第153回国会 財務金融委員会 第14号
平成十三年十二月十三日(木曜日)
    午前十時一分開議
 出席委員
   委員長 山口 俊一君
   理事 伊藤 公介君 理事 奥山 茂彦君
   理事 佐藤 剛男君 理事 根本  匠君
   理事 海江田万里君 理事 中川 正春君
   理事 石井 啓一君 理事 鈴木 淑夫君
      大野 松茂君    熊谷 市雄君
      倉田 雅年君    小泉 龍司君
      七条  明君    砂田 圭佑君
      竹本 直一君    中野  清君
      中村正三郎君    林田  彪君
      菱田 嘉明君    福井  照君
      牧野 隆守君    増原 義剛君
      松島みどり君    山本 明彦君
      山本 幸三君    渡辺 喜美君
      五十嵐文彦君    江崎洋一郎君
      大出  彰君    河村たかし君
      小泉 俊明君    末松 義規君
      永田 寿康君    長妻  昭君
      谷口 隆義君    若松 謙維君
      中塚 一宏君    矢島 恒夫君
      吉井 英勝君    阿部 知子君
      植田 至紀君
    …………………………………
   財務大臣         塩川正十郎君
   国務大臣
   (金融担当大臣)     柳澤 伯夫君
   国務大臣
   (経済財政政策担当大臣) 竹中 平蔵君
   内閣府副大臣       村田 吉隆君
   財務副大臣        村上誠一郎君
   財務大臣政務官      中野  清君
   財務大臣政務官      林田  彪君
   政府参考人
   (内閣府政策統括官)   岩田 一政君
   政府参考人
   (警察庁刑事局長)    吉村 博人君
   政府参考人
   (警察庁刑事局暴力団対策
   部長)          中村 正則君
   政府参考人
   (警察庁警備局長)    漆間  巌君
   政府参考人
   (金融庁長官)      森  昭治君
   政府参考人
   (金融庁検査局長)    五味 廣文君
   政府参考人
   (金融庁監督局長)    高木 祥吉君
   政府参考人
   (総務省大臣官房総括審議
   官)           林  省吾君
   政府参考人
   (法務省民事局長)    房村 精一君
   政府参考人
   (財務省主計局次長)   津田 廣喜君
   政府参考人
   (水産庁長官)      渡辺 好明君
   政府参考人
   (中小企業庁経営支援部長
   )            西村 英俊君
   政府参考人
   (国土交通省都市・地域整
   備局長)         澤井 英一君
   参考人
   (日本銀行総裁)     速水  優君
   参考人
   (社団法人生命保険協会会
   長)           金子亮太郎君
   参考人
   (預金保険機構理事長)  松田  昇君
   財務金融委員会専門員   白須 光美君
    ―――――――――――――
委員の異動
十二月十三日
 辞任         補欠選任
  大野 松茂君     熊谷 市雄君
  竹下  亘君     松島みどり君
  竹本 直一君     福井  照君
  生方 幸夫君     大出  彰君
  佐々木憲昭君     矢島 恒夫君
同日
 辞任         補欠選任
  熊谷 市雄君     大野 松茂君
  福井  照君     竹本 直一君
  松島みどり君     菱田 嘉明君
  大出  彰君     生方 幸夫君
  矢島 恒夫君     佐々木憲昭君
同日
 辞任         補欠選任
  菱田 嘉明君     竹下  亘君
    ―――――――――――――
十二月七日
 一、証券取引委員会設置法案(海江田万里君外十名提出、第百五十一回国会衆法第三三号)
 二、日本銀行法の一部を改正する法律案(石井紘基君外六名提出、第百五十一回国会衆法第六一号)
 三、財政に関する件
 四、税制に関する件
 五、関税に関する件
 六、外国為替に関する件
 七、国有財産に関する件
 八、たばこ事業及び塩事業に関する件
 九、印刷事業に関する件
 一〇、造幣事業に関する件
 一一、金融に関する件
 一二、証券取引に関する件
の閉会中審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 金融に関する件

     ――――◇―――――
○山口委員長 これより会議を開きます。
 金融に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 本件調査のため、本日、政府参考人として財務省主計局次長津田廣喜君、金融庁長官森昭治君、金融庁検査局長五味廣文君、金融庁監督局長高木祥吉君、内閣府政策統括官岩田一政君、警察庁刑事局長吉村博人君、警察庁刑事局暴力団対策部長中村正則君、警察庁警備局長漆間巌君、総務省大臣官房総括審議官林省吾君、法務省民事局長房村精一君、水産庁長官渡辺好明君、中小企業庁経営支援部長西村英俊君及び国土交通省都市・地域整備局長澤井英一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 ただいま参考人として日本銀行総裁速水優君及び社団法人生命保険協会会長金子亮太郎君が出席しております。
 なお、後刻、預金保険機構理事長松田昇君が出席の予定であります。
    ―――――――――――――
○山口委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊藤公介君。
○伊藤(公)委員 自由民主党の伊藤公介でございます。
 きょうは、我が国の金融、経済に非常に大きな影響力を持たれます有力三大臣を迎えて、また、それぞれ参考人の皆さんの御協力をいただいて、恐らく財務金融委員会としてはことし最後の質疑の機会になると思います。御出席をいただきました皆さんには心から感謝を申し上げます。
 特に竹中大臣には、この委員会で、これまでの間、ぜひ大臣に出席をして、これからの日本の経済を、いろいろ質疑をしたいという要望も非常に強くございました。当面のテーマもあると思いますし、中長期的に日本のこれからの経済をどうするのか、二十一世紀の日本のあり方なども思いをいたしながら、数点についてお伺いをさせていただきたいと思います。
 十二月、日銀が発表されました企業短観によりますと、製造業、非製造業ともにマイナス幅が拡大をしているということが報じられております。日本経済は、二四半期マイナス成長が続いて、物価の下落もとまらない状況であります。もちろん、アメリカの同時テロの影響や最近の大型倒産など、いろいろな影響があるわけであります。
 ところで、ことしの九月、最近は毎年のように北京や上海には訪問してまいりましたが、特に大連や瀋陽など、東北の中国を歩かせていただきました。昨今、世界の工場に中国がなりつつあるという御指摘がありますけれども、私が現地で見ました中国の工場あるいは日本が現地に進出をしております大変大きな工業団地などを見て歩きますと、まさに世界の工場に中国がなりつつあるということを実感として私も感じたものであります。
 実は、その足でアメリカに参りました。これは、私どもの財務金融委員会の理事の先生方とアメリカ、カナダの金融調査に行ったわけでありますが、その調査の後、ちょうど九月の十一日、テロ事件のとき、私はシカゴに滞在をしておりました。当初、一週間から十日ぐらいと予定しておりましたけれども、空港が全部閉鎖されるということで、長期滞在をするということになりました。
 少し時間が長くなったものですから、アメリカでスポーツシューズを買ったり、スポーツウエアを買いました。少し運動もしなければ。買ってきて見ましたら、ナイキのちょっと格好いいスポーツウエアなんですけれども、それはすべてメード・イン・チャイナでした。
 私は、かつて学生時代、二年ほど、ちょうど東京オリンピックの年にベルリンに滞在をしておりました。ちょうどあのころ、ベルリンのメーン通りには世界のショーウインドーがあって、そのショーウインドーには、本当にあちこちに黒山のように皆さんがショーウインドーをのぞいている。そのショーウインドーに行ってみますと、その中には、当時、オリンパスペンの小さなカメラだとか、ソニーのトランジスタ製品だとか、そんなものがずらっと並んでおりました。私はまだ二十代、日本人でしたから、その光景に大変誇りを持ったものでございます。
 あれからもう三十年近くたちました。一九八〇年代、日本の製品は世界にあふれていたと思いますが、今、間違いなく、最近の私の体験からいたしましても、またいろいろなメディアでも報じられているとおり、中国の存在というものが非常に大きくなったという実感を私は持っているものであります。
 これから二十一世紀、日本は国際経済や国際社会の中で一体どのような生き方をしていかなければならないか、特に経済ではどのような対応をしていくかということを、グローバルな観点からもとらえていかなければならないと思います。
 そこで、今、例えばアメリカを中心とした経済圏、NAFTA、アメリカ、カナダ、メキシコであります。もう一つは、言うまでもなくEU、ヨーロッパ、そして私たちのこの日本がありますアジア。そういう経済圏を見ますと、例えばアメリカ、カナダ、メキシコのNAFTAで、人口は四億人です。そして、GNPは一千六十五兆円。EUの人口も、それほど大きく違いません、三億七千五百万人。GNPは一千十二兆円です。これも、そんなに大きく違いません。そこで、アジア三十七カ国、人口は三十四億九千万人です。そして、GNPは七百七十兆円であります。
 私は、この三つの経済圏が、これからどういうように絡み合って世界経済を動かしていくのかということを考えましたときに、現在のGNPはアジアの方が少し少ないですけれども、今アジアも次々とそれぞれの国々が成長しているということを考えますと、この三つの経済圏で最も大きく違うのは、何といっても人口です。
 アジアは、丸く言えば三十五億人の人口です。EUやNAFTAは、先ほど申し上げたとおり四億人あるいは三億七千五百万人。私は、二十一世紀は間違いなくアジアが大きな舞台になっていくであろうというふうに思うものでございます。
 そして、そのアジアの中で、特に冒頭に申し上げましたとおり、昨今の中国の成長といいますか、世界経済に占める役割あるいは日中間の最近の貿易の収支などを見ますと、私たちは、中国の存在というものをしっかり受けとめていかなければならないという気がいたします。
 そんなことを考えております中で、経済全体を担当されます竹中大臣として、これから国際経済の中で日本をどのようにかじ取りをされていこうとされているのか。担当大臣として、まず御所見を伺いたいと思います。
○竹中国務大臣 伊藤委員から、大変大きな観点からの御質問でございます。
 日本は、名目の所得で見る限り世界最高水準の域に達し、高い生活水準をしている。しかし、隣国において、日本をはるかに下回る賃金で、日本の消費者を満足させるような立派なものをつくれるような技術を多くの国が持ちつつある。特に中国の存在が圧倒的に大きくなっている。
 そうした中で、日本が歩むべき道というのは、これはやはり基本に戻らざるを得ないと思うんでありますけれども、この高い生活水準を維持できるにふさわしいような、高い所得稼得能力を引き続き維持できるような方策を探っていく。そうしたことを目標に、これは、とりもなおさず生産性を高めて、効率性の高い、付加価値の高いものを生み出す能力を培っていくということだと思いますが、その中で、むしろ、隣国である中国を初めアジアとの間での経済的な統合を深めていくということしかないのではないかと思います。
 その基本にありますのは、実はやはり人間、人という資源の活用である、人の能力を高め、かつ人に優しい社会を実現していくことではないかと思っております。今、私どもの方では中期の経済財政展望の議論をさせていただいておりますけれども、そうした中では、人という最高の資源を活用しながら、アジアの中での新しい経済統合、経済の深い統合を目指していく、そういう中で日本が進んでいくべき活路を見出していかなければいけないというふうに考えております。
○伊藤(公)委員 今、小泉内閣の中で大胆な構造改革が進められています。そして、私は、確実に大きな構造改革の一歩を踏み出されたと思います。そしてまた、それを私たちも支えていかなければならないと思っている一人であります。
 構造改革には痛みを伴うということを、総理も何回か国民にも訴えられておられました。私も大きな改革の中にはさまざまなひずみや痛みを乗り越えていかなければならないと思いますが、構造改革をいろいろ議論しますと、まず、痛みを伴う、雇用をどうするのか、失業率が非常に今高くなって心配です。かつて二けた台の失業率であったヨーロッパの国々は、今失業率がだんだん少なくなっている傾向にありますが、逆に日本は失業率がふえています。
 実は、私も若いころに、失業保険をほんのいっときいただいたことがございます。給料が下がるとかボーナスが少しカットされるというのはそれなりにつらいけれども、仕事がないほど人はつらいことはないということを、私は短い期間でありましたけれども体験をした一人であります。
 そういう意味では、これから、失業を抱えて、新しい産業を創出しなければならないということはしばしば語られてきているところであります。しかし、実際に今日本は、本当に中長期的にも新しいビジネス、新しい産業が次々と起きてくるような状況になっているかということが、今私は大変大事な問題だと思います。
 もちろん、長期的に言えば教育から入らなければならないと思いますが、きょうは財務金融委員会でありますので、特に金融問題で、私は、新しい雇用、新しい産業を生み出すために、日本の金融というものがどういう方向にならなければならないかということを含めて伺いたいと思うのでございます。
 財金の同僚委員の皆さんと、ことしアメリカで特に金融の調査をいたしました。その後、現地でもさらに詳細の資料をいただきたいということを申し上げてまいりました。まだ十分な資料が手元には届いておりませんが、私が今いただいている資料、現地でいろいろ皆さんから報告を受けたことを結論づけて申し上げますと、アメリカの場合は、例えば金融機関が非常に調査能力があって、例えばこの事業は若い人たちだけれども非常に将来性がある、そういうベンチャー企業に対しては無保証、無担保で融資をするというケースが非常に多いというふうに伺いました。
 しかし、日本の場合は、もうこれは基本的に、お金を貸してくださいといったら必ず保証人、担保ですよね。そして、ほとんどは自分の家屋敷を担保にしている、つまり個人保証をする。アメリカでは、例えばフロリダを初め個人保証を禁じている州もございます。
 私は、民間の銀行も事業家だと思います。事業を新しく始める人も、そしてそれに資金を融資する銀行、金融機関も、私はともにリスクを共有するということが必要ではないかというふうに思います。もちろん、事業ですから、成功することも成功しないこともあると思います。しかし、今、日本のように自分の家屋敷をみんな個人保証するということになりますと、自分の事業が失敗をしたときには、もう本当に夜逃げをするか首をくくるかというような非常に悲惨な状況です。
 私は、アメリカの倒産をしたときの裁判の内容なんかもいろいろ見せていただきました。もし事業を失敗しても、その事業をやった人の少なくとも最低住める住宅は裁判でも残す、つまりもう一度チャレンジするチャンスを与えるというベースがアメリカにはあるなということを私はさまざまな報告で受けたものでございます。日本の金融機関というものも、これから、土地さえあればお金を貸せるという時代から、その事業、特にベンチャー企業は若い人たちが多い、そうすると保証人とか担保というのはなかなか難しい、そういう方々に金融がきちっと支援をするような態勢が私はとても必要ではないかというふうに思うわけであります。
 そうはいいながら、今民間金融機関が、自分の銀行が生き残れるかどうかというときに、なかなかすぐそうしろといってもできるものでもないような気もいたします。
 そこで、最近、政府系の金融機関を再編成するということが今始まっています。私は、その方向は大賛成です。我々はよく、商工中金とか中小企業金融公庫とか国民金融公庫とかいうような、この場合には商工中金、この場合は国民公庫と、やはり借り手の方からすれば、政府系の金融機関に行ったらどういうケースでも受けられるという方がむしろ単純でいいと思いますし、特に政府系の金融機関が再編成をしていく中で、まだ民間金融機関がなかなかそこまでいけない。少なくともその期間は、今申し上げたような新しい事業展開をしようというところに、もちろん何でも貸せるというわけではありませんけれども、そうした調査機関というものはきちっとしていて、ベンチャー企業を支援していくような金融機関というものが私は必要ではないかというふうに思います。
 これからの政府系の金融機関を初めとして、我が国の金融はどういう方向に行こうとしているのか、私の申し上げたいことは今申し上げたところでありますけれども、これは大臣、どなたでも結構ですが、だれがお答えいただけますか。
○柳澤国務大臣 第一の御質問同様、大変広範な角度からの御質問でございます。私がすべてカバーできるかどうかおぼつかないのでございますけれども、お答えをさせていただきたい、このように思います。
 金融を産業としてどう考えているかということでございますが、私も、やはり日本は製造業を大事にしなければいけませんけれども、同時に、産業のサービス化というか、どうも先進国の状況を見ておると、後で竹中大臣に補足をいただいてもよろしいんですけれども、サービス産業のウエートが高くないとなかなか成熟した経済としては一定のレベルを確保できないということが、いろいろなデータから明らかになっておるようでございます。
 そういう中で、サービス産業ということを考えると、やはり金融業というのをその最右翼の一つだというふうに位置づけられるべきものだと私も考えておりまして、産業としての金融業、これを盛んにすることが必要だというように考えているわけでございます。
 今、当座は、先生御指摘のとおり、金融機関はどちらかというと後ろ向きの、負の遺産の整理に追われているわけでございますけれども、できる限りこういったものは早く処理をいたしまして、もっと前向きの事業展開ということを考えていってもらいたい、こういうことを私も常日ごろから考えておるし、またそういったことの発言をいたしております。
 そういう場合に、もう一つ加えて考えたいことは、やはり会計の専門家、あるいは法律の専門家、こういう金融の、金融が高度になればなるほど、実はそういうプロフェッショナルのサービスというものも必要でございまして、そういうことを拡充することも必要である。同時に、そういうことが拡充されることが、全体として日本の雇用というか、あるいは産業というか、そういうようなものを盛んにさせるゆえんでもある、こういうことを考えておりまして、ぜひそのような方向に進んでまいりたいということを考えております。
 それからもう一つ、リスクをどうやって負担するかということでございますけれども、これについては、率直に言って、これまで日本には、土地という絶対的な価値を持つ、そういう資産がございまして、これを担保にすればほとんど信用リスクというものは余り考えなくてよろしい、こういうようなことであったわけですけれども、それがそうでなくなったということの中で、このリスクというものにどう立ち向かうか、あるいはどういうふうな配分をしていくかということが非常に重要になっております。
 伊藤先生は、金融機関が持ったらどうかというようなお話もいただいたような気もしながら聞いておったんですけれども、やはり金融機関というか、特に間接金融の中で、金融機関が全部経済のリスクを背負ってしまうというのもやはり難しいというのが現状教えているところだと思いまして、これをどのように直接金融などを交えて負担していくかということが非常に大事だ、このように考えているというわけです。
 最後に、政府系金融機関につきましても、そういう中で一定の役割を演ずるということは、今後とも、民間の金融機関がうまく仕組まれるまでの間は当座必要だというように私自身も考えておるというところでございます。
○伊藤(公)委員 ちょっと時間が限られておりますので端的に伺いますが、先ほど昨今の景気の問題を申し上げましたが、きょうは日銀総裁、御出席をいただいておりますので、十八日、十九日の両日、金融政策決定の会合があるようでございますが、そこではさらに一段の金融緩和策などが検討されるのか。あるいはまた、最近、日銀による外債の購入がいろいろ議論をされておりますが、これらも含めて、総裁としてはどのように対応されるのか、お伺いしたいと思います。
○速水参考人 決定会合の件につきましては、ここで何を議論するか、また何を考えているかということは、私の立場から申し上げる時期ではないと思いますので、いろいろ議論が行われるというふうに思っております。
 御質問の外債買い入れにつきましては、ここのところ新聞その他で随分書かれておるわけでございますけれども、日本銀行の立場で今の御質問にお答えさせていただきたいと思いますが、日本銀行の外債買い入れをめぐる議論につきましては、二つの大事な側面が混在しているように思います。
 一つは、為替レートの円安化を実現する手段として外債を買ったらどうかという話だと思います。しかし、日銀法上、為替相場の誘導を目的とするオペレーションを日銀が独自に行うことは認められておりません。為替介入によって円安誘導を行うかどうかというのは政府、財務省が決定するということが、現在の法律の枠組みにはっきり書かれております。
 もう一つの問題は、円資金を供給する手段として使ったらどうだという見方だと思います。外債買い入れを円資金の供給手段とするというのは、円資金供給手段としての必要性がどれぐらいあるのか、また、為替介入との関係をめぐる法律上の整理など、この辺のところは、検討すべき課題が極めて多いと思います。市場を通じてやるということになれば為替も資金量も多少変わると思いますけれども、それが市場を通じてすることは法律で認めておられないということになりますと、この問題は難しい問題だと思っております。
○伊藤(公)委員 財務大臣に平成十四年度の予算編成についての決意を伺いたいと思いますが、今月の四日に、平成十四年度の予算編成の基本方針を閣議決定されました。公共投資の前年度当初比一〇%削減など、歳出構造の徹底的な見直しをするという方針も示されました。それから、新規国債発行額を三十兆円に抑えるという目標も堅持するということが盛り込まれました。私もこの方向でいいと思います。
 しかし今、三十兆円枠をきちっと守っていくんだという中で、いろいろな議論がございます。償還財源の裏づけを持つ新型の国債を検討したらどうかなどという意見もございます。あるいは、ちょっと時間がありませんので、あわせて恐縮ですがお伺いしますが、予算と医療費の国庫負担の関係、これは今、国民の皆さんも大変大きな関心を持っておられます。今、厚生労働省がさまざまな制度改革の中で提案をされているわけでありますが、財務省としてどのように取り組まれていくのか。
 平成十四年度予算の内示も間もなく、二十日と伺っておりますが、財務大臣の決意、そして、今申し上げた医療費の問題などをどう対応されるのかもお伺いしたいと思います。
○塩川国務大臣 私から申すまでもなく、十数年間、補正予算を通じまして膨大な国債発行をしてまいりました。この安易な国債発行に頼って景気対策をやってまいりましたけれども、依然として日本の経済の構造は変わってきておらないことは事実でございます。
 それは何か。やはり真剣に構造を変えていかなきゃならぬというその一致した国民の発意というものをここに結集させてこなければなりませんし、その一番シンボリックなものが、やはり国の予算をきちっと節度を持って統制するということだと思っております。確かに苦しいことでございまして、この苦しみに耐えていかなきゃならぬというのが現実だと思っております。
 したがいまして、私たちは、国債発行三十兆円ということを決めましたことは、要するに、財政に一つの節度というものを、けじめというものをきちっとつけたいと思っております。
 最近に至りまして、十四年度予算編成の過程、現在進めておりますけれども、すべての分野において行政経費のコストを見直そう、そういうことが真剣に取り組まれております。今までコスト意識なくして、予算はとにかくこれだけの金が要るんだから金を出せという主義でございましたが、今は、これだけしか金がないんだから、その範囲内でどういう事業あるいは行政を執行していくか、こういうことに変わったということは、これは私は大きい構造改革の一つではないかと思っております。そういう形で進めてまいりたいと思っております。
 お尋ねの医療問題についてでございますけれども、医療問題も基本的には、要するに高齢化に伴います自然増に対しますものに対しては、概算要求のときにそれなりの措置をいたしました。あと、起こってまいります医療の現在持っている諸問題の解決につきましては、それは三方一両損の考え方に立ってやっていきたいと思っておりまして、これを安易に保険料の値上げというだけに頼るものではない、また、患者負担だけによるということもない、医療だけにということではない、そういう考え方でもって、先日、医療大綱というものを決定したことでございまして、この方針に基づいて十四年度予算の編成をやっていきたいと思っております。
○伊藤(公)委員 最近、医師会や歯科医師会の忘年会に出ますと、三方一両損の話がいろいろ話題になっておりまして、耳元で、それもやはりやむを得ないのではありませんかという声も先生方の中にもございます。議論を深めてぜひ進めていただきたいと思います。
 時間が参りましたので、最後にペイオフの問題でありますが、具体的に伺いたいと思います。
 もう結論だけで結構ですが、例えば、今市町村も住民の皆さんから預かった税金を金融機関に預けているわけです。もしこの金融機関が来年の四月以降、ペイオフ凍結解除で大変地域に影響があるという危機的状況が起きたときは、具体的にはどう対応されるのか。結論的なことで結構ですが、お答えをいただきたいと思います。
○柳澤国務大臣 ちょっと質問の御趣旨が必ずしも把握できたかおぼつかないわけでありますが、ペイオフによって公金が毀損をされて、それがその地域経済に大きな影響を及ぼす、こういうことであろうかと思うんです。
 そういう場合には、それが危機対応を発動すべき状況かどうかということを、これはもう我々ケース・バイ・ケースに判断させていただくほかないということをかねてお答え申し上げておりますけれども、まさにケース・バイ・ケースで御判断させていただいて必要な措置をとっていくということになりますが、私どもとしては、そのようなことのないように事前に、そういう毀損がその地域経済に大きな危機的影響をもたらすというような事態を招かないように各般の努力をしてまいりたい、このように考えております。
○伊藤(公)委員 時間が参りましたので終わりますが、ペイオフの問題は一人一人の国民にとっても大変重要なテーマであります。これは私は進めるべきだという立場でありますが、それに対するいろいろな対応をしっかりやっていただきたいということを申し上げて、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○山口委員長 次に、石井啓一君。
○石井(啓)委員 おはようございます。公明党の石井啓一でございます。
 まず、ペイオフ解禁についてお伺いをいたしますが、私も、原則といたしまして、ペイオフ解禁については、よほど危機的なことが起こらない限り、これは予定どおり実施すべきだという立場でございますが、一般的にいろいろ懸念される向きも、心配される向きもございますので、きょうはそういった点について確認をいたしたいと存じます。
 まず、今伊藤委員からもちょっと質問がございましたけれども、自治体の公金預金の対応、ペイオフ解禁に向けてどういう対応をされているのか。あるいは、預金の大きな移動が起きているんじゃないか、起こるんじゃないか、そういう御心配の向きがございます。その状況につきまして、それぞれ総務省、金融庁から確認をいたしたいと存じます。
○林政府参考人 お答えを申し上げます。
 ペイオフ解禁後は、地方公共団体もみずからの公金、基金の管理運用に関しましては自己責任が前提となりますために、各地方団体におきましては、これまで以上に取引金融機関の経営状況を十分把握した上で、地方自治法の趣旨を踏まえまして、安全で確実かつ有利な公金の管理に取り組む必要がある、こういうふうに考えているところであります。
 このため、旧自治省時代でございますが、金融機関の皆さん、あるいは地方公共団体の代表等の方にも参加をしていただきまして研究会を設けまして、地方公共団体におけるペイオフ解禁への対応方策を検討いたしました。その内容は、本年三月に取りまとめまして、各地方公共団体にお知らせをいたしたところでありますが、その中では、各地方公共団体の公金預金の適切な管理運用に必要な方策を幾つかお示しをしながら、いろいろな対応方策について検討した結果を御連絡申し上げたところであります。
 地方公共団体に対しましては、これを踏まえまして、それぞれ地域の実情に応じた創意工夫を重ねて、具体的なペイオフ解禁への対応策を検討されるよう御連絡したところでありますが、これを受けまして、その後、各地方公共団体におかれましては、いろいろと団体ごとに研究会等を設置されるとか、あるいは運用方法の多様化であるとか、あるいは金融機関の経営状況の分析等を行われまして、公金管理の運営基準の作成等に取り組むところも多くなっている、こういうふうに伺っております。
 私ども総務省といたしましては、今後とも、このような地方公共団体の取り組みをフォローしながら、関連情報の提供等、適切な対応に努めてまいらなければならない、こう考えているところでございます。
○高木政府参考人 お答え申し上げます。
 金融機関の預金の動向につきまして、本年の九月の時点での状況を申し上げますと、定期性預金が減少は確かにいたしております。国内銀行ベースで、対前年比で五・九%の減少ということになっております。また、その内訳でございますが、一千万円以上の定期預金が一三・六%の減少をいたしておりますが、他方で、一千万円未満の定期性預金は二・三%の増加といったことで、ペイオフ解禁を意識したと思われる動きはあるのかなという気もいたしておりますが、他方で、全銀協のデータ等によりますと、信金、信組も含めまして、各業態とも預金残高は対前年比で増加をいたしております。特定の業態から預金が流出する、あるいは特定の業態について預金が減少しているといった状況にはございません。
○石井(啓)委員 ところで、流動性預金につきましては、来年四月一日からペイオフ解禁はいたしますけれども、さらに引き続き一年間全額保護をするということがあらかじめ決められております。
 これは預金保険法を改正いたしました折に、やはり個人、企業の決済性の預金、決済がなかなかやりにくくなるということになると、これは経済に大変な大きな影響を与えるということから、破綻処理が迅速に進むようになる、あるいは預金以外の多様な決済サービスが開発されるまでの間の特別措置として、一年間全額保護を延長するということで決まったわけでございますけれども、この流動性預金の解禁に向けての準備状況がどういうふうになっているのか。この点についても確認をいたしたいと存じます。
○柳澤国務大臣 御指摘のように、流動性預金につきましては、一年、通常の定期性のものに比べてペイオフの凍結が長く続くということになっておりますが、そもそもその考え方の背景にあったのは、今先生がおっしゃったような、破綻処理の事前準備であるとか、あるいは破綻をした場合の営業譲渡等の迅速性の確保、こういったことについてしっかりした手当てがなされるということが必要だという考え方に出たものである、このように承知いたしております。
 具体的にどういうふうになったのかということでございますけれども、事前準備につきましては、法律によりまして、あっせんができる、これは受け皿の金融機関を早く見つけなきゃいけないというようなこと、あるいはこの受け皿の金融機関に対する当該破綻の、まだおそれであるわけですけれども、おそれのある金融機関についての情報提供ができるというようなことで、これは、制度的に守秘義務を解除するという形でそういう措置がとれるということになっております。
 それからまた、営業の一部譲渡というようなことで、付保預金だけをとりあえずPアンドAで譲渡するというようなことで、決済が行われることに支障を来さないように最大限努力をするという制度的な裏打ちをとった、こういうことでございます。
○石井(啓)委員 ところで、このペイオフ解禁が徐々に近づくにつれ、いろいろ、世間でまだまだこのペイオフに関する理解が十分行き届いていないなということをよく感じるわけでございます。
 実は、私が懇意にしております信用金庫の理事長さんから直接聞いたお話を御紹介申し上げたいと思うんです。
 一つは、お年寄りの方がこのペイオフというのを、一千万円までしか一つの金融機関に貯金をしてはいけないというふうに誤解をしている、郵便局の貯金の一千万円の上限と同じように理解をしておるという方が相当数いるというふうに聞きまして、私もびっくりしたんですけれども、特にお年寄りは郵便貯金を非常に使っておりまして、その一千万円と同じように理解していると。一千万円、一千万円ということだけが広がっていまして、同じように考えちゃっていると。だから、おたくのところには一千万円までしか預金できないんでしょうというふうに言われている、これは大変ですよということを一つお聞きしました。
 それからもう一つ、以前はそうではなかったんですけれども、最近非常に敏感になっているという事例で、年金感謝デーというのをおやりになっていたそうなんです。これは定期的にやっていたそうなんですけれども、そのときには信用金庫さんにたくさん人が集まってくるんですね。その人がたくさん集まってきたことを見て、何か取りつけ騒ぎが起きているんじゃないかというふうに誤解をされたと。今までも同じようなことをやっているんですけれども、最近になってそういうふうに勘ぐられて、だから、そういうふうに勘ぐられないように、何かはんてんを着たり年金感謝デーという何か垂れ幕をつくったりだとか、そういうことをしないと、金融機関に人が集まってくるだけで何かそういうふうに誤解をされている。
 もう一つ同じような事例で、ある支店の横にスーパーがあった。スーパーで大安売りをした。たくさんお客さんが集まってきて、スーパーの前にたまり切れずに隣の信用金庫さんの前まで人が並んだ。すると、その人が並んだことをとらえて、何か取りつけ騒ぎが起きているんじゃないかというような誤解を受けたという話を聞きまして、従来も同じようなことがあったんだけれども、最近になってからすごく敏感になっているという話を聞きました。
 ここで、私、提案をさせていただくんですけれども、まず一つは、最初の方の事例でいきますと、やはり一般的な庶民の目線に立ってわかりやすい広報をぜひ心がけていただきたいということが一点と、それから二つ目は、なかなか敏感な状況もあるということでありますから、ペイオフに関するリスクをお知らせするということはもちろんでありますけれども、その一方で、非常にいろいろな、多様な検査をやって、金融機関の健全性をチェックしているわけです。あるいは、モニタリングもおやりになっている。また、早期是正措置という措置もやっていらっしゃる、まあ可能性がある。さらには、金融危機的な状況においては、金融危機対応勘定というようなセーフティーネットも用意している。そういう安全面もぜひお知らせをいただいて、何かいたずらに不安をあおるようなことがないような十分な広報、PRをしていただきたいと思います。
 その点について御見解をいただきたいと思います。
○柳澤国務大臣 非常に興味深い具体的な事例を教えていただいて、私自身も大変関心をかき立てられたところでございます。この点、まず感謝を申し上げたい、こういうように思います。
 PRにつきましては、私ども、年度が始まって以来、これはやはり計画的に行っていかなければいけないと。非常に認識を早めるために早いうちにPRした方がいいという考え方もありましょうけれども、日本人の常というか、あるいは人間の常として、やはり時期が切迫するに従っていろいろの情報にも敏感になるということはありますから、むしろそれにミートするような形で広報のピークをつくっていった方がいいじゃないか等々、いろいろ検討いたしまして、それらを組み合わせまして、我々金融庁のPR、ベーシックなPRと政府広報の予算を使ったPRをやっておる、こういうようなことでございます。今先生がおっしゃったように、できるだけ庶民の目線と申しましょうか、そういう預金者の目線に立ったPRをしていくべきだということについては、今後においてもぜひ参考にさせていただきたい、このように思います。
 その場合、金融危機対応であるとか早期是正というようなことまでやれるかということになりますと、これはまたなかなか難しい面があって、わかりやすさということがとても大事だというようなことで、最初の例でございまして、一千万円しか預けちゃいけないのかとかいうようなことではないんですよ、あるいはもうその銀行が破綻したら一千万円以上のものは一銭も返ってこないんじゃないかとか、そういうことはないんですよというようなことをむしろわかっていただくように、PRの主軸に置いているようなことでございますが、少しいろいろまたさらに考えるべきところがあれば考えてまいりたい、このように存じております。
○石井(啓)委員 早期是正措置とか金融危機対応勘定とか、そういう政策の中身を説明しろということではなくて、週刊誌等では、どこそこの金融機関が危ないとか、そういうことばかり言われるものですから、非常に不安をかき立てられる。やはり安心面もPRをしていただきたい、こういうことでございますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。
 続いては、今申し上げましたように、金融危機に対してはセーフティーネットが用意されているわけでありますけれども、私は、その点についてもやはりもう少し明らかにしておいたらいいんじゃないかというふうに思うんです。
 この金融危機対応勘定の発動要件については、「我が国又は当該金融機関が業務を行つている地域の信用秩序の維持に極めて重大な支障が生ずるおそれがあると認めるとき」というふうにされております。ですから、こういう事態の場合は、必ずしもペイオフコストだけじゃなく、ペイオフコストを超える資金援助あるいは国有化ということもあり得るわけでありますから、そういうセーフティーネットも用意されているわけでありますので、その点についても御説明をいただきたいし、また、どういうときにこれが発動されるのか、これは網羅的に説明するのはなかなか難しいと思いますけれども、例えばこういう事態には発動要件に該当するというようなことを幾つか事例を示してお示しをいただければそういった不安解消にもつながるんではないかというふうに私は思うんです。
 そういった観点から、この発動要件というのがどういうケースを想定されているのか。なかなか御答弁難しいと思いますけれども、できる範囲でお願いをいたしたいと存じます。
○柳澤国務大臣 これは、従来から危機対応、特に金融の問題というのは非常にマーケットとの関係が敏感でございまして、いたずらにマーケットの憶測を呼ぶというようなことは避けたいということがございます。さらにまた、金融機関をめぐっての関係者、経営者、預金者等々、いろいろな方にモラルハザードを与えることも避けたいというようなこと。さらには、あらかじめ固定的なことを申し上げておくと、それとちょっと違うような形の危機に対して本当にスムーズに対応できるかというようなこと等々の配慮がございまして、これはケース・バイ・ケースで判断させていただくということで、いわば建設的なあいまいさというようなもので御理解をいただいておるところでございます。
 しかし、従来、どういうことを、具体的な事例として典型的なものを挙げたらどうかということについてはお答えをいたしておるところでございまして、システミックリスクというようなことは、独立、単独の金融機関の問題が起こったということではなくて、連鎖的な事象として破綻等が発生する、あるいは資金繰りが困難になるというようなことであるとか、さらには、金融機関のその取引先等々ではなくて、これまた大規模な貸し出し抑制、回収等が行われるというようなことが典型的な事例だということにとどめさせていただいておる次第でございます。
○石井(啓)委員 例えば、三年前の金融危機時のような、ジャパン・プレミアムが非常に出てきた、こういう状況はいかがでございましょうか。
○柳澤国務大臣 もちろんそういうことも一つの考慮すべき指標であろうと思いますけれども、そうだからといってすぐ危機だというふうに私がここで答えるということにはならないということが、先ほどの答弁の趣旨でございます。
○石井(啓)委員 それでは、別のテーマをお伺いしたいと思います。
 デフレ対策ということが今非常に大きな政策課題の一つでございますけれども、まず、今の状況をどのようにみなすか。一般的には緩やかなデフレが続いているという状況でありますけれども、これが今後デフレスパイラルに陥っていくのか否か。私は、何かその入り口に差しかかりつつあるのじゃないかというような危機感も抱いているわけでございますけれども、今後、デフレスパイラルに陥るようなリスクをどの程度考えたらいいのか。この点について、竹中大臣と速水総裁からひとつ御見解を伺いたいと存じます。
○竹中国務大臣 デフレ、デフレスパイラル、いずれにしても非常に新しい概念に我々は直面して経済政策を運営しなければいけないということではないかと思います。
 まず、デフレに関しては、これは、物価の下落が持続的に見られているという意味では、緩やかなデフレという表現を我々も使わせていただいております。しからば、そのデフレスパイラルというのは一体何を意味しているかということになりますが、一般的な物価が下落することによって、それが企業や家計の行動を萎縮させていって、実体経済が悪くなるものだからますます物価下落がそこで加速していく、こういうのを、らせん階段を滑り落ちるように経済が悪くなっていく状況をデフレスパイラルというふうに呼ぶのだと思いますが、これは大変評価は、いろいろな専門家がいろいろなことを今議論をしておりますが、私自身は、デフレスパイラルに日本が陥っているわけではないというふうに考えております。
 しかし、そのリスクを負っているということも事実だと思います。一たんこのスパイラルの過程に入ってしまうと、これはまたもとに戻すのは社会的に大変大きなコストがかかるというふうに思いますので、そのリスクを回避するという意味で、第二次の補正予算も必要であるというふうな判断をさせていただいたわけでございます。
 先般、七―九月期のGDP統計が出されまして、マイナス〇・五%。私たちにとってやや予想外だったのは、個人消費がマイナスになっていた、かなり大幅なマイナスになっていた。しかし、これまた予想外に、設備投資はわずかなプラスになっていた。
 その辺、今、計数を読むのが大変難しい状況ではありますが、基本的な認識は、以上申し上げたようなところで私自身は持っております。
○速水参考人 ただいまの御質問は、景気と物価ということに関係する問題だと思います。
 今、日本の場合は、構造改革と財政再建ということが始まっておりまして、いわゆる集中調整期間と言ってもいいかと思います。この集中調整期間におきましては、低成長とともに、その帰結としてある程度の物価下落というのは避けられないと思います。景気がよくなって物価がフォローして上がっていくというのが、今までの私どもの経験あるいは実績から言えることだと思いますが、一、二年物価の上昇がおくれるというのは普通でございます。そうした状況のもとで、何らかのショックを契機にして、物価下落と景気後退との悪循環、いわゆるデフレスパイラルに陥るリスクがあることは否定できないと思います。
 したがいまして、その間の政策課題としましては、デフレスパイラルを防ぐことに重点が置かれなければならないと思います。そのためには、金融緩和の継続とともに、構造改革のプラス面をできるだけ早く引き出すような政府の対応が重要ではなかろうかと思っております。
○石井(啓)委員 今、経済財政諮問会議で御検討をされています「構造改革と経済財政の中期展望」、この中でも、デフレの克服というのが大きな課題として取り上げられておりますけれども、十二月四日に出された「概要」の中では、「デフレの阻止に向けた政府の主たる役割は、構造改革を通じた民間需要の創出等にある」こういうふうにされております。
 ここで、竹中大臣に御質問をしたいと思いますのは、構造改革を進めることによって将来の期待成長率を高める、そのことによって民間の投資、消費を拡大させていく、そういうシナリオである、そうなってほしいというふうに私も思うのですけれども、その構造改革の効果があらわれるのと実際に投資、消費の拡大につながるのと、私は若干タイムラグがあるのじゃないかなと。そこを集中調整期間で、本当に物価上昇につながるのかなということについて、どういうふうに考えていらっしゃるのか。
 ここで、もう一点。「主たる役割は」というふうになっていますから、財政支出のことを決して無視されているとは思いませんけれども、やはり財政での下支えといいますか、私は単純に需要だけつけて景気回復すればいいというふうな主張ではございませんけれども、やはりある程度の財政の量的な必要性というのも当然あるわけでございまして、財政支出の役割をどう認識をされているのか、竹中大臣の御認識を伺いたいと思います。
○竹中国務大臣 石井委員御指摘の点は、まさに我々にとって最も難しい、頭を悩ませているところでございます。結論からいいますと、大変狭い道、ナローパスを歩んで、政策を総動員してこの期間を乗り切るということしか方法はないのではないかと思っております。
 まず、デフレそのものは、やはりこれは阻止すべき重要な課題である。先般、第一回の経済財政白書を出させていただきましたけれども、やはりデフレは克服すべき重要な課題であるということを、幾つかの分析を通して明記をさせていただきました。しかし、何分初めての経験であり、諸外国にも余り多くの経験がありませんので、しからば、どういう政策手段でこの動きをとめられるかということになると、これは専門家の間でもなかなか難しい。やはり今委員御指摘になられたように、政府は、これは第二次補正予算も含めて、やはり需要サイドで支えるべきものは支える、規制緩和でその需要を引き出す。これにはタイムラグがあるという懸念もあるわけですが、できるだけ即効性のあるものを、雇用創出効果、需要創出効果の高いものを予算の査定においても重点的に配慮してもらいたいということは、これは予算編成の基本方針の中にも、したがって書いているわけでございます。
 さらには、これは金融政策も含めて、政策を総動員してこのナローパスを乗り切っていきたい、大変難しい課題でありますけれども、その正道を歩みたいというふうに考えております。
○石井(啓)委員 今、竹中大臣から金融政策のお話が出ましたけれども、この中期展望の中でも、日本銀行が適時適切な金融政策を行うことが期待される、こういうふうにされておりますけれども、具体的にどういう政策を期待されているのか、あわせて、いわゆるインフレターゲティングについてはどのような御見解をお持ちなのか、竹中大臣にお伺いをいたしたいと存じます。
○竹中国務大臣 六月の末に基本方針、骨太の方針を書かせていただいて以降、その金融政策が適時適切に量的な拡大をしていただきたいということは、政府としてはかねてから申し上げているところでございます。しからば、それをどのような形で行ったらいいのかという御質問かと思いますが、こういった政策手段の選択については、これはやはり日本銀行の独立性の非常に重要なポイントであろうかと思います。したがって、どういう政策手段をとっていただきたいということは、政府としては一切申し上げるつもりはございませんし、金融の専門家としての日本銀行が独立的な立場でお決めいただく問題であろうかと思います。
 インフレターゲティング、これもこの言葉自体が、なかなか人によってイメージするところが違うわけでありますけれども、これに関しては、私は既に、デフレは悪いことだ、克服すべき問題であるということを経済財政白書の方で明言しておりますし、ことし三月の日本銀行の政策決定においても、ゼロインフレ、デフレを克服するまで、済みません、ちょっと表現は正確ではないかもしれませんが、ゼロインフレに戻るまでは、とにかく柔軟な金融の緩和を続けるということを日銀自身がお決めになっているわけでございますから、これは見方によっては非常に緩やかな物価安定目標を既に政府も中央銀行も目標として持っているということなのではないかと思います。
 繰り返し申し上げますが、じゃ、それを実現するための手段になりますと、これはなかなか技術的に考えてまず難しい問題がございますが、政府には政府の役割がある、中央銀行には中央銀行の役割がある、それぞれ新しい未知の領域ではありますけれども、勇気を持って入っていかなければいけないというふうに思っております。
○石井(啓)委員 確かにインフレターゲティング、いろいろ人によって使う定義は異なっておりますのであれでございますけれども、私は、日銀にインフレ、物価上昇率の目標を義務づけをさせて、その達成のためには何をやってもそれを達成させよう、しろというふうにやらせるのは、これは非常に危険をはらむ。一方で、国債の暴落、金利の上昇という大変なリスクを抱えていますから、私はそれは慎重であるべきだというふうに思っております。竹中大臣は必ずしもそういうことをおっしゃっていらっしゃいませんので、了といたしたいと存じますけれども、日銀においては、適時適切な金融政策でデフレをぜひ克服してほしいという政府の期待に対してどのように対応をされるおつもりなのか、最後にお聞きしたいと存じます。
○速水参考人 日本銀行は、デフレを防止するという強い決意のもとで、世界の中央銀行の歴史にも例を見ないような思い切った金融緩和策を継続してきております。ただ、日本銀行としては、やはりインフレ率を高めるためには、さまざまなリスクや副作用に目をつぶってでもあらゆる政策手段を動員するといったような政策をとるつもりは全くございません。
 一方で、金融政策運営の透明性を高める手段としてのインフレターゲティングについては、一つの検討課題として位置づけていきたいと思っております。しかし、我が国の物価動向、金融政策を取り巻く環境を踏まえますと、現時点でこれを採用することは適当でないと考えております。
○石井(啓)委員 時間が参りましたので、以上で終わります。
○山口委員長 次に、海江田万里君。
○海江田委員 民主党の海江田でございます。
 きょうの朝の新聞ですとかニュースを見ますと、来年度の成長率でございますが、NHKのニュースなどは、もうゼロ%だというようなことを報道しております。新聞でもゼロ%ないしはマイナス〇・一%というような数字が出ているのです。予算の編成も大詰めに入ってまいりましたけれども、来年度の成長率、どのくらいに考えておりますか。
○竹中国務大臣 もちろん、これはまだ具体的な数字を申し上げられるような素材を私自身も持っておりません。この作業をまさに詰め始めた段階でございます。
 ただ、来年の経済をどのように見るかということに関しまして、先般の経済財政諮問会議におきまして一般的な意見交換を行っております。そのときの議員の多くの見方は、経済、いろいろな要素がございますが、少なくとも循環的な要因、構造的な要因はともかくとして循環的な要因に関しては、アメリカ経済の動向もこれあり、今年度に比べて、特に来年度の後半からは少し明るい動きを期待できるのではないだろうかという見方が主流を占めていたように思いますし、私もそのような一般的な認識は持っております。こういった認識に基づいて、大変日数は限られておりますけれども、議論を煮詰めたいと思っております。
○海江田委員 今、詰め始めたばかりだということですが、もう間もなく、二十日ですか予算の、ございますし、まさにもう数字が報道などでは出ているわけでございます。私は、やはりそれがこれからの議論の基本になっていく話でもありますし、それから、既に先ほどのお話にも出ましたけれども七―九月のQEの問題でありますとか、あれでいくと、たしか実質ベースでマイナス〇・五で、年率計算でマイナス二・二ぐらいになりますか、これは。
 ですから、まず一つは、ことしの〇・九、軌道修正をして〇・九ですが、果たしてそれが本当にマイナス〇・九が守られるのかどうかということもあります。それから、本当にまさに予算との関係で、やはり来年が何%になるのかということは非常に大事であります。それから竹中大臣は、この成長率の見通しについては、もう粉飾はやらない、ストレートに、ありのままに数字を出すというようなことを言っているわけですから、全くわからないという話ではないだろうと思いますので、もう少し具体的な、もう新聞報道などもあるわけでございますからお聞かせいただきたいと思います。
○竹中国務大臣 これはしかし、今海江田委員御指摘くださいましたように、先週の金曜日にQEが出まして、昨日、日銀の短観が出ておりまして、それを踏まえて作業を、足元を見詰め直さなければいけないものですので、作業としても物すごく短い期間でインテンシブでやりますので、特に数字の問題を担当大臣としてこの場で明確に申し上げられるような素材は、大変申しわけありませんが、私も持っておりません。
 ただ、今年度の成長の見込みに関しては、先般、見通しの見直しを出させていただいて、マイナス〇・九と、御指摘のような数字を出させていただきました。これから大きく外れることはないのではないかという実感は持っております。それに比べて、来年度に関しましては、先ほど申し上げましたような循環的な要因、アメリカ経済の動向等々を含めて、後半少し明るい兆しが見えているということを期待して経済の全体の姿を描きたいというふうに考えております。
○海江田委員 その七―九月のQEの場合でも、マイナス〇・五、実質年率計算マイナス二・二というお話をしましたから、それで計算をしていくと、これからの二四半期これと同じ数字でやっとマイナス〇・九になるぐらいじゃないですか。
 短観の場合は将来見通しも出て、特に設備投資の見通しなんかも出ているわけですが、これはさらに落ち込むことが予想されますし、それから七―九月というのは、御案内のように九・一一のアメリカの同時多発テロの落ち込みというものも全面的に反映されていませんし、狂牛病の問題ももちろん反映をされていないことでありますので、これらを反映させて計算をしますと、私は、本当に今度の年率のマイナス〇・九というのも大変厳しい話ではないだろうかと。そこから出てきて今度来年の数字というのは、一般的に厳しくなるということ以上に、やはり非常に深刻な認識が必要なのではないだろうかというふうに思うわけでございますが、どうでしょうか。
○竹中国務大臣 そういった議論も踏まえて、是非論は詰めたいというふうに思っておりますが、今の海江田委員の御指摘に関して二点、ちょっと思うところを申し上げさせていただきたいのです。
 先般のQEに関しては、確かにマイナス〇・五、それで、消費に関しては前期比マイナス一・七という数字が出ております。実はこれは、私たち自身で統計をつくっておりますもので、なかなかこの解釈も難しいのでありますけれども、これも御承知のように、その前に、数週間前だったと思いますが、昨年度のGDPの統計が、確定の統計が出されておりますが、これが実は予想より高い数字になっているわけです。
 その理由は、実は、年度末であります一―三月期について、季節調整を含めてやり直してみますと、今までとはちょっと違う姿が出てくる。これは何を意味しているかといいますと、従来以上に季節調整が大変難しくなっているということだと思います。これは統計学上の問題でありますので、季節調整、シーズナルアジャストメントはできるだけ正確にするという技術的な努力は、これはもう間断なく私たちの方ではさせていただいているつもりでございます。しかし、季節調整が大変難しくなっているということを踏まえて、ひとつ別の観点から統計を見てみると、少し別の姿も出てくるのかと思います。
 マイナス〇・五、消費でマイナス一・七というのは、四―六月に比べて七―九月期がそうなっているという姿でございますが、季節調整がなかなか難しいということを前提に、昨年の七―九月期とことしの七―九月期、つまり前年同期比で比べてみますと、GDPは去年の時期に比べてマイナス〇・五という数字が出てきます。四半期ではなくて一年でマイナス〇・五という数字が出てまいりますし、個人消費に関しては、済みません、数字はまた正確にお知らせいたしますが、マイナス〇・三とかそのぐらいの前後の数字であったということで、決してそんなに極端に落ちているわけでもないのではないかという見方も出てまいります。こういった点も考慮しなければいけない。
 もう一つは、七―九の数字を前提にしますと、多分、ゼロからマイナス〇・一ずつぐらいの四半期の動きで政府の見通し達成というような姿であったと記憶しておりますが、この中で、特に最近時、アメリカ経済に対する非常に楽観的な見方も出てきた。
 御承知のように、十月のアメリカの自動車販売は、予想を大幅に上回るような販売になっている。これもゼロ金利、自動車のローンの金利の低減策、価格引き下げ策、いろいろな販売戦略も重要だとは思いますが、消費に関してもこれまた少し明るい見方も出てきておりますので、そういう状況の総合的な判断のもとで、今御指摘いただいたような点も踏まえて、議論を詰めたいというふうに思っております。
○海江田委員 七―九月のQEの点でるるお話ありましたけれども、一つ抜け落ちているのは、法人の設備投資が少しげたを履いているのではないだろうか、法人統計の問題点もあってということで。まさに法人の設備投資の部分で、数字が実質ベースでマイナス〇・五に落ちついたというのが大方の見方でありまして、そこのところをやはりおっしゃらないと、御自分に都合のいいところだけおっしゃったのでは。どこの社説だとか分析なんかを見ましても、そこのところは真っ先に出てくる話でありますので、そういうことを考えなきゃいけないと思います。
 この設備投資の少しげたを履いた部分というのは当然これから落ちてくるというふうに思うのですが、この点はいかがでしょうか。
○竹中国務大臣 これは私、隠して申し上げなかったわけではなくて、もちろんその点は大変重要だと認識しております。
 特に、設備投資の先行指標であります機械受注に関しては相当厳しい数字も出ておりますので、七―九の数字を見る限りは現状は設備投資はプラスになっている、しかし、先行指標その他の指標で見る限り、設備投資の実態はもっと悪いのではないかと言う方たちもある。それぞれの指標について、統計の表面上では読み取りにくいプラス面とマイナス面がある。その点は私なりに十分認識しておるつもりでございまして、当然のことながら、それも踏まえた慎重な見方をしていきたいと思います。
○海江田委員 恐らく、もう気持ちの中には数字が大体入っているのだろうと思いますが、一つだけ、注文といいますか、私なりの意見をお話しさせていただきたいのですが、やはりゼロ%でありますとか、これはプラス・マイナス・ゼロですけれども、あるいはマイナスの〇・一%とかこういう数字を出すということは、実はこれは政治の放棄につながるのではないだろうか、あるいは、経済政策については政府がきちっと責任を持つということでありますから、その責任を放棄することになるのではないだろうかというふうに私は考えるわけでございます。
 御自分では政治家であるかないかというところはどういうお考えをお持ちかわかりませんが、これは塩川財務大臣にお尋ねをした方がいいかもしれませんが、私は、ゼロ%なんて、もちろんこれまでもありませんでしたし、これからどうなるかわかりませんけれども、まさにゼロ%とかマイナス〇・一%なんというのは、一体政治が何のためにあるのかというところにも帰着する問題だ、そういうふうに思っておるのですが、いかがでございましょうか。
○塩川国務大臣 経済成長は堅実に発展していかなきゃならぬということは当然でございますが、今、確かに過去の栄光を捨ててマイナス成長になってきておるということは私は残念でございますけれども、これをやろうと思いましたら、やはり総合的な力の結集というものも必要であるし、私は、その根本にあるのは、やはり今までやってまいりました右肩上がりの護送船団方式でなれてきた安易な会社経営が、今日、グローバリゼーション下における国際競争力の中で非常に弱くなってきた、そこに根本的な原因があると思っておりまして、それを立て直していく、そういう構造の改革というもの、ここを抜きにしてただ単に現象的な経済の成長だけを論じてみても、なかなかその解決には至らないと思っております。
 したがって、今マイナス成長になっていることは非常に残念でございますけれども、各企業が自覚をいたしまして、順次それぞれの構造改革に取り組んでおりますので、その成果は後年において出てくると私は思っておりまして、そちらへ誘導していくのは政治の力であろうと思っております。
○海江田委員 それこそ、民間の企業が独自の努力をしなければいけないということは当たり前のことでございますけれども、政治が本当に国民の最大多数の最大幸福ということを希求しなければいけないということであれば、やはりここのところで、特にゼロ%なんという話は、もう何にもしませんよということに等しいわけでございますので、やはりしっかりとした数字を、もちろん、これまでの延長線上にあるわけでございますから、先ほど竹中大臣とお話をしましたような、これまでの動きがどうなっているのか、それから、これからどういうふうに動いていくのかということもきちっと分析をしなきゃいけないわけで、その上に立ってですけれども、政治がどっちの方向に引っ張っていくのかということはやはりお示し、それは経済見通しの数字の中で政治の意思というものを出していく必要があるのではないだろうか、私はそのように思っているところであります。
 きのうの夜、実はきょうの質問の準備をしようと思っておったのですが、余り準備ができなかったのですが、夜中にテレビを見ておりましたら、NHKのテレビでしたけれども本当にこの間、失業した人たちが、ずっとドキュメントでやっておったわけです。やはり失業した人たちというのは、もう二年失業しているというのでいろいろなところに行って面接なんかも受けているわけですけれども、家へ帰って奥さんと話をしているときその男が言っていたのは、ああ働きたいな、本当に働きたいなということを言っておったわけですよ。
 これは、本当に失業した人の、特に五十歳ですから、これまで一生懸命になって働いてきたわけですけれども、そういう人たちが失業して、やはり働きたいな、そういう意思を政府はしっかりと受けとめて、そういう人たちに働く場所を提供していく。それが具体的には予算であり、その予算の前提になる経済の見通しであるというふうに私は思います。
 それはぜひゼロ%なんということのないように、マイナスならマイナスでもそれは構わないわけ――もちろん、それからプラスにできるような、三十兆の枠とかいろいろな枠がありますけれどもそういう枠の中でプラス成長ができるようにやっていくのが、私は本当に政治の役割ではないだろうかというふうに思うわけでございますが、重ねて、恐縮でございますが塩川大臣、それから竹中大臣もお答えをいただきたいと思います。
○竹中国務大臣 単年の成長率にどのぐらいの政治的な意思を込めるかということになりますと、これは私はやはり幾つかの考え方があるのだと思います。恐らく、政策を担当する立場で大変重要なのは、長期にわたって日本の経済社会を安定的に、しかも発展させていくことである、その中で国民の最大の幸福を実現していくことであるということに尽きると思います。
 残念ながら、今までの社会の仕組みから日本の潜在的な力というのは大変弱っているわけでありますから、それを立て直す。その立て直すプロセスで、たまたま二〇〇二年度に何が起こるかということに関して、その単年の数字だけで政治の非を評価するというつもりは私自身にはございません。ここは、中長期の姿を一方で中期の経済展望で示しながら、その中で来年度はどういう位置づけになる、我慢すべきところはやはりみんなで我慢しよう、そういうことを示していくのが政治の意思である。その意味では、先ほど申し上げましたように、積み上げた数字をフランクに国民の皆さんに示していく、これがまさに政治の重要な役割ではないかと思います。
○塩川国務大臣 海江田さんおっしゃるように、確かに経済への失業の問題が最大の問題になっておりまして、そのために、第一次補正のときに、主としてセーフティーネット、雇用対策に対して予算措置をいたしました。これで十分とは思っておりません。けれども、政府としては、いわば失業対策に対する方向だけは示していったと思っておりまして、また、第二次補正におきましては、改革を進めるための新しい息吹となるものに対しまして七分野ごとに予算をつけて発足さすということにいたしております。何としても今までなれてきました護送船団方式を脱却して新しい活力を生むためには、やはり規制を緩和して構造を変えていかざるを得ないと思っております。
 十八日に、大体、政府としても行政改革の第一弾といたしまして、特殊法人とか公団とかそういうものの民間への移行の道筋をつけていきたいと思っておりまして、そういう現在までの制度の中を改革することによって活力をつくっていくということが今政治に課せられた仕事だと思って、懸命に努力してまいります。
○海江田委員 あと竹中大臣に、先ほど、アメリカ経済が、Vの字形とは言いませんでしたけれども急速に回復をするんじゃないだろうかというお話がありましたけれども、これも大変その意味では他人任せといいますか他力本願といいますか、アメリカ経済の見方にもいろいろな見方があるわけですけれども、やはり中期的にアメリカ経済自体が調整局面に入っておるんじゃないだろうか。今、車がゼロ%の金利で、ゼロ%の金利というのは値引きしているわけですけれども車を売っているというようなことも、九月十一日のショックが非常に大きかった、そのショックから立ち直るという意味での回復であって、この消費の傾向が長期的に持続していくかどうかということは、やはりかなり否定的な見方もあるわけです。
 その意味では、そういうアメリカの経済頼りで、しかも、そうなってくると輸出依存ということにまたなるわけですから、日本の産業構造の改革ということとも反することになるわけで、そこは余り、アメリカ経済が急速に回復をするのではないだろうかというようなことを根拠にして、本来だったらマイナス成長だけれどもそれで辛うじて、きょうのNHKのニュースなんか完全にそういう報道の仕方でしたけれども、やはりそれではいけないと私は思うのですけれども、この点についてもう一言。
    〔委員長退席、奥山委員長代理着席〕
○竹中国務大臣 私自身は、アメリカの経済が本当にV字形に非常に楽観的に回復するとも思っておりませんし、幾つかの見方がある、慎重な見方もあるということは十分に承知しております。かつ、日本の経済との関係でありますけれども、アメリカがよくなるからそれに任せておいて日本は別に努力しなくてもいいよというのであるならば、これは他力本願でありますけれども、もちろんそんなことは全く考えていないわけでございます。ただ、いずれにしてもアメリカの経済が、今回の世界経済の同時減速のプロセスでも見られるように、アメリカの経済の動向が結果的に非常に大きな影響力を持っている、これはもう否定できない事実なんだと思います。その意味でアメリカ経済の動向には注目しているということを申し上げたい、そこに尽きるわけであります。
 では、アメリカの経済がどうなるか。非常に不確定な要因、プラス・マイナス多い中で、これはその議論の論調も時によって振れますけれども、どちらにも偏らないできるだけ堅実な見方をとった上で、日本の経済へのインパクトというのを考えているということでございます。
○海江田委員 先ほどおっしゃったのは、やはりアメリカ経済がことしよりは回復するから、ことしは一応マイナス〇・九%目標を達成できるということで、アメリカが回復をするからというお話が先ほどあったわけでありますから、今の答弁とは若干違っているわけで、後で読み返しをしていただければよろしゅうございますが、アメリカ経済にまさに他力本願的な形で依存をするということになると、やはり本当に国内の経済の活性化というものにそれだけ力が抜けることになるわけでございますから、その点は私の意見として申し述べておきます。
 それから、先ほど塩川大臣が言いました失業の問題なんですが、竹中大臣も今お話しになりましたけれども、中長期的な観点でやはり見ていかなければいけない。私は、せんだっての年次経済財政報告を読ませていただいたわけで、「改革なくして成長なし」という副題を竹中大臣自身がおつけになったということですが、ここで見ておりまして、例えば雇用のところでも、本当にこんなことが実現可能なのかなというふうに思う記述もあるわけでございますね。
 「今後はサービス雇用が拡大」という百二十六ページでございますが、「経済財政諮問会議専門調査会は、「サービス部門における雇用拡大を戦略とする経済の活性化に関する専門調査会緊急報告」」これはことしの五月、これも私はインターネットで見せていただきましたけれども、これで「五年後にサービス部門を中心に五百万人の雇用創出を期待できるとの試算を発表している」ということでありまして、これはたしか九項目にわたって、それぞれ百万人でありますとか五十万人でありますとか、この五百万人の裏づけになる数字が一応出ているわけでございます。
 ただこれは、今一つ一つその中身についてお話をしている時間はございませんけれども、とてもじゃありませんけれども五年間に五百万人も雇用が創出できるとは思わないのですが、竹中大臣、この五月の報告もごらんになって、そしてそこを引用して、ここで「五年後にサービス部門を中心に五百万人の雇用創出を期待できる」というふうにお書きになっていますが、本当にそういうふうにお考えになっていますか。
 それから、やはりこの手の雇用の計画というのはいつも計画倒れで、百万人のはずが一万人とか二万人とかそういう例もあるわけでございますから、本当に国民に明るい希望を持ってもらうということであれば、そこは本当に責任を持ってこれを達成するんだ、達成できるんだということをやはりおっしゃっていただかないと。あの五月の報告を見ただけでは、とてもじゃありませんけれどもこれは荒唐無稽な話だなというふうに私は印象を持ったわけでございますが、本当に五年間でサービス部門を中心に五百万人雇用が創出できるんですか。
○竹中国務大臣 御紹介いただいた試算は、専門調査会で島田晴雄教授らが中心になっておまとめになったものだと思います。
 これにつきましては、予算委員会等々でも何度か議論の対象になっております。言うまでもありませんけれども、これは予測ではございません。潜在的な需要の可能性を示唆した、たしかそういう書き方になっていると思います。これはGDPに対するいろいろな指標の比率、産業の中でのマーケットシェア、そういう等々を換算して、日本の所得水準、日本の生活水準を考える場合に、かつ生活者が今感じている利便性の欠如を考えた場合に、生活直結型の産業でこういうことを潜在的に考えていく一つの可能性が大いにあるのではないだろうか、そういう観点からのものでございます。
 そもそも雇用の予測というのは、企業が何かやろうと思って派生的に発生する需要でありますから、そういうものの予測というのは、どこの場合も、どこの国でも、いつの時代でもそんなに正確にはできないものであります。しかし、これも数字はやや不正確かもしれませんが、過去十年間でサービス業で五百万人近い、たしか四百数十万人の雇用が新規につくられている。停滞していたこの十年、九〇年代十年でもその四百何十万人の雇用が生まれたんであるんだから、ここにさらに規制緩和等々、新たな企業家精神の発揮等々を期待すれば、五年ぐらいでそういうことをやることも可能ではないだろうかという一つの期待される数字として書いているわけでございます。
 繰り返し言いますが、これは、予測ということではございませんけれども、そういった数字を想定してさまざまな規制緩和をやっていくんだということでありますので、具体的にその方向に向けて、例えばケアハウスについても今度一応予算措置するとか、これは非常に小さな政策の積み上げになりますけれども、ぜひその方向に向かって政策を動かしていきたいというふうに思っております。
○海江田委員 たしか介護のところでも二十万とか書いてあったわけです。ただ、介護でも実態を見てみると、やはり介護保険の時間当たりの単価というものは非常に安くて、なかなか民間の企業も採算がとれないとかいうこともあって、そういう本当に具体的な問題になっていきますと、それから、既にもうそういうところでやっておる企業の人たちの話なんかも聞きますと、とてもじゃないけれどもそんな五年間で、たしか介護のところで二十万人だったと思いますが、ちょっと今手元に細かい数字を持ってきていませんけれども、そういう実際の現場での話を聞いた実感とあそこに書かれている数字、予測ではなくて期待値だということをおっしゃいましたけれども、やはりそこのところは非常にアバウトであるし、それから実際の部分の実感からかなりかけ離れているんじゃないだろうか、私はそのように思うわけです。
 これは本当に、五年後だからそのときに竹中さんが大臣であるかどうか、恐らくそうではないと思いますが、ただ、やはり今、現在のこの政治には責任を持っておるわけでありますから、ここは余り、本当に夢が、明るい展望だとか希望だとかというものが裏切られた後の国民の怒りだとかこういうものもありますので、ここはやはり非常に慎重にしていただかなきゃいけないんじゃないだろうか。
 それから、本当の雇用問題の解決というのは、私はやはり新産業の創設、創出だろうと思うわけですけれども、この産業政策というものが果たしてあるんだろうかというふうに私は思っているわけでございますね。従来だったら、IT産業で、ここでいこうと、これはまさに竹中さんなんかが一番熱心になっておっしゃったわけです。これがアメリカのITバブルの崩壊で、もちろん、今のIT産業の日本の窮状というのも、ITのチップスだとか基板だとかそういう物をつくるところであって、ソフトの部分だとか、それから民間の直接製造じゃないところのITというのは伸びているということは確かであります。
 ただ、ひところ、まさに竹中さんが大臣になられる当初というか、なられる前におっしゃっておったような状況とこれはもう大きく情勢が違ってきておるんで、やはり、本当に大きな五百万人とかの雇用を創設しよう、しかも、それが生産性の高い労働力として、新しい産業政策というものがないと、これは本当に日本の経済そのものが立ち行かなくなってしまうわけです。その新しい雇用の一番の受け皿になる、雇用創出につながる産業政策、これは本当におありなのかどうなのか、教えていただきたいと思います。
○竹中国務大臣 これは私ではなくて平沼大臣にお答えいただくべき問題なのかもしれませんが、重要な点は、例えば、新しい産業がなかなか生まれてこない、百二十万人の人が今企業をスタートアップさせたいと思っているんだけれども年々十八万人しか出てこない。そのための仕組みをやはりどんどんつくっていきたい、そういった創業者にとっての夢のある環境をつくっていきたい。これは、そのための規制の改革でありますとか制度の整備は、骨太の方針なんかでも我々かなり熱心に議論をさせていただいたつもりでございます。
 今、ITの例を引いていただきましたけれども、今も海江田委員おっしゃったとおりですけれども、基本的には今IT不況というよりは私は半導体不況というふうに思っておりまして、その他のもの、例えばインターネット人口というのはここ数年の間に三倍ぐらいに確かに伸びていて、四千七百万人の今インターネット人口になった。これはやはり、地味かもしれませんが、新たな分野が今日本で開拓されつつあるというポジティブなサインではないかと思うわけです。
 ただ、産業政策というお言葉を今お使いになりましたが、これもかつての通産省が行った、チャンピオンインダストリーを政府が決めてそこに資源を集中投下する、そういうやり方が今の時代にいいかどうかという根本問題もございます。
 恐らくそういうことをおっしゃっているのではないと私も思いますが、今後、経済財政諮問会議におきましては、こういったマクロ的な経済のシナリオを示した後で、その肉づけとして経済産業活性化への戦略対応、これを非常に大きな議論のテーマに据えたいというふうに今私自身は思っております。その中で、まさにやはり戦略的な見方、今マクロの議論、財政、マクロ経済の議論をこの半年ぐらいしてきましたけれども、もう少しそれを、目に見えやすい産業、ビジブルな形での戦略対応の議論という形にぜひこれは広げていきたい、私自身はそのように考えております。
    〔奥山委員長代理退席、委員長着席〕
○海江田委員 戦略対応ですか、戦略会議ですか、そういうのをつくりたいという話ですが、この本当に新しい、衣がえしました年次経済財政報告を見ましても、先ほどちょっと一部紹介をしました専門委員会のレポートとかそういうのがたびたび出て、あそこのインターネットから引きますと、ずらっと会議の報告だとか中間報告だとか取りまとめだとか本当にたくさん出てくるわけですけれども、そういう会議の数が多い、会議体の数が多い割には私は大変中身の薄いものだというふうに思いますし、果たして本当に、その戦略会議だか戦略何とかだかわかりませんけれども、そういうものでどれだけのものが出てくるのかなということを、私はやはり、少なくともここに盛り込まれている中から見る限り、大変不安を持つわけですね。
 この年次経済財政報告につきましては、どうしてもはっきりしない、具体的にならないというのは、やはり不良債権の処理のところ、不良債権の処理からまさに金融の仲介機能の回復というそのプロセスのところですね。その後、金融仲介機能が回復をして、そこから「構造改革で高まる成長」という形で数ページ割いて書いてあるわけですけれども、この不良債権の処理のところの「政府の取組み」というのは、十月に出した改革先行プログラムの引き写しがそのままになっているわけでありまして、それが終わると、今度は「銀行は収益基盤を確保する必要」があるということで、それから「最終処理が経済に与える短期的な悪影響」、それから「構造改革で高まる成長」と。
 「構造改革で高まる成長」というのも一ページの半分ぐらいしか書いていないわけで、そこに書いてあることも非常に当たり前といえば当たり前のことが書いてあるだけでありまして、「今後の潜在成長率は、九〇年代の低成長の結果、短期的には一%程度に低下している」「しかしながら、構造改革を行い、労働力、経営資源、資本などの我が国が有する資源を低成長分野から高成長分野に移動し、経済全体の生産性を高めれば、日本経済は中長期的に平均二%程度ないしそれ以上の成長を達成することが十分可能であることを明らかにする」ということが書いてあるだけで、その後ずっと読んでみますけれども、ちっとも明らかになっていないというような状況があるわけであります。
 私は、その意味では非常に、この経済財政白書を読んでみました、全部目を通しました、ちょっときょうは財政のところについては触れませんけれども。やはりどうしても、これを見て本当に、わかりやすく書いてあることは確かなんですけれども、よし、よくわかった、これで私たちの将来は明るくなるんだ、構造改革の痛みの先に本当に健全な日本の経済の姿が見えてくるんだなというふうにはとても思えないわけです。
 これは私の感想でありますので、ここのところの話をするとまた時間が長くなりますので、いろいろこの後やらなきゃいけない問題もありますので、お答えになりたかったら、一言、短く。
○竹中国務大臣 ぜひお答えさせていただきたいと思います。
 これは経済の年次報告でございますから、この中に将来展望まで含めて全部書いていないではないかというふうに思われると、ちょっとやはり困るという感じがいたします。基本的な方針については、骨太の方針に書かせていただいた。それを受けて、骨太の方針に書いていることの正当性を実証的に年次報告の中で示したというのが今回のものでございます。将来の展望については経済財政の中期展望で我々議論しようとしておりますし、予算については基本方針でと。その全体の中でぜひ御判断をいただきたいというふうに思っているわけでございます。
 あと一点。当たり前のことというふうに御指摘をいただきましたが、恐らくこれは去年は当たり前ではなかったことなんだと私は思います。当たり前のことを当たり前にしていくのが構造改革であるというふうにも思っておりますので、そこの中で、一つの骨太の方針に書かれた基本的な議論の裏づけとして、年次報告としてのこの白書を書かせていただいているという点をぜひ御理解賜りたいと思います。
○海江田委員 これは本当に議論し出したら切りがないんですが、痛みを伴わないときであれば、別に将来の展望をそれほど、何もわざわざ年次報告に書く必要はないかもしれないんですね。今まさに痛みを伴うわけですから。お医者さんだって手術をするとき、この手術をすればこうなって、こういう形で健康になれるんですよという話があって初めて、その手術を患者さんも痛みをこらえて受けようとするわけですから。その意味では、まさに今痛みを伴うときだからこそ、やはりこういう、本当にこれまでの経済財政諮問会議なり戦略会議なりの、一般の国民向けのアピールの絶好の機会なわけですから。そのときに、ああ、なるほど、こういうふうになればこの痛みをこらえた先にこういう社会があるんだ、こういう社会につながっていくんだというところをやはり書いておきませんと、私は本当に、国民に痛みだけを強いることになるんじゃないだろうか、そんなような懸念を持っている。
 ということで、このテーマにつきましてはこれで終わらせていただいて、先ほどもちょっと議論になりましたけれども、日銀が外債を買ってはどうかという議論があります。先ほど速水総裁の見解はお聞かせいただきましたけれども、塩川財務大臣もこの問題について、私は若干、前向きととられるような発言があったのではないだろうかというふうに思うわけでございます。記者会見か何かの席で、それはなかなかいいアイデアじゃないかということをおっしゃったように新聞報道がありましたのですが、どうでしょうか、この問題についてのお考えは。
○塩川国務大臣 私は、過去の記者会見で、日本銀行が外債を買ったらどうだということを言った覚えは全然ございません。それは大変な誤解であると思っております。
 日銀としてやはり、そういう為替介入に疑いを持たれるようなことは避けておられる方がいいのではないかと思っております。
○海江田委員 では、日銀じゃなくて、外債を買うということはいいアイデアだというようなことをおっしゃったことはないですか。
○塩川国務大臣 それは、個々の金融機関あるいは証券会社等が、その営業の一つとして自主的に選択してやっておられるということにつきましては、私たちは介入するものではないと思っております。
○海江田委員 日銀が外債を買うということについては、これはせんだって発表になりました、日銀の政策委員の方もそういう発言をしておられるということがあるわけでございますが、先ほど速水総裁のお話を聞いておりますと、それから今の塩川大臣の話でもそうなんですけれども、いわゆる為替の介入と紛らわしいんじゃないだろうかというようなお話がありますが、日銀の政策委員のお一人が発言をしております中身というのは、まさに毎月なら毎月、二千億円なら二千億円という形で定期的に買っていくようにしてはどうかという意見なわけですね。
 これは私が言うより、むしろその場におられたわけですから私以上に御案内だろうと思いますが、そういう形で、為替の介入とは区別をして外債を買っていくという一つの方法があるという提案をされているわけですから、為替の介入と切り離して、この問題についての見解をもう一度お聞かせいただきたいと思います。
○速水参考人 為替も市場であります。定期的に買うにしても、需給関係がそこで動くわけですから、そこのところは、市場を通じないで外債を買うといえば、相手は限られてくると思います。それだったら余りねらいの、先ほど申し上げたねらいが二つあって、一つは円安政策、一つは資金のさらなる供給だと。どっちもこれは果たされません。それは意味がないと思うんです、そんなもの、決まったところでやるのであれば。市場を通ずるということは、今言われたように、これは新しい日銀法でできないことですから、法律違反になります。
○海江田委員 この問題はやはり、特に円安誘導ということでいえば、私はこれは望ましい方向性だろうと思うわけであります。
 それから、よく言われるのは、アメリカの意向がどうなんだろうかというようなこともまた言われるわけでございますが、アメリカはいろいろな意見があると思いますが、ただ、私考えると、アメリカも今、この間、テロ以降の経済が非常に不安定な中で、やはり外国からの資本の流入というものがある程度とまっているというような、あるいは減少しているというような状況もあるわけでございますから、これはアメリカにとっても決して不利益の部分ばかりではないと思うわけでございます。
 そういうことを含めまして、もう少し真剣に検討していただくのも私はいいんじゃないかなと思いますが、重ねて御答弁をお願いします。
○速水参考人 先ほども申し上げましたように、かなりいろいろな課題が含まれておりますけれども、そういうものを含めて討議していきたいと思っております。
○海江田委員 では、金融問題に入ります。
 この間、ちょうど当委員会でRCC法案を審議しているときに各銀行の九月期の中間決算の発表がありまして、かなり不良債権の処理を進めて、幾つかの銀行では法定準備金も取り崩しをしてこの処理に充てるというような方針が出てきたわけでございます。法定準備金の取り崩しということになると、やはりこれは当然のことながら、自己資本がそれだけ毀損をするわけでございますから、それから特に、これで三月期、大手十三行のうち大体十行が赤字になるということで、この三月期までの手当ては一応ここのところではある程度つくかもしれませんけれども、やはり問題はその次なわけですね。
 冒頭に私が、成長率のところで少し執拗にお話をさせていただいたのは、やはりまさに今、当面この三月の決算をどう乗り切るかということはもちろん大事な問題でありますけれども、そこから先の問題は果たしてどうなるのかなということを私は大変心配しているわけですね。もう法定準備金まで取り崩しをしたら、今度、不良債権の処理が、本当に原資が一体どこにあるんだ、それによる資本の毀損といったものをどういうふうにカバーしていくのかということは、今から考えておかなきゃいけない問題だと思うわけでございますね。この点については、柳澤大臣、どういうふうにお考えですか。
○柳澤国務大臣 今海江田委員が申されたとおり、各行の九月期決算及びその先の来年三月期の決算見通しというものがそれぞれの銀行から表明されまして、私どもとしてはこれを集計いたしておるところでございますが、その結果は、今委員御自身御指摘になられたように、自己資本比率も二けた台を維持できるというようなことで、ここは越せるということであります。
 そこで、その先は一体どうなるのかということでございますけれども、これは私どもといたしましては、ここ二年くらいの間は、あるいは三年でしたか、集中調整期間ということでそう、例えば二%ぐらいのプラス成長というものは期待できませんよ、低成長ですよ、こういうことを言われまして、大体そんなところを想定してモデル推計もさせていただいたわけでございます。
 このモデル推計と比較して今度の十三年度末がどうかというと、ここのところは非常に難しいわけですけれども、少しいろいろな施策を新しくやっただけに、そこのところは私どものプロジェクションに比べてやや、例えば処理損失、不良債権の処分損というものは高まっているんだろう、このように思いますけれども、その後は、この固まりが一年、一過的にしのげるということであれば、その後は大体プロジェクションどおり、あるいは前倒しした分だけむしろ少なくなっていく、処理損が減少していくということも考えられるというように思っているわけでございます。
 ただ、あのときのプロジェクションの前提というのは、大体十二年度の経済というようなものの中で生じた不良債権の発生あるいは不良債権の処理というものを前提として、それを、私に言わせればかなり、さらに厳しい条件に変換して推計をしておるということであります。
 そこで、そういう前提になった経済状況というものと今後十四年度に本当にあらわれてくる経済状況というものがどうなるか。これは私どもとしては十二年度並みのところでお願いしたいものだというふうに思っておりますけれども、現実がどうなるかということについては、私ども、これは予見と申しますか、客観的な条件ということになりますので、それによって不良債権の発生だとかそれに伴う処分損というものが推移していくということになるというふうに思っております。
 しかし、いずれにせよ、大方の今の言われているような経済状況のもとですと、今言ったように、若干前倒しした部分があるというようなことで、何とかプロジェクションにそれほどデビエートしたようなことにならずに経過できていくんではないか、このように考えておるわけでございます。
○海江田委員 これはもう大甘としか言いようがないと私は思います。今大臣は、これだけやっても自己資本の比率が大体二けたに乗るという話ですが、全部が全部そうというわけじゃなくて、一けたに落ちるところもありまして、それで一けたに落ちて、それを何とか優先出資証券のような形でやって、それでもまだ一けた台というところもあるわけですね、これは。だから、これはまず全部が二けた台を維持できるという話じゃありませんし、それからもちろん税効果だとか、税効果の議論はまた別のときというか、ここをやると時間がありませんけれども、税効果の話は抜きにしても、一けた台、もうぎりぎり八%から九%ぐらいのところの金融機関もあることは事実でございます。
 それから、特別検査を前倒しするような形で引き当てをやってという話もあるわけでございますが、実はこの特別検査というのは、いわゆる大手の、三十社と俗に言われておりますけれども大手の企業に対する貸し出しで、しかもこれは百億円以上ですか、そしてそれが厳正に債務区分されているかというところに着目をした検査なわけでありますから。しかも、せんだっての青木建設の破綻のように、これからそういうところが出てくるだろうということになると、ではそこから今度は、大手から先の中小の企業などに対する債務の劣化という問題もこれはやはり当然考えなければいけないわけでありますから。
 そこのところを考えると、はっきり申し上げまして、二〇〇二年の三月期でも果たしてどうなんだろうかというような大きな疑問がありますし、それから二〇〇三年の三月期の決算というのは、とてもじゃないけれども、今のままのやり方というものではそれこそ不良債権の処理自体が立ち行かなくなる、私はそういうふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
○柳澤国務大臣 かなり先の経済状況まで見通した上でのお話でございます。私どもとしては、ミクロの行政、つまり行政の性質がミクロでございます。したがって、そういう、もちろんマクロ的なこともプロジェクションをやるという場合には考えていないわけではありませんけれども、基本的に実績をさらに厳しくしてそれを引き伸ばしているということで考えているわけでありまして、ちょっと、いろいろな仮定、仮定、仮定が置かれた議論について、ミクロ行政をやっている立場でそれにどうお答えするか、お答えは差し控えた方がいいだろう、このように思います。
○海江田委員 仮定、仮定でかなり先ということを言いますけれども、これから予算、当委員会は財務金融委員会ですが、予算の編成をして予算委員会で議論も年が明けて始まるわけでありますけれども、まさに二〇〇二年度というのは、その前に二〇〇一年度の問題も大いにあるわけですけれども、私は大変なやはり問題がそれこそ集中的に出てくるんじゃないだろうか。特に、この二、三年の間が集中調整期間で不良債権の処理を積極的に進めるという話であるわけですから、そこの集中期間のときの問題については、やはりこれはきちっと金融庁なりが責任を持つべきであります。五年先、十年先のことを言うんなら、これまた今おっしゃったような答弁も通ろうかと思うわけですけれども、ここ二年でありますとか、そこをまさに集中期間というような位置づけをしている場合、やはりそこにきちっと責任を持たなければいけないというふうに私は考えるわけですね。
 それから、先ほどの自己資本二けた台を何とか維持したいということでお話をした優先出資証券の話も、結局、持ってもらうのはほとんど、これまでのせっかく株の持ち合いというのを解消という動きが片一方で出ているのに反するようなことをやらざるを得ないわけですよ。そうすると、これは、そうやっておいて、今度は金融機関が破綻をしたようなときに、ではそれがまた、事業法人でありますとか、あるいは、きょうは生保協会にお越しをいただきましたけれども、やはり生保に与える影響でありますとか、こういうようなものは非常に深刻な問題があるわけですね。
 それこそ直近の問題でも問題は山積をしておりますし、そしてそれがとりもなおさず二〇〇二年につながっていくという話でありますので、私は、そこのところを本当に遠い先の話であるというようなことで本気でお考えになっておられるんでしたら、これはもう大変な、言葉はきついですけれども職務怠慢としか言いようがないわけですから、やはりそこはもっと真剣にこの問題、まさにこの三月の決算、そこからつながってくる今度は二年の九月の中間、そして翌年の三月の本決算といったものに向けて、本当に非常に難しいかじ取りが必要だという認識を持っていただかなければいけないというふうに思うわけですが、いかがですか。
○柳澤国務大臣 そういう、何というか一期ずつ我々が真剣な取り組みをしていく必要がある。それで、この集中期間については、一定の展望を、なかなかこれは個別の問題とマクロの問題を結びつけるというのはもう極めて難しい問題でありますが、我々としては一つのプロジェクションを提示して、それからそういうものを一つの思考の軸として、それでこの期間についての姿をいろいろ考えながら個別の行政的な措置をとっていくことにいたしたということでございまして、私どもとしては、今先生が言われたことは、そういうことで織り込んで進めていっているというふうに御理解をいただきたい、このように考えます。
○海江田委員 どうも柳澤大臣はここの話に、自己資本の毀損からの話になってくると、それは先のことだとかいうふうにお話しになるので、どうしてかなと私なりにそんたくすると、そこから出てくる話になると資本注入の話にやはりつながってくる話ですから、そこのお話をどうしても避けて通りたいというふうに私は考えざるを得ないわけですね。
 これは十五兆の枠があって、これはまさに金融危機の対応ですけれども、総理が会議を招集してそこで決断をすればできる話です。それから、小泉総理自身も、ここのところの話というのは、今はそのときじゃないけれども、ここは必要があれば出すということを話しているわけですから、そういうことに対する柳澤大臣のお考えというのを、どういうふうにお考えになっておるのかということを、やはりこの際ですから正直にといいますか、ストレートにお話をいただきたいと思いますが。
○柳澤国務大臣 金融危機対応のスキームを動かすということについてはちゅうちょしない、果断に取り組んでいく、これは私自身も何回もここでも申しているつもりでございます。総理の考えていることと寸分、そこのところで何かたがうところがあるとは私考えておりません。
○海江田委員 森長官、どうですか。さっきからずっとお話を聞いておったようでございますが。
○森政府参考人 お答え申し上げます。
 当然のことでございますけれども、大臣のそういう御認識のもとで我々事務方は一致団結して大臣を支えているわけでございまして、大臣の御認識と全く同じでございますし、つけ加えることもございません。
○海江田委員 きょうは時間がなくて真意を森長官から直接お聞きすることはできなかったわけでございますが、十月の二十四日の発言などを見ると決して大臣と同じだとは思いませんし、仮に大臣と同じであったとしても本当に果断に取り組むことができるのかどうなのかということについては、私は大いに疑問があるわけですね。まさに名コンビでありますけれども、名コンビであるだけに金融政策をたがわないとも私は言い切れないわけであります。
 それからあと、生保協会の会長にせっかくお越しいただきましたので、やはり先ほどの銀行の不良債権の処理に伴う自己資本の毀損、劣化というものと生保の問題というのは私は密接にリンクをしていると思うのですが、そのとき一番問題になるのは、生保の契約者のセーフティーネットというのは果たして本当に十分なのかどうなのかということであります。参議院で我が党の櫻井議員の質問が若干あったわけでございますが、十五年の三月で今の仕組みというのは一応切れるわけでありまして、そこから先の話について、これは柳澤大臣とそれから参考人とそれぞれこもごも、もう時間がございませんので、短目にお話をいただきたいと思います。
 参考人の方からよろしゅうございますか。
○金子参考人 生命保険協会長の金子でございます。
 本日は、財務金融委員会で参考意見を述べさせていただく機会をちょうだいしまして、まことにありがとうございます。
 ただいまの保護機構、セーフティーネットについての御質問でございますけれども、御承知のように、保護機構の財源につきましては、業界の負担限度を五千六百億円といたしまして、さらに四千億円を限度とする財政措置が手当てされているわけでございます。これまで行った資金援助額は既に五千三百八十億円程度に達しておりまして、仮に平成十五年三月までに五千六百億円の業界負担額を超えて保護機構の資金援助が必要になりました場合には、速やかに政府から財政措置がとられるものと考えております。
 御案内のように、昨年度は五社が破綻いたしまして、第百生命の破綻処理に千四百五十億円、大正生命の破綻処理に二百六十七億円の資金援助が業界負担によって行われてまいりましたが、その後の破綻につきましては、更生特例法で処理されました千代田生命、協栄生命、東京生命については資金援助がなかったわけでございます。とりわけ東京生命の処理につきましては、責任準備金も削減のない処理でございました。加えまして、ことし来ソルベンシーマージン基準の見直し、あるいはモニタリング制度の導入がなされましたことから、今後も早期発見、早期処理によりまして、資金援助不要もしくは極小化した破綻処理が期待できるというふうには考えております。
 ただ、御案内のように生命保険は世帯加入率が九割を超えておりまして、遺族保障、老後保障あるいは医療、介護保障等、幅広く公的保障を補完する生命保険に対するセーフティーネットの存在そのものが国民の安心感につながりますことから、平成十五年四月以降も保護機構の財源は確保されるべきだというふうに考えております。
 以上でございます。
○柳澤国務大臣 委員も御指摘なさったように、この制度は十五年三月までは続くわけでございまして、まだちょっと先のことであります。いろいろ生保の状況、会社の状況等を見ながら検討を、その時期までにあるいはその時期にするということでございます。
○海江田委員 もう時間が来ましたので。
 どうも十五年のことを先のこと、先のことと言っていますけれども、やはり足元だけ見ているとけつまずくのですよ。車の運転でも視野を遠くに見ておきませんと大変な事故も起きる可能性もありますし、それから特に集中期間であるということ、この集中期間に起きてくるさまざまな問題ということはきちっと対応する体制を私はとっておく必要があるんじゃないだろうか、そのように思います。
 以上申し述べて、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○山口委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時九分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時一分開議
○山口委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。五十嵐文彦君。
○五十嵐委員 民主党の五十嵐文彦でございます。
 私は、自社さ政権時代に金融改革のプロジェクトチームで柳澤さんと御一緒だったのですね。そのときに、私は、財政と金融の分離ということを、あるいは日銀の独立性の強化ということを強く主張いたしました。柳澤さんと対立した部分もかなりあったわけでございますけれども、私の論拠は、旧大蔵省が金融機関を天下り先として認識をするということから、かなり護送船団方式の甘い行政が行われたり、あるいは恣意的な行政が行われる、そして金融機関の能力を劣化させモラルを麻痺させてきた、だから分離をしなければいけないのだということを言ってきたわけであります。
 金融庁ができまして、私はかなり前進した部分があると思います。財金の分離は間違っていなかったと思っているんですが、しかし、私が期待した、例えば政治の介入の排除と、あるいは厳格、厳正な審査や監督ということについては、私は、前進は見たかもしれないけれどもまだまだ不十分だという立場に立っております。
 そのことから立って、本日も質問をさせていただきますが、まず、朝銀、朝鮮銀行信用組合の問題を取り上げさせていただきたいと思います。
 二〇〇〇年三月二十九日、衆議院大蔵委員会で、我が党の上田清司委員が質問に立ちまして、当時の村井仁政務次官に、朝銀の各信組は独立した法人とは認められないのじゃないかということをいろいろ証明をいたしまして、例えば、朝鮮総連の刊行物の中で、日本朝鮮信用組合協会は朝鮮総連の傘下であるという表現が向こう側の、総連側の文書の中にちゃんと書いてあるというようなこと、あるいは、人事の、何回も出てきましたけれども、信組の理事長がぐるぐるといろいろなところを支店長であるかのように回っているという実態から見ても、独立した法人として認識できないのではないかということを言っておりますが、これに対して村井仁政務次官は、独立した法人として認識しておりますという答弁をしているわけであります。
 今、朝鮮銀行の信組の破綻、またその過程における刑事責任が問われる事態になっておりまして、まさしくその独立した存在か、それとも朝鮮総連という政治団体と不離一体、一体的なものかというようなことが問われていることでありまして、特に疑いが強くかかっている。だからこそ私は家宅捜索が朝鮮総連に入ったのではないか、こう思っているわけですが、警察庁の刑事局長に、捜査の進捗状況、そして、なぜ総連に家宅捜索の手が入ったかということを簡潔にお話をいただきたいと思います。
○吉村政府参考人 お答えを申し上げます。
 警視庁と兵庫県警で現在捜査をしておるところでございますが、警視庁におきましては、十一月の八日と十一日に、平成十年に東京都知事が実施をいたしました立入検査に際しての検査忌避容疑で当時の朝銀東京信組の理事長ら五人を逮捕いたしまして、さらに十一月二十八日、平成六年十二月ころから十年四月ころまでの間に八億数千万円を着服、横領した業務上横領容疑で当時の同組合の理事長、朝鮮総連の中央本部財政局長ら六名を逮捕して、現在捜査中であります。
 兵庫県警におきましては、十一月の十四日に、平成十二年の近畿財務局長の立入検査に際しての検査忌避容疑で当時の朝銀近畿信用組合理事長ら五人を逮捕いたしますとともに、平成八年から十年までの間に朝銀京都信組及び近畿信用組合の資金合計一億数千万円を不正に貸し付けて組合に損害を与えたという背任容疑で、当時の組合理事長ら三人を捕まえ、さらに十二月五日に、朝銀大阪信組の不良債権の返済資金を捻出する等のため、架空人等に対して合計十億数千万円を不正に貸し付けたということで、背任容疑でありますが、在日本朝鮮信用組合協会会長、当時の朝銀兵庫信用組合理事長ら合わせて六人を捕まえまして、現在捜査中であります。
 委員お尋ねのありました、朝鮮総連本部を捜索した理由ということでございますが、今申し上げましたように、当時の朝銀東京信組の理事長らが八億数千万円を着服、横領した事案につきまして、当時の朝鮮総連の中央本部財政局長がこれに共犯として加担をしていた疑いがあるということで、警視庁におきましては、十一月二十八日にその当時の財政局長を逮捕いたしました上、二十八日には同人の居宅、そして二十九日に朝鮮総連の中央本部内の関係箇所等の捜索を行ったというものでございます。
○五十嵐委員 総連の財政局長がこの捜査の上で非常に重要なポイントにある、明らかになりつつあることであると思います。
 すなわち、むしろ、朝鮮総連の財政局長の方が上位の立場にいたのではないかということが疑われているんだと思いますが、警備局長にお伺いしますが、総連とこの各信組との関連を、一般論でも結構ですが、どのように見ておられるか、伺いたいと思います。
○漆間政府参考人 お答えいたします。
 いわゆる朝銀は、それぞれ所轄の行政庁の認可に基づきまして設立された独立の金融機関であり、朝鮮総連の下部機構であるとは直ちには言えないと思われます。
 しかし、これらの朝銀は、朝鮮総連の傘下団体の一つであります在日本朝鮮信用組合協会、いわゆる朝信協に加盟しておりまして、朝信協の定款、規定及び諸決定事項に従うことが義務づけられているものと承知しております。
 したがって、朝銀は朝鮮総連と密接な関係にある団体として位置づけられるものと考えております。
○五十嵐委員 簡単な三段論法なんですね。朝鮮総連の傘下に日本朝鮮信用組合協会があり、日本朝鮮信用組合協会は各信組がそれに従わなきゃいけないという定款になっている、こうおっしゃっているわけですから、これは朝鮮総連の傘下団体と言っていいわけであります。いわば下部機構と。一概には言えない、直ちには言えないとおっしゃったけれども、これは三段論法で言えば単純な話で、下部機構と言ってもいい存在であります。
 その預金者は当然総連の構成員であることが予想されるわけですけれども、すなわち、日本の預金保険の仕組みでは、健全な預金者、善意の預金者を保護するために、国は最後セーフティーネットとしてこれを預金保険で賄うということになっているわけですが、これは善意の預金者であることが私は前提ではないかと思うわけですね。総連への資金提供を明示的あるいは黙示的にでも認めているそういう構成員、これが預金者である場合は、必ずしも善意の預金者とは言えないのではないか。いわばこれは仲間内の話だということであれば、これは幾ら合併して救済しても、合併、救済する価値がない、そういうビヘービアを持っているんだから。
 すなわち、幾ら自分たちが拠出して損をしたとしても、自分たちの損は国が、預金保険機構が補ってくれる、だから、自分たちのお金を例えば北朝鮮に送金を違法にされたとしても構わない、目をつぶるということであれば、幾らお金があっても足りないわけで、これは当然清算という手続をとるべきであって、私は、今までの通常のあり方で預金保険を発動させてこれを救済する、贈与をするというのはいかがなものか、こう思うわけですが、松田理事長、ちょっと答弁お願いします。
○松田参考人 先生御案内のとおり、私ども預金保険機構は法令に従って現在業務を遂行しております。最も基本的な法令は預金保険法でございまして、御案内のとおりでございますが、そこでは、預金者が何かある事情がある場合、例えばある属性を持っている場合、その預金を保護しないでいいという取り扱いは想定されておりません。このことは、朝銀以外の信用組合、信用金庫あるいは銀行の場合でも全く同じ例でございます。
 したがいまして、私どもといたしましては、これまで金融庁長官による適格性の認定あるいは必要性の認定という手続を踏まえまして資金援助を行ってきた、こういうことでございます。
○五十嵐委員 それは、預保法に欠陥があるということを示しているにすぎないんだと思いますね。国民感情、小泉総理のお得意の常識というものから見れば、到底容認できないと私は思います。
 帰れ、帰れという帰れコールが家宅捜索の際にありましたけれども、まさに一体となっている、そして、北朝鮮への資金提供、流出というものが非常に疑われている。これは、上田委員それから小池百合子委員の質問等でもさんざん出てきた問題でありますけれども、こうしたあり方の中で、国民の血税で最後はぬぐわれるべき公的資金が投入されるということについて、私は大変疑問だと思いますが、このことについて、柳澤大臣、一言御感想をお願いしたい。
○柳澤国務大臣 朝銀信用組合、幾つかございますけれども、いずれも中小企業等協同組合法に基づきまして設立をされた法人でございます。そして、その業務が金融機関ということになっているわけでございます。そして、今、松田理事長の方からお話がありましたように、預金保険法に規定された預金保険法上の金融機関でもある、こういうことになっておるわけでございまして、私どもとしては、これが破綻した場合、それが救済機関への事業譲渡などが行われる場合にも、これらの法令にのっとって厳正な審査を行って適切に対応していかなければならない、そういう立場に立っている、こういうように考えております。
○五十嵐委員 半分しかお答えになっていないんですね。今のような状況があるから、単純に合併、合併で救済していくのではなくて、きちんと清算していく必要があるのではないですかと言っていることにはお答えになっていない。私は大変不思議だと思います。それから、上田委員、小池委員のたび重なる指摘があったにもかかわらず、金融管財人の派遣がおくれたりあるいは審査、監督がやはり怠慢であったという側面はなかなか是正されなかった、私はこう思っているわけであります。
 そこで、政治的な圧力、あるいは、金融庁側のむしろ有力政治家に対する遠慮やあるいは自己規制というものがあったのではないかということをある意味では疑われる余地があると思っているわけですが、その点についてはいかがですか。
○柳澤国務大臣 そのような事実を私承知いたしておりません。
○五十嵐委員 私は、なぜこんなにこの朝銀の処理の問題が長引いたか不思議でならないと思うわけであります。
 それから、もう一つ同じように、大和都市管財という問題があります。そもそも、最初から詐欺の疑いが濃い、いわゆるうさん臭いというやつですね、そういう会社であり、この抵当証券の登録が更新をされ、長い期間これが生きていたために被害者を拡大した、そして、これはことしの春の更新拒否によってやっと決着を見たということになるわけでありますけれども、これもなぜここまで引っ張られたのか。政権交代までこれを待たなければならなかったのではないかということを、私は不思議に思っているわけであります。
 特に、前政権と密接な関係があった元大蔵大臣の元秘書が、当時の秘書が金融庁に対して登録の働きかけを行った問題について関与しているということが報道をされているわけでありますから、なぜここまでこの大和都市管財の問題が放置されたのか、引っ張られたのかということについて、私は説明を求めなければならないと思います。
○村田副大臣 大和都市管財につきましては、私ども近畿財務局において厳正な調査をやってまいりまして、最終的には平成十三年四月十六日に登録の更新を拒否した。したがいまして、自由民主党の総裁選挙は十三年の四月の二十四日に行われているわけでございまして、委員の御指摘のような事実は、その前後関係から申し上げてもそうした事実は全くなかったとお答えをさせていただきたいと思います。
○五十嵐委員 いや、これだけ最初から怪しげだと言われていた問題についてここまで引っ張られたのはおかしいですよ。私は後日、元大蔵大臣三塚さん、そして話題になっております坂井さん初め関係者の証人を求めて、証言を求めて、この問題を引き続き追及いたしたいと思うわけであります。
 さて、いろいろ問題が出てくるものですから時間が足りなくて心配をしておりますが、森長官にお尋ねをいたしたいと思います。
 十二月十日の記者会見で森さんが、新BIS規制ですけれども、日本の国債の格付が下がったとしても、そのリスクウエートをゼロのままでみなすんだということを発言しているようですが、間違いありませんか。一言、したかしないかだけお答えください。
○森政府参考人 お答え申します。
 いたしております。
○五十嵐委員 バーゼルでの国債のリスクウエートの問題は、アメリカ側がアメリカナイズで、アメリカの格付機関というのは優位にありますから、その後押しをする意味があったのかなかったのかわかりませんが、リスクウエートを厳しく計算を、いろいろ細かく計算をしてやっていこうじゃないかという主張をずっとされていた。これに対してヨーロッパは、そんなことを言わないで、先進国は一律のリスクで、ほとんどリスクなし、あるいは途上国はそれより高いリスクというような、ざっくりしたものでやっていこうということでつばぜり合いがあって、日本はどっちつかずの態度をとっていた。
 こういう中で日本の国債の問題が出てきたわけですが、結果はアメリカの方が押し切って、きちんとというか細かくリスクウエートを計算していこうという方向になりつつあるというふうに思いますが、そうした中で、最初から日本の金融庁長官が、どういう結果になろうと我々はローカルルールを適用するんだ、こう言っているわけでしょう。これは実は、そうした国際ルールは従う必要はないんだということを言っていることで、むしろどういう意味があるかというと、ヨーロッパ的に言ううちは先進国なんだから心配ないんですよというどころじゃなくて、実は心配があるけれどもうちは適用しないんだというローカルルールの適用を、先手を打って宣言してしまった。これはどういう意味があるかというと、日本の国債の価値を、むしろ信用を失わせる、そういう発言なんですよ。
 私は、金融庁長官に、これは重大な発言だと思っておりまして、総理大臣が直属の金融庁長官の上司に当たります、総理大臣に相談をした上での発言なのか、あるいは柳澤さんに相談をした上での発言なのか、伺わなければならないと思いますが。
○森政府参考人 お答え申し上げます。
 少し誤解があるのではないかと思うので御説明させていただきますけれども、十二月十日の定例記者会見におきまして突然本件について私自身の考えを聞かれましたので、私自身の見通しを述べたものでございまして、必ずしも柳澤大臣とすり合わせをしたものではございません。
 ただ、私がなぜそういう見通しを示したかと申しますと、自国通貨建て国債のリスクウエートの取り扱いにつきましては、現BIS規制のもとでは御承知のとおり裁量によってゼロにすることができるわけでございますけれども、新BIS規制につきましても、既に第一次市中協議案、そして第二次市中協議案が公表されております。そして、どちらの協議案におきましても、この自国通貨建て国債のリスクウエートにつきましては現在と同じ規定が既に盛り込まれて議論されております。
 第三次協議案が来年中に出る予定でございますけれども、これまでの交渉の過程におきまして、この自国通貨建て国債のリスクウエートにつきましては、その格付にかかわらず自国の裁量でゼロにすることができるという点につきましては、これまでの議論においては現在の規定と同じでございますので、そういうものを頭に置いた上で、もちろん交渉事でございますので最後まで交渉してみないとわからないわけでございますけれども、今の段階では、そういう一次市中協議案、二次市中協議案で続いている流れというのは変わらないのではないかなという私自身の見通しを示した次第でございます。
○五十嵐委員 私は、法律に違反しているとかルールに違反しているとか言っているわけじゃないんですよ。おわかりになりませんか。要するに日本が、わざわざ金融庁の長、責任者が、うちはローカルルール適用だと最初から言う必要がないということなんですよ。それが市場に与える影響を考えていないということを言っているんですよ。
 おわかりになりませんか。柳澤さん、どう思われますか。
○柳澤国務大臣 今BISの方で、BISというかバーゼルの銀行監督委員会の方で新しい規制をいろいろと考えておるわけですが、それぞれ、技術的なこともさることながら、やはり各国ともに利害に影響するというようなこともあって、非常に真剣な議論がなされている途中であるというふうに私は認識いたしております。
 そういう状況については、多分、事務方が節目節目と思われる時期に私に対しても、報告を聞いておりますけれども、そういう報告の中で、本件が非常に問題化しているというふうな報告を、私の記憶するところでは、特に私の注意を喚起するような報告はこれまでになかったと思っております。
 そういうことでございまして、これが何か変えるということでしたら非常に、私にも報告が当然あるんだろうと思いますが、変えないということで話が進んでいる、そういう状況にあるというふうに私思っておりまして、その状況を踏まえて長官がとっさにこの記者会見で質問に直面して今のようなお答えを申し上げたということが、それほど重大な事態を招来するとは私はちょっと考えないのでございます。
○五十嵐委員 バーゼルの議論に影響すると言っているんじゃないんですよ。日本の国債の国際信用度にかかわってくると。市場ではもうそう見ているわけですよ、実際にはこの発言に対して。そのことを指摘させていただきますけれども、軽はずみな発言が森さんについては多過ぎるということを前回も指摘をさせていただきました。特に私が問題にしている点は何点かありますけれども、時間がありませんから、絞ってお話をさせていただきます。
 前回、十月の二十四日の金融庁と主要行との定例意見交換会席上で森長官は、これは私、複数の議事録といいますか速記録といいますか、手に入れておりますので、照合しておりますから間違いはないと思います。両方とも同じ表現です。今度資本再注入をすれば、銀行というセクターは全部国家管理になってしまう、銀行セクターを国家管理にしてどうするのだという発言をしておりますし、もう一方の資料でも、今度資本再注入ということになれば銀行セクターは全部国家管理になってしまう、全く同じ表現であります。だから間違いはないでしょう。
 それで、これは私が前から指摘している逆算方式につながる話じゃないですか、あるいは日本が今金融システムのシステミックリスクに直面しているという私どもの指摘に対して、そんなこと全然ないんだと言ってきた金融庁や柳澤大臣の発言と全く百八十度相反するじゃありませんかという指摘をしました。だって全部国家管理になっちゃうと言っているんですよ、全部。ということは、どの銀行もだめだと言っているに等しいじゃありませんか。ですからそうさせない、逆に今度はそうはさせないんだ、だから国家管理にしてどうするんだと言うことは、そうはさせないんだということであれば、そうすれば、今度は逆算をして、いわゆる破綻する銀行がないようにソフトランディングで逆算をしてやっていきますね、特別検査も甘くして困る銀行が出ないようにしましょうねという話につながってくるんですよ。
 そして、前回の質問の際に柳澤大臣は、全部、すべてと言ったとすればそれは問題があるという御答弁でした。変わっていますか、柳澤大臣に伺います。
○柳澤国務大臣 大変五十嵐委員に恐縮でございますけれども、私、そういう答弁をしたかどうか、にわかにちょっと思い出せませんので、答弁をちょっと保留させていただきます。
○五十嵐委員 速記録、私の手元にありますけれども。ちょっと時間、とめていただけますか。(発言する者あり)いやいや、向こうの答弁のせいなんだから。通告してあるんですよ。いいですか。
○柳澤国務大臣 そういうことが、発言したかどうかはともかくとして、文字どおりであれば、法律的にもそうなってないと私は承知いたしておりますので、つまり、危機対応では全部だとかなんとかということにはなっておりませんので、適切を欠くということかと思います。
○五十嵐委員 いいですか、発見しましたので。
 柳澤国務大臣の答弁。今五十嵐委員がお読みになられた長官の発言というのは、全部とかすべてとかいう言葉が入っているといたしましたら、それは非常に適切でないというふうに思いますと答えているのですよ。
 ここまで、非常に適切でないなどと言っておいてから、覚えてないと言うのもけしからぬ話ですし、翻すのですか、これは。
○柳澤国務大臣 ただいま答弁したとおりでございまして、適切を欠くというふうに思います。
○五十嵐委員 これはやはり銀行サイドにこび過ぎている発言なんですね。
 さらに、私は何点か説明をいたしておりますけれども、特別検査についてなんですが、特別検査の目的というのは、これは銀行側から説明を受け、関連資料を読まさせていただいてもう一度確認するんだ、破綻懸念先なのか、あるいは要注意先なのか、どっちなんだという確認をすることであり、破綻懸念先に落とすことが目的ではないので、そこは誤解のないように、したがって、特別検査を受ける皆さん方におかれましても、これは要注意ですということを説得していただければ、我々は確認できればよいということでありますというようなことを言っているんですね。
 それから、私どもがもう一つ重視しているのは、同時に、これは増井さん、参事官の発言なんですが、一般引当金を積んでくれればいいんだというようなことを言っているわけであります。
 それからもう一つ、これがどういうふうに受けとめられたかということなんですが、銀行側の常務の発言で、金融庁も同じ船に乗っているというのはそのとおりでありますがというような発言を、銀行側が言っているんですよ。まさになれ合いで、なれ合いで検査していくのねということを銀行側も認識し、金融庁側も言っているということなんです。
 これは、五味さん初め一生懸命やっている検査官に対して大変失礼な話だ、私はこう思うわけでありますけれども、この発言はどういう意図でやられたのか、もう一回ちょっと説明をしてください。
○森政府参考人 お答え申し上げます。
 いろいろ大変な誤解があると思っております。
 まず、全部国家管理になってしまうというところでございますけれども、私が言わんとしましたのは、自由主義経済、資本主義経済である以上、国の関与というものは最小限であるべきであって、資本再注入により主要な銀行が一々行政当局の意向を酌みながら経営を行うということは好ましくないものでございまして、そこまで追い込まれないように、各銀行はリストラなり、懸命に、あるいは自力増資なり、そういう用意をしておくべきだということを強く言ったときの言葉だと思っております。
 自由な意見交換の場でございますので議事録もございませんし、私、確認しようがないのですけれども、全部国家管理なんという今おっしゃられたようなことをもし私が言ったとするならば、それは確かに不適切な表現であり、反省いたしますけれども、私はそのようなことを言ったという記憶はございません。
 さらに、特別検査の目的でございますけれども、これは先生御承知のとおり、借り手企業の信用が市場で急速に低下した最近の事例を踏まえまして、銀行経営の健全性確保の観点から、市場の評価に著しい変化が生じている等の債務者に着目いたしまして、三者協議、すなわち銀行と監査法人とそして金融庁、この三者協議を通じて、市場の評価を適時に反映した適正な債務者区分及び償却、引き当てを確保するために実施するものでございまして、例えば要注意先から破綻懸念先に機械的に債務者区分を引き下げる等の予断を持って臨むものではない、そういう趣旨の発言をした次第でございます。
 要するに、一定の客観的基準で選んだ企業のメーンバンクに入るわけでございますけれども、あくまで三者協議で客観的に、かつ金融検査マニュアルに基づいて、その債務者が要注意なのか要管理なのか破綻懸念なのかということを真剣に議論して客観的に決めるというのが今回の検査でございまして、着目した債務者企業を全部破綻懸念に落とすなどということは目的としていない、そういう趣旨のことを述べた次第でございます。
○五十嵐委員 そういう趣旨ならそういうふうに言えばいいじゃないですか。全部国家管理になってしまうとか、いかにもこれは、甘い検査をしますよということを言って銀行を安心させるような全体のトーンなんですよ、全体のトーン。あなたは身の回りの人に、一部分だけ取り上げられてそう言われたと言うけれども、そうじゃない。この全体の話を読めば、みんなそういうふうに読めるんですよ。
 それから、言っていないというふうに言っているらしいけれども、はっきり金融庁長官ということが書いてあった発言で、これは確かに銀行側から、三十社リストが出回って風説で迷惑しているという話が出ているんですが、それに答えて、柳澤大臣と冗談でトヨタ自動車も検査対象にしようかと話をしたことがあると。こんなことはほかの人が言うはずがないですよ。あなたが言っているに決まっているんだ。そして、大臣は心配していると。
 ところで、「エコノミスト」「選択」等に対して法的手段はとれないものか。講談社は訴訟費用の増大から写真週刊誌から撤退したと。これは間違いですね。事実関係も間違っている。これは講談社じゃないですから。新潮ですから。それで、どんどん訴えるべきだと。名前を挙げられた三十社も、黙っているのはおかしい、こう言っているわけですよ。
 これは、まさに金融機関にこびまくっている、そういう発言ですよ。仲間内の発言で、厳しく検査し監督する側が検査対象の機関に対して言うべき言葉ではない、そう思うわけですが、これについても言っていないと言うのですか。覚えていないと言いながら、言っていないと言うのはどういうわけなんだ、そう思わざるを得ないですね。
○森政府参考人 お答え申し上げます。
 これは定例の意見交換会でございますけれども、この十月二十四日に目的としましたのは、その直前に決まりました改革先行プログラムの中の金融庁関係部分、すなわち、特別検査あるいは要注意先の厳正なる引き当て、引き当てを厳正化するということ、さらにRCCへの売却ということ、そういうものを一つ一つ銀行側に説明をし強く要請した、そういう会合でございまして、極めて厳正な意見交換の場でございまして、私が申し上げたいのは、今おっしゃられたような特定の週刊誌名だとかあるいは特定の企業名だとか、そんなものを挙げて冗談のように言うような場では全くない厳粛な場でございました。そういう場からして、私がそのようなことを言った記憶はないというのは、私は本当にそうでございまして、そんな厳粛な場でそんな冗談めかしたようなことを私は言った記憶はございません。
○五十嵐委員 言っていないものが出るわけないじゃないですか、これ。これは銀行側のノートテーカーの起こしたものでしょうね、多分。この表現から見て、金融庁長官以外の方が言うはずがない表現ですよ、これは。柳澤大臣と冗談でいつも話しているんだというような話なんだから。想像してつくり話にしようもないんですよ、この話は。これは週刊誌に出ている話じゃないんだから、まさに議事録なんですから、これは非常に問題がある。うそを言っちゃいけません、うそを言っちゃ。
 それから、この特別検査というのは非常に重要だと私は思います。私が以前、内閣に対して質問主意書を出しまして、銀行側の、金融機関側の支援を理由に債務者区分を引き上げたり、あるいはそのままに維持していたりという債権はどのぐらいあるかという質問をしたのですが、答えが返ってこないかなと思ったら、まじめに答えていただきまして、ストレートには答えられないけれども、大口の債務者でいわゆる再建計画を提出している、そういう債権はどのぐらいあるかということを教えていただいた。要注意先で、大口で、そして再建計画を立てているのは二百二十八件、四兆五千百七十六億円ですというお答えをいただいています。私は、これが特別検査の検査対象となるべきだと思うのですが、そういう認識でよろしいかどうか。
 それから、この特別検査について、どういうところをメルクマールにするのか。私は、引き当て率の向上というのが最後結果としてなければならない、それも数%なんというものじゃなくて、やはり一〇%以上の引き当て率の向上がないとちゃんとやったなということにはならないと思うのですが、五味さん、そのようなことを思っておられるかどうか、あるいは長官でも結構ですが、お答えいただきたいと思います。
○柳澤国務大臣 五十嵐委員から久しぶりにお褒めの言葉をいただいて、大変うれしくお聞きしたのですけれども、私ども、常に職務に対して誠実でありたい、また、あらなければならないというふうに思っております。
 お尋ねの件ですけれども、そのことについてお答えするということは、かねて申し上げておりますように、私ども、この特別検査の対象企業について何らかの言葉を申し述べますと、つまり既に明らかになっていること以上のことを申し上げますと、無用に風評をかき立てて、それでまた被害をこうむるところも出る、こういうようなことは絶対に避けなければいけないと考えておりますので、それについて触れたお答えを申し上げることは差し控えさせていただきたいということでございます。
○五十嵐委員 とにかく、私は、たとえ過少資本なり債務超過に陥る銀行、金融機関が出ようとも厳正な検査をする、その上で、その銀行をどういう処置をするかあるいは救うかというのはその後考えればいいという考え方に立つべきだと思います。
 それから、中間決算が出てまいりましたけれども、かなりひどい状況だと言わざるを得ないと思います。特に私どもは、繰り延べ税金資産、税効果会計の部分についてはもっと厳しく見るべきだということをずっと言ってまいりました。それは、勝手な数字をとるなということを柳澤大臣は言われているのですが、アメリカでも課税所得掛ける実効税率の一年分の税効果しか認めていない。日本は五年分だという違いがあって、しかし、市場は、日本の方が特例的だというふうに見ているわけですね。ですから、課税所得水準が落ち込めば税効果が否認されるようなものを、それをそのまま五年分も認めるのか、あるいはこの部分については厳しく見ていくかということでは、厳しく見るのがマーケットの見方であるべきだ、こう思うわけです。
 私どものように、正味自己資本比率、すなわち税効果分と公的資本の注入分を取り除くと、もう既に中央三井信託銀行は債務超過状態である。あるいはアメリカ並みに見たとしても、これは四%割れしているという状態だと思います。そのほかも、例えばアメリカ並みに計算をすると、五大メガバンクのうち、みずほ、三菱東京グループ、まだメガバンクにはなっていない、これからなろうとする大和・あさひですけれども、この三つが八%割れしているということであります。あるいは、逆に八%を超えているのは興銀、三井住友、三菱信託、東海、住友信託だけで、あとは軒並み八%割れだという状況を見ても、大変厳しい状況にあると思います。ですから、むしろシステミックリスクはもう起きかけているという状態に近いんだと私どもは思うわけですけれども、そこを否定するところにいろいろな問題が出てきていると思うわけであります。
 そこで、なぜ私がその中で一つだけ中央三井信託の名前を挙げたかといいますと、この持ち株会社の認可に当たって、配当原資ねらいはやらないんだ、認めないんだと言っていた金融庁が認められました。これはやはり、この状況、こうした過少資本の実態から見て、どう見たって、客観的には、配当原資ねらい、法定準備金の取り崩しねらいというふうに見えるわけです。これは手心じゃないのですか。森さんはそうではないということを記者会見で答えられていますけれども、どういうふうに思われているのか。私どもは、森長官がこの三井グループというようなものに対してどうも甘いのではないかという風評を耳にしているわけですけれども、その辺について釈明を求めます。
○柳澤国務大臣 私は、自己資本比率の計算上、税効果を、税の繰り延べ資産の部分を入れているというのは、これは我々のシステムとして、こうしたことについては公認会計士、監査法人による監査でしっかりした監査を受けてこういうことが行われているということを五十嵐委員にも、当然もう御存じの上での御発言と思いますけれども、やはり尊重していただければありがたい、こういうように思います。
 もっとさかのぼって言いますと、システムというのは、一つだけとってどうこうとなかなか言えないのじゃないかと思うのですが、これは私個人的なことで恐縮ですけれども、アメリカも、例えば貸倒引当金の処理のときに税法上損金として認めてくれる範囲と日本の場合とではやはり違いがあるわけでございまして、アメリカの方は、そこのあたりは金融機関の判断をより尊重するという考え方で、そもそも税効果に頼らなければならないような、そういう処理をしなければならない部分が非常に少ないということも、これはもう五十嵐委員は専門家でいらっしゃるから御存じのとおりでございます。そういう全体のシステムの中で我々の金融機関の健全性というものを維持しようというシステムができ上がっているということをひとつ確認させていただきたい、こういうように思います。
 それから、今の中央三井のことでございますが、今委員が御指摘になられたようなことを本当に見え見えにやれば、これは私は、やはり適切でないというように思います。しかし、金融機関として、こうやれば一つの経営戦略としてこういう意味があるんだというようなことをきっちり説明した場合に、いや、それは副次的にはこういう効果がもたらされるから、我々としてはこれは認めることはできないのだというようなことは、ちょっとこれは、私は基本的に経営判断をまず尊重するという前提で判断すべきものだと思っておりまして、彼らの場合にも、ホールセールの信託とリテールの信託を分けてかくかくしかじかやっていきたい、こういうことを説明しているわけですから、それを尊重することが非常に行政としてゆがんだ判断だというのはちょっと当たらないのだろうと私は思います。ちょっとというのは、ちょっと訂正させていただきます。
○五十嵐委員 私どもが言っているのは、あるいは記者諸君が言っているのは、ほかの銀行との扱いにおいて差があるのじゃないかという話があるわけですよ。ですから、本当にそういうことはないのかということを申し上げているわけであります。
 時間がありませんので先に進ませていただきますけれども、私は、先ほど同僚議員に対する質疑のやりとりを聞いていて、システミックリスクというのは連鎖倒産というようなものが十分懸念される、あるいは起きるという状態ということを答弁されていましたけれども、国全体の金融システムというより、私たちの国では、もう地域金融の崩壊というものを心配しなきゃいけない段階ではないのかというふうに思うのですね。
 国全体も心配なんですけれども、いわゆる預金者保護だけではなくて、健全な借り手というものが存在を許されなくなる、そういう地域が出始めている。すなわち、健全な借り手の保護ということを念頭に置いた仕組みというのも考えていかなきゃいけないのじゃないかということを申し上げなければならないと思うのですね。
 例えば、恐縮なんですが栃木県、もう五つも信用組合がつぶれています。破綻をいたしております。そして、受け皿となるべきこの地域のガリバーである足利銀行は、優先株への配当はもうできないという状態で、あるいは、中間決算を見ましても、不良債権比率が地銀の中で一番多いのが足利銀行で、一八・八%になっている。それから、自己資本比率も六・六八%だ。甘い基準で計算しても六・六八%だということであります。
 こういう状況、受け皿の見当たらない地域というものが、これはほっておけば死屍累々ということになってしまうので、地域単位の危機対応というものを考えていく必要があるのではないかな。あるいは、銀行の自主性尊重といいますけれども、それはそのとおりですけれども、しかし一方では、別の仕組み、かなり強引にお見合いをさせてでも合併をさせる、体力をつけさせるというようなことも必要になってくるのじゃないかなと思うのですが、この地域金融問題について基本的な認識を伺いたいと思います。
○柳澤国務大臣 今委員お触れのように、信用金庫も複数ございますけれども、特に信用組合について、かなりの数の破綻が生じているということは事実でございます。
 そういう中で、地域的にかなり集中するというような現象も見られておりまして、私もそのあたりのことについては、かなり自分自身、当然のことですけれども強い関心を持って眺めているわけでございます。事案が私の机上に上げられてくるときには、特にそういったことについて、担当者の見解等、あるいは、その処理が行われたときにその後どうなるのかというようなことについても、かなり問いただしているというのが実情でございます。
 ただ、こういうことがどうして起こっているのかということについて一言だけ申させていただきますと、何といっても信用組合については、一年ペイオフが延期されたその間に、検査が初めて国の手で直接行われるということがございました。そういうことの善後処置が本年度に入って行われてきたわけでございまして、報告の徴求であるとか、あるいはいわゆる早期是正措置を求めるとかというような行き来の中で、この時期にそうしたことが、最終的な経営者の判断が行われて、申し出が行われるということがかなりの数集中して生じているということがございます。
 そういう中で、今の地域的な集中あるいは偏りというようなことについては注意を払っておりまして、それでもいろいろと、信用組合であれば信用組合、あるいは信用金庫であれば信用金庫というような、基本的に業態を同じくするところ、どうしてもできない場合には、例えば信用組合を信用金庫に引き受けてもらうというようなことで、地域金融の疎通に重大に支障が出るということのないように最大限の配慮をさせていただいておるということでございます。その点を申し上げさせていただきます。
○五十嵐委員 政治というのは、最悪の事態に備えるということでなければならないと思うのですね。行政の側がシステミックリスクが起こり得るとかいうことを言ってしまうと、かえって起きてしまうかもしれないから言えないのだという立場がおありになるかもしれないけれども、しかし私どもは、準備はきちんとしておく必要がある、こういうふうに思っているわけでありまして、今のままでは、私は、壊滅する地域が出てきかねない、今のもので十分でなければ新たな仕組みをやはり想定して立てておくべきだ、また国全体においてもそうだと思うのです。
 十五兆円、いざとなれば果断に危機管理対応勘定で対応するのだとおっしゃっているけれども、果たして十五兆円で足りるのかという心配がマーケットの中では起きているわけであります。
 ある試算によりますと、今不良債権は全体で大体百二十七兆ぐらいあるのではないか、これはマクロで計算したものですけれども。そして、回収不能額が百十四兆円ぐらいあるのではないか。そこからネットの自己資本と今まで引き当て済みの部分三十三兆円を引いても、足りない部分、不足額が八十一兆円残る。これを今、三兆円から五兆円の業務純益以外にほかにもう手段はなくなってきましたから、株の含みはありませんから、この業務純益だけで処理していくと、本当に二十年以上かかっちゃうじゃないかという計算になっているわけですね。
 これでは、いつまでたっても日本の景気はよくならない、問題が処理できないということになってしまうので、この公的資金注入問題、もっと真剣に取り上げる必要があるし、あるいは、一時国有化した場合、その場合に経営責任をどういうふうに追及していくのか、それからどのような人間を送り込み、企業再生の手順はどのようにしていくのかというようなことを真剣に考える段階に来ていると私は思います。
 日銀総裁のお話も、かなりもう危ないところへ来ているというお話があったかに思いますし、まさにロンバート貸し出しそのものがそういう危機対応の備えだと私は思いますし、私ども民主党の方は、私のまだ個人的な提案に近い状態でありますけれども、例えば商工中金を活用して、RCCの企業再生本部はこちらの方に吸収して、企業再生の工場を本格的につくってはどうかというような提案もさせていただいているわけであります。
 ですから、ただ、ないんだ、ないんだ、私たちは間違っていなかったから今の状態も心配ないんだというのではなくて、最悪の場合に備えて仕組みをきちんとさせておく。そうでないと、私は、ペイオフが起きたときに、ペイオフをきっかけとして不安が再燃する可能性だってないわけじゃないと思うのですよ。
 ペイオフを再延期すべきではないという立場ですけれども、それだったら、それに対応するだけの金融の安定化システムというものをきちんとしておかなきゃいけないということだと思うのですが、日銀総裁、今の状況の認識、そして危機管理への対応、そのことについて一言だけ簡単に御方針をいただきたいと思います。
○速水参考人 お答えいたします。
 今、日本の各金融機関は、今後不良債権問題を初めとして重要な課題を克服しようとして、何とか収益をふやそうという努力をしております。収益力の強化のために貸し出しを効率化するとか、いろいろな手を打ち始めております。そのことによって市場からの信認を回復することが最も大切だと思います。それができるのであれば、自力で資本を追加的に調達することも可能なはずであります。公的資本の再注入の是非というのは、各金融機関がそういった自助努力を尽くした上で、なお不測の事態が起こったときに初めて議論されるべき筋合いのものだと思っております。
 私の真意は以上であります。
○五十嵐委員 私もそのとおりだと思いますよ。もちろん、企業努力をきっちりとするということでなければならないと思います。
 時間がなくなってまいりました。
 生保協会の会長にはわざわざおいでいただいて大変恐縮でございますけれども、私は、生保や年金基金を殺すような今のゼロ金利政策、これをいつまでも続けていたら、本当に国民生活にとって重大な影響がある。生命保険というのは最後のとりでなんですね、国民にとっては。これが損なわれるというのは大変重大な問題で、ただ利差益や費差益や死差益があるからいいんだというものでは追いつかない問題だと思っておりますので、金利の問題を、私は早く金利が上げられる状態に、極めて重大にお考えをいただかなければならないし、また、政府の側におかれましては、竹中大臣、柳澤大臣、そして塩川大臣の間でどうも意見の食い違いや揺れがあるように見えてならない。
 特に、竹中さんに申し上げておきますけれども、インフレターゲティングを最近は自民党内の意見に押されておっしゃっているようですけれども、インフレターゲティングを言われるなら、塩川大臣がおっしゃられているような空洞化の問題、人件費をこれ以上日本は上げられない状況にあるんだというような問題、それから、どうすればインフレの暴走を引きとめられるかという問題といったものについて、筋道、解決策を示して言われるならいいんですけれども、だれかがうまくやってくれるだろう、そういうような諸問題が起きない、やってくれるだろう、そういう前提に立って、インフレターゲティングを安易に、大臣の立場で、先生方はいいですよ、与党の先生方は、言われるのはやはり問題があると思います。
 特に、インフレターゲティングが、今は供給過剰世界、特に中国という巨大なプレーヤーが我が国含めた世界の経済に参入してきた中では、これは供給過剰、過当競争というのは避けられないわけですから、このことを無視してインフレターゲティングを言うのは意味がないと思います。供給者である企業側に価格決定力はないわけですから。そのことを考えて、今申し上げたような心配がないということを筋道を立てた上で、調整インフレ論でもあるいはインフレターゲティング論でも言われるのは結構ですけれども、安易に口にされないようにお願いを申し上げる。
 もし答弁したければ簡潔にお願いいたしまして――大変失礼、今ちょっと失礼な言い方しましたけれども、お願いして、私の質問を終わりにします。
○竹中国務大臣 本当に手短に。
 私は、インフレターゲティング論をとるべきだというふうに発言したことは全くございません。これはぜひいろいろな書類をチェックしていただきたいと思いますが。
 ただし、デフレは阻止すべき問題であって、それに対して知恵を出し合うということを申し上げておる。そのことは、今回の経済財政白書にも書かせていただいたつもりでございます。
○山口委員長 次に、中川正春君。
○中川(正)委員 きょうは珍しく時間どおりに進んでおりますが、民主党の中川正春です。続けてやらせていただきたいというふうに思います。
 冒頭、一つ確かめておきたいといいますか、認識を統一していきたいところがあるんです。
 というのは、今、私たちは地元に帰りますとそれぞれ同じ立場だと思うのですが、経済に対しての信認性というか、非常に危機感というのがあふれております。一つはペイオフが近づいておるということ、これもあるんでしょうが、それ以上に、中小企業は特にそうなんですが、収益力が落ちてきていて、デフレスパイラルの入り口といいますか、もうほとんどその形で経済が動き始めてきている。どうもこのままでは、あと一、二年、うちの会社がもつかもたないか、これはもう定かでないというぐらいに追い詰められてきたという、そんな経営者というのが私たちの周りに今じわじわと広がってきておるという実感、ここがあると思うんですね。
 そのことに立って、実はこの委員会も、休会中ではあるけれども将来の展望というものをぜひ議論の中で見出していくためにもやっていこうじゃないかということ、これが出発点だというふうに思うんです。
 その上に立って、まず最初、先ほどの議論の中で、経済の状況のあるべき姿、これまではGDPという指標を使って、それが来年に向かってマイナスになっていくという可能性、この何年かそういう状況が続いているということ、これをとらまえて、どうなんだという議論がありました。
 一昔前は、こういうことに対して、GDPギャップというか、潜在的な成長力というのを指標に挙げて、二%ないし二・五%とその当時は言われていましたが、それと現在の、そのころはまだ一%あるいは〇・五%という時代だったんですが、今はゼロ%からマイナス何%という話なんですが、そのギャップを埋めていくというその政策というのが大切なんだ、そこのところが私たちの目標なんだという議論をやりました。
 しかし、先ほど話を聞いていると、ここのところ、いわゆる潜在成長力、あるべき姿といいますか、実力としてここまで日本の経済は行けるんだというところが抜けていて、来年に向けてのマイナス議論というのがあった。これは一つは、責任回避ということがまず一つあるんだろうと思うんですが、もう一つは、ひょっとしたらこの経済の見方ということに対して、どうも基本的な認識というのが変わってきたんじゃないかということ、このことがあるんじゃないかなという気がしているんです。そこのことも含めて竹中大臣、あるべき姿というのをひとつ統一的にはっきりさせていただきたいというふうに思うんです。
○竹中国務大臣 非常にこれまた広範な、高い次元からの御質問であろうかと思います。
 まず、GDPではかれるかという前半のお話に関しては、これはやはり本当に価値観というのは多様化しているわけでありまして、GDPそのものの中にそもそも、広い意味での生活の質、快適性というようなものがそんなに正確に含まれているわけでもありませんし、市場外のもの、例えば主婦の労働なんかも含めて、そういうものも含まれていないわけでありますから、これはあくまでも一つの指標にすぎない。以前からそうでありますけれども、そのことがより国民に生活実感として感じられているようになってきているということは私は全く事実だと思います。
 しかし一方で、景気をよくしてくれという声が依然として強いということも事実。この景気というものの一つのやはり代理変数としてGDP、所得の合計であるGDPというようなものも意識しているのかなと。この辺は、国民が求めているところもなかなか、GDPの成長を求めているようで、求めていないようで、やはり求めているようで、なかなか複雑ではないのかなと思います。そこら辺はやはり複数の指標で見ていくということだと思います。
 後半のお話になりまして、今度は経済運営の基本ということで、供給力の伸びとしての潜在的な成長率、GDPと実際の需要の伸びとしての実現されたGDPの関係をどのように見るか、そのギャップであるGDPギャップの議論がどうも抜けているのではないだろうかという御指摘がございました。
 実は午前中、経済財政白書の話をさせていただきましたが、そのことをかなり詰めて実は議論をしておりまして、現状のGDPギャップは三ないし四%ぐらいであるという数字も出させていただいている。実際の需要が低下してきたのは、実はその潜在成長力、供給力の伸びが低下してきたのとほぼ平行、パラレルであるというような実証的な姿もその中で描かせていただいております。
 その辺の思想の変化があったのかということに関しては、そういう需要と供給を見なきゃいけないということは、これは基本で、両方見なきゃいけないということは私は変わっていないんだと思います。
 ただ、あえてやはり再検討する重要な課題が出てきているものがあるとすれば、GDPギャップがあるから、常にこれはあるわけですけれども、あるからといって、すぐにそれを財政で埋めてくれ、こういう微調整、ファインチューニング、これはやはりもう、諸外国でもやっていないし、安易にやると財政赤字を膨らますだけではないか、この辺の経済運営の考え方というのは変わってきているというふうに私自身は思っております。
○中川(正)委員 先ほどの議論のもう一つ前提は、ここ数年来の我々の構造改革の基本の問題があって、それはオーバーバンキングであり、そしていわゆるケーパビリティー、供給の能力というのが必要のないところにバブル的にあったということ、これを何とか縮めなければいけないという作業ですね。この作業が何年続くかということによって、そのGDPギャップを正常な形に取り戻していくということは、有効な需要喚起ができるような形に資本を移していくというその作業にどれぐらいかかるかということ、このことをずっと議論してきたんだと思うんです。
 それをやっていこうということ、これはすべて皆が総論としては一致している話で、議論の余地のないことだと思うんです。それがどこまでやれたかということ、これについての総括が必要だと思うんですね。
 結果から見ていると、いや、まだこれからが入り口ですよという話が、特に金融という部分、あるいはそれぞれの規制緩和の中でやっと今進んできた話になるとあるんですね。片方、これは削り取るというか、削り取って移す話なんですね。これを片方やりながら、もう片方で全体の需要構造も変えていくということ、これを同時にやらなきゃいけないという、その二つがはっきりと出てこなければいけないんだというふうに思うんです。
 そういう意味で、今どの辺の位置にいるかということですね。これをもう一回整理して話をしていただきたいというふうに思います、認識を。
○竹中国務大臣 需要と供給の調整を両方やらなければいけない。今その道半ばなのか、もっと進んでいるのか、その程度はどうかという中川委員からの御質問だと思いますが、この程度がどれだけかということをちょっと正確にお答えできる素材を、大変申しわけありませんが、私たちは持ち合わせておりません。
 ただ、現実問題として、金融の部門でも以前では考えられなかったような大合併というのがこの三年のうちに実現して、さらに不良債権の償却を加速するというような動きに今なってきている。かつ、銀行の不良な貸し付けというのと企業の過大な借り入れというのはコインの両面のようなものとして存在していて、企業部門でも、これは例えばですけれども、鉄鋼業における最近の大合併のように非常に急速に話が進んでいるという観点からしますと、決してこれは調整の入り口ということではない、まさに佳境に入りつつあるという段階なのではないかと思います。だから、佳境が四〇%なのか六〇%なのか、その辺はちょっと数字の判断はできかねますが、かなり中心的な部分のところに来ているのではないかというふうに考えます。
 あと、それを二年ないし三年の集中調整期間で集中的に終わらせて、新しい成長軌道に乗せていきたいというのが今回の骨太の方針でもあり、また今議論しております中期展望の中に描かれているシナリオであるというふうに認識しています。
○中川(正)委員 そうした総論部分ではいつもきれいにいくんですけれども、現場の話になると、これはさっきから五十嵐さんからいろいろ指摘もされていましたけれども、相当狂ってくるというか、運営部分で絶えず揺らぐというところがある。そこが一番日本の政治に対する信頼性というのが崩れてきているところなんだろうと思うんです。
 私も、一つまず例をとってお話をさせていただきたいんですが、森さん、せっかく来ていただいているので、前の話も含めてここのところで例を示したいと思うんですが、新生銀行に対して指導したということ、前、紛糾した委員会での議論がありました。
 あれは、もともとの話は瑕疵担保から始まっているんですよね。瑕疵担保責任というのをあのときの契約の中にほうり込んだがために、例えば海外の論調から見ていると、新生銀行がそれぞれ不良債権を切り取って整理をしていくという、その作業というのは当然なんだと。当然、そういう形で三年後に公的資金を返して売却をするというプロセスに対してやっていくということであるとすれば、それは正しい方向だ、こういう論調をするわけですね。
 それに対して、周辺の銀行ないしは国民なり、あるいはその周辺が見ていると、どうも新生銀行というのは、瑕疵担保責任というものを持っていることから、そうして不良債権を切り離していって、その中で二〇%以上の損失が出てきた場合には国にその責任転嫁ができるというメカニズムを使って、それを最大限に使いながら、その負担というのを国に転嫁して自分たちは生き延びようとしている、こういう解釈が入ってきている。それが、周辺の銀行については、つき合っていかなければいけない、協調融資しているということがありますから。だから、マイカルをつぶしたのはけしからぬ、そごうも長銀がその責任を負わなければならないという批判につながっていった。
 その批判を受けて、森さんが行って、ここで何と言ったかというと、これはあのときの答弁の話の中でも出ているように、最近の融資姿勢について世間の評判が悪くなっている、そしてレピュテーションリスクがあるのではないか、こういうことは言いましたと本人もあのときの答弁の中で言っているわけですね。だから、そういうことからいったら、余り激しいことをしないで世間の中で許される範囲でやりなさいよ、こういうことですね。
 これはさっきから、業界に対しておもねている、それはそのとおり。昔の同業者意識というか護送船団意識というか、それが残っている証拠だと思うんですが、そういう意識と同時に、どうも金融庁の基本姿勢の中に、片方はぴしっと整理をしていくところはしていかなければならないという大命題があって、もう片方で景気の問題、あるいはこういう構造的なこれまでの失敗の積み重ねをどう糊塗するかという問題、そういうものがあって、その両挟みの中で絶えず方針が揺れる。揺れながら、指導性を発揮できずに、仕方ないからといって、この間の特別検査みたいな話で、外から見ていると、おずおずと入っていく、渋々と入っていく、そういうように見えている。いわゆる金融庁の意思がここで見えてこないんですよ。そこのところは、この際ははっきりと私は示すべきだというふうに思うんです。
 そういう意味で、これはお二人に聞きたいんですが、森さん、この意味、レピュテーションリスク、これはどういうことを本当に意図したのかということ、これを聞きたいな。それから大臣には、それはどういうスタンスでいくのか、これもやはりはっきりとここでは表明をすべきだと思うんですよ。そこを改めてお二人に聞いていきたいというふうに思います。
○森政府参考人 お答え申し上げます。
 ただいま中川先生のお話の中におもねるという言葉がございましたけれども、私の意識としては、全くそんな意識はございません。今そんなようなことを、銀行行政といいましょうか銀行監督をしているときに、そんな気持ちなどあるはずがございませんで、先ほどの、主要行との意見交換のときにも、私は申し上げたいのは、むしろその場の雰囲気というのは極めて冷たい空気が流れているような、そんな中での私からの要請であったわけでございます。
 そして、ただいまのレピュテーショナルリスクにかかわった話でございますけれども、新生銀行のことにつきましては一言誤解を解かせていただきたいというふうに思うのでございますけれども、それは、新生銀行に確かに瑕疵担保特約を結んだ上で譲渡しましたが、瑕疵担保特約の裏側に、適資産については特段の事情がない限り三年間融資を継続するという事項もございます。それが一つございます。
 もう一つ、そこの、外国の新聞に書かれていることで抜けている点は、この銀行には資本注入をしております。資本注入の中に、先方に与信の円滑な供与ということ、とりわけ中小企業向けについては少なくとも資本注入のときよりかは一年たったら増加させること、こういうことも約束しているのでございます。
 そんな中で、新生銀行の、世の中でいえば貸しはがしというような状況が幾つか耳に入ってきましたものですから、新生銀行の社長に対しまして、あなた、約束したことに対してそのとおりになっていませんねと。個々の件についての融資対応を私は言っていません。融資姿勢について御注意申し上げたのは事実でございます。
 そのときに、レピュテーショナルリスクといった部分につきましては、新生銀行が、自分のメーン行なり新生銀行から金を借りると後で貸しはがしに遭うなんていう、そういうような評判が立ったら銀行にとってもマイナスじゃないですかという意味で、レピュテーショナルリスクという言葉を使った次第でございます。
○柳澤国務大臣 私に対するお尋ねは、特別検査に臨んでの基本的な態度いかんということかと思いますが、それでよろしゅうございましょうか。
 これは、厳正に取り運ぶということの一言でございます。
    〔委員長退席、奥山委員長代理着席〕
○中川(正)委員 その後、新生銀行には十月四日付で業務改善命令を出していますよね。この内容は、中小企業向けの問題、これをやわらかくやりなさい、こういうことですよね。
 これは、この新生銀行に限ったことじゃなくて、今、都銀、どこも中小企業に対して同じような問題を持っているんです。それに対して改めてこのような指導をしたというのは、その前の話がきいていて、それがトータルになって一つの金融庁の政策として映ってくるわけです。だから、どうしても我々の目には、どうも自分たちが交わした瑕疵担保特約というものの間違いを、政策の失敗を何とかここで埋め合わせよう、それに対して攻撃が出たときにはこうした形で反論をするということ、こういう政策のいびつ性というか弱さというのが見透かされる一番のもとだというふうに私は思うんです。そのことを一つ指摘しておきたいというふうに思います。
○柳澤国務大臣 それはそうではなくて、ちょっと二点、申し上げさせていただきます。
 一つは、要は金融再生法の精神は、中川委員の前で申し上げるまでもないことなんですが、預金者保護にとどまらず善意かつ健全な債務者を保護するということが大きな命題としてありました。したがって、破綻した金融機関においても、適、不適の判定はするんですが、できる限り債務者を大事にということが基本的な精神であったと私は思います。
 そういうことで、その適資産については、これは基本的に三年間継続取引をする、債権でいうと継続保有をするということが基本でございました。そこで、それをさせるに当たっては、我々も、見立て違いということがあるだろうということで、この三年間の保有期間にその見立て違いが露呈されるという場合には、あたかもお茶わんか何かの売買と同じように、瑕疵担保を我々はいたしましょう、こういうことで見合っていたということでございまして、私ども、別に瑕疵担保が間違っていたなどというような気持ちは、現在においてもございません。我々は、法の命ずるところをいかに実際の場において実現するかということを考えて、これを取り運んでいるということでございます。
 それから、もう一つ申しまして、そういうじくじたるものがあるものだから新生銀行にいろいろ注文をつけるのではないかということについて、私は一つだけちょっと申し上げておきたいのは、新生銀行に我々が期待するところは、カレントなビジネスでプロフィットを上げていただきたい、こういうことなんですね。そういうことで新しいビジネスモデルや何かをつくって日本の金融界に刺激を与えてもらいたいということでありまして、自分の資産の取り扱いによって一過性、一時的な利益が上がって、我々こんな利益が上がっていますなんというようなことを言っても、それは私どもとしてはアプリシエートいたしませんよ、株主の立場からもアプリシエートしないということを言っておるわけでありまして、カレントなビジネスでどういうビジネスモデルで利益を上げるかということがあなた方に我々が期待しているところですよということが基本的なスタンスであるということを申し上げたいと思います。
○中川(正)委員 後の部分はいいんですけれども、先の部分というのは、これは格好つきませんよ。
 というのは、要注意先債権です。もともと資産査定がいかに甘かったか。これは政府の責任の中で資産査定をしたわけですから、これが強調されると返事のしようがないでしょう。基本的には、要注意先債権の五五%が一年間で劣化してしまった。もともと、そんなところに持っていった、健全だといった債権ではなかったんだと。これは中はむちゃくちゃだったんだということですよ、この中身で、資料で挙げているのは。
 そういう批判を、私は何も新生銀行の肩を持っているわけじゃないんだけれども、こういう構造的なこれまでのいわゆる金融庁サイドの甘さというのがすべてここへ向いて集約されてきているということ、このことを改めて指摘をしておきたいと思います。
 だから、あのときの我々の議論でもそうですよ。枠組みはつくっても、その中の運用がこれだけ間違ってきたら、すべてそれが悪い方へ悪い方へ転がっていくんだというこれはいい見本だと思うんです、この新生銀行は。ということを指摘しておきたいというふうに思うんです。
○柳澤国務大臣 中川委員でございますので、もう釈迦に説法で大変恐縮なんですけれども、問題は、資産判定をいたしたときと譲渡をいたしたときに、一年間のタイムラグというかそういうことがあったということなんですね。
 そういうことで、資産査定のときに、例えばそごうの例を何回も申し上げましたけれども要注意だった。しかし、譲渡のときにはこれはもう破綻懸念先になっているんですね。そういう資産の劣化がこの一年間のときに起こって、譲渡のときには、実はその破綻懸念先としての引当金も積んで譲渡しているわけです。
 しかし、瑕疵担保責任の判定は、定性的に言うと、資産判定時との違いによって判定するというのが契約だったものですから、こういう違いが起こったというようなことがあって、そこに一年間、資産判定のときと譲渡のときに時間の経過があったというようなこともあったということをちょっと指摘させていただきます。
○中川(正)委員 そういう話をされればされるほど、はたで聞いていて恥ずかしいような形になりますよ。
 この間議論したマイカルなんかもそうじゃないですか。これは譲渡時には正常先、破綻時でも要注意先、それで大問題になった。こんなことはほかにもあるだろうという話になってから特別検査をやっているわけですから。それはそれで、見解の違いだと思います。だから、そういう意味で、改めてこの点を指摘しておきたいというふうに思います。
 それから次に、地方金融、地域の金融の問題に移っていきたいというふうに思うのです。
 先ほど申し上げたように、それぞれ深刻な形になってきております。これはペイオフの問題、不良債権が重なってきている問題、あるいはそのもう一つ後ろに、時価会計なんかでシステムが変わったという問題等々あるわけでありますが、この今の状況をどう見ておられるのか。
 これは、いつか柳澤大臣の発言の中に、特に不良債権については四%台、いわゆる不良債権比率が四%ぐらいになれば落ちつくだろうということをグリーンスパンも言っていた、私もそんなところなんだろうというふうに思っているんだというふうな話がどこかの雑誌に出ていて、それからまた新聞を見ていたら、いや、グリーンスパンはいわゆるアメリカの状況の中で話しているのであって、日本はまた違いますよというふうなことでそれを否定していたとか、いろいろな議論があるようでありますが、これを見ていると、これはそちらからいただいた資料で今話しているのですが、都銀の場合と比べて地方銀行が確実に不良債権が大きくなってきている。
 これは不良債権というよりもリスク管理債権なんですが、地方銀行の場合、九年度で七・八兆円であったのが、この十二年度で十三・二兆円、ずっと毎年こういう形でふえてきていますよ。ところが、都銀は何とか横ばいないしその辺ですよということ。これに加えて、信金、信組が、先ほど話が出ましたように次々につぶれていっているということ。この現状をどのように見ていられるか。
 これは、これまでの議論では、どうも全体のシステムは一つであって、都銀と同じ基準で、同じような範疇の中で、地方銀行も含めて整理をしていこうというスキームであったと思うのですね。もう一つ言えば、直接金融と間接金融の議論をしていく中でも、どうも中小企業に対して直接金融が本当に機能するのか、そんなところまで議論せずにそのまま、全体のシステムが変わっていくんだ、ビッグバンだということでずっと流れてきた。そこのところのしわ寄せというのが、今こういう形で地方へ向いてしっかりとあらわれてきているように思うのですね。これも一つ、政策誘導の中で、私は今地方が最終的に詰まってきたんだという受け取り方をしているのです。その点について、どのように見られていますか。
○柳澤国務大臣 我々、不良債権問題の正常化というものをどういうふうにとらえているかということの中で、不良債権比率三、四%ということを申させていただいておりますが、これは、私どもが直接処理と申しますか、今回のオフバランス化を働きかけている大手行について、特にその数字との関連でお話をさせていただいたわけでございます。そして、その数字の根拠というのは、一つには、何と申しますか、グリーンスパンではなくて格付会社のスタンダード・アンド・プアーズにそういう記事があるということ、それからまたアメリカの一九九四年ころがそうであるということ、またドイツにおいてもそういう実績があったというようなことを我々念頭に置いて、そういうメルクマールを一つ頭に置いております、こういうことを申させていただいたということが私の申し上げたことでございます。
 それはそれとして、今、地方の信金、信組について御指摘のような事態が生じているけれども、これについてどういうふうに考えるかということでございますけれども、これは、先ほど来答弁させていただいておりますように、特に信組についてそうなんですけれども、昨年度いっぱいをかけて実は初めて国の所管のもとでの検査をさせていただきまして、それの善後処理がここ半年ばかり行われておりまして、それが最終段階を迎えていることから、今御指摘のような事態が起こっているということでございます。
 これをどのように考えているかということでございますけれども、先ほど来申し上げましたけれども、例えば地域的に集中してそういうことが起こっているというようなことについては、これは細心の注意を払ってその処理に当たらなければならないということを私もたびたび申しておりまして、この破綻金融機関の譲渡先が、あるいは救済金融機関が、その近傍でほぼ同じような業態のところで見つけ出されているというようなことから、まあ何とかこういうことで、地域の金融というものがそれほど重大な危殆に瀕するということなく解決できるかなというようなことを考えながらこの問題に取り組んでいるというふうな状況でございます。
○中川(正)委員 二つのことを申し上げたいと思いますが、今の、三年間で不良債権をきれいにしていこうという話からいきますと、これまでの地方銀行の経緯、不良債権比率そのものがだんだんふえてきている。十二年度で七・三%だ、こういうように。まだふえる、毎年ふえるんですね、これは。こういう形で構造が成っているところへ向いて、ライトオフだけしなさいよという話が通じるかどうか。結果的に言ったら、こんなものはちょっと全く違った次元の話ですねということ、これが一つですね。
 それからもう一つは、地域経済に対する問題も、今、栃木県の例が先ほど出ました。栃木県の場合なんか、地方銀行の地域の金融に占める割合を見ていますと、預金だけで、地銀が五四%、第二地銀が二〇%、信金が一三・三%、都銀が占めるのが九・四%しかないんです。これは預金ですね。貸出金の場合、これが地銀が預金よりも多くて五六・四%、それから第二地銀も預金よりも多くて二一・三%、信組が一一・三、それから都銀が八%。
 だから、この構図から見ていると、都銀あたりは、ここから預金をとってほかのところへ持っていっているんですね。地元で貸さずに、恐らく国債を買っているのですよ、その分。そんなような構図になっている。これはもうほとんど八〇%、九〇%、こうした地銀が地元の経済に対して貢献している割合。このことを見ていくと、これはそのまま整理をしていくということであっては大変だなということになるのですね。
 基本的に、全体の構造からいくと、恐らく都銀以上に地銀は資本が足りないのですよ。利益を生む構造じゃないですから。だから、その中で償却していけといったってこれは無理ですね。
 ということになると、つじつま合わせするかそれとも破綻するか、どっちかしかない。つじつま合わせしようと思ったら、先ほど五十嵐委員からも出ていましたけれども、利益の範囲の中でしか償却はできないよというつじつま合わせで先延ばししていく、そのうちにどんどん悪くなっていく。こういう構図か、あるいは、あとは破綻を待つしかないかということ。
 それに対してしびれを切らして、どうにもならないといって、今何が起こっているか、この栃木で。それは、地方自治体が動き始めているのですよ。地方自治体が、県があるいは周辺の市町村が、これはどうにもならないから私たちがその資本増強に協力をしていく、これは公的資金の注入ですよ、こういうことが既に始まっているのです。
 増資をしましょうということに対して、その増資にそれぞれ地方自治体が乗るというこのパターンが、栃木でもそうでしょうし、あるいは青森でも、あるいは各県で広がってくるんだと思うのです、この先。こんなことを放置しておいていいのですか。金融庁として、それは仕方ないなと言っておいていいのですか。ここのところを真剣に一度政策として見直してみる必要があるというふうに私は思うのです。どうですか。
○柳澤国務大臣 そのことを先ほど来、私としては申し上げているつもりなのであります。つまり、破綻が仮に起こっても、大体同じ業態でその受け皿が見つかるということを確認しながらやっているんですよということを申したのは、そういうことをおもんぱかって申し上げたつもりであります。
 それから、今言った栃木県の例はまさしくそうなんですが、私は、立場上余り個別の銀行名を挙げて論じたくはないわけでありますけれども、非常に大事な銀行であります。だから我々は資本注入もしてあるわけであります。国の資本を注入した銀行であります。そういうところで今度こういうことが、あの資本の脆弱性が云々されるようなことになるということの中で、我々は、まず自力調達しなさい、どれだけ地域経済の側から支持があるかという市場のテストをしなさいということを申し上げているんです。
 そういう中で、例えば、地方の自治体としても自分たちの地域の経済が大事ですから、それは地方自治体のまさに考えなきゃならない点ですから、それはそれなりにまたみんなが議会に諮っていろいろな議論をしながら、どうしてもこれを支えようよというような声が上がっているということだということで御理解を賜りたいのでございます。
○中川(正)委員 私は逆だと思うのですよ。
 今一番問われているのは、銀行が不安定になっているのです、これは。その不安をまず抑え込むという作業なんですね。さっきの話だと不安をあおり立てているのですよ。もしこの中で地方自治体、県民の方としては、対象になっている銀行がうまくいくものかいかないものか、これはどういうふうに知事、責任とるのですかと大問題になりますよ。
 あるいは地方債、ペイオフが始まってきてこれはどうするのかという、それだけでも今右往左往し始めているのですよ。
 そんな中で、自力調達しなさい、自力調達しなさいといっても、中身が見えているのです、これは。みんな見えているのですよ。どういう形で利益構造を生み出すのですか、こういう銀行が。このままの形で、何も動かさないで、商売の仕方も変えないで、どういう形で新しい生き方を見つけてくるのですか。
 そうじゃなくて、まず安心ができるようなフレーム、これは私たちの前提条件ですが、まず引き当てをできる環境というのを金融庁、国がみずからつくり出していくという、資本というもので安心をさせるということ。ここが先にないと、一つ一つこんな形でやられてくる。これは地方銀行の問題だけじゃなくて、都銀の中で弱い方からマーケットにねらわれているというのはそこの部分なんだというふうに思うのですよ。
 だから、その発想を逆転しないと、これはこのまま突っ走っていけば、次々にやられてきて、次々に地方自治体が巻き込まれていって、本当にその地域の経済というのが崩壊しますよ。その点について、改めて発想を変えること、このことを私はしっかりと主張をしていきたいというふうに思うのです。
○柳澤国務大臣 非常に重要な点だと思います。非常に重要な点です。まさに一九九八年あるいは九九年にかけて直面した問題がそういう問題でした。とにかく一時的にでもいいから安定させよう、こういうことで健全化法を制定して、国民の、国民のというか公的な資金を注入しました。これは、まあ一過性のものです、資本の注入というのは。何だかんだ言っても。収益が上がらなければ、またその資本を毀損していくわけです。
 ですから、この事態をダイナミックにとられて、単に一時的な資本の増嵩ではないんだと本当にそれぞれの金融機関が収益源を見つけて収益力を向上していく、こういうことが同時並行的に行われないと、なかなかこの構造は直らない。
 これも非常に実体経済とも関係が実はあるんでございますけれども、私どもは、とにかく一たん入れた、これを何とか活用して収益力を上げていく、だから私は、収益力を上げるにはどうしたらいいんだということを何回も銀行に問うているし、私どもの金融行政でも、そういう体質にしようということで行政を展開させていただいてきたということであります。つまり、いっときでも資本が積み上がって、十何%でございますよと言えばいいのか、実はそうでないということを、私どもは、当初から実は私は考えていました。
 つまり、健全性と収益性というのは、実は本当にこれは分かちがたく結びついているということであります。つまり、健全性というのは、何かスナップショットをして写真を撮れば、なるほどこのとき健全だといっても、本当に収益力を持っていないそのスナップショットというのはほとんど意味をなさない。これを、まあ中川委員も私も、常にそのことは自問自答しながら私は仕事に取り組んでいるわけですけれども、これは本当に基本の問題なんですね。
 そういうことをあえて、委員の御質問は非常に核心の部分だと私自身も思いますので、私の日ごろ思っていることの一端を申し述べさせていただきました。
○中川(正)委員 毎回私もこの問題で大臣の話は聞いていますので、そんな発想なんだろうと、大臣の頭の中で。
 ただ、その前提があるのです。大臣の話がうまくいくにはその前提がある。それは何かといったら、それぞれの今の日本の銀行が、大臣の思っているように、商売ができて収益が上げられるという構造があるということが大前提なんですよ。
 それは実態としてどうか。実態としてどうかということになると、都銀でもそうです、みんな小さいのが大きくなって、規模で一つ問題はクリアしたと言っていますけれども、中身は同じでしょう。その中身は同じでなかなかこれといった運用ができないというのは、これまで日本の全体のマクロの経済の中で、安い金融というのがそれぞれの製造を中心にした日本の経済を支えてきたという、その基本があるんだと思うのですよ。
 その構造が変えられずに、ということは新しい資本自体が余ってきて、しっかり積み上げられたこれをどう使っていくかという意味でのマーケットができないままに、これは本当は十年も二十年も前にこのマーケットの話をしておかなきゃ、ビッグバンの話をしておかなきゃいけなかったんだと思う。その使い道をつくっていかない、マーケットができていないままに、整理を始めるという話になったから、特に地方銀行あたりでは、これは使い道がない。どれだけ日銀の方がマネーをふやしても全然効果が上がらない。中小企業にリスクテークができないということの中で、今縮んでいるという状況。これが現実じゃないですか。
 それに対して、柳澤大臣のような形で進んでいけばいくほど何が起こるかといったら、破綻が起こるということなんです。そこのところをもう一回発想の転換をしないと、これは大変なことになりますということ、このことを改めて指摘をしておきたいというふうに思うのです。
 そんな中で、次に、為替の話に移っていきたいと思うのです。
 大局的に見て、大きな目で見ていくと、日本の経済の長期的な構造変革の中で為替が果たす役割、為替が私たちに影響を及ぼしていく過程というのは、非常に大きなものがあるというふうに私は思います。
 どうもわからないのは、先ほど、外債の買い付けというのを日銀の方でやったらどうかということに対して、答えは、いや、法的にはできないんだという話でした。それを采配する権限があるのが財務省であるとすれば、そこから、一つは為替に対して一つの方針といいますか、今日本がどういう状況にあるのかという現状認識、これが出てこなければいけないんだろうというふうに思うのですね。それを一つ前提として聞かせていただきたい。
 それからもう一つは、日銀は、これは財務省の専管事項ですよと言っても、全部連動しているのですね。為替も金利もあるいはマネー自体の供給も、全部連動しながら、そのことを前提にして政策委員会の中でも議論があり、そして金融というのをトータルにマネジメントしていこうということがなければならないというふうに思うのですね。
 それで、この戦略をつくるのは政府の中で一体どこなのか、この辺の金融政策をトータルにつくっていくのは今どこなのかということなんです。これが、先ほどのそれぞれの答弁をずっと聞いているとわからない。それぞれが自分の領域で一生懸命やっていますよというだけで、この国をどこへ持っていこうとするのか、だれがそれの責任を持つのかというのがわからない。そこのところを改めて、だれに聞いたらいいのか、聞かせていただきたいというふうに思うのです。
    〔奥山委員長代理退席、委員長着席〕
○塩川国務大臣 日本の行政と言わず政治全体でございますけれども、経済政策も、それからあらゆる政策を統合しておりますのは総理大臣そのものでございます。でございますから、為替の問題あるいは貿易収支の問題、あるいはまた税制、予算、そういうものも、最終的には総理が決定する段階だと思っておりますが、しかしながら、それぞれの各分担がございます。
 御承知のように、中央省庁が改正されましたことによりまして、内閣府というものが強化され、総理大臣の権限が大幅に強化されてまいりました。あえて私は申すわけじゃございませんが、そういう総理の権限というものが、以前の、つまり昨年の総理の権限とは全く違ったものになってきております。でございますから、経済政策というものは最終的には総理が決めるが、その総理の、決定するについてのいわば参謀的な役割として経済財政諮問会議というものが設置されまして、しかも、その経済財政諮問会議の中で論ずるべきは、とりあえず経済の将来にわたる展望を決めるということが中心でございまして、その展望に基づいて、それぞれの当年度の予算あるいはまた具体的な税制、経済政策を決めていく、そういう手法になっております。
 現在におきましては、昨年の六月に決定いたしました、今後行うべき当面の経済運営に関しまして骨太の方針というものが決められ、それによりまして、現在、その骨太の方針の中の改革を先行していくべきものを積み上げていきまして、第一次、第二次補正予算というようになったのでございます。
 でございますから、経済全般はそういうこと、その一環として為替はどうするのかということがございます。
 私たちは、為替は財務省がこれを所管事項としております。私は終始一貫、為替というものは、外国為替でございますから、これは市場が決定するものであって、故意にこれを操作するということは自分の国の経済にもよくないし、将来において悪い影響を及ぼしてくるだろうし、また国際間においての摩擦をつくるようなことになってはいかぬということでございますので、市場原理に大体ゆだねております。
 が、しかし、よく考えてみますと、我が国においても輸出と輸入との差というもののバランスを絶えずとっていかなければなりませんし、そのバランスの上に立って、果たしてこの為替相場が、現在の為替レートが正しいのかどうかということは判断する必要がございます。毎日のように我々はこれを検討しておりまして、過当に円が安くなるということは避けるべきであろうが、しかしながら、現在のように高目に評価されているということになれば、これは安目の方向に誘導していく、そういう努力と配慮はすべきであろうと思っております。
 しかしながら、これを直接行動に、いわゆる介入してやるということはよほど慎重にやらなければならないのでございまして、その傾向があらわれたときに、例えば上下いずれに行くか、その傾向があらわれたときに事前に若干の介入をするということはございますけれども、常時これを行うということは避けていきたいと思っております。
○中川(正)委員 それがこれまでの公式見解だったのだろうと思うのですが、私は、今日本の経済がこういう局面になったときに、もう少しこれを戦略的に見なければいけないのじゃないかというふうに思うのですよ。
 というのは、大まかに、大きな流れだけ何十年というスパンの中で見ていくと、一九七一年に三百六十円時代が崩れたのですね。それからずっと円高基調で、それは揺れはありましたが、ずっと円高基調でおりてきて、そのピークが一九九五年の八十円ということでありました。
 これは、なぜこの流れができてきたかというと、やはりアメリカの戦略がここにあるのだろうと思うのです。アメリカが、冷戦時代を通じて、ドルを世界に供給し続けるという意思があった。それと同時に双子の赤字、これを方法論として、あるいは政策の結果としてずっととり続けてきた。そのことが、日本の円がここまで上がってきたということの背景にあるのだと思う。世界戦略の中の、いわゆる基軸通貨を持っているアメリカの戦略の中で我々は生きてきたのだろう、それに合わす形で。
 その合わす形というのは、ちょうど日本にとって資本が不足していたときでありましたから、だから円高という流れと、それから金利を低く抑え続けるということ、この辺がうまくマッチングをしまして経済運営が成り立ってきた。それが行き過ぎてバブルになったということ、こんな歴史があったのだろうと思います。
 ところが、一九九五年以降、この双子の赤字というものの一つがクリントンの政権の中で解消されてきました。恐らくこれは、東西冷戦が終わった後のアメリカの一つの政策変更といいますか、戦略変更が言わずもがなの形の中で今進んでいるんじゃないか。それは、ドル安じゃなくて、これまではドル安だったわけですが、逆にドル高ということに誘導していく端緒がもう出てきているんではなかろうかということ。
 こういう中で見たときに、日本が今何をしなければならないかということをやはり考えていくべきだというふうに思うんです。それぞれ、そのときそのときの行き過ぎた形で、短期的にとんとはねたものを協調介入なりあるいは単独介入なりで調整をするというその役割とまた違った形の日本の為替戦略というのが、私はあってしかるべきだというふうに思うんですよ。
 そういう意味で、これは日銀の総裁にも、それから大臣にもお聞きをしたいんですが、日本はこれから円安でいいんですか。日本の国家にとって、国益にとって円安でいいんですか。そこのところをお答えいただきたいと思います。
○速水参考人 お答えします。
 今おっしゃったこと、一九八〇年以降、日本の経常収支というのは黒字なんです。今も黒字です。GDPの二%から四%ぐらいずっと黒字で来ているんです。それから資本も、対外債権超過ということで一兆二千億ドルの対外債権超過を持っています。百五十兆円です。
 そういうスタンスの中で、やはりどうしてもこれは、基本的な流れは、通貨としては強くなっていく方向はあるわけですよね。それが国内のいろいろな事情もあり、アメリカの事情もあって日々刻々変わっておりますけれども、大きな流れとしてはそういう流れがあるということを頭に入れておく必要があると思っております。どっちがいいかということは、これは市場が決めることです。
○塩川国務大臣 私は、財務大臣をやっておりながら、実はそんなことは余り専門じゃございませんので、深いことはわかりませんが、私自身の経済観の感覚からいきまして、輸出と輸入のバランスを見ながら、現在の為替はどうだろうかということの判断を毎日いたしております。
 したがいまして、輸出が非常に伸びたなと思ったときには、多少は円高であってもこれは時の相場であろう、しかしながら、逆に輸入がどんどんとふえてきておるときでございましたら、このときには円安に持っていかなきゃいけないだろう、そういう判断をした上でそのときの相場を見ておるということであります。
○中川(正)委員 そうすると、為替を輸出と輸入のバランスだけで見て、あるいは輸出超過、黒字がたまってくるからこれは円は強くなければならない、それが自然な形なんです、それでいいんだ、こういうことですか、さっきのお話は。
○速水参考人 今申し上げたのは、輸出入のバランスではございません、経常収支です。輸出入のほかにインビジブルがありますし、今多く入ってきているのは所得収支なんです。百五十兆円の債権超過を持っていて、それが所得を生んで、今空洞化と言っていますけれども、どんどん日本の企業が海外へ出ていっています。もうかったものはこっちへ送ってくるんです。それは必ずドル売り・円買いになって変わっていくわけですね。そういうものも全部含めて経常収支というものが黒字、ことしでも恐らくGDPの二%を超えると思いますね、そういう状況があるということは頭の中に入れておかないと、これは国際収支は論じられません。
○中川(正)委員 そこのところはちょっと大臣と見解が違ったところだというふうに思うんですが、どっちにしたって、もう一つ、この輸出入については、これは構造が変わってきている。日本が黒字体質で続けられるということはもう限界が来ていますので、そのうちにこれは変わっていきますねということが見えてきていますね。
 それで、もう一つ、金の動きについては、日本の金利、ずっと低金利で据え置いているわけですよね。そうなると、後どういうことが起こるかといったら、恐らく海外投資でしょう。結局は、日本の国内ではもうけられないわけですから、マーケットもないわけですから、それは海外に行かざるを得ないということ、こんなことが始まってくるということは、これは十分予想されるというふうに思うんです。そのことについて、それでいいのかどうか。
○速水参考人 どんどん対外投資が行われていくというのは、これは世界全体の動きを見ましても、日本は今、製造業だけで、海外で生産しているのは一四・五%です、日本の企業の総額の。先進国というのは三〇%前後あるんですね。そういう意味では、日本はこれだけ経済力が大きくなって、自由化していけば、賃金も高いわけですから、海外でもうかるものは海外へ出ていくというのは、これは自然の流れだと思いますね。
 そういう意味で、先ほど申し上げたように、そうやって流れていく、外貨準備もありますけれども、対外債権超過というのは官民を入れて一兆二千億ドル、こんな大きな国はありません。百五十兆円です。そういうものがまだこれからもふえるかもしれません、おっしゃるように。しかし、それと同時に、外で稼いだものは、あるいは利益は入ってくるわけですから、それは資金の流入になってくるわけですね。そういうものも含めて為替が動いているわけですから、それは毎日毎日の株買った、株売ったという動きに加えて、基本的にそういう流れがあるということを頭の中に入れておく必要があると思います。
○中川(正)委員 時間でありますので締めくくりますが、そうなると、人為的に金利を下げ続けるということ、このこと自体にもうそろそろ限界が来るということは見えてきているんですよね。それだけに、私たちの来年の予算案に対する緊張感と、それから金利を上げていく、上げていくというよりも上がっていく、あるいは、インフレターゲットというよりも、これは上がっていくというような道筋の中で政策としてどうするかということを考えていかなければならないということだと思うんです。その前提がこの議論の中にないんですね。
 だから、そこのところを改めて御指摘を申し上げると同時に、そうなると、特に金融ではこれは危機管理になりますよ。何回も言うようですけれども、今の柳澤さんのスタンスでは、この流れの中では耐えられない、後で大変な禍根を残すということになる、そのことを御指摘させてもらって、私の議論を終わります。
 以上です。
○山口委員長 次に、鈴木淑夫君。
○鈴木(淑)委員 自由党の鈴木淑夫でございます。
 きょうは、竹中大臣、我が財務金融委員会にようやくお越しいただきました。
 まず、いわゆる小泉改革といいますか、小泉内閣の構造改革についての総論的な話から議論をさせていただきたいと思います。
 小泉さん、改革改革と叫び続けてもう半年以上たったわけです。口でしゃべっているだけで何の改革も実施していないじゃないかという議論がありますが、しかし少なくとも、国債発行額に三十兆円のキャップをかけるんだとか、あるいは不良債権を既存のものは二年以内、新たに発生するものは三年以内に早期処理するんだ、あるいは最近では特殊法人を廃止する、あるいは民営化する、こういう具体的な小泉改革のお話は出ているわけですね。
 普通、それがまだ実施されていなくても、市場経済では、こういうことをやるぞと政策が出れば、市場はそれを期待の中へ取り込みますから、俗に言うアナウンスメント効果で何かいい効果が出てきてしかるべきだと思うんですが、残念ながら、株価の方は御承知のように低迷したままであります。それから、投資マインドも消費マインドも、小泉改革の今輪郭が見えてきている部分によって心理的に好転するような動きが全くない、経済は深刻な不況に直面し、景気後退がどんどんどんどん進んでいる、こういう状況であります。
 竹中大臣、これはなぜだと思いますか。一つの厳しい解釈は、そういう幾つかの改革の柱は立ってきたんだけれども、それを市場は信用していない、あるいは一般の国民は半信半疑で信用していない、だからアナウンスメント効果はどこにも出ないというのが一つの解釈だと思うんですね。だけれども、私はきょうはそのことは議論しません。その議論をやったら水かけ論になるだけだから。
 そうじゃなくて、もう一つ私は大事なことがあると思うんです。それは、小泉内閣の構造改革に対するアプローチの仕方が違っているというか、ウエートの置き方が狂っているというか、私に言わせれば見当違い、思い違いをしていることにあるんじゃないかと思うんですね。
 わかりやすく申し上げますが、竹中大臣、構造改革というのは構造を変えることですから、必ず、一方を伸ばし他方を抑える、そうすることによって経済がよくなるとか日本がよくなるとか、そういう話ですよね。必ず、伸びる方と抑える方がある、いわば光と影があるわけです。
 例えば、塩川大臣の関係で、国債発行に三十兆円のキャップをかける。国債発行ですから財政赤字をふやさない。これはどういう構造改革なんだろうかと考えてみますと、これは恐らく、日本の貯蓄の中から財政赤字で取り上げる部分を小さくする。これは抑える方ですよ。そうして、民間がその貯蓄を使ってIT投資でも何でも活発な投資をしていく。そういう貯蓄の分配の構造を変えるという話なんですね。そうして初めて、財政赤字を縮めるとか国債発行にキャップをかけるとかいうのが構造改革の意味を持つわけですね。
 ところが、残念ながら、小泉内閣というのは、抑える方、キャップをかけて財政赤字を抑える、国債発行を抑えるというお話ばかりしていて、伸ばす方、こうやって、その結果浮いてきた貯蓄を民間に回してあげるんだという、そっちの話を余りしていない。あるいは、そっちの話を口ではしていても、その政策がよく見えない、見えるのは抑える方の、国債発行のキャップだという話ばかりが見えてくる。
 三つ例を挙げますよ。今、一つ言いましたね。もう一つは、柳澤さん、ちょっと席を立っていますが、不良債権早期処理の話ですね。
 不良債権早期処理というのも、これは抑える方の話なんですね。抑える方の話です。だけれども、構造改革というコンテクストの中で考えたら、これは抑えるのが目的じゃなくて、不良債権早期処理して、そして銀行経営を立て直して、そして伸びる方の、民間の投資活動にちゃんとファイナンスをつけることができる、そういう銀行システムに変えていくんだというのが構造改革なんですね。
 ところが、頭の中じゃそういうことを考えているかもしれないけれども、国民の方には不良債権の早期処理ばかりが聞こえてくる。そうしますと、バブルで踊った大企業、流通やゼネコン、その辺の、もういいかげんに処理しなさいよとか、あるいはそこに甘い査定をしていた銀行を整理しちまおうかとか、それはそれでいいんだけれども、不良債権早期処理、厳密に査定して、不良債権になったものはどんどん処理するんだ、構造改革のうちの抑える方ばかり聞こえてくる。
 これはやはり、国民から見ると痛みの話ばかりなんですね。本来の構造改革はそうじゃないんです。そっちを抑えることによって伸ばすことをやりたいわけですよ。そっちの話が全然聞こえてこない。
 特殊法人改革もそうです。特殊法人改革、なぜやるのか。これは、官業の民業圧迫をなくすため、官業がやっている仕事を民間に開放するため、そして小さな政府、元気な大きな民間をつくるため、そういうふうに構造をがあっと変える一つの手段がこれなんですね、特殊法人整理です。
 ところが、聞こえてくるのは整理する話ばかり。つぶす話、あるいは民営化する話。民営化はまだ多少いいんですが。そうではなくて、このようにして民業圧迫がなくなりますよ、このようにして今まで政府がやっていた仕事を民間に開放しますから新たなビジネスチャンスが生まれますよ、そっちの伸ばす方の話が聞こえてこない。少なくとも、そのための政策に同じぐらいのウエートを置いて議論していない。
 私はそれだと思うんですよ。だから、構造改革についていろいろ言っているのに全然アナウンスメント効果が出ない。痛みばかり強調されているような気分になっちゃう。でも、構造改革というのは、本来、抑える方から痛みが出ますが、伸ばす方は痛みじゃないはずなんですね。そのバランスが小泉改革というのはとれていないから、当面の経済に対して心理的な好影響が全然出ていない、そういうふうに私は思うんですけれども、竹中大臣、いかがですか。
○竹中国務大臣 鈴木委員は今非常にたくさんのことを御指摘いただいたと思います。
 アナウンスメント効果の話に関しては、これはよく例として証券市場では挙がる例だと思いますけれども、例えば日産において、ゴーンさんが就任されたときに株価が上がって、ゴーンさんが再建プランを出した途端に株価がどんどん下がっていく。その意味では、こういった意味で、マーケットにおいてそういった改革の方向が理解されるのは常にある程度の時間がかかるという面も私はあるのだと思います。
 御指摘の明るい部分、痛みだけではなくて明るい部分ということに関しては、考え方はもう全く私はそのとおりだと思っております。
 総理は、所信表明の中でも守りの改革と攻めの改革という言葉を使っておられる。私も、リストラにはリアクティブなものとプロアクティブなものがある。
 七つの構造改革のプログラム、プラス不良債権の問題を挙げておりますけれども、あえて四つの中で言いましたら、三つが守りの部分で五つは攻めの部分でありますから、これはチャレンジャーの支援とかそういうものですね、生活維新とか。その意味では、攻めの部分に私たち自身はかなりのウエートを置いているつもりであります。しかし、ジャーナリズムでの議論というのは、どうしても目の前の痛みの議論が先行されているということもあって、それが伝わっていないという面もあるのかもしれません。
 もう一つ、私自身これは痛感いたしますのは、この守りの部分というのはやはり非常に差し迫っているということなんだと思います。不良債権の処理、これも、予定されているペイオフ等々を控えて、やはり今急いでやらないと大変困るのではないか。
 財政赤字の問題に関しても、これはもう予算を編成しなければいけないわけですから、ここで財政の規律を取り戻すぞというメッセージを出さないことには国債市場が大変なことになってしまう。その時間が差し迫っている。それが、受け身的なといいますか守りのもの、財政の再建でありますとか不良債権の償却、これがある程度最初に来るというのは、これは仕方ない面も私はあるのだと思います。
 あえてそれでも鈴木委員が御指摘されるとすれば、じゃ、プラスの面、攻めの改革は何なんだということになるんだと思いますが、これは性格上大変地味な、例えば規制改革は私は典型だと思いますが、先般の総合規制改革会議での報告等々でも、ぜひともこれは注意深くごらんいただきたいと思いますが、例えばITでありますとか教育でありますとか土地再生とかで、やはりこれは相当、中期的に日本の経済を変えていくというかなり前向きのものが私は出ているというふうに思っております。ダークファイバーの開放の問題、さらにはコミュニティースクール、コミュニティーカレッジの問題等々でございます。
 御指摘のとおり、そういった差し迫った守りの改革は急いでやらなければいけませんが、攻めの部分についても、これは繰り返し言いますが、私たちは大変これを重視しておりまして、マーケットからより評価されるように、この攻めの部分、明るい部分もどんどん出していきたいというふうに思います。
○鈴木(淑)委員 竹中大臣、そんなにプロアクティブな攻めの改革のことを考えているなら、もっとそれを強く打ち出さなきゃだめですよ。確かに、リアクティブな方はアージェントですよ。アージェントだからそっちがどうしても前へ出る、不良債権早期処理にしても、財政赤字を抑えるにしても、それから特殊法人整理にしても。だけれども、同時に、これはコインの裏と表なんだ、表はこういうことなんだというのを常に言わなきゃいけない。どのリアクティブな話をするときも、表裏の関係で、プロアクティブな方を言わなきゃいけないんだと思うんですね。
 ちょっと竹中さんらしからぬ言いわけだと思いますが、政策が理解されるには時間がかかる、株価だってそんなすぐは反応しないと言いましたが、もう半年以上たっているんですからね。その間下がっちゃっていて、上がってこないわけですよ。やや我田引水ですが、自民党さんにとってもあれだから言わせてもらいますと、自自連立で政策合意をしたとき、あのときに株は底を打っていますよ。そして、申しわけないが、自自連立を解消したあのときがピークです。株というのは、割と政策の先行きを読んでいるんですよ。そんなにばかじゃないです、株式市場は。
 ですから、今のような言いわけはされないで、株式市場がちゃんと反応するように、攻めの改革を常に守りの改革と裏表の関係で国民に説明していかなきゃいけない。その意味で、私は、これからの竹中大臣の役割は非常に大きいと思いますよ、この予算編成過程から来年に向かって。攻めの改革の非常に大事なところ、これは確かに、規制撤廃、規制緩和の話は地味で難しくてわかりにくい。でも、せっかく今出てきているところですから、これも繰り返し繰り返し国民に説明してほしい。
 しかし、全部の攻めの改革がわかりにくいかというと、そんなことはない。税制改革というのは攻めの改革の最たるものですよ。これはわかりやすいです。税制改革について、なるほど、こうすれば民間は元気になるなという税制改革は、今までのところでは僕は出てないと思いますよ。出てないと思う。これを来年、本気になって経済財政諮問会議が打ち出して、それが小泉内閣の攻めの改革の大事な柱に立ってくれば、これはマーケットは反応すると思いますね。
 ちょっと二つだけ例を言わせていただきますが、この前の証券税制改革なんて、塩川大臣、申しわけないが私は厳しく批判させていただきましたけれども、あんなもの全然構造改革に対してプロアクティブじゃないですよ。
 私はあそこで強調しましたように、もし、株式の長期保有をふやす、そして経営者が株主に注意を払う経営をする、そういう方向に持っていきたいなら、配当課税を変えなきゃだめじゃないですかと僕は言ったでしょう。短期の譲渡益課税の話しかしなかった。あんなもの構造改革じゃない。そうではなくて、配当に対する課税が二六%だ、利子課税の二〇%より高い。本来ならば、配当二重課税の問題もありますから、二〇%より下になったっておかしくない。そういう配当課税に対する改革が全然入ってない。
 それからもう一つは、株を例えば五年、十年持ったら、売却益に対してドイツのように課税しないというぐらいのこと、あっていいんですよ。そうなって初めて、これは構造改革だと言える。全然そういう視点が入ってない。短期の譲渡益のことばかり言っている。これはだめですよ。
 それから、今議論されている来年度の税制改革についても、私はあきれ返ってしまうのは、連結納税に付加税をかけるということですね。連結納税こそは、企業経営の構造改革を推進する上でまさにプロアクティブな政策ですよ、あれを認めていくということは。連結決算、連結納税を認めることによって、企業はさまざまな形の、純粋持ち株会社の下に子会社をつけてみたり、いろいろな形の分割あるいは合併をして工夫をしていけるんですよ。それに対して付加税をかける。なぜですか。税収が減っちゃうから。そんなのが構造改革ですか。
 私は、竹中大臣にお願いをしておきたい。プロアクティブな攻めの改革は地味だ、それはそういう面もある。だけれども、税制のようにわかりやすいものもある。これをはっきり来年打ち出せるかどうかに、小泉改革の成否のかなりの部分がかかっていますよ。いかがですか。
○竹中国務大臣 今のお話の中で、鈴木委員の前半の部分の話は、そういう心がけを持ってやっているつもりでございますけれども、これはぜひもっとやれというメッセージだというふうに受け取らせていただいて、せいぜい励みたいというふうに思います。
 後半の税制に関してでありますけれども、実は私自身は、構造改革はいよいよ第二段階に入るというふうな言い方を最近させていただいております。その趣旨は、まさに税制に象徴されるような、非常にファンダメンタルな枠組みの議論をぜひともさせていただきたい。これが、とりもなおさず、規制改革と絡んで攻めの改革そのものになっていくんだろうというふうに思っております。
 これはもうお聞き及びかもしれませんが、そういうことを総理とも御相談して、総理の方から諮問会議の場で、税制の基本的な枠組みについて諮問会議でぜひ審議をしろというふうな御指示を既にいただきました。これはレーガンの改革においてもサッチャーの改革においても、やはり改革というのは税制の改革であった。経済思想、基本的な思想的な背景を持ったような骨太の税制の論議をぜひしていきたい、それが攻めの改革にもなるし、まさに改革の第二段階であるというふうに心得ております。
 同時にもう一つ、攻めの部分でやらなきゃいけないことは、これは午前中も少しお話をさせていただきましたけれども、経済産業の活性化に係るやはり戦略的な対応という部分だと思います。
 空洞化の議論がなされておりますけれども、そうした中で二十一世紀に向けて日本は一体どういう経済産業の構造を持っていくのか、その中で我々がやるべき仕組みの改革は何なのか。非常に、これは古いような、かつてあったような産業構造ビジョンというようなものではございませんけれども、そういった意味では、戦略的な対応というのは私はやはり必要なんだと思います。
 この経済産業活性化の戦略対応と税制の骨太の論議というのを経済財政諮問会議の、来年、年明け以降の、ということは、とにかく今予算を組まなきゃいけませんので、それ以降の重要な柱にしていきたいというふうに思っております。
○鈴木(淑)委員 ぜひ頑張っていただきたいと思います。税制改革もそうだと思いますね。戦略的な視点を持った税制改革を打ち出していただきたい。
 その点に関連して申し上げておきますが、これは竹中大臣御自身の御意見もそうだと思いますけれども、民間経済を元気にするというときの税制の基本は、生産要素に対して増税しちゃいけないよということです。はっきり言って、所得課税と法人課税で余り増税しちゃいけないよということですね。できることなら減税しろよということですが、日本では法人課税については実にたくさんの租税特別措置があります。これは大体在来型の、どちらかといえば構造改革に際して抑える、衰退する方の産業にかかわっているものが非常に多い。ですから、租税特別措置を思い切って整理をしていく。そのままほっぽっておくと増税になっちゃいますから、それで法人税の基本税率を下げるというのが、まさに戦略的思考を持った法人税改革だと思いますよ。
 それから、所得課税については、所得控除、税額控除、これまた複雑怪奇。こんなものは普通の人は計算できない。サラリーマンは、もう会社にお願いしちゃって源泉徴収。年末になっても、自分で計算できないから、年末調整もお願いしちゃう。自主性がないですよね、納税者としての自主性がない。それは、複雑怪奇な控除があるからです。
 これも、私ども自由党は、諸控除はできる限り整理していこうと。しかし、そうすると課税最低限がぐっと下がりますね。だから、これまたほっぽっておいちゃいけないので、基本税率を、簡素化と税率引き下げの観点で、例えば五%、一五%、二五%の三段階ぐらいにしちゃう。そして、たとえ五%でも、社会への参加料として低所得の人もちゃんと所得税を納める。そして、やりがいのある、努力した者が報われる所得課税にする。これも戦略的な思考を持った税制改革だと思います。
 これについての賛否をここで問うと、ちょっと、お隣に御担当の塩川大臣もいらっしゃるし、これから御議論されることでしょうから、戦略的とおっしゃるならこれぐらいのことを考えてくれということを注文しておきたいと思います。
 ちょっと観点を変えて質問しますが、竹中大臣、財政学で、入るをはかって出るを制すという言葉は聞いたことがあると思いますね。賛成ですか、反対ですか。
○竹中国務大臣 これは、実は塩川大臣もよくお使いになっている言葉でありますし、入るをはかって出るを制すというのは、財政学の教科書にも書いてある言葉でございますし、この言葉は、私は、中長期的には正しい考え方だというふうに思っております。しかし、それが短期の、単年度のと申しますか、それについて正しいかどうかということに関しては、別のマクロ的な観点もあり得ると思います。
○鈴木(淑)委員 大変いいお答えです。私も全くそう思いますね。
 中長期的にはいいということです。だけれども、短期の、来年度について入るをはかって出るを制するんだ、したがって、入る方が、マイナス成長で税収が当初思っていたより二兆円ほど少ない、ああ、入る方が二兆円少ないのか、それでは出る方も二兆円余計にカットしてしまえ、今までは三兆円カットしようと思っていたが、五兆円カットしてしまえ。短期的に入るをはかって出るを制すると、そういうことになる。
 そうすれば、言うまでもないことですが、そのカットがデフレ効果を持って、さらに不況が深刻になって、さらに税収が落ちて、これは大変だ、また入ってくる方が減っちゃったといって、またカットする。そうしたら、もうぐるぐる回りで、不況が不況を呼ぶデフレスパイラルに陥ることは明白だと思いますね。
 ですから、私は塩川大臣にお願いしたいのですが、それは、今までおっしゃっていたのは、塩川大臣のお立場で、財政規律を守りたいという一念でおっしゃっていたと思いますが、ここまで景気が悪くなってきて税収が落ち込んだら、潔く、この言葉はちょっと中長期だということにしていただきたいと思いますが、いかがですか、塩川大臣。
○塩川国務大臣 私は、いろいろと鈴木先生の話を聞いておりまして、やはり国会は現実と違うなと思う感じがございまして、国会の理論で現実はなかなか、必ずしも考えられないようなことがあると思っております。
 なぜかといったら、それでは、私は鈴木先生にお聞きしたいのは、なぜ小泉が八〇%近い支持率を国民からもらっているのでしょう。今おっしゃるようなことが本当であるならば、国民の声であるならば、国民は一〇%ぐらいしか支持しないだろうと思うのですが、これが八〇%近い支持をしているということは、やはり改革を進めてくれということであって、改革に対する期待がかかっておる。
 けれども、これがうまくいくかいかぬかは国会との関係でございますから、日本は完全な民主主義でございますから、独裁国家だったら、こうやれ、ああやれ、どんどんやれますけれども、これができないところに、税制一つ見ましても、国会で承認をもらわなければ。そうしますと、国会の手続を経るためには、どうしてこの成案をまとめるかということが問題になってくるのでございます。
 でございますから、我々は戦略的改革をやりたい、いろいろ言っておりますけれども、それだけのことを国会が理解していただけるならばできるのです。そこへなかなか行っていないものですから、なかなか時間を要する。だから、その認識を変えていただくまでに時間がかかるということを申し上げておきたいと思います。
○鈴木(淑)委員 もう塩川大臣独特のすりかえで、完全に目くらましでありまして、私が聞いたことに全然答えていない。しかし、これにつられて塩川ペースにはまるとまた質問できなくなっちゃうから、私ははまりません。
 ただ、一言ちょっとはまっておけば、世論調査を調べればわかります。支持率が高い理由は、まさにおっしゃるように、何かやってくれそうだという期待です。あるいは、今までの内閣よりましだなという感覚です。財政赤字を、三十兆円のキャップを評価しているから支持するというのは非常に少ないですよ。これ以上言っているととらわれちゃうから先へ進みますが。
 竹中大臣、短期的に入るをはかって出るを制するということをやるとデフレスパイラルに陥る危険ありとすると、本来キャップをかけるのは、国債発行額とかあるいは財政赤字ではないのですよ、短期的には。短期的には、キャップをかけるべきものは財政支出総額ですよ。行革でむだを排除して切り込んでいきたい、だからあのキャップを設けた、それはわかりますよ。それは大事なこと。だけれども、塩川大臣、むだを排除して切り込んでいきたいからキャップを設けたのでしょう。だったら、そのキャップは本来財政支出総額の方へかけるべきであって、国債発行額や赤字に短期でキャップをかけたら、デフレスパイラルになっちゃうのですね。
 私は、経済財政諮問会議が、短期のキャップは財政支出総額であって国債発行額ではないという見解を早く打ち出さないと、ここでも小泉改革がデフレ促進型の変な方向へスライスしていくと思います。
 竹中さん、キャップをかけるべきは支出総額じゃないですか。特に、行革を推進し、むだを排除するというねらいでキャップをかけるなら、支出総額だと思いますよ。いかがですか。
○竹中国務大臣 小泉内閣の財政政策は、決してデフレスパイラル的なものではないというふうに確信をしております。財政政策の節度を取り戻すために一体どういうふうにしたらいいだろうか、これは究極的にはプライマリーバランスを回復することである、これは恐らく多くの方が合意されることだと思います。
 しかし、経済が非常に軟弱な中で、そこまでなかなか持っていけない。第一段階としては、この拡張を続けてきた、膨張を続けている財政のメカニズムにいかにストップをかけて方向を転換させるかというところにある、これが第一段階での議論であったわけです。そのときにどういうやり方をとるべきであろうか。これは幾つかのやり方があるのだと思います。支出をコントロールしろというのは一つのやり方。
 しかし、私は、小泉総理が掲げられた三十兆というこの国債のキャップは、明らかに非常に大きな政治的な意味合いを持っていたと思います。何よりも、やはりわかりやすい。例えば、プライマリーバランスというふうに言っても、なかなか現実の生活の中では意識を持っていただけないし、支出のキャップというふうに言っても、これは自分たちの生活にどういうふうに意味を持っているのだろうか、理解しにくい。そこで、総理は、実は総裁選のときから、三十兆という公債、差額のキャップをあえてとられたのだと思います。
 しかし、これは、この三十兆というのが非常にシンボリックな意味を持って、この国債の、財政赤字の危機感というのを広く国民に知らしめた大変重要な意味があった。この点は、実は私たちは、大変正しい政策であったというふうに確信をしております。
 問題は、鈴木委員言われましたように、これをもし長期に続けたら、その時々で税収が変動することもあるから、結構難しい問題も出てくる。
 では、結論としてどうかというふうに申し上げますと、やはり財政再建へのスタート年としての平成十四年度の三十兆円の国債キャップというのは、断じてこれを守りたいというふうに思っております。その後の運営につきましては、これはまさに中期の展望の中で議論していることでございますけれども、歳出額を、支出額を名目額で今より拡大させないと。その意味では、鈴木委員おっしゃっているような歳出のキャップにこれは変えていくということも含めて、ここはやはり柔軟に考えていく必要があると思っています。そういった問題意識を反映した形での中期の展望を今議論しているところでございます。
○鈴木(淑)委員 三十兆円というのはわかりやすい、それはそうですよ。だから、総裁選なんかではよかったというのもよくわかります。
 しかし、もうここまで来たらデフレスパイラルの原因になるに違いないと私は思いますから、早く歳出総額の方にわかりやすい形で、上限あるいはだんだん減らしていく、段階的にね。そういう目標を設けるべきだと思いますね。
 なお、今三十兆円の枠は守りますと大見えを切られましたが、私に言わせれば、こんなものはもうとっくに壊れているじゃないかということです。大体、第一次補正予算のときに剰余金を国債整理基金に積まなきゃいけないのに、半分以上。それを積まなかったじゃないですか。それで何とか三十兆円を守ったでしょう。第二次補正のときだって、さまざまな形で資産売却をしようとしているじゃないですか。これだって事実上破っている。そして、恐らく来年度当初予算では、いわゆる隠れ借金をそこらじゅうでやると思いますよ。だから、規律を守ると言いながら、こんなものは規律になっていない、あっちこっちでインチキしているからね。そのことをはっきり指摘しておきます。
 それから、三十兆円の枠を外す一つのやり方として、いわゆる小泉ボンドという議論が出ていますね。三十兆円の枠は三十兆円の枠で置いておいて、将来の行革による歳出の切り込みを財源にして償還するという約束で五年とか十年の国債を出して、それを財源にする。この発想は、もともとは民間のエコノミストが言い出したことであり、同じようなことは、私ども自由党の基本政策の中にあります。私ども、行革減税という言葉を使っている。減税の財源は行革による歳出カットだ、一時的につなぎとしては国債を出すが、その償還は行革による歳出削減できちっとやっていくんだと。いわば小沢ボンドの方が小泉ボンドより先にあったんですが、考え方としては非常に似ている。
 私は、形の上で三十兆円枠を、隠れ借金をそこらじゅうでやって、守りたいなら守ってもいいが、しかし、小泉ボンド的な発想、つまり、将来の歳出削減で償還するという約束で国債を出して、大都市圏の公共投資なり、さっき私が言ったような所得減税なりをやるべきだというふうに私は考えております。
 塩川大臣、いかがでしょうか。
○塩川国務大臣 もし、その発想、おありになるとするならば、何に使うのが一番いいんですか。それを教えていただきたい。
○鈴木(淑)委員 塩川大臣は、いざとなると答えないで僕に質問されますが、今のは、でもお答えするのは簡単です。
 私どもは減税を言っています。減税。所得減税を言っています。さっき言った形の、控除を整理して、そして課税最低限をぐっと下げておいて、増税にならないように税率をぐっと下げる、トータルでは減税にしようよと。これは即効性はないけれども、構造改革を考えたら、所得減税というのは大事です。しかも、今言ったような形のね。
 そういうことを考えておりますが、質問に答えないで質問されてしまったので、塩川大臣は何を考えているか結局わからずじまいですが、これ、また時間をとられると困るので、次に参ります。
 ただ、塩川大臣、ぜひこういうことをよく考えていただきたい。三十兆円の枠をただ守るというだけでなくてですね。
○塩川国務大臣 わかりました。減税に使うと。そのかわりにまた給付の方も下がるということも、やはり、これは国会が理解してくれなきゃいかぬですね。国民と国会が理解してくれなきゃならぬ。そこが難しいところでございまして、しかし、鈴木先生の提案でございますので、私も、これ、ちょっとこの前も雑誌で読みました。ですから、この提案、真剣に考えさせていただきます。
○鈴木(淑)委員 私の雑誌論文まで読んでいただきましたそうで、ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
 時間がなくなってきましたので、日銀総裁、外債オペについて朝から議論が出ておりますが、外債オペについて私の考えていることを申し上げて、総裁のお考えをお尋ねしたいと思います。
 先ほど来、日銀による外債オペは、主として円安誘導策という角度でしか議論されていない。だけれども、この外債オペというのはどこから出てきたかというと、デフレを阻止するために一生懸命金融緩和を日銀にやらせているんだけれども、一向に効果が出ない、何かいい方法はないだろうか。日銀はもう国債も相当買っている。そして、六兆円以上のアイドルバランス、使われないお金を当座預金に置いてある。どうも効果が出てこない、何かいい方法はないか。それで一番乱暴な議論は、土地を買わせちゃおうかとか株を買わせちゃおうかとかいう、これが一番乱暴な議論ですね。それで資産価格を日銀の力で上げさせたら、少しはデフレもおさまってインフレが始まるかもしれない、こういう乱暴な筋の悪い議論の中からすっと出てきたのが、じゃ外債を買ったらどうだろうかという話なんですね。
 さっき日銀総裁おっしゃいましたように、これは二つの側面があります。一つは、日銀券の裏づけとなっている資産としていいかどうか。これじゃもう、土地を買えとか株を買えなんというのは問題外だと、これはすぐアウトになるんですね。ところが、外債ということになると、かつてIMF体制のもとでは、外貨は日銀券の裏づけの資産としては一番いいという議論さえしていた。その後、フロートしちゃったために、ドル相場が動きますから、まあドル建ての外債が固定相場制のころほどすぐれた日銀券の裏づけだとは思いませんが、しかしそれでも、米国政府が出したドル建ての国債なら、これは基準をパスするなということになると思いますよ。
 だから、日本の国債を幾ら買っても効果が出ないから土地を買え、株を買えというのに対して、それはだめだと。しかし、外債、アメリカの国債なら話になるかもよというところから出てきているんですよ、これは。
 そして二番目に、ところでサイドエフェクトとして、副作用として、これは円安誘導の効果を持つかもねと。この副作用は、いいことだろうか、悪いことだろうか。目先的にはこれはいいことじゃないか。なぜなら、円安なら輸出が伸びる、輸入が抑えられるということで、需要効果が一つある。もう一つは、円安なら輸入物価が上がるから、少しはデフレがおさまるかもしれない。副作用としてもいいところがあるじゃないか、これが二番目の議論ですね。
 ところが、皆さんはこの二番目の議論を中心に据えてわいわいやっている。でも、本来は最初に言ったところから出てきているんですよ。二番目の副作用が悪くないから目をつぶっちゃおうかというところに皆さんの関心がいっちゃっていますが、最初のところから出ていけば、私は、これは検討に値するなと思っています。
 特に、為替相場担当の塩川財務大臣が、この副作用、悪くないね、日銀、やりたきゃやったらいいのにと言ったら、これは案になるんだと僕は思いますね。日銀としては、為替相場は担当でないから自分の方からは言えませんが、財務省の方は、この副作用は悪くない、どうぞ、こう言えば、日銀としては本来は最初のところなんですよ、日銀券の裏づけの資産としてこれはいいかなという方法なんですから。そこを役割分担した上で、二つ手を組めば案になり得ると僕は思っています。
 速水総裁、いかがでしょうか。
○速水参考人 二つ目標があると。一つは円安であり、一つは資金の供給源になると。おっしゃるとおりだと思いますが、これは、二つは一つの取引ですから、一つの取引を通じて円の資金、日本銀行券が出ていくということも起こってくるわけで、出ていく先が、外貨を売ってくださるところへ出ていくわけですけれども、売る場合に、今の日銀法では、市場に対して、外貨と円貨とを売買する取引は、特に為替レートを調整するための取引というのは日本銀行はできないことになっております。円貨を供給するためにやったらいいとおっしゃいますけれども、取引は一つでございますから、そういうわけにはいきません。
 それから、円貨の当面の供給については、今こういったことをやる必要はないというふうに思っております。
○鈴木(淑)委員 日銀総裁のお立場で、現時点ではそういうふうにお答えになるだろうと予想をしておりましたが、政策委員会でぜひ御議論をいただきたいと思います。
 最後に、柳澤大臣、どうもお眠いかと思いますが、目を覚まして聞いてください。時間がほとんどないので、柳澤大臣、御質問申し上げないで大変失礼いたしました。
 私は、不良債権処理についてこういう考えを持っております。この前本会議場で、代表の、あれは反対討論のときにしゃべったことなんですが、不良債権処理を早く済ませなきゃいけないのはどういう不良債権かといえば、バブルで踊って本業以外のところへ手を出したり、あるいはバブル時代に過度の投資をしてしまった、その結果、非常な借金を背負ってしまった流通やゼネコンなどの一部の大企業。これは本来もう整理されてしかるべきなのに、大きいという理由で銀行が整理しかねて抱えてきている。つまり、これは銀行の貸し出しの査定が甘かった、護送船団方式の中で甘い査定をしていたということだ、この部分をもう整理しちゃおうよと。これは、私はそう思うんですよ。それから、外国の私の友達も、そこを整理しろと言っています。
 しかし、この前もこの委員会で柳澤大臣に質問いたしましたが、十年間経済が停滞している。まともな中小企業、中堅企業でもじりじり悪くなってきている。そこに最後のとどめを刺すように、今マイナス成長が始まっている。その結果、今までは要注意貸し出しで済んでいたんだけれども破綻懸念先にだんだんとずれていく、そういう企業が今ふえてきていると思うんですね。これを早期処理すべきか。私は早期処理すべきだとは思いません。こういう企業を支えることこそ、リスクをとる銀行の使命だと思っています。こんなところまで機械的に査定して、ああ、これは破綻懸念先に入っちゃったから整理だ、あるいは引当金を積めと、ぎゅうぎゅうやるべきではない。
 とにかく、ここまで景気が悪くなっているときですよ、それも長期です、十年以上。ですから、私は、ここで不良債権処理の中身を分けるべきじゃないかと思っているんですね。最初申し上げましたようなところは二年以内に処理する、その方針でばあっとやってもらって結構です。その結果おかしくなった銀行があったら、その銀行も整理すべきですよ。だけれども、そうじゃない一般の企業まで厳しく査定して、銀行に向かってあれ整理しろとやったら、生き残れる企業、銀行までつぶしてしまう、日本経済の大事なところをつぶしてしまう。これをむしろ守るべきだ、銀行は守るべきだと私は思っております。柳澤大臣、いかがでございましょうか。
○山口委員長 時間が終了しておりますので、簡潔にお願いいたします。
○柳澤国務大臣 そう変わった考え方は私持っておらないと思います。基本的に、あえて先生とちょっと違う角度からいえば、私は、構造不況の部分はやはり着目して、これはもう循環的に若干よくなっても、これが浮き上がるということは考えられませんから、ここはやはり整理をすべきだ。それから、非常に中小企業で、例えば技術を持っているとかということでいい部分、こういうものが循環的に若干赤字が続いていても、それは要注意程度にとどめるというのがマニュアルの大体指示しているところと一致しておるというふうに私どもは考えております。
○鈴木(淑)委員 では、時間でございますので終わります。ありがとうございました。
○山口委員長 次に、吉井英勝君。
○吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。
 私、最初に、今ちょうど来てもらいましたが森金融庁長官の方に確認しておきたいと思います。
 三日の予算委員会で佐々木憲昭議員の質問に、「銀行が、不祥事件だとか、あるいは、そこまでいかなくても社会的批判等を受けるようなことをやっているということが監督当局の耳に入れば、それは必ず事情を聴取しておるわけでございまして、それに基づいて適正な対応、非常に極端な場合は二十四条報告をかけるとか、そういうことも監督当局はやっております」という答弁でした。この立場で臨んでいかれる、こういうことで間違いありませんね。
○森政府参考人 お答え申し上げます。
 そのとおりでございます。
○吉井委員 それで、バブル期に銀行は紹介融資、提案融資などむちゃをやって、今たくさんの金融被害者を出している問題をこの委員会でも紹介いたしましたが、きょうは、善良な市民が知らない間に総会屋の借金の保証人にされ、今住んでいる住居ビルを取り上げられようとしている、こういう形の不良債権処理と言われるものの実態というものを見ていきたいというふうに思います。
 最初に警察庁の方に伺っておきますが、私も見させていただいておりますが、九三年八月二十五日付の新聞報道で、警視庁はキリンビール事件で、総会屋である大矢秀利という人物を商法違反として逮捕したということが発表されました。警察庁が、兄の大矢勝利という人物を中心とする大矢グループといっている総会屋の一人であり、オフィス大矢の代表であるこの人物ら多数が逮捕され、起訴された、これがキリンビール事件でありますが、このキリンビールの総務部長は懲役六カ月など、会社側幹部四人が懲役刑の判決を受け、総会屋の側も懲役四カ月から六カ月あるいは罰金刑を受けたとされておりますが、キリンビール事件の概要というのはこういうことで間違いありませんか。
○中村政府参考人 お答え申し上げます。
 お尋ねの事件につきましては、平成五年、ビール会社から同社の株主総会における議事の円滑な進行に協力してもらいたいとの趣旨で、いわゆる総会屋に対し現金合計四千数百万円の供与がなされたとして、同年、警視庁において会社側四名、総会屋側四十五名を商法違反により検挙したものであると承知しております。
○吉井委員 あらかじめレクチャーのときにも懲役刑も聞かせていただいておりますから、そういう刑罰を受けたということもそのとおりだと思います。
 次に法務省の方に伺っておきたいと思うんですが、総会屋と企業活動や関係について、八二年施行の商法改正で、利益供与した会社幹部及び供与を受けた総会屋等に対して、利益供与を犯罪として懲役刑または罰金刑を科すこととし、九七年改正では懲役も罰金も重くしたと思うんですが、その点、確認しておきたいというふうに思います。
○房村政府参考人 お答えいたします。
 御指摘のとおり、昭和五十六年の商法改正によりまして、取締役等が株主の権利行使に関して会社または子会社の計算において金品の供与を行った場合、これを処罰することといたしました。当初、この法定刑が懲役刑としては半年、罰金として三十万というものでございましたが、これを平成九年の改正によりまして三年以下の懲役または三百万円以下の罰金としております。供与をした者は当然ですが、情を知って供与を受けた者も同じく処罰されるということになっております。
○吉井委員 三和銀行が、このキリンビール事件で逮捕されて名前が既に天下公知のこととなっている総会屋オフィス大矢の代表大矢秀利という人物に送った金の入金表の一部がありますが、これは関係者の方からお借りしたもののコピーの一部です。新聞記者の方などが調べたところでは、一九七六年ごろからこの大矢グループというのは三和銀行に出入りしていたようなんですが、この入金表というのを見ると、例えば九三年四月二十二日が集金日として、三和銀行本店総務部の参与の、HさんならHさんにしましょうか、から、九二年度下期分六万、九三年度上期分六万、合計十二万円が、入金、済みと記され、領収書も発行したことが済みと記されております。これはキリンビール事件以前のものなんです。
 キリンビール事件後も、年間二十四万円に引き上げられて、三和銀行から九四年も五年も六年もずっと入金が続いております。
 法務省に伺っておきたいんですが、総会屋に、機関紙代名目であれ何であれ、金融機関が定期的に金品を送るという行為は、商法二百九十四条ノ二、四百九十四条、四百九十七条に照らして、これは法律に触れる問題、そういう問題としてこれはきちんとよく見ていかなきゃいけない内容かなと思うんですが、この点はどうですか。
○房村政府参考人 具体的な事件に関しましては事実関係も承知しておりませんのでコメントを省略させていただきますが、一般論として申し上げますと、商法の規定で禁止されております金品の供与は、商法の四百九十四条について申し上げますと、議決権行使等の株主等の会社法上の権利の行使に関して不正の請託をし、これに起因して供与がなされるという場合でございます。
 また、先ほど申し上げました四百九十七条の方につきましては、株主の権利行使に関して会社または子会社の計算において供与がなされるということが必要とされております。
○吉井委員 それで、株も持っている方なんですが、そこで、金融庁監督局銀行第一課の方には、この大矢――この利という字をトシと読めばトシスケとなりますが、利助さんの娘さん、正子さんから、ことし八月以来、三和銀行と総会屋との関係も含めて調べてほしいという要請がありましたが、総会屋との関係を調べているのかどうか、まずこれを最初に伺っておきたいと思います。
○高木政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘の案件につきましては、今いろいろ調査中でございます。
○吉井委員 まあ、調査中ということです。
 それで、冒頭に森金融庁長官に確認しておきましたが、銀行が不祥事件、社会的批判等を受けるようなこと、耳に入れば、必ず事情を聴取、極端な場合は二十四条報告をかけるということであります。また、去る十一月二十八日のこの委員会で、三和銀行の室町頭取の方からは、金融被害者問題について、一部ではそういう事件が、そういう批判を受けておるということは承知しております、こういうことの後、お客様とよくお話をして、誠意を持って解決に努めるという答弁をしておられました。
 ですから、森長官の答弁、また三和銀行の室町頭取の答弁も、やはり問題は解明するということと、問題があればお話をして、誠意を持って解決に努めるということを明らかにしていらっしゃるので、私は、この二つの立場で解決すべき問題というものを一つ指摘しておきたいと思うんです。
 二カ月前に実は九十三歳で亡くなられた大矢利助さんが、八八年に三和銀行巣鴨支店から四億円借りて自宅兼用ビルを建てたことから、言ってみれば不幸が始まりました。十年間きちんきちんと、一切延滞することなく、元金分でいえば一億円返済、利息を合わせると二億七千万円支払ってきて、そこまでは何の問題もなかったんですが、約束どおり、十年たって残る元金の三億円の返済方法を決める段になって、この利助さんが連帯保証人になってもいない、サインもしていない、本人が実印をついたわけでもない、全く身に覚えのない借金三千二百万円を残る元金と合わせて一緒に払えと三和銀行が言い出してから問題が表面化してきました。
 実は、この問題の発火点になった借金三千二百万円や、途中で大矢利助さんの名で、本人が知らない間に三和銀行が担保設定して法務局に登記までして、大矢利助さんが二億五千万円の借金の保証人になっていたというのも、これは実際、東京法務局豊島出張所の登記簿謄本がありますから一目瞭然なんですが、これは全部、三和銀行と、総会屋大矢オフィスの大矢秀利と兄の総会屋大矢勝利という二人の人物がやっていたことであって、こういうことは、三和銀行本店と総会屋の長年の癒着の中で行われた事件だったというふうに考えられると思うんです。
 まあ委員会のことですから、個別具体の案件について、それは私は、その問題点だけ今紹介したところですが長い途中経過は省略しますが、利助さん側が自分のビルを三和銀行に取り上げられるようになって、最低競売価格を上回る一億五千万円で買い取る話まで一度進んだんですが、これでも、この大矢利助さんがきちんと銀行に元利合わせて支払った二億七千万円と合計すると貸し付けた四億円を上回っておって、銀行は別に損はないわけですが、利助さん側は、頭金で五千万円用意されて三和銀行の前に差し出された。残る一億円は一カ月以内に支払うという弁護士が書いた保証書も示されたんですが、しかし、三和銀行の方は、別の建設会社に売って、この建設会社に改装して転売させてもうける方を優先して、結局、裁判所の和解の勧めもけって、大矢利助さんの家を競売にかけるということになりました。
 そこで、私は、二つの立場ということを言いましたが、森長官答弁どおり、三和銀行と総会屋の関係をきちっと解明していくということが一つあると思うんです。もう一つの問題は、これは個別案件について、三和銀行の室町社長も国会で、誠意を持って解決に努める、こういう答弁をしておられたわけですから、九十三歳の御老人を苦しめて死に至らしめた問題の解決をやはり図らせる。私は、この前も紹介しましたが金融にまつわる随分多くの被害があって、その訴えも聞いておりますが、やはりそういうことをきちっと解決させるということが、金融機関の信頼も回復するし、日本の金融のあり方というものをまともなものに、正常なものに、姿にしていく上でも大事なことだと私は思うんですが、森長官なり柳澤大臣なりからこの二点について伺っておきたいと思います。
○柳澤国務大臣 金融機関にせよどんな企業にせよ、やはりきちんとした、法令に沿ったいろいろな商行為というものが基盤になっていなければならない、こういうように思いまして、もし法に反するようなことがありますれば、それは司法を通じて正義が実現されていかなければならない、このように考えております。
○吉井委員 ですから、最初に森長官のこの間の答弁を確認させていただいたんですが、不祥事件、社会的批判等を受けるようなことをやっていることが耳に入ったら必ず事情聴取等をやるということですから、そうしたら、この間答弁された森さんからお聞きしておきましょうか。
 一つは、やはり総会屋と三和銀行とのこの問題をきちんと調査する、その上で、あなたの口から初めて言うんだったら大変だと思うんですけれども、この間国会へ来て社長の室町さんが言っているんだから、個別の案件についてはお客様とよくお話をして誠意を持って解決に努める、それを促していくという立場でこういう問題をきちんと解決の方向へ向かわせて、やはり金融機関というものが信頼が回復されるような道を進ませるということが大事だと思います。森長官に伺っておきたいと思います。
○森政府参考人 お答え申し上げます。
 一般論で言えば、先般御答弁させていただきましたとおり、仮に、銀行にかかわる不祥事件あるいは銀行に対する社会的批判等が起こるような件が耳に入りまして、その業務運営の適切性に疑義が生じた場合には、当方として当然事情を聞きますし、場合によっては銀行法二十四条の報告徴求を行うということも当然しなければいけませんし、そういうことを通じまして銀行側の体制整備等の改善を促すこととしております。
 本件につきましても、こうした監督行政の一環として、現在、先ほど高木監督局長が申しましたとおり調査中の段階でございますが、適切な対応をしていかなければいけないと考えております。
○吉井委員 一般論の話とともに、具体的に今調査中ということですからこれは進めてもらうとして、後段の方、これは室町頭取もここで答弁しておられるので、その立場で話をきちんと、これは実際に解決するのは銀行の方の話ですから、それを促していくということで、それもあわせてされますね。後段の答弁がありませんでしたが。
○高木政府参考人 恐縮でございますが、私からお答えさせていただきたいと思います。
 こういう民事上のいろいろな争いが生じたときに、室町頭取がおっしゃったんだと思いますけれども、誠意を持って交渉していくということは、私はそれはそれで当然のことだと思うのです。先生おっしゃるように、それがひいては信頼の回復につながっていくということも、これはそのとおりだと思うんですね。
 ただ、いずれにしても、本件につきましては、既に司法手続に入っているという面もございますからなかなか一概に私どもから云々はできないわけですけれども、先生の御趣旨については十分意を体してやっていきたいと思います。
○吉井委員 そういうことで、私の意というよりも、社会的公正、正義を回復するということで、私は、やはり裁判といっても、この間も弁護士さんから参考人としての御意見がありましたけれども、被害者側が立証しなきゃいけない、こういう困難な中で司法手続だけでは百万と言われる非常に多くの金融被害者が救われないという現実があります。ですから、そういう点で本当に、調査とあわせて解決を促していくようにやってもらいたいと思います。
 大体、五千万円以上ぐらいの融資になってくると支店長決裁でできないんですよね。二億五千万の金を設立登記から二十日目の名もない会社で、代表取締役に名を書いてある人が総会屋で、三和とも長いおつき合いもあったという人になってくると、普通だったら、そういう会社に貸し付けるなどということは、これは三和銀行本店幹部の決裁なしにはできないんですよ。
 よく不良債権、不良債権という言葉はありますが、私は、不良債権というのなら、総会屋との関係を持って融資を現場に実行させた三和銀行本店の幹部こそ最大の不良債権じゃないか、不良幹部じゃないかというふうに世間から言われても仕方がないんじゃないかと思いますよ。不良債権処理というなら、こういう人たちこそきちんと責任をとらせることであり、まじめに生きている庶民や中小企業をいじめることじゃないと思うんですね。
 この点について徹底した解明と、今回一例を御紹介しましたが、百万と言われる金融被害者の皆さん、その救済につながる解決というものをやはりきちんと図っていってもらいたいというふうに思います。これは森長官なり柳澤大臣なりからこの点について一言伺って、次の問題に移りたいと思います。
    〔委員長退席、奥山委員長代理着席〕
○柳澤国務大臣 金融機関の業務の適正性、これを確保していくことは私どもの使命だと存じておりますけれども、個人の救済の問題ということになりますと、これは国家の機構の中でも部署がそれぞれ分かれているというように思います。一つは司法の救済ですし、もう一つは消費者というんでしょうか、企業との関係、取引の間でトラブルがある、あるいは不満足な点があるというような問題については、消費者保護の立場で国民生活センターなりなんなりというところが担当しているというように、問題を分けて考えていくべきだろう、私はそのように考えております。
○吉井委員 国のことですから、つかさつかさがあるのはわかり切った上で言っているのです。しかし、金融の分野で被害者が出ないためにも、実際に金融機関がおかしくならないように、おかしいことをしないように、もしやったらそれを正させるようにするということを通じて、被害者の救済につながっていくわけですから、いわゆるそういう立場できちんと臨んでもらいたいということを申し上げて、消費者保護法とか別な方は今の経済産業省の方であるんですが、本来は金融についてもきちんとした制度、仕組みをつくる必要があるので、それを金融庁の方は金融庁の方としてやはりちゃんと取り組んでいかなきゃいけないので、それを大前提とした上での議論なんですが、きょうはちょっとテーマが違うから。
 次に、地域経済、中小企業をどう支援していくかという問題で中小企業庁の方に伺っておきたいんですが、東京の大田区と東大阪市を初め大阪東部の地域というのは、何度も取り上げていますが、中小企業白書では二大基盤的技術の集積地というふうに言われてきました。原発からロケットから人工衛星から、生物工学の機微な技術を要する製品など、それをつくる優秀な能力を持った中小企業のネットワークの力で生み出してきたところです。ネットワークというのは、機械がいいだけじゃうまくいかなくて、腕もいい、そういう溶接やら旋盤やらプレスやらいろいろな技術者集団が、一つ一つは中小企業でもその地域にあってネットワークを組んでこれが生み出せたのです。今、そこが東京でも大阪でも危なくなってきているんですね。
 中小企業の七〇%以上が、需要の停滞や単価切り下げにより今赤字決算を余儀なくされているという実態があります。長引く消費不況で注文がないために、信金、信組あるいは銀行からの借入金が約束どおり返せなくなって、返済期間の延長や月々の返済額の引き下げなど、条件変更を求めているというところはいっぱいあるんですね。景気が回復すれば借金はすぐ返せるんです。ですから、この不況のトンネルを抜けるまでの問題なんですが、こういう中小企業を不良な企業と見ているのか、こういう企業の債務というのは不良債務と見ているのか、中小企業庁の方の考え方というのを伺っておきたいと思います。
○西村政府参考人 お答えいたします。
 中小企業庁といたしましては、中小企業というのは日本経済の競争力の淵源と考えております。そのために、各般いろいろな施策を打って支援しておるところでございますけれども、それぞれ中小企業が陥っているいろいろな債務状況がございますけれども、それはそれぞれ適切にそれぞれの事情に応じて我々として対応していくというふうにいたしております。
○吉井委員 ですから、端的に伺います。もう一遍伺っておきますが、そういう不況のトンネルを抜けるまで、非常に苦しんでいるまじめな企業、こういう中小企業を不良な企業という見方はしませんね。また、そういうところの抱えている債務を不良債務とは見ませんね。
○西村政府参考人 中小企業はそれぞれの経営の状況、いろいろな状況によって苦境に立つことが多々ございます。そういうふうな苦境に立っている企業全体を不良な企業、これがだめな企業というふうに中小企業庁としては見ておりません。
○吉井委員 それから、九九年秋に中小企業基本法を変えて、ベンチャー企業と一部優良企業を支援するのがこれからの中小企業基本法だというふうにしたわけです。
 実は私、四日ほど前に東大阪の新規創業した中小企業から話を聞いてきたんですが、だから皆さんが創業だ開業だとこれまでずっと盛んに奨励してきたわけですね、その新規創業の会社、設立二年目なんですが、一年目はもちろん赤字ですよ。ことしもこの不況だから赤字決算の見通しだということですよ。そうすると、二期連続、二年連続赤字ということで、銀行からすると不良債権ということになるんですが、この中小企業もその場合、不良企業と見ていくのか。大変であっても、決してそれは、せっかく皆さん奨励された創業、開業で頑張っている企業ですから、不良企業とは見ないというこの立場で支援を考えていくのか、そこを伺いたいんです。
○西村政府参考人 中小企業の状況によりましては二期連続で赤字になるというような状況もございます。しかしながら、その中でもその後頑張って黒字になる企業もございます。したがって、それによりまして我々としては支援の対象にしないとか、そういうふうな偏見を持って見ておるということはございません。
○吉井委員 実は、ことしの中小企業白書の中でも書いていますが、開業率は増加しているものの廃業率の増加の方が顕著である。何しろ物すごい状況は悪いんですね。せっかく皆さんが創業だ開業だ支援するといっても、現実には廃業に追い込まれておるところが物すごい多い。ですから、そういう中で、そうしたら条件変更、二年連続赤字、二期連続赤字で、金融機関が不良債権として、そういう場合、追加融資を打ち切ったり、貸しはがしにかかったり、さらには担保物件を売り飛ばしたりしてくると、創業、開業どころか廃業にどんどん追い込むことになります。
 ですから、中小企業庁として、こういう場合何か具体的な対策というものを、不良企業じゃないんですから、金融機関は幾ら不良債権だといっても中小企業の方は不良企業じゃないんですから、どうしてこれを支援するのか。何か対策をとっているのか、伺いたいと思います。
○西村政府参考人 中小企業庁といたしましては、現在新しい創業融資制度というものをつくるべくお願いをして、補正予算でもお願いしたわけでございますけれども、これはまさに、無担保無保証、本人保証もなしで、しかもそれまでどのような専門的なことをやっていたかというふうなことも問わないで、我々としては、新しい事業を起こしていくという方を支援していくという形で、新しい融資制度などを起こしております。
 このような形で、その前にどういうふうなことがあったかどうかというふうなこととは別で、新しいことをやることにおいてはそういうふうな形でやるとしておりますし、また、創業当初で当然それは赤字が出るものでございます。そういうふうな創業当初で出てくる赤字が続いているからといって、その後もそれをいろいろ新しい融資、この制度は創業間もない企業も対象になるわけでございますけれども、そういうふうなところに対しても、それのことのみをもって支援の対象にしないというふうなことはしないように考えております。
○吉井委員 創業、開業もそうなんですが多くのところは、現にやっている中から新しく業を起こしているとか、そういうところも結構多いわけなんです。この既存の企業についても、まじめに一生懸命やっているんだけれども何しろ消費不況で注文が入らないから大変とか、そういうところが廃業にどんどん追い込まれて、中小企業白書でも廃業の方が顕著だということになっているんですから、こちらの方についても同様に支援をするという立場で臨まれますね。
○西村政府参考人 お答えいたします。
 創業のみならず、現在頑張っておられるやる気と能力のある中小企業、これが廃業その他失敗にいろいろ追い込まれることのないように、我々として中小企業施策を万全にとって対応してまいりたいと考えております。
○吉井委員 中小企業庁の意気込みはわかりました。
 しかし、現実に地域金融機関がどうなっているかというのは一方であると思うんです。信金、信組というのは、営業マンが足で地域を回って、物的担保能力は余りないんだけれども、地域の個々の中小企業の総合的な実力を本当に評価する目ききの力を持っているんですね。それで、簡単に不良債権とはしないで、大変な中でも地域の中小企業と地域経済が成り立つように頑張ってきました。
 ところが、最近の金融庁の方は、検査マニュアルの一律適用で、地域金融機関の持っているそういう目ききの力や役割を考えない。融資先を機械的に、要注意債権だ、破綻懸念先だ、実質破綻だと割り振って、それに見合って貸倒引当金を積みなさい、こういうふうにやってくるものですから、信金、信組の方も追い込まれて、今度は、地元の中小企業の方への融資を打ち切ったり、回収の強化で倒産に追い込んでいくという問題が出てきたりしております。
 実は、ずっと優良企業でやってきた企業が不況で今赤字企業になった場合、一千万円貸し出すと、三%相当の貸倒引当金三十万円積まなければいけない、だけれども利息収入は二・五%として二十五万しか入ってこない。そうすると、まじめに信金、信組が地域金融機関としてお客さんに融資すれば、長いおつき合いで優良企業なんですが、融資したら、引当金これだけ積むことになると利益がマイナスになるんです。
 つまり、破綻を避ける努力をすると地域金融機関の役割が、自分が破綻しないようにしようと思ったら役割を果たせないし、役割を果たすと金融庁マニュアルで自分が破綻させられる。今こういう状況に追い込まれているんですが、柳澤大臣、この日銀の短観でもこの中小の資金繰り大変というのはわかっているわけですが、地域金融機関としての信金、信組を支援してやはり中小企業を金融の面から支えるという、そのことを本当に考えた対応が必要なんじゃありませんか。
○柳澤国務大臣 先ほど来、いろいろな角度からの御質疑を中小企業庁担当者との間でなさっているのを聞きまして、私どもの方も検査マニュアルなどを見ておりますが、例えば創業赤字の場合には、赤字があるからといってこれを要注意にする必要もない、正常先にとどめておいてよろしいというような扱いもございます。また、既存の企業の場合に、赤字が続いていた場合でも、要注意ということは業況不振ということであり得ても、それでもってすぐ何か破綻懸念だとかなんとかというふうに見るということはない、特に中小企業、零細企業については実質的に見るように、画一的、形式的に見るということは避けるようにというようなことをいたしているわけでございます。
 したがって、大体今先生がお挙げになったようなケースで、本当に実力があって、この不況が過ぎ去ればまた健全な企業として活動されるというようなものについて、何か破綻に追い込まれるような取り扱いは検査マニュアルの方から見てもないんではないかというように、先ほど来のお話をお聞きして私は考えておったわけでございます。
 そういうことで、信金、信組などについてはよりきめ細かく、検査等に当たっても状況を見るようにということを検査官に徹底させている状況でございますので、非常に理不尽というか画一的にやっていくというようなことは、これは金融機関の側にとっても収益の源を断ってしまうというはね返りを受けるわけですから、そこはよく状況を見て判断していっているものと考えておるわけです。
    〔奥山委員長代理退席、委員長着席〕
○吉井委員 そうおっしゃったんですが、現実には、ことし一月以来、二十七組合、七金庫がこれまで破綻と本当に異常な状況ですね。ことしの十月の中旬以降、八週連続、信金、信組の破綻ですね。これは、検査マニュアルによって、そして引当金を積みなさいということで、どんどんどんどん破綻に追い込まれてつぶされていっている。その結果、地域の中小企業、地域経済に物すごく大きな影響が出ているのが現実なんですよ。そのときに中小企業は、破綻したら出資金は返ってこない、追加融資は受けられない、債権回収はRCCに送られると厳しくなってくるという三重苦に追い込まれていくというところにあるんですよ。
 それで、引受金融機関に破綻金融機関と借り手との返済条件で引き継がせる、こういうことをやらせていくということが一つ大事になっている。そうでないと、もう中小企業が成り立たないというところへ来ているんです。そのことが一つ。破綻した場合、引受金融機関に破綻金融機関と借り手との返済条件で引き継ぎが行われる。
 もう一つは、こういう問題も出ているんです。信金、信組の破綻したときの中小企業支援策なんですが、引き継ぎ金融機関の中には、破綻信用金庫のおいしいところだけとって、正常債権であっても要注意債権であっても、実情をよく知っている破綻金融機関の職員がいなかったら、実は引き継ぎ金融機関はわからないということが多いんですよ。その結果、機械的に不良債権に落としてしまったりして、この場合も随分中小企業が苦しまされるという事態が現に起こっております。
 それで、引き継ぐ職員がゼロだとそれまでの取引企業が迷惑をしますし、引き継ぐ職員がわずかだと、引き受けた側の職員は定時で帰っているんですが、破綻金融機関から引き継がれてきた職員の方は、何しろお客さんのことをよく知っているのはその人なんですから、夜の十時、十一時まで残業しないとこなせないほど、いわば過労死予備軍に陥るというのも現実に起こっています。
 ですから、私は、破綻金融機関が生じた場合、信金、信組ですね、職員の引き継ぎというのは、雇用問題だけじゃなくて、中小企業金融とか地域金融の役割を引き続いて正常に果たしていくという観点から見ていくということは、今、物すごく大事になってきているんじゃないか。おいしい債権のつまみ食いだけで、職員は一人も引き継がない、引き継がれた中小企業のお客さんも困らせるというひどいやり方を、現実に今出ていますが、金融庁はそういうことを許しちゃならないと思うんですよ。
 それはなぜかといえば、やはり銀行の公共性という役割、金融機関の公共性という役割、信金、信組の地域金融機関としての役割ということを考えたとき、やはりあくまでもこの引き継いだお客さん、その債権、それを目ききの力をもって臨んできた従業員の方含めて対応していかなかったら、大田区やら東大阪を初めとする二大基盤的技術の集積地は本当に大変なことになってきますから、私は、今のこの二点について、最後に柳澤大臣に伺っておきたいと思います。
○柳澤国務大臣 先般、これは参議院の方でしたか、やはり御党の委員の方から発言があって、まだそれはその破綻処理の一つのプロセスで、金融整理管財人が入っている場合の業務の方法についていろいろきめの細かい配慮をするようにという話を承りまして、私も、その点はそのとおりだろう、こう思って、整理管財人の方にそのことを既に通達いたしております。
 それから、債権を引き継ぎますときに、私どももある程度は、これは具体的には預保ですけれども、あるいは整理管財人ですけれども、どういう債権が引き継がれるかということについては、これは関心事項です、率直に言って。引き継ぎとは言い条、余りにも比率が低いとかというようなことは、やはりこれは問題というようなことで気をつけてはおりますけれども、さらに、その際、今委員の御指摘のような点についても特にこれからは配慮を要する点だ、このように考えます。
 それからさらに、融資先のことをよく知っている担当者をぜひ次の引き継ぎ機関に引き継ぐようにというお話ですが、私もよく感じはわかるんです。実際に債務者というか貸出先というのは、その店のだれだれさんと非常につき合って、その自分たちの事業の様子等も常に情報を提供して、いろいろ融資等に当たってそういったことの考慮を払うようにということをやっておりまして、かなり取引関係というのは、属人的というか、そういう要素を持っているということは御指摘のとおりです。
 そういうようなことで、私もよく承知をいたしておりますので、これここで、議会の答弁で責任大臣としてそれを全面的にコミットしちゃうというわけにはまいりませんが、ただ、それはもう非常に破綻の受け皿が、今度は探すのが難しくなっちゃうという面を懸念するわけです、いろいろ注文を出しますと。ですから、その点もありますが、よく配慮をしていくというように取り計らっていきたい、このように思います。
○吉井委員 時間が参りましたので、私、きょう後段で提起しました地域経済に係ってくる中小企業金融、地域金融の問題、これは今本当に深刻になっています。信金、信組もこれだけ短期間に連続的に破綻してしまって、それに伴って中小企業は面倒を見てもらえなくなっているという現実は実際にありますから、それから、破綻したところが引き継がれていったときの、もとのお客さんが現実に物すごく困っているんです。そういう点は、金融庁の検査マニュアルの機械的適用によって、そして引当金をどんどん積めということで破綻させるようなやり方というものは、やはりそれはきちんと改めるということをやってもらわなきゃならないというふうに思います。
 そのことを申し上げて、時間が参りましたので質問を終わります。
○山口委員長 次に、阿部知子君。
○阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
 きょうは、閉会中審査ということで、貴重な一日、朝から御出席の諸大臣、関係者、そして各委員の皆さん、なかんずく委員長も、大変御苦労さまでございます。あともうしばらくでございますので、よろしくお願いいたします。
 まず第一点目、塩川財務大臣にお伺い申し上げます。
 先ほど、鈴木委員と塩川財務大臣のいつもながらの骨太な論議を拝聴いたしながら、特に、来春に向けて、予算編成の折に、竹中経済担当大臣もおっしゃっておられましたが、新たな形での税制、国民が納得し、受給と負担についてきちんとした納得ができる税制の確立ということは、これからますます、経済全体が右肩上がりでない中では重要になってくると思います。
 その中で、塩川財務大臣、先ほど、税のことは国会で審議してもなかなかいろいろ意見もあってという御答弁もございましたが、私は、国会にいながら、この間のたばこ税と発泡酒の税制についての論議については、与党税調の中のお話と与党三党の中のお話が新聞紙上で漏れ伝わるということでしかなかなか見えてこない。
 そのこと自身にどういうスタンスをとるか。例えば私自身は、先回塩川財務大臣に御質問いたしましたように、たばこ税は、健康に対しての影響ということを考えて、ある程度たばこ税としての上乗せがあってもよいと私は考えておりますが、いろいろなお考えがございますでしょうけれども、大切なことは、それが論議されるということにおいて国民に意味が伝わっていく、ないしは、出してもいい、あるいは出すのは嫌だということが結論づけられていくことと思うのです。
 先ほど申しましたように、発泡酒とたばこ税にかかわりましては、新聞で数回報道されて、与党内では結論づけられているようにも思いますのですが、この間の経緯、簡単で結構でございます。それから、塩川財務大臣のこの間いろいろ思われたこと、そして、今後にどのような課題をお考えかということを一点、当初、お願いいたします。
○塩川国務大臣 酒税というのは発泡税のことですね、おっしゃっているのは、そういうぐあいに解釈したらいいわけですね。(阿部委員「たばこもお願いします」と呼ぶ)たばこと発泡税ですね、そうですね。
 まず、それじゃ、たばこに関心を持っておられるので。私は、たばこは上げていただいたらええなと思うて、実は相当値上げをしてほしいと期待をしておったのでございます。しかしどうも、やはり国会議員の方々は選挙しますので、そうすると、たばこ耕作者というのは相当たくさん残っておりますので、たばこ耕作者の影響がきついということをおっしゃる。
 一方、他のいろいろな政党から意見が出ましたのは、たばこの販売店、これが困ってしまうじゃないかという意見等がございますし、いろいろあって、結局、それじゃ国会の方の意向で、私、決めようかと思うておるのですが、どうも国会の関係筋の方では、たばこ税は値上げしないようなことに落ちつきそうだ、まだわかっておりませんけれども、そういう話を聞いております。
 一方、発泡酒につきましては、これまた国会議員の先生方は、一般庶民の楽しみにしておる晩酌の発泡酒を値上げするのはけしからぬ、こうなってまいりまして、これも結局は十四年度は値上げしないということになるのではないかと思うておりますが、最終の決定、まだされておりませんのでわかりませんが、そのようなことでございまして、なかなか財務省の思うておる意向は通らないというのが、ここがやはり私は民主主義の大事なところだと思っておりまして、やはりそういうので円満に物事は進んでいるんだと私は思っております。
○阿部委員 できれば、そうした論議が、先ほど申しましたような国会の場でもう少しオープンに行われるべきだと私は思います。
 増税というのは、入るをはかりて出るを制すのお話ではございませんが、必ずどこかには痛みというか、それを負担する側の問題が出てまいりますし、しかしながら、先ほど申しましたように、どの点ならみんなが納得できるかという一致点を、それは国民的論議で持っていくということであろうかと思いますから、どうか今後も、煙に巻くことなく、平場に論議をお返しくださいますようにお願い申し上げます。
 二点目でございますが、同じく税に関することでございますが、十二月五日に、小泉首相と民主党の鳩山党首との間の討論におきまして、いわゆる自動車重量税についてこれを一般財源化する、新聞報道によれば、そして私が聞きました限りでもございますが、小泉首相が明言しておられました。そして、十一日付の朝日新聞によりますと、自動車重量税の余剰分である三千億円を一般財源として利用するという報道もございました。
 一番当初の小泉首相の御発言は、一部ではなくて、自動車重量税を一般財源化するという明言でございましたが、その間に何かがあったやもしれませんし、現時点で、この自動車重量税の余剰分である三千億円の一般財源化ということに関して、塩川財務大臣のお考えを伺いたいと思います。
○塩川国務大臣 小泉総理なり私が終始一貫ずっと言っていますことは、道路特定財源全体でございますね、これはいずれ一般財源化したいということを言っておりまして、しかし十四年度中までは、それぞれ道路計画というのは法律で縛られておりますので、それに従いまして支出をしなきゃなりません。したがって、道路財源の一般財源化ということは、道路財源全体を一般財源化することは難しい。けれども、十四年度でその法律が切れますので、十五年以降においては、道路財源のあり方について抜本的な検討をし、一般財源化へ持っていきたい、こういうことを言っております。これが一つ。
 もう一つは、自動車重量税は、これは一般財源なんですけれども、しかし、設置いたしました当時、昭和四十八年ごろでございましたでしょうか、そのとき、国会の答弁で、これは一般財源ではあるけれども八割相当額は道路関係財源として使う、こういうことを国会で政府が言明しておりますので、したがって、その分について特定財源化しておった。これを今回、全面的に一般財源化したいということでございました。
 しかしながら、だからといって、自動車重量税全体を、国分全体でございますが、国分全体分を道路以外のところへ使用できるかといいましたら、そうはなかなかいかない。一部、もう自動車重量税とひっついた、密着した計画が道路予算の中にございますから、それは多少は配慮していかなきゃならぬということでございます。
 しかしながら、自動車重量税の大部分は一般財源化として使用することにいたしました。しかも、それを裏づけるための一つの事実といたしまして、道路関係財源と、それから、これに伴いますところの法律に基づくところの国の負担事業がございますが、それと合わせた道路関係予算というものが、実は、現実の道路関係予算よりも三千億近く上回ることになります。ということは、道路計画の十四年度道路予算の一〇%、一〇・四%削減したのでございますが、それをすることによりまして、道路特定財源並びにそれに伴うところの国費の補助を全部入れました道路予算というものが三千億円ほど余ってくる、余ってくるというか余剰が出てまいりました。これは完全に一般財源化として使う、こういうことにいたしております。
 そのほかに自動車重量税の中で一般財源化として使うものはある、こういうことでございます。
○阿部委員 先ほど鈴木委員との御討議の中では、こういう枠内に入り込んでの、そこでの、どう使うべきか、あるいは削減すべきかという論議以前に、課税のそもそも根本をというお話がございましたが、私は、ここでは塩川財務大臣の土俵に乗りまして論議をさせていただこうかと思います。
 今伺いました三千億円、それから自動車重量税の八千四百四十億円のうちの二割相当の一千六百億円を含めますと、約四千六百億円が一般財源化される。さて、この使い道についてでございますが、雇用も大変、いろいろ大変なところはあちこちございますのですけれども、私といたしまして、ぜひ医療制度改革の面から塩川財務大臣にお考えいただきたいことがございます。
 先ほど塩川財務大臣のどなたかの委員への御答弁の中、午前中でございましたが、三方一両損の、伊藤公介委員でしたかしら、お話があったやに思いますが、実は、三方一両損とは、患者さんそれから保険者、医療機関と、確かに医療を利用して成り立っている三方でございますが、御承知おきのように、もともと国民健康保険制度は、租税による、国税による負担分が二十数%ございますし、医療財源全体の三十兆を割りますと、約五〇%近くは患者並びに国民の負担、そして八%くらいが自治体負担、それから二四%くらいが国負担で、残る二二%ですか、事業者負担という割り振りになっておりまして、やはり、ここには何がしかの租税負担分というものも含まれて全体、医療財源が成り立っております。
 今回の、よく言われます三方一両損という発想の中には、当然ながら、高齢社会と申しますのは、御高齢者がふえて、病気をしないで済めば何よりでございますけれども、望んで病気になるわけでもなく人は病を背負うということがございます。その中にあって、ある程度租税からの捻出分もしかるべく、三方一両損と言っているのではなくて、大岡越前も一両出すと。でも、大岡越前は自分の財布かもしれませんが、これは租税から出すわけですから、国が高齢社会の医療の自然増というところを勘案しても、さらに医療制度の改革の中でやはりある程度国による支出分を検討されてしかるべきと考えておりますが、塩川財務大臣のお考えをお願いします。
○塩川国務大臣 医療というのを含めまして、社会保障関係費として私たちは検討いたしたことがございまして、それは八月の末の、概算要求を決定いたしましたときに、私と坂口厚生労働大臣との間で、十四年度社会保障費の中で、高齢化社会が進みますので、約一兆円を当然増として見込むということでございました。それに対しまして、医療関係も含んで、年金も含んででございますが、そのうち七千億円相当枠は国の方で手当てをするということをいたしたのであります。
 したがって、相当分はもう見ておりますけれども、医療費の抜本的な改定ということが、いわゆる医療費全体がかさ上げされてきておりますので、その分をどのように負担するかということが、今回医療改正の中で問題になってきたということでございまして、その分については三方一両損で処理してほしいと。だから、当然増についてはかなり一般財源で手当てしたということであります。
○阿部委員 今、我が国の健康保険制度は、例えば、失業に伴い組合健保から、それを失いました後、国保に必ずしも行かない。収入がないから国保の掛金ということも、払うのがきついというような形で、健康保険システムからある種脱落していかれる方もおられますし、高齢者のこの高齢者医療制度における自己負担増というのも、かなり現金収入の限られた中での負担として、一番痛みのきつい部分かと思います。
 それで、もちろん国の仕組みですから、先ほど申しましたように、どこかで痛みは分け合っていかなければいけないということは国民の理解にあるとしても、やはり基本的な生存権、何度も申しますが人は好んで病になるわけではございませんから、その辺を本当に、軽々に削減、負担増という形に向けることのないよう、私からも重ねて塩川財務大臣にはお願いしておきたいと思います。
 そして、あわせて、来年になりましたら、財務省主計局が計算されました診療報酬改定のことももう少しお時間をいただいて討議させていただきたいと思いますので、課題を翌年に残させていただきます。
 引き続いて、柳澤金融大臣にお願いいたします。
 みずほホールディングス、UFJ、三井住友、三菱東京等々の四大銀行グループの株が、十二月十日、年初来の安値を更新したという報道が日経新聞にございましたが、東証一部上場の銀行株全体の時価総額が約二十一兆八千八百億円ということで、昨年末の六割だというふうに報道されております。
 このことは、市場がいわゆる金融に対しまして、例えばこのままもしも、さまざまな不良債権処理に伴い、あるいは引き当て不十分、あるいは何らかの形で銀行も倒産するやもしれない、いわゆる市場から見たところの金融への不安感ということと同一視できると私は思いますが、年初来の時価の低下、このことについて柳澤金融大臣はどのようにお考えでしょう。
○柳澤国務大臣 金融あるいは銀行株のみならず、いろいろな株価について、この株価の水準がどうしてそういうところに来るのかという要因、これは非常に複雑でして、マーケットではいろいろなことをおっしゃるわけですけれども、当局としてこれだというようなことを申し上げるわけにはいかないということがまず申し上げられることでございます。
 そうは申しましても、現在の銀行株、これはとにかく、決算が赤字であるとか、あるいは三月期も同様に厳しい状況になるというような見通しを発表しておりますので、そういうことでそれに反応する株価になるということは、これは私ども公表の数字との関係であり得ることだというふうに思うわけでございます。
 しかしまた、それじゃ今の水準のようなものがどうかといえば、私どもは極めてこれは残念で、もう少しマーケットの人たちにも我々の、金融機関の、例えば自己資本の状況とか、あるいは不良債権をむしろ前倒しするような形で、赤字を覚悟してこれを処理しようとしているとかというような、そういう前向きの姿勢というか、そういうものももっと評価していただいたらいいのになと思っているのが私の気持ちでございます。
○阿部委員 もちろん市場も好んで暗い評価をするわけではないのだと思いますが、恐らくやはりそれでも、さまざまな、戦後最大の失業率あるいはせんだっての短観の御報告、そしてまたこの間の銀行の赤字の決算、こう続いてまいりますと、明るくなさいと言われても明るくできる要因の方が実は少ないというか見えない、先が見えない。
 その中で、先ほど、また鈴木委員を例に出して恐縮ですが、竹中財政担当大臣への御質問の中で、まず第一期痛み改革だから、痛いんだから暗いかもしれない、見えない、だけれどもこの先は第二期税制改革とそれから、さっき竹中大臣は経済産業活性化の未来、次があるから大丈夫というふうに簡単に言えば御答弁なさったと思うのですが、やはり、でも、今の政府の担当大臣の皆さんが送っていられるメッセージが必ずしも本当かなと国民がしっかり感じられないところが非常に私は大きいと思います。
 そして、私も含めてですが、ぜひ知りたいときっと国民が思っていることは、先ほどの竹中大臣の経済産業活性化の中身をもうちょっと踏み込んで、竹中大臣のイメージで結構ですからおっしゃっていただきたいのが一点。その中で、やはりイメージは現状を離れては成り立ちませんから、例えばIT産業の問題についても、アメリカでのIT産業のさまざまな今の先行きの悪さ、そしてそれを反映する形で我が国でも、この短観においても電気機械部門はマイナス六三ということで、非常に落ち込みが、業況判断でも指数がマイナスが強いということなどなども含み込んで、こうあらまほしきという未来像だけじゃなくて、やはり現状と余り乖離することのない方針を一点お願いしたいと思います。
 あと、教育とか医療分野その他で、先ほど来の五百五十万の雇用創出とおっしゃいますが、私自身は、自分がリアリティーが持てる分野で恐縮ですが、医療ということを考えました場合に、確かに、今医療はある種高齢社会に伴う成長産業、そういう言い方はちょっといけません部分もございますが、あえて言わせていただけば、需要が高い部分だと。ただし、非常に人件費比率が高い分野なものですから、いわゆる労働生産性というような指標を持ってきたときに必ずしも高い指標も出ない分野。これは教育とか介護、福祉になると、特に教育、保育などはもっとそうなると思うのです。
 そういうことをいろいろ勘案しますと、この夜明けはすぐ来るぞ、例えば六カ月、一年でマイナス成長も突破できるぞとかいうふうにはなかなか、いろいろな意味で思えない。もちろん私は、医療、介護、福祉分野にもっと人の手をということは、実は我が国を支える理念的な、哲学的な面で必要と考えておりますから、そのことには異論はないのですが、余りにそのことに明るい数値的見通しをされると、やはりそれは現状の労働の質ということをよくごらんになっていないのではないかと懸念いたしますので、以上二点、IT産業関連と教育、医療等々での竹中大臣のプログラムを、なるべく現実に即してお答えください。
○竹中国務大臣 御指摘のような点を諮問会議で集中的に議論するという段階でございますので、私なりの非常に漠然たる見方ということになりますが、その場合も、やはり足元を見ながら長期、まさに短期の動向と中長期の動向を少し分けてお考えいただく必要があるかと思います。
 短期的には、ITの部門での、電気機械等々での収益の落ち込みが特に目立っておりますが、リストラを進めることによって、実はその先に企業というのは収益基盤を回復するという、その循環的な動きをこれは必ず示すものでございますから、その循環的なものに関しましては、二〇〇一年度よりも二〇〇二年度の方が私は恵まれた姿になってくるというふうに考えております。
 その上で、中長期的な方向としては、恐らく産業としては、非常にフロンティアを切り開いていくグローバルなビジネスと、コミュニティーに密着して、生活に非常に密着したところで広がっていくようなビジネスと、その両方に日本は非常に大きなフロンティアを抱えているんだと私は思います。そのフロンティアを開発する基本的な力というのはやはり何といっても人でありますから、その意味では、教育、広い意味での教育、職業再訓練を含む広い意味での教育というのがその柱になっていかなければいけないのだと思います。
 医療の話を例に挙げられて、医療というのは非常に労働集約的である、医療だけではなくて社会保障、介護等々というのは労働集約的な産業であるというのは御指摘のとおりだと思いますが、実はこれは、世界の産業構造の変化を見ますと、先進工業国になればなるほど実は労働集約的な産業に移行しているという、レオンチェフという人が見出した非常に有名な原則がございます。これは例えばデリバティブのような、最先端の金融を扱うような産業というのは、実は非常に労働集約なわけですね。国際的なコンサルティング業のようなものも労働集約であって、その意味では、日本はそういう方向にいくというのは私は間違っていないのだと思います。
 人の能力を高めることによって、かつそれが規制緩和等々と絡んで、最先端のフロンティアの部分とコミュニティーの部分に、双方に議論を広げていく。その中で、恐らく、日本の特徴としては、環境とか安全とか健康とか、そういうものが一つの技術の開発の軸になってくるのではないか。これは私の個人の考えでございますけれども、こういうことをもっと整理して、もっと幅広い形で議論をしていきたいということを申し上げた次第であります。
○阿部委員 先ほどの御答弁の中で、短期的なものの事例がリストラというところしかなかったことはとても悲しく思いますが、と申しますのは、きょうの委員の何人かの御発言にもありましたが、やはり、人は働きたいと思い、それなりの役割を担って、例えば一家を支え、社会を支え、地域を支えております。その部分で、戦後最大の失業率であるということもよくよく念頭に置かれまして、これは、特に今中高年がリストラをされましたら、職業安定所に行ってみましてもわかりますように、ほとんど再就職がかないません現状の中で、やはりその辺の温かみのある政策ということもぜひぜひお考えいただきたいのが一点。
 それから二点目は、確かに医療等々は労働集約型ですが、これは、例えば医療関連の、パラメディカルスタッフも含めての、医者とか看護婦、リハビリ、事務、いろいろな、一人当たりの患者さんに何人の医療スタッフがいるかという数をヨーロッパやアメリカと比べましても、日本は三分の一、四分の一の、非常に人手が薄い、そして人手には診療報酬一つ十分に払われていない国でございます。本当に改革を望むのであれば、人を大切にするというのであれば、きちんと人手が評価される、人が評価される仕組みを具体的にお考えくださいますようにお願い申し上げておきます。
 そして、きょう速水日銀総裁にもお越しいただきましたが、もう朝からのお話で、ほぼ私の質問が御答弁をいただきましたので、恐縮ですが、ありがとう存じました。ごめんなさい。
 それからもう一点、柳澤金融大臣にいつもしつこく聞いている信金、信組の破綻問題も、実は、先回私が質問した十一月の二十八日から、三十日から今日まででもいいのですが、十二営業日のうちに八つ、また信組がつぶれているんですね。きょうも皆さんが随分取り上げてくださいましたから、私としても重なりになりますので申しませんが、やはり地域金融という意味で、各自治体までもがそこで何らかの取り組みをしなくちゃならない状態になっているということで、このペイオフ解禁ということをきっかけに、私も金融クライシスのような事態になるということを非常に案じております。
 そこで、柳澤金融大臣には、どういう指標でいわゆるペイオフ解禁をゴーとなさるのか。恐らくここにいる皆さんも、ペイオフ解禁そのものに異論があるわけではないと思うのです。でも、いろいろな不安定要因の中で、そこがゴーになったら本当に地域経済が立ち行かなくなる。そして、信金、信組からの預貯金率も、せんだっての御答弁だと減ってはいないということですが、つぶれていくところは減っているわけですから、そのトータルな中で考えましたときには非常に不安定要因が強いと思いますので、また来年改めてこの問題は質問させていただきますので、指標をよろしく教えてくださいませ、どういうことだったらゴーに行くかということで。
 本年締めくくりの質問をさせていただきますが、実は、この数日マスメディアでも取り上げられております川辺川ダムの問題でございます。
 私は、冒頭塩川財務大臣もおっしゃいましたが、やはり小泉構造改革なるものは、かなり国民にメッセージ性のある内閣であると思います。ただ、そのメッセージが具体的にきちんと遂行されないと、やはり国民は抱いた期待の分だけ傷つきますし、そればかりでなく、日本の将来にとってやはり非常にマイナスになるだろうということで、公共事業部分での一〇%削減という小泉内閣が出された当初の方針ということを念頭に置きながら、財務大臣にはしばらくお聞きいただければありがたいと思います。
 まず冒頭、財務省の主計局にお伺いいたします。
 いわゆる川辺川ダム問題は、三十五年前にこの計画がなされまして、当時、利水と治水の両方の側面、利水は農業用のかんがい用水あるいは発電、そして治水の方はいわゆる洪水の予防ということで考えられたわけです。この一点目の利水ということに関しましては、ほとんど現在の段階でその必要性が高くないというふうに多く共通認識に立っておりまして、治水の部分で、国土交通省側の皆さんのお出しになるデータと、それから住民の皆さんが民間の研究グループに投げて、いただいたデータがずれが生じてきている。
 そして、ついせんだって、十二月九日に住民集会が、これは県知事の招聘でございましたときに、国土交通省側がお出しになったデータからも、いわゆる川があふれるところはせいぜい一キロの範囲で、それも四十センチをかさ上げすればよいというデータが実は国土省側からも出ていたということで、今論議は改めて、その本来的な意味の治水についてもコストとその効果のところでまだまだ論議があるというふうにも伝わっております。財務省主計局とされまして、来年度予算の計画に際しまして、このような川辺川ダムをめぐるいろいろな国土交通省側とそれから住民側の調査のずれ等の実情については御認識はございますでしょうか。
○津田政府参考人 十四年度の予算につきましては、現在、国土交通省等の要求を受けましていろいろ検討を続けているところでございまして、来週には財務省の原案をお示ししたいというふうに考えております。
 それで、今の御質問でございますが、各年度の予算措置というのは、公共事業の場合は事業の進捗に応じて措置をするというのが原則でございます。
 一般論として申しますと、事業の内容でありますとか、あるいはその手続をどのようにするかということにつきましては、やはり基本的に事業を担当する各役所が判断することだと思っておりまして、私どもとしては、直接地元で皆様方とお話をしているということもございません。もちろん、各省庁のお話だけではなくて、私どもも新聞情報その他いろいろ情報は得ておりますけれども、やはり役所間の役割分担というものもそういうところで必要だと思っておりますので、今おっしゃった点につきましては、基本的に国土交通省でお考えになることであるというふうに思っております。
○阿部委員 やはり国民の大切な予算を使うことでございますし、特に、先ほど冒頭申しましたように、小泉内閣の何よりの売りがこの公共事業ということについて広く見直していく。この川辺川ダムは、既につけかえ道路ができ上がっていましたために今回見直しの対象にはなっておりませんが、実は計画から現在まで三十五年ございます。そしてその中で、きょう、水産庁長官にもおいでいただきましたが、特に漁業権の問題についてお伺いいたします。
 この球磨川という川の漁業権、アユがとれて、近隣でも大変評判の高い、全国的にも有名なアユでございますが、川の漁業権をめぐってこれを強制収用するというふうな事例はほかにはこれまでなかった。強制使用という形で六カ月とかの期間を区切って川を一時その目的のために使用したことはあるが、日本の強制収用の史上、川、漁業権そのものを強制収用するものはずっとなかったと伺っておりますが、今回、県の裁決申請というところにまで及びますときには、当然この漁業権、川の漁業権の問題を水産庁として御審議なさると思いますのですが、通常、特に川の一部の漁業権ということをめぐって、これからどのくらいの期間で調査、その結論に到達するまでの期間がございますでしょうか。
○渡辺政府参考人 幾つかの御質問をいただいたんですが、過去のケースとしては、これは土地収用法に基づく手続がとられました後、和解ということで高知県の内水面で五十七年に事例がございます。
 それから、お尋ねになったことの中で、恐らく分割であるとか制限であるとかということに伴って漁場計画を変える必要があるのではないかという御質問のように受けとめさせていただきましたが、漁場計画それ自身を変えるということになれば、通常は、法令上は三カ月前、それから指導では八カ月前といっておりますが、当該水域においては、土地収用法において強制収用がなされるというふうなケースにおきまして、漁場計画を必ずしも変更する必要はないものと私どもは考えております。
 また、この分割なり変更につきましては、漁業法上の規定ですと、漁業者みずからがその申請をする場合に手続が必要であるということを定めたものでございまして、同漁業法の中では、公益上の一部消滅であるとか分割につきましては手続は必要ないというふうにされております。
○阿部委員 せんだって土地収用法の改正がございまして、その中では、広くその土地の住民の意見等々もきちんと反映していくというお話もございました。
 今の水産庁のお話は必ずしも新たな土地収用法の理念に沿わないのかなとは思いますが、また、時間との関係でそこでとどめさせていただいて、ぜひとも塩川財務大臣に、公共事業全般の見直しで、今非常に焦眉になっておる課題という御認識をいただきまして、また折を得て御答弁をいただきたいと思います。
 ありがとうございます。
○山口委員長 以上で質疑は終了いたしました。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後五時十九分散会