第155回国会 決算行政監視委員会 第2号
平成十四年十一月十四日(木曜日)
    午前九時三十分開議
 出席委員
   委員長 山口 俊一君
   理事 浅野 勝人君 理事 奥谷  通君
   理事 御法川英文君 理事 持永 和見君
   理事 木下  厚君 理事 松崎 公昭君
   理事 山名 靖英君 理事 塩田  晋君
      石田 真敏君    植竹 繁雄君
      江藤 隆美君    大木  浩君
      小西  理君    菅  義偉君
      橘 康太郎君    谷  洋一君
      中村正三郎君    額賀福志郎君
      橋本龍太郎君    宮腰 光寛君
      宮路 和明君    武藤 嘉文君
      村上誠一郎君    森岡 正宏君
      森田  一君    井上 和雄君
      上田 清司君    金子善次郎君
      今野  東君    齋藤  淳君
      手塚 仁雄君    楢崎 欣弥君
      葉山  峻君    平野 博文君
      山田 敏雅君    神崎 武法君
      大森  猛君    穀田 恵二君
      藤木 洋子君    山口わか子君
      中村喜四郎君
    …………………………………
   財務大臣         塩川正十郎君
   国土交通大臣       扇  千景君
   国務大臣
   (内閣官房長官)     福田 康夫君
   総務副大臣        若松 謙維君
   外務副大臣        茂木 敏充君
   財務副大臣        谷口 隆義君
   国土交通副大臣      吉村剛太郎君
   会計検査院長       杉浦  力君
   会計検査院事務総局次長  関本 匡邦君
   会計検査院事務総局事務総
   長官房総括審議官     友寄 隆信君
   会計検査院事務総局第一局
   長            石野 秀世君
   会計検査院事務総局第二局
   長            増田 峯明君
   政府参考人
   (人事院事務総局勤務条件
   局長)          大村 厚至君
   政府参考人
   (内閣府国際平和協力本部
   事務局長)        小町 恭士君
   政府参考人
   (防衛庁人事教育局長)  宇田川新一君
   政府参考人
   (法務省刑事局長)    樋渡 利秋君
   政府参考人
   (厚生労働省大臣官房審議
   官)           新島 良夫君
   政府参考人
   (厚生労働省大臣官房審議
   官)           小林 和弘君
   政府参考人
   (厚生労働省社会・援護局
   障害保健福祉部長)    上田  茂君
   政府参考人
   (厚生労働省老健局長)  中村 秀一君
   政府参考人
   (社会保険庁運営部長)  磯部 文雄君
   政府参考人
   (国土交通省総合政策局長
   )            三沢  真君
   政府参考人
   (日本政策投資銀行総裁) 小村  武君
   参考人
   (日本放送協会専務理事) 板谷 駿一君
   決算行政監視委員会専門員 小林 英紀君
    ―――――――――――――
委員の異動
十一月十四日
 辞任         補欠選任
  森岡 正宏君     菅  義偉君
  手塚 仁雄君     上田 清司君
  穀田 恵二君     藤木 洋子君
同日
 辞任         補欠選任
  菅  義偉君     森岡 正宏君
  上田 清司君     手塚 仁雄君
  藤木 洋子君     穀田 恵二君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 平成十二年度一般会計歳入歳出決算
 平成十二年度特別会計歳入歳出決算
 平成十二年度国税収納金整理資金受払計算書
 平成十二年度政府関係機関決算書
 平成十二年度国有財産増減及び現在額総計算書
 平成十二年度国有財産無償貸付状況総計算書

     ――――◇―――――
○山口委員長 これより会議を開きます。
 平成十二年度決算外二件を議題といたします。
 本日は、全般的審査を行います。
 この際、お諮りいたします。
 各件審査のため、本日、参考人として日本放送協会専務理事板谷駿一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
 引き続き、お諮りいたします。
 各件審査のため、本日、政府参考人として人事院事務総局勤務条件局長大村厚至君、内閣府国際平和協力本部事務局長小町恭士君、防衛庁人事教育局長宇田川新一君、法務省刑事局長樋渡利秋君、厚生労働省大臣官房審議官新島良夫君、厚生労働省大臣官房審議官小林和弘君、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長上田茂君、厚生労働省老健局長中村秀一君、社会保険庁運営部長磯部文雄君、国土交通省総合政策局長三沢真君、日本政策投資銀行総裁小村武君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
    ―――――――――――――
○山口委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。菅義偉君。
○菅(義)委員 おはようございます。自由民主党の菅でございます。早速質問をいたします。
 本年の四月二十八日、NHKでスペシャル「奇跡の詩人」を放映しました。これについてでありますけれども、その内容は、重い脳障害を持つ十一歳の児童が五十音の文字盤を指で指すことによって会話をする、そして二千冊にも及ぶ哲学書や天文書を読んで、詩集やエッセーを出して疲れた大人をいやしている、そういう内容の放映でありました。
 しかし、これが一たん放映をされるや、その真偽について大きな反響があったわけであります。文字盤というのは母が右手で児童の左手にぱたぱた当てていること、その左手も母の左手で甲の上から持たれていること、児童が寝入った後も文字盤の跡がついていること、実は文字盤がなくてもこのようなことができると父がエッセーに書いてある。
 さらに、インターネット上やマスコミからも大きな反響があったわけでありますけれども、これはほとんど批判的な内容でありました。さらに、この番組を批判する書籍さえ緊急に出版をされる。脳障害を持った親御さんだけでなくて、医師や理学療法士、言語聴覚士やいわゆる専門家と言われる人からも批判の声が上がって、この九月には言語聴覚士から、またこの十月には小児神経学会からも質問書がNHKに出されている、こういうふうに伺っております。さらに、この番組ではエッセーの作成過程も紹介をされて、出版社の編集者が訪れる、このことも実は放映をされておりました。
 実は、私は、横浜の市会議員当時から脳障害児を持つ親御さんの会の顧問をしておりまして、この問題については関心を持って取り組んできておるわけであります。もし、この奇跡が事実であれば、まさに障害を持った親御さんというのはわらにもすがるような気持ちでありますから、大きな福音であったと私は思います。しかし、この紹介をされているドーマン法そのものは余りにも大きな問題があり、さらにこの番組は科学的な検証をしたということが番組から見られない。私は、放送法からも大きく逸脱をした内容であったというふうに思っておりまして、今ここで、これ以上放置することはできないという思いに立って質問をいたします。
 このいわゆるドーマン法でありますけれども、これは、医師でないグレン・ドーマン博士がアメリカで開発をし、人間能力開発研究所で始めたプログラムである。そして、二十四時間の厳しい訓練、あるいは親御さんやボランティアの多くの人たちが参加して実際訓練をしている。そして、このドーマン法というのは、年二回の講習で百万円前後のお金もかかるんですね。親御さんにとっては、この設備やあるいは時間的な拘束も物すごく大きいものなんです。
 そして、アメリカやカナダでは、医学学会や障害者団体からこの問題点を指摘されて、共同声明まで実は出されている方法であります。さらに、あの番組の中で、文字盤に手をぱたぱたしていました、いわゆるFCと称されるものでありますけれども、これもアメリカでは諸学会から批判をされて、今や信頼性がほとんど否定をされているのが実態であるというふうに私は思っています。
 まず、これは厚生労働省にお尋ねをしたいんですけれども、このドーマン法について国はどんな認識を持っておられるのか、お尋ねをします。
○上田政府参考人 ドーマン法につきましては、その内容や考え方が医学的に必ずしも明らかではございませんが、米国の小児学会において、ドーマン法は有効性が認められないとの見解を出していると承知しているところでございます。また、日本の小児神経学会におきましても、今回の番組の放映を受けて、米国小児学会の声明を引用した上で、ドーマン法については多くの批判があるとの見解を示しているところでございます。このように、専門家の間では、ドーマン法は脳に障害を持つ児童に対し一般的に用いられる手法ではないものと認識されていると私どもは承知しているところでございます。
○菅(義)委員 NHKの板谷専務理事、今お聞きになったと思いますけれども、まさにこのドーマン法というのは今のような状況のものなんです。NHKは、これを放送するに当たり、六カ月間この家族と専門家の皆さんに取材した、こういうことでありますけれども、しかし、実際に障害児や家族に援助をしてきた児童相談所や養護学校には取材はしていない、実はこうも言っています。では一体、この家族とボランティアや人間能力開発研究所以外のどんな人に取材をしてこの番組をつくったのか、まず最初にお尋ねをします。
○板谷参考人 まずお答えしておきたいんですけれども、この番組というのは、リハビリ法としてのドーマン法を紹介したものではございません。脳に障害を持つ十一歳の少年が、お母さんの介添えを受けながら、非常に心を打つ詩を書く、その姿を描いて、障害を持つ少年に秘められた可能性とか少年の詩の豊かなメッセージを伝えるということをねらいとしたもので、番組の中で、四十九分のNHKスペシャル、長い番組ですが、その中でドーマン法という言葉は二回しか出てきません。少年がドーマン法でリハビリを行っている事実のみを伝えて、ドーマン法については肯定も否定もしていません。
 ただ、番組の取材の初期の段階から、さまざまな形で私どもとしては調査をいたしました。国公立大学病院のリハビリを専門としている院長先生とか、運動生理を専門とする大学の医師とか、脳障害児の教育に当たっている教育関係の方々、そして、ドーマン法がどういうふうに専門家の間で位置づけられているかということを確認いたしました。そして、制作になりました。その後も、リハビリとか脳神経学、小児神経学を専門とする医者にも取材を念入りにやったわけでございます。
 いろいろな方々の御意見では、ドーマン法というのはアメリカで否定的にとられたリハビリで、先生も御指摘のように、患者や親の負担が大きいので勧められないという専門家もいましたが、同時に、一方で、ドーマン法で成果を上げているケースがあることは知っている、ドーマン法のリハビリでは、決められた方法でさまざまに体を動かして長時間にわたって肉親と接触するというようなこともあって、それが脳への刺激となっていい結果を生むのではないか、自分は積極的には勧めないけれども、そういう方法もあり得るのではないか、そういう見解の先生もたくさんいました。
 したがって、我々としては、ドーマン法やFCがリハビリとしてすべての人に有効というものではない、しかし、有効である場合もあるし、有効でない場合もあるというふうに理解しております。
○菅(義)委員 今、そういう答弁でありましたけれども、私も関係者を含めていろいろな方に聞いてみましたけれども、全く違う事実を私は聞いております。
 さらに、NHKでは五月十一日に釈明放送をしました。児童の意思を示したものであるということをプロデューサーが出演して言っていましたけれども、この問題というのは、この奇跡が事実かどうかということであって、本来であれば、これは専門家を呼んで検証するのが当たり前じゃないでしょうか。全くあの釈明の放送からはそうしたことが見られなかった。私は、やはり国民は客観的事実を求めているわけでありますから、あれは余りにもお粗末過ぎた内容だったと思いますけれども、いかがですか。
○板谷参考人 先ほど申しましたように、この番組は、ドーマン法の当否を紹介している番組ではございません。ドーマン法は、先ほど申しましたように、有効な場合もあるし、無効な場合もあると考えております。
 そして、取材班については、今回のケースについて、少年に接触した段階から六カ月にわたって子細にいろいろなことを点検して、番組上問題はないという結論に達しました。六カ月にわたって、これは本当のことなんだろうかという疑念から始まって、さまざまな検証、調査をして、これで間違いないというふうに自信を持って出したものでございます。
○菅(義)委員 専務理事はNHKを代表する方ですよね。放送法というのをもちろん御存じだと思いますよね。放送法の三条の二、何て書いてありますか。「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」ということ、これは放送法に書いているんじゃないですか。さらにまた、「報道は事実をまげないですること。」というふうにも書いていますよ。これだけ両極端な議論がある、そしてアメリカやカナダではこのことを認めていない、そのことを結果的には、あの番組を見た人は、あたかもドーマン法が正しい、ドーマン法によってあのような奇跡が起きた、こう思うのが当たり前じゃないでしょうか。私は、こうした放送法に抵触しているんじゃないかなと思いますけれども、この点について。
 さらには、この一民間療法にしかすぎないドーマン法について、改めて専門家から取材をして客観的な番組をつくるべきじゃないか、こう思いますけれども、これについてはどうですか。
○板谷参考人 まず、お断りしておきたいんですけれども、先ほどもありました、米国小児学会がドーマン法については科学的に証明されていないという趣旨の声明を出しているということで、これは私どもも承知しています。
 それで、我々としては、その小児学会の障害児委員会のメンバーである研究者、大学医学部小児科の研究者に声明の意図について問い合わせました、直接聞きました。そこでは、お答えとしては、委員会で問題にしたのは、この治療法には、家族全体がかかわり、かなりの時間を費やすため、他の通常の治療を受ける時間がなくなる、そういう心配があったということ、それから、科学的に証明はしっかりはできていないということ。ただ、この委員は、同時に、ドーマン法は一種の接触療法であり、親などが非常に長時間子供と接触し続ける、これがある種のプラスの効果をもたらす可能性があり、訓練を全面的に否定するものではないとも答えているわけです。ですから、ドーマン法というのは、そういうふうに、有効な場合もあるし無効な場合もある、賛否両論があるということは十分承知しております。
 それから、放送法において、意見が対立する場合には公平に扱うことというふうな条項については、十分認識して日ごろから私どもは番組制作に当たっているつもりであります。ただ、今回の番組は、再三繰り返しておりますが、ドーマン法が正しいかどうかということを論ずる番組ではないんですね。ドーマン法については、言葉は、さっき言ったように、四十九分に一回しか出てこないというようなものですから、つまり、ドーマン法の正否を論じるような番組であれば両方の論点を出すべきだというふうに思いますが、今回のケースは、そういう放送法の規定に抵触するとは考えておりません。
○菅(義)委員 それは、答弁に余りにも無理があると私は思いますよ。あの番組を見た方は、ドーマン法の訓練によって奇跡が起きたと思うのが当たり前じゃないですか。専務理事、そのことの認識が余りにもこの期に及んでなさ過ぎると私は思いますよ。もう一回答弁してください。
○板谷参考人 障害を持つ親御さんからは、先生御指摘のように、いろいろなリアクションがありました、番組を見た後。自分の子供もこの少年と同じような能力を発揮しているというのを今まではだれにも信じてもらえなかった、この放送をしてもらったことで初めて信じてもらうことができて大変よかったというのもありました。それから、あるいは、障害を持つ親から、ドーマン法をあなたも子供にやればいいんじゃないか、やらないのはまずいんじゃないかというふうな、怠慢じゃないかみたいなことを言われたというリアクションもありました。それから、あのような厳しい訓練をするドーマン法は自分の子供にはさせたくないというような意見もあって、非常に多様な意見があったんですね。
 ですから、反響から見る限りは、いろいろな受けとめ方がされたなというのが私の認識でございます。まずそのことだけをお伝えさせていただきます。
○菅(義)委員 あの番組は、どう見ても、ドーマン法によって奇跡が起きたと見られても仕方がない番組ですよ。私は、もう少し謙虚になってこれは反省すべきであると思いますよ。
 さらに、もう一点でありますけれども、放送法四十六条の一項では、日本放送協会は、他人の営業に関する広告放送をしてはならないということがあります。
 あの番組の中で、東京の出版社と表現された講談社の人が取材に行っていることが放映をされておりました。そして、放送のわずか九日後の五月七日付にその本は発刊されているんです。NHKのホームページでは、今でもこれは紹介されているではありませんか。講談社の担当編集者の人は、NHKから出版日を放映の後にしてほしいという要請を受けた、こう申しておられます。そうして、本に巻かれている帯には「NHKスペシャル「奇跡の詩人」四月二十八日放映、大反響」、こういう形でこの本を売っているわけであります。
 これは、明らかに放送法に違反をして宣伝をしたと受けとめられてもしようがないんじゃないですか。これについてはどうですか。
○板谷参考人 お答えいたします。
 放送法の第四十六条一項には、先生御指摘のように、「協会は、他人の営業に関する広告の放送をしてはならない。」というふうにございます。ただ、番組の中では、本がいつ、どの出版社から発売されるかというような広告に当たるような情報は、放送の上では一切流していないんですね。したがって、広告放送をしてはならないという放送法第四十六条一項に違反しているとは考えておりません。
 ただ、出版社が、いわゆる腰巻きなどでNHKの名を持ち出して宣伝する行為があったことは事実なんですね。私どもは、事前に、これは何とか避けてほしいな、好ましいことではないのでと、とめてもらうように出版社にお願いいたしました。ただ、これは放送法四十六条の範囲外ということで、残念ながら、どうしても私どもの意見を聞いてもらうことができませんでした。
 それから……(発言する者あり)そのことを今これから申し上げようと思ったんです。
 あの番組については、もうちょっと説明をきちんとすべきだった。少年は、お母さんとだけじゃなくてお父さんとやっている部分でも、余りスピードはなしだけれどもコミュニケーションすることができるとか、ボランティアでもできるとか、そういうのをたびたび見ているわけですから、そういうのをきちんと入れればもうちょっと説得力のある番組じゃないのかというふうなことについても、私どもとしては謙虚に考えなければいけないというふうに思っております。
 それから、少年が介助なしで意思を表現できる方法を身につけたいということです。今、目線で、目の動きでパソコンに入力するとかそういう方法もあるようなので、そういうものを採用するかしないかというふうなことを御家族と相談するとか、いろいろな形で今後の少年を見守るような、フォローするような番組をしたいし、その中を通じて、今言ったような疑念をいささかでも晴らすような努力はしなくちゃならない。御批判は謙虚に受けとめながら、今後の参考にして進めていきたいというふうに思っております。
○菅(義)委員 結果的に、今いろいろな言いわけを言っていますけれども、それはドーマン法を推奨したり本の宣伝につながったんじゃないでしょうか。
 私は、NHKというのはまさに公の放送機関でありますから、こうした視聴者の声に謙虚に耳を傾けて、そして疑問を解いていく責任というのはあると思いますので、これからの対処の仕方に期待をしたいと思いますし、ぜひお願いします。
 以上です。
○板谷参考人 今おっしゃったようなことは謙虚に受けとめながら、今後の番組制作にきちんと生かすように努力していきたいと思います。(発言する者あり)十分に認識しております。
○菅(義)委員 どうもありがとうございました。
○山口委員長 次に、上田清司君。
○上田(清)委員 民主党の上田清司です。よろしくお願いいたします。
 まず、厚生労働省にお願いいたします。
 社労士の資格試験で、こういう文言が問題文の中にありました。生活の基本的な部分を全国民に保障するという役割を反映して、公的年金には基礎年金給付費や事務費に対する国庫負担が行われ、保険料も所得税法の規定により、所得金額からの全額控除がなされている。これに対して、民間の個人年金の場合はこれらの措置がなく、保険料の相当部分が事務費として使われているという面において、公的年金は有利な仕組みであると言える、こういうふうに文言があるわけです。
 これは選択試験の五の部分で出ているんですが、ちょっと書き方に違和感を感じます。民間のは保険料の相当部分を事務費に使っていると。相当部分という文言も、一部という感じではないような気がいたしますし、それと、どだい仕組みが違う話をもって有利だ不利だということを言うこと自体に私は非常に問題があると思いますが、この問題に関して、厚生労働省として、こういう問題は私は非常にまずいと思っていますので、基本的な見解を聞きたいと思います。
○磯部政府参考人 社会保険労務士試験は、昭和四十四年度から……(上田(清)委員「余計なこと言わなくていいですから」と呼ぶ)平成十二年度からは、社会保険労務士法十条の二に基づきまして、国が行っていた試験事務を全国社会保険労務士会連合会に委託して実施しております。
 この連合会におきましては、試験を実施するに当たりまして、同労務士法第二十五条の二十一の規定に基づきまして、学識経験者から成る試験委員を選任し、試験問題の作成についても、試験委員によって構成される試験委員会の責任において行うこととなっております。
 御指摘の問題は、こういう中で、試験委員会におきまして十分な審議の上、適切な問題として採用されたものと承知しております。
○上田(清)委員 適切だと。では、相当部分というのは何%なんですか。
○磯部政府参考人 ただいまも申し上げましたとおり、試験問題につきましては、試験委員会の責任において行われておりますので、私が答えるのは難しいと思います。(上田(清)委員「答えになりません。そんないいかげんな答弁じゃだめだよ。委員長、注意してください」と呼ぶ)
○山口委員長 再度質問してください。
○上田(清)委員 答弁になりません、今のでは。概要の説明を聞いているんじゃないんだから。価値判断を聞いているんだから。
○磯部政府参考人 試験問題の内容につきましては、試験委員会の責任において行われておりまして、その試験委員会において適切であると採用されたと承知しております。
○上田(清)委員 承知しているという話をしているんじゃないんですよ。試験問題をやっているんだから、そういうのは当たり前のことでしょう。
 そうじゃなくて、後で注意をしたいと思います。後で来てください。この問題できょうは時間を費やしたくないと思っていますから。簡単に、これは問題があるから検討しますと言えばいい話ですよ、そうでしょう。民間とは年金の仕組みが違うんだから。それを一方的に、公的年金の方がすぐれている、有利だなんという、こんな変な誘導をしちゃいけませんよ。
 そうじゃなくても、年金福祉事業団、年金資金運用基金で、十四年間で三兆円大穴をあけて、この四分の一半期で八千億も損失を出しているじゃないか。何が有利だ。とんでもない話じゃないですか。
 ともかく、済みません、次に移ります。
 実は、調整手当というものが都市部を中心に基本給に上乗せされている制度、この制度そのものは私は悪いとは思いません。ただ、東京都に勤務していて、そして仮に鳥取なら鳥取に行くと、東京都でついている調整手当の一二%が、三年間異動保障ということで、鳥取で勤務していてもついてくる、こういう制度がいつの間にかつくられている。この問題点をさきに明らかにして、そこの新聞報道にあるとおりであります。
 そこで、問題なのは、この異動保障のある意味での資格を取るために、例えば一週間とか一日とかわざと、本当なら鳥取から秋田に行けばいいものを、東京に一たん来て秋田に行けば、またまた三年間異動保障がついてくる、こういう仕組みをやっている可能性があるのではないかということで、私は少し調べましたところ、どうもこういう実態がありそうだというふうに至りました。
 そこで、人事院にお伺いしますが、早速、私の質疑の後四日目ぐらいに、関係省庁を全部集めて、そういう実態がないかどうかという問い合わせをしたそうであります。その問い合わせについてどのような結果だったのか、中身について教えてください。一カ月以内に何件そういうものがあったのか。
○大村政府参考人 前回、衆議院の決算行政委員会第一分科会でこういう質疑がございまして、調査をやれという要請がございましたので、早速人事院の方で調査をやらせていただきました。
 本年の八月に実施した調査でございますが、本省等に異動させて、一カ月以内に再異動をしたという事例が十四件見られました。これらの異動というのは研修等の関係で行われたと聞いておりますが、当該省庁に対しては、人事配置等を工夫しまして、疑義を招くようなことのないように要請したところでございます。
○上田(清)委員 それぞれ十四件を、何件、何日ずつだったか、言ってください。
○大村政府参考人 短期間で異動させた例としまして、七日が五件、それから十五日が一件、二十五日が八件でございます。
○上田(清)委員 七日をもって異動保障が約束されるわけですね。
○大村政府参考人 現在の給与法の規定でございますと、異動の前日における支給地域の調整手当の割合、それが、それより低いところに異動した場合には三年間保障されるという制度になっております。
○上田(清)委員 今、委員長も全議員の方も聞かれたと思いますが、七日東京に来れば、東京の調整手当が一二%、基本給に上乗せされます。仮に四十万だったら、四万八千円ついて四十四万八千円、三年間ずっと保障されるという仕組みであります。こういう制度が本当に許されるものかどうか。民間企業で、東京本社に七日間来たら、東京本社の調整手当がそのまま、秋田に行こうと、鳥取に行こうと、島根に行こうとずっとついてくる、これはどだいあり得ない話なんです。
 それで、ひょっとしたら特殊法人もこういうことをやっているんじゃないかと思って聞きましたら、やはり悪いことだけはすぐ見習うね。代表して日本政策投資銀行の総裁がおいでになっていただいているみたいです。わざわざこんなことで出てきていただくのも恐縮ですが、ありがとうございます。
 日本政策投資銀行でもこういう制度をやっておられるみたいですが、間違いありませんか。
○小村政府参考人 私ども日本政策投資銀行におきましても、公務員の調整手当に相当するもの、特別都市手当ということで設置をしております。
 ただ、私どもは全国十カ所しか支店がございませんので、東京都特別区、これは公務員が一二%のところを六%、大阪市、名古屋市については、公務員が一〇%のところを四%でございます。私ども、その他の地域には支店を持っておりませんので、支給している地域はこの二地域でございます。原則として、この地域に勤務する者が他地域に勤務した場合には、公務員同様、三年間の保障をいたしております。
 ただ、今御指摘のありました、全体で小さな規模ですから、特定の地域から地域へ移る際に一時的に東京に在籍してという人事異動はやっておりません。
○上田(清)委員 日本政策投資銀行は六%と四%なんですね。国家公務員が一二%や一〇%や六%にしていく根拠なんてないんですよ、本当の意味で。もしそうであれば、特殊法人もそのとおりやるでしょう。やっていないんですね。ほかの特殊法人も全部あることがわかりました。ただ、パーセンテージまでは調べていません。
 いずれにしても、特殊法人も見習っておりますから、多分独法も見習うでしょう。いかに国家公務員が社会の規範になっているかということを、改めて人事院はしっかりと確認してもらいたいと思います。
 そこで、資料二を回していただきたいと思います。
 それから、財務大臣、おいでいただいておりますが、このように一週間でも東京に来たら、そのまま東京の調整手当が支給される。とにかく、それだけじゃなくて、東京から地方に三年間行けば、三年間は東京の調整手当がついて回るんだと。何のためについてくるんだ、激変緩和だと。スタートは半年だったんですね、昭和三十六年に。翌年に一年になった。昭和四十二年に二年になった。昭和四十五年に三年になった。
 こういうのを何で財務省は予算上認めているんですか。財務大臣にお伺いしたいと思います。
○塩川国務大臣 この調整手当の問題等につきましては、御指摘の点もあろうと思いますし、現在、人事院において検討しておるところであると聞いておりまして、人事院の方針も決まりましたら、我々もそれに準じて適正に処理いたしたいと思っております。
○上田(清)委員 それで、露骨な事例が海上保安庁の事例です。今お手元に届いておりますが、ぜひ財務大臣も見ていただきたいと思います。
 これは、先ほどの人事院の説明の後、多分、これはやばいぞということで、本庁の総務部人事課長補佐の名前で、各部門に文書を出しております。
 「調整手当に係る異動保障について」ということで、決算行政監視委員会の第一分科会において、私の方から質疑がなされ云々ということで、そこで、調査及び検討がなされるというふうなことなもので、「なお、従来から実施していた第十一管区への」これは沖縄管区です、「異動に伴う調整手当支給地への暫定的な異動による調整手当の異動保障の適用は、これまで人事管理上の必要性に重点を置き行ってきたものであるが、同手当本来の趣旨に沿わない点もあることから、諸般の事情を考慮し、今後はこれを実施しないこととしたので併せて了知願います。」と。要するに、人事管理上やっていたと。
 これは海上保安庁、国土交通省ですね、具体的な中身は何ですか。私は知っていますけれども、あえて聞きます。
○吉村副大臣 海上保安庁における異動保障についてのお尋ねでございますが、御存じのように、海上保安庁は、離島、僻地を含め、全国あらゆる拠点で業務を遂行しておるわけでございます。したがいまして、全国的に人事管理、人事配置を行っておるところでございますが、沖縄に存在します第十一管区は、遠隔地である、また気象条件、生活環境等々によりまして、他の管区とのバランスがとれた人員また人材確保にいささか困難を来しておりまして、そういう観点から、今委員が御指摘されたような運用をしてきたのは事実でございます。
 しかしながら、不正常な運用であるという認識のもとに、今委員が指摘されましたような事務連絡によって、今後はこういうことはやらないという形をとっておる次第でございますので、どうか御理解賜りたい、このように思います。
○上田(清)委員 理解できるわけないじゃないですか。沖縄の管区に勤めている人たちが一たん東京に、勤務もしないのに一週間だけ辞令をもらって、また沖縄に戻れば東京の調整手当が沖縄管区の人につくという、こんなばかなことを、空出張の一日を三年間続ける話じゃないですか。何が理解してくださいですか。理解できるわけがありませんよ。
 何件、金額は幾らになるんですか。一年間に何人それをやっているんですか。
○吉村副大臣 平成十一年度から平成十四年度まで、合計で、受給者数が百三十八人でございます。
 具体的には、平成十一年度が四人、平成十二年度が四十六人、十三年度が四十五人、十四年度が四十三人、今申しましたように合計が百三十八、このようになっております。
○上田(清)委員 きょうは法務省も呼べばよかったですね。これは、詐欺罪だとか横領罪だとか、そういうのにもひっかかるかもしれませんから。呼んでいませんけれども。
 財務大臣、こういうのは予算上も決算上も認められるのですか、勤務もしないのに。異動保障の三年そのものの制度も、制度上問題があるんですよ。しかし、これは明らかに、勤務もしないのに、事実上書類上の手続でもって調整手当を奪うという、空出張を三年間続ける話じゃないですか。それも半端な人数じゃないですよ。財務大臣、こういうのに予算をつけますか。
○塩川国務大臣 先ほども申しましたように、この問題について、確かに一部において不合理な点もあるということは御指摘のとおりだと私は思います。でございますから、目下、人事院がこの問題の対処方針を決めておるところでございますから、私は、それが決まりましたら必ずそれを実行するようにいたしますし、また私自身も、実は、今御指摘されるようなことはうわさでは聞いておりましたけれども、実態は実は承知しておりませんでしたので、十分に勉強いたしまして、今後の方針を人事院との間で十分な情報の交換をしながら処理していくようにいたしたいと思っております。
○上田(清)委員 実は、人事院の説明会で、法務省とのQアンドAのやりとりがここにあるんですよ。法務省側から聞くんですが、「人事院としては、現在の調整手当制度については特段問題ないと認識しているものの、短期間の異動の繰り返し等で運用上悪用しているのではという問題意識を持っているのか」と。法務省は、短期間の異動保障を繰り返して、これはまずいのか、運用上悪用なのかという問題意識を持っているのかと。これは法務省自身も、盛んにやられたということを承知しているような話じゃないですか。
 それから、それに対してのアンサーとして、「調整手当そのものが不適法と国会等に認識されているとは考えていない。」当然ですね。私も調整手当はあるべきだと思っています。「異動保障についても全てが良くないと認識しておらず、三年間という期間が長いということ、短期間の異動を行って異動保障をもらうための異動があるんじゃないかということを言われていると認識している。過去にそれらしいものがあったと耳にしているが、実態として把握しているわけではなく、現在それが行われていると申し上げるつもりはない。ただ、それが行われているとすれば、我々とすればそれは不適正だと言わざるを得ない。」
 非常に遠慮深いですね、人事院。不適正と言わざるを得ないと。不適正なんですよ。しかも、行われていると申し上げるつもりはないと。行われているじゃないですか。人事院、何でこういうことがわかっていないわけ。
○大村政府参考人 その時点では、我々、調査もまだしておりません。こういう問題についてはきちっと調査をして把握すべきだということで、そういうふうに申し上げたんではないだろうかというふうに思います。
○上田(清)委員 総務省、行政監察という制度がございますが、そういう立場から見れば、この事例はどんなふうな理解をされるんでしょうか。それから、何らかの形で、このことに関して是正を求めるような措置あるいは調査なりをするつもりはあるかどうか。
○若松副大臣 現在、行政評価・監視と言わせていただいておりまして、その制度につきましては、まさに各行政機関の業務の実施状況を調査し、関係行政の改善について必要な勧告を行う、これが行政評価・監視でありまして、お尋ねの調整手当の異動保障についてでございますが、これは制度上、人事院勧告に基づく国家公務員の勤務条件として定められているものでございまして、その適否について、行政機関の業務の実施状況について行うこととされておりますいわゆる行政評価・監視の対象とすることはなじまない、このように考えております。これまでも行政評価・監視の対象としたことはございません。
 また、調整手当の具体的支給の問題、いわゆる今の異動保障についてでございますが、これは人事院が給与法の実施を確保する権限を有しておりまして、各行政機関の給与簿の検査等の所管は実は人事院が行うということでありまして、先ほども答弁がありましたように、現在人事院が調査中ということで、それをしっかりと私どもは見守っていきたいと考えております。
 一政治家としましては、やはり三年間というのがどうか。私は長いと感じておりますし、不自然とも考えておりますが、最近、ちょっと実態、いわゆる現場を見ておりませんのでわかりませんが、いずれにしても、私どもとしては、人事院はそういった民間との比較などをしながら適正な対応をしていただけるものと期待しております。
○上田(清)委員 会計検査院、これは不当支出じゃないですか。この短期間の異動で事実上勤務がないのに、書類だけを回して不正に受け取っているんではないですか。それを出しているところは不当支出じゃないですか。
○杉浦会計検査院長 御質問の件でございますが、まず第一義的に考えていただきたいと思いますのは、この制度そのものがどうかという点がもう一つございます。政策的に人事配置のために必要だという制度がございます。そして、その制度の悪用の議論が、どこまでが悪用なのか。というのは、任用者の方のいろいろな事情があると思いますが、私ども、個人的な見解も含めて申し上げていいとすれば、保障だけを得させるためにこういう制度を運用するのはいかがかと思っております。
○上田(清)委員 これは完全に悪用なんですよ。勤務の実態がないんだから、海上保安庁に関しては。それ以外にも幾つもあると思いますよ、各省庁。東京を経由して地方に渡っていけば異動保障がそのまま続く。私も農水省だけ調べましたけれども、八五%は三年以内に異動するんですよ。だから、事実上、この調整手当を半永久的にもらっているということなんですよ。
 この調整手当の計算の仕方もこれからまた検討する必要もあるかもしれませんし、それは違うところの議論ですけれども、どちらにしても、人事院はもっとしっかり、きちっとやらなくちゃだめですよ。確かに、法律をつくったのは国会でしょう。だれがどんなふうにしてどさくさに紛れてやってきたか知りませんけれども。そもそもスタート時において半年というのがあったのですから、いつの間にこれが延長されたのか、総裁は御存じですか。なぜ半年で決まったのか。なぜ一年になり、二年になり、三年になったか、その根拠というのはどうなっているのか御存じですか。御存じなければ審議官でも結構ですよ。
○大村政府参考人 調整手当につきましては、制度ができましたのが昭和四十二年でございます。その前に、勤務地手当、暫定手当という時代がございまして、勤務地手当の時代には、物価が主な指標、物価の高いところについてやったわけでございます。その場合には、生活になれるという趣旨で六カ月という規定がございました。それが、調整手当になりまして、調整手当というのは、そこで若干暫定手当、地域手当と性格が変わりまして、民間賃金を主に見るというところでございます。いわば、民間企業と人を採り合う、非常に採りにくくなったということもございまして、調整手当というのができたわけでございます。どちらかというと、民間賃金を主に考えていたところでございます。
 したがいまして、各省において人を全国に配置するわけでございますので、本省等から人を出す場合に、給与を下げてまで出すわけにはなかなかいかぬという要請がございまして、当初、四十二年のときに二年、それから四十五年に三年というふうに延長しております。これは、どちらかというと、各省の人事管理、異動を円滑にするという趣旨で延ばしてきたものでございます。(発言する者あり)
○上田(清)委員 ほら、ちゃんと与党の方から声が出ているでしょう。非常識なことをやっているんですよ。各民間ではそういうことはやらないんですよ。激変緩和措置みたいなことはあっても、激変緩和というのが三年間続いたらまたもとに戻るわけじゃないですか。三年ぐらいしかいないじゃないですか。事実上ずっとついて回るということですから、即やめてもらいたいと思いますね。内閣で原案を出してもらいたいですね。出さなければこっちで廃止法案を出しますから。
 それと、最後に聞きますけれども、罪の意識が海上保安庁はあるんですよ。諸般の事情を考慮して今後はこういうことは実施しないと。もう早速、ばれたらしようがないということでやめるということですから、それはそれで結構ですけれども、諸般の事情というのは何なんですか。
○吉村副大臣 いずれにしましても、委員御指摘のような、不正常であるという認識に立っております。
 諸般の事情、細かいことは私もわかりませんが、不正常であるという認識は、これは省としましても心得ておるわけでございまして、それによって、事務連絡によって今後一切しないということに決定をしておりますので御理解を賜りたい、このように思います。
○上田(清)委員 私、あえて申し上げますが、海上保安庁の任務、また現場の勤務の方々の過酷な条件等々、十分私も理解しているものだし、応援をしたいと思います。もしそういう勤務的なもので必要であれば、地域給手当の中に、特別地域手当で、例えば八丈島であるとか、特別なところには加算されるものがありますから、そういうものを沖縄管区に必要だという判断をされるんだったら、正式にそういう形でやってほしいと思いますね。そうじゃなくて、三年間の空出張手当をずっといただくなんというのはとんでもない話ですから、そういう制度の悪用をもって公務員全体の倫理規範を問われるようなことをやってはいけないと思いますよ。
 それで、きちっと声明を出して謝罪してくださいよ、海上保安庁、大臣の名前で。本当に……(発言する者あり)だったら、特区手当を出せと元首相が言っておられますから、どうぞ答弁してください。
○吉村副大臣 委員から、また元総理からもお話がありまして、大変御理解ある御意見を拝聴いたしました。これにのっとって、省、担当部長ともよく相談しまして前向きに検討していきたい、このように思っております。ありがとうございます。
○上田(清)委員 時間が来ましたので終わりますけれども、最後のところだけつまみ食いしちゃ困りますからね。過去の四年間のこの部分に関してきちっとしたけじめを出していただかないと、ほかの省庁もありますから、人事院、急いで調査してください。これは申告ですからね、出てきた十四件というのは申告ですから。十分申告していない人たちがいますよ。あらかじめ言っておきます。
 以上で終わります。ありがとうございました。
○山口委員長 次に、今野東君。
○今野委員 民主党の今野東でございます。
 まず、官房長官にお尋ねいたします。
 先月、民間の調査団ですが、朝鮮人強制連行真相調査団が、日本国内、アメリカ、韓国、北朝鮮で集めた、強制連行された朝鮮人の方々の名簿二十三万人を公表いたしました。これは、ほかの委員会でも触れておりますので大臣も御存じのはずなんですが、政府が所有している朝鮮人強制連行関連の名簿はどこにどれぐらいあるかというのは把握していらっしゃるんでしょうか。
○福田国務大臣 この事実関係につきましては厚生労働省の方で把握しておりますので、もし数字等についてのお尋ねであれば、厚生労働省の方からお答えをさせていただきます。
○今野委員 それでは、厚生労働省、お願いします。
○新島政府参考人 お答えいたします。
 旧日本軍に在籍しておりました朝鮮半島出身の軍人軍属に関しましては、旧陸海軍から人事関係資料を引き継いだ厚生労働省におきまして、陸軍の部隊ごとの名簿であります留守名簿十四万三千二百十一人、海軍軍人の個人ごとの軍人履歴原表二万一千四百三十三人、海軍軍属の個人ごとの軍属身上調査表七万九千三百四十八人分を保管しております。その登載者は二十四万三千九百九十二名でございます。
 また、厚生労働省では、これらの旧陸海軍の資料のほかに、いわゆる朝鮮人徴用者等に関して民間の事業所などが作成した名簿三十二件を保管しておりまして、その登載者は十万七千九百十一名でございます。
○今野委員 今、日朝間で拉致問題の交渉が行われておりまして、これは、一部報道では座礁している等の表現で報道されておりますが、拉致された本人も家族の方々も長くつらい道を歩いてきたわけで、その苦しみは察するに余りあります。
 政府は、拉致被害者の方々の思いを受けて厳しい交渉に臨んでいるわけですけれども、太平洋戦争中、我が国も朝鮮半島の方々を強制的に連れてきて、今人数を出していただきましたけれども、恐らくそれ以上の方々が、鉄道建設とかあるいは飛行場の建設とかさまざまな現場で、多くは重労働をさせてきたわけであります。日本から北朝鮮に拉致された人の数も正確なところはまだわかっておりませんが、今一部発表していただきましたけれども、恐らく我が国は、その数を大きく上回る二十万人、三十万人もの朝鮮半島の人たちにつらい思いをさせているわけです。韓国にも、また朝鮮民主主義人民共和国、北朝鮮にも、いまだに生死を知ることのできない家族の消息を待ちわびている人が大勢おられます。
 しかし、その氏名等を我が国は明らかにしようとしておりません。その姿勢は、日本人拉致被害の解明を強く求める我が国の対応と比べますと矛盾しているのではないかと思うんですが、官房長官、どう考えていらっしゃるんでしょうか。
○福田国務大臣 ただいま厚生労働省からお答えしたことにつきまして、その方々の個人名を公開できるかどうか、こういうことではなかろうかと思いますけれども、これは、そういう方々のプライバシーの問題がございますので、プライバシー保護、そういう観点でもって公表していないところでございます。
○今野委員 その点については後ほどまた厚生労働省にお尋ねをいたしますが、官房長官は、戦後補償にかかわる窓口を設置したいという話を参議院の内閣委員会で七月にしていらっしゃいます。たしか、きのうおとといもそういう質問が参議院の委員会で行われて、まだ進んでいないというお答えだったようでありますけれども、私は、官房長官がそういう考えである以上、少なくともしっかりした予算をつけて、強制連行された方々の実態調査をし、公式な調査結果を提出すべきだと思います。
 今、十五年度の予算がいろいろつくられているわけですが、この十五年度の予算の中で、官房長官のお考えに基づいて、これはどういうふうに予算として要求しておられるんでしょうか。
○福田国務大臣 今、最初の方で、この戦後処理の窓口をどうするか、こういう問題がございました。これは先般も、御指摘のとおり、検討する、こういうことを言っております。
 個々の戦後処理問題は、これまでは基本的に関係府省庁おのおのの所掌に従って処理をする、こういうことになってきております。しかし一方、戦後処理問題というのは、その内容が非常に複雑多岐でございまして、これまでも内閣官房が必要に応じて総合調整を行う、こういうことをしてきております。今後とも引き続いてそのような体制で対応していかなければいけないと思います。
 しかし、この窓口をどうするか、全般の問題について窓口をどうするかということになりましたら、これは今検討しておりまして、近々その結論を出したいと思っております。
 予算的なことにつきましては、これは具体的に必要とする関係府省庁で把握しているというように理解しております。
○今野委員 ということは、官房長官のところでは、特別の予算立て、実態調査、あるいは戦後補償にかかわる窓口を設置するための予算立てというのはしていらっしゃらないようですけれども、ぜひ、口だけじゃなくて、実際に何年も、六十年近くもこの真相の解明を待っている人たちがいるわけですから、各省庁でなどということを言わずに早く一本化をして、予算もきちんと立てていただいて、こうした戦後補償はできるだけ速やかに処理をしていただきたいというお願いをしておきたいと思います。
 官房長官はお忙しい中の委員会への御出席だそうでございまして、退席していただいて結構でございます。ありがとうございます。
 それでは、厚生労働省に伺いますが、私、四月に厚生労働省に質問主意書を出しまして、太平洋戦争時に千島に連行された朝鮮半島の方々が乗った太平丸のことを伺いました。その結果、アメリカ軍によって撃沈された太平丸に百八十二人の朝鮮半島出身の軍属の方々が乗っており、死亡したと思われるという答弁書をいただきました。そうしましたところ、これに基づいて韓国の太平丸真相調査団が、被害者の名簿を引き渡してほしいという要求を坂口厚生労働大臣あてに出しました。これについてはどのように対応されたんでしょうか。
○新島政府参考人 平成十四年五月二十一日付で、今お話がありました太平洋戦争韓国人犠牲者遺族会から厚生労働大臣あてに、太平丸被害者に係る名簿の公開を求める要望をいただいたところでございます。この要望に対しましては、五月三十一日付で、厚生労働省保管の人事資料につきましては、プライバシー保護の観点から、本人、遺族またはこれらの方から委任を受けた方に限り照会に応じている旨回答したところでございます。
○今野委員 そういう対応に遺族の方々は怒っているわけです。
 太平洋韓国人犠牲遺族会の金景錫会長が代表して、怒って新聞に投稿しておりますね。もちろんごらんになっていると思うんですけれども。船舶や鉄道、航空機の事故が起こると、乗船者や搭乗者の名簿を発表するのは常識である、本人たちの意思に反して強制連行しておきながら何が今さらプライバシーか、南北朝鮮の被害者に事実を明らかにされて困る人は一人もいない、皆何よりも事実を知りたがっているのである、父はどのようにして死んだのか、夫はもしかするとどこかに生きているのではないか、事実を明らかにされて困るのは日本政府ではないのかというふうに、怒って新聞に投稿しております。
 これはプライバシーの侵害じゃないでしょう。船舶や航空機事故でも犠牲者のリストは公開しております。厚生労働省のそういう考え方ですと、テロやあるいは航空機事故で犠牲者のリストが公表されるのはプライバシーの侵害ということになる。そうじゃないですか。答えてください。
○新島政府参考人 先ほども申し上げましたように、プライバシー保護の観点から、本人あるいは遺族あるいは委任を受けた方に限って照会に応じているところでございますが、本人あるいは遺族が個人情報を第三者に開示することについて反対する可能性があるということもございます。また、情報公開法におきましても、個人を識別できる情報について開示の対象とされていないという事情もございます。そういったことを受けて、我々としてはそういう判断をしておるわけでございます。
 今、航空機事故等のお話がございました。こういった場合の情報管理につきましては詳細は承知しておりませんけれども、行政機関が保有する個人情報につきまして、一般に公開するか否か、それぞれの事案に応じて判断されるべきものと考えております。
○今野委員 もう一度伺いますが、今聞いてもわからないんですよ。航空機事故と太平丸の沈没とどう違うのか、説明してください。
○新島政府参考人 航空機事故などの場合には、緊急にいろいろなところに連絡をとる必要がある、そういう緊急性の要請もございます。そういったものを受けてそれぞれのところで判断されてそういうことになっているんだろうというふうに思います。
○今野委員 そんな答えはないでしょう、緊急にとかいう。では、この人たち、ゆっくりずっと待っていたから、そのままずっとほっておいていいということなんですか。
○新島政府参考人 繰り返しになりますけれども、この方々の遺族等、プライバシーに関する保護の部分もございます。そういったことを受けて我々としてはそういう判断をしているところでございまして、それ以外のケースがどういう考え方で情報について対応されているかということは、それぞれの事案ごとにまた判断があってしかるべきだというふうに思います。
○今野委員 それでは、「「太平丸」被害者名簿引渡しに関する要求書」という写しがあるんですけれども、家族の方々が問い合わせをしてきた場合には答えているわけですね。ここに、太平丸遺家族の方、金何とかさんなんですけれども、判こが押してあって、ちょっとこれは、コピーしたものなのでつぶれていて名の方は見えないんですけれども、太平丸遺家族の方が名簿を引き渡してくださいと出しているんです。この方には答えたんですか。
○新島政府参考人 個別にそれぞれの遺族からの委任状を添付していただければ回答に応じるという形になっておりますので、今お話がありました団体については、特にそういった個別の資料は出されていないというふうに承知しております。
○今野委員 遺族の方々への余りの冷たさに愕然としてしまいます。
 ちょっと質問変わります。
 先ごろ、旧厚生省の資料が見つかりまして、旧日本軍に徴兵、徴用された朝鮮人軍属に対する未払い賃金などが九千百万円供託されているということがわかりましたね。この中に、太平丸に乗船していて生存した朝鮮人の賃金や、亡くなった朝鮮人の方々への支払いというのは含まれているんですか。
○新島政府参考人 朝鮮半島出身の旧日本軍人軍属に係ります債務のうち、厚生労働省が関係する未支給給与等につきましては、昭和二十六年から三十二年にかけまして、約十一万人分につきまして、総額九千百万円を東京法務局に供託をしております。
 太平丸被害者につきましても、確定債務が存在する者につきましてはこの供託に含まれている可能性がございますが、その具体的な人数等については把握しておりません。
○今野委員 家族が強制的に連行をされて、夫やあるいは兄やそういう方々が突然いなくなる。その家族の中に大きな悲しみが広がり、不安を持つというのは、これは国を問わずどこでも同じであります。六十年近く、私たちの父やあるいは兄や弟はどうなったんだろうか、元気でいるんだろうか、どこでどう亡くなったんだろうか、そのことに答えないままずっと放置している。そういう姿勢は改めて、予算化をして、できる限り速やかに遺族の方々に、私たちが、我が日本の国民の一人が拉致されて、こうして今強い姿勢で交渉しているように、それに矛盾しないような態度をきちんととらなければならないのではないかと思います。
 次の質問に移りますが、今、東ティモールに国際平和協力隊として派遣されている自衛隊の方々の給与、手当についてお尋ねいたします。
 防衛庁にお尋ねしますが、国際平和協力隊に派遣されている自衛隊の給与、教えてください。どうなっていますか。
○宇田川政府参考人 東ティモールに国際平和協力隊員として派遣されている自衛官が国際平和協力業務に従事した場合であります。
 自衛官としての俸給、それと扶養手当等が支給されるわけでありますが、そのほかに、東ティモール国際平和協力隊の設置等に関する政令の規定に基づきまして、東ティモールのディリ県で一日当たり一万円、それ以外の地域で一万二千円が国際平和協力手当として支給されているところであります。
 これを具体的に落としてみますと、東ティモールのディリ県以外で国際平和協力業務を一カ月に二十二日間行った場合のモデルケースということで申し上げますと、国際平和協力手当は二十六万四千円が支給されます。これをもとにしていきますと、二尉で四号俸の俸給を受ける二十七歳の独身の隊員、これについて見ますと、俸給が二十八万千三百円でありますので、合計しますと五十四万五千三百円になります。また、一曹で二十一号俸の俸給を受けまして、妻と子供二人がいる四十歳の隊員について見ますと、俸給が四十万二千九百円でありますので、これに扶養手当の二万八千円を合わせますと、六十九万四千九百円が一月に支給される、こういうことになるわけであります。
○今野委員 今、防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案が参議院に行っていると思うのですが、東ティモールに派遣されている自衛官の手当、私は相当金額的には高いなと思うのですね。二十七歳で二尉の方で月額五十四万五千三百円、四十歳の一曹の人は六十九万四千九百円。これの東ティモールに行っている人たちの手当というのは、これに伴って影響があるというか、変わるんでしょうか。
○宇田川政府参考人 現在参議院の方で、防衛庁職員給与法の一部改正案の審議をお願いしているところでありますけれども、それとこちらの手当の関係を申し上げますと、国際平和協力手当はいわゆる特殊勤務手当に該当しますので、こちらの方は、個々の勤務の特殊性等を評価してその水準が決められております。
 したがいまして、俸給とか扶養手当あるいは期末・勤勉手当のように官民の給与格差に基づいて決定されるものではないということでございますので、防衛庁といたしましては、今般の給与改定に伴いまして、国際平和協力手当の額の改定を行う必要はないというふうに考えておるところであります。
○今野委員 PKO事務局にお尋ねしますが、この国際平和協力手当、ディリにいる人は一万円、それ以外の人に一日一万二千円という手当なんですけれども、これはどういう算定基準か教えてください。どういうふうになっているんですか。
○小町政府参考人 今の手当の件でございますけれども、国際平和協力法第十六条で、「国際平和協力業務に従事する者には、国際平和協力業務が行われる派遣先国の勤務環境及び国際平和協力業務の特質にかんがみ、国際平和協力手当を支給することができる。」と規定されていることは御案内のとおりでございます。この規定に基づきまして、国際平和協力手当を支給してきているところでございます。
 今般の、東ティモールに派遣され、施設業務に従事することとなる自衛隊員に支給される国際平和協力手当に関しましても、派遣先国におきます具体的な勤務環境、それから業務の特質を考慮いたしまして、一日一万二千円から一万円を支給するということにしている次第でございます。
○今野委員 私、東ティモールでさまざまなNGO活動等をしている人を何人か知っておりますが、そして私自身も、去年の九月ですけれども、東ティモールに行きまして、いろいろ見てきたり聞いてきたり調査をしてきたわけでありますが、当時、UNTAET、国連東ティモール暫定統治機構に勤務をしている東ティモールの人、東ティモール人の方の給与は、平均三万円でありました。月給三万円。一方、今東ティモールに行っている自衛隊員の方々は、一日一万二千円の手当を受けております。先ほども公表していただきましたが、二十七歳のひとりの方は、それらを合わせますと五十四万五千円です。
 さて、東ティモールの失業率は、去年行った段階で八〇%。多くの人が仕事を持っておりません。働き盛りの男たちは、この自衛隊員の方々がやっている道路の補修や橋の補修あるいは学校の補修等を、腕を組んでぐるっと取り囲んで眺めているという状況です。私たちにも仕事をさせてほしいという要求が上がっていることを聞いております。
 現地には、仕事の機会を望んでいる土建業者が今でも多く、例えば、ことしの夏も、マナトゥト県で、日本の資金援助で実施されているかんがい工事でオーストラリアの企業が実際の施工を請け負ったことに現地企業から抗議の声が上がったというニュースを聞きました。仕事をしたくてしたくてしようがないのです。だけれども、おまえたちには与えないといって、高い給与を支払って自衛隊の方々を派遣し、国際平和協力活動を行っている。
 自衛官の手当、これは恐らく平均なんでしょうけれども、二十二日間稼働して二十六万四千円、手当だけで。これで九人から十人の方々が雇えます。東ティモールの方々を雇いますと、技術移転もできる。自衛隊の平和協力活動については、さまざまな機材も持っていっておりまして、かなりの機材を、終わった時点で置いてくることになっている。しかし、一緒に働かなければ、その機材をどうやって使うのか。つまり、技術移転ができない。置いてくるだけになってしまう。自衛隊員が帰った、そして私たちは何もできないということになってしまう。
 その国にとってよりよい国際貢献を考えるとき、私は、自衛隊員の方が行くべきではないとは思いません。しかし、同じような金を使って国際協力をするのならば、もっと効率のいい、その国にとって喜んでもらえる、東ティモールの場合は、民間人を雇った方がはるかに喜ばれる国際貢献になるのではないかと思いますが、これは外務省の見解を伺います。
○茂木副大臣 確かに、今野委員御指摘のとおり、発展途上国で、少ない予算で非常に雇用創出効果の多い事業というのはあるんだと思います。
 私も、この八月、アフガニスタンの方に行ってまいりました。アフガニスタンは、多分、平均給与が東ティモールよりも低くて、一日二ドル、三ドルの世界であります。そこで、例えば、日本政府とそれからUNDPが一緒になりましてREAPという事業をやっております。これは、簡単な道路の補修であったりとか、瓦れきを積んだり、こういう事業なんですけれども、非常に現地から喜ばれている。ちょうど日本の日の丸とそれからUNの旗が道についていまして、ああ、日本がきちんとやっているんだな、こういうことも表にわかるような事業をやっております。
 ただ、これは経済協力の世界なんですね。私は、やはり、経済協力とPKO活動は若干の仕分けというのが必要だと思っております。
 そこの中で、委員御指摘の自衛隊の施設部隊、これは御案内のとおり、UNMISETからの指図のもとで、PKO活動のための必要な道路、そして橋等の維持、補修を行うことを主な業務としている。ただ、UNMISETからの指図に基づきまして、東ティモールの政府の職員と協力しながら事業をやっておりまして、その一部では、例えばパワーショベルであったりとかブルドーザーであったりとか、そういう施設機材の操作に関する技術指導も行っているわけであります。
 私も、委員の朝日新聞のコラム記事、東ティモール、自衛隊派遣だけが貢献か、こういう記事も読まさせてもらいましたけれども、もちろん、自衛隊の派遣だけが貢献ではありません。
 ですから、九九年から、日本としては、東ティモールに対しまして一億三千万ドルのプレッジを既にしている。そのうち一億二千万ドルは終わっている。そして二〇〇二年から六千万ドルずつやっていく。そこの中には、御案内のとおり、インフラの復旧であったりとか開発、さらには農林水産分野であったり、そして人材の育成、こういった事業もしっかり組み込みながら東ティモールの支援を行っているところであります。
○今野委員 政府の職員がその中に入って、機材等の使い方を覚えるようにというふうに入っているというお話がありましたけれども、これは十人ぐらいしかいないんですよね。十人じゃしようがないんで、もっと多くの方々を雇い、民間の方々に喜んでもらえる国際貢献をすべきだ。東ティモールの場合は特にそうであります。とにかく仕事がない。雇用を創出してやるということも大変大事なことであります。
 そのあたり、さらに検討していただけるかどうか、最後にお尋ねして、質問を終わりたいと思います。
○茂木副大臣 先ほども申し上げたとおり、UNMISETの指示のもとでやっている事業でありますが、御趣旨は私よく理解しているつもりであります。また、協議をした上で、対応できる部分についてはしっかり対応していきたいと思います。
○今野委員 ありがとうございました。終わります。
○山口委員長 次に、塩田晋君。
○塩田委員 自由党の塩田晋でございます。
 会計検査院長にお伺いいたします。
 昨年の十一月三十日に外務省公表の、いわゆる裏金プールの問題でございますが、外務省の発表では約二億円ということでございましたが、このほど会計検査院が改めて帳簿類を調べた結果、判明したのは三億四千万円である、このように、今月の何かの新聞あるいはテレビ等の報道機関がこれを報道いたしました。
 これについて、二億円については、延滞金も含めて国庫への返還が行われているということでございますが、外務省の公表、調査されたものと、今回の検査院の結果が余りにも大きく違っておりますが、これが本当であるとすれば、外務省の調査がいかにずさんなものであるか、いいかげんなものかということを国民に明らかにしたような形になっておりますし、この公表があってから、私のところにも、かなりの投書なりあるいは電話等、問い合わせがございました。
 これについて、会計検査院長はこれを認められるのでございましょうか。お伺いいたします。
○杉浦会計検査院長 お答え申し上げます。
 外務省が、さきに内部調査として、二億円近いお金の確定をされたのはわかっております。
 私どもは、そういった内部調査の結果、あるいは、外務省が検査をされましたときにお使いになった相手先の書類とかあるいは支出等、こういったものを現在集めまして精査しておるところでございます。したがいまして、外務省の内部調査の結果と私どもの結果が、若干数字が食い違ってくるのはやむを得ないことで、当然なことだと思っております。
 ただ、そうしたら幾らが正確かということだと思いますが、現在、今、証書等を精査中でございますので、幾らだというのはまだ公表する段階にはございませんので、よろしく御配慮をお願いしたいと思っております。
○塩田委員 今月の末には、会計検査院も、この件について具体的な公表をされるものと期待しております。わずかに違ったということじゃないと思うんですね、二億円に対して三億四千万円ですから、かなりの差ですね。
 これについて、どうしてこういう具体的な細かい数字が会計検査院の調査の結果として漏れるんでしょうか。一体どういうことですか。これは、もし、そうでないというのならば、はっきりと否定をされる、また、しかるべき措置をとられるのが当然だと思いますが、いかがでございますか。
○杉浦会計検査院長 数字がマスコミに出ておりますことについては承知いたしております。
 ただ、この数字が正確かどうかということにつきましては、現段階では、私ども、きちんとした数字を精査しております最中でありますので、申し上げかねるところでありますが、情報管理につきましては、私どもは、部内的には相当厳しくやっておるつもりでございます。
 ただ、各社、同じような数字が出ておりますので、何らかの取材源があったのかと思っておりますが、部内的な公表をしたり、あるいはリークをしたというような事実はございません。よろしくお願い申し上げます。
○塩田委員 単なる憶測で各報道機関が書いたり報道したものではないと思われます。かなり具体的な数字ですからね。こういったことがどこからどう漏れておるのか、また、それに対する会計検査院としての対処の仕方、国民はやはり非常に関心を持っておりますから、ある意味では外務省に対する非常な怒りをぶつけてきておるわけですから、この点については、しかるべきときにちゃんと公表して明らかにしていただきたいと思います。
 次に移ります。台湾の前総統の李登輝氏のビザ発給問題でございますが、外務省にお伺いいたします。
 これは、きのうときょうの新聞報道が全く逆転しておるわけですね。きのう再申請によって発給するだろうと言ったのを、きょうの新聞によると、二回目の申請には応じられない、ビザ発給は拒否だという報道がなされておりますが、これはいかがな状況でございますか。お伺いいたします。
 李登輝さんは今や全くの私人、通常の台湾人、その他の各国に対するのと同じような手続でもって淡々と処理すべき問題だと思います。非常に李登輝さんは日本を愛し、日本に対して好意を持ち、日本に来たいという気持ちは前から持っておられるということは聞いておりますが、私人になられた方ですから、ちゃんと世界に向かっても、日本の態度をやはり見ておりますから、処理すべきだと思いますが、いかがでございますか。
○茂木副大臣 御指摘の李登輝氏の訪日のビザ申請の関係でありますが、きょうときのうの新聞によると、外務省の立場が二転三転しているということでありますが、恐らく正しい表現としては、新聞の書き方が二転三転されている、こういうことではないかなと思いますけれども、事実関係からまず申し上げたいと思います。
 今月の十一日に李登輝氏から、慶応大学の三田祭における講演のため、訪日にかかわる査証申請が行われた件でありますが、査証申請を受けまして、我が方として、通常の手続を踏まえて、先方に対しまして、同講演は三田祭の行事として行われないとの慶応大学側の立場を伝達するとともに、事実関係を確認いたしましたところ、李登輝氏側は査証申請を取り下げた、このように承知をいたしております。
 その後、十三日に李登輝氏側から、交流協会の台北事務所を通じて、慶応大学三田祭にかわり、都内のホテルで講演を行うことを目的として改めて査証申請を行いたいとの意向が伝えられたところ、我が方といたしましては、本件講演をめぐります一連の混乱等を踏まえまして、仮に改めて査証申請がある場合、我が方の基本的な考え方といたしまして、今般の李登輝氏の訪日を私人による私的な目的のための訪日と評価することは極めて困難である旨、先方に伝えたところであります。これが我が方の基本的な考えであります。
 李登輝氏側の今後の対応につきましては、我が方として現時点で承知はいたしておりませんが、いずれにせよ、現時点で新たな査証申請が行われてはおりませんので、仮に今後同氏から改めて査証申請があれば、その時点で適切な判断を行う、これが政府の立場であります。
○塩田委員 非常に微妙な答弁をされたわけでございますが、本当に再申請があった場合に、再申請だからだめだということは言われないということですね。目的等を審査して、その場で、その際に決定するということでございますか。
○茂木副大臣 再申請があった場合には、その時点で適切な判断を行わせていただくと。ただ、我が方として伝達をさせていただきました基本的な現時点での立場は、今般の李登輝氏の訪日を私人による私的な目的のための訪日と評価することは現時点では極めて困難である、こういう旨をお伝えしてあります。
○塩田委員 極めてあいまいというか弱腰な態度だと思うんですが、新聞等の報道を見ますと、中国の共産党党大会が行われている最中だから云々、それに配慮してとかいうのも出ておりましたし、事あるたびごとに中国のことが出てくるわけですね。もちろん中国と台湾との関係、これはよく承知しておりますが、何で中国のちょっとした言いがかりに対してそんなに配慮して、そういう私人のビザ発給までびくびくしてそのような態度をとらないといけないのか、非常に私たちは理解できない。やはり日本の立場というのを、もっと毅然たる態度でこの問題を扱うべきだと思いますが、いかがですか。
○茂木副大臣 ビザ発給に関しましては、もちろん主権国家であります、そして外務省設置法の中にも、外務省としてその権限を持つということでありまして、我が方の独自の立場で、主体的に判断をさせていただきたいと思います。
 御指摘のように、中国側は、従来から李登輝氏の訪日に断固反対する旨表明していることは確かであります。しかし、先ほどるる申し上げた点に関しまして、日本の今の基本的な立場、これは決して中国側云々という問題ではなくて、今回のビザ申請にかかわる一連の混乱にかんがみということでございまして、中国側から何かの圧力があったとか、何かがあったから今の基本的な立場に立っているということでは決してございません。
○塩田委員 そのような公式的な見解の発表は予想しておったところでございますけれども、私的なものではないという今回の申請、それでは、私的でないという根拠、それは何ですか。私的というのは、例えば奥の細道の跡をたどって東北を旅行したいということならいいんですか。あるいは、この前ありましたように、手術の結果の検査入院だというようなことであればいいんですか。その辺を明らかにしてください。
○茂木副大臣 先ほど来申し上げておりますように、これはビザ申請が行われた時点で判断というのはさせていただく、そして、申し上げておりますのは、現時点での基本的な立場であります。
 経過等々をもう少し詳しく御説明申し上げますと、当初予定されておりました三田祭における講演が慶応大学及び三田祭実行委員会側に既に却下されていたにもかかわらず、これを伏せた形で申請を行い、さらに同申請が事実と異なる旨我が方から御指摘をさせていただいたところ、急遽、都内のホテルにおいて全く同じ時期に講演を行う、こういうことで申請を試みると。
 こういう経緯を踏まえてみますと、基本的な考え方としては、李登輝氏は、学生に語りかける、日本精神について語る、こういうお話であったかと思うんですが、こういう学生に語りかけることを目的としているのではなくて、どのような名目でも、この時期に日本を訪問すること自体を目的としている、このように考えざるを得ない、これが外務省としての現段階での基本的な考え方であります。
○塩田委員 この問題については、多くの方々が、学生のみならず李登輝さんを招いていろいろお話を聞きたいという方が非常に多いんです。私も李登輝友の会というのに入っておりますけれども、その人たちも何百人と、有名人を含めましておられるわけです。今後とも、そういった李登輝さんを招くということについては、本当に基本の方針に従って淡々と事務的に処理してもらいたいということを強く要望いたします。
 続きまして、日台間の交流の問題でございますが、先日私、台湾の双十節、台湾に初めて参ったのでございますが、その際、忙しい中、行政院長の游さんにお目にかかりまして、直接話をする機会がございました。私は、日本と台湾というのは今日までいろいろな経緯があります。それを踏まえまして、日台間は非常に距離的にも近いところであり、非常に関係が深い。いろいろな面で関係の深いところであったのが、だんだんと近くして遠い国になりつつあるということを非常に憂えている者でございますが、游行政院長に会いましたときに、私は四点につきまして日台で努力をすべきことだということで申し上げました。
 第一点は、観光なりスポーツなり、あるいは学術会議等の交流はかなり頻繁に行われておるわけですけれども、ハイレベルのお互いの人事交流をもっとやるべきじゃないか、それについて、私も野党ではございますが、微力ながら実現に向かって努力したい、こう申し上げました。
 それから第二点は、さきにシンガポールと日本がFTAを締結いたしました。続いてメキシコとか韓国について検討なされているということを聞いておりますが、経済的にも非常に関係の深い台湾について、これは十分に検討して早く成立させるべきじゃないかと思います。外務省はどのように考えておられるかということをお聞きしたいと思います。
 それから第三点は、WHOの加盟問題、台湾の加盟問題が議題として議論もされておるわけですね。日本はどういう態度をとっておるのか、今後どういうふうにやっていこうとしているのかということをお伺いいたします。
 第四点は、これは一挙にはいかない問題であると思いますが、台湾の国連加盟です。これは中国が猛烈に反対するとは思います。自分の国土、領土の中の問題だ、内政問題だということで強く反対すると思いますが、事実問題として、現に一国の体制を持っているわけですね。また、国家として承認している国もある。そのような台湾を、この地球上、世界の中で全然国連から外してしまうというのはどうか。
 西ドイツと東ドイツの場合も、それぞれ違った体制であれば、いろいろな状況はあったけれども両方とも入っている。北朝鮮と韓国も同じような状況で国連に入っているということを考えますと、現に国としての体制があるという、その中で、国連は柔軟な態度で、あるいはまた中国に対しても、シンガポールがマレーシアから独立して現に国連にも加盟しているということから見て、もっともっと柔軟に考えて対処すべきではないかということを中国に対しても働きかけるべきだと思いますが、いかがですか。
 この四点について、お伺いいたします。
○茂木副大臣 塩田委員の方から盛りだくさんに四点、人事交流の問題、それからFTAの問題、さらにWHO、ちょっと後で加盟問題という、定義がございますので御説明申し上げますが、それから国連の関係、御質問いただいたわけであります。
 先生、日台関係に関しましては私より大変お詳しい、そういう思いを持ちながら今御質問を聞かせていただいたわけでありますが、台湾は我が国にとりましても緊密な経済関係を有する大変重要な地域だと認識をいたしております。この台湾との関係に関する我が国政府の基本的立場といたしましては、日中共同声明に従って、非政府間の実務関係として民間及び地域的な往来を維持していく、これが基本的な姿勢でありますが、そこの中で、人的交流を含め民間レベルでさまざまな交流が拡大しているのは大変好ましいことだと我々としても考えておりますし、そういった交流がさらに今後順調に進んでいくことを期待いたしたい、そんなふうに思っている次第であります。
 二点目のFTAの問題でありますが、台湾は今、WTO、またAPECといった多国間の枠組みを踏まえて、民間レベルでの経済連携をどうしていくか、こういうことを分析していくのは非常に有意義である、こんなふうに考えております。
 ただ、委員御案内のとおり、台湾の場合、ことしの一月にWTOに正式加盟したばかりであること、こんなことをかんがみまして、まずは台湾がこのWTO加盟の際に約束した事項を確実に実施していく、こういった姿勢を見守りながら今後のFTAについては考えていきたい。
 ちなみに、外務省といたしましても、十月の十六日に、素案でありますが、今後の我が国のFTA戦略、もしくはさらに大きな、EPAといいまして、経済的な連携協定、こういうものに対します基本的な考え方を発表させていただきましたので、また委員の方からも忌憚のない御意見をいただければ、こんなふうに考えている次第であります。
 三点目のWHOの問題でありますが、これはWHOの加盟というお話でありましたが、一九七二年のWHOの総会決議によりまして、中華人民共和国をWHOにおいて中国を代表する唯一の政府として、これまで台湾のWHO加盟問題が議題にされたことはない、このように承知をいたしております。
 ただ、その一方で、台湾のWHO総会へのオブザーバー参加の問題、これにつきましては、一九九七年五月のWHO総会から、毎年、総会の議題として取り上げるか否かについて繰り返し議論が行われてきておりまして、いずれの場合も、コンセンサスが形成されていないということで、議長裁定で否決されている、こういう形であります。
 そこの中で、我が国の立場でありますが、台湾のWHOオブザーバー参加問題につきましては、我が国政府としては、WHOの国際機関としての普遍性にかんがみ、多くの国、地域、国際機関、NGO等がWHOの活動に参加することが望ましい、このように考えておりまして、また、日本と地理的に近接する台湾における保健医療の向上、これは高い関心を我々としても有しているところであります。このような観点から、日本といたしましては、関係者の満足する形で台湾がWHOに何らかの形でオブザーバー参加していくことが望ましい、このように考えておりまして、適切な参加形式につきまして、関係国間におきまして十分議論されることが重要だと考えております。
 今申し述べさせていただきました趣旨につきましては、ことしの五月十四日の官房長官の記者会見でもこのとおりのことが発表されているわけであります。
 四点目に、国連の加盟、大変難しい問題でありますが、我が国の台湾に対する立場は日中共同声明にあるとおりでありまして、台湾の国連加盟問題につきましても、こうした基本的な立場を踏まえつつ対応していくことになると考えております。
 何にいたしましても、非常に近い地域であります。また、経済関係もいろいろあるわけでありまして、先生等からも忌憚のない御意見等々を賜りながら、民間レベルの経済交流であったりとかいろいろな人的な交流が進むように努めてまいりたいと考えております。
○塩田委員 最後に一点お願いします。いわゆる拉致問題でございますが、この時期に小泉総理が北鮮に行かれてこういう事態になったということについては、時期がどうだったかという議論もありますけれども、それはそれといたしまして、現時点、事実として拉致被害の五名の方が日本に帰ってこられて、政府は永住帰国ということで戻さないという決定をされたことについて、私は非常に立派な御決断であったと思いますし、それを維持していただきたい。
 最近の情報によりますと、北朝鮮側からは、とにかく一遍戻せ、約束したじゃないかということが伝えられておりますが、政府としてはそれを一たん戻して帰すということを本当に言ったのかどうか、約束したのかどうか。約束していないのであれば約束していないということをはっきり国民に知らせるべきだし、相手側にもそう言うべきだと思うんですが、その反論は全然出てこない。これについてお伺いしたいと思います。
 いずれにいたしましても、この拉致問題というのは、日本の国権が他国の権力によって、国の権力によって侵されたという重大な問題ですから、国民はこれに怒っているわけです。そして、人道問題である。人権を抑圧し、四半世紀にわたる大変な苦しみ、家族の方、親戚の方、関係者の方、皆さん本当に苦しい中であるし、また八名の方については死亡と言われていますが、それは信じられない。そういう事態で、本当に断腸の思いであり、国民がこれに対して本当に支持しているのは、そういう問題の本質があるからだと思うんです。これについてお伺いいたします。
○山口委員長 時間が経過をしておりますので、簡潔に。
○茂木副大臣 時間だということでありますので、簡潔に。
 政府としては、五人の拉致被害者の方々が家族を含めて自由な意思決定を行うための環境の設定、そして、特に家族全員の日本への帰国が不可欠かつ急務であると考えております。五人の方々につきましては、今後とも、御指摘のように、日本に滞在していただき、また現地に残っていらっしゃる家族の皆さんにつきましても、その安全の確保、そして早期帰国、帰国日程の確定を北朝鮮側に強く働きかけていきたいと思っております。
○塩田委員 終わります。
○山口委員長 次に、大森猛君。
○大森委員 日本共産党の大森猛でございます。
 昨年、私は当委員会で、全宅連、全国宅建業協会連合会の政治との癒着問題を取り上げました。その後、通常国会では、鈴木宗男議員の問題、あるいは当委員会でも扇大臣にも質問をいたしました加藤紘一前議員秘書の道路公団との癒着の問題などなど、あの通常国会では政治と金の問題、政官業癒着の問題がかつてなく大問題となりました。
 そういう中で、扇大臣も入札制度の改善などに取り組まれ、また、国土交通省も宅建業協会と自民党の関係について一定の調査を行い、また、改善の指導等の文書なども出してこられました。
 しかし、今、宅建業界と政治の癒着、この問題で言えば、改めて今大問題になっていると思います。
 最近報道されたものだけでも、清水達雄参議院議員の一億円もの党費立てかえ問題、あるいは全国宅地建物取引業保証協会の弁済保証金の数億円もの使途不明あるいは流用、さらには、東京都の宅建業協会の政治団体入会金の強制、さらに、党員集めの成績に応じた巨額の報奨金のばらまきなどなど、驚くべき事実が報道されているところであります。
 この問題では、昨日も衆議院の政治倫理公選特で片山総務大臣が、一般論としながらも、党員でない者が党費を払う必要もないし、そういう寄附を受けてもいけない、こういう答弁もされております。
 私は、この党費立てかえ問題では、明らかに政治資金規正法二十二条の六違反、そして、報奨金では公選法買収罪、二百二十一条違反に当たるのではないかと思いますが、まず法務省の見解をこの点でお聞きをしたいと思います。
○樋渡政府参考人 お答えいたします。
 お尋ねの件は、いずれの場合も一定の事実を仮定して犯罪の成否を問われるものであります。犯罪の成否は収集されました証拠に基づいて判断されるべき事柄でありますので、お答えは差し控えますけれども、あくまでも一般論として申し上げますれば、まず、党費の肩がわりとして支払われたという報道に関しましては、本人の名義以外の名義、あるいは匿名で政治活動に関する寄附をする行為は政治資金規正法二十二条の六第一項に、このような寄附を受ける行為は同条の第三項にそれぞれ該当するものであると承知しております。
 また、後段の御質問に関しましても、これもあくまでも一般論として申し上げますれば、公職選挙法二百二十一条に定めます買収罪は、当選をさせるなどの目的で選挙人または選挙運動者に対して金銭等の供与をし、または供与の約束をした場合などに成立し、一定の目的があることに加え、相手方が選挙人または選挙運動者であることが要件となっておるものというふうに承知しております。
○大森委員 かつて、この問題ではKSD問題など大問題になったことがありました。法務省としても、しっかりこれは調査を関心を持ってやっていただきたい。
 扇大臣は、この問題に関して、十二日の閣議後の記者会見で記者の質問に答えて、詳細に至っては今後調査してみなくてはわからないと答えておられます。これほど政治と金の問題が大きな問題になっている中でのセンセーショナルな報道でありますから、これはいささかも国民から見て疑問が残らない、徹底的な捜査と国民への報告をされるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○扇国務大臣 今、大森議員がおっしゃいましたように、ことしの通常国会から貴重な審議時間をこういう本来の政策以外のことで審議しなければならないということは、本当に私、残念のきわみだと思っています。
 また、きょうも大森議員にこういうことで御質問を受けなければならないという現在の状況こそが、国民が政治不信を持つ大きな要因の一つである、いささかの疑いも晴らさなければならないというのは、我々政治家、おのずとみんな襟を正さなければいけない。与党、野党という垣根とか、そういう偏見なしに、私たちは国民にいささかの疑義を持たれることのないようにしなければならないというのは当然のことでございます。
 また、今、大森議員がおっしゃいましたように、ことしの通常国会からいろいろな宅建業界、全宅連の御質問をいただき、私もきちんとこれを精査するようにと、特に保証協会から等々のお話がありまして、これを調べろということで、私は調べまして、今大森議員がおっしゃいましたように、私はすべて結果を公表いたしました。そして、今、大森議員が一定の評価をすると言っていただきましたように、このことに関しては私も最大限の努力をし、現段階でもこの政治献金の全宅保証協会からは出ていないということだけは、私ははっきりと申し上げられると思います。
 ただ、新たに、これも新聞記事で私も知ったことでございますから、今記者会見のお話をなさいましたけれども、私は朝の新聞の見出しだけ読んで閣議に出たものですから、先ほど申しましたようなことですけれども、私は、この件に関しましても、さらに今回、この全国不動産政治連盟が特定の議員の選挙のために党費を肩がわりしたということに関しましての報道がありましたので、私も担当部局に、少なくとも全宅保証協会の役員を呼んで問いただしたということをいたしました。
 その結果、全宅保証協会は、今回は政治活動を行うような性格の団体ではございませんで、そして政治資金規正法に基づいての届け出を行っている政治団体である全政連とはこれは全く別の団体であるということは、大森議員も御承知だろうと思います。
 けれども、本来、今の法務省からのお話もございましたように、今捜査中であるということでございますし、これは自民党さんの方でも何らかのコメントをお出しになるだろうと私は思っておりますので、いささかもこういうことで再びお答えをする、貴重な時間を費やすということのないように、明快にして、そして国民に疑義を晴らすという方法をとっていきたいと思っております。
○大森委員 その立場で、ぜひ国民の納得いく御報告をお願いしたいということで、私もこの関係の問題で、改めてその解明の一助になるよう、きょうは質問を進めさせていただきたいと思います。
 昨年の五月及び六月の当委員会で私がただした内容というのは、一つが、各県の宅建業協会の入会時に、自民党への入党や不動産政治連盟への入会を義務づけていること、二つ目が、会員から強制的に政治連盟の会費を徴収していること、各県の宅建業協会、保証協会、不動産政治連盟、自民党宅建支部、四団体の組織の所在地、代表等々が全く同一であること、四位一体になっている、こういう点を指摘してまいりました。
 こういう中で、国土交通省はことし八月、全宅連の政治献金問題のマスコミ報道を受けて、四十七都道府県協会の政治献金を調査しておられます。調査結果によると、十三県で献金を行っていることが判明したということであります。
 そこで、国土交通省にお聞きしますが、二〇〇〇年及び二〇〇一年の政治献金の総額、十三県で幾らになっているでしょうか。
○三沢政府参考人 私ども国土交通省の方におきましては、全国宅地建物取引業連合会を通じまして、その会員である各都道府県の宅地建物取引業協会で政治献金をどのような団体で行っているかということを聞き取り調査いたしました。その結果、十三の団体で寄附を行っていたという事実は報告を受けておりますが、その額についてはその時点では報告を受けておりません。
○大森委員 献金額は掌握していないと。私は納得できませんね。
 あなた方の調査でも、このことし八月二十八日の調査結果文書、その中でも、今もおっしゃいましたが、都道府県の宅地建物取引業協会の政治献金については、全宅連を通じ四十七の都道府県宅地建物取引業協会の定款及び収支計算書等の提出を求めるとともに、全宅連の事務局長、次長等から事情聴取をしたと。収支計算書をきちんと確認しているわけでしょう。であるならば、献金額がどれだけだったか、このぐらい説明できるんじゃないですか。
○三沢政府参考人 先生言われましたとおり、私ども、聞き取りの際に収支計算書も見せて、それでそれぞれ確認をしたいということを申し上げまして、それを持参いただきまして聞き取りをいたしました。ただ、その時点での記載方法というのは各協会ごとに極めてまちまちでございまして、例えば寄附金という項目の中に全部一括して書かれているものもございますし、あるいは政治活動費という項目で書かれているものもございまして、その中で例えばどういう政党に幾らかということは、その収支計算書の中では必ずしも特定できないということでございました。
 いずれにいたしましても、私どもは、その額の詳細よりも、どの団体で政治献金を行っていたかということを確認するというのが主目的でございましたので、そういう範囲でお話を伺ったということでございます。
○大森委員 そういう献金を行うことと同時に、献金額がどの程度なのかということも大変重要なことだと思うんですよ。
 あなた方は再三要求しても頑強に拒否をされるわけですから、私どもは独自に調査をいたしました。資料の配付をお願いしたいと思います。
 もともと各県の協会、それから全宅連、これは財政的な面でも業務の面でも一体不可分のものですよ。ですから、監督権限のある全宅連を通じて協会のこういう献金についても当然調べるべきであるということで、今資料を配付させていただいております。
 資料の一は、これは国土交通省が調査した先ほどの十三の協会の調査結果であります。資料二を見ていただきたい。資料二は、私どもが、各都道府県の自民党宅建支部の政治資金収支報告書から各県の宅建業協会名で献金したものをまとめたものであります。
 各都道府県の自民党宅建支部のをまとめたものでありますけれども、今お尋ねした二〇〇〇年、これは政治献金額は合計で四千五百八十万円であります。それから、二〇〇一年の政治献金の総額は四千六百五十一万円、そしてこの四年間の、これは十五県であります。これは後でも触れますけれども、十五県で一億六千六百四万円、大変巨額な献金がこの宅建業協会から自民党宅建支部に行われている、こういう事実を明らかにしたわけであります。
 そこで、大臣、この問題での率直な感想をまずお聞きしたいと思います。
○扇国務大臣 これは、自治省が正式に、どこの党に一年間の政治献金が幾らかかったか、また、各政党がそれぞれに明快にこれは公表しているものでございます。ですから、共産党の今大森議員がお示しになったのは、その自治省の報告からおとりになったのかどうか、私それはわかりませんけれども、おおむね政治献金というのは国民の前に公になっております。
 ですから、その中でいささかでも疑わしいことがあれば、必ず今回のように新聞にでかでかと載るというのが通例でございまして、私は、今ここにお見せになったことが、これだけお金を、政治献金をもらっているから、すべてがどうということは言えないと思っておりますし、共産党さんも一番政治献金をお集めになっているという新聞の報告もちゃんと出ておりますので、私は、どの政党がどこからどういうお金であるかということは当然あろうと思います。
 ただ、それが不正であるか不正でないかというのが問題でございまして、私は、不正であるならば堂々とただしていくというのは、国民の前にきちんとお示ししなければならないと思います。金額が幾ら、どこでということよりも、それが不正であるか不正でないかということの方が一番大事であって、金額の大小にかかわらず、小さくても不正はただすべきであると思っています。
○大森委員 日本共産党は、もうこれは全く問題のない、個人献金と事業活動によって堂々たる、財政活動も国民に足を置いて活動している政党であります。
 問題は、こういう宅建業協会、公益法人、社団法人、任意の、思想信条さまざまな方が加入するそういう宅建業協会が、自民党の職域支部に献金するのは本当に妥当かどうか、社会的な道義、国民的な視点から見てこういうことが問題ないかどうかということであります。
 私が先ほど紹介しましたように、自民党への入党や不動産政治連盟への入会を義務づけていること、あるいは会員から強制的に政治連盟の会費を徴収していることなどを指摘して、国土交通省は調査を約束して、昨年六月に調査結果を発表して、国土交通省は、問題があるからこそ全宅連を通じて是正の指導をしたわけですね。
 私が提示した資料というのは、自民党の宅建支部への献金一覧であります。政治団体への入会義務づけや会費の強制徴収と、問題は全く本質も同じだということであります。再度、大臣の答弁をお願いしたいと思います。
○三沢政府参考人 先ほど先生のお話にございましたように、昨年、宅建業協会とそれから不動産政治連盟との関係について私ども御指摘を受けまして、これについて八月に通達を出しまして、例えば、協会への入会に際して政治連盟への入会を義務づけるとか、あるいはいろいろな形で実質的に非常に紛らわしいようなことをする、そういうことについてはきちんと区分けをしなさいということを指導しているところでございます。
 ただ、そのことと宅建業協会が政党へ寄附をしていることは別の問題でございまして、一般論で申し上げますと、公益法人がその目的の範囲内で政治活動を行うということは、これは法律上は禁止されているものではなくて、法人の目的の範囲内であれば政治献金を行うこと自体は可能でございます。
 ただ、もちろんそういう寄附につきましては、政治資金規正法であるとかそういう関係法令を遵守するというのは当然のことでございまして、そういうことで国民の疑惑を招くことがないように適切に行われるべきものであるというふうに考えております。
○大森委員 それではお聞きしますが、なぜ自民党への政治団体への強制入会、あるいは会費の強制徴収、その是正を求められたのですか。何を根拠に求められたんですか。
○三沢政府参考人 それは、宅建業協会というのはもともと、宅地建物取引業の健全な発達を図るために会員の指導、連絡を行うことを目的とした公益法人でございますが、一方、不動産政治連盟というのは、これはもう政治資金規正法に基づく政治団体であるということでございますので、政治団体とはやはり明確な仕分けをする必要があるということからそういう指導をしたものでございます。
○大森委員 政治献金とはそれはどう違いますか。強制入会、会費の強制徴収、それと強制献金ですよ。そういうことを前提に、この宅建業界というのは、事実上あらゆる不動産業者が入らなくては営業できない、そういう性格のものでしょう。そういう団体に入って、本人の意思にかかわらず、特定の政党に献金をする。公益法人、社団法人、あなたが言うように、社団法人の定款のそういう範囲内というのであれば、自民党の入会、これも目的達成のために必要だということになるじゃないですか。
○扇国務大臣 大森議員がおっしゃっているところで少し、国民の皆さんに誤解があるといけないので、私はそこをはっきりしておきたいと思います。
 それは、少なくとも都道府県の宅地建物取引業協会、これは各県の知事さんの認可でございますけれども、そこに加盟するときに、政治連盟に一緒に入りなさいという入会申込書を一緒に渡していたということが私は違反である、それはおかしいと。建築業界としてきちんと協会になりたいという人に政治連盟の入会書も申し込みも一緒に渡していた、これはおかしいじゃないか、それはやめなさいと。
 しかも、各都道府県の宅建業界は知事さんの認可だけれども、私たちはそういう疑義を持たれる。政治連盟は政治連盟、宅建業界は宅建業界というきちんとした筋道がなければおかしいということで、疑義を持たれないようにということで指導したというのが事実でございまして、それも公表して、大森議員に一定の成果を得られたと言われて、見ていただいたのも、そこのけじめをつけた。
 今まではごっちゃになっていて、今おっしゃるように、どこがどうかわからなかった。こっちも政治献金している、政治連盟は政治連盟としてやっているという、その区別がなかったということで、私は、お金の行き末がどこからどこへというけじめのないのが国民の疑義を持たれる大きな要因であるということで、それを指導して、強制的に入会書を入れるということを全部廃止させた。
 もっとも、都道府県は知事さんの権限でございますし、また、少なくとも政治献金に関しては総務大臣の所管でございますけれども、私たちは、自分たちのできる範囲の中で指導してこれを改正させたということでございます。
○大森委員 大臣の方はちょっと誤解なさっておるようですが、国土交通省の調査について、私は一定の評価、そういう評価は、これから申し上げますけれども、やっていないわけであります。指導の文書を出したことは申し上げました。また、大臣の入札制度への取り組みも申し上げました。しかし、今の問題では極めて不十分である、こう申し上げなくてはなりません。
 これは先ほども言いましたけれども、入会金等を強制的に徴収することと全く裏表、入り口と出口の問題でしょう。全国の不動産業者の中には自民党の支持者の方もいらっしゃる、あるいは自由党や民主党の支持者の方もいらっしゃる。もちろん我が党の支持者もいらっしゃいます。
 そういう中で、なぜ入会金も取らないまま、今度は献金だけは一方的にやってしまう。これは明らかに、公益法人という不特定多数、いろいろな人が入る団体としては極めて問題のあるものであるということで、重ねてこれは是正を求めたいと思います。
 しかも、資料の三と四を見ていただきたいわけですが、資料三は、二〇〇〇年の政治資金収支報告書が掲載してある島根県の公報であります。また資料四は、二〇〇〇年及び二〇〇一年の政治資金収支報告書が掲載してある愛媛県の公報であります。資料三の方で、島根県宅地建物取引業協会から自民党島根県宅建支部に十二万三千九百円が寄附されています。また資料四は、愛媛県の公報ですが、愛媛県宅地建物取引業協会から自民党愛媛県宅建支部に、二〇〇〇年、二〇〇一年、それぞれ八十万円の寄附をしております。
 国土交通省は、二〇〇〇年度及び二〇〇一年度の収支計算書を四十七都道府県協会から取り寄せて、全宅連からの聞き取りもした結果、十三件という報告をしたわけでありますけれども、これは明らかに、調査結果と政治資金収支報告書の記載が違うわけですね。国土交通省の調査は極めて不十分であると言わなくてはなりませんが、いかがですか。
○三沢政府参考人 先ほども申し上げましたように、私どもの調査方法は、全宅連を通じて、その全宅連がまた各県の協会から聞き取りをするという形で、十三という報告を受けたわけでございます。これは私ども、各県の協会について直接その監督権がないということから、そういう間接的な方法をとっておるわけでございます。
 ただ、先ほど先生お話ございましたように、この調査、聞き取り調査といえども、これが一部事実が漏れていたとすればそれは大変遺憾なことでございますので、なぜそういうことが起きたかについては早急に調査したいというふうに考えております。
○山口委員長 次に、山口わか子君。
○山口(わ)委員 社会民主党・市民連合の山口わか子でございます。
 最後の質問で、おなかがすいてきたかもしれませんが、もう少し我慢をしていただきたいと思います。
 私の方からは、介護保険制度について御質問させていただきたいと思います。
 介護保険制度、二〇〇〇年の四月から始まったわけですけれども、かなり準備不足のまま開始されまして、いろいろな混乱の中でようやく二年半が過ぎようとしています。そんな中で、与えられる福祉から社会全体で支える介護へということで出発して、うたい文句だけはとてもすばらしいというふうに思っていますが、こうなってきた現状について、私も、もちろん介護を受けている利用者も市町村もさまざまな問題や悩みを抱えているのが現状だというふうに思っています。
 この介護保険の一番大きな目的というのは、やはり在宅介護をどう確立していくかという問題が非常に、これから一番求めていかなきゃいけないし、この問題が解決されない限り、医療保険と一緒で、費用はウナギ登りになってしまうということですから、やはり在宅介護をどう充実させていくかということが非常に大切だというふうに私は思っていますが、現状はなかなかそうはなっていません。厚生労働省から出されました平成十二年度の事業報告を見ましても、やはり施設介護へとだんだん移行してしまいまして、在宅介護がなかなかきちんと行われていないという現状も出されています。
 例えば、在宅介護の人数、件数は、介護度四、介護度五もまだ在宅で見ている人が多いということもありますが、その部分でなかなか施設に移行しない。施設は、むしろ介護度三とか二とかという人たちがかなり施設へ入っているという傾向も出てきていますが、施設に比べますと、在宅は、特に介護度四と五の場合で、平成十二年度で二四%もまだ在宅介護をされている方があるということなんですね。
 ところが、費用を見ますと、在宅、居宅介護では施設の約半分、在宅は多いんですが、施設に行きますと費用が倍も多くなってしまうということで、どうしても施設の方がお金持ちの人が入ってしまう、あるいは、お金のない人は、しようがない、我慢して在宅でやむを得ないという状況が生まれてきていると思います。
 その辺で、在宅介護がなぜきちっと進んでいかないのか、あるいはどこに問題があるのか、厚生労働省の方でぜひその辺の総括をお聞かせいただきたいと思います。
○中村政府参考人 厚生労働省の老健局長でございます。
 今、介護保険の総括について、特に在宅重視という観点から現状はどうかということを山口先生の方から、数字も示してお話をいただきました。
 先生の御指摘は、平成十二年、介護保険が始まって一年間のものでございました。介護保険がスタートいたしましてから二年半近く経過いたしておりますけれども、私の手元に直近の数字がありますので、若干御説明をさせていただきたいと存じます。
 まず、高齢者、六十五歳以上の方でございますが、この二年半で百八十万人ふえられました。これは八%ふえております。高齢化が進んでおります、これは介護保険制度があるなしにかかわらず客観的にそうでございますが。
 介護保険を、サービスを受けられますためには要介護認定を受けなければなりませんが、要介護認定を受けられた方、二〇〇〇年の四月、制度スタート時に二百十八万人であられましたが、今日、二〇〇二年の八月末で三百二十一万人、この二年半で百万人ふえております。四七%増加しているということでございます。
 それから、介護保険のサービスを受けられた方でございますが、二〇〇〇年四月百四十八万人、このうち施設が五十二万人、居宅、在宅が九十七万人でございましたが、それが今日二百四十八万人、これは二〇〇二年の六月でございますけれども、二百四十八万人ということで、これも百万人近くふえている。
 施設サービスの方は、五十一万人から六十九万人ということでほぼ高齢化に見合った増加でございますけれども、居宅サービスは九十七万人から百七十九万人ということで、伸び率といたしましては八四%の伸び、サービスを受けている方全体の数でいきますと二年半で六七%の増加ということで、そういった意味では非常に順調に伸びているというふうなことが言えると思います。
 先生御指摘がありましたように、非常に一部で施設サービスを希望される方が多いのではないか、こういうことも言われておりますけれども、在宅の方もなかなか健闘しておりまして、例えばホームヘルパーさんについて言えば、十四年五月の一月でヘルパーさんを受けられた方は、一年前と比べて、費用でもそれから日数などでも三〇%ぐらいふえているということで、在宅の方も順調にふえてきております。
 もちろん、要介護度の低い方が在宅サービスを多く使われているということで、例えば要介護一とか要介護二の方、要介護一では九割の方が在宅でございます、要介護二の方は七七%が在宅でございます。要介護四、五になりますと、先生御指摘のとおり、施設に入っている方が半分近くでございまして、要介護四では、在宅におられる方が要介護四の認定を受けた方のうちの四六・二%、要介護五の方は、在宅でおられる方は四二・七%ということでありますので、要介護四、五、重度の方は、半分以上の方が施設におられ、半分以上の方が在宅でおられる、そんなような状況でございます。そういうことでございますので、私ども、非常に順調に伸びておるということ。
 それから、基本は、やはりできる限り住みなれた地域や家庭で自立した生活をしていただくということでございますので、介護度が高い方でも在宅で暮らされる方は在宅介護サービスの方で支援してまいりたい、こういうふうに考えております。
○山口(わ)委員 私は、この介護保険制度の本質というのを、どこでも、だれでも、いつでも介護サービスが受けられるということが基本だと思っています。ですから、当然在宅で希望する方は在宅で安心してサービスが受けられるシステムでなければいけないというふうに思っているわけです。
 今局長さんもおっしゃいましたけれども、今、日本の状況はどうなっているかといいますと、非常に少子化が進みまして、高齢者がふえているわけですね。ということは、家族がいない世帯、つまり高齢者の二人の世帯あるいはひとり暮らしが多いわけです。そういう中で、しかも収入が少ない、福祉年金だけで生活している人もいるわけですから、そういう人たちが在宅で介護サービスを受けようと思ったら、とても受けられる状況ではないわけです。
 それは、地方で私はいろいろな人の話を聞いていても、本当は在宅で暮らしたいけれども、でも、じゃ、二十四時間サービスができるのかといったら、現実には無理なんですね。例えば、二十四時間でサービスを介護度四の人あるいは介護度五の人が受けようと思ったら、夜中に介護サービスを受けることになるわけですから、そうなったときに、一五〇%増になります、お金も非常にかかります。全部計算しますと、とてもとても、上限を上回ってしまいますから、自己負担がふえてしまうということで、これは非常に難しいという状況が出てきているわけです。
 ですから、やはりその地域で、その地域の実情もたくさんあります、山間地もあります、もちろん施設のないところもあります、施設のたくさんあるところもありますが、いろいろなところでその人がその人なりにきちっとサービスを受けられるシステムになかなかなっていないというのが現状ではないかと私は思うのです。
 計算でいきますと、あるいは統計でいきますと確かにふえているかもしれません。でも、ふえているからいいというのじゃなくて、例えば在宅で受けたい人が在宅で受けられない原因は一体何かということも、厚生労働省としてはぜひつかんでいただかなきゃいけないと思うのですね。
 それから、在宅で支える場合に、それは介護度の軽い人はいいかもしれませんが、重たい人は、これは家族の人がどうしてもかかわらざるを得ません。ですから、家族の人たちは、無償労働でもあり、精神的な苦痛も肉体的な苦痛も伴うわけです。住居も狭い、車いすも使えない段差の多い構造の中で、やはり介護は非常に難しいという状況になっているわけですね。
 そうすると、人間としては、どうしても施設へ行ってしまうわけです。施設だったら住居の心配も要らない、光熱費の心配も要らない、洗濯もしてくれる。すべて丸抱えでサービスをしてくれるわけです。
 そうなると、同じ保険料を払っていながら、在宅でサービスを受ける人は非常に不十分で、もちろん住居の問題も解決しない、あるいは非常に高いからなかなかサービスも受けられない。でも、施設へ入ってしまえば、五万か十万の間で、とにかく丸抱えで住居の面倒まで見てくれる。こんな状況ですから、これはやはり在宅でサービスを受ける人にとっては非常に苦痛だというふうに思うのです。
 ですから、私は、施設へ入ろうが在宅で暮らそうが、どこに暮らしてもサービスが受けられて自立できる、この介護保険制度というのは自立が目的ですから、自立できる制度にしなければいけないというふうに思っています。
 そういった意味で、やはりかなり問題があると私は思うのですが、局長さんはどういうふうにお考えで、その点でどういうふうにサービスをこれから変更していこうと思うのか、お聞かせください。
○中村政府参考人 先生の方から、地域で、各地域に合った自立支援をする介護システムの問題でございますとか、重度の方の家族介護、あるいは家族がいないと介護できないというような問題、二十四時間の介護体制も含めましての問題、それから施設サービスと在宅サービスの問題、特に施設サービスのいわば割安感と在宅サービスの割高感の問題等々、多岐にわたってお話があったかと思います。
 まず、今、介護保険はどういう取り組み状況になっているかという点から申し上げますと、介護保険は、三年ごとに市区町村で事業計画をつくっていただきまして、三年ごとに保険料を変えていただく。国の方では、その時期に合わせまして、事業者さんにお払いをする介護報酬の見直しのところに当たっております。
 そういった意味で、今先生から出ました施設における割安感と申しますか、在宅介護が望ましいんだけれども、なかなか在宅サービスについてさまざま難しい点があるというような問題。それは、ケアマネジャーさんにいいケアプランをつくっていただくためにちゃんと介護報酬が出ているかとか、二十四時間ケアの問題も含めまして、ホームヘルパーさんのあり方などなど、介護報酬の面をめぐりまして、また、地域における新しい事業計画の設定をめぐりまして、今審議会の方でも、それから市区町村の方でも作業をしておるところでございます。それが一点。
 それから、今後、介護保険、今二年半でございますけれどもやってみて、反省点はないか、見直す点はないか、そういった意味では、法律施行後五年を目途に介護保険制度の見直しを行うべしと、これはもう介護保険法の附則で求められております。私どもは、今度の三年の定期的な見直しが終わりましたら、介護報酬全般の見直しについてまた取り組んでまいりたいと思います。
 その際、当然、どういった給付がいいのか、また施設と在宅とのバランス、今先生は施設と在宅というふうに御指摘いただきましたけれども、介護保険制度では、このほか、グループホームみたいに、いわば施設と在宅の中間的な類型も出てきておりまして、そういったところについてもう少しはっきりさせていくべきじゃないか。あるいは、今の施設と在宅の間にもう少しさまざまなサービスのあり方を考えるべきじゃないかというのは既に審議会の方からも御指摘いただいておりますので、次の見直しの重要な課題として検討してまいりたいと考えております。
○山口(わ)委員 私が先ほどから申し上げていますのは、やはり介護の本当の目的というのは、寝たきりをふやすことではないので、寝たきりを減らす、つまり、自立をどうさせていくかということにあると思います。それは施設でも同じですし、在宅でも同じだというふうに思っています。そういった意味で、やはり在宅をどう強化していくかということは物すごく大事だというふうに私は思っています。
 私も、ついこの間、デンマーク、スウェーデンに行ってまいりまして、その施設を見てきましたが、あちらは、施設サービスも在宅サービスも、サービスの内容は一緒なんですね。ただ、施設サービスの場合は、家賃という形で別に住宅費は払っているわけです。でも、サービスの内容は施設であろうが在宅であろうが全く同じ、しかも料金は非常に安いという形になっています。もちろん、自己負担は当然あります。住宅費の場合は、一〇〇%負担する人もいれば、お金のない人はゼロという人もいますから、負担はゼロということでなくて、それは、やはりお金のある人には負担してもらうのはいいと思うんですが、サービスに不公平がありますと、これはとてもじゃないけれども、こんな不公平なら施設を選んじゃおうということになりますから、やはり私は、施設であっても在宅であってもサービスの内容を平等にしてほしい。これは私の要望です。
 それから、もう一つ要望がございますが、サービスを考える場合に、人間の生活が基盤にならなければいけないと思うんですね。生活が基盤で、その上にサービスがなければいけないと思うんです。
 例えば、看護師が看護の目的でサービスに行きます。行ったところが、例えばおむつが汚れていたとしますと、そのおむつのサービスは家事の介護だから看護師はやらないとか。じゃ、その場で見て帰るのかといえば、そうはいかないわけですね。おむつ交換したときに、じゃ、おむつの洗濯は家事だからといって見て見ぬふりして帰るわけにいかないんですよね。その人の生活の中でいろいろなサービスが組み合わされて初めて自立ができるわけですから、そういうサービスのあり方をやはり考えてほしいというふうに思うのです。
 今はそうなっていないんですね。頭のいい人が考えるとこうなるのかなと思うんですが、やはり、一人の人間が生活していく上でどういうサービスが重要かということはぜひ考えてほしいし、今言ったように、家事のサービスが身体のサービスより安くて、看護のサービスはもっと高くてというのではなくて、その人の生活のシステムの中でその人にはどういうサービスが必要か、そのためにはどういう人たちがどうかかわっていくかということで、やはりサービスの金額に余り差をつけるのは私は感心できないというふうに思っています。そういった意味で、ぜひその辺はこれからの改善としてやっていただきたい。
 例えば、外国の方でサービスをちょっと私も見学してきたんですが、たまたま、全く文盲の、目の見えない方のところへ行ったんですけれども、そこではヘルパーさんが来まして、夕食だけはその人と二人で考えて、買い物に一緒に行って物を買って帰ってきて、そこで一緒に食事をつくって、そしてそのヘルパーさんは帰られるわけです。ところが、じゃ、お掃除はといいますと、二週間に一回しかやらないんですね。でも、その彼女はとてもお部屋がきれいでした。どうやってやるのと言ったら、見えない手探りでもお掃除をするんだそうです。ですから、朝とお昼は自分で自立して食べる。そういうふうに、向こうは自立に対する意識が非常に高いし、そういうサービスをきちっと提供していくわけですね。
 そういった意味では、やはりヘルパーさんの教育もそこを大事に、何でも行ってサービスをしてあげることが利用者のためになるのではなくて、利用者が自立していくためにはどういうサービスが必要か、そのためには私は何をしなければいけないかということをヘルパーさんの教育の中でしていただかないと、幾らサービスをよくしても、自立できない、寝たきりになってしまう、ますますお金がかかって、結局最後は施設へ入らざるを得なくなるということになりますから、やはり私は、その辺は、自立を目的とする。そしてサービスの内容は在宅、施設であっても同じ、あるいは、家事であっても看護であっても身体であっても、その一連の流れの中で行うサービスであるということを含めて、ぜひ検討していただきたいというふうに思います。
 まだたくさん私はあるんですが、きょうは時間がございませんので、また後でやらせていただきたいというふうに思います。
 最後に、皆様のお手元に資料が出されていると思うんですけれども、実は、厚生省の管轄の公益法人で介護労働安定センターがありまして、私はこの前もこの質問をさせていただきまして、百億も一般会計から出ているので非常にびっくりしたんです。
 この介護労働安定センターの元職員の方から厚生労働省職業能力開発局特別訓練対策室に要望書が出されていまして、その内容は、平成十一年度の出勤簿に、職員が九人いるわけですが、かなり多くの空出張印が押されていたということ、その出勤簿が二重帳簿になっていたということ、その職員を、勝手に職員の印鑑を不正に押して出張をふやしていたということ、そして、その出張旅費で生み出されたお金を飲食費に使われていたというようなことが出されていました。
 お手元にあると思いますが、私もこれ、ちょっと見せていただいたんですけれども、とにかく一年間で九人の出張回数が八百六十四回ということですから、二百日の労働時間、労働日数としますと、二日に一回はみんな九人が出張しているということになるので、これは本当におかしいなというふうに私は思ったんです。
 この要請書が出されていることは御存じだと思いますが、現在、この要請に基づいて調査が行われているのでしょうか。そのことをお答えいただきたいと思います。
○小林政府参考人 今委員御指摘の要望書につきましては、厚生労働省の方へ提出をいただいております。その後、この要望書を提出された御本人と電話連絡あるいは直接面談という形で状況をお聞きしたところでございます。
 現在、要望書を提出された御本人の意向を踏まえまして、御指摘の事項についての事実確認等について、財団法人の介護労働安定センターに指示をいたしまして調査を行っているところでございます。
○山口(わ)委員 平成十一年度ということですから、そんなに大きい支部ではございませんので、調べればすぐわかることだと思います。
 そのことは、国民の貴重な税金ですから、お金の問題ではなくて、こういう不正な行為が行われているということが事実であれば、これはやはりきちっとしなければいけないというふうに思っていますし、私も、この介護労働安定センターというのは余りにもお金がたくさん行き過ぎていて心配だなとは思っていたんですが、一支部でこういうことが行われているかどうかということも、私は問題だと思っているんですね。こういうことが行われているということは、ほかの支部でもあり得るんじゃないかということがあると思いますから、やはり毎年の会計検査あるいは業務検査というのはきちっとしていく必要があると思いますし、私が見ただけでもこれは変だと思いますから、そこのところはやはり調査の必要があるんじゃないかというふうに私は思っています。
 これは本人の申し立てですから、最高裁で負けたということもありまして、その事実は、公には多分不問に付されてしまうんだろうと思いますが、本人としては、このことを指摘して問題にした結果、職場をやめさせられてしまったということを彼女は言っています。確かに、嘱託職員ですから、一年の任期が来たからやめてくれと言われればそれまでだと思いますが、彼女自身は、就職したときには、ずっと働いてくれと言われて入ったそうです。口約束ですから、それも本当かどうかと言われれば、それはないと言われればそうなるかもしれませんが、こういうことを彼女自身が不満として受け取るようなことがあってはいけないと思っています。
 特に、公の会社ではございませんので、公の施設ですから、やはりそこは情報をきちっと開示しながら公明正大に、だれに聞かれてもわかるような、そんなセンターにしていかなきゃいけないというふうに思っていますが、私は、このセンターは余り意味がないというふうにも思いますし、公益センターにしなくたって、ヘルパーさんのいろいろな資格を取る講習だとか、そんなことはずっと全国各地で、各自治体でやっていることですから、そこにもっと力を入れた方がいいと私は思います。
 そんな意味で、これは要望ですが、ぜひこの調査の結果が出ましたらお知らせください。それと、やはりここの場所だけでなくて、全国にある支部の検査もきちっとしていただきたいというふうに思っています。よろしくお願いします。
 ありがとうございました。
○山口委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時十二分散会