第147回国会 商工委員会 第9号
平成十二年四月十二日(水曜日)
    午後三時四十九分開議
 出席委員
   委員長 中山 成彬君
   理事 伊藤 達也君 理事 小林 興起君
   理事 河本 三郎君 理事 山本 幸三君
   理事 大畠 章宏君 理事 吉田  治君
   理事 久保 哲司君 理事 吉井 英勝君
      小野 晋也君    大石 秀政君
      奥谷  通君    奥山 茂彦君
      小島 敏男君    古賀 正浩君
      桜井 郁三君    桜田 義孝君
      新藤 義孝君    菅  義偉君
      田中 和徳君    竹本 直一君
      中野  清君    中山 太郎君
      古屋 圭司君    細田 博之君
      村田敬次郎君    茂木 敏充君
      森  英介君    森田  一君
      渡辺 博道君    石毛えい子君
      海江田万里君    渋谷  修君
      樽床 伸二君    中川 正春君
      中山 義活君    山本 譲司君
      赤羽 一嘉君    旭道山和泰君
      金子 満広君    青山  丘君
      小池百合子君    菅原喜重郎君
     知久馬二三子君
    …………………………………
   議員           北村 哲男君
   議員           石毛えい子君
   通商産業大臣       深谷 隆司君
   国務大臣
   (経済企画庁長官)    堺屋 太一君
   経済企画政務次官     小池百合子君
   通商産業政務次官     細田 博之君
   通商産業政務次官     茂木 敏充君
   政府参考人
   (経済企画庁国民生活局長
   )            金子 孝文君
   政府参考人
   (法務大臣官房司法法制調
   査部長)         房村 精一君
   政府参考人
   (法務省民事局長)    細川  清君
   政府参考人
   (厚生省老人保健福祉局長
   )            大塚 義治君
   商工委員会専門員     酒井 喜隆君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月七日
 辞任
  藤井 裕久君
同日
            補欠選任
             古屋 圭司君
同月十二日
 辞任         補欠選任
  岡部 英男君     奥山 茂彦君
  粕谷  茂君     森  英介君
  新藤 義孝君     渡辺 博道君
  山口 泰明君     桜田 義孝君
  島津 尚純君     中川 正春君
  山本 譲司君     石毛えい子君
  西川 知雄君     旭道山和泰君
  塩田  晋君     菅原喜重郎君
  北沢 清功君    知久馬二三子君
同日
 辞任         補欠選任
  奥山 茂彦君     岡部 英男君
  桜田 義孝君     菅  義偉君
  森  英介君     粕谷  茂君
  渡辺 博道君     新藤 義孝君
  石毛えい子君     山本 譲司君
  中川 正春君     海江田万里君
  旭道山和泰君     西川 知雄君
  菅原喜重郎君     塩田  晋君
 知久馬二三子君     北沢 清功君
同日
 辞任         補欠選任
  菅  義偉君     大石 秀政君
  海江田万里君     島津 尚純君
同日
 辞任         補欠選任
  大石 秀政君     山口 泰明君
同日
 吉井英勝君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の補欠選任
 政府参考人出頭要求に関する件
 消費者契約法案(内閣提出第五六号)
 消費者契約法案(菅直人君外三名提出、第百四十六回国会衆法第一八号)

    午後三時四十九分開議
     ――――◇―――――
○中山委員長 これより会議を開きます。
 去る七日の議院運営委員会における理事の各会派割当基準の変更等に伴い、理事の補欠選任を行います。
 委員の異動により、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中山委員長 御異議なしと認めます。
 それでは、理事に吉井英勝君を指名いたします。
     ――――◇―――――
○中山委員長 この際、通商産業大臣及び経済企画庁長官から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。深谷通商産業大臣。
○深谷国務大臣 参議院の本会議でおくれましたことをおわびいたします。
 このたび、新内閣のもとで再び通商産業大臣を拝命いたしました深谷隆司でございます。引き続きよろしくお願い申し上げます。
 小渕前内閣において通商産業大臣に任命されてから約六カ月間、厳しい内外の情勢のもと、小渕前総理の意を体して各般の業務を精力的に遂行してまいりました。
 昨年秋には、厳しい状況にあった我が国経済を本格的回復軌道に乗せるため、小渕前総理みずから中小企業国会と位置づけた臨時国会において、十八兆円の規模の総合的な経済対策の策定に貢献するとともに、中小企業政策について抜本的な見直し、拡充を行いました。
 また、東海村における臨界事故を教訓とした原子力安全・防災対策へ取り組む一方で、エネルギー政策全般にわたる検討を指示し、さらに、WTO新ラウンド立ち上げに向けた努力を続けるなど、山積する課題に着実に対応してきたと考えているところであります。
 我が国経済は、こうした各般の政策効果もあり、徐々に明るさを増してきております。
 こういった動きを的確にとらえ、真の経済新生に結びつけていくためには、民間の方々が存分に活動できるような事業環境の整備、情報経済インフラの整備、循環型社会の構築、技術フロンティアの創造などの経済構造改革に引き続き取り組むとともに、健康で安心できる高齢化社会の実現、適切なエネルギー政策の構築、国際社会との密接な連携等、二十一世紀に向けた経済社会の構築に真剣に取り組んでいかなければなりません。
 小渕前総理が志半ばにして病に倒れ、退陣されたわけでございますが、新たに任命された森総理のもとにおいても、これまでと同様、国民の御期待にこたえるために通商産業行政に全力を挙げてまいりたいと考えております。
 委員各位の御理解と御協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。(拍手)
○中山委員長 堺屋経済企画庁長官。
○堺屋国務大臣 経済企画庁長官の堺屋太一でございます。小渕前総理大臣の思いがけない病から内閣がかわりましたが、引き続きこの大役を担当することになりました。
 我が国の景気動向は、民間設備投資に前向きの動きが広がるなど、緩やかな改善を続けておりますが、消費の回復力は弱く、なお万全とは申しかねる状況でございます。
 政府は、これまで、公需から民需へのバトンタッチを円滑に行い、景気を本格的な回復軌道に乗せていくとともに、揺るぎない経済の構造改革を推進するため、経済新生対策を初めとする諸施策を推進してまいりました。新内閣においても、前内閣の施政方針を継承しながら施策の発展を図り、経済運営に万全を期してまいる所存でございます。
 また、消費者契約法案は、今国会に提出し、既に本委員会においても御審議いただいております。新内閣としては、国会に対し、引き続き同法案の審査をお願いしているところでございます。何とぞ、引き続き御審議の上、御賛同くださいますよう、重ねてお願い申し上げます。
 本委員会の皆様方の御支援と御協力を切にお願い申し上げる次第でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
○中山委員長 内閣提出、消費者契約法案及び第百四十六回国会、菅直人君外三名提出、消費者契約法案の両案を一括して議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 両案審査のため、本日、政府参考人として、中川正春君の質疑の際に厚生省老人保健福祉局長大塚義治君、吉井英勝君の質疑の際に経済企画庁国民生活局長金子孝文君、知久馬二三子君の質疑の際に経済企画庁国民生活局長金子孝文君、法務省から法務大臣官房司法法制調査部長房村精一君及び民事局長細川清君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
○中山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中川正春君。
○中川(正)委員 民主党の中川正春でございます。
 先ほどからそれぞれの大臣のごあいさつをお聞きしておりまして、景況感に触れられております。絶えず数字の上ではというか、これまでの発表の中で、やっと明るさもどこかで見えてきたぞというようなニュアンスでありますが、実は、こうして選挙が迫ってきまして、私たち、とみに地元に帰りまして、民の声というか、それぞれ現場の声を聞く、そしてその中に入っていっているわけですが、非常に現実の感覚というのは厳しいものがあるように思っております。
 特に、地方での中小企業が、その流れの中でいったら優勝劣敗のきつい構造変革が起こってきている。その中に入り込んで、恐らく金融機関は、今金融監督庁がいろいろ検査に入っているその基準といいますか、そういうことの厳しさも含めて、中小企業を切りに行き始めている。切っても、いいところが上がってきているから、それで生きていける。うまみのあるところで生きていけるから、これまで辛抱していたところが切れるんだというような、そんな現象が起こってきているんじゃないかな、それを実感するわけであります。
 それだけに、非常に先ほどのような景況感というのが白々しくといいますか、現実とは違ったそうした流れがある、そんなふうにまず冒頭申し上げておきたいというふうに思うんです。ある意味では、どうも、経企庁の説明とそれから現場の感覚が合ってきていない。言葉が本当の意味で生きていないというような、そんな限界が今出てきているんじゃないかというふうにも思うわけであります。
 これについても、もし冒頭、この契約法に入っていく前に、コメントがあればひとつお聞かせいただきたいと思います。
    〔委員長退席、小林(興)委員長代理着席〕
○堺屋国務大臣 私が就任しましてから、経済企画庁は、景気の動向について正確に、正直に、迅速に答えるということをモットーとしてまいりました。
 まず最初、一昨年の秋でございますが、私は、日本経済はデフレスパイラルの入り口を通り過ぎているという表現をいたしました。これは、政府関係者といたしましてはかつてなかったような厳しい表現でございまして、少し波紋を呼びました。しかし、まさにそのとおりでございまして、当時の金融再生法、これは民主党さんにも非常にお世話になった法案でございますが、あるいは二十兆円の貸付保証枠等々、緊急経済対策を大胆にとりまして、ようやく一昨年の暮れ、変化の胎動と申しました。このときには、まだまだ変化の胎動はないんじゃないかということで、企画庁長官がフライングしたんじゃないかということも言われました。ところが、昨年の前半は比較的予想以上にいい形になりました。
 私たちは、一昨年の暮れに、九九年度の、すぐこの間終わった年度でございますが、九九年度の日本経済の成長率を〇・五%プラスと言いましたけれども、当時、プラスと言ったところはほとんどございませんでした。日本に四十七の機関が予測をしておりますが、そのうち四十五がマイナス、〇・〇が一つ、〇・二%プラスが一つ、国際機関十一は全部マイナスでございました。そういう中で〇・五%プラスと言ったので、非常にまた強気だと言われました。
 去年の前半には割合と予想以上に消費等が伸びまして、夏になりますと、ほとんどの機関が一・数%プラスと言うようになりました。そのとき私たちは非常に厳しい予想をいたしまして、〇・六%にしか変えなかった。今度は、全機関が一・数%のときに企画庁だけが〇・六という予想をした。これは、後半下がるという予想でございましたので、これまた政府の中でも外でもいろいろと物議を醸しました。けれども、ちょうど今見ますと、大体その近傍に行くんじゃないかと思っています。
 それで、委員御指摘のように、ちまたの感覚とそういった数字との関係がどうだというのが一番の問題でございます。これは、確かに場所によって、業種によって非常に違います。そこで、そういうのを確かめるために私たちはこの一月から景気ウオッチャーというのをつくりました。比較的消費の断面におられる小売の店主でございますとかホテルのフロント、タクシーの運転手さん、あるいはスナックを経営しておられる方々、雇用関係のお仕事の方、そういう方を六百人お願いいたしまして、景気ウオッチャーという制度もつくりました。
 そういうところで見ますと、やはりことしの一月ぐらいには、三カ月前よりも景気が悪くなっているというのがやや多かった。ところが、最近になりますと、ややよくなってきている、二、三カ月後にはさらによくなるだろうという感覚がそういう方々の間でもかなり広がってきています。
 そういう意味で、まだまだ全体としては厳しさを脱していないということは重々申し上げておることでございますけれども、やはり少々明るさが出てきているんではないか。特に、ITを中心とする設備投資などはよくなってきておりますし、その関係でまた商店街でも最近は空き店がかなり埋まってきているというような統計も出てきております。まだら模様とはいいながら、一時よりはよくなっているという感覚を持っております。
○中川(正)委員 これから先、六月のGDPの発表の時期と選挙の時期とちょうど重なりましてタイミングが合うわけですが、そのときにぜひ、去年の例からいきますと前半は恐らくいいんだろうと思うんですが、その後のこともありますよということも含めて、あるいは生活実感も含めて、本当に公平なといいますか、政治中立的な発表を心がけていただくように改めて要望しておきたいというふうに思っております。これは要望です。もう返事は、そうしましょうということなんでしょうから、結構です。
 それではこの法案に入っていきたいというふうに思うんですが、最近の社会現象の中では、特に新しい分野といいますか、金融関連で、例えば商工ローン、サラ金あるいは保険金殺人というふうなもの、この金融分野での契約をめぐるトラブルというよりも、その契約行為を通じながら、非常に多くの犯罪なりあるいはトラブルに結びついていくような問題、あるいはもう一つは、きょうの新聞の一面に大きく取り上げられておりますが、介護保険が導入をされまして、これは、全体の厚生省のこれまで措置という形態でやっていた一つの行政サービス、福祉サービスを、契約という基本的な新しい理念に切りかえていこうという、その大枠の中で介護保険がスタートしているわけですが、そういう背景の中で非常に多くの問題を醸し出しながら今走り始めた、こういうことですね。
 こういう新しい分野といいますか、物の売り買いではなくて、特に福祉だとかあるいは金融だとかというちょっと切り口の違う分野に対して、この新しい法律がどのように機能していくかということ、このことを一つの視点にしてお話を聞いていきたい、こんなふうに思っております。
 まず、きょうはちょっと参考人に来ていただきましたが、介護保険を組み立てるときに消費者契約法も同時進行的に議論が進んでいたわけでありますが、恐らく両方すり合わせをしながら仕組みをつくっているんだろうというふうに思うんですね。そこで、その介護保険制度の中で契約という観念をどんなふうに認識をしながら、あるいは定義をしながらつくっておられるか、そちらの方の仕組みをまずお聞きしたいというふうに思います。
○大塚政府参考人 ただいま先生からもお話がございましたように、従来、あるいは一部今後もございますけれども、いわゆる福祉サービスの中心は措置制度と言われる方式でございました。これが介護保険の場合には、利用者が事業者といわば対等な関係で契約をしていただき、それに基づいてサービスが提供されるという仕組みに変えるわけでございます。
 それで、この点におきます契約、これは、通常言われます、当事者の意思表示と合意に基づきまして一定のいわば法律効果を生ずるという通常の契約の概念の範疇に入るものと思いますけれども、ただ、一方で、公的な制度でございますから、介護保険制度という枠の中で、例えば事業者につきましてもさまざまな行政上のある意味での規制というのもございますし、例えば給付につきましても一定の制限、制約がある、限度額があるといったような、公的な制度によります条件と申しましょうか前提がございますが、本質的には当事者の合意に基づきます契約という形でサービスが提供される、こういうふうに認識をいたしております。
○中川(正)委員 当然この消費者契約法の方は、介護保険を含めて福祉の分野での契約というのはこの法律の範疇の中に入るんだ、こういう前提でつくられておるんだろうと思うんですが、そこをちょっと確かめておきたいと思います。
○堺屋国務大臣 御指摘のように、消費者契約法は民法ルールでございまして、消費者と事業者との関係を全体として漏れなくカバーしております。労働関係、労働契約を除きまして漏れなくカバーしておりますので、福祉の契約も、契約という概念の範疇ではこの法律の対象となっております。
○中川(正)委員 そこで一つお尋ねをしたいんですが、この福祉の場合は、サービスを受けるいわゆる消費者とその事業者の間に幾つも第三者というのが介在するんですね。
 まず一つは、金品の支払いからいきますと、保険料で保険組合をつくって、そこでサービスを受けた消費者に直接その保険金がおりるんじゃなくて、サービス事業者、提供者に対してその保険金がおりる、いわゆるサービス料金がおりる、こういう形態ですね。この場合に、その第三者というか、金品の流れの中での第三者というのは、この法律ではどういうふうに定義をされておるのでしょうか。
○堺屋国務大臣 これは、契約自身は受ける人と当事者との関係になりますが、保険がかかわっている場合には、「事業者が第三者」、これが保険事業者になるわけですが、この保険事業者に対し、当該事業者と消費者との間における消費者契約の締結について媒介をすることの委託をし、当該委託を受けた第三者を含めて第四条第一項から第三項までに規定する行為をした場合について準用するということでございます。また、「この場合において、同条第二項ただし書中「当該事業者」とあるのは、「当該事業者又は次条第一項に規定する受託者等」と読み替える」というのがございます。
 つまり、本人、介護を受ける本人がおられまして、それから介護事業者がおられて、その間に第三者としてこの保険事業者というのが介在する、こういう形になるわけでございますが、契約自身はやはり事業者と消費者という形になることは変わりございません。
○中川(正)委員 そこのところがちょっと違うと思うのですね。
 今の国民の感覚でいくと、政治問題化しましたけれども、保険料を払うか払わないかという話があったでしょう。国民が保険料を払うという意識は、保険者と国民の間にそれなりのサービスがあるのだ、いわゆる介護サービスというものがあるのだという前提で保険料を払うわけです。それが満たされないといけないから一年間延期をしようということになったわけですが、この話からいくと肝心なところがカバーできないのじゃないかなという気が私はするのですが、これは契約として成り立っているのじゃないですか。
 保険者に対して保険料を払うということと、それから、保険者の方はその保険料金に対してそれなりのサービスを供給しますよという前提で約束しているわけですから、これは契約として成り立っているのだろうと思うのですが、どうでしょうか。
○大塚政府参考人 保険という観点からいたしますと、利用者に当たります方が被保険者、市町村が保険者、こういう形で組まれておるわけでございます。通常の民間保険ですとここは契約ということになりますが、介護保険制度におきましては介護保険法という法律でその形を決めておるわけでございますから、本質的に、広い意味での契約という理解をできないわけではございませんが、法律上は契約ではございませんで、法律制度、公法によります制度でございます。
 そこで、被保険者と保険者との関係で申すならば、一定の条件を満たして、一定の条件を満たす事業者と契約を結びサービスを受けた場合に、保険者が一定の給付をする、こういういわばお約束、これは根拠は法律でございますけれども、お約束がございまして、法律上の立て方といたしましては、原則的には、保険者は被保険者つまり利用者にお金を支払うというのが法律の原則上の建前でございます。
 しかし、そういたしますと、まず全額を利用者は払わなければなりませんので、これは経済的にも相当御負担がある。したがいまして、これを俗に申し上げますと現物給付と申しますけれども、一割は御負担いただきますけれども、直接事業者に九割分をお支払いする、こういうふうな法律の規定によります一種の擬制をしております。
 ですから、基本的には保険者が被保険者にお支払いをする、それが民間保険でいいましたら保険契約に当たる部分。それから、サービスを受けた場合に、本来ならばその建前でいいますと被保険者本人にお支払いをしますけれども、これも現実の御要請にこたえまして、法律の規定によりまして直接事業者にお支払いをする、これで保険給付が行われるという擬制をしておるわけでございます。こういう仕組みで現在の介護保険法は成立をいたしております。
○中川(正)委員 それが介護保険法の方ですね。こちらの消費者契約法の方でいった場合には、私は、法律でそう規定がしてあっても、どっちにしたって保険契約に違いはないと思うのですね、この介護保険制度というのは。それはどうですか。だから、さっきの、保険者が媒介をするという説明をされましたけれども、これは媒介じゃなくて、我々の意識もこれはやはり保険契約なんじゃないかというふうに私は思うのですが、どうでしょうか。
○堺屋国務大臣 ちょっと言葉の、用語の使い方が、私が不正確だったと思います。
 消費者と事業者の間に契約がございまして、その消費者と保険者の間には保険契約がある。それで、実際の介護は事業者と消費者の間、そしてそれに、今説明がありましたように、保険金が本来なら消費者に払われるべきところを事業者に払われている、これを今、媒介という、ちょっと言葉が悪かったと思います。
○中川(正)委員 そうすると契約ということになるわけですね。
 そうなると、もちろん保険契約の中にそれを履行していくというか、保険の内容をしっかりと実現していく、実行していくということが大前提になるわけです。それと同時に、その契約の中身というのが、具体的に言えば保険料率、保険金ですね、これが将来にわたってちゃんと説明されなければならないということですね。
 そういう意味からいうと、どうも国でやっている今回の介護保険制度そのものが、この契約法の趣旨に大分違っているといいますか、問題の多い保険契約なんじゃないか。そういう意味で具体的に新聞が取り上げて、いろいろ問題がありますよということになっているわけです。これは国がつくり出した装置ですから、その装置を実質運営しているのは、地方自治体が中心になって運営しているのですよ。だから、そういうことになってくると、将来こうした契約に対してのいろいろな問題が、国とかあるいは地方自治体に対してその責を問われるという状況がこの法案によって起こってくる可能性も十分考えられるということじゃないんですか。
○堺屋国務大臣 先ほども申しましたように、この消費者契約法は民法の全体を覆っている特別法でございますから、いろいろな契約を予定しております。その中で、介護契約は、介護保険の問題は国が定めた特別法でできておりまして、そこで問題が起こりますとすれば、この契約法全体の中で国が違反しているというような事件が起こらないとは限りませんけれども、そのために国及び自治体がそれぞれ十分な手当てをすべきだ、こういう議論になってくるだろうと思うのです。
 それができるかどうかというのは、この契約法の問題であるよりは、介護保険そのものが、国があるいは国が定めました各自治体が本当にできるかどうかという状態でございまして、それがもし大きく違うということになればこの法律の範疇に入ってくる可能性はあると思います。
○中川(正)委員 もう一度、別な角度から確認をしたいんですが、厚生省はこれを個別法で仕組みをつくりました、こういうことですね。契約法は一般法令として全部に行き渡りますよと。だから、どちらが優先するかという問題じゃなくて、この個別法も、それから一般の今回準備がされておるこの法案も、両方とも有効ですよということですね、先ほどの答弁は。もう一回。
    〔小林(興)委員長代理退席、委員長着席〕
○堺屋国務大臣 もちろん、個別法としての介護保険法と、それから一般的な民法の規定として、民法の特例としての契約法と、両方ともかかります。
 だから、民法の規定にもし反していたとしたら、それはやはり、国を相手取って訴訟をするということはあり得ると思います。そういうことにならぬように国はやらなきゃいかぬということだと思います。
○中川(正)委員 という見解なんですが、厚生省の方は先ほど自分のところの個別法で説明をされました。特に、こういう形で契約法という話が出てきて、住民のサイドもこれは契約なんだという意識がしっかり出てきたら、恐らく訴訟は出てくるだろうというふうに思うんですね。そういう前提で厚生省の方はこの契約という言葉を、当初の話でいけば、同じ話ですよ、同じ言葉の意味合いですよ、こういうふうに説明をされましたが、とらえているということであるとすれば、これは方々で、この介護保険だけの問題じゃなくて、今議論されている措置を契約に持っていこうという議論の過程の中で方々で出てくる話だというふうに私は今感じるんですが、そこのところはどういうふうに解釈をされていますか。
○大塚政府参考人 各種の行政施策あるいは制度につきましては、さまざまな法律のいわば組み合わせでできておるものが多いわけでございますが、この介護保険を例にとりますと、利用者とサービスを提供する事業者との間、これは明らかに契約でございますし、まさに措置から契約へという考え方に立ちましてこういう制度にいたしたわけでございます。
 先ほど私の御説明の中で、保険の仕組み、利用者と、市町村が保険者であります保険の仕組み、これも一種の保険の理念を使ってはおりますけれども、法体系といたしましては介護保険法に基づきます公的な仕組みでございまして、例えば被保険者に入るかどうかというのは本人の自由意思ではございません、これは義務でございます。もちろん、これに対して一定の給付をするというのは市町村の自由ではございませんで、義務でございます。法律に基づく義務でございます。したがって、いわゆる契約とは法律的な性格を異にいたします。
 その前提といたしまして、当然、地方行政を担当いたします市町村が保険者でありますから、保険料の設定、サービスの給付につきましては適切な水準、適切な施策をとるべきでございますし、また、保険料につきましては条例で決めていただきますので、地方議会の関与も受けるという意味で、介護保険制度の保険の仕組みのその部分は公的な制度でございます。
○中川(正)委員 その論理がまかり通るとすれば、自動車保険なんかの自賠責もそれになるんですよ。あれも保険じゃないというような話になっちゃいますよ。私は、さっきの説明はちょっと無理があるというふうに思うんですね。本当にそれでいいんですか。
○大塚政府参考人 非常に基礎的なことを申すようで恐縮でございますが、保険の理念を採用していることは間違いございません。
 それはどういうことかと申しますと、保険料という形をちょうだいして、一定のリスク分散をして、必要な保険事項が生じた場合に給付をする、そういう意味では保険の理念を採用しておりますが、民法上の契約かと言われますと、その根拠は法律でございますし、契約の基本でございます当事者の自由な意思に基づくもの、合意ということではございませんので、そういう意味での契約ではない、公法上の制度だと申し上げたわけでございます。
○中川(正)委員 自賠責も同じことなんですよね。あれは法律でちゃんと定めて、強制保険で強制的に取られて、リスク分散して運用している。間は契約なんですよ。
 経済企画庁の方は、この法案があまねく定義されるということの中で、この介護保険制度も契約ですよという答弁をさっきされましたね。そういった意味では、そういうふうに受け取っていかないとこれからの厚生省の措置から契約にという話にはなっていかないんだろうというふうに思うんですね。これは聞いていると、本来は、それぞれの分野でこうした調整をした上でこの法案というのがあまねく適用される、そうした形で消費者を保護していこうというような意図だったろうと思うんですが、このこと一つとってみても答弁に食い違いがあるということなんですが。
○堺屋国務大臣 食い違っておりません。
 私が契約と言ったのは、介護を受ける消費者と介護をする事業者の間が契約。介護を受ける、保険に入る人、これは公法的関係ですから、今のこの、繰り返し言っておりますようにこれは商法でございまして、民法的関係です。
 自賠責の場合は、自賠責に入らなければならないという強制加入はございますけれども、どこの保険会社と契約するかは私法的関係でございまして、これは契約概念になっております。
 それから、この介護保険は介護保険法による公法的関係になっておりますから、この間は契約ではございません。三者おりまして、事業者と消費者、この間が契約でございまして、保険者と消費者、保険に入る方との間は公法的関係になっております。だから、特別の法律ができておりますから、一般の民法がここの間では適用されないということで、同じでございます。
○中川(正)委員 私は、そうした形でその部分を使い分けるということ自体が、だんだん、ざる法にしていく根っこをつくっているような気がするんです。まさにその部分に焦点を当ててやらないと介護保険制度なんというのは成り立ちませんよ。そういう保険制度でするんだという前提で国民はそれを理解して、保険料を払うんだと思っているわけですから。
○堺屋国務大臣 そういう公法的なものとしては、例えば年金保険とか幾つかやはり国で定めたものもございまして、今の自動車保険は、幾ら幾らまで第三者に対する危害があるから強制しておりますけれども、A保険会社をとるか、B保険会社をとるかというのは消費者の選択の中で全く私法的な関係になっております。
 この今の介護保険とかあるいは年金保険とかいうのは、保険という名前はついておりますが、そういうのはやはり公法的関係。行政で処理しているものは、消費者契約法、要するに民法体系の中には入らないようになります。
○中川(正)委員 一般に、契約という観念からいって、それは法理論はそうなっていくかもしれないけれども、常識で通じないですよね。これは常識の問題だと思うんです。
 しかも、厚生省は何を言っているかといったら、そういった形で、公的サービスをこれまでは措置という概念でやっていたのを、契約という形に切りかえていきますよと胸を張って言っているんですよ。だから、その胸を張って言っている厚生省のスタンスに対して、これからこうした契約法でやっていかなきゃいけないというのは、契約なんだから、弱い者の立場、これは国民ですよ、片方は公権力ですよ、この公権力に対して国民がちゃんと守られていくようにしましょうというふうな、そうした立場に立って初めてこの法律が生きてくるんじゃないか。これは常識だと思うんですけれども。
○堺屋国務大臣 そこはちょっと違うのでございまして、この消費者契約法で守ろうとする、そして契約になったということを盛んに申しておりますのは介護事業者と介護される消費者の関係でございまして、その保険者というものは自治体ですね。この自治体との関係でございますと、自治体に対して民法でというのはやはり守り切れないので、それは行政的な措置、行政法できちんとやるべきだ、そういう強い力をやはりかけておかないといけないんじゃないかという気がするんですね。
 ここも契約で自由に出られる、契約でしたら当然選択があるわけですが、ここの町がいいとかあの町がよさそうだとかいうようなことになりますとかなり難しい問題が生じますので、ここはやはりこういう、保険との関係はそうしておかないといけないんじゃないでしょうか。
○中川(正)委員 厳密に言えば、これは地方自治体じゃないんですよね。組合、いわゆる第三セクターといいますか組合なんです、独立した。だから、これはそうした意味でもおかしいと思います。
 それから、まさにさっきの厚生省の意図からいけば、介護保険でサービスを、いわゆる保険者の効率を競争しましょう、こっちの自治体よりもうちの自治体の方が料金は安いですよ、保険料は安いですよ、それでいいんだと。サービスの中身も違いますよという形で競争をさせましょうというのは、またこれが介護保険の理念なんです。そういうところと保険契約をするんだというのは、これは当たり前のことといいますか、それが契約なんだと思うんですよね。
 法律では枠組みだけつくったわけですから、中のマネジメントとそれぞれの保険料初めサービスの供給量というのはその保険者が決めていきますよ、こういう中身ですから。これはどうしても納得できないんです。
○堺屋国務大臣 委員の、各自治体、組合、一部事務組合もあるでしょうけれども、そういうところに競争してもらってよりよい内容にしていきたい、これは非常によくわかるんですが、民法的な契約でなくても、自治体間、行政間の競争というのはいろいろな形を通じて存在するわけですね。公共事業であれ、学校教育であれ、そういうものは存在するわけです。これは大いに進めなきゃいけない。
 そして同時に、消費者と事業者、この消費者と事業者の間に、事業者を複数にすることによってまたこの競争を守り立てていく。それを、できるだけいいところを導入するとか啓発するとかいうような形で自治体が守り立てていく。自治体の役割というのはあくまでも保険者として一定の金額を提供することでございまして、その中でどういう優秀な介護業者、介護体制を整えるか、これがやはり行政としての一つの務めだろうと思うんですね。だから、競争をつくることによってより高い介護をつくりたい、つくるべきだとおっしゃるのはわかりますが、それは行政が保険の部分を持っているからできないということではないと思います。
 一番密接なところは、消費者と介護を実際にする業者、この間は民法関係でございますから、この消費者契約法の適用になる、こういうことでございます。
○中川(正)委員 まだ納得できないんですが、これをやっていると全部時間を使っちゃいそうなんで、もう一つ問題があるので話をそちらに移していきたいというふうに思います、引き続きこの介護保険なんですけれども。
 ケアマネジャーの位置づけというのは、今、私は非常に微妙なところだというふうに思うんですね。ケアプラン、サービスの中身について、このケアマネジャーが作成する。その作成されたケアプランに基づいて、事業者がサービスを供給する。その事業者と、サービスを受ける消費者、介護される方、被介護者が契約を結ぶ。こういう形態なんですが、このケアマネジャーというのは、この契約法ではどういう形で定義されるんですか。これは非常に重要な役割を持っているんですがね。
○大塚政府参考人 例えば、サービスを提供する事業者と利用者、その間の契約ということを考えますと、ケアマネジャーは、消費者契約法で申します「第三者」、その契約においては第三者ということになろうかと思います。
○中川(正)委員 私は経企庁に聞いたのです。こちらの法律です。
○堺屋国務大臣 ケアマネジャーは、ケアプラン作成事業者ともいいますけれども、介護サービス業者との関係については、介護保険制度におけるケアマネジャーの位置づけを踏まえて検討されるべき問題があると思います。
 仮に、介護サービス業者から媒介をすることを委託を受けているという場合であって、要介護認定を受けた介護サービスの利用者に対して、この法律の第四条一項、内容のところですね、から三項までに規定する行為をした場合、つまり故意の虚偽とかいうものですね、本法第五条一項の規定により、介護サービス自体について契約の取り消しが認められることになります。
 ケアマネジャーが介護プランの作成に当たって、介護サービスをする側、介護サービス業者の側から媒介をすることを委託を受けている場合というのがやはり重要なポイントだろうと思うんですが、そういう場合にはやはりこの規定の適用を受けると思います。
○中川(正)委員 それが「第三者」の定義ですよね。
 ところが、厚生省の本来のケアマネジャーのあり方というと、これは中立を旨とすべしと。これが事業者とつるんでしまっては、利益相反といいますか、思ったようにその中身を事業者の理にかなうように書くことができてしまうわけですよ。そういう状況が生まれてくる中で、この人が真ん中に入ってケアプランをつくって、事業者とサービスの中身を契約するということが始まっているものですから、これはおかしいんじゃないかということなんですよね。
○大塚政府参考人 おっしゃいますように、ケアマネジャーは、利用者と事業者の間に立ちまして、利用者のために最適なケアプランを作成し、必要なアレンジメントを行うという役割でございます。したがいまして、特定の事業者の利益になるような行為をすることはその趣旨に反するわけでございますから、私どもといたしましては、その運営基準上、公正中立を旨といたしまして、必要な基準を定めております。
 したがいまして、先ほど私、消費者契約法上の第三者ということを申し上げましたが、直接当事者じゃないということが一点。それから、そういう形で、一種、事業者と利用者との間のあっせんをするような業務は基本的に適当でないし、運営基準上はむしろ禁じられておるということが二点。ただし、現実にそういうような行為があるとするならば、これは運営基準上の問題にもなりますけれども、消費者契約法上は第三者として定められまして、場合によりましては利用者が取り消し可能なようなケースが生ずる、こういう法律関係になるものと考えております。
○中川(正)委員 片方は、第三者とみなされる、こういう答弁があって、もう片方で、第三者として例えば媒介をしてはだめなんだ、中立でなきゃならぬのだというポジションがこのケアマネジャーなんだ、こういう説明なんですよね、さっきの厚生省の方は。
○堺屋国務大臣 私の説明したのは、消費者契約法の効用について、どういうときに効果を発揮するかについて説明したので、厚生省のおっしゃるのは、ケアマネジャーが介護業者と結託しないことが望ましい、しちゃいけないということをおっしゃった。私は、万一していたらそれは取り消しの対象になるという消費者契約法の効用の方を言ったので、だから、厚生省の方だったら、私が挙げた例はよからぬ例で、よからぬ例のときはこうなるよという話をしたということになります。
○中川(正)委員 それでいいんです。というのは、事前に周りから長官へ向いて説明が入っていないといけないんだろうと思うんですが、今いわゆる社会問題化しているというのは、さっきのケアマネジャーが、実際は、それぞれの特別養護老人ホームとかあるいは事業供給主体、業者ですね、ここの職員として所属をして、そこから給与をもらいながらケアマネジャーとしての仕事についているという状況なんですよ。それを、さっきの厚生省のように、実際には業者のために仕事はしない、厳に中立を守ってケアプランをつくりますよ、こう言っても、それが通じるか通じないか。そこのところが当初言っていた中立性ということと違うじゃないかということなんです。
 これはそれなりの事情があるんだと思うんですね。ケアプランをつくっていくだけではなかなか生計が立てられない、あるいはケアプランをつくるだけの能力のある人たちがすぐに育ってこない、だから、いいじゃないか、その施設にいる人たちを育てようじゃないか、こういう急場しのぎが現在のような状況になったわけですが、これはしかし、こちらの方で整理をしなきゃいけない問題だろうというふうに思うんです。
 きょうはわざわざこれをもう一つ持ち上げたというのは、その整理をこの法律でするとどうなるのかということを、公式の見解を聞かせていただきたいと思うんです。
○堺屋国務大臣 申し上げましたように、今委員の仰せのようなケースでございますと、その業者のところにいて給与をもらっているとすると、やはりそれの関係が深いと考えられますから、そのケアプランナーが虚偽のことを申したり、いいことだけ言って悪いことを言わなかったという四条のことにひっかかりますと、これはやはり取り消しの対象になる。この消費者契約法は機能すると思います。
○中川(正)委員 というふうな見解がはっきり出ていますから、やはりこれは早い対応をしていく必要があるんじゃないかというふうに思うんですね。これは厚生省の方ですから、改めてまた別の機会にそうした問題を取り上げていきたい、こんなふうに思うんです。
 時間が来たようですが、もっと大分用意をしてきたんですけれども、途中で話がこんがらがってしまいました。いずれにしても、新しいこうした分野というのが、お話を聞いているとなかなか整理がし切られていないというか、契約というものについてもっと腹の据わった認識をしていただきながら、たとえ国であってもこれはこの契約の対象になるんだ、だめなことはだめなんだというぐらいの気持ちでやっていただかないと、だんだん、ざるになっていくような気がするんですよ、解釈の中で。
 そのことを改めて指摘させていただいて、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○中山委員長 石毛えい子さん。
○石毛委員 民主党の石毛えい子でございます。
 前回、消費者契約法に関連しまして質問をさせていただきました。きょうはその続きということになりますが、まず第一に、消費者契約法の実効性、これを確保する施策として、もう少し消費生活センターをめぐるテーマでお伺いをしたいと思います。
 前回少し触れまして、そのままに終わってしまったわけですけれども、地方自治体が行政施策を組む一つのメルクマールになる中身として、基準財政需要額の中にどういう費目が上げられているかというのもあるというふうに思います。
 そこで、消費者行政に関連しまして基準財政需要額を見てみますと、県の方に上げられておりますのが、消費者苦情処理委員会報酬ですとか、それから苦情処理体制整備事業等、こういう費目が上がっております。それで、市の方に上げられている費目が、消費者苦情相談員報酬、こういう費目が上がっております。
 この間、ある県で、県の消費生活センターを整理縮小していく際に、市の方に相談員報酬という費目が上がっている、こういう説明がございました。改めてこの基準財政需要額に込められている費目を見てみますと、県の方にもそれ相応に事業項目が立てられていて、予算が計上されている。
 当然、基準財政需要額はその事業費目で自治体を拘束するというわけではなくて、一般財源化するわけですから、基本的には地方自治体の考え方が基本になるということは、この前の政務次官の御答弁でもそうおっしゃられていたと思いますし、私もそれは否定するものではもちろんございませんけれども、ただ、この基準財政需要額の中にどういう事業項目を立てていくかということは、政府と、それから、自治省を通じてということでございますけれども、地方自治体の政策意思の合意するところででき上がってくるものだというふうに理解をしておりますけれども、そういうふうな理解の仕方についていかがでしょうかということが一点。
 それから、それにしましても、自治体の数が違うといえばそれまでですけれども、消費者苦情相談員の計上された経費に比べまして、例えば消費者苦情処理委員会の委員報酬というのは単価一万二百円で、これは九九年度ですから昨年度ということになりますけれども、一万二百円で、年二回の単価しか計上されていない。これは、見方によりましては、消費者行政を所管するところの経済企画庁が都道府県に期待するところ余り大きくないということの政策意思のあらわれではないかというふうに私は受けとめるのでございますけれども、その辺はいかがでございましょうか。
○小池政務次官 まず最初の御質問でございますが、基準財政需要額の算定されております主な費目につきましては、前回お伝えいたしたとおり、都道府県におきましては、消費者教育推進事業費、消費者啓発事業費、商品テスト事業費、苦情処理体制整備事業費等が算入されているところでございます。そして、市町村におきましては、消費者苦情相談員報酬、商品テスト機器等購入費等の名目によりまして算入をされておるところでございます。
 しかしながら、それぞれの自治体、まさにこういった消費者という身近な存在に対して、よりきめの細かい対応ができるのが県であり、そしてさらに細かい対応が可能となるのがそれぞれの市町村ということでございまして、それぞれの細かい部分の配分につきましては、やはりこれこそまさに地方自治ということではないかと思います。
 また一方、それでは経済企画庁とすればそれぞれ地方自治に任せっ放しでいいのかというような、二番目の御質問がそうであったかと思いますが、決してそうではございません。私どもとすれば、国民生活センターなどを通じまして、こういったそれぞれの相談員の皆様方の研修であるとか、そして情報の提供であるとか、そういった形でのバックアップをさせていただいておるのでございまして、地方自治でそれぞれでやればいい、経企庁とすればそれについては関知せずということでは決してございません。私どもとしてできる可能な限り、また消費者の利便性を考えての連携した措置をとっていっているところでございます。
○石毛委員 ちょっと私が質問させていただいた中身に全部お答えいただいていないように思いましたけれども、消費者行政におきまして、都道府県と市町村、何が一番違うかといいますと、前回から出ておりますように、居住地に身近であるかどうかというようなところももちろんございますけれども、消費者行政における決定的な違いということに注目しますと、例えば都道府県の場合は、訪問販売法におきましては、業者から報告を求めることができるとか、それから立入検査権ですとか営業停止命令権、あるいはトラブルを起こす業者について公表をする権利というような、そういう権限が都道府県に認められているというところが消費者行政において決定的に異なる点だと思います。
 訪問販売法はもちろん、前回からの御答弁等々にございますように、民法と消費者契約法、そして訪問販売法等は個別法ですから、それを認めているのは個別法に関してだといえばそういうことになりますけれども、しかしながら、これまでの消費者行政におきまして、そういう権限を都道府県が持って、そして個別法の運用に当たってきたという意味で、効力といいますか効果、そういう意味で市町村とはやはり決定的な違いを持っているだろう。
 ですから、市町村が啓発事業をしたり相談を受けたりするということは、いいことですから、決してそれを否定するものではありませんけれども、より以上にといいますか、あるいは同等に、やはり都道府県ができる内容の権限、法律の論拠は違いますけれども、消費者行政という意味では同一の舞台にあるわけですから、そうした力量を持っている都道府県に対して、私は、経済企画庁として政策意思の合意という、それをぜひ考えていただきたいということであります。
 その点で個別の施策に注目すれば、消費者苦情処理委員会、これが年に二回、そして単価は一万二百円でいいのか、今年度はもっと上がっているかと思いますけれども、年二回というようなことでは、新しく消費者契約法がスタートする折、やはり弱いのではないか。そこのあたりの合意形成を、自治省との間で経済企画庁としてはもっと態度をしっかり固めて詰めていただきたい、こういう趣旨でございます。
○小池政務次官 おっしゃる点、よく理解しているつもりでございます。
 消費者保護基本法第十五条におきまして、特別区を含みます市町村、そして国及び都道府県、それぞれ役割が明確に書いてあるところでございます。そしてまた、基本的におっしゃる意味は、今回の消費者契約法の導入施行後、国、地方それぞれの特性を生かした上で、それを効果的に活用ができる、その体制をとってほしい。それは、単に経企庁のみならず、自治省との連携なども強めてほしいというように私は今理解したわけでございます。
 苦情処理委員会のそれぞれの方々の報酬額について、これはまたそれぞれの地域の御事情もおありでございましょう。しかし、そういったお金の面だけでなく、今おっしゃっておられますようなそれぞれの役割の明確化、さらにはその後のいわゆるADRのバックアップ体制、これらを機能するようにということ、強く受けとめてまいりたいと思っております。
○石毛委員 ぜひともよろしくお願いいたします。
 続いて、同じ趣旨の質問を継続させていただくことになりますけれども、前回、国民生活局長の御答弁にも、消費者契約法が稼働し始めましたら、その中身に即して消費者紛争の分類などもして対応してまいりたい、そういう御趣旨の御答弁があったかと思います。
 私はこの際、消費者契約法、それから割賦販売法や訪問販売法等の個別法も含めまして、消費者行政においてどういう案件が上がってきているかというようなこと、これは、国民生活センター、PIO―NETを通じてせっかく全国からのデータを集めておられるわけですし、その処理の方法というのは、もっと消費者契約法に即した分析ができるような方法をとっていく必要もあるのだろうと思います。そうしたことも含めまして、ぜひ国会で報告をしていただきたい。
 そして、消費者契約法が実効性があるかどうか、変えるべき点があるのだったらどこだというようなことを、この商工委員会、あるいは消費者特別委員会、今通常国会はなくなりまして私は大変残念無念に思っているところでございますけれども、またそういう委員会が立ち上がってそこでも議論というふうに持っていけたらと、多くの方々も要望しておりますし、私もそう考えておりますけれども、国会に報告をぜひしていただきたいという、この点に関しましてはいかがでしょうか。
○堺屋国務大臣 御指摘の消費者行政の実施体制、例えば消費者センターの数等につきまして、経済企画庁としても把握に努めておりまして、いろいろ御相談、苦情等も統計をとっております。消費者契約法の施行後は、地方の消費生活センターと国民生活センターを結ぶオンラインのネットワークシステム、全国消費生活情報ネットワーク、いわゆるPIO―NETと申しておりますが、こういうものを通じまして、契約に関する苦情相談等の実態を把握してまいりたいと考えております。
 こうして把握いたしました情報は、消費者契約法の施行状況のフォローアップに役立てるために、紛争解決の是正策のもととするために、可能な限り公表していきたい、広く公表していきたいと考えております。
○石毛委員 公表はされているのだと思います。国民生活センターは、こんなに厚い、一センチぐらいの厚さの報告書を、大変立派なものを出されておりますし、公表はそれなりにされているのだと思いますけれども、実は、まさに法律をつくった国会において、そのフォローアップ体制がされていないという課題が今残されているのだと思います。
 ですから、公表は、あまねく場、いろいろな場でされるのはもちろん結構なことでございますけれども、ぜひ国会でも公表をしていただいて、年に一度ぐらいは集中審議をして振り返る。この法の成立に関与した議員、そして関心を持つ議員がきちっとこれをフォローできるような、そういう公表の仕方を国会というこの場を活用して行っていただきたい、こういう趣旨の質問でございます。
○堺屋国務大臣 データは速やかにかつ正確に報告しておりますので、国会の場でも、もしそういうようなことで特に御質問等がありますれば、正確にお答えできると考えております。
○石毛委員 さまざまに、高齢者白書ですとか、いろいろな白表紙のホワイトペーパーといいましょうか、議員に配付されておりますし、それをもとにして審議もできるわけですから、ぜひとも国会の場に持ち込んでいただけますようにということを要望させていただいて、次の質問に移ります。
 消費者問題に関する紛争処理に関しましては、もちろん行政が先ほど来の消費生活センターというような機関を通じて受けとめているということもございますけれども、今、非営利の活動団体、NPOの団体がさまざまな分野で取り組んでおります。
 環境ですとか福祉、人権、男女共同参画、今のいわゆるNPO法では事業を推進できる中身は長官御存じのとおり十二種類に限定されているわけですけれども、消費者の利益を擁護し推進する活動、こういう意味で、行政機関とともにNPO団体が相談あるいは紛争処理の支援活動に携われるように、NPO法を改正してこの分野もぜひとも市民活動が参画できるように、NPO法の次の改正のときにはこれを実現していただきたいと思うわけですけれども、いかがでございましょうか。
○堺屋国務大臣 このNPO法、特定非営利活動法人の制度でございますけれども、これはもともと議員立法でおつくりいただきまして、立法府の方で御検討いただくことになっております。私どもの方といたしましては、国民生活審議会等を経まして、できるだけ資料を提供する等のお手伝いをさせていただきたいと思っておりますが、本来、議員立法として立法府の方でお考えいただければいいのではないかと考えております。
 十二の項目でございますけれども、これも議員立法のときにいろいろと御検討いただいたことでございますが、消費者の関係も、この中で一から十二まで非常に幅広くとっておりますので、かなり消費者関係の運動もこういった十二項目の中で入ってきている現実はあると思っております。
○石毛委員 議員立法ということですから、またそのディメンションでといいますか、考えていく必要があろうかと思いますけれども、例えば人権に関するというところに入れようと思えば入れられますし、社会教育というようなところでも入れようと思えば入れられると思いますが、消費者教育あるいは消費者の利益の擁護という、消費者というその概念というのは、やはりイメージが社会的に定着するという意味で非常に重要だと私は考えていますということを申し述べさせていただきたいと思います。
 次の質問でございますけれども、今度は法案に戻りまして、第四条の第二項に関しまして質問をいたします。
 前回の質疑でも大いに議論になっておりました「故意」に関することでございますけれども、ちょっと時間の関係で間の質問が飛んでいたりしますけれども、どうぞお許しください。
 「故意に告げなかったことにより、」という、この故意に告げなかったことの立証は消費者側にあるというのは、これは解釈でございまして、長官は、この故意の課題をめぐりまして、民法の詐欺は二重の証明をしなければならないので、それに比べれば立証はしやすいというふうに、この間ずっと御答弁になっていらっしゃると思います。民法に比べれば立証はしやすいのでしょうけれども、事業者と消費者の間で何か事案が生じましたときに本当に立証がしやすいかどうかというのは、これはなかなか難しいことなのではないでしょうか。もう一度長官に御答弁をお願いしたいと思います。
○堺屋国務大臣 具体的なケースになりますといろいろ難しいときも簡単なときもあると思うのですが、民法の二重の意思というものですね、まず、相手にこれをだましてやろうという意思があり、そして、それによって自分が利益を得ようという意思がある、この二つの要件を満たさなきゃいけないということになっておりますが、これは単に知りながらということで、この故意という概念が非常に、不利益事実の不告知でありますとかあるいは断定的判断でありますとかいうことが、相手は消費者の方が知らないであろうということを知りながら言わなかったということでございますから、かなりそこは違ってくると思います。
 個々のケースになりますと、どういうケースが出てくるか、いろいろな場合がありますが、あからさまにうそを言ったということの証明、そして、それでその人が必ず利益を得ると思っていたという証明、この二つをしなきゃいけない民法に比べますと、こちらはかなり緩和された要件で、取り消しに持ち込むのがはるかに易しい、はるかにではないかもしれませんが、かなり易しいと思っております。
○石毛委員 民法の場合は二重の意思ということですから、おっしゃるとおりすごく難しいでしょうし、だからこそまた消費者契約法で、民法ほど厳しい立証責任がなくてもということでつくられたんだと思いますけれども、長官にお尋ねしたいと思います。
 失礼な表現になると思って、あらかじめお許しくださいというふうに申し上げますけれども、例えば、長官が中古車を販売する事業者でいらして、その中古車が欠陥を持っている中古車であったとする。それで、私がユーザーとしてその中古車を買ったときに、中古車としてのそれなりの整備やら何やらは済んでいて、これは商品として、自動車としての効用を果たすものだというふうに信じて買ったけれども、買ってみたらば別の欠陥があった。その欠陥があるので自分はこの契約を取り消したいというふうに言っても、もし長官が、いや、自分はその欠陥があるということを知っていて売ったわけではないんだからというふうにおっしゃられたら、私の方は、いや、事業者としてその欠陥は最初から御存じだったはずじゃないですかという、このやりとりになってしまって、らちが明かないですね。
 そうすると、故意に欠陥があるということを隠したわけじゃない、本当にディーラーとすれば知らなかったんだというふうにおっしゃられたら、それ以上、いや、本当は知っていたんでしょうというふうにユーザーとしてはなかなか言えないだろう。そうしますと、欠陥車を買わされたということになってしまうんでしょうし、こういうことってたくさんあるんだと思うのですね。
 ですから、具体的にその取引行為の中で故意の立証というのは、確かに長官おっしゃられるように民法の詐欺に比べれば、二重か一重かという意味ではそれは多少は、まあ概念的には容易と言えるかもしれませんけれども、実態上はなかなか、事業者と消費者との間で、事業者が故意にしたわけではないと言うことを立証できるのは難しいのじゃないでしょうか。
○堺屋国務大臣 ボーダーラインのところを言われると確かにそうなんですけれども、例えば今先生のお挙げになった例で、私がディーラーで、事故車だった。それで、それは修理しているから今動いているのですが、事故を起こした車であったというのは大きな欠点だ、その商品の欠点だとする。あえてそれを言わなかった。石毛委員が事故車は買いたくないということを思っておられるのを知っていながら自分が隠していたというような場合でございますと、当然ディーラーである以上は、それを修繕している、そういう過程を知っておりますから、これは事故車であることを知っていたはずだというのはかなり証明できると思うのですね。
 ところが、民法になりますと、それでもうけてやろうというもう一つの意思が要りますから、そこでこれは事故車の割には安かったのですよという言い逃れがあるわけですね。そういう契約を取り消す場合に、民法の詐欺の要件にならない間でかなり示しやすい、事実修繕にあなた関係したじゃないですかというような、証明しやすい部分が相当あると思いますね。
○石毛委員 いや、事故車であるということをディーラーは自動車を扱っているから当然知っているはずというふうに言えば、知っていましたと言われるでしょうか。
 それから、私は自動車の流通というのはよくわかりませんけれども、ディーラーとディーラーとの間で事故車であるかどうかに触れずに車が売買されて、要するにマーケットがA店からB店、C店へと移動しているうちにそういうものがわからなくなって、でも何か調子が悪いとかなんとかということで、振り返ってみたら、事故車であったかどうかということと別にこういう欠陥があったというようなこともあろうかと思いますけれども、そう簡単に、ディーラーが故意に隠していたというようなことは、故意かどうかというのは立証は難しいのじゃないでしょうか。
○堺屋国務大臣 故意というのは、知っていながらという意味でございますね。だから、相手がそれを知っていたかどうかということは、おっしゃるように水かけ論になる可能性はかなりあります。
 それは詐欺の場合でもそうですし、現実に水かけ論になる場合があると思いますが、今のように、例えば、この車を見れば、ディーラーというのは事業者ですから、事業者なら必ず車に詳しいはずでございます。消費者よりは詳しいはず。その事業者が見て、これはこういう修繕をしているということはやはり一応見ているはずだというようなことは、かなり言いやすくなってくると思うのですね。
○石毛委員 だんだん長官と私のやりとりが水かけ論になってきているような思いもしないでもないですけれども、知っていたはずだというふうに消費者が頑張って主張して、そして事業者の方が知らなかったと言われれば、それでおしまいですよね。やはり、故意であったかどうかということの立証には至らないですね。
○堺屋国務大臣 今申しましたように、事業者であって継続反復してその商売をしている人はこの程度のことは当然知っているはずだということは言えても、ぎりぎりのところへ来て、だんだん程度が薄くなってきて、実は知らないんだと言われると、水かけ論の部分というのはやはり残ると思います。だけれども、そういうところにこそいろいろと相談員とかそういう人が入って解決する、裁判外解決ができる要素が加わってくるのだろうと思うのですね。
 実際の取引の現場に行きますと、ボーダーラインというのは、法律でここまですとんと切るというのはなかなか難しい問題だと思いますね。
○石毛委員 そこで、実効性担保というような観点からも要請したいのですけれども、やはり故意であったかどうかということを消費者側が立証するというのは難しい話なんだと思うのですね。
 例えば、健康食品、こういうことがいいよと言われて買ってみたら、自分の持病から見ると何かちょっと問題がある、そのことをあえて言わなかったことが故意なのかとか、ヒアリングのときにはマンションで日当たり良好だったのが、何カ月後かに高い建造物ができて日当たりが悪くなった、そのことを告げなかったのが故意であるかどうかとか、いろいろと御説明いただきましたけれども、やはり故意というのは難しいと思うのですね。
 そこで、要請させていただきたいと思いますけれども、同じような事案がいろいろと消費生活センター等々の相談に上がってきたような場合に、そういう事実関係のある程度の集積をもって、これは故意というふうにみなすとか、その事実があること自体をもって故意であったというふうに判断するとか、そういう裁判外の紛争としてこの故意の要件が消費者にとって有効に作用するように、繰り返しになりますけれども、消費生活センターでの案件の積み重ねによって判断をするとか、そうした立証責任の軽減の方策というようなことをこれから検討していただきたいと思いますけれども、いかがでございましょうか。
○堺屋国務大臣 ただいまの件ですけれども、同種の被害がたくさん累積している、全国にいろいろとそういう記録があるということになりますと、やはり故意の立証が非常に楽になる。それだけで必ずしも一〇〇%とは言わないまでも、故意の立証が非常に楽になりますから、これは大きな前進があると思います。
 例えば、今おっしゃったような、健康食品でこういう例があります、それをまたやったということになりますと、やはりこれを知りながら、事業者でございますから、知りながらという、立証といいますか、そういうのが非常に楽になるので、消費者にとっては有利に働く。同種の事項が重なると有利になるということは言えると思いますね。
○石毛委員 これから、消費者契約法の実際の有効性に関して各地でさまざまに起こってくる消費者紛争、これをどう概念的に整理をしてもう一回消費者契約法にインプットし直していくかというのは非常に大切なところだと思いますので、同一案件の反復をもって立証責任にかえるというような方向性を、法律ですからそうそう簡単にここを変えてくださいという話ではありませんけれども、ぜひともその方向性に動いていくように努力を要請したいと思います。
 同じこの条項に関してでございますけれども、「当該消費者の不利益となる事実」の括弧の中の文章ですけれども、「当該告知により当該事実が存在しないと消費者が通常考えるべきもの」、この「消費者が通常考えるべきもの」という概念に当てはまる中身についてお尋ねしたいのです。
 例えば、高齢消費者が通常考えるべきもの、あるいは若者消費者が通常考えるべきものというふうに、消費者を、その属性と申しましょうか、生活経験ですとかそうしたことをベースにしてある程度グルーピング、概念化してこの「消費者」を理解してもよろしいということでしょうか。そこのあたりをお願いします。
○堺屋国務大臣 消費者の、相手によってどう考えるか。例えば、主として高齢者、若者が締結するような消費者契約については、主として高齢者なら高齢者、若者なら若者が一般平均的な消費者に当たるため、この「消費者が通常考えるべきもの」というのは主として高齢者というように判断されていいのではないかと考えております。
○石毛委員 重ねてお尋ねいたしますけれども、そうしますと、「当該消費者」、例えば、いうところの痴呆というような状態がもう始まっているのではないかなと思われるようなそういう個別当該消費者までは含まないけれども、高齢者の生活から見てこんなことは当然起こり得る、あり得べきことだろうというふうに考えられれば、高齢消費者一般というところまではとらえる。何というか、一色の消費者一般ということではないという、その理解はよろしいですね。
 もう一回。例えばまだらぼけというような表現がございますけれども、そうした個々の消費者の特性に応じてというようなところはいかがでしょうか。
○堺屋国務大臣 事業者の側から見ると、個々の消費者がどの程度の認識水準を持っておられるか、なかなか推しはかれないところがございます。けれども、一般的にこの商品は、例えば入れ歯でございますと、これは大体高齢者が使うものだとわかっておりますよね。そうすると、入れ歯については、大体高齢者の方々が持っておられるような知識、健康状態に合わせてということは言えると思うんです。
 ところが、その高齢者が特別に知識が高いとか、あるいはそのことについて御存じないとかいう、特別その人、一人ずつというわけにはいかない。一般的に、その商品のマーケットが平均的に高齢者である、あるいは子供である、少年であるというような場合にはそれに応じたものがあると思います。
○石毛委員 わかりました。
 消費者被害といいますのは圧倒的に若者と高齢者が多いというのが最近の特徴であるというのは、もうどなたも周知の事実になっていることでございますので、消費弱者と言ったらよろしいんでしょうか、そうしたことに十分配慮をする、ぜひともそういう運用をしていただきたいということを要望させていただきたいと思います。
 最後の質問になりますけれども、前回のこの委員会でも何人かの委員から質問が出されておりましたけれども、差しとめ請求権、団体訴権についてでございます。
 ドイツの不正競争防止法では、啓蒙と相談により消費者の利益を擁護することを定款の任務の一つとする権利能力を有する団体ということでございますので、先ほどのNPOをぜひということともかかわりますけれども、そうした団体に不正競争の防止や不当な約款の規制のための団体訴訟を提起する権限をドイツの不正競争防止法では認めている。日本でも、消費者被害の未然防止あるいは拡散防止というような観点から、消費者団体に差しとめ請求権、団体訴権を認めることが重要であるというふうに私は考えております。
 民主党の法案には、この団体訴権を盛り込むことはできませんでしたけれども、大臣の権限を行使するように、あるいは都道府県の知事の権限としてというような条文を立てさせていただきました。ぜひとも、被害の未然防止、拡散防止という観点から、差しとめ請求権、団体訴権を一刻も早く検討のテーブルにのせていただいて、実現の運びを要請したいと存じますけれども、いかがでございましょうか。
○堺屋国務大臣 この問題は、石毛委員も仰せのように、我が国の民事訴訟法の考え方が絡んでおりまして、消費者団体というのを、当事者適格や訴えの利益があるかないか、そういう問題も絡んでおります。
 仮に新たな立法によって対応しようといたしましても、どのような法的理論を構築すればよいのか、どのような要件のもとにこれを行えばいいのか、あるいはどんな団体に認めればいいのか。ドイツの場合にはいろいろそういう規定がつくられておりますが、日本の場合には、今司法改革も言われておりますが、司法制度の流れの中で十分に考えていかなきゃならない問題だろうと思っております。今、日本でも司法制度についていろいろ議論がございますので、そういう中では検討される事項かと思いますけれども、ちょっと、話が大変大きくなるという感じがしております。
○石毛委員 消費者契約法を立案されました責任省庁、官庁といたしまして、そして当事者の訴えの利益というのをどういう射程で、どういう範囲でとらえるかというような司法上の難しい問題はいろいろあるのだと思いますけれども、消費者の立場からすれば、訴えの利益があるからこそ差しとめ請求権、団体訴権をぜひというふうに主張をするわけですから、この立案にかかわりました責任省庁といたしまして、ぜひとも司法改革にも積極的な発言をしていっていただきたいというふうに要請をさせていただきます。
 終わらせていただきます。ありがとうございました。
○中山委員長 海江田万里君。
○海江田委員 民主党の海江田万里でございます。これからおよそ一時間でございますが、よろしくお願いをしたいと思います。
 私は、どちらかというと、商工委員会のこの消費者契約法よりも、例えば大蔵委員会で、今参議院で先議になっております金融商品販売法でありますとか、あるいは予算委員会などで、金融消費者サービス法、こういうものを一日も早く制定すべきでないだろうかというようなことを主張してまいりました。その意味では、この消費者契約法が政府提案になりまして、そしてもちろん民主党でも対案を準備してございますが、解散も近いやに言われておりますが、この場でこれだけ多くの議員が熱心にこの時間にも議論をしているということは、私としては、まずこういう動きを大変評価したいと思いますし、それから、やはり一日も早く本当に消費者のためになる消費者契約法が国会を通過しまして、そしてこれ以上消費者の契約にまつわる被害というものを拡大してはいけない、そんなような思いがいっぱいでございます。
 私も、きょうの質問に当たりまして、政府提案の消費者契約法、これは十二条でございますから、あと附則もついておりますが、そんなに長いものではありません、何度も何度も読み返しをしてみました。それから、民主党が提案をしております消費者契約法、これも十三条で附則が四条ついておる、そんなに長いものじゃございませんが、堺屋長官、当然のことながら、民主党が提案をしました消費者契約法についてもお目通しいただいていると思います。
 どうでしょうか、消費者の立場に立って両者を比べてみたときに、民主党もなかなかいいことを言っているなというようなお気持ちはあるのか、それとも、この政府が出しました消費者契約法で、全くこれがパーフェクトなもので、もうこれだけでいいんだというようなお考えを持っておられるのか。まず、民主党の消費者契約法に対する評価、そこからお尋ねをしたいと思います。
○堺屋国務大臣 まず、民主党案も、読ませていただきますと、政府提案と同じように、消費者と事業者の間の情報力並びに交渉力の格差にかんがみて、消費者と事業者との間の契約の締結にかかわる事項を円滑にしなきゃいけない、どんどんと従来の事前規制型から自由競争型になっていく中でそういうことが必要だ、こういう点で、この趣旨と目的、これはほとんど同様じゃないかというように考えております。
 ただ、民主党案の方は、かなり詳細な部分を総理大臣の権限に落としておられる。したがって、恐らく政令か何かに書くことになるのだろうと思うのですが、その点は、総理大臣の指針、ガイドラインですね、指針または政令にゆだねるところがかなり多いものですから、国会で決めていただく方がいいのじゃないか、そういうような感じもいたしました。
 それから、民主党案の方では、政府案に比べますと、情報の不提供による消費者の契約の取り消し権、不意打ち条項、契約条項に係る消費者有利解釈原則というようなものが入っておりますが、これは消費者の立場から見ると有利かもしれませんが、これから一般的な規定としてどんなものが出てくるかわからない、いろいろなものが出てくる、そうなりますと、どういうことを最初から書いておいたらいいのか。したがって、政令で総理大臣がその都度書けばいいということになるのかもしれませんが、取引全体としての安定性から申しますと、消費者と事業者とのバランスというものがやはり必要なんですね。
 そういう点から申し上げまして、趣旨と方向においては全く一致しておりますが、そういう内容、行政に権限を付与するところの大きさ、予想可能性、そういった面ではやはり政府提案の方が完成度が高いのじゃないか、こう考えております。
○海江田委員 堺屋長官は、この民主党案との比較、恐らく経済企画庁がおつくりになった対比表を見てお話しになっているのでしょうが、当委員会の調査室が大変いい比較表をつくっているので、本当はこれをぜひお目通しいただければいいかなと思うのですが、幾つか論点がございます。
 堺屋長官が、最初に目的のところで、閣法の方の消費者契約法でも、第一条「この法律は、消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差にかんがみ、」というところ、これは民主党案と同じだというお話がありましたが、確かにこれは目的の第一条の一番初めのところにそういう記述があるということで、私は、その意味では、内閣が提出をしました消費者契約法を読んでおりまして、ああ、なるほどなと、特に最初のところにこういう文言があるわけでございますから、これはなかなかいい法案を出してきたのではないだろうかというふうに考えたわけでございますが、そういう意味では、問題は、せっかくここで、消費者と事業者の間の情報の質及び量並びに交渉力の格差にかんがみということを言っているのが、後ろの方で、羊頭狗肉と言うよりむしろ竜頭蛇尾と言った方がいいと思うのでございますが、どうも腰折れになってしまっているのじゃないだろうか。
 今、堺屋長官は、答弁の最後のまとめの中で、いわゆる消費者と事業者のバランスが必要じゃないだろうかということをおっしゃいましたけれども、まさに私はこの消費者契約法の場合、しかも目的の第一条で、消費者と事業者の間の情報の質及び量並びに交渉力の格差にかんがみということを言った場合、このバランスが、事業者の方に傾くのではなくて、あるいは事業者と消費者が同じてんびんのところでバランスがとれるのじゃなくて、かなりの部分、消費者の方にウエートがかかって、それで初めてバランスがとれるのじゃないだろうか、そういうことを冒頭に目的のところで述べているフレーズだと思うのですよね、これは。そこのところはどうでしょうか、バランスですけれども。
○堺屋国務大臣 経済企画庁でもそうでございますし、それから国民生活審議会、各方面ともいろいろと協議いたしました。いろいろな意見がもちろん出たわけでございますが、私は、現在の政府提案程度のところが一番バランスがとれたところだと思います。
 といいますのは、事業者といっても、消費者に接する方々の中には、中小企業、零細企業がたくさんございます。そういうようなことを考えますと、一律に全部の業種にかけるものとしては、余り消費者に有利、事業者に厳しいというものもなかなかつくれないのではないか。もし、またそういう分野、例えば今の金融商品法とか、あるいは宅建法とか、そういうものがあれば、その部分はその部分で特別法で特別に、金額が大きいとかいうようなときにはそういう特別法をつくるのはいいのですけれども、これからどんな業態が出てくるかもわからない。それで、一般的に非常に広く網をかけるものとしては、やはりこの程度が最適だろうと思っております。
○海江田委員 この第一条の「消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差にかんがみ、」というのは、これはまさに消費者団体がかなり強く主張してこういう文言が入った。しかも目的のところに入っているわけですから、本来だったらやはりこの考え方が、十二条、そして附則という大変短い、基本的な、いわば包括的なルールの法律でございますが、こういう中に、やはりこの目的のところの精神が全体を貫かれていなければいけないのではないだろうかと私は思うわけでございます。
 具体的に、すぐその後の第三条のところでも、実は今堺屋長官がおっしゃったバランス論、いわゆる事業者と消費者のバランスが非常に巧みにとられているのですよね。
 これはもう言うまでもないと思いますけれども、「事業者は、消費者契約の条項を定めるに当たっては、消費者の権利義務その他の消費者契約の内容が消費者にとって明確かつ平易なものになるよう」、まずここが「配慮」という書き方ですよね。ここなんかは「配慮」じゃなくて、民主党の案の方は、これは言うまでもありませんけれども、事業者は契約条項について明確かつ平易に表現しなければならないという書き方で、非常にはっきりしているわけですよね。何でここが「配慮」になってくるのか。ここの「配慮」なんという言葉がなくたって、明確にしなさい、かつ平易なものにしなさいということで全く構わないのじゃないだろうか。
 しかも、今どうして私はそういうことを言っているかというと、これはもう長官もそういう契約書などをお読みになった例も幾つもおありになると思いますけれども、ちっとも明確ではありませんし、ちっとも簡潔と申しますか、平易なものではないわけですよ、これまでの契約書のたぐいが。そういう現実。しかも、そういう契約書の意味内容がわからなくて契約をしてしまったとか、そういうことは幾らもあるわけですから、やはりこれは平易なものになるよう、「配慮」なんていう二文字がなくたって、明確かつ平易なものにしなさいということでいいんじゃないですか。何でわざわざこの二つの「配慮」なんという言葉を入れたのですか。
○堺屋国務大臣 この部分を義務条項にいたしますと、なかなか、現実に考えてみますと、小売屋さんが言うときに、一々この内容を全部言わなければいけない、あるいは駐車場で全部言わなければいけない、これは大変難しい問題になってまいります。だから、その「配慮」というのは努力規定ということでございますけれども、これを義務化して、その後の契約取り消しという非常に強い効力を発揮するようにいたしますと、売り手の側から見ますと、これはいろいろ言っておかないと大変危ないということになりますから。大きな金額のものはともかくとしまして、ちょっと世の中の一般的にかかる条項としては無理があるのではないかと思いますね。
○海江田委員 もちろん、何も金額の張るものだけではなくて、これはあらゆる契約ですから、別に書面を交わさないところもあるということは重々わかっておるわけでございます。
 ただ、「消費者の権利義務その他の消費者契約の内容が消費者にとって明確かつ平易なもの」というのは、これはもう当たり前の話であって、その当たり前のところからまず「配慮」という形で一回オブラートをかける。さらにそこから先に行って、「消費者契約の締結について勧誘をするに際しては、消費者の理解を深めるために、消費者の権利義務その他の消費者契約の内容についての必要な情報を提供するよう努めなければならない。」という、ここで努力規定が入ってくる。しかも、後段の第二項のところで、今度は同じように消費者にもよく勉強しなさいよという、これまた努力規定が入ってくるわけですね。
 そうすると、両方とも努力規定で、この意味で、冒頭に長官がおっしゃった、まさにバランスということでいうと、私はやはりせっかく第一条でもって、この第一条というのは、やはり情報力の格差があるんですよ、いわば競走をやるときにハンディがあるんですよ、この契約というのはハンディ戦ですよという話でありますから。ハンディをしょっておるということを本当に具体的に勘案をするということであれば、当然のことながら第三条の二項なんというのは要りませんし、もし仮に、どうしても第三条の一項が事業者の方に対してこれは努力規定でなければだめだよということであれば、百歩譲ってそれが努力規定でいいというなら、第二項の消費者の側の努力規定というのは何もわざわざ書き込む必要はないんじゃないですか。どうですか。
○堺屋国務大臣 自由市場の取引といたしましては、消費者もなるべく利口になっていただきたい、事業者も適正に商売をする、これが基本でございます。したがって、消費者の方も、できるだけ消費者契約の内容あるいは商品の内容というものについて知識を蓄えて利口な消費者になっていただくというのがいいことだと思うのですね。だから、この第二項で、消費者の方にもできるだけ契約については慎重かつ利口になっていただきたいという趣旨を書いておるわけです。
○海江田委員 それは私も全く同感でありまして、消費者の方も利口になっていただきたい、勉強していただきたい。
 かつて、ラルフ・ネーダーですか、日本には買い物客はいるけれども消費者はいないということを言ったように覚えている、なかなかうまいことを言うなあと。買い物客というのは安ければ要らないものでも買うとか、いろいろな定義づけがありますけれども、確かにそういうような傾向もありますから。
 これはまさに、消費者としての意識を持って、ここがまず第一歩ですけれども、消費者がいかにして本当に賢い消費者になっていくかという努力を不断にしていただかなければいけないというのは、これはもう当たり前のことでございますが、その努力規定と、その前に事業者の努力規定と、これを同じ第三条のところで、一項、二項で書き込みをするということになると、早くも、この第一条の目的のところで書いた意味合いというのが、まさにハンディがあるんですよという、ハンディがあって、そのハンディを負っている人たちをどういうふうにして守っていくかということが、本当にわずか十行かそこいら後の条文でもう打ち消しをされているというような印象を与えてしまうということでありますので、これはこれ以上言ってもしようがないかもしれませんが、少なくとも、そういうふうに見ている方が大変多いということはぜひ記憶にとどめておいていただきたいということでございます。
 だからその点でいうと、本当に民主党の案の方が、これはそういう記述もないわけでございます、落ちているわけですから。民主党も説明員がおりますので、そこのところをなぜ落としたのかということを一言、堺屋長官におっしゃっていただきたいと思います。
○北村(哲)議員 海江田委員が御指摘のとおり、私ども、まさに消費者と事業者が対等でないためにつくる法律でございますので、ここでまた対等に引き延ばしてしまえば両方とも公平だということになってしまうので、そこはむしろない方がいいという意味で外した法案をつくりました。よろしくお願いします。
○海江田委員 続いて、第四条に入っていきますけれども、第四条の場合は第二項に問題があるんじゃないだろうかということでございます。
 「消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対してある重要事項又は当該重要事項に関連する事項について当該消費者の利益となる旨を告げ、かつ、当該重要事項について当該消費者の不利益となる事実(当該告知により当該事実が存在しないと消費者が通常考えるべきものに限る。)を故意に告げなかったことにより、当該事実が存在しないとの誤認をし、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。」本当は条文も平易にした方がいいと思いますが、まあこれはいたし方ない。先ほど石毛委員からも話がありましたけれども、特に「故意」の問題です。
 これは、大きな理解とすれば、民法では詐欺による取り消しを認めていますよ、だけれども、この消費者契約法では、詐欺だけじゃなくて、民法による詐欺をもう少し広げて補完をして、そういうもう少し緩やかな条件のもとでも契約の取り消しができるんですよと。そういう役割を持たせているということであります。これはそれでいいですね。
○堺屋国務大臣 委員お説のように、民法の詐欺りもかなり緩やかな条件で、例えば今引用されました四条でございますと、一方で、こういう有利なことがある、値上がりするだろうと言って、値下がりするかもしれないとかいうようなことを言わなかったら、これは取り消しの事由になる。そういうところは非常に幅を広げて、まさに情報格差の部分を詰めよう、これはゼロにはならないけれども詰めようという努力をかなりしたと思います。
○海江田委員 それで、しかも故意だということがあるわけで、この故意が非常に難しいというのは本当に先ほど石毛委員からのお話もあったとおりでありまして、例えば、今、国会で問題になっている官房長官の、小渕前総理の病状なんかについても事実と違うことを言っているわけですよ。だけれども、それは故意なのか、それとも、気が動転をしておってとっさに事実と違うことを言ってしまったということなのか。ただ、事実と違うことを言ったということはうそをついたということなわけでございますけれども、やはり人の内面の問題というのは推しはかることが難しいわけですよ。ただ、それがしょっちゅう、先ほどもお話が出ましたけれども、多くの方がそれと同じ手口でもってやはり被害に遭っているということになれば、これはどうしても故意だろうということになると思いますが。
 ただ、今おっしゃった、値下がりをする、堺屋長官は株だとか何だとかそういうことを連想されて値下がりをするというお言葉をお使いになったんだろうと思いますが、これはなかなか難しい話でありまして、例えば今非常に問題になっているのは、国債を皆さんお買いになってくださいよということを、まあ国も国債を大量発行しておりますし、郵便局なんかも満期の償還金で国債を買ってくださいよ、それから証券会社なんかも国債を買ってくださいよということを一生懸命になって言っている。
 そうすると、普通の人は国債を買いなさいと言われると、ああそうですかと、国債というのは国が発行しますからこれは非常に安心なものだという考え方があるわけですよ。ところが、国が発行するんだから安心だということ、これも一つの側面で、事業者の方にしてみれば、売らんがためにそういうことを言う。これはそれでいいわけであります。
 ただ、国債を売るときに値下がりをするとかいうような表現は余り使わないわけですね。だけれども、例えば、中途でこの国債を売るときには時価になりますよみたいな言い方を仮にしたとすると、これで通ってしまうのですか、どうなんですか。例えばお年寄りがいる。あるいはお年寄りでなくたっていい、これまで全然国債なんか買ったことのない人が十年物の国債を買った。そのとき国債の販売員が、例えば、これは満期まで持っていれば確かに額面で償還をされます、だけれども、中途で売却をしたらそのときは時価で売却になりますということを言って、買った人の方は、これはもう当然、国債だから、国が担保をしているんだから平気だと思って中途で解約をした、そうしたら額面割れが起きたというようなときは、この法律に違反をするのですか、どうなんですか。
○堺屋国務大臣 委員のおっしゃる時価というのが、一般に、一般というか、消費者にどの程度理解されているかという議論だろうと思うのです。
 現在でございますと、時価というのは、国債は新聞に毎日出ておりますから、恐らく時価だったら低くなるときもあると考える方が普通じゃないでしょうかね。だから、時価になりますと言えば、下がることもあるといったことになるのじゃないか。これはちょっと地域により、相手の母体によっても違うかと思いますが、必ず額面で売れますというのじゃなしに、時価になりますと言えば、値下がりすることがあるという意味を含んでいるのじゃないでしょうか。ちょっとその辺は難しい判断ですけれども。
○海江田委員 堺屋長官は経済の専門家ですからそういうお話をされますが、一般の理解というのは、とてもじゃないけれども、時価になりますということで、特に国債の場合ですよ、株なんかと違いまして国債で時価ということの意味、これが本当に額面割れもあるなんというようなことがわかっている人がどれだけいるだろうか。私は、むしろわかっていない方が当たり前なんじゃないだろうかという気がするのです。
 やはり法律をつくって、しかも消費者契約法の場合は基本的な、繰り返しになりますけれども、さっきも冒頭のところで、まさに時価と言えば額面割れもあるよと。第一、額面なんという言葉だって知らない人が大抵いるのですよ。普通は元本という言い方なんですよ。元本割れとかいう、ただ、正確に言うと額面なんですよ。元本は、九十八円九十九銭で買うこともありますし、それは堺屋長官はわかっていらっしゃる。私も私なりにわかっているつもりです。だけれども、国債の場合、元本と額面がどう違うのかとか、これだって普通の人は知らないのですよ。
 そういうところがまさに情報量の格差であって、そこを、長官がおっしゃるように、時価と言えば額面割れもあるとかいうことをもう最初から決めつけてかかってしまうのは、これは何のために一番初めの目的のところで、消費者の情報量の格差ということに着目をしてわざわざその文言を入れたのかということが、ほとんど意味がなくなってしまうのじゃないだろうか。その辺に、重要な、この法律の持っている欠陥といいますか、政府が提案をしております法律の根本的な問題があるというふうに私は思うのですが、それはどうでしょうかね、牽強付会ですか、我田引水ですか。
○堺屋国務大臣 今の例でございますと、国債を政府が売るときあるいは流通市場で証券会社なりなんなりが売るときに、大いにその点は説明すべき事項と言えると思うのですね。だけれども、それを説明しなかったから、では、それで取り消しになるかどうか、問題はここなんですね。取り消しにするほどのことかどうかというのが問題。
 一例を挙げられるとおっしゃるとおりでございますが、では、それをずっと並べてきて、今度は、例えば小売屋さんが売っている商品についてはどうだ、電気屋さんが売っているパソコンについてはどうだ。私どももパソコンの説明を聞かされると、もう忙しいときには帰ってくれというぐらい長く聞かされることがあります。やはりそういうところは、全部取り消しの対象になったら、売る方は心配だから、全部言って帰らないと困るということになります。
 その辺は、大体その状況に応じて対応できるのが世の中の自由市場というもので、そういう情報格差というものがあることを前提にして考えた場合、この程度の措置が最適ではないかと私は思っております。
○海江田委員 パソコンの話だとかなんとかいろいろお話しになりましたけれども、実はこれは重要事項なわけですよ。そのことによって、買おうとするか、あるいは買おうとする意欲がなくなるかどうか、まさにそこにかかわってくる問題なんです。
 今の国債なんかというのは、まさにお金の話なわけですから、元本割れを起こすのか、それとも、いや、いつ換金をしたって平気ですよということは、これはかなり大きな重要事項の話だろうと思うのです。やはりその重要事項と一般的な説明義務の話を混同するということはおかしな話でありまして、あくまでも重要事項について話をしているわけでありますから。
 例えば車なんかでいえば、特に中古車なんかであれば、その中古車が事故を起こしたらどうかとか、やはりこういうのは重要事項です。それから何万キロ乗っているのかとか、こういうのは重要事項ですよ。だけれども、この車は右側のタイヤの方が左側のタイヤより少しすり減っていますよとか、こんなのは別に、それによって買う買わないの話じゃないわけですから、いいので、やはり重要事項に絡んでそういうような問題点があるということ。
 それから、まさに重要事項の認識についても、ここでは一般的な人を想定しているのでしょうけれども、そうじゃなくて、そういう意味では、俗に理解力が劣ると言われているようなお年寄りだとかそういう人たちを本当にこの法律で守れるのかな、本当にこの法律ができたことによって自分たちは守ってもらえるのかなというような、安心感みたいなものを与える法律でなければだめだと思うのです。
 そこがどうも、重要事項の、これは先ほど石毛さんの指摘にもありました、それから故意の話もそうでありますし、それから不利益のところの表現の話もそうでありまして、どうもここのところが不足をしているのじゃないだろうかというふうな考え方。この辺、民主党の案は非常にはっきりしているのですよ。やはりきちっとそれははっきりさせなさいよというようなことを言っているわけであります。
 それから、特にお年寄りなんかの場合はただし書きをすればいいわけですよ。この条文の後にただし書きをやって、そういうお年寄りなんかのときは、本当にこの人は理解をしているのかなと。さっきの話じゃないけれども、時価と言ったけれども、時価ってわかりますか、おすし屋さんにも時価と書いてあるけれども、おすし屋さんの時価とここの時価はどこが違うのかということを、やはり相手を見ながらきちっとした説明をするということがあって当然じゃないだろうかというふうに私は思うのですよ。いかがですか。
○堺屋国務大臣 その辺へいきますと大分難しいところへ入ってくるのですけれども、例えば今のパソコンの話でも、私たちはインターネットでEメールと検索ぐらいしか使っていませんが、例えばコンピューターグラフィックを使いたいという人にとってはそれが重要事項になるでしょうし、なかなか難しいところがございます。
 委員おっしゃることは、まず一つは、情報提供を努力義務、もう一つは、後の方の十条でしたか、信義誠実の原則というのがついておりまして、消費者が、この人は余り御存じないだろう、この人はここがわからないだろうというときには、売り手は信義誠実の原則に基づいてできる限りのことはやらなければいけない、こういうようになっております。
 それをもし一々書くとなりますと、今度はどんな商法が出てくるか、どんな商品が出てくるか、日進月歩でいろいろ形態が出てくるときに対応できなくなってくるのですね。そうすると、逆に、ここに書いていないからこれはいいんだという穴を探す人が必ず出てまいりますし、消費者の方にもまた、どちらかというとよからぬ消費者もおりますから、その辺を考えると、このあたりで一般法をつくって、もし問題が出てきたらその部分の特殊法をつくっていくというような形で構成せざるを得ないのじゃないかと思います。
○海江田委員 本当は逐条的にやっていこうと思ったのですが、確かに私も今、十条の話をした。
 それから、この日進月歩の時代にどんどん新しい事態が起きてくるのじゃないだろうかというお話がありましたので、私も質問させていただきますが、この法案、どこを見ても、いわゆる見直し条項みたいなものが入っていないわけです。これほどまさに、日進月歩と言いましたけれども、実は日進月歩なんて今は古いとか、分進秒歩だとか、あるいはドッグイヤーで七年分が一年だとか、いろいろ言われているような時代に、本当にこれで平気なのかなと。
 確かに、包括的な民法のルールの法律ですよ、包括法ですよということは十分理解はできるのですが、むしろ包括法であればあるだけ、そういう見直し条項なんかも当然のことながら入れておかなければいけないのじゃないだろうかというふうに思うわけでございますが、これが全然、見直し条項なんかも入っていない。本当にこれで未来永劫やっていけるのかどうなのか。そういう満々たる自信がおありとは、今の長官のお話からは私はむしろ思えないというふうな印象を受けておるのですが、いかがでしょうか。
○堺屋国務大臣 世の中が変化していくと、それにつれて法律も変わり、行政も変わってしまう、これは当然のことなんですね。したがって、法を施行してみて、こういうところが変わった、こういうところが変わったということになってきて、不都合が大きいということになれば、そのときは見直しあるいは改正をするということは当然あると思うんですが、やはり法律として安定している以上は、初めから何年でこれは見直すというようなことよりも、むしろそういう社会の流れでフォローアップしていくという方がよろしいのではないかと考えております。
○海江田委員 それはちょっと私は理解できないわけでございます。
 例えば、きょうの新聞に載っておりましたが、それから堺屋長官も何度も引用しておりますが、パソコンなんかのEコマースですか、インターネットの取引で、オークションでいろいろなものを売りますよと。前は、改造けん銃みたいなのを売って、警視庁の人がそれを手に入れて御用になったりとか、いろいろありましたけれども、最近そういうオークションで、例えば今人気のあるいろいろな、ロボット犬だとか、みんなが欲しがるものを売りますよというようなことを提供する、ネット上に出す。だけれども、実際にはそれが買えずに、お金は振り込んだけれども品物が送られてこない、どうもその品物自体がないのじゃないだろうかということ。これはもう詐欺ですから、物がないのに売りますよということをネット上に宣伝をして、そしてお金を集めたわけですから、これはその意味では詐欺罪で、警視庁がこれから着手をするというようなのがきょうの新聞の記事なわけです。
 これは、物が手元にないのにそういう形で申し込みを行ったということですから、お金を詐取した、だまし取ったであろうということですけれども、例えばさっきの車の話で、ネット上に中古車の販売、幾らもありますよ。
 あそこで、これは過去に事故を起こした車ですよなどということを書かずに、普通だったらば、普通の取引ならば、やりとりならば、ディーラーさんのところに行って、まさかこれは過去に事故を起こしたようなそういう歴なんか、そういう記録なんかありませんよね、ああ、ありませんよと言った、これはもう故意にうそをついたわけですから。だけれども、ネット上でそういう記述がなくて、こっちからもそういう問い合わせがなくて、それでもって入札をして、それで落札をした。ところが、その後、このお店に行って、ディーラーに行って、ちょっとぐあいが悪いところを持っていったら、わあ、すごいのを買いましたね、これ、水を浴びていますよ、水没していますよとか、大きな事故を起こしていますよとか言われたら、これはどうなるんですか。
○堺屋国務大臣 実は大変それは難しい問題なんですね。
 インターネットのホームページ上においては、勧誘に当たる行為が存在しないという問題があります。したがいまして、重要事項についても不実告知や故意の不告知ということが存在しないことから、この法律で契約を取り消すことができなくなりますが、それはどういうふうに出ているかによりますけれども、ひどい取引というか、落差が大きいときには、むしろ債務不履行の問題。御存じと思いますけれども、中古車のあれを見ますと、車歴何ぼ、こう書いていますね。だから、あれに間違いがあったとしたら、これは債務不履行の方になると思います。
○海江田委員 私も見たことがありますけれども、車歴何年、それから何キロ乗っていると大体書いて、あとは価格ぐらいなものなんですよ、これは。もちろん、何々型でといろいろなことが書いてある。事故歴などというのは、私、見たことがないわけですよ、そこに事故歴が書いてあるなどというのは。
 だから、この場合、当然買った人にしてみればそういう不満を持つわけで、これは重要な、当然のことながら、対面であればそういうことを聞いた、聞いたけれども故意にうそをついたとか、故意かどうかというのは立証するのは非常に難しいわけですけれども、対面とはやはり違うケースが既にあるわけですよ。このとき、この法律で守られるのですか、守られないのですか、これは。
○堺屋国務大臣 事故歴というのは多分書いてあると思いますけれども、あってなかったらこれは不実告知ですよね。それで、もともと事故歴が重要なものだと思っていないというような取引でしたら、消費者の方がやはり最悪の事態を考えて売買していると思いますね。
 だから、それは果たして重要事項かどうかというところは大変微妙なところだと思いますが、多分、事故歴は書いてある方が多いと思いますが。(海江田委員「書いてあるということないですよ」と呼ぶ)書いてないですか。書いてなかったら、消費者の方はそういうことを前提として取引すべきだと思います。
○海江田委員 いや、消費者は当然関心があるわけだけれども、与えられているデータがそれしかないものですから。しかも、一応、ではそれだったらといって、またメールを送ってとか、いろいろやればありますけれども、とりあえずやはり値段、これは一種のオークションですから、指し値をするわけです。それでうまく落札したとかいうケースは結構あるんですよね、現実問題として。
 だから、そういうときにもやはり、さっきの債務不履行とかなんとかいう話はありますけれども、これも、特に業者と個人であれば、立派にこの法律が本来包摂しなきゃいけない話であって、私は何もそのことがどうかということだけじゃなくて、これはもう長官自身がそういうコンピューターの取引とかいう話もおやりになったわけですけれども、やはりそういうふうに特に非常に大きな変化の時代だから、そういうものに対応できるような備えはしておかなきゃいけない。
 被害者がたくさん出てからとかいう話は全然ここで書いている精神と違うので、むしろ、そういう被害者が出ないように何ができるのか、何年たったら見直しますよぐらい入れたって何もおかしいことはないと思いますが、いかがでしょう。
○堺屋国務大臣 それは実際にやりますとむしろ逆でございまして、もしこれ、消費者の思う重要事項を全部書けといったら、ホームページにだあっと並びますよ。
 だから、ある程度消費者の方が、必ずEメールで問い合わせて、例えばオークションなんか出ますと、これはどういうあれかという自分の関心事項を問い返すというのが普通でございまして、もしそれなしに、一般的に消費者の関心事項というのを全部入れろということになったら、データが大変煩雑になって、かえって難しくなる可能性が高いと思います。そこはちょっと非常に微妙なところ、具体例になるとだんだん微妙になりますけれどもね。
 だから、私らのあれだったら、こういうことと、こういうことと、こういうことは教えてくれと必ず聞いて、それでうそを言っていたら、これは不実告知ですから取り消しできます。大抵はそうやっていると思います。
○海江田委員 何でも全部、ありとあらゆることを書きなさいなどというようなことは一言も言っていないわけで、事故歴などというのは非常に重要事項だろうと思うわけで、業界団体なんかがあって、しっかりとした、ただこれも本当は余り当てにならないわけですけれども、特にインターネットの時代になってくると、そういうところを外れた取引がいろいろ出てくるわけで、そういうときに本当に私はこの法律で対応できるのかなという問題点を指摘したわけですから。
 だから、これは委員長、ぜひ、もう法律を変えるというわけにいかないのなら、それは附帯決議でも何でも、やはりこれからの、本当にどういうふうになっていくのかをきちっと見守るということは、これは委員長の方にお願いをしまして、必ずしもこの法律だけで万全なものじゃないということだけは改めて指摘をしたいと思います。後で理事会でよろしくお取り計らいをお願いしたいと思います。
 まだ幾つも質問しなければいけない点があるんですけれども、第四条の第三項の「困惑」のところもそうであります。
 これも民法では脅迫ですよということで、だけれども、この契約法では困惑ですよという話なんですが、その困惑の事例が二つしか出ていないでしょう。事業者が退去しないとき、それから消費者が退去できないとき、しかもそれは、私は帰りたいんだよということを何度も言って、だけれども帰してくれなかったときだから、帰りたいということを言ったのか言わないのかとかいうようなことも、またこれは水かけ論の部分もある。とにかく事例がこの二つしかないんですよね。
 そうすると、これももう長官はよく御存じだろうと思いますけれども、電話でとにかくしつこくやって、この間の商工ローンみたいに目ん玉売れとかなんとか言えば、これは脅迫ですから、それはそれで刑法で処罰をされますけれども、そういう脅迫にはならない。だけれども、ここで言う物理的にその人間を電話口のところにくぎづけにして、そして結果的に契約を交わさせたということ、これは幾らだってある話なんですよ。電話じゃだめなんですか。
○堺屋国務大臣 本法では、電話のしつこい勧誘というだけでは取り消しの理由にはなりません。
○海江田委員 これだけの電話の時代ですから、そういうのが出ていないというのは、これはおかしな話じゃないですか。
 あるいは、恋人商法なんというのもあるそうですね。
 何か、いかにもその人に興味、関心がある、これは男性だけとは限らない、女性の場合もありますけれども、同性の場合はあるのかどうなのかわかりませんけれども、異性にあたかも興味、関心があるように装って、実際のところは異性に興味があるんじゃなくて物を売らんがために近づいていった。だけれども、その販売員の目的というものを全然相手は理解をしないから、契約を交わした。契約を交わすときに二回目のデートの約束をした。だけれども、契約を交わしたら二回目のデートはすっぽかされたというようなところで、何だこれは、その目的が、まさに物を売らんがために近づいたんじゃないだろうかというようなことも当然あるわけですよ。これはこの法律で排除できるんですか。
○堺屋国務大臣 デート商法というのは、これでは必ずしも取り消しの理由にはなりません。あくまでも、ここで言っておりますのは不退去、監禁という二つでございます。
 また、訪問販売法のクーリングオフの規定などで救済されるということは別途ございますが、デート商法等の、さっきの電話もそうですけれども、どこまでで区切りをとるか。まず相手の興味のありそうな話を持ちかけて、例えば、この花がきれいでしょうとか、こういうところへ行ったことがありますかということから話のきっかけをつくるというのは、世の中にいっぱいあることでして、デート商法というと特定のことを指しているのかもしれませんけれども、他の、これを売ろうという自分の目的の前に、何か世間話から入るというのは、これを全部取り消しの理由にすると、世の中の商売の半分ぐらいはやりにくくなると思うんですけれども。
○海江田委員 そんなことを言っているわけでないわけで、それは長官も重々御承知のわけでございます。それはいろいろ、こんにちはから始まって、きょうはお天気がいいですねとか、これは別に物を売るときに関係ないけれども、そういうのが当たり前でありますが、そうじゃなくて、やはりこれは、まさに物を売らんがための一つのテクニックといいますか、やり方として、デート商法というまさに商法の一つとして、しかも業として繰り返し繰り返し、何回も行われているわけですよ。
 一人の人間が何人も何人もそういう被害者をつくっているわけです。被害者からそういう苦情が上がってきた。消費者センターに、この人からも来たよ、この人からも来たよ、この人からも来たよと。どうもそれをやっている人は同じ人物だ、年格好だとか、風体だとか何かからいって同じような人だというようなことがわかっても、それは残念です、訪販法の問題はありますけれども、この消費者契約法では何ら、それはもう契約解除ですよと言えないということは現実問題ですね。
○堺屋国務大臣 今のケースでいいますと、ほとんどそれは詐欺に近いと思うんですね。同じことが何回も繰り返されて、しかも、他の目的で誘って、それでうまく乗せてということになりますと、それはむしろ重犯、何回もそれを繰り返している、あるいは組織的に大勢の人を使ってデート商法を繰り返しているということになると、それは詐欺の可能性が強いと思います。
○海江田委員 詐欺ですか。ほかに配偶者がいるのに結婚しようとか言えば、それは結婚詐欺というまた別な問題になりますけれども、とにかく、その手の商売をやる人の方は、だまされる人よりもはるかに上手なんですよ。私が言うまでもない。これは幾らも事例がありますが、こんな例も聞いたことがある。
 例えば、商売をやろうというときに、不動産などを、不動産じゃなくてもいいんですけれども、どこかのセールスマンが言っていましたけれども、何かとにかく契約書を交わす。契約書を交わして内金を幾らか入れてもらう。だけれども、その内金を入れてもらったら、例えばその日の夜の十一時ごろそのお宅にもう一回行って、いや、申しわけなかった、事務所に帰ってまた計算をしてみたら金額が二十円違っていた、私は二十円余計にいただき過ぎた、だから、申しわけないけれどもひとつこの二十円をお返ししますと夜中に訪ねてくる。そうすると、相手の方は、この人はたった二十円の差のところにもそういうふうに細かく気を配って、そして、わざわざ夜なのに私のところへ二十円届けに来てくれた、ああ、これはこの人の言うことを聞いておけば間違いないというふうに信じ込んで、とんでもない大きな失敗をしたとか、これはもう手口なんですよ。
 だまされる方は、何回だまされても、だまされるプロなどというのはいませんけれども、だます方というのはプロなんですから。その意味では、よっぽどこの種の法律を、個別の業法でやるんなら細かく決めなきゃいけないし、それから大きな包括法でやるんなら、まさにこの消費者契約法のように包括ルールでやるんなら、これはやはりなるべく抜け道がないように大きな網をかけなきゃいけない、それこそ天網恢々疎にして漏らさずのような。疎で粗いけれども漏らさないよということにしなきゃいけない。天網恢々疎にして漏らすですよ、はっきり言ってこの法律は。
 だから、ここのところをやはり、民主党の案などを拳々服膺していただいて、きょうはちょっと四字熟語が多いですけれども、本当に大いに参考にしていただきたいと私は思うんです。今、ちょっと短い間の質問でも、電話にも対応できませんよ、デート商法にも対応できませんよとか、対応できないのが多過ぎるんですよ。いかがですか。
○堺屋国務大臣 このくらいの粗いのが天網恢々疎だという感じがしておりまして、これ以上詰めると網にごみやジャコが詰まって大きな魚がとれなくなっちゃうという感じのところなんですね。逆に今度は、駐車場をやっていると、ちょっと当たったから云々とか、これを言わなかったからおれの車がこすられたとか、そういうようなトラブルもいっぱいあるわけですよ。
 そういう両方のことを考えますと、やはり、特別のものは特別のものとして取り締まって、消費者契約法という民法全体を労働契約以外すべて漏れなくかけている法律としては、こういうようなところが一番いいところではないか。これでも従来に比べますと相当大きな前進であり、しかも契約段階と無効段階の両方を網羅している非常に体系的な消費者契約法として、私はこれは世界に冠たるものだと思っております。
○海江田委員 とても私には世界に冠たるものだとは思えないわけです。
 それから、やはり消費者団体だとかなんだとかの人たちの意見ももう一度よく聞いてみて、確かに第一条の目的のところはいいことを書いてくれたということをみんな言っているんですけれども、やはり最後の方が、本当に竜頭蛇尾じゃないですけれども、どうも違っちゃうんじゃないのと、私のところにも随分いろいろな意見が来ています。
 さっきちょっとお話ししましたけれども、せめて三年後の見直しぐらいは附帯決議に入れてくださいとか、さっき石毛さんも話をしましたけれども、団体訴権の問題だとか差しとめ請求権の問題も出ていないけれども、やはりこれは将来の検討課題として附帯決議でもぜひ入れてくださいとか、切実な、こういう政府案ができて、不十分だけれども、しかも今の自公保という数の上で大変大きな数の人たちがいて、このまま通ってしまうんじゃ大変だから、せめてそれくらいのことはしっかり言ってくださいよというような意見が相次いでいるんですよ。
 そういうことにきちっと耳を傾けて、できるだけやはり、これはそういう人たちのための法律なんですから。バランスということも大事ですけれども、そのバランスというのは、あくまでも第一条に書いた消費者の方にウエートをかけたバランスだということ、このことは言っておきたいと思います。
 それからもう一つ、もう時間がありませんけれども、第七条の取り消し権の時効の話です。これは、追認できるときから六カ月間行わないとき取り消し権は消滅をする。特に六カ月。それからもう一つ、五年もありますけれども、特に六カ月というのは、これは具体的なトラブルになる。
 さっきの話でもいいですけれども、車が事故を起こしたということに気がつかない。事故を起こしたということに気がついてからですね、この場合の追認できるというのは。車を工場に持っていった。そうしたら、あれ、お客さん、これ幾らで買ったのですか、大きな事故を起こしていますよということを言われた。そこから六カ月ということになりますと、例えばディーラーに行っていろいろ交渉を始めても、そのディーラーが、はいわかりました、申しわけありませんと新しいのをくれるということには必ずしもならないわけですよ。
 これはまさに消費者センター等にいろいろな苦情が行っていると思いますが、その苦情の解決が、そこで苦情を言ってそこから話がスタートをしたって、六カ月、あっという間に済んじゃうのですよ、事業者と交渉をしている間に。また、事業者の方も最初から非を認めないのですよ。引き延ばしをやるのですよ。そのとき、この六カ月というのはいかにもやはり短過ぎるのですね、これは。ここのところはどうですか。
○堺屋国務大臣 これは、解決するまでが六カ月ではなしに、通告、通知すればいいのですね。本法の対象になる消費者契約について、一方が気がつくと、取り消し権の行使期間は、これを取り消しますということを通告すればいいので、その間にトラブルがあったり何かして解決するまでが六カ月ということではございませんから。だから、事故があったと思った、修理屋さんがおかしいと言ったら、すぐはがきか書面で通知しておけばいいのです。
○海江田委員 それはわかりましたけれども、だけれども、その場合でも、例えば、車の工場に行くまでにまさに六カ月たっちゃったなんというケースは、幾らでもありますね。これは要するに、先ほどの話ではないけれども、詐欺だとか強迫による、民法の方で言うとこれは五年ですよという決まりがある。だけれども、それよりも、ここで言えば、もともとが誤認に基づいている話ですから。誤認だということであれば、五年よりもう少し短くて、誤認で半年というのは若干これは短過ぎて、やはりそれだったら、民主党はたしか三年と言っているはずですよね、これは。やはり三年ぐらいのところにしても何の不都合はないと思うのですけれども、どうして六カ月でなければだめなのですか、これは。
○堺屋国務大臣 契約の取り消しという行為は非常に重要な事項でございますから、追認が、わかってから三年ということになりますと、かなり売買が不安定な状態が続く可能性がありますね。
 いろいろな例がございまして、民法の意思表示の場合とか、あるいは民法百五十三条の債権者の催告期間とかいうような例もございます。そういったものから見て、気がついてから六カ月で通知だけというのはそれほど短くないと思うのですけれどもね。
○海江田委員 何か非常に感覚的な、それほど短くないと思うとかいう話でありますが、民法で五年、この契約法で六カ月というのはちょっとバランスを欠くのではないかというふうに思うわけでございますが、それは私の考え方であります。それから、民主党もそういう案を出しておりますので、これはだれに聞いたってそっちの方がいいと言うに決まっていますが。
 最後に小池次官、先ほどからずっとお座りいただいておりますが。
 堺屋長官もいろいろ、バランスが大事だというお話をされましたけれども、どうですかね、バランスというのは。もう少し消費者の側にバランスを置いてもいいのではないだろうか。小池次官も野党の経験もおありですから、比較的長かったわけでございますから、そのときの経験等も思い出して、どうですか、これ。本当にこの法案で消費者に対していい法律をつくったと、私が政務次官のときにいい法律をつくったのだということをみんなに向かって言うことができるかどうか、お尋ねをします。
○小池政務次官 これだけ消費者主権の時代でございます。与党であろうが野党であろうが、消費者のことを考えない政党はもう生きていけないというぐらいのことではないか、またそういう時代だというふうに私は思っております。
 今回の消費者契約法でございますが、何よりもここへ来るまでに六年かかっております。さらには、これから新しい産業もどんどんと出てくる中で、包括的な民事ルールであるこういう法律をつくるということは、さらに新しい産業が出てくる上でもむしろ必要なことだと思っております。消費者とそして事業者と、ともに緊張関係を保ちながら、なおかつ今回は、情報量の格差が消費者の方にあるということをまず踏まえた上で、長年の時間をかけて、こうやって審議会そしてさまざまな会議等々を経まして、コンセンサスを経てできているという、この時間的な重み。そしてまた、私が現在経済企画庁総括政務次官として、この法案の最終的なところに差しかかっているところに関与させていただいた、大変誇りに思っておりますし、一日も早く成立をさせたいと思っているところでございます。
○海江田委員 もう時間ですので。長ければいいという話ではなくて、本当に磨きがかかって、いいものになればいいのですけれども。少し私は第一条から、冒頭にも言いましたように、後退をしているのではないだろうかというふうな意見を持っているところであります。
 それで、これは私だけの意見ではなしに、そういう意見を持っている人がたくさんいるということでありますので、委員長、ぜひ附帯決議なり、あるいはもちろん修正なりをしていただいて、本当に多くの消費者が、いい法律ができたということを歓迎できるような状況をつくっていただきたい、私からのお願いでございます。ありがとうございました。
○中山委員長 吉井英勝君。
○吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。私、前回に引き続きまして質問を行いたいと思います。
 きょう最初に、パソコン商法とでも申しますか、あるいは電子商取引などについて伺いたいと思います。
 あらかじめ経済企画庁の方にはこういう、最近よく配られているチラシについてお渡しをしてありますので、ごらんになっていらっしゃるかもしれませんが、要するに「インターネットでお店を開こう」というチラシです。「売上げゼロに近いお店がインターネット通販で大繁盛」「手作りの子供服販売している主婦がいます 自分でデザインした鉢植えを販売している主婦がいます」と。ですから、この範囲では、これをやって半年間で何万円売り上げが上がったとか、断定的判断の提供ということはありません。「インターネットのお店は、二十四時間、雨の日、台風の日も開店。年中無休。」「パソコンの購入から配線、インターネットを見れる設定まで致します。」「ホームページの掲載料は、インターネット接続会社のサービスで無料になっているはずです。 あとは、注文が届いているかどうかメールをチェックするだけ。」で、一日十円、三十一日で、一カ月三百十円と記載して、固定した住所、電話、ファックスなどがなくて、フリーダイヤルの番号だけ記載してあるのですね。
 ですから、これはいわゆるチラシ商法でもなく、内職商法でもなく、インターネット通販でも、この段階ではないのですね。資格商法でもない。しかし、引っかかった場合には被害が出てくるという問題を持っているわけです。
 そこで、こういう事例の場合に、消費者契約法によって被害が生まれないようにするには、この消費者契約法のどういう条項等を活用するとうまくいくのかとか、あるいは消費者センターなどを通じたPRで、こういう場合、何が必要なのか、こういうことについてまず伺っていきたいと思います。
○金子政府参考人 お答えいたします。
 委員お配りのこの資料を見たわけです。それで、委員も多分そういうお考えだと思いますけれども、この事業者が重要事項について事実と異なることを告げているとは言えないのでありまして、そういう面では、本法案の第四条第一項第一号の、事実と異なることを告げたということにはならないのではないかと思います。
 それで、これをどうするか。
 これで本当に被害が起こるかどうかというのがよくわからないわけです。住所が書いてあった方がいいかもしれませんけれども、ただ、ダイヤルもフリーダイヤルでありますから、どういう商売なのかということを確認することもできますから、とりたててこれが、見てみないとわかりませんけれども、これをもって消費者被害が起こるということもなかなか考えにくいと思いますし、また、消費者契約法から見て、これが契約取り消しの対象になるような勧誘をしているかというと、そうではないと思います。
○吉井委員 私も、確かに、このチラシの範囲内だけで言えば、なかなか問題はそう単純ではないと思うのです。これをやれば子供服手づくりでやったら売れますとか断定的に言っているわけじゃないし、しかし、お店を持たなくてもインターネットで店が開けるんだ、注文があったらこれだけ家におってもやれるのです、だから素人の方でもできますからお電話いただいたらということで、パソコンを売りつけたり、接続したり、いろいろやってお金を取っていくのだけれども、簡単に物事はうまくいかないですね。それでみんなが商売うまくいくようであったらだれも苦労しないわけですが、そういうふうな新しいやり方というものは本当にさまざま考え出されてくるので、やはりそういうことにも対応しながら、せっかくこういう法律をつくるからには、どうしてこれが生きたものになるようにしていくかということを考えていくのがこれからの問題だというふうに思うのです。
 次に、別な角度から伺っていきたいと思うのですが、NTTのダイヤルQ2、「ダイヤルQ2のご案内」というのが、一応チラシがNTTでありますが、「ご注意ください!インターネット上にダイヤルQ2番号へ自動的に接続するソフトがあります!」と一応案内はあります。しかし、NTTのこういうPRというのは、ほとんどの市民は知らないわけです。消費者は知らないのですね。
 パソコンで、次の画面を見たいときにはクリックしてください。これをクリックしますと、知らない間に勝手に業者の方から組まれたソフトが侵入してきて、Q2契約に変わってしまうわけですね。それで、一カ月二十万、三十万、四十万と取られてびっくり仰天する、こういう被害が現実に起こっております。
 Q2に申し込む意思表示をしていないということははっきりしているのですが、こういう場合は、消費者契約法第四条の重要事項の不実告知の方に当たるのか、あるいは故意の不告知に当たるということで対応していくことになるのかとか、やはりこういうこともこれから考えていかなきゃいけないと思うのですが、例えばこの場合はどういうふうに扱っていきますか。
○金子政府参考人 こういう事例で具体的にどうかというのはよくわからないのですけれども、そもそも事業者がインターネット上のホームページの画面に勧誘は行っていないのじゃないかなと思うので、そうなりますと、消費者契約法で非常に重要なのは勧誘という行為ですけれども、そういう行為がないのではないか。また、重要事項について不実の告知あるいは故意の不告知も存在しないわけですから、本法案の規定による契約取り消しの対象にはなり得ないのではないか、こう思います。
 それから、それだったら何なのかなということだと思いますけれども、委員今おっしゃったのですけれども、要するに契約締結の意思がないのじゃないか、契約を結ぼうと思わないのに結ばれた形になってしまうということで、そもそも意思の合致がないということで、こんなものは契約じゃないぞということで法的な措置をとるということではないかな、こう考えております。
○吉井委員 契約を結ぶ意思がなくても、意思表示していないのだけれども、とにかく、あ、何だろうなと興味を持ってクリックしたらQ2契約に変わってしまっていた、こういうことなんですね。
 それから、プロバイダー契約したところよりも安い、格安のプロバイダーありということで、ここをクリックしてくださいという場合もあるのですね。それをクリックすると、これまたダイヤルQ2に変えられてしまって、月二十万、三十万と取られていく。これは民法の詐欺に当たるということになるかもしれませんが、こういう重要事項の不告知、こういったものが消費者契約法で消費者保護が図られていくということになるのかどうか。
 さらに見てみますと、先ほども幾つかお話ありましたが、インターネットのホームページを見て、この商品ということで送金したが送られてこないとか、何度かやりとりしていると業者が雲隠れしてしまったとか、あるいは、使用していない、使用した覚えのないインターネット利用の請求がカード会社の方から送られてきて、解約した以降は要らないが解約前のものは支払えということをしつこく言われたりとか、そういった問題。そういう事例というものは今日さまざまに消費者相談の中にもありますが、訪問販売法上で言うインターネット通販の場合でも、通信販売に当たるものがあっても、しかし、商品、役務、権利が指定されていないものがほとんどですから、だからこれは適用が非常に難しいことになってきますね。
 そこで大臣、私は、インターネット取引の被害を消費者契約法でどのように有効に消費者を保護できるようなものにしていくか、それは今後検討、見直しの課題の部分が多いかもしれないけれども、今の時点でこういうものについてさまざまな被害が現に出てきているわけですが、大臣としては、消費者保護の角度から、この契約法をどういうふうに生かしていったらいけるとか、あるいは生かすためにはさらにこの契約法をこういうことを考えていかなきゃいけないだろうとか、その点のお考えを伺っておきたいと思います。
○堺屋国務大臣 吉井委員いろいろと例示を申されましたが、例えば、プロバイダー契約が格安だと書いてあって実はQ2だということになりますと、これは重要事項の不実で、恐らくこの法律の四条二項で取り消しになるかもと思います。それから、お金を払ったけれども相手がいない、物が送られてこない、これはもう詐欺でいけると思いますね。
 そういう、個々挙げていただきますといろいろと判定もできるのですが、一般にインターネットを使った商法というものが今急にふえておりまして、我々の消費者センターにもその苦情は少し来出したぐらいで、まだどういう事例があるのか分析できるほどの数になっておりません。
 だから、できるだけこういう一般法でできる部分と、それからまた、インターネットあるいはこういう特別のものでEメールとかEコマースとか何かできれば、それはそれでまた考えなきゃいけないと思いますが、一般法でできる範囲でいいますと、不実告知とか、そういうところの取り消しができるということになると思います。
○吉井委員 ですから、私は、今大臣がおっしゃったように、個別の相談事例等の分析も含めて、やはりインターネット取引のこうしたいろいろな事例がありますから、その事例を見ておっても、見直しというものは率直に言って必要になると思うのですよ。
 見直し規定を附則などの形で入れて、法律の施行後二年、三年とか、何年にするかというのはこれまたいろいろな御意見もあろうかと思いますが、やはり一定期間を経過する中で、実施状況とその間の評価を踏まえて必要な法律の改正などは考えていく。やはりそういう見直しを入れるということは、私は今の時点で、出発の時点で必要だと思うのですね。この点について、大臣の見解を聞きたいと思います。
○堺屋国務大臣 この消費者契約法は、全般的に対象にしておりますから、それが相対であろうが電子メールを使おうが電子商法であろうが、全部対象になりますから、その限りでここにある不実告知とか困惑とかになれば解除できるわけでございます。
 見直しの件でございますけれども、こういうとき、先ほども申しましたように、世の中が変われば当然その見直しというのは必要ですが、今、何年先にどう変わるかなんということはちょっと予想困難でございます。また、Eコマースにつきましては、Eコマースそのものとして通産省と郵政省の方で検討している面もございます。そういった体系の中で考えていかなければいけないことでございますので、この法律の中で何年とかいうようなことを固定するのは、かえって現実にそぐわないという感じがいたします。
 世の中の変化に応じて、行政、法制というのは変わってくるべきものだと考えております。
○吉井委員 いや、逆に、今もおっしゃったように、これからも検討していくんだと。ですから、その点ではきちんと、一定期間後に見直しをする、それは附則の中で、出発の時点で入れたらいいのではないですか。入れるのが筋ではないかと思うのですが、どうですか。
○堺屋国務大臣 何年とか、附則で入れるとするとそんなことになると思いますが、そういうものではなしに、むしろ、すべての法律はそうなんでございますけれども、世の中の事態の変化に応じて変わっていく。これはもう、道路交通法でも何でもそうなんですが、その方が正しいので、何年先、それまでやらない、それは必ずやるというような時期ではない。
 したがって、これは附則で入れるべきものではないと考えております。
○吉井委員 何年先とか入れない方が正しいという今のお考えですよね。あるいは、先ほども答弁ありましたし、せんだってもありましたが、法律の信頼性をゆるがせにするというお考えですね。
 しかし、実は、附則に見直しを入れているのは、たくさん法律であるのですよね。一九四八年七月二十九日公布の政治資金規正法附則第十条で、施行後五年を経過したときにとか、五〇年七月の地方税法では、附則第十条で、五年を経過してと。五〇年十二月十四日公布の中小企業信用保険法では、附則第二項で、二〇〇一年三月三十一日までの間にと。五七年三月公布の租税特別措置法では、五年を経過して、六五年の三月の所得税法の附則五十一条でも、五年を経過して、九四年二月の政党助成法附則第六条でも、五年を経過してと。スポーツ振興、いわゆるサッカーくじ法ですね、これでも、七年を経過してですし、金融再生健全化法では、二〇〇一年三月三十一日までの間にと。
 だから、見直し規定を附則に入れた法律はいろいろあるのです。法律の安定性を欠いているとかその方が正しいと言い出すと、これらの法律は安定性を欠いていたとか正しくない法律であったということになるわけですね。ですから私は、安定性をこれらの法律は欠いていたとお考えなのか、正しくないと考えていらっしゃるのか、それをまず伺っておきたいと思いますよ。
○堺屋国務大臣 すべての法律で見直し規定があるのは正しくないと申しませんが、まず、民事規定という非常に一般的な人々を対象としたもの、それから予測が非常に困難なもの、そういったものにつきましては、特定の期日を限って見直し規定を入れるべきではないと思っております。
 委員が例示を挙げられた中に私もよく存じているのもございますけれども、そういうときにはいろいろ議論があって、こういうような変化が予測できるとか、あるいはこういうような不都合が起こったらどうするかというような議論が起こりまして、いろいろな過程でついたものが多いだろうと思うのです。
 政党助成法とかサッカー法とか、そういう特定のはっきりした目的のものであればいいのですけれども、民事規定でこれを入れますと非常に多くの人々にかぶってくるものですから、特定の期日を明確にするというのは困難だろうと思うのですね。
○吉井委員 今、変化があって議論があって入れたものだというお話ですが、しかしまさにこれも、団体訴権についても法制審その他での議論もあり、それから、私もそうですが、私以外の議員の方たちからも、電子商取引その他の問題について、まさに今問題になっている。この電子商取引については現実にいろいろ議論、検討が始まっている話なんですよ。だから、出発の時点で附則に見直し規定を設ける、これは私は、まさに今おっしゃった答弁からしても筋にかなったものだと思いますよ。
 もう一度伺いたいと思います。
    〔委員長退席、小林(興)委員長代理着席〕
○堺屋国務大臣 むしろ、委員の仰せのことでございますと、例えば、Eコマースについての法律がどうなるか、あるいは私法関係の、民事訴訟法がどうなるか、その時期が今のところわかりません。もしそういうところで大きな変化が出てきたら、やはりこの法律にも影響は出てくると思いますが、それはいつなのか、ちょっと時期的予測が不可能でございます。
 そういうときですので、世の中の変化に応じて法律が変わっていくというのは当然あることだと思うのですが、それを、民事訴訟法が三年後に変わる、Eコマースが二年後に変わると明確に今のところちょっと予想できませんので、それはそのとき、そういう事態が生じたときにまた国会に諮らせていただきまして、先生方、委員の御意見を伺って変えていきたい。その間にいろいろと各方面の意見も出てくるでしょうし、そういう世の中の変化に応じて対応するのがこういう民事ルールの基本ではないかと思います。
○吉井委員 これまでから五年後見直しを決めた附則のついた法律で、しかし、五年たってその時点で見直して変えるというのはなかなか難しくて、そのままずっと十年二十年と経過しているものだってあるわけです。ですから私は、法の安定性という理屈とか、その方が正しいということでもって見直し規定を否定する、附則に入れることを切り捨てるというのは間違っているということを指摘して、次の問題に入っていきたいと思います。
 次に、少しまたもとへ戻りまして、第四条、消費者が契約を取り消す場合の問題に移りたいと思います。
 この点では、消費者が誤認をする重要事項というのは、不実告知と、将来の変動が不確実であるのに断定的判断の提供など、やはりこういうふうに狭く限定しないで、類似の事項の場合は取り消すという立場で臨むべきだと思うのですが、これについても大臣のお考えを聞いておきたいと思います。
○堺屋国務大臣 取引において、取り消しというのは非常に強い効果でございます。また、物によってはその間に劣化とか変化とかもいたします。したがって、取り消し条件というのは明確にしておく必要があると思うのですね。
 事業者の側からも消費者の側からも、何で取り消せるかということが不明確でございますと、非常に取引の安定性を損ないますし、そもそも所有権が確定しないようなままで置いておく形になりますから、これはやはり、取り消しという民法ルールとしては最も厳しいものを適用する限りは、内容は明確に限定しておくという方が正しいのではないか、いいのではないかと思います。
○吉井委員 これは、やはり狭く限定して誤認をした消費者被害を切り捨ててしまうのではなくて、大体、不実告知とか、不確実であるのに断定的判断を提供というのは、相手もさるもの、微妙なところをいきますから、だから私は、類似事項は広く取り消すことによって消費者が守られるようにする。その運用というのを、それぞれのケースケースに合わせて、実態に応じて対処する。大臣、そういうふうにやはり考えるべきじゃありませんか。
 余り狭くして、ばっさり一刀両断に切り捨てるのじゃなくて、現実の法の運用の中ではケースケースに合わせて、なかなか切りにくくても、類似のケースで現に被害が出ている、生まれてくる、そういうケースが多いわけですから、そういう誤認をした重要事項については取り消しをする、それぐらいの運用の仕方というものをやはり考えるべきじゃありませんか。
○堺屋国務大臣 この法律は裁判外解決が多いものですから、実際の運用になりますと話し合いということが多くなると思います。その段階でどういう範囲をとるかというのは、ケース・バイ・ケースということが出てくるだろうと思います。
 確かに、委員仰せのように、非常に消費者がかわいそうだとか事業者の方が悪らつだとかいうようなケースもあろうかと思いますが、裁判になったときと違いまして、裁判外というのはそういう弾力的な部分はあろうと思います。
○吉井委員 日弁連の一一〇番にも相談が寄せられた事例に、パラジウムなどの先物取引、一週間で三倍になると言われてパラジウムの先物取引をしたら、追い証を求められ、もうやめたいと思っても、損金を払え、払わないとだめだと応じてくれない。
 この種のものが、実は先物取引で随分多いわけですね。パラジウムその他のもの、あるいは金融商品などの先物取引を断定的判断の提供でさせたときには、損を出させたときに、契約時に支払った金額は返還されるものになりますというのが経企庁の方のあらかじめのこの法案レクのときの説明でしたが、こういう場合はもとの状態で返させるようにする、こう理解していいですね。
○金子政府参考人 ただいまの委員の御指摘は断定的判断の提供ということになると思いますけれども、その場合には契約を取り消すことができる、契約を取り消した場合には原状を回復するということですから、その当初のお金を返してもらうということになると思います。
○吉井委員 不実告知、断定的判断の提供によって誤認して先物取引の契約をしたとき、これは今の答弁どおりですね、契約は取り消しできる。これに類するものについても、類するということは、パラジウムその他のもの、こういう場合の契約取り消しはできるというふうに理解しておいていいですね。もう一度だけ再確認しておきたいと思います。
○金子政府参考人 断定的判断の対象ですけれども、これは変動が不確実なものということでありまして、その内容は財産的なものだということで、金の先物取引だとか証券だとか、そういうような財産取引に係るようなもので不確実なものについて、断定的判断を提供し、それによって誤認をした場合には取り消しができるということであります。
○吉井委員 次に、「故意」の立証責任の問題です。
 法案では、消費者に不利益になることを告げなかった場合に取り消すことができるとしているわけですが、そのことで問題になるのが、故意に告げなかった場合に限定しているという問題ですね。これがいろいろ議論の出されているところです。
 言った言わないとなり、言ったとしても重要事項の規定に当たらないとされたり、故意に言わなかったのではないとされると、例えば、目的隠匿型、SF商法や恋人商法のようなものは、消費者契約法では事業者の方が有利になる場合もあり得るわけです。しかし、販売する人間が次々かわるなどで、それが故意であったと消費者が立証することが極めて困難になる、こういう場合も非常に多くあり得るわけです。ですから、こういう点では、やはり「故意」ということは外すべきだと思うのですね。これは大臣、どうですか。
○堺屋国務大臣 「故意」とは、当該事業者が、当該事実が当該消費者の不利益になるものであることを知っており、かつ当該消費者が当該事実を認識していないことを知っていながらあえて言わなかった、こういうことでございますけれども、事業者として、当然重要事項だと知っていながら、そして相手も知らないだろうと思いながら言わなかったということは、詐欺の場合と違って、非常に範囲が広くなります。
 だから、確かに先生おっしゃるように、どんどんセールスマンがかわってというようなケースもあろうかと思いますけれども、例えば、セールスマンをわざとかえていたりすると、やはりこれは一つの故意と見ることができますね。だから、これは詐欺その他の故意と違って、かなり広く受けとめられるんじゃないかと思います。
○吉井委員 そうすると、実際問題としては、法律案に「故意」が入っていても、消費者が契約締結に際して必要な事項を消費者が理解できる方法できちんと提供されていない場合、そういう場合は、この「故意」という文言があったとしても、立証なしに契約取り消しというのはできますね。
○堺屋国務大臣 それはちょっと無理だと思うのですね。やはりこの法律では、故意ということは消費者の方が立証するということになっておりますから、全然立証できない状態で取り消すというのはちょっと無理だと思います。
○吉井委員 契約締結に際して必要な事項を消費者が理解できる方法できちんと提供するということは、私は、本来消費者契約法が想定している考え方だと思うのですよ。その考え方をきちっとやっておれば、法律上「故意」という言葉は入っておろうとなかろうと、本来、それで正常な契約になると思うのですよ。しかし、消費者が理解できる方法できちんと提供していなかったら、それは故意ということを立証するまでもなくて、消費者が理解できる方法できちんと提供しなかったということは、私は、実態としてはやはり故意に提供していないと思うのですよ。
 だから、言葉としては「故意に」ということが仮に書いてあったとしても、こういうふうな場合は立証責任を求められることなく契約の取り消しができる、私はそういうふうに法律というものは考えていくべきじゃないかと思うのですが、この点どうですか。
○堺屋国務大臣 個々の実際の問題になりますといろいろあると思いますが、一般的な法律事項として、取り消しというのは、やはり相手が、事業者の側が、消費者は知らないということがわかり、そして自分はわざと言っていないということがない、うっかりぐらいで、うっかり言わなかったとかいうようなことで取り消しになりますと、やはり問題が複雑になります。
 そして、それが大変大きな金額だとかいうことになると、当然、言うべきことを言わないというのは故意である可能性が高いのですけれども、だんだん取引の種類が、いろいろな条項にかんがえてまいりますと、一概に故意の立証がなしに取り消すということになりますと、当然消費者が知っていると思っていたとか、ちょっとうっかりしたとか、そのとき忙しかったとかいうようなことがございますから、一般論として、それを法的に適用するのは難しいのじゃないかと思います。
○吉井委員 消費者にとって立証することは著しく困難ではないというのが本会議答弁以来の考え方なんです。しかし、今のお話を聞いていると、実際問題として、必要な事項を消費者が理解できる方法できちんと提供するといういわば常識的なことがやられていない場合でも、うっかりだとか何だとかいうことでもって、やはり「故意」を入れておかないといけないと。消費者側は、これで契約解除したいという場合も挙証責任が求められる。こういうことになると、これは本当に消費者契約法の魂が大分抜かれてしまうので、そういう点では、もしそういうことでいくならば、私は「故意」という部分は削除するべきだ。
 しかし、文言が入っておったとしても、私が今くどく言いましたような、消費者が理解できる方法できちんと必要な事項を提供していなかったならば、それは仮に「故意」という文言が入っておったとしても、この場合は挙証責任を求められることなく、普通の契約として契約の取り消しをできるのですよ、こういうふうに読むことができるならば、それは文言が入っておったとしても訓示規定といえば訓示規定というところですから、それでもうそういう理解の仕方ができるかと思うのですけれども、もう一遍、聞いておきたいと思います。
○堺屋国務大臣 「故意」というのは、単に装飾語で入っているのではなしに、やはり重要な部分だと思います。
 前の方に、事業者に、情報提供に心がけなければならないという努力義務が入っておりますが、この努力義務とあわせて、そういう取り消しという厳しい結果を予定しておりますから、一般的にはわかりやすいことで情報提供すべきだという努力義務がございますが、それをすぐ取り消しという法律に当てはめるのには、やはり立証、故意というものが大事だ、ポイントだと思います。
○吉井委員 私は、そういう立場でいくならば、故意という部分は削除するべきだということを重ねて申し上げておきたいと思います。
 さて次に、不当勧誘行為の問題について、これは前回例を挙げて質問しましたので、前回例を挙げたような不当勧誘行為などの実態からして、やはり被害の実態に即して、不退去、監禁型だけに限定した不当勧誘行為にするのじゃなくて、威迫や困惑など消費者の判断を誤らせるものを広く不当勧誘行為として、このような場合に消費者がその契約を取り消すことができるようにするべきだ、私はそういう考えを持っております。
 同時に、この法律でいく場合でも、法の運用の中では、威迫、困惑など消費者の判断を誤らせるものを広く不当勧誘行為として消費者を守るという立場で、大体さっきもおっしゃったように、裁判外での扱いが多いわけですから、そこでは広く威迫、困惑行為を不当勧誘行為としてとらえて消費者の不利益を解決するように、そういう立場で臨んでいくということ。
 それから、大体、現場ではさまざまに努力して、これは消費生活センターの相談員の方とか弁護士さんとかさまざまな方たちが取り組まれて、解決の実例あるいは判例等を重ねてきているわけですから、そういう実績の積み上げをやはり後退させることなく、法の執行をしていく上で、現場の段階では威迫、困惑などを広く不当勧誘行為としてとらえて消費者を守っていく。こういう立場というものは、国の方でもきちんと考えていくべきだと思うのですが、この点についてはどうですか。
○堺屋国務大臣 委員のおっしゃる法の問題のときと、実行段階でいろいろな方々が御尽力いただいて、いわゆる丸くおさめるとか迷惑しないようにするというのと、ちょっと段階が違うと思うのですが、法の段階で申しますと、第一に、威迫とか困惑という行為が必ずしも内容がはっきりしない。事業者の方ではそうでないと思っていても、片一方は威迫、困惑だったというようなことも起こります。第二番目に、威迫については民法の強迫という概念がございまして、そちらへ大体いくだろうと思います。それから第三番目に、意思表示の取り消しが認められるかどうか。困惑に関して、明確な監禁とか不退去とかいうことなくして、単に困惑というだけでは消費者の示した意思表示に瑕疵があるかどうかというような議論が出てまいります。そういたしますと、余りこれを広く一般論としてとらえますと、非常に双方の側に扱いにくい、難しいボーダーラインがいっぱい出てまいります。
 したがって、法律といたしましては、やはりここは明確にしておいて、そして、実行の段階ではいろいろな方々が御尽力いただいてということになろうかと思います。決して今までつくった、積み上げてきた判例、強迫の判例とかそういうものを緩めようという気は全くございません。
○吉井委員 時間が参りましたので、続きは次回にということで、終わりたいと思います。
○小林(興)委員長代理 知久馬二三子君。
○知久馬委員 社会民主党・市民連合の知久馬二三子でございます。
 私は、まず四日の委員会での審議、そして五日の参考人の質疑を踏まえて質問させていただきたいと思います。
 消費者団体の代表であります日和佐事務局長さんの意見の中で、裁判外紛争処理機関の設置についての検討が必要ではないかということが指摘されましたし、また、事務局長さんは、都道府県に設置されている苦情処理委員会にも言及され、案件を付議する手続が不明確であるから、その手続を透明化するように求められました。
 それで、ADRの必要性は言うまでもありませんが、現実に全く新しいものをつくっていくには困難も大変多いことと思います。しかし、来年四月の消費者契約法の施行を待つまでもなく、裁判外紛争処理の充実は緊急な課題であると思うのでございます。介護保険制度の施行に伴い、契約に伴うトラブルがさらに増加する可能性があることを考えますと、消費者契約法の実効性を確保するためには、むしろ前倒しで実施する必要があると思うのです。
 それで、現実的には二つの方法があるのではないでしょうか。一つには、既存の裁判外紛争処理機関の充実を図り、これを活用すること。そして二つとしては、司法制度を消費者、少額被害ですけれども、にとって利用しやすいように改革することだろうと思うのでございます。
 そこで、このADRの設置の検討でございますけれども、四日の質疑でも主張してきましたけれども、この裁判外紛争処理機関は、消費者にとって使いやすく、身近なところにあることが必要であると思うのです。この要件を満たすものとして消費者センターがあり、各党がその充実の必要性を主張されていますが、中立的な調停機関として、より本格的なものとしては苦情処理委員会があります。裁判外紛争処理機関として、この苦情処理委員会の活性化の必要性を私は強く主張したいと思うものでございます。
 四日の質疑の結果で、苦情処理委員会は自治体が条例で設置しており、紛争当事者の手続等については、学識経験者、それから消費者代表、それと事業者代表の三者の構成となっており、中立性のあるものであることがわかりました。しかし、残念ながら、せっかく条例によって設置されたものにもかかわらず、ほとんど開催されていないというのが実態であるということがわかりました。
 消費者契約法の施行に向けて、ぜひこの活性化を図る必要があると思うのでございます。都道府県の苦情処理委員会をどのように活用していくかは都道府県が決めるべき問題でありますが、国としてできる環境整備を行うことは、消費者契約法の実効性を確保するには必要なことだと思います。
 そこで、質問いたします。経済企画庁は、消費者契約法案を提出されている立場から、消費者契約にかかわる紛争について、都道府県においても苦情処理委員会で紛争処理がより積極的になされることを期待されていると考えてよいのでしょうか。その点についてお伺いいたします。
○金子政府参考人 委員御指摘のように、消費者苦情というのは、必ずしも金額が多くないということ、あるいは裁判に持っていくのはなかなかなじみにくいということがありますから、裁判外紛争処理機関が十分に整備されるということが、この消費者契約法ができて、それが実効性を上げていくためにも非常に重要ではないか、こう考えております。
 その一つは、消費生活センターそれ自体がしっかりした苦情処理を行っていくということが重要ですけれども、今後かなり消費者契約法に基づいたいろいろな紛争が出てくると思いますし、それは、難しい案件になりますと消費生活センターだけでは処理ができないという問題になっていく。そうなりますと、それよりさらに上の機関に持っていって、より中立的な観点からこれを判断していくということが重要であると考えています。そういう面で、現在、各都道府県などにあります苦情処理委員会によるあっせん、調停、これは、今後消費者契約法が施行されました場合には、より重要なことになっていくと考えています。
 それで、委員おっしゃったように、苦情処理委員会、これは条例で設置されていますから、その運営自体は各都道府県に任されるわけですけれども、私どもとしても、今申しましたような認識に基づきまして、この苦情処理委員会が消費者契約法の実施された以降は十分に活用されるよう働きかけてまいりたいと思っております。
○知久馬委員 今、都道府県においてもこのことを積極的になされるべきだということをおっしゃったと思います。
 苦情処理委員会を開催するときに、高度な難しい紛争の場合に、地方においては専門家がいない場合があります。特に、私の県なんかは小さい県ですから、なかなかそうした専門家というのがいません。そうした苦情処理委員会を活性化するためには、苦情処理委員会を開催することが必要な場合には専門家を国から派遣する制度をつくるべきだと思うのでございますが、この点についてどうでしょうか。
○金子政府参考人 各都道府県において条例によって設置されておる苦情処理委員会、これは、委員御指摘のように三者の構成になっていまして、その中立の委員の方々は弁護士などが中心だと思います。
 それで、そういう形で適切に紛争の検討が行われていくものだと思いますけれども、消費者契約のトラブルというのは多岐にわたるわけですから、場合によっては、その案件によっては、非常に高度な専門的な知識を要するということ、しっかりした専門家がいるということが処理の適正を確保するために重要であるということにもなるのではないか、こう考えております。
 そういう面で、都道府県の苦情処理委員会の審議の中で、案件によって、高度、専門的な知識を要するという場合には、経済企画庁として、その専門家を派遣するというようなことについても検討してまいりたいと思っております。
○知久馬委員 四日の国民生活局長さんの答弁では、消費者契約法の内容を地方に説明するという意味で専門家を派遣するというものであったと思います。しかし、これにとどまらずに、苦情処理委員会を開催するために、必要な専門家を国から国の費用で地方に派遣する制度をつくるべきではないかと再度お願いするわけなんですけれども、本当に苦情処理委員会を活性化するためには、ぜひとも今言いました国の費用で地方に派遣していただくということを御検討願いたいと思うところでございます。
○金子政府参考人 先日は、消費者契約法の理解のために専門家を派遣するということは必要ではないか、こう申し上げまして、それについてはしっかりやっていきたいと思っています。
 それから、先生御指摘の苦情処理委員会に専門家を派遣するということですけれども、具体的にどういう形がいいのかということも検討していかなきゃいけませんけれども、そもそも、私どもとしても、都道府県において苦情処理委員会が活性化するということが必要だと考えていますので、専門家をどういう形で派遣するか、これは検討してまいりたいと思いますけれども、そういう方向で考えていきたい、こう考えております。
○知久馬委員 大変申しわけない、たびたびですけれども、本当に地方の行財政というのは大変逼迫している状況にありますので、これらを本当に活性化しようということになれば、やはり先がた言いましたようなことを御検討願いたいと思います。
 次に、ADRですか、消費者のための司法制度改革についてお伺いしたいと思います。
 司法制度改革のための検討が行われていますけれども、司法制度を消費者のために使用しやすいものにするという視点も重要なことだと思います。五日の及川参考人からの、消費者契約法の実効性を確保するための司法制度改革が重要というお話もございました。司法制度改革については、司法制度を消費者のために利用しやすいものにする、そして少額の事件の解決にも役立つものにするという視点からの検討が重要だと思うのでございます。
 そこでお伺いしますけれども、司法制度を消費者のために利用しやすいものにするという観点から、平成十年に民事訴訟法の改正に盛り込まれた少額事件訴訟手続、簡易裁判所で三十万円以下の事件について、簡易迅速に、原則一日で解決するという手続ですが、このことが注目されますけれども、実績ではどのくらいの件数が提訴され、どのくらいの判決が出ていますか。また、どのようなトラブルの解決に利用されたのでしょうか、参考までにお聞かせ願いたいと思います。
○細川政府参考人 少額事件訴訟に係る訴訟事件数等のお尋ねでございますが、これは、最高裁判所の統計によりますと、新たに提起された少額訴訟の事件は、新法、新しい民事訴訟法が施行された初年度である平成十年度では八千三百件でございました。平成十一年度では約一万件ということになっております。
 次に、一年間に終了した少額事件の事件数でございますが、平成十年度は約六千八百件、平成十一年度は九千九百件でございます。このうち、判決がされた事件数の正確な統計はございませんけれども、おおむね四割程度であると聞いておりまして、その余は、和解等から話がついて取り下げられるというふうな解決がされているものと推測しております。
 また、事件の類型といたしましては、東京、大阪の裁判所の例によりますと、賃貸借に伴う敷金の返還請求事件、それから交通事故関係等の損害賠償請求事件、それから売買代金請求事件などにおきまして比較的多く利用されていると聞いております。
○知久馬委員 ありがとうございました。
 今お聞きしたのは、国民生活センターの統計では、三十万、四十万ぐらいの件数ですか、いろいろな事件があるんですけれども、それと比較してみれば、こうしたところでの相談は少ないと思うわけです。そこでこうした利用状況をお聞きしたわけなんですけれども、消費者契約法に係る紛争を少額事件訴訟を活用して解決することは可能と思われますでしょうか。その辺のことをお聞きしたいと思います。
○細川政府参考人 先ほど委員御指摘のとおり、少額訴訟の制度は、訴訟の目的の価額が三十万円以下の金銭の支払いの請求を目的とする訴えについて、原則として一回の口頭弁論の期日で審理を完了するというものでございます。したがいまして、こういった要件を満たす訴えでありますれば、消費者契約法にかかわるものであっても、当然、少額訴訟の制度によることは可能でございます。
 もっとも、争点が非常に複雑だとか、多数の証拠調べが必要であるなどの事情があるケースにつきましては、これは通常訴訟で扱った方がいいのではないかというふうに考えられます。
○知久馬委員 ありがとうございました。
 確かに、このことにつきましては、原則一日で解決しなければならないということがございますし、相当なれた人とか専門家でなければなかなか難しいことだと思います。
 次ですけれども、少額事件の場合、費用の点から、弁護士にお願いすることが現実的ではないことも多いと思います。本人訴訟を支援する仕組みも充実されるべきだと思いますが、簡易裁判所において司法書士などの隣接職種、専門家に訴訟の代理権を与えるなど、消費者紛争を簡易裁判所で解決しやすくすることが必要ではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○房村政府参考人 ただいま先生御指摘の司法書士に簡易裁判所での代理権を与えるというような問題につきましては、国民に利用しやすい司法制度を実現するという観点からは非常に重要な問題であろうというぐあいに私どもも考えております。
 こういった司法書士を含む隣接職種の方々に訴訟への関与をどの程度認めるかという問題につきましては、政府として、ことしの三月三十一日に閣議決定をいたしました規制緩和推進三カ年計画の中で、規制改革委員会の第二次見解、それから司法制度改革審議会の審議結果等を踏まえ、司法サービスへのアクセスの向上等の観点から検討し、結論を得て所要の措置を講ずることといたしております。
 こういうものを受けまして、内閣に設置されました司法制度改革審議会で、今日本の司法制度全般について審議しておりますが、その司法制度改革審議会では、取り上げるべき論点の中に、弁護士と隣接法律専門職種との関係、もちろんこの中には司法書士の簡易裁判所での代理権の問題も含まれておりますが、これを取り上げるということを正式に決定いたしております。したがいまして、これからこの司法制度改革審議会において、国民的見地に立ちまして、この問題が審議されることと思っております。
 私ども法務省といたしましても、資料の提出その他、この審議会の審議が十分になされますよう全面的に協力していくつもりでおります。
○知久馬委員 ありがとうございます。
 少額事件の場合ですけれども、法律相談を弁護士さんにお願いするだけでも大変だと思うんです。例えば、五万円の被害で一万円の相談料というようなことになったら、本当に簡単に相談もできません。しかも、地方の方ではそもそも弁護士の先生が少ないというような状況でございます。
 そこで、先がた話されたように、司法書士さん等の一定の資格を持たれた方で弁護士以外でも業としてできるようにすべきだということをお願いしたいと思うわけです。
 時間が参りましたので、続きにつきましてはまた次回にお願いしたいと思います。大変ありがとうございました。
○小林(興)委員長代理 次回は、来る十四日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後七時二十六分散会