第151回国会 財務金融委員会 第7号
平成十三年三月二日(金曜日)
    午前十時三十分開議
 出席委員
   委員長 山口 俊一君
   理事 伊藤 公介君 理事 佐藤 剛男君
   理事 根本  匠君 理事 林田  彪君
   理事 五十嵐文彦君 理事 海江田万里君
   理事 石井 啓一君 理事 鈴木 淑夫君
      大木  浩君    大野 松茂君
      倉田 雅年君    小泉 龍司君
      七条  明君    砂田 圭佑君
      竹下  亘君    中野  清君
      中村正三郎君    萩山 教嚴君
      増原 義剛君    村田 吉隆君
      山本 明彦君    山本 幸三君
      渡辺 喜美君    江崎洋一郎君
      岡田 克也君    河村たかし君
      小泉 俊明君    中川 正春君
      長妻  昭君    原口 一博君
      日野 市朗君    松本 剛明君
      白保 台一君    西  博義君
      中塚 一宏君    佐々木憲昭君
      吉井 英勝君    阿部 知子君
      植田 至紀君
    …………………………………
   議員           河村たかし君
   財務大臣         宮澤 喜一君
   国務大臣
   (金融担当大臣)     柳澤 伯夫君
   内閣府副大臣       村井  仁君
   財務副大臣        村上誠一郎君
   財務大臣政務官      大野 松茂君
   財務大臣政務官      砂田 圭佑君
   政府参考人
   (金融庁監督局長)    高木 祥吉君
   政府参考人
   (法務省大臣官房審議官) 小池 信行君
   政府参考人
   (財務省主税局長)    尾原 榮夫君
   政府参考人
   (国土交通省住宅局長)  三沢  真君
   財務金融委員会専門員   田頭 基典君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月二日
 辞任         補欠選任
  谷口 隆義君     西  博義君
  若松 謙維君     白保 台一君
同日
 辞任         補欠選任
  白保 台一君     若松 謙維君
  西  博義君     谷口 隆義君
    ―――――――――――――
三月二日
 消費税の大増税に反対、食料品の非課税に関する請願(筒井信隆君紹介)(第三五五号)
 同(穀田恵二君紹介)(第三八五号)
 同(赤嶺政賢君紹介)(第三九九号)
 同(石井郁子君紹介)(第四〇〇号)
 同(小沢和秋君紹介)(第四〇一号)
 同(大幡基夫君紹介)(第四〇二号)
 同(大森猛君紹介)(第四〇三号)
 同(木島日出夫君紹介)(第四〇四号)
 同(児玉健次君紹介)(第四〇五号)
 同(穀田恵二君紹介)(第四〇六号)
 同(佐々木憲昭君紹介)(第四〇七号)
 同(志位和夫君紹介)(第四〇八号)
 同(塩川鉄也君紹介)(第四〇九号)
 同(瀬古由起子君紹介)(第四一〇号)
 同(中林よし子君紹介)(第四一一号)
 同(春名直章君紹介)(第四一二号)
 同(不破哲三君紹介)(第四一三号)
 同(藤木洋子君紹介)(第四一四号)
 同(松本善明君紹介)(第四一五号)
 同(矢島恒夫君紹介)(第四一六号)
 同(山口富男君紹介)(第四一七号)
 同(吉井英勝君紹介)(第四一八号)
 所得税の基礎控除引き上げ、課税最低限度額の抜本的改正に関する請願(植田至紀君紹介)(第三八六号)
 同(石井郁子君紹介)(第四一九号)
 同(小沢和秋君紹介)(第四二〇号)
 同(大幡基夫君紹介)(第四二一号)
 同(大森猛君紹介)(第四二二号)
 同(川田悦子君紹介)(第四二三号)
 同(木島日出夫君紹介)(第四二四号)
 同(児玉健次君紹介)(第四二五号)
 同(穀田恵二君紹介)(第四二六号)
 同(佐々木憲昭君紹介)(第四二七号)
 同(中林よし子君紹介)(第四二八号)
 同(春名直章君紹介)(第四二九号)
 同(藤木洋子君紹介)(第四三〇号)
 同(松本善明君紹介)(第四三一号)
 同(吉井英勝君紹介)(第四三二号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 平成十三年度における公債の発行の特例に関する法律案(内閣提出第一号)
 法人税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三号)
 租税特別措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四号)
 特定非営利活動の促進のための法人税法等の一部を改正する法律案(岡田克也君外七名提出、衆法第二号)

     ――――◇―――――
○山口委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、平成十三年度における公債の発行の特例に関する法律案、法人税法等の一部を改正する法律案、租税特別措置法等の一部を改正する法律案及び岡田克也君外七名提出、特定非営利活動の促進のための法人税法等の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 各案審査のため、本日、政府参考人として財務省主税局長尾原榮夫君、金融庁監督局長高木祥吉君、法務省大臣官房審議官小池信行君及び国土交通省住宅局長三沢真君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
○山口委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小泉俊明君。
○小泉(俊)委員 民主党の小泉俊明でございます。御質問させていただきます。
 まず最初に、十年間にも及ぶ長期的な景気の低迷、そしてKSD事件、外交機密の問題、えひめ丸の問題、検察官と裁判官の証拠のもみ消しの事件など、まさにさまざまな問題が今噴出し、我が国の戦後の歴史の中でも今ほど、立法も行政も司法も、三権のすべてに対する国民の信頼が失われたことはないと思います。国民の心の中には、どうしようもない閉塞感や不公平感や怒りが満ち満ちております。
 こういった状況の中で、我々、政治や行政に携わる者にとって一番大切なことは、今謙虚に国民の声や国民の思いを聞き、これにこたえることにより信頼を取り戻す以外にないと思うのであります。特に財政金融は、今後の日本経済の浮沈を決する国の要諦であり、ここに対する国民の信頼なくして日本経済の復活はあり得ません。
 まず、宮澤財務大臣の今の日本の政治全体に対するお考えと財政を担当する御決意をお聞かせいただきたいと思います。
○宮澤国務大臣 政治全体について余り申し上げる立場にございませんけれども、民主主義が成熟をいたしまして、だんだん国民の価値観が多様になり、国民のニーズも多様になってまいりました。それに十分に応じ切るということがなかなか容易なことでございませんが、また、その機構の中でいろいろな腐敗が起こり、あるいは制度疲労が起こっているということと相まちまして、一種の低迷感、あるいは暗い感じが生まれているということは事実と思います。
 しかし、これはそうかといって、民主主義以外に方法がないということを国民はみんな知っておるわけでございますから、そういう中で、浄化作用というものが進んでいって、さらによりよき民主主義に進んでいくというふうに努力することではないかというふうに思います。
 その中で、財政は、いろいろ事情はございましたが、この数年間、いわゆるバブルがはじけまして以後、バストになりましてから、殊に一九九七年、八年ごろから非常な不況になりまして、それに対する対応をいたしてまいっておりますけれども、そのための非常な財政負担を負うこととなりました。しかも、今の段階で企業活動はようやく戻ってきた気配がございますが、家計についてのそれが連携をしていない。国民の消費というものはいろいろ事情がございますと思いますが、現実には沈滞をしておりますから、それがGDPの六割何ぼを占めるという状況において、GDPの成長も非常に弱いという今の状況であります。
 しかし、この巨大な債務はどうしても処理をしなければならない、逃げるわけにいかないわけでございますから、それが平成の最初の十何年、少なくとも将来にこれらが人々の負担になるということを私は非常に申しわけなく思っていますが、それにしても、しかしそれをどうやって解決していくかというその道は我々のときにつけていかなければならないと思っておりまして、それが財政再建の問題だと思っています。
 そのことは、せんだってから申し上げましたように、税制であり、中央、地方の行財政の再編成であり、あるいは社会保障の問題でもございます。一気にそういう問題にやはり解決の道をつけなければならない。一義的に、同時的に、サイマルテニアスにそういう答えを出して、それにのっとって進まなければならないわけでございますから、そのためのいわば、一言で言えば負担と給付と申しますか、そういうことについての国民的なやはり決断を求めなければならない時期が近く参りますし、また、そうでないと問題の最終的な解決はできない。
 それにしても、この問題の解決にはやはりかなりの日時が必要である。将来に向かって大変な負担を残してまことに申しわけないという感じがいたしますが、それが事実でございます。
○小泉(俊)委員 それでは、早速、通告に従い質問させていただきます。
 まず、どんな問題につきましても、原因を分析して有効な対策をとるためには、何よりも現状を正確に把握することが一番大切であります。
 そこで、今の日本の現状に対する御認識についてお尋ねをしたいのですが、宮澤財務大臣は、先日の本委員会における所信表明におきましても、我が国の現状につき、緩やかな改善が続いている旨の発言をされております。
 しかし、大臣、最近、上野駅や新宿駅の構内を、昼間でも夜でも結構でございますので、御自分の足でお歩きになられたことがありますでしょうか。
○宮澤国務大臣 緩やかな改善というのは、どうも普通の言葉としては私は余り信じておりませんで、エコノミストに言わせますと、マイナス成長でない、だからそれは幾らか改善だ、それも余り大きな成長ではないから緩やかだと言うんですね。それはそうかもしれないけれども、どうも普通使う言葉としては余りそういうことを言いませんですね、と私は思いますが。
○小泉(俊)委員 質問についてはいかがでございましょうか。
 大臣、上野とか新宿じゃなくても結構でございますので、どちらか御自分の足で、昼か夜、現実に町をお歩きになられたこと、最近ございますか。
○宮澤国務大臣 余りございません。
○小泉(俊)委員 柳澤金融担当大臣はいかがでございますか。御自分の足で夜の町ないしは昼間の新宿とかをお歩きになられたことはございますか。
○柳澤国務大臣 東北などに行くのもこのごろは東京駅からになってしまっておりますし、そういう関係で、どうも上野を一番最近歩いた、歩いたというか、ちょっと池之端に用事があったときに行きましたけれども、自分の足で歩いたということではございません。
 ただ、私は地元は当然よく知って、歩いております。
○小泉(俊)委員 後ほどまた御質問しますけれども、これは、新宿駅に今行きますと、昼間でも浮浪者の方たち、それもかつての浮浪者と今は違いまして、大分目のぎらぎらした浮浪者の方がかなりふえております。なかなか昼間でも女性一人ではちょっと、周りに人がいるからいいんですが、歩くのが結構怖いような、私が歩いていても怖いような感じがあります。また、上野駅なんかに行きますと、夜ですが、かなり小ぎれいな格好をした方たち、本来であれば普通に働いているような格好をしている方たちが、今、階段で座ったり踊り場で寝ていたりしているんですね。要するに、今までの浮浪者じゃなかった人たちが、実は今、新しい浮浪者の人たちが出てきているわけであります。
 続きまして、大臣、どこでも結構ですが、最近、ハローワーク、旧職業安定所でございますが、現実にお訪ねになられたことはありますか。
○宮澤国務大臣 ございません。
○小泉(俊)委員 柳澤金融担当大臣はいかがでございますか。
○柳澤国務大臣 私も、最近ということになりますとございません。
○小泉(俊)委員 大臣、前は行かれたことはありますか。最近じゃなければ。
○柳澤国務大臣 浜松でございますけれども、出かけたというか、前を通って様子は観察しました。
○小泉(俊)委員 先日、私、新宿に行きまして、西口の駅前、今ハローワークも大変きれいな場所にありまして、きれいなビルの二十三階に、どういうわけかエレベーターからそこの階だけ物すごく人が乗りおりしています。それは、何かと思って私も行きましたら、ハローワークなんですね。その中に、今どういう状態かといいますと、席のあきが全くない。パソコンが全部並んでいます。パソコンを一生懸命見て、私の知っている職業安定所のころというのは、年齢の極めて高い方が多かったんです。今実は、これは新宿だからかもわかりませんが、二十代、三十代、四十代の、男性も女性も問わず非常にふえています。若年層の就職難ということが現実的に今起こっているということでございます。
 それでは、宮澤財務大臣、御自分の選挙区でも結構でございますので、現実に商店街を歩かれたことはございますか、最近。そして、何かのお店でたばことか、ジュースでも何でも構いませんけれども、御自分のポケットからお金を出して買われたことはありますか。
○宮澤国務大臣 選挙区では無論ございますが、それもちょっとごぶさたでございます。
 それから、床屋へ行くときは必ず財布を使いますが、それ以外は、物を買うということも実は余りございません。
○小泉(俊)委員 柳澤大臣、いかがでございましょうか。
○柳澤国務大臣 私の場合にはございます。
○小泉(俊)委員 柳澤大臣、どこでどんな感じでしたわけですか。どんなお店で、その買ったときの雰囲気、お店の状態とかはどんなでしたですか。
○柳澤国務大臣 どんな感じと言われましても、普通の感じで、そうすごく変わっているという感じはないように思います。
 ただ、私の地元の商店街はもう本当に、NHKの特集番組でシャッター街という名前をつけられたほどのところでして、非常にちょっと問題をはらんでいる。ただ、これは景気の問題よりも構造問題かなというふうに考えています。
○小泉(俊)委員 先日の日曜日でございますが、街頭演説をやりながら、私も茨城、県南でございますけれども、結構今人口がふえておりまして、順調に発展しているところなんですね。それでも、実は全部回ってみましたら明らかに、去年の六月の衆議院選挙のときよりも、シャッターが落ちているのが、営業日であるにもかかわらず、大分ふえてきました。物を買っても、商店主に全く気力がないんですね。それで、いかにも閑古鳥が鳴くというのは本当にこういうことなんだなというのを、私、四十三のこの年になって初めて感じた次第であります。
 それでは、宮澤財務大臣、最近、証券会社の店頭へ行きまして、電光掲示板の前にいすが並んでいますけれども、そういうところというのは現実にごらんになられたことはありますか。
○宮澤国務大臣 それは、車で通りますんで、存じています。
○小泉(俊)委員 柳澤大臣、いかがでございましょうか。
○柳澤国務大臣 私も同様でございます。
○小泉(俊)委員 中に入ったことはございますか。証券会社の電光掲示板の前にみんないるんですよ。かつてバブルのときにはたくさん人があふれていたんですね。最近お入りになられたことはありますか。外ではなくて。
○柳澤国務大臣 私、現在株をやっていませんので、現在というか株をやっていないものですから、その用事はなくて、出かけておりません。
○小泉(俊)委員 まだ森先生が総理になる前、平均株価が二万円に近づいたころは、まだ定年退職された方とか、結構高齢な、年配の主婦の方たちがかなりたむろしていたんですね。さすがに、きのうバブル崩壊後最安値を更新したわけですけれども、ぜひとも一度行って見ていただきたいんですが、ほとんど最近は人がいません。これはどういうことかといいますと、新聞で株価を見るよりも、個人の投資家がいかに離れているかというのは明らかですね。商売成り立たないと思うぐらい人がいません。
 また、つい最近まで、実は旧大蔵省が予定どおり源泉分離課税の廃止を進めようとして一生懸命官僚の方が、やるんだ、やるんだという話をされていました。それで大蔵官僚の方たち何人かとちょっと話したわけでございますが、株式投資をしたことのある人がほとんどいないんですね。政治家の場合は、現職になりますとしない方がいいんでしょうけれども、やはり現実に株式投資をしたことがある方でないと、どうやったら個人投資家を市場に戻せるかとか、投資家の気持ちというのは全然わからないと思うんですが、宮澤大臣、いかがでございましょうか。
○宮澤国務大臣 こういう状況でございますから、個人投資家もなかなか寄りつかないというようなことはおっしゃるとおりと思います。
○小泉(俊)委員 柳澤大臣、いかがでございましょうか。
○柳澤国務大臣 これは大蔵省の、私も宮澤先生の相当後輩ですけれども大蔵省に勤めておりましたのですが、特に当時の証券局の関係は、これは明示的に禁じられていたと思います。その他の部署の場合には明示的に禁じられていたとは思いませんですけれども、じゃ、友人たちの中で株式に格別の興味を持って投資をしていた者がいたことを知っているかと言われれば、全く知りません。
 そういうことで、これは今、村井副大臣は非常にその点について、全く何にもやっていたことのない人間が政策の企画立案をするというのはおかしいんではないか、特に、最近のいろいろな公務員に対するレギュレーションというのが、あるいは政治家に対してでも厳し過ぎて、実態からどんどん遊離しているということは問題ではないかということを主張されているんですけれども、私も、そういうことはあり得るというふうに考えております。
○小泉(俊)委員 非常に同感でございます。
 時間がありません。次に行きますが、私は今、茨城県の県南の取手市というところに住んでおります。常磐線が通っておりますので、東京まで私はいつも電車で来ています、パスを使いまして。
 実は、昨年、選挙のときにポスター撮りがございまして、有名なカメラマンだったものですから時間が結構厳格でして、車で行くとこれは間に合わない、おくれた場合にまずいと思って電車に乗ったんですね。ところが、電車に乗ったら二時間も逆におくれちゃったんです。実は自殺者で電車が二時間不通になっちゃったんですね。それで大遅刻しましたのですが、実は先生方は偉くなられますと車しかお使いにならないんで、一体今一般の世の中どうなっているかといえば、実は最低一人飛び込みで死んでいるんですね。そのおかげで、常磐線だけじゃなくて中央線、山手線とか東北線、必ずとまるんです。それも二時間ぐらい。
 私もこの前、山手に乗っていまして、終電車に乗ろうと思ってぎりぎりの山手に乗っていましたら、人身事故でとまりまして、東京駅から歩きました。終電車が上野であると思いましたら、ないんですよ。ですから、みんなその自殺者のあれで二時間も三時間もずっと足どめ食っているというのが実際の今の、電車を使っている方だとよく知っている、サラリーマンの方はよく存じ上げている事情であります。
 そこで、宮澤大臣、今一年間に日本で自殺者はどのぐらいいるか、おわかりでございましょうか。
○宮澤国務大臣 知りません。
○小泉(俊)委員 柳澤大臣、いかがでございましょうか。
○柳澤国務大臣 知りません。
○小泉(俊)委員 新聞に毎年のようにこれは出ています。常々私は、何で大蔵委員会とかそういうところで日本人が大量に自殺しているにもかかわらず一言もしゃべる方がいないんだろうと前から不思議に思っていました。それで、きょう私はあえて、私にとっては極めてこれは常識的な話なんですけれども、今実は二年連続一年間に三万三千人死んでいます。これはただ、表に出ている数字だけですから、御存じのように暗数がありまして、実際は十万人自殺しているだろうと言われています。結局、三万三千人でも毎日九十人近く死んでいるんですよね。これが今の実態であります。
 どう見ましても、今御質問させていただいた中でわかりましたように、我が国の現実を素直に見ると、とても宮澤大臣がおっしゃった我が国の経済状態が、先ほどもおっしゃいましたが、緩やかな、これはおかしな言葉でございますが、公式には大臣の見解としてこれが載っておりますので、国民はみんなそう思っていますが、緩やかな改善が続いている状態ではありません。どうも森総理や宮澤大臣の皮膚感覚と国民の皮膚感覚が大変大きくずれている、大多数の国民がそう思っているわけであります。
 そこで、バブル崩壊後、諸外国に類を見ないほどお金を湯水のように使いまして積極的な財政政策をとり続けてきたにもかかわらず、いつまでたっても国民が、やはり不安なんですよね、さっきの状態がわかっていれば。それで、GDPの六割を占める個人消費が幾らたたけど、笛吹けど踊らずで、経済が本当に回復しない原因は、今御質問させていただいてよく私ももう一度再認識させていただきましたが、大臣とか総理とか政治的な意思決定の権限を持っている方たちと現実との感覚が大きくずれている点にあるのではないかと私は思うわけであります。
 今まで、ここ十年だけでもさまざまな景気対策そして制度の改革が行われてきましたが、どうしても今の、宮澤先生の場合には総理も御歴任されていましたし、ここ十年間非常に要職にいらっしゃって、それなのに、どうしてもすべての政策がおくれがちでタイムラグがあるんですね。あと、やるべき時期を間違えたりしているために、対策の効果が十分に発揮できないのもここに原因があるんじゃないでしょうか。非常にずれているということですね。
 そこで御質問いたします。例えば、財政構造改革法ですが、宮澤財務大臣、平成九年十一月二十八日に成立したばかりの財政構造改革法が、なぜわずか半年ばかりの平成十年五月二十九日に改正され、何と一年後の十二月十一日には凍結になってしまったんでしょうか。どんな原因でそうなったと思われますか。
○宮澤国務大臣 それはもう明確に、一九九七年に東南アジアの為替危機がありました後、我が国自身で、三洋証券が倒れ、あるいは山一が、北海道拓殖銀行がという御記憶のようなああいう状況がいわば続いて起こりました。そこからきた経済の極端な、恐らく金融不安に近いような状況が到来いたしましたので、それまでの財政再建路線というものはここで思い切って転換せざるを得なかった、こういう事情と思います。
○小泉(俊)委員 わざわざ大変な時間と労力をかけまして財政構造改革法をつくったわけですが、つくる時点での、先ほど株のときの御答弁がありましたように、現状認識が甘かったんじゃないですか。正しく、もっと本当に現実、そんな急に北海道拓殖銀行とか連鎖でいくわけないんですね。既にそのときに萌芽があったわけですよね。そのときの経済状態を見誤って、財政構造改革法を、実際は経済が落ち込みつつあって、時限爆弾があと一年ぐらいで爆発するときにもかかわらず、それを見誤ってつくったからこそ、わずか一年で凍結という形になったんじゃないでしょうか、大臣。
○宮澤国務大臣 それは、もう少し時間がたちますと必ず検証されなければならない出来事であったわけですが、財政再建、そのときにGDPの動きは決して悪くなくて、これがかなり情報としてはおくれるという問題はあるにしても、日本の経済はちょっとよくなるのではないかということを多くの人が思いました。それで再建ができるかということに、判断が行われたわけですが、その結果として、いろいろなことを合わせて、よく言われることですが、九兆円という国民負担が生まれたということが一つの原因であったと言われております。
 しかし、それだけではそんなことは急に起こらないわけですから、委員がおっしゃいますように、その間における日本経済の実態についての分析が十分でなかった、今でもまだございませんけれども、やはり検証するとすればそういうところに原因があったと考えるべきだろうと思います。
○小泉(俊)委員 時間がありませんが、先ほど私が何のために四つか五つお話しさせていただいたかというと、これは非常に基本的なことなんですよね。結局、戦争しているときに、指揮官とか作戦参謀が、弾が当たらない何十キロも後ろにいて、現場の状況を全くわからないで作戦を立てている、そういう中でやったのでは国民が何人死んでもむだ死になんです。ですから、しっかり、今おっしゃいましたように、今もずれているのであれば何をどうしたらずれないのかということを、本当はこれからそこの本論に入ろうと思ったんですが、時間がありませんので、次回のときにまた御質問させていただきます。
 引き続きまして、NPOの税制についての御質問をさせていただきます。
 河村たかし議員に質問させていただきます。
 我が国におきましてはNPOはまだ緒についたばかりですが、NPOの先進国のアメリカにおきましては、官と民の間を補うものとして、また幅広く雇用を吸収するものとして、社会における極めて重要な構成要素となっております。我が国においても、このNPOの発展は極めて重大な問題であると思います。
 しかるに、政府は、NPOに税制支援を広く認めると乱用のおそれがあるとして、どうも極めて消極的であります。しかし、現にアメリカでは、国への所得税が七千五百億ドルなのに対して、公益寄附が一千七百五十億ドルにも達すると聞いています。脱税に極めて厳しいアメリカで何でこれほど大規模な公益寄附金が支出されるんでしょうか。
○河村(た)議員 お答えの前に一つ、この間うちが答弁しておりました認定機関について若干誤解があったようでございますので、正確に申し述べたいと思います。
 私ども三党で提案しておりますのは、法人税法三十七条十項にありますように、「この条において「認定特定非営利活動法人等」とは、特定非営利活動法人及び民法第三十四条の規定により設立された法人のうち、次に掲げる要件を満たすものとして、政令で定めるところにより特定非営利活動等促進委員会の認定を受けたもの(その認定の有効期間が終了したものを除く。)をいう。」ということでございますので、はっきりさせていただきたいと思います。
 それで、今のお答えでございますけれども、とにかく、今小泉さんが言われたように、アメリカでは、国に出す所得税が七千五百億ドル、それから公益寄附が、これはギビングUSAという統計ですけれども、ちょっと多いのではないかと言われておりますが、一千七百五十億ドル。これは二割なんですよね。それで、日本の方を聞きますと、乱用、乱用といって盛んに国税がというか大蔵が言っておりまして、それにまた従って自民党の中でも心ない人が同じようなことを言っています。
 どういうことかといいますと、まず公開、まあ競争ということが起きるのですが、それよりこういうことなんですね。例えば、いわゆる公益法人なんかにお金がどれだけ行ったか、宗教法人でも。アフタータックスの金だったら全然わけがわからないじゃないですか。だけれども、寄附控除をしますとどういうことになるかといいますと、例えば百万円寄附しますね、だから税金をまけてくださいという書類が全部向こうの税務署に行くんです。国税当局、IRSへ行くんですね。だから、国税当局は実はお金の入った額というのはわかるのですよ。わかっておるか、大蔵。そういうことなんですよ。自民党の方、誤解をされては困るのですよ。実は、税制控除というのは脱税防止のためにやっているんですよ。公開しますから、要するにそういう団体は。
 では、日本で幾ら入っているのかわかりますか。全然公開されていないじゃないですか。わけがわからない、どういう団体か。だから今回の埼玉県のいわゆるKSDの問題でも、何か変な裏金がたくさんあってわけがわからぬ状況になるということなんです。
 だから、とにかくいろいろな団体に税制控除をすることです、寄附控除を。どんどんそのフィールドに入れてやる。それで、そこにみんながお金を出したら、これだけ出しましたよ、だから税金を控除してくださいという書類がとにかく課税当局に上がるようにしてやるということなんです。国税庁は五万人ぐらいおりますけれども、何がそれで全部わかるのですか。私は、これはよほどお人よしだと思いますよ。この世界は何と脱税天国なんですか。
 それより、みんなで公開してまず見ること、それから寄附の伝票を全部税務署へ上げるんです。課税当局は、これをやってはいけない、あれをやってはいけないと言ってはだめですよ。当然法律に触れることはだめですけれども、お金の流れは見るということですよ。商売をやっておる人に決算書があるのと同じなんだ。早くこういう世の中にしてください。何があなたたちに公益を見る資格があるんだ。それはとんでもない話ですよ。みんなで見るんです、国民で。それで、寄附したお金を……
○山口委員長 時間が経過していますので、簡潔に。
○河村(た)議員 寄附したお金をみんなでわかるようにする。こういう仕組みだから、向こうでは今言ったように国に出す所得税の二割にも及ぶほどの公益寄附金があるということで、早くこういう時代をつくっていきたい、こんなふうに思っております。
 以上でございます。
○小泉(俊)委員 質問を終わります。
○山口委員長 次に、江崎洋一郎君。
○江崎委員 民主党の江崎洋一郎でございます。
 税法につきまして大分議論も尽くされております。冒頭は、少しマクロ経済政策につきまして政府の御見解を承りたいというふうに考えております。
 我が国経済は、数次にわたる景気対策を経まして、いわば思い切った金融財政政策を実施したにもかかわらず、景気はいまだ重い足取りをたどっているということは皆様御承知のとおりでございます。九〇年代、日本を取り巻く環境は著しく変化してまいりました。経済においても、金融・資本市場におきましても、グローバル化が一層進展しております。また、高度情報化社会を迎える一方、我が国固有の悩みとしまして、少子高齢化が予想をはるかに上回るペースで訪れているという状況にあるかと思います。
 今求められている経済の姿としましては、企業におきましては高い資本効率、いわゆるROEあるいはROAを向上させることであります。また、経済におきましては、高い労働のモビリティー、金融・資本市場の効率化、多様化、これらを受け、柔軟かつ効率的な経済システムをつくり上げることが課題である、重要であると考えております。そして、社会におきましては、高齢化社会に備えましたさらなる制度整備、年金の抜本改革等が必要でありまして、これらが喫緊の課題ではないかと考えております。
 以上の環境の中で、我が国経済において顕現化してまいります幾つかの問題につきまして、きょう御出席の両大臣につきまして御見解を承りたいと思います。
 まず一点目に、貯蓄、投資のインバランスにつきましてお尋ねを申し上げたいと思います。
 企業につきましては、今、資本効率への意識の高まりや過剰債務の調整ということから、前向きの設備投資というものを拡大させるよりも、どちらかというとやや後ろ向きに借入金の返済等々に一生懸命注力しているというのが現状ではないかと思います。このような結果から、企業部門におきましても現在貯蓄超過という数字でもあらわれているわけでございます。
 一方では、個人は、年金に対する将来の不安というもの等々を材料に、さらには財政赤字、金融システムへの不安、こんなようなことを材料にやはりまだ依然として貯蓄率は高どまっているという現状にあるかと思います。
 ここに、日銀が生活意識に関するアンケート調査ということで半年に一回行っているアンケートの結果がございますが、支出をなぜ削減していますかという質問に対して、答えは、将来の仕事や収入に不安があるから、あるいは年金や社会保険の給付が少なくなるとの不安、約六割の方々がこういった答えで、支出を今減らしていますよというアンケート結果も出ておる次第でございます。これは、今申し上げましたとおり、企業におきましても個人におきましても、現状貯蓄超過になっているというわけでございます。
 しかし、この貯蓄超過を膨大な財政赤字がのみ込むといったような構造に現在日本の経済はあろうかと思います。
 この不自然な形であります貯蓄と投資のバランスのゆがみというものにつきまして、政府はどのような形で今後是正をされていくお考えなのか、最初に宮澤大臣にお伺いを申し上げたいと思います。
○宮澤国務大臣 大変難しい問題をおっしゃっていまして、非常に長い歴史の経緯で御説明申し上げることは時間を要しますし、今のことで申し上げることになると思いますが、もともと貯蓄性向が我が国の場合非常に高いということが、これは歴史的ないろいろ事情はあるにしても現実の問題としてございます。
 他方で、個人が投資をするという習慣は、極端に申せば株を買うというような話は余り褒められた話ではないというような長い間の習慣がございまして、この間も申し上げましたが、二宮金次郎のところまででございますので、みんな銀行の貯蓄になってしまう。それは、現在我が国の国民の大部分の蓄えが貯蓄という形で、預金という形で行われているというので明らかでありまして、なかなか投資ということにならないという問題が一つあるであろうと思います。
 他方で、しかし、国の財政は長いことそんなに苦しんでおりませんでした、今は別でございますが。高い税金で国民から貯蓄を移転しようということを政府は特に考えませんでした。戦後、経済成長が早く、軍事負担等々がございませんこともありまして、租税負担というものは比較的高くない状況、そういうことで続けてまいりました。
 そういうことを背景に、現在こういう状況になりましても、なお非常に大きな貯蓄を抱きながら他方で非常に大きな財政の欠損を出している、そういう状況であるかと思います。
○江崎委員 この貯蓄、投資のバランスというものも均衡するような形で、いい意味での経済の展開につながるような形で今のゆがみをぜひとも、一日も早く是正できるような体制を、マクロの政策からも打っていただければというふうにお願いする次第でございます。
 これに関連しまして、次に、公共投資につきましてお尋ね申し上げたいと思います。
 ここに経済企画庁の資料がございますが、政府の公的資本形成につきまして国際比較をしておるグラフでございます。これは七〇年代から始まっている調査なんでございますが七〇年代から九五年、これは最終が九五年調査なんでございますが九五年に至るまで、日本は各国に比べまして、対名目GDP比でも五、六%という水準にあります。特に、最近は六%を超える水準にまで上がっているという状況でございます。
 一方、このグラフにちょっと一緒に載っておるんですが、この下の方にごちゃごちゃっとあるのがそうですが、米国、欧州をごらんいただくと二%から三%ということで、日本とはもう比較にならない水準でございまして、日本は世界の中でもかなり水準が高いんだなということがわかるグラフでございます。
 もう一つ、建設業の生産比率というグラフがございます。これはOECDの統計でございます。これは全産業の総生産額に占めます建設業の割合を示したグラフなんでございますが、ここでも日本は各国に比べまして圧倒的に建設業の比率が高い状況にございます。他国の倍以上あるという現状になっております。
 変革の時代ということも考えますと、国際的に高水準にあり、また生産性の向上につながりにくい公共投資というものについては徐々に削減をしていく必要もあろうかと考えております。後ほどまた御見解を伺いたいと思います。
 また、本来は、今財政赤字の部分のお話がございましたけれども、貯蓄・投資バランスの投資がなかなかふえないから財政赤字の結果としてファイナンスにつながっているという部分があろうかと思いますが、公共投資を出さざるを得ないという現状はございますが、本来であれば民間のイノベーションに期待をするということではないかと思います。
 この民間のイノベーション、そうはいってもなかなかすぐ起きてこないよ、待つまでの間のつなぎとして当面高どまらせるにせよ、先々民間のイノベーションが起きてきたときに種まきになるような分野への投資というものも必要じゃないかなと思います。
 例えば社会基盤の整備にしても、企業の生産性向上につながるような、例えば首都圏の渋滞解消、あるいは情報通信のコスト引き下げにつながっていくような投資、あるいは人的投資という意味で教育の質の向上を図る、そういった部分についての投資というのを政府としては行っていくべきじゃないかと思いますが、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
 そして、これら公共工事というものはこういうものだよという具体的な目的が明確化されれば、国民の皆様から、公共投資はそんな悪者じゃないよ、むしろ重要だという部分の理解も深まるんではないかと思います。
 また、構造調整のプロセスが生じつつあります。先ほど人的投資のお話を申し上げましたが、雇用の流動化ですとか、現状起きている雇用のミスマッチというものがございます。これらを是正するために、例えば職業訓練などの人的資本ストックに対する、これらが向上するような投資に支出を振り向けるということもお考えかと思いますが、ちょっと総合的にお答えを願えないかと思います。大臣にお願いいたします。
○宮澤国務大臣 公共投資のお話がございまして、今江崎委員のおっしゃっていらっしゃるようなことはしばしば、殊に学者から指摘されている問題でございます。
 私自身は、自分の党の中で決して公共族と言われたことはない人間でございますけれども、しかし、我が国が公共投資をこれだけしておるということをそんなに非効率な投資として批判される理由があるんだろうかということを実はいろいろに考える時期がございます。それはいわゆるポークバレルだということですが、しかし、日本の代議士さんがアメリカの代議士さんよりそんなにばかなはずはなくて、代議士さんも自分の郷里に必要があって公共投資をするのは、そんな選挙民が見てばかなことをするはずはないんでして、ですから、仮に百歩譲って、代議士さんが公共投資についていろいろするということそのものがむだな投資になっているというふうにどうも私には正直考えにくいということを、一遍申し上げたいということで申し上げただけでございます。
 ただ、それはそれとしておきまして、つまり、その前に日本のインフラストラクチャーはやはりかなりおくれているということは、下水道の普及率一つ見たって、江崎委員はよくアメリカのことを御存じですから、それ一つ見たって、まだまだやり足りないことがたくさんある。何かあれば、すぐ川が荒れたり山が崩れたりするわけでございますので、日本の公共投資はもう十分だなんということは私は成り立たないと実は思っておりますということをちょっと申し上げまして、しかし、そうはそうでございますけれども、こうやって国民経済の立場から見まして、やはり明らかにそれは都市と地方というものについて、都市の集中が激しゅうございますだけ、公共投資的な要素は多分確かに忘れられている、そうだろうと私も思っております。
 それは、選挙との関連でまた余計言われることでございますから、そういうことを私どもここのところ何年かずっと反省をし続けてまいっておりまして、今度の御審議いただいております予算の中でも、公共事業費九兆何千億円のうちで、ほぼ四兆円がいわゆるITであるとか、あるいは老齢化であるとか、環境であるとか、都市基盤、そのほとんど四〇%以上がそこへ集中しておる。
 それは、大分私どもが反省してのことでございますが、やはりそういうふうに持っていかなければならないし、その多くのものはまた二十一世紀のニーズにこたえるという性格のものでございますから、そういう努力をしつつ、しかし、九兆何千億円という水準は十三年度も維持しようとしておりますが、あるいは、景気が正常化いたしましたらこれは高いのかもしれません。そういたしましたら、もう少し違う方の投資に向かっていくべきものであるかもしれないということは思っておりますが、何分にも景気がほぼ落ちつきましたらということであろうかと思っています。
○江崎委員 ぜひとも時代の変革の背景を受けた有効な投資をお願い申し上げたいと思います。
 本日は、公共投資のお話だけではなく、地方への所得の再配分機能につきましてもお伺いしたかったわけでございますが、ちょっと時間もないわけでございます。次の質問に移らせていただきたいと思います。
 次に、金融の問題について触れさせていただきたいと思います。
 よく言われておりますように、個人の金融資産、現在千四百兆円にも上る資産があると言われております。しかし、このうちの約六百兆円は政府の負債に見合っているというのが現状ではないかと思います。これに加えまして、今過剰債務の調整過程にあります、主に四業種と言われておりますが、これらの業種が抱えている債務、これが二百数十兆円あると言われております。この点についてはちょっと後ほど詳しく申し上げますが、これらを合わせると、約八百兆円がなかなかすぐにはほかには振り向けられないような形で固定化されている。千四百兆円のうち、資産はあるんだけれども、八百兆円はなかなかほかのところに動けないような資産になってしまっているというのが今の実態ではないかと思います。
 また、現状のように、個人の金融資産が郵貯ですとか銀行預金に流れ込んで、結果として、銀行が国債を買ったり、あるいは財投機関への貸し出しを行うという状態では、とても効率的な資金配分ができているとは言えないんではないか、むしろさらに硬直性を高めてしまっているんではないかというふうに考えております。
 先ほどちょっと触れました過剰債務の調整過程にある四業種ということでございますが、俗に、建設、卸売、小売、不動産、この四業種の有利子負債総額、これが約六百兆円のうちの約四割強の二百数十兆円あるという意味でございます。
 しかし、悪い企業ばかりではない。製造業においては過剰債務の問題は現状では極めて軽微だということでございますし、国際競争力を持っている企業というのもまだまだ多数あろうかと思います。
 そういった意味で、まだ我が国には、元気な製造業や資金をこれから必要としているよというような成長産業あるいはベンチャー企業というものも多数あるわけでございます。これらの分野に効率的な資源配分がこれからできるようにシステムを改善していくというのも重要ではないかというふうに考えておる次第です。そのためには、私の考えでは、個人の金融資産を株式市場を通じて企業部門に効率的に配分するシステムができないか、強化できないかということを考えておる次第でございます。
 折しも、今株価は非常に低迷しております。昨日の日経平均株価は一九八五年十一月以来の一万二千七百円を割り込むという状況でございますし、また、けさ方の相場もまた下がっているという状況でございまして、株式市場の機能が非常に麻痺していると大変心配される状況にあるわけでございます。
 また、こういう状況ではあるんですが、海外に目を転じてみますと、近年、欧米諸国が株式市場を活性化させた理由の一つに、個人の投資家、個人資産を優遇税制によりまして株式市場に引き寄せてきたということが言われております。いわゆるリスクマネーを育成するという一つの要因にもなったと言われております。
 今次法案にあります申告分離課税については、ぜひとも他の金融商品並みの二〇%という税率に引き下げがお願いできないものなのか、また、売買で損失が出たときは翌年度に繰り越せるような措置というものも最低限必要なのではないかと考えますが、お考えをお伺いしたいと思います。
 また、長期保有に対する、株を長期保有する意味での優遇策ですとか、あるいは投資額が少ない、そういったときの措置というものはいろいろ考えられると思います。個人投資家を株式市場に引き寄せるという意味では、海外に倣っていろいろなアイデアがあろうかと思いますが、両大臣に、これら御展望も含めてお聞かせ願いたいと思います。
 柳澤大臣が何か次の御答弁もあるということで御退席のお時間もあるようですので、恐縮ですが柳澤大臣から。後ほどまた財務大臣、お願い申し上げます。
○柳澤国務大臣 江崎委員の方から、大変勇気づけられるような御指摘をいただきながらの御質問をいただきました。
 日本の金融資産、確かにいろいろな問題を包蔵しながらも、残高としては千四百兆というようなことで、世界に冠たる残高を誇っておるということですが、その形態を見ますとほとんどが元本保証の預貯金に流れているということで、いま少しリスクマネーであるところの資本市場への投資というものが拡大していいんではないか、こういう御指摘でございましたが、私どももそのように考えているわけでございます。
 これまでは銀行がほとんどのリスクを背負ってきたと言ってよろしいかと思いますけれども、それはやはり銀行としても耐えがたいということで、近々は、預金者にもそのリスクを負ってもらおうということでペイオフが凍結解除されるというようなことですけれども、さればといって、それじゃ預金者にすごいリスクを負わせていいかというと、やはりそうではない。
 そういうことで、保険というようなこともあるし、また破綻金融機関についてはもう本当に、破綻をする直後ぐらいに、損失を限定するためにパーチェス・アンド・アサンプションというような形での譲渡が行われるようにこれからは金融監督の方も骨を折っていかなきゃいけないという仕組みになりつつあります。
 しかし、そういうようなことがあったとしても、なお資本市場への投資がもっとあっていいということであろうと私どもも思っておりまして、そういう観点で、金融庁は、平成十三年度の税制改正の要望の中で、今先生の御指摘にあったようなことを実は税制当局に要望をさせていただいたわけでございます。申告分離課税における税率の引き下げ、翌年度以降への譲渡損の繰り越し、それから長期保有株式に対する特別な控除といったようなことで、今先生の御指摘になられたようなこととまさに軌を一にした要望をさせていただきましたけれども、率直に言って、最近の株式市場の動向ということを重視するということから、むしろ源泉分離課税の存置というか、そういうことが要望の重点になってしまった結果と言わせていただいていいかと思うんですけれども、そちらの方を実現を図るということで、この申告分離の方の改善ということが、これは政党の話ですけれども、与党側の税制改正大綱での検討事項にとどまってしまったといういきさつが実はございます。
 しかし、昨今の株式市場の状況がこうだからというわけではないんですけれども、やはり中長期的にも、資本市場の育成という観点から、今先生御指摘であるし、また私が今申させていただいたようなことについての改善というのは、これはもう待ったなしではないかというふうに私としては認識をしているということでございます。
○宮澤国務大臣 今のお話でございますが、両方の側から見まして、と申し上げますのは、まず企業サイドと申しますか、銀行と企業との関係でございますが、このたびのこの三年越しの不況のところで、金融機関のあり方というものは非常にいろいろ批判を受けました。そして、それと同時に、日本の企業が金融機関からの貸し出しに非常に頼っていて、エクイティーキャピタルというものが非常に軽視されているという事実も何度も我々目にし、耳にするということがございました。
 他方で、今度個人の資産運用の側からいいますと、いかにも預貯金というものに偏重があって、エクイティーキャピタルというものがここにもない。そういうことも、どうもこれはいかぬなというところへ、金融商品がたくさんできまして、自由化しましたので、財産のマネジメントといったようなものを業とする機関がだんだん個人の家庭に接触しつつございます。こっちからも財産の運用としての証券投資というものがだんだん国民の関心を呼ぶに、殊に若い人はそうだろうと思いますが、至るはずだと私は考えていまして、両方の面から見まして、株式投資というものがもっともっと日本の経済で大きな部門を占めなければ不思議だと、冒頭に貯蓄と投資のバランスのお話が実はあったわけでしたが、どうもそこは変わらなければおかしいと私は思っています。
 まだ、変わっていく、景気が普通になりましたら見えるんでしょうか、もうちょっとそういうあれが見えてくれてもいいと思いますが、しかし、そうなるのは私は必然だと思っています。
 そこで、そうなることは非常に好ましいことであるから、税制がその邪魔をするということはよくないし、何か助けになることはした方がいい。今譲渡所得課税のことを申しておるのではございません、誤解があるといけませんから、それを具体的に申しておるのではないんですが、国民が株式投資をする、エクイティー投資をするということに資産の運用としてもう少しなるのがよその国を見ても先進国では不思議でないし、また、企業もこれほど金融機関に頼っておったということについての反省もあるということでございますので、その両方の見地から、税制もやはりそういう動きを何とか促進することができればいいなというふうに考えています。
○江崎委員 ぜひともこの部分につきましては、中期的ビジョンに立ちまして真剣に取り組んでいただき、活性化につながっていくような形で策を講じていただきたいと思います。
 さて、時間もそろそろ終わりでございますが、個人の優遇税制や構造改革の取り組みなど、政府の方針については意外と株式市場においては外人投資家もよく見ておるものでございます。
 かつて外人投資家は、二〇〇〇年の四月に郵貯の大量償還がございました、この前の時期に、九八年の暮れあたりから二〇〇〇年の三月ぐらいまで、株を大幅に買い越してきたという事実がございます。これは、恐らく郵貯の大量償還を期待して自分たちが呼び込もうと、いわゆる株式相場に大量償還したお金が流れ込んでくるんじゃないかなという期待から、早目に外人投資家が仕込み始めたのではないかと思います。しかし、その後は政府の政策への、特に動きはなかったわけですよね、失望というものも彼らは感じたんじゃないかと思います。二〇〇〇年三月には一転売り越しに転じて、さっと引き揚げてしまったということも言われております。
 個人投資家の株式市場への多くの参入によりまして相場の活性化が図られ、またさらには有効な資金配分が実現するという観点からも、ぜひともこの策については十分御配慮いただきたいと思います。
 さて、最後の質問にさせていただきます。NPO法人税制につきまして、提案者の河村たかし議員にお尋ね申し上げたいと思います。
 NPO法人の税制につきましては、今までの議論の中でも、政府案と民主党案といろいろな面で違いが明確化してきているのではないかと思います。その背景には、NPOの社会に対する役割や、将来どのように育成されるのかというNPO自身に対する理解や期待についての見解の相違があるのではないかなというふうに考える次第です。
 今後の展望を踏まえまして、市場経済のもとでのNPOのあり方、また、NPOがどのように新しく生まれましてさらに発展していくのか、御所見を伺いたいと思います。
○河村(た)議員 お答えいたします。
 市場経済の中でということなんで、市場経済というのは何かというのはなかなか難しいと思いますけれども、一般的に言うと、供給と需要といいますか、好きなものを買って好きなものをつくれる、供給できる、その評価を価格でしていく、これを一応市場経済と言いますよね。一方、反対が計画経済で、これだけつくれと資本財を強制的に、強制的にというか計画的に割り振るもの、こう言われています。
 今、与党の話を聞いておってわかるんですが、学校ものつくり大学はこれだけ、いや、あれが一番いい例ですね。あれは、こういうふうにつくろう、寄附金が集まらない、だから変な補助金を使って悪いことをやった、こういうパターンでございまして、市場経済でNPOを考えるなら、やはりいいNPOにはみんな金を出すようになる、悪いNPOには金を出さない。それで、いいNPOは自分でこういうのをつくろうということを自由にできる、それをマーケットの中で評価していく、そういうことができるのではないかということで、私どもも、経済の考え方というのは、日本は今本当に世界スタンダードから完全に狂ってきておるんじゃないか、だから多分株式市場でもこんな状況になっておるんだと僕は思いますよ。
 ということは、やはり景気を立ち直らせるのにいつまでも国家が全部手を差し伸べて、それを、税金か郵便貯金か国債か知りませんよ、全部皆さんで集めておれが使うんだ、こういう独占の構造がいかぬのですよね、要は。なぜ公共事業はいけないかといったら、それは実は独占にかかわる弊害なんですよ。これは経済学でも言いますけれども、人の金を扱うからそういうものはだめなんだ、役所がやると。なぜ民間がいいかというと、自分の金だから非常におもしろく使うんだと言われております。
 だから、もっと、新しい学校をつくる、新しい福祉団体をつくる、新しい社会、いろいろな、例えば森さんの一日を監視する団体をつくる、それからオーケストラをつくる、劇団をつくる、そういうのを認めさせて評価させちゃったらどうですか、市場で。マーケットの中でどう判断していくかといったら、やはり……
○山口委員長 質疑時間が終了しておりますので、簡潔に。
○河村(た)議員 寄附金が集まるところがいいところなんだということですね。税控除をしていくからその中身はわかる、公開していくからそういう面で乱用もなくなるということで、やはりマーケットの中からこういう公共サービスを考えていこう、これが世界の潮流でございまして、もうそんなことに気づかぬと本当に欧米からばかにされますよ、日本経済は。こちらは気づいているんですよ。自民党さんに言います、いつまでも役所にだまされたらいかぬのだということで、そんな経済をぜひつくっていきたい、早く政権をとって私らの力でやりましょうということでございます。お願いします。
○江崎委員 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○山口委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午前十一時三十六分休憩
     ――――◇―――――
    午後六時十四分開議
○山口委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 ただいま議題となっております各案中、内閣提出、平成十三年度における公債の発行の特例に関する法律案、法人税法等の一部を改正する法律案及び租税特別措置法等の一部を改正する法律案に対する質疑はこれにて終局いたしました。
    ―――――――――――――
○山口委員長 これより三案を一括して討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、順次これを許します。伊藤公介君。
○伊藤(公)委員 私は、自由民主党、公明党を代表して、ただいま議題となっております内閣提出の三法案に対して、賛成の討論を行うものであります。
 まず、平成十三年度特例公債法案について申し述べます。
 平成十三年度予算は、二十一世紀の新たな発展基盤を構築しつつ、我が国経済を自律的な回復軌道に乗せるとの観点に立って編成されたものであります。あわせて、厳しさを増している財政状況にかんがみ、財政の効率化と質的な改善を図ることとしております。
 特例公債につきましても、可能な限りの縮減を図ることといたしましたが、なお十九兆五千五百八十億円に上る多額の発行をせざるを得ない状況にあります。
 本法律案は、こうした厳しい財政事情のもと、平成十三年度の財政運営を適切に行うために必要不可欠なものであり、賛成をするものであります。
 次に、法人税法等の一部改正法案について申し述べます。
 本法案は、商法改正による会社分割制度の創設に伴い、合併、分割等の企業の組織再編成に係る税制の整備等を行うこととするものであります。これは、我が国企業の経営環境が変化する中で、企業活力の発揮に資する、時機をとらえた適切な措置であり、賛成をいたします。
 最後に、租税特別措置法等の一部改正法案について申し述べます。
 本法律案は、景気回復に配慮して、新たな住宅ローン減税制度を創設するとともに、中小企業投資促進税制を継続するなどの措置を講ずるものであります。また、株式等譲渡益についての申告分離課税への一本化を二年延期するほか、パソコン等の耐用年数の見直しやNPO法人を支援するための措置を講ずるなど、我が国経済の喫緊の課題である経済新生を図る上で不可欠な内容を含んでおります。これらの措置は、社会経済情勢の変化に対し税制面でも適切に対応していくものであり、賛成をするものであります。
 以上、三法案に対する賛成の理由を申し述べましたが、これらの法案は、財政、税制を通じて、政府・与党が目指しております日本新生の実現に資するとともに、経済社会の構造変化に対応する上で適切かつ必要不可欠なものであると確信いたしておりますことを申し上げ、私の賛成討論といたします。(拍手)
○山口委員長 次に、中川正春君。
○中川(正)委員 私は、民主党・無所属クラブを代表して、政府提出の平成十三年度における公債の特例に関する法律案及び租税特別措置法等の一部を改正する法律案に反対し、法人税法等の一部を改正する法律案に賛成する立場から討論を行います。
 まず、特例公債法案に反対する理由を述べます。
 政府・与党は、財政健全化への道筋を全く示すことなく、将来の世代に負担を強いる公共事業ばらまきの列挙など、政府としての使命、責任が欠如した予算案を提出しておりました。本法律案は、このような放漫な財政支出を埋め合わせるために、十九兆五千五百八十億円もの赤字国債の発行を可能にしようとするものであります。それは、財政法の理念に反するような例外的な措置を、さも当然のことであるかのように続けるものであります。
 森首相は、平成十三年度の予算により、我が国経済は回復軌道に乗ると言います。しかし、財政健全化への道筋が見えない中、財政赤字だけが青天井で膨張することに対し、逆に国民の不安は高まるばかりであります。このような状況で個人消費が上向くことなど絵にかいたもちにすぎません。
 今政治の意志と力が試されています。我々は、未来の世代に対する責任をしっかりと自覚する政党として、本法律案には到底賛成することはできません。
 次に、租税特別措置法等改正案に反対する理由を述べます。
 本法律案は、株式譲渡益に係る源泉分離課税制度の二年間延長、新住宅ローン減税など、改革理念のみじんもない無責任な減税や朝令暮改、先送りの羅列であって、税制の重要な原則である公平の観点から見ても、大きな矛盾を残しております。
 また、本法律案に規定されたいわゆるNPO税制についても、認定要件が不必要に厳しいため、ほとんどのNPO法人が対象外となってしまうなど、全く不十分な内容であります。これに対し、民主党・無所属クラブ、日本共産党及び社会民主党・市民連合提出の特定非営利活動の促進のための法人税法等の一部を改正する法律案では、認定要件を合理的なレベルに設定し、かつ認定手続の透明性を確保するなど、NPO支援を形だけではなく真剣に考えたものであります。本法律案が、当委員会に十分審議されることのないまま、今回の採決にも付されないことは、まことに遺憾なことであります。
 以上の理由により、本法律案は、一部理解のできる部分はあるものの総体として賛成することはできません。
 なお、法人税法等の一部を改正する法律案については、企業再編を促進するものであり、基本的に経済構造改革に資するものと評価でき、賛成するものであります。ただし、租税回避などの手段として悪用されることのないように十分な措置をする必要があることを指摘したいと思います。
 最後に、構造的な改革に一刻の猶予も許されない日本にあって、時代に対する責任感を持って、今こそ政治の責任を果たそうとされる議員諸氏の御賛同をお願いして、私の討論を終わります。
 以上です。(拍手)
○山口委員長 次に、中塚一宏君。
○中塚委員 私は、自由党を代表して、平成十三年度における公債の発行の特例に関する法律案及び租税特別措置法等の一部を改正する法律案に反対をし、法人税法等の一部を改正する法律案に賛成をする討論を行います。
 以下、二法案に反対する主な理由を申し述べます。
 来年度予算における公債発行額は、十二年度と比較して縮減しているように見えるものの、これは金融システム安定化のための交付国債償還の手当てを行う必要がなくなったためであり、むしろ一般歳出については、中身に変化のないまま膨張し、プライマリーバランスは悪化をいたしております。公債発行は、従来のばらまきの歳出構造を維持するためのものであり、財政健全化の方向とは全く逆のものであると言わざるを得ません。
 また、政府の税制改正、租税特別措置法の一部改正案は、情報通信機器の即時償却いわゆるパソコン減税について、臨時異例の措置であったとして来年度から廃止をするといたしております。また、株式等の譲渡所得課税について、源泉分離選択課税制度を二年延長することとしておりますが、将来に向けての姿が全く見えてまいりません。さらに、贈与税の基礎控除拡充等も租税特別措置であります。所得課税の恒久的減税も抜本改革までの特例措置であるということを勘案いたしますと、望ましい税制の抜本改革のあり方を明示せず、特例措置を景気対策のもとにただただ延長するのは、厳しい財政状況と相まって、納税者の不安をあおることにほかなりません。
 なお、法人税法等の一部改正案については、経済構造の変革を促すために必要なものであるため、賛成をいたします。
 以上、各案に対する賛否を申し述べまして、私の討論を終わります。(拍手)
○山口委員長 次に、吉井英勝君。
○吉井委員 私は、日本共産党を代表して、政府提出の公債発行特例法案、法人税法等の一部改正案及び租税特別措置法等の一部改正案の三案に反対する討論を行います。
 公債特例法案は、二〇〇一年度政府予算案の歳入不足対策として、十九兆五千五百八十億円もの赤字国債を発行するためのものであり、ゼネコン型公共事業や軍事費の増額などで財政の浪費を拡大した結果です。これは、我が国財政を先進国中最悪の危機的状況に追い込むものであり、反対です。
 宮澤大臣は、本会議の答弁等で消費税の増税を示唆する発言を行いましたが、景気対策の名のもとに巨額の国債発行政策をとり続け、景気も財政も悪化させたみずからの財政運営を反省することなく、国民にそのツケを押しつける態度は断じて許すことはできません。
 法人税法等改正案は、財界が主張する国際競争力の強化を口実に、政府が昨年来行ってきた商法改正と労働法制の整備など、一連の企業組織再編法制の総仕上げに当たるものです。これに反対する最大の理由は、現在進められている大銀行等の組織再編成や多大な債務を負っているゼネコン、流通業界等の大企業を中心とする企業分割、合併等に際し、譲渡益の計上を繰り延べするなどの税制上の恩典を与え、企業組織再編成を一層促進することになるからです。第二に、本税制優遇を受ける適格組織再編成の要件について、再編成の時点で八割以上の従業員を引き継げばよいとすることなどによって、企業の組織再編成の促進で、労働者の解雇等を加速させることになるからです。第三に、租税回避の防止策が不十分だからであります。
 次に、租税特別措置法等改正案についてです。
 反対する理由は、第一に、増加試験研究費の税額控除制度の二年延長などの企業関係特別措置を初め、みずほグループだけで百四十億円もの登録免許税減税措置、土地譲渡所得課税の軽減措置延長など、専ら大企業、高額所得者のための減税措置を引き続き維持拡大していることです。第二は、株式譲渡益課税について、既に法定されている四月一日からの申告分離課税一本化をほごにし、世界でも類がない不公平税制である源泉分離課税方式を二年間延長した上、投機性の高い商品先物取引から生ずる所得すら総合課税の対象から除外し、税負担を軽減したことです。
 以上、租税特別措置法改正案には、中小企業関連税制の延長や医療、福祉税制など、中小業者や勤労国民の利益に沿った改正も含まれていますが、全体としては反対します。
 最後に、NPO支援税制について申し上げます。
 政府案では、認定機関が国税の執行機関である国税庁である上、認定要件が厳しく、多くの法人が排除されるおそれがあります。また、介護などの福祉事業を非課税にしていないなど、多くの不十分さや問題点を持っています。我が党は、多くのNPO法人を育成、発展させる立場から、野党三党共同提出の支援法案を初め、よりよい制度実現のために今後とも奮闘する決意を表明するものであります。
 以上で、日本共産党を代表しての私の反対討論を終わります。(拍手)
○山口委員長 次に、植田至紀君。
○植田委員 私は、社会民主党・市民連合を代表して、本委員会に付託されました平成十三年度における公債の発行の特例に関する法律案、法人税法等の一部を改正する法律案及び租税特別措置法等の一部を改正する法律案に反対の立場から討論させていただきます。
 まず、特例公債法案についてであります。
 景気対策と名を冠せば何でもありという経済対策が繰り返され、その結果、二〇〇一年度末には、国と地方を合わせた長期債務残高は六百六十六兆円になると予想されています。従来型の公共事業に対する財政出動の結果、我が国の財政赤字の水準は、もはや生半可な行政改革、歳出削減や増税では返済できない規模に達しています。我が国の財政状況は、破綻寸前まで来ております。持続不可能な臨界点に近づいている中での特例公債の発行は、断じて容認できるものではありません。
 次に、法人税法等改正案についてであります。
 会社分割制度の創設にかかわる税制については、労働者保護の観点から、とりわけ譲渡損益の繰り延べの要件とされる労働者の承継割合を百分の八十以上と定めた点について、大量解雇を生ずる懸念があります。八割以上を承継すればよいというのでは、逆に考えれば、二割まではリストラしてもよいという理解になりかねず、商法改正にかかわる法務省答弁及び附帯決議にも矛盾するものであります。
 次に、租税特別措置法等改正案についてであります。
 まず、住宅減税については、今般新設される住宅ローン減税は、所得要件が三千万円以下で、上限額五千万円までローンを組める者が減税枠を使い切れる措置となっており、金持ち優遇と言われても仕方がないものであります。やはり、借家人との税の公平の観点からも、理解しがたいものであります。
 株式譲渡益の源泉分離課税については、そもそも有価証券取引税の廃止を決定したときに抱き合わせで廃止が決まっていたものであり、速やかに四月からの申告分離課税への一本化を求めるものであります。
 相続税、贈与税についてでありますが、この問題は資産課税全体を検討する中で議論されるべきであり、ストック社会の進展に伴い貧富の差も生じつつある現在、この認識に逆行する大盤振る舞いは到底許されるものではありません。
 最後に、NPO税制についてでありますが、国税庁長官による認定が公正で信頼されるものとなり得るかについては危惧があります。NPO活動に対する税制上の支援措置が効果的であることは政府税調も認めており、我が党も一貫して主張してきたみなし寄附金の損金算入を認める制度の創設が見送られたことは極めて遺憾です。
 野党提出の特定非営利活動の促進のための法人税法等の一部を改正する法律案は、事業が多くても認定が受けやすく、認定も多くのNPOが求めるように第三者機関とし、寄附をする個人の税制優遇に配慮するとともにNPOのみなし寄附金控除を行うなど、政府案と比較いたしましてその優位性は明らかであります。
 以上、申し上げまして、私の反対討論を終わります。(拍手)
○山口委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
○山口委員長 これより採決に入ります。
 まず、平成十三年度における公債の発行の特例に関する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○山口委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 次に、法人税法等の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○山口委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 次に、租税特別措置法等の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○山口委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
○山口委員長 ただいま議決いたしました法人税法等の一部を改正する法律案及び租税特別措置法等の一部を改正する法律案に対し、佐藤剛男君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党及び社会民主党・市民連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。佐藤剛男君。
○佐藤(剛)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。
    「法人税法等の一部を改正する法律案」及び「租税特別措置法等の一部を改正する法律案」に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。
 一 中長期的な財政構造健全化の必要性にかんがみ、今後の経済動向にも留意しつつ、歳出の重点化に努めるとともに、歳入の根幹をなす税制に対する国民の理解と信頼、税負担の公平性を確保する観点から、課税のあり方についての抜本的見直しを行い、社会経済構造の変化に対応した税制の確立に努めること。
 一 租税特別措置については、政策目的、政策効果、利用状況等を勘案しつつ、今後とも一層の整理・合理化を推進すること。
 一 特定非営利活動を支援する税制については、非営利活動を促進するという趣旨等に従って認定基準を定めるとともに、その実態等を踏まえ、引き続き検討すること。
 一 変動する納税環境、業務の一層の複雑化・高度情報化・国際化、更には滞納整理等に伴う事務量の増大にかんがみ、複雑・困難であり、かつ、高度の専門知識を要する職務に従事する国税職員について、税負担の公平を確保する税務執行の重要性を踏まえ、職員の年齢構成の特殊性等従来の経緯等に配意し、今後とも処遇の改善、定員の確保及び機構・職場環境の充実に特段の努力を行うこと。
 一 高度情報化社会の急速な進展により、経済取引の広域化・複雑化及び電子化等の拡大が進む状況下で、従来にも増した税務執行体制の整備と、事務の一層の機械化促進に特段の努力を行うこと。
以上であります。
 何とぞ御賛成賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
○山口委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○山口委員長 起立総員。よって、両案に対し附帯決議を付すことに決しました。
 本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。財務大臣宮澤喜一君。
○宮澤国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨に沿って配意してまいります。
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○山口委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました各法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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    〔報告書は附録に掲載〕
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○山口委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後六時三十七分散会