第147回国会 予算委員会 第11号
平成十二年二月二十二日(火曜日)
    午前十時開議
 出席委員
   委員長 島村 宜伸君
   理事 久間 章生君 理事 自見庄三郎君
   理事 高橋 一郎君 理事 萩山 教嚴君
   理事 町村 信孝君 理事 池田 元久君
   理事 海江田万里君 理事 太田 昭宏君
   理事 西田  猛君
      甘利  明君    伊藤 公介君
      石川 要三君    稲垣 実男君
      小澤  潔君    大原 一三君
      亀井 善之君    木村 隆秀君
      栗原 博久君    杉浦 正健君
      高鳥  修君    津島 雄二君
      中川 秀直君    葉梨 信行君
      萩野 浩基君    船田  元君
      宮腰 光寛君    村田 吉隆君
      村山 達雄君    森山 眞弓君
      山口 俊一君    石毛えい子君
      岩國 哲人君    桑原  豊君
      古賀 一成君    五島 正規君
      原口 一博君    日野 市朗君
      肥田美代子君    山本 孝史君
      横路 孝弘君    青山 二三君
      石垣 一夫君    石田 勝之君
      上田  勇君    佐藤 茂樹君
      並木 正芳君    桝屋 敬悟君
      青山  丘君    加藤 六月君
      鈴木 淑夫君    木島日出夫君
      春名 直章君    平賀 高成君
      藤木 洋子君    矢島 恒夫君
      吉井 英勝君    濱田 健一君
      保坂 展人君
    …………………………………
   法務大臣         臼井日出男君
   外務大臣         河野 洋平君
   大蔵大臣         宮澤 喜一君
   文部大臣               
   国務大臣
   (科学技術庁長官)    中曽根弘文君
   厚生大臣         丹羽 雄哉君
   農林水産大臣       玉沢徳一郎君
   通商産業大臣       深谷 隆司君
   運輸大臣         二階 俊博君
   労働大臣         牧野 隆守君
   建設大臣         中山 正暉君
   自治大臣         保利 耕輔君
   国務大臣
   (内閣官房長官)     青木 幹雄君
   国務大臣
   (総務庁長官)      続  訓弘君
   科学技術政務次官     斉藤 鉄夫君
   法務政務次官       山本 有二君
   外務政務次官       東  祥三君
   大蔵政務次官       大野 功統君
   文部政務次官       河村 建夫君
   厚生政務次官       大野由利子君
   農林水産政務次官     金田 勝年君
   通商産業政務次官     細田 博之君
   通商産業政務次官     茂木 敏充君
   労働政務次官       長勢 甚遠君
   建設政務次官       加藤 卓二君
   自治政務次官       平林 鴻三君
   政府参考人
   (内閣審議官)      藤井 昭夫君
   政府参考人
   (資源エネルギー庁長官) 河野 博文君
   政府参考人
   (資源エネルギー庁長官官
   房審議官)        藤冨 正晴君
   政府参考人
   (運輸省海上交通局長)  高橋 朋敬君
   予算委員会専門員     大西  勉君
    ―――――――――――――
委員の異動
二月二十二日
 辞任         補欠選任
  大原 一三君     木村 隆秀君
  村山 達雄君     宮腰 光寛君
  生方 幸夫君     桑原  豊君
  日野 市朗君     石毛えい子君
  肥田美代子君     山本 孝史君
  石田 勝之君     並木 正芳君
  佐藤 茂樹君     石垣 一夫君
  桝屋 敬悟君     上田  勇君
  志位 和夫君     平賀 高成君
  春名 直章君     矢島 恒夫君
同日
 辞任         補欠選任
  木村 隆秀君     大原 一三君
  宮腰 光寛君     村山 達雄君
  石毛えい子君     日野 市朗君
  桑原  豊君     生方 幸夫君
  山本 孝史君     肥田美代子君
  石垣 一夫君     佐藤 茂樹君
  上田  勇君     桝屋 敬悟君
  並木 正芳君     石田 勝之君
  平賀 高成君     吉井 英勝君
  矢島 恒夫君     藤木 洋子君
同日
 辞任         補欠選任
  藤木 洋子君     春名 直章君
  吉井 英勝君     志位 和夫君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 平成十二年度一般会計予算
 平成十二年度特別会計予算
 平成十二年度政府関係機関予算

    午前十時開議
     ――――◇―――――
○島村委員長 これより会議を開きます。
 平成十二年度一般会計予算、平成十二年度特別会計予算、平成十二年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣内政審議室内閣審議官藤井昭夫君、資源エネルギー庁長官河野博文君、資源エネルギー庁長官官房審議官藤冨正晴君及び運輸省海上交通局長高橋朋敬君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○島村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
○島村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山口俊一君。
○山口(俊)委員 おはようございます。自由民主党の山口俊一でございます。
 なかなか与党の出番がなかったわけでありますが、質問の機会をつくっていただきまして、心から感謝を申し上げる次第でございます。
 というのも、実は先般来、特にこの予算委員会で、私の地元の吉野川第十堰の問題が多々取り上げられました。聞いておりますと、我が家の子供に対して隣町のおじさんから、あいつは頭が悪いとか背が低いとか、何か言われておるような気がいたしました。
 実は、私も昭和五十年から徳島県議会議員を四期務めさせていただきまして、いろいろな議論はずっと承知をいたしておるつもりでございます。同時に、ここ数年のこの件に関する審議委員会の経緯もずっと見てまいりました。そして、住民投票の請求、そして市議会の否決、市議会議員の選挙、さらには、再度議会から条例が出された、そして住民投票、一連の経緯をずっと見ておりますので、どうも見ておりますと感情的な部分が多いのではないか。
 あるいは、先般大臣もおっしゃっておられましたけれども、マスコミにしても、一部を大きく取り上げて、詳細に関しては、いいとこ取りをしてちゃんと書かないということで、いろいろな憶測というか、事実誤認があるのではないか。そういったことで、いま一度整理をさせていただきたいという意味で質問をさせていただきます。
 まず、現在の第十堰の位置でありますけれども、これを実は御存じない方が相当おいでるのではないかというふうに思っております。実は今の第十堰の正確な位置といいますのが、左岸、北岸、上の方でありますが、これが板野郡上板町第十新田というところがございます。そして右岸、南岸、下の方でありますが、これが実は名西郡石井町藍畑第十、これで第十堰というふうな名前がついておるわけでありますが、実は両方とも徳島市内に全くかかっておらないというふうな場所であります。
 同時に、新しく可動堰を計画をしておる場所というのが、これは若干河口の方に下がりますけれども、北岸の方がやはり板野郡藍住町東中富、南岸は、河口に下がりました関係上、国府町という徳島市の一部がかかるわけであります。ですから、よく言われておりますのが、一つの市だけで決めていいのだろうかというふうな話であります。
 建設省がいろいろと、もし決壊をするというか、洪水時、被害を受けるであろうという地域を想定しておりますけれども、これも大臣、ごらんのとおりであります。もう御存じのとおりであります。第十堰の位置からして、実は市内のごくごく一部のみが被害を受けるであろうというふうなことでありまして、先般、共産党の志位議員の方からも質問がありました。いわゆる流域と言うけれども、流域の大多数の人口は徳島市じゃないかというふうな御質問でありますが、確かにそうなんですが、徳島市で、では、どれだけが影響を受けるかといいますと、残念ながら、ごくごく一部であります。これも建設省の資料ではありますけれども、一目瞭然、二十数万のうちの三万幾余が徳島市の場合は影響を受ける。翻って、他の一市六町、徳島市以外の一市六町の方は、八万五千人以上の方が影響を受けるというふうなことであります。そういったこともきちっと確認をしていただきたいと思っております。
 同時に、そうしたいわゆる一市のみの問題ではないということと、もう一つが、実は利水の問題がございます。これもいろいろと誤解を招いておるようでありますけれども、実は、今の堰を取っ払ったらいいじゃないかというふうな乱暴な学者の方もおいでたわけでありますが、今の堰によって、この徳島市を含め、二市六町は大変な利水の便益をこうむっております。
 実は、旧吉野川というのが大変水位が下がった、水が減ったということで、かつて私どもの先達が考えて、第十堰というのをつくって水位を上げて、旧吉野川に水を送った。それから、水道を初め、農業用水あるいは工業用水を取水しておるというふうな状況があるわけであります。
 ですから、これもある方が質問しておられました。第十堰というのは、それこそ治水の面で吉野川を守ってきたというふうな御質問があったわけでありますが、実は全く逆でありまして、第十堰というのはむしろ利水のみの堰であります。そして、逆に河川の中にそうした障害物、構造物があるわけですから、むしろそれによって洪水の危険というのを常に感じながらやってきたというのが正確な話でございました。
 ですから、そうした意味合いから、やはり今回の住民投票というのは、私も政治家としてこれを重く受けとめるべきだと思いますけれども、徳島市民のいわば一地域の皆さん方の御意見であって、実は、利害関係者というのはもっと幅広くいる。大臣がよくおっしゃっておられます三十二万の署名というのもこれはあるわけでありますので、やはり事業者として、それこそ大臣の方で、建設省の方で判断をすべき問題であろうと思っております。それについて大臣の方から御所見をお伺いいたします。
○中山国務大臣 お答えを申し上げたいと思います。
 今先生が御指摘なさったとおりの歴史的、地域的な背景、むしろ先生がお地元で長い間国会議員として御活躍でございますので、先生の御質問のとおりでございますが、先般も先生のお地元の祖谷のあたりからずっとヘリコプターで、池田町から直角のような形で上流の方に回ります百九十四キロ、そのうち徳島に隣接しますところは十四キロのみでございますので、今第十堰のあります場所もこれは徳島市内には入っておりません。新しくつくろうかという計画の位置というのは少し徳島にかかるような感じでございますが、とにかく第十堰は二市六町にまたがる広範囲な住民の生命と財産にかかわる問題でございまして、専門的、技術的検討が必要であることから、一徳島市民のみの住民投票結果をもって事業の方針を決めることはできないと考えております。
 これは一地域の御意思ということで、先生が今おっしゃいましたように、重大な発意として受けとめたいという気持ちは十分ございますが、第十堰の事業は吉野川流域全体の方々にとって重要な施策であることから、今後は、流域の方々から広く意見を聞き、種々の代替案も議論の対象として対話を積み重ねて、治水上の安全性を確保することに取り組んでまいりたい、こんなふうに考えております。
○山口(俊)委員 お話のとおりであろうと思います。
 同時に、先ほど私、二市六町というふうに申し上げましたけれども、さらにこの吉野川というのは広範な中で考えていくべき問題であろうと思っております、この問題は。
 というのも、私が生まれ育ちました池田町、吉野川の上流部でありますけれども、ここからずっと下流の方からいわゆる改修事業、築堤事業が逐次進んではきておりますけれども、残念ながら無堤地区が上流部には相当あるというふうな現状がございます。残念ながら、毎年災害で大変大きな被害をこうむる、ほぼ毎年多少の被害はこうむっております。
 つまり、いわゆる治水上、下流からやっていきませんと、上流を先にきれいにしてしまいますと、どっと水が流れる、下流に大きな被害を与えるというふうな、いわゆる河川工法上の話というふうなことを聞いております。しかしながら、現実問題として、下流ができない、第十堰の周辺がきちんとできないがために、実は上流というのは毎年それこそ遊水地帯の役割を果たさざるを得ないような状況があるわけであります。
 ですから、先般も、いわゆる推進というか、可動堰推進の署名が三十二万人も集まった。実は私の周辺の町村では、六割以上の町民の皆さん方が署名をなさっておられます。これについても、春名議員の方から押しつけじゃないかとか、あるいは教育長が何かやったじゃないかというふうなお話がありました。確かに、そういった事例も一部あったことはあったのですけれども、逆にそれはすべてもう破棄をしました。そういったものを全部のけて、しかも重なっておってはいけないということで、何割かを抽出して精査をして、これぐらいは重なっておるだろうといったことで、それをのけた数が三十一万、二万という数でございます。
 住民運動の前段階の、住民運動をやろうという署名のときも、実はこれはいろいろ問題点が指摘をされました。そういった意味で、私は、双方似たり寄ったりじゃないかなというふうに考えておりまして、やはり三十二万という署名も重く受けとめていただきたいというふうなことでございます。
 そうした上流部の皆さん方のお気持ち、毎年災害にさらされ、それこそ遊水地帯的な役割を果たさざるを得ない地域の皆さん方のお気持ちについてお伺いをいたしたいのと、もう一点、先般志位議員の質問で、この計画、途中で利水という面が外されたというふうな御質問がありました。あのときに十分大臣お答えになるお時間がなかったようでございます。私も、この件は十分承知をしております。ところが、途中から利水が外されたということで、何やらそこに疑惑というか、怪しげなものがあるかのごとき言われ方をしておりますので、これについても大臣の方からお話をいただきたいと思います。
○中山国務大臣 お答えを申し上げます。
 先生も何度も大臣室にも来ていただきまして、建設省の方で先生の地元の情報をいろいろちょうだいしておりますことに、この場をかりて感謝をいたしたいと思います。先般も、県会議員の方々を中心にして、知事さん以下、常々お話を伺っておるのでございますが、ジャパンフローラ二〇〇〇の関係で神戸に行きましたら、この間の日曜日のことでございますが、神戸でテレビを見ておりましたら、住民投票の関係の方々が、今度は神戸市のいわゆる空港の反対のための、あれを失敗したという認識から笹山市長のリコール運動、一緒に勉強会というのをテレビで放映しているところを見まして、住民運動とそれから神戸の市長選挙のリコール問題、一体どういう関係があるのかなと非常に不思議な感じに打たれたわけでございます。
 吉野川の河川改修の歴史を振り返りますと、明治四十年から昭和二年、それから、これは戦争中少しとんざをしておりましたようでございますが、昭和二十四年から昭和四十年までの約四十年間にまたがりまして、河口から岩津までの下流部四十キロ区間は、現在の堤防に近い形で工事が実施されております。岩津から池田までの上流部については、昭和四十年まで本格的な築堤がなされておりませんで、洪水時にははんらんを繰り返し、結果的に上流域の犠牲の上に下流域を洪水から守ることとなってきておるような経過でございます。
 また、昭和四十年以降、岩津上流部の築堤にやっと着手して、現在までに約二十四キロメートルが概成したものの、なお約十九キロの無堤地のままの状態であります。先般もヘリコプターから見ましたら、植林をして、竹やぶによって水を制御するような形になっておりまして、大変不安な感じが上空から見てもいたしたわけでございます。
 上流部の築堤については、地元から一日も早い整備をするようにということを承っております。上流部の改修を急ぎますと、結果的に下流部に洪水が集中し、負担がかかりますので、下流部の洪水の隘路となっている第十堰の改築が急がれるというのが、建設省が思いをいたしておりますところでございます。このように、第十堰の改築は、堰周辺の二市六町のみならず、吉野川流域全体の課題となっております。
 それから、利水のお話でございますが、第十堰事業の検討過程の当初におきましては、治水とあわせて、水道用水として毎秒〇・三五トンの新規開発も目的に含まれていました。この新規水需要は、第十堰の改築完成を待たず早急に確保する必要から、既に早明浦ダムより開発済みの未利用分を振りかえて手当てをすることとなったものでございます。
 このような水需要計画の見直しについては、平成九年八月、第七回の事業審議委員会において、徳島県の御意向を受けまして事業者の建設省が説明したところでございますが、第十堰の改築の目的から新規利水開発が除かれた場合であっても、従来から取水されている上水道等の毎秒三十四トン、これは大変な量だと思いますが、その水を治水上支障なく安定的に取水するためには、可動堰への改築が適切と、検討結果がその審議会でも得られております。水道用水の給水量としては二・九トン、それから工業用水の給水量三・一トン、それからまた農業用水として二十八トン、合計三十四トン、こういうことになっております。
○山口(俊)委員 大臣、今いろいろお話をいただきました。さらに、吉野川の地形等からくる危険性についてもお伺いをしようと思いましたが、実はまだほかの質問もございますので、これについてはいろいろ話が出ておりましたので割愛をさせていただきます。
 結局、今回本当に不幸なことだなと思うのが、どうも賛成派、反対派、双方が双方の意見を謙虚に聞こうとしないというふうな部分が相当あるように思います。
 同時に、私は、さっきも申し上げましたが、マスコミの報道もおかしい。例えば、事前にはいわゆる五〇%条項というのがあった。これは私もおかしいと思うのですけれども、それで、片や推進派はボイコットをした、だから投票率が下がって五〇を切るかもわからない。そのときのマスコミの報道というのは相当なものがあったのです。まさにこれは民主主義を問われますよ、五〇%を超さないとそれこそ全国から笑い物になりますよというふうな報道が連日続きました。結果として五〇%を超した。
 ところが、結果としては当然、賛成派の皆さん方はボイコットをしたのですから、圧倒的に可動堰ノーの結果が出た。それを正確に分析をした記事が出るかと思いましたけれども、残念ながら、ごく一部を除いてそれは出ません。九割が反対しか出ない。大変おかしな話だな、残念な話であるわけであります。
 ただ、さっきも申し上げましたが、やはり住民投票の結果というのは、大変大きいということです、重いということです。ですから、これからどうするかという話。このまま置いておきますと、それこそもう双方が話がなかなかできない。建設省としても方針をきちっと決めることができない。放置をされたまま五年、十年というのでは、まさにこれは徳島市民にとっても、あるいは流域住民にとっても最悪の事態になるわけなんです。
 ですから、聞きますと、大臣も近々中に徳島の方にお入りになろうかというふうなことも聞いております。是が非ともそのときに、建設省も含めて賛成、反対、あるいは、流域の皆さん方も含めて、流域会議というか円卓会議というか、まさに話し合いの場をつくるように御努力をいただきたい。
 ただ、その場合は、いわゆる可動堰反対の代表の方々がおっしゃっておられますのは、白紙撤回しろというふうなお話であります。ただ、さっきも申し上げましたように、一徳島市の話ではないということであります。双方が一歩もしくは半歩下がりませんと話し合いはできないということで、建設省あるいは県としても、やはりこれまでのいろいろな積み上げというのがあります。数十億使って計画をしてきた、いろいろやってきた。だけれども、ここは一歩下がって、いろいろな住民の皆さん方から出ておる案、あるいはこれまでいろいろと提案されてきた案、いろいろな案を可動堰の案と同列で、それこそ一から議論を積み上げるというふうなことがないとだめであろうと思っております。
 その点と、もう一つは、新河川法の精神を先取りしようというふうなことで審議委員会が開かれました。徳島の場合は、三年近くも、まさに最長不倒距離を誇る審議会で、公聴会もいろいろやりました。しかし、結果としてこうなったのです。ということは、この審議委員会というのは残念ながらうまくいかなかった、ある意味では失敗だったということも謙虚にお認めになる必要があるのではないか。同時に、審議委員会のメンバーというのも、今度から、今後いろいろ考えていく必要があるのではないかというふうなことも思いますので、そこら辺についてお答えを願います。
○中山国務大臣 全く先生の御意見に同感でございまして、先般一月二十三日に住民投票があったわけで、その激しい運動の中でも、九千三百六十七名の方々が推進をしてほしいという投票をなさっているわけでございます。
 その反対の方々とたまたまテレビでお会いする機会がありましたので、ぜひお話を伺いましょうということで、これは建設省としても異例のことでございましたが、大勢の方々に大臣室に来ていただきまして、私はお目にかかりました。それからまた、これから地元にお伺いをしたい、予算が早く成立しましたら、その後入っていきたい。足を満たすと書いて満足と書きますから、やはりそこへ行って足を満たすことが私は大事だと思っております。ですから、現場に出ていって皆さんとお話をしたい。おのずからルールづくりがあると思います。現地の工事事務所、幅広く地域の方々とお話し合いを持つべく懇談会を今呼びかけております。
 それからまた、反対団体の参加が得られずに、一般公募によるメンバーで第一回の懇談会を二月十二日に開催をいたしましたが、今の白紙撤回というお話が主流になっておりますようで、白紙撤回はいたしませんということを私は申しております。一、二、三ということで歩き出されたのならば、ぜひひとつゼロの位置に戻っていただきたい、私もゼロの位置に戻ります、ゼロからのスタートにしましょうということを申し上げておきました。
 それから、現地で対話を積み重ねる中で、御指摘の改築の必要性、環境面への影響、それから審議会、審議するメンバーの選び方の検討が行われるものと考えておりますので、今後また先生のいろいろな御指導をお願いいたしたい。
 吉野川におきましては、幸いにして近年大きな洪水が発生しておりませんが、八十八年前の大正元年に現在の計画規模に匹敵する洪水が起こりまして、約百名の死者・不明者が出るという被害が起こっております。治水を担当する建設省といたしましては、今後も流域住民の生命財産の安全確保のための治水対策を進めてまいりたい。
 吉野川の自然的、また地形的特性としては、吉野川の水源である上流部の年間雨量は、これは三千ミリ以上に達する全国でも有数の多雨地域でございます。その雨が池田から河口まで八十キロ区間を中央構造線に沿ってほぼ直線上に、河道を一気に流下する地形的な特性がございますものですから、これは暴れ川として、先生にひとついろいろ今後ともお導きをいただきながら、対策を立ててまいりたい、かように考えております。
○山口(俊)委員 いろいろ御答弁いただきましたけれども、要するに、ほかからいろいろなことを、いわゆる徳島以外の方々がいろいろなことをおっしゃる。それはいいのですけれども、我々地元、まさに吉野川で生きている人間として、これを建設的な方向に持っていかないと困るのです。ですから、そうした質問をさせていただいたわけであります。
 あと住民投票についてもいろいろお伺いをしたかったのですが、時間がなくなりましたので、まとめて感想だけ後でお聞かせいただきたいと思います。
 実は、今回の可動堰に関する住民投票も大変不幸な生い立ちというか、不幸な経緯があったと思っております。というのも、可動堰の是非を問うはずが、いつの間にか住民投票の是非を問う、いつの間にか住民参加の是非を問うというふうな形になってしまった。
 そのときのエネルギーというか熱意というか、これはすごいものがあったと思うのです。やはり住民参加への意欲というのはすごいなと実感をしたわけでありますが、ただ、個別具体的な問題に対する住民投票のあり方として、果たしてよかったのかどうか、これは私は大変疑問が残ると思っております。
 つまり、先般、後藤田正晴大先輩もある新聞に感想を載せておられました。人命にかかわる話をマル・バツ、多数決でいいのですかねというふうなお話でありました。しかも、該当する地域の偏りが余りにあり過ぎるというふうなことで、今回の徳島市における住民投票というのは、残念ながら今後のお手本というよりはむしろ若干禍根を残したのかなというふうな気持ちがいたしますので、是が非とも、先般来この予算委員会でも、住民投票の法律を一日も早くつくったらどうかというふうな御質問がございました。私も全く同感であります。前に行政改革特別委員会でも質問をさせていただきましたけれども、いろいろな考え方があろうかと思います。功罪というものをきちっと整理して、ただ、今調査会で御議論中ということでありますが、なかなか時間がかかりそうだということで、ガイドライン的なものをまずお示ししたらどうなのかなというふうな感じが一ついたします。
 もう一つは、地方議会、議会と対立をする住民投票が多過ぎる、議会の方もそれに対する反発が強過ぎるということで、事業とか行政に対する住民投票のみならず、いわゆる議会に対する意思表示としての住民投票、これも考えられてしかるべきだろう。先ほど申し上げましたガイドライン等も含めて、今後アンケートとか、あるいはパブリックコメントをもっと充実させていくとか、いろいろな方法があろうかと思いますので、是が非とも御検討のほどをお願い申し上げたい。
 時間がありませんので、また改めて御答弁をお伺いいたしたいと思いますが、最後に一つだけ。
 実は、今国会、週刊誌をもとにした質問がかなり出たわけでありまして、本来よろしくないのではないかな。私も、余り感心できないのじゃないかというふうに思います。
 ただ、実は私、報道と人権の検討会というものを自民党の中で、事務局長としていろいろ議論をさせていただきました。雑誌協会の方に来ていただいたり、いろいろな方に来ていただいてお話をいたしました。また、三党の個人情報保護、このチームでもいろいろな議論をさせていただきました。今のあり方というのはちょっとおかしいのではないかなというふうな思いがありますので、あえて私も、実は週刊誌ネタを質問させていただくわけであります。
 一つが、先週発売の新潮45ですか、この三月号に、富士銀行の不正融資事件で懲役六年の有罪判決を受けた花田某でありますが、この方が、鳩山民主党代表に九〇年から九一年にかけて約五千万のやみ献金を行ったというふうに述べております。
 これについて、自治省にお伺いをいたしますが、やみ献金と言っておる以上は報告がないと思いますけれども、念のためにお伺いをいたすわけでありますが、鳩山先生の九〇年、九一年の政治資金収支報告書に花田氏からの献金及びパーティー券の報告はあったのかどうか。そして、当の政治資金規正法上、一個人から二千万円の現金やパーティー券を含め五千万の政治資金を受け取ることができたのかどうか、法に違反した場合はどういうふうになるのかということをお聞きいたしたいと思います。
 もう一つ、これは大蔵省の方でありますが、一般論として、政治資金として報告がなくて、仮に個人として受け取った場合には、その申告を行っていないとすればこれは所得税法違反、脱税というふうなことになると思いますけれども、これについての御所見。
 そして、もう一つ、これも実は週刊誌ネタでありますが、先般の週刊現代でありますが、これによりますと、脱税請負のグループに現職の国税の職員が協力をしておったというふうな記事が掲載をされております。大蔵省なり国税当局は、本件の内容についての真偽を調べたのかどうか、絶対ないと言えるかどうか、そして、ないとすれば、出版社に対してどのような対処をしたのか、お伺いをいたしたいと思います。
○平林政務次官 お許しを得まして、御答弁を申し上げます。
 後先になりますが、鳩山由紀夫議員の、雑誌に出ておりました問題につきましては、今手元に資料の持ち合わせ等がございませんので、調査の上、しかるべき方法でお答えを申し上げたいと存じます。
 それから、住民投票の問題でございますが、なかなかその法律ができないじゃないかという御指摘は、私どもも、できるだけ早く地方制度調査会の御答申をちょうだいして、結論を出して、法制化の方向を考えてみたいと思っております。
 それまでの間のいろいろなやり方として、委員がおっしゃいましたアンケートをとるとかいろいろな方法につきましても、ガイドラインをつくるかつくらないか、このような問題につきましても検討をいたしますが、ガイドラインをつくるということにつきましては、いましばらく地方制度調査会の検討にまちたいと思っております。
 どうぞ御理解をいただきたいと存じます。
○大野(功)政務次官 まず第一点、所得税の考え方でございますけれども、所得税の考え方は、所得があれば、その所得がどういう原因で発生したか、それに対してどういう法律があるか、そういうことは一切問いません。所得があれば必ず課税する、これが原則でございます。
 山口先生からお尋ねのあったケースで考えますと、これは雑所得ということになります。雑所得というのは、御案内のとおり、収入があって、それから経費を引いて、その残りに課税するということでございます。
 それから、それは脱税じゃないかということでございますけれども、脱税と申告漏れというのは極めて慎重に考えていかなければいけない問題でございます。
 脱税といった場合には、まず相当のうそ偽りがある、これが第一でございます。それから第二に、もう結果が出ている、逋脱の結果が出ている。未遂ではだめでございます。それから三番目に、刑法犯と同じように、故意がなければいけない。こういうことを考えながら、一件ごとに慎重に判断していく。これが脱税でございます。
 したがいまして、そういうふうに御理解をちょうだいしたいと思います。
 それから二番目に、国税職員がそういう脱税グループに加担したのかどうか、こういうお尋ねでございます。
 全く腹立たしいことでございまして、一切ございません。断固として私は抗議申し上げたいし、既に国税当局も講談社に対しまして、そんなことは一切ない、事実無根である、訂正記事を出してくれ、こういうことを言っております。
 それからもう一つ、こういう問題に対しまして、なぜ厳格に物を言わなきゃいけないか。それは、税務行政というのは、タックスペイヤー、納税者の信頼の上に立っているわけでございます。したがいまして、その信頼を崩すような行為に対しては、私は断固抗議を申し込まなければいけない、このように信じております。よろしくお願いします。
○山口(俊)委員 終わります。
○島村委員長 これにて山口君の質疑は終了いたしました。
 次に、萩山教嚴君。
○萩山委員 ただいま山口先生から、「仮面政治家鳩山由紀夫」というタイトルで週刊誌あるいは新聞等々で五千万円のやみ献金というものが提起されました。この中に、花田敏和さんという方がおるわけですが、手記を読んでおりますと、まさに三百万円以外の献金について鳩山さんは否定されております、五千万円のうちの。
 これで国会の証人喚問、何か応じることはできないかということで委員長にお願いをしたいわけでありますが、真相解明のためにも、どうしても花田敏和氏を証人喚問として理事会で協議していただきたい、これを提起いたしておきます。
○島村委員長 理事会で協議いたします。
○萩山委員 ありがとうございました。
 では、本題に移ります。
 忘却のかなたという、「君の名は」という映画が昔ありました。忘れ去ることであります、忘却のかなた。
 ロシア船籍のタンカー・ナホトカ号による油流出事故は、我が国の日本海沿岸にいまだかつてない甚大な被害をもたらした、油濁をもたらしたわけであります。漁業者を初め周辺住民の生活を深刻に脅かしました。あれから早くも三年の月日がたったわけであります。だから、もう既に風化しておるのではないかという感もあるわけでありますが、しかしながら、補償問題などは、いまだに解決に至っておりません。関係者は厳寒の中、油回収を強いられたわけでありますが、事故当時の苦渋を払拭するまでには至っておりません。
 これらの被害者の補償の確保及び事故防止対策、政府としても万全を期すよう要望して、幾つかの質問をさせていただきます。
 ナホトカ号の油流出事故については、その広がりと内容の深刻さにかんがみ、政府といたしましても早期解決に向けて可能な限り対処することと考えますが、代表して運輸大臣に所見をお伺いしたいと思います。時間が詰まってまいりましたので、要を得て簡潔にお願いいたします。
○二階国務大臣 簡潔にお答えいたします。
 被害発生からまさに三年でございます。関係者の今日までの御努力にもかかわらず、今萩山委員御質問のとおり、まだまだ完全解決に至っていないということを大変遺憾に思っております。
 御承知のとおり、この問題の深刻さから、運輸技術審議会の流出油防除体制総合検討委員会におきまして対策が協議をされてまいりました。この提言を受けて、運輸省としましては、未然防止対策として、外国船舶の監督の強化のために、全国に五十八名の外国船舶監督官を配置いたしました。さらに、油防除資機材の整備等として、既に実用化されておりますが、荒天の、つまり波の荒い場面におきまして対応能力の高い大型油回収装置三基、これを既に新潟、門司及び市原に配備をいたしております。大型しゅんせつ兼油回収船二隻を目下建造中であります。環日本海諸国による国際協力体制の推進等を図ってまいりました。
 今後の問題といたしまして、国として、事故発生直後に油防除作業に要した費用について地方公共団体に資金交付を行うとともに、海上災害防止センターに対し、油防除作業の委託を受けた漁業者や防除事業者等に対する経費の支払いのため資金を融資するなどの対応をとってきたところであります。
 国際油濁補償基金での手続におきましても、一部被害者のみに関する被害額が確定しておる。福井、石川、鳥取、島根が確定し、残り兵庫、京都、新潟、富山が未確定であります。国としては、適切かつ早期に問題の処理がなされるよう、あらゆる機会をとらえて国際油濁補償基金への働きかけを行ってきております。引き続き、国際油濁補償基金への働きかけを、外務省等とも相協力して、早期解決に努力をしてまいりたいと思います。
○萩山委員 大臣は懇切丁寧に答弁されましたので、一部省略するところも出てまいりました。
 この問題で、被害者の補償というのは訴訟を起こしておるわけでありますけれども、六千人という大規模な訴訟事件になります。それは大変な複雑多岐にわたった訴訟事件でありまして、今どれくらい行われておるのか、あるいはまた、特にこれに対しての時効というものは、中断されないのか、あるいはそのまま進行するのか、こういったことをお伺いしたいと思います。
 それから、今被害者に対して一定割合に仮払いがされておるところでありますが、三年を経た今日でもいまだに被害が百五十億円残されておるという、やはり時間がかかっているわけであります。一日も早い被害者に対しての仮払い、あるいは、無利息の金を政府が何としてもこれに払ってあげなきゃならないという大事な局面を迎えておるわけであります。これについての基金とかあるいは対応を含めて、外務省及び運輸省にお伺いするわけであります。
 その次に、時間がありませんので次もお願いしますが、補償金が支払われるまでの間、零細な漁業者、観光業者が被害から立ち直り、将来に不安なく仕事に取り組んでいけるような環境整備が何よりも重要であります。どのように処置がとられておるのか、運輸省及び農水省にお願いしたいと思います。
○河野国務大臣 政府といたしまして、九七年一月にナホトカ号油流出事故が起きました直後から、これはロンドンにございますが、国際油濁補償基金に対しまして、円滑かつ速やかな補償の実現を働きかけてまいりました。
 こうした働きかけの結果、被害者からの請求額のうち、基金が最終的に応じることとなる額全体がいまだ未確定ではありますが、しかしながら、今までに確定した額のうち六〇%が既に暫定的に支払われております。被害者からの補償請求件数が、今先生おっしゃいましたように、大変多数に上っておるということもございまして、それらに対する個々の審査に時間を要している模様でありますが、被害者や関係自治体の要望にもおこたえすべく、基金による補償が早期かつ適切に実現するように、基金の理事会、総会などの場を通じて、今後とも基金に対し積極的に働きかけていく考えであります。
○高橋政府参考人 お答え申し上げます。
 ナホトカ号油濁事故被害者の補償に関しましては、先生御案内のとおり、油濁関係条約、国内法に基づきまして、民事上の手続で進められております。
 現在の状況でございますが、二月十五日現在でございますが、百五十七億の被害につきまして額が合意されておりまして、その六〇%の九十四億円が被害者に仮払いされております。しかしながら、百五十五億円の分が未合意となっておりまして、迅速な補償作業が望まれるところでございます。
 それで、零細で特に査定の急がれます漁業者、観光業者につきましてでございますけれども、優先的に基金は作業を行っております。
 石川、福井、島根、鳥取の漁業者につきましては、十一億円の被害額につきまして確定しております。残る新潟、富山、兵庫、京都でございますけれども、未確定の被害額が十四億円ございますけれども、新潟、富山につきましては数カ月ぐらいのうちに、それから、兵庫、京都が来年にも確定するという見方を基金の方ではしていると聞いております。
 また、観光業者につきましても、大口の福井県につきまして被害額が確定いたしまして、他府県につきましても数カ月で被害額が確定すると見込まれているというふうに聞いております。
 それから、先ほど三年の問題が出ましたが、三年以内に行うものとされております基金に対する補償の請求権、これの保全につきましては、訴訟をもって行うことになっておりますけれども、被害者の方から基金、船主、保険会社に対して提起されておりますので、保全されているという状況だというふうに承知しております。
○玉沢国務大臣 ナホトカ号油流出事故の対策につきましては、水産庁から関係金融機関及び府県に対して、被害を受けた漁業者への生活資金、経営資金の円滑な融通及び既に貸し付けている資金の償還猶予等の貸し付け条件の緩和を図るよう要請を行ったところでありまして、これまで四十五億円の貸し付けが行われたとの報告を関係府県から受けております。
 今後、関係金融機関等への要請などにつき被害漁業者から具体的な要望があった場合におきましては、その内容を検討の上対応してまいりたいと考えております。
○萩山委員 運輸大臣にお伺いいたしますが、先ほどの大臣の御答弁の中に、日本海海域における油防除を効果的に行うためには環日本海諸国と言われました。国際協力が不可欠だともおっしゃいました。協力体制の構築に向けた運輸省の取り組みについて、今後の方針あるいは候補地を開陳する御用意はないか、お願いを申し上げたいと存じます。
○二階国務大臣 環日本海地域における海洋環境保全体制につきましては、国連環境計画、UNEPの提唱する地域海計画の一環としまして、我が国並びに中国、韓国及びロシアをメンバー国とする北西太平洋地域海行動計画、NOWPAPが策定され、大規模な海洋汚染事故時対応に関する協力体制整備が目標の一つとして盛り込まれております。具体的には、各国の油防除資機材、漂流予測等に関する情報交換を行う油防除ネットワークの構築、具体的な対応方法を定める緊急時対応計画の策定のための検討等が行われるわけであります。
 ナホトカ号の事故からも明らかなように、環日本海諸国の協力体制を構築することが、油流出事故発生時の被害を最小限に食いとめる意味からも重要であります。したがいまして、一層我が国がこれら諸国のイニシアチブをとりながら協力体制を構築するために、NOWPAP本部を我が国に設置することが不可欠であると考えております。そのため、昨年四月の政府間会合におきまして、我が国、つまり富山県への誘致表明を行ったところであります。
 運輸省としては、NOWPAP本部の誘致についてメンバー国の理解が得られるように、これから外務省等と協力しながら、引き続き積極的に取り組んでまいりたいと考えております。平成十二年度の予算要求を行いまして、UNEPへの拠出金等約千五百万円が平成十二年度の政府原案に盛り込まれておりまして、本部設立準備の必要経費として、今後、関係各国と御相談をしながら、全力を尽くして我が国に誘致を成功させるようにいたしたいと考えております。
    〔委員長退席、町村委員長代理着席〕
○萩山委員 今ほどのNOWPAPの日本の心構え、聞かせていただきました。ひとつ大臣、しっかりとした対応を心からお願い申し上げておきたいと存じます。
 それから、先ほどの質問の中で、私は時間がないものだから端折って進めてまいりました。ちょっと聞き取りにくかったんですが、訴訟問題の時効というものはあるんでしょうか。局長にお伺いしたいんですが、どれぐらい進んでいるんですか、それもお願いいたします。まだどれぐらいかかりますか、それもお願いいたします。
○高橋政府参考人 まず、時効の点でございますけれども、三年以内に、請求権について訴訟手続によりまして、請求権があることを裁判手続によって訴えますことによって、いわゆる時効ということではございませんで、時効はございません。その手続をすることによりまして、請求権はその後ずっと、三年以降につきましてもございますので、その点の心配はないものと承知しております。
○萩山委員 その訴訟手続ですが、何しろ、漁業者とか漁民でございますが、この方は全くの素人でございますよね、訴訟の手続をするのは。また、全部で六千八十四名に上るわけでありますけれども、これに対してどちらが指導されているのか。あるいは漁協がやっているのか、あるいは農林省が指導しているのか、これは通告になかったかもしれませんけれども、そういった点を聞かせてください。
○高橋政府参考人 お答えします。
 私ども承知しておりますのは、被害額そのものは一人一人の漁民が出すことになっております。実際の作業といたしましては、漁協がまとめまして、漁連が総括されて手続をしておるというふうに承知しております。
○萩山委員 そういうことでおくれているから無利子の融資をしている、対応しているんだと農林大臣もおっしゃいましたが、まさに三年という年月は、風化に等しいような、思い出せば、きのう、あのような大事件があったのかと思うわけでありますけれども、済んでしまえば、のど元過ぎれば熱さを忘れる、忘却のかなたに忘れ去られてしまう。これも映画のストーリーのあれがありますけれども、こういうことがあってはならぬと私は思いますね、運輸大臣も農林大臣も。あるいは外務大臣も、国際的にも、こういった問題をいつまでも長引かさずに積極的に処理していただくということが、国民の、あるいは漁民に対する信頼感を増すと私は思う。
 また、次に、老朽タンカーが日本海を往来いたしております。そういった対応のために、先ほど運輸大臣がいろいろとお話しになったとおり、対応しておられるということを私は今聞かされました。これからも、難儀であろうかと存じますけれども、そういった秩序と安寧のためにひとつしっかりと海洋面を守っていただきたい、かように思うわけであります。
 あるいはまた、ナホトカ号が沈没いたしております。二千八百メートルの海底に沈んでいるわけです。眠っているわけでありますけれども、小さな穴があいて、そこから油がぽっくりぽっくりと出ているわけであります。いつまでもこのままの状態というわけにはまいらぬわけでありまして、いずれは腐食して、ドラム缶二千本分がいつ流出するやもわかりません。そのためにも油の回収船もつくったんだろうと思うわけであります。どうぞひとつこれからも監視を怠りなく、積極的に取り組んでいただきたいと私は思っておるわけであります。
 最後に、これは時間があれば答弁をしていただきますが、本事故が訴訟の場に持ち込まれているために、被害者一人一人の膨大な訴訟資料になるわけで、先ほども私が言いました、二重の苦しみを強いられております。地元漁協等もこの対応に忙殺されているというのは、やはり、漁協もこれに加わって、漁連も加わって作業をしているんだなということがわかるわけでありますけれども、この訴訟の対応のあり方に関して、このような負担がかからないような方策、これはぜひとも考えていただきたい。これはやはり農林大臣、しっかりとこの対応をしていただきたいと思うわけであります。
 一つの問題提起と申しますか、漁民の心をとらえ、しっかりした政治の場でそれを解決してあげる、これがやはり私は政であると思うわけであります。ナホトカ号が海底に沈んだままになっております。まさに進行形であります。そういった中において、これからも政府はきちっとした対応を強いられてくると私は思います。運輸大臣も農水大臣もどうぞひとつ、外国の問題は外務大臣、心を一にして対処していかれるように心から御要望申し上げて、私の質問を終わるわけでありますけれども、今回のこのナホトカ号の地元の反応というのは、我々が知らぬところでまだこんなに苦労してやっているのかということを私たちは聞かされました。どうぞ、今、日本海の中での拠点づくりを運輸大臣が言われたわけでありますけれども、こういったものを早期につくって、そして漁民が安心して漁業にいそしむように、心から私からの御要望をお伝えしておきたい。
 お二方、時間が少しありますので、ひとつ決意のほどをよろしくお願いいたします。
    〔町村委員長代理退席、委員長着席〕
○二階国務大臣 大変被害をこうむられた漁民の皆さんに思いをはせて、いろいろ萩山議員から御質問がございましたが、私ども、訴訟手続を含めて、漁業関係者また観光関係者におかれて多大な御苦労をされておられるわけでありますから、一日も早くそれから解放されますように、被害額の算定、確定の進め方、あるいは被害者の負担をできるだけこれ以上ふやさないようにするための方策として、運輸省として、関係省庁と連携をとりながら被害額の早期確定に向けて最大の努力をしてまいりたいと思いますので、お地元におかれましても、関係議員の御協力を私の方からも切にお願いしておきたいと思います。
○玉沢国務大臣 漁民の皆様が安心して操業することができますように万全を期してまいりたい、こう考えております。
 先ほどから話がございましたが、若干敷衍して申し上げておきますと、この被害補償につきましての防除清掃費は査定額二十七億円で、この二十七億円は既に漁民の皆さんまで支払われておるということでございます。それからまた、漁業被害のうち、鳥取、島根、福井、石川の四漁連につきましては、確定した三十四億円の請求額のうち、査定したものが十一億円、そのうち六億円が既に支払われておる。しかし、これはまだ漁連が持っておりまして、相談して漁民の皆さんまでどうするかという措置をとる。未査定のうちの兵庫、京都、富山、新潟四漁連の十四億円におきましては、まだ話し合いがつかないので、この点についてはもっと話し合いがつくように促してまいりたい。
 いずれにしましても、委員のおっしゃられたとおり、万全を期して努力してまいりたいと考えております。
○萩山委員 時間がないないと思って進めてまいりましたら、時間が余るようになりました。
 外務大臣も、国際問題でございますので、その決意のほどを少し披瀝していただければ幸いかと存じますが、よろしくお願いいたします。
○河野国務大臣 世界の海に面している国々にとっては、みんなこれは大変な問題でございますから、大きな関心を寄せていると思います。ロンドンにございます油濁についての事務局等も、次から次へと大変な仕事が来ているようでございまして、今回も私どもからお願いをして、少し担当者の数などをふやしていただいたりいたしましたけれども、今お話しのように、被害者にとっては切実な問題、しかも時間を追って切実さが深刻になるわけでございますから、私どもも、こうした問題に大きな関心を寄せながら対応してまいりたいというふうに考えております。
○萩山委員 終わります。
○島村委員長 これにて萩山君の質疑は終了いたしました。
 次に、上田勇君。
○上田(勇)委員 公明党・改革クラブの上田でございます。
 きょうは、最初にベンチャー企業のファイナンスについて、その後、国民病とも言われておりますアレルギー疾患対策につきまして御質問させていただきます。限られた時間でありますので、ちょっと断片的になりがちかというふうに思いますが、どうかよろしくお願いしたいというふうに思います。
 まず、一九九〇年代、アメリカの経済はずっと好況が続いてきたわけでありますが、それを支えてきた大きな要因の一つが、いわゆるベンチャー企業の成長であるというふうに言われているところでありまして、したがって、これからの日本の経済の再活性化を図っていくに当たりまして、このベンチャー企業の成長が果たす役割というものには大きな期待が寄せられている、これは意見の一致するところであるというふうに思います。
 こうしたベンチャー企業というのは、新しい技術とかアイデアに基づくものでありまして、資本や資産も少ないし、果たして成功するのかしないのか、こうしたリスクも大きいという性質が本来あるわけであります。そこで、そうしたベンチャー企業が資金の調達をするに当たりましては、株式とか社債の発行などの直接金融による調達が必要になっているわけでありまして、アメリカにおきましても、そうした形でのファイナンスが多く行われているわけであります。
 ところが一方、日本の場合には、やはり依然として間接金融に依存する割合が高くて、このことがそうしたベンチャー企業に対する資金の十分な供給を難しくしているという面も指摘されているところでありまして、そうした直接金融による資金調達を我が国におきまして阻害している要因、またそれに対してどのような対策を講じていかれるのか、通産大臣の御見解をまずお伺いしたいというふうに思います。
○深谷国務大臣 委員御指摘のように、ベンチャー企業だけじゃなくて中小企業全体に言えることですけれども、今まで本当に直接金融の道というのはむしろ閉ざされていた。それは、情報開示を担保とするような直接金融よりも、右肩上がりの経済の状況の中では金融機関から十分に借りられたという、そんな背景もあったことだと思いますが、昨今のような状態になりますと、そういうままで放置するわけにはいかない。
 特にベンチャー企業は、委員御指摘のように、これからの時代の経済のいわば活力になる、そういうところでありますから、何とか直接金融の道を開いていかなければいけないと思いまして、さきの臨時国会では、通産省としては、株式を通じたベンチャー企業への資金供給を活性化させるための民間資金の呼び水として、投資事業組合に対する公的出資制度を強化するとか、あるいはアメリカなどでやられておりますエンゼル税制などの充実を図るとか、そのほか証券市場の活性化を図るとか、いろいろな対策を立ててまいりました。
 特に、さきの国会では法律改正を行って、中小企業の発行する社債、私募債、これに信用保証協会の担保をつけるということで直接金融の道を開いていくといったようなことを図ったわけでございます。
 それ以外には、中小企業者を対象に、中小公庫の無担保のワラント債の引き受けも活用してニーズにこたえられる、まさにこれからの直接金融の道を開いていく方向へ踏み出したというところでありまして、これから一層その面についての努力をいたしたいと考えています。
○上田(勇)委員 今大臣から御答弁いただきましたさまざまな対策につきまして、当面の措置として大いに評価できるものだというふうに考えておりますけれども、しかし、これだけではまだ不十分なんではないかというふうに考えるわけであります。
 例えばアメリカにおいては、株式の店頭市場、これも非常に活発でありますし、また、いわゆるジャンクボンドと言われているような市場も非常に活況を呈しているわけでありますし、さらに、そうした市場が整備されていると同時に、いろいろな新しい金融商品なども使われてリスクのヘッジが行われて、それによって、相当リスクが高いと言われるベンチャー企業のファイナンスも可能になっているというわけでございます。
 そこで、これは大枠の話でございますが、ベンチャー企業のこれから新しく成長していく企業に円滑に十分な資金が行き渡るためには、こうしたリスクは高いけれどもそれに見合ったリターンも高いことが期待できるような株式や社債が取引されるような市場の整備、また、そこで取引される株式や社債などのリスクを管理するための金融商品の開発、そういった金融における技術の向上もあわせて必要になってくるのではないかというふうに考えているところでございます。
 ちょっと抽象的なことで申しわけございませんが、今後の方向性につきまして、ぜひ大蔵大臣に御所見を伺えればというふうに思います。
○宮澤国務大臣 今御指摘になられました問題は、これからの日本経済のみならず、個人個人の投資家等々にとりまして、実は非常に大きな問題ではないかというふうに思っております。
 通産大臣も今お答えになられまして、通産大臣も私も、今この問題を本当に新しく解決できれば日本の経済というのは二十一世紀に乗り出せるのではないかと思うぐらい大きな問題だと思っておりまして、私のアメリカにおける友人たち、例えばグリーンスパンとかルービンとかいう人たちが終局的に言いますことは、日本にはリスクテーキングというものの考え方がない、リスクアバージョン、非常に慎重で、間違いが起こらないようにということは基本的にあるんだけれども、リスクテーキング、今おっしゃいましたハイリスク・ハイリターンというような考えそのものが存在しないんじゃないかと。
 それは、確かに、考えてみますと、貯蓄ということはいいこととされておりますけれども、株をやっているとか投資をするとかいうことになりますと、どうも二宮尊徳のときから先へは行っていないというのが、やはり今までの私どもの物の考え方ですから、制度もしたがってできておりません。
 それで、今おっしゃいますことは、まさにここのところをこれから日本が入っていけて、ハイリスク・ハイリターンまで考えて、リスクテーキングをやるかやらないかというのが大変大事な問題だと思っておりまして、この間の国会でも通産大臣もそれをしきりに言われて、御一緒にいろいろやりましたが、金融の面でも、実は店頭登録市場なんというものは、今まで何となく奥へ押し込められておりましたから、これを引っ張り出してこなければなりませんし、また、ベンチャー企業等々の新しい市場あるいは公開前の株式を、これもどうも押し込めてしまうようなところがありまして、これをもっと自由にしてやらなければいけません。
 といったようなことから、例えば日本投資銀行に対する出融資等の拡充、あるいは中小企業金融公庫によってワラント債の引き受けをさせるとか、あるいは中小企業の私募債発行について信用保証協会が積極的に出るとか、ともかくそういう志を投資家が持ってくれるように、そのための制度整備は非常におくれておりまして、積極的にいたさなければならないと思っています。
○上田(勇)委員 ただいま伺った話は、これからの中長期的な我が国の経済の再活性化、そして持続的な成長を図っていく上でも非常に重要になることだと思いますので、またぜひ今後とも議論を続けていきたいというふうに考えているところでございます。
 そこで、ちょっときょうは時間が限られておりますので、もう一つの本日の議題でありますアレルギー性疾患の問題につきまして御質問させていただきたいというふうに思います。
 厚生省等の資料によりますと、現在、国民の三人に一人が、ぜんそくであるとかアトピー性皮膚炎など、そうした何らかのアレルギー疾患に苦しんでいるというふうに言われております。私も実際地元で多くの方々とお話をさせていただくと、特にアレルギーの子供さんを持つお父さん、お母さんから、本当に切々たる話を聞くことがよくあります。
 私たちとしても、こうした国民の声に政治の中でできる限り対応していきたいというふうな思いから、私自身も昨年十一月に、この対策強化を求めます質問主意書を提出させていただいた経緯がございます。また、我が党におきましてもアレルギー問題のプロジェクトチームを発足させまして、対策に取り組んできたところでございます。
 こうした働きかけもございまして、平成十二年度の予算案におきましては、アレルギー対策関連の経費が前年度に比べまして三倍近い百億円強に増額された。これは大いに評価できるところでございます。
 今後、さらにアレルギー疾患の発症メカニズムの解明や治療法の確立などに関する研究体制の充実、また診察、治療方法の普及など、一層の努力をしていただきたいというふうに思いますけれども、御所見をお伺いしたいというふうに思います。
○大野(由)政務次官 委員御指摘のように、アレルギー疾患の患者さんが大変増加をしているという現状がございます。厚生省におきましても、厚生科学研究費補助金等によりまして、これまでアレルギー総合研究事業とか長期慢性疾患総合研究事業をやってきたところですが、平成九年から十一年にかけては、感覚器障害及び免疫・アレルギー等研究事業を実施しております。また、平成十二年度からにおきましても、こうしたアトピー性皮膚炎等のアレルギー疾患に関する病因及び病態の解明、治療法の開発等の研究をしっかり推進して、この研究の継続、拡充、そして充実というものをしっかり図ってまいりたいと思っております。
○上田(勇)委員 平成十二年度の予算案に、もう一点、アレルギー診療・研究ネットワークの事業に要する経費が計上されております。このことは先日新聞でも大きく報道されまして、やはり国民の関心の高さをよくあらわしているものだというふうに思うわけであります。この点につきましては、先ほど申し上げました質問主意書の中でも私も御提案申し上げていることでありまして、厚生省において前向きに対応していただいたことに対しまして、感謝申し上げる次第でございます。
 計画の中では、国立相模原病院を臨床研究センターとして全国の国立病院等をネットワークで結ぶというものになっているわけでありますが、そこで、この臨床研究センターの役割を一つお聞きしたいのと、このネットワーク化事業の概要、また今後の実施のスケジュールにつきまして、厚生省の方から御見解をお伺いしたいというふうに思います。
○大野(由)政務次官 アレルギー疾患の免疫事業につきましては、国立病院が担う十九の政策医療の分野の一つ、国立相模原病院はこの政策医療のネットワークの頂点と位置づけて、高度専門医療施設、このように位置づけているわけでございます。
 平成十二年度の予算案におきましても、同病院の臨床研究部を拡充いたしまして、臨床研究センターに拡充をいたします。そして、このネットワークの多施設共同研究、また医薬品の治験の中心にするほか、アレルギーとかリウマチとか膠原病等に対する病態解明、先端的診断、治療技術の開発を行う、このようにしております。
 この臨床研究部は今まで一部五室だったわけですが、臨床研究センターで五部十五室というふうに大きく拡充をいたしまして、臨床研究設備、器具はもちろん、研究員も大きく拡充をいたしまして、予算も一億八百万円、対前年度比六千五百万円の増、このような要求をしているところでございます。そして、この十二年の予算案が成立後、速やかに研究者の採用、研究機器の整備等を行いまして、平成十二年十月の開設に向けて準備を進めてまいりたい、このように思います。
○上田(勇)委員 患者の方々からよく伺う御意見の中に、アレルギー症状というのは、時によっては皮膚炎という形になったり、結膜炎になったり、ぜんそくというような形になったり、さまざまな形態であらわれる、そういうような症例も多いということで、またその症状ごとに専門の診療所や病院に別々に通わなければならなくて、そうしたことが患者や家族の方々にとって大きな負担になっているというような意見をよく伺います。もちろん、既にアレルギー疾患を総合的に診療するような機関も一部にはあるんですが、患者の数に比べてみますと、相当不足しているというのが実態ではないかというふうに思います。
 今後、アレルギー対策の総合的な診療機関等の整備を図っていく必要があるというふうに考えますけれども、それにつきまして厚生省の方の今後のお考え方を伺いたいというふうに思います。
○大野(由)政務次官 アレルギー疾患につきましては、一つは患者数が非常に多いということと、もう一つは慢性疾患、慢性的な症状をもたらす、こういうこともございまして、一般の医療機関でしっかり適切な治療を受けられるようにしていくということが大変重要なことであろうと思っております。
 また、委員御指摘のように、そういうネットワークをきちっとしていくということも大事でございますし、アレルギー疾患の発症機序とか治療法とか、こういうものの研究の促進を図るとともに、適切な治療法をしっかり普及啓発に努めてまいりたい。そして、アレルギー疾患についての研究成果、また最新の医療技術の全国的な普及を図るために、国立病院を含みます医療機関とか研究者とか研究機関の連携体制というものをしっかりつくりまして、ネットワークを図りながら進めてまいりたい、このように思っております。
○上田(勇)委員 これに関連をいたしまして、先日報道で、厚生省として食品に含まれる主なアレルゲン物質の表示を義務づけるという方針が伝えられたわけでありますが、食品のアレルギーというのは極めて多く、患者や家族の方々は食品の選択に大変苦労しているという現実がございます。
 そこで、厚生省の方としてはこういうような方針であるというのが先日報道されまして、大変関心を呼んでいるわけでありますが、今後どのように対応されていかれるのか、方針と、それから、これから表示事業というのでしょうか、その導入に当たりましての今後のスケジュールにつきましてお伺いしたいというふうに思います。
○大野(由)政務次官 アレルギーによります健康危害を未然に防止するために、アレルギー物質を含む食品の表示をすべきではないか、ことしの二月四日に開催された食品衛生調査会表示特別部会でこのような提案がなされたわけでございます。
 今後は、関係事業者や消費者団体等の意見も聞きながら、表示の対象範囲、方法等の具体的な内容について表示特別部会において御議論をいただきまして、ことし四月以降のできるだけ早い時期に結論を出してまいりたいと思っております。
○上田(勇)委員 具体的な内容は今後のことということでございますので、やはりこれは一番関係しているのが患者の方々、また家族の方々でございます、こうした方々の視点に立った表示制度、そして、これだけ患者の方々が多いという現実を踏まえまして、ぜひとも早急に結論を出していただくように強く要望をさせていただきたいというふうに思います。
 あわせまして、先ほど政務次官の方からも、このアレルギー疾患というのは慢性的だというお話がございました。それほどいろいろな症状が長期間にわたって、実は何年あるいは十数年にわたって続くというような例も多く見られるわけでありますので、その間、患者の方々また御家族の方々は大変な御苦労をされるわけでございますので、これは今後とも厚生省としてぜひ対策の一層の充実に努めていっていただきたい。また、そういうような長期にわたることでございますので、その間のさまざまな経済的な負担についても今後の課題として、ぜひその軽減策につきましても御検討していっていただきたい。このことを御要望申し上げまして、時間になりましたので質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
○島村委員長 これにて上田君の質疑は終了いたしました。
 次に、石垣一夫君。
○石垣委員 公明党・改革クラブの石垣一夫でございます。
 私は、きょうは、特別会計につきまして、昨年二月のこの予算委員会でも大蔵大臣にいろいろと御質問申し上げ、膨張する特別会計は好ましくない、さらにまた、特別会計にも一般会計同様のある意味でのシーリングが必要だ、こういう形で御同意をいただいたわけであります。
 引き続いて、きょうは、業務報告書の作成あるいはまた貸借対照表の義務作成とか、その他いろいろな問題についてお聞きしたいと思ったのですけれども、たまたま今外形標準課税が大きな課題になっておりますので、そういう点で、絞ってこの問題について御質問を申し上げます。
 時間の関係上、せっかくいろいろとヒアリングをさせていただいたのですけれども、大蔵大臣、きょうは時間がございませんので、申しわけありませんが、御退席いただいて結構でございます。申しわけありません。せっかくあれさせていただきまして、本当は時間があればやりたかったのですけれども、恐れ入ります。
 では、早速自治大臣にお聞きしたいと思うのです。
 今、外形標準課税が大きな時の政治課題として浮かび上がってきております。この点につきましては、いろいろなアンケート調査によりましても、大体三分の二が賛成である、こういうふうな全国的な支持があります。
 また同時に、今日まで、これは地方自治体におけるいわゆる課税権の行使ということで、地方分権がいよいよこの四月から施行される中で大きな私は一石を投じたと。もちろん、分権から地方主権という時代に流れが加速されるのではないか、こういう大きな一石を投じた政治的な課題でもあります。
 と同時に、この問題につきましても、十分やはりこれを慎重に広く国民の理解を得られる、そういう制度につくり上げる必要があるだろう、私はこういう感じがするわけであります。
 昨晩、保利自治大臣は東京都の石原知事と会談されて、その結果いわゆる物別れ、こういうふうに承っておりますけれども、先ほど、閣議後の政府見解では、その内容についていろいろと疑問があるということが随所に盛られております。疑問があるというその法的根拠、これは地方税法の七十二条の二十二の九に照らしてのことなのか、その根拠法をお示しいただきたいと思うのです。
○保利国務大臣 昨日午後六時ごろ、石原東京都知事にお会いいたしまして、今回の東京都の外形標準課税導入の意思表明についていろいろ意見を交換させていただきました。
 私の方からは、東京都が非常に財政事情が苦しくなってきている、したがって、外形標準課税を入れることについての一定の理解は示しつつも、六項目の項目を挙げまして、私から知事に対して懸念の表明をさせていただきました。しかしながら、都知事の御意思は非常にかたいものがございまして、導入するということであります。
 今お尋ねの税の根拠ということでありますが、これは、御承知のように、地方税法の七十二条に基づいて東京都が独自に入れられるという解釈のもとに御発表なさったというふうに私は理解しております。しかし、この中で、いろいろ御指摘をされている中で、従来の所得に対する課税と著しく均衡を失しないようにという点がございまして、そういった点についての解釈をめぐりましては、事務当局同士もかなりいろいろやっておったようであります。
 ここはまさに平行線をたどっているところでございまして、東京都は特に失していないという感じを持っていらっしゃいますし、私どもはかなり大幅な差が出るのではないかという観点を持っておりまして、そういった御懸念を申し上げたところであります。
 地方税法七十二条の十九に基づくのが、これが東京都の御判断の根拠であります。
○石垣委員 七十二条の十九に基づいて東京都が条例をつくり出して課税する、これはわかるのですけれども、政府のいわゆる閣議の中における了解事項、その中に五点ほど挙げられておりますね。
 いわゆる銀行業界という特定の業種のみに対して外形標準課税を新たに導入すること、資金量五兆円以上の銀行業等に対象を限定することに合理的理由があるか疑問がある、いわゆる特定の業種に絞り込むことに疑問がある、こういうことですね。
 それから、先ほど申し上げましたけれども、地方税法の七十二条の二十二の九項ですね、いわゆる「負担と著しく均衡を失することのないようにしなければならない。」この規定との関係において疑問がある、こういうふうに言われておりますね。
 さらにまた、特定の業種について業務粗利益を課税標準として導入することが妥当か疑問がある。
 こういうふうに三点にわたって、閣議の中で疑問点が提出され、了解を得られた、こういうふうに聞いておりますけれども、この根拠、地方税法の七十二条の二十二の九、著しく均衡を失してはならないという、こういう根拠において私は疑問が出されたと思うのですが、いかがですか。
○保利国務大臣 御承知のように、今回の銀行に特定をした部分についての過去の徴税実績を見てみますというと、最高時には約二千億、そして平成十一年度の税収見込みは大体三十四億というふうに激減をいたしております。
 そこをどう解釈するかということでございますが、東京都の御主張によりますれば、二千億の約半分ぐらいまでは過去の実績として取ってもいいのではないかということで算定をなさって、粗利益から逆算をされて三%という線をお出しになったのだ、私はそう理解をしているわけであります。
 それに対して、現状三十四億、それから、景気が若干上向いて幾らか増収がありましたとしても、そう急激に税金の徴収が上がるということはないのではないか、その辺が議論の分かれ目になっております。
 この辺については、著しく均衡を失するかどうかということについては、法制局の見解も求めたわけでありますが、法制局においても違法とまでは言えないということでありまして、法律違反だということになればこれはもう論外でありますけれども、そういう見解が出ておりますので、私どもとしては、非常に難しいところの一つでありました。
 そういう意見の違いがあるということであります。
○石垣委員 では、閣議で五項目のうち三項目にわたって疑問があると指摘された、この疑問があるというその法的根拠は何ですか。
○保利国務大臣 それは、今度の決定は、急に税金の額が上がってまいりますから、その部分について、七十二条の二十二の九項の規定とあわせて考えたときに、果たして妥当性があるのかどうかということで疑問を投げかけたという形でございます。
○石垣委員 七十二条の十九で課税権がきちっと認められている。その中で、二十二の九項では、著しく均衡を失してはならない、こういう歯どめがかかっておる。
 こういう中で、今回疑問があるということなんですけれども、これは、七十二条の十九の課税権とのバランスの中でどちらが優先されるのですか。
○保利国務大臣 法律上、自主的な課税権は認められておりますから、この御決定というか意思といいますか、それについては、法律上違反するものではない。したがって、断固たる意思をもっておやりになるということであれば、それはなかなか違法性は問えないということであろうかと思います。
 一方、著しく均衡を失しないようにするということについては、これは一つの解釈論であります。どちらかというと、法的にいえば、自主的課税権が認められているという方にウエートがあるのではないかなという感じがいたします。
○石垣委員 では、この地方税法に照らして疑問があるということは、都議会のいわゆる条例案についても、何らかの勧告、または将来にわたって是正措置を図るとか、こういう考えはあるのですか。
○保利国務大臣 閣議におきます口頭了解には、「国としては、東京都案は、下記の問題を孕むものであると認識するものであり、東京都において慎重な対応を求めたい。」ということになっております。したがいまして、これは東京都の執行部並びに議会に対して慎重な対応を求めるというのが私どもの立場であります。
○石垣委員 地方自治法の二百四十五条に関連して、これは四月から法律が改正されますね、地方自治法の二百四十六条の二、いわゆる是正措置を求める、こういうふうに法律が変わるのですけれども、こういうことについては将来について検討されていますか、事の成り行きによって。
○保利国務大臣 現在のところ、特段の検討を予定いたしておりません。
○石垣委員 今、自治大臣は、そこまでは踏み込まない、こういうことを確認していいですね。
○保利国務大臣 大変恐縮でございますが、二百四十五条の件について……(石垣委員「現在は二百四十五条で、変わったら二百四十六条になりますね、今度は。将来変わりますね」と呼ぶ)進言ないしは勧告となっておりますが、そこまで踏み込むということについては、現在頭にありません。
○石垣委員 間違えました。現行の地方自治法の二百四十六条の二、これが四月から二百四十五条の五ということで、いわゆる是正措置ということに変わるわけですね。ここまでは踏み込まない、これは確認していいですね。
○保利国務大臣 地方分権の建前からいきまして、是正措置まで含めた強い勧告といいますか、そこまでは考えてはおりません。
○石垣委員 あくまでも東京都議会の、知事を含めての判断に任せるという結論なんですね。
○保利国務大臣 お任せするというところまで、完全にお任せしてしまいますよという感じではございません。何か疑問とか疑念とかがございましたらば、政府としては意見を申し上げるという立場は続けなければならないと思っております。
○石垣委員 だから、疑問、疑念の法的根拠は七十二条の二十二の九項、この法的根拠だと思うのですけれども、全国知事会は、この外形標準課税について、全国一律で早期導入を求めるということを政府に申し入れてきていますね。これに対して、自治大臣はどうですか。
○保利国務大臣 これは、以前から全国知事会は税制改正要望の中できちんと書き込まれておられまして、そして、私が就任してからもその御要望は年末にも受けているところでございます。同じような要望を改めて、またもう一度お受けをいたしておりまして、東京都を含めての全国知事会の要望はそういう要望である、そういうふうに受けとめております。
○石垣委員 そこで、東京都と全国知事会の申し入れの整合性なんですけれども、これをどう判断されますか。
○保利国務大臣 この点は、東京都で御判断をされ、いろいろ法律的な事項を検討されて御意思を決められたということでありまして、私どもの方からは、それはまずいからやめておけという強い物の言い方は、地方自治の観点からいきましてもできない。また、法律上それが許されておるというふうに解釈をいたしておりますので、私どもの方から整合性を説明するというのはなかなか難しゅうございます。
○石垣委員 整合性を図ることは難しい、こういう自治大臣の苦境の立場に置かれた発言なんですけれども、しかし、長として、リーダーとしては決断をしなきゃいかぬときが来るわけなんです。
 したがって、今は、情勢判断は、慎重に見守るということだと思うのですけれども、地方自治を推進するという立場から、地方分権法がいよいよ四月から施行されることもこれあり、私は、新しい課税権の設定ということは今後地方自治における大きなあかしにつながってくる、地方分権の推進につながってくる、こう理解をいたすのですけれども、いかがですか。
○保利国務大臣 地方分権を進めてまいります上では、当然、委員御指摘のとおりだと思います。やがて将来に向かっては課税自主権というものを拡大していかなければならぬという方向性は、私どもと同じであります。
○石垣委員 終わります。
○島村委員長 これにて石垣君の質疑は終了いたしました。
 次に、青山丘君。
○青山(丘)委員 私からは、二〇〇五年国際博覧会の事業について、通産大臣とはぜひ共通の認識を持ちたい、建設大臣には幾つかお願いを申し上げたい、このことで時間を少しいただきたいと思います。
 まず第一に、二〇〇五年の国際博覧会の万博会場でありますが、現時点で会場計画がどのように進められているのか、また、環境アセスの進捗状況についてもぜひお話しいただきたいのです。
 私は、地元で生まれた人間といたしまして、地元の多くの人たちが二〇〇五年国際博覧会に大きな期待を持っております。その意味で、ぜひ、日本で開催する国際博覧会として世界に通用する立派なものをやっていただきたい、質の高い、夢のある、すばらしい会場計画をぜひ一日も早くつくっていただきたい、これが一つあります。
 それから、新しい地球創造、こういうテーマを掲げておりますし、自然との共生、自然の叡智、そういう非常に今の時代に必要なテーマを掲げておりますので、当然、環境アセスの面について、どのような状況であるのか、ぜひお話しいただきたいと思います。
○深谷国務大臣 青山委員にお話をいただきましたが、そもそも昭和六十年代の初めに、愛知県の八十八市町村及び二百三十数団体が、つまり、市民、県民挙げて万博誘致の運動に乗り出された。そして、やがてそれらの皆さん方のお声で閣議了解ということで、あの劇的なモナコでの決選投票が行われる。そのとき青山委員も行かれて、感激的な場面もごらんになったろうと思うのでありますが、劇的な勝利で愛知万博が決まって、以降今日まで、愛知県、万博協会、もちろん通産省その他建設省も含めて着々と準備が進められてきたわけでございます。
 その途中には、例えばオオタカが営巣を行うということから、自然との共生、自然の叡智というテーマからいくと、これはきちっと会場等の変更もしなければならないというので、思い切った青少年公園への拡大ということなども対応してきたわけであります。
 しかし、最近になりまして、BIEの議長の発言等をめぐりましてマスコミで大変大きな話題になっておりまして、どちらかというと、あのとき積極的に歓迎なされた方々の声の方が静かな状態もあって、そこは残念にも思いますけれども、しかし、聞いてみますと、圧倒的に多くの方が、やはり実現すべきだ、国際公約なんだ、こう言われているわけでありまして、私どもといたしましては、万難を排してこれの実現のために当たりたい。そのためには、環境保全という点についてどう多くの人たちの理解を得るか、また跡地の利用に関しては、知事が県の皆さんと相談したり関係者と相談しながらどんなプランをおつくりになるのか。
 いずれにしても、世界に自然との共生ということをメッセージとして送れるような、すばらしい万博を実現したい、実現するためにあらゆる努力を惜しまないつもりでいる、そういう状態でございます。
○青山(丘)委員 実は、会場計画が明らかになっておりませんので、万博というイメージが市民の中にもなかなか定着してこないのです。積極的に推進していきたいという多くの市民の人たちの気持ちは、万博誘致のために自分たちも積極的に参加をして、つまり、みずから進んで参加をして、皆さん、多くの人たちがモナコへ行かれたり誘致のためにいろいろな運動をされたりしたのですけれども、その後、実は余り情報が入っておりませんで、そして万博はあたかも環境破壊であるかのようなニュースばかり流れておりまして、少し気持ちに満たされないものがあるのです。
 万博会場の海上の森、カイジョウの森と書いてカイショの森と読むのですけれども、実は、私はあの万博会場から車で五分くらいの本当に近いところで生まれました。そして、そこで育ってきておりますから、地元の市民の声としてひとつぜひ聞いていただきたいのは、万博会場の建設は自然破壊であるという認識は、私の地元の人たちは全く持っておりません。むしろ、自然を大切にしたすばらしい、世界に誇れる万博会場を計画してもらいたい。
 瀬戸の町は、御承知のように、千三百年の陶器の町として知られております。瀬戸でできた陶器のことを瀬戸物と、後に日本じゅうでそういう言葉で言われるようになってきた陶磁器の産地です。その海上の森を抱えている瀬戸に隣接する青少年公園に会場が大きく展開してきました。
 実は、この青少年公園の土地は、愛知県長久手町という、名古屋に隣接する落ちついた、まだ豊かな緑、自然のある立派な町なんです。小牧・長久手の戦いで有名な、天正十二年、一五八四年四月といえば、雪も解けて、いよいよ戦争、実は家康軍と秀吉軍が戦った数少ない戦場なんですが、小牧から長久手へ戦場が移ってきて、そして、そこでは美濃の大垣城主池田勝入恒興公が討ち死にしている有名な長久手の古戦場のあるところですけれども、この落ちついた美しい町で世界の人々を迎えていくわけです。
 今、実は欠けておるのは、万博が開かれることがどういう意味になってくるのか、万博とは一体どういうことであるのか、万博が開かれたことによって、その後の世界じゅうの人々の生活や経済にどれぐらい大きく貢献することができたかというような意義について、まだ余りPRがなされておりませんから、このことをこれからも考えていただいて、万博会場の進捗状況はこんなところまで来ています、環境アセスについても十分な取り組みがなされておりますということもひとつぜひこれから考えていただきたいと思います。
 通産大臣には、そこまで今の答弁をいただいたから、本当は私が聞いたのは会場計画や環境アセスについてですが、実は、認識だけもう一点共通に持っておいて、これから進めていただきたいと考えているのは、今お話がありましたように、跡地の計画なんですね。
 跡地計画というものは、万博が開催されて、成功して、その後のものですよ、したがって、万博が済んでからにしてくださいという発想ではなくて、やはりこれからまだ、万博について地域の人たちが正しく理解をし、気持ちよく支持してもらえるためにも、跡地の考え方をもう少し詰めていただきたい、そのことが必要だということが実は私がきょう特に申し上げたいことなんです。
 なぜかといいますと、私が小学校三年生のころですから、戦争が終わって何年かたってはおりますが、実はあの地域は窯業の町ですから、山にある木はかなり切り倒されておりまして、窯場の窯の燃料になったり、家庭の燃料になったりして、山はもうひどく荒れておりました。もっとわかりやすく言いますと、瀬戸の町は、地面をほじくって陶磁器の原料にするのです。だから、山も荒れているというのですか、掘るのが仕事のようなところでございまして、まして残った緑は燃料として大切ですから、そういう意味で、私たちは子供のころ、当時の小学生や中学生がみんな山に入って木を一本ずつ植えたのです。その大切な植樹が今自然になってきておるのですから、私たちは、万博を通じて環境破壊をしようなどという気持ちはちりほどもありません。むしろ、豊かな緑をもっといろいろな形で育てていかなければいけない。
 本当は、あれから四十年、五十年たっていますので、もっと立派な木になっていなければいけないのですが、土質が悪いのです。だから、余り立派な木に育っておりませんが、大切にしていきたいという気持ちを強く持っておることをぜひ御理解いただいて、跡地の計画は、なるほどあいち学術研究開発ゾーンはやがてあの地域における知的財産として大きな役割を果たしてもらうことができますから、期待しています。
 しかし、それだけではやはり何だか物足りない。ですから、せっかくの緑をもっと私たちの生活に生かしていくという形で、豊かな自然の森林公園、これはちょっとこちらの、建設大臣の方に来るかもしれません。
 それから、陶磁器の町ですから、世界陶芸村、陶芸作家や陶芸作家の卵たちが、世界の人たちが来てくださって、地域のそういう陶芸に関係する人たちとの交流であるとか、自分で作陶活動をしていただくとか、そういう意味で非常に価値のある世界陶芸村構想なども進めていく。
 あるいは、もっと言えば、環境は大事ですから、非常に高温である三千度の電極処理の処理場を建設していく、あるいは環境保全センターをつくっていくというような、幅広い考察で万博跡地の中をこれからぜひ積極的に考えていただいて、そこのところをも会場計画と一体的な発想をひとつ持っていただくことがこれから必要ではないかということを、答弁は要りませんから、共通の認識を持っていただければそれで結構でございます。
 建設大臣の方にお尋ねしたいと思います。
 実は、東海環状自動車道を二〇〇五年までには、万博開催が二〇〇五年三月二十五日の予定になっておりますから、当然、運輸大臣とも新空港についてはきちっと詰めさせていただきたいと思っておりますけれども、豊田東インターから北へ上っていく東海環状自動車道が非常に有効な道路として万博開催期間は機能すると私は見ておりますので、東海環状自動車道が万博開催の二〇〇五年二月ぐらいまでにはどれぐらいの進捗状況になっていって、大きな役割を果たすことができるのかという見通しを。
 それから、名古屋瀬戸道路についても、この間うちの質疑の中では、非常に消極的、マイナス的なとらえ方で、あれはつくっちゃいけませんというようなふうに私には聞こえましたが、これをつくっていただかないと――いやいや、質問者からは、そんなふうに私からは聞こえましたが、私は、あの道路がなかったら万博と世界の人たちとを結ぶ重要な路線がなくなってしまう。したがって、万博開催までにはこれは非常に必要な道路としてぜひ完成を見ていかなければいけないと思っていますので、建設大臣の立場で、東海環状自動車道と名古屋瀬戸道路について、わかっている範囲でひとつ方針を述べていただきたいと思います。
○中山国務大臣 青山先生の御情熱に心から敬意を表したいと思います。大阪は二回も万博をやっておりますので、オリンピックで前は空振りになりましたから、今度はぜひひとつ博覧会をやっていただきたいと思います。
 今お尋ねのありました愛知万博会場へのアクセス道路でございますが、愛知万博会場へのアクセス道路については、万博の運営主体となる財団法人二〇〇五年日本国際博覧会協会が検討しています観客輸送計画等の具体化を待って検討をいたしたいと思っておりますが、愛知万博の際の名古屋圏の交通渋滞の緩和や環境の保全などの国民生活の向上と、それから社会経済活動の効率化を図るために、道路ネットワークはどうしても整備しなければならないと思っております。
 直轄事業によりましてこの東海環状自動車道は整備を進めておりまして、平成十二年から豊田東ジャンクションから美濃・関ジャンクションまでの間の七十三キロについて、有料道路事業も活用して、用地買収への対応等、地元の協力を得つつ、平成十六年度でございますから二〇〇四年度、開催前、十七年の万博までに供用をしたい、かような目的を完遂したい、かように思っております。
 それから、瀬戸市内における名鉄瀬戸線の踏切対策のお尋ねがございました。これは十八カ所ございまして、名鉄瀬戸線高架化周辺整備計画の研究会を設置して検討を進めているところでございますけれども、中でも交通渋滞の激しい鹿乗共栄線の踏切につきましては、何としても万博までの対策として、車線の増や、それからまた踏切前後の交差点の拡幅等を行いまして、円滑な交通の確保ができるように努めてまいって、先生の御意向に沿いたいと思っております。
○青山(丘)委員 建設大臣から非常に前向きな答弁をいただきましたので、これだけ聞いて、実は私は納得します。
 瀬戸の町に名鉄瀬戸線という、ほとんどが平面交差の踏切ばかりなんですけれども、これはかなり瀬戸地域にとっては市民の生活や経済にとって重要な役割を果たしてきたのですが、実は町を分断してきておる線路でございます。これがなかなか、これからはもっと交通量がふえてきますから、あかずの踏切がたくさんふえておりまして、しかも車を利用する割合の非常に高い町でございまして、車の交通量の非常に多い町でございます。しかも、道路の機能がこれから整備されてきますと、もっと交通量がふえてくると踏切による渋滞の問題がもっと深刻になってくる。そういう意味で、今建設大臣が研究会を設けてこの踏切対策、交通渋滞解消に取り組むという姿勢を示していただけたことは、本当にありがたいと思います。
 時間が大分順調にいきまして、あと二、三分ですけれども、最後に、せっかく通産大臣にいていただけていますので――あれ、大蔵大臣、私お願いしたんでしょうか。済みません、聞いておっていただけるだけでありがたいです。
 地元では、非常に強い期待をしておりました万博が、そのイメージがまだ市民の中にはなかなか伝わっておらない。そういう意味で、私は折に触れて、一八七八年のパリ万博で初めて自動車が陳列され、冷蔵庫が陳列され、エジソンが発明したあの蓄音機が非常な注目を得たんです、それから百年間、我々の今の生活を見てくださいということをよく繰り返しておるんですが、やはり基本的に、万博を開催することによってこれだけの大きな役割を果たし、人類に貢献することができるということの原点に立ち返って、もっと、ひとつみんなで取り組んでいきたいと思います。
 これは通産省だけの仕事じゃありませんから、みんながやっていきたい。しかし、みんながやっていけるように、みんなの気持ちが一つになっていくような、そういう取り組みをやはりやっていかないと、今万博をやることがあたかも自然破壊であるかのように誤解を受けてしまいますが、私たちは自然を育ててきた人間です。私たちの子供のころは自然が崩壊していました。あの山は荒れておったんです。しかし、我々は、山に入って一本ずつ木を植えて自然をつくってきたんです。その自然を育ててきた多くの市民の人たちが、自然は大切だけれども、万博が果たす役割もまた物すごく大きいし、地元にとっては、新しい歴史をここでつくっていくことができるかもしれないという強い期待があるんです。
 ですから、ぜひひとつこれは、そういう市民の前向きな気持ちを理解していただいて、先ほど御答弁いただいたように、これからも積極的に、果敢に取り組んでいただきますようにお願いを申し上げて、質問にいたします。
○島村委員長 これにて青山君の質疑は終了いたしました。
 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    正午休憩
     ――――◇―――――
    午後一時一分開議
○久間委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。山本孝史君。
○山本(孝)委員 民主党の山本孝史でございます。
 きょうは、厚生大臣を中心に年金等、社会保障制度全般についてお話を聞かせていただきたいと思います。厚生大臣、きょうは参議院の方もございまして申しわけございませんが、よろしくどうぞお願いをいたします。
 まず、年金制度でございますけれども、国民年金改正法を参議院でただいま審議中でございますけれども、衆議院の方では御承知のように、与党間協議に大分手間取りまして法案の提出が随分とおくれました。そのことを棚に上げて、与党側としては公聴会の開催を決定、強行される、あるいは公述人を目の前にして翌日は採決だというようなことをおっしゃる。そして最終的に法案も強行採決という形で、数の力で押しまくられたという印象が私は衆議院の側ではございます。異例の議長裁定ということで、委員会にもう一遍審議が戻されたという経緯もございます。
 そういうことを考えておりますと、まだまだ、安心できる年金制度をつくるという意味からしますと、審議は十分とは言えないのではないかと思います。特に、基礎年金の国庫負担の引き上げについて五年先送り、財政状況から先送りになった。あるいは、支給開始年齢六十五歳への引き上げは盛り込まれておりましても、雇用との調整ということについては、来年厚生労働省が発足してから本格的に考えますという形に先送りになっている。積立金のあり方についても、何かその運用については手放さない、ことしも積み増しをしていくという形で、将来についての年金の姿がしっかり見えてきたというわけではないというふうに思います。
 参議院でも、与党側だけで審議を始められたといういきさつもありますけれども、国民生活に密着をしている年金制度ですので、ぜひ参議院においても、公聴会の開催はもちろんのこと、十分な審議を行って、給付と負担のあり方について国民の合意形成に努めるべきだというふうに考えているわけです。
 そういう意味でも、厚生大臣のお考えとして、参議院でもっと審議を深めてよく国民に理解をしていただくという手だてが必要ではないかというふうに思っておりますが、その点についての御見解をまずお伺いいたします。
○丹羽国務大臣 委員会の審議の運営のあり方につきましては、私の立場からは差し控えさせていただきたいと思いますが、今回の改正案につきましては、将来世代の過重な負担を軽減するとともに、確実な給付、つまり現役労働者の六割程度を約束して、将来にわたりまして安心して信頼できる年金制度の構築を目指すものでございます。私といたしましては、参議院においても慎重かつ速やかな審議の上、できるだけ早く成立をさせていただきたいと思っております。
 それから、例の国庫負担の問題でございます。これは、宮澤大蔵大臣のお許しをいただいて、当然のことながら安定した財源を確保しなければならないと思いますが、私といたしましては、景気が回復した上でできるだけ早く二分の一の実現を目指すことが、長期的、安定的な、そして年金に対する国民の皆さん方の信頼をかち得る大変大きな要因の一つと考えているような次第でございます。
○山本(孝)委員 安定した財源が景気回復しなければ確保できないということになりますと、税収の上がりは景気が回復しても二兆、三兆程度でしかないということでいけば、安定した財源の確保というのはなかなか今のお答えの中では難しいというふうに思っています。しっかりとした取り組みをしていただきたいと思います。
 もう一点、例の確定拠出型年金の制度でございますけれども、今回導入をするということで法案を提出されるというふうに聞いております。それで、経済戦略会議が提唱しました公的年金の民営化という考え方がもう一つございます。報酬比例年金の廃止、あるいは積み立て方式への移行ということを経済戦略会議は提唱しているわけですけれども、この経済戦略会議の民営化の考え方と確定拠出型年金の考え方、いわば合わせわざになりますと、将来の年金の姿として、二階部分、報酬比例の部分が民営化されていく、確定拠出型年金のような形になっていくのではないかという思いもするわけですけれども、この民営化ということについて、そういうこともあり得るのか。厚生大臣、どのようにお考えでしょうか、お聞かせをいただきたいと思います。
○丹羽国務大臣 この確定拠出型年金でございますが、これまでのいわゆる確定給付型の年金とは異なりまして、自己の責任のもとで運用して、その運用収益をもとにいたしまして給付額が決定されるということは、先生も十分に御承知のことと思います。これは、中小企業や自営業者への普及であるとか、それから、いわゆる労働者のポータビリティーの確保、こういったところに着目するわけでございますが、これはあくまでも、いわゆる公的年金に上乗せされます企業年金などの新しい選択肢として、年金制度のいわば三階の部分でございますので、これは公的年金の民営化とは別な次元だ、このように認識いたしております。
○山本(孝)委員 三階部分の選択肢の一つとして新たに導入するというお考えですが、例の社会保障を考える懇談会でしたか、貝塚啓明先生のお考えの中には、民営化も一つの選択ではないかというふうに言っておられます。ですので、厚生大臣として、民営化も選択肢としてあり得るのか、あるいは厚生省としては、年金の将来像としてもこの民営化ということは考えないのか、二階部分ですね。そこのところのお考えをお聞かせいただきたいんです。
○丹羽国務大臣 まず、基礎年金と言われる一階があって、そして、二階の報酬比例部分があって、これを合わせて公的年金、そして、その上を要するに私的年金と位置づけておるわけでございますが、私どもは、公的年金の充実を図っていくことがまず肝要なことだ、このように認識いたしております。
○山本(孝)委員 一、二階を合わせて公的年金というのであって、二階部分の民営化はないというお考えだと受けとめました。
 あわせて、今回の改正案の中に盛り込まれております賃金スライドの凍結にかかわる問題です。参議院でも御質問がありましたけれども、それまでの給付と二〇%離れたら、乖離したらこの賃金スライドの凍結を見直しするという考え方になっているんだそうです。年金局長の御答弁では、五年ごとの財政再計算で経済状況を見ながら再開を判断する、二〇%と法律には書いていないのでその都度判断をする、将来の最終保険料率を計算するに当たって一応二〇%と置いてみたという形の御答弁だと思います。
 そうしますと、この上げる上げないの話は、一応厚生省は一つのお考えがあったとしても、政治の世界に任されている、政策判断になるというふうに私は理解をしました。今回、国民年金の物価スライドにかかわって、物価が安くなっているから年金額を、給付を下げようという特例法が別途出ているわけですけれども、こういった形で、本来であれば下げなければいけないのに下げないでおこうという話になる。二〇%あけばと言っていたのに、二〇%あかずに早く上げろという形になる。
 これからどんどん高齢化社会が進んでお年寄りの皆さんの人口がふえてくれば、政治に関する影響力がもっと高齢者集団は大きくなってくるでしょうから、その人たちのことを考えると、政治の世界に渡しておいていいのか、そんなことで大丈夫かしらというふうに心配をするわけですけれども、厚生大臣、この点はどういう御認識でしょうか。
○丹羽国務大臣 賃金スライドの凍結に関しまして、物価スライドとの隔離が二〇%という問題でございます。これは、今委員が御指摘のように、確かに法律には書いてありません。しかし、これは厚生省としてこういう方針を打ち出しておるわけでございますので、この基本的な考え方は変わらないわけでございます。
 いずれにいたしましても、要するに賃金スライドを行った場合と物価スライドのみで改定した場合の年金額が二〇%以上隔離した場合に行うべき、このように考えているような次第でございます。
○山本(孝)委員 大臣、ここはよく御承知のとおりだと思うんですけれども、二〇%乖離したらというところで、そのときの経済情勢等々いろいろありますけれども、今の厚生省が前提にしておられる物価の上昇率あるいは賃金上昇率等々で見ますと、ほぼ二十五年近くかかってようやく二〇%あいてくるという話だったと思います。
 賃金スライドの凍結が将来の給付の抑制に果たす意味合いといいましょうか、その効果の大きさというのは私もよくわかりますので、ここの姿を、この賃金スライドのあり方に手を入れますと、今厚生省がおっしゃっておられる最終保険料率二六%でしたか、それは年収ですね、という部分が大きく変わってくる可能性があるわけですね。そういう意味で、前提になっているこの二〇%離れるまでは賃金スライドの凍結は戻さないということをはっきりとしておきませんと、将来の最終保険料率に大きく影響してくるのではないかというのが私の趣旨です。
 今回、先ほど例に申し上げましたように、国民年金の特例法ということで、物価が下がっているにもかかわらず年金額はそのまま据え置くという形になっています。
 話は違いますけれども、例の健康日本21のあのいきさつを見ておりましても、きょうは時間がありませんので、大蔵大臣にもたばこのことをぜひ聞きたかったんですが、たばこ業界あるいはたばこにかかわる農林のいわゆる族の皆さんからの大きな圧力で厚生省のお考えは大きく曲げられてしまう。そういうことは如実に目の当たりにしているわけで、そういうふうに考えていきますと、きっちり法定しておきませんと政治の世界でおもちゃにされてしまいませんか、年金の将来像はまた大きく変わってくることになりませんか。そういう質問に対して、しっかりとしたお答えがいただけるのでしょうか。
○丹羽国務大臣 先生の御指摘のことについては、私も全く同じ認識でございます。どういう形にするのか、これまで政府として答弁は申し上げておりますけれども、答弁以外にどういう形できちんとさせたらいいか、検討させていただきたい、このように考えております。
○山本(孝)委員 私は必ずしもこの考えに賛成はしておりませんけれども、法案を提出されておられる側からすれば、そういう形がしっかりあるべきではないかというふうに思っているわけです。
 それと、今回の年金の改正で積み残しになっている課題の一つは、女性の年金権の問題だと思います。
 検討会にゆだねるということで、年金審議会の中ではいろいろ審議がありましたけれども、法案の中にはほとんどここは盛り込まれておりません。社会保障制度のあり方として、世帯単位でやるのか個人単位がいいのかというところはいろいろ議論があると思います。厚生省の御答弁を聞いておりましても、これからは個人単位へという流れは強まってくるだろうとおっしゃっておられます。
 そういったときに、とりわけ女性の皆さん、この年金権について、あるいは女性の将来の年金のあり方について大変強い関心を持っておられるわけですから、検討会でさらに御検討いただけるのはいいのですけれども、これまでの小渕内閣のやり方を見ておりますとすべて丸投げの形で、箱をつくっておいて、審議会とか有識者懇談会とかつくっておいて、後は結論をお待ちしますという形になっていますので、その形ではなく、もともと、女性の年金のこの部分はこうするんですという形の、しっかりとした枠組みといいましょうか前提条件をお示しになって、それから検討会を動かしていただきたいというふうに思うわけです。
 その前提として、厚生大臣は何を前提としてこの検討会に御提起されるお考えなのか、そこをお聞かせください。
○丹羽国務大臣 この女性の年金の問題につきましては、厚生委員会でも御答弁申し上げたわけでございますが、第三号被保険者の制度の問題であるとか、遺族年金との選択の問題であるとか、それから離婚の場合の取り扱いとか、いろいろな、単なる年金だけではなくて、我が国の法制度そのものが絡んでくるという大変複雑な問題でございまして、大変私ども、率直に申し上げて、早く結論を出さなければならないという問題。それと、もう一方におきましては、第三号者の取り扱い、現実問題としてそこまで踏み切れるかという問題もございます。
 いずれにいたしましても、率直に申し上げてまだまだこの問題について十分な審議を行っておらないところでございますので、年金審議会において十分な議論をしていきたい、こう考えているような次第でございます。
 残念ながら全般的に集約された方向がまだ見出されておりませんけれども、基本的には、今委員から御指摘ありましたように、いずれにいたしましても年金権については女性の年金を個人化する方向で取り扱うべきだ、このように私は認識をいたしております。
○山本(孝)委員 そこまで若干踏み込んで御答弁いただきましたので、社会保障制度における世帯単位か個人単位かという議論はずっと続いているわけですけれども、大臣としては、やはり個人単位ということを中心にこれから社会保障制度は再構築をしていくことが望ましい、そういうお考えなんですか。
○丹羽国務大臣 あくまでもまだ個人的な見解でございますけれども、基本的には個人単位の方向でやっていかなければならない問題だ、こう考えておりますが、先ほど申し上げましたような専業主婦の問題であるとかさまざまな問題、これをどうやってクリアしていくかということが大変悩ましいところだと考えております。
○山本(孝)委員 そこで、私のお願いとしては、いろいろ議論はありますけれども、やはり個人単位としてこれから社会保障制度を考えていくという厚生省なりあるいは厚生大臣のお考えをまずこの検討会にきっちりお示しいただいて、その範囲内で検討してくださいということでないと、また年金審の議論が一から繰り返しになりますし、最終的にどこに結論が行くかわからないという話では時間だけがもったいない。今非常に改革が急がれている部分ですから、そういう意味で、しっかりとした枠組みをまずお示しいただくというところが大切だと思いますので、私もその考えに賛成ですから、そのようにしていただきたいというふうに思います。
 年金の話、いろいろあるんですけれども、年金といろいろ絡んでいるほかの社会保障制度の話もありますので、きょうはあわせて御一緒にお伺いをさせていただきたいと思います。
 年金制度は、御承知のように、年金だけで検討しておりましてもなかなか明快な答えが出てくるわけではありません。介護あるいは医療、ほかの社会保障制度全般と年金制度は大きくかかわっているというふうに思います。
 今回、児童手当の改正法案が審議されることになっておりますけれども、これも参議院の年金法の審議を聞いておりました折に、保険料を負担する人をふやすために年金からも少子化対策に取り組んでほしいという趣旨の御質問がありました。それに対する厚生省の答弁は、現役が減って年金が苦しくなった、少子化対策は大切である、年金審議会でも議論したけれども、金銭給付は少子化対策として効果はあるのかとの批判もあり云々という形になっています。
 後でお聞きしたいと思いますけれども、今、公明党の皆さんが児童手当の将来像の中で御提起されておられるのは、その財源に年金の積立金を使ってはどうかというお考えも示されておられて、先ほど申し上げましたように、年金だけではなくて、ほかの制度ともいろいろなところで絡んできているというふうにも思うわけです。
 この児童手当の改正、いろいろ議論がございます。子育て支援策を検討するときに、現金給付がいいのか現物給付がいいのか、ここは一つ議論が分かれます。現金給付のときに、児童手当がいいのかあるいは扶養控除がいいのかといった部分も、これも議論が分かれるわけです。実は、ここは議論が両派に分かれまして、今回、扶養控除のかかわりで申し上げますと、平成十一年度は、給付の改善よりも年少扶養控除の増額という政策を政府としては選択されました。十二年度は、今度は一転して、一たん上げましたこの年少扶養控除の増額を一年で打ち切って、その財源を児童手当の改善に充てられたという形になっています。
 したがって、この間の政策の変更というものについて、順次御説明を求めていきたいと思います。
 まず厚生大臣にお伺いをしますけれども、平成十一年度の税制改正で、厚生省は、就学前の乳幼児に係る特定扶養親族控除の創設を税制改正として要求されました。そのときに、児童手当の増額というものは厚生省は検討されなかったのか、ここは事実関係としてまずお伺いをしたい。一点。もう一つは、厚生省は、児童手当の増額ではなく、扶養控除の増額ということを政策として選択した、その理由はどこにあったのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○丹羽国務大臣 まず、平成十一年度の税制改正に当たりましては、厚生省からは、乳幼児、ゼロ歳から七歳に係る特定扶養控除の創設を要望いたしておりました。したがいまして、児童手当につきましては要望しておりません。
 十一年度の税制改正におきましては、所得税の特別減税の見直しの議論がなされておりまして、そういう中で、所得税の最高税率の見直しや定率減税とあわせまして、子育て減税として要するに扶養控除が引き上げられた、こういうような経緯がございます。
○山本(孝)委員 もう一度お伺いしますね。
 子育て減税という考え方が政府全体としてあって、そこに厚生省が御要望されておられた乳幼児の扶養控除の部分がはまったということだと思いますが、その折に、児童手当の増額ということは御検討の対象には全く上がってこなかったのかというところが一点です。
 御承知のように、大臣に向かって申しわけありませんが、先ほど冒頭申し上げましたように、手当か控除か、手当の増額か扶養控除の増額かというのは常に議論としてあります。ある中で、これはいわば、子育て減税があるから、よっしゃ、渡りに船やということでそっちに乗ってここの政策を実現されたのか、あるいは、もっときっちりとしたお考えを持ってと言ったら失礼ですが、この児童手当の増額ではなく、扶養控除の増額ということを選択なさったのかというのが私の質問なんですが、もう一度お願いします。
○丹羽国務大臣 先ほど、十一年度に関連して経緯を申し上げたわけでございます。
 十二年度におきましては、総合的な少子化対策を推進する観点から、子育ての経済的な負担を軽減するという機能の面で重複しているこういう扶養控除と児童手当、この問題につきまして、実は、これは与党三党が中心となりまして協議をいたしまして、とにかく児童手当を拡充しなければならない。率直に申し上げて、公明党さん、また自民党、さらに自由党さんも同じような考え方でございますけれども。そういうような経緯からこのような、これまでは三歳未満でございましたけれども、それをゼロ歳から就学未満に延長した経緯がございます。
○山本(孝)委員 今のは十二年度の話ですね。十一年度の話をもう一度聞いたんです。
○丹羽国務大臣 先ほども申し上げましたように、十一年度において、児童手当の拡充について要望はいたしておりません。
○山本(孝)委員 その理由が私は知りたいんです。手当は要望していない、しかし扶養控除の増額は要求をした、この理由です。その政策をつくられた根拠になった理由は何でしょうか。
○丹羽国務大臣 重複して恐縮でございますが、十一年度の税制改正の議論の中におきまして、いわゆる子育て減税というものが浮上してまいりました。そういう中で、十万円でございますが、扶養控除の引き上げを行った、このように承知いたしております。
○山本(孝)委員 後の質問でもお聞きをしたいと思っているんですけれども、手当の持っている意味合いあるいは控除の持っている意味合い、それぞれに違いますし、その意味で、どういう御検討をされてこの扶養控除をとられたのか。
 子育ては支援しなければいけないという政策目標があって子育て減税という話が出てきたというか、全体的な減税という話が出てきたので、その減税の中として扶養控除の増額を、そこでその選択をされた、こういうふうに考えますと、これは大蔵大臣の方に、その要求をされた側というか要求を受けられた側としての御判断をお伺いしたいのです。
 昨年の大蔵委員会でも、この問題について大臣といろいろと御議論をさせていただいたことを記憶しておりますけれども、扶養控除の増額をするのかあるいは児童手当をふやすのかというのは、さまざまな議論があったこと、あるいはずっと続いていることは大臣もよく御承知だと思います。そういう議論があることを御承知で、今回、扶養控除の増額を平成十一年度の改正で三十八万から四十八万に上げたということのその理由、そしてもう一つ、平成十二年度になりましてこれをまたもとへ戻すということを選択されたこの理由、この二点について、大臣としてお伺いをしたいと思います。税制改正の話ですので、大蔵大臣に。
○丹羽国務大臣 先ほどと重複いたしますけれども、十一年度についてはそういうことでありました。十二年度におきましては、三党連立の政策協議の中において、少子化対策の中において児童手当の役割というのは大変大きい、こういうような観点から引き上げさせていただいた、このようなことでございます。
○宮澤国務大臣 去年でございましたかもそういうお尋ねがあったのをよく記憶しております。
 率直に申しまして、この二つの十一年度と十二年度、いろいろな経緯がかなり絡んでおるということは率直に申し上げないと、確かに解明をいただくのに事が混乱すると思いますが、十一年度の場合、大きな減税をいたしました。その前に、橋本内閣で定額減税をしておられたものですから、これが税制改正のときに扱いに非常に困難がございまして、大部分は大きな所得税の減税になったのですけれども、ある層については減税にならずに逆に増税になるという問題がございまして、これは国会で大変に強く御指摘がございました。これは、定額減税を定率減税に変えるときにどうしても起こる問題ではありますけれども、現実に、かなり多くの層の方々にネットの増税になるという問題がございました。
 いろいろ考えましたけれども、プリンシプルとしてはやはり定率にすべきだ。しかし、そういう、現実に前の年よりも納税額がふえるということは、人情論といいますか常識では、やはり何とか緩和できないかなという気持ちがありました。
 それで、それでというその部分は余り論理的にはつながっておりませんけれども、かねて年少扶養親族についての扶養親族控除の問題がございましたから、ここのところを十万円ふやしますと、かなりその層の方々は今の問題についての緩和ができる。全面的に緩和できるわけではございませんで、それでも、前の年より多く税金を払われた方がかなりおられましたことは御存じのとおりですが、かなり緩和ができた、そういう効果を実は私としては考えないわけではなかった、正直を申し上げて。それが十一年度に起こったことでございます。
 さて、十二年度分について起こりましたことは、これは先ほどからお話しの扶養控除の、扶養というものを児童手当で行うかあるいは税金で行うかという、各国の間でもいろいろ扱いが異なっておる問題がかねてございまして、そういうことが三党の政策協議の中で行われました。
 そして、その結果として児童手当を拡充することが必要だということに、これは予算編成のかなり遅い段階でなってまいりましたのですが、大蔵大臣といたしましては、今さらそれだけの財源を新たに求めるということはこれはできないことであるので、同じ目的に放出しておるという意味で、十万円加算分を戻していただけば、あるいはその範囲において児童手当のその範囲を広げる、増額するということならば、私としてはやむを得ないと思います、こういうことを申し上げたことになるわけでございます。
 ですから、前の年にやったことをまたひっくり返したのかねとおっしゃいますと、それはそんなことは全くございませんということはなかなか申し上げにくいことでございますからそうは申し上げませんが、ただ、同じ目的を持った二つの施策をこっちからこっちへ取りかえることによって、扶養控除額の割り増しの特例を廃止したということになるわけでございますね。
 そうしますと、結局、小学生、中学生の子供を有していらっしゃる世帯では、税負担はこれによってふえる、もらうものと出すものとの差額はそういうことになりますが、そのことは、恐らく厚生大臣のお立場からお考えになっても、十分意味のあることだと判断されたものだろうと思います。
 財政当局としては、ともかくそれで新しい財源を求めずに、同じ方向を志向する二つの政策の間で転換が行われたというふうでございますけれども、もう一つ申し上げますと、これは余計なことかもしれませんが、この問題を税額控除、税金の控除によって行うか、つまり歳入で行うか歳出で行うかということでございますが、これはこれからもいろいろ御議論になる問題ではないかなということは何となく予感はいたしております。ただ、非常にこれは厄介な問題に、大論争になるのであろうと思いますので、急にどうとは思いませんけれども、今度のことが多少そのことに関係をしているのかもしれないなということはどこかで感じております。
○山本(孝)委員 歳入で行うべきか歳出で行うべきかというのはかねてから議論がありまして、しかし、ここはえいやあという形で選択をされたわけですよね。
 後でもう一度お伺いをしなければいけないと思いますが、税を所管しておられる大蔵大臣として、こういう形で税を上げたり下げたりすることが国民にとってどういう意味合いを持っているのか。とりわけ扶養控除のこれまでの歴史を振り返ってみましても、改正されて扶養控除の額が上がってくることはあっても、下がるあるいは一年で廃止をするなどということは、税の歴史の中でこんな政策的なミスを犯すことはない、こんな重大なミスはないだろうと私は思います。
 今の御答弁を聞いておりますと、もともと政策をつくられたのは厚生省だから、厚生大臣がおつくりになってきた話なので受けとめたというような御答弁にもお伺いできましたので、そういう意味では厚生大臣にももう一度お伺いをしなければいけないかとは思いますが、一たん子育て減税ということで減税をして、一年しかたたないところでここはまた再び増税になる。大蔵大臣がお答えになったように、六歳から十六歳のこの人たちのところにとっては今度は逆に増税になっていて、最初子育て減税ということで皆さん頑張ってくださいよと言っていたにもかかわらず、一年たったら、あなたたちはもう関係ないよと言って、いわば政策的に切り捨てたわけですね。
 手当でここが補われていれば別ですけれども、そうではないということですと、結局、厚生省なりあるいは大蔵省、政府全体だと思いますが、子育て支援ということに対して歳出でやるかあるいは歳入でやるか、いろいろとあったとしても、ここは大変無責任で場当たりな政策の選択になっているのではないか。しかもその中で、税という大変根幹にかかわるものを使いながらこういう子育ての支援というものをしていくという中に、私は、政府の側として、大変に無責任のきわみである、これは明らかに政策ミスであるというふうに思うわけです。
 これは政策ミスではないんだというふうにもしお答えいただけるのでしたら、大蔵大臣あるいは厚生大臣から御答弁をいただきたいと思います。
    〔久間委員長代理退席、委員長着席〕
○丹羽国務大臣 大蔵大臣からも御答弁がございましたけれども、三党間の政策協議の中において、いわゆる財源のあり方としては、赤字国債を発行するのではなくて扶養控除をどういうふうに扱っていって児童手当を拡充するか、そういう中でこのようにおさまった、このように考えております。
 それで、扶養控除を廃止することによりまして、当然のことながら、所得の低い方は児童手当ということで有利になってまいりますが、確かに今大蔵大臣から御指摘がございましたように、所得の高い方についてはある面において負担増があったということは、否定できない事実でございます。そういうこともありまして、私どもといたしましては、子育て支援基金というものを今年度の、平成十二年度で四百億円ほど計上いたしておるような次第でございます。
○山本(孝)委員 歳入でやるか歳出でやるかはいろいろ議論があると。子育て減税というところで、歳入の面でお手当てをされた。今度、そこを一年間で十万円また戻してしまうことで、この人たちは、言ってみれば、あなたたちは自分でちゃんと育てなさいという形で子育ての支援の対象から今回は外れてしまっているということについて、私は政策の一貫性がないと申し上げているわけです。
 もともとにおいて、何回も繰り返しておりますように、これは手当でやるのがいいのか扶養控除でやるのがいいのかは大きな議論です。しかし、そこを整理しないままに三党が合意したからということで場当たり的にやりますと、五島先生の御指摘にありますように、この制度はますます混乱したものになってしまう。そこの整理がきっちりされていないではないか。
 しかも、この六歳から十六歳の人たちに、皆さんは今回の政策をとられたことでどう説明をされるわけですか。一年前には、税金を安くしてあげます、頑張ってください、子育て減税しましたよと言う。一年たったら、その子育て減税は廃止ですと言う。この間、社会の情勢は何ら変わっていないと思いますよ。むしろ、もっと難しくなっている。そこのところをほったらかしにしておいて、私は、だからこの対象となる人たちに、厚生大臣なり大蔵大臣なりあるいは政府を代表して、きっちりと謝るなり説明をされるべきだと思います。それが厚生大臣の責任ではありませんか。
○丹羽国務大臣 連立与党三党の協議の中で、扶養控除を選択するのか児童手当をとるのか、こういうような議論があったように聞いております。
 そういう中において、要するに、これ以上赤字国債を発行しない方が国家のためにいいんじゃないかという大きな枠組みの中で今回の措置がとられた、こういうふうに聞いております。
○山本(孝)委員 赤字国債の発行をしているわけではないのですよ。それはどこに色がついているかは別ですけれども、政策の中で、減税をしてあなたたちを応援しますよと言ったのが、なぜ一年たったらやめられるのか、そこに政策の一貫性がないじゃないかということを言っているわけです。(発言する者あり)後ろから声が飛んでくるように、だから、控除でやるか手当でやるかは議論です。そこは児童手当の歴史を振り返ってみたら、ずっと議論しているのですよ、現物でやるか現金でやるかということも含めて。
 よくわかりました、去年大蔵大臣にいろいろ御指導いただいてから。私も、この税というものの控除のあり方を全面的にゼロにするというのはなかなか、それは考え方としてはあるな、こう思ったわけです。それは担税力をちゃんと保つのだ、子育てをしているということでその人たちはかかり増しの費用があるだろうから、こういう形で両方を平たんにするんだ、税で調整しているんだという説明を去年一年間ずっと聞いて、なるほどそういう考えなんだなと思っていたら、一年たったところで、お金がないから、その財源手当てのために扶養控除のところを上げたものをまたもとに戻してくださいと言う。
 もとに戻されて手当がつくのならいいけれども、手当がつかないということについて、六歳から十六歳の皆さんに、済みません、ここはこうなりましたと、従来から拡充されるというお考えがあるのだろうと思いますけれども、しかし、厚生大臣として、私は、ここはやはり国民に謝るべきだと思います。でないと、厚生省はどこを向いているのかわからない。
 扶養控除をどうしようとしているのか。三党合意でどうされるのか後で聞きますけれども、そのことも含めてどうしようとしているのか。子育て支援というものをしっかりやろうとしているのか、していないのじゃないか。行き当たりばったり、場当たりじゃないですか、こんなやり方は。だから、そのことについてきっちりとした説明を、あるいは釈明を、おわびをしてくださいと言っているのです。
○丹羽国務大臣 山本委員は、いわゆる朝令暮改ではないか、こういうようなことではないかと思います。
 その面がすべて否定できるかどうかということは別問題といたしまして、経緯といたしましては、そういう経緯があったということでございますし、ぜひとも御理解をいただきたいのは、ここ一年の間に、私も実は党の中の、与党の中におきまして少子化対策検討会というものをやりまして、一年間にわたりまして少子化対策の議論をしてまいりました。その中において、いわゆる児童手当の重要性というのは大変大きなものだ、こういうような結論からこのような結果になった、こういうことでございます。
○山本(孝)委員 児童手当の拡充が必要だということはかねてから言われてきたことです。そのことについて、厚生省は拡充してこなかったのです。今度その政策の手だてとして、減税全体の中で子育て減税だということでやられたのです。それを一年たったところで、今度はやはり手当だということになったのです。それほど大きな政策の変更をするだけの説明を厚生省はすべきじゃないか、なぜあなたはきちんとしたそこの説明ができないのですかと申し上げた。
 今、自民党の中でもいろいろな議論がありましたとおっしゃいました。たまさかその座長さんがおられるので恐縮でございますけれども、自民党の児童手当の話を聞いておりますと、第一子一万円、第二子二万円、第三子以降は三万円という意見があった。対象は十八歳未満、所得制限撤廃。あるいは、第二子まで五千円、第三子以降は現行の一万円を年間百万円に大幅増額して、年齢は十八歳未満という声もあった。年少扶養控除の廃止と赤字国債を充ててでも児童手当を拡充せいというのが自民党の中で出た御議論だというふうにお伺いをしています。
 こういう意見もあって、いろいろな意見がある中でなぜこの選択をしたのかというところは、厚生大臣は我が党の五島先生の質問に対して、民主党はばらまきじゃないかとおっしゃいましたけれども、これは、私、自民党の方がもっとばらまきだと思いますし、ばらまきとはそもそも何だという定義をしなきゃいけないというふうにも思います。
 公明党が当初示されておられます案、扶養控除の全廃で財源を手当てして、そして足りない部分は年金積立金から使ってくる、規模は二兆九千億という形になっております。この公明党の案というのは、丹羽大臣のばらまきという定義からすれば、ばらまきではないのですか。
○丹羽国務大臣 敬愛してやまない五島委員、いらっしゃいませんようでございますが、私はそういう答弁をいたしました。
 それはどういうことかと申しますと、私といたしましては、公明党案について、あるいは最終的に三党で協議をいたしました案について、ばらまきだという認識はございません。
 今、提案させていただいておりますのは、ゼロ歳から六歳までの、要するに就学前まで、こういうことであります。三歳未満から拡充したと。
 民主党案は、私、率直に申し上げまして、まだ拝見はいたしておりませんが、報道等で知る限り、十八歳でございますか、十八歳ということであって、つまり、政府案がばらまきであるならば、それよりももっと大きいのはばらまきではないでしょうか、こういうことを申し上げたわけであります。
○山本(孝)委員 だから、じゃ、自民党案はばらまきではないのかと。公明党案も二兆九千億で、実は我々が去年出した金額と同じなんですよ、額の面でいえば。
 今回とられた形がいろいろ問題はあったとしても、これがばらまきかどうかというのは、私はちょっと見解を異にしています。しかし、将来ともに児童手当を拡充していこうというとき、その財源のあり方はいろいろありますが、もし、今おっしゃったように金額の面だけでいって二兆九千億という規模が、我々民主党が考えた案も公明党が考えた案も同じの二兆九千億、金額だけでいえば。二兆九千億という金額がばらまきなんですかと、あなたはばらまきという認識を持っておられるのですかというのが私の質問なんです。
○丹羽国務大臣 これは、ばらまきとは何ぞやということの議論は、これから十分に議論をしていかなければならないと思います。
 費用対効果だと思いますが、ただ、率直に申し上げて、私は、厚生大臣としてこのことを否定しているわけではありませんけれども、一部のマスコミの中には、社説や論説において、要するに児童手当の問題について、かなり根強くばらまき福祉論を展開していることがあるということも、これは先生も十分に御承知だと思います。そのようなことについて、私ども、いわゆる国会議員といたしまして、あるいは厚生省として、十分に国民の皆さん方に理解をいただけるような努力をしていかなければならない、このように考えております。
○山本(孝)委員 しっかりお答えいただいていないのであれですけれども、また厚生委員会で後は聞きたいと思います。ばらまきの定義をぜひ決めておいていただきたいと思います。
 今、残念ながら大臣の口から聞けなかったのは、この六歳から十六歳の人たちが一年間だけ減税に浴して、その後何ら手当てをされていないというこの政策の一貫性のなさという点について、私は、厚生省はしっかりとした説明をされておられないという意味で、子育て支援というものに対する厚生省の姿勢は大いに疑わしいと言わざるを得ない。そこは反省をしていただきたいというふうに思います。
 運輸大臣と総務庁長官に、それぞれ連立与党を組んでおられる党の御代表という形で、申しわけありません、お伺いをさせていただきたいのですが、昨年十二月二十二日の三党合意で、所得税、個人住民税における扶養控除制度は見直しをする、平成十二年度秋までに結論を得るよう努力するという三党の合意がございます。
 見直しをするということは、これは手をつけて何らか違うものにするというふうに私は理解をしますけれども、どういう方向で見直しをするというふうにお考えなのか。扶養控除のあり方、扶養控除制度はこれからどういう形になっていけばいいとそれぞれ公明党あるいは自由党はお考えになっておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○二階国務大臣 お答えいたします。
 児童手当につきましては、これ以上の少子化の進行に歯どめをかける、さらに保育、教育の観点も含めた少子化対策推進の立場から、その拡充を図るべきだと基本的に考えております。
 児童手当のあり方と財源については、所得課税の諸控除の整理等及び他の社会保障制度との関連等にも留意が必要であり、これらの点を勘案しながら、与党三党間において今後検討が進んでいくものと考えております。
○続国務大臣 児童手当制度の拡充は、総合的な少子化対策の一環として行うものであり、公明党は、出生率が向上していくための環境づくりの一環として大いに資するものと考えております。
 公明党は、平成十一年十二月の九日、児童手当の抜本的改革を発表しており、党として、あくまでも政策の実現を図っていくことは当然でございます。
 私といたしましては、昨年の三党合意、また児童手当に関する合意事項によりまして、活発な御議論が行われると期待しております。
○山本(孝)委員 私の質問はもっとシンプルでして、扶養控除制度を御党それぞれにどのように今お考えになっておられるのかと。両大臣ともに、これからの協議に任せるという御答弁ですので。
 扶養控除のあり方というのは、配偶者控除、配偶者特定控除ですか、それから年金の控除等々も含めて、私はそこまで考えるべきだと思っていますが、控除制度のあり方は大変大きな議論だと思います。これから、この課税最低限のあり方を含めて、そして将来の財源が不足をしてくる中で控除をどうするのかというところは、単に児童手当のために扶養控除を外す、外さないの議論、昨年やって大臣からおしかりをいただいたわけですけれども、しかし、我々が去年民主党として議論をさせていただいたお話を今度は三党の中でおやりになるわけですから、できるだけオープンな形でここはやっていただきたいというふうに思います。
 この子育てということに関連して、もう一点、これは確認をさせていただきたいと思っている点は、昨年実施をされました少子化対策の臨時特例交付金、このお金の評価という問題についてです。
 これは、保育所の入所待機児童の解消という意味とそれから雇用の創出という両面を持って、臨時特例交付金として交付をするということをおっしゃいました。昨年の補正予算でございます。全国で、入所待機をしている方は少ないですよ、そこにもっと集中的に使った方が本当はいいのではないですかということを申し上げたわけです。
 まだ、基金をつくっておられたり、内容は定まっていないと思いますが、連合が調査をされました地方自治体での少子化対策臨時特例交付金の使い道に関する調査というものを見ておりますと、各都道府県単位にも五千万とか七千万という形で交付されたわけであります。その使い方を見ておりますと、かなりのところが、シンポジウムであったり、あるいは啓発のための資料をつくっておられたり、ビデオをつくられたり、有識者を呼んできてのキャンペーン事業をされておられるという形で使っておられます。
 中には、これは岐阜県ですけれども、出会い・ふれあい・いきいき事業ということで、適当な相手にめぐり会えないでいる独身男女に出会いと交流の機会を提供するという形で、お見合いツアーにこの五千万円を使われた都道府県もあります。
 全体的に見ておりまして、少子化対策といいますよりも、あのときも御指摘を申し上げましたけれども、今一番必要とされている保育園の入所待機を解消する、そのためにあの二千億なりのお金がしっかりと使われているのかというふうに考えますと、私はどうかなと思わざるを得ません。
 先ほどのばらまきの議論にまた戻るわけですけれども、私は、この全部が全部とは申しませんが、特例交付金ということで使われたお金のかなりの部分が、ばらまきという、これはまた大臣と私の定義の違いになりますが、これは赤字国債を充てているという意味においては財源ははっきりしておりますけれども、ばらまきということになってしまっているのではないか。これは私は交付の仕方に問題があると思っているんですけれども、これは、この形で使われたことについての現段階での厚生大臣の評価というものをお伺いしたいと思います。
○丹羽国務大臣 少子化対策というのは、率直に申し上げて、これがあれば解消しますよ、そういうものではございません。ですから、先ほど子育て支援に四百億円計上しましたということを私申し上げましたし、また、今度は新エンゼルプランであるとか、さまざまな形でこういうような支援をしているんだということをまずぜひとも御理解いただきたいと思います。
 少子化対策の臨時特例交付金でございますけれども、これはあくまでも、地域の実情に応じて少子化対策をそれぞれ創意工夫してください、こういう試みは実は初めてであります。少子化対策がそれぞれの地方において、お見合いツアーはちょっと私もいかがかと思いますけれども、いろいろな形で真剣に取り組んでいただいたこのインパクトというのは、大変はかり知れないものがあると思います。
 今般の追加の交付決定によりまして、予算総額の二千億円のほぼ全額がもう既に執行されておりまして、大体これによりまして三万八千人の保育所待機児童の解消が見込まれておるような次第でございます。
○山本(孝)委員 これは、交付のときに基金をつくっていいということになっていて、半分のお金が基金ということで今積まれています。
 これは自治大臣にぜひお伺いをしたいと思うんですけれども、今、介護保険の導入をきっかけに、各自治体がいろいろと知恵比べをしながら、交付金なりあるいは補助金をいろいろな形で使っています。今回の特例交付金も、ある意味では各自治体の知恵比べのような形になっていて、それはそれで、ある意味では、今厚生大臣がおっしゃったように効果があったのかなというふうに思います。ある意味で、あんたのところはこんな金に使ったんかいな、こっちはこんなふうにいいように使うてるでというような比較になれば、それぞれの自治体、大いに反省される自治体もあるのではないかなと思います。
 そのとき私が問題にしたいのは、これはずっと公明党の先生方も御主張されて、私も主張しておりましたけれども、使い勝手のいいお金にしていただきたい。特例交付金ということでおりてきても、それが、建物を借りることには使えないし、もちろん買うことにも使えないしという形では、使い道をかなり限定されているということを常に主張してきたわけですね。
 今回、厚生省の方として、保育所の定員の要件を三十人から二十人に引き下げるとか、あるいは自己所有が原則とされている保育所の土地建物について、賃貸方式を認めるという形で規制の緩和をされました。この形があの特例交付金が交付されるときにあったら、もっと特例交付金の使い道も変わっただろうし、もっともっと有効に使えたのではないかと思うわけです。
 そういう意味で、こちら側でお金がおりていくそのタイミングとこちら側で政策的に規制緩和なり政策を提示されるタイミングがうまく合っていないと、これはお金が、ある意味ではむだになってしまうのではないかと思うわけですね。
 そういう意味で、自治省に厚生省のやり方が間違っているというふうに言っても、なかなかそうはお答えはいただけないと思うのですが、私は、これは厚生省がもっと反省をすべきだと思っておりますけれども、こういう形でもっとお金の生きるような形の行政のあり方というんでしょうか、そういうものについての自治大臣のお考えなり、あるいはこれからこういうふうにしていこうというふうなことがあればお知らせをいただきたいと思います。
○保利国務大臣 少子化対策は国民的な大きな課題でありますから、各自治体においても、それぞれ地域の実情に応じていろいろな施策をやっていくということは非常に必要なことだと思います。今お尋ねの、交付金は二千億出たんだが、なかなかいろいろな制約があってやりにくい面があるじゃないか、その点については私も否定しがたいところがございます。
 今お話にありました、民間主体で保育所を増設していくというようなこと、あるいは三十人という要件を二十人にする、あるいは賃貸方式を認めるというようなことをやはり早くやっていただけば、市町村もそれだけやりよかったんだろうということについては、私も否定することができません。
 今後、今厚生省、鋭意取り組んでいただいて、パブリックコメントにかけていただいているような段階だと承知しておりますが、これが、できるだけ早く市町村にこういうことでいいですよということを言って、そして基金に積んでいるものでいろいろな措置が講じられて、少子化対策がきちんととられることを私も期待いたしております。
○山本(孝)委員 今回の介護保険の、高知市がおやりになったように、国保の、黒字になっているので積立金がある。それを介護保険の四十歳から六十四歳の二号被保険者の軽減に使うという形でやっておられますね。東京都が外形標準課税をおっしゃるというような形もあったり、それぞれ自治体がいろいろなアイデアを出してくるわけですね。それに対して行政の側は実はノーだノーだと、中央はノーだノーだと言い続けているわけです。
 今回も、高知県がああいう形で、自分たちで知恵を絞って、法律を読んで、できるじゃないかということで、国保の積立金をこちらの介護保険の軽減に使う。最初は、厚生省はだめだだめだと言っていて、厚生省が出している資料、どこを見てもそんなことはいいとは書いてない。国保の徴収が落ちるから、その人間を雇うために使えと言っていただけなのに、高知がやり始めると、仕方がないな、じゃみんなやっていいよということで、今のこの段階になって、今のこの段階と申し上げているのは、三月の地方議会で条例をつくって、介護保険の事業計画もあるいは介護保険の保険料も全体決めていこうというこの時期になって、厚生省はだめだと言っていた姿勢をころっと変える。
 こういう形になりますと、やはり地方自治体は非常にその対応に困る。私は恐らく、お答えになる当局の理事者の皆さんが、議員の皆さんから、何であそこでこれをやっているのにと言ったときに、いや、厚生省がだめだと言ってきたからというのは答弁になりませんから、そういう意味で非常にお困りになると思います。
 そういう意味で、今回の厚生省の介護保険の一連の流れを見ておりましても、かたくなに全国一律、官は官だ、中央だということで守り続けてこられて、どこか一点突破されると、はい、いいですよという形になる。この形を二十一世紀の日本社会ではやめなきゃいけない。もっともっと自由に、地方自治体の発想をユニークに持ち出してくるような形に取り組んでいかなければいけないと思うんですよ。
 そういう意味で、お金を持っておられる各省庁がおやりになることだからそこでやっていただくことがいいんだという答えになるのかもしれません。
 いみじくも、さっきは、今回のこの少子化対策の臨時特例交付金の使い方はもうちょっと工夫があってよかったんじゃないかなというふうに自治大臣がお答えになったわけですけれども、こういう地方の自主性といいますか、自由な発想をこれからもっとつくってあげる。それで、各省庁に任せきりにしないで、このときはこういうふうにした方がいいんじゃないかというアドバイスを自治省の側がしっかり出してあげる、各自治体でどうなっているのかという情報をもっと自治省は集めて、もっとこういういいやり方もあるよということを広報していく、そういうお立場でのお仕事をもっと強めていただきたいなというふうに私は思うんですけれども、そんな点はどうでしょうか。
○保利国務大臣 地方分権の建前から申しまして、地方自治体が独自の発想に基づいて独自のことをおやりになるということ、方向性は、私はそれは今後進めていくべき方向性だと考えております。その上で、全国一律の基準をつくってほしいという逆の面もありますものですから、そういった面の調整というのを今後の一つの政治的な課題として私は認識をいたしていきたいと思います。委員のおっしゃる点はよく理解ができるところであります。
○山本(孝)委員 どうもこの一年、介護保険が表に出てきているからかもしれませんが、厚生省の地方自治体に対する情報提供あるいは指導のあり方というのはもう一度検証して、早く早くちゃんとした情報を出していってあげるということが私は必要だというふうに思っています。
 介護保険のことでお尋ねしましたので、一番最後にお聞きしようかと思っていましたが、もう一度運輸大臣と総務庁長官にお伺いをしたいと思っていますが、今回ああいう形で国からおりてくる給付金あるいは交付金等々が国保の財政を支えていくという形になって、要は国保財政に対しての公費の投入割合が大きくなってきていると思います。
 こういうふうに、地方が行います社会保障制度に対して税金投入がどんどんふえてくる、すなわち制度の中での公費の割合が高まってくるということになりますと、自自公三党としては、たしか二〇〇五年までにその公費の負担割合を二分の一にすることを検討するという話になっていました。二分の一を超えてきている部分も既にあるわけで、そうしますと、事介護保険に関しては、かねて主張しておりました、あるいは自由党も今お考えかと思いますが、もっと税の負担割合を高めていく。多分、この形で特別対策をとっていますともとへ戻すことは難しくて、今後ともに税金投入が続いていくのではないかと思うわけです。
 そこを見越しますと、もう少し制度のあり方、財源の構成のあり方について、今の時点では難しいのかもしれませんが、今後介護保険の財源のあり方は見直しを必要とするというお考えに自由党あるいは公明党、それぞれお立ちになるのかどうか、そこをお聞かせいただきたいと思います。
○二階国務大臣 今回の措置は介護制度の円滑な実施のためのものであり、介護にかかる財源及びそのあり方については、実施状況を見ながら三党で協議するということになっております。山本議員の御指摘も踏まえながら、自民、自由、公明の与党三党において検討が行われると考えております。
 特に、御指摘がありましたように、公正、公平であること、これを念頭に、三党において当然そのような協議が行われるということを信じております。
○続国務大臣 昨年十月二十九日の三党合意は、介護にかかる財源及びそのあり方について、実施状況を見ながら三党で協議をする、こういうことになってございます。山本委員がただいま御指摘ございましたように、こういう合意を踏まえながら、国民から信頼される制度を確立するため、与党三党におきまして真剣な議論がなされるものと私は期待しております。
○山本(孝)委員 両大臣にもう一度、申しわけありません、同じ質問になって恐縮なんですが、運輸大臣、今、公平、公正な制度にしなければいけないとおっしゃいました。
 今回の介護保険の特別対策、円滑導入のための特別対策といいましたか、その部分での保険料の軽減策というのは、御承知のように極めてアンバランスになっています。健康保険の中でも、いわゆる政管健保に入っている者については、ほとんどこれは、全然軽減の措置はとられておりません。今回、国保もある意味では容認をされたという形で、より公平さが欠けてくるというふうに思っています。
 何が公平、公正かという議論はありますが、そういう意味で、介護保険の財源のあり方、もっと公平、公正な財源のあり方というものを考えますと、こういう公費の投入というのはそのアンバランスを高めてきているのではないかと思うわけです。やるなら全部公費でやるか、あるいは、本来もともとあったもので、特別対策のあり方についてもっと公平な税の投入がないといけないと思うわけです。
 ここは、社会保障の財源をどうするのか、三党でこれから御議論いただくところもあるんだと思いますが、事この介護保険の今回の特別対策の実施ということを踏まえた上で、介護保険の今の財源構成はこれが一番いいとお考えになるのか、あるいは今の財源のあり方というのは、構成のあり方は大いに変えていく必要性があると自由党あるいは公明党はお考えになるのか。もう一度お願いをします。
○二階国務大臣 高齢化社会をいよいよ現実のものとして我々はこれに対応するわけでありますが、特に介護制度につきましては、広く、多くの国民の支持といいますか理解が必要であることは申すまでもありません。
 先ほども御答弁で申し上げましたとおり、介護にかかる財源及びそのあり方については、私どもとしては、今後実施の状況を見ながら三党において協議する、こういうお約束になっておりますので、そのようにぜひ進めていきたいというふうに思っております。
 介護の問題、保険料の問題につきましては、公正であり公平であるということは当然のことでありますので、その点につきましても、我々は十分そのような方向に結論が達することを期待いたしております。
○続国務大臣 社会保障の財源問題については国民の皆様が大変関心を持っておられるテーマだと私は存じます。しかるがゆえに、三党間で大いに議論をしていただいて、そして十分国民の皆様の納得のいくような結論が出されるものだ、そのように私は期待しております。
○山本(孝)委員 二十一世紀に向かって大変大きな財源の話だと思います。今の御答弁では満足できるものではありませんけれども、これから三党で御議論されるということでしょうから、早急に議論をいただきたいというふうに思います。
 残りの時間は、幾つか関係しているというか、質問をさせていただきたいと思います。
 きょうは科学技術庁長官にもお越しをいただいております。申しわけありません。お待たせをしまして申しわけないですが、今回の予算の中で、ミレニアムプロジェクトという名称のもとでさまざまな事業が取り組みをしてあります。
 一つに、ヒトの胚性幹細胞を作成する研究にかかわる予算が計上されているわけですけれども、このヒトの胚性幹細胞は、御承知のように、受精卵を使うという意味で、胚を壊して行うという点で、大変に重要なポイントになっているわけですね、倫理上の問題、大変に大きな問題を抱えている。脳死のときに、どの時点から死に至るのかということで大いに議論をしたわけですが、この部分、今度は実は命の誕生の時点にかかわるという点で大変大きな問題を抱えているわけです。
 生命倫理に関する規定というものが今整備をされていないままにこの四月から予算が執行されていくというのは、ボタンのかけ違いになってしまうのではないか、順番が逆ではないかという思いがしております。そういうのは国際的にも批判を招くというふうに思っているわけですが、ヒトの命の萌芽である胚の研究全般と、その胚を生み出す体外受精などの生殖の補助技術全般の管理まで含めた規制策というものを早急につくるべきではないかと思いますが、いつごろまでにどのような形でおつくりになるお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○中曽根国務大臣 ヒトの胚性幹細胞を扱う研究に関する倫理面での検討につきましては、科学技術会議生命倫理委員会のヒト胚研究小委員会において約一年間議論を重ねてきたものでございます。今月初めに報告書案を取りまとめまして、現在、広く一般の意見公募を行っているところであります。
 この報告書案におきましては、ヒト胚性幹細胞を取り扱う研究につきましては厳格な条件のもとに認めていく、これが一つ。それからもう一つは、生殖医学発展のために行われているヒト胚研究につきましては、現在学会による自主的規制が行われているところでありますけれども、今後の課題としては、生命倫理委員会で議論をより深めていくとの方針が示されておるわけでございます。
 御指摘の生殖補助技術全般に関する倫理面での検討につきましては、医療と密接なかかわりがあることから、現在、厚生大臣の諮問機関であります厚生科学審議会において検討が行われております。したがいまして、科学技術会議におきましては、これらの動きを踏まえつつ、当面、ヒト胚研究全般についての倫理面の検討を深めていくことが適当である、そういうふうに認識をしているところでございます。
○山本(孝)委員 ヒト胚性幹細胞を中心とした倫理の問題、確かに、おっしゃったように、小委員会でその部分は検討しておられるんですね、自分たちのエリアの部分は。自分たちの担当する範囲は検討しておられるんですが、申し上げたように、生殖医療全般を含めた規制のあり方については、産科学会等々にこれも丸投げのような形になっていて、何も決まっていないわけです。
 そういう意味で、予算がついていろいろな研究が先に進んでいきます。そういうことを考えますと、きっちりとした議論、これは脳死のときに大きな議論をしましたのと同じように、やはり国民的な大きな議論が要るんです、受精卵を使うという意味において。それは任せておいたのではなかなかいきません。それで、いい技術だからということで独走しても困るんです。
 そういう意味では、しっかりとした規制というものの取り組み、委員会に任せているんだとかという形では進みませんので、しっかりとしたことをしていただけるかどうか。していただけるのであればいいですし、できないというのであれば、それはできないんだというふうにお答えをいただいてもいいわけですけれども、していただけるでしょうか。
○中曽根国務大臣 このヒト胚性幹細胞は、一昨年、アメリカにおいて初めてつくられたものでありまして、生命科学研究や医療の向上における有用性が指摘されているところでありますが、一方で、委員十分御承知のとおりの生命倫理上の観点から懸念される問題もありまして、科学技術会議生命倫理委員会において取り扱いについて議論がなされているところでございます。
 先ほど申し上げましたセンターにおきましては、このヒト胚性幹細胞だけではなくて、広く発生、分化、再生の研究を進めまして、先進的な再生医療に資することを目指して設立されるものでございまして、ヒト胚性幹細胞を扱う研究を行う場合につきましては、生命倫理委員会の結論を踏まえて注意深い対応をとることとなると思われます。
○山本(孝)委員 繰り返しになりますけれども、ヒト胚研究小委員会はかなり限定されたところしか研究しておられませんで、全般については検討していないとみずから報告書でも認めておられる状態ですから、この小委員会だけですべてが事足りるということではないというところをもう一度長官として見直しをしていただきたい、国民的議論が必要ですので、そういう段取りを考えていただきたいというふうに思います。
 それから、きょうは法務大臣にもお越しを、済みませんでした、遅くなりまして申しわけありません。
 お伺いをさせていただきたいのは、非正規の滞在者に対する強制帰還の問題が今大変大きな議論に私の地元ではなっております。大阪でございますけれども、中国残留日本人孤児の親族として来日をしたという方たちが、突如、その子供さんが学校に行っているときに、きょうは期末試験の最終日なんだけれどもというところで、入管の方からの強制調査で収容されて強制送還される、あるいは何年も日本におられて大学に行こうと思って頑張っておられる方も突如強制送還されるという状態で、去年一年間で二十人を超える方たちがこのようにして強制送還になっています。
 その問題について、子どもの権利条約もありますけれども、子供たちの心というもの、あるいは一緒に勉強しておられるほかの方たちからしますと、突如として次の日から来なくなるわけですね。理由もわからない。学校の先生が家に行ってみると、実は入管が調査に入って強制送還をされているという状態があって、今、豊中の国際交流協会ですとかさまざまな国際交流団体、大阪府内の教職員組合等々がネットワークを組みまして、この問題に対処をしていこうということで取り組みを進めているわけです。
 御質問させていただきたいのは、こうした非正規の滞在者に対する在留特別許可の基準の緩和という問題、日本が国際化を迎える中でぜひ必要な問題だと思いますので、法務省としても特段の取り組みをしていただきたい。子供たちの権利というもの、勉強することあるいはみずからの選択をするということを含めて、しっかり日本の国も守っていく、そういう国際社会なんだということを示すためにも、ぜひこの在留特別許可の基準緩和に取り組みをしていただきたいと思っているわけですが、御答弁をよろしくお願いします。
○臼井国務大臣 ただいま委員御指摘をいただきました在留特別許可につきましては、個々の事案ごとに事情が異なることから、一般的な基準を設けるということは困難であると考えております。
 一般論で申し上げますと、在留特別許可の判断に当たりましては、本人が本邦に在留したいその希望する理由あるいは本人の生活状況あるいは家族状況等、それらの個人的な事情のほかに、国内外の国際情勢、例えば相手国の状況でありますとか、そういった点にも考慮をしておりますが、その中で、今委員御指摘をいただきました生活環境、家族の中の児童の就学状況等、児童の立場にも人道的な観点から十分に留意し、決定をいたしているところでございます。
○山本(孝)委員 最後にお触れいただきました就学状況等々について、人道的立場で対応していくというお話でございます。個々のケースが違いますので基準は示さないとおっしゃいましたけれども、基本的なお考えとして、こうした子供たちが日本の国で引き続き勉強ができるように法務省としては入管の現場を指導していきたい、法務省としてはそういう対応をしていきたい、あるいは政府全体としてもそういう取り組みをしたい、こういうふうに受けとめをさせていただいてよろしゅうございますか。もう一度お願いします。
○臼井国務大臣 先般も二十一名の者たちの件で、大分、新聞等で書かれたわけでございますけれども、それらの状況をお調べをいただきますとわかりますが、私どもも、こうした状況というものには格段の配慮をいたしたい、現に実行させていただいているつもりでございます。
○山本(孝)委員 強制収容しなくても在宅で調査ができるところもありますし、子供たちが突然いなくなって、将来日本の国で活躍する大きな夢を抱きながら勉強しているというところで、この大きな法の力で人生を狂わされてしまうというのは、日本の国益という点からしても私は損なことだと思いますので、柔軟な対応をぜひしていただきたいというふうに思います。
 もう一つ、これは厚生大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。
 被爆者援護法に基づく健康管理手当の支給という問題です。これはどうなっているかといいますと、今、被爆者援護法という法律がございますけれども、この被爆者の方が日本の国から外へ出ますと、いただいている被爆者手帳は権利をなくします。失権してしまいます。被爆者の状況は何も変わりません。同一人物が外国に行っただけでこの被爆者援護法の枠の外になってしまうという形があります。普通の年金の場合には、受給権者が海外に居住しておりましても、日本の国は、きっちり送金手数料も国庫が負担してその銀行の指定の口座に振り込みをするという形で送金をしています。ところが、被爆者援護法だけは、健康管理手当は海外へ出た途端に受けられなくなってしまいます。
 これは、法の趣旨からして、あるいは被爆者を援護していこうということから考えて、別に外国へ出たからその人間が変わるわけでもありませんし、同じ日本人であるわけですし、在外の被爆者の方たちでこうした健康管理手当の枠の外におられる方がたくさんおられますので、これは法の運用というのでしょうか、あるいは厚生省の御指導として、きっちり海外にいても健康管理手当等々が受けられる、そういう仕組みにしていただきたいと思うのですが、できないものでしょうか。
○丹羽国務大臣 結論から申し上げますと難しいと思います。
 この援護法に基づきます給付につきましては、要するに、原子爆弾の放射線による健康被害に着目いたしまして公費によって医療を行っておる、こういうことでございますし、財源は保険料などの本人の拠出ではなくて税金によります公的な財源によって賄われている、こういうことでありますので、あくまでも対象は日本国内にある者にいたしております。
 それから、ほかの特別児童扶養手当であるとか、それから障害者特別手当など、いわゆる公的財源はやはり在外居住者には適用はない、こういうようなことになっておりますけれども、先生の意見は意見として承っておきます。
○山本(孝)委員 私の意見は意見として、厚生大臣の意見をぜひお聞かせいただきたい。それは官僚が書いた答弁どおりにだめですとおっしゃっているのではなくて、被爆者援護法、いろいろ議論はありますが、この被爆者、原爆被害を受けられた方たちのことを思って、日本の国としてそれぞれの方たちに援護をしていこうという精神でつくられているわけですね。日本国内にいないとその恩恵を受けられないというのはおかしいではないか。
 例えば、広島とは言いません、日本の中でずっと手当を受けている人が、お仕事で外国に行かれるというようなことで住所が外国へ移ると、この方は同じ被爆者という立場には変わりはないのに、この被爆者援護法からの援護は受けられないという形になります。
 日本の国で被爆されて、その後お仕事等々があって今ブラジルに住んでおられたり、アメリカに住んでおられたりしてお仕事をしておられる方たちも対象ではありません。日本の企業に勤めていて、ちょっと外国で現地法人で働いてくれということでそこへ行くと、この被爆者援護法の枠の外に出てしまう。なぜそのような形になるのか。日本の国を出ただけでこの法の外になってしまうというのは、同じ人間なのに、その人に何も変わりがないのにおかしいではないか、こう思うわけですね。
 法律はいろいろと今ほかのもこうなっているとおっしゃいましたけれども、ここは、まさに人道的という立場ではなくて、日本の法律を運用する範囲として、厚生大臣のお考えで十分に変えていける部分だと私は思うのですが、なぜ変えることができないのか、もう一度御答弁をいただきたいと思います。
○丹羽国務大臣 委員も御承知だと思いますけれども、この問題、今現在訴訟中でございまして、その段階において私が一定の何か方向めいたことは申し上げるべきでない、こういうことでございますし、先ほど申し上げましたような、例えば障害者の特別手当については、ではどうか、こういうような問題もありますから、当然横並びに考えなければならない問題であって、被爆者の問題だけを切り離すことが果たしてできるかどうかという問題も、これも一つの大きな問題点ではないか、このように考えております。
○山本(孝)委員 これは、政治家として行政にかかわっている者として、心で考えるかどうかの問題です。頭で考えたらそんな話になるのかもしれません。しかし、訴訟を起こしたから、だから何も答えられないと。その人たちからすればやむにやまれぬ気持ちで訴訟を起こしているわけですよ。訴訟を起こした途端に、あんたたちは訴訟を起こしたんだから私は何も言わないよという形になれば、起こすなと言っているのと同じですよ。そんなことでは何ら行政は変わらないじゃないか、何が富国有徳だという話にまたなるわけです。
 全体的なものを考えれば、きっちりとした、もう一度ちゃんとした検討をしてみる。できない、できないと言っているのじゃなくて、これは普通の人間が考えたらおかしいのですよ、広島で被爆をした人がマツダか何かに勤めていて、現地法人、外国へ行った途端に、あんたはもう被爆者じゃないよと言われるというのは。そんな対応の仕方がなぜずっと続いてきたのかというのがおかしいのだから、もっとちゃんと実情を見て対応できるはずですから、対応していただきたいというふうに思います。一つぐらいいいことをやってくださいよと言うと言い過ぎでしょうか。お願いをいたしたいと思います。
 時間になってしまいましたので、終わります。年金の問題、今参議院で続いていますけれども、まさか参議院でも強行採決されるとは思いませんけれども、国民生活の重要な問題ですから、十分な審議、大臣の側からもお願いをするように私からもお願いを申し上げて、質問を終わりにしたいと思います。ありがとうございました。
○島村委員長 これにて山本君の質疑は終了いたしました。
 次に、石毛えい子君。
○石毛委員 民主党の石毛えい子でございます。
 先回に続きまして、介護保険を中心に何点かお尋ねしたいと思います。
 厚生大臣もおっしゃられておりますように、介護保険、四月一日から世紀の大事業として実施に入るわけでございます。そういう中で、今もまだ新聞報道等をにぎわしていることがございます。
 ついせんだって、介護保険の審議の中では、家族の位置づけというのをどういうように考えたらいいかというのは、折々に議論になっておりましたし、特別対策のときにも随分これが議論に上ったのは改めて申し上げるまでもないわけですけれども、最終局面が近づきました段階で、二月の二日、これは新聞のトップでございますけれども、家事援助を三例に限定というようなことで、おひとり暮らし、それから高齢御夫妻、同居の御家族がいらっしゃる場合には病弱、障害等というようなことで、三例に限定というような新聞報道がされました。
 その後、審議会等々で整理をされてきてというふうには伺っておりますけれども、最終的にここのあたりはどんなふうに落ちついたのかということをまずお尋ねしたいと思います。
○丹羽国務大臣 介護報酬の告示の中で、制度の乱用を防ぐ観点から、ひとり暮らし世帯などを中心に訪問介護における家事援助を適用するべきだ、こういう一つの例として挙げたことは事実でございます。
 高齢者やその家族の介護負担を軽減するために必要なサービスを行うという介護保険の基本理念には、何らまず変更がないということを、ぜひとも委員御理解をいただきたいと思います。あくまでも、要するに制度が乱用されてはならないんだ、こういうような観点からこのような表現になったわけでございます。
 具体的には、一律の基準で判断ができるものではない、こう認識をいたしておりますし、あくまでも個々の事情に応じて現場の良識のある判断をまちたい、このように考えております。
○石毛委員 私は、今大臣の御答弁でちょっと理解ができなかった部分は、制度の乱用を防ぐとおっしゃいましたけれども、制度の乱用というのは一体どういう中身を指しておられるのでしょうか。その点をもう一度お教えください。
○丹羽国務大臣 率直に申し上げて、与党三党の中で議論があったというふうに承っておりますが、私が聞き及んでおります中では、要するに、健康な方がいらっしゃるのに、すべていわゆるホームヘルパーさんにお任せすることになっては、大変な給付サービスの増大につながっていくのではないか。
 つまり、あくまでも家族の負担の軽減という私どもの考え方は変わっておらないわけでございますけれども、同時に、健康な方々も要するに手伝うといいますか、こういう問題については、自分たちにできることについては、すべてホームヘルパーさんに任せるという姿勢がよろしくない、こういうふうに聞いておるような次第でございます。
○石毛委員 私は、そこのあたりが非常に介護保険に対してもう一つ釈然としない部分が残されているという思いがするんですね。
 と申しますのは、健康な御家族がいらしてというふうに今大臣おっしゃられたんですけれども、介護保険はとにかく家族も一緒にいらっしゃる方にも適用になりますし、そういう場合は家族がいらっしゃるという大前提はあるわけですけれども、要介護認定は御本人のお体やあるいは心の状態で認定をされるということであって、そしてサービスの提供も、要介護認定を踏まえて、そして介護サービス給付費の上限を決めて、必要なサービスを選択してプログラムをしていくわけですから、家族がいらっしゃってそしてお元気なのにというようなことは、本来介護保険の設計の仕方とはなじんでいないんだと思うんです。
 だから、家族がお元気であったとしたって、家族が病弱であったとしても、その要介護認定を受けた当事者の方にとって必要なサービスだったらば、相談の上、サービス給付の上限までは利用できる、そういうことになるわけですよね。
 だから、例えば、家族が病弱だったらば家事援助はいいけれども、家族が元気だったら家事援助はだめということではなくて、あくまでも基本的なそのコンセプトといいますか原理は、要支援、要介護認定を受けてサービス給付の上限の範囲でサービスを選択して利用できるということですから、たまたまその場合に御家族の状況で、ウエートの問題かもしれませんけれども、家事援助を選ぶのか、介護になるのか、あるいは折衷型になるのかというようなことを現場で判断して協議して決めていくというのは、それは現実には協議して決めていくことになるんだと思いますけれども、御家族が元気であるにもかかわらずというような、そういう乱用の場合の説明状況を伺いますと、いや、もしかしたらこれは、一歩誤れば、現場の中で、御家族がお元気なんですから家事もやっていただけませんかというケアプランをつくることになりかねない、そういうおそれがある問題ではないですか。
 そうしますと、介護保険は措置から契約へ、選択へというふうに変えたというそのコンセプトが揺るぎ始めることにはなりませんか。そういう心配をしているわけでございます。
 そういう意味で、この乱用について確認させていただきましたが、大臣としてもう一回御答弁いただける点がありましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょう。
○丹羽国務大臣 現実問題として、常に例えばホームヘルパーさんがいらっしゃるわけでもないわけでございますし、要するに、しゃくし定規になかなか決められない問題ではないか、こういうことでございますし、あくまでもこの介護保険の導入というのは、先生もおっしゃいましたし、今私も申し上げましたように、家族の介護を軽減するというような理念に変更はない。
 しかし、私が申し上げましたことは、あるいは連立与党の政策協議の中で御議論として承っておりますことは、要するに、ホームヘルパーさんにお願いもしなければならないけれども、だからといって指をくわえてじっと見ているような姿は本来のあるべき姿ではないんじゃないか、こういうようなことであって、要するに、御指摘のような御懸念は必ずしも当てはまるとは思っておりません。
○石毛委員 ここから先は、かなり感性の問題になってくる部分もあると思いますし、それから、介護の実体験をどれだけ積んでおられるか、あるいは、介護まではいかなくても、炊事ですとかケアの実体験をどれだけ積んでおられるかによって違ってくると思いますけれども、実際問題、食事をつくってさしあげる要支援の親御さんがいらした場合に、三百六十五日、三食どういう食事をつくろうかというようなことをいつも思い惑っていなければならない家族の立場というのは、肉体的に健康であったとしても、これは非常につらいものがあるのでありまして、そこのところを乱用とかなんとかという表現でくくられますと、非常に危うい場面が出てくる、そういう思いを私は持っております。
 本来、措置ではなくて、契約、選択なんですから、その認定と給付額の範囲でどういうプログラムを組むかというのは、当事者の契約関係を通じた自己決定の問題ではないでしょうかということを私は申し上げたいということでございます。
 次の質問に移らせていただきますが、これもちょっと細かい質問なのですが、私は非常に重要な問題ではないかと思っております。
 どういうことかと申しますと、新聞の投稿欄に、今度の介護保険でいいますと通所リハビリテーションに当てはまるんだと思いますけれども、今までですとデイケアサービスでしょうか、そこに通っていらっしゃる高齢の方が要介護認定で自立と認定された。医療系のデイサービスで自立と認定されたんですね。それで、どうしたらいいんだろうかという質問というか投稿だったんですけれども、医療系のデイサービスで自立というふうに認定されましたら、もう介護保険からのサービスは受けられないわけですよね。この点はいかがでしょうか。
○丹羽国務大臣 いわゆる介護保険の中におけるサービスは受けられない、こういうことでございます。
 そこで、私どもといたしましては、自立支援というのは大変重要な認識である、こういう観点に立ちまして、いわゆる生きがい対応型のデイサービス事業などを活用していただくものに対しまして国が支援をしていく、こういうような考え方に立つものでございます。
○石毛委員 お答えは、そこはそこでわかりましたけれども、そうしますと、そのデイケアセンターに行っていらした方は、生きがい型のデイサービスに行くということになりますと、場所を変えるということになるんですか。細かい質問でちょっと恐縮なんですけれども、場所を変えるということになるんでしょうか。どうでしょうか。
○丹羽国務大臣 その市町村によって異なると思います、基本的には。できれば利用できるところを探していただくということが基本だと思いますが、これは、では公費で助成している部分まで、要するにそこでやっちゃだめだとか、そういうようなたぐいの話ではないんじゃないか、こういうふうに考えております。
○石毛委員 私がこの問題に少しこだわりましたのは、今介護保険の問題というのは、絶えず医療系からのサービスとそれから福祉系からのサービスのその関係性というのが非常に、現場、地域に行きますと、混線していると申しましょうか、地域によってどちらかの施設が多いところもありますし、それから福祉系が多いところもありますし、しかも介護保険の中では必ずしもその整理がきちっとされていませんので、医療系のデイケアセンターに行きながら自立とかになった場合には、そこから外れて別の場所を持たなければならないわけですね、大臣おっしゃられましたように生きがい型の方になるわけですね。
 そうしますと、今までの人間関係は一たん崩さなければならないというようなことも起こってくるし、それから、もしかしてその方は、外見上肉体的には元気そうに見えても、どこかに病気とかそういう理由があって医療が必要な方として判断されたのだったらば、これは自立にならないで医療としてデイケアセンターに行けるわけですから矛盾がないわけですけれども、地域によっては、いうところのお元気な方がデイケアに行っているという実例がないとは言えない。むしろ多いという現実もあるということで、それぞれの地域で起こってくる矛盾はかなり大きいんだと思うんです。それをうまく超えられるでしょうかという思いがありまして、この質問をさせていただいたわけです。
 そこで、次に移りたいと思いますけれども、確かにこの介護保険の審議の中では、ずっと、要介護認定から外れた方、そして今までサービスを利用されてこられた方はどうなるのか、そういう質問がたくさん出されまして、そして、大臣もおっしゃられましたけれども、介護予防・生活支援事業が新規の施策として立てられました。
 ただ、私は、厚生省の担当の方からこの事業の中身をお教えいただきましたときに、やはりいろいろとプログラム化されているわけですね。配食事業ですとか送迎事業ですとか、それから、大臣今おっしゃられました生きがい型の事業ですとかというふうにプログラム化されています。そうしますと、プログラム化されますと、そこからも落ちてしまう、あるいはあえて違うことをしたいというような方もおられるかもしれませんから、そういう意味では、介護予防・生活支援事業に乗らない方が出てきた場合に問題は残されていくというふうに思うわけです。
 私が思いますには、先ほど山本委員も少子化対策に関連して御主張されていたことでございますけれども、もう少し、配食事業ですとか送迎事業ですとかというこのメニューを総合化して、特別メニューで挙げることもいいですし、それから、その地域の実情に応じて使い方がありますというようなことで、総合補助金化していくと申しましょうか、そうした方策を考えることの方がむしろ有効に地域で施策がとれるのではないかというふうに私は考えるわけですけれども、いかがでしょうか。
○丹羽国務大臣 委員の御指摘は、介護予防・生活支援事業において、その目的、意味するところをあらかじめ決めないでそれぞれに任せたらどうか、こういうことでございますが、私どもの考え方といたしましては、今申し上げたような、事実という観点から十分にいろいろ検討して、漏れがないようなメニューの中から市町村に選んでいただく、こういうことでございますし、実際問題、これからやってみて、これはどうしてもメニューの中に入れた方がいいということになればまた当然再検討しなければならないと思います。ただ、補助の目的が、すべてお任せとなりますと、これは性格から申し上げて逸脱するということがございますので、私どもといたしましては、あくまでもメニューの中から選んでいただく、こういうことにさせていただいているような次第でございます。
○石毛委員 補助の目的が逸脱というふうに、大体、逸脱という事態はたくさんあるというふうに厚生省の担当は認識されておられますから、メニューをきちっと立てて、補助金、つまり税金が公正に使われなければならない、そういうお考えであるからこそ、逸脱というような表現が大臣の言葉として出されたのだと思いますけれども、私は、全体として目的に沿うように自治体がきちっと使えば、それは定期的に監査なりなんなりをして、そして公正公平さが保たれているかどうかということを確認していけばいいのであって、よく補助金のところで議論されることですけれども、要するに、厚生省は入り口でひもをいっぱいつけて縛っているわけです。
 むしろ、これからは出口でトータルに調整していくべきではないかというのが大きな流れの議論だと私は思っておりますけれども、実際にこの補助金を受けてお使いになる自治体の側、自治大臣からごらんになりますと、この件につきましてどんなふうな御所見をお持ちでしょうか、お伺いさせてください。
○保利国務大臣 確かに、私も勉強してみますと、介護予防・生活支援事業というのはメニュー化されていて、委員御指摘のとおり、ある一定のことに使っていく。それは、補助金という名前がついておりますれば当然そういうことが起こり得る。
 しかし、地域の工夫によってこういうことをしたいという事業があるだろうと思います。それに対して、自治省は介護保険制度支援対策というのをつくっておりまして、それは平成十二年度の地方財政計画の中に入れておりますけれども、地域の取り組みに対して支援をするという立場から、地方財政計画の中に組み込みまして支援をしていくという体制を自治省としてはとっております。したがって、そういったものをあわせながら、実のある支援といいますか、そういうものを展開していくということで自治省も努力をしているところでございます。
○石毛委員 厚生大臣と自治大臣からお伺いいたしますと、市町村、自治体の立場からいたしますと、厚生省の方の介護予防・生活支援事業のメニューとそれから自治省の方の、これはきのういただいたのですが、介護保険制度導入関連事業、これは交付税で出していくという仕組みですから自治体の使い方は随意性があるということでございますけれども、ペーパーで恐縮ですけれども、これとこれを足して柔軟にうまく組み合わせていけばいいというふうに、そういう考え方もあり得るのかとは思います。
 思い切ってこちらとこちらを足して総合補助金という形で、ただしこれはトータルとして介護保険関連ないしは高齢者在宅サービス推進というような事業として一本化していく、総合化していくということの方が、自治体からすれば使い勝手がいいですし、そしてまた一人一人のユーザーの立場から見れば、自分のニーズに応じたサービスを役所と相談しながらプログラム化していける。それは、メニューが非常にふえてくるでしょうし、柔軟化してくるというふうに私は考えるわけです。
 これは、介護保険が提起している問題点、論点の一つだと思いますけれども、大蔵大臣、この総合補助金化ということに関しまして御所見をお伺いさせていただけますでしょうか。
○丹羽国務大臣 この事業を決めるに当たりましては、十分に市町村から御意見を賜りまして、今ちょっと資料を取り寄せましたところ、先ほどから委員御指摘のような配食サービスであるとか、あるいは高齢者の共同生活支援事業であるとか、寝具だとか、もう大体全部そういうものは網羅しておるわけでございますが、先ほどから申し上げましたように、今後この事業を行っていく上に当たっていろいろな問題点があれば柔軟的に考えていきたい、このように考えているような次第です。
○宮澤国務大臣 結局、私の立場から申し上げますと、そういうものを総合化した方が行政目的あるいは利用者の方のためにいいのか、そうでないのかという判断は、やはり主管大臣がなさるのが一番よくおわかりだと思いますので、その御判断に従っていくのがいいというのが基本的に財政の立場でございます。
○石毛委員 大臣からは、主管大臣が判断されるのがいいというふうにお伺いいたしましたけれども、私は、ずっと地域でいろいろな活動に市民活動として参加をしてきた、そういう経験も踏まえて申し上げますと、この事業のメニューにのるまでの間には、かなりの長期間にわたって市民の方たちの、それこそ汗水流した無償の活動があってメニューにやっとのる。あるいは事業を実施されている社会福祉法人などの方も、そういう御苦労をされていることもおありになると思います。
 例えば外出支援サービスなども、厚生省が出されている説明文書では、施設に通う場合にと出ているわけです。生きがいサービスをやるような場所という意味での施設です、今申し上げましたのは。出ているわけですけれども、一人一人の立場からすれば、自分の社会参加というのは何も生きがいデイに行くだけではないわけです。もっとほかの社会生活に参加する場面はあるでしょう。例えば、場合によってはお芝居を見に行くこともあるでしょうし、公民館の万葉集の講座に行くということもあるでしょうし、そういうときに送迎がつけば、その人の精神というのはインスパイアされていくわけですよね。
 こういう苦労を地域でしてきていて、それを厚生省はかなりの部分をメニュー化してくださっているわけですから、それはそれでありがたい部分もあります。でも、少なくとも、メニューを選んでもいいですよ、それから、例えば三分の一までは独自にプログラムを個人に応じてつくってもいいです、ただしそれは必ず厚生省の方に申し出て評価を受けてください、そういう仕組みがあっても、私は、今の時代、いいんだと思うのです。
 もう今の時代は、生活スタイルの画一性になじまない、ですからサービスの画一性にもなじまない。そこをマッスで、どんなに小さく苦労をしていってもマッスでまとめていこう、まとめていこうというのは、生活者のサイドの方からすれば非常に無理があるというふうに私は思うわけです。
 介護というのは日常的な暮らしの問題ですから、できる限り個人の気持ちや感性やライフスタイルに合うものに沿ってプログラムしていきたい、プログラムされるべきだというふうに考えれば、全部とは申しませんけれども、その自治体で使用できる可能な予算範囲の、例えば三割までは総合補助金化するというような、そういう新しいステップを主管大臣の御決意で歩み出していただくというのは、私は、自治体や地域の方から見れば本当に大拍手喝采になると思うのですが、いかがでございましょうか。もう一度お願いいたします。
○丹羽国務大臣 これは、まず基本的に介護予防ということから出発しておるわけでございまして、そしてそういう中でお年寄りの生活を支援するということであります。では、お年寄りのやる観劇だなんだというものを全部公費で支援するということは、まさにばらまきかな、こういう感じがしないでもないですし、私も、基本的には自治体の意向にお任せするということが望ましい姿ではありますが、先ほど山本委員から、何ツアーでしたっけ、お見合いツアー、お見合いツアーも、確かにお見合いすれば結ばれて少子化に結びつくという考え方も、二階から目薬かなとさっき考えていたのですけれども。
 冗談はさておきまして、やはりこれだけの大きなものでございますので、あくまでも基本は介護予防・生活支援事業という中で要するに市町村から十分に意見を聴取した上で、これだけのものを網羅させていただきました。
 ただし、先ほどから申し上げておりますように、これはどうしてもつけ加えるものがあるということが今後出てくれば、その問題については十分に検討していく、こういうことでございます。
○石毛委員 もう時間がもったいないですから、余りこれ以上繰り返すつもりはございませんけれども、私は、生きがいデイサービスは介護予防になって観劇は介護予防にはならないということにはならないんだと思います。ですから、そのあたりは、何を目的にしてどういうふうに自分をインスパイアして自分の健康を保っていくかということを、御自身がどう判断されてどう自己決定していくかということが大事なんだというふうに思います。
 何も私は、だから観劇を無制限にやるのを認めるべきだというふうには申し上げているつもりはありません。その方が選ぶ自立継続のためのプログラムにもっと柔軟に沿う必要がある、そういう観点から、補助金の使い方は柔軟性を持つべきであろうし、総合化していくべきだということを申し上げております。
 介護予防ということも一度ちゃんと考える必要もあるかと思います。そこからそれこそ逸脱して、何にでも使えるように総合補助金とするようにというふうに申し上げているわけではございませんので、そこは大臣にも誤解のないようにお受けとめいただきたいと思います。
 次の質問ですが、これもちょっとややこしい質問で恐縮なのですが、本当に済みません。
 今、第一号被保険者の方にとりまして、保険料と利用料の負担をめぐりまして、いわゆる逆転現象というふうに呼んでいいのだと思いますけれども、そういうことが起こっているという指摘が、各地の介護保険の勉強会などに参加させていただきますと、しばしばされます。
 逆転現象ということについてちょっと説明させていただきますと、高齢者御夫妻でAB両方の世帯があった場合に、Aの世帯、高齢者御夫妻お二人とも年金所得が二百五十万ちょっとぐらいで非課税だというふうになりますと、このお二人は個人非課税、世帯非課税になるわけです。そうしますと、保険料はそれぞれ基準額の〇・七五ですから、トータルにしましても一・五ということになるわけですね。
 今度、Bの世帯が、例えば御夫婦のお一人が二百六十六万六千円を超えますと、住民税課税になりますので、この場合には、連れ合いさんは住民税非課税の場合は基準額ですけれども、課税される方は基準額の一・二五ですよね、二割五分増しですから、二・二五ということになります。
 世帯収入が多い方が保険料の負担では一・五ですね、〇・七五足す〇・七五ですから一・五。そして世帯収入が、二百七十万に連れ合いの方の老齢基礎年金が四、五万だとしますと年額五十万でしょうか、ですから三百万か三百五十万ぐらいのところの第一号被保険者の世帯負担は、一と一・二五を足しますから二・二五になるわけです。いいでしょうか、細かい話ですけれども。
 そしてまた、介護保険は利用料一割負担というのも随分大きな議論になりまして、高額介護サービス費という仕組みが導入されたわけですが、これがまた住民税世帯非課税かどうかで線引きをするわけですから、世帯収入が多い世帯の方が、高額介護サービス費によりまして、今のところの審議会の審議に基づきます答申ですと月二万四千六百円が上限になる。ところが、世帯収入は少なくても、構成メンバーの一人が住民税課税になっていれば、これは、低所得以外に所属する世帯になりますから上限の三万七千二百円ということで、月額にして一万円ぐらい、年額にすれば十二万円ぐらいの負担増が利用の場合出てくるわけなんですね。だから、保険料でも利用料でも、いわゆる逆転現象というのがこの仕組みの中に内包されているという問題を、それこそもう繰り返しになりますけれども、介護保険の学習会に行きますとしばしば指摘をされます、質問をされます。
 それで、私も、おかしな矛盾がつきまとっていますねというふうにしか申し上げられないでこれまで来たのですけれども、私は、このことは介護保険の制度としての信頼性にもかかわる問題だと思うんですが、厚生大臣は、このいわゆる逆転現象ということに対していかがお受けとめになられますでしょうか。
○丹羽国務大臣 大変何か難しい応用問題を出されたような気がしないでもないんでございますが、私が十分にお答えできるかどうかちょっともう一つ自信がないんですが、一言で申しますならば、保険料の問題に関して、要するに、例えば世帯全体で比較して、夫も妻も非課税の場合であるとか、あるいは、夫が例えば課税されていて妻が非課税の場合であるとか、いろいろなケースがあって、それで全体としてどうなのか、こういうときに要するに逆転現象が起きるのではないかな、こういうようなこと……(石毛委員「起きるんではないかじゃなくて、起きているんです」と呼ぶ)起きているということではないかと思いますが、これは要するに、率直に申し上げて、高齢者個人を今回の介護保険におきましては被保険者として位置づけまして、保険料や、それから、今御指摘の高額の介護サービス費による利用者負担の上限という額を設定したわけでございますので、確かに逆転現象というものがあり得るとは思いますが、これは、事務処理を進める市町村から意見がございまして、要するに、被保険者の市町村民税の課税状況によって設定したということから起きたものと考えておるような次第であります。
 それで、これを解消するためには、要するに今度は世帯にしたらどうかというふうなことではないかと思いますが、先生、そういうことでよろしゅうございますでしょうか。先生は、では、もう要するに個人単位の方をやめて世帯単位にしろというような御主張として承ってよろしいのでしょうか。
○石毛委員 私が大臣にお答えを申し上げられるぐらいだったら、私は最初からそういう主張をさせていただいて、質問はしなかったと思います。
 では、大臣に続けます。
 保険料については個人単位で決めたから、逆転現象が生じるのも、事実としては認識をしておられますけれども、やむなしというふうにお受けとめになっていらっしゃると。それは、事務処理の関係上、自治体もそれがベターだというふうに受けとめているというふうにおっしゃられました。そうしますと、今度は、利用料の方はこれは世帯単位なんですよね。これはいかがでしょうか。
 ですから、住民税課税世帯でも、どちらかのパートナーが非課税であれば、その方は保険料は基準額ですから、自治体で三千円というふうにもし決まれば三千円の負担はするわけですから、保険というのは、保険料を負担して、給付に該当する事由が起こった場合にはサービスを利用して、そして、その負担はその方の応能であるか応益であるかというのは、一般的に言えば保険の場合は応益の方が一般的かと思いますけれども、しかしながら、そのときに減額するかあるいはしないかというのは考えていくわけですよね、応益を原則にして利用料を決めて。ですから私は、保険料が個人単位なんですから、利用料も個人単位という考え方は少なくともロジックとしてはあり得るのではないですかと。だけれども、現実には世帯単位です。
 保険料と利用料、この負担を決める原理が介護保険は違っているんですね。そのことについてどう大臣はお受けとめになりますでしょうか。
○丹羽国務大臣 確かに、お話を聞いておりまして、ロジックとしては十分にそういうことはあり得ると思いますが、この利用者負担を世帯単位にしましたのは、お年寄りが老夫婦などでいらっしゃるときにできるだけ利用負担を少なくしようじゃないか、家計への影響も大きいじゃないか、こういうようなことからやったということであって、要するに、よかれと思ってやっているということでございまして、その点を十分御理解いただきたいのであります。
○石毛委員 よかれと思っておやりになったのでしたらば、世帯収入の少ない世帯の方が利用料負担は住民税課税世帯になっていれば多くなって、世帯収入の多い住民税非課税世帯の方が負担は低くなるというこの逆転現象は、決してお年寄りにとってよかれというふうには言えないわけですよね。
 私は、自分のこれからのことを考えましても、やはりこの利用料の負担というのは、恐らく、要介護の状態になったとすれば、めったに途中で元気になってやまることはないということで、ずっと自分の一生涯、段階は多少違うことはあると思いますけれども、負担が続いていく問題だと思うんですよね。医療の場合も、急性医療の場合には治癒して費用負担がとまるということはあるわけですけれども、介護の場合にはこれはもう一生涯二人三脚。だから、利用料負担も一生涯二人三脚というふうになりますと、今私はたまたまこういう二つの世帯の事例を出しまして、三万七千二百円と二万四千六百円ではほぼ一万円違うわけですから、年額十二万円、これが十年続けば百二十万、二十年続けばという、これはやはり見過ごしておいていい問題ではないんじゃないかというふうに私は考えるわけです。
 本当に、多くの女性高齢者は、今、年金が成熟してきているとは言いつつも、四万円ぐらいの老齢基礎年金で暮らしている女性はいっぱいいるわけですし、たまたまその方の連れ合いさんが年金水準二百六十六・六万円を若干超えて住民税課税になっているからといって、負担が上位の方に設定されていくということは、これはやはり問題としては見過ごすことができないことだと私は思います。
 この際ですから、私は厚生大臣が検討をお約束していただければ大変ありがたいと思いますけれども、実施後、半年なら半年、一年間なら一年間を区切って、こういう負担に逆転が生じる世帯というのはどれぐらいあるのかということを、サンプリングでも結構だと思いますから、明らかにしていただけますでしょうか。
○丹羽国務大臣 私、この間、一月の上旬でございますが、ドイツへ行ってまいりました。五年前に介護保険がスタートしたドイツにおいても、同じような大変いろいろな難しい問題が起きて、いまだに試行錯誤しているんだということを疾病金庫の会長が申し上げておりました。
 そういう意味において、率直に申し上げて、世紀の大事業の中において、なかなか難しい問題で、この問題だけではなくて、さまざまな問題がこれから、私どもが想定しておらなかったような問題が起き得ることも、これは私が申し上げるのもちょっとあれなんでございますが、全くないということは言い切れない問題であります。
 そういうことの中で、私の諮問機関に、よりよい介護を育てる会というのを設けました。つまり、いろいろな問題について、市民の意見というものを率直に受けとめながら、これはあくまでも、先ほどから申し上げました経緯から申しますと、いわゆる事務の簡素化という市町村の強い要望によってなしたわけでございますが、先生のような御指摘があったことも事実でございます。
 そういう中で、私といたしましても、十分に議論をしていただきまして、要するに、この問題だけでございません、保険料と利用負担の問題だけでなく、全体的な問題を含めまして当然のことながら検討をしていきたい、このように考えているような次第であります。
○石毛委員 よりよい介護を育てる会に諮問をしていただくのは、それはそれで結構なことでございますけれども、私は、この問題は非常に重要な問題だと思っております。
 実は、この問題は、自治大臣にもお尋ねしたいし大蔵大臣にもお尋ねしたいというふうにきのう打ち合わせのときに申し上げましたら、これは大蔵大臣も自治大臣も御本意ではないと思いますけれども、管轄が及ばない範囲であるということで、質問として適切ではないというふうに私は言われました。
 それで、私といたしましては、要するに個人単位か世帯単位か、税制度の問題と社会保障の負担をどうするかというのは、介護保険で、たまたま私は、第一号被保険者の保険料、利用料の逆転現象というミクロの問題で入りましたけれども、実は医療でも同じ問題は原理的に起こるはずですね。健康保険は世帯主が保険料負担をしていて、高額医療費の算定の仕方は世帯単位ですから、利用料に関していえば、逆転現象だってあるはずなんですね。そのことを今まで十分に世論化してくるチャンスが、多分これまではそれほどなかったんだと思いますけれども、介護保険は本当に今、介護保険事業計画の策定ですとか自治体のそれぞれの地域での説明会ですとかということで、情報が広がっていく中で、これはおかしいんじゃないかということで出されてきている問題なんですね。
 ですから、よりよい介護を育てる会に諮問をしていただくのも結構ですけれども、私はやはり、首相の社会保障制度全体に関する委員会をおつくりになられていますけれども、そちらでの課題でもあると思います。個人単位、世帯単位、それから社会保障、医療、介護、それから社会福祉、障害者の方の部分もこれから変化していくことがあろうかと思いますので、個人単位か世帯単位か、それから拠出と負担の関係をどう整理するかということと税制度の問題というのは、きちっと議論して整理をしていっていただかなければ、二十一世紀に社会保障制度が整合性を持って続いていくということにはならないんだと私は認識しております。
 ですから、ぜひとも、その前段として、あえて私は今、自治大臣、大蔵大臣にもこの席で質問をしたいと申し上げましたけれどもとこの席で申し上げて、それは恐縮だったかもしれませんけれども、事は介護保険のミクロの問題ではなくて、その問題は、社会保障制度の負担と給付の決め方をめぐって、まさに象徴的な課題としてある問題が介護保険で一部あらわれているんです。
 ですから、せめて厚生省は、サンプル調査ぐらいをして、現実にどういう実情の世帯がどんなふうに分布をしているのかということを明らかにしていただかなければ、住民税の課税の仕方の議論にどんなつなげ方をしていくのかというふうにリンクしていかないのではないでしょうかという問題意識で、私は、厚生大臣に、サンプル調査でも結構ですから、していただけませんでしょうかということを要請した次第です。もう一度御答弁いただければと思います。
    〔委員長退席、町村委員長代理着席〕
○丹羽国務大臣 そういうことが現実問題としてどこまで把握できるかという問題もございますけれども、よく内部で検討してみたいと思います。
○石毛委員 たまたま、きのう質問の打ち合わせをさせていただく経緯をちょっと御紹介をして、自治大臣、大蔵大臣についても申し上げさせていただきましたので、質問通告しておりませんで恐縮でございますが、自治大臣、大蔵大臣、御所見をお伺いできればと存じますので、よろしくお願いいたします。
○保利国務大臣 委員のお話を伺っておって、これは当然起こってくる問題かなという印象を非常に強く受けました。
 この制度は、負担については個人本位ということになっておりまして、それが給付のときに、家族を中心にした給付になっていくのか個人かという問題だろうと思います。そこら辺は、今厚生大臣からも御答弁いたしましたとおり、よく研究してみたいということでございますので、私はそこまでの答弁にさせていただきたいと思います。
○宮澤国務大臣 私も、伺っていて、問題の所在があるなということぐらいまでしかわかりませんで、どうやって自分でお答えしていいのかよくわかっておりません。
○石毛委員 大蔵大臣の御責任という意味では、細部に踏み込むような御答弁をいただくというのは、あるいは課題が残されることになるからというような御趣旨もあるのかと思いますけれども、私は、ぜひとも、やはりこれからの社会保障制度のあり方として非常に重要な柱の一つだと思いますので、所管が厚生省であるからというそのことだけではなくて、政府総体として取り組んでいただくべき重要な課題であるということを申し上げさせていただきたいと思います。
 それではもう一点、時間がほとんどなくなってしまいましたけれども、厚生大臣にお尋ねいたします。
 国保連の苦情処理をめぐってでございますけれども、実は、この苦情処理ですとか、あるいは、似ていて、どこからどこが違うのかというのが余りよくわからないようなことで、地域権利擁護ですとか、今厚生行政の中で、制度が新しく動くということも絡まりまして、苦情処理、地域権利擁護、いろいろと取りざたされております。
 例えば、国保連の苦情処理、それからもう片方で、厚生行政の中で実施されることになるんだと思いますが、都道府県社協が行います権利擁護にかかわって運営適正化委員会、この違いあたりはどんなふうに利用者の方は受けとめたらよろしいのでしょうか。
○丹羽国務大臣 介護サービスについての苦情の申し出については、市町村で広く当然のことながら受け付けなければならないわけでございますが、国保連におきましては、市町村域を超えるものであるとか、あるいは市町村で取り扱うことがより難しいものなどについて、調査をしたり、あるいは改善指導を行うというような役割ではないか、こう考えております。
 それから、今、もう一つの、各都道府県の社協の運営適正化委員会と国保連との関係でございますけれども、介護保険の対象サービスは国保連で対応することが基本でございまして、要するに、利用者が社会福祉全般、いろいろございますね、それ以外の問題、いわゆる障害者の問題であるとかこういうような問題全般に対するものについては都道府県の運営適正化委員会で処理する、このように御理解を賜れば幸いです。
○石毛委員 一言申し上げたいのですが、大臣は、介護保険は当然のことながら、苦情処理は市町村で受けとめられるでしょうけれども、それを超える部分等々というふうにおっしゃられましたけれども、介護保険で市町村が苦情処理を受け付けなければならないという義務規定はございませんので、当然のことながらというのは、私は少しフィットしないのではないかと思いましたということを申し上げたいと思います。
 利用者の方は、介護保険のサービスなのか、そうじゃないほかのサービスで適正化委員会に行くのかというのは、よくわからない場合があると思うんですね。その場合に、たらい回しにならないようにきちっと責任を持って橋渡しをするというようなところもきちっとされていかれるんですね。確認をさせていただきたいと思います。
○丹羽国務大臣 委員御指摘のように、介護保険はあくまでも市町村によって運営されている、こういう観点で、法律に明記しているから、いないからということでなくて、それ以前の問題として、市町村が主体的に運営するものについて、そういったものについて責任を持つのは当たり前のことである、こういうふうな考え方からこう申し上げたわけでございます。
○石毛委員 それは、私が大臣に、当然のことながらということについて申し上げたことに今御答弁いただいたのだと思います。
 国保連がまず最初に介護保険の苦情処理を受けて、そこで事柄が完結すればよろしいかと思いますけれども、都道府県の運営適正化委員会等々の違うような窓口といいましょうか機関に行った場合に、それが介護保険の問題であるということになれば、当然市町村の介護保険担当の窓口ですとか、あるいは場合によっては国保連の方の窓口といいましょうか、そこにきちっとつなげていくということは、きちっと運営されるのでしょうか。今まで福祉というのは、役所に行って、いろいろな窓口をめぐりめぐって最後にだめだったというような、たらい回しというのがずっと問題になってきていたわけですから、それと同じようなことが起こっては困るという意味で、確認させていただきます。
○丹羽国務大臣 市町村と国保連が連携をして苦情処理をすることは、ごく当たり前のことであり、当然であります。強力に指導していきたいと思います。
○石毛委員 大臣、きちっと受けとめていただいていないのだと思います。介護保険に関連して苦情処理の窓口を設けつつあるのが市町村であり、市町村が設けていない場合には国保連に直接申し出てもいいしというふうに介護保険で一本あるのと、それから、介護保険ではない障害者サービス等々で地域権利擁護ですとか、それに絡んで都道府県社協が、適正運営委員会でしょうか、そういうのをつくるという。
 だから、苦情処理、権利擁護に関しまして、地域から見れば幾つかの機関が出てくるわけですから、利用者から見れば、それが、すぐこれが何だと判断できる、判別できるわけではないですから、たらい回しにならないようにきちっとシステムを運営する手だては確認していただけるのでしょうかという、その問いをさせていただいたのでありまして、大臣は介護保険についての御答弁だけいただきましたけれども、私は、当然のことだと思いますので。
 ちょっと時間が参りましたから、終わらせていただきたいと思います。
○町村委員長代理 これにて石毛君の質疑は終了いたしました。
 次に、五島正規君。
○五島委員 前回に引き続きまして、医療保険問題から質問をさせていただきたいと思います。
 前回も指摘させていただいたわけですが、平成八年度に健保組合は十万人減りました。政管健保はその年三十万人ふえました。平成九年には、健保組合は二十万人、これは旧三共済の参入を除きまして二十万人が減りました。そして政管健保には二十万人ふえました。ところが、平成十年には、健保組合は五十万減りました。そして政管健保も五十万人減りました。
 こうした状況は、実は、健保の世界だけではなくて、厚生年金の世界においても同じような状況が生まれてきています。厚生年金におきましても、平成九年で平成八年と比べまして九千人、厚生年金の加入者は減りました。ところが、平成十年には五十万四千人、厚生年金の加入者が減りました。平成十年になりまして、社会保険、年金関係の被用者関係の保険から非常に大量に減っている、そして、それが国保等へ流れているということが明らかでございます。
 こうした変化というものは、一つは、高齢化という問題が幾らか入っているのは事実です。それからもう一つは、景気の低迷により失業者がふえてこのような状況になったということもあるでしょう。もう一つは、従来も指摘されてきたわけですが、被用者そのものが、企業の経営が厳しい中で被用者医療保険から国保の方に移行するというふうなことが行われている。すなわち、もう事業主が被用者の保険料を負担できない、あるいは厚生年金の負担ができない、だから国保、国民年金の方に移してくれということで移っているというのがかなり入っているのではないかというふうにも考えるわけでございます。
 雇用の多様化によってパート労働がふえたとか、そういうふうな説明がされているわけですが、この急激な変化、何が原因であるというふうにお考えになっているのか、厚生大臣にまずお伺いしたいと思います。
○丹羽国務大臣 五島委員御指摘のように、最近の経済情勢等を踏まえまして、被用者保険が大幅に減少いたしまして、その分、国保に加入者がふえておるということは紛れもない事実でございます。
 これは、一つは、当然のことながら、今御指摘のような高齢化に進む問題、それから景気の低迷などによる失業者の増大、そういうような観点から、若年、現役世代についても増加をいたしておるような次第でございます。また、パート労働の増加など雇用形態の多様化に伴います課題、こういうような問題も現実問題として起きているのではないか、このように考えているような次第でございます。
○五島委員 そうしますと、厚生大臣は、本来なら政管健保に加入していなければならない労働者が、中小企業の企業経営の悪化の中で、雇用労働者としての立場はそのままでありながら、社会保険だけが国保、国民年金に移っているというふうな状況については、それはあり得ないというふうにお考えでしょうか。
○丹羽国務大臣 医療保険だけについてそういう事実が起きているかという御質問でございますか。
 それは、当然のことながら、そのほかの保険ということはどういうようなことを指すのかわかりませんけれども、少なくとも医療保険の中においてそのような変動が起きているということは紛れもない事実でございます。
○五島委員 ちょっと厚生大臣、このあたり誤解しておられるかもわかりませんので、労働大臣の方にもお伺いしたいと思います。
 本来、被用者として、事業主が一定の雇用を持っていて、政管健保なら政管健保に加入している、その雇用形態がそのままであって、そして事業主の経営もあり、すなわち、いわゆる健康保険についても厚生年金についても、これを事業主が負担することが困難であるということで、労働者に対して国民年金あるいは国民保険に加入を求めていくということは、これは違法な行為だろうと思っています。そうじゃないですか。そういうふうなことはあり得るというふうに厚生大臣はお考えなんでしょうか。もう一度、そこのところをお伺いしたいと思います。
 そして、あわせて労働大臣の方にもこの点について。失業者の増加というのはありますが、一挙に合計百万もという異動というのは大き過ぎます。としますと、労働者の基本的な保護に関する年金とか医療保険の部分において、被用者でありながら国民年金、国保の方に移されているということは、それだけ労働者のそういう保障といいますか保護が非常に危うい状態になっているということになるかと思いますが、その点について労働大臣はどのようにお考えなのか、お伺いしたいと思います。
○牧野国務大臣 御指摘のとおり、景気の低迷などによって失業者が非常にふえてきております。具体的には、常用雇用が平成十一年度は前年に比べて六十万人減っている、片方、パートなどの臨時、日雇いについては二十二万人の増加、こういう状況になっております。
 したがって、どうなんだろうかということでありますが、このパート労働者の増加など雇用形態の多様化につきましては、基本的には労働者と企業の双方のニーズが現実的には反映している、こういうように考えなければなりません。
 そこで、この加入者の問題でありますが、現在、雇用保険等は実は収入の制限等がございまして、雇用保険の対象にならないというようなことになりますと、やはりみずからの立場の強化ということでこのような現象が出てきているのではないか、こう考えております。
○五島委員 これまで、医療保険制度の改革といいますと、老人保健制度あるいは老人拠出制の問題について議論されてまいりました。先送り、先送りで結論は出ていないわけですが、ここのところが大きな問題として認識されてきました。
 この問題が非常に大きな問題であることは事実でございます。しかしながら、現在のような雇用状況の中において、今労働大臣がお話しになりましたように、五十万の常用労働者が職を失った、そして二十万のパート労働者がふえてきた、さらに、残り五十万の労働者が医療保険、いわゆる健康保険から国保に移っている、こういう状況ですね。
 こうした状況の中において、言うまでもなく、被用者保険は事業主が二分の一の保険料の負担をしている。国保については、事業主がないかわりに公費が五〇%の負担をしている。こういうふうな状況をそのままにして、これから先、議論されております安定的な年金の給付、さらには、当面の問題として医療保険の抜本的改革、こうした問題が解決つくんだろうか。
 先日もお伺いしたわけですが、いわゆる地域保険としての国保、そして被用者保険としての健康保険、それぞれが公費の投入も違う。投入が違う理由はわかっていますから、なぜ違うかという理由について説明を受けるつもりはありませんが、違う。そして、保険料の徴収の仕方も違う。ここのところをどうするのか。パート労働者については、国保に加入させて被用者保険の中に入れないということが本当に企業の経営競争においても公平なのかどうか。そうした問題について、大蔵大臣、どのようにお考えでしょうか。
○丹羽国務大臣 先ほどから委員御指摘のように、常用労働者の労働日数であるとかあるいは労働時間の四分の三以上のある者については被用者保険、こういうことでございますけれども、その被用者保険の適用漏れが多いと指摘されているという問題については、大変私どもも深刻に受けとめております。
 そういう中で、労働者の派遣を行う事業所であるとか、あるいは高齢被用者が多い事業所などに対しまして、事業所調査におきまして、被用者資格取得につきましての届け出状況の調査であるとか、指導であるとかいうものを今まで行ってきておりますけれども、今後とも、これらの問題について、社会保険の適用が適当に行われるように努力していきたい、このようなことでございます。
○五島委員 厚生大臣、今のようなお答えなんですが、実はこれは、財源的に考えますと、社会保障にかかわる運用費用というのは非常に大きいものでございます。年金の給付がトータル約三十二兆円ぐらい、そして医療保険の給付がトータル二十八兆円ぐらい、さらには福祉関係の予算というものを計算しますと、約六十五兆円のお金がここで動いていく。それに比べますと、八十五兆円の今回の予算の中において、社会保障費を除きますと一般事業費というのは五十六兆円、むしろ社会保障給付のお金の方が大きい。
 それだけに、そこのところが、負担と給付、どのように運営していくかということは、非常に国民の直接の安心と懐ぐあいに関係する問題。そういう意味においてこうした問題をどう解決するのかということについて、内閣としてぜひ御意見をちょうだいしたいと思うわけですが、この点について、大蔵大臣、いかがでしょうか。
○宮澤国務大臣 その点は、別の面で、将来の財政改革を当委員会でも何度も御議論になっていらっしゃいますが、その際、将来を展望してどうしても一つしなければならないことは、福祉とか医療とか年金とか介護とかいっております、そういう社会保障全体について、大きな意味で給付の水準と国民の負担の水準とをどの辺に置くのか。非常に高いものなのか、中くらいなものなのか。ありたい将来と、それからこうである以外に仕方がない近未来とが恐らくあるんだろうと思いますが、それがありませんと、実は財政の再建ということも、その一番大事な部分が決まらないということになりますので、その立場からも、今の問題は各党の間におかれて、あるいは国会におかれて、もう時間も余りありませんので、国民のコンセンサスをおつくりいただきたいということを切に願っておるものでございます。
○五島委員 この問題、きょう議論しても解決しないと思いますが、いずれにいたしましても、老人医療費の問題の解決すら先送り、しかし、その背景には、医療保険制度そのもの、皆保険制度を維持するという、そうした前提に立つならば、より広く見直しをやっていかないと大変不公平な状況が広がっていくということを御指摘申し上げまして、次の問題に行きたいと思います。
 診療報酬改定の問題、これも前回質問したわけでございますが、もう一度、今回改めて質問したいと思います。
 診療報酬改定の際に、給付の見直しというのは常にございます。今回でございますと、診療報酬、医療保険給付の中から約二千六百六十五億円が自己負担として、いわゆる本人の負担ということになってまいります。この二千六百六十五億円のお金というのは、保険の給付が減額して個人負担がふえるのか、保険の給付がそこのところで減額した分を診療報酬の財源に充てるのか。ここのところは、過去の例を見ましても、その時々によってばらばらでございます。
 保険給付の見直しということですから、この二千六百六十五億円というのは、医療保険から給付される部分は本人に置きかわります。置きかわったこの金額は、診療報酬の改定財源として厚生省はお考えなのか、この部分は医療費が減額するものとして、保険給付額が減るものとしてお考えなのか、明確にお答えいただきたいと思います。
○丹羽国務大臣 診療報酬の改定財源の問題と制度による問題とは別次元のものと考えております。
○五島委員 ということは、もう一度改めてお伺いします。
 今回、従来保険給付されてきた部分の中から自己負担として生じましたその金額は、今回の診療報酬の財源にはならないというふうに言っていいわけですね。
○丹羽国務大臣 性格が異なるものと考えております。
○五島委員 性格が異なるという言い方には非常に不安がございまして、結果としてこれが診療報酬財源として使われるのではないかというふうに思われるわけです。
 その場合に、恐らく厚生省が唯一ここの数字をごまかそうと思えばごまかせるのが、老人薬剤の一部負担。これが公費で二千二百億あった。これは公費だと言うけれども、特例出資である、本来は自己負担である、だから、それを解消することによって、実は個人負担の増減はそんなに大きくないんだ。それを診療報酬の中で、すなわち保険給付の中で給付するから、だからそうはならないのだという御主張を恐らく用意しておられるのではないかと思われるわけでございますが、これは改めて申し上げておきます。
 前回にも質問申し上げました。きょうも労働政務次官、おいでになるんですが、あの当時、大変汗をかかれていたのを覚えております。基本的にこれは、薬剤が多剤投与されたり、薬剤依存の医療が非常に進んできている。そういうふうなものをどのように歯どめするか、薬価の抜本改革に至るまでの過渡的な措置として導入されたのがこの横出しでした。その抑制効果はそれなりにあったということを厚生省は認めておられるけれども、余りにも煩雑であるということで解消された。
 そして、今回別の方法で、高額医療費の関係の中における薬剤の自己負担の、何か妙な計算で、非常にややこしい方法を導入された。しかし、これは薬剤依存の医療を抑制するものではなくて、やはりこれは、あくまでも廃止する以上は別の薬価制度の導入によって解消しなければいけない部分、それを解消できないままに廃止したのであって、これは自己負担の減額であるということにはならないということを指摘しておきたいと思います。
 それからもう一つ、この診療報酬の改定の中で、高額医療費につきまして二段階に今回導入されています。所得によって高額医療費は二段階になる。例えば、健康保険の本人患者の場合、五十六万ですか、標準月額五十六万を超える者と超えない者という形で分かれることになっています。標準月額というのは、もう私がここでしゃべるまでもなく、税引き前の月給プラス交通費や住宅費といった諸手当あるいは残業手当というものが全部反映されるものでございますから、標準月額五十六万の労働者というのは、恐らく手取りに直したら四十数万円というのが一般的でございましょう。そうした保険者からは、もし医療にかかった場合、高額医療費として、十二万何千円かの高額医療費プラス一定の計算式で出てくるいわゆるその医療費の一%というふうなものが取られる、そして、それ以下の加入者からは従来どおり六万三千幾らの高額医療費を取っていくという二段階になっています。
 ところで、医療保険制度というのは、先ほどの石毛委員の話とは若干違うわけでございますが、いわゆる応益という概念で医療保険制度はできているわけではありません。したがいまして、医療保険の基本的な形態は、その能力に応じて、すなわち所得に応じて保険料を負担し、そして必要な医療については所得に関係なしに給付するというところに原則はあったと思います。
 そういう観点からいうと、より高額な医療保険料を負担する方々から、もし治療が発生したとき、より高額の自己負担を取っていくということは、医療保険というものの原理から考えていかがなものか。本来からいうならば、高額医療費が適切な水準でないとするならば、高額医療費そのものを一定引き上げる、そしてその中において低所得者に対しては特別の措置をしていくというのが常識だろうと思うわけですね。
 ところが、今回、戦後初めてですが、保険制度初めてですが、こういうふうな、保険料の負担をも所得に応じて取るが、負担についても、高額医療について二段階で分けるという制度を導入されたその理由についてお伺いしたいと思います。
    〔町村委員長代理退席、委員長着席〕
○丹羽国務大臣 先生の御指摘、保険制度のあり方そのものからいうとちょっと矛盾しているのではないか、理論的に、応益負担ということからこれは逸脱するのではないか、こういうような御指摘だと思います。
 確かに、その面をすべて否定できるものでないということも十分に承知いたしております。しかし、その一方で、現在の保険財政というものは大変厳しくなってきておるわけでございます。
 現に、例えばこの限度額の問題につきましても、例えば私の地元にもかつてあったことでございますけれども、五百万円ぐらいのレセプトが四回続けて送られてきた、慌てて補正予算を組んで国保をやった、こういうことがございました。ところが、たまたまそのお宅が大変所得のあるお方で、大変これは町の中でも大きな議論を呼びました。
 大変難しい問題でございますが、これは年金の分野においても同じような措置がとられておるわけでございますけれども、今後、我が国の皆保険制度あるいは皆年金制度、こういうものを維持していくために、堅持していくために、ややこういう側面も、お金のある方、所得のある方についてはある程度負担をしていただかなければならない。また、医療につきましても、例えば十万円で終わった方、あるいは百万円、二百万円、一千万円で終わった方、この方につきましては一定の御負担をお願いする、こういうような発想からこのような措置を講じたところでございます。
○五島委員 一千万円の所得のある方でございますと、少なくても健康保険の制度においてはそれに相当して、それから国保の場合も、非常に所得の低い人に公費負担がたくさん行くような仕組みになっておりますから、非常に多額の保険料を御本人が医療を必要としていないときであっても負担をしているわけですね。そういう意味においては、まさに応能によって保険を支えているのは事実でございます。
 高額医療というのは、そこにおいて医療の需要が発生したときに一時的に支払うお金の問題についてでございます。ここのところがなぜ二段階に分かれるのかという問題でございまして、保険料は今回も、結果的には介護保険を別枠にするという形でもってその部分が引き下がるかどうか、引き下がらないということになると保険料は上がっていくわけです。これは、所得の高い人ほどより多く負担していくわけです。その問題については、そういう仕組みなんだということで、私と大臣との間に意見の違いはない。問題は、その給付をする段階において二段階にするのかどうか。
 今おっしゃったように、保険料をこれ以上引き上げないためには、そういう自己負担一割というふうに老人に入れ、本人二割と入れておきながら、それでも医療費はきつい。その理由が、高額負担、高額医療費という限度額の設定にあるということであれば、その限度額を動かして調整するというのが筋でしょう。
 ところが、限度額を動かさずにそこに二段階を入れて、そして、そのことによって保険の原理を非常にあいまいにしながら、国民に対してはあたかも余り従来と変わらないかのような装いをするというのは、私は、これは非常にインチキな方法だろうというふうに思うわけです。低所得者に対する特別の措置というものは当然あり得るとしても、こういうふうな保険制度の手直しというのは、保険制度そのものの本質をおかしくするのではないかというふうに思います。
 加えまして、一%の上限枠なしの問題がございますが、これも一定の条件における医療の中においてまさに応益と言われる部分というのは何なのかということを検討して、そして、応益と呼べる部分について一%の付加を入れることについては理解できますが、病気にかかって、その病気を治すことが応益と言えるのかどうか。そういう点から見ると、一律に一%の上乗せというのは極めて理解しにくい。
 これについて、再度厚生大臣の御意見をお伺いしたいと思います。
○丹羽国務大臣 今、五島委員の方から低所得者の話が出ました。これにつきましても、御案内のように、一般の限度額六万三千六百円よりも、その限度額については据え置くという状態をとっております。これは一つの政策的判断であります。
 それと同時に、やはり皆保険制度を維持していくための、また、むだな医療と申しますか、所得のある方には、応益負担からやや修正した形になるかもしれませんけれども、それぞれ負担をしていただく。それから、それ以上について医療費の一%というのは、あくまでも政策的な判断と考えております。
○五島委員 私は、こういうのは政策と言わずに、何となく児童手当と同じような、竹に木を接ぐような種類ではないかと思います。
 時間がありませんので、次の問題へ行きたいと思いますが、医療法の改定問題も用意されているわけでございますが、その中で大きな問題は二つほどあるかと思います。一つは、看護婦の配置基準の見直しの問題でございます。
 二百床以下の病院においては五年間の猶予期間を設けるというふうな意見が出てきているというふうにも聞いておりますが、三対一の看護基準がいいか悪いかは別として、厚生省が三対一の看護基準というふうにお出しになりました。現在、二百床以上の病院で三対一の看護基準に足りない医療機関は幾つあるのか、二百床未満の病院で三対一の看護婦の配置基準のできていない医療機関は幾らあるのかをお教えいただきたいと思います。
○丹羽国務大臣 平成九年のデータでございますが、一般病棟を持つ病院が全国には七千四カ所ございます。そのうち、患者三人に対し看護婦一人の病床の看護配置基準を現在満たしておらない病院は九百八十九でございます。それから、九百八十九病院のうち二百床以上の病院は、四%に相当する三十七病院でございます。
○五島委員 この九百八十九の病院が三対一の看護基準を満たしていない。今回の措置で、二百床以上の病院にこれを限ったとした場合、それによって改善される病院はわずかに三十七病院であるということでございますね。
 しかし、二百床以下の病院においては、依然としてそういう看護の手の非常に不足な状況のままでやっていくのか。もちろん、医福審等においても指摘されておりますように、僻地、離島というところの特殊な状況の中において看護婦の配置が極めて困難だというところに対する特別な対応というのは必要かもわかりません。しかし、その数はそれほど多くございませんね。多くの場合は従来どおりのままで、二百床以下の病院に集中している看護力の弱い病院を少なくても向こう五年間は温存しようということなのかどうか。その辺についてどうお考えか、お伺いしたいと思います。
○丹羽国務大臣 温存しようということではなくて、五年以内に都道府県を通じて四対一の看護基準を三対一に強力に指導していく、こういうことでございます。
○五島委員 この問題に対しましては病院関係の団体は賛成しましたね。全日病も日本病院会も三対一にすることに対して賛成していた。そういう病院関係団体からの賛成がありながら、これを五年間も先送りするということの理由についてはわからない。
 加えまして、今回の医療法の改正の中で、いわゆる一般病院についても、これは医療審議会で議論されました。すなわち、一般病床というものの定義をどうするかということで、A案とB案とあった。
 A案というのは、「精神病床、感染症病床、結核病床及び療養病床以外の病床であって、主として治療を必要とする患者を入院させるための病床を一般病床とする。」これがA案でした。B案は、精神病床以下、療養病床以外の病床を一般病床とするということで、「主として治療を必要とする患者を入院させるための病床を」という文言を除いた定義になっています。そして、この「主として治療を必要とする患者を入院させる」という、その文言を除いた定義になったと聞いています。
 言いかえれば、ここのところを除くとすると、一般病床は、療養型病床との違いはどうなのか。少なくても治療と療養ということで分けたはずでございます、制度的に出てきた。ところが、それはもうやらない。そして、暫定措置という形で五年間も延期するということになりますと、療養型病床、医療及び療養型あるいは介護療養型等々を議論し、実施してきておりながら、現実には、これまでどおりの療養環境の中で、いわゆる長期の社会的入院患者を抱えていっても構いませんよという制度に、この医療法の改正はなるんじゃないか。その点についてはどうお考えでしょうか。
○丹羽国務大臣 まず、御案内のように、これまでは、結核、精神などの病床を除いた病床はいわゆるその他の病床、こういうことになっておりましたが、病床面積、一般病床の場合、四・三平米であったのを、今度はもっと療養環境をよくしようじゃないかということがありまして、六平米まで広げていった、こういうような面もあることも、先生十分御承知のことと思います。
 それとともに、療養病床と、看護婦を置いて厚くした一般病床、こういうふうに移行したわけでございまして、いずれにいたしましても、五十年ぶりにこの配置基準について手をつけさせていただいたということでございます。私どもといたしましては、与党の御理解をいただきながら今国会に提出をして、国民の期待にこたえたい、こう考えているような次第であります。
○五島委員 結局、病床の面積の拡大についても、新築あるいは大規模な改築に際してということになっているわけですから、現状における状態が変わるわけではございません。
 そういう意味におきまして、再度、看護基準の問題に戻りますが、これは現在、全国にある病院の中で、七千数百ある中でわずか三十七病院しかすぐには改善できないんだ、残りは五年間は現状のままでいけるんだというふうなことで、果たしていいのだろうか。では、それらの病院はどうしようもないのか。そうじゃないはずですね。もし、四対一の看護婦の基準があり、そして百床なら百床で運営しておられる。三対一にするために職員をふやしていただくか、職員をふやすことが不可能である場合はベッドを減らしてもらえば、その病院が廃院にならなければいけないという問題ではございません。
 ある意味においては、厚生省としても、きちっとしたそういう基本的認識のもとで、恐らく二・五対一という多くの意見を三対一という形で提案された以上は、この提案が、ある団体から値切られればそのままということであっていいのかどうか。決して九百五十の病院はつぶれなさいよというふうに言うわけではないわけですね、その病院の中の努力においてそれはクリアできるわけですから。そこのところをなぜ五年間延期してやろうとしているのかわからない、わからないというよりも、まあわかっている面はあります。
 昨今、多くの医療や福祉の審議会というものは行政改革の一環で整理がされたわけでございますが、しかし、依然として各種の審議会が利害関係団体の利害の調整の場になっている。これはこの間も御指摘しました。そして、その利害調整がつかない。利害調整がつかないときに、その一部の団体と政党が政治的取引をして、そして決着をつけていくということになりますと、こうした審議会の存在そのものが問題になってくると思います。
 そういう意味において、例えば先ほど申し上げました、消費者としての患者さんの立場からいえば、自己負担が増加する、増加するなら保険給付を減らして保険料の引き上げを抑えてくれ、当たり前だと思います。
 ところが、今の審議会は、支払い側と医療提供側、そしてレフェリー役としての学識経験者しか入っていない。もう消費者の立場は入っていないわけですが、こうした審議会のあり方というものを基本的に見直すのか、それとも、利害の調整がこの場においてどうしてもつかないということであれば、この審議会の場というものを利用することをやめるべきか、どちらかだと思うんですが、大臣はこの問題についてどのようにお考えか、お伺いしたいと思います。
○丹羽国務大臣 医療の改革に当たりましては、現場で実際に携わっている医療機関の皆さん方の代表であるとかあるいは医療の保険者の方々など、さまざまな方々の御理解を得ることなくして現実的に進めていけないことは、医師出身である五島先生もよく御承知のことと存じます。
 このため、私は、医療臨調ですか、というのが社会保障制度審議会の中で提案されましたことは十分承知いたしておりますけれども、私どもといたしましては、やはり、国民の皆さん方、関係者の皆さん方の理解を得ながら一歩一歩着実に進めていくことが大事であり、何よりも、いろいろな問題点はあるわけでございますけれども、我が国の医療というのは世界に冠たる皆保険制度でございますし、平均寿命が世界の中でナンバーワンということに象徴されますように、大筋において良質な医療が行われ、国民の支持が得られている、こういう確信のもとで、今後ともできることから一歩一歩進めていきたい、このように考えているような次第であります。
○五島委員 制度審を初めとして各種審議会の会長談話なりメモというものが御不満ばかりを書いておられるという状況から考えても、この間の自民党さんを中心とした皆さん方の政治決着のつけ方というのは、国民から見た場合に非常に奇異なものに映っている。
 私も医師出身でございますし、その立場からの意見というのはいろいろあるわけでございますが、やはり医療というものに対して国民から信頼される、そして、医療の行為というもの、あるいはそれを支えるところの国民皆保険制度というものに対して、国民から疑念を持たれるような形でこの制度をいじくるべきではないというふうに考えています。そういう意味からいいますと、今回は極めて乱暴なやり方がまかり通っているということを御指摘申し上げざるを得ないと思います。
 最後、時間がございませんので問題を変えます。ジェー・シー・オーの事故についてお伺いしたいと思います。
 まず労働省にお伺いしたいと思いますが、労働省は、原子力発電等の関連事業所に対して、これまで労働安全衛生の面においてどのような指導あるいはマニュアル等をおつくりになってこられたのか、お伺いしたいと思います。
○牧野国務大臣 核燃料物質を取り扱う事業場において放射線業務に従事する労働者、これはもう下請その他は関係ございません、すべての労働者については、従来から労働安全衛生法によりまして、まず一つ、企業内の安全管理者、衛生管理者等の安全衛生管理体制を整備すること、二番目、労働者に対する安全衛生教育の実施、三番目、労働者の被曝線量の測定などによる被曝管理の実施、四番目、作業環境中の放射線量の測定、五番目、健康診断の実施及びその結果に基づく事後措置等の、これらの措置を講ずることを事業者に対し義務づけております。
 これらの措置の徹底を図るため、労働省内部におきまして、各地の労働基準局の局長に対しまして、どういう形で監督指導、教育をするか、そういう意味からマニュアルをつくりまして、指導監督を行ってきたところでございます。
 これらの措置に加えて、今回の事故を踏まえまして、原子力施設に対し、従前は一年に一回ぐらいしか実は現場の監督をしなかったわけですが、これからは四半期ごとに監督指導の実施、あるいは都道府県労働基準局及び労働基準監督署による合同監督の実施をすることにいたしました。
 と申しますのは、やはり立入検査をいたしますと、そこで働いておられる方々がある程度の緊張感を持っていただく、これは非常に大切なことでございますので、そのような措置をとることにいたしました。
○五島委員 今大臣おっしゃったようなマニュアルをもってやっておられる、そして事故後は四半期に一回の調査をされるということになったということですが、このジェー・シー・オーに対しては、事故の発生前においてはどのような頻度で立入調査、あるいは今大臣お示しになった手順に沿うて安全衛生面の管理がされているとするならば、あのような作業の状況の中においてはかなりチェックができたはずでございますね。そうしたことについてはどのような報告を受けておられたのか、お伺いしたいと思います。
○牧野国務大臣 今回の東海村の事故につきましては、本当に作業規定がちゃんとあったわけですが、それをみずから変えてしまった、実は私どもの想像できなかった事故でございます。現実に二回検査に入りましたが、先ほども申しましたようなマニュアルも十二分に駆使しまして、しかしそのときには、実は法律違反という事項は全くなかったわけでございます。
 そこで、私どもとしましては、今後ああいうことはもう絶対ないようにということで、原子力発電所等における放射線作業にかかる線量低減マニュアルというものもつくりまして、これからさらに厳密に指導監督をやっていきたい、こう考えております。
○五島委員 私も作業現場を巡視するということは何回もしたことがあるわけですが、往々にして、作業効率を追求する余りにそこの作業手順として公に示されているものとは違った形で、非常に安全軽視の状態において作業効率を上げる、そういう作業がされているという例は、この原子力関係に限らずによく見られるところです。
 それだけに、実態として行われている作業はどうなのかということを、基準監督署が入ったときに専門家の目できちっと見てもらわないといけない。そこの会社に備えつけられてある作業手順を見て、それが労働省のマニュアルに、指針に合っているかどうかというチェックをするだけであれば、これは現場チェックになりません。
 そういう意味において、これ以上労働省に申しませんが、とりわけこういう重大な事故が起こったということを踏まえて、現場の中で作業効率を上げるために勝手な手順の変更その他が行われていないかどうかというところをきちっとチェックをしてもらいたいというふうに思います。
 続きまして、事故の発生時でございます。
 こうした原子力発電関係の作業所に対して、事故が発生したとき、その事故に対応する体制というのはどの企業でもとらせてあるはずでございます。企業内ですよ、事業所内で。その事業所内において事故発生時にはだれがどういうふうな対応をとるかということについて、それぞれの企業の中にそうした対策の一つの組織が構築されているはずでございます。
 そうした緊急時の事態に対応する職員の安全対策、そうしたものはあるのかどうか、また、そうした職員が利用すべき装備類等についての指針というものを労働省はお持ちなのかどうか、お伺いしたいと思います。
○牧野国務大臣 この点につきましては、実は原子炉等規制法で設備の面から一つの保安規定をつくらせております。私の方は、その保安規定をベースにいたしまして、作業規定をきちっとつくることを義務づけさせていただいております。
 その中で、今、事故が起きた場合にどういう対処をするかという点につきましても、下請も全部含めまして作業協議会というのをつくらせていただきまして、その中でどのような対応をするかという規定をつくらせていただいております。
 それが遵守されているかどうか、特にそれは訓練その他の場所を通じまして、事故が起きたら大変でありますから、起きたときにはどういう手はずでどういうことをするかということをきちっと決めさせていただいて、直ちに対処できるように措置いたしております。
○五島委員 事故発生時の、災害発生時の対応策というものをどうするかというのは労働省の所管外であるということは、そのとおりだと思います。にもかかわらず、そこでもし事故が発生した場合、その災害対策の業務に従事するのはそこの労働者です。したがって、たとえどのようなマニュアルが別個の法体系のもとでつくられておろうとも、そこで従事する労働者の安全対策面からの点検というのは、これは当然労働行政としてチェックされなければいけないことだというふうに思いますし、そしてその際に必要な装備等についても、労働省としては当然、指針その他において出しておくべきだというふうに思います。
 今回の事故に関しまして、三人の被曝者がその現場において発生したということで、いわゆる消防救急隊が出動を要請されました。そして救出活動を行ったわけでございます。
 これは自治大臣にお伺いします。
 もちろん、消防救急隊員がそのような要請を受けたときに救急態勢に入ったのは当然だと思うわけでございますが、こうした原子力産業関係を管内に持つ消防署において、もしそういう放射線関係の大規模な事故が起こった場合に、消防士がとるべきあるいは注意すべき、そういうマニュアル、あるいはそこで救急活動に当たる者が被曝から避けられる装備、防具、そうしたものは配置されているのでしょうか。
 もっとも、今回の場合は、まさに臨界爆発でございますから、中性子ですね。中性子になりますと、鉛の服を着ても通りますので、では、物理的、現実的にこれを確実に避けるような防着はあるのかという問題がございます。しかしながら、一般論として、そういう放射性物質による事故が起こった場合、そこに駆けつけるべき消防士にとっての防着、そういうふうなものはどうなっているのか、お伺いしたいと思います。
○保利国務大臣 原子力災害時、この間のジェー・シー・オーの場合もそうでございますけれども、第一報は消防関係に入ってくるわけでありまして、前回のときもそのとおりであります。
 そこで、消防関係につきましては、原子力の施設所在及び周辺の消防本部において、放射線関係の防護資材については整備を既にかなりいたしております。
 状況を申し上げますならば、放射線防護服を九百五十三着、それから放射線の測定器を九十三個、それから個人線量計を千三百七十二個、これは原子力施設所在消防本部の二十のところに配置をしてございます。
 なお、平成十一年度の第二次補正予算におきましても、これを補強するような措置は講じておるわけでございます。
 そういうようなことでございまして、安全対策をとりながら、こうした問題について、常に、備えあれば憂いなしという形で整備をして進めていきたいと思っております。
○五島委員 消防本部にこれだけの測定器や防具があるということですが、では、現実問題、ジェー・シー・オーで事故が起こった場合こうした装具はお使いになったのですか。
○保利国務大臣 これは、非常に大きな教訓を残した問題でありますが、結論から申して、このときは防護服を着ていっておりません。消防隊員三人が若干の被曝をいたしております。しかし、いろいろ調査の結果、水戸国立病院で、血液検査あるいは白血球、リンパ球とも異常はないという結果が、幸いにして出ております。
 第一報をもらったときに、ジェー・シー・オーからの連絡だと思いますけれども、放射線の量は大したことはないということもありまして、とにかく被曝者を早く救い出すということが必要であったために、緊急の処置としてそういう形になったものだと思います。
○五島委員 当日は防護服等を利用していないということです。大臣、一々立っていただかなくて、うなずいていただけばいいのですが、利用していても、防具していても、臨界反応における中性子被曝であれば効果はないですよね。中性子を遮断できるというのは、水とか、ごく限られた、そういうふうな自由度の高い分子によってしか遮断できませんから、鉛でかぶろうが何しようが無理ですよね。そうだとしますと、これは効果がなかったわけです。
 この消防士の方々が、このときにどういう情報を認識されて入ってこられたのか。臨界反応が起こった後であることは明らかなんですね、あそこで青い光が上がり中性子が大量に出てきている中で、倒れた被害者を救済に行っているわけですから。したがって、そこで被曝量がどうであったのかというのは、そこではわかっていない。消防士の方もわからないままに入ったというのは、経過としては事実だろう。
 もし臨界爆発が起こっているということがわかった場合は、では、消防士はそこに救援に入ることは禁止されるんですか。その場合は、だれの判断においてその救援活動をするかしないかを決めるんでしょうか。
○斉藤政務次官 今回の事故の場合、臨界反応のおそれありということで第一報には書いてございましたが、技術的には、臨界反応が最初の段階で終わった、それが継続しているという判断がなかったものですから、消防士の方にあのような被曝という結果をもたらして、大変残念に思っております。
 今後は、中性子が出ている、そのときに消防士を行かせるべきかという判断は、現地に国、県、市町村が一体となりました災害対策本部が設置されます、その災害対策本部におきまして、この中性子線量を勘案し、どこまでの被曝が許されるかということを考慮しながら、その対策本部の責任者が決断をする、そのように新しい原子力災害対策特別措置法で規定をされております。
○五島委員 時間がありませんので終わりますが、今の答弁に対しては極めて問題ありと考えています。
 基本的に、消防士は救命というものが前提である限り、そうした判断をする余地もなくそこに飛び込むのが、消防士としてのある種、まあ職業病なんでしょうね、私ら医者から言わせれば。そういうものです。それによって社会の安全が保たれている。そのことに対していかに、そういうふうな状況に立ち至らないための、あるいはそういう余分な被曝をしないための措置をとるかということの技術開発が必要だということが一点。
 第二点の問題は、被曝量が少なかったと言われるけれども、中性子のような透過性の高い放射線に暴露された場合に、時間がたってはかってみて、それで被曝量が云々というのは、そんなものは全然当てにならない。そういう意味においては、やはりそうした職業上被曝した消防士さんに対しては、これからも継続的に健康の経過観察をしていただくことをお願いして、終わります。
○島村委員長 これにて五島君の質疑は終了いたしました。
 次に、吉井英勝君。
○吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。
 私は、きょうは、二十一世紀に向けてどういうエネルギー政策を進めていくのか、そういう問題について取り上げていきたいというふうに思います。
 最初に、何といっても、今日原子力問題を考えるときには、今も出ておりましたが、昨年のジェー・シー・オーの事故ということがありますので、科学技術庁長官に先に伺っておきたいと思います。
 昨年九月三十日のジェー・シー・オー臨界事故の直後に、当時の官房長官は記者会見で、原子力の安全神話が壊れることがあってはならないと言ったわけですが、しかし、原子力安全委員会のウラン加工工場臨界事故調査委員会の報告書の中では、安全神話という標語は捨て去らなければならないという指摘がなされました。
 そこで、大臣、原子力や原発は危険なもの、危険性を持ったものという立場で原子力行政の運営に当たっていくということが必要だと思うんですが、この立場に立たれますね。
○中曽根国務大臣 いわゆる原子力の安全神話や、それから観念的な絶対安全という言葉は、原子力のリスクを十分に吟味せずに、大きな事故は決して起こり得ない、そういうふうに思い込むようなことを指すものと思いますけれども、私どもといたしましては、決して安全神話に寄りかかって安全対策をおざなりにしてきたわけではなくて、かねてより、原子力のリスクを認識し、これを十分低くすることを目指して、最新の科学的知見に基づいて安全審査を厳正に行うなど、安全確保対策に万全を期してきたところでございます。
 このような努力を今後も積み重ねることは当然のことでありますけれども、事故調査委員会報告におきまして、今委員がおっしゃいましたように、絶対安全からリスクを基準とする安全の評価への意識の転回の重要性が、関係者の間はもとより国民的にも理解される必要があると指摘されましたことを踏まえて、改めてこの趣旨を十分に認識し、安全対策等の抜本的強化に努めてまいりたいと思っております。
 今申し上げましたように、絶対に一〇〇%安全だ、そういうような気持ちで行政を行っていたわけではありません。十分にリスクを認識してやってまいりました。
○吉井委員 そういう言いわけをすると変なことになるわけですよ。現実には安全神話に立っていたから、あのウラン加工工場では事故が起こらないものという立場に立っていたから、先ほどの議論にもあったように、実際には臨界事故のときのバーストはそのときだけだという勝手な判断をしてしまって、それで対応がずっとおくれてしまったわけなんです。
 ですから、私は、それは大臣、もう一遍ちゃんと確認しておきたいと思うのだけれども、この報告書では、安全神話という標語は捨て去らなければならないと。だから、ここは、原子力や原発は危険なものを持っているわけなんです、本来的に。私もその分野におりましたから、絶対に安全だとか神話にとらわれちゃいけないというのが我々の立場なんですが、大臣、やはり原子力行政の運営に当たっては、安全神話というのは捨て去る、この報告書の立場に立って、そういう立場に立たないということ、たった一言でいいのですよ、やはりそこだけはきちっとしておかないと今後の行政のあり方が私はおかしくなると思いますから、この点、一言で結構ですから、もう一度伺っておきます。
○中曽根国務大臣 この事故調査委員会の報告で述べております、今の安全神話という標語は捨てられなければならないということは、これは、行政あるいは現場の工場関係者、それから一般国民の皆さん全体に対しての、私は事故調査委員会からのそういう示唆ではないか、そういうふうに思います。もちろん、直接の当事者である我々は、日ごろからリスクを十分認識して安全に万全に取り組まなければならないのは、当然のことでございます。
○吉井委員 一般論にしないで、行政を運営していく上で、執行していく上で安全神話の立場に立たないということをきちっと確立してやらなきゃならぬということを重ねて申し上げておきたいと思います。
 原発の主流をなしている今日の軽水炉について見てみますと、八九年、福島第二原発三号機事故とか、九一年、美浜原発二号機蒸気発生器細管のギロチン破断事故、それから昨年の原電敦賀二号機の一次冷却水の配管破断事故など、ごく一例を見ただけでも、軽水炉技術そのものが非常に未成熟なものを持っているということが示されております。
 さらに、人形峠とか六ケ所村の濃縮ウラン製造工場の遠心分離機は現在三割が破損してしまって停止した状態、ジェー・シー・オーの高速炉「常陽」のための燃料加工工場の臨界事故、東海村再処理工場と高速増殖炉「もんじゅ」の事故というのは、だから、結局この核燃料サイクルと言われてきたものの、濃縮工程から加工工程から、軽水炉から再処理から、そしてさらに高速増殖炉に至るまで、もちろん高速増殖炉以降の、プルサーマルもそうですが、ダーティープルトニウムの再処理についての技術はないし、最終処分の技術が確立されているわけではない。だから、サイクルのすべての段階で事故を起こし、また行き詰まっているというのが現状ですよ。そのことを示しております。
 その上、「もんじゅ」事故のビデオ改ざん、再処理工場の虚偽報告、原発配管溶接データの偽造、使用済み核燃料輸送容器放射線遮へいデータの改ざん、今回のプルトニウム混合酸化物燃料、MOXデータの偽造、さらには、この燃料には異物混入までなされておった。それから、美浜原発三号機の原子炉建屋の生コンには、加水状態、要するにシャブコンの混入とか、コンクリートの生コンのテストピースのすりかえとか偽造問題。
 だから、この点では、原子炉の安全性が今国民にとってあらゆる部分で保障されていない、信頼性は極めて弱いものになってしまっているというのが示されてきておりますが、この現実に生じた事実が、プルトニウム循環を基本とする政府の原発増設政策の根本が今行き詰まっているということを私は示していると思うのです。
 だから、まずこの行き詰まっているという現実を認めて、そこからこれからのエネルギー政策をどう考えるかというところへ進まなきゃいけないと思うのですが、中曽根大臣、行き詰まっているという現実をまず認めますか。
○中曽根国務大臣 行き詰まっているという言葉が適当かどうかはわかりませんけれども、今委員がおっしゃいましたように、数々の事故やまた事態が発生いたしまして、国民の皆さんの原子力全般に対する信頼が著しく低下しているということは大変事実であります。そういうところから、先般もいろいろな国会における法律の整備等もお願いしたところでございます。
○吉井委員 私は、今の政府の見ていらっしゃる見方と国民との間には非常に乖離が大きくなっていると思います。
 毎日新聞の昨年十一月の世論調査の結果、発表されたものでは、今後の原子力開発について、四一%の方が、他のエネルギー開発を急ぎ、原子力から切りかえるべきだ。二三%の方が、原子力開発を一時ストップし、安全対策を講じるべきである。六%の方が、原子力開発を今のままでストップし、新たな開発はしない。ですから、合わせますと七〇%の国民の皆さんが、開発ストップ、原子力政策の転換をということを今求めているときです。原子力政策を進めよというのは二〇%なんですね。少数意見なんです。
 年末の十二月二十三日の朝日の社説にも出ておりましたが、虚構になった原発二十基増設の旗はおろすべきだとして、政府は、資源のない日本には原子力開発は不可欠として原発増設、核燃料サイクル実現をたった一つの選択肢として追求してきた、広範な議論のためにとるべき道について複数の選択肢を示すべきだ、原子力開発は危険なものであるという共通の認識でこそ根本に立ち返った議論ができると言っておりますが、私は、これは特定のマスコミの考えということだけじゃなしに、さきの毎日の世論調査の国民の声を見ておりましても、やはり原子力の開発は危険なものだという共通の認識の上に立って、根本に立ち返った議論が今本当に大事になっているときだというふうに思うわけです。
 だから、まずその点では、行き詰まっているという現実を認めた上で、政策の転換というものについてまじめに考えていくということが必要だと思いますが、この点についての中曽根大臣のお考えを伺いたいと思います。
○中曽根国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、原子力に対する国民の皆さんの信頼は著しく失墜し、低下しているわけであります。しかし、この原子力の必要性というものについては、もう委員が十分に御承知のとおりでありまして、現在のエネルギー事情等を考えまして、また環境問題等を考えますと、私どもとしては、今後もこの原子力の安全、信頼を回復してこの行政を進めていかなければならない、そういうふうに思っているところでございます。
○吉井委員 本来の質問の流れとはちょっと段取りが狂ってくるのですが、外務大臣は外交日程がおありということで、本当は外務大臣とも、私は国際的にもエネルギー政策について少し議論をしたかったのですが、行っていただくように先に確認の質問だけさせておいてもらいたいと思います。
 ちょっと流れは変わりますが、EU委員会の方で、COP3の前に、九七年十一月に再生可能エネルギーに関する白書というのを出しておりますが、EUにおける再生可能エネルギーの寄与を二〇一〇年に二倍に、一二%にするという数値目標をこの白書の中では示しているのではありませんか。事実関係だけまず、そこだけ確認します。
○河野国務大臣 そのとおりであります。
○吉井委員 もう一点確認しておきたいのは、昨年五月十一日開催のEUエネルギー閣僚理事会で、EU委員会に再生可能エネルギーについて指令案を検討するように、用意するように要請をするということがなされたということが結論文書に示されていると思うのですが、この点についても確認だけさせておいてもらいたいと思います。
○河野国務大臣 おっしゃるとおり、この白書の内容を受けまして閣僚理事会では、このような数値目標を指令などによってEUレベルで導入することの是非を含め、種々議論が行われているというふうに承知しております。
○吉井委員 では、外務大臣、退席していただいて結構ですから。
 それで、私は、後ほど世界の流れというのはまた改めて議論を深めていきたいと思いますが、今原子力の分野でどういう事態が起こっているかということについて、さらに見ておきたいと思います。
 まず、関電美浜原発三号機で、生コンに加水するというシャブコンが使用されたことは事実なのかどうか。それから、テストピースのすりかえでコンクリートの強度データが偽造されていたものがあるということ、これについて事実なのかどうか。これを通産省の方から伺いたいと思います。
○河野政府参考人 お尋ねの関電美浜三号機の件でございますが、新聞報道は私どもも承知をいたしております。
 ただ、この原子力発電所の建設時のコンクリート打設工事におきます品質管理につきましては、建設会社そして関西電力が、日本建築学会が定めます基準に基づきまして強度検査等を行ってきております。通産省は、使用前検査におきまして、安全上重要な施設について関西電力の検査結果の記録を確認いたしております。
 また、建設後においてのことでございますけれども、関西電力は計画的な点検あるいは補修を実施しておりまして、近年の蒸気発生器取りかえ等の機器改良工事におきまして原子炉建屋の壁に開口部をあけたことがございまして、その際に生じたコンクリートを用いて実構造物の強度確認を実施したということがございます。その結果は、設計強度を十分上回っていることを確認しているという報告を受けているところでございます。
 したがいまして、美浜三号機の主要な施設のコンクリートの強度につきましては、安全上特段の問題はないというふうには考えておりますけれども、念のため、関西電力に対しましては、建設当時のことでございますので、当時の関係者から事情を聴取するなど事実関係の確認を行うように指示をしたところでございます。
○吉井委員 ですから、現在は、これは事実かもしれないという段階で、事実関係の確認中ということですね。
 そこで、原子炉格納容器建屋のコンクリートに、強度の十分強いところもあれば弱いところもあるということになりますと、地震発生時などには貫通している配管などが破損するという問題も起こり得るわけです。
 六車熙京大名誉教授が、新聞での報道ですが、経済性が重視される余り、耐久性と強度が軽視されているという問題を指摘され、建築材料学の二村誠二大阪工大講師は、強度が落ちたりむらができたりした場所に原発の配管や機器類が取りつけられていると、地震などでそういう部分が破壊され、思わぬ被害が出る危険性があるというふうに指摘をしております。
 それで、なるほど、蒸気発生器細管を取り出すためにはつったところは、これはおっしゃったこともそうなんでしょうが、原子炉建屋のすべてのコンクリートの強度を通産省として直接検査を行って、そして現在大丈夫と言える状況なのか、あるいは大丈夫と言える状況に持っていこうというお考えなのか、この辺もあわせて伺っておきたいと思います。
○河野政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、先生も御承知の建設後の工事におきまして、いわばランダムサンプリングのような結果にはなりましたけれども、平成八年及び平成十一年にコンクリートのコアを採取し、強度試験を行ったということがございまして、この結果は強度を十分に満足しているということでございますので、私どもとしては恐らく問題なかろうと思っておりますけれども、ただ、記事などにもございましたので、先ほど申し上げましたように、関西電力に対しましては、非常に昔の話ではありますが、当時の関係者から事情を聴取するようにということを指示しているところでございます。
○吉井委員 これは関電美浜三号だけなのか、それ以外に問題のある原発はなかったのか、不正はなかったのかとか、現時点ではまだ調べておられないからわからないわけです。
 実は私、昨年のジェー・シー・オーの臨界事故の後にも、JRのトンネルとか高架橋部分のコンクリート構造物の剥落事故が相次ぎましたから、生コン関係者からいろいろ伺ったことがありますが、JIS規格工場でないアウトサイダーの業者が今随分ふえていますね。そして、その増加の中で、しかもダンピング競争が激しくなってきているという業界の事情もあって、セメント量を減らしてしまう。それから加水、シャブコンですね。それから、これは見つかってはまずいとなるとテストピースを取りかえてしまう。だから、実際には、工事に使ったものとは違うテストピースを最初からとっておいて、それで調査結果は大丈夫ですと。だから、検査書を見れば立派に通るわけです。そういう書類を幾ら書類検査をしてみたところでわかるわけないですね。
 ですから、私は、これはやはりすべての原発について、コンクリートの打設時の強度試験が真正のテストピースで行われたものなのかとか、シャブコンの事実はどうであったかということを徹底して調査をして、現在の原発の安全性について確認をする。通産大臣、やはり国民の皆さんは、私もそうですけれども、非常にこれは安全性について心配しております。これはやはり政府として徹底調査を行う、こういうことで臨んでいく必要があると思いますが、これは大臣に伺いたいと思います。
○深谷国務大臣 今エネルギー庁長官から詳細申し上げましたのですが、関西電力に対しましては事実関係の確認を行うように指示をしておりますし、また、関西電力の確認結果から他の発電所についての確認が必要だという結論が得られれば、一切これから何もしませんというふうなことではなしに、その可能性は否定しませんけれども、まずは関西電力の件に関する調査が先決で、現在直ちにすべてを調査するという考えは持っておりません。
○吉井委員 この種のものは、なかなか後からの調査では難しい面はわからぬことはありません。大体内部告発によって初めてわかってくる、それが実態でもあるわけですよ。
 もう一つの問題が、高浜四号機用などのMOX燃料のデータ偽造ですね。
 BNFL、イギリス核燃料会社のMOX燃料検査データの捏造問題について、当初、関電の数度の調査で問題ないとしてきた燃料にもデータ捏造があったということが最近明らかになったわけですね。特に、燃料被覆管の中に、MOXペレットのほかに金属製のねじと複数個のコンクリートの破片まで混入しておった。
 何をか言わんやということですが、イギリスの原子力施設検査局、NIIの調査報告では、四年前から不正が続いていた。イギリスのこの原子力施設検査局は、とにかく四年前から続いていたということを調べるまで、今回のMOX燃料のデータ偽造について徹底して調査をされた。そこは、今大臣、とりあえずはシャブコンの問題で、あるいは生コンのテストピースのすりかえその他による偽造問題について調べる気はないとおっしゃるが、しかし私は、こういうときにこそ徹底してやはりやるべきだというふうに思いますよ。
 実は、原子力の安全に関する条約の第十三条では、政府の品質保証というのを求めていますね。IAEA安全シリーズの「政府組織」の第三百七項でも、MOX燃料を初め核燃料について、運転の許認可プロセスの段階で品質保証を含まなければならないことを政府責任としているわけです。ですから、シャブコンもMOX燃料についても品質保証に政府は責任を持たなきゃならないというのが、通産大臣、これが国際的にも求められていることじゃありませんか。
○深谷国務大臣 MOX燃料の英国の会社の改ざんその他の問題は極めて遺憾なことでありまして、私はその報告が具体的になりました段階で直ちにこのMOX燃料を英国側と話し合って返すべきだという主張をいたし、今もその点については協議が行われている最中であります。
 同時に、東京電力のMOX燃料に関しては、これはベルギーでありまして、実質的には違いますし問題はないのでございますが、装荷の点も日にちをずらすように指示をいたしまして、そういう点では安全の確保を第一に考えて指導しているつもりでございます。
 IAEAが定めた原子力発電所の安全基準においては、政府の責任に関して、規制のよりどころとなる安全原則、基準条件を定めることが規定されておりまして、品質保証もその要素の一つとされています。
 我が国では、原子炉施設の設計、建設、運転の各段階で、原子炉等規制法及び電気事業法に基づく規制を実施しており、法令上要求されている技術基準への確実な適合性確保のためには、事業者において適切な品質保証活動が行われるように指導しているところでございます。具体的には、設置許可申請書に品質保証の基本方針を添付させて、また工事計画認可申請書に品質保証計画に関する説明書を添付させること等としております。
○吉井委員 しかしそれは、シャブコンの問題のように内部告発があってわかってくるということになってまいりますと、品質保証、政府責任ということなんですが、しかし保証できない、できなかったということになってくると思うのですね。
 そのシャブコンなど過去の問題もそうなんですが、私は同時に、通常の軽水炉において、ウランを燃やすときと、ウラン燃料とプルトニウムの混合酸化物燃料を燃やすときでは、まず事故発生時の放射能汚染の危険の度合いが全く異なるという問題もありますが、原子炉で使うときの燃料の核反応の違い、熱伝導度の違い、熱膨張や融点の違いなど、条件が全く異なってくるわけです。
 それだけに、使用する燃料の検査からして違いがあるわけですが、BNFLのMOX燃料について、燃料ウランとプルトニウムの混合の度合いが均質であるかどうかの検査とか、耐スウェリング検査などについて、通産省としてはどんな検査仕様を示して、どんな検査をしてこられたのか。これは参考人の方から聞いておきます。
○藤冨政府参考人 御説明します。
 先生御指摘のBNFLのMDF工場におきましては、同社がアルファオートラジオグラフィーにより、バッチの最初のロットで一件及び十四ロットごとに一件の頻度で実施しております。関西電力は、BNFLの工場において、検査結果を記録確認しております。
 アルファオートラジオグラフィーは、プルトニウムから放出されるアルファ線によって生ずるフィルムの色の変化から、ペレットのプルトニウムスポットのプルトニウム含有率やその大きさを測定するものであります。検査の合否判定は四百ミクロン以下であることを基準としております。
 なお、原子力安全委員会が平成七年五月に定めましたMOX燃料に関する指針においては、プルトニウムスポットの径は四百ミクロン、千百ミクロンの実験結果により、プルトニウムスポットの破損閾値への影響がないことが確認されているとしております。
 通産省としましては、電気事業法に規定する輸入燃料体検査におきまして、事業者が確認したプルトニウムスポット径の測定結果が判定基準の四百ミクロン以下に適合しているかを記録確認しております。
○吉井委員 随分長いこと御説明いただいたのですけれども、一番の問題というのは、要するに、二酸化プルトニウムと二酸化ウランの均一化された混合状態をつくるというのは非常に難しいことなんです。混合に際しては、二酸化プルトニウム粉末の被表面積が二酸化ウラン粉末の三倍から四倍もある、その上粉末の形状もふぞろいだということですから、この混合状態が均一になるということは非常に難しいのです。
 しかし、これが均一にならない場合には、完全な混合状態を望むことは難しくというふうに教科書なんかにも書いてあるのですが、原子炉内で燃焼中に局所発熱部というのが生まれてくる。ですから、これは均質であるかどうかの検査をどういうふうにやるのかということが大事なんです。
 今あなたがおっしゃったのは、書類チェックをやっていますというお話なんです。しかし、その書類チェックというのが、実はペレットの径について、送られてきた書類が偽造だったわけですね。ですから、そういう偽造された書類を見て、ああ、大丈夫だと言っておったのでは話にならないわけですよ。
 では、日本で、政府として、あるいは日本のメーカーなり関電や東電なりがどういうふうな検査仕様を設けて検査をきちっと行って、そして、まず日本へ送られてきたものについても、かなり密なサンプリング調査の方が本当はいいわけですが、きちっとやるということになるのか、そういうことはしないのかということが一番大事なところですね。ですから、そういう検査をしたのか、書類チェックだけなのかということを聞いているのです。
○藤冨政府参考人 御説明いたします。
 今先生の御指摘は、データが信頼できるかどうかということをどういうふうに見ているんだということだと思います。
 データが信頼できる場合としまして、第三者の確認があるということとか、データ処理が自動化されていることとか、(吉井委員「書類チェック以外やっているのですか、ちゃんと日本で」と呼ぶ)エビデンスがあるかどうかということだと思いますが、本件につきましては、検査結果である元データの証拠となるエビデンスがあります。これは、アルファオートラジオグラフィーのフィルムが全部残されておりますので、各フィルムごとに再度プルトニウムの均一度の評価、つまりプルトニウムの含有率やプルトニウムスポットの大きさについて評価を行いました。検査データと整合性があることを確認しております。したがって、検査データは十分信頼できるものと考えております。
○吉井委員 これは、生コンのテストピースもそうですし、この問題もそうですし、日本でも問題になった輸送容器の放射線遮へいのデータについてもそうなんです。
 なるほどいろいろなものがあっても、それ自体がすりかえられてしまったり、すりかえられたものと今言われた写真等を添付して出したところで、それは大丈夫ということにならないわけですね。ですから、少なくとも日本に来たものについて、現物についてどういうふうにきちっとチェックするのですかということを聞いているのです。書類点検、書類チェックだけだったらチェックの役割にならないわけですから。そのことを聞いているのですよ。
○藤冨政府参考人 先生が御心配なさっておりますプルトニウムの径の大きさでございますが、これは確かに初期のMOX燃料、プルトニウムと酸化ウランの粉末の燃料は、このプルトニウムと酸化ウランの粉末を単純にまぜ合わせる加工法でありましたことから、比較的大きなプルトニウムスポットが発生する傾向がございました。
 しかし、近年、現在主流となっております製造法のMIMAS法とかSBR法におきましては、プルトニウムの粉末と酸化ウランの粉末を粉砕、粉末をすりつぶすようなことをしながら混合する加工法が採用されておりまして、これによりましてプルトニウムのスポットは大変小さくなっております。照射実績からも、燃料の健全性に問題がないということが確認されておるということでございます。
○吉井委員 確認した、確認したと言うのだけれども、その元データがすりかえられておったら全然意味がないということを指摘しているのです。
 実は、これは日本の「もんじゅ」用のMOX燃料も、たしかあれは七割方だったと思いますが、要するにオシャカをつくってしまってつくり直したということがあるのですよ、日本でも。
 ですから、海外から来たものについてきちっと日本でも現物をチェックする、検査仕様を決めて検査をするということをやらないと、私はこの点で、相変わらず、向こうがやったから大丈夫なのでしょうと、大丈夫だという写真をつけてもらったから大丈夫ですと、単なる書類チェックだけでは国民の安全を保障することにならない。新たな安全神話の上に乗っかっているとしか言いようがないということを指摘しておきたいというふうに思います。
 そして、私は、そういう安全をチェックしようということをきちっとやりもしないでプルサーマルに行こうなどということはもう論外だということを指摘して、次の問題に移りたいと思います。
 一九八八年から九八年の十年間に、日本の原発増設は三十六基から五十二基へ十六基ふやして、原発基数でいえば一・四四倍です。発電設備容量でいったら一・六〇倍にしたわけですが、同じ時期に、原発大国のフランスは五十三基から一・〇四倍のほぼ横ばい、これを別にすれば、アメリカは百九基から百四基へ五基閉鎖するなどして〇・九五倍、英国は〇・八五、ドイツは〇・七〇倍など、各国皆、急減しているのですね。
 これはエネ庁の方などからも御協力いただいた資料で、通産大臣、離れたところからごらんになられてわかると思いますが、世界の原発の動向、十年の増加率、これは日本だけが一・四四倍ということなんですが、まず、世界で日本ほど大量に原発をこの間増設してきた国があるのかどうか、これを伺いたいと思います。
○河野政府参考人 最終的には資料で再度確認をさせていただきたいとは思いますが、御指摘の期間では日本の増設が最も多いと考えております。
○吉井委員 通産省お墨つきの資料でそうなっておりますから、間違いないところです。
 それで、世界に例を見ない異常なふやし方なんですが、一九六〇年にはエネルギー自給率は五六・六%であったものを、二百四十年の可採埋蔵量を持つ国内資源の炭鉱等を捨てて、今自給率は六%に急減しております。
 それで、資源がないという点でいえば、ほかにもそういう国はたくさんあるわけですが、欧米各国と日本の今日のエネルギー政策の違いというのは、エネルギー開発予算の中身を見れば大分違いがあるのですね。エネルギー研究開発の中身が、欧米では再生可能エネルギーの研究開発に重点が移っていっている。この傾向を通産大臣もつかんでいらっしゃるかどうか、これを最初に伺いたいと思います。
○深谷国務大臣 ヨーロッパ各国の予算の配分等については勉強させていただいております。
○吉井委員 それで、勉強していただいて、欧米では再生可能エネルギーの研究開発を重視する方向に行っているということは、そのとおりですね。
○深谷国務大臣 その方向でございます。そして同時に、我が国もそのように予算的な措置も努力をして増額させております。
○吉井委員 フランスの原発依存を別にすれば、欧米では、再生可能エネルギー研究開発予算の比率は大体二〇%から四〇%。日本は、今おっしゃったように、ミレニアムプロジェクトとかいって二倍にふやすといっても、五%から六%というところで、原発のRアンドD、研究開発が新エネルギーの大体八倍。再生可能エネルギーの研究開発予算と原発の研究開発予算を比べますと、再生可能エネルギーの研究開発予算は原発の研究開発の二十六分の一。こういう点で、本当にわずかなものです。二倍にしても非常にわずかです。
 原発大国フランスと比べてみても、原発研究開発の予算の絶対額で見ても、日本が圧倒的に多いというのが実情です。これは、フランスの原発研究開発予算の五倍以上、アメリカの八倍、ドイツの二十五倍、イギリスの百四十倍というふうに、日本は特別に原発偏重のエネルギー研究開発のゆがみを持っております。
 私は、この点では、複数の選択肢をOECD加盟各国の中で見ても日本は十分準備していないということは事実じゃないか。ここにやはりきちっと焦点を当てた政策というものを考えていかなければいけないと思うんですが、通産大臣に伺いたいと思います。
○深谷国務大臣 エネルギー政策については、それぞれの国が置かれている環境その他もろもろ配慮しながら、それぞれの国が考えていくということになるであろうと思います。我が国の場合には、まことに残念ながら、エネルギー資源の大半を外国から輸入しなければならない、そういう非常な苦労を続けておることは、委員も御存じのとおりでございます。
 私どもといたしましては、しかし、そういう中でも新エネルギーの開発というものは大変大事なことだというふうに考えまして、これらの支援策をいろいろ拡大してまいりました。新エネルギー関係予算は過去五年間で倍増を図る、平成十二年度予算案でも、平成十一年度予算額の八百七十五億円と比較して五十億円ふえる九百二十五億円を計上し、その施策の強化を図る所存であります。
 中でも、研究開発については、ニューサンシャイン計画を初めとして、太陽光発電、風力発電、燃料電池等の開発に取り組んでおりまして、平成十二年度の予算案においては、平成十一年度予算に比べて七十億円の増額となる三百六十億円を計上しているところであります。
 今後も引き続いて努力をするつもりであります。
○吉井委員 努力は当然として、原子力研究開発の割合が大体七七%に対して、再生可能エネルギーの研究開発の予算が二・九一%とか、年度を追って若干増加してきているにしても、やはり非常に低いのは事実なんです、OECD加盟各国の中でも。
 私は、これまで原発を非常に偏重したという根底に、やはり政府が決定した長期エネルギー需給見通しの問題があると思うのですね。年二%の経済成長に必要なエネルギーを賄い、環境に対応するには、二〇一〇年までに原発二十基程度ふやす、原発依存度四五%に高めるとしたこの考え方、これは、国会でエネルギー需給計画を議論して決定するのではなくて、政府が決定して、その結果としてのエネルギー研究開発予算の審議だけ国会でやるというのは、私はこれは根本がやはり間違っていると思うのです。エネルギー政策の根本になる需給見通しの決定はまず国会で行う、こういう方向に私はまず改めるべきだと思うのですが、これは通産大臣に伺いたいと思います。
○深谷国務大臣 長期エネルギー需給見通しは、景気の今後の情勢に伴うエネルギー需要の動向とか供給施設の整備状況など、エネルギーに関する各種の要因を踏まえて、技術的かつ専門的に策定されるものであると考えます。
 そういう意味で、その策定は政府で行いますが、これに関する議論は国会では十分に続けていただきましたし、これからも一層議論をしていただくことが必要だと考えます。
○吉井委員 専門的議論だとか言ってきて、特に原発の長期計画は、需給見通しに基づいてどんどん原発に行ったのですけれども、計画を先送りというふうにやっていかなければいけないほど狂ってきているという事実を見ても、私は、やはりその専門的議論なるものが国民の皆さんからは余り信頼されているものじゃないということを指摘しておきたいと思うんです。
 昨年の臨時国会で、我が党の不破委員長の代表質問の中で、プルトニウム方式にエネルギー政策のすべてをかけるやり方では、二十一世紀にエネルギー分野で日本は行き詰まる大きな危険がある、大胆な再検討のメスを入れ、国民的英知を集めて、二十一世紀にふさわしいエネルギー政策の確立のために真剣な努力を払うべきであるという提起を行いました。
 これは日本共産党が提起しているだけじゃなしに、先ほども紹介しました朝日の社説でも、「原発を減らす可能性も、プルトニウムの利用をやめることも検討しない「たった一つの選択」だった。これではいけない。広範な議論のために、とるべき道について複数の選択肢を示すべきだ。」ということを述べております。この間、日経新聞の編集委員の方も、「増殖炉と核燃料サイクルに固執するあまり、他の選択肢を軽視するエネルギー政策はそろそろ終わりにしたい。」「「ポスト原発」に備えて豊富な選択肢を持っておきたい。その研究資金は、増殖炉と核燃料サイクルの研究費を圧縮しても捻出すべき性格のものだ」と主張しておられましたが、私はまさにそのとおりだと思うんです。
 問題は、そういう議論を、やはり国会できちっとエネルギー需給見通しについての議論をして、エネルギー需給見通しについては国会で決める、そういう性格のものに変えていかないと、これは政府が決めて、事実上それから出てくる予算だけ審議するというこのあり方では、これからのエネルギー政策というものを本当にきちんと議論して進めていくということにはならない。だから、私はこの点では、大臣、やはり複数の選択肢も含めて国会で議論する、その上でエネルギー需給計画を国会で決定する、そういう方向へやはり切りかえるということを大臣としてもお考えになる必要があると思いますが、これは重ねて伺っておきたいと思います。
○深谷国務大臣 エネルギーの需要状況が長期的に見てどのようになるかということについては、いろいろな御意見があろうと思います。しかし、先ほど申し上げたように、いろいろな角度から技術的に、専門的に検討してそれを示していかないことには、なかなか前へ進まないと思います。
 現実に、今委員もおっしゃっておられる、あるいは議論しておられるとおり、必ずしも予算だけを議論するのではなくて、エネルギー全体について極めて深く熱心に国会で議論をされているわけでありますから、そういう意味では、議論を尽くすということは十分に今日までもなされてきたし、これからも一層議論を重ねていく必要があると思っております。
○吉井委員 私は、議論をするということだけじゃなしに、これは国権の最高機関なんですから、食糧とかエネルギーとか国民の安全保障にかかわる大事な問題なんですよね。これはやはり国会で決議をする、国会が知らないところで、議論は聞きおいたが決定は国会と違うところでやる、私はこれは筋が違うというふうに思います。
 ですから、この点ではやはり国会で議論して決めるという方向へと転換をするべきだということを申し上げて、次に、エネルギーの内容について少し見ておきたいんですが、総合エネルギー調査会に出したエネ庁の試算の数字をもとに計算してみると、太陽光発電の物理的限界潜在量の計算と、それから風力、廃棄物発電、バイオマスエネルギー、燃料電池、コジェネなど、再生可能エネルギーやリサイクルによるエネルギーとか、あるいは効率的利用というこういうものなど、新しい利用形態を合わせて、これで総合エネルギー調査会に出していらっしゃる資料に基づいて試算をすると、そこで出ているこの新しい利用形態による総発電電力量という点で見れば、八千九百八十七億キロワットアワーと、これは、現在の総発電電力量の九千億キロワットアワーに匹敵するということになるのではありませんか。
○河野政府参考人 先生御指摘の資料といいますか試算でございますが、これは、先般の総合エネルギー調査会の新エネルギー部会におきまして、委員の方々からのお求めもありましたので、今後の中長期的な新エネルギーの導入目標の検討に資する、議論のいわば素材の一つとして、当省から新エネルギーの潜在性の試算について報告を行った、その資料を先生にもお届けしたところでございます。
 新エネルギーの潜在量を厳密に計算することは、正直になかなか難しいことでございます。ただ、この試算におきましては、経済性でございますとかあるいは安定性などの課題を技術的に克服していくためにはどれぐらい時間を要するかという例えば時間的な制約ですとか、あるいは立地上の問題、規制あるいは景観、こういった社会的条件をいわば捨象いたしまして、単純な仮定のもとで、究極的なエネルギー量を物理的限界潜在量ということで試算をさせていただきました。
 さらに、私どもの試算の中には、この数値をもとにいたしまして、これも社会的な条件などを考慮するとこれがすべて可能ではなかろうということで、実際的な潜在量というものも一応試算をさせていただいたということでございます。
 この結果、新エネルギーの実際的潜在量につきましては、これは先生がお使いになりました物理的な潜在量とは異なりますけれども、社会的要因の見通しなどによって大幅に異なることにはなるものの、現在の導入実績の六倍ないし九倍、あるいは一次エネルギー総供給に占める割合では六とか一〇%ということもあり得ないわけではないという試算を御報告申し上げたということでございます。
 ただ、これは、将来の特定時点におきます導入見通しを試算するという場合には、この試算にさらに時間的な制約を考慮する必要があるわけでございまして、この意味では、この実際的潜在量は、特定時点における導入見通しとかあるいは導入目標というものとは性格が異なると申し上げた方が正しいのではないかというふうに思います。
 なお、吉井先生が当方の試算値をもとにして試算されました数字でございますけれども、これは、太陽光発電あるいは風力発電などの再生可能エネルギーの物理的限界潜在量、それからコージェネレーション等のいわば新しいエネルギーの利用形態のものを両方お足しになったというふうに考えておりますけれども、この物理的限界潜在量は、先ほどもちょっと申し上げましたように、我が国のエネルギー供給における位置づけを考えるに際しましては、やはり社会的な条件を考慮してまず実際的な潜在量に引き直す、あるいは、さらに時間的な制約を加味した上で現実的な導入の見通しを検討するということが必要ではなかろうかというふうに思うわけでございます。
 また、コージェネレーションあるいは燃料電池につきましては、現在の技術では、化石燃料の高効率利用ということで、省エネルギーに資するような需要形態の側面から見た新しいエネルギーというのが私どもの位置づけでございまして、いわゆる再生可能エネルギーとは少し異なる扱いになるのかなというふうに思っております。
 こうしたことでございますので、中長期的にも実際に導入が可能となるのは御試算のうちの一定の割合だというふうに考えますので、超長期的な目標はともかくといたしまして、二〇一〇年度に一次エネルギーの総供給の約三%に新エネルギーを持っていきたいという目標を私どもは掲げているわけでございます。
 いずれにいたしましても、先ほど大臣も御答弁申し上げましたように、新エネルギーの潜在性にも着目しながら、経済性あるいは安定性などの課題を解決いたしまして早期実用化を実現するために、新エネルギーの開発あるいは導入の促進には積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。
○吉井委員 私は、まず大事なことは、これはこの分野の学者の方たちの議論の中にもありますが、日本にもエネルギー消費の大部分を賄えるほど再生可能エネルギー資源量は豊富に存在する。潜在的可能性を現実的なものにしていくには、それではどういう研究開発の方向を打ち出すのか、どういう財政支援を打ち出していくのか、それからどういう法律、制度の仕組みをつくっていくのかということを考えるのが一番現実的な話であって、何か今のお話を聞いていると、資源エネルギー庁はまるでやる気がないのか、こういうことにしかなりませんよ。
 これは、太陽光、風力、廃棄物、バイオマスだけでも物理的限界潜在量は三千六百五十六億キロワットアワーということになりますから、現在の原発の三千億キロワットアワーに十分匹敵しているんですね。二〇一〇年に向けて原発二十基増設という数値目標は変えないのに、再生可能エネルギーの方の数値目標はもっと積極的にそれを立てて、その目標を達成するために、財政どうしようか、研究開発どうしようか、法律、制度どうしようかということを考えようとしないというのはおかしいと思うんですね。
 これは通産大臣、やはり私はそういうところへ、まさに、私も全く夢物語を言っているんじゃなくて、あくまでそれは試算は試算にしても、しかし潜在量としてはあるんだ、それを突破して現実に近づけるにはどうするのかということこそ今一番考えていかなきゃいけないんじゃないですか。これは大臣から。
○深谷国務大臣 先ほども長官が御報告申し上げましたように、二〇一〇年度に新エネルギーの導入量というのを約三倍にしていこう。これは、三%にするという目標について多いか少ないかという議論、いろいろありますけれども、太陽光発電の場合でいいますと九十倍になるということでありまして、五百万キロワットの導入を必要とするという極めて高いものでございます。
 それから、ヨーロッパのお話がございましたけれども、新エネルギーに関して言うと、例えば水力発電とか地熱などを計算に加えておりまして、これを我が国で加えますと、現在でも五・二%、二〇一〇年には七・五%に達するということでありまして、決して遜色があるものとは考えられません。
 ただ、いずれにいたしましても、問題点はたくさんございますから、例えば風力発電にしても、自然の風でありますので、実際には安定供給ということはどうなんだろうかとか、自然条件あるいは立地条件というのが非常に大きく、目下のところ、ここなら大丈夫だ、そういう場所が選定されているという状況ではございません。あるいは発電のコストの問題であるとか、いろいろ難しい問題があるわけでございまして、しかし、それを克服していくためにしっかり頑張っていこうということで、ただいまのような三倍増ということを目標に掲げているわけであります。
○吉井委員 先ほど外務大臣から御紹介ありましたように、EUが一二%という目標を掲げていこうということですから、やはり、もともと日本のエネルギーの構造そのものを原発偏重から転換するという基本を据えてかからないと、どうしてもそっちにお金をうんととってしまっているわけですから、再生可能エネルギーはなかなか進んでいっていないという、このまず財政の構造上の問題ですね。
 私は、この点では、やはり循環型社会をどうつくるかということを展望したときに、包装容器とか自動車、電機のリサイクルは当然としても、ごみ処理、下水処理など、そういうことを通じてメタンガスやメタノール、エタノールを製造して、これを、バイオマスと燃料電池を組み合わせるとか、いろいろなことを具体的にやっていこうということで、現実に企業の中でやっていらっしゃる方もおられるし、また民間のさまざまなところでやっていらっしゃる方もおられますが、そういうときに、本当にこれを進めていく制度と財政支援と政府の政策の転換が問題になってくると思うんです。
 原発予算に対して再生可能エネルギーの研究開発予算が七十七対三では、これはやはりなかなか進むものじゃありませんから、ここは大蔵大臣に伺っておきたいんですが、先ほど紹介した日経の論説委員のように、増殖炉、核燃料サイクル研究費を圧縮しても捻出して再生可能エネルギーに研究開発予算をシフトさせていくとか、そういうふうな予算の組み方、財政の立て方の根本のところで、私は、大蔵大臣にも、やはりこういう方向へと予算の、財政の流れを切りかえていくということで考えてもらう必要があるんじゃないかと思いますが、これは大蔵大臣の方に伺っておきたいと思います。
○宮澤国務大臣 いつぞやも申し上げましたが、いわゆるミレニアムプロジェクトでは、各省庁を超えて、しかも、これから多年度にわたって八分野にわたるプロジェクトをスタートすることになりますので、これで、今までいろいろ御批判のありました省庁別あるいは単年度といったようなことを、事実上枠を外して、多年度の、長いもので五年ぐらいでございますけれども、重要な問題について検討ができることになります。
 それから、今、現実のお話の問題は、そういうことが確かにあろうと思いますが、通産大臣あるいは科学技術庁長官、いずれにしても、従来の原子力発電というものがやはり基本になっていくということ、しかし、新エネルギーというものも当然一つの計画を立てて開発をしなければならない、そういう御認識であると先ほどから伺っておりますので、財政大臣としては、そのような所管大臣のお考えを実現するために財政的な支援をしていかなければならない、こう考えております。
○吉井委員 ミレニアムプロジェクトと言っているもので二倍にしてもうんと少ないという比率は、先ほど御紹介しましたので繰り返しませんが、私は、この中で、通産大臣、新しくこれを進めていくときの研究開発にやはりうんとシフトしていくという問題とあわせて、買い取りの義務づけとか法的措置を含めた検討というものを本当にやっていかなきゃいけないと思うんですね。EUでは、買い取り義務づけが十四カ国、有利な買電価格は十一カ国、それから法的措置で十カ国というふうに、EUではやはり随分進んでいるわけですね。アメリカでも、かなり早い時期から買い取りの義務づけなどについての制度が整備されてきているわけです。
 私は、この点で、国の制度そのものについても、再生可能電力の買い取りの義務づけを行う問題、それから引き取りの電力価格を、今、例えば、この間も奈良の緑化推進協会の方から伺ったんですが、小水力にしても、地域で水力発電をやったとき、関電がつくれば、キロワットアワー当たり二十五円関電自身がつくってかかっているのに十円でしか引き取ってくれないとか、これではなかなか進まないわけで、やはり電力価格を電力会社の利益を含めずに合理的なものとして、希望する電力の全量買い取りを行うようにしていくこととか、そして、当然コストが下がっていけばそれは変わるわけです。
 それから、電気料金制度についても、今日の総括原価方式で、原発のように一基三千億、五千億という高いものをつくったって、それはそのまま電力料金にはね返ってくる。電力料金が上がれば売り上げが伸びますから、一定割合で利益が保証されると電力会社も別に困らない、そして巨大なものをやればやるほどもうかる、こういう仕組みに本当に切り込んで国の制度の改正そのものにやはり進んでいくべきときだと私は思うんです。
 時間がもう終わりになってまいりましたので、最後に、法制度の整備とかそのことについてのお考えというものを通産大臣に伺っておきたいと思います。
○河野政府参考人 先生も御承知かと思いますけれども、現在、いわゆる総合エネルギー調査会の中に新エネルギー部会を昨年の十二月から発足いたしております。御指摘のような諸外国のさまざまな制度もその部会の中で調査をし、検討するということになっておりますので、この検討結果を踏まえて対応してまいりたいというふうに考えております。
○深谷国務大臣 ただいま、もう少し詳細にわたって説明させるつもりでしたが、時間がありませんのでまとめましたが、彼の申したとおりでありまして、あらゆる角度から検討して御期待にこたえるように努力していくということは当然のことであります。
○吉井委員 終わります。
○島村委員長 これにて吉井君の質疑は終了いたしました。
 次に、保坂展人君。
○保坂委員 社会民主党の保坂展人です。
 国会の権威という意味では、国会の権威が根底から揺らぐ事態が次々と起こり、国会改革ということでしたけれども、総理はきょうも空席ということで、審議の場に総理が臨席されないということで、大変この国会改革は国会空洞化にほかならないんじゃないかという私どもの危惧は残念ながら的中していると言わざるを得ないのでありますが、きょうは、この国会の権威にかかわる、極めて私どもにとっては身近で、意外な件について取り上げさせていただきたいと思います。
 私は、ちょうど一年前に、ある民放のテレビ番組を見ていて唖然とした記憶があります。実は、この委員室を出て毎日私ども工事中の現場を見るわけですけれども、国会中継テレビの工事が行われております。一昨年の末に実は中間業者の方が倒産をして、この工事に当たった一番下請の方たちが工賃の未払いに遭って収入がないので途方に暮れているという番組の内容でした。
 以後、いろいろ調べてみまして、現在、これは今お手元に資料がこれから配られると思いますけれども、実際にはこの職人さん、実は工務店といいましても、お父さんと息子さん二人で、三人でやっている工務店だとか、あるいは全く個人の方でやられているケースだとか多々あるわけですけれども、国会の工事をするということで、公共工事といってもこれ以上のものはない、国権の最高機関ですから、国会の工事をして工賃がもらえないなんて、そんなことはゆめ思わなかったということを言われています。
 これは具体的にどうなったかといいますと、実はここにお配りした資料にも書きましたけれども、ある工務店の方は、五百三十万という多額の払わなければいけない負債を抱えて、結果的には、たまたま破産をした中間業者に対してその上の業者が支払いをしなかったものですから裁判を起こしまして、和解ということで、当事者として加わって一五%だけようやく回収をした、こういうケースなんですね。一五%回収したというのも極めて珍しいケースで、実際には泣きを見るケースが多いということも聞いております。
 そこで、法務大臣にまず伺いたいんですけれども、昨年来のいわゆる一連の倒産法制の中での質疑でも確かめてきたところなんですが、こういった建築職人さんたちの労働力提供分の債権、これはやはり労働債権じゃないか。つまり、これは法律上はあくまでも下請契約で、この破産をしてしまった会社が三十五億、バブル時代に自社ビル建設などで負債を持っていたようなんですけれども、そうなると、銀行が持っている抵当権だとか公租公課などで全部取られてしまって、ほとんど残らないという現状なんですね。ここのところを、倒産法制の整備の中で、下請工賃をやはり優先債権として回収できるように法の整備を行うべきじゃないか。
 実はテレビ番組も、国会の前でその職人さんたちが、法律でこうなっているんだからどうもならないようですね、法律をやはり正してもらわなきゃしようがないですねと言って、私ども国会に身を置く者として、こういうことを放置してはいけないということで再度伺いたいと思うんですが、労働債権としてきちっとこういう問題を位置づけるべきではないかという点に対して、法務大臣にまず伺いたいと思います。
○臼井国務大臣 ただいま委員御指摘の、労務提供型の下請個人事業主と申しましても、その具体的な労務提供の形態というものはさまざまでございまして、これを倒産法制上、一律に取り扱うということは困難であると考えております。
 現行の倒産法制について申し上げますと、労務提供型の下請個人事業主の取り扱いにつきましては、裁判所において、その個人事業主と倒産した元請業者との間の契約の形式にとらわれることなく、個別の事案ごとに労務提供の実態を総合的に考慮いたしまして、実質的に雇用契約と認められるかどうかが判断されるのでございます。その結果、実質的に雇用契約である場合におきましては、その者の有する債権のうち、いわゆる労務費に当たる部分は、各倒産処理手続において優先的な取り扱いを受けるということになっているのでございます。
○保坂委員 その問題はそのとおりなんですね。ですから、この倒産をした日新、この会社の社員の方は労働債権として保護されるわけですね。ところが、その下の下請さんということになると、これは一般債権ということになって、もう全部後回し、ほとんどもらえなくなっちゃうんですね。
 これは、事重大だと思うのは、国会という、最もその職人さん方にとっては信用、信用しないなんてゆめ思わない。私がちょっとお話を聞いた方は五百三十何万の負債を抱えた方なんですけれども、初めてだそうですよ、ずっと電気工事をやってきて、こんな目に遭ったのは。
 建設大臣に伺いたいのですが、ぜひ率直に伺いたいのですけれども、こういったケース、多いと思うのですね。中間業者が破産によって支払い不能になったときに、今の建設業法にも、いわば勧告をしたり、幾多の仕組みが一応あるようでございますけれども、勧告といっても強制的なものではありませんよね。大臣としても、また長く国会におられた建設大臣御自身の、こういうことを解決できないのか、やはり中小企業、零細の一番の汗して働いている方が国会の工事でこんな目に遭ってしまったということに対して、もう一度これを見直していただきたいと思うのですが、いかがですか。
○中山国務大臣 お答え申し上げます。
 先生のお話のとおり、情報公開をするという、国会の審議を一般に振り向ける意味の国会中継テレビの現場でそういうことが起こったというのは、私も本当にショックを受けております。
 しかし、今、大臣認可の建設業が大体一万二千社、それから都道府県五十八万六千社ばかりの業者がありまして、勧告という問題で、私どもに権利として、建設省として勧告をすることになっておるわけでございますが、まだ今のところ勧告というのを実施した前例はないということを聞いております。
 しかし、業者を呼びまして、話し合いがつくようにいろいろなあっせんその他をしておりましたり、それからまた、委員長に許可を得てこれを御提示申し上げますが、連鎖倒産防止マニュアル、こういうものを出してやっておりまして、これまでは勧告を行った例はありませんけれども、これは元請業者からすれば、立てかえ払いが、既に支払った下請代金の二重払いということになる側面を持っておりまして、勧告等の行政権限の発動によるよりも、まず当事者間の十分な話し合いが行われて、元請業者が納得した上で円満に解決が図られていくということが望ましいと考えております。
 このような認識のもとで、建設省では業者団体に対する指導等を通じて不払い問題の発生の未然防止を図るとともに、不払いに関する個別の相談に対しましては、当事者双方の事情をそれぞれ聞きながら、その解決に努力をいたしておるというのが現状でございます。
 今後とも、不払い問題解決のために、その未然防止と当事者間の話し合いの円滑化に努めてまいりたい、これが今のところ限界だと思っております。
○保坂委員 官房長官、これは一つ個別案件としては、残念ながら、この職人さんたちも、一五%でしようがないなと、もう廃業した方もいるんですね、今回のことで。極めてシンボリックな問題ですから、国会における工事がこういう状態では、ほかの場合において同様に扱われるという不安も広がるわけですね。ぜひそういう不安を払拭していただくために、きちっと総合的に見直していただきたいと思うのですが、所感、一言いかがでしょうか。
○青木国務大臣 私も今初めて聞いた話でございまして、国会の工事で金が払われなかったというようなことは非常に大きな問題だ、内容のいかんにかかわらず、今後十分検討していく問題だと考えております。
○保坂委員 では建設大臣、結構です。
 次に、子供の虐待問題について、私はもう待ったなしの状態だと思うのですね。
 厚生大臣に伺っていきたいのですが、昨年の十二月末に、長い間いろいろ各会派の御努力もあって、青少年特別委員会で決議を、委員会決議の形でしたけれども、上げました。これは、早急な子供の虐待防止法の法整備を目指すだけではなくて、行政機関にすぐに改善をしてほしい、こう求めたところであります。
 そこで、厚生大臣、今回は非常に子供たちの側に立って考えていただきたいという私からの問題提起なんですけれども、虐待に遭った子供に実際に会って話を聞きますと、殴られたりけられたりするのが当たり前だと感じてきたと言うんですね。学校に上がってクラスに入って、クラスメートの楽しそうな横顔を見て、あれ、ひょっとしたら殴られたりけられたりしている僕は特別なのかなと思うんだけれども、これはやはり口が裂けても友達には言えない、先生にも言えない。そしてまた、言ったときのリアクションでさらに殴られるのが怖いということで、なかなか子供が言えない。
 子供の虐待の当事者は子供です。最近の新聞でも、相当ひどい仕打ちを受けて亡くなったり、あるいはこの前、小学生が誘拐、拉致、監禁されてずっと閉じ込められていたという想像を絶する事件もございました。子供たちが子供たち自身の視点で、虐待というのは許されないんだよ、これだけはだめだよということを子供たち自身が認識をしていく手段として、やはり広報というのは大事だと思います。例えば、君が暴力を受けて苦しんでいるとき、社会は君の味方になるよ、暴力に耐えて我慢する必要はないんだよ、虐待は犯罪だよということを子供たちに伝えてほしい、こう思うんです。
 きょうの質問に先立っていろいろ伺ってみると、厚生省は、ポスター三万枚をつくられた、それからビデオ、こちらは一万二千本をつくられたということで、努力されています。しかし、子供にもっとダイレクトに入るテレビコマーシャルなどの方法で、例えばタレントのSAMさんを使って「育児をしない男を、父とは呼ばない。」というこれ、ありましたよね。これはテレビでも相当多々やって、反響を呼びました。今、待ったなしの状態ですから、厚生省としてもそういう思い切った子供たちへのアピール、これをやるべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○丹羽国務大臣 児童虐待の問題というのは、これまでどちらかというと家庭内の問題として対応がとられてきたような気がいたしておるわけでございますが、これだけ大変大きな社会問題となっておるわけでございますし、国全体としてこの問題に取り組むべきだ、私もまずそういう認識に立っております。
 虐待につきましては、児童の不安の解消やそれから通告の促進が重要である、こう考えておりますし、さまざまな機会を通じまして広報、啓発活動を行っていかなければならない、こう思っております。
 具体的なことにつきまして今委員の方から御指摘でございましたけれども、今後とも、近日中には、政府の刊行物を使ってやるとか、さらにラジオ番組であるとかさまざまな形で、直接国民の皆さん方に、この問題について十分な、その重要性と理解、認識が強まるように努めていく決意でございます。
○保坂委員 実は、宮下厚生大臣の時代に同じ問題提起を私はしているんですね。そのときに宮下さんは、私ども、SAMさんを使ってやりました、これはいろいろ反響を呼んだ、したがって検討させてほしいと。その後の委員会で、今度は厚生省の方が、そういう方向でやりますという答弁までいただいているんですね。
 これは、子供が知らなければ、政府の取り組みなどが幾らあっても、ビデオとかパンフレット、なかなか子供に届いていかないわけです。ぜひ、子供が直接、あ、僕らのことだ、隣のいつもちょっと体に傷があるあの子、危ないんじゃないか、子供たち自身の間柄でこういったことが認識されるような努力を本当に実現してほしいと思うんですが、いかがですか。
○丹羽国務大臣 ただいま申し上げましたように、子供の人権を尊重する、守るという立場から、そういった運動を続けていきたいと思います。
 私自身、実は、最近でございますが、乳児院に行きまして話を聞きました。母親が、乳児院に来るときはとてもそういう虐待をするようでなくて、しばらくはいいんですが、家に帰ると虐待がある、こういうような事実があるようでございますし、一つは子供自身に直接呼びかけると同時に、やはり育児であるとかそういうような問題の、母親の心のケアの問題も私は大変重要な問題である、このように認識をいたしております。
○保坂委員 では、これはぜひそういうことを取り組んでいただきたい。テレビコマーシャルだけが唯一の方法ではありませんけれども、いじめの問題でイギリス政府は非常にすぐれたコマーシャルフィルムをつくっています。それがやはりNGOや政府全体、学校現場も巻き込んだ大きなキャンペーン、ですから厚生省だけの問題じゃないんですけれども、政府部内でぜひ積極的に検討していただきたいと思います。
 せっかくですから、厚生大臣、もう一問。
 今、親の問題をおっしゃいました。これは、親が虐待をやり続けているんだけれども、やめられないけれどもどうしたらいいかという悩みがNGOなどに寄せられるんです。やめたいんだけれども殴ってしまう、やめようと思うんだけれどもどうしてもやめられない、こういう悩みです。こういうことに対して、今は親権の剥奪や親権の喪失などの究極の手段ですよね。その一歩手前で、親権を一時停止して、親子分離して親のカウンセリングを徹底的にする、こういうことも考えてみてはいかがですか。いかがでしょう。
○丹羽国務大臣 今直ちにこの場で、親の親権を剥奪するとか一時停止するとかいうことについて、お答えできることではありませんが、十分に検討する価値がある問題だと思います。
○保坂委員 では、文部大臣に伺います。
 三万枚の厚生省のポスターが各学校に全部行き渡るとは思えないんですけれども、やはり学校現場で、先ほど厚生大臣に伺った点、子供たち自身が、虐待についてこれを許さない、虐待を受けている子がいたら守る、あるいは学校の保健室の先生あるいは担任の先生もそうです、そういう広報という取り組みで文部省は子供たちに向けた直接の取り組みを考えておられるでしょうか。
○中曽根国務大臣 子供たちに対しての直接の取り組みは、私は非常に大切だと思います。しかし、今の広報という面については今のところございません。しかし、児童の虐待ということは決してあってはならないことでありまして、委員も御承知かと思いますけれども、このところ、相談件数を見てみますと、平成二年に約千百件ありましたけれども、平成六年に二千件、八年に四千件、平成十年には七千件と物すごい勢いでふえているわけでありまして、私どもも何とか虐待がなくなるようにと思っているところでございます。
 学校におきましては、子供の日常生活を含めまして、日ごろから子供の状況をよく把握しながら教育を行っているところでありまして、家庭訪問等もその一環であろうかと思います。こうした中で把握した情報に基づいて、児童虐待の早期発見のために、児童相談所との連絡を密にして、適切に通告していくことは非常に大切なことと考えておるわけでございます。
 調査によりますと、実のお母さんによる虐待が五割を超えている、お父さんによる虐待が三割近いということで、八割が両方の親からの虐待ということであります。
 文部省といたしましては、学校教育関係者に対して、通告義務について、通知やそれから会議の場でこれまで注意喚起を行ってきたところでありますが、さらに昨年来、児童虐待対策協議会また主管の課長会議の場を通じまして、通告義務の一層の周知を図ってきたところでございます。
○保坂委員 それでは文部大臣に、やはり子供たちが一番数多く時間を過ごすのは学校の現場でございますから、学校の現場でポスターであれあるいはいろいろなカードであれ、子供の虐待は社会が許さないんだよ、こういうメッセージを各省と連携して行っていただきたいということを要望して、文部大臣もこれでおしまいにします。
 次に、子供の虐待の問題から大型脱税事件にちょっと話題を変えたいと思います。
 法務大臣に伺いたいと思うのですが、前回あるいは先週の委員会の現場で、大臣の元秘書の方が顧客として脱税コンサルタントに紹介した会社との面識がおありだったのかということを私問うたわけですが、新聞記者の話を総合すると、あったと思うというふうに答えられているのですが、これはどういうことでしょうか。つまり、御自身の記憶にはないということなのか、ちょっとその辺があいまいだったので。
○臼井国務大臣 御承知のとおり、新聞記事には一切実名等は当時登場しておりませんでした。しかし、新聞社の方がいろいろ私のところに電話をかけてこられたりして、そうした方々のお話を総合すると私の存じ寄りの方ではないか、こういうことでありまして、その方であれば私は知っておる、こういうお答えをしたのでございます。
○保坂委員 では、その方というのは、ボウリング場やあるいはプロパンガス事業などを営んでおられる、名前は出しませんが、会社名でいえばタツノレジャーという会社の社長さんということで間違いないでしょうか。
○臼井国務大臣 私は、その方とはある業界の団体の会合でお会いをいたしておりまして、実はお顔はよく存じておりますが、実際に会社のお名前がどういう会社のお名前であるかとか、そういうことは実は存じておりませんでした。
○保坂委員 そうすると、その会社かそうじゃないかはちょっと調べてみないとわからないということだと思うのですけれども、元秘書さんが受け取ったのが、まあ七百万円でもこれは驚くのですけれども、そのほかにさらに一千万を超える金額がその脱税コンサルタントの方から元秘書の方に渡ったというようなことも言われています。
 こういった点について、やはりきちっともう一度調査をされるおつもりはありますか。
○臼井国務大臣 委員には、先日、この予算委員会でも御質問いただきましたし、また法務委員会でもいただきました。また、ほかの先生からもちょうだいいたしました。
 その際に私は申し上げましたのですが、私は、直接ではなくて秘書を通じて、その秘書に当時のことを聞きただしました。いたしましたけれども、その事実というものは、一方通行でありまして、真実は一つですが、私の立場として、他の方々にそれらのお話を聞いて一つの結論を見つけ出すというような立場にはおりません。
 したがいまして、この真実が何であるかということは、私が一方通行で聞いたことを逐次ここでお話をしてかえって混乱を増すのじゃないだろうか。やはり、このことについては、税務当局も既に調査を入れているということでございますので、それらのことにお任せをしたい、こう考えているのでございます。
○保坂委員 時間が限られていますので、私は調査をされた方がいいというふうに思いますけれども。
 では続けて、大蔵大臣に伺いたいと思うのですが、先日この件で、大蔵省の政府委員室におられた方が二百万円という金額を、これは返したというふうに報道されていますけれども、またこの件について伺います。
 さて、問題の脱税コンサルタントが税務の、例えば税務調査やあるいは査察などの実態について影響力を持っているのかどうか、これは私どもわからないわけです。影響力が全くないのにあったかのように装って、いわば不当な顧問料というものをせしめていたかもしれないし、若干の影響力などがあったのかもしれない。これはわからないわけですね。
 この点、問題の脱税コンサルタントの方が税務当局に協力をしておった、例えば、情報を持ってきて、それを参考資料として税務当局が使っていたなどというようなことも含めて、どういう関係だったのかについて調査をされるおつもりがあるのかどうか、今把握しているかどうかということではなくて、調査をされるおつもりがあるかどうかについて伺います。
○大野(功)政務次官 まず第一点の影響力があるのかないのか、こういう点でございます。
 二つに問題を分けていただきたいと思います。(保坂委員「いや、それは聞いていないのです、調査」と呼ぶ)それはいいんですか。それでは、まずそういう調査の問題でございます。個別案件にわたることでございますので、コメントを差し控えさせていただきたいと思います。
 しかしながら、税務行政というのは、やはり陳情を受けるというような行為も大事でございます。そういう行為でございますけれども、税務行政は適正にやっておる、したがいまして、どうぞ税務行政を信頼してくださいますようお願いいたします。
○保坂委員 次に、大臣に伺います。
 大蔵省の中でもこんなことはないはずだろう、例えば銀行検査などでいろいろ明らかになった事態は、我々の予想をはるかに上回る事態でした。ですから、社会通念上、常識上ないのだ、そういうふうに思いたい、けれども、一応は指摘があれば調べてみるということを行っていただきたいのです。
 例えば、この脱税コンサルタントの方が、大企業の取引実態を把握できる当座勘定元帳など、こういうものを税務当局に提供して、それがもとで査察が入ったみたいなことが言われておるのですけれども、こういうことも含めて、それは、実態がないならないというふうに、調べればわかるわけですから、調査ということについて前向きでいらっしゃるかどうか伺いたいと思います。
○宮澤国務大臣 私が具体的な報告を聞く暇がないものですから総括政務次官にお答え願っていたのですが、一般論として、今度のことで何か国税庁の職員あるいは元職員がどうとかしたという話はどうもでたらめらしくて、国税庁は、そのことは出版元に抗議をして、訂正を申し込んでおると。
 それから、もう一つの話は、おれは国税庁を知っているからひとつどうとかなんと言って、時々、まあ十に一つぐらい何か情報でもやってなんという話は、どうでしょうか、余り信用できませんね。
○保坂委員 では、官房長官に伺いますけれども、考えられないことというのが、東海村の場合も暴走事故という形で起きたわけですね。今、ある意味で、国や政府あるいは政治、行政も含めて信頼がいろいろなところでほころびが出てきているということだと思います。
 こういった問題について、やはりこれは行政とそしてまた政治の間で、少なくとも実態として億単位のお金が動いたということはどうも明らかなようです。その中にどういう犯罪行為があったのか。まして公務員が国民から少なくとも疑いを持たれるような行為があったかどうか。なかったらなかったなりに、そういうふうに報告していただきたいのですが、こういった点についてきっちりただすという姿勢がおありかどうか伺いたいと思います。
○青木国務大臣 きっちりただしていかなきゃならない問題だ、そういうふうに認識いたしております。
○保坂委員 非常に簡単でわかりやすかったのですが、ぜひただしていただきたいと思いますし、大蔵大臣にも、あるかどうか、もしあった場合、そういうものが出てきた場合は、それは調べていただきたいと思います。
 それで、最後になりますが、厚生大臣の方に一点だけ。
 さきの答弁の中で、年金福祉事業団は昨年末の段階で二兆七千億程度の収益を上げています、そして、今七千五百億程度の黒字でございますという、そしてまた、私、資料として、総合収益額二・七兆円程度という紙を厚生省からもらっているわけなんですが、この額、これは実現益なのか、それとも含み益を含んだものなのか、この点をちょっとまずただしておきたいと思うのですが、いかがでしょうか。これは再三やりとりしていることなので。
○丹羽国務大臣 これは前回も御答弁申し上げたと思いますが、運用実績の評価は、保有資産の価格変動を反映させた時価で行うものでございます。でございますので、年度途中の運用収益につきまして、簿価ベースの集計というのは行っていないということでございます。
○保坂委員 実は、このいただいた表の一番最後のところに、平成十年度末累積利差損益、これが一兆二千三百八十一億という数字があるのですが、これは実際に出た累積赤字の額ということでよろしいのでしょうか。この点も確認したいと思います。
○丹羽国務大臣 一兆二千億円も時価ベースの赤字でございます。
○保坂委員 実は、この一兆二千三百八十一億円というのは実際のところの赤字の総額で、さっき七千五百億円の黒字というのは、実際に株を売って得た実際の収益ではないわけですよね。これは、株価が上がっているから今売ればこのぐらい、これは、売ったら大変なことになるでしょうから。予測の数字であり、仮定の数字じゃないかと思うのですね。だから、多分これは試算というふうに書かれているんだと思います。また、これが株価の変動によってどうにでも動く。ということでいうと、どうも七千五百億黒字になっていますと胸を張って言われるのはどうかなと思うのですが、いかがですか。
○丹羽国務大臣 私は、ただ事実関係を申し上げただけでございます。
○保坂委員 年金の問題というのは大変注目度の高い問題でありまして、しかも、年金福祉事業団というところは、グリーンピアも大きな失敗と損失を抱えて今あるわけですよね。そして、今度これは解散して新しい特殊法人に変わるというところで、どういうふうに処理されていくんだという大きな注目が集まっているわけです。
 ですから、余り小手先の数字を、いきなり瞬間数字みたいなものを出して、黒字になっている、何の失敗もないんだみたいなふうに言うのではなくて、やはり実態はこうだ、ここが間違っていたということをきっちり明らかにしていただきたいということを私の要望として申し添えたいのですが、いかがですか、そういう姿勢で臨まれますか。
○丹羽国務大臣 先日来申し上げておるわけでございますけれども、要するに市場の価格に連動するものであるということで御理解をいただきたい。そして、私どもはあくまでも長期のタームで考えているということでありまして、これによるリスクは極めて低いんだ、こういうことで御理解いただきたいと思います。
○保坂委員 それでは、終わります。
 大変ちょっと納得ができないので、また引き続き伺っていきます。
○島村委員長 これにて保坂君の質疑は終了いたしました。
 次回は、明二十三日午前九時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後六時四分散会