして、前半期と後半期では、何かこれは中小企業の定義でもいつの間にか変わったのかな、そういう疑念も持たざるを得ないような数字が出ております。
 そして、先ほど、中小企業の規模が違う。まさしく違うでしょう、違うのですけれども、趨勢というのはそんなに変わらないはずでありますから、なぜ十二月以降に四倍も五倍もふえたのか、そのことをお聞きしたいというのが素直な私の疑問なのです。だから、漠とした数字でも結構だし、感想でも結構なのです。この疑問に答えていただきたいということです。
○杉田参考人 十二月からの比較の数字につきましては持ち合わせしていないということで、大変申しわけないと思いますが、下期にこれだけ増加したということにつきましては、若干御説明を申し上げ、加えさせていただきますと、企業における資金需要というのは、設備投資が大きくこれまで落ち込んでおったわけでございます。売上高も落ち込んでいたわけでございますが、また、さらに経営の効率化を進めるために債務を圧縮していく動きもございました。
 しかし、企業の設備投資が昨年の十―十二月期にプラスに転じましたことや売上高も回復しつつあるということと、昨年の秋の臨時国会で数々の中小企業対策を講じていただきましたが、これらの効果等によりまして、私どもでは、資金需要が回復しつつあるのではないかというふうに感じておるところでございます。
 もちろん、実感といたしまして、全体的に資金需要が大いに盛り上がってきているというようなことまでは行っていないかと思いますが、それでも、いろいろと業種的に薄厚がございますが、IT、情報通信関係でございますとか住宅関連でございますとか、あるいは都心の大型開発プロジェクト関連のいろいろ中小企業が携わっている部分でございますとか、そうした前向きな資金需要が見られることも事実でございます。
 こうしたさまざまな資金需要に対しまして、チャンスを逃すことなく積極的に取り組んでいくというふうな姿勢でおるわけでございますが、そうした意味で融資も増加したかというふうに考えておる次第でございます。
○上田(清)委員 なかなか私の疑問にお答えしていただいてないと思います。言葉の中では、資金需要が徐々に回復していると。徐々に回復ぐらいではこのぐらいの融資額は出ません。半端じゃないですよ。十二月に金融監督庁はわざわざ指摘しているんですよ、足りないと言って。
 余りにも乖離が大き過ぎますので、大変疑問がありますので、月別の各行の融資額を資料として提出いただきたいと思います。委員長、よろしく取り扱いをお願いいたします。
○金子委員長 委員長が預かります。
○上田(清)委員 別に委員長が預からなくても、国民に対する皆様方の基本的な信頼を回復するためにも、あしたにでも出していただきたいというふうにお願いいたします。
 それでは、ここでやりとりしていても仕方がありませんので、次に参ります。
 ちょっと気になるところでは、いわゆるゼネコン等の債権放棄額が各行どのようになっているか、事前レクで、私、できたら各行別に調べていただきたいということをお願いしておりますが、最悪でも第一勧銀だけはお願いしたいということを申し上げておりますので、大変恐縮ですが、杉田会長、発表していただければありがたいと思います。
○杉田参考人 全銀協といたしましては各行別の数字を把握しておりませんので、私どもの数字を申し上げます。平成十一年度の当行の債権放棄額は約千七百億円でございます。
 以上でございます。
○上田(清)委員 ありがとうございます。
 それでは、私どもの方は、金融監督庁から経営健全化計画書並びに関連の書類をいろいろお預かりしておりますが、特に外形標準課税で東京都が銀行をねらい撃ちするというようなことがございまして、私、個人的にも、やはり余り賛成できることではないというふうに思っております。しかし、都民並びに国民の圧倒的な支持を得ているということに、なぜそうなのかということについて当然御理解をいただいているというふうに思っておりますが、本当に銀行は経営健全化計画に基づくリストラをやっているんだろうか、あるいは計画書そのものが世間の常識とかけ離れているのではないか、こんなことの批判がやはり国民の支持、石原都知事のあの対策について支持があるというふうに思わざるを得ないと私は理解しております。
 そこで、この委員会でも一度取り上げたことがあるのですが、必ずしも金融監督庁は明らかにしておりませんが、役員の退職金が、十一年三月末で平均五千五百万、ただ三和銀行だけが一億を超えておりましたので、これは一体どういうことだろうかというようなことも確認しましたけれども、よく確認ができない状態でありました。この席で聞くことも多分大変難しいというふうに私は思っておりますので、このことはあえて聞きませんが、こういう指摘があったということもぜひ内部で検討していただきたい。
 そこで、きょう、確認したいのですが、金融監督庁に報告された書類によれば、職員の平均給与が十一年三月末で、これは月ベースだというふうに私は理解しておりますが、資本注入を受けた銀行の平均が四十六万八千円、そしてこれを十五年三月末までに四十六万二千円、要するに平均で六千円減らすという話ですね、三年間で。こういうのを本当にリストラというのかどうか。銀行の置かれた厳しい環境の中で、七兆五千億、その前の二兆を加えると十兆円近い資本注入をいただいた中で、平均の数字がそういうものだということで本当に国民の理解が得られるのか。
 しかも、この四十六万八千円という十一年三月末の給与平均、これは、諸手当が入ってない、真っさらなやつでしょうか、それとももうすべてのやつでしょうか、ボーナスも加味されているのか、この辺を確認させていただきたいのです。
○杉田参考人 月額の給与ベースで見ますとわずか何千円という形で、数字は大変小さいというふうに印象を受けるわけですが、これは、私どもの人員を削減する場合に、採用のところが細くなることがございます。したがいまして、若年層の給与部分は減りますが、やはりちょっと、年齢が加算される部分が平均では高くなるということで、下が少なくなって上の方がまだとどまっているという状況で、そういうふうな単価は比較的落ち方が少ない、あるいはわずかな金額しか効果がないというふうに見えます。
 それで、この数字は、真っさらさらというか、月額の給与でございまして、賞与は別でございます。賞与を含めました年収ベースで見ますと、リストラ計画期間中、恐らく二割から減収になるというふうに思っております。
○上田(清)委員 ちょっと最後の方、確認ができなかったので確認しますが、金融監督庁に提出された十一年三月末の資本注入を受けた銀行の平均四十六万八千円というのは、賞与は入っていない、これはさらの基本給だということですか。
○杉田参考人 お答えいたします。
 賞与が入っていない数字でございます。
 行員処遇につきまして申し上げますと、平成八年度以降、五年連続でベースアップを実施しておりません。さらに、経営職階層の職員につきましては、平成十年度中に定例給与を三%程度減らしておりまして、さらに賞与を二〇%削減する。したがいまして、組合員層の職員につきましては、このほかに一〇%のカットを受けるわけでございますので、過去のピークと比較しますと、二五%、月数にして一・七カ月ぐらいの削減になるというふうに思います。
○上田(清)委員 統計の出し方も極めて、年額にしたり月額にしたりばらばらであります、役員と職員のとか。極めて資料としては不健全な資料だというふうに私は理解しておりますので、今杉田会長が言われましたこと、これは国民がみんな注視しておりますので、ぜひ資料を公開していただきたいということをお願いしたいと思いますが、お答え願えますか。公開すると約束してください。
○杉田参考人 公開につきましては御容赦をいただきたい、このように思っております。
○上田(清)委員 仮にも公的資金を注入する各行のそうした給与の実態だとかそういうことを公開できないということが、銀行に対する不信感を生んでいるわけでありまして、それぞれの企業、いろいろな面で公開しておりますので、そのような態度をとられる限り銀行業界の発展はない、私はそんなふうに思っておりますので、あえて申し上げたいと思います。
 それで、時間が参りましたので、大変恐縮ですけれども、これもまた個別行でございますので多分お答えができないと思いますが、我が党の鳩山代表に、シャブ中毒の経験もあるような、服役を終えたばかりの方が突然やみ献金五千万だというような話を持ち出されて、与党の方から、衆参の予算委員会で事実関係について問われたり、証人喚問をしろとか言ったりされているのですが、なぜかその後すぐ、それは個人的な話だということで。ただ、我が党の代表に対する誹謗中傷がある以上、この問題はぜひ富士銀行にかかわる話として明らかにしていかなくちゃいけないというふうに思っております。
 例えば、平成三年の富士銀行不正融資事件のときに、当時の中心になった中村さんという方を富士銀行は約五十日缶詰にして調査報告書をそのときにつくっておりますが、そういう内部調査報告書によって我が党の代表の誹謗中傷はすべて明らかになるということで、名誉を回復したいというふうに思っておりますが、そういう点を公にすることが可能でしょうか。
○杉田参考人 他の銀行のお話でございまして、私としては、責任を持ってお答えする立場にございません。御容赦ください。
○上田(清)委員 当然のことだというふうに思っておりますので、私どもは改めて各行にお出ましをいただいて、まだ不十分な点が多々ありますので、与党の皆様方の温かい御支援と御理解のもとに、改めてまたこういう機会をつくっていただければ大変ありがたいということをお願い申し上げまして、質問を終わります。きょうは本当にありがとうございました。
○金子委員長 次に、岩國哲人君。
○岩國委員 おはようございます。各参考人の皆さんについては、かねがねこうした厳しい経済環境の中で御苦労を重ねられ、また御努力をしてこられたことに対し、敬意を表したいと思います。
 本日いただきました各参考人の御意見につきまして、私も幾つか質問させていただきたいと思います。
 まず最初に、上田清司委員の方から質問のありました公的資金と経営姿勢の問題についてお伺いしたいと思いますし、また、その他、上田委員初め各委員が取り上げて質問しておられます中小企業に対する融資の問題、この点をお伺いしたいと思います。
 いただきました全銀協のこの資料によりますと、この一年間に各銀行の中小企業向け貸し出しの増加額に大きなばらつきが見られるわけです。今までの護送船団あるいは大手都市銀行横並びといった時代に私がおつき合いさせていただいたころから見ますと、隔世の感がこの数字の中には見られるわけです。
 例えば、第一勧銀、公的資金注入は七千億、さくら銀行八千億、富士銀行八千億、住友銀行五千億。こうした七千、八千億の公的資金の注入を受けた各銀行の中で、この一年間の実績ベースの増加額はこのように大きく違っております。富士銀行は一兆円を超える貸し出し増を実現しながら、杉田会長の第一勧銀はその半分にとどまっておる。これは、富士銀行が努力し過ぎて無理をしたのか、あるいは第一勧銀の努力が足りなかったのか、どちらでしょう。
○杉田参考人 お答えいたします。
 私どもといたしましては懸命の努力をしたというふうに思っておるわけでございますが、富士銀行さんの方、実情につきましては、今回数字をお預かりしてきたということで、定性的なことにつきましては特にコメントはできないわけですが、我々を上回る御努力があったのかなというふうに思っております。
○岩國委員 各大手銀行の間では情報交換も非常に盛んにされておられるはずであるにもかかわらず、こうした数字が最後に大きな差となって出ることについて、何ら手を打たれなかったのかどうか、工夫をされなかったのか。
 それから、関連してお伺いしますけれども、この信用保証協会二十兆円の枠、さらに積み増しされてそれが三十兆円にふえました。これを都市銀行としては積極的に活用されたに違いないと私は思っております。また、そういうことも目的の一つに入っておったわけです。
 先ほど杉田会長が、チャンスを逃すことなく、こういうことを御説明いただきました。ちょうど、ある銀行は千載一遇のチャンスととらえてという文書をつくられ、予算委員会、大蔵委員会でこれが大変話題になったこともありました。そういう信用保証協会という、将来的には国民の負担、国民のツケに回るようなところへ、都市銀行は貸し出し、回収あるいは不良債権そのもののシフトをねらって、三十兆円の枠が活用されておる。
 この各銀行の中小企業向け貸し出しの実績、上田委員から資料要求がありましたけれども、月別、各行別、そして各行別の中に信用保証協会の枠を利用した貸し出しがどれだけあったのか、その資料も添えて提出していただきたいと思います。これは当然、公的資金を使っておるわけですから資料提出をまさか拒まれることは私はないと思います、大切な国民の税金が使われているわけですから。それがどのように各銀行によって積極的に利用されたか、月別、各行別にその資料を提出していただきたいと思いますが、提出していただけますか。
○杉田参考人 持ち帰り検討をしたいというふうに思います。
○岩國委員 検討していただけるということのようですが、これは委員長の方で、必ず理事会を通じてきちっと再度請求していただきたいということをお願いして、次の質問に移らせていただきます。
○金子委員長 先ほど申し上げましたとおり、上田委員の御質疑からありましたとおり、委員長がお預かりして、その上で理事会に御相談をいたします。
○岩國委員 ありがとうございます。
 次に、生保協会の森田会長にお伺いしたいと思います。
 本来安全であるべき預金に保険をつける、この辺からも大体少しおかしいなということは一般の頭で考えられるわけです。
 例えば、株式や債券を名指しで、あれはリスクが大きい、元本保証はありませんよ、預金は元本保証があって安全ですよと、過去においてはこういうキャンペーンがずっと銀行、証券の闘いの中で行われてきたわけですね。その安全だ安全だと言われた預金に保険をつけて、そして、危ない危ないと言われた株式、社債には保険をつけない。安心できるものには保険は要らないというのが世間の常識、危ないものには保険をつけるというのが世間の常識。
 しかし、この大蔵委員会で今審議している法案というのは、全く世間の常識を裏返しにして、安全であるものに保険をつける、安全でないものには保険をつけないでいきましょう、この辺からが、私は、もう最近は業界も国会も常識がおかしくなってきているのではないかという感じを、率直に言って持っております。
 本来安全であるべき預金に保険をつけたり、万一のときには安心だという保険にさらに保険が必要になったり、預金保険、保険保険、こういうふうなことが必要になってきたのは一体どこにこの原因があるのか。世の中がおかしくなったのか、我々の頭が古くなってしまったのか、そういうことを考えながら質問をしておりますけれども、国民の税金を使ってまで保険に保険をかけなければならないという時代が来たということについて、森田会長はどういう感想を持っていらっしゃいますか。
○森田参考人 最大の問題は逆ざやということを申し上げましたが、この逆ざやの状況というものが、過去の伝統的な保険の理論及び見通しの中で、想定外の出来事が発生してしまった。
 私どもは、戦後長いこと四%という予定利率をずっと使っておりまして、これが非常に、バブル期、その前から市中金利が高かったときに、世間一般の、もうけを早く返せという声に押されて、従来ですと、低い予定利率で剰余は配当で返すという建前で、バッファーをかなり大きくとって予定利率を続けてきたわけですが、これを、予定利率を引き上げる、そういう動きが、これは昭和五十一年以降に始まっておりますけれども……(岩國委員「会長、もうちょっと簡潔に」と呼ぶ)はい。要するに、従来、当然こういう金利が続くであろうという想定を大幅に突き抜けてしまったというのが最大の問題。結果としてこういう事態を迎えたわけですから、私どもは、保険の商品性というものについて改めて見直さなきゃならないという、それが根本的な問題だと思っております。
 それからもう一つは、緊急事態でありますので、この緊急措置はお願いするとして、もう一つ、こういう破綻を起こさないための条件整備というもの、これも先ほど申し上げましたように、これも今国会で用意していただくということで、これらを合わせて、今後御心配をおかけしないようにしたい、そう思っております。
○岩國委員 森田会長が最初にお話しされましたように、これは金利の逆ざやが一番大きな経営的困難の原因である、これは保険協会の出版物等にも随分取り上げられてきておりますし、また、私もそのとおりだと思います。
 日本の法律で決めておる法定利率五%をはるかに下回る、そして生命保険という日本人のほとんど多くの人が利用しておられる金融商品、安心商品である安心利率の四%をはるかに上回る破壊的な金融政策がとられたために、結局は生命保険会社の経営が破壊されてしまったのじゃありませんか。今までの安心感もなくなる。だから、これは保険をつけなければいかぬ。春秋の筆法をもってすれば、結局は、こうした銀行に対する優遇措置としての低金利政策そのものが行き過ぎたために、また国民の税金の負担のもとに、安心商品である保険にまでその公的資金を投入しなければならない。私は、それが今回の生命保険の経営苦境の問題ではないかと思います。
 この逆ざやということについて森田会長の端的な御意見をお伺いしますけれども、保険会社の収入の三本柱というのは、費差益、死差益、そして今の利差益。費差益は、もう相当経費の圧縮にも、八割ぐらいまで努めてこられました。もうこれ以上はそれほど期待できないかもしれない。死差益、これは保険会社が努力してもどうなるものではないわけです。
 問題の利差益、金利の逆ざやというものについて、今の金利水準があとどれぐらい上がれば、荒っぽい議論になりますけれども、あと二%上がれば逆ざやは解消しますか。二番目に、金利水準は、低金利政策がずっと続くという前提に立った場合に、今度は株価の方です、この利差益については金利収入と株価の評価益というものが大きいと思いますけれども、金利水準その他の条件が全部同じで、株価だけに頼るとしたら、ダウが五千円上がれば逆ざやというものは解消できますか。金利の面で、このダウの面で、大体どこら辺に一つの将来の希望を持っておられるのか、それを端的にお伺いしたいと思います。
○森田参考人 全く数字的に申し上げれば、個別会社の問題として申し上げますが、私どもの個人保険の予定利率は今約四%でございますから、この四%を超えるということであれば逆ざやは基本的に解消する。ただ、これは今ストックの収益力が非常に低金利を吸い込んでおりますので、しばらく時間がかかる、こういうことになります。
 それからもう一点、株価ですが、これは非常に難しゅうございまして、私どもは、基本的に余り株価を当てにできない。というのは、これも個社の問題になりますが、私どもの会社は生保業界の中で株式含み益は多い方だと思っておりますが、これが一昨年の九月にはマイナスに入っておりますので、この株価の上昇を当てにして経営を考えるということは非常に危険である、そのように思っております。
 それから、逆ざやが四%であれば解決するというのだから、四%までいかないともうどうしようもないのかということになりますが、そこはやはり一生懸命経営努力で、特に経費の削減というところが中心になりますが、それで何とかしのいでいきたい、そういうふうに考えております。
○岩國委員 業界だけではなくて金融システム全体の安定のために、生保業界はいろいろ努力、協力してこられたことは我々もよく承知しております。その一つが、例の有名な日債銀の奉加帳事件であります。
 第一生命としてもそれには当然参加し協力されたはずですね。ところが、第一火災という会社、これは第一生命とは資本的に全く関係のない会社のようですけれども、第一火災は六十五億円を見事に取り返された、損失ではなくて。残り三十三の奉加帳で出資された銀行その他は、結局それを回収できなかった。この点について、第一生命としては、会社のために、保険の契約者のために、第一火災と同じようになぜ保険に保険をつけられなかったのか。
 第一火災の場合には、日債銀が危ないということで、見舞金として皆さん出されたわけです、奉加帳を通して。ところが、健康体になられないで、お亡くなりになった。お見舞金は、結果的には御霊前になってしまった。お見舞金を御霊前に書きかえられたときに、たった一社だけ、私は御霊前は出すつもりはないと言って、六十五億持って帰られた会社があったわけですね。
 ほかの三十三社はなぜ同じことができなかったのですか。契約をしていなかった、裏契約があった、なかったという話はありますけれども、そういうことに保険を掛けるのが保険会社じゃありませんか。御説明いただけますか。
○森田参考人 私どもがなぜ日債銀の出資に応じたかということを簡単に申し上げます。
 私どもは日債銀に劣後ローンを出しておりまして、私どもの出した出資というのは、それの振替という性格のものでございます。
 一つは、このスキームがまとまらない場合、日債銀が非常に危機に瀕するという認識がありまして、私どもの出しておる劣後ローンが丸々毀損されてしまう危険が非常に大きかった。したがって、このスキームに協力することによってその破綻の危険を回避したいというのが一つ。
 それからもう一つは、当時セーフティーネットは整備されておりませんでしたので、ここで日債銀の破綻が起これば、金融市場に相当な混乱が発生する。それは我々にとっても非常なマイナスになる。
 この二点から、経営判断としてこれに協力しました。
 今の第一火災の契約の詳細、承知しておりませんが、仮に、このスキームに協力した金融機関がすべてこのような裏契約を結ぶということは、恐らくこれはスキームを壊すということとイコールだと思いますので、私どもはそういう行動はとりませんでした。
○岩國委員 こういう条件のときには資本金として渡したお金を取り返すという契約をした場合には、そういう出資というのは資本金として計算できるものですか、できないものですか。御専門の森田会長にお伺いします。
○森田参考人 これは実は考えたことがございませんので、厳密に、各社、各協力金融機関がそういうことをした場合に一体どういうことになったのかというのは、ちょっと私としては今判断いたしかねます。
○岩國委員 十分な答弁をいただけなくて大変残念でありますけれども、私は、取り返すことができるような資本金払い込みというのは、これは資本金としての扱いをしたのが間違いだと思っております。
 それでは、次の質問に入らせていただきますけれども、今度の新しい、保険に保険を掛ける機構に外国の生命保険会社も参加することになっていますか、なっていませんか。
○森田参考人 なっております。
○岩國委員 それでは次に、地方銀行の経営についてお伺いいたします。
 平澤会長は、海外にも勤務されまして、いろいろな行政の点からもこういった銀行行政について見てこられたと思いますけれども、銀行が株式を持っておる、外国の銀行、シティ銀行とかそういった代表的な銀行は、ほとんど取引先の株式というものを所有しないわけです。ところが、日本の銀行は、都市銀行は特に顕著ですけれども、地方銀行も含めて相当多額な、地方銀行六十四行で五兆円を超える株式を持っていらっしゃるわけです。
 経営の健全化という観点から、これは持ち続けた方がいいのか、ふやした方がいいのか、積極的に減らすべきなのか、これについて端的にお答えいただきたいと思います。
○平澤参考人 お答えいたします。
 今委員がおっしゃいましたように、外国でも、アメリカあるいはイギリスの銀行はたしかほとんど株を持っておりませんけれども、ヨーロッパ系は、ドイツの銀行のように随分持っているところもあるわけでございます、海外の場合ですね。
 それでは日本の場合はどうかということなのでございますが、従来は、いろいろな取引の関係から、各銀行、株を持っていたわけでございますが、御存じのように、時価会計が導入されますと、株の価格変動がじかに損益に出てきまして、これが非常に大きな変動を示すということもございまして、金融機関としては、やはりこういう株については減らしていくべきではないかという方向で、今各行ともやっておられるのではないかなと私は考えているわけです。
 地銀の場合は、資産の中での株の割合はたしか二、三%だと思います。都銀の場合は七%ぐらいで、地銀に比べると随分高いと思います。
○岩國委員 次に、全銀協の杉田会長にお伺いいたします。
 先ほど中小企業ローンについてお伺いいたしましたけれども、こうした預金者へのサービスという点で何を全銀協としては重点的に、三つだけで結構ですけれども、銀行はどういう点でお客さんにサービスしようとしているのか、その点を御説明いただきたいと思います。
 銀行の預金者への最大のサービスは、できるだけ高い金利を払うということです。残念ながら、できるだけ高い金利どころか、できるだけ低い金利を払おうという、努力をされたわけじゃありませんけれども、十年間、傾向としてそれが出ている。もらうものがもらえない。銀行のサービスは何があるのか。端的に三つおっしゃっていただけますか。
○杉田参考人 先生御指摘のとおり、高い金利を払うことというのは、大変お客様に喜ばれるといいますか、サービスの一つかと思いますが、私どもは、こういう低金利の状況にありまして、お客様の資産運用ニーズというのがいろいろ多様化してくる中で、やはりこれでは投信とかそういったものも提供して、総合的にお客様の運用ニーズにこたえていくという観点から懸命の努力を払っておるところでございますし、もちろんインターネットバンキングであるとかあるいはEバンク、コンビニバンクとか、それぞれお客様に対するアクセスなりデリバリーのチャンネルを多様化する、これもまた総合的な金融サービスの向上であろうというふうに思っております。
 低金利であることにつきましてはまことに心苦しいところがありますが、やはりそうした形で総合的な運用ニーズにこたえていくというようなところできちっとしたサービスを果たしていかなきゃいかぬ、提供していかなきゃいかぬ、このように思っております。
○岩國委員 私は、銀行業の原点というものは、大変釈迦に説法ですけれども、原点、本業というもの、お客さんのお金を大切に預かって必ずお返しすること、二番目に、大切に預かったお金をできるだけ有利に運用してあげること、この大切に預かること、大切に運用すること、これが私は銀行業の原点であろうと思います。
 そういう観点から、最近、銀行業以外の経営者が銀行を経営の対象に取り入れていく、銀行業に進出していこう、こういう動きが外国にもありましたし、日本でも近々それが実現しようとしております。こうした銀行業以外の仕事に熱中するような経営者が、大事なこの銀行業の経営というものにこれから取り組んでいけるものなのかどうなのか、そういう銀行の出現をどのように考えておられるか、全銀協会長としての御意見を伺いたいと思います。
○杉田参考人 異業種からの銀行参入に関する御質問かと思いますが、いろいろな問題も指摘されているところでございますが、とりあえず問題とされる点は、一般事業会社たる親会社からのリスク遮断が適切に行えるのかどうか、それから監督当局の監督権限がどのような範囲まで及ぶのか、どのように及ぶのか、それから公共性を維持するに足る収益性というのはどういうことなのかというようなことについて、いろいろと検討されるということが必要であろう、このように思っています。
○岩國委員 今まで全然銀行業を経営された経験のない方、そういう方が突然経営の中心に座ってこられて、それで皆さんの銀行業と同じように信頼できる銀行業の展開ができる、それほど日本の銀行業というのは易しい仕事なんですか。この点について会長の御意見を伺います。
○杉田参考人 我々がやっております銀行業が難しいか易しいか、その辺、ちょっと評価につきましては差し控えたいと思いますけれども、私どもにとりましても、こうした異業種からの銀行業務への参入の動きがあるということは大変刺激になることでもありますし、従来の伝統的なやり方から変わった新しい学ぶものがあるのかなというふうに思うところもございます。
○岩國委員 次に、東京都の外形標準課税についてお伺いします。
 会長は、第一銀行の頭取としてはもちろん、銀行界の代表として、世界金融センターとしての日本の位置づけ、これをどのように評価しておられるのか、この点についてまずお伺いしたいと思います。
○杉田参考人 お答えいたします。
 東京マーケットは、ニューヨーク、ロンドンに並ぶ国際的なマーケットを目指してきつつあったというふうに認識しております。
○岩國委員 そうしたニューヨーク、ロンドンと肩を並べて、世界の二十四時間金融取引体制の一角を占めようという東京都で、今度は銀行業だけを対象にした外形標準課税が既に東京都議会において可決されたわけでありますけれども、これに対して、銀行協会としてはいろいろと御意見を申し立てておられることは私も承知しております。
 ロンドン、ニューヨーク、あるいはそれ以外の世界的な金融センターがあるとすればそれも含めて、今までに銀行業を対象とした税金や負担を要求した国があったかどうか。これは中世のどこかの王様がやったとか、あるいはアフリカのどこかの独裁国家でありますとかいうふうな話は別として、また、ドイツのナチがユダヤ人だけを対象にしてユダヤの金融業からお金を取りましたというようなことも除外して、それ以外の近代的、民主的先進国において、世界的な金融センターの中でこのような前例があったかなかったか、それを御説明いただけますか。
○杉田参考人 世界の金融センターで銀行だけに税金をかけるということについては、私の知る限りでは、そのような例はないというふうに思っております。
○岩國委員 ニューヨーク市においても、あるいはカリフォルニア州議会においても、銀行にかけようという動きが全部抑えられ、逆に、特定の地域において、そういうものはかけてはならないのだという常識の方が結局はずっと取り入れられてきておるというふうに思いますけれども、そういう世界的な常識に挑戦するような東京都の外形標準課税について、全銀協としてはどういう対抗手段をおとりになるのですか。徹底的に払わない、供託金として預けたままにして裁判で決着をつける、そういうお考えでしょうか。
○杉田参考人 私どもとしましては、二月七日に都より条例案が、構想が記者会見という形で示されて以降、いろいろな形で反対の意見を申し述べ、なお反対運動を展開してまいりましたが、残念ながら、三月三十日の本会議におきまして条例案が可決されて、四月一日に施行ということになったわけでございます。
 私どもといたしましては、極力早い時期に、もろもろの法律上の問題点につきまして司法の御判断をいただくということで、訴訟をすべく具体的な詰めを行っているところでございます。
○岩國委員 けさの新聞にも報道されておりますけれども、現に住友銀行は、この標準課税の影響によって、最終純利益を半減させるという修正に追い込まれております。住友銀行、こういった収益中心の銀行という伝統を誇ってきたところでさえも、収益を半減するぐらいの修正をしなきゃならぬということは、結局は、国に入ってくる税金がそれだけ少なくなってくるということでもあり、また景気全体に与える影響も非常に大きいと思うんです。
 これだけ公的資金の注入を受けている銀行がリストラをやって努力をしても、なおかつ利益が結局はその程度しか出ないということは、景気対策としても雰囲気的にも大変大きなマイナスだと私は思いますので、今まで以上、倍以上の努力ができるということは難しいと思いますけれども、銀行の企業としての健全性を守るという点からも、しっかりと筋を通した行動を協会としておとりになることを要望して、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○金子委員長 次に、佐々木憲昭君。
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
 私は、まず中小企業向け貸し出しの問題についてお聞きをしたいと思います。
 全銀協の杉田会長にお伺いしますけれども、日銀の統計では月別の統計が出ておりますね。その中で、中小企業向け都市銀行の貸し出しは、この間ふえていますか、減っていますか。
○杉田参考人 手元に詳細なデータがございませんが、月別では減っていたかというふうに思っています。
○佐々木(憲)委員 中小企業向け貸し出しは、昨年の四月の時点では九十五兆八千億という数字がございます。九月は九十四兆六千億であります。一月は九十四兆であります。つまり、昨年の四月から九月、ことしの一月にかけてどんどん減っております。約一年間に一兆八千億減っております。一・八%マイナスであります。
 そこで、先ほど配付をされました「中小企業向け貸出の見込み」を拝見いたしますと、三月末の達成は大変大きな金額となっております。ざっと計算いたしますと、三月から九月の時点ではプラス六千八百七十三億円でありました。したがって、達成率は二三%であります。ところが、九月から三月、今この数字で大ざっぱに計算をいたしますと、約四兆一千六百億から四兆六千億、この半年で上積みされているわけですね。
 つまり、この一年間の前半では六千八百億だったのが、後半の六カ月では四兆円をはるかに超える。いわば、前半と後半に分けますと、六・一倍から六・七倍、六倍から七倍の貸し出し増になっているわけです。これは極めて不思議だと私は思うのですね。先ほどの日銀の統計では、一月までずっと減っておりました。そうしますと、これだけ、四兆円も上積みされたのは、二月、三月で四兆円上積みした、こういうことになりますね。なぜそうなったのですか。
    〔委員長退席、鴨下委員長代理着席〕
○杉田参考人 下半期に融資残高の増加が大きかった理由といたしましては、各行が上半期に実施しました施策等が浸透してきたことと、それから経営健全化計画の達成について各行とも懸命に努力したということがあろうかと思います。
○佐々木(憲)委員 質問に答えていないじゃないですか。日銀の統計では一月までずっと減っているのですよ。そうでしょう、私、これは手元にありますが。しかし、後半六カ月で四兆円ふえているのですよ。そういうことは、四兆円以上、二月、三月でふえないとそういう結果にならないじゃないですか。なぜそうなるのかと言っているのですよ。先ほどの質問では、施策が浸透した、では一月まで施策が浸透して何でマイナスになるのですか。二月、三月になぜふえたかという、この理由をはっきり言ってください。
○杉田参考人 本日お配りしております資料の定性的な部分につきましては、今回、私どもの全銀協としましては、数字を取りまとめるということで、とりあえず速報値ということで提出させていただいております。したがいまして、他行の状況等については、特に実情については、つぶさに承知しておりません。
 そういう前提で申し上げさせていただきますと、先ほども申し上げましたが、やはりこうした数字の比較につきましては、いわゆる四半期ベースあるいは半期ベース、年度ベースという、年度末あるいは半期末には、それぞれ不良債権の処理の関係がございますので、数字が相当異例な動きをするということでございます。したがいまして、相関ベースの月次の比較を中間で行うよりも、年度末あるいは半期末ベースで比較していくのが、私としてはその傾向を見るにはよろしいんではないかというふうに思っています。
 そういう意味で、私どもの個別銀行の例で申し上げましたが、年間六千四百から六千九百にふえますが、上下で言えば、上期が二千五百三十で、下期、十月から三月の間に三千五十二の増加を予定しているということでございます。
○佐々木(憲)委員 全然答えていないじゃないですか。不良債権の処理などがあると言いましたけれども、なぜそれがそれと関係あるのですか。中小企業向け貸し出しが二月、三月で四兆円ふえた理由を聞いているのですよ。一月までずっと日銀統計で減っているのです。しかし、達成率は一六二%、一七七%、これだけ大変な達成率になっているのですよ。合理的な説明をしてください。
○杉田参考人 この二月、三月にふえた理由につきまして、各行の状況については、私としましては承知しているところではございません。
 したがいまして、私どもの個別の銀行の例を申し上げて御推察いただくということになりますが、私どもとしましては、中小企業の資金需要にこたえる、あるいは資金需要をやはり血眼になって探すような努力もいたしまして、なおかつ、その資金需要に見合うような商品開発を事前に行い、新規の開拓班も充実させて、いろいろ営業活動をやる中で、こういう達成見込みであるということが生まれたわけでございます。
○佐々木(憲)委員 全然理由にならないですね。
 では具体的に、第一勧銀のこの二月、三月、貸出残高がそれぞれどの程度ふえたのですか。
○杉田参考人 お答えいたします。
 二月ということになりますと、先ほどから申し上げておりますように、年度末の月で、決算調整、不良債権の処理を行いますので、四半期末ベースで比較、あるいは半期ベースで比較するのは、動き、姿、形を見るのによかろうという趣旨で申し上げております。
 二月、三月の数字は、今持ち合わせしておりません。
○佐々木(憲)委員 それでは資料を要求したいと思います。
 第一勧銀の中小企業向け貸出残高の月別の数字、それから十五行の月別の数字を当委員会に提出していただきたい。約束していただきたい。
○杉田参考人 私どもとしましては、年度末、半期末の数字をもって比較するのが妥当であるということで、御提出につきましては御容赦いただきたいと思います。
○佐々木(憲)委員 半期ごとではわからないから月ごとの数字を要求しているのです。昨年の四月からずっと毎月貸出残高が減っているのです。都市銀行の残高も減っていますし、地銀の残高も、第二地銀は別として、減っております。
 しかし、この提出された資料は急激に残高がふえることになっているのです。二月、三月に急激にふえたということでしか説明がつかない。なぜふえたのか、理由の説明になっていないのですよ。これは何か計算上のからくりがあるのじゃありませんか。私は、この理由についてきちっとした説明がない限り、この預金保険法の審議自体に重大な影響があると思います。
 昨年三月に、十五行に対して七兆四千六百億円の資本注入が行われました。各銀行が中小企業向けの貸し出し計画を提出いたしました。それが達成されているのかどうか大変な疑問を持っておりましたところ、きょう出された資料は極めて大きな超過達成になっている。その根拠はどこにあるのかの説明がない。これでは新しい枠組みをつくってまた税金投入というわけにはいかないです。具体的な根拠のある数字を月別に出していただきたい。調査の上出していただきたい。
○杉田参考人 繰り返すようでまことに恐縮でございますが、経営健全化計画では、半期末、年度末の数字を御提出させていただくようになっているわけでございまして、その趣旨も、これまた繰り返すようで恐縮ですが、それぞれ年度末に決算調整を行った数字同士で比較するというのが実態的の意味を持つということかと思っております。したがいまして、御提出につきましては御容赦いただきたいと思います。
○佐々木(憲)委員 容赦はできないです。こういういいかげんな資料をこの権威ある大蔵委員会に出されて、説明が全然つかないような資料を出されて、ああ、そうですか、わかりましたというわけにいきませんよ。何の説明もついていないじゃないですか。説明もついていないし、数字も出そうとしない。
 日銀には全国の銀行の月別の貸出残高の数字は全部報告されているはずです。若干の統計上の差異はあると思いますが、しかし、それぞれの銀行は月別に、この三月末の目標達成のためにどこまで行ったのかという数字は当然持っていなければおかしいわけでありまして、半年に一回計算してみたら大幅に達成していた、そういうことはだれも信じられませんよ。具体的な数字をぜひ出していただきたい。
○杉田参考人 本日御提出いたしました計数は、早期健全化法に基づくベースでの数字でございます。不良債権の処理、調整を行ったいわゆる実勢ベースということで出させていただいております。そうした意味で、それなりの意味のある数字かというふうに思っておりまして、月次の計数提供につきましては御容赦をいただきたい、このように思います。
○佐々木(憲)委員 これは押し問答しても全然進まないので、委員長にお願いをしたい。各銀行の、十五行の月別の貸出残高の推移を、実勢ベース、インパクトローンを除いたベースで十五行それぞれ提出をしていただきたい、このことを理事会で協議をしていただきたい。
○鴨下委員長代理 先ほど委員長は、預からせていただく、こういうようなことでありましたので、後ほど理事会で検討をさせていただきます。
○佐々木(憲)委員 個別の銀行でいっても、例えば、富士銀行は九月の達成はマイナスでありました。マイナス千六百六十八億円。ところが、後半では、一兆二千六百五十八億円から一兆三千百五十八億円へ、下がっていたのが急激に上がっております。大和銀行は、前期は五十三億円のマイナスでありましたが、後期になりますと四千六百五十三億から四千八百五十三億、これも急激に伸びております。東海銀行も、マイナス一千百三十九億円から、プラス五千三百億から五千八百億。三井信託も伸び方は非常に激しい。個別にいいましても、マイナスだった銀行が特別伸びが高いです。
 これは本当に私は信じがたい数字でありまして、具体的にどの月にどの程度伸びていったか、その客観的な資料を提出していただかなければこれは納得できない、このことを申し上げたいと思います。
 それから次に、杉田会長が頭取をやられております第一勧銀ですね。商工ローンが大変問題になりました。中小企業向け貸し出しがうまく進んでいないので、どうしても商工ローンに走ってしまう。商工ローンの会社自体のあくどいやり方も問題になりました。第一勧銀は、日栄、商工ファンド向けの融資が一番多いのです、トップであります。大変強い批判を浴びたと思いますが、その点の反省はあるのか。このような社会的批判を浴びている貸出先への融資は今後一切やめるべきだと思いますが、その点についての考え方を聞かせてください。
○杉田参考人 当行では、融資業務の遂行に当たりましては、公共性、安全性、成長性、収益性といった原則を基本理念といたしておりまして、個別の融資に当たりましては、これらを踏まえた上で、その時々に必要な限り調査を行い、最善を尽くして融資判断を行ってまいりましたが、いわゆる商工ローン問題が社会問題化いたしまして、貸金業規制法、それから出資法、利息制限法の改正にまで至ったこと、それから、日栄の元、現社員の逮捕者が五人にも及びまして、うち一名には有罪判決が出されましたこと、そして、日栄に対して一部営業停止等の行政処分がなされたこと等につきまして、極めて重く受けとめております。
 社会の公器たるべき銀行といたしまして、融資してきたお取引先がそのような事態に至るに及びまして、銀行としても極めて厳しい社会批判を受けるに至りましたことは、真摯にかつ厳粛に受けとめておるところでございます。
 いわゆる商工ローン問題が指摘され始めて以降、当行としては重大な関心を持って事態の推移を見守ってまいりました。事態の進展に伴い、さらに一層慎重を期して対応してまいりたいというふうに思っています。
 以上でございます。
○佐々木(憲)委員 商工ローンに対する貸し出しは、今後どうしていくおつもりですか。これは縮小の方向ですか、それとも現状維持なのですか。
○杉田参考人 慎重に、厳正に対応してまいる所存であるということにつきましてお察しをいただきたいと思いますし、私どもの発言がお取引先の信用にもかかわる話でございますので、その点お察しいただきたいというふうに思っております。
○佐々木(憲)委員 要領を得ない答弁だと思いますね。あれだけ重大な、社会的な非難を浴びるような暴力的な取り立てをやり、とんでもない高い金利で貸し付けてきた、そういう商工ローンに対してどこが資金を提供してきたか。第一勧銀が一番多いのじゃないですか。もうかるからどこにでも貸せばいいという問題じゃないでしょう。これを打ち切るとかあるいは縮小するということを言われない、ここにあなた方の姿勢がよくあらわれていると思います。
 次にお聞きをしたいのですが、昨年の十二月でありますが、銀行、生保など金融機関の行き過ぎた営業活動による個人債務者、契約者の被害に関する予備的調査についてのお願いをしたと思います。これは大蔵委員会で決議をいたしまして、与野党一致して了解のもとで、また議長の了解のもとで予備的調査というのが行われるわけであります。
 ところが、この調査に対しまして、都銀各行の回答は、大型フリーローンの取り扱い商品名ですとか、現在の契約件数、契約高、これは回答をいただきましたが、そのほかの部分についてはほとんど回答はゼロであります。今回の予備的調査というのは、バブル期以降の銀行の過剰融資にかかわる行動の実情を開示するということで求めたものでありました。都銀各行はその中心的部分の回答を拒否しているわけであります。
 私ども、回答を調査しましたところ、多くの地方銀行は、基本的にすべての調査項目に対して詳細な回答を提出しております。ところが、都市銀行は、こういう公式の要請にもかかわらず、例えば、さくら銀行などは、ディスクローズできるデータがございません、富士銀行は、公表しているデータがない、東京三菱は、御要請は任意の調査協力要請と理解しており、一部御要望におこたえできないところもございます、住友、三和などは、データを保有していない、こういう言い方で回答を拒否されているわけですね。
 ディスクローズしていないデータだから委員会で決議をし要請をしたわけであります。ディスクローズされているデータなら何も要請しなくてもわかるわけですから。なぜこのような横並びの拒否回答をされたのか。これは、示し合わせてこういう回答拒否をしたとしか考えられないわけです。国政調査権をどのように考えておられるのか、この点について回答していただきたい。
    〔鴨下委員長代理退席、委員長着席〕
○杉田参考人 他行の回答がどうであったかについてはちょっと私も承知しておりませんので、申しわけありません。
 私どもといたしましては、御依頼をいただきました調査項目のうち回答可能なものにつきましてはお答えさせていただきました。
 しかし、例えば取り扱い開始以降直近までの月別かつ資金使途別の販売件数と契約高など、その全部または一部に保有するデータというのはございませんでしたものですから、一部に御回答できなかった項目があったかというふうに思っております。また、監督当局と銀行にかかわる事柄については御回答する立場にないということで御協力できないものもございました。
 以上でございます。
○佐々木(憲)委員 地銀の場合は全項目に回答されているのに、都銀はほとんど回答していないというのはどういうわけですか。今の理由では理由の説明になりませんよ。
 一部に回答できなかったのじゃありません。大部分に回答していないのです。これが問題なのです。しかも、全部横並びじゃないですか。都銀全部同じ態度をとっている。談合をして情報開示を拒否したとしか思えない。どうなのですか。
○杉田参考人 そのようなことはございません。
 それで、御依頼がございました一の2、これは取り扱いの開始以降直近までの月別、資金使途別の販売件数と契約高なのでございますが、これにつきましては、取り扱い開始以降直近までということですと、ちょっと我々としてはデータがない。この一年間でということであればそれなりのものはあるというようなことでありましたけれども、取り扱い開始以降直近までということではなかなかお答えができないというのが実情でございまして、そういう意味でデータがないというふうに申し上げたと思います。
○佐々木(憲)委員 データがないはずはありません。取り扱い開始以降直近までの月別、資金使途別の販売件数と契約高、これはないとおかしいじゃないですか。それから、系列保証会社が代位弁済している件数、金額、あるいは月別の競売申し立て件数、こういうものがないというのはもう経営そのものの失格ですよ。当たり前じゃないですか、こういうのがあるのは。
 ただ出す意思がない、大蔵委員会で議決をしてもそういうものは応ずる必要がない、そういう態度なんですね。私はそこに重大な問題がある。先ほども、中小企業向け貸し出しの金額についても、幾ら言っても前向きの答弁がない。しかも、この予備的調査についてまともな回答をされない。私は、そういう姿勢が国民の批判を非常に強く広げているというふうに思います。
 次に、地銀協の会長さんの平澤さんにお聞きしますが、この予備的調査に対して、地方銀行は一応大体お答えになっておりますが、横浜銀行は都銀と同様に部分的な回答しかありませんでした。なぜ出せないのか。データを捕捉していないとか内部報告する体制になっていない、これは競売申し立て件数についてですね。こんな数字も集計していないというのは私は信じられないと思います。一体どんな行内管理になっているのですか。
○平澤参考人 当行としましては、出せるものはできるだけということで出しておりますが、例えば大型フリーローンなどは開始されましたのが昭和五十四年でございまして、それ以降月別の部分も、既に二十一年前でございますので、資料として月別のそれというのは廃棄されているとか、いろいろそれぞれの事情に基づきまして、出せるものはお出ししたということでございます。
○佐々木(憲)委員 変額保険に関する調査についても、公表していないから回答を差し控える、こういう対応だったですよ。公表していないから国会として報告を求めているわけです。それを公表していないから回答しない、これじゃ全然まじめな対応とは思えません。私は、そういう国民の疑問にあるいは国会からの要請にまともに対応せず、税金だけは投入をどんどんやって、それは受け入れる、公的資金はこの二年間連続して都銀中心に受けてきた、そういう銀行の姿勢に非常に重大な疑問を覚えるわけであります。
 委員長にお願いをしたいのですけれども、このような状況では、代表にだけ来てもらっていただけでは大手銀行の実態はよくわかりませんので、十五行の資本注入を受けた銀行の頭取の参考人質疑をぜひ当委員会としてやっていただきたい、繰り返しこのことをお願いしたいと思います。
○金子委員長 再三御要請がある事項でもございます。既に理事会で協議をさせていただくということになっておりますので、そう理解をいただきたいと思います。
○佐々木(憲)委員 終わります。ありがとうございました。
○金子委員長 次に、横光克彦君。
○横光委員 社民党の横光克彦でございます。
 きょうは、参考人の皆様方、本委員会に御出席いただきまして、本当にありがとうございます。
 先ほどから参考人の方々の御意見を拝聴いたしておりました。今も同僚議員から厳しい質問がございましたが、いわゆる公的資金を投入するような事態を招いた、そのことに対するそれなりの反省も見られましたし、また、それを契機として健全経営に向けて最善の努力をする、そういった意思表示もございました。
 とはいえ、やはり金融機関のシステム安定のためにとはいいながらも、税金を投入することに対して、国民の批判は依然として強いわけでございます。ですから、健全経営に向けて努力することは当たり前のことでございますし、またそれ以外の問題点にも襟を正していただきたい、私は、このことをまず冒頭お願いをしたいと思っております。
 国民の目から見て、やはりいろいろな疑問点があると思うのですね。やはり厳しい声が多いのですね。例えば外形標準課税の導入も、皆様方サイドからすればいろいろな問題点を指摘されております。確かにいろいろな問題点がございます。にもかかわらず国民の多くがなぜそれを支持するのか、あるいは都議会の中でほぼ全会一致で通過してしまうのかということもしっかりと受けとめていただきたいわけです。
 このように国民の目が非常に厳しい中で、もう一つ国民が注視している問題、それをきょうはちょっとお聞きしたいと私は思います。それは政治献金のことでございます。
 もちろん政治資金規正法にのっとっていれば政治献金というのは何ら違法でも何でもないわけでございますが、事国民の税金が、つまり公的資金が投入された金融機関が特定の政党に献金するということは、これはどこから見ても、国民から見ると許されるものではないと思うのですね。小渕総理も、公的資金が投入されてからは、金融機関からの献金は辞退するということをおっしゃっておりましたし、とはいいながらそれの実施状況は定かではありませんし、またいろいろな形で、献金に似通った形で模索しているということもあるやに聞いております。
 そこで、せっかくですので、私は、全銀協と地銀のお二方にお聞きしたいのです。ここではっきり明言していただきたい。今置かれている状況から見て、国民にこのことだけは筋道を通すという意味で、明言をしていただきたい。いわゆる政治献金はもちろん、パーティー券やあるいは政党が発行している機関紙の広告代とか、そういったあらゆるものを含めて、要請があろうとも献金はしないのだということをはっきりと意思表示していただきたいのですが、杉田参考人、いかがでしょうか。
○杉田参考人 公的資金注入を受けた銀行が政治献金することについての考え方でございますが、もう申し上げておりますが、政治献金につきましては、個別銀行が判断すべき問題でございまして、全銀協としてこの問題を議論したことはございませんし、これからも議論する考えはございません。
 個人的な見解ということで申し上げますと、政治献金全般のあり方につきましては、企業献金から個人献金へという流れの中で、全体としては企業献金が抑制の方向にあるというふうに認識しております。しかしながら、現状は、個人献金で賄う環境が整っているとは言い切れない面もございまして、環境が整うまでの間、政治資金規正法の範囲内で企業が相応の支援を行うことはやむを得ないという面もあり、いずれにいたしましても、非常に難しい問題だというふうに思っております。
 なお、公的資金につきましては、金融再生委員会の厳正な審査を受けてお借りしている資金でございます。スケジュールどおり、一円も毀損することなく返済していくものであるというふうに認識しておるところでございます。このことと政治献金を直接結びつけて考えることはしておりませんで、政治献金は政治献金の問題として慎重に検討していくもの、このように考えております。
○平澤参考人 お答えします。
 ただいま杉田会長からお話がございましたように地銀各行としても対応していきたい、そのように考えております。
○横光委員 今杉田さんのお答えで、公的資金と政治献金は必ずしも同じあれではないというようなニュアンスに私は受け取れたのですが、国民はそうは見ないのですね。健全経営のために公的資金を投入しているから、政治献金はまた別な問題だというふうに私は受け取れたんですが、国民の税金が投入されている銀行が献金する、もちろんその金がそのまま行くわけじゃないのですが、その銀行が献金するということは、形としては国民の金が行ってしまうという思いになるのは当たり前じゃないですか。そこのところをやはりもうちょっとしっかりと受けとめて、こういった国民の厳しい批判のある中ですから、きっぱりとそのことを国民にお示ししていただきたかった、私はこのように思うわけでございます。
 次に、先ほど信用金庫協会の副会長の長野さんから一言ございました可変料率制についてお聞きしたいのです。
 今度の改正案で、将来的にこの可変料率制の導入を図るという規定が準備されたわけでございます。これは、それぞれのお立場でこの問題にはお考えの差があろうかと思います。しかし、健全経営に向け努力する、いわゆる努力に見合う負担の求め方、これが問われるわけで、これはもうアメリカでは当たり前になっているわけですが、この保険料率制の導入につきまして、これは四名の方にお聞きいたしたいと思います。杉田さん、平澤さん、長野さん、網谷さんにお聞きしたいと思います。
○杉田参考人 可変料率についてのお尋ねでございますが、大手行といたしましては、可変保険料率の導入が基本的な方向としては望ましいと思っておりますが、基準指標のとり方や料率格差のつけ方でございますとか、個別金融機関への適用料率の公表の是非など、具体的な方法についてはさらなる検討が必要であり、早急な導入には慎重を期すべきだろうというふうに考えております。
 金融審議会の答申でも私どもと同じ方向が示されておりまして、さらに、改正法案では法的手当てをいただいておるところでございまして、この点は大いに評価をしておるところでございます。
○平澤参考人 また同じことを申し上げて恐縮ですが、杉田会長の申し上げたとおりでございまして、基本的な方向としては賛成でございます。
 ただ、これをどういう時期に導入するかというその適切なタイミングが必要でございますし、それから適用料率の決定のルール、あるいはそれの具体的な方法とか金融システムの安定度合いとも微妙に絡むわけでございまして、こういう点も十分御検討の上、適切なタイミングで導入していただけたらな、そのように考えております。
○長野参考人 先ほども申し上げましたとおりでございます。
 特に、経営の健全性の尺度、基準、そういうようなものについてはいろいろ問題があるというふうに存じております。経営の健全性について努力することはもう当然でありますが、その結果云々ということでのことということになりますと、非常に問題が出てくるということで、反対でございます。
○網谷参考人 お答え申し上げます。
 私ども信用組合は、冒頭申し上げましたように、歴史も極めて浅く、同時に、協同組織といたしまして、利益は配分をするというのが大原則で今日まで経営をいたしております。したがいまして、他の歴史の古い金融機関と比べますと、自己資本比率もおのずから少なく、小さくなっておる現状でございます。そういう立場からと同時に、保険料は、間違いなく、いただかないところの方が幸せなのが保険だというふうに思っております。
 そういう意味で、今からの金融機関の尺度でもって保険料が云々されるということになりますと、おのずから問題点が出てこようというふうに思っておりますので、反対でございます。
○横光委員 それぞれの御意見に差がございました。これは将来的な問題でございます。また保険料率の件もございます。いろいろ細かいことはこれからですが、一応そういった導入の可能性が出てきたということで御意見を伺ったのですが、これからのこういった新たな法案のときに大変参考になる御意見だったと思っております。
 次に、生命保険協会会長の森田さんにお尋ねをいたしたいのですが、森田参考人は生命保険契約者保護機構の理事でもいらっしゃるわけでございます。今改正案で、保険会社の倒産法制が整備されることに伴って、保護機構の業務の拡大が非常に図られるわけですね。つまり、保険管理人への就任、あるいは保険金請求権の買い取りが可能となる、また更生手続における手続の代理や手続中の保険金の支払いなどが加わる。特に、保険会社は一社で数百万人単位の契約者を擁するわけでございますので、この保険会社の更生手続が円滑に進むかどうかは、まさに保護機構の取り組み次第だと言っても過言ではないと思うのですね。
 その業務が非常に拡大されるわけですが、新たなポイント、つまり保護機能が裁判所とどのように連携していくのか、こういった課題も生じましょう。また、保険契約者に対しては、セーフティーネットの内容などについてはわかりやすくかつ懇切丁寧に伝えていくことが重要となってくるわけでございます。
 いずれにしても、今後は相当な業務量の増加となると思われますが、現在の保護機構を見ますと、役員は非常勤でございますし、職員も非常に少ない。これだけ業務が大きくなる中でそれで対応できるのかどうか、ちょっと心配しているわけですが、その点いかがでしょうか。
○森田参考人 先生おっしゃるとおりでございまして、この法案が成立後の対応につきまして、ただいま業界で研究中でございます。結論としては、大幅に人員の増強をいたしませんと対応できない、そのように考えております。
○横光委員 これから研究されるということでございましょうが、契約者のために十分な対策を、対応をつくっていただきたい、このように思っております。
 もう一問、保険協会会長さんにお聞きしたいのですが、大手生保の中には、今も遊休不動産を多数抱えている、あるいは今年度で役員賞与を復活させたところもあると聞いております。
 今回の政府保証の恒久化及び国庫補助という措置を講ずるに当たっては、各生保会社はやはりそれ相応の努力をしていただかなければならない。経営の安定のために、リストラ等を含めた自助努力、これをより一層行っていっていただかねばならないわけですが、その点はいかがでしょうか。
○森田参考人 生命保険全般に、先ほどから御説明しましたように、非常に厳しい状況にあるものですから、これに対して、いわば自社の生存をかけてリストラに取り組んでいるというようなベースがございまして、さらにこの問題については前向きに進めていきたい、かように思っております。
○横光委員 なぜ私がこのことを言うたかというと、先ほど今の厳しい状況の一番大きな原因は逆ざやだというお話がございました。確かにそうでしょう。この七年間で十兆円の逆ざやが生じた、あるいは、これが経営を圧迫して、結局これを回避するためにはもう金利の上昇しか道がないというお話もございました。
 しかし、それだけではない。やはり、この逆ざやを招いた一因は、そういった保険会社自体の中にもあるということなのです。いわゆる高金利でこれまでやってきた、逆ざやの二%前後の高水準、これはもう外国では考えられないぐらいの高水準なのですね。こういったバブル期に高過ぎる予定利率で商品を大量販売したツケが回ってきたとも言えるのですよ。日産や東邦生命などは、この逆ざやを埋めるために、そのためにリスクの大きな運用に走って、結局は失敗したわけでしょう。
 こういったこともあるということを、ただただ逆ざやが原因なんだ、そしてそのためにはもう金利の上昇しかないんだというお考えではなくて、なぜ逆ざやが生じたかということも認識していただきたいということをお願いいたしまして、質問を終わります。
 どうもありがとうございました。
○金子委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人各位におかれましては、本当にきょうはお忙しいところ御出席いただきまして御意見を開陳いただきましたこと、委員会を代表して厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。
 午後二時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時十四分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時二分開議
○金子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 午前に引き続き、内閣提出、預金保険法等の一部を改正する法律案及び保険業法及び金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題とし、政府に対する質疑を行います。
 この際、お諮りいたします。
 両案審査のため、本日、参考人として日本銀行総裁速水優君の出席を求め、意見を聴取し、政府参考人として大蔵省金融企画局長福田誠君、金融監督庁監督部長乾文男君、文部省高等教育局私学部長石川明君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
○金子委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。根本匠君。
○根本委員 自由民主党の根本匠であります。
 私は、きょう、この法案に関連して、これまでの主な論点を含めて御質疑をさせていただきたいと思います。
 まず最初に、ここ数年、金融システム改革法を初め、さまざまなセーフティーネットの整備により、金融分野は非常に法体系が進んだわけでありますが、金融システム改革法、そして今回の預保の改正等による金融分野全体の法体系、スキームについて、全体としての政策体系の評価、これをお伺いしたいと思います。
 山一、拓銀の倒産に端を発しまして、この二、三年は、金融機関の不良債権処理、金融機関の立て直し、金融機能の安定化、これが大きな課題でありました。ペイオフの凍結や金融再生法、早期健全化法、いわば後ろ向きの法案、制度が議論され、注目をされてまいりました。
 一方で、金融システム改革は着実に進展してまいりまして、いわゆる金融ビッグバン、九六年十一月の橋本総理のイニシアチブのもとで、六大改革の一つとして金融改革を打ち出しました。世界的に急速に進展する金融革新の中で、効率的で安心できる市場にすることを目指しまして、金融、証券、保険のすべての分野にわたる包括的な改革が進められてまいりました。
 金融システム改革につきましては、九八年十二月に金融システム改革法が施行されまして、昨年十月の株式売買委託手数料の完全自由化によりまして、ほとんどの項目が実現いたしました。金融システムも、金融再生法、早期健全化法の枠組みにより安定化いたしまして、今、大銀行の再編、メガバンク化も進んでおります。私は、この五年間の金融施策の進展、この分野の変貌は非常に著しく、六大改革のうちで一番進んだものは金融改革分野ではないか、こう思っております。
 今国会の五つの法案、これは、金融システム改革と金融システムの安定化の成果を踏まえ、これを完成させるものであります。今回の五法案によって、全体の金融の枠組み、全体のスキームの総仕上げ、これが今回の五法案の位置づけではないか、私はこう思っております。この五年間のこの分野の金融改革のスピード、私は、随分よくやったと思います。それから、金融システム改革法、セーフティーネットの整備、あるいは金融サービス法、いわゆる消費者の保護、こういう体系が今回おおむね整ったわけでありますが、この全体の政策体系の評価についてまずお伺いをしたいと思います。大蔵大臣、よろしくお願いします。
○宮澤国務大臣 一九八五年、プラザ合意のころには、我が国の金融機関は、世界のトップテンといえばみんな日本だというようないっときがございました。ただ、そのときにも、いわゆるビッグバンというのは近い将来の目標というふうに考えられておりましたから、我が国もやがておくればせながらビッグバンを完了するということを制度的にも目標として掲げてまいりましたが、しかし他方で、現実には我が国の銀行は、その後のバストによりまして、いわば、一言で言えば、惨たんたる状況に陥ったわけでございます。
 もっとも、政府としても金融界も、本来、我が国の金融市場がやがてニューヨークあるいはロンドン並みの国際金融市場になっていかなければならない、再生することをその後努力いたしました。いたしまして、不良債権処理を進める一方、金融システム改革を着実に推進しまして、金融機関の商品、業務等についても抜本的な自由化を図る、あるいは持ち株会社の活用というような、制度的にはまあまあ予定どおり進めてきたわけですが、ただ他方で、全くああいう状況になりましたので、そういうことの処理に実際政府としてもこの二年余り寧日なきありさまでありましたし、また、金融機関自身が、そういう担い手であるはずであるのに、いわば傷つきました。証券についても同じことが言えますが。そういうことで、せっかくおくればせながら準備いたしましたビッグバンの体制というものはできましたけれども、十分に担い手の力がないというのが今の率直なことではないかと思っています。
 制度といたしましては、さらに今国会におきましては、政府として、金融システムの一層の安定化、利用者の保護を図るといったセーフティーネットの拡充として、預金保険法案あるいは保険業法、更生特例法案等を提出いたしまして、二十一世紀を展望して、金融サービスに関する基盤整備として、資産やリスクが効率的に配分される市場の構築、あるいは金融サービス、利用者保護の環境の整備を図る等のことを考えまして、この三法案を御審議願っておるわけであります。
 いわば、もう一度繰り返して申しますと、おくればせながらいわゆるビッグバンというものを我が国としても実現しようという法制的な整備はほぼこれででき上がりつつあると思いますが、その担い手である金融機関をめぐってまことにいろいろな問題が発生いたしましたために、金融機関自身はもちろんでありますが、政府としても、その処理をするのに実は大変な苦労あるいは財政的な負担をいたして現在に及んでおる。
 根本議員がおっしゃいました大胆な五年間の回顧は、おっしゃいましたとおりと思います。それで、今の時点に立ちまして、このような制度的な改革が行われ、いわゆるバブルの後始末もかなり進んでまいったと思いますけれども、しかしまだまだ、今日の我が国のいわゆる大銀行、マネーセンターバンクスがまだちゃんと税金すら十分払うような体制になっておりません。これは過去の不良債権があるから、欠損があるからでございますけれども、今そんなところにいる。
 したがって、そのうち日本の銀行なり証券会社なりがやがて世界の市場に出ていって活躍をするということは、なおしばらくの時間がかかるのではないかというようなのが現状であろうと思います。
○根本委員 不良債権の処理と資本増強、後ろ向きの処理をしながらビッグバンを進めてきたということですが、今回の法改正で、二十一世紀の日本の金融を支えるインフラ、これは私は整ったと思いますので、これからが日本の金融の活性化に向けての大事な時期だ、こう思います。
 具体的に法案の幾つかの論点について質問をしたいと思います。
 今回の預金保険法改正で、セーフティーネットの整備、これを必要なものは恒久化する、こういう整理をするわけでありますが、今回の預保の改正、私は、単にセーフティーネットの整備だけの観点でとらえるのではなくて、二十一世紀における日本の金融システムの再構築に向けた金融システム改革、消費者保護関連法制の整備、金融庁も発足いたしますが、金融行政改革、こういう一連の全体の流れの中で今回の重要法案をとらえるべきだ、こう思います。
 今回の法案の考え方、これは三点あるわけでありますが、一つは、預金の全額保護という特例から小さな預金保険制度へ復帰する。破綻に伴う混乱を最小限にとどめる観点から、保険金支払い方式、いわゆるペイオフはできるだけ回避して、受け皿へ金融機能を引き継ぐ営業譲渡などの一般資金援助方式を優先的に適用する。そのための破綻処理の迅速化、多様化を図る。これが私は基本的な考え方だと思います。
 今回の法改正の中で、米国で多用されているPアンドAの仕組みを導入されました。これはもちろん従来から全部の譲渡という場合はあったわけでありますが、今回、営業の一部譲渡の場合も可能とする、こういう法改正の中身になっております。これは、これまでの長銀や日債銀等の譲渡の経験、あるいはペイオフという事態を踏まえての一部譲渡方式を認めるということであろうと思いますが、その理由を改めて確認させていただきたいと思います。
○大野(功)政務次官 これまでの制度でございますと、営業の全部譲渡でないと資金援助はできない、こういうことでございます。しかしながら、営業の全部譲渡をする場合のみに限りますと、司法手続によりまして保全処分をやっていかなきゃいけない。そうしますと預金の払い戻しについても迅速に行えない、あるいは、今も先生御指摘になりましたが、その他の金融機能、例えば決済機能あるいは融資機能、こういうものに停滞が生ずるわけでございます。したがいまして、経済全般や金融システム等に対しまして大きな影響が出てくる、これが一番心配の種でございます。
 そこで、そういう影響を最小限に食いとどめるためには、一部譲渡でも資金援助を行えるようにする、つまり迅速な処分をする、これが本来の一番大きな目的でございます。
 迅速な処分を行うためには、やはり受け皿金融機関が受け皿でやりますということを容易にできるようにしていかなきゃいけない。したがいまして、例えば負債サイド、預金につきましても、保護される付保部分についてだけ引き受けられればそれでも結構であるということで、営業の一部譲渡の場合にも資金援助を可能にする。
 精神は、早く受け皿に引き継いで金融機能を継続していく、このことでございます。
○根本委員 まさに、ペイオフ後は、全額保護と異なってスピードが要求されるわけでありますから、アメリカのFDICも資本、負債をいろいろプール分けして入札する、こんなこともやっておりますが、円滑に営業譲渡を可能とする仕組みとして、私もこれは極めて重要な仕組みだと思います。特にペイオフ後に極めて重要な仕組みだと思います。
 それから次に、ロスシェアリングの意味、意義についてお尋ねをさせていただきたいと思います。
 今回、二次損失の負担のルールをあらかじめ決めておくロスシェアリング、これも制度化をいたしました。これはPアンドAをスムーズに機能させるための手だてでもあります。ただ、ロスシェアリングについては、破綻した金融機関の資産を厳格に査定して、不良債権をすべて整理回収銀行にやってしまえば、優良資産だけが残って事後的な損失補てんは必要ない、こんな批判も一部あるわけでありますが、私は、これは政策判断の問題で、実際にはどうしても引き継ぐ債権の区分がなかなかはっきりしない、こういう部分も残っておりますから、ルールを決めておくことが譲渡を速やかに行う大事なポイントだと思います。この考え方を改めて確認させていただきたいと思います。
○大野(功)政務次官 第一は、受け皿銀行探しを容易にするという問題点がございます。
 破綻金融機関の資産内容に対する不安というものが、なかなか受け皿銀行、承継銀行が出てこない理由でございます。したがいまして、その不安を解消するために、承継先に対する資金援助の一環といたしまして、破綻金融機関から引き継ぎました資産が劣化した場合には、その承継先に対する損害の一部を一定期間担保する、いわゆるロスシェアリングを導入したものでございます。
 ロスシェアリングを導入するということは、同時に、プロフィット、利益が出た場合には、やはりプロフィットの方もシェアリングしていく、こういうことが裏腹にあるわけでございます。それが第一であります。
 第二は、やはり迅速化の問題であります。
 受け皿銀行による資産の精査に要する時間が不要になってまいりますから、営業譲渡の迅速化が行われてまいります。営業譲渡の迅速化が行われますと、時間の経過に伴って場合によっては資産が劣化してしまう、これも防げるわけでございます。その第二の問題点は、借り手保護のためにできる限り多くの資産を受け皿が引き継ぐようにできることでございます。こういうメリットがございます。
 それから、念のためでございますが、ロスシェアリングの財源は金融機関の納める保険料ということになっております。
○根本委員 まさにそのとおりでありまして、やはり破綻金融機関の機能をできるだけ早く受け皿に移す、これが非常に大事だと思いますが、その点では、今回の法案ではPアンドA、ロスシェアリングルール、それからブリッジバンクの制度も設けておりますから、ブリッジバンクも今までの全額保護の場合と違って、速やかに設立するという手だてになろうかと思いますが、その意味では、迅速化するためのさまざまな手当てを、今回この法案で万全を期すように用意した、こういうことだろうと思います。
 アメリカでは、金曜日から月曜日処理によるPアンドA、これが非常に早く行われております。これは、小さな金融機関であるということ、あるいはFDICが非常に準司法的な機能を持って、権限も強いし、経済的な環境もあるのだろうと思いますが、我が国もこれだけの手当てをいたしましたので、ただ、一方で、金融機関のサイズが大きいとか、あるいは間接金融主体の我が国では、受け皿に金融機能を円滑に引き継ぐのは相当な作業だと思いますが、私は今回の法改正の中で、この何重にもわたる仕組みをよく考えて用意したと評価をしております。
 次に、もう一つの論点であるシステミックリスクと特別公的管理による資本増強、この点についてお尋ねをしたいと思います。
 システミックリスクのような危機的な事態に備えまして、資本増強あるいはペイオフコストを超える資金援助、特別危機管理銀行、こういう例外的な措置を今回規定いたしました。特に、ここで問題になっていますのは、発動条件につきまして、国または地域の「信用秩序の維持に極めて重大な支障が生ずるおそれ」、こういう規定の仕方について、より具体的に書くべきだという意見もありますし、この措置はモラルハザードを招くという批判もあります。
 これは、この委員会でも何度も出ておりますが、このような定義をした理由、これを改めてお尋ねいたします。
○大野(功)政務次官 まず、健全化法のもとでの資本増強でございますけれども、これは、金融システムの中で不良債権を処理し、そして金融機関の体質を強化する、こういう意味合いがありまして、自分で自発的に資本増強をお願いします、こういうことでございますが、今回のシステミックリスク対応の場合には、とにかく、今おっしゃったようなシステミックリスクということで、例外的な措置をとるわけでございます。
 例外的な措置でございますから、余り定義をはっきりしますと、かえって機動的に対応できない。ケースによっては、そのケースに応じた対応ができない、こういうことになりますものですから、全体としてシステミックリスク、つまり地域経済とか国民経済とか、こういうものの安定に重大な影響、こういう定義をしているわけでございますが、一方において厳格な手続を設けている。
 厳格な手続は、先生御存じのとおりでありますけれども、内閣総理大臣が金融危機対応会議で議論して、そして認定をする、その結果は国会に報告する、こういうことになっておりまして、いわば金融機関サイドから自発的に資本増強を願い出られるものではありません。したがいまして、金融危機対応会議が、あなたは病気ですよ、あなたは認定しますよと言って初めてこの資本増強ができる。そこが資本増強という意味では大違いでございます。
 それで、あと手続的にいいますと、健全化法の場合には金融再生委員会が承認する、システミックリスクは内閣総理大臣が認定する。それから、健全化法では国会への報告はないのに対して、今回のシステミックリスクでは国会へ報告してください、こういうような違いがございます。
○根本委員 私も、多分コンストラクティブ・アンビグイティーということなんだと思うのですね。建設的あいまいさ。やはり柔軟に機動的に対応できる方がいいので、危機的事態というのはさまざまなケースが想定されますから、そのためにあいまいにしておいた方が、ここはいいのではないか。個別具体的に書きますと、逆に金融機関の方からモラルハザードを招きやすいという懸念も出てくるのではないかと私は思います。
 それから、そのために、定義はあいまいにしていますが、厳格な手続にしたのですよ、総理のリーダーシップで、決断でやろう、こういう仕組みにしておりますが、確かに、危機というのは我々の予想を超えたところで起こるわけですから、やはり危機管理、いかなる危機にも適切かつ迅速に対応できる制度的な仕組みを担保する、これが私も危機管理の要諦であると思いますし、我が国は大変な金融危機も経験したのでありますが、これは我が国の知恵だと思います。建設的あいまいさ、しかし万一のときには政府が必ずやると決意を示す、これが私も重要だと思います。
 それから、アメリカのシステミックリスクの条項とも、私も資料をいただきまして比べてみましたが、確かに、アメリカのシステミックリスク条項と我が方のこの建設的あいまいさ、これは共通しておりますね。ただ、これは大統領制の関係もあるかと思いますが、アメリカの場合は、その後どんな対応をするのか、これは書いていない。しかし、我が国の今回の制度、法案では、資本増強やペイオフコスト超の資金援助、この手法のメニュー、これを明示しておりますので、ここはある意味でアメリカよりもきちんと制度として仕組んだものだ、こう考えております。
 それから、協同組織金融機関への資本増強につきまして、お尋ねをしたいと思います。
 早期健全化法による資本増強、これは大手行に対するもの。これは、ペイオフが一年延期になっても、平成十三年三月にはやめる。そもそも早期健全化法は、我が国の金融システムが不安定な状態、内外の信認を欠く、こういう状態でやった臨時特例的な措置でありますから、この恒久化はやめる、これは私は当然のことだと思います。
 今回、協同組織金融機関につきまして、優先出資の発行を認めるとともに、金融機能早期健全化法に基づく資本増強、これをやりましょう、こういうことにしたわけであります。これは早期健全化法の趣旨とは異なるのではないか、こんな指摘もありますが、私はやはり、地域に密着する金融機関の経営基盤の強化が必要だということでこれを導入されたと思っておりますが、この考え方を明らかにしていただきたいと思います。
○谷垣国務大臣 信用組合などの単位協同組織金融機関は、早期健全化法のもとでも対象金融機関となっていることはなっているわけですが、現実には、この資本増強の仕組みを使おうとしても非常に使いづらかった。一つには、優先出資法上、現状では優先出資の発行が認められていないということもありますし、それから、早期健全化法上、その要件が必ずしも信用組合などの中小金融機関に合致していないというような問題点がございました。
 それで、協同組織の金融機関は、中小企業向け融資がほとんどで、地域に密着した業務を行っているわけですけれども、金融システム改革が進行していく中で、今後、経営の効率化を図り、資本基盤を強化していく必要がある、こういうことであろうと思います。
 こういう取り組みを支援するために、今回国会に、優先出資証券の発行を可能とするとともに、早期健全化法に基づく資本増強を受けることを容易とするような法改正をお願いしているわけでありますが、これを活用しようとしましても、大きな金融機関は既に使えるようになっているわけですが、今まで、実際上使い勝手が悪くて、現実には使われていなかったということがございますので、一年間延ばしまして、これを利用して地域の金融機関を健全にしていこう、こういう趣旨でございます。
○根本委員 確かに早期健全化法をつくった当時は、やはり大手の金融機関の方が非常に頭にありましたので、中小、こういうものはちょっと使い勝手が悪い規定になっていたのだと思います。いずれにしても、地域金融機関、これは地域金融、中小企業金融の担い手、日本経済の屋台骨を支えているわけでありますから、この措置によって、地域金融機関の再編、効率化、活性化を進めるとともに、中小企業向け融資、これは資本増強の大きな目的でもありますから、融資の円滑化も重要なわけでありますが、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 それから最後に、今回、金融システム改革法あるいはセーフティーネットを整備する、あるいは消費者保護の規定を置く、こういう全体の金融を取り巻く制度的なインフラ、これはほぼ整備されたわけであります。護送船団方式と決別して、市場の規律と自己責任で金融界は新たな構図が出てくるわけであります。
 この金融分野の産業ビジョンを示すべきではないか、こういう意見もありました。私も、産業ビジョンというのはあった方がいいのではないか、こう思っているのですが、実は、今護送船団方式と決別しましたから、金融産業の将来ビジョンを示すということになると、では具体的にビジョンを進めるための政策手段、これをどう用意するか、こういう議論になりました。要は、この辺の考え方をどう考えるのかな、実は私もまだクリアな意見が出ていないわけでありますが。
 金融産業ビジョンということは別として、今回の法体系の整備によりまして、例えば大きな銀行の再編が、今メガバンクがもう四つできましたが、こういうメガバンクの動きが一方では出てきている。地銀は地域金融の担い手としてきちんとした役割を持っておりますし、信金は、きょうの参考人質疑にもありましたけれども、中小企業専門銀行、あるいは信組は中小零細企業金融。要は、こういうものがそれぞれの特色を担いながら、役割分担を行ったり、あるいは連携を強化したりということでこれからの金融界の構図というものがつくられていくわけであります。
 この辺のそれぞれの金融機関の役割分担なり責任、まあ産業ビジョンに近いイメージでありますが、これをどのように描いておられるのか、最後にお伺いしたいと思います。
○谷垣国務大臣 根本委員のおっしゃるように、護送船団というような行政手法から脱却して、透明に事後的に対応していくということを言いましても、本当に行政の側がこれからの金融システムに対して何のイメージも持たなくてよいのかというと、そこは私はそうは思わないのでございまして、今まで国会でつくっていただいております金融再生法にしましても、あるいは早期健全化法にしましても、あるいは今お願いをしている一連の法案にしましても、やはり一種のイメージと申しますか、そういうものはおのずからあるのだろうというふうに私は思います。
 それで、その背景にありますのは、委員もおっしゃいましたように、市場規律と自己責任原則を基軸としていろいろな面で自由化を進めていくということでもありますし、それとともに、持株会社の活用などの組織再編も含めた、経営戦略を行うための枠組みもいろいろつくってきたところでございます。
 そういう中で、大手金融機関のいろいろな再編、統合も発表されているわけでありますが、こういうメガバンクというのは、国際的にも評価されるような、効率的な、そして強固な経営基盤を有する金融機関として競争力を発揮していただく。我々も持っている手法の中でお手伝いをし、それぞれ工夫をしていただいてそういう方向に進んでいっていただきたいと思いますが、他方、地域の金融機関、地域銀行は、それぞれの地域における経済の発展のための中核的な金融機関でありますでしょうし、また、協同組織の金融機関は、中小企業とかあるいは個人分野等を専門とする金融機関として、地域住民や中小企業の、いろいろなその地域特有のニーズにこたえていっていただかなきゃならないのだろうと思います。
 金融システム改革を通じて、それぞれの業態と申しますか金融機関が、みずからの判断に基づいて創意工夫を凝らしていただいて、それぞれ多様なニーズにこたえていただくような、そういうシステムを我々も目指すべきではなかろうか、また、そういうお手伝いもすべきではなかろうか、こう思っております。
○根本委員 ありがとうございました。終わります。
○金子委員長 次に、北橋健治君。
○北橋委員 民主党の北橋健治でございます。
 初めに、この間の本会議場で、私も小渕総理に対しましてオブチノミックスの批判を、がんがん思いのたけを言わせていただいた一人といたしまして、心からお見舞いを申し上げたいと思っております。
 さて、前回の質問からきょうの間に、自自公の連立の枠組みに大きな変化があった、このように伝えられております。
 そこで、まず冒頭に、自自公連立の合意事項には幾つか重要な諸点についての政策問題があったわけでございますが、金融問題ではデノミという問題について検討するということが一項目入っていたと思います。私は、まだ民主党内におきましてもデノミの議論は続けているさなかでございますが、輸出産業、製造業の世界が急激な異常な円高に伴いまして大変な苦痛をこの間味わってきたことを思いますと、デノミというのが今後どのようになるかというのは非常に深い関心がございまして、自自公連立が解消となりますと、自然にデノミの問題は消えていくのかもしれませんが、重要な案件でございますので、この機会に、大蔵大臣と日銀総裁の方から、デノミの問題についてどのような御所見をお持ちか、お聞かせいただきたいと思います。
○宮澤国務大臣 国会におきましても、各党でこの問題を検討しておられるところが幾つかおありでございますし、また、自由民主党でもこの問題を、金融関係の委員会がございまして、そこで検討しようということになっております。したがいまして、党としてこの問題は絶対にやらないとか絶対にやるとかいうことではありませんで、一つの大事な経済問題として検討しつつあるということでございます。
 私自身は、自身と申しますか、これは個人の立場と申し上げることが正確かもしれませんけれども、前からこの問題は、いろいろに御説明を受けたり、あるいは研究をしておられる方々から御要請があったり、何度かしておりますけれども、一言で申しまして、なかなか簡単に決心のできる問題ではないということを終始きょうまで考えてまいっております。
 そのメリットというのはもちろんわかる話でございますけれども、メリットばかりではない。殊にこのごろ、もしかしたらそうでないかもしれませんが、デノミという話がかなり何度もしばしば取り上げられるような局面になりますと、世の中に必ずデノミでもうかる方法とかなんとかいう雑誌なりなんなりがあらわれます。私は、デノミということでうまく立ち回ればもうかるんだ、そういう種類の問題として取り上げられると、なかなかそれなりの弊害があるということをその都度思っていますが、言ってみれば、デノミというのは町名変更みたいな、番地が変わるとか町名が変わるとかいう種類のことであって、立ち回ればもうけるとかなんとかいう性質のものでないんだということを、国民が大体そういうものとして受け取ってくれるようになれば、大した弊害がなくこの議論ができるかもしれないと思っておりますが、議論が白熱しますと必ず、そういう説をなす、あるいは書物を著す人々がたくさん出てきまして、どうも問題が真っすぐ素直に取り上げられない危険が、今までの経験ではずっとございました。
 そういうこともありまして、私自身は比較的消極的な立場で今日に及んでおります。
○北橋委員 大蔵大臣、率直な見解ありがとうございました。
 そして、きょうは日銀総裁、本当にお忙しい中、ありがとうございます。
○速水参考人 デノミにつきましては、これまでも幾度か国会で意見を言わせていただいたことがございますが、最近改めてデノミが議論されておりますのは、ユーロが誕生して、対米ドル三けた表示の通貨というのは、主要国の中では日本円だけだといったようなことがきっかけになっているのではないかと思いますし、二十一世紀という新しい時代の到来などを背景にしてこういう議論が出てきたのだと思っております。
 しかし、一般的に申しまして、デノミは国民生活全般に影響する問題でありますし、実施する場合のねらいとか、特にコストですね、これはやはり、銀行だけでなくて、あらゆる企業、家庭もそうでしょうけれども、かなりコストがかかるわけで、今、景気をよくしよう、企業が収益を上げようと言っているときに、これはかなり大きなマイナス要因になるのだろうと私は思います。
 いずれにしましても、広く国民の理解を得ることが大事だと思います。デノミ実施のための重要な前提条件としては、やはり国民が皆それに乗ってくるということではないかと思っております。
 日本銀行として特にどういう議論をしたということはございませんけれども、私も長く中央銀行にいる者の立場で言わせていただきますと、戦後半世紀にもなりますけれども、デノミというのは、むしろ今までは、インフレでゼロがたくさんついて困る国がデノミをやってきたのであって、日本の場合は、戦後民間貿易が始まって、ブレトンウッズで金ドル本位制で三百六十円というのが決まって、それを固定相場時代ずっとIMFの指導を受けながら守ってきた。それで経済が成長していった。七一年にニクソン・ショックが起こり、その後もいろいろオイルショックなどがありましたけれども、ずっとそれを乗り越えていって、全面フロートになってからも、約半世紀ちょっと超えますけれども、その間に三百六十円が百五円と、三倍近く強くなっているわけですね。こういう例というのは、ほかに前例がないと思うのですね。こういうことは、やはり私ども通貨を守らせてもらう立場からいえば、誇るべきことだというふうに思っております。特に、今一ドル百円というのはそう不便でもないと思いますし、かつての一ドル三百六十円から一ドル百円になったんだということだけでも、日本への尊敬の念があってしかるべきものだというふうにさえ思っております。
 そういうことで、これは個人的な意見になるかもしれませんけれども、余りここで変える必要はないというふうに私は思っております。
○北橋委員 大蔵大臣、日銀総裁から含蓄に富みました御所見を承りまして、まことにありがとうございました。自自公連立が解消に向かって新たな政権の枠組みが模索されようとしておりますが、デノミの問題につきましては、それぞれから種々の問題点があるという御指摘、まことにそのとおりだと思います。今後、民主党におきましても、この問題、議論を深めさせていただくときに参考にさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
 さて、この自自公連立という問題で、これは期待はしておりませんけれども、一応聞かねばなりません。ペイオフの解禁の問題につきまして、総理並びに大蔵大臣、あるいは多くの日本を代表する方々が、日本の内外に対して予定どおりきっちりやるんだということを言っておられましたが、介護保険のときもそうでございましたが、突然、商工関係の方やいろいろな方々の突き上げがあって、そしてまた自由党の皆様方も、この問題については非常に熱心に延期を主張されたやに報道されているわけでございます。公明党の皆様方は、非常にこれに対しては慎重なお立場であったとも伝えられております。
 そういうわけで、このペイオフの問題は、預金保険法の審議の中で一つの重大な中核的な焦点でありますけれども、今後、このペイオフの問題を見直すということはないのでしょうけれども、一応聞かせてください、大蔵大臣。
○宮澤国務大臣 お話しのように、先般延期をいたしましたが、これはもう前にも理由を申し上げましたので、いわば信用組合等々がことしの四月から政府に移管になるということに関連した問題でございました。したがいまして、そのために延期をいたしましたので、再度延期をするということを全く考えておりません。
○北橋委員 そこで、いろいろな各界の方々が、私ども民主党が反対しているのみならず、モラルハザードを招くのではないか、あるいは日本の金融のこれからの自己革新のためにもいろいろな問題、弊害があるのではないかという指摘がたくさんあるわけでございますが、中でも、金融当局の最高責任者でいらっしゃる日銀総裁が、昨年の十二月二十一日の記者会見、当時は与党内部におきましてこのペイオフ問題をどうするかでごった返していた、大変綱引きの激しかったころだと察しておりますけれども、この重要な時期に延期には強く反対をされた、このように伝えられておるわけでございます。
 果たして、今日、あっという間に政治決着で一年延期という事態を迎えたわけでございますが、日銀総裁はどのような思いで現状を眺めておられますでしょうか。
○速水参考人 御指摘のように、私はペイオフ延期には反対しておったわけでございますけれども、一昨年になって、金融再生法、早期健全化法が相次いで成立して、破綻金融機関の処理とか資本基盤の増強その他いろいろな努力が大きくなされて、全体として内外からの信認というのは非常に強くなってきたわけで、そういった状況の中で、日本銀行としては、予定どおり二〇〇一年三月末に全債務の全額保証、全額保護という特例措置を終了させるべきだというふうに考えておりました。
 ただ、かねて申し上げておりますように、国民負担を伴う特例措置をどの時点で終了させるかということは、やはり最終的には立法府がお決めになることで、国民の判断にゆだねられるべきものであるというふうに思っております。
 今般のペイオフ解禁を一年延期するという結論は、この間、制度的な制約などから経営改善におくれをとっていると見られます中小金融機関への対応を中心に慎重な検討が行われてお決めになったことだと思いますので、私どもとしては、これを重く受けとめるべきだというふうに思っております。
 いずれにしましても、日本銀行としては、引き続き我が国金融システムの確固たる安定の確保と、新しいセーフティーネットができて、それによってそういったものが起こらないで、具体化されないで救われていくという方法を政府と協力しながら努力してつくってまいりたいというふうに思っております。
○北橋委員 私は、与党内の政治決着がつく前夜における非常に重要な場面におきまして、日銀総裁が体を張って正論を貫かれた、そのことに心から敬意を表する一人でございます。
 さて、そのときの大蔵大臣はどういう反応であったか。十二月二十四日、クリスマスイブのときでございますが、宮澤大蔵大臣は閣議後の記者会見をしております。そのときに、日銀の速水総裁が先日、ペイオフ延期は国際公約違反だ、新聞によれば、先に延ばせば内外の信認にかかわる、こういう表現をされたとも聞いておりますが、そういう見方を示されたことに対して、大蔵大臣は何とお答えになっているかというと、そのとおりだと思いますねと。つまり、ペイオフの延期は日本の信認を損ねるという見解を二十四日に示されているのです。
 私どもは大蔵大臣の言葉は非常に重いと思っているのですけれども、どうしてこれが変わったのでしょうか。
○宮澤国務大臣 前にも申し上げたと思いますが、この十三年の三月までというのは、平成八年ごろに、まず信用組合についてございまして、五年先のこと、その後これが広げられまして年月が進行したわけですが、多くの方が、大変先のことであるからというふうに、専門家は別でございますが、大して意識をしておられなかったように思います。
 そこで、昨年に入りまして、もういよいよ時間だということで、金融審議会がいろいろなことを討議していただきまして、それは要するに、これが予定どおり行われるための条件は何かというようなことについていろいろ検討をしていただいたことになるわけですが、私自身多少このことについての疑念を持っておりましたから、審議会には
恐縮ですが、夏休みを返上していただいて、そして暮れまでには、大体これなら安心してできるなという条件をできるものなら提示していただきたいというようなことを申し上げておったわけでございます。
 そのうちにだんだん、いよいよ十三年のことだなということを、私どもの党内でも、政界でも、経済界でも、いろいろお話しになるようになりました。そのときに問題になりましたのは、やはり、かつて都道府県の監督下にあった信用組合が、行政改革によって平成十二年の四月から国の検査を受けるようになる、監督を受けるようになるということになりました。それは昨年の夏ごろでございますけれども、そういうことが法制的に確定をしたということから問題は表面化したように思います。
 つまり、今まで、そう言っては語弊があるかもしれませんけれども、信用組合というのは決して国の金融の大きな部分でもありませんし、どっちかといえば地方的な存在であり、その預金についても一口千万円を超えるなんというのはほとんどないといったようなことでございますから、それに地方の監督でもあるし、まあ言ってみればそう大事に、これはシステミックリスクにかかわるというようなふうに考えなくてもいいということまでは、これは関係者の間に大体コンセンサスがあったと思いますが、ただ、私どもの党内あるいは政界等で議論をされることになりますと、信用組合というのはやはりその地域地域ではかなりの大きな存在であって、よかれあしかれというときもあると思いますが、かなり大きな存在でございますから、中央で考えているようにいわば十把一からげにしてもいいものではない、政治にかかわる人々はかなりそういうふうに認識をしておるということが明らかになりました。
 これは自由民主党に限らなかったと思いますが、そういう問題意識が出てまいりましたために、もしそれが平成十二年の四月に本当に国の監督に入るというのであれば、そのときにきちんと信用組合の中身も検査をし、そして破綻すべきものはしようがない、それから早期是正すべきものはそうしよう、金を入れたらよくなるというのならそうした方がいいではないかという、いわば信用組合に関係のある人たちからそういう議論が出、それが一般の金融にかかわっている人たちにもある意味で私は波及したのだと思います。
 つまり、年間に二十やそこらは毎年合併したり破綻したりしてきて、それはそれで仕方がない、中身もわからないしということであったものが、三百ほど残って、そしてこれがいよいよ国の所管になるということになりましたら、それだったらこれももう少しきちんとして、むしろ国の監督を受ける金融機関の末端ではあっても仲間に入れた方がいいのではないかというふうに考える人々が相当出てこられた。
 それについて、金融監督庁は、いわば監督官のトレーニングも非常に進みましたし、財務局を含めましてまたその増員ということも考えられる状況でありましたから、たとえ四月からであっても、一年あればそういう仕事はできるというふうに考えておられたと私は思っています。
 が、他方で、しかし四月からといっても、実際に帳簿書類等々が検査の対象になり得るのは六月からであろうから、六月から始めて、それを一生懸命やっていただけるとしても、検査そのものはともかく、その検査の後の処置ということまで、つまり先ほど三つの可能性を申し上げましたが、それまで平成十三年の三月までに全部し終わるかどうかということになると、それは、一生懸命やってもらうということはいいとして、さあどうだろうかという、これは割に真剣な形でそういう疑問が提出をされたというのが、先ほどお話しになりました昨年の暮れが迫りましたころの状況であったと思います。
 日本銀行総裁が、これは公約である、世間に対してそれを変えることはどうかと思っておられたことは私も存じておりました。したがって、新聞記者会見の質問でそうだろうと言われたときに、私は、今おっしゃったような返事をいたしたんだと思うのです。それは、そういうこととして処理することも一つの考え方であると思いましたけれども、他方で、今のような信用組合までいわば国の金融機関の末端として全部国の制度のもとに整備をしていこうというのは、これは確かに一つの新しい考え方だと思いましたので、そこで議論をいたしておったわけです。
 ただ、私自身は、そういう決定をすることが世界の何か日本の金融制度に対する信頼を裏切るような結果になるというほど、言葉は悪うございますがシリアスな問題だとは当時から考えておりませんでしたし、約束したことはそのとおりすることは好ましいということは疑いませんでしたけれども、ちゃんとした理由があって一年延ばすということであれば、私は、それは国際的な信用にかかわることではないだろう、他方でそう考えておりましたから、結局、各政党の間で御相談があってそうしようというときに、それは私にしてみると、金融監督庁がこれから信用組合の検査をされ、それから後の対応について検討されるにしては確かにちょっと時間が足りない、そのために一年が必要だということを言われる方々の御説には無理のないところもある、こう思いましたので、そういう決心をいたしました。
 したがいまして、先ほど、もう先々延ばすことはないんだろうなとおっしゃったお尋ねには、このような理由で私は再度延ばす理由は全くないというふうにお答えをいたしておるわけであります。
○北橋委員 このペイオフ、預金保険法の問題につきましては、これから残された時間、私どもが最も重大な関心を寄せる問題でございますだけに、いろいろ質問させていただきますが、私は、本会議で大臣の答弁をいただきまして、一言一句読み返してみたのでございますが、今御答弁がありましたように、信用組合の問題があって、今までは都道府県がやっていたので中身がよくわからない、四月から国が監督する、書類ができるのは六月で、検査をして早期是正なり破綻処理をする、そうして来年の三月までに終わるというのは、これはやはり無理だなと非常に率直に語られているのですが、宮澤大蔵大臣ともあろう人が信用組合のこのような実態を知らなかったはずがない、そう思うのですね。自民党を初めとして与党の皆さん方が、ペイオフ解禁の延期は信用組合を守るためなんだ、それをめぐる商工業者を守るためなんだとおっしゃるのでございますが、日本を代表する指導者である大蔵大臣は信用組合の問題はもう重々に御存じだったのではないか。
 私は、一体、予定どおり解禁をすると言われていたのがいつぐらいから大蔵大臣の気持ちに変化が起こったのか、ずっと新聞を見てまいったのですが、十二月十三日の日に越智金融再生委員長とお会いになっておられますね。ここで、信組は経営基盤が弱く破綻が相次いでいる、前回私どもが手心発言で追及をいたしましたけれども、あそこでもいろいろなことを言われておりましたけれども、信組というのが大変なんだということをおっしゃった。それに対して大蔵大臣は、信組はもう少し様子を見る必要があると述べられた。信組だけを特別扱いにするか否かでもめにもめたということです。問題は、大蔵大臣は、越智さんから提案を持ちかけられてもやはりペイオフは予定どおりと言っていらっしゃったのではないか、そう思うのですね。ですから、先ほどの、二十四日の日に日銀総裁と同じような認識を表明されたんだと思うのです。
 これはやりとりをしましてもせん方ないことかもしれませんけれども、私は、信用組合と、信用組合と一緒に頑張ってきた商工業者のためにというのは、政治家の一人としては状況はわからないでもありません。しかしながら、やはりこの問題について内外に大きな誤ったシグナルを出してしまった。そういった意味において、大蔵大臣には踏ん張ってほしかった、政治的ないろいろな動きに屈してほしくなかった、そういう思いを私は今強くしているわけでございます。
○宮澤国務大臣 私の立場をよく御理解の上でお話しいただいていると思いますので、一言だけつけ加えさせていただきますけれども、正直を言って、ちょっと語弊があったらお許しいただきたいのですが、今までの信用組合というものはまあそういうものであって、実際国の検査も行っていないし、年に二十やそこらはつぶれたり合併したりしているし、国から見ればあるいは金融全体から見ればそういうものであるというふうに考えてまいりました。ですから、これはある意味でシステムの中へ入れなくても大したことはないというふうに考えてきたことも正直言って本当でございます。
 が、しかし、本当に国の検査をして、そうして場合によっては資本も投入して、ちゃんとしたものにしようじゃないかということが現実になろうとしているときに、それならば国の金融システムの中に入れて考えた方がよろしい、毎年二十やそこらもつぶれていってもらったのでは困りますから、入れるのならきちんとしたものとして入ってもらった方がいい、そのどっちを選ぶのかということを考えておった、こういうことだけつけ加えさせていただきます。
○北橋委員 大臣の率直な御所見はよく承っておきますが、同僚委員より、またこの機会を通じましていろいろとやりとりさせていただきたいと思います。
 きょうは日銀総裁にお越しをいただきましたが、この保険業法の改正等の議論をいたしておりまして、セーフティーネットの再構築を図る、そして倒産法制を整備するということで、大わらわの作業をこの法改正でやっているわけでございますが、そもそも生保がどうしてこういう状況になってしまったのかという議論をしましたときに、それは、一部の企業には経営の失敗というものがあったかもしれませんが、何しろこれはもう国民ほとんどすべての者にとっての大事な財産でございまして、生保に対する信頼が東邦生命、日産生命の破綻で揺らいだということは極めてゆゆしき事態だと思っております。
 そして、政府とのやりとりにおきまして、何といっても、この生保、我々国民の安心という非常に大事な事業にとって最大の弊害は、やはり超低金利が続いたことによって逆ざやが大変になっている。平成十年度一兆六千億円、七年間で十兆円というとてつもないこの逆ざやのために生保の経営が行き詰まってきているということであります。
 きょう日銀総裁にお越しいただきましたのは、いわゆる低金利政策を続けるということは、一面においてメリットはあるということは私どもは承知しております。しかし、そのデメリットというのは、国民にとって重要な財産である生保、こういったものに対しても深刻な経営不安というものを惹起しておりますし、そしてまた、企業におきましては、通産省で四十兆円という試算もございますけれども、年金の積立金不足、これは、新会計基準の移行に伴いまして、企業社会にとりましては大変深刻な問題になっております。そしてまた、多くの家計にとりまして利子所得が減る。千三百兆円の中で、半分以上はお年寄りの貯金だ、こう言われております。この利子収入がこの数年間物すごく減っているということ、一方において銀行の業務純益は上がっているわけでございますけれども、いろいろな面で景気回復の足も引っ張ってきているのではないか。
 そういった意味で、超低金利政策というのは、合理的に考えて、果たしてこのまま継続してよいものであろうかという問題提起をさせていただいたわけでございます。
 そこで、総裁にお伺いしますが、日銀内部におきましても、去年の二月から始めておりますいわゆるゼロ金利政策、これについて去年の六月にも副作用というテーマでいろいろと議論をされたと聞いておりまして、日銀もこのテーマについては射程に入れていらっしゃるとは思いますけれども、総裁、このメリット、デメリットを考えて、副作用という問題についてどのように率直にお感じでしょうか、御所見を承れれば幸いでございます。
○速水参考人 御指摘のように、ゼロ金利は、これまで約一年余りやってまいりまして、いろいろいい面で効果が出てきておることは私どもも感謝して、よかったと思っておるわけですけれども、反面、長くなりますと副作用が出てくるわけで、当面具体的には、低金利が長引きまして、家計等で金利収入が減ってきている。
 日本は、家計の金融資産というのが昨年末で千三百六十五兆円、これは非常に大きなものだと思いますし、そのうち個人が借りているのは四百兆ぐらいでございますから、九百兆ぐらいのネットの金融資産を持っておるわけで、それの運用利益が出てこないというのは個人の家計にとりましてはかなり大きなマイナスであることは確かでございますし、コンプレインが出てくるのも当然の、自然の流れだというふうに思っております。そういう家計等への金利収入が、あるいは財団とか、今ちょっと御指摘になりました一部の保険なんかでもそうかもしれませんし、そういうものへの金利収入が減っているということは否定できないことでございます。
 二つ目は、やはり市場参加者の間で、ゼロ金利がいつまでも続いていきますと、モラルハザードといいますか、企業でも金融機関でもそうですけれども、金融システムが不安で立ち直らなければならないといったようなところで銀行が助かったという面はあると思いますけれども、それと同時に、企業もこれから立ち上がろうというときに低金利で資金が借りられるということがよかった面はあると思いますけれども、それがなれっこになりまして、いわゆるやるべきことを先延ばししていくといったような悪い面も出てきつつあることは否定できないところだと思います。
 三つ目は、これが今一番大事だと思うのですけれども、非効率な企業などで、それこそ創造的な破壊をしていかなければならない、構造調整、構造改革をやっていかなければならないといったようなところが、これを差し迫ってやらなくても何とか食べていけるということになりますと、構造調整をおくらせていくといったような点が副作用として私どもの心配している点であります。
 この三つのことを指摘できるかと思います。
 ただ、ゼロ金利政策が評価できる点というのは、こういう現象だけを単独に取り出して議論してみてもしようがないわけで、やはりプラスの面とあわせて、あくまでも経済全体としての関連で評価すべきことではなかろうかというふうに思っております。その点では、やはりゼロ金利政策のもとで金融機関の資金繰りが安定を保ってきましたし、株価は昨年の初めごろの水準から五割ぐらい上がっておるわけでございますし、企業の収益はふえ、家計のマインドも次第に改善しつつある、景気は持ち直しに転じつつあるというようなことをやはりメリットとして考えていただきたいと思います。
 こういうことを考えますと、トータルとして見れば、ゼロ金利政策は日本経済にいい影響を与えてきている。今後、景気の回復がよりしっかりしたものになっていけば、そのメリットは家計等にも着実に及んでいく。企業の収益が上がれば、設備投資もふえると同時に給与所得もふえていくわけでございますから、その点は、少しタイムラグがあるにしても必ずプラスになってくるというふうに考えております。
 ただ、これをいつやめるかというタイミングの問題につきましては、そういった総合的な判断をして決めていきたいというふうに思っております。
○北橋委員 ゼロ金利政策の解除のタイミングをどう考えるかにつきましては、私、日銀総裁の三月二十一日「「物価の安定」と金融政策」、この講演内容を十回ぐらい読んだでしょうか、要するに、日本経済は集中治療室から出ていないというような非常に厳しい認識をされておりまして、大蔵大臣や経済企画庁長官とは大分違った認識をされているなということを感じるのです。
 その場合、景気という場合に総裁が強調されているのは、民間需要を中心に自律的に回復するという見通しがしっかりしてくることが大切だ、こうおっしゃっておりますが、これは経済企画庁長官によりますと、その点はばっちりだというふうに自信を持って最近は語られているわけでございまして、大蔵大臣も、先は明るい、ことしの秋口から確かなものがあるというふうにいろいろな席で強調されておるわけです。
 総裁は、民間需要という場合に、基本的には個人消費と設備投資と両方大事だとおっしゃっているのですけれども、設備投資は確かに底はかたいものがあると思います。問題は、私がきょう生保と関連して申し上げているのは、消費というものが伸びないのではないかと民主党は考えているわけです。
 これを宮澤大蔵大臣に質問しますと、いろいろと含蓄に富んだ理論をお伺いしまして、今より悪くなることはない、こういう説明でもあるわけでございますが、私どもはもっと深刻に考えておりまして、今の政府当局に先行き不透明というこの六文字の言葉が全く欠落しているのではないか。
 やはり年金が切り下げになる、あるいは週刊誌とかいろいろなマスコミ、ニュースを通じて自分の大事な生保も危ないらしいとか、あるいは就職浪人で若い者の失業率が物すごく高いとか、そういういろいろ先行きの不安なことがいっぱい渦巻いている。だからこそGDP六割の個人消費が凍りついたままなんですね。
 先ほどからメリットというお話がございました。確かに株は上がったし、銀行もよくなったでしょう。企業の資金繰りもよかったと思いますけれども、この消費というものが健全に伸びていかないと、これら生産の現場から見ておりましても、確かに経営者にとっては、あるいは株をやる人にとっては大事かもしれませんけれども、やはり三百兆円の消費をどうやって大きくするかということに力点を置いていきませんと何も前へ進まない。そういった意味におきましては、九五年以来の史上最長の最低の金利を続けていくことについては、本当に、消費を伸ばしていくという意味から見てもう限界に来ているのではないか、こう私は思うわけです。
 いろいろ申し上げましたけれども、私がここで質問したいことは、第一に、大蔵大臣、経済企画庁長官、あるいは総理は、我々野党のいろいろな質問に対しても、経済はしっかりとした足取りで前に向かっているんだ、先は明るいんだ、設備投資に続いて消費もそのうちついてくるんだという、まさに自律的回復に向けての強調をされているわけです。それに従うならば、日銀総裁も、ゼロ金利の解除というのはタイミングがかなり早くなるのじゃないでしょうか。その辺の政府の景気回復の見通しをどのようにごらんになっていらっしゃるでしょうか。
○速水参考人 景気が明らかにここへ来て持ち直しに転じていると私どもも判断しております。こうしたもとで、企業収益の回復など、民間の需要をめぐります環境は改善を続けていると判断してもいいと思っております。
 もう少し具体的に申し上げますと、輸出の増加とか生産が増加しておるわけで、そういうものを背景にして企業の収益や業況感が改善してよくなってきている、それらを背景にして設備投資もおのずからふえてきている、雇用も減ることがとまっているのが現状かと思います。こうした点は、昨日の、私どもが四半期ごとに出しております三月現在での短観の結果においてもはっきり確認できたところなんです。
 ただ、設備投資が今後はっきりと回復を続けていくかどうかというところまでいきますと、もう少し見ていないとわからないなということがいたしますのと、個人の消費の回復感というのは、あの短観では余り消費のことははっきり出ないのですけれども、タイムラグがあって出てくるものだというふうに考えております。
 やはり企業収益がふえて給与所得がふえていく、あるいは、雇用もそんなに減らなくて済むというふうなところに来て初めて個人の所得がふえていくわけでございまして、所得がふえ、しかも物価が安定しているという状況になってくれば消費はおのずからふえていく、そこには必ずおのずからタイムラグがあるわけで、私は、消費はそれほど悲観しておりません。このままいって、やはり今でも安くていいものはどんどん売れているわけですし、流通の構造が変わって、流通革命といいますか、かつてあった価格破壊といったようなことが起こりつつあることも一部に見られるわけでございます。
 そういうものを全部うまく掌握して、消費がどう移っていくか、そして消費者のマインドがどう変わっていくかというようなことがもう少しはっきりしてきたところで、ゼロ金利の解除を考えたいというふうに思っております。
○北橋委員 予定しておりました質問項目が多岐にわたっておりますので、最後にもう一度お伺いしますが、私は、保険業法の審議を通じまして、あるいは最近の勤労者の職場生活をめぐる状況を見ておりまして、多年にわたっております低金利政策がいよいよ本格的な見直しのときを迎えつつある、こう思うわけです。
 問題は、日銀の今後の経済見通しがまだまだ非常に厳しいものをお感じになっていらっしゃるということなんですが、しかし、私は政府の肩を持つわけでは決してございません、これは財界にしても、あるいは労働界にしましても、いよいよ秋口ぐらいからことしの後半ぐらいには明るさが見えてもらわないと困る、そういう思いも込めて、かなりそういった期待感も強まってきているのですが、私は、そういった意味で、半年以内の間にデフレ懸念の払拭が展望される状況を見きわめられるのじゃないかとも個人的には思うのですが、それについての御所見を最後に承りたいと思います。
○速水参考人 いつになったらそういう状況になるかというのは、ちょっと私どももこの時点で何とも申しかねますけれども、先ほどもちょっとおっしゃったように、昨年の二月にゼロ金利をいたしましたときにはやはり国の経済は非常事態であったわけで、金融システムといいますか、山一や拓銀がつぶれる、あるいは長銀、日債銀がおかしいといったような金融不安の中で、しかもデフレスパイラルが起こりかねないといったような状態の中で、緊急措置としてゼロ金利というのはとったわけでございます。
 当時、公定歩合〇・五%、それから翌日物のコール無担保物が〇・二五というのでやっていたわけですけれども、もっと下がってもいいということで〇・〇二といいますかゼロ金利になったわけで、これは何といったってやはり異常な事態でございますし、病院でいえば、それこそ集中治療室に入ったという状況の中でとった措置でございます。
 今の状態は、そろそろ一般病棟に戻ってもいい時期じゃないかというような声も聞こえてきますし、私どもの中でもそういう判断をしている者もおります。その辺はもう少し総合判断で、みんなが、よし、ここまで来れば大丈夫だという状況になるまで、もう少し今のまま続けていきたいというふうに思っておるわけで、その辺はひとつ私どもにお任せいただきたいというふうに思っています。
○北橋委員 このほか、大量の国債発行が将来の悪性インフレにつながっていくのではないかという問題と、最近よく言われる調整インフレの問題についてもお伺いしたかったわけでございますが、また別の機会に譲らせていただきます。ありがとうございました。
 続きまして、保険業法の問題に入りますけれども、今回の法改正でできるだけ株式会社になるように支援をしていくという方向が出されたわけでございますが、今現在は大手を中心に相互会社で経営をしているわけです。その場合に、いろいろな提携、前向きに考えまして、A会社、B会社が共同出資で子会社をつくる、そこで業務ごとにいろいろな、新しい試行錯誤といいますか、営業活動、事業開拓に一生懸命取り組んでいるところが今幾つか出てきております。
 ところが、株式会社になるといいましても、時間がかかる、コストもかかるわけでございまして、今すぐにというわけにはまいらないので、相互会社の形態をとりながら、そういう前向きな試行錯誤を続けているわけですね。もう生き残りをかけて皆、各社必死でございます。
 そういうときに、今までの伝統的な業法の認可制という手法によりますと、思う存分、自由濶達に事業展開するのになかなか窮屈な面もあるようでございますので、この保険業法の改正を機会に、ぜひとも、相互会社で今現行の枠組みの中でもこういった前向きな提携、各社生き残りをかけた新しい試みに温かい配慮があってしかるべきではないか、監督行政のそういった配慮を求めたいと思うわけでございますが、いかがでしょうか。
○村井政務次官 全く北橋委員御指摘のとおりでございまして、保険会社は非常に多くの国民の老後の生活のよりどころという意味で大切な機能を担っているということに着目いたしますと、今回の法案で提案しております株式会社化ということで経営基盤をより堅固なものにする、そのための自己資本の増強、再編等に取り組む、こういう方向はもちろんそうでございますが、金融システム改革の中における保険会社のさまざまの利用者利便の向上等の努力、業務提携とか、そういったことを余り損なわないように、くじかないように、私どもとしましても十分な配慮をしてまいりたいと思っております。
○北橋委員 ぜひ、そういった前向きな試みに対して温かくサポートをするという姿勢で対処をしていただきたいと思います。
 さて今回、住宅ローンを契約するときの窓口で損保等の商品についても扱えるようにする。銀行の窓口における保険販売についても一部認められていくことが実現しているわけでございますが、この銀行の窓販の問題に加えまして、いわゆる消費者を保護する見地から、保険会社につきましては構成員契約ルールというのがあって、人生にとりまして二十年、三十年の長い契約でございますだけに、会社の上役だとかあるいは取引先から、強い立場の者から言われますと、どうしてもそういった保険契約を無理強いされてしまう、そういう日本の社会の実態に見合ったルールというものを提起してきたわけですね。
 それで、銀行の窓販につきましても、これが全面的に解除という方向は、もちろん銀行業界も言ってきたし、いろいろな評論家も言ってきているわけなのですけれども、やはり銀行の力というのは取引先からすると非常に強い。そこから言われると、やはり系列の保険商品というものを消費者は買わざるを得なくなってしまうことが多い。そういった意味で、窓販については規制があったわけですね。
 まず、銀行の保険販売につきましては、基本的に保険審議会で両論あって、もみにもんで一つの結論を出して、今回は慎重に一つの方向性を出したわけでございますが、私は、今後はこの拡大についてはやはり慎重な対応を図らないと、消費者、契約者を保護するという意味において多くの問題が生じるのではないか、このように感じるのですが、この方向性についてどうお考えでしょうか。
○大野(功)政務次官 一つ自由経済の流れというのがございますけれども、自由経済というのはやはり消費者保護でございます。そこで、自由経済の流れが仮に消費者の保護に全く反する場合、今北橋先生御指摘のような場合でございますが、これはうんと慎重に考えていかざるを得ません。銀行が優越的地位によりまして影響力を行使する、これでかえって消費者保護の観点が失われるようなことになったら、これはマイナスでございます。
 したがいまして、平成九年六月の保険審議会報告によりまして、二〇〇一年を目途に、住宅ローン関連の長期火災保険及び信用生命保険について、銀行等による保険窓販を認めることが適当とされておりますが、この中身につきましては、今後、保険審議会報告を踏まえつつ十分検討していく、このような予定になっております。
○北橋委員 ぜひ保険審議会の報告を尊重していただきまして、消費者、契約者を保護するという見地から、現場にもこんなことがあっていいのかというような事例が幾つか報告されていると思います。非公式には大蔵省も聞いておられるかもしれませんが、やはりいろいろな事例があるわけですね。そういったものをよく把握していただければ、今のところ、当面はこの審議会の報告の線を出ることは大変に難しいのではないか、このように考えておりますので、ぜひその線で行動していただきたいと思います。
 もう一つ、構成員契約ルールの問題についてお伺いします。
 これは、平成九年十一月二十八日、二年半前です。当時、福田さんは保険部長でございまして、私が、構成員契約ルールの問題について質問をさせていただいた議事録が手元にございます。時間が限られているのですが、このとき、福田保険部長と私とのやりとりにおきまして、私は、消費者、契約者を保護するために構成員契約ルールは重要なルールであって、これは存続すべきであるという主張をいたしまして、基本的に御賛同いただいていたと思うのですが、金融企画局長になられまして、いかがでございますか。
○福田政府参考人 お答えいたします。
 今御指摘の平成九年十一月の当委員会におきまして、当時保険部長といたしまして北橋委員にそのような答弁を申し上げたことは事実でございます。
 多少補足させていただきますと、他方で当時、行政改革委員会が並行して行われておりまして、その場で圧力募集の事例なども出されて、いろいろ議論が行われていたわけでございますけれども、このルールにつきましては、他方で非常な過剰規制であって、事業規制等ほかの方法で消費者保護を図るべきであるという強い意見も出されておりました。
 結果といたしまして、その後、九年十二月の行政改革委員会最終報告書におきましては、「今後、保険業法等において、消費者の意見を踏まえつつ、「圧力募集」に対処する他の実効性のある透明なルールを検討するとともに、構成員契約規制の撤廃の可否を含めた検討を行っていくべきである。」というふうな報告が出されておりまして、政府の規制緩和推進三カ年計画でも、金融審議会においてこの点についての検討を行うということになってございます。
 結局、この構成員契約規制の問題につきましては、日本的な企業風土のもとで、従業員の意識、みずからの意思で、自分の商品を選べるかどうかという点が問題になっているわけでございまして、この辺の実態がどういうふうになっているのかということが重要でございます。
 一方で、従業員なり消費者の意識が規制緩和等で大変変わってきて自律性を強めているという見方もございますし、最近、消費者契約法みたいな消費者保護の枠組みも整備される方向にあるわけでございます。しかしながら、圧力募集による弊害につきましては、どのような規制で対応するのがふさわしいか、やはり金融監督庁で把握されております募集現場の実態なども十分踏まえながら、慎重に検討すべきだと思っております。
○北橋委員 私は、何事も抽象的な議論ではなくて現実から出発すべきだと思っているのです。
 この二年半前にも、本人の意思にかかわらず圧力的に募集が行われているという事例を私も一部紹介いたしましたが、あれからまた、例えば、九九年の九月からだけで見ても、企業代理店による従業員の圧力事例、三十一件、たまたま私は耳にするチャンスがあったわけでございます。
 例えば、わかりやすい例を申し上げますと、ある電機メーカーの会社に行きますと、未加入者の氏名を壁に張り出したり、直属の上司が従業員を呼びつけて保険への加入を強要している、したがって解約が相次いでいる、従業員はクレームを言いづらい。あるいは、ある会社の代理店をしているところでは、その生命保険会社への加入勧奨が、上司の強引な指導で行われている。そういった事例がやはりたくさんあるのですね。
 こういった日本の企業社会、その風土におきましては、従業員が、取引先の関係だとか上司から言われますとなかなかノーとは言えない。しかも、それを公にして拒否をするということもなかなか言えない企業風土があるわけでございまして、そういった意味では、二年半前のときと状況は一つもいい方向に変わっていない。依然として、やはり生保も厳しいし企業社会も厳しいということで、手数料稼ぎのために激しく競争しているわけでございまして、そういったときだからこそ、やはり事後のルールでワークをするというのは限度がある。こういった銀行の窓販と並んで構成員契約ルールというのがなくなってしまうならば、やはり現場においては大変な、消費者の利益が侵害されるケースが出てくるのではないか、こう思っているわけです。
 そこで、この所管は谷垣大臣になるのでしょうか、村井次官の方でございますか。規制緩和の大きな時代の流れはよく承知をしているわけです。しかし、規制緩和もやはり経済的な一部の特権を守るようなものもあれば、あるいは、環境でありますとか安全性でありますとか、消費者を保護する、これからもディレギュレーションの中でも、大事なものを守るという意味合いも一方においてあるわけでございまして、私は、この生保の問題というのは、そういう守るべき消費者保護の利益のためだ、こう考えているわけでございますが、そういう視点に立って政府内部で議論を貫いていただけるでしょうか、御所見を承りたいと思います。
○村井政務次官 制度問題につきましては、先ほど福田局長からお答えしたところでございますが、私ども執行官庁の立場で申しますと、保険業法第三百条第一項九号、それから、保険業法施行規則の二百三十四条二号等々によりまして、ただいま御指摘の構成員契約でございますけれども、これにつきましては原則として禁止するということになっているわけでございますから、私どもといたしましては、金融監督庁としての日常業務の中で、ヒアリングなどを通じまして、代理店の従業員等への圧力募集等の存在がありましたときには、これに対しまして厳正に対処をしてまいる、こういう方針でございます。
○北橋委員 ぜひその方向で頑張っていただきたいと思います。
 次に、預金保険法の改正にかかわる問題でございますが、既に私は本会議におきまして、日本版ペコラ委員会というものが必要であるということを申し上げたのですが、たまたま先日私の事務所に、日債銀の株と金融債を全財産、実は親友がいたそうでございまして、その方から頼まれて購入をして、そして地獄の果てまで日債銀とつき合ったという方から泣かんばかりの陳情を受けたところでございます。私は、この問題については、既に司直の手にゆだねまして、逮捕そして起訴もされておりまして、今後裁判所におきまして真相が解明されていくとは思うわけでございますが、果たして国会は、司直の手にゆだねられたからといって何もしなくてよいのだろうか、そのことを強く感じるわけでございます。
 そこで、日債銀で、民事、刑事上の責任を追及するために、弁護士さんから成る内部調査委員会が設置されて、そこから調査書が金融再生委員会に報告をされた。その三分の一くらいがマスコミに報道されまして、さらにそのエッセンスの抜粋といいますか、これを読んでみても、一体なぜあれだけひどい不良債権を膨らまして、ひどいルーズな経営実態のもとで、結局三兆円の国民のツケが回っていったのかという、解明にはほど遠い内容の四十六条の報告はありますけれども。
 やはりこの問題は、大蔵行政がどうかかわっていたのか。日債銀につきましては宮澤先生の名前は決して出てきませんけれども、多くの有力な政治家の名前がいっぱい出てくるわけでございまして、政治銀行という異名をとったぐらいでございます。そういった意味におきまして、果たして立法府あるいは行政におきまして、日債銀の破綻に至る経緯について、二度とこのようなことを繰り返さない、そのメカニズムをきちんと解明して、国会としても、三兆円も支払っていただく納税者に対して説明をする義務がある。そしてまた検察の方も、間違いなく立件できる直近の者にしか有価証券の記載の不実は追及していないわけでございまして、その前のところで、これは本当にもう地獄のような気持ちで毎日を泣いて送っている人たちがたくさんいるわけでございまして、そういった意味におきましても、今後民事の裁判もこれからあろうかと思いますけれども、やはり国会として、そういった被害を受けられた方あるいは納税者に対してきちんと説明をするという意味におきまして、この調査書の全容を国会に提出していただきたいと思うわけでございますが、谷垣大臣、いかがでございましょうか。
○谷垣国務大臣 日債銀では、金融再生法の五十条で、旧経営陣の民事上、刑事上の責任の追及を図る。そのために、去年の一月二十七日に、経営直轄の独立した委員会として内部調査委員会をつくりまして、部外の弁護士四名、それから公認会計士一名を委員とする構成でございますが、そこでいろいろ、経営陣に調査依頼を受けて、調査報告書を提出していることはおっしゃるとおりでございます。
 ただ、これは確かに国会としても、これだけの不良債権をこしらえ、あるいはこれだけの公的資金を投入しなければならなかったのだから、責任を明らかにしろ、それは確かに耳を傾けるべきところ、私も共感するところは多々あるのでございますが、この報告書は現経営陣への報告を目的として作成されたというだけではなくて、日債銀の取引にかかわる個別会社とか、あるいは取引内容についてまで詳細に記述されておるもので、結果として問題とならなかった個別事案についての検討状況も含まれている、こういうふうに聞いております。こうしたことから、第三者の権利を害するおそれがあって、また銀行も守秘義務というものを持っているわけでございますから、報告書自体の公表というのは、これは困難である、残念ながら私はそう思っております。
○北橋委員 今の説明には納得がいきません。個人名、企業名を全部出す必要は全くないわけで、それは伏せて、仮の名前でよろしいわけですね。
 私はあえて今、富士銀行でもなく長銀でもなく、日債銀を取り上げたのですが、これはいろいろな見方があるでしょうが、日債銀の粉飾の事件というのは、大蔵省がかなり早い段階からひどい状況を察知していた。そのやりとりの中で、不良債権が五年で五倍になるとか、大蔵省が時間稼ぎを了承していたのではないかとか、大蔵とのかかわりが取りざたされているのですね。だから、大臣はそういうことを念頭に言われていないと思いますけれども、痛くもない腹を探られるわけですね。やはり国会というのは何のためにあるか、司直がやっているからもうそれで終わりだ、果たしてそれで、三兆円のツケを回すことになった真相を解明せずに本当にいいのだろうかという気がします。
 したがいまして、時間がもう来ておりますので終わらねばならないのですけれども、私はこの問題は引けない問題でございます。何も名前を全部出せとか申しません。マスコミには三分の一出されたでしょう。それだけでも、例えば大蔵省とのかかわりなんかが出ている。もっと、三分の二でもいいですよ。政治家とのかかわりも出てくるでしょう。たくさんの報道記事もあります。とにかくこの国会におきましてそれを調査するという場を設けて、その場に可能な限りの分量の調査書をお出しいただくように改めて要求をいたしまして、御答弁がありましたら、それを聞いて終わります。
○谷垣国務大臣 今、詳しい資料をもっと出すようにという御請求でございますけれども、内部調査委員会の報告書は、昨年の七月二十三日に、それを受けまして、旧経営陣を証取法違反、有価証券報告書虚偽記載ということで捜査当局に告発しておりますし、また、民事責任の追及に関しましては、内部調査委員会の調査報告書は、提訴すべしとする案件はないということに実はなっていたのですが、日債銀においては、金融再生法の趣旨にかんがみて、監査役会において、調査報告書で問題の指摘を受けた案件について引き続き調査検討を行っている、こういう段階でございますから、一方で刑事責任が追及され、民事責任に係る調査や検討が進められている段階で内部調査報告書を公表するというのは難しい。そこはさっき申し上げたとおりですが、長銀に関しては概略版というのを御報告申し上げているわけです。
 では概略版はどうかということになりますと、今現にそういう、あと民事責任ができるかどうかということをやっている最中で概略版を公表することは、これはまた困難であろうと思いますが、日債銀は、民事責任に係る検討状況を踏まえて、しかるべき段階で当該概略版の対外公表を検討する方針である、こう聞いておりまして、金融再生委員会としても引き続き情報の把握を図って適切に対応していきたい、こう思っております。
○北橋委員 時間がないために、なぜこれが必要かということについて十分説得力のある議論ができなかったことを大変残念に思っております。
 委員長、ぜひ理事会におきましてもこの問題、重要な資料の提供にかかわることでございますが、御協議をいただければありがたいと思います。
○金子委員長 委員長がお預かりします。
 これは極めて政府側の問題であると思いますので、お預かりさせてください。
○北橋委員 ありがとうございました。
○金子委員長 次に、上田清司君。
○上田(清)委員 先ほどの午前中の参考人の陳述を受けまして、幾つか質疑をさせていただきたいと思います。
 一つは、驚きではあったのですが、九月末までの上半期の部分が六千八百億でございましたので、このペースであると、国民との約束あるいは経営健全化計画の予定までいかないのではないかというふうに思っておりましたところ、四兆八千四百六十五億から五兆三千六十五億までの見込みを急遽発表していただいたわけでございますが、この中身についていささか、さきに、信用金庫あるいは地銀、信組のそれぞれの協会長からお話を聞いても、赤字企業ばかりで融資額が減っている、このようなことを述べておられましたし、さまざまな統計からしても、どうも合点がいかないというふうに思っております。
 再生委員長、率直に、この発表された金額についてどのような御感想を持っておられますか。多いと思われているのか、それとも当然だと思われているのか。
○谷垣国務大臣 きょう午前中の当委員会の参考人に対する質疑の中で、杉田全銀協会長が、暫定版ということであろうと思いますが、概略の数字を報告されたということは承知をしているわけでございます。
 私自身も、率直に申しますと、前が六千八百億、約七千億弱でございますから、果たして三兆の目標というのは到達するのかな、また、到達しなかったときに当委員会でどのように御答弁を申し上げればいいのかというようなことを実は非常に悩んでおったことは事実でございます。
 それで、きょうこの数字を見まして、こういうことを言ってはいけないかもしれませんが、ある意味では安堵の思いもしたというのが正直なところでございますが、他方、今まで達成できなかったのに急にこれだけになっているのはどういうことかという御疑問が恐らくあるのだろうということを、私も、午前中の質疑等を通じまして事務方の者から聞いております。
 この数字の性質につきましては、実勢ベースである、あるいはどうだというような議論がございまして、いろいろな不良債権処理の数字を入れたものでございますので、結局、三月三十一日末の確定した数字が出なければ、本当のところはどういうものかはっきり把握ができない面があろうかと思っております。
 それと同時に、確定数字ができましたら、私どもは、その分析、それからどういう状況で中小企業向けの貸し出しがふえたということも、もう一回きちっと聞かなければならないと思っておりまして、それを超えたコメントは、今正直言って申し上げにくいなと思っております。
○上田(清)委員 実は、私どもの選挙区でも、昨年の九月末に、ある銀行から私どもの友人に、黙って二千万借りてくれ、そして二、三日後に返してくれということがございました。そして、私、十日前にもまた一つ、私の後援者のところを歩いていましたら、その話を承りました。
 何かそういうことで組織的にやっておられるのか、たまたまの事例なのか、少し気になるところでございますので、この委員会でこういう指摘を受けたということをとめておいていただきたいというふうに思っております。もし組織的にいたずらに数字を合わせるためにやっていたということになりますと、これまた大問題でありますので、いささか気にしていただきたいというふうに思います。しかるべき方でございますので、しかるべきところへ出ても構わないと言っておられますので。
○谷垣国務大臣 今上田委員がおっしゃったようなたぐいの件については、私自身は承知はいたしておりませんが、今後、この数字の意味するところは何なのか、私たちも十分報告を受けて研究したいと思っております。
○上田(清)委員 実勢ベースと残高ベース、先ほど別枠で説明いただいたのですが、私の理解力不足と、六年に及ぶ野党生活で疑いっぽくなっているのか、素直に聞き入れられないのか、まだどちらかわかりませんが、後でまた議論をさせていただきたいと思います。
 ただ、一つ気になるところが、よく話題になっているところの銀行の職員や役員の給与が、包括的に、業態別だとかあるいは十五行ベースだとかいう形では発表されるのですけれども、個々のベースでなかなか発表されないということもございまして、先ほど私も申し上げたのですが、公開できないというようなことを全銀協の会長がはっきり申されたところでありまして、極めて不快感を持っているところであります。
 例えば、具体的な事例を挙げて、健全化計画の中で、平均職員の給与でありますが、十一年三月末に四十六万八千円が、十五年の三月末には四十六万二千円で、わずかに六千円ではないかというようなことを申し上げたところ、新規採用とかを抑えて全体的に高齢化しているので、なかなかそういう数字が上がらないんだというような御説明をされたのであります。
 まさしく、こういう疑いを持たれないためにも明らかにすべきではないかということを私は申し上げますが、金融再生委員会の方で幸い、健全化計画という形で御指導されている経緯がありますので、こうした包括的な、各行ベースでない、あるいは各行ベースであっても極めて具体的に見えない計画書の提出じゃなくて、もっとオープンなものを提出されるようなことを要求されたらいかがかと思いますが、このことについては金融再生委員長はどのようにお考えでしょうか。
○谷垣国務大臣 給与等についてもう少し個別的な資料を要求せよ、こういうことであろうと思いますが、健全化計画の中では、これは委員からおしかりを受けるかもしれませんが、概算という全体をまとめた形で、例えば役員の給与だとどうか、こういう形で決めておりますのは、これはやはり個々の職員のプライバシー等もあろう。それで、全体の健全の計画化という観点から見れば、例えば役員にはどれだけの報酬を支払っているかということを押さえれば十分ではないか、こういう観点から計画を立てておりますので、これもまあそんなところではなかろうかというふうに私自身は思っております。
○上田(清)委員 答えは要りませんが、個々の、一人一人の給与を出すわけじゃありませんので、プライバシーとは関係がないということを私は申し上げたいと思います。
 そこで、これはやりとりしていても仕方がありません。もう少し、世の批判をしっかり受けるんだということを銀行協会の方々に感じてもらえれば、それでいいと思います。世論を敵にしてよく仕事ができるなと私は申し上げたいと思います。
 それで、先週の宿題でございますが、幾つか宿題を出させていただきましたので、確認をさせていただきます。
 いわゆる朝銀でございますが、その前に、文部省の方が来ておられますので、たった一件でございますから、まずこの件から片づけたいと思います。
 既に御案内はしておりますけれども、兵庫朝鮮学園に支出された補助金関連でございますし、また貸付金関係でございますが、まず補助金の方からお伺いします。
 この補助金について、実は、あえてこのことを申し上げているのは、他の朝鮮総連系の学校法人がやたらめったら担保に入っておりまして、そして、その担保に見合う額をその学校で使われている形跡が見えないという具体的な事例がございます。文部省から私学振興財団を通じて出された補助金や貸付金がその目的に沿ってきちっと使われているかどうかということについて確認をしたいもので、このような場に来ていただいたわけであります。
 まず最初に、補助金の部分ですが、この部分については問題はなかったでしょうか。
    〔委員長退席、根本委員長代理着席〕
○石川政府参考人 お答えを申し上げます。
 阪神・淡路大震災の復興のため、当時、学校法人または準学校法人が設置する専修学校及び外国人学校に対しても、災害復旧に係る施設の整備のための経費の二分の一を補助する国庫補助制度が設けられたところでございまして、学校法人兵庫朝鮮学園に対しましては約八億円が交付されております。
 この補助金につきましては、学校法人から提出されました事業計画書に基づきまして、文部省において、事前の現地調査を踏まえまして、損害額の認定を行いますとともに、事業の完了につきましては、兵庫県による復旧状況並びに復旧に要した支出内容についての確認が行われているところでございまして、事業は適正に行われたものと承知をしております。
 また、文部省に対しましても実績報告書が提出されているところでございます。
○上田(清)委員 貸し付けについてはいかがでしょうか。
○石川政府参考人 貸付金についてのお尋ねでございますけれども、貸付金につきましては、特殊法人日本私学振興財団、現在は日本私立学校振興・共済事業団というふうに変わってございますが、そこから、先ほど申し上げました補助金の交付を前提といたしまして、当該学校が負担することとなる経費などについて約十億円の融資が行われたところでございまして、これにつきましても、その融資の結果について財団の方に実績報告書等が提出されて、その事業が行われたということがきちっと確認されているところでございます。
○上田(清)委員 貸し付けの分は、文部省が確認したのですか。
○石川政府参考人 貸付金につきましては、確認をしているのは財団の方でございまして、冒頭に申し上げましたように、これは補助事業の裏づけとして行っておる融資でございまして、補助事業も適正に行われているところでございまして、あわせて適正に行われているものと承知しております。
○上田(清)委員 承知していると言うのだけれども、確認しているというのと承知しているというのはどう違うのですか。よく承知している承知していると言うのですけれども、よそから聞いてきて、何となく聞いたというような感じのイメージなんですね。だから、そんなふうに使われるのが一般的みたいですけれども、余り好きじゃないなということだけ言っておきます。
 とりあえず結構でございますので、またお伺いする機会があるかと思います。どうぞ退席してください。
 それでは、早速ですが、これは村井総括政務次官になるのでしょうか、朝銀が独立した信組かどうかということについての疑問を提出させていただいたところですけれども、あの時点ではそうだというふうに理解していますということでございますが、私は、独立していない証拠を幾つか、私なりの証拠を提出させていただきましたので、その後、お考えが変わったかどうか。
○村井政務次官 私どもが現在持っておりますさまざまのデータでは、やはり独立した法人、このように認識をいたしております。
○上田(清)委員 それでは、繰り返しますけれども、例えば、朝信協の本部の副部長をやった方が、岡山の副理事長をやって、兵庫の副理事長をやって、山口の副理事長をやるとか、明らかに他のエリアにわたって二つも三つも転任していくというのは、これは普通の信用組合であり得る現象なんでしょうか。それだけ聞きたいのです。
○村井政務次官 いずれにいたしましても、協同組合法に基づきまして、手続的にきちんと選任がされているなら、そういうこともあり得ることかもしれないと思います。
○上田(清)委員 私は総括政務次官の意見を聞いたのであって、今のは意見じゃないんじゃないでしょうか。
○村井政務次官 もう一度申し上げますけれども、協同組合法に役員の選任の仕方などはきちんと規定されておるわけでございますから、それに従って選任が行われているということであれば、それは直ちに問題であるというふうには言えないのではないかということを申し上げております。
 私の意見でございます。
○上田(清)委員 一週間という期間ですので、十分確認ができたかどうかわかりませんが、例えば、資料を提出させていただきました、幾つも渡り歩いている副理事長や理事長、そういう信組で適正に選任をされたという事実だとかそういうのを確認されましたか。
○村井政務次官 残念ながら、選任に関する書類まで私ども確認をいたしておることではございません。
○上田(清)委員 先般申し上げましたように、半端な額が朝銀近畿に贈与されたわけではありませんので、これはやはり大事な、重要な問題だというふうに私は思っております。ぜひ、せっかく四月一日から金融監督庁に権限が移譲されたわけでございますから、早速調べていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 そこで、私もこれはちょっと確認しようと思っておったのですが、法的に確認できなかったもので、エリア以外に、福岡の朝銀信組が東京の事業者にあるいは東京の不動産を担保に貸し付けができるのかどうか。これは事務方でも結構でございます、法的に可能なのかどうか。
○乾政府参考人 信用組合の場合に、活動の地区というものが決まっているわけでございますけれども、一般論で申し上げますと、信用組合の組合員資格を有する者は、中小企業等協同組合法によりまして、その地区内において事業を行う者とされているわけでございます。
 したがいまして、事業者の支店等が地区内にある場合には、本店所在地にかかわらず組合員資格を有することになりますし、また、実際、地区にない場合には、そういう事業者を組合員とすることはできない、そういうことに法律でなっているわけでございます。
○上田(清)委員 そうすると、先般私が御指摘させてもらいましたように、もう既に法令違反が幾つもございますね。
 例えば、東京の文京区の白山の物件で、ここには朝銀大阪と朝銀神奈川が貸し付けをしております。半端な額じゃありませんよ。それから、八王子にあります朝鮮総連中央学院、ここには、朝銀東京以外にも、神奈川と朝銀福岡が貸し付けをしています。すぐ調べていただきたいと思いますけれども、この事実関係を、私、資料を出しておりますから、どのように確認されましたか。
○乾政府参考人 個別の問題につきましてはお答えを差し控えさせていただきたいと思いますけれども、いずれにいたしましても、金融監督庁といたしまして、四月一日に信用組合の監督権限の国への移管が行われたわけでございますので、朝銀信組を含む信用組合に対しまして、他の信用組合と同様、法令にのっとりまして適切な監督を行ってまいりたいと考えております。
○上田(清)委員 今申し上げましたように、既に法令違反がある事実が判明しております。これはきちっと検査をしていただきたいと思います。再検査していただきたいと思います、資料も提出しておりますので。
 だれが見てもおかしい。なぜ福岡の朝銀福岡が東京の土地に担保貸し付けをするのか。こういうことが現に行われている。朝銀大阪が東京の白山の朝鮮出版会館という土地建物に担保を持って貸し付けをしている。この担保の貸し付けについても、もう既に普通の民間銀行がたくさん貸し付けた後に、二重三重四重とべらぼうに融資をしているという状況にございますので、いろいろな角度から不審な部分がございます。
 それで、特に、朝銀大阪の破綻のときに近畿が受け皿になったわけですが、この朝銀大阪の破綻について、これは当時は大阪府がやっておったということで、金融監督庁は十分把握されておらないというようなことも御答弁の中で言っておられました。しかし、改めて、担当になられたことでございますから、今すぐ回答を出せとは申し上げませんが、さきに資料として大阪府高槻市の登記簿をコピーでそちらの方にお渡ししているかと思います。これもたくさんの融資がついておりまして、地域の実勢価格やその他をいろいろな角度から研究しても、べらぼうな過剰融資だというふうに私は理解をしておりますから、先般言ったとおりでありますから、こういうのは過剰融資というのか。
 ついでに申し上げますが、過剰融資の件で一番わかりやすいのは、大野次官の選挙区だというふうに聞いておりますが、調査というものでもありませんが、国土庁の方からお示しいただいた一平方メートルの時価との比較の中において余りにも、一平方メートル二万二千円ということでございますが、こちらでは六十三坪で四階建てのビルでありますが、二十九億という貸し付けがなされておるということ、これはどう見ても過剰貸し付けではないか。
 こんなことは判断として物が言えると思いますので、一般論で結構でございますから、この土地がどうのこうのじゃなくて、例えば実勢価格が二万円なのに、仮に五十坪だったら百万円だ、例えばそれに十億貸し付けがつくなんというのは、やはりべらぼうな話だということを普通の人は思う。そんなふうに金融監督庁は思うのか、思わないのか。少なくとも、この香川の件に関してはわかりやすいと思いますので、ぜひお答えをしてもらいたいと思います。
○村井政務次官 いずれにいたしましても、上田委員から三月二十九日でございましたか御指摘がございまして、また別途資料もちょうだいしておりますので、もう少しよく私どもとしても調べさせていただきたいと思います。
 御指摘は、例えば今香川県の問題とおっしゃいましたけれども、土地の価格について前回は御発言がございましたが、後で調べてみますと、これは上に上物が乗っているわけでございます。そういったこともございますし、共同担保だというような問題もございます。いろいろまだまだ何とも判断をいたしかねる問題でございますので、なお研究をさせていただきます。
○上田(清)委員 漠という数字をある程度出してもいいのかなというふうに私は思ったりしておりますが、どうしても丁寧にお答えしていただくということであれば待ちます。
 次に、政党活動との絡みの中で学習組の話をさせていただきましたが、愛知の朝銀の事例の中で、裁判の中でさまざまな文献ができてきておりますので、その点について研究するという御答弁でしたが、これもまだしばらく研究ということでよろしいですか。
○村井政務次官 協同組合と政治的行動とのかかわり合いということでございますけれども、御指摘の学習組なるものの実態でございますとかそういった点も、私どもとしましてもよくまだわかりませんし、また、さらに申しますと、私どもが判断をして違法性ということが言えるのかどうか、そのあたりのところももう少し研究をさせていただかざるを得ない問題だと思っております。
○上田(清)委員 現実に資料を私の方で提出させたのがきのうでしたので、この点についてはまた来週あたりにでもお願いしたいというふうに思っておりますので、何とか来週じゅうにきちっとしたお答えが出るように待っておりますので、きょうのところは容赦させていただきます。
 それでは、私がずっと私自身の宿題にしておりましたなみはや銀行の問題でございますが、これは、ちょっとこの問題が片づかないとよく眠れないということでございますので、どうしても当時納得がいかなかった件でございまして、やはりそのとおりになってしまったという、これは典型的な当時の大蔵省の失敗であります。大臣も何かの席で、行政の責任があるかといえばある、こんな御感想も述べておられたことを私は記憶しております。
 もう概略を説明する必要はありませんが、まず気になるところは、旧福徳銀行と旧なにわ銀行のそれぞれの責任ある人が逮捕されているというような形であります。その中身は、いわゆる不正融資を行ったということでありまして、そこで申し上げたいのは、この特定合併を進めるときの検査のあり方であります。
 なぜ、専務や頭取が逮捕されるような不正融資が行われていることが見抜けなかったのか。しかも、このとき少なくとも、豊富建設工業というのでしょうか、九八年九月二十一日に、これは常務会で審査されたときに決裁をされているわけでございますけれども、その一年前に監査役四人の中から、問題融資を監査役が忠告している経緯があるのですね。そういうこともありながら、なぜそれぞれの銀行が正常な状態だということをもって合併されたのか、改めてその点を聞きたいと思います。
○村井政務次官 まず、福徳銀行でございますけれども、これにつきましては、十年三月三十一日現在をもちまして当時の大蔵省による資産内容の検査が行われているわけでございます。これによりますと、一分類が一兆六百九十二億円、それから二分類が四千百六十八億円、三分類千八百五十七億円、四分類が百三十六億円ということでございまして、結局のところ、総資産額一兆六千八百五十四億円のうち、一兆六百九十二億円が非分類資産ということになっております。
 それから、なにわ銀行でございますけれども、これにつきましても、同じように十年三月三十一日現在で同じような検査が行われておりまして、これはちょっと省略して申し上げますが、総資産四千四十八億円のうち非分類資産額が三千三十六億円、そして分類資産額が一千十一億円ということでございまして、要するに、両行ともこの検査結果では債務超過ではないということでございました。
 これにつきましては、どうしても申し上げなければいけませんのは、当時、この検査におきましては償却あるいは引き当ての適切性については確認を行っていないのでございます。この点が現在の検査と違うということでございまして、そういうことで本当の実態を把握するに至っていなかったということは事実だろうと思っております。
○上田(清)委員 確かに、当時、過少資本であるけれども債務超過ではない、こういう御答弁をいただいていたことも記憶しております。ただ、当時も相当議論しておりまして、不振行同士を合併させて本当によくなるのか、こういうことを私どもも言っておりましたし、むしろ事態をますます悪化させることになるのではないか、あるいは銀行のモラルハザードを誘うだけではないか、こういうことを申し上げておりました。
 そこで、もう一つですが、当時の預保が買い取った不良債権の三千十八億、この金額について、今から見ればということも言えるかもしれませんが、当時の買い取り価格でありますが、たしか約三千十八億だったと思いますけれども、この買い取り価格は今日見て適正だったのかどうか。――そうか、これは預保じゃないと無理なのか。忘れていました、松田理事長を呼ぶのを。では結構でしょう、しようがないですね。
 それではもう一つ、監査役の忠告について先ほどちょっと申し上げましたけれども、これについて当時の大蔵の検査の中でこのような話を確認されておられるかどうか。
○村井政務次官 私どもの立場は、当時の大蔵省のやっておりました検査業務が全部金融監督庁に来ている、こういう立場から御答弁申し上げているわけでございますが、今ちょっと突然のお尋ねでございまして、そのあたりのところは確認をする情報を今私持っておりませんので、これはちょっとお答えを差し控えさせていただいた方がよろしいかと存じます。
○上田(清)委員 このぐらいのことは大体確認されているのかなというふうに思っておりました。
 それでは、もう一つですが、結局、合併から半年の間に不良債権額が一千億上積みされたというふうなことが一番の破綻の原因ですが、この一千億上積みされたのは、さっきちょっと次官が申された、査定の仕方が変わったからそうなったのか、それとも査定を意図的に甘くしてごまかしたのか、あるいは、なみはやというよりも、当時の福徳、なにわの隠し方がうまかったのか、どちらなのか。今ちょっと三つ申し上げましたけれども。
○乾政府参考人 先ほど政務次官から答弁申し上げましたように、平成十年の検査時におきましては、その分類を行っておりますけれども、償却、引き当てというのは当該銀行と監査法人が行うということでございまして、当該銀行と監査法人が行いました償却、引き当ての結果、両行は債務超過ということではございませんでした。それから、平成十年十月に合併いたしましたけれども、その後平成十一年三月期の当庁の検査におきまして、償却、引き当てをしてきたところ、債務超過という判断が下されたものでございます。
 その間につきましては、平成十年の合併の前後から、やはり先ほど先生も御指摘になりましたようないろいろな取引と申しますか、そういうものがあって資産内容を悪化させたということもあろうかというふうに考えております。
○上田(清)委員 必ずしも今明確な答弁じゃなかったような気がいたします。
 当時、両行が合併することによって著しく体力が強化されることになりますというようなことを橋本総理が言っておられました。何らかの形で、なぜそうなのかという基準を明確にしないままやっておると大変なことになりますよというようなことを御指摘させていただいておりました。
 実は今、関連の、これはこの最後に私はやりたいと思っておりますが、やはり裁量というのでしょうか、基準が後でつくられていくという部分がたくさんございますので、お金をつぎ込むお話のときにきちっとした基準をつくり損なったところに、このなみはやの失敗があるというふうに私は個人的に総括しております。
 そういう意味で、また議論をさせてもらいますが、このなみはやの問題に関してはもっときちっと金融監督庁が総括をしなきゃならないと思いますよ。あのときは、何が何でも合併させてくださいといって、基準も内部文書もない、とにかくこういう方法を一つの方法として考えさせてくださいという、とにかく論でしたから、はっきり申し上げて。そんないいかげんな合併が失敗したということですから、そういう意味で、私は、ぜひもっと総括することを要望したいと思います。
○村井政務次官 あえて申し上げれば、当時の特定合併でございますけれども、これを支えるだけのきちんとした検査の体制なりルールというようなものが、委員御指摘のようにきちんと整備されていなかった、これは私は確かに一つの問題点だと思います。
 そういう反省に立ちまして、この特定合併制度というものも、御案内のとおり既に廃止をいたしておるわけでございまして、そういう意味では、私どもとしましても、今委員、総括と言われるわけでございますけれども、十分反省もしているつもりでございます。
 なお、なみはやは、こうして合併しながらなぜつぶれたかということでございますけれども、先ほど監督部長からもお話し申し上げましたように、検査の段階で必ずしも引き当て等々がきちんと行われていなかった、その確認ができなかったという問題もございますが、さらには、専務でございますか、元の役員が逮捕されるとかいうようなところから預金の流出なども非常に急速に進んだ、こんなところから非常に状況が悪くなったということが、最終的に破綻の申し出を金融再生委員会にするという事態に立ち至ったのだと思っております。
○上田(清)委員 そういうこともさることながら、どちらかといえばそれは後知恵というのでしょうか、根本の話じゃない。
 当時の大蔵行政の中で、関西地区におけるいわば過少資本の、あるいは当時既に例えば幸福銀行も債務超過にあったということもきちっと示達書にも出ておったにもかかわらず、それを隠して事業を進めさせ、またそれぞれの関西地区における弱った金融基盤の銀行を何とか救済するためにこういう仕組みを、どなたが考えついて大臣にそれを推し進められたのか私はわかりませんが、しかし、近畿財務局を中心とする大蔵の検査能力や、あるいはこの近畿財務局の財務局長をやった方々ほど接待丸漬けになった現実もございます。
 何かそういうところに関西の魔物的なもの、関西出身の方ごめんなさい、魔物的なものがあったのかどうかわかりませんが、どっちにしても非常に不明朗な部分がなみはやにあった、そして幸福にもあった、このことだけは否めない事実ですから、そこのところを、たまたま逮捕が出たから資金の流出が云々とかということではなくて、やはり根本が間違っていたということを反省しない限り、本当の意味での金融行政はあり得ないということを、あえて申し上げておきます。
 それでは、預保の一部改正について、幾つか気になるところを質疑させてもらいます。
 まず、協同組織金融機関に係る資本増強の一年延長でございますが、なぜこの部分について一年延長なのかということについて、これは本当に意味があるのかどうか、非常に疑問がございます。資金量が小さいところが全体の金融システムにかかわるのかどうか。むしろ、このことを延長することによって、いわば金融機関の再編成や近代化、そういうものを妨げるのではないかというふうに私は理解しておりますので、この件についてお伺いしたいと思います。
○谷垣国務大臣 先ほど根本委員の御質問にもお答えしたところでございますけれども、今回、これを協同組織金融機関について一年間延長したと申しますのは、今までも預保の対象に協同組織の金融機関は入っていたわけでありますけれども、優先出資の面からも、あるいは早期健全化の方の仕組みからいいましても、実際問題として、資本注入ができるような、非常に使い勝手のよいものではなかったということがございます。
 他方、御承知のように、このように金融改革が進んでまいりますと、地方に根をおろしている協同組織系の金融機関も、いろいろな意味で競争力をつけたり、あるいは地域のニーズに対応していくための体力を高めていく、例えば新しいシステムを開発していくというようなことも必要でございましょうし、体力を高めていく必要があろうかと思っております。
 そういうものに活用していただきたいということでありますけれども、大きな銀行につきましては、御承知のように平成十一年の三月期からこのような仕組みが使えたわけでありますが、今回改正をお願いして、これからつくっていただくわけですから、一年間延長して使わせていただきたい、こういうことでございます。
○上田(清)委員 これはもともと金融システムに多大な支障を来すという考えから入ったのであって、本当に金融システムに多大な支障を来すという概念に入るのかどうか。それは安全網が広ければ広いほどいい、そういう考え方もあるのですが、逆に、その部分というのは、もういつでもどこでもどうぞいらっしゃいという感じになってしまうんじゃないか、逆の作用が働いているのではないかというふうに私は思いますが、この点についてはどうですか。
○谷垣国務大臣 その点につきましては、先ほど、資金を投入する場合の基準がはっきりしない点が問題だったとなみはやに関して御指摘がございましたけれども、どういう基準でもってこの制度を使っていくかということはこれからきちっと整理しておかなきゃいかぬと私は思っております。
 それで、今、国会で改正をお願いしておりますので余り先走ってこの議論をしてはと思っておりまして、ただ、内部ではそろそろきちっと議論を詰めておかなければと思っておりますが、協同組織系の金融機関に資本を注入していく場合の基準。
 一つは、ちょっと今の委員の御指摘と相反することかもしれませんが、やはり地域の実情というものにある程度配慮しなきゃならない場合もあり得るのではないか。それをどの程度、どのぐらいやってよいのかという問題ですね。
 それからもう一つは、資本注入というのは、これも再三申し上げているところでございますが、毀損させてはいけないというのがやはり前提だろうと思います。健全化勘定というのは、やはり金融機関が健全になっていって、それが返ってくるということが前提でなければならないとすると、どういう前提であれば入れられるのか。具体的に申し上げれば、例えば検査等をどういうふうに考えていくのかというような問題点があろうかと思います。
 これは、まだ十分、これ以上お答えできるほど私どもも議論が進んでおりませんけれども、国会の議論と並行して私たちも議論を煮詰めていきたいと思っております。
○上田(清)委員 これもなみはやなんかと同じなんですが、まだまだ幾つかこれからも指摘をさせてもらいますが、どうも、今後の議論を待つ、しかし法案は通してくれというような、こういう話が幾つかございます。
 やはり精度の高い法案にしていくことが非常に必要だというふうに私は思っておりますので、ちょっと今の金融担当大臣の、これから決めるというニュアンスだといかがなものかというふうに思っております。決める余地を残すということが法案の趣旨だといえばそういうことかもしれませんが、そういうたぐいのものがたくさんございまして、これからもそれをまた指摘させてもらいたいと思います。
 法律というのは、つくった後、後で基準を決めるというような仕掛けだとさっきのなみはやみたいなことばかりになってしまうので、あらかじめこういうことを予想しておりますということを出すべきじゃないかと思いますが、何か内部の検討のたたき台みたいなものというのはあるのでしょうか。
    〔根本委員長代理退席、委員長着席〕
○谷垣国務大臣 ここらは非常に悩ましいところでございまして、要するに、国会で立法をしていただいて、行政府で政令なり省令なり細則を詰めていく。だから、建前で申し上げれば、あくまで法が先にあって、その法の委任を受けて政令なり省令をつくっていくということであろうと思いますから、順序はそのとおりであろうかと思います。
 ただ、今までのいろいろな議論の中で、まだ国会の議論も煮詰まっていないのに行政はそこまで先走ってやっているのかというようなこと、実は私もそのようなことをかつて野党時代に質問したことがあるような気が、ちょっとあいまいな記憶でございますので、そんなこともあったかのように思うのですが、そのあたりもございまして、ただ、私どもとしては、そろそろ、そういう御質問もいろいろいただいておりますので、だんだんそのあたりも煮詰めていかなきゃいかぬと思っております。
○上田(清)委員 では、また話を移させてもらいます。
 今度の法案について、可変保険料率の導入ができるということでございます。これは大蔵大臣になるのかもしれませんが、それぞれ、大手の銀行は賛成だ、弱小は反対だというようなことで、意見が全く対立しておりますが、私どもの立場の中では、何らかの形で可変保険料率を導入した方がいいというふうに考えております。
 ただし、問題なのは、まさに公平公正という概念がなかなか難しいところでありました。これも実はこれから考えるという話になっておりますが、これもやはりある程度、どういうたたき台みたいなものが議論されているかということも、例えば、公正公平なものを担保できる基準というのは一体何なのかということも全く示されないというのも、これは単純に、はい、導入結構ですねというわけにはいかない。やはり説明が必要だと私は思いますが、この辺についてはどのような議論がなされたのか、これも承りたいと思います。
○金子委員長 福田さんでいいですか。(上田(清)委員「いいですよ」と呼ぶ)
 福田金融企画局長。
○福田政府参考人 お答えいたします。
 ただいま御指摘の点につきましては、確かに今後の詰めでございますが、考え方といたしましては、可変保険料率というのは金融機関の財務状況等に応じて設定するということでございまして、このような制度が諸外国の預金保険制度においても導入の動きが見られておりますし、また市場規律を補うという意味でも本来望ましいということから、金融審議会の答申でも導入すべしということになったわけでございます。
 したがいまして、何らかの形で財務状況をランクづけしてそれに対応する保険料率を定めるというようなイメージでございますが、先日来お答え申し上げておりますように、まだ預金保険機構の一般勘定に多額の借入金が存在しておりまして、直ちに可変保険料率を導入する状況にございませんので、もう少しこの点は後日検討させていただきたいということでございます。
○上田(清)委員 法案が通ってしまうと私どももすぐ忘れてしまいますので、できればそういう基本的な論点というのを出していただいた方が私どもの整理がしやすいというふうに思います、結構です、導入ができますと。
 それで、導入するときに議論ができるかどうかというのはまたこれはわかりませんので、せっかく法案審議のときに、どんなことが担保されているのかをもう少し明らかにしておかれた方が、私は正しい審議のあり方じゃないかなと思いますから、少し何か論点整理だけでも言ってください。
○福田政府参考人 今般の議論のたたき台になりました、例えば米国の例を見ますと、一つは、自己資本比率一〇%以上「充実」という金融機関と、八%以上「適正」という金融機関、八%未満という「未達」の機関の三つに分けます。それから、片や検査結果に基づく健全性として、健全であるか、問題があるか、甚だしく問題があるか。それを縦横いたしますと九つのブラケットができまして、それに応じて保険料率を設定しているというのがアメリカの場合の制度でございまして、そのようなものが一つ参考になろうかと思います。
○上田(清)委員 わかりました。
 ぜひそういうものを事前に資料として、もういただいたのかもしれませんが、あるいはどこかでまた隅っこに置いてしまったのか知れませんが、ぜひ明らかにしてもらいたいと思います。
 そしてもう一つですが、名寄せの義務づけ、これも今後のデータベース等々の整理の仕方によって対応されるということでございますけれども、これは具体的にどこかの国々で成功している事例というのはあるのでしょうか。
○福田政府参考人 例えば、米国ですと納税者番号があったり、あるいはほかの国で社会保障の背番号のようなものがあったりいたしますが、日本ではそのようなものがございませんので、日本としてワーカブルな制度を今考えているということでございます。
○上田(清)委員 これも実は今後の課題ということでありまして、どうも、全般的に一つ一つ条項を検討していくと、これからの課題ばかりみたいなところがございまして、やはりさっきから言っていることと同じでありますが、いささか気になるなというふうに思います。
 それで、特に大きな問題で、この間、たまたま森事務局長の発言を聞いていて気になったところなんですが、いわゆるロスシェアリングの話の中で、時間とともに不動産担保価値が減少していくというようなお話をしておられました。そういうことを前提にこの損失リスクを政府側が、あるいは預保が持っていくという形になっていくと、これは限りなく国民負担の増大につながるのではないかというふうに思っております。そのときの発言を、私もちょっとメモしただけでございますから、議事録をまだ取り寄せておりません、たしか海江田さんの議論だったのかしら、だれかのときに言っておられまして、ちょっとその言葉が気になっておりまして、担保が減少することを前提にしている。
 しかし、ここの根本のところの議論ですが、これは大野次官にお聞きしたいのですけれども、一番の根本の議論は、これは、最初に買い取るときに、先の損失をきちっと見ていくのか、それとも譲渡するときに最初からその査定をきちっとしておくのかという、先を見るのか、それともその分だけある程度きちっと査定して譲渡していくのか、そういう問題だとも思うのですが、この点について、先を前提にしているのか、それとも現時点を前提にしているのか、まずこの点から確認させてください。
○大野(功)政務次官 金融機関が破綻した場合に一番大切なことは、その金融機関が担っておりました金融機能の維持継続、間髪を入れず維持継続していくことでございます。金曜日に破綻をした銀行が月曜日に別の看板で出ている、そうしますと、預金者も安心ですし、それから決済機能も継続されますし、それから借り手もそのまま保護される。そこで、そういう要請にこのロスシェアリングという制度はこたえていくわけでございまして、先を見るのか後を見るかというよりも、まず基本的な目的をちょっと御理解いただきたいのであります。
 そういう要請にこたえるために、第一には、受け皿銀行、受け皿機関が出やすくなる。債権に、資産にもし不安があるとなりますと、なかなか受け皿銀行が出てきません。そういうことで、受け皿銀行が出やすくなる。それから二番目に、迅速に処理できる。これは現在の価値がどうなっているか一々精査しなければなりませんので、そういうことをちょっと後にしておいて、迅速に処理していこう、こういう思想が第二でございます。第三に、やはりなるべくたくさんの資産、負債を受け皿銀行に引き取ってもらう、こういうことでございます。
 したがいまして、ロスシェアリングの制度というのは、今申し上げたような目的に見合うようになっていくことが期待されるわけでございますが、確かに上田先生御指摘のように、では、一体、その負担は将来どうなるんだ、こういう御心配はあるわけでございます。いわゆるモラルハザードの問題でございます。
 モラルハザードの問題につきましては、やはり将来どうなるかわからないままに資産を受け継いでいるわけでございますから、もし損失が出てきた場合には預金保険機構の方で手当てをしてあげようということでございますけれども、それが全額、この預金保険機構で面倒を見るわけではない。やはり受け皿銀行の方でも負担をいたします。その負担の割合というのは個々のケースでこれから議論されていくわけでございますけれども、その場合にアメリカなんかのやり方なども参考にされるのではないか。
 それから、将来いつまでもロスシェアをするのではなくて、それはアメリカの場合、二年から五年と限っております、その期間で限っているということにも御注目いただきたいと思います。そして、国民負担でございますが、これは預金保険料で賄っていく、こういう思想でございますので、御理解いただきたいと思います。
○上田(清)委員 原則論はよくわかるのですが、ちょっと最初に森事務局長の言葉を述べたのは、現在、いわゆる資産デフレの時代でありますから、常に不良債権が劣化していく、こういう事態が予想されるわけですから、あえて劣化するものを最終的にずっと面倒を見るというような仕組みになってしまうのではないか。端的にその不動産担保が時間とともに減少していく、こんなことを森事務局長が答弁をされておられましたので、そういう意識でよくこれを認めるなというような感じが私はしたもので、こういう減少について時間の制約があるというふうにちょっと承ったのですが、どのような形で時間の制約があるのでしょうか。
○大野(功)政務次官 まず、時間的に申し上げますと、間髪を入れず引き継いでもらうことが必要である、このことは御理解をいただきたいと思いますが、もし仮にその資産内容を正確に把握していこうとすれば、もはやそういうものは受け皿銀行は引き取ってくれません。ですから、もし引き取ってもらうとすれば、時間をかけて精査していかなければいけない。そして、すべての資産が劣化していくということでもありませんし、すべての資産が劣化していくわけでもないという裏には、資産価値が上がれば今度はプロフィットシェアリングをやる、ロスシェアとプロフィットシェアと両面があります。このことも御理解をいただきたい。これが一点。それからもう一点は、先ほど申し上げましたように、期間を限るんだ、もう何年以上はやりません、こういう思想があります。
 したがいまして、そういう意味では、やや大ざっぱなところはございますけれども、金融機関が破綻した場合に、その金融機関が担っておりました金融機能、これはもう間髪を入れずに維持継続されていく、これが大変大事なところだと私どもは思っております。
○上田(清)委員 その時間的制限というのはどのようになっているのでしょうか。
○大野(功)政務次官 どのようになっているかとおっしゃるのは、ちょっと意味をわかりかねるのでありますが、私の理解のままお答えしますと、要するになるべく早く破綻した銀行の金融機能をどこかの銀行で受け継いでもらいたいということが一つと、これは入り口の問題です。
 それからその次は、何年間たったらという問題でございますけれども、これはこれから預金保険機構でいろいろ勉強して決めていく。その場合に、アメリカなんかの二年、五年も参考にしながらやっていく、こういうことでございます。
○上田(清)委員 どうも最後はそこに来るのです、また検討という部分で。どうも法案全体に今後の勉強の部分が多過ぎるという感じがいたします。
 また少しいろいろ事前に資料をいただいたりして教えていただければ、なお審議の材料になるのかなというふうに思います。できましたら、そのようなものを寄せていただければありがたいというふうに思います。
 ありがとうございました。
○金子委員長 次に、矢島恒夫君。
○矢島委員 私は、三月二十九日、前回の当委員会で、生命保険相互会社の株式会社への組織変更の問題で、特に保険契約者の保護ということなどで質問をいたしました。きょうも引き続いて、この組織変更に伴う問題でお尋ねしていきたいと思います。
 そこで、まず金融審議会第二部会のレポートですけれども、「保険相互会社の株式会社化に関するレポート」、これによりますとこういうことが述べられているわけですね。「組織変更に当たっては、会社の純資産額、組織変更時の社員の寄与分、組織変更剰余金額の三つを計算する必要が生じる」、こういうふうに書かれております。
 そこで、そのうちの会社の純資産額についてまずお尋ねしたいわけですけれども、相互会社の場合、剰余金の八割以上、これを契約者に分配することになっています。そういうことや、さらにはバブル崩壊後、逆ざやになっている保険相互会社が多いということなどを考えますと、この純資産額というのは、相互会社によってもちろん異なるとは思いますけれども、全体としては相当小さくなってきているというように私は考えるわけですが、金融監督庁としてはこの問題をどのように把握しているか、そのことについてお答えいただきたい。
○乾政府参考人 生命保険会社につきましては、有価証券の含み損益の改善が見られますものの、引き続き、保有契約高の減少、そして運用利回りの低下などに見られますように、厳しい経営環境にあると認識しております。このような中で、各社は、経営効率化の推進、資産構成の組みかえ等に取り組むとともに、増資や基金の再募集など自己資本の充実に努めておりまして、その結果、生命保険会社全体で見ますと、最近の純資産の状況は増加の傾向にあると承知しているところでございます。
○矢島委員 いずれにしろ、厳しさには変わりはないという状況は引き続きあるというように考えられるわけです。
 そこで、レポートの中に書かれている組織変更時の社員の寄与分、これを計算する必要が生じるとあるわけですけれども、この寄与分の算出というのは、ネット・アセット・シェア方式によるとされているようです。これは金融審議会のレポートの中身ですが、「現在、寄与分の計算方法の詳細が明確でないので、諸外国の例も参考にしつつ、今後、寄与分計算の実務的手法、例えば、保険群団のとり方、計算期間等について、ガイドライン・実務基準において具体化・明確化を図ることを検討する必要がある。」こう述べられています。
 この点について、大蔵省は現在どういうふうに考えているのか。どのような場で検討をしようとしているのか、社団法人アクチュアリー会というところで示すようになるのか、あるいは大蔵省としてガイドラインを出す予定なのか、それとも金融監督庁が出すのか、出すとしたらいつごろ出すのか、その辺をお答えいただきたいと思います。
○福田政府参考人 実務的な御質問ですので、お答えいたします。
 ただいま御指摘の具体的な寄与分の計算方法につきましては、法文上は保険業法に規定がございますが、ただいま引用していただいたとおり、どの程度の保険グループごとに計算するか、どれぐらいの期間をとって計算するのか等々、非常に保険商品ごとに難しい問題もございますので、これは、専門家たる日本アクチュアリー会において実務基準の作成をお願いいたしておりまして、最終的にもアクチュアリー会から出される実務基準ということになろうかと思います。
 それから、時期的には、今回の改正法が施行されるときには、できるならばお示しできるようにしたいと思っております。
○矢島委員 いずれにしろ、アクチュアリー会が実務基準を出していくということですけれども、やはり私は、事は保険契約者の権利に関する問題ですから、いわゆる保険相互会社の株式会社への転換を急ぐのだという立場ではなくて、保険契約者の権利を守るという立場で検討するということが非常に重要だと思います。そういう立場で進めていく、こう考えてよろしいですか。
○福田政府参考人 基本的にそのような方向で検討させていただきたいと思います。
○矢島委員 この寄与分については、会社の純資産として蓄積されているのは剰余金の二割以下ということを考えますと、配当の合計額の五分の一というぐらいのところが考えられるかと思うのです。そうすると、寄与分が少ない保険契約者が相当多くなるのじゃないかという気がいたします。
 この金融審議会のレポートの中の、「社員に対する補償の基本的な考え方」という項がありますが、いろいろと書いてあります。寄与分を計算して、寄与分がない社員についても一定の補償を考えるべきだと私も思うわけです。私は、三月二十九日の質問でも述べたわけですが、生命保険というのは、一種の商品ではあっても、ほかの一般の、電気製品とかそのほかのものと違って、消費者の方から買いに出かけるようなものではないのですね。買いに出かけるものは非常に少ないわけです。やはり、保険の営業の方だとかあるいは外交員の方が訪ねてきて、いろいろ義理や人情で契約させられるというような場合も実際には多いわけです。ということを考慮しなければならない。
 同時に、本人の支払った保険料は少なくても、例えば知人を紹介したり、あるいは保険の勧誘をして、相互会社に寄与した人というのもあるだろうと思うのです。また、生命保険というのは、大体長期間保険料を払うというものですから、それをある時点で寄与分を計算するということには、どうも納得がいかない部分、矛盾する部分もあるのではないかと思うのです。
 そこで、大蔵大臣にお聞きしたいのですが、計算した結果、寄与度というのがマイナスになっちゃった、こういう場合に、株式会社に転換することによって社員としての権利というものをすべて奪うということじゃなくて、一定の補償をすべきではないだろうかと私は思うのです。外国でも、広範な裁量を認めている国もあるようですから、そういう例にも学んで十分検討すべきではないかと思うのですが、大臣のお考えは、この問題ではいかがでしょうか。
○福田政府参考人 冒頭、ちょっと念のため申し上げますが、社員たる地位を失いましても、保険契約には変更ございません。
 それから、今御指摘のように、相互会社から株式会社への組織変更に伴う社員権の補償につきましては、寄与分に応じて、株式の割り当てという形で行われるわけでございますが、各社員の保険契約は、それぞれ契約期間や保険種類に応じまして、その会社の純資産形成に貢献した度合いがさまざまでございます。したがいまして、寄与分は、必ずしも社員が支払った保険料の額に単純に比例するわけではございません。また、一般的には、契約当初にはコストの方がかかります。それから、いわゆる逆ざやで寄与分がマイナスになるというような、そういうことで寄与分のない社員も生じる可能性があるわけでございます。
 そのように、寄与分がなく株式の割り当てが受けられない社員が生じるという問題につきましては、やはり今御指摘のように、その社員も将来会社の収益に寄与するという可能性があったわけでございますので、今アクチュアリー会におきましては、寄与分計算の実務基準の中に将来の期待収益の要素も加味するなど、できるだけ多くの社員の寄与分が評価される計算方式を定める方向で検討中であると聞いております。
○矢島委員 ぜひそういう方向で検討を進めてもらいたいと私も思います。大蔵大臣もそういう御意見ならば、別にお答えいただかなくても結構です。
 次の問題に行きます。
 この相互会社を株式会社に転換する場合、大体、レポートにも書かれているのですが、今の日本の生命保険相互会社の場合、資本が十分でないということが予想されるわけです。この場合、もともと株式会社への転換の重要な目的というのは自己資本の強化ということにあるわけですから、新株を発行できるようにしておくようになっているわけです。もちろん、そうすると外部資本が入ってくることになります。相互会社の株式会社への転換については、社員総会とかあるいは社員総代会を開いて決議をする手続が必要ではあります。ではあるとはいえ、結局、経営難の、純資産の少ない相互会社というのは株式会社に転換することにして、早く城を明け渡して資本を増強せよ、こういうことだろうと思うのです。
 そこで、お聞きしたいのは、もう既にこの法律が成立する前から相互会社に対しては、国内の金融資本だとかあるいは外資あたりにいろいろとねらわれているという状況もあるわけです。そこで、大蔵大臣、こういうことを進めるということが、大蔵省が相互会社の淘汰に手をかす、このようにも考えられるわけですが、この点については大蔵大臣、どのようにお考えでしょうか。
○福田政府参考人 お答えいたします。
 今般の改正は、あくまで相互会社を容易に株式会社化できるようにするという規定でございますので、実際にそういう形態をとられるかどうかは経営者の判断でございます。そして、むしろ従来、歴史的には日本の大手生保会社は相互会社でうまくやってきておるわけでございますので、この法律を各社とも見守っているという状況でございまして、この法律により株式会社化した方がメリットが大きいか、それとも今のままとどまった方が有利か、その辺は、この法律の趣旨でございます今後の自己資本の調達力をどれくらい高めたいか等々のそういう事情によるところだと存じますので、一概に、外資に受け渡すような効果ばかり出てくるというふうには考えておりません。
○矢島委員 今金融業界は大変な状況で熾烈な競争が行われておる。こういう状況の中で、やはり体力増強のための、生き残りのための一つの手だてとして、全体的な一つの方向というのは、相互会社の株式会社化という方向が一つの方向だろうと思うのですね。これは前回大野政務次官も、大体、そういう株式会社化というのは世の流れだというようなお答えをされておりました。
 確かに経過を考えてみましても、またこの法案をずっと読んでいきますと、いずれにしろ大蔵省としては、生保もそうですが、相互会社を株式会社に転換させやすいようにするんだというのだけれども、させることを進めようということが読み取れるわけです。このことだけ申し上げて、次の質問に移りたいと思います。
 次に、更生手続の特例等に関する法律についてお尋ねしたいと思います。
 この一部改正によって、債務超過前に更生手続開始の申請を行う、行われれば更生手続が進む、そして予定金利の引き下げなど、いわゆる契約条件の変更もできるようになる、こういう方向だろうと思うのですが、この点について、こういう見方をしているのもあるのです。
 今回の改正で、債務超過前に更生手続開始の申請が行われれば、債権者による会社資産の差し押さえなどを制限できるほか、裁判所が認めた更生計画に従い、負債を圧縮し再建を進めることが可能になる、また、保険契約者には一般先取特権が付与されているため、結果的に保険金や年金などの予定利率の引き下げ率緩和が期待できる、こういう見方もあるわけなんですが、大蔵省はこのような見方をしておるのですか。
○福田政府参考人 お答えいたします。
 従来の法律ですと、保険会社が完全に破綻した場合にのみ契約条件の変更が行い得るということから、実際にふたをあけてみますと大変大きな傷があり、大幅な契約条件の変更に至るということが多かったわけでございますので、今般、更生手続を債務超過になる前に、おそれのある段階でもできるようにするということは、結局、保険会社についての破綻処理手法の選択肢が広がるわけでございますし、契約者を通じて破綻処理に伴うコストも大きくならないようにできるということで、それが大きな利点かと存じているわけでございます。
○矢島委員 実際に、更生手続の申請によって確かに予定利率の引き下げ率が緩和できる。大きな債務超過になってしまって、そして保険契約者の負担が重くなる、こういう場合に比べれば、確かに予定利率の引き下げを幾らかは少なくして、そして保険金や年金の削減が多少少なくなるだろうと思います。しかし結果的には、結局は、多いか少ないかの問題はあるとしても、保険金の削減などで保険契約者へのツケ回しをする、それで生命保険会社を再建する、そういう仕組みに変わりはないわけであります。
 そこで、大蔵大臣、もしあれだったら福田局長でもよろしいのですが、できれば大臣にお答え願いたいと思いますけれども、これは破綻コストを軽減する処理方法の一つ、別の言い方をすれば、逆ざやで経営に発展の見通しのない保険会社にはこういう手続がありますよ、これを勧めますよ、こういうのがこの更生手続の特例の改正ということだとも考えられるのですが、大臣、この考え方についてはどういうふうにお考えでしょうか。
○福田政府参考人 保険会社の処理につきましては、最も肝要なのは保険契約を継続していくということでございます。したがいまして、やはり継続するために、例えば資産が将来の保険金支払いのための備えと比べて不足すると見込まれる場合におきましては、契約者に対しても、その契約を継続するために若干の予定利率の引き下げなどをお願いする必要があるということでございまして、これをモラルハザード的に、早くこの手続をどんどん使わせるという意味では必ずしもないわけでございます。
 ちなみに、現在は、既に昨年四月から保険会社に対しましても早期是正措置が活用されておりまして、問題のある保険会社は早期に発見し、その是正を促すこともできるわけでございますし、ただいま申し上げているように、継続がやや困難になってきていても、更生の見込みがある場合には更生手続の活用によって、契約者にもそれほど大きな迷惑をかけずに処理することができるということでございます。
○矢島委員 それでは別の問題で聞きます。政府保証と政府補助の問題です。
 今回の改正法案を見ますと、生命保険契約者保護機構の実施できる資金援助について、例えば金銭の贈与だとかあるいは資産の買い取りだとか、そのほか損害担保、資金の貸し付け及び債務の保証だとか損失の補てんなどなど、資金援助の道が強化、拡大されていると思うのです。
 お尋ねしたいのは、このことはつまり、保護機構がこういう資金援助等について道を開いていったということと、それから政府保証の恒久化というのが出されているわけですが、これは一体のものなのか。つまり、政府保証があっての機構の資金援助等の道が開かれたんだ、このように理解してよろしいのですか。
○福田政府参考人 ややお答えが難しゅうございますが、保険契約者保護機構については、今般総計で九千六百億円という枠ができたわけでございますが、これはあくまで各年度保険業界の拠出金をプールしていく形で賄うわけでございます。
 したがいまして、なかなかその規模まで積み上がらないということと、現実に二件でございますか破綻が起きて既に借り入れをしているわけでございますので、この保護機構をいわば定着するためにどうしても借入金をかなりの期間続けざるを得ない。したがいまして、その借り入れの資金繰りの支援として政府保証が不可欠である、そういうことでございます。一体となったものというふうにおとりいただいても結構でございます。
○矢島委員 それで、今回の政府保証、法改正で恒久化と言われています。その内訳についてはもう前回も私は述べたわけですが、政府保証の五千六百億円を超える九千六百億円までのいわゆる四千億円、これの政府保証というのが二〇〇三年三月三十一日までの措置になっていると思います。政府補助のこの四千億円も二〇〇三年の三月三十一日までの措置になっていると思います。
 そこで、この四千億円というのは三年間の保証と補助の措置で、三年後に見直す規定もあるのですね。そこで、必要があれば三年後に見直して、またさらに拡大するということが、大臣、これは念頭にあるのでしょうか。
○福田政府参考人 御指摘のように、金額的には限度があるわけでございますが、私ども時限措置とさせていただいておりますのは、既に昨年四月から早期是正措置が入っており、監督側で問題のある保険会社は早期に発見できるということになっておりますし、今回お願いしてございます法律により更生手続も使えるようになるということから、大体これから二回分の決算があるわけでございまして、このような制度あるいは株式会社化も含めてでございますが、新しい枠組みが定着することによりまして多額の破綻処理はかなり防げるのではないか。
 しかし、当面、そういう心配が残っておりますので、財政上は平成十五年三月までの措置としたわけでございまして、私どもとしてはそれをまたその時点で拡大するというようなことは現在考えておりません。恐らく、そのときまでに制度が定着するというふうに考えておりますが、やはりここ数年については万全の体制をとる必要があるということで、財政措置まであえて組み込ませていただいたわけでございます。
 ただ、見直し規定につきましては、しかし数年後の事態に応じて、また何かあれば見直さなければならないことも全くないわけではございませんので、そういう意味では念のための規定が入っているということでございます。
○矢島委員 そうしますと、今のお答えをお聞きしますと、結局、三年間に生命保険会社の破綻処理も終わらせ、それから更生手続による処理も終わらせ、生命保険相互会社を株式会社へも転換させ、大体そこで区切りがつくんだ、こういう意思がこの法改正に込められている、こう考えてよろしいですか。
○福田政府参考人 ちょっと御説明がまずかったわけでございますが、これは、平常時になりましても保険会社の破綻のようなことはあり得ないことではないわけでございますが、その際も今回お願いしておりますようなスキームをうまく活用すれば、契約者保護機構にこれ以上大きな負担はそれほどかからないのではないかということでございまして、別に三年間ですべてそういう処理を行うということではございません。その後のパーマネントな制度として今回お願いしているものができ上がれば、保護機構にそれほどの大きな負担はかからないのではないか、そういう意味で申し上げたわけでございます。
○矢島委員 どうもはっきりしないのですね。まだまだこれからもこれを論議する場面もあろうかと思いますので、時間もなくなりますので、最後に聞きたいと思います。
 保険会社と保険会社の合併だとか提携だとか、今いろいろ話が進んでいます。
 例えば、第一生命と日本興業銀行との事業提携。それから、太陽生命保険相互会社と大同生命保険相互会社が、T&Dというグループ、いわゆる保険持ち株会社を設立しようとしている状況。アクサという生命保険の株式会社、フランスの大手国際金融グループですけれども、これと日本団体生命保険株式会社。まだまだいろいろ、持ち株会社の子会社としたり、あるいはエトナ生命保険が平和生命の株式一〇〇%の取得を発表しております。こういうようないろいろの合併や提携の話が次々と出てきております。
 これは、金融ビッグバンの流れの中の動きですけれども、今回の保険業法の改正法案あるいは金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の一部改正法案、大きく言えばこうした流れに沿ったもので、保険業界の重荷を早く軽減させよう、こういう法律だと思うのですね。
 しかし、忘れてはならないのは、やはり民間保険は、日本の社会保障が不十分な中で、国民が老後のことを考え、また突然病気になったときのことなどを考えて、そして犠牲を払って保険に入っている、こういう状況なんですね。
 そういう点で、法律には保険契約者の保護という言葉は入っているけれども、文字どおり保険契約者の保護、これを第一に考えるべきだと私は思うのです。最後に、そういう考え方について大蔵大臣のお考えをお尋ねして、終わりたいと思います。
○宮澤国務大臣 基本的に委員の言われるとおりでございます。
 いろいろ理由が殊にございますし、業界に対しても無論お願いしなければならないことはたくさんございますが、殊にこういう金利状況にもなっておるというようなことが現実としてございますし、いろいろ考えまして、国民の生活のセーフティーネットの大事な一つと考えておりますので、業界が最大限の努力をされるということを条件に、政府としても、これについてはできるだけ政府の責任として処理をしてまいりたい、責任を分かってまいりたいという考えは持っております。
○矢島委員 終わります。
○金子委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時九分散会