第154回国会 財務金融委員会 第12号
平成十四年四月十七日(水曜日)
    午前十時開議
 出席委員
   委員長 坂本 剛二君
   理事 中野  清君 理事 根本  匠君
   理事 山口 俊一君 理事 山本 幸三君
   理事 海江田万里君 理事 古川 元久君
   理事 石井 啓一君 理事 中塚 一宏君
      岩倉 博文君    金子 一義君
      金子 恭之君    倉田 雅年君
      小泉 龍司君    砂田 圭佑君
      竹下  亘君    竹本 直一君
      中村正三郎君    林田  彪君
      増原 義剛君    山本 明彦君
      吉田 幸弘君    渡辺 喜美君
      五十嵐文彦君    生方 幸夫君
      江崎洋一郎君    小泉 俊明君
      小林 憲司君    後藤  斎君
      佐藤 観樹君    中川 正春君
      永田 寿康君    長妻  昭君
      上田  勇君    山名 靖英君
      藤島 正之君    佐々木憲昭君
      吉井 英勝君    阿部 知子君
      植田 至紀君
    …………………………………
   財務大臣         塩川正十郎君
   財務副大臣        谷口 隆義君
   財務大臣政務官      砂田 圭佑君
   財務大臣政務官      吉田 幸弘君
   参考人
   (日本銀行総裁)     速水  優君
   参考人
   (日本銀行副総裁)    山口  泰君
   参考人
   (日本銀行審議委員)   春  英彦君
   参考人
   (日本銀行審議委員)   福間 年勝君
   参考人
   (日本銀行理事)     増渕  稔君
   参考人
   (日本銀行理事)     小池 光一君
   参考人
   (日本銀行理事)     三谷 隆博君
   財務金融委員会専門員   白須 光美君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月十七日
 辞任         補欠選任
  永田 寿康君     後藤  斎君
  遠藤 和良君     山名 靖英君
同日
 辞任         補欠選任
  後藤  斎君     永田 寿康君
  山名 靖英君     遠藤 和良君
    ―――――――――――――
四月十五日
 証券決済制度等の改革による証券市場の整備のための関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第六九号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 財政及び金融に関する件(通貨及び金融の調節に関する報告書)

     ――――◇―――――
○坂本委員長 これより会議を開きます。
 財政及び金融に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 両件調査のため、本日、参考人として日本銀行総裁速水優君、日本銀行副総裁山口泰君、日本銀行審議委員春英彦君、日本銀行審議委員福間年勝君、日本銀行理事増渕稔君、日本銀行理事小池光一君及び日本銀行理事三谷隆博君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○坂本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
○坂本委員長 去る平成十三年十二月四日、日本銀行法第五十四条第一項の規定に基づき、国会に提出されました通貨及び金融の調節に関する報告書につきまして、概要の説明を求めます。日本銀行総裁速水優君。
○速水参考人 日本銀行の速水でございます。
 本日は、大変御多忙の中を坂本委員長初め衆議院財務金融委員会の皆様方、時間をとってくださいまして、私どもの説明を聞き討議をしてくださることを厚く御礼申し上げます。
 それでは、通貨及び金融の調節に関する報告書として、昨年の十二月、平成十三年度上期の報告書を国会に提出いたしました。今回、日本銀行の金融政策運営につきまして詳しく説明申し上げる機会をいただきまして、厚くお礼を申し上げます。
 本日は、前回九月に本席で説明して以降の状況を中心に、最近の経済金融情勢に関する認識や金融政策運営の考え方について申し述べさせていただきたいと思います。
 まず、日本経済の動向について御説明申し上げます。
 我が国の景気は、一昨年の秋以降の世界的なIT関連分野の調整や、それに伴う輸出、生産の大幅な落ち込みを背景にして、悪化を続けてまいりました。昨年後半にかけましては、こうした企業部門の調整が、雇用、所得の減少を通じて個人消費に及ぶなど、次第に広範化してまいりました。
 さらに、昨年九月の米国同時多発テロ事件の発生に伴いまして、経済の先行きに対する不透明感が高まり、世界的に同時減速の傾向が強まったことも、我が国の景気情勢を一層厳しくする一因となりました。
 この間、物価面を見ますと、製品輸入の拡大や流通合理化など供給面の要因が引き続き押し下げ要因として働いていることに加えて、景気が悪化傾向をたどるなど、国内需給バランス面からも低下圧力は強まってまいりました。このため、我が国の物価は依然としてマイナス基調が続いております。
 このように、景気は引き続き悪化傾向にありますが、このところ、景気の下げどまりを展望し得るプラスの動きも見られ始めております。
 まず、本年に入りまして、米国を初めとする海外経済の回復に向けた動きがはっきりしてきております。これを受けまして、我が国の輸出も増加に転じつつあります。国内におきましても、在庫調整が一段と進んでおりまして、生産が下げどまりつつあるほか、企業の業況感も製造業を中心に悪化に歯どめがかかりつつあります。こうした情勢を踏まえますと、今後、輸出環境の改善を背景にして、生産が下げどまりから回復に転じるにつれて、景気全体の悪化にも次第に歯どめがかかってくるものと見られます。
 このように、短期的な景気循環という面からは明るい材料が見られ始めている中で、このところ、日本銀行がとりわけ注意を払ってきておりますのが、金融・資本市場の動向であります。
 すなわち、昨年の秋以降の相次ぐ大手企業破綻などをきっかけに、株価は、本年二月初めにバブル後の最安値を更新するなど、神経質な展開をたどりました。投資家の信用リスクに対する姿勢は依然として厳しいほか、民間銀行の貸し出し態度も引き続き慎重化しており、信用力の低い企業、とりわけ中小企業では資金調達環境が徐々に厳しさを増しております。また、我が国の金融機関に対する内外の市場参加者の見方は、依然として厳しい状況が続いております。銀行株価は、一時に比べますと幾分反発したとは申せ依然低迷しているほか、銀行の発行しております債券の対国債スプレッドも高どまりいたしております。
 こうした動きが行き過ぎて、健全な企業の資金調達が厳しくなったり、金融市場が大きく不安定化すると、実体経済や物価をさらに下押しするおそれがあります。このために、当面、金融面の動きには細心の注意を払っていく必要があると思います。
 日本銀行は、昨年の三月、コールレートがほぼゼロに達して、オーソドックスな金融政策による緩和余地がなくなった中で、日銀当座預金という資金の量を目標とする金融政策運営の枠組みを採用いたしました。それ以来、こうした新しい政策の枠組みのもとで、内外の中央銀行の歴史に例を見ない思い切った金融緩和を実施しております。
 この結果、最近の日銀当座預金の残高は、一年前の四兆円程度から、最近では二十兆円程度と大きく増加しております。また、こうした大量の資金供給を円滑に行う観点から、長期国債の買い入れも増額してきておりまして、一年前の年四兆八千億円ペースから、この三月には年十二兆円のペースになっております。
 また、金融緩和の効果が企業金融の面で浸透することを期待して、資金供給手段や担保面でも工夫を凝らしてまいりました。昨年十二月には、CP現先オペの積極活用や、資産担保CPの担保適格化を決定いたしました。また、昨年九月と本年二月には、金融機関の資金繰りに対する安心感を確保するために、ロンバート型貸付制度において、公定歩合の適用期間を拡大するなど、弾力的な運用を行いました。
 このような日本銀行の金融緩和政策は、金融市場におきましては、強力な効果を発揮いたしております。短期金利は、国債の金利が一年物まで〇・〇〇一%となるなど、ほぼゼロにまで低下しております。マネタリーベースの前年比は、三割を超える水準まで高まっており、第一次石油ショック当時以来の伸びとなっております。この間、三月末にかけましては、期末越えの短期金利が上昇するなど、市場が不安定化する動きも見られましたが、日本銀行の徹底的な資金供給の効果もあって、混乱なく年度末を越えることができました。四月入り後も、株価、長短金利の動きなどから見て、金融・資本市場は全般に落ちついているようであります。
 このように、日本銀行の金融緩和は、金融市場の安定を確保することを通じて景気の底割れを防ぐという点で、大きな役割を果たしてまいりました。
 しかしながら、日本経済がさまざまな構造問題を抱えるもとで、金融緩和の効果が、企業や家計の経済活動を十分活発化させるに至っていないことも事実でございます。金融緩和がその効果を十分に発揮して、景気の本格的な回復を実現していくためには、税制改革、規制の緩和、撤廃等によりまして経済、産業面での構造改革を進め、民間需要を引き出していくことが不可欠であると思います。同時に、不良債権処理を通じて金融システムの強化、安定を図ることが極めて重要です。こうしたプロセスは、短期的には痛みを伴うものですが、長い目で見て、民需主導の成長を実現し日本経済がデフレから脱却するためには、避けて通ることができないと思います。
 日本銀行としては、今後とも、デフレ脱却に向けて、潤沢な資金供給を通じて市場の安定と緩和効果の浸透に全力を挙げていくこと、また、最後の貸し手としてシステミックリスクの顕現化を回避することの両面において、中央銀行としてなし得る最大限の努力を続けていく方針であります。同時に、ただいま申し上げましたように、日本経済の持続的な成長の基盤を整えるために、各方面における構造改革への取り組みが粘り強く進められることを強く期待しております。
 以上で、私からの説明を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○坂本委員長 これにて概要の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
○坂本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。竹下亘君。
○竹下委員 自由民主党の竹下亘でございます。
 きょうは、日銀の報告書に関する質問をさせていただきます。とはいいましても、報告書自体は昨年度の上半期を中心にした報告でありましたので、どうしても、先ほど総裁の述べられました現況について質問することが多くなることをお許し願いたいと思います。
 まず、その景気判断でございますが、先ほど速水総裁もお述べになりましたように、在庫調整の進展が見られる、あるいは一部に生産の下げどまりも出始めておるということは事実であろうと思います。
 しかし、本当に底がたいのかなという部分、特に私なんかは、経済活動がそれほど活発でない地方の出身でございますので、そういった在庫調整の進展、あるいは生産の下げどまりというものをまだ肌で感じられるところにはなっていない、特に地方の中小企業は引き続き厳しい状況にあるなということを感じておるような状況でございます。しかし、きのうの財務局長会議でも、一部に下げどまりの気配が出始めておるという、いわば上方修正に向けての判断をしておるような状況にあるわけでございます。
 日本銀行は、地方の中堅企業も含めまして、聞き取り調査による短観、短期経済観測というのを定期的に実施していらっしゃいます。この聞き取り調査という部分が非常に重要な要素であろうと私は思うわけでございますが、そうした聞き取り調査の実感も含めて、改めて現状の景気、そして先ほどちょっと言いましたように、底がたさをどのように見ていらっしゃるか、お伺いをさせていただきたいと思います。
○山口参考人 景気の見方につきまして、私の方からお答えをさせていただきます。
 先生御指摘のとおり、私ども、マクロ的な経済の統計のほかに、短期経済観測というアンケート調査、それから、全国に散らばっております支店を動員いたしまして、随時地域の企業の経営者の方々にお目にかかりお話を承るというような幾つかの方法でもって景気判断に資するような材料を集めておりまして、それを総合的に勘案しながらその都度判断を下しているというふうにやっております。
 申し上げましたような材料を総合的に判断いたしましたところ、現状につきましては、景気はなお全体としては悪化を続けておりますけれども、その悪化の度合いといいますか悪化のテンポというものは幾分和らいできているというふうに考えております。
 多少具体的に申し上げますと、例えば、設備投資あるいは個人消費という内需の二本柱につきましては、残念ながら、まだ弱い動きが続いているというふうに思っております。家計の雇用あるいは所得環境につきましても、直近で出てきている数字はまだ悪化が続いております。物価につきましては、卸売物価は、このところ多少下げどまりの気配がうかがわれるという状況でございますが、消費者物価につきましては、なお一年間で、生鮮食品などを除きますと〇・八%前後の下落が続いているという状況でございます。
 こういう状況でございますけれども、景気の悪化のテンポが幾分和らいできておると申しますのは、やはり海外経済の回復傾向というのが月を追ってはっきりしてまいりまして、それを背景にいたしまして、我が国の輸出がここに来て増加に転じつつあるということでございます。加えまして、電子部品等を中心にいたしました在庫調整も一段と進捗してまいりまして、これらを背景にして、生産が下げどまりという気配を示しております。短観で見ますと、企業の業況感というものも、このところようやく悪化に歯どめがかかりつつあるという状況でございます。
 こういう状態がどれぐらい底がたいのかというお尋ねであったと思いますけれども、今後につきましては、輸出の順調な回復が続くのかどうかというのが大きなポイントであろうと思っております。輸出の回復傾向が途切れなく続くということになりますならば、いずれ生産が下げどまりから増加に転ずる、あるいは企業収益の持ち直しもはっきりしてくるというようなことを期待できようかと思っております。
 ただ、肝心の輸出を支える海外経済の回復の動向につきましては、なお不確実な部分が少なからず残っていると思っております。また、設備投資、個人消費といった内需につきましては弱い状態がしばらく続くかなというふうに見込んでおりまして、そういたしますと、景気全般といたしましても、やはり脆弱な地合いというものがなおしばらくは続かざるを得ないと予想しておるところでございます。
○竹下委員 まだまだ注意が必要だなという感を強くしておるところでございます。
 次に、国債の現状についてお尋ねをさせていただきます。
 スタンダード・アンド・プアーズが日本の長期国債の格付をワンランク下げました。G7の中では、イタリアよりもと言ってはいけないかもしれませんが、イタリアよりも低い、最低になってしまいました。これに対して、福田官房長官は、下げ過ぎの評価だ、こうおっしゃっておりますし、塩川財務大臣も、勝手な見方やな、こうある種の不満を漏らしてはいらっしゃいます。
 確かに、民間の格付機関、調査機関による一方的な評価とはいいましても、では、日本の国債の状況をこのままほっておいていいのか、という状況ではないと思います。発行残高、これもG7の中でGNP比で見てもずば抜けて高いという状況にあることは紛れもない事実であります。
 そうした状況にありますので、国債の評価、さらにムーディーズも近く下げるというような見方も出ておるようでございますし、そういう状況の中で、国債を取り巻く環境、さらにはこの評価に対する受けとめ方も含めて国債に対する認識をお伺いしたいと思います。
○速水参考人 今竹下先生御指摘のように、S&Pが、昨日の報道で、日本の国債をダブルAのマイナスにするということを決めたようでございますが、ムーディーズがむしろ昨年十二月に同じAAのマイナスというふうにいたしておりますので、S&Pの方がそれをフォローしてきたといったようなことでございます。
 我が国の国債残高は先進国中で最高水準に達しておりますし、日本の国債に対する市場の目は非常に厳しいと申せると思います。このために、財政規律に対する市場の信認を確保していくことは極めて重要な課題であるというふうに思います。
 日本も非常に、当面の経済情勢よくなかったわけでございますが、いわゆる日本の持っている経済の潜在力といいますかポテンシャルズといいますか、そういうものが余り知られていないとこのごろは思います。今でも世界第二の経済大国でございますし、民間の金融資産というのはGDPの三倍近い千四百兆円といったものを持っておりますし、毎月の経常収支は八〇年以来ずっと続けてGDPの三%前後という黒字が続いております。また、対外債権超過といいますか、国全体の外貨準備を入れて一兆二千億ドル、アメリカの方はむしろ債務超過で二兆ドルを超えておるわけでございますが、そういう潜在力を引き続き持ち続けて、質の高い労働力と技術力に支えられた我が国の経済の力というのは、極めて高いものがあると思っております。
 その意味でも、金融システム面や経済、産業面の構造改革を緩まず進めて、そうした潜在力を引き出していくということが、長い目で見て、我が国経済全体ひいては国債の信認を高めていくことにつながるものと思っております。
 国債の今回のS&Pの格下げに伴って、私が今思っていることを率直に言わせていただきました。
○竹下委員 長期国債の金利、一・四%前後と今のところは確かに安定をいたしておりますが、これが大きく動くようですと、今まで日本経済が立ち直るためにあらゆる努力をしてきたことが吹っ飛んでしまう可能性もありますので、引き続き本当に注意深く見ていかなければならない問題ではないかなと思っておるような次第でございます。
 次に、みずほファイナンスグループの問題についてお尋ねをさせていただきます。
 この問題は、金融システムに対する信頼を大きく損ねるという大問題であると私は思っております。幸いにして今のところは、例えば資金の大量流出といったような不測の事態にはつながってはおりませんが、この金融システムの問題というのは、金融秩序の維持ということを大命題とする日本銀行にとっても看過できない重大問題であると認識をいたしております。
 日銀は、考査という形で全国の金融機関を定期的に調べていらっしゃいます。そういう考査システムあるいは考査を行っていく中で、コンピューターシステムを含めた金融システムの問題にどこまで踏み込めるものなのだろうか、あるいはどこまでしか踏み込めない問題であろうかという点でございます。金融システム、これからますますコンピューターに依存する度合いは、いや応なしに高まってくる。とすれば、金融秩序の維持という観点から、この面への対応というのはこれから相当強く取り組んでいかなければならない問題ではないかなと思うような次第でございます。
 しかし、現実に、みずほファイナンスグループのように、この金融システムの信頼を大きく損ねる事態が発生をいたしました。これから、海外も含めた金融機関の統合というものがさらに予想される状況の中で、金融システムへのチェックというのが日銀の考査の中でどのように行われてきたのか、あるいは行われようとしているのか。これはまさに金融庁の検査にも全く同じことが言えるわけでございますが、そこまで踏み込んだ検査がこれまでできなかったとすれば、じゃ、これからはどう対応していくのか、あるいはこれまでどおりコンピューターシステムの内部については無力のままでいくのかという不安もあります。
 こうしたことも含めて、今後の金融システムに対する考査の姿勢、あり方についてお話をいただきたいと思います。
○三谷参考人 私どもの金融機関とのいろいろな接触というのは、先生の御指摘の考査もございますし、また、考査というのは直接先方の建物の中に入っていろいろ調べるわけでございますけれども、そのほかに、私ども、いわゆるオフサイトヒアリングと申しまして、先方からいろいろな資料を携えて持ってきてもらいましてヒアリングを行うということもやっております。
 今回、みずほグループの統合の過程におきましては、統合の直前であったということ、統合事務が大変であったということもありまして、実は、考査は行っておりませんでした。そのかわり、節目節目で組織的なヒアリングを行いまして、システム統合の進捗状況、また、万一不測の事態が生じた場合におきまして一体どういう対応をとるのか、いわゆるコンティンジェンシープランの策定といったようなことに重点を置きながら、きちんと対応してもらうように強く要請してきたところでございます。先方からは、我々、そのヒアリングの都度、システム統合は予定どおり順調にやっておりますというふうな説明を受けてまいりました。
 もちろん、日本銀行は、中央銀行として決済システム全般の円滑な運営に責任を持っておりますので、みずほグループにおきまして万一何らかの問題が生じた場合にも、一番根幹となります銀行間の決済が円滑に行われますように、私どもと先方との連絡体制をはっきりさせるとか、業務面、モニタリング面での体制も整えておったところでございます。
 現在も、みずほグループを初めといたしまして、その他の金融機関また全銀協などとも密接な連絡をとりながら、このみずほの事件というものが決済の面において大きな支障を生じないように今努めているところでございます。
 ただ、現時点で事態の全容が明らかになっているわけではございませんので、はっきりとしたことはまだ申し上げられないわけでございますけれども、一般論として申し上げますと、通常、考査等におきましてシステムをチェックする場合、いわゆる統合プロジェクトの推進もしくは管理体制、そういうものをチェックする、それから進捗状況をチェックする、それと、先ほど申し上げましたような、いわゆる何か起きたときのコンティンジェンシープランの整備状況といった点を中心に検証していくことになるわけでございます。
 ただ、一方で、いわゆるプログラムがきちんと書けているのかどうか、そういったチェックでありますとか、具体的にどういうテストをどういう形で行うのかということ、また、そういったシステムが完成した後の実際のシステムの運用体制、そういったようなことにつきましては、基本的には、各金融機関がみずからの責任で行ってもらわなくてはならない、そういう部分も非常に大きいんだろうと思っております。
 いずれにしても、こうした事態が発生しまして、多くの顧客に影響が生じたということはまことに遺憾でございまして、私どもとしても、大きな教訓として重く受けとめているところでございます。
 ところで、今後の考査に関してどう考えているのかということでございますが、先般公表いたしました十四年度の私どもの考査方針の中で、金融機関の経営統合や業務提携に伴うシステムの統合、共同化に際して、不測の事態を招かないよう適切な対策がとられているかどうか、また、IT革新の進展に伴い、システム基盤の変化に対応しました、これは日進月歩でございますので、そういった変化に対応したリスク管理が適切に行われているかどうかという点に重点を置いて調査をしていきたいというふうに考えております。
 こうした考査でのチェックポイントは、先ほど申し上げたようなことになるわけでございますが、私どもとしても、今回の事態を教訓といたしまして、できる限りのことはやってまいりたいというふうに考えているところでございます。
○竹下委員 日銀と各銀行との間の決済システムについては、これは相当踏み込んだチェックを当然なさっていらっしゃるとは思いますが、今回、みずほファイナンスグループの中で起きた金融システムの異常というのは、統合によるつなぎのコンピューターの異常ということで、このプログラミングにどこまで日本銀行なり、あるいは金融庁の調査が入っていけるかという問題になると、全部調べろというのも難しい問題かな。しかし、ほっておいて金融不安に発展しかねない事態へのチェックができないというのも苦しいかなとジレンマを感じておるところでございます。しかも、日進月歩の技術進歩の中で、これから本当にきちっと対応していただきますことを改めてお願い申し上げる次第でございます。
 さて、我が国の景気の現状、依然として厳しい状況が続いております。この間、日本銀行は、たしか去年の三月だったと思いますが、金利調整による金融緩和策を大きくかじを切りかえまして、資金の量を目的とする金融緩和政策をとっておられます。思い切った政策だと思います。しかも、それに加えて、インフレ率が安定的にゼロ%以上になるまではこうした大幅な金融緩和政策を継続、維持していくという姿勢も明確に示されております。
 私は、こうした日本銀行の努力に対しましては、一定の評価をしなければならないと思っておるわけでございます。しかし一方で、日本銀行の存在意義といいますのは、金融秩序の維持と通貨の安定、すなわち物価の安定でございます。この二つの大目標が努力をすることによって達成できておるかという観点から見てみますと、道はまだまだ遠いと残念ながら言わざるを得ない状況にあると思います。
 この目的を達成するために、きょうお話しになられました速水総裁も、例えば不良債権の処理などを含めた問題の進展、さらには経済の構造改革が進展することによって経済環境が好転する、そういう条件も不可欠なんだ、そういうものと相まってこの大幅な金融緩和政策というのが効果を上げていくんだということをおっしゃっております。
 しかし私たちは、もう金融秩序の安定、世界に向けて絶対大丈夫だよと言い切れる状態をそろそろつくり上げなければならない、かなりしびれを切らした時期に来ておることは事実でございます。そうした観点から、改めて金融秩序の維持、そして通貨の安定に対する日本銀行の認識、そしてこれからの決意のほどをお伺いさせていただきたいと思います。
○速水参考人 今、竹下先生御指摘のように、新しい日本銀行法は、通貨及び金融の調節を行うことを目的として銀行券を発行していくということと、二条で「物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資することをもって、その理念とする」ということをはっきり書いていただいております。そのために、通貨及び金融の調節における自主性、それから国民に明らかにできる透明性とを持てということを示されております。
 私ども昨年来、デフレ克服に向けまして、内外の中央銀行の歴史に例のないような思い切った金融緩和を行ってまいりました。このような金融緩和は、金融市場の安定確保を通じて景気の底割れを防止するという点で大きな役割を果たしてきていると思っております。
 しかしながら、今御指摘のように、日本経済がさまざまな構造問題を抱えるもとで、金融緩和の効果が企業や家計の経済活動を十分に活発化させるには至っておりません。物価は依然としてマイナスの基調が続いておるわけでございまして、日本銀行としては、今後とも、潤沢な資金供給を通じて、金融市場の安定確保と緩和効果の浸透に全力を挙げてまいりますとともに、最後の貸し手として、システミックリスクの顕現化を回避すべく、またこの面でも最大限の努力をしていく方針でございます。
 同時に、金融緩和が力強い効果を発揮するためには、金融システムの強化や経済、産業面の構造改革を進めて、民間需要を活性化させていくことが不可欠であると思っております。金融緩和、資金供給、潤沢な供給が本当に生きていくという面では、構造改革の効果が出始めて民間需要が出てくるときに、そういった潤沢な資金が用いられて、経済を支え上げていくというふうなことになることを、一刻も早く実現できるように期待いたしておる次第でございます。
○竹下委員 まさに世界に冠たる経済大国日本が、世界じゅうから金融システムも含めまして安心して見られる、あるいは世界の経済を再び引っ張っていく力強さを、もう一度生き生きとした日本経済を取り戻すために、どうしても金融の力というのは大事なものですから、引き続き、日本銀行には細心の注意を払いながら日本経済への目配りをお願い申し上げる次第でございます。
 シュンペーターが、夜明け前の暗さがなければ明るい夜明けは来ないということを言っております。日本経済、まさに今、夜明け前の暗い暗い状況に残念ながら長い間あります。しかし、ほんのわずかではありますが、一条の光が差し始めてきたかなと感じさせるものも出てきているんではないかな、希望的観測も含めて私はそう感じ始めております。
 一日も早く日本経済が回復することを心から願い、そして、そのために日本銀行がさらに一段の努力を重ねられることをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○坂本委員長 次に、山本幸三君。
○山本(幸)委員 自由民主党の山本幸三でございます。きょうは、久しぶりに速水総裁と議論ができるので大変楽しみにしております。
 私のライフワークというか趣味みたいなものでもありますけれども、しかし、これは真剣にやらなきゃいかぬ。というのは、日本銀行総裁と議論できるのはこの場しかないんですね。副総裁以下はいろいろなほかのところでもできますけれども、この場しか議論できませんので、きょうはぜひじっくりと総裁とじかにやらせていただきたい。総裁以外は答弁は要りませんので、よろしくお願いしたいと思います。
 まず最初にお伺いしますが、速水総裁の年収は幾らですか。
○速水参考人 山本幸三先生には、年二回、この機会にいつも厳しいアドバイスをしていただいております。きょうもひとつよろしくお願いしたいんですが、私の年収は、平成十三年度の年収、三千八百四十二万円でございました。
○山本(幸)委員 三千八百四十二万円。大変高給です。アメリカのグリーンスパンの約倍ですね、二倍もらっています。日本銀行の方々、大変高給でありまして、副総裁も三千万以上、審議委員も二千九百万、監事それから理事も二千四百万以上。国会議員が、私の去年の歳費を見ますと二千三百五十七万円。理事でさえ国会議員より高いんですね。総裁はそれよりももっと高くて三千八百四十二万円。
 総裁、それに値するだけの仕事をしていると思いますか。
○速水参考人 日本銀行の役員の年収につきましては、外部の有識者による諮問委員会の答申を受けて平成十年三月に役員の給与等の支給の基準を決定して、各役職の職責や必要とされる能力、並びに特別職国家公務員の給与等の状況を踏まえながら定めることになっております。先ほど申し上げました年収水準につきましても、こうした考え方のもとで政策委員会において決定されたものであります。
 お尋ねの点につきましては、中央銀行総裁としての職責を全うすべく、私としては全力を尽くしてまいったつもりでございます。私としては、引き続き、物価の安定と金融システムの安定という日本銀行に課せられた使命を達成するために全力を挙げていきたいと考えております。
○山本(幸)委員 ちっとも答えになっていないですね。うまくやってきたつもりだそうでありますが、本来の目的である物価安定、できていますか。デフレでどんどん物価は下がっていますよ。あなたが就任されて以来四年、ずっと下がりっ放しです。そして、景気は一向に回復しない、倒産が史上最高になっている。
 一昨年夏のゼロ金利を解除するときに、私どもは、こんなばかなことをやっちゃいけない、今は逆だ、むしろ金融を量的に緩和してエンジンを吹かさなきゃいかぬ。政府は補正予算でエンジンを吹かそうとした、それに逆噴射したんですからね。そのときに私は、サミュエルソンの言葉を引用しまして、ゼロ金利を解除したからといってすぐ物価とか景気に大きな影響は与えないかもしれぬけれども、倒産は別ですよと。瀬戸際に立っている企業は、不必要なときにちょっと金利を上げられちゃったらすぐ倒産しますよ。それが一挙にあらわれたんじゃないですか。
 私どもは、毎週末地元に帰っていろいろな経済の実態に直面します。つい先日戻って、二つの葬式に続けて出た。四十代と五十代の個人事業者ですよ、自殺です。それが地域でどんどん起きているんですよ。そういうことについて責任を感じないんですか。
○速水参考人 今、山本委員から、二〇〇〇年八月のゼロ金利政策の解除は間違いであったんじゃないかという御質問がございました。
 市場において冷静に受けとめられて、長短金利は安定して推移して、あの当時、株価も八月に上昇いたしました。また、生産やGDPの動きを見ましても、二〇〇〇年中は日本経済は回復傾向をたどっていたと言えます。
 アメリカの経済についても、十一月まではむしろインフレを懸念するということを連銀は言っておったわけで、十二月の末になってから、今まで余り経験のなかったIT産業の供給超過ということがはっきりしてきて、在庫が大き過ぎるということが明らかになって、それが、IT産業というものはあんなにも早く需給関係が変わり、かつ、それを事前に的確にとらえられないということがわかった次第で、世界じゅうがアメリカの急速な金融の行き過ぎを、供給の超過というものをとめるために、IT産業の貿易量も生産量も急激に減ることによって、アメリカが年初来急速に引き下げ始めた金利の引き下げに世界じゅうがフォローするということになったと思います。そういった情報通信関連の分野を中心とする世界的な景気の減速を受けて、昨年は私どもも再び悪化傾向をたどったわけでございます。
 このような景気情勢の変化に対して、日本銀行は、内外の中央銀行の歴史に例を見ない思い切った緩和措置を三月に踏み切りました。
 このように、金融政策というのは、経済、物価情勢を注意深く点検しながら、そのときどきにおいて最も適切な対応を機動的、弾力的に行っていくものだと思います。したがいまして、ゼロ金利政策の解除が失敗であったとは考えておりません。
 また、デフレの原因ということにつきましても、最近の物価下落の背景としては、需要面の要因と供給面の要因の両方が複雑に絡んでおります。需要面の要因については、景気の悪化による需要不足が物価低下圧力として強く影響しております。供給面の要因につきましては、やはり経済のグローバル化を背景とした安値の輸入品の流入、それに伴う輸入関連企業の値下げといったようなこと、流通の合理化、規制の緩和、そういうものが機能していると思います。
 今のCPIの低下を私どものところで分析してみましても、〇・八%ぐらい前年比で下がっている。それに対して、一般の内需の需給関係でいくとその下がり方は非常に少ないので、むしろ輸入品、輸入関連商品の引き下げというのが三%近く下がっている、それが物価をかなり引き下げているというふうに、ウエートとしてはそれは二割と八割ぐらいの違いがあるわけですけれども、その二割に及ぶ輸入関連商品の低下といったようなものがかなり供給サイドでの物価の低下に機能を果たしているということを示しております。
 そういうこともありますので、内需の需給ギャップということもまだまだ続いておるわけでございますが、今後とも、需要サイド、供給サイド、両方をよく見ながら政策を決めてまいりたいというふうに思っております。
○山本(幸)委員 私の質問にどうしてまともに答えていただけないんですか。書いてきたことをずらずら読んで、時間がたつのだけ待っているんですか。ゼロ金利解除のときの背景とか言いわけとか、そんなことを聞いたんじゃありませんよ。あなたの見通しが間違っただけだ、私に言わせれば。
 しかし、それよりも、政策の担当者というのは結果責任なんですよ。そのときにどれだけ良心的に考えてやったって、結果が悪ければすべてだめですよ。それを私は言ったんだ。結果的に、倒産はふえ、自殺者をふやした、そしてデフレを深刻化させた、その結果を明らかに生んだじゃないですか。それについての責任はどう考えるんですかと聞いたんですよ。それについて答えてください。
○速水参考人 今の御質問に対して、いろいろな面からの答え方があると思います。
 民間の銀行は、信用力の低い先に対して貸出政策を慎重化させる傾向を強めておりますし、中小企業などでは、資金調達環境が徐々に厳しさを増していることは確かだと思います。しかし、健全な企業で再生が見込まれるような企業をサポートしていく基本姿勢は堅持されておりますし、前向きの経済活動に対して資金の供給が行われていると思います。これまでのところ、現状、九七、八年に見られたような広範な企業金融の引き締まりが見られるわけではございません。
 ただし、景気の脆弱な地合いが続くもとでは、金融面の動きが実体経済に悪影響を及ぼしやすい状況が続くということ、そのために、金融機関の信用仲介機能というものが思うように機能をしていない、こういうことを今後とも注意深く点検して、今の企業金融についても、現状の厳しい状況に対応していかなければいけないというふうに思っております。
○山本(幸)委員 倒産して自殺した人は、健全な経営ができなかったから、能力がなかったんだから仕方ないじゃないか、死んで当たり前だ、そう言うんですか。そういう状況が起こっているときに、デフレでいよいよ厳しくなるときに、あなたは逆噴射して、それを一層深刻にしたんですよ。それをしなければ助かった企業だってありますよ。それを思わないんですか。あなたは高給取りで失業の心配はないから、そんなのうのうなことを言えるけれども、助かるかもしれない、しかし、それをつぶした、死なせたことがゼロ金利解除によって起こったということについて、一片の反省もないんですか。
○速水参考人 私ども中央銀行といたしましては、できる限りの対応に全力を挙げておるつもりでございます。
○山本(幸)委員 要するに、もうそういう人たちは死んで当たり前だと言うんですね。高給をもらって、自分の地位は安泰だから、そんなことは知ったことじゃないという姿勢だということははっきりわかりました。そういう総裁を持って、私は日本国民としては大変残念だ。
 では、次に行きますが、これは資料は配ってもらっていますか。あなたは、これまでのいろいろなやりとりの中で、最近は金利が低くなって、潤沢な資金を十分に供給して、日銀は責任を果たしているという説明を繰り返し言っておられますね。
 あなたのおっしゃる金利というのは何ですか。
○速水参考人 金利と申す以上は、通常は、市場の名目金利を言うべきであるというふうに思います。
○山本(幸)委員 市場の名目金利が下がっていればいいんですか。
○速水参考人 実質金利というものも、物価指数として何をとるかという場合に十分留意する金利項目であると思います。期待インフレ率の計測とか物価指数といったようなものを留意して見ていくことは、私どももやっているところでございます。
 その上で、大きく見れば、九〇年代前半から低い水準になっていると思います。設備投資停滞の主な原因は、むしろ、経済が収益見通しの不透明な感じを持って前向きな動きが出ていないということではないかと思います。
 もちろん、金融の繁閑につきましては、今後もよく見ていくつもりでございます。
○山本(幸)委員 私は、そこは日銀が間違っているところだと思うんですよ。名目金利で世の中は動いているわけじゃありません。企業経営者というのは実質金利を考えてやっているんですよ。だって、物をつくって、それが幾らの価格で売れるかというのが大事なことだからね。
 そうすると、企業経営者が設備投資をやろうとするときに、収益の見込みと資金調達コスト、資金調達コストは名目金利を実質金利化した、つまり、期待物価上昇率で実質化したもの、それにプラスして恐らくリスクプレミアム、そのときの状況によって変わるでしょうけれども、それがある。しかし、少なくとも、実質金利がどういうふうに動いているかによって決まるんですよ。名目金利で決まるんじゃありませんよ。これは経済学の常識である。
 そこで、あなたは、実質金利も下がったと言っていますけれども、その反証として私は資料を用意しました。
 実質金利は、確かに計算するのは非常に難しいところがあります。正確に言えば、実質金利は、実質化するときには期待物価上昇率というのを考えないといかぬ、期待インフレ率というのを考えなきゃいかぬ。これを測定するのはなかなか難しいんです。
 しかし、当然そういうことをいろいろやっている人もいるわけですね。安達さんという人が、日銀短観の製商品価格判断DIのデータから、カールソン・パーキン法という統計的手法を用いて企業の期待インフレ率を推定しています。そして、銀行の貸出金利、約定金利からその期待インフレ率を差し引いて期待実質金利というのを出している。これが図の一と二のグラフですけれども、これは卸売物価ベースでやっているんですが、消費者物価ベースでも大体同じような傾向が出ます。
 それで見ると、実際に実現された卸売物価を引いた金利よりも、期待実質金利で見ると実際よりも、統計で出てくるよりも企業のデフレに対する見方というのはより深刻である。つまり、期待インフレ率を用いた実質金利は物すごく高い。特に九九年ごろから最近に至るまでは、期待実質金利というのは、バブルの最盛期、八八年から八九年ぐらいとほぼ同じです。二〇〇一年になりますと、長期では六・三%、短期では五・七%で、九〇年代の金融引き締め期と変わらない。私は、これが今デフレを深刻化させている、需要が起きない最大の理由だと思います。実質金利で議論しない話なんというのは説得力がないのですね。
 それから、この期待実質金利の計算の仕方、当然議論もありますけれども、恐らく日銀の研究者はこんなことをやっているはずです。そうじゃなくて、ではGDPデフレーターで見たらどうかというのが図の四に書いてあるのですが、これで見ても、これはGDPデフレーターの実績値ですが、それでも短期の実質コールレートというのは二・二%ぐらい、二・五ぐらい。それから貸出金利に至っては四%ぐらい。これは、アメリカは去年の暮れにフェデラルファンドレート二・五ぐらいになったのだけれども、物価上昇率は三ぐらいですから、マイナスなんですよ。つまり、アメリカはマイナスの実質金利にしたから景気が回復した。日本は、マイナスどころかどんどん実質金利を拡大しちゃっているのです。それはデフレを進めているから。これが続く限り需要がふえるわけがない。実質金利は極めて高いじゃないですか。どうですか。
○山口参考人 恐縮でございますが、若干技術的な問題にもお触れになられましたので、私からお答えを申し上げます。
 山本先生御指摘のように、物価が下がっている環境のもとでは、実質金利というのを計算いたしますと、名目金利ほどには低下していないということは事実だと私どもも考えております。ただ、大きな流れといいますか、トレンドを観察してみますと、九〇年代の前半あたりと比べますと、現在でも実質金利の方が低く計算されるというようなことも言えようかと思います。もちろんこれは、物価として何をとるかということによっても結果が変わってまいります。
 終わりの方で御指摘になられましたGDPデフレーターにつきましては、ほかの物価指数よりも若干低目にこのところ出る傾向がございまして、これは申し上げるまでもなく、九〇年代を通じまして、いわば労働分配率の調整ということが行われてまいりましたので、名目賃金の引き上げということがほとんど起きていない、そういう要素価格調整がGDPデフレーターのところに比較的強目に出てきているということの結果であろうと思っております。
 それで、大事なことは、我が国経済の総需要、特に民間需要の変動要因として、金利、これは名目金利、実質金利両方ございますけれども、これがどの程度の役割を果たしているかという点であろうかと思います。設備投資意欲というものが、現在さまざまなサーベイなどを通じて見ますとかなり弱いわけでございますけれども、これにつきましては、経済の見通しそのものがじりじりと下方修正されてきているというようなこと、あるいは、昨年度、企業収益の落ち込みがかなりシャープに出てまいりました。こういう将来の期待成長率あるいは将来の期待収益率というようなことが、設備投資環境をめぐる不透明感を醸し出す比較的大きな理由になっているのではないかというふうにも考えております。
○山本(幸)委員 私は、総裁以外には答弁要らないと申し上げたはずであります。総裁、実質金利は高いと思っているのですか、低いと思っているのですか。
○速水参考人 実質金利で見る限りでは、大きく見れば九〇年代前半より低い水準になっていると言えると思います。
○山本(幸)委員 九〇年代より低い水準だったらいい、そういうふうにおっしゃるのですか。だけれども、九〇年代の初めより、この図の一を見ても確かにちょっと低いけれども、しかし、それはバブルのまだ余波が残っているころですよ、九一年、九二年。だけれども、下がってきた実質金利が、今度は今、上がりかけている。今これから景気回復しなければいけないときに上昇トレンドにある、そのことはお認めになりますか。
○速水参考人 金利というのは、やはり資金の需要が起こらなければいけないわけでして、特に民間部門で、今銀行の貸し出しが前年比マイナスであるということを見るだけでも、資金需要がいかに少ないか。それともう一つは、不良貸し出しがあって余り危ない貸し出しはしないという、銀行の信用仲介機能というのが十分に動いていないということもあるのだと思いますけれども、必要なことは、やはり民間の企業、家計で将来に対する安心感を持って仕事を始める、あるいは投資を始める、持っているお金を使い始めるといったようなことができてくることが、これからの私どもの一つの期待であります。
 そのためには、やはり構造改革といったようなことが着々と進められていく。税制もそうですし、規制の撤廃、自由化もそうですし、そういうことが行われ、かつまた不良貸し出しが減っていって金融機関が信認を回復していくといったようなことを私どもが心がけていくことが、今の課題だと思っております。
○山本(幸)委員 どうしてそう責任転嫁ばかりやるのですか。そうじゃなくて、あなたが最初に言ったように企業の需要が出ない、なぜ出ないのですか。実質金利が高いから出ないんですよ。そうでしょう。
○速水参考人 やはり民間の資金需要が出てくるということは、企業家なりあるいは家計なりがそういう前向きの動きを始めない限り資金の需要にはならないわけで、そういうものをつくっていくためには、幾ら私どもがお金を出しても、それがマネタリーベースで前年比、五年平均でも七・七%ぐらい出しているわけですけれども、そういうものがマネーサプライになったら三%ぐらいに減りますし、貸し出しに至ってはマイナスになっていく、十分に使われていないということが問題なのであって、その辺のところは、資金は十分に出しながら、今の、不良貸し出しの整理とか、あるいは民間の需要が起こってくるような環境をつくっていくことが必要だと思っております。
 十分な資金の供給をしていく、量的な資金供給をしていくということもその一つの要素でございますけれども、それだけでは資金の需要が出てこない。今、小泉政権も、構造改革なくして経済成長はないと言っておられます。私はそのとおりだと思いますし、経済成長なくして物価の上昇あるいはデフレからの脱却ということはないと思います。そしてまた、そういう物価の需要、物の需要が起こらなくして金利が上がっていく、正常化されていくということもないと思います。
 そういう関連でございますから、私どもの方は、今、十分以上に資金供給をいたしております。それが民間で使われていくことを期待しているのが現状でございます。
○山本(幸)委員 何をわけのわからぬことを言っているんですか、私の聞いていることにはちっとも答えないで。
 実質金利が高いから資金需要が出ないんですよ。民間企業は、そんな高いコストで投資をしたって、将来を見ればペイしないんだから。将来収益は確かに厳しくなってきた、厳しくなってきたら、なおさら実質金利を下げなければだめですよ。九〇年代初めより低いからいいというレベルの議論じゃないんですよ。将来の収益率が低くなれば、より調達コストは下げてやらなきゃ資金需要が出るわけないじゃないですか。そのロジックを認めるのか、認めないのか。
○速水参考人 実質金利というのは確かに物価との関係があるわけですけれども、今、民間の設備投資が出てこないという原因は、経済の先行き、収益の見通しが不透明である以上、企業がリスクをとってこの仕事をやろうといって投資をするといったような気持ちにはならないと私は思うんです。そのことをさっきから申し上げている次第でございます。
○山本(幸)委員 だから、将来の収益が厳しいという見方を持っていることはわかりますよ。しかし、将来の収益が厳しいときに、資金調達コストの関連で物は考えるんですよ。そのときに、将来の収益が厳しくなれば、資金調達コストをより下げてやらなきゃ需要は出るわけないじゃないですか。その相関関係で投資というのは決まってくる、需要というのは決まってくる、そうでしょう。
 あなたは一方の将来収益のことしか言わないけれども、実質金利という調達コストのところは大きな要因を持つんじゃないですか。大体、経済学の教科書はそっちの方が中心だと書いていますよ。そう認めないんですか。
○速水参考人 いや、おっしゃることは経済理論の一つの考え方かもしれませんけれども、需給というのはやはり、資金であろうと何であろうと、供給サイドと需要サイドとのバランスが決めていくことであって、物価もそうですし、金利もそうだと思います。この辺のところは、私どもは全体的な立場で、特定の議論に偏ることなく物を考えていきたいと思っております。
○山本(幸)委員 経済学の一つの見方と言いましたが、これは一つの見方じゃなくて、確立された疑いのない理論ですよ。それで、世の中は供給サイドと需要サイドで決まるというのは、それはそうでしょう。需要曲線と供給曲線で決まるんだから。そのときに、私が言っているのは、需要を決めるときに、需要の構成要素は投資と消費ですね、民需では一番大きいのは。そのときに、実質金利、これが需要を決定づける大きな要因だ。あなたは、需要は何で決まると思っているんですか。
○速水参考人 金利が何で決まっているかとおっしゃれば、やはりこれは将来への見通しがどうであるか、明るいかどうかということで資金の需要が起こるか起こらないかということになるわけで、供給の方はかなり出ておりますから、それに対して需要が起こってくれば金利は上がっていくと思います。
○山本(幸)委員 では、需要は将来収益だけによって決まって、調達コストたる実質金利は関係ないとはっきり断言されるんですね。
○速水参考人 関係ないとは申しません。金利はそういうものを決めていく一つのファクターであることは確かだと思います。
○山本(幸)委員 でも、先ほどはそう答えなかったじゃないですか。需要は将来収益の見通しで決まると言ったじゃないですか。それを、追及すればすぐ変えるんですか。では、どっちなんですか。
○速水参考人 企業が自分のこれからやる投資を決めるといったような場合には、これはいろいろな見通し、あるいは足元の自分たちの力関係とか、いろいろなものを考えて決めるんであって、金利だけで決まるものではありません。
○山本(幸)委員 だから、金利だけで決まるんじゃないというのはいいですよ。私は、将来収益の見通しと調達コストたる実質金利の両方の兼ね合いで決まると言っている。あなたはそれを認めるんですかと言ったら、認めないと言うから、どうですかと言っているだけの話で、私の言っているロジックを認めるんですか。
○速水参考人 幾つかの要素で経済行動というのは決められていくものですけれども、今のところは将来の先行きの展望ということが大きな要素であって、実質金利がどうなるからということは、一つの要素であってもそれで決定的になるものではない、一つの要素としては機能すると思います。
○山本(幸)委員 では、一つの要素なら、ほかの要素を挙げてください。
○速水参考人 金利は一つの要素でございますから、やはり企業の動向、経済の動きを決めるのは先行きに対する見通しとか、今の置かれた環境の中で自分は何ができるか、何をすべきかという決断をしなきゃならないわけですから、それは一つのファクターではあっても、それがすべてであるとは思いません。そこは、もう少し広い立場で私どもは考えていきたいと思っております。
○山本(幸)委員 全然答えになっていないじゃないですか。環境の中だと。環境の最大の要素は実質金利だ、調達コストだと私は言っているんですよ。広い立場と、広い立場は何ですか。どの経済学の教科書だって、設備投資を決めるのは金利と書いてあるんですよ。それをあなたは否定して、それよりももっと大きな要素があるとおっしゃるんなら、それを示してほしい。言葉だけで言っちゃだめですよ。しっかりと定義して示してください。
○速水参考人 金利、金利とおっしゃいますけれども、やはり金利以外にも、人が一つの経済行動、リスクを持って行動を開始するときには、需要の見通しやら、収益の見通しやら、どれぐらいのコストがかかるかといったようなことも含めて、全部を総合的に考えて決断するのが普通の経済人だと思います。その辺のところは、金利だけではないということはわかっていただけると思います。
○山本(幸)委員 全く理論的じゃないですね。金利だけじゃないと言いまくれば話が済むようなことを言っているけれども、あなたのおっしゃっているのは極めて経済理論的じゃない。わけのわからないように責任逃れをするための言葉の遊びをしているとしか私には思えない。それなら、金利は十分に下がっているなんという説明をやめてください。どうですか。
○速水参考人 私は、中央銀行に三十四年おりました後、民間に出まして、企業の責任者として多くの投資やそれから新しい仕事を始めてきました。また、財界のリーダーの一人として、そういう企業家の人たちと長くつき合ってまいりました。そういう経験を通じて今のことを申し上げているわけで、学者の議論あるいは一人の政治家の議論、そういう方々の議論ももちろん十分聞かせていただきたいと思いますけれども、一つの経済行動を起こすときには、それだけで決まるものではないと思っております。
○山本(幸)委員 あなたは、私の経験で、私ほど知っている者はいない、一政治家、小物の政治家が議論しているなんというのは全然問題にならない、そうおっしゃったわけですな。これはよく覚えておきます。あなたのやられた企業は成功したかどうかよく知らないけれども。
 そこで、次に移りますが、要するにあなたは、名目金利と実質金利についてはよくわかっていない、そしてそれをはっきりと認めようとしない。なぜ私がそんなことを言うかというと、あなたは自分の責任を、構造改革がおくれているからとか不良債権処理がおくれているからとか、転嫁しているからなんですよ。これはおかしい。そういうことよりも、実質金利は高いということが需要を減らしていることだと私は認識しているので、それは、収益との絡みで現状は非常に高い。そのことを私は主張しているのだけれども、あなたはどうも、よく認めようとしない。それが正しいかどうかは、これからまた、あなたよりも学者や小物の政治家はよくわかっていないかもしれないけれども、いろいろまた批判に供しましょう。
 次に、インフレターゲット、物価安定目標についてお伺いしますけれども、あなたはどうして物価安定目標を、この際、話をわかりやすくするためにインフレターゲットと言いますが、採用しようとしないのですか。
○速水参考人 金融政策の透明性を高めていく手段として、インフレターゲティングというのは私どもとしても一つの検討課題であるということは、これまでも申してきたつもりです。
 しかし、現時点では、次のような理由からこれを採用することは適当でないと考えております。
 一つは、さまざまな構造問題が金融緩和の効果を制約しているということ。第二には、金利の引き下げというオーソドックスな政策手段を使い果たした中で、目標を実現する政策手段が限られているということ。
 日本では、私どもの日本銀行は既に、CPIの上昇率が安定的にゼロ%以上となるまで現在の思い切った金融緩和の枠組みを続けるということを宣言しております。現段階におきましては、インフレターゲットを設定するよりも、このようなコミットメントのもとで思い切った資金供給を継続する方がわかりやすく、また効果的であると考えております。今、何%かのインフレ率を達成しろと言われても、現状ではそれを実現する自信はございません。デフレのところがインフレのターゲットを持ったというケースも、今までほかの国にもございません。昔、スウェーデンでそういうことをやろうとして、やらなかったケースは一つありますけれども、そういう情勢ではないと思います。
 そういう意味で、私どもが今決めております、CPIの上昇率が安定的にゼロ%以上になるまで現在の思い切った金融緩和の枠組みを続けていくということで十分だと思っております。
○山本(幸)委員 要するに、自信がない、約束しても自分に自信がないからとりませんと。そうであれば、自信がある人にかわってもらうしかないんですね。政策手段はあるよ、自信もありますよ、そういう人にかわってもらわないと困ると私は思う。政策手段が限られている、普通の状況だったら確かにそうでしょう。しかし、今やこれだけデフレを長く続けている例はありませんよ。だから、デフレで前例がないからというのは反論にならないんだね。こんなに、GDPデフレーターで八年もデフレを続けている、危ない実験をやっている国なんてないんだから。その中で、自信がない。
 では、あなたは今CPIでゼロ以上にすると言っていますが、これはいつまでにやるという自信はないのですか。
○速水参考人 デフレが続いておるとおっしゃいますけれども、それほど物価の下落が著しいものでもございませんし、先ほどから申しておりますように、日本は、内外価格差という意味では非常に世界的に先進国として物価が高かったわけで、今も高いものはかなりございます。需給ギャップで、需要サイドで需要を起こしていくということはもちろん必要でございますけれども、それだけで物価を上げていくことはできないというふうに思っております。
 まだ今、御承知のように中国産など、どんどん近隣諸国が経済成長力そしてまた新しい近代的な手段をつくり上げて、安いものが入ってくる、庶民は喜んでそれをまた買っているという現状でございますから、そういうものをあわせて考えていかなければ、需要をふやすことだけではこういうものがすべて片づくというものでもないと思います。方向としては、やはりこうやって市場に対する資金の供給を潤沢にして、銀行がいつでも企業の意向なり、あるいは金融機関が顧客の要請にこたえて金が出せるように環境をつくっていくというのが私どもの現在の仕事でございます。
 インフレターゲットができない総裁がどこにいるかという御質問がありますけれども、今の私どもの考え方ではこれが最も妥当だと思っております。
○山本(幸)委員 極めて問題発言をされたと思いますが、一つは、今の物価の下落の率は大したことないとおっしゃいました。全く危機感が足りないと私は思う。それを一つ指摘しておきます。
 それから内外価格差があって、日本は物価が高いからだ、中国産など安いものが入っているから、それで下がるんだからしようがないじゃないか、要するに相対価格と絶対価格の差がわかっていない議論ですね。デフレというのは一般物価水準、絶対価格の話を言うんですよ。あるものが安く入ってきて、そのものがほかのものに対して比較的に安いという相対価格の話とは違うんだ。その差はわかっていますか。
○速水参考人 おっしゃることはわかります。
 しかし、先ほども申し上げましたように、例えば、二月でとってみまして、CPIは二〇〇〇年基準で前年比〇・八%下がっておりますけれども、そのうち輸入競合品は三・三%下がっているんです。その他のものは〇・三%。先ほど申し上げたように、輸入関連のものは二割でございますから、三・三%下がっている輸入関連の物価というのがかなりCPIの全体の数字を引き下げていることは確かでございます。さりとて、需要関係でもいまだに〇・三%、これは八割でございますけれども、前年比下がっていることは確かでございます。そういうことを申し上げているつもりです。
○山本(幸)委員 それは経済のロジックがわかっていない議論なんですよ。いいですか。輸入品が値段が下がった、それはわかりますよ。確かに下がった。全体の二割分のものが三・三%下がった。そのときに経済に何が起こるか。人々は安い輸入品が手に入るから、安いものを買おうとして輸入品を買いますね。しかし、安いんだから金は余る。その余った金はどこかに使うんです。そうすると、どこかの価格は上がっていないとおかしいんだ。そしてバランスするんですよ。その全体が絶対物価水準なんです。
 ところが、輸入品が幾ら下がったって――余った所得はどこかに回っていないと、そしてそれによって値段が上がっていないとおかしい。しかし、それを見ても全部下がっているということは、そっちの方でも需要が減っているということなんですよ。つまり、全体的に需要が全部減っちゃったからデフレになっているんですよ。このロジックがわからないんですか。
○速水参考人 需要の弱さが物価下落の一因であることは確かです。しかし、それだけでなくて、やはりこういった輸入関連商品、規制の緩和、撤廃やグローバリゼーションや、そしてまた近隣諸国が非常に安いコストで製品をつくって輸出してくる。輸出入の統計をごらんになってもおわかりでございますけれども、中国からの輸入等が製品あるいは半製品の形で入ってきて、それが物価を引き下げていることは間違いのないところ、そういうものがどこかへぐるぐる回って需要になるはずだろうとおっしゃることも、もちろんわかっております。わかっておりますけれども、そういう構造が変わってきていることは確かだということを申し上げている次第です。
○山本(幸)委員 わかっていないんですよ。構造が変わったって構わない、輸入品が安くなったって構わないんですよ。しかし全体の総需要がちゃんとあれば、それはどこかの価格が上がるということで、全体的に平均してデフレは起こらないんですよ。そのロジックが全然わかっていない。
 そこで、それをどうするかというためにインフレターゲティングを私は言っているわけです。(発言する者あり)場外発言、ちょっと。
 今、ゼロ金利解除で失敗して、反省しまして相当のお金を出していますね。これは結構なことだと私は思いますよ。十五兆円以上出し続ければ、私のシミュレーションによれば、二年たったらCPIはゼロ以上になるでしょう。しかし、それを途中でやめたら、またもとのもくあみになるおそれがある。市場はその可能性があると思って信頼していないんですね。その市場の信頼感、期待感をはっきりさせなければ、デフレ期待はとまりませんよ。この期待を反転させないといけない。その反転させる最大の政策が、あなたが職を賭して、二年後にCPIゼロ以上にしますと約束することですよ。そう思いませんか。
○速水参考人 私どもは量的緩和政策をとりました。それは遅過ぎたか早過ぎたか、それはわかりませんけれども、私どもの判断ではあの時期でよかったと思っておりますし、それを、ここまで来て内外の情勢を見ながらまた量をふやしてきているのも事実でございます。
 極めて長い目で見ますと、物価水準と貨幣供給量との間には関係があります。しかしながら、短期的には、需給バランスとか為替相場とか賃金など、さまざまな要因が物価に影響を与えております。実際、最近の日本ではマネー指標が、先ほど申し上げたように、経済活動との対比で見てかなり高い伸びを続けているにもかかわらず、総需要はふえておりません。物価は依然としてマイナス基調を続けております。
 デフレを克服していくためには、思い切った金融緩和を粘り強く継続するとともに、構造改革などを通じて民間の需要を引き出して、需給ギャップを縮小させていくことが不可欠であると思っております。
    〔委員長退席、中野(清)委員長代理着席〕
○山本(幸)委員 これまでデフレを深刻にしたのは、もっと早く大量に量的緩和をしなかったからですよ。そして、逆に逆噴射、ゼロ金利解除なんかやって、反対向きのこともやっちゃったりした、それが今日のデフレを深くしているんです。これを反転させるのは大変ですよ。しかも、やるときに、せっかく金を出しておきながら、これは効果があるかどうかわかりませんなんて言ったら、市場は期待するわけがない。せっかくやるときに、より効果があるようにプレゼンテーションもしなきゃだめですよ。
 ところで、インフレターゲティングについては、もうインフレターゲティングはできているんだ。それは、経済財政諮問会議が出した経済財政の中期展望、閣議決定されています。ここにしっかりと内閣の方針としてインフレターゲティングが出ているんだね。
 それはどういうことかというと、これから二年度の集中期間、つまり二〇〇二年、三年度のうちに、デフレを克服する、つまり物価上昇率はプラスに転じる、これはGDPデフレーターで言っているんですけれどもプラスに転じる。そして、二〇〇四年度以降は実質成長率が一・五%程度、名目成長率が二・五%程度、あるいはそれを上回る成長にすると言っているわけですよ。そして、これがこの中期展望のすべての基本です。これが達成できなければ、プライマリーバランスが二〇一〇年初めに黒字になるなんて、全部前提が崩れちゃう。つまり、内閣のこの中期展望の最大の基本はここにある。
 これはつまり、二年間の間にGDPデフレーターでゼロ以上、そして二〇〇四年度以降の成長率から見ると、GDPデフレーターで一%ですから、これを、今のGDPデフレーターとCPIの乖離を見ると大体一から一・五ぐらいありますから、CPIで見れば一%から二・五%ぐらいにしますと内閣ははっきりうたっている。あなたも経済財政諮問会議のメンバーだと思いますが、これを認めて、達成するようにやられるんですね。
○速水参考人 私もこの諮問会議にはほとんど欠席しないでずっと出ております。この議論のときも随分中に入らせていただきました。「改革と展望」に示されました見通しの計数というのは、諮問会議での議論を踏まえて、将来の経済の展望を示したものでありまして、いわゆるインフレターゲットというような性格のものではないと理解しております。
 ただし、日本銀行はCPIの上昇率が安定的にゼロ%以上となるまで現在の思い切った金融緩和の枠組みを続けると宣言しておるわけで、そのもとで潤沢な資金供給が続いております。また、政府もデフレの克服を集中調整期間の最重要課題と位置づけて、デフレ脱却に向けた取り組み姿勢を明確にしております。
 このように、デフレ脱却の決意は政府と日銀の間で十分共有されていると思います。
○山本(幸)委員 二年後にGDPデフレーターでゼロ以上、そしてゼロから一、CPIに直さなくてもいいけれども、それが、期限を区切って物価の上昇率を目標を持っているというのはインフレターゲットそのものじゃないんですか、違うんですか。
○速水参考人 そこの表現はそうかもしれませんけれども、それは一定の条件のもとでの展望であるというふうに書いてあるはずです。
○山本(幸)委員 一定の条件のもとで。それでは、これが崩れれば中期展望で書いてあるものは全部崩れるということですが、あなたはそういうふうにおっしゃったと理解しています。
 時間がなくなりましたので、もうちょっとやりたいんだけれどもやめますが、いずれにしても、自信を持っていない総裁に座られて、しかも国民の、自殺に追い込まれるような人の痛みもわからない、あるいは実質金利、資金調達コストというものの重要性を認識していない、そういう金融政策を続けてもらったら困る。
 ぜひ、量は私は評価していますが、これを絶対に落とさない、そして、本当にこの内閣の政策の根幹が崩れないように、しっかりやってもらわなきゃならぬということを指摘して、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
○中野(清)委員長代理 次に、上田勇君。
○上田(勇)委員 公明党の上田勇でございます。
 きょうは、日銀、それから財務省の方に何点か御質問をさせていただきたいというふうに思っております。
 まず最初に、先日来いろいろな委員会でも取り上げられていることでありますけれども、みずほグループのシステムトラブルにつきまして、これは国民生活に非常に大きな影響があった問題でもありますので、若干お聞きをしたいというふうに思います。
 先ほどの質問でもあったんですけれども、その答弁の中でも、日銀としては、事前に銀行の方からシステムの統合が順調にというか予定どおり進んでいるという報告は受けていたということであります。
 じゃ、その報告の内容というのがどの程度のものであったのか。これは通り一遍に、問題がないというような報告をただ聞いていただけなのか。それとも、そうしたシステムの統合、なかなか専門的なところまでは難しいというふうに思いますが、ある程度そういう内容にも踏み込んでいろいろと報告を受けていたことなのか。また、その報告をお受けになったときに、日銀としてはどういうふうな判断をされていたのか。問題ないというふうに考えられていたのか、それとも何らかの懸念があったというふうにお考えであったのか、まずお伺いをしたいというふうに思います。
    〔中野(清)委員長代理退席、委員長着席〕
○三谷参考人 先ほども申し上げましたとおり、みずほグループのシステム統合の過程では、節目節目で組織的にヒアリングを行いました。中身は、第一にシステム統合の進捗の状況、第二に移行リハーサルの結果、三番目に、移行に際し不測の事態が生じた場合どういった対応を考えているのかといったことを中心としたヒアリングでございました。
 私どもといたしましても、このみずほグループの統合作業というものが、三つの銀行をばらばらにして二つにするというところも含めまして、技術的に非常に難度が高いものであるということは十分承知しておりましたし、また、取引量の多い年度末に行われるということでもあるため、スケジュール面でもいろいろなタイトな要素がある。したがって、円滑に移行を進めるよう十分準備を進めるよう、強く向こうにも、みずほグループに対しても申し述べてきたところでございます。
 そうした指摘を受けまして、みずほグループでは、私どもの指摘も十分わかった、その上で、彼ら自身の責任で必要な対応、十分な対応をそれぞれやっておるんだというふうなことで、システムチェックやテストなどを行いながら、日本銀行に対しましても、予定どおり統合できるように、それだけしっかり準備を進めておりますというふうに説明しておりましたので、私どももその場は先方を信用するしかないというふうに考えたところでございます。
 いずれにしましても、こうした事態が発生して多くの顧客に影響を与えたことはまことに遺憾でありまして、私どもといたしましても、今後、システムの大きな変更とか、統合に伴ういろいろなシステム上の対応ということに関しまして、大きな教訓として重く受けとめたいというふうに考えておるところでございます。
○上田(勇)委員 今お話を伺ったところなんですけれども、結果としてさまざまなトラブルが起きてしまって、これから金融機関の再編というのがますます起こるわけでありますけれども、そうしたときに、今教訓として取り組むということでありましたけれども、ひとつ、ここは日銀だけの問題ではないというふうに思いますが、ぜひこういうことは、普通に考えれば、日本を代表するような銀行が、世界最大の銀行が統合するときに、こうした非常に基本的なトラブルが起きるということはまさに信じがたいことでありますので、今後こういったことが金融再編の過程の中で起きないように、それぞれの立場で万全を期していただきたいというふうに思うわけであります。
 まだ、みずほグループの混乱は続いているわけでありまして、これはまさにみずほ銀行という一つの銀行だけの問題ではなくて、日本の金融システムに対する信頼性の問題であるというふうに思います。そういう意味で、今後、この問題にどういうような対処をされるのか、方針を伺いたいというふうに思います。
○三谷参考人 当面の話といたしましては、みずほグループに対して、まず復旧に全力を挙げるようということでもございますし、また、ほかの金融機関も含めて、二度とこうした事態が起きることがないよう、原因の究明と体制整備を強く求めていくことを考えております。
 私ども、今でも毎日、みずほ銀行などと日々密接な連絡をとりながら、銀行間の決済が円滑に進むよう努力しておるところでありますが、改めて今回の件に関して、もう少し時間はかかると思いますけれども、詳しい報告を徴求することといたしております。
 いずれにいたしましても、金融機関のシステムというものがますます複雑かつ大規模なものになっているわけでございまして、今回、そういった中でのリスクというものが顕現化したものだと思いますけれども、私どもは、今回の原因究明、そういったことを含めまして、今後の金融機関のシステム構築に当たっては、考査ないしはオフサイトヒアリングを通じて、いろいろな形での対応を十分に要請するとともに、私どもでも、できる限りの調査等はしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○上田(勇)委員 まさに、先ほども申し上げましたけれども、一つは国民生活、日本経済にも非常に大きな影響が出ることでありますし、それだけじゃなくて、まさに日本を代表するような銀行におけるトラブルでありますので、日本の金融システムに対する信頼感、あるいは日本の企業経営の管理能力が問われている問題であろうというふうに思いますので、また万全の対策で臨んでいただきたいというふうに思います。
 次に、きょう議題となっております報告書にも、いわゆる民間銀行の融資スタンスについて述べられておりますけれども、その点についてお伺いをしたいというふうに思います。
 この報告書の中にも言及があるんですけれども、同時に、四月の金融経済月報ではこういうふうに書かれております。「民間銀行は、優良企業に対しては貸出を増加させようとする姿勢を続ける一方で、信用力の低い先に対しては貸出姿勢を慎重化させる傾向を強めている」さらに、ちょっと中略いたしますけれども、「民間の資金需要は引き続き減少傾向を辿っている」というような記述がなされております。
 これは、銀行の健全経営ということから考えれば、それはいいところには貸す、悪いところには貸さないということでありますので、当然のことではあるんですけれども、問題は、どこが信用力が高くて、どこが信用力が低いのか、その判断の基準が本当の意味でちゃんと行われているのかどうか、先のことを、将来のことを見据えた上でそういう判断が行われているのかということじゃないかというふうに思います。
 ただ単に、企業の規模であるとか過去の実績とかあるいは担保能力、そういったことだけに注目して信用力が判断されているのではなくて、これからの将来性や成長性、そういったことも十分踏まえた上で信用力が判断されなければ、経済を活性化することも、また経済の構造改革を進めることもできないわけでありますので、そこが非常に重要な点なんじゃないかというふうに思います。
 また、最近は企業ごとに貸出金利についても格差があるわけでありますけれども、やはりこの金利の格差というのも、まことにそういう将来性を見込んだ上での判断、成長性を見込んだ上での判断になっているのかどうかというのが大きな問題なんだというふうに思うんです。
 こうした銀行の姿勢、一方では今、積極的な、貸し出しを増加させるような姿勢が見られるということでありますけれども、他方においては非常に慎重になっている。この判断の基準というのは、そういった意味で、適正な基準に基づいて行われているのかどうか。その辺、日銀としての御見解を伺えればというふうに思います。
○三谷参考人 銀行の与信に際しての審査の姿勢ということでございますが、かつて、先生のおっしゃるとおり、担保に過度に依存するとか、大企業であればというふうな形で安易な審査を行ってきたということもあったのは事実だと思います。
 ただ、最近は、その債務者の将来性、成長性、収益性といったものを、いろいろな数字、バランスシートの数字を使ったり利益の数字を使ったり、もしくはいろいろなシェアだとかそういったものも含めまして、そういった債務者の成長性や収益性を十分踏まえて債務者自体の信用力を総合的に判断していこう、そういったプロセスの途中段階にあるといいますか、そういったことに相当努め始めてきております。
 具体的には、それぞれの銀行が、大手行中心でありますけれども、かなり詳細な内部格付制度というものをつくりまして、その格付に応じたリスクというものを計算しながら与信の額とか金利水準を決めるような方向に向かっている。完璧にそういう仕組みが整えられたわけではございません、まだ途中段階ではありますけれども、そういう方向に向かって一生懸命努力しているという段階だろうと思います。
 言うまでもなく、銀行にとって、まず債務者の信用力、将来性を適切に判断していくということは業務の基本でありますので、今後ともそういった手法にさらに磨きをかけるよう、私どもとしても各金融機関といろいろ話し合いを進めていきたいというふうに考えているところでございます。
○上田(勇)委員 そういうふうに行われていることを期待したいところであるんですけれども、最近の動向、必ずしもそういうことが十分に審査されずになされているのではないのかなというような事例が多いというふうに感じます。それは、例えば融資姿勢というんですか、銀行の審査の格付が突然変わる、同じ企業であるにもかかわらず突然変わるようなことだとか、そういったこともあります。そうした適正にやろうということについては、そういう姿勢については全く異論がないわけでありますけれども。
 ここで、私は、非常に懸念されていることが二つありまして、一つは、やはり貸し出しの総額が非常に、それにもかかわらず減っているということでありますし、もう一つは、特に中小企業に対する貸し出し姿勢が大変厳しくなっているという点ではないかというふうに思います。
 これは、日銀の短観を見ていましても、資金繰り判断DIなどでは、中小企業に対する貸し出し姿勢というのはやはり相当慎重になっているというか、厳しくなっているわけでありまして、この短観の数字とかを見ていますと、このままいくと、ちょうど九七年の後半から進んだいわゆる深刻な貸し渋り、そういうふうな状況が再現しかねないような傾向もたどっているわけでございます。
 そういう意味で、実際に中小企業の経営者の皆さんのお話を聞いても、業種や業績、そういったことにかかわらず、やはり今非常に銀行の貸し出しが厳しくなっているというようなことも伺いますし、また、実際に事業収益自体は上がっていても、運転資金の融資がつながらずに黒字倒産になるような事例もあるというふうにも聞いております。
 こうした中小企業に対する資金繰り、これは中小企業の資金繰りの問題なんですが、こうした中小企業の中に、成長性がある、将来性のある企業も多く含まれているというふうに考えられますし、また、こうしたところがより成長していかなければ構造改革というのは進まないんだろうというふうに思うんですが、今、そういう金融機関の貸し出し態度の中で、こうした将来日本の経済にとって大きな活力になるような企業も、規模が小さいから、あるいは実績が十分でないからということで融資が受けられないというようなことになれば、これは非常に将来にとって大きな問題になるというふうに思うんです。
 こうしたことにつきまして、日銀としての現状の認識、それからまた、必要があればどういうような対策を立てていきたいのか、御見解を伺いたいというふうに思います。
○速水参考人 民間の銀行が特に信用力の低い先に対して貸し出し姿勢をかなり慎重化させている、そういう傾向が強まっているということは私どもも認識しております。中小企業などでは資金調達環境が徐々に厳しさを増しているということ、これは先ほど上田先生御指摘の、四月一日に発表しました短観でも、非製造業に対する、特に中小企業が借入資金の資金繰りがうまくいかないということ、借りにくいということが出されております。
 しかしながら、健全な企業とか再生が見込まれる企業をサポートしていく基本姿勢というのは堅持されておりますし、前向きの経済活動に対しては資金の供給が行われていると思います。銀行も、最近、貸出政策を非常に積極化しようとして、いいところへはどんどん貸していくという態度を示しております。これまでのところ、現状、九七、八年に見られたような広範な企業金融の引き締まりというようなことは見られないと思っております。
 ただし、景気の脆弱な地合いが続くもとでは、金融面の動きが実体経済に悪影響を及ぼしやすい状況が続くわけですから、金融機関の信用仲介動向につきましては、今後とも注意深く点検してまいりたいと思っております。
○上田(勇)委員 今総裁がおっしゃったように、本当にそうなっていればいいんですけれども、どうも現実はまだ相当問題があるんじゃないのかなという感じがいたします。
 それは、本当に金融機関が実際に、特に中小企業について、成長性や将来性、その辺を十分審査した上、考慮に入れた上での貸し出し姿勢になっているのかどうか非常に疑問を感じておりますので、引き続き、今ここでそのことをさらに議論しても余り深まらないというふうに思いますけれども、現状は相当厳しいのではないかというのが私の認識でありますし、金融機関が、総裁がおっしゃったような判断、審査が行われているということについても非常に疑問を感じているところでございます。そのことを申し上げて、次の質問に移らせていただきます。
 速水総裁は、かねてから、できるだけ早い時期に銀行への資本注入をするべきではないかということを提唱されておりました。先般、金融庁による特別検査の結果が公表されました。この結果は、不良債権額が従来の査定に比べて相当大きくなった、増額したわけでありますけれども、他方、自己資本比率については一〇%以上、一定の水準以上は維持されているという結果の発表でありました。
 そこで、ここでこうした一つの結果が、特別検査の結果が出た段階で、改めて総裁の、銀行に対する公的資金によります資本注入の是非についての見解を伺いたいというふうに思います。
○速水参考人 特別検査の実施によりまして、不良債権の処理が前進したと評価しております。
 金融機関にとっては、不良債権問題の克服というのは、依然として最大かつ喫緊の課題であることは間違いないと思います。また、主要行の経営体力面の備えは、不良資産処理とか株価の下落などから、前年度に比べて低下していると見ていいと思います。今後さらに不良債権処理を進めてまいりますれば、その過程で自己資本が不足するということは起こり得る事態だと思います。
 こうした状況のもとで、金融システム全体の安定について疑問が呈されるような事態に陥った場合には、タイミングを逸せずに早目に対応していくことが必要であると考えております。
○上田(勇)委員 おっしゃるとおりなんだというふうに思うんですけれども、今の御答弁でちょっと確認をさせていただきたいんですけれども、総裁は、今回の特別検査である程度、今までよりは随分とはっきりした、だけれども、まだ必ずしも全容が明らかになっているわけではないので、今後の推移を、まずさらにその辺を見守らなきゃいけないということと、あわせて、やはり相当、今の景気の動向やまだ不良債権が残っていることもあるので、これは場合によってはというか、かなりの蓋然性を持って、早い時期に資本注入しなければならないことになるのではないかということをおっしゃったということでよろしいんですか。
○速水参考人 金融庁が公表された特別検査の結果というのは、私どもにとっては、これはやはり不良債権をかなり償却して、年度間で七兆八千億ですか、これは相当な対処だと思います。
 しかし、一方で、不良債権というのは、今度の検査の対象にならなかった企業とか、あるいは新規の不良債権が発生してくるとか既往のものがさらに劣化していく可能性というのは十分あるわけで、不良債権の残高の数字もまだ発表されておりませんからよくわからないんですけれども、そう簡単に残高が減っていくものではないんじゃないかと思っております、今の状況の中では。
 各金融機関は、今回の結果も踏まえながら、特別検査の対象企業はもとより、それ以外の企業についても経営や財務状況を十分チェックしていく必要があると思います。また、そうしたチェックを踏まえまして、不良債権を適切かつ迅速に処理して資産内容を改善するといったような、収益力の強化に向けて一層金融機関の自助努力が行われていくことが重要だと思います。
 私どもとしましても、今後、考査等の機会を通じて、金融機関の不良債権の処理状況、財務内容等の実態把握を行うとともに、金融庁と連携しながら経営健全化に向けた努力を促していくつもりでございます。
 今後、いつどうやって出てくるのかというようなことは、ちょっとこの時点では予測しかねる、今後の情勢をよく見ていきたいと思っております。
○上田(勇)委員 現状認識は、私もほぼ同じようなものを持っております。この問題はさらにまだ、今回何か一つの区切りができたような印象も与えておりますけれども、まだ全然それは、非常に途中段階のところだなというふうに認識をしているところでありますので、また引き続き議論もさせていただきたいというふうに思っております。
 それで、ちょっと申しわけありません、時間がなくなってきて申しわけないんですが、最後に、谷口副大臣にもお越しをいただいているので、海外からの日本に対する直接投資のことについてお伺いをしたいというふうに思います。
 海外から日本への直接投資額、これは他の先進工業国に比べると非常に低い水準でずっと来ております。しかも、最近その傾向が、ふえているのかというと必ずしもそうではなくて、横ばいの傾向が続いておりまして、これは、いろいろな推計値、数字についてはいろいろあるんですけれども、例えばある推計値では、国内の固定資本に占める海外からの直接投資の割合というのが、アメリカでは二〇%近くある、ヨーロッパの主要国でも一〇から一五%ぐらいですし、韓国でも一〇%近くあるのではないかなと。それに比べて日本では、一%前後ではないかというふうにも言われております。
 こうしたことというのは、私、なぜこの海外からの直接投資が重要かといえば、これは、今、これから成長力があるところでなかなか資金が提供されない部分、経済分野がある、そうしたところにもっと効率的に資金の供給がされるという一面がありますし、もう一つは、やはりこうしたアメリカやヨーロッパ諸国のこれまでの景気回復の過程、経済再生の過程を見てくると、そうした資金と同時に海外から新しい技術だとかビジネスモデルが入ってくる、そのことによって国内の産業の成長力も高まっていく、競争力も高まっていくという経過が諸外国ではあったんじゃないかというふうに思うからであります。
 そういう意味では、そうした海外からの直接投資を増加させていくということは、日本経済の競争力、成長力の向上にも寄与するわけでありますし、したがって、経済構造改革を促進させるという効果もあるというふうに考えております。
 そこで、ちょっとこれはまとめてお伺いをいたしますけれども、なぜこれまでずっと海外からの日本に対する直接投資がこれほど低い水準にあったのか、それほど日本の市場というのがずっと魅力のないものであったのか。しかも最近になってもそれが増加傾向が見られない、そうした点での原因ということと、それからまた、これから直接投資を、これは経済財政諮問会議の中でも経済界からの意見としてそういうことに言及されておりますので、どういうような政策をとって、そういう直接投資をふやしていくような対策を講じられていくのか、お伺いをしたいというふうに思います。
○谷口副大臣 上田委員のおっしゃった問題、大変重要な御指摘だというように考えておるわけでございます。
 我が国に対する直接投資が大変低水準ではないかと。戦後の経済の成長過程を見ますと、我が国は、対外的な直接投資はどんどんふえてまいったわけでございますが、一方で我が国の中に直接投資を誘引するといったような政策については、十分満足をするような状況じゃなかったわけでございます。
 実態的に今の現状をお話しさせていただきますと、平成十年、十一年、十二年の状況で、対外直接投資と対内直接投資のバランスの状況を御報告させていただきますと、ざっとした数字でございますが、平成十年度は、対外直接投資が二兆八千億、それに対しまして対内直接投資が五千六百億、ネットで二兆三千億、こういうような状態になっております。十一年度は、対外直接投資二兆四千億、それに対しまして対内直接投資が一兆八千億ということで、ネット六千億。また十二年度は、対外直接投資が四兆五千億、それに対しまして対内直接投資が三千億といったような形で、ネット四兆二千億、こういうようになっておりまして、大変レベルの低い状況だというのは、まさに委員がおっしゃったとおりでございます。
 IMFの統計を見ましても、二〇〇〇年度における日本の対内直接投資受入額は八十二億ドル。これは、アメリカの二・九%、イギリスの六・一%、フランスの一九%という非常に低水準の状況にあるということでございます。
 また、このような状況について、どういうような原因でこのようになったのかということでございますが、十三年度の通商白書におきまして何点か指摘をされておりまして、一つは、各種インフラコストが諸外国に比べて非常に高い、また、外国企業に対して自社を売却することに対する心理的な抵抗感があるといったようなことであるとか、また、言葉の問題、言語の問題等が指摘されまして、このようなことが障害になってこの極めてレベルの低い状況になっておるというようなことでございます。
 対内直接投資を誘引するということは、我が国にとりまして、上田委員がおっしゃったような、一つは雇用の拡大という観点、また新たな技術、経営ノウハウの吸収というような観点、また健全な競争促進による消費者利益の拡大といったようなことがもたらされる非常に有効な手段であるというように考えておるわけでございます。
 このような観点で、現在、経済財政諮問会議におきましても検討していただいておりまして、この中におきましても、高コスト体質の是正、また規制緩和、また新事業創出のための環境整備等、このような経済の活性化方策を六月を目途にして取りまとめるというようなことでおられるようでございます。
 このような基本方針を踏まえて、おっしゃるような構造改革、一層の構造改革を進めるために頑張っていかなきゃいかぬというように考えておる次第でございます。
○上田(勇)委員 終わります。
○坂本委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時十二分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時二分開議
○坂本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。古川元久君。
○古川委員 民主党の古川元久でございます。
 本日は、日銀報告に対する質疑ということで、先日、新たに日銀の審議委員になられました春委員と福間委員にもきょうはおいでいただきまして、審議委員になられましたので、ぜひ審議委員の抱負や御見識を伺いたいというふうに思っておりますので、まず、よろしくお願いいたします。
 まず最初にお二人に、日銀の名誉ある審議委員になられたその抱負を一言ずつお聞かせいただけますでしょうか。
○春参考人 四月五日に日本銀行審議委員に就任いたしました春と申します。どうぞよろしくお願いいたします。日本銀行の審議委員という極めて重い責任のある地位につかせていただきまして、その責任を痛感しているところでございます。
 これまで私は、東京電力の副社長として、資金調達、予算、決算あるいはIRといった経理の関係、さらには関連事業の関係、また火力発電用燃料の調達の関係などの仕事をしてまいりました。ごく最近まで、こうした金融政策の決定に参加する立場に立つということは全く想定しておりませんでしたので、現時点でまとまった抱負を述べさせていただきますにはいささか準備不足でございますが、こうした産業界での実務体験をベースにいたしまして、日本銀行の諸課題等につきまして、日本銀行の執行部の方々のお考えをよく聞き、また自分でもよく勉強して、精いっぱい責任を果たしてまいりたいと考えております。
 現段階であえて私の立場を申し上げますと、最近、新聞等で報道されております速水総裁の御発言等につきましては、おおむね共感を感じて読ませていただいたという認識でございます。
 以上でございます。
○福間参考人 福間でございます。
 今、春委員がおっしゃいましたこととほぼ同じような抱負でございますけれども、私は、三井物産で四十二年間、金とか経理とかあるいは審査とかそういう業務をやってまいりました。そういう立場にいて、日銀に入って、こういう立場で入りまして、どういうことを目指した方がいいのかなと。きょうは、私のやや個人的な意見でございますけれども、やはり透明性、情報開示、説明責任とよく言われますけれども、やはり金融政策も、マーケットフレンドリーな、市場参加者にとってわかりやすい金融政策ができたらなと思っております。
 そのとおりの、立場で任務が果たせるかどうかわかりませんけれども、私も、四十二年間市場のプレーヤーで反対側におりましたので、私を反対側に置いた立場で、今度は中央銀行の立場として、どうやったらマーケットに誤解を与えないメッセージができるかということでございます。そういう面では、最近、ゼロCPIを目指すというコミットメントは非常に市場対話のできるポイントだと思っております。
 そういうことで、そういう対話の材料が市場との間でつくられるということが重要かなと思っています。そういう面で、具体的な貢献がどこまでできるかわかりませんけれども、一生懸命執行部と勉強し、政策委員会で討議していきたいと思います。
 以上でございます。
    〔委員長退席、中野(清)委員長代理着席〕
○古川委員 お二人にまず抱負を語っていただいたわけなんでございますけれども、もう少し具体的に、お二人の御見識をお伺いしていきたいと思います。
 まず、今の日本経済の現状について、お二人とも、電力あるいは商社という今まで日本経済の根幹を支えるようなところにお勤めでいらっしゃったわけでありますけれども、そういうお二人の目から見て、今の日本経済の現状をどのように見ていらっしゃいますか、教えていただけますでしょうか。
○春参考人 お答え申し上げます。
 東京電力の立場から見てまいりましたことをまず申し上げたいと思いますが、電力需要から見ます限り、厳しい状況が続いているというように感じております。
 設備の稼働状況を示します大口電力のいわゆる販売電力量でございますが、これは三月まで十一カ月連続で前年割れの状態が続いております。特に昨年十二月以降は、前年比マイナス五%前後という大幅な前年割れの状態となっております。また、設備のストックの状況を示します契約電力でございますが、これは、一月まではわずかながら前年比プラスでございましたが、二月以降は前年比マイナスとなりまして、設備投資の低調さを示しているというふうに考えております。
 一方、諸統計あるいは日銀短観等を拝見いたしますと、一部に下げどまりの明るい兆しも見えているということも事実でございまして、先ほど申し上げました大口の販売電力量のマイナス幅の状況等から見ましても、引き続き低下を続けているが、そのテンポは幾分和らいでいるという日銀月報の基本的見解と私も同様な意見でございます。
 以上でございます。
○福間参考人 貿易を通じて感じていますのは、去年のラストクオーター、フォースクオーター、十―十二月あたりから、アジアがゆっくりと目を覚まし、アメリカが在庫調整を厳しくやった後、やや補てん買いに入り始めたというようなところを感じました。ことしの、特に二月ごろから相当な受注が、特に電子部品あるいはアジア向けの鉄鋼等、輸出が伸びるようになりまして、それにつれて日本の生産も底打ちしたというぐあいに感じたことでございます。
 今回の、ITバブルとか言われますけれども、アメリカの在庫調整は去年の一―三からかなりスピードを上げて始まりまして、それで直ちに影響が出てきたのがアジアでございました。これは、サプライ・チェーン・マネジメントで、ITをベースに部品をアジアから調達するということで、アジアで生産調整あるいは在庫調整が非常に厳しく発生いたしましたけれども、先ほどアジアを申し上げたのは、それが去年の十―十二月、特に年末にかけましてやや生産が上がり出したということで、言ってみればITを使って厳しく在庫調整をみんなでやって、気がついてみたらやや手元は足りなかったという現象が今の状況ではないかなと思っております。
 そういう面で、アメリカにしてもアジアにしても、設備投資はまだそれほど伸びておるようには感じておりません。だけれども、補てん買い、生産の底打ちというようなところから日本にもあるいはアメリカにも影響が出まして、ゆうべ発表の米国生産高の〇・七%アップという非常に速度の速い生産上昇になっておりました。そういうことで、海外要因から国内にいい風が吹いてきたというぐあいに思っています。
 ただ、先ほども御指摘がありましたけれども、内需の方は、雇用調整等あるいは賃金カットというふうな形で、所得、それに続く消費というところが非常に厳しいんではないかなと思っていまして、それに構造要因も残っていますので、在庫調整に基づく生産上昇ということはありますけれども、ある程度のところまで行ったらとまりかねないような、最終需要に結びつかない景気情勢ではないかなと思っています。特に、消費、設備投資、まだまだ今からだと思っています。
 以上でございます。
○古川委員 お二人にちょっとお願いをしたいと思いますけれども、時間も限られておりますし、きょうお二人に私がお伺いしたいのは、お二人いろいろな事実を知っていらっしゃるということはわかるんですけれども、御認識をお伺いしたいということですので、細かい話までは結構でございますので、簡潔に、全体としてどういうふうに見ていらっしゃるかという御意見をお話しいただきたいということをお願いさせていただきたいと思います。
 次に、お二人は日銀という金融政策を担当する銀行の審議委員として入られたわけなんですけれども、今までは金融機関をむしろ借り手の立場で見ていらっしゃったわけですね。その立場からして、今の日本の金融機関、そして金融システム、これについてどのように現状を見ておられるか。例えば、公的資金の再注入というものは必要なのかどうか、あるいはもう一段の金融再編は必要なのかどうか、その点について簡潔に、今の日本の金融状況というものをどう見ておられるか、その点について御見識を伺わせていただきたいと思います。
○春参考人 手短に申し上げたいと思いますが、高度成長の時期以来、いわゆる間接金融を通じて成長資金を供給してきたシステムというのは、これまで有効に機能してきたというように認識をしております。しかし、バブルの崩壊及びその後のデフレの中で巨額な不良債権が発生し、不良債権処理の努力にもかかわらず、新規の不良債権の発生もあり、非常に厳しい状況と認識をしております。
 最近発表されました金融庁の特別検査により既存の不良債権の処理が前進し、かつ、金融庁の報告に示されたような処理の加速化によりまして、金融システムの信頼回復が期待されるところでございます。同時に、民間需要の活性化により実体経済を回復させ、新たな不良債権の発生を防止することが極めて重要だと思います。
 さらに、新技術、新産業へのリスクマネーの供給のため、直接供給のパイプを太くすることも極めて重要と認識をしております。
 御質問にありました、さらなる金融緩和についてどう思うかということでございますが、先ほど申し上げましたとおり……(古川委員「聞いていないよ、そんなこと」と呼ぶ)何か、最後に二つぐらい例を挙げられたように……(古川委員「公的資金注入が必要なのかどうかとか、金融再編はどうだとか、そういうことです」と呼ぶ)はい、失礼しました。
 公的資金の注入あるいは金融再編等の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、これからせいぜい勉強いたしまして、私の意見を固めてまいりたいと思っております。
 以上でございます。
○福間参考人 金融システムの問題、大変厳しいと認識しております。やはり不良債権処理というのは、ザ・アーリアー・ザ・ベター、早ければ早いほどいいわけで、私も、当社の中で、景気が悪くなるとどんどんふえてくる、やってもやっても次から出てくる、やはり前傾姿勢でやっていかないと必ず次が出てくるということで、そういう面では、スピードが遅いのかなと思っております。
 公的資金につきましては、今のような形よりはもう少し工夫が要るんじゃないかなと思っております。というのは、リディーマブルな、要するに、劣後債とかあるいは劣後ローンとかそういう形でなくて、やはりもう少し資本が必要なんではないかなと思っております。
 それと、RCCの活用も、いろいろ今から勉強いたしますけれども、活用して、とにかくバランスシートを銀行から離してやる、バランスシートから不良債権を切り離すという作業をやりませんと、なかなか円滑な金融システムが稼働しないんじゃないかと思っています。
 以上でございます。
○古川委員 ちょっと言いたいことはありますけれども、最後にまとめてお話しします。
 では、今のような経済の認識、そして金融システムに対する認識のもとで、日銀の果たすべき役割というものはどういうものだというふうにお考えですか。
○春参考人 お答え申し上げます。
 まず、当面のデフレ回避及び民需活性化のための構造改革を支えるために、引き続き潤沢な資金供給を継続することがまず重要かと存じます。
 また、考査等を通じまして、金融システムの信頼回復を図っていくことも重要と考えます。
 さらに、金融政策、金融システム全体の安定について問題が生ずるような事態になった場合は、タイミングを失せず必要な対応を行っていくことが重要かと考えております。
 以上でございます。
○福間参考人 大体春委員とは一緒でございますけれども、今、日銀が進められています量的緩和、CPIがプラスになるまでとにかく量的緩和を続けるということで、時間軸をしっかりとることが、今金融政策で日本経済の回復に一番イフェクティブなツールじゃないかなと思っております。
 危機対応につきましては、先ほどの春委員のおっしゃったとおりでございます。
○古川委員 別に日銀の人のを聞いているわけじゃないので、春さんと福間さんと同じ意見だったら別に一人でいいわけでありまして、それぞれの御見識をきょう伺っているわけでありまして、すり合わせたような意見を聞いているわけじゃありませんので、同じですというようなのはちょっといかがかなと思いますけれども。
 今、私の聞き方が少し悪かったものですから、今現状とっている日銀の政策についてのお答えがあったようなんですが、そもそも、この日本社会、経済の中で、日本銀行というものはどういう役割を果たすべきだ、果たしているというふうにお二人は考えておられるのか、その御見識をお伺いさせていただきたいと思います。
○春参考人 そもそも日銀の役割はという御質問かと存じますが、これは、日銀法の定めのとおり、物価の安定を通じて経済の健全な発展に貢献することというように認識をしております。
 以上でございます。
○福間参考人 物価安定と経済の発展に尽くすというのが日銀の基本でございますけれども、こういう異常な経済状態でございますから、予断を持つことなく、必要であれば、やはりいろいろな形で、システムを守るという意味で、動くことも必要かと思いますが、ただ、今はまだそんな状態ではないと思っております。
○古川委員 お二人に最後にもう一点だけ、具体的な話でお二人の御意見をお伺いしたいと思います。
 午前中の質疑でも、日銀がインフレターゲティング政策を採用すべきではないかという議論がありましたけれども、お二人はこのインフレターゲティングについてはどのようにお考えでしょうか。
○春参考人 お答え申し上げます。
 現状のように、デフレが継続し経済が縮小しているという現状は、早期に回復すべき状況であると認識をしております。
 既に、日本銀行は、CPIプラスの状態が定着するまで量的緩和政策を続けるというコミットメントをしております。また、政府の中期展望の中でも、間接的な表現ではございますが、デフレ克服の後はプラスの物価上昇のシナリオを想定しておられます。私も、物価につきましては、プラスかつマイルドな上昇が望ましいというように考えております。
 いわゆるインフレターゲットについてでございますが、これまでの日銀の立場は、現時点での採用は妥当ではないということであったかと認識をしております。私といたしましては、現在の日本銀行のコミットメントを含めまして、よりデフレ克服の効果を有する適切な方策があるかどうか、重要な検討課題というように認識をしております。
 以上でございます。
○福間参考人 とにかく、デフレ脱却というのは、まず、先々月ですか、二十七日発表されましたように、ああいう形で、やはり総合政策が必要なんだと思っております。財政とか金融とか、それぞれの役割の押しつけではなくて、やはりこういう危機でございますから、とにかく総合的に対応する、規制改革もそうですし、税制改革もそうですけれども、いずれにしましても我々、我々はもう今は日銀でした、企業なり個人がリスクをとって主体的に前へ進む、そういうことが一番重要なんだと思います。
 そのためには、やはりリストラをやって企業の採算分岐点を落とすということが基本でございます。それで、個人につきましては、やはり雇用の安定とかあるいはセーフティーネットの確立とか、あるいは社会保障の将来展望が描けるというようなことも、給付が落ちても将来は生活が大丈夫だ、そういうことが必要なんではないかなと思っております。
 以上でございます。
○古川委員 何か、イエスなのかノーなのかよくわからない答えでありましたけれども。
 ちょっとこれは通告してありませんが、速水総裁、今、お二人の新しい審議委員に御見識をお伺いしたわけでありますけれども、しばしばこれから勉強させていただくという発言も聞かれたわけなんですけれども、日銀のまさに大事な金融政策を決定する政策決定会合に出ていらっしゃる審議委員の人が、これから勉強していくというようなことで果たして本当に大丈夫なのかなと、ちょっと私、今聞いていて、正直思ったんですね。
 どういう方を、これは日銀として審議委員を選んでおられるのか。何か、今のお話を聞いていると、日銀のほかの方に聞いてもほとんど同じことを答えるんじゃないかというようなお答えの仕方もあったような気がするんですけれども、やはりここには、日銀としてはいろいろな考え方の方、そういう考えがちゃんと、そしてそういう分野について専門的な知識とか見識もある方々がそこに集まって、これから日銀がいろいろと御進講して御説明して勉強していただいた上でというんじゃなくて、もうわかっている人が来てこれは会合で決められるんじゃないかと私は思っていたんですけれども、そうじゃないんですか。
 その辺の、政策決定会合の委員に日銀として求めているもの、そういうものをどういうふうにお考えになるのか、最後にちょっと一言お聞かせいただけますでしょうか。
○速水参考人 お答えいたします。
 今、九人政策審議委員がおられるわけですけれども、そのうち六人は民間から来ていただいているわけです。春委員にしましても福間委員にいたしましても、その道の、特に産業界の隅々まで御存じの方々でおられますし、経験豊富でございますし、今、きょうは大分遠慮して御意見をおっしゃらなかったのかもしれませんけれども、立派な御意見を持っておられると思います。産業界の経験者はやはり委員会の中に二人ぐらいはおられるのは必ず必要だというふうに思っております。政策の議論をするときに、やはり業界のことを知っておられませんと正しい結論を出すことができないというふうに思っております。
 なお、御承知でしょうけれども、この委員の決定は、内閣が決めまして、両院の御承認を得て発令されるということでございますので、私どもが一方的に決めた方々ではございませんけれども、今回も大変いい方を選んでいただいたと思っております。
○古川委員 私も、民間の委員が入ることは大事なことだと思いますし、お二人もそれぞれの分野で大変な実績を残していらっしゃるわけでありますから、そうした見識を持っていらっしゃるんだと思うんですけれども、やはりこういう国会の場でちゃんと御自分の言葉で発言をしていただきたいんですね。すべてのことが明らかにされない、先ほど福間委員から透明性というお話がありましたけれども、そこでは言いたいことを言って、国会の場では何か日銀の人がつくったような答弁書のようなものを読むということでは、やはりこれは国民に対する説明責任を果たしているとは言えません。そして、それは二人に期待されていることではないと思います。
 やはり、民間の出身の委員として、今までの豊富な御経験を生かしてそれを日銀の政策決定の中に生かしていただく、そのために入っていらっしゃるわけでありますから、春委員も勉強していただくのは結構なんですけれども、日銀からだけ勉強するのじゃなくて、やはりもう少し、むしろ外の人の、そして外の意見を入れるという視点を大事に持っていただきたいということを最後にお願いをしたいと思います。
 またぜひ、これは委員長、この財務金融委員会でも、日銀のこういう審議委員の人が新しく任命されたときには、この委員会でその方々の、やはり、(発言する者あり)それこそ今、事前ヒアリングという話もありましたけれども、しっかりとそうした人選について、我々国会が責任を持っているわけでありますから、そういう人たちの御認識を問うというような機会を今後は設けていただくような、そういうことを検討していただきたいということをお願い申し上げて、お二人の審議委員の方々にはおいでいただきまして大変にありがとうございました。もうここで退席していただいて結構でございますので、次の質問に移らせていただきたいと思います。
 さて、今度は日銀の方々にお伺いをしますので、よろしくお願いいたします。
 まず、特別検査の結果について、ちょっと日銀の立場でどのようにお考えになっていらっしゃるか、今回の結果について御見識をお伺いさせていただきたいと思います。
○速水参考人 今回の特別検査、かなり時間をかけて、しかも随分たくさんの方々を使ってやられたわけでございますが、結果を聞かせていただいて、今回の特別検査の実施によりまして、主要行の不良債権処理がかなり前進したと評価したいと思います。ただ、景気の状況や構造改革の進展を踏まえて、今後も新規の不良債権がふえていくことはこれは避けられないと思いますし、既存の不良債権がさらなる劣化を続けていく可能性も十分あると思っております。
 各金融機関は、今回の結果を踏まえつつ、特別検査の対象企業はもとよりのこと、それ以外の企業につきましても経営、財務状況をチェックする必要があると思います。また、そうしたチェックを踏まえて、不良債権を適切かつ迅速に処理していくことによって金融機関の資産内容が改善し、収益力が強化されていくと思いますし、貸し出しをふやしていくという私どもの前々からの期待に関しましても、やはり不良債権が減っていくということは、金融機関にとっては前向きに事を進めていくことができる必要条件だというふうに思っております。そういう意味で、これから一層の自助努力を発揮していただきたいというふうに思っております。
 私どもといたしましても、今後、考査などの機会を通じまして、金融機関の不良債権の処理状況、財務状況の実態把握といったようなことを行いますとともに、金融庁と連携をしながら経営の健全化へ向けた努力を促してまいる所存でございます。
○古川委員 今、一定の評価をされているようなお話がありましたけれども、中身を見てみますと、債務者区分の分布状況というのを見てみますと、昨年の九月期の中間決算期の銀行の自己査定のときから比べると、同じ債務者の債務者区分は今回の特別検査の結果によって相当に悪くなっているわけですね。九月期には一口もなかった破綻懸念先以下というのが三十四先もできて、要注意先というのがぐっと減って、要管理先もふえている。
 この半年間、確かに景気がよくなくて悪化していったというのは事実なんですけれども、これほどこの半年でこんなに結果が、債務者区分が変わるものなのかな。これは、私が素人目に見ているのかもしれませんが、プロの目から見ても、これだけ半年間で債務者区分が下方遷移しているということを見ますと、もともとやはり九月の自己査定、これ、甘かったんじゃないかというふうに思えてくるわけなんですけれども、この辺については、日銀としてはどのように見ておられるのですか。
○速水参考人 特別検査の詳細を私どもも具体的に承知しているわけでございませんけれども、今回の検査によって主要行の不良債権整理がかなり前進したことは事実であると思います。それから、御指摘のように、不良債権の中身が、今まで予備軍であったのが、ああいったところでまた要管理債権になだれ込んでくるといったようなこと、あるいは、新しくまた予備軍が出てくるといったようなことは、今の経済情勢の中では十分あり得ることだと思っております。
 今後、各金融機関は、特別検査の対象企業はもとよりのこと、それ以外の借り手企業につきましても、経営や財務状況に目を凝らして、そうした状況に変化がないかどうか、絶えず点検してまいる必要があろうかと思っております。
○古川委員 特別検査によって不良債権の額がより明らかになったということはあるのかもしれませんけれども、私は、今ちょっと総裁にお伺いしたかったのは、要は、今回の結果で出てきたのは、そもそも自己査定のやっていること自体が甘いんじゃないか、そういう疑念を今回の結果があらわしているんじゃないかという感じに思うわけなんです。
 この点は、この結果を見ても、それは自己査定、ほかの、今回百四十九社ですか、それだけでこれだけ変わっているわけですから、もちろんこれが、市場において著しい評価の変化があったというようなところに限っているというわけではありますけれども、しかし、それでもここまで変わったとなると、そもそも査定のあり方、自己査定のあり方に甘さがあるのじゃないかというふうに思えてくるわけなんですけれども、その辺の自己査定のあり方について、日銀総裁はこの結果を踏まえてどのように思われますか。
○速水参考人 日本の金融の慣行といたしまして、御承知のように、戦後、特にメーンバンク制というものがありまして、個々の銀行の株の持ち合いをやって、メーンバンクだというふうに決まったときには、その取引先が仮に悪くなってきても、貸し出しはどんどん続けていくといったような慣行が普及していたことは御承知のとおりでございます。そういった面もありますし、御指摘のように、自己査定が見方が甘かったというようなこともあるかもしれません。
 そういうことは、それぞれの銀行が自分の責任においてやることでございますから、今後はもっと厳しい査定をやっていくに違いないと思っておりますし、今後、金融再編が一応一循環したところでございますから、大手の五行、これらがお互いに競争しながら、かなり厳しい査定をやり、貸し出しをやっていくに違いない、競争に参画していくに違いないというふうに思っております。
○古川委員 今、総裁からは、自己査定のやり方に、甘かったんじゃないかという御認識が示されたというふうにとらせていただきますけれども、では次に、自己資本比率の話に、特別検査の結果を受けたので、少し議論を進めていきたいと思います。
 今回の結果を受けて、不良債権の処理額が大きくなったわけなんですけれども、それでも自己資本比率はどこの銀行も、一〇%台前半とか半ばとか後半とか、BIS規制に絡むようなことはないという、そういう意味では安全圏だという結果が出ているわけなんですけれども、ちょっと聞くところによりますと、かなり、これだけ不良債権処理が進んでいるにもかかわらず、自己資本比率を保っていることの一つの要因には、増資を行って資本を増強している。その増資の受け口が、生保との間でかなり持ち合って、生保が銀行の増資を引き受けるような形で銀行の資本が増強されているようなうわさといいますか、多分そうなんじゃないかなというふうに思いますけれども、そういう事実があるような感じがいたすわけであります。
 そもそも、生保についても、かなり経営に問題があるということが最近言われているわけでありますね。実際に、二月八日の政策決定会合で、これは谷口副大臣が発言されたというふうにお伺いしておりますけれども、「年度末に向けて市場に安心感を与える観点から、年度末越えのCP現先オペの一層の活用のほか、金融システムの安定確保という観点からは、生命保険会社の動向にも十分留意して議論を行ってほしい」という御発言があったという記述があるんですが、これは谷口副大臣、生命保険会社についても相当深刻に経営状況を見ている、そういう趣旨として受け取っていいんですか。この発言の御趣旨はどういう趣旨でしょうか。
○谷口副大臣 私が今、金融政策決定会合に代表して出させていただいておりまして、今まさに古川委員がおっしゃったようなことを申し上げたわけでございます。
 いずれにいたしましても、生命保険会社は、金融市場、証券市場の有力な参加者でございますし、生命保険会社の資産運用状況、二〇〇一年十二月末の状況を見ますと、有価証券が百十一兆円、うち国債が三十一兆円、株式が二十六兆円というような大変な資産運用をやっておるわけでございます。また、生命保険会社は、御存じのとおり、金利の高いときに商品を売ったことについての逆ざや状況というようなこともございますし、一般的な観点で、生保についても十分注意をする必要があるのではないか。このようなことについて、日本銀行が金融政策をやる、金融政策は日本銀行の所管事項でございますから、この協議を行うときに、このような状況も勘案をし御協議いただいたらどうか、このように申し上げたわけでございます。
○古川委員 今、一般論とはいえ、生保会社について、経営状況についてかなり心配といいますか、注意をしているというような御発言があったと思うんですけれども、そういう背景を受けて、日銀として、銀行が生保会社に対して増資を引き受けてもらうような、そういう形で自己資本がかさ上げされているような状況というのはどのように御認識しておられますか。
○速水参考人 日本の銀行の特色の一つとして、他企業の株を持つということが認められております。これはドイツと日本だけで、ドイツの方は株の保有をかなり制限しておりますけれども、日本はまだかなりの株を持っておるわけで、この株の含み益というのが日本経済の成長過程におきましてはどんどん値上がりしていって、右肩上がりで上がっていって、それが収益につながり、それが今までの不良貸し出しの償却にとっても財源になっておったわけです。
 そういうことが、生保だけでなくて一般の、先ほど申し上げたメーンバンクあるいは取引先との取引を始めるときにお互いに株を持ち合うというのが日本の経済界の特色であり、それが当たり前のこと、信頼をあらわす一つの方法であるということで、銀行と取引先との株の持ち合いというのは戦後かなり普及して、持たれておったわけです。
 株は、上がっているときはそれはいいわけですけれども、株が下がり出し、しかも昨年の九月から時価評価に変わったということで、銀行の収益にかなり大きな、資産内容に大きな変化がここに起こったわけでございます。含み益というのが含み損になるし、今までの資本金の収益の財源であった、そういったものがなくなっていったということは、生保に限らず、取引先との株の持ち合いで起こった非常に難しい事態であったというふうに思います。
 銀行、生保間を中心とした資本の持ち合いにつきましては、国際的な合意にのっとって自己資本として算入されているものと承知しております。また、持ち合いといっても資本であって、予期せざる損失への備えという点でも同じであると思います。ただ、問題は、資本の持ち合いを業況の好調、不調のサイクルが似たもの同士で行いますと、業況が悪化した際には双方の経営が不安定になっていく、なりやすい面があるということは明らかであると思います。
 私どもとしましては、こうした事情も踏まえながら、金融機関同士あるいは金融機関と企業との資本の持ち合いの状況につきましては、今後も十分注意してまいりたいというふうに考えております。
○古川委員 今総裁、はっきりおっしゃらなかったんですけれども、似た者同士の持ち合いは非常にリスクが大きいというお話をされたわけですよね。今の銀行業界と生保業界というのは、極めて似たような状況にあるんじゃないですか。そういう中でその両者で持ち合って、それで銀行が自己資本をかさ上げしているというのでは、これは極めて危険だというふうに思いませんか。
○速水参考人 それは御指摘のように、そういうことになっていくことを私どももやはり心配しております。銀行というのは、これだけ大きく変動する株式を多量に持つということは株の、株というのはやはりかなり価格の上下があるものでございますから、そういうものをなるたけ、持ち株を今の状況の中でよく調べて持つようにしていかなければいけないというふうに思っております。生命保険会社も厳しい環境に置かれておりますから、先ほど谷口副大臣が日銀の決定会合でおっしゃったのもそういった点を注意された御発言であったというふうに思います。
 私どもとしましては、金融システムの状況につきましては、幅広い観点から引き続き十分注意してまいりたいと思っておりますし、さまざまな御意見にも耳を傾けてまいりたいというふうに思っております。
    〔中野(清)委員長代理退席、委員長着席〕
○古川委員 そういう御認識からすれば、そもそも今の銀行の自己資本というのは、前から総裁がおっしゃっておられるように、懸念されておられるように、税効果会計とかあるいは公的資金のそういうのでかなり事実上、本当の実態の、実態といいますか実力としての資本からかさ上げされているというふうに見るのが私は適当なんじゃないかと。
 そういう視点で考えると、日銀総裁、これはまた塩川財務大臣に新聞ので質問しているというふうに御批判を受けそうですけれども、ここは別に新聞の報道というよりも、日銀総裁がコメントされたというところだけ引かせていただくと、今は自己資本不足ではないが、中長期的に課題になるのは間違いないというふうに語ったというふうな、そういうことが報道されているわけなんですけれども、その認識、中長期なんという問題なのか、むしろ、総裁の真意というのは、今現状でもっと深刻に考えて、資本の再注入など早期の断固たる手段をとっていかなきゃいけないんじゃないかというふうに考えておられるのではないかと私は思うんですけれども、その点のところの総裁の真意はいかがですか。
○速水参考人 総論的に申しますと、現時点で資本不足に陥っている先があるとは認識しておりません。今回の一〇・五%前後といったような数字は、国際的にも通用する数字であったと思います。繰り返しになりますけれども、銀行、生保間につきましても、資本の持ち合い部分について、資本性という意味で直ちに問題があるとは言えない面もあろうかと思います。
 ただ、主要行を初め我が国の金融機関は、内外市場や預金者から揺るぎない信頼を得ていくためには、収益力の強化を図って資本基盤をより充実させていくことが中長期的に重要であるというふうに思います。また、収益力の強化のためには、不良債権問題の克服が不可欠であるというふうに考えております。そうした問題克服の過程で、金融システム全体の安定について疑問が呈せられるような事態に陥った場合には、タイミングを逸せず早目に対応していくことが必要であるというふうに考えます。
○古川委員 この辺は水かけ論になるので、もうこれ以上はやめますけれども、そういう危機が起きてからでは遅いというふうに本当は総裁は考えていらっしゃるんじゃないですか。
 私自身、経済財政諮問会議に出ておるわけでもありませんからわかりませんけれども、これまでの漏れ伝わってくるところからすると、総裁は前の前から、相当思い切った資本注入も含めた断固たる措置をとって、その中で不良債権の処理なども迅速に進めていくべきだというふうにお考えになっているように認識しておりますけれども、そこのところが、今のような建前論のお話ですと、これはやはり本当に市場全体の信認が今の銀行の自己資本についても得られていないというのが現状なわけですから、やはりそういう点の御努力をより一層お願い申し上げて、次の質問に行きたいというふうに思います。
 次に、午前中からもいろいろと議論になっておりますけれども、みずほフィナンシャルグループのシステムトラブルについてお伺いしたいと思います。
 午前中に、たしか三谷参考人でしたか、今回の問題は顧客に大きな影響を与えたという点でまことに遺憾だというたしか答弁があったというふうに記憶をしておりますけれども、これは顧客に対する影響はもちろんなんですけれども、日本の決済システムに対する信認というものを大きく傷つけたんじゃないですか。
○三谷参考人 確かに今回の事態を見ておりますと、問題を起こしたばかりでなく、その収拾にも相当な時間がかかって、いまだにすべてが解決していないという点を考えますと、そういった先生のおっしゃるような疑念が一般に持たれている可能性は十分あると思います。
○古川委員 日銀は、決済システムの信認の維持には責任を持っていらっしゃるわけですよね。そういう中では、こういう事態が起きるかもしれない、そういう予測といいますか可能性というものは認識していたんじゃないのですか。
○三谷参考人 これはみずほに限らずでありますけれども、また金融機関にも限らないわけでありますが、やはり大規模なコンピューターシステムを構築していく、ないしはそれを大きく手直ししていくというのは、かなりいろいろ技術的にも難しい問題でございまして、今度のみずほの件も含めまして、相当慎重に事を運んでいかないと重大な問題につながるおそれが否定できないという考えは持っておりました。
○古川委員 これもまた、塩川財務大臣にまた新聞じゃないかといって怒られそうですが、我々、直接日銀の幹部に聞けないものですから、漏れ伝わってくるところしか引けないのですけれども、例えば、心配していたとおりのことが起きたと日銀幹部はあきれた、そういう報道とか、UFJグループでさえシステム統合に三年以上使ったのに、もっと大規模で複雑な統合を行うみずほが二日間のシステム停止で作業した点に無理があったとか、そういうコメントを日銀幹部がされておられた。
 ということは、こういう事態もあり得るということを認識していたとこういうコメントからすると思えるのですが、こういうコメントは、実際に日銀の皆さんはコメントにあるような認識を持っていたというふうに私ども受け取ってよろしいですね。
○三谷参考人 確かに、先ほど申し上げたように、こういったシステムの大幅な変更ということを行う際には、十分な事前準備が必要であるということでもありますし、できれば日程も十分ゆとりを持ってやった方がいいということは認識しておりましたし、そういった趣旨のことをみずほとのヒアリングの過程で申し上げたこともございます。
 ただ、我々のそういった指摘も踏まえて、みずほグループは、それは十分わかります、ただしそれでもしっかりやっていきます、予定どおり統合できますという答えでありましたので、あれだけの銀行でございますから、それなりの措置は十分講じたんだろうというふうに我々としては見ておったところでもございます。
○古川委員 それでは、みずほが言われたそのことで十分だと認識をしていたというふうに理解してよろしいですか。
○三谷参考人 これは、例えばプログラムが全部正確に書かれているのかどうかとか、もしくはどういうテストをやって、どこまでどうだったかということを事細かに見るところまでは、私どもの方でもできません。これはやはり、当該銀行が自分の問題としてきっちりやってもらう、我々は、それに対して我々として持っているような不安、疑問というものを投げかけて、それを十分踏まえてやってくれというところが限界ではないかというふうに思っております。
○古川委員 それでも、先ほど来からの御答弁の中で言われていたのが、万一の不測の事態に備えてコンティンジェンシープランをちゃんと用意するようにという指示もしていたというお話をされましたね。ということは、それだけやっても万が一のことはあるかもしれないというふうには認識をしていたわけですよね。
 であれば、もしみずほの側にそういうことが起きた場合に、では日銀はそれにどう対応するのか、日銀の側の緊急時の対応計画、そういうものはちゃんと用意されていたんですか。
○三谷参考人 先ほどから申しておりますように、こういったシステムは、万全な準備をしたといっても一〇〇%問題のないシステムになっているかどうかということはわからない部分がやはりどうしても出てくるわけでございます。
 そういった中で、私どもは不測の事態が起きた場合の対応という意味で、私どもの守備範囲、主として金融機関同士の大口資金決済、ここのところが円滑に行われないようになりますと、これまた金融システム全体に非常に大きな影響を及ぼしかねない。日本の金融システムの決済そのものが滞ってしまうということもあり得るわけでありまして、特に私ども日銀の勘定を通じる部分、そこについては事細かに、一つ一つの業務について、みずほとの間で、もしこれがうまくいかなかった場合どういう対応をとるのかといったようなことにつきましては、かなり前から綿密に議論をしてまいりましたし、現実に私どもの方でもそれに対応をした、もし何か起きたら我々の方ではどう動くというふうなことについても、いろいろなシミュレーションをして検討してまいったところでございます。
○古川委員 今のお話を聞きますと、日銀の決済システムに対する信用の維持というのは、要は日銀と銀行間、そこのところさえうまくワークしていれば、そこについてまでが日銀が責任を持つのであって、それ以上の、一般の顧客にとっての決済システム、このシステムに対する今回傷つけられた信認というものは、そうしたらそこまでは日銀は所掌範囲として担保していないということですか。
○三谷参考人 私どもとしましては、日本の決済システムの一番肝心な部分というのは、確かに今申し上げたような銀行間の決済、ここのところがとまりますと日本全国全部とまってしまうということになりますので、そこは一番肝心だとは思っております。ただ、だからといいまして、一般のお客さんとの決済がどうでもいいんだということでは全くございません。
 したがって、そういう点につきましても、これはある意味で間接的にならざるを得ないわけでありますけれども、十分なテストそれから万一の事態に備えた基本的な対応というのは考えておいてほしいということは再三申し上げたわけでありますが、現実に事故が発生し、しかもその上でのいろいろな事務的な運用の面でもいろいろ行き違いがあったりしたということはまことに遺憾に思っておりまして、その辺、改めてみずほ銀行からは、どうしてそういうことになったのかということも含めて報告を徴求するとともに、今後のいろいろな糧にしたいというふうにも考えておるところでございます。
○古川委員 間接的でしかそこのところは担保できない、ちゃんとやっておいてほしい、それだけですか。日銀として、こういう今回みたいな事態が起きたときに、では事態をできる限り早く解決するための、そのための計画というものは用意されていなかったんですか、そうしたら、今の話。
○三谷参考人 こういう事件、事態が起きたときには、基本的には、これはもう大きな機械を使って大量に処理をしているものでありますから、まず第一に、プログラムもしくは機械のどこに問題があり、それを早急に見つけて、それをきちんと直していくということが第一だと思います。
 それ以上のことを、では手作業で全部やるといっても、これはもう何百万件という決済でありますから、おのずと限界があるわけでありまして、そういった復元といいますか、問題の調査もしくはそれに対する対応というものをしっかりやってほしいということは、これも再三申し上げておりました。
 ただ、遺憾ながら、実際にこの問題が発生したときに、いろいろな、合併直後、統合直後ということもあったんだと思いますけれども、事務上の手違い等を含めて、特に二重引き落としみたいな話は、これはどうも聞いてみますと、一たん引き落としたんだけれども、その後がうまくいかないのでもう一遍やり直した、そこで二重の引き落としが起きてしまったというふうなこともあったようでありますので、そこら辺の対応体制が結果的には非常にお粗末であったということは私どもとしても極めて遺憾に思っておりますし、また、なぜそういうことになったのか、そこら辺についても、これからみずほ銀行と十分じっくり話し合って、今後の私どもの対応の一つの指針とさせていただきたいというふうに考えております。
○古川委員 極めて遺憾、極めて遺憾というふうに何度も繰り返されますけれども、私、この問題についての質問で最初から申し上げているように、日銀は決済システムの信認の維持については責任を持っているわけですよね。それについて、今回大きく、一般の顧客からすればその信認が傷ついたわけですよね。それについて、今のように、要はそこのところまでは間接的で、日銀が直接やれる話じゃないです、そして、その後の対応もまずかった、それは極めて遺憾というので済むんですか。
○三谷参考人 非常に先生の御指摘、もっともな点はあると思います。
 ただ、先ほどから申し上げていますとおり、これは決して大事じゃないという問題じゃないんでありますけれども、これだけの大きなシステムですから、いろいろな問題があるかもしれない。それに対しては、我々としては、日本銀行としてできること、一本一本プログラムを読んでいって、それでうまくできているかどうかということは、これは事実上できません。したがいまして、実際のプログラム修正、その他システムを統合するに当たってのいろいろな計画、それから進捗状況、テストの状況、そういうものをフォローしながら、こういうことが起きないようにということを再三注意しておったわけでございますし、起きてしまった以上、これはもう何とも言いわけのしようがないというふうに思っております。
○古川委員 私は、別にシステムを一々チェックをしろと言っているわけじゃないんです。どんな用意をしたって起きることはあるんです。その起きた後の対応、今回のみずほの経営者の人たちの対応を見ていれば、明らかに、ますます国民の決済システムに対する不信を増加させるような対応をしてきているわけですよね。
 つまり、その対処方針、その原因を究明してそのトラブルを直すということは、それはそれぞれの銀行で任せてやらせればいいですけれども、しかし、どういうふうにその後をちゃんと対応させて、決済システムに対する一時的に起きた不信感をどうやって解消するか、そのための危機管理といいますか、そういう計画はやはりこれは日銀の方でもちゃんと用意しておくべきだったんじゃないんですか。今のお話を聞いていると、そういう意味では、日銀はそこについてのコンティンジェンシープランというものはなかったというふうに認識してよろしいですか、そうしたら。
○速水参考人 今回のケースは、この四月一日からみずほグループが発足するということで、みずほの方でも随分準備を重ねていたと思いますし、試運転もしたんだと思います。私どもの方もそのことについてはかなり気を使っておったはずです。何か起こったときには手元に資金が必要だということで、みずほの方でも十分な資金を用意して、それが私どもの当座預金の中にかなり入っております。
 そういった準備はできておるわけですが、同じリスクといってもシステミックリスク、クレジットリスクあり、あるいはマーケットリスクあり、今度のケースのようにオペレーションリスク、こういうものがみんな一緒になってシステミックリスクになるわけです。
 この電子情報処理の組織については、日銀法の三十七条で新しく入れてもらった項目があるんです。ちょっと読んでみますと、
  日本銀行は、金融機関その他の金融業を営む者であって政令で定めるものにおいて電子情報処理組織の故障その他の偶発的な事由により予見し難い支払資金の一時的な不足が生じた場合であって、その不足する支払資金が直ちに確保されなければ当該金融機関等の業務の遂行に著しい支障が生じるおそれがある場合において、金融機関の間における資金決済の円滑の確保を図るために必要があると認めるときは、
 政令で定める期間を限度として、担保を徴求することなくその不足する支払資金に相当する金額の資金の貸付けを行うことができる。
というふうになっております。
 今回はそういうインターバンク、銀行や海外に迷惑をかけるというものではなくて、専ら銀行の基本である振替と決済、それが顧客に迷惑をかけるということで、これは非常に大きな迷惑をかけたと思いますけれども、インターバンクや日銀との決済の関係では今のところ何も起こっておりません。
 いずれにしましても、今回のこの電子情報組織の故障ということにつきましては、事柄が落ちついてからでも詳しい報告を聞いて、今後も十分起こり得ることだ、オペレーショナルリスクというのはこういうものなんだなということが私どもよくわかったわけですけれども、大量の資金が動くときにこういうことが起こりかねないということが電子産業の中にもあるわけで、そういうことをよくよく検討した上で今後の準備に備えていきたいというふうに思っております。
○古川委員 総裁、今回のこの一般の顧客のみずほの決済システムに対する不信感によって、どんどんこれからみずほから振替とかやってもらおうという人たちが減っていっちゃうかもしれませんね、これ。やはりそういう意味では、広い意味で、今言ったようなインターバンクとか日銀との関係の中だけで決済システムが維持されているというだけじゃなくて、もっと大きな意味での決済システムの信認の維持に対して、日銀はもっと責任を感じて、やはりその維持のためにはどうしたらいいかということはやってこなければいけなかったんじゃないか。
 ですから、今回の件に関して、極めて遺憾とか、金融庁の責任ももちろん大きいとは思いますけれども、しかし、決済システムに対する信用の維持について責任を持っている日銀の責任は私は極めて重いというふうに思いますけれども、その御自分の日銀としての責任については、今回の件に関して、どのように認識されておられますか。
○速水参考人 今回のケースはまだ終わったわけではございませんので、ここで結論を出すわけにいかないと思いますが、これはやはり銀行の基本的な取引である顧客に対する決済、そして振替ということがうまくいかなかったということでございまして、銀行の業務のイロハのイだと思います。
 そういうことをやはりそれぞれの銀行がみずからの責任において、これは信認にかかわるものですから、十分注意することは当然だと思いますし、今回のことがそういう意味では非常にいい一つの経験になったというふうに思います。
 ですから、これをよく調査して、これからこのようなことが起こるかどうか、恐らく世界第一の銀行ですから、量的に、資金的に。ですから、ほかでやはりこういうことが、こんな大きな事故が起こるということは、私ども、今のところ、まだ予想も必ずしもしかねていたところでありますし、問題の所在は十分考えておりましたけれども、もう少しよく事情を調べた上で、今後の指導が必要であれば指導をしていかなければならないというふうに思っております。
○古川委員 世界で一番大きい銀行がこういうことを起こすというのは、これはただ単にみずほ一行の問題じゃなくて、日本の金融システム、そして決済システム全体に対するやはり世界からの不信を招く、そういうことにつながっていると私は思うんですね。
 そうであれば、そうした大きな銀行について、こういう統合が行われる、そのときの準備で、今回、日銀とのCPU接続のテストはやっているけれども、まさにインターバンクと日銀との関係のところだけ目にして、そして一般の顧客まで含めた、そういうところまで目配りができなかったというのは、私は、これは日銀の責任というものは免れないんじゃないかと思うんですね。
 そこの認識、これからおいおい明らかにされていくんだと思いますけれども、ぜひやはりそういう意識を持って、決済システムについて責任を持っている立場として、もう少し今回の事態、何か第三者的な、極めて遺憾とか、よく後聞いて今回のを教訓にしてというような話じゃなくて、みずからのやはり責任の範疇でもあるという認識をぜひ持っていただきたいというふうにお願いを申し上げまして、時間もあれですから、もう少し先に行きたいと思います。
 今回のこうした事態を踏まえて、日銀考査でこういうシステムの問題について重点的に調査するというようなお話をされておるようでございますけれども、日銀考査のあり方について、次にちょっとお伺いしたいと思います。
 聞くところによりますと、昔は、大蔵省がやっていた金融検査と日銀の考査はかなり違いがありましたけれども、今はどちらも金融検査マニュアルに沿って銀行が自己査定をする。それを踏まえて、日銀も、そして金融庁も検査をするというようになっていて、金融庁の金融検査と日銀考査というものの違いというものはかなり少なくなってしまったというふうに認識してもよろしいんでしょうか、そこは。
○三谷参考人 お答えいたします。
 資産査定とかそういった部分につきましては、確かに金融検査マニュアルが策定されました後、比較的同じような視線でもってやっているということではございますけれども、その他、金融機関の持っているリスクには、信用リスク以外にもマーケットリスクもございますしオペレーショナルリスク、その他いろいろございます。そういったリスク全般についてのとらえ方というのには、まだ必ずしも検査と考査が全く同じような方向に近づいているということではないというふうに私ども考えております。
 もちろん、先生御承知のとおり、両者のもともとの性格ということになりますと、金融庁の検査は、免許の付与であるとか各種行政命令の根拠になるとか、そういった行政権限の行使を前提に実施されるものでありますが、私ども日本銀行の考査は、日本銀行が民間金融機関に対しまして資金供給を行う際の経営実態の把握という役割のほか、先ほどから議論になっております決済システムの円滑かつ安定的な運行の確保を通じて、最後の貸し手機能の発動を含め、信用秩序の維持に資するという中央銀行の役割を果たしていくために行っているものでございます。
 こうした性格、目的が異なる以上、何がしかその中で、考査と検査の間でもいろいろな形での差はついてくるわけでございますし、私ども、今後とも適切に考査を行うことが必要不可欠というふうに考えているところでございます。
○古川委員 そういう意味であれば、今回のみずほみたいな大きな統合があるときに、どうして考査は入らないんですか。
○三谷参考人 みずほの統合が発表されまして以降、私ども、富士銀行、第一勧業銀行には考査に入ったことはございますが、確かに直近では入っておりません。
 去年、十三年の半ばにかけまして金融庁の検査が入っておられたといったようなこと、それから、統合最後の追い込みに入りまして、彼ら自身極めて多忙になっていたようなこと、そういうことも配慮いたしまして、考査ではなくて、いわゆるオフサイトのモニタリングということで、組織的な形でのヒアリングを何度か重ねてまいったところでございます。
○古川委員 でも、これ、多忙で済まされる話じゃないですよね、今回のみずほなんか見てみれば。金融庁が入ったから、同じだったら入る必要はないのかもしれませんけれども、先ほどの話で、目的も違えば趣旨も違うということであれば、やはりここなんかは入るべきだったんじゃないんですか。
○三谷参考人 考査を行う場合には、当然、相手先の状況というものも勘案するわけでありますし、あわせて、相手の金融機関の事務負担等にも配慮せよというふうなことになっております。
 私ども、今回、みずほ銀行に対しては、統合間近で、タイトなスケジュールの中で、我々の考査が入ることによりましてかえっていろいろな事務手順がおくれてしまうようなことがあってはならないかというふうなことで考査に入らなかったわけでございますけれども、今後、今回の件も踏まえまして、考査のタイミング等につきましても、より弾力的に運営していくことを考えたいと思っております。
○古川委員 事務手順のおくれが出ちゃというお話がありますけれども、先ほどのお話の中で、別に今回の、そもそも考えても、みずほのシステム統合は四月一日じゃなきゃいけないという理由は、何の意味もないですよね、特に、どうしても四月一日でなきゃ。日銀の立場からして、ちゃんとそういうシステムができているかどうか確認ができてからシステム統合させたってよかったんじゃないですか。それは立場からすれば、そこを相手方の事務、スケジュールの方を優先して、日銀の方が遠慮しているというので、そんなことでいいんですか、これ。
○三谷参考人 考査に入りましても、個々のプログラムすべてをチェックできるということでは、先ほど申しているとおりございませんし、結局のところ、システムがきちんと移行できるのか、円滑に運行できるのかということについては、いろいろな形でのテストを繰り返してもらうしかないわけでございます。
 そのテストそのものは、まず当人たちが当然きっちりやらなくちゃいけないはずでありますし、我々はそれを踏まえて判断せざるを得ないわけでございますので、今回、みずほ銀行からはきちんと進んでおりますという報告をずっと受けておりましたものですから、そういうことになったわけでございますけれども、この点につきましては、今後の考査の運営の大きな参考の一つとして考えてまいりたいと思っております。
○古川委員 そういうヒアリングとかなんかでそれこそ済むんだったら、何も今後考査は入らなくてもいいじゃないですか、そうしたら。ただでさえ金融庁の検査、かなりこれからは頻繁に入るというふうになって、特別検査以降は、これはもう常駐させるなんていう話もあるわけですよね。そうしたら、日銀の考査をやる部分は、今までの、今回のみずほの例のようにヒアリングしていて、それで済むんだったらそれでいいじゃないですか。その方が相手方にとっても事務負担がなくていいんじゃないですか。それなのに、これ、やる必要はあるんですか、そうしたら。
○速水参考人 銀行に対する金融庁の検査と私どもの方の考査、資産の検査には同じマニュアルを使っております。しかし、私どもの日本銀行がやっている考査というのは、資産の検査、査定だけでなくて、やはり銀行の経営全体を、私どもの取引先として、取引先なんですから、取引先以外には私どもは行っていません。取引先と話し合って、経営は今後こういうふうにしたらどうかとか、あるいは向こうから話してくる要求や要請に対してこちらもおこたえするとか、そういった関係にあるものであることを御理解いただきたいと思います。
 そういう意味で、金融庁が行う検査と私どもの長年、年来やってまいりました考査というのは、目的ないし性格がかなり違うものであるということを御理解いただきたいと思います。
○古川委員 目的、性格が違うといっても、かつてのMOF検というのと日銀の考査というのは交互にやられていたんですね。日銀考査があってまた日銀考査というのはなかったです。日銀考査があれば次は大蔵省の金融検査、それで日銀考査と。そういう意味では、交互に行われていたという意味では、それをやっている方は違う目的で見ているかもしれませんけれども、受け手の方からすれば、要は、同じようなことで違うところが来るとしか見ていなかったわけですよ。ですから、では、そういうことを言われるのであれば、今後はそういうことはないと。
 私は何でこんなことを言うかというと、今の、金融検査もあったし、また事務でいろいろと煩雑であった、そういうことで考査が入らなかったということであれば、これは、今後の中で、考査するというのはどういうタイミングで、どうやってやっていくのか。
 だから、これから金融庁が、大手行については常時検査官を常駐させるような、そういう検査方法になるということになりますと、その中で日銀は、それは銀行側からすれば、金融庁の検査官はずっと受け入れて、ずっとそのチェックをやられているということでは、事務的にも煩雑になるわけですよ。ですから、では、事務の煩雑さにも考慮するということであれば、そういうところに遠慮して、これから日銀は配慮していくんですか。それとも、ちゃんとそこは、事務の煩雑さとは無関係に、日銀としての立場でやっていくということなんですか。どうなんですか、そちらは。
○三谷参考人 今の時点で、金融庁のいわゆる常駐検査制度というものがどういうふうな形で運営されるのか、この点については私どもまだ詳しくは承知しておりませんので、この場でそういった仕組みが導入されたときの私どもの対応について確たることは申し上げられないところもあるわけですが、ただ、私どもとしましては、これまでいわゆる実地考査とオフサイトモニタリングというものを両輪として、金融機関の経営実態把握に努めてまいったところでございます。
 考査につきましても、もちろん相手の事務負担ということはあるわけでありますけれども、相手の、考査先の持っているいろいろなリスクの大きさ、課題の所在といったところを十分に勘案しながら、場合によっては一つの、特定の分野に的を絞ったような、いわゆるターゲット考査と私ども申しておりますが、そういったことも含めて弾力的に対応していきたいというふうに考えております。
○古川委員 この点の、金融庁の検査と日銀考査との役割分担とか、どういう形でどういうふうになるのか、やはりそこはしっかりと今後していただきたいというふうに思いますが、ここはまたおいおいお伺いをしていきたいと思います。
 時間がだんだんとなくなってきてしまったんですが、次に、午前中にもちょっと質疑がありましたけれども、格付会社の日本国債の格付の格下げについて御質問したいと思います。
 日銀総裁は午前中の質疑の中で、日本経済の潜在力は高くて、この潜在力を引き出すような金融システムの安定とか構造改革を行っていくことが国債の信認につながるという御答弁をされたというふうに思うんですけれども、この御答弁というのは、要は、今のところはこれは引き下げられても今の状況を見ればやむを得ない、そういう御認識ととってよろしいんですか。
○速水参考人 私どもとしては、一方的に格下げをされて、必ずしも満足をするわけにはいかないと思います。これはやはり、私どもの国債というのはこれだけ需要があって、ちゃんと高い値段で、金利も御承知のように非常に低いわけで、国債残高は先進国中最高水準に達しております。財政のサステーナビリティーに対して市場が厳しい目を向けていることは、私どもも承知しております。
 こうした中で、仮に国債価格が下落したり、長期金利が急激に上昇するようなことがありますれば、金融機関経営や実体経済に大きな影響を与える可能性があります。国債相場の安定のためには、中長期的な財政構造改革に対する市場の信認を確保していくことが不可欠であるというふうに思っております。
 そういう意味では、決して甘受できるという気持ちにはなれませんけれども、しかし、彼らは彼らで、一つの商売としてそういう査定をする機関でございますから、それで食っているわけですから、それに対して一方的にこちらからまた文句をつけるというのがいいかどうかというのは、もう少し考えても構わないというふうに思っております。
○古川委員 前にも財務大臣にお伺いしましたが、今回の格下げについて、財務大臣としての御認識はいかがですか。
○塩川国務大臣 先ほど日銀総裁がお話しになりました。私もほぼ同様の考えであります。
 格付機関が、権威ある格付機関とはいいますけれども、何が基準だったのかというのは僕はちょっとわからないですね。何か、比較してみても、個々に比較しますと、ちょっと矛盾するところがあるんです。日本とポルトガルとを比べてみて、日本の方が下だと。これは何ででしょうか。古川さん、どう思いますか。私は、これはちょっと、基準がどこにあるから、これがこう、比べてみて、総合点をとってみて、何点対何点になるからおまえのところはこれだとおっしゃるんだったら話はわかるけれども、どうもそこが開陳されていないということは、私はかねてからそのことを思うておったのでございまして、その意味において、格付されたということは非常に残念だと思っております。
 けれども、国際的にこういう格付会社がやっておることでございますから、我々も決して、これを否定してしまってどうのこうのというものじゃありません。こういう格付になったということに対しては、我々も、それに対する一つの努力目標として考えていくということにもとっていかなきゃいけないと思っておりまして、両面の考えを持っておりますが、しかし、結論からいいまして、非常に残念だ、勝手にこういうことを決めておいて、こちらの方に説明もないということはおかしいと思っております。
○古川委員 要は、おかしいと思うけれども無視するということでよろしいですか。
○塩川国務大臣 政策上、我々はやはりこれを一つの国際的な評価であるというものは持って見ておりますけれども、これによって我が国の金融政策あるいは経済政策に対して大きいショックを与える、そういうものではないということを思っております。
○古川委員 今の財務大臣の認識というのは、それでいいんですか。国債が格下げされることによって、日本の企業の格付というのはその国の国債の格付を超えることはできないというふうに一般的に言われていますから、これによって日本企業の世界での資金の調達コストというものは高まってくるわけですよね。そういう効果はありますよね、日銀総裁。
○塩川国務大臣 まだその傾向は出ておりません。
○古川委員 いや、出ていないじゃなくて、そういう可能性はあるわけですよね。
 ですから、国債の格下げについて、文句があるなら文句があるで、基準がわからないなら基準がわからない、そして今回の評価がおかしいというのであれば、やはりちゃんと説明すべきところは説明する、あるいはただすところはただすという行動を政府であってもとっていくべきなんじゃないですか。そうじゃなければ、これはマーケットの中での評価なわけですから。ちょっと待ってください、私がまだ質問しているんですから。マーケットの中での評価なわけですから。日本政府もマーケットの参加者として、その中で国債を発行しているわけであります。
 普通の企業がマーケットの中で資金を調達しようとすれば、当然それについて格付されて、その格付を見て投資家は投資をする。その格付が好ましくないとかあるいは適当でないと思えば、その会社はIR活動とかそういうことを行って、ちゃんと正当な評価がされるような努力をしていく。だから、全く無視して、知らないというようなそういう行動は、マーケットに参加する者としてはとらないと思うんですね。
 そういう意味では、これは一民間会社が格付するもので基準もわけわからない、だから、けしからぬと思うけれども、それについて全く何の努力もしないと。ちゃんと日本の、先ほど日銀総裁が言われたような潜在力とか、そういうものがマーケット関係者に認識されるように、そういう努力というものはしていかなきゃいけないんじゃないかと思いますけれども、その点について、まず日銀総裁の御意見、どうですか。
○速水参考人 これは、ムーディーズという、S&Pよりも少し有名な会社が、昨年の十二月に日本の国債をダブルAのマイナスと、ダブルA3という言葉を使っていますけれども、今の、今度S&Pが決めたダブルAのマイナスと同じです、そういう査定をしております、格付をしております。
 そういうようなことですから、市場で国債がそういうふうに見られているんだということは、私どもとしてもよく注意をしなきゃいけないことだと思いますし、私どもが、日本銀行が長期国債を引き受けろ、もっとふやせとがんがん言われましても、それは、はい、そうですかといって、今までも少しずつふやしてはきておりますけれども、そんなに日銀引き受けやっているんだというようなことが伝わったら、やはり市場は、そんな国債が買えるかということになるだろうと思います。その国の中央銀行しか持たないのか、引き受けないのかということになったら、それは格付が下がっていくことは自然だと思います。
 そういうこともありますから、私どもは、国債の引き受けその他については非常に慎重でございますし、何とか国債の需要をふやしていこうというようなことで、市場にいろいろなオペレーションをやったり、いろいろな方法を使いながら、国債価格の維持に努めているというふうにお考えいただきたいと思います。
○古川委員 時間になったので終わりたいと思いますけれども、日銀は、独立性が強くなっている分、それだけやはり責任も重いということをぜひ改めて御認識いただきまして、日々の責務を果たしていただきたいということを最後にお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
 どうもありがとうございました。
○坂本委員長 次に、中塚一宏君。
○中塚委員 自由党の中塚でございます。
 特別検査の結果が発表されまして、今ほども質疑がありましたけれども、まず日本銀行総裁にお伺いいたしますが、二月末とか三月の初め、総裁が、予算委員会とかあるいは財務金融委員会で、公的資本注入論というのをずっとおっしゃっていたわけですね。その資本注入論というのを言っていらっしゃったというのは、当時の状況という意味なんですけれども、それは要は金融システム不安が起こるかもしれないほど不良債権問題が深刻だったということなんでしょうか。
○速水参考人 御承知のように、あのころ銀行株価が急激に下がりましたですね。銀行の株価が下がるということは、やはり銀行は、それを持っている人たち、企業やその他の大きな損にもなりますし、先ほど申し上げたように、昨年九月から時価評価になっておるわけですし、銀行としては、増資をしようと思っても、自分の、低い株の自社株を増資するというわけにもいかないでしょうし、自己資本をふやしていくという場合に、日本は一〇%台で今回も期末が越えられたわけでございますけれども、この中にも、よく言われますように前回の七兆何がしかの、八兆近い公的資本が入っておりますし、繰り延べ税制につきましても、これは日本とアメリカがこれを自己資本に入れているわけですが、ほかの国は入れておりません。アメリカよりもかなり日本の方が有利なような入れ方をしておると思います。
 そういうようなことも考えますと、これから株が下がっていったときに、先ほど申し上げたように、銀行がこれまで含み益で不良貸し出しを償却していたのが今のところできなくなって、含み損になっておりますからそれは難しいわけで、そこへもってきて、自己資本、増資もできないということになると、自分の収益でふやしていくしかないわけですね。そういう状況を考えて、これはやはり何か万一のことが起こったときには、外から入れるしか自己資本をふやす方法はないというふうなことを私は心配しておりました。
 特別検査の実施によりまして主要行の不良債権処理が前進したことは、これは高く評価すべきだと思います。ただ、景気の状況や構造改革の進展を踏まえますと、今後も、新規の不良債権の発生とか既存の不良債権がさらなる劣化をしていくという可能性は十分に視野に入れておく必要があると思います。
 各金融機関は、今回の結果を踏まえつつ、特別検査の対象企業はもとより、それ以外の企業についても、経営、財務状況をチェックしていく必要があると思います。また、そうしたチェックを踏まえまして、不良債権を適切かつ迅速に処理して資産内容を改善するなど、そういった収益力の強化に向けて一層の自助努力をしてもらいたいというふうに思います。
 私どもとしましても、今後、考査の機会等を通じて、金融機関の不良債権の処理状況、財務内容等の実態把握を行っていきたいと思っております。金融庁と連携しつつ、経営の健全化へ向けた努力を促していきたいというふうに考えております。
○中塚委員 今、金融庁と連携をしてというふうにおっしゃったわけですけれども、金融庁は検査をし、日銀は考査をするわけですね。ところが、年度末の議論を聞いていますと、政府と日本銀行の間で大分見解が違うんじゃないかというふうに思うような部分がたくさんあったわけなんです。
 今、不良債権問題ということでお伺いをしまして、株価が低下していたのでというふうなお答えだったと思いますが、では、ちょっと逆に、聞き方を変えますと、特別検査によって、不良債権自体はふえたわけですね、処分損一・九兆円ということになったわけですけれども、これは総裁の予想の範囲内の額ですか。
○速水参考人 不良債権として、引き当てを含めて処理をした、それが七兆九千億ですか、六兆四千億と言っていたのがふえたことは事実でございます。これは、不良貸し出しの残高がどうなったかということではございませんで、この期末に処理をした金額がそれだけふえていたということで、それが直ちに残高が減ったのかということになりますと、まだその数字は出ておりませんからわかりませんけれども、今の情勢の中ではなかなか不良貸し出しの残高が減っていくというような情勢ではないのではないか、難しいんじゃないかという感じがいたしております。
○中塚委員 日本銀行と金融庁で別々に検査、考査をされて、意見が違う。片一方は、大丈夫だという話だった。そして片一方は、公的資本注入が必要だということ、金融システム不安が起こるかもしれない、それも不良債権問題に原因があるという話をずっとされていたわけですね。
 それで、特別検査の結果が出ました。この特別検査の結果、今、不良債権の処分損ということについて伺ったわけですけれども、この特別検査ということによって、総裁が懸念をしていた金融システム不安というのは解消されたんですか。
○速水参考人 三月決算はこうやって乗り越えることができたわけでございます。だけれども、金融機関の持っている不良貸し出し、不良債権の今後の処分というのは、まだまだ残高が随分残っておりますし、先ほど来申しておりますように、これからも新しい不良債権ができていくかもしれないし、今持っている不良債権がさらに大きくなっていく、今の不況の中で膨らんでいく可能性もあるわけです。
 そういうことを考えますと、私がこの期末を控えて心配しましたのは、先を考えれば、何か起こったときにはやはり何らかの形で資本を外から入れることが必要になるんじゃないか、そのことをみんなに知らせれば、やらなくても知らせるだけでかなりよくなるんじゃないかなという感じはしておりました。
 今、ここですべて終わったというものではないと思っております。まだまだこれから、特に金融機関がそれぞれ収益をふやして、それによって自己資本をふやして、それで償却をしていくということを続けていかないといけないと思います。
 そのことは、今直ちにみんな政策をいろいろ改善し新しい領域に出ていこう、あるいは貸出政策を変えて金利を少し高くしていこうといったような動きが出ております。いいところには貸す、悪いところには金利を高くするといったような金融機関の対応というのは、これまた自然のことだと思います。そういうことをもう少し進めていきながら民間の需要を引き出していく、あるいは金融機関がやらなければならない信用仲介機能を十分に発揮していってもらいたい。それをするためには、不良貸し出しを減らすということと、それから新規の貸出先を見つけてどんどん貸していくということが必要であろうというふうに考えております。
○中塚委員 何かよくわからない。今、期末を考えた上で先を考えるとというお話があったんですけれども、問題の本質というか、期末を考えて先を考えるというふうにおっしゃったということと、あともう一つ、今の御答弁ですと、やはり今でも銀行が利益を上げて資本を積み増すということが必要だというふうにおっしゃいましたが、その資本をふやすという意味では、自分でもうけて資本をふやすのか、あるいは資本注入を受けるのかということについては、資本がふえるという意味では同じですよね。ということは、今でもやはり資本注入というのは必要だというふうにお考えになっているわけですか。
○速水参考人 今ここでやる必要はないと思います。銀行が自己資本をふやすべく収益をふやそうとして一生懸命努力しておるわけですから、その過程において、それがまだ実らない先に、何か事が起こったら、それはそういうことが起こるかもしれません。しかし、今ここで、銀行がもうける収益のかわりに、収益から資本に移っていく金とかのかわりに公的資本を入れろというのは、これはやはりそれこそモラルハザードでありますし、今もう少し、銀行が収益を上げるべく努力している効果が出てくるように私どもは期待もし、それを助けていきたいというふうに考えております。
○中塚委員 という御答弁ですと、やはり総裁の言われていた資本注入というのは、危機対応のためのものだったということになるわけですね。
 さて、その特別検査について伺いますけれども、財務大臣にお伺いをいたしますが、財務大臣は、この金融庁の特別検査によって金融システム不安というのは解消されたというふうにお考えでしょうか。
○塩川国務大臣 解消されたとは私は思いませんけれども、非常に有効であったと思っております。
 第一、これによりまして、各銀行が、要するに大口貸付先に対して、一つの節度ある対応をするのではないかと思っております。
 今まで、どちらかといえば、銀行と不良債権を持っております要管理先とかその企業との間で、やはり人的なつながり、資金的なつながりが濃厚ですから、そこの話し合いがうまくいかなかった。しかし、特別検査が行われた結果、金融庁あるいは第三者、監査人からこういうふうに指摘された、ついては、あなたの会社に対して、これからのうちの銀行はこういうぐあいにしなきゃしようがないんだというふうなことを言いやすいんじゃないですかね。
 そうすると、このことが結局不良債権の整理に大きく役立つと私は思っておりまして、その効果を期待しておるというところであります。
○中塚委員 次に、では総裁に伺いますけれども、先ほど来、公的資本注入というのが危機対応だったんじゃないかということで私が今お伺いしたら、総裁はふんふんというふうにうなずかれましたが、特別検査の結果を反映しても、自己資本比率というのは大体一〇%台ということになっているわけですね。ということで、今、自己資本不足懸念というのもないわけです。では、まず、自己資本不足懸念というのも今はないわけですね、そうしますと。
○速水参考人 今はございません。
○中塚委員 それで、今はそういう自己資本不足懸念はない、今はとにかく金融機関が利益を上げて資本を積み増すようにやるべきだということをおっしゃっていらっしゃるわけですが、そうしますと、もちろん、そっちの方の改革というのが必要なわけですね。金融機関がもうかるようになっていかなきゃいけないわけですけれども、そういった施策が打たれない場合、やはりこの手の話というのはまた再燃をするということになるわけでよろしいんでしょうか。
○速水参考人 このままで何かクレジットクライシスかマーケットクライシスか、そういったシステミックなリスクが破裂しそうになった場合には、それは手を打つべきことだと思います。しかし、今これをやる必要はないと思いますし、むしろ、営業収益をふやすように銀行を指導し、かつそういうふうに持っていく。
 私どもも、日々の考査と同時に電話で毎日情勢を聞いております。そういうやり方も――取引先ですから、それをやるのは当たり前なんです。そういうことをやっておりますから、これが私どものやっている考査なんであって、そういうことをやりながら銀行を指導してまいりたいというふうに思っております。
○中塚委員 そういう公的資本注入論ということについて、何月危機、何月危機ということが言われて、私は、それが当たっているか当たっていないかということよりも、そういうふうに言われるような状況であることの方が問題だというふうに思っておるんです。
 資本注入論をおっしゃっておられた総裁に伺いますが、平成十年に早期健全化法というのがありまして、それによって資本注入が行われたわけですね。ところが、それが行われても、三年ちょっとたった今でも、いまだに金融システム不安が払拭されない、銀行の経営内容が健全化しないということをずっと言われているわけですね。総裁自身もおっしゃっている。
 平成十年の早期健全化法による資本注入は、一体何が問題でこういうことになっているのか。今こういうふうに金融システム不安ということが言われるということについては、十年の早期健全化法との関係で一体何が原因だというふうにお考えでしょうか。
○速水参考人 御承知のように、あのとき、山一証券初め拓銀、そしてまた長期信用銀行や日本債券信用銀行ですか、破綻に追いやられておったわけでございます。
 平成十年に成立した早期健全化法のもとで行われました公的資本投入というのは、そういった大手銀行を中心に資本基盤を大幅に強化して、我が国金融システムの安定回復に大きく寄与したと思っております。当時、公的資本投入が行われなかったとしたら、我が国の金融システムはあのときに大きな混乱に陥ったに違いないと思っております。
 しかしながら、その後も多くの金融機関で毎年多額の不良債権処理が行われているにもかかわらず、地価の下落や景気の低迷といったようなことを基本的な背景として新たな不良債権が発生してきて、また既存の不良債権の劣化も続いております。このために、不良債権残高の目立った減少は今なお見られていないわけです。今後の課題という意味では、金融機関は、不良債権問題を克服するとともに収益力の強化に向けて一層の自助努力を行うことが重要であると思います。
 一方、経営に問題を抱えている企業においても、顧客の方ですね、企業においても、過剰債務問題などを早期に解決していく努力が不可欠であると思います。また、経済、産業面の構造改革を進めて民間需要を活性化させていくことも大きな課題であるというふうに思っております。
○中塚委員 今の御答弁ですと、原因は大体三つあって、一つは経済環境が好転をしなかったということ、もう一つは金融機関が自助努力を怠っていたということ、そして、三つ目として構造改革のおくれということをお述べになったと思うんですが、それでよろしゅうございますか。
○速水参考人 その三つだけではないかもしれませんけれども、その三つは大きな要因であることは間違いございません。
○中塚委員 そういうお話ですと、やはり、もうちょっと日本銀行の総裁として果たせる役割というのはあるんじゃないかなというふうに思います。
 実体経済が回復しない限り不良債権は減らないし、金融機関の収益性というのも向上していかないわけですね。また構造改革というのも進めていかなきゃいかぬわけですが、そういうときに、速水総裁は経済財政諮問会議の議員でもいらっしゃるので、御発言の機会というのはあるわけですね。ところが、会議録なんか公表されているのを見ますと、余り御発言されていないというか発言が少ないように思うわけです。
 一つ伺いますが、今税制改革というふうなことを盛んに言われているわけですけれども、特に、現在、減税先行論というのがいろいろと言われておりますが、速水総裁はこの減税先行論ということについてはどのような御見解をお持ちでしょうか。
○速水参考人 これは諮問会議でもこれから議論が行われることになっておりますが、減税先行といっても歳出の方、財政はどうなっていくのかということも考えなきゃいけませんし、何よりも大切なことは、減税をするにしても歳出をするにしても、あるいは金のかからないものであっても、何が民間需要を引き出させることができるかということなんです。
 企業の投資意欲と、家計の消費意欲といいますかあるいは家計の投資意欲といいますか、そういったものを生み出していくような環境をつくっていかないと、これは、日本の経済はこのままじりじり進んでいってしまうことになるわけで、いかにして構造改革を進めて民間需要を引き出せるか、これが一番大事なものであって、減税をするにしても、そういった需要を引き出せるような減税政策をとっていただきたい、そういうことは私も諮問会議でも申しておりますし、昨日もそういった機会がございましたので、今の不良貸し出しの削減ということがそういうことの一番最初に出てこなければならない一つの課題であるというふうに申した次第でございます。
○中塚委員 経済財政諮問会議においてもしかりなわけですけれども、いずれにしても、総裁と政府の言うことが、特に自己資本比率等の発言について年度末にすごく乖離をしていたわけですね。担当大臣は資本注入の必要はないというふうに言う一方で、資本注入の必要があるというがごときの発言を総裁がされていた。
 そういったところで、どっちを信用するということになると、はっきり言って、私どもとしては、銀行の経営内容なり不良債権の実態というのはブラックボックスだというふうに思っていますので、どっちが正しいかというとそれはわかりませんけれども、いずれにしても、そういうことが金融システム不安をあおっていくことにもつながっていくわけですので、諮問会議等そういうところでちゃんとすり合わせをいただくということ、そしてもう一つは、実体経済の回復ということについてちゃんと総裁としても御発言をされた方がいいというふうに思います。
 そして、長期国債、先ほどS&Pの国債の格付の引き下げの話がありましたが、今、月に一兆円ですか、買い入れをされているわけですが、これは、金融調節の手段として行っていらっしゃるのか、それともリスクプレミアムをコントロールするために行っていらっしゃるのか、いずれなんでしょうか。
    〔委員長退席、中野(清)委員長代理着席〕
○山口参考人 長期国債を今、月間約一兆円という規模で買い入れておりますけれども、これは、金融調節の手段、資金供給の一つの手段というふうに位置づけております。
○中塚委員 財務大臣、同様の質問ですが、日本銀行は今長期国債を買い入れているということについて、これは金融調節の手段なんでしょうか、それともリスクプレミアムをコントロールするためということなんでしょうか。
○谷口副大臣 金融政策でございますから、これは日本銀行の所管事項でございますが、一般的に、今副総裁がおっしゃったように、金融調節手段の一つである。金融機関が国債を売却するといったことで貸し出しがふえる、また外債等の投資がふえるというようなことで、中長期の資金が回転し始めるというようなポートフォリオリバランス効果があるというように考えておるわけでございます。
○中塚委員 月一兆円ということは年間十二兆円。今三十兆円の国債発行枠が設定してあるということになりますと、大体四割ぐらいは日本銀行が買うということとほとんど変わらないわけですよね。そうやって、年間、国が発行する国債を中央銀行が四割近くも買うということをあらかじめ決めているということは、手段として行っているというものの、やはり、結果としてはリスク・プレミアム・コントロールのためというふうな側面も出てきてもしようがないのではないのかというふうに思うんですが、日本銀行はいかがでしょうか。
○山口参考人 委員がおっしゃるリスクプレミアムのコントロールというのは、恐らく、長期金利を低位安定させるための手段として長期国債の買い入れを多用しているのではないかという意味合いではないかと解釈いたしました。
 申し上げましたように、長期国債をかなりの規模で買い入れてはおりますけれども、これは、あくまでも資金を供給する一つのパイプとして活用しているということでございまして、長期金利そのものを、現在既に低いわけですけれども、無理やり低いところに抑え込み、そこにくぎづけしようというような意図を持ってやっているわけではございません。
 新規財源債発行の約四割程度を買い上げていることになるのではないかという御指摘もございました。確かに、数字的な対応関係のところをとりますと、三十兆円という財政赤字の規模に対してかなり多目の長期国債の買い入れにはなっておりますけれども、私どもの考え方の中に、財政赤字を直接ファイナンスする手段として長期国債の買い入れを使おうというような発想はございませんので、念のため申し上げておきます。
○中塚委員 まあ、それはそうでしょうね。ただ、直接買い入れていないだけで、結果としては同じになっているんじゃないかということをお尋ねしているわけです。
 日本銀行に伺いますけれども、それこそ先ほど、長期国債の格下げということがありまして、財政の健全化というのが大変重要な課題になっているわけですが、今、政府が国債の発行について三十兆円の枠というのをはめているわけですけれども、この三十兆円の国債発行枠を設定するということについて、日本銀行としての御見解はいかがですか。
○速水参考人 三十兆がいいのかどうかということについては、諮問会議などでもまだ議論をしておりません。明年度の予算については、これから議論が始まるところだと思います。
○中塚委員 二月二十八日の政策決定会合の議事が公表されまして、その中で総裁が、「最近の政府首脳のご発言については、日銀法の枠組みからみて問題であるばかりか、わが国の経済運営全体に対する信認を著しく傷つけていると言わざるをえない」というふうに御発言をされている。
 そういったことが公開をされているわけですけれども、今、与党の方から日銀法改正案というのが提出をされるというふうに伺っておりますが、この与党から提出をされる日銀法改正案ということについて、御見解はいかがですか。
○速水参考人 現行日銀法は四年前に施行されたわけでございますが、私ども、この法律では、二十一世紀の金融システムの中核に大変ふさわしい中央銀行制度を構築してくれているという観点から、これはつくるときにも、中央銀行研究会とか金融制度調査会とか国会で十分な議論を重ねて、各界の英知を結集してつくられたものと認識しております。
 私としても、現行の日銀法について、主要先進国と比べても遜色のない立派な中央銀行制度をおつくりいただいたものと考えております。私としては、現行の日銀法に盛り込まれた中央銀行の理念を実現すべく、引き続き職務の遂行に全力を尽くしてまいりたいと思っております。
○中塚委員 最後に一つ伺いますが、先ほど、金融機関が利益を上げなきゃいかぬということを午前中もおっしゃっていましたけれども、それで貸出金利に差がつくと。それで、貸し出し内容がよくないようなところは、リスクをとるために金利が高くなるのは当然だという御発言もあったように思います。
 そういった中で、日本銀行自体がゼロ金利政策というのをとり続けているということで、銀行に対してはゼロ金利政策をとる、そして貸出金利だけが上昇するというふうなことになっているわけですが、そういったことについて大変に懸念を持たざるを得ないわけですけれども、そこのところについて、総裁の御意見はいかがでしょう。
○速水参考人 これは、マクロの経済で流動性の供給を潤沢に行う、これが構造改革をしていくためにも必要であるし、構造改革が進んで民間需要が出てきて、そういうものを後押ししていくためにはそれだけの資金が必要であるということで、引き続き量的緩和を続けておるわけでございます。
 一方で、銀行が信用仲介機能を果たすべく、いいところにはどんどん貸す、悪いところには金利を上げる、これは銀行の収益をふやすためには当然の自然の政策ではなかろうかと思います。それが今までできなかったということは、さっきも申し上げたように、自分のところでこれ以上不良貸し出しをふやしたくない、むしろ減らそうとしているときに、新しい貸し出しが不良債権になっては困るといったようなちゅうちょがあったに違いないというふうに思っております。
 こういうことをなくすためにも、不良貸し出しを早くなくして、銀行がどんどん新しい貸し出しをふやしていってもらって収益をふやしていくことが、いい循環につながっていくものだというふうに確信いたしております。
○中野(清)委員長代理 よろしいですか。簡単にお願いします。
○中塚委員 それはだから、金融機関に対して貸し出すお金というのが床にへばりついているじゃないかと。事業会社に対しては、危ないところは利息が高くても当たり前だと。けれども、金融機関に対してはずっと床にへばりついているままじゃないか、そういうことでいいんですかというお話をさせていただきましたが、これで終わります。
○中野(清)委員長代理 次に、佐々木憲昭君。
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭です。
 最初に、日銀報告について御質問したいと思いますが、先ほどの総裁の概要説明の中でも、それまで金利政策というのがオーソドックスな形でとられてきたけれども、コールレートがほぼゼロに達して、金融政策による緩和余地がなくなった、オーソドックスな政策の余地がなくなったという中で、昨年の三月に、日銀当座預金という資金の量を目標とする金融政策運営の枠組みを採用した、それ以来、内外の中央銀行の歴史に例のない思い切った金融緩和を実施している、こういう説明がありました。
 日銀当座預金の残高は、一年前の四兆円程度から、現在二十兆円程度、五倍に大きくふえているわけであります。言ってみれば、日銀から銀行に対しては、じゃぶじゃぶというような表現を使っていいほど大量の資金が供給されているわけですが、問題は、銀行から先に行っていない。実体経済の低迷、あるいは銀行の資金の貸し出し姿勢が非常に厳しい、あるいは資金回収に走る、そういう中で、銀行から先の供給は大幅に減少しているわけであります。
 では、じゃぶじゃぶ供給されている資金は一体どこに行っているのか。これは、どのように考えたらよろしいんでしょうか。総裁の御意見を伺いたいと思います。
○速水参考人 私どもの方から出ていきますマネタリーベースの金は、御承知のように、前年比でいきますと、ちょっと三割アップぐらいになっているわけです。過去五年を見ても八%近い増加を毎年しておるわけで、それがそのまま金融市場に出ておるわけですけれども、銀行に必ずしも入っているというわけではありません。
 銀行のマネーサプライを見ますと、四%前後の増加でございますから、それはほかの、金利が安いものですから現金で持つといったようなことも多いし、日銀当座預金といったようなものもふえているのも自然な流れかというふうに思います。金融機関に入った金が、御承知のように銀行は今貸し出し前年比まだマイナスです。貸し出しは減少させるもとで、国債を中心とした債券投資を銀行は増加させていることは事実でございます。
 金融緩和効果が銀行貸し出しを通じて実体経済に浸透していくことを制約している要因として挙げるならば、一つは、不良債権問題を背景にした信用仲介システムの機能が低下していったということ、第二には、企業の投資意欲が低下しているということ、第三には、家計が将来に対する不安を持っていて現金で持とうとしているといったようなこと、こういったようなことが挙げられると思います。
 ゼロ金利というのは、私どもの体験からいっても、これは必ずしも正常なものであるとは思っておりません。事態がよくなって、先ほど申し上げたように、いい循環を来すことを願ってやまない次第でございます。
○佐々木(憲)委員 では、数字を具体的に確認したいと思います。
 国内銀行の統計で貸し出しは幾ら減少しているかということなんですが、九六年の三月を基準にしまして、直近の統計で、実数とそれから減少率、これを示していただきたいと思います。
○増渕参考人 九六年三月時点での国内銀行の貸し出しの残高は四百八十三兆円でございました。本年二月時点の、これが判明する直近の時点でございますが、その貸出残高は四百四十三兆円でござます。したがいまして、金額で四十兆円の減少、率にしますと、八%強、八・三%の減少ということになります。
○佐々木(憲)委員 相当な額の貸し出しが減少しておりまして、貸し出しの減少率も大変高いわけであります。とりわけ中小企業向けの減少が大変大きくて、この報告書を見ましても、三十六ページを見ますと、中小企業向けの貸し出しスタンスというのは、主要銀行のアンケート調査で二八という数字であります。中堅企業は一六、大企業向けは一二ということで、とりわけ中小零細企業に対する貸し出しは非常に厳しい態度で臨んでいるということがわかるわけであります。このようにして、いわば大量に供給された資金はむしろ中小企業には渡らず、逆に回収が進んでいるというのが現状だと思います。
 では、その反面で、先ほども御紹介ありましたように、国債を中心とした債券投資に回っているということですけれども、この同じ時期で国債保有額というのは幾らふえているでしょうか。あるいは、そのふえた率、これを示していただきたいと思います。
○増渕参考人 九六年三月におきます国内銀行の国債保有残高は二十八兆円でございました。本年二月時点の保有残高は六十六・六兆円でございます。したがいまして、金額で約三十九兆円の増加、率にしますと一三七%の増加、約二・四倍ということでございます。
○佐々木(憲)委員 つまり、国債のふえ方は、同じ時期で、つまり貸し出しがマイナス約四十兆円、国債保有がプラス約四十兆円、ですから、貸し出しが減った分と同じ金額が国債はふえている、こういう状況なんですね。ですから、結局、金融を緩和したけれども、銀行から先には流れずに大量の国債購入に充てられた、こういう状況ですね。
 この現状について日銀総裁はどのような評価をされているのか、お伺いしたいと思います。
○速水参考人 御指摘のように、今、貸し出しが減ったほとんど同額、国債の保有額がふえておるわけです。金融機関が不良債権問題への取り組みを強めていく中で、信用力の低い先に対して貸し出し姿勢を慎重化させている面があることは事実だと思います。加えて、景気の低迷が続くもとで資金需要が減退していることも貸し出し減少の大きな要因であると思います。
 日本銀行の思い切った金融緩和の効果が企業や家計にまで及んでいきますためには、一つは、迅速な不良債権処理などを通じて銀行の信用仲介機能が強化されていくこと、もう一つは、税制改革とか規制の緩和を含めて経済、産業面の構造改革を進めて、企業や家計の前向きな活動を引き出していく、この二つではなかろうかと思います。
○佐々木(憲)委員 私は今の実体経済の低迷というのが最大の問題だと思っておりまして、しかも、その実体経済を支えるGDPの六割を占める家計消費、これが非常に大きく低迷している。その家計消費を低迷させている要因としては、国の政策の将来不安というのがある、あるいは企業のリストラ、雇用不安というものがある。つまり、そういうところをどういうふうに改善するかという政策に大きく転換をしていかないと、これはなかなか根本的には直っていかないのではないか。つまり、金融政策だけで幾ら金利を下げ幾ら量的緩和をやっても、実体経済に需要がない、そういう状態であれば、これはなかなか改善しないのは当たり前であります。
 しかも、同時に、今不良債権処理とおっしゃいましたけれども、不良債権処理の持つデフレ的要素というものもよく見ていかなければならないと思うのです。つまり、不良債権処理をすればするほど中小企業が倒産し、そして失業者がふえる。そうすれば、同時にそのことによって家計消費が冷え込む。つまり、デフレスパイラルの引き金を引くような形になっているのではないか、そういう感じを私は持っておりまして、そういう点では、大変重大な局面に現在あるのではないか、抜本的な転換というのが求められているのではないかというふうに思っております。
 さて、そこで、次に財務大臣にお聞きしますけれども、結局、この金融緩和した分、国債の大量購入という形で資金が使われている。逆に言いますと、国が大量に国債を発行する、それが資金を吸い上げているといいますか、そういう状況にあるのではないかと思います。二〇〇二年度末、つまり来年三月の予想では、国で五百二十八兆円の長期債務残高、国、地方を合わせると六百九十三兆円、約七百兆に近い大変な債務残高が予想されるわけで、政府が予想しているわけですけれども、そういうときに、財政赤字が引き続きこの大量の国債発行を続けていく大変重要な要素になっているわけです。
 一昨日は、アメリカの有力な格付機関スタンダード・アンド・プアーズが長期国債の格付を下げた、そういう報道もあります。イタリアの格付よりも日本の格付の方が下回ってしまった、先進国中最低である、こういう状態があるわけですね。評価は別としまして、国際的にもそのようなランクづけが行われているという状態であります。
 G7に金曜日から出かけるということなんですけれども、国際的に見て日本の財政状況、これは大変深刻な事態だというふうに私は思うわけですけれども、財務大臣は、このような日本の財政赤字、大量国債の発行、その問題が国際的に見て日本の国債の格付を引き下げているという状態をもたらしていると思うんですけれども、その点についてどのような認識をお持ちか、お聞きをしたいと思います。
○塩川国務大臣 国債の格付は、これは民間の会社がやっておって、営業目的とかいろいろあって、それは評価はいろいろな要素でつけておるんだと思うのでございますけれども、私はかねてから、この格付会社三社の格付をずっと見ておりまして、明確な基準が示されていないんですね。コメントはしております、財政赤字がどうであるとか、不良債権の整理がこうだとコメントしておりますが、そのコメントは、日本の新聞に書いてあるのをそのまま写していますね。
 ですから、本当に調査しておるんだろうか、私はそう思うんです。日本の新聞が自虐的にどんどんと悪い悪いと書いていますから、それを基準にして格付しておるような感じがしてならぬのです。ですから、これを見てごらんなさい、スペインやとかポルトガルより下になってしまって、ボツワナなんかと日本は同じなんですね、これは。そういうことを、ちょっと佐々木さん、これは考えられるでしょうか。
 そこらを見まして、私は、この格付のことに余りこだわる必要はない、けれども、こういう格付があるんだということは意識しておかなきゃいかぬとこれは思っております。
○佐々木(憲)委員 格付会社の論評はいろいろあると思うんですけれども。
 ただ、実態的に言いまして、先ほど申し上げましたように、日本の赤字財政、長期債務残高のふえ方というのは、これは極めて大変なものでありまして、大量に国債を発行し、資金を吸収しているという状況。これは、金融緩和があるからそれが今微妙なバランスの上に成り立っているわけですね。しかし、一たん景気が底を打って回復を始めていく、それで市中の資金需要がふえる、そういうときにさらに大量の国債発行という形で続けていきますと、これは逆に長期金利の急上昇あるいは国債価格の暴落ということにつながるわけであります。
 その辺の見通しを政府としてどのように考えていくか、ここが大変重要だと思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。
○塩川国務大臣 この延長線で今後の中長期の財政を考えているわけじゃございません。それがために、できるだけ早くプライマリーバランスが黒字に転換するように我々努めていきたいと思うて、一つの目標を二〇一〇年ということにしております。そうであるとするならば、かなりなやはり税の増収ですね、増収を図っていかなければならないのではないか。その増収を図っていこうとするならば、何としても景気をよくしなきゃならぬと思っております。景気をよくするためには、景気刺激策を講じなきゃならない。
 この景気刺激策に対しまして、財政出動であるとかあるいは税制でとかいうていろいろと御議論がございます。我々としては、もうこれを財政出動だけでできるものじゃない。先ほどもお話しのように、国債はこれ以上発行して圧迫を加えるわけにまいりませんし、そうすると、どうしても税制に頼らざるを得ないというのが一般の考えでございますけれども、私は、税制ばかりじゃない、やはり政府が民間の経済に今後向かうべき方向性をしっかりと示して、民間経済の活力をそちらの方で、つまり、政府が産業政策を明確に示して、それによって活性化への道を歩んでもらう、それに対して税制上のインセンティブをつけていく、そういう構想で臨んでいきたいと思っております。
○佐々木(憲)委員 今、二〇一〇年までに税の増収を図っていくという一つの考え方があるとおっしゃいましたが、これは具体的に言いますと何を増税するんですか。消費税を上げるのか、あるいは所得税の課税最低限の引き下げをやるということを念頭に置いておられるんですか。
○塩川国務大臣 これは、はっきりした数字的なことの説明はまだ私は御勘弁願いたいと思って、まだそこまで数字で詰めたわけじゃございませんけれども、増収でございますから、税の、いわゆる経済の活性化に伴うところの経済成長、それに伴うところの増収ということも一つ増収でございますし、あるいは、税制を変えて、多少は増税によって賄っていくということがございます。けれども、現在のところ、消費税を上げるとか、そういうことは考えておりません。
○佐々木(憲)委員 庶民増税はぜひやめていただきたいというふうに思います。
 これまで、税収が減ってきた要因というのは二つありまして、一つは、景気の低迷で法人税、所得税が落ち込んでいる、それからもう一つは、これまで、法人税の減税、量的にいいますといわば大企業向け減税が非常に多かったんですね、あるいは、所得税ですと高額所得者のところを下げてきたというところに非常に大きな問題があったわけでありまして、逆に言うと、庶民にとっては税負担が非常に重いという実感が広がっているわけであります。そういうときにさらに増税なんという話になりますと、これはもう消費拡大どころか水を差すような話になりますので、その辺はぜひよく考えて対応をしていただきたいというふうに思います。
 そこで、次に財政問題ですが、先ほど財政の再建という方向をおっしゃいましたが、やはりむだを削るということが大変重要だと思うんです。例えば大型公共事業のむだ、例えば、飛行機が余り来ない空港をたくさんつくるとか、あるいは船が入らない港をつくるとか、そういうむだ遣いというのが大変全国にこれまでもあったと思うんですが、公共事業についてどういう点を見直すおつもりなのか。あるいは今年度予算、もう執行の段階ですけれども、今年度予算について大臣がおっしゃっていたのは、新しい考え方を導入した、従来型ではないものだ、こういう説明をされていたと思うんですが、公共事業についてどういう考えでやっておられるのか。この点についてお伺いしたいと思います。
○塩川国務大臣 ここ十年余り、十数年の間、政府が景気刺激対策として講じました公共事業というのは、いわば一つは、国が定めておりましたそれぞれの長期計画の前倒しで公共事業の景気刺激をやっておりました。この中身を見てまいりますと、要するに公共事業的素材ですね、素材の在庫調整に重点を置いて、思い切り人をたくさん使う公共事業というのに重点は置かれていなかったように思います。小泉政権になりまして公共事業の重点を、資材をたくさん使う公共事業よりも人、人間をたくさん使う公共事業というものに切りかえていったということでございまして、そのことは、大型の公共事業をセーブして、小さい、地域開発の、本当に生活に密着したそういう公共事業に切りかえていったということが一つ。
 それからもう一つは、公共事業と、それから公共的施設とございますね、その施設との区別をしておりましたけれども、公共的施設の方に十分な公共的財源を振り向けていってそれを整備したいということでございまして、その一つとして、病院であるとか保育所であるとかそういう福祉関係のもの及び教育関係の研究所、そういうようなものに重点を置いた、それを新しい公共事業への切り口として使っておる、こういうことであります。
○佐々木(憲)委員 塩川財務大臣は、予算委員会の一月二十五日の答弁で、従来型公共事業からの転換ということをおっしゃっていまして、「従来型の公共事業というものは一体何なのかといいますと、よく言われております長期計画でございますね、今、公共事業として十六本の長期計画がございますが、その長期計画に入っておらない公共事業、これを重点に今回配分したということでございます」、こういう答弁をされていますし、財務金融委員会では、一月二十八日に、従来型公共投資を重点にやらないと言っておるんです、従来型公共事業というのは長期計画につけて行っておる公共事業であって、十六本ほどございます、今回は、それで、その範囲ではないものを重点的にやる、こういうふうにおっしゃっていましたけれども、これはそのとおりですね。
○塩川国務大臣 それは先ほど申したことであります。
 それで、やらないという理由は、そこをちょっと間違うたらいかぬので、前倒しをして、公共事業を積極的に補正予算で組んでやるということはいたしませんということでございまして、年次計画にきちっとありますものは、これは国民との約束でございますし法律で裏づけされておりますのでそれはやりますけれども、従来の補正予算は公共事業の前倒しで、それで賄っていた、そういうことはやらない、こういうことでございますから、意味を間違わないようにしていただきたいと思います。
    〔中野(清)委員長代理退席、委員長着席〕
○佐々木(憲)委員 ということは、従来型の長期計画に基づく事業はそのままやるということですか。
○塩川国務大臣 年次計画が終わるまではそのとおりやります。年次計画が大体十四年度で、ことしで終わりますので、新しい長期計画については、計画はしていただきます。ビジョンとしての計画は、中長期のものをしてもらっても結構ですけれども、それに対する、従来のように予算の裏づけをした法律化にしてもらうということは、これはお断りします。
○佐々木(憲)委員 つまり、長期計画に基づく公共事業というのは従来型の公共事業であるとおっしゃったわけですよね。それで、長期計画に基づく公共事業は、それはそれとしてやるんだということになりますと、何も従来と変わらないんじゃありませんか。それで長期計画に基づく公共事業というのは、では全体の、今回予算にどのぐらいの比率あるんでしょうか。
○塩川国務大臣 正確な予算上の比率は、私は今ちょっと資料を持っておりませんのでわかりませんが、公共事業全体で年間、今三十九兆、三十八兆でございましょうか、そのうちの相当数、三分の一ぐらいは計画による公共事業ではないかと思っております。計画で公共事業というのは全部で十六本ございますけれども、このうちほとんどが全部、計画と同時に年次の予算の割り当てをきちっとしてしまっておる。これが財政硬直化の原因になったし、またこれを使って補正予算の前倒しをやるということを、これはやらないということを言っておるのでございますから、そこは理解していただきたい。
○佐々木(憲)委員 政府予算の今年度予算を見ますと、全省庁の公共投資関係費、これが九兆二千五百二十五億四千二百万円、(塩川国務大臣「国だけでしょう」と呼ぶ)これは国だけですね。国直轄ですね。それで、この中で国土交通省と農水省というのは八七%、約九割ですよね。この農水省、国土交通省、つまり政府が直接予算の権限を持っているこの部分で、長期計画に基づいて組まれている部分は、農水省は九八・七%、ほぼ一〇〇%近いのですよ。それから国土交通省は八割ですね。ですから、合わせまして、全体としていいますと八三・三六%が、今資料をお配りしましたが、長期計画に基づく公共事業なんです。
 ですから、これを根本的に変えるのか変えないのかというのが今問われているわけでありまして、塩川財務大臣が、従来型公共事業ではなくて、もっと別な方向に転換するんだとおっしゃいましたが、そうしますと、この長期計画そのものをこういう縛りをなくしていく、もっと柔軟に考えなきゃならぬ、そうしないと、これはどうにもならぬわけです。この点は、大臣、どのようになされるおつもりでしょうか。
○塩川国務大臣 今、佐々木さんのおっしゃるとおりですよ。それを、法律で財源を縛ってしまうから、金額を縛ってしまうから硬直化してしまうので、縛らない。けれども、いろいろな公共事業が、将来に向かってやはり国土の整備あるいは地域の開発ということに、地域の住民の関係がございますし、また国土の均衡ある発展という意味からいって実行していかなきゃなりませんので、そういうビジョンとしての計画はそれぞれやっていただいたら結構ですけれども、そのビジョンに基づいて予算の裏づけまで法律化してしまうのは困る。それは従来のような公共事業ではやらない、こういうことを言っております。
○佐々木(憲)委員 今年度予算を組む場合も大臣は同じようなことをおっしゃって、結果的には呼び方を多少変えた程度で、全く同じような八割、九割が長期計画に基づく予算になっております。ですから、そういう点でいいますと、どうもいろいろなことをおっしゃるんだけれども、実際にやっていることは余り従来と変わらないばかりか、従来型をちょっと味つけを変えて継承しているという程度のものにしかすぎないというのが、実態の数字、これを見ますとはっきりしているわけです。
 そういう点で、我々が、こういうことではなくて、本当にこの長期計画そのものをやはり抜本的に見直して、そして国民の生活に関連のあるところに重点的に配分し、全体として公共事業予算の圧縮を図っていく、そういうことをやらないと、財政の再建にも国民生活の再建にもつながらないんだという点を申し上げまして、時間が参りましたので、以上で終わりたいと思います。
○坂本委員長 次に、阿部知子君。
○阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
 日銀の速水総裁には、朝から長時間にわたる御同席で大変に御苦労さまでございます。私の質問、大半が速水総裁に対してですので、恐れ入りますが、もうしばしお時間をちょうだいいたします。
 まず、日銀の当座預金残高についてお伺い申し上げます。
 三月末に、期末資金を潤沢にするという名目で、約二十七兆六千億円という、これは恐らく二〇〇〇年のときを上回る、これまでの最高の当座預金残高となっておりますと思いますが、ある意味で、三月危機を越えて、四月になれば二月以前の水準の十五兆まで戻るはずだというふうに御報告も一部受けておりましたが、実際には二十兆円前後で推移しているように思いますが、このことは、この間、きょうも御質問にありました、みずほファイナンシャルのシステム障害等との関連でやや高目の当座預金残高に設定をしてございますのでしょうか。
○速水参考人 阿部先生のおっしゃるとおりでございます。日銀当座預金残高は、三月末で二十八兆円近くに到達しておったわけですが、四月入り後も二十兆円前後の水準で高どまっております。これには、期末越えのための資金需要は一段落したわけですけれども、一方で、みずほグループのシステム上のトラブルを背景にしまして、金融市場において流動性需要が増大していることが影響していると思います。
 日本銀行としましては、引き続き、市場動向や流動性需要の状況を注意深く点検しながら、潤沢な資金供給を通じて市場の安定確保に努めてまいる方針でございます。
○阿部委員 と申されますことは、このみずほファイナンシャルの問題が、金融の安定にとってかなり大きな問題を抱えておるという認識に日銀総裁がお立ちになっているということだと思いますが、実は先回、同じことに関連いたしまして柳澤大臣にもお伺い申し上げたのですが、この事態、この今回のみずほファイナンシャルのシステム障害ということを諸外国はどのように見ておるかというふうにお尋ね申し上げましたら、柳澤金融大臣は明確なお答えが実はございませんで、その後も、現在も四十万件と続いている障害等々がその後に発覚しておることもございますが、やはり当座預金残高を積み増さなきゃならない事態というのはかなり重大事態というふうに日銀は認識されておる。そして、諸外国はどう見ておられるかということについて、これも速水総裁の御見識を伺います。
○速水参考人 今回、みずほグループで預金取引とか口座振替といった銀行業務の根幹をなす部分で混乱が生じて、多くの顧客に御迷惑をおかけした、影響を与えたということは残念なことでございます。
 今回のトラブルが海外にまでは波及しなかった、これは私どもとしては、顧客様を犠牲にして、海外や銀行間には今のところまだ影響が及んでいない。しかしながら、みずほグループは世界的に見ても規模の大きな金融機関でありますから、我が国の金融機関全般に対する信認を確保する上でも、みずほグループには早期に通常の業務に復帰して、二度とこうした事態を起こすことがないように徹底的に見直しを行っていただきたいと思います。今週末G7がございますので、ワシントンでまたこういう話を少し、よく聞いてまいりたいと思っております。
 日本銀行としましては、みずほグループに対して、今回の件に関して詳しい報告を求めておりますところです。また、今後考査を行うに当たりましては、こうしたリスクを十分注視して調査してまいりたいというふうに思っております。
○阿部委員 みずほファイナンシャルは、先回社長もお越しくださいましたが、三千万という口座を持つ世界最大のメガバンクだというふうに承っておりますし、日本銀行といたしましても、日本のメガバンク化、四大大手銀行の最大のメガバンクが今回の不祥事を引き起こしたということにおいて、今後の我が国の金融システムのあり方ということ、このことから学んだ教訓について一言、これも速水総裁にお願いいたします。
○速水参考人 電子ビジネスというものがこれだけ普及しておるわけでございますから、それを最もよく利用されているのが大金融機関、大きな銀行の振替の機能とか、自動振替あるいは自動引き出しといったようなことが便利に、大衆によって、市民、家計の非常に便利なツールになっておるわけです。そういう広まったツールの中で、今回のような、恐らく初めての大きな、今までにない大きな統合であったわけで、準備もかなり綿密にやってきたに違いないと思いますけれども、やってみると、ああいった巨大な資金が動き始めると、やはり電子機械の限界があらわれてきたといったような感じもしないではありません。
 したがいまして、今回のトラブルの原因や、何が、どこが足りなかったのかということをみずほグループからもこれからよく聞きまして、今後の参考にしてまいりたいというふうに思っております。
○阿部委員 金融等に対して素人の私から見れば、何かとても恥ずかしい事態であるというふうに認識されるわけです。そして、日銀も、今後電子システムの考査も含めて指導を行うということでありますので、ぜひとも、我が国の名誉のためにも、きちんとした危機意識を持って対応していただきたいとお願い申し上げます。
 次に、量的緩和ということについてお伺いいたしますが、日銀が量的緩和という政策をとりましてから一年が経過しておりますが、まず総括を伺いたいと思います。特に、量的緩和によって銀行側には潤沢な資金を供給しておるが、そこからなかなか中小企業などへの貸し出しが、短観などの統計結果を見ても、現実にはふえていない。
 きょう午前中の質問で、かなり山本委員が、実質金利が高いからだというふうな御指摘もありましたが、それのみが要因ではないと私は認識しておりまして、逆に、この中小企業への貸し出しをふやすために、どのような改善点を日銀としてはお考えの中にお持ちなのか、お答えをお願いいたします。
○速水参考人 金融機関が不良債権問題への取り組みを強めていく中で、信用力の低い先に対して貸し出し姿勢を慎重化させていくという面があることは、これは事実でありますし、これまた、ある程度仕方のない流れだというふうに思います。加えまして、景気の低迷が続くもとで企業の資金需要が減退していることも、貸し出し減少の大きな要因であろうかと思います。
 日本銀行の思い切った金融緩和の効果が企業にまで及んでいくためには、一つには、迅速な不良債権処理などを通じて金融機関の資金仲介機能を強化していく、強化を図ってもらいたいということ、第二には、税制改革や規制緩和も含めて、経済、産業面の構造改革を進めて、企業の前向きの活動、需要を引き出していくということの両方ではなかろうかというふうに思っております。
○阿部委員 従来からいただいている御答弁ではあるのですが、果たして不良債権処理問題につきましても、これも速水総裁が新聞紙上等で御発言でございますが、大手銀行の自己資本比率は二〇〇一年三月末で一一%というふうに出ておるが、公的資金を除き、また税金資産も米国基準並みに限度を設けると、自己資本比率自体が七%程度になるのではないかというふうにコメントされておられます。
 私は、実はいつもこの委員会で柳澤大臣に御質問いたしますと、我が国の自己資本は十分であるというふうな御答弁がいつも返ってまいりますので、日銀サイドから見た自己資本のありようと金融庁から見た自己資本のありようがそんなに食い違ってしまっては、我が国の金融政策が大きく違ってしまうのではないか。その一つのあらわれが公的資金の注入問題にも反映するのかなと思います。
 再度確認ですが、速水総裁がごらんになるところの我が国の自己資本比率、ある意味で水膨れという表現をとる方もございますし、生保会社との持ち合い株で五千から六千億を積み上げておる等々の問題も午前中も指摘されていたやに思いますが、自己資本比率の認識について、速水総裁の御見解をお願いいたします。
○速水参考人 今、現時点で資本不足に陥っている先があるとは認識しておりません。御承知のように、BIS規制というのがあって、金融機関の持つ自己資本が、国内だけのものは四%、海外と取引をするものは八%以上なければいけないというのが国際的なルールでございます。そういう意味で、今回のように一〇%以上あるということは、それで国際的には通用するものだというふうに思います。
 私がかねがね申しておりますことは、この一〇%の中に、かつて出した公的資本のかなりの部分、そしてまた、税金の前払いといいますか繰り延べ税制というものが、これはさっきも申しましたが、アメリカと日本だけで自己資本に算入しているわけですけれども、そういうものを、これもこの先、動きがなくなれば使えないものでございますから、そういうものを差し引いた、本当の資本といってはおかしいですけれども、コアキャピタルと呼んでいますけれども、ティア1から公的資本と繰り延べ税金資産を除いたもので見ますと、資本は必ずしも十分でないということになると思います。繰り延べ税金資産というのは、今申し上げましたように、将来の収益を見合いとしたものであるほかは、今の公的資本も民間資本にいずれ置きかえていくべきものであるというふうに考えます。
 このために、日本の金融機関はもっと収益力を強化して、コアキャピタルをふやしていくことによって資本金をふやして、不良貸し出しもそれを使って償却していく、これが中長期的に必要な事項だ、今すぐではございません、中長期的にこれを目指してもらいたいということを言っておるわけでございまして、当面の、今の公的資本が不足であるとか不足でないとかいうことにつきましては、別に意見は違っておりません。
○阿部委員 金融という国境を越えた経済が動く指標になるものにおいて、我が国の自己資本比率の考え方が国際的な水準に満ちていないということは重大な問題かと思います。それの期間、国際的な基準に合わせる期間をどのくらいに置くかという多少の猶予はあったとしても、私自身は、やはり公的資本の注入が、それが一番よい手だとは思いませんが、やはり厳密に考えていかないと大きな過ちを犯すのではないか。そして、その間における速水総裁と柳澤金融大臣の本当に実際を詰めたお話を、ぜひとも責任者においてやっていただきたいと思います。
 そして、今の速水総裁のお話は、すぐの問題ではないと。すぐの問題ではないということは、日本の経済が構造改革を進め、ある程度不良債権の額も減り、その中で自己資本比率も安定的なものになっていくというお見通しも一方であろうかと思いますが、しかし、何度も申しますが、世界経済の速さからいけば、それで追いつかないかもしれないわけです。また、今回のみずほのシステム障害等々が世界に与える不安感も私はやはりあると思います。
 そして、あわせて、きょうぜひともお伺いしたいのですが、不良債権問題と構造改革というふうに、いつも我が国の現在の金融の不安定状況については因子が出されておりますが、私自身が疑問なのは、我が国の金融をつかさどる方たちの能力、これは、果たしてどういう形でこれからの金融の担い手を育てていくのか。あるいは、いわゆる世で言う目きき、どこに貸し出しをし、どのような収益を上げていくのかということについて、日銀として金融業界にどのような教育をお考えであるのか。とにかくマンパワーを十分に教育していかないと、これから太刀打ちできないのではないかということを指摘する外国人アナリストもあるように思いますが、教育的な金融行政に、金融行政だけではないですね、金融という中でお仕事をしておられる方たちの能力アップのために、何を日銀としては考えておられますでしょうか。
○山口参考人 先ほど来、不良資産問題あるいは自己資本比率といったことを中心に総裁の方から考え方を述べさせていただいておりますけれども、金融機関のバランスシートを健全な状態に戻すということは、我が国の金融システムが健全な状態で経済成長を支えていく役割を果たす重要な第一歩ではありますけれども、決してそれで事足れりということではないと思います。
 やはり金融機関というのがリスクをとりながら経済成長を陰に陽に支えていくという役割を担うわけでございますから、御指摘のとおり、金融機関の内部に、さまざまなリスクというのを的確に評価して、それに適正な値段をつけるという力が備わってこないと、真の意味で金融システムの再生ということにはならないのだろうと思います。
 そのことは、金融機関が、みずからの将来に向けての収益確保の最大の課題として恐らく日夜真剣に考えている課題であろうというふうに私は確信しておりますが、実際には、これは言うべくしてなかなか実現することに時間もかかりますし、極めて難しい課題ではないかと思います。
 どうやって実現していくことができるのか、別に私どもに妙案があるわけではありませんけれども、過去数十年間の我が国の金融機関の経営環境というものを虚心に考えた場合には、やはりこれまで以上に市場の競争圧力というものになれてもらい、その風圧に耐えながらみずからを鍛え上げていくということしか多分ないのではないかというふうに思います。
 非常に抽象的なことを申し上げて恐縮でございますけれども、そういう中から金融機関が真のリスクを評価する力を養っていただきたいというふうに思っております。
○阿部委員 今回のみずほのような事態があると、競争しようにも、非常に不安と不信と落胆を買うと思うのであります。ですから、今おっしゃられた理念と現実の金融のあり方の乖離を埋めていくために、日銀としてもう少し積極的なマンパワーの育成ということを、知恵の集まりでしょうから、ぜひお考えいただきたいと思います。
 そして、もう一度速水総裁にお伺いいたしますが、いわゆる日銀の役割の中に、デフレ対策について、これ以上日銀としてやれる手があるのか否か。量的緩和ももうこれ以上というところまで参っておりますし、デフレ対策として日銀が果たせる役割が、ほぼこれで手詰まりであるのかどうか、その一点についてお教えください。
○速水参考人 日本銀行は、既に昨年三月にデフレ脱却に向けた断固たる決意を表明して、思い切った金融緩和を行ってまいりました。
 この結果、短期金利はほぼゼロに低下しておりますほか、マネーベースも極めて高い伸びとなっております。このような金融緩和というのは、金融市場の安定確保を通じて景気の底割れを防止するという点で、大きな役割を果たしてきたと思います。しかしながら、日本経済がさまざまな構造問題を抱えているもとで、家計や企業の経済活動が十分活性化するに至っていないということは、先ほどから申し上げておるとおりでございます。
 日本銀行は、今後とも金融市場の安定確保と緩和効果の浸透に全力を挙げていく方針であります。同時に、こうした金融緩和が力強い効果を発揮するためには、金融システムの強化や経済、産業面での構造改革を進めていって、民間需要を活性化させていくことが不可欠であるというふうに思っております。
○阿部委員 先ほどの中塚委員の御質問の繰り返しになりますが、そうであれば、そのような御意見を積極的に関連の政府の会議でもお述べいただきたいと思います。
 やはり国民全体、この困難な時代をどうやって切り抜けていこうかというところで、お互いに、あなたが悪い、こっちが悪いとやっていてもいい案は出ませんし、経済も浮かびませんので、量的緩和がこれ以上の効果を生まないのであれば、他の施策を率先して提言して、あるいは御自身の役割としてもお考えいただきたいと思います。
 最後に、長い間お待たせいたしましたが、塩川財務大臣にお伺いいたします。
 今週末のG7、まず何をメッセージされますおつもりでしょうか。そして、先ほどの国債の格付、心外であるという御見解でもありましたが、そのことについても何らかのコメントをなさいますでしょうか、お願いいたします。
○塩川国務大臣 今回のG7は比較的重い会議にはならないと思っております。といいますのは、六月にサミットがございまして、それに対する準備的な会議になろうと思っております。
 とはいえ、この会議を四月二十日に開くわけでございますから、主たる議題としては、テロ資金の扱い方の問題があるということ、それから各国の経済状況の報告があるということでございます。それともう一つは、国際開発基金の扱いをめぐります議論があろうと思っております。
 それぞれ私の方も、今黒田財務官を中心にいたしまして、関係国と協議をして、私の方の発言の要綱等をまとめておるところであります。
○阿部委員 六月のサミットの準備ということの主な目的であるというお話でもございましたが、とりわけて、今塩川財務大臣のお答えのテロ資金の扱い、あるいは国際開発基金ということは、世界平和に向けて、我が国が一定程度の経済力を持ち、なおかつ何ができるかという大きな政治の流れの中での会議かとも思います。
 この間、有事法制化の問題も論議に上っておりますが、ぜひとも、我が国としてどのような平和的な貢献ができるか、この財力を持った我が国が、ある意味でその財力ゆえに、塩川財務大臣もおっしゃるように、国債の格付は我が国の実態を見ておらぬなということにもなるのだと思いますから、明確なやはり世界平和へのメッセージを行っていただきたいと思います。
 あと、あわせてもう一点お伺いいたします。
 先ほどから税制の問題で、増税か減税か、いろいろなめり張りをつけた政策、施策が必要になると思いますが、私がきょうここでお伺いしたいのは、数日前、新聞を読んでの質問で恐縮ですが、御高齢者で比較的裕福な方につきましては、年金をお受け取りにならないかわりに相続税とかのところで優遇をしてはどうかと財務大臣がおっしゃったように出ておりましたが、一方の年金問題は社会保障政策で、一方の相続税は税制の問題でございます。確かに名案、妙案かもしれませんが、やはり社会保障政策としてきちんと論議すべき場と税制として論議すべき場が、今はおのおの別になってございます。
 塩川大臣がそのような御見解をお持ちであるとしたら、これからどのようにその論議を、どこの場でプロセス立てて進めていかれるのか。その一点できょうの質問を終わりますので、よろしくお願いします。
○塩川国務大臣 これは全く私の、一つの長い間考えておった考えをまとめて発表したようなことでございますが、今、御存じのように高額所得者の年金は半額支払い停止されておりますね。それから、中等程度の所得者に対しましては四分の一を支払い停止されておる。そういう法律があるのを、阿部さん、これは御存じでございますね。
 そうすると、この事実に基づいて私は調査いたしましたら、年収二千万円以上の方が相当、何万とおられます。この方々で年金を取っておられる方が二七%、約三分の一おられます。この方の年金が、半額控除になっておるんですけれども、その方々の年金が、指定銀行に積み立てられたまま、つまり振り込まれたまま、全然手をつけていないのが随分あるんです。そうであるとするならば、こういう方々は活発な経済活動をお年寄りでもやっておられるのでございますから、年金をむしろ辞退してもらって、そして年金の若い人の負担を軽減するということも考えられるのではないかと思うんです。
 ただし、年金は契約でございますから、若いときに掛けておいた年金が年いってもらえないということは、これは不公平な、また保険の精神に反しますから、したがって、当然受けるべき権利のある年金の受給額を、これを削られた場合、排除された場合、その分を積み立てておいて、その方が亡くなって相続財産の移譲をするときに、その財産額から引いてあげればいいのではないか、こういう考えを私は持っておるんです。そうしますと、年金を掛けてきた人も、高額所得者であった人も、それだけの権利はどこかで生かされてくるではないかということを思っておるんです。
 これはいろいろと社会政策的な、あるいは福祉、あるいは税の理論、いろいろな点から問題はありましょうけれども、一応私が考えたことで、幼稚なことでございますけれども、よかったら御意見を言っていただいたら結構だと思います。
○阿部委員 どこの場で論議をなさるような組み立てをお考えかということで、きょう第一弾を伺いましたので、時間の関係で、追って後日また見解を述べさせていただきます。ありがとうございました。
○坂本委員長 以上で本日の質疑は終了いたしました。
 参考人におかれましては、長時間大変御苦労さまでございました。
     ――――◇―――――
○坂本委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 金融に関する件、特に主要行に対する特別検査の結果等について調査のため、来る二十四日水曜日午前十時、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○坂本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 次回は、来る二十三日火曜日午前九時十分理事会、午前九時二十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時七分散会