第154回国会 本会議 第25号
平成十四年四月十八日(木曜日)
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 議事日程 第十八号
  平成十四年四月十八日
    午後一時開議
 第一 中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第二 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第三 テロリズムに対する資金供与の防止に関する国際条約の締結について承認を求めるの件
 第四 マンションの建替えの円滑化等に関する法律案(内閣提出)
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○本日の会議に付した案件
 日程第一 中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第二 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第三 テロリズムに対する資金供与の防止に関する国際条約の締結について承認を求めるの件
 日程第四 マンションの建替えの円滑化等に関する法律案(内閣提出)
 地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑

    午後一時三分開議
○議長(綿貫民輔君) これより会議を開きます。
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 日程第一 中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(綿貫民輔君) 日程第一、中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。厚生労働委員長森英介君。
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 中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
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    〔森英介君登壇〕
○森英介君 ただいま議題となりました中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案につきまして、厚生労働委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、中小企業退職金共済制度の長期的な安定を図るため、経済及び金融の情勢に的確に対応できるよう退職金額の算定方法について見直しを図るとともに、勤労者退職金共済機構の理事長等の忠実義務について規定する等の措置を講ずるものであります。
 その主な内容は、
 第一に、退職金共済契約に係る退職金額は、掛金月額及び掛金納付月数に応じ政令で定めるものとすること、
 第二に、余裕金の運用に関し、機構の理事長等の忠実義務等を規定するとともに、機構は、運用目的等を定めた基本方針を作成するものとすること、
 第三に、特定業種退職金共済契約に係る掛金日額の範囲を引き上げるものとすること
等であります。
 本案は、去る四月二日本委員会に付託され、十日に坂口厚生労働大臣から提案理由の説明を聴取し、十二日に質疑を行い、昨十七日の委員会において、討論、採決の結果、賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 なお、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(綿貫民輔君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(綿貫民輔君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第二 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(綿貫民輔君) 日程第二、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。経済産業委員長谷畑孝君。
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 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
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    〔谷畑孝君登壇〕
○谷畑孝君 ただいま議題となりました法律案につきまして、経済産業委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、最近における経済情勢等にかんがみ、公正かつ自由な競争の促進による国民経済の一層の発展に資するため、会社による株式保有の制限、海外への送達手続、法人等に対する罰金の額等について所要の措置を講ずるものであります。
 その主な内容は、
 第一に、大規模会社による株式保有の総額制限を廃止し、現行の持ち株会社規制と一本化して、事業支配力が過度に集中することとなる会社の設立等を禁止する規定とするとともに、金融会社による議決権保有制限の対象範囲を縮減すること、
 第二に、外国にいる相手方に書類を送達する民事訴訟法の規定を準用する等、手続関係規定を整備すること、
 第三に、カルテル等の違反について、法人等に対する罰金の上限額を五億円に引き上げること
等であります。
 本案は、去る四月九日本会議において趣旨説明及び質疑が行われた後、本委員会に付託されました。同月十日片山総務大臣から提案理由の説明を聴取し、同月十二日及び十七日に質疑を行った後、討論を行い、採決を行った結果、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決いたしました。
 なお、本案に対し附帯決議が付されました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
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○議長(綿貫民輔君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(綿貫民輔君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第三 テロリズムに対する資金供与の防止に関する国際条約の締結について承認を求めるの件
○議長(綿貫民輔君) 日程第三、テロリズムに対する資金供与の防止に関する国際条約の締結について承認を求めるの件を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。外務委員長吉田公一君。
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 テロリズムに対する資金供与の防止に関する国際条約の締結について承認を求めるの件及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔吉田公一君登壇〕
○吉田公一君 ただいま議題となりましたテロ資金供与防止条約につきまして、外務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 重大なテロ事件が発生する中で、テロリズムに対する資金供与の問題への取り組みの必要性が強く認識されるようになったことを背景として、平成八年七月にG7及びロシアが参加してパリで開催されたテロリズムに関する閣僚会合において、テロリズムに対する資金供与を阻止するための措置をとることをすべての国に要請することになりました。これを受け、国連により設置されたアドホック委員会において条約草案の検討が行われた結果、平成十一年十二月九日、第五十四回国連総会におきまして、この条約が採択されました。
 本条約の主な内容は、
 一定のテロ行為に使用されるための資金を提供する行為等を、当該資金が実際に使用されたか否かを問わず、国内法上の犯罪とすること、
 当該犯罪が外国において外国人によって行われた場合にも、我が国において訴追ないし引き渡しができるようにすること、
 当該犯罪に使用された資金の没収等のための適切な措置をとること、
 金融機関等に関する適当な措置を考慮し、あらゆる実行可能な措置をとることにより当該犯罪の防止について協力すること
等であります。
 本件は、去る四月十日に外務委員会に付託され、十二日川口外務大臣から提案理由の説明を聴取し、昨十七日質疑を行い、引き続き採決を行いました結果、賛成多数をもって承認すべきものと議決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
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○議長(綿貫民輔君) 採決いたします。
 本件を委員長報告のとおり承認するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(綿貫民輔君) 起立多数。よって、本件は委員長報告のとおり承認することに決まりました。
     ――――◇―――――
 日程第四 マンションの建替えの円滑化等に関する法律案(内閣提出)
○議長(綿貫民輔君) 日程第四、マンションの建替えの円滑化等に関する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。国土交通委員長久保哲司君。
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 マンションの建替えの円滑化等に関する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔久保哲司君登壇〕
○久保哲司君 ただいま議題となりましたマンションの建替えの円滑化等に関する法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、マンションにおける良好な居住環境の確保を図るため、マンションの建てかえの円滑化等に関する措置を講じようとするものであり、その主な内容は、
 第一に、建物の区分所有等に関する法律に基づく建てかえ決議がされた場合、建てかえに合意したマンションの区分所有者が、法人格を有するマンション建替組合を設立できること、
 第二に、マンション建替組合及びマンションの区分所有者等は、マンション建てかえ事業を施行することができること、
 第三に、マンション建てかえ事業を施行する者が定めた権利変換計画に従い、区分所有権、抵当権等の関係権利を再建されたマンションに移行させることができること、
 第四に、マンションの建てかえに伴って借家権者等が転出することとなる場合につき、居住の安定の確保を図るため必要な措置を講ずること、
 第五に、保安上危険または衛生上有害な状況にあるマンションについて、地方公共団体が建てかえを勧告できること
等であります。
 本案は、去る五日の本会議において趣旨説明及び質疑が行われた後、同日本委員会に付託され、扇国土交通大臣から提案理由の説明を聴取し、十日に質疑に入り、十六日参考人からの意見聴取を行い、昨十七日質疑を終了しました。
 質疑の中では、区分所有者等の合意形成の促進に関する具体策、従前居住者の居住安定の確保に関する具体策、危険または有害なマンションの建てかえ勧告の運用方法等について議論が行われました。
 質疑終了後、採決いたしました結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 なお、本案に対して附帯決議が付されました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(綿貫民輔君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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 地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
○議長(綿貫民輔君) この際、内閣提出、地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。環境大臣大木浩君。
    〔国務大臣大木浩君登壇〕
○国務大臣(大木浩君) ただいま議題となりました地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 地球温暖化は、地球全体の環境に深刻な影響を及ぼし、その防止は人類共通の課題であることから、平成六年三月、気候変動に関する国際連合枠組条約が発効し、さらに、本条約に基づいて、平成九年十二月、二酸化炭素等の温室効果ガスの削減についての法的拘束力のある約束等を定めた京都議定書が採択されました。この京都議定書の運用細目が、昨年十一月、条約の第七回締約国会議において合意されたことを受け、政府は、今国会における京都議定書の締結の承認を目指すこととしております。
 このような状況の中で、京都議定書の的確かつ円滑な実施を確保するため、今般、京都議定書の締結に必要な国内法としての本法律案を提案した次第であります。
 次に、法律案の主要事項について、その概略を御説明申し上げます。
 第一に、政府は、京都議定書の六%削減約束を達成するため、京都議定書目標達成計画を定めるとともに、平成十六年及び平成十九年において、計画に定められた目標及び施策について検討を加え、必要に応じ変更することといたします。
 第二に、内閣に、京都議定書目標達成計画の案の作成等を所掌事務とする地球温暖化対策推進本部を設置し、政府一丸となって地球温暖化対策を進める体制を整備することといたします。
 第三に、日常生活における温室効果ガスの排出の抑制等のための施策として、地球温暖化防止活動推進員の活動に、いわゆる地球温暖化対策診断の実施の追加、都道府県地球温暖化防止活動推進センターの指定対象に特定非営利活動法人の追加、地方公共団体、事業者、住民等から成る地球温暖化対策地域協議会の設置等に関する規定を整備することといたします。
 第四に、森林等による温室効果ガスの吸収作用の保全及び強化として、森林・林業基本計画等に基づき、森林の整備等を推進することといたします。
 このほか、京都メカニズムの活用のための国内制度のあり方の検討に関する規定を整備することといたします。
 以上が、地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
 地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
○議長(綿貫民輔君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。鮫島宗明君。
    〔鮫島宗明君登壇〕
○鮫島宗明君 民主党の鮫島宗明です。
 ただいま議題となりました地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、民主党・無所属クラブを代表して質問させていただきます。(拍手)
 この衆議院本会議場の容積は一万一千立方メートル、傍聴席を含めて約八百人の人間が、呼吸による炭酸ガスを排出し続けていますから、多分、現在の議場の炭酸ガス濃度は、換気の状態にもよりますが、外気の約一・五倍、五五〇ppm程度と見積もってよいと思います。この濃度は、京都議定書参加国間で二一〇〇年の目標としている大気炭酸ガス濃度とほぼ同じレベルですから、私たちは、現在、百年後の大気環境のもとで地球温暖化対策の審議を行っていると考えることもできます。(拍手)
 しかし、恐らく、この議場内に、この程度の炭酸ガス濃度で気分が悪くなっている方はいないはずです。もしおられるとしたら、それは恐らく、他人には言えない深い悩みをお持ちのせいであって、決して炭酸ガス濃度のせいではないはずです。
 地球温暖化対策の一番難しい性格は、実はこの点にあります。人間は、温暖化ガス濃度の微妙な上昇を感知する能力を備えておりません。地球が発する控え目な警告を感知するためには、自然界が示す小さな変化を見逃さず、専門家の提言には謙虚に耳を傾ける必要があります。赤道直下のキリバス共和国が水没し、マラリアの蚊が東京にあらわれ、巨大台風が発生し始めてから対策に乗り出したのでは、手おくれです。
 限りある資源を果てしなく使い続ければ、資源の枯渇と環境の破壊を招くことを初めて警告したのは、今から三十年前にローマ・クラブが発表した「成長の限界」でした。大量生産、大量消費、大量廃棄の文明がこれ以上拡大すると、地球環境にかける負荷が増大し、環境の復元力を超えてしまうという警告でした。この警告は世界に大きなインパクトを与え、多くの人々に地球の有限性を認識させました。そして、地球環境の調査が進むに従い、人類は、地球が思ったほどタフな星ではなく、ちょっとしたバランスの変化で破滅への道を歩みかねない、きゃしゃな星であることを認識し始めました。
 毎年拡大するオゾン層の破壊、砂漠化の進行、死滅するサンゴ礁、環境ホルモン作用を持つさまざまな化学物質の流出が野生生物の生存を危うくし、二〇〇〇年だけで四百九種の動物が絶滅しています。
 ローマ・クラブの思想は、その後、持続可能な開発という重要な概念として開花し、一九八八年には気候変動に関する政府間パネルが生まれ、総合的な気候変動のシミュレーションを通じて、具体的で説得力のある警告が発せられるようになりました。一九九七年に京都議定書が採択される背景には、地球環境に対するこのような認識の深化があったことを忘れてはならないはずです。
 京都議定書において、我が国は、二〇〇八年から二〇一二年までの第一約束期間に、一九九〇年比六%削減を達成することを世界に約束いたしました。日本は、京都議定書を取りまとめた議長国として、地球温暖化対策に正面から取り組み、世界に対し、その範を示すべき立場にあります。(拍手)
 本法律案では、内閣に地球温暖化対策推進本部を置き、本部は、京都議定書目標達成計画を定めるものとされております。この目標達成計画の指針となるべき地球温暖化対策推進大綱が、去る三月十九日に、政府より公表されました。新大綱には大きな期待が寄せられていましたが、残念ながら、公表された内容は旧大綱とほとんど同じで、小泉内閣の地球温暖化防止にかける熱意はどこからも感じることができません。
 大綱の中で、政府が温暖化ガス削減の有効な政策として強調しているのは、今後十年間での原発十三基の新増設と森林吸収枠の完全な利用の二点だけです。
 原子力発電は、温暖化ガスの排出が極めて少ないことから、今後の増大する電力需要を満たしていく上ですぐれた供給源であることは、論をまたないところです。しかし、先進諸国の趨勢を見ると、スウェーデンやドイツでは、エネルギー政策として脱原発の方向を明確に打ち出しており、アメリカ、イギリスでも、運転中の基数を減らしつつあります。この先進諸国の原発依存比率の低下傾向は、原子力発電の安全性に対する不信感からもたらされたものではありません。
 ワールドウォッチ研究所のレスター・ブラウン博士によると、最近の先進諸国の原発離れ傾向は、電力自由化の世界的潮流の中で、電力各社のコスト意識が高まり、バックエンド対策まで含めると相対的に割高となる原発の競争力が低下し始めているためと解説されています。
 政府が、大綱の中で原発の増設を温暖化対策の切り札と位置づけている以上、原発コストについても、安全対策と同様の情報公開の義務が課せられるはずです。
 ところが、本年二月、四十二名の国会議員の要望により、経済産業委員長名で、原発の発電コストの積算根拠につき調査命令を下したところ、原子力政策課から出された資料は、歴史的とも言える、墨塗りだらけの資料でした。経済産業省は、平成十四年度、原子力政策に対する国民理解を進めるために七十一億円の予算を組み、「隣人と話をするような情報交流」をスローガンにしていますが、原子力政策課では、隣人との交流の際に墨塗りだらけの資料を使うのでしょうか。(拍手)
 経済産業大臣にお伺いします。
 京都議定書目標達成計画を作成するに当たり、原発の発電コストの積算根拠を国民の前に明らかにするおつもりがあるかどうか、お答えください。(拍手)
 次に、森林吸収の問題につき、お伺いいたします。
 表に出ている数字で見る限り、六%削減約束のうちの三・九%、実に三分の二を森林吸収枠で埋めることになっています。マスコミの報道でも、三・九%は決着済みといった表現ですから、多くの国民は、森林吸収枠の使用について疑問を感じていないはずです。しかし、森林吸収枠の実態は、それほど確かなものではありません。環境省は、一九九七年以来、一度も国民に森林吸収枠の意味を説明してきませんでした。
 環境問題に関心を持つ多くの素直な国民は、これから森の手入れを盛んにすれば、二〇一〇年には日本の森林は、一九九〇年に比べて三・九%分、重さにして四千七百万トン多くの炭酸ガスを吸うようになると解釈しているはずです。しかし、事実は、一九九〇年と二〇一〇年との吸収量の差の話ではありません。一九九〇年の日本の森林吸収をゼロとして、二〇一〇年の吸収量を、そのまま努力の成果としてカウントしてしまえという、まことに乱暴な計算方法です。一九九〇年には眠っていた日本の森林が、二〇一〇年に突然目を覚まし、炭酸ガスを吸い始めるという、詐欺的な計算方法です。(拍手)
 林野庁や環境省の研究者たちの計算では、二〇一〇年の日本の森林の炭酸ガスの全吸収量は、一九九〇年よりも少なくなると推定されています。環境大臣は、本当は吸収量は減っているのに、ふえたことにするうそを世界に向けて発信することに、何のためらいも感じないのでしょうか。(拍手)
 森林吸収枠の使用は、条約上の権利としてはあるかもしれません。しかし、実際の吸収増大とは無縁の数字であることから、道義的にも科学的な意味でも、この枠は使うべきではないと考えますが、環境大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
 私は、森林吸収量を真に科学的な意味で増大させることは極めて重要だと考えております。森林吸収枠を使うか使わないかは別として、森林の整備と手入れは大切なはずです。ツタを外し、枝を打ち、間伐を行い、少しの肥料を与えるだけで、日本の森林の光合成能力は向上するでしょう。
 法案中にもあるように、温暖化対策にとって、森林・林業基本計画の着実な実施は、バイオマスエネルギーの開発とあわせ、極めて重要な課題だと思いますが、地球温暖化対策推進本部の副本部長に農林水産大臣を加えない理由はどこにあるのでしょうか。BSE対策で重大な失政を行ったことが仲間外れの理由ではないと思いますが、政府としての見解を内閣官房長官にお伺いいたします。(拍手)
 原子力発電への過度の依存はコスト面での新たな問題を生み出しかねない、もう一つの決め手となるはずの森林吸収枠の使用も詐欺の疑いが濃いとなると、では、温暖化対策は不可能ではないかという疑問が生まれるかもしれません。
 初めに申し上げましたように、地球温暖化対策は、産業革命以来の産業技術を前提にしていたのでは決して対応することのできない命題です。資源浪費型から資源循環型に、環境破壊型から環境調和型に、大規模集中型のエネルギー供給構造から小規模分散型供給構造に、産業技術の体系を変換することが求められています。
 地球温暖化対策に正面から取り組むには、このような文明の転換の視点が不可欠だと思いますが、環境大臣は、いかなる深い覚悟を持ってこの問題に取り組み、実効性のある京都議定書目標達成計画をつくろうとしておられるのか。計画作成プロセスに幅広く市民の知恵を受け入れるおつもりがあるかどうかも含めて、決意のほどをお伺いしたいと思います。
 最後に、外務大臣にお伺いします。
 報道によると、ことし八月にヨハネスブルクで開催予定の、持続可能な開発のための世界首脳会議までに、ロシアの京都議定書批准作業が間に合わないのではないかと危惧されています。
 何かと話題の多い対ロシア外交ですが、外務大臣は、ロシアに対し、どのような外交的な働きかけを行おうとしているのかをお伺いし、私の質問を終わります。(拍手)
    〔国務大臣福田康夫君登壇〕
○国務大臣(福田康夫君) 鮫島議員から、地球温暖化対策推進本部についてのお尋ねがございました。
 地球温暖化対策推進本部は、内閣官房長官のほか、環境大臣が、環境の保全に関する基本的な政策の推進の観点から、また、経済産業大臣が、エネルギーに関する総合的な政策の推進の観点から、副本部長となっております。
 御指摘のとおり、森林・林業対策は地球温暖化対策の上で極めて重要であり、この観点から、農林水産大臣も重要な本部員として、地球温暖化対策推進本部に参画することとしております。決して仲間外れではございません。今後とも、政府一体として地球温暖化対策に取り組んでまいる所存でございます。(拍手)
    〔国務大臣大木浩君登壇〕
○国務大臣(大木浩君) 私に対して、二つの御質問をいただきました。
 まず第一は、森林吸収枠は権利として保持していたとしても使わない方がいいのではないか、こういう御質問でございました。
 森林吸収というのは、京都議定書におきましても、温暖化対策の一つとして位置づけられております。つまり、温室効果ガスの、一方において削減、一方において吸収というこの二つを総合的に行使して、六%なら六%の削減という目標を達するわけでございまして、我が国といたしましては、京都議定書の約束を達成するために、三・九%程度の吸収量の確保を目標として、必要な森林の整備を進めながら、その目標達成を図ってまいりたいということでございまして、行使しないというよりは、むしろ活用させていただきたいと思っております。
 次に、地球温暖化防止に取り組むに当たっては文明の転換の視点が不可欠であるが、大臣はこれにどのように取り組むか、京都議定書目標達成計画を策定するつもりなのか、そしてまた、市民の考えを受け入れるつもりがあるか、そういうことで御質問をいただきました。
 これは、確かに、現在の地球温暖化問題というのは、我々の生活パターンまでももう一遍見直す必要があるという意味では、文明の転換と申しますか、非常に広い視野からの検討が必要だと思っております。
 また、これから、いろいろと必要に応じまして、京都議定書の目標達成計画につきましては、次第に状況に応じて細かいものもつくってまいりたいと思いますが、その過程におきましては、十分に、いろいろな過程で、いろいろな形で一般市民の考え方も受け入れるつもりでございます。
 以上でございます。(拍手)
    〔国務大臣平沼赳夫君登壇〕
○国務大臣(平沼赳夫君) 鮫島議員にお答えさせていただきます。
 原子力発電の経済性試算における設定単価の根拠の開示、このことについてのお尋ねであります。
 原子力発電の経済性試算は、平成十一年十二月開催の総合エネルギー調査会原子力部会におきまして、資料として、経済産業省が事業者等の協力を得て作成したものであります。
 本資料におきましては、一定の前提を置きまして、当時の最新の知見及び実勢値に基づいた各電源の発電コストの試算が示されております。原子力発電のコストについては、一キロワット時当たり五・九円と、他の電源との比較において遜色のないものとなっているのは、御承知のとおりであります。
 本試算におきまして、核燃料サイクルコスト部分の算出に用いられた設定単価の根拠等が記録された文書につきまして、本年二月に、衆議院の調査局による予備的調査において提出を要請されました。その情報の一部が、実は不開示を前提に事業者等から任意に提供された情報でございまして、かつ、開示により事業者等の競争上の利益等が侵害されるおそれがあると認められますことから、該当部分に限りまして、情報公開法における不開示情報の範囲を参考に、実は不開示として提示をさせていただいた経緯があります。
 他方、本試算に関しては、核燃料サイクルコストを含めて、別途、試算に必要な前提でございますとか、単価、計算式等、同試算の計算根拠の理解に資する情報を開示しております。したがいまして、こういった事情がございまして、墨塗りという御指摘がございましたけれども、私どもとしては、上記観点から不開示の部分があった、こういうことでございます。
 原子力政策に関する情報の提供については、私どもとしては、今後とも、引き続き、積極的に取り組んでまいらなければならない、このように思っております。(拍手)
    〔国務大臣川口順子君登壇〕
○国務大臣(川口順子君) ロシアの京都議定書締結に関する我が国の外交努力についてのお尋ねがございました。
 ロシアは、京都議定書に関する検討を進めているものの、締結に関する公式決定はまだ行っていないと承知しています。
 ロシアに対しましては、二月二日の日ロ外相会談の折に、私から京都議定書の早期締結を働きかけました。その後も、イワノフ外務大臣へ書簡をお出しする等、外交ルートを通じまして働きかけをしばしば行っております。京都議定書の発効を目指して、引き続き、積極的に働きかけていく所存でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
    〔議長退席、副議長着席〕
○副議長(渡部恒三君) 樋高剛君。
    〔樋高剛君登壇〕
○樋高剛君 自由党の樋高剛でございます。
 私は、自由党を代表して、ただいま議題となりました地球温暖化対策の推進に関する法律の一部改正案につきまして質問いたします。(拍手)
 まず冒頭に申し上げたいことは、地球環境保全の思想についてであります。
 環境の保全は、人類生存の基本条件です。また、市場経済原理もこれに従うべきものだと確信します。二十一世紀においては、国や国民すべてが、本来、地球環境保全の義務を有していることを憲法に明記すべきではないかと思いますが、大木環境大臣の御見解をお伺いいたします。
 一九九二年の地球サミットから、ことしでちょうど十年の時がたとうとしております。それまでに、気候変動枠組み条約が発効され、九七年の京都議定書の策定、昨年のCOP7では、京都議定書の運用ルールについての合意を見ました。地球温暖化問題という大きな問題に、国際的な取り組みが続いています。
 京都議定書がつくられた地球温暖化防止京都会議の議長は、当時、環境庁長官であった大木環境大臣でありました。大臣が議長として取りまとめた京都議定書が、五年の歳月と曲折を経て、この国会に提出されております。大木大臣に、御自身が取りまとめた京都議定書の五年間をどのように顧みておられるのか、率直な御見解をお伺いいたします。
 また、地球温暖化対策は、言うまでもなく、全地球規模の国際的な協力と取り組みがなければ解決できない問題であり、日本が率先してイニシアチブを発揮すべきであります。
 議定書の発効にはロシアの批准が欠かせない要件ですが、ロシアの批准はこの秋以降になるとも報道されており、ことし八月にヨハネスブルクで開催される国連環境開発サミットには間に合わない可能性も強くなっております。
 十四日に閉幕したG8環境大臣会合では、京都議定書の今年中の批准を事実上断念したカナダに対して、各国から批判が相次ぎ、議定書から離脱した米国の代替案については、温室効果ガスの増加を認めた案で、到底十分とは言えないなどの意見が各国から表明されたと言われておりますが、大木環境大臣はどのような意見表明をされたのか、お聞かせください。
 そして、議定書の発効に向けて、環境大臣としてCOP7にも参加された川口外務大臣は、今後どのように取り組む方針か、御所見をお聞きいたします。
 地球温暖化対策は、国際的な取り組みが求められるほか、百年以上の長期的視野にわたる、大きな問題であります。今、生活している世代だけでなく、未来に生きる子供や孫、さらに先の世代の人類生存の基盤、そこに生きる動物、植物の生態系に大きく影響する問題であり、未来のために今の世代にとってできることは何かを考え、それを一歩一歩、着実に実行していくことが重要であります。
 流通やライフスタイルの多様化の中で、また、大規模店舗の郊外進出などに見られるように、人や物の流れが多様化する中で、現行の対策も、二〇一〇年の温室効果ガスの総排出量は、基準年比で約七%の増加が見込まれております。京都議定書の約束を成功させるには、これまで以上に政策や国民意識の見直しと実行が必要であります。
 そこで、まず、国民への普及啓発についてお聞きいたします。
 旧大綱では、国民への啓発と意識の涵養が示されており、これまでの地球温暖化防止法でも、温暖化防止活動推進センターの設置や地球温暖化防止活動推進員の整備等が触れられております。しかし、温暖化防止活動推進センターが設置された都道府県は十一にとどまり、国の姿勢は中途半端であるとの指摘もあります。
 今回の改正案では、センターの指定要件をNPO法人にも拡大し、温暖化防止活動推進員に地球温暖化対策診断が実施できるようにするなど、活動の拡大を図る措置が盛り込まれておりますが、これについて、具体的にどのように活動させていくのか、国からの財政的な支援など、積極的にバックアップしていく方針であるのか、環境大臣にお聞きいたします。
 これまでも、温暖化防止に向けた活動が行われ、国民への普及啓発のために、さまざまな対策が行われています。チラシの配布やインターネットを通じた運動など、国民が温暖化防止を考えるきっかけづくりは進んできていると考えます。しかし、これから必要とされることは、それを実行に移すような運動を実施することであります。幾らチラシやインターネットの記事を見ても、そのまま見捨てられたり、「閉じる」をクリックされるだけでは、実効性が上がりません。
 新大綱では、家族が同じ部屋で団らんし、暖房と照明の利用を二割減らすことや、白熱灯から電球型蛍光灯へといった、省エネ商品への積極的な買いかえなどが並べられておりますが、こういった、個人の生活スタイルを変えてもらう施策を政府はどのように実施していくのか、法案によってつくられる京都議定書目標達成計画にどのように記述され、実行されるのか、環境大臣にお伺いいたします。
 また、サマータイム、いわゆる夏時間制について、知っているという人はふえてはいるものの、導入に賛成は前回調査比ほぼ横ばいという、昨年の内閣府の世論調査結果があります。大綱では、「国民的議論の展開を図り、合意形成を図る。」としておりますけれども、具体的にはどのように進めようとお考えなのか、環境大臣にお聞きいたします。
 そして、これからの時代を生きる子供への普及活動である環境教育は、日ごろから環境への配慮を持ってもらう点で大切であるというふうに考えます。今の世代の意識変革とともに、将来世代の環境教育について、どのように力を入れていくおつもりであるのか、遠山文部科学大臣の御見解をお伺いいたします。
 次に、法案の柱の一つである京都議定書目標達成計画についてお聞きします。
 政府は、京都議定書に係る目標の達成に向けて、地球温暖化対策推進本部のもとで計画を策定し、これを閣議決定することとしております。特に、温室効果ガス別に目標、対策、スケジュールを記述し、個々の対策について、我が国全体における導入目標量、排出削減見込み量及び対策を推進するための施策を盛り込むとしています。
 しかしながら、京都議定書で約束された九〇年比マイナス六%を達成することは、並大抵のことではございません。しかも、大綱の内容も閣議決定される内容も、机上の空論の数字の羅列だけでは、全く意味がありません。閣議決定される内容は、どこまで具体的に記述されるのでしょうか。法的な措置や規制内容を明示していく方針でしょうか。
 また、国民全体で地球温暖化対策を推進するためにも、政府内自身のエネルギー使用を検証し、個別対策や削減目標を具体的に定めて、率先して実行していくべきであると考えますが、以上の点について、環境大臣にお聞きいたします。
 次に、エネルギー起源二酸化炭素の排出抑制対策についてお聞きします。
 エネルギー起源のCO2が全体の約九割を占める中で、新大綱では、新エネルギーなどの非化石エネルギーの一層の導入促進が必要であるというふうに指摘しております。
 しかし、これまでも、地方公共団体や事業者に対する導入補助の推進や税制、金融面での優遇措置が実施されていますが、一次エネルギーの総供給に占める供給サイドの新エネルギーの割合はわずかに一%台にとどまっているのが現状であります。例えば、天然ガスを利用したコージェネレーションシステムについて見てみると、現状のままでは、初期投資に大きな費用がかかり、動力源である天然ガスを輸送するにもコストがかかります。
 新エネルギーを積極的に導入するのであれば、例えば、天然ガスパイプラインの基幹網を整備するとか、新エネルギー促進のための税制の整備や初期投資の補助や貸し付けの積極的な推進など、これまでの施策にはない、新エネルギー社会に見合うインセンティブづくりやインフラ整備が必要になってくるのではないでしょうか。平沼経済産業大臣の御見解をお伺いいたします。
 また、大綱では、産業部門における省エネ対策は、自主行動計画の着実な実施とフォローアップという、産業界の自主性にゆだねております。
 経団連は、産業部門で七%削減が目標になっているが、これは一定の試算に基づく目安として設定されたものである、経団連の環境自主行動計画のゼロ%目標との差は、新エネ、原子力などの追加的対策で説明されていることから、経団連の計画を深掘りしたものではないとコメントしております。一方、朝日新聞の世論調査によれば、経済界の消極姿勢には六割程度の人が納得できないというふうにしております。産業界の取り組みについて、平沼大臣の御所見をお聞きいたします。
 新大綱を見る限りでは、さまざまな提言、具体例が示されておりますが、これをどのように実行していくか、経済的側面に立ってどのようなインセンティブを付与して政策を推進していくかが欠落しております。
 環境大臣は、さきの新聞社のインタビューでは、環境税のあり方について、税制全体の見直しの枠組みの中で勉強していきたいと示すにとどめ、環境対策の側面からの税制のあり方について、ビジョンやイメージも明確にしておりません。環境に対する税制のあり方について、環境大臣としての御見解をお聞きいたします。
 最後に申し上げます。
 地球温暖化対策も含め、環境対策は、現在のライフスタイルや経済社会モデルの変化を伴い、コストや代償がかかるといったネガティブなイメージを持たれます。しかし、環境破壊は、人間が生きること自体から発生して、資本主義のあり方と直結する問題であり、自然といかに共生していくかがこれからの人類の課題であります。
 自立した国家として、人類、地球の問題を自分自身の問題として考え、その地球の一員として環境問題の解決に積極的に参加、貢献することは、国内外の経済社会にとってポジティブかつプラスになることを申し上げ、私の質問を終わります。
 どうもありがとうございました。(拍手)
    〔国務大臣大木浩君登壇〕
○国務大臣(大木浩君) 樋高議員から、行政府に対する叱咤激励を含めて、九つの御質問をいただいたと思っております。順次お答えを申し上げたいと思います。
 まず第一、環境保全の義務を憲法にも明記すべきじゃないかという御趣旨の御質問があったと思います。
 御存じのとおりに、現行の憲法でも、第十三条の幸福追求権あるいは二十五条の生存権といったようなものが、言うなれば、環境との関連で書いてはございますけれども、これをどこまで権利としてとらえるかということはいろいろと学説上も議論がございますし、また、権利との裏腹で、義務というものはどういうふうにするのだというような学説があることも存じております。
 そこで、現在、国会の方でもいろいろと、憲法調査会で憲法の見直しというようなことも御議論しておられますから、私どもとしては十分にそういった動きは見ながら、しかし、とりあえず、環境省といたしましては、まず、個別具体の環境政策の中で、国やあるいは国民が果たすべき環境保全上の役割などをできるだけ明確にしていきまして、そして、さらにまた、憲法上の問題ということにつきましては、私どものそういった努力の中で、また憲法との絡み合いというようなものも勉強してまいりたいと思っております。
 第二に、京都議定書ができて五年だ、同議定書のときの議長も務めた大木としてどう思うか、こういう御質問であります。
 御存じのとおりに、京都議定書をつくりましたときは、言うなれば、非常に大まかな骨格だけができた。その後、歴代の環境庁長官あるいは環境大臣の御努力によりまして、また皆様方の御協力によりまして、ようやくここで、一応、国会へも提出できるような、内容がある程度固まったものをつくることができたということで、ようやくここまで来たかという感慨は持っております。
 せっかくここまで参りましたので、これをぜひひとつ国会でも御承認いただいて、そしてまた、国際社会の中で一つの条約として早く発効するように努力をしたいというふうに思っております。
 次に、先般のG8の環境大臣会合の場で、米国、カナダ、ロシアに対してどういった意見を表明したかということでございます。
 米国に対しましては、温暖化対策は地球規模の取り組みが必要であるということで、米国もそういった立場から引き続ききちっと取り組んでもらいたいということで、京都議定書に対する立場を含めて、さらに米国としての対策の強化、見直しを要求いたしました。
 また、カナダ及びロシアに対しましては、これは、両国とも、現在、それぞれ行政府の中でいろいろ議論しておりまして、ロシアにつきましては、行政府の中でまだ十分な検討が進んでいない、それから、カナダにつきましては、行政府内及び州政府と中央政府との間の話し合いがまだ進行中ということでございまして、両国とも、何とかして、ヨハネスブルクの会合を目指していろいろと検討は進めたいと申しておりますので、それを早くひとつ進めるようにということで話をしてまいりました。
 それから、今回の改正法案ではセンターの指定要件をNPOに拡充する等の措置が盛り込まれているが、具体的にどのように活動させていくのか、こういう御質問もありました。
 本改正法案におきまして拡充されました都道府県地球温暖化防止活動推進センターあるいは地球温暖化防止活動推進員の活動についてのお尋ねだと思います。
 環境省といたしましては、本平成十四年度から、都道府県センターや地域協議会を通じて、地球温暖化対策診断等のモデル事業を実施することなどによって、これらの活動がよりスムーズに行われるように努力してまいりたいと思っております。
 次に、生活スタイルの変換についてどのように実施していくのか、こういう御質問であります。
 これはなかなか、言うはやすく行うはかたいのでありますけれども、私どもとしましても、個人の生活スタイルの変換について、これから、本改正案におきまして、都道府県センターの指定要件の拡充、要するに都道府県センターをもっと広く活用できるように、あるいは地球温暖化対策地域協議会の設置などをいろいろと盛り込んでおります。
 あるいは、最近始めておりますが、環(わ)の国くらし会議というようなものもつくりまして、必ずしも専門家ばかりじゃなく、できるだけ広いところから、国民の各層を代表する方々から御意見をいただきまして、それらの御意見をまた具体的な取り組みに入れてまいりたいと考えております。
 また、新たな地球温暖化対策推進大綱では、これらの措置に加えまして、例えば環境家計簿の配布、これは、皆さん、ごらんになった方もあるし、まだ見たこともないという方もあるかもしれませんが、そういったものも配布して、これから温室効果ガスの排出削減量をどういうふうに実際に実現していくかというようなことについて、いろいろと御勉強も、また実行もしていただきたいというふうに思っております。
 京都議定書目標達成計画は、今度の新大綱を基礎といたしまして、具体的な手法、効果を盛り込むこととしておりまして、これにより、はっきり申しまして、なかなかこれは時間がかかると思いますが、国民の生活スタイルも、地球温暖化防止に向けて、それだけの所要の改善をしていただくように御協力をお願いしたいと思っております。
 それから次に、サマータイムであります。
 私ども環境省としては、サマータイムは、いろいろな御意見はありますけれども、推進していただくのが望ましいというふうに考えております。
 サマータイムの取り扱いにつきましては、これは数年前から、いろいろと国会内でも御意見があったようでございますが、一言で申し上げますと、やはり地球温暖化防止の見地からもプラスになるものだと思っておりますので、これから、それができるだけ早く実現するように、環境省としては、環境省の立場からPR活動も続けてまいりたいと思っております。
 それから、京都議定書目標達成計画はどこまで具体的に記述するのだということでございます。
 京都議定書目標達成計画の内容につきましては、先月決定いたしました新大綱におきまして、実は、百種類ぐらいのいろいろな対策をずっと書き並べてございます。非常に大きなものも小さなものもといいますか、ありますけれども、例えば、具体的に言いますと、高効率の給湯器、お湯を沸かす給湯器、約四百万台の普及によってCO2を百十万トン削減できる、こういう計算になっておるのですから、こういったものを、それぞれは、一つ一つは非常に小さいかもしれませんけれども、国民全体が御参加いただければ、その小さなものが、ちりも積もれば山となるということで所要の温暖化対策ができるのじゃないかということで、そのために努力をしてまいりたいと思っております。
 いずれにいたしましても、京都議定書目標達成計画の策定に当たりましては、この新大綱を基礎として、六%削減約束を達成するために必要な対策、施策を今後も具体的に盛り込んでいく所存でございます。
 次に、政府が個別対策や削減目標を具体的に定めて、率先して対策を実行していくべきであると考えるがどうだと。
 まさしくそうでございまして、まず隗より始めよと言われておるわけで、私どももそのつもりでおりますし、政府自身の対策につきましては、政府全体としての事務とかあるいは政府全体としての事業、いろいろな問題につきまして、温室効果ガスの排出の抑制のための計画をこれから順次策定しまして、関係省庁にも御協力願って、政府が率先して仕事をしているぞということをしっかりと国民にも示していきたいと思っております。
 最後に、環境に対する税制のあり方について御質問がございました。
 環境と申しますか、地球温暖化の防止につきましては、言うなれば、いろいろな経済対策、経済措置というものがあり得る。これは、大きく考えれば、一方においては、温室効果ガスの排出を抑えるための、抑止の方の目的、あるいはこれから環境をよくするためのいろいろな措置、あるいは環境インダストリーというようなものがあるとすれば、それを促進するためのということで、要するに、プラス、マイナス両方からひとつ経済的なインセンティブを考えろというようなことであろうと思っております。
 私どもとしましては、既に地球温暖化対策推進大綱におきましては、自動車税のグリーン化やあるいは自動車取得税の軽減措置を講じるとともに、あと、いろいろと税、課徴金等の経済的手法全般について、これからも総合的に検討してまいりたいというふうに考えております。
 環境税というものは、環境税と一口に言いましてもいろいろな形のものがあると思いますが、環境税につきましては、今のところ、京都議定書締結の、あるいは今御審議いただいておりますけれども、その前提として環境税を組み込んで御議論はいただいておりませんが、環境税が将来仮に導入されれば、より効率的に京都議定書の目標を実現できる可能性があるということでございますので、私どもも意識としては前向きに勉強を続けてまいりたいと思っておりますが、いろいろと現下の税をめぐる状況あるいは現在の経済状況等もございますから、そういった問題を十分に考えながら、ひとつ一緒にこれからの課題として勉強してまいりたいと考えております。
 以上でございます。(拍手)
    〔国務大臣川口順子君登壇〕
○国務大臣(川口順子君) 京都議定書の発効に向けての今後の方針についてのお尋ねがございました。
 温室効果ガスの排出量の急増が懸念される中で、京都議定書は国際的取り組み強化への重要な一歩と考えております。我が国といたしましては、京都議定書の早期発効に向けて、二国間協議や多国間協議等の場を活用いたしまして、各国に対しまして京都議定書の締結を働きかけていく考えでおります。(拍手)
    〔国務大臣遠山敦子君登壇〕
○国務大臣(遠山敦子君) 樋高剛議員の御質問にお答え申し上げます。
 将来を担う子供たちへの環境教育についてのお尋ねであります。
 地球温暖化などの環境問題は、人類の生存と繁栄にとって大変大きな課題であり、将来を担う子供たちに環境問題についての正しい理解を深めさせ、責任を持って環境を守る行動がとれるようにすることは、教育上も極めて重要と考えております。
 このため、学校教育におきましては、まず、本年度から小中学校で全面実施となりました新しい教育課程において、社会科、公民科、これは高校のみでございますが、及び理科を中心といたしまして、各教科において、環境やエネルギーに関する内容を充実いたしますとともに、総合的な学習の時間を活用した体験的、問題解決的な学習を通して環境問題についてより一層の理解を深めることができるよう、改善を図ったところでございます。
 また、子供たちの環境問題への興味、関心を高めるために、地球学習観測プログラムモデル校、環境教育推進モデル市町村などの事業を幅広く展開いたしますほか、教員のための指導資料の作成や研修などを実施いたします。
 さらに、学校施設につきましても、関係省庁との連携により、環境に配慮したエコスクールの整備を進めているところでございます。
 文部科学省といたしましては、今後とも、環境教育の充実に努めてまいる所存でございます。(拍手)
    〔国務大臣平沼赳夫君登壇〕
○国務大臣(平沼赳夫君) 樋高議員にお答えさせていただきます。
 新エネルギーの積極的な導入に関してのお尋ねでございます。
 新エネルギーというのは、エネルギーの安定供給、その確保、地球温暖化問題への対応を図る観点から、その開発導入を積極的に推進することが重要だと思っております。
 当省といたしましては、低コスト化、高性能化のための技術開発や新エネルギー設備の導入に対する予算補助、さらにはエネルギー需給構造改革投資促進税制、政策投資銀行によります環境・エネルギー・防災・福祉対策枠等を活用した支援に積極的に取り組んできているところでございます。
 特に、経済産業省の新エネルギー関連予算につきましては、過去五年間で倍増以上に拡大しているところでございまして、平成十四年度予算におきましても、前年度と比べ三百四十四億円増となる一千四百四十九億円を計上し、施策の強化を図っているところでございます。
 さらに、電力分野における新エネルギーの利用の拡大を図るため、今国会に、電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法案を提出させていただきまして、その御審議をお願いいたしているところであります。
 また、お尋ねの天然ガスコージェネレーションは新エネルギーに位置づけられているところでございますけれども、その燃料インフラたる天然ガスのパイプラインの整備につきましても、近年、サハリンにおきまして大規模な天然ガス田が発見されまして、現在、日本への天然ガス供給について、民間ベースで事業化調査を含む検討を実施しているところでございまして、政府といたしましても、環境整備として必要なことがあればこれに積極的に対応してまいりたい、こう思っております。
 御指摘のとおり、新エネルギーの導入の一層の拡大というのは、エネルギー政策上、最重要の課題であると認識しておりまして、政府といたしましては最大限の取り組みを今後図っていきたい、こう思っております。
 次に、産業界の地球温暖化対策への取り組みについてのお尋ねでありました。
 地球温暖化対策に当たりましては、国民経済や雇用、国際競争力などに及ぼす影響等を十分に踏まえまして、温室効果ガス削減への取り組みが我が国の経済活性化や雇用創出などにつながるような、環境と経済の両立、それを目指すことを基本とすべきだと私どもは考えております。
 産業界の取り組みが十分でないと思う人が六〇%に上るという世論調査の結果がありますけれども、経済団体連合会の環境自主行動計画を初めとする産業界の積極的な自主的取り組みによりまして、産業部門においては二酸化炭素の排出量が横ばいで推移していることは事実であります。むしろ、民生部門、運輸部門における排出量が大幅な伸びを示しておる中で、産業界の取り組みは、ある意味では着実な成果を上げている、こういった面も指摘できると思います。
 こういった状況も踏まえまして、今般取りまとめられました地球温暖化対策推進大綱におきましては、産業界の行う地球温暖化対策については、技術革新でありますとか創意工夫が生かされる自主的な取り組みを基軸といたしておりまして、経済産業省といたしましても、引き続き産業界と十分な連携をとり、そして、協力できるところは積極的に協力してその効果を高めてまいりたい、このように思っております。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(渡部恒三君) 藤木洋子君。
    〔藤木洋子君登壇〕
○藤木洋子君 日本共産党の藤木洋子でございます。
 私は、日本共産党を代表して、地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案について、関係閣僚に伺います。(拍手)
 気候変動枠組み条約の京都議定書は、温室効果ガスの削減目標を工業国の各国ごとに義務づけた国際的な取り決めです。京都議定書は、温室効果ガスの排出量取引など、削減目標を実質的に後退させる仕組みを米国の要求で取り入れましたが、それでも、温室効果ガスの削減を一歩前に進める重要な意義を持つものです。京都議定書による温室効果ガスの大幅削減は、二十一世紀の生命と地球の未来がかかる、待ったなしの緊急の課題となっています。
 そこで、まず、京都会議の議長を務めた環境大臣の基本的認識をお伺いいたします。
 重大な問題は、こうしたときに、米国が、産業界の主張に沿って、京都議定書を離脱し、事実上、温室効果ガスを増加させる提案をしていることは、差し迫った地球環境保護の要請に背を向けるものです。二十一世紀の生命と地球を守るためには、こうした産業・経済優先の政策の転換が求められています。
 日本政府は、このような米国の政策に追随して、京都議定書の批准、締結をおくらせたり、不十分な温暖化防止対策で済ませるべきではありません。今こそ、日本政府は、京都会議の議長国として、京都議定書を率先して批准、締結し、京都議定書を発効させる国際的なリーダーシップを発揮すべきときです。外務大臣の明確な答弁を求めます。(拍手)
 ところが、先日の日米首脳会談で、小泉総理が、地球温暖化防止問題での米国の提案を、建設的な提案と、支持を表明したことは重大です。米国産業界の主張に沿ったブッシュ政権の温暖化対策を支持する小泉内閣は、温暖化防止の世界の流れに逆行することになります。
 この米国の提案は、既に来日した米国務省の上級交渉官が、総量削減の京都議定書方式で計算すると、十年後の温室効果ガス排出量は九〇年に比べて三五・五%増になることを明らかにした代物です。EU公式見解の声明でも、排出絶対量の増加を許し、気候変動に効果的に取り組む上で不十分であると指摘しているではありませんか。
 京都議定書からの後退を許さないために、米国の提案を評価する態度を改めて、京都議定書に立ち返るよう米国に働きかけることこそ、必要ではないですか。京都会議の議長を務めた環境大臣の責任として、明確な答弁を求めます。
 気候の変動は、日本の湖沼や森林の環境に大きな影響を与え、我が国と世界の将来に危機的な状況を引き起こしかねないものになっています。富栄養化の進む琵琶湖では、この地域の積雪水量が大幅に減少し、琵琶湖の水深八十メートル付近の水温が三度C上昇しています。また、京都の丹波山地のブナ林は、標高が低いために温度上昇の影響を受けやすく、正常な種子が見つかっていないことから、その未来が閉ざされかねない危機に陥っています。
 そこで、気候変動に関する政府間パネルの第三次評価報告書では、二十一世紀中に全球平均地上気温が一・四度Cから五・八度C上昇すると将来予測をしていますが、琵琶湖や丹波山地の環境に与える影響ははかり知れないものと考えます。日本においても、温室効果ガスの大幅な排出削減が、一刻の猶予もない緊急課題になっております。環境大臣の温暖化に対する危機の認識をお聞きいたします。
 そこで、まず第一に、改正案が京都議定書を担保するための十分な制度であるのかという問題です。
 改正案の目的では、「京都議定書の的確かつ円滑な実施を確保する」としていながら、京都議定書の六%削減目標達成に向けた、担保法としての必要な規制措置が盛り込まれていません。これでは、国際的な公約の実現は困難です。
 既に、欧州では、京都議定書の八%削減目標達成のため、去年の十月に発表された欧州委員会指令案で、二〇〇五年から排出枠を個別の事業者に割り当てて、排出量を第三者機関が検証し、排出枠を超過したときには罰金の支払いが求められています。この姿勢が大切です。
 我が国も、京都議定書の六%削減目標達成の国際公約を履行するために、国内対策として、事業所ごとの温暖化ガス排出量報告と削減計画を義務づけて、第三者機関の検証など、第一ステップから各種の実効性のある制度を積極的に盛り込むべきではないですか。環境大臣に伺います。(拍手)
 また、七月に中央環境審議会が公表した答申の中間取りまとめでは、事業所単位で排出量を把握、公表する制度を提唱して、目標達成のため、事業者と国による協定の締結などが示されていました。
 しかし、改正案の京都議定書目標達成計画を策定する基礎となる地球温暖化対策推進大綱は、当面の経済界の自主的取り組みに任せて、規制的な措置や経済的な手法などの対策を先送りしています。しかも、自主的取り組みを任されている経済界の実態はどうでしょうか。経団連は、新たな規制は日本企業の国際競争力を失わせるなどと、削減目標の義務化に反対しているではありませんか。環境大臣、これでは、意味のある京都議定書目標達成計画など、策定できないではありませんか。
 第二に、改正案の京都議定書目標達成計画の基礎となる政府の新大綱の問題です。
 新大綱では、六%削減目標の達成を法的に担保している対策は全体の二〇%未満であり、目標値を持たない対策が四〇%以上あるということではないですか。
 ですから、改正案での京都議定書目標達成計画の策定に当たっては、新大綱を基礎として縛られるのではなく、京都議定書の目標達成のための国内対策として、産業分野などでのエネルギー起源の二酸化炭素やフロン類の大幅な削減など、実効性のある中身を計画に盛り込むべきではないですか。環境大臣、いかがですか。
 また、新大綱では、エネルギー部門から発生する二酸化炭素について、二〇一〇年の削減率として、産業マイナス七%、民生マイナス二%、運輸プラス一七%までとする各部門の数字を出していますが、これまでの政策の不十分さをきちんと検証した上で出されたとは、到底考えられません。
 しかも、部門別の二酸化炭素削減量について、産業界が削減量の割り当てにつながる数値目標の設定に反対していることから、排出削減目標量は、拘束力のない、目安として設定しています。こうした産業界の意向に沿った目安などでは、六%削減目標の達成は不確実になるのではないですか。環境大臣、どうですか。
 第三に、新大綱で温暖化対策の中核になっている原発の新増設の問題です。
 エネルギー供給では、地球温暖化対策に位置づけた原発を二〇一〇年までに十三基も新設するという前提で、原発の発電量を現在から約三割増加させるとしています。しかし、原発の解体、再処理の費用には約三十兆円もかかることが、電力業界の試算でも明らかになっています。しかも、政府関係機関の世論調査でも、新たな原発の増設には国民の六三%が反対していますし、欧米の主要国のほとんどが、原発建設計画を持たず、プルトニウム循環方式からも撤退しています。
 原発の安全性が確立されていないもとで、温暖化対策に名をかりた原発推進は、世界の流れにも逆行するものです。温暖化対策の中核に環境破壊の原発を位置づけることは、抜本的に見直すべきではないですか。環境大臣の明確な答弁を求めます。(拍手)
 むしろ、現在、一%台の供給にとどまっている風力、太陽光などの自然エネルギーにこそ力を尽くすべきです。
 ことし一月のOECD環境政策委員会で承認された、我が国の環境保全成果審査報告書での気候変動に関する勧告でも、再生可能エネルギーの開発利用を促進する、そのことが強調されています。
 風力による発電量を見ると、日本はドイツの六十五分の一です。アメリカの三十七分の一です。そして、自然エネルギーの普及のために、ドイツでは、市民が太陽光発電で起こした余剰電力を、電力会社が市場価格に上乗せして買い取る制度が定められています。自然エネルギーの普及拡大には、実効性の高いドイツ式の固定価格買い取り型の法律を導入する必要があるのではないですか。経済産業大臣にお答えをいただきます。(拍手)
 第四に、改正案での経済的手法や森林吸収源などの問題です。
 さきに挙げたOECD環境政策委員会の勧告では、国内及び国際的な約束の達成のため、税、課徴金等の経済的手法の利用拡大を含む、バランスのとれたポリシーミックスを組み込んだ地球温暖化対策の国内制度を構築することと指摘されています。
 ところが、さきの新大綱や改正案でも、景気に大きな影響があると、環境税等の導入に産業界が強く反対していることから、先送りしています。国内制度を構築するためには、排出者責任を明確にした環境対策税の創設が必要ではないですか。環境大臣、いかがですか。
 改正案では、森林等による吸収作用の保全を盛り込んでいますが、森林吸収は、国際的に無条件で、一千三百万炭素トン、三・九%と認められたわけではありません。にもかかわらず、根拠を示さずに、新大綱にもマイナス三・九%とし、改正案でも目標達成のために森林整備による吸収源対策に頼ることにしているのは、問題です。
 これまで、政府は、全森林の純吸収量がマイナス三・七%としてきましたが、いつの間にか、森林全体の七割の森林増加量を吸収に換算したら確保できる量だということになりました。このような不確かな森林吸収に依存するのではなく、省エネや代替フロンの削減など、国内対策に力を入れるべきではないですか。環境大臣、いかがですか。
 最後に、改正案では、京都メカニズムの活用を検討し、必要な措置を講ずるとしています。しかし、排出量取引などの京都メカニズムの活用は、第三回締約国会議でも、環境NGOから抜け穴と批判され、京都議定書でも、国内対策に対して補足的なものと規定されたものではありませんか。
 政府は、当初、もとの大綱どおり、京都メカニズムでの削減目標を、マイナス一・八%を見込んでいました。財政当局が、将来、国が金を出すことが前提になってしまうとして反対し、減らした分を民生部門に振り向けることになったと言われています。削減目標達成のためには、補足的なものとして位置づけられている京都メカニズムの活用ではなく、国内対策によって達成すべきは当然ですが、その分を民生部門の削減に振り向けることなどは国民の理解を到底得られないと考えますが、いかがですか。
 環境大臣の明確な答弁を求めて、地球温暖化対策法改正案に対する質疑を終わります。(拍手)
    〔国務大臣大木浩君登壇〕
○国務大臣(大木浩君) 藤木議員から十一問の御質問をいただきましたので、順次お答え申し上げます。
 まず第一に、京都議定書というのは温室効果ガス削減ということで二十一世紀の生命と地球の未来がかかっておるのだ、待ったなしの緊急の課題であるが、環境大臣としての基本認識を問う、こういう御質問でございました。
 おっしゃるとおりに、人類の存続にかかわる重要な環境問題だと認識しております。特に、我が国は議長国として京都会議を行いましたので、そういった立場からも、ぜひとも、環境省としても、これから、我が国の六%削減約束の達成、そして京都議定書の早期発効のために、全力で取り組んでまいりたいと思っております。
 次に、最近、ブッシュ大統領が参りましたときに、それに先立って米国の提案というものが公表されまして、評価したのはおかしいじゃないかというお話でございます。
 ブッシュ訪日に先立ってああいう提案を出したことについては、一応、出したことについては私どもも評価すると申し上げましたけれども、その内容について百点であると言っているわけでは決してございませんので、その後も、いろいろと、米国としてなぜそういうことを言っておるのか、それから、何ができるのか、これからどういうことを一緒に検討できるのかというようなことは随時強く申し入れておるところでございます。
 特に、京都議定書の中と必ずしも厳密に言わなくても、内外と言った方がいいかもしれませんが、いろいろと、温暖化ガスの発生防止については、協力できるものはあるわけです。そういった分野については、今後も日米間で具体的に協議してまいりたいと思っておりますし、いずれ京都議定書に早く入るようにということについては、引き続き申し続けてまいりたいと思っております。
 それから、温暖化が非常に危機的な状況だということについて大臣としてどう認識しておるかという御質問でございます。
 御存じのとおりに、国連の調査機関でございますIPCC等でもいろいろな数字やら見通しが出ておりまして、地球温暖化によって、高山植物などが非常に生態系が崩れる、あるいは氷河などが大分もう解けかけておる、あるいは世界じゅうの海が、海水面が上がるとか、いろいろと、これはすぐ来年とは言わなくても、これから五年、十年、二十年とあれば当然にそういった状況が進んでくるということは予測、これは決して単なる予測ではなくて、科学的にいろいろと資料を含めての予測でございますから、十分にそういった緊急性は意識に入れながら、今後の政策を進めてまいりたいと思っております。
 それから、国内対策として、事業所ごとの温室効果ガス排出量の報告と第三者機関の検証など、実効性のある制度を盛り込むべきではないかということでございました。
 私どもとしては、とりあえずは、まず第一ステップとしては、排出量の公表などを責任を持ってするようにということで、事業者の自主的な取り組みをやってもらう、その上でまた一つ、その結果を見て必要なことを考えたいというふうに思っております。
 それから、新大綱では、経済界のいろいろな取り組みというのが主として自主的ということで、規制的な措置や具体的な経済的な手法などが十分に盛り込まれていない、先送りだ、こういう御批判であります。
 現段階では、やはり私は、自主的にやってもらうということに十分な意味があると思っております。経団連の自主行動計画等による取り組みは、これまでも実際に省エネ等では日本としては十分な実績を上げてきておるわけでございますから、まず第一ステップとしては、その取り組み内容を、できるだけ透明性、信頼性、そして実効性というようなものを確保しながら取り組んでもらうように、私どもとしても引き続き申し続けたいと思っております。
 また、具体的には、この新大綱におきましても、ある程度、定量的な裏づけというものを示した百種類を超える対策、施策のパッケージというものを示しておるところでございますので、これを中心としてとりあえずは実行してまいりたいというふうに思っております。
 それから、今度の新大綱に基づくいろいろな措置というものも、一遍決めたからずっとそのままということではございませんで、二年目あるいは五年目には見直して、また必要なことは強化してまいりたいと思っております。
 次に、国内対策としての、産業分野などからのエネルギー起源のCO2やフロン類の大幅な削減を盛り込む目標計画をつくるべきではないかというようなことでございます。
 今も申し上げましたように、百種類を超えるいろいろなパッケージをつくりまして、その中で、エネルギー起源のものも含めて、CO2やフロン類の大幅な排出削減を図るということは盛り込んでおりますので、とりあえずは、今、そういったCO2やフロン類あるいは今のエネルギー起源というところに着目したいろいろな措置というものも含まれておるというふうに御理解いただきたいと思います。
 次に、新大綱における部門別の排出削減目標量は、これは全く拘束力のない目安だというふうに設定してあるという御批判でございます。
 新大綱におきましては、部門別の排出削減目標量を、確かに目安といいますか、それぞれについて目安というような説明もありますけれども、産業、民生、運輸の各部門につきまして、排出削減の目標は、言うなれば目安という言い方もできると思いますが、これらの各部門を合わせて、エネルギー起源を中心としての御質問が先ほどからありますが、エネルギー起源の二酸化炭素全体としては、一九九〇年度と同水準に抑制するという明確な、これは単なる目安ではなくて、政府としての目標でございます。目標でございますが、またその内訳については、現実にいろいろと計算の仕方もありますし、今後の実際の実績というものもありますから、一応それを目標として設定し、今後はそれに向けて着実に進んでいきたい、それから、先ほどから申し上げておりますように、二年後あるいは五年後には全体の内容も見直したいというふうに考えております。
 次に、原発の安全性が確立されていない中で、温暖化対策の中核に原発を位置づけるのはどうか、こういうお話でございます。
 原子力発電所というのは、クリーンなエネルギーということからいえば、CO2などは排出しない、そういう意味ではクリーンでありますけれども、やはり原子力発電あるいは原子力というものに対する安全性について、国民の理解が十分に得られていないということについてはそのとおりでありますから、今後もしっかりとそういったことについて御説明を申し上げまして、今後とも、私どもとしては、地球温暖化対策の観点からも、原発は重要な電源であるという認識のもとで施策を進めてまいりたいと思っております。
 次に、京都議定書の履行との関連で、排出者責任を明確にした環境対策税の創設が必要ではないかというような御質問がございました。
 先ほども申し上げましたけれども、税制についてはいろいろな側面からの検討をしなきゃならぬわけでありますから、今直ちに京都議定書のために環境税を創設するということは私どもとしては提案しておりませんけれども、いろいろな意味での温暖化対策の、要するに、物を抑える方と、それからインセンティブとして環境対策のために使う金と、両方あるわけですから、これを両方ともこれからの状況の中で検討してまいりたいということは考えております。
 それから、環境税につきましては、広い意味では、OECD等からもそういった問題を勉強しろということは言われておりますし、今申し上げましたように、私どもといたしましても、いろいろな経済的な手法というものは組み合わせて温暖化対策を進めたいと思っておりますので、今後も、十分真剣に検討、勉強は進めてまいりたいと思っております。
 それから、森林吸収についてのいろいろ数字が出ておるけれども、これは非常に不確かなものだ、むしろ、省エネだとか代替フロンの削減など、別の国内対策に力を入れたらどうか、こういうようなことでございます。
 決して、森林吸収というのは全くできないことを書いているわけじゃないので、十分にいろいろと根拠があって、一応ある程度の資料も持った上で、日本政府としては三・九%という数字を今六%の中で実行しようということで目標にしておるわけでございまして、これは今後も、今お話のございました、ほかの省エネ、代替フロンの削減とか、そういったものともあわせて一緒に前進してまいりたいと考えておるところでございます。
 最後に、京都メカニズムの活用による財政支出を減らすため、その分を民生部門の削減に振り向けることなどは国民の理解が到底得られない云々というお話がございました。
 私、ちょっと御質問の趣旨が必ずしもよくわからないのですけれども、別に、京都メカニズムを初めから固定したものとして考えていたわけではございませんで、新大綱の策定の過程で、京都メカニズムの活用を減らして、その分を民生部門の削減に振り向けたのでは決してございません。
 そういう意味での経過というのはありませんので、それは、京都メカニズムにしろ民生にしろ、それぞれ内容を考えた上で一応の目標数値を出しておりますので、そのように御理解いただきたいと思います。
 以上でございます。(拍手)
    〔国務大臣川口順子君登壇〕
○国務大臣(川口順子君) 京都議定書を発効させる国際的なリーダーシップについてのお尋ねがございました。
 温室効果ガスの排出量の急増が懸念される中で、京都議定書は国際的取り組み強化への重要な第一歩だと考えております。この考えのもと、政府は、今国会での京都議定書締結の承認を求めています。
 また、我が国としては、京都議定書の早期発効に向けて、二国間協議や多国間協議の場を活用して、各国に対して京都議定書の締結を働きかけていく考えでおります。(拍手)
    〔国務大臣平沼赳夫君登壇〕
○国務大臣(平沼赳夫君) 藤木議員にお答えさせていただきます。
 新エネルギーの普及拡大策についてのお尋ねであります。
 風力、太陽光など新エネルギーにつきましては、政府といたしましても、これまで、自治体や事業者向けの先進的な新エネルギー導入への補助や住宅用太陽光、クリーンエネルギー自動車などの初期需要創出による市場自立化のための補助など、各種支援策を講じてきているところでございまして、御指摘のとおり、今後とも一層力を入れて推進してまいりたい、このように思っております。
 今後におきまして一層新エネルギーを普及拡大するための手法として、ドイツの例をお出しになられました。
 御指摘のドイツの方式というのは、固定価格買い取り制度、いわゆるRPS制度などの制度を対象に、我が国にふさわしい制度のあり方について、これまで、総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会及びその下の小委員会において審議を重ねてまいりました。
 今申し上げましたように、固定価格買い取り制度、これはドイツの方式でございますけれども、量的には非常に大きい成果を上げております反面、電気事業者に対して、発電事業者の発電した新エネルギーによる電気の全量を政府が設定する電源別の固定価格で買い取る義務を課す制度であるために、発電事業者のコスト削減インセンティブが働きにくく、また、一度価格が設定されると引き下げがなかなか困難である、そういう問題がございます。例えば、このドイツにおきましては、発電コストが急速に低下しているにもかかわらず、買い取り価格はむしろ引き上げられている、このような結果も出ております。
 他方、いわゆるRPS制度、これは一定の導入を義務づけるため目標の達成が確実でありまして、また、電気事業者の電源選択の自由度が高くて発電事業者のコスト削減努力を誘引するなど、市場機能が発揮されまして、効率的に新エネルギーの導入を進めることができるわけであります。
 こういったことを総合的に勘案いたしまして、我が国におきましては、固定価格買い取り制度よりも、むしろ、RPS、再生可能エネルギー導入基準制度、こちらを取り入れた方がふさわしい、こういった部会等の報告も踏まえまして、今般、これを具体化するため、電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法案を今国会に提出させていただいているところでありまして、やはりこういった新エネルギーの積極的な導入を図ってまいりたい、このように思っております。(拍手)
○副議長(渡部恒三君) これにて質疑は終了いたしました。
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○副議長(渡部恒三君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後二時四十五分散会
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 出席国務大臣
        総務大臣    片山虎之助君
        外務大臣    川口 順子君
        文部科学大臣  遠山 敦子君
        厚生労働大臣  坂口  力君
        経済産業大臣  平沼 赳夫君
        国土交通大臣  扇  千景君
        環境大臣    大木  浩君
        国務大臣    福田 康夫君