第147回国会 建設委員会 第8号
平成十二年四月五日(水曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 大口 善徳君
   理事 佐田玄一郎君 理事 佐藤 静雄君
   理事 原田 義昭君 理事 宮路 和明君
   理事 田中 慶秋君 理事 吉田 公一君
   理事 井上 義久君
      加藤 卓二君    亀井 久興君
      岸田 文雄君    小林 多門君
      桜田 義孝君    西川 公也君
      蓮実  進君    増田 敏男君
      松本 和那君    宮腰 光寛君
      平野 博文君    前原 誠司君
      松崎 公昭君    渡辺  周君
      上田  勇君    辻  第一君
      中島 武敏君    中西 績介君
    …………………………………
   国土政務次官       増田 敏男君
   建設政務次官       加藤 卓二君
   建設政務次官       岸田 文雄君
   参考人
   (横浜国立大学教授)   小林 重敬君
   参考人
   (財団法人社会開発総合研
   究所理事長)       宮澤美智雄君
   参考人
   (福島県福島市長)    吉田 修一君
   参考人
   (東京都立大学都市研究所
   客員研究教授)      石田 頼房君
   建設委員会専門員     福田 秀文君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月五日
 辞任         補欠選任
  樽床 伸二君     松崎 公昭君
同日
 辞任         補欠選任
  松崎 公昭君     樽床 伸二君
同日
 辞任
  西野  陽君
同日
            補欠選任
             佐々木洋平君
    ―――――――――――――
四月五日
 川辺川ダム建設環境アセスメント実施に関する請願(金田誠一君紹介)(第一三〇一号)
 同(五島正規君紹介)(第一三〇二号)
 同(中川智子君紹介)(第一三〇三号)
 同(松沢成文君紹介)(第一三〇四号)
 同(海江田万里君紹介)(第一三三九号)
 同(佐々木秀典君紹介)(第一三四〇号)
 同(佐藤謙一郎君紹介)(第一三四一号)
 同(武村正義君紹介)(第一三四二号)
 同(濱田健一君紹介)(第一三四三号)
 同(保坂展人君紹介)(第一三四四号)
 同(松崎公昭君紹介)(第一三四五号)
 建設省中部地方建設局における男女平等な職場の実現に関する請願(中川智子君紹介)(第一三〇五号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案(内閣提出第七〇号)

    午前九時開議
     ――――◇―――――
○大口委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本日は、本案審査のため、参考人として横浜国立大学教授小林重敬君、財団法人社会開発総合研究所理事長宮澤美智雄君、福島県福島市長吉田修一君及び東京都立大学都市研究所客員研究教授石田頼房君、以上四名の方々に御出席をいただいております。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。本案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。よろしくお願いします。
 議事の順序でございますが、小林参考人、宮澤参考人、吉田参考人、石田参考人の順で御意見をそれぞれ十五分程度お述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
 なお、念のため参考人の方々に申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださるようお願い申し上げます。また、参考人は委員に対し質疑をすることができないことになっておりますので、御了承願います。
 それでは、小林参考人、お願いいたします。
○小林参考人 おはようございます。横浜国大の小林でございます。
 お手元に資料が行っているかと思いますが、この資料に即しましてお話をさせていただきたいと思います。
 私は、都市計画中央審議会の計画制度小委員会の主査並びに建築審議会の市街地環境分科会主査として、今回の都市計画法、建築基準法改正の立案に関与してまいりましたので、そのような立場から意見陳述させていただきたいと思います。
 両審議会とも密度の高い議論をそれぞれ行い、報告を取りまとめさせていただきましたが、特に都市計画中央審議会では、一年間弱の間に二十回程度の審議を行いまして、さらに審議の中間段階で中間取りまとめを公開いたしまして、広く関係各方面から意見を求め、それを参考にさらに議論を深めるという、これまでにない新しい試みを行ったところでございます。結果といたしまして、地方公共団体、業界団体、学界など、全部で五百五十以上の個人並びに団体から非常に貴重な意見をいただきました。この試み自体は大変有意義であったというふうに考えております。
 ところで、今回このような形で大きな制度改正に取りかかった背景を考えてみますと、都市づくりに関する条件や背景が大きく変わり始めているのではないか、次の時代の都市計画へと都市づくりの変革期が始まっているのではないかというふうに考えるわけであります。
 その背景を考えますと、第一に、成長時代の都市づくりが終わりまして、次の時代、成熟時代の都市づくりへの移行があると思います。少子高齢化が急速に進行する中で、人口増加が停滞し、都市への人口集中が鎮静化しております。これまで、都市への人口集中が進み、市街地の拡大が展開いたしました成長時代から、都市が成熟し、人口増加や市街地の外延的拡大、要するに市街地が外へどんどんつながるように拡大していく、そういう状況が見られなくなった、そういう時代に移行していると考えられます。その点が第一点でございます。
 第二に、これはたしか九二年の法改正にかかわることでございますが、都市づくりにおける分権化の進行がさらに進み、市民参加の要請の増大その他が求められているところでございます。分権化とそれに伴う都市計画への市民参加の仕組みや都市計画手続の適正化、透明化、そういうものをさらに図る必要性が高まっているということがあると思います。
 このような二つの大きな背景以外に、ここ十年ほど、都市づくりに関係して重視しなければならない大きな新しい動向が見られるようになりました。
 第一点は、自動車の普及による人々のアクティビティーの急激な増加とか、さらに、人々の生活スタイルや行動に大きな影響を与えます、いわゆる工業化社会から情報化社会への移行というようなものがあります。その結果として、人々の活動領域が非常に広域化しているというようなことでございます。
 第二番目は、御案内のように地球環境問題が極めて重大化しておりまして、さまざまな段階での環境に配慮した都市づくりその他が必要になっている、その必要性が増しているということでございます。
 どちらも、今後の都市づくりを考えるに当たって、長期的展望の中で見逃せない、そういう大きな動向であるというふうに考えております。
 そのような大きな時代背景あるいは大きな動向が見られる中で、今回の都市計画法及び建築基準法の見直しは、次のような意義を持っているのではないかというように考えます。
 特に重要な意義といたしましては、第一に、先ほども申し上げましたように、新規市街地の形成を秩序あるものとするための中心的な制度として昭和四十三年当時の時代状況を反映して成立した、要するに、成長時代の都市づくり、そういう時代状況を反映して成立し、その後の成長時代の都市づくりの目的を実現してまいりました線引き制度と開発許可制度を見直すという点でございます。
 人口の増加や市街化の外延的拡大が見られなくなった、そういう成熟時代の都市づくりに対応するため、今回の改正案では、線引きの要否を原則として都道府県の判断にゆだねるという点。
 それから、第二点といたしまして、市街化調整区域内の規制を条例により一部緩和できることとする一方、運用上問題のあった既存宅地制度、既に制度として発足して数十年たってございますが、それを廃止し、許可制とするという点でございます。
 さらに、従来、都市計画区域は将来的にはすべて線引きをするという前提で、線引きをしていない都市計画区域というのは未線引き都市計画区域というふうに言われていたわけですが、今回それを、むしろ線引きしない非線引き都市計画区域という制度をつくりまして、その非線引き都市計画区域のうち用途地域を定めない地域について、建築物の用途、これは特定用途制限地域という枠組みをつくって建築物の用途を規制するということでございます。それに合わせて、さらに形態の規制、建ぺい率とか容積率、そういうものの規制を強化する、そういう手法も導入したところでございます。そのことによって、線引きを廃止しても、その地域にとって必要な土地利用規制は引き続き行えるようにするという制度改正を案としてまとめてあるところでございます。
 以上の三つの点はそれぞれ新しい制度として創設する動きでございますが、新しい時代に対応して柔軟な制度となっているというふうに考えております。
 第二に、先ほど申し上げましたような大きな時代の変化に対応しまして、改めて、マスタープランに即して都市計画を定めていくというわかりやすい制度体系とするため、従来、線引きを行わない都市計画区域については、都市計画区域を単位とするマスタープランがありませんでした。いわゆる整備、開発または保全の方針と言っておりましたが、そういう線引きと一体となったマスタープランというようなものは線引きを行わない都市計画区域にはなかったわけでございますが、これを法的に位置づけようということになりました。その結果といたしまして、既にある市町村の都市計画のマスタープラン、これは市町村の都市計画に関する基本的な方針と言っておりますが、市町村の都市計画のマスタープランに加えて、都道府県の都市計画に関するマスタープランを充実するという方向性を示していることでございます。
 第三点は、これも先ほど背景でお話しいたしましたが、近年のモータリゼーションの動きや情報化の急激な進展は、国民の意識の多様化と活動範囲の拡大を招きつつあります。その結果、市街地から離れた都市計画区域外における開発がインターチェンジ周辺や幹線道路沿道などを中心に進んでいるところでございます。ところが、現行制度では、都市計画が適用される範囲を都市計画区域内として限定しております。したがいまして、都市計画区域外であっても、必要な場合は適切な土地利用コントロールをすることができるように、準都市計画区域の制度その他を導入することにより制度を見直しているということでございます。
 第四に、地方分権一括法では都市計画の決定権限の拡大や国の関与の縮減が進んだところでございますが、今回の改正では、その延長線上で、地方公共団体が条例などの手法を活用することにより、地域の実情に応じて柔軟に都市づくりが進められるよう幾つかの項目にわたって条例を導入する、そういう制度改定を考えておりまして、従来よりも自由度の高い制度となっているというように考えます。
 さらに、その他の点といたしましては、第一に、既成市街地の土地を有効利用するため、地下、地上、上空等に利用を分けた都市施設の立体的な整備や、あるいは商業地域内の高度利用を図る地域において容積率の適用に特例制度を創設し、土地利用規制の柔軟な適用を考えているという点がございます。
 また、建築基準法改正にかかわることですが、従来、建ぺい率制限によりまして建物の更新が困難な敷地が多かった密集市街地において、協調的な建てかえを可能にする建ぺい率の合理化を図ることも既成市街地の再構築に寄与するものと考えております。
 第二に、既成市街地を有効に利用する一方で、これからの地球環境問題の大きさを考えますと、都市計画の役割としては、郊外部などで保全すべき自然的環境や景観を積極的に守るよう、風致地区にかかわる改正及び開発許可の技術基準の条例による強化または緩和等により土地利用規制を見直しているところでございます。
 第三に、近年、行政全般について、意思決定過程におけるアカウンタビリティー、すなわち説明責任の向上や市民参加の要請が高まっておりますが、都市計画の決定の仕組みについて再検討し、都市計画の案の縦覧の際の理由書の添付という手段によって決定過程における情報提供を行い、都市計画の決定システムに透明性を確保しようとしていることです。さらに、都市計画手続の条例による付加も適正手続に寄与するものと考えられます。
 第四に、分権化の動向に対応して、都道府県それから市町村、その間の関係をそこに書いてあるような形で規定しているところでございます。
 最後に、「おわりに」ということで、私の方からまとめ的な御意見を差し上げたいと思います。
 今回の改正は三十年ぶりの大改正であり、中間取りまとめを公表し意見を募集したこともあり、関係各方面から大変大きな関心を持たれております。したがって、その内容を地方公共団体や地域住民に正確、確実に情報として伝え、円滑な施行を図ることを重要な課題であるというように考えております。
 国会において十分に御審議を尽くしていただくことは当然でございますが、成立した暁には、国として、改正法の趣旨や制度運用上の留意点を説明し、その円滑な施行に努めていただきたいと考えております。
 また、今回の改正には、中間取りまとめへの意見として、日本都市計画学会を初め多くの学協会からも意見をいただいているところでございますが、これは学界としても今回の改正が重要なものであるという認識があるからであると考えております。それらの意見は相当に審議会答申に反映されておりますし、今回の法改正にも当然に反映しているところでございます。
 答申では、都市計画の透明性の観点から、地方公共団体が都市計画決定を行う際の法令に基づく基準について、地方公共団体の自主性を阻害しない範囲で充実を図る必要があることを述べておりますが、あわせて、今後、高齢社会に対応した都市づくり、環境に配慮した都市づくり、中心市街地の活性化など、大きな社会的な課題への対応についても必要性が高まっております。それらの点についても、学会として、引き続き研究に基づいた提言などを行い、そのような法令に基づく基準にかかわって新たに地方公共団体が都市計画を運営する際、あるいは国がさらに制度改定その他を考える際に参考になるガイダンスづくりをさらに進めていきたいというように考えております。
 大体予定の時間でございますので、終わらせていただきます。(拍手)
○大口委員長 ありがとうございました。
 次に、宮澤参考人にお願いいたします。
○宮澤参考人 本日は、私の意見を申し述べる機会を与えていただきまして、大変光栄に存じております。時間が余りございませんので、早速私の意見の内容について申し上げたいと思いますが、お手元にメモが、大変粗末なメモでございますが行っておりますので、これに沿って御説明いたしたいと思います。
 五つ挙げておりますが、第一点は、今回の改正の大きな意義についてでございます。
 小林教授からもお話ございましたように、三十余年ぶりの改正でございまして、この間に日本の都市化の状況が相当大きく変わってまいりました。今までの都市化に対して都市計画法、建築基準法が大きな役割を果たしてきたわけですが、新しい時代に向けて、今までの仕組みを変えていく必要があるという認識に立って三十年ぶりの改正案がまとめられたものと思います。後でまたこの中身については申し上げたいと思います。
 もう一点、今回改正の大きな意義の一つは、地方分権推進計画に基づく改正、これまで、一括法がこの四月一日から施行されましたし、平成十年には当院において都市計画法の一部改正を御審議いただいて施行されておるところでございますが、それと一体になった改正である、地方分権に基づく仕組みを整えるのに対応して、地方公共団体が都市計画及び建築行政を進めていく上で必要な改正がこの中に盛り込まれているというふうに思います。
 この二点から、今回の改正の意義を評価いたしたいと思います。
 第二に掲げておりますのは、今回改正の内容の重要な問題が、三十年前につくりました区域区分制度の改正でございます。
 区域区分制度のもとで、これは国勢調査の人口集中地区という集計がございますが、我が国の人口集中地区は、昭和四十年ごろはおよそ四千数百平方キロメートル、我が国の中にあったわけです。ことしの国勢調査の結果を見ないとわかりませんが、九五年の国勢調査の結果ではそれが一万二千数百平方キロにふえております。わずか三十年ほどの間に、市街地と申しますか人々の集中して住む地域が日本の国土の中で三倍弱にふえたわけです。
 これに都道府県あるいは市町村の皆さん方がどのように対応していくかということが重要なテーマであるということを見通しまして、三十余年前、都市計画法が本院においても審議され成立させていただいたわけですが、これに基づいてやってきた使命が相当十分に果たされてきたというふうに思います。
 ただ、これからは、このような市街地がふえていくという時代は終わりを告げると思います、まだ当分の間、若干続くかと思いますが。その中で、地域の実態を見ながら都道府県知事が、市街化区域、市街化調整区域制度を適用するかしないかという判断を都道府県にしていただくということは極めて適切な方向であると思います。
 ただその中で、大都市地域については義務的適用を残すということが今回の法案の中身になっておりますが、大都市地域、ここで挙がっております首都圏の既成市街地、近郊整備地帯、あるいは近畿圏の既成都市区域、近郊整備区域、中部圏の都市整備区域というようなところを合計してみますと、日本の全面積の中の四%弱にすぎない地域なんです。ところが、この中で日本の人口の四〇%を超える人々が生活し、活動している地域であって、恐らく経済活動の規模からすると、五割を超える人々がこの四%の面積の上で活動しているわけです。こういう地域についてはまだまだ当分の間、この区域区分を義務的に適用していく必要があるのではないか、あるいはこれに準ずるような区域は、義務的な適用の制度を残していくことは適切な判断であるというふうに私は思います。
 したがって、これに合わせて、現行法ではすべての都市計画区域について線引きを適用していくという原則になっていたわけですが、これを、一定の区域に限定的に義務的適用を残すほかは都道府県の判断に任せるということにするわけですが、それに伴って、線引き制度と一緒につくられました整備、開発、保全の方針をこれと切り離して、全国の都市計画区域に都道府県が定めていくという制度に切りかえた、これも適切な判断であると思います。
 あわせて、開発許可制度の改善が中に盛り込まれております。
 三に掲げておりますのは、市街地外の土地利用整序ということのテーマでございます。
 これまでの三十年間、人々が都市に集中し、市街地が急速に拡大するというのが我が国の都市化の課題であったわけですが、これからは、都市に集積した都市機能が全国に、あるいは都市的な活動が全国に展開していくという時代になるわけです。これが無秩序に進められていくことは国土全体の土地利用に極めて大きな悪い影響を与える可能性もあるわけですから、土地利用の整序のための仕組みをこの際つくっていくことが重要であるというふうに考えております。
 それに沿う法律案として、メモに掲げておりますが、用途地域の外の土地利用の整序の仕組みを幾つかつくられて提案されております。特定用途制限地域ですとか、地区計画を用途地域以外のところでも適用できるようにする、あるいは建築制限を地域の判断によってかけることができるようにする、これが一つあります。
 さらに、準都市計画区域を設けて、これまで都市計画の土地利用規制の及ばなかった地域についても、自治体の判断で土地利用の整序ができる仕組みが用意された。
 さらに、開発許可制度を都市計画区域に限らず全国に適用するようにしていく。
 この三つを通じて、都市的な機能あるいは都市的な活動が全国に展開していく時代に対応する土地利用整序の仕組みの一番初めの手がかりができるのではないかと思いまして、この方向については評価いたしたいと私は思います。
 四番目に書いておりますのは、申し出制度でございます。
 これまで都市計画は、都市計画決定権者が決定権限を集中して持っている。つまり、都市計画決定権者が動かなければ都市計画は決められない、あるいは変更できないという内容だったわけですが、今回、都道府県の都市計画について、市町村からの申し出の制度が提案されております。これまでの行政上は、実は都道府県と市町村がよく協議しながら都市計画を決めてきておりますので、行政の実態としては既にこれがあるわけでございますが、これを制度として明らかにすることによって、手続の中でしっかりした位置づけが得られるようになるだろうというふうに思います。
 さらに私が評価したいのは、住民または利害関係人が地区計画について申し出ることができるというふうに提案されているわけです。従来は、都市計画は、その責任を持つ公的機関のみが都市計画を立案し、その決定の手続を進めていくという力を与えられていたわけですが、この制度ができますれば、その一部が住民あるいは利害関係人に開かれる結果になると思います。
 恐らく住民あるいは利害関係人の都市計画に対する意見というのは、市の考えていることに対して賛成の意見もありましょうし、あるいは反対の意見もありましょう。今まで都市計画の手続としては、意見書の提出ですとかあるいは公聴会の開催というような手続がございましたが、公的機関のイニシアチブのもとで住民が参加し、協力するという仕組みしかなかったものが、この制度ができますれば、住民が主体性を持って都市計画の方向について意見を言うことができる。恐らく公共団体はこれを受けて、それに対してきちんとした対応をしていくという責任を負うことになるだろうというふうに思います。
 今までなかった制度がここで提案されておるわけですが、私は、これがこれからの都市づくりの上で極めて重要な役割を果たすことができるのではないかと思っておりまして、期待を持ってこの方向を眺めていきたいと思っております。
 以上、申し上げましたが、私は、以上の点にかんがみて、今回の改正が三十年ぶりの抜本改正にふさわしい内容を持ったものであるというふうに考えております。
 ただ、最後に申し上げたいと思いますのは、権限移譲によって、主として市町村、地方公共団体に都市計画の責任を負っていただこうということが今回の内容の重要な中身になっておるわけですが、自治体が責任を持って都市計画あるいは建築行政を進めていくのには、この法律制度による権限移譲にとどまらずに、自治体が事実上それを遂行できるような状況を国として整備してさしあげることが極めて重要であると思います。この点については、この法案の成立とあわせて、国会においてもあるいは政府においても十分配慮していただきたいと思います。
 以上、私の意見を申し上げさせていただきました。(拍手)
○大口委員長 ありがとうございました。
 次に、吉田参考人にお願いいたします。
○吉田参考人 おはようございます。福島市長の吉田修一でございます。大変緊張しておりますし、また、こういう席へ初めて参加させていただいて光栄に存じます。
 お手元にごく簡単なレジュメを配付させていただきました。
 私は、昭和三十一年から昭和五十一年まで約二十年間、福島市役所の企画、商工担当の職員をしておりましたので、時あたかも都市計画の線引き、福島市の場合は昭和四十五年の十月でございますが、一番へりの部分から新しいまちづくりを構築していこうというような情熱に駆られまして、朝方まで随分地権者の方々といろいろ協議をして、用地を取得させていただき、中心市街地からの公共施設の移転、ここに書いてありますとおり、まず農林水産省の御指導によって、町中に点在している魚市場あるいは八百屋市場、これは中央市場をつくるべきであろうということで、市場用地の取得に奔走した日々でございました。
 第二点は、すぐ隣接しているところに卸売団地をつくろう、食料品、雑貨、衣料品、市内に点在している卸屋さんが、より近代的で合理的な流通を確立するためには団地が必要だろうということで、市場の隣に卸売団地の用地を取得して、今団地が活躍しております。
 そのようなときに、福島大学、これは御承知のとおり従来は福島経済専門学校、福島高商でございます。あるいは福島の師範学校でございます。新しい大学をつくろうということなので、キャンパスを一つにした方がいいだろうということで、一番へりの部分に実に広大な用地買収で、これは随分汗をかいたのでありますが、住民の方々の御協力で、今、福島大学教育学部、経済学部、行政社会学部、ここに学生たちが学んでおります。ちょうど、あたかもそういうところに国立大学が行くならばということで、前の知事さんの御意向もあって、県立医科大学あるいは附属病院をこの隣接地に建設しまして、周辺一帯が学究的なゾーンになっている。
 最終的に、こういう一つの都市化の進展に伴って、福島の、特にあきんどの町というのは、どこの町にもありますように、間口三間、奥行き三十間くらいのウナギの寝床のような商家が多いわけでありますから、いつの日か八十坪くらいの土地を買って、そこに四十坪くらいの家を建てて、じいちゃん、ばあちゃん、自分たち夫婦、子供たちのささやかな庭つきの家をつくりたい、市民の願望でございましたので、この住宅団地が飛ぶように売れて、そういうことで、いわば線引き、都市計画区域と市街化区域の、一番大事な市街化区域の形成に情熱を持って取り組んだ日々でございました。それがまず第一点でございます。
 今度の法改正は、私も都市計画中央審議会の一員でありますから何か自画自賛するようで恐縮でございますが、地方自治体を預かる首長、あるいはそれを取り巻く部課長、そして市民の方々に一つの自信と勇気を与える新しい法律であろうと思います。内容を申し上げますと、今までの都市計画、特に市街化区域の中では一様に、押しなべて都市化を進めようということで、大きな波が打ち寄せていたのでありますが、なかなかそれが昨今進まない状態でございます。
 話は飛びますけれども、阿武隈川は、そして荒川はたびたび大はんらんを起こす一級河川でございますが、このたび、建設省の皆さん方のお計らいによって、須賀川から伊達郡まで約百二十キロにわたって八百億の予算が投入されて、かなり河川がしっかりしてまいりました。また、非常に人々が楽しみにしている散歩道路などの、都市化になくてはならない自然的な環境が整いつつございます。ありがたいことだと思っております。
 ちょうど県庁周辺に板倉藩の船着き場がございました。また、一六七〇年ごろからは天領でございますので、幕府の米倉もございました。お隣の米沢藩の米倉もございました。何とか米倉の周辺の船着き場を復元したいということで、建設省の工事事務所長さん、あるいは本庁のそれぞれの担当の皆さん方にお願いして、とうとう船着き場がもう八割方でき上がっております。
 したがって、これからの都市化を進めるには、何とか川からおかへのまちづくりはできないものだろうかという折に、ちゃんとやはり神様がいてくれて、日本銀行の方から、立派な役宅を日本銀行が持っているのは余り上等なことじゃないというような仰せもあったのでしょう、福島市に、どうか市長、買ってくれないかという話がございまして、これはおもしろい、皆さん方に御指導いただきまして、日本で初めてだったそうでありますが、川からおかへのまちづくり、そのおかの部分の拠点に日本銀行の約七百坪の土地を買わせていただきました。
 そこで、このたびの都市計画法の改正で、小さな風致地区の囲い込みがこれから非常に大事になってくる。現況を申しますと、非常に眺めのいいところでありますから、非常に先の見える大手の建設関係の方々はマンションを水辺に一つつくられました。非常に景観が悪くなってきた。しかし、小さな、小規模の風致地区ということで大事な歴史の伝統ある地域を囲い込みいたしますと、高さの制限あるいは色彩の制限、こういったものを抑えることができますので、非常にいい都市環境ができるのではないだろうか。
 したがって、歴史に学ぶ、歴史にないものを、他の都市を猿まねしてもしようがありませんから、これからは私どもは、市街化区域内の小規模な風致地区のこの問題については積極的に取り組んで、川からおかへのまちづくり。そして、何よりも、商業機能も大事でありますが、安全で日照時間の長い住宅地の居住機能をためながら、そして、それが商業機能の活性化につながるエネルギーの構築になれば、こんなふうに考えております。
 もう一つ、このたびの法改正で非常に大事なことは、一般的に我々が白地地区、つまり調整区域とか市街化区域以外の都市計画区域の無指定区域、ここにいろいろな関係の方々が小さな住宅団地をつくってそれを分譲するのでありますが、非常に格安ですから、皆さん、若い人々は買いやすい。ところが、たび重なる大雨で、いわばどこにでもある土砂災害で、幸いに人命は取りとめましたけれども、子供が内臓破裂というような、そういう悲惨な事故も起きております。こういうときに、新しい準都市計画区域の中で、建築基準法の改正とかあるいは法規制ということで、それはだめなんだぞということを、この法がきちっとあることによって市民も納得し、行政の職員の方々も一つの根拠を持ってこれらの問題に対処できる。
 そういうことで、地方の実情をこれまで述べたわけでございますが、結論的には、どうぞ先生方におかれましては、このたびの都市計画法は、特に、市町村の首長あるいは議会、そして住民に勇気を与える、将来性のある法案改正であるということを吉田修一がるる述べていたということを御認識の上、原案にひとつ御賛成をいただければ幸いに存じます。
 以上でございます。(拍手)
○大口委員長 ありがとうございました。
 次に、石田参考人にお願いいたします。
○石田参考人 東京都立大学の都市研究所に籍を置いております石田頼房です。専門は都市及び農村計画です。
 今回の法案で取り上げられている区域区分制度や地区計画制度については、一九七〇年代から一九八〇年代にかけて都市計画中央審議会の専門委員としてかかわってまいりました。そのような立場から、きょうは意見を申し上げたいと思います。
 本題に入ります。
 小林先生のお話にありましたように、今回の法案は、昨年十月の中間報告、本年二月の都市計画中央審議会の答申を経てまとめられたものです。私も中間報告には意見書を出しましたが、きょうは、この中間報告、小林先生は中間まとめというふうにおっしゃいましたが、答申、法案の三者を少し比較しながら意見を述べたいと思います。
 法案の内容は、私から見ますと三点に整理できると思います。それについて順次意見を申し上げたいと思います。
 なお、レジュメを用意いたしましたが、時間の関係で細かい点は省略をさせていただきます。
 今回の法改正の第一の問題は、市街化の拡大、いわゆるスプロールの規制の問題です。この点に関する法案の立場は、第一に、区域区分制度の適用あるいは開発許可制度の運用をさまざまな点で柔軟な運用に変えようということであると思います。第二に、都市計画区域外でも市街化現象が見られるので、それに対してある程度の規制を可能にしよう、こういうことであると思います。
 まず、この点について、基本的な点を三点述べたいと思います。
 第一は、このような土地利用規制の柔軟な運用のためには、しっかりした基本方針が必要だということです。
 中間報告の段階では、このために、都道府県都市計画マスタープランという、都道府県全域、農村も山間部も含めた全域ですが、これに対する基本的な土地利用計画の方針を立てることが提案されていました。私は、意見書でこの点には賛成だというふうに申し上げました。
 これがあって初めて、今回の法案にある準都市計画区域とか特定用途制限区域のような制度や、都市計画区域や準都市計画区域の外を含む地域での開発許可の運用が不適切になることを避けることができるからです。
 ところが、法案ではこの都道府県マスタープランの制度が見送られて、すべての都市計画区域に整備、開発または保全の方針を制定することに変えられてしまいました。これは大きな問題だというふうに思います。
 なお、都市計画区域ごとの整備、開発または保全の方針では、都市計画区域がごく少数の市町村で構成されているときには、一九九二年の法改正で導入された市町村都市計画マスタープランと屋上屋を重ねることになりかねないことも指摘しておかなければいけないと思います。
 第二点は、中間報告では提言されていた広く緑地を保全、創出するための制度が制度化されなかったことであります。これは、風致地区とは別の問題だと思います。非線引き都市計画区域や都市計画区域外で自然環境を保全する制度なしに市街化に対して柔軟な対応をするとすると、なし崩しのスプロールになり、貴重な自然や村落景観が壊されてしまうおそれがあります。
 一九六八年都市計画法で区域区分の制度がつくられたときに、審議会答申にはあった保全地域を制度化することができませんでした。これが貴重な自然を守れない原因になったという前車の轍を踏むことになりかねないので、この点は大きな問題だと思っております。
 第三点は、都市計画区域外の土地利用規制の問題です。これは非常に重要な課題で、私も期待した点であります。本来、この地域の土地利用の混乱に都市計画も全面的に責任をとる、そういう姿勢が必要ではないかと思います。法案は、残念ながら中途半端な制度の導入にとどまっております。
 続いて、法案の具体的な点について簡単に述べたいと思います。
 開発許可の基準を地域の実情に応じて弾力化し、これを地方自治体の条例にゆだねるということがありますが、これは地方分権から当然という考えができます。しかし一方で、土地利用に関するナショナルミニマムを保障する国の役割も明確にしておく必要があると思います。これは、計画なきところに土地利用転換なしという原則を確立することであると思います。
 第二に、これは少し細かい点ですけれども、市街化調整区域の開発許可の対象を追加しております。これは、法案で言うと都市計画法三十四条八号の三と四です。この都市計画法三十四条の技術基準は、従来から問題が多いと指摘されてきました。条例で適用区域等を決めるとはいえ、開発を原則許可にする制度を二つもつけ加えるわけですから、問題の解決にはならないと思います。
 私は、この委員会で意見を述べるに当たって、都市計画関係者何人かに改正案に関する御意見を聞いてまいりました。埼玉県のあるグループから、県内で、これは今度なくなるのですけれども、既存宅地制度が適用されていた区域、これが非常に広くなっている実態がある。このことから見て、せっかく法三十四条八号の三の区域を定められるということになっても、それがどうしても広くなってしまう可能性がある。しかも、今度の法改正では、その区域の中では既存宅地以外のものについても開発申請ができることになっております。ここは大変大きな問題だということが埼玉県のグループから指摘をされておりました。
 第三は、非線引き都市計画区域に対する特定用途制限制度です。これは趣旨は大変いいというふうに思うのですけれども、ここでは特定用途をあらかじめ定めておいて、建築確認という制度で処理することになっております。大体このような地域では、どのような建築行為が行われるかということはなかなか予測ができないところであります。
 自動車の利用がふえるに従っていろいろなものが郊外に進出してくるわけでありまして、それをあらかじめ用途を定めておいて、しかも建築確認という判断の必要のない制度で扱うというのは不適切でありまして、これは都市計画判断のできる開発許可制度で扱うべきだというふうに考えます。
 それから、準都市計画区域という制度が導入されましたが、農村地域の集落周辺等に土地利用計画を導入するという点で、これは意味のある制度だと思います。ただし、それが都市側の開発予備地の先取りにならないようにするためには、先ほど言いました都道府県全域のマスタープランが必要になるわけです。
 また、この区域に対して、従来の用途地域、特別用途地区、美観地区などを使うということになっていますが、現在のこれらの制度は都市、しかも大都市地域を想定した内容になっておりまして、問題になっている準都市計画区域に対してはふさわしくないものでありまして、もっと独自な土地利用計画、規制が行われるようにすべきでありますし、農地、林地も当然、計画対象土地利用とすべきであると思います。
 第五に、従来の都市計画区域以外にも開発許可制度を適用することについては、基本的に賛成です。ただ、これらの地域では、地域特性から見て、小規模な開発でも地域に与える影響は極めて大きいと思います。したがって、許可にかからせる開発規模、許可の技術基準は慎重な検討が必要だと思います。政令で許可を要しない規模を大きく決めれば、それ以下の開発がふえ、それが集積するというのが過去の困った実例であります。こういうことがないようにしていただきたいと思います。
 第六に、これも細かい点ですが、用途地域の指定のない区域の容積率、建ぺい率の適正化ということがございます。厳しい容積率、建ぺい率をメニューに加えることは当然ですが、容積率三〇〇%とか四〇〇%、あるいは建ぺい率七〇%などの不適切なメニューを同時に削除すべきです。本来、このような地域に容積率四〇〇%、建ぺい率七〇%を適用したのが誤りであったわけですから、過ちて改めるにはばかることなかれであります。
 大きな第二点は、既成市街地の再整備のための制度です。この部分は、欧米都市に比べて日本の既成市街地は土地が高度利用されていないという誤った認識に基づいた規制緩和路線であります。この認識が事実に反することは、東京都が出した東京都市白書一九九一で明らかになっております。既成市街地の再整備の制度については、昨年十月の中間報告では、用途地域に対して規制緩和を行う特例制度を再編整理すると示唆していましたが、実際には既存の規制緩和制度を温存し、容積率移転の制度を新たに導入したのであります。
 また、地区計画の適用範囲を拡大しております。一九八〇年に地区計画制度が生まれたときには、市街地環境の改善向上のための制度でありました。しかし、その後、土地の有効高度利用を標榜して、極めて複雑な仕組みの緩和型の地区計画制度が次々につくられてきました。
 こういうやり方を批判しますと、実は建設省の方は、メニューをいろいろ用意するだけでそれを使うか使わないかは地方自治体の御判断だ、こういうふうに答えます。しかし、使い方を誤ると市街地環境を悪化させるような制度を、これは食べ物に例えれば健康に害があるような料理であります。それをメニューから外すことこそ国の仕事ではないかと思います。
 それぞれの制度の具体的問題点については、レジュメに書きましたので省略いたします。
 法案の最後の点は、都市計画の決定手続の合理化であります。都市計画の地方分権における都道府県と市町村の関係は、一つの地域の都市計画という本来区分できないものを、二つの主体が分けて決定する仕組みになっております。これをどういうふうに制度を組み立てるのかというのが大きな問題だと思います。
 私は中間報告に対する意見で、都道府県と市町村の協議は、相互に同意を必要とする協議であるべきだというふうに提案いたしました。また、市町村は、その区域について都道府県が決める都市計画の内容についても一体的に考え、その案を都道府県に決定するように求めることができるとすべきだというふうに提案いたしました。後者については、今度の法案に載っております。
 都道府県と市町村の役割を明確化するということは、先ほど言いましたように、都市計画を決めるに当たって、市町村の申し出をただ聞きおくだけではなくて、それに基づいて相互に同意を必要とする協議が行われるようにしなければなりません。
 さらに、都道府県の決める都市計画に対して市町村が異議のある場合、あるいは都市計画に関して住民に異議のある場合などの処理方法を法律できちんと定めるべきです。このためには、双方が十分主張し議論できるような公開審問会のような制度と、それぞれの主張の妥当性を判断する審問官制度を確立すべきです。これがあって、初めて相互に同意を必要とする協議が可能になるんです。
 それから、縦覧に都市計画決定の理由書を添えつけるということが今回の法改正に入っております。これも大変結構なことだと思いますけれども、それには、計画決定、策定過程で、やはり十分な説明が行われていることが前提として重要だと思います。なかなか難しい都市計画決定の理由を文書だけで理解してもらうことは極めて困難だというふうに思います。
 また、計画当局及び審議会に出された意見書に対して、それぞれが見解を示し、採否を理由を付して回答するというような制度も今後充実していく必要があると思います。
 最後に、法案を検討する中で痛感したことを述べさせていただきますが、それは、都市計画法と建築基準法集団規定を統一する必要があるということです。
 例えば、今度、特例容積率適用区域という制度がございますが、これを検討しようとすると、都市計画法と建築基準法の双方にわたって規定があるので、それを行きつ戻りつ読むということになります。また、都市計画法の第十四条にある都市計画図書に関する条文は、今回大幅改正されていますが、都市計画区域内等で認可された建築協定は、大きな都市計画的役割を担っているのに、建築基準法にだけ規定があるという理由でその認可区域を都市計画図書に表示させる道が開かれておりません。これは、建築協定区域住民が大変困っている問題です。
 そういう意味で、この両法の整理統合、それが今後の課題ではないかと思います。
 終わりに、今後の問題について一言申し上げます。
 今回の法案は、二十一世紀を展望した抜本的大改正だというふれ込みでした。私に寄せられた都市計画専門家の意見に、大局観の読み取れない、密林の中に踏み迷ったような印象の答申、改正という御意見がありました。私も全く同感であります。
 社会経済と深いかかわりのある都市計画法制度を一挙に抜本的に改正することが困難であることは、私にもある程度わかります。しかし、一つ一つの改正のステップが大局観、すなわち、今後地方分権、住民主体で進められることになる二十一世紀の都市計画にふさわしい制度にだんだんと近づけていくという大局観、これに基づいていることが必要なんです。
 その二十一世紀都市計画制度への大局観はどのようなものであるべきかについて、項目的にだけ述べて、私の意見のまとめといたします。
 第一に、明快な理念あるいは哲学を持った制度を目指すことです。
 都市農村計画は、人々やあらゆる生物が暮らす環境を共同で守りつくっていくための知恵です。その場合、特に共同、あるいは最近の言葉で言えば共生という理念が重要です。逆の言い方をすれば、地域共同の生活空間を抜け駆け的に利用することあるいはひとり占めをしてはいけない、このことを基本にすべきです。
 第二に、わかりやすい都市計画制度を目指すことです。
 住民が中心になって都市計画が進められる地方分権と参加の時代に、現在のような複雑で専門家にしかわからないような制度ではだめであります。理念に沿った明快な、わかりやすい、使いやすい制度を目指すべきです。
 第三に、土地所有権と土地利用権の関係について基本的な方針を定め、土地利用計画をその方針にのっとったものに改革することを目指すべきです。
 私は、土地利用権を、敷地単位で利用する範囲、街区または地区で共同で利用する範囲、一定水準以上の公共施設を整備することで公共的、例外的に利用する範囲に概念的に分けて、それを基礎に土地利用計画制度を構築すべきだと主張しております。
 第四に、都市計画財源の問題を、開発利益の社会、公共への還元を基本にして再構築すべきです。
 都市計画の地方分権は、地方自治体の財政自主権を確立して初めて本物になります。また土地税制も、この問題及び土地利用計画と関係づけて再検討していただけるとありがたいと思います。
 以上をもって私の参考人意見といたします。どうもありがとうございました。(拍手)
○大口委員長 ありがとうございました。
 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
○大口委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小林多門君。
○小林(多)委員 私は、自由民主党の小林多門でございます。
 参考人の諸先生方には、四月の年度当初、恐らく何かと御予定はあったと思いますが、本委員会に御出席いただきましたことを、自由民主党の立場からも心から厚く御礼を申し上げたいと思います。
 まず、福島市長の吉田参考人にお尋ねをいたします。
 私ごとで大変恐縮でございますが、私も八王子市議会議員三期十一年、東京都議会議員三期十年、合わせて二十一年間地方議会で働かせていただきました。そのような立場から、先ほど市長さんから、三十一年から五十一年まで職員として大変御活躍をされた、その豊かな経験を生かして、今恐らく福島市長として、川からおかへのまちづくりを提唱して大変な御活躍をされているのではないか、このように私どもも感謝をしているところであります。今回の法律改正に当たりまして、私どもは地方議会議員として多年にわたって、一日も早くこのような法律が施行されるべきである、このように地方議会の立場から主張をしてまいりまして、ようやくにして今日このような法改正ができたかな、このように思っているわけであります。
 都市計画制度については、決定権限を都道府県から市町村に積極的に移譲するとしております。さらに、今回の改正は、市町村が都道府県に都市計画の案を申し出することができる、地方分権をさらに進めると位置づけられております。そこで、参考人の吉田市長さんにおかれましては、地方尊重の立場からこのような流れをどのように受けとめておられるか、まずお尋ねをいたしたいと思います。
○吉田参考人 小林先生から大変お褒めにあずかって、ありがたいきわみであります。
 今御質問の地方分権に沿って、国から県、県から市町村、こういう流れをどのように考えるかということでございますが、幸いに、新しい都市計画法の改正に当たって、県の後見的介入の排除、余り県は市町村に対して余計なことを言うなということをこの法に明確にうたっておられます。したがいまして、我々自治体の長、議会、住民は一生懸命頑張りますから、必要なことの相談には乗っていただきたい。しかし、余り介入してもらいたくない、そんな気持ちでおります。
○小林(多)委員 そこで、重ねて吉田参考人にお尋ねをいたしますが、今回の措置のうち、福島市として、実際にこのような制度を使ってみようとか、あるいはまた法律を使ってみようというような具体的な案があるとするならば、またどのような方法でお使いになられるのか。現場にいる市長さんの立場からお話をお聞かせいただければ、このように思っております。
○吉田参考人 小林先生の御質問にお答え申し上げます。
 第一点は、まず何といいましても、先ほど申しました、せっかく阿武隈川の大改修で昔の船着き場が復元しようとしております。したがいまして、日本銀行福島支店の支店長宅も取得できましたので、それを一つの種地にしながら歴史に学んだ物語というものを展開して、その市街化区域の中で、ややもすると乱開発あるいは巨大な建築物になって著しく風致を阻害する、景観を阻害するおそれのある地域について、小さな風致地区を設けて、そこに秩序ある吾妻連峰がくっきり見えるような盆地特有の美しい町をつくっていきたい、それがまず第一点でございます。
 第二点は、先ほども申しましたように無許可の地帯、何をやってもよろしいというようなことではないにしても、いずれにしてもいわば余り法の手が伸びない地域、これについて、急傾斜地の住宅の開発、あるいは水源地に近い急傾斜地の開発、これは阻止していきたい、こんなふうに考えておりますので、この法案が原案どおりということになりますと、我々自治体の長としては、非常に勇気あるステップが出てくるのではないか。以上でございます。
○小林(多)委員 先ほど吉田市長さんのお言葉の中に、また今のお言葉の中に、職員に自信と勇気を与える法律である、このように高い評価をいただいているわけでありますが、ぜひひとつ、この法律が施行される暁には十二分に活用をしていただいて、そして立派な、全国に誇る福島市のまちづくりのために御努力をいただきたい、建設をしていただきたい、このようにお願いを申し上げたいと思います。
○吉田参考人 そのような方向で、吾妻連峰と阿武隈山地に囲まれた非常に美しい盆地でありますから、特に空洞化が叫ばれている市街地でありますが、きちっとしたスピリットと、従来から持っている町のストックと、そしていわばよいタイミング、それから、どれくらいのスケールで物事を考えるかということを住民としっかりと相談しながら、法改正の暁にはこれらのステップを踏んでいきたい。ありがとうございました。
○小林(多)委員 次に、横浜国立大学の小林参考人にお尋ねをいたします。
 先ほどの意見陳述の中に、一年間に十回にわたって、そしてまた、三十年ぶりの改正であり、地方公共団体や業界団体、学界、五百五十人を超える多くの個人や団体の皆さん方から意見を聞いて、民主的にこの法律の作成に当たられたというような意味のお言葉がございました。
 そこで、都市計画中央審議会の中間での論点公開の際に、先ほどお話にもありましたように、大規模建築の届け出勧告制度の創設が提案されておりました。これは大規模小売店、いわゆる大店対策を視野に入れた制度だと思いますが、次回の最終答申では、特定用途制限地域の創設が提案され、そのまま改正につながっているようであります。そこで、この際、どうしてそのようになったのか、この機会にお聞かせをいただきたいと思います。また、改めて特定用途制限地域の意義と位置づけについても教えていただきたいと思います。
○小林参考人 お答えいたします。
 確かに、お話しいただきましたように、中間取りまとめで御意見をいただいた後、その内容を変更してございます。法案には、中間取りまとめで示しました大規模開発については触れてございません。これは中間取りまとめを出し、かなりさまざまな御意見をいただきました。
 一つは、いわゆる大店法とかなり重複するところがあるのではないかというような御指摘もいただきましたし、それから、あらかじめ用途その他を定めないで届け出をさせて、それに対して判断するということが、行政の面から見るとさまざまな手続の不透明性というようなものにつながるのではないかとか、あるいは逆に、届け出制だけでは十分ではないのではないか、許可制というようなもっと厳しい規制を入れたらどうかというような極めて多岐にわたる御意見をいただきました。
 そこで、先ほど御案内いただきましたように、むしろ特別用途制限区域のような制度を設けて、その地域にとって必ずしも好ましくない用途、それを制限することによって、一定の趣旨をそれに加えることができるのではないかということで、そのような制度の導入があったものというふうに考えております。
 それから、特定用途制限区域は、もともと直接的には商業的な需給関係にかかわる問題ではないと私は思っておりまして、むしろその地域、その地域が持っているさまざまな地域の特性、景観その他を壊さないようなそういう土地利用を、ある意味で方向性を一定程度示すことによって、結果的にそのような大型建築物の規制を考えていたものに反映されるような、そんな制度をつくったというふうに考えております。以上でございます。
○小林(多)委員 重ねて小林参考人にお尋ねをいたします。
 特例容積率適用区域指定制度、いわゆる容積率移転制度は、使い方を間違えますと、先ほど東京都立大学の客員教授であります石田参考人からも御指摘があったようでありますけれども、私は、町ががたがたになってしまうというような可能性があるのではないかな、このように実は心配をいたします。
 そこで、審議会でいろいろと御意見があったと思いますが、それらの概要等について、この際、率直にお聞かせをいただきたい、このように思います。
○小林参考人 お答えいたします。
 御質問のとおり、審議会小委員会で極めていろいろな意見が出されました。特に、建築審議会で反対をされた委員の方もいらっしゃいます。しかし、その制度、答申の内容をかなり精査してまいりまして、答申に書きましたように、基盤が十分整っていて、しかも、その基盤がある一定の街区共通に認識される、そういう地域に限定して、しかも商業地域という限定も入れて、さらに特定行政庁がそれにかかわって認定するというような制度、あるいは特定行政庁がそれについてかかわった場合に、それを公告縦覧するというような制度を導入することによって透明性を図り、それから、どういう地域で何のためにやるのかということを明示的にすることによって、その制度を本来の趣旨でうまく活用していただけるのではないかというふうに考えております。そういう点については、それぞれの審議会の委員には、最終的には全員の御同意をいただいたというふうに思っております。
 あわせて、私、審議会の最後のところで、御質問ございましたように、今回この制度は、乱用されますとあるいは問題が起きる可能性がないわけではないと思っておりますので、まず商業地域を中心として、商業地域について試行的にと申しますか、まずここから始めるという、限定的に運用されていくというようなことが重要ではないかというふうに思っております。
 以上でございます。
○小林(多)委員 重ねて小林参考人にお尋ねいたします。
 今回の改正案は、広範にわたり、町中から郊外部、都市計画区域外までさまざまな問題に対応している点でまさに時宜にかなった法律であろう、このように思いますけれども、審議委員の立場を離れて、都市計画の専門家として、また横浜国立大学の教授として、例えば、先生の講義を受けて試験をした、そして生徒が作成した答案用紙を優、良、可でつけるならば、また百点満点であるとするならば、どのぐらいの評価をしていただけるのかどうか、率直にお聞かせをいただきたい。
○小林参考人 なかなか難しい御質問でございますが、私は従来から、都市計画については大きな変革期にあるということを申し上げてまいりました。それは、現在動いている都市計画というのは近代都市計画の制度というふうに言われております。これは十九世紀末から二十世紀初めに生まれてきた制度で、その大きな体系ができ上がったのが二十世紀、大体一九四〇年代に一定の体系ができ上がったのではないかと思います。
 それで、今回の改正は、次の時代の都市計画へ向けての第一歩だと私は考えております。そういう意味では、非常に時代が変革する中で、御案内のように現在考えられる、あるいは少なくとも十年とか二十年というスパンで現在考えられる、そういうものに対処した法案だというふうに評価してございますが、石田先生がおっしゃるように、もっと長い目で、原理原則を貫いて考えていくと、これだけで都市計画法改正、建築基準法の改正が終わるのではないというふうに私は研究者としては考えておりまして、次の時代のより体系的な都市づくりの法として組み立てていく努力がこれからも必要ではないか。
 そういう意味で、評価は、何と申しますか、第一歩であるという意味ではかなりの点を上げられると思いますが、石田先生のような立場で、非常に大きな時代背景をもとに、大きな目で、長い目で眺めてみた場合には、まだまだこれからやるべきことがあるのではないか、そういう評価でございます。
 以上でございます。
○小林(多)委員 それでは、宮澤参考人にお尋ねをいたします。
 最近、市町村が都市計画制度を利用して、財産権の過度の制限として規制をしている例も見受けられます。今後、市町村に大幅に権限を移譲され、かつ、市町村が都道府県に対して都市計画の案の申し出ができるようになることで、住民との関係でかえって都市計画が動きにくくなるというような心配もされるわけでありますけれども、この点についてどのようにお考えになっておりましょうか。
○宮澤参考人 御指摘の点は、市町村が大きな役割を担えば担うほどいろいろな課題に対応しなければならなくなる、特に、住民との関係あるいは都道府県との関係が難しくなるのではないかという御趣旨の御指摘というふうに受けとめまして、私の意見を申します。
 都市計画は、そもそも公共団体なり自治体なり、あるいは県も含めて、公共的機関が決める、あるいはそれを運用するべきものであるわけですが、まちづくりの実態は住民、市民がつくっていくわけです。したがって、都市計画の本来の役割は、方向を決めてそれに住民、市民に従ってもらうという一方の役割と同時に、その裏返しとして、住民が進めていくまちづくりを都市計画がサポートするというところに重要な役割があると思うわけです。
 したがって、新しい申し出制度、あるいは住民の申し出制度も含めて、市町村の役割はこれからもますます大変になる、大きな責任を果たしていただく必要があるという時代になっていくと思いますが、私は、市長さん初め我が国の自治体を支えている人たちが十分その期待に対応していくことができるのではないか。したがって、それができるような条件はぜひ国としてもつくっていただきたいというふうに思っております。
○小林(多)委員 既に時間が来たようでありますから、石田参考人にも質問を用意していたのですけれども、先ほど先生からいただきました御意見等は、私どもも十分尊重、また勉強させていただきまして、これからの行政に生かしてまいりたい、このように思っております。
 どうもありがとうございました。
○大口委員長 田中慶秋君。
○田中(慶)委員 私は、民主党の田中慶秋です。
 きょうは、参考人の四先生方には、大変お忙しいところ、今回の都市計画法及び建築基準法の改正について参考人として御出席をいただきましたことを、心から感謝を申し上げたいと思います。
 そこで、まず小林先生にお伺いいたします。
 私は、今度のこの都市計画法、三十二年ぶり、あるいは三十三年ぶりの都計法の見直しでありますから、画期的なことも含めてある面での期待をしておりますし、また、これからも二十一世紀に向けた大きな土台づくりとしてこれが大切であろう、こんなふうに認識をしているわけであります。
 そこで、都市計画法というのは、やはり将来に向けた町の創造やロマンというものをある面では求めていかなければいけないというふうに認識をしておりますし、一方においては、現実の問題点をクリアしていかなければいけない、こういうことではないかと思います。
 そこで、実は、環境問題を先ほど述べられておりますが、昨今、モータリゼーションの関係で、全国的に至るところで交通渋滞を来しているわけであります。この交通渋滞というのはある面では、都市環境を悪化し、あるいはエネルギー問題含めて、経済的にももう既に、そのロスタイムを経済的に換算をすると大体十三兆円ぐらい、あるいはまたそれに伴うCO2対策等々考えますと、これも三兆円ぐらいかかるのではないか、これは環境の問題になってまいります。あるいはまたエネルギーという問題を考えますと、これも二兆円ぐらいのむだを使っているのではないかとか、こういうふうに言われているわけでありますけれども、このような問題を都市計画によって担う部分も出てきているのだろうと私は思っております。
 今、行政はどちらかというと、総花的な予算の執行に当たっている部分と、重点的な部分もありますけれども、現実には、遅々として進まない部分について、今回は、住民参加とか、あるいは地方自治体のより積極的な意向を反映するとか、こういうふうになっております。
 そこで、今までの流れを踏まえながら、都市計画決定をされたものが、今実態として、それが実行段階に入るということになりますと、その問題は大体三割強、四割弱が実行に入る。そしてその計画そのものも、ある面でのロスタイムが非常に多い部分があるわけであります。計画決定をされてから二十年、三十年というのはざらであります。こんなことを考えたときに、私はこの都計法の問題、建築基準法の問題、皆さんが中央審議会で検討した中で、それぞれの経緯の問題を考えたときに、実態としてはその問題とそぐわない点があるのではないか、こんなふうに思いますけれども、今申し上げたような環境問題、ロスタイムの問題も含めて、まずこの都市計画法についての反映をどのようにされてきたのか、お伺いしたいと思います。
○小林参考人 お答えいたします。
 都市計画で決めた道路がなかなかできない、その結果として交通渋滞その他が起きているというような問題は、今回の改正の議論でどうなるかということでございます。
 一つは、それはかなり重要な視点だと思います。今回、都市計画の手続、先ほど申し上げましたように、できるだけ多くの市民から御意見をお聞きし、都市計画を進めていく。それは手続を慎重にするという意味では、御案内のように時間のロスになるのではないかというような御懸念もあるいはあるのかと思います。しかし、今回は、例えばアメリカで考えてみますと、むしろそういう手続をしっかり踏んだ、そういう都市計画の決定の方が、結果的にその事業が、トータルな時間を見ると早く済むのだというような御意見をアメリカのいろいろな都市づくりの中で聞いてまいりました。
 そういう手続が十分でなくて、住民が納得いかないまま例えば都市計画が決まって、あるいは十分な意見聴取をされないで、意見を聞くことがされないで決まってきた場合には、さまざまな反対でその計画がとんざするというようなところもあるのかと思っております。
 ですから、今回の改正が、できるだけ住民に近い自治体に権限が付与され、さらに住民参加を十分にやるというような、そういう枠組みをつくることが、逆に長い目で見て、御懸念のような問題をむしろ解消する、そういう方向に向かうのではないかというように考えているところでございます。
○田中(慶)委員 今のような質問とあわせて、宮澤先生にお伺いしますけれども、実は今度の都市計画で先生が述べられております申し出制度の創設、すなわち住民の申し出、あるいは市町村から県、上部機関ですね、これはある面では大変評価をするのです。
 しかし、今までの三十三年の長い慣習の中で、都計法の中で、現実問題として上部機関がある面での評価をして、なかなか反映をしていない部分が多々あったと思います。住民の意向もあるいは聞きおく、聞くだけにするみたいな、私も都計審のメンバーを八年ほどやっておりましたから、そういう点ではその辺よくわかります。あるいは市町村の意向を反映できるかというと、できていない部分もたくさんあるわけであります。
 今度の申し出制度というのはそういう点で評価できておるわけでありますが、実行段階になると若干心配があるのですけれども、先生はその辺どう考えていられますか。
○宮澤参考人 今回の制度は、今先生御指摘の点については私も非常に評価しておる点でございますが、市町村と県との関係で申しますと、これは今の法律、三十何年前かにつくりました法律の時代から、県知事さんと市町村とはよく協議して、一体の都市計画をつくってくださいということを行政運用としては進めてきたわけで、行政の実績としてはかなりのものがあったと思います。
 ただ、すべてそこがうまくいっているかどうかというのは、県の立場と市町村の立場が違う場合に、必ずしも十分な調整ができない、どちらかといえば上位機関の意見が通るケースが多かったかもしれません。しかし、これからのまちづくりが、住民に基づいて、市町村長さんが中心になって進めていくという時代に対応して、県としてもそれに十分沿うような形の運用を期待したいと思うわけです。既に相当の蓄積もあるわけですから、その点については期待に沿っていただけるものと思います。
 ただ、先ほどの小林教授への御質問との関係もございますが、都市計画が、一つは非常に長期を見て計画を立てる必要があるという点が一方でありますし、それからもう一方では、現実の町の動きに対応していかなければいけないという問題があって、非常に長期を見ますと、それは道路にしても計画にしても、かなりのものを考えておかなければならない、しかし、それは当面の財政事情からして、すぐには応ずることができないという事情はあろうかと思います。
 その点を特に、広域行政機関である県と、それから基礎的自治体である市町村との間で、そういう財政の運用も含めてこれから十分に議論し、具体的なケースについて進めていただくような、そういう場が制度としてはっきりできたというふうに私は理解しております。
○田中(慶)委員 確かに、今先生が述べられているような申し出制度、私は非常に画期的なことであろうとまた評価をし、それが本来の民主主義だ、こんなふうに思っているわけであります。
 ただ、問題は、将来と現実というこの二つがあるわけですから、その点において、将来は将来としてのすばらしい、日本国家としての都市計画なり、それぞれの自治体としての都市計画があるわけでありますが、現実を見たときに、また問題点が錯綜しているわけでありまして、スピードの問題は、私はやはり現実を踏まえて将来を見通す、こういう段階的な問題を通っていかなければいかぬだろう、こんなふうに思っておりますので、その辺を、私はそう認識をしておりますが、先生はいかがですか。
○宮澤参考人 先生御指摘のように、私も、やはり大事なのは現実であって、将来は現実に進む方向が間違っていないということを確認するためのものとして必要であって、ぜひ現実の国民の希望、方向を十分酌み取っていただいた都市計画の運用がされることを期待したいと思っております。
○田中(慶)委員 続きまして、吉田先生にお伺いします。
 現場で大変御苦労いただいていると思いますし、また大変すばらしい先ほどのお話を聞かせていただきました。そこで、今回の都市計画法あるいは建築基準法の改正の中で、少子高齢化というこの実態をどのように反映されているとあなたは思いますか。まずそれが一点。
 もう一つは、先ほどの小規模風致地区の問題も話が出ました。私も、風致地区というのは、たまたま今住んでいるのが神奈川でございますので、風致とか古都とかたくさんございます。それも大切にしなければいけないわけでありますけれども、しかし、それぞれの町、それぞれの家族構成があるわけですね。
 そのときに当たって、例えば自分たちの資産が全部風致地区になってしまった、あるいはお父さんの段階で緑地指定にされました、三十年間という縛りがあるわけであります。ところが、相続を受けた息子が、今度、何もがんじがらめの窮屈の中で、いろいろな指定の中でこれから生計を立てなければいけない。こんなことになったときに、あなたは自治体の長として、こういう矛盾を恐らく感じられていると思います。その辺は今回の都計法の中でどのように反映をされたのか、お聞きしたいと思います。
○吉田参考人 田中先生の御質問にお答えいたします。
 まず、少子高齢化の問題でございますが、私どもの実務としまして、この線引きの市街化区域に、最優良の適切な価格で、割と希望する用地を求めてお住みになっている方々が、その当時は四十代の方々でございましたが、もうだんだん六十代、そして七十代に近づこうとしている。
 その方々が、全部が全部ではありませんが、折に触れてお聞きしますと、自分が生まれ育ったあの旧市内というのは本当に便利な町だった、できれば何らかの機会にもう一回中心部のふるさとに戻りたい、孫も連れて昔の町に戻りたいと。ばあちゃんが言っているのは、仲間と一緒にたくあん漬けの話をよくしたものだ、そして梅干しの味比べもやったものだと。
 ああいう風情が、今の住んでいるところでは、他人は、隣は何をする人で、全く交流が考えられないという今の冷ややかな現実を考えると、町の中心部こそ本当におれたちのふるさとだったなという話を聞くにつけ、今度の新しい都市計画、特に市街地活性化の建築基準法の問題などを有効に活用しながら、もう一回、福島型の中心市街地活性化は、居住機能をためていくような努力を年々続けていきたい。
 幾ら法改正になったとて、あるいは用途地域が、議会で中心市街地の活性化というものを熱弁を振るって答弁したとしても、一年二年で町はよみがえるものではないと思います。しかし、しっかりとしたコンセプトで、しっかりとした都市哲学を持って、我慢強く、根気よく市民に問いかけて、市民がそうだという賛同を得られるならば、そのステップを逐次踏むことによって中心部にもう一度お年寄りは帰ってくる、孫は一緒に帰ってくる。そして、ナンバースクールの第一小学校、第二小学校の今百六十人の子供たちも、昔のように三百人、五百人、そして六百人の学校が必ず生まれ返ってくる、都市はよみがえってくると私は確信をしております。
 あと、第二点の小さな風致地区でございますが、これは今、私は頭にあるのは、今市街地の民家として、あるいは商家としてあるものを囲い込むのではなくて、現在考えておりますのは、阿武隈川の改修が進んでいる川べりで、幸いにして空地になっている民間所有地、これを何とか一つの方法で市が買収し、あるいは所有者との話し合いによって風致地区に囲い込んで、いい風景を町中に残す、これがやはり中心市街地の活性化の一つの大きなステップになるのではないか、このように考えております。
○田中(慶)委員 いずれにしても、私も同じふるさとでございますから、そういう点では、ふるさとは遠くで見て思うものというような形じゃなく、現実にやはりふるさとを、しっかりとリターンができるような形のまちづくりをお願い申し上げたいと思います。要望しておきます。
 これは時間の関係がありますので、若干要望しておきます。
 こういう例があるんじゃないかなという実態として、例えば高齢化の中で、せっかく今度の基準法等々で、いろいろな問題がありますけれども、車いすなんかが突然出てくるわけでしょう。そのときに、今の建ぺい率その他、容積率も含めて、ほとんど目いっぱい、みんな窮屈に建てていますね。ところが、廊下を広くするといったって、建ぺい率違反になっちゃうでしょう。
 そんなことを含めて、今の建築基準法、容積率等々を含めて、がんじがらめではなく、責任というものをもっと明確にして、社会的責任、すなわち隣に迷惑をかけない、個人責任、ということは法を遵奉するということも含めながら、やはりアローアンスのあった形で、高齢化社会の建築基準法というのはそうあるべきじゃないかと僕は思っているわけです。その辺について、一言でいいですから、答弁を願いたいと思います。
○吉田参考人 御質問の趣旨、実務の面で十二分に活用できるように努力してまいりたい、このように思います。
○田中(慶)委員 最後になりますが、石田先生、あなたのレポートを見させていただき、非常にすばらしいなと思っております。
 やはり今度の都計法も、一つはマスターテーブルを初めとする理念、哲学というものがないと、いろいろな問題についてできないわけでありますが、今回、哲学という問題について都計法に欠けているというふうに私は見ていたんですが、あなたはそれを御指摘いただいております。
 それから、行政、政治というものが昨今非常にわかりにくいということを表現されて、わかりやすい政治、わかりやすい行政、特にわかりやすい都計法ということをあなたは非常に明快に指摘されております。
 時間の関係もありますが、一言で、この都計法、建築基準法というものについて、あなたの率直な意向として、三十三年たって、今までよりも評価をしていると、私自身はそう思っておりますけれども、先生はいかがでございましょうか。
○石田参考人 私は、一九六八年の都市計画法の成立にはいろいろ専門的な立場でかかわったわけですけれども、あのときの法律は、かなり理念のある、長期的な見通しを持った制度をつくったというふうに思っております。あるいは、一九七九年の答申も、二十一世紀のビジョンという形でやったわけですけれども、それから後の改正というのは、いろいろな事情に応じて制度を継ぎ足し継ぎ足ししてきたものですから、非常にわかりにくくなっている部分がある。
 ですから、改正をするときには、新しいものをつけ加えるだけではなくて、使い勝手の悪いものとか不要なものとか、あるいは問題のあるところというのは反省して取り除いていく、そういう整理が必要だと思う。その点が欠けているのではないかというふうに思います。
○田中(慶)委員 参考人の先生方、大変ありがとうございました。
 時間の関係で、以上で終わらせていただきます。
○大口委員長 上田勇君。
○上田(勇)委員 公明党・改革クラブの上田勇でございます。
 きょうは、先生方には、大変お忙しい中御出席をいただきまして、貴重な御意見を賜りましたことに、まず御礼を申し上げる次第でございます。
 都市計画法という論議というのは、やはり公共の利益の観点から秩序立った国土の利用を図っていくということで、これは厳格な土地利用の規制、しかも長期的な視点に立った規制が必要であるという一方の論理と、それから、やはり地域の実情や時代の要請に合わせて柔軟な対応が必要であるし、基本的には私有財産でありますので、その自由な利用を確保するという、この二つのバランスの中で、いつも法律の、制度の制定また運用に当たっては大変難しい面があるわけでありますが、きょうは、各先生方からその辺について非常に貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。
 非常に概括をいたしますと、小林先生、宮澤先生、吉田先生、基本的には賛成というお立場でありまして、石田先生が、いろいろと先ほど貴重な御意見をいただきまして、いろいろ問題点の御指摘もいただいて、慎重な立場というふうに理解をいたさせていただきました。
 そこで、石田先生から御指摘をいただきました点について、ほかの先生方にもぜひちょっと御意見を伺いたいというふうに思うのです。
 まず、小林先生、宮澤先生そして吉田先生にお伺いをしたいと思うのですが、先ほど石田先生の方から、農村等も含めた全域を対象とした都道府県の都市計画マスタープランが必要であるという御意見が述べられましたけれども、それについてどのようにお考えなのか。今回の法案で都市計画マスタープランが規定されておりますが、それで十分なのか、不十分なのか。そのあたりの御意見、それぞれの御意見を伺えればというふうに思いますので、よろしくお願いをいたします。
○小林参考人 お答えいたします。
 私も、学問上は、石田先生おっしゃっている都市的な土地利用と農業的な土地利用を一体的に、全国土を制度でくまなく覆う統一的な法を将来的にはつくるべきではないかというように考えている立場でございます。そういう面から見ると、都市計画マスタープランも、都道府県の単位での全域についてそういうマスタープランができれば将来的にはいいのではないかというふうに考えてございますが、今回、都市計画審議会で中間取りまとめをまとめまして、公開をし、御議論をいただいた、御意見をいただいております。
 その中で、さまざまな御意見がございました。例えば、ある都道府県は、自分たちの都道府県の中には都市計画区域というのは極めて限られている、そういう都道府県である。そういう都道府県が、全域を対象に都市計画マスタープランをつくるということに対して行政的に十分対応できるかという点については、かなり疑問を持っているという御意見でございました。
 それから、もう一点、当然都道府県マスタープランというのは、市町村マスタープランと並んで、そこに住んでいる県民、道府県民の御意見を聞きながらマスタープランをつくるということにならなければいけませんが、そういうマスタープランをつくるに当たって、都市計画法を基礎に置いた都市計画マスタープランとして十分な住民参加を図るというようなことを県民に御理解いただき、納得いただき、十分な参加をいただいてマスタープランをつくれるかということについても、行政的に大変懸念があるというような御意見もいただきました。
 そういうことを考えてまいりますと、現段階では、必ずしも、行政区域全体にかかわるマスタープランを都道府県マスタープランでつくるのはいかがなものであるかというようなことを考えまして、このような形になったというふうに考えてございます。
○宮澤参考人 四十三年都市計画法の時代には、国土の全域にわたる計画の仕組みがありませんでした。しかし、四十三年都市計画法以降、当院でも御審議いただいたわけですが、国土利用計画法ができまして、国土の利用について、関係する行政すべてをまとめた利用計画を立てる仕組みがございます。国の国土利用計画、都道府県の利用計画、市町村の利用計画もございますし、土地利用基本計画という制度もございます。
 私は、国土全体あるいは県土全体にわたる計画については、すべて都市計画法の中にセットするのではなくて、国土利用計画法を活用していくというのが一つの方向であるというふうに思います。
○吉田参考人 お答えいたします。
 福島市では、現在七万四千六百ヘクタールの全域に都市マスタープランを持っております。ただ、先生あるいはそれぞれの先生から御指摘ございましたように、どちらかというと、私どもの今の福島市役所の二十年、三十年前を考えますと、自分たちで都市マスタープランをつくった、余り住民参加というものをしてこなかったのではないかという私自身の反省がございます。
 したがいまして、現在あるマスタープラン、これを住民の皆様方に、より理解しやすい形で、どのような形で市政便りに繰り返し繰り返しこれを出していくか、あるいは地元の新聞等を使って、どういう形で、今お住みになっている現在のお住まいは将来こんなふうになるんだぞということの御理解をいただけるか。住民の御理解なしに都市マスタープランというのが成熟しませんし、このたび先生方に御審議をいただいている新しい都市計画法というのも、住民に理解されて初めて法が生きるわけでございますから、都市マスタープラン並びにこのたびの法改正あわせて、住民が主人であるというような観点から一層周知徹底を図ってまいりたい。
 以上でございます。
○上田(勇)委員 次に、石田先生にお伺いをしたいのですが、先生の先ほどの御発言の中で、いわゆる今回設けられております特定用途制限地域あるいは準都市計画区域につきまして御懸念の御意見がございました。
 確かに私も、そういう意味では、都市計画法というものの中で、その外にそういう特別の区域を位置づけるということは、今の都市計画区域にも、一方では開発を促進する地域と、もう一方で抑制する地域の両方があるということを考えれば、今の都市計画区域の中に含めて、その中でどういうような開発をするかというようなやり方の方が一貫性がとれるというような気もするのです。その辺、一方で、先生の先ほどの御意見の中でも、いわゆる準都市計画区域については一定の趣旨については理解をされるというような話もありましたけれども、それは、今あります都市計画区域、今の指定とどういうような関係で今後そういうような目的を達成していけばいいのか、その辺の御意見をいただければと思います。
○石田参考人 まず、基本的なところを申し上げておきますと、私は、準都市計画区域とか特定用途制限地域というのを制度化することに全く反対というのではないわけであります。
 というのは、そのような地域では、今まで全く都市計画の制限が、土地利用制限がかかっていなかったわけで、何らかの形でそれを及ぼそうという都市計画審議会あるいは建設省の試みにはある意味では賛成なんですけれども、今までの経緯を見ますと、そういう準都市計画区域とか特定用途制限地域というのをかけたところから建築行為とか開発行為が逃げて、制限のないところに移動していくということが起こるわけです。
 今度の制度では、都市計画マスタープランというものを都道府県全域にかけるということはありませんから、今、都市計画区域外の準都市計画区域とか、特定用途制限地域の外の部分というのは、開発行為、開発許可だけをある程度適用するという仕組みになっております。どういう形で開発行為を制限するのかというのは、法案の要綱で、多分建設省がつけられたと思うのですけれども、説明で見ますと、かなり大きな規模の開発を制限する、こういう仕組みになっているわけです。
 そうしますと、今までの例で見ますと、そういう準都市計画区域とか特定用途制限地域というものをかけたところから逃れた開発が、しかも開発許可にかからないような形で開発規模を小さくして、それが集積してというような、そういうことが懸念されるわけです。
 私が都市計画マスタープランを全域に及ぼせというふうに言っているのは、そういう現象の予想されるところに対しても、都市計画が何らかの方針を持って臨むべきだ、こういう意味で申し上げているわけです。もちろん、小林参考人や宮澤参考人が言われたようないろいろな事情はあると思いますけれども、少なくとも、都市計画区域外で準都市計画区域とか特定用途制限地域をかけなかったところについては厳しく土地利用の制限を行うんだ、あるいはそういうことがあってはならないという姿勢で都市計画が臨むんだ、このことをやはりはっきりさせるようなことが必要だというふうに思っております。
 私は、それを都道府県都市計画マスタープランに期待をしていたわけで、その意味で、それがなくなったのは残念だ、こう申しております。
○上田(勇)委員 それで、ただいまありました特定用途制限地域について、先ほど石田先生の方から、趣旨はともかくといたしまして、特定用途をあらかじめ決めておく、そういう予測をすることが困難だということから現実的ではないというような御指摘がございました。
 そこで、ぜひ他の先生方、小林先生、宮澤先生に、石田先生の方から、どのような行為が行われるのか予測が困難であるので現実的ではないというような御意見であったんですけれども、それについてどういうような御見解か、お二人の先生にお伺いしたいというふうに思います。
○小林参考人 お答えいたします。
 その前に、石田先生がおっしゃったマスタープランとの関係ですが、特定用途制限地域とか準都市計画区域は市町村が決めるということになってございまして、吉田参考人がお話しになったように、市町村のマスタープランというのは市町村全域について配慮がある、そういうマスタープランである場合が多いわけで、市町村マスタープランの中では位置づけが恐らくなされてくるのではないかというふうに私は思っております。当然、市町村マスタープランは都市計画決定しませんから、役割は少し違いますけれども、そのように考えてございます。
 それから、ただいまの御質問でございます。
 ただいまの御質問については、なかなか難しい点で、用途を特定しないで事後的にそれをコントロールするというのは、行政の透明性から考えていかがなものか、要するに、何が出てくるかわからないという状況で制度をつくるのはいかがなものかというような御意見も、先ほどお話ししました大規模建築物の場合にはあったわけでございます。確かに、これだけいろいろな状況が変化している中で、用途をあらかじめ決めて、その用途はいけないというような形で対応するのは十分であるかどうかということになると、なかなか問題あるかと思っております。
 その点については、数年前、ドイツに行きまして、ドイツでは、経年的に、新しくどういう用途がその地域にとってどういう問題を引き起こしているかというのを非常に綿密に調査をいたしまして、その新しい用途その他について柔軟に対応するようなそういう仕組みを導入しているということをお聞きしてまいりまして、将来的には我が国も、できればそういう方向、調査の上で十分な制度を図っていくというようなそういう連動した仕組みが必要なのではないかとも思っております。
○宮澤参考人 財産権の内容に対する非常に突っ込んだ御指摘だというふうに受けとめます。
 私は、開発行為なり建築行為なりが原則的に自由であって、財産権が尊重される、財産権の内容は公共の福祉に適合するように法律で定めるということが日本の憲法で決められていると思うんですが、それをどのように、具体的な都市の形成、建築行為について適用していくかという非常に深い議論が必要ではないかと思います。
 私は、個人的には、石田教授が言われましたように、すべての開発行為あるいは建築行為が、一定の制約が初めからあるという前提で法律制度を組み立てていくというのは、恐らくドイツの場合には、財産権は尊重するけれども財産権の行使には義務が伴うということが基本法で決められておりますが、そういった観点から、日本の都市計画制度あるいは建築行政制度をどう見ていくのか、新しい時代に、今までの法律で決めた財産権の内容、法律で決め計画の手続に沿って決めたところで初めて財産権の規制ができるという仕組みについてどうしていくのかというような、非常に基本的な議論をこれからしていただく必要があるのではないかというふうに思います。
○上田(勇)委員 次に、吉田市長に、地域住民と最も身近にいる立場で、なおかつ、そういう意味では行政の中での長い御経験を先ほど伺いましたので、その立場からひとつお伺いをしたいんです。
 先ほど石田先生の方から、わかりやすい都市計画制度を目指さなければいけないという御指摘がございました。当然、都市計画というのは個人や地域社会の土地利用を制限するという面があるので、それは非常に重要な視点じゃないか、私も同感であります。ただ、他方で、社会が非常に高度化、多様化してくると、それをきめ細かく、柔軟に運用していくとなると、どうしても規制も細目にわたったり、複雑化していってしまうというのもやむを得ない面があるんじゃないかというふうに思うんです。
 先ほど石田先生は、同僚委員の方の質問に対しまして、具体的には不要になった部分、例えば整理して、もっと体系立ててわかりやすくすべきである、わかりやすい都市計画制度を目指すという方向であるというような御意見を伺ったんです。
 そこで、吉田市長にぜひお伺いしたいのは、地域住民と一番近い立場にある、また最も接する機会が多いわけですし、これまでそういう行政の中でお仕事されてきた中で、今の制度、本当にわかりにくいものなのか、ある程度地域にも理解いただけているものなのか、あるいはどういう点を改善していけば実際の行政の運用に当たって最もよくなるのか、その辺の御見解をいただければというふうに思います。
○吉田参考人 お答えいたします。
 現在、市民が二十九万おりますが、二十九万の市民、子供は別でありますけれども、生産にかかわっている、働いている人々は、現在御自分の住んでおられるところが市街化区域なのか、特に市街化調整区域なのか、よく認識しておられます。特に市街化調整区域にお住みの市民にとっては、道路一本で隣は市街化区域、おれのところは依然として市街化を抑制する調整区域、これは何とかならないのかということで随分私のところにもお見えになっておりますので、市街化区域、市街化調整区域については十二分に、市民の方には御理解いただいていると思っております。
 このたびの法改正で、特に私どもが非常にいい法律だなと思いますのは、都市計画区域外で行われている宅地開発で非常に頻発する事故、これを抑制する意味においても、法的な根拠ができるということについては大変ありがたいし、人命救助にかかわる消防あるいは警察、自衛隊についても、かなりこの問題については関心を示しております。
 以上でございます。
○上田(勇)委員 時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。
 きょうは、四人の先生方に大変貴重な御意見をいただきまして、重ねて御礼を申し上げます。大変にありがとうございました。
○大口委員長 辻第一君。
○辻(第)委員 日本共産党の辻第一でございます。
 お四方の参考人には、御多忙中をこの委員会に御出席をいただきまして、また、貴重な御意見を拝聴いたしました。厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。
 まず最初に、石田参考人にお尋ねをいたします。
 今回の改正は、三十二年ぶりの抜本的な改正でございます。
 この間、この都市計画法のもとでいろいろな問題が生じてまいりました。市街地周辺の乱開発や都心部の空洞化が進行しましたし、見直しのたびに市街化区域が大幅に拡大をされ、市街化調整区域内の乱開発が進行し、都市周辺の農地はスプロール状に宅地化されてまいりました。市街地もビルが林立し、急速に都市改造が進展し、長年住み続けてこられた住民の方が追い出されるというような状況もありました。
 現行の都市計画法のもと、こうしたいろいろな問題が生じてきましたけれども、法改正に当たって、現行の都市計画法についてどのように総括をすべきとお考えでしょうか。
○石田参考人 お答えいたします。と申しましても、私は都市計画の歴史が専門なものですから、今の質問にお答えすると辻議員の質問時間を全部しゃべっても足りないぐらいですが、簡単に申し上げます。
 これは先ほどの御質問にもお答えしたのですが、一九六八年の都市計画法及び建築基準法の改正というのは、私は、本来は、地方自治法と憲法が制定された一九四七年にあれぐらいの改正をやっていなければいけなかったのだと思っているのですけれども、二十年おくれではありましたが、一つの制度的な方向づけをしたというふうに思っております。
 ただ、一九八〇年ぐらいまではその方向づけに従って進んでおりまして、地区計画制度が導入されたときは、一応、一九六八年都市計画法と一九七〇年の建築基準法ができたときの方向づけに沿って動いていたというふうに思うわけですが、それ以後、都心部でいえば、さまざまな規制緩和路線に乗った、私は緩和型地区計画と言っているのですが、容積率にいろいろな形で上積みをする制度というものがつくられ、そしてそれは全体的な都市のあり方ときちんと結びつけられずに使われてきた。これは非常に大きな問題だと思うわけです。
 実は、再開発地区計画の制度ができたときに、私は中央都計審の専門委員になっておりました。これは、実は、こういう非専門のことで専門委員がいるというのはおかしいのですけれども、線引き制度の答申が、一九八三年に中間答申という形で終わって、最終答申が出なかったものですから、専門委員をやめられずにいる間に、再開発地区計画を審議することになったわけです。
 それで、再開発地区計画の制度ができるときに、私は、全体的に都市の容積率の指定は十二分にある、これ以上の高度利用というのは、環境とか都市のインフラストラクチャーの関係で問題があるというふうに判断しておりました。しかし、全体としては再開発地区計画制度をつくるという方向になってきましたので、最後の歯どめとして、都市再開発方針というものの中に、どこでなら再開発地区計画が使えるのかということを明らかにした上で使え、どこで使うかというのがわからないというような形は極めて将来に禍根を残すという批判をいたしました。
 しかし、全体としてその後の改正というのは、都市の全体のあり方をどう変えていくかという方針とは無関係に、一つ一つの制度をつくって、それを使えるところで使っていくというやり方で終始してきたわけです。
 この点が、今辻議員が御指摘になったような、都市周辺の農地のスプロールがさらに進んだとか、あるいは既成市街地で再開発が進み、住民がそこから追い出されるとか、そういう現象の一つの原因になっていたのではないかというふうに思います。
 そういう意味で、繰り返し申しますが、私は、一つ一つの制度を使う使い方というのが全体的な方針で明らかになっているということが非常に大事であると思っております。その点がさまざまな問題の原因になってきているというふうに思っております。
○辻(第)委員 次に、小林参考人にお尋ねをいたします。
 小林先生は都市計画中央審議会委員として本法の作成にもかかわってこられたところでございますが、本法は、「都市計画制度の見直しに当たって」から、さらに答申、法案となるに従いまして、例えば、都市計画区域のみではなく都道府県全域を視野に入れた都道府県都市計画マスタープランの作成が見送られたことや、広く緑地を保全、創出するための制度の構築が見送られたことなど、抜け落ちた点が幾つかございました。また、建ぺい率制限の合理化など、加わった点もございました。このように抜け落ちたり加わったことについて、どのように御評価をされているのか。
 それからもう一点、都市計画中央審議会の議論から、今回の法案は、水準として、それがどれくらい実現できたとお考えなのか、お尋ねをいたします。
○小林参考人 最後の御質問からお答えいたしますと、答申に関係した立場からいうと、答申から法案へはかなりの程度法案に盛り込まれた、大きな枠組みではほぼ盛り込まれたと思っています。
 ただ、法そのものではなくて、例えば政令にかかわる問題とか、あるいはむしろ制度の運用にかかわることまでも答申の中に書き込んでございますから、その部分については当然法案の中には組み込まれていないというふうに理解してございます。
 それから、最初の御質問でございます。例えば、都道府県マスタープラン、行政区域全体にわたってあったものがそうではなくなったという点については、先ほど、中間取りまとめに対しての御意見その他、さまざまに伺いまして、そういう形で組みかえたということでございます。
 それから、緑地制度、これも審議会で、審議会委員からぜひ体系的な取り組みが必要だということがございました。答申の中にはそういうものについて、最終的に税制とか補助の措置、そういうものを含めて考えていかなければいけないということを申し上げて、将来的な課題として残してございますし、それから緑地保全については、条例をいろいろなところに組み込みまして、例えば、開発許可にかかわる条例を運用することによって、ある地域にとっては緑地が大切であるということであれば、開発許可の基準をその地域に合わせたような形で運用する条例をつくることによって一定の効果があるのではないか。その部分は組み込まれたというふうに考えてございます。
 以上でございます。
○辻(第)委員 石田参考人にお尋ねをいたします。
 今回の法改正では市街化調整区域や白地地域の開発を促進することになって、農地や緑地がまた失われていってしまうのではないかと危惧しております。
 先生も御指摘なさいましたとおり「都市計画制度の見直しに当たって」にはありました、広く緑地を保全、創出するための制度の構築が見送られました。また、準都市計画区域の創設でも、都市政策と農地政策をどう整合させるかという問題が出てくると思います。
 また、都市計画には以前から農地の位置づけがなく、時限的な生産緑地といった位置づけしかありませんでした。環境の保全の要請が高まっておりますが、こうした農地、緑地をめぐって未解決の問題が残っていると思うのですが、先生の御認識と今後のあるべき姿などについてお聞きをいたします。
○石田参考人 この点も私、専門でありまして、また長広舌を振るいそうになるのですけれども、前に「都市農業と土地利用計画」という本を書いたことがありまして、この問題はずっと研究をしてきております。
 一つは、これは、先ほど宮澤参考人のお答えの中に、都道府県マスタープランのようなものの役割を国土利用計画法にゆだねるというそういう趣旨のお答えがございました。私は、確かに、国土利用計画法、特に土地利用基本計画というのは、もっと今後位置づけを大きくして、この都道府県都市計画マスタープランの役割を実質的に担うような形に改善していっていただきたいというふうに思っております。
 ただ、その場合、自然保護に関する部分というのは、自然公園法とか自然環境保全法でしたか、法律の名前をちょっと失念しましたけれども、そういう制度で、いわゆる極めて価値の高い緑を保全するという仕組みが別の法律で用意されているわけです。ですから、国土利用計画法にのっとってこの問題は考えていくというときに、今用意されている法律がどの辺をカバーできているのか、この点をやはりチェックしなければいけない。
 実は、最近は、そういう極めて貴重なと言われているその貴重の価値観が変わってきておりまして、里山のような今までは雑木林というような言い方をされていたところが、実は我々の生活にとっては物すごく大事な緑の空間だというふうになってきているわけでありまして、これは自然公園法とか自然環境保全法のような法律ではちょっと扱いにくい地域だと思います。その意味で、里山のような自然が残る制度をやはりつくっていく必要があるというふうに思っております。そういう法律ができていけば、あるいは、国土利用基本計画の土地利用基本計画が都道府県都市計画マスタープランの役割を担うような位置づけが可能になるかと思っております。
 それから、都市計画区域外の例えば準都市計画区域のようなところでは、どうしても農地とかそういう森林が区域の中に入ってこざるを得ないわけでして、その部分についてはやはり都市計画の側で保全を考えていく必要がある。少なくとも都市計画の方は、ここのところは市街化の手はつけないという判断をする必要があると思います。
 ドイツなどでは、土地利用計画とかいわゆる地区計画では、当然、農地とか林地というものが計画の対象になる土地利用の種類に数え上げられております。
 やはり都市計画というのは、何か開発をどんどん進めるだけではなくて、そういう価値のある緑を残して、それが都市環境の向上につながるような仕組みをつくっていく必要があるというふうに思っております。
○辻(第)委員 次に、吉田参考人にお尋ねをいたします。
 長い間、市の職員として、市長さんとして情熱的にまちづくりに御尽力いただいたことをお聞きいたしまして、感銘をいたしました。
 そこで、お尋ねをいたしますが、線引きの都道府県による選択制というのは、自治体の自主性に基づいた都市計画を具体化できる機会を拡大する方向として一定評価できることと思います。しかし、反面、実際は、一層市街化調整区域や白地地域の開発を促進することになり、また、市街地の空洞化にもつながるのではないか、このように危惧をしているわけでございますが、いかがお考えでしょうか。
○吉田参考人 お答えいたします。
 子供の成長に例えては大変恐縮なんでありますが、母親は、子供のすくすくとした成長を願って、かなりたっぷりした洋服を買ってくれたつもりでございます。それが我々がかかわった市街化区域、調整区域の線引きの、この市街化区域のゆったりした洋服でございます。ところが、社会経済の情勢の変化によってどうもこの成長が鈍化してしまった。本来ですと、もう少しぱっちりとした体格になって、別の上着を買いかえてもらいたいような母親の願いだったんですが、地方の実情は、あるいは全国の実情はそういう実情にない。私どもも、全体として、市街化区域の四千ヘクタールの中に千二百ヘクタールの未利用地がある。
 したがいまして、その当時から考えますと実に残念なことであるのでありますが、しかし、今、住民の生活の姿を見ておりますと、何かしっかりとした主張、まちづくりの理念を持って住民の人々がそれを支えてくれて、そしてゆっくり時間をかけてやれば、この千二百ヘクタールの未利用地というのはもう一度ふるさとに戻る可能性を持った未利用地、私から言いますと、この可能性を秘めた用地であろうと思います。何回も繰り返しこのお話をしているわけでございますが、特に、福島市のような盆地の町、特に河川に囲まれた町においては、千二百ヘクタールの未利用地は宝でございますから、先ほど先生からもお話がございましたように、その未利用地の雑木林をある一定の小さな風致地区として、地権者の納得がいかれるならば、それを保全しながら全体として町が徐々に徐々に成長していく、そういうロマンに満ちたまちづくりを進めたい、このように考えております。
○辻(第)委員 石田参考人にお尋ねをいたします。
 都市計画について、国の法律と地方自治体との関係はどのようにあるべきとお考えなのか。その点で本法案についてどのように御評価をされているのか。また、都市計画のあり方について、計画なきところに開発なしという欧米諸国での都市計画の原則について、私権の制限となり、日本にはなじまないとする意見もありますが、いかがお考えでしょうか。お尋ねをいたします。
○石田参考人 国の法律と地方自治体との関係というのは非常に広範な問題ですので、後段で御質問のありました私権の制限の問題と絡めてお答えをしたいと思います。
 先ほど宮澤参考人が、この問題は非常に重要な問題で、今後きちんと研究をしていかなければいけないというお話がございました。私もそう思っております。
 それで、計画なきところ開発なしという、これは都市計画課が掲げているスローガンなんですけれども、これは欧米の都市計画の、ある意味では原則になってきている。しかし、それが非常に過度な制限というふうに一般の市民に受け取られているというところは、我々がスローガンだけを言って中身をきちんと説明していないというところに問題があろうかと思って、反省をしております。
 私が言っている計画なきところ開発なしというのは、開発を徹底的に抑え込んでしまおうというそういう制限を言っているのではなくて、土地の使い方というのは、計画があって初めて有効に使えるという、そのことを言っているわけであります。無限の土地利用権があって、それぞれの土地単位で、自分たちのそれぞれの地主さんの使いたいようにやっていくということを認めていけば、お互い同士にいろいろな形で被害を及ぼし合う、隣の土地利用権を侵害するということになりかねないわけです。
 ですから、私が言うのは、敷地の単位で利用できる範囲というものを決めて、それは土地の所有者が自由に使っていいけれども、それ以上の部分というのは地域で共同で考える部分、これは隣に迷惑を及ぼさないとか、道路等の関係とか、そういうことが出てくると思いますけれども、そういう部分は地域で共同で計画をし、使う。それから、インフラストラクチャーと関係のあるような大規模な土地利用については、インフラストラクチャーの整備というのは地方自治体が責任を負っているわけですから、その地方自治体がそういう部分の利用についてはしっかりした計画を立てる。
 そういうものに従って土地を使っていけば、問題の起こらない有効高度利用ができる。私は高度利用を全面的に否定しているのではありませんで、少ない土地ですから、高度に使うということはだれしもが望むところですが、それが、ほかの人に対する被害とか都市全体に対する悪影響にならないような使い方の計画でありたい。そういう計画に従って利用するということが、計画なきところに開発なし、あるいは計画のあるところに初めて開発がある、こういうふうに言ってもいいと思うのですが、それが私の意見です。それはまさに御質問の、国が制度として考えるべき仕組みの中に当然入ってこなければいけないことだというふうに思っております。
○辻(第)委員 時間が参りました。終わります。ありがとうございました。
○大口委員長 中西績介君。
○中西(績)委員 四名の参考人の皆さんには、大変御多忙のところ、こうして御出席いただき、御意見の開陳をいただきますことを、本当にありがたく、感謝を申し上げます。
 そこで、私は、先ほどからの論議の過程の中で、私と同趣旨の質問等が出ておりますので、その問題について、一つずつ深めるなり、あるいは御意見をお聞かせいただきたいと思っております。
 参考人の石田先生の御意見、特に基本的な問題等につきましては、私も同意見を持つものでございますけれども、そこで、先ほど答弁のございました吉田市長さんにこの点についてお聞かせいただきたいと思います。特に吉田市長さんは、お若いころからこの種問題にかかわり、そして今、地方自治体の責任者として重要な役割を果たし、しかも県都における市長さんでございますので、中心的な役割を果たされておると私は確信をいたします。
 この都市計画法が制定されまして八十年を経過すると言われておりますけれども、その間幾多の変遷がございまして、改革がされました。そして、一九六九年の抜本改正、これによりまして一応の方向性というのは出てきたわけでありますけれども、私は、三十年たちまして、さらにこのときこそ、従来の計画とは異なり、狭い日本の国土開発を将来的展望を持ってやるべきだと思っております。
 そのためには、国土計画、地方計画、都市計画が総合的に連携いたしまして、都道府県全域、農山村も含む地域全体の具体的な土地利用計画の方針、言いかえますと、地方自治体一体となった都道府県都市計画マスタープランを立てることが必要だと私は思っておりますけれども、先ほどのお答えではまだ私納得できないものもございますので、時間をかけてでも、この点についてどのようなお考えを持っておられるのか、お答えいただければと思います。
○吉田参考人 お答えにならなかったらおわびを申し上げますが、私は、さきの線引きに顕著に見られるような都市計画法、これはやはり国が持続的発展を願った、計画的な発展を願いながら設定したものであろうと思っております。
 その後における都市マスタープラン、特に自治体の、私どもに実例をとらせていただきますならば、町の発展というものは、山林地帯、あるいは先ほどから使わせていただいている河川の流域の生活圏あるいは水田、町の真ん中の商業地域、周辺の住宅地域、これがバランスのよい発展を遂げるためには、このような一つのマスタープランに従って、年月をかけながらも、市民に納得のいく形で進めるべきであるという指針は一貫しているものであろうと思っております。
 したがいまして、今後も、この新たな法改正を新たなとりでとして、従来から築いてこられました国の方針というものをしっかりと、いわばふるさとの具現化のために活用してまいりたい、このように考えております。
 何か具体的な納得のいく御答弁にならないかもしれませんが、おわびしながら答弁といたします。
○中西(績)委員 私がお答えいただきたかったのは、このような、福島市という一つの都市構想の中だけでなしに、県域全体、広域的なそういうものがあって、福島市の位置づけられる問題がどうなっておるかということになっていくと思います。このことは先ほど小林参考人の方からお答えがあったようでございますが、都市計画区域の少ない県等におきましては疑問視されておるとか、あるいは住民参加が困難だとか、いろいろな理由を挙げておられました。
 そういうこともあるにはあるけれども、やはり今混乱をしつつある都市計画というものをより重要視するためには、その地域においてどういうものを立案すべきかということを考えていかないと、日本の場合には、今まで長い間の経過を見ましても、そのときの社会現象に伴って改正を次々に、継ぎ足したような形でやってきたという経緯があるわけですね。
 したがって、私は、この機会にこそ、抜本的な、本格的な、こうしたものをつくり上げる機会ではなかったかな。こう考えれば、私は、先急ぎするのでなしに、やはりある程度じっくり、こうした問題について御論議をいただけたらと思っておるのです。
 そうした意味で申し上げておりますので、その点について小林参考人、どうでしょう。
○小林参考人 御案内のように、今回の都市計画中央審議会の中間取りまとめの段階では、我々審議会のまとめとして、都道府県全体のマスタープランが必要であるという中間取りまとめをしているところであります。そういう必要性が全くないという判断であれば、そういう答申は、中間取りまとめであっても出されなかったというふうに理解しております。
 ただ、再度お話しして恐縮でございますが、都道府県の中からそういう御意見をいただいたということと、それから市町村のレベルでマスタープランをそれぞれ現在作成あるいは作成済みのところがございます。さらに、市町村がマスタープランをつくるときも、できれば周辺の土地利用その他といろいろ調整をしていただくようなことも期待したいとか、あるいは都市計画区域単位でマスタープランをつくるに当たっても、都市計画区域単位以外のところとの連携をどういうふうに考えていくのかということは一定程度示さなければ、恐らく都市計画区域のマスタープラン自体も描けないのではないかというふうに考えております。
 さらに、実は私神奈川県におりまして、例えば神奈川県のようなところでは、非法定でございますが、都市計画マスタープランというものを行政区域全域にわたってつくって、それを一定程度運用されているところでございます。恐らく、将来、一定の時期を見計らって、市町村マスタープランが全域にわたって作成され、さらにその上に都道府県マスタープラン、中間取りまとめで示したような都道府県マスタープランがさらに必要である、そういう大きな声が出てきた段階では、再度の調整があるのかというふうに考えてございます。
○中西(績)委員 そこで、石田参考人にお聞きしますけれども、先ほどからのお答えを受け、そしてさきの同僚の質問にもお答えいただきましたけれども、このレポートによりますと、こうしたマスタープラン制度をこの際にやはり入れるべきだという御意見のようでございますけれども、その点に関してはどのようにお考えか、お答えいただければと思います。
○石田参考人 私も、原理原則を言う大学の研究者という立場だけではなくて、今までも都市計画中央審議会の専門委員として立法にもかかわってきましたし、今、小林参考人の言われた神奈川県の、たしか最初つくったときは都市整備基本計画というような名前だったと思いますけれども、それを策定したときには神奈川県の総合計画審議会の委員をしておりましたので、こういう案をつくる、制度化することの難しさというのは一応わかっているつもりで、先ほどの小林参考人のお答えとか、あるいは宮澤参考人が国土利用基本計画法の話をお出しになったというような、そういう御意見というのは、私も、多分そういう考え方が審議会の委員とか建設省関係者から出るだろうなというふうに想定してここへ出席しております。
 私は、基本的には、都道府県都市計画マスタープランというのをこの際制度化するということをしていただきたいという見解ですけれども、それに見合う運用ということでいえば、都市計画区域外に適用する開発許可の使い方、ここのところをきちんと、要するに、都市計画が開発その他について県土全体について一応考えるのだという姿勢を示す意味でも、その部分の制度のつくり方、あるいは法律ができてから後の政令とか技術基準のつくり方というようなところで、事実上、都市計画マスタープランに近い配慮ができるような、そういう制度づくりに向けていただきたいというふうに思っております。
 それから、これは都市計画マスタープランを都道府県につくるといえば必ず必要になってくるのが、広域的な緑地、広く緑地を保全、創出するための制度であります。この部分が、いわば制度化できないことがあって都市計画マスタープランというのが今度法律に載らなかったのかなというふうに思っているぐらいでありまして、実は、この部分が都市計画マスタープランにおける非常に期待の大きかった点でありますので、この点はやはり何らかの形で法案に盛り込んでほしかったというふうに思っております。
○中西(績)委員 次に、先ほども出ましたけれども、さきの中間報告、私見させていただきましたけれども、同じように提言されておりました。広く緑地を保全、創出するための制度というようなことが出ておりましたけれども、この点が私、今回の場合には制度化されておらないし、明らかにされていない。したがって、自然環境を保全するためにはやはり制度をつくる必要があるのではないかということを感じておりますけれども、この点について、宮澤参考人にお聞かせいただきたいと存じます。
○宮澤参考人 御指摘の点は非常に重要な問題、特に、これから新しい世紀に入っていったときに国民が一番求める問題だろうと思います。
 私は、今回の都市計画法、建築基準法の一部改正は、さきの地方分権一括法と一連のものとして、この際どうしてもこれだけはやっておかなければいけないというものが盛り込まれたというふうに評価しております。恐らく、これは建設省の、今度省庁再編で変わるかもしれませんが、都市計画行政の次の重要なテーマが今御指摘の問題であって、これは引き続き十分検討していただきたい。そのときには、先ほども申しましたが、私有財産権との関係はどうするのか、都市計画の手続の中にいろいろ盛り込まれておりますが、国民の意見を吸い上げる仕組みとの関係をどうつくっていくのかということも含めて、非常に基本的なテーマとしてこれから検討していただきたい問題と思っております。
 今回は間に合わなかったというふうに、私は実は思っておりまして、これからの課題としてぜひ検討を深めていっていただきたいと思います。
○中西(績)委員 特に吉田市長さんにお伺いいたしますけれども、福島の町というのは、ある程度緑豊かな市であろうと思います。したがって、こうした問題について制度化されることの意味、そして先ほどから私がたびたび申し上げるように、このことが将来展望の中で、先ほども宮澤参考人にお答えいただきましたように、大変重要な位置づけにあるということを言われております。この点については、直接担当されておられる市長さんとしてはどのような御見解でしょうか。
○吉田参考人 結論から申しますと、やはり県庁所在地で都市ではありますけれども、町の真ん中があるいは周辺部が、全部いわば民家、あるいは全部が商店、あるいは全部が工場、こういう町は、非常に私は福島の盆地の特性にはなじまない市になるのではないか。残念ながら、未利用地が千二百ありますけれども、その中には、水田もあり果樹園もあり野菜畑もあり、それが未成熟は未成熟なりに成熟した部分とうまく溶け合って一つのバランスのとれているのが今の姿でございますので、特に、新しい法の運用に当たって周辺部の準市街化区域、これがいろいろ問題が起きているところでございますので、言うならば、我々はセーフティーガードの地帯であろうと認識をしておりますから、それらの運用も相まってこのほのぼのとしたふるさとづくりにさらに努力してまいりたい。緑化の保全は一番大事な課題だと思っております。
○中西(績)委員 終わります。
○大口委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。
 この際、参考人の方々に一言申し上げます。
 本日は、貴重な御意見を賜りまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して、厚く御礼を申し上げます。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午前十一時三十八分散会