第154回国会 本会議 第7号
平成十四年二月七日(木曜日)
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 議事日程 第六号
  平成十四年二月七日
    午後二時開議
 一 国務大臣の演説に対する質疑(前会の続)
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○本日の会議に付した案件
 国務大臣の演説に対する質疑(前会の続)

    午後二時三分開議
○議長(綿貫民輔君) これより会議を開きます。
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○議長(綿貫民輔君) 御報告することがあります。
 永年在職議員として表彰された元議員田澤吉郎君は、昨年十二月十二日逝去されました。まことに哀悼痛惜の至りにたえません。
 田澤吉郎君に対する弔詞は、議長において去る四日既に贈呈いたしております。これを朗読いたします。
    〔総員起立〕
 衆議院は 多年憲政のために尽力し 特に院議をもってその功労を表彰され さきに議院運営委員長の要職につき またしばしば国務大臣の重任にあたられた正三位勲一等田澤吉郎君の長逝を哀悼し つつしんで弔詞をささげます
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 国務大臣の演説に対する質疑 (前会の続)
○議長(綿貫民輔君) これより国務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。都築譲君。
    〔都築譲君登壇〕
○都築譲君 私は、自由党を代表して、小泉総理大臣の施政方針演説について質問いたします。(拍手)
 小泉総理、まことに残念ながら、あなたは、あらゆる面で根本的に間違っています。総理就任以来九カ月、そのことがいよいよ明らかになってまいりました。小泉総理ほど何もかもむちゃくちゃな総理大臣は、少なくとも戦後、ほかにいません。その意味で、戦後最低の総理大臣と言わざるを得ません。(拍手)
 総理は、小泉政権に反対する人はすべて抵抗勢力だとうそぶきましたが、我々自由党もいわゆる抵抗勢力だとお考えでしょうか。自由党は、小沢一郎党首を先頭に、真っ先に日本の構造改革を唱え、そのための基本政策、日本一新を高く掲げています。しかし、だからこそ、いわゆる小泉改革には断固反対します。その自由党も抵抗勢力だとおっしゃるのでしょうか。
 二十一世紀も日本が平和と経済的繁栄を続けていけるように、政治、行政、経済、社会のあらゆる仕組みを改革し、新しい日本をつくること、それが真の構造改革であります。つまり、日本の国の構造を改革することなのです。我々自由党の日本一新政策は、そのビジョンと具体策を明示したものです。
 ところが、小泉総理、総理はその構造改革の本質が全くおわかりになっていない。だから、日本をどうつくりかえていくのかという理念もビジョンも提示できないのです。小泉改革とは、無原則、無責任で、したがって、何でもありの思いつきを羅列しただけにすぎません。改革の名にも値しない、とんでもないにせものです。
 小泉総理は、施政方針の冒頭、例の金切り声で、揺るぎない決意で改革に邁進すると絶叫されましたが、まさに、国民に針路を示さないまま、ただやみくもに暴風雨の中に突っ込めと号令をかけているようなものです。そんな総理大臣に従っていったら、国民は地獄に突き落とされ、それこそ塗炭の苦しみを味わうことになってしまいます。
 その国家的な悲劇は、何としても防がなければなりません。そして、一刻も早く、正しい構造改革に着手しなければなりません。それを邪魔しているのが、小泉総理、あなたにほかならないのです。つまり、総理、あなたこそ、日本の構造改革にとって最大の抵抗勢力なのです。(拍手)
 既に、株式を初めとする資本市場は、いわゆる小泉改革がとんでもない間違いであり、にせものであることに気づいています。だからこそ、株価が一万円を大きく割り込み、バブル崩壊後の最安値を更新し続けております。日本はもうだめだという日本売りによって、株安、債券安、円安のトリプル安が続いているのです。
 総理は、施政方針演説で、ことしを改革本番の年と位置づけ、さらに大きな流れをつくり出すと宣言していますが、もういいかげんにしていただきたい。小泉改革は既に失敗であることが明らかになっているのです。この路線を続けていけば、失敗が積み重なり、日本は早晩破綻してしまいます。
 それでも、総理は、改革なくして成長なしという空疎なキャッチフレーズを叫び続け、国民に、根拠のない改革の痛みを強要する。しかし、五・六%という史上最悪の完全失業率は、決して改革に伴う痛みではありません。改革なき痛みなのです。うそも百遍言うと本当になると言ったのは、ナチス・ヒトラーの宣伝相ゲッペルスです。小泉総理の叫ぶ改革は、それに類似したお題目にすぎません。総理は潔く自分の失敗を認めるべきです。
 ところが、総理は、その失政を覆い隠すために、天皇陛下の政治利用までやったのであります。
 施政方針演説の最後に、昭和二十一年の歌会始で詠まれた昭和天皇の御製を引用し、現下の難局に雄々しく立ち向かっていこうと、議員、国民に呼びかけました。しかし、現下の難局は、小泉総理、あなたの九カ月間の失政の結果ではないのですか。それを人ごとのようにして、国民に対して頑張れと言うあなたの政治姿勢への協力の訴えを、昭和天皇の御製になぞらえて権威づけようとは、何たる不見識、何たる了見でありましょうか。
 これは、天皇は国政に関する権能を有さず、憲法の定める国事行為のみを行うと規定して、象徴天皇の非政治性を明らかにし、政治的な権威づけへの利用を排除しようとする憲法第四条に違反しています。象徴天皇制においては、だれもが厳守しなければならない原則であります。それを、小泉総理は、この本会議場において、白昼堂々、破ったのであります。こうした天皇の政治利用は憲政史上初めてであり、日本憲政にとんでもない汚点を残したのです。
 しかも、私が四日の衆議院議院運営委員会の理事会で指摘をすると、総理は、記者団に平然と、「そういう人こそ政治利用しようとしている。歌会始という公式の場で国民に披露された歌で、全く問題ない。」と言い放ったのです。
 あいた口がふさがりません。つける薬がないとは、このことをいうのです。小泉総理の常套手段ですが、まさに、ああ言えばこう言う。憲政の原則を全く理解していません。これでは、総理大臣として失格であるばかりか、国会議員の資格さえありません。(拍手)
 以上、小泉総理は、どの面においても総理大臣たる資格がありません。見識も能力も著しく欠けています。直ちに辞職すべきです。私たち自由党は、ここに正式に、小泉総理の退陣を要求します。(拍手)そして、それこそが真の構造改革のスタートであり、日本を破滅から救う唯一の道であると確信します。
 私は、このような見地から、以下、総理の失政、誤りを具体的に指摘し、それについて総理の認否を求めます。
 まず、政治改革について申し上げます。政治が率先して自己改革しなければ構造改革などできないからです。
 総理は、さきに、アフガニスタン復興支援国際会議からのNGO排除問題で、田中外務大臣と野上外務次官を更迭するとともに、鈴木宗男衆議院議院運営委員長の辞任を認めました。しかし、この問題の本質は、我が国の国益を直接左右する外交案件に、与党の一議員にすぎない鈴木氏が大きな影響力を行使し、野上次官以下外務官僚が唯々諾々とそれに従ったことであります。
 特に、鈴木氏は、かねてから、ODA、政府開発援助利権に深く関与し、ODA利権によって日本外交を壟断していると、各種報道で言われている自民党議員です。NGO排除問題での鈴木議員の行動は圧力であって、通常の議員活動とは明らかに異なります。
 鈴木氏のとった行動は適切だったとお考えですか。適切であったとお考えならば、鈴木氏はなぜ議院運営委員長と自民党の対外経済協力特別委員長をやめたとお考えでしょうか。鈴木氏の責任を明確に認めるべきであります。
 総理は、さきの事務次官会議で、政治家の意見に適切に対処するよう求めましたが、逆ではないでしょうか。改めるべきは、圧力をかける自民党の族議員たちであります。族議員に行政への不当な介入をやめるように言うべきです。(拍手)
 総理は、田中、野上、鈴木三氏の処置をけんか両成敗とお考えのようですが、それは事実に反します。外務省の機密費問題と同様、外務省の利権構造と政官の癒着の構造を隠ぺいするとともに、田中大臣と野上次官を任命した総理御自身の責任を回避したものにすぎません。
 長い間、田中外務大臣の頭越しに外務官僚と結託し、結果的に鈴木氏と外務官僚の跳梁ばっこを許した福田官房長官の責任も極めて重いと思います。総理御自身と福田長官の責任をどう受けとめておられるのでしょうか。
 イギリスでは、国会議員は原則として官僚と接触することが禁じられています。本来、議院内閣制のもとでは、政府に入った与党議員が行政を運営すべきであって、それ以外の国会議員は、与野党を問わず、議会活動を除いて行政に関与すべきではないのです。
 また、先月、自民党元幹事長加藤紘一議員の事務所代表が口きき料の脱税事件を起こし、政治と金が再び大きな問題になりました。その際、小泉総理は、あっせん利得処罰法の処罰対象に私設秘書を含めることを検討すると表明しました。一見迅速な対応に見えますが、無原則なパフォーマンスにすぎません。
 実際、以前、あっせん利得処罰法案をめぐって、与党案と自由党を初めとする野党共同案が審議されたとき、我々野党が、処罰対象にいわゆる私設秘書を含めることを強く主張したにもかかわらず、自民、公明、保守三党は、頑として拒否しました。
 さらに、百五十一回国会、昨年の通常国会において、野党が共同で同様の修正案を提出したときには、総理、あなたは当時の森総理を支える自民党森派の会長であったのであり、また、与党三党が審議すら拒否して廃案にした、まさにそのときの総理・総裁は、あなた自身であります。つまり、あなた自身が抵抗勢力だったのです。(拍手)
 今回、加藤議員の事務所代表らの事件で国民の批判が高まると、さっさと前言を翻し、私設秘書も処罰対象にすべきだと指示しました。まさに見識も原則もないと言わざるを得ません。
 そして、いまだに自民党にはみずから真相を解明して浄化する能力も意欲もない以上、加藤議員及び事務所代表佐藤三郎氏の国会喚問を行うべきであります。
 総理が自称構造改革の目玉としている特殊法人改革にしても、同様であります。ほとんどは、独立行政法人に移行させるにすぎません。しかも、独立行政法人化は、特殊法人の看板のかけかえにとどまらず、むしろ改悪、焼け太りなのです。
 例えば、国の一部組織を分離して昨年四月にスタートした五十七の独立行政法人は、役員の数が大幅にふえ、監督官庁の天下り先をふやす結果となっている。加えて、会計検査の対象外となったため、役員報酬のお手盛りが横行しています。特殊法人の独立行政法人化は、それ以上の天下り天国をつくることになります。絶対にやめるべきです。
 政治改革は、結局、自民党政治を変えることなのです。田中外務大臣の更迭後、小泉内閣の支持率が各種世論調査で軒並み二〇%以上も急落したのは、国民が、小泉改革とは名ばかりで、従来の自民党政治と全く変わらないことを見抜いたからにほかなりません。我が国の最大の構造問題である政官業の癒着構造、なれ合い、もたれ合い構造をこれ以上温存してはならないのです。
 次に、BSE、狂牛病を初めとする農業問題について申し上げます。
 農業は国家の基本であり、国は、国民に対し、将来にわたって良質な食料を安定的に供給する責務があります。しかし、昨年九月、我が国でBSEが発見されてからの政府の対策は、まさに無原則、無責任のきわみであり、小泉政治の典型であります。
 そもそも、日本でも狂牛病が発生する可能性があるとのEUの勧告を農水省が受け入れ、直ちに対策を講じていれば、日本での発生は防げたはずであります。その意味で、今回のBSE問題は、農水省による人災にほかなりません。厚生省の薬害エイズと同じく、国家犯罪であります。農水省を軸とする政官業癒着のために、狂牛病を防げなかったのであります。
 ところが、武部農水大臣は、みずからの責任をとらないばかりか、無責任な発言を繰り返しているありさまです。武部大臣は、雪印食品の狂牛病補助金不正受給では厳しい行政指導を行い、雪印食品社長を辞任させました。しかし、自分の責任については、ほおかむりを決め込んでいるのです。
 武部大臣は、当然、辞任すべきです。辞任しないなら、罷免すべきです。
 ところが、自由党を初めとする野党四党が共同で提出した武部大臣の不信任案は、五日の衆議院本会議で、自公保三党の反対により否決されました。これは、結果として、武部大臣を無罪放免したことを意味し、行政に対する国民の不信感と不安をますます高めることになりました。
 自由党は、去る一月二十九日、小沢党首を団長として、東京中央卸売市場食肉市場を視察してまいりました。そこで耳にしたのは、生産者、市場関係者の余りにも悲痛な声でありました。出荷した牛が万一狂牛病だと、地域全体に迷惑がかかるため出荷もできない。廃用牛を出荷したとしても、屠殺費、輸送費にもならない。
 これら生産者、市場関係者や関連する飲食店を救済し、国民の信頼を取り戻すために、自由党を初めとする野党は、共同で、BSE緊急対策措置法案を策定しました。そして、与党にも参加するように呼びかけていますが、いまだ何の反応もありません。政府、農水省の無原則によって起きた問題である以上、与党や政府も、率先して、我々の緊急対策措置法案を成立させるべきであると考えます。(拍手)
 そもそも、狂牛病のような問題が我が国で起きた根底には、金さえ出せば食べ物は幾らでも手に入るという視点に立った、無責任な場当たり農政があります。その結果、我が国の食料自給率は低下し続け、輸入農産物、輸入飼料による危険性が著しく高くなっています。このような状況を打破するためには、まず、減反政策をやめ、そこで生じる余剰米は、当面、備蓄米として政府が買い入れ、近い将来予想される世界的な食料不足に備えるべきであります。
 小泉政権の無為無策と失政の結果、日本経済は、今、破綻の瀬戸際に立たされ、世界じゅうのエコノミストが、日本発の世界恐慌がいつどんな形で起きるかと、二十四時間態勢でモニターしています。日本はもはや典型的なNDCだと言う専門家さえいます。NDC、ニューリー・ディクライニング・カントリー、新たな斜陽国だというのです。
 一方では、経済、社会の基礎構造そのものが一段と急激に変化してまいります。一月三十日発表の将来推計人口によると、女性が一生の間に産む二〇五〇年の推計出生率は一・三九と、前回より〇・二二ポイントも下方修正され、少子化は極めて深刻になろうとしています。加えて、六十五歳以上の高齢者は二〇五〇年には現在の二倍以上の三五・七%に急増し、三人に一人がお年寄りという、世界的にも歴史的にも全く例のない超高齢国になります。これは、我が国の産業・就労・社会構造、社会保障制度を根底から変えることを意味します。
 また、中国のWTO加盟に伴い、製造業の空洞化に拍車がかかり、我が国の宝である有力製造業が消えかねない状況にあります。例えば、日本の物づくりを支えてきた工業用機械の国際競争力が急速に弱まり、それが製造業全体の競争力をさらに低下させています。これを放置すれば、戦後日本の経済的繁栄の支柱が崩れてしまいます。
 こうした国家的な危機の中で、第一に求められているものは、二十一世紀にも日本経済が持続的に発展していくための国家のあり方、経済、社会の将来像を明示し、それを実現するために、あらゆる仕組みを改革することであります。
 ところが、総理は、一度もそのビジョンを語ったことがありません。小泉改革は、原則も設計図もないまま、ただ単に日本経済という家を倒壊させるだけだというゆえんであります。
 理念なき小泉改革の典型は、これまで税制の抜本改革に全く手をつけてこなかったことであります。
 総理就任当初、道路特定財源や地方交付税の見直しを断行すると絶叫していましたが、来年度予算で出てきたものは、自動車重量税のごく一部といった小細工でしかありません。本来、国家改造にほかならない構造改革に当たって、まず実施しなければならないのは、経済、社会の仕組みそのものである税制の抜本改革であるにもかかわらず、これから議論するというのでは、話にもなりません。しかも、具体策はすべて政府税調に丸投げしています。
 総理は、一体、二十一世紀の経済、社会にふさわしい税制の具体像をどうお考えなのか。総理がその基本方針を明示できなければ、政府税調はまともな改革案をまとめられないと思いますが、総理は基本方針をどうしたらいいのかわからないと考えざるを得ないのであります。
 また、財政運営でも無原則ぶりが目立ちます。あれほど必ず守ると絶叫した国債発行三十兆円枠とは、一体、何だったのでしょうか。外国為替特別会計等からお金をかき集め、本来やめる予定だった地方交付税特別会計の民間借り入れを継続し、つじつまを合わせて、体裁を整えただけにすぎません。歳出面でも、仕組みそのものを改めることなく、従来型の公共事業を並べかえただけであります。これでは、財政健全化に逆行し、財政規律を回復することもできません。
 いわゆる隠れ借金をふやしてまで三十兆円枠を守ることに、何の意味があるのでしょうか。財政改革など、進むはずがないのであります。
 また、「経済財政の中期展望」は、来年度後半には民需中心の回復に向けて動き出すと楽観視していますが、総理は、本当にこの予算によって来年度後半の回復を実現できるとお考えなのでしょうか。これで景気回復も、自称構造改革も進むとお考えなら、その根拠を示すべきであります。
 総理はまた、不良債権の処理を構造改革の柱と位置づけ、処理を加速させると公約しています。しかし、現下のデフレにより不良債権そのものがふえています。特に、中堅・中小企業への貸し出しは、マイナス成長による一時的な経営不振であっても、直ちに資金繰りに行き詰まり、不良債権化してしまいます。
 しかも、政府は、昨年来、全国で信金、信組の整理を強引に進め、その結果、地方の中小企業倒産が急増しています。大銀行には惜しげもなく公的資金を注入しておきながら、地域経済に密着した中小金融機関には金融庁の行政指導によって一方的な破綻整理を強いるのは、許されることなのでしょうか。
 金融機関は、規模の大小を問わず、まず情報を徹底的に開示した上、債務超過に陥ったところは破綻処理し、速やかに市場から撤退させるしかありません。私たち自由党がかねてから重視しているその原則に沿って、金融機関の整理を行うべきです。
 さらに、四月からのペイオフ解禁を前に、日本の金融危機は現実のものになろうとしています。総理は、施政方針演説で、金融の危機を起こさないためにあらゆる手段を講じると公約していますが、その具体策は全く示されていません。これではかえって、国民の不安心理をかき立て、金融危機をあおる結果になりかねません。一刻も早く、金融危機を回避する具体策と手段を決定し、明らかにすべきであります。
 さて、私たち自由党は、自民党、小泉内閣とは異なり、我が国経済社会の将来ビジョンをはっきりと掲げています。官僚による規制社会、管理社会を改め、みずからの創意工夫と責任で個人も企業も能力を最大限に発揮できる、自由で公平で開かれた社会であります。それを実現するために、あらゆる仕組みを改めることが構造改革であると思います。したがって、国民が安心して頼ることのできる安定した社会保障を確立することが、構造改革の重要な一部であります。それがないと、本当に自由で公平で開かれた社会をつくることはできません。
 先ほども申し上げたように、我が国の少子化と高齢化は、いずれも予想を超える速さで進んでいます。国民のだれもが公平に給付を受けられる基礎的社会保障を確立することは、もはや一刻の猶予も許されない急務となっています。
 ところが、政府は、相変わらず、現役世代の保険料で給付を賄うという現行社会保険制度の維持にきゅうきゅうとして、無原則、無責任な手直しで取り繕おうとしています。現役世代が急速に減少していく以上、社会保険方式を前提とする現行制度が早晩破綻することは目に見えているにもかかわらず、根本的な改革に手をつけようとしません。
 実際、国民年金の対象者の約三割は保険料を納めていません。このまま社会保険制度を維持しようとすれば、制度見直しのたびに、保険料などの負担を引き上げるとともに、給付水準を引き下げるしかありません。まさに、社会保険あって社会保障なしであります。
 小泉総理は、かつて厚生大臣時代に、二〇〇〇年までに医療制度を抜本改革すると約束しましたが、どうなったのでしょうか。抜本的な医療改革は、依然として先送りされているではありませんか。
 今度の医療保険制度見直しにしても、社会保険あって社会保障なしであります。第一、サラリーマンの自己負担を三割に引き上げる時期についても、政府・与党内で意見が対立している状態で、財政上のつじつま合わせをしたにすぎません。医療制度を根本的に見直し、その上で、将来の国民の生活設計に見合った給付と負担のあり方を決定すべきであるにもかかわらず、医療制度の将来設計を確立していないから、このようなことになるのです。
 大切なことは、社会保障のビジョンを国民にはっきりと示すことです。それにより、現役世代とお年寄りの双方の不安を取り除くのです。そうすれば、国民は、初めて、安心して人生設計を描けるようになります。
 国民が安心して暮らせるようになれば、おのずと消費が拡大するようになります。総理は、二言目には、改革なくして成長なしと言いますが、事の本質を見誤ったキャッチフレーズであります。実際には、社会保障制度への信頼を回復しなければ、消費が回復し、景気が上向くことは決してありません。社会保障の信頼なくして成長なしと言わなければならないのです。
 そのためには、現在の消費税五%を基礎年金、高齢者医療、介護という基礎的社会保障に限定して使用し、国が責任を持って国民全員にそれらを保障する仕組みに改めなければなりません。
 消費税による基礎的社会保障の確立についてどうお考えか。また、医療保険制度をどのように見直していこうと考えておられるのか。なぜ、デフレ下の今、サラリーマンの自己負担を三割に引き上げなければいけないのか。総理は明確に答える責任があります。(拍手)
 次に、外交・安全保障問題について申し上げます。
 この四月に、サンフランシスコ講和条約が発効して五十周年を迎えます。独立国家として歩み始めて半世紀、総理は、この五十年間の日本外交をどのように総括されるのか。明確な理念や原則のないままに、経済的な豊かさを背景に援助外交を進めてきた日本、国際平和の活動に参加しながら国際基準による自衛措置をとれない日本、不法に外国に拉致された国民がいるのを知りながら毅然たる対応をすることのない日本、国際社会から見れば、日本は今日なお奇異な存在なのであります。この五十年間の日本外交を振り返り、今後の外交を進めるに当たっての基本理念、原則をどうお考えか。
 なぜ、このような根本的なことを総理に伺うのか。総理には、就任以来、外交理念はもとより、それらしきものさえ感じることができないからであります。相変わらず、その場限りの無原則、無責任な対応に終始してきました。
 その象徴は、さきの臨時国会に政府が提出し成立させたテロ対策特別措置法であります。その際、政府は、自衛隊を戦力と認めながら、日本国憲法の解釈にかかわる判断を全く示すことなく、無原則で場当たり的、なし崩し的に自衛隊を海外に派遣しました。総理は、我が国の安全確保の問題だ、国際テロリズムとの闘いだと称して、その実、米国の自衛権行使に対して無原則な後方支援に踏み切りました。
 政府は、この原則なき派兵をいつまで続けるのか。米軍に続いてイギリス軍にも後方支援を実施しましたが、今後、フランスやドイツ、パキスタン等から要請があったら、同様に支援するのですか。米国の対テロ戦争は、既にフィリピンのイスラム武装組織アブ・サヤフの掃討へと拡大しています。今後、イラン、イラク、北朝鮮、さらに、ソマリア、スーダン、イエメンなどにテロ掃討作戦が拡大していった場合、米国の要請により自衛隊は引き続き支援するのですか。
 テロ対策特別措置法は、理論上、そのいずれをも可能にするものだと思います。米軍にどこまで協力していくのか、その原理、原則を明確にすることが総理の責任であります。
 我々自由党は、さきの臨時国会で、我が国の安全保障の原則を定めた、国の防衛及び自衛隊による国際協力に関する基本法案等を提出しました。残念ながら廃案になりましたが、政府・自民党の有力者からも、本当はこの自由党案がベストだと高く評価されました。総理はどう思われるでしょうか。
 さきのアフガニスタン復興支援国際会議の際、アフガニスタン暫定行政機構のカルザイ議長は、総理に対して、五億ドルの支援を感謝した上、道路、水力発電、通信の各分野のインフラ整備、文化財保存など文化復興、教育やメディアへの重点的な支援を要請しました。それに対し、総理は、公用車八台を調達する無償資金協力を実施すると述べたと言われています。何という見識のなさでしょうか。
 かつてのカンボジア復興支援と同様、日本が会議を主催して資金協力を行い、何かしているというポーズだけではありませんか。アフガンの平和のために世界に何を求め、我が国自身がその中でどのような役割を果たし、それが我が国の国益にどう結びつくのかというメッセージが、また行動が、全くありません。
 八年前、カンボジアに派遣された自衛隊員が法律の不備のために大変な苦労をしたのを、総理はお忘れですか。政府は、カルザイ議長が求めたインフラの整備や地雷の除去のためにどのような貢献をするのですか、NGOとどう協力していくのか、明確な指針を示すべきであります。(拍手)
 北朝鮮の工作船と見られる不審船への対応も、無原則きわまりないものです。九九年に能登半島沖で領海侵犯した北朝鮮の工作船が逃走した際の教訓を全く生かしておりません。またもや、政府の危機管理能力のなさを露呈する結果となりました。その場しのぎの対応を繰り返しているから、緊急事態に対処できないのです。
 米国のアーミテージ国務副長官は、不審船は北朝鮮のものと言明し、引き揚げ要請があれば協力すると言っています。法的にも可能であるにもかかわらず、なぜ不審船を引き揚げて調査しないのか。今後の危機管理のために、徹底した調査を行うべきであります。
 政府・与党は、この国会に有事法制を提案しようと協議を進めていますが、これも、これまでと同様、政府の憲法解釈を初めとする原則をあいまいにしたまま、法改正が進められようとしています。
 総理のお考えになっている有事法制とは、一体、何でありましょうか。政府が言ってきた第一分類、第二分類、第三分類を指すのでしょうか。そこには、理念も、原則も、有事のシナリオさえもありません。有事法制の検討が開始された昭和五十二年には、まだソ連の脅威が叫ばれていましたが、今日では、北朝鮮のミサイルや国際テロリズムが日本の最大の脅威と見られています。
 小泉総理は、どのような有事に対して、どのような理由で、どのような手段をもって対応するために法制を整備しようとしているのか。それを明示できなければ、総理大臣として失格であります。
 最後に、一言申し上げます。
 今まで述べたように、いわゆる小泉改革は、口先だけの先送り、場当たり的な無原則・無責任主義に貫かれています。このままでは、日本は崩壊に向けてまっしぐらに突き進んでしまいます。
 日本がこの危機を克服するためには、まず、小泉総理は直ちに退陣すべきであります。そして、政治の自己改革と国民の意識改革を実現し、私たち自由党の掲げる日本一新を断行して、国民が主役の社会の実現を早急に目指さなければなりません。
 その主役となるのは、あくまで国民自身であります。そのためにも、各人が人間として自立し、自分だけでなく他人をも尊重するという心を持った個人を育成することが政治の最重要課題であり、また、そのことが自由党の主張の根底にあるということを申し述べて、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 都築議員にお答えいたします。
 小泉改革に反対する自由党は抵抗勢力と考えるかとのお尋ねであります。
 政界で、抵抗勢力が一様でないというところが難しいんですよ。あるときは、抵抗勢力が協力勢力になる。あるときは、協力勢力が抵抗勢力になる。私は、抵抗勢力も協力勢力だ、敵も味方であると思いながら改革を進めていきたいと思っております。(拍手)
 自由党は小泉改革に反対する抵抗勢力かと御質問でありますが、反対する場合は抵抗勢力であり、協力してくれる場合は協力勢力だと考えております。
 昭和天皇の御製を引用したことについての御質問でございます。
 昭和二十一年正月、まだ敗戦に打ちひしがれた多くの国民がいる中で、あの「ふりつもるみ雪にたへていろかへぬ松そをゝしき人もかくあれ」私は常々、感動しておりました。困難に直面しても、難局に際しても雄々しく立ち向かっていこうという、そういう願いを込めたお歌だろうと思いまして、引用させていただきました。
 私は、これは、心を深く打たれるか打たれないかはその人の感性の問題だと思います。政治利用には当たらない、天皇陛下の政治利用であるという御指摘は当たらないと考えております。(拍手)
 NGOのアフガン復興支援国際会議への参加問題と鈴木衆議院議員の行動についてのお尋ねでございます。
 私は、どのような場合においても、与野党の議員が役所のことに対してあれこれ発言するということについて、とやかく言うつもりはございません。どの方が言っても結構、しかし、それが適切であるか不適切であるかは、よく役所は考えるべきだと。適切な意見は受け入れればいいし、不適切な意見は受け入れる必要はない。
 今回、参加不許可は外務省の判断として行われたものだと承知しております。
 これから、外務省としても、今までのいろいろな御批判を踏まえながら、川口新外務大臣にも、特定の方々の不当な圧力は排除し、いい意見はどしどし取り入れるように、よく指示しております。
 NGOの参加拒否問題をめぐる私と官房長官の責任についてのお話でございます。
 隠ぺいに加担しているとの御指摘は全く当たりません。既に予算委員会で累次にわたって政府見解を発表し、説明を行ってきたところであります。
 今回、一外務省の問題が国会全体の混乱につながったからこそ、私は、田中前大臣、野上外務次官の御協力をいただきまして、このような判断を行った次第でございます。
 あっせん利得処罰法の改正や加藤議員などの証人喚問については、これは、処罰の対象に私設秘書を加えること及びその場合の私設秘書の定義の問題も含めて、いろいろ議論がございます。この問題につきましては、どういう点が問題点があるか、よく議論をしていただきまして、今後、このような不祥事が起こらないような対策をとる必要があると思います。今、与党三党においてしっかりと検討しておりますので、その動向を見きわめながら、適切な対策をまとめていきたいと思っております。
 真相の解明につきましては、まずは、個々の政治家が国民に対して説明していく責任があると考えます。その上で、国会での証人喚問が必要かどうかは、各党各会派でよく議論していただきたいと思います。
 特殊法人の独立行政法人化についてでございます。
 特殊法人の弊害を克服する制度としてこの独立行政法人制度は設計されたものでありまして、独立行政法人化することにより、目標管理、第三者機関による業績評価、定期的な組織・事業見直し、業績を反映した役員報酬、低業績の役員解任といった、特殊法人にはない効果が期待できるものと思っております。
 独立行政法人への公務員の再就職については、その再就職状況等に関する情報公開の徹底等に努めまして、国民の理解が得られるよう厳しく対処してまいります。
 BSE問題についてのお尋ねでございます。
 このBSE問題について、EUの指摘への対応のあり方については、厚生労働大臣と農林水産大臣の私的諮問機関として設置されましたBSE問題に関する調査検討委員会において、議論していただいているところであります。私は、その結論に基づき、農林水産行政の改革を実施する考えであります。
 また、感染経路の究明や関連対策の実施などに全力で取り組んでいるところであり、農林水産大臣には、これらの職責を果たし、国民に安心していただくよう今後も全力を尽くしてもらいたいと考えております。
 BSE対策や生産者、流通業者等への対策を法律で措置することについては、今後、BSE問題に対してどのような法的対応が適当かについて議論を深めるべきと考えておりますが、政府としては、BSEの発生、蔓延防止と感染経路の究明に遺漏のないよう、関係法令の見直しについて検討を進めておりまして、今国会に法案を提出する予定であります。
 米の生産調整についてでございます。
 生産調整については、米の需給と価格の安定を図る上では効果的な手法であると考えておりまして、生産調整の着実な実施に向けて、関係者が一体となって取り組んでいるところであります。
 なお、余剰米を政府が買い入れ、備蓄することについては、需要に応じた生産の推進、適切な価格形成の実現など、我が国の稲作農業の構造改革にはつながらないことや、多額の費用を要するなど、問題があると考えております。
 経済社会の将来像についてであります。
 私は、構造改革を達成し、将来、夢と希望の持てるような社会を実現したいと思っております。このようなあるべき姿、その道筋については、先般、「改革と展望」を閣議決定するとともに、施政方針演説で、小泉構造改革五つの目標を明らかにしたところであります。
 税制改革につきましては、経済再生の確固たる基盤を築くかぎでありますので、二十一世紀においては、個人や企業の経済活動における自由な選択を最大限尊重し、努力が報われる社会を実現するため、税制を再構築していくことが必要だと思います。
 そのためには、中立、公平、簡素な税制をどう実現するのか、適切な租税負担水準や地方分権にふさわしい地方税のあり方をどう考えるかなど、多岐にわたる課題を検討しなければなりません。このような観点を踏まえ、あるべき税制の構築に向け、税制全般にわたり、予断なく、総合的に取り組んでまいります。
 国債発行三十兆円枠についてでございます。
 この目標については、国債発行が国債市場に与える悪影響を回避しつつ財政の節度を確保するとの意義を有するものと考えております。
 また、隠れ借金との御批判については、例えば、御指摘の交付税特会の借り入れについても、単に継続したということではなく、地方の財源不足に対する交付税特会借り入れの割合を二分の一から四分の一に縮減するなど、財政のさらなる透明化を進めたものとなっております。
 公共事業関係費を初めとした歳出面については、その効率化を進める一方で、重点分野に大胆な配分を行うことなどにより、改革断行予算として歳出構造を抜本的に見直したものとなっております。
 十四年度予算と景気及び構造改革との関係についてでございます。
 十四年度予算においては、五兆円を削減する一方で重点分野に二兆円を再配分する、こういう方針のもと、歳出の効率化を進める一方、少子高齢化への対応、科学技術、教育、ITの推進などの重点分野に、経済活性化効果等にも配慮しつつ、大胆に配分しております。
 十三年度第二次補正予算と十四年度予算、これを一体として切れ目なく運用する財政面の措置や、日本銀行の金融政策などの政策運営に加え、米国経済の改善により、十四年度後半には、民需中心の回復に向けて緩やかに動き出すことを期待しております。
 金融機関の破綻に関するお尋ねでございます。
 政府としては、検査の結果等を踏まえ、金融機関の経営の健全化を促してきたところでありますが、債務超過に陥り経営継続が困難な金融機関に対しては、破綻処理を行わざるを得なかったところであります。
 いずれにせよ、政府としては、適切な情報開示を徹底しつつ、検査や監督を通じて、金融機関の状況を的確に把握し、経営の健全性の確保に努めており、今後、さらにこれを推進してまいります。
 金融危機回避の具体策についてでございます。
 危機のおそれのある場合の対応については、預金保険法において、資本増強を初めとする例外的措置の発動が可能となっております。また、金融機関が万一、風評等により資金繰り困難に陥った場合には、日本銀行において、当該金融機関に対する流動性供給に万全を期することが必要であると考えております。
 いずれにせよ、金融危機のおそれがある場合には、あらゆる手段を念頭に置いて、大胆かつ柔軟に対処してまいりたいと思います。
 消費税の使途を基礎的社会保障に限定してはどうかとのお尋ねでございます。
 私は、社会保障の財源をどうするかということは、これは大変重要な問題であると考えております。世代間の給付と負担の均衡を図る、将来にわたり持続可能な社会保障制度を再構築していくという観点から考えなきゃならないと思います。また、自律と自助の精神のもとに、社会保険方式を基本としつつ、利用者負担、保険料、公費を適正に組み合わせることにより、給付に要する費用を賄っていく必要があると考えます。
 いずれにせよ、消費税の使途を含め、将来の税制、財政のあり方につきましては、今後の少子高齢化の進展など経済社会の構造変化や財政状況等を踏まえつつ、国民的な議論によって検討されるべき課題であると考えております。
 医療制度改革についてでございます。
 平成九年以降、薬価や診療報酬、医療提供体制、高齢者の患者負担などの改革を着実に進めてきたところでありますが、厳しい医療保険財政のもと、持続可能な制度としていくためには、さらなる改革が待ったなしであります。
 このため、患者、加入者、医療機関の三者がそれぞれ痛みを分かち合う三方一両損の方針のもとにこれから進めていこうという方針をかねがね進めておりますが、この方針に基づきまして、これまでにない診療報酬の引き下げを行うとともに、サラリーマンについても、また高齢者の方々についても、相応の負担をお願いすることが必要と考えております。また、あわせて診療情報や医療機関情報に関する規制改革や健康づくりを推進することとしております。
 同時に、医療保険制度の体系、高齢者医療制度、診療報酬体系の見直しなどの諸課題につきましても、さらに検討を進め、その基本方向を明らかにしてまいりたいと思います。
 この五十年の日本外交の総括と今後の日本外交の基本理念に対するお尋ねでございます。
 この五十年間、我が国は、国際社会から孤立してはならない、そういう反省のもと、国際協調を貫き、我が国の平和と繁栄の確保に努めてまいりました。今後とも、基本的人権の尊重と民主主義、市場経済、自由貿易を基調とする国際秩序のさらなる発展に役割を果たしていきたいと思います。
 テロ対策特措法についてでございます。
 同法に基づく協力支援活動は、昨年九月十一日のテロ攻撃によってもたらされている脅威の除去に努めることにより国連憲章の目的の達成に寄与する諸外国の軍隊等に対して行うものであります。米英以外の国への支援の有無、今後の米軍への支援継続のあり方等については、こうした原則に基づき、我が国として主体的に判断してまいります。
 さきの臨時国会で自由党が提出された安全保障に関する法案についてでございます。
 自由党の御提案については、議員提出の議案として、さきの臨時国会で種々議論が行われたと承知しております。政府としましては、自由党の案も参考にしながら、引き続き、日本国憲法のもと、法令に基づいて、国の防衛に関する責務を果たすとともに、自衛隊等による国際協力を推進してまいります。
 我が国のアフガニスタン復興支援策についてでございます。
 さきの東京会議におきまして発表したとおり、難民・避難民の再定住、地域共同体の再建、地雷・不発弾の除去、教育、保健医療、女性の地位向上の問題などを重点分野として、幅広い支援を行う考えです。その際、政府としては、NGO初め関係者の意見をも踏まえ、具体的な支援を進めていく方針であります。
 不審船の引き揚げについてでございます。
 今回の事件につきましては、関係当局において鋭意捜査を進めておりますし、引き続き、事実関係の解明に向けて努力をしていきたいと思います。
 これまで、船体の引き揚げ、潜水調査は行っておりませんが、この季節における現地海域の気象条件のもとでは困難なためであると伺っております。現場は我が国が事実上中国の排他的経済水域として扱っている海域であることから、中国とも調整を図りつつ、適切に対処してまいりたいと思います。
 有事法制についてでございます。
 日本国憲法のもと、国の独立と主権、国民の安全を確保するため、平素から必要な体制を整えておくことは、国として大事な責務であります。
 政府としては、さまざまな態様の緊急事態における対応の見直しを行うこととしておりまして、いわゆる有事法制については、法制が扱う範囲、法制整備の全体像等が明らかになるよう取りまとめを行ってまいります。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(綿貫民輔君) 志位和夫君。
    〔志位和夫君登壇〕
○志位和夫君 日本共産党を代表して、小泉首相に質問します。(拍手)
 首相が自民党を変えると叫んで政権を発足させてから、九カ月がたちました。しかし、小泉政権がこれまでの自民党政治の古い枠組みを少しも変えるものでなかったことは、今や明らかであります。
 私は、政治姿勢、経済、外交など幾つかの角度から、その問題点を究明し、我が党の提案を行うものであります。
 まず、小泉政権の政治姿勢にかかわる三つの重大問題についてただしたい。
 第一は、一月下旬、東京で開かれたアフガニスタン復興支援会議の際、日本の二つのNGOが不当に排除された問題であります。
 事の経過は、既に明瞭です。自民党の鈴木宗男議員が外務省に圧力をかけ、野上事務次官ら外務官僚がその言いなりになって、NGOを排除した。そのことは、排除されたNGOの代表者の発言、国会での外務省事務当局の答弁、そして首相自身が、外務省は特定の議員を気にし過ぎたと答弁していることでも明らかです。
 これは、決して外務省内のささいな問題ではありません。政府を批判したという理由で、重要な国際会議からNGOを不当に排除した重大な国際問題であります。
 ところが、首相のとった対応は、不当に圧力をかけた側には事実上のおとがめなし、不当な圧力を正した田中外務大臣を更迭するというものでした。今回の件について、NGO排除を撤回させるという田中外務大臣のとった対応は、首相も、正しいと認めました。それならば、いかなる理由で更迭したのか。族議員と外務官僚をかばい、真相隠しのために外相を更迭したのではないか。このどこに改革があるでしょうか。古い、汚れた自民党政治そのものではありませんか。国民にわかる言葉で説明されたい。
 鈴木宗男議員による外務省の私物化は、今回だけの問題ではありません。昨年十二月に開かれたアフガン復興NGO東京会議でも、アフガンの地元のNGO代表者を招く費用を外務省がODAの資金で負担する計画に鈴木氏が横やりを入れ、計画が中止されるという事態が起こっています。鈴木氏からNGO代表に、NGOには一銭も金をやらぬからな、覚えておけという、ばり雑言も浴びせられたということです。
 外務省事務当局者は、国会で、鈴木先生は「NGO予算、ODA予算を実施していく上で、大変に関係の深い人」と答弁しています。総理に伺いますが、鈴木議員がODA予算にまで深い影響力を持っていた事実をどう認識しておられるのでしょうか。首相は「今後、鈴木議員の影響力は格段に少なくなるでしょう。」と答弁しましたが、これは、裏を返して言えば、これまでは鈴木議員が外務省に格段の影響力を持っていたということになるではありませんか。
 首相は、族議員と言われる政治家の一声で、一国の外交が左右され、ODAの使途まで左右される、こうした国政私物化の異常な実態を放置しておくつもりでしょうか。それを本気で正そうというのなら、行政の最高責任者として、行政がどうゆがめられたかを責任を持って究明し、国民と国会に報告すべきではないでしょうか。もちろん、国会としても、この問題の徹底究明は重大な責務であり、我が党は、鈴木宗男議員の証人喚問を強く求めるものであります。総理の見解を伺います。(拍手)
 第二は、加藤紘一元自民党幹事長の秘書、鹿野道彦議員の元秘書が、公共事業の受注に介入し、莫大な口きき料をせしめていた疑惑です。この疑惑は、背後にいる政治家の力を抜きに考えられないことであり、徹底的な真相の究明が必要です。
 この事件に対して、首相は、疑惑を持たれた場合はまず個々の政治家が説明すべきと、人ごとのような態度に終始しております。しかし、自民党は、九二年の佐川急便事件で国民から激しい批判を受けた際に策定した「政治改革の基本方針」で、「党所属国会議員による国民の疑惑を招いた事柄については、党自らがその解明にあたる。」と、国民に公約しているではありませんか。首相は、党総裁として、疑惑究明をみずからの問題として責任を持って行うべきであります。答弁を求めます。
 今回の事件は、政治家がその地位、特権を利用して公共事業に介入し、国民の税金を食い物にしていた、九三年の金丸ゼネコン事件の生き写しです。あの事件の際にも、自民党は、悪弊の根を断ち切ると、国民に約束したはずです。首相は、なぜ、それが実行されず、空文句に終わるほかなかったと考えますか。企業・団体献金という諸悪の根源に切り込まなかったからではありませんか。口きき料だろうと政治献金だろうと、どんな名目であれ、政党も政治家も、企業、団体からは献金を受け取らない、このルールの確立なしに問題は解決しないと考えますが、答弁を求めます。(拍手)
 第三は、BSE、いわゆる狂牛病の問題です。
 今、全国の畜産・酪農家は、一頭六十万円の牛が数千円にもなる価格暴落など、存亡の危機ともいうべき苦境に陥っています。
 その責任は、挙げて政府にあります。日本におけるBSEの発生の危険は、九六年四月のWHOの勧告、一昨年十一月から昨年五月にかけてのEUの勧告などで、繰り返し警告されてきました。にもかかわらず、政府が肉骨粉の法的禁止を行わず行政指導にとどめてきたことが、今日の事態を招いているのであります。
 とりわけ重大なのは、これが過去の内閣の問題だけでなく、小泉内閣にも引き継がれてきたことであります。小泉内閣、武部農林水産大臣のもとで出された、昨年四月二十七日付の日本政府のEUに対する書簡では、EUの警告に対して、日本は未発生国だから、危険だという指摘は当たらないとして、逆に抗議をしております。六月十五日付の日本政府の書簡では、EUに対して、日本に対する危険性の評価作業をやめるよう、申し入れています。
 自分たちに都合の悪い評価に対しては、根拠のない抗議を続け、あげくの果てに評価をやめよと言う、これが、国民の命に責任を負うべき政府のとるべき態度でしょうか。小泉首相は、この深刻な責任をどう自覚されているのですか。
 とりわけ武部大臣は、法的禁止の措置をとってこなかったみずからの責任を棚上げにし、農民に向かって、行政指導を知らないことは恥ずかしいとは思わないかと責任を転嫁するなど、数々の暴言を行ってきました。
 与党は、数の力で、武部大臣の不信任案を否決しましたが、数の力で、大臣の資質、資格、能力がないことを補うことはできません。総理、更迭すべきは、武部大臣ではありませんか。
 我が党は、塗炭の苦しみにあえいでいる畜産・酪農家、食肉関連業者に対する被害補償と、牛肉の安全供給のための万全の措置をとることを、強く求めるものであります。(拍手)
 次に、経済政策について質問します。
 今、日本経済は、所得、消費、生産が連鎖的に落ち込み、景気悪化と物価下落が同時に進むデフレの悪循環と呼ばれる、戦後の日本でも他の主要国でも経験したことがない、未曾有の危機に陥っています。失業率は史上最悪の五・六%に達し、多くの国民が、失業と倒産の不安と苦しみにさらされています。
 この経済危機にかかわって、私は、まず、二つの基本的問題について首相の認識をただしたいと思います。
 一つは、バブル経済崩壊後の十年余り、かくも長い期間、日本経済が長期不況から脱出できない原因と責任がどこにあるかという問題です。
 首相は、新春の記者会見で、この十年間、政府は、財政政策、金融政策を目いっぱい打ってきた、にもかかわらず経済が再生しないのは、構造に問題があるからだ、だから構造改革が必要だと述べました。
 しかし、歴代自民党政府が目いっぱいやってきた財政政策とは、景気対策のかけ声で、むだな公共事業を積み増し、大手ゼネコンを救済することでした。目いっぱいやってきた金融政策とは、超低金利政策を続けた上、七十兆円という国民の税金をつぎ込んで大銀行を救済することでした。
 反対に、庶民の家計に対しては、消費税の増税、医療、年金、介護など社会保障の切り捨て、リストラ推進政策による空前の失業など、無慈悲な仕打ちが続きました。目いっぱいやったと言うが、この十年余り、庶民の家計を活発にするためのどのようなまともな施策が行われたというのか。何もやってこなかったではありませんか。
 こういう政治が招いた結果は何か。政府統計によりますと、一九九〇年から二〇〇一年までの十一年間、サラリーマン世帯の消費支出はマイナス五・一%、月額で一万八千円余りも落ち込んでいます。未曾有の経済危機の根本には、消費大不況があります。
 庶民の家計からお金を吸い上げ、大銀行や大手ゼネコンに注ぎ込む、このゆがんだ政策こそ、経済の六割を占める個人消費、家計消費を底が抜けたように落ち込ませ、長期不況からの出口を閉ざしてきたのではありませんか。このことへの反省はないのですか。総理の見解を問うものです。
 いま一つは、首相の言う構造改革を進めたら、一体、どういう日本になるのかという問題です。今、痛みに耐えればあすの幸せはあるのか、多くの国民は、ここに根本的な不安と疑問を抱いています。
 例えば、不良債権の早期最終処理という方針がもたらしているものは何か。私は、小泉政権発足直後、昨年五月のこの本会議質問で、これを強行すれば、大倒産と大失業を招き、景気をますます悪化させ、不良債権も減るどころか、かえってふえることになると強く警告し、経済の実態をよくする対策を講じてこそ不良債権問題の解決の道が開かれると主張しました。事態は、私が危惧したとおりとなりました。それは、昨年十二月に発表された政府の経済財政白書でも、不良債権の相当な処理をしてきたのに、新規の発生がとまらず、不良債権は増加を続けていると認めていることです。
 総理は、今、現場で何が起こっているか、御存じでしょうか。大銀行による中小企業への血も涙もない貸し渋り、貸しはがしによる大量倒産が起こり、金融庁主導によって、昨年来、五十を超える信用組合、信用金庫がつぶれています。これを続けて、この先、どんな展望があるのでしょうか。不良債権の終わりなき処理の先に残るのは一握りの巨大銀行だけ、不況にあえぎながら日本経済を草の根で支えている多くの中小企業は押しつぶされ、地域経済は壊され、労働者は失業に追い込まれる、こうした荒涼たる未来しかないのではないでしょうか。国策として中小企業を無理やりつぶす亡国の政治は、直ちに改めるべきであります。(拍手)
 小泉内閣は、聖域なき財政構造改革を掲げ、国債発行三十兆円以下を叫んできましたが、実態はどうでしょうか。
 来年度予算案で、公共事業を一兆円削ったとしながら、同じ日に決めた第二次補正予算案では、従来型の公共事業が二・五兆円積み増しされました。約五兆円の軍事費は増額されました。公共事業費と軍事費、この二つの分野は、まさに聖域ではありませんか。
 三十兆円のかけ声で削減されたのは、結局、医療など社会保障の切り捨て、高齢者マル優の廃止を初め国民生活のための予算でした。ここでも暮らしを痛めつける政治が景気の悪化を加速させ、税収が落ち込み、それを穴埋めするために四兆円もの隠れ借金をつくり、三十兆円という公約は既に空文句となっています。この先にあるのは、財政も景気も共倒れという、最悪の結末ではありませんか。
 小泉内閣は、民間にできることは民間にと、庶民のマイホーム資金の約半分を提供してきた住宅金融公庫の廃止、二百万人の人々が現に賃貸住宅に生活している都市整備公団の廃止、未来を担う若者が頼みの綱としてきた日本育英会の廃止を決めました。世界一高い大学の学費をさらに値上げしたあげく、無利子の奨学金を有利子の教育ローンに切りかえるような、若者に対するむごい政治をやりながら、米百俵と格好をつけるのは、いいかげんにやめていただきたい。(拍手)
 政府は、営利企業ではありません。たとえ採算はとれなくとも、国民のために必要な公共的な仕事をするのが、政府の役割ではありませんか。首相の言う構造改革というのは、住宅、教育、福祉など、国民のためになくてはならない政府の公共的な仕事も、効率の名で切り捨てることなのですか。
 結局、小泉政権の構造改革とは、強きを助け弱きをくじく、血も涙もない、徹底した弱肉強食を進めるものではありませんか。一握りの大きな銀行と企業だけをもうけさせればいい、国民生活、国民経済、国家財政がどうなろうと責任を負わないというものではありませんか。これが、既に破綻した九〇年代の歴代自民党政権の大企業中心の経済政策と一体どこが違うのか。それをもっと乱暴に、もっと冷酷非情にしただけではありませんか。総理の答弁を求めます。
 今、日本の経済と社会は、自民党のゆがんだ政治のもとで、人間を余りに粗末にする風潮が蔓延しています。私は、日本経済を再生させ、国民があすの暮らしに希望を持てる日本をつくるためには、人間を人間として大切にする経済社会のルールをつくることが強く求められていると考えます。
 そのために、日本共産党は、三つの分野について提案を行うものです。
 第一は、雇用を守る社会的責任を企業に果たさせるために、政府が本腰を入れて乗り出すことです。
 EUの内閣に当たる欧州委員会では、昨年七月に、企業の社会的責任についての提言を発表し、企業は、株主のためにただもうけさえすればよいのではない、雇用、環境、取引業者、地域社会などに対する社会的責任を果たすべきであり、そのことが企業の競争力にも貢献するという原則を明らかにしています。
 総理、この流れと比べたとき、雇用も地域経済も無視して、人減らしとリストラ競争に走る日本の大企業の姿、それを応援することに終始する日本政府の姿は、余りにも異常だと考えませんか。
 我が党は、次の提案を行うものです。
 希望退職、転籍の強要なども有効に規制できる解雇規制法、地域経済や自治体に打撃を与える一方的な工場閉鎖などを規制する立法措置など、リストラを規制するルールをつくること。
 長時間労働の本格的な是正のために、まず、サービス残業と呼ばれるただ働きの根絶と有給休暇の完全取得を徹底するため、それを保障する事業計画をつくることを企業に義務づける立法上の措置をとり、さらに、年間三百六十時間を残業の上限とする現在の大臣指針を法的規制とする労働基準法の改正に取り組むこと。
 失業給付について、ヨーロッパ各国で行われているように、失業者が次の職業につくまでは、原則として労働者の地位を失わず、生活保障がされるという考え方に立って、抜本的な拡充を図ること。
 以上の提案について、総理の見解を求めます。(拍手)
 第二は、本当に持続可能な社会保障制度をつくるために、国がこの分野に最優先で財政支出を行うことです。
 医療保険制度について、小泉内閣は、高齢者の一割自己負担の徹底、サラリーマンの三割自己負担への引き上げなど、患者の窓口負担を引き上げることで医療費抑制を図ろうとしています。既に重い自己負担で深刻な受診抑制が引き起こされている事態に追い打ちをかけるこの方針に、国民から、強い不安と批判の声が上がっております。
 ヨーロッパの主要国では、患者の窓口負担はごく少額であり、日本のように重い負担を求めている国はありません。サミット七カ国を、公的医療保険制度のないアメリカを除いて比較してみますと、医療費の窓口負担を中心とする医療、健康のための費用が家計消費支出に占める割合は、イギリス一・二%、ドイツ四・五%、フランス三・七%、イタリア三・二%、カナダ三・七%と少額であるのに対し、日本は一一・一%も占めています。総理は、これを異常と考えませんか。
 もともと、医療保険制度というのは、病気にかかったときに、だれでも安心してお医者さんにかかれるためにあるのです。日本のように、高い保険料を払った上、肝心の病気になったときには重過ぎる窓口負担で医者にかかれない、これは詐欺同然のやり方であり、まともな保険とは言えません。負担をさらに重くするならば、国民的規模での健康悪化を招き、結局は、医療費の増大をもたらし、保険制度を持続不可能にさせてしまうのではないでしょうか。
 我が党は、こうした見地を踏まえ、次の提案を行うものです。
 患者窓口負担を引き上げて医療費を抑制する政策は直ちに中止し、ヨーロッパ並みの水準に窓口負担を引き下げる方向に政策を転換すること。
 欧米に比べて高過ぎる薬剤費を大幅に引き下げて、医療費の真の効率化を図るため、新薬の価格が異常に高く、新薬の使用比率が異常に高いという、大手製薬会社をぼろもうけさせている薬剤費押し上げの構造を正すこと。
 公共事業の浪費を一掃し、社会保障を財政の主役に据え、国が社会保障に対する財政的責任を果たすこと。
 総理の答弁を求めるものであります。
 第三は、税金は、所得の少ない人からは少なく、多い人からは多くという原則に立って、税制の民主的再建に取り組むことです。
 今、税収の空洞化が問題になっています。確かに、一九九〇年度から一九九九年度までの間に、国税収入は約十一兆円も大幅に減りました。その原因を総理はどう認識しておられるのでしょうか。
 確かに不況の影響はありますが、この時期に、不況とはいえGDPは約一割伸びており、それだけでは説明がつきません。この時期に、歴代政府が、高額所得者減税、大企業減税を繰り返してきた結果ではありませんか。
 総理は、あるべき税制について議論すると言っています。それでは、首相の考える、あるべき税制とはどのようなものか。
 私は、資本主義社会という競争社会の中ではいや応なしに貧富の格差が拡大する、そのときに国が関与して、富める人から貧しい人に所得を再分配し、格差を是正する、ここに税制が果たすべき役割があると考えます。
 今、求められているのは、税金は、所得の少ない人からは少なく、多い人からは多くという原則、すなわち、直接税中心、総合・累進、生計費非課税という原則に立った税制の民主的再建ではないでしょうか。
 政府の統計でも、日本は、既に、主要国で最も貧富の格差の大きい国の一つとなっています。こうした国では、税制による所得の再配分の機能は一層重視されるべきではないでしょうか。
 我が党は、次の提案を行うものです。
 所得税の課税最低限の引き下げや消費税の増税など庶民増税の計画は中止し、まず消費税の減税に踏み出すこと。
 所得税は、株式などの課税が不当に低くなる分離課税を総合課税に改め、最高税率の引き上げなど累進税制の再構築を図ること。
 法人税は、さまざまな税逃れの仕組みによる大企業優遇の不公平税制を改め、繰り返しの法人税減税によって、国際的にもアメリカ、ドイツ、フランスなどに比べて、実質で三割から四割も低くなってしまっている日本の大企業の税金と社会保険料の負担を適正なものとすること。
 以上、我が党の提案に対する首相の見解をただすものであります。
 政治の役割は、一握りの大きな銀行や企業のもうけに奉仕することにあるのではありません。人間は、企業のもうけの道具ではありません。働く人、子供もお年寄りも、男性も女性も、国民のすべてが人間として大切にされる社会をつくることこそ政治の役割であり、この道に転換してこそ日本経済の真の再生も可能になると、私は強く確信するものであります。(拍手)
 最後に、外交・安保にかかわって、二つの点に絞って質問します。
 一つは、米国が、テロ根絶を看板にして、報復戦争をアフガニスタン以外の世界各国に広げる動きを強めていることです。
 ブッシュ大統領は、一月二十九日に行った一般教書演説の中で、対テロ戦争はアフガンで終わるどころか、まだ始まったばかりだと述べ、報復戦争をソマリアやフィリピンなど、世界各国に広げることを公言しました。また、北朝鮮、イラン、イラクを、大量破壊兵器を使って平和を脅かすテロ支援国家、悪の枢軸国だと決めつけ、あらゆる手段を講じるとして、軍事力による攻撃も示唆しました。一連の米国政府高官からは、先制的な軍事力行使も辞さずという発言が、繰り返し出されております。
 アフガンへの報復戦争の結果、約四千人とも言われる、罪のないアフガン市民が空爆で殺されたことを世界は忘れてはなりません。この戦争を世界各国に拡大して、ことしを戦争の年にしてはなりません。報復戦争をアフガン以外の国に拡大することには、米国の同盟国からさえ、強い批判と懸念の声が上がっています。日本政府として、きっぱり反対の立場をとるべきではありませんか。(拍手)
 また、特定の国を悪の枢軸国と決めつけ、一方的な軍事力行使も辞さないとする立場が許されるでしょうか。我が党は、速やかな核兵器廃絶を一貫して主張しており、大量破壊兵器を持つ国が拡大することにはもちろん反対ですが、アメリカがその疑惑ありと決めつければ、勝手な先制攻撃も許されるなどというのは、国連憲章に基づく平和の世界秩序を破壊する、無法そのものです。日本政府は、この米国の立場も是とするような、情けない追従姿勢をとるのでしょうか。総理の答弁を求めます。
 いま一つは、首相が施政方針演説の中で、関連法案を今国会に提出するとした、有事法制の問題です。
 有事法制とは、戦争を想定して、国民の基本的人権に制限を加え、首相に権限を集中させる非常時体制をつくることです。ところが、首相の演説を聞いても、一体、何のための有事法制かが、さっぱり明らかになりません。
 首相は、テロや不審船を理由の一つに挙げていますが、これらは、国際社会のルールに即して、警察と司法の力で解決が図られるべき問題であって、戦争のための非常時体制づくりとは全く次元を異にする問題です。
 日本が武力攻撃を受けた際の備えということも言われますが、日本に対して大規模な武力攻撃を行う国がどこにあるというのですか。昨日の代表質問で、自民党の幹事長は、このことにかかわって我が党に見当違いの攻撃を行いましたが、日本への大規模な武力攻撃は当面は想定できないということは、防衛庁長官自身が国会での答弁で述べていることなのであります。
 そうしますと、結局、米軍がアジアで介入戦争を始め、ガイドライン法を発動して自衛隊がその戦争に参戦する、その際に日本国民を総動員する、ここに有事立法の真のねらいがあるのではないか。
 一月二十二日、内閣官房が提出した「有事法制の整備について」という文書では、有事法制が対象とする事態について、我が国に対する武力攻撃とともに、武力攻撃に至らない段階から適切な措置をとると述べています。
 総理に伺いますが、ここで言う武力攻撃に至らない段階とは、具体的にどういう事態を想定しているのですか。ガイドライン法で言う周辺事態も、これに入るのではありませんか。
 総理は、備えあれば憂いなしと言いますけれども、危険な備えをつくることで、後顧の憂いなく、日米共同の海外での戦争に乗り出していく体制をつくることに有事法制の真のねらいがあるのではないか。我が党は、憲法の平和原則、基本的人権を踏みつけにするこの違憲立法に、厳しく反対を貫くものであります。
 日本の平和にとっての最大の備えは、憲法九条であります。卑屈なアメリカ追従外交から抜け出して、憲法九条を生かした自主、自立の平和外交への転換を図ることこそ、二十一世紀に日本が生きる道があることを強調して、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 志位議員にお答えいたします。
 NGOの参加拒否問題において、真相を隠すために外務大臣を更迭したのではないかとのお尋ねであります。
 全くそうではございません。外務省の問題であったものが国会全体の問題になってしまい、事態の打開を図るために御協力いただき、判断を行ったところであります。
 鈴木議員の外務省に対する影響力と国政の私物化についてのお尋ねでございます。
 いかなる議員でも、それぞれの役所に意見を言うのは自由でございます。それが適切であるか不適切であるか、よく各役所が判断して、適切な判断をすべきであって、これからも、いろいろな御批判がありますので、そういう点について外務省もよく気をつけて適切な判断をするように、川口外務大臣にも就任時に強く指示しております。
 今後、川口大臣がこの点も含めまして外務省改革に全力で取り組んでいくことを、私は支援していきたいと思っております。
 ODAの使途が族議員に左右されるのではないかという意見でございます。
 ODAの使途については、与党、野党問わず、さまざまな議員が意見を言ってまいります。それは否定するものではありませんし、結構なことだと思います。ただ、その意見によっていかなる政策決定がなされるか、それについてはよく判断すべきであります。
 具体的な政策決定及び実施が政府としての主体的な適切な判断に基づくよう、今後も、厳しく注意していかなくてはならないと思っております。
 証人喚問の問題は、よく国会の場で議論していただきたいと思います。
 加藤議員の事務所元代表に関連した問題でございます。
 世間から疑惑を持たれている場合は、いかなる議員であろうとも、まず、個々の政治家が国民に対してきちんと説明し、対応していくのが基本であると思います。その上で、国会としてどのような対応が必要か、よく議論をしていただきたいと思います。
 企業・団体献金についてでございます。
 私は、これは、それぞれの政党によって、立つ基盤が違うと思います。必ずしも、企業・団体献金が悪とは思っておりません。一定の制約のもとに、民主主義のもとでの政党というのは、どのように資金を調達すべきか、どのような形で資金を受けるべきか、そして、その政党の活動をどのようにしていくべきかということは、民主主義の問題として、大変重要な問題であると思います。
 政治活動、政党活動の全部を税金で賄ってよいという立場には、私は立ちません。それぞれの資金の調達のあり方について、今後も、いかなる制約が好ましいのか、そういう点も含めてよく議論を進めていただきたいと思います。
 BSEについてのお尋ねでございます。
 結果的に昨年九月に発生を見たことからすれば、EUの指摘も踏まえて、我が国独自の判断として、発生時に備えた対応のあり方等について、危機意識を持って検討を行っておく必要があったのではないかと考えております。
 当時のこうした対応のあり方については、厚生労働大臣と農林水産大臣の私的諮問機関として設置されましたBSE問題に関する調査検討委員会において、現在、議論していただいているところでございます。
 また、牛肉の供給については、既に屠畜場においてすべての牛に検査を行い、BSEに感染していない牛肉だけが流通する体制が確立しております。さらに、BSEの発生以後、生産者、関係事業者への影響を緩和するため、各般の施策を講じているところであります。
 現在、感染経路の究明や関連対策の実施などに全力で取り組んでいるところであり、農水大臣には、今後とも、これらの職責を果たし、国民に安心していただくような体制を全力を挙げてとっていただきたいと考えております。
 庶民の家計を活発にするためにこの十年間で何をやってきたのか、また、長期の不況についてのお尋ねでございます。
 バブル崩壊後、十年もの長きにわたって日本経済は低迷を続けております。これに対して、政府は、累次の経済対策等を通じ、公共投資等による需要追加策や減税による景気回復策を講じてまいりましたが、これがなかなか効果を発揮しません。持続的な成長につながりません。だからこそ、構造改革が必要なのです。
 このような我が国の経済の低迷の背景には、不良債権・過剰債務問題、厳しい雇用情勢、財政や社会保障制度の持続可能性への不安などが民間需要を低迷させる一方、時代や環境の変化に対応できていない制度、規制など、現在の経済社会システムのあり方が民間活力の発揮の機会を制約してきたものと考えておりまして、今後、改革なくして成長なしの方針のもと、各般の構造改革を断行していきたいと思います。そして、将来に対する国民の不安感の解消を通じた個人消費の回復や経済の活性化を図り、持続的な経済成長を実現していきたいと思います。
 不良債権処理の後に残る経済社会の姿についてでございます。
 我が国の持つ潜在力は、決して低くありません。この潜在力をいかに発揮させるか、これが重要でありまして、不良債権処理の促進を初め、規制改革などの改革によりまして、新しい経済社会の仕組みをつくり上げる必要があります。その際、雇用のミスマッチの解消、中小企業に対する円滑な資金供給を確保するなど、セーフティーネットに万全を期すとともに、新市場、新産業の育成による雇用の受け皿整備を進めてまいります。
 先般、閣議決定した「改革と展望」において、今後二年程度の集中調整期間は低い成長を甘受せざるを得ないとしても、構造改革への取り組みを継続することにより、その後は、中期的に民間需要主導の着実な経済成長が実現されるように努力をしていきたいと思います。
 十四年度予算では公共事業費と軍事費が聖域となっているのではないかというお尋ねであります。
 公共投資関係費については、十三年度二次補正において、構造改革に資する分野に注力して社会資本の整備を行ったのに引き続き、十四年度予算においては、その水準を前年度に比べ一割削減する中で、環境問題への対応、都市の再生等の重点分野へ配分を行っております。
 また、防衛関係費については、経費の効率化、合理化に努めつつ、前年度とほぼ同額とし、中期防の着実な進捗を図るべく、必要最小限の経費を継続しております。
 国債発行三十兆円と財政規律の問題でございます。
 国債発行額三十兆円を守ったことで、税金をむだ遣いしない体質へ改善するとともに、将来の財政破綻を阻止するための第一歩を踏み出すことができたと考えております。
 歳出の効率化を進める一方、必要な分野には予算配分を行ったところであり、十四年度予算と十三年度第二次補正予算とを切れ目なく執行することにより、改革を断行しつつ、デフレスパイラルに陥ることを回避するよう、細心の注意を払ってまいります。
 日本育英会の廃止、奨学金や学費値上げについてのお尋ねでございます。
 日本育英会については、奨学金を含む学生支援事業の充実を図る観点から、昨年十二月の特殊法人等整理合理化計画において、廃止した上で国の学生支援業務と統合し、新たに独立行政法人を設置して、この法人で奨学金事業等を総合的に実施することとしております。
 奨学金については、十四年度予算案において、無利子、有利子を合わせて貸与人員を増員し、一層の充実を図ることとしております。
 国立大学の授業料については、私立大学の授業料の水準等を踏まえ、平成十五年度から必要な改定を行うこととしております。
 今後とも、育英奨学事業の充実などにより、教育を受ける意欲と能力がある人が進学を断念することがないように努めてまいります。
 構造改革が弱肉強食ではないかとのお尋ねであります。
 民間にできることは民間にゆだね、地方にできることは地方にゆだねるという原則は、確かに共産党とは違います。共産党は、役人をもっとふやした方がいいというんでしょう。税金をもっと使えというんでしょう。そこは、自民党と共産党は、全く違うところですよ。
 こうした構造改革を目指すのは、個人が自由な創意工夫のもとに能力と個性を発揮し、存分に活躍できる仕組みを備えた社会、すなわち、努力が報われる、再挑戦できる社会の実現であり、弱肉強食との指摘は当たらないと考えております。
 リストラと企業の社会的責任についてのお尋ねであります。
 経済社会が大きく転換する中で、企業がその存続を図るために、雇用調整を余儀なくされる場合があります。しかしながら、そうした場合においても、地域経済への影響に配慮するとともに、従業員の雇用の安定に最大限努力すべきことは企業の社会的責任であり、仮に、労働者が離職を余儀なくされる場合であっても、企業がその再就職を支援していくことが重要であると認識しております。
 政府としても、今後とも、離職を余儀なくされる方々が円滑に再就職できるよう、雇用のセーフティーネットの整備に全力で取り組んでまいります。
 解雇規制法等のリストラ規制についてのお尋ねでございます。
 経済社会の構造変化に伴い雇用の流動化が進む中で、労働関係をめぐる紛争の防止の観点から、解雇基準やルールを明確にすることは大切なことだと認識しており、現在、厚生労働省において、労使を初め関係者の意見を十分聞きながら検討しているところであります。
 なお、雇用対策法において、事業規模の縮小等に伴い相当数の労働者を離職させる場合には、再就職援助計画を策定することを事業主に義務づける等の措置を講じているところでございます。
 労働時間の短縮についてでございます。
 政府としては、政府目標の年間千八百時間の達成、定着のため、年次有給休暇の取得促進及び所定外労働の削減に重点を置いて、労働時間の短縮に取り組んでいるところであります。
 年次有給休暇の取得促進については、取得しやすい職場環境の整備に向け周知啓発に努めるとともに、所定外労働の削減についても、大臣指針が遵守されるよう、指導に努めているところであります。
 なお、サービス残業は、その多くが賃金未払いという違法なものであり、今後とも、その解消に努めてまいります。
 失業給付についてでございます。
 我が国の雇用保険においては、昨年四月から、再就職がより困難な中高年のリストラによる離職者に対し手厚い給付日数とするとともに、さきの臨時国会では訓練延長給付の拡充を行い、円滑な再就職の促進に努めているところであります。
 我が国よりも給付期間が長いフランスやドイツは高失業率に悩まされていることからも、単純な給付日数の延長は、失業者の滞留につながるおそれもあり、慎重に対応すべきものと考えております。
 医療保険制度についてでございます。
 世界に誇るべき国民皆保険制度のもと、日本は高い健康水準を達成してきたものと考えております。
 まず、保健医療支出が消費支出に占める割合については、御指摘のように、我が国の医療・保健費用が諸外国に比べて高いということはないと考えております。
 また、制度の仕組みが異なることから厳密な比較は困難でありますが、我が国の保険料については、同じ社会保険方式をとるドイツやフランスよりも、むしろ低い水準にあると考えております。さらに、公的医療保険制度における患者負担の占める割合を諸外国と比較しても、我が国が著しく高いわけではありません。
 いずれにしても、高齢化に伴う医療費の増加等により、医療保険財政は厳しい状況となっており、今後は、給付は厚く、負担は軽くというわけにはまいりません。
 このため、今回の医療制度改革におきましては、高齢者医療を初めとする給付と負担の見直しなど、思い切った改革を行うことにより、医療保険制度を将来にわたり持続可能なものへと再構築してまいりたいと考えております。
 薬剤費についてでございます。
 これまで講じてきたさまざまな適正化対策の結果、薬剤費比率は、過去十年間で三〇%から二〇%へと大幅に低下し、外来薬剤費で見た場合、既に欧米並みになっております。
 平成十四年度の薬価改定においても、市場実勢価格に基づく通常の引き下げに加えて、いわゆる先発品の薬価について新たに平均五%の引き下げを行うとともに、新規性の乏しい新薬についても価格の適正化を図るなど、さらなる薬剤費の適正化を進めていくこととしております。
 公共事業の浪費を一掃し、社会保障を財政の主役に据えるべきではないかとのお尋ねでございます。
 社会保障予算につきましては、将来にわたり持続可能で、安定的、効率的な社会保障制度を構築する観点から、医療制度改革等を行うとともに、少子高齢化や厳しい雇用情勢に対応するため、各般の施策を推進することとしており、その予算規模も、主要経費の中では最大の項目となっております。
 公共投資関係費につきましては、十四年度予算において、その水準を前年度に比べまして一〇%削減し、環境問題への対応、都市の再生等の重点分野へ大胆な配分を行っておりまして、浪費との御指摘は当たらないと考えております。
 近年の税収の低迷の原因及びあるべき税制についてのお尋ねでございます。
 我が国税収は、現在、低い水準にとどまっておりますが、これは、近年の景気の低迷や累次の減税の実施などの影響によるものであります。これら減税措置は、平成十一年度の恒久的な減税を初めとして、近年の極めて厳しい経済状況等に最大限配慮して実施したものであります。
 また、あるべき税制については、その構築に向け、御指摘の所得再配分のあり方を含め、経済活性化をどのように支え、経済社会の構造変化にどう対応するのか、中立、簡素、公平な税制をどう実現するのか、適切な租税負担水準や、地方分権にふさわしい地方税のあり方をどう考えるかなど、多岐にわたる課題について、予断なく、総合的に取り組んでまいります。
 所得税、消費税、法人税等についてのお尋ねでございます。
 個人所得税については、累次の税制改正により、課税最低限は引き上げられ、税率の累進構造も緩和された結果、大幅な負担軽減が図られ、その負担水準は、主要先進国中最も低いものになっております。基幹税としての機能が空洞化しているという批判もございます。
 法人税については、これまでにも、租税特別措置の整理合理化等に取り組んでいるところであり、また、その税負担については、我が国の実効税率は、米国とほぼ同じ水準となっているなど、国際水準並みであると考えております。
 消費税については、上げるとも下げるとも言わず、これから、いろいろな意見を聞きながら議論をする必要があると思います。
 いずれにせよ、今回の税制改革の議論に当たっては、今申しました現状を踏まえまして、所得税、法人税、消費税、地方税等すべての税項目について、予断なく、予見なく、幅広い観点から、あるべき税制について検討を行ってまいりたいと思います。
 ブッシュ大統領の一般教書演説に関するお尋ねでございます。
 ブッシュ大統領は、同演説において、国際的なテロに対する取り組みの重要性を強調しておりますが、報復戦争や特定の国に対する将来の具体的な軍事行動については述べておりません。
 我が国としては、国際的なテロの防止及び根絶に向け、米国を初めとする国際社会の取り組みに主体的な判断を持って積極的に寄与していく考えであります。
 有事法制についてでございます。
 日本国憲法のもと、我が国の独立と主権、国民の安全を確保するため、平素から必要な体制を整えておくことは、国としての責任であります。
 有事への対応に関する法制の整備に当たっては、御指摘の点も含め、法制が扱う範囲、法制整備の全体像等を明らかにしてまいりますが、いずれにせよ、有事法制は、周辺事態における我が国の対応措置を念頭に置いたものではないと承知しております。(拍手)
    ―――――――――――――
    〔議長退席、副議長着席〕
○副議長(渡部恒三君) 土井たか子君。
    〔土井たか子君登壇〕
○土井たか子君 私は、社会民主党・市民連合を代表いたしまして、小泉総理大臣の施政方針演説に対して質問をいたします。(拍手)
 一昨日の小泉総理の演説を私、聞きまして、大変驚きました。そして、失望いたしました。一万五千字に及ぶ演説です。しかし、その中に、今国民が最も知りたいと考えていることが何一つまともに入っていないからであります。
 外務省によるNGO排除問題はどこに行ったんですか。自民党の元幹事長の私設秘書による脱税・口きき疑惑や国会議員元秘書による入札介入事件はどこに行ったんですか。BSE、いわゆる狂牛病の発生を防げなかった政府の責任と、先日発覚した雪印食品の偽装牛肉事件は一体どこに行ったんですか。
 基本的人権と平和主義を掲げる憲法を持つ国で、そのいずれをも制限し、あるいは破壊してしまうかもしれない有事法制について、この段階に至っても、備えあれば憂いなしの一言だけとは、余りに無責任ではないですか。
 あらゆる指標が下げどまらない経済の深刻な危機の中で、国民は仕事を奪われ、生活を奪われ、未来を、将来への希望を奪われています。大不況下に緊縮予算を立てるという世界でもまれな経済政策によって、この三月にも再び日本は金融危機に陥るとも言われています。日本国民だけではありません。世界じゅうの国々が、日本の経済の成り行きを心配し、その急速な収縮を恐れているわけであります。かたずをのんで小泉政権の経済政策を聞こうという国民を前にして、相も変わらず、構造改革の空念仏と、努力が報われる社会などという美辞麗句ばかり。方向性もなければ、具体性もないではありませんか。こんないいかげんなことでいいんでしょうか。
 初めに、外務省によるアフガン復興会議へのNGO参加拒否問題について伺います。
 幾つものメディアの調査がはっきりと示しているとおり、小泉総理のけんか両成敗的な決着に、国民は納得しておりません。これでNGO参加拒否問題が決着したとは、全く考えておりません。
 問題は、二つ残っていると私は考えます。
 第一は、アフガン復興会議へのNGO参加拒否について、鈴木宗男議員の介入があったかどうか、その事実関係についてきちんと調査したのかということであります。調査をした上での田中、野上両氏の更迭であったのか。調査をしたとするなら、いつ、だれに対して、どのような調査をされたのでしょうか。
 一月二十九日の、出された「政府見解」には、アフガン支援国会議へのNGOの参加に当たり、特定の議員の主張に従ったことはないと書かれております。しかし、一月二十四日の予算委員会における田中外相の答弁と外務省事務当局の答弁に相違のあることを政府見解が認めるというこの「政府見解」の中で、既に矛盾があらわになっているんです。こんな政府見解、今まで見たことありませんよ。
 総理は、両氏の更迭を発表したとき、これは自分の責任だと明言されました。そのとおり、任命権者の責任であります。そして、その責任は、事実を確認して、理非曲直を国民の前に明らかにして、初めて果たされるものであります。
 二月四日、予算委員会の席で、我が党の横光議員の質問に対して、どういう判断をするか、「その点について、いろいろ、今回のNGOの問題については、外務省も鈴木議員の言うことを気にし過ぎたな、その点は反省すべきだ」と総理は答えられておりますけれども、それなら、なぜ、外相更迭の必要があったんでしょうか。
 外務省の改革について、口をきわめてこれを強調されるのが総理ですが、新外務大臣と前外務大臣との引き継ぎは行われたんでしょうか。そのことが何にも明らかにされておりません。新外務大臣は、就任一週間たちました。問題が山積している環境行政が大事なときに、環境大臣はどうなっているんでしょうか、お顔が見えません。けじめをつけると始まった大臣交代なのに、けじめをはっきりつけないで、外務省の改革ができるんでしょうか。総理大臣、どうなんですか。(拍手)
 小泉総理、これは国民が大きな関心を持っている問題ですよ。しっかりお答えいただきたいと思います。
 もう一つ問題だと思うのは、NGOというものについて、そもそも政府は理解していないのじゃないか、理解が足りないのではないかということであります。
 NGOとは、言うまでもありません、ノンガバメンタル・オーガニゼーション、つまり非政府組織であります。政府とは違う、市民の自主的で自立した、しかも利潤を求めない活動であって、古くは赤十字などもその一つですが、第二次世界大戦後、とりわけ一九七〇年代、八〇年代に至って、世界的に非常に盛んになったものです。盛んになったのは、政府や企業では解決できない問題が数限りなく見出されたからであります。
 活動の分野は、枚挙にいとまがありませんが、地雷の廃止や核廃絶などの平和、途上国や紛争地域への緊急援助や開発支援、環境、福祉、教育、人権の擁護などに及びます。すべて、公共的なテーマにかかわっております。国際的なNGOだけで、世界で三万を超えると言われております。私自身もNGOにみずから参加をいたしておりますが、たくさんのNGOの友人がおりまして、日々、多くの情報や意見をいただいています。
 NGOは、政府の下請ではありませんし、その指揮下にあるわけでもありません。政府を補完するものでもないんです。最近はコラボレーションという言葉を使うようですが、ある課題をめぐって対等の立場で協働する、共同作業をするという意味であります。これまで政府に対して批判、告発をする傾向の強かったNGOが、政府とも特定の目的に関しては共同作業して、そのことによってよりよい社会を築いていこうとする新しい考え方と言っていいでしょう。
 この場合、大切なことがあります。大切なことは、対等性であり、自立性なんです。相互に批判を持つというのは、ごくごく当然のことであります。政府を批判したから国際会議に参加させないなどという意識そのものが、今や国際社会で通用いたしません。そして、国連を初め国際的な活動において、NGOの参加がない場というのは、もはやどこにもないんです。一つ一つのNGOの力は弱くても、世界じゅうにネットワークが張りめぐらされていますから、情報の量と確度は官庁や企業にまさるとも劣らないと言えるでしょう。
 そのことを小泉総理はしっかり理解しておられるんでしょうか。これから、日本政府は各分野のNGOとどのような関係を築いていこうと考えておられるんでしょうか。お答えいただきたいと思います。
 小泉総理は、自民党政治を打破して日本を変えると大見えを切って登場されました。しかし、今回明らかになった脱税疑惑や不正入札事件は、いずれも、自民党の体質そのもの、政官業の癒着と利益誘導政治が改まっていないどころか、完全に温存されていることを示しています。
 私と私の属する社会民主党は、あらゆる機会をとらえて、政治腐敗の問題を追及してきました。またか、と思われる方があるかもしれませんが、私たちの方こそ、またか、と申し上げたいのであります。
 KSD疑惑が発覚して、自民党の村上、小山両参議院議員が逮捕されてから、わずか一年しかたっておりません。再び、国会議員の元秘書や私設秘書の肩書を利用した、悪質な口きき行為が発覚したんです。これらは、れっきとした贈収賄というべきものです。この国会は、疑惑の全容解明と、あっせん利得処罰法の改正が優先されるべき課題であると考えますが、総理、いかがですか。
 関係者の国会証人喚問を行うことを要求したいと思います。そして、私設秘書や、議員の親族へあっせん利得処罰法を適用拡大する改正も要求したいと思います。どうお考えですか、総理。もう政治腐敗の問題は終わったとお考えなんでしょうか。
 さらに、KSD疑惑について申し上げたいことがあります。この一年、どのような実態調査をされたのか、伺いたいんです。でっち上げ自民党員の党費立てかえ問題は、調査と、党費をお返しします、これは森内閣のときのお約束だったんですよ。KSD会員に自民党費は返されたんですか、どうですか。これをひとつはっきりお答えいただきたいんです。(拍手)
 政治家と金の問題について私たちが徹底的に追及するのは、単に、政治家の倫理を問うためではありません。もちろん、倫理も問題ですけれども、それだけじゃない。「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。」にもかかわらず、金が介在することによって、一部の利益が全体の利益に優先させられてしまう、これが問題なんです。国の政策を大いにねじ曲げる、これが問題なんです。
 特に、公共事業には数多くの事業者がかかわっています。むだで環境破壊的な公共事業は、国民から厳しく批判されて、ついに予算も削減されました。しかし、まさしく国民の公共的な利益のための事業というのは、必ずあります。では、本当に必要な事業は何なのか、そして、どの事業者がその事業を行うにふさわしいのか、その選択には、公正さと透明性がいよいよ不可欠になります。(発言する者あり)当たり前ですよね。しっかり当たり前にしてください。政治によるあっせん、介入は、そうしたプロセスをねじ曲げ、国民が享受すべき福利を妨げる、許しがたい行為と言わなきゃなりません。総理はどう認識していらっしゃいますか。
 政治と金の関係を断ち切るために、私たちは、従来より、企業・団体献金の禁止を求め続けてまいりました。一九九四年、政党助成金の制度ができて、なお企業、団体からの献金を受けるというのは、どう考えてもおかしいんです、これは。自民党も、そう国民に約束したじゃありませんか。渋っていた自民党も、やっと政治資金規正法の改正に応じて、そして、改正が現実のものになりましたが、抜け穴をそこでは準備しておりました。それが、ただいまの政党支部の問題なんです。
 自民党の支部は昨年一月一日現在六千九百三十一、二〇〇〇年に集めた企業・団体献金は、前年の五倍、百六十八億円に上ると新聞は伝えています。結局、政治資金規正法の改正で禁止された資金管理団体への献金が政党支部に変わっただけの話になっていますよ。
 企業・団体献金を受け、事務所には何人もの私設秘書を雇い、官庁と企業の間で公共事業の口ききをする。これでは、これまでの自民党政治そのものですね。どうして、これで自民党政治を打破するということになるんですか。(拍手)
 小泉総理、あなたは、一月二十二日の衆議院本会議で、社民党の辻元議員の質問に、一定の規制のもとで企業・団体献金を受けることは、必ずしも悪とは思っていない、先ほどもそれをおっしゃっていました。(発言する者あり)ここからなんです。ここからなんです。黙って聞いてくださいよ。企業・団体献金を受けなかった場合、政治活動はだれがやるんですか、税金でやるんですかとお答えになりました。小泉政治の正体見たり、こう言わなきゃなりません。これでは、政治家はあっせんをする動物と言ってひんしゅくを買った自民党議員とどこが違うんですか。何のために政党助成の制度をつくったんですか。(拍手)
 この際、あっせん利得処罰法の強化とともに、企業・団体献金を全面禁止にすべきだと思います。これは、総理のお考えをしっかり聞かせていただきたい。
 次に、雪印食品による偽装牛肉事件についてお尋ねします。
 雪印による国産牛肉の偽装は、税金を詐取した極めて悪質な犯罪であって、政府がこれを告発したのは当然のことであります。しかし、この間、明らかになったのは、雪印という一メーカーの問題ではなくて、私たちの口に直接入る食べ物の産地を偽ったり、ラベルを張りかえたりしていた食肉業界の驚くべき実態でした。
 輸入牛肉を国産と偽ったり、少量の国産牛をまぜて国産と表示するなどの虚偽表示はしばしば行われ、問題にもなってきたと言われています。なぜ、政府はこうした実態を放置してきたんでしょうか。また、こうした実態があったからこそ、今回の偽装事件も生じたと言えるのであります。政府の責任は重いと言わなきゃなりません。
 私は、先日、雪印食品関西ミートセンターまで出向いて調査をしてまいりました。そこで明らかになりましたのは、こういうことであります。
 今回悪用された事業は、牛肉在庫緊急保管対策助成事業といいまして、おくればせながら全頭検査が始まった昨年十月十八日より以前に解体された国産牛肉を国が買い取るという事業です。
 さて、この事業を行う全国食肉事業協同組合連合会、略して全肉連と申しますが、この連合会が都道府県連合会に出した指示があります。十月二十四日の段階では、対象牛肉には、屠場の証明書、格付証明書などで屠畜月日が証明できる書類が必要と明記されていました。ところが、五日後の十月二十九日、同じく全肉連が出した指示を見ますと、対象牛肉の確認は冷蔵倉庫業者の発行する在庫証明でよいと変更されていました。つまり、食肉業者が抱える在庫牛肉をチェックするすべもないまま買い入れる仕組みにしたのは、事業を行う政府自身だったのではないんですか。なぜ、このような変更が行われたのでしょうか。まことに不可解と言わざるを得ないのです。
 雪印の詐欺は許しがたい事件です。しかし、こうした問題を引き起こしたもともとの原因は、BSE、いわゆる狂牛病の発生を許した農水省にあったと言わなければなりません。
 一九九六年、世界保健機構、WHOが出した勧告に基づいて、肉骨粉を牛のえさとして使うことを禁止できたし、また、すべきだったにもかかわらず、農水省はそれをしなかったのです。米国は、同じ勧告を受けて、九七年には肉骨粉を禁止して、ヨーロッパからの肉骨粉の輸入も全面禁止しています。ヨーロッパ以外で、狂牛病の発生を見たのは日本だけですよ。当時、農水省は、この問題を十分自覚していたはずです。なぜ、法規制を行わなかったのか。怠惰だったからですか、それとも、肉骨粉の製造業者をおもんぱかったのでしょうか。いずれなんですか。
 HIVの蔓延をもたらした厚生省と全く同じではないですか。政府の国民に対する最大の責任は、その生命と健康を守ることであります。国民の生命、健康を守れない政府は、政府の名に値しません。まさに、日本政府は、NGOの言う、信頼できないお上、そのものではありませんか。(拍手)
 さらに、昨年、EUの狂牛病発生可能性の評価を断ってしまったのも、農水省であります。国民の生命や健康より官庁のメンツを優先させるという、この無責任と傲慢の同居は一体何事でしょうか。
 私は、小泉総理はBSE発生問題について政府の責任をどう考えておられるのか、はっきりとここでお答えいただきたいのです。そしてまた、農水大臣を初め農水省担当者の責任についてどうあるべきだと思われているのですか。やめないで引き続いてやることが責任だ――いいです、もう。そんなことは聞きたくない。本気になってどう責任を果たすか、これこそまじめに答えていただきたいと思いますよ。(拍手)
 次に、不審船と有事法制について伺います。
 総理は、施政方針演説の中で、二回、武装不審船について触れておられます。これは昨年十二月に起きた奄美沖不審船事件のことですが、国民の生命に危害を及ぼし得る勢力とされ、危機管理、有事法制準備の名目に挙げられています。
 私は、この不審船事件、わからないことが余りに多い事件だと考えております。海上保安庁の方から説明を求めたり、また、一月十日の衆議院国土交通委員会における審議の記録を読み直したりいたしましたが、なお不明なことが多い。我が国が、警察行動とはいえ、公海上において交戦し、結果的に相手側の船を沈めてしまったというのは、恐らく戦後初めてのケースではないかと思いますから、この問題は軽視できません。有事法制の名目とされているのですから、なおさらのことであります。
 第一は、この船は日本に対していかなる不法行為を働いていたのか、あるいは、いかなる不法行為の疑いがあって公海上において追跡を行ったのか、それがわからないんです。
 私たちが見せられた航跡図では、不審船は公海上を日本領海から離れていくだけであります。日本に上陸したり、領海に立ち入ったことにはなっていません。言うまでもなく、国際海洋法では、公海はもちろん、領海においても、すべての船舶に無害通航権が認められております。沿岸国は、それを妨害しない義務を負っております。排他的経済水域における沿岸国の権利は、生物・非生物資源への権利のほかは、海洋環境の保全に対する管轄権などがあるにすぎないのであって、よほどの証拠がない限り、立入検査や、ましてや威嚇射撃などは許されないとされております。
 海上保安庁によれば、追跡の理由は漁業法違反です。漁船のようでありながら漁網が見えなかったからというのです。ところが……(発言する者あり)静かにして聞いてください。通常、排他的経済水域においては、違法操業を疑われないために、漁船は漁網を格納しておくのが普通であると言われています。違法操業の疑いで追いかけたというのに、相手の船は操業している様子がないというのは矛盾ではないのですか。
 第二は、重武装した船が害をなす目的で日本に向かってきたというのならともかく、離れていくものを、追跡ばかりか射撃までしかけたのはなぜかであります。
 前回、逃げられたからというのは理由になりません。それは、国内の、しかも一官庁の理屈であって、事は公海上の日本の行動にかかわるからです。国際的に説明できる理由が必要です。
 警察官職務執行法がその根拠になっていますが、では、どのような犯罪を疑っていたのか。射撃までするのには、相当な凶悪犯罪が行われていたことを疑わせるに足る証拠が必要であると思われます。それはあるのでしょうか。
 事ほどさように、今回の不審船事件には、国民に隠されている部分が多いんです。事件の真相を国民に隠したまま、ただ脅威をあふっていると疑われないために、総理は事件の全体像をきちっと国民に示すべきであります。
 今回の事件をめぐって、中国は、不快感、警戒感を示しています。人の玄関先でなぜ騒ぎを起こすのかと。韓国も強い懸念を示しています。事件は、日本の領土、領海で生じたのではなく、東北アジアの真ん中の海で生じたんです。日本の船ばかりでなく、沿岸各国の船も、他の国の船も、漁船も輸送船も通る海域で起きたんです。
 この事件は大変不幸な事件であったと私は思います。しかし、起きてしまった後、脅威をあふるだけで何もしないというのはどういうことなのか、理解できません。
 再びこうした悲劇を繰り返さないために、また、沿岸各国がお互いに対する不信と疑念を抱くようなことがないために、すべきことは何なのか。私は、海の紛争防止のために協議する枠組みを、日本が周辺諸国に呼びかけてつくるべきだと思います。日本、中国、南北朝鮮、台湾、ロシア、あるいはフィリピンやアメリカも入っていいかもしれません。紛争ばかりでなく、例えば大規模な船舶の事故や遭難など、この地域の海で何か不測の事態が起きたときのために、協議と対話の場を設けておくことが今何より必要ではないかと考えますが、いかがですか。(拍手)
 そして、不審船について、本当に脅威であると考えているならば、直ちに朝鮮民主主義人民共和国と対話に入るべきです。紛争を引き起こしたり拡大しないためには、対話し、関係を築く以外に道はありません。
 施政方針の中では、一方で、日本国民の生命に危害を及ぼす勢力と言いながら、一方で、正常化交渉の進展に粘り強く取り組むとも言われています。余りに支離滅裂だと思います。
 対立と緊張が対話の契機になり得ることは、外交のイロハです。その意味で、昨年、不審船事件直後、外務省が北朝鮮当局と北京で接触を持ったという報道がありましたが、事実であれば、正しい行動であったと思います。最もやるべきでないのは、今、周囲に脅威があるからと言い立てて、対話の姿勢もなく、有事法などを準備することだと思います。
 備えあれば憂いなしと、総理は何回も言われています。総理、あなたは、幾たびも厚生大臣をなさったはずですね。これは、社会福祉にこそ、備えあれば憂いなしと言っていただきたい言葉です。それが地震や洪水など自然災害への備えならもっともなこと、大いに備えをしていただきたいと思います。しかし、有事法制の対象は自然災害ではありません。有事への準備とは、戦争への準備ということであります。私は、子供のころ、戦争への準備という意味で、嫌ほどこの言葉を聞かされました。
 憲法で戦争を禁止しているのに、なぜ戦争準備なのか。この議論は大切であり、もし有事法案が提出されるなら、それをめぐって徹底的に追及いたしますが、外に対して協議や対話をしない国が戦争準備を始めたとするならば、周辺の諸国はそれをどう受けとめるでしょうか。よくよく考えていただきたいと思います。間違いなく、警戒を高め、あるいは軍備強化を図ることになるかもしれない。この場合、備えをすれば、逆に、憂いを高めることになるんです。
 小泉総理は、昨年、中国と韓国を訪問し、首脳と親しく会談をされました。ことしはワールドカップの年であり、アジア交流の年と、総理自身、言われているではありませんか。なぜ、このときに戦争法の準備なんですか、お答えいただきたいと思います。
 経済危機と雇用の問題について伺います。
 この間、どの経済学者に聞いてみましても、これほど深刻な経済状況は経験したことがないと言われます。戦後どころか、七十年前の大恐慌時代以来の事態であると警告する経済学者もおられるほどです。特に、昨年以降の激しい景気の落ち込みをどうとらえるのかが問題であります。
 失業率は、見る見るうちに昨年七月に五%を超え、数カ月で五・六%に達しました。しかし、実際の失業率がこの程度であると信じる人はありません。実際はこの倍ほどもあるのではないかと言われています。若い世代の失業率、また、五十歳代以上の失業率はさらに深刻です。私たちの社会は、若者に仕事を用意することができない事態に立ち至っているんです。非正規雇用がふえ、労働条件はいよいよ悪化の一途をたどっています。安定的な仕事や収入がなければ、将来の見通しもなく、当然のことながら、消費は減退します。消費が落ち込めば、景気はさらに悪くなります。この悪循環をいかに断ち切るかが問われています。
 小泉総理は、痛みを耐える改革ということをしばしば言われます。しかし、あるところには既に、十分耐えがたい痛みが集中しているんです。それは、失業者であり、中小企業であり、地方の経済です。年間三万人以上の人々が自殺するという事態が、それを示しているじゃありませんか。地方に行けば、どの町からも活気が消え、商店街はシャッターをおろしたままではありませんか。
 日本は、戦後長く続いた低失業率の時代が終わって、高失業率の時代に入ったんです。その転換は急速でした。意識の転換がおくれて、いまだに政府の対策は後手後手に回っているんです。
 失業の急速な増大によって、雇用保険の積立金も激減して、破綻に近づいています。本年度中にも、積立金が底をつくおそれがあります。総理がセーフティーネットと言われるならば、雇用保険の給付ほど当たり前のセーフティーネットはないはずです。このセーフティーネットが破れるままに放置しておいていいとは思えません。雇用保険は、財源の四分の三を労使の折半で、四分の一を国庫負担で賄っていますけれども、これを、労使の保険料を引き上げて対応するのではなくて、思い切った財政的な措置をとるべきだと考えますが、いかがですか。四分の一の国庫負担を二分の一にまで引き上げたらどうですか。これはぜひ、総理、英断でもって臨んでいただきたいと思いますよ。(拍手)
 総理の構造改革は、企業のリストラ策を後押しして、正規雇用を非正規雇用に置きかえていく傾向をいよいよ強めています。根本的に誤っているんではないんですか。構造改革が進めば進むほど、安心して暮らせる社会、子供たちの夢と希望をはぐくむ社会からどんどん遠くなっていることに、どうしてお気づきにならぬのでしょう。
 デフレスパイラルを起こさせないという総理の決断はいいでしょう。しかし、今の構造改革自体がデフレ推進政策なんではないんですか。
 私は、だからといって、景気対策として、再び、むだで環境破壊的な公共事業をやりなさい、道路をつくれとは絶対言いません。これはもう十分だと国民は思っています。しかし、このまま雇用を創出しなければ日本に未来はないということは明らかなんです。
 積極的に雇用機会を創出する公的関与が必要だと思います。それは、今の日本社会に圧倒的に欠けている部分に対して集中的に投資されるべきなんです。福祉、介護、子育て支援、医療、教育、環境、食の安全など、雇用の創出が可能な分野は幾らでもあるじゃありませんか。そして、それは、新しい社会の形をつくることに必ずなるんです。車の通らない立派な道や橋が山ほどつくられているその横で、老人たちが満足な介護もなく縛られているなんて、余りにおかしい社会ではないですか。
 また、私は、国民の不安を払拭するために、非正規雇用者の権利を保護し、同一価値労働に対しては同一賃金の原則を確立することを求めます。企業の安易なリストラを抑止するために、解雇、配転、賃金切り下げに明確な条件と手続を定める雇用継続保障法の制定を求めます。(拍手)
 アメリカ型の弱肉強食の社会が世界のすべてではありません。環境を重視して、食の安全を重視して、教育を重視して、労働者の生活を重視している社会はたくさんあります。個人の生活の豊かさと安心は、同時に、国と社会の安全につながります。きな臭い有事法制などより、はるかに国民に安心感を与えるのは、そういう社会のあり方であると思います。(拍手)
 人が生きるために経済があるのであって、経済のために人は生きているのではありません。その当たり前のことが忘れられているのが、今の日本社会であり、小泉構造改革であります。
 小泉総理、どうも小泉総理の構造改革論は方向があべこべではないんですか。しかし、事今に至っても、総理はスローガンの絶叫を繰り返すだけで事に対応されるとするならば、直ちに小泉内閣の退陣をするしかないということを私ははっきり申し上げて、質問を終えます。ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 土井議員にお答えいたします。
 NGOのアフガン復興支援国際会議への参加問題と一連の問題でございます。
 本件は、もともと外務省内の問題であったのが国会全体の問題となり、国会の混乱という事態になりました。私としては、この事態を打開するために、田中前大臣に協力をお願いするとともに、野上事務次官の辞意を受け入れるということによって、事態の打開を図ったところであります。
 私は、いろいろな議員、与党、野党を問わず、役所に意見を言うのは自由であります。別に、それをとがめ立てすることはございません。ただ、だれの意見であろうと、その意見が適切であるか不適切であるか、これについて役所もしっかりと判断をすべきだと。耳を傾けるべき意見は取り入れる、そして、不適切な意見は排除する、こういう点について、今まで以上に厳しく対処すべきだと述べております。
 この点も含め、川口新大臣には、外務省に対する内外の信頼を一刻も早く回復するよう外務省改革に意欲的に取り組むと同時に、外交体制推進のために政府一体となって積極的に体制を整えるよう指示しております。
 また、新旧外務大臣の引き継ぎについてのお尋ねがございました。
 私は、川口外務大臣の就任時に外務大臣を兼任しておりました。兼務しておりました。引き継ぎを行うとともに、外務省改革あるいは外交体制の推進について、今申しましたような指示を行いました。川口大臣は、田中前大臣に対して、外務省改革を含む諸課題に対して直接お話を伺いたいということで、既に面会を申し込んでいると伺っております。
 NGOと政府との関係についてお尋ねがございました。
 グローバリゼーションが進展する中、テロ対策、地球環境問題、開発問題など、国際社会の諸課題への取り組みにおいて、NGOを初めとする市民社会の果たす役割がますます重要になってきております。外交を推進するに当たっても、政府とNGOなどとの間で十分な連携を図ることが一層重要になっていると考えております。
 脱税疑惑や不正入札事件についての証人喚問や、あっせん利得処罰法の改正についてお尋ねでございます。
 関係者の証人喚問については、各党各会派、国会で議論をしていただきたいと考えますが、いずれにせよ、疑惑を持たれた議員は、政治家は、国民に対してきちんと説明し、対応していく責任があると考えております。
 御指摘のあっせん利得処罰法の改正も含めて、早急に改善策を検討し、政治腐敗の防止に全力を挙げてまいりたいと思います。
 KSD疑惑についてでございます。
 党費立てかえ問題の調査は、昨年八月に取りまとめ、我が党幹事長から公表しました。自民党豊明支部の党員の調査を行った結果、七五%は、党員としての認識があると認められましたが、残念ながら、その他は、党員であるとの認識が必ずしも明確であるとは認められなかったという報告を受けております。この調査結果を踏まえ、KSDに加盟する中小企業経営者に誤解と混乱を与えたことについて責任を感じ、自民党は、中小企業経営者の育成、発展のため、KSDに対して一億円の支援を行うこととしました。
 自民党としては、KSDをめぐる問題を反省し、適正に党員集めが行われるよう、入党手続や審査を徹底するなど、再発防止に全力で取り組んでおります。
 政治による事業のあっせん、介入についてでございます。
 必要な事業や事業者の選択に当たっては、評価基準の改善等による優先順位をつけた事業選択や、入札、契約における透明性の確保、不正行為の排除の徹底などが重要であります。これらに反するような、政治による不当な介入はあってはならないことであり、事業選択などが公正で客観的な判断のもとで行われなければならないと考えております。
 企業・団体献金についてのお尋ねであります。
 私は、一定の規制のもとで政党が企業なり団体なりから献金を受けるということは、必ずしも悪であると思っておりません。しかしながら、政治と金の結びつきについて、いろいろ不信を招くことがないような仕組みにすることが必要であると思います。
 政党助成制度が導入された趣旨も踏まえ、各党各会派で、引き続き、民主主義のコストとして、国民がどのような政治活動を支えていくべきか、また、政治資金をどのような政党に、どのような政治家に国民が提供すべきか、政党は政治資金の調達をどのように進めていくかということは、各党各会派で議論を進めていただきたいと思います。
 雪印食品の国産牛肉偽装事件についてでございます。
 本件は、BSEに対する消費者の不安を払拭するための事業を悪用するとともに、食品表示に対する消費者の信頼を著しく損なう、極めて悪質なものであります。
 この事業に関し、モラルハザードを招くような事業の仕組みだったのではないかとの御批判に対しては、今回の件を踏まえ、今後、事件の徹底的な真相究明を図ることが必要と考えております。
 いずれにせよ、隔離牛肉を保管する全倉庫の徹底総点検を行うとともに、食品の表示制度の見直しとその改善強化を急がせるなど、牛肉に対する消費者の安心と信頼を取り戻し、牛肉消費の回復に努力をしたいと思います。
 BSEの責任問題についてでございます。
 九六年の肉骨粉の使用についてのWHO勧告や、昨年のEUの指摘に対する我が国の対応のあり方については、厚生労働大臣と農林水産大臣の私的諮問機関として設置されたBSE問題に関する調査検討委員会において、議論していただいているところであります。その委員会の結論に基づき、農林水産行政の改革を実施すべきものと考えています。
 現在、BSEの感染経路の究明や関連対策の実施などに全力で取り組んでいるところでありますが、農林水産大臣には、その職責を果たしてもらいたいと考えております。政府として、国民に安心していただくよう、これからも全力を尽くしてまいります。
 不審船事案についてお尋ねがございました。
 今回の事案においては、当該船舶をその外観から不審な外国漁船と認め、違法操業のおそれありとして、漁業法の検査を求めましたが、逃走されたため、検査忌避罪の容疑で追跡したと承知しております。
 当該船舶は、停船命令をたび重ねて無視し、巡視船を妨害するなど極めて悪質であり、かつ、武装の可能性があったことから、やむを得ず、海上保安庁法及び警察官職務執行法に基づき威嚇射撃を行ったものであります。
 今回の不審船事案については、関係当局において鋭意捜査を進めており、引き続き、事実関係の解明に向けて全力を尽くしていくと承知しております。
 海の紛争防止のための協議の枠組みについてでございます。
 我が国は、既に、アジア諸国間の信頼醸成のため、二国間及び多国間のさまざまな形での対話促進に取り組んでおります。先般、私が東南アジア、ASEAN訪問した際においても、海賊対策等につきましては協力しながら進めていこうということを表明し、各国の理解と協力を得ております。
 有事法制への取り組みと周辺諸国との関係についてでございます。
 平素から、日本国憲法のもと、国の独立と主権、国民の安全を確保するため、必要な体制を整えておくことは国としての責務であり、戦争の準備との御批判は当たりません。
 備えがあると戦争が起こるという考えを、我々はとりません。備えあれば憂いなし。有事法制の整備に当たっては、法制が扱う範囲、法制整備の全体像、基本的人権の尊重及び適正手続の保障等の法制整備の方針等を明らかにしてまいる考えであり、無責任との批判は当たらないと思います。
 我が国は、アジアその他の諸国との安保対話等を積極的に推進しています。有事法制についても、今後とも、諸外国に対して透明性を確保していきたいと思います。
 雇用保険の安定運営についてのお尋ねでございます。
 雇用失業情勢が厳しさを増している中にあっても必要な給付が行えるよう、今後とも労使と国がそれぞれ負担する保険制度として安定的な運営を確保していくことが肝要と考えており、こうした観点から、今後の雇用失業情勢の動向等を注視し、適切に対処してまいります。
 なお、雇用保険制度は労使の共同連帯を基本とするものであり、雇用保険のさらなる財源について、安易に国庫のみに負担を転嫁するということは適当でないと考えております。
 非正規雇用者の権利の保障及びリストラを抑止するための法整備についてでございます。
 パートタイム労働者等の適正な処遇を確保することは重要な課題であり、また、解雇基準やルールについても、労働環境をめぐる紛争防止の観点から、明確にすることは大切なことだと認識しております。これらの問題については、現在、厚生労働省において、労使を初め関係者の意見も十分聞きながら検討しているところであります。
 構造改革の方向についてでございます。
 私は、今のいろいろな制度、規制、こういうことについて改革の手綱を緩めることなく、経済社会の主役は人である、そういう考えのもと、努力が報われ、再挑戦できる社会、これにどうやって各人が能力と個性を発揮し、存分に活躍できる体制ができるか、その仕組みを整えることが大事だと考えております。
 こういう観点から、私は、今後、高齢化社会あるいは循環型社会への対応等、民間需要、雇用の拡大、そのような点に力点を置いた構造改革の推進などにより、デフレも克服し、将来、夢と希望を持って多くの国民が前向きに進めるような社会を構築していきたいと思います。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(渡部恒三君) 井上喜一君。
    〔井上喜一君登壇〕
○井上喜一君 私は、保守党を代表して、小泉総理の施政方針演説に対し、総理及び関係大臣に質問をいたします。(拍手)
 昨年の十二月一日、愛子内親王殿下が誕生されました。国民挙げての喜びであり、心よりお祝いを申し上げ、お健やかな成長をお祈りいたしたいと思います。
 さて、新年を迎え、小泉内閣も二年目に入ります。総理が施政方針で述べられたとおり、ことしは、小泉内閣の「聖域なき構造改革」もいよいよ本番を迎え、その真価が問われる年であります。
 総理、田中外務大臣の更迭をめぐる一連の経過の中で、世論の支持率が大幅に低下する事態となっております。しかし、内閣支持率に一喜一憂すべきではありません。日本を立て直すという総理の信念のもと、構造改革を断行することこそ、総理の使命であり、責任であります。
 保守党は、日本の再興のため、あらゆる分野での構造改革を求める党として、時には政策提言を行い、時には厳しい注文をつけながら、小泉内閣を支えてまいる方針であることを、まずもって申し上げます。
 当面の重要課題は、総理が施政方針で「デフレスパイラルに陥ることを回避するために細心の注意を払います。」と述べているように、経済のデフレ化にストップをかけることであります。今や、まさに非常事態というべきであります。
 経済の長期デフレの傾向は、ますます鮮明となってきております。総務省の先月の発表によれば、昨年の全国の消費者物価指数は前年比〇・七%減となり、三年連続の前年割れとなっております。三年連続の下落は初めてであり、下落幅も過去最大であります。
 デフレ経済は、企業の売り上げを減少させ、国民の所得を減らし、倒産、失業を増大させます。人々の心をすさませ、治安の乱れを呼びます。さらなる痛みをもたらす構造改革は、困難をきわめることが予想されます。経済のデフレ化にストップをかけ、デフレスパイラルへの突入を阻止することは、国民の生活を守るためにも、経済の再建のためにも急務であり、そのために全力を傾注しなければなりません。
 私は、デフレ経済をストップするには、基本的に、金融機関の不良債権の早期処理、経済構造改革、総需要の喚起の三点が特に重要であると考えます。総理の所見とあわせて、その具体的な取り組みを伺います。
 この問題に関連し、この四月から実施を予定しているペイオフの問題があります。
 ペイオフは、本来、市場原理に基づき経営の悪化した金融機関の淘汰を促し、もって金融市場の健全化を図るものでありますが、今は、不良債権の重圧で、我が国の金融機関の九五%が不健全であるという異常な状況にあります。このような状況でのペイオフの解禁は、金融市場にさまざまな悪影響を与え、貸し渋りを招いたりデフレを加速する懸念があります。特に、地方の中小の金融機関への影響も大きいと考えられます。
 政府は、既に、ペイオフの四月解禁の方針を固めており、解禁により金融市場の混乱が起こらないよう、あらゆる手段を講ずることとされておりますが、金融担当大臣は、ペイオフの金融市場に対する影響をどのように考えておられるのか、また、経済産業大臣は、ペイオフの中小企業金融への影響をどのようにお考えか、伺います。
 製造業の空洞化も、一段と進んでおります。中国を初めアジア諸国の台頭は著しく、日本でつくる製品と同様の製品をはるかに安いコストで生産できる国に成長いたしました。我が国は厳しい低価格競争を強いられており、安い労働力を求めて生産基地を海外に求める企業が増大し、これが製造業の空洞化を招いております。
 今こそ、国としての生き残りをかけた戦略を立て、国際競争力を高め、製造業の空洞化を防止していかなければなりません。これについての経済産業大臣の所見と、空洞化防止の戦略をお伺いいたします。
 デフレスパイラルへの突入を防止し、不良債権の処理、経済構造の改革等の構造改革を円滑に進めるためには、あらゆる政策を総動員し、総需要の喚起を図らなければなりません。個人消費の拡大、民間活力の活用、規制の撤廃、緩和によるビジネスチャンスの拡大など、財政に頼らないでも、需要の喚起は可能であります。
 総理は、施政方針において、明確な方向性を持った改革が、需要を掘り起こし、事業機会をつくり出し、そして成長を生む、こうした環境を整備することこそ政府の役割と述べられておりますが、総理の総需要拡大についての見解を伺います。その際、あわせて、三連休の活用など、観光振興についての総理の見解も伺います。
 次は、税制改革であります。
 総理は、施政方針において、個人や企業の経済活動における自由な選択を最大限尊重し、努力が報われる社会を実現するため、税制を再構築することが必要として、ことしの最重要課題の一つとして、税制改革に取り組む方針を表明されました。全く同感であります。
 税制改革で今日求められているのは、単なる財政再建という視点からではなく、これまでの税制を、経済の成熟化、社会の高齢化、国際化といった社会の変化に対応し、経済の活性化、個人の創意、努力が正当に報われる税制、直接税に偏った税体系、貯蓄より投資優遇の税体系といった、構造改革の視点に立った税制改革であります。その中でも、消費税は、経済の活性化や社会保障の財源などの点から、もっと幅広い視点から見直さなければならないと考えますが、総理のお考えを伺います。
 昨年、政府・与党の社会保障制度協議会において、医療制度改革大綱が策定されました。政府は、これに基づき、今国会に提出する関係法律の検討を急いでいるところであります。
 また、この医療制度改革にあわせて、一、保険者の統合再編を含む医療保険制度の体系のあり方、二、新しい高齢者医療制度の創設、三、診療報酬体系の見直しなどを検討することとなっておりますが、これらの取り組みを医療改革関係法案の中で規定されるお考えですか、総理にお伺いいたします。
 さらに、新しい高齢者医療制度の創設の検討に当たっては、消費税を財源に充て、社会保障目的税とすることなどが検討されることになると考えられますが、総理の見解をお聞かせください。
 昨年末、日中協議により、日本のネギ等三品目についてのセーフガードの確定措置を実施しないことを決定いたしました。日中両国は、三品目についてのスキームを早急に構築し、秩序ある貿易を促進することに合意をいたしました。すなわち、日中両国の生産者団体が協議をして、貿易の健全な発展を促進することに合意するとともに、日中両国政府も、秩序ある貿易を促進するために協議をしていくことに合意をしたのであります。
 最近の三品目の輸入状況及び国内の価格動向、両国間の話し合いの現状及び話し合いの妥結の見通しを農林水産大臣にお伺いいたします。なお、その中で、節度ある輸入数量になるような措置が担保されるものと理解してよろしいか、あわせて伺います。
 翻って、WTO農業交渉を前にして、また、日本農業の現状を見るとき、農業の体質の強化を図るとともに、国際競争力をつけていくためには、これまでの延長線上の農業政策のみによることなく、さらに進んで、政策の対象を絞り込み、農業の将来の発展を可能とするような所得政策を加味した政策、すなわち、より国際的に共通性のある政策への転換が必要になっていると考えられますが、総理の御所見を伺います。
 教育が国家の基盤をつくるものである以上、多くの国民がこれに大きな関心を持つことは当然であります。現在、国においても、教育全般にわたる見直しが検討されているようでありますが、時宜を得たものと考えます。
 しかし、その中で、特に今日、学校教育における学力の低下を指摘する声が大きいと思いますが、文部科学省は、一貫してこれを否定し、学習指導要領やその他の関連する制度の改正の意向はないように見られます。私は、この事実を率直に認めて、是正すべきは早期に是正しなければならないと考えますが、総理の見解を伺います。
 アフガニスタン復興支援国際会議が、先月二十二、二十三の二日間、東京で開かれました。参加各国は復興への長期的な支援を誓い、各国が表明した拠出額は総額四十五億ドルに達するなど、会議を成功裏に終えることができました。共同議長として会議をリードされた緒方貞子氏を初め、関係者の御努力を高く評価いたします。
 しかし、この会議へのNGOの参加問題をめぐって大臣答弁と事務当局との答弁の食い違い、国会での混乱から、大臣、事務次官の更迭という事態に立ち至ったことは、まことに憂慮にたえません。川口新大臣のもと、外務省が一丸となって外務省改革を行うとともに、山積する外交課題に対応できる体制を一日も早く確立されることを望むものであります。
 さて、シルクロードの十字路として、東西文明の交差路として豊かな文化をはぐくみ、豊かな自然と素朴な国民に恵まれたアフガニスタンは、二十年以上にわたって国土が戦場と化し、カルザイ暫定政府議長が会議で述べたように、荒廃、戦争、野蛮、貧困、略奪以外に何もない国となっております。
 アフガニスタン復興のためには、国際社会が一時的興奮から関心を寄せるのではなく、何よりも、息の長い関心を持ち続け、協力して自立につながる支援を行うことが必要と考えます。日本としても、戦後復興の経験を生かし幅広い支援を行うとともに、農業技術や農業土木技術など、アフガン国民の生活の自立につながる支援も極めて重要であると考えます。総理の見解を伺います。
 次は、有事法制の整備についてであります。
 保守党は、危機管理に強い政府をつくることを政策の基本としており、その一つとして、有事法制の整備を強く求めてまいりました。今回、与党三党の、国家の緊急事態に関する法整備等協議会が設置され、いわゆる有事法制の協議が進められることになったこと、まことに感慨深いものがあります。
 有事法制の整備に当たって大事なことは、できるところから順次、法制化を図っていくことであります。協議会においては、これまで検討が進められてきた自衛隊の防衛出動にかかわる第一分類、第二分類などから協議に着手することで合意しましたが、当を得たものと判断いたします。総理の見解を伺います。
 有事法制の整備との関係で重要な課題の一つは、その中心となる政府の組織、すなわち、防衛庁の省昇格を実現し、その責任を全うするにふさわしい組織に改めることであります。
 国の平和と独立を確保し、国民の生命と財産を守ることは、国家の最も重要な役割であります。このため、諸外国では、これを担う組織を国の基本的事務を分担する省として位置づけております。また、大災害などから国民の生命財産の保護を担う自衛隊の役割は、極めて大なるものがあります。
 自国の防衛に真剣に取り組む国家として国際的な信頼を確保し、誇りを持てるように、国の防衛を国政の基本に位置づけること、すなわち防衛庁を省に昇格させることは、有事法制の整備に当たっても重要な課題であるというふうに考えます。
 保守党は、今国会に提出している防衛省設置法案の早期成立を目指しておりますが、この点についての総理の見解を伺います。
 最後に、新年に入り、政治家の秘書等が絡む一連の不祥事が明らかになっております。また、雪印食品による、補助金の不正受給を目的として牛肉をすりかえるという、信じられないような事件が発生しております。まことにゆゆしき事態と受けとめなければなりません。
 信なくば立たずは、政治の要諦であります。構造改革は、政治に対する信頼なくしてなし得ません。事態の真相を徹底的に究明し、違反者に対しては断固たる措置を講じ、再発防止に万全を期すことにより、政治、行政の不信を正すべきであります。
 総理の見解をお伺いし、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 井上議員にお答えいたします。
 激励を込めての御質問、ありがとうございます。
 デフレへの取り組みについてでございます。
 政府としては、日銀と協力して、デフレ阻止に向けて強い決意を表明しております。不良債権処理などの御指摘の諸点は、まさに重要な課題であると認識しております。
 今まで、緊急対応プログラムを策定し、平成十三年度第二次補正予算を編成したところでありますが、今後は、平成十四年度予算と平成十三年度第二次補正予算を切れ目なく執行するとともに、不良債権の処理、特殊法人改革、税制改革などの構造改革を断行することにより、将来の不安を解消する等、いろいろな施策を講ずることによって、個人消費の回復や経済の活性化を図り、デフレの阻止に取り組んでまいりたいと思っております。
 総需要拡大についてのお尋ねでございます。
 民間の創意工夫による新規需要、雇用の創出、これが極めて重要だと認識しております。
 既に、私が、低公害車への切りかえ、住宅金融公庫の廃止、郵便事業に民間企業を参入させるという方針を表明すると、民間では、新たな設備投資やそのための雇用対策、新規雇用の動きが見られております。内閣としても、方針を示すことがいかに重要かという一つのあらわれだと考えております。
 今後とも、特殊法人改革や規制改革などの構造改革を断行することにより、このような民間主導の需要の創出に努めてまいりたいと考えます。
 観光振興の取り組みについてでございます。
 観光は、多くの国民が大変楽しみにしている趣味でもあり、国策としても、私は、もっと観光政策に重点を置いてもいいのではないかと思っております。また、外国訪問等は、国際相互理解の増進につながるとともに、産業や雇用への幅広い経済波及効果もあると思っております。
 御指摘のように、総需要の喚起と地域の活性化にも観光というものは有効に働くものと思っておりまして、御指摘の三連休の活用や、ワールドカップサッカー大会の開催などを機会とする海外からの旅行者の増大を図ることなどにより、観光振興にも一層取り組んでまいりたいと思います。
 消費税についてでございます。
 これは、将来の税制のあり方について、その中で議論をしていただきたいと思います。今、上げるとか下げるとは申し上げません。
 税制改革に当たりましては、消費税も含めて、所得税、法人税、地方税、二十一世紀に対応し、国民の持っている潜在力をいかに発揮できるか、そういう観点からも、あるべき税制改革を議論していただきまして、必要な改革を実現したいと思っております。
 医療保険制度につきましては、これは、持続可能な、効率的な国民皆保険制度を維持していくためにはどのような改革が必要かという観点から、適切な施策を実行していきたいと思います。
 また、高齢者医療制度については、高齢化のピーク時においても安定的な運営を確保していくために、現役世代の支援と公費の適切な組み合わせを図るとともに、必要な財源の確保を図っていくことが重要と考えております。
 高齢者医療制度を初め、将来の社会保障の財源のあり方については、いずれにしても、こうした視点を踏まえ、国民的な議論によって検討されるべき課題であると考えております。
 農業政策の転換についてでございます。
 我が国の農業の体質強化を図り、国際競争力をつけていくためには、消費者の求める安全で安心な農産物を安定的に提供し得る産地や、高度な技術、経営戦略を有した、活力ある農業経営体を早急に育成することが必要であります。
 このため、諸外国において取り組まれている農政改革の方向を踏まえつつ、意欲と能力のある経営体が創意工夫を生かした経営が展開できるよう、農業の構造改革を進めてまいりたいと思います。
 学校教育における学力の問題についてでございます。
 この四月から新しい学習指導要領を全面実施することとしておりますが、この新しい学習指導要領は、子供たちに基礎、基本を確実に身につけさせ、それをもとに、みずから学び考える力などの確かな学力を向上させることをねらいとしております。
 先ごろ、文部科学大臣が、「学びのすすめ」と題する、確かな学力向上のためのアピールを発表しました。政府としては、教科等に応じた少人数の授業の推進などを図るとともに、各学校現場における取り組みを支援してまいりたいと考えております。
 アフガン復興支援策についてでございます。
 東京で開催されました、さきのアフガン復興支援国際会議の成果を踏まえながら、我が国としては、今後、難民・避難民の再定住、地域共同体の再建、地雷・不発弾の除去、保健医療、教育、女性の地位向上の問題などを重点分野とする中で、農業技術、農業土木技術なども含め、幅広い支援を実施していく考えであります。
 有事法制についてでございます。
 日本国憲法のもと、法制が扱う範囲、法制整備の全体像、基本的人権の尊重及び適正手続の保障等の法制整備の方針等を明らかにするとともに、御指摘のような個別の権限法規の見直しを進めてまいりたいと考えます。
 具体的な法案の検討に当たっては、引き続き与党とも協議の上、緊密に連携しながら当たってまいりたいと思います。
 防衛庁の省移行に関するお尋ねであります。
 まず、防衛は、自分の国は自分で守るという、この決意と気概を持つことが大事であります。国として適切な防衛の体制をとることは、国家存立の基本であると認識しております。
 防衛庁の省移行については、このような視点を踏まえ、国民の十分な理解が得られる形で議論が尽くされることが重要であると考えます。
 最後に、政治、行政の不信を正すべきではないかとのお尋ねであります。
 御指摘のとおりでありまして、いかなるよい政策を掲げても、政治に信頼がなくしてはその改革は進みません。今後、今回の不祥事等、いろいろな事件の反省を踏まえながら、政治家の秘書をめぐる問題、雪印食品をめぐる問題などについて、どうすれば国民の不信を払拭することができるか、また政治的な疑惑を防止できるか、これらの点を、各党各会派、早急に検討いたしまして、しっかりとした対策を講じていくことが必要であると思います。
 残余の質問については、関係大臣から答弁いたさせます。(拍手)
    〔国務大臣柳澤伯夫君登壇〕
○国務大臣(柳澤伯夫君) 私に対しましては、ペイオフの与える金融市場への影響についてお尋ねがございました。
 お答えの前に、一言だけ御指摘をさせていただきます。
 我が国の金融の現状ですけれども、我が国の金融機関は、検査の強化などの結果もございまして、現在、総じて、貸し出しに対する不良債権の比率、つまり不良債権比率が通常より高い状況にありますけれども、これには会計基準にのっとって十分な担保引き当てが行われており、また、国際的な基準等に沿って適切な自己資本が備えられておりますので、この不良債権比率が高いということをもって、すぐに金融機関が不健全であるということにはならないということでございます。
 おわかりになっていることとは思いますが、念のため、申し上げておきます。
 そこで、お尋ねの件ですけれども、まず、直接の影響を受ける預金でございます。
 預金動向でございますけれども、定期性預金の分散化、小口化といった動きが一部にございますけれども、銀行あるいは信金、信組等の協同組織金融機関の各業態ともに、現段階では、預金残高は対前年比でいずれも減少しておらず、特定の業態から預金流出が生じているというような状況ではございません。
 さらに、貸し出しの動向でございますけれども、金融機関の中小企業への貸し出し姿勢は、足元はやや厳しくなってきてはいると認識しておりますが、金融庁としては、中小企業を含む健全な取引先に対する資金供給の一層の円滑化に努めるよう、金融機関に対し要請しているところでございます。
 こうした現状を踏まえますと、現時点において、ペイオフの解禁が我が国の金融システムを大きく揺るがすような状況にはないと考えております。
 金融庁としては、今後とも、四月からのペイオフの円滑な実施に向けて、より強固な金融システムを構成するように万全を期してまいりたい、このように考えております。(拍手)
    〔国務大臣武部勤君登壇〕
○国務大臣(武部勤君) 井上議員の御質問にお答えいたします。
 日中農産物貿易についてのお尋ねであります。
 財務省が昨日公表した最新のモニター結果によりますと、平成十四年一月二十六日から二月一日までのネギ、生シイタケ、畳表の輸入量は、それぞれ、七百二十六トン、千百六十五トン、八百七十六トンでありまして、前年対比、七三%、七〇%、九八%となっております。
 また、価格動向については、一月の代表的な卸売市場での平均価格を平年価格と比較いたしますと、それぞれ、七四%、九一%、一〇五%となっております。
 両国間の話し合いについては、昨年十二月の閣僚合意に基づく、ネギ等三品目に係る日中農産物貿易協議会の第一回会合が、本日及び明日の予定で、上海において開催されているところでございます。
 農林水産省といたしましては、協議会において、日中両国の生産者等幅広い関係者が、三品目の需要、価格等の情報を交換することを通じて、需給状況等について両国間で共通認識を醸成することが重要であると考えておりまして、これを最大限に活用することにより、三品目の秩序ある貿易を確立するよう、全力を尽くしてまいりたいと存じます。(拍手)
    〔国務大臣平沼赳夫君登壇〕
○国務大臣(平沼赳夫君) 井上議員にお答えをさせていただきます。
 私に対しては、二点の御質問がございました。
 第一点は、ペイオフ解禁に対して中小企業対策はどうなっているかということであります。
 中小企業に対する金融情勢というのは非常に厳しいわけでございまして、私どもは、引き続き、このことは十分な注意を払っていきたいと思っています。
 そして、四月のペイオフ解禁を控えまして、セーフティーネット貸し付け、そしてセーフティーネット保証、こういったセーフティーネットを十分に対応させるべく、さらに努力をさせていただきたい、このように思っております。
 また、空洞化の問題についての戦略が必要である、こういうお尋ねでございます。
 そのとおりでございまして、近時、内外の賃金格差等によりまして、主に中国等に企業の進出、移転が顕著でございまして、この五年間をとりましても三〇%ふえているわけであります。
 このまま放置しておきますと我が国の産業競争力の劣化につながるわけでありまして、産業競争力戦略会議というのを立ち上げまして、戦略的に、規制緩和でございますとか、あるいは高コスト構造の是正、中小企業施策、さらには地域産業の活性化、そして、いわゆる製造業のイノベーションによる産学協同のレベルアップ、そういったことを総合的にやらせていただきまして、そして、付加価値を高めて、我が国の潜在力、これをもとにしてこの空洞化を防いでいく、そういうことを戦略的にやらせていただこう、努力をさせていただきたいと思っております。(拍手)
○副議長(渡部恒三君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
○副議長(渡部恒三君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後五時十一分散会
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 出席国務大臣
        内閣総理大臣  小泉純一郎君
        総務大臣    片山虎之助君
        法務大臣    森山 眞弓君
        外務大臣
        環境大臣    川口 順子君
        財務大臣    塩川正十郎君
        文部科学大臣  遠山 敦子君
        厚生労働大臣  坂口  力君
        農林水産大臣  武部  勤君
        経済産業大臣  平沼 赳夫君
        国土交通大臣  扇  千景君
        国務大臣    石原 伸晃君
        国務大臣    尾身 幸次君
        国務大臣    竹中 平蔵君
        国務大臣    中谷  元君
        国務大臣    福田 康夫君
        国務大臣    村井  仁君
        国務大臣    柳澤 伯夫君
 出席政府特別補佐人
        内閣法制局長官 津野  修君